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1980-10-23 第93回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十三日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   委員氏名     委員長         亀長 友義君     理 事         金井 元彦君     理 事         熊谷  弘君     理 事         佐藤 三吾君                 岩上 二郎君                 加藤 武徳君                 後藤 正夫君                 菅野 儀作君                 名尾 良孝君                 鍋島 直紹君                 原 文兵衛君                 福田 宏一君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 和泉 照雄君                 大川 清幸君                 神谷信之助君                 伊藤 郁男君                 美濃部亮吉君     —————————————    委員異動  十月二十三日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     下田 京子君     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 金井 元彦君                 熊谷  弘君                 佐藤 三吾君                 伊藤 郁男君     委 員                 岩上 二郎君                 後藤 正夫君                 名尾 良孝君                 福田 宏一君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 和泉 照雄君                 大川 清幸君                 下田 京子君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    石破 二朗君    政府委員        内閣法制局第一        部長       味村  治君        警察庁長官官房        長        金澤 昭雄君        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁警備局長  鈴木 貞敏君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       矢野浩一郎君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     宮尾  盤君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君        消防庁長官    近藤 隆之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        内閣官房内閣参        事官       栗林 貞一君        総理府人事局参        事官       小野 良二君        総理府北方対策        本部審議官    藤江 弘一君        行政管理庁行政        管理局管理官   家田 博行君        環境庁水質保全        局水質管理課長  大塩 敏樹君        国土庁地方振興        局特別地域振興        課長       桝原 勝美君        農林水産省構造        改善局農政部地        域農業対策室長  足立 純男君        農林水産省構造        改善局農政部農        地業務課長    篠浦  光君        林野庁指導部治        山課長      松本 廣治君        労働省労働基準        局安全衛生部計        画課長      山田 正美君        建設省都市局下        水道部流域下水        道課長      伊藤 俊美君        建設省河川局都        市河川課長    陣内 孝雄君        建設省河川局砂        防部砂防課長   釣谷 義範君        日本国有鉄道施        設局用地課長   高木 一匡君     —————————————    本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○派遣委員報告に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (選挙制度改革問題に関する件)  (地方行財政に関する件)  (消防に関する件)  (犯罪被害者に対する見舞金に関する件)  (冷害に伴う地方税減免措置等に関する件     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事伊藤郁男君を指名いたします。     —————————————
  4. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、地方行政改革に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました地方行財政等実情調査のための委員派遣につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 きょうは大臣初めてですから、少し大臣の物の考え方などについて最初に伺います。  まず、就任に当たって選挙制度改革に強い熱意を表明をされました。まず、そのことについて所見伺いたいと思います。
  11. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 就任に当たりまして選挙制度改革についてお話し申し上げましたのは、一番初めはたしかNHKテレビであったと思いますが、自分が、この六月の参議院通常選挙に当たりまして、選挙制度改革について迷べた記憶があります。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 いえ、いま仰せのように、確かに大変強い熱意を表明されたわけでありますが、その選挙制度改革について、あなたの所見伺いたいということです。
  13. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 選挙制度について、私の参議院選挙に当たって述べましたゆえんのものは、政治を行っていく上に一番大切なことは、政治に対する国民理解協力を求めることが必要である。国民皆さん理解協力を求めようとするのならば、政治に対する信頼を国民皆さんにお寄せいただくようにしなきゃいかぬ。それにはどうしても政治家が、政治関係する者が金銭にきれいでなければいけない。金銭にきれいにするにはそれはどうする必要があるか。政治家は特に金に汚いものとは自分は思わぬけれども、どうしても選挙に金がかかり過ぎるんだ、だからして選挙に金がかからぬようにしなきゃいかぬと思う。まあそういう理屈で、選挙制度改正、政界の浄化のためにはどうしても選挙制度改革してかかる必要があろうということを申し上げたわけであります。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 その辺の人が評論的に選挙制度改革しなきゃならぬなと、政治家はどうも汚くて困るとか、お茶飲み話に言うている分にはそれはそれで済むのですが、大臣が、選挙担当国務大臣として就任をして、選挙制度改革について一声ぶち上げるということは、それに向かって具体的な段取りが次に出てこなきゃなりません。それで、その選挙制度改革について、大臣としてはいまどういう段取りを整えておるのか、何をどうしようとなさっておるのかを聞いているわけです。
  15. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) NHKテレビ出演に際しまして述べましたことは先ほど申し上げたとおりでありますが、当時はまだ就任後一週間もたたないときでありまして、具体的にどう改正しようというようなことは、実は細部まで検討した上での発言ではありませんでしたが、きょう、どう考えておるかというお尋ねでありますが、選挙制度全般衆参両院選挙制度につきましては、いろいろ政治資金の問題を含めまして検討すべき問題はたくさんありますけれども、さしあたっては、参議院全国制度を何とか改善することができないものかというふうに考えております。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 あなたはもっとずばずば物を言う人だと聞いておったんだが、何かばかに用心して余り言わないね。——というのは、私、おいおい聞くんですが、大臣就任第一声選挙制度と、私はそれなりに非常に重要なテーマだと思うんです。これはもちろん自治省限りの問題じゃありませんけれども、たとえば五十六年度の重点施策というのが一から五まで挙がっておりますが、そこには選挙制度なんというものはおよそかけらも載っておりませんしね。何かゴム風船でも上げて選挙の啓発をするぐらいの話しか載っておらない。でありますから、そういう問題についてもっといま準備を進めておるなり、何か所見なりがあればお伺いしようと思うのだが、いまのところじゃ何も考えていない。  小選挙区制についてはどういう御見解ですか。
  17. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 先ほど申し上げました、選挙をするに当たりまして、選挙制度改善に触れたわけでありますけれども、主として衆議院選挙区の問題についての自分考え方を話した記憶を持っております。衆議院選挙区を小選挙区にする必要があると思うということを述べた記憶を持っておりますけれども、今日では衆参両院選挙を通じましてあれこれ改正すべき点はたくさんあると思いますけれども、何とか実行可能なものを一つでも、実行可能なものから手をつけていく必要があるのじゃなかろうかと考えております。それには与野党、まあ全部の各党派各会派皆さんそうだとは申しませんけれども、参議院全国制度改正についての御議論も大分ほかのものよりか先んじて行われておるようでありますので、自分といたしましても参議院全国区制というものをまず手がけていただいたらどうかと、かように考えております。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 衆議院の小選挙区制をと考えたが、どうも実行可能とは思えないから、実行可能なものとして参議院全国制度改革というものから手がけていきたいという御見解のようです。  それでは、そのことについてお伺いしますが、この間、これはもちろん内部検討なんでしょうが、自民党プロジェクトチーム全国区制の改革案骨子を発表なさったようでありますが、これは大臣の言う実行可能な全国制度のくだりでありますが、この改革案骨子についての大臣所見はいかがですか。
  19. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) まだその中身につきまして責任のある方からのお話も承っておりませんので、軽々に私の考え方を申し上げますのはこの際差し控えさせていただきたいと思いますが、御承知のとおり、選挙制度の問題はいわば国会のルールの基礎づくりのような問題でありますので、自民党でせっかくおまとめになりました案が、自由民主党の中でもまだ決まったとは聞いておりません。ですから、順序がありましょうから、自民党でまず内部意見調整をなさる必要がありましょうし、各会派とも御相談をおやりになる必要もあろうと思いますが、何とかして各会派多数の方々の御意見が一致されまして成案を得ていただければ大変結構だと考えております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 こればかり長くやっておれないんですけれども、結局こういうことですね。何かいわくありげに選挙制度改革について大変な熱意を表明したようだが、いろいろ聞いてみると、とどのつまり、自治大臣としても自治省としても、具体的なものは何も考えてないと、こういうことですか。
  21. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 考えていないわけではありませんで、終戦直後とは申しませんけれども、もう長いこと関係者選挙制度につきましてはずっと長いこと検討して今日に至っておりますけれども、なかなかこの選挙制度改正というのは言うべくして実行困難であります。したがいまして、自治省はそれじゃ何も考えてないんだなとおっしゃられますとどうかと思いますけれども、考えてはおりますが、なかなか実現困難であるというのが実情であります。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 考えている中身がちっとも表へ出てこなければ、下手な考え休むに似たりといいますから、考えないのと同じことです。人騒がせな、何かやりそうなことを言うから、ある面では期待をしある面では警戒をして、お伺いしてみると何も考えていない、どこかその辺でうまいこと相談してくれやというような話でしょう。ですからこれは、いまはその程度のものだというふうにお伺いをいたしておきましょう。  その次に、行政改革について中心的に聞くのでありますが、「昭和五十六年度地方行財政重点施策」によりますと、第一に「地方行政刷新」ということを掲げております。これは、「国・地方を通ずる行政改革推進」という、こういう大きい流れの中での地方行政刷新と、こういう位置づけであります。  そこで、この際この点についてお伺いをしてまいりますが、国、地方を通ずる行政改革理念は何なのか。特に、地方行財政改革あるいは地方行政刷新中心的施策、その理念というものは何なのか。まず、これを明らかにしてもらいたい。
  23. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 来年度の自治省重点施策の中に、行政刷新ということを入れました。これはもう私から申し上げるまでもございませんが、国の財政再建がございまして、それに伴います行政改革というのが必要になってまいっております。国と地方はやはり相協力して進んでいかなきゃならぬものでもございますし、地方における財政自身もそれほど豊かではない。そういう中におきまして、国と地方が相携えながら新しい住民福祉要請にこたえていくのにどういうふうにするかということが基本的な考えでございます。特に行政改革というのは、国と地方との適切な機能分担を図るということから出ておりまして、その国、地方を通ずる行政簡素効率化という観点に立ちながらこれを進めてまいらなければならぬと思っております。特に第十七次の地方制度調査会におきまして、地方分権推進というものと行政効率化ということが、国、地方を通ずる行政効率化ということがこれからの基本的方向として大変大事なんだということが答申にありました。これを受けて実は重点施策の中に入れたわけであります。  中身といたしましては、これからの国と地方との関係というのは、先ほど申し上げましたように、相携えて協力的に共同の姿勢でいかなければならぬという観点に立ちながら、国の許認可事務の整理なり、あるいは補助金合理化の問題なり、さらには国、地方を通ずる行政事務配分なり、そういうことにもう少し意を用いていくということがその中身でございます。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 いま、いろいろあったけれども、地方行政改革理念は、国と地方が相協力して住民福祉要請にこたえるというのが行政改革なり行政刷新理念と、こういうことですか、突き詰めて言うと。そういうことですね。
  25. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そのとおりでございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 それで、この国と地方が相協力して、ここのところが皆さんのところによりますと、「国の地方団体の適切な機能分担あり方を踏まえ」という表現に通ずるんだろうと思うんですね。そこで、地方分権視点に立っていろいろなことをやっていくと。こういう、いわゆる機能分担あり方を踏まえるということと、地方分権視点に立ってという、この二つを柱にしていろいろなことをおやりになるようであります。その限りにおいて特に異論はありませんが、少し詰めておきたいのは、この機能分担という考え方についてであります。いまもお話しがありましたように、国と地方は相協力して住民福祉要請にこたえる、そうしますと、神戸勧告以来、伝統的な事務配分に関する国あるいは地方行政責任明確化と、こういう論理がありましたね。このこととはどうかかわりますか。
  27. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 国、地方責任明確化ということが、言うならば、国と地方との事務配分をする上に立っての一つの物の考え方の基点になっていると思います。国と地方との行政事務配分というのは、国あるいは地方、それぞれの機能があるわけでして、それがこの第十七次の地方制度調査会答申にもありますように、国と地方とがやはり併立的関係に立ってしかも協力をしなければいかぬと、そういう観点からこれからの行政を進めていくということになっておるわけでして、神戸勧告以来の国、地方責任明確化というのは、やはりこれからの事務配分をする上にとりましても大変重要な要素であるというふうに考えております。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、この機能分担という考え方、後ほど私申し上げますが、一応国なり地方行政責任明確化というものを踏まえて、機能分担し合う、相互協同協力をし合うと、こういう考え方ですか。
  29. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そのとおりでございます。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、その場合に、私はやっぱりどうしても皆さんにひとつ指摘をして、これは行政管理庁も来ておりますからやがてお伺いしますが、国と地方とがそれぞれ責任明確化しながらも、今日さまざまな行政分野では協力協同をして国民福祉住民福祉にこたえなきゃならぬ、こういう状況はよく私も理解しますが、国と自治体とが支配、服従の関係、すなわち中央集権構造のもとでは、私は、適切な機能分担相互協力もない、こう考えるわけです。そうなりますと、皆さんのところも地方分権視点に立ってということでありますけれども、行政改革中心的な課題は、そういう自治体づくりというものそれにふさわしいさまざまな改革というものが行政改革中心的な課題にならなきゃいかぬ、こう思いますが、その点はいかがですか。
  31. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) おっしゃっているとおりだと思います。私たちも、実はこの地方自治法が制定以来、国の許認可事務でありますとか、あるいは国と地方との権限配分でありますとか、ずいぶんいろいろやってまいりました。しかし、力足らずでなかなか思うようにまいらなかったことも事実でございます。ただ、今後ともやはり国と地方とが併立的関係に立って仕事を進めていく、あるいは相携えながらその責任分担をしていくという形というのは、今後もわれわれが地方自治というものを進めます場合に、当然にそういう要求はいたしながらこれを改革をしていくということが大変大事であろうというふうに考えております。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 私は特にこの点を申し上げますのは、最近の行政改革というのは、何かふわっとしたムードのようなものが流れて肝心のその点についての押さえ方が非常に欠けておる、それだけに心配をしているわけです。後ほど水道料金値上げ等に関する行政管理庁の主張なども引き合いに出しますけれども、何か一瀉千里に走っておる中に、地方サイドからすれば行政改革の最も中心になるべきそこの点が押さえられておらぬのじゃないか。私はあくまでも国と自治体との対等、併立の関係というものを、そういう社会的な基礎も含めて確立をしなければならぬという意味でこの問題を取り上げておるので、そうでないとこの事務配分が、まあ協同協力関係だ、おまえもやれというようなことで、責任明確化にならないで、国の責任回避地方への全部押しつけという形で結末がつけられてしまうことが十分に考えられるという意味で、この点は、これはもうしっかりした見解を持っていないとこれに対応できないと、こう思うんですが、大臣どうですか。
  33. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 志苫委員と大体同じ考えを持っております。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 大体というのは、どこが違うんですか。
  35. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) まあ全部同じでございますと言ったときに、どうもちょっと後で困る。おおむね志苫委員の御意見と同様であります。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 いまのような理解に立てば、自治省のこの来年度の重点施策で、機能分担と同時に地方分権視点に立ってという表現は適切だと思うんですが、じゃひとつ、そういう視点には同感だけれども、現実はどうなっておるか、幾つかの例を挙げてお伺いします。  行政管理庁がこの間、水資源対策について意見を出した。その中には、水道料金体系の見直し、ざっくばらんに言えば水道料金上げれやと、水道料金上げれば水の使い方が減るわいと、こういう論理になっていますね。しかし、御存じのように水道料金というのは自治体固有仕事です。これ、自治体意見ももちろん聞いたわけでも何でもないのでありますが、たとえばこういうこと。あるいは、第二臨調の、やがて法案が出てくるとわかりますが、ここでは国と地方あり方というテーマが掲げられてくるようであります。そうなってくると、たとえば地方制度調査会を初めとする一連のいわば審議会等も持っておるわけでありますが、こういうものとのかかわりが当然出てくるんですね。それはそれ、これはこれと、一方的に国のサイドで論じられるということにもなりかねない。あるいは、地方公務員定員抑制というものが今度の中曽根行革の大きい柱に掲げられておる。あるいはまた臨調テーマに、中曽根長官予算委員会における発言によると、永野日商会頭から、まあ道州制でもしいたらどうだという話もあったので、それはまあひとつ臨調考えてもらいましょうと、こういうことを言うたというのが予算委員会の答弁でありますが、こういう基本的な制度問題等について、まさに地方の意思とか、あるいは地方の権能とか自律性とか、そういうものにはお構いなしにこういうものがぽんぽん出されてくる。私は、水道料金の問題なり、国と地方あり方なり、道州制の問題なり、そういう問題について、どこでも議論をするのはけしからぬというサイドで言ってるんじゃないのであって、そういう地方のまさに自律性自主性分権中身となるべき問題について、平気でぽんぽんぽんぽんとその辺で語られるということを実は問題にしているわけですね。  で、こういう点について若干の問題を提起するんですが、一体行政管理庁は、その権限からいって、地方自治権地方自律性に、行政管理庁地方行財政あるいは自律性自治権について関与する限界というものがあるはずだ。こういう問題についてどのようにお考えになるのか。
  37. 家田博行

    説明員(家田博行君) お答え申し上げます。  御承知のように、現在の厳しい財政事情を考えますと、国においてはもちろんでございますけれども、地方におきましても行政改革を進めることが強く要請されておると考えます。その際に、たとえば事務配分という問題でありますれば、住民の身近なところで行われるべき事務については、これは地方公共団体の責任において行われるべきであると、このように考えます。他方、今回の行政改革の基本的な考え方にありますように、仕事減らしということを重点に置いて進めようとしますれば、これは国においても法律等によって地方公共団体の仕事をふやしておるという面があるかと思います。こういう点につきましては、国においても、たとえば事務配分の問題、あるいは補助金制度あり方の問題、こういった問題につきまして十分見直しを行いまして、検討を加えねばならぬと思いますが、一方、地方公共団体においても、その任務の範囲内におきまして行政の簡素合理化を進めていく必要があるかと思います。この点につきましては当然地方自治の本旨というのは十分尊重されなければならぬと、このように考えております。  したがいまして、今後の進め方といたしまして、行政管理庁といたしましては、とりあえず自治省とその進め方につきまして、地方自治の本旨にもとることのないように、十分協議させていただきまして考えてまいりたい、このように考えております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 地方自治体がいま何をやらなければならないか、どういう国家的な要請があるか、どういう社会的な要請があるか、どういう時代的状況に置かれておるか、こういう問題についてそれぞれ所見があることは当然でしょう。しかし、そういうものは自治体自体が考え自治体自体がやることなんです。これはいわゆる神戸勧告でも指摘をされておりますけれども、そういうさまざまな時代的な要請、社会的な要請について地方公共団体がそれを怠っている場合は、それは住民選挙なり直接請求制度なり、そういうものを通じて是正をされるのが当然であります。そういう、言うてみれば自治体はいわば地方の政府であって、そう行政管理庁ごときにぽんぽんぽんぽんと言われる筋合いを持っておらぬわけ。このことははっきりさしておいてほしいと思うのであります。  私がお伺いしておるのは、行政管理庁行政改革についていろいろ事を論ずる、研究する、そのことの中に地方の問題が当然国家的な立場から見て入り込むことは、これは私は否定をしません。一地方の問題でも国全体として大きい影響を持つことだってあり得ますから、そういう意味で私は議論をするなと言っているんじゃないけれども、しかし、行政管理庁が当然考えてやる場合にも、地方分権ということを踏まえてやってもらわなきゃ困るということを私は先ほどから指摘をしておるわけですけれども、たとえばこの水道料金を上げろと、極端に言えばですね。何の権限があってあなたのところがそんなことを言うのか。
  39. 家田博行

