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政府委員(藤井貞夫君)
お答えをいたします。
最初のノンキャリア問題に関連しての、いわゆる係長級研修の別科の問題についての御
質疑でございます。これは、実は中堅幹部の養成というものはどこの
省庁でも大変大事なことでございますが、それは必ずしも上級
公務員の試験に通った者だけに限るべきではなくて、広くこれは初級であれあるいは中級であれ、それにふさわしい人材というものはやはりしかるべき
ポストにつけていくと伸びていく。そういう道をつけてまいりますことは当然のことであろうと思います。また、
職員の士気を高める上からも大事なことであろうというふうに
考えております。
ただ、現実の姿を見ておりますと、係長研修の
実態というものは、何といたしましても数が多いこともございまして、出てまいります者は上級試験の合格者に偏る、そういう傾向が顕著でございます。そこで、この場合、中級、初級の試験の合格者の
諸君にももう少し門戸を開放し、その機会を与えてまいりますことが大事ではないか。そういう発想から別科の研修を実施することにいたしたのであります。幸いに、結果は大変成果が上がったのではないかというふうに
考えておりますが、それはそれといたしまして、私は機会のあるごとに申し上げておりますように、現在の試験の仕組みというものは、これはやはり
考え直すべき時期に来ているのではないかという
考え方を持っております。
御承知のように、現在試験は上級、中級、初級ということに分かれておりまして、上級は大学卒、中級は短大、それから初級は高校であることは御承知のとおりでございますが、最近の実情を見ますと、短大の対象を原則といたしておりまする中級試験に四年制の大学の卒業生が流れ込んできております。結果として、その合格者が九〇%に達するという姿が出てきております。また、これは望ましいことではございませんが、高校程度を対象とする初級の試験、これにも四年制の大学生が一〇%程度、あるいは少しふえる傾向がございますが、こういうものが流れてきておるという傾向がございます。この
批判は別です。
批判は別ですが、やはり試験区分というものについて何らかの手を打ってまいりませんと、後々大変困るんじゃないかと。同じく職場に入ってきた者が、試験の入口のことは問題外と今度はいたしまして、どうも同じ大学でありながら処遇の仕方がおかしいじゃないかとか、そういうことで大変職場
管理上むずかしい問題が起きることは、これは火を見るよりも明らかでございます。
そういう観点から、早急にやはりこれは試験区分というものについても手を打つべき段階に来ておるんじゃないかと思うんですが、それとの関連において昇級試験というものが、現在
制度としては規定されておりながらいろんな事情でいままで行われておりません。やっておりますものは採用試験だけてございます。あとは大体選考——非常に限られた、限定されたところでは昇任試験に似たものをやっておりますが、全般にはやっておりません。
そこで、私は、これに対処するためにもやはり昇任試験というものを取り入れるべき時期に来ているんじゃないか。これは、試験区分についてはそういう
制限を設けずに、あらゆる者に門戸を開いてやる昇任試験、そういうものをやっていくべき時期に来ているんじゃないかという
考え方を持っております。それのひとつ地ならしと申しますか、基礎をだんだんつくっていく。また、われわれのこれに対する自信というものをはっきり持ちますためにも、
一つのテストパイロット的にやってみることがいかがであろうかという
考えで
発足をしたわけでございます。
したがいまして、いま御
指摘になりました、また御懸念もございましたように、私たちとしてはこれによって新しい差別を設けるということは絶対あってはならないと思っております。その点は運用上も今後十分注意してまいりたいと
考えておる次第でございます。
それから第二の、
公務員の健康
管理のことについて御
指摘をいただきまして、まことに感謝にたえません。
人事院といたしましては、毎年一回
公務員の死因調査その他をやっております。そう
世間一般とむろん変わったことはございませんですが、やはり特殊な成人病でありますとかそれから循環器系統、それから心臓の
関係、そういうような疾患が多くなっておりますし、またいわゆる
管理者病といいますか、ストレスということに基づく自殺その他の原因というものもふえる傾向にあるということは事実でございます。
したがいまして、これに対処するためには、着実な、計画的な健康
管理というものをやっていかなきゃならぬということはわれわれも痛感をいたしております。そのためには、御承知のように、ここで具体的例は挙げませんが、定期的な健康診断その他あらゆる手を通じて気をつけておるつもりでございますが、まだまだ、忙しくてなかなかそういうものは行く暇がない、診断を受けるいとまがないとか何とかというようなことでそういうものを受けないというようなことがあって、知らぬ間に病勢が進行するとか、いろんなことが出ておることも事実でございます。
