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1980-11-20 第93回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     片岡 勝治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林  ゆう君     理 事                 藏内 修治君                 竹内  潔君                 矢田部 理君                 木島 則夫君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 中西 一郎君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 片岡 勝治君                 野田  哲君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        外 務 大 臣  伊東 正義君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  大村 襄治君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       石川  周君        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        国防会議事務局        長        伊藤 圭一君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   多田 欣二君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        防衛審議官    西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛庁衛生局長  本田  正君        防衛庁経理局長  吉野  實君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁長官  渡邊 伊助君        防衛施設庁施設        部長       森山  武君        外務大臣官房調        査企画部長    秋山 光路君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省条約局長  伊達 宗起君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君        大蔵省主計局次        長        吉野 良彦君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        外務省北米局審        議官       栗山 尚一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として片岡勝治君が選任されました。     —————————————
  3. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 前回に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 矢田部理

    矢田部理君 外務大臣の時間の御都合があるようでありますので、冒頭外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、アメリカ大統領選挙カーター氏からレーガン氏にかわることになり、レーガン氏の対外政策についていろんな見方、受けとめ方が出ておるわけでありますが、特にレーガン氏につきましては、選挙政策あるいは選挙中のさまざまな発言側近動きなどを見ておりますと、全体としてタカ派的な傾向が強い、あるいは国際的に低下した威信——彼らの言う威信でありますが、何とか回復をして強いアメリカを演出しようという特徴的な言動が目立つわけであります。  たとえばSALTIIについても、これはアメリカ上院批准を留保しておるわけでありますが、その批准をやらないだけではなくて、改めて再交渉する、外交慣例を無視したような発言すら見受けられますし、あるいは核拡散防止にも反対だというような報道も伝えられています。さらには、カーター時代製造等を中止しておったB1戦略爆撃機製造再開中性子爆弾のそれ、MX大陸間弾道弾配備促進など軍備の面でも非常に強い姿勢を打ち出してきているわけであります。また、さらにはカーター氏の人権外交を批判して、人権のために同盟国犠牲にするようなことがあってはならない、台湾との公式関係を樹立をするというようなことも含めて非常に反動的な、あるいは冷戦時代に逆戻りをするのではないかと思われるような発言がしばしば今日まであったわけであります。  もちろん、これは選挙でありますから、非常に極と極とで問題を出し合うということもありますし、当選後の発言について若干手直し、現実とのずれについての考え直しみたいな発言も見受けられないわけではないのでありますが、いずれにしてもレーガン氏の外交政策が今後カーター時代とどう変わっていくのか、どういう特徴になって出てくるのかということはきわめて大きな関心事であります。その点で、個別的には次々に伺ってまいりますが、まず外務大臣の受けとめ方について冒頭伺っておきたいと思います。
  5. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) お答え申し上げますが、いま先生がおっしゃったように、選挙中にいろいろ演説があり共和党公約があった、また選挙後も記者会見等で言われたというようなことが伝わっていることは先生いまおっしゃったとおりでございます。ただ、私ども注意をして見守っておるわけでございますが、だれが国務長官になられるとかスタッフがどうとかいう周囲政策を実行していく人、そういう人々が十分まだ決まっておらない段階でございますし、正規な新政権は来年の一月二十日からということでございますし、特にレーガンという人は周囲の人をうまく使いながら十分働かしていくんだというようなことを言われている人だというようなことからしますと、どういうスタッフができるかということも非常にこれ関係のあることでございまして、私ども選挙中に言われたことどもがそのままストレートに政策になるかどうかということにつきましては、どういう進展を見ますか私どもも注意深く見守っておるところでございますし、ちょうどいま大来政府代表向こうへ行っておることでございますし、恐らく側近スタッフになる人じゃないかと思われるような人ともいろいろ会って話をしているというようなことでございまして、確たるまだ政策というものはわからぬわけでございます。  そういう中で、あれこれこういうことになるんじゃないか、ああいうことになるんじゃないかという想像をしますことはいかがかと思いますので、私どもは注意深く政策を見守っているところでございますが、ただ言えますことは、カーター政権レーガン政権アメリカを取り巻く周囲の事情がそう大きく変わるということはないわけでございまして、周囲国際環境の前提は大体同じだということから考えていきますと、私はそう大きな変化とか、そんなに大きな転換ということはないのじゃなかろうかというふうに思っております。  レーガンという人は非常に現実的な政策を行う人だと、カリフォルニア知事体験から言っても、ということがございますので、先ほどの先生がおっしゃったような演説なり公約なりがその後若干途中から軌道修正されたりしていることがあるわけでございますので、私どもは見守っているということでございますが、先生のおっしゃったいわゆる力による平和といいますか、安全の幅というような表現をしていられることもあるということで、そういう方面の関係カーター政権よりニュアンスの違った、あるいはどれから着手するかというようなそういう問題の選定の順位とか、そういうことにおいてはある程度の変化ということが出てくることは予想されるわけでございますが、具体的にこうなるだろう、ああなるだろうということは、いまわれわれはまだ言う段階にないというふうな考え方でおるわけでございます。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 これは選挙政策としてさまざまな言動があったというだけではなくて、やっぱりレーガン自身がかねてから持っていた思想的系譜から見ても、カーター氏よりもより強い姿勢、力による平和とか強いアメリカとかという方向で全体として動くことは想像にかたくないわけであります。特に選挙でありますから、アメリカ国民にそういう約束をして、しかもそれが一応支持をされた形で新政権は登場するわけでありますから、現実とのずれその他があることは私も承知をしております。たとえば、一方で大軍拡構想をぶち上げながら、他方では年率一〇%の減税を三年間連続でやると。アメリカ経済、財政の状況から見て、人の国のことを言うのは何でありますが、とてもその両者の間には整合性が問われるような問題が深く横たわっていることも事実でありますが、しかしそれにしましても、たとえばレーガン氏を支えたのは、カリフォルニア出身地でありますが、軍需産業だと、この要求を非常に強く反映をしているという見方もございます。あるいはまだブレーンが最終的に決まったわけではありませんが、選挙を取り巻く選挙参謀グループあるいはその後取りざたされているブレーン等を考えてみましても、きわめてタカ派的イメージの強い人たちが全体としてレーガン政権のやっぱり中枢に座るであろう、そういう筋からのいろんな発言も今日聞こえてきているわけであります。  その特徴点は、軍拡問題についてはアメリカもやる、さっき申し上げましたように、B1あるいは中性子爆弾、ICBMの配備などを含めて。アメリカもやるという方向づけを非常に強く出した以上、やがて日本ヨーロッパ諸国に対しても非常に強い力で軍備増強について要求を従来にも増して強めるだろうということが大方の見方、受けとめ方になっているわけでありますが、この点についてどういうふうに考えておられるのか。特にたとえばサーモンド上院議員共和党の右派と言われる人でありますが、日本等同盟国に対しては防衛力強化をこれから要請することになるだろう、特に日本防衛努力を大幅にふやすべきである、そのために日本など同盟国特使を派遣するというきわめて具体的な提案といいますか、レーガン筋動きについてもサーモンド議員を通して伝わってきているわけでありますが、こういう動きに対して一体日本政府はどう対応しようとしているのか、どう受けとめているのか、特使派遣まで提案をしているわけでありますが、外務大臣に伺います。
  7. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま申し上げましたように、まだ向こう政権が誕生してはおらぬわけでございまして、特使派遣等向こう議員さんが言ったというようなことを先生いまおっしゃいましたけれども、まだそういう正式な連絡は何もないわけでございます。まだ政権ができてないんですから。いろんな方がいろんなことを向こうでも言っておられるという段階でございますので、私の方として、こう言ってくるだろう、ああ言ってくるだろうというようなことでいろいろ言いますのは、私はまだ時期尚早だと思っているわけでございますが、先生おっしゃったようないろんなことが言われていることは確かでございます。  われわれも新聞紙上等でそれは知っているわけでございますが、いま一つ軍備といいますか防衛の問題のお話がございましたが、これはカーター政権、現政権でも日本防衛努力に対して強い期待表明があることは確かなのでございます。いまも期待表明があるわけでございまして、レーガン政権になりましてそれがどういうふうになるか、われわれはいまこうなるだろう、いま八十だったものが百になるだろうとか、質が変わってくるだろうとか、そんなことはいまわれわれは予想はしてない、じっと見守っているというところでございますが、日本態度は、私はほかでも申し上げたことがあるんですが、もう先生も御承知のとおり日本には制約があるわけでございます。  カーター政権のときも、私がアメリカへ行きましたときもいろんな期待表明がありましたが、この防衛の問題は、これは日本日本を守るという、安保条約のもとで日本を守るという、自分で考えなければならぬことなんだと、ですからこれは自主的にどうしていくかということを十分考えて着実な整備はやっていくんだと、しかし、それにはいろんな制約もあり、国民コンセンサスというものが必要なんだということを私は常に言ったのでございます。  アメリカも、これは日本で考えることだがということを必ず向こうでつけておるわけでございますが、やはり日本態度というものはそういう態度、いろんな制約もある、自主的に考える、軍事大国にはならぬというようないろいろもう制約のあることは確かでございますから、そういう考え方をやはり新しい政権に対しても日本としてははっきり申し述べる。そのもとで日本国民コンセンサスを符ながら自衛力強化ということを図っていくという態度は、私は日本としては変わらぬというふうな態度向こうに話をする。なるべく早い機会アメリカにもその意向を、日本はこう考えているんだ、経済問題もこうであります。防衛の問題もいまおっしゃいましたが、日本態度を早く説明する必要があるというふうに私は考えております。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 まだ向こう出方を見ないことには何とも言えぬという見方が基礎になっているように思われますが、すでに政権を受け継ぐいろんな人事に入っている。その中でさまざまな発言が、公式発言ではまだないにいたしましても、伝わってきているわけです。特に国会でも今回問題になっているGNP一%以内という数値についても、二%ないし三%にすべきだと、これはズムワルトという元の海軍作戦部長でありますが、レーガン氏の軍事顧問なんですね。あるいはシンクタンクと言われるヘリテージ財団概算要求九・七%は不十分だと、もう少し高めなきゃならぬ。いろんな動き共通をしておりますのは、もちろんカーター時代にもさまざまな日本防衛努力についての要請があったことは承知しておりますが、そのカーター時代よりも強まりこそすれ弱まることはまずないであろうというのは、まず共通見方になってきております。それだけに、日本政府の対応も厳しいものが出てくることはもう十分——出方を見なきゃわからぬということではなくて、覚悟しなきゃならぬと思うんでありますが、その場合にどう対応するのかということが一つであります。  とりあえず大来さんをアメリカに配置をしていろんな接触を試みているようでありますが、新政権発足後に外務大臣級なり、あるいは日米首脳会談を含めてアメリカ対外政策、あるいは対日政策を含むアジア政策等について特段の接触を持つ機会外務省自身は構想しているでしょうか、あるいは政府としてもその辺をどういうふうに考えておられるでしょうか。
  9. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 政権発足前でもいろんなルート外務省向こうの大使館もございますし、恐らくスタッフになるだろうというような人につきましてもいろいろ当たるとかいうことをしまして、意思の疎通を図らなければならぬということは当然でございますし、政権発足いたしましたら、私、外務大臣国会日程がございますからいつ出れますかわかりませんけれども、なるべく早い機会国会の御了解も得て、御承認を得れば向こうに行きまして日本立場もはっきり向こうへ伝える、向こう意見も聞き意見の交換をしてくるという機会をなるべく早く持ちたいというふうに私自身は考えております。  総理の訪米は、これはまた国会との日程がございますから、いつということはわかりませんが、総理も、早い機会にそういうことがあった方がいいということをこの間国会でも総理答弁しておられましたので、私はいつというようなことはわかりませんが、やはりそういう機会はなるべく早く持った方が日本のためにもいいことだというふうに思っております。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 せっかく外務大臣がおいでになっておりますのであわせて伺っておきたいのですが、もう一つレーガン氏の対外政策の中でカーター大統領人権外交をかなり批判している。そのために同盟国犠牲にしちゃならぬ、これは当選後の記者会見でも繰り返しまた強調をしているところなんであります。こういうことを言われますと、どうしてもわれわれとして敏感にならざるを得ないのは対韓国関係、とりわけ金大中氏の死刑が判決をされて非常に危険な状態にいま置かれている状況にあるわけでありますが、全斗煥体制もどちらかというと、カーター氏よりもレーガン氏に期待をかけておったという裏方の動きもずっとわれわれは承知しないわけではありませんけれども、それだけにわが国の金大中氏問題というのは——ここで多くの時間を費す余裕はありませんけれども、きわめて外交上もあるいは人権や主権の立場から見ても重要なテーマであったわけであるし、今日依然として大変な事態になってきているわけでありますが、この点について重大な変更アメリカ政策変更が行われる可能性も強いわけであります。この点については外務大臣、どういうふうにお考えになっているでしょうか。またアメリカとどういう接触を持っておられるでしょうか、最近の動き等も含めて。
  11. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 人権外交につきましてレーガン氏が演説をされたことも新聞等で知っております。これが韓国にどういう影響、いま先生おっしゃった金大中氏の身辺の問題にどういう影響があるかという非常にむずかしいデリケートな御質問でございますが、私も金大中氏の身辺、あの裁判の成り行きにつきまして非常に大きな関心を持っておりますし、金大中氏が拉致されたという特殊なことがございましたので、その後政治決着はしておりますが、日本としましてあの問題に重大な関心を持っているということは、先生と私も同じ考え方でございます。いろんなルートを通しまして、実は内政干渉に当たらぬように十分注意しながら、韓国政府に、金大中氏の身辺重大関心があるということを意向は伝えてあるわけでございます。  どういう方法アメリカと、あるいはカーター政権と、あるいはレーガンさんの方と連絡もとっておるのかという御質問でございますが、私はこれはいろんなルートで考えておりますが、一々これ申し上げることはちょっとはばかりますので、その点は私は外務委員会でも具体的にどこにどうしたということは言っておりませんので、この点は非常に機微にわたる問題でございますのでひとつ答弁を遠慮さしていただきたいと思います。一生懸命何とか意向が実現するように努力をしている最中でございます。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 韓国からたとえば判決内容も十分に知らされない、判決書きについても何度か請求したが向こうは拒否をしているというような状況、あるいはまた全斗煥体制レーガン氏に期待をかけているという一連の動き等々から見て、従来にもまして金大中氏をめぐる状況はやっぱり厳しくなったというふうに受け取らざるを得ないわけであります。その点で外務大臣のなお一層の努力、これはやっぱり日本政府として責任のある課題、問題でありますから期待をしておきたいと思うわけでありますが、同時に、時間の関係がありますので、実は海外派兵とか軍縮問題をさらに大きく外務大臣にいろんな角度からお伺いをしたいと思っておるわけでありますが、海外派兵の問題は別途議論をすることにいたしまして、軍縮問題について数点伺っておきたいと思います。  一つは、去る十月二十一日の国連大川大使軍縮問題についての一般演説をやっておられます。これを読んで見ますと、なかなかいいことも言っているんですね。たとえば、核軍縮の一歩としての核不拡散が効果的に進んでいない事態に対し、「かかる事態を阻止する唯一の途は、核兵器国最高指導者が、核軍縮促進のための「青信号」を出すことである。」という演説内容であるとか、また「全ての国に対し、如何なる名目であれ、核爆発実験に結び付く行動を厳に差し控えるよう強く訴えたい。新たな実験は、世界の平和と安全を希求する諸国民に対する深刻な挑戦とみなされよう。」こういう基本原則に立ってこれからとりわけ核軍縮外交を進められるというふうに承ってよろしいのでしょうか。
  13. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 核の問題は、日本が本当に唯一被爆国でございますから、核兵器というものに対して日本人が非常な世界じゅうでも特別な体験と感情を持っているということが私は核軍縮基本日本人基本だろうと、こう思うわけでございます。それで、いま、大川君が言いましたような考え方で、特に核兵器保有国米ソの核の軍備管理から戦略核——この間スイス交渉米ソでやりましたが、ああいう核軍縮といいますか、管理から縮小へ持っていく、あるいは核兵器につながる実験、いまは地下実験が禁止されてないわけでございますので、これは地下核実験禁止まで含めました包括的な核実験禁止条約というものをいま米ソでも協議をし、スイス軍縮委員会でも交渉をしておるわけでございまして、日本もおととし、日本地震学者専門家が大分入りまして、その探査方法、核を地下実験した場合にどうやったら調べられるかというような専門家会議も東京で実はやったのでございます。そういうことで、この核軍縮につきましては、いま大川君が演説しました内容日本はこれから取り組んでいくということを考えている次第でございます。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 そういたしますと、大川演説でも触れておるわけですが、核兵器国最高指導者青信号を出させる、いわば軍拡ではなくて軍縮に向かわせるということを明確にしたわけでありますが、その場合に、単に最高指導者演説青信号を出せと言うだけではなくて、日本としてそれならば具体的にどういう努力をするのか、どういう方途を考えているのか、その点はいかがでしょう。
  15. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 軍縮は、先生承知のように、スイス軍縮委員会専門に取り上げているわけでございます。それから、国連でも取り上げるわけでございますので——国連は、今度日本は非常任理事国当選をしましたので、来年の一月一日以降理事国になるわけでございますから、そういう場でも主張し、あるいはスイスでの核軍縮委員会作業部会等で、たしかあれは化学兵器のでしたか、日本が議長になってやったりしたのでございますが、そういう場で、これは日本だけでやっても実効は上がることは薄いわけでございますから、やっぱり世界の世論としてそういうものを何とかして実現していくということで、いろんな場所でやはり日本がイニシアチブをとりながらそれを粘り強く続けていくというのがやり方としては考えられることじゃないかというふうに思っております。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 私どもは、日本唯一被爆国であるとか、核について非常に厳しい政策を出しているということ、あるいは平和憲法を持っているという立場から見ても、軍縮については世界の中で一番市民権を持っているといいますか、日本立場説得力を持っていると思うのであります。そういう立場をフルに活用して、とりわけ国連軍縮特別総会を成功させた非同盟諸国等をもより大きく結集をしながら、やっぱり大きな国際世論づくりについて積極的にイニシアをとるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  17. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先生おっしゃいましたように、日本というのは核の問題につきましては説得力があるだろうとおっしゃったことは私もわかるわけでございまして、いま申し上げましたように、そういう世論を形成できるという場所は、まさにそれをやっている核軍縮委員会であり、国連という場所でございますので、そういうところで日本としまして積極的にこの問題と取り組んでいくというやり方が大切だと思いますし、またそういう態度で取り組むつもりでございます。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 どうもやっぱり国連とか軍縮のための集まりの場で演説をするというだけでは、実際はなかなか進まないというのが現状だと思うんです。そこで、その努力もさることながら、日本がやっぱり率先して非同盟諸国や第三世界の国々と一体となって全世界軍縮を積極的に呼びかける、イニシアをとるという具体的な動き努力が必要だと私は思っているわけです。そういう立場で物を考えていった場合に、いまなるほど核兵器の問題、核軍縮が中心ではありますが、当然のことながら、軍縮というのは通常兵器にも及んでいかなきゃならぬと思うわけであります。その場合に日本は、みずからは軍拡をしてあるいは軍備を増強をして他国に軍縮を呼びかけるというのでは、いかにも説得性がない、欺瞞的なポーズだとしか映らないわけでありますので、そういう点でも日本立場を、軍拡ではなくてやっぱり軍縮の方向づけを明確にしながら、みずからを正しながら軍縮を説くということが外交としてきわめて重要なのではないかというふうに考えますが、その点どうであろうかということが一つ。  時間がないようでありますから二、三問まとめて伺いますが、もう一つは、いま世界の年間の軍事費は五千億ドルにも達するというふうに言われているわけです。日本円に換算をいたしますと、百十兆円を超えるわけですね。このために非常に福祉とかそれぞれの経済とかということが圧迫をされる要因になってきているということも事実なんであります。日本状況を見てみましても、軍事費の比重が年々ふえてくる。厳しい予算情勢の中でも、特別枠までつくろうという動きになってきている。そういう方向ではなくて、これはもう少し経済的な問題についても議論をしたいのでありますけれども、たとえば対外経済協力も、言うならば先進国の国際的な水準にはまだまだ数値的にも追いついていないわけであります。まさに日本の安全保障の重要な環として、軍事費に回す金を一部でも割いて開発途上国に対する経済協力費に回していく、あるいは先進国並みの経済協力ぐらいはやらないことには、日本外交として対外的な発言力、説得力もやっぱりないのではないか。ただ、国連に行ってきれいごとを述べるだけでは現実は進まないということをしみじみ感じているわけでありますが、外務大臣の時間が制約されているようでありますから、その二、三の点についてお答えをいただいて、とりあえず私は外務大臣に対する質問を終わります。
  19. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 軍縮の問題、先生のおっしゃったように恐らく核兵器が三〇%、通常兵器が七〇%ぐらいになりますか、軍備費の分析をするとそのぐらいになると思います。通常兵器の軍縮も大切だということ、先生のおっしゃったとおり、これはそのとおりでございます。ただ、軍縮の問題は、各国見ておりますと、やはり総合安全保障の中で軍縮をどう考えていくかというような立場、もう軍縮というのが一人歩きということではなくて、総合安全保障の中で軍縮というものをどう考えていくんだというような立場世界各国がいろいろ交渉し、議論をしているということもこれ現実でございますし、また軍縮基本は国際間の信頼関係がないとだめなわけでございまして、現実の姿がなかなかそこにいっておらぬというところ、理念と現実の食い違いということでいろいろ問題があるということ、軍縮のむずかしさということは私どももよくこれは理解しているわけでございまして、先生いまいろいろ御意見ございましたが、これは御意見として承っておきたいと思うわけでございます。  それから、もう一つの開発途上国の援助等の問題のお話がございました。私もそのとおりだと思うんです。アメリカへ行きましてブラウンさんといろいろ議論したときにも、安全保障というのはやっぱり総合的に考えるべきじゃないか、日本は、御承知のようなこの間カンボジアの問題が起きましてタイあるいはアフガニスタンの問題が起きまして、パキスタンあるいはトルコ等に相当援助も実はしたわけでございます。経済援助。こういうこともやはり私は世界の総合安全保障という意味から大切なことじゃないかと、日本はそういうことは特に注意していますよということを言ったのでございますが、確かにODAの問題も、これは南北問題として考えた場合に、なるべく南北問題で摩擦を起こさぬという意味で開発途上国に政府援助をよけい出すということは、先生のおっしゃるとおり外務省としては極力これは努力するつもりでございます。まだ十分なっておりませんが、今年度で三年倍増ということを国際的に約束しましたのがちょうどことしで三年目、五十五年度でこれは実現できます。五十六年度からは、来年年度の予算に関連することでございますが、また中期目標をつくって国際的に何とか公約を掲げてそれを実現していく、南北問題の解決に少しでも役立てたいというつもりで、五十六年の予算では大蔵省と、これは外務省の重点事項としまして、定員、機構の問題とあわせてこの政府開発援助ということの予算に取り組むつもりでございます。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと一点だけ追加しておきたいと思いますが、たとえば政府関係開発援助費が日本はGNPの〇・二六%、先進諸国の水準は〇・三五%という数値が出ております。防衛費について言えば一%論とか、さらにふやせとかというアメリカ要求とか、盛んにGNP比が出るわけであります。やっぱりこの経済開発援助についての比率が国際水準からきわめて低いということが一つ問題点なので、そこをあれしておきたいのと、もう一つ、先ほどの大川国連大使の演説の中で、全面完全軍縮への前進に資する方向でのインド洋平和地帯の設置を支持するというふうに述べておるのであります。インド洋については具体的な提案をしているわけでありますが、わが国を中心とする軍縮構想、平和構想についてのやっぱり提案がきわめて具体的にないということが私は非常にさびしい思いがするわけであります。そこで、先ほどの観点から私ども社会党は、アジア・太平洋非核地帯設置構想、あるいは東北アジア非核地帯設置構想等の具体的な提案を行っております。これは、提案だけではなくて、朝鮮民主主義人民共和国と具体的な話し合いもいま詰めつつあるわけであります。オーストラリア、ニュージーランドとの関係でもこの問題を御相談をしているところなんであります。  こういう具体的な提案を積極的にやっぱり政府外交としても推進をしていくべきなのではないか、こういう社会党の提案についてどう考えられるか。政府としてもやっぱりこういう取り組みをすることがまさに軍縮の大きな一歩だと、具体的な努力だというふうに思うのですが、この点についての所感を承っておきたいと思うんです。
  21. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ODAのGNP比が先進国より低いことはそのとおりでございまして、三年倍増でいまことしまでで追いかけてこれからまた追いつこう、追い越そうということで一生懸命努力するつもりでございます。  それから、具体的にアジアの非核地帯の、あるいは北東アジアのということ先生おっしゃいましたが、これは中南米でそういう地帯が条約ができたこともございます。ただ、先ほど私申し上げましたように、非核地帯の構想とか軍縮という具体的な地域まで指定してやる場合には、そこの地域におけるやっぱりもう各国間の信頼が皆あるということが前提になるわけでございまして、北東アジアで中国、ソ連、韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国と、こういろいろ頭に浮べて考えてきましたときに、そういう国際的な信頼が相当高い程度にでき上がって軍縮を話しするような環境には私はまだなってないというふうに思うわけでございまして、そういう遠い目標が、りっぱな目標があるということはよくわかるのでございますが、現実の問題として、そういうところにはまだ至る現在の環境ではないというふうに私どもは見ております。ただ、国際信頼を皆増すような努力外交はすべきだということは私はそのとおりだと思いまして、そういうことにつきましてインドシナ半島の平和の問題とか、できるだけのことを日本としてやれることはということで取り組んでいるようなわけでございます。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 時間の制約がありますようですから、外務大臣については終わります。それで、防衛庁長官に次に伺っておきたいと思います。  先ほどレーガン氏の対外政策、あるいは日本に対するさまざまな軍事的な風圧が強まってくるだろうという大方の見方があるわけですが、防衛庁としてはこれをどう受けとめておられますか。
  23. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  レーガン次期大統領のもとでの米国の政策がどうなってくるか、特に対日政策がどうなってくるかは、先ほど外務大臣もお述べになりましたとおり、現時点で具体的に論ずることは時期尚早であると私どもも考えておる次第でございます。  しかしながら、重ねての防衛庁に対するお尋ねがございましたので、わが国の防衛努力に対する姿勢カーター政権姿勢基本的には変化がないものと考えております。レーガン大統領の属する共和党選挙の際の発表されました政策その他から見まして、基本的には現政権姿勢とそう大きな変化はないものと考えておるわけでございます。  そこで、防衛庁といたしましては、わが国が防衛の分野において有する種々の制約の枠内で防衛努力を行ってきていることについては、レーガン次期大統領の側においても十分承知しているものと考える次第でございます。次期政権下においてもこのような種々の制約の枠内でわが国がなし得る努力を引き続き自主的に強化してほしいとの期待が寄せられることになるものと予想されるのでありますが、これまでもしばしば申し上げておりますように、わが国の防衛努力はあくまでもわが国の自主的判断に基づき、憲法、専守防衛の枠内で国民コンセンサスを得つつ行っていくものであると防衛庁としましては考えており、この考え方は変わりがないわけでございます。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 外務大臣に伺っておりますから余り繰り返しはしませんが、カーター氏ですら、選挙中のテレビ討論で、レーガン氏の強いアメリカ、力のアメリカ軍拡構想には懸念を表明している、重大な疑問を投げかけているのでありまして、基本的には変わりはありません、そういうものとして受けとめていますということだけでは私は済まされないような気がいたします。  二点目は、これは繰り返し防衛庁長官も言うのでありますが、防衛問題については日本みずからの判断で自主的にやるんだということを言われておりますが、いままでの経過を見ると、そうでしょうか。最近しばしば問題になっている中業の繰り上げ達成問題にしても、日本の自主的判断や努力ということよりも、アメリカの強い要請を受けてその繰り上げ達成を大平前総理が約束をする、あるいは五十六年度の予算で回答を出す、その延長線上で防衛予算の概算要求で特別枠をつくる等々の一連の動きを見ただけでも、どうもやっぱり日本の自主的な判断でやられているというふうには考えられない一連の動きがあるわけでありまして、その点で防衛庁の認識は、現時点ではなかなかレーガン政権の方向づけについて物を言うのは言いにくい立場ではありましょうけれども、やっぱり強い風圧があるということは心していかなければならぬだろうと思うんですが、もう一回だけ答弁を求めます。
  25. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) カーター政権のもとにありまして日本防衛努力の増加について要請があったことは事実でございます。また、故大平総理大臣が、自主的判断に基づいて努力をするというお話をされたことも伺っておるわけでございます。そういった経緯もございますが、いずれにいたしましても、わが国の防衛努力はあくまでもわが国の自主的判断に基づいて実施されなければならないことは当然でございますので、アメリカ政権が変わりましても、その基本方針は堅持してまいりたいと考えておるわけでございます。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、最近の軍事力増強の一連の危険な動きについて幾つか長官にただしていきたいと思うわけでありますが、どうも最近の軍備拡張の動きの背景を考えてみますと、アメリカからの再三にわたる強い要請、二番目にはソ連脅威論、そして三番手には日本の財界のこれまた強い要請、三つの特徴点状況の上に大変な防衛力増強キャンペーンが張られているという気がしてならないわけであります。  そこで、アメリカ問題に引き続きまして、これは前回、野田委員からも再三にわたって何度かやりとりがあった点でありますが、ソ連の脅威論について、私も何度長官の答弁を伺ってもわからないんです。脅威の概念については、意思と能力の両面から見れると。侵略の能力が備われば潜在的脅威になる、意思が加われば名実ともに脅威となる、つまり顕在化するというこの見方考え方のようなのでありましょうが、そうでしょうか。
  27. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  この前も申し上げましたとおり、一般に脅威とは、侵略し得る能力と侵略する意図が結びつくことによりまして顕在化するものでございます。また、潜在的脅威というものは、侵略し得る軍事能力に着目し、そのときどきの国際情勢等を背景として総合的に判断して使ってきた表現でございます。前回申し上げましたとおりでございますけれども、重ねてお答え申し上げます。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 もう一度確認的に承っておきますが、そうしますと、最近問題にされておる潜在的脅威が増大をした、その潜在的脅威というのは、単純な能力、侵略する能力というだけではなくて、いまの言葉で気がついたわけでありますが、そのときどきの国際情勢というのが入るんですか、能力のほかに。
  29. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 潜在的脅威につきましては、侵略し得る軍事能力に着目し、そのときどきの国際情勢等を背景として総合的に判断して使ってきた表現でございます。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 ですから、同じことを読んでいただかなくてもわかるんですが、脅威というのは、そうしますと、侵略の意思と、侵略の能力と、そのときどきの国際情勢と、この三つを構成要素にするんですかと、こう聞いている。そうかどうかだけ答えてください。
  31. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先ほども申し上げましたように、脅威は、大別しまして、侵略し得る能力と侵略の意図が結びつくことによって顕在化するものでございます。一方において、私ども潜在的脅威という言葉を用いておりますので、それはどうかというお尋ねに対しましては、侵略し得る軍事能力に着目し、そのときどきの国際情勢等を背景として総合的に判断する、そうお答えした次第でございます。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 長官も飽きないから、私もまだ飽きないでしますが……。  文章はいいですよ、もう。文章はいいんですが、どうも私どもは、いままでの受けとめ方は、どちらかというと意思と能力だと。能力が出てくれば潜在的脅威だ、意思が加われば顕在的脅威だというふうに受けとめておったのですが、もう一つ、そのときどきの国際情勢というのが、前回もちらっと聞いたような気もするんですが、特につけ加えられておるんで、もう一つ国際情勢という要素が入るんですか、この脅威という論の中には。つまり、潜在的脅威という場合には、単純な能力比較論ではなくて、能力プラスときどきの国際情勢ということになるんですかと。今度は上を向いて言ってください。
  33. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 潜在的脅威の場合には、軍事能力に国際情勢が加わる、そのとおりでございます。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、やや明確になってまいりました。単純能力比較論ではなくて国際情勢が加わる。そこで潜在的脅威論が出てくる。  その国際情勢というのはどういうことかというと、長官が前に述べられたような事情ですか、ソビエトのいろいろな軍事力の展開、増強の状況を指して言っているのでしょうか。それとも、もう少し大きな意味での国際情勢、アジア情勢を指しているのでしょうか。
  35. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えします。  しばしば申し上げておりますとおり、最近におけるソ連軍の顕著な増強と活動の活発化、これはまあ極東を含めてのことでございますが、これは客観的事実であり、わが国の安全にとって潜在的脅威が増していると受けとめざるを得ないのでございますが、さらにアフガニスタンに対するソ連の軍事介入という事態の発生、また、その前におきます北方領土への地上軍部隊の配備、増強その他SS20の極東配備あるいはバックファイア爆撃機の配置、そういった各般の状況を総合的に判断いたしまして、潜在的脅威が増大してきているというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。これまでもしばしば申し上げておりましたが、重ねて申し上げておきたいと思います。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 そのSS20の配備とかバックファイアの議論はもう何度も私も伺っておるんですが、それは能力の増大の方なんじゃないですか、国際情勢の方ですか。だから私は、能力の増強というのは何を指し、能力の増強だけでなくて時々の国際情勢がもう一つつけ加わるという新たな見解が明確にされたわけですから、その国際情勢というのは何を指すのかということを仕分けしてください。
  37. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 北方領土への地上軍部隊の配備は、これは軍事力の増強であると同時に、やはり国際情勢に関係のない事柄ではないと思います。また、アフガニスタンの問題は御承知のとおり、国際情勢の変化一つの要素でございます。また、SS20とかバックファイア爆撃機の配備というのは、確かに個々に見れば軍事力の問題でございますが、そういった新しい軍事力が極東方面にプラスするということがやはり国際情勢と無関係であるとは私ども考えておらないわけでございます。一般に軍事能力と言えば、陸海空の数がどうであるとか、そういった点が重点でございますが、そういった中におけるまた質の面の変化という点も注意してまいらなければいけない点であるというふうに私は判断しているわけでございます。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 少しく迷路に陥るんでありますが、そうしますと、能力というのは軍備における数の面で、あなたの言う国際情勢とは軍備の質の面であると、こういうふうに仕分けをされるわけですか。
  39. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  そう真っ二つに仕分けるわけにはいかないと思います。先ほども申し上げましたように、軍事能力と言いますと兵力の量が主として言われておりますが、もちろん質の点も無視できないわけでございます。そういった点のまた変化が国際間の関係にどういう影響を持つかという点もまた判断の材料になるということを申し上げたんでして、一方がこうで、一方がこうで、截然と区別されると、こういう問題ではないと私は思うわけでございます。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 別の角度から伺いましょう。  アメリカ日本を侵略する能力がありますか。
  41. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) アメリカは軍事能力が大きいということは認めざるを得ないと思うわけでございます。ところが、潜在的脅威があるかという点になりますると、日米安保条約もございますし、そういった国際情勢等を念頭に置いた場合、潜在的脅威という言葉には当たらないものと考えております。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、アメリカは、侵略する能力はあるが、あなたの言う国際情勢、時々の国際情勢に照らして潜在的脅威にはならぬと、こういう話ですね。それは安保条約があるからだと。  ソビエトは安保条約がないから、つまり同盟国でないから脅威になる、こういう理解になるわけですか。
  43. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 潜在的脅威かどうかという的から言いますると、いまお述べになったとおりだと思うわけでございますが、脅威が顕在化したかどうかということになりますると、私はソ連におきましてもそういう意味の脅威ではないものと考えます。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 中国について伺いますが、中国は侵略する能力がありますか。それから、仮に能力が出てきた場合にはどういうふうに長官としてはお考えですか。
  45. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  中国の現在の能力が日本に対して侵略し得る能力を備えていると判断することが適当かどうか、その点につきましては若干問題があると私は思うわけでございます。また、中国とわが国との現在の関係が続く限りにおいては、潜在的脅威という言葉には当たらないものと考えておるわけでございます。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 そういうことになりますと、若干整理的な意味も込めるわけですが、単純に能力がふえたからというだけで潜在的脅威になるわけではないと。アメリカとの関係で言えば、当然のことでありますが安保条約があると、中国との関係では、現在のような状況が続く限りはと、こういうことでありますが、そういう関係にソビエトはないがゆえに言うならば潜在的脅威となっていると、こういうふうに整理されるわけですね、あるいは受けとめていいわけですね。
  47. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) そのとおりであります。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、ソビエトとは敵対関係ないしは対抗関係ということになるんでしょうか。
  49. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げました点、能力はございましても、意図の点があるかないか、全くわからない状態でございます。そういう意味では脅威が顕在化したものとは私ども考えておらないわけでございます。また、潜在的脅威であるとしましても、直ちにこれを敵対視するとか、そういうことは毛頭考えておらないわけでございまして、両国間の関係の改善につきましては、外交交渉その他経済面、文化問題を含めて、それぞれ進めているところでございますので、私どもは決してソ連を敵国視するとか仮想敵国視するとか、そういうことは一切いたしておらないわけでございます。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 長官、アメリカとの関係はもちろん、対中関係でも、現在のような状況がある限り侵略の能力はあっても潜在的脅威にはならぬと言う。言いかえれば、ソビエトはそういう良好な関係にないから、能力の増大即潜在的脅威になるんだということになるんじゃないですか。
  51. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  その点に関する限りはお述べになりましたとおりでございますが、だからといって仮想敵国視するとかそういうことにはならないということを申し上げたわけでございます。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 まだ仮想敵国の話までは行ってないんですが、裏を返せば、要するにアメリカとは同盟国だ、中国との関係は日中平和条約が締結されたというような国際情勢があるから、あるいは友好関係があるから、言うならば脅威にならぬ、能力があっても潜在的脅威にはならぬ、ソビエトとはそういう関係でないから潜在的脅威というふうに受け取らざるを得ないというふうに整理をしていいわけですね。それを仮想敵国と言うか敵対関係と言うかはまた別の問題といたしまして、それで長官の考え方としては私なりに理解をしました。  そこで次の問題に移りますが、どうもやっぱりソビエト脅威論について能力の面からも大変な過大評価があるんじゃないか、ソビエトの能力について誇張があるのではないかということがしばしば指摘をされております。前回でも野田委員からかなり数値を挙げた問題の提起がございました。特に米ソの太平洋艦隊の比較につきましても、ソビエト側の太平洋艦隊は退役寸前の艦船まで入れるとか、アメリカは第三艦隊を除くとか、隻数とトン数だけで比較をして、内容や稼動率や質的な問題を捨象しているという指摘もありましたし、私もそのとおりだと思います。同時にまた、このソビエトを潜在的脅威とする根拠に、各般の航空機や艦船の動き、北方領土に対する兵員の配置等々を指摘されるわけでありますが、それがどういう意味を持っているのか、どういう目的を持ったものなのかということについて防衛庁は分析をしておるでしょうか。
  53. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ソ連の軍事力の増加の点につきまして、白書等の資料が正確でないんじゃないか、誇張されているんじゃないかというようなお話でございますが、私ども、入手し得る資料に基づいて比較検討を行っているところでございます。  ソ連の太平洋艦隊全体が挙がっているのにアメリカは第七艦隊しか挙がっておらないという御指摘でございますが、第三艦隊の数量につきまして正確な資料がまだ入手されておりませんので、これまでも同じ比較をしてきているわけでございます。陸海空につきまして、ここ十年ぐらいの比較検討を行いました結果、十年前は非常に開きがあったものが最近は全体としてほとんど拮抗するようになった、これはグローバルな点でございますが。そのうち、陸海空で多少の差がありますが四分の一ないし三分の一の兵力を極東に転回してきているということは否定できない客観的な事実でございます。また、その一部と申しましょうか、わが国に最も近い北方領土に相当量の陸上兵力がこの一、二年の間に急速に増加している、こういった事実を私どもは無視するわけにはいかないと考えているわけでございます。  その評価をどうしているかというお尋ねでございますが、急にそれだけふえました軍事力の増強、また質の点につきましても、先ほど来申し上げておりますとおり陸海とも非常に質の点も改善がされておるわけでございますが、その意図はどの国に向けられているのか、この点は判然としないわけでございますが、まあ一番近い距離にも位しますわが国としては、そういった事実に目を覆っているわけにはいかない。事実は事実として認識した上で、わが国としてなすべきことがあればこれを進めるというのがわが国の防衛を預かっている責任者に課せられている重要な課題ではないかと私は認識いたしているわけでございます。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁長官ね、軍事力が極東において増強したという事実の真否とあわせて、もう一つ重要なのは、どういう目的、いかなる意味で、どこに向けられたものであるかという分析もこれは軍の最高指導者としては当然持っていなきゃならぬのじゃないですか。単に量的にふえたとか、こういうものが配備されたとか、かかる動きがあるという説明だけではなしに、それが何を意味しているのかという評価が専門的な立場あるいは責任者という立場でなされていなければおかしいんじゃありませんか。その意味するところがわからないがでは、少しく無責任に過ぎるんではありませんか。
  55. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 委員長
  56. 矢田部理