    説明員(家田博行君) 水道料金の問題、これは行政管理庁設置法に基づきます監察業務の中で、厚生省が進めております水道行政について調査いたしまして、その結果に基づきまして厚生省、厚生大臣対して勧告をいたしましたわけでございまして、その内容につきましては、これは厚生大臣地方公共団体に対する指導監督のやり方について勧告したいということでございまして、地方行政そのものについて云々するという意図はないものと考えております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 まあ、あなたは行政管理庁のそう責任ある立場でもないようですから、この問題はそれ以上取り上げませんが、いずれにしましても、行政管理庁というのは国の役所であります。地方自治体の生殺与奪の権を握っているものではない。国のさまざまな問題について任された権限に基づいてせっせとおやりになればそれでよろしいというふうに考えるわけです。  大臣、たとえば臨調テーマに国と地方あり方ということが掲げられております。総理が諮問をするし自治省が所管をしておる地方制度調査会、まあ地方財政審議会なんていうのも、いろいろありますけれども、この種のところでもこんなことやっておるわけです。特に、地方制度調査会に至ってはもう十八回目だ。特徴的なのは第九次の勧告であるとか十何次勧告という——それ、本当はみんなやっちゃおらぬけれども、まあそれなりに問題を提起をしておるというものがありますが、こういう機関とどういう関係に立ちますか。
  41. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) およそ行政といいます以上は、国政でありましょうと地方行政でありましょうと、受ける方は同じ国民が受けるわけであります。両者それぞれ調和のとれたものでなくてはいけませんし、また、国政、地方行政それぞれ独立して存在し得るものでもありませんので、両者相協調してやらなければいけませんけれども、国政、地方行政それぞれが双方相侵すことなく協調していくべきものと考えております。  お話の中にありました地方制度のごとき、たとえば道州制のごとき、これを国の機関でなしに、地方制度という前提に立ちます限りは、第二臨調などであれこれ御審議願うべき筋のものではありませんで、地方制度調査会の本来のお仕事としてやっていただきたいものと考えております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 それは、あれこれよけいなこと言ってもらわぬでもいいと言ったって、向こうの方は言うと言っているわけでね。まあこれからも言うか言わぬかわからぬですが。私が聞いているのにずばり答えてくださいよ。  そうすると、第二臨調、その中に国と地方あり方、まあ地方制度調査会も骨組みは何だと言ったら国と地方あり方を一生懸命やっておるわけで、それから地方そのもののあり方もやっておりますけれどもね。行政改革とか行政の簡素化というのは、そんなようなことをあっちでもこっちでもやることをなくすることなんだよ、わかりやすく言うと。またこれよけいなものが一つできて、いままでのものはなくならぬ。何かあるとまた何とか審議会、何とか審議会という形になって、屋上屋を重ねていくことになりませんか。そういう点について、地方制度調査会を所管をしておる自治省としてはどういうお考えですか。
  43. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 第二次の臨時行政調査会と地方制度調査会関係につきましては、大変いま先生御心配の点が私もあろうと存じます。そこで、私たちは基本的には、臨時行政調査会というのは国の行政制度あるいは国の行政運営の改善合理化ということについておやりになっていただくものだというふうに理解をしておりますし、地方制度調査会地方制度調査会の設置法にございますように地方制度一般について審議をするところでございますから、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、道州制に関しましても、地方制度に関する限りやはり地方制度調査会において行うべきものだというふうに考えていま事務を進めているところでございます。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 その点はそうなるかどうか、これは臨調そのものがもう少し、委員さんがどんなことを御議論になるのか、その辺によっておいおいとまたこれは詰めていきますが、一応問題だけ提起しておきます。  それというのも、神戸勧告以来さまざまないろいろな勧告が出ています。もちろん、古い勧告ですから、その時代には合ったがいまは合わないなんという問題もそれはありますけれども、それにしても、たとえば十七次答申なんというのはついこの間出たばかりですが、これはやってほしいがなと思うような問題があっても、皆さんの方は自分の方から見ていいものだけつまみ食いして、後ほったらかしておくから、こんな機関幾つあっても役に立たなくなるんですがね。たとえばいまのその道州制問題について、これは地方制度調査会議論すべきだと、そういう性格の問題であって臨調になじまぬという大臣のお話がありましたが、その道州制については地方制度調査会答申  をした。で、法律として国会へ出た、これは国民の合意を得られなかった、こういう経過をたどっていますね。したがって、この問題は一件落着ですね、いかがですか。
  45. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 一件落着とそう割り切るわけにはいきませんで、時勢の変化に応じまして常時地方自治体のあり方というものは検討し、改善すべきものは改善すべきものとは思いますけれども、今日道州制を取り急いで検討をしなければならないという情勢にはないと考えております。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、この地方行政刷新あるいは地方行政改革というテーマについて、私は自治省に重大な問題点を指摘をしていきたいんです。  地方行政委員会等でいろいろ議論をしていますし、あるいは地方六団体、それぞれの個々の自治体でも地方の時代論というようなものの背景を踏まえて地方自律性の拡大についてやっておりまして、自治省もそれなりに努力をしていることを多としますが、自治省に重大な私は問題点を提起したいのは、自治権の拡大というのは、国の役所である自治省権限拡大ではないんだ。ここのところをまずはっきり踏まえておいてもらいたいわけです。  私は、先ほど言いましたが、地方行政改革の最大のねらいというのは、国と自治体とがまさにさまざまな問題について機能分担をしなきゃならぬ。それにふさわしい対等の権限なり発言権なり自治能力なり、そういうものを持たなければだめなんだ。したがって、そういうものを持つためにどういう制度改革をするか、どういうさまざまな処置をしていくかということが行政改革のねらいだということを指摘して、それは「大体」と言ったり、まあ「おおむね」になったのでありますが、同意をいただいたところです。にもかかわらず、自治省が中央統制機構として厳として存在をする。その権限、なわ張りをどんどんどんどん広げていくということであっては、自治省は、御存じのように一方では地方自治体の立場に立ってさまざまなことをやるけれども、同時に、自分みずからは中央統制機構として厳として存在をするわけであります。でありますから、当然のことのように、旧内務省的な中央集権機構というものを、これ自身を解体をするというか、これ自身というものの強大な権限をできるだけ減らすというか、過度にならないようにするとか、こういう問題もまた、行政改革テーマとして挙がってこなければ、地方行政刷新にも地方行政改革にもならない。  しかし、今度の地方行政刷新について、さまざまな、補助金の問題から事務の処理、いろいろあります。事務配分等ありますけれども、私は、自治省みずからの肥大をした中央集権機構にメスを入れるという改革テーマが載ってないのはなぜか、このことを指摘したいんですが、いかがですか。
  47. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いまお話しですが、自治省がその権限を拡大しようと努力をしているわけでは、私、毛頭ないと思っております。先ほど申し上げましたように、行政改革の基本的な問題というのは、いかにして自治権というものを拡張していくかあるいは地方分権を定着させるかというふうなことが大変大事なテーマでございまして、そういう観点から立ちまして、行政事務配分あるいは許認可事務に対する地方への権限委譲、あるいは補助金の整理合理化ということに力をいたしているわけでありまして、自分権限をことさら拡大をしようという点で努力をしているというものではなかろうと思います。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 この点については、たとえば第九次答申でも、立法上の問題、さらに財政権の問題、あるいはいわゆる通達行政と言われるものが持っておる今日的な意味、そういうものにつきまして九次答申でも指摘をしていますよね。そういう点は、しばしばここでも議論になりますが、自治体側からすれば現にあるわけです。そういう問題について、やっぱりみずからを行政改革テーマのまないたにのせるということをしなければ、私は、何のことはない自治省地方の時代論を背景にして自治権の拡大を大いに主張しておりますけれども、そのことと自治省中央集権機構、なわ張りを広げるということをうまくすりかえておるのじゃないか。そういうマジックにみんな引っかかって、われわれも何か自治省のPTAみたいになって、そうだそうだと言っておってみたけれども、これはちょっと考え直さなければならないということに最近しばしばぶつかるものでこう言っているわけですよ。  その点は大臣、あなたいつまでも大臣でおるんじゃないんだ、また役人でもないわけだから、またかつて自治体の経験者ですからね。やっぱり自治省が持っておる中央集権機構というものを分権テーマにふさわしく整理をするなり、そういうものについてあなた自身目を配らぬといかぬですよ。テーマとして書かなければならぬですよ。自分がその中に住んでいるのだから、どこだかわからないかもしらぬけれども、最低限、見直しぐらいの表現は入れなければだめですよ。いかがですか。
  49. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 地方自治の拡充と自治省権限拡大とを混同したりするつもりもありませんし、現にそういうことをやっていないと思いますが、志苫委員何かお気づきの点がございましたら、具体的の御指摘をいただきまして、善処してまいりたいと考えております。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 いや、お気づきは山ほどですけれども、それをやっておる時間もないですからね。たとえば、いままでよくここで人事のあり方とかあるいは通達のあり方とか、あるいは財政権の——きょう美濃部先生もおいでですが、たとえば起債その他の問題とか、いろいろこうありますけれどもね。こういう問題、もうしばしば、自治省が持っておる中央集権機構についてその緩和を求めたり改善、撤廃を求めたり、動きがたくさんあるわけですよ。過去の答申にも幾つかそういうものが載っておるわけです。そういう問題について洗い直そうという姿勢がないじゃないかということで私は提起をしたのです。  たとえば、この間給与適正化通達が出ました。それは給与が適正化するにこしたことはない。自治省もいままでそれなりに自治省権限に基づく指導助言を行っていることを私は否定をしない。しかし、それが指導助言にとどまっておるのか、まさに権力的関与そのものであるのかは、それは受け取る方と言うておる方の違いもありましょうけれども、たとえばこの間給与適正化通達が出ましたが、さすがに自治省の文書には書いてないけれども、それとすぐ相前後して自民党からも地方公務員の給与適正化通達が出た。自民党の給与適正化通達を読んでみますと、自治省はこうこうこういうことをやっているからやれといって、自治省と同じことを書いてあるんですよ。その後ろに、「給与制度上不適正な運用を行った団体については財政上厳正な態度をもつてのぞむことといたしております。」と、こう言っているんです。「厳正な態度」というのだから、厳しく正しいのだから、言葉の文字でいけば別にどうということはないけれども、しかし、こういう一項が入るということは、財政権を持っておる者の恫喝ですよ、これは。自治省の文書にはないのだが自民党の文書にたまたまあったので……。  たとえばそういうことに表現をされるような、給与適正化通達というのは、普通、給与改正なんか間もなく行われますわな、そういうものに出ますけれども、その前にこの時期に何でこう出たのかはわかりませんけれども、たとえばそういう事々、端々に自治省が持っておる権限というものをまさに恫喝的に使う、指導助言の範囲を超えた権力的な関与。まさしくそうだということがしばしばありますから、きょうはそれを一々やりませんが、たとえばいまの給与適正化通達についてどう思いますか。
  51. 宮尾盤

    政府委員(宮尾盤君) ただいま御質問にありました、給与の適正化の通達でございますが、志苫委員御存じのように、地方公務員の給与につきましては、私どもかねがねその適正化の指導をいたしておりまして、漸次給与水準等については是正をされる方向にはありますけれども、なお国家公務員の給与水準に比べますと相当上回っておる団体が数多く見られる状況にあるわけでございます。  そこで、非常に現在は国も地方も財政が大変な時期になっておりまして、財政再建をしていかなければならないと、こういう時期にあるわけでございますが、その中で、歳出の非常に大きな部分を占めております給与費の問題とかあるいは退職手当の問題、こういったものについて適正化をすべきであるという議論が各方面にもございますし、私どもといたしましてもそれについて非常に大きな関心を持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、今回の通達は現在のこういったような事情、状況を踏まえ、各地方公共団体に対しまして給与並びに退職手当の制度につきまして、それを適正化するように計画的な是正をするように早期に取り組んでいただきたいと、こういう考え方から今回の通達を出した次第でございます。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 いや、ですから私が問題にしているのは、まあ本来こういう通達が要るか要らないかという議論もあります。ありますが、いまにわかにそこを問題にいたしませんけれども、皆さんの方は、地方自治法の二百四十五条によるところの「適切と認める技術的な助言」、あくまでもその範囲を出てないというふうにおっしゃるけれども、事実上、それとは別に持っておる財政上の許認可権とか、そういうものを用いてペナルティーを科するということが現実にもう一方にはあるわけです。そういうことになれば、この通達はそういう財政権や許認可権やそういうものとあわせ一体として考えれば、明らかに権力的な関与になるじゃないかということを私は指摘をしている一例として挙げたんです。  で、時間が迫りますから申し上げませんけれども、たとえば皆さんの今度の重点施策に「地方公務員の資質の向上を図る」と、こうなっておる、一体資質の向上として地方公務員が具備すべき要件は何だかわからぬけれども、たとえばそういう問題。あるいは、そのほかにもありますけれども、私はそういう問題なんかは、自治省がそうよけいなことを言う筋合いの問題じゃないですよ。新潟県なら新潟県、群馬県なら群馬県、東京都なら東京都の公務員がどういう資質を持つべきかということについては自治省のお世話にならぬでいいわけ、これは。東京の都知事や群馬の知事や、そこに選ばれたそれぞれの議会や首長において、住民の監視のもとに参加のもとにそれを定め、それを正していくべき問題であって、自治省が上からこういう人間が望ましいなどということはよけいなお世話なんですよ、そういうことは。こういうことが、皆さんはそこに住んでおるから気がつかないけれども、随所に出てくるわけですよ。こういう問題について、きょうは、地方分権というものを論ずる場合には、それを狭めるであろう中央集権機構について自治省自身が洗い直してくれということを私は大臣要請をしてこの問題は、次へ参ります。  財政の問題などもいろいろお伺いをしたいんですが、何だか時間が来ちゃったからあれですが、財政問題いずれやりますが、ただ一つ、これはどうかと思うんですよ。皆さんの来年度重点施策の中で、たとえば「地域社会の振興整備」、私は、大きく言いますと自治体は北海道から沖繩まで非常に千差万別だから、それのある程度ナショナルミニマムを整えるという意味自治省が助言をしたり、必要な助成制度考えること自身を否定をしませんけれどもね。否定しませんけれども、たとえば、ここにこんなこと書いてあるでしょう。「圏域の振興整備のため大規模中核複合施設の建設等」、大規模中核複合施設というのは、言うならば建物ですよね、建物をつくるということ。この建物の問題について、私はこの委員会でもやったし本会議でもやったし、また同僚委員もやったんですが、農林省へ行けば山ほど何とか漁業構造改善センター、林業何とか就業センター、多目的何とかセンター。厚生省、建設省、文部省にわたって何のことはない公民館の親戚みたいなものがいっぱいあるわけ。それはもう全部モデルが示されて、あんなもの、お金もらって住民の頭で考えたらもっといいものがぼんとできるかもしれない、もっと使いやすいものをつくるかもしらぬという問題を提起しましたね。自治省もこんな仲間になって、じゃおれも一丁その株主になろうというので、何かこんな施設をつくるような話でしょう。やめなさいよ、こんなこと。
  53. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いま志苫委員が御質問になったようなことを念頭に置いて出す補助金が、まさにこの大規模複合施設でございます。要するに、いままでだと各個別の補助金でやっておりますと、各省それぞれひもつきがあったり、補助条件が大変うるそうございます。そのために住民の意思を反映させることはきわめて少ない。そこで当委員会でもしばしば指摘されておりまして、個別補助金なりそういうものはもう少しまとめるべきだという御議論もございました。私たちは、そういう観点に立ちまして総合的な補助金をつくる。それが地方においてそれぞれの自主的な意思に基づいてつくり上げていく。そのための総合的な補助金に仕上げていきたい、こう思っておりますので、御趣旨そのとおりでございまして、どうぞ今後とも応援方お願いしたいと思います。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 何だ、いつの間にか応援頼まれて……(笑声)それはそうなっていないよ、あんた。「広域行政推進」のところは、まあほかのところに補助金の統合とかメニュー化とか同じものをまとめるとかと書いてあるけれども、このことはこのこと単独で出ているじゃないの、あなた。じゃ、そういう農林省だ、文部省だ、厚生省だ、建設省だ、ああいうわけのわからぬのはもうやめろやと、そういうものを、統合補助金でも何でもいい、あれ地方財源にしてくれればいいんだけれどもそう一遍にならなければ、最低限勝手に使えるものを自治体考えるから銭だけよこせやということを前提にしてこういうものをやると、こういうことですか。
  55. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 簡単に申し上げればそういうことでございます。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 そういう予算が出るかどうか。じゃ、これは……
  57. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ですから、そういう意味では、行政改革をいまやっておりまして、財政その他に対しますいろいろな問題点がございます。そういう意味での縮減合理化を図っていくということの一つの布石にしたいというふうに思っておるわけでございます。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  それから選挙は、選挙制度の基本的なことはやってもらわぬといかぬが、あの選挙の啓発なんというのは、あれ、もういいですわ。小学生だか何か連れてきて風船持って歩く、何にもならぬだろう、あんなものは。やめなさいよ、あんなもの。何かやっておらぬと気が済まぬですか、せっかく選挙部あるんだから。
  59. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 啓発につきましては、先ほどおっしゃいましたような御意見、その都度、また昔からいろいろあるわけであります。ただ啓発という事柄の性格から申しまして、これだけのことをこれだけの間やればこれだけの効果が上がると、なかなかすぐ目に見える効果というものが出にくいわけであります。この種のものは、うまずたゆまず一歩一歩やっていかざるを得ないという気持ちでやってまいりましたし、今後もやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 経済同友会が申し入れた地方交付税率の引き下げの意見について、大臣、まさかそれはもっともだなんて考えているんじゃないでしょうね。
  61. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 地方交付税の税率引き下げ等、今日、とうてい私どもとしては考える余地のないことと思っております。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひ、それはそうだと思うんですよ。あなたがどこぞの発言で私は安心しておったら、何か衆議院の答弁では、あれはまあ同友会の言い分にはもっともなことがあるみたいなことをちらっと聞いたから、ちょっと老婆心ながら申し上げておくわけです。  それでは、第四の項目になっておる「消防力の充実」についてですが、以下二、三点聞きますので、簡潔に答えていただけますか。  私は、五十四年のあれは六月に、ずいぶんここで、消防職員の団結権の問題について少し丁寧に議論をいたしました。それはそれであれですが、そのときにも、なお今後ILOの審議もあるし、また公務員問題連絡会議等の取り扱いもあるからということで留保になったんですが、ILOの審議経過と公務員問題連絡会議の取り扱い状況について簡単に御説明いただけませんか。簡潔でいいですから、どうぞ。
  63. 小野良二

    説明員(小野良二君) 御質問のございました公務員問題連絡会議でございますが、これは公制審答申の処理に当たるということでやっておりまして、五十三年に公務員関係二法、これは国公法、地公法の一部改正と職員団体等に対する法人格の付与に関する法律でございますが、この成立によりましてかなりの部分処理いたしましたが、現在三つ問題が残っておりまして、その一つが御指摘の消防職員の団結権の問題でございます。この問題につきましては、残る二つの問題と一緒に現在検討しておるわけでございますが、事柄の性質上実務的な面にわたる問題もございますので、現在課長クラスの会議で検討をしております。  それで、消防の団結権の問題につきましては、先生お話しのようにILOとも絡んでいる問題でございまして、ILOに対しまして、長期的視野のもとに慎重に検討する、検討の仕方といたしましては、関係者意見聴取を行う、こういうことを申しまして、その線に沿いまして現在労働団体、そのほか関係団体から意見聴取を進めている段階でございます。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 何か近くILOに情報送りますか。その中身はどんなものになりますか。
  65. 宮尾盤

    政府委員(宮尾盤君) 消防職員の問題についてのILOの審議に関連してでございますが、先ほど総理府の方からお答えがございましたように、長期的な視野に立って検討をすると、こういうことで、ことしの条約・勧告の適用委員会におきましても、その後の審議状況について情報を送れと、こういうレポートが出ましたので、近く政府といたしましてはこの消防問題につきましても、その後の公務員問題連絡会議における意見の聴取状況、聴取した経過、状況、そういうものについて簡単なレポートを提出をするという予定でございます。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 この問題は一応経過だけお伺いしておいて次に参ります。  同じく当委員会で、特に佐藤委員からも熱心に主張された消防職場への労安法の適用はどういう検討状況になっていますか。これは労働省と消防庁の両方に伺います。
  67. 山田正美

    説明員(山田正美君) この件につきましては、従来いろいろ経緯があったわけでございますけれども、労働災害の発生状況の詳しいデータにつきまして把握していただけるよう消防庁当局にお願いをしているところでございます。その状況を見ながら検討するというようなことで対処しております。
  68. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 消防職員も地方公務員でございますので、原則的には労安法の規定の適用はあるわけでございます。本委員会で特に佐藤先生が問題にされましたのは、安全委員会の適用対象事業に消防をすべきではないかという御趣旨であったかと思います。  ところで、安全委員会を設置する指定業種と申しますか、それにつきましては、ほとんど民間でございますので、消防の方と統計の取り方等が違っております。したがって、直ちに消防の場合が民間の指定された事業よりも危険度が高いというふうには言えないと思います。ベースを同一にしなければなりません。この辺非常に技術的な問題もございまして、私ども、労働省当局ともいろいろ相談をしておるところでございます。ただ私が感じておりますのは、危険性という面からいいましても、確かに消防あるいは警察、こういった職種は、危険があっても出なければいけないということでございますので、けが人等の、いわゆる労働省的な物の言い方をしますと、頻度数でございますか、これは確かに高いかと思いますけれども、非常に軽微なけがが多いので、強度数、強度率と言うのですか、それから申しますと、民間よりもむしろ低いんじゃないかというような感じもいたしております。  なお今後とも労働省の方と十分打ち合わせて、そういった調査というのはやっていきたいと思いますが、ただ私、前の答弁でも申しましたけれども、基本的に、消防であるとか警察であるとかこういう職種を、労安法の民間事業対象と同じように安全委員会対象とする、そういうことはどんなものであろうか、一つの大きな問題であろうかと思います。ただ、消防が危険な職種であるということは変わりございませんので、今後とも労安法の精神を体しまして、私ども職員の安全衛生には努力してまいりたいと思います。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 まあきょうは余り時間がないから論議しませんが、消防庁長官のいまの答弁は、できれば安全委員会設置対象の職場にしたくないという発想で絶えず議論をされておるような気がして、私にとっては不満です。警察、消防、清掃、これはもう危険度から言ったらワーストスリーの職場で、それだけにこの間も労働省からもおいで願って、まあ統計云々と言うけれども、統計は大体わかっているんですよ。年がら年じゅう調べておらなければならぬものではないのであって、これはひどい職場だということがわかればそれでいいので、幾つなきゃだめなんというものじゃないんですよ。そういう点では、労働省も消防庁と一緒になって消極的になっちゃだめですよ、あんた。ひとつこれは、私はその都度、委員会が開かれるごとに進行状況を尋ねますからね、いつでも同じ答弁ばかりしないでくださいよ。きょうはここまで行きましたといって、歩いたら歩いたなりのひとつ報告をしてくださいよ。  それから、静岡の地下街の爆発事故。あらましは聞きません、大体わかりましたから。そこで、問題点として、消防当局がおまとめになったものを聞きましたが、この問題について、救急行政にしても、たとえば百三十五時間の教育で足りるのか、医療行為とのけじめのところで問題が起きたらどうするかというような問題が残っています。それからこの静岡の地下街の爆発に絡んで、ガスの事業者も消防が監督をするという発想を出されていますね。そうなればなったで素人が監督できぬわけであって、そういう能力、装備も含めて全部持たなきゃなりませんわな。そういう問題等々ずいぶん消防にいろんな問題が、何か起きりゃ消防というふうに——結構なことだと思うんですよ、最近はもうお産をするのから何でもみんな消防だ、これは。お産の予約まで消防署へしておるというのだからね。そこまでいきますと、もう消防はあらゆるものの引受所になるんですが、それは引き受けられるものは引き受けて結構ですが、問題はその能力なんですね。こういう問題について消防庁どうお考えですか。
  70. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 御指摘の点、私もいつも痛切に感じておるところでございます。消防というのは、ただ火を消しておればいいというだけではなくて、最近御指摘のようないろいろな災害が出ておりますし、救急につきましても、最近のデータからいいますと、十七秒に一台どこかで救急自動車が飛び出しておるというような状況でございます。そして医療との関係もございます。私ども消防職員がそれに対応するには、それだけの能力というものを備えなければなりません。救急につきましては、御承知のように一昨年でございますか、私どもの方で基準をつくりまして、五十七年の三月までに所定の教育を受けた救急職員を配備するということで、各府県の消防学校あるいは私どもの消防大学というのをフル操業をしていまその職員の養成に努めておるところでございます。  さらに、静岡のガス爆発事故、あるいは最近起きました愛知の青酸ガス騒ぎ、こういったことを考えますと、消防戦術の面におきましてもいろいろなことを想定して、それに対する訓練というのを行わなければなりません。大都市消防の方にはある程度の蓄積がございますけれども、私どもそれを参考にいたしまして全国的なマニュアルを早くつくらなければならないと思っております。  さらにまた、そういった事故に対応する装備というのは御承知のようにこの数年間私どもなりに努力しておりますけれども、まだ必ずしも十分とは言えない状況にあります。今後とも努力してまいりたいと思います。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 静岡の問題ですが、個々にはやりませんが、いずれにしても私は非常に問題だなと思うのは、静岡の地下街、準地下街というのだそうですが、あの土の中の一定の場所ですね。建物あり、道路あり、空間ありという一つの入れ物です。これは。そこに、ふだんのときは何千何万の人間が出入りする、いるわけですね。ここでボンとこういったわけですね。一体ああいうものの管理責任というのは、この部分はおれ、あの部分はあれと言っているんじゃ住民は納得できません。あの中の空間も含めた入れ物全体をやっぱり住民は問題にせざるを得ません。この場合の管理責任というのは一体どこなのか。これはひとつ消防と警察、両方で答えてください。
  72. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) いわゆる地下街の防災上の管理責任ということになりますと、これは御承知のように形態によって違いますけれども、たくさんのテナントが入っている場合にはそれぞれのテナントが管理責任を持っているという形になりますので、それではとても一体としての地下街の防災体制というのはできないということで、消防法の中で統括管理者ですか、共同防火管理協議会、共同防火管理者というものを設けるようにしております。したがって、そこでそういった共同で防災に当たるという体制を整えて、一つの消防計画というのをつくり、それに基づき訓練をすると、そういう体系になっているわけです。  本日の新聞にも出ておると思いますけれども、私どもその地下街の実態について調査いたしましたのを公表したわけでございますが、法律で求めておるところは大体においてやっておるのですけれども、その消防計画というのがしっかりできておって、そうしてそれに基づき本当に実践的な訓練がされておるかということになりますと、まだまだ心もとない状況でございます。私どもこういった面での指導を今度の事故をも教訓にしてさらに強めていかなければならないと思っております。
  73. 鈴木貞敏

