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1980-10-28 第93回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十八日(火曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      松本 英一君     勝又 武一君      江田 五月君     前島英三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮之原貞光君     理 事                 坂野 重信君                 堀内 俊夫君                 増田  盛君                茜ケ久保重光君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 谷川 寛三君                 中村 禎二君                 増岡 康治君                 赤桐  操君                 勝又 武一君                 二宮 文造君                 原田  立君                 三木 忠雄君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  斉藤滋与史君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      柴田 啓次君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁水資源局        長        北野  章君        国土庁大都市圏        整備局長     伊藤 晴朗君        建設大臣官房長  丸山 良仁君        建設省計画局長  宮繁  護君        建設省都市局長  升本 達夫君        建設省河川局長  小坂  忠君        建設省道路局長  渡辺 修自君        建設省住宅局長  豊蔵  一君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁水質保全        局水質規制課長  渡辺 一志君        農林水産省構造        改善局農政部長  関谷 俊作君        農林水産省畜産        局自給飼料課長  高原  弘君        林野庁林政部管        理課長      平賀  滋君        中小企業庁計画        部金融課長    米山 揚城君    参考人        日本道路公団理        事        大島 哲男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (中小建設業振興対策に関する件)  (都市計画変更に関する件)  (地下街防災対策に関する件)  (国道昇格に関する件)  (地価対策に関する件)  (水資源開発に関する件)  (震災対策としての道路整備に関する件)  (富士山麓野渓調査及び治水対策に関する  件)  (琵琶湖総合開発事業に関する件)  (国道一〇号における椎田バイパス等整備に  関する件)  (市街化調整区域における宅地開発に関する  件)  (飯田堀周辺市街地開発に関する件)     —————————————
  2. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、松本英一君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として勝又武一君及び前島英三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、日本道路公団役職員参考人として出席を求めることについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 谷川寛三

    谷川寛三君 私は、きょうは建設省の方に中小建設業の問題、線引き、それから地下街防災対策、それからできたら大臣がおいでになってからお答えを賜りたいと思いますが、国道昇格の問題。それから、国土庁の方に三全総——定住圏構想のこと、それから土地対策、こういうことで御質問を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。  まず、中小建設業の問題ですが、最近建設業者倒産が大変ふえております。九月現在の倒産件数は一月からの累計で三千六百二十件になっています。これまでの最高が五十二年ですが、これに匹敵するぐらいの水準になっておりますが、まず私は、建設省の方に建設業界の現況についてお伺いをしたいと思います。  あわせて御質問申し上げますが、こういう状況からもわかりますように、建設業者、特に中小建設業者経営は、お話伺いますが、大変悪化しておるように思うんでありますが、建設省といたしましてこのような実態を踏まえまして、中小建設業者倒産防止、それからその育成を図りますためにどういうような施策を講じてきておられますか、こういった点につきましてお伺いをしたいと思います。
  7. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) ただいまお話がございましたように、中小建設業をめぐる環境は非常に厳しゅうでございます。これまで公共事業等執行が抑制的に行われてまいりましたし、また、民間住宅を初めといたします民間建設活動停滞をいたしております。そういった理由によりまして建設工事受注額停滞をいたしておりまして、倒産もただいまお話がございましたように大変ふえております。九月では、民間信用機関調査でございますけれども四百八十件、前年同月比に比べまして二六%増。負債金額では五百四十七億円で七三%増というようなことになっております。昭和五十五年の一月から九月の間にも、前年同期に比べまして件数で約一四%、負債金額で二三%というふうに増加しております。また特徴的な点は、資本金が一億円以上の中堅業者につきましても、九月までに七件倒産というような実情でございます。このまま推移いたしますと、これまで倒産が最も多かった昭和五十二年に匹敵する水準に達する恐れもあるのではないかというふうに心配をいたしております。今後におきましても建設投資の大幅の伸びが期待できないような状況でございますし、建設業経営環境は非常に厳しいものがあろうと思います。  それで、この対策でございますけれども、やはり建設業者御自身の企業努力によりまして、経営基盤強化とか企業体質改善ということが一番重要なこととは思いますけれども、当面いたします倒産対策といたしまして、中小建設業者資金繰り安定化等に資するために下請代金支払い適正化につきまして主要な公共工事発注機関都道府県及び建設業者団体に対しまして元請建設業者指導徹底をいたしております。  それから二つ目には、中小建設業者連鎖倒産防止する意味で、金融円滑化を図るために、九月十九日に通産省の中小企業庁の方で指定をしていただきましたけれども倒産関連特例債務保証制度におきます不況業種建設業を指定してもらいまして、この保証制度によりまして金融円滑化を図っている、こういうことを現在指導徹底をいたしております。  また、資金繰りにつきまして困窮を来している中小企業者に対しましては、政府系中小企業金融機関が弾力的な条件で貸し付けを行う中小企業倒産対策貸付制度がございますので、これらの利用につきましても、中小企業方々がこの制度を十分活用できますように強く指導いたしておるような次第でございます。
  8. 谷川寛三

    谷川寛三君 いま概略お伺いいたしましたが、私は何といっても中小建設業者の安定的な経営確保いたしますためには、公共事業受注機会がこういった中小人たちに均てんするように配慮をしてもらうことが一番必要だと思います、いろいろいま対策伺いましたが。そういうことを考えまして、中小建設業受注状況につきまして、ちょっとお答えを賜りたいと思います。  それから、こういった機会確保いたしますために、建設省といたしましてどういうふうな施策をやっているか、そういった点の説明をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 建設省直轄工事におきます中小企業向け発注の実績でございますけれども金額ベースで見まして、昭和五十四年度は四四.九%でございました。それでいま仰せのとおり、この建設業の大半を占める中小建設業振興を図るためには、公共工事につきまして中小建設業者受注機会確保がぜひとも必要でございますし、このため、私どもにおきましてもかねてから所管事業執行に当たっては、十分注意をしているつもりでございます。  たとえば、一つとしまして、発注標準を遵守しまして、契約予定金額に対応する等級より上位の業者を極力その選定を避けるというようなことをやっております。二つ目は、工事種別とか工程その他いろんな問題がありますけれども、可能なものはできるだけ分割発注をするというようなことをやっております。それから三つ目には、中小業者の能力の向上を図るため、共同請負制度の活用というようなことをやっております。これらの手段によりまして中小建設業者受注機会確保努力をいたしております。  五十五年度におきましても、建設省直轄工事執行に当たりましても、中小企業向け発注目標を四五%に設定いたしまして、次官名をもちましてそれぞれ発注者に対しまして指導を行いまして、中小建設業者受注機会確保に努めているところでございますが、今後ともこれらの点につきましては、十分意を用いてまいりたいと考えております。
  10. 谷川寛三

    谷川寛三君 そこで、いま発注基準お話が出ましたが、いまの発注標準というんですか、A、B、Cの、あれは四十九年以来据え置かれておると思うんでありますが、そういうことのために一方では大企業地方の小さい仕事まで取りに来ておるという状況の中で、大変中小企業のシェアが狭められておるように思うんであります。そういう観点から、いまの中小建設業育成というあれも含めて標準を早急に改正すべきではないかと思いますが、これは検討しておりませんか。
  11. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) ただいまお話がございましたように、建設省直轄工事発注につきましては、業者を格づけをいたしました上、工事の内容とか事業規模等に応じまして、たとえば土木とか建築でございますと、五ランクというようにランクづけをいたしまして、相応工事相応業者発注することができるように工事種別ごと発注標準を定めましてそれを遵守する、こういうことをやっております。しかし、ただいま仰せのように、現行の発注標準金額は、昭和四十九年八月に改定されたものでございます。その後建設総合デフレーターも大幅に上昇しております。昭和四十九年を一〇〇にいたしますと、現在では一五〇程度になっておるのではなかろうかと推定されます。そういうようなところからお話のような問題点も出てまいりますので、五十六年度実施を目標にいたしまして、いまその改定を準備いたしておるところでございます。
  12. 谷川寛三

    谷川寛三君 これはぜひひとつ早急に、五十六年度目標というお話でありますが、改正をしていただきたいと思います。  それでは次に、さっきもお話がありましたが、予算でもそうなっておるわけでありますが、最近建設投資伸びが非常に鈍化しておるわけです。その一方で、建設許可業者数を見ますと、この十年間に三倍余りふえておるわけです。こういうふうに過当競争が大変激化しておる現状でありますが、いろんな情勢から建設業者のただいまの情勢を踏まえてみますと、今後の公共事業については質のいい志向に努めなければならぬ、こう思います。それと同時に、健全な体質業者による業界秩序の確立を図らなければならぬのではないかと思うのでありますが、この点についての建設省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  13. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 先ほど来話が出ておりますように、建設業界にとりましても、現在これまた将来の経済環境はかなり厳しいものがあろうかと思います。それで今後の官、民需ともにそれほど大幅な伸びは期待できないような情勢でございます。  そこで、仰せのように建設業界みずからも経営近代化合理化を進め、体質強化を図る必要がありますけれども、私どもといたしましても今後さらにこの中小建設業経営近代化等施策を推進いたしたいと思っております。特に公共事業につきまして発注機関に対する指導等も十分行いまして、適正な価格による発注、あるいは積算体系合理化請負契約約款改善等にさらに努力をいたしてまいりたいと考えております。  また、建設業法によります許可を受けました業者の数は大変多うございまして、四十五年の十六万余りから五十四年の四十八万余と十年間で三倍にも増加いたしております。それで、今後建設業過当競争防止いたしまして、体質改善いたしますとともに、発注者、またさらに消費者の保護を図るためにも、現在の許可基準を見直すべき時期に至ったものではないかと考えております。ただいま関係の政令、通達等改正につきまして具体的な検討に入りまして、準備を進めておるところでございます。
  14. 谷川寛三

    谷川寛三君 許可基準改定につきましても検討されておるようでありますが、私がいま御質問申し上げましたような趣旨で、ひとつ適正な措置をお願いしたいと思います。  それでは次に、線引きの問題につきましてお伺いしたいんでありますが、多くの都道府県におきましては第一回目の線引き見直し作業を終了しておると聞いておりますが、具体的な作業状況はどうでしょうか。特にその結果といたしまして、市街化区域面積はどの程度拡大されておりますでしょうか、わかっておりましたら。
  15. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 線引き見直し状況のお尋ねでございますけれども、御承知のとおり、線引きは当初決定から五年以上経過した都市計画区域対象として行われております。現在まで対象として行っております都市計画区域は三百二区域ございまして、このうち本年の九月三十日現在で百九十の都市計画区域におきまして見直しを行った結果の区域区分変更を完了いたしております。なお、このほか現在手続中のものが十一都市計画区域ございまして、さらに見直した結果、今回の見直しにおきましては区域区分変更必要性がないと判断されたものが六十一都市計画区域ございます。残りが四十都市計画区域ございますけれども、これらにつきましては現在、府県におきまして鋭意調整を進めておる段階でございます。  また、ただいままでの見直しの結果でございますが、全国で先ほど申し上げました百九十地区につきまして変更を行いました結果、三万八千ヘクタールの市街化区域面積の拡大を見ております。これは見直し前の市街化区域面積に対しまして約四・八%の増加というふうになっております。
  16. 谷川寛三

    谷川寛三君 そこで、先月十六日に都市局長名で各都道府県に対しまして今後の線引き見直し方針を指示したようでありますが、これは通達をいただいておりますけれども、今度通達を出した意図はどういうところにありますか。  それから、あわせてお伺いいたしますが、都市計画法では「農林漁業との健全な調和」を図ることを目的といたしまして、それからまた、線引き都市計画は特に農林的土地利用との調整を図ることが重要であるということを考えておりますが、今度の通達を出すに当たって農水省と十分協議をしたであろうと思いますが、どうか、こういう点もあわせてお答えをいただきたい。
  17. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 線引きにつきましては、昭和四十三年に公布されました新都市計画法におきまして、無秩序な市街化防止し、計画的な市街化を図ることを目的として創設されたものでございます。御承知のとおりでございます。しかしながら、その後におきます運用状況を見てまいりますと、制度創設目的は大勢としては逐次達成をされつつございますけれども、一方、市街化区域内におきまして必要な都市基盤整備の立ちおくれが見られますとともに、農地等が残存したまま市街化が進行するという状況がございまして、計画的な市街化を図るためなお一段の努力が要請されている状況にあるというふうに考えております。このような状態を踏まえまして、今後良好な住宅宅地の円滑な供給に配意しつつ、市街地計画的整備を一層推進することが必要であろうかと存ずる次第でございます。そのために、適切な線引き見直しが行われる必要があると考えております。  以上の考え方から、今回の通達を発出いたした次第でございますが、多くの都道府県におきましては、先般実施されました国勢調査とあわせまして都市計画法に基づく基礎調査を実施しつつあるわけでございます。その結果により、今後第二回目の線引き見直し作業に徐々に入ってまいる時期的な段階でございますので、各都道府県におきまして、ただいま申し上げました法の趣旨に沿った考え方に適合いたしました見直し方針、さらに変更基準を策定し適切な線引き見直しが行われるよう、その具体的な考え方通達をもって指示した次第でございます。  また、第二点の今回の通達に当たって農林水産省協議を十分行ったかというおただしでございますけれども、当然線引きに関する都市計画を具体に定めます場合に、都市計画法に基づきまして農林水産省協議をする必要があるわけでございますので、今回の通達発出に当たりましても、今後個別の線引き見直しが円滑に行われますためにはやはり事前に十分農林水産省協議調整を図る必要があったわけでございまして、おただしのとおり、実はことしの春以来この作業にかかっておりまして、実質的には四カ月以上この調整のために要したという経過がございますので、十分に農林水産省協議の上今回の通達を出させていただいたという経緯でございます。
  18. 谷川寛三

    谷川寛三君 いま通達の御趣旨伺いました。住宅供給の逼迫の現状から見まして、私は、この線引き見直し作業は急がなきゃいけないと思っておりますが、いまお話がありましたように各都道府県を督励されておるようでありますが、見通しはどうでございますか。
  19. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 大体約半数の道並びに県におきまして、すでに都市計画法に基づく基礎調査に着手をいたしておりますし、また先ほど申し上げましたように、多くの都道府県では本年度実施された国勢調査とあわせて基礎調査を実施して、その結果によって第二回の線引き見直しを行うことといたしておりますので、来年五十六年以降、この見直しによります必要な線引き変更が逐次行われていくという見通しでございます。今後各都道府県作業状況を十分把握いたしまして、先般の通達趣旨に沿ってできる限り早期に見直し作業が順調に完了いたしますように指導いたしてまいりたいと考えております。
  20. 谷川寛三

    谷川寛三君 線引き都市計画と表裏一体の関係にあります、この市街化調整区域内にあります二十ヘクタール以上の大規模開発行為に係る許可の取り扱いでありますが、今回の線引き見直し方針に関する通達に関連しまして、これにつきましては今後どういうふうに運用していくお考えでございますか。
  21. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 三大都市圏その他の大都市周辺におきましては非常に宅地の需給が逼迫いたしております。それで一方、調整区域の中にありましても将来の健全な市街地の発展を図る見地から立地条件のいい土地等もございます。そういうような点から、計画的にこの市街地整備を実施する場合に支障のないようなところにつきましては、私ども開発許可をさせまして優良な市街地に形成をしていただきまして、そこで宅地供給が図れるようにいたしたいと考えておりますけれども、ただ地方といたしましては、水、上水の問題とか交通の連絡の問題とかいろいろ問題もあるようでございまして、なかなかスムーズにその開発許可が行われておりませんけれども、先ほど言いましたように、立地条件のいいところと一定の要件のところは開発許可を弾力的に運用してもらいたいというような考え方でおります。
  22. 谷川寛三

    谷川寛三君 それでは、地下街防災対策について二、三お伺いをしたいと思います。  先日もこの委員会お話が出ておったようでありますが、御承知のとおり、去る八月十六日に静岡駅前ゴールデン街ガス爆発事故があって多くのとうとい人命が失われた。二度とこのような悲劇を繰り返してはならないというふうに思うんでありますが、これに関連いたしまして、ゴールデン街は第一ビルですか、これを除いてすでに再開しておるようでありますが、どのような安全措置を講じて再開させたのか、お聞きしたいと思います。
  23. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 去る八月十六日に静岡駅前地下街、いわゆるゴールデン地下街と称しておりますところで爆発事故がありまして、非常に多くの方々犠牲者を出しましたことはまことに遺憾なことだと思っております。その後私どもも、関係省庁とともに協議いたしまして今後の対策を進めてまいりたいと考えておりますが、ただいま御指摘の再開をいたしましたゴールデン地下街につきましては、防災性向上のために、ガス警報器三十二個、ガス供給停止装置十三カ所の設置のほかに、通路シャッター十四カ所の補修あるいは非常用照明設置を五十七台、自動火災報知器六十三カ所、誘導灯三十三カ所、屋内消火栓設備六カ所等設置いたしまして、第一ビルを除きまして営業の再開をしたということでございます。
  24. 谷川寛三

    谷川寛三君 残した第一ビル再開に当たっては、どういうふうに指導しておりますか。
  25. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 残されました第一ビルにつきましては、静岡市からの御要請がありましたので、建設省建築研究所におきまして建物耐力診断を実施いたしました。その結果、補修をすれば再使用も可能であるという一応の結論が出されたのでございますが、第一ビル所有者方々の間におきまして、ビル再開の方法につきましてまだ十分な結論が得られていないというふうに伺っております。  もし今後、仮に再使用するという場合におきましては、建物構造、耐力上の安全性、防火、避難上の安全性等を確認いたしました上で所要の措置を講じて再開するよう、関係公共団体を通じて指導をしてまいりたいと考えております。
  26. 谷川寛三

    谷川寛三君 そこで私、皆さんもそうだろうと思いますが、最近は壁面がなくて、ガラス窓のいっぱいあれしたビルがにょきにょき出ておりますが、今度の静岡駅前の災害でも窓ガラス飛散落下による負傷者が非常に多いんです。この窓ガラス飛散防止対策、これはどうですか。
  27. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) ただいま御指摘ありましたガラス飛散防止関係でございますが、静岡の今回のガス爆発のように、瞬間的に巨大な力が作用する事故につきましては、ガラス飛散防止する具体的な措置を講ずるということは非常にむずかしいというふうに考えております。しかしながら、地震等の場合等を考えました場合、窓ガラス飛散防止ということは別途できるだけの措置をとっていかなきゃいけないことでございますが、過去の宮城の地震等いろいろな各地の地震被害経験等から見まして、脱落の危険性のありますのは、硬化性の、固まる性質を持っておりますパテを用いてガラスを固定しているいわゆるはめごろし窓、そういったような一定構造のものであることが明らかになってきておりますので、これらのものにつきましては、五十三年に告示を改正しまして必要な措置をとりましたが、既往の建物につきまして飛散防止用のフィルムの使用とか、網入りガラスへの転換等の改修を行うように指導しているところでございます。  また、ガス爆発によりますガラス飛散防止につきましては、まともに爆風を受けるようなところでは対応策がむずかしゅうございますが、さきに申しましたようないろいろな措置につきましては、ガス爆発でありましても、少し離れた場所におきましては、結果的にはガラス飛散による被害の防止にも資するというふうに考えられますので、今後ともこういった地震防災という立場からも考えまして、このような対策を推進してまいりたいと思っております。
  28. 谷川寛三

    谷川寛三君 ところで、私はときどき起こるガス爆発について非常に心配しておるのですが、ガス関係は通産省が取り仕切っておって、どうも建設省の方では十分なにしていないように思うのですけれども、今度の事故を反省いたしまして、地下街におけるガス爆発事故防止のために、建設省でも建設という面で通産省任せでなくて十分慎重に対処をしていかなきゃいかぬと思うんでありますが、どのような対策を講ずるつもりでございますか、伺っておきたいと思います。
  29. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 御指摘のように、今回のような事故につきましては、ガス漏れの防止等の発生源対策を主として考えなければいけないというふうに思っておりますが、これは、第一義的にはガス供給事業上の保安対策の問題として対処すべきであろうかと考えておりますが、従来とも、私ども関係省庁間で地下街の中央連絡協議会というものを設置いたしまして、地下街設置あるいは防災上の指導等につきまして協議を行っておりますが、この事故を契機といたしまして、中央連絡協議会に通産省の資源エネルギー庁に新たに参加していただきまして、それで関係省庁と協力いたしまして、今後の地下街のガス保安対策強化につきまして検討を始めたところでございます。私どもといたしましても、これらの協議会の検討、あるいはまたこの事故につきまして実施いたしました資源エネルギー庁あるいはまた消防庁におきますところの点検結果等を踏まえまして原因の調査を進め、そしてこれに基づきまして、必要に応じ私どもできる限りの防災対策のための所要の措置を講じてまいりたいと思っております。
  30. 谷川寛三

    谷川寛三君 では、ひとつこれは万全の対策関係の役所と御相談いただきましてとっていただきたいと思います。  大臣がお見えになりましたようですから、国道昇格の問題につきまして一、二伺っておきたいと思います。  いよいよまた国道昇格の問題が大きく取り上げられてきておりますが、この国道昇格の基本方針と、今回新聞で、昇格の予定キロ数は四千キロだというようなことが言われておりますが、この四千キロというのはどういう根拠でお決めになっておられるのか、そういったことをお聞きしたいと思います。
  31. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 国道昇格のお尋ねでございますが、お答えを申し上げます。  いままで大体五年目あるいは七年目というような間隔で国道を昇格してまいったわけでございます。近代的な幹線道路網体系を確立しようということでございます。最近、やはりいろいろ経済社会の状況がまた変化をしてまいりました。こういった経済活動、日常生活の面での効率的な基盤の形成という点で、いろいろな面から国道昇格が必要ではないかということになったわけでございまして、つまり高速自動車国道整備をされてまいりましたので、これと一体として機能するような国道網が必要であるというのが第一点。それから第二点といたしまして、地方におきますところのいわゆる自動車交通の需要の増大といったような新たな交通需要に対応しました国道網の形成が必要である。それから三番目といたしまして、国土を面的に利用いたしますために地方生活圏、定住圏の確立ということが必要でございますが、こういった交通の広域化に対応する国道網が必要であるといったようなことでございまして、ただいまお話がございましたように、おおむね四千キロメートルの規模国道昇格考えようということにいたした次第でございます。  四千キロメートルということでございますが、従来の経過をざっと申し上げますと、昭和三十七年には三十四路線、三千九十九キロメートルの昇格をいたしております。四十四年には七十一路線、五千七百九十八キロメートルの昇格でございました。また四十九年には七十三路線、五千八百六十七キロメートルを昇格をいたしております。なお、この間に沖繩の復帰に伴いまして、四十七年に沖繩だけの国道指定をした段階もございました。そういった従来の経緯が一つあります。  また、将来の長期的な幹線道路網の整備の構想でございますが、国道につきましては、おおむね将来規模といたしましては大体五万キロ程度という構想を持っておるわけでございます。それと現状との乖離が約一万キロ強あるわけでございますが、こういったこと等も考えながらおおむね四千キロメートルという規模を設定をいたした次第でございます。
  32. 谷川寛三

    谷川寛三君 今度の改定がどういうふうなタイミングでありますか、見通し、予定。
  33. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 本年八月に、各地方建設局あるいは都道府県から御要望の路線につきまして詳細なヒアリングを実施をいたしました。ただいまその結果によりまして、道路法第五条の国道の指定要件に合致しているかどうか、あるいは適正な国道網を形成するような路線であるかどうか、さらにはその当該路線が先ほど申し上げましたような交通上の意味合いで重要な路線、相当の交通需要が見込まれる路線かどうかといったような調査を詳細に進めている最中でございます。今後これらの調査結果を取りまとめまして原案を作成し、各省協議でございますとか道路審議会の審議とかを経まして政令を制定するわけでございますので、こういった所定の手続を経まして、五十五年度中には決定をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  34. 谷川寛三

    谷川寛三君 国道昇格につきまして、いまお話がありましたように、地元と御相談なさっているようでありますが、地元の意見をどう反映しておりますか。  もう一つ私が伺いたいのは、県の要望外の路線が昇格するということもあり得ますか。
  35. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) ただいま申し上げましたように、各地方の御要望につきましては、ヒアリング等を通じましていろいろその歴史的な背景もございますし、詳細に伺っているところでございます。  最後に、地元に関係のない路線が昇格することもあり得るかというお尋ねでございますが、これは従来の……
  36. 谷川寛三

    谷川寛三君 関係のないんじゃない、要望外。
  37. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 要望外の路線につきましても、従来の経緯から見ますと事務的にこれはやはりどうしてもしなければならない。例といたしましては、東京湾岸道路等もそうであったかと記憶いたしております。こういったものを昇格することはございます。
  38. 谷川寛三

