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1980-11-11 第93回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十一日(火曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     片岡 勝治君  十一月七日     辞任         補欠選任      片岡 勝治君    目黒朝次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         黒柳  明君     理 事                 伊江 朝雄君                 山崎 竜男君                目黒朝次郎君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 大木  浩君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 青木 薪次君                 瀬谷 英行君                 広田 幸一君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君                 田  英夫君    国務大臣        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸省鉄道監督        局長       山地  進君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        北海道開発庁企        画室長      田中 貞夫君        国土庁地方振興        局過疎対策室長  清野 圭造君        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     中島 章夫君        自治大臣官房地        域政策課長    藤原 良一君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      加賀山朝雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(第九  十二回国会内閣提出、第九十三回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六日、目黒朝次郎君が委員辞任され、その補欠として片岡勝治君が選任されました。  また、翌七日、片岡勝治君が委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君が選任されました。     —————————————
  3. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い本委員会理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事目黒朝次郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 広田幸一

    広田幸一君 私は、先回の委員会で、特定地方交通線を決める政令基準を出してもらわないと成案の審議ができないと、こういうふうなことを最後に言って質問を終わっておるわけですが、したがいまして、本日の委員会の冒頭に私のそうした質問に対して何らかの回答か答弁があるものと期待しておりますが、この点についてどういうことなのか、御答弁願いたい。
  7. 山地進

    政府委員山地進君) 前回の御質問に若干触れてお答えしたかと思うのでございますけれども、私どもとしてこの法案を出すに当たり、各省庁といろいろ御相談をしてこの法案を出したわけでございますが、その後、政令の問題につきましては、この国会衆議院運輸委員会におきまして運輸省の考え方ということを折に触れまして御説明し、また、衆議院運輸委員会でそういった案を紙で出してもらいたいということで、従来の各省間の折衝を踏まえて運輸省で取りまとめました政令案ということを、政令案といいますか、その選定基準の案でありますね、それをお出しして御審議いただいた経緯がございますので、その運輸省の取りまとめた案というものにつきましては、もしお時間をいただければ御説明したいと、かように思っているわけでございます。
  8. 広田幸一

    広田幸一君 いま鉄監局長がおっしゃった運輸省としての原案といいますか、そういうものが衆議院委員会で提出されたということは私は聞いておるわけです。しかし、その内容ではわれわれは徹底した内容のある審議ができないと、こういうことで前回も申し上げたわけです。  特に私は先回の委員会で、特にそういうふうに思いましたことは、これはこういう質問を私はしました。これほど予想される地域の沿線の皆さんが非常に心配している問題を、運輸省として、政府としてどこまで話し合いを詰めてきたかという質問をしました。それに対して局長の方からは、余りやっていない、だから国会で十分に審議をしてもらいたい、こういうことだったわけですね。ですから私は、あれはまああのまま追及しなかったんですけれども、よく考えてみますと、政府の方が徹底的に審議をしてもらいたいといえば、やっぱり私は中身のあるものが提案されなければならない、こういうふうに思いまして、特に私はきょうそのことを申し上げるわけでありまして、衆議院で提案されたものであったって、それではとても審議対象にならないと、こういうふうに思うわけです。もう一回答弁してください。
  9. 山地進

    政府委員山地進君) 前回いまのような御質問の際に、私ども政令について考えていることを申し上げたわけでございますが、その中で私どもが常に申し上げておりますのは、この地方交通線問題というのは長い歴史を持っている問題でございます。特にいろいろと社会的にも影響があるし、政治的にも非常に大きな問題である。そこで大きな道筋をお示しいただきたいために国会政令ということで委任していただくような形で政令というものをやりたいと、こういうことを申し上げているわけでございまして、私どもとして、従来こういった鉄道の廃止というのが日本国有鉄道法政府でできるわけでございますけれども、問題が大きいということで政令に委任してこれをやりたいと、そういった大きな道筋については政令の方におゆだねいただきたいのだ、こういうことを申し上げているわけでございます。  私たちのそういう心は、この政治の場で、国会の場でいろいろ議論をされたことも踏まえて政令というものをつくっていきたい、かように考えているわけで、若干鶏と卵の関係ございすけれども、私ども考えているのは、大きな道はこうで、政令としてはこういうものを考えております、そこで国会の御審議でいろいろの御意見を承って、さらに政令作成の際にはそれを十分参考にさせていただきたい、かように考えているわけでございます。
  10. 広田幸一

    広田幸一君 局長答弁では納得できません。  それで、私は塩川運輸大臣にこの際お尋ねしますが、あなたは一昨昨日の土曜日の八日の日に札幌記者会見をされておりますね、その記者会見自民党政調会長安倍さんと同席をされておるわけですが、私たち新聞の報道で見る限りにおきましては、これほど真剣にまじめに法案審議しておるさなかに、あのような内容記者会見で発表されたということはまことにけしからないと私は思っておるわけです。しかもこの問題については、国民が本当に真剣に国会審議を見守っておる中であのような内容が事実とするならば問題があると思うんです。そこで、私はまず大臣に、どのような内容を持った記者会見をされたのか、内容について御答弁を願いたい。
  11. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 土曜日、私は札幌記者会見いたしました。そのときはちょうど安倍自民党政調会長一緒に北海道へ入ったものでございますから、一緒記者会見ということになりまして、しかし私はその記事を見ていただいたらおわかりいただけると思うのですが、いままで国会答弁しておりますことといささかも違ったことを記者会見では言っておりません。それで私が言っておりますのは、あくまでも国鉄責任は、特定地方交通線等については国鉄責任は免除していただきたい、国鉄から路線の営業を外れたといたしましても、これは運輸省なりあるいは北海道庁、つまり地方自治体が共同して責任を持って皆さん方影響を与えないようにいたしますと、そして地域交通というものをこの際一緒に考えていただきたいと、どうあるべきかと考えていただきたいということを終始一貫申し上げております。  そこで、記者から、それじゃ基準等について、運輸省が考えておる基準は変更することがないのかということでございましたので、いま運輸省国会審議に提案いたしております政令基準となる骨子は、いささかも変更いたしませんということを私は明確に言っております。そういう次第でございますので、御理解いただきたいと思うんです。
  12. 広田幸一

    広田幸一君 新聞記事では、大臣のおっしゃっていることにはそれほど問題があるようには私は思いませんが、この安倍政調会長内容に問題があるわけですね。そのことを、同席しておられたわけですから、だからそういう安倍政調会長のおっしゃった内容については御承知になっておるわけでしょう。言いましょうか。これは新聞記事でございますからね。私が言っておりますのは、いろいろ記事に載っておりますけれども、まとめて言いますと、政令作成段階で党の意見を述べるし、政治判断をするという、こういうことをおっしゃっておるわけですね。これを裏を返しますと、政治判断というのは、対象線になっておる特定地方交通線を廃止する場合もあるし、存続する場合もあると、こういうふうに受けとられるわけですが、そういうような党の意向というものが政令をつくる段階で入れられるということになれば、ますますもってわれわれは、基準をこの委員会でもって、あるいは国会の本会議において審議をしなければならぬということになるんじゃないでしょうか。間違いでしょうか。
  13. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 確かにそれは、私も横におったんでございますから聞いてはおりました。しかし、そこで党として意見を述べるとおっしゃっていましたが、これは私たちもどの政党であれ意見が当然ございますから、これは意見として私は聞くべきものは聞く、それは当然のことでございます、聞くということでございますから。それともう一つは、政治的配慮とかそういうのは、私はもう少し、明確には記憶しておりませんが、自民党としても、政治的にいろいろ特定地方交通線のあり方についてとか、何かそんなことが私ついておったと思うのでありまして、安倍政調会長の言っていますのが、政令政治的配慮をするということ、それは言っておりませんでした。これは私も横におりましたし、そういうことではなかったということは私も申し上げられます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 関連。  私どもも、八日、九日と実は筑豊地区を視察いたしました。新聞によりますと、仙台へ行かれた皆さんの場合でも、存続をと涙の訴えを町長はされた。それから、仙台国鉄再建公聴会は、場内が一瞬静まったと、こういう記事とともに、実情は無視できぬと安倍政調会長は言われたと。そのことは、いま広田委員質問の中で大臣答弁——私は大臣発言を云々しているわけじゃございません、これは広田委員と同じです。ところが、地方へ行きますと、もう大物と言われる皆さんが、法案は通ってもいいよ、法案は通っても問題は政令だと。政令段階でおれのところは残すから大丈夫だということを、大物と言われる皆さんがことごとく発言していることが目立っているのであります。そういうことになりますと、広田委員の言われるように、政令を出さないと政府側の手のうちがわからぬ。これではやみの中で何かを手探りで探すようなもので、質疑のしようがないじゃないかということが広田委員質問でございますから、実情は無視できない。しかも政令段階でこのことについては政治的判断をするということはですね、私どもの心配しておったことがそのまま出てきた。したがって、政令を出すべきだ、こういう発言がわれわれの発言であるということについて、大臣、いかがでございますか。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私、先ほども申しましたように、政令を決定するこの作業はあくまでも純行政ベースでやるべきであって、その段階においては政治的配慮というものはこれは排除すべきであろうと、私はそれはいまでもそう信じておりますし、そのようにいたすつもりであります。
  16. 広田幸一

    広田幸一君 それでは、これはまあ局長でも大臣でもいいんですがね、この法律の中に政治的な判断を許されるような内容がありますか。私のこの法案を見た限りにおいてはですね、収支均衡が保てない線は切るというふうに言ってあるわけでしょう。そうでしょう。どこに政治的な判断という、そういうような余地が残された法案になっていますか。なっていないでしょう。そのことを説明してください。
  17. 山地進

    政府委員山地進君) いまの広田委員の御質問のように、八条では鉄道営業線として、「幹線鉄道網を形成する営業線として政令で定める基準」、この政令一つございます。それから次に「収支均衡を確保することが困難であるものとして政令で定める基準」、これも収支均衡とは何かということに技術的に関係する基準でございます。それから次はバス「による輸送を行うことが適当であるものとして政令で定める基準」と、こういうことで、ただいま塩川大臣から申し上げたとおり、これらについては行政的に閣議で政令を決めていくと、私どもは、かように考えております。
  18. 広田幸一

    広田幸一君 私は後ほどこの法案について、八条、九条、十条についてもっと詳しく詰めて質問をしたいと思っておりますけれども、どうもいまの局長のあれでは、私の方があるいは読みが足りませんかもしれませんが、もう少し審議しとかなきゃならぬと思いますがね。  大臣、いま青木委員が言いましたように、私はこの間委員会でも言ったんですけれども地方に行きますとね、地方に行きますとまあとにかく法律を通せと、あとはいいぐあいにするということを言っておるんですよ。私は、それを代弁したようなかっこうで自民党、与党の政調会長がわざわざそのようなことを言ったと思うんですね。なぜこのような時期にそういう国民から誤解を受けるような、疑惑を受けるような記者会見を、なぜこの時期に札幌に行って、しかも政調会長同席のもとにやらなければならないか。そこらの政治判断といいますかね、政治的な意図といいますか、そういう点に私は疑念を持たざるを得ません。この点どうですか。
  19. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうおっしゃれば、私も記者会見をするということはちゅうちょしたんであります。私が札幌へ行きましたのは、実は私の長年の友人でございました村上茂利というのがおりますが、それの会合がございまして、どうしてもということで実はもう数カ月前に約束をいたしておりまして、まあいわばその約束を再三にわたって私は勘弁してもらおうと思うたんですが、たってのことでございましたんで行ったようなことなんですが、行きまして、記者会見といって大げさな席が設けられておるわけではなかったので、まあ部屋、ちょっとこちらへ来てくれということで行きましたら、新聞記者ばかりおって記者会見になってしまったわけでございますが、私はその前には知事初め県会議員の方々、市町村長陳情を受けておりまして、その陳情でいろいろと話し合いをして、その後ちょっとついでにこっちの部屋というので入ったのが記者会見部屋でございました。これは実際そうなんです。  そうしたら、しばらく待ってくれと記者から言ってきまして、何かあるんですかと聞いたら、安倍政調会長をいま呼びに行っているからというので、ちょうど十分近くでしょうか待っておりましたら、安倍政調会長が入ってきまして、まあ一緒に並んで記者会見したというのが実情でございまして、私は参議院の先生方が同じく地方公聴会もやっておられるし、また現地調査もやっていただいておることは十分に承知しておりました。ですから、そういう席で記者会見をするというのは、私もちゅうちょはしておったんですけれども、ああいう場に行ってしまいますと、そういう設けられていたところへ座ったことが記者会見となってきたと思うております。  しかし私は、いままでこの国会答弁しておりますことを曲げるつもりはいささかもございませんし、また安倍政調会長の言っておられたのも、おれに任しておけというようなそんな雰囲気で言っておられるんではなくて、皆さん方のいろいろな悩みはわかるから何だかんだという、そんな話がありまして、発言があったことでございまして、私もあの日あのときに記者会見するということは確かに適当ではないと、私はそう思うております。
  20. 広田幸一

    広田幸一君 大臣がそこまで率直に言われますと、私も追及がちょっと鈍ってくるわけですけれども、しかし私は、この間の六日の日の私たち委員会のときの空気と現在とは、あの記者会見を契機にしまして国民の中に非常に疑惑を生んでおることは事実です。間違いありません、それは。私たちのところへもたくさん来るわけですから。じゃあ力のある議員がおるところの鉄道は存続するんですなと、自民党はいま絶対多数持っておるからやりますなと、こう言ってくるんですよ。私はそういう認識を、われわれと違って政治経歴も長い、しかもそういう点についてはもうベテランの塩川大臣として、現状について、私が言っておるような認識を持たれませんかどうか。その点、もう一遍答弁願いたい。
  21. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは衆議院審議のときにも実は同じような御意見がございまして、確かに衆参それぞれの各党の議員さんが選挙区へお帰りになって、いろいろと意見を言っておられます。しかし、まあ少なくともわれわれ運輸省なり国鉄は、それは政治家の方の発言として受けとめておるのでございまして、これを政令を決定し、そしてその政令を適用していく際には、そういうことが、不公正なことがもしあるといたしますならば、これは国鉄再建全体がだめになってしまう。それは私たちもその点につきましてはもう非常な決意でおりますしいたしますので、不公正、いわば特定政治家による不公正というようなことは絶対にいたさないようにいたしますから、その点はひとつ御信頼いただきたいと思うんです。
  22. 広田幸一

    広田幸一君 大臣、いま率直にお話しになったんですけれども同席をしておって、しつこいようですけれども安倍会長が事実新聞——一つ新聞ではないわけですから、どの新聞も同じように、共通的に言っておるわけですから、これはまずいと、そういうふうにお気づきにならなかったでしょうか。それは安倍さんちょっとまずいよと、ちょっと訂正しなさいよと。私は、これほど国民が注視しておる問題である以上、まずかったというふうな反省だけでは、国民に非常にいま疑惑を生んでおるんですから、私はそういうことがなぜできなかったか。いま大臣がそうおっしゃるけれども政調会長というのはもう自民党大物でしょう。中心でしょう。しかも、大臣自民党から出た人ですから、いまそういうことをおっしゃっても、これから白紙委任をするかもわからないわけでしょう。これが、基準というものがこの委員会に出て細かく審議するというならば私はいいと思うんですよ。結果は、これが通ってしまいますと白紙委任をしてしまうわけでしょう。白紙委任をしてしまったら、政令で決めてどんどんどんどん押してくるわけですよ、法律というものは。だから私は、大臣がいまそういうふうにおっしゃっても、押し切られてくる可能性があると、こういうふうに考えざるを得ないんですよ、政治的な常識としてね。どうですか、この点は。
  23. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 安倍政調会長発言の中には、政治的に、政治的なとかいう発言がずいぶん出ておったんです。ですから、たとえば国鉄のお話だけではありませんで、最初に話が出ましたのは冷夏問題でございまして、これに対する対策はどうするというような説明がありましたし、また地方自治体公共事業について、これも何か政治的にどうのという話も実はありましたし、そういうずうっと説明のあった中で出ておったものでございますから、私も、それは詳細に政調会長がスピーチをしますのをきちっと自分でやっておればそれはなんだったかもわかりませんが、私はその前後の言葉が、確かに政治的という言葉は出ましたけれども、その前後のつながりからいって、聞いております場合に、自民党事後処理についての政治的な対策というそういう意味にもとっておりましたしいたしますので、そのときにはそんなに私は深刻な問題とは実は思うておりませんでした。
  24. 広田幸一

    広田幸一君 私は、この間の六日以来、あの当時といまと変わっておるというのはおかしい言い方ですけれども、やっぱりこれは基準というものは出してもらわなければ審議ができない。私たち国会議員は、住民の代表としてその意見国会で反映をするという義務と責任があるわけですから、だから疑惑を持っておる点については私は徹底的に追及しなければならない。しかも時代がそういうふうになっていると、こういうふうに判断しますから、まず基準を出してもらいたい。仮に記者会見でも大臣のおっしゃっておるように、法案が通ったならば関係閣僚会議を開いて早急に決めるとおっしゃっておるわけですからね。ですから、そんなに急がなくても、私は先般申し上げておりますように、やっぱり国民理解があって初めて持続的な、安定した国鉄再建ができると信じておるわけですよ。だから、少々の時間を置いても、国民理解をできるようなそういう審議を進めることが本当の私は国鉄再建になると、こういうふうに信じておるわけですから、ひとつそういう意味で、基準の提案について、出してもらうことを要求したいと思います。それが出ない以上は審議に入れないと思うんです。  動議を出します。出せということを私は動議として出しますから、委員長の方で取り扱ってください。
  25. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 暫時休憩いたします。    午前十時三十二分休憩      ——————————    午前十一時三十七分開会
  26. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案議題といたします。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣
  27. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 安倍政調会長札幌発言は、発言に一部誤解を招いたことは遺憾であり、私といたしましては公正妥当に法の運用に当たります。  政令制定に当たっては、審査の経過と地方実情を誠意をもって反映させるよう努めます。  政令制定に当たっての運輸省選定基準案を本日提出いたします。  以上であります。
  28. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 引き続き、基準案について説明を求めます。山地局長
  29. 山地進

    政府委員山地進君) お手元にお配りしました地方交通線等選定基準案、これを読みながら御説明させていただきます。  第一 幹線鉄道網を形成する営業線基準    日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第八条第一項の幹線鉄道網を形成する営業線は、次の各号の一に該当する営業線とする。  一 都道府県庁所在地等主要都市を連絡する部分を有する営業線(当該部分の営業キロが三十キロメートルを超える営業線に限る。)であって、当該部分(二以上ある場合にあっては、いずれか一の部分。次号において同じ。)において運輸大臣が定める方法により算定したすべての隣接する駅の区間における旅客の一日当たりの輸送量が一定量以上であるもの  二 前号の営業線主要都市とを連絡する部分を有する営業線(当該部分の営業キロが三十キロメートルを超える営業線に限る。)であって、当該部分において運輸大臣が定める方法により算定したすべての隣接する駅の区間における旅客の一日当たりの輸送量が一定量以上であるもの  三 その起点から終点までの区間における貨物の輸送密度(運輸大臣が定める方法により算定した当該区間における一日営業キロ一キロメートル当たりの輸送量をいう。以下同じ。)が四千トン以上である営業線  これは法八条の幹線鉄道網を形成する営業線でございまして、一に書いてございます都道府県庁所在地等主要都市、これは大体十万都市を基準に考えておりますけれども、ここに書いてございますように、都道府県庁所在地というような主要都市を連絡する部分を有する営業線。この連絡する部分を有する営業線というのは、何々線という中に都道府県庁所在地あるいは十万都市というようなものがあるということでございます。それで括弧してあります三十キロメートルを超えるといいますのは、同じ重要な都市がありましても、近接している場合には一つの通勤圏といいますか、都市圏に入るものでございますから、その場合には、都市と都市を結ぶ連絡線とは言えないだろうということで、一応都市圏というのは三十キロでございますので、三十キロを超えて、要するに離れて主要都市があるのが都市間の連絡線であるということでございます。  それから、「二以上ある場合にあっては、いずれか一の部分」ということが書いてございますのは、一つがある一定量を超えればいいという後のことにかかってくるわけでございまして、たまたま二つ以上あった場合には、どっちかがそういうふうに該当していればいいということが書いてあるわけでございます。「において運輸大臣が定める方法により算定したすべての隣接する」というのは、その営業線の中に隣接する駅が幾つも、重要都市でないところがあるわけでございますけれども、隣接する駅の区間において旅客の一日当たりの輸送量、輸送密度が一定量、一定量というのは、私どもとしては四千人といいますか、そういったものを考えているわけでございますけれども、そういった幹線を結んでも余りお客がないというのは、幹線網を形成する路線にはふさわしくないんじゃないだろうかということで一定量と書いてあるわけでございます。  それから二番は、こういった幹線網が、幹線があってそれから幹線から今度は分かれて、分かれた点は主要都市でない小さな都市であるけれども、その先に主要都市、たとえば十万都市とか県庁がある場合に、それはその主要都市から出ている線は幹線にぶつかっているわけです。そのときにはそれを幹線とするということが書いてあるわけでございまして、これは一日当たりの輸送量が一定量であるということについては一と同じでございます。  三は、一と二とは全然観点が別でございまして、大量定形な輸送というものを、貨物輸送をするということを幹線にするということで、これを幹線の基準としては貨物の密度が四千トンというふうに考えているわけでございます。  それから第二はでございます、これを読ませていただきます。  第二 地方交通線に関する基準法第八条第一項の鉄道営業線のうち、その運営の改善のための適切な措置を講じたとしてもなお収支均衡を確保することが困難である営業線は、その起点から終点までの区間における旅客の輸送密度が八千人未満である営業線とする。  この法に書いてございます収支均衡を確保することが困難な線、これを私どもの方で国鉄が経営努力し、かつ中小民鉄も収入を上げるというような点を考えますと、八千人ということで大体収支が償うということになりますので、この計算に基づきまして、統計資料に基づきまして八千人と。したがって、この八千人を超えれば収支がよくなり、八千人を切れば収入が悪くなるというふうに考えているわけでございます。  第三 特定地方交通線に関する基準法第八条第二項の地方交通線のうち、その鉄道による輸送に代えて一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第二項第一号の一般乗合旅客自動車運送事業をいう。以下同じ。)による輸送を行うことが適当である営業線は、その起点から終点までの区間における旅客の輸送密度が四千人未満である営業線(次に掲げる営業線を除く。)とする。  一 当該営業線における隣接する駅の区間のいずれか一の区間において運輸大臣が定める方法により算定した旅客の一時間当たりの輸送量が片道千人以上である営業線  二 当該営業線の線路に接近し、又は並行した道路であって一般乗合旅客自動車運送事業の用に供することができるもの(整備されることが明らかである道路を含む。次号において「代替輸送道路」という。)が存しない営業線  三 当該営業線に係る代替輸送道路が冬期において積雪等のため十日を超える期間交通を確保することが困難であると認められる営業線  これは第八条のバス輸送に転換することが適当である営業線でございまして、これはバスのコストと鉄道のコストというものを比較いたしますと、四千人を超えますとバスの方が赤字が、同じ赤字でも赤字が多くなる。ところが四千人を切りますと、バスの方が同じ赤字でも赤字が少なくなるということが、これは統計的に私どもとしても出ますので、この四千人ということでその区切りをする。  ところで、このバスに転換することができにくいということでは、ある一定の区間、全区間ではございませんが、ラッシュ時にあるところでパイプが詰まってバスに転換することができないということがございますので、それを片道千人ということでバス輸送がむずかしいという判断をしております。  それから二番目が並行道路があるかどうかということでございますので計画路線も含めましてあるかどうかということで判断したい。  それから三番目は、冬期の積雪のため十日を超える期間交通が途絶するというような路線についてはこれを除外する、かように考えておるわけでございます。  以上、簡単でございますが。
  30. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ——————————    午後零時五十六分開会
  31. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  32. 広田幸一