    政府委員(鈴木貞敏君) 地下街等の災害防止、あるいはガスの爆発事故につきましては、御承知の大阪のガス爆発事故が四十五年にございまして、あの当時七十八名の死者を出した非常に悲惨な事故がございました。そういう事例もございますし、全国各地にまたいろいろな事故が発生しております。  そういうことで、警察庁といたしましても各府県警に対しまして、これら地下街を含む災害防止につきまして種々指示等をいたしておりまして、たとえば地下街につきましては協議会等がそれぞれの地域に設置されております。そういう席におきまして警察法の第二条の、国民の生命、財産を保護するという立場から、警察の立場としてのいろいろの意見、これを率直に反映して手を打っていただくというふうなことで努めているところでございます。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 いや、どっちの答弁もちっとも適切でないんだな。私が聞いているのは地下街。店舗もあれば道路もあれば空間もあれば、いろんなものが含まって地下街とこう言っている。めいめいの店舗はその店舗の責任だとかなんとか言えばそれはそれぞれにあるんでしょう。あるんでしょうが、地下街という構造物全体の管理責任のようなものはどこにもないのか。消防は火が出てきたらどうのということばかり考えていたって、ガスも出てくるわけでね、メタンガスが出てくるかもしれないし、何が出るかわからぬわけでしょう。あるいは炭酸ガスで死ぬというのも出てくるかもしらぬしね、さまざまな問題をあの中では内包しているわけであって、そういう危険場所ですな。これを、何というか、日ごろ運営するというか、管理するというか、防災に気を使うとか、こういう管理体制というようなもの、責任というのはどこにあるんですか。
  75. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほどの御説明がちょっと舌足らずだったかと思いますが、消防法の第八条の二という規定がございまして、そういった地下街につきまして共同防火管理協議会というのを設けまして、統括防火管理者を定め、災害を想定した消防計画をつくり、そうして必要な事項を協議する。そしてまた、年二回訓練をする、そういうようなことが一応消防防災上のサイドからは定めてございます。したがって、そのとおり一応形では運営されておりますけれども、現実の運用がまだまだ不十分であるということを先ほど答弁申し上げた次第でございます。
  76. 志苫裕

    志苫裕君 いや、じゃ、もっと突き詰めて聞きましょう。静岡でドカンときて死んじゃったと。これ、だれに損害賠償するんですか。
  77. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) それは、その爆発の原因その他によってどこに責任があるかということになろうかと思います。静岡の場合におきましてもなかなか原因が複雑なようでございまして、現在警察、消防の方で調査しておるということでございます。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 たとえば新潟の例ですと、新潟に西堀ローサというところがありまして、ずっと地下街ありますね。あすこは管理組合のようなものがありまして、管理センターというのがあって、そこが何でもやってますな、あらゆることを。そういうシステムは静岡はないんでしょう。一応管理事務所なり、管理組合なりというものがあれば、ああそれが全体の運営者かなと。デパートとか駅とかと同じようにね。というように考えられますけれども、そんなものはない。めいめい、地下の部分のあれは連合体だと。ということになりますと、これはずいぶんややこしいことになってきますね。そういうシステムは静岡にはなかったそうですが、ないのは、全国の地下街、準地下街のうち何割ぐらいがないんですか、それは。
  79. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 私どもの調査によりますと、「地下街」のうちで、ただいま私が申し上げました共同防火管理協議会を設置しておるものが、消防法上の地下街では九三%設置しております。五十六カ所でございます。設置していないものが四カ所で七%でございます。一カ所は設置義務がございません。一つの地下街を管理者が一名でございますので、ございません。それから「地下街と一体をなすと見なされるもの」につきましては、全部で十ございますけれども、設置しているものが四つ、設置してないものが六つ。それから「準地下街」、静岡みたいなものがこれに該当いたしますけれども、全部で十五ございますが、設置しているものが六つ、設置していないものが八つ。そして設置義務のないものが一つ。それから「その他のもの」、これはビルの地下でございます。大きなビルの地下。これが、設置しているものが二十二、設置していないものが五、設置義務のないものが六というようなことになっております。  ただ、私がここで申し上げましたのは、防災上の見地からするこういう協議会、共同組織と。しかも現在の防災というのは、消防法上では火災ということで、ガスについては全然触れておらないという実態でございまして、先生が御指摘になっているのは、むしろそういったものも全部ひっくるめてしっかりした機構というのを置くべきじゃないかという御趣旨だと思います。私どもも消防の観点からまさにそうありたいと思いますが、地下街につきましては御承知のように関係省庁がいろいろございまして、地下街協議会というようなものも設けて、関係各省で現在、この静岡のガス爆発事故を契機といたしまして、また検討を再開しておるところでございます。当然そこの一つの議題となると思いますし、そういったようなはっきりした制度をつくることによりまして地下街の安全性というのを今後とも確保していきたいと思っております。
  80. 志苫裕

    志苫裕君 これはまだ原因がはっきりしない。まあこうだろうなんというような話でいるのですから、いずれ原因解明し次第もう少し根本的にやりたいと思いますが、私は、ガスは通産、消防は何とかと、こうみんなありますが、そういう指導や監督はそれぞれあっても、受け入れる場所は、あの地下街というあそこはもう何万人の人間を飲み込むわけでありますから、これはあの分だ、これはこの分だというのじゃなくて、そこに来る人間やあらゆるものに対してここが責任を持つという、そういうやっぱり管理体制というものについて考えないと対応できぬのじゃないか。何が起きるかもわからぬわけでありますから。そういう意味でひとつ問題点を指摘をしておきまして、時間がなくなりましたので、新宿のバス放火事件にまいります。  一々お伺いしておる時間がありませんので、私の方でも大体聞いておりましたから申し上げますが、五十五年九月十九日の閣議決定によりますと、このような通り魔犯罪の被害者に対して、犯罪被害者等給付金支給法の施行までの間、すなわち来年の一月、法律ができてから施行するまでの間ですね、次のような金を出すということになりました。  私は、まず警察当局に、国家公安委員長でもいいですが、お願いしたい。あなた方は、この参議院地方行政委員会議事録第六号、第七号、特に第七号ですね。すなわち四月二十二日の当委員会における論議をつぶさにいま御存じだろうと思います。いろいろありました。いろいろありましたが、長くさかのぼれというものについては、不遡及の原則になじまない。せめて法律施行をすぐやれと言うたら、予算の問題。予算は大臣が三億、五億ならおれは取れるということ言ったものだから、最後には準備ということで、いろいろなことがありましたが、とにかくやらぬということでがんばり通した。ところが、それから幾らもたたずして閣議は、少し変形ではあるけれども、法律施行までの間にこういう事件が起きたら対象にするということを決めたわけですよ。めんどうを見るということを決めたわけです。その事務は、準備があってできませんと言ってがんばった警察がその事務を取り扱う。そうなりますと、準備だ、ヘチマだと言うて頑強にこの適用の日付を断り続けた警察当局は、一体議会に対してどういう責任をとるのか。やれませんと言ったが閣議ではやることになったじゃないか。この閣議がやること決めたのは、もう一度言いましょう、この法律適用までの間にこの種のことが起きたらやるということを決めたんですから、事実上——内容制限ありますよ、内容制限ありますが、大まかに言えば、この法律は別の手段を用いて適用しますということになったんだ。これだけ大騒動をして熱心に議論をした、本当に真剣に議論をした、この議会に対する責任をまず警察当局はどう心得るか。
  81. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  犯罪被害者等給付金支給法の施行につきましては、いまおっしゃったお話のとおりでありまして、先般の通常国会におきましていろいろと論議がなされまして、新しい制度であるということと、準備に相当の期間がかかるという、こういった理由のために、来年の一月一日からこの法律を適用する、こういうことになったわけでございます。その前の適用は準備等のために非常に困難だということを申し上げました。  今回の措置でございますが、法律の公布の五月一日から施行の一月一日までの間、この期間に、やはり国民というものはこういった制度の影響といいますか、そういうことに対して期待を持つという一つの問題がございます。それと、やはりいま準備が非常に困難でなかなか施行ができないという一面がございます。この辺を勘案いたしまして、政府の方といたしましては、行政一つの措置として救済的といいますか、見舞い金、弔慰金的な性格のものを支給すると、こういうことになったわけでございます。したがいまして、その面に関しましては警察としても内閣の方に対しましてできる限りの協力を申し上げる、こういう考えでございます。
  82. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとこれ、内閣官房の方ですか、この経過をもう少し。  それと、どこがこの事務を扱うのか。私は、特に言うのは、警察は、一つは法の公正を確保するためには相当な備準が要る。その準備は、きょう言うてあしたはだめだから、来年の一月まで待ってくれということで来たわけです。そういういきさつについて閣議は細かく知っておったかどうか知らぬが、どかんとこういう事件が起きた。何かいい法律はないかといったら、いい法律はあったがそれは適用の期日が半年先だ。しかしこれはめんどう見るべきケースだということになって行政措置と、こうなったのですが、これは事務はどこでやるのですか。その考え方をひとつ。
  83. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 先生ただいま御指摘のような大体の経過でございますが、八月十九日に新宿の事件が起きまして、それ以降関係省庁でそれらの救済措置についてそれぞれ検討しておったわけでございますけれども、まあ若干の労災保険による補償などがある程度で、なかなか十分な救済がないようである。いまお話しのような犯罪被害者等給付金支給法につきましても来年の一月ということで、すでに国会でもるる御審議があった上でそういうふうに決まっている。しかし何とかならないのかという話がいろいろ起きてまいりまして、九月中旬の閣議におきましてもそのことが話題になりました。その趣旨は、この新宿の事件につきましても、一部の死傷者については労災保険など適用ができるようであるけれども、その他の人については、加害者に経済的な能力もなくて救済措置がとれない。一方、犯罪被害者等給付金支給法は来年の一月一日からでないと適用できない、実施できないという状況において、何とか弔慰金または見舞い金のようなものを考えられないだろうかというふうな話がございまして、その後内閣官房が中心になりまして、関係省庁さらに集まって協議いたしました結果、九月十九日に御存じのような閣議決定ということになったわけでございます。  先生申されました考え方ということでございますが、それは、このような犯罪被害者等給付金支給法がすでに公布されておる。国会の意思としてそういうことが決められ、かつ、五月一日にすでに公布されておる。しかし、来年の一月一日までは施行せられないという特別な事態ということを考えまして、そういった法律上の措置がすでに講ぜられているということを前提にして、そういった背景のもとに特別な経過的な措置を講じようということでございます。したがいまして、対象につきましても非常に端的に判断できるような通り魔事件に限り、かつ、見舞い金的な性格でございますので、金額も当然制限される、そういうことであればわりあい簡易な手続によって措置ができるであろうということで判断をいたしまして閣議決定をお願いしたようなわけでございます。  事務といたしましては、こういった閣議決定までの仕事は内閣官房で扱いましたが、具体的な支給事務については総理府でやるということで現在作業を進めているところでございます。
  84. 志苫裕

    志苫裕君 この閣議決定によりますと、この法律施行までの間はこれでやると。いつから施行までの間ですか。
  85. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 犯罪被害者等給付金支給法が公布せられました五月一日からと。五月一日以降発生した事件についてでございます。
  86. 志苫裕

    志苫裕君 幾つか詰めますが、そうすると、五月一日から来年の一月一日までにここに書いてあるようなことが起きたら、この閣議決定の要綱に従ってやると。おれも該当者だがおれも仲間にしてくれ、そういうのが出てくる、いやおまえはだめだと言って退ける、こういう事務がありますわな。当然行政の公平を担保しなきゃならぬですね。その行政の公平を担保するためには、それにはどういう手だてを講ずるんですか。総理府で、はいおまえはいい、ああおまえだめと、こうやるんですか。
  87. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 先ほど来申し上げておりますように、見舞い金、弔慰金というような性格でございますので、たとえば請求とか申請があって、それを審査して交付するというふうな性格のものではない、基本的にはそういうものではないというふうに考えております。  そこで、具体的な事務といたしましては、先生おっしゃいますように、総理府だけで全部の事案を掌握して、そこで判断するということは実際問題として不可能でございますので、警察の方で具体的な事案を把握しておられる関係もございますので、警察と緊密な連絡をとって、具体的な事案をしっかり内容を見て判断した上で、そういった特別支出金を差し上げるということで、そういう該当するのではないかということでいろいろ不平不満がないように、その点は慎重に事を取り運びたいというふうに考えております。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた、答弁矛盾ありませんか。これは見舞い金なり弔慰金なり、そういうものをくれるんだから、申し立てだとか、おれもくれとか、あるいはこれはちょっと不服だとか、そういうものを受け付ける筋合いでないんだと。それでどうして行政が公平にできますか。皆さんが調べたのが全部それが正しいんですか。皆さんが調べたのが絶対ですか。おれはこういう事情にあった、当然対象になるので見舞い金もらえるんじゃないかと——国民は言ってくる権利がありますよ。それについて、一切そういう申し立てや具申やそういうものは対象にしない。お上が調べて、お上が考えて、やる者にはやる、その仕事は警察と、こういうことですか。
  89. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 私申し上げましたのは、今度閣議決定で考えました制度といいますのは、そういう弔慰金、見舞い金というものを差し上げるというものでありますので、たとえば申請とかあるいは不服申し立てとかいったようなことが制度的になじむものではないだろうということでございます。しかしそういうことは、確かに行政の実施として不公平があってはいけないということは確かでございますので、それは十分警察とも連絡して、調査をしてやる。もしも何かそういう事実上のお話があればそれもお聞きして、警察とよく相談してみたいというふうに考えております。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、行政の公平を確保する手段は何だと聞いているんです。方法は何だと。
  91. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 行政の公平を確保するという手段ということですが、いま繰り返し申し上げておりますように、支出金の性格から言って制度的にその権利として設定するとか、あるいは不服申し立てを受けるとか、そういったものにはなじまない性質のものでございますので、実際の調査、あるいは事実上そういうお話があれば、そういうことも踏まえてさらに調査をするなり、警察とよく相談してやるということで実際上の行政の公平さを確保していくということだろうと思っております。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 それなら、実際は警察と相談してやるというと警察にまた話が行くわけだ。あんたのところは、もう準備が忙しゅうてとても一月一日でなくてはだめですと言ってがんばった場所だ。それが今度はこれの相談に乗らねばならぬのですがね。警察は、この問題についてはどういう形で相談に乗るというかお手伝いをするんですか。
  93. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 今回の措置につきましては、閣議決定の内容を私どもの方としましては十分に踏まえて、この措置が適用になるかどうか、これは可能性を十分に考えながら、事件の事実を調査して、内閣官房の方に連絡をする、こういうふうに考えております。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 それはまたわかりにくい話だな。これは私は、普通の順序として考えれば、この種のケースで閣議決定で決めた内容、それの物の考え方は当然犯罪被害者給付金法になるわけですが、恐らくそういうものとも照らし合わせ考えながら、警察が、このケースはどうだろう、あのケースはどうだろうと言って拾い出す。ああこの者は該当者だと、この者は減額の対象だ、この者は二百万円まるまるだということでいろいろ事務的には協力なさるのだろうと思うんです。当然、おれもというようなのが出てくる。いや、おまえはだめだというやりとりもあるでしょう。こういう事務をこれはいやおうなしに警察当局が受け持つことになる。この法律によれば、そういうことを警察が、事務当局がやるのじゃなくて、一応は公安委員会にやってもらって、それで文句あったら上へ行けという仕掛けになっていますね。今度は全然そういうものがないわけですね。そうすると、ますます警察当局の恣意で、ある者は認定されある者は認定されないという問題が残る。そういう問題について国民はどこにも物を言うていくところもない。政府に言っていくと、よけいなことを言うな、これはお上の見舞い金なのであって、くれとかヘチマという筋合じゃないと、こう言われるわけですよ。こんなばかな行政がありますか。  法制局おいで願っていますが、いま私若干やりとりしましたね。この法律以外の予算措置だか行政措置でやる問題、公平を担保する問題、いろいろな問題が出てきます。法律的に問題ありませんか。
  95. 味村治

    政府委員(味村治君) この特別支出金は、先ほど官房参事官の方から申されましたように、法律に根拠を持たないで行政上の措置として、まあ言ってみればお気の毒だということでお見舞い金として差し上げるということでございまして、これは法律論だけを申し上げているわけでございますが、法律上は権利と申しますか、被害者の御遺族の方々に権利を与えるというものではないわけでございます。したがいまして、これに対しましていろいろ御不満があるという方は、いわゆる行政不服審査法なりあるいは行政事件訴訟法に基づく不服審査なりあるいは訴訟というものは起こせないということであろうかと存じます。しかしもちろんそれがために何も不公平であってよろしいというわけではございませんので、これは先ほど官房参事官の申されましたように、いろいろ行政庁の内部におきましては監督権もあり、その他さまざまの自己規制がございますので、その点で御了解をいただきたいと存ずるわけでございます。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 これで終わりますが、一応時間が来ましたから。  私は、きょう一応問題提起だけしまして、なおこの次の委員会で、同僚の議員からもまたいろいろ取り上げさしてもらいますが、私が申し上げているのは、やるなと言っているのじゃないのであって、該当する者には全部——もともと法律を少なくとも五月一日から適用しなさいという議論をもとにしましてこの問題を提起している。しかし、それをやるについてはいろいろ問題点もあるから、本当にあまねく政府の意図というのが国民に公平に行き渡るにはやっぱりさまざまな問題点があるということを一つ指摘したわけです。  にもかかわらず、私は、これは国家公安委員長、依然としてこの問題は指摘しておきたいんですが、先ほど官房長いろいろお話しありましたけれども、私は、この問題を通して何が残ったかというと、国会であれほど国民の血の出るような叫びを代弁をして熱心に審議された。ところがどうしても準備ができなくてだめでございますと。しかし、それから幾らもたたないうちに閣議は、政府の意思としては、この種の事件については、法律がないばかりにややこしいことになったけれども、この法律ができてから後のこの種の問題は対象にするということを決めたわけですよ。それは精密に言えばそのうちの一部だとかなんとかありましょうけれども、現実にはそういうことになったわけです。警察当局がこの委員会で頑強に否定をした。その意思は、あにはからんや閣議によって否定されたじゃないですか、閣議自身によって。こうなりますと、これはやっぱり警察当局の責任は残りますよ。だからどうしてくれるとぼくは開き直るという意味じゃないですよ。これはやっぱり謙虚に考えるべきですよ。私、いつも言うんですが、どうも警察はこれ言い出すとなかなか聞かぬ場所でね、弁解もしないんだな、本当に。これは素直に、現に全体として見ればこの法律は五月一日から適用になったと同じような効力を及ぼそうとして閣議は苦労なさっておるんですよ、現実には。とすれば、あのときに頑強に拒否をなさった警察当局、自治大臣国家公安委員長も、これは配慮が足らなかったということを内側からも証明されたわけでありまして、これについては私は素直に反省をすべきだと思う。
  97. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 犯罪被害者の救恤に関しまする法律を御審議願いました当時の責任者でありませんので、その辺どうでありましたかよくわかりませんけれども、新宿の事件が起こりましてからあれこれ経緯を聞いてみまして、私もどうも、なぜそういう来年の一月一日という施行日を、せっかく御要望があるのならもう少し、法律が成立後とか公布後とか、どうしてしなかったんだと。予算にしましても、どうせ支給するとなり事故が起こりますれば政府の義務でありますので、何もその予算の金額に縛られずに済むわけでございます。まあ不思議でならなかったのでありますが、そうしておきながら、行政措置によるものとは言いながら大体同じ考え方のもとに支給する、変だと思ったのでありますけれども、事の性質は、やっぱりできるものなら一人でも多くの方を救済すべきであろうと、閣議決定に賛成したわけであります。  でありますから、これから先警察なり公安委員会としてやらなきゃなりませんことは、法律施行までは内閣の所管でやっていただきます。しかしながら、何とかして警察もこれに協力いたしまして、一人でもこの恩典から漏れる方のないように最善の努力を払いますのと同時に、今後この種類の法案を御審議願いますとき等に当たりましては何か志苫委員御指摘のように、警察が特にかたくなだったとは思いませんけれども、今回のことを貴重な経験といたしまして今後注意してまいります。
  98. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  99. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 質疑に入る前に、大臣一つ伺いをしておきたいと思います。  先ほどの大臣志苫委員に対する答弁の中で、私は当時の責任者でないので、その件については余り熟知していないし、私はちょっと変だと思ったと、こういうお話がございました。これはちょっとこれから論議をしていく上で非常に困ることなんで、もう少し大臣の真意を聞かしておいていただきたいんです。たとえば、鈴木総理が農林大臣のときに、砂糖の関係の法案で、前々大臣発言について責任をとりますかと、責任をあなたは持ちますかという私の質問に対して、当時の鈴木農林大臣は、自民党の内閣が続いている限り、大臣がかわっても、さきの大臣の決定したこと及びさきの大臣国会発言したことについては私の責任でございますと、こう答弁しているんです。ちょっと先ほど、何か余り責任ないみたいな御答弁なされたので、もう一遍そこのところを。
  101. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 先ほど志苫委員の御質問に対しましての私の答弁中、当時の責任者ではありませんのでと申しましたのは、単なる、事実関係についてよく承知していないという趣旨を申し上げたのでありまして、前大臣でありましょうと前々大臣でありましょうと、自治大臣として、あるいは国家公安委員長としてお答えなり何なりしました法律上の責任につきましては、もちろん私も前任者、前々任者の発言に拘束されるつもりであります。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 法律上のといま申されましたけれども、法律上でなくて、国会の場で大臣として答弁された答弁の内容については引き続き責任がおありになるんじゃないですか。
  103. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 事実行為につきましては、どうも責任を負うと申しましても、ちょっと具体的な場合でないとはっきりお答えできないかもしれませんけれども、たとえば、前大臣は見た、私は見ていないというような場合には、どうも前任者のとおりというわけにはいきかねる場合があるのじゃないかと思うのですが、いずれにしましても、自治大臣なり国家公安委員長としてお答え申し上げ、発言したことにつきましては、具体的の人がかわりましても、前任者の行いました言動につきましては責任を持たなきゃならないと考えております。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変しつこいようですが、非常にこれは大事なこれからの問題なので、見たというような事実関係でなくて、たとえば、前大臣が私はこうやりますと言ったことについては責任がありますわね。
  105. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) もちろん、その前任者の発言と違うことをやりたいという場合ももちろんありましょうけれども、前任者がそういうことを発言したということにつきましては、責任を持つつもりであります。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、きょうは地方自治の基本にかかわる憲法問題、憲法九十二条について、いまいろいろな改憲論議もあるようでございますけれども、少なくとも自治大臣として憲法九十二条についてはこのままの条文でいいと思いますか。いかがでしょう。
  107. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) よかろうと考えております。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実はこの憲法九十二条というのは、憲法改正の論議の中で、GHQから押しつけられたものでなく、むしろ積極的にわが国の方で新たに一条挿入したという経緯等については御存じでございましょうか。
  109. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 承知いたしておりません。
  110. 丸谷金保

