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1980-11-25 第93回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十五日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     穐山  篤君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     青木 薪次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         黒柳  明君     理 事                 伊江 朝雄君                 山崎 竜男君                目黒今朝次郎君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 大木  浩君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 山本 富雄君                 青木 薪次君                 瀬谷 英行君                 広田 幸一君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君                 田  英夫君    国務大臣        文 部 大 臣  田中 龍夫君        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        経済企画庁総合        計画局審議官兼        物価局審議官   戸田 博愛君        文部省大学局長  宮地 貫一君        厚生政務次官   大石 千八君        資源エネルギー        庁公益事業部長  石井 賢吾君        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸省海運局長  永井  浩君        運輸省鉄道監督        局長       山地  進君        運輸省自動車局        長        飯島  篤君        運輸省航空局長  松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    加藤  晶君        北海道開発庁企        画室長      田中 貞夫君        大蔵省主計局主        計官       伊藤 博行君        文部省大学局学        生課長      菴谷 利夫君        厚生省社会局更        生課長      板山 賢治君        自治省財政局調        整室長      井下登喜男君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      山口 茂夫君        日本国有鉄道常        務理事      加賀山朝雄君        日本国有鉄道常        務理事      吉井  浩君        日本国有鉄道常        務理事      半谷 哲夫君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      濱  建介君        日本鉄道建設公        団理事      吉村  恒君        新東京国際空港        公団総裁     中村 大造君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(第九  十二回国会内閣提出、第九十三回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案審査のため、本日の委員会日本鉄道建設公団理事濱建介君、同吉村恒君及び新東京国際空港公団総裁中村大造君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 桑名義治

    桑名義治君 前回委員会のときに、一つの例といたしまして筑豊産炭地の例を挙げながら、ローカル線の廃止問題について私は質疑を続けてきたわけでございますが、前回委員会のときにも申し上げましたように、筑豊地方生活保護世帯保護率全国比較をしますと、全国が一・二三%、そして筑豊地区は一〇・四%。それからまた有効求人倍率におきましても全国が〇・七五%、そして筑豊地区が〇・二四%。あるいは市町村財政力指数比較をしてみましても大変な格差があるわけであります。そういった格差のあるところの鉄道を廃止をするということは、これはどう考えてみましても、国鉄法にも規定をされております福祉の増進のためにという立場から考えましたときには、これは不合理というふうに考えざるを得ないわけであります。  そして、このような状態に落ち込んだ最大の理由は、エネルギー転換というところにあるわけでございまして、考えますと、これは国策によってこういう事態に追い込まれた、こう言っても決して過言ではないわけでございます。そういったことで筑豊地方の炭鉱はすべてが閉山になったわけでございますが、そのときには確かに人口も急激に減少を見まして、ある市におきましては最盛期五万の人口が現在は一万五千というような衰退を来している姿もこれは事実でございます。しかし、その後石炭六法の施行によりまして徐々に人口もふえつつありますし、前回委員会でも国土庁から御説明をいただきましたように工業団地も大きく造成を続けております。さらに住宅団地等におきましても造成が続いておるというのが現実の姿でございます。今回は地元の住民の大変な熱意によりまして、あるいは政府もこれを認め、そして十年間の石炭六法の延長ということがこの答申によって明らかになっているわけであります。そういった中で、今回のようないわゆる鉄道の足を切るということは、片一方では地域発展を促し、片方ではそういうふうに地域の進展を阻害するというような、そういう相反する事柄国策によって行われるということはどうしても納得ができないわけでございます。  私は、こういった立場から考えまして、具体的にそういう地域発展対策が打ち出されているし、また今後もそういう方向国策として打ち出されている以上は、これに沿って運輸省もその方向考えていくべきではなかろうか、また先ほどから運輸省政令基準案というものが出ているわけでございますけれども、この項目の中に一項目そういう項目を設ける方がむしろベターではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点についての大臣の御答弁を願いたいと思います。
  6. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 仰せのとおり、その地域経済の非常に盛んなときもあればまた衰退するときもあると、いろいろその経過がございます。特に産炭地等におきましては、これは政策的な面とあるいはエネルギー転換という面から事情は相当変わってまいったことも承知いたしております。  そこで、過般来、この審議を通じまして各省の大臣が言っておりますがごとく、特に通産大臣におきましては地域実情に応じて、つまり地域実情と言えば地域経済活動の問題であろうと、こう私は思いますが、それに伴う人口増加、そういうものを見て、しかもその地域におきます輸送需要の状況あるいはこれからの推移、そういうものをつぶさに検討して通産大臣としては意見を言うということを言っております。で、これをわれわれはいわばそういう各地域によりまして新しい産業構造造成というもの、組み立て、組み直しということを考えておる地域もございますしいたしますが、それにつきまして私たちはあくまでも一つ基準というものを持っておりまして、その基準によって特定地方交通線考えていくのでありますけれども、しかし、そういう地域に再び工業が振興されて、貨物の増大であるとか、あるいは通勤電車の必要がさらに強く要請されるというようなことが科学的、客観的に明確になってきておる場合は、そういうことはやはり政令考えていきます中において取り上げていくべきだと私は思うております。  ただ、そこで一番問題なのはあくまでも客観性がなければならぬということでございまして、これなければ、いわば政令というものが恣意的に扱われるということがあってはなりませんので、その客観的な基準というものをどこに求めるかということにつきまして通産大臣なり各省庁の関係者と十分に協議をいたし決定いたしたいと思うております。
  7. 桑名義治

    桑名義治君 この問題につきましてはひとり筑豊方面の問題ではなくて、いわゆる過疎地域あるいは北海道方面にもこれは適用できる問題だろうと思います。前回、前々回の委員会のときから私が申し上げているのは、そういう事柄大臣として考えておられるならば、少なくともその運輸省政令基準案の中に第四項目として入れるべきではないか、それの方がむしろ政治的な色彩が非常に薄れていく、こういうふうに私は思っているわけであります。除外規定として現在実際に三項目上がっています。一時間の間に千名の通勤者がある場合とか、あるいは道路が十日間凍結する場合だとかいろいろな三つの項目が上がっているわけでございますが、この項目の中にそういう事柄考えておられるならばむしろうたった方が、政治的な配慮があったとかなかったとかいう問題が払拭をされていくんじゃないか、こういうふうに私は思っているわけです。その点についてどういうふうにお考えになられますか。
  8. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは仰せのようにそういう考え方もあると私は思いますが、私たちはその要約をお示しいたしました基準案の中の第三項のところにうたっておるのでございます。それを私は先ほど申しましたこの扱いにつきましてはあくまでも客観性を持たしたいということを思うておりますので、ただいま桑名先生からの御意見というのは国会で行われた議論として私は重要な議論であったと受けとめまして、今後に私はそれを反映さすようなことを考えていきたいと思うております。
  9. 桑名義治

    桑名義治君 これ以上この問題を詰めても最終結論は出てこないんじゃなかろうか、こういうふうに思いますので、次の問題に移りたいと思いますが、いずれにしましても、そういった地域実情というものを全く無視してのいわゆる今回の法案であるとするならば、これはただ単にその地域方々のいわゆる不安を増大するのみならず、その地域発展を大きく逆に阻害をしてしまう、国鉄再建のためにその地域発展阻害をされたということになれば、これは非常に重大な問題になるわけでございます。そういった意味におきまして、この問題については十二分な配慮が必要であるということをここで表明をしてこの問題について質疑を一応打ち切っておきたい、こういうふうに思います。  そこで、次に関連事業についてお尋ねをしておきたいと思います。と申しますのは、関連事業というのは今後の国鉄再建におけるやはり一つの大きな柱になってくる、こういうふうに考えられるからでございます。  まず第一の質問は、収入増加一つといたしまして関連事業拡大考えられるわけでございますけれども、国鉄昭和五十二年の法改正事業出資が可能となりました。関連事業範囲拡大をされたわけでございますが、これによって具体的にどのように新規事業開発をしてきたか、まず伺っておきたいと思います。
  10. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 五十二年の末に国鉄法改正をいただきまして、五十三年度の初めから政令改正が行われまして、関連事業範囲拡大したわけでございます。その五十三年度以降設立し、または資本参加をいたしました関連会社は三十五社でございます。このうち法律の改正政令改正によって新しく参加できるようになった会社は三十五件のうち十三件でございます。その十三件のうち国鉄営業料金として直接関連事業収入を納める会社は六件でございます。残りの七件は広告媒体管理会社でございますとか、あるいはスキー場でございますとか、国鉄広告収入あるいは旅客収入に寄与する会社でございます。その直接営業料金を納めます六社につきまして国鉄営業料金を算定いたしますと、営業初年度で約四億二百万円を予定いたしております。次年度以降はおおむね消費者物価指数に合って伸びていくと考えております。
  11. 桑名義治

    桑名義治君 これらによる収入実績というものは、現在はどの程度ですか。
  12. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 関連事業費として計上いたします収入は五十四年度決算におきましてトータル五百十一億でございます。
  13. 桑名義治

    桑名義治君 実際に積極的に国鉄再建考えるならば、この関連事業における収入が実際に六十年度までにどの程度まで持っていきたいというふうに考えておられますか。
  14. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 従来からの実績を伸長し、あるいは新しい事業開発いたしまして、昭和六十年度時点でおおむね倍、一千億のラインに乗せたいと思っております。
  15. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、現在行われているいわゆる関連事業について少しお尋ねしておきたいと思いますが、高度利用事業として店舗、それから貸し室、それからプール、それから広告媒体管理会社営業線利用促進事業としてホテルスキー場、それから密接関連事業として駅レンタカー会社、こういったものを開発し、または出資をしておられるわけでございますが、それぞれの会社資本構成がどういうふうになっているのか、また国鉄出資割合はどのくらいで、現物出資が多いのか、金銭出資が多いのか、この点を伺っておきたいと思います。
  16. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 現在出資いたしております会社は八十九社ございます。いまお尋ねのような分類に従ってパターンを分けてみますと、高度利用事業という会社が九社ございます。これは自動車教習所でございますとか、広告媒体管理会社でございますとか、そういうものでございますが、会社の全資本金が十二億強でございまして、そのうち国鉄出資額が六億弱、パーセントにいたしまして四八%でございます。残り関連会社が二二%、二億八千万円、それから金融機関等が一億七千万弱、一四%、地方公共団体商工会議所等が一六%、二億ということになっております。  それから駅ビルでございますとか、貨物物資別会社でございますとか、お話の密接に関連する事業という会社が七十九社ございます。資本金総額が四百五十四億、うち国鉄出資額が百八十九億、四二%でございます。それから荷主会社、その他関連する会社が百五十二億、三三%、地方公共団体地元商工会議所等出資額七十四億、一六%、金融機関等が三九億、九%というような比率になっております。  営業線利用促進事業というのは、いま岩手県につくりました東北リゾートというスキー場付帯施設でございます。これ一社でございまして、資本金は六億、うち国鉄は二億。それから、関係会社が一億七千万の二八%、地方公共団体が六千万、一〇%、金融機関が一億七千万、二九%、以上のような資本構成になっております。それからなお、これ以外に名古屋の臨海鉄道には一億三千七百万の現物出資をいたしております。これは国鉄の所有しております土地現物出資をしたもので、現物出資している会社はこの一社だけでございます。
  17. 桑名義治

    桑名義治君 その次に、施設それから土地高度利用として九社に五億八千七百万出資をしておられるわけでございますが、このうちの未開発会社が四社あるわけです。埼玉の新都市交通、それから札新開発中国開発関西スポーツサービス、こういった事業事業内容、それから開業見通しについて伺っておきたいと思います。
  18. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 高度利用事業九社に五億八千七百万円、数字は正確に合っております。うちお話のありました四社、札幌、広島の現在やっておりますのは自動車教習所施設を運営いたしております。将来は周辺国鉄用地開発も担当させたいと思っておりますが、この二社は、本年の四月に営業を開始いたしまして、それから大阪で、兵庫に関西スポーツサービスというスイミングスクールを中心としたビル建設したのでございますが、これはことしの夏にオープンをいたしております。この三社はいずれも四、五年で単年度黒字が出て、七年目ぐらいからは配当ができるという見通しを立てております。それから、埼玉の新都市交通につきましては、現在建設中の東北、上越新幹線の構造物の両側を利用いたしまして、埼玉県、大宮市、伊奈町、上尾市等の地域交通に資するようにということで、県と関係市町村で設立した会社でございまして、これはまだ認可申請のために収支計画を策定している段階でございまして、収支見込み等はこれから策定されると、そういうことでございます。
  19. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、先ほどからいろいろと申し上げておりますように、五十二年度からさらに関連事業拡大がなされて、いま質疑を行いましたように、たくさんの会社を現在は経営をしておるわけでございます。そこで、国鉄出資会社数は八十九社、そのうち営業中の六十二社を見ますと、五十四年度では十一社が当期利益を計上できない。この中には相当経営の不振の会社もあると、こういうふうに聞いているわけでございますが、赤字国鉄赤字会社出資してさらに国鉄の足を引っ張るようなことになれば、これは大変なことになるというふうに思うわけでございますが、出資会社管理、育成を含めて、今後のあり方について抜本的にもう一遍検討を加える必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  20. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 五十四年度決算当年度黒字を計上しておりません会社は十一社でございます。このうち一社は関西化成品輸送という会社でございますが、昨年の十二月に資本参加をいたしまして、決算期が九月でございまして、決算期のずれによって五十四年度決算では黒字が計上されておりませんが、本年の九月の決算では黒字になっている。したがいまして、残り年度黒字を計上していない会社は十社ということになります。この十社のうち三社は、五十五年度年度中に黒字が計上される予定でございます。会社名札幌駅ビル大阪広告会社でございます。それから続きまして、五十六年度は四社が単年度黒字になる予定でございます。五十七年度は続いて二社、黒字が計上できる予定でございます。  お話のように体質的に問題のあります会社貨物衣浦臨海鉄道という会社がございます。これは実は工業団地造成等行いまして、企業進出を期待したんでございますが、県と国鉄が三五%ずつ出資いたしまして、三十七億で設立した会社でございますが、進出予定いたしております会社は八十社ほどございまして、全部株主になっていただいた会社でございますが、その後の経済情勢変化等もございまして、現在進出している会社は二十社ということでございます。また、臨海地帯開発面積も五〇%をちょっと超えたところということで、非常に計画にそごを来しております。これはいま県や地元市町村企業を積極的に誘致していただく役割りを担っていただく、国鉄並びに会社はできるだけ経費を詰め、あるいはすでに進出された二十社の荷物を集めるという努力をいたしまして、できるだけ赤字の額を減らすという努力をいたしております。五十四年度決算を見ますと、前年度の二億五千万の赤字に対しまして七千万ほど業績は向上いたしております。しかし、全体の計画としましては大変体質的に問題のある会社でございますので、地方公共団体金融機関とも相談をいたしまして、経営の立て直しを図りたい、かように思っております。  それから旅客関係では北九州市にございます小倉ステーションビルというのがございます。これは実は従来配当いたしておりました会社資本参加をしたわけでございますが、ホテル部門の増築の際に借入金を非常によけい借りまして、これはちょうどオイルショックのころに当たったものでございますから、予想外借入金をふやしたということで金利でマイナスになっている。ただし、営業利益は上げておりますが、営業外経費が多くって赤字になっているという会社でございます。資本金が過小でございますので、これも会社金融機関等相談をいたしまして今後の経営の改善に努力いたしたいと思っております。  それ以外の会社は、おおむね設立目的に合った機能を果たしております。  国鉄出資いたしておりますターミナル会社について申し上げますと、駅ビルでは二十五社に出資いたしておりまして、資本金は六十六億円に対しまして国鉄は四四%の二十九億を出資をいたしておりますが、開業以来営業料金として収受しました額は百七億円、したがいまして出資六十六億に対しまして百七億という回収をいたしております。国鉄出資分三十億弱に比べますと三・七倍の営業料金を回収したという実績になっておりまして、おおむね所期の経過をたどっているものと思っております。
  21. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても今回の計画の中で、六十年度までに一千億の収入を上げたいということの御答弁があったわけでございますが、そのためにはいままでの実績から見た場合には、相当数の大幅な増収を図らなければならないわけです。そういったことをいろいろと考えてみますと、国鉄は、現在駅周辺を初めとしましていわゆる立地条件のいい土地をまだずいぶん保有をしておられるわけでございます。したがいまして、そういった土地をどういうふうに高度利用するかということに今後もかかっていくことは、これは当然なことであると思うわけでございますが、そういった今後立地条件のいい土地高度利用についてはどういうふうな計画があるのか、またどういうふうに今後取り組んでいこうとお考えになっておられるのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  22. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 大変広大な土地をあちらこちらに持っております。これを利用して関連事業収入を上げるということにつきましては、特に法の改正をいただきました経過にかんがみまして、最近力を入れているところでございますが、部内的には外部の方も参加をいただきまして具体的な地名を挙げて事業計画の策定を、御参考意見をいただいて進めるようにいたしております。また一方国鉄は、こういう関連事業の伸長に一生懸命になっているということで外からいろいろな引き合いもございまして、そういう外部専門家あるいは土地事情に詳しい方の御意見を積極的にちょうだいいたしまして御一緒に仕事を進めたい、かように思っております。
  23. 桑名義治

    桑名義治君 そうすると、現段階におきましてはこういうふうな計画考えているという事柄は、具体的に挙げることはできないわけですか。それとも、いまはそういう専門家等相談をして固めつつあるということなんですか。
  24. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 両方でございまして、具体的に計画に上らせている件名は百件を超えるものがございます。これはいろいろ地元方々と御相談をした上で進めなければいけませんので、まあ水面下でいろいろ仕事をしているというところでございます。
  25. 桑名義治

    桑名義治君 特に関連事業拡大させる上におきまして、常に問題になってきたのはいわゆる地元営業者、同業者、これとの競合関係が常にうまくいかない大きな原因になるわけでございます。そういう地元と競合するような業種について、トラブルの起こったような事実がありますか。
  26. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 設立の過程におきましてはトラブルが起こった例もございます。ただ、いろいろ所定の法手続等の事前にそういうトラブルを解消してから手続をとるということにいたしておりますので、でき上がりました会社はおおむね円満に設立できております。また今後計画する会社も、同じような手法で所定の法手続をするときには円満に運ぶようにしたいと思うております。  先ほど資本構成のところで申し上げましたように、地元の商工会議所ないしは地元の自治体が資本参加をしてくださっておりますが、これをすべて地元との円満な解決によってできたものと思うております。今後とも何と申しましても地元に愛されなければ商売になりませんので、同じような考え方で進めたいと思っております。
  27. 桑名義治

    桑名義治君 五十四年度はこの関連事業収入が五百十一億というお話でございましたが、この五百十一億の収入の中には土地の売却費も含んでいるわけですか。それともこれ完全な一つの利潤として、営業上の利潤として上がっている数字でございますか。
  28. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 五百十一億は、国鉄関連事業収入として計上されたものでございまして、内訳は土地代——土地の貸付料金、これは駅ビル等の場合には売り上げ比例制でいただいておりますので、商売が繁盛すれば料金が上がるという仕組みになっております。そういうものでございますとか、あるいは広告収入でございますとか、構内営業料金というようなものの合計が五百十一億ということでございます。土地の売却収入はこの中には入っておりません。
  29. 桑名義治

    桑名義治君 次に国鉄所有の未利用地等のいわゆる資産売却についてお伺いをしたいと思いますが、過去の計画案と売却実績というものの比較はどういうふうになっておりますか。
  30. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 資産売却につきましては、国鉄財政の窮乏下のときでございますので、積極的に予算に計上して実績を上げるようにいままで努力してきております。  過去五年間申し上げますと、昭和五十年度は三百億の予算、対しまして実績は百六億。五十一年度は百億の売却予算、対しまして実績は百三億。五十二年度が二百五十億の予算に対しまして百三十四億。五十三年度は二百五十億に対しまして百四十二億。五十四年度は二百五十億の予算に対しまして百八十二億ということで、五十一年度を除きましてはいずれも達成率は少のうございます。ただ、持っております土地を先方に差し上げて国鉄の必要な土地を取得するという交換の実績をこれに加えてまいりますと、おおむね五年間を平均いたしまして六十億ほど交換渡しの土地がございます。したがいまして、これと交換をして取得した用地は金を出さずに用地が取得できるわけでございますので、こういうものも入れますとおおむね八、九割はでき上がっている、かように考えております。
  31. 桑名義治

    桑名義治君 年度計画実績に相当な開きが、格差があるわけでございますが、このいわゆる格差というものはどこから生まれているんですか。
  32. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 従来の土地を売却するという場合に、予算に計上いたします土地地方公共団体、主として地方公共団体でございますが、に不用地のリストを提示いたしまして、市町村側で予算を計上していただいて売却をするということにいたしております。したがいまして、買い手側の予算事情その他もございます。また提示いたしました不用地が現実には旧線路敷でございますとか、事業に適しないような用地もたくさんございまして、実績が上がらなかったということでございます。  ただ、ここ数年は資産売却によって収入を上げたいということで、現に使わなくなった土地ということでなくて、現に使っている土地についても売れるものはないかということで積極的に用地売却の努力をいたしておりますので、今後は予算に計上された額にできるだけ近づけるように努力いたしたいと思っております。
  33. 桑名義治

    桑名義治君 売却予定には無人の駅化したために不必要になったいわゆる駅員の宿舎、あるいは事務所、こういうものがあるわけでございますけれども、これらの資産を売却するためにはいわゆる集約統合の投資が必要となるわけでございます。そのことを十分に考えた上で資産の売却計画を策定したのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  34. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 用地の売却につきましては、手法としては御指摘のとおりの事情がございます。ただ、宿舎敷その他を売却いたしますためには新しい宿舎を建てなければあかないわけでございます。こういう全国的な宿舎計画を見直しまして、積極的に売り出すという努力はいたしておりますが、買い手側の、特に地方公共団体の財政事情、予算の仕組み等もございまして、必ずしも所期の額を計上できてはおりません。今後はできるだけ市場性を考え計画を進めたいと思っております。特に、宿舎計画につきましては大変に古い木造宿舎が点在をいたしております。これらはできるだけ集約をいたしまして、その宿舎敷を地方公共団体なりあるいはオープンで民間に売却するなりの計画を立てたいと思っております。現在、全国的にそういうものを集計いたしておる途中でございまして、本年末には集計ができ上がると考えております。
  35. 桑名義治

    桑名義治君 その他国鉄の保有している土地というものはいろいろな形で遊休地があるわけでございます。たとえば北九州の場合を考えてみますと戸畑、若松区、この両区は御存じのように、石炭のいわゆる集積場所、これが非常に広大な土地を持っているわけでございます。主としてはこの土地高度利用しようということで国鉄の間にいろいろな話し合いが続いているというふうに聞いているわけでございます。ところがなかなかその話が進展をしないという難点があるわけであります。国鉄としてはそういうふうに、もう石炭の積み出しがなくなったあるいは貯炭場としての性格がもうなくなった、そういういろいろなその土地そのもののいままで使用した用途の価値がなくなった土地について、そういう市町村から、計画があるから払い下げてくれという要請のあったときには、即座に対応できるような体制も早急につくる必要があるんではないかというふうに思うんです。非常に国鉄に交渉すると時間がかかる、そうするとせっかくの市町村計画している都市計画というものに大きな挫折を来す場合が多々あるわけです。この点についてはもう少し敏速にしていかなきゃいけないと思うんですが、これはどういう理由で非常におくれるわけですか。
  36. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 市町村側は市町村側でやはり予算の時期等もございます。国鉄側も御存じの体質でございますので、必ずしも事務が迅速だとは思いません。両方かみ合わせまして積極的に処分をいたしたいと思っております。
  37. 桑名義治

    桑名義治君 御存じの体制とえらい正直におっしゃったわけでございますが、非常にかえってこちらの方が拍子抜けしました。いずれにしましても、即座に対応できるような体制がなければ今後の関連事業については追いついていけないのではないか、こういうふうに思います。というのは、もう世の中は一般的な商社については対応が猛烈に早いわけです。そのテンポに乗りおくれた場合には、むしろしょっぱな計画したものがほごになってしまうという事柄もあり得るわけですから、そういう対応をもう少し早くしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで国鉄用地を利用した住宅建設についてはいわゆる自治体、それから住宅公団等々、具体的に話し合いはなされているのかどうか、あるいは過去の実績についても報告をしていただきたいと思います。いずれにしましても国鉄には古い宿舎が非常に多くて、集約化あるいは高層化、そのことが相当ないわゆる住宅用地が出るというふうに言われているわけでございますが、この点についての計画はどのようになっておりますか。
  38. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 住宅公団、地方自治体等との国鉄用地についての御相談は常に行っております。現在御指摘のございました宿舎につきまして例を挙げますと、国鉄に現在約十万戸の宿舎がございます。そのうち鉄筋等でかたい建物になっておりますのは六万戸弱でございます。したがって、残りの四万戸は非常に老朽化いたしておりますし、土地の使い方としても不十分なものがございます。こういうものにつきましては、老朽度とかあるいは将来の人員の配置計画等とからみ合わせて抜本的に見直したいということを現在考えております。  それからまた住宅公団、市自治体との関係でございますが、五十二年末の国会におきまして、国鉄関連事業といたしまして住宅関係の会社出資することをお認めいただきましたので、現在住宅公団あるいは不動産関係の協会等といろいろ住宅関係に事業を興こす御相談をいたしております。そういう場面で大規模な処分をいたしましたものといたしましては、北海道の苗穂地区で道の住宅公社に対しまして四万平米以上の土地を提供いたしまして、そのかわりに国鉄の宿舎の取りかえに充てるというような計画にいたしておりますし、また、茨城県の南部の石岡地区におきましては十五万平米の土地を提供いたしまして住宅用地として開発方法を市町村と御相談をいたしております。また、不動産関係の民間団体あるいは住宅公団等とも積極的に御相談をいたしておりまして、現在は都内で駅の至近のところで民間と一緒に分譲住宅を建てることを現実に御相談をいたしておるところでございます。
  39. 桑名義治

    桑名義治君 次の問題として、資産の活用懇談会でいわゆる線路の上部あるいは駅の上部等有効利用するいわゆる地上権方式も検討する必要がある、こういうふうに言われているわけでございますけれども、国鉄用地の地上権を活用する考えというものはどういうふうに対応なさっておられますか。
  40. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 大都市周辺で広大な土地を平面的に使っている貨物駅等がございまして非常にお目にとまりますので、もう少し有効に使えないかということでいろいろ先生方にお願いをいたしまして、知恵をしぼりまして、線路の上空利用というふうなことを検討いたしまして、貴重な都市空間でございますので、できるだけ立体的に使うということでいろいろお知恵を拝借いたして研究を重ねております。現在実行に移しておりますのは線路の上空に駅を移したりあるいは駅ビルを建てたりというようなことでできるだけ立体的に使うことを考えておりますが、お話の地上権というやり方につきましては点で使うことは現在いたしておりますが、線路上空を線状に使うことにつきましては、都市防災上非常に開かれた大事な空間であるからそこまではいかない方がいいのではないかという専門家の話もございます。いずれにいたしましても地価の高い貴重な土地でございますので、できるだけ高度に使うように勉強いたしております。その意味では地上権を設定いたしまして、業務機関の上に別な利用価値の高いものを考えるということも現在研究をいたしております。ただ、線路上空を帯状にずっと使うことにつきましては都市防災上問題もあるのではないかという専門家の御意見もちょうだいいたしておりますので、そういうことも踏まえましていろいろ勉強を重ねております。
  41. 桑名義治

    桑名義治君 では、具体的にお尋ねをするわけでございますけれども、東京の汐留駅、それから大阪の梅田の、いわゆる市街地内にある貨物駅について有効利用が言われているわけでございますが、具体案としてこれは挙がっているわけでございますか。
  42. 山口茂夫

    説明員山口茂夫君) 国鉄土地の使い方が非常に不十分であるという典型として汐留、梅田が常に話題になります。汐留が三十四万平米、梅田が三十一万平米、ごらんのとおり非常に低層利用でもったいない土地の使い方をしているということでございます。ただ、現在汐留、梅田というのは物流基地としては国鉄の東西の横綱として機能をいたしております。東京に着くミカン十個のうち六個半ぐらいは汐留に着いておりまして、大阪の梅田につきましても、市内の扱い量の四割は梅田に着いている、現に機能しているわけでございます。ただ、いかにも地価の高いところでもったいない使い方でございますので、これを立体的に使うのにはどうしたらいいか、あるいはあそこでなければならないのかというような都市計画関連のことも含めまして、部外の専門家もお入りいただいて現在案をつくっているところでございます。特に大阪の梅田地区につきましては、あの上に街路計画等も取り入れましてかなり具体的な御提案をいただいておりますので、いましばらくお時間をいただきますればもう少し有効に使える手法が見つかるのではないかと思っております。  ただ、現在汐留も梅田も用途地域が準工業地帯ということで指定されておりますために、建蔽率、容積率ともに周辺土地とは格段の制限を受けております。したがいまして、あれを有効に利用いたしますためには、そういう都市計画とも関連いたしましてもう少し有効に使用できるような用途地域の変更なり、あるいは都市計画に組み入れてどういう使い方をするかということを考えなければならないと思っております。現実には、現在建設省それから地方自治体も入りまして下案を協議している段階でございます。
  43. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、この関連事業を今後どういうふうに発展をさしていくかということは非常に重要な問題でもありますし、また国民も非常に注目をしている問題の一つでもあるわけでございます。そういった意味で、この関連事業の推進については特段の努力で進めていくことが必要であろうというふうに考えます。この件について、最後に総裁の御意見を伺っておきたいと思います。
  44. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 関連事業を積極的にやらしていただきたいということで法律を改正をしていただいたわけでございますが、その後具体的な個々の案件につきましていろいろ勉強をしてまいりました。一部実施に移ったものもありますけれども、どちらかと言うとまだ研究、勉強の方に全体として重点が置かれている現状でございます。かなり勉強の成果が上がってきたと思います。うちの職員がどういうふうにして開発を進めていったらいいかと、また地元方々とどういうふうにしてお話し合いを進めていったらいいかという、いわばノウハウをだんだん承知をしてきたという段階であろうかと思います。  同時に、汐留については東京都、梅田については大阪市に、一緒になってひとつ勉強をしていただきたいということでお願いをしているわけでございまして、東京都におきましても、大阪市におきましても、都市側といいますか、公共団体の方も御一緒に勉強をしていただいているわけですけれども、その場合にどうしても、いま担当常務が申し上げましたように、都市計画、市街地の開発計画といったものに関連をしてまいりまして、どの土地もその地域の将来にわたる構想との関連でせっかく開発するなら理想的なものにしたいということが都市側からも言われますし、われわれとしてもそういう土地を利用していただくについては、私どもの方の財政再建の角度から言えばなるべく早くという気持ちもありますけれども、しかしやはり長年の歴史もあり、また公共的役割りもありますものですから、そう拙速というわけにもまいらぬということで取り組んでいるわけでございます。  梅田とかあるいは汐留の利用方についていろいろな方々から御意見を寄せられまして以来、かなり長い時間がたっておるわけでございますが、結果はまだ姿としてはあらわれておりませんけれども、その取り組みについてはここ二、三年相当積極的になってきたということが言えると思います。いまお示しの中では、梅田の南側の地区についての研究が特にいま進んでおるわけでございまして、大阪市もきわめて熱心に取り組んでいただいております。国鉄経営の現状からしますれば、せっかく法律まで改正してその積極的取り組み方を国会としても期待をしておるのにテンポが遅いではないかというおしかりがあるいはあるかと思います。われわれも決していまの状態はいいとは思っていないわけでありまして、もう少し速いテンポで物事を進めていくことができればと思いますけれども、まだこういうふうにどんどん進んでおりますというところまでは申し上げられるに足る実績を残しておりません。今後ともぜひこれは積極的な取り組みを促進してまいりたいという心境でおります。
  45. 桑名義治