    矢田部理君 いや、あなたよけいな手を挙げなくてもいい、防衛庁長官
  57. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 評価の問題でございますが、防衛庁といたしましてもできるだけその辺の点の研究、勉強もいたしておるわけでございますが、これまでのところ、意図についてはっきりした結論を出すことはできないというのが現状でございます。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 単純化して、侵略の意思があるのかないのかということを聞いているのじゃないんですよ。あなたの脅威論に枠はめをするために聞いているのじゃなくて、いずれにしても軍事増強の目的が何であるのか、どこに向けられているのか、防衛のためなのか、あるいは米ソ間の対抗関係の中で出てきたものなのか、対中関係はどうなのか等々を含めて、やっぱり全般的な一ただ研究調査、検討をしておりますというだけでは無責任だと思います。その種のやっぱり検討結果が、どういうふうに受けとめたからこうだということに発展しないと、ただ、ふえたふえた、脅威だ脅威だと、潜在的脅威の増大だということでは、冷静な対応、客観的な認識、問題の核心的な把握ということにならぬのじゃないですか。その点でもう一度長官にお尋ねをしておきます。
  59. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 詳しい点は政府委員から御説明申し上げますが、私といたしましては、ここ十年以内に極東にソ連の陸海空の兵力が著しく増強したということが、防衛だけのものであるとはなかなかうなずけないわけでございます。また、空母ミンスクの極東配備あるいは上陸用、援護の強力なこれはイワン・ロゴフというんですか、あるいは新式の巡洋艦カラ級の配備、そういったものが、これまた純粋な防衛的なものかどうかは疑問でございます。またSS20のように射程が五千キロ近くあるということになりますると、日本はもちろんすっぽり入りますし、もっとその先の方まで入るということも事実でございますし、またバックファイア爆撃機につきましても同様でございます。  でありますから、意図は那辺にあるかわかりませんが、日本は全然お座敷の外であるというふうに判断することもむずかしいのではないか、そういったようなことを総合判断して潜在的脅威が増大しているというふうに受けとめている次第でございます。非常に大づかみな答弁で恐縮でございますが、もしお許しが願えれば政府委員に補足さしていただきたいと、こう思う次第でございます。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 政府委員はいいんですよ。やっぱり自衛隊の最高責任者ですからね、その基本的な認識、見解を伺っておきたいと思うんです。  私も専門家ではありませんですが、やっぱり各国の戦略研究所とかそれぞれの調査で、配備の目的とかねらいは何であるかというのは、それなりに分析をし、かつ見解を示しているんですね。たとえば、これはロンドンですか、にあります国際戦略研究所で出している軍事情勢の分析で、北方領土について次のように述べているんですね。「三島におけるソ連の行動の主な目的は、おそらく防衛スクリーンを張ることにあり、その背後でオホーツク海とその出入口をソ連の専有水域にして、ここから海軍力を太平洋に送り出せるようにすることだっただろう。また、太平洋に配備されたソ連の新型デルタ級ミサイル潜水艦を守ろうとしたのだろう。」というような評価を、かなり権威の高い分析をすると言われている国際戦略研究所の分析、見方でありますけれども、こういう見方もしている。だから、日本は北方領土は固有の領土だと主張しておるし、われわれもそれを支持しているわけですから、そこに入ってきたことは感情的に見れば大変おもしろくない話であることは事実でありますが、その問題と、その脅威論というのは同じ質の議論ではないというふうに私は見ている。むしろ冷静な見方が、国際戦略研究所などでもそれなりになされている、この見方が全面的に正しいかどうかはまた一つ別の見解もあり得ると思います。これは評価の問題であります。  加えて、先ほど長官は上陸用舟艇の話をされましたから私も言わざるを得ないんでありますが、アメリカの議会筋等々が極東の軍事情勢についていろんな分析、前提として調査などを行っています。それを幾つか拾ってみますと、たとえば米議会の調査局報告というのがございます。ソ連のオホーツク海と日本海における行動の自由は、米国と同盟国の妨害により制約をされ、十分な上陸用艦艇と訓練された部隊を持っていても大規模な水陸両用強襲作戦を行うことはほとんど不可能だという見方に立っています。同じ両用上陸作戦部隊についての見方について、ここにまたアメリカの海軍協会が編集をした「極東の海軍力バランス」という御承知の報告があるわけでありますけれども、ソ連太平洋艦隊の小規模な両用上陸作戦部隊は、ウラジオストクから北朝鮮にかけての、ソ連領土に対する中国軍の侵入を防止することができるだろうという趣旨の意味づけをしているわけですね。  それぞれ調査の目的とか、それから見方によっていろんな見解はあり得るとは思いますけれども一つのやっぱり有力な見解としてこういう提起がアメリカ筋からも出されている。そのほか読み上げれば切りがありません。米議会の調査局の報告も、ソ連海軍の両用戦能力は誇張されるべきではないと抑えた受けとめ方を実はしているわけであります。アメリカ筋ですら客観的なというか、冷静な態度を、物の見立てをしている向きがあるわけであります。したがって、日本防衛庁長官の最高責任者が、増強はした、しかし増強の意味するところはわからぬ、どう評価していいのかは、研究はしているが、わかりませんという話では済まないのではないですか。わからぬから脅威なんだと、こういう話は少しく素朴過ぎるというか、意図的過ぎるんじゃないでしょうかと、こう長官に伺っておりますから。
  61. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) いま矢田部先生からアメリカの資料についてお話がございました。そういった点は防衛庁といたしましても研究もし、勉強もしております。また、そのほかのおよそ入手し得る資料についても検討を進めているところでございまして、そういった点につきましてお許しが願えれば政府委員から説明さしていただきたい、こう思うわけでございます。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 私もみずから分析してこうだというふうに言っているわけじゃないんですよ。ただ、極東ソ連軍が増強されたということだけを誇張して、その比較も対アメリカとの関係では非常に問題だということはさっき指摘したとおりであります。同時に、そのねらいや目的や意味するところが何であるのか、侵略の意思とかの有無だけじゃなしに、もう少しやっぱり各般にわたって防衛庁独自の検討、分析をすべきではないか。それを少なくとも大づかみではあっても長官自身として認識をして、ソ連の意思はわかりませんではなくて、評価を加えてやっぱり問題を提起をすべきではないのか。それなしに意図はわかりませんということを前提にして潜在的脅威の増大だ、増大だということだけを言うから、少しくためにする議論、誇張、過大評価があるんじゃないかというふうに受け取らざるを得ないわけでありまして、昼過ぎましたので、長官のその点についてだけの答弁を伺って、あと午後に回します。
  63. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先生御指摘の問題につきましては、防衛庁といたしましても調査もし、研究もいたしておりますけれども、お許しが願えればもう少し時間をかけて説明さしていただきたい。いずれにしましても、これは微妙な問題ですから、そう簡単に一言で申し上げるというわけにはまいりませんけれども、結論としては、意図についてはわからないと私は申し上げているわけでございますが、それに至るまではいろいろな調査もし、研究もしているわけでございますから、その点の御説明をさしていただければ幸せだと思うわけであります。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 説明させないわけじゃありませんが、午後にまた……。
  65. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 午後一時十五分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時二十三分開会
  66. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 長官に伺いますが、脅威論のさらに発展した形といいましょうか、問題提起として、最近北海道侵攻論ということがいろいろ世上をにぎわしております。特に、自衛隊の制服組OBの人たちの間でもこの話をにぎやかにしている。で、マスコミもそれを取り上げるというようなことで、何かもう潜在的脅威どころではなくて具体的な脅威が迫っているようなキャンペーンといいますか、騒ぎが各方面で起こっているわけでありますが、御承知のように、陸と海との間にかなりの受けとめ方の違いがあるやにも聞いております。OB組ですから、個人の発言と言えば個人の発言なんでしょうが、少なくとも自衛隊の中枢にいた人たちの話でありますから、それなりに制服時代の体験なり知識なりを基礎にしている、あるいは制服組の意向を代表しているようにも考えられるわけであります。  そこで、二つの有力な意見の紹介がある新聞に出ているわけでありますが、元陸幕の副長をやられた倉重さんというんですか——では、北海道が大変危機的状況であると、その意味で北海道を重視すべきだという意向を幾つかの理由、根拠を挙げて述べておられます。それに対して、海幕出身の大賀さんは、ソ連の北海道侵攻論はフィクションと考えていいと、全く相対立する認識、問題提起を出しているんですが、長官、この辺の問題をどう受けとめておられますか。
  68. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  北海道の問題につきまして、元防衛庁の方でいろいろ御意見を出されているということは承知しておりますが、詳しい点につきましては、ひとつ政府委員からお答えさしていただきたいと思います。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 詳しい点じゃなくて、陸幕と海幕で、陸と海でまるっきり違った認識を防衛庁内部でも持っていることが推定をされるわけですね。長官として、一体北海道侵攻なんということを現実の問題として考えているのかどうか、この議論は議論としてまた伺うにしても、まず長官の考え方あるいは認識を最初にお願いしたい。
  70. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  北海道振興の問題につきましては、先日も閣議で総理からお話ございまして、関係省庁の協力を得てできるだけ進めると、こういうお話が閣議においても話題になっておることを私は承知しておるわけでございます。ところで——シンコウも二つ漢字にしますとあるようでございまして、もう一つの侵略の侵と攻撃の攻の方を先生はお尋ねのようでございまして、ちょっと私、戸惑いをしたわけでございますが、その後の方の問題につきましては、いろいろ御意見があるようでございますが、その判断につきましてもひとつ政府委員からお答えさしていただきたいと思います。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 これは脅威論とあわせてきわめてゆゆしきこと、重大なことなんですね。これは、少なくとも三軍を指揮しておられる長官が責任ある答弁をすべきだと思うんですよ。事務方で判断すべき、あるいは認識すべきことじゃないですよ、まずもって。詳細な論拠づけだとか何かということになればまた別途伺うにしましても、大変なことでしょう。陸幕あるいは栗栖氏なども大変な話になってきているわけですから、そこは長官からまず明確にお答えください。
  72. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 具体的なお尋ねでございますので、まず政府委員をしてお答えをさせます。その後でひとつまた私に……
  73. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと待ってください。  長官として、北海道の脅威が迫っているとか脅威が現実化しようとしているというようなことがあり得ると考えているんですかと、こう言うんです。長官の認識を聞いている。
  74. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先ほど脅威論について申し上げましたとおり、潜在的脅威が増大していると考えているわけでございますが、顕在化したものではないということも先ほど申し上げたとおりでございます。その潜在的脅威に対してどう対処するかということにつきましては、私ども防衛計画の大綱をいま達成途上にありますので、これを可及的速やかに実現いたしたいと考えているわけでございます。  また、防衛計画の大綱の範囲内で進めております中期業務計画におきましても、大綱の機甲師団の整備というような点につきましてまた具体的な作業を続けていると、こういうことでございますので、その辺の地域的な問題につきましては、政府委員をして答弁さしていただきたいと思うわけでございます。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 何か書いたものばかり読んでいるから質問とかみ合ってないんですよ、全然。単純でいいんですよ。潜在的脅威が増大しているなどと言っているけれども、それが現実化し、具体的に北海道侵攻論なんということを長官の認識として考えているのかと、 こう聞いているんです。いるかいないかだけでいいんです。
  76. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  ただいま答弁いたしましたし、大綱の中でその問題に対する具体なあれも進めているところでございます。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 対策を聞いたり、大綱が北海道について何も言っているわけじゃありませんよ。ソビエトの北海道侵攻論ということを現実のものとして考えておられるのかどうかということです。一方ではフィクションだと言い、一方ではきわめてゆゆしき問題だという両極の発言があるから長官の認識を聞いているんです。——いやあなたじゃない。長官の認識なんです。
  78. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 重ねて私に対するお尋ねですから、お答えを申し上げます。  繰り返して恐縮でございますが、防衛計画の大綱、先生御存じのとおり当然十二個師団、一個機甲師団とかいろいろ目標に掲げてあるわけでございます。それの進め方につきましては、いま中期業務計画においても取り上げているわけでございまして、そういった全体の中でひとつ対処をしていくというのが私ども考え方でございまして、具体的地域についてどうかというお尋ねでございますが、具体的な地域についてどう考えているわけではございません。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 侵攻に対してどう対処するかという質問じゃないんですよ。ソビエトが北海道に侵攻してくると、いやそれはフィクションだということでいろんな見方、受けとめ方があるから、長官としてはソビエトの北海道侵攻なんということを現実問題として考えていますかと。大綱の問題や対策の問題じゃないんです。——ちょっと待ってください。防衛局長には聞いてない。あなたはいいいんですよ。事務方の認識じゃなくて、長官がこういういろんな問題が出ている折、どう認識しているかということです。少なくとも一言的確な答えをしなきゃ、こんなことで事務方がいろいろ飛び出したんじゃ話になりませんよ。——いやいやそれは失礼な話だよ、あなた。大きい政治認識、この重大な問題の認識の問題でしょう。事務の方でどう見ているか、どう考えているかじゃないですよ。そういう責任ある地位に長官はあるわけだから、長官にお願いします。
  80. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 重ねてお答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますとおり、脅威が顕在化しているものではございませんので、具体的地域での侵攻を考えているわけではございません。    〔委員長退席、理事藏内修治君着席〕
  81. 矢田部理