    広田幸一君 私の、政令で決める基準を提案してもらいたいという動議に対しまして、理事会が長時間にわたり検討していただきまして、その労を多といたしますが、率直に申し上げて、私の動議を提出した思想から言いますれば、遺憾ながら不満でございます。しかし、了承することにいたします。  ただ、今後の課題として、国民の要求にこたえる意味で、政令で決める基準案作成されたときは速やかに委員会にその内容を報告するよう強く要請いたしますと同時に、理事会におかれましてもそのための労をとっていただきますようお願いをいたしまして、以下、質問に入ります。  私どもは八、九と福岡県のいわゆる筑豊地区の現地の視察と公聴会に参加をしたんですが、その模様については運輸省としてもそれぞれもうすでに聞いておられると思うんですが、この際、私申し上げておきたいと思いますことは、いろいろ反対、賛成の意見が述べられたんですけれども、共通する点がありましたので、これから政府当局としても、政令基準等決める段階において参考にしていただいたら結構かと、こういうふうに思いまして以下申し上げておきたいと思うんです。  まず一つは、私も実は公聴会に臨んで思ったんですけれども、意外とこの法案に賛成する人たち、まあ人たちといいますか、たとえば会社の社長さんなんかですね、いまの国鉄の六兆円という赤字の原因が那辺にあるかということが正しく私は分析をされてるように思いました。たとえばこの間の委員会でも私言ったんですけれども国鉄の手の届かないいわゆる構造的な欠陥、欠損でありますか、そういうものについてかなりそういった人たちが承知しておられることですね。ですから、まず政府国鉄側の持つ責任というものを明確にして、政府は助成すべきものは助成をする、国鉄はそれこそ必死になって経営改善のために努力する、そういう明確な責任分担というものを明らかにすべきであると、こういう意見がありましたことを私は非常に特徴的な感じとして受け取りました。  それから、御承知のように、あの地区は昔は石炭がどんどん生産されまして繁栄した地区でありますが、今日はああいう状態になっておりまして、たとえば生活保護家庭が全国で一番多いというような一つの例をとってみましても、いかにあの地区が住民の皆さんの生活条件が悪いかということがよくわかると思うんです。その筑豊地区も石炭六法の延長であるとかあるいは産炭地域振興法の計画を進めるとか、そういうようなものがだんだんと進められておりまして、ようやく暗かった筑豊地区もだんだんと再建といいますかそういう方向に向かいつつある。そういう時期に国鉄を、あの地区は対象線と思われるのが多数あるわけですが、そういうものを一遍に廃止されるということは、せっかくいま伸びようとしかけた時期にそれを足どめするようなことになる、そういう地域実情というものを十分に考えてもらいたいという意見が賛成、反対、もう両方から出ました。なお、知事ではなくて副知事だったわけですけれども陳情団の代表としてそういうことを述べていかれました。  それからもう一つは、この委員会でもわれわれが強く言ったんですけれども、見切り発車をしてもらいたくない、住民の声を十分に聞いてもらいたい、こういう意見が、これも賛成、反対、いずれも強く出ましたことを御報告を申し上げておきたいと思います。そういう、せっかくこの間われわれが実地を見、しかも公聴会で地元の皆さん意見を聞きましたので、この際皆さんに御報告を申し上げておきたいと思います。  そこで、私はこの法案の八条、地方交通線の選定についてお尋ねをしたいと思うんですが、この二項は、いわゆる国鉄がこの特定地方交通線というものを決めてそれを大臣に承認をしてもらうような手続をすることになっております。それから次は、三項では特定地方交通線を選定したときは、その旨を関係都道府県知事に通知するということになっております。問題は四番目でございますけれども、「前項の通知を受けた都道府県知事は、当該通知に係る営業線の選定について、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」と、こうなっておるわけですね。それで、これは私の解釈でありますが、二のところでは「運輸大臣の承認を受けなければならない。」と、こうなっておるわけです。その承認の範囲というものはどういうふうに判断をしたらいいかという問題ですね。国鉄特定地方交通線を決めて、それを運輸大臣の承認を受けるわけですね。その時点ではもう決まってしまったわけでしょう。それから、今度は知事が通知をする時点ではすでにもう決まってしまっている、まあ私の解釈ですが違っておれば……。それから知事は運輸大臣意見を申し出ることができるというふうになっておるわけですけれども、いろいろどういう場合があるかということを想定してみましても、もう決まったものに対して知事が意見を申し出てもどうにもしようがないじゃないか、こういうふうに二、三、四と関連をして思われるんですが、私のそういう解釈は間違っておるかどうか。
  33. 山地進

    政府委員山地進君) 確かに二項、三項、四項と、順番からいいますと二項が先に書いてございますけれども、私どもの想定しておりますのは、国鉄が選定をしますと、承認を受ける前、運輸大臣はもちろん承認をすぐはしませんで、国鉄は選定をして運輸大臣に承認申請をすると同時に、知事の方にこういうことで選定をしましたということで御通知をしていただく。そういたしますと知事の方からは、運輸大臣が承認する以前に、この選定については私どもとしてはこう思うという意見が出てくる。つまり、運輸大臣は承認に当たりまして、国鉄の選定とそれから知事の意見、こういうものを両方を見て、そして承認をする、かようなことを考えているわけでございます。
  34. 広田幸一

    広田幸一君 そうなってくると、かなり地方住民を代表する知事の意見が取り入れられる場合もあり得るということなんですね。
  35. 山地進

    政府委員山地進君) この規定は、承認行為あるいは意見というのも、選定について、たとえば四項で申し上げますと営業線の選定について意見を申し出ることができる、こういうふうに書いてございまして、選定という行為は基準にこの線が当てはまっているということを国鉄が考えて選定するわけでございます。そうすると知事の方の意見は、その選定が基準から見て違っているというような意見が出てくるわけでございまして、運輸大臣の承認行為も基準と選定の間について確認をする、承認と書いてございますけれども、そういうふうな関係にあろうかと思います。したがいまして、その承認行為自体あるいは意見もさようかと思うのでございまして、もちろん意見の方はいろんなそれにまつわるような意見もあるいは出るかもしれませんけれども、その核となるものは選定が基準に適合しているのかどうかということが中心でございます。
  36. 広田幸一

    広田幸一君 こういうことになるわけですね、国鉄基準に従ってこの線は特定地方交通線であると、こういうふうな判断をして大臣に承認を求める、まだ大臣はその時点じゃ承認してないわけですね、そういう解釈をしますがいいですね。そのとき国鉄は、どういうふうな内容で、どういうふうなかっこうで知事に通知をするんですか。
  37. 山地進

    政府委員山地進君) ここに書いてございますように、国有鉄道政令で定める基準に該当する営業線を選定した、つまりこの政令に基づいて何々線は特定地方交通線になりますという事実を通知するわけでございます。
  38. 広田幸一

    広田幸一君 そうしますと、国鉄大臣に承認を求めるという、まだ承認されてないわけですから、今度は知事に対して、あなたのところのその線はもう国鉄から切り離しますよと、こういう通知をするわけでしょう。特定地方交通線に指定するということは、自動車になるか第三セクターになるかは別として承認するわけですね。それから今度は、あなたのおっしゃるとおりにすると、知事は大臣に対して、いや困りますというふうに言うわけでしょう、こういう意見がありますという意見を。国鉄はこういうふうにおっしゃってきておるけれども、私の方はこれこれこういった意見がありますのでこういうふうにしてもらいたいということを出すわけですね。そういうことですね。
  39. 山地進

    政府委員山地進君) 基準に、四千人以下である、あるいは並行道路がある、あるいは積雪が十日である、あるいはラッシュ時に千人以上である、こういうような基準がありますわね。そうすると、それについて自分の、知事のおられるところのある線がそれに該当するかどうかということになるわけでございまして、そのときに、この地域についてはこういう工場団地がある、そこにはもうすでにいっぱい工場が来るし、それから住居もすでにこういうふうなことで決まっているんだという、将来の予想需要の点も一つございますですね。そうすると、この線については特定地方交通線には該当しないんではないか、こういうような御意見が出てまいりまして、特定地方交通線になっては困るという、何といいますか、主観的な判断じゃなくて客観的に、これは地方交通線にはならないんだ。たとえば、並行道路があるとおっしゃるけれど、実は、これはバスも通れない道であるとか、そういうことについては、国鉄は詳細に調査してから選定するわけでございますから、万間違いはないと思うんでございますけれども、知事の方からごらんになって、そういう各点につきましていろんな御疑問が出てきて、これはやっぱり基準から見てもそうじゃないというような御判断が示されるというふうに考えております。
  40. 広田幸一

    広田幸一君 局長、将来そういった地域が開発されるかもわからない。知事が、いや、国鉄はそうおっしゃるけれども、この地区は将来発展をする可能性があるんだというような意見を知事が運輸大臣に持っていった場合には考慮するという弾力性があるというふうに理解してよろしいんですか。
  41. 山地進

    政府委員山地進君) 将来の点も含めましてでございますけれども、知事の意見国鉄意見が違う場合には事実がどっちだろうということについては、承認に当たって慎重に検討するということになろうかと思います。  いまの御質問の将来どうなるということにつきましても、その計画が具体的に——将来といってもかなり近い将来でございませんと、単に計画でございますと、確実性というか、具現性というものがないわけでございまして、その計画によって確実に輸送需要がふえると思われるかどうかというところが肝心な点かと思います。
  42. 広田幸一

    広田幸一君 国鉄の方は国鉄判断基準に基づいてやるわけですし、地元の知事の方は、できるだけ切り離してもらいたくないということでいろいろな理由を言うわけですが、最終的の判断というものは、これは運輸大臣にあるわけでありますね。
  43. 山地進

    政府委員山地進君) 違うことについて御意見があった場合、あるいは知事の御意見がない場合でも、選定について適用を誤っている場合等については、運輸大臣が承認をしないということは起こり得るということでございます。
  44. 広田幸一

    広田幸一君 いろんな場合が想定されると思うんですけれども、知事がどうしても困るといった場合、知事が、どうしてもこれは廃止されては困るといった場合はどうなりましょうか。
  45. 山地進

    政府委員山地進君) 先ほど御説明いたしましたとおり、四項は「選定について」ということでございまして、その選定自体、選定すること自体ではございません、選定の内容だと私ども理解しておりまして、廃止されては困るというのは、基準の適用上は特定地方交通線になるんだけれども特定地方交通線になって、廃止されちゃ困るというのは次の段階の話になろうかと思います。私どものこの選定については、そういった何といいますか、いろんな御意見があろうかと思うけれども、客観的な基準に基づいて、政令で決めました基準に基づいて一律に、公正に実施していきたいと、かようなことでございますので、いまの先生の御質問の困るからということは、基準に書いてないことでございますので、選定自体からは外れてくるというふうに思っております。
  46. 広田幸一

    広田幸一君 結局最終的な決定権は運輸大臣が持つ、こういうことですね。  それから第九条についてお尋ねをしますが、九条の一項でありますが、「特定地方交通線ごとに、政令で定めるところにより、」という内容はどういうものを意味しますか。
  47. 山地進

    政府委員山地進君) 協議会の手続的なことを「政令で定めるところにより、」と書いてございますので、この内容、協議会自体の組織については、ここにございますように、国の関係行政機関及び国鉄によって組織するということでございます。
  48. 広田幸一

    広田幸一君 この条項をずっと見てみまして、いわゆる協議会というものの組織というものは、これは国の関係行政機関及び国有鉄道でありますね、いわゆる国鉄と行政機関の二つが編成されて協議会というものがつくられているということですね。そこで関係行政機関というのは何と何を指すのですか。
  49. 山地進

    政府委員山地進君) ただいま考えております内容は、運輸省、建設省及び国家公安委員会のほか、北海道につきましては、北海道開発庁を考えております。
  50. 広田幸一

    広田幸一君 そこで、この協議会という組織があって、そして二項によって会議というものがあるわけですね。その会議の中には、ここに書いてありますように、「関係地方公共団体の長又はその指名する」云々というふうになっておるわけですがね。この会議の中に参画できる者はどういう者を指しますか。
  51. 山地進

    政府委員山地進君) これはここに書いてございますように、「関係行政機関等の長」と、それから「その指名する職員、」それから「関係地方公共団体の長又はその指名する職員」、それから、「関係都道府県公安委員会の指名する当該都道府県警察の職員」ということでございまして、関係地方公共団体という場合には、その沿線の市町村、沿線と申しましても、駅のある市町村が主としてそうなると思うのでございますけれども、駅がなくても、駅のそばで境界線があって非常に多くの住民の方々が乗られるようなところの市町村も関係地方公共団体になろうかと、かように考えております。
  52. 広田幸一

    広田幸一君 この場合個人というものは入りませんか。
  53. 山地進

    政府委員山地進君) これは九条のそもそもの趣旨が、「廃止する場合に必要となる輸送の確保に関し必要な協議を行う」ということでございまして、国あるいは国鉄等がその権限に基づいてどういった処置をとったらいいかということを協議するのがこの協議会の設立の目的になっているわけでございます。したがいまして、そういった権限のある者が組織をするということで、ここに書いてございますように、会議メンバーにおいてもその組織を代表する長あるいは職員ということで、仕事に関係して御出席いただくということで、ただいま先生の御質問の個人という関係では協議そのものには参加しないということでございます。
  54. 広田幸一

    広田幸一君 十条に入ります。  問題は、三項の「第一項の規定により会議を開始した日から二年を経過した日以後において」云々、「協議が調わないことが明らかであると認められる場合には、日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第五十三条の規定により当該特定地方交通線の廃止の許可を申請するものとする。」となっておりますが、協議が調わなかった場合は、これはもう問題になると思うんですね、協議が調わなかった場合は。そういう場合は、この条文で見ると最終的には協議会の、最初言いました協議会の組織がそこに判断を下すと、こういうふうになるわけですね。どうですか、その点。
  55. 山地進

    政府委員山地進君) いまお読みになりました十条の第三項は、「協議が調わないことが明らかであると認められる場合には、日本国有鉄道は、」と書いてございまして、その国有鉄道が主語になろうかと思うのでございます。
  56. 広田幸一

    広田幸一君 結局、これは協議会という組織があり、片一方では会議という組織があり、この会議の中には地方公共団体の長とか、いろんな人たちの地元の意見を聞く会議ということになるわけですが、そこでいろんな意見が出るでしょうが、最終的にはこれは協議会が判断をする。ですから、協議会というのはこれは運輸省であり国鉄である、そういうものが判断をするわけですから、問題はそういう会議をもってやっても、最終的にはここもいわゆる政府判断で最終的に決めるということであって、地元の意見を聞くけれども、最終的には合意ができない場合はもう廃止すると、こういうことになってくるわけですね。
  57. 山地進

    政府委員山地進君) おっしゃるとおり、この条文では二年を経過して協議が調わないことが明らかであるという場合、逆に言いますと、二年たって協議が調うことがもう見えているという場合にはそういうことが起こらないというふうに読んでいただいてもいいと思うんですが、表からは、二年たったけれども、とてもこれはもう調うことがないという判断をされた場合には国鉄が廃止の申請をするという規定でございます。
  58. 広田幸一

    広田幸一君 時間がありませんが、先ほど運輸省の案として出されました除外条項といいますか、三つあるわけでありますが、その内容についてこの際ちょっと聞いてみたいと思うんですが、この一の「当該営業線における隣接する駅の区間のいずれか一の区間において」というのは、そういう特定地方交通線があって、駅と駅との間の区間に「一時間当たりの輸送量が片道千人以上である営業線」。ですから、その何線という一本のたとえば二十キロなら二十キロという起点から終点までの区間ではなくて、その中に何ぼか駅がある、そのとにかく駅と駅との間を片道一時間に千人おらなきゃいけないと、こういうことなんですが、実際問題として特定地方交通線にこれの除外になるような線がどのぐらいあると想定されていますか。
  59. 山地進

    政府委員山地進君) これはもう精密にいつの期間だという政令のはかり方といいますか、そういうものを決めてないと正確な答えというのは出ないのでございますけれども、非常にラフに言いますと、たとえば九十線あればそのうちの三分の一とか四分の一とか、それぐらいのオーダーのものはピーク時一時間当たり幾らということに当たろうかというふうな、何といいますか、私どもの推定はあります。
  60. 広田幸一

    広田幸一君 もう一分お願いします。それじゃ二の項はちょっと別にして、三の項ですね、十日間を超える期間交通が途絶すると、こういうようなところが実際全国でどのぐらいありましょうか。
  61. 山地進

    政府委員山地進君) このごろはかなり道路の整備状況といいますか、それから除雪作業というものも進んでまいりましたので、私どもの調べた範囲ではそれほど多くはない、これも、どれくらいかということについてももう少し精密に調べなければいけませんので、非常に多いとか、そんなことはございませんで、かなり少ないというような印象を受けております。
  62. 広田幸一

    広田幸一君 終わります、時間がきましたから。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 十一月の六日の本委員会で行われましたいわゆる国鉄再建法案の提案理由の説明では、この法案の最も重要な部分、すなわち国鉄が一方的に政府の定めた基準に従ってバス転換対象特定地方交通線の路線を選定することができること及び協議会の協議が二年以内に調わないときは、一方的に廃止線を申請するいわゆる見切り発車条項に触れておられないわけでございますが、国会に対する法案の提案理由の中で、国民が最も関心を持っている部分が何か意識的に省略をされているというふうに思われてならないわけでございますし、かつて、こういう重要な部分についての法案の提案理由の説明がなされなかったということは初めてであろうというふうに思うわけでございますが、運輸大臣は同じ提案理由説明の中で、国民及び利用者の深い理解と協力の下に実施したいと、こういうふうにたびたび質疑応答の中でも申されているわけでございますが、このように都合の悪い部分を省略をしたという、この提案理由を行ったまず理由を述べていただきたいと思います。
  64. 山地進

    政府委員山地進君) 確かに提案理由の中でいまお説のようなことについて詳細触れておりませんが、この提案理由の中で、「地方交通線の貸付け及び譲渡の途を開くこととすること等地域における輸送の確保に配慮しつつバス又は地方鉄道へ転換するための措置を講ずることとするとともに、」と、私どもとしては、この中にいま仰せのようなことを含んでこれを提案理由にしたわけでございますが、その点について、いま思いますれば詳細に書くべきであったかというふうな感じを持っております。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま局長説明なさったその文章につきましては、二年の協議が調わなかった場合、ここが一番重要な問題なんですよ、ポイントになるわけですね。そのポイントが抜けて、そして仮にやめたとしても、バスに転換しても、あるいは廃止をしても、バスもしくは第三セクターというような形でもってその足を確保するからというようないいところだけが載っかって、そして最も国民がいやがるところ、最も関心を寄せるところ、そういったところが除外されているようなこの趣旨説明というのは、これは趣旨説明になっていない。国民に対するこれは冒涜だと思うんですがね、大臣、どうですか、この点は。
  66. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 仰せのように、地方交通線の選定の基準の問題とかあるいは見切り発車でやりますと、これ、趣旨説明で見切り発車もやりますということは言えませんし、これはわれわれもできるだけ誠意を尽くして見切り発車にならないように協議を重ねていただきたいと。二年の間協議いたしましたら大抵のものはまとまるのではないかということも思うておりますしいたしますので、それは重要な要件であることは事実でございますが、頭からわれわれ見切り発車を意識しておるというようなことは全然ございませんので、そう御理解いただきたいと思うんです。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣地方行政に携わったことがある方でございます。地方行政でたとえば何か大きな行事を行おうとしたとき、そのときに、前もっていわゆる事前に協議事項が五年、十年と続くことがざらでなかったですか。そういうたてまえから考えますと、こういう重大な問題が、せめて二年ぐらいかければまあ話が落ちつくんじゃなかろうかという考え方というのは、非常に独断的な考え方であろう、大臣のいままでの経験の上から言った場合には、ずいぶん安易に考えたものだなあ、こういうふうに思わざるを得ないわけでございます。  いま鉄監局長の御答弁の中に、入れるべきではなかったかなというような意味の御答弁がございました。ところが、今度は大臣はそれを全く頭から否定されたわけです。そういう意思は大臣の現在の心の中にもございませんか。
  68. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは提案理由の説明の中で申し上げるのはもう最高であろう、当然だろうと私は思いますが、しかし私たちが、何か見切り発車があるものだからそれをちょっと隠しておいてという、そういう意味ではないということは、これひとつ先生の方でも御理解していただきたい。そんな意味で何も説明を抜かしておるんではない、そういう意味じゃないということを言っておるんです。  二年間でなかなかそれは窮屈な協議であろうと思いますけれども、大概いまの交通事情、道路とかそういうようないろんな条件も整うておりますので、二年の協議というものは、私は相当実りある協議ができるんだろうと、こう思うております。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、先ほどから申し上げましたように、地方自治体の行政に携わった大臣ならば、一つの大きな事柄を計画した場合に、地域住民との話し合いが非常にいま困難な時期にあるということはもう十二分に御存じのはずだと思うんですよ。そういう大臣ならば、こういった項目については、見切り発車という言葉をまさかその趣旨説明の中に入れるわけにいかないことは、それはもう百も承知でございますが、しかし少なくとも条文に盛られた項目については述べられて、そしてそういうところに国民のいわゆる協力、これを要請をするという姿勢がまず冒頭に出てこなければ本当の意味の趣旨説明でもないし、そういう配慮が私は最も必要ではなかったかと、このことを申し上げているわけでございます。この点についてはどうですか。
  70. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これ、今後審議の中で十分二年の協議というものを実りあるものにしていくようにわれわれも考えていきたいと思います。
  71. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、今回の国鉄再建法、これは大きな柱と言えばまず財政的な問題、いろいろございますが、その中で特定地方交通線の廃止ということが大きなまた柱にもなっているわけでございますが、そうしますと、国鉄のいままで日本の交通体系の中で占めている役割り、それから位置づけ、こういうものが大きく変更になるということは、これは否定し得ない事実だろうと思います。またこれが一つのきっかけになりまして、日本の交通体系というものは大きく変わってくる、そういうことも一応想定しておかなければならないわけでございます。そういった中で、わが国の交通体系の中で国鉄の位置づけをどのように考えられておられるのか、まず御説明を願いたいと思います。
  72. 山地進