    桑名義治君 次にお尋ねしたいことは、今回の法案でもわかりますように、国鉄再建のこれがもう最終的な救済措置であろうというふうに言われているわけでございますけれども、いずれにしましても収支のバランスを余りにも考え過ぎまして、国鉄そのものの安全性というものが放置をされたならば、これは国民にとりましては重大な問題になるわけでございます。そういった意味におきまして、私は施設の老朽化と安全性について少し伺っておきたいと思います。  国鉄の土木構造物は老朽化が非常に進み、運転保安上危険または早晩危険な状態にあると、こういうふうに言われているわけであります。そこでまず、橋梁の上部、橋梁の下部あるいはトンネルの経年数について、まず御説明をいただきたいと思います。
  46. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ただいま先生御指摘のように、国鉄が現在所有しております土木構造物、これは非常に経年の多いものがたくさんございます。これは一般的に同じような交通機関であります私鉄であるとか、あるいは道路関係と比べても非常に歴史的に古いものでございますから、経年が進んでいるということが言えるわけでございます。百年の歴史の間で現在の主要の幹線の骨格が形成されたというのが、明治年代から大正に入っての時期にほぼいまの骨格が形成されているわけでございまして、したがいまして、その当時建設されたもので現在使っておりますトンネル等の構造物もございますし、また、その後線路増設あるいは改良等を加えまして、新たに取りかえられたものもあるわけでございますが、そういったもので、現在私どもが所有しております土木構造物の経年というものが、非常に長いものから最近のものまであるわけでございます。  それで、いまお尋ねの経年の状況でございますが、一つの指標として、現在ありますトンネル、橋梁につきまして、経過年数を平均いたしてみますと、トンネルにつきましては平均三十三年、それから橋梁の上部工につきましては三十八年、それから橋梁の下部工につきましては四十四年という数字になっております。
  47. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、大体四十年から五十年、五十年から六十年、六十年以上というふうに立て分けますと、大体どういうふうになりますか。
  48. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) いまの四十年未満、比較的新しいものというもので申し上げますと、トンネルで五九%、それから四十年から六十年という経年のものが二九%、それから六十年以上というものが一二%というふうになっております。それから橋梁の上部工で申し上げますと、四十年未満が四九%、それから四十年から六十年という経年のものが三九%、それから六十年以上というものが、やはりトンネルと同じようにこれは約一二%でございます。それから橋梁下部工でございますが、これが四十年未満が四〇%、四十年から六十年のものが三五%、六十年以上が二五%、このような実績でございます。
  49. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、非常にこういった土木構造物の老朽化が進んでいるわけでございます。そこで、トンネルの、いわゆる橋梁などの土木構造物の老朽化が著しく、取りかえの改修が必要と思われるものは、国鉄の資料によりますと、橋梁が千六百八十一カ所、トンネルが二百六十八カ所、合計千九百四十九カ所ある。こういうふうに言われているわけでございますが、この点はどうですか。
  50. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ただいま先生お示しの数字は、実は私どもの方で、経年の多い構造物が非常にふえてきたと、また、中にはいろいろ変状も見られるというような状況になりまして、全国的な調査を五十二年度から五十三年度にかけて実施したわけでございます。それからそのときに、部外の学識経験者、先生方などの御意見も承りまして、今後の取りかえというものについての御意見もいただいたということがございましたけれども、そのときに私どもが取りまとめの資料の中で一応出した数字が、橋梁千六百八十一、トンネル二百六十八という数字でございます。これは老朽化が進んでいる中で、やはり早く取りかえた方がいいという状況にあるものを集計した数字でございます。
  51. 桑名義治

    桑名義治君 いま指摘をしましたいわゆる構造物の健全度が劣悪化したもので、Aランクと言われる、AAという数字でおたくの方では示されていると思いますが、これは運転保安上危険で、直ちに改修等の措置が必要なものと、こういうふうに言われているわけでございます。それからA1というのが、いわゆる運転を早晩脅かす、早急に改修等の措置が必要なものと、こういうふうにランクづけされているようでございますが、こういったいわゆるAA、A1についての数字でございますが、このような状態で運転を続けることに不安はないのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  52. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ただいまお話に出ましたAA、A1あるいはA2、B、Cといったようなランクづけをいたしておりますが、これも、先ほど申し上げました全国調査の結果、その判定区分としてこういう手法を用いたということでございます。その中で一番緊急性を要するものとしてAA基準というものがございます。それからA1というのはそれに次ぐものでありますが、なるべく早くかえた方がよろしいというものであります。いずれにしても、構造物としてはやや健全性に欠けるというところがあるわけでありますから、早く手を打った方がいいし、また、手を打たないと、何といいますか、雨が降るとかあるいはちょっとした地震でも変状等が進むというおそれがあるわけでございまして、そういうものを積極的に全国的に診断をした結果を見まして順位をつけてやっていこうという、そのランク分けでございます。  そのうちで、AAというのが一番緊急性を要するという判断をしているわけでございますが、このAAにつきましては、すぐ改良工事、取りかえ工事を実施するというのが理想でございますけれども、なかなか予算事情もありますし、また現地の諸情勢もありまして、直ちにできない場合もございます。しかし、そういう場合にはそれなりに応急の修理を行うとか、補強工事を行うとか、あるいは徐行をとるとか監視を続けるとかというような、安全に対してはいろんな処置をとります。したがいまして、現在全国で列車を運転さしておりますけれども、施設面から見て非常に危険な状態で、非常に心配しながら走らしているという状況では決してございませんで、やはりそういった意味で何らかの対策を打っているということでございます。したがいまして、AA基準にあるものも、そういう対策を打てば一時的にはA1状態にあって運転しているというふうに御判断いただいて結構かと思います。
  53. 桑名義治

    桑名義治君 おたくのいろいろな資料によりますと、AAという基準は、あなたのおっしゃっているような安全度というふうに考えられていないように私は思う。何となれば、AAというのはランクづけすると、いわゆる重大というふうにあなた方の方ではお考えになっていらっしゃる。直ちに処置しなければならないというふうに判定なさっている。A1は早急にしなければ危険が及ぶであろうというふうに、したがって、これも早急にやる必要があるという、こういう御判断のようなんです。これは予算があるとかないとかいうことを度外視して、AAについてはもう早急にやらなきゃならないのじゃないかというふうに私はおたくの資料の中から考えるわけでございますが、あなたの考え方、御説明は、少し甘い説明ではなかろうかと、こういうように思うんですが、どうですか。
  54. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ちょっと私の御説明の仕方がまずかったかと思いますが、御指摘のように、AAというのはきわめて緊急を要するというランクのものでありますから、極力これは手をかけまして、取りかえ、改良等をやっているわけでありますが、しかし、これを実施いたしますのにも、やはり工事期間として二年とか三年かかるわけでございます。その間も運転をとめるというわけにいきませんので、これに対しましては何らかの措置をいたしまして、列車は走らせながら取りかえ、改良等を行うということでございます。したがいまして、極力AAというものについては予算措置をとりまして、取りかえ、改良工事等をやるわけでございますけれども、それまでの間でもそういった処置をとりますので、安全に対しては十分気を配っているということを申し上げたわけでございます。
  55. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、じゃ国鉄では、これらの危険防止のためにいわゆる徐行運転個所、それから重点警備個所、こういう個所を決めておられるわけでございますけれども、これらの個所は何カ所あるわけですか。
  56. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) いま御指摘の徐行個所あるいは重点警備個所というのは、時点によって大分数字は動いております。たとえば台風シーズン等で台風が来た場合に、一時的な徐行個所がふえるというような状況もあるわけでございますが、これをことしの七月現在で全国的な個所数を拾ってみますと、徐行運転個所、徐行いたしているところが全国的に約百九十カ所でございます。それから、重点的に警備、チェックをするといういわゆる重点警備個所と称されるものでありますが、これが約四千八百カ所でございます。これ、数学的にいま申し上げたわけでございますが、実はこれ、五十三年度の状況を申し上げますと、ただいま申し上げたのはことしの七月の状況でございますけれども、五十三年度中でとってみますと、徐行個所が約二百五十カ所、重点警備個所が約六千カ所ぐらいあったという実績もございまして、これにつきましては年度で変動が多少ございますが、最近いろいろ取りかえ工事等も進めてきておりますので、この徐行、警備個所につきましてはやや減りぎみかというふうに感じております。
  57. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、この徐行個所あるいは重点警備個所を解消するためにはどの程度の改修予算あるいは防災投資を必要とするのか、その積算を教えてください。
  58. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) 実は、これらの個所の対策というのは非常に状況がそれぞれ違っておりまして、いまそれらに対するいろんな対策を検討しておりますけれども、一例で過去の実績で申し上げますと、橋梁関係、非常に乱暴な言い方でございますけれども、橋梁関係のこういった取りかえ、改良に要します工事費を一件当たりに平均いたしてみますと、三億円ぐらいというのがいままでの実績でございます。これは非常にかかるものもありますし、非常に小さい橋梁であればもっと安いものもございます。しかし、平均いたしてみますと三億円というような数字が出てまいります。  それから、トンネルで申し上げますと、やはり同じような平均でございますけれども、六億円というような、トンネルの方がやや工事費はかかる傾向にございます。  それから、もっと軽微な、たとえば盛り土、切り取りにおける排水設備をやり直すとか、あるいは山地、線路に接近してございます傾斜地等ののり面の対策をやるとかというようないわゆる土工工事に関連いたしますものを一件当たり平均してみますと、五千万円というような実績が出ております。  で、ただいま御指摘のございましたこれらを全部解消するのにどのぐらいかということになりますと、実はこれは河川改修の問題とかあるいはのり面の国鉄用地外に及ぶのり面防災とかあるいは道路と鉄道と並行いたしておりまして、道路側にお願いしなきゃいけない面、あるいは地方自治体にお願いしなきゃいけないものなどたくさんございまして、これらを全部含めての対策費というものは、ただいまのところちょっと集計できておりませんので、これにつきましてはお答えできませんので、御了承いただきたいと思います。
  59. 桑名義治

    桑名義治君 積算をしていないものを聞いてもこれはしようがないわけでございますが、しかし、現在Aランクになるいわゆる老朽土木構造物、これが三万八千二百七十四カ所あるというふうに私は聞いているわけでございますが、これらの改修、それから取りかえの投資額ですね、それから防災投資額は総額で大体どの程度考えられるか。また、一応六十年度までを目途とした場合にはどういうふうな金額が上がってくるのか、伺っておきたいと思います。
  60. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) いまお話のございました約三万八千カ所という数字は、先ほど私御説明申し上げました五十二年から五十三年に実施いたしました調査報告の中で取りまとめられた数字でございます。それで、これはいろんなものが内容に含まれておりまして、必ずしもそのいま先生のおっしゃったAランクのものの取りかえということの数ということではなくて、実は現在ありますいろんな橋梁、トンネル等に保守、点検をいたす、あるいは巡回をするという際に管理上必要な足場をつくるとか退避所をつくるとか付帯する設備をつくるというようなものが相当数含まれておりまして、それを除きますと、いまの三万八千カ所が約二万カ所になります。それで、この二万カ所は大体いろいろ老朽化の進んだもので取りかえなければいけないもの、あるいは防災強度が非常に低いために手を入れなければいけないものとして全国的に集計した個所数が約二万カ所ということになるわけでございます。  その中で重要な構造物でありますトンネル、橋梁だけを抜き出してみますと約二千八百カ所ということになります。で、後は何かということになりますと、先ほどちょっと触れましたいわゆる土工設備といいますか、盛り土とか切り取りあるいは線路のわきにありますのり面の対策、そういったようなものが相当数全国的にございまして、いまの重要構造物としてのトンネル、橋梁というととで取り上げてみますと二千八百カ所ということになります。大体これが先ほどお話のございましたA1以上に相当するという考え方で集計したものでございまして、なおこのほかに現在徐行をしているとか重点警備をつけているというところにつきましても、極力そういうものをなくしていくというために手を打つという個所も入れているわけでございます。これにつきまして、非常に概略の対策費等を積み上げましたその集計は約八千億ということでございます。  それで、いまお尋ねの、今後、いま再建途中にあります六十年まででこういったものがどこまでできるのかということでございますが、これにつきましては、これから経営改善計画を各年度つくっていくわけでございますので、こういったものを下敷きにいたしまして各年度この取りかえを重点ということで立てていきたいということで、現在の時点ではまだはっきりこれは決まったという状況にはないわけでございます。
  61. 桑名義治

    桑名義治君 いまの御説明にございますように、特に運行上必要ないわゆる危険個所Aランク、これだけに限定をしてみましても、六十年度までに約八千億円という巨額な金を必要とするわけでございます。で、そういうふうないろいろな環境を考えてみますと、国鉄の今後の再建というものは、ただ単に収支のバランスという問題だけではなくて、こういう重大な問題も含んでいるということを考えていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、さらに話を進めていきたいと思うんですが、いわゆる土木構造的に耐震基準が設けられたのは関東大震災以降と言われているわけであります。で、関東大震災以前に建造されたものはこれは耐震構造になっていないというふうに考えられるわけでございますが、それはどの程度ございますか。これは橋梁、トンネル、土工、またはその改修費はどの程度必要と考えられておられるのか、まずお聞きしておきたいと思います。
  62. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) いまお話のございましたように、国鉄ただいままでに約百年の歴史があるわけでありますが、明治あるいは大正年間に建設されたものが大分ございます。それで、この設計の方法でありますけれども、ただいま私どもが実際の設計に用いております、耐震設計と言っておりますけれども、ある程度の地震を想定いたしまして、それを構造物に加重として掛けましてそれに耐え得る設計をやる、あるいは安定性を計算するというものを取り入れているわけでございますけれども、こういった耐震設計というものが計算上一番はっきりあらわれるのはいまお話のありました橋梁、トンネル、土工という主たる構造物がございますが、恐らく橋梁が一番それに響くと思います。  それから土工となりますと、最近いろいろ耐震設計法を入れておりますけれども、昭和初年におきましても土工の盛り土とか切り取りというものについての耐震設計という思想は余りはっきりいたしておりませんので、これにつきましても最近になりまして、特に東海沖地震等に対します対策等をやるにつきまして、この数年部外者も入れまして研究を重ねてまいってきておりますので、その段階でまた新たな土工に対する耐震というものも検討いたしてその成果を取り入れつつございますけれども、したがいまして、そういうような状況でありますので、関東大震災以後、昭和初年に取り入れられました耐震設計というもののなされる前につくられた構造物ということで拾ってみますと、橋梁につきましては、橋梁下部工でございますけれども、約五万九千基であります。それからトンネルが三百七十キロメートル、これは延長にいたしまして三百七十キロメートル。これは現在あります全体の構造物の数から申し上げますと、橋梁下部につきましては約四五%、トンネルにつきましては約二〇%がこれに相当するということであります。  ただ、これはいまの設計の計算方法、思想がこの当時にはなかったということでこういう計算されてないわけでありますけれども、しかしその当時につくられた構造物の中にも関東大震災の際にも耐え得たというような構造物もございまして、したがいましてこの時点では活荷重等もそれ以前と以後とで変えてきているというようなこともございます。必ずしもその時点ではいまの手法というものは入っていないわけでありますけれども、いまの段階でいまあります構造物を再び新しい手法で計算し直してみますと、中には合格するものもあるということでございますけれども、しかし大部分がやはり古い設計、しかも経年がたっているということでありますから、私どもとしましてはこういった古いものにつきましては先ほどのいろいろな基準等によって順位をつけていかなきゃいけませんけれども、この取りかえを極力進めていきたいというふうに考えているわけでございまして、したがいまして耐震設計云々ということじゃなくて、私どもとしましては先ほどの五十三年調査で積み上げてまいりました老朽取りかえという中でこれも実施していきたい、それによって耐震性の向上も図っていきたいという考えでいるわけでございます。
  63. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、いわゆる改修費というものは八千億の中に含まれているということですか。
  64. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) さようでございます。
  65. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、東海地震対策として関係省庁が防災投資を行うこととなっているわけでございますけれども、国鉄が行おうとする東海地震対策のいわゆる防災投資額はどの程度になるわけですか。また、その投資額は国鉄が自前で財源確保ができるかどうか、ここら辺がやっぱりまた問題になるわけでございますが、これはどういうふうにお考えになっておられますか。
  66. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) 東海沖地震に対するいろんな検討をいたしまして、現在いろんな対策をとっているわけでございますが、基本的に国鉄構造物先ほどお話が出ましたように耐震設計を実施いたしておりますので、概略申し上げまして震度六、ガルで言いまして四百ガルぐらいのものにはもつという基本的な設計がなされているわけでございます。しかし、それ以上の震度になりますといろいろ構造物に被害が出てくるということが想定されます。したがいまして、いま私どもがとっております対策は、まずは軟弱地盤、この東海道沿線にも軟弱地盤の個所が相当ございますので、そういうところにあります盛り土の構造物、これをまず最初に手がけております。  それから土どめの構造物の補強、あるいは橋梁が地震によってずり落ちないような落橋対策と称しておりますが、そういったような対策、あるいは橋台がございまして、橋台そのものはわりあいしっかりできるんですが、その裏がすぐ盛り土構造物がつながるということになりますと、やはり地震に対して盛り土、切り取りというのは、構造のもとが土でございますから、コンクリート、スチール等を使った橋梁等に比べますとやはり弱点があるわけでございまして、そういった橋台裏の沈下対策というようなものを取り上げていま検討をし、一部実施に移しているところでございます。  この対策の概算でございますけれども、私どもとしては約一千億というふうに推定いたしております。これの進め方でございますけれども、現在最も重要と思われるといいますか、対策が急がれると思いますものから手をつけ出しておりますけれども、今後とも予算事情を考慮しながら、重要度、緊急性の高いものから逐次進めていきたいというふうに考えているわけであります。  この地震対策というのは非常に金がかかりますし、また一つの国の政策に対応したということも言えるわけでございまして、国鉄自身でとりますと、なかなか採算という面から見ると必ずしもこれがいきなり採算に生きるということもございませんで、できれば今後こういったものの資金、工事費のあり方につきまして関係個所とも御相談申し上げたいというふうに考えている次第でございます。
  67. 桑名義治

    桑名義治君 大臣、いまずっと論議を進めてきたわけでございますが、国鉄施設の老朽化ということが非常に進んでいるわけです。巨大なお金が、投資がいまからかかるわけでございますが、緊急を要する問題といたしまして、現在は関東大震災というような、東海地震がまた再び起こるんではないかということが一般的な常識みたいに現在なってきているわけでございます。そういった老朽化の進んでいる個所を耐震性まで引き上げていくためには相当な資金がかかるわけです。いまの御答弁ではどんなに少なく見積もっても一千億、この金をどうするかということは、国鉄としてはいま、今後どうするかということで検討の段階だ、どうせ閣議等で諮っていただかなきゃならない問題だ、こういう御答弁が返ってきたわけでございますが、大臣、この問題についてはどういうふうにお考えになられますか。
  68. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 東海地震対策のための防災投資をどうするかというときに、私どももできればいろいろな財政援助をお願いをいたしたいということで、その当時、そう昔の話じゃありません、つい最近でございますが、いろいろ政府側と御相談をいたしました。今回の法律の考え方は、新しくいろいろな、たとえば緊急避難のための広場をつくるとかあるいは学校等をそういう緊急対策のために利用するとかいうことで、いままでないものを新しくつくるのについては、いろいろ財政的な裏づけをすることがどうしても必要であろうけれども、現在ある施設を持っておる者は、その施設の維持管理をしていくのは当然その施設管理者といいますか、所有者といいますか、そういう者がやるべきではないんだろうか、その辺に線を引いて特別な援助をするかどうかということを決めざるを得ないというお話でございました。  私どもとしましては、それはわかるが緊急性の問題があるのでかなりつらいなということでいろいろ折衝したわけでございますけれども、たまたま東海道につきましては、ここ四、五年の間相当程度防震あるいは騒音対策ということにも対策をとってまいりました。なお、その種のものはこれで終わったというわけではありませんで、今後も所要額は必要なんでありますけれども、しかし大体見当がついてきた。そういう東海道地区全体の、余り採算にはつながらない所要額をずっと考えてみますと、うちでは全くできませんというほどの窮迫度ではないわけでございまして、いまのところはそういう騒音、振動対策というようなものと地震対策も一緒に総合的に考えて、最小限のものは何とかできそうだということで、いまのところはうちの自前でやっていくということでいま考えております。ただ、事が非常に安全の問題につながってくるものですから、しばらくやってみて、それで対応が遅いといいますか、対応し切れないということになった場合には、改めて政府にお願いをしなければならぬかなというのがいまの考え方でございます。  それで、本来もろもろの災害対策、それから災害予防のための対策について、どこまで手前でやっていくかと、どの程度のものから臨時的といいますか、応急的に財政的に援助をお願いするかと、なかなかむずかしい問題でございまして、いまから数年前に上越線で山の上から石が落ちまして、かなり大きな事故を起こしました。そのときに、落石対策を国会の御意向を待って、政府部内でいろいろ御検討をいただいたときに、そうした私の方だけじゃなくて、鉄道から道路から、あるいはまた河川から、全体に影響がある、山の上からずりますので、全部に影響があるような仕事については、災害予防のための具体策を総合的に進めようということで、補助制度を認めていただいております。それは現在も続いておりまして、全国やっております。それがいま援助をいただいている事例でございます。  地震の場合にもそれに準じた措置ができないものかというのが一つの問題にはなっておりますが、問題点としては意識しておりますけれども、現状においては何とか自前でやっていくかということでやっているところでございまして、しかし今後の推移を見ながら、同じことを繰り返しますが、お願いをしなきゃならぬことになるかもしれないというのが現在の私の考え方でございます。
  69. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど国鉄総裁から詳しく説明いたしましたように、国鉄といたしましては、現在では自分の枠内において処理いたしたいと、こういう考えを持っております。また、現に防災関係に対します投資も逐年上昇してまいりました。しかしながら、これで十分国鉄だけでやっていけるかといえば、それは多少問題はあろうと思うのであります。しかしながら、この災害問題に対しましては、公共事業全般に対する取り組みをどうするかということもございます。特に財政問題になってまいりますと、これは道路も港湾もあるいは私鉄、バス、こういうようなものも全部関連してまいりますし、そこでそれぞれの努力ができ得るように資金の重点配分とかいうことはいたしておるところでございます。また一方におきまして、国鉄もいままで新線の建設等に重点を置いて投資をしてまいりましたが、御承知のように五十七、八年を一つの転機にいたしまして、投資の対象というものも新線建設よりも、そういう災害防止、環境保全というところに重点が当然向けていかれることになるわけでございまして、そういうこと等をももちまして東海地震あるいはそれだけではございませんが、災害対策に積極的に取り組んでいくように指導してまいりたいと思うております。
  70. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、国鉄の方では自前でやろうと、足りない場合には政府にまた御相談を持ちかけるという御説明でございましたが、冒頭に申し上げましたように、この耐震対策というものは、これはもう一般化している、いわゆる常識的なものになってきているわけでございますので、ただ、どんどん進めていきながら足りないと。で、お願いすると。即座に政府が対応できるかというと、なかなか時間がかかる問題でございます。むしろ予算的に見てこれだけは自前でできるけれども、これだけは政府にぜひお願いをしなければならないと、こういう計画を立てて、そして年次的にそれがいわゆる一つ一つ問題点を解消していくという方向の方が私は国民の立場に立った施策ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、総裁どうですか。
  71. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 先ほども申しましたように、道路から河川から各種の防災対策が重なっているという部分についてだけはいま一部めんどういただいているわけですが、いろいろな防災対策がございます。地震以外にも地すべりとかあるいは何といいますか、谷、川に沿ったレールについてはしょっちゅういろいろ土砂崩れ等の問題がありまして、それらについても従来の考え方は自前でやるということできたわけでございますので、そういうたてまえ論を少し整理しないといけないところへ来ておるわけでございまして、おっしゃるとおり非常に問題点であるということは意識をいたしておりますが、まだいままでのずうっと続いてまいりましたルールをその部分について変えるというだけの実は十分な説得力を持った主張、議論の整理が私どもの方でまだできてないわけでございまして、それはしょっちゅう何か方法はないかと考えているところなんでございます。  そういう意味で、いまのように大変われわれを応援してくださるといいますか、理解をしてくださる方もだんだんふえてきておるんでございますけれども、残念ながら、まだわれわれ自身の論理の立て方、筋道の立て方もまだ十分でありませんで、政府を説得するだけのものを持ち合わせてないということでございます。今後もう少し研究を深めてまいりたい。そうでないと、安全という点から言って心配があるようではいけませんので考えておりますけれども、まだ結論にはなっていないという現状でございます。
  72. 桑名義治

