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1980-11-25 第93回国会 参議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十五日(火曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林  ゆう君     理 事                 藏内 修治君                 竹内  潔君                 矢田部 理君                 木島 則夫君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 中西 一郎君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 片岡 勝治君                 野田  哲君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  大村 襄治君    政府委員        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   多田 欣二君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        防衛審議官    西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛庁衛生局長  本田  正君        防衛庁経理局長  吉野  實君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁長官  渡邊 伊助君        防衛施設庁総務        部長       菊池  久君        防衛施設庁施設        部長       森山  武君        防衛施設庁労務        部長       伊藤 参午君        外務大臣官房外        務参事官     渡辺 幸治君        外務大臣官房調        査企画部長    秋山 光路君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        通商産業省貿易        局輸出課長    竹内 征司君        運輸省航空局首        席安全監察官   和久田康雄君        会計検査院事務        総局第二局防衛        検査第一課長   仁村  甫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  前回に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 片岡勝治

    片岡勝治君 まず初めに、十一月十八日福岡上空日本航空ジャンボ機自衛隊ジェット練習機ニアミスがあったという報道がされました。運輸委員会等関係もありますので、まずこの問題について、その経過並びに事後の対策についてお伺いをしたいと思います。  まず、この問題が発生したときに、日本航空から運輸省にどういう報告があったのか。同じく自衛隊から運輸省にどういう報告があったのか。この点をまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  4. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) まず日本航空の方でございますが、これは航空法第七十六条の二に基づきまして機長報告がございました。その概要はすでに新聞等で御承知と思いますが、福岡空港を離陸して約一万一千フィートに達しましたとき、前方一海里にジェット機を発見いたしまして、右に旋回して回避いたしましたところ、相手機は自機の左側至近距離水平距離でおおむね六十フィートと申しますから約十八メートル、高度差で申しますと十五フィートと申しますから約五メートルを通過していったという報告があったわけでございます。  一方、自衛隊機の場合は、このような非常に差し迫った近接した状態にはなっていないというのが当該機長認識でございますために、航空法に基づきます機長報告という形では出てまいっておりません。ただし、私どもといたしましては自衛隊側にその当時の事情を確かめました結果、当該状況報告というもの、状況報告書というものの提出をいただいておるわけでございます。それによりますと、自衛隊といたしましての認識は、水平距離では約一千フィート、すなわち三百メートルあり、高度差におきましては五百フィート、すなわち約百五十メートルあったというふうに見ておると聞いておるわけでございます。
  5. 片岡勝治

    片岡勝治君 幸いにして、接触あるいは衝突というような事故にならなかったわけであります。しかし、新聞報道によりましても、「自衛隊機日航ジャンボ 最悪のニアミス四・五メートル高度差」あるいは「超ニアミス 日航ジャンボ自衛隊機」という見出しで、非常にショッキングな記事として報道されているわけであります。しかもジャンボ機は二百七十五人の乗客が乗っているということでありますから、不幸接触なり何なりした場合には大変な事故になったということであります。しかも、いま聞いてみますと、日本航空機長報告自衛隊の方の認識とでは非常に大きな差がある。これはよく交通事故で、おまえが先にぶつかった、いやおまえが先に出てきたというようなことと問題が違うわけでありますから、一たび事故が起きれば大変な問題になる、かつて経験があるわけであります。  こういうような事故に対して大変不思議なのは、ジャンボ機機長乗務員もいわばプロのすばらしい技術を持った人であろう。また自衛隊練習機とはいえ、その練習員なりあるいは指導員が乗っているわけでありますから、これほど大きな距離の差があるということは私たち素人であっても信じられないのです。つまり、高度差が五メートルと日航ジャンボ機機長は言う、自衛隊の方はいや百五十メートルもあった。こんなに認識の差が非常に——時速五百キロぐらいでしょうか、飛んでいるとはいえ、こんな大きな認識の格差があるとは私は信じられないのですよ、どうしても。そういう点で自衛隊の方に、私は、何か実際の現実に見た機長認識誤りがあるのではないかというふうに、この報告を見て非常に痛感をするわけなんですが、これは自衛隊の方自体も恐らくお調べになったと思いますね。自衛隊の方で調べた結果というものは一体どういうものであったのか、もう一度ひとつ、今度は自衛隊の方からお答えをいただきたいと思います。
  6. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 運輸省から先ほど御説明があったとおりなんでございますが、もう一度とおっしゃいますので、自衛隊の方で調べた状況を申し上げます。  十一月の十八日の午前十時三十三分ごろ、福岡県甘木市南方約三・七キロの上空であります。自衛隊機は、航空自衛隊の第十三飛行教育団——九州の芦屋に存在します——そこに所属するジェット練習機T1型という飛行機であります。これがいま申し上げました時間、場所上空約三千五百メートルのところを飛んでおりましたところ、左前方に約一・五海里、これは二・八キロメートルでありますが、約三百メートル下に上昇中の日航ジャンボを発見したために、直ちに右上昇旋回を行ってこれを回避したということであります。そのときの双方の最も接近した時点の水平間隔が約三百メートル、高度の差は約百五十メートル、先ほど運輸省が御説明したとおりの認識自衛隊飛行機機長認識であります。したがっていまのような水平間隔高度差がありますので、危険な状態ではなかったという認識報告を受けているところでございます。
  7. 片岡勝治

    片岡勝治君 これも新聞報道されておりますが、航空評論家青本日出雄さんの談話が載っております。「高度差四・五メートルを人間にたとえれば、体毛体毛が触れ合う感じ」ということでありますね。まさにこの髪と髪が触れ合う、あるいは産毛産毛が触れ合う感覚だ、こういう証言をいたしております。まさに衝突寸前接触寸前だったであろう。恐らく日航ジャンボ機機長はそういう感覚で受け取ったに違いない。ですから四・五メートルという認識が出たんだろうと思うわけであります。まあ、これはお互いに言い合って裁判をやるわけではないでしょうけれども、こういう両方に非常に大きな、言い分に差があった。これは、一体何かこの真相といいますか、これを調査する機関とか、そういうものはあるのですか。
  8. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) 私ども運輸省安全監察官室におきまして、それぞれ両機機長から事情説明報告を求めるというふうなこと、あるいは私ども航空交通管制部にございますレーダー航跡図によりまして航跡を推定するというふうな方法によりまして、できるだけ両機相対位置につきましての推定を下し、それによって原因追求をいたします。これが私ども異常接近報告を受けました際の通常の調査方法でございます。
  9. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、今度のこの事態というものについては、正式の機関はどうおっしゃるのかわかりませんが、そういう調査はこれから行われるわけですか。それとももうやったということでしょうか。
  10. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) ただいま日本航空機につきましてはフライトレコーダーを取り寄せ中でございますし、福岡航空交通管制部からはレーダーの記録を取り寄せ中でございます。それを解析いたしまして、ただいま申しましたようにできるだけ速やかに原因追求に当たりたいと存じている次第でございます。
  11. 片岡勝治

    片岡勝治君 ひとつ至急それはお願いをいたしたいと思います。  私どもからすれば、双方言い分に大変大きな差がある、こういうことは信じられない。どちらかに誤りがあるに違いないと、こう思うわけであります。  しかし、そもそもこういうような事態発生をしたということについては、また別の一つ問題点があると思います。つまり日航機は定められた時間、定められた高度、定められたコースで飛んでいる、そういうふうに私ども認識をしているわけでありまして、そういうふうにいたしますと、そこに飛び込んでいく、あるいはその近くを通る自衛隊機の方にずばり申し上げて間違いがあったのではないか。そうでなければこういうような事態発生をしないはずであると思うが、これはいかがでしょうか。ひとつ運輸省側にまずお答えをいただきたいと思います。
  12. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) 当日の状況は有視界飛行状態でございまして、気象条件視程等は十分にあったわけでございます。自衛隊機は有視界飛行方式によって飛行しておったわけでございます。このような場合におきましては、やはり見張りによって十分な間隔を設定するというのがまず基礎になるわけでございますし、そういった意味におきまして、たまたまその交差いたしました経路福岡空港から出発する航空機経路に当たってはおりましたけれども、そういう経路と申しますものは日本じゅう至るところにあるわけでございまして、有視界飛行状態におきましては、当然両機長見張り義務を十分に行うことによって危険は避けられるわけでございます。その意味におきまして、今回のような事件発生いたしましたのは、場合によっては見張り義務に一部至らない点がなかったとは言えないのではないかという意味におきまして、なお今後十分調査してまいりたいと存ずる次第でございます。
  13. 片岡勝治

    片岡勝治君 自衛隊側の見解。
  14. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いま運輸省から御説明ありましたとおり、当日この時間の状況は有視界飛行状態でありましたので、日航側自衛隊側双方見張り義務があり、どちらが優先するというものではないと法令上私どもは理解しておりますが、ただ、自衛隊操縦者というものは常時綿密に敵を探索し、早く見つけなければ当方は撃ち落とされてしまうわけでありますから、そういう意味では見張りについては徹底したプロでなければならないというような意味からして、そして今度のケースは相手ジャンボで大変大きな機体であり、自衛隊側練習機の小さなものであるということからして、常識的に自衛隊機の方が先に発見して安全な距離を保つという、常識的な意味での注意義務がより多くあったのではなかろうかという点は私どもは非常に深く反省をしております。そういう次第でありますので、従来から指導している徹底した見張りをさらに強力に推進していかなければならないと思っている次第でございます。
  15. 片岡勝治

    片岡勝治君 たまたま天候がよかったということもあるいは救いであったかもしれませんが、しかしどうでしょうか、私ども素人考えからいたしましても、これは、言うなれば日航ジャンボ機一つの決められたコースでしょう、ここは。恐らくここを外れて飛んでいたというふうには新聞等報道でも書かれていない。そういう定期的な定められたコース、そういうところに自衛隊機が飛ぶこと自体私は非常にこういう危険性があると思うんです。しかも、日航機は定められた時刻等もあるわけでありますから、事前にそういったものを十分把握した上で自衛隊機練習をする、あるいは基地に帰る、こういうことは当然の配慮としてあってしかるべきじゃないでしょうか。そうでなければ私はこういう事故というものは非常に今後も出てくる、そういうことを非常に心配するわけなんです。こういうことはできないんですか。日本航空航路に対して自衛隊機はできるだけ避ける、そういうことをしなければこれは大変な問題になると思うんですが、この点はどういうことになりますか。
  16. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) 現在出発進入機の特に多い日本じゅう空域を十一カ所指定いたしまして、特別管制区というものを設けております。その空域におきましては、自衛隊機を含めまして有視界飛行で飛行することは原則としてできないということで、すべて管制を受けて飛行するという形をとっております。福岡空港におきましても、福岡空港周辺の一定の空域はこの特別管制区になっておるわけでございます。でございますから、ただいま先生御指摘のございましたように、出発進入機の多い空域につきまして特に安全を図る必要があるという空域につきましては、こうした特別管制区の設置等につきまして今後必要とされるものについては私どもも検討してまいりたいと存じておる次第でございます。
  17. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、この地域は指定されてないわけですね、たまたま遭遇した場所というものは。
  18. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) 特別管制区に指定されますと有視界飛行原則として禁止されますために、自衛隊機に限らず一般使用事業飛行機でございますとか、自家用機でございますとか、そういう一般飛行機が有視界で飛びますことには非常に制約を受けるわけでございます。その意味におきまして、定期路線を飛びます飛行機との安全の兼ね合い等から、交通量状況等を十分に勘案いたしまして必要な空域について設定しているわけでございまして、たまたま今回の事件空域はその範囲には入ってございません。
  19. 片岡勝治

    片岡勝治君 この問題が発生する前に、東亜国内航空と同じく自衛隊機ですか、ありましたね。これは徳島ですか、高知か、これはどういう状況だったんですか。
  20. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) これは九月二日でございますが、九月二日に、東亜国内航空大阪発種子島行きの定期便大阪から四国の上空を航行中、徳島の付近でございますが、自衛隊練習機と思われるジェット機を発見して左旋回によって回避操作を行ったわけでございます。東亜国内航空機報告によりますと、相手機は自機の右側五十ないし百メートルを同高度で通過したと申しております。他方、自衛隊の方から状況をお聞きいたしましたところ、当該機東亜国内航空機前方約千フィート、下方約五百フィートで発見いたしまして回避をいたしました結果、最接近時におきましては相手機距離垂直間隔で約五百フィート、水平間隔で約二百フィートであったということでございまして、この場合におきましても、自衛隊機の側とされましては垂直間隔が五百フィートございましたので十分に安全であったと、危険な状態ではなかったというふうに見ておられるわけでございます。この件につきましても現在調査中でございます。
  21. 片岡勝治

    片岡勝治君 この東亜国内航空とのニアミスの問題につきましても、東亜国内航空側認識自衛隊機の高度の認識距離認識というのは非常に大きな差があるわけですね。今回も非常に大きな差がある。しかも、いずれも民間機の方が危険を感じ自衛隊機ニアミスでないという、そういう認識に立っております。非常に共通しておりますね。この辺に私は非常に大きな問題点があると思うんです。  この自衛隊機は、まあこういうことを予測するのは余りよくありませんが、仮に何か事故があったときに飛行操縦員は飛び出すような装置はついているんですか、今度の場合。自衛隊機が、練習機ね、飛行士事故があったときに自動的に飛び出してパラシュートでおりる装置、そういうものはついているんですか。
  22. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 非常脱出装置はついております。
  23. 片岡勝治

    片岡勝治君 私は飛行士の安全から、当然練習機というものはとかく事故がないとは言えないわけですから、そういう安全装置をつけるのは人命尊重から当然だと思うんです。しかし、民航機の方はそういうものがないんですよ。あのでっかい飛行機乗務員乗客がすっ飛び出すなんということは事実上不可能であります。そういうことを考えてみますと、なお私は何か問題が自衛隊側にあるような気がするわけなんです。しかし、その真相はいま運輸省の方で調べておりますから、その調査結果を待つことにいたしましても、しかし二つのニアミス認識の相違というものについて私非常に大きな疑問を持つわけであります。したがって、今後は自衛隊側におきましてもその辺の認識というものをひとつ十分再検討して、ぜひこの真実に近いものが出るように——うそを言っているとは私は申しませんが、余りにも大きな差がある、これは国民の側からして非常に大きな疑惑であると思います。  なお、この最初東亜国内航空のときに自衛隊側として何か通達を出したというようなことがちょっと新聞に載っていますね。それから今度の問題も、これはいつですか——二十一日、山田良市幕僚長から航空訓練コース設定などの実施要領を再検討するよう全飛行部隊に指示をしたということが載っておりますが、その具体的な内容を御説明いただきたいと思います。
  24. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 自衛隊航空機の運航につきましては、長官の訓令初めいろいろな指導がされておりますが、前回九月二日の、先ほど御説明がありました異常接近と疑われるような事案発生した後、航空幕僚長から通達が出されておりまして、一段と注意喚起を促したところでありますけれども、その主な内容は、一つ操縦者の徹底した見張り、これを強力に推進するということ。それから次に、他の飛行機との接近が予測される場合には早期回避をするということ。それから次に、レーダーによる助言、あるいはモニター励行するということ。それから、交通の頻繁な航空路等空域ではレーダーによる助言、またはモニター等が得られない場合はそういうところの使用を避ける、つまりそういうところへ入らないということ。以上のようなことが主な内容でありまして、従来から指導は、同種のことはされておったんですけれども、一段と安全について注意をするようにということでこういう通達が出ております。
  25. 片岡勝治

    片岡勝治君 大変悲惨な事故として私も大きな衝撃を受けた例の雫石の、これも自衛隊機民間航空機が空中で衝突をして大変多くの生命を失ったわけでありますが、このときにも再びこういうようなことがないようにということで、大変大きな世論が巻き起こったわけであります。そのときにもいろいろ民間航空機空域といいますか、飛ぶ航路あるいは自衛隊機演習空域、そういうものについて厳しく規制をしていくということが言われておったわけであります。この雫石以後いわゆるニアミスと言われる問題は何回ぐらいありましたか、今日まで。これ自衛隊機民間機だけではなくて、民間機同士あるいは自衛隊機同士、つけ加えておきますけれども、この自衛隊機同士がこういう事故ということで言っていいのかどうかわかりませんが、こういう事態発生したときにはどういうふうになるのか、その点もあわせてひとつ御報告いただきたいと思います。
  26. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) ただいま四十八年からの統計をちょっと持ってきてございまして、四十六、七年を持ってきてございませんでしたので、四十八年から五十四年までの七年間について申し上げたいと存じますが、四十八年から五十四年までの七年間におきまして、私どもニアミスと認定いたしました件数は九件でございます。そのうち民間機軍用機にかかわりますものは二件、五十一年と五十二年に発生しております。なお、軍用機軍用機の間というものはニアミスは生じておりません。
  27. 片岡勝治

    片岡勝治君 幸いにして今回は直接事故に結びつかなかったわけでありますが、そういう可能性が十分にあった問題と言わざるを得ないわけであります。これを機会に、運輸省の方も自衛隊の方もさらに民間機航路といいますか、あるいは自衛隊側におきましてはその演習空域、こういうものについてこの際もう一度再検討をして、こういうような心配を与えないような措置をひとつ強力に進めていただきたい、これをひとつ運輸省並び自衛隊の方は大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 異常接近防止については、航空安全の見地から重要な施策の一貫として見張りの強化、早期回避励行及びレーダーによる監視等について従来から強力に指導してきたところでございます。しかしながら、本年九月に引き続いて、今回再び航空自衛隊機民間機との間で異常接近飛行と疑われるような事案発生しましたことはまことに遺憾であると考えております。  私といたしましては、このような事態を深刻に受けとめまして、運輸省調査等を重要な参考としながら再発防止のため特段の対策を講ずる考えでございます。また、従来からの指導、先ほど御質問がございまして、政府委員から御答弁いたしました九月五日付の航空幕僚長通達等の確実な励行等再発防止対策を強力に推進してまいりたいと考えている次第でございます。
  29. 和久田康雄

    説明員和久田康雄君) 私ども雫石事故直後に設けられました航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして、防衛庁と協議して種々の安全対策を進めているわけでございます。今後も必要によりまして、たとえばこの対策に織り込まれております航空関係調整協議会というふうな防衛庁との協議組織もございますので、そうした機会を活用いたしましてニアミス防止のために防衛庁とも必要な対策について十分協議して万全を期してまいりたいと存ずる次第でございます。
  30. 片岡勝治

    片岡勝治君 それぞれお答えをいただきました。ひとつ万全の策を出していただきたいと思います。  いま、風潮は何となく軍事優先ということがあおられておりまして、もしそういう雰囲気が自衛隊機優先ということになりますれば、航空安全ということは決して期することはできない、そういう点で、私は率直に言って自衛隊側の謙虚な反省、そしてみずからこの事故防止のために厳しく規制をしていく、そういう政治姿勢、行政姿勢で対処していただきたい、このことを特にお願いをする次第であります。運輸省の方、結構であります。御苦労さまでした。  次に、これは去る昭和五十二年九月横浜の緑区の米軍ジェット機墜落事故がございまして、これも当時は大変大きな事故として——しかも二人の幼子が命を失い、九人のその他重軽傷者を生じたという事故でございまして、その捜査結果が過般出たわけであります。私はいまどうしてこういう問題を出すかと申し上げますと、結局米軍機の事故真相究明は不可能だ、その刑事責任の追及は不可能だ、そういう一つのモデルになりはしないか、そういう心配をするわけであります。結果的にそういう方向にならざるを得ないわけでありまして、一体どこに問題があったかと言えば、警察当局や検察当局は非常に一生懸命捜査をしたと思うんでありまして、しかもアフターバーナーの組み立てに問題があったという事故原因までもある程度究明できた。しかし、その責任は一体どこにあるのかという点についてやぶの中になってしまったということであります。  もし今後こういうようなことになりますれば、これが一つのモデルになってといいますか、実績になって、これからの——こうした事故発生すること自体回避させなければなりませんが、こういった事故真相究明は不可能になってしまうということを私は大変心配するんです。これは政府側は外務省になりますか施設庁になりますか、この事故のてんまつについてどういう感想を持っておるか、率直にお伺いをいたしたいと思います。
  31. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) ただいま先生お話しの厚木におきます事故の問題でございますが、先ほど御指摘がございましたように、この事故につきましては、事故以後、関係当局においていろいろと調査をいたしました。と同時に、日米間におきましても、合同委員会におきまして事故分科委員会を開催してこの問題の解明に取り組んだという次第がございます。  御指摘のとおり、一応原因となった点につきましては明らかになっております。この事故分科委員会の報告の中に勧告がございます。御承知と思いますが、合衆国につきましては、今後引き続き航空機の整備、点検及び飛行の安全を最重点事項とするという項目がございます。したがいまして私どもは、米側におきましてもこの項目につきまして誠実に履行しているものと思いますが、なお今後、機会あるごとに米側に対しましてこの励行というものについて申し入れをすると同時に、この問題の処理につきまして調整を行いたいというふうに考えております。  また、勧告の中で厚木周辺の航空交通管制の再検討という問題がございます。これにつきましても、日米両当局間におきましていろいろと検討をいたしまして、その結果、一昨年の七月でございますが、人口稠密地域の飛行を最小限にすると、かつ出発、進入の際の飛行高度を高めるという改正を行って、現在それを実施しておるということでございます。  なおそのほかに、このような事故が起きました際の地元と国との間の関係の連絡調整の体制の整備という問題がございまして、これにつきましても、私ども関係当局あるいは米側と連絡をいたしましてこの体制の整備に努めておりまして、八割から九割方この体制はもう整備されておるわけでございます。  一応、具体的な項目としては以上のようなことを従来まで処置をいたしてまいったわけでございますが、今後とも現地防衛施設局あるいは私ども、または合同委員会等各レベルにおきまして、国民の安全を確保するという立場から、米側に対しましても機会あるごとに注意を喚起して、事故防止対策に万全を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  32. 片岡勝治

    片岡勝治君 警察側の刑事責任の追及がなぜできなかったかという理由として、事故があった後エンジンがすぐアメリカ側に持ち去られてしまった。これはもうその事故原因を究明するいわばキーポイントの品物ですね。それがこちらの日本側の調査を経ないで直ちに持ち去られた。それからパイロットもすぐ帰ってしまう。つまり、真相究明あるいは刑事責任の追及たる重要な資料がアメリカの方にすぐ持っていかれてしまえば、どんなに警察側が一生懸命に捜査をいたしましても、その事故原因というものの究明が日本側の手によってできるはずがないわけであります。ですから、私は率直に言ってアメリカ側もそういう点は謙虚になって、むしろアメリカ側が調査することも、自分の飛行機が起こした事故ですから、これは当然責任があろうと思いますが、その被害者たる日本側において徹底的に真相を究明してもらう、むしろその方が客観的な事故究明というものができるはずだと思います。  そういう点、私はぜひアメリカ側に強く要求をしてもらいたい。そうでなければ、事故があった、証拠物件はみんなアメリカに持ち去られる、関係者はみんな本国に帰ってしまう、こういうような事態を見逃しておくとするならば、今後こうした事故発生に対しての原因究明というものはできなくなると思うんですね。そういう点について、できれば今回のこの事故てんまつの結果から、今後はこういうようなことは困るということをひとつ強力にアメリカ側に要求をしてもらいたいと思うんでありますけれども、この点はどうお考えになりますか。
  33. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) エンジンにつきまして、米本国に持ち去られたということでございますが、結果的には米側の調査によりまして先般の事故原因というものは究明をされたわけでございます。で、米側の方の調査結果につきましては、日本側におきましても専門家が集まりまして独自の立場から検討をした結果、米側の調査結果というものは信頼するに足る、日本側の専門家の意見も同意見であるということで日米間で意見が一致いたしまして、原因究明は先ほど先生がおっしゃったとおりということになったわけでございます。  なお、整備の関係についての問題が指摘されておりまして、これも米本国に整備士がおるわけでございますけれども、直接日本側としてはこれにタッチすることはできなかったわけでございまして、この捜査の進め方につきましては私の所管外でございますので、ちょっと詳細については承知いたしておりませんが、警察当局では外交ルートを通じて米側と折衝したというふうに聞いております。  なお、この種の問題につきましては、やはり軍用機の問題でございますので、いろいろ問題がございまして直接タッチすることがなかなか困難な問題があろうかと思いますが、ただいま先生がおっしゃいました御趣旨というものはよく念頭に置いて今後対処してまいりたいというふうに考えております。
  34. 片岡勝治

    片岡勝治君 私たち国民側からすればあるいは、まあ私も横浜でありますけれども、地域住民からすれば、これだけの大きな事故に対して、その責任の所在が不明確のまま、あいまいのままこの事件の捜査の終結をせざるを得なかった。こういう点については、やはり率直に言って納得しがたいわけであります。しかも、被災者の賠償問題につきましても、一部は合意ができましたけれども、なおかつ解決がしていない。こういうことでございまして、こうした問題について私どもは市民感情としてなかなか理解ができない。またこんな事故が起きた場合には、同じようなことで処理をされてしまうのではないかということを大変心配をするわけであります。今後そうしたことのないように、ぜひアメリカ当局に対しても真相究明について協力してもらうと、そういう体制をぜひ確立をしていただきたい。私は今回の事故を契機にそうしたものが必ず確立し得るものと信頼をしておりましたけれども、二年半の捜査の結果、その点については追求できなかった、証拠をもらうことができなかったという警察側の発表でありまして、きわめて残念であります。こういうことをひとつ重大な教訓として、今後こうした問題の対処については毅然たる態度、事人命にかかわる重大事故でありますので、政府関係当局のひとつ今後の強力な対策をこの際お願いをいたしたいと思うわけであります。  ちなみに、こうした米軍の事故は、今日まで四十九件二十一人の死亡者を出しておるわけであります。また神奈川県だけ、これはまあ厚木基地というものを持っておりますからという関係で、神奈川県が特異的な現象かもしれませんけれどもジェット機の墜落事故が三十一件、プロペラ機が三十二件、計六十二機の墜落事故があるわけであります。人的被害は死亡九人、重軽傷者二十七人、こういうものを出しておるわけであります。私たちは再びこういう事故発生しないことを願うわけでありますけれども事故処理の問題についても政府当局の強いひとつ対処を心からお願いをいたしまして、この問題を終わりたいと思います。  次に、防衛白書につきまして、二、三お伺いをいたしたいと思います。すでに、この問題については衆参を通じていろいろな角度から論議がなされました。あるいは一部ダブる点があるかもしれませんが、できるだけ重複を避けてお伺いをしたいと思います。  初歩的な質問で、あるいは失礼になるかと思いますけれども、白書とは一体何か、政府はどういう認識で白書をお出しになっているのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  35. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 防衛白書につきましては、御承知のとおり、防衛問題は国民的な基盤に立っていかなければならないということでございまして、そういう意味合いから、できるだけ防衛力の現状、あるいは自衛隊の実態、あるいは防衛の必要性というようなものについて国民の合意を得、御理解と認識を得るということが何より必要だと思います。そういう意味合いから、防衛庁といたしましても、昭和四十五年に第一回目の防衛白書を発行して以来、若干の間隔はありましたが、五十一年度以降、今回で五冊目の防衛白書を発行しているわけでございます。
  36. 片岡勝治

    片岡勝治君 白書をつくるに当たって、次官会議で申し合わせがあるそうですね。一定の枠をつくって、これ以上この枠をはみ出さないように白書というものはつくりなさい、そういう次官会議の申し合わせがあるそうでありますけれども、その申し合わせをお聞かせいただきたい。
  37. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) ただいま具体的に、たしか次官会議の申し合わせと申しますのは昭和三十八年に決められたことであろうかと思いますが、いま突然のお尋ねでもございますので、私、手元に資料持っておりませんが、白書の性格につきましては、できるだけ過去の事実について記述するというのが原則でございまして、将来にわたる長期的な政策については余り触れないというふうなことが書かれてあったやに記憶しております。
  38. 片岡勝治

    片岡勝治君 これはひとつ後日、文書でお出しいただきたいと思います。  いまおっしゃるとおり、白書というものはなるべく過去の実績を書いて、これから何をやるかというような、あるいは将来の展望というもの、まあ言葉はそういうことは使ってないと思いますけれども、将来の問題について余り書くなと、こういうような申し合わせだそうですね。  各国とも白書ということが戦後出されておりまして、その性格についてはそれぞれ違うと思いますが、私どもなりの認識からすれば、いろんな行政の領域に対して現状はこうなっている、そうした現状とその分析といいますか、あるいは問題点を抜き出して、将来かくあるべきであると、いわば行政側、ちょっと厳しい表現を使わしていただくならば権力にある側の者が国民に対して、行政の実態、今後の政治のあり方、そういうものを国民に知らせる。かつて封建社会は、知らせてはいけない、よらしむべしと、そういうことであったんでありますけれども、民主政治というものはそうではない、なるべく国民に知らせる、権力がある者がみずからやっておることを国民に知らせていく、これが民主政治の基調であるわけでありますが、それがそもそも私は白書という形で先進諸国においては国民の前に明らかにされている、大変いいことだと思うんです。  しかし、一歩誤ると、これはまた非常に大きな弊害をもたらすわけでありまして、政府の一方的な宣伝の場になる、あるいは、いいことは書くけれども問題点や悪いことやあるいは国民の願っている、そういう点には触れない、こういうことになると思うんであります。そういうことからすると、政府の次官会議の申し合わせは、私は率直に言って真の白書活動というものを大きく規制しているような気がするんです。つまり、いまお答えにもありましたとおり、過去の上実績、現状だけを詳しく書いて、余り問題点や将来のことは触れるなと、こういう申し合わせは、これは白書に対する態度としてはわれわれ国民の側からすれば間違いだと。むしろ、現状を正直に書くことはもちろん結構、その中にどういう問題があるか、その問題を解決するには将来どうすべきか、こういう将来展望というものを書いて国民に知らせていくということがなければならぬと思うわけであります。これは何も防衛白書だけの問題じゃありません、政府全体の白書として、しかも昭和三十八年、相当古い申し合わせでありますから、これは機会あるごとにひとつ再検討していただいて、真の白書、そういうものをつくるべく努力をしていただきたい、このことは要望として申し上げておく次第であります。  それからもう一つ、この防衛白書——いま、白書とは何かという質問に対してお答えがありましたけれども、私は、防衛白書の場合には重要な要素としてシビリアンコントロールがどう貫かれているか、これが一つの白書の要素でなくてはならぬと思うわけであります。ただ自衛隊の実態、軍艦が——軍艦じゃない、自衛艦ですか、何隻ある、飛行機が幾らある、ソ連が攻めてきそうだ、そんなことばかりでなくて、日本の自衛隊あるいは防衛方針の中に欠くことのできないシビリアンコントロールというものはどう貫かれているか、これは非常に大事なことなんで、一年一年振り返ってみて、そのことに欠陥がなかったか、問題点はないのかと、こういう点が特に私は防衛白書の中には貫かれていかなければならぬ、防衛白書をいただいたときに私はまずそういう角度から見るんです。この一年間どうであったか、残念ながらそういう点についてはほとんど触れられていない。この私の見解について防衛庁側のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 防衛白書のあり方についていま御指摘があったわけですが、私どもといたしましても、先ほど答弁申し上げたとおり、防衛力の実態あるいは防衛の必要性というふうなことを説くのみならず、現在私ども、政府がとっておる防衛政策というのはいかにあるべきかと、どうあったかというふうなこと。それから、最近の特に一年間の過去の国際情勢、特に軍事情勢を中心にまとめ上げる。あるいはまた、最近防衛庁周辺あるいは自衛隊の周辺に起こったような問題あるいはトピック的に取り上げられるようないろんな問題があればそれもあわせて説明するというふうなことで白書の編集をいたしておりますが、何分にも、この防衛白書というのは私どもとしては毎年一回発行することにしております。そういう意味合いから毎年重複する部分は避け、なるべくその年々の新しい出来事をいわゆる目玉商品として記載して、国民の関心あるいは何といいますか、国民が読みたくなるようなそういうアトラクティブな内容もあわせて考えて編集しているということでございまして、いま先生の御指摘のような日本の防衛政策がいかにあるべきかというふうなことにも十分配慮して作成しているつもりでございます。
  40. 片岡勝治

    片岡勝治君 つまり総論から言えば、シビリアンコントロールがどう貫かれているか、国民の皆さんそう心配するなと。防衛政策あるいは防衛をつかさどる行政の姿勢として、そういうものを柱の一つとして尊重していかなければ防衛白書たる性格が間違ってくるのではないかということなんです。  これは非常に抽象的でありますから、あるいは御理解いただけないものと思いますが、これは一つの例でありますが、昭和五十三年七月に当時の統幕議長が事実上解任をされた。いわゆる有事立法ですか、有事対応の問題について非常にこれは大きな問題になった事件といいますか、問題がありましたね。当時の防衛庁長官も一定の見解や談話を発表します。各界からこれにいろんな意見が出された。しかし、当時の防衛庁長官が毅然たる態度をとった、シビリアンコントロールだという意見をつけて一定の毅然たる態度をとった、私は敬服しているんですよ、そういう点。したがって、この問題は恐らくどこかの防衛白書に出てくるんではないかと、つまりシビリアンコントロールは、こういう問題が発生いたしましてもこうやったよ、これほど重大な問題が、その実態、そういうものが何ら触れられていない。  これはやっぱり政府の都合の悪いこと、そういうものは書かないんだな、私たちが心配をしておるシビリアンコントロールという問題について、政府の政治姿勢の弱さを率直に言ってあらわしたと思うんです。なかなか書きにくい問題だろうということは想像はしますよ、私も、事人の問題ですから。しかし、そういうことを乗り越えて、なおかつ国民に政府の毅然たる態度、そういうものを発表していくことによってシビリアンコントロールが貫かれていく、防衛庁のやっていることについてある信頼感を持つということになるのではないでしょうか。こういう点について何ら触れられていない。これは防衛白書に対する政府の態度について私は率直に言って非常に不満があるわけであります。もっと厳しく言うならば、不信感を持っているわけですね。  それから航空機疑惑、これもおれたちは関係ないのだと言いたいでしょう。言いたいでしょうけれども、しかし今日の武器調達については、単なる防衛上の問題だけではなくして、いわゆる厳しい競争があるんだ。そして、防衛庁防衛庁なりにこの飛行機が一番いいんだとは言ったって、いろんな売り込み合戦があると。今日までの明らかになった航空機疑惑の実態を見たときに、本当にこの飛行機が性能的にいいんだというふうに決められて全部が採用されたかどうか、率直に言って大きな疑問があるわけですね。政府の意向がいろんな画策によって途中変更された、そういう事態が明らかになった。  そういたしますと、武器調達についても一体政府はあるいは防衛庁はどういう姿勢でやってきたのか、こういう疑惑が出ているけれども、これこれしかじかだ、そういうことがこれまた防衛庁にしてはつらいだろうけれども、ある程度そういう問題についての防衛庁の見解を国民の前に隠さずに明らかにしていく。そういうことをしなければ、これだけの問題があって、非常に美しくきれい言葉でずらっと防衛白書が、こんな厚い中にそういう問題について一言も触れられていない。こういう点にやっぱりこれまた白書というものの性格から、もっと正直に、もっと防衛庁自体が、政府自体が悩んでおる問題についてもあるいは国民が疑惑を持っているそういう点についても触れていくのが本当の白書ではないでしょうか。  冒頭申し上げましたように、将来のことは余り書くな、余りそういう言いたくないことはなるべく伏せていくと、きれいごとだけを並べていくということであれば、むしろ白書は弊害の方が多くなっていくという心配が出てくるわけであります。いまの白書がすべてだとは申しませんが、やっぱりそういう点についても触れられていく、そういう勇気を持つべきだろうと思いますが、この点についてはどうですか、大臣
  41. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) ただいま片岡委員から防衛白書の内容についていろいろ貴重な御意見の開陳があったわけでございます。私どもといたしましても、防衛白書の編集に当たりまして、シビリアンコントロールの問題につきましては特別の事項を設けて説明も加えているところでございますが、ただいま御指摘のあったような具体的事案については、これまでのところ、まだ記載されておらないのでございます。こういったものの扱いについて今後どうするか、先生の御意見は御意見として承りまして、検討させていただきたいと思う次第でございます。  また、武器調達につきましても、兵器の研究開発につきましては、防衛白書におきまして一章を設けて相当詳細な説明をしているわけでございますが、具体的な調達の方法につきましては、さらに記載の仕方についてるる検討を加えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  42. 片岡勝治