    政府委員山地進君) これは五十二年の八十二国会でございますか、のときの運輸委員会における国鉄再建の基本方向以来、国鉄再建の基本方針の閣議了解あるいは五十四年の国鉄再建についての閣議了解におきまして私どもが明らかにしておりますのは、国鉄が持っている鉄道特性というものに着目いたしまして、都市間旅客輸送あるいは大都市圏における旅客輸送あるいは大量定形の貨物輸送というようなところにおいて、国鉄というのは基幹的な輸送機関として活躍していかなければいけないという考えで国鉄の位置づけをしておりまして、今回の法案においても国鉄の基幹的輸送機関としての活躍、活動というものを維持するために今回の経営再建法案を出したと、こういうふうに私どもとしても申し上げておるわけでございます。
  73. 桑名義治

    ○桑名義治君 国鉄が依然として日本の交通体系の中では基幹的な機関であるということはこれはわかるわけです。しかし、いままでの日本の交通体系を見てみますと、博多の公述人も話があっておりましたけれども、いわゆる国鉄一元化、まず国鉄が通ってそれにいろいろな地方線がそれを補っているという、こういう形になっておったわけでございますが、こういうふうな今回のこの法案が通ってしまいますと、これは当然交通体系というものは大きく変わってくるわけでございます。そうなってくると、いままでの国鉄一元化の交通体系からさらに多元的な方向へと走っていかなければならない、その多元的な方向に走ったときの国鉄のあり方、そしてその役割り、それをどういうふうに考えておられるのかということをお聞きしているわけです。
  74. 山地進

    政府委員山地進君) いま先生の仰せのとおり、鉄道国有化法以来、日本の鉄道というものの位置づけは国鉄を中心にしてきたわけでございますが、この法案の第一条に書いてございますように、「我が国の交通体系における基幹的交通機関である日本国有鉄道」という、従来からの基幹的輸送交通機関であるというふうに観念したんですが、このような赤字の状態になって、その基幹的な輸送機関としての地位が保てないというような現状になりましたので、そこでいま申し上げましたように、鉄道特性が発揮できるところに国鉄の役割りというものを集中的にそこで維持し、そこで発展させて、日本の交通体系の中で国鉄がそういう場面において活躍することによって、日本の大きく見ると交通体系というものが全体として完全に機能する、かようなことを期待しているわけでございます。
  75. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、集約的にお話し申し上げますと、距離的な面からいいますと、長距離輸送に重点を置くのか、中距離輸送に重点を置くのか、今回のこの法案から見ますと、いわゆる短距離輸送というものは完全にこれは切られる、特に過密都市においてはこれは別問題でございますけれども、総体的に申し上げますと、過密都市を除けばほとんど国鉄のいわゆるそういう短距離輸送というものはもう完全にカットされていくと、こういうふうに考えざるを得ないわけでございますけれども、果たして国鉄のいまから志向する方向性というものが、長距離輸送なのか、中距離輸送なのか、どこに最大の視点が置かれて今後運営をされるのか、経営をされるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  76. 山地進

    政府委員山地進君) この都市間旅客輸送は、日本の国土全体の、私どもで言う幹線鉄道網というものを形成する中で都市間の輸送ということを考えておるわけでございますが、これはもう先生御承知のとおり、同じ都市間でも長距離は航空がほとんどのシェアを占めておりますので、私どもとしては、鉄道の大量の輸送、鉄道特性の発揮できる分野というのは中距離の旅客輸送、それから大量の定形輸送というものにつきましてもある程度の制限つきで大量定形輸送というものを考えていきたい、かように考えております。
  77. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、十一月の五日の本会議で、私は五十五年度以降発生する赤字についても政府責任において処置されなければ国鉄再建は不可能ではないか、こういう質問に対しまして大蔵大臣は、再度たな上げの措置は講じない旨の答弁をなされているわけであります。しかしながら、高木総裁は、衆議院段階で六十年度までに発生する赤字については再度たな上げの措置をお願いしなければならないという意味のお答えをなさっているわけでございます。そこで、まず運輸大臣にこの問題に対する責任ある答弁を願いたいのであります。
  78. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ちょっと私から御説明させていただきます。  今回の法律の考え方は、昨年の十二月末の閣議了解で大筋が決められまして、昨年の閣議了解の前に、昨年の七月に私ども国鉄の基本構想案というものを運輸大臣の方に御提出いたしたわけでございます。その基本構想案では、よく御承知のとおり、昭和六十年度におきまして単年度で一応収支が償う、ただし、年金の問題、退職金の問題、東北、上越新幹線の問題が未解決のままという条件のもとにおいて。といいますことは、現に私どもが運行をしております線区について考えました場合に、六十年度には収支均衡をいたします、こういう案をお出ししたわけでございます。  しかし、現在、御存じのように八千億からの赤字がございまして、今般五十四年度末のところで一応それを切ってたな上げをしていただくわけですが、残念ながら、あしたから直ちにそれが収支が償うというところまでなかなかいかない。六十年までかかってやっとそこへ持っていくわけでございますから、五十五年度から六十年までの間にはやはり赤字がどうしても残ってしまうわけでございます。そこで、その処理をどうするかということが一つないと、六十年度以降に健全な経営の基盤が確立されたということが言えないわけでございますので、私どもとしましては、そこでもう一度たな上げということをお願いせざるを得ないというふうに当時考えておったわけでございます。  ところが、それは基本構想案での私どもの考え方でございますが、その後、昨年の十二月の閣議了解の段階では、その分についてはいわば行財政上の措置をもろもろとっていただくという表現にはなっておりますけれども、そこのところはたな上げますとか、たな上げませんとかいうことは、後年度の財政の問題でもございます関係もありましょうが、閣議了解では明快にはお示しいただけてないということでございまして、これは私どもの立場と政府のお立場との違いからも出ましょうし、それから財政の問題で後年の問題には触れないということからもありましょうと思いますが、私どもとしましては、どうもいま直ちに収支が償うということはできないものですから、そうしますと、この経過、そういう健全な基盤が確立するに至る前の過程においては、どうしてもまだまだ残念ながら赤字が残りますので、これの始末はやはりお願いしないと、という意味で申し上げたわけでございまして、政府から明快なお答えをいただいてないのはまことに私どもとしても残念でございますけれども、またやむを得ないものというふうに理解をいたしております。
  79. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大蔵大臣の再たな上げは考えない、これは私は大蔵大臣として当然おっしゃることだと思います。私たちが現在の時点で冷静に判断いたしまして六十年度を見ますと、赤字に二つの種類があると思うんでございます。それは一つは、先ほど総裁の言っておりますように、年金の問題とか特別退職金に伴うところの、要するに国鉄の経営の中だけでは解決できない、そういう赤字が累積されてまいります。この赤字と、それからもう一つは経営の努力が足りなかったことから起こってくる赤字の累積というようなもの、これは減っていかなければならぬのにふえていくというようなことがもしありといたしますならば、はなはだ遺憾のきわみであります。  そこで、この赤字の問題につきまして、政府の公的助成というものは、昨年の閣議了解の中で再建対策の一環として考えられておるのでありますけれども、私は六十年以降において、いま考えるといたしますならば、そういう国鉄の努力だけでどうにもならないような、先ほど言った年金だとか退職金というようなもの、こういうものについては政治的な配慮が必要であろう。たな上げだ何だと言う前に、どうするかという政治的な配慮をしてもらいたい。  それから六十年までに累積赤字がふえてくるというようなこと、こういうことを想像しながら、あるいはそれを懸念しながら国鉄の経営をやっておるということでは大変なことでございまして、国鉄はこの再建法案成立と同時に、いままでのザインの活動ではなくて、これからゾルレンの活動をやってもらわにゃいかぬ。そういう意欲に燃えていくならば、私はこの経営からくるところの赤字というものは当然減少しなければならぬ。もしそういうものが累積されておったとしても、私は六十年度が来たから直ちに引き続いてたな上げと、それは安易な道ではなかろうかと思うておりまして、さらにもっと厳しい経営努力が必要なんではないか。だから、赤字によって私は違ってくると思いまして、将来のことについての予見はいま言うのは早いのではないかと思うております。
  80. 桑名義治

    ○桑名義治君 現実に昨年度もいわゆる八千億円の赤字が生まれているわけです。今回のこの法案が通ったからといって、六十年度までに即座にその赤字がすべて解消できるということは、また非常にこれは第三者という立場から見ましても少し無理じゃなかろうか、こういうように思うわけです。それと現実に、いま高木総裁もおっしゃいましたように、六十年度までに即座に赤字の解消というものはできない。したがって政府としてはそういう赤字に対してのたな上げということをいま申し上げるわけにはいかないかもしれませんが、まあ、残念ですというような意味のニュアンスで、このたな上げの問題に対していま総裁は発言をなさったわけでございますけれども大臣意見と総裁の意見は、ここで私の聞く限りにおいては、ずいぶんと隔たりがあるように思うわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  81. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 六十年までに経営改善の努力をいたしまして、そこで国鉄の母体をしっかりしたものにつくり直していくならば、私はそれは六十年代において経営からくる赤字は、まだ累積として残っておるかもわかりません。けれども、そういう経営改善の方向がはっきり出てまいりました場合には、その赤字はそれほど経営を阻害する要因にはなってこないように思うのです。ただし、先ほど言っておりますように、年金だとか特別退職手当からくる赤字というものは、これはやはり政治的な配慮をしてやらにゃいかぬ、そういうふうに分けて赤字というものを考えるべきではないかと思うんです。
  82. 桑名義治

    ○桑名義治君 その問題は私もわかるわけですよ。で、その問題については莫大な年金、退職金についての赤字が出た場合には、それはもういままでも政府も補てんをしておりますしね。それはわかるわけです。それを別にしての話をしているわけです。こういうふうに総裁と大臣意見が大分違うようでございますが、総裁どうですか。
  83. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いま八千億近い赤字が出ておりますが、その八千億近い赤字のうちで相当部分が年金だの退職金だのの関連、あるいはその赤字を埋めるのについて自転車操業とでも言うべきか、金利のついた金でつないでいるというところから、どうしても一挙には赤字がなくならない。  しかし、たとえば年金の問題について非常に早い時期にこの対策をぴしっと決めていただければ、もうすでにその赤字というものは相当減ってまいります。したがいまして、現在、年金についても政府ではお取り組みいただくことになっておりますが、これがいつの年度でどういうふうな形で処理をされるかということによっては赤字の額そのものがうんとその形が違ってくるわけでございます。また、その他の面につきましても、同じ三十五万人体制へ持ってまいりますと申しましても、その進め方のテンポの遅い、速いによって赤字の出方も違ってくるわけでございます。  したがいまして、現在の段階で五十五年度から六十年度までの間にどんな赤字が残ってしまうだろうかということを予測することはいけませんし、また、その赤字を極力早くなくすように取り組むことがわれわれの務めでございますので、いまから六十年度でどうするんだということを軽々に言いますのは、あるいは何といいますか、私どもの気持ちの行き方にまだゆるみがあるということかもしれませんけれども、しかし、さりとて五十五年度から六十年度までの間に全く赤字がなくなりますということはとてもお約束ができない現状でございまして、私どもといたしましてはいまここで六十年度時点でどう処理するかということをお決めいただくということをお願いするのも無理ではございますから、いまお話しの大蔵大臣の御発言のようなことがありますのもまたやむを得ないとは思っておりますけれども、しかし、どうもいまその処理を私の方の今後の運営で、それをも抱き込んで六十年以降収支均衡といいますか、単年度収支均衡ということにはやはり利子負担の関係で大変むずかしいという気持ちでおるわけでございまして、まずはしかしそのことを忘れていまの赤字を何とかして一年でも早く減らすということにがんばらなければいけないという意味を含めての御発言であろうかというふうに考えております。
  84. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣ね、総裁は大変に苦しい答弁をなさっておるわけですよ、大変に苦しい。こういう再建案をいま審議になっているわけでございますから、したがって、大臣の言われる国鉄はもうそういうことを一切合財考えないで最大の努力をしていかなければならない、これは総裁であろうとわれわれ国民の一員としても当然考えていかなければならないあるいは精神的な目標でなければならないし、また現実的な目標でなければならないと思うんです。  けれども、いまの総裁の御答弁は非常に歯切れが悪いわけですよ。だからここら辺を考慮して、ここら辺の赤字をどういうふうに考えて今回のこの再建案をお出しになったのか、ここを大臣に御答弁願いたいと思います。
  85. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 高木総裁の話を聞いておりますと、公的年金とか別にいたしまして、六十年に経営の赤字をゼロにしてしまうということを考えておる、これはできないと私は言っておるんです。それはできません。それは赤字は残ります。残っても、商売はみんな同じですが——商売と言ったらえらい語弊がございますが、事業は同じでございますが、母体さえしっかりしておったら少々借金抱いておったかて後年次において返していけるんです。だから、私は経営から来ておる赤字で、たとえ六十年に残っておっても心配は要らぬ。経営の母体さえしっかりしておったら——これはぐずついてきたらだめです。しかし、経営改善計画で国鉄が言っておりますのには、昭和六十年にはプラス五百億という黒字が出るんだと、経営の改善でこう言っているんです。  ですから、そうなれば経営上の累積赤字が残っておっても、これは何年かたったらひなたの雪と同じで少なくなっていく。ところが、この制度上から来る公的年金だとか、それから特別退職金だとかいうものは、これは政治的配慮をしなければいかぬのではないかと、こう言っておるんでございまして、私と高木さんと言っておることは全く同じだと思うんです。高木さんは六十年を言っておるんで、私は六十年以降においてでもって、こう言っておるんです。  また、そのぐらいの気力を持って取り組んでいただかないとこの再建案を提出して、これだけ諸先生方に御迷惑をかけて、一生懸命御審議していただいておるその効果が出てこない、それでははなはだ私は国民に申しわけないと、こう思います。
  86. 桑名義治

    ○桑名義治君 運輸大臣のお気持ちなり御決意のほどは、これは並み並みならぬものがあるというふうに承ったわけでございますが、しかし、そういうことならば、いままでの過去四回の国鉄再建法が出てことごとく短期間において失敗をした。じゃ、いままでの国鉄再建法案が出たときには並み並みならぬ努力がなかったのかと、こう言いたくなるわけでございます。  それは中身がずいぶんと違いますよと、こう言われればそれまでではございますけれども、決意のほどはそうではございますが、しかし、実際に今回出されたこの法案審議をさしていただきますと、地方線と幹線というものの赤字の単位を比較した場合には、比較にならないデータがここにも出ているわけですね。そしてその一部特定ローカル線の赤字が消えたとしても、ぶった切ったとしても、経営情勢が急速に上向いてくるということはちょっと予断を許さないような気がしてならないわけです。したがって、では今回の国鉄再建法案が仮に百歩譲って通ったとして、五十五年度から六十年度までに赤字はすぱっとは消えないと思います。その間の赤字がどのくらいと一応踏んでおられるんですか。最大の努力をして、血のにじむ努力をして、こう言っておきましょう。
  87. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 実は各年度別の具体的計画を今回の再建目標を設定するときにきめ細かく積算をしたわけではございませんので、ちょっといまの先生の御質問の御趣旨の数字というのは具体的な数字は実は持ってないわけでございます。  まあ単純に考えまして八千億余の赤字を五十四年度のあれで出しているわけでございます。それで、一応特定損失をその中から抜きますと、これが六千億ぐらいでなかったかと、ちょっとはっきりした数字いま手元に持っておりませんので。その特定損失を別にいたしますと、それを六十年度にはゼロにしていこうという考え方をとったわけでございます。ゼロといいますのは、五百億若干のプラスという形に持っていこうという形としたわけでございますが、それがリニアに減っていくというような考え方をいたしますと、まあ一兆数千億というようなものがこの期間には赤字としてたまっていくんではないかというふうに考えます。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 見通しとしては少し甘いような気がするわけでございますが、そういったまた累積赤字を生みながら、そしてその赤字は生むんだということを前提にして今回のこの法案は出されているんですね。どうでしょうか。
  89. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 先ほど来総裁からもお答え申し上げておりますように、やはりこの五十四年度すでにあります赤字を単年度で一挙に解消するということはこれはとっても不可能な話でございます。したがいまして、これはやはり年度をかけまして逐次解消していくという考え方をとっておりますので、御指摘のように、ある程度の赤字は出るということを前提にして六十年度に目標を設定したわけでございます。
  90. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、少なくとも先ほどお話にあった一兆幾らですか、五十五年度から六十年度までの赤字。
  91. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) ちょっとその辺を正確な数字を申し上げるのは……。一兆数千億の赤字はその間に累積するであろうという感じでございます。
  92. 桑名義治

    ○桑名義治君 一兆一千億も数千億ですし、一兆九千億も数千億ですしね、余り幅が大き過ぎるんじゃないかと思う。そこら辺もある程度のやはり努力目標として、これだけの赤字を解消する、これだけの赤字を解消する、これだけの赤字を解消する、そこまで積み上げたものでなければ私はならないと思うんです。何せ兆という単位がつくんですから、国民的な数字観念から申し上げるとこれはもう天文的な数字ですよ。それが簡単に一兆数千億で片づけられるところに私はこの法案に対する考え方の甘さというのがもうすでに出ていると、こう断定せざるを得ないわけです。何でそこら辺をもう少し緻密に計算をした上での再建法案の提出をしなかったかということをもう一遍伺っておきたいと思う、総裁から。
  93. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) この六十年に単年度で現在の運行を前提として収支が合うようにいたすわけでございますが、具体的にそれをどうやってやるのかと言いますと、職員の数で約七万人余りの職員を減らすと、それでもいまと同じだけの運営ができるようにするということでございます。ただその場合に、その七万人という大変な数でございますので、これを具体的にどういうふうに採用のやり方を変えるか、あるいは機械化を進めていくかということは、これは非常に細かい現場現場での仕事のやり方を積み上げてまいらなければなりません。したがいまして、六十年には何としてでも七万四千人少ない数、つまり三十五万人でやっていきたい、やっていかねばならぬと、こう覚悟を決めておりますが、それを具体的に進めてまいりますには、やはり個別個別に労使間で十分話をして、ここの現場ではこういう作業の進め方をいたしましょうとか、ここの現場ではこの程度機械なり何なりを入れて人手を軽減しましょうとかいうことを詰めていかなければならないわけでございまして、かなり詰まってきておりますが、まだ私どもがその案を組合の方に提示をして交渉するというところまで来ておりません。  したがって、五十六年度にはどの程度圧縮できるか、五十七年度にはどの程度圧縮できるか、五十八年度にはどの程度圧縮できるかというところまでできておりません。特にもろもろのいわゆる機械を入れるとかあるいは信号システムを変えるとかいうことになりますと、それなりにまたそういう設備改善のための投資を必要といたします。そしてその設備ができ上がりました後で人手を減らせるということになりますので、なかなか年次割りを決めることは困難になっておるわけでございます。また地方交通線の問題につきましても、概案は議論いたしていただいておりますけれども、一体何年度にどのぐらいの程度、地方交通線を住民の方々の御理解を得てバスに切りかえ得るかという年次割りをつくるというようなことも、きわめて現段階では困難な問題があるわけでございます。  さらにまた、年金の問題等につきましても、一応統合ということを前提にして私ども考えておりますけれども、それをお認めいただけるかどうか、そしてまたそれがお認めいただけるまでの間、五十六年度の予算要求としては運輸省から財政側に対して、利子の所要資金の、異常年金部分のための国鉄負担を実行いたしますための借入金、それのための利子負担をお願いをいたしておるわけでございますけれども、そうしたものについてもどういうふうに財政側といいますか、政府全体として援助していただけるかがわからないという現状でございますので、一応この六十年度までにはこうしますという作業目標は、一つのこの目標計画、しかもそれは必達目標として、必ず実施する目標として案を立てておりますけれども、途中経過のところまではまだ責任ある数字といいますか、計画が出し得ない状況でございますので、大変歯がゆく思われることと思いますけれども、その経過時におきましてどの程度毎年毎年コストを減らし、収入をふやしていけるかということの積み上げはまだできないという状況でございます。で、この法案では、経営改善計画を法律成立後運輸大臣にお出しすることになっておりますので、そこではある程度もう少し、現状のようなことではいけませんので、内容のあるものにしなければいけないわけでございますが、現時点ではまだそこまで到達をいたしてないということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  94. 桑名義治

    ○桑名義治君 ただいまの御答弁をお聞きをいたしましても、五十五年度から六十年度までの赤字分、これはもう先ほどからいろいろと御説明いただいておりますが、年金、退職金、こういうものを除外した赤字部分、この処理については、まだ確とした方針がないというふうに考えてよろしゅうございますか、大臣
  95. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはできるだけやっぱり経営努力によって解消していくという方向をとるべきだと思うております。
  96. 桑名義治