    丸谷金保君 ひとつそれは承知しておいてください。  そういう経緯、これはだれか行政局の方からでもひとつ補足してその点について説明してください。
  111. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 私も詳細のことは存じませんが、この地方自治に関します問題は、国の中央集権に対する批判がございまして、それを改正いたしますときに、地方自治に関する一規定を入れたというふうに理解をいたしております。
  112. 丸谷金保

    丸谷金保君 この九十二条は、後の三条と違って、当初の草案に入っていなかったのを入れたという経緯がございますね。それだけに非常に大事な憲法上の条文だと思うんです。いま大臣は、これを尊重するということで、これは直す必要がないというふうに御答弁なさいましたので、ひとつこの中身について御質問をしていきたいと思います。  いま、いろいろな地方自治の問題で、国及び地方の間でトラブルが起こる大きな原因は、結局地方自治の本旨ということのとらまえ方にあるのじゃなかろうかと、こう私は考えておりますが、地方自治の本旨というのは一体何なんでしょうか、大臣見解をお聞きいたしたいと思います。
  113. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 地方自治の本旨という言葉は、まことにその意味がむずかしい言葉でありまして、御承知のとおり憲法にも「地方自治の本旨に基いて、」とは書いてありますけれども、地方自治とは何かという解釈は示されておりませんし、これを受けました地方自治法におきましても、地方自治とはという定義づけもなされておりません。したがいまして、いろいろの見方があるかとも思いますけれども、自治省といたしましては地方公共団体の自主性自律性が十分発揮できるよう地方自治制度を定め、これを運営すると、こういうことが自治省のやる役目であると考えておりますが、地方公共団体の自主性自律性、これが十分発揮できるようになっておること、これが地方自治の本旨ではなかろうかと思います。
  114. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま大臣から御答弁いただきましたように、地方自治の本旨の中に、少なくても地方自主性、これを保障するということがあると思いますがいかがですか。
  115. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) お答えいたします。  そのとおりと考えております。
  116. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、この地方自主性の問題なんですが、実は、北方領土の問題でお聞きしたいと思うんです。  戦前、千島列島にありました行政の、それぞれ村があったんですが、それについてちょっと御答弁願いたいと思います。
  117. 藤江弘一

    説明員(藤江弘一君) 北方四島に関しましては、まず歯舞群島は花咲郡歯舞村の行政区域、色丹島につきましては色丹村の一郡一村、国後島につきましては国後郡泊村及び留夜別村の一郡二村、択捉島につきましては択捉郡留別村、紗那郡紗那村及び蘂取郡蘂取村の三郡三村であったと承知いたしております。
  118. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、これは新しい憲法ができたときにはもう占領されておったわけですね。そのうち、いま政府は歯舞、色丹及び国後、択捉については行政区域の中に入れておりますが、これ一体どういうふうな形で入っておりますか。
  119. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 北方三島のことについては、ただいま総理府の方からお答えを申し上げたようなものでございますが、この六村につきましては、市制町村制以来、あるいは地方自治法によります廃村の手続ということを取っておりませんので、現在も存続しておるというふうに考えております。しかしながら、ソ連に現在占領され、あるいは占有されているために行政権の行使ができないという状態であろうと思っております。
  120. 丸谷金保

    丸谷金保君 行政権の行使はできないけれど、国の領土としては地方自治体の中に包括されているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  121. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま申し上げましたようなことでございますが、実際にこれらの六村につきましては市町村で行政活動を行っておりませんので、実は団体数には数えておらないわけであります。ただ、北海道庁におきまして、地方自治法の百五十五条の第一項の規定によりまして、北海道支庁設置条例というのが昭和二十三年に設定されております。この中に、これらの六村というのは根室支庁の所管区域に含まれておりますので、当然これは北海道庁の中に入っております日本の国土の中であるというふうに理解をいたしております。
  122. 丸谷金保

    丸谷金保君 もちろん地方交付税の基準財政需要額の中の面積には、道の場合は算定されておるわけですね。
  123. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 仰せのとおりでございまして、歯舞諸島は北海道と根室市分の面積に算入をし、国後、択捉、色丹島につきましては北海道分の面積に算入をいたしております。
  124. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、その他についてはどうなんですか。旧千島列島のその他の町村について。
  125. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 交付税上は算入をいたしておりません。
  126. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは事実関係として、現在行政権が行使し得ないということについては千島列島は全部同じじゃないんですか。先ほど行政権の行使ができないので個々の町村としての存在はない、しかし、包括的に北海道庁の面積の中には入っておって、基準財政需要額の中の面積の算定基準にはなっている。なぜ、国後、択捉までを算定基準の中に入れて、その他の町村は、廃止の手続もしてないんですが、入ってないんですか。
  127. 藤江弘一

    説明員(藤江弘一君) 得撫島以北の千島列島につきましては、御承知のように、サンフランシスコ平和条約の締結時におきまして日本といたしましては放棄しているというのが政府の公式見解でございます。
  128. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣にお伺いしたいんですが、昨年も外務省に聞いたんですけれど、サンフランシスコ平和条約を締結した国に対しては、サンフランシスコ条約というのは拘束されると、わが国におきましては。しかし、締結をされていない国に対しては拘束されないという国会答弁をいただいたんです。そうすると、現在事実上の支配しているソ連に対しては、やはり南千島北千島、全千島がわが国固有の領土だというわれわれは主張をしていいわけじゃないんですか。しかも、町村としてはまだ廃止してないんですから。凍結状態にあるわけです。どうしてそんな遠慮しなければならないんですか。
  129. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 条約の解釈の問題でもありまするし、また、日本国の領土の範囲にも関するきわめて重要な御質問であります。自治大臣、当の責任者でもありませんし、とっさの御質問でございますので、慎重に検討をしました上、しかるべき責任者から責任ある御答弁をさしていただきたいと思います。
  130. 丸谷金保

    丸谷金保君 重ねて申しますが、日本の憲法九十二条で、自治体の自主権というものを保障しておるんです。そして国後、択捉もあるいはその他占守その他におけるところのそれぞれの町村も、住民の意思において廃止はしてないんですよね。廃止をしていないということにおいては同じなんです。そうすると少なくても自治省はそれは認めるべきでないんですか、廃止の手続やってない限り。いかがでしょう。
  131. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) この問題につきましては、あるいは外務省の方からお答えをするのが私は筋かとは思いますが、いままでのいろいろないきさつを聞いております限りでは、少なくとも日本が一方的に放棄をした島に属する部分については行政権を行使しないのが通例であろうと思っております。
  132. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、国後、択捉については放棄していないから、行政権は権利の投影としてはあるということでございますね。しかし、自治体として独立した機能を発揮させられないので、自治法に基づいて道の条例の中で地域に包括している、こういうことでよろしゅうございますか。
  133. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) そのとおりでございます。
  134. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで大臣、実は同じようなことで別な取り扱いしているところがあるんですよ。私、先日、境港という、大臣選挙区ですわね、境港。あそこにお邪魔したんですよ。これは竹島が韓国に占領されて、非常に漁民が日本の領域内で操業ができなくて困っているという問題、よく御存じだろうと思うんです。これは明らかに北方四島と同じようにわが国の行政権が行使できないでいるわけですよ。ところが、これは島根県の五箇村に所属して、村の面積に加えられて、基準財政需要額の交付税の算定基準に入っているんですよ。一体どうしてこういう差別しなきゃならないんですか。
  135. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 竹島は日本の領土でございますし、五箇村に所属することが明らかでございますので、国土地理院の公表した面積を加えております。
  136. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで大臣、いま加えていると。しかしそれは明らかに韓国に占領されているんですよ、韓国に。実質的な支配。日本の漁船が近づいても操業できないような状態であることは、大臣よく御存じだと思うんです。こういうことについて、自主的に、地方自治法自主性を保障されているという立場から見ると、自治省はこういう問題について、人の問題でなく自分の問題として取り組んだことあるかどうか。明らかに地方自治が侵害されているんですよね。
  137. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 北方四島と竹島、これの取り扱いが自治省においては同じくなってないという御指摘でありますけれども、そうはなってない、同じことになっているはずでありますが、正確を要しますので、政府委員からお答え申し上げます。
  138. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) サンフランシスコ条約その他いろいろな経緯があったりいたしまして、それぞれの経緯は異なると思いますが、基本的に日本の主権が及ぶといった意味で日本の領土であるという意味から、北方四島につきましても、先ほどお答え申し上げましたように、交付税上の面積に算入しております。竹島は、韓国との関係がございますが、これも交付税上の面積として五箇村に加えておる、そういった意味では差別はしてないわけでございます。
  139. 丸谷金保

    丸谷金保君 竹島の場合は村の算定基準に加えている。それから北方四島については、たとえば歯舞なんかの場合は、行政権としてはすでに根室市に属するでしょう。昔の歯舞村は根室と合併したんですから。それを何で、市の基準財政需要額の中に入れるというふうな形をしないで北海道の全体にやっているのか。あるいは根室だけ、歯舞群島はそうでないとおっしゃるかもしれませんがね。そうすれば国後、択捉についてはどうするんだと。
  140. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 私ども、財政上の立場でいろいろ検討をしたわけでございますが、いまお示しのございましたように、歯舞については本道にも歯舞村があったわけでございます。それが昭和三十四年に合併をいたしまして根室市に編入されましたので、現在でも歯舞諸島は北海道分と根室市の両方の面積に入れておる。ところが、国後、択捉、色丹については、村そのものが現実の形として残っておりませんので、財政上の取り扱いとしてはどこに配りようもございません。したがって、総体的な需要としては北海道に交付税を配るというようなやり方をとっておるわけでございます。  竹島の場合は、これは五箇村の区域に所属するということでございますから、配分すべきところがあるわけでございますから、そこの面積に加えて交付税を配分しておる、こういうことになっておるわけでございます。
  141. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、そこのところで特にお願いしたいんですがね。きょうは問題提起だけにしておきたいと思います。私は、北方四島と遠慮することはない。サンフランシスコ条約からいいましても、ポツダム宣言からいっても、本来全千島を要求してしかるべきだと思うんです。何で四島に限定しなきゃならないかというふうに私は考えておりますが、その四島一括返還を言う政府が歯舞と色丹、国後、択捉とを地方行政の中では別な扱いをしている。こういう点は、やっぱりわれわれ北海道民としてはどうも納得がいかないんです。一括返還を要求していながら、憲法九十二条で、日本が積極的に挿入した地方自治の本旨に基づいて自主権を保障されているならば、もっとそこのところははっきりしてもらわなきゃならぬと思いますが、このことについて御見解を承って、私の質問を終わりにします。
  142. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 取り扱いを別にしておるわけではありませんで、物理的に差がありますので、やむを得ず交付税の算定につきまして別のやり方にならざるを得ないというのが実態であります。政府委員から御答弁申し上げましたとおり、一部のは元の親の村が残っております。北海道の本島に残っておりまして、それが根室市に合併した、したがって、その出村のような形になっておる島の部分を根室の方に財政需要ということで加えている。ところが、別の方のは、出島、島だけが1つの村でありまして、親の方がなくなっちゃったわけです。北海道本島にないわけですから、どうも配るべき相手がいない、配れない、現実に。ですからやむを得ず北海道庁の分として計算しておる次第であります。御了承いただきたいと思います。
  143. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一問。私、もうこれでやめますけれども、時間ですから。  実はそれが、いまの大臣の話でいくと、歯舞・色丹、国後・択捉、段階的な返還というふうなことも理論的には成り立つような、政府が別な扱いしているんだということ。だから、私は全千島をなぜ言わないんだと。全千島ならそういう理論ないんです。北方四島と言うから国後、択捉と歯舞とは別の扱いするのはおかしいじゃないかという理論が出てくるんで、そのことを要望しておいて、質問やめます。
  144. 和泉照雄

    和泉照雄君 私は、石破自治大臣就任当時の選挙制度発言について四問ほどお尋ねをいたしたいと思います。  石破自治大臣は、七月の十九日のNHK政治座談会で選挙制度について言及をしておられるようでございますが、その第一点は、今日の中選挙区制でよいと考える人はだれもいない。二点目は、現行制度のままで政治資金規制や政界浄化の実現も困難であると、こういうふうに強調されたということが記事に出ておりました。そこでお伺いしたいことでございますが、今日のこの中選挙区制はよくないと考えておるという、要するに悪いと考えている人はだれなのか、端的に指摘をしていただきたいわけであります。
  145. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 去る七月、私が自治大臣就任直後のNHKのテレビで選挙制度について発言いたしましたが、先ほど志苫委員の御質問にもお答えいたしましたとおり、たまたま当時は自治大臣就任直後でもありまするし、十分の研究もせず、過去の経緯等をよく承知もせずに、草々の間の発言でありまして、十分意を尽くさなかった点もあったように反省いたしております。また、NHKのテレビ放映後間もなく、数日だったと思いますけれども、後の衆議院地方行政委員会でありましたか、公職選挙法でありましたか、委員会理事会の席上、宮澤官房長官が、私のテレビでの発言、十分真意が伝わらなかったように思っておると、そう自治大臣が言っておりますから御了承いただきたいというような釈明をさしていただいたようないきさつがありますので、まず御了承賜りたいと思います。
  146. 和泉照雄

    和泉照雄君 そういうふうに弁明をされますけれども、やはり自治大臣としておっしゃったことが、一紙だけじゃなくて四紙も五紙もずっと同じような状態の発言が載っておるということになりますと、ただここで、そういうようなことで弁明だけでは私は済まないと思うんですよ。やはり自治大臣考えていらっしゃることをストレートにお話しになったということで私は質問をしておるわけで、ですから中選挙制度よりは小選挙制度の方がいいというお考えをお持ちだからこういう発言があったと思うんですが、それならば、中選挙制度が要するに悪いと思っておるのはだれなのかはっきりここで教えていただきたいと思います。
  147. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 選挙制度の問題それから選挙区のあり方と、どの制度も一長一短があるように思いまして、これこそ万国共通、古今を通じて誤りなしと、これが最適というような制度はないように私も思いますが、第何次と申しましたか、最終の選挙制度調査会の正確な答申というような形ではなかったと思いますけれども、意見の集約のような、中間報告のような形ではあったと思いますけれども、小選挙区比例代表制というようなのが相当有力な意見として収録されておるように承知いたしておりまするし、さらにNHKのテレビ収録の際にも述べましたとおり、去る六月の参議院の通常選挙におきまして、自分衆議院選挙については小選挙区制がいいと思う、やっぱり政界の浄化を図るためにはこれが一番いい方法であるということを選挙に当たって申し述べた次第であります。  それで、選挙制度調査会における審議の状況等につきましては政府委員からお答え申し上げます。それを申し上げてお聞き取りいただきますれば、私以外にも小選挙区制の方がいいんだという意見の方が相当あったように承知いたしております。御了解いただけると思います。
  148. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 現行の中選挙区単記投票制につきましての御質問でございますけれども、従来、選挙制度をいろいろ議論をしてまいりまして、また選挙制度審議会でも長年の間いろいろ選挙制度について御意見が出てまいっておったところでありますけれども、問題の発端は、常にどうして現在のような選挙で余りにも個人に金がかかり過ぎるんだろうかというところから出発したわけであります。もちろん金がかかるとかかからないとかいう問題というのは政党自体の問題でもありましょうし、あるいは候補者個人の問題ということにもなりましょうけれども、そういう問題はそういう問題として、やはり制度的に別途考えるべきことは考えざるを得ないではないかという方向で審議がされてきたと承知しております。  現在の中選挙制度というのは、御承知のとおり、一つ選挙区に三人ないし五人の、つまり複数の定数が配分されておる。それからもう一つは、複数の定数の中の一人を投票で選ぶと、こういう仕組みになっておるわけであります。これを従来個人本位の選挙というような表現で言われておるわけでありますけれども、そういう選挙区、つまり選挙の土俵がそういう仕組みになっておりますと、どうしても個人対個人の戦争ということにならざるを得ない。個人対個人の戦争になるから個人が金がかかると、こういうことになるわけでありまして、したがって個人対個人の戦争にならぬような、つまり政党と政党が政見で選挙をすると、こういう仕組みを考えるのが先決ではなかろうか。その場合には小選挙区制あるいは比例代表制というのがすぐ表に浮かんでまいるわけでありまして、長年の間の議論の結果、小選挙区制と比例代表制の双方の折衷によって政党選挙を実現する方向が一番いいのではないかというのが多数意見になっておる。これが従来の経緯でございます。
  149. 和泉照雄

    和泉照雄君 大臣の先ほどの答弁からしますと、やはり中選挙区制を是とする人もおるし、また非とする人もおることは事実のようでありますが、それを答申あるいはまた自分考え方で非とすることに断定をするということは、あの新聞記事が正しいとすれば、私はきわめて危険な思想であると思うんですが、その点はいかがですか。
  150. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 何も断定したつもりもありませんでしたけれども、当時の発言の流れをよく記憶いたしておりませんので、断定したというつもりもありませんけれども、まあ自分としてはこれがいいと思うと、少なくとも通常選挙当時そう思って発言したということをテレビで申しましたのはそう間違ったやり方ではなかったんじゃないかなと思っております。言葉が足りなかった点については十分反省いたしております。
  151. 和泉照雄

    和泉照雄君 まあ最初の質問の末尾の方でございますけれども、大臣が、現行制度のままでは政治資金規制やあるいはまた政界の浄化の実現は困難であると。さらにまた、政党による選挙とすることで派閥の解消ができると、こういうことに言及されたように報道されております。  そこでお伺いしたいことは、派閥の解消を叫んでいる政党は、私が聞いたところではこれ自民党以外にないように思うわけでございますが、寡聞にして、ほかの政党で派閥の解消、派閥の解消と言っておるのはないようでありますが、どこの政党が派閥を解消せにゃならぬということをしきりに言っておるのか。また、政界浄化と言われておるけれども、政界を汚濁、腐敗させておるそういう事例が多いのはどの政党なのか。そこらあたりの御認識をはっきりお示し願いたいと思います。
  152. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 当日テレビで申しましたのは、大部分は六月の参議院の通常選挙に当たって自分がこう述べたと、こう主張したというのが主でありましたが、派閥の弊害、派閥の存在するのは自由民主党だけではないかという御指摘でありますが、派閥というものがなぜ起こるかということを考えてみますると、やっぱり党なり会派というものが責任を持って選挙を取り仕切るということでなくて、一つ選挙区に同一政党から複数の候補者が立候補すると、勢い党で責任を持ったいわゆる党営選挙ができないということになりますと、同じ党派に属する者が内輪同士で相争うことにならざるを得ないと思います。それが結局派閥というものを生むことになる原因であろうと自分はそう考えたわけでありまして、それでこそ派閥の解消のためにも小選挙区制の方がいいと、そうして党営選挙をやった方がいいと考えたわけでありますが、現在、衆議院の場合でありますけれども、同一選挙区に複数候補者を立てて選挙をやっておりますのは、大部分が自由民主党でありまして、ほかの政党は、ごく一部例外はありますけれども、ほとんどは同一選挙区に一人の候補者をお立てになっておるということでありますから、まあ私の考えからしますると、派閥というものが生まれるのは、やっぱり自由民主党の方が多くてほかの政党の方が少なくなるのはこれはあたりまえといいますか、事の成り行きであろうと、かように考えております。
  153. 和泉照雄

    和泉照雄君 政界の浄化の点が抜けました。答弁漏れ。大臣から。
  154. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 小選挙区制をとった方が政界の浄化になるであろうと申しましたのは、ちょっと先ほども申しましたけれども、同一選挙区で同一政党が複数の候補者を立てて選挙をやりますと、党営選挙というものは実際問題としてなかなかやりにくい。個人本位の選挙にならざるを得ません。そうしますと、各候補者がそれぞれが自分の力で選挙資金を集めなきゃならぬ。そうなりますと、どうしても性質の余りよくない金に手を出す危険性が多い。したがって、政界の腐敗ということも起こる可能性が強い。それに比べますと、小選挙区制をとりまして、同一選挙区で一人の候補者しか各党が立てないということになりますと、党営選挙というものがやりやすくなるであろう。そうしますと、党の収入、支出というものをはっきりするようになれば——金額の多寡は別問題であります。性質のよくない金を不明朗な方法で集めるというようなことがなくて済むのではなかろうかと、自分はそう考えた次第であります。
  155. 和泉照雄