    片岡勝治君 なかなか記載しにくい問題だろうと思うわけでありますけれども、やはり防衛庁の悩みや苦しみ、そういう問題についてはできるだけ国民の前に明らかにしていく、しかし私たちはこういうことをやっていますよというようなことでなければ、きれいごとだけを並べていくという、そういう白書にだんだんなっていくと思うんで、この点はこれまた防衛庁だけではありません。防衛庁だけではありませんけれども、政府全体の白書のあり方についてこの際ぜひ検討していただきたいし、特に防衛庁に当たってはシビリアンコントロールがどう貫かれてきたのか、こういう点については白書の一つの柱として今後ぜひやっていただきたい、このように考えるわけであります。  それに関連いたしまして、具体的に白書の内容についてお伺いいたしますが、その前に、たまたま先ほどちょっと触れましたシビリアンコントロールの問題として大きな論議を呼びました有事立法につきまして、けさほどの日経によりますと、「有事立法で中間報告 防衛庁、次期通常国会に」こういう見出しで相当詳しく載っておりますね。いまの時点でこれを発表された意図というのはどういうことでしょうか。
  43. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 有事法制の研究につきましては、しばしば申し上げておりますとおり、現在私ども事務的に自衛隊関係法案、自衛隊関係法令、防衛庁関係の法令を中心に検討しておりますが、けさほど一部の新聞に出ておりますように、この次の通常国会で中間報告する方針を決めたというようなことは私どもの承知しないところでございます。
  44. 片岡勝治

    片岡勝治君 そんなことはないでしょう。どこかから来たんでしょう、これは。相当詳しく載っていますよ。
  45. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 御承知のように、有事法制というのは、自衛隊自衛隊法第七十六条によって防衛出動を下命されたもとにおきまして、自衛隊の行動をより円滑に、効率的にするための法制上の諸問題を検討するということで、私どもいま、現在の法律についていろいろ問題点を洗っております。  まず第一には、自衛隊関係の法令、いわゆる防衛庁設置法であるとか自衛隊法あるいは防衛庁職員給与法、これが防衛庁関係の法令に入ると思います。それから第二のジャンルといたしましては、他省庁の所管にかかわる法令、あるいは航空法であるとか道交法であるとか火薬類取締法であるとか、そういったものについて有事の際問題点があるかないか。それから第三につきましては、特段現在どこの省の所管ということでなく、あるいは捕慮の問題であるとかというふうなもの、あるいは国民の避難誘導に関するものと、こういうふうに分けられると思いますが、私どもとしてはいま申し上げた第一の分野、すなわち防衛庁関係の法令について研究をしていると。具体的にどういうことを研究しているかということであれば、それは現在自衛隊法の百三条によって土地の使用、物資の収用あるいは従事命令、保管命令と、いろいろなことが規定されておりますけれども、これの実施基準である政令がまだ定まっていないということで、その政令にいかなるものを盛り込むべきかというふうなことを中心に研究をしているという状況でございます。  したがいまして、まだ事務的な検討を続けている段階でございまして、立法準備という段階に至っておりません。そういう立場からすれば、次の通常国会で立法をお願いするというふうなところにはなかなかいかないんではないかというふうに考えております。
  46. 片岡勝治

    片岡勝治君 この有事立法問題が関係委員会で審議をされましたときに、防衛庁側としても政府側としても、重要問題であるから中間報告をしていきたいというようなたしか見解の表明があったと思います。大変結構だと思うんですが、しかし、そうするとあれですか、全く先の見通しは今日時点ではついていないというふうに理解してよろしいんでしょうか。何か伝えられるところによれば、次期通常国会でこの報告がなされると。報道によりますれば来年一月ほぼ研究が終了するというようなことが出されておりますけれども、全くそういうことはない。  それじゃ、いつごろ中間報告を出す意思があるのか、それからいつごろそれでは——これは先の話ですから確定的なことはなかなか言えないと思いますが、おおむねどの時期に出せそうだ、あるいはその時期を目標にいま研究をしている、こういう点についてもう少し具体的に知らせていただけませんか。
  47. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 大変失礼申し上げましたが、先ほど私答弁の中で、次期の通常国会で立法準備——私、立法準備のことかと思いましてさよう答弁を申し上げたわけでございますが、研究内容について中間報告をいつするか、あるいはする意思があるのかないのかということでありますれば、私どもこの研究の段階である程度まとまり次第報告をしたいというふうに考えております。  いま、いつの時期になれば報告できるかということでございますが、私どもとしては、各方面の督促の御要望もありますのでできるだけ早くその成果をまとめて御報告したいと思います。来春の通常国会でどの時点にできるか。できるだけその通常国会の中で早い時期に御報告できるように努力はしたいと思っておりますが、いつまでにというふうなお約束をし得る状況にないことをお断りいたします。
  48. 片岡勝治

    片岡勝治君 通常国会のなるべく早い時期ということであれば大体想定ができるわけでありますが、まあひとつその時点ででき上がったものは至急国会の方に御報告をいただきたい、このようにお願いをいたします。  次に、防衛白書の内容について二、三申し上げておきたいと思います。  すでにいろいろな角度から指摘されておりますが、ことしの防衛白書、まさにソ連極東軍事力脅威論一色であるということが端的に言って言えるような気がするわけであります。具体的な私が感じた一つの例といたしまして、たとえばこれは衆議院で上原さんが指摘をしておりましたが、白書の中の六十四ページ、ソ連の太平洋艦隊とアメリカの第七艦隊の比較がございますね。これについて衆議院の方で大変上原さんが質問をいたしておりまして、これは一方的じゃないか、アメリカの第七艦隊とソ連の太平洋艦隊の勢力の推移、こういう統計のような図表が載っておりますけれども、ソ連の太平洋艦隊とアメリカの艦隊を比べる場合には、第七艦隊プラス第三艦隊を加えたものでなければ公正な資料にならないではないかというような指摘がありました。非常にうがった見方をすると、アメリカの第七艦隊だけを記載するこういう表にすれば、ソ連の太平洋艦隊がはるかにトン数、それから艦艇の隻数も上回るわけでありますから、これは大変だというふうに見られますね。だから私は、悪意があったとは思いませんけれども、しかしこういうものが文書にして出されれば、われわれ国民からすれば、ああこれは大変だと。何だ、アメリカは第七艦隊なんて言っても、軍艦の隻数からすれば十分の一じゃないかというふうに見られますね。こういう指摘に対して、確かにそう言われればもう少し注釈をつけ加えるべきだというような答弁がなされております。私はこの点についてはあえて申し上げません。こういう例が二、三あるわけであります。  たとえば五十一ページ第九図、「SS−20の射程及びバックファイアの行動半径」、こういう図面が出ておりますね。これはソ連のキエフを基点にして、あるいはイルクーツクを基点にしてSS20はどこまで射程距離があるか。日本ががっぷり入り、インドの真ん中を通って北アフリカ、バックファイアはその外側を通ってここまで射程距離がある。これをやっぱりわれわれが見ると、あっこれは大変だ、ソ連の軍事力、SS20弾道弾、バックファイア、こういう行動半径が大変広い。しかし、これはアメリカとの軍事力の対比ですからね、ここへずっと記載されているのは。だから、もし親切な資料とすれば、ソ連はこういうSS20やバックファイアを持っているけれども、アメリカの力、アメリカの中距離弾道弾、大陸間弾道弾を飛ばせばソ連のこういうところまで行きますよというふうに、両方書いてあればああそうかということになるんですよ。これはもう一方的で、そうしたソ連の軍事力とアメリカの軍事力をずっと対比しながら相当長々書いておりますけれども、そういう点、非常に国民の側からすれば一方的な資料になっておる。  それからもう一つ、日本海の海峡を通って——これは五十六ページですね、日本の地図があってソ連の艦隊がどういうふうに動いた、ソ連の飛行機が日本の周りにこう飛んでいますよということ、これは事実でしょう。いままでも防衛庁からそういう報告があった。なれば、アメリカの軍艦は一体どういうふうに通っているのかここを、アメリカの軍艦あるいはミッドウェーはね。これは一方的になるんじゃないですか。たとえば、ソ連の艦艇は対馬海峡を通ったのが百五十隻ということでしょうかね、これは。津軽海峡が五十五隻、宗谷海峡百五十五隻通った。じゃアメリカの艦艇は一体どのくらい通っているのか、そういうことを表示しなければ、やっぱりこれも、われわれ国民の側からすればアメリカの戦力とソ連の戦力が一体どういうふうになっているのか、そういうことが全然わからないんですよ。これ見ればアメリカの第七艦隊は全く記載されておりませんからね。こういう図表ばかり見させれば、やあこれは大変だということになるんでしょう、あるいは防衛庁はそれがねらいかもしれませんがね。しかし、そういう防衛庁の意図とは別に、公正なる資料にはならないんじゃないですか、こういう点はどうですか。これは大臣、ひとつ答えていただけませんか。私が指摘したのは事実ですから、文章になっていますからね、そんなことは書いてないよということにはなりませんから。
  49. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 防衛白書についていろいろ御指摘がございましたが、私ども、この防衛白書全体におきましては、先ほど来お話のありますわが国の防衛努力の記述に一番多くページ数を割いておるわけでございまして、第一部の「世界の軍事情勢」というものにつきましては、全体三百ページ以上の中で七十ページほどを割いてますが、その中で「世界の軍事構造」、それから「ソ連の軍事力の増強と西側の対応努力」というところで「ソ連の軍事力の増強」を記載するとともに、「米ソの軍事バランスと西側の対応努力」という章でございますが、節も設けましてアメリカを中心とする西側の対応努力につきましても相当の記載をしているつもりではございます。  ただ、御指摘のようなグラフのつくり方につきましては、資料の関係もございまして、先ほど御指摘のような問題もあるわけでございますが、その辺の詳しい説明政府委員にさしていただきたいと思うわけでございます。  私どもといたしましては、入手し得る客観的な、正確な資料に基づいてできる限り客観的な事実に基づいて記載をしていくというつもりでやっているわけでございます。一方的に偏った記述をするという考えに基づいてやっているものではございません。
  50. 片岡勝治

    片岡勝治君 そういう偏った考えに基づいてやったものではないというお答えですけれども、こういうものは結果論ですからね。おれはそんなことは毛頭考えていないとは言っても、こういうものが出れば、逆にあなたはそういうことはなかったにしても、結果的にそういう考えがあってやったものとみなされてもいたし方がないではないか、私が言いたいのはそこなんですよ。なるほど、いろいろ記載されていることは真実でしょう、それは。これはうそを書いているとは思わないんですよ、私も。いろいろ推測の要素も多分にありますけれども、そういう点について私は不信感を持っているわけじゃありませんが、しかし、結果的にこういう記載のやり方を見れば、大いにこれは国民に読んでもらいたいと、そして、日本の防衛の実態を理解してもらいたいという防衛白書の巻頭の大臣の言葉からすれば、素朴な国民というのは正しい認識がこの図表によって生まれるかというと、やっぱり誤った認識にならざるを得ないでしょう。  こういう図表はそれではできるんですか、いま私が申し上げましたように、軍用機で日本海に南下をしたのが——これはソ連の軍用機ですね、百五十七回。対馬海峡を通ったのが七回、ソ連のはみんな書いてある。それからソ連の艦艇が対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡を通ったのは何隻ありますよと、非常に詳しく書いてある。これも事実でしょう。しからば、アメリカの艦艇がこういうところを通ったのは一体何隻あるのか。日本海はどういう航路でアメリカの飛行機が飛んでいるのか、そういう点は出せるんでしょう、これは。
  51. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 御指摘のありました二つの点について御説明申し上げます。  まず第一は、いまの御質問ではございませんけれども、その前にSS20の射程とバックファイアの行動半径を書いた図でございますけれども、実はSS20とバックファイアと申しますのは、これはもう世界的にも非常な問題になっておりまして、七〇年代の後半、従来はきわめて旧式のIRBMしかなかったのでございますけれども、SS20とバックファイアというものがまずヨーロッパに配備されまして、これはヨーロッパのいわゆる戦域核のバランスを一変させるというぐらいの非常に重要な問題でございます。数年間ヨーロッパで非常な議論がございまして、昨年の夏のNATOの会議でこれに対する対応がやっとできたということでございまして、これは本年の国防報告で書くならば国民に真っ先に周知徹底すべき、国民に理解していただくべき大変な事実でございます。  これに対して、アメリカのIRBMの射程という御指摘でございますけれども、実はアメリカのIRBMは地上発射用のIRBMはもう持っておりませんで、もっと戦術的な戦域核戦力、これは持っておりまして、今度これも今後SS20とバックファイアに対抗して配備するということを昨年の暮れにやっと決めたばかりでございまして、太平洋周辺にはこれはもう全然わが方に比べ得べきものはございませんで、バックファイアにつきましても、アメリカはB1の生産を中止しておりますので、バックファイアに相当するような飛行機は持っておりませんでございます。  また、それがアメリカがなくてソ連だけが持っているということをあえて強調するかどうかの問題でございますけれども、この白書ではその点は特に強調しておりませんで、この数年間の最も重要な事実であると、この二つをこれ図示いたしまして、イルクーツクに基地をつくっただけで日本列島全部が完全にカバーされるというような事実を国民に対して理解していただく、これはとても国民の前に隠しおおせない新事実であるというふうに考えております。  その次の日本周辺の動向でございますけれども、これはちょっと性質が違うものでございまして、白書はわが国の防衛に必要な事実を記載するということでございます。ソ連の軍事力というものがわが国にとっては潜在的脅威である、これはもう国会においてしばしば申し上げたところでございまして、わが国にとって防衛の見地から関心のございますのは、むしろ米ソの戦力の比較でございまして、これは六十ページに陸海空それぞれ、またその展開しております場所等も含めまして詳しく書いてございます。それはアメリカ側の兵力も全部書いてございます。  御指摘の図は、これはソ連の航空機、艦船がいかに動いたかという問題でございまして、特に航空機となりますと、これは米軍の飛行機というものはわが国に駐留しておりまして、わが国の防衛のためにおるものでございまして、それはもう常時警戒のため、わが国の安全のために飛行しておりまして、これを書くということとソ連の航空機を書くということは全然同列の問題でございませんので、ちょっとこれは比較しても余り意味がないような感じがしております。
  52. 片岡勝治

    片岡勝治君 私も素人ですけれども、あなたの方がなお素人ですよ、それでは。ソ連がなぜこういう船を動かし、飛行機を動かしているか、遊び半分でやっているわけじゃないんですよ、これは。やっぱり対応する力があるわけでしょう、それは。それは仮想敵国なんていうことは別にして、やっぱりアメリカの第七艦隊がいる、そういう意識があればこそこういうふうに動かしているんですよ。アメリカの艦艇が何にもいないところになぜこんなものを動かしますか。これはもう小学生だってわかりますよ、そんなことは。そうでしょう。  だから、なぜソ連がこういうふうに動いているのか。恐らくアメリカの艦艇というものを意識して、あるいは日本の自衛隊というものも意識しているかもしれませんよ。それはわかりませんが、そういうものを意識し、それに対応する一つの、彼らは彼らなりに言うでしょう、ソ連の防衛のためにやっているんだと。だから、アメリカの艦艇のそういう動きに対してソ連が対応している。ソ連が対応すれば、逆にアメリカの第七艦隊はこの動きに対してまたどう対応するか、いろいろ動くわけですよ。  そういう関係の中に、一体日本はどう置かれているのか、ソ連の軍事力はどうなのか、アメリカの軍事力はどうなのか、それでなければ日本の置かれている軍事情勢というものの客観的な認識はできないんじゃないですか。その程度のことは、これは私、素人ですけれども、わかるんですよ。だからこういう点について、この資料そのものは間違いだとは言ってないんですよ、私は。間違いだとは言ってないけれども、片手落ちではないかということを指摘しているんです。
  53. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 御指摘の点はよく私もわかるんでございますけれども、これは軍備力というものはお互いに持っているものでございまして、そのためにこそ私ども第六十ページに米軍の配備状況を詳しく書いてございます。それで、ソ連の配備状況は別に説明してございますけれども、米軍の配備状況も書いてございます。ただ、航空機の活動になりますと、これが第七艦隊がいるからと言っていいのか、あるいはこれは日本を守るためにおります在日米軍であるのか、あるいは御指摘のように自衛隊であるのか、これはそういうものがあるから飛んでいるということも、それは一部の理屈として理解できないわけではないんでございますけれども、この表において同列に書くという性質のものではないような感じがしておりまして、別のところにおいて米軍の防衛体制、それからわが自衛隊防衛体制が書いてあれば、それとあわせてごらんいただければ国民の理解にとって最もバランスのとれた理解になるのではないかと、そういうふうに考えております。
  54. 片岡勝治

    片岡勝治君 十二時ちょっと過ぎましたので、この辺で休憩したいと思いますけれども、それはあなた書いた方だからそう言いたいと思うんですけれども、私はこれを見て、ああこれは一方的だなと思うんですよ。だから、対馬海峡あるいは他の海峡を通ったソ連の軍艦——飛行機だけじゃないんですよ。だから、アメリカの軍艦は何隻通ったかとわかるんでしょう。それは知らないということにはならぬでしょう。それはいいですから、後でお答えをいただくことにして、ここで休憩しておきます。
  55. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  56. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  57. 片岡勝治

    片岡勝治君 引き続きまして、防衛白書に関連してお尋ねをいたします。  この白書の「刊行によせて」ということで、大村長官の巻頭の言葉が載せられております。その二ページにこういう表現が使われております。「一九八〇年代の初頭を迎え、わが国の防衛問題は重大な岐路にさしかかっているように思えます。」わが国の防衛問題は重大な岐路にさしかかっていると、大変何といいますか、重大な局面にあるという表現であります。「わが国が米国の力に過度に依存して平和と安全を享受することができた時代が終り、日米関係の中で防衛問題が大きく取り上げられるような時代となってきたこと一つ考えてもそういえるのではないでしょうか。」いままでの防衛白書、まあいろいろ巻頭の辞が述べられておりますけれども、こういうふうにはっきりとこの時点が「重大な岐路にさしかかっている」、こういう表現をされておるのは今回が初めてであります。これはどういう意味を持った内容であるのか、まずこれからお伺いをしておきます。——大臣の言葉じゃないの、これは。
  58. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) まず、八〇年におきます事実関係から申し上げます。  この記述は、もちろん大臣のお言葉でございますけれども、昭和五十五年の防衛白書でございますが、五十五年にどうなったという理解よりも、やはりここ数年来のソ連の軍事力の増強というものが、これはその蓄積の効果あるいは二十年来のソ連の軍事力増強というものの蓄積の効果がようやく顕著になってきた。これはもう世界じゅう至るところで注目されておりますけれども、もうそろそろ様子が変わってきているんではないかということが世界じゅう言われておりまして、わが国もいつかは認識を新たにしなきゃいけないと、そういう時期になっておりまして、まあ、ことしの白書においてそれを特に書いたものというふうにも御説明できるかと思います。  具体的にどういうことがあったかと申しますと、昨年一年間のソ連の海軍力の増強というものは十四万トンふえておりまして、これはちょっと平時では空前ではないかと思います。前例のない状況であるというふうに考えられます。他方、ここに書いてあります米国でございますけれども、ちょうど昨年ごろまでは米国の機動部隊二個が西太平洋に常駐しておりましたけれども、ことしになりましてからは常時一個機動部隊と、プレゼンスにおきましてはこれは半分になっております。また、先ほど御質問のありましたSS20、バックファイア、これも過去数年間ヨーロッパでは大問題だったんでございますけれども、これが極東に配備されているということを防衛庁が確認いたしましたのは昨年でございます。  そのようなかなり——かなりと申しますよりも非常に多事多端な年でございましたので、これは事実関係の背景から申しましてもまことにふさわしい表現であると、かように存じております。
  59. 片岡勝治

    片岡勝治君 ずいぶん思いやりのある答弁なんですがね。しかし、単なる軍事力の比較ということであればそういうふうに言えると思うのですよ。しかし少なくともこの冒頭の大臣の「刊行によせて」というこの言葉は、いわば日本の防衛問題のトータルな、総括的な一つ——あなたの答弁されたよりもっと次元の高いと言っちゃ失礼ですけれども、もっと総括的ないわば政治の要素、国際情勢の要素、そういうものをすべてひっくるめて言った私は言葉だと思うのです。  そういうことになりますと、いま「わが国の防衛問題は重大な岐路にさしかかっている」という表現が果たして妥当かどうか。しかし、これは非常に抽象的ですからどういう意図を持っているのかわかりませんけれども、事防衛問題では余りこういう言葉の使用というのはやっぱり慎重であるべきではないか。私たちは戦中派でありますけれども、絶えずこういう言葉を聞かされてきたんですよ。いま日本は重大な岐路に立っている、こういうことで私たちは教育され、強制的に軍隊に引っ張られ、銃をとらされた、あるいは国民総動員がこういう形でやってきたわけですね。ですから、そうしたトータルな表現として私はそうやすやすとこういう表現は使うべきではないのではないかというふうに感ずるのですがね。これはひとつ大臣、率直にお答えいただきたいと思います。
  60. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答え申し上げます。  ただいまこの五十五年の「日本の防衛」の冒頭の「刊行によせて」という私の署名入りの文章でございますが、二ページの冒頭にいま御指摘のような個所が確かにございます。  ただその前、一ページの一番おしまいのところに、真ん中辺に「わが国としても、自由社会の共通の利益のために、応分の努力を払わなければならないのは当然であると考えます。資源小国といわれるわが国は、自分一人だけで生きていく事はできないのですから、国際社会とのつながりに目を向け、世界の中の日本という観点から日本の防衛考えることが大切であると思います。」と、こういう章を受けまして、御指摘のパラフレーズが「重大な岐路にさしかかっているように思えます。」と、こうつながっているわけでございまして、それが一つ問題点ではなかろうかと、そういうことを書いてあるわけでございます。そうして、一番おしまいから二番目のパラフレーズに「こういったことを考える上で、一つの材料を提供しようとするものであります」というふうにつながっているわけでございまして、そういった世界的な環境の視野のもとで日本の防衛問題を考えることも必要ではないかという問題提起をしたつもりでございます。  もとより、わが国の防衛の基本方針について申し上げますると、「国防の基本方針」にのっとり、外交及び内政諸施策を講ずるとともに、わが国みずから適切な規模の防衛力を保有して、これを最も効率的に運用し得る態勢を整備し、さらに米国との安全保障体制を堅持して、その信頼性の維持及び円滑な運用態勢の整備に努め、これによりすきのない防衛体制を保持することによってわが国の防衛が確保されるものと考えておりまして、このことは、これまでの防衛白書においても一貫して明らかにしているつもりでございます。年により多少記述の仕方に差異があるといたしましても、このような防衛についての基本方針は今回も別に変化はないと私は考えておるわけでございます。
  61. 片岡勝治

    片岡勝治君 わかりました。基本方針にさして変化がないということであれば、岐路という言葉は、私はやっぱり適切でないと思うんです。分かれ道ですから。右をとるか左をとるか、そういう時期にいま来ているんだと、われわれが言うのならともかく、防衛庁のいわば最高責任者でありますから、そういう人がそういういま分かれ目だ、どっちを選ぶか、そういういま選択を国民に迫られているとは思いませんよ、この防衛白書は。そういう意図は私はないと思うんですよ。ないとすれば、こういう表現というのはちょっと適切であったかどうか、私としては若干疑問を感ずるわけであります。  さてそこで、日本の置かれている防衛上の問題として、今次国会でも脅威論が非常に論議をされております。すでに衆議院、参議院等を通じまして防衛庁長官も明確にこの点についての見解を表明しておりますが、これからの質問にも関連がありますので、ちょっと大臣の見解を、これは速記録によって申し上げまして、その後質問をさしていただきたいと思います。  つまり、日本の脅威とは何かという質問に対して、   かつてはグローバルな観点におきましてもアメリカがソ連に対して圧倒的優位を保っておったわけでございますが、最近から現在に至るまでの状況を見ますると、ソ連の長期かつ大幅な軍事力増強による蓄積の成果が現実になってあらわれておりまして、しかもその成果は当分継続する性格のものでございまして、アメリカがこのまま放置すればソ連に対し軍事的優位を保ち得るか否か危惧されているのが現状であると判断いたしておるわけでございます。しかもソ連は、その蓄積しましたグローバルな軍事力の、陸海空で多少相違はございますが、四分の一ないし三分の一のものを極東に振り向けてきているという点も事実でございます。その事実に着目しまして、私ども先ほど申し上げておりますように潜在的脅威がこれまでよりは増大しているというふうに判断いたしておるわけでございます。脅威が顕在化しているとは申しておりません。脅威が潜在化している、この客観的事実を無視するわけにはいかないということを繰り返し申し上げている次第でございます。こういう見解が各所で答弁されておりますが、 これが一番まとまった一つの表現だろうと思いまして例示をいたしました。  そこで、率直にお伺いいたしますけれども、しからばこうした大臣お答えになった状況が日本にとって脅威だと。じゃその脅威をなくすためには一体どうしたらいいのか。つまり、大臣のいままでのお答え、そのほかいろいろ言っておりますけれども、つまり極東におけるソ連の軍事力が次第に増大し優位になってきた、逆にアメリカの方、これは日本の防衛力を含めてもいいと思うんですが、これが低下をしてきた、これが脅威だ、こういう認定ですね、軍事力からすれば。  そうすると、これが逆転しているときにはその脅威はない、つまりアメリカの第七艦隊を初めとする極東における軍事力が優位を保っている、そういう状態は脅威ではない、これが逆転したときには脅威だ、そしてそれに近づきつつあるので脅威が増加している、こういう判断になるわけですね。この私の理解が間違いであれば訂正していただきたいんですが、これはどうですか。
  62. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  ただいま片岡先生が引用されましたとおり、七〇年代に入ってからのソ連の一貫した軍事力の増強、また相当部分が極東に配置されて、質量ともに著しく改善されたということは事実でございます。また、アフガニスタンへのソ連の軍事介入以降は東西対立の様相が深くなっているということも客観的事実でございます。そういった一連の増強を踏まえまして、私どもはわが国に対する潜在的脅威は増大していると受けとめているわけでございます。  しかしながら、このソ連の著しい増強によりまして米ソの軍事力の格差というものが非常に狭まってきているわけでございますし、またアフガン以降の米ソ間の信頼関係も失われかけているという状態もあるわけでございますが、米ソ関係が現在後退しているとは言え、関係改善の努力も行われており、いわゆるデタントが崩壊してしまったとは言えず、また米ソ間の核相互抑止を中心とする現在の軍事構造により、東西間の核戦争及びそれに至るような大規模な衝突は現在では抑止されていると考えられることなどから、現在わが国に対する差し迫った侵略の脅威が生ずるような情勢に変化しているとは考えていない次第でございます。  いずれにいたしましても、このような厳しい情勢にかんがみまして、防衛庁といたしましては、みずから節度ある質の高い防衛力を速やかに整備することに努力する必要があると考えている次第でございます。
  63. 片岡勝治

    片岡勝治君 ちょっとピントが外れているお答えなんですがね。  つまり、脅威の環境というものは、ずばり言えばソ連の軍事力が強大になった、アメリカを含めて日本の防衛力といいますか、アメリカの軍事力が低下をしてきた、つまりそのことが脅威の一つの重要な、主体的なファクターだと思うんですよ、あなた方のおっしゃる。だとすれば、この極東におけるアメリカの軍事力、日本の防衛力も含めたアメリカの軍事力が絶えずソ連よりも上回っていなければ脅威があるんだということになるわけですよね。そうでしょう、あなた方の論理でいけば。もちろんほかの要素もあると思いますよ。ほかの要素もあると思いますけれども、この防衛白書に貫かれている思想というものは、考えというものはそういうものだと思うんですよ。  そういたしますと、これは容易ならざる認識である、つまりアメリカの軍事力というものの低下——これは相対的な低下だと思うんですね。絶対的な力は別に減っているということじゃありませんけれども、ソ連と対したときに、その軍事力の能力というものの向上をする、そういう力が若干カーブが落ちているということだろうと思うんですが、いま私が申し上げましたようなこと、つまり極東における日本の防衛力も含めたアメリカの戦力がソ連よりも上回っていなければいけない、絶えず上回っていなければ脅威、そういう条件になるわけですか。そういうふうに認識していいんですか、これは。
  64. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答え申し上げます。  かねて申し上げておりますとおり、脅威と言う場合には二つの事柄があるわけでございます。一つは軍事能力という点でございまして、もう一つは意図でございます。ソ連の極東における軍事能力というものが最近とみに増大したということは事実でございますが、それだけでは脅威の顕在化ということにならないわけでございまして、他面、意図の点につきましてははっきりしないわけでございます。そういう意味におきまして、私どもは脅威そのものが顕在化しているとは考えておらないわけでございます。先生、軍事能力の点だけで言われましてお尋ねのようでございますので、ちょっとそれだけではお答えしがたいわけでございます。
  65. 片岡勝治

    片岡勝治君 大臣のおっしゃるとおり、潜在的脅威の増加ということですから、私は端的に脅威という言葉を使っておりましたが、つまり潜在的脅威であっても——繰り返して申し上げますけれども、軍事力からすれば潜在的脅威がだんだん増加してきた。もしこれが逆転したら大変だというようなことも書いてあるわけですよね。だから、もしそういう考えからすれば、防衛庁考えている、政府が考えているように、日本の安全を確保するためには、絶えずソ連の軍事力よりも極東に派遣されているアメリカの第七艦隊を中心にしたアメリカの軍事力と日本の防衛力、これが絶えずソ連よりも上回っていなければならぬということになるわけですよね、絶えず。そうでしょう。それがだんだんいまこの力が均衡してきた、やがて逆転するかもしれない、それが潜在的脅威なんだと、こういう認識ですから、そういうふうに理解していいわけでしょう、その軍事の面からすれば。
  66. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほどからお答えを申し上げておりますように、潜在的脅威というのは軍事的能力に着目して、それが侵略し得る能力というものに着目をして潜在的脅威と申し上げておるわけでございますが、それに対しては、いま先生おっしゃいますのは、アメリカを含めた日本の防衛体制の方が常に軍事力において上回っておる状態でないと、何といいますか、潜在的脅威というのはいつまでもなくならないという趣旨のお尋ねでございますが、軍事力の面が一つの大きな要素であることは間違いございませんけれども、軍事力以外の面も総合的にやっぱり考えまして、侵略し得る能力というものは、単に師団の数でありますとか、あるいは軍艦の数でありますとか、そういうものだけでは私はないんじゃないかと思います。ただ、先生のおっしゃいますように、軍事能力が一つの大きな判断の要素であることは、これは間違いないというふうに思いますが。
  67. 片岡勝治

    片岡勝治君 ちょっと、もう一度質問しますからね。  冒頭、私が大臣のこの潜在的脅威とは何かということの文章を読み上げたのは、そういうふうな、あなたのような答弁でちょっとはぐらかされるという言葉は悪いんですけれども、つまりソ連の蓄積したグローバルな軍事力がどんどん上向いてきたと、そのことが潜在的脅威なんですよと、こう言うんですよ、大臣は。それは、大臣だけじゃなくてあなた方繰り返し答弁しているんですから、ソ連の軍事力がどんどん大きくなってきたから、それが潜在的脅威なんだ、だからその潜在的脅威をなくすというか、脅威ならしめぬためには、日米安保条約が結ばれているから、そういう現実に立ってアメリカと日本の防衛力がそれに上回っていなければこの脅威がなくならないということになるわけでしょう、裏返せば。それはそうじゃないと言うんだったら、これはあなたの脅威の、何といいますか、この定理というものはおかしくなるわけですよ。そうでしょう。もし異議がなければ先へ進みますよ。
  68. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 長官防衛局長が申し上げておりますのは潜在的脅威の増大でございまして、それで、ソ連の軍事力の増強というものは、ソ連の軍事力が大きくなるということは、潜在的脅威が増大してきたということでございます。
  69. 片岡勝治

    片岡勝治君 だから、増大してきたものが潜在的脅威になっているんだから、その脅威から逃れるためにはという言葉を使いましょうか、それに対応した軍事力を日本が持たなければいかぬということになるわけでしょう。そういうことじゃないんですか。
  70. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 先生の御質問は確かに非常な本質を突いた御質問かと存じまして、脅威という言葉をお使いになりますものですから、われわれその脅威というものに非常に厳しい定義を持っておりますのでこういうことになるんでございますけれども、結局基本は、われわれはこれ自由諸国の一員でございまして、またその将来起こり得べき戦争というものを考えた場合は、自由諸国側というものはやはり東側からの奇襲攻撃というものを考えなきゃいけない。そうすると、緒戦においてある程度の損害を受けることも考えなきゃいけない、そういうような考え方に立って従来東西のバランスというものは考えられておりました。  それで、六〇年代の初期のころは確かにアメリカが圧倒的に強かったんです。しかし、そのときにおきまして当時の趨勢からいってやがてソ連がやはり同じような力になるかもしれない。しかし、そうなるまではこれはもう平和と安全は維持されるだろう。あるいはそうなった場合につきましては、やはり国際的にもまだ決まった考えはございません。ということは、要するにソ連とアメリカの力がここまで接近したということは見通しがつきがたい危機的な状況に入っていると、そのことだけは申し上げられると存じます。
  71. 片岡勝治