    谷川寛三君 これは大臣にお伺いしたいんでありますが、もう建設省最後でありますが、けさの新聞にも出ておりましたけれども、もう道路はいいんだ、エネルギーとかほかのものにいろんな財源を渡したらいいじゃないかというような意見もありました。しかし、これは東京とか大都市の近辺ですと、ゴルフ場へ行く際に通る道というのはそんな悪い道路はありません、とにかくもう世界の有数のりっぱな道路がありますが、田舎へ行きますと、これは時間がなくなりましたけれども、たとえば三全総のいろんな総合開発をするにつきましても、これはやっぱり道路を整備してもらわなきゃ何ともならぬのでありまして、ひとつそういうことも御勘案して今度の国道昇格につきましてはやっていただきたいんであります。県によりましていろいろ差はありましょうけれども、私の郷里のことを言っちゃ恐縮でありますけれども、高知県のように非常に立ちおくれておる地域につきましては、傾斜配分といいますか、四千キロなんということにとらわれないで、ひとつ十分御配慮を賜りたいと思います。  もう続けて御要望申し上げますが、これまた高知県が出ますから大変どうもいかんのでありますけれども、高知県は東西に長いんですね。でありますから、こういう地形におきましては一本の路線で延長いたしますと物すごく長くなるわけであります。いまの四千キロを頭にしますと、総体四千キロとりますと非常に不利になるわけです、一本でもう二百キロ近くなりますからね。でありますから、これが一律にやられるということになりますと非常に大きな問題であるというふうに考えます。道路の問題は地域の開発にとりましても大変なあれでありますし、夢でありますからね、国道昇格になってきれいにしてもらえるというのが。ですから、さっき傾斜配分のことをお願いいたしましたが、そういった特殊な地形にあるという地域につきましても特に御留意いただきまして、実情に合うようにお考えをいただきたいと思います。大蔵省あたり、また国道昇格のあれがふえると予算がと思っているかもしれませんが、まあ予算はすぐ要求するというわけではありませんから、夢をあれしていただきたい。こういう点につきまして、ひとつ特別の大臣のなにをいただきたいと思って伺う次第であります。
  39. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) きょうスペインの国王が来られまして、歓迎等々で大変おくれましたことをおわび申し上げます。  ただいま谷川先生からお話がありました国道の問題であります。もう、いまさら道路の重要性について私がこの場で申し上げる必要はなかろうかと思います。特に、国道につきましては、日本の三十七万平方キロの一億二千万住んでおられる方々に、均衡ある社会の生活として、人間として、経済体制として平等に受けるための完全道路ということで国道というものが取り上げられておられることと思います。特に、いま先生御指摘のように、それでは日本国土が平均的に国道整備されているかというと、いささかいま先生御指摘のように疑問を持つような環境であります。  いま道路財源のお話もありましたけれども、とにもかくにも、一口に百十万キロの道路の中で国道がいま三万八千キロなんです。しかも、その本舗装たるやまだ八割、八二%ぐらいということを考えますと、道路はもう整備されたということの声が出ることが私は非常に不本意であるわけであります。特に、先生は遠慮がちに地元のことを申されましたけれども、確かに四国、高知、あの辺はおくれていることは事実であります。したがって、国民の皆さん方が同じような生活環境の中で同じように幸せをつかんでいく、同じように経済活動をする、しかも人間で言えば動脈的な道路というものについての整備は、これから均衡ある整備をしていくということがまず根本的な問題ではなかろうかと思います。したがって、五年目ごとの国道昇格という時期的な問題もありますけれども、あれこれあわせて何とか決められたといいますか、いまの厳しい経済環境の中で国道昇格という問題はいままでと違った次元でひとつ考えながら決めさせていただきたいと思います。  なお、地方の要望と違った意味の路線の決定もあり得るやということでございますけれども、いま局長からも答えがありましたように、私たちは将来を見通しながら発展的なことを志向しながら、たとえ地元の要望がなくても大所高所から、考え得る路線については十分な配慮をすべきだと考えておりますので、そうしたことを総合的に、そして大所高所から、しかも均衡ある発展を基盤にこの問題には対処してまいる所存でございますので、いろんな問題を含んでおる道路政策でございますので、先生におかれましても御協力の方をお願いをいたしたいと思います。
  40. 谷川寛三

    谷川寛三君 いま、大変御懇篤なお答えをいただきました。従来のやり方と違った理念を持っておやりいただくというお話もございまして、非常に哲学的なあれを入れた今度の国道昇格であることを期待いたしまして、切にさっき申し上げましたことをお願いをいたしておきます。  それから、時間がなくなりましたので、国土庁には土地問題だけお伺いしておきたいと思います。  この間うちから、土地の値上がりの状況につきましてはいろいろ長官等からもお伺いをいたしました。私、いつも思うのでありますが、一口に地価上昇といいましてもいろいろな内容が含まれておると思います。たとえば、区画整理が済んだ、それから鉄道の新駅ができたというような場合には土地の効用が増加したわけでありますから、まあ商品と同じですから、地価が上がるのはこれは当然ではないかと思います。そういう意味では地価が、極端な表現を用いますと、経済成長が続き、それから社会資本の整備が進む限りある程度上がるという側面もあるんじゃないか。こういうものまで含めて地価が上がってはいけないというのは経済の実態を無視しておることになると思います。投機は別ですよ。いまの地価の公示なり都道府県の地価調査の結果発表を見ますと、こういう要因による値上がりも他の要因と、まあ不純なといいますか、一緒くたになって表示されておるわけであります。大変むずかしいことでありますけれども、こういったことを分けて何とか工夫をして発表してもらえば、非常に国民の皆さんに対してもはっきり土地の問題がわかっていただけるんじゃないかと思うんですが、それどうでしょうかね。
  41. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生御指摘のとおり、地価上昇の要因の中にいろいろな内容のものが含まれているというふうに私ども考えております。かねてから、これを大きく分けまして、いま先生のおっしゃいました効用増、それから投機によるもの、それから需給の不均衡によるものというふうなパターンで考えておりまして、それぞれ検討もし対策考えてまいっておるわけでございますが、最近の地価上昇の要因はその中の効用増によるもの、それから需給の不均衡というのが主役をなしておると思っております。特に、上位の方を占めます上昇率の高い地域につきましては、効用増というのが中心のものが多いのも御指摘のとおりでございます。  先生おっしゃいますように、これを地価調査の上で分けて表示できないか、非常にサゼスチョンをいただいたわけでございますけれども、しかしこれも内部でも鑑定官のあたりにもいろいろ検討をお願いしておりますけれども、理論的にも実務的にも大変むずかしい問題があるということで、簡単にはいかないと思っております。しかし、大事なことでございますし、先生の御指摘もございましたが、今後の研究課題といたしまして、時間をかけて討論、検討を続けてまいりたいと思っております。
  42. 谷川寛三

    谷川寛三君 私もいろいろ勉強しておりますが、むずかしいと思いますけれども、これはぜひ工夫をしていただきたいと思います。  次にお伺いしたいことは、最近の地価の上昇に対処しますために、直ちに規制区域制を発動して地価を凍結すべきである、こういう意見があります。それからまた、現状でこれが発動できないならば国土利用計画法を改正して、土地への投機が見られない場合でも、地価の上昇が顕著でありますならば発動できるようにすべきではないかといったような意見が一部にございます。御承知のとおりであります。これに対しまして国土庁は、投機という実態なしに規制区域制を発動することは問題だという態度をとってきておられるようであります。この態度を、国土庁地価対策に対する姿勢が消極的だというような批判をする人もあるようでありますが、これはもし消極的であるとすれば、国土利用計画法の施行を含みます土地政策を所轄する役所としては、それは許されないことだと思いますけれども、この問題につきましての国土庁の確たる見解をこの際ひとつ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  43. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生御案内のとおり、国土法の十二条の問題でございますけれども、十二条では二つの要件を現在書いております。いわゆる投機的土地取引が集中して起こるということと、その結果地価が高騰する、この二つの要件が示されておりまして、そういう要件が成立いたしましたときには都道府県知事はそういうふうな規制区域を、指定することができるというのではなくて「指定するものとする」と、非常に強い規定で書かれております。したがいまして、知事さんはそういう事態が生じましたときには自分の御判断で抜き打ち的にまず指定をいたします。その後、土地利用審査会にかけましてその方でオーソライズしていただく、もしオーソライズがない場合にはさかのぼって指定の効力を失う、こういうふうな制度になっておるわけでございます。したがいまして、私どもこの十二条の運用につきましては絶えず監視を励行する必要があるということで、法施行以来常時地価の監視を続けてまいっております。   これは中間動向等で発表いたします何%というようなことではございませんで、現実に各県の中で個所を選びまして、二百三十数カ所ずつ、毎年これは四半期ごとに報告をもらっております。さらに五十五年度からは特別詳細調査というのを始めておりまして、特にホットであるなと思われるところにつきましては、現在は十一地域についてやっておるわけでございますが、月別の報告をもらっております。それによりまして、取引の実態だとか農転の実情だとか仮登記のところまで立ち至りまして月別の調査を行っておるわけでございますが、目下のところ投機の状況はないというふうに各都道府県からの御報告が来ておるということでございます。しかし、国土庁のこういうふうな法運用態度といたしましては、一たんそういう構成要件に該当するような事態があったときは、遅滞なく機動的にこれを発動してもらいたいという趣旨を、法施行当時の通達以来、口を酸っぱくして地方公共団体にも申し上げておるということでございまして、その姿勢にはいささかも変わりはございません。  ただ、最近の論議の中で、いまございますような投機の集中ということと地価の高騰ということの二つの要件ではなくて、地価の高騰だけで指定できるようにしたらどうか。端的に申しますと、「及び」と書いてあるところを「または」に直したらどうかという御議論が相当出ております。それに対しまして、私どもといたしましては、この制度は投機的土地取引というふうな緊急の事態、もしくは一過性の事態に対しまして、この投機的な取引というものは反社会的なものである、したがってそういうものに対してこういうふうな強制的な手段がとれるんだというふうにまず思っております。したがいまして、投機の要件を除くということについては、これは私どもは抜けないのではないかと思っております。  ただ、現象的に考えましても、そういう事態を想像いたしますと、たとえば収用以外には土地が買えなくなるんじゃないか、そういうことになりますと、やはり宅地供給の促進という目下の叫ばれております急務でございます事業が停とんをするというようなことも現象的にも想像できます。そんなことを考えておりまして、いまのところ私どもの態度といたしましては、国土庁といたしましては、改正すべきではないというふうな考え方に立っております。ただ、先ほど最初に申し上げましたように、現行制度の枠内で絶えず監視を続けまして、常時その監視を続けた結果、必要があれば機動的に遅滞なく発動するという姿勢を貫きたいと思っておるのが国土庁の現在の姿勢でございます。
  44. 谷川寛三

    谷川寛三君 時間もありませんので、最後に一つだけお伺いいたします。  いま問題にしましたような国土法の規制区域制度の発動も重要でありますけれども、最近の地価の動向から見ますと、東京等三大圏におきます住宅地の価格の上昇の原因といたしましては、何といっても宅地の需要と供給の不権衡にあるのではないかと私は考えております。こういう宅地需給の不均衡を一日も早く解消して地価の安定を図っていく、国民の要請に応じていくためには、私はきょうは質問しようと思ってできなかったんですけれども、基本的には過密過疎を解消して、国土の均衡ある発展を図っていくということが必要であることは言うまでもありませんが、当面の対策といたしましては、いま問題になりましたが、引き続いて投機的な土地利用の抑制を図りつつ、宅地供給を図って供給を促進していくということが基本であることは申し上げるまでもありません。そこで、国土庁といたしまして、このような当面の土地対策といたしましての宅地供給の促進につきまして、これまでもだんだん御質問ありましたが、もう一遍伺いますけれども、どのような方策を、対策考えておられますか。最後にお伺いしておきたいと思います。
  45. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いま先生のお話にございましたとおり、三十七万方キロのわが国土の中で二十数%を占めると言われております可住地に一億三千数百万の人間が将来住むということでございまして、過密過疎を解消して国土の均衡ある利用を図るということが最終の目的でございます。しかしながら、当面の問題といたしましては宅地供給の促進を図ると同時に、過去において非常に悪い結果をもたらしました投機的土地取引を抑え込むということが大きな二つの対策であろうかと思っております。投機の取引の抑制につきましては、国土利用計画法の的確な運用なり税制の活用なり融資の抑制なりということで十分これを抑え込んでおりますし、今後も抑え込めるだろうというふうに思っております。  残る一つが、先生おっしゃいました宅地供給の促進でございまして、これには国土庁のみならず関係省で力を合わせていろんな諸対策を総合的に行うということが必要でございますが、その中でも特に私ども念頭に置いておりますのは再開発の促進ということと、未利用地の活用ということと、それから三大圏のたとえば市街化区域の中の、しかも住居系の地域の中に九〇%が含まれております市街化区域内農地の順調な利用転換の促進、このあたりが一番大事な問題であろうというふうに考えておりまして、それらに対するいろんな財政上の措置、法律上の措置等につきまして現在も進めてまいっておるわけでございますが、そういうものを強力に進めていくことが目下一番大事だというふう考えておる次第でございます。
  46. 谷川寛三

    谷川寛三君 これで終わります。
  47. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 短い時間ですから、端的に二、三点お伺いいたします。きょうは原国務大臣が何かかぜを引いて突然出席できないと言われまして、原国務大臣にお尋ねする点はまた後日改めてお伺いをいたします。  建設大臣に冒頭お尋ねしたいのは、水資源開発問題でございます。  水問題が非常に大きな問題であり、大変大事なことはこれはもう言うを待ちません。しかし、なかなかこの水資源開発と申しますか、水の問題は容易ではないようであります。そこで端的にお伺いしたいのは、大臣も鈴木内閣の誕生によりまして建設行政を所管されることになり、水問題は直接的には国土庁関係でありますが、しかしやはり建設大臣としてもこれには大きな関係があり、関心があろうと思います。もうすでに三カ月たちますので、ほぼ所管行政に対する基本施策についてはかなりな勉強をされ、それぞれ自分のものとされたことと思うのであります。その中で非常にじみな行政でありますが、いま申しますように水の問題は非常に大きいのでありますので、この水について建設大臣はどのような御見解をお持ちになっているか、また、何か特別に施策についてお考えがあるかどうか、この点を第一にお伺いいたします。
  48. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 水資源問題でございます。主たる所管は国土庁でございますけれども、先生のお尋ねでございますので、建設省建設省なりにどのように考えておるかということを申し上げたいと思います。  水に対する人間としての生命起源というものについて、重要性については私がいまさら申し上げるまでもないと思います。特にこれは人類的と言うとあれでございますけれども、とにかくこの近代社会の中で水ということについての刮目は最近特に著しいものがございます。山紫水明と言われた日本も御多聞に漏れず生活環境の複雑多様化、過密都市、産業構造、産業基盤の変化、生活環境等々で、水に対する需要もいままでと違った形態になってきておることは先生も御案内のとおりであります。特に私たちが心配するのは、やはり都市集中した、過密化した方々への水需要でございます。いま大体——正確な数字はまた局長の方からもあろうかと思いますが、五十年度で総需要で約九百億トンでございます。これが六十五年ごろまでには千百億トンをオーバーするくらい、それについて私たちはやっぱり対応していかなければなりません。いままでダム建設等々で現在まで一応その体制は整えてはおりますけども、六十五年の千百億トンをオーバーするような水需要については、これからもダム建設等々考えながら対応していくのは当然のことであろうかと思います。  したがって、それでも一応数量的には若干いまの計画からいたしますと、十四億トンくらいオーバーするような計画ではありますけれども、御案内のように水はくまなく平均的に輸送するというわけにまいりません。したがって、地域によってはそれでもなおかつ不足分が出てまいるわけであります。六十五年で、いまの状況で総量では十四億トンぐらい余るような計画でございますけれども、地域の需要に応ずるということになってきますると、建設省の試案で十四億トン、国土庁の試案で九億トンということでございます。大体建設省試案で八百七十万人ぐらいの水不足ができるということ、これ等々あわせ考えながら水資源対策につきましてはなお抜本的に生活、生命を守り、また安定した豊かな生活を守る上からも、水資源についてはなお基本的な問題として対応してまいりたい、このように考えておるものでございます。
  49. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 具体的な問題もいろいろありますが、これはまた改めて時間をかけて質疑もし、また討論もしてみたいと思っております。本日は大臣の所見だけを承っておきます。  いま国土庁長官が来ておりませんけれども政府委員諸君に次の問題でお聞きします。  さきの、国土行政を進めるに当たっての基本的な考え大臣が述べられた中でも、総合的な水資源対策を推進すると言っておられる。第三次全国総合開発計画の柱である定住圏構想の中でも、流域圏をとらえた中都市の育成と発展に積極的に取り組み、定住の場を整備する必要があると強調しております。都市を構築し、土地利用を促進する上からも、水資源の確保ということがまず先行しなければならぬことは申し上げるまでもございません。  今回、行政管理庁の水資源の利用に関する調査結果の報告にまつまでもなく、国土庁建設省ともに五十三年にまとめられた「長期水需給計画」、「昭和六十五年にむけての水資源開発計画と水利用」を見ても、昭和六十年には全国で八地域十五億二千万トン、六十五年には全国に百六十一カ所のダム建設を行っても関東、近畿の臨海地域及び北九州の三地域では九億トンの供給不足が生ずるという指摘もすでにされています。これはいま大臣の話とちょっと違いますが、新規用水の確保ということは過去、現在の経過を見ても容易ではないことは御承知のとおりであります。この点について水行政に対する各種の施策を踏まえて、もう一度国土庁政府委員でいいし、建設省も担当局長で結構ですから、ひとつ明確な御答弁をお願  いいたします。
  50. 北野章

    政府委員(北野章君) ただいま先生が御指摘のように、国土庁が策定いたしました「長期水需給計画」によりますと、昭和六十五年には関東臨海、近畿臨海、北九州で年間約九億トンの水不足が生ずるというふうに予想しております。このような大都市圏を中心とした水不足に対処するために国土庁といたしましては、水資源開発促進法に基づきまして広域的な水供給対策を緊急に実施する地域につきまして、これは全国で六大水系でございますが、計画的にダム等水源施設の建設を促進することにしております。また、四十九年に制定いたしました水源地域対策特別措置法に基づきまして、ダム起業者等による補償による措置を補完いたしまして道路等の整備事業の促進、それからこれも全国でいま三つの地域につくったのでございますが、上下流問題を調整して特にダム周辺の水没の方々の生活再建対策の充実を図るということで水源地域対策基金の設定をしております。  そのようなことで計画的に水資源開発の促進を図ることが重点でございますが、一方、水を使用する側におきましても、これからの厳しい水需給の中で節水型社会を形成するために水使用の合理化を積極的に促進していくというふうなことで、先生御指摘の総合的な水需給対策というものを関係者の理解と協力のもとに積極的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  51. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいま大臣からお話し申し上げましたような建設省水資源開発施設に対する現在までの状況でございますが、国土庁ではじき出しました昭和六十五年におきます全国の総需要量は千百四十五億トンパー年でございますが、これに対しまして現在、昭和五十年におきます総需要量が八百七十六億トンでございます。したがいまして、その差の二百六十九億トン、これになお現在地下水等から取水いたしております、いわゆる地盤沈下等に影響を与えますもので河川水に転換を図らなければならない水量、これが二十四億トンございます。また、現在河川の水を使っておるけれども不安定な取水量、これが三十三億トンございます。そういったものを合わせまして三百二十六億トンの水を六十五年度までにつくりたいということになっておるわけでございます。  そのうちユーザーにおいて開発される分、あるいは新規の地下水の開発分、あるいは五十年度までにすでに先行開発された分等を引きまして建設省開発するべき量といたしまして、私どもは二百六十一億トンという数字をつかんでおります。それに対しまして水資源開発施設を建設してまいるわけでございますが、昭和五十年度までに水資源開発施設として完成されましたダムが百四十六ダムございます。そのほかに昭和五十一年から六十五年度までに三百五十八ダム完成いたしまして、計五百四ダムにいたしましていまの水需要に対応していこうというようなことを考えておるわけでございます。  御承知のように、昭和五十二年から始まりました第五次治水事業五カ年計画の中におきましても、この水資源確保が重要な柱に取り入れられておりまして、現在、その第四年度でございますが、なお、これを強力に推進しようというようなことで、昭和五十六年度子算要求におきまして、私ども第六次治水事業五カ年計画を新しく一年繰り上げて要求いたしておりますが、その中におきましても、この水資源開発の問題を一つの重要な柱にいたしまして、要求いたしておるわけでございます。  これらの水資源開発事業を推進するためには、まず何と申しましても莫大な資金が必要になりますので、それの確保を必要とするということで、そういうふうな五カ年計画にも反映させながら施策を進めておるわけでございますが、なお、それだけではやはり物事は解決いたしませんで、特に水源地対策と申しますか、いわゆる水源地域の整備あるいは水没者の生活再建の問題、そういったことが非常に重要な課題になってきておりますし、また、私どもの事業執行体制につきましても、どんどんダムがふえてくる段階におきまして非常な問題が起こってまいりますので、これらについても重要な施策として今後解決していかなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございます。  水源地域対策につきましては、先ほど国土庁からもお話がございましたように、水源地域対策特別措置法が四十八年に制定されまして、それによりまして、従来よりは非常に手厚い対策ができるようになったわけでございますが、さらに水源地域の対策基金というものが利根川、荒川、淀川等に設置もされるようになりまして、今後これらの施策を進めながら、強力にこの水資源開発施策を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いまの国土庁建設省の答弁、いろいろとまた問題があるし、お聞きしたいと思いますが、きょうはそれを割愛して、また後にいたします。  次に、今回の行政管理庁の調査結果報告は、ダム建設による水資源の確保を基本政策とはしながら、水行政のあり方についての見直しを求めている点では、これは素直に受けとめなければならないと思います。そして有効な対策を確立しなければなりませんが、特に、農業用水の都市用水への転用にしても、水利権が複雑に絡み、また、雑用水の利用の促進についてもその推進に当たっては相当困難が予想されます。容易ではないでしょう。しかも雑用水の利用は水の新しい利用形態であり、これを普及、規制する法令等は整備されていない現状であります。東京、大阪、福岡市、住宅公団等、雑用水道の水質基準、水質測定等については、各都市、各施設においてそれぞれ独自の判断によって実施されております。特に事務所、ビル等の多い大都市では、水の有効利用を図るためにも雑用水道の施設の構造、水質、維持管理等に関する技術基準を設定し、推進に向けての施策を確立する必要があると思うのであります。上水道、下水道の谷間とも言われる雑用水道、換言すれば中水道に対する制度の確立についてどのようにお考えであるか、ひとつ建設大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先ほども申し上げましたように、また先生から御指摘のように、生活様式の多様化、都市の過密、高度化等々で、水需要についての問題点は幾つかあるわけであります。したがって御指摘のように、これからそれらの、特に集中都市における水需要に対応するということについて、先ほど申し上げましたが、なかなか困難性があるわけで、これからの問題としては、下水処理用水というものをどのような形で再利用を図るとか、あるいは高度利用を図るとかということに進んでいかなければならないのではなかろうかと思います。先ごろ福岡市において大変なトラブルがあったわけで、これにつきましてもすでに事業をモデル事業として実施しておりまして、五十五年度一部通水を始めたわけでありますが、東京におきましてもやはり将来を見越して、特に新宿副都市でモデル事業を現在推進してまいっているところであります。  なお、御指摘のように、下水処理水の循環利用のための施設の設計の基準化、水質基準、維持管理基準等については必要な調査を進めておりますし、その成果を踏まえて、下水処理水等を業務用水に利用する等の諸指針、諸基準の確立を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  54. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、震災対策から道路の危険個所の点検の把握と整備必要性についてお尋ねします。  今月に入って、アルジェリア、メキシコで大きな地震が発生し、多数の犠牲者と物的被害の惨状については、テレビ等で報道、放映されましたので、だれもがよく知っているところであります。わが国も地震国でありますから、これらの被害の実態を単に傍観しているだけではいけないと思うのであります。かつて伊豆大島近海地震、宮城県沖地震で経験するところでありますが、いつ起こるかわからない地震に対して、耐震、耐火構造を有する防災都市の建設が重要であることは、これは申すまでもありません。  このような現状認識の上から、特に強調したいのは、都市の震災対策はもちろんでありますが、道路の震災時における機能的役割りがいかに重要かということであります。既成都市の中の人口密集地区においては、避難路、防災空間として、また緊急輸送路として、その交通確保が保障されなければなりません。建設省は大規模地震対策特別措置法の制定等、諸情勢の変化に対応して、橋梁、トンネル、横断歩道橋といった道路構造物についての危険度はどうなっているか、耐震的な見地から点検をし、震災対策の一層の強化に努める必要があろうかと思うのであります。また、対策の必要個所については計画的に整備を進めることが重要であります。その実施状況について、ひとつ明確にしてもらいたいのでありますが、道路局長から説明をいただきたいと思います。
  55. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) お答え申し上げます。  先生から御指摘がございましたように、震災がありました際は、避難路として、あるいは緊急輸送路として大変道路が重要な役割りを果たすわけでございます。従来そういった意味で、被災した場合の交通の確保に多くの日時、日数を要しますような構造物、橋梁でございますとか、トンネルでございますとか、こういったものの耐震性の向上を図りますために、点検の結果によりまして落橋防止、補強、かけかえ等の事業を促進いたしてきているわけでございます。前には、五十一年度に実は点検をいたしまして、その際手当てを要する個所が七千六百カ所ございました。五十五年度までに約五一%を手当て済みでございます。なお、大規模地震法がありました関係で、五十四年度に再度点検をいたしまして、これは対象とする道路の範囲も五十一年点検に比べて拡大をいたしました。その結果、一万七千四百カ所の問題個所があることが判明をいたしまして、これを五十六年度から計画的に手当てをしてまいりたいと考えております。  なお、特に東海地震の地震防災対策強化地域につきましては、地震対策緊急整備事業計画に基づきまして、避難路、緊急路等の整備を推進しているところでございます。
  56. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、強化地域の交通確保に対する整備体制、これはひとつこちらから言わぬから、大体質問が終了したから、国土庁建設省、答弁だけ。
  57. 柴田啓次

