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参考人(西川春夫君) 私、
行政相談委員制度というのができまして、
制度開設以来、
行政相談委員ということの委嘱を受けまして、香川県坂出市で
委員の一人をやっておるわけでございますが、たまたま
四国行政相談委員連合協議会のいろいろお世話をいたしておりますので、今回の
ブロック整理法案が、事、四国管区に関係したことでございますので、この機会に
先生の皆様方に私たちの苦衷を聞いていただく機会を得ましたことをまことに幸せに思っておるわけでございます。
ブロック整理法案に対する私の
意見でございますが、
行政相談の
意義と申しますか、年とともに
行政は非常に複雑になってまいりまして多様化していく一方、
国民の方は権利意識がだんだん高まってまいりまして、
行政に関しましての
国民の
苦情、要望、
意見などがだんだんと増加してまいっておるわけでございます。ここ十年ぐらいの過去からの事例、件数を考えてみますと、十年前の
昭和四十五年には十二万件ぐらいの相談
委員に対する申し出があったわけでございますが、それから五年たちました
昭和五十年、大体十三万件に増加をいたしておるわけでございます。昨年の五十四年には、その件数が十八万件という非常に大きい件数に上ったわけでございます。
行政相談と申しますのは、これらの申し出人からの、
国民の
苦情を簡単な手続で受け付けましてその解消を図っておるというのが私たちのやっております
行政相談業務でございます。
行政相談の次に効果でございますが、
国民の権利、利益の保護を図るとともに、
行政運営の改善にこれを反映させてまいりまして、
行政に対する
国民の信頼を確保して、
行政の民主的運営の実現に寄与してまいっておるわけでございます。
次に、
行政管理庁の
行政相談業務の特色でございますが、各
省庁、公社公団等の
業務全般にわたる総合的な相談窓口でありまして、また、
行政監察局が
政府部内の第三者的
機関であるということがら、公平な立場で客観的な
苦情の処理ができるものと私たちは思っております。また、
行政監察を所管する
行政監察局が行っておりますので、申し出られました
苦情につきましては、問題の根源にまでさかのぼりまして
検討し、必要に応じては監察を実施するなどいたしまして、
行政制度または運営の改善を図りまして、類似の
苦情の発生を防止するなどの効果を上げておるわけでございます。住民の身近な相談の窓口といたしまして、私たち
行政相談委員、これは
昭和四十一年の
法律九十九号によりまして
行政相談委員法というものができたわけでございますが、各市町村に一名以上の
委員がおります。大きい都市には
人口五万に一人という
ような割合で配置をされておりまして、広く
国民の
苦情を吸収する窓口
業務をやっておるわけでございます。私たち
委員はもちろん民間人でございまして、それぞれの
自分の職業を持ちながら、政治的に中立の態度を保ち、同時に、この法に
規制されております
ように、無報酬で
国民のそうした要望、
意見を取り次ぎ、これに助言を与えておるという
ようなわけでございまして、全国に現在四千五百七十六人の私たちの
委員がおるわけでございます。
それでは、四国における
行政相談の活動はどうであるかということを考えてみますと、一番目に、四国管区の
行政監察局を中心にいたしまして、徳島、愛媛、高知
行政監察局が
行政相談委員二百四十七名と共同いたしまして
行政相談活動を実施いたしておるのでございます。四国で一番大きい
人口を擁しております県というのは愛媛県でございますが、ここに
委員が八十二名おります。次に高知が五十八名、それから徳島が五十六名、私たちの香川管区の方では五十名というので、合わせまして二百四十七名の
委員がおるわけでございます。これに
関連しております
行政監察局では、四国管内に九十二名の職員の方がおられまして、数少ない職員数ではございますが、非常に私たちとしましては民間サイドから見てよくやっているなという、順調な仕事をやっておられる
ように敬服いたしておるものでございますが、相談件数としまして、先ほど全国では十八万件あったわけでございますが、四国では昨年度一万二千件の申し出があったわけでございます。つまり全国の十八万件に対しまして大体六・六%という申し出件数があったわけでございますが、か
ようにいろいろな
国民のそうした要望、申し出があって、しかも着々とその成果を上げておりますというその陰には、やはり私は
行政相談というものがこの
ように成果を上げていくことができますのは、私たちの身近にありまして、常時各
行政機関の
業務を厳正に監察して
行政改善を進めておる地方
行政監察局の強い力と支援によるものでありまして、地方
行政監察局または
管区行政監察局の
存在なくしては私たちの活動は成り立たないわけでございます。そうした両々相まちまして、非常な件数の増加を見ておりますことを一応御報告申し上げておきます。
また、ついででございますので、四国地区でいろいろ私が記憶しております
行政相談のうち、一、二件
行政相談の事例について申し上げたらと思うんでございますが、
一つは、五十三年の末から五十四年にかけて半年ぐらいかかったわけでございますが、これは高知の問題なんでございますが、高知空港まで、バスが高知のはりまや橋からどこへもとまらないで空港へ直行しておるわけでございます。高知市内から乗る人ばかりとは決まっておりませんので、南国市ありいろいろ町がございますもので、何とか