    和泉照雄君 いま大臣の答弁で、政界の浄化の点はちょっとぼかされましたけれども、起こっておる事象というものは、やはり大臣が所属されておられる自民党の方が、ロッキードにしてもグラマンにしても、多いわけでございますので、そういう面から政界の浄化をせにゃならぬというのはおたくのことであって、そういうのは結局派閥の解消、政界の浄化と言っても御自分の党のことであって、そして鈴木総理が言っているとおり選挙制度というのはルールみたいなもので、多数党が勝手にいじくるもんじゃない、話をしてからいろいろせにゃならぬということをおっしゃっておることもありますので、そういうことからいいますと、こういうような大事な国の基本にかかわるような問題等をただ軽々に、自分の党の内部のことを整理もしないでおって、ただ制度によってそういうことをやろうということは、ちょっと私はお門違いじゃないか、こういうように思うのですが、大臣見解をお伺いして、この問題一応これで終わります。
  156. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 私の所属しまする自由民主党、反省しなければならない点はたくさんありますことはよく承知いたしておりますけれども、私ども自由民主党員がそう違った人種ではございませんので、同じ日本人であります。反省は十分いたしますけれども、自由民主党だけが、あの人種だけが悪いんだときめつけて御指摘いただくのもどうかと思います。やっぱり制度として、だれが政権を取り、だれが多数党を取っても、政治の腐敗というようなものが起こらぬような仕組みをつくっておく必要はあろうと考えます。  しかしながら、お話の中にもございましたとおり、総理大臣も申しておりますとおり、選挙制度の問題、特に選挙区なりあるいは政治資金問題等は、民主政治、議会制度の基本にかかわる問題でありまして、ひとり自分の党に都合がいいからというような制度を多数なるがゆえにこれを強行するというような措置をとるべきものではないと思います。総理大臣も申しておりますとおり、各党各会派で十分御協議願い、適正な結論に到達していただきますことを心から念願する次第であります。
  157. 和泉照雄

    和泉照雄君 あと具体的に、地方公共団体に関係のある問題を取り上げて御質疑をしていきたいと思いますが、まず最初に、奄美群島のガリオア復興資金の問題の後始末ということでお尋ねをしていきたいと思います。  まず、国土庁にお尋ねをいたしますが、昭和二十八年の十二月二十五日、奄美大島が日本に復帰した際、アメリカから日本に承継債権として移譲されたガリオア復金の回収状況と、問題点があるとすればどういう問題点が現時点において残されておるか、その点を御説明を願いたいと思います。
  158. 桝原勝美

    説明員(桝原勝美君) お答えいたします。  昭和三十年、基金の前身でございます奄美群島復興信用保証協会が国から承継いたしました債権の額は、ガリオア物資代一億八千六百万を含めまして五億一千六百二十七万一千円と相なっておりまして、昭和五十四年度までにおきますところの回収額は三億七千一百万でございまして、回収率にいたしまして七一・九%になっております。  なお、後段の問題点でございますが、承継債権の回収につきまして、まずガリオア物資代につきましては、クレームの申し立てが現在もなお残存しておるということで、約八千七百万ばかりございますのと、肝心の債務者団体が一部すでに解散を行っておるという問題点があろうかと思います。  また、もう一つの復金関係の貸付金の問題点といたしましては、すでに相当時日を経過いたしておりますので、債務者の死亡でございますとか、あるいは老齢化というような回収上の困難な問題点が残っております。  以上でございます。
  159. 和泉照雄

    和泉照雄君 ガリオア復興資金の問題については、昭和四十九年の六月、自治省から国土庁に事務引き継ぎがなされております。それ以前は自治省の管轄であったわけでございますが、ただいま国土庁の方から御答弁があって、問題点として指摘されたことは、ガリオア物資代のクレーム申し立て金の処理と復興金融基金貸付金に係る延滞利息の処理のようであります。この問題については、昭和四十四年二月二十七日衆議院予算委員会第三分科会、昭和四十四年三月六日の衆議院地方行政委員会、同じく昭和四十四年の三月二十日の参議院地方行政委員会で、また昭和四十四年三月四日衆議院地方行政委員会で、相当慎重に審議をされておりまして、当時の自治大臣は、大蔵とも話し合って善処すると答弁をなされております。また、時の政府委員である自治政務次官は、特に、「ガリオア物資代のクレームの申し立てにかかわる分につきましては自治、大蔵両省において共同調査をいたしましてすみやかにその処理をはかる、」と、そして、最後に再度、「この際解決をしてしまいたい、」という決意のほどをはっきり会議録に残しておるわけでございます。また鹿児島県でも、鹿児島県奄美群島振興開発基金に係る承継債権の整理という条項で、承継債権についてはガリオア物資代のうち、回収不能と見込まれる額については債務を免除する必要があると再三意見を付して政府に送付しておるところでございます。昭和四十四年三月から国土庁に移管するまでこのような、六十一国会で慎重に審議をされた四十四年から四十九年ということになりますと五年かかっておりますが、その間も何ら処理がなされてない。それから、国土庁に移管をされてから本年まで六年でございますが、いまもってクレーム申し立て金については処理がされていないということになりますと、その放置している理由は何なのか。そして、国会答弁であのように決意まで発表しておりながら、それを実行しないということになりますと、虚偽のことを申し述べたということで国会軽視にも通ずると私は思うのでございますが、なぜ自治省はその五年間の間にやれなかったのか。やりますと言っておるのですから、やるめどがあるからああいうようなことを大臣も政務次官もきちっと言っておるわけでございますけれども、なぜやらなかったのか。また国土庁も六年間なぜ放置しておったのか。鹿児島県にとっては、皆さん御承知のとおり、奄美群島振興開発特別措置法の第十条ですか、の三の一項によって、保証業務の原資になっておるわけでございます。絵にかいたもちでございます。いつまでもそういうような状態においておったのはどういうわけなのか、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  160. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 奄美群島におきますガリオア資金の問題につきましては、ただいま和泉委員からお話しのあったとおりであります。  自治省といたしましてもじんぜん手をこまねいていたわけではございませんで、再三大蔵との話し合いをいたしてまいりました。しかし、引き継ぎの時期までにこのことが解決をいたさなかったことはまことに申しわけないことだと思っております。  当時のいろいろなことを振り返ってみますと、このクレームがついているものの中の主な理由といたしまして、輸送途中の損失でありますとか、あるいは無償供与と判断したために処理ができなかったとか、あるいは網をもらったけれども穴があいておってだめだとか、いろいろなことがあったようであります。しかし、その後も大蔵との間でいろんな折衝をしまして、何とか整理債権についての整理をいたそうと思いましたが、現実に、ちょうど四十九年の通常国会でも当時の行政局長からお答えいたしてありますが、承継債権の減免というのが減資につながるということもありまして、なかなか解決がむずかしいということを申し上げております。最終的にはそういうことになろうかと思いますが、なかなかそのよって来る原因というものについての相互の理解ができずに今日まで参っておったわけでありまして、四十九年まで解決しないでそのまま国土庁へ引き継ぎましたことにつきましてはまことに遺憾に存じております。
  161. 桝原勝美

    説明員(桝原勝美君) ただいま御質問のクレーム申し立ての関係につきましては、国土庁といたしましても、これに対して明確な対応を行いたいということで検討を重ね、また、関係者の方々の事情調査を含め調査確認を行ってまいったわけであります。しかし、和泉委員御案内のとおり、当時の事実関係でございますとか、経緯につきましての関係資料は散逸しておったり、非常にいま乏しゅうございますので、関係事項の明確な整理というものは必ずしも容易ではございませんでした。  したがって、現在まで一応考えられる問題点といたしましては、まず、そのクレーム申し立てが真にやむを得ないものなのかどうなのか。それから二点目といたしまして、これに係りますところの債権債務関係というものがどういう形になっておるのだろうか。三番目といたしまして、債務者団体の存在しているもの、すでに三団体は解散いたしておりますけれども、これらの扱いをどう取り扱ったらよいのか。あるいは四番目といたしまして、現在債務の返済をクレーム以外のものにつきましては続けていただいておるわけでございますが、それとの兼ね合いをどうするのかというような点が挙げられるわけでありますが、これらの点につきまして、関係当局とも十分協議して適切かつ納得のいく処理を図ってまいりたいと考えております。
  162. 和泉照雄

    和泉照雄君 そういうような答弁は、四十四年に、もうすでに衆議院の分科会で行われ、地方行政委員会で行われて、そして四十四年の三月二十日の参議院地方行政委員会での答弁では、政府の方は、「一つはガリオア物資代のクレームの申し立てにかかわる分につきましては自治、大蔵両省において共同調査をいたしましてすみやかにその処理をはかる、端的に申しまして、調査と申しましても、もう物もありません。実情調査といっても、あの当時にさかのぼってそうこまかく現物についての調査はもう困難、不可能だろうと思います。」云々と言われて、「各協同組合等についてのクレームについてはもうこの際解決をしてしまいたい、これが一点でございます。」と、「しまい、たい」と言っておるんですよ、三月いっぱいに。それをなぜやらなかったかというんですよ。こういうことを委員会で政務次官が言っておるんですから。物はない、調査不可能であるけれども、いろいろな人たちの話を聞いて及ぶ限りのことをやって、そして解決をして、クレームの申し立てを認めていって解決をしたい、こう言っておるのですが、なぜやらなかったのですか。
  163. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 先ほど申し上げましたように、確かにそういうことを申し上げましてやらなかったことは、まことに遺憾に思いますが、結果的に申し上げますと、先ほども申し上げましたように、承継債権の減免というのは減資につながるということにあったようであります。そこで、そのことにつきまして、減資にならないような仕組みをどうするか。あるいは国がもう一度減免した分だけ出資をしなければならぬかどうかということにつきまして、そのほかのいろいろな債権の問題、これに限らずそのほかのいろいろな問題がございまして、調整がとれなかったということが主な原因であるというふうに理解をいたしております。
  164. 和泉照雄

    和泉照雄君 国土庁にお尋ねをしますが、そういうようないきさつであなたの方も六年間できなかったと、こういうふうなことで、復帰後、昭和・二十八年ですからもう二十七年たっておるわけです。そうなりますと、もうここらあたりでこのクレームの申し立ての問題は解決をする方向に、特別措置法によりますと、総理大臣と大蔵大臣というふうになっておりますが、そういうふうに相談をされるおつもりがあるかどうか。
  165. 桝原勝美

    説明員(桝原勝美君) いま委員御指摘のとおり、十分関係者とも協議をしまして、また適正かつ納得のいく処理ということで一段と努力してまいりたいと思っております。
  166. 和泉照雄

    和泉照雄君 次に、延滞利息についてお尋ねをいたしますが、この件も昭和四十四年の三月、第六十一国会の中で、衆議院予算委員会分科会、地方行政委員会参議院地方行政委員会等で特に論議をされたところであります。問題点はいろいろあると思いますけれども、三点ほどあるのじゃないかと思います。  まずその第一点は、利息が、承継債権という性格からして、非常に高いということであります。約定によると、延滞利息は約定利息の二倍を付するということで、年利一割、一割二分、一割四分とあるようでありますが、非常に過酷な延滞利息であるという印象は免れることはできないと思います。  第二番目は、復帰は昭和二十八年十二月二十五日で、奄美復興信用保証協会に承継債権として引き継いだのが昭和三十年の五月二十五日で、その空白期間が一年六カ月でございますが、この空白期間にも一あなたたちの申し立てによると延滞利息は付していないという自治省時代の答弁でありますけれども、現実は延滞利息を付しております。そういう矛盾点があります。  第三点は、回収資金が奄美群島振興開発基金の保証、業務の原資となるために、直接関係者でないそれ以外の人にも厳しい制約を与えていることは事実であります。  私が承知をしている例として、ある人が、この方は原爆の手帳を持った被爆者でございますが、しかも身体障害者手帳を持っておる人でございます。月間大体半分ぐらいは就労ができないという体の弱い人でございます。この人が昭和二十六年にシイタケ栽培のためにガリオア資金五万五千円を借り入れをしました。昭和二十八年に復帰をして、シイタケ栽培の原木伐採が禁止になってだめになりました。借りた金はB円で交換率が三倍ということで、この五万五千円が元利十八万八千三十一円として返済を迫られたわけでございます。先ほど申し上げたとおり、原爆被爆者で身体障害者で十分仕事もできない。そういうことで返済は滞りがちであったわけでございます。ところが、長男が成長しまして、自分で事業をやって、この基金のところに行って債務保証をお願いをしたところが、この長男はお父さんの保証人でもないのに、事業資金を借りようとしたところが、あなたのお父さんは借金が相当残っているから保証はできない、返済をすれば保証してあげるよということで、やむなく元本の残額、十八万八千三十一円の残額の十五万二千五百九十六円全額を、昭和四十九年六月十三日に、元本も利息もともに弁済をしたということであります。ところが、空白期間の延滞利息はもちろん、これらを含めて五万五千円の元金が、日本に復帰して元利十八万八千三十一円となっておるわけでございますが、こういうような方に、空白期間を含めて延滞利息、元金の五万五千円の約八倍の三十八万六千五百二十二円請求が来ております。この人は、日本の復帰当時の事情、特に米軍からガリオアあるいは復興資金という問題は宣撫用の、そういうことでいろいろ住民に貸し与えたというそういう事情、あるいはまた空白期間の延滞利息を加算している矛盾、こういうことを考えて、しかもまた保証人でもない長男に元本、利息を返済をさせたという事実を勘案をして、この三十八万何がしという延滞利息は免除をしていただきたい、こういうような訴えが来ておるわけでございます。  確かに、昭和四十四年の国会で論議をされた後に、七月の九日付で琉球復興金融基金貸付金債権管理要領で徴収停止、履行延期、免除によって延滞金も若干の配慮がなされておるようでございますけれども、もう復帰をして二十七年になるわけでございますから、このような方々から過酷な徴収をするということは、やはり法によって保証業・務の原資になるということがあるので私は基金もやらざるを得ないという、そういうことがあると思いますので、この延滞金についても抜本的な洗い直し、免除をしていただきたいと、こういうことを国土庁にお願いをする次第でございますが、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  167. 桝原勝美

    説明員(桝原勝美君) ただいまの御質問でございますが、ガリオアというよりも復金の貸付金の延滞利息の問題だと承知してお答えしたいと思いますが、この点につきましては、和泉委員すでに御案内のとおり、この発生につきましては債務者との貸付約款の中の特約条項によって発生したものでございますし、またその管理につきましては、ただいま御説明のありました管理要領によりまして適正を期しておるわけでありますが、ただそれぞれ合理的な理由があるものにつきましては、先ほど御指摘になりましたように、徴収停止とか免除とかの措置を講じておるわけでありまして、決して一律な運用を行っておるわけではないわけでありますが、ただ今後におきましてもケース・バイ・ケースによりまして、それぞれ合理的な理由に当たり当該条項に該当するものにつきましては、基金におきまして適正な処理を行っていくものと考えております。ただ、まあいろいろ抜本的な改正の問題につきましては、すでに特約条項によって発生したものでありかつ延滞利息を支払っておられる方々との均衡問題もございましょうし、その辺ひとつ御了解を賜りたいと思います。
  168. 和泉照雄

    和泉照雄君 そういうような問題等もいろいろあろうかと思いますけれども、いま申し上げた、結局延滞利息ということは、もう払うに払えない状態の人が多いわけでございますので、一遍現地とよく連絡をされてひとつ。現地の基金の人たちもこう言っているわけですよ。やはり法が改正をされない状態のままであると、この回収をしたものは保証業務の原資になるということで、われわれもどうしても一生懸命やらざるを得ない。しかし、それだけ労して益するものは余りない。かえって郡民を相当に苦しめておるのが現状である。これよりは、もう第十条の三の一を総理大臣あるいは大蔵大臣と合い議をされて改正をされて、二千五百万という政府の出資金を増額をして、実質的な保証業務を講じさせるような手を打ってもらいたい。こういうのが基金に従事をしておる人たちみんなの願望でございますけれども、この点についての御見解いかがですか。
  169. 桝原勝美

    説明員(桝原勝美君) やはりこれまでに支払われた方々との権衡をどうするかということが大きな問題でございましょうし、当面、やはり管理要領に基づきましてケース・バイ・ケースによって処理さしていただくということにしていただきまして、御質問の点につきましては現地ともよく話し合いをし、勉強をしてまいりたいと思います。
  170. 和泉照雄

    和泉照雄君 私は、昭和五十四年の、この前奄美振興開発特別措置法が延期をされた時点で、こういう問題は相当に論議をされて法改正をするなりされるべきであったと思います。これは時限立法でございますから、この次は昭和五十八年ということになりますけれども、その時点までは積極的にひとつ解決の方向に向かって努力をされることを特に要請をして、次の問題に移ります。  次は、大分鉄道管理局の土地無償転貸の問題についてお尋ねをいたします。  これは当院において、去る四月の七日決算委員会において私が指摘をした問題でございますが、大分市における国有鉄道大分鉄道管理局の三十年にわたる、長年にわたる国有地の無償転貸問題、これは地方財政を圧迫をするという問題と、会計検査院の不当事項の迅速な対応という二面の問題から、速やかに処理さるべきであると質問をしたわけでございますが、国鉄総裁、農林水産省に、速やかに前向きに対応するという答弁をいただいたわけでございます。そしてまた四月の二十三日には、当院の決算委員会において、本問題について特に内閣に対して警告決議がなされたところでございますが、この問題は、その後どのようなふうに対処して解決策がとられておるのか、詳細に御報告を願いたいと思います。
  171. 篠浦光

    説明員篠浦光君) お答えいたします。  問題の解決につきましては、先生の御質問のありました直後に、農林省、運輸省それから国鉄本社集まりまして、お互いに積極的に協力しながらやっていこうということをまず申し合わせたわけでございます。次いで五月に、九州農政局の主催で大分県、大分市、それから大分鉄道管理局、四者集まりまして、これからどういうふうに処理していくかという協議を行いまして、一応中立的な立場にあります県が窓口になりまして、調整の交渉を進めるということになりました。その後、毎月一回あるいは二回関係者の間で協議を行っておりまして、農林省も担当官が参りましたし、農政局からも何回も大分市に参っております。それで、十一月の上旬でございますが、農政局の主催で協議会が開催されるという、かなり煮詰まったことになろうかと思いますけれども、協議会が開催される予定になっておるというふうに承知いたしております。
  172. 和泉照雄

    和泉照雄君 私が聞くところによりますと、本日、大分市と仲に入った県、それが熊本の九州農政局に行っていろいろお話し合いをして、農政局の方では今月の二十七日ごろ結論を早く出せというような要請があったようなふうの情報を聞いておるわけでございますけれども、農水の方からの情報によりますと、国鉄さんがその用地は買収をするというような話を聞いておるわけでございますけれども、現地にいろいろ聞いてみたところ、そうではなくてやはり依然たる、歴史的なそういうふうな経緯を踏まえて、大分市が農林水産省から払い下げを受けて買って、そして国鉄に無償で寄付をするというような方向にやはり依然として進んでおるようであります。  私が質問をしたその趣旨は、先ほど申し上げたとおり、地方公共団体の財政を圧迫するようなことをもうこの際やめたらどうだと、三十年間も無償で管理局には提供しておったわけでございますから、ここらあたりで国鉄さんも、財政は相当苦しいでしょうけれども、必要な面だけをお買いになって、そして高層のそういうような住宅をおつくりになった方がいいんじゃないかと、こういうようなことを申し上げたわけでございますけれども、特に自治省の方にお聞きしたいことは、地方財政の、再建促進特別措置法という法が出されておりますけれども、この附則にはなるほどそういう古いのは除外をするという除外例があるようでございますけれども、やはりこの法の精神というのは地方財政を圧迫をしないというそういう法の精神は私は生かさるべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、自治省の方の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  173. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいまお示しのございましたように、地方財政再建促進特別措置法の附則では、法律施行前の契約についてはこれを尊重するという趣旨で適用除外をする、それ以前の契約に基づいて地方団体が寄付金等を支出する場合については適用しない、こういうことになっておるわけでございます。これはただいま申し上げましたように、法施行前の契約については尊重するんだという趣旨であるわけでございますので、こういった適用除外とされておる寄付金等について、一律にこれを現行の法の趣旨に従って支出しないように指導するということは、なかなか当時の経緯等もあって困難であると考えておるわけでございます。  ただ、現実に再建特別措置法の二十四条の第二項の趣旨を設けたのは、御指摘がございましたように、国と地方との財政秩序を守り、地方に財政上の大きな負担をかけないと、こういった趣旨でございますから、そういった点については、私はそれぞれの実態に応じまして、実情に応じて不適当なものがあれば地元において関係者間で十分話し合いをされまして適正化されることを期待しておるものでございまして、その過程においていろいろ御相談があれば私どもとしても御相談には乗って、必要な助言ができればそういうこともしたいと思っておりますけれども、どうも法附則で決められておることについて、一律に、寄付金についてはもう支出しないようにというところまで強く指導するということは、なかなか制度がある以上やりにくいという点は御理解を願いたいと思うのでございます。
  174. 和泉照雄

    和泉照雄君 もう過去のいろんな経緯上、どうしても大分市が買収をしなければならないということになった場合も、大分市の財政に影響を与えるようなことを極力阻止するようなことを国鉄も農水の方々もお考え願いたいと思うんですが、その一つの方策として国鉄も高層化ということを考えると、いまの広いところよりは狭くてもいいと思うんですよね。それで用地の縮小化ということもお考えになって、大分がそこを買って国鉄には必要なだけ分譲をして、あとはまたほかに大分の方で使うというようなことにならざるを得ないのじゃないかと私はいま私見としてそういうふうに思っておるわけでございます。  それにつけても、国鉄が三十年も長く使っておるわけでございますので、これは農林水産省の方にお伺いしたいわけでございますが、やはり地上権という、そういうものが私はあるんじゃないかと思うんですが、実勢価格で分譲すると、そういうような乱暴なことはまさかなさらないと思うんですが、大分市の財政を圧迫しないという配慮はどういうふうにお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
  175. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 大分市にこの土地あるいはこの土地の一部を売り払うという場合に、売り払い価格の算定でございますが、大蔵省の普通財産売り払い評価基準というのがございまして、これに従って評価をするということになるわけでございます。その場合に、この土地、恐らく五千万円を下回ることはありませんで五千万円を超えることになりますけれども、その場合には九州財務局と協議をする、大蔵と協議をする。そして価格の決定をするという仕組みになっておるわけでございまして、ただいま先生お話しの、借地権相当額の考慮につきましても、九州財務局と協議して適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  176. 高木一匡

    説明員(高木一匡君) 先ほど農水省の方からお答えしましたように、現地において四者会談を持たれ、鉄道管理局もそれに参画して鋭意解決に努力しているわけでございます。先生いま御指摘のように、あの宿舎は相当古うございます。二十六年当時建てたもので、今日段階になりますとかなり、もう少し高度化した使い方があるとも、私どもも考えております。ただ、そういう段取りを今日ただいますぐできるかどうかというその資金的な目当てでございますとか将来方向としてのめどというものは、この段階で要員計画等を見ながらつけたいというふうに考えております。当然、そういう形で高度化した場合でも、あるいはそれが全部必要とするのか、あるいは一部でいいのかという検討を踏まえまして、先ほどの農水省等の方との歩み寄りとか、あるいは大分市の方との歩み寄りも含めて、国鉄も、この前総裁がお答えしましたように、かたくなないままでの論理でなくて、第三者が歩み寄れるような形での解決策を見出していきたいというふうに考えております。
  177. 和泉照雄