    矢田部理君 そう簡単に言っていただいたら別に大した論議を重ねる必要はないんですが、ところがさっき申しましたように、陸幕のOB筋はそのことを大変あおり立てているんですね。  その内容を少しく指摘してみると、極東ソ連軍は十分に北海道侵攻能力を持つに至ったという認識を前提にして、北海道はソ連艦隊の太平洋進出、対米戦略上垂涎の要域であると。垂涎という、よだれが出るようにほしいという意味でしょうかね。その意味で、北海道をきわめて重視すべきだ、こういう認識はしたがって間違いだということでしょう。一方は、北海道侵攻論はフィクションだと。長官も現実のものとしては考えておりませんと。こういうことが実は今日の防衛力増強、軍事拡大キャンペーンの非常に有力なてこになっている。そういうことを戒め、かつ冷静に対応していかないと、きわめて危険な方向に日本が歩むことを私は憂えるがゆえに聞いているわけでありますが、特に両方の認識の違いが次に出てくるわけですね。ソビエトの補給についての問題で、一方の陸自側は、シベリア鉄道が一日十万トン以上の輸送が可能になったから補給は十分だと言い、他方の海上自衛隊側は、極東のソ連は計千百万人の人口しか持たず、石油などの戦略物資も、中ソ国境の近くを通るシベリア鉄道で、ヨーロッパからの補給に頼っており、海と空を通じて行う大がかりな対日侵攻を行う能力を持つとは思わない。世界全体の軍事バランスを考えれば、北海道侵攻は一つのフィクションにすぎないと。どうも長官の認識あるいは海上自衛隊側の認識と陸自の認識に大きな食い違いがあるんじゃないですか。こういう状況に自衛隊はなっているんではないですか。その点いかがでしょうか。
  82. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 二、三の方の、特にOBの方の論文を御指摘してのお尋ねでございますが、いまここで個々の人の意見はともかくといたしまして、私ども防衛庁としましては、先ほど長官からも具体的な地域に対する侵攻を予定しておるわけではないと申し上げましたが、防衛庁全体のわが国の防衛についての、何といいますか、防衛計画の立案等におきましては、確かにそういったいろんな意見は、特にOBの方に違った意見があるようでございますけれども、統合幕僚会議におきまして統合中期防衛見積もりをつくりまして、それに基づきまして各幕で中期業務見積もりをつくり、またそれに基づきまして年度の防衛計画をつくっております。そういうことで、各幕ばらばらにならないように統合幕僚会議におきましてそういった基本的な思想の統一ということを図ってやっておりまして、いま御指摘のように個々のOBの人にそれぞれいろんな意見があることは私も承知しておりますけれども防衛庁としましては、いま言ったやり方によりまして、統一した考え方で対処しておるわけでございます。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 統一した考え方は、北海道侵攻論などということはいま具体的な問題としては考えていないという趣旨ですね。
  84. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 具体的にいまも申し上げましたように、どの地区に具体的な侵攻可能性があるという想定をしてやっているわけではございません。あくまでもわが国全体の防衛の態勢についての研究あるいは防衛計画、年次の防衛計画、そういうものをつくっておるわけでございます。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 ソビエトに対する認識の違いもあるし、それから戦力比較の中でも、たとえば補給の問題がどうなっているのか一つとってみましても、一方は海幕長、他方は元陸幕の副長、それなりにそういうような地位を占めたプロが、シベリア鉄道の評価にしても真っ向から違うわけですよ。そういうばらばらな認識、それに対して防衛庁長官は一定の見識を持たない、抑えが効かないということになったら、いわば制服組のある種の言動によって、何というか、危機感があおられて情勢が過大、誇大に評価をされて、非常に間違った危険な方向に行くことを実は指摘をしておきたいんです。  特に、私なりに幾つかの資料などを当たってみますと、北海道だけがきわめて突出した形で侵攻されるなどということはあり得ないと、むしろ日本が戦争に巻き込まれるとすれば、第三次世界大戦というような、本格的なあるいは大がかりな戦争に入った場合が一番可能性が強い、それ以外は考えられないという認識がむしろ多いように思われるわけですね。先ほど指摘をしました、たとえば米海軍協会編の「極東の海軍力バランス」というのもそういう指摘になっています。ソ連の侵略は東西間の全面戦争以外は考えられない。さらには、国際戦略研究所の「世界の軍事情勢」というのもほぼ基本的には同じ認識に立っている。この海上自衛隊の、先ほど申し上げました大賀氏もそういう認識に立っている。まず基本的な認識はそういうことなんじゃないですか。その辺、長官の認識はどうでしょうか。
  86. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  国際情勢の認識の問題でございますが、いろいろな見解がそれぞれの立場で示されているようでございますが、日本を中心として考えた場合、核戦力を含む大規模な戦争が近いうちに起こるというような差し迫った危険はないと考えているわけでございます。  ところで、大規模な戦争に巻き込まれることが近いうちにないといたしましても、いわゆる局地戦とか小規模なあれが行われないかどうか、これもわからぬことでございますが、絶対ないという保証もないと思うんでございます。  そこで、私どもといたしましては、昭和五十一年に閣議決定、国防会議決定を見ました「防衛計画の大綱」に従いまして、いわゆるすきのない専守防衛防衛力の整備を図ってまいらなきゃいかぬ。また大綱に示されました線になかなか距離があると、こういう現状でございますので、そういった点の整備に一層力を注いでまいらなきゃならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 アジア太平洋地域における米ソの戦力比較についてもきわめて公正さ、客観性を欠くうらみがあるし、ソビエトの軍事力増強についてもその目的や評価について長官はほとんど知っていない。そういう上に立って潜在的脅威が増大していると、北海道侵攻論がまことしやかに振りまかれる事態というか、また、それに引きずられる情勢というのは、やっぱり日本にとって大変危険だと。その意味で防衛庁としても冷静な対処、もっと客観的な分析、その意味するもののねらいなり、評価なりをして的確に対応すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  特に、いま申し上げましたように、ほとんど権威あるところは、もう第三次大戦あるいは米ソの本格戦争、東西間の全面戦争以外に日本が戦争に巻き込まれる可能性というのはまず考えられないというふうに言っておる指摘は、私は傾聴すべき指摘だというふうに思っているわけだし、一方でまた、たとえばアメリカの議会調査局がことしの夏場に出した下院歳出委員防衛委員会の要請でつくった調査などを見ますと、日本はソ連の極東での軍事能力を過大評価している、そういう厳しい指摘まで事実あるわけでありまして、その点で長官の冷静なやっぱり対応を求めておきたいと思うのですが、長官のお考えいかがですか。
  88. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  軍事情勢を含めての国際情勢につきましては、防衛庁といたしまして、これまでも冷静かつ客観的な態度で対処してまいったつもりでございます。しかしながら、重ねて御指摘がございましたが、今後とも一層冷静かつ客観的な態度で対処していくことを改めて申し上げる次第でございます。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 これまたアメリカ筋の指摘でありますが、米上院外交委員会東アジア・太平洋問題小委員会の報告書、六月に出たものでありますが、これも日本軍備急増は危険だと、ソ連の極東戦力の大幅強化をあおるだけのことになる、中ソ和解の引き金になり、北東アジア情勢の不安定化につながる、国内的にも反対運動が強化されて政情不安になり、これはよけいなことかもしらぬが、近隣諸国への影響も考えなきゃならぬというような数項目の根拠を挙げて、軍備急増論に対してある種の見解を示しているアメリカ側の報告書もあるわけであります。  そういう点で、やはり日本とアジアの上平和と安全あるいは安全保障というものについては従来も冷静、客観的に対処してきたとは思えないんですよ、防衛白書、野田委員の指摘をまつまでもなく。どうも必要以上にソビエト脅威論を誇大に評価をする、全体の過剰反応に引き金となるような役割りを防衛庁が担っているということですから、ある意味で重ねてその点を強く要望して次の質問に入ります。  装備の問題を二、三点伺っておきたいと思いますが、一つは、対戦車ヘリコプターAH1Sというのを近々導入する計画があるように伺っておりますが、この計画はどうなっているでしょうか。従来二両すでに配備をされているわけでありますが、今後の計画−中業でしたか、を見てみますと、二プラスァルファというふうになっております。その計画、導入の見通し等についてまず伺いたいと思います。
  90. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 対戦車ヘリのAH1Sにつきましては、いまお話ございましたように、現在二機購入をいたしておりまして運用試験を行ってまいりました。その結果、運用試験が現在終わりましたので、その評価を待って整備に入りたいというふうに考えております。  御指摘のように、中業ではその運用試験がまだ終わってなかったものですから、運用のための二機の購入を決めまして、プラスアルファということで、具体的な整備目標を掲げずに将来の課題としてまいったわけでございますが、いま申し上げましたように、運用試験が終わりましたので、今年度中ぐらいには整備目標を定めまして来年度以降の整備に入っていきたい。したがいまして、具体的に数字等もいまの時点ではまだ決めておりません。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 一部の雑誌、資料等によりますと、八一年度から七年間に五十四機を調達するというようなことがすでに載っているんですが、そういう計画になっているのでしょうか。
  92. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、運用試験そのものは終わったんたんですけれども、その運用試験の結果を私どもいまから分析いたしまして、まずこのAH1Sそのものがいいかどうかということも含めまして、いまから検討をいたしたいというふうに考えておる段階でございまして、いま御指摘のような何機整備する目標だというようなことはまだ私どもは全然決めておりません。    〔理事藏内修治君退席、委員長着席〕
  93. 矢田部理

    矢田部理君 従来日本ではUH1を使用してきた。これがヘリの主流であったわけでありますが、このUH1をAHlSに変える理由、これはどういうことでしょうか。
  94. 塩田章

    政府委員(塩田章君) UH1の方は、いわゆるヘリコプターとしましても多用途機でございまして、これは変えるとかいうことでなしに、これはこれで今後も使用していきたいと考えております。AH1を入れるかどうかということは、これは主として対戦車ヘリコプターとしてこれを採用するかどうか、こういう観点からの検討でございます。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 ヘリコプターは、かつて輸送ということでそれなりに存在理由を持ってきたわけでありますが、ベトナム戦争をきっかけにして、その戦闘的役割りが改めて評価をされることになりました。御承知のとおりであります。  そこで、ベトナム戦でもたしか活躍をした対戦車ヘリ、攻撃用ヘリを導入するという運びになりつつあるのではないかというふうに考えるわけですが、そういう攻撃的なヘリを持たなきゃならぬ情勢、どういうことなんでしょうか。
  96. 塩田章

    政府委員(塩田章君) AH1Sというのは、いまも申し上げましたように、対戦車用ヘリコプターでございます。いまの先生のお言葉で言えば、戦車を攻撃するためのヘリコプターでございます。これはどういう目的で導入するかというお尋ねでございますが、まさに戦車を攻撃するために採用するかどうかという問題でございまして、御承知のように、現在の陸上戦闘におきまして戦車の占める位置というものを考えました場合に、まあいろいろな対戦軍用の重MATでありますとか、あるいは無反動砲でありますとか、いろいろ装備いたしておりますけれども、ヘリコプターによる対戦車攻撃の効果も無視できないといいますか、今後の一つの傾向として私ども注目していかなければならないのではないかという観点から、このAH1Sの検討を行っているわけであります。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、日本の国土を戦場として、戦車による侵攻、戦争があり得るという前提に立っているわけですか。
  98. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 戦車による上着陸侵攻があった場合の対処でございます。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 あった場合というのは、あり得るということですな。  導入についてはどういう方式を採用するか、検討していますか。
  100. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、AH1Sそのものを導入すると決めたわけではございませんで、運用試験の結果をいまから評価いたしまして、AH1Sを入れるかどうかということを含めまして検討するという段階でございますので、いま御指摘のもしこれを入れる場合の導入方式といいますか、そこまではまだ考えておりません。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 私の認識によれば、やっぱりこのソビエト脅威論、北海道侵攻論など一連のつながりの中で、言うならば戦車による侵攻を想定し、対ソ戦を前提とした攻撃用ヘリの準備ではないのかというふうな感を強くするわけでありますが、そういうものは私は、従来の輸送を超えたとりわけ攻撃的な性格を強く持ったものでありますから、導入をすべきでないということだけをここでは申し上げておきます。  官房長官が見えましたので、少し論点があっち行ったりこっち行ったりしますが、別の方に変えます。  官房長官にお伺いをしたいと思いますが、過般、政府の中に総合安全保障関係閣僚会議というのが設置をされるという構想が明らかになったようであります。十二月早々にも発足をするという向きの報道もあるわけでありますが、その構成、目的、今後の役割り等についてまずお尋ねをしたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御質問の総合安全保障関係閣僚会議につきましては、正式にまだ閣議決定をいたしておりませんので、私どもが考えておりますただいまのところの案という意味でお答えを申し上げますので、その点御了承賜りたいと存じます。  まず、目的でございますが、わが国の安全を考えます場合に、狭い意味での防衛力、これが中心でありますことはもとよりでございますけれども、しかし、もう少し広い意味では、経済、外交等を含めました広い立場からの努力が必要であることも御認識をいただいておることであろうと思います。そのような立場から、外交でございますとか経済協力、エネルギー問題、食糧問題等々これらは現に各省庁が行政を担当しておりますけれども、しかし、これらの問題を国の安全という視点からとらえまして、そして整合的に考える場というものが必要ではないか、そういう場といたしまして関係閣僚会議をつくったらどうか、考え方はそのような考え方に立っておるわけでございます。  したがいまして、目的もおのずからただいまのところから出てまいるわけでございますが、すなわち経済、外交等の諸施策のうちで安全保障の視点からの総合性、整合性を確保するために閣僚が協議をいたすということでございまして、十二月に入りまして準備が整い次第、第一回の会議を閣議決定の上開きたいというふうにただいま私どもとしては考えておるところでございます。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 いま長官のお話しになった総合安全保障閣僚会議構想と、もう一つは、大平さんの時代に総合安全保障構想がこれまた出されて、たしか私的諮問機関だったと思いますが、総合安保研究グループにいろいろ意見を徴された。報告書等も後で出てくるわけでありますが、それとの関連はどういうふうに考えたらいいのでしょうか。
  104. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘がありました報告の中におきまして、現在の国防会議が果たして十分に機能しておるかどうか、また幅広い意味での先ほど申し上げましたような問題も国の安全のためには非常に大事ではないかというような指摘がございました。これが一つの示唆になりましたことは仰せのとおりでございます。したがいまして、国防会議そのものを改組をしていくということも一つ可能性であったわけでございますが、いろいろなことを考えますと、やはり国防会議は国防会議として現在のまま置くことが望ましい、それ以外にこのような会議を閣議決定で設けるならばあの報告書の述べております問題にも対処することができるのではないか、こういう結論に私どもとしては達したわけでございます。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 かつて私も予算委員会で、大平内閣の総合安全保障構想について幾つか問題を詰めたことがありますが、いろいろ整理をしてみますと、どうしても軍事優先、軍事を主軸にして、その補完的なものとして経済とか外交とかということを考える筋が強かったわけでありますが、今度の総合安全保障関係閣僚会議もそういうニュアンス、性格を持っている危険をはらんでおるわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 国の安全を考えます場合に、国の安全が損なわれるような事態を未然に防ぐということが何よりも必要であると考えておりますので、したがいまして、先ほど申し上げましたようなもろもろの問題を整合的に、かつ総合的に常に心がけておくということが国の安全が損なわれるような事態を未然に防止するために必要である、こういう見地が主となっております。ただ、もとより国の安全が万一損なわれますような場合に平素から対処しておくということも、これも大事なことであろうと思いますので、その点を会議の討議の対象から排除をするという意味ではございません。けれども、損なわれないような体制を政策運営の上で常に考えておくということが主たる仕事であるというふうに考えております。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 総合安全保障構想の中で、同時に経済安保であるとか資源安保だとかいうことも話としてはしばしばあるわけでありますが、どうも日本外交が、とりわけことしの外交青書を見たりしますと、あるいは外務省が試案的に出した安保政策を見ましても、従来の平和外交の路線を大きく変更して、軍事を裏打ちにした外交という方向づけがどうも出ているような気がしてならないわけです。  もう一つの視点は、従来全方位外交、もっとも全方位外交と言ってもアメリカとの関係を基軸にしながらの全方位外交でありますから、これ自身にも幾つかの問題点はないわけではありませんけれども、しかし、そういう全方位外交の路線をも変更して、言うならば西側の一員という位置づけをきわめて強く出した。その意味では、この全方位外交路線の転換とも言われるような外交青書が出ているわけであります。そういう方向に沿うてこの問題がずっと上がっていくということになりますと、長官のお言葉にもかかわらず、どうしてもこの外交とか経済協力とかその他もろもろの対応を通じての日本の安全保障というよりも、軍事の面が色濃く出て、平和外交よりも軍事優先、経済協力もその視点からなされる。資源を確保するという視点から、言うならば対外関係が規制をされるというような傾向が強まりはしないかという心配もあるんですが、その点はいかがでしょうか。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 本来、経済協力は何のために行われるのか、また資源は何のために確保されなければならないのか、それ自身の持っておる意味が当然あるはずでございます。他方で、しかし現実の問題として、われわれが経済協力をして南北間の格差を除くことが世界の平和を増進するゆえんであろうといったような物の考え方が私は許されないわけではないと存じます。ただ、余りその点を強調いたしますと、経済協力というようなものが日本の利益ばかりを中心に考えたものとして受けとられやすくなります。そういたしますと、受け入れる側もその点にやはりこだわるというようなことになりやすうございますから、その点は十分政策を実行する上で注意をしていかなければならない、この点は私は御指摘のとおりだと思います。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 先ほども外務大臣に伺っておるわけでありますが、たとえば軍事費のGNP比を盛んに一%以上にすべきとか以内に抑えるべきとかいう議論があるわけでありますが、同時にGNP比でしばしば問題にされている政府の開発援助費、これが日本は著しく先進諸国に比べて低いわけです。大ざっぱなデータでありますが、GNP比、日本は〇・二六%、先進諸国の水準は〇・三五%になっているわけです。こういう点について、これからどういうふうに考えておられるのか、先ほどの援助の視点とか協力の視点とあわせて——軍事だけが太ってしまって、そういう意味での平和外交、経済外交の路線が希薄になりはしまいか、逆に総合安保構想の中でやるということになりますと別な受け取られ方をする危険性も含まれているわけでありますが、その辺についての官房長官の考え方をただしておきたいと思います。
  110. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) わが国の経済協力が政府開発援助分の要素がなおかなり低いということは御指摘のとおりでございますが、この点は、やはりわが国が過去二十何年自分の経済力を蓄えまして対外援助、経済協力に入りました際に、やはり貿易に伴うものが当初大きな比率を占めておったと。これに比べますと幾つかの国、第二次大戦で敗れませんでした国々は、戦後自分のいわゆる開発援助、政府開発援助をするだけの経済力を持っておりましたし、またそのうちのあるものは、かつての植民地との関連におきまして、植民地が独立をした。しかし、それらの地域とはおのずから以前からのいろいろな経済関係があって、独立した結果それらは経済援助に勘定せられるに至ったわけでございますから、そういう国々はいまでも政府開発援助の比率が総体的に高いいろいろな事情が私はあるように思います。ただ、私は所管大臣でございませんので、その点前提にして申し上げざるを得ませんが、日本としては、やはり政府開発援助の比率を経済力が充実するとともに高める方向でなければなりませんし、その内容も、先ほど言われましたように、いわば援助を受ける国の国民の利益に奉仕するような、そういう性格を持ったものをふやしていくということが誤解を受けないゆえんでもあろうかと思います。
  111. 矢田部理

    矢田部理君 先ほどの長官の御説明で、国防会議の改組、拡充による総合安保構想ではない、国防会議はそのまま残すというふうな位置づけをされたわけでありますけれども、その点では大平さんの構想と少しく違っているわけでありますが、一つは、従来国防会議の存在理由についても、どうも大変失礼な言い方でありますが、素人の大臣の人たちが集まっていわば防衛庁筋の説明なりを聞く、そこでもらった資料を受け取って判こを押すということで、防衛問題というのはなかなか専門的、技術的な押さえなり見識なりも必要になってくるわけでありますが、実際問題としては役人あって行政なしといいますか、シビリアンコントロールが的確に作動していないといいましょうか、という傾向が強かったのでありますが、同時にまた、閣僚会議自身もそういう集まりになる可能性もずいぶん指摘をされているわけでありますけれども、その辺はどういうふうに考えておられるのでしょうか。  あるいはまた、各大臣の思い思いの雑談会と言っては失礼でありますが、食糧は農林水産省でありますし、あるいは資源は通産省というようなことで、ばらばらの縦割り行政の中にある日本の中にあって、明確な理念なり方法論も持たないまま、ただ集まってお話をするということでうまく機能するのかどうかということについても、もう一つの心配や問題点があらうかというふうに思うわけであります。その点はどういうふうに考えておられますか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、この安全保障会議で取り上げたいと思っております事項は、すでに各省庁においてそれぞれの行政の対象となっておる事項でございますが、ただその際、国の安全という視点からそれらの問題を総合的に見るということが大切である、こう考えましてこの会議が設置されることになるのでございますので、したがいまして会議の運営としまして私ども考えておりますのは、たとえばわが国の安全保障に関係いたします国際情勢につきまして、主として外務大臣になられると思いますが、原則として毎回報告を受ける、あるいは資源の問題に特段の新しい変化があれば通産大臣から報告を受ける、その上で各閣僚がそれらの問題についての意見交換を行う、それによりましてそれらの問題が国の安全という視点から行政に反映するようにしたい、こう考えておるわけでございますので、新しくここに行政の場を設けるというのではございませんで、各省庁がやっております行政を安全という視点から総合的にこの会議においてとらえて、それを行政の面に反映をしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 また大平さんの時代の総合安保論に戻るんでありますが、大平さんの要請に従って検討をされ、かつ出された報告書によりますと、危機管理的な面が非常に強く出ております。国内の治安対策とかいう問題も出されておりますし、最近は愛国教育などという問題もあるわけですが、そういうことを含めてこの閣僚会議は検討をし、具体的な方針を出すということになるんでしょうか。
  114. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 会議におきましては、閣僚が自由に討議をされるということはもとよりでございますけれども、主たる議題としては、先ほど申し上げましたようなことが中心になろうと考えておりますので、ただいま御指摘のございましたようなことは、議論の対象から排除をするという意味ではございませんけれども、主たる問題としてそういうものがしばしば取り上げられるというような会議にはなっていかないのではないか、こう思っております。
  115. 矢田部理

