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政府委員(
児玉清隆君) 先に手形のサイトの問題についてお答え申し上げます。
先生御指摘のように、大手
業者の受け取る手形と
中小企業の受け取る手形につきましては、
一般論といたしましても若干差がございまして、御指摘のように
中小企業、特に零細の受け取る手形が非常に長期のサイトになっておるという事実を私どもも十分
承知をいたしております。したがいまして、こういったしわ寄せが不公正な取引
方法ということになる、あるいは実際に支払い等遅延防止法の規定に反するということで、一方におきましては相当強い
規制をやっております。この点につきましては、
中小企業庁と
公正取引委員会とは全く二人三脚でございまして、同じ立場でこの防止法の運用を担当官庁といたしまして相互に連携をとりながらやっております。そして、現在のところ
中小企業庁の関係分で申し上げますと、大体いろんな支払条件の全般的な
調査というのは三万六千件、五十四年度やっておりますが、これを五十五年度におきましては四万件というふうにさらに拡充するという方途をとっておりますが、そういったことで対象を拡大して
規制の強化を図るということはもちろんでございますが、実際はやはり商取引の問題でございますので、指導という面も非常に重要でございます。したがいまして、公取と私どもとの連名で基準を一応通達を出しておりまして、それが
繊維につきましては九十日、それからその他のものについては少なくとも百二十日以内というような基準をつくっております。これに抵触いたしますものにつきましては、相当な強い私どもの
行政指導及び具体的な
規制措置をとるわけでございまして、ただ私どもも
中小企業の皆さん方にも直接申し上げるわけでございますが、非常にひどいものがあった場合は具体的事例としてぜひ持ってきてもらいたい。私どもは決して持ってこられた方に迷惑をかけないということに配慮しながら適切な
措置をとりますということを最近も強く申し上げております。ただ、残念ながらそういった事例が非常に少のうございまして、
実態に対する対策としては私どもはまだ完全にそういった趣旨が徹底してないということで、今後もさらに目に余るものにつきましては私どもの方から一方的にやりますが、そうでない具体的事例につきましてできるだけ
中小企業の方も御協力を願うという線で誘導してまいりたいと思っております。したがいまして、いきなり法改正でこれを取り締まるという関係になりますと、実際の商取引の
実態等からいたしまして、また手形の枚数、これも何百万枚となるわけでございますから、そういったことをどうやって担保するかという
方法論の
問題等もございまして、いますぐ法改正ということよりも、実質的な一日でも二日でも手形のサイトを基準日以内に押し込んでいこうという
努力をやっております。
なお、いま大蔵省の方から御
答弁がございましたいわゆる承継税制の問題でございますが、これにつきましてはいま大蔵省からお話がございましたようないろんな質的な差がございますので、いきなりというわけにまいりませんが、
先生御指摘のようにこの相続税の扱い、運用につきまして、制度上の問題と運用につきまして農業との差が非常にひど過ぎる。そして、現場におきましては、最近は農村も二種兼業農家もふえまして、いろいろ農村
地域におきましては農
業者と
中小企業者が併存している。同じ
地域においてそういった非常なギャップが目立つということは非常に不公正ではないかというような議論もございまして、これについては具体的な改善策を求める声が非常に強いというふうに私ども
承知いたしております。全国至るところ回りましてもまず聞きますことは、ちょうど世代交代期にあることもございまして、何とかこれは改善してもらいたいという声が非常に強うございます。したがいまして、私どももこれは放置できないということで、
中小企業政策上の立場からもこの問題については真剣に取り組もうじゃないかということで、十月の二日に第一回をやりましたが、承継税制研究会というものを設けまして、相当各界の
専門家を網羅いたしましてこの問題について深く勉強をさしていただいているわけでございます。したがいまして、そこで現在の相続税の
実態とかあるいは制度運用上の
問題点等につきまして真剣に検討を開始いたしておりますので、なるべく早い機会までにそういった成果を上げまして、それを踏まえた上で税負担の
実態等に即したいい制度の方向に改善をひとつ提言しようじゃないかという構えでおるわけでございます。
もちろん、先ほどお話ございましたようにこれは税の問題でございますので、税の軽減とかあるいは延納の制度とか、そういうものにつきましてはこれは一般個人とのバランスとかあるいは事業用資産、特に土地について農業との具体的な条件の相違等もございますので、そういったものも十分広く検討いたしまして結論を出したいと、このように考えております。