    桑名義治君 私の持ち時間が参りまして、後、順位が変更してまた私の時間に来るわけでございますので、一応私の前半の質疑はこれで終わりたいと思いますが、いずれにしましても、総裁、そういうあいまいなことでは、先ほどから指摘しておりますように大変に危険個所が多いわけでございます。もし地震が来た場合にはどうなるかということを想定するとぞっとせざるを得ないわけです。これは早急にここからここまでは自前でやる、ここからここまでは政府にお願いをすると明確にして、早急にこの対策に当たっていただきたい。このことをお話し申し上げて、一応質問を終わりたいと思います。
  73. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  74. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 質疑に入る前に、きょう十時、福井の裁判所で北陸トンネルの判決がありました。四十七年十一月六日発生以来、約六年間にわたる長い期間でありました。私も、裁かれた辻機関士とは長い友だちであり、同時にまた、乗務員として命をかけてあの北陸トンネルで最大限の努力をして、先月の十六日の本委員会でも総裁も認めたとおり、二号俸の抜てきと、こういう表彰を受けながら、裁きの庭に引き出されて、約五年間苦労してまいりました。子供さんに言わせると、前段はりっぱなお父さん、後段は人殺しのお父さんということで、学校でもどんなに子供が苦労したかということを振り返ると、私はきょうの無罪判決を心から信じておったわけでありますが、幸いにして辻機関士、それから同僚であった車掌さんも含めて、きょう無罪になったわけであります。  私は、さっきのNHKの解説でありますから、十分には言えませんが、乗務員が尽くすべき手を全部尽くして、にもかかわらず事故が起きたからといって、機関士を法廷の場に引き出すのは社会通念上おかしいんではないか。いわゆる国鉄の示すすべての法規を、死力を尽くしてやった者に何の罪があるんだ。むしろ裁かれるのは国鉄の防災対策に対するシステムのあり方だということを鋭く追及しておるわけでありますが、午前中の同僚の桑名委員の質問に対して、総裁はそれなりに答弁しておりましたが、私はこの北陸トンネルの無罪判決に当たって、防災のシステムについてもう一度総裁から考え方なりあるいは本件に対する問題点について、全乗務員に向かって私は一言この場で考えなり見解を示してもらいたい。それが、この法案が出てから何回か出ている、労使の関係労使の関係で、いろんな例を挙げておりますが、むしろ私はこの例は、最もいい意味の労使のあり方を示す大事な判決だと、こう思いますから、そういうことを含めて総裁の見解をお聞きしたい、このように考えます。
  76. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ずいぶん長い間裁判がかかりまして、関係の職員にいろんな意味で精神的負担であったことと思います。起こったことは仕方ないと申しましても、われわれとしても二人の乗務員についてはあのような緊急事態に対応して当時の状態の中でベストを尽くしたものというふうに考えておるわけでありまして、犠牲になった機関士は、当時、総裁表彰いたしましたし、今回の対象になった運転士は二号俸特進ということを当時いたしたのも私どもの考え方を示したものでございます。  それにつきましても、この長い期間、片っぽで仕事をしながら片っぽで裁判に臨むということは非常に大きな苦労であったと思いますが、私どももできる限りのお手伝いをしたわけですけれども、幸いにして二人の職員の誠意が裁判所において認められたということは、私どもにとりましてもこの上ない喜びでございます。  これを契機といたしまして、火災についての対応ということについては私どもの準備といいますか、勉強不十分であったということで、現実に車両を燃やして何回も試験をするということもいたしまして、御存じのようにマニュアルを変更して、トンネル内火災については脱出を第一義とするということに変更いたしたわけですが、そのほかいろいろの面でこの事故を教訓といたしまして、新しい投資をしたり取りかえをしたりしてまいりました。恐らくそのために導入した資金の量は百億を超えるオーダーのものであったかと思います。二度と再び事故を起こさないようにこの経験を生かすべく、火災についての対応は十分研究を尽くしたつもりでございまして、国民の皆さんに対しましても大変御心配をおかけしたわけですけれども、二度とトンネル内火災事故はまず起こらない、また起こっても十分対応策が研究できたということでございます。  その意味において、きょうはある意味では私も非常にほっといたしましたし、また同時に、火災関係についてはこの事故を契機として勉強ができたということ、将来に向かってそのことは非常に高い信頼度のものまで持ち上げることができたわけでありまして、この機会に犠牲者、お亡くなりになりました方々、あるいはその後長く病院通いをされました犠牲者の方々に再び改めてここでおわび申しますとともに、二度とこういうことが起こりませんことの対策をとることによっておわびのしるしといたしますことを御報告しておきたいと思います。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、保安対策につきましてはその後も鋭意努めておるところでございまして、自来お客様に御迷惑をかける人身事故というものはほとんど絶無でありまして、今後ともこういう事態で御心配なく御利用いただけるように進めてまいりたいと思っております。
  77. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私も亡くなった方あるいはけがをしていまだに国鉄側と示談の成立しない方がいらっしゃることも存じております。それらの方々についてはやはりいま総裁が言うとおり、誠意を持って解決に努力してもらうということを要請します。  ひとつ運輸大臣にお伺いしますが、私は本件問題については、信号の見落としや運転ミスという基本的な条件の誤りはなかったと。国鉄側が総裁のいまの言葉のとおり、含めて、表彰に値するぐらいきちっと守るべき仕事を十分やっておるにかかわらず、何の意味で一体警察が介入して、起訴して、そして四年間も五年間も法廷の場に辻機関士その他を立たせ、あるいは動労なり鉄労なりあるいは地域の皆さんなり、家族を含めて、大変な金を使いながらこの問題に取り組んできたと思うんであります。  私は、運輸大臣にお伺いしたいのは、このように当事者がきちっとしておる際には、警察の介入についてやはり一定の見解と毅然とした態度を示すべきである。きょう警察庁おりますか。——警察庁も、これはこれほどの人が亡くなったんだから、何とか起訴して裁判にかけなければ警察のメンツがなくなるなんというかっこうでこのような裁判をやられたのでは、乗務員のような毎日毎日一秒一秒命をかけて当たっておる人たちにとってはもってのほかだと、言語道断だと、こう思うんでありますが、そういう際における大臣の毅然たる見解と、今度の事故を中心に、むやみやたらに国鉄内部に介入しない、きちっと慎重な態度をとるという警察の態度を聞きたいし、同時にきょうのニュースを見ますと、控訴するかどうか検討してとありますが、やはり完全に無罪になった以上は、この際控訴しないで、きちっと無罪を確定すべきである、このように警察関係に申し入れしたいと思いますが、いかがですか。
  78. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず最初に、きょうの北陸トンネルの判決につきましては、私たちは裁判の判決をこれは絶対として尊重しなければなりませんし、当然でございます。がしかし、それについてまだ内容も詳しく聞いておりませんが、しかしまた、判決が出まして私も一抹の安心をしておるような次第でございます。  そこで、これの起訴をするについていわば不純な動機があったのではないかというような懸念を込めての御質問でございましたが、私はあの当時の状況は知りませんけれども、警察当局といたしましても決してそれを故意にしたものでも何でもない。やはりその原因を探求しておる中でお互いに、つまり捜査の段階国鉄側との間に食い違いがあったのではないかと思うたりもいたします。その点につきましては私はわかりませんが、そういうことから起訴をしたのではないかと思うんです。したがって、これからそのような事故がありました場合に、仰せのようにできるだけやっぱり捜査当局とそれから国鉄の当事者との間に十分な私は意見の交換といいましょうか、資料の提供とかあるいはそういうことでお互いが協力し合って余分な摩擦は避けていくべきだと思うのであります。  それと同時に、やはり防災関係についての不断の努力というものが当然でございまして、先ほど国鉄総裁から言っておりますように、この判決を一つの教訓といたしまして、これからの事故に対する取り組み方、それとこういうことの発生しないような対策というものを十分にとらしていくべきだと私も思うておる次第であります。
  79. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) お答えいたします。  本件事故の捜査に当たりましては、現場検証であるとかあるいは関係者の証言、実験の結果等幅広い資料をもとにいたしまして、また、その過程では国鉄のいろいろな諸規程等も十分参照いたしまして、当時の判断ではやはり過失責任があるということで、乗務員にも、それに金沢鉄道管理局長をやっておられた方一名、これを警察としては地検に立件送致したわけでございます。  当時の状況からいたしまして、この事案に関しまして犯罪捜査の責任を有する警察といたしましては慎重にかつ誠実にその職務執行に当たったと思うわけでございますが、そういう非常にむずかしい事案でございますので、今後さらに慎重適正に捜査権を行使するように努めてまいりたいと思います。
  80. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 きょう判決出たばかりでありますから私も判決文を読んでおりません。ただ、言えることは、総裁、この国鉄再建法案が始まってから労使関係ということがたびたび他の委員から言われましたが、やはり十分尽くすべきは尽くした段階で、不幸にして起きた事故については、総裁が体を張ってやはりその職員を守ってやるという姿勢がなければ大変なことになるということを、判決と同時に総裁に注意を喚起したかったからだ。私はそう思いますので、警察当局の理論的な問題については、私もずいぶん現地に何回か乗り込んで反発しましたから、この段階では反発いたしません。願わくば控訴しないで、その問題についてピリオドを打つように警察の関係者に伝えてほしいという要望だけしておきます。  それから私は、今回のこの国鉄再建法案の問題について、時間が何回も延びてしまったのは、実は社会党といたしまして今回の法案について幾つかの問題点がありますが、三点ほど修正案を出して、その修正案を原案と絡ませながら検討してほしいということを、この委員会にぜひ出してほしいということをお願いしておったわけであります。振り返ってみますと、十一月の六日に理事会に通告いたしまして、十一月の十一日の理事会に提案して、理事の皆さんはオーケーと、提案の時期については委員長預かりと、こうなっておったわけでありますが、延長国会の前の十一月十三日になって自民党さんの方から待ったがかかる。委員部の皆さんから前例がない、前例がないというばかの一つ覚えで堂々めぐりする。そして十八日、二十日、きょうは二十五日ですよ。いまだに自民党の諸君は提案の問題について、この委員会に社会党提案として提案させようとしない。どういうことなのか、ずいぶん私もばかでありますけれども、東北の田舎から出てきた私のようなばかが考えてもその理由がわからない。私以上に学校を出ているりっぱな方々がいっぱい集まっているんですが、私が物わかりが悪いのか、自民党が物わかりが悪いのか、またはこの提案をされて自民党が困るのか、そのいずれかについてはわかりませんが、委員長さんも大分苦労されておるようであります。  しかし、時間がだんだんなくなりますから、私は社会党として修正案の提案に対する基本的な考えはまだ変わっておりません、これだけははっきりしておきます。まだ時間がありますから、いずれかの機会に自民党さんの方に、あるいは政府に向かってこの問題を責めなければならぬとこう思っておりますが、きょうは私の時間を利用して、自分の時間を使って簡単に要点だけ提案しておきますから、今後の政府なり国鉄なりあるいは総理大臣との一問一答も予定されておりますから、そういう総理大臣答弁も含めて要点だけお話し申し上げておきたいと思っております。  一つは、いわゆる特定地方線の取り扱いの問題であります。政府原案によりますと、二千名以下の特定線区を政府並びに国鉄が指定をしてそれで地方に落とす。それを通知を受けた地方は協議会を設けて御相談する。相談して二年以内にまとまればよし、まとまらなければ見切り発車だというのが政府原案であります。これは一番最初わが党の広田委員が鉄監局長に質問したときも、この法案については関係住民の皆さんの意見は聞いていないということをあなたははっきり答弁しているわけであります。関係住民の意見を全然聞かないでこの国会法案出していると。こんな地域住民を愚弄する方法はないではないか。  したがって、採算の悪い線区はわかるわけでありますから、その採算の悪い線区についてあなた方どうしましょうかということを、廃止を前提ではなくて採算が悪いからどうしましょうかということをあらかじめ関係の皆さんに御相談を申し上げ、地域の皆さん、農家の皆さん、あるいはそこに働いている労働者の皆さん、そういう皆さんの意見の総意を結集して、二年間なら二年間検討して、大臣の言うとおりこういう方法がある、こういう方法がある、こういう方法がある、いろんな意見が出てきて、その中でこれでいこうということになれば初めて大臣にその結論を申請をして、その申請を受けた国鉄運輸省が住民の皆さんに合うようにやってやろうと、そういうことでいいではないか。どうしても意見がまとまらないときは、やはりその管轄する県知事さんの意見を最終的に集約して、知事の意見は最大限尊重するということをやれば、国鉄政府地域住民も県知事も四者一体になっていわゆる国鉄の再建なり足の確保ということができるではないか。住民を含めた合意ができるではないか。そういうことをぜひやってほしいというのが修正案の第一点であります。  第二点は、割り高運賃であります。これも何回かもうこの委員会でやられてまいりました。いまでこそバスに比べてローカル線が安いからローカル線を利用しているのであります。バスとローカル線が並行して走っている線は四倍も五倍もバスの方が運賃が高い。高いから安い国鉄を利用して、ローカル線方々は生活が苦しいから少しでも安いローカル線を使おうと言っているのであります。それを今回は、そのローカル線を五割程度運賃を上げる、割り高運賃をやる。これはちょっと酷ではないか。そうして質問の中では、東京や大阪のように、私鉄に比べて国鉄が高い。高い運賃はでは下げるのかという質問に対しては、国鉄再建のために泣いてがまんしてくださいということが運輸大臣とか鉄監局長から答弁がありましたが、それは余り虫がよ過ぎるんじゃありませんか。私は率直に言って、ローカル線の割り高運賃制は、五年か十年を展望しますと完全に縮小再生産で、地方から完全に鉄道というものを取り上げてしまう、住民から足を取り上げてしまう、そういう長期展望に悪い意味でつながっていると、そういうふうに社会党は考えますので、どんな理由があっても割り高運賃制はとるべきではないというのが二点であります。  第三点は、後ほどの質問にも関係しますが、いわゆる新線建設であります。私たちは、今日の時点では鉄建公団も含めて、新幹線は東北新幹線、上越新幹線、これはやむを得ないでしょう。整備五線も含めて新線は当分の間つくるべきじゃないと、こういう見解を持っております。しかし、どうしても国鉄営業政策上これは採算が合うと、営業政策上これをやってもよろしいという見通しがある場合に限って、例外の例外として新線建設は認めるけれども、それ以外は鉄建公団も含めて当分の間新線は建設すべきじゃないと、大体大ざっぱに言ってこの三点が私たちの当面の課題で、修正案であります。  したがって、この三つの点については今後の論議なりあるいは総裁との質疑応答なども通じて、社会党の提案は決して私は無理を言ってない。きょうなどは国会にいっぱい地方の皆さんが来ております。自民党も含めて、自民党の知事さんも含めてどんどん来てますよ、自民党、社会党問わず。でありますから、自民党、保守革新を問わず来ている現状から見ますと、私はこれは共通の課題だと、こう思いますから、ひとつ大臣、総裁、関係者、まず頭の中に置いて、今後総理の質問も考えておられるようでありますから、少し検討方お願いしたい。四時間という自分の時間を使って、頑迷固陋な自民党のために十三分損しましたが、前進のためであればいいということで、あえて自分の時間を使って骨格だけは一応提案し、答弁は要りません。  そこで私は質問いたします。今回の法案ローカル線切り捨て、それから三十五万人体制の問題、それから累積赤字のたな上げと、大体三本の柱が今回の法案の中核だと言われてきたとおりであります。そうして運輸大臣は、いろいろ収支の均衡もあるけれども、経営基盤の確立だと、それが六十年までの最大の目的だとこう言っていらっしゃるんですが、ひとつ私は角度を変えて、これは赤字になったのが昭和三十九年でしょう、赤字に転落したの。昭和三十九年から考えてみると、たとえば公共投資などを見てみますと、三十年から五十三年、これは当時を一にしますと道路関係は八十三倍、航空関係は七十倍、港湾関係は五十倍、国鉄関係は二十倍、これは衆議院でわが党の福岡委員が問題提起をして、政府側が肯定しておりますから、同じ競合する交通機関に道路、航空、港湾、国鉄、このように考えてみると、国鉄の三倍も四倍も五倍も公共投資をどんどんぶち込んで道路をよくして、そして自動車産業を育成強化して道路をよくし、航空条件をよくし、港をよくし、自動車をどんどん育成してマイカーを走らせ、トラックを走らす、こういうことをどんどん国の政策として遂行すれば、好むと好まざるとにかかわらずお客さんと荷物は国鉄離れをするのが理の当然ではないか。  国の行っている政策と国鉄離れというのは、決して国鉄の労働問題、国鉄側の企業努力に十分でなかったこともそれは認めましょう。認めますけれども、いま申し上げた公共投資の動向と自動車育成、港湾育成、航空機育成強化、こういうことをどんどん片方でやっておって、戦前、戦後やっと安易ながら、最初は木炭をたき、石炭をたいて油に移って、電気に移って、酷使させた戦前戦後のあの機関車と貨車を使いながら、安易ながらやってきた国鉄努力比較対象した場合に、政策として国鉄がどんどんおくれていって、自動車の方は笑いがとまらない、飛行機は笑いがとまらない、これは当然じゃないかと私は思うんでありますが、大臣、これはどうですか。こういう国鉄離れは、労使の問題もあるけれども、国の交通政策自体が国鉄離れを誘導するような政策自体を公共投資の面であるいは産業政策の面で行ってきたということをあなたは認めますか認めませんか。どういう考えですか、大臣の見解を聞きたい。
  81. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国鉄が今日の破局的な財政状態になりましたその根本は、やっぱり利用者の国鉄離れ、これが顕著に進んできたことはこれはもうおっしゃるとおりでございます。その原因の最たるものは、やはり仰せのように、モータリゼーションが進んでまいったことでございます。が、しかし、これは単に一政策だけの問題ではなくして、世界的に自動車の普及と自動車の性能の向上ということとは一体となって進んでまいりました。したがいまして、そこに国民のニーズと申しましょうか要望というものは、道路をよくし自動車を自由に使いたいという強い要望があった、これもまた否定し得ないところであろうと思うんです。で、その間におきまして国鉄といたしましてもかなりな投資はやってまいりました。しかし、仰せのように、道路あるいは飛行場、空港の整備、こういうものに比べましたならば投資額は落ちておることはこれはもう事実でございまして、これは私も率直に認めておるところであります。  そこで、これからの問題になるわけでございますが、確かにこの一九七〇年代にモータリゼーション並びに航空機による大型大量の長距離輸送ということができてまいりました。でございますから、それでは鉄道は全然だめなのかといいますと、私はそうとは思わない。鉄道はこの八〇年代に必ずやはり依然として国の基幹的交通機関として再生されよみがえってくる、私はそこに自信を持っておるのでございます。  でございますから、いままで時代の流れというものとそれに対する政策の符合というものがございまして今日の事態になってまいりましたけれども、これからは環境問題といい資源問題といい、そういうあらゆる角度から見てまいりますと、再びやはり鉄道によるところの輸送ということが見直されなければならない時期になってまいりました。その場合に、鉄道というものは、これからはその鉄道の特性を発揮したものにおいて生きていくべきだと、こう思いまして、その特性を生かした方向国鉄がよみがえっていく、そのためには何をやるべきかということは、これはまず第一に国鉄自身の体質を強化、健全化していくことだと思うておりまして、その一助といたしまして今回再建法をお願いし御決定をいただきたいと言っておるわけでございまして、今日に至った国鉄離れの主な原因その他の点につきましては、それはもう仰せのとおりであるということを申し上げたいのであります。
  82. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは七十八国会、五十一年の十月十九日、当時の三木内閣の石田運輸大臣も、やはり三十九年の段階において国鉄に対してはきわめて冷淡であった、対応が不十分であった、そういうことを認めていますから、いまの塩川運輸大臣答弁も、投資も少ないし、まあ十分でなかったということは暗に認めた発言だと、私はそう理解いたします。  しかし、そうは大臣言っても、この前、五十二年でしたか、前回の運賃緩和法の際に大分議論をして、あのときは運賃緩和だけが頭にあったんですが、しかしその後の状態を見てみますと、前回の運賃緩和法から借入金の動きを見てみますと、五十一年は一兆五千三百二十九億円、五十二年は一兆七千六百二十八億円、五十三年は一兆九千七百六十九億円、五十四年が二兆二十億円、五十五年が一兆九千六百三十六億円、これは全部財投その他で、これは借金ですわね、大臣。全部借金。  それでこの借金がどう使われているかということを、いろいろありますが一口で言うと、一番新しいのが五十五年の一兆九千六百三十六億円、これで見ますと、元金の返済が二千七百八十六億円、利息が何と九千七百二十六億円、合計で一兆約二千億、一兆二千億が元金と利息、利払いですよ。それで、工事勘定に入って、先ほど桑名委員が言った橋とか信号とか路盤とか、そういう一定の年度が過ぎている保安上大事なものを直す経費が六千七百億円、新幹線が三千九百億円。これは単に五十五年度だけでなくてずうっと、借金をして約六五%を元利合計に返して、三五%を自分の工事勘定に使って、その三五%のうち大体六、四ぐらいの割合で、新幹線に四取られて六だと。これはどんなにやったって、くるくんくるくん自転車操業やっているだけでは、どんなに五十二年、運賃緩和法でやったって、依然として国鉄の財政はいわゆる赤字財政、累積赤字はたまる、あるいは借入金はふえると。  総裁があのとき、三年前、絶対目黒議員、今度こそはうまくやるから何とか賛成してくれと言って、一回廃案になったやつを一週間足らずで政府の要望に従って成立さしたと。以来三年間、この借入金を見ただけでも、どんどんどんどん借入金だけふえていくだけであって、ちっとも経営の基盤はならないじゃないですか。こんなことをまた五十六年、五十七年、六十年までやったって何になるんですか。全然国鉄の再建、いみじくもあなたが言った経営の基盤がちっとも借入金の点から見ると改善されない。むしろ高木総裁が頭の白くなると同時に借金がふえて、だんだんだんだん首が締まっていくと、以下同文と、こうなるしかないじゃないですか。ここのところを直さない限り国鉄再建なんてないじゃないですか。大臣いかがですか。
  83. 山地進

    政府委員(山地進君) いまの借入金の状況については、目黒議員の御指摘のとおりふえているわけでございます。まず、こういった国鉄経営の基本として一体どんな金で国鉄がやったらいいか、これが一番目黒議員のお尋ねの焦点であろうかと思うわけでございます。目黒議員も御承知のとおり、国鉄経営をめぐりまして、四十四年、四十六年ごろでございますか、イコールフッティング論というのがございました。このイコールフッティング論はどんなところから起こってきたかといいますと、道路の金は税金でやっているじゃないか、国鉄鉄道はそういった税金でやってない、だからこれは競争が不平等である、そこでイコールフッティングじゃないと、こういう議論があったわけでございます。ところが、その後いろいろと研究してみますと、道路の金というのはほとんど特定財源、そのほかに地方税とか国税で自動車関係の諸税を取っております。そういったものでほとんどが補われているわけでございます。    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 空港については空港特会がございまして、これも通行税を合わせますとほとんどが利用者の負担になっているわけでございます。したがって、こういった競争から見た関係では、国鉄鉄道というものだけがそういったもので補われるというのは、逆に今度は不平等、イコールでなくなるということになるわけでございます。  そこで、国鉄経営上の問題としては、そのイコールフッティングということがなくなりまして、いまではむしろ運賃であるとか、そういったような競争条件あるいはいろんな法規制の面の競争条件が不平等であるということは残るかもしれませんけれども、こういった基礎投資というものについては、やはり運輸機関というのはむしろ平等の関係であるべきでないだろうか、こういうことで現状きているわけでございます。  それから、長い国鉄の助成の歴史の中におきましては、目黒議員の御指摘のような出資でやるべきである、こういう議論も確かにございました。四十八年の十兆五千億の十カ年計画におきましては一兆五千億という出資金というものを充てるべきである、これは投資額の約一五%ぐらいに当たるかと思いますが、そういったこともございました。ところがこれもやって三年でおしまいになったわけでございますが、それはまた一つの理由といたしまして、やはりこういったもので出資をするよりも利子の助成、工事費の助成、こういったことでいくべきでないだろうか、こういうことがまた正論を占めてきたわけでございます。  そこで私どもといたしましても、やはり国鉄の投資というものは借入金で行い、それを運賃で利用者が負担するというのがまず基本であろう、かように考えているわけでございます。それの国鉄に対する助成といたしましては、やはり工事費の助成あるいは大都市整備費の助成というような補助金でいくのが一つの道である、かように考えているわけでございます。したがって、国鉄経営上の問題、確かに助成金ということについて十分でなかったという御議論はあろうかと思うんでございますけれども、国の助成という姿においてはやはり基本としては従来の形でいくべきではないだろうか。いま、御指摘のように大きな借入金をしております。一部は投資のための借入金であり、一部は赤字を補てんするための借入金でございます。この残高というのは大体半分は恐らく赤字借入金の分であろうかと思うわけでございますが、これらについては赤字借入金の分については、五十一年のたな上げ並びに今回のたな上げによりまして国鉄経営上の影響というものを除いておるわけでございます。  そのほか国鉄に対する助成として国鉄経営の負担にたえないものについては、これは構造的欠損として国の方においても助成する、こういう姿ができておりますので、私どもとしては今回の対策において今後も十分対処していけるもの、かように考えておるわけでございます。
  84. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんなこと何回も聞いているの。あなたの言うことはこの前の運賃緩和法でも同じことを言っておるし、私が動労委員長の当時、大蔵省に行って説明されたときもあんたと同じことを、当時大蔵省のえらい人だった高木さんが、勤労委員長であった私に同じことを言っているの。こんなこと、同じことを二十年も繰り返しておっても依然として直らないんでしょう。だから、あなたが言っていることではもう解決できないんですよ。  それで国鉄側にちょっとお伺いしますが、これは通告しなかったが、いま鉄監局長の質問で気がついたんですが、東海道新幹線、総経費幾らかかって、借金を幾らして、利息を幾ら払って、採算がとれる事態にいまなっているのか。まず東海道新幹線一つ、次は博多新幹線一つ、その二つを後ほどでいいから計算だけしておいてください。総経費が幾ら、それに充てる借金は幾ら、利息は幾ら返した、現在収支がとんとんになっているのか、博多新幹線も含めて。私はいま鉄監局長がいみじくも言った国鉄建設は財投から借りて料金で支弁するのがたてまえ、それで足りないところはあるいは不十分なところは政府が助成しますというあなたの答弁が、新幹線の東海道とそれから博多新幹線でどのように立証されるか、ちょっと参考までに検証してみたいんで、後ほどでいいから計算だけしておいてもらいたい、こう思うんです。  それで大臣、私たちも道路がこう、航空機がどう、港湾がこうということは知っています、知っていますが、ここに昭和五十年の公共施設等における資本費関係財源構成一覧表というものがここにあるんですが、参考までにこれを見ますと、道路は総建設費二兆九千五百五十億。一般財源が一兆二千五百九十九億で四二・六%、それから目的税、これが一兆六千九百五十一、パーセンテージは五七・四、これでまるまる一般財源と目的税で建設費のめんどう見て、ほとんど一般道路は国が全額か、三分の二支弁をして道路をつくる、こういう構成になっていますね。それから港湾の建設費が三千五百九十六億。そのうち一般財源、これは国または県ですな、一般財源が三千二百八十一億、パーセンテージが九一・二%。それからこの受益者負担が九十九億、二・八%。もう料金の関係は数字が出てこないくらいほとんど国または県でやっている、こういうかっこう。それから空港は六百六十三億。このうち地方債関係が六十三億で九。五%、大部分は目的税、五百三億、七五・九%、それから料金九十七億、一四・六%、あと若干端数がありますが、省略します。  このように道路、港湾、空港は一般財源か目的税でほとんど九五%近くやっておるにもかかわらず、国鉄の新幹線は土地の買収調査費を含めて総額で一兆七千三百五十二。このうちいわゆるほとんどが財投、借金ですね、全部。あるいは自分の縁故債、いわゆるわずかに国の方から助成が若干あるだけであって、もうほとんど国鉄は自前だ。こういうところの一覧表を見るとはっきりしているんですよ。そうしますと道路をつくるにも、港湾つくるにも、飛行場をつくるにも、いわゆる国鉄と競争関係にある他の交通機関の基盤整備が全部国または目的税で財源措置をしておるにかかわらず、国鉄だけが財投の借金で、まあ利子補給を若干得たとしても、このような形態でどうして国鉄が競争条件に勝てる条件整備ができるんですか。  私は忘れましたが、予算委員会で当時の福田総理大臣に、もうこういう条件であなたが総理大臣国鉄総裁やりなさい、そうしたら国鉄直りますかと言ったら、目黒議員、現行の制度では私が国鉄総裁になったって直りませんと、いみじくも福田さんは正直に言いました。これだけの構造的な欠陥ですよ、これは。構造的な赤字体制を財源面でこのように縛りつけておって、あの八百億足らずのローカル線とかあっちこっち枝葉を切ったってどうにもならないじゃありませんか、ここんところへどうしてもやっぱり本当にこれが国鉄最後のあれならば、ここのところにメスを入れない限りは、私は枝葉を切って悪いとは言いませんが、やらないよりはいいと思いますが、本家本元の構造的な中身を変えないで何が再建になるんですか。これをぜひそこにおる局長全部に——大臣、鉄監局長、それから総合交通担当の総務審議官、航空局長自動車局長、全部に伺いたい。  あなた方は、航空局長は、私の方では目的税をもらいますから国鉄さんどうなろうとかかわりありません。自動車局長、おかげさんで道路をどんどんつくってくれましてバイパスはできるし、車会社利益上がっていますから。そういうすべての、私はそこに座っている局長は全部これにかかわりがあると思うんですよ、交通産業として。したがって、一鉄監局長や一国鉄総裁がどうのこうのと言う筋合いのものじゃないと思うんですよ。ここのところについて、大臣以下おられる局長の見解をぜひ今後のために聞かしてもらいたい。港湾、海運もいるんですね、内航船ですから。港湾関係の整備の恩恵を受けているのは内航でしょう。私は悪いと言いません。全部この国鉄の問題と——各局長さんに全部一通り見解をお聞かせ願いたい、勉強のためも含めて、お願いします。
  85. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) ただいま先生から昭和五十年の数字に基づきまして、いわゆるイコールフッティング的な考え方から施設費の負担がどのようになっているかというお話がございました。これは、いろいろ計算の仕方もあるのでございましょうが、五十五年の数字を私どもが試算いたしましたところによりますと、道路につきましては、全体の投資額のうち七五・九%が昭和五十五年度におきましては利用者負担となっておるわけでございます。港湾につきましては、これは少し少のうございまして、一二・五%が利用者負担になっております。それから国鉄、これは鉄建公団も含みまして、これにつきましては六五・七%が利用者負担になっております。空港につきましては九九・五%が利用者負担になっているという実情でございまして、御指摘のような国鉄施設費だけが非常に利用者負担が高いというような形にはなっておらない次第でございます。
  86. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それならあなた、資料要求したら資料よこしなさいよ。私は、目的税を含めて借金——あなた、そんな自分の都合のいいところだけつまみ食いして、何ぼ審議官だってそんな適当なことやめなさいよ。七五・九%、それは、資料くれと言ったのに何で資料くれないの。運輸省、ちっとも資料くれないじゃないか。したがって、私はそんなこと、あなたの言うことは信じない。全部、各局長答弁
  87. 松本操

    政府委員(松本操君) 細かな数字は別といたしまして、いまいみじくも先生仰せられましたように、航空の場合にはもっぱら受益者負担ということを原則にして、昭和四十二年以来の空港整備に携わってきているのは事実でございます。ただ、これの考え方でございますけれども、御案内のように、戦前の航空輸送というものはほとんど見るべきものがございません。敗戦と同時に七年間のブランクがございました。二十六年にどうやら民間輸送らしきものが再建をされて、そして三十年代に入って空港もようやく占領下から返還になる、こういう状態での立ち上がりでございますので、もし倍率をもって比較いたしますと、これも先ほど御指摘ございましたように、かなりの高倍率で施設整備が進んでいることも事実でございますけれども、ただ日本のような国土について輸送手段のありようをいろいろ考えてみますと、やはり数百キロを超える距離、あるいは鉄道輸送でございますと数時間を超える距離、こういうふうなところに対する国民一般の航空に対する選択性向というのが近来とみに高まっていることもまた見逃せないのではないか。それから海峡を越える、海を越える、一例で申しますと、たとえば高知と大阪の間に一日二十二便のYSが飛んでおりますけれども、これも私どもいかんともなしがたい。これがもう八十何%から九〇%の人が乗っている、こういうふうなことでもございます。  しかし、もちろんものによっては当然国鉄を念頭に置くべきは仰せのとおりでございます。せんだって三月、五年ぶりに航空の運賃を改正いたしましたときにも、距離の近間のところにつきましては値上げ率を高めました。極端な例でございますけれども、東京−名古屋のごときは、かつて、われわれも大いに反省すべきかと思いますが、三十九年に新幹線ができましたときに、当時の航空サイドの考え方といたしまして、恐らく新幹線と競争しようという気があったのであろうかとも思いますが、わりあいに安い賃率になっておりました。それがそのまま据え置かれたような形になっておりましたものを、せんだって三月の改定のときには思い切って東京−名古屋の間は運賃を上げたわけでございます。また、数百キロ未満のところにつきましては、七、八百キロ超えのところに比べますと二、三%運賃を高目に設定をしたようなこともいたしたわけでございます。  国鉄の方はほとんど毎年のように運賃の改定がございますが、航空の方はここ五年間全く運賃をいじることがございませんでしたので、その間、逆転現象が出ておったようなところもございます。これらを思い切って今度大方の部分について整理をいたしたつもりでおるわけでございますが、今後ともやはり航空としての特性を発揮した路線、これはやはり航空でもっていく必要があろうかとも思いますし、国民の旅行手段に対するいろんな選択性向というものにもこれを尊重していくべき面もあろうかと思います。ただ、御指摘のような点は十分に私どもも肝に銘じておるつもりでございます。最近におきましては、航空分野におきます諸般の作業をいたしますに当たりましても、必要により鉄道監督局と相談をするとか、そういうふうなことに私ども心がけてやってきておるというのが実情でございます。
  88. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 道路の建設維持と自動車関係諸税の関係につきましては、先ほどから話が出ておりますので、私の方から特に改めて申し上げるところはないわけでございますが、モータリゼーションの進展といいますのは、要するに国民生活が多様化し、産業構造が高度化することに伴いまして、自動車の特性である機動性、便利性、随意性等が評価され、国民のニーズに合った交通機関としてこのような発展がもたらされているというふうに考えております。しかしながら、特に貨物輸送につきましては、鉄道との関係では秩序のある競争関係が望ましいという観点から、また省エネルギー、公害防止の観点から、いろいろな施策を実施しているところでございます。  まず、長距離輸送につきましては、鉄道等との協同一貫輸送の推進を図っておりまして、通運事業法による十五条の指定もトラック事業者にもかなり多く出しておるところでございます。また、運賃につきましては、最近のトラック運賃の認可に当たりましては、長距離の賃率については若干高目に設定をして国鉄運賃と調整をいたしているところでございます。  それから、特に物流関係で問題になります輸送秩序の問題、違法白トラ、過積載、労働条件、運賃ダンピング等の問題につきましては、それぞれ最近もいろいろな施策を具体的に実施をいたしているところでございます。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 それから、運賃ダンピングに関連いたしましては、特にトラック事業者が零細中小企業が多いという観点から、経営基盤の強化のための構造改善事業等の施策を実施しているところでございます。  また、一種の社会的費用として、トラックについて、特に公害防止対策あるいは安全対策の強化が望まれるわけでございますが、排気ガス規制あるいは騒音規制についても、逐次実施強化しておるところでございます。  なお、安全対策についても、自動車の構造面について、たとえば左折事故防止対策等を実施しているところでございます。
  89. 永井浩