    政府委員(柴田啓次君) 強化地域における道路整備事業につきましては、さきの第九十一回国会で全会一致で成立いたしました地震防災対策強化地域財政特別措置法によりまして、緊急整備事業計画というものをつくりまして、各県からの要望というものを取りまとめまして、それを事業計画にのせまして予算の確保を図っている次第でございます。
  58. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 国土庁からお話のございました地震対策緊急整備事業計画をただいま作成中でございます。緊急輸送路、避難路あわせまして、まだ正確にまとまっておりませんが、おおむね一千億を若干上回る程度の規模になろうかと存じております。これを五カ年間で実施をいたしたいと考えております。
  59. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  60. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) ただいまから建設委員会再開いたします。  休憩前に引き続きまして、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 勝又武一

    勝又武一君 大臣は、五十六年度の概算要求に当たりまして第六次の治水事業五カ年計画を策定をされ、同計画の初年度として治水施設の整備を強力に推進をするとおっしゃられています。そして、中小河川等の治水対策として、地域住民の生活環境に密接に関連する準用河川の改修事業及び雨水貯留事業を強力に推進するため、補助対象を拡大するとともに地方負担の軽減を図る、このように言われているわけであります。  これを貫徹するための御決意のほど、取り組まれる特徴点などについて、まずお伺いをいたします。
  62. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 五十六年度の予算要求あるいは治水事業についての基本的な考え方ということでございます。  御案内のように、最近の国土開発の中で特にはんらん地域における人口密度が半数に及び、そこに資産の所在するものは七割というような非常に環境の変化が来ております。したがって第五次治水事業五カ年計画で推進してまいったところでございますけれども、なおこれに飽き足らない面というものが大変出てまいっておりましたので、改めて六次計画を策定し、いま先生御指摘のような治水事業の積極的な解決を図るために計画をいたしたものであります。  柱といたしましては、いま申し上げましたように、大河川地域の人口密度、資産の考え方からそれに対応する問題と、それから中小河川、大河川関係につきましては五〇%ちょっとでありますけれども中小河川関係につきましては、災害関係につきましては一七%くらいの対応しかできておりませんので、こうしたことを考えながら治水安全度の向上を図るとともに、なお水需要をも勘案した長期的な供給確保のための策定を柱として進めてまいっておるわけであります。  特に、都市化の進展した関係におきまして、治水事業の推進及び国民生活の向上と経済発展に対応した水資源開発にも重点を置いてこれから進めてまいるというようなことで、前向きで取り組ましていただきたい、このように考えております。
  63. 勝又武一

    勝又武一君 富士山は、日本の富士、世界の富士と言われておりまして、この富士山ろくの問題というのは、国立公園、富士登山あるいは国有林、広いすそ野等々ありまして、治山治水の観点からもあるいは観光とか、具体的には最近の落石による事故死という問題も含めまして、単に一市町村、一つの県の問題ということでなくて、やはり政府が重要な関心と責任を持って対処すべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。
  64. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 先生御指摘の富士山南西山ろくと申しますか、それの野渓対策でございますが……
  65. 勝又武一

    勝又武一君 まだそんなこと聞いてないですよ。
  66. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 失礼しました。
  67. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 根本的な質問であったようでございますので、私からお答え申し上げます。  先生御指摘のように、富士山はまず日本のシンボルそのものであります。したがって、地域住民のための生活環境のシンボルであると同時に日本の国の国際的なシンボル、あわせて治山治水の面からもいま非常に危機に立たされておるわけであります。したがって、何年来となく国の直轄事業で富士山の治山治水については取り組んでおるわけであります。いろいろと問題点はあるわけでありますけれども、これを一つ一つじみちに全からしめて治山治水の問題はもとより、日本の国のシンボルの山としてのいろんな意味で完全な対策を立てていくというのが根本的な柱であろうかと思います。
  68. 勝又武一

    勝又武一君 この富士山の主として南側、駿河湾に面する方、これを地元の住民の方々は表富士と俗称しておりますが、この表富士の南斜面にわたって昔から八百八沢と言われる野渓、これはふだんは水がありません。空沢であります。この野渓につきまして、地元の富士宮市に建設省の富士砂防工事事務所がありまして、この野渓調査を実施をされたのはいつですか。
  69. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) お答えいたします。  先ほどは大変失礼いたしました。  建設省におきまして、富士山南西斜面の野渓調査をいたしましたのは昭和四十九年、五十年、五十一年の三カ年でございます。
  70. 勝又武一

    勝又武一君 この調査の予算、経費、これは幾らぐらいでしたか。
  71. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ちょっといま調べまして、すく御返答いたしたいと思います。——約八百万円でございました。
  72. 勝又武一

    勝又武一君 この調査の結果をまとめられたのはいつですか。
  73. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 昭和五十一年十月二十五日に発表いたしております。
  74. 勝又武一

    勝又武一君 いま発表されたとおっしゃったんですか。
  75. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 報告書を作成いたしております。
  76. 勝又武一

    勝又武一君 これはその報告書を作成されたんですが、その調査結果あるいはそれをどういうように使われましたですか。
  77. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) その内容でございますが、南西斜面十三河川にわたりまして、河川の河床状況、流域の土地利用状況、各種法の規制状況、崩壊状況及び既往災害状況等につきまして調査いたしました。おのおのの河川の特徴を考察いたしまして、その結果といたしまして大沢川、弓沢川、凡夫川、伝法沢川、赤渕川、須津川、江尾江川の七河川につきまして、比較的浸食が進んでおるということがわかってまいりました。今後この野渓調査をなお引き続き結果を踏んまえまして、順次計画的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  78. 勝又武一

    勝又武一君 この調査結果を地元の市町村等に参考資料として配付はなさいましたか。
  79. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) してございません。
  80. 勝又武一

    勝又武一君 この調査目的は何だったんでしょうか。
  81. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 先ほど冒頭にもお話がございましたように富士山の斜面につきまして崩壊が見られるというようなことから、昭和四十年代におきましても災害が起こった事例がございますし、そういったことを踏まえまして建設省調査いたしましたわけでございます。
  82. 勝又武一

    勝又武一君 昨日、実は十月二十五日付の「富士山南西山麓野渓調査の概要」というのを、私は資料要求をして初めて二十五日の日付のものを実は昨日いただいたわけです。これを拝見をいたしますと、「野津に発生する水災害等が土地利用の変化とどのような関係を持っているかを明らかにすることを試みたものである。」この調査目的のところにこう書いてあるわけですね。さらに、「本地域のように、土石生産域と人間活動が密に行なわれている地域が密接している地域では、」「水災害などを把握しておくことは砂防計画の立案等に意義のあることであろう。」こういう目的でやったというようにこの概要には書いてありますが、そうじゃなかったんですか。
  83. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) そのような目的でございます。  なお、細部につきましては、たとえば四十七年七月の梅雨前線豪雨であるとか、あるいは四十九年七月の豪雨というようなものの際の状況等も調べておりまして、そういったことからこの対策をしなければならぬというようなことが結論づけられておるわけでございます。
  84. 勝又武一

    勝又武一君 それから、この概要を拝見をいたしますと、この調査は、航空写真、二万五千分の一の地図をもとに一部分だけ踏査をして行った、野津調査としては十分でなく、ラフなものであった、調査結果としても十分でなかったので、たとえば調査結果をパンフレットにするとか、資料として公開するとか、そういうことをしないで部内資料にとどめておいた、こういうように現地の事務所の方はおっしゃっているんですが、そのとおりなんでしょうか。
  85. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) この調査ですべてのことが解明されたというわけにはまいりませんので、今後もなお引き続き調査をする必要があるということは認めております。
  86. 勝又武一

    勝又武一君 そこで次に、具体的にこの目的と関連をしてお伺いしたいんですが、いま言ったような目的で非常に不十分だけどこういうものができてまとめた。それは地元の市町村にも配付もしないで、部内にとどめておいたと。しかし、拝見しますとこうなっている、書いてあるんですよ。たとえば一カ所を挙げてみますと、「溪岸崩壊については、今後現地調査を実施する必要があるものと考える。」という個所がこの中にあります。この指摘について、この調査の済んでまとめられた以降今日まで、現地調査あるいは踏査を具体的にされましたか。
  87. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) この調査の中の一部でございます大沢につきましては、その後も検討を加えておりまして、たとえば滝の後退等に対する対策というようなことも検討いたしまして、今後それに対応するというようなことを考えております。
  88. 勝又武一

    勝又武一君 いや、いままでやったかやらないか聞いているんです。
  89. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 全般的につきましてはやっておりません。
  90. 勝又武一

    勝又武一君 大沢のところはそうなんですよね。私がお聞きしているのは、富士、愛鷹水系の野溪全般について非常に不十分だったから踏査をすべきだとまとまっているのにもかかわらず、その踏査はやっていなかったということをまず指摘をしているわけです。  それからもう一つ、本調査地域の昭和二十年以降の既往災害調査を実施し、土砂の押し出しは昭和四十七年、この大沢だけで、あとはすべて、水害であると結論を出された。下流の平野部では水害がほとんど毎年発生している。それから都市が山ろく斜面に及んでいる。それから低湿地が工場地化して遊水池としての機能を失いつつある、ということも指摘してるわけです。そしてこの各野溪ですね、川や沢、たとえば先ほど局長もおっしゃった弓沢川とか凡夫川とか、こういう個別に総括表をつけて、具体的に水害の危険をこの中で列挙してるわけです。この対策をとられましたか。もしとっておけば、たとえば昨年十月のこの弓沢川、潤井川、天間沢川等の水害は防げたというように十分考えられるわけですけど、その点はどうだったでしょうか、反省はおありじゃないんですか。
  91. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 調査結果に基づきまして直ちの対応ができなかったことは事実でございまして、ただ、その対策全体をやりますのにはかなりな経費とかなりな時日はかかると思いますので、いきなり災害と直結するかどうかというのは実はお答えしにくいわけでございますが、私どもとしては今後そのことのないように努力しなきゃいかぬというふうには考えております。
  92. 勝又武一

    勝又武一君 もう一つ、これは皆さんのところでおまとめになった概要ですから、そのまとめられたもう一つの項目の中に、この地域の災害は主として水災害だから、流域の降雨、流出の実態を把握するため、降雨観測、流量観測を行い、流出解析を実施することが必要だ、こうこの調査結果にまとめられてるわけです。この流出解析というのをやられましたか。
  93. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) いままでのところやっておりません。
  94. 勝又武一

    勝又武一君 一体どういうことなんでしょうか。八百万という額は、確かにほかの調査の費用に比べれば私は少ないと思います。しかし、八百万のお金をかけてそれだけの調査をされて、一番関心のある地元の富士とか富士宮とか芝川とか、そういう関係のある市町村にもこの資料を配付もされずにいて、そして私などがいま見れば、非常に不十分だとは言うけれど幾つか具体的な指摘をしている。そして、そのことをやっていれば、昨年十月のあの二十号台風の災害というのは未然に防げたんじゃないかということさえ感じられる。こういうことを考えますと、やはりあの野溪調査に取り組まれたときの構えですね、あるいはそれがまとまった後どう対処するかという点がきわめて不十分だ。  これは大臣に特にお伺いしたいんですが、大臣は御就任されましてからいろいろとお聞きにはなったと思いますけれど、残念ながら以上のような状況なんです。そこで、今後この野溪調査の結果をひとつ活用していただくとか、あるいはもっとそういう意味での野溪調査の充実ということをぜひ御努力いただきたい、こう考えますけれど、いかがでしょうか。
  95. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 野溪調査の結果をお知らせするという問題と、これからの野溪対策については、来し方の災害の起因を考慮すると、これから相当前向きでやらなければならない問題であるというように承知いたしております。お指摘のような愛鷹山南ろく、富士南ろくの災害は非常に厳しいものがありますだけに、国においても相当の防災、復旧復興予算を組んでおります関係上、野溪対策についての予算計上がいささかいかがなものであろうかということについては、私もよく考えさせられる問題でございますので、これを機会に、やはり起きた後の災害予算を考えたならば、事前の防災という面に予算をつけていけばかえっていろんな意味でプラスになろうというようなことを考えておりますので、その点につきましてもあわせてこれからも前向きで検討させていただきたいと、ただ検討することをひとつ申し上げるわけであります。
  96. 勝又武一

    勝又武一君 次に、富士山ろくに建設省建設大学校中央訓練所がございます。この中央訓練所が野溪調査を実施をいたしまして、これは昭和四十九年の三月に調査報告書をまとめておりますが、この点は御存じでしょうか。
  97. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) まとめたことは聞いております。
  98. 勝又武一

    勝又武一君 これは釈迦に説法で恐縮ですが、産業開発青年隊が卒業論文で、富士山ろくの地域開発防災対策に取り組み、地元富士宮市の都市計画は机上プランで、既存の資料を見ても野溪の実態がほとんど把握されていないということを発見をした、そして青年隊員が砂防工学、河川工学の技術を駆使して調査したのがこの建設大学校中央訓練所が野溪調査を実施をした発端であった、というようにこの資料で述べられております。そして、四十七年七月の台風被害がこれらの水系で約百九十カ所に及んだという防災対策と、この富士山ろく一帯に種々行われつつあります開発行為の規制を防災の立場から説明できる科学的な資料を得ることが目的だった、こういうようにこの中に記してあるわけです。この点もそういうようにお受け取りになっていらっしゃいますか。
  99. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 実は、この中央訓練所と私どもと連携はとれておりませんでしたので、その中身の逐一につきまして私どもと連絡はとれておりませんが、この訓練所におきましても先ほどの先生のお話のような観点から調査を克明に行ってかなりの成果と申しますか、いまのような実態を把握したということは、この調書を送っていただきましてわかりました。対応を私どもとしても何らかしなきゃいかぬというふうには考えております。
  100. 勝又武一

    勝又武一君 この調査報告書を拝見しますと、いわゆる野渓の特性、各野渓についての所見がそれぞれ記載をされております。たとえば、この中から幾つか挙げてみますと、川や沢の沿岸——岸にまで民家や住宅が接近をしている。それから二つ目に、生活汚水や生活廃棄物等で沢が汚されている。三つ目が、沿岸の畑地の肩が崩壊をしている。四つ目に、上流部の河床付近に古い立ち木が多く見受けられる。五つ目に、上流部で別荘地としての宅地造成が行われている等々、具体的に指摘をしているわけです。これは実際歩いて調査をした足による調査だというようにまず実感として思うわけですが、これはすべて皆四十九年の三月に報告書としてすでにまとまっているわけですね。ですから、これも昨年十月の二十号台風と比較するとちょうど五年半たっているわけです。しかも、これは建設省建設大学校の中央訓練所の開発青年隊の人たちが足で調査をされたとうといものだと思うんですね。やっぱり私はいまこうやって反省してみますと、いま指摘されているようなことが昨年の十月のこの野渓を中心にした川や沢でみんな同じようなことが起きているわけです。ですから、こういうものをぜひもっと活用されるべきだった、私はそのように思いますけれども、どういうように反省されますか。
  101. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいま先生御指摘のように、中央訓練所におきまして大変克明な調査を行っておるわけでございます。私どもとしても非常に貴重な資料であると思います。ただ、私どもの立場から申しますと、やはりそこになお砂防工学的あるいは河川工学的な見地からの検討もなお加える必要があるのじゃないかというようなことも考えられますので、今後、連携を密にいたしまして、その成果が生きるような方向で私ども努力したいというふうに考えます。
  102. 勝又武一

    勝又武一君 いわゆる富士表に富士、富士宮市の西に芝川町のもう、ごらんになっているわけでありますが、この中に毎年次のようにあるわけですね。「富士山麓及び愛鷹一町がありまして、富士治山治水期成同盟会というのをつくっております。昭和四十八年以降の陳情書、すでに山麓の野渓調査の実施について」という項目がありまして、毎年、毎年このことを強く現地からは要望があったと思うんですが、四十八年度以降にありました「富士山麓及び愛鷹山麓の野渓調査の実施について」ということについて、建設省としてこの要望に沿うためにどういう御努力をこれまでされていらっしゃったでしょうか。
  103. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 先ほど来申し上げましたような国における調査をやりまして、その直轄の事務所が設置されておるわけでございますが、やはりどうしても重点がいわゆる大沢崩れの方にとらわれておったことも事実でございます。事務所の精力の大部分がそちらの方へ目を向けておったということも事実であろうかと思いますので、いまのような御陳情に対してきめ細かい対応にはあるいは欠けておったこともあったかというふうに考えます。
  104. 勝又武一

    勝又武一君 これは大臣にお伺いをしたいんですが、本年の八月二十八日付のこの期成同盟会の陳情書を拝見をしますと、昨年の十月十九日の台風二十号の豪雨による未曾有の被害を受け、そういう反省の中で、河川上流での野渓対策というのは防災上いかに重要課題であるかを痛感しております、という個所がございます。そして、特に「富士山・愛鷹山の野渓の実態調査」と「河川上流部に雨水調整池、砂防堰堤等の治水施設の設置」を要望しているわけですが、この点については大臣、これはどのようにお考えでしょうか、御所見を承りたい。
  105. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お話のような同盟会の御進言につきましてはよく承知いたしております。いままでの経過、お答えの中でおわかりのように、余りにも富士山そのものの防災に追われて野渓対策がいささかいかがなものであったかということは事実であります。したがって、今後の課題として、先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり防災というところに全般的な志向、重点を置いて、災害が起きてからでなく、事前の策としてこれから前向きであわせて検討してまいりたい、このように考えております。  なお、雨水等の貯留池、遊水池といいますか、このことについても本年度から具体的に個所づけをして、何とか実現方を進めてまいりたい、このように考えております。
  106. 勝又武一

    勝又武一君 これらの地域におきましては過去昭和四十七年の七月、四十九年の七月それから五十一年の八月そして昨年の十月と続いた水害、集中豪雨があるわけでありますが、それらの特徴、それから被害を生じた原因、こういうものは何だったというようにお考えになり、そしてまた、それらからどのような反省をお持ちになっていらっしゃいますか。
  107. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 私ども四十七年七月の豪雨、それから四十九年七月の台風八号による豪雨、これが非常に大きかったというふうにとらえておるわけでございますが、その際の状況から申し上げますと、やはり大沢崩れからの土石流によりまして上井出地区の災害というのが非常に卓越しておる。また先ほど来先生の御指摘の野渓下流の地域の浸水被害もやはり顕著であったというふうに見ております。四十九年の災害におきましても同様でございます。このほかに流木による被害も出ておるようでございます。それらを勘案しながら今後直轄砂防、それからまた細部にわたりましては、県の補助事業によりますきめの細かい対策をしていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  108. 勝又武一

    勝又武一君 これは昨年の被害の具体的な例でありますが、天間沢川というところで非常に被害が大きくなりました。これは大臣も現地を訪れられまして、直接被害状況等をすでにごらんになって御承知のとおりだと思うんですが、私なりに考えますと、あの非常に小さい、ふだんはほとんど水のないような野渓をもとにしたところから出ている小さい川、そういうところで被害を大変大きくしたのは、下流の橋げたに直径五十センチから一メートルぐらいの流木がひっかかってせきをつくっている。そのせきをつくったそのことによって大変な水害が付近の住宅に押し込んでいるわけです。  しかも、この流木を見ますと、根っこがついたままの立ち木なんですね。つまり上流で立ち木の根元が洗われて押し出されたということが明らかなんです。そういう意味で言いますと、ふだんは先ほどから言っておりますように、野渓、空沢ですから、この空沢の上流部の沢の岸、ここにある立ち木の管理が問題だというように私は感ずるわけです。国有林であればもちろんですし、民有林であるならば国が買収しても、そういう空沢の水がすぐ出れば根っこが洗われて、根のついたまま一メートルの直径のような流木が流れてくる。こういうようなことを防ぐためにも砂防堰堤なり、そういう意味での護岸工事なり、こういうことを完備すべきだというように考えますけれども、この点は大臣なり局長なり、どうでしょう。
  109. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいま御指摘の流木の問題でございますが、端的には私どもの方でも沈砂池とかあるいは流木どめというような施設をつくりまして、それを防ぐということもいたしたいというふうに考えております。またただいまのお話のように、上流部の立ち木の枯れたものをどう取り扱うかということになりますと、私どもの所管だけではまいりません部分もございますので、関係機関とも協議いたしまして、その対策に善処したいというふうに考えております。
  110. 勝又武一

    勝又武一君 これもやや関連をしてお聞きをするんですが、この富士山の周遊道路ですね、これはもちろん表富士だけでない、山梨県側もひっくるめまして大変いまこの周遊道路というものは完全舗装をされている。それから富士山の五合目までの登山道もまさに完全舗装であります。そしてこの雨水排水の対策もされていないというように思うわけです。富士山からの一合目から五合目まで、ここはふだんでも集中豪雨がございますし、鉄砲水のようにこれらの舗装されたところから野渓へ流れっぱなしになっている。こういうことも私は治水対策として無視できないんじゃないかと思うわけです。  あるいはこれは農水省になるんでしょうか。国有林をイチゴの苗の育成の畑にずいぶんいま富士山ろくでやっていますね、山ろくというよりももう二千メートル前後のところを、一合目から三合目ぐらいの周辺になると思いますけれども、一体これらは総面積でどの程度ぐらいになっているんでしょうか。そしてまた、それが果たして水害をもたらすという遠因をつくっているのか、いないのか。治水対策上、その辺はどうお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  111. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 最初に前段のお尋ねについてお答え申し上げます。富士周遊道路でございますが、表富士は静岡県が管理しております道路でございまして、御指摘のように舗装もできておるわけでございますが、たとえば沢の流路工のような流れの流末処理、これは工事中から気をつけてやっておるわけでございまして、これは直接原因になったかどうかという点については、余りそういったことは私ども実は聞いていないのでございますけれども、しかしながら、天然、自然の現象はやはり相当長期にわたりまして人知の及ばないような変化をするわけでございます。私どもその辺を謙虚に踏まえまして、これからの維持管理につきましても十分意を用いてまいりたいと思います。
  112. 平賀滋

    説明員(平賀滋君) お答えいたします。  ただいま富士山周辺の国有林で、イチゴの栽培に関連しまして治山治水の問題についての御質問でございますが、まず面積でございますが、富士山国有林全体八千八百四十九ヘクタールでございますが、そのうち御指摘のイチゴ栽培のために国有林野を貸し付けておるものは全体で四十二ヘクタール余りでございます。  国有林野の貸し付け仕様と申しますのは、国有林野の所在します地域の農林業その他の産業の振興、または住民の福祉の向上のために行っているものでございまして、その実施に当たりましては適切な防災上の配慮をした上、当該地域の住民の意向を尊重し、これとの調整を十分図って行って  いるところでございます。  御質問の国有林野内のイチゴ栽培面積は、いま申し上げましたように四十二ヘクタール余りでございますが、これは主として林間、それから防火線、これは山火事の延焼を防ぐための防火線でございますが、防火線を利用して行っているものでございまして、その利用の仕方から見まして、治山治水上で特に大きな支障とならないよう配慮しているつもりでございます。
  113. 勝又武一

    勝又武一君 いろいろお伺いをしてまいりましたが、以上のようなことを考えてみましても、私は集中豪雨の水害対策としまして、調整池をつくることが最も適切だというように考えております。  現在、富士市で準用河川の伝法沢川の大渕、片倉地先に防災調整池としての雨水貯留施設を計画中で、収水面積が七百三十ヘクタール、貯水容量五万立方メートル、貯留池面積は九千平米と言われておるのでありますが、本日冒頭、大臣にお伺いをいたしましたように、こういう調整池、雨水貯留施設等の計画は、大臣も概算要求で所信表明をされているとおりだというように思うわけですが、この具体的な大渕、片倉地先の雨水貯留施設につきまして、今後の補助なり今後の推進なりにつきまして大臣の御見解を承りたいと思います。
  114. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) これは具体的な問題になってまいりますし、先ほど申し上げましたように、個所づけ等前向きで進めたいということでございますけれども、局長の方から具体的なことでありますのでお答えさせます。
  115. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいまお話しの伝法沢川の雨水貯留施設でございますが、富士市の方から御要望がございまして、県からもその意向を私ども聞いております。ただ現在までに提案されましたものは、技術的に見まして若干まだ検討を要する部分がございます。たとえて申しますと、いわゆるアースダムと申しますか土堤でできておりますが、いろいろな面でもしも被害が起きた場合には、これはかえって被害を倍増いたしますので、たとえばロックフィルダムに変えたらどうかとか、いろいろなまだ解明しなきゃいかぬ問題がございますので、そういったことを県ともよく相談しまして、事業主体は、これは準用河川でございますので富士市になろうかと思いますが、そういったことで進めたいというふうに考えております。
  116. 勝又武一