    片岡勝治君 何度でも繰り返すようで申しわけないんですが、大臣がはっきりそういう、つまりソ連の軍事力の増大が潜在的脅威を日本に与え、それを増加している、そういう認識なんですよね。だから、そういうソ連の動向に対して、潜在的脅威からわれわれが逃れる道は一体何かということが、この日本の安全を確保する道だと思うんですよね。それはみんなで考えていかなきゃならない。しかし、それを考えていく場合に、防衛庁長官防衛庁のおっしゃるとおり軍事力の増大が潜在的脅威を生み出しているんだということであれば、これに対応した軍事力をわれわれが持たなければいかぬ、アメリカの軍事力が低下をしていくということであれば、日本の防衛力をソ連の防衛力に近づけていかなきゃならぬ、それによって日本の安全を確保していかなきゃならぬという、そういう理屈になるわけでしょう。  私はそうじゃないと思うんですよ。つまり、ソ連の軍事力の増大が潜在的脅威のある部分は確かにつくり出しているけれども、それを克服する道はほかにあるんじゃないかと、これは、前に久保さんは防衛局長をやられておりましたね、いつかの新聞に論評を出されました。つまり、端的に言えばいまの防衛庁認識というのはちょっと問題があるというようなことで前の防衛局長がこの情勢のとらえ方について発言をしておりましたけれども、もし防衛庁の言うように、あるいは私が指摘するように、ソ連の軍事力の増大が潜在的脅威を増加させている、それに対応してわれわれも重大な岐路に立たされているから、西ヨーロッパと提携して軍事力をもっとやらなきゃいかぬというのがこの防衛白書の考え方なんですよ、一貫した。それを否定してないですよね。やっぱり自主防衛というか、防衛努力というものをやっていかなきゃならぬということになる。  しかし私は、今後アメリカも国際社会の中でいろんな問題を抱え、国内にも問題を抱えている。もうソ連も同じだと思うんですよ。ソ連も同じだと思いますけれども、そういうアメリカの置かれているいろんな環境の中で、ソ連と極東において力の政策を進めていくということは容易ならざることだろうと思う。また日本の防衛努力、まあこれもいろいろ今日まで蓄積されておりますけれども、ソ連と日本とを比べた場合に、これは防衛庁認識しているとおり、その力の差というものは年々開いていくわけですよ、残念ながら。あなた方が努力をして少しでもつける、実際はそうでしょう。だんだんだんだん開いていく。  だから、私がここで申し上げたいのは、軍事力が絶えず優位になってなければ潜在的脅威ないし脅威を克服する道はないんだという、そういう戦略、そういう方針をもし日本がとるとすれば、これは容易ならざることだ、まさに世界の米ソの核戦略を含めた軍事拡大競争の一翼をわれわれ日本が背負わなければならぬ、そういうことが果たして可能かどうかということを大変私は心配するんです。いまの防衛庁防衛白書の思想からすると、何かそういう道に近づいていくような気がしてならない。これは私一人ではない、新聞論調等を見ましても、何で防衛だ軍事力だ、今日旗を振っているのか、もっと別な安全保障の道があるのではないかという論調が非常に強くなっているわけでありますけれども、そういう点についての認識というもの、私は防衛庁もしっかりと持ってもらいたいと思うわけなんですよね。
  72. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 大切な御質問でございますので、重ねてお答え申し上げます。  私は、わが国の防衛の基本的な態度は昭和三十二年に策定されました「国防の基本方針」にはっきりうたわれていると思うんでございます。  その第一は、平和外交の推進でございまして、これには各国との平和を保つための外交交渉から軍備の管理あるいは低開発国への援助の増大等いろいろな面を含んでいると思うんでございます。第二は、民生の安定とみずから国を守る気概を築き上げるという点でございます。第三が、国力国情に応ずるみずからの手による防衛力の充実であり、第四が、日米安保条約の堅持とその効率的な運営にある。この四つの事柄は、わが国の防衛考える場合において絶えず念頭に置かなければならない重要な事柄であり、今日もまたその点は何ら変わっておらないと思うわけでございます。  ただ、先生のお尋ねが、最近における極東におけるソ連の軍事能力の状況に対しまして、対応する問題として何が考えられるかというお尋ねでございましたので、防衛庁として直接担当するものにおきましては、いま申し上げました「国防の基本方針」の第三項に基づいて、こういった情勢にかんがみ、みずから節度ある質の高い防衛力を速やかに整備することが必要であると考えているということを申し上げたわけでございます。
  73. 片岡勝治

    片岡勝治君 端的に申し上げますけれども、つまり他国に対して軍事力が優位に立っていなくても平和と安全を保障する道はあるんだと、もしそうでなければ、絶えずわれわれは、日本は軍備拡大にすべてを挙げてやっていかなければならぬと思うわけですね。そうじゃないんだと、軍事力が優位に立っていなくても日本の安全、平和を守る道はあるんだと、そういう道を私たちはむしろ優先して考えていかなければならぬだろうと、私はこう思うんですよね。ところが、繰り返し申しますけれども防衛白書を貫いている考え方は必ずしもそういうことになっていない。  繰り返して申し上げますけれども、他国に比して軍事力が優位に立っていなくても日本の平和と安全を追求する道はあるんだと、こういう点はよろしゅうございますね。
  74. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えします。  ただいまお答えいたしましたように、いろいろな平和維持のための努力すべき事柄はたくさんあるわけでございます。その一環として、自力による防衛力の必要最小限度の充実に努めなきゃならないということを私は申し上げているわけでございます。
  75. 片岡勝治

    片岡勝治君 わかりました。よく使われる必要最小限度という言葉でありますけれども、これは裏返すと、軍備というものは不必要最大限に通ずるんですよね。どこの国でもみんな言っている必要最小限度、ソ連でも言っていると思いますね、あの巨大な軍事力。アメリカにおいてもしかりであり、みんな必要最小限度の軍事力だと言っている。ですから余り私はそういう言葉は現実の政治、われわれの論議の中では科学的な言葉じゃないと思うんです。そもそも軍事力というのは言うところの非対照性のものですよね。軍艦の数が多いからこっちの軍事力があるとか少ないとかいう判断というのは非常にむずかしい。あの巨大な軍事力を持ったアメリカが、まさにアメリカの軍事力からすれば九牛の一毛と言っちゃ大げさになるかもしらぬけれども、ベトナム戦争において敗退せざるを得なかった。  そもそも軍事力というのは、そういう比較対照するのは非常にむずかしい、単純になかなかいかぬわけでありまして、そういう点も念頭に置いて私たちはこの防衛問題というものを考えていかなければならぬと思うわけでありますが、そういう考え方からすれば、これはむしろ防衛庁のあるいは領域から外れるかもしれませんね。安全保障の道、つまり軍事力のみに頼るのでなくて、もっと別な道を頼るべきだ、こういう点については防衛庁の領域でないかもしらぬけれども、少なくともこの防衛白書にはそうした領域についても私はこれから触れていくべきではないか。これは大いに読んでもらいたいという防衛庁の意図が、私が申し上げましたように軍事力のみが日本の平和と安全を保障するんだ、そういう思想で貫れておるとすれば、私は日本国民に対して日本の平和と安全、それを考えていく資料としては片手落ちになるのではないか、そういった別の道をも探究していく、そういう日本の今後の歩み方について政府がどういう資料を出しているかというと、これは皆無ですね、何にもない。  そうすると、やっぱり日本の防衛というものの正しい認識というものが必ずしもできない。そういう点、私は大変心配するわけでありまして、今後はひとつそういう点について防衛庁の領域ではないと思いますけれども、政府の一員として大臣も十分お考えをいただきたい、このように考えますが、そういう点はどうでしょうか。
  76. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答え申し上げます。  片岡先生御指摘のとおり、軍事力だけがわが国の安全を保障する唯一の条件ではないことは申すまでもないところでございます。また先生、いま防衛白書の中にはそういったことがうたわれてないというふうなお話でございますが、たとえば本年の防衛白書の七十八ページごらん願いますと、「わが国防衛力の意義と性格」ということで、「防衛力を保持する意義」「国際政治における意味」「憲法第九条」「非核三原則」「文民統制」等項目を設けてそれぞれの点を説明しておるわけでございまして、軍事力優先とかあるいはわが国が単独で防衛をするとか、そういうことは決して言ってないわけでございます。念のため申し上げます。
  77. 片岡勝治

    片岡勝治君 全然触れてないとは言っておりません。そういう点についてもっと大胆に、誤りない判断を国民に与えるために、防衛白書だけで無理ならば、そういう点についてひとつ国民にわれわれの考えを出すように努力をしてもらいたい、こういうことを私は申し上げているわけでございます。  次に、今度設置法の改正で人員をふやしますね。この問題について二、三お伺いをしたいと思います。  まず、現状の定数の充足率、これは白書にありますね。
  78. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 現在の自衛隊の隊員の充足率でございますが、陸上自衛隊が八六%、海空が九六%でございます。
  79. 片岡勝治

    片岡勝治君 これはすべてひっくるめてですね。これはもう白書に載っていますけれども、幹部、准尉、曹、士含めていまの充足率であります。これを見ますと、陸上自衛隊の充足率が八六%、これは非常に悪いですね。特にその中で士、これは七〇%です。つまり、仮に百人の自衛官が必要だと言っても七十人しか応募していないんですよ、ないわけですね。今度は海上と航空だけですから、この分野については多少充足率がいいわけでありますけれども、これは自信があるんですか、今度の定数増について。
  80. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 自衛官の充足率につきましては、ただいま、十人募集するのに七人しか応募しないのではないかという御懸念でございますが……
  81. 片岡勝治

    片岡勝治君 応募じゃないですからね、充足率。
  82. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 充足率が定められておりますのが八六%でございまして、この充足率を満たすために毎年任期制及び非任期制の若年停年制によりまして退職いたします者を含めましておおむね二万名程度を採用いたしておりますが、これに対してはほぼ二倍の応募者を確保できる状態でございます。御指摘のように、若年労働者に対する需要が高まっておりますので、決して募集環境は楽だとは申せませんが、諸般の努力によりまして所要の目的の募集は今日まで達成をいたしております。その意味で募集の自信はございます。
  83. 片岡勝治

    片岡勝治君 いまも、いみじくもお答えになったように、これからますます若年の士の募集というものがむずかしくなるだろう。それは、高齢化社会に入っていく、若年労働者が非常に少なくなる、しかし昔の軍隊、いまは自衛隊ですけれども、どうしても若年の自衛官というものを性格上必要とする、お年寄りにはなかなかできない、年寄りは旗ばかり振って自分は自衛隊に行かない。そういうことですけれども、そういう点でますます苦しくなる。しかもだんだん高度の技術を必要としてくる、しかし自衛官は逼迫をしてくる。こういう状態が現にあるものですから、そろそろ徴兵制にしなければなんという言葉が私は出てくると思うんです。  それから、実際に自衛官になって四年ですか、任期といいますか。その間ずいぶんやめていきますね。満期——満期という言葉はいま使っているんですかね。いま何と言っているかわかりませんが、通称満期四年ですか、四年勤めるのは大体何%ぐらいですか、士で。
  84. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 任期制隊員につきましては二年一任期でございますが、なるべく一任期でやめないように魅力化対策等を行いまして二任期、三任期まで勤めていただくよう努力をしておるところでございます。しかしながら、一任期二年を終えたところでおおむね三分の一弱程度がやめていく、こういう状況でございます。
  85. 片岡勝治

    片岡勝治君 そういう傾向は今後ますます私は強くなると思いますよ。これから日本経済はどう発展するかいろいろ不透明のこともありますけれども一般的に言えば社会のいろんな条件というものは洋の東西を問わず段々向上していくのが通常ですから、そういう点からすれば自衛官の充足率というものはなかなかむずかしくなる、こういうことを私は指摘しておきたいと思うわけであります。  風の便りに聞くと、最近自衛隊の中において大分昔の軍隊の風潮が芽生えてきたということをちょくちょく耳にするわけです。具体的に申し上げるならば、私的制裁、昔軍隊では朝から晩まで私たちはぶん殴られたんですけれども、そういうことが自衛隊の中に出てきたということを私は確証を持っているわけです。そういう状況というのはどうなんですか。そういう私的制裁あるいは私的制裁的な問題によって問題がどの程度発生をしているのか、統計があればということだけれども、そんなものはないと思うのですが、その状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  86. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 突然のお尋ねでございますのでちょっと具体的な数字を持ち合わせておりませんけれども、現在の自衛隊の中における勤務規律の保持あるいは教育訓練の課程におきましては、旧軍とは異なりまして、そのような私的制裁は許さない、こういう強い指導方針でやっております。したがいまして、御指摘のような事件が皆無であるとは申し上げられませんけれども、旧軍隊のそういう風潮が復活をして最近私的制裁が非常に横行しておるというような事実はございません。
  87. 片岡勝治

    片岡勝治君 昔の軍隊も、私的制裁は厳罰に処すということになっているんですよ。しかし現実には、経験のある方もこの席におりますけれども、そういうことは全くなかったですね。現実にはそういうことがかなりあるんじゃないですか、なかなか表に出ませんけれども。  これは、ある少年兵の作文です。「夜の点呼終了後はまた間げいこです。朝と違うのは室内で行うということです。空挺とびや、腕立て伏せなどフラフラになるまでやりますが、時にはこの時間に上級生が集団でしごきに来ることがあります。まあその時は大変です。居室が台風のあとみたいに荒されます。ベッドはひっくり返るし、せっかくみがいた靴は水の中につけられるし、棚の上に並べている装具は全部床に落されます。それを消灯五分ぐらい前から片づけにかかるのですが、なんでこんな事をするのだろうかという怒りが瞬間します」、こういうことです。もちろん全部こんなことがどこでも行われているとは私も思いませんけれども、とかく集団生活の中にはこういうことが起こりがちなんですよ。そういう環境、そもそもそういう環境があるんですね。  私も寄宿舎で生活をして、学生時代だけれども同じようなことがあった。それがいわゆる軍隊の中、自衛隊の中では一種異様な雰囲気ですからね、なるべく、朝から晩でこき使う、言葉はおかしいんでありますけれども、とことん訓練をして人間改造をやるわけですよ、昔の軍隊というのは。ですから一種異様な環境にある。こういうことが公然行われても、それがあえて問題にならないというようなことがあるわけでありますから、私の心配が、なければ幸いでありますけれども、率直に調べてごらんなさい、相当あると思うんですよ、これは。相当ある。これはひとつそういったことがないように、ぜひ配慮をしていただきたい、このようにお願いをする次第であります。  さらに、今度予算におきましてP3Cの配置が行われますね。相当これは大規模に、五十五年度から五十九年度にわたってP3Cが購入をし、配置されるわけでありますが、これは今日の対潜哨戒機としてはピカ一といいますか、世界でトップクラスの性能を持ったものと伝えられております。これはどういう計画で、どういう基地に配置をされていくのか、もし計画ができておればお知らせをいただきたいと思います。
  88. 塩田章

    政府委員(塩田章君) P3Cにつきましては、全部で四十五機購入する計画を持っておるわけでございますが、そのうち五十六年度、五十七年度に取得いたします八機につきましては、主として教育訓練のために厚木基地に配備をいたしたいと思っておりますが、残りの全体の配備計画については現在まだ具体的なものを持っておりません。
  89. 片岡勝治

    片岡勝治君 先ほど、アメリカの飛行機が墜落をした事故について質問をいたしました。そのときの答弁の中に、過密地帯はなるべく高度を高くするとかいろんなことで配慮をしているというようなお話がありましたけれども、教育訓練の場として厚木を選ぶということは非常に問題ですね、これは。ほかならいいということじゃありませんよ。御承知のように厚木というのは、まさに過密神奈川県の中心ですよ、ど真ん中ですよ。そういうところをこの新しい飛行機の教育訓練の場にするということについては、これは関係市町村、神奈川県挙げて反対をしているということをしかと耳にして善処をお願いをしたい、このように考えるわけです。  それから関連いたしまして、横須賀に第二母港化というような動きがあるやにわれわれ耳にするんですけれども、これはどうですか、そういうことがあるのかないのか。
  90. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) ただいまお尋ねの横須賀における第二の母港化の問題でございますが、国会においても何回かお尋ねございましたが、現在のところアメリカ側から具体的にどこの港に空母を置いてそれを母港化するという話は全くございません。私たちは、国会における議論を踏まえまして、ことしの三月十四日に国防総省に確認したところ、現在アメリカにおいては、この件については全く予備的な討議の段階であるという回答を得ております。
  91. 片岡勝治

    片岡勝治君 時間が参りましたので、最後にお願いいたしますけれども、日本の経済状況からの関係もありますけれども、最近再び武器輸出という声が経済界から上がっております。これまでわが国は武器の輸出は全面的にまかりならぬ、こういうようなことで来たわけでありまして、私はその政策は実にりっぱだと思うわけであります。いま不幸にしてイラン・イラク戦争が行われておりますが、仮に日本の武器輸出が行われていたとすれば、日本の武器を使ってあるいは双方戦争をしていたかもしれない。これは全く仮定の話でありますけれども、そういう悲劇に日本の経済力を使うということは、これは全く耐えられないことであります。しかし、日本国憲法の趣旨にのっとり、これまで一切の武器、これの輸出は厳禁をする、こういう政策をとってきた政府に対して、本当にこれこそ高く敬意を表したい、率直に言って敬意を表したいと思います。  しかしながら、残念なことに最近経済界では、日本の防衛力の増強に相まって、武器を輸入するよりも国産化しろ、それはそれなりにいいんでありますけれども、少数のものをつくるんじゃコストが高くなるから大量つくって外国に売り出す、そうすれば防衛費も少なくて済む、日本の産業もそれだけ技術が高まる、あるいは貿易も拡大をする、こういう意見だろうと思いますが、そういうことになったら私は大変だと思うわけでありまして、この際政府の見解をもう一度確かめておきたいと思うわけであります。
  92. 竹内征司

    説明員竹内征司君) ただいま先生御指摘のとおり、私ども、武器輸出に関しましては国際紛争を助長することを避けねばならない、こういう政策判断のもとに、従来からいわゆる武器輸出三原則というのを設定いたしました。また、これに加えまして、五十一年の二月に武器輸出についての政府の方針を衆議院の予算委員会において表明したわけでございますが、これらの原則及び方針に基づきまして、武器輸出につきましてはきわめて慎重に対処してきておるところでございますし、今後におきましても同様に対処していく所存でございます。
  93. 片岡勝治

    片岡勝治君 日本の経済力が非常に高いということ自体は決して非難さるべき問題ではありませんけれども、その経済力を駆使して、怒濤のような輸出、そのことに国際的にもいろいろ非難があるわけでありまして、もしそれに加えて兵器輸出等が行われるとすれば、これはこれまでの日本への評価を一朝にして崩すことになると思いますし、日本の武器が使われて戦争が行われるということになりますれば、これは私たちの気持ちと全く相反する事態であります。今後ともこの武器輸出については、ひとつこれまでの方針を堅持され、いやしくも死の商人という名をもらわないことを心からお願いをしておきたいと思います。  外務省の方お呼びしたんですが、大変失礼いたしました。  一問、軍縮について、軍縮に対する政府のこれまでの対応、今後の方針、これについてもう少し細かくお尋ねをしたかったんでありますが、時間がなくなりましたので、総括的にでも結構でありますので、この際政府の軍縮問題に対する基本的な考え方を。
  94. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) わが国は、非核保有国としての独自の立場から軍縮問題に貢献する立場にございます。  具体的には、ジュネーブの軍縮委員会、国連の関連委員会で各国と協力して、特に核軍縮を中心にその推進に努めておるわけでございます。  また、単にその推進に努めるということだけでなくして具体策を考えていくということで努力をしておりますし、当面は、御承知のように包括的核実験の禁止条約の締結あるいは化学兵器禁止条約の締結というものがジュネーブの軍縮委員会の当面の課題でございますが、これは米英ソ三国の交渉経過の報告書が最近出てきておりまして、かなり進展しておると考えております。  また、化学兵器の禁止条約につきましては、わが国が議長をやっておりまして、この任期はただいま終わりましたけれども、これまで議長国として努力をしてきた。こういった点で今後とも現実の国際関係の中でできることを着実に推進してまいるということで努力してまいる所存でございます。
  95. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、最初に中期業務見積もりについてお伺いをいたします。  鈴木総理大臣は十月の二十四日、この日に民社党の佐々木委員長と国会内で会談をなさっていらっしゃいます。この記事が「週刊民社」に載っておりましたので、私持ってきております。ここでは十一月七日付でございますが、「防衛問題の原則で合意」という見出しで、この中で「佐々木委員長が「防衛の理念を確立する必要がある。防衛力の整備とは、脅威に対する抑止力を作り出すことだと思う。従って、基盤的防衛力の整備に余りこだわるのはどうか。また、中期業務見積りに権威を与える必要がある。そのため、国防会議の付議事項にすべきである」と要求した。」こうなっております。そこで、その次に鈴木総理は「各方面から、いろんな論議も出ており、防衛庁だけが一人歩きすることはよくないと思っている。この見地から、次の五十六中業から国防会議に付議する」ことを約束した。」と、こう報道されてございます。さらに十一月の十四日、同じ「週刊民社」でございますが、ここでいまの防衛三法に賛成する態度をとった理由と、四点挙げてございますが、その中の一つ、第二の中の項目でございますが、「先の党首会談で防衛三法のベースになっている中期業務見積りが、国防会議に付議されることが確認されたことである。特に、鈴木首相自身が、そのことを確約されたことによって中期業務見積りが、シビリアン・コントロール下に置かれることになった点である。」と、こういうふうに報道されてございます。  そこで、お伺いいたしますけれども、このことは防衛庁長官も御存じだろうと思います。この記事の伝えております内容、これは間違いございませんでしょうか。そして、鈴木総理大臣はどのようなお約束をなさったのでしょうか、お伺いいたします。
  96. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 中期業務見積もりについてのお尋ねでございますが、さきの衆議院安全保障特別委員会の席上、私に対しまして次のような御質問がございました。すなわち、次の五六中業の作成に当たって国防会議の議題にする考えはないかと、こういう趣旨のお尋ねがございましたので、私から、次の五六中業の作成に当たっては何らかの形で国防会議の議題とするよう努めてまいりたいという趣旨の答弁をいたしたことがございます。その後、いま先生の言われました党首会談、自由民主党の総裁と民社党の委員長の会談が行われまして、そのときにその問題が出されたように聞き及んでいる次第でございます。
  97. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから党首会談で、いまここに「週刊民社」が報道しておりますように、中期業務見積もりが国防会議に付議されるということを望まれたと、民社党の方で、佐々木委員長の方から。そして鈴木総理大臣が、中期業務見積もりについては五六中業から国防会議に付議すると、こういうことを約束なさったということは間違いないわけですね。もう一度確認いたします。
  98. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) この次の中期業務見積もりを何らかの形で国防会議の議題とすることを検討するということは、先に私が国会の委員会で川お答えしたところでございます。その後十月の二十四日でございますか、自民党と民社党の党首会談が行われました際に、民社党の方から国防会議の付議事項とし、政府の計画として明確に位置づけるべきであるという提案がなされまして、それに対しまして鈴木総理大臣から、先ほど私が国会で御答弁申し上げましたと同じようなお答えがあったというふうに私は聞いておるわけでございます。
  99. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官の国会答弁が先であったということはわかりました。でも、これはお約束あったということでいまお返事があったわけですから、ここで中期業務見積もりについて私具体的にお伺いいたしますので、ちょっと具体的にお答えいただきたいんです。  五十三年中業は何年度から何年度になるんでしょうか。
  100. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 五十五年度から五十九年度までであります。
  101. 安武洋子

    ○安武洋子君 では引き続いて、五十六年中業というのは一体何年度から何年度になるんでしょうか。
  102. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 五十八年度から六十二年度までであります。
  103. 安武洋子

    ○安武洋子君 では引き続き、五十九年度中業は何年度から何年度までですか。
  104. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 作成します年度の翌々年度から五年間ということでございます。
  105. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから……。
  106. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 五九中業でございますと、六十一年度から六十五年度まででございます。
  107. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま、六十五年度ですね。では、中期業務見積もりといいますのは、中業についてという防衛庁の文書によりますと、これは従来のような固定的な計画ではない。そして、各年度の予算によりまして、当該年度の防衛力整備の具体的内容が決定する都度この見積もりの見直しを実施する。そして、所要の修正を行うほか、三年ごとに新たな見積もりを作成し直すなど、そのときどきの状況の変化に応じて柔軟に対処していくと、こういうふうになってございます。  そこで、五年間の目標を立てて、そして年度ごとに見直しをする、そして三年ごとに抜本的に新しく見直しをしていく、こういうこと、間違いないでしょうか。そして、先ほどの私の質問に関連をいたしますが、こういうやり方というのを国防会議におかけになるんでしょうか、お伺いいたします。
  108. 塩田章

    政府委員(塩田章君) やり方の方はいまお話しがあったとおりでございます。  抜本的に見直すというお言葉でしたが、そういうふうに申してもよろしいわけですが、要するに三年ごとに新しくつくるということでございます。  それから、国防会議にいまのそういうやり方、三年ごとにやるというやり方をかけるのかというお尋ねだったかと思いますが、先ほど大臣お答えしましたのは、五六中業が五十六年度から作業に入るわけですが、その案ができました段階で、あるいはできます前、作業に入ります前、あるいは作業が終わりました、そういった段階で何らかの形で国防会議にかけるということを申し上げておるわけであります。
  109. 安武洋子

    ○安武洋子君 要するに、先ほどの私が申し上げましたのは、これは防衛庁の中業についてというこの文書なんですよね。ですから、これは五年の目標を立て、そして年度ごとに見直し、三年ごとに新たな見積もりを作成すると。新しくつくるんだと、三年ごとに。いまそうおっしゃいました。五十六年中業から国防会議の議題にすると、こういうことを防衛庁長官は国会答弁でもおっしゃっている。で、鈴木総理は民社党の委員長さんともそういうお約束をなさっていらっしゃる。だから、私はいま中業についてというのはこういう内容ですねと、中業を五六中業から国防会議に付議しますと約束されておりますから、付議をなさるんですねと、こういう中業をと、こうお伺いしております。長官、そうですね。
  110. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 私が国会で御答弁いたしましたのは、五六中業から何らかの形で国防会議の議題となるように検討いたしますと、そうお答えしたわけでございます。  国防会議の議題とする仕方につきましては、これから検討して具体的に決める考え方でございます。
  111. 安武洋子

    ○安武洋子君 仕方は聞いてないんですよ、国防会議の議題の仕方については私は聞いてない。五六中業から国防会議の議題にするとおっしゃるから、だから私は、中業というのはおたくの説明によればこういうふうになっておりますので、こういう中業を国防会議におかけになるんですねと、五六中業からおかけになるんですねと確認しているだけなんですが、いかがなんですか。やり方なんて聞いていませんよ。基本的なことだけ。民社党とも約束をなさった。
  112. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えします。  言葉の問題でございますが、国防会議に付議するということと、議題とすること、あるいは議題となることとの間には、現在の法律や取り扱いの規定から言いますといろいろ方法が幾つかございまして、そのうちどの方法によるかということにつきましてまだ決定いたしておりません。したがいまして、国防会議に付議するように決まったと受け取られますとちょっとそれは正確でないものですから、申し上げておるわけでございます。
  113. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、五六中業から付議しないこともあり得るわけですか、国防会議に。
  114. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  繰り返しで恐縮でございますが、私は何らかの形で国防会議の議題となるように検討することをお答えいたしたわけでございます。
  115. 安武洋子

    ○安武洋子君 念のために聞きますけれども、繰り返しますが、何らかの形で付議できるように努力なさるわけでしょう、国防会議に、五六中業から。違うんですか。
  116. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 何らかの形で国防会議の議題とするように努めてまいりたいというお答えを申し上げたわけであります。
  117. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、具体的に私、事例を挙げてお伺いいたします。  先ほど、中期業務見積もりというのは五年の目標を立てると、そして年度ごとの見直しをすると、そして三年になれば新しくつくるんだといま御答弁なさった。  そこで、五三中業で五年間に七四戦車の購入計画というのは三百一両になっております。この七四戦車は五三中業が始まった五十五年度から五十九年度までの五年間の各年度ごとに一体何両ずつ購入する計画になっているのか、年次割りを示してください。
  118. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 中業期間中に七四戦車を三百一台計画していることは御指摘のとおりでございますが、その三百一台を何年度に何台というふうに年度割りで計画しているわけではございません。
  119. 安武洋子

    ○安武洋子君 年度割りはありませんね。いま御答弁なさった。そうすると、五十五年度には六十両購入されている。そして五十六年度には八十両の概算要求をお出しでございますね。これは概算要求だから認められるか認められないかはわからないと。しかし、一応この八十両が認められるとするというふうになりますと、六十両プラス八十両で百四十両、三百二両から引けば百六十一両になりますね。仮に——これも仮ですが、五十七年度でも今年概算要求なさったのと同じような八十両を購入する、こういうことになりましたら合計は二百二十両になる。だから三百一両から二百二十両を引きますと、残は八十一両になりますね。そうすると、七四戦車は五年計画であと残りは八十一両と、三年たつと。そうすると、あとの残りの五十八年度と五十九年度で八十一両購入ということになると、もしこれを半分ずつ購入をしますと四十一両と四十両、数字的にはこうなるわけなんです。  とすると、来年度は八十両要求なさっていらっしゃる、認められるかどうかはわかりませんけれどもね。そうすると、五十六年度は八十両なのに五十八、五十九と、この年度はさっき私が言ったように四十一両とか四十両とかいう、すごくダウンするわけですけれども、こうダウンするんですか。
  120. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 仮に予算が通ればとか、いろいろ仮定の数字をおっしゃいましたが、そういう仮定に立てば数字的には先生のおっしゃったとおりの数子になると思います。  五十八年度、五十九年度はそれでは二年間で八十一両しかならないということ、そんなにダウンするのかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、五十八年度からは新しい五六中業に入ります。新しい五六中業の中で戦車の整備計画がどう出るかまだわかりません。恐らく新しい五六中業の中で決まった整備計画で五十八年度からスタートする、こういうことになるわけであります。
  121. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのお答えで……。  私ここにちょっとわかりにくかったらいけないので図を持って来ました。これをごらんになっていただきたいんです。長官もよくごらんくださいませ。(図表掲示)  これは五年の目標を五三中業で立てているわけです。先ほど私が申し上げたように、ここで六十両購入している。概算要求は八十両出されている。来年も同じかどうかは知りませんけれども、一応八十両としたということになれば、残りはここで四十一両買って、ここで四十両買えばおしまいになるわけです。ところがいま局長の御答弁では、ここから五十六年中業が始まって戦車の購入計画は新たになるとおっしゃった。で、ここから五十六年中業が始まりますからここで戦車の購入台数というのを、これも幾らかわかりませんから仮定の数字で申し上げますけれども、じゃこれを仮定の数字で五百両にしますと、これは五年間に五百両だから百両、百両、百両、百両、百両と、こう買ってもいいわけですけれども、ここですでにおわかりのように、これは五十五、五十六、五十七でここの三百一両、これはここのとこで三百一両みんな買ってしまってもいいことになるわけです。ここから五六中業が始まるから。  そうすると、ここの購入台数というのは、いま四十両とか四十一両申し上げましたけれども、これはゼロでもいいわけです。ここは全然なくて、三百一両ここで全部買ってしまうということは可能なわけです。ここから新しく始まりますから、この五百両、これはこの三年間で五百両を全部買ってしまってもいいということになるわけです。そうすると、百両、百両、百両、百両、百両でなくて、この戦車というのは、これは百五十両、百五十両、百五十両というふうになっていってもいいわけですわ。ここにわずか残っていても、ゼロになっていっても、また三年たつと抜本的にこういうふうな——抜本以下ではいけないとおっしゃった。新しくできるとおっしゃった。全く新しくできて、今度は五九中業が発足する。そうしたら今度五九中業で、ここでまた新しい購入目標を立てると、こういうことになるわけですね。これは間違いありません、うなずいてなさるからね。  そうすると、これは大変なことではありませんか。五年間で三百一両だと言っていたわけです。これは三年間で三百一両でいいわけです。それから、これは五年間で新しく五百両なら五百両、これは五年間と見せかけているけれども、三年間で五百両買うことが可能じゃありませんか。ですから、五十八年はわずかに四十両か四十一両しか買えなかったものが、新しく五六中業が発足することによって、これは一挙に百五十両にも二百両にもなれると。そしてまた、五九中業が始まった時点で、これはここの中で五年間を全部消化するわけですから、目標を。五年間というのも見せかけだけですよ、目標はね。それは三年間で消化すればいいわけです。そうすると、また新しい中業がばっと始まる、ここでまた新しい数字で三年間で消化をしてしまう、こういうでたらめな仕組みなんですよね。幾らでも雪だるま式にこれふやしていけるじゃありませんか、こういうやり方していたら。  五年というのはあくまでもこれは目標だけのことで、見せかけだけのことで、三年でほとんど消化をしてしまう。そして、新しい中業を発足させて、新しい五年の目標をつくる、そうしてまた三年でそれを消化してしまう、そしてまた新しい中業を発足させる。これじゃ一体——こういうシステムになっていますでしょう。先ほどからうなずいていらっしゃるわけですけれども、これは、こういう方法を国民の目をごまかして導入されるというふうなことで、私は許しがたいことだと思う。だから、あなたたちはこれをシビリアンコントロールがかかるんだとかなんだとかとおっしゃるけれども、とんでもない。  長官いかがですか、こういう仕組みになっているんですけれども、お認めになりますか。
  122. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) わざわざ図まで用意して御説明くだすって、まあその点はありがとうございました。  ただ、私どもこの問題、やはりこれだけ切り離して処理できるわけではございません。先生御指摘のように、毎年度の予算の査定もあるわけでございまして、国会の御審議もあるわけでございます。そういったそれぞれの手順を経て進められる問題でございまして、ちょっと先生が図に示されたように自由自在にいけるような性質のものではないというふうに考えておるわけでございます。  また、現在の中業は、五十一年に閣議決定、国防会議の決定になりました「防衛計画の大綱」に基づいて進めているわけでございまして、大綱の別表の線というものも守らなければいけない、そういう制約があるわけでございます。  また、七四戦車は現在のところ最も優秀な戦車でございますが、技術開発が進んでおりますので、それだけをただふやせばいいということはどうか。将来におきましては検討を要する問題もありはしないか。いろいろな制約があるということを申し上げて、そういった点を国会にも十分御説明して進めていく。また五六中業から、国防会議の議題とされれば、また国防会議におきまして慎重な御審議を願うということになると思いますので、いろいろな制約と申しますか歯どめがありますので、御指摘のようなことはそう簡単に実現しないと私は考えておる次第でございます。
  123. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官、御答弁になっていないんです。私は、中業というのは、あなたたちの防衛庁の中業についてという文書で、こういうことですねということを確認いたしました。五年の目標を立てる。そして、年度ごとに見直しをする。固定的なものじゃないと。そして、三年になったら新しく、新しい中業が発足するんだと。ということは、私は、中業というのはいやおうなくこういう仕組みになると。こういう仕組みなんですよ、中業というものはと。中業である限りこの仕組みになるんですよ、何と言ったってね。それは戦車の数が、私は五百両とか架空の数字で言いましたけれども、しかしこれは三百一両、もし五三中業の三百一両の数字を全然動かさなくて五六中業でも三百一両になったとしても、ここでは四十一両か四十両しか買えないと。しかし、五六中業が発足すれば直ちにここで、来年度の概算要求しているように八十両が買えるんですよ。もっと買えるんですよ、数字が同じでも、いやおうなく。あなたたちがおっしゃっている中期業務見積もりというのは、従来のような固定的な計画ではないと。こういうふうに動かしていく。これは仕組みなんでしょう、中業の。こうなっているでしょう。どうですか。
  124. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 仕組みはいまお話があったとおりでございます。ですから、私どもは隠しているとかそういうことじゃなくて、そのように御説明を申し上げておるわけであります。  いま戦車についておっしゃいましたわけですが、中業はもう言うまでもなく戦車だけではございませんで、いろいろなものを考えていかなければいけないわけですから、戦車についてだけ、いま先生がお話しのように五年間で何台という計画をしながら三年間でやってしまうというようなことをすれば、それはほかの項目にたちまち響くわけでございます。  いま大臣からお答えいたしましたように、予算の査定も受け国会の御審議もいただきながら実現を図っていくわけでございます。また、その根っこに防衛計画の大綱の水準があるわけでございますから、そういう意味で先ほど大臣お答えいたしましたようにやっていくわけでございまして、いま先生の戦車についての図をお示しになってのお尋ねでございますけれども、そういう戦車だけについて言えばなるほど先生のおっしゃったような仕組みにはなっておりますけれども、そういうふうには動くものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  125. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、仕組みを問題にしているんです。これは戦車であろうと飛行機であろうと何を当てはめても、中業の中の購入数量目標数である限りはこういうことになりますでしょう、仕組みなんだから。こういうシステムなんでしょう、中業というのは。あなたたちがそれを明らかにしているわけ。だから最初に私は、しぶといようですけれども確認をしました、固定的な数字じゃないわけですから。だから、いまいろいろおっしゃったけれども、戦車だけではないとかなんとかおっしゃって、国会の審議も云々とかおっしゃるけれども、中業というのはこういう仕組みであるということはお認めになった、いま。だから私はけしからぬと言っているわけです。こういう中業というのは、五年間、見せかけですよ、この数字は。それを三年で抜本的に改める。こういうことにすると、級数的に幾らでも軍備を増大していける。雪だるま式にふやしていけるじゃないですか。ここを私は問題にしているわけです。  こういうものを結局国防会議にかけるとおっしゃる。ここに大きな問題がある、この仕組みね。国民を欺くものですよ。五年間の目標を立ててみせておきながら三年で新しい中業を発足させる、そして雪だるま式に幾らでも数量がふやせる。こういう仕組みをつくって、そしてこれを国防会議に付議したらシビリアンコントロール、これができるんだとおっしゃる。こんな、本当に人をばかにしたような話があるんでしょうか。いかがお考えです。長官
  126. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 仕組みについてお尋ねがございまして、御説明したわけでございます。三年ごとに見直す、これは長期計画について、いわゆるローリングシステムといいまして、各国の場合におきましてもこういった仕組みを採用している国が多いわけでございます。ただわが国の場合、中業はこれまであくまで防衛庁の部内限りの資料でございまして、ほかの省は参画しておらない。そういうわけでございますので、毎年度の予算編成におきましては、中業の計画内の具体的な概算要求を防衛庁としましては大蔵省に出しまして一々査定を受けると、そういうことでありますので、財政事情等もございますので、部内限りでどんなにりっぱな計画をつくりましても、そのまま希望する時期に実現するという保証はないのがこれまでの計画の特徴であったわけでございます。あくまで部内限りの参考資料で、それに基づいて毎年度の業務計画なり概算要求を作成する、そういう資料であったというのがこれまでの性格でございます。それに対しまして、最近の国会の御議論等において何らかの形で国防会議の議題にするようにという声が高まってまいりましたので、次の中業からそういうふうにいたせるように検討するということを申し上げておる、こういうことでございます。  防衛局長お答えしましたように、戦車以下大砲から護衛艦あるいは航空機それぞれについて数十項目にわたる見積もりがあるわけでございまして、一つ一つについて三年ごとに見直していくことも確かに可能であれば可能であるというふうに考えられるわけでございますが、全体として予算の問題もございます。また、防衛予算全体について対GNP一%以内という歯どめもあるわけでございまして、すべての項目をどんどん繰り上げてやっていくということは実際問題としてはとうていできない立場にあるということも御理解願いたいと思うわけでございます。
  127. 安武洋子