    政府委員(永井浩君) 港湾整備の経費の問題でございますが、港湾の整備の対象といたしましては、御指摘のような内航海運の交通のターミナルという意味のほかに、当然のことながら外航のターミナルでもございます。また工業港を初めといたしまして、各種産業立地の基盤を整備するとか、あるいは防波堤等につきましては、広い意味で都市の防災といったような意味もございますので、港湾整備の経費そのものを、直ちに道路とか鉄道との関係で比較するのは非常に困難かと思います。  そこで、内航海運の位置づけでございますが、五十四年度におきましては、トンキロベースで、国内の貨物輸送の約半分、五一%を内航海運が負担しておるわけでございますが、その八割でございます千八百億トンキロにつきましては、いわゆる産業基礎物資と申しますか、あるいはそれの製品——石油、石炭、鉄鋼、非鉄金属等、臨海工業地帯に発生いたします貨物を主として輸送しておるわけでございます。そういった意味で、内航海運に適応するような貨物がその大宗でございますが、今後省エネルギーあるいは環境問題等がいろいろシビアになった場合に、空間問題等も制約ございますので、陸上輸送、鉄道とかトラック、それと海運を組み合わせましたような複合一貫輸送といった方向も検討すべきではないか、このように考えております。
  90. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣ね、各局長からいろいろなお話がありました。この国鉄に対する助成とか援助などから見ますと、もう話にならないんですな。目的税という形、あるいは一般財源という形でいろいろ、金づくりは国鉄が下手なのか、運輸省が下手なのか知りませんが、同じ運輸大臣管轄で、道路、航空、港湾の方はうまく金繰りしてくる。国鉄関係だけは合理化と運賃値上げとやってくると。そこに私は大きなずれがあると思う。このずれが政策的なずれではないのかと、こう私言いたいのですよ。そこのところを手直しをしてほしい。陸上交通特別会計なんというものをつくってしまったら、大蔵省にかちゃんとやられてしまって、現在はヒューンもチューンも、ネズミの声も聞こえないくらいどこへいっちゃったかわからぬ。  たとえば、そういう陸上交通特別会計という際に、道路関係とか空港関係とか、たとえば空港関係で、航空局長、いろいろ御苦労さんでした。——目的税として、航空機燃料税、空港着陸料、特別着陸料、航行援助施設利用料、いろいろありましたね。この前改正した単価表もあります。飛行機も景気がいいから、きのうあたりストライキ中止になったりしたけども、少しこのごろ景気がいいから五%から三%ぐらい陸上交通に貸して、総合交通の財源にしようとか、あるいは自動車の方はもうかってしようがない。ここにこういう社説もあるんですよ。これは毎日新聞の社説。やっぱり自動車局長ね、あなたが一番強いんですよ。強者を避けて通ったんでは財政再建はできない。道路関係業界と道路族は、現在まぎれもない最大の強者である。ちゃんと六大新聞がほめているんだから。あなた運輸省の中で一番力があるんですよ、自動車局長。だから、ローカル線つぶされてもったいないから、少しは陸上交通特別会計に自動車の目的税の一部を入れてやろうかと、そういうぐらいの、お互い運輸省内部で話し合いがつかないものかと、そういう話ができないものかということを私は求めたいために、このローカル線とか三十五万人の前に、ここのところをやはり手を入れてほしいということをきょうはあなた方にお願いするために、わざわざおいで願ったんです。  ところが、これは運輸省として私に公約しているんですよ、公約。ここに青木同僚もおりますが、これは昭和五十二年の十一月十五日、運輸委員会の議事録、この議事録の中でこういうことを言ってるんですよ、田村運輸大臣が。私が、いま言ったようなことを含めて誘導政策をしたらどうかと言いましたら、——これは、議事録大事でありますから、そのまま読みます。田村運輸大臣ですよ、これは。「実は、私のモットーは果断即決でありまして、いま鉄監局長自動車局長相談をいたしました、総裁が答弁しておる間に。この問題ひとつどうだ、前向きに取り組もうかと、こういう相談をいたしまして、両局長とも異議がないと。そこで、たとえば新しい大きな港をつくる。そういう場合に、国鉄貨物の引っ込み線、」云々とずっとありまして、最後に、予算編成という問題もありますから、自動車局長も入れて、早速鉄監、自動車、海運三局長、それに港湾局長、それに国鉄も呼びまして、これらの問題について運輸省としてきちっと実のあるものにいたしましょう、こういうことを田村運輸大臣が三年前私に約束しているんですよ。  だから私は、今回の再建法を出すに当たって、この田村運輸大臣の私に対する公約を各局長さんたちが、いま私が申し上げた問題について、やりくりについてどういう相談をしたのか。これは、審議官大変だと思いますが、審議官でできる仕事じゃないと思うんですよ、これは。でありますから、私、審議官の答弁要りません。したがって、塩川運輸大臣として、こういう構造的な財源の取り扱いなり、運輸政策、交通政策調整として、どういう相談をしてこの法案を提案したのか。相談したけれども名案がなかったと、こういうこともありますね。相談したけれども、どうも自動車局長自動車業界に押されて、いい案は持っているんだけれどもなかなか自動車局長は踏み切れなかったと。航空局長しかりと。あるいは皆さんが一致したけれども、一番大金持ちの大蔵大臣がだめだと言ったんでパーになったと、こういうこともあり得ると思うんですよ。あなたが中心になって、建設省も含めて大蔵省にどういう相談をして、いわゆる陸上交通特別会計仮称と言っておりましたが、国鉄の財政の裏づけについてどういうところまで話されて、現状どうなっているのか、あるいは将来脈があるのか、その辺の構造的な財源のあり方について大臣の見解を聞いてみたい、こう思うんですが、いかがですか。
  91. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国鉄の助成に対する構造的な仕組みを考えろというお話でございまして、先ほど来それぞれの局長答弁いたしておりますように、それぞれの交通機関はできるだけ自主財源をもってそれをつくり、それをもって発展をしてまいりました。同じような考え方からいきますと、国鉄もやはり自己財源、つまりこれは売り上げでございますが、運賃でございますが、運賃で健全経営するのが当然なんでございますが、しかしこれが先ほど申しましたように、七〇年代に産業構造なりあるいは地域の整備というものが進みまして、いわば国鉄以外の乗り物、つまり自動車という便利なものができてまいりましたんで、そちらへ移ってしまった。これは単に運賃だけの問題ではない。そこで、運賃を上げりゃ上げるほど国鉄離れが起こって運賃の収入が落ちる、こういう矛盾を来したことも事実でございます。  ですから、政府としては他の交通機関は大体自己財源でもって賄っておるんですけれども、国鉄につきましては特に政府助成というのを毎年いたしておりまして、本年におきましても六千八百億円からの助成金を出すということをしておるのでございまして、これが自動車あるいは航空に関しまして、政府はそういう交通機関に一銭も助成は出しておらぬと、こういう状況なんです。  ところで、仰せのこの自動車に関する税金でございますが、これは揮発油税なり軽油引取税、それから自動車の重量税、いろんな種類、全部で十何種類ございますが、この自動車に関係します税金を実は自動車局長なり運輸省でこれをコントロールすると言いましても、この範囲というものは実は限られておるものでございます。御承知のように、いまや自動車の所有者、運行しております大部分は実は自家用車でございまして、この自家用車につきましては運輸省もなかなか所管事項として扱えないと、こういう状況でございます。ところが、ガソリン税一つ見ましても、一番大きいガソリン税の消費先は自家用車、この方々でございまして、この方々はおれたちはガソリン税で税金を払っておるのは道路をよくしてもらうために出しておるんだと。つまり、国鉄で運賃を払って乗っておるお客さんは国鉄がサービスをよくし、そしてもっと便利なものにしてもらわんがために払っておるんだと、これと同じ考え方に立っておるわけでございます。  そこで、とは言うものの、今日自動車によりますところの社会的負担というものをもっと厳しく考えなきゃいかぬ。そこで、自動車から上がってきます税金をある程度これを削減いたしまして、こちらへ分割して、それを基礎にして陸上特別会計というものをつくろうと、こういうふうにわれわれ計画いたしまして、二年にわたりましていろいろと研究もしてまいりました。しかしながら、これが何にどのように使っていくかという用途の面につきましていろいろまた考えなきゃならぬものもございまして、その調整が実はおくれておるのでございます。ある方は大都市におきます公共機関、地下鉄であるとかあるいは公営の交通機関、こういうものに使うべきだという意見も強いし、ある方は地方の鉄道の補助金に使うべきだという人もありますし、あるいはそうではなくして鉄道自動車のジョイントの部分に使うべきであるという意見もございますし、そういうものが雑多と出てまいりまして、そこで、目下それを整理して再度新しい角度から陸上特会の提案を踏み切っていきたい、こう思うておるのでございます。  その一番の目標は何かと言いましたら、いま交通機関の中で一番考えなければならないのは地域交通のあり方、これではなかろうか。鉄道の分野におきましては、国鉄はその特性を生かした投資をこれからも現在程度の投資ペースで進めていきますから、それはそれといたしまして、いま一番盲点となってまいりますのは、いま審議をお願いしております特定地方交通線、この関係から起こってまいります地域の交通ではなかろうか。特に過疎地帯にありますところの交通機関というものの維持、これが最大の問題でございますし、またこれに対しましては所要の財源措置を講じなければとうてい足の確保ということもむずかしい状況にあるわけでございます。そういたしますと、こういういわばその特定財源の用途が明確になってまいりましたに伴いまして、今後もう一度われわれは慎重に検討して調整をして、再度陸上特会的なそういう財源を確保いたすように努力してまいりたい、このことは結局間接的ではございますけれども、国鉄営業活動に対します大きい助成ともなってくると思うておりますので、鋭意努力してまいる覚悟であります。
  92. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これ自動車局長にお伺いしますが、その場限りの答弁で逃げていかれると私もいやなんですが、いまたまたま大臣がマイカーの話しましたね、マイカー。これも当時の五十二年の十一月十五日の私の質問の中で、昭和四十六年十二月十七日臨時総合交通問題閣僚協議会、この際にいわゆる自動車の社会的費用の負担についてこういう議論がされている。これは騒音の問題、公害の問題、交通事故の問題、きょう警察庁来ておりますが、このごろまたどんどん交通事故がふえていますな。私が交通対策特別委員長をやったときはやっと峠を越したんですが、いままたふえている。そういう交通事故、死亡事故、公害、そういうものを含めてやはり自動車の皆さんについては社会的な負担があるはずだ、その社会的な負担をやはり、税金か何か知りませんが、それをやはり徴収をして、そういう金を使って総合交通対策全般の財源にするということも当然ではないか、なぜやらないのかと言ったら、いや、まことにごもっともでございます、ちょっとサボっておりました、早い機会にこれを物にして国会に所要の措置をいたしますということを五十二年に答弁しておったんですが、五十三、五十四、五十五、三年たっているんですが、この自動車の社会的負担の問題についてはどういうふうにその後検討されて、総合財源にどういうふうに結びつくための行政面の努力をされているのか。  いま大臣の御説もわかりますが、大臣は二言目には、ローカル線しか頭にないものだからローカル線ローカル線と言ってローカル線に逃げちゃうけれども、そんな逃げないで、この問題については自動車局長、その後どういう検討と現状の状態はどうなんでしょうか。これは当時も総合交通対策委員長でなくて自動車局長答弁していますからね。これだれだ、中村四郎君。中村四郎君がこういうふうに答弁しているから、後輩としての自動車局長答弁してください。
  93. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 自動車の社会的費用の範囲と負担の問題について、まだコンセンサスが得られたわけではございません。当時は自動車局長答弁しておりますけれども、その後、基本的な方向といたしましては、官房の審議官の方で総合交通政策との関係で、現在、運輸政策審議会におきまして長期的展望に基づく総合的な交通政策の基本方向について検討中でございます。その議論の中で具体化が図られていくのではないかというふうに考えております。  ただ、それ以後どのような措置をとったかということでございますが、特に公害の防止あるいは安全の確保についてでございますが、本件につきましては、関係各省が非常に多岐にわたっております。私どもの実施いたしましたことだけを申し上げますと、まず排気ガス、騒音の公害問題につきましては、乗用車に対します規制は、窒素酸化物を未規制時の八%に減らす五十三年度規制をもって一応一段落いたしておりますが、トラック、バスに対する規制は、ガソリン車につきまして未規制時の二九%に減らす五十六年規制等を行うことにいたしております。ディーゼル車につきましては、未規制時の半分程度に減らす五十四年規制を実施しており、今後さらに大型ディーゼル車の規制強化について検討をしているところでございます。  また安全対策につきましては、五十四年の三月に大型トラックの左折事故防止対策のための保安基準改正をしたところでございます。また、自動車の高速化等の対策のために運輸技術審議会からことしの十月に今後のなすべき規制強化についての答申が出されておりまして、その具体化について目下検討中でございます。  また、エネルギー対策にいたしましても、省エネ法に基づきまして自動車の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等を告示をいたしたところでございます。こういった規制をする結果、それぞれ関係者には相応の費用の負担がかかってくることに相なるわけでございます。
  94. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 答えがズレているの。それは御苦労さん、私もわかってますから。  私が言ってるのは、マイカーが道路建設なり道路の整備をしてもらうために目的税払ってますね。それはそれとしていいんです。しかし、交通安全に関する費用あるいは事故、公害に関する費用、そういうものを含めて、やっぱりマイカーは道路だけの目的税ではなくて、社会的経費に対して一定の負担を払うべきじゃなかろうか、それは外国に例がありますよということを私は四十九年の運輸委員会で提案いたしまして、ネタを出しまして、それで五十二年に同じ質問したら、なかなかいい質問だと、しかしまだ作業は進まないと。またここで田村運輸大臣が出てきて、商売がたき同士が集まっているのが運輸省でなかなかうまくいかない、うまくいかないけれどもしかしやらなければならない問題であるから鉄道との調整のためにがんばりましょう、若干日にちをかしてくださいと、こうなっているんですよ。おたくのいま言ったのはちょっと角度が違うんですね。いわゆる車の持つ、マイカーの持つ社会的負担をどうするか、それを負担を出してもらって一般交通の財源に使っていこうという発想なんですから。それはもう時間がありませんから、要りません。ひとつこの十一月十五日の議事録をもう一回読んでもらって、後ほどでいいから私の方に教えてもらいたい、こう思っています。  こういう財源問題ばかりやっていると時間がたちますから、これは大臣ね、結論は、あなたが言ったとおり二兆円なり三兆円の借金財政で自転車操業ではどうにもなりませんから、これはやっぱり大臣にひとつ、方法は任せます、総裁もここにいますから、総裁もやっぱり元大蔵省の最高責任者だから、金づくりは大蔵省うまいはずだから、出すのも渋っているけれども、財源の出し方について総裁などにひとつ考えてもらうということを、総裁の見解を簡単に聞いて、この財源問題は終わりたいと思いますが、総裁いかがですか。
  95. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私も前の仕事のときにこの種の仕事に携わってまいりました。あれから約十年ぐらいたちます。まあ、いろいろ事情は変わってきているはずなんでございますけれども、一たん決められましたルールがなかなか動かないということで、率直に申しまして交通関係の財源といいますか、そうした問題についてはいろいろとさらに考え直すべき時期が来ているように思います。鉄道立場離れましてもそういう感じがいたすわけでございます。まあ、私ども過去においてそういうことに携わってまいりましたので、ただいまのような御提言に対していろいろな意味で勉強してまいりたいと思う次第でございます。
  96. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 目黒さんのおっしゃる、その財源をやはり私もつくるべきだと思うし、また先ほど来何遍も出ております田村大臣も、これはずいぶん努力されたんです。それから以降におきます歴代大臣も、何とかそういう国鉄といいましょうか、鉄道投資を可能にしていく財源をつくろうとずいぶん苦労されました。それがために陸上特会という考え方が出てまいりました。これは簡単に言いまして、いまから約二十年ほど前でございましょうか、石炭から重油に移りますときに重油関税、これを石炭対策に使ったというようなことでございまして、それと同じ発想で、今日自動車が社会的責任、その社会的責任の中には産業構造転換から伴ってくるところの、いわば交通機関相互の調整というものも社会的責任に含まれてくると私は思うておるんです。  そういう意味からも、何とかして自動車に関係いたしますところの財源をわれわれも考えたいと思うておるんですけれども、一つは、その用途につきましてなかなか意見の統一ができなかったというところに今日おくれてまいったことでもございますし、調整の必要もそこにあるわけでございますから、今日国鉄のいわば地方交通線、こういうことのあり方等、何もこれだけじゃございませんが、これが一つの転機となって、私たちはもう一度交通機関相互の整合性をとるために、この財源問題というものに真剣に取り組まなきゃならぬという時期に来たと思うておりますので、鋭意努力してまいる覚悟であります。
  97. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 しかし、まあそういう財政、財源関係についてはお願いしたい。特に、この目的税の問題について、先ほど紹介した毎日新聞の社説を初め、いろんなマスコミとか雑誌など見てみますと、そろそろといっては変でありますが、この目的税については勇断をふるって一般財源に入れながら総体的にやるべきじゃないかと、道路の問題についても、まあ百点満点じゃないけれども、相当程度もう整備されておるんではないかと、そういう幾つかの提言もマスコミなどの資料を見ますとありますから、そういうことを参考にしながら、きょうは大臣は運輸大臣と同時に国務大臣ですから、大蔵大臣建設大臣ともよく御相談願って善処方お願いしたい。  同時に私も——私ももうこれ国鉄に入って、昭和十二年ですから四十二年間になります。四十二年間。したがって、まあ無用の長物だとある方が言われても、やっぱり私にとっては四十何年間自分が機関車に乗ってかわいがってきた線路であり機関車なんです。私はやっぱり歴史の大事なものだと、こう思いますから、そういうものを長く国民的な視野から使う意味においても、余り自動車のために鉄道のばかやろうと、こう言わないで、やっぱり大事にお互いに使うと、SLだけを大事にするんじゃなくて全体を大事にする、そういう面でぜひ総合的な交通政策の財源という角度からお願いしたいなあと、こう思っております。  それからもう一つ、これは言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、この前の八十二国会の運賃緩和法のとき、田村運輸大臣が、目黒委員大丈夫だから心配するな心配するなと言ったやつがあと三つあるんです。  一つは、公的負担の問題について、学割とそれから厚生省の関係ですか。それで大臣はこうまで言っているんですね。公共割引などについてはあらゆる点から見直しを行い、関係省庁で予算化していただく。関係大臣は閣議了解事項で義務づけられているので必ず実施していただきます。予算化等義務づけられていると、こういうことを、これは八十二国会で田村運輸大臣が明言、公約しておるわけでありますが、これが今回のこの再建法案で、公的負担については予算化され、義務づけられているんでしょうか。義務を履行しない大臣はやっぱり責任をとってもらいたい、こう思うんですが、まず窓口である運輸大臣から答弁を聞いて、関係大臣が、予算化したのか、しない場合には義務を果たさなかったその責任はどうとるのか、そういう責任問題も含めて、この公共割引の問題について、おのおの関係者から見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  98. 山地進

    政府委員(山地進君) 五十二年の十二月の閣議了解においては、その点について特に大きく書いてございませんけれども、五十四年の十二月の閣議了解におきましては、これは明確に書いてございまして、「運賃上の公共負担の軽減対策について、関係省庁において検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」、この閣議了解に関係各省において検討を進めと書いてございますのは、関係各省が検討を進めることについて合意を見たということでございまして、従来の関係各省の間で検討しますという口のお約束以上のものでございますので、この点について、まず御理解を賜りたいと思うわけでございます。  ところで、この関係各省の間の検討というのは、この閣議了解後すでに何回かにわたりまして大蔵省、文部省、厚生省それから運輸省を中心にいたしまして、そのほか関係各省が入りまして、事務的な検討を進めておるわけでございます。内容につきましては、これは長い歴史のある問題でございますので、そういったむずかしい問題であればこそ、こういった協議会を開いておるわけでございますが、私どものかねてからの主張というものについては、相当に理解を深めていただいていると私どもは思っておりますが、いまだに検討を続けている段階でございますので、今回の予算におきましては、関係各省はこれについて予算を要求するというところまではいっておりません。  そこで、私どもといたしましては、学割について去年の一・五%を是正した分について国の助成ということで、私どもが大蔵省に予算の要求をしているというのが現段階でございます。
  99. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ほかの関係どうなんですか。いまやローカル線の問題で通学生の足を奪おうという段階で、そこまで深刻に追い詰められておる現状で、公的割引の問題について文部省がいまだに予算要求もできないというのは、一体どういうことなんですか。厚生省も、身体障害者の問題について予算要求もできないというのはどういうことなんですか。余りにも無責任じゃないですか。私はむしろ、鉄監局長、あなたがそういうことに——あんたが逃げるわけじゃないですよ。田村運輸大臣というのは非常に要領のいいりっぱな人なんで、要領のいいりっぱな人には逃げられないようにちゃんと外堀を埋めて内堀を埋めて、いま私が言ったのはきちっと議事録に載っているんですよ。各部門で予算化する、それは義務づけする、それが閣議決定だと。決定しないやつは総理大臣から厳重注意すると、そこまで言っているんですよ、これ。だから私は、文部省とか厚生省、国鉄を甘く見ているのか目黒質問を甘く見ているのか知らぬけれども、どういうことなんですか、これ。文部省と厚生省、その政治的責任をここで明らかにしてもらいたい。
  100. 菴谷利夫

    説明員(菴谷利夫君) 先生のいま御指摘になりましたいわゆる公共負担問題、これは私どもも五十二年十一月十五日に御質問あった点、あらかじめ参照させていただいております。それで、端的に義務というようなお言葉でございましたが、もうちょっと、何といいましょうか、やんわりとした言い方も運輸大臣はされているようでございますが、いずれにしましても国鉄の通学定期に限りましても、いわゆる公共割引と言われておるもの、実は国鉄にもやっていただいておりますけれども、御承知のようにいろんな交通機関でも、率は同じではありませんがやっていただいております。それで、これは長い歴史もありますし、非常に国鉄のいろいろの御議論を私ども聞いておりまして、財政上も大変だという点はよく承知しておりますが、国鉄のみにそういういわゆる公共割引と称しているその部分を助成していくというような意味については、いろんな角度から考えていかないと、これだけで考えるというのは非常にむずかしいというような感じを持っておりまして、ただいま鉄監局長のおっしゃった会議でいろいろ議論を進めさせていただいている、こういう段階でございます。
  101. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 厚生省関係では身体障害者、社会福祉施設に入っております入所者等の割引を長い歴史を持ちながら国鉄の方でやっていただいているわけでありますが、この問題、閣議了解事項でもありますし、先ほど運輸省から御説明がありましたように、研究会を持ちまして鋭意検討をしていただいておる。私たちもそれに参加をいたしまして、あるべき姿を求めておる状況にございまして、まだ予算要求までは至っておりません。
  102. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あのね大臣、これはだめだ、こんなことじゃ。閣議決定してから三年、まあ二年半、国鉄が史上最大の大変なときだといって従業員の七万五千の首を切る、ローカル線の四千キロの皆さんの足を取り上げる。それだけの重大な法案を提案していながら、いま言った文部省は検討中、厚生省の方は研究会やって研究、制度としていま見習い中でございますなんて、そんなのんきなことを政府が言っておって、なぜ運輸委員会だけがこんなに大事な生首を切ったり、足をさらう法案審議をやらざるを得ないんですか。全部やり直し。これはもう一回政府で意思統一しない限りは信用できませんよ、ここで何ぼ審議したって。大臣、いまの答えは三年間何もやってないということでしょう。それ、まず実行してから本法案審議に入るべきであって、決めたことを実行しないで、われわれ野党委員は何を信頼して審議できるんですか。できないじゃないですか、こんなこと。これは大臣が率先してその政治的な責任を解明するまで委員会中止。私は質問できない、こんなことでは、そんな無責任な大臣じゃ。
  103. 山地進

    政府委員(山地進君) 私のあるいは理解が間違っているかも……
  104. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あなたに責任ないんだよ。文部大臣と厚生大臣連れてこい。
  105. 山地進