    勝又武一君 いま具体的に一つモデルとしてお聞きをいたしましたが、そういう計画が進んでおりますので、このような調整池をこの伝法沢だけでなくって、先ほどから私くどく指摘をしてきました他の川や沢ですね、こういう野渓に適切に計画をされるということが治山治水対策上非常に重要だと思いますけれど、こういう方式をモデルにして幾つか拡大をしていくという点につきましての御見解を賜りたいわけです。
  117. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) この雨水貯留施設というのも一つの洪水対策の手法でございます。オーソドックスには河川改修によりまして河道を改修していくということが基本ではございますが、こういったことも取り入れながら河川の総合的な安全を図るというような計画は、現在特に都市化の著しい地域におきましてはやっておるところでございます。このいわゆる総合治水対策とわれわれ称しておりますが、その地域から申しますと、東京周辺であるとか、こういったところにそういった手法も用いざるを得ないような個所がたくさんございまして、そういうところから発想した手法ではございますが、ただいま先生がおっしゃいますように、いろいろな手法を用いてこの地域にも安全な治水を今後進めていかなきゃならぬというふうに考えております。
  118. 勝又武一

    勝又武一君 そういういろいろの手法を用いるために、あるいはそういう具体的な検討をいただくためにも野渓の調査ということが非常に重要だというように思うわけです。そこで、確かに一度されまして、先ほどお聞きをいたしましたように、まとめられたものが部内としてはあるわけですけど、少なくともそれをある程度パンフレットにまとめられる、ある程度資料として活用できる、あるいは具体的にそれが今後のこの調査池を検討をするというようなものにたえ得るような野渓調査ということをさらに充実をして、ひとつ地元の工事事務所等その他関係方面の方々の御協力をいただいて、この野渓調査ということについて具体的に一歩前進した方向で取り組んでいただきたいというようにも考えるわけですが、これらについてどんなにお感じになりますか。
  119. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 結論から言えば、野渓調査は具体的に進めてまいりたいと思います。富士、特に愛鷹関係野渓調査については相当以前から市でもやっているはずでございまして、具体的な調査記録もあるはずでございます。それが行政の面で直接的に作用しなかったということははなはだ関係する者として申しわけなく思っております。日本のような地形から言いますると、富士、愛鷹に限らず、防災の面から、また当初から申し上げる起きてからの予算、財政を考えますと、事前の防災施設を全からしめる方が予算の上からも非常に、私はざっくばらんに言えば少なくて済むというように考えているものの一人でございますので、先生の御指摘の面を基軸にして野渓対策については取り組んでまいりたい、このように考えます。
  120. 勝又武一

    勝又武一君 この野渓にかかわる問題の最後に、もう一つだけお伺いをいたします。  それは、先ほどから大臣も表明されていらっしゃいますように、災害が起きた後の金を使う、この災害後の金を使うつもりならば、私は、先ほど野渓調査が約八百万というお話がありましたね。大変な、計算をしたってわかると思うんです、すぐに何十億という被害の復旧工事費になるわけです。ですから、この野渓調査を充実していただきたい。同時に、調整池をつくることも、被害が起きた後の災害復旧工事の額と比べればはるかに少なくて済むんじゃないか。  だから、国家的な見地というのはそういうようにお考えをいただきたいというように思うわけですが、この概算要求の個所を拝見をいたしますと、このような雨水貯留事業の強力な推進と補助対象の拡大、防災調整池を提唱されていらっしゃるわけでありますから、特にそういう意味でこの富士山ろくの治山治水というのはまさに私は国家的な行事だというように思います。同時に、この八百八沢と言われます野渓の下流地域というのは日本でも指折りの製紙工場です。それから自動車工場と、日本の産業の発展にとってきわめて重要な地域だというように考えているわけでありまして、そういう意味では、この日本の産業全体のことを考え、災害復旧に使う費用のことを考えれば、まさに国家的見地に立って調整池等の検討について一歩突っ込んだ前進を御検討をいただきたいと思いますけれども大臣の最後にこの点での御所見をお願いをいたします。
  121. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生の御指摘といいますか、お考えに全く私も同感であります。有効適切な事業を執行するというのも一つの政策であろうかと思いますが、防災に対する対応の方がより積極的にやることによって、厳しい財政事情であればあるほど生かされる財政措置ができていくのではなかろうか、このように考えます。一野渓がもたらす災害が財産的な問題でなく、産業、人命にかかわる問題であるとするならば、国の施策の一つとしてこれは当然やるべきことであろうかと思いますので、先生の御趣旨をまつまでもなく全く同感な気持ちでいま伺ったわけでありまして、その点につきましても今後とも前向きで取り組んでまいりたいと考えます。
  122. 勝又武一

    勝又武一君 次に、富士山の大沢対策の問題について幾つかお伺いをいたしたいと思います。  これは、富士砂防工事事務所が五十三年三月に発行されました「富士山大沢くずれ扇状地砂防計画」と称したパンフレットがございます。このパンフレットの最後に「今後の検討事項」というのがございまして、この中に次のように触れているわけです。扇状地の対策工事を「完成させることはもちろんであるが、さらに今後は岩樋付近から源頭部までの生産土砂源の拡大防止対策に移行する必要がある。」、源頭部対策には——源頭部というのはここですね、この富士の一番崩れている、山頂に一番近い、ここの源頭部対策には「十分な調査と新技術の開発を検討する。」、こういうようにこの検討事項のところに書いてあるんです。これは五十三年の三月だったんですが、その後この源頭部の検討事項というのはどういうようになっているのでしょうか。
  123. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいまお話しの大沢川の源頭部対策でございますが、その地域は御承知のように標高が非常に高いためにその気象条件あるいは地形、地質条件、これから工事が非常に困難な状況にございます。したがいまして、先ほどの報告書にも「今後の検討事項」というふうになっておるわけでございます。私どもとしてもそれに対して適切な対処する具体的な方法というのは、いままでのところまだ考えついておらないわけでございますが、しかし、今後ともその対策をどうするかということは取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  124. 勝又武一

    勝又武一君 大臣が現地を視察されましたのは九月の八日だったんでしょうか、大臣になられまして。そのときの新聞報道を拝見したんですが、その新聞報道によりますと、建設大臣はもうこの大沢は再三再四何十回となく来られていらっしゃるけれども、その建設大臣として現地視察をされたときに、すごい石がたくさん並んでいるのを見ながら首をかしげられて、いや、これはやっぱり大変だ、何とかそういう意味での恒久対策を具体化したい、こういうように記者に語られたということが当時の新聞報道になっておりますが、新聞報道の範囲でありますけれども、そのときの実感といいましょうか、直接建設大臣として今度は現地を視察されて、そしてそこに堆積をしている土砂をごらんになって、源頭部の恒久対策の具体化ということを記者に語られたときの大臣の感想といいますか、それはどうだったでしょうか。
  125. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 就任後、現地を視察いたしたわけであります。  その前、私も大沢対策については十六年になりますか、十七年くらい対策に腐心してきたわけであります。いままでとは立場をかえてあれの扇状地を視察したわけでありますが、歴代の建設大臣おいで願って——短い大臣お二人さん以外はすべて現地を見ていただいておるわけでありますが、今度大臣になって責任者として見た場合の感慨というものは、恐らく勝又先生も国会議員になられて視察されたと同様に、いささか責任と、日本のシンボルと言われる山がこれでいいのかということの感慨がおのずから違った面で深くされたと思います。本当に言い知れない責任感と、どのような対策をとることが最も適確であり長期的であり、永久的にできるかということはもう十何年来言い続けてきたわけでありますが、工法的に、いま局長からも言いましたように、標高が高いということ、地形、地質、気象の条件等々でなかなか解決がずばりないようなんです。したがって、二十万トンに及ぶ崩れていく土砂を扇状地にためて、下流の防災を考えながら技術的に最小限で食いとめるという方法しかいまのところないようであります。御中道から大滝、それから先の滝の後退の歯どめでさえも、いま技術的になかなかむずかしいということでございます。  これは、技術的なことについてはどのようなセクションで具体的に進めるかということ、建設省の専門官が検討はしておるはずでありますけれども、こうした問題を踏まえて技術的なことで対策を図ると同時に、現状を見きわめながら、さらにあの扇状地が拡大して人畜被害、生命財産に及ばないようなことをとにもかくにも積極的にやるしかいまのところ方法がないんじゃなかろうかというように、私は技術屋でありませんので政治的に判断をいたしておるわけであります。責任者として本当に頭の痛い問題でありますけれども、頭が痛いということだけで見過ごされない大きな問題でありますので、先生方の御指導等々仰ぎながら、今後とも積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておるところであります。
  126. 勝又武一

    勝又武一君 富士山のここの源頭部というのは、確かに御指摘のように技術的にもいろいろとむずかしい問題があるということは私なりにもよくわかります。そこで、源頭部があって、その次が峡谷部、中流部と、こう言われるわけですね。この峡谷部と中流部、これをやろうとすればできないことはないんじゃないかというように私は思うんですが、扇状地だけで終わって中流部と峡谷部がずいぶんおくれているというふうに思うわけです。特に中流部にかかわりまして、地図で見れば一番説明が簡単にいくんですが、上井出林道から北山林道、いわゆる営林署で言いますと、六番官舎から十一番官舎に行く道ですね。これと大沢とぶつかっているところがある。この地点ですね。これは昨年十月の水害では決壊しちゃいまして車が通れなかったんですよ、ずっと。もみじがすごくきれいなところでしてね、ここは車が通らないと大変困るわけなんだ、六番から十一番に行くというところは。まさに中流部のここで、これこそやろうとすればできるのに長い間車どめ、通過どめだったんだ。これは何か林野庁の施工の土手が少々ある程度の地域ですよ。そう言えばおわかりだと思いますが、ここの中流部にかけての対策というのは全くおくれている。ここなんかは速やかに抜本的な対策を立てられてしかるべきだというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  127. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) 先ほど申し上げました源頭部対策につきましては、私どもまだどういたしたらよろしいかという結論が出ておりませんが、それにつながります御中道から大滝に至る区間でございますが、これにつきましては地質的に滝がだんだん後退していくというような特殊な地形の場所でございます。それにつきましては来年度、五十六年度から試験的な工法ではございますが、滝の後退を防止するような工法を実験的にやってみたいというふうに考えておりまして、ただいま御指摘のようなことの一部には着手できるかというふうに考えます。
  128. 勝又武一

    勝又武一君 それから次は、大臣のおっしゃいました扇状地にたまっている流出土砂の処理の問題ですね。これはたまったら出しているんだということなんですが、簡単に言えばそういうことでしょうけれども、源頭部のいまの崩壊は技術的に大変だ、峡谷部と中流部なり岩樋の部分というのも余り進んでない、そうすればまさに扇状地にたまるだけですから、この土砂のたまるここのポケットはいつも本来ならあけておかなくちゃいけない。そういう意味でこの流出土砂の処理、利用方法、これはどうなっているのか。  それから、恒久的な流出した土砂の処理対策というものはもう少し抜本的に考えられないのか、この辺はいかがでしょうか。
  129. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) まず一つの問題は、現在この流下してまいりました土砂、これを掘削いたしておるわけでございますが、膨大な量が出ます。この土石を何らか利用する方法がないかということで、協議会等もつくりまして、現在その利用方法について検討を重ねておるところでございます。  それから、将来ともこの上流からの、いわゆる源頭部からの土石の流下が続くことに対しまして、安定的な将来の恒久対策をどうするのかというようなことに対しましても、現在まだ確とした対策計画は持ち合わしておらないわけでございますが、引き続きいろいろな調査によりまして、また関係機関との協議によりまして処置していきたいというふうに考えております。
  130. 勝又武一

    勝又武一君 さらに、砂防工事事務所で出しておりますこのパンフレットの検討項目の中に、いまの扇状地の堤の中に「樹林帯を設ける」、そういう具体的な方策ですね、それから扇状地の施設の周囲に、自然環境に調和するようなレクリエーションの場として利用できる配慮も必要だ、というふうに述べているわけですが、これらの公園化なりの具体案はどうなっているのか。特に右岸対策としての防災堤あるいは砂防林計画という点はいまどの辺まで進んでいるんでしょうか。
  131. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいまのお話しの、樹林帯あるいは将来それを利用しての公園計画等はどうなっておるかというお話でございますが、まず樹林帯につきましては、すでに具体的な計画を持っておる場所もございます。ただ、先ほど来お話しのようにかなり恒久的に処置しなければいけない場所でもございますので、現在持っているだけの計画ではとても足りませんので、この地域を含めました総合的な土地利用といったことも加味しながら地元市町村あるいは県、あるいは関係の国の機関とも相談しながらそういった計画を今後立てていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  132. 勝又武一

    勝又武一君 いわゆる大沢対策のうちの潤井川水系と芝川水系とがあるわけでございまして、潤井川水系の方がほとんど完備をしているのに比較をしますと、芝川水系、いわゆる芝川筋の方は大分おくれているわけですが、大臣にお伺いしたいんですが、芝川筋の砂防対策、直轄事業としての施工につきましてひとつ潤井川筋のように今後施工されたいというように考えるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  133. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 芝川関連でございますけれども、大沢崩れとあわせて潤井川と芝川は一体の、二本ではありますけれども、流域災害等々から見ると一体として考えられるべき芝川水系ではなかろうかと思います。したがって、今後の課題として潤井川と同様にやはり芝川対策については考えていかなければならないのではなかろうかと思います。  先ほどの五十四年の災害におきましても、潤井川関連で激特でございましたか、四十億をあわせて芝川関係につきましても予算計上して、いま一生懸命で防水対策をやっておるわけでありますけれども、これは一体として今後も考えるべきことだ、私はこのように考えて対応を進めてまいりたいと考えているところであります。
  134. 勝又武一

    勝又武一君 何か一部でお伺いをいたしますと、この大沢対策といわゆる芝川筋が終わったらこの富士砂防工事事務所は廃止しちゃうんだというような話があるやに聞くわけであります。しかし、いまいろいろお聞きをいたしましたように大沢対策なりの恒久対策、特に源頭部までのことを考えますと、きわめてこれは長期かつ粘り強い対策が必要ですし、まだまだ富士山ろく、愛鷹山ろくを含めた野渓なり調整池のことを思いますと、事はきわめて重大だと思うわけでありまして、そういう意味から考えますと、よもやそういう重要な富士砂防工事事務所を廃止するということはないとは思いますけれども、念のために大臣に御見解を承ります。
  135. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 砂防事務所のその件につきましては、私いま初めて聞くところであります。先ほど申し上げましたように、絶対的な防災工法がないとするならば、あの富士山の続く限りは砂防事務所はあってしかるべきではないか、私はこのように考えております。
  136. 勝又武一

    勝又武一君 農水省、いらっしゃっていますか。
  137. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 来ています。
  138. 勝又武一

    勝又武一君 この富士山の西ろくにおきまして、いま畜産基地建設事業が進んでいるわけですが、この事業主体というのは農用地開発公団。この事業計画の特徴というのが、治水対策と畜産の再整備を地域の重要課題としているという点にあるというように思うわけです。雨水の流出量の逓減、土砂流出防止、そういう効果を持つ草地の整備、それからため池整備計画をされているというように聞き及んでいるわけです。特にこの中でいわゆる長瀞地帯というのは、山梨県側からの雨水の流入対策や鉄砲水対策としても重要なモデルケースだというように私も感ずるわけでありますが、現在の調査、それから今後の畜産基地建設事業の進展状況、これらについていかがでしょうか、お伺いをいたします。
  139. 高原弘

    説明員(高原弘君) ただいまの点でございますが、私どもの手がけておりますところの富士西ろく地区の畜産基地建設事業と申しますのは、肉用牛あるいは酪農経営を中心といたしました飼料生産基盤の拡大、整備を行いまして、畜産の濃密生産団地を建設するというようなことから昭和五十四年度から調査を実施しておるところでございます。こういう事業の中でやります防災の対策と申しますか、これはやはり草地の維持なり保全上の基本的事項であるというようなことから、造成草地の保全の観点あるいは周辺に対する影響という観点から、中の調査なり計画ということを進めてまいっておるところでございます。  ただいまお話がございましたように、当該地域におきます防災の観点からのいろいろの防災施設の設置等の必要性が言われておるという問題もありますので、いずれにいたしましても私どもの方といたしましては、十分これからの調査の過程等を通じまして関係機関あるいは県、市町村とも連絡調整を図ってこの畜産基地建設事業調査計画を進めてまいる所存でございます。
  140. 勝又武一

    勝又武一君 この畜産基地建設事業ということで畜産の振興とそれから治水対策という効果、その両方で私も非常にこの方向について賛成でありますが、こういう同様の計画をこの西ろくにあと五カ所ぐらい設定するということで目下いろいろと検討され、調査中だというように聞き及んでいるわけでありますけれど、そういうこの長瀞中心の一カ所以外にその他五カ所ぐらいについてさらに同様の計画があった場合に、具体的にそういう農水省として指導なり補助なり、そういうことについて前向きに取り組まれていくという考えでしょうか。
  141. 高原弘

    説明員(高原弘君) 現在調査しております富士西ろく地区におきましては、ただいま先生御指摘の点は、私ども現在のところはないように聞いております。
  142. 勝又武一

    勝又武一君 私なりにいろいろ調査をしたり勉強する中でいつも壁にぶつかりますのが、縦割り的な官庁行政ということをしみじみ感ずるわけです。ここへ来ると建設省、こっちは農水省、こっちは林野庁といろいろな関係になってくるわけでありますが、特に私はいまお聞きをいたしたいのは、建設省野渓調査を行って調整池をつくっていく、そういう周辺に、たとえばいま農水省でお考えになっているような畜産基地建設事業というものを進めていく。ばらばらでなくてこれを政府として総合的な指導方法なり指導方式というのはとれないものだろうか。建設省が一つ調整池をつくる。その周辺に適切な畜産基地建設事業とを合わせた計画というようなことを考えられないものだろうか。こういうことは私たち素人の言い分であって、全然問題にならぬのか、この辺はどうなんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  143. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 私は建設大臣建設省所管でございますので、他の省に言及することはいかがかと思いますけれども、国務大臣として考えますれば、先生御指摘のように、国の行政ではなはだしく縦割りが進み過ぎて、そうした御懸念でなく、具体的に非常に困った事態がたくさん全国的にあるわけであります。たとえば所管する道路一つにいたしましても、せっかく舗装した道路を、年末になるとガス会社の方でひっくらかす。終わると今度は水道がひっくらかす。全くもっていろいろと問題があるわけで、防災面でもいろいろとそうしたことがある。  先ほどもありましたけれども、野渓関係の流木の問題対策一つにいたしましても、国有林野等々は農林水産省の所管である。災害関係で見れば総合的に流木対策もしなきゃならぬのでありますけれども、いろいろと国の行政の面でのそうした横との連絡、総合性、整合性と言いましょうか、やっぱりこれまで近代化された国家、社会の中の行政の面につきますれば、国民サイドから直接的に波及するような問題については、何とか総合的に判断して実施するような機関が必要じゃなかろうか、こんなようなことを日ごろ考えておりますので、先生のお考えのような形で大きく大所高所から総合性、整合性のある政治をやるということも一つのこれからの問題としてやるべきことじゃなかろうか、このように考えております。
  144. 勝又武一

    勝又武一君 私もことしの三月十四日の予算委員会の総括質問で教育問題を中心に大平総理にただしたときにそういうようなことをいろいろ感じました。ですから、この論議はまた予算委員会の総括質問あたりでやらなければ発展できないかもしれませんが、特にきょうは建設大臣としてでない、国務大臣としての大臣で、最後に一つこの点でお聞きをしたいんですが、これは実は大臣がもっと造詣の深い、大臣もよく御存じのとおりの、たとえば養護学校の問題があります。  いま、国の文教政策として養護学校の義務化、その制度化というものが進んできている。しかし最も大切なのは、私は養護学校の義務化も大切ですけれども、養護学校を卒業した後の子供たちが一体どうなっているのだろうか。就職するところがない、卒業した後どうするのかという問題があります。そのときに、いま県内の養護学校の先生方や父母の皆さんなどが、たとえば農園と授産所と合わせたようなものを富士山ろくにつくりたい、こういうきわめて切実な要望を持っているのに、私この間お聞きをいたしまして、痛切にそのことの必要性を思いました。ですから、その教員は、自分は教員をやめても一諸に養護学校の子供と富士山ろくに住みついてそういうことをやっていきたいんだということさえ言っている教員もいるほどです。  ですから、私のお聞きした意味は、そういう意味でいまのありました調整池を建設省がつくっていく、その周辺にたとえばいま出ましたような畜産基地の建設という問題も一つあるでしょうし、あるいはそういう養護学校の子供たちが営む農園と授産所をつくっていくとか、あるいは野外の教育施設とか文化的な施設とか、周辺にそういうものを国家的な見地で考えるというようなことができないんだろうか。富士山の周辺というのは私は単にそういう一市町村の問題ではなくて、日本じゅうの子供たちが、日本じゅうのそういう養護学校の人たちがあるいは望んでいるということもあると思うんです。あのふもとだったら行って住んでいきたいというようなこともある。そういうようなことを考えますと、先ほど挙げました大沢扇状地の周辺に公園やレクリエーション施設をつくるというようなモデルが建設省にもあるわけですから、やっぱり一歩進められるのは建設省、同時に国務大臣としてそういう意味でのやや規模雄大な政府としての総合的な施策を御検討願う、こういう意味でもこのことをひとつ国務大臣としてもお取り組みをいただきたい、こういう意味で大臣の御見解を承りたいわけです。
  145. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 養護施設、養護される人たち等々まで考えられた幅広い大所高所からの先生のお考えに敬意を表する次第であります。  貯留池という問題から思い起こされたことと思います。貯留池は川という範疇に入るんでしょうか、ただそれが災害のための一時的な貯留池でなく、考えを及ばせていけば、その周辺のもっと前向きな利用度というものも考えられた上の思考であったかと思います。これはもう建設省だけでなく国の大きな施策として、特に富士南ろく地域のような日本一の富士の山を背負うあの良環境のもとで、そうした方々のための施設ということも前向きで考えるべきことではなかろうかと思います。建設省所管でそうした面において具体的な問題がありますれば、当然これは地元の方々とのコンセンサスも必要であろうかと思います。地域の方々の積極的な御意見を聞きながら、御意思を体しながら、制度上に許される、許されないという問題でなく、大所高所からひとつ取り組ませていただきたい、このように考えるものであります。
  146. 勝又武一

    勝又武一君 次の問題に移りますが、大臣は第八次の道路整備五カ年計画の推進について述べられておりまして、特に国道一号、このうち富士川鉄橋というのは富士−由比バイパスの開通によりまして、以前の交通渋滞が一時大変緩和をされました。しかし、現在は地元富士川町や富士川鉄橋かけかえの期成同盟会の本年五月の交通量調査によりましても明らかでありますが、新富士川橋、つまり由比バイパスの交通量と全く旧国道の方が同じ程度になっているわけであります。  この地点は、山梨−静岡を結ぶ交通上の要衝でもございます。そして、きわめて慢性的な交通渋滞の連続です。現在の国道一号の富士川鉄橋というのは大正十三年、一九二四年のつくりでありまして、橋自体も狭く、構造上においても橋脚の露出、鋼材の腐食等の老朽化も激しく危検がいっぱいであります。かてて加えまして東海大地震の防災対策と、こうくるわけでありまして、一日も早くこのかけかえを望んでいるわけでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  147. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 国道一号線の富士川バイパスの問題でございますけれども、これは先生御承知のように、新富士川バイパスの完成とともに県の管理となったものであります。御指摘のように大正十三年の建設、五十年たったこの老朽化した橋は日本の国の東海、表日本の幹線道路としていまだもってその重要性は全く軽減されていないわけであります。また、山梨県との最も重要な交通機関でもありますので、一日も早いこのかけかえについては積極的に進めていかなければたらない問題ではなかろうかと思います。県からの要望もございますけれども、要望のあるなしにかかわらず、これは国一にかかわる重要な橋でありますので、県管理とはいうものの、前向きで取り組ませていただきたい。  問題は、富士川バイパスをつくった当時の経緯もありまして、先に予算の面もございますけれども、聞くところによりますと、幸い県の方でも本年度から調査費をつけるやに聞いておりますので、県の方の対応を見ながら、あわせてこの問題については取り組んでまいらせていただきたい、このように考えております。
  148. 勝又武一

    勝又武一君 私は、最後に海岸の対策につきまして大臣にお伺いをいたします。  第六次の治水事業五カ年計画案では、地震の耐震対策の推進に力を入れると述べられております。そして、第三次の海岸事業五カ年計画案では、「津波、高潮、波浪等による」「海岸侵食に対処」するため推進するとあるわけです。  東海大地震対策で、私は、最もおくれているのは津波対策だと考えます。予知、予知とよく言うわけでありますが、万が一予知のない場合もあるというふうに私は心配をする一人です。そうしますと、なおさらこの予知のない場合の津波対策というのは、予知でき得なかった場合の東海大地震の津波対策というのは一体万全なのかどうなのか。私も駿河湾周辺、東海大地震にかかわる指定地域の海岸線をよく知っている方の一人でありますだけに、背筋の寒くなる思いでいっぱいです。そういう意味で最重要課題となっています駿河湾地区の津波対策というのはどうなのか、お伺いをいたします。
  149. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 東海沖地震、駿河湾に起きる地震を対象にした対策でございます。  先生御指摘のように、海岸に面したところにほとんどの住民の方々がいるわけで、津波対策は地震対策の最重要課題として前向きに取り組んでいただくように関係方々にはお願いを申し上げているわけであります。五年の時限立法でございますが、早急に、いつ起きるともわからないというよりも、いつ起きてもよろしいというほど可能性のある東海沖地震については、予算の面につきましても約四千億でございますか、法律をつくったときに大蔵省からの一応のサインはもらっておるわけでありますけれども、とにもかくにも、津波対策については前向きで取り組ませていただきたいと思います。  特に、先生の地元であります吉原、富士海岸につきましては、東海沖地震対策とは別に、高潮対策としては全国一の十七メートルの堤防を築き、なお引き続き浸食が激しい関係から、吉原海岸は四十二年から、富士海岸は五十一年から国の直轄事業として消波堤あるいは離岸堤等々を進めておるわけでありますが、なおなおこれは浸食に追いつかないというような状況でございますので、これも地震対策とあわせて前向きで取り組ませていただきたいと思います。
  150. 勝又武一