    矢田部理君 それから、先に戻りますが、先ほど構成等についても若干のお話がございましたが、外務、大蔵、農林水産などを含めて九閣僚で構成をされるということはわかりましたが、一部の報道によりますと、自民党三役もこれに随時参加をするというようなことも伝えられています。閣僚会議に自民党がどういう立場で参加するのか、どういう意味なのかということはちょっと理解に苦しんだのでありますが、この辺はどうなっているのでしょうか。
  116. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 従来、幾つかの閣僚会議、たとえば経済対策閣僚会議でございますとかいったようなものにはしばしば与党の役員の出席を求めまして会議を開いております。今回の会議もそのようなことにすることがいいのではないかと考えておりますが、この点は、申し上げるまでもなく議院内閣制でございますので、与党であります自由民主党と密接な意見の交換をし、考え方を調整しておくということは意味のあることである、こう考えまして、従来の幾つかの閣僚会議の例にならってはいかがかと考えておるわけでございます。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 最後の質問になりますが、今後の運営あるいは方向づけ等々について伺いたいんですが、先ほど十二月できるだけ早い時期にということですが、ほぼもう日程等は詰められてきているのでしょうか。  それから、最初に予定する議題として、伝えられるところによりますと、これまた動揺する最近の中東情勢あるいはアメリカ大統領選挙レーガン氏のもとにおける米ソ関係、さらには当面の総合安保対策というようなことを議題にして、十二月の二日か三日ごろに第一回の閣僚会議が開かれるという話も聞いておるんでありますが、そうなのかどうか。  それから、今後全体的な方向づけ、定期的にとか、あるいはどういう議題でとか、どういう位置でというようなことについてまだ最終的に閣議決定したわけではないでしょうが、長官としての構想をできるだけ具体的に御説明をいただきたいというふうに思います。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) できましたらば十二月早々に閣議決定をいたしまして、その上で第一回の会を開きたいと考えております。  議題といたしましては、ただいま私自身は、中奥紛争をめぐります国際情勢並びにわが国のそれとの関連での安全保障といったようなことで、外務大臣、通産大臣から報告を求めまして討議をいたしたらどうかと考えております。  なお、その後どのぐらいしばらく開くかでございますけれども日程が許しましたら一月のある時点でただいま御指摘のアメリカ大統領選挙後のアメリカの情勢、わが国のそれとの安全保障とのかかわり合い等々を議論してみてはどうであろうか。  その後は日程、恐らくもう二月になりますと国会開会中でございます。できましたら二月にも一度開きたいと考えておりますが、この点並びにその際の何を問題にいたしますか、ただいままだ案を確定いたしておりません。
  119. 矢田部理

    矢田部理君 次に、防衛庁に伺いたいと思いますが、防衛庁長官、太平洋戦争は——第二次世界大戦と言ってもいいと思いますが——侵略戦争だったというふうに理解していますか。
  120. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  第二次大戦の性格についてお尋ねでございますが、性格についてはいろいろな見方もありますので、いま侵略戦争かどうかというお尋ねでございますが、どうお答えしたらいいのか、いろいろな角度から御意見があるんではないかと、私はそう考えます。
  121. 矢田部理

    矢田部理君 長官、自衛のためには日本は必要最小限度の実力を持てると言っているわけですね。つまり自衛戦争はできるということになっているんでしょう、政府の解釈によれば。われわれは違った見解を持ちますけれども。そうすると、どういう戦争が侵略戦争であり、どういう戦争が自衛の戦争であるかということについて明確な仕分け、識見を持っておらないといかぬのじゃないでしょうか。あの戦争が日本にとってまさか自衛の戦争だったということではないんでしょう。
  122. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 第二次世界大戦が自衛のための戦争であったかどうか、こういうお尋ねのようにも聞けるわけでございますが、必ずしもそうであった、そうでばかりあったとは思えない節があると考えます。
  123. 矢田部理

    矢田部理君 必ずしも自衛のための戦争ではなかったと、侵略戦争であるかどうかはわからないと。ということになると、どういう性格の戦争というふうになるんでしょうか。
  124. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えします。  第三次世界大戦というお話でございますから、全世界にわたる広範囲な戦争でございまして、それを一義的に判断するのは非常にむずかしいのじゃないかと思いましてお答えしているわけでございます。  また、今後の問題として、日本国憲法のもとにおいてわが国が保持することができるのは自衛のだめの必要最小限度の実力であると私ども解釈いたしているわけでございまして、そういうもとでの自衛のための戦争とは何かと言われれば、それは文字どおり自衛のための戦争であるとお害えせざるを得ないと考えております。
  125. 矢田部理

    矢田部理君 自衛のための戦争はできる、戦争はできないというのが政府筋の基本的な見解になっているわけですからね。太平洋戦争が日本にとって侵略戦争だったのか、そうでなかったのかぐらいは明確にしなければ、本来、自衛戦争とは何かということが出てこない、歴史的に出てこないはずであります。  きょうはその論争は資料がありませんから、次の質問、形を変えて申し上げますが、太平洋戦争は日本軍にとって、あるいは日本の兵士たちにということでもいいでしょうが、偉大な事業、偉業だったのでしょうか。
  126. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) いまお尋ねのあれはちょっと私よく聞き取れなかったのですが、偉大な事業であったと考えるか、こういうことですか。
  127. 矢田部理

    矢田部理君 偉業——偉大な事業という意味だと思いますが、偉業だったのでしょうかと……。
  128. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ちょっと突然のお尋ねで戸惑う次第でございますが、偉大な事業というのは非常に称賛に値する事業という意味だとすると、私は必ずしもそうは思いません。
  129. 矢田部理

    矢田部理君 太平洋戦争は日本軍にとっと偉業だというふうには考えておらない。とすれば、自衛隊員に太平洋戦争は偉業だというふうな教育などはなさっていないでしょうね。
  130. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 詳しい点は政府委員から答弁させますが、私としてはそういう称賛すべきものとしての教育はいたしているというふうには承知しておりません。
  131. 矢田部理

    矢田部理君 太平洋戦争で亡くなった兵士たちについて、悠久の大義に生きたというような認識は持っていますか。あるいはそんな教育を自衛隊にはしておりますか。
  132. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 太平洋戦争がどんな戦争であったか、偉大な事業であったのかないのか、そのような教育は自衛隊ではしておりません。戦争の持つ技術的な側面を戦訓として取り上げてということはありますけれども、そういう歴史的評価を含むような教育はやっておりません。
  133. 矢田部理

    矢田部理君 悠久の大義に生きたというふうな評価もしてないんですね。
  134. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) しておりません。
  135. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、防衛庁長官に、今度は確認的に承っておきたいんですが、昨年、山下防衛庁長官の時代でありますが、この内閣委員会で自衛隊の宗教的な活動について答弁がございました。野田委員質問に答えているわけでありますが、それを読んでみますと、「宗教的活動につきましては、私どもといたしましては、宗教的色彩を帯びた行事に自衛隊の音楽隊、ラッパ隊等が参加することは宗教的活動に関与したことになるので、厳に慎むべきであるというふうなことで申しておる次第でございます」という答弁がありますが、大村長官も当然この見解、そのとおりだということで御確認がいただけますか。念のために伺っておきます。
  136. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  宗教的行事に参加することは慎むという点につきましては、前長官のお述べになりましたとおりでございます。
  137. 矢田部理

    矢田部理君 その根拠は、憲法二十条第三項、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」という憲法の規定から、そういうことを慎ませているということになるわけでしょうか。
  138. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 基本的にはそのとおりでございます。
  139. 矢田部理

    矢田部理君 ところで、陸上自衛隊等の幹部について確認的に伺っておきますが、北部方面総監は太田穣さんという方ですね。
  140. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  北部方面総監は陸将太田穣でございます。
  141. 矢田部理

    矢田部理君 同じ質問になりますが、第二師団長は岩出俊男さん、第五師団長小林有一さん、それから第七師団長松永さん、第十一師団長栗田さん、いずれも北海道の師団でありますが、それぞれ師団長ということで確認的に承ってよろしゅうございますね。
  142. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 仰せのとおりでございます。
  143. 矢田部理

    矢田部理君 それからもう一点、青森県にある大湊地方総監、これはこれには吉田さんとありますが、ことしの六月当時は松井さんという方ではありませんでしたか。
  144. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) そのとおりでございます。
  145. 矢田部理

    矢田部理君 これらの方々が打ちそろってことしの六月五日でありますが、旭川の北海道護国神社の例大祭に参加をしているのですが、御存じでしょうか。
  146. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 突然のお尋ねでございますので、事実関係の資料をちょっと持ち合わせておりません。
  147. 矢田部理

    矢田部理君 これらの師団長初め自衛隊の音楽隊も参加しています。突然のお尋ねだということを言われるかと思いまして、参加の写真をここに全部持ってきております。確認いただけますか。(矢田部理君資料を手渡す)確認してください。
  148. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 大変小さいスライド写真でございまして、ちょっと直ちには確認いたしかねます。
  149. 矢田部理

    矢田部理君 幻灯というか、スライドもあるんですが、ここで写すわけにもいかぬですが、それは間違いなくそうなんです。  そこで、一つには、師団長が全部そろって、恐らく海路の大湊から出かけていったのは、あの方面、海の関係は大湊が管轄することになるんでしょう。全代表がここに参加をして、まず玉ぐしを奉奠した。そしていま太田さんを特に名指しで申し上げたのは、太田さんが代表して祭詞を朗読した。これは明らかに宗教的行事に対する参加だと思いますが、さっき言われた基準に照らして言えば憲法に明白に抵触する行為だと思いますが、長官、いかがでしょうか。——長官、長官。あなたに聞いてない。
  150. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 急のお尋ねでございますので、事実関係を調べてみなければならぬと思うわけでございますが、私といたしましては、これらの方々が個人の資格として参拝されたのではないか、さように考えております。
  151. 矢田部理

    矢田部理君 自衛隊の音楽隊が打ちそろって個人の資格で参加するんですか。
  152. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 音楽隊の派遣につきましても、事実関係を調べてから御報告したいと思いますが、実は、先ほど先生から御指摘がありましたとおり、山下長官時代も北海道の護国神社の件が問題になりまして音楽隊の派遣が論議されたわけでございますが、あの際は、あくまでも護国神社の例大祭と市民祭りとを分離した形で自衛隊が参加したということを申し上げた記憶がございます。  本年のことにつきましては、事実関係を調べてから御報告したいというふうに考えております。
  153. 矢田部理

    矢田部理君 師団長が、海は総監ですが、全部制服を着てそろって参拝をする、玉ぐしを奉奠する。この師団長は休暇とっていますか。個人の資格じゃないんですよ。それから祭詞を代表して読んでおる、憲法上明らかに許されないことですよ。去年もそのことが問題になったのに、ことしまた繰り返している。そういうことが公然と行われていることにやっぱりいまの自衛隊に問題があるわけです。長官、もう一度、事実関係はわかりませんが個人の資格ですなんという話はないでしょう。
  154. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  まだ事実関係は調査しておりませんので断定しがたいわけでございますが、玉ぐし奉奠の件も含めまして、私といたしましては個人の資格として参拝したのではないかというふうに考えておるわけでございます。また、音楽隊の参加の点につきましても、今後事実を調査してお答えさしていただきたいと思います。
  155. 矢田部理

    矢田部理君 事実を調査せずして、そっちはわからないが資格だけ個人だという言い方はないでしょう。ちゃんと制服着ているんですよ。ばらばらに行ったんじゃない、そろって行っているんですよ。ちゃんとその席に座っているんですよ、自衛隊の関係者。たまたまお参りに行ったというのとは全く性質が違うでしょう。  加えて、内容の問題なんです。さっきから戦争の性格論議をしてきました。これは御承知のように護国神社でありますが、太平洋戦争で亡くなられた人たちを地方で祭ってあるわけでしょう。そこでどういう祭詞を上げたかというと、全部読むのも大変ですから——テープもあります。みたまの偉業に——ここでさっきの偉業が出てくるわけでありますけれども、心から感謝の念をささげるということから始まります。そして、ソ連の軍事力増強をとりわけあげつらい、しかも憲法前文に書かれている、諸国民の公正と信義に信頼をして日本の国家の安全をというのが憲法の基本思想であります。その公正と信義について次のように言っているわけです。公正と信義に満ちた新しい国際社会が創造されることは望むべくもありませんと、いいですか。そして次のように述べます。私どもは、不信と対立の渦巻く激動の時代を乗り切るため、悠久の大義に生きられたみたまのみこころをかがみとして、英霊の御加護により任務を達成したいと決意を新たにするものであります。(「あたりまえだ、それは。」「日本人らしいな。」と呼ぶ者あり)不規則発言ちょっとやめてください。太田師団長ですよ。防衛庁が、太平洋戦争や日本の戦争で亡くなられた方たちの、これは兵士にとっては被害者でしょう、それを偉業とたたえたり悠久の大義に殉じたとか生きたとかというふうに言っていないのに、公然とここまで言ってやっている。言うならば侵略戦争を賛美するものです。しかも、自衛隊に禁じられている宗教的行事に参加をしている。当然のことながら、これは事実関係を調べるまでもなく、私はもう全部持っていますよ、テープも写真も。まず長官として、きわめて遺憾だというぐらいの話はしてもいいんじゃありませんか、まず長官。
  156. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) きょう初めて先生から事実関係のお話がございまして、私どもといたしましてもこれから早速調査いたさねばならないと考える次第でございますが、先生の申される点が全部事実だといたしますれば、私どもの考えている方針と必ずしもそぐわない点があるのではないか、その点は十分調査してからお答えを申し上げたいと思います。
  157. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 委員長
  158. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 佐々君。
  159. 矢田部理

    矢田部理君 委員長。聞いていません、ちょっと待ってください。  長官と応答しているんだから、あなたはよけいな口出しを……
  160. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) いま委員長の御指名がございましたので、事務当局から一言申し上げさせていただきます。
  161. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと待ってください。これは質問者の希望で答えてもらうんですから、聞きもしない人が一々手を挙げることはない。  事実関係を調べてということもありましょうが、事実とすればきわめて遺憾だと、あるいは防衛庁の考えていることと違うというふうに言われたわけですから、それは……
  162. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) これから調べてみます。仮に先生の言われた点が事実だとすれば、先ほど、前長官以来防衛庁の言っている点とそぐわない点がありはしないかという点も想像されますと、こういうことを申し上げているわけです。
  163. 矢田部理

    矢田部理君 事実はいずれにしても調べてもらいましょう。  あわせて、事実だとすればということが前提でありますけれども、あなたの言われるとおり、この防衛庁の方針と違うということを明確にされたわけでありますから、それは単に方針と違うだけではなくて、憲法に明白に違反しているんですよ。当然のことながら、この幹部を処分すべきだ、一切今後この手のものはやっぱりやめさせるべきだということを明白にしてほしいと思います。
  164. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先ほど来申し上げたとおり、事実を調査してからでないと何とも申せない点でございますので、いま先生が確約をせよと申されましてもお約束をするわけにはまいらないわけであります。
  165. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 事務当局から、従来の指導方針についてちょっと説明させていただきます。  この種の行事に自衛官が参加をする場合につきましては、先ほど来先生御指摘のような基本原則あるいは長官御説明申し上げましたような基本方針によりまして、宗教的行事に公的な資格では参加しない、私人の資格で参加をすると、こういうことが第一。それから、玉ぐし料であるとかあるいはその他の香料等はポケットマネーから支出すること。そういう種々の注意をいたした上で個人の自由な意思においてこれに参加することは必ずしも禁止をいたしておりません。また、この護国神社の行事につきましては、先ほど御指摘のように、私もこの事実関係を調べた上で後ほど確信を持ってお答えをいたしたいと思いますが、恐らくこの太田方面総監以下はその基本原則に従って参加をしたものと思います。制服を着ておったことにつきましては、たとえば結婚式、葬式その他の冠婚葬祭については制服着用を許しております。また、休暇の点につきましては、事実関係、ちょっと私掌握しておりませんので確認をいたしますが、恐らくその手続をとっておると思います。  なお、参加をした自衛官が戦没をされた方々に対して個人としての弔意を表したということについては、一向差し支えないことであろうかと考えております。と申しますのは、先ほど来、太平洋戦争、第二次大戦がどういう性格のものであるか、こういう御質問がございまして、これは侵略戦争であるかどうかという問題でございますが、仮に、国を守る任務に出たる自衛官が、第二次大戦でその生命を国にささげたかつての先輩あるいは部下であった方もおられると思います。この現職の方々の中には。そういう方々のみたまを慰めるために、その戦死した行為そのものについては深甚なる弔意を表したものというふうに解してよろしいのではないだろうか、決して侵略戦争を賛美したものとは私ども考えておりません。
  166. 矢田部理

    矢田部理君 あなた何を言う。質問もしていないのに出しゃばって手を挙げて、長官がいまから調査をすると、調査した内容に基づいて答えると言っているのに、都合の悪いことは調査すると言い、自分の言いたいことは調査しないで言うという、そんなむちゃくちゃなことはあるか。質問者を中心にやるんだから、手を挙げる人中心にやってない。  いずれにしても長官、この問題は去年でしたか、当内閣委員会で問題になって、今後厳に慎むということになっているわけですよ。閣僚が靖国神社にそろって参拝しても私的参拝だと強弁し、上も上だから下も下でね。北海道侵攻だ、ソビエト脅威だと言っているさなかにですよ、これは少しともかくとしてもですね。師団長が全部ある神社に青森県からまで集まって打ちそろってやると、いいですか、こういうことはやっぱり許すべきでないと私は思うんですよ。厳に慎むべきだけではなくて、憲法上の問題を派生させているわけでありますから、厳重に調査をし事実関係を確認した上処分も含めて検討するというぐらいのことはやっぱりここで、事務方の弁明じゃなくて、想定に基づく議論じゃなくて、長官としてきちっと正すべきだと、言うべきだというふうに思いますが。
  167. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先ほども申し上げましたとおり、前長官の国会で話されましたことは、私も引き続きこれを部下に徹底させなければいけない立場にあるわけでございます。  そこで、お尋ねの事柄につきましては、これから事実関係を調査いたしまして、またその事実がどうであったかということに基づいて私は私なりの判断を下したいと考えているわけでございます。先生の御意見も参考として伺っておきます。
  168. 矢田部理

    矢田部理君 事務万に教えてもらってじゃなくて、いま長官が言われたとおり、みずからの見識、責任者としての立場を明確にされながらしかるべき処分、厳しい今後の措置をやっぱりとるべきだというふうに思いますので、特にその点を強く希望しておきたいと思います。次の質問に変わります。それからしたがって、この質問は、その調査を待ってということで留保しておきたいと思います。  中期業務見積もりに関連をして質問を続けます。五三中業というのがかねてから問題になっています。この中業は、大綱を基本にして五十五年度から五十九年度にわたる間の業務見積もりを防衛庁内部でやったものである、防衛庁の内部文書であるというふうに言われているわけでありますが、同時に、この中業をつくるに当たって、その前提としての情勢分析をやったものがあります。通常、統中と言われています。これは中業が出る前提として軍事情勢なり国際情勢なり持っている問題点等について分析をしたものと思われますが、どういう性格と内容のものであるのかということが一つ、それからこの統中だけではなくて、長期にわたるものが統長と約されておるものでありますが、ございます。これは、従来の説明によりますと、昭和六十年から十年先を見通して軍事問題を中心とする内外情勢の見通し等について分析をしたものであるというふうに言われているものでありますが、これら統中、統長の性格と内容について、まず、これは事務方で結構ですから御説明をいただきたいと思います。
  169. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 順序が逆になりますけれども、統合長期防衛見積もりの方から先にお答え申し上げます。  現在の統合長期防衛見積もりは、いまお話ございましたようにかなり長期でございまして、いまありますものは、六十年から六十九年ごろまでのものを長期にわたりまして内外の諸情勢の見積もりと装備の質的方向の検討を行った上で、日米安保体制のもとで防衛力の質的向上を図るべきこと等を記述いたしました内容のものでございます。また、統合中期防衛見積もりは、五十五年から五十九年までの中期にわたる内外の諸情勢の見積もりを行った上で、やはり現在の日米安保体制のもとで防衛計画の大綱の水準を達成することを目標にしました内容のものでございまして、統合長期防衛見積もりも統合中期防衛見積もりも、ともに先生御指摘のように、防衛計画の大綱ができました後、防衛庁の防衛諸計画の作成等に関する訓令というのができまして、それに基づきまして統合幕僚会議で作成をいたしておるものでございます。統合長期防衛見積もりの方は、統合幕僚会議議長が作成して長官に報告をする。統合中期防衛見積もりの方は、やはり統合幕僚会議が作成しまして長官の承認を得る、そういうたてまえになっておるものでございます。
  170. 矢田部理

    矢田部理君 アウトラインについて伺ったわけでありますが、特にここで問題に供したいのは、五十三年統中と言われるものであります。これは言うならば五十三年中業と対をなすものだというふうに理解できるわけでありますが、五十三年中業は、しかも内容的には事業見積もりと能力見積もりというふうに大別されています。その事業見積もりについては概括的なものでありますが、一応公表しました。ところが、この能力見積もりは依然として秘密だということでまだ明らかにしていない。しかも、この中業と対をなすところの統中については、いまアウトラインの説明はありましたが、内容的にはほとんどわからないという状態。  そこで、順を追って伺っていきたいのでありますが、統中の中身、もう少し具体的に明確にすべきだというふうに思いますが、その点さっきから再三ほかの問題では手を挙げているようでありますから、じっくり内容を説明をしてほしいと思います。
  171. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど概括的に申し上げましたように、この間の情勢見積もりを——統合中期でございますが、この間の情勢見積もりを中心といたしましたものでございまして、先生のお話にもございましたように、これを受けて各幕が中期業務見積もりをつくるその基礎になる考え方を示すというものでございまして、内容は情勢見積もりそのものでございますので、中身は従来から公表を差し控えさせていただいておるものでございます。  事柄としてどういうことを内容に盛っておるのかということでございますけれども、その上の統合長期防衛見積もりを参考といたしまして、さらにそれを中期につきまして内外の諸情勢を掘り下げまして、わが国の防衛構想、防衛の態勢、各自衛隊の体制を検討し、統合運用の見地から防衛力整備の基本構想あるいは重点、そういったことを明らかにして各幕に示すと、こういうことをねらったものでございます。
  172. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、大綱というのが基本にあるわけでありますが、中期的に見ると、この統中というのが防衛計画の基本に据えられている、その分析が基礎になる、防衛力整備の。こういうふうに受けとめていいんですか。
  173. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま防衛計画の基本になるというふうにおっしゃいましたが、防衛計画の基本になるのはあくまでも防衛計画の大綱でございます。
  174. 矢田部理

    矢田部理君 中期的には……。
  175. 塩田章

    政府委員(塩田章君) この中期につきまして情勢を分析しておるということでございます。
  176. 矢田部理

    矢田部理君 わかりました。  その情勢分析の内容は秘密だからいままでも明らかにしていないということでありますが、特徴的な分析はどういうことになりますか。
  177. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま特徴的とおっしゃったんでしょうか。
  178. 矢田部理

    矢田部理君 はい。
  179. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 中身につきましては公表を差し控えさしていただきたいと思います。特徴的という、項目的には先ほど申し上げましたようなことでございます。
  180. 矢田部理

    矢田部理君 私もいまここで全部説明しろとは言っていないわけですが、ただ防衛力の防衛の構想だとか、内外情勢だとか言われたってわかりませんから。この統中が持っている分析の情勢の見方についての特徴的なものは少なくともこんなことが書いてありますとか、こういう分析に基づいてこんな点を問題にしていますとかいう程度の話はできるんじゃありませんか。
  181. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、防衛計画の大綱に基づく整備をするに当たって各幕の作業をします中期業務見積もりにつなぐ情勢分析でございますから、端的に申し上げますと防衛計画の大綱の情勢分析の基礎になったような情勢、わが国をめぐる内外の諸情勢、そういったものが五十五年から五十九年の間にどういうふうに移行するであろうかと、こういうような情勢についての分析をしておるわけでございます。
  182. 矢田部理

    矢田部理君 どうもいまひとつはっきりしないわけでありますが、ではもう一つ、今度は対をなしている中業の方でありますが、業務見積もりはある程度明らかにされました。能力見積もりという二つの骨格からなっているわけですね。もう一つの方が一切明らかにしてないわけですよ。この中業の能力見積もりというのは一体どういうものであるか、しかも内容はどういう内容になっているのかということについて質問を移します。
  183. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 従来から、能力見積もりにつきましては自衛隊の能力評価そのものでございますので、したがって俗に言う手の内そのものでございますので、公表は差し控えさしていただいておるわけであります。したがいまして、いまのお尋ねでございますけれども、中身でなくて、どういうことを取り上げておるかということにつきまして若干申し上げてみますと、これは五十五年と五十九年の間でございますので、五十五年当初の防衛庁、自衛隊の能力評価とそれから五十九年、計画完了後の時点の自衛隊の能力評価とを比較検討いたしまして、その間になおどういう点を重点的に整備していくべきか、あるいはその後もなおどういう点が残るかといったようなことを検討をいたすものでございます。  たとえて言いますと、陸上自衛隊につきましては、火力、機動力、海上自衛隊につきましては対潜能力、対艦、対空能力、航空自衛隊につきましては要撃戦闘能力、低空対処能力、こういった個々の能力につきまして現状をまず分析評価、それに対しまして五年後の評価をすると、こういったような内容になっておるわけであります。  そのほかにも、たとえて言いますと、たとえばバッジシステムなんかがございますけれども、自動警戒管制装置——バッジシステムやあるいは現在ありますナイキ、ホークといった地対空誘導弾、そういったものが現在の進歩した航空機に対応していくのに現在すでに困難となりつつありますけれども、こういったものの現状の能力分析、将来のあるべき能力分析と、このようなことをいたすと。二、三の例を挙げて申しますればそういうふうなことを内容とするものでございます。
  184. 矢田部理