    政府委員(山地進君) ちょっと私の理解が間違っているかもしれませんが、私の理解を申し上げますと、五十二年の十二月の閣議了解には「経営負担の軽減」という項がございまして、先ほどは明確に書いてないと申し上げましたのは、「運賃上の割引制度を全般的に見直す」というようなことが五十二年の十二月には書いてあるわけでございまして、これは閣議了解でございます。それから五十四年の十二月も、これは閣議了解でございまして、これは「公共負担」という言葉を先ほど読み上げましたように、正確に書いてあるわけでございます。  そこで先生のおっしゃった閣議決定があったということについては、私どもとしては国会答弁等で田村大臣が関係各省と協議をするというようなお約束をしたかもしれませんけれども、私の知っている限りでは、この件について閣議了解は五十二年の十二月の閣議了解において、この運賃の割引制度について見直すと、こういうことが書いてあったにとどまるように考えておりますので、その後の政府の対応、先生の方から見てあるいは私どもが非常に対応がおくれていたというおしかりはあろうかと思うのでございますけれども、こういう経緯で、今回、先ほど申し上げましたように閣議了解において関係各省において検討を進めるということで、私どもとしては一歩前進したように理解しておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  106. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 何と言われようと、国鉄労働者七万五千の首を切る、四千キロの足を、レールをとつ外して取り上げる、これだけの重大決意をしているこの法案に対して、関連する文部省とか厚生省が、五十六年度で予算要求をする姿勢とか具体的姿もないということはこれは不見識ですよ。関係大臣出席を求めて、釈明求めない限りは、こんな法案何ぼ審議したってその場限りであなた方は答弁してこれで一丁終わり。あなた方は官僚で、次は全国区の参議院議員か衆議院に出ればそれで結構でしょう。後に残れる七万五千首切られた方々と、足を奪われた地域住民はどうするんですか。そんなおちゃらけた法案じゃないですよ、これは。国鉄最後のあれだというなら、少なくとも決めたことについては責任を持ってきちっとやるべきですよ。したがって、関係大臣が来て釈明するまで暫時休憩、委員長諮ってください。そんな無責任な答弁では審議できない。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 目黒先生、そう単刀直入におっしゃいますけれども、実は内閣としてこういうことを相談しようということはあったことは事実でございますし、また昨年の十二月の閣議了解事項の中にも、運賃の割引制度を見直そうと言っていることもこれは事実でございますが、しかし、現実はなかなか実はいろんなむずかしい点がございます。たとえば私鉄との関係もございますし、それだけではなくして通勤者とそれから通学との差がございますが、これがいわゆる公共負担となってくるわけです。そういうのをどこまでそれじゃ認めていくのかということ、いろんなむずかしい点がございますんで、これを鋭意われわれは探求し、突き詰めていきたい、これが一つ。  それからもう一つは、国の財政上も出し方が実はむずかしいのでございまして、個々にこれを交付していくということになりますと、非常な手続と、またそれに不公平があってもいけませんし、そこで、私たち運輸省としては政府国鉄に対する助成を交渉いたします場合に、この案件もひっくるめてそこに少し何らかの公共負担の分を上乗せして助成を交渉してとってきておる、こういうことで今日まで来ております。それは明確にするのはこれは理想なんです。けれども、そこへ至るまでにはなかなかまだ詰めていかなきゃならぬ問題がございますのでおくれてきておると、これはまことに申しわけない、われわれも責任がございますし、十分な対策を急がなきゃならぬのでありますけれども、ただ単にこういう閣議でこういう話があったからすぐにそれが具体的に予算要求として出てくるというほど単純にはいかないんだということはひとつ御理解していただきたいのであります。
  108. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 了解できない。関係なし。  運輸省が公的補助について一・五%増して予算要求しようという構えについては私は多としますよ。私がいま言っているのはあなた方のことを言っているのじゃないんですよ。少なくとも関係省である文部省とか厚生省が、政府全体として国鉄問題を立て直そう、そういう特別措置法の提案に当たってきわめて政治的な責任がある、その政治的な責任について本委員会に来て明らかにすべきだ、それがない限りは私は了解できない。したがって、この委員会に両大臣出席を求めて、閣議了解事項から今日までなぜ予算要求もできないのか。それは運輸大臣の専門的な御答弁まあ御苦労さんです。それとこれは私は政治の次元が違うと思う。したがって関係大臣出席を要求する。
  109. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 議事進行について。  いま目黒委員から発言がありました件でございますけれども、閣議了解事項に対して一体文部省なり厚生省の発言はどうであったかというと、全然無責任きわまるものである、何らこの閣議了解事項に対する配慮がないということが明らかになっただけであります。  それからさらに五十一年十一月四日、第七十八国会の運賃法の審議の際に、附帯決議が本院で行われておりますが、その際の附帯決議には、「国家的政策にもとづく国鉄の公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力する。」、こういう附帯決議がございます。この附帯決議は、いま目黒委員から指摘のあった問題と同じことである。いまのように関係各省が全然知らぬ顔をしているということになると、この五十一年の附帯決議に対してもまるっきり何らの配慮がなかったということが立証されたと同じことになる。これはきわめて無責任な話であります。したがいまして、いま目黒委員が指摘をいたしましたように、関係方面あるいは文部省あるいは厚生省といったような関係方面の責任ある答弁と具体的な方針というものを明らかにしていただくということが議事を進めるに当たって必要であろうというふうに考えますので、まず、目黒委員がいま指摘をいたしました関係者答弁をやはり求めるということの方が議事の進行には適当ではないかというふうに考えますので、委員長の方でしかるべく御配慮をいただきたいと思います。
  110. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 暫時休憩いたします。    午後三時十七分休憩      —————・—————    午後三時二十九分開会
  111. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題とし、目黒君の質疑を続けます。
  112. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 厚生大臣はいま健康保険で社労が続行中でありますから、これについてはある程度同じ仲間ですから、しかし文部大臣は遅くも四時までにはここに来ると、そういうことでありますから、四時までに来なければその段階で私は審議を打ち切ります。中止します。それを前提に質問を続行します。  この前の運賃緩和法から五十二年、五十三年、五十四年、こう考えてみますと、国内では旅客は七千百七億人キロ、それに対して国鉄は千九百九十七億人キロ、全体で二八%、五十三年が七千四百七十三億人キロ、国鉄は千九百五十八億人キロ、シェアは二六%、五十四年度が全体で七千七百七十三億人キロ、それから国鉄は千九百四十七億人キロ、シェアが二五%、こういうふうに、国鉄総裁、五十二年度から全体の人間の動きと国鉄の運んだ数字を見ますと、絶対数が減っているんですね、三年間に、絶対数が。  貨物の方は五十二年が四百六億トンキロ、国内全体が三千八百六十三億トンキロ、五十四年が国鉄が四百二十三億トンキロ、全体が四千四百二十五億トンキロと、貨物が幾らか上がっているのに、旅客は絶対数が減っている。国内全体では絶対数がふえているのに国鉄は減っている。これはいろんな要因があろうけれども、やはり運賃緩和法をてこにして大幅な運賃値上げが客離れを誘発しているんではなかろうか。いろんな要因はあるけれども、やっぱり大きなファクターは大幅な運賃値上げではなかったのかなあと、こんなふうに思うんですが、総裁いかがでしょうか、大づかみに言って。
  113. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 運賃の改定が非常に大きな要素であることは私もそう考えております。ただ貨物の方は昭和四十五年がピークでございました。そのころ貨物運賃は余り動いておりませんから、貨物が減ってきたのはむしろ運賃問題よりは、どちらかというと輸送が不安定になったということによるんではないかと思っております。  それから、旅客の方は運賃が非常に大きく影響しておりますが、これはやはり五十一年に五割値上げという非常に大幅な値上げを一挙にやりました。これが一番影響しておるわけでございまして、その後多少減りぎみですけれども、その後はかなりいろいろ気を使いながらの改定をいたしておるわけでございまして、それは否定はいたしませんけれども、さほど大きな影響ではないというふうに考えております。
  114. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 やはり運賃値上げが、われわれ三年前言ったとおり、五割の大幅な値上げをすれば客離れ、国鉄離れをしますよということを裏書きしていると思います。  それから、今回ローカル線の問題が出てくるんで、赤字問題のやつをちょっとトータルにやってみますと、貨物関係を見てみました。貨物関係は昭和五十二年収入が三千七十二億、コストが八千八百六十一億、欠損金が五千七百八十九億、全体の欠損金に対して六九%、貨物の欠損金、赤字ですね。それから五十三年も見てみますと、収入が三千八十九、コストが九千百六十五、欠損金が六千七十六、全体の赤字に対するパーセンテージが七五%、貨物は七〇%前後赤字を占めている。  地方交通線を見てみますと、五十二年は収入が七百八十一億、コストが三千四百二十一億、欠損金が二千六百四十。政府助成の二百七十六億を見ますと、欠損が二千三百六十四億、オール赤字に対する欠損率が二八%。五十三年は、収入八百五十一、コスト三千七百十五、欠損金が二千八百六十四、政府助成が三百三十七で、政府助成を見ますと二千五百二十七億。全体に対して欠損率が三一%。大づかみに言って赤字の七〇%程度貨物であって、三〇%程度は地方線だ、こういうことが言えると思うんであります。  したがって、今回の特定交通線の問題についてはそれなりにわかるわけでありますが、しかし、三〇%よりも倍も赤字貨物問題をそのままにしておいて、ローカル線だけにメスを入れるのは片手落ちではないか。われわれは中央公聴会、あるいは私は仙台に行きましたが、仙台の公聴会でもこの地方ローカル線の沿線の皆さんから言われるのは、そういう幹線とか貨物赤字を手をつけないで、何で最も弱い過疎地帯のローカル線の線路を撤収することだけを考えるのか。弱い者に本当に温かい政治の手を伸べるというのは鈴木善幸、善い幸いの男、鈴木善幸ではなかったのか。最も弱いところを切るというのは一体善幸は何と言えばいいんだと、こういう酷評まで出たのであります。でありますから、ローカル線の問題を議論するためには、この貨物の六割に及ぶ赤字をどういうふうに処理し、展望をつくるのかということをやっぱり国民の前に明らかにしながら、あなた方も御協力くださいということをやらないとやはり片手落ちではないかと、こういうふうに私はなると思うんであります。  ところが、この五十二年の運賃緩和法のときにはずいぶん総裁も長々と説明されましたし、当時の田村運輸大臣説明されました。五十三年、五十四年、ちょっとそれは五十五年ごろまで準備期間にして、五十六年からはこういう経費も必ず収支が合うようにいたしますということも、これ声を大にして四つの公約の一つとして私は言ったことを記憶しているんです。これは桑名先生の質問に若干総裁から答弁があったんですが、もう少し突っ込んでどこをどうすることによってこの問題は直すんだということについて、総裁なり、あるいは鉄監局長の方の見解をこの貨物問題について聞かしてもらいたい。こう思うんですが、いかがですか。
  115. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) まず一つは、うちの経理をいろいろな断面から切って見まして旅客と貨物と分けますと、いまおっしゃったように貨物の方が非常に大きな赤字になっております。それから今度、幹線と地方交通線とという断面で切りますと、これは幹線の方が大きな赤字になっております。  そこで問題は、金額的に大きな問題は、幹線をどうやって収支バランスをするようにするか、それから貨物の収支をどうやってバランスをするかということを重ねてみますと、結局幹線で扱っております貨物のコストをどうやって下げるか、あるいは幹線で扱っております貨物収入をどうやって上げるかということが経営改善計画全体を仕組みます場合の非常に大きな要素になります。いまお示しになりましたように、ある時期には、五十五年までに貨物につきましては、全体の経費はだめですけれども、少なくとも貨物専属の個別経費貨物収入に見合うように何とかもっていこうということを計画をし、御説明申し上げたことはございます。その場合の内容は、一つはダイヤ改正あるいは駅集約等を行うことによりましてコストを減らすということであり、その具体的な方法としてはいわゆる53・10と55・10でそのうちの相当部分を実現をいたしたいというふうに考えまして、それを前提として御答弁申し上げたと思います。  で、53・10の結果はかなりいろんな面で経費の削減ができました。それから収入も御存じのように五十四年、五十五年は比較的成績がよろしい傾向になっておりますので、方向としてはお約束申し上げた線に乗っていると思います。ただ、残念ながら五十四年は決算は出ましたけれども、客貨別の分離した計算が出ておりませんので、数字をもって申し上げられないのは残念でございますけれども、かなり五十四年は少なくとも貨物の個別費と収入の関係に関する限りは改善の方向を見せておるものと考えております。  ただ、当時考えておりましたのは、でき得れば五十五年までに個別経費収入とのバランスということをできないものかということで申し上げていたわけでございますが、その後いろいろやっておりますけれども、まだ現在の段階ではそこまではなかなか行き着けないということで、今回のこの再建計画ではやや計画を変更いたしまして、六十年時点では確実に個別費と収入との対応ができるようにしたいというふうに考えております。具体的には、この前御説明しました当時には、貨物にだけ従事している職員の数、これは大体七万五千ぐらいでございまして、あと保線の人とかあるいは電気関係の人とか、いわゆる貨物があってもなくても必要な職員というものが必要でございます。それを貨物と旅客とに割り振ってある種の推定的な計算をいたしますと、やはり十万人を超える職員が貨物関係の仕事に従事していることになるわけでございますが、その全体の保線の職員や電気の職員というのは、仮に貨物があるなしにかかわらず必要な職員でございますから、したがいまして、貨物のコストを下げるにはまず貨物だけに従事している職員を減らすということが必要であるということで、まずその第一次を五十三年、五十五年にやってきたわけでございますが、大体それは55・10まででほぼ当初の計画の線に沿ったところで進んでおります。  ただ、うまくいきません最大の点は、貨物を扱っている駅数を千駅に減らすということをしたい。貨物の駅が減りますと、ヤードにおきます仕分けの作業がぐっと減ってまいりますし、それから列車のスピードが上がってまいりますからずっと能率が上がってくるわけでございますが、数年前に約千五百五十から千六百ぐらいありました駅数を千駅に減らしたいということでいろいろやっておりますが、これは地元には非常にデメリットもあるわけでございます。地域あるいは村の便利なところに駅があって、そこへ肥料が届けられる、あるいはそこから米やいろいろな農作物等が積み込まれるという場合、隣の駅まで持っていかなきゃならぬということになりますといろんな不便が伴ってまいりますので、どうしても地元方々からはそう簡単には賛成できないということで、何とか五十五年十月までに千駅体制をつくりたいと思いましたけれども、大体予定の五割五分から六割ぐらいの進行率でございまして、まだその方面のいわゆる能率化ができておりません。その辺ができませんとヤードの作業が一向に減りませんから、したがってヤードの方の職員の能率を上げることができないということでお約束をしたことが守られないでおります。  しかし、方向としましては、そういうことにすることによっていわば手待ち時間というようなものがずっと減ってまいりますので、そこでいわゆる労働過重とかいうことなしに相当能率のいい切りかえができると思っております。そこで、余り駅を一挙に外すということは貨物の場合についても問題はありますから、やはりいささか時間をかけてということにさしていただいて、そして少なくとも六十年までには貨物については全体として、これは幹線たると地交線たるとを問わず全体として個別経費をもって、個別経費を充つるに十分なる収入というところへ持っていけるんではないかというふうに思っております。  そこで、その場合にもう一つ非常に大きな問題は収入でございます。収入は四十五年をピークにしてどんどん下がってしまいました。一体どうなるかということで大変心配したわけでございますけれども、五十二年の夏から約二年余りの間は非常に順調にお客さんがふえてまいりました。かなりいい傾向で進んでまいりました。これならば収入の方もうまくいくかなというふうに考えておりましたが、実はことしの二月ぐらいから大宗的な荷物でありますところの石油とセメントと石灰石の扱い量が急激に減ってまいりました。今日ただいまは、昨年のいまごろと比べますと運んでおります量がひどく落ち込みまして、いま一割以上去年のいまごろよりは扱い量が減っております。したがって収入も減っております。これはしかし石油、セメント、石灰石の日本じゅうの荷動きが全部減っているわけでございますので、これはもう少し経済の回復を待たないといけないかなと思っております。さりとて手をこまねいて待っているわけにもいきませんので、その他の面、荷動きが停滞しているとはいうものの比較的私の方の扱い量が最近ふえつつありますところのコンテナ貨物を中心にしていま相当精力的な増送運動を展開をいたしております。  それやこれやしょっちゅういろんなファクターが変わりますからなかなか思うようにはなりませんけれども、貨物についての大変大きな赤字というものは十分いろいろな知恵を出すことによって克服できる限界であるかというふうに考えております。
  116. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 本当は貨物をもっとやりたいんですけれども、私が三分間質問して総裁が十分間答弁しているからね。まあ懇切丁寧な説明はありがたいんですが。  できるだけそういう貨物に対する、これは単に無人駅をつくるとか集約化するとかだけではどうなのかという気がするんですが、私も大分全国を歩きますが、ヤードを拡張、拡大するのはいいんでありますが、新しいヤードにちっとも滞留車がいない。入れかえする車両を見るとみんな空車ばっかりいっぱいおって、積み荷がないというのを私も専門家ですから汽車の窓から見ているんですが、必ずしもヤードの拡張と駅の廃止の問題がミックスしてないんじゃないかという気もしますから、さらにこれは検討を、日通の皆さん、通運の皆さんなども含めて解決方を要望だけしておきます。  ローカル線の問題で、幾つか先輩の皆さんからありましたから、一つ二つだけローカル線基準をつくる政令の関係、これはもうずうっと小笠原先生から始まって以来やりどおしなんですけれども、時間がありませんから省略して、どうですかな、これは本来衆議院でわが久保三郎先輩が言ったとおり、国民生活にきわめて大事な影響のあるものであるから、政令でやらないで法律としてきちっとしなさいということを再三要求されておりました。衆議院の方は時間切れで参議院の方に送ってこられていままで何回かやりとりされまして、この前青木同僚の質問に答えて、皆さんの意見をよく尊重して反映するために努力します、こうなっているんですが、どこで努力の確認をするかについてはまだお互いにペンディングになっておるんです。  私は、提案ですが、少なくとも国鉄問題小委員会というのをつくって、われわれがここ三、四年この運輸委員会でやったことを経験しております。ですからローカル線選定基準委員会でもつくって理事会か委員会にその場を移して野党与党の全体の調整、合意を得てやる、そのぐらいまでひとつこの際、前段の修正案から見れば一歩後退になるわけでありますが、少なくともこの国会の場で線区も含めてお互いに話し合いの場を持つ、合意の場を持つ。これはもう政治判断だね。鉄監局長はへたな答弁すると鉄監局長の首が飛ぶから、大臣は少々発言したって大大臣ですから、首飛ぶ心配ありませんから、大臣に、政令にかかわる問題について最後の政治判断を求めたいというのがもうこのローカル線の一点ですわ、いかがですか、大臣
  117. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御質問の趣旨でございますが、これがまた同時にこの法案の、仰せのように一番大事なところでもあるわけでございます。そこで、私たちは立法府でございます国会に対し、国鉄を再建いたします三つの柱のうち一つ、つまり地方交通線と特定地方交通線、こういう考え方を御理解していただいて、とりあえず特定地方交通線転換をやらしていただきたいという政治判断、政治的な決定というものを国会にお願いしております。それじゃ、その法案の中に具体的な線名をそれぞれ書いたらいいじゃないかとおっしゃいますけれども、法律のたてまえがそうなっておりませんで、この幹線というものを決めてそれ以外の営業線、こういうぐあいになっております。したがって、どうしてもこれやっぱり政令にゆだねさせていただきたい。  ただ、そこで私は大事だと思いますのは、政令をつくりますときには必ず国会で御意見が出ましたものをわれわれは十分参酌させていただきます。これはもう当然この議論を生かしていただくようにわれわれも考えていかなきゃならぬ、これをやらしていただかなきゃならぬ、そこでそれを取り入れるにいたしましても、私たちが提示いたしておりますこの基準というものこれをやっぱり崩すわけにいきませんで、そしてその運用等について考慮し得るもの、こうしていろいろ御議論いただきましたそういうようなものを十分に参考にさしていただきたい、こう思うておるのでございます。それと同時に、この政令が決まりましたならば、それを大体その決定時を受けまして皆さん方にこの委員会等に時期を得て提示させていただきたい、こう思うております。
  118. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 とにかく、大臣、いろんな歴史の経過があって、おたくの自民党総務会で、当該地方自治体の了解を得なければ廃止をしてはならないということを過去に満場一致で決定した歴史があるローカル線の問題なんですよ。おたくの法律のたてまえで、ここでどんなきれいごと言ってやったって、きょう現在全国でもう該当線区首長さん、県知事挙げて猛反対やっているじゃありませんか。猛反対やっているところにぼっとやって一体何ができるんですか、率直に言ってお伺いしますが。私もやせてもかれても大衆運動三十年やってきましたよ。国鉄ローカル線の廃止も何回か現職で扱ってきました、中央、地方。絶対できないですよ、そんな強権的な関係では。たった九つの営林署を廃止するのに中川農林大臣は、約半年間農林大臣仕事ができなかった。あんた方そんな強権的な考えを持ったら、運輸大臣国鉄総裁、仕事できませんよ。毎日毎日ほれ北海道堂垣内、それ——大臣大阪出身で新国際空港、関西空港どころじゃありませんよ、大臣こんにちは、こんにちはと言われたら。家までついてくる。  そんなことするよりも、わが党の修正案のように、ここは営業成績が悪くて国鉄が大変苦労しています、足は何とか政府考えますから皆さん相談してきていい知恵をかしてください。ががあんとげんこつでぶん殴ってこのやろうと言うより、まあまあまあまあと言って相談してくださいと。同じ道筋やるにその万がいいじゃありませんかということを私君っているんですよ。これは率直に言っておたくがどうしても強行するんなら、私は反対します。地域住民の私は闘いの先頭に立ちます。そういうことが片やローカル線で大変だ、片や貨物線でこれ大変だ、後から申し上げる三十五万人問題で、これ大変だ。貨物もローカルも国鉄職員の三十五万も、車へんがだんごになってけんかになったらこれどうなるんですか。そんなけんか腰やらないで、自民党絶対多数持ったって、まだまだ住民は強いんですから、話し合いで物事を決めていきましょう、そういう体制にした方がいいと思うんですがね、大臣。あなたは関西だからローカル線の苦しみ知らないんでしょうけれども、でも、ここはまだ時間はあるんですよ。  いや、そうは言っても法案を出してしまったから、その判断は総理大臣答弁に任すしかないと言うんなら、総理大臣に対する質疑の際にまたやりましょうか。たてまえ上引っ込めるわけにいかぬ、しかし、目黒委員の言うこともよくわかるなあ、総理大臣のところで、善幸さんが本当に善い幸いな男になるように善幸さんに頼もうか、このぐらいの幅がありませんかね。絶対だめですか。少し幅がありますか。総理大臣とよく相談してみる、このぐらいの問題にはなりませんかな。どうです、イエスかノーでいいです。
  119. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この法案を提出いたしますまでには、過去におきましてそういう経過がございまして、おっしゃるように自由民主党の総務会の了解を得なければ一線たりとも廃止できないというような決定があったことも過去において私は承知いたしております。そうでございますだけに、冷静にして納得していただける基準をつくって、その基準を中心にして判断をせざるを得ないということになったのでございます。  それと同時に、強権的にこれを実行しよう、私たちはそういう考え方は持っておるものではございません。いままでにも国鉄当局はたび重ねて地元の皆さん方にはこの特定地方交通線等につきましても説明もいたしておりますしいたしますので、何とぞ地元の御協力を得られるようにわれわれも全幅の努力をいたしたいと思うております。  なお、この法案は内閣におきまして閣議決定して提出いたしたものでございますが、しかし、内閣の最高の責任者でございます総理大臣に対しましてどうぞまた御意見のある、あるいは御質問の、あるいはその総理大臣の決意ということに対しまして諸先生方からお申し出があるということも、私は総理にお伝えはいたしておきます。
  120. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは北海道新聞の十一月二日の朝刊に出た新聞記事ですが、北海道の現地開発庁の皆さんが運輸省案を検討して、これではどうにもならぬ、少なくとも北海道の開発にはこれだけはぎりぎり必要だとしてつくった案なんです。これは百歩譲って、しかしこれだけは残してくれと、こういう案があるわけですが、北海道開発庁来てますか。これをちょっと説明してください、簡単でいいですから。
  121. 田中貞夫

    説明員田中貞夫君) お答え申し上げます。  目黒先生の御質問のような趣旨の御質問が先般当委員会でございました際にもお答え申し上げておるわけでございますけれども、先般の地方紙に出ました記事につきましては、私どもも見ておりますけれども、報道機関としての観測によるものではないかというふうに考えておりまして、御質問のございましたような開発庁の案といったようなものを持ち合わしておるわけではございません。もちろん私どもといたしましてもいろいろと勉強はいたしております。しかし、まだそこまでの具体的な一線一線の検討を進めているというふうな状況にはなっておりません。  しかしながら、いまも先生からの御指摘がございましたように、私どものところにも連日のように地元市町村、各方面からの数多い陳情、要請がございます。そういうような状況の中で、いま北海道新聞といいますか、地元紙が報道しておりますような幹線網のあり方といったようなこと、あるいはそういった考え方というようなことも含めまして、地元意見、意向といったものも十分聞きながら、北海道の総合開発に支障を及ぼさないように十分対処していきたいと、こういうふうに考えておりまして、今後とも整理案の協議といいますか、これが固められます段階におきまして、御案内のように北海道の開発鉄道が非常に大きな役割りを果たしてきております。その辺の事情をも十分くみまして、将来の展望等も含めまして協議を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  122. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 北海道開発庁からきわめて良心的ないまお答えがありましたが、私たちも北海道には運輸委員会として一回行きました。社会党として二回行きました。したがって北海道知事それから開発庁の関係者にはいろいろお会いして請願も受けておりますし、事情も聞いておるわけであります。したがって、私は時間がありませんからこの北海道の持つ特異性、それからオール九州の各県知事連合会、福岡県の亀井知事がオール九州の知事会の会長さんやっておるわけでありますが、この福岡県の亀井知事を先頭にオール九州としてももう一回知事の意見を聞いてほしい、北海道の場合もこういう新聞に載っておりますが、私は今回のローカル線問題はやっぱり北海道と北九州が何といっても緊急時の緊急時だと、こう考えておりますし、大臣が誠意を示すことについても、やっぱりこの運輸委員会の場において私は県知事から参考人として意見を聞き、それに対して大臣が所信表明をする、これはいろんな意味で今後のローカル線の取り扱いに行政の最も大事な北海道知事と福岡県知事、それから担当の大臣、そうして直接窓口になる国鉄総裁、この四人がこの一堂に会しておのおの見解を述べ合い、やはりお互いに了解、了解と言うと変になりますが、心の中でお互いに相手を理解し合うという点、非常に私は行政の上においても今後の運営の面にも大事な問題だなあということをつくづく感じます。  したがって、後ほど委員長にお願いいたしますが、多くの知事を呼びたいわけでありますが、この法案ではきわめて北海道知事と九州の福岡の亀井知事が大事なポイントを握っていると、このような気がいたしますので、ぜひ後ほど北海道知事と福岡県知事の参考人喚問について理事会で御検討願いたい、提案をしておきます。
  123. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 後ほど諮らしていただきます。
  124. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、よろしくお願いします。  それでは次に第三セクターの問題についてお願いしますが、第三セクターもありました。野岩線の問題についてお話ありまして、説明もありました。でも鉄監局長、この二枚の紙っこではね、これは二枚でしょう紙っこ、紙っこ二枚ではこれは国会議員に対する資料としてはお粗末じゃないですか。これは率直に言って私はこの二枚の紙っこを見た限りにおいては三億円の出資金で運営するというのは、私はどうしてもわかりません。  それからあなたがこの前どなただったかな、うちの広田委員ですか、広田委員に、いろいろ第三セクターの妙味と言いますかね、あれもやる、これもやると、そういう妙味の話がありましたが、私の生まれ故郷の宮城県で宮城交通というバス会社があります。その宮城交通は宮城県内ただ一つの専属の会社です、バス会社。あらゆる面に手を出しています。観光、不動産、ホテルからいろんな面、とにかく手のつけられるところは全部やっておりますが、それでも赤字でこの前宮城交通の問題で大変な御苦労をかけました。しかも名鉄という大手きっての名経営者が乗り込んできてもどうにもなりませんでした。  そういう経験を持つ私として、同じ東北で、栃木県からあの若松に通ずる観光資源もあると言いながら、観光資源なら気仙沼の方がよっぽど、三陸の北の方がよっぽどいい観光資源ですよ。どんなに逆立ちしたって、私はこの野岩線の第三セクターというのが意味がわからない。したがって、これは申請人の栃木県知事、この人に出てきてもらって三億円でやれるのかやれぬのか、これは大事な一つのポイントですよ。これが成功すれば運輸大臣の言うことが本当になるし、これがうまくいかなければどんなきれいごと言ったって第三セクターは先輩の皆さんが言ったとおり絵にかいたもちだと、こうなりますから、これもまた栃木県知事を喚問してから二つ、三つ大事な点を聞きたいと、こう思いますから、これは御足労でも第三セクターの問題は野岩線の栃木県知事の出席を求めてその折に質問したい、こう思いますから、これまた後ほど御相談願いたいと思います。いかがですか。
  125. 黒柳明

    委員長黒柳明君) はいわかりました。御相談いたします。
  126. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ありがとうございました。  それで、せっかく四時過ぎたから文部大臣と厚生大臣にお伺いしますがね。いま大事な国鉄審議をしているのですが、この国鉄にかかわる文部省と厚生省の公共負担について、閣議決定に従ってお互いに努力してもらう、努力しなければならない、こういうことになっておるわけでありますが、先ほどおたくの部下に聞いたら、ことしは予算要求もしないと、こういうことでありますが、時間もありませんから、やる気があったけれども事務的にできなかったのか、やる気はあるけれどもやったってむだだからやらなかったのか、きわめて簡単で結構ですから、いやそんなことを言ったって国鉄国鉄だから、親方日の丸と言われながら学割と厚生省の免除の問題は結局は国鉄赤字赤字と言いながら見るであろうという政治判断なのか、どういう諸理由でこの国鉄の公共負担割引問題について政治的な措置ができなかったのか。それを簡単に両大臣から、まあ片方大臣じゃありませんが、大臣を呼んだんですから、大臣じゃなければ大臣代行でありますから、大臣の責任においてやってください。御答弁願います。二人とも。
  127. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの先生の御質問に対しましてお答えいたしますが、国鉄の運賃上の公共負担につきましては、昨年末の閣議了解に従いまして、目下誠意を持って関係各省間で検討を続けておるところでございまして、早急に結論を得まして、その結論に応じた措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  128. 大石千八

    政府委員(大石千八君) 厚生省といたしましても、ただいま文部大臣が発言されましたと同様に、去年の閣議了解に基づきまして、誠意を持って早急に結論を出すという方向で、運輸省を初め各省とただいま協議中でございまして、予算措置に関しましても、その結論を待って出していきたいと、このように考えております。
  129. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 お二方とも、われわれは専門で、何回か運輸委員会あるいは社労でも若干私もやったと思っておりますが、大体その金額はわかっているわけですね。大体このくらいと。金額がわかっておって、私鉄とか国鉄のかかわりあいもわかっておるわけですよ。大体目安がわかっておって、さっき運輸大臣がああでもない、こうでもないと言いましたけれども、それは素人に言うことであって、われわれ専門家にはそんなこと通じませんよ。金がちゃんとわかっておって、問題点がわかっておって、いまだに整理できないというのはどういうことなんですか。整理したけれども、大蔵省がうんと言わなかったというんならわかりますよ。おたくの、文部省なり厚生省として予算要求もできないというのは、どこに問題点があるんですか。教えてください。
  130. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その間の経緯等につきましては、担当局長からお答えをいたしましょう。
  131. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) お尋ねの点につきましては、ただいま大臣からお答えしましたとおり、誠意を持って検討いたしておるわけでございまして、その結論を待ちまして、対応策を考えたいと、かように……
  132. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 金額幾らだ、金額幾ら。わかるだろう、金額ぐらい。
  133. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 金額につきましては、国鉄の主張によります額としては、五十五年度で六百三十七億と見込まれているというぐあいに考えております。
  134. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私鉄は、私鉄。
  135. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 私鉄の金額につきましては、ただいま私、手元に資料を持ち合わせておりません。
  136. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんな、事務官だか部長だか局長だか知らないけれども、学生というのは国鉄と私鉄を使っているんでしょう。あるいは公営交通機関の割引受けているんでしょう。それで、学生大体何名ぐらいで、どのくらいの金額というのがわからないんですか。わからぬということは、いわゆるやってないということなんですよ。やる気がないということなんだよ。  大臣、あなたに、文部大臣として、国鉄と私鉄と地下鉄ですな、公営鉄道、公営バス、それを利用しているのがわかっておって、国鉄の金額がわかって、私鉄はわかりませんということは何ですか、これは。事務怠慢じゃありませんか。国鉄も全部わかりませんというのならまだわかるよ。国鉄がわかって私鉄わかりませんというのは、これはどういうことなの。やる気がないということだよ。どうですか、大臣
  137. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 何分にも就任いたしましてからまだ日も浅いことでございますし、詳細なことは、私の手元にお答えするだけの資料もございません。よって、当局をして経過を申し上げます。
  138. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは文部省は、先ほど同僚の瀬谷先輩が言ったとおり、全々やる気がないということがはっきりしました。  じゃ、厚生省。金額幾らですか、身障者。
  139. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 身体障害者等の割引は、国鉄の場合約三十億と見込まれております。  なお、身体障害者につきましては、心身障害者対策基本法に基づきまして、私鉄あるいは航空会社、さらにはテレビ、ラジオ等の軽減もございます。そういうものを含めますると、約百億の台に上るのではなかろうか、このように考えております。
  140. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 百億台に上ったら、なぜそれを大蔵省に要求しないの。田村運輸大臣は、各省で見直して、各政策のもので予算化して負担しますと、こう言っているのですから、それだけおたくさんが事務的に該当する金額がわかっておったならば、それを厚生省予算として、これは国鉄の公共負担分ですということを一項起こして、なぜ大蔵省に予算要求できないのですか。それに対して説明してください。それだけわかっておって……。
  141. 板山賢治

    説明員(板山賢治君) 心身障害者に対しまする福祉対策は厚生省予算でのみ対応し得るものではないと私どもは考えます。国鉄の財政再建大変に重要でありますが、そういう中で、心身障害者対策基本法にありますように、国民各層がこれに協力をする。その応分の努力一つのシンボルとして、国鉄運賃割引というのは長い歴史を持っているわけでございまして、先ほど運輸省からもお話がありましたように、そのありようについては慎重に関係者が協議をして、その対応を考えるべきではなかろうかということで、ただいま政務次官からもお答えをいたしましたように、関係者は相寄りまして、研究、検討をいたしておるところでございます。
  142. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 議論する余地はありませんがね。厚生政務次官、片方国鉄職員七万五千人、家族を含めると三十万に及ぶでしょう。そういう方々の生活権が奪われようとしている、この法律で。片や北海道とか炭鉱地帯とか、非常に過疎地帯の特定ローカル線の足が奪われようとしている。それは、身体障害者の問題については、私も社労をやっているからわかる。しかし、お互いに置かれている立場は大変な段階で、どうしようかという段階において、国家的判断と言ったら、いまこそ国家的判断じゃないですか。国鉄がいま立つかつぶれるかという、その段階でやっぱり踏み切らざるを得ないというのは、厚生省の政治判断誤っている。やはり五十六年度にこの際きちっと大蔵省に要求して、大蔵省がどういう料理をするかは、大蔵省の判断なり閣僚会議に任せるとして、それだけ金額わかっているのですから、わかっていれば、厚生省としてはやっぱり国鉄再建のために大蔵省に要求をして、大蔵省の判断を仰ぐ、そういう前向きの姿勢がとれると、こう思うのですが、次官の見解を聞かしてもらいたい。ぜひとってほしい、こう思うのですが、いかがですか。
  143. 大石千八