    勝又武一君 わかりました。
  151. 原田立

    ○原田立君 私は、前回の委員会で琵琶湖問題、下水道問題等を御質問いたしましたが、時間が少なかったもので、大分飛び飛びにしたこともありますので、再度お伺いしたいと思っております。  それと、なお、国道十号線等の混雑度の緩和の問題についても御質問をしたいと思っております。時間の都合で若干省いたり失礼なときがあるかもしれませんが、その点は御了解願いたいと思います。  まず、琵琶湖の総合開発の中で最も重要視すべき問題としては、水質保全対策をどう進めるかということでありますが、総合開発の中で水質保全対策をどのように進めてまいるのか。琵琶湖総合開発建設省が所管でもありますが、湖沼の水質保全の問題は環境庁が扱うだろうと思うのでありますが、双方からお答えをいただきたいと思います。
  152. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) お答えいたします。  琵琶湖につきましては北湖、南湖とも水質環境基準のAAの類型指定がなされておるわけでございますが、これをCODで見てみますと、ともに環境基準を上回っている状況にございます。また、ここ四年続けて淡水赤潮等の発生も見てございます。こうした琵琶湖の水質の現状にかんがみまして、環境庁としましては、五十六年度をめどに琵琶湖にCODに係る総量規制を導入すべく所要の準備を進めてございます。  また、淡水赤潮の発生機構の解明のために淡水赤潮研究会というのを設けまして、そこでも検討を行っておるところでございます。  さらに、琵琶湖等のこういった閉鎖性水域につきましては、富栄養化防止対策を総合的に推進していくことが必要でございます。その要因物質となるものは窒素、それから燐等の栄養塩類でございますが、それにつきましても望ましい環境上の水質条件を設定することが必要でございます。そのため検討会を設けまして、先般七月の初旬でございますが、湖沼の燐に係る水質目標を明らかにしたところでございます。さらに、今後は引き続きまして湖沼の窒素についても検討をしまして、湖沼の富栄養化防止のための環境基準の設定を急ぎたいと考えてございます。  また、富栄養化防止対策を推進していくためには、窒素、燐等の除去技術の開発、特に下水処理場の三次処理の推進が肝要であろうかと考えられます。今後ともいろいろと問題があるわけですが、関係省庁とも十分に協議を密にしまして、琵琶湖の水質保全のため努力をしてまいりたいと考えております。
  153. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 琵琶湖関連で、湖沼環境全体についての保全の問題について、環境庁で具体的な進め方をしておられるということは聞いておりますけれども、具体的な協議については建設省にはまだ参っておりません。もちろん、重大な問題でありますので、所管環境庁から具体的なことについてお話がありますれば、当然協議を重ねて対応してまいりたい、このように考えるものであります。
  154. 原田立

    ○原田立君 協議を十分重ねていって進めていただきたいと思うのであります。  課長、いまのお話の中で、今回はCODを取り入れる、あるいは燐も窒素も取り入れるということでありますが、五十六年度をめどにして法制化は進め、完成する、こういうふうに理解していいわけですね。
  155. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) 琵琶湖につきましては、総量規制の導入を五十六年度中をめどに現在調査等を進めているわけでございますが、これにつきましてはあくまでもCODということでございまして、窒素、燐等につきましては、今後の検討課題ということになろうかと思います。
  156. 原田立

    ○原田立君 そこが課長問題なんだよ。大臣、いまのお話のように、CODだけでBODあるいは燐、窒素などを含んでない、そういうふうな返事の仕方をしているわけなんだけれども、これは燐や窒素並びにBOD等も加えなければ何の意味もないんですよ。だから、先ほど大臣は、環境庁の方から問い合わせがあったらせっかく検討に入るというふうに言われていますけれども、しり抜けのようなものであったんでは相ならないということで、いま指摘しておくわけなんですけれども、この点は十分お含みいただきたいと思います。それから、課長の答弁は私としては非常に不満なんです。それだけははっきりひとつ申し上げておきます。  それから、近年における琵琶湖の汚濁進行は急速に進んでいることは当局も御存じでありますが、そのため滋賀県としては条例を制定し、汚濁防止に取り組んでおりますが、汚濁の未然防止を含め総合的な水質保全対策が必要であると。滋賀県の方で要望書があり、その中には、調査研究体制の確立、下水道の三次処理及び屎尿の高次処理、家庭雑排水対策、農業排水対策など総合的対策が必要だというふうに要望しておりますが、これらの諸対策とこの総合開発事業としてはどのように進めていかれるのか。ここら辺の問題になるとこれは総合開発ですから建設省の問題だと思うんですけれども、いかがですか。
  157. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 総合開発ということになって大きな目から見れば建設省にもかかわり合ってくる問題であろうと思います。いずれにいたしましても、琵琶湖は近畿地方の命であろうかと思います。いま先生御心配のように、非常に汚濁が進み、この琵琶湖の用水関係については本当に、むしろ近畿地方と言わずに大きな問題として取り組むべきことであろうかと思います。建設省所管で言いますると、直接的には下水道の問題にかかわり合ってくる問題であろうと思います。一度汚染された湖沼は、よほど前向きで先見的に対応していかないと、死んだ湖沼は返ってまいりません。したがって先生御懸念のように、いまから関係省庁それぞれ——先ほどは環境庁から、環境関係でありますので、協議を受けたらというお話がありまして、受けた段階で前向きで進めてまいると申し上げましたけれども、やっぱり一度この問題は総合的に判断して、いまから対応する問題じゃないでしょうか。ひとつこうした問題につきましても総合的に対応を協議また考慮、対策を立てさせていただきたいと思います。
  158. 原田立

    ○原田立君 調査研究体制の確立、これは各省にわたるだろうと思いますけれども、担当の当面の窓口は建設省になるんじゃないでしょうか。それから下水道の三次処理及び屎尿の高次処理、これも建設省でしょう。それから家庭雑排水対策、これも下水道と関連するからおたくの方じゃないですか。農業排水対策、これは農林水産省だと思うんですね。そうすると、関係省庁から言ってくるとと言っているけれども、害際はあなたのところがほとんど全部なんです。だからこれから取り組むだなんというと、私としては大変遅きに失しているんじゃないかという気がするんですけれども、鋭意努力をしてもらいたいとこれは強く要望しておきます。  現在、滋賀県では、全国に先駆けて琵琶湖富栄養化防止条例を今年七月一日から施行し、有燐洗剤の使用禁止を行い、水質保全対策を行っておりますが、この条例の実効を期するため、国としても側面からの支援を行う必要があると思うのであります。具体的には、国及び民間を挙げて燐、窒素の効果的除去技術の開発促進、あるいは三次処理を行う場合の国の補助率の引き上げ、あるいは淡水赤潮についての調査研究の強力なる推進、国レベルにおける窒素、燐の排水基準を定め推進する、このようなことが具体的に考えられるわけでありますけれども、この点どのような対応を行っていくのか。これは余り細かい問題だから、局長、だれかわかる人が答弁してください。
  159. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいま御指摘のように、琵琶湖の水質保全につきましては、総合的な施策の進行が必要であろうと考えるわけでございますが、その中で、御指摘のように確かに下水道が一番の大口な整備事業かというふうに考えております。下水道につきましては、ただいま大臣から御答弁ございましたところのとおりでございまして、来年度から第五次の下水道整備五カ年計画におきまして、琵琶湖の周辺の都市におきます下水道の整備の一層推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、ただいまのお話の中にございました三次処理の問題でございますが、窒素、燐等の除去を目途といたしました三次処理をさらに推進を図ってまいらなければならないわけでございますが、来年度は琵琶湖につきましても、琵琶湖の流域下水道におきましても三次処理に手をつけるように要求をいたしておるところでございます。
  160. 原田立

    ○原田立君 県では条例を制定し、有燐洗剤の使用禁止を行い、水質保全に努めておるのはただいま申し上げたとおりでありますが、しかし、有燐洗剤の禁止だけでは水質保全の抜本的解決にはならないのではないか。自治体が必死の努力で汚濁防止に努めている一方で、燐洗剤以上に負荷量の多い工業排水の燐規制、窒素等の総量規制、あるいは下水道の整備など、水質保全対策が必要であるのはただいま申し上げたとおりでありますけれども、この点に関していまの答弁は、第五次下水道整備計画でやれば問題は解消するというような意味合いの話があったけれども、そういうことですか。
  161. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 問題が解消すると申し上げるにはちょっと手不足かと考えておりますが、具体の数字で申し上げますと、琵琶湖周辺の都市におきます下水道の整備状況は、今年度、五十五年度末におきまして、先生御承知のとおりわずか五%という普及状況でございますが、これをただいま申し上げました第五次の下水道整備五カ年計画の目途といたします六十年度末におきましては、三二%まで引き上げたいという目標努力をいたしておる段階でございます。
  162. 原田立

    ○原田立君 具体的な工業排水の燐規制、窒素等の総量規制、これらはどうですか。
  163. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 窒素、燐につきましては、これはなかなか除去がしにくいという状況がございます。いませっかく勉強、努力をいたしておりまして、これから実際の処理にその技術を適用していきたいという段階でございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、琵琶湖の中部流域下水道につきましては、来年度から三次処理といたしまして窒素の除去に手をつけてまいりたいという段階でございます。ただ御承知のとおり、下水道の現在行われております二次処理の段階におきましても、これはBOD値を低くすると、汚れを一般的に低くするための処理を行ってはおりますが、この処理の過程におきまして窒素も二〇%程度は除去できるという実態がございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、一般的に下水道の普及率を引き上げていくということによりまして、結果として窒素の防御にもかなり有効に役立つというふうに考えております。
  164. 原田立

    ○原田立君 わが党は、琵琶湖を初め全国各地の湖沼の環境汚染がますます深刻になっている状況にかんがみ、これら湖沼の水質改善環境保全整備を図るため、数年前から十数回にわたって調査団を編成し、現地調査を行っております。その調査結果に基づいて十月二十日に、仮称ではありますが、琵琶湖等特定湖沼環境保全特別措置法案というものの大綱を発表し、次期通常国会でこの法案の提出を進めておるわけでありますが、環境庁はわが党発表の琵琶湖等特定湖沼環境保全特別措置法案の大綱についてどのように考えているか。これは前もって通知してあるから、わが党の案もごらんになっておいでになってきたのだろうと思うから、政府案と比べて御答弁願いたいと思います。
  165. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) 公明党の方で考えておられます湖沼の環境保全特別措置法についてはちょっと御意見を控えさしていただきますが、環境庁の方で検討している湖沼の環境保全に関する内容等について御説明さしていただきます。  閉鎖性水域である湖沼におきましては、環境基準の達成状況が著しく悪い状況にございます。BODまたはCODで見まして、河川の場合は六〇%の達成率、海域は七五%の達成率でございますが、湖沼では三八%の達成率ということで約六〇%がまだ未達成の状況にございます。さらに加えまして、富栄養化の進行等によりまして淡水赤潮とかアオコなどといった藻類、それからその他の水生生物の異常増殖現象がしばしば発生しまして、水道のろ過障害であるとかあるいは異臭問題など各種の利水障害をもたらしております。現行の水質汚濁防止法の体系のもとにおきましても、湖沼を含めた公共用水域の水質保全のため排水規制の強化あるいは拡充であるとか、あるいは下水道の整備等これらの施策が講じられているわけではございますが、今後は湖沼の特性を踏まえた環境保全を積極的に推進するため、ある目標を定めて各種施策計画的に実施していく必要があるのではないかというふうに考えてございます。このため現行の法制度によっては必ずしも十分対応できない面もございますので、新たな法制度のあり方につきまして、次期通常国会提出をめどに検討をしてまいりたいと考えてございます。  具体的な法案の中身についてまだ申し上げるような段階ではございませんが、今後地方公共団体や、それから中央公害対策審議会等の意見を聞きながら進めていきたいと考えております。なお、中央公害対策審議会には去る十月二十日、湖沼環境保全のための制度のあり方ということで諮問しまして、現在審議をお願いしているところでございます。
  166. 原田立

    ○原田立君 前段のところ、わが党が大綱を発表した問題については何、どういうこと。言えないとかなんとか言ったけれども。あなた、それは前もって注文してあるでしょう。言うてあるでしょう。なぜ言わないんですか。
  167. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) 私は、この案に対しましての議論に参画してございませんが、いわゆる水局の中で議論しまして、環境庁としての御意見をずっと申し上げたように聞いてございます。
  168. 原田立

    ○原田立君 余りよくわかりませんけれども、まあいいでしょう。  これだけ汚染が進み問題化している以上、湖沼環境保全を図る上からも琵琶湖等特定湖沼環境保全特別措置法の立法化がどうしても必要だと思うのであります。環境庁がいま鋭意調査中であるということなんだけれども、次の通常国会にでもぜひ出すぐらいな努力をすべきだと思うんです。その点について、これは環境庁長官が来ていればそちらに聞くんですけれども建設大臣あるいは国土庁長官の御見解をお伺いしたい、国務大臣として。
  169. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) ずばり環境立法の問題でございますので、所管が環境庁で私から御意見申し上げるのはいかがかと思いますし、なかなか表現しにくいんですけれども一般論として、公明党さんがお出しになる琵琶湖等湖沼環境保全特別措置法でございますか、環境庁でもせっかく基本的な法案について検討しておるようでございますので、ざっくばらんに申し上げて、湖沼関係については先ほど当初申し上げましたように、ほっておいて汚濁して手がつかなくなったらもうおしまいだ、水は人間の命だ、特に日本の水資源環境考え合わせたときに前向きで取り組むという考え方から立ちますれば、みんなでいい案を持ち寄って、りっぱな法案として何とか湖沼保全について進めることがよろしいんじゃなかろうかと考えておるものであります。  建設省といたしましては、先ほど先生から御指摘いただきました下水道対策がおくれております。いまから前向きにやったところで、なお五カ年はかかって三〇%目標だということで大変恐縮いたしておるわけでありますけれども、財政あるいは諸般の事情からこうしたことになっていったかと思います。関係者相寄ってひとつりっぱな知恵を出して前向きで取り組むことのもう時期、あるいはまた遅きに失したところもあるやに聞いておりますので、この点につきましてもやはり進んで先生方の御意見を聞きながら取り組んでいくべきじゃなかろうか、このように考えるものでござ  います。
  170. 原田立

    ○原田立君 あと国土庁長官の原長官が来ていればそちらの方の意見をお伺いしたいんだけれども、局長、だれか答弁しますか。
  171. 伊藤晴朗

    政府委員(伊藤晴朗君) 琵琶湖などの閉鎖水域におきます湖沼の現状にかんがみまして、その水質保全対策は大変重要な問題であろうかと思います。    〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 その意味で先ほど環境庁の方から御説明のありましたような湖沼環境保全のための制度のあり方への検討、あるいは御指摘の琵琶湖等特定湖沼環境保全特別措置法案のような積極的な対応が推進されますことについてはもちろん賛成でございます。  実際問題として、琵琶湖につきましても、琵琶湖総合開発法におきましても、琵琶湖の環境保全及びその水質の回復というのは重要な柱の一つでございます。それに基づいて下水道事業あるいは屎尿処理事業等が進められておりますが、このほかに先ほど来先生御指摘のようないろいろな各種の事業あるいは規制等が行われれば、こういうことを行って総合的な対策が必要であろうかと思います。また、これは先回の一般質疑で先生が御指摘されたように、滋賀県の水政審議会の要望等もあるわけでございまして、そういう意味からこういった総合的な仕組みができれば大変ありがたい。私どもといたしましては、その具体化に応じまして琵琶湖総合開発計画との関連を詰めていきたいというふうに考えております。
  172. 原田立

    ○原田立君 水資源の確保はますます重要な課題となっていることは、先ほど大臣お話があったとおりでありますが、水質保全の立場からもどうしても湖沼環境保全法は必要であると思います。わが党も通常国会には法案を提出する予定になっておりますが、早急に環境保全法の制定を行うべきであるということを重ねて主張するものであります。省庁間のセクト争いで制定が進まないというような状態が生じては困るわけであります。建設大臣の明確なる御見解をお伺いしたい。  実は、あなただけしか大臣が来ていないから困っているんですよ。本当は環境庁長官と国土庁長官をそばに置いてやれば、だんだんみんなに答えてもらうんだけれども、あなたしか大臣がいないものだから、国務大臣としてお伺いするんです。お答え願いたいと思います。
  173. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先ほども申し上げましたように、水は生活、生命保全に最も重要なことであります。前段から申し上げておりますように、水資源確保そして水質保全というものは私たちの生活を成り立たせる上での最重要課題であります。特に閉鎖性の湖沼等に対する対策につきましては、死んでからでは遅い、いまから前向きで対策を立てるべきだというような考え方でおります私でございますので、衆知を集めて、保全対策につきましては立法するも方法でありましょう。とにもかくにも総合的な施策を立てながら、前向きというよりも積極的にやるべきことであろう、このように考えているものであります。
  174. 原田立

    ○原田立君 環境庁にお伺いしますけれども、湖沼についての総量規制はCODだけでは片手落ちになるのではないか。燐、窒素等についても対象にすべきだと思うんであります。BODも当然であります。どういうふうに進めておられるか、お伺いしたい。
  175. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) 水質汚濁防止法におきましては、総量規制を導入する上で一定の要件みたいなものがございます。御説明いたしますと、水質の総量規制は人口、産業の集中等により大量の水が流入する広域の閉鎖性水域において環境基準が設定され、その達成が濃度規制のみによっては困難な場合において、環境基準の達成をめどとして実施されるものであるというような要件がございまして、まず、環境基準の設定というのが前提になっております。このため、先ほど申し上げましたように、琵琶湖にすぐ総量規制を導入する場合にはCODということになるわけでございますが、環境庁としましては窒素とか燐についても検討は進めてございます。ただし、その検討はあくまでも環境基準を設定するための検討でございます。  これにつきましては、湖沼についての富栄養化対策を推進するために、学識経験者より成ります窒素燐等水質目標検討会というのを設置しまして、先ほどもちょっと触れましたが、燐に係る水質の目標の検討結果というのは明らかにしたところでございますが、これに引き続きまして現在、窒素に係る水質目標の検討を行ってございます。これらの結果を踏まえまして、湖沼の富栄養化防止、そういうように窒素、燐にかかわるものでございますが、これらの環境基準の設定をまず急ぎたいと考えてございます。  それから、BODの件でございますが、湖沼につきましては環境基準の設定はCODでなされてございますので、BODはちょっとむずかしいかと思います。BODの環境基準が設定されているのは河川のみでございます。それから海域につきましても同じように、環境基準の設定はCODとなってございます。
  176. 原田立

    ○原田立君 何かいまの答えもわかったようなわかんないような答弁だけど、要するに琵琶湖とか宍道湖とか諏訪湖とか霞ケ浦とか、みんな汚くなっているでしょう。それを何とかしなきゃいけないということは環境庁もはっきりしているわけでしょう。だから余りのんびりしたことを言わないで、もっとしっかりやってもらいたいと思うんです。五十六年度は法案提出をなさるんですね。
  177. 渡辺一志

    説明員渡辺一志君) 湖沼環境保全特別措置法につきましては、次期通常国会提出をめどに検討を進めているところでございます。
  178. 原田立

    ○原田立君 総合開発事業の視察で多少気になる点があったのは、現在湖岸堤、湖周道路あるいは観光施設等のための開発事業が進められておりますが、琵琶湖の周りにレジャー施設の進出がちょっと目立ち過ぎるんではないか、こんなふうに思うんでありますが、この点についても特別措置法案の審議の際、附帯決議にも「湖岸堤、湖周道路、観光等のための開発計画については、この法律の目的にてらし、慎重に措置すること。」という附帯決議がなされているわけでありますが、環境保全の立場からもあるいは琵琶湖の美観を保つためにもこの附帯決議を踏まえての施策というのがなされなければならないんではないかと思いますが、いかがですか。
  179. 小坂忠

    政府委員(小坂忠君) ただいまの附帯決議に基づきます事業の実施につきましては、個別の事業ごとと申しますと、建設省の直轄事業、あるいは水資源開発公団事業、あるいは県の補助事業でございますが、おのおの事業主体が必要な環境調査を行い、その対応について必要な関係機関との協議を行いまして工事を行うということにいたしております。また、工事の実施に当たりましても、環境保全につきましては、この琵琶湖総合開発法の趣旨に基づきまして配慮しながら慎重に施行しておるというところでございます。特に水資源開発公団が実施しております湖岸堤工事等につきましては、湖岸堤の前面に場所によって異なりますが、二十メーターないし三十メーター程度のいわゆる前浜を設けまして植生を植えるとかいうようなことで、周辺の環境との調和を図りながら施行するというようなこともいたしておるわけでございます。このように各関係機関と意見の調整を行いながら琵琶湖の自然環境、それから水質の保全というようなことに留意しながら事業を進めておるところでございます。
  180. 原田立

    ○原田立君 県の琵琶湖水政審議会の中間意見の中に、「琵琶湖総合開発の計面期間に限ることなく、湖およびその周辺環境の保全管理についての恒久的な仕組みが確立されることが望まれる。このため、下流府県とも共同しながら新たな法制度の確立を国に求めていく」べきであるという、こういう意見が出されたのでありますが、先般も当委員会でこの点を質問したらば、大臣は、地元からまだ具体的な要望はないので検討できないというふうな御答弁であったと思うんです。  こういうような、「下流府県とも共同しながら新たな法制度の確立を国に求めていく」、この一点、それから「周辺環境の保全管理についての恒久的な仕組みが確立されることが望まれる。」、この一点、つまり二つでありますけれども、こういう内容が示された場合どう対処なさるのか、国の方ではどのように考えていくのか、あるいは水資源は今後ますます厳しいとの見通しが出ておりますが、法制度の確立、手厚い国の補助を強く地元は要望しているわけでありますけれども、それらについての御見解をお伺いしたい。
  181. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 要望の具体的なことについては、局長からまた改めて補足させていただきますけれども、先ほど来申し上げましたように、地元の要望が基礎的な執行対象になっていくかと思いますけれども、水資源、環境保全については厳しく受けとめて対処しなければならないというふうに私自身考えておるものの一人でございますので、諸般の御要望につきましては、もちろん立法の問題も含めて前向きで対処してまいりたい、このように考えるものでございます。
  182. 原田立

    ○原田立君 下水道がきわめて普及率が悪いのは、すでに局長が先ほど言ってもう御承知だと思うんですけれども、五十三年度末で四・一%、全国平均の二六・七%に比べてはるかにおくれている、こう私は認識してるんですけれども、先ほど局長のお話だと、五十五年度では五・一%だというふうなお話があったが、それだけ進捗したということなのかどうか。私はおくれているということを指摘したい意味で申し上げるんだけれども、数字が私の認識している数字とちょっと違うのでお伺いしておきたい。  特に滋賀県の場合、琵琶湖を抱えていることもあり、総合開発特別措置法案を審議する際にこの点を踏まえ、衆参両院とも附帯決議に、琵琶湖の水質保全に有効な下水道等の事業を早期かつ優先的に実施する旨の一項目を決議しているにもかかわらず、このような悪い普及率の実態は一体どこにその原因があると考えているのか。前回は、下水道の使用の普及率が低いためにこうやって湖が汚いんだという指摘をしたわけでありますが、この普及率の向上を図る上での目標としてこの総合開発事業終了の段階と、中期的な展望として五年ごとか十年ごと等の普及率の見通しはどの程度考えられておられるのか、具体的にお伺いしたい。
  183. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいまおただしの普及率の現状の数字でございますが、私のただいま手元にございます数字で申し上げますと、滋賀県の下水道普及率は、昭和五十三年度末四・一%、五十四年度末四・四%、それから五十五年度末五%、こういう見通しでございます。これが将来におきましては、先ほど申し上げましたように、第五次五カ年計画が私どもの要求申し上げているとおりに進行さしていただけるといたしますと、六十年度末で三二%まで引き上げることができようかという目標努力をいたしております。  そこで、現状の五%という普及率が非常に低いのはどうしてかというおただしであったかと存じますけれども、この五%と申しますのは、現在の滋賀県下の各都市の中で実は大津市が昭和三十六年から着手をいたしておりまして、したがいまして大津市における普及率が五%というところまでおおむねたどりついたということでございまして、あとは草津市、守山市、栗東町それ以下、各市とも着手時期が四十八年以降というふうにおくれましたために普及率の数字にはなかなか上がってくる段階に至ってない、こういう状況でございます。一口に申し上げまして、下水道の整備の着手が大変おくれた、そのために現状においては普及率が上がっておらない、こういうことになろうかと思っております。
  184. 原田立