    矢田部理君 これは自衛隊だけの能力評価ですか、それとも彼我の力関係等も含めた能力評価、あるいはアメリカとのかかわりにおいてどうなるかということも含めた能力評価ということになりますか。
  185. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 自衛隊の能力評価でございます。
  186. 矢田部理

    矢田部理君 自衛隊の持っている能力の中でどこに欠陥があり、いかなるところに弱点があるか、それを改善するためにどうするかというようなことも含めてここでは記述があるんでしょう、指摘があるんでしょう。
  187. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 当然そういうことを含めております。
  188. 矢田部理

    矢田部理君 秘密だ秘密だと言うんでますます聞きたくなるんでありますが、現物を出してほしいということですが、とりあえず質問を受けてということでありますから。その程度のことは自衛隊が秘中の秘だとかいうことになっているようですが、大方の指摘は幾つかあるんじゃないですか、もう。  だから、私が申し上げたいのは、そういう項目的なことも大事ですが、たとえばということで二、三こんな点が問題になっていますということで少しく説明いただけませんか。
  189. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 大方の指摘があるじゃないかということでございますけれども、私どもこれはまさに手の内でございますので極秘にいたしておりまして、どういう資料で大方の指摘があるとおっしゃったのかわかりませんけれども、私どもこのことにつきましては極秘の扱いをいたしております。項目は、いま幾つかの例を挙げて申し上げましたようなことについて現在の能力を分析評価する、それに対して、したがってどこをどう廃していくべきかと、五年後にどうなるかという分析評価をしておるわけでございます。
  190. 矢田部理

    矢田部理君 そこまではさっき伺いました、その次を聞いておるんだ。だから、一、二の例をもう少し具体的に挙げれば手の内を全部さらすようなものだと、全部はさらしなさいとはいま言っていません。たとえばこんなことですということを一、二だけ例を挙げて出してみてください。
  191. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど陸上自衛隊の火力、機動力ということを申し上げましたが、たとえば火力について言いますと、現存どういう大砲がありますと、どういうりゅう弾砲が何門というようなことがわかっております。それが五年後にどういうりゅう弾砲がどれだけ入ればどれだけの火力が上がると、こういうことでございます。
  192. 矢田部理

    矢田部理君 その程度のことが秘中の秘であったり、手の内をさらすことになるんですか。  いずれにしましても、私が問題に供したいのは、それは個人的な興味ではなくて、シビリアンコントロールという議論が一方で重要な課題としてあるわけです。ところが防衛庁は、中業にしましても統中や統長にしましても、一切明らかにしないんですよ。事業見積もりの一部を、そのものじゃなくて防衛庁なりにアドリブをしたものを対外的に出している。しかも、この中業自身は言うならば日米首脳会談の議題になる。アメリカから早期達成を求められる。受けて今度は防衛予算を特別枠を組む。こういうことでアメリカ筋との関係だけで一人歩きをしている。国内的には防衛庁の内部文書だと言って、あるいは極秘文書だと言って明らかにしないまま国際的にはもう市民権を持っている。こういうことがやっぱり許されていいのかどうかと、幾つかの資料要求をしたけれども、一切出しません。出さないまま、シビリアンコントロールというのは大臣や国防会議が文民であってそこで統制すればいいというだけではなく、国民的な監視とか、国会を通してのコントロールとかいうことがより重視をされなきゃならぬわけであります。率直に言って、いまの答弁には大変不満であります。したがって、先ほど資料要求に対して、とりあえず質問でできるだけ答えますからということではありますけれども、どうもこの程度では納得をしませんので、またこの問題については少し問題を残しておきたいというふうに考えます。  中業関係に関連をいたしまして、予算の特別枠を、要求のレベルでありますけれども、つくりました。既国庫債務負担行為については他の省庁と違って特別枠を認めるという趣旨だったと思いますが、いよいよこの年末、予算の査定段階に入ります。渡辺大蔵大臣は要求と査定は別だと、査定についてはぎりぎりやりますというようなことになっているようでありますが、ところが、その後アメリカ筋からいろんな要請も、単に要求だけ認めるんではなくて、査定の上でも九・七を認めろと、あるいはもっとふやせとか、実質成長率はどのぐらいになるのかとか、いろんな注文が巷間伝えられているわけでありますが、最近の査定状況、それに当たっての考え方、どんなふうになっているかということを伺いたい。
  193. 吉野良彦

    政府委員吉野良彦君) 具体的な査定の状況につきましては、これは政府部内の調整作業でございますので、具体的に申し上げることはお許しをいただきたいと存じますが、先ほど先生も御引用になりましたが、渡辺大蔵大臣がいろいろな機会に申し上げておりますとおり、いわゆる防衛費だからといって聖域扱いと申しますか、特別の扱いはしない。これも先生よく御承知のとおりかと存じますが、防衛力整備につきましては、五十一年の国防会議及び閣議決定がございまして、「そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ行う」ということが政府基本方針になってございますので、私どもはこの基本方針に忠実に査定を進めるという考え方で現在臨んでいる次第でございます。
  194. 矢田部理

    矢田部理君 要求のレベルではありますが、既国庫債務負担行為について特別枠をつくると、これは対外関係もあるからということが一つ理由になるのかもしれませんが、既国庫債務負担行為というのは来年度限りのものですか。
  195. 吉野良彦

    政府委員吉野良彦君) 五十六年度予算編成の段階において問題になりますのは、五十五年度以前に国庫債務負担行為をちょうだいいたしましたものの歳出化にかかわる部分が五十六年度の歳出予算にどの程度織り込まれるかという角度で問題になるわけでございますが、抽象的、一般的に申しますならば、この既国庫債務負担行為と申しますのは、たとえば五十七年度予算の段階になりますれば、五十六年度以前に国庫債務負担行為をちょうだいいたしましたものの歳出化ということで、歳出予算にどの程度組み込まれるべきかということで問題になるわけでございます。  ただ御質問の御趣旨は、あるいは五十七年度の予算編成に当たって、五十六年度のいわゆる概算要求のシーリングを決めたときと同じような考え方で、五十七年度のシーリングを決めますときにもことしと同じように既国庫債務負担行為等の歳出化にかかわります部分について特例を設けるのかというあるいは御趣旨かと存じますけれども、これは申し上げるまでもなく、概算要求の枠をどうするかはあくまで毎年度毎年度考えていくことでございまして、五十六年度予算につきましては御承知のような閣議決定をしたわけでございますが、来年度以降どうするかは全く白紙でございまして、来年度以降そのときどきの状況に応じて最も妥当なシーリングの枠というものを決めていくのが筋道ではないかというふうに考えておりまして、全く白紙でございます。
  196. 矢田部理

    矢田部理君 恐らく来年もまた予算編成期には既国庫債務負担行為があるだろうと、存在するだろうと思われるわけですね。そうしますと、一たんこの特別枠を認めると、それをまた次年度もそういう式のものは認めざるを得ないということに流れとしてなりはしまいかということを一つ考えるわけです。  それが一つと、もう一つは、それならばことし認めたのは特殊例外的なものなのか、ことしどうしてもそれを認めざるを得ない特段の事情があったのかということとも関連するわけでありますが、その辺はいかがでしょう。
  197. 吉野良彦

    政府委員吉野良彦君) これは概算要求の枠として、原則的に何%程度の増加枠にするかということとも関連を一つはするわけでございます。御案内のように、五十六年度につきましてはいわゆる一般行政経費につきましては前年度と同額と、それからその他のいわゆる政策的経費につきましては前年度の七・五%増の枠と、そういうことで計算された金額の合計額の中にとどめるというのがいわゆる原則枠であったわけでございます。この七・五%と申します枠は、たとえば五十五年度のときと比較をいたしますと、五十五年度は実は一〇%であったわけでございまして、その意味で五十六年度はかなり枠そのものが一方において前年度以前よりも厳しくなったという事情は一つございます。また、その中で防衛庁について申しますると、五十五年度以前の国庫債務負担行為の歳出化にかかわります部分が総体的にかなり大きなウェートを持っているという一つの事情がございました。そういう両者の事情を勘案いたしまして、概算要求段階においてこの何が何でも七・五%の枠の中にはめ込んでこいと、要求すらもそれを超えてはならぬというのでは余りにも実態にそぐわない点があるというようなことも考慮いたしまして、御承知のようなシーリングの決め方になったわけでございます。  来年度以降につきましては、繰り返しになりますが、そのときどきの全体の情勢をにらみまして、総体としてあるいは原則的にどの程度の枠をはめるかということとも関連をいたしてまいるわけでございますので、あくまで来年度以降は来年度以降の問題として、現在のところは全く白紙ということでございます。
  198. 矢田部理

    矢田部理君 大蔵省結構です。  防衛庁長官に伺いますが、時間がなくなったので簡単に少し伺うんですが、アメリカの要請あるいはまたソビエト脅威論、そしてもう一つの柱として、財界からの強い要請等が最近の防衛力増強を加速させているというふうに私は特徴的に指摘をしたのでありますが、その重要な一つに、軍需産業からのいろいろな問題が出されてきております。これはやっぱりきわめて危険だと思います。われわれとして黙って見過ごすことのできないような発言も多々あるわけでありますが、財界の問題はいずれこれは通産等にやらなきゃならない性質のものでもありますからここは控えるといたしまして、この財界、とりわけ軍需産業防衛庁がてこ入れをする動き一つとして最近出てきておりますのが、これはまあ施設庁になるのですか、諸物資の買い入れについて、従来この調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令というものに基づいてやってきたようでありますが、ここで防衛産業の利益幅が必ずしも大きくないということから、少なくとも五%確保要求が強まってくる。それを受けて、この訓令の改定作業に取り組み始めている。特に第三者機関に諮問をして、その訓令の変更について答申を受ける、そういう運びになっているというような報道もございます。  この点について一体どうなっているのか。これは大蔵省にも本当は査定の関係では聞かなきゃならぬ性質のものでありますけれども、特に私が指摘をしておきたいのは、軍需産業というのは競争がないと言ってもいいぐらい、言うならば随意契約で契約が締結をされるわけです。競争入札方式をとらない、またとりにくい状況もわからないわけではありません。そういうことから、単にこの計算上の利益率だけではなくて、実態的にはいろいろな利益が隠されている可能性も多分にあるし、さらには制服組の天下り等によって防衛庁と兵器産業のやっぱり癒着の問題も実は幾つか指摘をしなきゃならぬ問題があるわけであります。その調達に当たって、いわば厳しい予算の中で、軍需産業にこの利益を保障していくということのための算定方式の改定をもくろんでいる。その動き状況について御説明をいただきたいと思います。
  199. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ただいまお尋ねの問題でございますが、防衛庁といたしましては、装備品等の購入に当たりましては厳格な原価計算を実施して、それに基づいて実施しておるわけでございます。その基礎になります訓令が相当古いものでございますので、口数も経過しております。最近の経済情勢等もにらみ合わせまして、この訓令を改めたらいいかどうかについて、専門の会計学者等を中心とする検討の委員会を設けていることは事実でございますが、いまお尋ねの利益率を上げるとか下げるとかいうことを目的として設けられている委員会ではございません。全般に見直して、改めるべき点は改めるという観点から進めているわけでございます。  詳しいその委員会の情勢等につきまして、必要があれば政府委員の装備局長をして答えさせます。
  200. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 若干の補足をさしていただきます。  いま大臣から申し上げましたとおり、防衛庁は、装備品を調達する際の利益率の算定方法につきましては、調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令というものに定められておりますけれども、この訓令はもう二十年近くをけみしておりまして、その間経済情勢も先生御存じのとおり大変変わっておりますし、企業におきますところの財務構造等も大変変化しておるといったようなこともございますので、訓令に定めますところの利益率の算定方式が将来とも適正なものであるか否か、あるいはより合理的な考え方があり得るかどうかというようなことを検討する必要性があるというふうに考えまして、利益の概念及びその計算方式等につきまして、広く会計学あるいは原価計算の分野の一流の専門家意見を聞くために、本年六月に産業経理協会というものに調査研究を依頼した、こういう状況でございます。  この調査研究につきましては、一応来年三月に終了するという予定でございますが、その結果を得ましてから省内で十分慎重に検討いたしまして、できる限り早く結論を出したいと考えておりますけれども、いまの段階でどうこうするということではないということは、いま大臣が申し上げたとおりでございます。
  201. 矢田部理