市民の側からそのバスが途中でとまってもらえぬものかと、南国市の人がわざわざ飛行機に乗るためにはりまや橋まで出かけていって、また
自分のバスに乗っていって途中でタクシーに乗りかえて終点まで行って乗らぬと空港への連絡がとれぬというのは非常に困るじゃないかという
ような申し出がございまして、いろいろと会社その他と折衝いたしまして、約半年かかりましてそのバスが途中三カ所ほど停車することになりまして、中間のお方がその中継場所まで来ますと空港行きのバスに乗れるということで、現在非常に助かっておる現象が起こっておるわけでございます。半年という年月がかかりますのには、やはり会社の営業サイドでここでとめ、ここで中継するということには、いろいろ組合方面でのその
業務に対する人間の増員という
ような問題もございまして、大変長い間かかったわけでございますが、これは高知の陸運局といいますか、高知にあります陸運
事務所では決がとれませんで、結局高松の陸運局というところの場へ参りまして、やっと高松の陸運局からいろいろ認可の申し出がありこれを認可したという
ようなことで、その申し出人の言っておるあちらこちらへは中継をしながら、三カ所ほどとまってやっていくという
ようなことが実現したわけでございまして、管区局の
存在というものがこうした
苦情あっせんの事例においても明らかに必要であるということを私たちは痛感いたしておるものであります。
またいま
一つは、これは高松の出来事でございますが、高松の周辺へ参っておるバスに大川バスというのがございまして、もう
一つは琴電バスというのがございまして、それが全く同じコースを走っておりまして、交互に時間を決めて走っておるわけでございます。これの回数券が、それぞれの会社が発行しておりまして、共通性がないわけなんでございます。子供とかあるいはお年寄りなどがバスに乗りまして、やっと来たバスに乗っておりるときに、回数券入れますよと言って入れますと、いまの回数券、下にベルトがずっと走っておりますので、あらあらと言っているうちに違った会社のバスに違った回数券を入れまして、さあお客さんこれは会社が違うんだと、もう
一つ運賃もらわぬといけませんという
ようなことで二重払いをやっておると、そんな不便があったわけでございますが、これもいろいろと局の方に申し出がございまして、大いに陸運局との折衝をいたしまして、会社が二社入っておりますのでそれぞれ会社の業積上からの問題もございます。単によろしいというものではありませんで、いろいろとその会社の扱う人員の比例という
ようなこと、いろんな実績も出さぬといかぬわけでございますが、それが約一年半かかりまして両社の共通回数券というのが発行されたと。非常にちまたのささやかなことではございますが、ずいぶん念を入れてやっとそういうことが成り立っていくというのは、やはり管区局があり、その局が陸運局と何か会合があるたびに、いままでのその経過の過程を督促しながらだんだんと実現に向かってやっていける。非常な大きい管区局がなければできない
一つの申し出の実現、申し出人の要望にこたえた
一つの実例ということでございます。時間もございますので、いろんな事例がございますが、そういったことをひとつ
参考までに事例として申し上げておきます。
なお、この
ように
行政相談は
国民生活に身近かな問題を取り扱っておるのでありますが、最近はだんだんむずかしい問題も
行政相談委員に持ち込まれてくる
ようになってまいったわけでございます。このために、私たち
行政相談委員といたしましても、四国管内で始終お互いのいろいろ知恵を教え合うと申しますか、そんな
意味で研修会を開催いたしまして
意見交換等を活発に行いまして、申し出事案の的確な処理をするために日ごろ努力をいたしておる次第でございます。
それで、結局、今度は
ブロック整理法案に対する私の所見でございますが、まず一番目に、
行政機関の統廃合ということは即
行政区画の決定という
ように考えてもいいのじゃないかと思うわけでございます。
行政区画は、単に
行政機関側の都合なりあるいは実情だけで決定さるべきものではないと思うのでございまして、
地域の実情を十分に顧慮して
行政区画の
あり方を考えるべきではないかと思うのであります。この点から四国地方を考えてみましたときに、御存じの
ように北は瀬戸内海南は太平洋、そこに囲まれた四百五十万の島民の住んでおります四国はまさに孤島でございまして、私はいつも四国は
一つの島国であるという考えから離れるわけにはまいらないのでございます。
事、水の問題をとりましても、御
承知の
ように大きい河川はございません。徳島に吉野川があるだけでございまして、その川の水を今日では各県知事その他の非常な努力と譲り合いによりまして、香川県に、香川用水としてその吉野川の水がつい三年、四年前から香川に通じておるわけでございますが、従来狭い香川県には干ばつのときもよくございまして、高松など、御
承知の
ように本当に一時砂漠の
ような現象を起こしたことがあるわけでございますが、今日は水飢饉なんて全然なくなりました。そうした四国は
一つというみんなの譲り合いの精神が、今日吉野川の水を香川の高松と言わず本当に末端までくまなく流しておる。そうした
一つの、水
一つからいってもそうした大きいかたまりであること、私は地理的にも