    ○桑名義治君 それはどんなに経営努力をいたしましても五十五年から六十年までは赤字解消はだれが見ても無理なんです。先ほどの御答弁もありましたように、一兆数千億円という数が上がっているわけです。だから、これは経営努力を積み重ねても出るわけですから、したがって六十年度から以降、五百億のまあ黒字になるとおっしゃっていますから、それから徐々にこの分もいわゆる処置をしていくということでございますか。
  97. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今度の再建法案で御審議をお願いしていますように、この法案から五兆五百九十九億円を一たんたな上げするわけであります。あと累績は残っております。しかしその借金の中に、いわば法的な負担として国鉄が持たなければならぬことから起こった赤字、年金だとか退職金とか、そういうものと、経営からきた赤字というもの、二つあるわけでございますから、ですから、私は先ほども申しておりますように、そういう国鉄の負担からきておるものについては、これは政治的な配慮をいずれのときにか、昭和六十年以降になるかどうなりますか、いずれのときにかやっぱりこれは必要であろう。  しかし経営上からきた赤字というものにつきましては、この再建法案一つのきっかけとし、再建への努力をし、そして国鉄の体質が改善されて、経営改善されてまいりましたならば、この赤字を解消していくことは私は不可能ではないと、それは長い年数はかかりましょうけれども。そのような母体になることをわれわれは願って国鉄再建法案を提出し、また経営改善努力も要請しておるのでございますから、私といたしましては、この経営上からくる赤字というものについての国鉄責任というものは当然あるべきだと思うております。
  98. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の言われていることはよくわかるわけでございますが、どういうふうに説明をなさっても、五十五年度から六十年度分の赤字についての対策というものが不明確なままに今回のこの法案が出されたというこの疑問は払拭しがたいわけです、実際問題として。で、大臣のような御答弁をお聞きをしまして、現在、いままでの赤字の部分、これは公的な部分と国鉄経営上の分の赤字というものがある程度算定ができておると思います。だとするならば、現在の段階でもそれだけを離して、離してですよ、そしてあと純粋な経営上の赤字がどのくらい出るかということは、一兆数千億のうちの何%ぐらいは見れるということぐらいの積算はできないことはないと私は思う。この点はどうなんですか。  今後出てくる赤字が、国鉄自身の経営上の赤字の部分、公的な部分、これは別々に考えますというふうに、いまになって言っていますけれども、しかし現実にもういままでずうっと三十九年度から赤字が続いているわけですから、したがってどの部分がどの程度の、何%ぐらいの赤字を生み出したかぐらいの、そういう内容ぐらいはもう把握しておかなければおかしいと思う。そうすると、もう現実にここで、これとこれとこれと、これだけの分は公的な部分の赤字として見ます。金額はまだ定かではありませんという答弁ぐらい私は出てあたりまえだと思うのですよ。そのくらいの積算がなければ私はおかしいと思う。どうですか。
  99. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 昨年の七月の時点におきまして、再建一つの目標といたしまして出しました数字でございますが、この段階におきまして、いわゆる構造的な赤字対策等も含めまして、いわゆる年金と退職金の異常分、これを除きましたものにつきまして収支均衡に到達するという目標を立てたわけでございます。当然この段階におきましてそれまでのいわゆる特定損失の分につきましては、これは一応累積したものもそのまま置いておくということは、いわゆる退職金は六十二年度以降等におきまして減ってまいりますから、当然それは後年度において、特定損失の退職金等につきましては取り崩していくという考え方をしておりますし、また年金の異常分につきましては、これは暫定的にいわゆる異常分に対する手当てをお願いしておりますけれども、その分については、年金の抜本的対策ができれば別途の処理がなされるという考え方をとってあるわけでございます。  したがいまして、それらを除きます累積の分につきましては、一応六十年度時点におきましては再度たな上げをしていただくという前提で計算をしたものが六十年度の目標でございまして、いわゆる一般純損益のものにつきましては、私どもが昨年の七月に計算いたしました段階では、これをたな上げをするという前提で一応計算はしたものでございますが、しかしながら先ほど来総裁その他から、大臣からもお答えしておりますように、極力これらの分につきまして、企業努力において吸収するものはその過程におきまして極力吸収しながらやっていくという考え方を一応しているわけでございます。
  100. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、五十五年から六十年までの赤字の処理については不明確のままにこの法案が提出をされた、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。いまずっと御質問申し上げているのは、一応総論的に申し上げているわけですから、各論の部分においてこの問題についてはまた付言をしていきたい、こういうふうに思います。  次に、五十二年の十月に、衆議院運輸委員会では与野党が一致をしまして、地方陸上公共交通維持整備に関する決議、この決議をしているわけでございます。その中で、「地方陸上公共交通の維持整備を図るため、政府は、安定的な財源の確保をはじめとする総合的な施策を確立し、速やかに所要の立法行財政措置を講ずべきである。」、こういうふうに述べているわけでございます。本決議の後に政府がとった措置、これはどういう措置をとられましたか。
  101. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) 五十三年の十月に衆議院の決議をいただきました後、先生御承知のように、私ども五十四年度の予算編成、五十五年度予算編成に当たりまして陸上公共交通の維持整備のための特別会計を要求いたしましたわけでございますけれども、諸般の情勢からこの特別会計は成立するに至らなかったわけでございます。その後、先国会におきまして、安定的な財源もさることながら、陸上公共交通の維持整備を図るためにはしっかりした公共交通計画がなければいかぬという御議論もございまして、まことにごもっともな御意見でございまして、私どもといたしましてはそういうことでまず府県単位の将来を見通した交通計画をつくろうということで、実は去る十月に、陸運局長の諮問機関でございます陸上交通審議会を改組いたしまして、そこで府県単位の部会をつくって、その部会で将来の地域交通計画のあり方、十年先ぐらいを見通した交通計画のあり方というものをつくることにいたしまして、目下作業を急いでいるところでございます。  この計画を策定するに当たりましては、地方公共団体等の意見も十分に聞きまして実態に即したものをつくっていきたい。その計画の実現の方途でございますけれども、これにつきましては、陸運行政の指針といたしまして、これからの許認可行政に当たりましてできるだけその計画に盛られたものを実現していく。また、現在すでにございます過疎バスの補助であるとか、地下鉄の補助であるとか、中小私鉄の補助であるとか、そういった補助制度というようなものもその計画の実現に向かってできるだけ使っていく。  さらには、安定した財源という問題でございますが、特会の問題につきましては、御承知のように、現在、私ども、経済社会情勢の変化に対応いたしまして、八〇年代の交通政策のあり方をいかにすべきかという形で運輸政策審議会に運輸政策全般を諮問いたしております。この諮問の中では当然地域交通における行財政措置のあり方というようなものも御論議いただくことにいたしておりますので、その結論を踏まえまして、幅広いコンセンサスの上で安定した財源の確立ということについても努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  102. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、運輸省は五十四年、五十五年の二年にわたりまして陸上公共輸送整備特別会計、こういう会計を設立をする、こういう要求をしたのに対しまして、五十六年度の予算要求では見送っているわけでございますが、この点はどういう理由でございますか。
  103. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) ただいまも若干お話し申し上げましたように、二年続けまして同じ要求をいたしたわけでございますけれども、このときの要求の考え方は、財源といたしまして自家用自動車を対象にした課税でございました。しかし、これにつきましては大方の賛成を得られなかったという経緯がございます。  私ども、この議論の際に、いろいろ問題になりました点がございまして、一つはたとえば財源のあり方が自家用自動車でよろしいのか、たとえば受益と負担との関係をどう考えるべきなのかというような議論もございました。  それから、自家用車というものの位置づけ、自家用車というものがやはり公共交通の手薄のところにつきましてかなり公共的な役割りを果たしているじゃないか、そういう自家用車の位置づけというような点につきまして、今後もう少し詰めるべき問題があるんではないかというようなこともございました。  それから、私どもといたしましては、現在、もう四十六年にいただきました総合交通体系の答申がございますので、総合交通体系は確立していると考えているわけでございますが、経済社会情勢の変化を踏まえて総合交通体系を見直すべきであるというような議論もございまして、そういういろいろ問題になりました点を含めまして運輸政策審議会にただいま御諮問を申し上げているところでございまして、審議会の御答申を得た上で、五十六年は一回休んで、新しく五十六年に五十七年度を目標とした特別会計のあり方というようなことを要求したらどうか、かように考えて五十六年は予算を要求しなかった次第でございます。
  104. 桑名義治

    ○桑名義治君 少し話を変えますが、道路はもう目的財源を持っておりますし、それから公共事業は国の借金等で一応行われているわけでございます。鉄道などで公共輸送機関には独自の財源が全くないために、維持、整備が立ちおくれていることは事実でございます。  そこで、運輸省は特会構想の財源を今後何に求めようとお考えになっているのか、あるいは独自の財源を確保する考えがあるのかないのか、この点について伺っておきたいと思います。
  105. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) ただいま先生御指摘のように、道路も空港も港湾もそれぞれ特別の財源を持っております。したがいまして、特定財源のないのが鉄道、自動車という形でございまして、そういう資金調達メカニズムというものがほかの交通手段のようになっていない点が必要な交通施設の整備のおくれをもたらすのではないかというようなことを私どもも考えております。したがいまして、何らかの安定的な財源を確保したいとかねがね考えておるわけでございますが、この点につきましては、いかなる財源かということも含めまして、今後、運輸政策審議会の御討議を待ちまして考えていきたい、このように考えている次第でございます。
  106. 桑名義治

    ○桑名義治君 運輸省としてはそういう特別財源的なものを今後も考えていきたい、こういうお考えのようでもございますし、この件についてはいわゆる運輸政策審議会の方の御答申を待ちたいと、これが最終的な結論のようにお話伺ったわけでございますが、大臣としてのお考え方はどういうふうなお考えを持っておられますか。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはまだ役所として研究しておるものでもございませんし、役所の立場から申し上げるものではございませんが、私個人といたしまして、かつて桑名先生も地方行政やっておられたときに、地方財源の目的、それぞれの目的別でやっぱりそれぞれの財源を持つべきだということを主張をしておられた。私もそれはいまでもそう思うておるんですが、そう思いますと、この地方交通線の維持といいましょうか、これはただ単に国鉄地方交通線だけじゃございませんで、地域交通という意味でひっくるめまして申し上げますと、そういう整備に要する財源というものは、やはり私は一つ持つべきであると、こう思うております。これは全く私の私見でございますが、それにつきましても、国と地方とがそれぞれの負担をしてそういう財源を捻出すべきだと、こう思うのであります。今度のこの特定地方交通線の整理と、実はそういう地方交通の整備に要する財源というものは密接に私は関係しておるように思うのでございまして、これからさらにわれわれも研究いたし、あるいは運輸政策審議会の意見等も反映いたしまして、これを政府内で一つ意見として提出してみたいと思うております。
  108. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の御意見としては、私見という断りがあったわけでございますが、こういう財源を持つことによっていわゆる地方交通線のカットという、こういう最悪の事態をあるいは免れるかもしれない、そういう暗に予測した御発言があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、道路には目的財源があり、公共事業は国の借金によって賄われているという、そういった立場から道路はどんどんよくなるし、それから公共の施設はどんどんよくなっていく。ところが、反面に公共交通機関というもの、特に国鉄はだんだん赤字が増幅して、ついにはこういうふうな事態に陥ってしまった、こういうふうに考えますと、今後の考え方の基礎として、いわゆる国鉄の基礎的な施設に対する投資に対しては国がやはり補助すべきであると、こういうふうに私は考えるわけでございますが、この点はどうでございましょうか。
  109. 山地進

    政府委員山地進君) 現在でも国鉄の工事につきましては、工事費補助金でというので金利の三・五%の差の補助金をしておりますし、それから大都市におきましては三〇%の工事費の補助をしておりまして、今回の国鉄再建についての閣議了解におきましても、社会的要請により建設するものについては助成をしたいと、かようなことを考えているわけでございます。  ただ、先生のおっしゃるように、基礎施設そのものを全部公共事業みたいにやるというようなお考えも片方にはいろいろあるわけでございますけれども、これも、ほかの道路とかあるいは航空の場合、最終的には利用者の負担ということで補われておりますので、国鉄の場合も、いまのような政府で助成をしていくということとあわせて、やはり最終的には利用者の負担ということの原則を免れることはできないんじゃないだろうか、その点を一体どういうふうに仕分けしたらいいのだろうか。私どもとしても、鉄道というものをさらに維持発展させなきゃならないと、かように考えているわけでございますけれども、やはりこういった交通全体のシステムをどういう原則でやっていくのかということにも思いをはせながらやっているわけでございます。
  110. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に移りたいと思いますが、運輸省は、鉄道、海運、トラック等の異種交通機関のいわゆる協同一貫輸送方式、これを検討中であるというふうにお聞きをしているわけでございますが、いままでのいわゆる研究の結果を御報告願いたいと思います。
  111. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) いわゆる協同一貫輸送方式、たとえば鉄道、海運の持つ大量性、低廉性というような特性と自動車の持つ機動性、便宜性というような、お互いにいいところだけを結合いたしました輸送方式、これを私ども、自動車と鉄道の幸福なる結婚であるとか協同一貫輸送とかという言葉で言っておりますけれども、この式の輸送方式は従来からずっと研究されておりまして、御承知のように、鉄道と自動車につきましては、フレートライナー輸送というような形で、自動車から鉄道へという形で自動車の持つ機動性と同じような形で非常に速いサービスで確実に着くというサービスをコンテナ輸送を通じて行っているわけでございます。そのほか、たとえばフェリーでございますけども、トラックを無人のままフェリーに積みまして、着地でそれをまた受け継いで自動車で運転していくというような形でのフェリー輸送というのも最近非常に発達してまいりまして、五十三年度の資料では八トントラックに換算いたしまして百二十八万台の輸送が行われております。  こういう形でこの協同一貫輸送は非常に盛んになってまいっているわけでございますが、今後、安定成長期を迎えまして、ますますやはり物流の低廉化という形が企業の競争力というような問題からも要求されましょうし、また、やはり省エネルギー、低公害というような社会的の面からの要請が強くなってまいりますので、私どもといたしましては、こういう形の輸送がますます進展できるよう制度的にもいろいろと勉強し、これを促進していきたいというぐあいに考えている次第でございます。
  112. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、いまから先は総合交通体系というものを確立しながら、国鉄の置かれている立場、あるいはまた全体の流れ、こういうものをある程度想定をしていかなきゃならぬし、協同一貫輸送方式というものもやはりもう少し積極的に取り組んで、実のある結論を出していくべきであろう、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、今度は法案のいわゆる問題点なりそういった少し各論めいた質疑をしていきたいと思います。  この法律案では、国鉄経営再建の目標を、「昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立」すると、こういうふうに目標を置いているわけでございますが、この「経営の健全性を確保するための基盤を確立」する、この意味と、それから具体性を持たせながらこの御説明を願いたいと思います。
  113. 山地進

    政府委員山地進君) 今回の再建法律におきまして、いまおっしゃったように、経営の健全性の基盤の確立ということと収支均衡ということとを別に考えているわけでございます。今回の法律のもとになりました国鉄再建についてという閣議了解におきましても同じような言葉を使っております。六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立するというふうなことを考えているわけでございまして、従来は直ちに収支均衡と言っていたものを基盤の確立ということに置きかえました一つの理由は、やはり収支均衡というのが直ちには実現できない、まあ国鉄のそれだけの財政状況というのが非常に悪化しているということを一つは物語っているわけでございます。  ところで、この収支均衡に至るまでにどんなことを私どもが考えたかといいますと、この収支均衡し得る方向に国鉄の経営が向かいつつあるというようなことをとりあえずは考えていく、そのためには、国鉄が持っております異常な状態、先ほど先生の御指摘のありましたような年金とかあるいは退職金、そういったような言ってみれば構造的な問題というものが国鉄にまつわりながら国鉄の経営の再建というのを考えているわけでございますので、そういった異常なものについて、これを取り除きながら、言ってみれば経営の診断をしながら、国鉄が一体健全になっているのかどうかということを考えた場合、私どもとしては、先ほど来国鉄総裁から御説明のありましたような国鉄再建の基本構想案、これには六十年度までにそういった異常部分あるいは東北、上越というものを除きまして、国鉄の単年度収支というものは、いわゆるそういった定義された収支ということになるわけでございますが、それでは一応黒字が出る。ということは、その後、そういった異常なもの、あるいは例外的に赤字をもたらす東北、上越といったようなものを除いて考えたならば、国鉄の体質は健全化しているということが言えるので、そこで、今回の法律におきましては、経営再建の目標といたしまして六十年度までに健全性を確保するための基盤を確立しと私どもではそれを言っているわけでございます。
  114. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、今回のこの措置法案の第二条に言ういわゆる経営の健全化ということは、一応事業の収支均衡ということ、そういう体制をつくり上げていくということ、あるいは収支の場から申し上げますと、大体収支のバランスがとれるということ、こういうことを言う意味にとっていいわけですか。
  115. 山地進

    政府委員山地進君) いまの申し上げました異常な部分というものは、完全な収支均衡といいますと、すべての収支を含んで言うわけでございまして、もちろんその収支均衡の場合に、助成金というのは収入に入れて収支均衡というふうに考えなければいけないわけでございますが、そういった助成金を入れて普通収支均衡を見るわけでございますけれども、残念ながら六十年度においては、すべての収支均衡させるということは困難である。しかし、体質的には異常部分、年金とか退職金の異常な負担部分、そういうものを除きますと、見せかけの収支といいますか、実質的な収支といいますか、そういったものが達成できるだろう、そうすると、その後はそういった健全化された体質に基づいて、さらに上の目的である完全な収支均衡ということを図れるんじゃないか。そういうことで中間目標というものを健全性の確立、それで最終目標を収支均衡、こういうふうに二つ考えているわけでございます。
  116. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、異常な部分を取り除く、それはまあ膨大な赤字部分になるわけでございますが、いわゆる東北新幹線等ができ上がりますと、これは当然赤字だというふうに言われているわけでございますが、大体この赤字はどのくらいに踏んでいるわけですか。
  117. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いわゆる赤字の額がどのぐらいになるかということはまだ十分見通しを持っておりません。と申しますのは、要するに東北新幹線、上越新幹線にどのぐらいお客さんに乗っていただけるかということの見当はつくわけでございますが、並行在来線と総合しました場合にどういう数字になっていくかということは、大変恐縮でございますが、現段階では明確にできない状況でございます。  ただ、非常にはっきりしておりますのは、非常に膨大な投資をいたしまして、そして今後の東北、上越新幹線の経理状況というのは、在来線と比べますと、経常経費が非常に圧縮されてまいると思います。反面、投資しましたものの利子負担と償却の金額が非常に大きくなるわけでございます。  そこで、一応どのぐらいの利子なり償却負担になってくるかといいますと、大体開業初年度においては三千億ぐらいになるんではないか。これは経常経費等につきましては在来線の方を含めてまずまずそうまた赤字がふえるという現象は出てこないと思いますが、経常経費というよりは資本経費と申しますか、簡単に申しますと償却利子の負担というものが非常に大きいわけでありまして、その額が大体開業初年度では三千億ぐらいになるんではないか。しかしそれは償却でございますから、かなりのスピードで年々減ってまいります。減ってまいりまして、大体十年ぐらいのところでは十分償い得ると、そして十年以後には逆に相当黒になってくる、こういう感じでございます。過去におきまして、東海道新幹線、山陽新幹線につきまして見ましても、現時点では在来線を含めても少し黒になっておるわけでございますが、その東海道なり山陽なりの新幹線の五年なり十年なり、十五年の経過を見てみますと、やはり初年度、二年目、三年目といったところは大変赤字が大きく、後年度に至りますと逆に相当黒字を生んでくるということでございまして、その経過からいたしましても、開業後相当年数の赤字は避けられないというふうに考えております。  ただ、東海道、山陽よりは東北、上越の方がお客の層が薄いわけでございますので、若干、東北、上越の場合は黒字転換に時間がかかるということで、十年たてばまずまずという成績になるだろうというふうに見ております。
  118. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに総裁が申されましたように、東北、上越新幹線沿線の人口密度というものを考え、あるいは経済の規模、こういうものをいろいろと勘案をしますと、東海道を走っている在来の新幹線と比較をした場合にはこれは格段の差があるのではないか、見込みとしては、初年度は償却一切合財入れて三千億円ぐらいの赤字だ、十年になればとんとんになり、十年以後は黒字だと、こういうふうに申されておられるわけでございますが、しかしこの東北、上越新幹線の黒字が十年というめどが果たして正しい見方だろうか、こういうふうに心配をされるわけでございます。在来の新幹線はもうその沿線には御承知のように名古屋もあれば大阪もあれば京都もあればということで、もう大都市がずらり並んでいるわけでございまして、そして日本の最も中枢を結んでいるわけでございます。ところが東北、上越新幹線というのは全く過疎方面を走るという部分の方が非常に多いわけでございまして、そしてまた経済規模を比較をしてみましてもこれは格段の差があるわけでございます。果たして、十年というめどが正しかろうというふうに私たちはどうしても考え得ないわけでございます。  なぜ私はこの問題をこういうふうにるる申し上げておるかといいますと、やはり国鉄再建、いわゆる経営の健全化あるいは経営基盤の健全化、こういういろいろな立場から考えた場合に、これを除いての論議というものは私は論議にならないのではないか、こういうふうに心配をするからであります。そういう意味では地方に行きましても東北あるいは上越新幹線は膨大な赤字をまた出していくのではないか、そういう赤字の部分から考えた場合にはわれわれの地方線というものはこれはもうすなわちげただと、くつだと、こういうふうに生活に密着をしておりながら、わずかな部分しか赤字の中には占めていないにもかかわらずこれを切るとはけしからぬという論議がどうしたってこれはくみ上げられていくわけでございます。これは私たちはその地域の方々の心情としては納得できると思います。したがって、この東北、上越新幹線の問題をおろそかにして財政再建というものを考えるということは、これは非常に大きなそごが将来にわたって起こるのではなかろうかという心配をするわけでございますが、再度、この点について大臣からの御所見も伺っておきたいと思います。
  119. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) この東北、上越新幹線の問題もそうでございますけれども、幹線と比べて地方交通線の方は赤字の絶対額が非常に少ないではないかという御議論がしばしばございます。しかし私どもの考えでは、幹線の方はわれわれ自身の努力によりまして、つまり減量経営を続けることによりまして十分収支が償っていくという見込みを立てております。それに比べまして地方交通線につきましてはいままでも相当、たとえば駅について無人駅をつくるとか委託駅をつくるとかいろいろいたしましたし、人手もなるべく少なくて済むように減らしてきたわけでございますが、どうしてもお客さんの数が極度に少ないために十分生産性を発揮できないということになっておるわけでございまして、どうしても運転手も配置しなきゃなりませんし、保守の職員も配置しなきゃなりません。しかし、それが十分に働きを発揮することができないわけでございまして、そういう意味で、構造的といいますか、体質的にやはり赤字のものでございます。  そしてさらに申しますれば、バスの方が能率がいいわけでございますから、単に赤字ということだけじゃなくて、資源のむだ、労働効率のむだということを考えますと、やはりこれは御理解をいただいた上で、足を奪うということではないわけでございますので、輸送システムを変えるということについて御理解を得たいというのがわれわれの考え方でございます。  東北、上越につきましても、確かに当面赤字が出ますけれども、しかし、これは先ほど来申しておりますように、投下資本が非常に大きいということから出てくるものでございまして、長い目で見れば十分償うことは間違いないのでございます。十年で果たして大丈夫かという御指摘ございますけれども、それは八年でいけるか十年でいけるか十一年かかるかという問題はありますけれども、必ずこれは償うことは考えられるわけでございまして、在来線のように経常経費が大きいために赤字になるのではなくて、資本経費が大きいために赤字になるわけでございますから、そこで経営の質という面では全く違うものだということを御理解いただきたいと思うわけでございまして、感情的には、地方交通線の赤字が三千億前後であると、そして東北、上越新幹線だけで開業当初には三千億も出るということから言いますれば、お気持ちはわかるのでございますけれども、もう少し中身、なぜ赤字になるかという中身を分析していただきますれば、やはり将来ともどうにもならないものと、将来は十分償うものとの違いというものは御理解を願いたいと思うわけでございます。
  120. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど国鉄総裁が答弁いたしましたのと私も全く同じ考えでございまして、幹線と地方線とは国鉄財政の中に占めますところのポジションがもう違うと思うておりますが、しかし、われわれはいずれの線におきましても最善の努力はしていかなきゃならぬと思います。  東北、上越新幹線につきましては、もう御心配は当然のことだと思いました。でございますから、当面の六十年までに達成すべき目標として提出いたします経営改善計画の中ではこれはやっぱり除外しなきゃならぬものだと思うておりますが、とはいえ、この東北、上越をどのように有効に使うかということによりまして、私はこれが非常なまた将来において威力にもなってくれると思うておりまして、たとえば東北新幹線につきましても、北海道との連結の問題なりあるいは東北地方周辺の新幹線への集約ダイヤというようなものとか、そういうようなもの等、いろいろと組み合わせ、活用を図って、一刻も早くその不安を解消いたしたいと、こう思うております。
  121. 桑名義治