    矢田部理君 時間がそろそろ来ましたので、幾つかの質問を留保して終わりたいと思いますし、また、準備したものが三分の一ぐらい残ってしまったわけでありますが、防衛庁長官に特にやっぱり強く期待、希望しておきたいのは、アメリカのさまざまな要求がある。レーガン政権下でそれが風圧としてさらに強まる可能性も高いと見なきゃなりません。これは財界自身も、やっぱり軍需産業の拡大、さらにはこの武器輸出に対する、抑えるための禁輸の三原則があります。等々を乗り越えてやっぱり財界の強い動きが出始めている。その前段としてさまざまな軍事力増強に対する発言ども、徴兵制を含めてうるさくなってきているわけであります。加えて、ソビエトからの脅威ということが意図的に宣伝をされて、言うならば防衛力増強キャンペーンの重要な一翼を担っている。それだけにやっぱり防衛庁長官の対応といいますか、見識といいますか、きわめて重要な時期に来ていると思うんです。  私どもは自衛隊を根本的に認めるものではありませんけれども、さっきからの状況を聞いておっても、相当なやっぱり防衛費を抱え込んでしまった。事実上たとえばシビリアンコントロールの機能さえ空洞化されてしまっている。それだけに、長官としてのこれからの役割り、責任はきわめて重いと思うんです。特に最近は役人が少しそういうものに踊らされて、勝手な放言といいますか、個人的な認識を含めて、たとえば朝鮮民主主義人民共和国が脅威だとか、これもできる、あれもできると言って、いわば憲法で定めた枠というのは、われわれ認めておりませんけれども、いままで政府が解釈してきた必要最小限度性、専守防衛の議論すら飛び越えようとしているのが現実なんです。なかなか兵器、装備等に対する知識がないから抑えるのがむずかしいというだけではもう済まされないような事態にどんどん立ち至っている。  そういう幾つかの問題点があることを十分に認識をされて、とにかく増強、拡大という方向に歯どめをかける。そして、私がさっき伊東外務大臣にも指摘を申し上げましたように、やっぱり軍拡ではなくて軍縮を求める、世界各国に軍事費の圧縮を求めるようなそういう施策を、これは外務省とか内閣が中心になるものでありますけれども防衛庁はそういう方向にますます逆行する傾向にあるわけであります。それにまた押されて全体が、政府が流される危険もあるわけであります。その点について十分な何と言うか、抑えですね、これを期待するわけでありますが、最後に防衛庁長官の答弁を承って、私の質問を一応終わりたいと思います。
  202. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  防衛庁長官としての重要な任務につきましては深く自覚しているつもりでございます。しかしながら、ただいまるる御指摘がございましたので、御意見は御意見として拝聴いたしまして、与えられました任務の達成に一層努力してまいりたいと、かように考える次第でございます。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、時間の都合で官房長官が四時までだそうでございますので、官房長官にしぼって初めにお伺いしたいと思います。本来なら官房長官、実はもう少し時間をいただきたいんです。  これは、官房長官、きょうのこの防衛問題とは多少関係がないと言えばないんです。しかし全くないんじゃなくて、これから議論しようということについては関係があるわけです。そういうような意味で、いわゆる政府の中に置かれる各種審議会というのがありますね。これは、当然各種審議会はそれぞれ法律に基づいて設置されているわけですけれども、従来から問題になっておりますいわゆる私的な諮問機関というのがあるわけです。これは、たとえば総理の私的な諮問機関、あるいは大臣の私的な諮問機関というのがあるわけです。そこで、こういうふうな問題について当内閣委員会で何回か議論もされまして、そしてその都度官房長官がこの内閣委員会に参りまして、そういうふうなことについては自粛をするとか、閣内においても通知をするとか、みんなで閣議で話し合いをするとか、そういうようなことを何回か話があって自粛をされてきたんですけれども、実際は最近またそういうようなものが幾つか出てきているわけです。  それは、たとえば先日当内閣委員会で問題になりました共済の問題であります。これは公務員共済もあれば一般の組合の共済もあるわけですけれども、この共済の問題が非常に抜本的に考え直さなければいけない。いわゆる国鉄の共済にしましてももう破産状態にある。したがって何とかしなくちゃならないということで、この共済の問題を考え直すために共済組合基本問題研究会というのをつくりまして、これは総理府が中心になって、総理府とか運輸省とかそれぞれ関係のところが集まってその研究会をする。それで、この間当委員会に運輸大臣並びに総理府総務長官、大蔵大臣がお見えになってそれぞれ質問をいたしましたけれども、大臣はみんな研究会の答申を待って、その答申がいわゆる問題解決の中心になると、こういうような答弁をしておるわけです。  ということは、いわゆる国家行政組織法というのがありまして、御存じのとおり第八条機関というのがあるわけです。その八条に基づいて、こういうふうな国の行政を左右するような問題についてはきちっと設置されなければならないわけです。ところが、最近はこれだけではなくて、そのほか行政管理研究会とか、あるいは先般から私防衛問題で指摘をしたことがございますが、防衛庁職員給与制度研究会とかいうふうな、こういうような法律に基づかないものをつくって、いわゆる研究会という名前でそういうふうな国の行政を左右するような問題を研究し、あるいはそういうふうな調査を進めたいと、そういう姿勢が至るところで見られるわけです。こういう問題については大臣はどういうふうな御認識でおられるかというのを初めに聞いておきたいんです。
  204. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この問題はしばしば国会で御議論になりまして、御趣旨の存しますところはよく存じております。実際問題といたしまして、いわゆる民間有識の方々のお知恵を借りたい、御意見も承りたい。しかし、これを正式の八条の機関にするとなりますと、これは非常に手数もかかりますし、また、どうしてもいわばフォーマルなものになりやすうございます。一つの問題について御意見を伺って、それが済みましたらそこで解散をするというようなこととして、そういうものをやはりときどき必要があるというふうに各大臣お考えになる、その意味はわからないでもございませんが、ただいまおっしゃいましたように、いわばそれが問題解決の隠れみのになるというようなことがあってはなりませんので、文字どおり短期に特定の問題について結論を出してもらってそれを参考にすると、こういうことで最小限度の場合に限ってお許しをいただきたい、こう考えておりますが、基本的には、それが行政の責任を不明確にする、あるいは問題の解決のいわば隠れみのになることは避けなければならないと思っております。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、これはきょう大臣がいなくなってから結局議論しなければ時間的に間に合いませんのでしようないんですけれども、たとえば短SAMの問題であります。これは、後で大臣いなくなってから議論をいたしますけれども、民間人六人の方に集まっていただいて短SAMの検討会をする、これは非常に問題なんですね。この短SAMの検討会というのはどういう性格のものなのか、その会に出席した六人の人はいわゆる国家公務員なのか自衛隊員なのか、検討した後の守秘義務は一体どうなるのか、具体的な問題がもういっぱいこの問題一つについても絡んでくるわけです。私はこの問題は、大臣にはきょうはもう聞く時間がありませんので聞きません。ただし、そういう問題があるということです。  しかも、いま大臣、そういうふうにおっしゃいましたけれども、この間渡辺大蔵大臣も塩川運輸大臣もともに、いわゆるこの共済の問題を同僚議員からぐうっと詰められますと、結局われわれではどうしようもありませんから、この共済組合基本問題研究会の結果を符って一もうそれが全部隠れみの一〇〇%なんですよ、大臣、実際その答弁そのものが。ですから、それでは大臣が言うように、その意見を聞いてそれを参考にしてなんというものじゃないわけです。そのものが一〇〇%なんです。そのほかにそれじゃ何かあるかというと、そういう感じじゃなかった、実際問題として。ですから、私はこの問題については少なくとも、前の官房長官のときにもこの問題について話し合っていただきましたけれども、私は悪法であろうと何であろうと、少なくとも国家行政組織法という法律がある限りは、その法律に基づいて審議会なり研究会なり、そういうふうなものはきちっと設置していかなくちゃいけない、その基本精神はやっぱり守っていかなくちゃいけないと思うんですけれども、これはどうでしょうかね。
  206. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 基本の精神は御指摘のとおりであると思います。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題につきましては、後ほど防衛庁長官と議論いたしますので、後で聞いていただきたいと思っております。  そこで、長官にちょっとお伺いしたいのは、国防会議の問題なんですけど、きょうは事務局長おいでになっておりますけれども、短SAMの問題について国防会議を来月の二日開くというふうな記事が新聞にも報道されておりますけど、これはこのとおりでございましょうか。
  208. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 最近予定しております国防会議で、五十六年度の防衛関係の問題の主要項目についての報告がある由でございますが、その一つにただいま御指摘の短SAMという問題も入っておるというふうに承知をしております。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つお伺いしますが、例の、いま私たちこれから問題にしようとしております例の中期業務見積もりですけど、これは五十六年度から国防会議に付議するというふうなこともお伺いしているわけですが、これはこのとおりでございますか。
  210. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、十月の衆議院の予算委員会におきましてお尋ねがございまして、政府から、五六中業の作成に当たっては何らかの形で国防会議の議題とするよう努めたいということを申し上げておりまして、そのようにいたしたいと考えております。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと官房長官、これはやっぱりいろんな問題が出てくるわけです。要するに、国防会議にかける、かけないという基準ですね、これは一体政府は何を基準にしてその国防会議にかける、かけないということを決めるのか。いわゆるこの中期業務見積もりにいたしましても、要するにいままで全く国防会議にはかかっていないわけですね。それを今度五六中期業務見積もりから国防会議に付議するというふうなことになりますと、これは例の国防会議の、いわゆる防衛庁設置法の六十二条ですか、「次の事項については、国防会議にはからなければならない。」という、まあ一、二、三、四までは、これはそれぞれわかりますけれども、第五の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というところでやっぱり国防会議にかけられるんだろうと思うんですね。ここら辺の基準といいますか、そういうようなものはどういうふうにお考えなんですか。
  212. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 防衛庁設置法第六十二条第二項第五号の規定でございますが、この具体的な適用といたしまして昭和五十一年に閣議決定がございまして、それによりますと、毎年の防衛関係予算要求のうち主要な項目についてはこの重要事項に該当するもの、という決定がございまして、したがいまして、この閣議決定によりましてただいまのようなものが国防会議に諮られなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは私の手元にもありますからわかっておりますんですが、そうしますと、私が基準と言いますのは、短SAMをかけるということになりますと、今度はそれに瀕するやつは全部やっぱりこれはかけるわけですか。
  214. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 詳細事務局長からお答えを願いたいと思いますが、予算要求の重要な事項でございますれば、この閣議決定によりまして国防会議に諮られることになると思います。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、私はその短SAMも重要だと思っているわけです。思っているわけですけれども、実際問題いままではそういうことはなかったわけです。いままでは。そういうふうな意味では、いわゆる短SAMがかけられるということになると、それ並びにそれと同等ぐらいのいろんな性能、あるいは値段、あるいはそういういろんなものから絡み合わせて、装備の問題に関連して全部やっぱり国防会議にかけなくちゃならないという理屈になってくるわけですけど、そこら辺の基準は何か、いままでの閣議決定とは違ったものが新たにできるのか、あるいはできたのか。やっぱりいままでの対応と、官房長官、前の閣議で決めたこととは変わってきているわけですよ、これ。ですから、そこら辺のところはやっぱりもう少し明確にしてほしいと、こう思っているわけです。
  216. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生が、短SAMはこれは初めてだとおっしゃいましたけれども、主要項目といたしまして、主要装備は毎年かかっているわけでございます。したがいまして、戦車とか、たとえばホークとか、改良ホークのときなんかもかかっております。したがいまして、短SAMというのは新しい兵器でもありますし、主要な兵器でもありますので、ことしは当然その主要な装備品の中の一つとして御決定いただくというふうになっているわけでございます。ですから、短SAMが新しいということではございません。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それはよくわかっているわけですけど、今回は特に短SAMを取り上げて、一つのものを抜き出して、それでこういうようなのは初めてですね、実際問題としては。そういうような意味で私は申し上げているわけですがね。
  218. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 特に取り上げて説明するというものではございませんで、もちろん戦車の数あるいはまた今度の護衛艦、それからそのほかの兵器についても御説明があるわけでございます。その中で当然短SAMも御説明があるということでございますから、特に取り上げるというわけではございません。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官、時間あと十分しかありませんのでしぼってもう一つお伺いします。  例の朝鮮半島の脅威の問題につきまして、長官が、先日の内閣委員会におきまして官房長官の発言のメモというのが私の手元にも回ってきております。この官房長官メモによりますと、「朝鮮半島の平和と安定の保持は、我が国の安全保障にとって緊要であるばかりでなく、東アジア全域の、平和と安定にとって重要な要素でございますが、昭和五五年一〇月二七日の衆議院安全保障特別委員会における防衛庁岡崎参事官の「北朝鮮の最近の軍事力増強は、潜在的脅威の増大である。」との答弁も、このような認識のもとに、北朝鮮の軍事力増強は半島の軍事バランスに影響を与えるものであり、ひいては、直接的ではないとしても、我が国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨でございます。」こういうメモがありますが、これはこのとおりでございますね。
  220. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) このような答弁を申し上げました。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、北朝鮮の潜在的脅威という問題について、これは長官、最後の力に——余り時間がございませんから端的にお伺いするわけですが、「ひいては、直接的ではないとしても、我が国に影響を及ぼす可能性があるとの趣旨でございます。」と、こういう答弁があるわけです。これはどういうことでございますか。
  222. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ここでつけ加えさせていただきますと、衆議院安全保障特別委員会で防衛庁の参事官が答弁をされまして、そのことについていわば政府の考えを述べよということでございましたので、この参事官の申しておる趣旨はこのような意味でございますというふうに私からまず最初に申し上げました。  次に、しかしながら一体政府は、それ下あれば朝鮮民主主義人民共和国がわが国にとって潜在的な脅威であると考えるかと、こういうお尋ねでございましたから、私は先ほど申し上げましたのは、いわば専門家の軍事的観点からの所見をお答えしたものと思いますが、政府全体として申しますと、国と国との関係は、防衛的見地ばかりでなく、外交、経済、文化交流など総合的な見地から判断をすべきものでございますから、特定の国が潜在的な脅威である、ない。あるいは脅威である、と断定することが必ずしもどうも私はわが国の国益には沿わないのではないか。政府として総合的な考え方はそのように思っておりますと、こう申し上げたわけでございます。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで大臣、北朝鮮の軍事力の増強というのは、要するに大臣の答弁によりますと、直接的ではないにしてもわが国に影響を及ぼす可能性があるという表現をしているわけです。最後にですね。ということは、逆に言えば直接的な影響は与えないけれども、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国の軍事力の増強というのはわが国に対して間接的には影響を及ぼす。いわゆる間接的影響というのか、間接的脅威というのか、こういうふうな言葉はここにはありませんけれども、直接的ではないとしてもわが国に影響を及ぼすというのは、間接的にはそれじゃ影響を及ぼすというふうなことになってくるわけですが、ここのところはどうなんですか。
  224. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この委員会におきまして最初に私が申しました答弁は、いわば防衛庁の参事官の申し上げたことを政府としてもう少しきちんと解釈をしろとでもいうような局面でございまして、そこで、申しますならば、それは朝鮮半島の軍事バランスが変化するということはわが国に全く無関係な出来事ではございませんから、北朝鮮の戦力が仮に増強されたとすれば、それはバランスに影響があり、ひいてはわが国も無関係とはこれは申し上げられないでございましょうということに、実はそう考えますと申し上げておるのでございますが、さて、くどいようでございますが、政府として北朝鮮の軍事的脅威、潜在的脅威云々をどう考えるかということについては、私はどうもそういうことを申すことが国益に沿わないのじゃないかと。最終的にはそう申し上げておるわけでございます。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、この問題につきましては後ほど外務大臣ともいろいろと議論したいと思いますので、とりあえず官房長官結構です。  外務大臣、実は先日内閣委員会だったと思いますけれども、この内閣委員会で、例の外務省の安全保障政策企画委員会の「安全保障政策企画委員会第一ラウンドとりまとめ骨子」というやつですか、これについて質疑を行いました。それで、そのときに大臣にいろいろ質問いたしまして、いわゆる自衛官の海外派遣について質問をいたしました。大臣から答弁ありまして、そんなことはもう全然考えてないと、大臣の答弁だったわけです。それで実は、私が質問するときには大臣はよそに行って、おりませんで、当時大塚さんがいらっしゃったわけです。それで大塚さんの答弁を聞いておりましたら、大臣と全く逆の話をしておりまして、大臣はそんなことは全く考えてないと言いながら、大塚さんは、いやもう当然ここの「要員」というのは自衛官の派遣のことでありまして、そのことばかり議論したということになって、私は非常に、大臣もおりませんでしたし、再確認をちゃんとできなかったんですけれども、ここら辺のところはどういうことですか。
  226. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) この前御質問があって、私がお答えをいたしまして、自衛官の派遣というふうなことは考えておりませんと申し上げた、そのとおりでございます。その後も何度もいろんな先生から御質問があるんでございますが、私はその考えをいつも申し上げているところでございます。ここにございます。平和維持活動に対して財政面だけでなくて人的貢献の面でも積極的に検討すべきである、こう書いてあるのでございますが、私はこの考え方は、財政の協力はしていたが、今後人的の協力というものも考えたい、その場合に日本では現行法令で、自衛隊法でそういう目的に派遣するということはないわけでございます。現行法令のもとではそういうことは考えておりません。  憲法上どうかということで、たしか社会党の稲葉誠一議員内閣としてお答えをしておりまして、憲法上考えられる場合とだめな場合と二つあると例示して、ただ両方とも自衛隊法でできませんというお答えをしているわけでございまして、私は憲法論は別にしまして、現行自衛隊法でそういう目的で派兵をする、派遣するということはないわけでございます。政策上も自衛隊を海外に派遣するあるいは派兵するなんということは考えないと。もしも人的な協力ということであれば、これは自衛官でなくてシビリアンで協力できることは協力したらどうかと言って、たしか例でナミビアの自由選挙が行われる場合の監視とか、そういう場合にシビリアンを要員に出すとか、あるいは器材の問題でございますとかあるいは場合によってはお医者さんとか看護婦さんとか、そういう方で協力することもあるだろうということでお答えをしたわけでございまして、その後も私は一貫してそういうお答えをしているわけでございます。  たまたま部長の大塚君が先生の御質問で、内部で検討している場合にいろいろ議論があったということでお答えをしたということを後で私も伺いまして、それは、内部の議論の過程なんというものはお答えする必要はないことなんで、あそこに書かれていることでお答えすればいいんで、それには自衛官の派遣とかそういうことは考えておりませんということで部長にも私注意をしたことがございまして、先生の御質問に対して私の言ったことと部長の言いましたことが違っているというふうなことがございましたら、これは私から本当に深くおわびを申し上げますが、私がお答えしたことが外務省の統一した見解だというふうにお受け取りいただきたいのでございまして、自衛隊、自衛官の派遣ということは考えておりません。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣ね、大臣のおっしゃることはよくわかるわけです。たてまえ上、あるいは大臣としても前の内閣委員会での答弁と同じことをおっしゃいましたから、それはそのとおりだろうと私は思います。しかし大臣、結論はこうだからこうだとおっしゃいますけれども、これは私の手元にありますいわゆる八〇年代の日本の安全保障政策に関する報告書、これ、この中の特に十七ページにありますね——大臣も見ていただいて結構なんですけれども、「世界の、平和と安定のための貢献」、いいこと書いてあるわけですよ。まず(1)として、これはもう書いているとおり大臣、読んでみますからね。「わが国が真に平和国家として生存していくためには、単にわが国のみのことを考えるのではなく、グローバルな視野に立ち、国際社会の責任ある一員として、世界の平和と安定の維持、強化に積極的に努力すべきである。」、これはもう問題ないわけです。このとおりです。(2)は「その一環として、わが国としては、アジアを中心に世界各地における武力紛争」ですよ、これ大臣、「武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決のための努力強化すべきである。」、こうなっているわけです。これが前提です。ということは、アジアを中心にした世界各地における武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、早期解決のためにわが国は努力をせないかぬと二番目になっているわけです。そして、それを受けて(3)に、「かかる観点から、わが国は国連の平和維持活動に対し、従来の如き財政面における協力にとどまらず、」だ、大臣がおっしゃっておりましたように経済的な援助だけではなしに、「人的貢献の面についても積極的に検討すべきである。」と、そこで「要員の派遣」が出てくるわけです。そこで、「国連の平和維持活動への要員の派遣は、」、この「要員の派遣」です。この「要員の派遣は、平和国家として生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方途と思われる。」と、こうなっているわけです。ですから、大臣の言ってることとは大分ここの、実際問題としてアジアの各地における武力紛争の解決のためにわが国は何かせないかぬと、そう言っているわけです。そのための要員を派遣せないかぬと、その派遣する要員は自衛官を派遣すべきであるという議論が防衛庁の中でずいぶん出てきましたと、そういう議論をいたしましたと言うているわけです。おたくの部長さん、会議録の中にもありますけれども、大塚調査企画部長さんがそういうふうに言うておるわけです。  ですから、この「要員の派遣」というのは当然、これはもちろん憲法上の差しさわりはありますよ。ありますが、ここの「要員の派遣」というのは、少なくともこの問題を議論した段階では、大臣、私は決してこれ予断を含めて言っているんじゃないんです。おたくの報告の文書のとおり言っているわけですけれども、これは当然、この武力紛争を解決するためにはやっぱりそれ相応の人たちを派遣すべきであるということを議論をしたと。これは議論はしたんでしょう、大臣。結論は別にして、「要員」のところの検討の中身というのは、やっぱり自衛官の派遣についても議論したというのは大塚部長発言が私は正しいんじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  228. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先生お読みになりましたのはそのとおりでございまして、もっと続ければ、その後に南北問題の解決で格差是正、開発援助をやるというようなこと、これは経済的な問題ですが、いろいろこう番いてあるわけでございます。そして、先生のお読みになった二番目の「その一環として、わが国としては、アジアを中心に世界各地における武力紛争の未然防止に協力し、紛争の拡大回避、中期解決のための努力強化すべきである。」と、こういう言葉が書いてございますが、これはまさに、私はこの前ASEANの中のタイに行きまして、カンボジアの問題、ベトナムの問題、インドシナ半島の平和の問題につきまして関係者とも相談したのでございますが、ベトナムがタイにも越境したことがことしございます。武力をもって。そういうことはいかぬじゃないかということで、ASEANで外相が集まって非難をした声明も出し、大来外務大臣もそれを支持するということをやったのでございますし、紛争の拡大回避、早期解決ということにつきまして、これは私もこの間タイではっきり言ったのでございますが、あそこのインドシナ半島の平和のために何とか早く国際会議を開いて平和裏に話し合いをしまして、拡大回避、紛争の早期解決ということに実は努力をしましたし、国連でも私はそのことももう演説にも言い、その後国連で決議をしまして、武力紛争の一日も早い解決ということの努力を実はやっておるわけでございまして、この二番に書いてあるようなことは外交の当然の仕事として実は先生いまやっておるところでございます。国連もこれをやっているというわけでございまして、(2)の問題は何も要員を派遣するというようなことを前提にしなくても、当然これは外交努力としてわれわれは世界の平和と安定のために、特にアジアの平和と安定のためにやらなけりゃならぬということで、いま要員の派遣なんということじゃなくて努力を実はしているところでございます。  三番目の問題は、これは先生がおっしゃいましたように、ここに書いてありますのは、財政面の協力ということだけじゃなくて人的の貢献ということも要請された場合には、国連の平和維持活動ということにも考えていかなけりゃならぬことがあるということをこれは書いているんですが、実は過去におきましても要員派遣の要請があったことございます。国連で。断りました、これは。自衛官の派遣というものは断ったことがあります。今後も私はこの三番目に書いてあることは、いま自衛官派遣なんということじゃなくて、そういうきな臭いような問題じゃなくて、ひとつ日本としては平和国家ということでやっておることでございますし、シビリアンということで協力ができるということでやるべきだという、これは私は政策としてもそれが正しいんだということで実はやっているわけでございまして、いろんな人がいろんな意見あることは、私もそれは意見あってもいいと思います。それは自由でございますから。しかし政策として外へ発表される場合には、私の言ったような考えで外務省はもう統一してあるということでございますし、今度来年の一月一日以降は安保理事会で非常任理事国にも当選をしましたので、世界の平和と安定のためには日本としてもうできるだけの活動、協力、努力をしていくというつもりでおるわけでございます。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣の決意なりそれはよくわかるんですが、私非常にわかりにくいんですよ、大臣。ここに非常にりっぱなことが番いてあるわけですわ、大臣。この三項を読んでみますと、私はどういうことかもうちょっと詳しく教えてほしいわけですけれども、要するに財政面の協力にとどまらずというんですから、従来から財政援助はやってきたけれどもそれだけじゃいかぬと、人的な面についても検討すべきであるとした上で、その上で「国連の平和維持活動への要員の派遣」というのは、平和国家として日本の国がいわゆる「生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方途である」と、こう言うておる。外務省、えらいこっちゃで、これほんまに。これ読むと、要するに国連の平和維持活動への要員の派遣というのは、平和国家として生存したいというわが国民の願いと決意を示す何よりの方法だとおっしゃっているわけですよ。このいわゆる「要員の派遣」というのは一体何だと、何を意味しているかと、すぱっとわかるように言うてほしいんですよ。もう本当にこんな大事なことなら、よう聞いておかないかぬからね、やっぱり。もう少しどういうことですかね、これ。
  230. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 繰り返し申し上げるのでございますが、私最初にお答えしたときも、この要員という中に自衛官が入っているのかという御質問先生だかあったのでございますが、それはないということを私はっきり、外務省としてそんなことを考えているわけじゃないと、ナミビアの例の自由選挙をやろうと言って、まだできないわけでございますが、その監視員、そういうところにひとつ、それは平和維持活動なんです。まさに南アフリカにおける。そういうところにシビリアンを出して選挙の公正を期するというようなことを、具体的にはいろいろこういうことがあったら考えようということを実はやっているわけでございます。まだその要請がないのでございますが、あるいはこれは具体的にまだありませんが、シビリアンの方のあるいは場合によってはお医者さんとか看護婦さんの派遣なんて言われた場合にもそれは考えてもいいんじゃないかと、それはまさに平和維持活動に関係する要員じゃないかということを私はお答えしたのでございまして、いまでもそれは変わってないんです。本当にこれは。信用しないと言われるとどうもぐあい悪いのでございますが、外務省としては一貫してそれはそういう政策でございますので、先生の御心配になっているようなことは全然考えているわけじゃございません。はっきり申し上げます。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから私は心配も何もしていないんですよ。やってくださいと言うているんです。しかし、ナミビアの話も、この間のときは私に大臣の答弁があったんじゃなくて、同僚議員から質問があって、私そばで聞いておったんです。ですから、このナミビアの派遣という問題、そういうような問題は非常に私は大事なことだと思います。しかしそのことが、わが国が平和国家として生存したいという国民の願いと決意を対外的に示す何よりの方途だと、そこまでおっしゃっているわけでしょう。何よりの方途、その方途の要員の中身というのが何にもないんじゃしょうがないので、もう少しやっぱりこういうふうなこともやれるのだ、外務省としてはこういうことを考えているのだという中身があってならいいですよ。ところが実際はそうじゃないんですね。文章上は非常によくこれうまいことを言ってあるけれども、実際は中身何にもないんじゃないかと。しかしもっと逆に、大臣のいまの答弁、私何も揚げ足とるわけじゃございませんが、大臣は先ほど自衛官の派遣についても要請があったと、要請があったけれども外務省としては断ったと。本当にあったんですか、こんな要請が。どこからあったんですか。
  232. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 具体的には何年何月ということは後で申し上げますが、国連に松平大使が出ておりますときに国連であったんです。いま後で日付等を申し上げますが、要員の派遣要請がございました。それは日本はできないと言って断ったことがございます。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ここのところはやっぱり非常に重要な問題でありますが、まずそれじゃ大臣、自衛官の派遣というのは、海外にはどこまで派遣できると、どういう場合に派遣ができて、どういう場合が派遣できないとお考えなんですか。
  234. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 要請がございましたのは、昭和三十三年の七月、当時の国連事務総長から国連のレバノン監視団に対して自衛隊員の派遣要請がございました。十名でありましたが、これは、わが国は自衛隊員の派遣は制度上認められないということで、応じがたいという返事をしております。ですから過去においてあったわけでございます。たしか松平大使のときであったと思うのでございますが、それは要請を断ったという事実がございます。  それから、自衛隊の派遣の問題につきましては、これは法律的なことがございますので、詳しくは法制局の長官からやっていただきますが、派遣と、派兵と、こう言っているのでございますけれども、武力行使を前提とするような派兵はできないんだと、全然そういうことと関係なしにいわゆる監視団とかいうような場合には出すことはできるという法律解釈であるけれども、それもしかし自衛隊法ではできない、両方ともできないんです。自衛隊法上は。憲法の解釈論をこの間稲葉誠一議員にお答えをしたということでございますので、どっちも自衛隊法じゃできないということにいまなっているわけで、法律的なことは法制局長官からお答えを申し上げます。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 法制局長官は後でお答えしていただくとしまして、そのレバノンの問題です。大臣。レバノンから十名の自衛官の派遣を要請されたということなんですが、十名、これは何のために、どういうことだったんですか、当時。わざわざ私は、その十名が戦争に加わってもらいたいといって派遣要請を受けたのか、あるいはどういうことだったのか、一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  236. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) 当時の要請につきましては、レバノンの監視団でございますので、いわゆる監視団要員としての供出であると、ただこれは中身の詳細には入っておりませんで、入り口でお断りをしたということでございますから、その自衛官が何に使われるかということについての話し合いには及んでおりません。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは大臣、これはお断りしたのはいいんですよ、監視団ですよ、これ。いわゆるあなたがまさにそうでしょう、この文章の中に出てくるアジアを中心に世界各地における武力紛争の未然防止に協力するために、いわゆる自衛官の派遣ができないかということを現実に検討したと言っているわけですよ、私、この間質問したときに。大塚さんという部長さん、これをまとめた部長さんが検討したとおっしゃっているわけです。まさに当時、昭和三十三年の七月にお断りをしたこの監視団、レバノンのどういうことだったか私わかりませんが、大臣がしょっちゅう使う、たとえばナミビアの話をこの間から、選挙がきちっと行われるための監視団というふうな話があります。そういうふうなのに派遣するということなんですけれども、そういうことと比較して、これは監視団をお断りしたということ、やっぱり入り口でお断りしたわけですね、これは。それで、これはどういうふうな理由でお断りしたんですか。
  238. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) これは、さらに当時の記録を詳細に調べてみる必要があると思いまするけれども、私の現在承知しております限りにおきましては、日本は制度上、大臣が申されましたように派遣をすることはできないということでございます。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は派遣せい言うて議論しているんじゃなくて、制度上の中身を詰めているわけですけど、どういう制度上なんですか。
  240. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) それはきわめて明らかでございまして、自衛隊法上派遣ができないと、自衛隊法上の根拠でございます。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 自衛隊法の第何条でございましょう。
  242. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 自衛隊法上派遣の根拠となる規定がないと、こういうことでございます。
  243. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は私はまだいろいろとお話をしたいんですけれども外務大臣の時間的な関係がありますので、私はちょっと外務大臣にしぼらざるを得ませんので、何となくあっちこっちつついて質問をしなければいけませんので本当にもういかぬのですけども、わざと防衛関係は省いてやっておるわけです。ほんまにこれ。  そこで、この問題はいずれにしても大臣、私は非常にこれ大事な問題ですし、自衛官の海外派遣という問題は後ほど法制局長官とも一遍質疑をしたいと思います。  そこで、もう一つ外務大臣に聞いておきたいことは、この間から衆議院の外務委員会でもいろいろ問題になっております例のSR71の問題ですが、これは外務委員会会議録やこういうようなものを私もずっと読ませていただきましたが、このSR71がいわゆる中東地域に出動しているかいないかということは、当時確認をしていないというふうなことだったんですけれども、その後外務省、これ確認をされましたですか。
  244. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) お答え申し上げます。  御質問の点につきましては、外務省の方でその後直ちにアメリカ側に照会いたしまして、アメリカ側からは、米軍の個々の活動につきましては作戦上の理由から明らかにできないけれども、SR71偵察機を含め在日米軍による施設、区域の使用が従来より安保条約に従って適正に行われているということを確認いたしますという旨の回答をもらっております。
  245. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、私はこの間の外務委員会会議録をずっと読んでいましても非常にいいかげんですな、実際問題。答弁見ておりましても、何といいますか、SR71が嘉手納の基地を飛び立つときには、それはもうただ一機だけいわゆる中東へ飛んでいったかどうかわからないと、大部分はいわゆるそういう中東には行っていないと、それでそういうふうな場合には事前協議の対象とも何ともならないと、そういうふうな議論ですね。私はそういうふうな議論は成立しないんじゃないかと。少なくとも安保条約の事前協議の対象として考えた場合でも、私は常識的に、米軍の飛行機というのは少なくとも嘉手納の基地から飛び立った時点で、いわゆる指令は受けてないにしても、あるいは一機だけ途中から、まあ遊び半分に飛んでいるわけじゃないんですからね、米軍の飛行機というのはその一機一機がすべて作戦行動を与えられて、そして中東にも行っているんだと私は思うんですよ。そういうような場合をよく考えてみると、このSR71が中東へ行ったかどうかというふうなこと、そういうことを確認するしないは別にして、いわゆるその基地を使うこと自体、少なくともそういうことはやっぱり事前協議の対象としてきちっと処理をせにゃいかぬのじゃないかと、そういうふうに私は思っているわけです。  そこで、このSR71の問題と関連をいたしまして、もう一つ問題になっております従来からのB52の飛来の問題があるわけです。この両方あわせまして、これはどういうふうに考えているのか。私の手元にあります資料によりますと、沖繩のレーモンド・ダイチという基地司令官の方ですか、米軍の。その人の話によると、必要があれば今後とも飛来したいと、こういうふうに言っているわけですね、この新聞の報道によりましても。ということは、結局このB52は当然沖繩を基地として使用したいということを向こうが希望を述べていると、そういうふうに私はとってもいいんじゃないかと思うんですね。そういうふうな観点から言いますと、当然私は事前協議の対象として従来からB52はなっているわけでありますし、それから、SR71についても安全保障条約上違反はしてないとか、あるいはその規定を守ってちゃんとやっていると、そういうふうに米軍が答えてきたにしても、少なくとも沖繩を中心にした戦闘作戦行動が現実に行われていると、こういうふうに言わざるを得ないわけですけれども、ここら辺の問題について具体的にどういうふうにお考えか、一遍ここをはっきりしておきたいと思います。
  246. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) お答え申し上げます。  B52につきましては、先生承知のとおり、沖繩返還のとき以来、米側としましてはわが国の国民感情というものを配慮いたしまして、台風避難その他緊急やむを得ざる場合にのみ日本に飛来すると、それ以外の場合には飛来しないということで米側は申しておりまして、この了解に従いまして、その後一貫して緊急やむを得ざる場合にのみ沖繩嘉手納に飛来するということになっております。今後ともこの方針に変更がないというふうに承知しております。  それから、一言補足して御説明さしていただきますと、事前協議の問題につきましては累次政府の方で御説明しておりまして、先生承知のように、条約第六条の実施に関する交換公文というものの中で事前協議の対象になるのはそのほか二項ございますが、戦闘作戦行動につきましては、日本国から行われる戦闘作戦行動のための施設、区域の使用とということで合意ができておりまして、B52の台風避難等の緊急の事態のための一時的な沖繩への飛来、それからあるいは嘉手納からの、先生質問がございましたSR71の発進というようなものは、この交換公文で申します戦闘作戦行動のための基地としての施設、区域の使用には該当しないということになろうかと存じます。
  247. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際問題としていまSR71の問題もやっぱり、少なくともSR71が常時中東地域の安全のためだけに出動することになれば安保条約上の問題が出てくるとか、それからもう一つは、その一部がたまたま極東の範囲以外に出かけても、SR全体として日本並びに極東の安全に寄与している以上、条約違反とは考えない。これがこの間の衆議院における答弁ですね、あなたの。しかし、これよく考えてみると、あなたの、第二項目目の、先ほどから申し上げておりますように、その一部がたまたま極東の範囲以外に出かけても、いわゆるSR全体として日本並びに極東の安全に寄与している以上、というここのところですね。これは実際問題として、先ほどから申し上げておりますように、ただその一部がたまたま極東の範囲以外に出かける、こういうことは私はないんじゃないか。少なくともこれは米軍の作戦行動の中できちっとしているわけですから。ですから、ただ一機とか二機、一部がたまたま極東以外の範囲に出かける、それでもいわゆる安保条約の違反とはならないという、その根拠ですね。何を根拠にこういうふうな答弁をしているのかというのがまず一つ。  それからもう一つは、先ほども答弁ありましたB52の戦略爆撃機ですが、これは少なくとも、先ほど答弁ありました緊急やむを得ないとき、まあ台風の避難とかそういうことであったわけですね。ところが実際は、最近はレーモンド・ダイチ陸軍大佐のいろんな発言の記事、報道によりますと、要するに嘉手納基地というのは、いわゆるB52を受け入れる施設なり装置がきちっとできてあると。そういうふうな意味で、いわゆる嘉手納の基地に必要があるときには今後とも飛来すると。そして、台風避難以外に来ないということについて、飛来しないなんということについてはノーコメントだと。そういうふうな、B52が今後来ないと言えばうそになると。これは私、その人日本語で言ったんじゃないでしょうから、翻訳はいろいろありましょうけれども、こういうふうな一連の話をずっと総合してみますと、いわゆる台風の避難以外にも嘉手納の基地というのは使える基地になっている、だから当然行くんだと、こういうことを平気で地元の人に発言をしているわけですね。  これはやっぱり、私はこういう問題はきちっとしとかぬといかぬ。沖繩返還のとき以来、この問題については相当大きな問題にもなっていたわけですから、これは大臣、もうあんまり時間的なあれがありませんからあれですが、少なくともこれは地元の基地の司令官がこういうことを、これは翻訳ですから、日本語に翻訳してしまうと多少ニュアンスの違いはありましょうけれども、やっぱり地元民の感情からすれば逆なでするようなことをちょろちょろ言っているわけですよ。だから、そこのところは大臣としてもそれなりの手当てなりきちっとしていただきたいと思いますし、米軍の方にもきちっとその旨はやっぱり事前協議なり何なりのそれも守ってもらいたい。それで、いわゆるそういうことは軍事秘密だから、行ったか行かないか言えないなんということについても、それはここでは言えないにしても、いわゆる日米間の中でははっきりしたことをやっぱり聞いておくとか、そのくらいのことはできるんじゃないかと私思うんですけれども、これあわせて、細かいことは局長で結構ですけど、大まかなところは大臣から御答弁いただきたい。
  248. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) お答え申し上げます。  特に沖繩では、基地、施設、区域の密度が高いですから、本当はやっぱり地元の人々の感情との問題、これは十分注意をせにゃならぬということは先生おっしゃるとおりで、よくわかります。この点は。でございますので、いま地元の司令官がいろんなことを言って住民の感情を逆なでするようなことは困るというお話、これは十分私どもアメリカ当局に対しましてこれは注意を申します。  それから、いろんな点できちっとしろというお話でございますが、これもわかります。ただ、軍事機密といいますか作戦行動といいますか、そういうことはなかなかこれ、先生おっしゃるように簡単に連絡というのはむずかしいということは、私はこれは当然事柄の性質上あると思います。あると思いますが、いろんな点で非常にあいまいなものを残さないでおいた方が地元との感情もいいんだということはわかりますので、いまの御注意の点は十分頭に置いて米軍当局ともひとつ連絡をすることにいたします。
  249. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、結構です。  それでは、多少順番があれこれしましたけれども、先ほどの問題を多少詰めておきたいと思います。  自衛官の海外派遣の問題ですけれども、法制局長官、これは先日からいろいろと問題になっておりますが、まず幾つかの点で御質問したいと思いますけれども、自衛官の海外派遣というのは、どういう法律で行けないのか、具体的におっしゃっていただけますか。
  250. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 自衛官の海外派遣と言われましたけれども、先ほど来の議論の続きであれば、いわゆる国連軍参加の問題だと私は理解いたしますが、なぜ国連軍に対して、先ほど外務大臣からも御説明ありましたけれども、武力行使を伴うようなものについては参加できないということの理由だと思います。それは、結局憲法第九条との関係においてそういうことができないということになるわけでございます。  と申しますのは、憲法第九条の解釈として、政府はかねてから申し上げているところでありますけれども、わが国の武力行使というものは自衛のため必要最小限度の範囲内のものでなければできないということを言っているわけでございますから、武力行使を伴うような国連軍の目的、任務、そういうものを持っている国連軍に自衛隊が参加をするということは、いま申し上げたような理由からその範囲を超えるということになるわけでございます。
  251. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、その武力というところだけがひっかかるわけですか。武力が伴わなければいいんですか。
  252. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) ちょっと説明を半分だけしませんで申しわけありませんでしたが、憲法との関係においてはまさに武力行使を伴うものはできないということなんです。しかし、武力行使を伴わないものであっても、現行法上それができるかということになりますと、自衛隊の任務というものはすべて自衛隊法に明確に規定してございますが、現在の自衛隊法の中には国連軍に参加をするというようなことが自衛隊の任務として書いてございません。つまり、防衛局長からも申し上げたように、そういうことは法律上の任務として書いてない、つまり根拠がないわけでございます。したがいまして、現行の自衛隊法を前提とする限りは一切できないと、こういうことになるわけでございます。
  253. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、要するに現在の自衛隊員は、いかなる形にしろ海外にいわゆる出ていろいろやることはできないということになるわけですか。
  254. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) ただいまは国連軍に対する協力ということでお答えをいたしたわけでございますが、現在の自衛隊法にも海外へ、むろん武力行使を伴わない形でございますが、海外へ行く場合のことが任務として書いてございます。  それは、たとえば南極のあそこへ行くときの支援の問題などは自衛隊法にちゃんと書いてございますから、そういうものは武力行使を伴わず、かつ自衛隊法に根拠がございますから、現在でも海外へ行っているわけでございます。
  255. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、自衛隊法で任務規定がきちっと明確になっているその南極の昭和基地のいわゆる支援作業とか、そういうふうな一緒にやる作業、そういうようなものはいいんですね。そうすると、それ以外のもので、自衛官が海外に出て何か活動するいわゆる根拠というのは何かあるんですか。
  256. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) ただいま申し上げたのは南極の観測の支援でございますが、そのほか訓練のための遠洋航海、これも自衛隊法の規定で根拠規定がございますから、それでできるということになります。
  257. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると訓練、それ以外にはもうないんですか。
  258. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 訓練といたしましては、遠洋航海のほかに、ナイキ、ホークの射撃等の訓練あるいはハワイに派遣します海上自衛隊の訓練等がございますが、いずれも根拠規定としては訓練でございまして同じ規定でございますから、それ以外にはございません。
  259. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、これは法制局長官にお伺いしたいんですが、要するに現在の日本の自衛官の海外でのいろんな活動というのは、いわゆるこの訓練以外では現在の法律を改正しない限りできないと、そういうふうに解釈してよろしいわけですね。
  260. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 結局総括的に申し上げますと、防衛庁設置法の第五条に「防衛庁の権限」ということが書いてございますから、そこの各号に含まれるものであればよろしいということになるわけでございます。したがいまして、海外派遣ということに当たるかどうかわかりませんけれども、たとえば研究のため自衛官が外国へ行く、出張するというようなことは無論あるわけでございますが、そういう個々の事例については一つ一つ申し上げられませんけれども、要するに五条で防衛庁の権限として認められ、自衛隊法、防衛庁設置法で職務権限として書いてある範囲内であれば行けると、こういうことでございます。
  261. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは質問の趣旨をもうちょっと変えて、今度自衛隊の行動範囲あるいは海外の問題について質問しておきたいと思います。  いわゆる自衛隊の行動の地理的な範囲の問題ですけれども、これは法制局長官わかりますか、どういうふうにお考えですか。
  262. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 自衛隊の行動の地理的範囲についてもたびたび申し上げておりますけれども、要するに自衛のため必要最小限度の範囲内においては、必ずしもわが国の領域にとどまるものではなくて、公海とか公空にも及び得ると、こういうふうに考えております。
  263. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当然その公空、公海に及ぶということになりますけれども、それはあくまでも必要な限度内というあれがあるわけですね。そうしますと、いわゆる武力行使ということが目的でなければ、実際問題として中近東とかそういうところにも自衛艦隊とかそういうようなものは出動できるわけですか。
  264. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) それは、いま御設例になりました中近東に出動するというふうに言われましたけれども、何のために出動というか、そこへ行くのかわかりませんけれども、それがまた自衛隊の目的に入っていなければ、先ほど来申し上げております任務、権限に入っていなければ、これは遠くだろうが近くだろうが行けないということになります。
  265. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、結局目的が明確でないと、いわゆる近くだろうが遠くだろうが行けないということですね。そういうことですか。
  266. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) まず職務権限として認められているということが前提でございます。
  267. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、わが国の周辺の公海上で、わが国の商船なり、そういうふうな船等が他国のいわゆる航空機なり何なりに攻撃を受けたと、そういうふうな場合、わが国の商船なり何なりが救助を求めてきたとしますね。そうしますと、そういう場合どういうふうな対処の仕方をしてくれるわけですか、どういうことができるわけですか。
  268. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまの御質問が、七十六条による防衛出動の下令になっていない、いわば平時における状態でのお尋ねと、それから防衛出動の下令になりましたいわゆる有事におけるお尋ねと、二つに分けてお答え申し上げたいと思います。  まず、前段のいわゆる有事でない平時の状態におきましては、そういったいま御指摘のようなケースにつきましての第一義的な任務は海上保安庁にあるわけでございます。いわゆる保護の任務は海上保安庁にあるわけでございますが、自衛隊法八十二条によりまして、そういった場合、海上保安庁だけの手に負えないという場合に、いわゆる海警行動——海上警備行動というのが規定がございまして、海上保安庁の手に負えないという場合に自衛隊が出動することがございます。そのときには、いまの御指摘のような例のときに、自衛艦が護衛のために行くということはあり得ます。  それから、有事の場合の防衛出動下令後におきましては、自衛権の行使であるとして許される範囲である限りは、自衛艦が護衛に当然従事するわけでございます。
  269. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一般的に有事の場合は、もうそういう態勢に入っているわけですから、当然自衛艦隊がそれぞれ役目を果たすなり、自衛隊なり航空の方なり何なり、それはそれ相応の対応ができると私は思うのですけれども、問題は平時ですよ、これ。平時に、海上保安庁といいましても、近海で起きたのならいいのですけれども、やっぱり相当遠くのシーレーンという問題がずいぶんありますね刀そういうところでいろいろな事故が起きたりあるいはもうそういう問題が起きた場合に、実際問題としていま一義的には海上保安庁という話が出ましたけれども、その海上保安庁で対応できるかどうかと、そういうような判断とか、そういうふうな時点でのあれはきちっとできておるわけですか、具体的には。
  270. 塩田章