    政府委員(大石千八君) 目黒先生おっしゃるそういう重要な問題点も十分認識をさせていただいた上で、誠意を持って関係各省と折衝していきたいと、このように考えます。
  144. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ぜひ物わかりのいい大臣だから、よく言ってください。われわれも協力するときは協力しますから。  そうすると、文部大臣、あなたが一番大変。あなたのかわいい子供さんたちが、ローカル線で一番足を切られるのですよ。本当にもう少し政治的に——あなたが任期が浅いのは、これは自民党内閣の責任であるから、われわれのせいではないのですよ。長かろうが短かろうが、そんなこと、向こうに言ってください。文部省も思い切って、やっぱりこの際、せめて厚生省と同じ態度をとるし、また、ローカル線の問題については、学生の足の確保について、やっぱり文部大臣として、せっかく来たからではありませんが、ローカル線の足の確保についても文部大臣の見解を聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  145. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) もちろん御指摘の問題につきましては、各省庁間で鋭意すり合わせをいたしつつあるわけでございまして、私が申しましたのは、局長が中央の問題を申しましたが、ローカル線に至りますまでいまここに資料を持ち合わせてないというようなことに対しまして、私といたしましては督励をいたしまして、今後速やかに措置がとれますように鋭意努力をいたします。
  146. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 にわかではありましたから努力を要請して、両大臣御苦労さんでした。よろしく五十六年度予算ではぜひ実るように努力方を要請いたしまして、両大臣御苦労さん、終わります。  次は、運輸大臣国鉄総裁ね、この三十五万人体制の三十五万人の根拠につきましてはもう同僚の皆さんからいろいろありましたから、私は重複を避けます。ただ、大臣と総裁ね、この三十五万人は人件費の五〇%だということから逆算した数字だということはわかるんです。わかるんですが、三十五万人体制になって、昭和六十年になってまあ貨物も幾らかは横ばいしながら伸びていく、旅客もまあ横ばいしながら伸びていく、東北新幹線、上越新幹線がやると。こういうことを考えますと、一体その六十年段階における国鉄の各縦、横における仕事の流れといいますか、システムといいますか、青写真といいますか、これは持っているんですか。三十五万人で国鉄を動かすという際にどういうかっこうになるのか、私もなかなか自信がないんですよ。  たとえばおたくさんが言っている東北新幹線の運転士を二人を一人にするとか、車掌四人乗っているからこれを二人にするとか、あるいはいろんな駅の仕事を機械化、合理化して人手を省くとか、あるいはいま国労、動労に提案している検修の合理化の問題、あるいはこの前小笠原貞子先生が言ったいわゆる電力、通信の保守の問題、考えられることはいろいろあるんですが、仮にそれをやるにしても、総裁が再三答弁している、いわゆる三百六十五日、四十八時間びた一秒とまらないでやっているという仕事の特質、安全は絶対に他には任せないと、安全は守りますという問題、その幾つかの要点を組み合わせた際に三十五万人で果たしてやれるんだろうか。瀬谷先輩が言ったような東京、大阪におけるいわゆる通勤、通学の緩和の方法、これ考えますとどうしても私は自信がないんです、私自身は。  ですからきょうは、本来はこの法案というのは、そういう組合側にはまだ同意は得られないが、理事者側としては、こういう青写真とこういうビジョンでやりたいと思いますが、いまから労働組合と十分に話ししますという、青写真とビジョンと仕事の形態の一部改定といいますか、流れといいますか、そういうものを全体を出して御審議願いたいというのが筋道じゃないですか。いまから検討します、いまから作業をしますではちょっと順序が逆じゃないかと。もちろん私も組合の委員長やっていましたから組合関係はわかります。組合関係は否定いたしませんが、少なくともこういう青写真で消化したいと思いますというぐらいはなぜできなかったのか。先日来、作業中だ作業中だと言いますが、その作業は大体一歩下がって一年なら一年ぐらいの範囲内には縦、横の青写真をつくって組合側と本格的な交渉に入ると、そういう心づもりとか線の引き方がそうなっているのか。もう時間がありませんから、その辺の大体枠組みと取り組みのプログラムぐらいひとつ輪郭として教えてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  147. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 三十五万体制につきましてはしばしば総裁からも御答弁申し上げておりますが、一つの目標値として定めました。ただ、これも単に絵にかいたもちではもちろんないわけでございまして、昨年の七月以来、私どもそれぞれの部署におきまして、中央、地方それぞれの部署におきまして、大前提といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたように、安全を確保するということでございますし、また、輸送量につきましても地域によって多少でこぼこはございます。大都市のように今後増の見込まれるところ、あるいは横ばいであろうと見込まれるところ、あるいはまた若干将来も先細りになるかという地域もございますが、それぞれ業務の内容、地域によりましていろいろ区々でございますけれども、総体としては現状を若干上回るというふうな輸送量、それから、まあくどいようでございますが安全ということを前提にいたしまして、それぞれの部署においてそういう前提のもとに、どうやって要員を三十五万ということでその仕事を組み立てていくかという研究を鋭意続けておるわけでございまして、それぞれ電気は電気、営業営業施設施設、またそれぞれの局におきましても、そのような研究をずっといたしておりまして、かなりそれがまとまりつつあるわけでございますけれども、それを総合いたしまして、まあ私ども手元でそれぞれの研究結果、これでよろしいと、これで十分だというところまでまだ行っておらないというのが現状でございまして、したがいまして、先般来しばしば各委員から仰せございますけれども、まだここで完全にこういう青写真というところまで申し上げる段階に至っておらないわけでございます。  それなら、一体いつまでにつくるのか、一年かかるのかと、こういう仰せでございますが、もちろんこの体制そのもの、六十年はもう間近でございますので、私どもといたしましては、少なくも年度内には、もちろんこれは近間、六十年近い時点におきましては、若干精粗の差はございますけれども、大体の六十年に至る全貌を組合にも提示いたしたいというふうなことでいろいろ作業をいたしておるという状況でございます。
  148. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 もうこれは、私は時間があれば、運転、営業、電気、施設、総務と、系統別に全部一通り聞きたいと思っておったんだけれども、とんでもないプラスアルファが入ったものだから……。まあしかし、そうは言われても、いま言った答弁では青写真がないんだから、ないと言っちゃ語弊がありますが、固まっていないから、労働組合の提案との関係もあってなかなか大変だと、こう思うんですが、これはできるだけ早い機会に本委員会にも提案してもらいたい、骨格を。それで、組合とも団体交渉しながら、あるいは国会が休会中といえどもやっぱり継続審議をしていく大事な問題だと。私は三十五万人の形態の問題と、さっき大臣が言った政令の線区の問題、この二つの問題はやっぱり閉会中もずうっと継続審議しながら、やっぱりわれわれと連携をとりながらやっていく筋合いのものだなと、こんなふうに個人的には考えているんです。したがって、そういう際に、案が固まって組合に提案したならば、やはりその輪郭や問題点はわれわれの委員会に提案するという、そういうまあ手続と言っては変でありますが、そういうことで、この問題はそれ以上やっていても仕方がありませんから、そういうことを要望しておきます。  ただ、私は一つだけこの三十五万人でお願いしたいのは、総裁がしばしば言っているとおり、生首は切らない、生首は切らない、毎年の退職者に対する新規採用の補充の際にこれを調整するんだと。生首は切らない、これは確認できますか。
  149. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) そのとおりでございます。
  150. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その際に、退職して、やめて、新採用を調整するんですから、仕事の内容の密度が高くなったりよけいな仕事が多くなってくると、その際には吉井常務が言ったとおり、安全の問題と労働条件の緩和ということを常に頭に置いて労働組合側とケース・バイ・ケースで話を進めていくと、そういうこともいいですな。
  151. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 安全の問題はもちろんそのとおりでございます。また、労働条件につきましても、もちろん十分に話し合ってまいりますけれども、やはり三十五万体制の内容といたしましては、機械の導入あるいは仕事のシステムチェンジというふうなこととあわせまして、やはり実働時間の充実というふうなこともこれから図ってまいらなければいけませんので、個々の現象につきましては十分労使で話し合ってまいりたいというふうに思います。
  152. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その際に私要望しておるんですが、いろいろ本委員会始まってから労使関係の問題がありまして、ある政党の皆さんからいろいろありました。私もじっとがまんして聞いておりました。しかし、私から言わしめれば、現実の結果論だけ、現象面だけ追及して、そのよって来る原因はどこにあったのか、それを全部忘れたのか、故意に触れないのか知りませんが、やはり磯崎総裁が私に対して、当時動労の目黒委員長に対して謝罪文を書いて、同町に国労の中川委員長についても謝罪文を書いて、総裁が引責辞職をする、労務担当が引責辞職をする、その上に立って国鉄の再建をやっていこうというところに握手をして歩み寄ってきて、お互いにがんばっていると、その経過というのをぜひ忘れないでほしい。  その過程においてやはりでこぼこがありますから、たまには飛び抜けたりあるいは至らない点があったかもしれません。しかし、お互いに国鉄を再建しよう、国鉄の事故を起こさないようにお互いに戒め合おう、がんばっていこうと、そういう気持ちは私はある政党の方が否定する以上に、国鉄の大多数を抱えておる国労、動労の組合は、肝に銘じて私はやっておるものだと、このように考えますので、労使問題を論ずるときには、そのよって来る原因、問題点、そして現状のお互いの認識ということを忘れないで取り組んでほしい。これを私は総裁と運輸大臣に特に見解を求めて、そして三十五万人体制は石田運輸大臣が言ったとおり、上から押しつけるのではなくて出発点からお互いに積み重ねていく、そこに対話と調和とお互いの研究心が燃えてよりよいものになっていくというやっぱりマル生に対する石田運輸大臣の本委員会における反省と問題点を確実に実行してもらいたい。そういう上に立って努力してもらいたいということを三十五万人体制にかかわる問題点として私は提起をして、大臣と総裁の見解を聞いておきたい、このように考えます。
  153. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ただいまるるお触れになりましたように、国鉄も公共企業体になりましてから三十年の間にいろいろの歴史があったわけでございまして、それはいろんな意味で多くの思い出と体験とを生んできたわけでございまして、それはそれなりに非常に貴重なものだと私どもは考えております。その結果、今回の考え方としては、あらゆる問題について労使が本当に理解し合った上で取り組んでいくということが必要であると考えておりますし、また過去におけるいろいろの問題も十分おなかの中に置いてやっていくべきものだというふうに考えておりますので、またいろんな機会にお教えいただきたいということもあろうかと思いますが、決して過去に起こしましたような何といいますか、残念な思い出というようなことにまた戻りませんようにしつつ進めてまいりたいというふうに考えます。
  154. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、大臣に就任いたしましてすぐに国鉄総裁と話し合ったのでございますが、そのときに申しましたのは、いずれの企業を見ましても、団体を見ましても、労使が相提携しなければその企業発展はない。逆に労使相逆うておったならばこれはその終末の処理というものはますます高くつくものだと私は思うておるのでございまして、いまもその気持ちは変わらぬのでございます。でございますから、国鉄が公社になって三十数年になりますが、そのいろんな体験というものを、これをやはりこれからの再建の中に教訓として生かしていくべきだということは当然でございますし、また同時に、国鉄が破局的な危機にあるときでございますから、労使がこの際お互いに意識を転換し、過去の経験の上に新しい時代を迎えるその自信を持って進んでもらいたいということを念願いたす次第であります。
  155. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それはぜひ守ってほしいと思います。  ただ、私はこの法律を読んでおって、国鉄職員の退職金とか共済年金の問題についてはいろいろありましてね、現在大蔵省の何とか研究会ですか、しかしそれは政府側の対応としてはわからないわけじゃありませんが、この法案を見ていきますと、第二十条に特定債務整理特別勘定、こういう勘定のやつがちょっと芽を出しておるんですが、しかし国鉄職員の退職金と共済年金は絶対に保障いたしますよというその条文といいますか、関係令といいますか、どこを見てもないんですね、これは。仮にいま大蔵省の諮問機関、研究会ですか、何といいますかな、鉄監局長が再三再四本委員会で解明しておる、何とか研究会。その何とか研究会でだめだ、半分だと、仮に、簡単に言えば。国鉄は金がないから半分だ、そういうことになったと仮定すると、片や七万五千人の整理をして退職金と共済年金が払えない。成熟度自体についてももう六十年度になると一〇〇から一一四になる、六十二、三年度になると一二〇から一三〇と。そうなりますとこれは大変なことになってしまう。だから私は、国鉄に対して、再建のいろんな問題あるにしても、やっぱり退職手当と共済年金だけはいままで確立した期待権でありますから、いかなる理由があろうともそれは個人の権利として保障するんだという点を条文のどこかに挿入しないとこの法律は片手落ちだというような気がいたします。いろんな理由が五つ、六つ並べてありますが、時間が来ましたから言いませんが、その保障のない法律であるということを明確にしながら、その保障するための措置をどうするのかという点を法律を中心に取り扱いなり取り組みなどについてお答え願いたい、こう思うのですが、いかがですか。
  156. 山地進

    政府委員(山地進君) まず退職金の方でございますけれども、これは閣議了解に、「一定の基準を超える退職手当の支払に要する経費に係る補給金の制度を継続する。」、こういうふうに書いてございます。これは閣議了解でお約束したことでございますので、法文に匹敵するほど重要である、かように考えております。  それから、もう一つの共済年金の方でございますけれども、先生の御指摘のように、現在これこそまた非常に国民的な課題の一つでございます年金問題、非常に根の深い問題でございますので、現在大蔵省を中心にいたしまして検討さしていただいておりますけれども、権限といいますか、その制度そのものといたしましては共済組合法があるわけでございまして、この法律の改正がなければいかなる制度といえども現出してこない。つまり法律制度としては固定しているわけでございます。むしろ内容的に一体組合員の掛金がどうなるのかと、これは青木先生にお答えしたとおり、共済組合の収支策定計画審議会、これで現在組合員の掛金についても御検討いただくわけでございますので、こちらの御審議の際に十分国鉄当局としても述べる機会があろうかと思うわけでございますし、片方では、この共済組合の存続を図るために国鉄の負担というものがどうあるべきかという国鉄財政の問題といたしましてもわれわれとしても真剣に取り組んでいくということでございますので、これまた制度的には私としては確立されていると思いますので、本法律に書くことは要らないのではないだろうかと、かように考えているわけでございます。
  157. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いまの答弁だけではまだ私納得できませんし、さらに委員会終わったらもう少し事務的に局長と詰めてみたいと思っています、心配なことですから。  最後に、新国際空港の公団と鉄建公団の参考人出席をお願いしてありますが、成田国際空港の公団総裁には、きのうきょうあたり見ると、燃料輸送の問題について関係町村ですか、十カ町村合意に達したという新聞が出ているんですが、二つだけお願いします。  一つは、関係町村に話をしたのは結構なんですが、肝心かなめの国鉄の労使に対しては一体どういうことになっているのか、これが一つ。それから、これはまだ原文を見てませんが新聞の報ずるところによると、成田−東京間の通勤線であるとかあるいは成田駅前の開発に関する国鉄用地をただでもらうとか、そういう国鉄にかかわり合いのあるものが幾つか出てくるわけなんですよ。この国鉄にかかわり合いのある問題と現在議論されておる国鉄再建法のかかわり合いはどうなのか、この点がどうしても私はやっぱり気にかかりますんで、きょうはこの関係を、おたくの見解だけ聞いて、あと不十分な点があれば来てもらいまして事務的に詰めます。  この二つがどうしてもきょう引っかかりました。  それから、鉄建公団、この前上越新幹線の話が出ましたが、上越新幹線が出れば五十七年三月開通しますと、これはただで貸すんですか、お金取るんですか。まあ、端的に聞きたいと思うんです。それから、青函トンネルはいま掘っておりますが、この前総裁は貸し料年間五百億だと、こう話をされましたが、五百億の貸し料というのは運転の保安設備を含めて、複線、電化一切合財整備をした上での五百億の借料なのか、いや、線路とトンネルだけ貸して、後の保安その他については国鉄側が全部設備をすることなのか。この国鉄側の運転、保安の関係に対する問題があるものですから。運転、保安の問題はきょう時間がありませんから、質問いたしません。設備について、全部運転の保安に対しても鉄建公団が責任を持った上で国鉄側に貸し付けるのかどうか、その辺のことを鉄建公団に今後の問題もありますから、聞かしてもらいたい。  以上二点。参考人済みません。遅くなりまして申しわけありませんが、この点だけちょっと今後の問題もありますので、ここの議事録に残るように聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  158. 中村大造

    参考人中村大造君) 成田空港の燃料輸送につきましては、政府を初め皆様方に大変な御心配をおかけいたしておりまして、公団といたしましても、大変恐縮に存じておる次第でございます。  御承知のように、去る七月に現在工事中のパイプライン工事が来年の三月までにとうてい完成できないということが判明いたしましたので、その旨を政府に御報告申し上げまして、現在お願いいたしておりますいわゆる鉄道による暫定輸送を改めてまたお願いを申し上げなければならないということをお願いしたわけでございます。で、公団といたしましては、現在まで沿線の十二の市町、それから両県の執行部並びに議会に対しまして暫定輸送の延長方についてお願いを申し上げておりまして、ぜひとも御理解を賜りたいというふうにお願いしているわけでございます。で、本日ただいまの状況でございますけれども、実はまた大変な御理解をちょうだいいたしまして、大方のところについては大体われわれのお願いを御理解いただける段階にきておるのではないか、近づきつつあるのではないかというふうに感じております。ただ、正式にその延長についての御回答を政府に対していただくという段階にはまだ立ち至っておりません。  そのような状況でございまして、私どもといたしましては、暫定輸送を引き受けていただいております国鉄その他の輸送機関に対しましては、パイプラインの工事の進捗状況並びに暫定輸送についての沿線の反応等につきましては随時御説明を申し上げておりますけれども、暫定輸送というものがそもそも開始いたしますときの経緯から考えましても、まず地元のそのような御理解を得ることが先決であるということで、したがいまして輸送機関に対しましては、まだ正式に暫定輸送の延長をお願いいたしていない次第でございます。しかし、いずれ近いうちにそのようなことができる事態になりますれば、われわれとしてはぜひそのことを誠意をもってお願いを申し上げたいと思っております。  それから、第二点の地元のいろいろな要望でございますけれども、この点につきましても先ほど申し上げましたように、まだ正式の御回答をいただいておりませんので、したがってそれについてのどのような御要望があるかということも正式には承っておりません。  ただ、いままでの経緯から考えますと、空港の開港に際して、あるいは暫定輸送を開始するについて地元からいろいろ要望がありましたことにつきましてお約束をしたこと、あるいはお約束はしてないけれども御要望があったことということについてはこの際整理をいたしまして、それについてその促進方について強い要望があるというふうに承っておりますけれども、これはまだ正式にそのようなことを承っていない段階でございます。  以上でございます。
  159. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総裁、財政再建の関係は。
  160. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いまの御答弁にございますように、まだ公式には話聞いておりません。しかし、この前のときにもいろいろ駅をこうしろとか、ダイヤをこうしろとかいうお話がありました。私どもとしては、こういう事態のときに、こういう財政事情のときにさらにいろいろ関係市町村から御注文をいただきましても、一々とても全部をわかりましたと言うことはできないわけでございます。そもそも燃料輸送だけでいろんな意味で大変負担になっております。必ずしも金銭的な負担ではないものもありますけど、いずれにしても相当負担になっておりますので、その上にいろいろ御注文をいただきましても処理し得ないものはあるわけでございます。  ただ、もともとたとえば駅舎が大分古くなった、あるいは駅舎設備が最近のお客さんの量からいうと不十分であるというようなことで、本来であればあと二、三年後にでも私の方の負担で私どもで処理しなきゃならぬかなというものについて、少し早目にやってくれないかというふうな話もあるわけでございまして、そうしたものについては、関係市町村でもこの問題で非常に何といいますか、骨を折っておられるということもありますので、それを私どもはお受けすることによって結果的にそうでない場合と比べて負担がふえるものについてはお断りしておりますけれども、一年早くどうせ建て直さなきゃいけないものを建て直すというようなことについては、ある程度弾力的に処理をしておるわけでございまして、これらの点につきまして、幾つかの市町村から現に運輸省なり公団なりに御要望が出ておるようでございますので、それらについては具体的に問題が決まりましたときに御相談をしてまいりたいというふうに考えております。  したがって、この問題とこの財政再建との関連ということについては、直接たとえば何億円なり何十億円なりの負担がふえるということで特別の措置をとるというかお願いをするということはいまのところは考えていないという現状でございます。
  161. 吉村恒

    参考人吉村恒君) 上越新幹線についての御質問にお答えを申し上げます。  上越新幹線は、開業国鉄に貸付料を御負担をいただくことになっております。貸付料は原則といたしまして公団が建設に要しました総資金を三十年元利均等償還する方式で算出いたしました金額、それから昨年受けております政府からの助成の金額を引きましたもの、これをいただくことになるわけでございますが、これによりますと、貸し付け当初、開業当初年額約一千億円、それから工事費補助金が十年間で切れますので、これが切れてまいります時代によりましてだんだん貸付料が高くなりまして、最終期には約千六百億円というふうに現行ルールでは算出されております。
  162. 濱建介

    参考人(濱建介君) 青函トンネルについてお答えいたします。  青函トンネルの貸付料五百億ないし六百億円と申しますのは、ただいま申しましたように建設に要しました総資金を仮に三十年間元利均等で償還したときの計算でございます。この総資金の中には路盤工事のほかに開業設備に必要な建物とか、停車場工作物あるいは電灯電力設備、それに信号保安設備あるいは既存の線と結ぶ連絡設備、こういったものを全部含んでる工事費について勘定してございます。ですから、普通のいままで既開業いたしました国鉄新線と同様な形で運転可能な状況下での貸付料でございます。
  163. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうしますと、トンネルの保安上の問題点については、国鉄ではなくておたくの方が、保安論争をやる際にはおたくが窓口になるわけですな。
  164. 濱建介

    参考人(濱建介君) お答えいたします。  私の方でいま公団の内部で輸送設備委員会というものをつくりまして、その中でいろいろ保安設備あるいはその他設備を検討しております。もちろん、検討する段階において国鉄の担当者と十分連絡をしてむしろユーザーの方の意見をいろいろお聞きして設備を十分つくっていこう、こういう段階で検討しております。
  165. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 おたくが窓口になるわけね、それ確認していいな。
  166. 濱建介

    参考人(濱建介君) はい。
  167. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いまの目黒委員の質問に関連をいたしまして若干質問をいたしたいと思うんでありますけれども、閣議了解事項で運賃上の国鉄の公共負担ですね、国鉄の公共負担はそれぞれの政策実行部門が負担をする、要するにその問題、閣議了解事項についての答弁が文部省と厚生省からあったわけだけれども、答えとしては誠意を持って早急に結論を出すようにと、こういう非常にまあ体裁のいい答弁だけれども、これは今回衆議院で審議をされた際に、衆議院運輸委員会における提言というのがございまして、その中で国鉄経営改善方策についての提言、五十五年十月三十一日でありますが、その中でも「運賃上の公共割引は、それぞれの政策実行部門の負担とするよう速やかに措置すべきである。」こういうのがあります。  さらにこれと全く同趣旨の附帯決議というのは五十一年十一月四日の第七十八国会参議院の運輸委員会で行われているわけなんです。つまり四年前から言われていることが今日に至るも実行されていないということがはっきりしたんですね。で、その誠意を持って早急にというのは四年たっても五年たっても何もしないということではないです。これはずいぶん考えようによると甘えている。甘えているというか全然もう歯牙にもかけていないというふうに受けとれるわけなんです。果たして誠意を持って早急に結論を出すといっても信用できるかどうかわからないですな、これは。信用できなかったらじゃどうするか。早急に結論を出す、出された結論はノーだった、御免こうむると、こういう結論だったら一体どうするつもりなんでしょうか。その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  168. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど文部大臣なりあるいは厚生政務次官が答えましたように、内閣としてもこの公共負担の負担の仕方等につきまして鋭意研究しておる最中でございますが、私は必ず何らかの結論が出てくるものと思いますし、それに対する予算措置もとられると思うております。といってこれいつまでもというわけにもいかぬと思いますので、五十六年度予算のときにはこれは決着がつかないと思うのでございますが、五十七年度予算のあたりまでには結論を出すように日切りをひとつつけてみたいと思うております。それは一度関係各省と相談した上で決めていきたいと思うております。
  169. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先ほどの文部省あるいは厚生省の答弁を聞く限りにおいては、全く当てにならないという感じがしたわけであります。  そこで、今度は自治省の関係でちょっとお伺いしたいと思うんでありますが、自治省でも、この間の質問で私ちょっと申し上げましたけれども、運輸省と自治省の統一見解の中で、「第三セクターによる鉄道輸送への転換については、現状から見て、第三セクターにより経営する場合でも赤字が生ずるおそれがあるので、地方公共団体が第三セクターに参加することについては、その財政負担を慎重に検討した上対処しなければならない。」、言ってみれば財政負担をするような場合には第三セクターへの参加も避けなさいと言わんばかりの内容なんです。そこで、この地方赤字ローカル線の問題は、いままでの経緯から考えてみて、だれがやってもこれは赤字を覚悟しなければならないという性格のものであると思われるし、そうなると第三セクターがやろうとどこがやろうと、どっちみちどこかが赤字を応分に引き受けなければできないことになると思うんですが、自治省とすれば一体地方自治体に対してこのような赤字の問題をどう処理させるつもりなのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  170. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) 第三セクターによりまして特定地交線の経営を引き受けました場合に、それが赤字のおそれがある、その赤字が地方団体に転嫁されるおそれがあるということで、自治省としては大変に心配しているわけでございます。ところが、一般的に申しまして、いわば特定の地域におきまして経常的に発生する赤字について、たとえば地方交付税等で財源措置ができるかといいますと、これはやはり地方交付税というのは地方団体共通の財源という考え方がございますので、それをもって半恒久的に補てんするということはやはり地方交付税にはなじまぬのではないか、こういう感じがするわけでございます。ところで、現在の地方財政にはたとえば国鉄の現在の地交線の赤字を肩がわりするような財源というのは付与されていないわけでございます。しかもなお、現在の地方財政というのは大変な赤字であるというのは御承知のとおりでございます。  そこで、何らかの財源措置がない限りは、やはりこれについて自治省として財源措置はできるかといいますと、やはり、否定的な回答しか出てこないわけでございます。端的に申し上げますと、仮に地方にその財源を付与するということになりますならば、それはまあできないわけではないかもしれませんが、そうなりました場合には、やはりその地交線の赤字に対しては国が直接やる方が現在の事務配分にとって筋であろうと、こういう感じがするわけでございますので、自治省としては第三セクターについて、地方団体が財源見通しに慎重な配慮が望まれる、こういうことを申し上げているわけでございます。
  171. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国が直接というふうに言われますけれども、先ほど文部大臣も厚生大臣の代理も、ともかく附帯決議があろうが閣議了解事項があろうが、衆議院の提言があろうが、ともかく御免こうむると、こういうふうな態度なんですよね。御免こうむるということは、どこかでだれかがしょわなきゃならぬということになる。つまり国鉄の公的割引に対して国がということになると、これは文教関係でいうなら文部省が、厚生関係でいうなら厚生省がということになる。それがみんないやだということになって、そのために地方ローカル線というのが国鉄からは切り離される、国鉄は免責をしてもらいたい、国鉄の責任を免除してほしいというのが今回法案を提案された中で言われているんです。  国鉄がその責任を免除してもらいたいということになりますと、国鉄から切り離される。切り離されたものはどこへいくかというと、地方自治体にいく。その地方自治体でどう処理されるかという場合に、もし赤字が生ずるようだったら御免こうむるということになると、地方ローカル線に対しては地方自治体とすれば一体どのように対処するということになるのか、その辺は自治省としてはどのように考えておられるのか、その点を再度お伺いしたいと思うんです。
  172. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) ただいま申し上げましたのは第三セクターの経営自体の問題でございます。地方行政としては、たとえば教育行政なりあるいは福祉行政なりというものを当然担当しているわけでございまして、それに乗るようなものについては、これは今後のお話し合いということになろうかと思いますが、本当の気持ちを申し上げますならば、やはりなるべく負担のかからないようにしてほしい。現在の財政の状況から見て、地方団体にこれ以上の財政負担を生じさせることは、これはできるならば勘弁してほしいというのが率直な気持ちでございます。
  173. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 勘弁してもらいたいということは、じゃその分はだれに負担をしてもらいたいということなんでしょうか、具体的に。
  174. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) できるならば国に負担していただきたいということでございます。
  175. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 さっき、だから言ったんですよね、文部省もあるいは厚生省も御免こうむると。この法案国鉄の責任を免除してもらいたい。こういうことになると、つまるところは地方自治体の方にみんな行っちまうわけですよ。どういうことになるんですか。どこもかしこもみんな勘弁してくれと。赤字だけ残るわけにいかないですからね。その場合、じゃ地方自治体とすればもう一切引き受けないということになるのか。どういうことになると思いますか。  国にといいますけれども、国の方は勘弁してくれというかっこうになっているんですよ、いまのところ。文部省なり厚生省なりそれぞれの部門において約束をするということになっていませんよ。もっとも、早急に誠意をもってと、こう言いましたけれども、誠意をもってといったって、四年前の附帯決議がちっとも実行されてないんですから、誠意をもって早急にというのは四年も五年も知らぬ顔するということじゃないと思うんです。ところが、現実には四年も五年も知らぬ顔しているんですよ。こういうのは誠意をもってとか、早急にという言葉には本当は当てはまらないんです。こういう事実をもってしても、国にというのは当てにならないということがはっきりしたわけでしょう。  そうすると地方自治体でということになるんじゃないですか。地方自治体も御免こうむるということになると、一体どういうことになると思うんですか。そんなことは考えていないと、とにかく自治省としては御免こうむるというだけだと、こういうことなんでしょうか。
  176. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) これは、現在の国の財政も大変困難な状況にあるということは私ども承知しているわけでございますが、同様に地方財政も大変な状況にあるわけでございます。毎年相当額の財源不足額が生じまして、それを埋めるために地方債なりあるいは交付税特会の借入金なりというかっこうでどうやらしのいでいるのが実情でございます。  そういう意味で、先ほどから申し上げておりましたように、ほうっておきますと自動的に地方団体の負担になってしまうではないかという御指摘でございますけれども、私どもとしては、なるべくそういうことのないようにこれはしていただきたいということを先ほどから申し上げているわけでございまして、ひとつその辺は十分御理解をいただきたいと思うところなんでございます。もちろん先ほども申し上げましたように、地方団体がいろいろな各種の福祉行政なり何なりというものをやっておりまして、その制度に乗るものについて、これ全部国の方でと言うつもりもありませんし、地方団体として協力し得るものについては協力することはやぶさかではないというふうに考えているわけでございます。
  177. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この法案は、国鉄の責任を免除してもらいたいという意味で地方ローカル線についてはいろいろな方法を講じて、まあ知事の意見を聞いたり、協議会を開いたり、いろいろなことをやるけれども、どうしてもということになれば期限を付してひとつ国鉄から外すということなんですよね、言ってみれば。そういう内容を持っているということはだれの目にも明らかでしょう。外された場合には、これはどこへいくのかというと地方自治体へいくわけですよ。地方自治体も、いまのあなたのお言葉で言うならば勘弁してもらいたいということになるんですな。そうするとあなたの立場からすると、この法案が成立することは御勘弁願いたいということに今度は通じちゃうわけだ。どうなんでしょう。あなたの立場からすると、じゃこの法案は反対だと、こうおっしゃるのですか。賛成だけれどもおれのところだけは特別だと、こういうふうにおっしゃるのですか。どうなんでしょう。
  178. 井下登喜男