    和泉照雄君 では次は、最後になるかもしれませんが、桜島の降灰問題と災害対策について質問をいたします。  九月の二十二日でしたか、国土庁長官が桜島を視察をされた前後に、私も桜島の鹿馬野台という台地の視察をいたしました。その災害対策についてお伺いをいたしますが、御承知のとおり、桜島はもう常時活動をしておる火山でございますが、その桜島町の北岳という峰のふもとに鹿馬野台という、三百七十五メーターの標高のところに二百町歩ぐらいの台地がございます。桜島は昭和三十年から噴火をしておりますので、もう連続二十五年でございます。当時生まれた子供さんはもう成人に成長しておるわけでございますが、そういうようなことで、最初は南岳の方が爆発したわけでございます。桜島はちょうど真ん中で鹿児島市と桜島町に分かれておりまして、南岳は鹿児島市に入っておりますので、最初のころは鹿児島市の方が土石流のはんらんということで、人身事故を伴うような大きな災害が多うございました。そういうことで、建設省直轄の治山、砂防という工事が行われて、現在ではそういうような災害は鎮静の状態に静められておりますけれども、そういう状態がいま、二十五年たって桜島町の方に移行をしておるのが事実でございます。  最初のころは、南岳の噴火でとどまっておりましたので、北岳のふもとにある桜島町は被害が軽微でありまして、林野庁あるいは県の補助によるいろんな災害の復旧が行われておったわけでございますが、いまはもう相当な被害で、最近は林野庁が施工したところの施設はほとんど崩壊をしております。そして、その下流の数百戸の人家が密集をしておるところまで土石流が押し寄せておるという状態で、特に鹿馬野台という二百町歩のところには十メーターぐらいのボラが堆積をしておりまして、低いときはそこを通ってみんな平等に浸水をしておったのが、だんだんもうそいつが河川状態になったところから一挙に地下水みたいに浸透して、そして、下の地山を洗って土石流になって、鉄砲水みたいになって出てきておるというのが状態でございます。  いま申し上げたとおり、林野庁の民有林のあたりを治山をしていただいておるところの施設はほとんど崩壊をしておるのが事実でございますし、鹿馬野台の台の下にはいままで三つの河川があったのが、八つできております。支渓と私たちは呼んでおりますが、みぞみたいな深く掘られた、そういう状態の川が八つできておる状態でございますが、もう災害の質的な変化が起こったと私たちは認識をしておるのでございますが、ここらあたりで林野庁あるいは建設省あたりで、この質的変化をもう一遍再調査して、抜本的なそういうような対策を講ずる必要があると思うんですが、そういうようなことに対する御見解、いかがでしょう。
  178. 松本廣治

    説明員(松本廣治君) 御指摘の、桜島町の台地がございまして、鹿馬野台地ですか、これの台地を通ります金床川、中津野川につきましては、私ども五十一年から、火山の活動が非常に激しくなりまして、国の直轄事業として取り上げたわけでございますが、この地区につきましては、桜島町全体の仕事を上回りまして積極的に仕事をさしていただいておるわけでございますが、桜島町につきましてはすでに約四十億円の治山事業を直轄でやってございます。  今回、御指摘のように、七月十三日に非常に記録的な豪雨がございまして、このうち約一億四千万ほどの施設が被害を受けたわけでございます。そのほか約四億何がしかの林地の崩壊がございまして、谷が深く掘れましたりあるいは山腹が崩壊したりというようなことでございます。  林野庁といたしましても、早速係官を現地に派遣いたしまして復旧計画を指導したわけでございますが、当年度、このうち直轄施設災につきましては、約半分の七千万円で復旧工事を実施する予定でもございますし、緊急に復旧を要する林地の荒廃個所につきましても、約二億五千万円の復旧費で手当てを応急にいたすつもりでございます。御指摘のように、今後こういう被害が下流まで及びますと非常に危険でもございますので、土石流等の発生がしないように抜本的に計画を見直しまして、今後、五十六年度以降復旧計画に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  179. 和泉照雄

    和泉照雄君 そこで、先ほど申し上げたとおり鹿児島の方は建設省の方で直轄の工事で非常に進捗しておるわけでございますが、桜島町の方は、最初の方が被害が軽微であったというようなことがありましたので、上流の方は林野庁で治山をやって、それで下流の方は県の補助で細々といろいろな工事をやっておるというのが実情のようであります。いま申し上げた鹿馬野台の支渓から流れ出した土石流を受けとめる受け皿も全然ないという非常に危険な状態でございますので、地域住民あるいはまた町当局は、その砂防の工事を建設省の直轄でやっていただきたい、こういうような強い要請があるのでございますが、建設省の方、来ておられますか。
  180. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) ただいま先生おっしゃいましたように、桜島町は最近非常に土石流の災害が頻発しております。そこで建設省としましても、桜島町に存します河川のうち本年七月の十三日の降雨で非常に災害の大きかった金床川につきましては、昭和五十六年度から直轄施行区域に編入の上、直轄砂防事業に着手すべく、現在財政当局に要求中でございます。また、古河良川、長谷川についても現在計画を見直しておりまして、これについても流域の荒廃状況等を調査の上で直轄施行区域に編入しまして順次直轄砂防事業として着手したいと、かように考えております。さらに、その他の河川についても、関係機関と調整を図りながら今後検討してまいるつもりでございます。
  181. 和泉照雄

    和泉照雄君 農林水産省構造改善局の方にお伺いをしますが、活火山対策特別措置法に基づく防災営農施設整備計画というのは、昭和五十五年度、今年度で終わるわけでございますけれども、現在も依然として桜島は噴火を続けておるわけでございますが、この計画期間を延長する計画はないかどうか、お答え願いたいと思います。
  182. 足立純男

    説明員(足立純男君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、現行の鹿児島県の防災営農施設整備計画は、昭和五十五年度を目標年度として昭和五十三年度に作成したものでございまして、これに基づきまして現在防災営農施設整備事業を実施してきたところでございます。  ただいま御指摘のとおり、現在桜島火山の噴火活動は依然として活発でございまして、農作物の降灰被害も大きい実態でございますので、鹿児島県におきましては五十六年度から五十八年度を目標年度といたします新防災営農施設整備計画の作成を考えておりまして、農林水産省といたしましても、その方向で対処してまいりたいと考えております。
  183. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 自治大臣にまず最初にお伺いをしたいんですが、来年度の予算編成に臨む自治省の姿勢の問題ですが、特に年末の大蔵省との折衝に当たりまして、今年度はどのようなところに力点を置いて折衝をしていく考えであるか。    〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕  それから、もうこれはかつてから問題になっておりますけれども、交付税率の問題で、かなり据え置かれておるわけですが、これを今年度もまた大蔵省当局に対して主張をしていくのかどうか、その点のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
  184. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 大臣がお答えになります前に、事務的な面で私からお答え申し上げますが、御承知のとおり、五十年度以来地方財政も毎年大幅な赤字を出しております。収支不均衡の状態にあるわけでございます。そういった意味で、私ども当面の措置としては、交付税特別会計の借入金なりあるいは財源対策債の増発によって補てんをしてまいったわけでございますけれども、こういった状況が長く続くということは私どもとしては非常に遺憾に思っておるわけでございます。  五十六年度の地方財政対策がどうなるかということにつきましては、ただいま申し上げましたような状況のもとでございますので、私どももいろいろな予測を加えながら検討しておるところでございますけれども、何分まだ今後の経済情勢がどういうふうに推移するのか、したがってそのもとにおける地方税収等がどう変化していくのか、あるいはまた国の予算編成方針がどういうことになってくるのか、それによって歳出等にも響いてくるわけでございますから、そういったこと。あるいはまた、来年度の税制改正がどういうふうになるのか、いろんな点で不確定要素が非常に多いわけでございます。そういった意味で的確に五十六年度の地方財政の収支がどういうふうになるかということについては、率直に申し上げて不明な点が多いわけでございます。  ただ、全般的に考えますと、なかなか税収の伸びというのもそれほど多くを期待できるわけでもございませんし、かなり抑制的な基調で財政再建に取り組むといたしましても必要な仕事はやらなければならないということでございますので、来年度もやはりそう地方財政が楽な状況にあるとは思っておりません。そういった意味で私どもとしても、地方財政が困らないように、地方仕事が円滑に運営できますように、できるだけ、地方税の確保もさりながら、地方交付税の確保ということに力を入れたいし、また、できれば不健全な財源対策債の削減に努力をいたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういった過程で財源不足がかなり出るということになりますと、地方交付税法六条の三の第二項の規定の趣旨もあるわけでございますので、私どもとしてはどういうふうにいま対応するかということを検討していかなければならないと考えておるわけでございますけれども、現時点においては、なかなか不明な点が多いわけでございまして、そういった私どもが作業をしておる過程についての気持ちを最初に申し上げた次第でございます。    〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
  185. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 交付税率の引き上げの問題につきましては、もう毎年自治省が大蔵省に対しまして引き上げを要求をし、しかしその過程でもう常に大蔵省に押し切られたという感じがあるわけですね。いま御説明がありましたさまざまな、地方財政の逼迫の問題とか、抱えている問題は大変多いわけでありまして、ぜひともひとつこの機会に地方交付税率の引き上げについて積極的な姿勢を示していただきたいと、このことを要望しておきたいと思います。  それから、これは自治大臣にお伺いをしたいわけですが、最近出ましたこの「明日の都市」という、これは中央法規出版から出ておるわけでありますけれども、この本は非常に興味深いものでございまして、地方の公務員の実態というのですか、そのものが非常に明確に生の声として収録をされているわけですが、お読みになったことがありますか。
  186. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) うっかりしておりまして実はまだ読んでなかったのでございますけれども、きょう御質問の中で御指摘があるということを承りまして、ちょっと見るだけは見てまいりました。したがいまして中身はようわかりませんけれども、いろいろの方がいろいろの角度でごらんになった意見が収録されておるようであります。精読いたしたいと考えております。
  187. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ぜひひとつ十分に読んでいただきたいと思うわけでございます。これはかなり権威のあるものでございまして、しかも、いままで公務員に対しまして外部からの批判とか提言というものはさまざま行われてきたわけでありますが、これは本当にその仕事に携わっている内部の生の声として出てきたもので、公務員の赤裸々な実態というものが明らかにされておるわけでございます。しかもこれは、そういう試みはいままでどこの機関もやらなかったはずでありまして、わが国では初めてのものでありまして、ぜひひとつ所管大臣として、これはもう十分に読んでいただきたいし、中身を検討をしていただきたいと思うわけであります。  私はごく一部だけ、この本の中のものをちょっと紹介をしておきたいと思うわけでありますが、閣議決定で、行管の方から「今後の行政改革に関する基本的な考え方」というのが九月十二日の閣議了解事項として出されているはずでございますが、この中にも指摘をもちろんされておりますように、「八〇年代以降の行政を展望するとき、」、こういうように述べているわけですね、「政府は、低成長時代、高齢化・高学歴化社会、情報化社会、そしてまた、厳しい国際環境の下において、ますます複雑多様化する国民のニーズに、その限られた財政的、人的資源をもって適切に対処していかなければならない。」、こう書いてあります。まさに言葉そのものは十分に納得できるものでありまして、これでなければいかぬ。時代が急速に変化していくわけですから、その変化をしていくときに住民の要望そのものを先取りするような気持ちで公務員は働いていかなきゃならぬわけです。  ところが、この中の一部に、「職員はやる意欲に燃えているか」と、こういう問いに対して、「いまの役所は、やる気、やる意欲のある職員も」多少はおるがと、こういうわけですね。多少はいますけれども、全体的な傾向を見ますと、「やる気のある者はごく一部で、全体の二、三割」だと、こういうわけですね。ですから、七、八割というものは、大部分は、ただ一日が終わればいいんだ、こういう姿勢だ。あるいは先例踏襲主義で事なかれ主義。先例だけ守っておれば、もうその日がそれでいいんだという事なかれ主義に陥っている。あるいは与えられた仕事しかやらない。ほかの部局が幾ら忙しくても応援をしていくなんということは一切役所にはないんだと、こういうことであります。それから、変化に応ずる問題意識が薄いというわけです。いま世の中これだけ激しく動いていて社会情勢も非常に変化をしているのに、その変化に対する問題意識が薄いというのですから非常に問題があるわけです。それから、新しいものを吸収する意欲に欠けるというわけですね。まさにこれは生の声ですから、実際に仕事に携わっている人々の声を集約したものですからうそはないと思うんです。そういうような実態が明らかになっておるわけでございまして、全体的に見ると、役所というものは覇気がない、活気がない。あるいは役所というものは大体世間から五年くらいおくれているんだ、こういう評価までされているわけですね。  だから、この実態というものについて、自治大臣は、一体なぜこういうような状況になっておるのか、こういうことを所感を承りたいわけでございます。公務員の数というものは大変数が多いわけです。警察とか教育関係とか消防とか、そういうようなものを除いても百六十万くらいの公務員がおるわけですから、これらの方々がこのような状況で執務しているところということは大変な問題だと思う。その点について所感を承りたい。
  188. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 大変むずかしい御質問でありまして、先ほどお挙げになりました書物の中にそういう御指摘があるというお話でございます。そういうふうにみんな世間の者が地方公務員というのを見ておるのかどうかという点になりますと、あるいは若干の問題もあろうと思いまするし、また、二割とか三割がやる気があって、ほかの者はどうもその日暮らしとかなんとかで過ごしておると、そう決めつけて断定されるほどその方の見方が行き届いておるかどうか、いろいろ問題点はあろうと思いますけれども、むずかしいところでありまして、どの組織でもそうだろうと思いますけれども、地方自治体について言いますれば、やっぱり地方自治体の責任者、統括者といいますか、管理者といいますか、その方の心の持ち方なり言動に左右されるところが多かろうと思います。本当にりっぱな指導者であり、りっぱな責任者ならば、組織内の構成分子たる地方公務員がそうだらけておるはずはなかろう。やっぱり上に立つ人がしゃんとして指導すれば、その組織に属する人間はそれぞれ分に応じた働きをするのではなかろうかと考えておりますが、具体的に見てみませんと、どうもはっきりしたお答えはいたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
  189. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いま、役所というのは学生にとっては非常に人気があるわけです。もう役所に入りたくて就職希望者が殺到をしているという。なぜそんなに人気があるのかということですね。やっぱりそれは、一つの理由は、役所というところは民間と比べて非常にいいところだと、こういうことですね。それから給料もわりあいにいい。職場が安定している。これは、何にもやらなくても年限を積んでいけば、給料もそのまま上がっていく。だからそういうことが人気の中心ではないかと思うんですね。  ところが、それだけ殺到をして、大変な試験を受けて入ってきた者が、一体二、三年後になるとどうなるかということですね。ここにも明らかにされているわけですね。最初は意欲を持って入ってきているけれども、二、三年たつと、あるいは四、五年たつと、だんだんとやる気が失われていくというわけですね。それから、余り一生懸命やると——あなたも公務員の経験もあり、あるいは知事の経験もあるから、恐らく中身のことはよく御存じだと思うんですが、ここに知事経験者も大分おられるわけで大分その点は御承知だと思うんですが、余りやり過ぎるとかえって周りから白眼視される、こういう実態だというわけですね。だから、余りやらない方がいいんだと、こういうことですね。それから、こういうある市長の指摘があるんです。「今の管理者のうち、半分ぐらいやめてもらわないと役所全体がよくならない」と、こういう厳しい指摘もあるわけですね。それから、課長になってしまうともうそれ以上、年限がたてば部長とかそういうところに行くから、物事に対する挑戦の意欲がそこで失われると、こういうことですね。だから、がつがつ仕事をやっているのが逆に見ればばからしく見えると、こういうことなのでございます。  大臣も御承知のように、国民はもう国税は一人当たり二十四万程度、地方税は十二、三万納めているわけですね。事実、これだけの税金で雇われている人々が、いまのこのような変化の激しい時代に対処をして、本当は十分に大衆の中に入って、そしてその大衆の意見を十分に聞きながら、むしろ五年くらい先を見て仕事をやるのがあたりまえだと思うんですが、こういう実態になっている。この点どうですか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  もし考えがなければ、私、その指摘をしておきたいわけですけれども、実際、なぜこういうような形になっているかとすれば、やっぱりやってもやらなくても年限が進めば給料が上がっていくという典型的な年功序列型賃金が、原因としてはまず第一ではないか。それから、第二には信賞必罰の制度がないんですね。減点主義、バッテンだけくれている。だから、やっぱり大いにものをやったところに信賞の方を考えないから、バッテン主義だから、どうしても余りよけいなことに手を出さない方がいいと、失敗しない方がいいんだと、こういう形で推移をしてしまっている。これが消極的態度につながっているのではないか。それから、職員の発想やアイデア、いま現代に即応するような創意、そういうものを引き出していく、そういう管理体制がない。そういうようなシステムがなかなか一般的に普及をしていない。こういうさまざまな理由があると思うわけでございまして、指導助言の監督官庁である自治省自治大臣としては、この辺を十分に検討をされましてやっていただきたいと思うわけです。今日までも自治省は、さまざまな行政改革に関連をして、職員の規律とか給与の問題だとか、もう通達はしょっちゅう出しておるわけですが、それが実効が上がらない。実際にそういう通達に沿って、地方がそれに即応していいものは取り入れていくという、そういうことがなかなか実際の面では行われていない。私はそういうことがあると思うんですが、その辺の御見解をお伺いしておきたい。
  190. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) お答えいたします。  各地方自治体、都道府県なり市町村でありますけれども、その首長たる方々は、もう私どもが申し上げるまでもなく、それぞれ厳しい選挙を経て、有権者の信任を得てそれぞれの地方自治体を預かっていらっしゃる方々ばかりであります。したがいまして、組織内、部下の職員の働かせ方等は十分心得ていらっしゃることと信頼いたしておりますけれども、やっぱりお話の中にもございましたとおり、まあ決まり切ったことではありますけれども、信賞必罰というようなことを徹底させるとか、いろいろの方法を講じて、本気で仕事をした者にはそれだけの感謝の気持ちをあらわしてやるというようなことも一つの方法ではなかろうかと、かように考えております。  繰り返しますけれども、地方自治体の首長たる方々は、私ども申し上げるまでもなく十分心得ていらっしゃると思いますけれども、この上とも、その御指摘の著書の中のそういう地方公務員にはやる気のないのが多いというような御批判のないようにしていただくように、お話ししてみたいと考えております。
  191. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それから、国の出先機関の問題ですけれども、これはもうかなりの出先機関があるわけですね。それで、自衛隊とか国立学校とか国立病院などを除いてみると、国の出先機関というのは、合計すれば、支所、出張所も含めまして二万五千以上の出先機関があるわけです。実にこの出先機関に二十二万六千人余りが働いている。しかもこれは自衛隊や五現業の関係、国立学校、病院等を除いてです。二十二万六千人余りが働いている。大変な数です。  その出先機関に対して、それじゃ地方の公務員の方々がどのようにそれらの人々を見ているか、ながめているかということ、それもこの中には出ている。中央省庁の、国の出先機関の方々二十二万幾ら、これは自衛隊とか五現業とか郵便、病院とかそのほかを除きますけれども、この国の出先の機関の職員に対して地方の公務員の方々がどのように見ているか。まず、のんびりして人が余っているというわけです。そして、地方の実態をそういう人たちはほとんど知らない。それから、対市民意識というものがほとんどないというのですね。全くない。指導、助言というものも全くない。それで、問題を十分に理解していない。だから、実力のない上の官吏がやってきたというような感じで見ているわけですね。ここも重要な問題だと思うんです。  私どもは、これらの国の出先機関なんていうものは原則的に廃止せよと——残すべきものは残さないかぬですけれども、ということを行革の問題で提言をし、提唱をしているわけでありますけれども、こういうように見ているわけです。この点について、どうですか、お考えがありましたら、大臣、お答えをいただきたいと思います。
  192. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 国の地方出先機関の職員の働きぐあいについて、地方公務員がどういう見方をしておると思うかというお尋ねでございますが、私も地方に長く勤務した経験を持っておりますから若干の意見を持っておりますが、えて世間では隣の芝生は何かきれいに見えるというようなことも言われておりますが、そういう現象かもしれませんけれども、国の出先機関の人々はまあのんびりしたものだなという感じを地方公務員の諸君は持っておるのじゃないか、それが濃いんじゃないか、かように思っております。
  193. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 これらの問題は、行革と絡めて大いに今後も検討しなければならない課題だと思います。時間がありませんので次に移ります。  次の問題は、必置規制の問題。特別地方機関等の設置の義務づけということですね。必ず設けなければならない、それが法令によってなされているものですね、この必置規制の問題でお伺いをしたい。  このことに関しましては、必ず設けなければならないと法令で規制を課しているのが百三十五事務あるわけですね。総事務数七百八十二のうちの一七・三%を占めている。その根拠になっている法令数が八十五もあるわけですね。これはもう各省庁にまたがっている。そこで、これらの中にはもう全く有名無実の、置いておいてもしようがない、法律にあるから置かなければならない、有名無実のものがいっぱいあるわけですね。そこで、これは行政管理庁が昨年の一月から三月に三カ月間かけてこれらの問題の実態調査をやっているわけでございます。そして各省庁にその実態調査を通知をした、こう書いてあります。行管の今後の方針の中にも、それらの法令の廃止その他検討をすると、こう言っているわけですが、自治大臣といたしましては、もう有名無実になっている、行管がこんなに資料出してやっているわけですから、この必置規制の問題について、次の通常国会において法令の改正を積極的に主導的な立場をとってやっていくつもりがあるかどうかお伺いしたい。
  194. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまお話しがございました、必置機関の整理の問題でございますが、御指摘のように、行政管理庁調査をいたしたわけであります。われわれもこれには協力をいたしたわけでございますが、御案内のとおり、大変多くの義務設置の機関があるわけでございます。これにつきましては、五十五年行革の中でもやはり取り上げておりまして、いまお話しがございましたように、法令整理をする段階でこれをやはり整理しなきゃいかぬだろうと思っております。ただ、これは大変相手が多うございまして、先生御案内のとおり、大変多くの出先なりあるいは協議会なりあるいは職制なり、いろんなものがあるわけでございますから、これを一つ一つ片づけていくには大変な労力が必要でありますが、ともかく、やはり私たちも地方自治体の自主性というものを重んずるという意味から申し上げますと、なるべくこういうものはない方がいいわけでございまして、でき得るなら任意設置の形で置いていただくというのが望ましい方向であろうと思っております。そういう意味で、今後とも行政管理庁と話し合いながら、あとう限りこの法令整理に尽力をしていきたいというふうに考えております。
  195. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この問題は長年の問題になっているわけですね。しかも、行管庁がこれだけ調査をして、人員と時間をかけてやっている。しかも行革の柱の中にはそのことが載っている。しかし、いまのお話のように、それはもう大変多岐にわたってむずかしいからというような、そんな消極的な考え方では、こんなことを幾ら調査して、こういうことをやれと言ったって、やれるものじゃないんですよ、これは。  たとえばトラホーム予防法なんて大正八年にできた法律ですね。あるいは明治にできた法律でも置かなきゃならぬというのもあるわけなんですけれども。ここにちゃんと書いてあるように、トラホーム予防法が大正八年にできたころには、トラホームにかかっていた人がたしか一千万人いたんですよ。だから、一千万人いたから、そのときの必要性があって、そしてその治療のための公的施設を設けなきゃならぬと、こういうことになった。それは当時あたりまえだと思うんですよね。ところが、いまここで行管の調査でも五十二年に一人だと、こういうわけでしょう。一体そんなものが、法律の上ではトラホームの患者を予防するためにそういう施設を設けなきゃならぬということを書いている。そんな法律、こんなものすぐ直せるわけじゃないですか。各党どこも反対しませんよ。  だから、そういうものがもう八十五の法律にまたがってさまざまな問題がある。これを今日まで放置していたなんていうのはとんでもない話で、そのために、ここにもあるように、保健所の職員、一人の職員が八つの職務を兼務して、肩書きを持っている。報告書も出さなけりゃいかぬということで大変な事務ですよ。この法律に基づいて縦割りの事務が地方に落とされていっている。こういう現状を打開をしていかないと、行政改革なんて紙に書いてりっぱなことを言っているけれども、実情はまた二年、三年そのままで、放置されたままでいっちゃうんじゃないか。だから行管はもっと指導性を発揮してもらいたいし、組織機構について担当官庁の自治省はもっとこの問題について各省庁を督励をして、これの改正の問題について積極的にやってもらいたい。そして、次の通常国会ではこれは絶対に実現をしていただきたい。それでなければ、地方の人々は、もうそんな事務ばかりかぶせられてたまらぬ、こういうことになるわけでございまして、この点の見解自治大臣伺いしておきます。
  196. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 御指摘の点につきましては、昨年十二月二十八日でありましたか、前内閣の手で、各般にわたる行政改革計画につきまして閣議決定が行われております。その中に、御指摘になりましたような事項、あるいは法令の整理、廃止あるいは行政事務の簡素合理化、さらに法令の統一的な整序を図りますとか、あるいは報告等の整理をするとか、できるものから手をつけていこうということが決定されておりまして、現に実行中に承知いたしております。  しかし、これは申しましても、なかなか各省庁とも申し合わせどおり、あるいは閣議決定どおり本当に行うかといいますと、油断はならないというのが現状だと思います。地方自治体、いろいろの機関を設置せいと、職員を置けと義務づけられまして、非常な迷惑を受けております。御指摘のとおりであります。地方自治体が、法令等があるがために必要もない職員を置く、機関を置くというようなことをせぬで済みますように、自治省としましても、今後とも責任を持って努力しなきゃいけないと、かように考えております。
  197. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 次の通常国会でやってくれませんか。こんなの簡単にできますよ。
  198. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) いま大臣からお答えをしましたように、必置機関の数が大変多うございますし、それぞれの必要な問題につきまして各省がそれぞれ設置をいたしておるわけですが、実はこの問題については、御指摘のように、いま初めて指摘をしたわけではございませんで、自治省としては前々から各省にその廃止なりあるいは任意設置の方向なりについて申し上げているわけであります。たまたま国がこれを取り上げまして、こういう結果が出たわけであります。しかしどうも、こういう例がいいのかどうかわかりませんが、たとえば地方事務官制度がございます。これも三十年来の懸案でございまして、これにつきましてもずいぶん、最近まで廃止をするような努力をしてまいりました。しかし、これは地行での附帯決議もございまして、私たちとしては誠心誠意努力をしたつもりでありますが、なかなかこれは各省ともいろんなかかわりがございまして、閣議の中の十七対一の議論となりまして、なかなかうまくいきません。今回は行管が出ましたから十六対二ぐらいの話になるかと思いますが、そういう中で、こういうものを各省の中にいろんなことをやっていかなければならぬというのは大変つろうございます。  そういう意味で、やらないという意味ではございませんが、ともかく先ほど大臣が申し上げましたように、公共団体としての自主性というのは当然われわれとしては尊重していくべき筋合いのものでありますから、そういう観点に立ちまして、今後とも各省と鋭意努力をしてまいりますが、通常国会までにこれ全部をやれと言われましてもなかなかむずかしゅうございます。そういう意味で、努力だけはいたしますが、全部これを成し遂げるということについては、直ちにいまそういたしますということの御返事は差し控えさしていただきたいと思います。
  199. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そんな有名無実なものをいつまでも置いておくような、そんな国はないですよ、恐らく。日本の行政官庁というのは世界に冠たる能力を持っている。しかし何でこんな簡単なものができないか。まあ私は初めて議員になってきて勉強さしてもらったんですけれども、まさにこれは不思議なことの一つですよ。こんなこと、本当にやっていただかなければ困る。要望しておきます。  もう時間がないから、本当に残念ですけれども、質問事項もう一つだけお伺いをしておきたいわけですが、これは環境庁の関係ですが、環境庁は湖沼環境保全特別措置法案というものを次の国会に出すように、中央公害対策審議会に対して答申案の作成を諮問したと、こういうことになっておるわけですが、この法案を伝えられるように次期国会に必ず出すのかどうか、その点をひとつお伺いをしたい。まずそれだけお伺いをしておきます。
  200. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) お答えいたします。  先ほどお示しのようなスケジュールにつきましては、大臣から強く指示されております。私どももそれに沿って作業を進めているところでございます。
  201. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 これに関連をいたしまして、琵琶湖とか霞ケ浦とか中海とかそして長野県の諏訪湖、これが汚染の激しい湖沼だと、こういうように言われているわけでありますが、この中で、諏訪湖の問題で、私もこの夏諏訪湖を見てきたわけですが、あそこではもう二十年来汚染が進みまして、十五年くらい前から積極的な、県、市町村、国の援助をいただきまして、浄化対策に取り組んでいるわけですが、いまだにそんなにきれいになったという感じは受けられないわけでございます。ここ過去五年くらいのデータを見ましても、CODは基準値の三PPmの三倍くらいでずっと経過をしているわけですね。この諏訪湖というのは、あの地方では風光明媚なところであり、諏訪湖を中心にして経済、文化、生活が成り立っている地域で、しかもこの諏訪湖は観光資源であって大変重要なところなんですが、一体この基準値三PPmの達成の見通しが、いまの対策を進めていけばそれが達成できるかどうか、見通しをひとつ環境庁から。
  202. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) お答えいたします。  諏訪湖の水質につきましては、昭和四十六年に環境基準を設定いたしましたが、先ほど御指摘のように水質の回復ははかばかしくございません。このため、公害防止計画を策定して公害防止対策を推進しておりますが、なお不十分な点がございますので、本年の九月に内閣総理大臣から、「松本・諏訪地区に係る公害防止計画策定の基本方針」が出されております。私どもといたしましては、昭和六十年度を目途といたしました公害防止計画に基づき対策事業を積極的に推進することにより、環境基準の達成に努力してまいりたいと考えております。
  203. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この浄化問題はむずかしい問題があり、非常にさびしい限りであります。  そこでお伺いしたいわけですが、あそこでは沼の二・五メートルのどろを取るしゅんせつ事業をやってきているわけです。それで、ことしでこの事業の一次が終わるわけです。しかし、この四十四年から五十五年のしゅんせつ事業によりまして百六十万立方のしゅんせつをした。しかし問題は、二・五メートル以上の深いところにどろがいっぱいたまっているわけでありまして、その中に燐が含まれていると、こう言われておるわけです。あそこは非常に深さが浅いものですから、ちょっとの波とか風でそのどろが吹き上げられて、攪拌するような形になって汚れていく。したがって、その深い部分の、あと六百七十万立方あると言われている、その燐が含まれている底のどろを実際にしゅんせつをしなければ、かつてのようなきれいな諏訪湖は戻ってこない、こういうように思うわけでありますが、一体あと残りの深い部分のどろを取ることが可能なのかどうか。できれば、そのために第二次しゅんせつ工事をやるようにしてほしいと思うわけでありますが、その点の見解。  それからもう一つ、時間がありませんのでもう質問だけしますが、三次処理施設の建設の問題であります。これが実際できなければ燐というものを除外することができない、こう言われているわけです。そこで、霞ケ浦や琵琶湖あるいはその他の地域には三次処理場の国の補助があるけれども諏訪湖の場合はない、こう言われておりますが、その点の事実関係を明らかにしていただきたい。  それと、今度出そうとしている湖沼の法律案の中に、諮問をした中に、排水規制、総量規制の問題もあるわけですが、それでかなり業種も広げられておるわけでありますけれども、諏訪湖の場合は旅館が非常に多いわけです。その旅館から出てくる排水の問題があそこでは問題でありまして、ところが旅館は大小、大変小さな旅館もありますから、それを規制によって浄化槽をつくれということになれば、一千万円以上の金を出してつくらなければならぬという大変な財政的負担になる。この辺のことも十分に配慮しながらこの問題は考えていただきたい。  以上でございます。
  204. 陣内孝雄