    政府委員(塩田章君) まず、規定の上から申し上げますと、いま申し上げました八十二条でございますが、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持につき、海上保安庁だけでは対処できないか、または対処することが著しく困難な場合に、防衛庁長官内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊の出動を命ずることができると。この場合には、領海に限らず公海であっても任務を達成するに必要な範囲で行動することができる、こういうことになっております。
  271. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は、いずれにしましても非常に重要な問題ですけれども、やっぱりもう少し端的に対応できるようにしていただきたいと私は思っております。  そこで、問題にいろいろ入りたいと思います。  先ほど官房長官にいろいろ質問をいたしました短SAMの問題ですけれども、この問題につきましては、もう先般からいろいろと質問がありました。私は私なりに、その方向だけちょっと変えて質問をしてみたいと思います。  要するに、この短SAMのいわゆる民間人の検討会を、昨日ですか一昨日、やったそうですけれども、これは、その趣旨といわゆるメンバーについては先日もお伺いしましたが、そのメンバーと、あわせてどういうことをどういうふうに検討したのか、経過とあわせて御説明願いたいと思います。
  272. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まず、検討会の趣旨ということでございますが、先生御存じのとおり、陸上自衛隊及び航空自衛隊に装備すべき短SAMにつきましては、さきに防衛庁といたしましては、国産短SAMの採用決定をいたしまして現在五十六年度の予算概算要求中でございますけれども国会等で本件に関しまして種々の御論議もいただいた経緯にかんがみまして、機種の選定に当たっては慎重の上にも慎重を期するために、その指摘を受けた問題点も含め広く庁外の識者の御意見をお聞きして参考にしたいということでございます。  それから、どういう人を集めたかということでございますが、六人の方に集まっていただいておりまして、この六人の方というのはいずれもそれぞれの専門家でございます。まず名前の方から申し上げますと、武安義光さん、これは新技術開発事業団の理事長でございます。それから久住忠男さん、これは軍事技術全般、特にロケット、ミサイルの専門家の方でございます。それから島秀雄氏、これは宇宙開発事業団の顧問の方です。それから武田峻さん、これは航空宇宙技術研究所科学研究官でございます。このお二人の方は飛しょう体工学関係にお詳しい方でございます。それから久保俊彦氏、これは日立製作所の顧問でございます。日立製作所の副社長をされておった方でございます。それから最後でございますが、菊地誠氏、これはソニー中央研究所長でございます。これらの方は、私どもといたしましては、ミサイルの機種決定問題につきまして公平かつ客観的な立場から御意見をいただくということを考えておるわけでございますけれども、最新のミサイルシステムを技術的な観点から十分理解、消化し得る職業上のバックグラウンド、経歴、経験、こういったことを有する第一級の識者の中から選考するのが適当だというふうに考えて選考させていただいたわけでございまして、いまお名前を申し上げたときもある程度グルーピングして申し上げましたけれども、ミサイル自体が飛しょう体でありますということ、それからかつ短SAMの場合には低空脅威に、端的に言いますと航空機に対するものであるということでございますので、飛しょう体工学関係のバックグラウンドを有する方であること、それから最新のミサイルシステムというのは、先生御存じのとおり日進月歩の電子工学技術を駆使いたしましたいわゆるメカトロニクスの代表的なものであるということにかんがみまして、メカトロニクス関係のバックグラウンドを有する方、こういった点に重点を置いてバランスを考慮して選考したと、こういうことでございます。  最後に、何を検討したかということでございますが、これにつきましては、詳細につきましては現在検討会が始まったばかりでございますし、検討が終わりました、まとまりました段階で御報告させていただきたいというふうに考えておりますが、せっかくの御質問でございますので、昨日には、一般的に国会でいろいろ御議論いただいた問題点を初めといたしまして、それから私ども基本的に短SAM選定に当たりまして想定いたしましたところの陸上自衛隊及び航空自衛隊の運用の要求、それからそういった要求に照らしまして短SAM、国産短SAM、その他の短距離SAM、ということは要するに具体的に言いますと、ほかの国でつくりましたところの短距離SAMでございますが、こういったものがどういう点でそういったような運用要求に合致し、あるいは合致しないか、その程度、そういったようなことにつきましてはわれわれとしてはどういうふうに考えているかというようなことにつきまして御説明し、またいろいろ御質問を受けたと、こんなようなことになっているわけでございます。
  273. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何というのか、言葉じりが非常にわかりにくいんですけれども、もうちょっと、おなか減っているのかもしらぬけれども、明確に言ってくれませんか、最後のが消えていくような声でしゃべっているのではちょっとまずいので。この間からこの問題については何回も質問ありますので、私はできるだけ同じことを聞きたいとは思っていないわけです。ですから、私の質問に端的に答えていただければ結構です。  そこで要するに、これは端的にお伺いしますが、新聞報道によりますと「短SAM問題検討会」と、こうなっていますが、そういうことですか。
  274. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 名前といたしましては、一応、「短SAM問題検討会」というふうに考えております。
  275. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この短SAM問題検討会はこれは何ですか、要するにどういう機関ですか、これは。たとえば、大臣の私的な諮問機関とか、局長のどういう機関とか、何か防衛局長の何とかとか、装備局長の何とかというきちっとした位置づけが要りますね。
  276. 和田裕

    政府委員(和田裕君) これは、いわゆる審議会とかそういったものではございませんで、識者の意見をこの問題に関しまして徴するための私的ないわば大臣の諮問を受ける場である、こういう性格に考えております。
  277. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何かテープレコーダー、ちょっと途中で切れているみたいな言い方で、もうちょっとわかりやすく言ってもらいたいですがね。  要するに、私が問題にしようとしているから、あなた方は大臣の私的な諮問機関ではないと言いたいんでしょうけれども、そうじゃなくて、やっぱり大臣の私的な諮問機関なんですね、これは。
  278. 和田裕

    政府委員(和田裕君) はい、さようでございます。
  279. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうはっきりちょっと言ってもらえばいいんですよ。  それで、性格が大臣の私的な諮問機関ということです。そして、これは何のためにこれつくったんですか。いままであなた方言っていることはいいんです。いままで言ってないことで私は一遍言ってほしいんですね。何のために、要するにこの短SAMをどうするために、自分たちの意向のために、採用するためにつくったのか、あるいはやめるためにつくったのか、やっぱりきちっとしたことにしておかないといけないんですよね。
  280. 和田裕

    政府委員(和田裕君) これ、いままさに検討会が始まったばかりでございますので、どういうようなお答えをいただけるかまだわからない段階でもございますし、したがっていまの段階でどうこう言うことはむずかしいことでございますけれども、いずれにいたしましても、こういったことで大臣が識者の御意見を聞くということでお集まりいただいたわけでございますが、この御意見につきましては、これを尊重していくというふうに考えております。
  281. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 またわかりませんね。要するに、ではまだ結論が出ていませんから言えませんと。そうしたらもう初めからわからぬわけですな、要するに何のためにつくったのか。そんなばかなことないでしょう。要するにこの短SAMの検討会というのは、国会でこういうふうな問題が出てきて、いろいろこれは輸入した方がいいんじゃないかというふうな意見も出てきたから、どっちが正しいのかはっきりさせるためにつくったんじゃないの、これ。その目的をはっきりすぱっと言ってほしいんですよね。
  282. 和田裕

    政府委員(和田裕君) ちょっと言葉足りませんで申しわけありませんでしたけれども、いま先生おっしゃったときに、これやめるためにつくったのかとおっしゃったもので、いややめるかどうかは結論が出ないと何とも申し上げられないという意味でその点につきまして申し上げたんでございますけれども、言葉が足りなかったとすればその点につきましては訂正させていただきますけれども、先ほど来申し上げておりますように、識者の方の御意見をいただくために集まっていただいた、そういった会議でございまして、われわれ防衛庁といたしましてもこの御意見を十分尊重したいと思っておりますし、また、これによりまして広く国民の御理解を得ることも可能なんではないかというふうに考えております。
  283. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、すぱすぱ答弁していただいて結構なんですが、要するに検討会で御意見を聞く、それでその御意見の中でやっぱりこの短SAMはやめた方がいいと、そういうふうな結論が出た場合、そのときはどうするんですか。それは当然やめるんですな。
  284. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 仮定の御質問でございますので、いま右か左かということを言うことは非常にむずかしいんでございますけれども、いずれにいたしましても、仮に全員一致いたしましてこれを絶対やめろという結論が出ますと、それはそれなりに尊重していくということになろうかと思います。
  285. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは当然だと思います。  それで、この検討会については、先ほどあなたおっしゃいましたように、いまこういう問題の検討に入ったところだから具体的には報告できないけれどもとおっしゃっていましたが、最終的には、これは六人の皆さんの御意見をまとめて大臣に御報告をされるわけですか。
  286. 和田裕

    政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。  これは、もともと大臣がいま申し上げました六名の方の御意見を伺うという場でございます。したがっていわば会として一つの、たとえば座長を設けるとか、会としての議決をするとか、そういうことは考えておちないわけでございますけれども、しかしおのずから同じ場で議論されているわけでございますので、そこで意見共通の方向に向かうということはあるかと思います。そういった場合には、もちろん大臣に一人一人が意見を申し上げる、こういう性質のものでございますけれども、たまたまそれが同じような方向でございました場合には、その共通の部分については便宜取りまとめるということはあるかと存じております。
  287. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、大臣は専門家じゃないんですから、大臣聞いたってわからないでしょう、実際問題として。ですからやっぱり、こんなことを言うたら申しわけありませんが、実際問題としてこういう専門的な話を大臣が一人ずつ聞いたってわかりませんわね、実際問題として。ですから、当然私は、それは六人の専門家の御意見を皆さんがまとめて、それで大体まとまったところで大臣に御報告をする、こういうことになるんだろうと思いますが、これは後に置いておきます。後でちょっと問題にしたいと思っていますのでね。  それで、まずこれ、この六人の皆さんは、この検討会に来ているときはどういう身分なんですか。
  288. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私的な大臣の意見をお聞きする会と申し上げましたが、したがいまして集まってこられた方も、そういう意味では——そういう意味でではございませんけれども、私的にお集まりいただいているというふうに考えておるわけであります。
  289. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、私的に全く集まっていただいている。これは守秘義務なんというのは全然ないんですか。皆さん、われわれに提出していない資料を大分六人の皆さんには大幅にお渡ししているようですけれども、そういう皆さんがいただいて、ぱあっとどこかへ配ったら、もうこれ守秘義務も何にもないんですな、どうなんです。
  290. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 公務員としての守秘義務を受けるわけではございません。なお、資料を出して御説明をいたしておりますけれども、私ども、この御説明に当たっては、秘密にわたる事項については御説明をしないつもりでおります。
  291. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんな秘密にわたることも説明しないで、素人に説明するような中身だけでいい悪いがわかるんですか、大体。そんな矛盾した話ないでしょう。少なくともこういうようなのは、だから行き詰まってくるんですよ。当然私は、こういう私的な諮問機関であろうと何であろうと、その身分というのは明確にしないといけない。あなた方はその六人は絶対大丈夫と思って選んでいるかもしれませんけれども、それは外へ流れることはないでしょう。けれども、これはそういう国の最高機密ですよ。しかもわれわれ内閣委員にさえ出さない資料を説明しているわけでしょう、少なくとも。われわれに説明してくれないことも説明しないといいか悪いかわからないじゃないですか、第一。そんなしょうもないことやっているんですか。いやほんと、秘密にわたることも全部説明しないと、これでは何にも検討や結論は出ないじゃないですかと言っているんです。大臣、違いますか、私の言っていること。おかしいと思いませんか、これ。やっぱり秘密にわたることも全部説明をして、そしてああこれはこっちがいいやということになるのであって、一番大事なところは秘密にして、そういうことは説明しないで一般に説明していることだけで、そんなことをしていたらそれは防衛庁の隠れみのと言われる。普通に言われるんです。普通はね。自分の都合のいいところだけ見せて、それじゃこれがあれですよというふうなやり方では、私はとてもこの短SAM検討会なんというのは何のためにつくったのかわからない、もう少し私たちに納得できるように説明していただかないと。どうなんです。これ。
  292. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 短SAM検討会につきましては、当委員会におきましても他の委員先生から御質問がございまして、私も趣旨を御答弁申し上げたわけでございます。  重複を避けまして要点だけ申し上げますと、防衛庁としましては、野戦防空能力の不備及び基地防空能力の欠如という現状にかんがみまして、その整備強化の一貫としまして、純粋に防衛上の見地から、性能、補給整備性、価格等総合的に検討しました結果、国産短SAMを導入することに決定して概算要求したものであります。その後、国会等で他の候補機種との関連で性能に問題があるのではないかとの指摘を受け、防衛庁としてもその取り扱いを慎重に行い国民の理解を得る必要があるとの観点から、今回部外識者の意見を聞くこととしたものでございます。  そこで、先生お尋ねの機密にわたる事項の取り扱いでございますが、その点につきましては、防衛局長がお答えしましたように、機密にわたる事項は説明はしないことにいたしているわけでございまして、それではせっかく意見を聞いても役に立たぬではないかと仰せになりますが、国会等で指摘されている問題点というのはすでに明らかにされているわけでございまして、たとえば、悪天候下等における性能、有煙——煙のあるかないかの不利、発射後の無能力化等約十項目ほどあるわけでございまして、そういった点につきまして、秘密にわたる事項を説明しなくても学識経験者に御判断を願えるんじゃないか、そういうことで資料も準備し説明をしてこれから意見を求めていこうと、こういうことで臨んでいるわけでございます。  また、この報告につきましては、適当な時期にひとつ国会にも提出しました資料は御報告さしていただきたいということを私は考えておるわけでございますので、どうか御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  293. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当内閣委員会としては、大臣、そんな答弁は全然あきません。もう許せませんわ。わが内閣委員会というのは、国家行政組織法というのを検討する委員会です。それを遵守する委員会です。防衛問題が云々という問題、それは非常に大事な問題、それはもう確かに能力的な問題もあります。それは大臣いまおっしゃいましたように、いままで同僚議員質問いたしました。けれども、少なくともこの短SAM検討会というこのものが、いわゆるあなた方は大臣の私的諮問機関という答弁はございましたが、このこと自体も問題なんです。少なくとも法律に基づいてやるからにはきちっとしないといけない、こういう議論もあるわけです。  それだけじゃないんですよ。先ほどから言っておりますように、少なくともこの短SAMという問題を秘密にわたる部分は説明しないと、いまもう表へ出てきているものはこれだけだから、それだけだったらもう秘密にも何にもならないから大丈夫だと言うけれども、そうじゃないんです。中身がどうのこうのというよりも、少なくとも防衛庁長官の、私的であろうと、私的諮問機関という、そういう一つの機関の検討した中身を、これはやっぱりあなた方の意見をとって秘密でないにしても、そこで知り得た秘密というもの、知り得た事項というのを自由に漏らしていいかどうかということになると、これはやっぱり問題です。だからぼくは少なくともその私的諮問機関に入る人たちはどういう身分になるのかと、これは当然なんですよ。大臣、こんなことは当然基本的な問題ですよ。  そこをちゃんとしてやらないと、たとえばいまここで議論していることが、実際問題としてこの専門家の皆さんの耳に入ってみなさい。ああ大事なことは知らされてないんだな、そんなしょうもないわれわれの検討会なのかと、そうなっちゃいますよ。しかも先ほど装備局長おっしゃいましたように、この問題、最終的にはみんな反対ならやめようと言うんですよ、大臣。それだけの大事な、いわゆる国防会議なりいろんなところで決めた政策を百八十度転換しようかというような問題を検討するこういうふうな検討会というのが、もう何となぐ軽い、これはもう守秘義務もちゃんとしてない、そんなぼくはこの検討会なんというのはないと思うんですよ。  改めてもう一つ、違うことを聞いておきますけれども、この六人の皆さんはこれはただですか、お金、これは何にもやらないんですか。
  294. 和田裕

    政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。  謝金を出すことにいたしております。  なお、いま先生おっしゃった中で、この六人の先生が反対であればやめようというふうに装備局長言ったと言われましたが、私はそう申し上げませんで、もし六人の方がことごとく一致してローランドを採用すべきであるとか、国産短SAMを採用すべきでないとかいうことを言われた場合には、それはそれなりに尊重しなければならないだろうというふうに申し上げました。
  295. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのことを言うているんだ。そのとおり言っているんですよ、局長。だから、要するに六人が一致してやめろということになればその意見を尊重すると、尊重するということはやめるということじゃないですか。それはまあいいですよ。  しかも謝金を出すというんでしょう、謝金。これは、謝金というのは何かわかりますか、国の予算ですよ、これ。大臣のポケットマネーと違うんですよ。これはやっぱり謝金を出すからには、もうますます後へ引けませんよ。これは大臣あきまへんぜ。これはもう大問題ですよ、本当に。これ短SAMの検討会一つもう満足にちゃんとできないようじゃわが内閣委員会の、これは通りませんぜ、本当に。
  296. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 謝金の問題が出ましたわけでございますけれども、これまでにおきましても、防衛問題につきましての識者にお集まりあるいはおいでいただきまして、それからお話を聞きまして謝金を出したという例がないわけではございませんので、今回の場合におきましても、そういったような例にならいまして謝金を出さしていただくことにした次第でございます。
  297. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、だからそんなことは私は問題にしてない。いままでからそういう識者を呼んで謝金を払う、そんなことはあたりまえなんですよ。あっていいんです。いかぬと言うているのと違うんだ、私は。謝金を払うからには、やっぱり払って仕事をしてもらったときには、そのときには公務員であり自衛隊員であるか、少なくとも国家公務員の守秘義務がかぶるか、門衛隊の一員としての守秘義務がかぶるか、何かがかぶらないといけないんじゃないですか、やっぱり。一般的に言えばそうですよ。少なくとも、だから私は私的諮問機関というのは大事だと言っているんです。国家行政組織法の第八条にきちっと載ってあるんですから、それを逃げようとして一生懸命やっているけど、逃げたって、お金が出ていき、それでその大事な予算が出ていき、大事な政策変更しなくちゃならないということになれば、これはやっぱりきちっとしないといけないんです。ただ単に、簡単に意見を聞けばすっと済むわなんというようなものじゃない。ただ、その政策上これはこういうようにまあみんな反対することはないわと、それはないでしょう。装備局長はそうみんな反対するなんということはないと思ってたかをくくっているかわかりません。まあそれはそうかもわかりません。しかし、少なくとも理論上はそこら辺のところはきちってしておかないといけないんです。そしてきちっと守秘義務もかぶるんだと、それで、提出した資料は全部十分検討していただいて、その上できちっとしないと満足な結論は何にも出ないんじゃないですか。こういう問題きちっとしていただかないと、これは何十時間質問したってあきませんぜ、本当に。まだ序の口でっせ、これはほんまに。
  298. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先生は何か行政組織法上の八条の機関、審議会のように思っておられるのかと思いますが……
  299. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、そんなこと言うてないんだよ。
  300. 塩田章