しかし、公務災害を言う前に、まず第一に大事なのは健康
管理であるということは御
指摘のとおりでございますので、われわれといたしましては、今後もさらにこの点については精力的にやっていきたいと、かように
考えております。
それから第三の、今回の夏の勧告で、
人事院といたしましてはいろんな情勢が変化しつつある中において、これに対応するために
人事諸
制度というもの、
給与、任用その他全部を通じまして総合的な検討を開始すべき時期に来ておるのではないかという提言をいたしたのであります。大体、いま
山崎委員も御
指摘になりましたように、私といたしましては六十年あたりに実施をしていくという、提案のこれは実施をしていくという目途のもとに、五十八年度あたりをめどにして大体の方向というものを打ち出したいということで、いま事務当局を督励いたしまして作業に入っております。その間においていろいろ御意見を承ってまいることになると思いますが、特に自分自身の身分に
関係することですから、組合
関係が一番直接的な関心を持つことは当然でございます。そういう意味で、これらの
関係の意見というものはそれこそ十二分に聴取をし、また協議もしてまいる所存でございます。幸いに今回の場合は、まだ全部が全部でございませんが、一部の組合においてはもはややはりいろいろ反対とかいうような時期ではないではないか、むしろ土俵に上って対等の
立場でひとつ意見を交換しながらいいものをつくっていこうではないかというような声も出ておるということでもございますので、私たちといたしましてはその傾向は大変いいことであろうというふうに評価をいたしておりまして、いろんな機会を通じましてこれについての話し合いは積極的に、さらに精力的に進めてまいるということを申し上げておきたいと思います。
それから、次の当面の問題でございまして、三点ございます。
一つは、枠外者の問題でございますが、これは全然放置してそのままにしておくという意味ではございません。特に、いまちょっとほかの問題でもお触れになりましたように、六十年の基本的な問題が結論が出るまではどんなことがあってもほったらかしだというような、そういう投げやりな、また無責任なことは
考えておりません。実は、高齢者の昇給停止等の問題もございましたし、また各
省庁における枠外者の
実態というものも毎年注意を持って調べております。その結果、例年ほど放置しがたいと認められる者がなかったというようなこと、それと高給者の昇給停止との絡みとか、そういう問題で本年は
措置をしなかったわけであります。号俸延伸の
措置は講じなかったわけでございますが、しかしかなり枠外者の数がふえてまいります傾向は無視できません。そういうことがございますので、
実態については一層突き進んだ調査をやりまして、打つべき手は打っていくと、結論が総合的に出るまではほうっておくというんじゃなくて、必要な
措置は今後とも機会のあるごとに打っていくという
配慮はいたしたいと思っております。
それから、第二点の問題でありますが、調整手当の
関係、これも検討はいたします。実はしかし、地域給の問題といたしまして、これはいわばたな上げみたいなかっこうで今日に来ておって、あえて手を加えておらないわけですが、これがいまの形が非常に恒常的なものであるとは私も思っておりません。ただやはり、毎年調べておりまする地域的な官民の較差の問題等を見てまいりますと、やはりいまの地域区分に対する調整手当の比率とほぼ相似たような、そういう率の差が出ておることもこれは事実でございます。しかし、それがぴたりと正確というわけにもまいりませんので、この点については、これこそ私は根本問題の一環としての地域給の問題地域給と本俸との問題、そういうような観点におきまして、十分深刻にひとつ受けとめて検討をしてまいりたいと思っております。
それから最後に、宿日直の問題でございます。これにつきましてもことしも
民間の調査をいたしました。ある程度
数字は動いております。動いておると言うのは、上がっております。やっておるところは動いております。ただ、
民間の宿日直の形態というものが、これも御承知のようにだんだん委託と申しますか、警備会社がそれを負担するとかというようなことになっておりまして、いまやむを得ず
存置をしておる会社における宿日直の
実態というものが大分内容的に変わってきておるということも見受けられるのであります。そこで、もう少しこれは掘り下げて
民間の
実態も調べて、それの対応で、もしやはりそれに対応するこっちの職種があって、それが処遇として非常にちぐはぐであるという問題が出てまいりますならば、これに対する当然
措置は講じてまいらなければなるまいという
考えをいたしております。
以上でございます。