    ○桑名義治君 昭和六十年度における国の助成額はどの程度と見込んでおられますか。また、国鉄としては今後どの程度の国の助成を得られれば単年度収支均衡を図ることができるか。あるいはまた、内部で検討している資料に基づいて、長期的な収支見積もり、それからその中における国の助成額の推移等について、もし試算がなされておるならばその見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  122. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 六十年時点というところで輪切りをいたしまして、その時点でどのぐらいの助成をお願いをするかということを試算したものはございます。しかし、非常に多くの前提が含まれておるわけでございまして、特に年金につきましても、どういう処理をしていただくことになるかわからないもんですから、一応いま申し上げます試算では、年金につきまして六十年時点でも基本的な解決はしていただけないということを前提にしました。そして、とりあえずはその異常な年金部分についても借入金をもってつないでいく、そしてその借入金については利子を全額負担していただくということを前提にして計算をいたしております。  そういう計算でつくりましたものを、昨年の十二月の当参議院運輸委員会国鉄問題小委員会でお尋ねがありましたときに私からお答えをいたしておりますが、その数字は約一兆一千億円というぐらいのことになるのではないかということでございます。これは、三十五万人体制をとりまして、運賃は年率五%強の改定をお願いをいたしまして、そして年金についてはいま申しましたように全額負担をしていただく、それからもろもろの公共負担について、いつも毎年度の予算等通じてお願いをいたしておりますような形での御負担を願うということを前提として試算してみますと、そのぐらいの金額になるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  これは、その途中掲示といいますか、その途中においてどういうふうに考えるかということは、余りにもバリエーションが多過ぎますので計算をいたしておりません。目標年度のところでそういう前提で考えたものはございます。ただし、この数字は運輸省初め政府サイドでは御承認をいただいているわけではないわけでございまして、一応の試算ということで御了解をいただきたいというふうに考えます。
  123. 桑名義治

    ○桑名義治君 三条の二項で、「地域における効率的な輸送の確保に配慮しつつ、」、これは具体的にはバス転換を予定をした表現なのかどうか、まず伺っておきたいと思います。
  124. 山地進

    政府委員山地進君) この「交通体系における」という言葉とあわせて考えますと、先ほど来国鉄の位置づけということで先生の御質問があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、各種の交通機関の特性に合わせて国民のニーズに合ったような輸送サービスを提供したいということでございまして、「地域における効率的な輸送の確保」という場合は、地域においてそれぞれその輸送機関の特性に合ったような、しかもそのニーズに合ったような形で輸送サービスというものを考えたいということで、おっしゃるようにバスというものを頭に置いた表現でございます。
  125. 桑名義治

    ○桑名義治君 この特定交通線の問題については後ほどまた論議を進めていきたいと思いますが、次に、四条四項で、国鉄は経営の改善計画を定めるに当たって、「環境の保全に十分配慮しなければならない。」、こういうふうにうたっているわけでございますが、これはどの部分を指しているんですか。どういうことを意味しているんですか。
  126. 山地進

    政府委員山地進君) まあ国鉄輸送機関、当然のことながら安全の確保とそれから環境保全ということについて配慮しなければならないということでございまして、今後の国鉄の経営改善の中には——ここに書いてございます「経営改善計画」というのは、単に地方だけでございません、全体的な経営改善計画、施設の新設ということも十分含んでいるわけでございまして、大都市における国鉄の整備、あるいは新しい東北、上越の問題も含めてやっていかなければならないわけでございますので、従来から国鉄に対する環境整備と環境の問題につきましては、環境庁の方で環境基準の設定もございますので、そういったことを含めてこれに書いてあるわけでございます。
  127. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますとね、新幹線公害問題もこれに含めてこういうところに、今回のこの法案の中に入っているということでございますか。それと同時に、バスに転換をした場合には、これは環境が著しく阻害されるということは当然言えることなんです。何となれば、いままでの鉄道輸送がこれはバスに切りかわるわけですから、したがって、道路というものが非常に混雑を来してくるということは当然これは予測をされるわけでございます。特にこの地方交通線を廃止した場合には、これをバス輸送に切りかえるならばこれは時間的に非常に混雑を来す場合が非常に起こり得るわけです、通勤時あるいは退社時、こういうときには相当な混雑が予想されるわけでございますが、そういった事柄について、新幹線の問題と同時に、今回のこの法案に直接関係があるという部分を指していうならば、そういった道路上の問題がやっぱり環境保全という立場から考えた場合には関連を持ってくるんじゃなかろうかと、こういうように思うわけでございますが、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるんですか。
  128. 山地進

    政府委員山地進君) 新幹線は先ほどの新幹線訴訟等でいろいろと環境基準の遵守という問題が外に出まして、環境庁長官からも国鉄にはしかるべき御指導もあり、私どもとしても環境基準の達成をできるだけ早くやるようにということを指導してまいっているわけでございますので、そういったことを踏まえて経営改善計画には環境問題として取り組まなければいけないと、かように考えております。  それからもう一つ、道路の環境の問題でございますが、これは私どもとしても効率的な輸送体系というものを考える場合には、やはり安全とかあるいは環境とかというものを常に考えながらやらなければいけない問題の一つでございまして、今回の地方交通線の転換に当たって、バスに転換することが適切であるということにつきましては、そういった環境問題も含めて私どもとしては考えているわけでございまして、道路がすべて環境が悪いということではないというふうに考えておるわけでございます。
  129. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、四条における経営改善計画と昨年の七月に国鉄が発表しました国鉄再建の基本構想案、これはやっぱりペアとして、むしろいわゆる国鉄再建の基本構想案が下敷きになり、さらに具体的にこういうふうに進めていくんだというのが今回の法律だと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  130. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 今回の法律が成立いたしますと、第四条の規定に基づきまして私どもは早速経営改善の取りまとめに入るわけでございます。当然その経営改善計画をつくるに際しましては、昨年の基本構想の考え方というものが根底にあるわけでございまして、その考え方を一応柱にいたしまして、さらにその後の一連の情勢の変化等も若干ございますから、そういった点もきめ細かくいろいろ検討いたしまして最終的に経営改善計画を固めていくという形になろうと思います。
  131. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回のこの法案を見てみますと、監査委員を一名増加されているわけでございますが、この増加させた、いわゆる増員さした理由及びこの監査委員の中に労働組合関係の者を充てるというような構想はございませんか。
  132. 山地進

    政府委員山地進君) この五条並びに六条に経営改善計画の実施状況の報告があるわけでございますが、監査委員会はこの経営改善計画の実施状況を明らかにする報告書には意見書を添えて運輸大臣に提出しなければならないことになっております。したがいまして、従来から見ますと、今回の経営改善計画はまさに国鉄の最後の再建計画でございますし、監査委員会を充実しこの再建計画の実現について万全を期したいと、かように考えておるわけでございます。  それからこういった監査委員会の人員の選定につきましては、従来からいろいろの経緯がございますけれども、選定に当たりましては十分各方面の御意見を承りながら選定してまいりたいと、かように考えております。
  133. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、各方面の御意見をしんしゃくしながらということでございますが、私の質問は労働組合関係の方々を入れるお考えがありますかという質問でございますので、それを含めてということでございますか。
  134. 山地進

    政府委員山地進君) いまのお尋ねの労働組合の方を入れるということにつきまして強い御意向がありますので、そういったことも含めまして各方面の御意見を承りたいと思います。
  135. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、今回の再建計画のまた一本の柱は三十五万人体制の実施ということになるわけでございますが、この問題について具体的に年度別の職員削減計画というものがもう策定をされているのかどうか。先ほどからのお話をずっと伺っておりますと、これはまだ非常にむずかしくて策定されていないような御発言のように承ったわけでございますが、現実はどのようになっているわけでございましょうか。
  136. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在の作業はどういうフィールドでどのように減量経営を図っていくかと。フィールドと申しますのは、駅の仕事であるとかそれから保守の仕事であるとか運転の仕事であるとか、あるいは貨物のヤードにおける仕事であるとか、いろいろなフィールドがございます。各フィールドについてどのような方法をとれば少ない人手でいまと同じだけの仕事ができるだろうかということでございまして、七万四千という数は私どもから見ますとかなり大ぜいの数でございますので、どこをどういうふうにすればそれだけ人手を減らし得るかというのは非常に大きな作業でございますし、同時に各現場ごとに細かく検討してみませんと、なかなか私どものようにパート、パートで仕事を分担してやっている仕組みから申しますと、かなりきめ細かく現場ごとのこの仕組みを議論していかなきゃならぬわけでございます。  それがまとまりました段階で当然のことながら労使間でいろいろ議論をしなくてはならぬ。いろんな意味で労働条件にも関係してまいりますしいたしますから、労使間で話をしていかなければならぬということでございまして、これは本社側といいますか、経営者側といいますかの作業はかなりの程度進んでおります。しかし、まだ労働組合と話し合い、いろんな形で交渉ということの前に大きくグローバルに話し合いをしなければいけません。そうしたことをまだ開始していないわけでございます。それが軌道に乗りましてから、今度はたとえば設備投資等を相当しませんと減量経営というようなこともなかなかできないわけでございますので、設備投資計画を立てましてそしてそれを年次年次で進めていくということになろうかと思います。  そういう意味で現段階ではまだ年度別には出ておらない。物事の進む順序は労使間でのいろいろの詰めといったものが順調に進むかどうか、さらに投資計画がそれに先行してうまく進んでいくかどうかといったような問題によって決まるわけでございますので、まだ年次割りというところまでは至っていないという現状でございます。
  137. 桑名義治

    ○桑名義治君 三十五万人体制というものは、これは一本の柱でも最大の柱でもございますが、これを達成する上におきまして一番重要な問題は、やっぱり労使間の話し合いがどう確立していくかというところに最大の焦点が置かれていくんではなかろうか。その次にやっぱり焦点が置かれるのは安全性という問題になってくると思うんですが、しかし、この双方ともなかなかむずかしい問題でございます。果たしてこれらの問題がいわゆる解決を見ない以上は三十五万人体制というものは幻の柱である、こう言わなければならないと思うんですが、現段階におきまして、いろいろと労使の紛争等、いままでの経過から考えると、これは右から左に片づく問題じゃないと、こういうふうに国民の皆様方どなたも御判断なさっているようでございますが、この点は自信があるとかないとかいう質問は愚問かもしれませんけれども、この問題に対しての大体見通しというものをどのようにお持ちなのか、差し支えなければお答え願いたいと思います。
  138. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 三十五万人になりましても、なおかつ相当助成をしていただいて、そしてやっと収支均衡さしていくということでございますし、特に、現在職員が抱いております不安は、職員一人一人の生活の問題を考えました場合にも、国鉄自身の体制がしっかりしたものになりませんと、いろいろ年金等の問題をお願いいたしましても、なかなか認めていただけるようなことになりません。そこで、いかに国鉄の経営が困難になりつつあるか。さらにはいろんな形で一層の援助をいただかないと、一人一人の生活そのものが成り立っていかないという現状が、私自身の見たところではまだ不十分ではございますけれども、少しずつでも一人一人の職員に浸透しつつあると考えております。  したがいまして、過去におきまして、三十年にわたりましていろんな意味での合理化計画があり、合理化闘争があったわけでございますけれども、そういう歴史にもかかわらず、最近の現状というものはきわめて深刻でありますし、それは国鉄という企業体でなしに、自分自身、一人一人の職員自身の生活につながりのある問題だという理解が、少しずつではありますが進んでおりますので、私は、いまの調子でよく話し合いを進めていけば、十分可能性のある問題だと思っております。実は、この十年間に定年に達します職員数が二十万人近くあるわけでございますので、年平均二万人ぐらいの人が退職してやめていくという現状でございます。したがいまして、昭和六十年まで六年間ということになりますと、その間約十二万人ぐらいの人が退職でやめていく。その中で七万四千人ということでありますと、大体減耗補充率を四割五分ぐらいにすればよろしいということでありますから、いわゆる俗に申します血が出るという形での合理化計画ではないわけでございますので、その点は、過去におきます非常に大きな労働問題になりました石炭その他の場合とは大分事情が違うわけでございまして、その減耗補充をうまくやりながら、そして配置転換等についての勤務条件の問題については、職員の理解を得ながら進めていくということでございますから、決して不可能なことではない。しかし、職員の一人一人が少しずつわかってきてくれているとは言うものの、まだ国鉄の置かれている経営上の困難さというものの理解がなかなか完全な理解までは到達していないわけでございますから、それを時間をかげながら、余り焦らないで、しかし目標年度までに目標を達するということで取り組んでまいりますれば、困難ではありますけれども可能なものというふうに考えております。
  139. 桑名義治

    ○桑名義治君 三十五万人体制ということは、財政立て直しの上からは非常に大きな項目かもしれませんが、大臣もしくはまた総裁から御答弁があっておりますように、これまた大変な財政負担にもつながっていくわけでございます。で、今後の解決の方法として、こういう年金、退職金、それから公的なもの、これは一応政府が見るというふうにたびたび御答弁なさっておりますが、これをやはり解決しない限りにおいては、この三十五万人体制というものも大きなひずみを残しながら進めていくことになるわけでございます。それと同時に、国鉄の財政再建という立場からも大きなひずみになるわけでございますが、再度御答弁を願いたいことは、こういう退職金、年金についていわゆる国の対策を講ずるということ、これをもう一遍確認をしておきたいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
  140. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ねの昭和六十年以降におきますところの退職金の異常分並びに年金の国鉄への負担分、こういうものにつきましては、われわれといたしましても政治的な配慮を加えなければならぬのではないかと思うております。
  141. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の御答弁は、これは政治的な配慮という言葉はいろいろな面に使われるわけでございまして、いい面にも使われるし悪い面にも使われるし、またいい面も出てくるし悪い面も出てくるという両刃の剣のような御答弁でございますけれども、もう少し歯切れのいい御答弁はいただけないものですか。
  142. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国鉄が昭和六十年にどのような体質の改善が図られ、あるいはどれだけのまた債務、財務状況がどうなっておるかということは、これはまだ不確定でございますので、いま議論をして私からこういうぐあいにいたしますという、政府を代表する意見は出てこないのは残念なんでございますが、しかし、必ず、その時点になりますならば、りっぱな体質に改善をしてくれると思うております。  そういたしますと、国鉄がその後に、つまり六十年以降におきましても鉄道としての特性を発揮し得る経営ができますように、われわれはあらゆる面から、財務上からあるいは制度上から助成もし、あるいはまた支援態勢もとっていくということにつきまして変わりはございませんので、そういう点でひとつお含みおきいただいて、われわれは国鉄に大いに再建を期待いたしますと同時に、また国鉄があくまでも国の交通機関としての役割りを果たしてくれるよう、末長く協力態勢を持ち支援していかなきゃならぬ、こういう覚悟でございます。
  143. 桑名義治

    ○桑名義治君 この年金問題は、また別に柱を立てて退職金問題と同時に少し論じてみたいと思っておるわけでございますので、この程度にしておきたいと思いますが、いずれにしましても、この三十五万人体制の確立と年金、退職金問題というのは、これはもうペアで考えていかなければならない問題でもございますし、それから、先ほどからいろいろと御論議いただいているわけでございますが、先日の論議のときにも、国鉄再建基盤が完全に体制ができ上がっても、一切合財の均衡がとれ借金がなくなるのは四十五年先だというような、気の遠くなるような答弁があったわけでございますが、それでさえもやはり細かい配慮がない限りにおいては、過去四回の再建法と同じように、幻に終わるおそれが十二分にあるわけでございまして、したがって、今回のこの再建案が最後であると、これだけの決意がないことには、またこれだけの配慮がない限りにおいては、これは大変なことになる、こういうふうに考えるわけでございます。そういった立場において、この三十五万人体制というものも、恐らくそこから起こってくるもろもろのひずみ等も考えながら、対処しながらこの問題に取り組まなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  次に、地方交通線の問題に移っていきたいと思いますが、その前に、先ほど「地方交通線等選定基準案」というものが提示されたわけでございます。この中で、第三に、「特定地方交通線に関する基準」というのがございますが、この中で一、二、三とございます。この一、二、三を見た限りにおきましては、これは非常に事務的に物事を判断をし、そして事務的に項目を挙げているというふうに私には思えてならないわけです。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、この問題が最も抜けているところは、地域実情を勘案するとこう言いながら、こういう御答弁をしながら、地域実情が勘案をされていないということでございます。  たとえば、これは総括的にまず申し上げておきたい事柄でございますけれども、国土庁あるいは建設省からの案として定住圏構想というものが発表されておるわけです。私の住んでおる福岡県の場合だったら、産炭地振興ということがもう非常に大きな命題になっているわけであります。そういった立場から考えた場合に、地域の住民の生活の向上あるいは地域住民の皆様方の生活の安定なり、あるいはまた生活の便宜、こういった事柄が全然うたわれていない、こう言っても私は過言ではないと思います。  産炭地の例を挙げますと、これは産炭地は長い間ずっといままで産炭地振興ということで石炭六法というものが国に認められ、今回も、昨日答申案が出されているわけでございます。この答申案の中身を見てみますと、やはり鉄道に対しても付言をされているわけであります。こういう事柄を考えますと、たとえばここに書いてありますのは、「広域的な地域発展を図るという方向への傾斜を一層強め、総合的かつ効率的な」云々とありまして、最終的には「それぞれの機能を高めるための事業を集中的に推進すること等が考えられる。」、こういうふうにうたい上げておられますし、それから「基盤の整備」のところで、「産炭地域振興における産業の振興のためには、産業基盤の整備及び生活環境の改善が必要である。とりわけ、広域的な地域発展を促すため、関係各省庁において地域実情に応じた交通体系の整備を進めるべきである。」、こういうふうにうたい上げてあるわけであります。  先日、二日間にわたりまして私たちは福岡の方に公聴会あるいは実情調査に参ったわけでございますが、そのときのいろいろな公述人のお話の中にも、この鉄道の占める位置というものは非常に大きいものがある、こういうふうにそれぞれが口が酸っぱくなるまで付言をしているわけでございますが、そういった立場から考えますと、やはり産業の振興に資するためというような、そういう意味合いの産業との関連の一項目を入れるべきではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点どうでしょうか。
  144. 山地進

    政府委員山地進君) いろいろの政府の考え方が出ているわけでございますが、たとえば定住圏構想におきましても、地域の道路の発展状況というものをとらえまして、道路輸送というものにかえる、そういうものを検討するという項目が出ておりますし、いま先生のおっしゃったお言葉の中にも、地域実情に合った効率的な輸送体系、こういったお考えもあろうかと思うわけでございまして、今回の私どもの提案というのも、道路の発達ということが各地で非常に見られることでございますので、鉄道が非常に特性を失っているということから出発しているわけでございまして、そういう場合における効率的な輸送体系、つまり効率的な輸送体系というのは、そこに住んでおられる方々あるいは産業というようなことから考えましても、やはりそういった地域においては鉄道からその他の効率的な輸送機関というものへ転換すべきではないだろうか、こういうことも考えまして、片方では国鉄再建と並んでそういった地域の効率的な輸送体系、こういうことを目指して考えているわけでございます。
  145. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで局長さんね、私が特に申し上げたいことは、局長さんのいわゆる守備範囲というのはおかしな表現になるかもしれませんが、それは交通に関する守備範囲になるわけですね。こういう問題は局長、これをつくったときには各省庁と一応話をして、一応ですよ、これは完全に詰めてないわけですからね。一応話をして、協議をして、そしていわゆるたたき台的なものをつくった、こういうお話がございましたね。で、その中には当然ながら地域実情というものが、守備範囲の中から考えた場合には、地域地域の特性というものはまだはっきりした把握はないと私は考えているわけです。いまから先、たとえば産炭地の方ならば、今後どういう方向にこの十年という間に産炭地が伸びていくか、そこら辺の把握がないわけです。  したがって産炭地を入れろとか入れるなとかということを私はいまこの段階では論じているわけじゃないんです。地域の発展という事柄、産業との絡みということ、それをやはり一つの検討項目の中に第四として入れるべきではないか、このことを申し上げておるわけです。基準としてそういう項目を入れるのがむしろベターではないか。ただ道路が走れないとか走れるとかいう問題だけではなくて、いわゆる道路の効率だけをここでは論じているわけです。地域の発展ということを全然論じてない。そこら辺にも判断基準として政令をつくる場合に当然そういう項目を入れるべきではないか、こういう論議を私はしているんです。短絡的に産炭地の方面、産炭地域交通網が、汽車がいいとかバスがいいとか、そういうことを私自身がいまは論じているわけではない。地域のそういう発展ということを考えなければ、公共性というのはなくなってしまう。その項目が全く欠除しているというところに地域の発展を全く無視している、こう言葉を置きかえてもいいのではないか、こういうふうに私は思う。どうですか、大臣
  146. 山地進