    ○原田立君 六十年になって三二%、それでこういうふうな現状が悪いのは着手がおくれたためだというふうな説明がいまあったんだけれども、しかし、着手がおくれたということは国の補助が少なくて地元でやらなきゃいけない、地元だけで、県単費で。だから財政的に力が弱いがゆえにずっと着手がおくれたんだ、こんなふうに私は思うんです。六十年に三二%ということも非常に考えさせられる、私の方では非常に不満な数字であります。もっと、より二歩も三歩も前進した数値になれるように計画は進めてもらいたい、予算は十分つけてもらいたい。建設大臣も責任持ってこの点はお願いしたいと思うんであります。  それで、前回も若干お伺いしましたが、下水道の三次処理及び管渠の国庫負担割合と今後の改善見通し等でありますけれども、    〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 前回の説明では、対象率が七五%から八〇%と、いわゆる五%アップして五十六年度からスタートする第五次下水道整備五カ年計画ではやるようになっている、予算要求していると。そうすれば、補助対象の三百ミリ、いわゆる三十センチの管渠も二百五十ミリ、二十五センチぐらいの細い管渠にまで対象範囲が拡大されるというふうな説明がこの前ありましたね。全国的に見た場合、七五%から八〇%になるかもわかりませんが、滋賀県の場合、この点もっときめ細かな対応がぜひ必要ではないか。地元滋賀の要望としても、管渠にかかわる補助対象範囲の拡大を強く要望しているのでありますが、今後どうなさるのか。百二十有余の河川が流れ込んでいる、あるいはまた各町村がある。そこら辺の町村で使用している管渠の太さ、これは掌握をなさっておられますか。
  185. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいまのおただしの点につきまして、私の方の前回の説明不足につきまして若干補足をさせていただきたいと思うわけでございますが、一つは、ただいま先生が補助対象率の引き上げに触れられておられたわけでございまして、私どもは来年度からスタートします第五次の計画におきましては補助対象率を五%上げたい、こういうふうに申し上げたわけでございますけれども、五カ年計画において五%を上げさせていただきたいということでございまして、来年度はまず初年度でございますので、そのうち二%でも上げたい、こういう取り組みでいま要求をいたしております。  それから第二点は、いまの管渠のお話でございますが、たとえば三十センチ以上の管渠が補助対象に現在なっているといたしまして、将来補助対象率が引き上がれば、これを二十五センチというような方向へ持ってまいることが考えられるというふうに御答弁申し上げたかと存じますが、これは一つの例として申し上げたわけでございまして、滋賀県下のこの対象都市についてそのようになるかどうかはちょっと計算の結果を待ちませんと明確には申し上げにくいという状況にございます。  それで、最後におただしでございました、現在これらの都市についてどのくらいの太さの管渠が入って補助対象になっているか、こういうおただしだったかと思いますけれども、これらの都市につきましては、現在流域下水道に接続する公共下水道は分流式でやっておりますので、現在の定めによりまして、その下水道の予定処理区域の総面積が五百ヘクタール未満でございますと、三十センチ以上のパイプが補助対象になる。三十センチ以上の管渠であるかまたはその管渠が受け持つ水の量が日量で百五十立米以上のものを流す管渠につきましては補助対象にするという定めになっております。それで、恐らくこの周辺都市におきましてはその下水道の規模から申しまして、ただいま申し上げました五百ヘクタール未満の処理区域についての下水道であり、したがいまして、日量百五十立米以上通す管についてはこれは補助対象になっているものというふうに考えております。
  186. 原田立

    ○原田立君 それはそうでしょう。三百ミリ以上は補助対象にするとしてあるんですから、それはそれでいいんです。だけれども、周りの町村から流れ込んでいる家庭雑排水あるいは工業用排水なんかについては、各周辺の町村は人口も少ないでしょう。そのためにそんな三百ミリの管を入れなくってももっと細い管でも入れて用を足しているのではないか。これは私、実際各町村に行って聞いたわけではありませんので、だからあなたの方で掌握しているかどうかお聞きしているわけなんです。  それで、もし三百ミりよりも小さい二百五十ミリあるいは二百ミリ、こういうようなものについては現在の法律では補助対象にならないでしょう。だからなるようにしてやらなければ、琵琶湖はいつもまでたってもきれいにならないんじゃないか。あなたはこの前、委員会では五%アップになるから、たとえばだろうとは思うけれども、ぐっと管渠が小さいのになるじゃろうと、大変希望を持たせるようなことを言ったんだけれども、もしそうじゃなかったらうそをついたことになる。どうですか。
  187. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、補助対象になりますのは三十センチ以上の太さの管渠であるか、またはその管渠が一日百五十立米以上汚水を流す管渠、つまり、その管渠が上からずっと水を集めて流してまいりますが、そこのそのパイプは一日百五十立米以上の汚水を流すことを役目としているパイプだという場合には、これは三十センチ未満の細い管渠であってもその後の方の条件に当たれば補助対象になるというのが現状でございます。  したがいまして、現実にはあるいは三十センチ以下の細い管渠でも、二十五センチぐらいのものであっても、一部についてはこの補助対象になっているのではないか。これは推測で申し上げて恐縮でございますが、基準上そういうふうな基準にいたしておりますから、恐らくそういう補助対象になっているものが、三十センチ未満の管渠でもかなりあるのではないかというふうに申し上げさしていただきたいと思います。  それで問題は、これからさらにその補助対象の範囲をもう少し細い管渠まで下げられるのではないかというおただしでございますが、先ほども申し上げましたように、五%補助対象率を上げることができますと、この基準をさらに下げることが可能であろうというふうに考えている次第でございまして、具体的に三十センチと言っておりましたのを一律二十五センチまで下げられるかとおっしゃられると、この点はちょっといまの段階で明確に下げられますというお答えができないで恐縮でございますけれども、方向としてはそういう方向で基準改正がなし得るものというふうに考えております。
  188. 原田立

    ○原田立君 まあ回りくどい説明でよく理解しがたいですね。私が指摘するのは、もうあなたは十分御承知のとおりだ。要するに琵琶湖をきれいにするためには、いろいろと入ってくるところをまずきれいにしなきゃいけない。そのためには管渠の問題があるから、それを細いのでも対象になるようにしなきゃいかぬと言っているわけなんであって、まあいいよ、どうせ何度聞いたって同じような答えしか出ないんだろうから。  その点、だからもっと、琵琶湖周辺の町村の琵琶湖に入れているところの管渠は一体どのぐらいの太さなのか、まだ調べてないからよくわからないようなお話だったけれども、一遍それはお調べ願いたいと思います。で、後で教えてもらいたい、現実を。
  189. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) わかりました。
  190. 原田立

    ○原田立君 それは委員長、よろしくお願いしたいと思います。それはいいですね。  それから、一部報道によりますと、九月三十日鯨岡環境庁長官と歴代長官との懇談会があり、席上三木武夫元長官は、湖沼法案についての中で、「湖沼といっても下水の問題ではないか。下水は今の考え方を変えなければ進まない。普及率が三割ぐらいではだめで五割を越えなければいけない。建設省では道路が中心になっている。なんとかならないか」というような趣旨の発言がなされたとされております。やはり下水道の普及率に本腰を入れる必要があると思うんです。建設大臣のこれはお考えをぜひお伺いしたい。  それから、管渠の場合など、以前は、通常の事業では二分の一の補助が三分の二にアップされた。特例事業の場合は通常の事業より補助が高く三分の二と決まっていたのでありますが、通常事業の引き上げと並行して引き上げるべきところを据え置きされたため、通常の事業同様三分の二となっております。やはり特例法に基づいて行う事業であるからには、補助制度を高め、三分の二から四分の三に引き上げるようにすべきだと思うんであります。三木元長官も指摘しているとおり、下水の普及が大事だと思うし、具体的対応策について建設大臣の御見解、御所見をお伺いいたします。
  191. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生御指摘のように、日本の国の下水道事業がおくれていることは認めざるを得ません。御案内のように、まだ、これだけ進んだ、近代化された日本で、くみ取り式の方々が六五%、七千三百万人の方々がくみ取り式だという下水道体制を考えたときに、やはりこの問題は日本の世界におけるいまの経済環境から見れば、当然積極的に下水道事業をやらなきゃなりません。したがって私たちは、五カ年計画で十四兆七千億の予算をお願いして、一応五〇%以上の普及率を目途にいま進めているところでございます。  御指摘の琵琶湖周辺の下水道事業も、いま局長からお話しのように、その事業を起こした年度からいたしましても五十何年度からというようなことで、心寒いものがあるわけであります。これをさらに積極的に普及していくには、当然先生御指摘のような普及率のアップもありましょう、あるいは地域住民の方々の御理解もあろうかと思いますが、幸か不幸か、いま財政事情が非常にこのような状況でございまして、法制度的に補助率のアップということはなかなかむずかしい問題ではあろうかと思いますけれども、現時点をよく把握いたしまして、関係方々には御理解をいただいて何とか五カ年計画所期目的を達し得て、少なくとも五カ年計画達成の暁には五〇なり六〇なり、あるいは七〇%の普及率ということを目途にせっかく努力してまいりたい、このように考えているものでございます。
  192. 原田立

    ○原田立君 せっかく御努力願いたいと思います。  次に、これは九州の十号線の問題について、道路問題で若干お伺いしたいんでありますが、福岡県で進められている国道十号線、通称北大道路についての件でありますが、現在この十号バイパスすなわち北大道路全体の建設整備事業の進みぐあい、進捗状況はどのようになっているのか、まず最初にお伺いしたい。
  193. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 十号の北九州市から大分市まで百二十五キロあるわけでございますが、この間の再改築、これを北大道路という名称で進めているわけでございます。もとより交通混雑の激しい区間から逐次手をつけているわけでございますが、幾つかの区間に分かれております。  北九州の方から順次申し上げますと、まず北九州市内の曽根バイパス、これが八・七キロございます。わずかではございますが、すでに起点側の七百メートルは交通に開放しておるわけでございまして、五十五年度末には引き続きこれにつながります次の二・三キロの区間を供用する。残りの区間、大分側でございますが、につきましても現在、用地取得、それから文化財が出てまいりますのでそういった調査を進めております。予定といたしましては、五十七年度末にこの曽根バイパスは、したがいまして全線を二車線で供用開始をいたしたいというふうに考えております。  次の区間は苅田町というところでございまして、大部分がこれは拡幅でございまして、四車線で整備できておりますが、二車線の区間がまだ一・七キロ残っておりまして、これは区画整理事業、五十三年から五十六年度にかけまして苅田町施行の区画整理事業がございます。これとあわせて整理を行うという予定でございます。予定といたしましては、五十九年度末にはこれを終わりたいというところでございます。  その次に参りますと、行橋バイパスの区間、五・四キロがございます。これにつきましては、苅田町の部分を除きまして行橋の関係はすでに都市計画決定が全部終わっておりまして、地元関係者と協議中でございまして、いわゆる設計協議でございます。これが整えば用地買収に着手をするという段階になっております。都市計画決定ができておりません苅田町の地内におきましては、そのための準備の測量とか調査設計をただいまやっているという段階でございます。  その次の区間の椎田バイパス、十六キロの区間でございますが、始点と終点の一般道路の部分を直轄でただいまいろいろ調査しておりますが、中間部分の十・三キロメートルにつきましては、日本道路公団の有料道路事業として五十四年度から着手いたしまして、道路公団におきまして鋭意協議、用地買収その他を進めておりますが、現在の段階では五十九年度末完成を目途に整備を進める方針でございます。  福岡県の最後の区間は、次に豊前市の区間でございまして、四・七キロメートルございます。この区間は都市計画区域外でございますので、関係市町村と協議をいたしまして道路としての計画を決めればいい段階でございますが、ただいま協議中ということでございます。ただ、この豊前バイパスの区間に、ちょうど県が工事をやっております主要地方道の豊前−万田線という区間が一部含まれております。これがいま進んでおりますので、直轄といたしましては、むしろそれに外れるところを早くやるようにいたしたい、こういうような段階でございます。
  194. 原田立

    ○原田立君 道路公団理事さんお見えいただきまして、ありがとうございました。  椎田バイパスはおたくの方でやっていただくそうだけれども、概略、簡単で結構ですから御説明願いたいと思います。
  195. 大島哲男

    参考人(大島哲男君) 日本道路公団で実施しております椎田バイパスの区間は、五十四年度に採択になりました。建設大臣許可をことしの二月八日に得まして、その後、地元協議に入っております。この七月一日に椎田市に工事事務所を設置いたしまして、実際に現地に入りました。この十月二十一日、一週間前でございますが、一週間前に福岡県とそれから関係市町村に対しまして路線発表を行いました。  今後の計画は、今年度はこの後、中心ぐい設置をしたいと思っております。続きまして地元との設計協議、来年度はボーリングなどの地質調査、それから地元協議の設計協議あるいは実際の設計などを行いまして、幅ぐいを設置して、できれば用地置収に入りたいと考えております。工事は五十七年度から考えておりまして、五十九年度完成を目途に現在がんばっておるところでございます。  以上でございます。
  196. 原田立

    ○原田立君 概要はわかりましたけれども、道路公団では十・三キロ行うそうでありますが、これはいわゆる高架なのか土盛りなのか、そこら辺のところは大方どうなんですか。
  197. 大島哲男

    参考人(大島哲男君) 大体盛り土でございます。高架部分はほとんどありません。
  198. 原田立

    ○原田立君 現地でちょっと聞いてきた話では、高架になさるようなお話であったというふうに聞いておりますけれども、そうじゃないんですか。
  199. 大島哲男

    参考人(大島哲男君) 高架ではございません。付近の土地からは高くはなりますけれども、いわゆる首都高速道路公団のような、都市高速のような高架構造ではございません。
  200. 原田立

    ○原田立君 ところで、おたくの方で椎田バイパスを有料道路でやる、一生懸命完成に努力なさる、その前後の建設省でやる部分、これが完成しないといわゆるバイパスとしての機能が十分発揮されないんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺はあなた方はどう考えておりますか。
  201. 大島哲男

    参考人(大島哲男君) 先生のおっしゃるとおり、前後がつながって現在の国道の一部につながる、あるいは次の区間につながるということになりませんと、できましてもその効果は十分発揮できません。したがいまして、私どもといたしましては建設省直轄工事と軌を一にしたい、向こうにもいろいろやっていただくということを述べまして、お互いに協議しながら進めておるところでございます。
  202. 原田立

    ○原田立君 これは道路局長、五十九年完成でせっかく努力するということなんだけれども、そのくっついている行橋バイパスあるいはまた豊前−中津バイパス、これらがしっかりとできないと有効的な促進ができないわけだけれども、ここら辺はできる自信はおありですか。
  203. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 椎田バイパスの公団の前後の区間が合わせて五・七キロほどでございますが、これは道路公団の五十九年に合わせてやるようにいたしたいと思っております。ただ豊前−中津につきましては、先ほど申し上げましたように地元とルートそのものについてのまだ協議を行っている段階でございまして、これは残念ながらこのバイパスの完成に一致させるということは無理であろうかと思います。したがいまして、一時は国道十号線に一たん出ていただくということにならざるを得ないわけでございますが、何しろ交通量も相当多いものでございますから、私どもといたしましては極力推進してまいるように努力いたしたいと思います。
  204. 原田立

    ○原田立君 行橋バイパスのことはお話なかったね。
  205. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 行橋は先ほど曽根−苅田に続きまして三番目に申し上げたわけでございますが、行橋は五・四キロメートルの区間、行橋市の区間内は都市計画決定済み、苅田町分がまだ都市計画決定ができていない、こういう状態でございまして、行橋市の中はもう地元関係者と協議中でございまして、設計協議が調えば用地買収にかかる。苅田町は都市計画決定をするための必要な調査を鋭意進めてまいる予定でございます。
  206. 原田立

    ○原田立君 私も現地を見てきたんですけれども、ちょっとくどくなりますけれども、小倉−城野四つ角間はいわゆる片側三車線、それから城野駅前から上葛原関係、これは二車線。片側の話です、二車線。それから葛原小学校から朽網関係、これは曽根の部分に入りますが、これが一車線。それから南朽網から南原に入る、これは苅田町でありますけれども、これは片側二車線。近衛橋からずっと今度は行橋を通って大分までは一車線と、これが十号線の実態ですね。それで地元ではいま、本当は行橋市苅田町なんだけれども、苅田市行橋町だなんというふうに言って非常に都市機能が、道路が渋滞で困っていると言っているわけなんです。  行橋のバイパス計画は、土盛りあるいは高架、両方なさっていかれるんだろうと思いますけれども、これは一部の人の意見なんですけれども、高架の方がよいんじゃないかというふうな意見を言っておりました。  混雑度の状況は、もう私が言うまでもなく御承知でしょう。観測年月日、五十二年春、交通量一万五千八百九十四台、これは十二時間で混雑度が一・八〇。五十五年七月八日には一万七千四十八台、一・九三。非常に混雑度が増しているんだからどうしても何とかしなきゃいけないということは道路局長も十分御承知のはずだと思う。じゃ一体、道路のできているところを見ようじゃないかと言いましたら、いや、それは計画で地図の上に線を書いただけでまだ影も形もありませんよというわけなんです。そんなおくれているんじゃどうしようもないじゃないかといって聞いたところ、今元校区金屋という地域が非常に反対しているので話し合いが進んでいないというのが現状でした。だから、私は相手に話したのと、それに対して、それはたとえば市長とか県の土木部長とかこういう人たちが、もっと地元が誠意を持って説得してやるべきではないかというふうに指摘してきたわけなんですけれども、あるいはまた、ちょっと道路を迂回させるようなことはできないのかと言ったら、とんでもありません、そんなことはできませんと。ある程度用地を買ってありますからね。そこのところを誠意を持って金屋という地域の説得に当たらなきゃならないんだと。じゃ一体どのぐらい説得したんだと言ったらば、過去のうちに何か、たった三回ぐらいしかまだ話し合いをしていないというようなことなんです。これは話として聞いてきた。実際に行って調べたわけじゃありません。  それで、大体国のやる仕事というのはどういうものですか、まことに熱意が不足して、誠意が通じなくって、そして、ぐずぐずされて、話がごちゃごちゃなって、いつも二年とか三年、四年、五年というような長い期間ほったらかしになるわけです。だから、そういうようなところの解決のためにも、建設省自身が、これは建設省所管でやる行橋バイパスなんですからもっと真剣に取り組んでやらなければいけないと思うんです。と同時に、地元に対してももっと熱意ある姿勢を示してやらなきゃいけないということは言わなきゃいけないと思うんです。私は県の道路部長に会ってそれを強く言っておきました。いかがですか、道路局長。
  207. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 先生からもそういうお話をいただいたということ、大変ありがとうございます。私ども聞きましたら、確かに反対がまだあるわけでございます。市の方がいま鋭意説得に当たってくださっているということでございますので、解決の糸口がだんだん見えてくるのではないかと思います。なお、少し積極的にやらないからこういうことになるんだというおしかりをいただきましたが、実は大変道路の予算が変動する点もございましてなかなか着実に計画的に進めるのがむずかしい点もございますが、私ども計画のまずい点は十分反省をいたしまして、極力こういった混雑をした区間でございます、何しろ国道十号線という二けたの最初の国道でございますから、なるべく早く解消する方向に努力いたしたいと思います。
  208. 原田立

    ○原田立君 行橋バイパスについては、高架にした方がよいという意見があると御紹介申し上げたんですけれども、それについての御見解はいかがですか。
  209. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 現地の詳細を存じませんので余り詳しいお答えにはなりませんけれども、一般的に高架にいたしますようなところは、かなり地域が発展をいたしておりまして横断する交通が非常に多いようなところとか、あるいは川がございまして、洪水の際に飛越橋とする必要がある、要するに下を水が流れるような構造にする、こういった場合に一般に高架にするわけでございますので、現地がどうなっておるかちょっと存じませんが、やはり現地の地域なり地形なり、そういったものに合った構造にする必要があるわけでございます。十分検討させたいと思います。
  210. 原田立

    ○原田立君 どんな実態になっているかよく承知していないだなんて、そんなことをいまごろ言われたんじゃ困るんですよ、あなた。行橋市の町の中を通るんですから、川が地図の上に載っかっている部分でさえも四本あるし、それからまた住宅地の中を通るところも数カ所ありますし、余り承知していないからなんという御答弁では私は大変不満に思います。  福岡県が、「国道十号椎田バイパス有料道路建設について」ということで持ってきましたけれども、その中の一連の中にも行橋バイパスの早期完成を強く要請しているわけなんだ。いま地元で実際そういう今元校区の金屋地域約五十戸の世帯があるそうでありますが、そこが反対している。説得できればするんでしょう。だけれども、もしどうしてもだめだというようなことになったらばだんだんおくれるだけですね。そうすると絵だけかいて、絵にかいたもちみたいなもので終わってしまうけれども、そんなことじゃ行政としてまずいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  211. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) やはり地権者の皆様から御了解をいただくのが一番先決だと思いますので、県あるいは市と共同しながら説得をもちろん進めてまいりたいと思うのが第一番でございます。  ただ、一般的に申しますと最後までどうしても残るというような方も場所によってはあるわけでございまして、これはもう大部分の方が御納得いただいたのにだめだというような場合につきましては、最終的にはやむを得ず収用法の適用ということもあろうかと思いますが、極力そういうことのないように鋭意説得を続けて、一刻も早い解決を願いたいと思います。
  212. 原田立

    ○原田立君 一刻も早い解決をということでありますが、それはもう文字どおりその点大いに強く要望したい。  いまも言ったように、北九州市が三車線、途中で二車線になって——片側の話ですよ、二車線になって、それで曽根のところへ行くと一車線になって、苅田町へ来ると二車線になって、行橋へ来るとまた一車線になって、こうなっているわけですね。そこで、曽根バイパスあるいは行橋バイパス、椎田バイパス、豊前−中津バイパス、こうなっているわけなんです。だからこれは十号線を解決するためには、当然もっとしっかり力を入れてもらわにゃ困るんです。局長はまだ現地に行ったことがないから知らないのかどうかしらぬけれども、さっき余りよくつまびらかでないんだなんてことを言われたけれども、つまびらかでないんじゃなくて、もっとよく調査、御認識願いたい。  この行橋バイパスについては土盛りなんですか高架なんですか、もう一遍ちょっと聞かしてください。
  213. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 人家もございますけれども、川が横断をしておりまして比較的低い田んぼの地帯でございます。したがいまして、構造としては、原則としては低い盛り土を原則とするようなことになろうかと思います。
  214. 原田立

    ○原田立君 これは現地の意見を十分聞いてもらいたいと思うんです。高架にしてくれと言うんです。というのは御承知のように、行橋バイパス、この行橋のところからずっと田川方面に行く、そういう筑豊関係に行く道路がたくさんとは言いませんけれども、大分あるんです。川もある。それをただ土盛りだけでやったんでは、何といいましょうか、近所に住んでいる住民たちが困るわけ。そういうことで高架にぜひしてくれという意見もあるんです。これはひとつ十分計画の中に入れていただきたい、お願いするんですが、再度お答え願いたい。
  215. 渡辺修自

    政府委員渡辺修自君) 先生の御指摘のように、地元の方の横断というような意味合いで高架にしてほしいという御要望もあろうかと思いますが、もちろん川を横断いたしますところは将来の河川改修計画に合わせました橋をかけるわけでございまして、その前後のところあたりが盛り土にするか、高架にするかという一つの境目であろうかと思います。これは現地の事情に即しまして地方建設局に十分検討させて計画をいたしたいと思います。
  216. 原田立

    ○原田立君 それでは、国道十号線の問題についてはこのくらいにしておきまして、この前視察した芦屋浜ニュータウンの件について若干お伺いするんでありますが、芦屋浜ニュータウンはアステム方式に基づいて県、住宅供給公社、日本住宅公団及び民間企業による事業で、総面積の三五%が公共施設、二二%が公益施設、残りの約四〇%を住宅地区に充てるという内容のもので、画期的事業と拝見してきたわけでありますが、価格の点について賃貸、分譲に分けて、いろいろと聞いてみますと、一室二千五百万円とか二千四百万、二千六百万だなんていう価格表を見せつけられて実はびっくりしたわけなんです。そうしたらある人いわく、ここは神戸、大阪に近いんだからこのくらいの土地なら約一億円くらいかかるんだから、このくらいは安い方だなんていうような話をしていたけれども、それじゃ余りどうも庶民のための住宅とは言えない、こんなふうに思うんでありますけれども、家賃、住宅規模、分譲価格の平均、どの程度になっていますか。
  217. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 芦屋浜のシーサイドタウンと言っております計画につきましては、御案内のとおり兵庫県が埋め立て造成いたしました土地に現在高層住宅地区につきまして全体で三千三百八十一戸ばかり建設をいたしております。  その建設いたしております住宅の内容は、県営住宅、県公社の住宅、公団の住宅、それから民間の分譲住宅等がございまして、したがいましてその価格もいろいろでございますが、たとえば賃貸住宅につきましては、兵庫県営の賃貸県営住宅につきましては、住戸面積約五十三平方メートルで、当初家賃三万五千円、これは月でございますが、そういうことになっております。また、県の住宅供給公社の賃貸住宅につきましては、住戸面積が六十三平方メートルで、家賃につきましては当初四万三千五百円、住宅公団の賃貸住宅につきましては六十五平方メートルで、当初五万七千五百円のものから六万二千九百円のものというふうに分かれております。また、分譲住宅につきましては、住宅公団と民間のものがいろいろございますが、一例をとりまして住宅公団の六十五平方メートル程度の例をとりますと千六百五十六万円から二千九十万円程度となっております。また、民間のものにつきましては、二千九十万円から、これはやっぱり規模の大きいものにつきましては、百二十八平方米となりますと三千五百万円のものがあるというふうになっております。
  218. 原田立