    ○安武洋子君 御答弁にやっぱりなってないんです。部内限りの資料だというふうにおっしゃいました。その資料がこういう性格を持っている。これは防衛庁の増強計画、もう級数的に推し進める仕組みであるということは御説明申し上げましたけれども、これを国防会議の議題とする、国防会議に付議するというふうなことは、防衛庁の本当に級数的なこういう仕組みに対して政府がお墨つきを与える、こういうことになるわけなんですよね。こういうことを公認するということは実に重大なことではないか。いろいろおっしゃるけれども、この仕組みを私は問題にしている。こういうものを国防会議におかけになってお墨つきをお与えになるんですか。
  128. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  最近の国会論議におきまして国防会議の議題とするように検討せよというお話が高まってまいりましたので、検討するということをお答えになっているわけでございます。果たしてお墨つきがいただけるのかどうか、これはやってみなければわからないことでございまして、慎重な手続をすればかえって厳重な制約がふえてくる場合もあり得ると私ども覚悟しているわけでございますが、シビリアンコントロールを強化する必要でそういうことが必要とされるのであるならば、その点についてはできる限りの御協力をするのが防衛庁としての務めではないかと現在考えている次第でございます。
  129. 安武洋子

    ○安武洋子君 国防会議に付議せよという声があったにしろ、こういう大問題、五年は見せかけ、三年ごとにどんどんどんどん新しい中業をつくって軍備大増強ができる、雪だるま式に軍事費をふやしていける、軍備を増大させていける、こういう問題点が明らかになった限り国防会議にかけるべきではないというふうにお思いにならないんですか。
  130. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  先生の御意見はわからないわけではございませんが、私どもこれまで国会の御論議で承っておりますのはまた違う趣旨の御意見が多かったようでございますので、私どもとしましては、そういったいままでの国会の御論議、また今後における国会の御論議を拝聴いたしまして、やるべきことはなさねばならないと現在考えておるわけでございます。
  131. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、国防会議に付議なさる。お伺いいたしますけれども、国防会議の議題に付議していくというふうなことは、政府決定をするわけですね。——うなずいてなさるからね、政府決定をする。ということになれば、何を決定なさるんですか。政府決定というものは何を、どれだけ、いつまでにと、こういうことを決定していくものだというふうに私は思います。ところが、毎年くるくるくるくる数字が変わる。五年という数字を出すけれども、これは架空の数字であって、三年たてば全然違った数字になる、こういうものがなぜ決定できるんですか。固定した数字でない。私はあなたたちの意図わかります。いままでは何次防何次防何次防、こういう固定した数字、これでは軍備の増強があなたたちの思うようにいかない。だからこういう中業、三年ごとに新しく中業を発足させる、こういうふうなローリング・バジェット方式を編み出したんです。だから、アメリカとか財界とか、軍備大増強せよと言われるから、こういう方法で雪だるま式に軍備をふやしていく。これはしかし数字は固定してない。固定してない数字を決定するなどということはできないはずなんです。こんなものを国防会議にかけて何を決定されるんですか、お伺いいたします。
  132. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私は先生のおっしゃるこの方式でいけば、雪だるま式になって幾らでも軍事費がふえるではないかとおっしゃることがどうしてもわからないのであります。先ほどから何回も申し上げておりますように、防衛計画の大綱の中で整備をしていく、そしてGNPの一%という閣議決定もございます。その中で確かにローリングシステムはとっておりますけれども、そういった大きな制約の枠の中で行います関係上、いま、なるほど戦車の例を挙げられましたが、戦車でそういうことをすれば、ほかの飛行機や船もそれじゃどうなるのか、飛行機も船も同じようなやり方すればたちまち最初に申し上げました枠を突破する大きな問題にぶつかるわけでございまして、そういうことができるわけがないんです。そういうふうに私ども考えておりますから、これは雪だるま式とか軍事費をどんどんふやすための方式であるというふうにはどうしても考えられないわけであります。  また、第二点目の国防会議に付議して国防会議で何を決定するのかというお尋ねでございますが、先ほどから申し上げておりますように、何らかの形で国防会議の議題にしたいということを申し上げております。国防会議で決定をしてもらうようにまだ申し上げておりません。それはどういう形で議題になるかは、先ほど大臣お答えいたしましたように、いまからの検討課題であると、私どもはそういうふうに考えております。
  133. 安武洋子

    ○安武洋子君 ローリングシステムを認めながら私が申し上げた戦車がなぜこういうふうになるかわからないとおっしゃる。数字的に五百両とか、仮定の数字は申し上げました。しかし、だれが考えたってこのシステムに乗れば、この私が申し上げた五三中業の数字に、これをそのまま五六中業で踏襲してもふえるじゃありませんか。これがなぜ軍備増強計画でないと言うんですか。雪だるま式にふえていく、そのことにつながらないとおっしゃるんですか。私はこんなこと、いまの御答弁では納得できません。この質問は保留しておきます。  そして、いまもう一つの点、防衛計画の大綱の範囲内で行うんだから、こういうことをおっしゃる。そこで聞きます。鈴木総理は、十二日の安保沖繩・北方特別委員会、この中で、五六中業はこれからつくるが、それをもってしても大綱の水準を達成できるかどうか疑問だ。財政事情は厳しいし、国民的コンセンサスも必要である。それらを総合的に勘案し、いま大綱を見直すことは考えていない。こう御答弁をなさっていらっしゃいます。この御答弁の中身についてお伺いいたしますが、鈴木総理はいま大綱を見直すことは考えていないとおっしゃっている。「いま」という言葉を使っていらっしゃいます。この「いま」とは一体いつまでを指すんでしょうか。お伺いいたします。
  134. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私が別の委員会の席でお答えをしたことがあるわけですが、防衛計画の大綱につきましては、総理も防衛庁長官もいま見直しするつもりはないということを申し上げておりまして、将来見直すことがあるとすれば三つの条件といいますか、それを判断して見直すかどうかを検討することになるであろうということを申し上げたことがございます。その三つの条件といいますのは、国際情勢——日本をめぐる国際情勢に対する一つの判断、あるいはまた第二は国内諸情勢の動向。それから第三には、今後におきますところの防衛計画の大綱に対します私ども防衛力整備の達成状況、そういったようなことが勘案されて見直すときが来るかもしれないということを申し上げました。  その時期は具体的にいつごろと考えておるのかというお尋ねであるとすれば、いま時点でそれがいつごろになるであろうということを申し上げられるような状況ではございません。
  135. 安武洋子

    ○安武洋子君 この御答弁は、五六中業はこれからつくるが、それをもってしても大綱の水準を達成できるかどうか疑問だと、こうおっしゃっているわけです。  長官にお伺いいたします。それで、五六中業はこれからつくるんだけど、それをもってしても大綱の水準を達成できるかどうか疑問だとおっしゃるなら、五六中業というのは、これは六十三年度までですね。そうすると——ちょっとまだ私質問中……
  136. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) ちょっと違うんですよ。六十三年じゃありません。六十二年までです。
  137. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十六——ちょっと待ってください。五六中業は六十二年度までですから六十二年度から違いますわね。六十三年度からは違いますでしょう。だから五六中業というのは五十八、五十九、六十、六十一、六十二年度まで、六十三年度から違うから六十二年度の末まで、だから六十三年度の初め、ここまでは五六中業なんでしょう。だから、五六中業がもってしても達成できないかもわからないとおっしゃっているなら、五六中業の終わる六十二年度末、言うなら六十三年度の初め、この前後ぐらいまでは幾らやっても大綱の水準は達成できないかもわからないとおっしゃっているなら、ここまでは大綱の見直しはしないと断言なさいますか。
  138. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 総理大臣はだろうとお述べになっているわけでございますので、五六中業を実際やってみないとその点ははっきりしないわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども五三中業が実現いたしましても防衛計画の大綱の線には達しないということは、もうこれはすでに五三中業が策定になっておりますから、これは明確に言えるわけでございます。次の五六中業で、達しない分がどの程度充足されるか、これは五六中業をやってみなければわからないわけでございますので、総理大臣としては、財政状況もあるのでなかなかむずかしいんではないだろうかということをお述べになったんではないかと、私はそういうふうに考えております。
  139. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、シビリアンコントロールにも何にもこういう大綱はならないということを言っているんですよ。やってみなければわからないと、はっきりしないというものがなぜ歯どめになります。私は、この防衛計画の大綱の範囲内でこれが歯どめになるんだとおっしゃるなら、総理の答弁で五六中業でもってしても大綱の水準を達成できるかどうか疑問なんだとおっしゃる。そうすると、五六中業の終わるのは六十二年度だから、六十二年度末まで、大綱をこの前後までは変えないと明言すればこそこの枠はかかります。しかし五六中業やってみぬとわからぬと。やってみぬとわからぬとは何事なんですか。こんなものでどうして枠になります。今度は大綱もまた変えると、際限なくこういうふうにごまかしていくということになるじゃないですか。この矛盾はどう処理されます。
  140. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 防衛庁といたしましては、「国防の基本方針」「防衛計画の大綱」に従って毎年度の防衛予算のあれも決めているわけでございまして、その都度慎重に検討して事を運んでいるわけでございます。  また、お尋ねの五十六年中業がどのような姿で決まりますか、その点もこれから作業にかかるわけでございます。できましたものが防衛計画の大綱とどうなるか、もちろん総理のお見通しのおり、大綱の線内であれば大綱は変える必要はないわけであります。もし、しかしそうではない場合が出れば、大綱は防衛庁が勝手に決めれる問題ではございませんので、また国防会議なり閣議なり、そういった点に諮らなければいけないわけでございますし、また国会にも報告して御審議を願わなきゃいかぬ、そういう大切なものでございますので、防衛庁だけで勝手に左右できるものではない、そういう意味で、私どもは慎重に取り組んでまいりたいと考える次第でございます。
  141. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、大綱の限度内でやるんだから、私が先ほど申し上げましたようなローリングシステムでもそうはならないんだと、ふくれ上がっていかない、こうおっしゃったけれども、その矛盾がはっきり出てきたじゃありませんか。大綱を五六中業終わるまでは変えないと断言なさるなら別です。やってみぬとわからぬとおっしゃる。だから私はおかしいと。こんなものでどうしてシビリアンコントロールがやれるということになるんですか。私はいまの長官の御答弁というのは全く私の質問にお答えになっていただいてないというふうなことで、この問題も保留さしていただきたい。  そして、私は再度お伺いいたしますけれども、先ほどまだ御答弁もらってないんですよ。政府決定というのは、私が承知しているこの範囲では、何をどれぐらいいつまでにというふうに決定するものだと。国防会議の議題に付議してしていくと言いますけれども、先ほどのようなローリングシステムで数字の動くもの、ああいう仕組みのもので数字が動いていく。毎日のように毎年くるくる変わる。こんなようなものをどうして国防会議で決定するんですか。そして、国防会議にかけるからこそシビリアンコントロールができるからというふうなことで、この日曜日のテレビ討論会の中でも民社党の代表の方も、これで防衛三法の賛成に踏み切ったんだと言っておられるけれども、こんなことで防衛大綱の枠も全然かかっていない。国防会議でもこんなもの決定できませんよ。私たちは何も防衛大綱を認めるものじゃありませんけれども、この枠もぐさぐさとやってみなければわからぬとおっしゃる。  それから、国防会議にこういうものはなじまないじゃないですか、決定ということには。決定できないものをどう決定するんだと。決定になじまないものを決定すると、こうおっしゃる。これはおかしいです。
  142. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 二つの点からお答えしたいと思うんですが、一つは決定になじまないということでございますが、決定になじまないとは言えないんではないかと。そういう防衛庁の毎年の予算要求の参考資料としての中期業務見積もりを、防衛庁ができた段階で国防会議にかけるわけですから、それをかけまして決定をしていただくということがどうしてなじまないのか、私には逆によくわかりません。  それからもう一つ、先ほどから申し上げておりますのは、決定をしていただくとはまだ決まっていないということを申し上げております。決定していただくことになっても、私はなじむと思いますけれども、しかし、決定をしていただくことになったとは申し上げていないんです。何らかの形で国防会議の議題とするように努めてまいりますということを先ほどから何回も申し上げておるわけであります。
  143. 安武洋子

    ○安武洋子君 あなたはいま、中業ができたら国防会議にかけるんだと、こうおっしゃった。なぜ違うんですか。中業が出たら国防会議で見てもらうんだと、こうおっしゃった。そうすると、この中業自体が五年でしょう、一番最初は。五年の数字を出したところでそれはまやかしじゃありませんか。五年の数字は三年で変わるじゃありませんか。そんなものを国防会議で出して、了解が得たから、お墨つきがついたからと言って、こういう、なぜ動く数字を国防会議でお墨つきを出すんですか。国民をだますようなこういう仕組みをなぜ国防会談で決定しようとするんですか。おかしいじゃありませんか。  私は申し上げますけど、長官、先ほどからの論議でおわかりのように、中業というのは五年の数字を出すけれども、これはあくまでも見せかけですよ。それを三年で急遽達成し、新しい中業を発足させていくという、こういう仕組みですよ。そして、これは防衛計画の大綱の枠内でやるんだとおっしゃるけれども、それもやってみなければわからないと、変えないという、断百は御答弁に出てこないわけです。こういう私は、軍備大増強方式、こういう中業、絶対におやめになるべきだと、このことを強く要求いたします。
  144. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 中業をやめろという趣旨の御発言でございますが、現在の中業は、防衛庁の訓令に従いまして五十三年に基礎ができております。最初の中業が五十五年に発足しまして、いま進められているわけでございます。その中業の手続につきまして、最近の国会におきまして御論議が出まして、次の中業から何らかの形で国防会議の議題にするように検討するということで、やり方について防衛庁としましては検討中でございます。  防衛力の整備につきましては、先生よく御承知のとおり、相当長期間を要するものでございますので、毎年度限りというわけには済まされない面が多い。何らかの継続性が必要であるということで、現在の中業は防衛庁限りのものとしていま進められているわけでございます。それに基づいて毎年度概算要求を出し、内閣の予算編成のスクリーンを経て毎年度の防衛予算が決定している。それをまた国会で御審議を願うということは先生よく御承知のとおりでございまして、まあそういった仕組みについて、次の中業から国防会議の議題とすることを現在検討しているということでございまして、そういった継続性のある計画は私は依然として必要ではないかと。ただ、これを、シビリアンコントロールをより充実するために国防会議との関係考えていくという必要は生じていると思うんでございます。そういう意味で、私どもは、中業自身をやめろと言われましても、そのとおりでございますという御答弁はいたしかねるわけでございます。
  145. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、手続についてなどお伺いはいたしておりません。中業の基本的な性格そのものが軍備大増強の仕組みであると、だからこういうものはおやめになるべきだと、このことを強く要求いたします。  御答弁が私納得いきませんので、この問題保留したまま次の質問に移ります。  次の質問で、塩田局長にこれをちょっとごらんいただきたいです。(安武洋子君資料を手渡す)私は、海域分担の問題についてお伺いをいたします。  これは十一月の四日でございます。衆議院の内閣委員会で、私ども共産党の榊委員に対しまして塩田局長は、そこにいまお渡しいたしましたように、日本の海上自衛隊及び航空自衛隊考え方などにつきまして榊委員が質問申し上げているんですが、自衛隊の海空強化はアメリカ軍の軍事力を補完するものでないかというふうな論戦の中でございます。「海上自衛隊について言えば、日本は日本の周辺の海域を守る作戦をやり、それに対して、それを越えるものについてはアメリカが分担するという基本的な考え方でやっております」、こうおっしゃっておられます。この御答弁はいまも変わりませんね。
  146. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そのとおりでございます。
  147. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは、私ここに「日米防衛協力のための指針」——ガイドラインです。これを持ってきております。  そこで、「海上作戦」についてでございますが、「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」、こうなっております。御答弁と食い違うのはどういうことなんでしょうか。
  148. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私は食い違いはないと思うんですけれども、と申しますのは、いまの御指摘のガイドラインの方でございますが、「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し、及び機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。」と、こうなっておるわけでございます。これはガイドラインの中に書いてございまして、すでに御存じのとおりでございます。  私のこの答弁の方はといいますと、「海上自衛隊について言えば、日本は日本の周辺の海域を守る作戦をやり、それに対して、それを越えるものについては」というのは、その「越える」という意味が、何といいますか、地域的な意味ではございませんで、日本の海上自衛隊の持っております機能、アメリカの海軍部隊の持っております機能、それをそれぞれ、何といいますか、一緒に共同してやるわけでございますから、日本の海上自衛隊の持っていない機能、それを越えるものという意味も当然その中に含まれております。  いまの配付されました榊先生との質疑応答はちょっといま正確に覚えておりませんが、日本の海空の強化問題、対潜空軍力の強化の計画について云々と、こういうことからのお尋ねであったように思いますけれども、私はガイドラインのこの規定を、何といいますか、当然念頭に置いてお答えをしたわけでございますが、正確に言葉どおり申し上げなかったことは事実でございますけれども、その言っておりますところは、「日本は日本の周辺の海域を守る作戦をやり、それを越えるものについては」というのは、日本の周辺の海域であっても日米で共同でやることも当然ございます。しかし、機能的には日本の自衛隊が持たないものは当然アメリカにやってもらうより仕方がないわけでございます。そういう意味も含めて「それを越えるものについては」というふうに申しておるわけでございます。
  149. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんな日本語の解釈ありません。私はごまかしてもらったら困ると思います。こういうあなたのような御答弁は、これは過去国会で大問題になっております。これは五十年六月十一日ですね。参議院の予算委員会です。ここの中で、過去に当時の坂田防衛庁長官があなたと同じようなお答えをなさったというふうなことで、いろいろのいきさつが議事録を拝見したらあったようです。そして最後には、「いずれにいたしましても、海域分担というようなことは考えていないのでございます。」と、こういうふうに御答弁なさっていらっしゃるわけです。ですから、いま局長お答えになりましたけれども、大変苦しいお答えで、じゃ第一項目の私が申し上げたところだけではどうなるのか、この御答弁いただきたいです。  それから二項目目ですね、これは機能分担。ですから、あなたが答弁なさっておられるのは、これははっきりと「日本は日本の周辺の海域を守る作戦をやり、」と。そして「それを越えるものについてはアメリカが分担するという基本的な考え方でやっておりますので、」と。「やっておりますので、」というのは、いましているということですから、いましているということをうっかりしてそういうふうにお答えになるということもおかしいわけ。だからいまのは全くつじつまが合わない。私はごまかされてもだめだと思います。もしあなたがいまおっしゃるようなことであるのなら、榊議員になさった答弁と全く違うじゃありませんか。どういうことなんですか。
  150. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 日米ガイドラインの中に「日本に対する武力攻撃がなされた場合」というところがございまして、その中の「作戦構想」としまして「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施する。」こうなっておりまして、海域分担ではございませんで、機能的に自衛隊の及ばない機能を米軍が補完するということは明瞭に書いてあるわけでございます。で、自衛隊は……
  151. 安武洋子

    ○安武洋子君 それと違うから聞いているわけです。いまあなたがお読みになったことと矛盾するから聞いているのです。
  152. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いや、そういうことを私はお答えをしたつもりであります。
  153. 安武洋子

    ○安武洋子君 いえいえ、いまあなたがお読みになったことと全く違うじゃありませんか。いまのは機能分担。あなたがここで御答弁なさっているのは、そんな機能分担のことは書いてありませんよ。「周辺の海域を守る作戦をやり、それに対して、それを越えるものについてはアメリカ」だと。はっきりとこれは海域の分担じゃありませんか。機能の分担じゃない。このガイドラインにうたってあるように、重要な港湾、海峡の防備、それから周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦と、そういうものの機能分担じゃなくて、これは明らかに海域分担ですよ、何とおっしゃろうと。
  154. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 日本の海上自衛隊とアメリカが作戦をする場合に、いま先生は機能分担、海域分担というふうに分けておっしゃっているわけですけれども、私は必ずしも海域面あるいは機能面それの別々ではなくて、機能面であれ海域面であれ、自衛隊の及ばないところはアメリカが補完するということで、たとえば海域について言いましても、日本の海上自衛隊は、しばしばお答えしておりますように日本の周辺海域数百海里とかあるいは航路帯でありますと千海里とか、そういうふうなところを目標にして整備しておるわけですけれども、そういった海域面でもそれを越えたものについては日本の海上自衛隊の能力及びません。そういうこともございます。ですから、機能面ももちろんそうです。あるいは海域面でもそういうこともあり得るわけでございまして、そういうこともというのは、自衛隊が及ばないということもあり得るわけでありまして、そういうことを含めて「それを越えるもの」というふうに私は申し上げたつもりであります。
  155. 安武洋子

    ○安武洋子君 確認しますが、わからないのでもう一度聞きますけれども、海上自衛隊の能力さえ及ばなかったらそれはアメリカ軍が分担する、海域であってもと、こういうことですか。いままで国会の中でもう何度も御答弁なさっている数百海里、それから航路帯については千海里、それは置いておいて、あなたのいまの御答弁は、海上自衛隊の能力さえ及ばなかったらそこからはアメリカ軍が持つと、海域においてもとおっしゃったけれども、そういう海域分担をするんですか。
  156. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先生のお尋ねを聞いていますと、何か海域というものが区別をしてあって、ここは日本の海上自衛隊、ここから先はアメリカだというふうに聞こえるんですけれども、そういうふうに物理的に線を引いて海域分担をしておるわけではないんです。そういうことを申し上げているわけではございませんで、機能面にせよ海域面にせよ自衛隊の能力の及ばない範囲というものがございますから、それは米軍に補完してもらう。したがって、直接周辺の海域であっても自衛隊の持たない機能については米軍に補完してもらうということもあるわけです。そういうことを申し上げているわけであります。
  157. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、能力の及ばない範囲というのを、基準をはっきりしてください。
  158. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そういう基準というのはあるわけではございませんで、というのは、何か物理的な基準があるのかというお尋ねであるとすれば、そういう基準というのはないと思います。海上自衛隊の能力の及ばない分野といいますか機能といいますか、そこについては米軍が補完する、こういうふうにしか申し上げられません。
  159. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、どうなりと自衛隊の能力が及ばないんだとこう解釈すれば、解釈次第で幾らでも海域でも広がっていけば狭まりもする、そういうものなんですね、あなたの御答弁は。
  160. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そういうことになりますと、具体的にはいまの指針に基づく日米の研究をやっておりますから、その研究の中で具体的には出てくることになるだろうと思います。先生のおっしゃいますように幾らでも広がるとか幾らでも縮まるとかということでなくて、実際はそれをどうするのかという研究が行われてしかるべきであるというふうに考えます。
  161. 安武洋子

    ○安武洋子君 能力によって海域分担もできるんだと、こういう大変な御答弁です。  では、私お伺いいたしますけれども、このガイドラインと相違するのをどういうふうに処理なさるのか。それから、坂田長官のはそういうことにはなっておりませんよ。「いずれにいたしましても、海域分担というようなことは考えていないのでございます。」と、自衛隊の能力が及ぶ範囲とかそんなことをおっしゃっていない。こういう政府の答弁、食い違うじゃありませんか。長官、お聞きになっていただいてわかると思いますけれども、こういう政府答弁の食い違いについて、私、政府の統一見解を出していただかないと困ると思うんです。どういうことでしょうか。
  162. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  いま御質問のもとになっております「日米防衛協力のための指針」という文書を読み直してみましたところ、2の「日本に対する武力攻撃がなされた場合」の(2)の(i)の「作戦構想」というところには、いま防衛局長が言いましたとおり、「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施する。」と、これははっきり書いてあるわけでありまして、その後(a)、(b)、(c)、で「陸上作戦」、「海上作戦」、「航空作戦」となっていて、「海上作戦」のところを見ますると、「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」とこう書いてありますので、両方をあわせて読みますると防衛局長のいまの答弁は必ずしも間違っていないのではないか、そういうふうに私はこの文書を読んで受け取ったわけでございます。
  163. 安武洋子

    ○安武洋子君 とんでもないことです。基準もなく、自衛隊の能力さえ及ばなかったら海域を分担していく、こういう御答弁です。これは憲法でも認められておりません。私どもは安保条約を認めるわけではありませんけれども、安保条約上だってこんなことはできません。それから、いままでの政府答弁、一番近いのなら原防衛局長が七九年五月八日衆議院の内閣委員会で答弁なさっております。これは、「重要な港湾、海峡の防備あるいは周辺海域におきます対潜作戦あるいは船舶の保護のための作戦、これは日本を守るためでございますから、海上自衛隊が主体となってやる、米軍はそれを支援する、そういう形になるわけでございます。」と、やっぱりこれは共同作戦なんですよ、機能分担ということなんですよ。あなたの御答弁はそれからも逸脱してしまっている。  私は、こんなものは納得できません。私は、いまのところあなたたちはもう実際にこういうことをやってなさるんだと思いますよ。だから思わずその本音が出たと。ガイドラインさえ変えて、自衛隊が海域分担をする、こういうことになりますと、いまの自衛隊、現在の五倍も六倍も軍備増強しなければならない、軍備を拡大していかなければならない。こういう、憲法上も安保条約上も違反するようなそのことに、あなたの答弁は足を踏み出したということに私はなると思います。これは、アメリカの方でも、アメリカ海軍がインド洋とかペルシャ湾で十分に行動できるように保障するために西太平洋全域で自衛隊が海域分担をしてほしいというふうな要求を持っているわけです。私はここで申し上げますけれども、ガイドラインの研究をなさっていらっしゃる、いまもそういうふうにおっしゃいました。こういう間違い、誤解が出てきます。だから、ガイドラインの内容を国民にはっきりさせるべきだ。研究内容を国会に出していただけますか。
  164. 塩田章

    政府委員(塩田章君) まずその前に、私がいろいろ答弁をいたしておりますけれども、憲法の制約でありますとか安保の範囲内でやるということは、これはもう当然の前提として申し上げておるつもりであります。日米ガイドライン自体もそのことは初めに明記してあります。ですから、憲法を超えてとか安保条約に違反してとか、そういうふうなことはもう初めから私ども考えていない、問題にしていないわけであります。  それから、海域分担ということを盛んにおっしゃいますけれども、先ほど読みましたガイドラインの中の「作戦構想」の基本的なところに「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、」云々とこう書いてありまして、自衛隊の主に分担する区域が「日本の領域及びその周辺海空域」であるということははっきりしておるわけでございます。それを、何といいますか、越える場合に、実際上海域分担で何とか、北緯何度ならどこだというふうなことでなくて、それを越える場合に、日本の海上自衛隊の能力その自体がもう及ばないわけでございますから、そういう面についてはこのガイドラインにございますように米軍が主として行うということになるわけでございまして、先ほどお読みになりました原局長の答弁、まさにそのとおりだと私は思っております。少しも食い違っていないというふうに考えておるわけであります。
  165. 安武洋子

    ○安武洋子君 肝心のところを抜かしておられる。「周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」こうなっているんですよ。あなたは、自衛隊の能力が及ばない、そこからはアメリカが分担するんだ、こういう御答弁です。一貫して違います。ですから御答弁がないんですよ。私の聞いていること以外のことでお答えになっている。だから、ガイドラインの研究内容をここで出していただきたい、公表していただきたい。資料提出願えますか。
  166. 塩田章

    政府委員(塩田章君) その前に、また先ほどの問題でございますけれども……
  167. 安武洋子

    ○安武洋子君 私の聞いていることに答えてください。私の聞いていることに——ちょっと委員長、ちゃんとしてください。
  168. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 海上交通の保護のための作戦というものを共同して実施するというのはその次の段階でございまして、前に、基本構想として先ほど私が申し上げたようなことがあると。そこで、それが陸上、海上、航空にさらに分けて、海上のところにいま先生のお読みになったような文章がある、こういうことでございます。  それから、ガイドラインの研究の中身につきましては、事柄の性質上公表は差し控えさせていただきます。
  169. 安武洋子

    ○安武洋子君 質問者が質問していることに御答弁くださいね。  私は、幾らあなたがそうおっしゃっても、本音を出されたという以外の何物でもないと思いますよ。いま、資料も出さないと、こうおっしゃる。私は依然として疑問解けません。この問題については、ですから私は保留いたします。そして次に進みます。  次は、米軍用の山王ホテル問題です。  これは、米軍用の山王ホテルというのが裁判で和解になって、五十五年の十二月二十六日までに港区の南麻布の住宅のど真中に、安立電気の跡地に移転しようと、こう計画している問題ですけれども、これは私ども共産党の上田議員が再三質問を申し上げております。で、この安立電気が米軍の山王ホテルの代替施設として、山王ホテルと同じ機能を充足するような建物を建てると、それを防衛施設庁が借り受けて米軍に無償で提供する、こういうことを聞いているわけですけれども、具体的に聞きますが、建築費は一体幾らなんでしょう。
  170. 森山武

    政府委員(森山武君) 建設費はまだはっきり決まったわけではございませんが、五十億ちょっとというのが——五十四年のころ試算したものはそういう数字がございます。
  171. 安武洋子

    ○安武洋子君 賃貸料は幾らですか。
  172. 森山武

    政府委員(森山武君) 御質問の意味がちょっとわからないんでございますが、私ども考え方は、安立電気が自分の自己資金で代替施設を建築すると、その建築後に私ども防衛施設庁が安立電気から借りるということでございまして、まだ建設費その他のあれがはっきりしませんので、賃貸料の出し方の考え方等は、会社とは話し合っておりますけれども使用料についての話し合いというのは一切ございません。
  173. 安武洋子

    ○安武洋子君 作原防衛施設庁取得第一課長さんですか、五十四年五月二十九日の参議院の建設委員会で、新しい代替設備は現在の山王ホテルと同じ機能を充足するよう米軍から注文があるので、米側からの調整を私どもがやっておりますと、こう御答弁なさっておられます。設計自体は安立電気がやっているけれども、米軍の注文については新しい建物については防衛庁がいろいろと調整をやっておられる、これは間違いございませんね。
  174. 森山武