    説明員井下登喜男君) これは、この法案につきましても閣議によりまして、自治省としても賛成したわけでございますから、これは国鉄再建のためにぜひとも通していただかなければならないというふうに考えております。おりますが、先ほど来申し上げておりますように、現在の地方財政というのが、地方財政と申しますか、国、地方の財源配分からいいまして、こういった問題について財源が付与されていないという前提があるわけでございますので、その点についてどう考えるか、財源付与ができるのかできないかという問題がございますので、先ほど来の答弁をしておるわけでございます。  それからもう一つ、たとえばこの第三セクターなりあるいは何なりというものが、これが唯一の選択枝ではないという前提ももちろんあるわけでございまして、たとえばその鉄道のかわりにバスを通す、バスに転換をいたしまして、そのバスが、経営の問題だけ言いますと、現在の地方バス路線の維持運営費の補助金の制度に該当する場合には、当然地方団体としても負担するわけでございますから、そういう前提でひとつおくみ取りいただきたいと思うわけでございます。
  179. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 要するに、地方自治体としても赤字は勘弁してほしいということになるわけですよね。  そうするとどうなんでしょうね、一体赤字ローカル線はどこへいくんでしょうか、これは。運輸省の原案でも国鉄の責任を免除してもらいたい、地方自治体も勘弁してもらいたい。どういうことになっちゃうんですか、一体。ぶっ壊れた人工衛星じゃないけれども、宙に浮いちゃうでしょう。どこが引き取るんですか。だれがこれをめんどう見るんですか、結論的に。どうです、大臣
  180. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは瀬谷先生が、いま自治省の担当者と話しておられるのを聞いておりまして、これは自治省の担当者のところでも答えは実際はできないんじゃないかと思うております。  それは、仰せのように、確かに第三セクターによる赤字の負担ということ、これはまだどうするかということは最終的に政府としても決めておらない問題でございまして、その前に、そこへ至るまでに特定地方交通線は代替交通機関がかなり発達しておる状況でもございます。したがって、バスに転換をもうすでにできるところ、あるいはこれからするところというような経過措置も必要なところもございましょうし、できるだけそういう方向にお願いいたしたいと思うております。しかし、積雪、通勤、そういう関係でどうしても第三セクターで残さなきゃならぬというときには、これはやはり国も地方も出し合って、その第三セクターの対応策を考えなきゃいかぬと私は思うております。現在、過疎バスに対します国と地方と共同しての助成措置がございますが、あれがやはり一つ考え方でございまして、第三セクターに対しましてもそういう方式が考えられるのではないか。  ただその場合に、いま過疎バスに対しましては府県段階におきましても相当額負担いたしておりますが、それが第三セクター全体、鉄道からの移管ということで全体に負担するということになってまいりますと、相当な財源が必要になってくると思うんです。この財源の約束をされない限り、自治省としてはやはり地方自治体に、第三セクターに負担をある程度覚悟でやれということも指導しにくいであろうと、これはもう率直に私は思うておるんです。  ですから、この第三セクターによって起こってくる赤字、これだけではなくして、地域交通というものは一体どういうふうにこれから地方と国とがかかわり合いを持っていったらいいのかということ、これは根本的に考え直さなければいかぬと思うんです。過疎バス対策をやっておりますが、こんないわば対象を一つ一つ見てびほう的な方策では済まない。どうしても地域交通のシビルミニマムというふうなものを確立して、それをやはり維持していく。それには国と地方と、それには財源はということを私はもういまや共同の責任で考えなきゃならぬと、こう思うております。いままではそういう事態ではなくして、何とか、そうは言うけれども、国鉄は線路を巻き上げたりそんなことはせぬだろうと、ほっといたかて何とかなるでということで今日まで来ましたけれども、私たち過去の、この地方交通線に取り組んでまいりまして七、八年になりますか、その間に今日ほど真剣に考えられてきたことはないように思うんです。  でございますから、この法案成立を転機にいたしまして、必ず政府で責任を持ちまして、そういう地域交通のあり方ということを全体の問題として、この第三セクターの赤字対策というものも結論を出していきたいと思うておりますので、まあ何かとそういう点でもまた御意見もお聞かせいただきたいと思うのであります。
  181. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この審議に当たってはっきりしたことは、どこもこの赤字の問題を自分のところでしょい込んでいこうというところがないんですよね、いままでのところ。この提案をした運輸省あるいは国鉄自体が地方の赤字路線についてはもうこれ以上は勘弁だと。だからこの辺で責任を解いてもらいたいと。言ってみれば、そういう問題の提起なんです。それじゃ、関係方面でたとえば公的割引等についてめんどう見るという約束がなされるかというと、文部大臣だろうと、厚生大臣だろうと、まあ適当なことを言っていて引き受けようとしない。しからば、地方自治体はどうかというと、この地方自治体、自治省の方も御勘弁願いたいと、こういうことなんです。要するに、これは宙に浮いちゃっているわけです。宙に浮いちゃっているけれども、さりとて、じゃ結論を出さないわけにはいかないということになって、まあ国も地方も出し合って第三セクターを助成しなきゃならぬだろうというのが運輸大臣のいろいろと総合した結果の結論だろうと思うんですね。だれかが引き受けなきゃならないということになると、そういうことになっちゃうんです。  それならば、どういうふうにしてやるのかと、第三セクターを現実の問題としてどういうふうにしてやるのかということになるんでありますが、先ほど目黒委員から、それじゃこの野岩線の問題、あれはどうなんだという話が出ました。野岩線については第三セクターで何とかという話はこれはできているわけでありますから、その関係の栃木県知事の意見を聞いてみたいという話だったんでありますがね。これは同じことは北海道知事にも、あるいは福岡県知事にも、幾つかの県知事の意見というものを聞いてみる必要があると思うんです。公述人の中に残念ながら県知事が入っておりませんでしたけれども、だから二十七日の委員会に関係知事ずらっと参考人で出てもらってしゃべってもらうと大変に都合がいいと思うんですけれども、あさってのことだから、みんな都合よくいくかどうかこれはわかりませんから、これは後ほど理事会で協議をされることだと思いますけれども、もしできれば、この関係知事の意見も私どもは聞きたいと思うんです。  で、もしここへ出席を求めることができない場合には、この法案に対する特に知事の意見ということが問題になっているこの法案に関係をして、知事自身の意見というものをここで何とかして明らかにしてもらう必要があるんじゃないかという気がするんです。だから、出席できなければ、これは連絡をして知事の意向というものを、何県知事はこの法案についてどう思っているかということを文書で出してもらうなり、あるいは口頭で連絡してもらうなりということができれば大変に審議参考になるんじゃないかというふうに思いますので、そのことを私の方から一つ提案をして、取り計らい等については理事会にお任せしたいと思うんでありますが、いかがですか。
  182. 黒柳明

    委員長黒柳明君) はい、後で相談さしていただきます。
  183. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ、そのようにお願いいたします。  それから、成田空港の問題がさっき出ましたけれども、成田空港は現在京成電車が入っておりますけれども、あれはなかなかどうも便利が悪いんですね。国鉄の駅も成田空港の下にはできておるということなんでありますけれども、駅が幾らできていたって電車が通らなければ何にもならないんです。未完成の青函トンネルと同じわけです。これは一体どうするつもりなのか。この成田空港に新幹線を通すのか通さないのか。通すのならばどういうルートで通すのか。その目安はあるのかないのか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
  184. 山地進

    政府委員(山地進君) 成田空港の駅のみならず成田の成田線との土屋の交差点までというのは新幹線のルートということで建設を継続しているわけでございます。  ところで、この建設を継続している理由でございますが、御存じのとおり成田新幹線全体につきましては従来いろいろと努力したわけでございますけれども、沿線の住民の方々のなかなか御同意が得られないというまま今日に至っておるわけでございまして、五十二年ころより田村運輸大臣のもとにおきまして成田新高速鉄道という構想ができまして、これは土屋から千葉ニュータウンのところを通りまして北総に入って高砂から今度は地下鉄の八号線を下ってくると、こうやって都心に入ってきて最後は新幹線の東京駅に入ると、こういうような構想が出て、これにつきまして関係者間で協議が現在まで続いてきたわけでございますが、また最近、この利用につきまして新しく成田新高速鉄道のいわゆる田村構想の一つの欠点でございます八号線を使うということにつきまして、さらに改良を加えまして、高砂から京成に入ると、京成に入って上野に来るのと、それからもう一つは、都営の地下鉄を利用して東京駅に入る、こういうようなことが現在もう一つの案として浮かび上がっているわけでございます。  それからもう一つ、新高速鉄道といたしまして成田新幹線のルートを使いまして、これの一部変更をいたしまして、千葉ニュータウンのところを通ってさらに鎌ケ谷のところから下がってきて船橋に入る、それから京葉線に入って、ここで今度は京葉線を使って湾岸から東京駅に入る、これは国鉄考え方でございますが、これのいずれかをつくるということについてわれわれの間で検討が進んでいるわけでございます。この国鉄案あるいは京成を使う第三セクターといいますか、そういったことのいま検討をさらに進めている段階でございまして、このいずれかが採用されますれば、成田新幹線の現在空港から土屋までを建設しております路盤を使うということになり、したがって成田の空港内にある駅というものの利用ということにつながってくるわけでございまして、そういうことで現在成田新空港の駅というものの利用が検討されているわけでございます。
  185. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 成田新幹線の構想はまだ死んではいないんだと、結論から言うと、というふうに聞き取れるわけですね。
  186. 山地進

    政府委員(山地進君) 新幹線ルートと——ちょっと私の説明が悪うございまして、新幹線としてはむしろストップの少ない新幹線規格。新幹線規格というのは二百キロを超えるのが新幹線。現在国鉄考えられておりますのは、新幹線ではございませんで、新幹線のルートを一部使いました、通勤を主にいたしました、かつ、わりと高速の、高速といいましても新幹線というほどの高速ではございません。駅を幾つかつくりまして、沿線の方々の利用も考えるという鉄道考えているわけでございます。
  187. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は成田空港でもってもったいないと思うのは、京成鉄道が地下に入っている。それからそのほかに成田新幹線ルートが穴の中に入っている。しかも片っ方はなかなかいつのことだかわからない。京成電車の方は閑古鳥が鳴くような状態だ。できるならばあんな空港駅なんというのは一つにしてしまって、そこから国鉄の新幹線であろうと京成鉄道であろうと同じに出して、片っ方は上野駅、片っ方は東京駅というふうにすればいいんじゃないかなと、こう思うんですよ、素人考えで。なぜああいう別々な地下駅をつくらなきゃならないのか。なぜあれを統合できないのか。これはむだだと思うからそういう疑問が出てくるわけなんです。その点はどうなんでしょう。
  188. 山地進

    政府委員(山地進君) できた当時の事情というのはそれなりに事情があったんだろうと思うわけでございますが、現在のような時点になって考えてみますと、まことにむだな話でございます。そこで、いまその駅をどういうふうに利用するかということにつきましては、成田新高速計画ができますれば、いずれにしても京成ルートを使う場合には京成が運営することになりますと、現在の京成の使っております新空港駅というのは、恐らくこれは意味のない駅になるのではないだろうかと思います。  それから、いろいろな計画があるわけでございますが、仮にいまの京成電車がそのまま空港のいまできておる使われていない空港に入るということができるのかという研究を実はされておりまして、このためにはかなり手前の方からカーブを描いていけば使えないことはない、こういう計画も、計画といいますか、研究といいますか、そういうことも片方ではあるわけでございます。ただ、そういったことをいまの段階でどれを選択するかということは、今後の成田に対するアクセスというものは一体どうあるべきなんだろうかということ。それから、成田周辺開発というものにどれが一番役立つだろうかということと、あるいは投資の総額とか、そういったような点から鋭意私どもの間で検討が進められておるわけでございます。
  189. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今後の問題を考えると、成田空港を連絡する際の鉄道、これがどういう形態になるかは別といたしまして、考えられなきゃならぬだろう。それから関西空港が仮にできるとしても、関西空港との連絡ということも考えなきゃならぬだろうというふうに、いろいろと交通問題というものは航空機と鉄道と結びつけてどうしても考える必要が出てくると思うんです。  そこで今後の問題なんでありますけれども、三十五万人体制ということがこの法案でも言われております。何かこれが柱のように、金科玉条のように言われておりますけれども、大事なことは、人件費を節約するとか、人件費のバランスをとるとかいうことよりも、いかにして輸送力を確保するかということではないかと思う。つまり、輸送需要に対応できるための輸送力というものを確保することがやはり交通政策上、一番必要なことではないかというふうに思われます。そのために三十五万人体制というのは果たしてどんなものか、これがブレーキになるようなことはないのかどうか、その点はどうも疑問があるような気がしますね。  いまこの委員会で大変に問題になりましたのは、赤字ローカル線のことでありますけれども、赤字ローカル線ももちろん国民にとっては大事なことでありますけれども、大都市のいわゆる人口過密地帯における輸送需要が十分でないと、こういう問題をどう解決をするかという問題、さらに国鉄の財政にとって鉄建公団というのはどういう役割りを果たしていくのか、こういう問題、これはやはり考えてみる必要があるんじゃないかという気がいたします。鉄建公団がせっせとAB線をつくっておる。これらの建設をした線区というものは、いまのところ黒字になる見込みのある線区は皆無である。上越新幹線がどんなものかわかりませんけれども、これだっていまの答弁によると、国鉄に金を取って使わせるといったような形になっているわけですね。そうすると、果たして上越新幹線がなお黒字になるのか、あるいは東北新幹線が黒字になるのか、その辺は大変問題があるような気がするんでありますけれども、そうまでして鉄建公団に金を払うような仕組みをそのまま残す必要があるのかどうかということであります、今後の国鉄の問題を考えた場合にですよ。その点、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  190. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 鉄建公団の資金は、全額財政投融資資金を使って建設いたしておりますので、いわばこれは借入金でございますが、これを返済するためにはやっぱり賃借料によらざるを得ないだろうと思うております。したがって、これが上越新幹線が開業いたしましたら、その金額は幾ばくということはこれは別といたしまして、考え方といたしましてはやはり賃借料収入による、そして借入金の返済、こういう形をとらざるを得ないと思うております。    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕
  191. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、鉄建公団というものをこしらえて、そして何か鉄建公団というものができたために国鉄は負担が軽くなったように世間には思わせるけれども、実質的には何のことはない、鉄建公団が間に入って財投の借入金というものを使って建設をして、その分は国鉄から取るような仕組みになっているんですね。言ってみれば国鉄営業さしてもらうけれども、やくざのショバ代を払うようなものなんだ、言ってみれば。結果的には、そうでしょう、ただで使うわけじゃないんだから。そういう仕組みが相変わらず続くとすれば、国鉄の負担がどうやったら軽くなるのかということを考えてみると、それがせっせと黒字をかせぐ線区であれば別ですけれども、赤字しか考えられないような線区で赤字をどんどん生み出す線区を金を払って借りて、そして経営するなんていうばかなことはないと思うんですね。この辺の仕組みにやはり問題がありはしないかという気がいたしますが、総裁の見解はどうでしょう。
  192. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 鉄建公団のお仕事は非常に複雑多岐にわたっておるわけでございまして、ただいまのお示し、先ほどの御質問で明らかになりましたように、上越新幹線については私どもは相当な借料を払わなきゃならぬわけですが、これは先般来のお尋ねにいつもお答えしておりますように、ちょっと時間はかかりますけれども、十分採算がとれるというふうに見ておるわけでございますので、まず上越新幹線につきましてはいま御心配の点は余り大きくない。私どもが弱りますのは、採算がどうもとれそうもないという意味でAB線の問題があるわけでございます。したがって、かねがねお願いしておりましたが、今回はその中で比較的成績のいいものを除いては一応とにかく凍結をするということになりました。これは私どもとしてはとりあえず一安心というかっこうになっております。  もう一つは青函トンネルでございますが、青函トンネルについては、どうもこれはとても採算がとれそうもないということで、これについては一体どういうふうにしたらいいのか。現在のたてまえでは、完成しまして両方のアプローチができれば、われわれが経営を引き受けなきゃいけませんですが、ちょっといまのままではどうにも引き受けようがないことになりはせぬか。それをどうしたらいいか、実は内々私自身は考えておるんですけれども、そもそも大変あれですが、鉄建公団は一体公団組織そのものがどうなるかが、いわゆる行政改革との関連で宙に浮いておるという状況でございますので、そういう非常に大きな問題を鉄建公団は抱えておられますので、いまこの青森の青函トンネルの問題についていろいろとお願いするというか、注文を出すこともいまの時期は余り適当でないであろうということで、もう少し鉄建公団自体が一体どういうことになっていくのかについて、私もちょっと静観をしておる。それとの関連で青函トンネルの負担区分の問題も静観をしておる。
  193. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 青函トンネルの問題はこの前もちょっと質問をいたしましたが、四千六百五十億トンネルの掘り賃だけでかかるというわけですね。その前後の工事費入れりゃこれはまごまごすると一兆に近い金がこれだけで飛んでしまうわけですよ。こんな莫大な金かけて、しかももうかる見込みがないものを、借料を払って経営しなけりゃならぬというのはずいぶん割りの悪い話なんですね、これは。だからその辺にまず問題があるのじゃないか。総裁はしばらく静観をするということですけれども、やがて完成をするわけですよ、トンネルがね。やがて完成をした場合にさあどうするのか。青函トンネルが完成をするこのときにさあどうしましょうと、これはやっぱり考えておかなけりゃならないでしょう。そこでやはり大臣にも申し上げたいんだけれども、鉄建公団そのものを一体どうするかということを考えてみなきゃいかぬでしょうね。鉄建公団にAB線をつくらせる、青函トンネルをつくらせる、つくらせるのはいいですよ。つくらせるのはいいけれども、つくりっ放しでもってそっちの方の経営の方は全部国鉄でしょう。産みっ放しで育てないわけですよ。こういうのはほっとけば一体どういうことになっちゃうのか。鉄建公団を存置しておこうと思えば、やっぱり鉄建公団自身これは政府一つの下請の機関として金は出してもらってつくると、つくるけれどもそれを国鉄にしょわせる、貸すというふうなやり方では、これは国鉄だって困ると思うんですね。もうかるものならいいけれども、もうからないところばっかりこさえておいて、それをでき上がったのをどんどんどんどん借料を取って貸すなんて言われたんじゃ、だれが経営したってうまいこといかないでしょう、これどう考えたって。だからこの鉄建公団自体のあり方も考えておく必要があるんじゃないでしょうか。これはいつまでも静観をしているというわけにいかないと思うんですが、どうなんでしょう。
  194. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 鉄建公団のこれは借料でいくのかあるいは分譲になるのかと思うんですが、私もつまびらかにいたしておりませんが、分譲住宅買うようなものだろうとこう思うておりますが、いずれにしてもこれでAB線の新規開発というのが、これは必要やむを得ざるもの、あるいは第三セクターとしてりっぱにこれが運用される見通しが立ったもの、引き受け手が見つかったもの、こういうものが大体建設されるのでございまして、それまでの間は、これこそしばらく塩づけになると思うのであります。そういうこと等もございますし、それから新幹線の建設も一応上越線が五十七年で終わってまいりますから、五十八年を一つの時期といたしまして鉄建公団の統廃合を検討しなければならないことになっております。これは行政改革の一環として決められておるのでございます。  これの処分をつけますのの大方の方向は、やはり国鉄にその人材なり、鉄建公団にはずいぶん人材がおりますので、技術屋がおりますので、これをやはり国鉄が中心となって、国鉄ばかりじゃございませんが、吸収せざるを得ないだろうと思うております。そして、この技術を何とかして温存し、育てていきたい。そしてまた一方、最近ではわが国がそれぞれの国に経済協力いたします際に、いわばインフラ事業が多いんでございますが、こういう関係にこの鉄建公団の技術屋は非常に私は貴重な存在だろうと思うております。そうすると、この経理だけをどないしてこれを処理するかということでございますが、五十八年に鉄建公団の統合を含めて検討するという、この時期までには財政上の問題も解決しなきゃならぬと思うて鋭意研究いたしておるところでございます。
  195. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 鉄建公団にしたって、トンネルはできました、新幹線はできました、あとは用はない、首切るというわけにいかないでしょう。やはり行政機構の改革でもって公団の統廃合ということが問題になってきて、鉄建公団の用が済んだということであれば、その鉄建公団の人たちをどこで吸収するかということになると、これは専売公社というわけにいかないから、やっぱり国鉄あたりでもって吸収しなければ吸収のしようがないだろうと思うんです、われわれ考えてみて。あんまり専門違いのところに持っていかれませんからね。そうすると、三十五万人体制ということになっているけれども、三十五万人体制のところに鉄建公団を吸収するということになると、どういうことになるんでしょうか。三十五万人の枠の中で吸収しなければならないのか、三十五万人の枠をふやすということになるのか、その辺はどうなんでしょうか。
  196. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 三十五万人というのはどういう考え方かといいますと、現在の仕事を三十五万人でやっていくという考え方でございます。現在という意味はどういう意味かといいますと、たとえば北海道で石勝線という線ができます。そのほか、たとえば私の方でいまやっておりますが、名古屋で南方貨物線という線を建設中でございます。そういう六十年までにできるであろう線、運営をいたすことになるであろう線、これは東北、上越新幹線を含めて、現在の概念に入れまして、そこのところまでを含めて三十五万人でやるというふうに考えておりますので、たとえば青函トンネルが開通をして私どもがその運営を引き受けるという場合に、その要員はどうするかというような問題も含めて、したがって整備五線のようなものが動き出した場合にその人員はどうするかというようなことは考えてないわけでございます。つまり、現在の運営で八千億強の赤字になっておりますから、現在の運営から出てくる八千億強をどこまで経費として圧縮でき得るか、能率を上げ得るかということでつかまえてまいりましたものですから、そこでいまお示しのような、いろんな今後生まれてくるであろう新しい問題は全然三十五万人では考えてないわけでございます。  ただ、六十年時点というところでつかまえたものですから、上越、東北新幹線は、これはもう間違いなく六十年時点には完全開業ということが予想されますのでそれだけは取り込んできたと、そして可能か可能でないかという検討をしたということでございます。
  197. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、上越、東北新幹線は計算の中に入っているけれども、それ以上の、たとえば成田新幹線ができるとか、あるいはリニアモーターカーというものが実現の段階に入って新たな東海道新線をつくるとかといったような別個の問題については、これは三十五万人とはまた別であると、このように理解してよろしいわけですね。——わかりました。  それで、当然そうならないとこれはにっちもさっちもいかないことになるだろうと思ったのでお伺いをしたわけでありますけれども、この前の第七十八国会の際の附帯決議をもう一度出してみますと、なかなか実現をしていない問題がたくさんあるわけですよ。最もいい例が、国鉄の公共負担、それをそれぞれの政策実行部門が負担するように努力するということになっているんだけれども、これ全然だめだったんですね。まるっきりどうにもなってなかった。しかし、今回この委員会でもって大臣も何とかしたいというふうな御答弁、大分苦しい答弁だと思うんだけれども、これはやはり附帯決議というものを単なる作文に終わらしちゃいけないと思うから、今回の関係大臣の誠意を持って早急にという言葉を額面どおり何とか実現をさせるというふうに努力をしてもらいたいと思います。  さらに、「地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、国の責任において解決するよう努力する。」というのが前回の附帯決議にもあるわけです。そこで、この赤字線の問題ですが、一応先ほど委員長にお願いしておいて、関係知事の意見というものは何らかの形でもって当委員会に反映できるような方策をとってもらいたいというように考えておりますけれども、発想の転換ということも必要だろうと思うんです。赤字路線に対する処置というのはいろいろあると思うんですね。たとえば、現在のとおりの列車を動かさなきゃならぬというものじゃなかろうという気がいたします。ということは、いまのディーゼルカーにしても電車にしてもみんな長さ二十メートルで幅が二・八メートルぐらいですか、いっぱい人が乗れば百人以上は、二百人ぐらいは乗れるわけです。それが二十人か三十人の人を乗っけて運んでいるということは確かにこれはもったいない話なんですから、モノレールでもいいし、軽便鉄道でもいいし、路面電車でもいいし、いろんな方法があると思うんです。  だから、輸送需要の少ないところは少ないなりにそれに対応するような交通手段というものを考えてしかるべきではないか。要するに、それだけの人が不自由なく運ばれればいいんだから。入れ物が大き過ぎて赤字を出すというばかりが能じゃないと思うんです。だからそういうような発想の転換をして、そしてその地方自治体に対しても、もし財政的に困るんならば、地方自治体に対する財政的な補助の方法は別個に考えるようにしてでも、私は地方の赤字線の人たちの足を確保するということを考えてしかるべきであるというふうに思うんでありますが、一つの型にとらわれずに、そういう方法でもって地方ローカル線の関係住民の要望を満たすという方法を考えられないものかどうか、その点の大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  198. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 確かにこの地方の交通というものはいまやもう発想の転換が必要だと私は思うておりまして、たとえば北海道等におきましては、多目的の交通機関、バスといいましょうか、そういうようなものがあってもしかるべきだと思うておるんです。仰せの精神をわれわれ活用さしていただいて、これからの地域交通のあり方について大いに勉強してまいりたいと思うております。
  199. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私はやはりこれからの交通政策というのは、国鉄あるいは運輸省だけでということでなくて、もっと幅を広げていく必要があると思うんです。たとえば道路の話がさっき出ましたけれども、高速道路の買収用地というのはうんと幅が広いんですよ。五十メーターか六十メーターぐらい幅をとっているんです。そして真ん中を利用しようと思えば利用できるような状態にあるんです。ところが、建設省の予算でもって確保した道路というものは運輸省には使わせない、こういう一つのなわ張り意識があるんですね。ああいうのはつまらないと思うんです。東海道新幹線ができたときに、東海道新幹線と高速道路とあれは別々にそれぞれ買収をやっていきました。新幹線の方は十一メーター半かそこらのごくぎりぎりいっぱいの容量だった。だから今度は騒音公害でもっていま問題になっている。もしあれが道路並みに十分な場所をとって、そして線路と、線路以外のところに緩衝地帯を設けるといったような方法を講ずることができたならば、今日のような騒音公害といったようなことも少なくとも半減できたんじゃないかという気がいたします。  したがって、今後の問題として、道路とあるいは鉄道との総合的な利用といったような方法を考えてしかるべきではないかという気がいたしますし、交通の問題は交通の問題として、運輸省が責任を持って、モノレールであろうとリニアモーターカーであろうと、飛行機であろうと船であろうと、みんなこれは扱うというふうにすべきではないかというふうに考えるんでありますが、その辺の見解をお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  200. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 交通機関の行政が、技術の発達に伴いまして、本来は運輸行政として一体でなければならないものが、その建設経過をたどっていきまして、それがために権限が若干移動しておるものがございますが、これらにつきましてもいずれも共管事項になっておるものがほとんどでございますが、この際に総合交通政策を樹立するという、その考えで進むという意味におきまして、各省庁とも話し合いをしてできるだけ一元化を図っていきたいと思うのであります。  それともう一つ、そういう基幹的な交通以外のいわばローカルな交通というものは、これは安全管理、整備、建設、こういう点につきましては運輸行政の一環としてわれわれが行政指導、監督はいたすものの、運営であるとか、あるいはそれを建設する際にいろいろとございます問題等につきましては、ただ単に運輸省だけでこれを責任持ってやっていくということだけではなくして、その地域と一体となってやっていく、そういう体制をとるべきだと。私はかねてから地域交通経済のあり方について新しい方向づけをしなけりゃならぬと言っておりますのは、そういうことを考えておるのでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃるそういう考え方はわれわれも同時に持って、堅持してこれからの運輸行政に取り組んでいきたいと、こう思うております。    〔理事桑名義治君退席、理事目黒今朝次郎    君着席〕
  201. 桑名義治

    桑名義治君 新経済社会七カ年計画におきまして、国鉄はおよそ十一兆円程度考えているようでございますが、閣議了解あるいは国鉄再建の基本構想では、工事規模については現状程度と、こういうふうにしているわけでございます。そういう立場から計算をしますと、年間一兆円ならばこれは七兆円程度であるというふうに考えられるわけでございますが、この点はどういうふうに理解をすればよろしゅうございますか。
  202. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 新経済社会七カ年計画ができました段階で、交通全体の総投資額十七兆七千五百億という枠が一応示されたわけでございまして、この枠におきましては国鉄の分が幾らになるということは実は明示されていないわけでございますが、従来の地下鉄あるいは建設公団その他とのポーション等も考えまして、われわれは大体十一兆程度という見方をしたわけでございます。この段階におきましては、社会資本整備を主体にするという考え方もございまして、たとえば整備五線等も当然この中に含まれるという考え方で、約十一兆という一応枠の中でどうするかということをその時点においてはいろいろ検討はいたしたわけでございますが、その後国鉄の再建の基本構想を出すに当たりまして、御承知のとおり大変財政的には厳しい状態にございますし、その大半を外部借入金に頼らざるを得ない実情の中で、現状程度に維持をする、抑制をすると申しますか、という考え方で、先生御指摘のように、七兆円という枠の中で現在どういう形でこれを実態的に進めるかということを検討しているところでございまして、枠の縮まりました分につきましては、繰り延ばせるものは繰り延ばしまして、重点的に、実効性のあるもの、あるいは経済効果等も含めまして所要の投資をやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  203. 桑名義治

    桑名義治君 いま種々説明がありましたけれども、財政再建計画の中で、いわゆる六十年度の収支均衡を図る、こういう理由のために安全防災対策を犠牲にしたものではないかという見方ができるわけでございますけれども、この点はどういうふうに計画されたわけですか。
  204. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) したがいまして、先ほど申し上げましたように十一兆の計画という中には、整備五線等の計画も約一兆余りも入れていたわけでございまして、今回の段階では一応それはもう別の問題であるという考え方をとっております。したがいまして、その中で七兆円の計画という形になってまいりますと、総体的に各いろいろな投資につきましてそれをある程度抑制するなりあるいは繰り延べを図っていくという手段を講じないといけないわけでございます。  私どもといたしましては、輸送の需要が余り大きく伸びないという状態の中で、いわゆる増強的な投資等につきましてはこれは極力抑えざるを得ないと考えておりまして、やはり投資の中心は安全なり防災なりあるいは老朽施設の取りかえというものを中心といたしまして、投資の半分以上というものをそういう方面に向けていきたいという形で具体的に詰めておりまして、ただ、ある程度の枠が縮められているわけでございますので、その点につきましては、きょう午前中に半谷常務からも御説明いたしましたように、重点的に、あるいはいろいろな安全に対する配慮、あるいは繰り延べのためのいろいろな施策等も講じまして、実態的には影響の出ないように図ってまいりたいという形で現在その中身につきまして検討をしているところでございます。
  205. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、国鉄の内部でいろいろと検討した結果、大体その防災対策なりあるいはまた安全対策のためには三兆円に近いいわゆる予算が必要であるというふうに検討されたとも聞いているわけでございますが、そういった立場から考えますと、大体六十年度までに、先ほどの午前中の質疑の中では大体八千億円ぐらいのお金を充当をしなければならないだろうというふうに言われているわけですが、そういうふうに比較をしてみると、今回のこのいわゆる計画というものが、新経済社会七カ年計画立場から考えた場合にはずいぶんと防災あるいはまた安全対策というものが犠牲になっている、あるいは圧縮されているというふうに考えられるわけでございますけれども、そういうことはございませんか。
  206. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 私どもといたしましては、輸送の確保、あるいは安定した輸送、あるいは安全な輸送というものを考えます段階で、いわゆる安全率と申しますか、できるだけ高い安全率を保ってやっていきたいという気持ちはございますが、しかしながら、一方におきまして、具体的に実行しております段階におきましては、そのいわゆる許容限界と申しますか、いろいろな技術的な限界等も十分配慮し、あるいは綿密にそれに対する点検、あるいは対策等も立てながらやっていくわけでございまして、望ましい姿という姿に対しましては、若干それを繰り延べるなり、若干それの手当ての時期がおくれるというような点も出てはまいりますけれども、実態そのものといたしましては、御心配になるような点についてはないように心がけていくという方針で進んでまいりたいと思っております。
  207. 桑名義治

    桑名義治君 最近、汽車に乗りますと、いろいろな方が言うわけですが、路線の傷みやあるいは疲労が激しく、線区によっては列車の中で食事もできない、あるいは本を読むこともできない、こういうような線が非常に多くなった、これは国鉄利用者の一致した意見であろうと思います。私たち東北方面に行く場合には大変な揺れがあるわけですね。  で、国鉄内部でさえも、午前中に申し上げましたように、いわゆる危険または早晩危険な状態になるというふうに指摘をされているのに、安全あるいは防災対策を後回しにするようなことがあるとするならば、これは老朽化に一層拍車がかかっていくわけですね。そうすると、経費というものはなお一層増大していくおそれがあるわけでございますが、こういう点について運輸大臣はどういうふうにお考えになられますか。
  208. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 線路の状態が最も悪かったのは四十九年、五十年、五十一年ぐらいでございます。最近は、いろんな測定をしておりますけれども、だんだんとおかげさまでよくなってまいりました。ただ、非常に状態が悪いというのは東北線、それから上越線の方の手前の方、それから常磐線の一部といったようなところが非常に悪いわけでございます。これ、悪いのは承知をしておりますんですけれども、直す時間がないということになっております。  その直す時間がないというのは、背は、つるはしの時代もございましたし、それからハンドタイタンパーを使ってやっていた時代もありました。そういう時期には、列車が行き過ぎますればすぐにそれを、突き固めをやれたわけですけれども、いま全部本線部分は非常に大きな機械による、タイタンパーによって突き固めをすることになりましたので、列車間合いが一時間ぐらいありましても、実際稼働する時間は十五分ぐらいしかない。駅からそのタイタンパーという機械を持っていって十五分ぐらい突き固めてすぐ戻ってくるというようなことになってしまいます。そのためにどうも現在は非常に列車密度の多い東北線、上越線、常盤線の一部におきましては、いま一生懸命にやりましても、非常に間合いがとれませんで能率が上がりませんものですから、そっちの地区は、率直に申しましてなかなか揺れがなくなるところまで集中的に工事ができないという現状でございます。これは、東北、上越の新幹線が開通いたしますれば、かなりの程度そっちの、在来の上越、東北はすいてまいりますので、そちらへ今度は集中的に手をかけることができるかと思っております。  なお、先ほど来のお尋ねで、十一兆が七兆になれば当然保安なり公害対策なりのための投資、あとはその他の取りかえ投資がおくれやしないかという御心配でございますが、これは非常にわれわれとしてつらいところでございまして、これをおくらすわけにいかない、最小限の保安ないし公害対策はどうしてもやらざるを得ない。取りかえ投資につきましても、先ほどもちょっと他の委員がお触れになりましたが、車両が古くなっているという問題もありましたけれども、大変つらいわけでございます。したがいまして、十一兆の計画が七兆になっても余り影響がないということは言えないのでありまして、やはりかなり影響があると思わざるを得ないんですけれども、しかし、そこはいろいろ工夫をすることによって、何とかいわば綱渡りで渡っていきたい、またそういかざるを得ないんではないかということから、現在は七兆円という計画にいたしておるわけでございます。  それで何とか、午前中も御指摘がありましたように、トンネルを改良するとか、あるいは橋梁を直すとかいうことにもう少し早いテンポで進めていきたいと思ったんですが、それを現在程度のテンポといいますか、たとえば徐行をかける場所、あるいは特に重点警戒地区である場所、そういうものをかなり速いスピードで減らしたいと思っておりましたが、その減らすスピードが減ってくると、思うほどには六十年までに徐行区間をなくしたり、あるいはまた特別警戒のための場所を減らしたりということがどうも思うようには進まない。しかし、そうかといって、何か事故が起こるというような意味において非常に不安だということはありませんので、現在からほんの少しずつよくなるかというくらいのところで六十年まで渡っていかざるを得ないかなというぐらいの感じで、私は全体の感触としてはそんな感じでおります。
  209. 桑名義治