    ○原田立君 その当初の家賃の話はいまあった。だけれど、これもだんだんと値上がりしていくんでしょう。十年ぐらいたつと何か倍から二・五倍ぐらいになるような話を現地で聞いてきたんだけれども、その点はいかがですか。
  219. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) いわゆる傾斜家賃ということで、当初なるべく入居者の御負担を軽くするために低額にしておりますので、十年後になりますとある程度上がりますが、たとえば日本住宅公団の例で申しますと、倍とはなりませんが、五万七千五百円のものが十年後には九万円台になろうかというふうに聞いております。
  220. 原田立

    ○原田立君 そうなると家賃を十万円払う。九万円から十万円払う収入の人というのは年間収入が一体どのぐらいの人たち対象になるのかと考えさせられてしまうわけです。  ところで、芦屋浜ニュータウンは最新技術による安全、防災、五階ごとに設けられている空中公園の導入、さらには各戸に暖房、給湯、真空ごみ収集施設などが導入され、注目される内容でありますが、熱料金改定について現地でいろいろな意見もあるようでありますけれども、実態については当局は知っておられるのかどうか、また、入居住民に対する負担が非常に大きく生活を圧迫していることが十分うかがえるわけでありますけれども、実態はいかがですか。
  221. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 芦屋浜エネルギーサービス株式会社というところがこの地域の地域暖房、給湯の業務を行っておると聞いておりますが、その料金につきましてはガス代、灯油代等の値上がりに伴いまして必要な料金改定の申請をされ、通商産業大臣許可を受けたというふうに聞いております。この所管は通商産業省でございますので、私どもも詳細は承知しておりませんが、事情を伺いましたところでは、昨今のエネルギー価格の上昇等によりまして、ある程度の料金の値上げをせざるを得なく、その料金につきましても通産省で厳正な査定を行い、やむを得ないものと認めて認可したというふうに聞いております。
  222. 原田立

    ○原田立君 これで終わりにしますけれども、非常にインチキな感じがするんです。というのは、入居案内書では八千円から九千円ぐらい月にかかるでしょうと、こういう案内書がある。現在節約して使用して約一万六千円から二万円だと。これが今度新料金になると二万五千円から三万四千円ぐらいになる。というと、その最初の入居案内書の金額からいくと、八千円のものから見ると八、三、二十四、約三倍、三万四千円だと約四倍、こういうような値段になるということは、大変入居者に過酷な仕打ちになっているんじゃないか。担当が通産省だからうちの方は知らないみたいな住宅局長の話だけれども、そんな冷たいことを言わないで、しっかり手を打ってもらいたいと思うんです。
  223. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 料金の改定につきましては先ほど申し上げましたようなことでございますが、値上げ率が平均で四六・七%であったというふうに聞いております。この月平均どのくらいかかるかということは、どうもそれぞれの御家庭での状況によって異なりますので、私どもしかとわかりませんが、私どもの方で県営住宅での平均的な家庭でお使いになるという場合のデータ等を見せていただきましたところでは、従前は月六千円程度だったものが値上げ後八千七百円程度の月当たりの価格になっているというふうに聞いてはおりますが、しかし、これもちょっとその御家庭の状況によって相当差があるんだろうと思いますので、今後よく地域の実情等によりまして、このような誤解等がないようにうまく運営していくように指導したいと思っております。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、民間デベロッパーによる開発並びに再開発がさまざまな問題を含んでおりますけれども、そのうちきょうは二つ取り上げて質問したいと思います。  九月十六日付で建設省線引き見直し通達を出されましたけれども、各紙とも不動産業界からの強い要請を受けて行ったものと指摘して、この背景に疑問を投じております。十月二十四日の衆議院建設委員会で、わが党の瀬崎議員が、この通達の裏には業界からの多額の献金があったという疑惑を追及しました。昭和四十五年から都市計画法による線引きが始まったんですけれども、おおむね五年ごとに見直すということになっていたのに、今度の通達では随時市街化区域をふやすことということを求めている。これは都市計画法改正以来十年来にして文字どおり根幹を変更するものだとして、きわめて重大だと指摘されておりますけれども、これまでの国会での審議経過、答弁などから見て、一体どうしてこういう変更を行ったのか、明確な答弁を大臣から求めたいと思います。
  225. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  線引き見直しにつきましては、御案内のように、昨今の住宅事情、宅地事情というものが非常に旺盛な需要に応じられないような環境の変化がございました。したがって、調整区域市街化区域等々における宅地対策の上から、一応知事さん方に一つの基準をお示しして、地域への実情に合わせて対応をしていただきたいような基準方針を示したということでありまして、反応といたしましては、御案内のように、応じたところもありますし、拒否反応を示されたところもあろうかと思いますが、とにもかくにも国民の方々住宅宅地需要に応ずるような対応として、時期的にはいささかいかがなものであろうかということは承知いたしておりますけれども、とにもかくにも一つの基準としてお示ししようということで、局長通達でお示ししたというようなことであったかと思います。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 同じ日付で、九月十六日に計画局長のもう一つの通達が出ています。「市街化調整区域内における開発区域の面積が二十ヘクタール以上の開発行為に係る開発許可の取扱いについて」というもので、これを見ると、首都圏、近畿圏及び中部圏、また上記以外の都市計画区域でも事前協議を積極的に行うことにより適切な運用を図れと。つまり、どんどん二十ヘクタール以上もやれというふうにとられますけれども、そういう方針なんですか。
  227. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 市街化調整区域開発許可につきましては、面積が二十ヘクタール以上ございまして、同時にたとえば市町村の基本構想等に整合いたしまして将来の土地利用を図る上で支障がない場合であるとか、あるいはまた優良な農地とか、災害防止に必要な保全すべき土地等にこの開発する区域の大部分が相当しないとか、そういった一定の要件がございました場合には開発許可ができることになっております。それで、先ほども大臣からお話がございましたように、近時大都市を中心にいたしまして住宅地を中心に地価もかなり上昇傾向が見られますし、一方国民の住宅宅地に対します需要も依然として根強いものがございます。  このような状況を踏まえました場合に、打つべき手といたしまして、一つは、市街化区域内の農地等について宅地への計画的な利用転換を図る。もう一つは、既成市街地の土地の高度利用、有効利用を図っていく。三番目には、やはり市街化調整区域における開発行為につきましても、先ほど申し上げましたように、一定の要件に相当するものにつきましては適切な対応を図る必要があると、このような観点から通牒を出したような次第でございます。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ところが、これまでにもいま宮繁局長の言われたそういう要件に当てはまらぬのがいろいろ行われているという問題があるんです。  きょう私は、岩手県の二十ヘクタール以上の開発問題を取り上げたいんですが、岩手では二十ヘクタール以上の開発許可は幾つ例がありましたか。
  229. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 岩手県におきます調整区域内におきます二十ヘクタール以上の規模を擁する宅地開発につきましては、いままでに二件あると聞いております。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 両方とも盛岡周辺なんで、一つは滝沢ニュータウン三十九ヘクタール、もう一つは都南村手代森ニュータウン二十一ヘクタール、この二つとも例のロッキード被告の小佐野賢治が会長である岩手興業株式会社が行ったものです。この岩手興業というのは株主トップが国際興業、株の四〇%を持っていますが、私ども県庁、村にも参りまして都南村のこの手代森ニュータウンの問題をいろいろ調査してまいりました。さまざまな問題があります。  その第一は、土地買収の経過がきわめて強引で詐欺的で、都市計画法及び農地法違反の疑いがきわめて大きいということである。朝日新聞七九年十一月二十九日付あるいは岩手日報五十一年などにも書かれておりますけれども、当時、岩手中央バスが昭和四十八年六月にバスターミナル用地だということで二十一ヘクタール、約五十余人の地権者から優良農地を売買契約を結び金を払った。優良農地ですよ、それを買ってしまったわけですね。ところが、一年半後、何と昭和四十九年九月にバスターミナルをやめて実は宅地開発だということに計画変更をしてしまったわけです。この宅地開発の通告を県にしたのは一体いつごろでしたか。
  231. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 当初、岩手興業から開発許可に関します許可の申請をする前に、一応事前協議に関する申請をいたしまして事前にいろいろ県の方で調査協議をすることになっておりますけれども、その開発許可の事前協議に関する書面が提出されましたのが昭和五十年十一月と聞いております。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、事前協議が出てきたのが二年五カ月後だということなんですね。もう契約を結んで金を払って二年五カ月後に——事前協議なんていうものじゃないんですな、出てきた。中身はこれどうです。二十一ヘクタールというのは完全に優良農地だったんですね。局長も先ほど優良農地は外すと言われた。これは実際に県も村も優良農地というのに指定を一応しなかったんだけれども、このバスターミナルの話が出たので外しただけなんで、実にみごとな水田なんですね。周りは全部農業振興地域にも指定されているところなんで、なぜ優良農地を宅地開発できるのか。これは都市計画法、またあなた方が出した通達にも反した中身じゃありませんか。
  233. 宮繁護