    政府委員(森山武君) 設計ですね、どのような構造、どのような建物を建てるかという日米間の交渉は防衛施設庁がやってございます。
  175. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、防衛庁と安立電気の間にどのような契約が交わされているわけですか。それは文書ですか、口頭ですか。
  176. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 昭和五十三年の六月に当時の防衛施設庁長官が安立電気の社長との間で口頭で、もし安立電気の方が代替施設を建設された場合にはそれを米軍用として拝借したいということを話し合いをしております。
  177. 安武洋子

    ○安武洋子君 話し合いをしているということは、契約は口頭であるということですね。
  178. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 口頭でそういう話し合いを行っております。
  179. 安武洋子

    ○安武洋子君 大体五十四年度で五十億ちょっとかかろうというふうなことですから、五十億から六十億もかかるような建築物だろうと思います。これを民間会社に建築させると、こういう行為が、国会の予算も経ていないわけです。予算書にもありません。一防衛施設庁長官の口約束です。こういうことで行われるということは、こういう行政行為は私は国会を無視したものだと思います。財政法上にも問題があろうかと思います。こういうふうな行政行為を行う法的根拠はどこにあるかということを内閣法制局長官にお伺いいたします。
  180. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生何か誤解をされておられるのではないかと思いますが、五十億ないし六十億の予算をもってとおっしゃいましたが、これは安立電気の資金をもって建設をするわけでございまして、私どもはでき上がった建物を賃借料を払って米側に提供するという手続を踏むわけでございまして、その賃貸料につきましては予算に計上して国会の御審議を得ることになっております。
  181. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が聞いておりますのは、いま確認したように、山王ホテルと同じ機能を充足するように米軍から注文があると、だから米側からの調整をやっている、だから建築しているのは安立電気です。しかし、これは民間会社にこういう建築をした暁には私どもはそれを借り受けましょうということでいろいろ注文をつけている。そういうことが一防衛施設庁長官の口約束で行われると。じゃ、これが不履行になったときの責任はだれが負うんですか。
  182. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 私どもは不履行にならないように現在努力をいたしております。
  183. 安武洋子

    ○安武洋子君 不履行になったらどうしますか。
  184. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 不履行にならないように努力をいたしております。
  185. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、なったらどうするかということを聞いております。そういう努力で物事言ってもらったら困ります。厳密に言ってください。というのは、こういう五十億も六十億も安立電気にかけさして建てさしているわけでしょう、いろいろ注文をつけて。その予算が国会に、なるほど賃貸料だけだとおっしゃるけれども、建った暁にはその予算を計上して、ちゃんとやらないといけないわけです。それが口約束で行われていて、約束が不履行になった場合、だれがこの責任をとるんだという重大な問題なんです。はっきりしてください。
  186. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 不履行にならないように努力をいたしておりますので、不履行になった場合のことは考えておりませんけれども、強いて先生おっしゃるならば、不履行になった際に検討いたします。
  187. 安武洋子

    ○安武洋子君 これほど無責任な答弁があるでしょうか。不履行になったときに考えると、不履行にならないように努力するけれどもと、私はこんな答弁許されないと思います。委員長、よろしくお取り計らい願います。これでは質問できません。
  188. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 口約束ということでございますが、安立電気の会社の側の方から、当庁がたまたま山王ホテルの代替施設について探しておるということを聞いて、安立側の方から申し出がございましたので、安立側の方の建設ができ上がった場合には賃借をしようということで同社長の同意を得ているものでございますので、私どもとしては不履行にならないように現在努力をしておりますが、不履行になった際の仮定の問題でございますけれども、その際にはしかるべく善処したいと考えております。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 同じことですよ、いま御答弁になったのは。少し長いだけじゃないですか。私、この答弁もう絶対に許せません。いまの御答弁納得できませんから、これも保留しますよ。こういう賠償責任もとれないような建築のやり方というのは、私は白紙撤回すべきだと思います。長官、いかがですか、こんな答弁許せますか。
  190. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  当ホテルの代替施設の問題につきましては、先生もよく御存じだと思うんでございますが、現在の山王ホテルを米軍の用に供するために長い間提供をしておったわけでございますが、持ち主との関係におきまして民事裁判が起こりまして、所の調停で代替をということで防衛庁が中に入っていろいろ解決に努力していると、こういうことでございますので、いま長官お答えしましたようなことでいま取り組んでいる、何とか円満な解決ができるように努力しているわけでございますので、それができない場合のあれにつきましてはまだ具体的に考えてないというのは偽らざる状況でございます。誠意を持ってこの問題の解決に取り組んでおるということを御了承願いたいと思うわけでございます。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 その答弁だめなんですよ。行き先はわからぬけれども、バスに乗ったらそのうち乗っているうちにわかるだろうというのと同じようなことで、そういう無責任なことだから私はそういうやり方、建築の仕方はおやめなさいと、白紙撤回すべきなんですと、このことを強く申し上げているわけです。いかがですか。
  192. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 裁判所で調停のあれが決定しておりますので、司法機関の決定も尊重しなきゃいけませんし、また具体的な問題の解決につきましては、いろいろな要件もございますので、そういったものを踏まえて円満な解決に一生懸命防衛施設庁が取り組んでいる最中であるということも先生もひとつ御理解順いたいと思うわけでございます。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 全く理解できないので、もう幾くらお伺いしてもそういうあいまいな御答弁しか出てこないので、保留いたします。  お伺いいたしますけれども、この山王ホテル内というのは、日本の行政とか司法権限、これが日本の施設と同じように及ぶものなのでしょうか。
  194. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 直接の所管ではございませんが、先生御承知と思いますが、いわゆる刑特法——刑事特別法がございます。その中での刑事手続——施設、区域内における逮捕とかあるいはその後の手続等について規定がございますが、この原則的な考え方は、施設、区域内における逮捕あるいは勾引状とか勾留状の執行、そういうものにつきましては合衆国軍隊の権限ある者の同意を得て行う、あるいは合衆国軍隊の権限ある者に嘱託をして行う。ただし、死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役等の現行犯を追跡して施設、区域内において逮捕する場合には、同項の同意を得ることを要しない。そういうことでございまして、一般的には合衆国軍隊の権限ある者が行うということになっておると承知しております。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 在日米軍基地には日本人は自由に立ち入ることができません。しかし、山王ホテルの場合は、訪問した日本人というのは立ち入りができますね。
  196. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 私が承知しておりますのは、あすこの施設を利用する場合には、何らか米側に関係のある方の紹介あるいはともに行動するというような場合にあすこを利用できるというふうに承知しております。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 たてまえはそうなっております。しかし、山王ホテルを訪ねていった者は何人もおります。それは自由に出入りができるわけです。実態というのは他の米軍基地とはこのように違うわけです。それにもかかわらず、山王ホテルの中で事件が起こる、問題が起こる。そうすると、先ほどの御答弁のように日本の司法権、これが直接及ばない。いろいろ少しずつの例外、いま読まれましたから、わかりますからもう読んでいただかなくてもいいです。ですけれども、基本的にはそうですね。
  198. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 少なくとも私は刑事特別法を申し上げましたが、刑特法に関する限りは先ほど申しましたとおりでございます。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十二年六月十九日、山王ホテル内で女性の暴行事件が起きているはずですが、この内容をお述べください。
  200. 森山武

    政府委員(森山武君) ただいまの御指摘の事件は、五十二年六月、知り合いの米兵を山王ホテルに訪ねた若い女性がその友人の米兵から傷害を受けた事件、そのように承知しております。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらに五十四年六月八日、海兵隊による山王ホテルからの信号弾の発砲事件があったはずです。この内容をお述べください。
  202. 森山武

    政府委員(森山武君) この事件の詳細につきましては、五十四年六月、合同委員会において米側から聞いたところによりますと、海兵隊員が軽率ないたずら行為として信号弾を発射した。なお、本件の処罰につきましては、米軍の軍法手続によって行われ、犯人である海兵隊員は軍事裁判に付されて、その結果はただいま長官が例示しました地位協定の十七条第六項(b)の規定によって日本側法務当局に通知せられたと承知しております。  なお、処罰の内容は二カ月の重労働、降等というふうに聞いております。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 どこからどこに発砲したんですか。
  204. 森山武

    政府委員(森山武君) 私どもの聞いているところでは、裏庭から発砲したものが官邸の庭に落ちたというふうに承知しております。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 結局、首相官邸に向けてズドンと撃ったわけでしょう、こういうような事件。それからたまたまそこの山王ホテルに知人を訪ねていった女性が米兵から暴行を受けるというふうな事件。いま南麻布にこういう同じような機能を持つ建物を建てようとされている。こういう事件が起きないと、長官、断言がおできになりますか。
  206. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 私ども調査によりますと、昭和四十四年度以降、山王ホテル関係事故で、ただいま先生が御指摘になりました二件のほかは全部交通事故関係事故が起きております。したがいまして、たまたまこういう二件の事故がありまして大変遺憾なことでございますけれども、これを直ちに一般化いたしまして、代替施設に必ずこういう犯罪とか、そういうものが起きるというふうに私ども考えておりません。米側の方も今回の問題については逐一事情をよく承知しておりまして、かねてから地元側の方との話し合いにおきましても、私ども考えられる限りの対策案を提示してお話し合いをしているところでございまして、絶対にないと保証できるかと申しますと、どうも私はそこまで保証する能力がございませんけれども、そうならないように米側の方とも十分調整をしたいというふうに考えております。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 私、大変認識不足だと思います。その点については後で申し上げます。  たまたまこの二つの事件だけが起こったというふうな御認識は困ります。  代替施設の建設されようというところ、これは麻布学園、芝学園、芝浦工大附属第一高校、それから聖心女子学院、聖心女子専門学校、それから正則下院、慶応女子高等学校、頌栄 それから普連土学園、それから山脇学園、高輪学園、戸板学園、東京女子学園、東洋英和女学院 それから東京女学館、順心女子学園、こういうふうな十六の学校があるということは御承知なんでしょうか。
  208. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) ただいまお挙げになりました各種の学校は、その範囲をどの辺まで限定するかという問題がございますけれども、いまお挙げになりました名前は大体承知しております。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 この南麻布の米軍宿舎建設の問題につきましては、長官お聞きいただきたいんですけれども、これは自民党の関係者の方も反対をなさっていらっしゃいます。ここに東京の「港區民新聞」というのを私は持ってきております。これは十一月二十一日付の報道ですが、これによりますと、十一月の十日、この問題で中曽根康弘行政管理庁長官、それから渡邊伊助防衛施設庁長官、斎藤栄三郎自民党参議院議員、それから伊庭澄子聖心女子学院理事長、この四名の話し合いが行われたというふうになっておりますけれども、これは事実でしょうか。
  210. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) そのとおりでございます。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういたしますと、同じ新聞なんですけれども、この新聞はその話し合いの内容について報道いたしております。この話し合いの内容は、斎藤栄三郎議員が米軍ホテルの建設は風紀を乱すと反対したというふうになっております。また渡邊防衛施設庁長官は、反対の強い聖心インターナショナルスクールと近いうちに話し合うことになったということですけれども、これは事実でしょうか。
  212. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 話し合いの詳細については差し控えさしていただきたいと思いますが、学校側に対しまして、私どもの方からよく私ども考え方その他について御説明をする機会を得るということは事実でございます。
  213. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらに、この聖心女子学院というのは美智子妃の出身校です。そして、この新聞によりますと、聖心女子学院は鈴木総理の令嬢の出身校でもあるというふうな名門校として知られているというふうに報道されております。高・中・初等科、大学、それからインターナショナルスクール、専門学校の六つの学校で構成されております。このうち、聖心女子大学と聖心インターナショナルスクールは、地下鉄日比谷線広尾駅の向かいにあります。このために、この学院が万が一ということを心配して反対をなさっているというふうに報道されております。こういうことは御存じでございましょうか。
  214. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 承知しております。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、山王ホテルに宿泊する米兵の数についてわが党の上田議員が資料を要求いたしました。この資料によりますと、五十四年八月から十月まで、この一カ月の平均宿泊者数というのは三千三百八十七人、そのうち兵は三百七十二人と、こういう回答が来てございます。  そこで、これをもう少し詳しく内訳を伺いたい。現役軍人の階級別人数を伺いたいんです。将官、佐官、尉官というふうに分けて、そしてまた下士官、兵と分けてこの数をお知らせください。それから、軍関係者は何名なのか、第三国人はいるのかいないのか、いたら何名か。
  216. 森山武

    政府委員(森山武君) 実は山王ホテルの宿泊者は、そういう統計をとっておりませんので実際にそれを調べるとなりますと、その間の宿帳を全部いただきましてその中から分析しなければいけないと、こういうことになっております。  それで、上田先生のお求めに応じまして当時つくりましたのは、去年の八月、九月、十月につきまして全員の計と、それからそのうちの兵隊の数、そのようなものを調査いたしました。その調査の結果を申しますと、八月が全体で三千五百三十人、兵隊が四百二十六人、九月が全体が三千三百四十八人、兵隊が四百八十人、十月が三千二百八十三人、兵隊が二百十人、三カ月の平均といたしまして全体で三千三百八十七人、兵隊が三百七十二人、以上でございます。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは資料いただいているからわかっているわけ。だから、私はそれをさらに——宿泊名簿をみんなもらわなければならないんだとおっしゃった。しかし、三カ月ぐらいの宿泊名簿をちゃんと私は整理して下さってもよいと思います。だから私は資料要求いたします。いまのをさらに将、佐、尉官別、下士官、兵別、それから軍関係者、第三国人がいるのかいないのか、いたらその数というふうにして後刻資料を出していただきとうございます。委員長、お願いいたします。
  218. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 理事会で諮って協議いたします。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 簡単な資料ですから、私はぜひ出していただきたいと思います。  山王ホテルというところは宿泊設備ということでありますけれども、それだけではなくて日米間の会議の場所にもなっております。ですから、この三年間に行われた会議の名称、回数、これはいかがですか。
  220. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 地位協定に基づくいわゆる日米合同委員会というのがございますが、日米合同委員会をあすこで開催をしておりまして、私も出席いたしますのでその会議の回数等はお知らせすることができると思いますが、そのほか米軍内部の会議につきましては全部詳細に把握できるかどうかはわかりませんが、一応米側の方に聞いてみたいと思います。
  221. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、後刻資料をお出しください。  そして質問を進めますけれども、私はこういうふうな施設、これは米軍への思いやり以外の何物でもないと、非常に国辱的なものだと。しかも南麻布に米軍施設が建設されますと、この地区というのは大変なことになります。ここは学校とか住宅とか、こういうものはありましても、バーとかキャバレーなどの娯楽施設、こういうものはほとんどありません。いま山王ホテルは遊興施設というのは夜九時になるとおしまいになります。だから、米兵は赤坂とか六本木などの歓楽街に繰り出しております。そして真夜中に酔っ払って帰ってきます。そこで婦女の暴行とかあるいは建物の破壊とか、ひったくりとか交通事故とかおどしとか、あげくの果てにこれは——先ほどはほとんどこういう問題起こりませんとおっしゃった。それは、施設の中に逃げ込めば日本の権限が及ばないわけですから、ここに逃げ込んでしまわれると事件はうやむやになってしまう、こういうことなんです。だから、付近の住民が被害に遭わないという保証はないわけです。まず被害に遭ったら泣き寝入りをしなければならないという状況が現にある。さらに、夜の女の問題なども出てきましょう。付近に歓楽街ができないという保証もありません。  これは先だって、横須賀です。テレビが放映されておりましたけれども、私も偶然に見ました。女の人のすごい悲鳴です。こういう悲鳴は毎夜毎夜何回となく聞かれるということです。そして、米兵が乱暴ばかりする。だから、バーとかキャバレーの入り口に「ジャパニーズオンリー」と、こういう札をつけると。そこまでなっている。そうすると、これをひっぱがしてしまう。がんじょうにつけていてもひっぱがしてしまう。そして、住宅の中でも「ジャパニーズオンリー」。住宅になぜそんなものが要るか。バーでもキャバレーでもない。ガチャンと音がする、出てみたら外人が逃げていく、基地の中に逃げ込んでいく。それを見届けて家に入ろうとしたら、ノブを握ったらグシャッとなる。ふんがそこに押しつけてあると。こういうことは再三なんですよ、しょっちゅう被害に遭うと、住宅の人が言われていた。こういうことが放映されております。  こういう状態を麻布のど真ん中、住宅街のど真ん中に再現をして住民を恐怖に陥れると、私は大変なことだと思います。地元の皆さんが、来てもらっては困ると要求なさるのはあたりまえ。そこを使うのは、まして海兵隊でありませんか。どこでも侵略の先兵になって、気が荒くなって帰ってきている。その海兵隊がこういうふうな住宅、学校地域、そこの施設を利用する。私は国辱的で、しかも行政執行上に大問題がある。こういうものを絶対に建てるべきでない、やめるべきだと思います。長官の御所見を伺います。
  222. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えします。  山王ホテル代替施設は、在日米軍の軍人、軍属及びそれらの家族等の宿泊、会議等に使用されているものでありまして、地元住民や一部の学校関係者が懸念されるような周辺の環境悪化等の事態は生じないものと考えております。しかしながら、地元住民や一部の学校関係者が懸念されているということも事実でございます。私のところにも地元の代表の方がお見えになっております。そこで、環境悪化等の不安を解消するためには、十分な予防対策を講ずる必要があると考えております。そこで、港区長のあっせん案や都の意見を尊重し、現在進められております建築手続と並行して、今後とも関係者の方々と具体策について話し合ってまいる所存でございます。  なお、代替地につきましては、昭和四十六年以来、国有地、民有地等について数十カ所調査したのでございますが、都市計画法上の規制、土地の規模等またすでに利用計画が決まっている等の事情からいたしまして、現在の候補地しかいまのところ代替施設を建設できる場所が見出せないという事情もあるわけでございます。
  223. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官、環境の悪化は生じないと考えていると。なぜ一方的にそんなことが独断できるのでしょうか。私が環境が大変なことになると言うのは、横須賀の例も挙げました。付近の環境も挙げました。住民の方の御心配も挙げました。私は、こういうやり方というのは、いかに予防的対策を講ずるんだとおっしゃられても、住民の方の話を十分聞く、その中で最大限要求されている、こんなところには持っていかないということですよ。私は、国民への安全を第一義的にお考えいただかなければならないのをなおざりにして、米軍への思いやりを最優先する、そういう姿勢は許せません。だから、本当に進め方についても、建築の問題についても、私はこういうやり方は納得できないと申し上げました。問題があります。だから、こういう建築については中止をせよということを再度強く要求いたします。
  224. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 先ほど申し上げましたような事情でございますので、ただいま先生から中止せよという御要望がございましたが、中止は考えておりません。十分に予防対策を講じまして、関係の方の御納得をいただいて進めさせていただきたいと考えているわけでございます。
  225. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、予防対策ができなくて住民の方の納得が得られないと、長官のお言葉を裏返せば、そういうときは中止なさいますね。中止すべきです。そして。私はそのことを強く申し上げて、次の質問に移ります。  次は、有事法制の研究の進行状況について具体的にお伺いいたします。  第一項目です。これは有事の自衛隊の行動に支障のないように諸法令に例外規定を設けるということですけれども、この件については研究をなさっておりますか。研究をなさっているとしたら、研究項目を一つずつおっしゃってください。
  226. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 有事法制につきましては、去る五十三年の九月にお示しした有事法制について、防衛庁の見解に基づきまして現在事務的に種々検討をしております。  検討の中身といたしましては、まず第一に、防衛庁所管に関する法令、すなわち自衛隊法、あるいは防衛庁職員給与法、それから第二番目としては、防衛庁以外の各省庁にまたがる所管の法令、これは航空法あるいは道交法あるいは火薬類取締法その他いろいろございますが、そういったものが第二の分野に挙げられるだろう。それから第三の分野は、どこの省の所管ということははっきりしておりませんが、有事の際における国民の避難誘導あるいは捕虜の取り扱い、戦傷病者の取り扱いといったようなものがその範囲に入ると思います。  そこで、私どもとしては、いま検討している中身は、その第一に申し上げた防衛庁所管に関する法令から順次手をつけて研究しているというのが実情でございます。
  227. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、自衛隊法の百三条で規定されております収用、徴用、それから強制従事についてはどうなんでしょうか。それから、防衛出動の下令前の準備段階でも何らかの措置をとれるようにするのでしょうか。この点、二つお答えいただきます。
  228. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) まず第一に、自衛隊法百三条のもろもろの、土地の使用あるいは物資の保管、業務に対する従事命令、いろいろなことがございますが、この政令がいま決まっておらないわけですが、その政令にいかなるものを盛り込むべきか。具体的に言うならば、都道府県知事に対する要請の手続はどうあるべきか、あるいは公用令書の手続はどのように定めるべきかというふうなことは当然この検討対象になろうかと思います。  それから、もう一つお尋ねの防衛出動待機命令下において、たとえば予備自衛官の招集が可能にならないか、そういう必要はないのかというふうなことも当然のことながら検討の対象に考えておるわけでございます。
  229. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと聞き漏らしたのでもう一度お伺いします。  この防衛出動の下令前の準備段階でも何らかの措置をするというふうなことについては、研究対象にしているとお答えになったんですか。
  230. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) たとえば、予備自衛官の招集を防衛出動の待機命令下においてする必要があるかどうかというふうなことは検討の対象にしております。
  231. 安武洋子

    ○安武洋子君 それじゃ、防衛庁内の事務手続とか、それから特に会計面の手続を簡素にするというふうなことは、これはどうなんですか。
  232. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) かつてそういうふうな項目が有事法制の研究対象として挙げられたことがございますけれども、私どもいま研究しているのは、最初私が申し上げたとおり、防衛庁関係の法令のうちの百三条の関係あるいは防衛出動待機命令下においてたとえば予備自衛官の招集が必要であるかどうかというふうな点でございまして、事務の簡素化等についても将来研究する必要があろうかと思いますが、まだそこまで至っておりません。
  233. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、一般市民の避難等に関する立法ですけれども、先ほどこういうことを研究しているという御発言があったように思うんです。どのような内容なのか、具体的にひとつ例を挙げて詳しくお述べいただきとうございます。
  234. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 先ほど私が申し上げたのは、有事法制の中身として一般的に分類をすれば、防衛庁所管の法令、それから他省庁所管の法令、それからそれ以外のどこの省の所管ともはっきりしない問題というふうに三つに分けて申し上げました。いま先生御指摘の国民の避難誘導等に関することはその第三項目に入ると思いますが、一般的に分類をすればそういう三つの分野に分けられるんでありますが、私ども研究をしているのはその第一の分野からというふうに申し上げている次第です。
  235. 安武洋子

    ○安武洋子君 今後研究対象にしていくわけですか。
  236. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 段階を経てできるならばしたいというふうに考えております。
  237. 安武洋子

    ○安武洋子君 自衛隊に対する各行政官庁とかあるいは国民の協力体制についてはいかがなんですか。
  238. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) これも先ほど申し上げたとおり、現在私ども有事法制の中身として一般的に考えられる中身には、第二の各省庁の所管に関する分野があると思います。こういった分野の研究をするに当たっては、当然のことながら関係省庁との協議が必要になろうというふうに思います。現在はまだそういう段階に至っておりません。
  239. 安武洋子

    ○安武洋子君 確認しますけれども、今後は研究対象にしていくと、いまの御答弁では、そういうことですね。
  240. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) とりあえず現在私ども自衛隊関係の法令を研究するのに精いっぱいでございまして、これも先ほど来御指摘があったように、いつまでかかるのかというふうな御指摘があったような状況でございます。そういうふうな御要望があれば、できるだけ早くそちらの方へ入るべきかとも思いますが、いまそういう具体的な見積もりは持っておりません。
  241. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう少しはっきりしていただきたいんですけれども、将来にわたっても研究対象にはしないということなんですか。それとも段階的にしていきたいということなんですか。
  242. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 将来にわたって研究しないというふうなことは考えておりません。
  243. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、捕虜の扱いについては、これはいかがなんですか。
  244. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 先ほどの答弁と同様でございます。
  245. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなに省略しないで、もう一遍ちゃんと言ってみてください。
  246. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 将来研究できる段階があったらしたいというふうに考えております。
  247. 安武洋子

    ○安武洋子君 確認しますけれども、これも将来研究対象にしていくと、こういうことですね。対象にしないんじゃなくて、していこうと、こういうことですね。
  248. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 研究する必要があろうかというふうに考えております。
  249. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうすると、安保条約五条によりまして作戦に入る米軍への後方支援のための国内法の整備については、これは研究しているのでしょうか。
  250. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) しておりません。
  251. 安武洋子

    ○安武洋子君 研究していないとしたら、今後研究対象にするという予定はないんですか。なさらないんですか。
  252. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 先ほども御答弁申し上げたとおり、私どもがいま研究をしようという有事法制の研究といいますのは、防衛出動が下令されたもとにおいて自衛隊が最も有効適切に行動し得るような法制上の諸問題といいますか、ふぐあい点を研究するということでございまして、その範囲内にとどまるものというふうに考えています。
  253. 安武洋子

    ○安武洋子君 あなたの御答はっきりしないのでね、私にはわからないのでちゃんとしてください。私はいまのところ、こういう安保条約五条によって作戦に入る米軍への後方支援のための国内法の整備は、これは今後研究対象にするんですかどうなんですかと聞いているので、そのことに対して明快に答えてください。
  254. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) いまそういうことは特段考えておりません。
  255. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、お答えになっていない。いま考えていない、将来研究対象にするんですかと言って私が聞いているので、その点についてイエスなのかノーなのか、答えていただきたいです。
  256. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) どうも私も将来にわたって永久にこの問題を回答することがどういうことかわかりませんが、少なくも現在私考えておりませんということを申し上げているので、これで十分だろうというふうに思っております。
  257. 安武洋子

    ○安武洋子君 いままでの、何項目お伺いしたか、それについては今後研究をしたいとか、今後研究対象になりますとかと、急にここに来てそういう御答弁になるのはどういうことなんでしょうか。いままでどおりに今後研究対象にしますとか、考えていこうと思っておりますとか、研究すべきだと思いますとかというふうな、いままでのような立場で私はこの問題も考えていただいて御答弁いただきとうございます。
  258. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 私が申し上げておりますのは、先ほど有事法制の研究の中でいろいろ白紙的に考えられることを挙げてみると、先ほど申し上げた三つの分野に含まれるだろうというふうに申し上げたので、それ以外のことについては考えていないというふうに申し上げることができると思います。
  259. 安武洋子

    ○安武洋子君 ほかの問題わかりましたよ、その三項目云々というのはね。だけれども、この問題について、いままでお伺いした問題については今後研究の対象にするかもわからないと、研究の必要があると思いますという御答弁なのに、これは今後全然じゃ研究の対象にも挙げられないと御答弁いただけるわけですか。
  260. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 少なくも当初私どもが有事法制の研究をするということの中には入っておりませんでした。したがって、現在考えておりません。
  261. 安武洋子

    ○安武洋子君 現在考えていないということは、将来も考える必要はないということなんでしょうか、しぶといようですけど、聞きます。
  262. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 現在考えてないと言う以上に、将来にわたって私ここでもって永久に考えないのかどうかというようなことを答える立場にはございませんが、少なくも私どもいま考えておりません。
  263. 安武洋子

    ○安武洋子君 どうも私の聞いたことに明確な御答弁がない。私は長い将来なんか言っておりませんのでね。  では、さらにお伺いします。自衛隊員の特別出動手当など特別の処遇について、これは研究しているんでしょうか。
  264. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 現在の防衛庁職員給与法におきましても、いわゆる有事の際における隊員の処遇その他につきましての規定が別途定めることになりながら定まっておらないということから、当然今回の研究の対象に入るべきものというふうに考えております。ただ、現在のところまだそこに着手しておりません。
  265. 安武洋子

    ○安武洋子君 私、具体的に八項目でしたか、にわたってお伺いをいたしました。具体的に聞きましたけれども、そもそもこの有事立法研究というのは、これは憲法違反です。だから、私は本当はもっと細かい質問きょうはお尋ねしたいわけですけれども、改めてこの問題につきましては私は、私どもがこういうことは憲法違反であるという立場から詰めてまいりたいと、こういうふうに思います。いずれにしても私はこういう研究はもう中止すべきであると、このことをきょうは強く申し上げておきます。  次は、沖繩の問題についてお伺いいたします。  これ、十七日の日ですけれども、那覇防衛施設局は駐留軍用地の特措法の適用手続に踏み切ったようですけれども、その状況を少し詳しく明らかにしてください。
  266. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 特措法の手続を開始いたしましたが、先生十七日とおっしゃいましたが、十八日でございます。よく御承知だと思いますが——大変失礼しました十七日でございます。沖繩におきまして米軍施設区域がございますが、その中の民、公有地の大部分につきましては、その土地の所有者との合意によりまして契約をいたしまして米側に提供してございます。ただ、残念ながら合意の得られない土地がございまして、これはいわゆる暫定使用法に基づきまして政府が使用いたしておるところでございます。私どもは、沖繩の復帰以後今日まで、暫定使用法の第一条第二項の規定がございますが、土地所有者との合意によって権原を取得するようにということがうたわれておりまして、その規定の趣旨に沿いまして、合意の得られない土地につきまして話し合いを重ねてまいりましたけれども、残念ながら現在の状況では暫定使用法によって使用し得る期限、昭和五十七年の五月十四日でございますが、それまでにすべての未契約地について合意を得ることができない、そういう状況にございます。このため、昭和五十七年の五月十五日以降も引き続いて駐留軍の用に供する必要がある未契約の土地につきまして、駐留軍用地特措法の手続を開始したということでございます。
  267. 安武洋子

    ○安武洋子君 十一日に沖特委が開かれております。ここで森山施設部長が御答弁なさっていらっしゃいますが、地籍が明らかでない土地についても駐留軍特別措置法の手続は進められると、こういう答弁をなさっていらっしゃいますね。いわゆる集団和解が成立していない、こういう土地の位置境界、これが現地に即して特定できるというふうなことがあるんでしょうか。お伺いいたします。
  268. 森山武

    政府委員(森山武君) 先日私が答弁したという内容ですね、十一日の答弁内容少し違うので、ここで補足して御説明さしていただきたいと思います。  位置境界明確化の手続に押印しない土地があっても、現地に即して特定できるならば特別措置法の手続は進められると思いますと、私このように答弁いたしました。それで……
  269. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと、もう一回言ってください。
  270. 森山武

    政府委員(森山武君) いわゆる地籍明確化法でございますが、地籍明確化法の手続の中において、地籍明確化の書類に判こをつかない地主がおりますが、そのことによって地籍明確化法の手続はそこで進まなくなりますが、私どもが公用使用をしていく手続において、その未契約地主の土地が現地に即して特定できるものならば、地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の手続により公用使用の手続を進めることは法的に可能であると思いますというふうな趣旨を答弁をしてございます。
  271. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうすると、いまの御答弁でいくと、では、この中で特措法にのるものと特措法にのらないものと、こういうものが二つ出てきますね。
  272. 森山武

    政府委員(森山武君) 現在のところは何らかの形で特定できると、かように考えております。
  273. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではお伺いします。何らかの形で特定できるとおっしゃるけれども、滑走路などになっているところはどうして特定するんですか、滑走路を掘り返すんですか。
  274. 森山武

    政府委員(森山武君) 最初にお断りしたいんでございますが、いわゆる地籍明確化法というのは、先ほど先生の御説明にあったような集団和解というものではございません。現地に即して従来あった地籍を明確化しようと、これが地籍明確化法の趣旨でございます。それで、従来の若干証拠等も残っております。たとえば川の跡だとか墓とか、それから故老の証言等もございます。そのような証拠でもって地主の皆さんの確認を一つ一つ得ながら地籍明確化法の手続を現在進めたわけでございます。  幸いにして全体の七三%までは認証、したがいまして登記簿に全部押印されましたが、残りのうちで若干地籍明確化に反対の人たちの押印が得られない土地がございます。しかしながらこれらの土地につきましては、周辺の地主ですね、周辺の地主は私の土地はここからここまでであるというふうなことで地図の上で確認しております。それから未契約者の中にも、地図の上ではそのような確認をして押印した方もございます。したがってそのようなものを実際に、たとえば、いま滑走路の下というふうな表現がございましたけれども、滑走路の下においても測量ぐいあるいはペンキ等で位置を確定しながら周囲の地主の確認は全部とってあると、そのような状態でどのように特定できるかという問題かと思いますが、私どもは、少なくともそのような状態では特定できると、かように考えているわけでございます。
  275. 安武洋子

    ○安武洋子君 おかしいのね。周囲の地主さんが確定していると、だけれども本人はそれで納得していないわけでしょう、捺印していないんだから。それと滑走路だってどういう状況か。おっしゃったのは、川とか墓とか故老の証言とかだけれども、故老の証言なんというのは、こんなのはだめですよ。現地に即してやはり特定できるということが条件ですからね。だから現地に即してということになって、滑走路のところは実際に滑走路を掘り返してみないと、境界のくいがあるのかあるいはお墓の跡があるのか川の跡があるのかというのはわからないわけでしょう。滑走路なんて一体どうやるんですか。それから周りの人が納得したとしても本人がそうじゃないと、本人が納得しないと言って判を押していないものが、なぜこういうふうにしてあなたたちは確定できるというふうに言うんですか。私には納得できません。
  276. 森山武

    政府委員(森山武君) 非常に細かいことになりますんであれでございますが、押印しない方も境界には不足はないんだというふうなことを言っている方もございます。それは別としまして、先ほどから言いましたように、地籍明確化法というのは、そこで境界を設定すると、設権行為じゃございません。従来あった境界を確認する行為でございます。明確化する行為でございます。したがいまして、周囲の地主が確認したものを明確化法の手続において、反対している地主さんがそれは違うというふうな証拠を出していただければ、それはそのときに特定化というのは崩れるでしょうけれども、私どもはいろんな事情を踏まえて、場合によっては境界が不明である土地というのは土地使用の手続においていろいろございますが、そのような手続を考えるか、あるいはその未契約地だけでできるかというふうなのは実態——その土地を特定できるかどうかというその土地の実態によって違うわけでございますが、いずれにせよ、私どもは特定できる土地を公用使用の手続にのせていきたいと、かように考えております。
  277. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの御答弁でも特定できない土地はありますでしょう。特定できないはずですよ。全部が全部特定できるというふうにはならないでしょう。その点はどうなんですか。
  278. 森山武