    政府委員山地進君) 私どもの方でも、この三つの除外例があるわけでございますけれども、まず四千人ということの、どういうふうにとるかということが一つあるわけでございまして、私どもが現在考えておりますのは、過去の三年間の平均の四千人ということを考えているわけでございます。そこで先生のおっしゃる地域の開発ということが、非常に現実の問題として輸送需要に結びつく計画があるんだという場合は、この四千人が、一年もすればいま二千人のものが五千人になるというような場合にまで過去の数字だけにとらわれようとは思っておりませんで、この輸送需要の算定の方式というものを考えているわけでございますので、その中には現実に輸送需要がふえる場合ということを私どもとしては想定したいと考えているわけでございます。現在の産炭地振興実施計画の中にございますように、輸送需要の動向に対応してという言葉が恐らく入っていたかと思うのでございますけれども、私どもとしてもそういったものが現実に輸送需要に顕在化するんだということが明らかな場合においては、それらのものについても考慮できるのではないだろうか、かように考えております。
  147. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、私がいま論議しているのは、後ほどまたその産炭地域の問題、論議しますけれども、いま論議しているのは産炭地に限って論議しているわけじゃない。地域の発展との絡み、これも第四項目の中に入れるべきてはないかと言うのです、判断基準として。おたくの方は四千人とか二千人とか、千人とか、通勤時に一駅から千人とか、そういうことばかり論議しているわけですよ。だけれども、少なくとも公共性のある国鉄という立場から考えた場合には、そういう地域の特性というものもここに一項目入れるべきではないか。産業の発展に資するや否やというそういう項目が、どういう言葉でもいいですよ、そういう絡みのものが入ってこそ、初めて温かい政令に変わってくるのじゃないか、こういうふうに私は言っているわけです。大臣どうですか。
  148. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃることはわかりますけれども国鉄が過去におきまして鉄道省という役所であった場合には、それはおっしゃるとおりだと思うんです。しかし、現在は公社でございまして、公共性と同時に独立採算性も要求されてきておるんです。そこが、どこで兼ね合いをとるかということが実は問題でございます。ですから、まさにこの地域のそういう産業なり住民生活にとって大事なものだということ、これに対する使命というものも当然われわれも自覚しております。しかしながら、それらは鉄道の特性をつかむ方がいいのか、あるいは他の交通機関の特性を生かす方がいいのかということは、やはりそこにも問題があると思うんです。  いま申しておりますように、鉄道の特性というのは都市と都市との間をつなぎましょう、これもその地域に対する大きい発展の基礎、基盤をつくっていくものだと。しかし、その一つ地域についての交通のあり方というものは、その地域責任者と申しましょうか、自治体なりあるいは地域の住民の意見なり、それと国とが一体となってそういう地域交通のあり方を考えてくれたらどうだろう。そこで、国鉄でやりなさいとおっしゃるのか、あるいはまた地方自治体責任持ってやるとおっしゃるのか、あるいはもう国鉄は要らぬ、バスにしなさいとおっしゃるのか、そういういろんな問題があると思うんです。  しかしながら、いずれにいたしましてもそういう地域交通の、末端に至るまでの交通責任も全部国鉄でございますという、この国鉄責任は免除してやっていただきたい。そして、その鉄道を経営する主体が決まり、あるいはまた代替バス輸送とかいうのが決まりまして、それで交通体系とり得るではないかと、そういうことをわれわれはお願いしておるのでございまして、国鉄がそういう公共性を忘れたものでもございません。しかし、一面において地域交通責任はやはり住民の方もその一端をしょってもらうという、こういう考え方に立って初めて地域交通の円満な私は整備ができるんではないかと、こう思うております。
  149. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の言われることはわかっているわけです。よくわかります。ある程度理解もできます。だけども、それを一項目、いわゆる廃止するかしないかの判断基準の中に入れたらどうですかということを言っておるわけです。この中に入ったところで別に関係ない問題じゃないですか。そういうあなたのおっしゃる問題と関係ない問題。だから、判断基準としてそういう項目を入れることの方がむしろベターじゃございませんかということを言っているわけですよ。この基準が入れば、これは非常にむずかしい問題になることはわかります。これでやったらすぱっと切れますよ。ちょっと切れが悪くなりますわな。切れが悪いでしょう。だけども、それは私は血が通っていると思う。
  150. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは文言で、抽象的な表現で書けばおっしゃるようになるわけでして、私たちはそのおっしゃる精神をくんで大体八千人と四千人、このぐらいのところで、四千人以下のところはこれは地域責任でやってもらいたい。それ以上はまあ国と地方とで共同で考えていきましょう。そして、八千人以上のところはこれはもう国鉄固有の責任としてやっていきましょう。そういうふうに一つの区分をした。それは、おっしゃるような文言でやるといたしますならば、どこで切ったらいいかわからぬ。ようかんをかみそりで切ったようにすっとするということは、これはむずかしい。それはわかりますけれども、しかしどっかに基準をつくらないと、それこそ午前中に広田先生から論議がございましたように、政治的配慮が働く余地がそこに出てくる。それは、われわれは断固として排除しなければいかぬ。  そうすると、そういう政治的な介入をできるだけ疎外して、何かの基準でやるといたしましたら、非常に水臭いような話ですけれども、何かの数字的な基準を置かなければ、地域実情を考慮しながらということのそれだけの基準でやっていくといたしましたら、おれのところも、おれのところもということになって収拾つかぬようになってしまう。それは、現在国鉄としてはとり得ない。ですから、非常に冷厳なようでありますけれども一つ基準、その基準を考えるのに、やっぱり国鉄の公共性ということを配慮して、まあ四千人ぐらいまではこれはひとつ勘弁してもらう、責任を免除してもらう線であろうという標準をとったということでございますので、地域実情を全然考えなかった、そして、ただばさっと四千人というものを出してきた、そういう考えではないということを、これはひとつ御理解してほしいわけです。
  151. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、ここに書いてある以外にも多少考慮の余地はあるということですか。あるならばむしろうたい上げた方が私はベターだと思う。四千人だからといってばさっと切りませんと言うのなら、考慮しますと言うのなら、これはある程度第四項目として入れた方がベターじゃないですか。そして、定住圏構想の指定地とかなんとかうたい上げればいいんだから。
  152. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いやそうじゃない、おっしゃることさかさまでしてね。そういう基準をつくらなければ処理できないじゃないですかということをわれわれは考えたわけなんです。ですから、やっぱり冷たいようだけれども一つの線を引かざるを得ない。ただし、四千人以下といっても、まあ雪が十日間積もるとかいうふうなそういう特殊なところにつきましてはこれは考えましょう、これは鉄道の特性ということでわれわれが責任持ちましょう、こう言っておるわけでございますので、いや逆ですよ、それは。私が言っているのは四千人、八千人とこういう基準を設けざるを得なくなってきたんだという、その実情を訴えておるわけなんです。
  153. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましてもおたくの方は、数字で一切合財を切ってしまう。これは一番簡単な切り方ですよね。すぱっと切れますわね。数字で出てくるんだから、これほど正直なものはない。ところが、やっぱり世の中というのはそういうことだけで動いておるわけじゃありませんしね。やはりそういうふうに国の施策がちぐはぐにならないように、一本筋の通った線、これはやっぱり通さなきゃいけないと思うのですよ。片や莫大な金を注ぎ込む、片や地域開発のために、こういうふうに定住圏構想なりいろいろな構想が打ち立てられ、指定される。片やその足をちょん切ってしまう。これじゃ全く行政がちぐはぐになってくるおそれだって十二分にあるわけですから。そういった具体的にある程度判断ができ得る、だれも一応そういう立場から論ずればなるほどと納得ができる、そういう理屈のあるところだったら、先ほどから申し上げておりますように、地域の発展のためにという、そういう可能性のある問題については一項目入れるべきではないか、私はこう申し上げている。これはもう恐らくあしたの朝までやったって、だめだ、いい、だめだ、いいになってしまうと思いますけれども、これ、全く考慮する余地ありませんか。
  154. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在私らは、基準につきましては考慮の余地はないと言わざるを得ません。ただ今後の地域の発展あるいはその整備状況というものが現実の日程とし、それが進行しておるというところにつきましては、同じ第三セクターでやるとか何とかいうことになったといたしましても、やはりそこで国鉄が負うべき、分担すべき責任というものは、その地域地域によって違ってくるであろう。それは、要するに定住圏構想とおっしゃるように、その構想そのものがいわば幻の構想にまだなっておるのでございまして、それをやはりきちっと位置づけて定着していくというのも、これは政府地方自治体の共同責任。そういう中で交通政策を考えてくれるということであるならば、われわれ運輸省として、これは国鉄の問題じゃないわけです。運輸省としてどう考えるかということになってこようと。しかし、だからと言ってそれも、ほれ国鉄がという、国鉄責任でそれをやれということとは切り離して考えてやってもらいたい、こういうことです。
  155. 桑名義治

    ○桑名義治君 定住圏構想は幻の計画だそうでございまして、これ恐らく国土庁怒るんじゃないかと思います。そういう無責任ないわゆる幻的な構想はなるべく出さないように、ひとつ大臣の方から国土庁長官の方に御忠言を願いたいと思います。  いずれにしましても、そういう構想が幻であるかどうかということは、やっぱり政府部内が一体になってつくり上げていくものである。そのことによって幻になるのか、現実のものになるのか、それは決定されるべき問題だと私は思うんですよ。そういった立場から見れば、幻だからおれら知らないよと、全く縦割り行政の一番悪いところがバーンと表へ出てきたような気がしてならないわけです、私は。そういう意味からもまず先鞭をつける、いわゆる各省縦割りの悪弊を除くために先鞭をつけるという意味においても一項目設けたらどうですか。
  156. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 一項目の精神はこれはもう十分体してやります。  そこで、仰せのように定住圏構想もございましょうし、あるいはまた通産省、農林省、それぞれの地域指定やっておったりしておることもあります。そこで政令作成いたしますときには、まさにその地域交通というのは、ただ国鉄運輸省だけで考えればいいという時代ではなくなってきたんです。したがって、ここで地方自治体責任を分担してもらわにゃいけません。それは交通運輸省の仕事ですという態度ではいけません。ですからこの法案が成立いたしましたと同時に、できるだけ早い時期に政府の部内においていわば担当官相互の連絡会を持ちまして、その討議の結果を持って関係閣僚会議を開いてこれを組織してもらいたいと、私からいま官房長官にこの申し入れをいたしております。そしていわば地域住民の生活なりあるいは産業、こういうものを一体として考える中で、地方交通線、特に特定地方交通線の位置づけというもの、責任というものを考えてもらいたい。そういう政府一体となった対策で今後推進いたしたいと思うております。
  157. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、大臣、今後の交通問題というものは政府が一体となって考えなきゃならない一つの時代に来たことは事実です。交通の質というものの変化、体制の変化、いろいろなものが起こってきているわけです。その交通の一番基幹となるべき国鉄がこのような膨大な赤字を抱えて、民間であればもうとっくの昔に倒産でございます。しかし、これはやめるわけにはいかない。日本の国土の形態から見た場合には、いまでもやはり国鉄は主幹交通機関であることに間違いはないわけです。これがなくなることによって国民皆さん方がどれだけお困りになるかという、そういう国民の生活上の立場から考えた場合でも、これは再建をやっていかなきゃならぬというコンセンサスは私はでき上がっていると思う。  だけれども、それが一概にいわゆる地方にしわ寄せの形で行われるというところに国民の反発があるし、それと同時にやはり公平な立場からこの再建という問題は考えていかなければならないわけです。それぞれ同じように税金を払っているわけですな。地方の方だって同じように税金を払っている。そして自分たちのいわゆるげたであり足であるものが切り捨てられると、これはもう国民感情、地域の方々の感情とすれば、これは不公平そのものというふうに認識するのは、私は感情としてあたりまえだろうと思うんですよ。そういう立場からこの問題には取り組まなければならない。  そのためには、先ほどから申し上げましたように、地域の住民の方々のいわゆる協力なりあるいは納得なりが最も必要でもありますし、そういう立場から考えますと、先日地方をずうっと回ってみた、そしたら私が冒頭に申し上げましたように、各県も市も町も言うには、われわれが事業を起こす場合には大変なんですよと言うんですね、あなたも御存じのように。何か一つ大きな事業を起こそうと思えば十年は覚悟しなきゃなりません。そして住民の皆様方の完全な納得がいってから初めてその事業の推進を議会に提案をするわけでございます。こういうふうな立場から考えれば、国鉄さんはのんきなものですな、お国の方はのんきですなと。法律をつくって強行突破すればそれで一切合財これが片がつくなんて、われわれには考えられないことですという言葉がどこからも返ってくるわけです。  そういった立場で、もう一遍この特定地方交通線という問題は考えてみなきゃならぬし、前回委員会あるいはきょうの午前中の論議にもありましたように、少なくとも地域の住民の方々の御理解を得るためには、こういう路線でございますということをまず示し、そこでさまざまな論議が重ねられて初めて作業にかかるということが最も民主的なとるべき方法ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、また、午前中の論議、あるいは前回の論議と同じようなことを繰り返すようでございますけれども、これは大体いつごろをめどにしてこの対象路線というものが明らかにされるわけですか。政令が完全にでき上がらなければこれは明らかにならないものなんですか、どうなんですか。
  158. 山地進

    政府委員山地進君) 特定の路線につきましては政令ができた後でなければ明らかにできないと思います。と申しますのは、やはり政令のでき方によりまして、その特定路線、特定地方交通線というものの判断基準が違ってくるわけでございますので、政令ができた後にそういったものを明らかにしていきたい、かように考えております。
  159. 桑名義治

    ○桑名義治君 依然として地方切り拾てという昔のお上のやり方そっくりのやり方になるわけでございます。それは政令というものの性格あるいは法律というものの性格、そういう立場から考えた場合の一つの筋論というのはわかります、私には。わかります。だけれども、その筋論が反民主的になり、地域の方々の納得が得られないとするならば、そこに何らかの方法をやっぱり考えなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに私は思うんです。で、そういう場合に皆さん方がおっしゃるには、この法律の中には八条にいろいろな手続上の問題があるじゃないか。その基準を示して、それでその基準に該当するならば運輸大臣に提出をして、そうして運輸大臣はまた知事に意見を聞く、そういう手続等もあります。その後また二回にわたって知事の意見を聞くじゃないか、これで十分じゃないか、あるいは協議会もあるから十分ではないかと、こういうふうにお考えかもしれません。  しかし、これはそういうものでは私はないと思いますね、そういうものではないと思うんですよ。この協議会も、切り捨てるということを前提にしているわけですから、もうすでにそこで意思は決定されているわけですね。あと後にこの路線について足の確保を第三セクターという形にするか、バス路線にするかといういわゆるその幅が残されているだけであって、その決定についての意見の陳述は何もできない、これじゃ全く切り捨て御免と一緒だと、こういうふうに私は思うのです。しかし、その路線の決定について何らかの意思を表明できる場というものを設定をする必要があるのじゃないかと、こういうふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  160. 山地進

    政府委員山地進君) 今回の特定地方交通線の廃止問題、これはかねがね何回も申し上げているとおり、このローカル線問題というのは長い歴史がございまして、四十四年にすでに二、三千キロ以上の路線について廃止するというようなことも一時は決断されたわけでございますが、その後旅客線の廃止というのは一向に進まないわけでございます。  そこで、こういった問題について、どうやったらその国鉄再建ができるだろうかということの選択の中で、法律に基づいて、法律に基づいてといいますのは、やはり国会の御承認を得てということになるわけでございまして、やはり国民の合意を得てということにいたさなければこれだけのものはできないということで、今回こういった法律案をお出しし、御審議いただいているわけでございまして、いま切り捨てとおっしゃったわけで、私どもとしても大変実情を聞くたびに心痛む問題でございますけれども、これだけの問題を進めていくに当たりましては、やはりこの基準というものを決めて、それに基づいて御理解をいただきながら進めていかざるを得ないと私ども考えております。そういう意味では個々にお諮りをしてというだけの時間というものを置かないというのは大変心苦しいわけでございますけれども、全体的な、全国にまたがる問題でございますので、同じ基準に基づいて一つ一つ御相談をしていきたい、かように考えているわけでございます。
  161. 桑名義治

    ○桑名義治君 運輸大臣に提出する前に知事の意見を聞くとか、そういう方法は事務的に処理する上においてできないものですか。
  162. 山地進

    政府委員山地進君) いまの御質問の趣旨はこの選定についてということかと思うわけでございますが、選定については先ほど御説明したような手続で、この基準が決まるということでおのずから選定されるものが出てきて、あとはその技術的といいますか、技術上の問題として国鉄が選定するということになりますので、その選定基準そのものが知事の御判断を得てないと、形武的にはこの法律作成していることでございますので、政令そのものには知事の言葉が出てこないわけでございますが、選定ということは技術的なんで、いまの御質問大臣に選定する前にという御質問でございますれば、政令基準を当てはめるということについては大臣の承認を得る前に国鉄が知事に御相談をするということになるわけでございます。
  163. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題は、キャッチボールみたいにあっちへ投げたりこっちへ投げたりしていたって切りがございません。大変に不満ではございますが次の条項に移っていきたいと思います。  八条の一項及び二項に政令がうたわれているわけでございますが、運輸省案は一応きょうここにまた示されたわけでございますが、政令はいつごろ決まるわけですか。  それと同時に、政令を決めるときには政府内部で各関係省庁に協議するというふうになっているわけでございますが、その関係省庁というのはどことどことどこの省を予定をしているわけでございますか。
  164. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず第一点のいつごろ政令を決めるかということでありますが、これは遅くとも来年の一月末ごろまでには政令を決定いたしたいと思うております。しかし、これは各省と、先ほど私申しましたように、関係閣僚会議を、対策協議会と申しましょうか、要するに閣僚会議を設置してもらいたいと思うておりますし、そういたしますと各省の意見もこれ相当出てくると思うておりますしいたしますので、あるいは若干おくれるかもしれませんが、われわれといたしましては、大体一月末ごろの政令設定ということをひとつ目標にしております。  それから、関係各省庁というのは、まだ、これは内閣で決定することでございますので定かなものではございませんけれども、一応われわれが予定しておりますのは運輸省、それから自治省、大蔵省、国土庁、それから通産省もございましょうし、あるいは建設省はもちろんのこと、北海道開発庁、農林省なんかも関係省庁に入ってくるんではないかと思うておりますが、(「文部省が入ってなきゃだめよ」と呼ぶ者あり)文部省も入っていただいて結構でございますし、むしろ各省庁が協議の申し入れをしてくると私は思うておりまして、できるだけ各省庁の御意見もお開きするようにいたさなければならぬと思うております。
  165. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういった場合に、各省と運輸省との間にいろいろ意見の食い違いが出てくると思うんです。争点が出てくると思うんです。  なぜ私がそういうふうに端的に申しますかと言いますと、先ほど局長がこの問題に対して、地方交通線等の選定基準——これは運輸省案ですか——各省の意見は聞いた、しかし了承はしてないと。了承をしてないということは各省にまだ多くの争点が残っているということなんですね。その争点は大体どういうところが争点になっているわけですか、重立ったものを五、六挙げてください。
  166. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 調うておらないとおっしゃいますけれども、これ、法案を提出する段階で政策としての基本につきましては、各省庁これは賛成しております。これは間違いございません。内閣の一致のもとに法案を提出しているんで……
  167. 桑名義治

    ○桑名義治君 それはわかっている、このことを言っているんですから。政令の問題ですよ。
  168. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ですから、これから政令をつくるときに各省庁のそれぞれの主張が出てくる。当然でございます。  一番問題となっておりますのは、特定地方交通線地域交通機関として地域が主体となって経営するということに対する不安、これが一つございます。その不安の根底は何かと言いましたら、当然起こってくるであろう赤字に対しそういう第三セクターはどのように対応するのか、これの財源は何か考えてくれておるのかどうかということがこれが一点であります。これが私は大きい問題だと思うのであります。  それから第二番目の問題は、いまの特定地方交通線等を利用しておる人は、どちらかと言いましたら、学生あるいはお年寄りというような、これ、適当じゃございませんが、いわば交通弱者と言われるような人たちが利用しておる。これに対する何かの配慮が必要なのではないかということ。それともう一つは、地域間の相互の連絡というものがこれによって十分とりがたい状態になるのではないかという不安、そういうものがございます。  しかし、そういうのは諸先生方がずっといままでの質問の中で出されてまいりました意見を集約いたしたものがほとんどでございまして、だからわれわれは国会審議されましたそういう将来に対する問題点というものはこれは十分に記録にもとどめ、検討して今後の措置を考えていくようにいたしたい、こういうことでございます。
  169. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどの論議の中でちょっと触れられていたわけでございますが、八条の四項で、いわゆるバス路線転換予定線の選定について関係知事が意見を申し出ることができる、こういうふうになっているわけでございますが、この知事の意見というものはあくまでもいわゆる基準に適合しているかどうかということに対しての、この範囲内における知事の意見でございますか、確認しておきたいと思います。
  170. 山地進

    政府委員山地進君) この文章の中に、選定について意見を申し出ることができるというのはそういう意味でございます。
  171. 桑名義治

    ○桑名義治君 それについてはもう知事には全く発言——いわゆる知事が発言をしましても、意見を申してもその意見は取り上げられないという、ただ形式上知事に意見を聞いたということにとどまる、こういうふうにしかわれわれにはとれない。皆さん方は非常に優秀なお役人さんばっかりですから、まさか基準に合わして間違うような決定はしませんよ。そういうミスは犯さないと思うんです。そうすると、いや、知事の意見も聞いたんだ、この言いわけのために形式上こうやって法文に盛り込んだ、こういうふうにしかわれわれとしてはとれないんですが、その点はどうなんですか。
  172. 山地進

    政府委員山地進君) おっしゃるように、国鉄基準の適用に当たっては慎重に配慮して間違いないようにやると思うわけでございますが、しかし、その地域の開発とかあるいは道路の整備とか、そういった問題についてはやはり知事というのがよく実情を御存じでございます。それで、先ほど来先生の御指摘のような私どもの三つの例外規定、並行道路があるなし、あるいは並行道路を将来整備するかどうかということ、あるいは十日以上雪が降るとかどうかということにつきましてもいろいろの御意見があろうかと思ってかようなことを規定してあるわけでございまして、決してこれだけで知事の意見をかわすというようなことは考えておりませんので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  173. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうなりますと、この三つの基準の範囲内の判断を知事に仰ぐということにならないと思うんですがね。先ほどから私が論議を出しておりますような地域の発展という問題、こういうものを勘案をするかのごとき発言がいまあったわけですが、それはいいんですか。
  174. 山地進

    政府委員山地進君) 先ほど先生の御質問に最初にお答えしたときに、産業に貢献するという御質問がございまして、私、御答弁申し上げたかと思うんですが、その際、四千人ということに、将来、産業の開発誘致とか、工業団地とかというものが現にある、これはもう来年から移ってくるんだというような御計画があれば、それは旅客需要に反映されてくるわけでございます。したがって、現実に具体的に計画があって、それでそれが旅客需要に必ず顕在化するというような場合は、それについては輸送需要の算定上考えていかなければならないんじゃないだろうかと、かように私どもは考えているわけです。これは、この基準以外に輸送需要の算定の方法だと思うんです。それで、算定方法についてはここに書いてございませんけれども、いつからいつのをどうなんだと書いてございませんが、その旅客需要というものについては、その計画が確実であればそれは算定していきたいと、かように考えているわけでございます。  したがって、いまのような知事の御意見の中には、いや、そうじゃない、ここにはこういうような計画があるから輸送需要は四千人を超えるんだというような御意見があってしかるべきだと、かように考えております。
  175. 桑名義治