    政府委員(塩田章君) そうではないんですか。
  301. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ないんだよ。そんなこと言うているのと違うんや、ぼくは。
  302. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ですから、大臣がいわば個人的にお集まりいただいて御意見を聞いている会でございますから、したがいまして、この方たちが出席されてもその間公務員になるわけではございませんし、そういう身分を持つわけじゃございませんが、一方、集まって御意見を聞かせていただく以上は謝金をお払いすることは、これはまた当然ではないかと私どもは考えております。
  303. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 防衛局長、だから問題なんです。わが内閣委員会でいわゆる私的な諮問機関というのについていままで議論をずうっと何回もしてきたんです。官房長官も私的な諮問機関はつくっちゃいかぬ、法律に基づいてちゃんとせにゃいかぬと言ってきたわけです。けれども、いままでいろいろと逃げてきたわけですわ、いろいろね。けれども今度は逃げられぬようになった、これは。どうしてかというと、要するに、一つは、この検討会というのは国の非常に重要な秘密にわたる問題をきちっと検討せないかぬわけです。われわれがいままで何回か主張してきたことがいまもうまともに当たってきているわけです。しかも、それが秘密なことは言わなくて表面だけでいけるなんて、そういう言い逃れはだめなんです。十分やっぱり資料も出し、具体的な問題も提起をし、ある程度秘密にわたる問題も提起をしないと判断できないんじゃないか。もうある程度ですよ、私、全部とは言いませんが、ある程度秘密にわたる部分も出さないと検討できないんじゃないかと思うんです。  そうなってくると、その本当の守秘義務というのは一体どうなるのか。だから、それは八条機関で言うきちっとした諮問機関にしてやらないとこういう問題は解決しないと言うんですよ。いまみたいなやり方ではきちっとした結論は出ないと言うんです。だから私は、大臣の意図する問題も、国会で問題になったからこういうふうにしてやったということだけでは済まない、しかもこういうようなところへ国の予算を払ってあたかも正式な機関みたいにやるというのはもうとんでもないことだと、そういうことです。
  304. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先生のお尋ねの趣旨がよくわかりましたが、私ども、あくまでも先ほどからお答え申し上げておりますように、個人的に御意見を聞くということで、まあ検討会とか言いましたけれども、別に会議体を設置するということも考えておりませんし、本当の大臣の個人的な諮問をして御意見を伺うということを考えておるわけでございまして、そういう意味で八条でない形でやっております。それで、その場合に、それでは秘密にわたる事項は説明をしなければわからないではないかということでございますけれども、これは私ども、先ほど大臣の御説明にもありましたように、過去の経緯で問題点は出ておりますし、また、こういった先生方でございますので、私どもの説明によりまして十分目的を達し得るだけの御意見をいただけるんじゃないかというふうに考えて今回の検討会に踏み切ったわけでございます。
  305. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ほら見てみなさい、だんだん本音が出てきた、本音が。検討したって変えようなんて思ってない言うとる。何のためにつくったん、そやったら。変えるつもりなかったら初めからやめたらいいじゃない、そんなもの。防衛庁長官、初めからもう防衛局長は、聞いたって変えるつもりない言うとるやん。変えるつもりなかったら何で意見聞くの。そんな、しょうもない。いま議事録読んで調べてごらん、変えるつもりないってちゃんと言っとるやん。なかったら初めからつくることないがな。何のために意見聞くの、こんなん。
  306. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま私の御説明で、変えるつもりないと言った覚えはないんですけれども……
  307. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何で、会議録調べてみい、前段で。そんなあほな。
  308. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御意見は当然尊重していくつもりであります。
  309. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはあかんな。大臣、こんなしょうもない——しょうもないことと言ってはおかしいけれども、非常に内閣委員会というのは、国家行政組織法を守ってこういうことを大事にする委員会なんです。もともと。そうでなくちゃいかぬのです。それで、しかも国の機密を守るという意味では大事な、あなた方以上にこれは真剣に考えておるわけです。そういう六人の方が秘密守るでしょう、それは守ると思いますよ、一般的には。しかし、人間いつどうなるかわかりませんで、やっぱり。いやほんまに。いまは信頼しててもよろしいで、そら。そやけど、いつどうなるか本当にわかりません。ですから、やっぱりきちっとした守秘義務をかぶせておかないと、そういう問題が起きたときに何にもできない、手を打てないですよ。  だからぼくは、こういうふうな問題をやるときには法に基づいてきちっとつくって、そしてきちっとした手続をとってやらないといけないと言うんです。だから官房長官もきょうおってほしかったわけですよ。いや、本当です。これは、そういうふうな意味では非常に大事な問題なんです。大臣、ですから、私はこれはほんまにまだ序の口で、これからやりたいんですけど、この問題は、防衛庁としてもいまの答弁を聞いておりましてももう対応能力はありませんな、これ、ずっと聞いておりましても。こういうふうな国家行政組織法と短SAMの問題、あるいはこういう中身の問題については、全くこれはちゃんとした答弁出てきませんわ。  ですから、これは委員長、この問題やっぱりちゃんと取り上げていただいて、そしてやっぱり何らかの処置をとっていただかないといけませんな、これは。
  310. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 峯山先生からるる御意見をお述べいただきまして、私もきわめて重要な問題であるということは承知しているつもりでございます。ただ、正規の審議会を設けるとか、そういうことになりますると相当時間もかかるわけでございまして、今回概算要求をしておりますものにつきまして、一層念入りにやった方がよいという判断でこの検討会を設けることになった次第でございます。したがいまして、運用に当たりましては、秘密にわたる事項はこの会には出さないと。そして、出しました資料は前回の当委員会で提出するようにという御要求がございましたので、国会には提出した資料はいずれ提出しまして、委員会の方の御参考にも供するということを申し上げているわけでございます。先生の御指摘の点の重要性は十分認識しているつもりでございますが、ひとつ、そういったような事情で発足した経緯でございますので、なかなか御納得はいただけないようでございますが、繰り返し経緯を申し上げまして御参考に申し上げる次第でございます。
  311. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、もうちょっとだけ——この問題はもうこれ以上やりません。いずれにしても、私はこれはもう非常に重要な問題ですし、これは後ほど理事会で検討いただきたいと思います。これ、委員長、よろしいですね。  それではもう一つだけ、もうどうしても聞いておきたいこと一つありますので、お伺いしておきたいと思います。沖繩の米軍基地の問題なんです。これは先日から沖繩でも相当問題になっておりますし、防衛施設庁が最近また変なことを始めましたので、これはどうしても聞いておきたいと思います。  沖繩の米軍基地や自衛隊基地の民有地強制使用の根拠になっているあの地籍明確化法というのがあるんですけれども、これは非常に長い法律でございまして、「沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法」という非常に長い法律でございますけれども、この法律の第三条第二項によりますと、「昭和五十二年度からおおむね五年の間に位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界が明らかとなることを目途とした内容のものでなければならない。」と、こういうふうになっておりますんですが、この法律は昭和五十七年の五月十四日に効力が切れるということになっているわけでございますが、この点はこのとおりでございますね。
  312. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 期限の問題については先生おっしゃるとおりでございます。  ただ、御質問の中で最初のころにお述べになりました、土地の強制使用についての根拠となっている明確化法というふうにおっしゃいましたが、強制使用についての根拠はこの明確化法ではございませんので、一応関係がございません。
  313. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで、一応現在その沖繩で未契約の地主ですね、これはどのくらいあるのか、それで、その面積はどのくらいになっているのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  314. 森山武

    政府委員(森山武君) 現在、駐留軍の施設で、施設数で十五施設ございます。それから件数、私どもはこの統計を契約すべき件数——要契約件数で整理しておりますので、契約件数として百八十件、面積八十九万三千平方メートルでございます。それから自衛隊の施設につきましては、三施設、二十九件、面積三万七千平方メートルでございます。
  315. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先ほどの答弁、大変失礼いたしましたが、私、暫定使用法とちょっと勘違いいたしましたが、暫定使用法については期限がございますが、この位置境界の明確化法につきましては期限がございません。大変失礼いたしました、訂正さしていただきます。
  316. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あれ、何、位置明確化法に期限があるんでしょう。
  317. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 位置境界の明確化法の法律の方につきましては期限がございません。
  318. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 私からちょっと説明を補足さしていただきますが、峯山委員が使用の根拠と言われましたが、その使用の根拠を決めた法律は先ほど言われました位置境界の明確化法ではございませんで、「沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律」というのが根拠法規でございます。その暫定使用に関する法律の二条の一項に、この法律の施行の日から起算して十年を超えない範囲内において使用が——もっと正確言いますと、「十年をこえない範囲内において当該土地又は工作物の種類及び設置場所等を考慮して必要と認められる期間として政令で定める期間を経過した日以後においては、この限りでない。」と書いてありますから、これがいわゆる期限でございます。  それから、明確化法の方は、これはそういう意味の期限はございませんけれども、計画を、先ほど言われました三条の二項というのは、位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化のための措置に関する計画を昭和五十二年度からおおむね五年の間に明らかになるような目途とした内容のものでなければいけない、こういうことでございまして、いわゆる使用の根拠の期限という意味と計画が五年というのとは違っているわけです。
  319. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 了解。  そこで、新聞報道によりますと、今回防衛施設庁では強制使用の手続を開始したと、こういうふうに報道されておりますけれども、これはそういうことですか。これ、どういうふうなことなんですか。
  320. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 今回手続を始めたというのは、これは大変長い名前でございますが、ちょっと途中を省略いたしますが、地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法——ども特措法と略称いたしておりますけれども、この法律に基づく手続を始めたということでございまして、沖繩県におきます米軍に提供いたしております施設、区域の土地につきまして、先生承知のようにいわゆる暫定使用法という法律を根拠といたしまして、国としてはそれらの土地につきまして契約の合意を得られない土地につきまして暫定使用法に基づいて使用をいたし、軍に提供してまいったわけでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、五十七年の五月の十四日で使用の期限が切れるということでございますので、それまでの間に私どもは合法的に使用の権原を取得しなければならないという状態にあるわけでございまして、そこで先般、先ほど申しました特措法による手続を開始いたしたわけでございますが、この手続は、かいつまんで申し上げますと、まず土地の所有者、私ども契約の合意を得られない土地の所有者に対しまして意見照会を始めました。その意見を受けてから、那覇の防衛施設局長内閣総理大臣に使用の認定申請をいたしまして、しかる後、内閣総理大臣が使用の認定をいたしまして、それから一定の告示及び公示等の手続を経た上で土地調書を作成いたしまして、その上で土地調書を添付いたしまして沖繩県の土地収用委員会に裁決申請をいたします。土地収用委員会の裁決を得て使用権原を獲得する、こういう手続でございまして、一番最初の意見照会を始めたということでございます。
  321. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、そういうふうな私の手もとにも法律のあれがありますけれども、相当長い名前の法律ですね。これは要するに、こういうふうないわゆる強権を発動してこういうことをしなきゃならないというのは一体どういうことなんですか。もう少し現在のいわゆるこういう沖繩のそれぞれ復帰後のいろんな法律があるわけですが、この法律に基づいて米軍に土地の提供している地主の皆さんとの話し合いとか、また地元の公共団体とかそういうところとの話し合いとか、そういうふうな問題はどういうふうになっているんですか。沖繩では、こういうふうな強権発動をしてこの法律を適用してこういう手続を始めるというのは、もう最終的な手段でしょう、実際問題としては。こういうようなのをなぜいま時分こういうことをやらなくちゃならないのか、五十七年というあれがあるわけですから。ちょうどいまから言いますと一年半ほどあるわけです。  そういうふうな意味では、もう少し何らかの措置はできなかったのかということがわれわれとしては考えられるわけですけれども、沖繩ではこれ初めてですね、こういう法律を適用するのは。新しい沖繩の施設局長が赴任してすぐそういうことをやり始めるなんというのは、もう少し地元の皆さんとの話し合いも足りないんじゃないかということも含めて、これ、どういうふうになっているのか、一遍ちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
  322. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 昭和四十七年に沖繩が復帰いたしましたが、その当時、米軍の基地を引き続き施設、区域として提供する必要がございました。これは、日米安保条約に基づく日本政府の義務として提供を続ける必要があったわけでございます。当時非常に混乱の状態でございましたので、すべての土地所有者に対しまして契約を得るということが非常に困難な状態がございまして、当時、私どもが民事上の契約で、土地所有者の御納得をいただいた上で米軍に施設、区域として提供するということのできなかった件数は約三千件ございました。それ以後、その当時、そのために先ほど申しましたいわゆる暫定使用法、この法律をつくっていただきまして、日本政府としては合法的にその土地を使用してまいったわけでございます。昭和五十二年にこの使用期限というものを五年間さらに延長していただいておりますけれども、これは本来は私どもがいま手続を始めております特措法の手続を用いて使用権原を獲得するはずであったものでございますけれども、昭和五十二年の当時は土地の位置境界等もはっきりいたしておりません。したがいまして、特措法の手続を適用するということが不可能な状態でございましたので、暫定使用法をさらに期限を延長していただいて今日に至ったわけでございます。  先ほど申しました三千件の未契約の件数は、現在約二百件弱になってきております。その間私どもは、中央におきましても、それから地方の出先におきましても非常な努力を重ねてまいりまして、説得を続けてまいりまして、現在のところ、どうしても契約の合意が得られないという方々は約二百件弱になってまいりました。この方々につきましても、現在私ども相変わらず説得に努力を続けておりますけれども、使用期限の切れます昭和五十七年五月の十四日までに完全に合意を得られそうもない見込みになりましたので、実はこの手続を開始せざるを得なかったわけでございます。  まだ早いではないかという御質問でございますが、土地収用委員会におきまして、私どもが裁決申請をした後、御審議をいただくわけでございます。従来の状況から見ますとかなりの長期間を要するということでございまして、慎重に御審議いただくために約一年間ぐらい余裕を持って土地収用委員会に裁決申請をしなければならないということを考えまして、今回、意見照会という手続を始めたということでございます。
  323. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはあともう少しというところまで来ているわけですから、実際問題としてはその問題についても、地元の状況等もいろいろ勘案をして、いわゆる最終的な手段というのはもう少し延ばしてもよかったんじゃないかという気が私しているわけです。  それと、沖繩の米軍基地の問題はもういろんな問題があるわけです。それで私の手元にもいろいろとたくさんこれ来てますけれども、あれこれ全部はもう言えませんけれども、たとえば先日の沖繩の金武町伊芸地区ですね、いわゆる米軍キャンプ・ハンセンの演習場におけるいろんな問題がいっぱいあるわけですね、これ。それで地元民とのいろんないわゆる事故、いろんな事故が起きるたびに地元民の皆さんは抗議をしたり、改善を要求したりいろいろやっているわけですね。そういうようなことを見ておりますと、米軍の事故についてどういうふうに考えているのか、どういうふうに対処しているのか、あるいは外務省はこういう問題について少しは米軍に対して何らかの要求なり要望なりちゃんとやっているのかというような問題も含めまして、さらには、先日この四日間も燃え続けたというのがありますね。それでもう燃え続けて、結局黒焦げの山肌が見えて大変な状況になっていると。地元民にとってみましては相当なショックですね。  こういうふうな問題を今後どういうふうに処理をしていくのかという問題があるわけです。こういうふうな地元民とのトラブル、こういう事故、あるいは余りだくさんあれこれ言えませんけれども、いわゆる山火事の問題一つを取り上げましても、施設庁並びに外務省の担当の人たちはどういうふうにこれに対処をしているのか。この補償の問題は一体どうなっているのか、あるいは米軍に対して何らかの処置をしているのか、こういう点を含めましてお伺いしておきたいと思います。
  324. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生御指摘のとおり、沖繩県では米軍基地が非常に多うございまして、まあ過密状態ということでございます。したがいまして、米軍の基地使用に伴いまして地域住民の方々に対していろいろな御迷惑なり影響を及ぼしているということは事実でございます。いま御指摘の中でキャンプ・ハンセンの火事のこともお取り上げになりましたけれども、これは米軍の射撃演習に伴う山火事でございまして、米軍自身もこれほど大きな火事になるということは予想していなかっただろうと思うのでございますけれども、たまたま消火活動が十分ではなかったということもありまして、若干火事の区域も広がったということもございました。  火事の問題もさることながら、そのほかのいろいろな事故、基地使用に伴いますいろいろな影響というものがございますが、私ども機会あるごとに米軍に対しまして、事故を起こさないように、かつ先般の山火事等につきましても直ちに米軍に申し入れをいたしまして、消火体制の強化を図るようにというふうに申し入れをいたしておるところでございまして、基地周辺の住民の方々の感情というものは私どもよく理解をいたしておるわけでございますけれども、他方、日本政府としてはやはり安保条約なり地位協定に基づきまして施設、区域というものを提供するという義務がございまして、在日米軍が駐留する以上はやはり訓練活動というものは欠かせないものでございます。したがいまして、提供というものは続けざるを得ないし、私どもは訓練、演習というものを中止にするということを申し入れるというつもりもございません。したがいまして、今後事故が起こらないように十分に米軍に配慮を求めるとともに、万一事故が起こった場合の対策等を十分に図ってまいりたいと。補償につきましては、これは公務上なりあるいは公務外なりの制度というものが確立いたしておりますので、これは完全に補償することを従来もやっておりましたし、今後もこれについて遺憾なきを期したいというふうに考えておるところでございます。
  325. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあ事故が起きないように消火体制の強化を申し入れたとか、そんなことあたりまえじゃないですか、ほんまに、火事を起こしているんだから。実際地元の皆さんは非常に、これだけ事故を起こしてこれだけ火事になって、もう本当に大変な状況にあるわけですね。それだけじゃないわけですよ、これ。ですから、もっとほかのことも言いますともっといっぱいあるわけ。たとえばマツクイムシ、これは本当にもう、嘉手納基地内のマツクイムシの被害、これはもう、きょう私先ほどの質問で余りやる気なくなったんですけれども、要するにマツクイムシ見ていましても、これはもう嘉手納基地内のマツクイムシの被害なんていうのは、大臣、予想以上なんですね。それでこういうような事態を見ておりますと、ちょっとやそっとのあれじゃないわけですよ、これ。これはもう少しきちっと対処しないといけないんじゃないかと、実際そう思っているわけです。ですから、そういうふうな意味では、このマツクイムシはこれは実際私が言っているだけじゃ余りあれですから、どうですか、どうなっているんですか、わかりますか、これ。
  326. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) マツクイムシの被害の状況については一応実態を把握はいたしております。これにつきましては、農林水産省あるいは沖繩県の方からの協力の要請がございましたので、この対策について現地米軍と現地出先局の間と、それから県を交えて検討いたしておりまして、現地の局から現地米軍に対しまして文書をもって要請をいたしております。なお、この米軍の基地の中のマツクイムシの被害につきましては、嘉手納弾薬庫と嘉手納飛行場、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、この四施設というふうに承知いたしておりますが、この中で、海兵隊が管轄する区域と空軍が管轄する区域とございまして、現在とりあえず海兵隊の関係につきまして十月二十七日より駆除作業に入ったというふうに報告を受けております。なお米軍の方には強力に要請をするつもりでございます。
  327. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 このマツクイムシにつきましても、地元のいろいろなお話をお伺いしますと、もうちょっとやそっとの問題じゃないわけですよ、これね。それで、米軍に申し上げておりますとか、どうこう言っていますけど、実際問題としてはやっぱりこういう問題についてももう少し誠意を持ってばっちりやっていく、対策を立てる。あるいは先般の事故の問題、この火事の問題にいたしましても、いわゆる地元の要請にどれだけこたえるか、防衛施設庁なり何なりがきちっとやってくれている、それなら協力しようかということになるんであって、要するにもう、火事は起こすわ、事故は起こすわ、マツクイムシに食われるわで、協力しようにもしようがないじゃない、これ、ほんまに。実際これ一つ一つ見ていますと、この地元の金武町の伊芸地区というところでは、十一月十二日の夜に伊芸地域の演習場の即時全面撤去を要求する住民の総決起大会が開かれたというんです。そして、結局基地の撤去、県道百四号線を越えた実弾訓練の中止とか、伊芸地域内の軍用地契約の全面拒否、町軍用地主会から脱退、それから着弾地への座り込み、こういう実力阻止というのを決めた、こういうことが実際伝えられているわけです。  私は、こういうふうな一つ一つの問題についてやっぱり国はもっと積極的にこういう問題を解決するために本気で取り組む必要がある。本気で取り組んで、アメリカにも言うだけのことは言う、そうしないと、ただ、いわゆる反戦地主の皆さんが提供に協力してくれないから強制的にこの法律を適用して、いわゆるそういうふうなのを間に合わないからいまからもうやるんだ、要するに二年、一年半後のあれには間に合わないからいまから手続するんだというんでは、やっぱり納得しない。周りのそういうふうな一つ一つ事態について、やはり防衛庁なり防衛施設庁なりがそういう問題に本気で取り組む、そして事情を説明し納得するように話をする、それでこそ地元の皆さんも納得するんであって、それでそういうことをきちっとしないで、いわゆる強制的な手続だけ進めるということについては、私自身もこれはもう話を聞いても納得できない。  大臣は防衛庁長官ですから、やっぱりこういう問題にも皆関係があるし、主管の大臣なわけですよ。ですから、やっぱり大臣ももう少し沖繩の皆さんが安心してこういうふうな問題にも協力できるようにその一つ一つの細かい問題に対処をしていく。そして、国がどれだけそれにこたえてくれたかということが後の問題を解決するための重要なポイントになるんですよ。そうでないと、実際問題、ただ山火事があって、米軍に消火装置を充実せいと、それだけ申し入れをしましたなんて、そんなことをするのはあたりまえであって、これはもう被害を受けた皆さんのいろんな状態や赤い山はだ、本当に真っ黒焦げに焦げた地元の山をながめていると、朝晩腹立ってきますよ、本当に。それではやっぱりいけないと私は思うんです。そういうふうな意味で、こういうふうな問題についても相当真剣に取り組んでいただきたいと私は思うんですが、大臣どうでしょうか。
  328. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  沖繩の基地の問題につきましては、私どもできるだけきめ細かく配意を加えて円満な話し合いによる解決を目指して努力しているところでございます。ただ、今回の場合、どうしても話し合いの解決ができない場合における措置を講ずるという必要性も生じてまいりまして、できるだけこれも早くならないように配意いたしたわけでございますが、先ほど防衛施設庁長官が述べましたような事情で今回措置をすることに決めた万やむを得ざる決定であるというふうに考えておるわけでございます。  また、山火事防止の点につきましてもまさに御指摘のとおりでございまして、できるだけ米軍の消火活動を要請しておったんでございますが、なかなか諸般の事情で鎮火できない、最後は沖繩県知事から、現地では消火剤、消火弾等が不足するのでひとつ自衛隊のあれを内地から運んでほしいという要請もございましたので、急遽それを運んでヘリコプターから散布することによってようやく鎮火をすることができた、その間に時間がかかり過ぎたという御指摘につきましては十分反省いたしますが、今後といたしましても一層力を尽くしてまいりたいと考えているわけでございます。  またマツクイムシの被害につきましても、米軍の地域につきましては、農林省あるいは沖繩県等と緊密な連絡をとりながら有効な対策を実施してまいるように引き続き努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思う次第でございます。
  329. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私は何もきょう先ほどマツクイムシの問題と山火事の問題と二つだけ言いましたけれども、実際は二つじゃないわけですよ。もっとよけいあるわけだ。そういうふうな一つ一つの問題について、もう少しやはり地元の皆さん方が納得できるような、よくやってくれたというふうな、そこまでやはりきちっとやるだけのことをやって、そして対応していかなければいけないということを私は言いたいんでありまして、それで地元の問題でありますから、この問題はあえてきょういまやりましたけれども、先ほどからいろいろと議論をしてまいりましたけれども、まだこれ序の口なんですけれども、実際問題として時間も六時前でございますし、晩御飯食べないでやるのもちょっとまずいので、ここら辺できょうの私の質問は一たん中止をしたいと思います。いずれにしましても、また時間を改めてゆっくりやらしていただきたいと思います。
  330. 林ゆう

    委員長林ゆう君) それでは十分間休憩にいたします。    午後五時五十五分休憩      —————・—————    午後六時十五分開会
  331. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  本日の質疑はこの程度にとどめます。  なお、短SAM問題検討会の問題につきましては、理事会において協議いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十六分散会