    説明員(陣内孝雄君) 私の方から汚泥のしゅんせつについてお答え申し上げます。  先生御案内のとおり、諏訪湖の汚泥しゅんせつにつきましては、当面の目標といたしまして、風浪等によるヘドロの浮上並びに水生植物の繁茂を防止するために、水深二・五メートルまでのヘドロ約百四十八万立方メートルを本年度中に完了する予定としております。今後一層湖水の浄化を図るためには、内部要因となっておりますこのヘドロのしゅんせつを進めていくことが有効であろうかと思いますので、従来と同じようなポンプしゅんせつ工法によりまして堆積汚泥のしゅんせつを続けてまいりたいと思いますが、捨て土場の確保等の課題もございますので、現在県で調査しておりますから、これらの成果を待って積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  205. 伊藤俊美

    説明員伊藤俊美君) 諏訪湖流域下水道事業につきましては、四十六年度から事業にかかりまして、昨年、五十四年度に一部供用開始をいたしております。その幹線管渠につきましては、周辺の湖周幹線というのがございますが、これはほぼできておりますし、それから茅野に向かっております茅野幹線につきましても、五十五年度に完了するということでございますので、今年度をもちまして、三市一町にわたる流域下水道でございますが、大体各市町からの取り入れが可能になるということでございますので、水質改善の面で相当効果が出てまいることかと思います。  先ほどお尋ねの三次処理関係でございますけれども、諏訪湖流域下水道につきましては、周辺から入ってまいります汚水は流域下水道幹線で集めまして処理場で処理をし、それを放流するという形になるわけですけれども、その放流口が釜口水門の直上流という形になっておりまして、諏訪湖に影響がないというような計画になっておる。そういうこともございまして、いま直ちに三次処理という問題にはならないわけでございますが、下流の天竜川の問題、あるいは社会的な条件の変化によりまして必要になるということも場合によってはあるかと思いますので、そういった必要性につきましては今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。三次処理の必要性の問題につきましては、下水道整備が非常におくれておりますのでまず二次処理によりまして全面的整備をできるだけ早く推進をしていく、さらにその必要性を検討いたしまして効果的な状態のもとに三次処理を考えていくと、そういう状態で三次処理の検討を行いたいと思っております。先ほど先生御指摘のように、そのほかの水域におきましては三次処理をやっておるところがあるわけでございますが、諏訪湖につきましてもそういう諸情勢を考えながら検討をしてまいりたいと思います。
  206. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) 旅館につきましては、水質汚濁防止法の規制対象になりました昭和五十年度から環境衛生金融公庫の汚水等処理施設貸付金の対象として低利融資の措置がとられている次第でございます。諏訪湖周辺につきましては六百余りの旅館がございまして、国の一律的な基準に加えて条例によりまして上乗せ規制がかかっている状況にございます。こういうものにつきましてもあわせて融資の措置をとっているわけでございますが、水質汚濁の観点から申しますと、特に湖沼の場合、小さな発生源が非常に多いという特徴はございますけれども、今後湖沼対策を進めるに当たりましては、こうした中小規模の施設に対して十分配慮するよう今後検討をいたします。
  207. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 私は、十二年間質問される側に立たされましたわけで、そのころ、一日でもいいからぜひ質問をする側に回りたいと思った日がきょう来たわけです。しかしながら、けさからいろいろ議論を闘わして皆様相当お疲れのことと思いますから、できるだけ簡明に御質問をいたしたいと思っております。  地方自治と申しましょうか、あるいは地方制度の民主化と申しましょうか、こういう面は、日本の政治及び社会における民主化のうちで最もおくれている分野ではないかということを十二年間の経験からしみじみと感じたわけでございます。それで、自治省といたしましては、地方自治体と協力をして、そうして、このようにおくれている地方自治あるいは地方制度の民主化を推進をするということが最も重要な責務ではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  208. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 美濃部委員には、三期十二年間の長きにわたりまして、地方自治体の中においても規模も最も大きく、内容もまた複雑多岐な東京都知事という職務を御遂行になりましたその御経験に基づいての御質問であります。私も若干の経験は持っておりますけれども、とうてい十分なお答えはできまいと思いますけれども、やっぱり自治省といたしましては、民主政治の基本であります地方自治が健全に発達しますように努力するのが自治省に課せられた一つの大きな責任であると、かように考えております。
  209. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 ありがとうございました。  それでは一般的な問題に移りまして、私は、地方自治の実体と申しましょうか、地方自治を支える柱とでも言えるものは、中央政府との間の権限配分の問題とそれから税収の配分の問題、この二つが重要な二本の柱であると考えます。そうして私は、この権限も税収も、その配分の状況はきわめて不公平であるというふうに考えております。たとえば法律と条例の区分であるとか、租税の分配の問題であるとか、地方債の発行についての問題であるとか、先ほどお話に出ました出先機関の整理の問題であるとか、あるいは教育委員選任の問題であるとか、あるいは警察行政あり方であるとか、すべての問題が非常に多くの問題を含んでおるというふうに考えます。しかし、最も重大な問題は、地方自治の主役である地方自治体の財政自主権の問題ではないかと、そういうふうに考えておりますが、大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  210. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 地方自治の健全な発達を図りますために、自治省といたしましては最大限の努力をいたしたいと考えておりまするが、各地方自治体も国の一部でありますこと、御承知のとおりであります。地方行政と国の行政、これはやっぱりそれぞれの分野を守り、相互に調和のとれたものが必要であろうと、かように考えております。そういう見地からいたしまして、御指摘になりました権限配分をどうするか、それから最も必要な財源の配分をどうするかという、非常にむずかしい問題でありますが、要するに、国と地方がそれぞれ相侵すことなく独立をし、しかも調和をとって、それぞれの政治が行われるように配慮する必要があろう、そういう点に最も気をつけるべきであろうと、かように考えております。
  211. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 いまのお答えについて、私は若干の異論がございます。と申しますのは、中央政府というのは国全体のことを最優先的に考える機関でございまして、それから地方自治体は住民の幸福といいますか、幸せといいますか、それを最優先的に考える機関でございます。それで、国全体のことを優先的に考えるその考え方と、それから住民の幸せを優先的に考え考え方と、その考え方は、もちろん調和できる限りにおいては調和をすべきであるけれども、しかしながら、どうしても調和できないという問題がございまして、その場合においては十分な対立をし十分な論争をして、そうして互いに中間をとるというふうにすべきではないだろうか。和の政治と総理は申しますけれども、和ばかりでは中央と地方との問題は整理できないことではないかと思います。  それで、権限の問題はまたいつか他日十分に議論をさせていただきまして、きょうは財源の問題を主としてお話ししたいと思うんですが、一般に三割自治と言われております。これは、財源の配分地方には三割しか行かない、しかしながら、行政事務配分は七割が地方に行っている。そうすると、三割の税収入で七割の仕事をしなければならない。どうしても赤字が出るということ——もちろんこれはきっかり三割、七割ということは言えませんけれども、大体において私はそういうふうになっているということを承認しなければならないのではないかというふうに思っておりますが、大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  212. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) お話にございましたとおり、私もその三割、七割という具体的な数字がそのとおりとも申し上げかねますけれども、御指摘の点、三割自治、あるいは七割の仕事地方がやっておると、やらされておるという御指摘、大体御指摘のとおりであろうと思います。  そこで、どうしてそういうことになったかという点でありますけれども、御承知のとおり、地方自治体三千数百、大小いろいろあります。その間には税収の多い団体、あるいはその管内から上がります税収を全部地方自治体の収入に上げても所要額の三割ぐらいしかないという団体もある次第でございまして、そういうところからして——ほかの理由もありますけれども、一応その七割に相当する税収は国が徴収して、その上で各地方自治体の必要とする額を、あるいは交付税という形で、あるいは補助金というような形でそれぞれの団体に配分しておる。やむを得ない措置ではなかろうかと考えます。しかしながら、これが最善だとは申しません。やむを得ずそういうことになっておるのではなかろうかと思います。もっとも、この制度は年々情勢の変化等に応じ、需要の変化等に応じて、検討を怠ってはならない問題だと思います。
  213. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 自治省が、いま話しましたような三割、七割というふうな配分を是正しようと思って努力をされておられることは認めますけれども、まだ十分にいっていないということも事実だと思います。そうして、税の配分仕事のアンバランスというものは、都市において、ことに大都市、中都市において特にはなはだしいということをどうしても申し上げなければならないと思うのです。それは、集積の利益と集積の不利益という問題でございまして、大都市にはあらゆるものが集積をしてまいります。行政の集積、政治の集積、情報の集積、交通も集積いたしますし、それから消費も集積いたします。そうして、こういうふうな集積は、事業を営む企業にとっては非常に便宜な、あるいは利益の源泉になることでございまして、そのために企業は争って東京に集まってくるということになります。そうして企業の集積に応じて人口もまた集積をしていく。それですから、集積の利益は主として企業に吸い取られて企業の利益になると思うんです。  ところが、この集積には、必然に集積の不利益が伴います。それは、ごみの処理をしなければならない、下水をつくらなければならない、道路もつくらなければならない、それから、人口が集中するに従って住宅も建てなければならない。それからまた、何をしなければならない、学校も建てなければならないというふうに、建設をしなければならないことが、つまり社会資本を投下しなければならないことが非常にふえるわけでございます。そして、こういうふうな仕事地方自治体に任されまして、もちろん政府からの補助も来ますけれども、これは超過負担という問題がそこから起こって、全額あるいは大部分のものを政府で負担してくださるのではなくて、負担してくださるのはごく一部分であるということから、超過負担もまた多くなってまいります。  こういう形で大都市、中都市も若干含まれますけれども、ことに大都市における財政的な収入よりも支出が非常に多くなる。そのことは、国税と地方税と合わせまして、税収の県民一人当たり分配というものを見ますと、鹿児島の方が東京よりも上であるというふうな非常な奇妙な現象が——人口一人当たりでございます。一人当たりの分配が鹿児島の方が東京よりも多いという奇妙な現象が出てまいります。そのことは、とりもなおさず、大都市においては財政的な赤字が出る財政の仕組みになっているということであろうと思うんですが、大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  214. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) 具体的に御指摘になりました鹿児島と東京との問題はしばらくおくといたしまして、問題は、地方自治体、特にお話しがございました大都市における地方財政計画の基準財政需要の見方、特に単価の見方が一つと、さらに、年々各省庁で実施します一番大きなのは公共事業費でありますけれども、公共事業の実施額の問題だろうと思います。場合によりますと、御指摘になりましたとおり、需要額の当然多いはずの東京都に比べ、少ないはずの鹿児島県の方が一人当たりでは行政費が多いということがあり得るかもしれませんけれども、また、言葉をかえ見方を変えて言いますると、たとえば東京都——まあ御経験がありますから、私、美濃部委員のおっしゃることに異を唱えましてもとても勝つ自信はありませんが、たとえば東京都、御承知のとおり江戸幕府開府以来国力の大部分を挙げて江戸の整備、あるいは東京市、東京都の環境整備に当たったと思うのであります。その結果でありましょうか、十分とはもちろんいっていないわけでありますけれども、今日では東京都の社会資本の装備率一人当たりにしても、多分、鹿児島県よりは額が多いのじゃないかと思うのでありますが、そういう結果になってきております。  そうとしまするならば、新たな社会資本の投資を、東京と鹿児島をどっちを重くすべきか、人口一人当たりで。ということになりますと、あるいは鹿児島をもっと努力すべきであろうということが言えるかとも思います。しかしながら、これはなかなかむずかしい問題でありますので、担当の局長がお答え申し上げます。その方が間違いないと思いますから。
  215. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いろいろお話を承ったわけでございますが、国民のための仕事を国と地方でどういった形で分担し合うかということになりますと、やはり地域住民実情がよくわかった地方自治体が行政活動の主な部分を引き受けるということがこれは適切であろうと思いますし、そういった意味ではおっしゃるように行政活動の七割は地方団体が引き受けておる。  しからば、それに対応する財源というものをそれに応じて与えることができれば、それはまた一つの方法だと存じますが、御承知のように、地方団体の間には非常に財源の偏在ということがあるわけでございまして、税源が非常にないという地域にも国民要請に応じた一定の行政需要に対応する財源というのを与えなければならぬ。そういった意味地方交付税というものがございまして、まあ私どもとしては、これは形では国税として取っておりますけれども、一種の共同地方税であるというような感じで考えておるわけでございますが、それによってある程度の財源保障を与え、あるいはまた別途国のいろいろな施策もございまして、補助金等が参りまして大体仕事に対応する財源措置というのができておる。  これについてはもちろん私どもも補助金の整理その他いろいろな面で意見はございますけれども、そういった中で、富裕なところもあるいは財源の乏しいところも、国民の需要に応じて一定の行政水準を保つという場合に、先ほどおっしゃいましたように、大都市は税収は多い。しかしまた、この外部不経済というのもあって非常に需要も多いのだと。そのとおりだと思うのでございます。そういった意味で、私どもは従来から、大都市におきますたとえば昼間の流入人口が非常に多い。そのために増加需要もある。あるいは学校を建てるにしても住宅を建てるにしても、高い地価であって、経費も高いということは当然あるわけでございますから、大都市なり都市の税財源の拡充強化ということにつきましては、たとえば都市計画税の創設、その後の税率の引き上げ、あるいは事業所税の創設なりその後の税率の引き上げといったようなこと等で、できるだけ努力をしてまいったわけでございます。  それからまた、大都市の財政需要につきましても、地方交付税の基準財政需要額の算定において、普通態容補正とか投資補正あるいは事業費補正ということを適用することによりまして、大都市としての特別な財政需要を織り込むというようなことをいたしまして、できるだけ配慮を加えておるつもりでございます。ただ、大都市地域の住民福祉を充実をいたしまして、公共施設整備を図っていくための財政需要は引き続いて増大するというふうに考えられますので、私どもとしては、全地方団体の財政状況を見ながら、地方税源の拡充強化、これはまずやっぱり大事なことだと思っておりますが、それとともに、地方交付税の算定なりあるいはまた地方制度の運用を通じまして、大都市の実情に即応いたしました適切な財政措置を講ずる必要があろうかと思っておりますし、また、全体を通じましての、国と地方を通じましての仕事機能分担あるいはそれに対応する財源の適正な配分ということは、今後の大きな問題として、地方の自主、自律性を高めるという前提に立って検討を加えていかなければならない問題であるというふうに認識をいたしております。
  216. 美濃部亮吉