社会的にも、また歴史的にも
一つの
ブロックとして今日に及んでおることをはっきりと認識いたしたいのでございます。
まあ国鉄、いろいろ非常な進歩発展をいたしましたが、今日、国鉄の中で電化されておりませんのはただ
一つ、四国本島があるだけでございまして、それほどいろいろな面で四国は何かおくれがあるわけでございます。そのことあってこそ、今日、海を隔てての本土との教育あるいは文化、経済の離島おくれを何か解消する
意味で、国は挙げて本土四国連絡橋というものの架橋工事に鋭意努めておられるわけでございまして、そういったことを思うにつけましても、私たちは、中国四国
ブロックという今日の行革において考えておられます
ような、中国四国という
ような
ブロックの観念というものは私たちには全くないわけでございます。まさに中国四国
ブロックということは、現実の私たちの日ごろの長い間の体験なり
習慣というものを全く無視した、私は言うならば暴挙であるとさえ言いたいのでございます。
四国を
一つの
ブロックとして全国を八
ブロックに分割するという考え方、いろいろな各
省庁の
出先の
ブロック機関を考えましても、ほとんどがそうした八
ブロックのもとでいろいろ組み合わせが行われておる。これが一番合理的な
行政区画ではないかということを私たちも身をもって常々考えておるわけでございます。
今回の
ブロック機関の統廃合によりまして、四国を
一つの
ブロックとするものや、あるいは中国四国を
一つの
ブロックとするものなどが混在いたしますが、
行政区画というものは、ますます私たち
国民にとってどれが本当の
行政区画なのかと、本当にわかりにくいものになっている
ような気がするわけでございます。
私は今日、生きた
行政というものは、やはり
国民の強い強い信頼を受けながら、
国民の権利、利益の保護に役立つ
ように運営面での改善に努めるべきだと思うのであります。したがって、私たち四国の相談
委員二百四十七名にとっては、
行政相談委員として四国管区を廃止するということで
行政上に一体どれだけの利益があるのか、また私たちの、四国に住んでおりますこの四百五十万の私たち
国民にとりまして一体どれだけのこれまた利益があるのかと、むしろ今回の行革に対しまして皆様、
先生方に私はお尋ねしたいわけでございます。
いままでいろいろお話しいたしました
ように、
行政相談業務というものは本当に、受け付けた事案を
行政監察局がその
行政機関にあっせん解決する
仕組みでございまして、あっせん対象が
ブロック機関である場合には
管区行政監察局があっせんすることとなるわけでございまして、先ほどの高知とかあるいは高松のバスの運行その他にいたしましても、相手方に高松陸運局、四国の
ブロックにある高松陸運局があり、管区があっての解決がなるわけでございまして、これが仮に広島にその管区の母体を持っていかれた場合、私はここで見る一年半でできたこうした両社の交通上のバスの共通券にしましても、一々広島から出かけてきて、しかもそうした会うたびの折衝という
ような、間髪を入れない、長い長いいろいろな解決事項ということには不向きではなかろうかと、か
ように思うわけでございます。
先般来、私たちは何回も何回も
行政の
改革の波の筆頭に立たされたわけでございますが、いつも、全国の私たち相談
委員の組織もございまして、あるいはお役所の方あるいは担当のトップの方にいろいろ要望をいたしておるわけでございますが、その要望書の一部をちょっと読ましていただきまして、何かと御
参考に供したいと思うのでございます。
今回の閣議決定で、
行政管理庁は四国管区行
政監察局が
整理されることとなりました。われ
われ
行政相談委員は、
管区行政監察局が
整理さ
れるのであれば全
省庁の基幹的な
ブロック機関
を一律に
削減される
よう再三にわたって強く御
要望いたしたところでありますが、今回の決定
を各
省庁横並びにみますと
行政管理庁に最も厳
しい結果となっているものと考えざるを得ませ
ん。
行政管理庁では、さきの
行政改革で各
省庁に
先がけて北海道の三地方局を失い、今回また基
幹的な
ブロック機関である四国
管区行政監察局
を失うことは、あまりにも犠牲が大きく、われ
われ
行政相談委員の中にも志気沮喪と
業務遂行
上の支障を懸念する声が強いことは極めて憂慮
すべきことであります。
申すまでもなく、
行政相談業務における管区の
行政監察局の果たす
役割りということは、私たちの
行政相談委員の指導及び事案処理の上できわめて重大なわけでございます。私たちは、まあそういう
意味合いからも、何か
行政監察局だけが、よく議会などでいろいろな場面を拝見し、あるいは新聞報道その他によりましても、隗より始めよという言葉で何か一番犠牲にならなければならないという立場に置かれ、しかも、その役所のもとで相ともに相談
業務をやっております相談
委員にとりましては、これほど悲しい、これほどつらいことはないわけでございます。
どうかひとつ
委員の
先生方の、この四国二百四十七名の気持ちを今日代表して申し上げておるわけでございますが、どうかこうした
改革におきまして、できれば四国の島が
一つであるというお気持ちを十分に御高配いただきまして、今回の行革になお私たちは管区の残存することを願ってやまない気持ちでありますことを重ねて申し上げまして、私の
意見を終わらしていただいたらと思います。ありがとうございました。