    ○桑名義治君 それだけの、本当にわずかな幅ですけれども、それだけの幅があるとするならば、この中にうたってもいいんじゃないですか。検討事項、これは政令じゃないんですから、政令をつくる前の検討事項ですから、したがってこの中に先ほど申し上げたような項目を一項目掲げてもいいんじゃないでしょうかね。実際に四千人じゃなくても、現在四千人じゃなくても一年先、二年先四千人の交通需要がある、そして地域の発展がこういうふうに進むんだということがわかれば、それも考慮に入れるというふうにお話しになるならば、当然この中に一項目入れても差し支えないんじゃないでしょうかね。これ政令じゃないんですから、また、運輸省案でもないわけですから、運輸省案のたたき台なんですから、そうだったらこの中に入れたって構わないと私は思うんですが、どうですか。
  176. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほどからおっしゃっておる知事の意見を聞くというのは、国鉄が知事に通知いたします。そうして、知事は通知を受けて意見を申し出る。その意見運輸大臣がどのように取り扱うかと、こういうことでございますね。  これは、ただ政治的な要望であるとか、あるいは陳情であるとかいうような、いわばその地域の主観的な要望であるというならば、これはお聞きするにしかすぎないと私は思います。それを一々聞いておったんじゃ、もう全部、何もやらないということになってしまいますので、それはできないと思いますが、しかしながら、たとえばの話ですが、この線が実はこういう基準に当てはまるということではあるけれども、実際もう一度実情を調査してもらいたい、これはこういうことで違うじゃないかというようなことであるとするならば、われわれはそれを科学的に判断する。つまり、何と言いましょうか、冷静に、また合理的に判断して、知事の意見が正しいかどうかという、そういう検討は、これはやっぱりする必要があるだろうと、こういうことでございまして、ただ、政治的な申し入れというものは、これは取り入れるべきものではない。  けれども、その基準にとりながら、なるほど国鉄も神さんじゃないんですから、この線はこうでございますと数字は出した。出して、だからこれはこれに該当いたしますと言ったものの、しかし一年、半年の間に実はこんな条件があったということで変わるということなきにしもあらず、その意見も聞かないということであるならば、これは確かに強圧的だとおっしゃるでしょう。けれども、そういうものがあるいは客観性がある話ならば、これはやっぱり知事の意見大臣として尊重しなきゃならぬ。山地局長の言っていますのはまさにそういうことを言っておるんです。そういう条件の変更が起こってきた場合でも、それでも国鉄のおっしゃるとおり大臣は盲判をぽんと押すというんではございませんと、そういう意味でございますから、だから、知事の申し入れによって基準を変えるとか、そんなことを言っておるわけじゃございませんで、その申し出を客観的に見て、やっぱり聞くべき意見として検討を要するものがあるかどうかということを、そこを聞くということでございますから。
  177. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういうふうに御答弁なさるならば、この中に、また言いますよ、しつこいですから。この中にそういう条件を付してでも結構ですよ、付してでも結構。全くこのままではそういう意見が入れられないことになっています。すぱっといくような条文になっています。したがって、そういう条件を付してでもいい、科学的にそういうふうに大臣の言われたような判断ができた場合には除外するというふうな規定を一項目入れたらどうですかと、こう言っている。
  178. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 知事の意見を聞くということは当然そういう意味でございますので、私はあえてそれはいわゆる蛇足ではないかという感じがいたします。
  179. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は邪測します。(笑声)たびたび裏切られていますから邪測します。だから、先ほどからたびたび申し上げておりますように、政治的判断が入らないようにする、政治的圧力が入らないようにするということになれば、そういう科学的な根拠に基づいて、私たちは、将来の一年先、二年先の問題であろうとも将来を見越してこういうふうな判断をしますよという基準は当然設けておった方が、そういったいわゆる政治的圧力の防除に私はむしろなるんじゃないかと、こういうふうに思うんですよ。どうですか、そう思いませんか。
  180. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは政令を適用する際の判断でございまして、法案として書くべきものではないと思うております。
  181. 桑名義治

    ○桑名義治君 一年とか二年とか、あるいは科学的判断とか、そういうものを付すれば——私は政令に盛り込めとまで言っているわけじゃないんですよ。まだどうなるか、各省の話し合いで決まりますから。少なくともこの政令をつくる場合の判断基準になる、この中に盛り込んだらどうだと、こう言っているんです。あなたのおっしゃっていることとは二歩も三歩も引き下がって物を言っているんですよ。政令の中に織り込めなんて一言も言ってない。どうですか。
  182. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) えらいお言葉でございますが、それを政令の中には盛り……
  183. 桑名義治

    ○桑名義治君 それは言ってないんです、私は。政令の中に盛り込めと言っていませんよ。どうなるかわからぬ。この中に一項目入れたらどうですかと言っているんです。
  184. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この基準の骨子の中に……
  185. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうです。
  186. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 骨子の中に入れる必要はないだろうと思います。骨子の中に入れる必要はないと思うんですが。なぜかと申しましたら、この骨子を示しましたのは一つ基準を示したのでございまして、それを運用する基準を示しておるわけじゃございません。一つ政令となるべきものの基準をあくまでも示したものでございますから、それは私は書く必要はないと思うております。
  187. 桑名義治

    ○桑名義治君 まだ言います。なぜないんですか。私は、まだこの基準にしたって、これ運輸省がみんなで話し合って決めた基準でも何でもないわけですから。運輸省としてもこれは単なる基準であって、まだたたき台のたたき台とおっしゃっているんですから。だから、その中にそれを一つ基準として考えて政令を組み込むということになれば、そういう考え方が明らかになれば、知事だってまた意見を述べるときの腹構えも変わってくると思うんですよ、腹構えも。これだったら、知事はもう全くこれ以外はだめだなあというふうに考えますよ。いまそれぞれの地域の方々も、これ以上はだめなんだと考えているんです。いよいよ最終的な判断にそういうことが加味されるということは全然考えていない。それは不親切じゃないですか。だから、そういう意味でこの中に入れたら、そういうことも考えながら知事の発言が出てくるわけでしょう。どうですか。
  188. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 桑名さんのそういう強い意見があったということ、これはわれわれも政令のときに、それを念頭に置きまして作業をいたしたいと思うております。  くどいようですけれども、これを基準として書くのかどうかということには、私は依然としていま承服はできないんです。けれども、その運用に対して、政令を適用し運用するときに、そういう気持ちを持ってやれとおっしゃることは、これは私はよくわかりますので、それをどういうふうに実際は政令段階で消化していくか、こなしていくかということ等については、われわれもおっしゃったことを念頭に入れて考えていきたいと思います。
  189. 桑名義治

    ○桑名義治君 大分話がかむようになりましたですな。  八条の問題でさらにお聞きをしておきたいことは、二年という期間が区切られているわけでございますが、ただし、この二年という区切りも「協議が調わないことが明らかであると認められる場合」というふうにあります。協議が調いそうだというある程度の見通しがついたときには、二年というこの期限は延長しますかどうですか。してもいいんですか。するんですか、どうですか。
  190. 山地進

    政府委員山地進君) ここに書いてございますように、調うことが明らかでない場合は、国鉄が申請をしない、つまり協議の継続を待つということは十分あり得ることでございます。
  191. 桑名義治

    ○桑名義治君 あり得るんですね。  それと同時に、協議会は九条三項で学識経験者の意見を聞くことができると、こういうふうに明記されておるわけでございますが、これはどうしても学識経験者でなきゃだめなんですか。地域の代表者、あるいは地域の中には任意のいろいろな、県民の足を守る会とか、そういう任意の団体ができ上がっているわけです。そういった方々の意見を聞くという、そういうことは全然予定はしておりませんか。
  192. 山地進

    政府委員山地進君) この二項の、関係行政機関の長あるいは関係地方公共団体の長またはその指名する職員ということがございます。これは先ほど御説明いたしましたとおり、その村長とか町長とか、そういった方がおいでいただくわけなんで、この方々が住民の方々の御意向は十分お踏まえになって御出席いただけるものと、かように考えているわけでございます。
  193. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに一つの世の中のルールから考えるならば、自治体の長というものは、選挙で選ばれていますから、住民を代表したということは一応言えるかもしれません。だけれども、それがすべてであるというふうに考えるのは少し行き過ぎではないかと思います。そういう意味からも、現実にこの問題に真剣に取り組んでいる利害関係のある方々の中で、あるいはまたそれ以前の方々、総括的に地域の問題を考えていらっしゃる方々、こういった方々によっていろいろと任意団体が構成をされているわけですから、そういった方々の意見を聞くということは、直接的に住民の声もあわせて聞くということにつながってくると思うんです。これが最もまた民主的な方法、ルールではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、これはあくまでも学識経験者でなければだめなんですか。
  194. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 何も学識経験者と言ったら、学者と、経験年数三十年以上とか、そんな取り決めをわれわれは考えておりません。むしろ学者でも地域実情を解されない方の意見を聞いて、ただ理想的なことを聞いておっても仕方がない場合もありますしいたしますので、そうではなくして、やはりその地域の一応公的な機関でその地域意見をよく取りまとめをできるような方、あるいはまたその地域に非常に密着したような方で、しかし自治体には直接関係がない、しかしその地域では公的な機関としての仕事をやっておられるとかあるいはその代表であるとかいうような方、そういう方の意見は聞くべきだと、こういう意味で学識経験者というものを予定しております。
  195. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうなりますと、今度は協議が開始されていよいよ最終的に廃止になるという段階になったとします。そうした場合に、これは道路の転換の場合は、全国一斉に、決まったところは全部手をつけるわけですか、それとも年次的に手をつけていくわけですか、どうでしょうか。
  196. 山地進

    政府委員山地進君) この廃止の手続につきましては、この法律に基づきますと経営改善計画に国鉄が年次的に織り込んでくる、こういうことになりますので、恐らくその協議がいつ調うかというのは、それぞれのグループごとに一斉にということは起こり得るかと思いますけれども、その数は何線になるかということにもよるわけでございますので、それほど多くの数が一遍に集中するということはないだろうと思います。
  197. 桑名義治

    ○桑名義治君 それは私は考え方が甘いんじゃないかと思うんですよ。二年で決まるんですからね。二年で決まるということは、二年間たったらざっと出てくるということじゃないんですか。調わざるときには二年で打ち切るわけでしょう。そうするともうざっと出てくることなんです。そうした場合に、全国的にざっと出てきた、さあこれは道路に転換しろ、バスを通せ、こうなった場合にどういうふうな手段を講ずるわけですか。一斉にそうなってくれば、二年たてば相当数出てくると思いますよ、このままの状態であるならば。そうすると、全国一斉に出てくるわけですが、私はその方が考え方としてはベターじゃないかと思うんですが、どうですか。
  198. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 対応はわれわれ二つの面からこれは考えております。一つはおっしゃるように指定線が一遍にばあっと出てまいりましたら困るじゃないかと、それはわかるんですけれども、しかしその対象線の中の大部分のところは代替道路をもうすでに持っておるところが多いんです。だからこそ鉄道の輸送力が減ったんです。現実はそうなんです。代替道路が、代替というか、鉄道に並行した道路がないところはやっぱり鉄道もかなりな収益も上げているんです。ですから代替道路がある程度できておるということが一つ。  それからもう一つは、ここにも書いてございますが、廃止予定期日、会議開始希望日、これを指定するわけです。これは運輸大臣が承認した後決めるんです。ここで要するに六十年までに約九十の線、八十六線ですか、いま一応の対象になっておる。これは実際はどうなるかわかりませんが、予定はそういうぐあいになって、この基準からいくとそうなるんですけれども、それを開始日をそれぞれに調整していくということも一つの対応としてとれますし、根本的に代替道路がほとんどの、全部とは申しませんが、大部分の指定該当路線のところには代替道路があるんだということでございますので、おっしゃるようにさあ特定地方交通線を廃止する、それ一斉に道路づくりだということには私はならないと思います。
  199. 桑名義治

    ○桑名義治君 それは即断するのはちょっと僣越じゃないでしょうか。それは協議会が決める問題であって、大臣が決める問題じゃないんでしょう、それは。だから、そこまで即断するのは私は僣越だと、越権だと思います。それは協議会が決める問題であって、これは運輸省が決める問題でもなければあるいはまた国鉄が決める問題でもありません。これは協議会が決めるものです。で、協議会が決めて、道路にしよう、バスを通してくれ、こういうものが大半になった場合を想定をしますと、これをどうするかという問題を私は提起しているわけなんです。一斉に着手するんですかどうですかということを聞いているわけです。いまの話はあなたも想定、私も想定です。だから断定はできないかもしれません。しかし、あくまでもこれは協議会の決める問題ですから、ばあっと一斉に出てくるかもしれません。その最悪の事態を考えてわれわれが対応していかないと、これまた大きなひずみが出てくることは当然なことじゃないですか。だから、そのときばどうするんですかと聞いているんです。
  200. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 政令が決まりました段階で私どもとして改善計画をつくるわけでございますが、その改善計画の中におきまして、いわゆる特定地方交通線というものは一応全部決まるわけでございますから、その線名はそこで明らかになると思います。  今度、先生御指摘のようにそれを具体的にどう進めるのかという具体化の問題であります。  経営改善計画につきましては一応各年度別のような計画を固めた形で出していくわけでございますから、ただ、全線区につきまして、これを各年度にこれとこれというのを——法律が通りますと当然五十六年度中には経営改善計画が固まるわけでございますが、その段階におきまして、私どもといたしましては、五十六、五十七に予定するような線区については具体的に協議開始希望日並びに廃止予定年度というようなものを線別に具体的に決めていきたいと思っております。これはやはり地域的な問題もございますし、あるいはそういう全国一斉といいましても、これはその出先機関の能力その他にもよるわけでございますから、そのようなことも一応勘案しながらやっていきたい。全体の計画につきましては、およそ各年度に大体どのぐらいのグループと申しますか、範囲、キロぐらいのあれをやるという計画はつくりますが、具体的線名をかちっと四年も五年分も固めて決めてしまうという形はなかなか無理だろうと。各、二年前にある程度決めた形で二年の分を逐次こう何といいますか、ラップしてやっていくというような形で進めていきたいというふうに考えております。
  201. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、足は切られたわ、バス道路は年次的でなかなかできないわ、全くこれはもう見捨てられた形になりますわね、数年間は。だからこそ横暴だと言われているわけですよ。だからこそ切り捨てだと言われているわけですよ。そうしますと、その間のいわゆる通学通勤の方々の足はどうするかという問題も出てくるんです。あるいはまた、その道路をつくる財源はどこが負担をするんですか。たとえば道路に転換をしてバスを通すとするならば、それを改善をするという財源はどこがめんどうを見るわけですか。
  202. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 当然、具体的な計画はいろいろな地域の条件、したがってバス転換の比較的容易なところから手をつけていくというのは、これは非常に常識的な考え方であろうと思っております。私もかなり全国のいろいろな線路を見て回っておりますが、先ほど大臣がおっしゃられましたように、大部分の路線というのはかなりもう道路は整備されてきております。部分的にやはり問題があるようなところはないわけじゃございませんが、そういう問題につきましては一応今後建設省なりそういった自治体なりいろいろな方面との相談もございますし、また協議の期間内におきましても具体的にそういうような話し合いもございます。あるいは部分的に廃線敷を道路敷にしていくというような代案も出てくるわけでございますから、そういったものをやはり個々具体的に詰めてやっていく。  財源問題につきましては、やはり廃線敷を道路転換というようなケースが出てまいりますれば、やはりこれは建設省なり、そういう方面にもお願いをしてまいらなければならないというふうに考えております。
  203. 桑名義治

    ○桑名義治君 だからこの案は、非常に机上ではよくできている案かもしれません。皆さん方はそうおっしゃるかもしれませんが、しかし具体的な実施という段階については大変に地方の方々に負担と不便をおかけすることになることに間違いはないわけです、現実にいまの答弁の中では。  で、財源の問題にしましても、こういうところは皆さん方がもうしょっちゅう言われているように過疎ですよ。そして財政は非常に悪い、市町村の財政は。そういったところに財政的な負担をかけることはできません。果たして建設省がこれを完全に受けるかと言えば、道路の性格によっては受けられないわけでしょう。そうするとどこが責任を持って財源措置をするかという問題がこれは非常に大きな問題になるわけですよ。だからそこら辺までもある程度は関係各省の意見が集約されていないと、この法案は大体本来なら出すべきではなかったと、こういう結論にならざるを得ないわけですが、大臣どうですか。
  204. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いまお聞きしていますと、何か道路がないところも廃止してしまうように思うておられるように……
  205. 桑名義治

    ○桑名義治君 いや、そんなこと言ってないです。転換する……
  206. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 転換するというのは道路があるから転換できるんでして、道路のないところは転換できませんから。
  207. 桑名義治

    ○桑名義治君 いや、国鉄の専用道路にもするということでしょう、その路線を。
  208. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 代替輸送の道路がないところは、それはたとえ特定地方交通線に指定されましてもそれは直ちに廃止するわけにいきません。それは当然でございます。ですからそういうところはほとんどないということなんです。ほとんどのところはその代替道路があるわけです。ですから鉄道をバスに転換してもらいたいと、こう言っておるんです。ですからその鉄道を廃止したらもうだるまになってしまうというようなところは鉄道を廃止することはできません。それはわれわれも政令基準の中にもそれを申しておるわけですから、そういう点は私は、先ほど議論聞いておりまして、道路もないのに鉄道を廃止してしまう……
  209. 桑名義治

    ○桑名義治君 そんなこと一言も言ってないよ、ぼくは。道路がないのに鉄道を廃止するなんて一言も言ってないですよ。
  210. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、だから道路を一遍につくるとおっしゃるのはどういうことなんでしょうか、それは。
  211. 桑名義治

    ○桑名義治君 協議会の中に、いわゆるバスに転換をするかどうか、あるいは第三セクターにするかどうか、こういう協議があるわけですよ。ぼくが皆さん方説明を聞いたときに、国鉄の専用道路にするか、あるいはこの上に私鉄を走らせるか、そういう検討も含んでいるという話を聞いた。だったら、これは協議会の中で、道路にしますと、専用道路にしますという意見がぽんと出てきたらこれはしなけりゃならぬでしょう。
  212. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは、だんだんわかってきました。
  213. 桑名義治

    ○桑名義治君 あれだけ正確に言っているのに、大きな声で。
  214. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 鉄道を揚げた後の道路のことですか。
  215. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうですよ。
  216. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはそういう希望もあるだろう、それは将来のことですからわかりませんが。しかし、先ほど加賀山理事も言っておりますように、大抵もう道路があるから、そこへまた専用道路とおっしゃると、こういうことになりますね。そういう場合には、転換に際し一キロ三千万円ですかの割りで転換交付金等の活用も図れますしいたしますし、またそういうふうに専用道路をつくらなければならぬほどの交通量があるという、そういうところでございましたら、これはまたその必要もあるでしょうけれども、いまの特定地方交通線で見ますとそれは一般論ではないように私は思うております。しかし、あることは当然出てまいりましょう。そういう際には建設省とももちろん協議いたさなけりゃならぬし、自治体とも協力体制をとらなきゃなりませんが、もしそう決まったといたしますと、転換交付金というものの活用等をしていただくこともできるということなんです。
  217. 桑名義治

    ○桑名義治君 自治省見えていますか。——いまの大臣発言の中で、もし道路に転換をする場合、鉄道をはいでそれを道路に転換をする場合、これは転換交付金というのは一キロに三千万。いま道路一キロ三千万でできません。最低六千万かかるといわれる、調べてみましたら。地域によっては六千万ではできません。その場合に、建設省もしくは自治体と話し合いをして道路の建設に当たりたいと言っておりますが、自治省として自治体に出せるという何か財源ございますか、名目的なものありますか。
  218. 藤原良一

    説明員(藤原良一君) その道路が県道なり市町村道として認定されますれば、現在の道路事業の中で処理できるんじゃないかと思いますが、そうでない場合にはそういう財源はないんじゃないかと思います。
  219. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの自治省の見解のように、直接的には出す金ないわけですね、自治省としては。で、皆さん方の中には特別交付税として出したらどうだ、こういう御意見をある人も言っておりました。だけれどもこれは恐らく自治省としては、こういった立場のときに特別交付税として出せば、特別交付税の性格なりあるいはまた特別交付税のいままでの考え方なりが全部ぶっ壊れてしまう、こういうことで否定的だというふうに聞いておりますが、自治省どうですか。
  220. 藤原良一

    説明員(藤原良一君) 地方交付税の性格からいたしまして、特定地域に継続して整備費をつぎ込むというのは非常にむずかしい面があるんじゃないかと思います。地方交付税というのは、御存じのように地域全体の住民のために使われるべき経費でございますので、できるだけそういう地域全般の住民に均てんするような使われ方ということでやっております。
  221. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの自治省の御答弁にもありますように、これは特別交付税という形もとれませんし、それから現在のままで何だか知らないけれども転換をする、転換をした道路、まあ市道になるか県道になるか国道になるか知りませんけれども、その性格が明確にならない限りにおいては自治省としても出しようがない、こういうことはもう当然これは常識的な問題であるわけです。そうなりますと、いわゆる転換交付金というお話でございますが、一キロが三千万ぐらいで現在の道路は絶対にできません。また先ごろ地方に調査に行ったわけでございますが、これは各、飯塚市、自治体の方からむしろ払い下げをしてくれと、道路にしたいと、こういう要求があってやられた道路であったわけでございますが、それでも大体線路の幅員というのを見ますと、車道だけであって人道をつくる場合にはまた別に土地を購入しなければならない、一割ばかり買い足した、こういうお話があったわけでございます。そうなってまいりますとこれは大変な財源がかかるわけでございます。その財源の生み出し方というものがある程度検討をされないままにこういう法案を出されるということは、私は少し早過ぎたんじゃなかろうか、もう少し検討の余地があったんじゃないか、こういうふうに考えざるを得ないわけでございますが、どうでしょうか。
  222. 山地進

    政府委員山地進君) 先ほど来御説を承っていたわけでございますが、まず五十四年十二月の閣議了解の中にこういう文言がございます。「また、国鉄地方交通線の転換が地元住民の生活に及ぼす影響を最小限にとどめるため、関係地方公共団体の協調が得られるよう努めるとともに、国鉄地方交通線の転換に伴い、関連道路の整備を図る等所要の措置を講ずるものとする。」これが五十四年の閣議了解でございますので、自治相あるいは建設相もこの閣議了解にはお加わりいただいておるわけでございまして、ただ、具体的な何々県のどういう道路と、こういう場合にはこの原則をどういうふうに当てはめていくかという個々の具体的な問題は起こるかと思いますが、原則的に政府全体では、道路というものについて、そういったその転換の道路の整備ということ等所要の措置を講ずるんだというのがまず基本的な考え方でございます。  それから、先ほどの特定地方交通線に該当するかどうかとまず決める場合に、その並行道路があるかどうかというのが一つの非常に大きな基準になってくるわけでございますので、先ほど来、国鉄の線路敷を使う場合には並行道路があってなおかつさらにもう少し完全な形で道路を整備したいという補完的な場合に恐らく専用道路というものが起こるんではないだろうかと思うわけでございまして、この点だけちょっと申し添えさせていただきます。
  223. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間が二分しかございませんので、中途半端になりましたけれども、もう一、二問質問をして一応終わりたいと思います。  たとえば福岡から志免という町に行く線に勝田線というのがございます。この線も恐らく該当区線に入っているんじゃないかと思いますが、これを廃止しますと、並行道路的なものはある。しかし大変な混雑なんです。したがって、それは道路をすぐにつけてもらいたいという意見が私は即座に上がってくると思う、そういう対象線になれば。そうすれば志免からいまならば県庁に行くにずいぶん時間がかかりますけれども、恐らく車がそういうふうに新しくつくった道路ならば十五分ぐらいで走っちゃうと思う。そういう要求が出てくると思う。そういうようになった場合に財源がどういうふうになるかということは、これは非常に重要な問題なんですよ、実際に。だから、大臣は先ほどから、そういうのは余りないと思います、あるいは並行道路がありますからとあなたもおっしゃるけれども、しかし少なくとも切るならば、それだけのメリットがなければ余りにもこれは地方無視だと私は考える。  そういう意味からも、そういった財源というものがいわゆる閣議了解で大枠が決まっている、話し合いが決まっているということだけではなくて、技術的に考えた場合にあるいは事務的に処理をする場合に、たくさんの問題を持っているわけです。そこら辺を詰めておかないで、ただ単に二年でぶった切るんだという話では、これは余りにも地方無視だと、いまは地方の時代と言われているときに余りにも地方無視だと、こういうふうに考えるわけです。そういう意味からこの財源の問題を言っているわけですが、どうですか。
  224. 山地進