    政府委員(森山武君) 全部特定できると考えております。
  279. 安武洋子

    ○安武洋子君 なぜですか。土地所有者の合意のもとに位置境界の設定は現地に即して特定しないといけないと、こういうことになっている。滑走路などを、いろいろおっしゃるけれども実際にできないじゃないですか。本人も捺印してないじゃないですか。こういうものがあるわけでしょう。だからこそ、いまあなたたちは地籍明確化法で作業を進めている最中なんでしょう。そうじゃないんですか。もう作業は全部完了したんですか。
  280. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先ほど施設部長の方から御答弁申し上げましたが、ちょっと繰り返すようになりまして恐縮でございますが、土地の位置境界の明確化法というのがございます。まず土地の位置を定めなければなりません。沖繩においては、大変混乱の時代がございましたので、位置境界というのが非常に不明確でございます。位置というのは、まあ大げさに言えば地球上の位置を確定しなければならない。それから、境界というのは相隣関係でございまして、お互いの境界がどこにあるかという問題でございまして、この位置と境界をはっきりさせようということでございまして、そもそも土地の位置ははっきりいたしますが、境界につきましては国の権限——権力と申しますか、そういうことで設定をするべき性格のものではなくて、すべて話し合いによって確定されるべきものでありまして、従来戦前からそもそも地籍というのははっきりしていたはずでございますけれども、戦乱によって公図、公簿等すっかり焼却をしてしまったということから、従前あった位置境界というものをお互いに相談をして明確にしようということでございまして、位置境界の明確化法というのは、そういう位置境界の明確化について国の方でしかるべき援助を与えようと、こういうのがこの法律の趣旨でございまして、その法律の趣旨にのっとって従来私どもは作業をしてまいったわけでございます。  先ほど、故老なんかの話はだめだよというようにおっしゃいましたけれども、実は土地の位置境界というものを定める上において故老の証言というのはきわめて重要でございまして、これは沖繩に限らず、本土においてもしかりでございます。  具体的に申しますと、位置境界の明確化の作業につきましては、この法律の第五条に「地図の作成」というのがございまして、これは基礎作業と申しまして、つまり三角点の方から引っ張ってまいりまして地球上の位置を確定するという作業でございます。次いで、地図の作成をいたしまして、これを閲覧をいたしまして、それから関係所有者の代表を選出して、それに国の方で援助をしてつくり上げました地図等の資料を交付いたしまして、しかる後、関係所有者によって位置境界の確認の協議を行うということになっておりまして、これを地図編さんと申しております。この確認を求められた場合において、全員の協議によってこれを確認をするように努めなければならないということがございます。  私どもの作業において押印をしていただけない方は、この法律の義務と申しますか、こういう規定を履行していただけない方でございまして、次いで、その後に来ますのは位置境界の確認でございまして、これは現地に即して復元をするということでございまして、この段階において押印をしていただけないと、こういうことでございます。  そこで、先ほど施設部長がちょっと触れましたが、現在、市町村界とか字の区域は全部確実に確定をされておりまして、したがいまして、その字の区域内の土地所有者というのは事実上確認をされております。その中で一部の人が押印をしないということでございますが、俗な言葉で言えば、周りからしぼってまいりますので、おのずから押印をしない方の位置境界というものは明確になっておるわけでございます。ただ、押印をしていないためにこの明確化の作業というものができませんで、したがいまして、最終的には国土庁長官の承認を得ると、認証という手続がございますが、その認証まで至っておらないという状態でございます。  ただ、特措法の手続で土地の強制使用を行おうという場合には、この土地の位置境界明確化法の法体系とは体系を異にいたしますので、国土庁長官の認証がなくても、事実上位置を現地に即して特定すれば足りるというのが私どもの法的解釈でございまして、なお、つけ加えて申しますならば、これらの方々が確認行為に加わらないのは、その位置境界について問題があり、紛議があるということで判こを押さないというのではなくて、まあ主義主張と申しますか、そういうことで押印をしないという方々でございまして、位置境界について争いがあるために判こを押さないということではないということをちょっとつけ加えて申し上げます。
  281. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま、境界というのは話し合いによって確定するものであると。お互いに相談して明確にし合うものであると。国はそれに援助を与えるだけであると、こう言われましたね。私はそのとおりだと思いますよ。  周りからずっと特定していって、そして、その人の土地はこれだよと特定できるんだとおっしゃるけれども、本人が納得していないで、本人が捺印していないものは一方的に断定できない。私は断定するのがおかしいと思います。  そこで、逆に聞きます。  地籍が明確になっていない公用地暫定使用法で強制使用をしている土地、これは返還できますか。
  282. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 大変恐縮でございます。ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのでございますが。
  283. 安武洋子

    ○安武洋子君 地籍が明確になっていないんですよ。そして、いま公用地暫定使用法であなたたちは土地を強制使用しておられるということになると、この土地の返還はできるわけですか、土地に地籍が明確になっていないと。
  284. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 現在、暫定使用法で使用している土地は二種類に分けられまして、一つは、今後使用の期限が切れた後も米軍に提供することについて合意を得られた方々の土地。それからもう一つは、合意の得られなかった方々の土地でございます。私どもが現在特措法の手続をとろうとする対象の方々の土地は、すべてこの位置境界について押印をしない方々の土地が全部含まれております。
  285. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、そんなこと聞いてない。地籍が明確になっていない、この公用地暫定使用法であなたたちが強制的に使っている土地について、期限が切れたらこれは土地の返還ができますかと、こう聞いているんです。
  286. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先ほど申しましたように、五十七年の五月十四日で使用の期限が切れるわけでございますが、これらの土地につきましては、それ以後も米軍の施設、区域として提供する必要があるものでございますので、私どもは暫定使用法の使用の期限が切れるまでに合法的に使用権原を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  287. 安武洋子

    ○安武洋子君 それはあなたたちの希望的観測であって、私が聞いているのは、この期限が切れた場合に地籍が確定していないと、そういう土地がある、これは返せますかということを聞いているわけです。
  288. 森山武

    政府委員(森山武君) また仮定のお話になりますが、私どもは暫定使用法による使用期限が切れるまでに合法的な使用権原を得たいということで現在特措法の手続を開始したわけでございます。したがいまして、その時点で返還をするという意思はございません。
  289. 安武洋子

    ○安武洋子君 いえ、私は理論的に聞いているわけです。理論的に地籍が明確になっていないと、こういう公用地暫定使用法で強制している土地、期限が切れる、これは理論的に返せますかと聞いているわけです。
  290. 森山武

    政府委員(森山武君) 先ほど申しましたように、私ども、地籍明確化法の手続の段階において押印いただいてない地主の方々で未契約の方々——暫定使用地の方々ですが、これらの土地についても現地に即して特定できると考えておりますので、理論的な問題として、そこを暫定使用法による期限切れのときに返還義務が生じた場合には、その土地は特定しておるし、返せると、このように考えております。
  291. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは、国会で過去政府が答弁したことと違うではありませんか。  これは昭和五十二年五月十七日、参議院の内閣委員会です。斎藤一郎防衛施設庁長官の御答弁ですけれども、こういうときにはできないとお答えですよ。だれにどこをどのぐらい返してよいかわからないからそういうことはできないんだと、過去にこういうふうに御答弁なさっていらっしゃいますけれども、これはどうなんですか。
  292. 森山武

    政府委員(森山武君) まさにそのような実態だったのが五十二年の段階でございます。それで、五十二年の段階におきましてそのような実態でございましたので、ただいまのいわゆる地籍明確化法というのができまして、それで地籍を明確化しようと、このようになったわけです。それで、五年以内にその地籍を明確化しろと地籍明確化法にはうたってございますが、現在三年ちょっとの間にほとんどの土地について明確化され、その結果として、地籍明確化法の手続に同意をなさってない地主の土地も特定できるようになったと、これは三年間の作業の結果でございまして、五十二年の状態と現在の状態は違うんでございまして、その意味考え方が違うということではないと思います。
  293. 安武洋子

    ○安武洋子君 ほとんどこの地籍明確化作業が進んだと、それは認めましょう、ある程度はね。しかし、まだ本人が納得していないでしょう。納得していないもの、これは十七条地図にして、そしてこれは総理の承認も得られないと。そして国土調査の公簿、公図の地図にも載せられないというふうなものを、一方的にあなたたちはじゃここだというふうに勝手に特定して取り上げると、こういうことなんですか。その点はっきりしてください。
  294. 森山武

    政府委員(森山武君) いろんな場合がございます。たとえば非常に細かくなりますが、地籍明確化法に、ある地区で押印なさってなくてもほかの地区で、たとえば新規登録というふうな、新しい土地が出てきて、そちらで同じ地主の方が押印したりしている例はございます。それで、いろんな例がありますというのは、たとえばその地主さんの近くに新たな土地が発見された——どもは新規登録地といっておりますが、そのような土地の地主さんの借料を支払うという問題が別途ございます。そのようなときに、おれは境界を認めるから、ただし判こはつけないと。さっきうちの長官が言ったように主義主張、そういうことで判こはつけないと。しかしそのほかの人たちの位置境界は認めると、だから借料を払ってくれというふうなことをおっしゃった地主もございます。そのように、先ほど私答弁しましたように、その土地土地に従っていろいろな実態がございますから、そのようなものを全部考慮して現在の未契約地は特定できる土地であると、私どもはこのように考えているわけでございます。
  295. 安武洋子

    ○安武洋子君 いろいろおっしゃるけれども、本人が納得していないのがあるでしょう。そうすると、私はおかしいと思うのは、あなたたちは、公用地暫定使用法の期限切れのとき、これは返すべき土地の所有者が特定できないから返還できないと、こう言ったんですよ。本人が納得していないのに一方的に特定するんですか。これが一点。  そして、そんな特定の仕方というのはまさにおかしいですよ。それは正式な特定の仕方じゃありません。私が言ったように、十七条地図にちゃんと載せるというふうなことでなければ明確化になっていないわけでしょう。それなのに今度は取り上げるときはそういうこともやらないでぱんと取り上げるというふうなことなんですか。特定できていないじゃないですか。どういうことなんですか。
  296. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 暫定使用法の昭和五十二年の際のことにつきまして先ほども御質問がありまして、施設部長の方からお答え申し上げましたけれども、当時は特定できる状態になかったために暫定使用法というものの期限を延長していただいたという状況にございます。そこで現在は、位置境界の明確化の作業が非常に進んでおりまして、私どもは事実上一〇〇%特定できるというふうに考えているわけでございます。  本人が納得しないというふうに先ほどからおっしゃいますが、先ほどからるるお答え申し上げておりますように、これらの方々の考え方というものは、大部分が位置境界のための争いのために判を押さないということではないわけでございまして、事実上相隣関係で、隣接所有者はすべて確認をしておるという状況でございます。先ほど申しましたように、特措法の手続をとるために位置境界の明確化のための国土調査法体系の方の作業というものとは直接関係がないわけでございまして、先ほど申しまして繰り返しになりますが、認証という手続を経なければ特定できないというものではないわけでございます。私どもは現地に即して特定できると考えておりますので、もしこれらの方々が特定できないとおっしゃるならばしかるべき資料を出していただきたいということでございまして、私どもは自信を持ってこれを特定できるというように考えたために特措法の手続を開始したというものでございます。
  297. 安武洋子

    ○安武洋子君 本人が捺印をなさらない理由を一方的にそういうふうにおっしゃるのはおかしいと思う。たとえどんな理由にしろ、本人が位置明確化について押印をしていないということは、同意をしていないということです。それを本人が同意をしなくても、あなたたちは一方的にこれで特定するんだと、土地は取り上げるんだということになるんですかということを私は再三質問しております。そういうことに解釈していいんですか。そういうことをなさるんですか。
  298. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 位置境界がはっきりしないというのは、形式的に認証手続が済んでいないということだけでございます。
  299. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、本人が同意していないんですよ。
  300. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) そこで、その土地の特定というものはどういうものかと言えば、その土地が地理上どういう位置にあってその地番が何であるかということが特定できれば特措法の手続は進められるということが私どもの解釈でございます。したがいまして、もし御本人がその位置境界は違うということであるならば、別個の資料で隣接所有者との間で協議をしていただかなければならないわけでございますが、その方は、少なくとも位置境界明確化法にうたわれておりますような関係所有者の協議というものに加わらない方でございますので、私どもはやむを得ず押印がいただけないままに特措法の手続を開始せざるを得なかったわけでございます。
  301. 安武洋子

    ○安武洋子君 やっと物事がはっきりしてきたわけです。結局話し合いによって確定するものだと。本人はそういう話し合いでこれを確定していない、押印をしていない。それなのにあなたたちは特措法によって強制的に取り上げると。そのことは明確になりました。しかし、私はこんなやり方は納得できません。本人が位置境界について納得していないから押印をしていない、話し合いができていないわけですよ。あなたたちは、国としては相互に相談をして明確化してもらうものだ、話し合いによって境界というものは現地に即してやっていくものだ、国はそれを援助するだけだと言いながら、そういうことが進んでいない。本人が納得し押印していないにもかかわらず、勝手に、明確化したんだということで土地を取り上げる。とんでもないことです。それをアメリカ軍に引き続き使用させるというふうなこと、私は間違っていると思います。こういうことはおやめになるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  302. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますが、位置境界明確化法の手続におきましては全員の協議によって行われるのがたてまえでございます。その協議に加わらなかった方々がございます。ただ、特措法の手続の方では別の法体系でございまして、現地に即してある土地が特定されれば特措法は適用できるというのが私ども考え方でございまして、現在の状況から考えて、私どもは押印をしない方々の土地につきましては特定できるというふうに考えております。
  303. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、それが一方的な政府の特定のやり方だと。本来、いかに特措法であっても土地が特定できるか、本人がやっぱりそれを認めないことには。沖繩の状態なんかという中では、私は本土なんかと違うと思います。これはまだずいぶんの方がおられると思いますよ。百八人八十六件、二十五万二千平方メートルでしょう。こういう人たちを一方的に押し込めるというやり方には断固抗議します。こういうことを、直ちに話し合いによって、地籍明確化法、これが作業が終わるまではやらないというのが本来の姿勢だろうと思います。そのことを強く要望しておきます。  次の質問に移りますが、神奈川地連の問題についてお伺いいたします。会計検査院おられますでしょうか。——会計検査院は、ことしの四月の二十一日と二十二日に、自衛隊の神奈川地方連絡部に立入検査を行われましたか。
  304. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) お尋ねの神奈川地方連絡部の検査につきましては、本年の四月二十一日、二十二日の二日間、調査官等四名をもちまして検査を実施しております。
  305. 安武洋子

    ○安武洋子君 四月の二十一日、二十二日に神奈川の地方連絡部に立入検査をなさったという検査というのは、定例の検査なのでしょうか、それとも臨時の、情報提供などに基づく調査なのでしょうか、どちらでしょうか。
  306. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 神奈川地方連絡部を選定いたしましたのは、私どもの過去の検査実績あるいは地方各地にございます地方連絡部の予算規模等を勘案して選定したものでございます。なお、御指摘のような情報も一つの要素でございました。
  307. 安武洋子

    ○安武洋子君 情報もあったということを確認しておきます。  それから、五十三年度、五十四年度の検査をなさったのでしょうか、お伺いいたします。
  308. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 検査に当たりましては、庁費、予備自衛官手当等の経費につきまして適正に執行されているかどうか注意して検査を実施したわけでございます。検査の対象としては五十四年度が主でございました。
  309. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十三年度はなさっておられないんですか、全く。
  310. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 五十四年度を対象として実施いたしました。
  311. 安武洋子

    ○安武洋子君 先ほど情報もというふうにおっしゃったわけですけれども、一体どのような情報提供があったのでしょうか。中身はどういうことですか、お答えください。
  312. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 内容については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  313. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、これは防衛庁の方ですか、陸上幕僚監部に吉長忠郎一佐という人はおられるでしょうか。
  314. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 陸幕の募集総括班長という職に吉長一佐現在おります。
  315. 安武洋子

    ○安武洋子君 吉長忠郎一佐というお方でございますね。  では、もう一度会計検査院にお伺いいたします。検査予告というのは検査されるどれぐらい前になさるものなんですか。
  316. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 通常四週間もしくは三週間程度となっております。
  317. 安武洋子

    ○安武洋子君 私の手元に内部告発が来ております。これによりますと、四月の二十一日と二十二日会計検査院から四人来て検査を行ったと。先ほどの会計検査院の御答弁と合っているわけです。そして、神奈川地方連絡部は空出張を行っていた、また飲み食いにも公金を使っていたと。ところが、会計検査院の立入検査の予告があった、こういうことで神奈川地連挙げまして皆かん詰め状態の毎日を続けた。それで空出張とか飲み食いを隠すための書類の改ざんを一生懸命やったと。そしてこれのごまかしのために、先ほどお伺いいたしました陸幕から吉長——タダロウさんと言うんでしょうか、チュウロウさんと言うんでしょうか、募集課総括班長さん一陸佐ということになっておりますが、この方が来られた。この方が一生懸命指導されたそうです。会計検査院が来たら、会計検査院がこう質問したらこう答えよと、書類の改ざんだけではなくて。こういうことを非常に至れり尽くせりに指導をされたそうです。非常に莫大な書類を整理したと。そして裏帳簿をつくっていたんだけれども、その裏帳簿は本庁に持っていってしまった、そしてコピーが返ってきた、こういうことです。  そこで会計検査院に。会計検査をなさった結果、何か不正が出ましたでしょうか。
  318. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 検査の結果は特に不当な事態は認められませんでした。
  319. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうなんです。会計検査院の、この内部告発によりますと、調査がうまくごまかしおおせたというふうなことで、終わった後で三人寄れば文殊の知恵、百二十三人の自衛官と五人の事務官が団結すれば何でもできる、こういうふうに豪語されているんです。私はまことに悪質なやり方だと、組織的に、会計検査院が来るというので——私、先ほどお伺いしたら、やっぱり予告して一定の期間あるわけですね。その期間みんなでかん詰め状態になって、そして指導にまでも出向いておられるわけです。書類の改ざんの仕方だけでなく、会計検査院がこう聞いたらこう答えよと、懇切丁寧に指導もされている。で、会計検査院が来たと。これだけごまかしたんだから、うまく会計検査院もごまかしおおせたと、そして会計検査院が帰ったと。そうすると、さっき言ったように三人寄れば文殊の知恵、百三十三人の自衛官と五人の事務官が団結すれば何でもできると、こういうことを言っているというんです。私、まことに悪質なやり方であると思いますが、長官はいかがお考えでしょうか。
  320. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  初めて伺ったわけでございますが、会計検査院の御答弁もございましたし、そういう悪質なことは私どもはなかったものと信じておるわけでございます。
  321. 安武洋子

    ○安武洋子君 それにしては長官、余りにもいろんなことが符牒が合い過ぎるとお思いになりませんか。まだ調査をなさっていらっしゃらないから、私は断定的にそんなことがあったんだというふうに御答弁をくださいとは申しておりません。しかし、これは余りにも符牒が合い過ぎると、こういうことであれば大変悪質なやり方であるというふうにはお思いにならないですか。
  322. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 調査の上でないと悪質かそうではないかは、いまこの席で申し上げるわけにはまいらないと思います。
  323. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、調査をした上でないととおっしゃったので、長官にお願いします。調査を早急にやっていただきたい、これは。組織的な不正行為ですよ。  そこで、私は会計検査院にもお願いしたいわけです。こういういきさつがあります。ですから、いかに一生懸命会計検査をなさっても、二日かけて四人でなさっても、不正が出てこなかったということになるわけです。会計検査院としても、いま一度私は検査をやり直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでございますか。
  324. 仁村甫

    説明員(仁村甫君) 新しい事実が出てまいりましたならば、それに基づいて調査をすることも考えられると思います。
  325. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官に確認いたしますが、必ずこの事態調査をなさって、この調査結果を国会に報告していただけますね。いかがでございますか。
  326. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 所管の経理局長からお答えさせます。
  327. 吉野實

    政府委員(吉野實君) われわれとしては、この問題は昨年から、こういう不正、おっしゃるような不正があってはいけないということでるる指導してきたところでございますけれども、先生の御指摘でございますので、関係者から事情を聴取する等調査をいたしまして、その結果によりましては国会に御報告さしていただきます。
  328. 安武洋子

    ○安武洋子君 いずれにしても国会に、調査をしていただいて報告をしていただきたい、そのことを長官、お約束いただけますか。
  329. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) いま経理局長答弁のとおりでございます。
  330. 安武洋子

    ○安武洋子君 これぐらいなことは調査をして、そうじゃなかったとか、そのとおりだったとかということは国会にやはり明らかにしていただかなければ私はならないと思います。しぶといようですけれども、もう一度いかがですか。
  331. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えします。  調査の上、国会に報告いたします。
  332. 安武洋子

    ○安武洋子君 そう最初からおっしゃってくださればいいわけなんです。  それで、さらにお伺いいたします。  自衛隊では、隊員を募集するために中学校とか高校の先生と緊密な連絡をとるということで先生に贈り物などもなさっていらっしゃるようです。そしてまた、就職とか進学の先生の、進学先の生徒の状況を見たり、それから職場の理解を深めるというふうなことで先生も招いていらっしゃるというふうなことがあります。これはことしの三月の二十九日に、北海道の道議会の中でも道が公式に認めておりますけれども、道内の中学校、高校の先生三十九人が自衛隊の要請に応じて防衛大学等の、少年工科学校へ出向いたと。これは進路指導上の事業所見学などで先生のお仕事の一環なんです。公的なお仕事なんです。だから、先生方は出張旅費とか、それから宿泊費とか、これは学校から出ております。ところが、自衛隊からも旅費とか宿泊費が出ているということが調査結果確認されているわけです。私の方のこの内部告発の中にも、神奈川地連でも学校の先生方に二万九千円払っていると、こう書いてあるんですね。学校の先生方は出張だから、自分たちの仕事に関連するものだから出張旅費、宿泊費をもらって来てなさる。それにわざわざ自衛隊がまた同じように出張旅費も宿泊費も出すということは、これは私は国費の全くむだ遣いだと、やめるべきだと思います。長官、いかがでしょうか。
  333. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) まず、お尋ねの件につきまして、自衛官募集のやり方について一言だけ御説明さしていただきます。  御承知のように、防衛庁の自衛官募集につきましては、自衛隊法三十五条によりまして、職業安定法第三十一条二の規定によって職業安定法の適用除外となっておりまして、自衛隊がみずから行っております。このため、自衛隊法の定めるところによりまして、みずから募集するに必要な組織をつくっておる、その第一線の組織がただいま御指摘の地方連絡部でございます。  これらの募集業務は、自衛官そのものの募集、特に二等陸、海、空士、これにつきましては学歴制限がなく、十八歳以上二十五歳までの者を常時募集、採用、選考いたしております。しかし、御承知の労働省及び文部省の新規学校卒業者職業紹介業務取り扱い要領というのがございまして、この要領によりまして規制がございます。そのうちの一つは、まず選考開始時期を中学校は一月一日、高校は十月一日とする、それから、差別選考は行わない、こういうことになっておりまして、原則として学校の教育秩序あるいは就職あっせん秩序を乱さないようにするようにという実務取り扱い要領が流されております。これは御承知のように、直接自衛隊の募集を規制するものではございません。主として民間企業に対するものでございますが、自衛隊といたしましてもこの要領を尊重いたしまして、学校を通じて募集を行うということに力を入れております。  そのため、地域社会におきまして地連部長はそれぞれ担当の学校の先生たちと良好な人間関係を保つため、いろいろな日常的な交際あるいはPR、その他いろいろ努力をいたしておるところでございます。先ほどお尋ねのような金品の授与ということは利益供与ということにもなりますので、これは慎しむよう厳に指導をいたしておるところでございます。
  334. 安武洋子

    ○安武洋子君 長い御答弁をいただいたんだけれども、私の聞いたことには御答弁がないわけなんですよね。  学校の先生は自分の仕事の一環として出張されている、自衛隊を訪ねて。そこで、宿泊費も交通費ももちろんこれは学校からもらってなさると、それに何でわざわざ自衛隊交通費や宿泊費を出すんですかと、全く国費のむだ遣いじゃありませんかと、おやめになるべきですがいかがですかということを私はお伺いしているので、その御答弁をいただきたい。いまおっしゃったようなことは、私は職業安定所にいたからよく知っています。
  335. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 私の御答弁がどうもポイントを外れましてまことに申しわけございませんでしたが、私の申し上げたいことは、先生のお手持ちの情報、内部告発、これの事実関係がまだ明らかでございませんので、その二万九千円支払われたという事実、これが確認をいたされない間は、やめるもやめないもまだ事実関係の確認をいたしておりませんので、その点はお時間をちょうだいいたしたいと思います。  基本的には、そういう教育秩序あるいは学校当局の就職あっせん秩序を乱さないように、しかも、私も公務員として地方の勤務をいたしましたけれども、いろいろな関係機関と良好な人間関係を保つために種々心を砕きます。そういう社会常識上の交際の範囲内のいろいろなおつき合いはございます。恐らくその範囲内で良好な人間関係を保ちつつ募集を行っておるものと私ども考えております。
  336. 安武洋子

    ○安武洋子君 またポイントがやっぱり外れていると思うんです。  私は、事実関係については調査をされるとおっしゃった、それは結構なんです。しかし、こういう問題もありますと、こういう問題がある限りは、これは国費のむだ遣いだと思うからこういう点についてはおやめになるべきではありませんかと、こう言っています。
  337. 吉野實

    政府委員(吉野實君) われわれの予算の中に、部外者招聘旅費というのがありまして、外部の人たちを広報なり募集なりの必要に応じて旅費を支給いたしましてお呼びするということはあっていいんであります。ただ問題は、われわれの方からももらって学校からももらうという二重取りはどちらかにそごがあったんでなかろうかと思いますので、今後の実施に当たっては慎重に対処をしなければならぬと、そういうふうに思っております。
  338. 安武洋子

    ○安武洋子君 学校の先生が自衛隊を訪問される、その中には子供たちが進路指導自衛隊を選んだときに、そこはどうなのかとかいろんなことで職務の一環として行かれる。職務の一環として行けばこれは明らかに学校の方から旅費、宿泊費−日当もあるのかもわかりません——そういうものが出るのがあたりまえです。それになぜわざわざ自衛隊がそういうものを与えられるのか、これは明らかに二重になるというのは、そごがあったとかそういう問題でなくて、国費のむだ遣いだからおやめなさいと、こういう事実があれば、調査されると言うんですからね。私は、内部告発であるという、こう言っているわけですけれども、あなたたちは調査をして、こういう事実があればおやめになりますか。これを明言してください。
  339. 吉野實

    政府委員(吉野實君) この問題は、相手の学校の事情にもよると思いますので、常に向こうが自分の公務に関係あるから学校で旅費を出してくれるのでそういうことは要らない場合だけかどうか、問題があると思うのであります。ですから、行くことは、体は行ってみてもいいけれども、部外者招聘旅費かなんかしらぬけれども防衛庁の方で旅費を出してくれるのならそれによりたいという場合もあるかもしれません。そういうことで調査をいたしてみたいと思います。
  340. 安武洋子

    ○安武洋子君 調査は結構です。大いにやっていただきたい。しかし、学校の先生がどういう目的で行かれるかということは、受け入れられるあなた方のところでは、どんな目的で来るのかということは承知してなければ、友好関係保ちたいと言っても話にならないじゃないですか。ですから、あなたたちは承知をして迎えられるわけですよ。だれがどういう目的で来たかということがわからないと対応の仕方だってちゃんとできない。そうなると、もちろん学校の先生が職務の一環として来られたということがわかりながら、こういうものが出ていたらおやめになりますかと、事は簡単に聞いているので簡単に、明瞭にお答えください。
  341. 吉野實

    政府委員(吉野實君) 私は調査をしなければわからないと思います。部外者招聘旅費ならば行けるけれども、自分のところで旅費をもらって行くということはまずいという場合だってあるかもしれませんので、実態はどうか、実態を見ないと何ともやめるとかやめないとかは言えないと思います。
  342. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、長官にお伺いいたしましょう。ああいうあいまいなことをおっしゃっている。先生方が明らかに出張で来られているということがわかった場合に、自衛隊からわざわざ重ねてこういうお金を出して国費のむだ遣いをしているという事実がはっきりすればおやめになりますか。この点だけお答えいただいて、次に移りたいと思いますので。
  343. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) まあ実態をやはり調べてみないと、いろんな場合があり得ると思いますので何だと思うわけでございますが、調べた上で明らかに二重払いということがあれば、まあどちらの方をやめていただくのか、その実態に応じて処置すべきではないかと、こう思うわけでございます。たとえば、学校が派遣した目的が二日間とか三日間あると、それにプラス防衛庁の方で出席していただく場所のためにまた日数が追加になっているという場合もあり得ると思うんですが、そうではなくても全くダブっていると、両方から出ているという場合もあり得ると思うんです。これは実態を調査した上で手当てをさしていただきたいと、こう思うわけでございます。
  344. 安武洋子

    ○安武洋子君 こんな簡単なことにもぱっちりと私は御答弁いただけない。長官の御答弁で了解するわけではありませんけれども経費節約と言っているときに、こんな国費のむだ遣いをのうのうと許しておくわけにはいかないと思います。そういう点でぱっちりした態度をとっていただきたいということで、私は次に移ります。  ガイドラインと防衛研究について質問いたします。  先般の衆議院の内閣委員会で、わが党の中島議員でございますが、日米防衛協力小委員会のいまの活動状況について質問をいたしております。この際に、作戦、情報、後方支援の三部会は七八年十二月に活動を中止したと、こう答弁されております。  そこで、お伺いいたします。  では、日米防衛協力小委員会のいま事態というのはどういうふうな開催状況に一体なっているのか、そのことを御答弁いただきます。
  345. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の小委員会は、昭和五十三年の十一月末に現在のガイドライン、指針といわれますものを出しました後、開催されておりません。
  346. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは、中島議員に御答弁なさっておりますけれども、この御答弁によりますと、いまガイドラインに基づいて多数の分野別に実質的に分科会のような機構で日米制服間で研究が行われていると、こういうことを御答弁なさっていらっしゃいますね。じゃ、その研究の内容というのは、これは小委員会に報告なさるんでしょうか、お伺いいたします。
  347. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 小委員会は、元来ガイドラインをつくるまでのことを目標にしてつくられた委員会でございますので、ガイドラインができました後、いまの御指摘の研究が進んだ段階で改めて小委員会に報告しなきゃいけないということでなかったわけですけれども、あのときに小委員会が報告を終わりました後、それでは小委員会を解散するかどうかということになりましたときに、まあ別に解散をする必要もないではないか、今後の研究の推移もあることだからということで現在残されております。残されておりますので、小委員会そのものはその後開催はしておりませんけれども、この研究が現在続けられております間小委員会も一応残置されておりますので、何らかの形で小委員会にも報告するようなことになろうかと思いますが、元来そういうことを目的としたものではなくて、小委員会そのものはガイドラインをつくるまでの作業を目的としてつくられたものであります。
  348. 安武洋子

    ○安武洋子君 きょうの日経新聞を見てみますと、これは「有事立法で中間報告 防衛庁、次期通常国会に」という見出しでございますけれども防衛研究は来年一月にまとまる運びとなったと、こういうふうに報道されております。これについてはいかがでございますか。
  349. 塩田章

    政府委員(塩田章君) その記事で言っております防衛研究というのはこれまた別なものでございまして、先生御存じと思いますが、日米の共同作戦の研究のことではなくて、これも時期がたまたま昭和五十三年でございますが、五十三年の夏ごろから当時の防衛庁長官の指示によりまして、防衛庁の中で三自衛隊の運用に関します研究を始めてまいったわけであります。その作業がかなり進みましたので、近くまとまる段階まで来たということはそのとおりでございますが、きょうの新聞の記事にございましたように、一月とかなんとかそういうような具体的な時点を想定しておるわけではございません。
  350. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、いつまでの目標で検討されるわけですか。
  351. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 五十三年の防衛庁長官の指示のときに、これは内部研究でございますから別にいつまでということはないんですけれども、一応二年間ぐらいをめどということで始めたものですから、まあ大体二年を過ぎておりますのでもうそろそろまとめなければいけない時期には来ております。また、かなり作業としても進んでおりますので、そう遠くない時期にまとめる段階にはなると思いますけれども、いまの時点でいつまでということをまだ具体的に申し上げる段階ではないと、こういう状況でございます。
  352. 安武洋子

    ○安武洋子君 遠くない時期、大変近い時期というふうな感じですけれども、そういう研究が終わりますと、これは国会に報告なさいますか。
  353. 塩田章

    政府委員(塩田章君) このことも、先ほど言いました防衛庁自衛隊の運用をどうするかというテーマの研究でございまして、その中身を公表するということは差し控えさしていただきたいわけでございますが、経過といいますか、経緯といいますか、こういうことについての研究であるという概要的なものにつきまして、できれば何らかの形で公表をいたしたいなというふうにいま思っておると、そういう段階でございます。
  354. 安武洋子

    ○安武洋子君 現在、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインですが、これに基づく作戦研究が続けられておりますけれども、この研究とそれから防衛研究と、この関連は一体どのようなものなんでしょうか、お尋ねいたします。
  355. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたようなことで、防衛研究の方は防衛庁の中の三自衛隊の運用でございますし、ガイドラインは米軍と自衛隊との間の共同作戦、あるいはそれに関連する諸項目ということでございますので、直接に関係はございません。
  356. 安武洋子

    ○安武洋子君 全く関係がないということはありませんでしょう。
  357. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 全くないとは言えないわけですけれども、作業の中身としましては、別に片一方の研究がどうだからどうだというふうに関連をしてお考えをいただかなくてもいいというぐらいに作業的には別段関係ございません。要するに、どういう意味関係があるかと言いますと、米軍と自衛隊がガイドラインの場合は共同作戦をやる場合の研究でございますが、その場合に今度は自衛隊側がどういう場合にどう動くかというようなことが防衛研究でございますから、そういう意味においては全く関係がないということではございませんが、研究上は別の話だというふうにお考えいただいてよろしいんじゃないかと思います。
  358. 安武洋子

    ○安武洋子君 この日経新聞によりますと、「日本が侵略される場合の態様に関する想定は日米共同作戦計画の中で検討しているため、防衛研究では有事になった場合の三自衛隊の運用、とりわけ三自衛隊間の支援体制とその際の指揮形態などあらゆる事態を想定、自衛隊の対応を細かく検討している。」こういうふうになっておりますけれども、こういうことなのでしょうか。そして日米共同作戦の研究内容防衛研究との関連、いまおっしゃいましたけれども、私はもっと具体的に明らかにしていただく必要があると思うんですよ。何だかそんなに懸念してもらわなくてもいいほどの関連だとおっしゃいましたけれども、やっぱり私はずいぶんと関連があると思います。もう少しこの点も具体的にしていただきたいし、それから先ほど私が日経新聞を読み上げましたけれども、こういうことなのかどうかということを御答弁をお願いいたします。
  359. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 関連があるかどうかにつきましては、先ほどお答えをいたしましたとおりでございまして、研究につきましてはそれぞれ別個にやっておりまして、直接の関係はございません。関連はございません。  それから、日経の記事がそのとおりかどうかという最後のお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、時期が一月とかなんとかというふうに書いてありましたけれども、そういう具体的な決定はまだございませんし、それから防衛研究の何といいますか、どういうことを研究しておるということにつきましては、いまお読みになった記事、そのとおりだと思います。
  360. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は研究内容を国会に資料として提出していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  361. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、防衛研究が終わりまして長官の御決裁をいただいた時点で、概要といいますか、こういうことについての研究をいたしましたということの公表ができる限り公表したいというふうに考えておりますが、最初にも申し上げましたように、研究の中身そのものはいずれにしましても自衛隊の運用そのものを研究しておるわけでございますので、これを公表するということは控えさしていただきたいというふうに考えております。
  362. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はやっぱりこういう資料は明らかにしていただきたい。要求いたします。  細かい内容については、これは私は十時間要求したんですけれども、きょう四時間ということで、もう時間が迫っているんです。ですから、細かい内容は改めて質問するということで次に残念ながら移ります。  次は、思いやり分担についてお伺いしたいんです。政府は、米軍駐留の経費につきまして年々その経費を膨大にふくらませる、そしてその範囲を拡大しております。五十六年度からは、航空機の掩体、シェルターですね、こういうような在日米軍の戦闘任務遂行に直接使用する施設、これを設置しようとしておりますね。このシェルターというのは、いままで分担したことのないものですね。その点確認しておきます。
  363. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 従来は駐留経費分担の項目の中に入ってございません。
  364. 安武洋子