    政府委員宮繁護君) 県当局から事情聴取いたしましたところ、これは農振地域等に該当しない土地であるということでございますので、その点については妥当であったと考えております。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは農振地域に該当しないというのでなくて、バスターミナルの話があったので農振地域に指定することをやめたんだ、しなかったんだということが朝日新聞にはっきり書いてある。その点で私は、まずこの疑惑が非常に大きいと思うんですね。  もう一つ、農地の転用許可という問題があります。農地の転用許可には農地法並びに通達に基づいて事前審査が必要なんですけれども、この事前審査書が提出されたのはいつでしょうか。農水省お答え願えましょうか。
  235. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 最終的に許可になりましたのは五十四年の八月三十日でございますが、ただいまお尋ねの事前審査申出書については、五十四年四月十六日に受理しております。
  236. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 五十四年四月だというと六年後ですね。六年後で事前審査ということが言えますか。
  237. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 事前審査ということの意味合いにつきましては、農地転用の許可を受けます際に許可申請書をいきなり出すのではなくて、許可を受ける前にその事前に審査を申し出るという趣旨でございまして、五十四年四月十六日でございます。
  238. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 岩手日報によりますと、四十八年五月「三・三平方メートル二万三千円で妥結、内金としてまず七割、その後残り三割も地権者の強い要請で支払われた。」ということで、とにかく四十八年に全部金が払われているわけですね。それで六年後に事前審査が出てくる、これは農地法の規定を無視したものではございませんか。
  239. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 調べてみますと、確かにお尋ねのとおり四十八年六月時点で売買契約等がなされ、代金も支払われているのでございますが、その後、この関係につきましては、農協へ農業経営の委託をするということで農協に経営の委託をいたしまして、以後三年間程度この水田に小麦等を作付けておる、かようなことでございまして、農地法違反というような事実はございません。
  240. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっともう一度よく聞きますけれども、前もって全部金を払ってやった、それでもう農民は受け取っちゃったわけですね。それで、その後事前審査ということになっても構わないんですか。
  241. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 農地法では所有権移転の統制をしておりまして、所有権移転が許可なく行われたというような事実がございますとこれは違反になるわけでございます。  本件につきましては、代金の支払いはございましたけれども、いわゆる農地の引き渡しがあったかどうか、この問題でございます。その点について調べますと、その後五十年の八月初めにただいま申し上げました農地法第三条によります農業経営の委託ということでこの地権者の方々から農協へ経営を委託するという農地法の申請がなされております。そういうことから申しますと、この地権者の方々はいわゆる所有権移転をその前に完了したのではなくて、所有権者として農協に農地の経営を委託をした、以後三年間小麦の作付がなされておる、かようなことでございますので、農地法違反という事実には至っていない、かように考えております。
  242. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもこの問題についての問題点をきちんと正面から見るのではなくて、問題がないかのようなお答えですけれども、とんでもないんです。私ここに地図を持ってまいりましたけども、この場所は東北縦貫道の東で北上川の東の地域。なぜこういう計画を四十八年に小佐野賢治らが始めたかというと、この東北縦貫道計画ともやっぱり関連がある。盛岡南インターチェンジというのがこの近くにできるということです。それから、北上川にいままで幻の橋と言われていた橋がそのうちかかるということになってきたというので、ここに目をつけて坪二万三千円という安い値段で買収を始めた、それで金を全部払ってしまってからこの開発許可やら農地転用の許可願を出し始めていくわけですね。  いま農水省は、五十四年に初めて出たと言われたけども、そうじゃないんですよ。県に農地の転用許可が出されたのは四十九年の十一月二十九日なんです。あなたは五十四年と言われたけれども、五年前に一遍出ているんです。東北農政局はこれを突っ返すんです。農地法を無視した疑いがあるということでこれをまず突っ返すということがある。ここに私は文書を一つ持ってきておりますけれども、これはこの問題についての岩手県の県の文書です。県庁で私ども事情を聞きました。そうしますと、五十一年七月二十七日に次のようなやりとりがここに書かれている。ちょうどロッキード事件が暴露されたころです。  この県の文書では、五十一年七月二十七日「東北農政局に対し、本事案の経過を説明したところ、国際興業系列の会社の事業でもあり、政治情勢等を考慮すれば、時期的に適当でない。」という意見を東北の農政局は言っているんです。小佐野賢治絡みの小佐野ファミリーが東北に進出してきてこういうものを買って出してきたけれども、どうもロッキード事件の小佐野の仕事でもあり、東北農政局としてはここで一応やっぱり突っ返すということになって、農民はお金を全部十三億円もらったそのままずっとどうにもならない。開発許可も全然出ないというので大問題になってきたわけです。  それで、この岩手日報などでも大きな記事が載っておりますけれども、「先走り開発つまずく 小佐野氏会長の会社 法無視で許可なく」という記事が大分出ている。そういう経過をあなたは全然知らぬ顔をして、農協が農地をやっていたのでまるで問題がなかったかのように言うのは、私は全くけしからぬ問題だというふうに思うのです。農林省は東北農政局にこういう問題を一体確かめたんですか。
  243. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 東北農政局を通じまして県庁にも照会いたしましたところ、四十九年十一月二十九日、ただいま先生のお尋ねのありました時点と、それからその後もう一度事前審査の申出書が出ておる、かような報告でございます。もう一度と申しますのは、五十一年の三月九日でございます。両方ともこれは県庁に出ておりまして、それぞれの時点で県庁段階地方農政局、東北農政局に出ませんで、そのまま返戻あるいは取り下げに至っておる。先ほど私が申し上げました五十四年の事前審査申出書は東北農政局に出ておるわけでございます。それで、その段階で県庁としましては、これはもちろん都市計画法上の開発行為許可も要ることでございますので、県庁内部で検討の結果、まだ事前審査を東北農政局に出すというか、県から上に出すという時期ではないというふうに判断されたのではなかろうか、かように思います。  なお、いまお尋ねの五十一年七月時点の県庁と東北農政局の打ち合わせにつきましては、その内容につきましては、いまお話しのようなことがありましたかどうか、私どもとしてはそういう報告は受けておりません。
  244. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは報告を受けてないかもしれぬけれども、県庁でちゃんと文書もできているわけです。以上のような問題があってたとえば農地転用の申請が出てきたんだが、県では二回もむしろ突っ返すということでいったのが、五十四年にばたばたっと決まってしまうわけですね。それで二番目の問題が出てくる。政治家の介入。それで、五十四年は四月八日がちょうど知事選挙がありまして、ここで千田県知事が中村県知事にかわるわけですね。  中村県知事にかわると、五十四年四月十六日、知事選挙の後一週間たつともう一度事前審査が申し出で出るわけです。そうすると、五十四年八月三十日農林大臣許可が出るんです。宅地開発許可も五月十八日に許可申請が出されて、九月に県知事の許可がおりるんです。つまり、五、六年めちゃめちゃに問題があるのでそのままほうっておかれたのが、知事さんがかわるとばたばたっと両方の許可がおりてしまうということになるわけです。この問題については、落選した千田元知事、この方がいろんなことを話されていますし、週刊文春八〇年七月三十一日付でかなり詳しいことを述べられておる。  彼はこういうことを言っているんです。私どもも、千田元知事に私の秘書が会ってお聞きしました。こう言われました。中村氏は現職の私を追い落とすために鈴木善幸によって担ぎ出された、小佐野がかんでいるニュータウン開発についても、中村知事のもとで急に決められていったことは間違いない、そう言われています。この週刊文春の記事でもちゃんとそのことを言っています。都南村乙部のたんぼの問題、住宅、いまの問題ですね。そういうことについても、そういう動きの中で行われたということを千田前知事がはっきり証言しております。  最初、坪二万三千円で買収したのがいま十三万円。これでもう宅地造成していよいよ分譲というので仕事が進んでいるわけです。これは日本電建がやっているんですけれども、現地事務所では坪十三万円というのが坪二十万円になるかもしれないということも言われていて、もちろん造成費もかかりますけれども、当初十三億で買って差し引いてみますと利益が全部当たるかどうかわからぬけれども、土地を買った値段と売り出しの値段の差は百億円を超すというような利権問題がここに生まれているという疑惑がある。この点で小佐野ファミリーが、特に小佐野氏が東北に進出してきて——きょうもう時間がないので花巻温泉問題なんかできませんけれども、東北のバス、電鉄、観光地、温泉、ニュータウン等々、非常に手中にしていく仕事を始めているわけですけれども、この小佐野氏がたとえば岩手県にも来る際、だれが紹介したかというと、やっぱり鈴木現総理なんですね。  週刊文春でも、小佐野が私のところへやってきたのは、岩手で国体が開かれた昭和四十五年の春だった、鈴木君の紹介でやってきたんだ、私も、鈴木君の紹介ならと会ったんだ、ということを千田前知事は証言しております。このことは鈴木首相がもう認めておりまして、この週刊文春によりますと、鈴木総理の「材津昭吾秘書官がにがり切った顔で答える。」と。「昭和四十五年の国体前に。ストつづきで経営に行き詰まった岩手中央バスを、小佐野さんの国際興業に引き受けてもらおうという話になり、鈴木が角さん(田中角榮氏)に頼み、小佐野さんに会う手筈をととのえてもらって会ったんです。」と。小佐野氏が東北に進出してくる。鈴木善幸氏が田中角榮氏とのつながりで連れてくる、千田前知事にも紹介するということでこういう仕事が始まって、きょう私が取り上げております都南村のこういう都市計画法、あるいは農地法違反の疑いのきわめて強い開発許可が、知事がかわるとばたばたっと決まるという状況が生まれているわけです。  われわれの調査によりますとこの岩手県の幹部、かなり上の方の幹部です。この幹部に対して大平派の国会議員の働きかけがあったという証言も得ました。その裏には政治献金もなされているのではないかという疑惑も言われている。もしそういう事実があるとすると、これはやはり地位利用、贈収賄など大変大きな問題になるというように思うんです。いつもこういう問題は政治絡み、政治家絡みがあるんですけれども、どうもこの問題も経過全体を考えてみると、きわめて奇怪な様相を示しているということを指摘しておきます。  次に、第三の問題として、公的金融機関からの多額の融資についても大きな疑惑があります。通産省の中小企業庁、商工中金盛岡支店からこの都南村ニュータウンにどのくらいの融資をしていますか。
  245. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 私ども聞いておりますところでは、商工中金は岩手興業から十二億円の根抵当権の設定を受けております。したがいましてその範囲で融資が行われるものと、このように聞いております。
  246. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 限度額十二億円ということで融資決定をしているわけです。  それで、先ほど申しましたように支払ったお金は十三億円、岩手銀行の「得意先資料」というのがありまして、それには一万九千八百十八平米、十三億千七百万八千円支払ったというふうに書かれていると言われますけれども、約十三億円払った金の十二億円はどうやら商工中金からの融資ということで賄われていると思うんです。この融資は組合員として貸し付けていると思いますけれども、この会社はどういう組合員資格なんですか。
  247. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 岩手興業は、岩手県バス事業協同組合に所属する組合員ということになっております。
  248. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とってもそこがインチキなんですよ。岩手興業というのは岩手中央バスの不動産部門を受け継いだ会社であって、バスなんか何もやってないです。それでいいんですか。
  249. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) このパス事業関係につきましては、私ども直接所管する問題ではございませんが、私ども聞いておりますところでは、現在まだバスターミナル事業には関与をしておるというようなこと、あるいは現在の岩手県パス事業協同組合、この組合員資格は相当広範に規定をされておりまして、たとえば観光事業等非常にきわめて広範に規定されております。そういうことで組合員資格があるものというふうに判断されているのではなかろうかというふうに考えております。
  250. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この会社の事業目的には、バス事業なんというのは一言も書いてない。バスの協同組合が非常に広範で観光まで入っているというんですけれども、不動産は入っていますか。
  251. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 私ども聞いておる範囲では不動産は入っておりません。
  252. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 おかしいじゃないですか。この協同組合の事業範囲はきわめて広範だというんだけれども、観光が入っていても不動産は入ってない。この岩手興業というのは不動産しかやってないんですよ。岩手バスのそれを引き継いだんです。それでね——まあいいです、それは。  組合員とした場合、貸付限度額は一体幾らで、利率、それから貸し付けの期間ですね、どうなっていますか。
  253. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 貸し付けの金額の限度につきましては、一応の基準といたしまして、いわゆる組合構成員貸しの場合には一応一億五千万円と決まっております。ただ、これは商工中金の総代会の決議がございまして、必要な場合にはもっとそれを超えて貸し付けができるということになっておりまして、今回の場合もそれにのっとりまして一応本店の決裁という所定の手続を経まして貸し出されたというように聞いております。
  254. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 商工中金というのは中小企業対象にした金融機関でしょう。組合員は一億五千方というのが基準になっている。それの八倍の十二億円を商工中金は貸しているわけなんです。それでその十二億円というのは農民から買う十三億幾らのほとんど全額です。それでこの岩手興業という会社は小佐野賢治氏で、物すごい金持ちですよ。これは中小企業じゃないでしょう、この岩手興業というのは資本金一億四千万円ですから。中小企業というのは普通資本金一億円以下ということになっているんでしょう。それで国際興業が四〇%の株を持っているわけだ。しかもバスの組合員といったってバスなんかやってない。こういう例が一体ありますか。中小企業が非常に金融に困っていて商工中金へもいろいろ要求があるのに、そういうものには締めに締めて、何でまた小佐野賢治のこういうものにおたくは限度額の八倍もの十二億円も貸すんですか。
  255. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) この岩手興業の資本金は、先生おっしゃいますように、一億円を超えておるわけでございますけれども、従業員が十四名ということで、一応中小企業ということになっておるわけでございます。私どもといたしましては、先生おっしゃいますように、基本はやはり中小企業金融でございますので、当然それに重点を置くということで、私どもといたしましても、もちろん大企業に対する融資は極力抑制をする、あるいはまた、一応の限度は一億五千万でございまして、その限度超もあるわけでございますけれども、そういった大口融資もなるべく抑制をしていくという方針にのっとってきているわけでございます。  ただ、いま申し上げましたように、この会社は一億四千万円の資本金ではございますけれども、従業員はきわめて少ないということで中小企業ということに該当しておるわけでございますし、それからまた、この大手株主でございます国際興業でございますが、これが資本金が十億円をちょっと切っておりまして、一部上場もされていないということになっております。そういったようなこと。したがって、また商工中金といたしまして、もちろん大口融資は原則抑制をする、しておるわけでございますけれども、現地の村長からもぜひこれに協力していただきたいといったような要請もありました。そういったこともあって融資に踏み切ったわけでございます。いま申し上げましたように、極力そういった大口融資は抑制するということでございまして、先生御指摘のようにそう数は多くはございませんけれども、本件がきわめて例外的になされたというようなことでもございません。
  256. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、例外的だと思いますね。おたくは花巻温泉にも約五億円貸しているんです。これも小佐野賢治が全部買収したところです。きょうは花巻温泉問題はできませんけれども、先ほどの組合の組合員だけれども、バスはやっていない、不動産業をやっているとか、この限度額の八倍を貸しているとかということで、きょう私はいろんな問題を出しましたが、もう一度調査して報告していただきたいと思います。簡単に答えてください。
  257. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 先ほど来申し上げましたように、私ども所管官庁といたしましては、今後とも商工中金の本来の使命はやはり中小企業最重点ということでございますので、大口融資の抑制あるいは大企業等に対する融資の抑制といった面で適切な指導を続けていきたい、かように考えております。
  258. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題もう一度調査してやってくれますか。もう一度この問題はちゃんと調査してもう一度報告していただきたいと思いますが、はっきり経過を答えてください。
  259. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) 経過につきましては、私ども聞いておりますところでは本店の方に申請が参いりましたのは五十四年の十一月十九日でございます。それによりまして、それを受けまして本店で十一月二十六日付で決裁をしまして融資の決定をした、かように聞いております。
  260. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもあなたでは、もう少し上の方を引っ張ってこないと調査すると言われないようですけれども大臣、最後に一つこの問題ですね、私、いまずっと述べました。幾つかの疑惑点があるわけです。朝日新聞、それから現地の岩手日報などでもかなり大きな問題として取り上げられているわけです。建設省としてもこの宅地開発許可の問題がやっぱりあります。先ほど申しましたように都市計画法との関係でどうかという問題点がある。それから農地転用についても農水省ですな、農地局長と覚書を締結しているんですね。そういう点では農地転用問題についても関連があるので、きょう出てきた問題ですね、田中角榮氏、小佐野賢治氏の話も出しました。大臣も先日結成された木曜会に田中さんと一緒に会員でもありますし、ひとつ国務大臣としてこの問題、新聞に出ただけにきちんと調べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  261. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生御指摘の土地の関係につきまして経過をいま質問、お答え等々で拝聴し、また事前に多少聞いてまいっておるわけであります。転用の問題は所管が農水省、金融につきましては通産、商工中金ということでございます。建設省としては地元、県サイド聞きましたら、一応法的手続としては別にあれこれという問題でないというような答えのようで、適切に行われているというように承知いたしております。したがって、なお調査ということでございますけれども、経過は経過としてせっかくの地域開発のために盛岡市から七キロでしたか、近郷の宅地開発というようなことを勘案して、私からは一応県としては法的手続は適切だというようなお答えをいただいておりますので、改めてこの問題について県、地元に調査をするという形でなく、こういう問題にきましては今後十分な配慮をもって建設省としては対応しながら御心配いただかないようにいたしたい、このように考えております。
  262. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なかなかおみごとな答弁で。私どもこの問題は今後も、このここだけじゃないんですよ。岩手、青森あそこら辺いっぱいあるんですからもう徹底的に調べてやっていきたいと思うんです。特に首相の名前も出ていることですし、やっていきたいと思っております。  次に、飯田橋の再開発問題について質問さしていただきたいと思います。  私は、五月十三日の当委員会でこの問題を取り上げました。当時渡辺建設大臣だったんですけれども、大郷材木店から建設大臣あてに不服の審査請求が出ておりますが、その書類が出ているので必要であれば検討してみると答弁されました。その調査結果をお答えいただきたいと思います。あなたは関係者だから、せっかくだがあのときに大臣にと言ったわけですから、あなたはまたもっと後で十分出番がありますので、大臣にお願いします。
  263. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 恐縮でございました。  余りまだ詳しくありませんで担当局長にと申し上げたわけでありますが、審査請求が建設大臣に出されておりまして、本件につきましては昭和五十四年三月三十一日付で権利変換処分の取り消しを求める審査請求が、昭和五十五年八月十八日付で土地明け渡し請求処分の取り消しを求める審査請求がそれぞれ建設大臣あてに提出されております。これらにつきましては、現在、いずれも行政不服審査法に基づき処分庁である東京都及び審査請求人より弁明書及び反論書の提出を求め、鋭意審査手続を進めておるところでありまして、これらの手続を了した後に判断を下したい、このように考えております。
  264. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ぜひきちんとこの問題、建設省関係しておりますのでやっていただきたい。  私は、前回の質問でも申し上げたんですけれども、ここに東京都庁の資料がある。飯田橋地区関係協議計画というのがある。東京都庁と建設省と再開発計画については事前協議が二回行われています。この都庁の文書によりますと、建設省都市計画課の中田補佐が、四十六年十月二十三日に水景——水の景色ですね、あの飯田堀の——水景を保存すべきである、住宅設置することは疑問であるとこの二つを、つまり大体この計画はおかしいということを事前協議で中田補佐が言われているんです。第二回目の事前協議、これは四十七年の一月十七日です。ここもこのときはやっぱり都市計画課の蓑原補佐が出席されて、東京都庁の文書によると、水景の保存が必要だ、事務所規制の政策に逆行する、都全域の再開発展望がなく、局地的開発は理解しにくい、ということを述べている。大体基本的に担当者はこれはおかしい、反対だというのが建設省の意見だと都庁の文書には書かれている。もっとも建設省の都市再開発課の方は若干賛成ぎみで、どうも建設省内に二つの意見があったようですけれども都市計画課の二人の補佐は明確に問題点を指摘しているんです。  このここで指摘されている問題点はいま住民の方々が大問題にし、われわれもやっぱり大問題にしているところで、そういうところをこの当時の計画案だけ見てきちんと言う方がいらしたということについては、私は敬意を表したいと思う。  ところが、せっかく敬意を表したいんだが、その後急にこう変わっていくわけですね。ぱっと変わっていってしまって、四十七年にはこの計画が東京都で決まっていくということがある。それだけになぜ建設省の専門家の方々のこういう重要な反対意見——部分的な意見じゃないですよ、重要な根本的反対意見があったのに建設省の中で消えていったのかという問題が、この大郷さんの反論補充書などにも出ておりますので、そういう点を建設省の責任としてよく調べていただきたい。このことを大臣にお願いしておきたいと思います。いかがでしょう。
  265. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生御指摘のような内容があったということは聞いております。したがって、両論あった中において、地域の方々の御意見と東京都の御意見がこのような方向に向かった結果、開発志向型が主導的になって許可がおりていったんじゃなかろうか、私はこのように伺ったわけであります。私自身、実はこれを初め聞いたときに、昔の私はあの堀を知っておりましたから、何でつぶしちゃったのかなという疑問を持ちました。ところが調べていきますと、あの堀が堀としての用をなさなくなってきて非常に汚濁が進んできた、このまま放置していくと、かえって環境についての影響の方が多いというようなことの議論がいろいろとかみ合って、最後は開発の方向に進めるというようなことになったやに聞いておりますし、私も仕方のない結果かなというように、まだ十分な私は勉強をしておりませんけれども、とにもかくにも経過を聞いた上ではそのような考えを持ったわけであります。したがって、十分議論を出された形の中で一つの結論を得た進め方で来ておるのかなというような考えを持ちながら、今後それではどのようにするかというようなことで、私は私なりに地元方々の意向を尊重しながら進めていくことになっていくのかなというようなことを考えておるところでございます。
  266. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最初にボタンを一つかけ間違いますと、次々にこうかけ間違っていく。飯田堀の東京都執行のこの再開発計画が進むと、その対岸の、この間も私は申し上げましたけれども、揚場町、それから神楽坂の全く同じ再開発計画が、やっぱり高層ビルが建つ計画が進み始めている。もうすでに新宿区の基本計画にまで入って、国も予算をつけて進み始めている。私は東京都の方が進み始めたので、じゃこっちもやろうということになったんじゃなくて、どうも両方とも熊谷組という民間デベロッパーが動いている。東京都の側は去年八十四億円ですか、八十六億円で熊谷組がほかの三つの社と一緒に落札しているんです。片方も熊谷組が——この間も見せましたけれども、最初から熊谷組のパンフレットをつくってこういうのをやろう、やろうと進めているわけです。どうも両方とも熊谷組が中心で、民間デベロッパーが中心で進めていたということを、経過を全部調べると思わざるを得ない。  それで、この点で先日升本局長のお父さんの升本喜兵衛さんのこともお伺いしましたが、今度のこの神楽坂、揚場町の側の再開発事業、この地区の大地主、約八〇%ぐらいお持ちなんですね。この升本喜兵衛さん、局長のお父さんが中心になっていると思いますけれどもどうでしょう。——今度は局長にどうぞ。
  267. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいまおただしの揚場町地区、神楽坂地区の再開発事業というお話でございましたけれども、この事業につきましては、どういう事業形態で事業が実施されることになるのか、都市局といたしましては聞き及んでおりませんので、この際、私からただいまのおただしお答えすることはいかがなものかというふうに考えております。
  268. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 でも、あなたはお父さんと同じ地域、同じ場所に、家は違うけれども、あの地域にお住まいでしょう。いかがかと言われてお答えを控えられますけれども、この升本喜兵衛氏は揚場町地区再開発協議会の会長だったと、七九年七月には市街地開発準備組合の理事長になられた。だから升本喜兵衛氏が揚場町地区、神楽坂地区の再開発の地元の一番の大地主として、また協議会会長、次いで準備組合理事長として中心になっておられることを御存じないんですか。
  269. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 私が事実としてあの近くに居住しておることは御指摘のとおりでございます。その余のことにつきましては、私は正確には余り存じておりません。これは特に故意に申し上げておるわけではございません。
  270. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、お父さんが会長、理事長をおやりになっておることも存じてないんですか。
  271. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ここで存じているかどうか申し上げるべき立場ではないと思いますけれども、それは一応括孤に入れまして申し上げますと、本当に私は詳しくどういうことでどういうふうになっておるのかは聞いておりません。
  272. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 聞いてない……。  この計画は、私はきわめて住民の権利を無視して、住民追い出しの再開発になりかねないという危惧を持っている。  新宿区に行って調査しましたが、これは新宿区の基本計画報告書ですが、関係権利者は揚場町地権者八名、借地権者九名、借家権者二十六名、全部で四十三名。神楽坂地権者四名、借地権者十四名、借家権者五十五名、七十三名。これだけ大ぜいの百十六名の方が関係しているんですけれども、地権者はわずかに十二名なんですね。あとは借地権者、借家権者なんです。非常に立場の弱い方が多いわけですね。そこに大変な再開発をやろうということになっているわけなんで、いまもう神楽坂でも十名近い方々がこれに反対だということを商店主を初め表明されているわけでございます。  それで私、升本局長にお伺いしたいのは、升本さんはいま正確に存じてないというふうに言われたんだが、五月十三日に私があなたに質問したとき、熊谷組がこの事業のために現地に土地を買っているじゃないかと言ったら、あなたは議事録によるとこう言ってる、「熊谷組が当該地区内に従来から土地を所有していたという経緯はあるようでございますが、事業のために新たに土地を買いに入ったということは聞いておらない」と、正確には知らぬと言われながら、「土地を買いに入ったということは聞いておらない」という否定的なことを言われていますけど、もう明確に入っているんです。これは飯田堀側にも、それから神楽坂、揚場町側にも両方に土地買いに入っている。子会社をつくって入っている。その子会社は土地興業という会社にやらしておる。ところが、この土地興業は私はここに役員名簿も持ってきておりますけれども、熊谷組の社長さん、会長さん初め全部四人ともダブっておる、同じなんですよ、だれが見ても子会社だ。その子会社の名前で揚場町八番八の宅地二百三十三平方メーターを土地興業が買い、飯田橋地区でも百六十五平方という小さな土地を四十七年に買収し、それを次いで熊谷組が取得して、土地興業で買って、子会社に買わしておいて熊谷組が買って、五十三年に都に売っているんです。土地を持てば地権者になるでしょう。だから単なる民間デベロッパーというんじゃなくて、両方ともおれは地権者だ、地権者になるためにわざわざ両方子会社で土地を買っているんだと、その事実も御存じないですか。
  273. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいま細かく御指摘になられたようなことにつきましては、私は存じません。
  274. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは熊谷組とは関係ございませんか。また、熊谷組の幹部とこの問題で協議したり相談に応じたということはございませんか。
  275. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 私は全く関係がございません。熊谷組の幹部とこの件についてお話を申し上げたこともございません。
  276. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたがそう否定されるんでしたら私も証拠を挙げたい。  去年の八月二十五日四時ごろ、揚場町地区再開発準備組合事務所——これは喫茶店ボルボの二階ですけれども、喫茶店ボルボというのは升本さんのお持ちになっているビルですね、事務所がここにある。その二階で六人の方が集まって話していた、六人の方、一人はあなたのお兄さん、升本さんの御長兄の升本喜八郎さん、一人は升本逸夫三井信託銀行取締役、次男ですね、それから三男のあなた升本達夫、それから相手は熊谷組です、石原当市熊谷組開発事業本部の再開発課長です。この人は東京都から天下りになった人、あと平野、新木、六人の方がこの再開発準備組合事務所で話し合いをしていたということをきちんと見た方がいるわけです。そういうことはありませんか、去年。
  277. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 大変詳しくお調べのようでございますけれども、私、正確にいつごろそのような話をしたかは覚えておりませんし、話の内容がどのようなお話をしたかにつきましても、どのようなことであったか記憶ありません。したがって、断定的におっしゃいますが、ちょっと私には不可解でございます。  それで私、その点につきまして直におただしのようなことになるかならないかわかりませんが、一般論として都市の再開発をどういうふうに進めるかということについては私としても関心がないわけではございません。これはここまで——これ以上お話し申し上げていいかどうかは御許可をいただいた上にさせていただきたいと思います。
  278. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは記憶にございませんと言われた。目撃した方は勝田喜久治さんといって揚場町六番地にお住まいの中升酒店の当主です。私もきちんとその方からお伺いしたのではっきり名前を申し上げます。その方はあなたをよく御存じで後姿を見てもわかるという方です。六人ちゃんと相談している。  もう一つ、ことしになってから大変なことが起きているんですよ。その前に、あなたはあくまで否定されるので、じゃこういうことも申し上げたい。  去年の五十四年の十月八日です。先ほどの六人でお話しになっていた一カ月ぐらい後ですね。この勝田さんの家へこれ以後ずっと升本喜八郎さん——あなたの御長兄が、この再開発問題に賛成してくれ、賛成してくれとしょっちゅう来るんですけれども、第一回に来たときです。その時の話のテープがあります。この中で升本喜八郎さんは勝田さんに対して、いつもボルボの二階にいますのでいつでも来てくださいと言われた。矢代さん、矢代さんという方はあなたのおとうさんの代理人です、御存じですね。矢代さんのテープも入っている。毎土曜日なんですよねと、息子さん三人とわれわれが話をしてどうやって持っていかなければならないか真剣にやっているわけですと、長男、次男、三男の升本喜八郎、升本逸夫、升本達夫三人が揚場町四、升本シービーセンター、その喫茶店ボルボの二階の事務所で毎土曜日いつも相談している、そこへ来てくれと、ちゃんとテープに入っている。あなたは毎土曜日こういう相談に一切乗っていないんですか。
  279. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) どうもこのまま続けて私お答えしていいかどうかちょっと心配をいたしておりますので……。
  280. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 答えてください。あなたが建設省のこの問題の責任者なんだから。
  281. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 先ほど申し上げましたように、私は何回も全面的に否定しているわけじゃございません。ですが、私が事実を申し上げるのを若干ちゅうちょいたしておりますのは、先ほども申し上げましたように、私の本会議、この席におきます御答弁の職務は都市局長としての職務であろうかと思っております。したがいまして、都市局長としての職務にかかわるものにつきまして、私としては誠心誠意お答えを申し上げる準備をいたしておるわけでございますが、ただいまおただしの件につきましては、最初に申し上げましたように、都市局としては関知をいたさない事柄でございますので、私がこの機会におただしに従ってずらずらとお答え申し上げるのはいかがなものか、かように考えておりますので。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、大問題だから私は聞いているんですよ。先ほど大臣言われたように、不服審査の問題で、この升本さんが不服審査をやる責任者なんだから、都市局長で。ところがその都市局長が熊谷組と私は関係ない、知らないと言っているけれども、事実は無数に幾らでも出てくるんだから。だから、奥野法務大臣は国務大臣と個人と使い分けをなさらなかった。あなたも使い分けなさらないで局長としてかどうかは別として、升本達夫個人はこの熊谷組とボルボの二階でお兄さんたち三人でこの問題にずっとかかわってきたと、かかわってきたことはないのかどうかお答えをいただきたいと思うんですね。
  283. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) ただいま審査請求のお話が出ましたので申し上げさせていただきたいと思うんでございますが、これは先ほど大臣から御答弁いただきましたように、飯田堀の埋め立て、東京都施行事業に関する審査請求でございますので、これは都市局所管事項として私どもが第一次的に調査究明すべき立場にあるということでございます。  それから、ただいもおっしゃられました揚場町地区につきましては、私は個人としてその近くに住まっておるということがございますし、事実としてまあ父の土地がございます。それも事実でございます。そのような関係で権利者としていろいろ御相談をされる機会に、私が再開発事業について一般的なお話を申し上げたということは全くなかったと申し上げているわけではございません。
  284. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなた重大なこと言われますね。飯田堀の方は土地再開発だと、私が住んでいるところとは関係ない、土地局長としてやっておる、審査請求もそこから出ておると。しかし、同じ熊谷組がやっているんです。で、片方の方はあなたはさっき正確に知らぬと言われたじゃないですか。熊谷組とのかかわりはないと言われたじゃないですか。ところが、今度は前言翻して、揚場町、神楽坂の再開発問題では権利者の関係もあるので、近いので相談に乗っていると。じゃ全部知っているんでしょう。先ほど、かかわりないので正確に知らないと言ったのはうそですか。取り消しますか。委員会ごまかさないでください。——ちょっと待ってください、あなたに聞いてないから。
  285. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) 正確に知らないと申し上げたのは別にうそでもございません。まさに正確には知りません。  それから……
  286. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんなことで通りませんよ、都市局長で。
  287. 升本達夫

    政府委員升本達夫君) それから私は、この事業につきまして飯田堀と分けて申し上げたけれども、それは事実そうで、そういうことを御認識いただきたいということで申し上げたわけでございますが、仮にどのような事業でございましても、その事業が法律に従って適確に行われているかどうかということは、それはその行政官庁の職分として当然法律に従った手続で判断をすべきものでございますけれども、おただしの私個人に関する御質問は全く関係のないことというふうに私は理解をいたしております。
  288. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) ちょっと一言……
  289. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと待ってください。あなたに聞いてないんだから。ちょっと待って、私は質問していないんだから。
  290. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) いまのあなたの質問に対して向こうが答えるというんだからいいじゃないですか。
  291. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 大変失礼でございますが、私の方から、ちょっと誤解があってはいけないかと思って御説明を申し上げさしていただきたいんですが、市街地開発事業につきましては、実は都市局と住宅局に二つに所管することになっておりまして、それで私どもの方では市街地開発組合が行います市街地開発事業を所管する。ただし、その場合に大規模な公共施設であるとかそういったものの整備を伴うものは都市局というふうに若干分かれております。  現段階で御指摘の揚場町、神楽坂地域で新宿区が基本計画を作成されておりますが、この最終的な事業はどうなるかまだわかりませんが、現在までの段階では、地元で協議会等を組織されたりしてきました経過等を考えますと、もし具体的な事業となるならば市街地開発組合による施行ではなかろうかと推定されますので、そういう場合には私どもの方で所管さしていただくということになろうかと思いますが、念のためにちょっと御説明さしていただきます。
  292. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうことはわかっています。  それで、この問題ですね。先ほど権利者が大変大きな被害を受けかねないと、借地、借家の方々がね。もう始まっているんですよ。先ほど申し上げました勝田さんは、勝田さんの家に升本喜八郎氏が九月一日、九月八日、十日、十一日、ずうっと来られた。電話も、その間九月三日、九月五日電話をかけてこられた。本当にこれに賛成しろ、賛成しろと来られるわけです。それから借地権の更新料という話も出てきております。升本さんから八十坪借りているわけですね。で、二千四百万円の更新料を出せという要求も出ているというので、勝田さんのお宅では毎日毎日来られたり、電話は来たり、二千四百万円出せという要求が来たり、もう本当に奥さん方も病気になるぐらい苦しんでいらっしゃるんです。これは勝田さんだけじゃないですよ。こういうことが始まっているんです。これが再開発が進むともっと大きな問題になるし、あの由緒ある神楽坂の商店街全体の運命にもかかわってくるという非常に重要な問題だと思うんです。  もう時間になりましたので、私は最後に大臣に申し上げたいんですけれども大臣、私ども調査し、また住民の方々の訴えでいろいろ調べてきて、きょうその一端を質問いたしましたけれども、つまり升本局長が局長としてか個人としてかは別として、かなり深くかかわっておられるということは御本人もやっぱり認められたわけです。升本都市局長は、飯田橋地区の事業認可の責任者のポストにある、行政不服審査法による大郷さんからの訴えを審査する所管の責任者である。揚場町地区についても将来これが進んで、もしそういう問題が起きてきたら、申請が出されればみずからそれを通じて関与するということにもなりますし、国からの補助金行政という点でも関与するということになる。御本人がそういう利害関係者で公平にこういうことが一体できるかどうかと。両方とも熊谷組が関与しているのです。熊谷組とどうもしょっちゅう御兄弟三人でおやりになっていると。熊谷組に特別に利害のある行政問題で特定業者に対して情報その他を流す機会、そういう疑いだってこれは出てくると思うのです。私はやはり都市局長としてこの問題にタッチするのはふさわしくないというように考えざるを得ない。  きょうは神楽坂、揚場町側の問題点を指摘しましたけれども、同じ問題なんですよ、これは、都がやっている飯田橋のことですね。これについての大きな問題が続いてこういうふうに生まれているという点を私は考えると、非常に重要な問題だとして指摘したいんです。  大臣に二つお答えいただきたい。  一つは、この行政不服審査の公正をぜひ守っていただきたいということと——ちょっと委員長、もう少し、もう一問ですので……
  293. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 簡単にやってください。
  294. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 行政不服審査法第一条は、「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」となっている。この趣旨に基づいて言うと、公正に行うためには、きょうの私の質問と升本さんの答弁で明らかになったように、都市局長の升本さんは密接な利害関係を持っているので、この問題の不服審査を進めるのには適当でないと思う。私は大臣に、この問題をよく考えられて、本当に大郷さんの不服審査請求を公平に進めるために適切な対処、処置をとっていただきたい、これが第一点です。  第二点は、飯田橋地区では大郷材木店一軒残っているわけですね。それで不服審査が出て、それから下流の住民たちからは工事差しとめ請求の裁判も出ておりますけれども、地権者としてはただ一軒残っておられるわけです。この問題で行政代執行があるのではないかというようなことが地元の新聞に書かれている。もうぎりぎりだ、工事は始まっている、恐らくことしじゅうにやるのではないかなどと書かれていますね。都市再開発法の第九十八条に「(土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の代行及び代執行)」を規定しています。公共施行の事業でもし東京都がこの問題で代執行などというようなことをされると、これは大問題になると思う。都市再開発ではこれまでそういう例は私はほとんどないと思うのですけれども、事業を認可した建設大臣として、もし東京都がそういうような無謀なことをやろうという場合に、大臣として適切な措置をこれはとっていただきたい。問題はこれほど複雑で長い経過もあり、疑惑もいろいろ出されているので、適切な措置をとるべきだと思う。  この二点について大臣の答弁をいただきたいと思います。
  295. 斉藤滋与史

    ○国務大臣(斉藤滋与史君) 揚場町と神楽坂の問題について、いま先生御指摘のことを、趣旨お聞きいたしておりました。私は、升本局長がたまたまそこに住まいし、お父さんがおられたということで渦中に入られたということについて大変気の毒のような思いもいたしておりましたし、また都市開発をやらなければならない場合には、せっかく担当の局長がいらっしゃるので、こういう方を大いに利用した方がいいようにも思うし、いろいろとこもごも考えながら聞いておりました。李下に冠を正さずという言葉がございます。たまたままさに李下に御本人がいたわけであります。したがって話をするなと言ったって耳に入るでしょうし、相談を受けないと言ったって、局長ですから、そうした中に追い込まれていくことは事実でありましよう。  ただ、私が申し上げたいのは、借地、借家の方々を守る法律関係もございますし、地主は地主で守る法律関係もございますし、ただあの環境については、私もう四、五十年行っておりませんので、熟視——通るときに見る程度でございますので、内容的な環境を存じ上げておりませんけれども、これは基本計画は新宿区でやるんじゃなかろうかと思います。もちろん熊谷プランは私全然知りませんけれども、ひとついろんな指摘のことは、恐らく先生はいままでの経験から踏まえて、開発について借地、借家の方々に迷惑がかからないように、やるとしても不正が生じないように、不公平にならないようなことをおもんぱかって指摘されておられると思います。  いずれにいたしましても、過密都市の中であの地域がこれから生きていく上で、しょせんやっぱり防災あるいは都市環境整備の上で手をつけなければならないような環境ではなかろうかというように私は推測するわけであります。したがって、前向きで大所高所からそうした御心配のことが起きないようにやるということは、これは行政指導でやるべきことであろうかと思いますけれども、とにもかくにも、升本局長があそこにいるということのぜひはともかく、せっかくの立場でございますので、地域住民の方々がそのことによって不利、不利益にならないように、またその計画においていわゆる疑惑を持つようなことのないように、ひとつ私からも申し上げますし、また地域の方々にもぜひ御相談申し上げて、新宿区の基本計画がいかようなものであるのか、それこれあわせてこの問題については対処してまいりたい、このように考えます。  なお、第二点の行政代執行の問題でございますが、これも東京都の主体性の問題もございましょう。大郷さんでございますか、も一人あそこにおられていろいろと御心労なされておるようでございますけれども、この方につきましても、代執行というものは最後の手段であろうかと思います。なお関係者が話し合って御本人の納得のいくようにして何とか前向きでこの問題が解決が図られ、しょせんみんなで総合して力をあわせて都市開発、と言うと語弊があるかもしれませんけれども、地域の発展とそれぞれのお店、お宅の繁栄につながっていく問題であろうかと思いますので、そんなことを考えながらひとつやっていただければよろしいんじゃなかろうかと思います。  なお、適切な措置をという御要望でございますけれども、当然東京都で代執行をやる場合はお話があろうかと思いますので、その時点で適否については考えさせていただきたい、このように考えるものでございます。
  296. 宮之原貞光

    委員長宮之原貞光君) 時間も大分過ぎましたので、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会