    美濃部亮吉君 反論したいことは山のようにございますけれども、時間がございませんから、お聞きをしておきます。  しかし、いま地方交付税の話が出ましたけれども、東京都には一文も来ないんです。これはもうお目にかかるごとに、集積から来る不利益が東京都にかぶって、それは基準財政需要額に入っていないんだと、それだから地方交付税をくださるのが当然であろうということを言っておりますけれども、かつてくださるとおっしゃったことはございません。そうして、大都市はどうしても赤字が出る、そうしてその補てんは地方債の発行によらざるを得ない。それに対して自治省は絶対の権限を持っております。それですから、赤字補てんをしなければならないために地方債の発行をするということは、昭和三十何年までは地方債の発行は都の、地方自治体の自由に任されておったのが、「当分の間」ということで、地方債の発行を許可制になすって、そうしてそれが三十何年間続いておる。それですから、私は余りに不公平であるからして行政訴訟を起こそうということを決意いたしましたけれども、それは都議会が通りませんで行政訴訟を起こすことはできませんでした。しかしながら、その地方債の発行という首根っこを押さえられまして四苦八苦するのが大都市なのでございます。  まあ時間でございますから、お答えの点は、よくお伺いいたしまして検討をいたします。  終わります。     —————————————
  217. 亀長友義

    委員長亀長友義君) それでは、この際、委員異動について御報告いたします。  本日、神谷信之助君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。     —————————————
  218. 下田京子

    下田京子君 大臣にお尋ねしたい点は、特に冷害との関係で幾つかお聞きしたいと思います。  今回の冷害の深刻さというのは大臣も御承知だと思います。基本的には、冷害対策となれば所管の農水省がやられることでございますけれども、特に、地方自治体を指導し、あるいは援助している自治省の立場からの積極的なかかわりというのが大事になっていると思うんです。各地を回りまして出てきたことが、たとえば自治体独自で、救農事業であるとか、種もみをどう確保するだとか、地方税の減免であるとか、あるいは高等学校の授業料の免除であるとかということで、非常に自治体でやっていくことが多いんですね。そういう点から、実は九月の二十六日の閣議終了後、冷害対策について大臣が特に起債や特別交付税など、救済措置に対する財政的援助をしていきたいと、こう記者会見で述べられているんです。現時点でもこれは恐らく変わらないと思うんですけれども、改めて大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  219. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) ことしの気象は、全く過去に余り例のないほどの異常さでありまして、それがために農作物等に与えました被害は甚大であります。なおその上に、一部ではありましたけれども、台風等による農作物の被害も生じております。最近の被害総額はつまびらかにいたしておりませんけれども、恐らく全国では五千億を超える額に上ったであろうと考えております。特に冷害でありますけれども、比較的寒気の襲いましたのが、農業を主にする地帯に冷害が多く発生いたしております。また、そういう農家を対象としまする中小企業にも大きな打撃を与えております。  これに対しまする施策につきましては、農林水産省なり建設省あるいは通産省等で、それぞれ所要の手当てをしていただいておるはずでありますけれども、自治省といたしましても、特に積極的に自治省が予算を配分する等の方策は持っておりませんが、農作物等に被害を受け、住民の生活が困窮しておる地域等で、その地方自治体が単独でたとえば救農事業等をやります際には、地方債の配分につきましてその充当率を特に向上させますとか、また、資金にいたしましても、できるだけ低利の金融措置が講ぜられますように協力いたしたいと考えておりまするし、さらに、ことしの特別交付税でありますが、去年に比べましてわずか五%程度しか伸びておりませんので、そう自由でもありませんし、また特別交付税といえどもある程度は配分のルールが決まっておりますので、そう災害なりあるいは冷害だけに特別交付税を配分するというわけにはまいりませんけれども、できる限り多くの特別交付税を冷害対策あるいは災害復旧費等に充てられるように配慮してまいりたいと考えております。
  220. 下田京子

    下田京子君 起債や特別交付税で、できるだけその配分等で手厚くという御答弁だったと思うので、具体的にお聞きしたいんですが、まず起債の方なんですけれども、これは公共事業における地元負担分についての起債充当というのはもちろんですけれども、いまお話しになりましたいわゆる冷害による救農事業、救農土木事業、そういうものに対して、具体的なお話なんですが、たとえば東北の宮城県の例なんです。同じ救農事業でも、県単の救農土木事業というふうな総枠で約十億円計上しているんですが、中身は県単の土木事業が八億五千万円、それから小規模土地改良事業が一億円、それからさらに県有林の整備事業が五千万円というふうに分けられているんですね。こういったものにすべて起債の対象をしていただければ助かるわけなんですけれども、これがどうかという点が一点。  それから、さっき充当率はできるだけ引き上げたいということなんですが、聞きますと、五十一年の場合には一〇〇%充当をしたと。つまり、一般単独事業ですと、県に対しては起債充当率が七〇%、それから市町村分については七五%ですが、かつて一〇〇%までやった、だからそれでおやりいただけるか。  それからまた、資金の引受先の話なんですが、それはもう政府資金の方でおやりいただけるか。  この三つ、大変まとめて恐縮なんですけれども、お答えいただきたいと思います。
  221. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お話しのございましたように、公共事業に係る地方負担に対応をする地方債の配分には、できるだけ傾斜配分をするということで対応いたしたいと思いますが、本年の冷害対策のためいわゆる救農土木事業として地方団体が単独で実施するものについて、必要に応じて私ども地方債措置を講ずるということにいたしておりまして、現在地方団体へ事業の種類なり起債所要額等を早急にまとめるべく照会をいたしております。近くこれがまとまるだろうと思っておりますが、具体的な対象事業といたしましては、一つには救農土木事業として有効な事業であって、建設事業等適債性のある事業でありますれば起債措置の対象とすることとしておりまして、調査の結果を踏まえて対処したいと思っておりますが、地方団体の意向等からすれば、主として道路——農道、林道を含むそういった道路、あるいは河川、排水路等の整備事業とか土地改良事業とか、非常に人手を要しまする公有林整備事業といったようなものになるのではないかと思っております。適債事業であればできるだけ広く対応したいというふうに考えております。  なお、ただいま申し上げました調査の結果を踏まえまして、必要な救済土木事業に対する追加地方債措置をするものにつきましては、臨時地方道とか臨時河川等整備事業等はすでに一〇〇%充当するということになっておりますけれども、それ以外のものにつきましても充当率を一〇〇%とする考えでございます。  なお、充当資金につきましても、資金事情の許す限り、良質な政府資金なり公営公庫資金というものを優先的に充当するという予定でおります。
  222. 下田京子

    下田京子君 いまの救農土木事業についてのいわゆる起債の問題ですが、適債事業であるかどうかということは集約した段階で見ていきたいということですけれども、まあ建設事業ということが基本になっていますが、できるだけ拡大解釈といいますか、していただいて、実効あるもので考えていただきたいということを再度要望しておきたいと思うんです。
  223. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 建設事業等適債性のあると、こう申し上げたので、建設事業と申しましても公有林整備事業とかを例として申し上げましたが、そういったものも皆含めて対応できるものはできるだけ広く対応すると、こういうつもりでございます。
  224. 下田京子

    下田京子君 一番、小規模土地改良事業なんということで、皆さん希望しておるようですから、よろしく。  次に、特別交付税の話なんですが、これも対前年比でわずか五%だということで大変だという大臣のお話がございました。ただ、手厚く対応するということになれば、一つのルールは決まっておると思うんですけれども、改めて確認いただきたいのは、特別交付税の算定方法をさらに改善いただけないかどうかということなんです。つまり、これは五十一年の冷害当時は、計算方法ですけれども、被害総額に対して一定の係数といいますか、それを〇・〇一と、こう見たと思うんですね。しかし、そこのところを五十四年のときには〇・〇一五というふうに改正されているはずなんです。だから、手厚くとなれば、当然五十四年度改正の被害総額掛ける〇・〇一五を上回る形で、いわゆる冷害部分という形で特交の配分ポイントを見ていただけるかということなんですが。そうしていただかないと、なかなかやっぱり手厚いということにはならぬではないだろうか。いかがでしょう。
  225. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 当然、御承知かと存じますが、昨年の暮れから地方財政対策でずいぶん詰めてまいりまして、交付税の総額というのは決まっておるわけでございます。特別交付税の額は四千八百億余りということでございまして、その範囲内でいろいろ対処していかなければならない。この四千八百億余りが前年に比べて五%の伸びということで、大変窮屈であるということを大臣から申し上げたわけでございまして、私どもも現段階におきましては、その額をもとにいたしまして被害状況なり財政状況を踏まえて配慮してまいるということになるわけでございます。まあ冷害以外にも台風なりあるいは降雨等のために災害があるとか、いろいろな特殊事情があるわけでございますから、こちらの方だけ特別に傾斜配分をするということもいたしかねる面があるわけでございまして、それにいたしましても非常に大きな被害でございますから、できるだけ対応したいと思いますが、いまおっしゃいましたように、その配分率等を非常に引き上げるということはなかなか容易ではないということを御理解賜りたいと思うのでございます。
  226. 下田京子

    下田京子君 配分率〇・〇一五より以上引き上げるというのはむずかしいということでしょうか。としますと、ちょっと計算してみましたが、県の配分が被害総額全国で——これは九月時点での発表ですが、五千六百七十九億円となっています。それに〇・〇一五を掛けますから、その部分では八十五億円になるわけですね。あと今度一戸当たりの被害額に応じた係数を幾らにとるかというのは、一・〇から一・一五から一・三とあると思うんですが、最高被害があったところの一・三を掛けてみますと、おおよそ百十一億円になるかと思うんです。これが県分なんです。市町村分は、同じような形で計算しますと約百三十六億円。これを全国に分けるので、なかなか大変だなと思うわけなんです。まあこれは、時間ございまんせから、手厚くという大臣のせっかくの御答弁もありました。御決意もありました。確かに大蔵との関係で大変だと思うんですけれども、当然そういった形での配分をめぐる問題になるわけで、そもそもは枠をふやさなきゃならない問題、あるいは別枠ということがあればいいんですけれども、再度要望しておきたいと、こう思います。  次に、地方税の減免の問題なんですけれども、これらについてどのように自治省としては取り組まれているかということでお尋ねしたいんです。  御存じだと思うんですけれども、農水省の経済局長が自治省の税務局長あてに、「昭和五十五年七月以降の冷害等による農作物被害に係る課税上の取扱いについて」ということで、九月二十五日時点でお願いしているわけですね。これを受けまして実際に自治省として何らか特別な配慮をされたかどうかという点をお聞きしたいわけです。
  227. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいまお話しのように、ことしの九月に農水省の方から、今回の冷害が非常に大規模である、かつ深刻であるということから、地方税の減免あるいは徴収猶予等につきまして特別の指導をしてほしいという要請をいただきました。そこで、従来の取り扱い、今年度の状況等を種々検討いたしました結果、本年の九月三十日に、私の名前をもちまして各都道府県に対して、今回の冷害に伴う被災者に対して、税の種類によって納付期限の延長あるいは徴収猶予または減免の措置を適切に講じていただくように通達を出しまして、指導の徹底を図った次第であります。
  228. 下田京子

    下田京子君 通達をお出しになられたと。そうしますと、恐らくそれを受けて今回減免実施がどういう状況になっているのか、あるいはまた、予定しているところがどうなのかという点なんかもつかんでいらっしゃるかと思うんですが、その点はいかがですか。
  229. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 御承知のように、具体的な減免措置等を講ずるためには、各都道府県あるいは市町村におきましてそれぞれ必要な条例改正等の措置が要るわけでありますが、現段階で具体的に何団体が条例制定を行ったかというようなデータ的な把握はできておりません。ただ、私どもの方で通達を出した後、各団体いろいろ問い合わせ等もありますし、接触をした限りにおいては、冷害の深刻な地域においてはほとんどの団体が減免措置を講じていただけるのじゃないかと、このように見ております。
  230. 下田京子

    下田京子君 現在そういうことで指導されている最中ということですが、何か、いじわるじゃないんですが、五十一年のときには、どのくらいの自治体がいまお話しになりましたいわゆる減免条例をつくって実施したかというのはつかんでいらっしゃいますか。
  231. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 今回の措置の参考にもと思いまして、五十一年に深刻な冷害のあった都道府県について、その当時の実施状況をお尋ねしたわけでありますが、回答をいただいたところについて申し上げますと、岩手県の場合には一万三千件の減免が行われております。実施団体が五十八団体であります。それから秋田県の場合が三千二百件でありまして、三十五団体が実施しております。福島県が二千六百件で三十六団体、山形県が三千六百件で三十四団体がそれぞれ減免措置等を講じております。  なお、それ以外の団体については、正確なお答えがいただけなかったために数字を把握しておりません。
  232. 下田京子

    下田京子君 ぜひ、五十一年度にこれが一つのレールが敷かれておりますから、そういう実績等も今後お聞きしながら、本当に特段の措置がとられますように御指導いただきたいと思うんです。  それで、私がこの減免の問題で特に具体的な点でお話ししたいのは、いま御報告がございました中での岩手県の話なんですが、岩手県全体では自治体数が六十二、減免条例を実施したところが六十一、あと、該当しなかったところが二自治体ほどあったということで、減免実施は五十九という資料をいただいております。数が合うとか合わないとかのことではなくて、問題にしたいのは、そういう調査結果、地方税の減免というのはどういう状態だったかというと、いま御報告のように約一万三千件が対象となりまして——数字が若干あれなんですけれども、地方税の減免等については二千五百万円ほど総額でなったと、こう私たち聞いております。同時に、この地方税の減免措置をしたところが国保税にリンクするんですね、減免に。そういうものですから、国保税の方も調べてみましたところが、これはまた約三万人の方々が該当になりまして、減免額が三億円という形です。ですから、一人当たりにしますと約一万円の減免ということになりますので、積極的な指導というのがこういう点からも重要であるという点を御認識いただいて、ぜひ御指導いただければということで、これは大臣、一言お願いしたいと思います。
  233. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私ども、直接減免の指導といたしておりますのは地方税でありまして、国民健康保険税は、御案内のように一部の団体では国民健康保険料という形をとっておりまして、やや違った格格のものであります。そこで、地方税の減免等につきましては、それによる減収は特別交付税等で対処しておるわけでありますが、国民健康保険税あるいは国民健康保険料の減免につきましては、厚生省所管の国民健康保険の財政調整交付金の方で必要な補てん措置が講じられていると承知しております。  そこで、今回のような大規模な冷害の際には、私どもの方で地方税の減免等について指導をいたします際には、厚生省ともよく連絡をとりまして、厚生省からも国民健康保険税あるいは国民健康保険料についてそれぞれこれに対応する適切な措置を講ずるようにと、このように指導していただいているように承知しております。
  234. 下田京子

    下田京子君 次に、減免の基準のお話でお願いしたいわけなんですが、これは先週、十月十六日だったかと思うんですが、農水委員会の方でちょっとお聞きしたときに余りよいお返事がいただけなかったので、大臣もいらっしゃることなので、ぜひ減免の基準を見直していただけないかというお話なんです。  御存じのように、地方税の減免基準、現在生きておりますのは、これは最終改正されたのが昭和四十九年であります。したがって五十一年の冷害のときにはこの基準でやられたわけです。その基準といいますのは、まず第一に、冷害による減収分が平年の十分の三以上であるというのはもちろんだと。それから続いて、前年のいわゆる合算所得が四百万以下であること。ただし、農外収入が百六十万以上は除きますよと。こういうふうになっているわけなんです。それで、四十九年当時の基準をそのまま今回の冷害の減免の基準にするという点では大変矛盾があるのではないかと思うわけなんです。  つまり、農家所得で見ますと、全国平均で四十九年の場合に二百九十四万五千九百円でした。で、五十四年の場合に四百三十三万四千三百円というふうになっております。これが北海道になりますとまた高くなりまして、四十九年で三百六十一万七百円です。それが二年前、五十三年時点で、四百七十万九千百円。まあ全国的に見ましても四百万限度ということで、このままいきますと、平均的な農家は冷害、そして平年作十分の三以上の被害があっても救われないということになるわけなんですね。ここはやっぱりぜひ当然考えてしかるべき問題ではないかと思うんですが、どうでしょう。
  235. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いま御指摘のとおり、現在の減免基準における所得区分につきましては、昭和四十九年に改正したものであります。この基準によりましてどの程度の農家の方が減免の対象になり得るかという点を最近のデータで調べてみますと、たとえば五十三年のデータが一番新しいのでありますが、これで見ますというと、農業所得者の総数の九七・八%がいわゆる四百万未満ということで減免の対象に該当いたします。その中で、特に全額免除になる対象の方は、百二十万以下でありますけれども、四〇%という数字になっております。もちろん農家の事情からすればこれらの数字が高いほど望ましいという御意見が出てくると思いますけれども、この基準につきましては、私ども、毎年見直すということではなくて、一定の間隔を置いて見直しを行ってきている。そして、明らかに該当者が非常に減ってくるというような状態になればこの見直しについて検討するということになろうと思うんですが、ただ、これらの基準は、地方税だけの基準ということでなくて、同時に国税の方の災害の際の租税の減免あるいは徴収猶予等の基準を定める法律がございまして、その法律とのバランスなども考えながらいまの基準をつくっておりますから、他の制度との均衡その他を考えながら将来の検討課題であろうと思っておりますけれども、当面はこの基準で対処をしていくことでいいのじゃないかと、このように考えております。
  236. 下田京子

    下田京子君 いまのお話は、ちょっとすりかえしているように感じるんです。つまり、この基準というのは確かに国税との関係があって限度が四百万に抑えられておりますが、冷害による農家の救済というのは農外所得が百六十万以上あれば除きますよという規定があるんですよ。だから、農業所得で見るんじゃなくて、その農家全体の所得で見た場合に、いま言った、四百万以下で九七・八%が入りますという数字は、これは確かでないと思います。  それからもう一つ、もう時間がないのでまとめておきたいし、これは大臣にぜひ検討いただきたいことなんですが、四十九年のときに、国税との関係で基準の見直しをするときに、大蔵省で、四十六年に限度を二百万だったわけなんです。その三年後に四百万にしたわけなんです。なぜそうしたかというと、最近における所得水準の上昇等に顧み、災害減免法による所得税の減免等を受けることができる災害被害者の所得限度額の引き上げを行うものであると。つまり、大変所得水準が上がってきているからやったんだよということなんですね。そういう点でいけば、所得水準も大変にこれは上がっているので、私も農家所得の推移を見てみましたら、農家全体の所得で見ますと、四十九年当時を一〇〇としまして、五十四年で一四七・一%になっているんですね。こういう状態なので、もう当然これは改正というか、考えていくべきではなかろうかと思うんです。おっしゃるように、自治省だけでできない部分でございますから、大蔵当局ともよく相談して対応してほしい。  それからもう一点。とすれば、その減免基準の中の区分の問題。これは自治省にかかわる部分だと思うんですけれども、これは「災害被害者に対する地方税減免措置等について」という中で、第四の「減免」、その二の「市町村税関係」、さらに、「個人の市町村民税および個人の道府県民税」にかかわる分野で、五つのランクに分かれているわけですね。百二十万以下、それから百六十万以下、二百二十万以下、三百万以下、三百万以上と。この五ランクの区分を見直していただくというふうにはならないだろうかということなんです。これは具体的な話ですが、百二十万以下のことで調べましたら、北海道の江別市の場合に、五十一年の場合には四百四十二世帯ありました。それが昨年のあれで見ますと二百三十三世帯と、実に二百九世帯も減っております。こういう状態なので、ぜひ御検討いただきたいということをお願いして、御答弁いただいて質問を終わりたいと思います。——最後なので、できれば大臣にひとつ。
  237. 石破二朗

    国務大臣石破二朗君) お答えいたします。  税の減免を実施するに当たりまして、一定の所得額を再検討する必要がありはしないかという御指摘でありますが、理屈から申しますと、貨幣価値の変動に伴う調整は当然やるべきものと考えますけれども、税務局長が申し上げましたとおり、従来、何年間かを経過するごとに修正したという過去の経緯もあるようでありますし、また、自治省だけでやるわけにはまいりませんで国税との間の調整をする必要があろうとも思いまするし、いまここでどうしますというお答えを申し上げるわけにはまいりませんけれども、御指摘の趣旨が実現することができますように、関係方面とも相談いたしまして努力してまいりたいと思います。  なお、区分の問題につきましては、税務局長からお答え申し上げます。
  238. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 現在の減免通達の中における減免の区分でありますが、これも冷害関係につきましては地方税独自に定めておりますけれども、その区分も、この通達の冷害の前にあります。一般の災害の際の区分とのバランスでこれはでき上がっております。その災害の方の区分というのは国税の方の区分と合わしておるというような関係で、いずれにしても国税の災害減免法とのバランスで全体が組み立てられておりますので、ただいま大臣が申し上げましたように、さらに国税との関係等も含めて研究してみたいと思います。
  239. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会      —————・—————