    ○安武洋子君 全く新しいものだということで承ります。  シェルターの概算要求は一体幾らしているんでしょうか。シェルターを嘉手納に建設するということですけれども、一基一体幾らで、どのような構造なんでしょうか、お伺いいたします。
  365. 森山武

    政府委員(森山武君) 嘉手納飛行場におきますシェルターについては、調査工事費でございまして、どのようなものをどこにどのくらいつくるかということを決めているわけではございません。  それから、なお概算要求の額につきましては、概算要求中のことでございますから、御容赦願いたいと思います。
  366. 安武洋子

    ○安武洋子君 調査工事費と言いますけれども、もう設計工事を始める予算ということで概算要求しているわけでしょう。違いますか。
  367. 森山武

    政府委員(森山武君) 調査工事及び設計費でございます。
  368. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、そこまでのものを概算要求しながら、一基幾らでどのような構造かということはお答えいただけないわけですか。
  369. 森山武

    政府委員(森山武君) 建設する場所でも違いますし、それから、どのような構造のものをつくるかということをこれから調査いたします。したがいまして、シェルターの額そのものについてはまだ決まってございません。
  370. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんな漠としたものでこの概算要求が通るんですか。そんな段階ですか。私は、これはそうじゃないと思いますよ。資料をちゃんとお持ちだろうと思います。こういう資料があれば、やっぱり私は国会に提出していただかなければならないと思います。大変いまの答弁に不満です。  それで、お伺いいたしますけれども、沖繩の第十八戦術戦闘航空団、ここにはF15約六十機、これが配備されようとしておりますけれども、六十機すべてにシェルターを建設するおつもりですか。
  371. 森山武

    政府委員(森山武君) ただいま私ども考えておりますのは、とりあえず、先ほど基数のことは私説明しませんでしたが、来年度の概算要求は六基分の調査工事及び設計でございまして、それ以上のことはまだ何も決めてございません。
  372. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、来年六基ということで、沖繩の第十八戦術戦闘航空団、これにF15六十機が配備されようとしているけれども、これについてはシェルターは建設する予定は全くないと、こう聞いてよろしいですか。
  373. 森山武

    政府委員(森山武君) 将来のことで、現在沖繩に配備されるF15の全部についてやるのかどうかという御質問かと思いますが、その件についてはまだ何も決めてない、私ども決めてないと。ただ、六基分について概算要求をして、その六基分の調査設計をしたいという概算要求をしているところでございます。
  374. 安武洋子

    ○安武洋子君 米軍三沢基地についても、同じようにシェルターを建設していくというそういう構想ありますか、将来構想。
  375. 森山武

    政府委員(森山武君) 現在ございません。
  376. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、将来的にも建設をしないとはっきり断言ができますか。
  377. 森山武

    政府委員(森山武君) F15という戦闘機が非常にその要撃の面からも高性能な飛行機であるという面をとらえまして考えたわけでございますが、三沢については将来どうするのかというふうな御質問ですが、少なくとも現在のところ、その三沢飛行場について米軍のシェルターというものは考えてない、このようなことははっきり申せます。
  378. 安武洋子

    ○安武洋子君 確認しますけれども、米軍の三沢基地についてはシェルターということは考えていないと、こういう御答弁でございましたね。確認してよろしゅうございますね。
  379. 森山武

    政府委員(森山武君) 現在は、ただいま答弁しましたようにF15のシェルターを考えたわけでございます。このF15は嘉手納にしか配備されておりませんので、三沢飛行場においてのシェルターの建設というのは考えておりません。
  380. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらにお伺いいたしますが、シェルターだけでなくて管理棟とか車両整備工場とか航空機燃料給油施設とか、それから岸壁、こういうものもつくるようですけれども、こういう経費というのは在日米軍の戦闘任務遂行上使用するための直接に必要なものだと。これは地位協定の二十四条一項の維持的経費として米側の負担が義務づけられている経費だと、こう思いますけれども、いかがですか。
  381. 森山武

    政府委員(森山武君) ただいまの先生が御指摘になりましたのは、私どもは運用作戦上の支援施設というふうに考えております。  なお、二十四条一項の関係でございますが、先生御案内のように二十四条二項には施設及び区域の提供というのは地位協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで日本国政府が負担するというふうな規定がございますが、私どもは、このような支援施設の整備及び米軍に対する提供というのは施設及び区域の提供として考えておりますので、二十四条二項の規定によって日本側負担で建設すると、こういうことでございます。
  382. 安武洋子

    ○安武洋子君 いろいろおっしゃるけれども、シェルターとかいうふうなものは、これはやはり在日米軍の戦闘に直接かかわる経費になるじゃありませんか。二項にはならないですよ。こういう点についてはいかがなんでしょうか。
  383. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生先ほどから、シェルターとかあるいはその他の施設をお挙げになりまして、直接戦闘任務にかかわるものであるので維持的経費だというふうにおっしゃいますが、私どもはそのような解釈をとっておりませんで、建設をする施設の性格と申しますか、そういうものに着目をして考えておりますので、たとえばシェルターというのは工作物であるというふうに考えておりますので、施設、区域の概念の中に入るものというふうに考えております。その他お挙げになりましたものも、いずれも同様でございます。
  384. 安武洋子

    ○安武洋子君 では聞きますけれども、一体在日米軍の直接戦闘能力を高めるような施設とかあるいは戦闘関連の施設、これにつきましてアメリカ側が負担すべきものは一体そうすれば何なんですか。どういうものがあるんですか、ちょっとはっきりしてください。
  385. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 駐留軍経費の分担の問題について過去においていろいろ御論議がございましたが、地位協定の二十四条の第二項で、すべての施設、区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供する、これは日本側の義務になっておるわけでございます。  かたがた地位協定の第三条で、米側は施設、区域内における管理権を持っておりますので、その管理権に基づいて米側も必要とすべき施設を建設するということが許容されているわけでございます。  したがいまして、どのような施設、区域を、いかなる方法で、どちらが負担するかということにつきましては、これはそのときどきの調整等によりまして施設、区域の提供、経費を負担するということになりますが、私どもは従来から申し上げておりますように、安保条約の目的達成ということを前提にいたしまして、その必要性なり財政状況等を勘案をいたしましてその可否を判断するということに、そういう考え方に立っておるわけでございます。
  386. 安武洋子

    ○安武洋子君 私の質問に対してもう少し具体的に答えてください。  在日米軍のいま言いましたような直接戦闘能力を高めるような施設とか、あるいは戦闘関連施設ですね、米側の負担するものは一体何々が残るんだと聞いているわけです。そのときどきの調整なら、何もこういう二十四条の一項とか二項とか要らないんじゃないですか。
  387. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) いや、結局そのときどきの調整ということになるわけでございまして、面接戦闘能力を高からしめるとか、その内容をどういうものを指しておっしゃっておられるのかよくわかりませんが、そういうものあるいはその他のものという区別なしに私どもは駐留軍経費の負担という問題について対処しているわけでございまして、結局地位協定の範囲内でできるもの、できないものということを区分けしながら米側と調整をして負担をしているということでございます。
  388. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、できないものは何が残るんだと聞いているわけです。こんなことで在日米軍の戦闘に面接かかわる経費まで日本側は負担していくというふうなことになれば、米軍の経費を無制限に負担できると、こういうことになりますよ。どうなんですか。
  389. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 戦闘能力を高からしめるとか戦闘任務にかかわるというお話でございますけれども、たとえば、私どもは従来から隊舎というものの建設について経費を分担をしておるわけでございますが、それもひいては戦闘任務を高からしめる、戦闘任務にかかわらしめることになるわけでございまして、その間の区別というものをどのように先生がおっしゃっているのかよくわかりませんが、私どもは先ほど申しましたように、あくまでも原則論にのっとってやっておるわけでございます。
  390. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、私が原則的に聞いているんです。アメリカが負担すべきものは何が残るんだと。
  391. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 具体的にどういうものをという区別はいたしておりません。
  392. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから実にあいまいなんですよ。この二十四条の一項、二項があるにもかかわらず、すべて在日米軍の戦闘に直接かかわる経費まで日本側がどんどんどんどん負担していこうとしているわけです。  私、日本側の負担の施設の経費についてお伺いいたします。これは五十六年度の概算要求項目でお伺いいたしますけれども、これは五十六年度と五十七年度、すなわち私がお伺いいたしますので、項目ごとに当該年度支出とそれから後年度支出、これをお答えいただきとうございます。  まず第一番目に、これは生活関連施設のうちの隊舎十三棟の整備について当該年度支出と後年度支出、これをお答えください。
  393. 森山武

    政府委員(森山武君) ただいまのは五十何年度でございますか。
  394. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十六年度と五十七年度です。
  395. 森山武

    政府委員(森山武君) 先ほどもお答えしましたように、五十六年度は概算要求中でございますので、個々の項目別の要求額については御容赦願いたいと思います。
  396. 安武洋子

    ○安武洋子君 これはあなたたちの方から資料をいただいておりますよね。これは総計でいただいております。しかしこれは、いままで明らかにされてこられましたでしょう。昨年度までは明らかにされてこられた。だから、ことしから明らかにできないという理由はないはずなんです。だから、いま隊舎十三棟の整備についてどうなっているのかということはお答えください。
  397. 森山武

    政府委員(森山武君) 概算要求中でございまして、これが一応査定を受けまして内示後の話になったら別でございますが、まだそういう段階でございますので、この場では御容赦願いたいと思います。
  398. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、総計金額では構わないわけですか、概算要求中でも。
  399. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 総計の金額だけは御要求がございましたので申し上げましたが、個々のものにつきましては財政当局と現在協議中でございますので、政府の予算案として成立いたしまして、来通常国会において国会に提出したときに御審議をいただきたいというふうに考えております。
  400. 安武洋子

    ○安武洋子君 これはあなたたちに私は、隊舎とか住宅とかその他となっておりますけれども、水道とかいろいろありますわね、環境関連施設とか支援施設とか、一つずつ中身をはっきりさせていただいて討議をしようというふうに思っておりました。だけど、いまそういうふうにおっしゃるので私はお聞きしますけれども、結局こういう一つ一つのものについて大変な支出をなさっていくわけ。  これにつきましては、私はここに金丸元防衛庁長官の「わが体験的防衛論」、こういう著作の一部を持ってきております。このときから日本のこういうふうな地位協定も無視したような思いやり分担が始まっております。この中で、当時の金丸防衛庁長官の回顧録を読んでみますと、なぜこういうことになったかというのがよくわかります。  ここの中にはこういうことが書いてあるんです。「考えてみれば、米側が在日米軍のために毎年支出している経費のうち最も削減したいと思っているのは、毎年決まって支出しなければならない経常的経費「労務費、光熱費」などのはずだ。」云々ということで、これを亘理施設庁長官に相談されるわけですね。で、「慎重な亘理施設庁長官は、まず、地位協定をじっくり研究したらしいが、経常的経費は地位協定第二十四条一項で「米側負担」に該当するという。」よく聞いておいてくださいね。「経常的経費は地位協定第二十四条一項で「米側負担」に該当するという。しかし、ここを切り抜けて妙案を考えないことにはどうにもならない。」と、こうなってくるわけです。そして「ここは一番〃政治的決断〃が必要だと私は思った。」というふうに書かれて、さらに「この本質的問題の解決方法としては、もちろん地位協定二十四条を修正することであろう。当然、国会承認が必要で、時間もかかる。米軍はとうてい待っておられず、」云々というふうなことで、「より手っ取り早い方法」はないものかということでいろいろ考えなさるわけですね。それで福田総理にも相談をされていく。これで今度は「大蔵省の事務方にも内々の打診を行い、ほぼ「二百億円分担増」を固めたのだった。あとは中身と地位協定上の理由づけだが、これは亘理君に全面的にまかせた。亘理君はじつによくやってくれた。彼は、国会答弁で「在日米軍への施設提供は、地位協定が〃新規〃を禁じたということはない」と四十八年の大平答弁に新しい解釈を付し、地位協定上、在日米軍への施設などの新たな提供は〃制限を受けることなく行える〃との運用方針を提示したのである。さらに、亘理君は「条約上、日本として非義務の支出であっても、予算案に計上し、国会の承認が得られれば、歳出しても違法ではない」という財政法上の強気の解釈をも示し、分担増実現の道を開いたのであった。」というふうになっているわけです。  これで、いかに二十四条を無視して思いやり分担をやられていたかというふうなことがこのことではっきりとわかってくるわけです。こういうこじつけまでもやって、国民無視、そして国民の生活はないがしろにしながらこんなものを分担していくというのは、私は非常に屈辱的な姿勢だと、こういうふうに思います。長官いかがお考えでしょう。——長官にお伺いしています。
  401. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  日米安全保障体制を有効かつ確実なものたらしめるためには、条約に定められた当事国の責務を積極的に遂行することが肝要であると考えております。施設、区域の整備提供については、右の基本的立場を踏まえ、安保条約の目的達成との関係を考慮し、その緊要度、財政状況等総合的に勘案し、個々の事案ごとに慎重に検討の上所要の概算要求を行っているものでございます。
  402. 安武洋子

    ○安武洋子君 私、いま金丸元防衛庁長官の御自分でお書きになったこの御本の中身を長官にお聞かせして、御自分で持たなくてもよいものだというふうに思いながら何とか持つ方法ないものか、アメリカに対して思いやりを示す方法はないか、国会答弁などでもずいぶんのこじつけをやって、よくやってくれたと、こんなことまでもしてなぜ米軍に対してこういうことをやらなければいけないのか、こういうのは明らかに国民無視、屈辱的な姿勢ではないかということをお伺いしているんです。長官の御答弁、もう一度伺います。
  403. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) いま安武先生が金丸元長官の著書を引用されてお話があったことは私も拝聴したわけでございますが、先生の当初の御質問が五十五年度の概算要求についての施設経費の内容についてのお尋ねでございましたので、私は私の手でまとめました概算要求についての考え方を申し上げたわけでございまして、金丸先生の御著書の記述があったということは謹んで拝聴いたした次第でございます。
  404. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、そのいま私が申し上げたことを聞かれてどういう御感想をお持ちなんでしょうか。
  405. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) ただいまの著書についての感想というわけでございますが、いま申し上げましたように、謹んで拝聴いたしたというのが感想でございます。
  406. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなのは御答弁にならないわけですよ。持たなくてもよいものを持っていくという経緯を、国会答弁までこじつけてやっぱりやっていったんだということを御自分でおっしゃっている、こんなことしてよいはずないんです。  ですから、さらに私お伺いいたしますけれども、こういうふうな条約上持たなくてもよい米軍の直接戦闘任務、この遂行上使用するものまで負担する、これはアメリカの要求なんでしょうか。
  407. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 正式の要求という形ではございませんが、要望としてはございました。
  408. 安武洋子

    ○安武洋子君 要望の中野はどういう中身ですか。どういう要望の仕方なんですか。
  409. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) これは、私どもしょっちゅう米軍と接触をいたしておりまして、その話し合いをする最中に、いろいろ施設、区域の中で整備すべき事柄について住宅あるいは隊舎その他シェルターとか、そういう問題についていろいろ話し合いをいたしておりまして、そういう話し合いの過程の中で米側の方から要望がございます。その要望を私どもの方で自主的に判断をいたしまして概算要求する、こういう手順を踏んだわけでございます。
  410. 安武洋子

    ○安武洋子君 ということは、この概算要求の中に載っている「管理棟、車輌整備工場、航空機掩体、」それから「航空機用燃料給油施設、岸壁、」それから「富士営舎、キャンプ・シュワブ、」ですか、こういうものが米軍の方から出たということですか、要求として。それを概算要求に載っけられたということですか。
  411. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) いろいろな話し合いがございまして、その過程の中で出たものを私どもの自主的な判断で定めたというものでございます。
  412. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、ここにいま載っているのは、米軍の中からもっとたくさん出たかもわからないけれども、自主的に判断して米軍の要求のものを載っけた、こう解釈していいわけですね。
  413. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 米側の要求と言われますとちょっと私どもひっかかるわけでございまして、要望でございます。
  414. 安武洋子

    ○安武洋子君 要求と要望はどう違うんですか。
  415. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 文書等の形をもって正式に米国政府として日本政府に要求するというのを私どもは要求と考えておりますので、そういう形をとってはおらないわけでございます。
  416. 安武洋子

    ○安武洋子君 正式に文書で来ていないから、話の中で出たから要望であって、文書は受け取っておらぬから要求と違うと、こういうことですか。
  417. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) あくまでも話し合いの中における要望でございます。
  418. 安武洋子

    ○安武洋子君 アメリカの国防総省の東アジア・太平洋局長のピンクニー准将、この方は八〇年の三月十二日、ことしの三月の十二日米下院で言われておりますけれども、「われわれは、沖繩のF15機用強化シェルターなどの、任務関連建設プロジェクトに日本政府が支出するよう望んでいる。」と、「それはわれわれの戦闘効力を高めるだろう。」こういう発言をされているわけです。そしてさらに、このピンクニー准将は同じように米下院で、「われわれは彼らに圧力をかけてきた」。で、いまのおたくの答弁とぴったりと符合するところは、「圧力をかけてきたが、これを非公式にやっている。」だから、文書じゃないんじゃないでしょうかね、おたくの言い方ですると。しかし、後でそうじゃないということがやっぱりはっきりするわけですけれども、「それは、われわれが彼らに圧力を加え、彼らが萎縮し民族主義的な目的のために守勢にまわらざるをえなくなっている、と見られないためだ。」と、こういうふうに明言しておられる。圧力をかけているけれども非公式にと、これは先ほど言いましたように、彼らに圧力を加えて彼らが萎縮し民族主義的な目的のために守勢に回らざるを得なくなっていると見られないためなんだというふうに言っておられるわけです。  こういうことであなた方はいままで話し合われてきたんでしょう。そのピンクニー准将が言っておられるように、向こうからそういう圧力をかけられなさったんでしょう。それで、その中のものを要望としてやるというふうな姿勢をとられたんでしょう。その点どうですか。
  419. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生いまお挙げになりましたのは、米国の下院歳出委員会の軍事建設歳出小委員会におけるピンクニー准将の発言だと思います。これは私どももよく承知をいたしております。ただこれは私ども、外務省ともお話をしたわけでございますけれども、ピンクニー准将のこの小委員会における証言は、米国政府の統一見解という形で述べられたものではないし、またこの発言の内容につきましては私どもの賛同しがたい部分がかなりございます。  ただいま先生が圧力云々ということをおっしゃいましたけれども、圧力というのはいろいろな要求があっていやいやながらそれに屈服するというのを圧力というふうに言うんだろうと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、私どもはあくまでも自主的な判断に基づいて、日本側の財政事情等を勘案しながらこの駐留経費の分担をやっておるというのが実情でございます。
  420. 安武洋子

    ○安武洋子君 自主的な判断、判断とおっしゃいますけれども、しかしいま私は施設の問題でも申し上げました。施設だけでないんですね。これは労務費についても同じなんです。これも米の下院ですからね。ここで質疑が行われているわけです。これ、ピンクニー准将が「われわれは労務費の分担を受け入れるよう、彼らにしばらく圧力をかけてきたことがある。どういう方法でやるか、どの程度やるか、以前の国会の声明とどうすればつじつまをあわせられるか、については、彼らのイニシアチブだった。」と。だから、自主的判断というのは圧力をかけられて、どういう方法で、どの程度、そして以前の国会声明とどうつじつまを合わせるかと、こういうところはあなたのおっしゃる自主的判断だろうと思います。これに対してスミス議員というのが、「しかし、〔米軍〕地位協定は、その経費はわれわれが払うと規定しているのでは」と聞いております。ピンクニーが「その通りだ。」と、こう答弁し、そしてマッケイという議員が「なにか特定の経費分担目標があるのか。」ということに対して、ピンクニーは「われわれの目標は、日本が、日本で働くわが国の軍事要員の実際の給与以外、すべてのアメリカの経費を引き受けることだ。」と、こう言っているんです。ここまで言われて、これでもアメリカの圧力でなくて自主的判断だというふうにおっしゃるんでしょうか。
  421. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) ただいま御引用になりましたのも私どもはすべて承知をいたしておりますが、先ほど申しましたように、ピンクニー准将の発言につきましては私どもとしては賛成しがたい部分が幾多ございまして、ただいまお挙げになりました労務費の分担の問題についてもさようでございまして、ピンクニー准将は地位協定の解釈をやや誤っているのではないだろうかというふうに考えております。  労務費の分担につきましては、正式に日米間で合意を見た上で実施をいたしておるものでございまして、圧力云々ということは全くございません。
  422. 安武洋子

    ○安武洋子君 それなら、このピンクニー准将の米下院における発言について正式に抗議なり何なりなさいましたか。
  423. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 抗議というようなことはやっておりませんが、外務省等と連絡をとりまして、機会があればただす必要があるだろうということは言っておりますけれども、米側の方に現在私どもとしては何もいたしておりません。
  424. 安武洋子

    ○安武洋子君 このことが起こっているのは三月なんですよね。このことが納得できないなら直ちに抗議をすべきじゃないですか。抗議されますか。
  425. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 抗議をしなくても、労務費の分担の問題については地位協定上ピンクニー准将の発言は誤りであるというように私ども考えておりますし、この問題については日米間で正式に合意を見たものでございますので、この上何か処置をするという考え方はございません。
  426. 安武洋子

    ○安武洋子君 労務費のことだけでなくて、あなたは施設の問題のときにもピンクニー准将の発言は納得しがたいとおっしゃったわけなんですよね。ですから、まだ先ほど何も労務費の点だけでなく、圧力をかけたんだと、こういうことではないとおっしゃるなら、この圧力をかけたんだということに対して、それは納得しがたいと、そういうことではないと、そんなことはないというふうに言われるのが至当じゃないんですか。
  427. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) この問題は、主として外務省の所管でございますので、外務省とも連絡をとって検討したいと思います。
  428. 安武洋子

    ○安武洋子君 あいまいにごまかさないでください。圧力がやっぱりあるから、そういうあいまいなことをおっしゃる。  私は、時間が迫ってきたので施設に戻りますけれども、七九年の三月の六日、先ほどのピンクニー准将です。これ、施設関連経費につきまして、「われわれは、今後数年、これ以上の建設を見込んでいる。それについてわれわれは保障を得ているわけではない。しかしわれわれは、われわれが必要とする施設の膨大なリストを彼らに渡している。そのリストのなかから、彼らが選択した。なぜなら、彼らは、政治的に国会に対して住宅建設、防音装置などを納得させることができるからだ。われわれはそのリストを現状にあったものにしていく。」こう証言しているわけです。ですから、膨大なリストを彼らに渡していると、そのリストの中から彼らが選択したと、こういうふうにピンクニー准将が言っております。  さらに、「政治的要因を考慮して、可能と思う限り拡大していくわけか」と、こういう問いに対してピンクニーは、「そうだ、政府についている者は、できる限りこたえている」と、こう答弁もしております。このピンクニー准将の米下院のこれこそ歳出委員会軍事建設小委員会、ここのこの発言であれば、膨大なリストが日本政府に渡されているということになっております。政府はその中から選択をしたと、それは国会に対して政治的に住宅建設とか防音装置などを納得させることができるからだと、こういうふうに言っているわけです。「政治的な要因を考慮して、可能と思う限りこれを拡大していく」とも言っています。  そこで私は、こういう膨大なリスト、来ていると思います。このリストを国会にお出しいただけますか。いかがですか。
  429. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 毎年度私ども、まあ五十四年度からでございますが、駐留経費の分担として施設整備に関する予算をお願いをしてございますけれども、これは先ほどから申し上げておりますように、安保条約の目的達成という大前提のもとに、その必要性なり財政事情等を勘案しながら決定していくという手順をとっておるわけでございまして、事柄の性質上、全体的な計画があって、その計画を年次的に処理していくという性格のものではございませんで、したがいまして、私どもは全体的な計画というものは全く承知しておりませんし、ピンクニー准将の証言にありますようにリストを提出したというのは全く事実に反するものでございます。
  430. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、ピンクニー准将は、施設の膨大なリストを彼らに渡したと、そのリストの中から彼らが選択したというのは、全く虚偽の発言なんですか。
  431. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 要するに、膨大なリストを日本政府に提出したということは事実に反します。
  432. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、このピンクニー准将の発言が全く事実に反するなら、防衛庁長官、これはいやしくも米下院の歳出委の軍事建設小委員会でのピンクニー准将という方の発言ですから、事は重大なんです。こういうことがないなら、国民にはっきりしなければいけない。そういう措置をおとりになりますか——いや、防衛庁長官に聞いているんです。長官
  433. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 防衛庁長官お答えになる前に、ちょっと私から一言。  米側の方に対して何らかの処置をするかという御趣旨でございますけれども、先ほど申しましたように、直接は外務省の御所管でございますので先生の御質問を外務省の方に伝えたいと思いますが、少なくとも、先ほどからるる申し上げておりますように、この駐留経費の分担の問題につきましては、私どもと在日米軍との間で話し合いをし、正式に日本政府と米国政府との間の合意に基づいて決定をされているわけでございますので、私自身としては、この上、米側の方に何らかのことをするということの考え方は持っておりません。外務省の方には先生の御趣旨をお伝えいたします。
  434. 安武洋子

    ○安武洋子君 だからあなたに御答弁求めていないわけです。あなたなら、外務省の所管だから外務省に伝えて、とおっしゃる。長官は、内閣の一員でいらっしゃる、大臣です。だから長官としては、こんなことは防衛庁長官としてほうっておけないわけでしょう。事実無根のことを言っていると、米下院でピンクニー准将がと。処置をおとりにならなければいけないわけでしょう。抗議をなさらなければいけないわけでしょう。抗議をなさり、処置をちゃんとおとりになるでしょうか、長官にお伺いいたします。
  435. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  外国の国会における証言内容がわが方の承知しておる事柄と事実に反した場合にどういう措置をとったらいいか。この点につきましては、外務省とも相談いたしまして進めたいと考えております。
  436. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、何らかの処置をおとりになる、こう承ってよろしいですね。
  437. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 外務省とも相談の上何らかの措置をとった方がいいと判断すれば、それをお願いいたしたいと思っております。
  438. 安武洋子

    ○安武洋子君 こういうふうに事実と違うこと、しかも国民に大きな影響があるんです。私は言いたい。持たなくてもよいものまで、国民を本当に犠牲にしながら、どんどんどんどん拡大していくというふうなことは、これは許されませんよ。しかもアメリカが圧力をかけたと言っている。そして膨大なリストを渡したと、その中から彼らが選択したと、そのことが違うなら違うで、ここで明確に違うんだということを国民に対してもはっきりなさる義務があるわけです。ですから、外務省と相談なさるのも結構でしょう。しかし、私はこれに対して毅然とした態度を防衛庁長官としてはおとりになる必要があると思いますので、重ねて御答弁を求めます。
  439. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 重ねてお答え申し上げます。  先生は抗議をせよと、こう仰せになったわけですが、そういった点も含めまして外務省とも相談していきたいと思っております。  また、先生の御提案になりました方法以外にも、そういった点を注意を喚起するという方法もあり得るではないか、そういった点も含めて外務省と相談してみたいと思います。
  440. 安武洋子

    ○安武洋子君 いずれにしろ、いまの御答弁は何らかの形で注意を喚起するということです。ですから、その御答弁は私は全部了とするものではない、大変不満を残します。しかし、きょう私は十時間のうちの四時間ということで、四時間の時間が参りました。あとの六時間は次回やるということで保留をいたしまして私のきょうの質問を終わりますけれども防衛庁長官に毅然とした態度をおとり願いたい、このことを重ねて要望し、質問を終わります。
  441. 木島則夫

    ○木島則夫君 最初に、せんだって来検討されてまいりました短SAMのことについて一、二御質問を申し上げたいと思います。  これまでに六人の検討会で二回ほど検討をされたということでありますけれど、なかなか活発な論議が出た、非公式には私どもこういうふうに聞いています。よければ、どういう雰囲気でその検討会が行われたか、その辺ひとつ触れていただきたいと思います。
  442. 塩田章

    政府委員(塩田章君) お話のように二回やりましたが、第一日目は、私から短SAMの必要性についての説明、それから装備局長から国産短SAMの性能といいますか、そういった面を御説明をいたしました。大体当初第一日目は、主体は防衛庁側からの御説明ということで、もちろんその間に多少御質問等ございまして時間は十分かかりましたけれども内容的にはそういう主として防衛庁からの御説明ということで終わったわけであります。  それから第二回目は、これもやはり私どもの方からの御説明ですが、主として技術的な、性能的な問題につきまして、いままで主として国会等で指摘されました事項、これを私ども十点ばかりに整理いたしまして、一つ一つにつきまして私どもの方から御説明をし、先生方からまた活発な御質問があった、こういうことで第二回目を終わっております。そういう状況でございます。
  443. 木島則夫

    ○木島則夫君 当委員会でも、秘密にわたる資料を出さないで果たして十分なる検討ができるであろうかということが問題として指摘をされております。そういった障害はなかったのかどうかということも含めて、検討会いつまでに結論を出すんですか。
  444. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 秘密にわたらない事項で十分説明ができるかどうかという点でございますけれども、少なくとも二回やりまして、十分私どもは懇切といいますか、詳しく御説明を申し上げまして、いままでのところ、御理解をいただきながら検討は進んでおるというふうに私どもは理解いたしております。  それからいつまでにということでございますが、これはちょっとまだ、いま申し上げましたように最初に必要性を説明し、次に国会での御論議の点を中心に御説明をしたという、まだどちらかといいますと防衛庁サイドからの御説明ばかりの段階でございまして、あとどのくらいで済むかということにつきましてまだ具体的なめどを持っているわけではございません。
  445. 木島則夫

    ○木島則夫君 予算編成の時期とも絡んでその中でおさめたいという気持ちはわかるんですけれど、やっぱり事は事ですね、非常に大事な装備でありますから、自衛隊の欠陥という問題を是正をしていく意味で私は慎重に検討をしてもらいたい、このことをひとつ希望をしておきます。  本当は前段階で伺うべきことであったかもしれませんが、白紙に検討依頼をしているのかということ、それから、それとも短SAMの導入を前提としながらもなお意見を聞くということなのか、三つ目は、あるいはローランドと短SAMにしぼって同列に扱うのか、これは前段で聞くべき事柄であったかもしれません、いかがですか。
  446. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 率直に申し上げまして、前回の当委員会での大臣からの御答弁にもございましたように、防衛庁といたしましては八月以来国産短SAMの導入を決定をし、概算要求もいたしておるわけでございます。そういう段階でございますので、防衛庁といたしましては国産短SAMの導入を決定した立場にございます。しかし、御承知のようないきさつで今回さらに慎重を期して御意見を承ると、こういうことになりました経緯から申し上げまして、いま先生の御指摘の三点で言えば、私は真ん中の意の形ではないかというふうに考えるわけでございます。
  447. 木島則夫

    ○木島則夫君 真ん中といいますと、短SAMの導入を前提としながらもなお意見を聞くということかと、これに該当するということですか。
  448. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そういうわけではなく、前提と言うと語弊があるかと思いますが、私ども防衛庁としての決定は一たんしておるわけでございます。それをさらに慎重を期するという意味での今回の措置だというふうに御理解いただきたいと思います。
  449. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題については同僚議員からもいろいろ問題の御提示がございまして、まだ残された委員会審議の中でも取り上げられると思います。  そこで、一たん防衛庁がこれ決定しているわけでしょう。欠陥がそこで問題になったのでもう一度識者にこれを検討をしてもらうと、識者の間でやはりこれがよかったということになると、屋上屋を重ねて、何か防衛庁の権威というものが必ずしも全うできないような悪い事例を私残すようなことになりはしないだろうか、最終的には国防会議というものできちっと承認をするということにはなるんでしょうけれど、そういう手だてが、どうも短SAMについての問題点の指摘があったと、そして総理から慎重に検討なさいとおっしゃられて、そのために民間の識者の中にこういう問題を持ち込むことで何か民主的な方法によらしむるというにおいがしてならないんですね。これはもう私の意見です。  ですから、やはりこういうものは防衛庁、専門家たくさんいらっしゃるんだから、検討に検討を重ねた結果であろうと思う。したがって、屋上屋を重ねることになって、防衛庁の専門家としての権威というものが云々されるようなことにつながらないかということを聞いているわけです。どうでしょう。
  450. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の点はよくわかります。私どももこの前の委員会以来御説明をいたしておりますように、今回の短SAMにつきましてこういう措置をとったわけでございますけれども防衛庁のこういった装備品の機種の選定についての責任というものはあるわけでございまして、今後ともその点は堅持していく必要があるというふうに考えております。  今回、こういういきさつでこういうことになりましたが、いまもお話ございましたように、もちろん国防会議あるいは総理への報告ということをいたしまして今回そういう措置をとらしていただいておりますが、元来、防衛庁がこういった機種選定について責任を持つべきものであるという考えは今後とも一貫してまいりたいというふうに考えております。
  451. 木島則夫

