○多田省吾君 本
法案についての
質疑は後で詳しくやりたいと思いますが、
選挙制度問題で若干
お尋ねしておきます。
私は、
選挙制度というものは
国民の意思が正確に
選挙に反映する、すなわち、たとえば得票率と議席率は一致する、得票に応じた議席が正しく反映される、それが当然だと思うのです。それがまた一番大事だと思うのです。しかし、わが国の
選挙制度を見ますと、そうではなしに、民意の尊重というよりもむしろ政局の安定というものに重きを置きまして、たとえば四十数%の
国会選挙における得票でも、第一党は五十数%あるいは六〇%近くの議席を占め得るというような
選挙制度になっているのではないか、このように思うのです。その理由は、やっぱり衆議院では、
国民の要求というものが多重多層化している現在、
政党も数え方によっては七つとも八つとも九つとも十とも言えるような姿がございます。それに対して三人区というのが非常に多いとか、あるいは現在もなおかつ定数の不均衡がはなはだしくて、一対四近くの不均衡が存在するわけです。今度の国勢調査の結果、十二月初めには概数が発表されると思いますけれ
ども、私はそれによれば一対四を超えるようなアンバランスが示されるのではないかと懸念するわけでございます。
また、
参議院地方区にありましても、御存じのように神奈川県と鳥取県の間の定数のアンバランスというものは、
昭和五十年十月一日の国勢調査結果の人口によりましても一対五・五というようなアンバランスがすでに存在しておりますし、昨年十月の総理府統計局の人口調査によれば、これは概数でしょうけれ
ども、やはり一対五・七八というようなアンバランスが存在しておりますし、恐らくこれも十二月に今回の国勢調査の概数が発表されれば一対六近くまでアンバランスが広がるのではないかと、このように思われます。そういうような姿がありますし、そのほか
参議院地方区では御存じのように一人区が四十七都道府県のうち二十六を占めるような圧倒的な多い姿である。こういう姿から、多党化の現在においてそういう小
選挙区が存在するということで、あるいは定数の不均衡がはなはだしいということで、私は民意が正確に
選挙に反映してない、
政治に反映してない、国政に反映してないということが言えるのじゃないか、このように思うのです。
ですから、私は、まず第一に
選挙というものは民意の尊重、すなわち
国民の意思が正確に
選挙、
政治に反映するという姿がなければならない、このように思うわけです。私はアメリカでもイギリスでもヨーロッパ諸国でも議会制民主主義を尊重している国々の
選挙というものは大体民意の尊重というものが成り立っていると思うのです。
ところが、わが国だけは衆議院
選挙においても
参議院選挙においてもそれがないということは非常に残念であると思います。その上に 先ほどからお聞きしますと、前回のこの
委員会の御
答弁でも、また本日の
大臣の御
答弁でも、盛んに衆議院においては小
選挙区制が望ましいということを
大臣はおっしゃっております。いまの日本の多党化している現状において、この多党化もやはり
国民の要求というものが非常に多重多層化しているからこそ多党化したのだ、このように私は考えておりますが、それを今度は
選挙制度で二大
政党対立に持っていこうというような考えがあるとすれば、それは私は本末転倒である、このように思うわけです。
私は、アメリカとかイギリスが小
選挙区制を採用しているというのは、もともとアングロサクソン民族というのはどんな
選挙区にしようとも二大
政党が対立するような性格があると思うのです。
ところが、その他の国々では、ヨーロッパの国々は
大臣も御
承知のようにほとんど大
選挙区制です、特に第一院においては。ですから、日本にいまの現状において小
選挙区制を持ってくるということは、死票も多くなるし、民意が正確に
政治、
選挙に反映しなくなるし、私はこれはやるべきではない、このように思うのです。
それはそれとしまして、いま
参議院全国区の
選挙制度、
選挙区制というものが問題になっております。しかし、
総理大臣も常々この
選挙区制、
選挙制度というものは野球のルールのようなものである、あるいは相撲で言えば土俵のようなものである、ですから各党がしっかり
検討してもらいたいということをおっしゃっているわけでございまして、私は余り拙速的に与野党の一致も見ないで
選挙制度を早急に変えるということには反対です。相当のやはり話し合いをしなければならぬ、そして与野党一致したものをつくるべきである、このように思います。
それから定数の不均衡につきましても、衆議院はもとより
参議院地方区においても、やはり今度の十二月の国勢調査の概数発表と同時に、私は、これも
国民の基本的権利の問題であり、投票価値の平等化ということは
国民の権利にとって最も大事な問題でございますから、これも早急に
検討すべきである、このように思います。
それで、
お尋ねしますけれ
ども、前に、鈴木総理が誕生したころ、総理は、第八次
選挙制度審議会を発足させてもいいというような発言が記者会見等でありましたけれ
ども、どうも最近はおっしゃらなくなったようでございます。第七次
選挙制度審議会が二年にわたって討議したのですが、あのときは衆議院の解散等もありまして、衆議院の特別
委員は全然いないというときに答申ができなくて中間報告というものを
昭和四十七年の十二月二十日に出したわけです。
ところが、そのときもやはり
参議院の
選挙制度につきましては第一
委員会の小
委員会というものを設けまして、それで地方区の定数是正あるいは
全国区の
制度というものを
検討したわけでございますが、地方区の定数是正においては、東京、神奈川、大阪、それから岐阜と宮城県、この五つを二名ずつ増加を図る、十名増というようなこと、それからそのときに第一
委員会の小
委員会では、
参議院の
全国区
制度につきましても、少なくともいま自民党が
審議されているような拘束名簿式比例代表制というものはその場には全然持ち上がっていないわけです。そしてそれも、ここに報告内容を私も持っておりますけれ
ども、「第一
委員会は、
参議院議員の
選挙制度について右のとおり小
委員会から報告を受けたが、時間的制約もあって、その内容について全く実質的
審議を行なうに至らなかった。」と、こういうようなことで、第一
委員会でもまた総会でも一遍も
審議されてないわけです。ですから、こういった状況にかんがみまして、私は、むしろ衆参の定数是正あるいは
全国区
制度というようなものに対して第八次
選挙制度審議会をつくってもいいのじゃないかと、このような考えも持っているわけです。
大臣はどう思われますか。