    桑名義治君 まあくしくも総裁の答弁の中で安全あるいは防災関係というのは綱渡りだ、こういうふうに正直に言われたわけでございますが、ここの論議の中で、言葉の上で綱渡り綱渡りと言っても、これは耳に聞こえる感覚というものは多少こっけいに聞こえる程度ですけれども、しかし、住民の立場から、あるいは利用者の立場から考えますと、綱渡りという言葉ほど危険な言葉は私はないんじゃないかと思う。十一兆円が七兆円程度に圧縮をされた、それは当然その中身というものはいわゆる上越新幹線あるいは東北新幹線、それ以外の新幹線の建設についての経費が大きく削減されると同時に——これはもう当然削減されただろうと思います。それと同時に、いまお話しのように、非常に残念だけれども、安全対策なり防災対策を多少綱渡り的に後に延ばさざるを得なくなった、こういう御答弁があったわけですが、これはやはり早急に何らかの処置をとっていかないと、これもしも事故が起こった場合に、予算がありませんでしたからということは言いわけには私はならないと思うんです。  で、これは最後に確認になるわけですが、東北新幹線が完成後、五十八年になれば完全に開通しておりましょうから、その後は安全に対してはいわゆる増額投資の可能性がある、こういうふうに確認してもよろしゅうございますか。
  210. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ちょっと、綱渡りという言葉は余り適当でございませんでして、徐行の場所の数、それから特別警戒地域、これは着実に毎年少しずつは減らしていけると思っております。  それからいまの東北あるいは上越の在来線の補強、取りかえ等でございますが、これはいまほかの地区で重点的にロングレール化とか、あるいはまくら木のPC化とか、それをほかの地区でやっております。それがだんだん終わりてまいりますから、そして片っ方で東北、上越新幹線が開業して間合いがとれるようになりますから、いま他の地区に使っておりますそうした軌条の重軌条化とか、あるいはまくら木を木のまくら木から強いまくら木、何といいますか、ピアノ線が入っている強いまくら木に、PCまくら木に切りかえるというようなことは、東北、上越新幹線が開業いたしましたならば、東北、上越の在来線についてそちらにやることができると。それはいまほかで使っておりますのをそっちに回しますから、これは間違いなくいたしますというお約束をできるかと思います。
  211. 桑名義治

    桑名義治君 そこで現行の補助政策ではいわゆる投資財源のほとんどを借入金に依存せざるを得ないような状況になっているわけです。で、七兆円の内容は、財政再建と防災投資をはかりにかけて、収入増につながらない防災投資には消極的というのが本音ではないかというふうにどうしてもわれわれには見えるわけでございます。で、防災投資の財源については借入金依存をもう改めていかなければならないのじゃないか、こういうふうに私は強く思うわけであります。そこで、との点について大蔵省は防災、老朽化対策の財源を国鉄経営の負担にならないものにしようというお考えはないのか、またできないのかどうか、この点を確かめておきたいと思います。
  212. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) お答え申し上げます。  国鉄の設備投資につきましては二つの側面があるんじゃないかというふうに考えております。一つは、一般的に投資に伴う資本費の問題がございますので、それが経営の圧迫要因になるという面から、規模についてはおのずからある程度の限度を考えていかなきゃならぬだろうということで、先般の閣議了解におきましても、当面は現状程度の規模に抑制するということにしております。で、総体としての規模は以上でございますけれども、その中でどういう配分をしていくかという第二の問題につきましては、先ほど来先生のお話にもございますような、より緊急度の高いもの等を中心にしての配分ということに相なってこようかと思います。そこでどういった工夫があり得るかという問題になるわけでございますが、そういった一般的な設備投資のあり方という問題等と関連いたしまして、助成制度をどう考えておるのかという点について若干触れてみたいと思います。  現在の助成制度の考え方は総体としてのコスト、投資のコストを極力低くしたいということで工事費補助金等の制度を設けております。そのことによって国鉄経営へのコスト面から来る圧迫要因を少しでも取り除いていきたいという観点と同時に、投資のあり方自体としては、そういった一般的な枠の中で可能な限り効率のいいかつ安全性をも加味したものにお使いいただきたいという観点からであろうかというふうに思います。  先生お尋ねのたとえば一定の分野について借入金でない財源を見つけることができないかどうかという点でございますけれども、これは国鉄財政も大変でございますが、私ども国の財政自身が御案内のような状況でございます。したがいまして、限られた国費をどう有効に使うかという別の観点からの問題もございまして、先ほど来申しておりますような国鉄の資本投資につきましては、いろんな観点を加味した上で現行のような制度を考えておるということでございます。
  213. 桑名義治

    桑名義治君 今回の国鉄再建法の中で最大のその赤字の要因になっておるのは何か、これは構造的なものがあるというような事柄が一番表に挙がっておるわけでございますけれども、それと同時に、やはりそれぞれの分野における交通体制というものを考えたときに、自動車に対する道路、飛行機に対する空港、それから船に対する港湾、こういったところが、基礎的なものが全部国庫補助、公共事業によって賄われてきた。国鉄はその点についてはもう前々から議論がずうっと進められておりますように、ずいぶんと比率が低いわけです。そしてこういうような状況に落ち込んだ現在の段階では、国民の命を守るというこういう立場から考えた場合には、こういうような危険的ないわゆる防災対策なり安全対策には、これは率先してある程度の安全度が確保されるまでは国の金を投資することの方がむしろ私はベターな使い方ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点どうですか。
  214. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 先生のおっしゃるように、特定の分野に限って助成を考えるという考え方もあり得ると思います。ただ、現在の私ども考えておりますあるいは実際に実行しております助成制度は、分野を特定しないで工事費全般というものを対象に考えておるという意味で、若干差はありますけれども、国鉄という企業体にとっての効果という点では、そのいずれをとるにいたしましても、先ほど申しておりますように、投資の配分の仕方を最も効率的なものに行われている限りは同じような効果が期待できるのではないかというふうに考えております。
  215. 桑名義治

    桑名義治君 実際に老朽化対策投資資金、これは六十年度までに八千億というふうに言われているわけでございますが、これは御答弁があったわけです、午前中に。で、実際にはこれは一兆円を超す投資が必要であろうと、こういうふうに考えるわけでございますが、すべての面にめんどうを見れと、こういうふうに私は言うつもりはございませんけれども、いわゆる老朽化度のランク、それから防災上緊急を要するもの、または天災、外的要因による分、こういったものに限ってでも当然これは手当てをしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、これもだめですか。
  216. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 設備投資で防災といいますか、あるいは取りかえといった場合にもいろいろな種類のものがあろうかと思います。で、取りかえた結果、その施設経営上どういう位置を持ってくるのか、非常に中身も多岐にわたっておろうかと思います。その意味で、先ほど来八千億とかいろいろな数字出ておりますけれども、それが投資された後の機能といいますか、そういった点からいきますと、必ずしも収益性を持っていないものばかりであるというふうに言うのも、逆の意味でやや言い過ぎじゃないかと。で、先ほど私が現行の制度は投資一般を対象にしてのいろいろな助成制度が設けられているということを申し上げましたが、その辺の限界のとり方のむつかしさというようなことも一つの理由に挙げ得るんではないかというふうに感じております。したがって、仮に観念的な頭の中の操作でございますけれども、現行あるものを仮におよそ当面効率性がなく、また今後も余り収益性を持たないものだけに充てられたとして換算し直した場合に、一体どういうかっこうになるのか、なかなかその計算はむつかしいかと思いますけれども、現行制度が全くそういった点で効果がないというのもいかがなものかというふうな感じがしております。
  217. 桑名義治

    桑名義治君 それで、先ほどから申し上げているように、いわゆる経済効果ということが常に中心になりながら投資がなされている。そこに問題があるということをさっきから指摘しているわけです。要するに安全度ということを中心にやっぱり考える部分的な必要もあるんです。その点についてのいわゆる国の投資を考える可能性はないかと、このことを申し上げている。あなたは先ほどからもう投資の効果ばかりおっしゃっておるわけです。しかもそれが経済的効果を中心にあなたはおっしゃっている。だけれども、私の言っているのは人間の生命という立場、この立場から見た場合にはこれほど効果のあるものは私はないと思う。したがって、その部分についての投資的な範囲というものが考えられないかということを申し上げているわけです。どうですか。
  218. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) 繰り返しになって恐縮なんでございますけれども、非常に先生のおっしゃる趣旨よくわかります。で、そういう体系の立て方もあり得る一つ考え方であろうというふうには思います。ただ、その場合には逆に一般的な投資助成というのが適当かどうかというような議論とあわせて議論されないといかがなものかと。それで、私どもの方といいますか、財政の立場からいってお金を限りなく投入できるというような状況であればまた別かもしれませんが、現状のような国の財政の状況のもとでの限られた資金をどう活用していくかという観点でながめてみますと、なかなかあれもこれもというわけにはまいりません。したがって、現状は、先ほど来申しておりますように、投資の一般的なコストを軽減するというのを中心にして考えていく方がいいんではなかろうかと、少なくとも今日までそういう考えできておったように承知しております。
  219. 桑名義治

    桑名義治君 大蔵省の考え方には承服できませんけれども、きょうはこの程度にしてまた後日詰めたいと思います。  次の問題でございますが、災害対策基本法には、防災計画の策定を義務として国、地方公共団体、それから指定公共機関に負わしているわけでございます。実施義務とともに国の補助規定も定めているわけでございます。地方公共団体を初め日本道路公団、それから水資源開発公団等にはこの設置法の中で国庫補助の規定が定められているわけでございます。ところが国鉄はこれから除外されている。基本法制定当時、これ昭和三十六年ではございますが、国鉄経営状態はその当時から見ると大きく変わっているわけであります。そういった立場から考えますと、もちろん当然調整、見直しの必要がいま生じているんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、国鉄としてはどういうふうにお考えになっているか、それから大臣としてはどういうふうにお考えになられるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  220. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) その問題は大変むずかしいというか、経緯のある問題でございまして、先ほどもちょっと触れましたように、あるときに災害があった。自然災害があった場合に、その自然災害によって道路、河川あるいはダムといったようなものが被害を受けたと。ところが、他の道路なり河川なり海岸なりというものにつきましては、この基本法によりまして所要の助成金が出されております。防災のための所要の工事費について助成金が出されております。同じ地区で同じような災害——ちょっといま失礼しました。災害があった、それに関連して災害復旧でなしに二度と同じようなことが起こらないということのためにいろいろ護岸工事が行われたり、道路ののり面の整備が行われたりなんかする場合の問題でございますが、そういう場合に私どもだけが補助金をいただけないというかっこうになっておったわけでございまして、これが、五十二年に上越線沿いに落石事故が起こりましたときにこのことが大変問題になりまして、大いに国会でも各委員会で御議論をいただきました。  そこで、現行法にはありませんけれども、法律上は明定されておりませんけれども、なるほど一つ地域関連した防災事業が行われるのに、たとえば山の上に何か対策を講じると、落石とかなだれとか、そういうことが起こらないように対策を講じるという場合に、国鉄利益分だけが補助金の対象から除外されるのはどうもおかしいということで、たしか五十三年度からだったと思いますが、現在補助金をもらえるようになったわけでございまして、その金額は、現在、いまの工事費との関係から大体百億円ぐらいの予算が、五十二年度以降五十四年度、五十五年度というふうに毎年予算が計上されております。  これは、しかもちょうどだだいま桑名委員が御指摘になりますように、予算の分類といたしましてもいわゆる公共事業費ということで分類されてそういう補助金をもらっておるわけでございます。この新しいシステムを取り入れる際に、私も直接財政側とも相談をいたしましたし、それからこうした方面の予算措置について昔から公共事業費の予算をやってきた私どもの友人などにも相談いたしまして、現行のたてまえ上、話の筋道として通るものだけは、まあ法律にはありませんけれども、あえて予算補助ということで措置をしてもらうということになったわけでございまして、これをもう少し概念を広げることはできないかということは研究はいたしておりますけれども、いまのところは財政側ともまだ話がうまくつかないといいますか、ここのあたりでとまっているということでございます。確かにこの種の問題につきましては、国鉄の財政状態がいまとは違っていた時代にできた法律でございますので、いささか冷たく扱われているということは事実でございまして、これはいずれは直していただく必要があるかと思っておりますけれども、現在は法律を直すところまではいきませんけれども、執行上、予算措置は最小限度ではありますが、してもらっているということでございます。
  221. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国鉄総裁が答えました所見と私とは全く同じでございます。いままではいわば国鉄全国に路線張っておるし、その中の一部だから国鉄の体力で持ちこたえたらいいじゃないかという考えでやっておりましたが、最近はなかなか、もうちょっとした災害の復旧工事にいたしましても巨額な金が要りますし、国鉄の財政もこういう状況になってまいりましたので、二年ほど前からこれの補助対象に取り上げられているということを聞いております。けれども、まだ額としてはそれは十分なものじゃないであろうと思いますけれども、まあ国の財政状況も困難でございますから、これと勘案しながらわれわれもこの予算の獲得に努力いたしたいと思っております。
  222. 桑名義治

    桑名義治君 国鉄の再建のためにはやっぱりあらゆる方策を講ずる必要があると思うんです。ただ単に今回のこういった法案に盛り込まれている事柄が達成をできたら再建が素直に進むかというと、必ず進むという予想は立たないわけですから、したがって総合的な施策の中で初めて国鉄の再建ができるということを考えれば、少しでもその負担を軽くするというか、そういう方向をやっぱり模索していかなければならないと思うわけであります。  そこで、この問題の最後になるわけでございますが、午前中からいろいろと論議を続けているわけですが、現在の国鉄の防災あるいは老朽対策の投資計画では、六十年度における施設構造物の老朽化は著しく、いわゆるAA、A1ランクの構造物は急激にふえるというふうに考えられるわけでございます。安全対策上きわめて問題がある構造物を放置することはできないはずでもございますし、ただこの問題を現在のような国鉄の財政の中では国鉄だけの問題というふうに考えることは少し酷ではなかろうか。実際に午前中の御答弁の中では一応八千億程度というふうにお話しになっておりますけれども、内部で検討なさったいわゆる補強という面から見た場合を含めますと、恐らく三兆円を超えるのではないかというふうに論議をされたこともあるようでございます。とするならば、この問題はただ単に、先ほどからたびたび申し上げておりますように、借入金に依存をしている間はこれはなかなか解決はおぼつかないのではなかろうか。したがって、この問題については先ほど主計官はなかなか厳しい答弁ばかりしておりましたけれども、運輸大臣は国土庁とも相談をしながらこの問題解決のために、いわゆる借入金依存の形ではなくて、投資という形で解決でき得る方向に進めていくべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  223. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在の国の財政は非常に窮迫いたしておりますが、関係省庁とも十分協議いたしまして、できるだけの努力は払っていくつもりでございます。
  224. 桑名義治

    桑名義治君 その努力を払うことについては、払えませんという答弁は当然できないと思うんですよ。だからね、どれほどまでにこの問題に対して真剣に大臣考えられているかという問題、ここに問題があると思いますよ。また、運輸省としても、どれほどこの問題について真剣に考えられているかと、これが問題になると思いますが、大臣、もう一遍お願いします。
  225. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国鉄の投資の中で、やはり重点的にどの程度まで向けられるかというこのこと自体にもやっぱり財政当局大蔵省としては対応の仕方もあるだろうと思うのであります。しかも災害対策、しかもさらに災害予防対策となってまいりますと、ただ単に国鉄だけということでいかなくなってきますので、道路もあれば、特に高速道路対策というのも、これはもうカリフォルニアの地震がございましたときに実験済みでございますが、あれの災害がもたらすのは大きい。それから港湾もそうでございますし、それじゃ、住宅も学校も病院もということになってまいりますし、そうすると、どこに財政当局としても重点を置くかということ、そしてその重点を置いたものに対して国鉄がどこまで自分自身の努力である程度こたえていけるかという、そういう非常に複雑な絡み合いというものがやっぱり検討されていかなければならぬと思うておるのであります。  といって、鉄道の災害を守る立場から申しますと、できるだけそういう投資、そして国からの補助制度によってやっていくというのが、これは望ましいことであろう、これはもう間違いございません。でございますから、できるだけの努力はいたしたいと思うのでございますけれども、国鉄自身もそれについていくだけの財政力がいまのところない。安全対策だけに投資を集中してしまいますと、他の地域に対する公正な投資ということも必要になってまいりますし、そこらの兼ね合いを十分に協議もいたしまして、安全対策に万遺憾なきを期するように努力をいたしたいと思うのであります。
  226. 桑名義治

    桑名義治君 次に、年金の問題を少し聞いておきたいと思います。  昨年の十二月末の閣議了解では、国鉄の共済年金問題について、各関係省間で対応することとなっているわけでございます。大蔵省の共済年金制度基本問題研究会で検討する、こういう御答弁を前々からの委員会でもお聞きをしているわけでございますが、現在までの審議経過はどういうふうになっているのか。また、結論はいつ出るように大体目途が置かれているのか、目標が置かれているのか。それから方向性について、何か中間報告的なものがあれば、それをお聞かせ願いたいと思います。
  227. 山地進

    政府委員(山地進君) この研究会の課題は、先生あるいは御承知のことだと思うわけでございますが、三つございます。  一つは、年金財政を踏まえた職域性年金制度としての共済年金のあり方。これは給付水準と給付の要件等が関係しておる。それから二番目が、他の公的年金制度との整合性とこれらの給付との調整。三番目が国鉄共済の問題を含む財政問題。この三つが研究会の項目に挙げられているわけでございます。  現在まで五回会合が重ねられておりまして、共済年金制度の沿革あるいは現状等について、全般的な基礎調査を一通り終了いたしました。今後回を重ねるに従いまして、総合的かつ専門的な検討が期待されているわけでございます。これからの検討の期間でございますけれども、二年程度予定しておるわけでございます。  それから中間報告が出るだろうかというお話でございますけれども、ただいまのところは、まだ基礎的な研究を続けておる段階でございまして、何らかの結論めいた方向にまだ動いておりません。したがいまして、中間報告ということが、まだ議題には上っていないという段階でございます。
  228. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、国鉄共済年金といわゆる国家公務員、それから専売、電電公社、こういった共済年金との比較をして見た場合にはどういう姿になっておりますか。
  229. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 現在の年金の状態をあらわします一つの指標として財源率というのがございますが、これは御承知のように、使用者側並びに共済組合員両方で持ち合う財源が果たして俸給一〇〇〇に対してどれだけになるか、こういう率でございます。国鉄の場合には、現在一四七という財源率でございます。他公社の場合には、専売が一一五、電電が一一四、国家公務員の場合は一二三、これは五十四年度比較を申し上げましたので、国家公務員につきましては五十五年度に若干の改定があるやに聞いておりますが、五十四年度は以上のような比較でございます。
  230. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、この年金の問題でございますが、平均成熟度を超える部分の負担額について利子補給の必要性があると思うわけでございますが、本年度予算では認められなかった理由と今後の政府の取り組み方及びその見通しについて伺っておきたいと思います。
  231. 山地進

    政府委員(山地進君) 昨年御指摘のような平均成熟度を超えるものについて、これは国鉄が異常な負担をしているということで大蔵省に要求したわけでございますが、そのときのわれわれの議論といたしましては、年金問題というのは、単に国鉄共済のみの問題ではない。ほかの年金、厚生年金においても将来を考えますと、いずれはまたこういう同じような問題が起こると、そうなると、こういったことについて、助成制度ということでこの問題を解決するということになれば、ほかの年金が問題が起きたときも助成制度、全部助成でいくということになってしまうので、国鉄年金の対策として、助成制度ということで解決するというふうなわけにはいかない。国鉄の問題が非常にむずかしい問題で、本来の状態になっているというのはよくわかるのだけれども、ほかの年金制度の、言ってみれば、悪い方の先駆になるわけですが、先駆として慣例をつくるというのは非常に好ましくないというようなことが非常なる大きな理由で、一年見送りになったわけでございます。  そこで、またことし同じような要求を出して、同じような理由で断られるのじゃないか、こういう御指摘かと思うわけでございますが、去年は私どもとしても、解決策としてこういうことをやってくれないか、こういうことで持っていったわけでございますけれども、今回はいま御説明いたしましたように、研究会で研究している最中でございます。片方では国鉄の財政が、赤字がどんどん進行している。そこで、研究に二年かかるのだったら、臨時的にとにかく助けてくれ、こういうことで同じような要求をしているわけですけれども、これはもう暫定的なんだ。恒久的対策はよく考えていただいて結構だから、暫定的に何とかならぬか、こういうことでもっていっておりますので、ぜひそういうことで、この国鉄の窮状に対処したい、かように考えているわけでございます。
  232. 桑名義治

    桑名義治君 三十五万人体制云々ということが大きな論議になっているわけですが、この三十五万人体制を達成する上におきましても、この年金の問題は早急に片づけておかなきゃならない問題でもございますし、あるいはまた退職金の問題をあわせてこれは早急に解決をしておかなければならない問題でございます。そういった意味から申しますと、この問題は早急にこうするといういわゆる政府の方針なりあるいは運輸省の方針なりが明確にならない上に立って三十五万人体制を論ずるということはこれはナンセンスな状況に陥ってしまうと、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。  その検討の段階におきましては、国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会では、統合一元化ということが言われているわけでございますが、それぞれの機関との年金の掛金の負担額などが非常に大きな問題になっているわけでございますが、この統合一元化ということが実際にできるだろうかどうだろうかということになりますと非常にこれはむずかしい問題になるわけでございますが、統合一元化に際しての一番の問題点になるとするならばどこらあたりが問題になるのか、具体的に御説明を願っておきたいと思います。
  233. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 統合に際しましては若干各共済組合ごとに制度が違うという問題がございますけれども、これは乗り越えられない障害ではないというふうに考えております。やはり統合の場合に一番問題として予想されますことは、私どもは、先ほど先生御指摘のように、大変高い成熟度を持っております。統合によって私どもの共済組合の窮状は暫定的に救われるということになろうかと思います。それだけに、逆に統合の相手方になる各共済組合、国家公務員共済組合でございますとか他の二公社の共済組合財政といたしましては、統合によってそうでない場合よりも急速に成熟度が高まる、そのために掛金なりあるいはそれぞれの負担金の問題が起こってくる、こういういわば利害の調整をどう図っていくかということが最大の問題になるのではないかと、このように予想いたしております。
  234. 桑名義治

    桑名義治君 この年金の問題については大蔵省に研究会ができて、それで二年の目標で研究をしているということでございますが、果たしてこれが二年間で結論が出るでしょうか。これは非常に大きな問題なんですがね。これただ単に二年ということで限定をされておりますけれども、可能性は非常に薄いように考えられるわけですが、この仮定の問題を出して論議することは大変恐縮でございますけれども、たとえばこれは二年で結論が出なかった、あるいはまた三年たっても出なかった、こういう状況になったときに、この国鉄再建法というものが大きなひずみがくるわけでございますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  235. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 先般来、国鉄は何度も再建計画を立ててそれがうまくいかなかったではないか、今度また一、二年で瓦解しやしないかという御心配をいただいておりますが、私どもとしては二つの点で従来から立ててきた計画とは違うものですということを申し上げておるわけでございます。  一つは、今回の計画は、何らかの意味でいわば外部から強く要請があって、そして細かいところまで検討しないでつくったというような傾向が、いまごろそんなこと申し上げるのは恐縮でございますが、いままでの案にはあったと。今回の場合にはわれわれ自身が一年半かかっていろいろ議論しましてつくったものでありまして、したがってこれどうしても何とかしなけりゃならぬという気分が全般に浸透しておりますので、そこが従来と違いますということが一点。  第二点は、その際いわゆるわれわれの手ではどうにもならない部分、努力をしてもどうにもならない部分、構造的と言ってもよろしいかと思いますが、要するに別の表現をとりますと、手の届かない部分についてはこれはもう頭を下げますと。そういう意味では、本当の意味で自力による再建法ではなくて、手の届かない部分については政府にお願いするというか財政にお願いするというか、そういうことであるということをいつも申し上げております。  その手の届かない部分の最たるものがこの年金でございます。この年金というのは、これから三十五万人体制をとろうと、そういうことをやらないで現状のままの四十二万体制でいこうと、給付の額は、毎年一人一歳ずつ年をとっていきますから、給付の額には関係がないわけでございまして、ただ四十二万の人がたとえば四十万の人のために掛金を掛けるか、三十五万の人が四十万の人のために掛金を掛けるかとなりますと、それは掛ける方の人が少なくなれば財政がいよいよ窮乏するわけでございますけれども、もらう方の人は特別な対策をとろうととるまいと毎年ふえていくわけでございますから、これこそどうにもならないわけでございますんですね。私は、この今回の再建ができることについては、一方においてわれわれができる範囲ということで、相当無理はあるけれども減量経営をやっていこうということで、全社挙げて、そして労使一緒になって三十五万人の方に取り組みますから、そのかわりこっちの年金の方だけはわれわれの努力はもうだめですということで頭を下げますから皆さんにお助け願いたい、こう言ってるわけでございまして、これができなければどうにもならぬというところへ追い込まれた心境でおるわけでございます。  ただ、非常にむずかしいのは、われわれの仲間であります電電公社の場合で考えてみますと、特に電電公社の従業員の方々の場合で考えてみますと、われわれが仲間に入れていただくと電電公社の職員の負担にも影響してくるということでございますから、桑名先生がおっしゃるように非常にむずかしい問題だよということもわかっておりますけれども、どうもいろいろ勉強してみましたけれども、統合以外に逃げ道がなさそうだというふうに考えられますし、それから若干この差はありますけど、たとえば専売のような場合にはもうすでに急速に成熟度が高くなることはわかっておるものでございますから、ある程度うちよりはましであるけれども、それがいずれはわが身だなという理解もだんだん広がってきておりますので、これはそれぞれの機関のむしろメンバーの方々といいますか、組合員の方々に最大限のお願いをして、何とかこれはやらぬと全体がどうにも崩れてしまうというふうに考えております。相当粘り強く各方面に頭を下げてお願いをして統合の方に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、ぜひひとつ御理解をなるべく広い範囲方々に持っていただきたいと念願をいたしております。
  236. 桑名義治

    桑名義治君 いま総裁から御答弁がありましたように、これはもう国鉄としては何度頭を下げても、どこに頭を下げてもいいから、とにかくこの問題は解決してもらいたいと。実際に非常に困難な問題でございます。これがまた研究会で果たして二年で結論が出るかどうかということは、私は現時点においては非常にむずかしい、困難であろうというふうに考えられるわけでございますが、もしこれが解決が、どうしても折り合いがつかないという、そういう場合を想定をした場合には、運輸大臣としてはどういう手当てをしようというふうにお考えになっておられますか。
  237. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 実は余りいまからそういうことを言っちゃいかぬのですけれども、現在もうすでに積立金が、よその年金は少しでも積立金がふえていってるわけですけれども、私の方はもう積立金が食い込み、五十四年の共済年金の会計は赤字でございますから積立金が食い込みになっておるわけでございまして、これは何といいますか、非常に不穏な発言でございますけれども、最後には支払い不能になってしまうわけなんですね。これはどうしても何かの形で助けてもらわないと、年金制度の、うちが一番初めに、制度ができたのは大正十年だか十一年でございますけれども、適用対象は明治に及んでいるわけでありまして、日本における最初の年金制度でございますから、それがおかしくなれば他の年金制度の関係者方々もこれ大変だというふうにわかっていただけるだろうと思ってるわけでございまして、ちょっと他にほかの方法というのはなかなかないので、とにかくこれはしがみついてでもそこに持っていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  238. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いま共済の理事長自身が非常な決意で言っておりますので、まあ私も統合の方向で進まざるを得ないとかねてから思うております。  しかし、いろんな共済ございますけれども、一番国鉄の共済が貧乏神でございまして、これを引き受けるというのはなかなか容易なことではないだろうと思うんですけれども、しかししょせん——私はいろんな角度からいまの研究会が結論を出してくると思うんです。それは国民年金、共済年金それから厚生年金、そういうものとの一つの将来におけるバランスということもございましょうし、そしてまた成熟度をどこで調整していくかということもございましょうし、それから組合員のそれじゃ負担という問題もございます。いま国鉄職員は非常に高い、六十一でございますか、何かほかのところと比べて千分の二十ほど高い、十五か二十ぐらい高いのを掛けておったり、そういう不公平もございますが、そういうようなものを一回やっぱり地ならしをしていく、それには一定の調整期間が必要だということも考えられるわけで、長いやっぱり調整期間が必要だろう。そういうようなものを総合いたしまして一つの結論が出てくると思うんですが、その場合にはただ単に共済自身で片をつけろというんではなくして、やっぱり政治的な配慮というものが当然必要になってくる。  けれども、そこへ至るまでにはやっぱり各共済の責任者がある程度互譲の精神を持って折り合わなけりゃならぬと私は思いますし、先ほど国鉄総裁の言っていますように、いずれはわが身ということも共済自身のこの進行見ておりましたら出てきておるわけでございますから、そういう触れ合い広場をつくって、そこで私は結論がついていく、ただ時間はかかるだろう。その時間かかる間に国鉄共済がへたってしまうということになったら、これは大変でございますから、それに対しましては先ほど来言っておりますように、国鉄の財政の負担にならぬようにしてこれは持ちこたえていかなきゃならぬ。それにはいろんな方法がございましょうが、おおよそまあ桑名さんも御想像していただけることだと思うておりまして、それには私もこれは全力挙げて努力をいたします。
  239. 桑名義治

    桑名義治君 終わります。
  240. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時五十三分散会