    ○木島則夫君 シビリアンコントロールとか民主的にということも私は大いに結構だと思います。しかし、やっぱり主体性というものもある意味で失わないように、あっちへ行ったりこっちへ行ったりということでないように、しかもその上に立ってシビリアンコントロールはきちっとと、こういうことを要望しておきたいと思います。  アメリカ海軍の太平洋戦略に絡まる問題であろうと思いますので、一、二、最近あらわれた現象というか、そういった面についての質問でございます。  アメリカが、八一会計年度中にグアム島に駐留をさしているポラリス潜水艦を全部撤収をするという報道がなされておりますけれど、防衛庁としてはこの事実を確認をされているかどうか、まず伺います。
  452. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 本年一月の計画によりますと、現在アメリカが保有しております十隻のポラリス潜水艦のうち、五隻は一九八〇会計年度、残り五隻は一九八一会計年度に退役させると、戦略核戦力として退役させるというふうに承知しております。ただ、これが予定どおり実施されるかどうかについては未確認でございます。
  453. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、専門家ではありませんので新聞報道などを読んだ程度でございますけれど、こういった措置をいかなる措置というふうに受けとめられていて、また、こういう措置によって日本の防衛、こういうものにいかなる影響があるか、こういった点が次に問題になってくるであろうと私は思います。  報道の解説などを総合すると、軍事技術的には新型の弾道ミサイルを積んだ原子力潜水艦のトライデント型への転換に伴う措置だと、こう言われているわけですね。それがどういう目的につながるのか。そういう措置がとられた後わが国の防衛に与える、むしろ心理、政治上と申しましょうか、そういうものの影響について一体防衛庁はどんなふうにとらえているか。その辺も聞かしていただきたい。
  454. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) このポラリスからトライデントにかわるという意味は、ポラリスミサイルの射程が約四千六百キロメートルでございまして、トライデントミサイルの射程が約七千四百キロでございます。それで三千キロほど射程が伸びますものでございますから、従来はポラリス潜水艦というのはアジア大陸の東部に対する核抑止力としての機能を発揮していたんでございますけれども、それをグアム島付近から発射しなくても東太平洋の方から発射しても届くようになったと、そういうことでございます。  ただ、弾頭の数につきましては、SLBMの基数につきましてはポラリスが十六。これは十隻でございますから百六十。トライデントは二十四でございますが、来年一隻進水するだけでございまして基数は減ります。ただ、弾頭はトライデントの方はMIRV化されておりまして、ポラリスも多核弾頭とは申しますけれども、MIRVでございませんので、命中精度その他の点から考えまして、また、トライデントは今後将来ともだんだん配備されるということでございまして、一時的に数を数えますと減少するように見えるかもしれませんけれども、アジア大陸の東部に対するアメリカの核抑止力という意味ではアメリカの核が信頼性が低下するということはないと、かように考えております。
  455. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、アメリカの守備範囲を縮めるというふうに見るのではなくて、防衛線から下がって——下がるという言葉はよくないかもしれませんが、下がっても戦略上は心配がないんだと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  456. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) さようでございます。
  457. 木島則夫

    ○木島則夫君 外務省はどうなんですか。こういう情報は、いま防衛庁がおっしゃったような立場で理解をされておりますんですか。
  458. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) いま防衛庁の方からお答えのあったとおりでございまして、私たちとしてもこれはアメリカの質的な兵力による改善の一環であって、それによって日本に対する防衛のコミットメントに対していささかも影響がないというふうに思っております。
  459. 木島則夫

    ○木島則夫君 これはたしか十一月二十日のサンケイの紙上であったと思いますけれど、アメリカがかつて中国に対してアメリカ第七艦隊の上海への寄港を求めて、中国が海南島の——これ楡林港というのでしょうかね、楡林港を使用させる可能性を検討したというような台北での英字新聞が伝えた報道ですけれど、こういうものを記事にしているわけでございますけれど、こういった事実関係というものをどういうふうに確認をされておりますか。
  460. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) この件につきまして、御質問のようなことが米国で検討されたことがあるかどうかについても、防衛庁としては承知しておりませんと思います。
  461. 木島則夫

    ○木島則夫君 確認をしていないということでいいんですけれど、どうなんでしょうか。こういった情報に対する受け取り方の姿勢、やはりこういった情報は、私一つ一つ分析をしていくと、これはやっぱり将来日米中の軍事同盟につながりやしないかという意味で、実は私、素人考えで聞いたわけであります。こういう情報に対するとらまえ方というか、基本姿勢というのはあるんですか。やっぱり私大事だと思うんだね、こういう情報というのは。ですからこれ一つ一つ分析をして、これはこういう、つまり枠組みの中での一つのあらわれであるとかというとらえ方をしていく中で、緊張緩和、あるいは日本の安全保障というものを考えていく、これが必要だと思うんでありますけれど、どんなふうな態度というのかな、こういう情報に対する姿勢というか、そういうものは何か基本的にあるんですか、ちょっと聞いておきたい。
  462. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 全般的な日米中というような話は、これは非常に大きな政治的問題でございまして、これは防衛庁から申し上げる筋のものではございませんけれども一般的に、米第七艦隊の行動にとりまして寄港地が増加するということは海軍力の展開にとっては有利なものだと、そういうふうに考えております。  この情報に対してどういうふうに接するかということでございますけれども、アメリカも中国もこれは友好国でございますし、わが方から立ち入ってせんさくするのもいかがかと思っております。
  463. 木島則夫

    ○木島則夫君 外務省は、この種の情報に対してどこまでタッチしてこういうものを分析をしているんですか。余り友好国同士のこういう話は、タッチするとそこに何か問題が起こったり不都合なことがあったりするといけないというようなことも言われておりますけれど、外務省のこの種の情報に対するとらまえ方というのは何か姿勢としてあるんですか。
  464. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 私の守備範囲かどうかちょっと疑問でございますけれども、もちろん私たちとしてはそういう情報については関心を持っております。  ただ、一つ言えることは、アメリカの中国に対する態度というものは、日本はアメリカから見て同盟国であるけれども、中国は友好国であってそれ以上のものではないということを言っているんで、そういう観点から私たちはこういう問題の発展を見ているというのが現状でございます。
  465. 木島則夫

    ○木島則夫君 防衛大綱とGNP一%に関連をしてお聞きをしたいんでありますが、事前に通告をした質問の仕方と多少違っております。したがって、その辺は自在にお答えをいただきたいんでありますけれど、鈴木総理は十一月の十日の衆議院安保委員会で、防衛大綱を見直す、変える考えがないということを言明されまして、また十二日の参議院の安保沖繩・北方委員会では、五十六年中業においてもGNP一%以内の方針を堅持すると、こう発言をされております。この二つの枠をはめながら、果たして着実かつ有効な防衛力の整備が可能なんだろうかと、こう素人は思うわけであります。こういう疑問を持つのは私は当然であろうと思います。  そこで、「日本の防衛」ですね。防衛白書ですか。「第二部 わが国の防衛政策」2の16上段においては、防衛関係費の規模については、大綱とは別に、「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする」旨五十一年十一月閣議決定をされていることはもう先刻御承知のとおりでございます。ここで「当面、」とあるのは、何らかの固定的な期間を予定しているんじゃなくて、「この決定は、必要に応じて改めて検討を行う可能性があることを意味している。」こういうふうにも述べられております。  ところで、最近の鈴木総理の発言を聞いておりますと、五十六年中業においてもGNP一%以内を堅持をするという発言に見られますように、何か絶対的なものになりつつあるような印象を受けるわけでございます。したがって、GNP一%が絶対的な枠だとすると、中期業務見積もりは達成することができるのかどうかというのが第一点であります。
  466. 塩田章

    政府委員(塩田章君) しばしばお答えいたしておりますように、私ども現在五三中業という段階に入って五十九年度までの整備を図っておるわけでございますが、この間におきまして、私どもは五十九年度にGNPの一%に近づくであろうということをかねがね申し上げておるわけでありますが、つまりGNPの一%以内で整備を進めていきたいというふうに申し上げておるわけでありますが、その見通しは現在も変わっておりません、そのつもりでおります。  それから、五六中業につきましては、まだ何も作業に入っていない段階でございますので、その点につきましてはいまの時点で何とも申し上げられない状況でございます。  なお、そのことと関連いたしまして、鈴木総理大臣お答えの中で二点言われたわけでございますが、一つは、五六中業の段階でも防衛計画の大綱の線に達することは疑問があるという趣旨のことをおっしゃっておられますが、これもいま申し上げましたように、五六中業、まだ全然作業に入っていない段階であるということを総理に私どもよく御説明を申し上げておりまして、そういうことを含めて、いまの時点では五六中業で達成できるかどうかはまだわからないということをおっしゃったのであろうというふうに私どもは思っております。  それから、GNPの一%以内を維持するということも、五十一年の閣議決定、いま御指摘の閣議決定の方針を維持するというふうにおっしゃったわけでございまして、私どもは、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、五三中業の間はGNP一%の中で整備を図っていくと、五六中業につきましてはいまの段階で何ともまだ申し上げられないというふうに申し上げておるわけであります。
  467. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうすると、総理の言われるGNP一%の枠の堅持というものが最優先されるのか、中期業務見積もりが優先されるのか、どういうことになるんですか。
  468. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 中期業務見積もりというのは、たびたび申し上げておりますように、防衛庁限りの見積もりのものでございまして、これが最優先ということは政府全体としてはあり得ない。私どもは私どもの作業見積もりを、中期業務見積もりとしての作業をいたしたいというだけでございまして、政府の閣議決定された方針よりも防衛庁の中期業務見積もりの方が優先するということではないわけであります。国防会議、閣議で決定された方針は、それを変えない限りは私どもの中期業務見積もりでそれを勝手に変えるということはあり得ないんであります。
  469. 木島則夫

    ○木島則夫君 その土台となる大綱とGNP一%、いずれも閣議決定されたものでございますけれど、どっちが優先されるんですか。こういう質問はおかしいかな。つまりその土台となる大綱とGNP一%の枠、いずれも閣議決定されておるけれど、どちらが優先されるのかと、それじゃこういうふうに伺いましょう。
  470. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先般もほかの委員会でお答えしたことがあると思いますが、防衛計画の大綱の方は、五十一年につくりましたときに将来見通し、ある程度長期にわたっての見通しのもとにつくられたものであります。一方、十一月に決めました当面一%以内というのは、当面という言葉がございますように、大綱に比べれば比較的当面の財政措置としての考えでああいう決定をされたのではなかろうかと思います。したがいまして、どちらが優先するというのはちょっとお答えしにくいんですけれども、GNP一%以内という方は、私どもは当時の閣議決定の趣旨から言えば、当面一%以内をめどにして整備を図っていこうという趣旨であるというふうに理解されるわけであります。
  471. 木島則夫

    ○木島則夫君 これから予算の編成、そしてレーガン新政権ができまして、日本に対する防衛力の分担増強、そういった問題がるる出てくると思うんですよね。アメリカから中業の前倒しの実施要求などがあった場合に、あくまでGNP一%以内ということで突っ張っていくのかどうか。そういうことを行っていった場合、ただでさえもいまいろんな摩擦がありますね、日米の摩擦。そういったものにこれが転化をしていくおそれがなきにしもあらず、これは防衛庁、外務省両方でひとつ答えていただきたい。
  472. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほどいろいろお答えいたしましたが、基本的に私ども現在の時点で防衛計画の大綱に従って整備していくのに、防衛計画の大綱を見直さなくてはいけないとか、あるいはGNP一%の枠を外さなくてはいけないとかいうふうには考えているわけでございませんで、あの中でやっていけると、やっていくべきだと、こういうふうに考えているわけでございます。それがアメリカ側からどういうふうな形になって対日要請が出てくるかということは、ちょっと新政権の考え方あるいは実際の施策まだわからないわけでございますけれども、私どもは、レーガン政権になっても、いままでのカーター政権の対日政策とこの問題については基本的には変わらないんではないかというふうに考えておるところでございまして、当面一%の範囲内で防衛計画の大綱の線をなるべく速やかに達成したいというわれわれの気持ちに従っていま整備しているわけでございますが、それでやっていけるんではなかろうかというふうに考えているわけであります。
  473. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) レーガン政権はいまだ発足しておりませんし、まだスタッフ等も任命しておりませんで、この段階でレーガン政権の対日防衛期待、要請というものがどういうふうになるかということを判断するには時期尚早かと思います。しかしながら、レーガン政権の出方いかんを問わず、日本側としては従来の立場すなわち防衛力整備については、これは日本が自主的に決めていく問題である。そして、その自主的に決めていく基本としては、やはり日本国憲法あるいは非核三原則、専守防衛等々の制約を踏まえながら国民のコンセンサスを得て、かつ財政状況が苦しいということも念頭に入れながら、できるだけの整備をしていくという基本的な態度というものは変わらないと思います。
  474. 木島則夫

    ○木島則夫君 過日、鈴木総理と民社党の佐々木委員長とが会談をいたしました。その党首会談におきまして私どもが御提言を申し上げましたのは、わが国の防衛問題はいまや重大なる選択の時期を迎えているこの厳しい国際情勢のもとで、われわれは自衛力の整備を図ることが必要である、こういうことを大原則として提案をいたしたわけでございます。しかし、その整備の図り方については、国民のコンセンサスを求めながら、まず第一に、最大の安全保障というのは世界平和であるということにかんがみまして、平和戦略を推進をすること。第二には、現行憲法は自衛力の整備を否定するものではないのでありまして、したがって現行憲法の枠でこれを進めること。第三番目には、財政事情を配慮する。この三つの条件のもとで自衛力の充実を図るべきであるということを御提案申し上げたわけでございます。  この基本的な立場から、われわれはその中でまず第一に米ソのデタントと没脅威論を前提とした現在の防衛計画の大綱を抜本的に見直し、脅威の実態に即応すべきである。さらには、中期業務見積もりは単なる防衛庁の内部資料ではなく、事実上防衛力整備計画そのものであることにかんがみ、これを国防会議の付議事項として政府の計画として明確に位置づけるべきであるというんです。まあこういったことを中心にして御提言を申し上げたわけでございます。  いま、この一つ一つについて、ここで私は別に確認をしたいというふうには思っておりません。それで、この話し合いの中では、自衛隊の欠陥の是正についても、また国防会議が実際上形骸化している、そういったものをもっと有効的なものに、実のあるものにするための改組が必要である、こういうことにも話が及んでいるわけであります。  私が一つだけ申し上げたいことは、したがって今後は具体的に平和戦略をどうやって推し進めていくのか、また憲法の枠の中でこれを進めていくそのこと、そして財政の制約の中で、三つの中身について大いに詰めを行っていかなければならないということでありまして、政策連合がここでできたんだということではなくて、こういった問題について安全保障あるいは防衛についての議論をする土俵が設定されたというふうにわれわれは考えているわけであります。  したがって、これから防衛大綱の見直しについての国際情勢の変化などについて、私は忌憚のない御意見を申し上げたいと思うわけでありますが、ここまでのいま私が申し上げたこういった鈴木・佐々木会談における合意事項について長官は御確認をいただいていると思いますが、その確認の意味でもう一度ひとつ御返答いただきたい。
  475. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 民社・自民両党の党首会談におきまして、民社党は防衛力整備について、ただいま木島先生お述べになりましたとおり、平和戦略の推進、現行憲法の枠、財政事情の配慮という三条件のもとに行うべきであると主張されたように聞いておりますが、政府といたしましても基本的にこれに異存はないと考えておるわけでございます。  なお、付言さしていただきますと、まず平和戦略の推進についてでありますが、わが国は戦後一貫して平和外交の推進を国是としてきております。今後ともこれを堅持していく決意であります。  次に、わが国の防衛力の整備は、当然自衛のための必要最小限度内という憲法の範囲内で行われるものでありまして、現在進めている防衛力の整備、あくまでこのような憲法の範囲内のものであると考えている次第でございます。  また、防衛力の整備は、内外の諸情勢等を念頭に置きながら総合的見地より行うべきものと考えておりますが、財政事情に対する配慮はその中の重要なものの一つであるということは私ども認識しており、御指摘のとおりでございます。  三つの条件についての私ども考え方を申し述べて、お答えとする次第でございます。
  476. 木島則夫

    ○木島則夫君 ですから、われわれはこの厳しい情勢のもとで、いわゆる国を守る整備をしていかなければいけない、自衛力を整備をしていかなければいけない。しかし、それは野放図に行われるものではなくて、いま挙げた三つの条件をきちっとはめた上でこれを検討し、十分に勘案をしながら進めていかなければならないということで鈴木総理と佐々木委員長との間で合意ができて、いま私が申し上げた。これからは三つのこの条件についての具体的な詰めというものを、土俵を設定した中で行っていこうということをさっき私は申し上げたわけであります。  そこで、少し具体的なことについて伺っていきたいんでありますけれど、私はいままで当内閣委員会での防衛論議を聞かしていただいて、さらにはまた衆参両院における予算あるいは安全保障等そのほかの委員会における防衛論議を会議録でも読ましていただいております。なぜ政府がというか、防衛庁長官がかたくなに防衛計画の大綱の見直しを否定され、防衛計画の大綱を現在変える考えは持っておりませんと再三にわたって言明をし続けるという、こういう姿勢を私はよく理解できない。これからこの点について私どもが抱いております疑問と感ずるところと、あわせて民社党の考え方の一端を申し上げて御議論をしていただきたいと思うわけであります。  本問題に対する政府の考え方について、いままで明らかにされたところを私なりに要約をしてみますと、防衛計画の大綱の見直しについては三つの条件が考られる。その一つは、国際情勢の変化ということであり、その二は国内における諸情勢の動向であり、その三は中期業務見積もり等の達成状況といった要素が考えられ、これらの三つの要件を総合的に考えて見直しをしなければならないようなことになれば見直しをする、こういう御答弁になっているように受け取っております。間違いございませんでしょうか。
  477. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  政府といたしましては、現在防衛計画の大綱に従って防衛力の整備に努めているところでございますが、まだ防衛計画の大綱に定める防衛力の水準に到達していないのが現状でございます。したがいまして、同水準の可及的速やかな達成を図ることが現下の急務であると考えておるわけでございまして、いま直ちに防衛計画の大綱を改正することは考えておりません。  防衛計画の大綱を将来見直すことがあるとすればどうかというお尋ねが今国会におきましてございましたので、それに対しましては、いま先生御指摘の国際情勢の変化、国内諸情勢の動向、それから防衛計画の大綱の達成状況、先生は中期業務のと言われましたが、私ども防衛計画の達成状況等を勘案することになるのではないかと考えておりますが、その時期等につきましては、現段階では何とも申し上げる段階ではないと、こういうことを国会で申し上げておりますので、改めてお答え申し上げる次第でございます。
  478. 木島則夫

    ○木島則夫君 三つの要件についての確認、多少字句の上では私、中期業務と申し上げましたけれど、そうではないという御指摘があって、それはそのとおりであろうと思います。  そこで、この三つの要件、三つの要素について具体的に伺っていくことにしたいと思うんです。  国際情勢の変化についてでありますけれど、今回改めて私は昭和五十一年十月二十九日閣議決定の「防衛計画の大綱」について読ましていただきました。素人なりにその大綱策定の前提とされました国際情勢の記述のされ方と今日の情勢、たとえば、今国会十月の二十四日における参議院安全保障特別委員会で述べられた外務大臣並びに防衛庁長官の御発言の内容などを見ておりますと、五十一年当時の状況とはまさに百八十度の差のあることに驚き入ったというか、痛感をしている次第でございます。  策定の前提となった国際情勢のとらえ方にこれだけの差異があれば、当然見直すというお答えが返ってくるのが常識というものじゃないだろうか。たとえば防備計画の大綱における国際情勢の表現では、昨今よく使われております「きわめて厳しい情勢」といった用語はどこにも見当たりませんで、かえって「紛争を防止し国際関係の安定化を図るための各般の努力がなされている。」との言葉でその基調的な評価が下されております。大まかに両方の国際情勢を比べてみましても、この間にはアフガニスタン、つまりアフガニスタンに対するソ連の侵攻事件というような厳然たる事実の後先でありまして、五十一年といえばちょうどランブイエにおける首脳会談、初めて先進国の首脳が集まりました。エコノミックサミットと言われた経済的協調路線を主とした会議であったわけでありまして、今日のベネチアの首脳会議に見られるようなきわめて政治的な、あるいは軍備のGNP三%論が出るような軍事的な色彩の強いという時代的背景を背負っている会議、こういうことを比べますと、明らかに大きな変化があった。  事柄が国の防衛、安全保障である以上、国際情勢の認識、国際関係の評価が最も重要視されるべき要素であると私は思う。前提においてこれだけの差異が生じた場合、改定するとおっしゃらなくても、少なくとも見直しを検討するというような態度こそが、国民の生命と安全に関する問題なるがゆえに、政府のとるべき姿勢ではないのだろうか。この辺繰り返しになると思いますけれど、よく長官、情勢分析を素直にひとつお聞きいただいて、どうなんだろうか、少なくとも私はやはり検討をする段階にあるというような情勢ではないだろうかということを申し上げたい。それが国民の生命と安全に関する問題を扱う防衛論議、安全保障の論議ではないだろうかと、こういうふうに私は申し上げているわけです。いかがですか。
  479. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) ただいま木島先生から、防衛計画の策定当時の国際情勢と今日とでは大きな変化が来ているのではないか、したがって防衛計画を改めるべきだと思うが、少なくとも検討すべきではないかという趣旨のお尋ねがございました。  確かに、防衛計画の大綱が策定されました昭和五十一年の当時の国際情勢につきましては、厳しいという表現は用いておりませんのですが、やはり不安定要因はあるという点は指摘されているわけでございます。  その後の国際情勢の変化、これは先生も十分御承知のとおり、従来から東西間の競争と協調の両面を持って推移をしてきておりますが、近年、ソ連の長期にわたる一貫した軍事力の増強と、これに対する米国を中心とする西側の防衛努力の強化等によって競争関係の面が強くなってきており、最近は特にアフガニスタンへのソ連の軍事介入とこれに対する西側の対抗措置等により、東西対立の様相を深くしていると考えられます。また、わが国周辺の軍事情勢も、極東ソ連軍の顕著な増強と行動の活発化により、わが国に対する潜在的脅威が増大しているなど、厳しいものがあると考えております。このような意味では、現在の国際情勢は、防衛計画の大綱策定当時の情勢と比較して変化していることは否定できないと考えております。  他面、米ソ関係も現在後退しているとはいえ、関係改善の努力も行われておりまして、いわゆるデタントが崩壊してしまったとは言えず、また米ソ間の核相互抑止を中心とする現在の軍事構造により、東西間の核戦争及びそれに至るような大規模な衝突は現在では抑止されていると考えられることなどから、現在わが国に対する差し迫った侵略の脅威が生ずるような情勢に変化したとは考えておりません。  このようなことを勘案いたしまして、いずれにいたしましてもこのような厳しい情勢にかんがみまして、みずからも節度ある、質の高い防衛力を速やかに整備することに努力する必要があると考え、まだ達成されておりません現在の防衛計画の水準の速やかな実現を目指して努力をしているというのが防衛庁の現在の考え方でございます。
  480. 木島則夫

    ○木島則夫君 さっき、鈴木総理と私ども委員長が合憲をして、一応自衛力の整備は必要なんだと。そのための三条件についてこれから詰めていく土俵の設定ができたんだと。だから、その土俵の中に入ってお互いに思い切ってフランクに物を言い合おうではないかというのがこれからの姿勢でなければならないわけです。お答えが大変慎重を要することでございますから、慎重にメモに基づくことは私も御否定は申し上げませんけれど、土俵ができたんですから、その辺はひとつフランクにお答えをいただきたいということでございます。  外務省の方には私は質問事項を申し上げておりませんけれど、どうでしょうか、サミット一つをとりましても、経済サミットであって、今回はベネチアが軍事あるいは政治色の非常に濃いものであるというようなこと一つとってみても、国際状況は大きく変わってきている。こういう認識は外務省とて同じであろうと思います。いかがですか。
  481. 秋山光路

    政府委員(秋山光路君) 先生御指摘のとおり、最近の国際情勢は五十一年当時に比べまして厳しさを増しているということは事実であります。ただ、先ほど防衛庁長官の方から御答弁がございましたとおり、それでは現在の国際情勢の厳しさがそのまま防衛の大綱を見直すべきであるというふうに結論づけてよろしいのかどうかということについては、私どもはいささか疑問とせざるを得ません。
  482. 木島則夫

    ○木島則夫君 これから私が申し上げることと、いわゆる防衛大綱の見直しと同列に論じることはできないかもしれませんけれど、過去政府が中長期の経済計画については二年か三年を経た時点で五年計画あるいは十年計画を次々に見直してきた経緯と比較をいたしましたときに、なぜ経済計画にそれができて、防衛計画にそれができないのか。この辺は日本の安全保障、防衛問題の宿命だと私も思う、はっきり言って。本当はこういうことを長官と私は土俵の中でとっくりと話したかったんだけれど、なかなか四つに組むことができないものですから、これはいずれ私はこういった問題について具体的にやっていきたいとは思うけれど、なぜ経済計画にそれができて、防衛計画にそれができないのか。これはお答えは私は要りません。私の感じたまま、率直な意見としてこれは申し上げておきたい。  また、衆議院の内閣委員会での会議録などを読んでみましても、政府側が、米ソ関係というものも大幅に後退はしたけれど、いわゆるデタントが崩壊してしまったわけではない、いま見直さなければいけないような差し迫った変化がないと判断をしているという旨の、言ってみれば大変苦しい答弁だろうと私は思う、こういう答弁を繰り返されている。このようなことでなしに、すっきりとした御答弁を本当はしていただきたいんでありますけれど、これ以上申し上げても長官から返ってくるお答えは先ほどのお答えと同じであるということで、私は意見を交えて先にいきます。  次に、国内情勢の変化という要素についてただしておきたい。さきにも申し上げたように、私は国際情勢の変化という要因が最も重要で、これでほとんど決まると言ってもいいと思うくらいなんでありますけれど、政府の言う国内情勢の変化とはどういうことを考えておられるか、政府が五十二年発表の防衛白書において挙げられた情勢の大きな変化の五つの事例を見ましても、ほとんど国際情勢にかかわるものでありまして、国内情勢とでも判断できますものは日米安全保障体制の有効な維持の一項目というふうに私は見た。当然日米安保体制維持の基調となる政治的勢力関係——政党的と言ってもいいでしょう、政治的勢力関係。さらにその前提には国民世論の動向というようなものが中心になろうと思いますけれど、前々回の総選挙あたりからあらわれてきた、いわゆる中道志向というような点から見ましても、さっきから話題になっている国会における政府とわが党首との防衛問題に対する意見交換、こういったことも最近における国内情勢の大きな変化であるということを私ははっきり申し上げさしていただきたい。これについての議論は結構です。  次に、防衛計画の達成状況の点でございますけれど、政府がこのようなことを見直し要因の一つに挙げること自体私はどうかと思っております。防衛計画の大綱というものが昭和五十二年の防衛白書で解説されているように、基盤的防衛力構想という新しい考え方を取り入れ、そのような新しい考え方を採用するに至った動機なり背景として次の四点を挙げております。  つまり、国民的合意を確立したいという当時の考え方に立脚をした。二番目、自衛隊の現状に対する反省、つまりこれはどういうことかというと、正面防衛力の整備に重点が置かれ、後方支援部門の整備が圧迫を受けて、全体としての能力は意外に低い水準にとどまる。三、防衛力整備上の国内的諸条件への配慮、言ってみれば経済とか財政上の制約、隊員の確保上の制約、あるいは施設を取得する上での問題点などがあったはずでございます。四番目が、当面の国際情勢に対する判断、こういった四点私はここで挙げております。こういった四点が解説記事として読み取れるわけでございます。  こういう解説記事を読み直してみるときに、昨今言われていることが基盤的防衛力構想なるものを採用しました当時と余りにも時の流れを感じさせるほど遠いものがある。つまり今時の感があると言ってもいいくらい私は変わっているというふうに思うわけです。  ですから、防衛当局が防衛計画大綱に固執する態度とその理由がわからなくなってくる、こう言いたかったわけであります。何か反論したかったら局長してください。
  483. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答え申し上げます。  三原則の第二につきましては、先生が国民世論の動向ということをお挙げになりました。そのほかにやはり経済、財政事情等が考慮の対象になるものと私ども考えております。念のため申し上げておきます。  第三の防衛計画の達成状況等につきまして、いま現在の防衛計画の策定のときの背景について御指摘がございました。その点は御指摘のとおりだと考えているわけでございます。  しかしながら、そうやって策定されました防衛計画の大綱を現在実施中でございまして、そして、大綱の別表の示されました線を目標として毎年努力をしておるのでございますが、まだまだその実現にほど遠いというのが状況でございますので、私どもといたしましては、基礎から見直してやるよりも、現在進めている大綱を速やかに達成することがむしろ現在の状況に沿うのではないかと、そういうふうに判断いたしまして現在の大綱の達成に努力をいたしているわけでございます。  そして、その大綱が達成されました場合には、これをそのまま維持するのがいいか、あるいは改めるのがいいか、これはまさに真剣に検討しなければならない問題になるというふうに考えているわけでございますが、達成の時期がまだ明確でございませんので、その点につきましても詳しく申し上げる立場にないというのが偽らざる状況でございます。また、詳しい点はひとつ政府委員から。
  484. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど基盤的防衛力の構想に切りかえたときの四つの点を指摘されて、ああいう方向に切りかえたんだということで、そういうことの御指摘があった点はそのとおりでございますが、それをいろいろ考えていると、ずいぶんいま状況が変わっているではないかということなんでございますけれども、私ども防衛計画の大綱の基礎になっている考え方としての基盤的防衛力という考え方が、よく言われておりますように、先ほども先生最初にちょっとおっしゃいましたが、いわゆる没脅威論というような考え方でできておるというふうに一般的に言われておるように思うんですけれども、私どもは必ずしもそうではないという感じを持っております。というのは、五十二年の防衛白書にも詳しく解説がなされておるわけですけれども防衛というものは脅威というものを考えなくして防衛はあり得ないということも言っておりまして、その脅威を意図と能力とに分析しまして、そしてまあ詳しいことは省略しますけれども、その記述が書いてございますように、現在の基盤的防衛力の考え方を取り入れたんだと、そのバックにはいまの四点のことがあったんだというふうなことを申しております。  そして、基盤的防衛力の考え方は、必要な場合に——必要な場合といいますのは、状況の変化に応じてエキスバンドできる基盤を持つんだというような意味もその中に述べられております。そういう考え自体は、私必ずしもそれは没脅威論でいまの時勢に合わないというふうに言ってしまう必要はないんではないかというふうに考えるわけでございます。そういうことが一つ。  いま大臣からもお答えしましたように、ともかく現状が大綱の水準にははるかに足らないわけでございますから、私どもといたしましては最近の厳しい状況考えまして、一日も早く大綱の線に達したいということは申し上げておりますが、それが現実にいまの防衛を預っております防衛庁としてなすべき急務ではないかというふうに考えております。  その二点からいたしまして、私ども防衛計画の大綱をいま直ちに見直すとか、あるいは基盤的防衛力の考え方を見直すとかということをいま考えていないということを先ほど来申し上げておるわけであります。もちろん、私は基盤的防衛力の考え方をいまここで決して礼賛をしておるわけではございませんけれども、全く没脅威論だと言ってしまうことはないという趣旨で申し上げたわけでございますが、いま申し上げたことの二点から、当面この考え方で大綱の別表の水準に早く到達したいということでございます。
  485. 木島則夫

    ○木島則夫君 こういう議論を繰り返していますと、どうしても素人の発想で一言ぐらい伺いたいと思うんですけれど、大綱の水準にいま達していないと、その水準に達することが急務であるということですね。そうすると、こういうたとえはいいのかな、いま思いついたので、こういう表現がいいかどうかわかりませんよ。まだおなかいっぱい食べてないと、腹八分目ぐらいのところにまだあるんだと、全部おなかがいっぱいになってからその次のメニューは考えましょうと、こういうことですか。しかし、その間にもう状況は変わっていて、腹いっぱい食べちゃったら動きがとれなかったり、やらないでもいいところに栄養を補給し過ぎちゃったりということにならないですか。やっぱりメニューがもう一つ先に設定されて、そのメニューに合わせて、満腹をしなくたって腹八分目のところで先の見通しとの連携を保つという、大変素人発想で悪いんだけど、局長、そういう発想というのは間違っていますか。
  486. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまの先生のおっしゃった発想は、私は全然間違っているとは思いません。そのとおりだと思います。
  487. 木島則夫

    ○木島則夫君 だったら、やったらいいじゃないですか。
  488. 塩田章

    政府委員(塩田章君) それで、先ほど来申し上げておりますように、三つの要件が考えられるという場合の、第三の要件で達成状況というふうに申し上げているわけです。達成をした場合とは申し上げてないので、その達成状況と、それから第一、第二の点とをあわせて総合的に判断すべきであろうということを申し上げておるわけであります。
  489. 木島則夫

    ○木島則夫君 これはいずれ詳しく私も話めて、専門家の立場ではございませんので、また私も勉強さしていただきたいと思います。  そこで、お尋ねをしたいんでありますけれど、防衛庁長官が答弁をされている、防衛計画の大綱は現在変える考えは持っておりませんというこの言明は、政府の言明と了解をしておりますけれど、こういう立場は国防会議なんかで討議されたことでもあるのか、あるいは国防会議の議員懇談会でも開かれて、活発な意見交換でもあった上のことなのかどうかということですね。閣僚の場ではどうだったかということ。少なくともアフガニスタン事件以後、あるいは鈴木内閣成立以後、国防会議並びに同議員懇談会が開かれて討議をされたかどうか。私はやっぱり必要じゃないだろうかと思いますね。変える必要がないんだ、ないんだ、ないんだという、こういうお立場、言い分というものは政府の言明として了解はいたしますけれど、やっぱりさっきの短SAMがこれだけ慎重な御討議を要していることを考えますと、そういったところでも私はやはり変えないという、見直さないというこの答弁は大変大事なように思うんですけれども、どんなものでしょうか。
  490. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) お答えいたします。  防衛計画の大綱をいま直ちに改正する考えはないというのは、政府の一致した考え方でございます。  また、大綱の問題を国防会議なり懇談会で検討したことがあるかというお尋ねでございますが、いままでのところ検討はいたしておりません。  また、防衛計画の大綱を変えるとすれば、これは当然国防会議、閣議の議を経なければいけない、これは申すまでもないところでございます。
  491. 木島則夫

    ○木島則夫君 これだけ情勢が変化をして、国内状況も成熟をしてきているというふうにわれわれは見ているわけですよ。そういう中で、そういう状況が設定されつつある、醸成されつつある中で、大綱の見面しという、これは非常に重要なことだと思うの、客観的に。そういうことをやはり議論をする上で、国防会議なり同議員懇談会なり閣僚の場では白熱した議論があってしかるべきだったというふうに私は申し上げているわけですよ。長官、もう一回。白熱した議論、なかったですか。
  492. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 白熱した議論があったかなかったかと、こうお尋ねになりますると、お答えしにくいんでありますが、あったとは申せない状況でございます。
  493. 木島則夫

    ○木島則夫君 何だか気が抜けちゃったな、これ。  長官、私もこういう提言、私どもがこういったいわゆる防衛力の整備、自衛力の整備については、現下の情勢、厳しい情勢の中でこれが必要なんだという選択をいまとるべきときであると、こういう大前提に立って、三条件についていろいろお話しをしたわけであります。したがって、もう話し合う土俵というものは設定されたというふうに私ども考えておりますから、これはまあきょうを限度としませんでも、後日いろいろの委員会なり国会なりで御議論を申し上げていきたいと思います。  したがって、まあ夜も遅くなりましたし、私の質問は一応これできょうは閉じます。結構です。
  494. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五分散会      —————・—————