    政府委員山地進君) この協議会の中に、先ほど御説明いたしましたように建設省それから県等も全部入っているわけでございまして、その二年間の協議の内容といたしましては、私どもとしてはそういった道路の整備の計画の問題、そういったものを十分御協議いただけるものと、かように考えているわけでございまして、いまのような勝田線の非常に混雑の場合は、恐らく選択技としては第三セクターでやるということも含まれると思います。あるいは勝田線の線路敷を取ってさらに道路を整備するという問題も起こると思いますが、そのために建設省あるいは国家公安委員会等のメンバーが入っているわけでございまして、もちろん県も入っておるわけでございますので、その点について二年間で十分計画を練り、そういった実情に合った対策というものを講ぜられるんじゃないだろうかと、かように考えておるわけでございます。
  225. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間が来ましたので、もうこれは質問じゃなくて、ちょっと発言をして終わりたいと思いますが、いずれにしましても、こういう地方線が廃止をされた後の手当てというものが、まだこうなります、こうなりますという、その具体的な姿が出てこないわけです。これは非常に地域を無視した姿であるということは断ぜざるを得ないわけでございます。そういうことをまず付言をして終わりたいと思いますが、最後にほかに各省庁の方に来ていただきまして、時間が来たので大変に恐縮でございますが、これで質問を打ち切らしていただきますので、どうもありがとうございました。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 きのう、私、質問の準備一生懸命に部屋でやってたんですけれども、    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 もう落ちついて準備ができないくらい、北は北海道から、そして南から、全国各地から、もう大変な人が陳情に見えられました。また大変私たち協力をいたしまして、日曜日にもかかわらず公聴会、そして現地調査というような形を取りました。この問題考えますと、なぜこんなに大きな問題になって、しかもなぜいろんな人たちがいろんな考え方で不安を持っているかというところがやっぱり一つの問題なんですね。  そこで、大変原則的なんですけれども、やっぱりこの重要法案審議するに当たって、私も国会に出まして十三年になりますけれども、基本的な問題としてお伺いしたいんですよ。  まず、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども運輸大臣でいらっしゃいます。しかし、議事録を見ますと運輸大臣て書いてないんですね。出席、国務大臣、こうなっていますよ。出席、国務大臣というのが上段になって、下に運輸大臣塩川正十郎というのが書いてある。つまり、出席、国務大臣だと、こう書いてあるんですね。それから今度、山地鉄監局長。これは、山地鉄監局長と書いてあるかなと思ったら、また書いてない。政府委員と、こうなっているんですよね。  そこで、塩川正十郎さんは、国務大臣としての立場で物をおっしゃるのか、運輸大臣としての立場でおっしゃっているのか。それから、山地政府委員は、この前来たときには、政府委員としての立場で発言をなさっているのか、あくまでも運輸省鉄監局長だよという立場なのか。これわからないんです、私。教えてください。
  227. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、私は国務大臣を拝命いたしまして、そして運輸大臣を委嘱するということになっておりますので、政府といたしましてはというときは国務大臣としてのことでございますし、私はということは、これは運輸大臣としてだと、おおよそそのような基準で考えていただいたらと、こう思います。
  228. 山地進

    政府委員山地進君) 政府委員というのは、国会法の中に、内閣は、国会において国務大臣を補佐するため、政府委員を任命するということでございますので、国務大臣のいまお答えになったようなステータスを補佐するというのが私の役目だと思います。
  229. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうふうに、国務大臣であり、そして担当としては運輸大臣ということは、つまりいまの国会ですね、前の国会じゃなくていまの国会は、委員会が中心になっていろいろ審議をする、ここに重点が置かれたと。だからこの法案を出されたのは、運輸大臣塩川正十郎さんが出したのではなくて、鈴木総理大臣の名において政府提案として出されているものである、こういうことになりますよね。そこのところをはっきり確認して、私は、国務大臣として国が責任を持って出した日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案という、非常に重大な問題についてこれから質問をさせていただきたいと思うんです。  この間からいろいろお話を聞いていまして、これは大変だなと。なぜならば、政府としての統一見解というものが出されていない。政令というものでなくてもいいですよ、政府としての統一見解というものが出されていないで、運輸省という立場でのおおよその了解がついたという中で問題が出てくるから、国として出された法律に対して、国としての統一した見解がまとまって具体的に出されない中で審議しろとおっしゃるから、だから、何を基準特定地方交通線というものを選定していったらいいのかと。つまりここの選定基準というものは、これはもうまさにこの法律の、皆さんも御認識のとおり、法律の骨幹ですよね。最重点の問題になるんです。これを政府の統一見解というものが出されないで、そして運輸大臣として、運輸省案として出しましたと。出しましたというのも、これもひどいですね、きょう出したんだから。  というような形だから、私は、この委員会が出発するに当たって、こういう法律について何ら統一した政府基準も出されないままにこの審議を幾らやったって、いろいろな考え方でもってどんどんごちゃごちゃ憶測も含まれてくる、決まった土台がないから。だからもっときちっとしてそれを出してから私は審議すべきだと言って、理事会でもそのことを再三申し上げましたし、またずっと社会党の先生方皆さんもこの問題について非常に詰めてお話しになったわけなんですよ。だから私は初めに、やっぱりここのところに政府が統一した基準というものを明らかにされなければ、この審議が、ただしゃべった、話した、言ったというだけのことであってね、これに対してどんな保証がどういうふうにあるんだというのがいまになっても全然保証がないんです。だから、私は、私も国会議員として出たからには、本当にもう皆さん陳情にいらっしゃる方々が、もうそれこそこの間も涙ぐんでいらしたですよね、あの志津川の町長さんなんかも。私は、質問に立ちながら、ああいう人たちのたくさんの顔を思い出したときに、やっぱり私は国民の負託を受けて出てきている国会議員として、こういう不備なおおよそ了解なんていうようなことで審議するのはまことに不本意だと、このことははっきり申し上げたいと思います。  だからここのところでとめて出せと言えば、また時間をとるから、そんなむちゃくちゃなことは言いませんけれどもね、ここのところは初めにしっかり頭におさめておいていただきたい。政府というのは、そんないいかげんなものであってはだめなんです。やっぱり政治不信がいまここで大きく起きている。一生懸命やりますと言われたってだれも納得していないというのは何だと。いままでにいろいろ政府が言ってきたけれども、それに対してきちっとこたえていないから、だから、いや一生懸命努力でやりますのなんだの、こう書いてありますと言ったってだれも納得しない。われわれだけじゃなくて、いま日本全国がそういうことになっている。私はこれは非常に危険だと思うんですよね。だから、そのことを、私は本当に政治不信などという言葉が出ないように、しっかりとこの法案について具体的にお伺いしたいと思います。  そこで、まずお伺いいたしますけれども、本法案の基礎となりましたのが五十四年の十二月二十九日の閣議了解というあの中身で出ておりますが、その中で地方交通線についてはどのように書かれておりますか。
  230. 山地進

    政府委員山地進君) まず「経営の重点化」という最初のところでございますけれども、輸送需要が少なくて鉄道特性が発揮しがたい分野については、縮小、減量化等の措置を講ずる。「このうち、地方交通線については、地域住民の理解を得るよう努めつつその足の確保に十分配慮しながら、徹底した合理化、特別運賃の設定、バス輸送又は第三セクター、民間事業者等による鉄道輸送への転換等所要の措置を講ずることとする。」。以下、当面、六十年度までに二千人未満のものをバス転換をするということ。それから次に後の方で国鉄地方交通対策を推進する場合のことを書いてございまして、「バス輸送又は第三セクター、民間事業者等による鉄道輸送への転換促進措置に要する費用、転換後のバス事業又は第三セクター、民間事業者等による鉄道事業の経営から生ずる欠損及び国鉄の」経営から生ずる欠損については助成を行うというようなことが書いてございまして、その後に「国鉄地方交通線の転換が地元住民の生活に及ぼす影響を最小限にとどめるため、関係地方公共団体の協調が得られるよう努めるとともに、」ということで、先ほどの道路整備のことが書いてございます。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕
  231. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまお読みになりましたように、地方交通線については住民の理解を得る、そしてその努力をしながら足の確保に十分配慮しながらということが書かれております。いまお読みになったことが地方交通線に対する内閣としての基本的な態度だと私は思いますが、それ以外に内閣としての態度表明ありますか。
  232. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 昨年十二月の閣議了解事項、これを基準にいたしまして現在のいわゆる国鉄再建法案作成され、提出した次第です。
  233. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この本法案審議の中で、衆議院では十月二十二日出され、参議院では本日おくればせながらお出しいただきました。この運輸省案というものはどういう性格のものでございますか。
  234. 山地進

    政府委員山地進君) この法案並びに政令について、従来私どもとしては関係各省といろいろ接触を持ち、御協議や御相談をしてきたわけでございますが、それらの御相談をしてきた経緯を踏まえまして運輸省が自分で取りまとめた案でございます。
  235. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これについても、衆議院で出されたときに、そしてまた私がいろいろお伺いしたときに、これは運輸省案というのではなくて、運輸省として取りまとめた案の案であって、たたき台である。それがだんだんだんだん審議の中で、きょうの過程では運輸省案という形にはっきりしたわけでございますね。それで、先ほどお読みいただきましたこの閣議了解では、「経営の重点化」の中で地方交通線について、先ほども言いました、「地方交通線については、地域住民の理解を得るよう努めつつその足の確保に十分配慮しながら、徹底した合理化、特別運賃の設定、バス輸送又は第三セクター、民間事業者等による鉄道輸送への転換等所要の措置を講ずることとする。」というのが一つ出ています。それから二つ目には、「当面、昭和六十年度までの間は輸送密度二千人未満の路線一約四千キロ一についてバス輸送又は第三セクター、民間事業者等による鉄道輸送への転換を行うこととする。」、こうなっているんですね。  今度はきょうお出しいただきました運輸省案、この運輸省案では、「地方交通線に関する基準」というところを見ますと、「輸送密度が八千人未満である営業線とする。」。地方交通線に関する八千人未満という数字がここで出ていますね。それからまた、「特定地方交通線に関する基準」として、「輸送密度が四千人未満である営業線とする。」としている。閣議了解では二千人と言っていたのがここで初めて四千人、八千人というのが出てきたわけですよね。そうすると、閣議了解では述べていない八千人未満、四千人未満というのがここで出てくる。これはどういう関係になりますか。
  236. 山地進

    政府委員山地進君) ここに書いてございますのは、地方交通対策として、特にいまお読みいただいた前に、「その他の輸送需要が少なく、鉄道特性が発揮し難い分野については、輸送力、営業範囲の縮小等の減量化施策を講ずる。」。これがまず地方交通線が何かという前の閣議の方針でございます。そこで地方交通線というのは何かということについては、閣議了解はそれ以上は触れておりません。そこで今度の法案では、地方交通線というのは何かということを、まず幹線鉄道網を形成する営業線は違いますと。それから八千人という概念を持ってき、さらに四千人という概念を持ってきまして、特定地方交通線地方交通線というものを定義してまいったというわけでございまして、今回の閣議了解の原則を、それを法案の方に引き直してきた。法案の中に収支を償うことが困難である路線という定義で八千人、これは八千人に最後は結びつくわけでございます。それからバス転換が妥当なものというものが第二項に出てきたわけでございますので、閣議了解の原則を法案の方に具現化してきた、かように考えております。
  237. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、ちょっと一つだけ伺いたいんですけれども、「幹線鉄道網を形成する営業線基準」、先ほど御説明いただきました一に「都道府県庁所在地等」とありますよね。たとえば一番たくさんぶった切られる北海道、これは東北六県と新潟の広さ、四国と九州の広さ、御存じのとおり。そうしますと、都道府県庁所在地というのを県並みにすれば北海道の各支庁のあるところというふうにこの「等」は理解するというふうにしてよろしゅうございますね。
  238. 山地進

    政府委員山地進君) これは都道府県庁所在地ということは、主要都市の形容詞といいますか、その概念を明確にするために書いた言葉でございまして、都道府県庁所在地というような主要都市ということで、この都道府県庁所在地というのは一番少ないのが山口県の十一万でございますが、そういった人口が非常に多いということを書くために都道府県庁所在地ということを書いてございますわけで、そういった人口の多いところというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  239. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、そうすれば北海道は膨大であるけれども、道庁がある札幌が各県庁所在地と同じ位置になると。各支庁というのは本当に県庁並みになるんだけれども、それは頭の言葉であって、あくまで人口十万人以上の都市ということが主になる、こういうことですね。
  240. 山地進

    政府委員山地進君) 現在、人口十万を基準にして考えていきたい、こういうように考えております。
  241. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、いろいろたくさんあるから後でまた詰めます。  それじゃ、これ運輸省案と。やっとたたき台から、案の案から、本日案として出されたわけですけれども、これ、このまま閣議で認められるというふうに思っていらっしゃるんですか。確信をお持ちになっていらっしゃるんですか。
  242. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は閣議で政令案を決定するまでに、先ほど申しましたように、まず事務担当の責任者の間で各省庁間の意見の調整をする必要があると思います。それができましたら関係閣僚会議を持って、そこで相当なやはり各省庁の意見があろうと思いますので、その意見はでき得るものは取り入れていかなければならぬことは当然でございますが、しかし、われわれがいま進めておりますこの国鉄再建に対する考え方、この基本に抵触するようなものは、これは取り入れていくわけにもまいりませんし、ましてや、この地方交通線並びに特定地方交通線基準については、あくまでもこの基準は原則として政令に盛り込んでいくべきだということで考えております。
  243. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしたら、先ほどおっしゃいましたね、各省庁と話し合いをして、一致しない点がございますと、三つ挙げられましたね、先ほど。この問題については各省庁とは統一、いまのところできていませんね。それを統一させて、原則としてやっぱり運輸省のこれを主にして押していくということになるんですか。
  244. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いま小笠原先生のおっしゃる三つというのは何を指すものですかね、この三つは。
  245. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどおっしゃったでしょう。
  246. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) どうぞ言ってください。
  247. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっきこうおっしゃったんですよ。政令に持ち込むまでに、基本的な政策としては内閣で一致して出します。しかし内容について問題がありますと。その第一は、特定地方線ね、地域で主体するという赤字問題、第三セクターに対してどう対応するか。財源的にどうだというのを一つお出しになったでしょう。  二番目わかりましたか。
  248. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) わかりました。
  249. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 学生、年寄り、交通弱者への配慮と、それから地域間相互の連絡をとりということでむずかしいという問題で三つお挙げになったですね。これね、いまのところまだ詰まらないですね。これ詰めて、まとめてやれる自信ありますか。
  250. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは話がごっちゃになってましてね。
  251. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そっちもごっちゃになるから、こっちもごっちゃになる。
  252. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 政令を決めるについて将来そういう課題が残ってくる、これをどうするかということが解決をされておりません。問題点となるのは、そういうことが閣僚間で意見の一致を見るということが、この地方交通線を推進していくのに、政策を推進していくのに一番大事なところでありますと言うて、たとえばの話で三つ挙げたわけです。  そこで、この政令を決めますときに、その三つの問題は要するに将来の対策を私は申し上げておるわけですから、この対策を今後こういうふうにしようという方針が決まりましたならば、政令案というものは案外に決まってくるものであります。この政令は、要するにいま運輸省を中心として出しております政令の案の案、これを基準、これを原則として政令作成する。そのことと、将来の政策課題として解決していくということとは、これはそのバックグラウンドにはなりますけれども政令段階における解決要件ということではないと、こういうことであります。
  253. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは将来の問題という見通しがあるように、現実にこれは問題ですよね、いま。非常に現実の問題としてこれが、もう省庁が一致できないと。いまみたいに、将来についてはいろいろな対策を考えますということであればいいんだけれども、私がいま言いたいのは、現実に了解がなかなかできないという現状ですよね。もしも了解できたら、もっとすっきりしたものをお出しになるだろうということなんですよね。だから、運輸省案ときょうなりましたこの案は、まず政府の中で、閣議の中で事務レベルから、それこそ関係閣僚会議を開いてとおっしゃったけれども、大体この法案出たのいつなんですか。考えてくださいよ。きのうやおととい出たんじゃないでしょう。そうしたら、当然そんなことは、いままでにもっと具体的に詰めて、そしてお出しになるというのが筋ですよ。そうじゃないですか。何回も何回もあなた、出したり引っ込めたり、出したり引っ込めたりして、そして今度出したけれども、まだそこまで行ってませんなんというんじゃ、私はおかしいと思う。だから、当然いままでも時間あったんだから、だからこれは閣議に提出されて、そこで論議がもっと深く交わされて、そして出されてくるのが筋だと思う。それはお認めになるでしょう。
  254. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国会政府との間にはおのずから機能の分担というものがあると思うのでございます。まず法案で、国会で意思決定をしていただくということが第一でございまして、政令はいわば、もちろん立法者の意思を反映する、それは当然でございますけれども、これは行政の基準を定めていくものでございまして、したがって政令はあくまでも法ができて、法に準拠して定められてくる。その場合、その政令は立法者の意思をできるだけ反映してやっていくと、こういうたてまえになってきております。ですから、仰せのように全部がもう政府の意思決定をされてこれを提出しておるということがいいのか、あるいはまた政治決定、いわゆる法律という政治決定をしていただいて、それを受けて政府は行政執行の基準となる政令をつくっていくのがいいかということとは、これは多少議論のあるところではなかろうか。私たちは先ほどから申しておりますように、この法案審議を通じて国会で議論されましたこと等を十分に今後の政令づくりなりあるいは地方対策を進めていく中に生かしていきたいということを申しておりますので、どうぞそのようにひとつ御理解していただきたい。この法律をいわば政治問題として提出いたしております、このことは、一つ政治的な判断を求めておることでございますから、その段階におきましては、内閣は完全な一致を見てこの法案を提出し、そして国会政治的な決定をお願いしておるということでございます。
  255. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、私が求めているのは内閣として統一した基準であって、運輸省案ではないということを先ほども申し上げました。で、この法案が通過した後で当然変わることもあり得るということですね。
  256. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、変わることがあり得るとは言っておりませんで、私は終始一貫、この運輸省の案の案が原則として……
  257. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、案の案じゃなくて案になったんでしょう、きょうは。きょう運輸省案になって、昇格になったんでしょう。
  258. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうですか。
  259. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 きょう昇格したんですよ。いままでのたたき台の案の案から、きょう案になった。
  260. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは案でございます。でも、われわれはこれは政令の原則として貫きたい、こういうことは変わりございません。
  261. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから困るんですよね。大臣までが案の案になってみたりね、その前には案の案のたたき台になってみたりね、この間から案に昇格したのもわからないで。時間なくなるからこれは繰り返しませんけれども、その辺のところちょっとしっかりね。やっぱり出されるからにはきちっとした、少なくとも運輸省内で、隣とでもちょっと意思統一しておいてくださいよ。きょう案に昇格したんですよ、これは。  じゃあ、地方交通線の基準、それから特定地方交通線基準がどうなるか。これもまさに骨格になっています。この出されたのは運輸省案でございますというところまで来ました。それで、この運輸省案を土台として、これを政令に持っていきたいということですね。うんと言っていらっしゃるから次に進みます。  この法律第八条で「政令で定める基準」と言っていますね。「政令で定める基準に該当する」云々と書いてありますが、これ政令というものはどういう性格なんですか。
  262. 山地進

    政府委員山地進君) 法律に委任を受けているものだと考えております。
  263. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そんな簡単なんじゃなくて、あなた専門家なんだからね、もうちょっと具体的に政令とはどういう性格なんだと。どういうものかと、こう聞いているんだから。わからなかったら私言いますけれどもね……。それ以上言えませんか。じゃ言いますよ。これは「前訂日本国憲法」、皆さん御承知の宮沢俊義さんとおっしゃいます憲法学の権威ですよね、憲法解釈。これはもう大体定着している憲法解釈です。ここの七十三条の六項に、「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令制定すること。」と、こういうふうに出ていますね。これ、後でお読みになるんだったら読んでいただきたいんですけれども。そして五百七十四ページ、私は抜粋してきましたが、二十一項で「「政令」とは、」と書いてある。「「政令」とは、内閣の制定する命令である。」と、こう書いてあります。これについてどう思いますか。
  264. 山地進

    政府委員山地進君) 憲法七十三条にそういった規定があることもよく存じておりますし、それからいまおっしゃったように、政令というのは内閣の命令であるということもよく存じております。
  265. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、この政令とこの選定基準案、きょうの運輸省選定基準案とはどういう関係になりますか、いまの解釈でいって。
  266. 山地進

    政府委員山地進君) ちょっと先生の御質問の趣旨をあるいは履き違えているかもしれませんけれども、いまの法律に基づいて政令に委任されてこの基準ができる内閣の命令であると、かように考えております。
  267. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この運輸省案をもとに内閣で決めて初めて政令になるというものですよね。この運輸省案は内閣の制定する命令になるまでに変わり得るものだ、これがそのまま政令になるという保証はないわけでしょう、変わり得るものだと。問題ありますか。そこのところが変わり得るものだと。
  268. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、私は先ほど来何遍も繰り返しておるところでありますが、政令制定する際にこれを原則として貫いていくということを言っておるのであります。ですから、この選定基準案、これを基準にして政令制定する、こういうことでございますから、恣意的にこの基準政令作成段階で変更するというようなことはございません。
  269. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 恣意的ではなくても変更する場合もあるんですね。
  270. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは原則として、理論的に申しましたら、それは文言の相違等もございますしいたしますから、それはそのとおりの政令にはならないかもわかりませんが、しかし基準案として出しております原則はあくまでも貫いてまいります。  なお念のために、私たちが出しておりますのは政令の案というのではございませんで、そこは御理解していただきたい。
  271. 小笠原貞子

  272. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、そうじゃないんです。運輸省選定基準案でございますから、ですから政令の案の案であるとか政令の案というのではございませんで、政令基準案選定基準案でございますから御理解をいただきたいと思います。
  273. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 またいろいろ詰めますけれども、それじゃ運輸省選定基準案について、これで幹線、地方交通線、また特定地方交通線、おのおのの基準が示されている。しかし、当該路線がどこに含まれるかという、その線区別になってくると割り増し特別運賃が取られるのか取られないのかというふうに、住民にとってはどこが廃止路線の対象になるのかということを一番気にしていらっしゃるし、不安だし、私もわからないんです。  そこで、運輸省はお出しになりました、きょう。二十二日に衆議院の方にお出しになりました。ところが、その前にもお出しになったのがあるわけですね。これ出回っておりまして、私も拝見させていただきましたんですが、それはいいです。それ見ますと、そうしますと、違っているんですね。十七日に出された案というのと、それから五日後に出された二十二日の案というのが違っているんです。この違いはどういうふうに違っているのか。
  274. 山地進

    政府委員山地進君) 恐らく先生のおっしゃっている十七日というのは、私どもが内部で検討した段階一つの案でございまして、私ども衆議院にお出ししたのは、この本日お出ししたもの以外は出しておりません。
  275. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ごまかしたってだめですよ。それしか言えないんなら言えないでいいけれども、出ています。私持っています。拾ってきました。それで、その中身をあなたが言っていらっしゃるんだわ、その十七日の出された案について。たとえば、きょう出されましたのは「都道府県庁所在地等主要都市を連絡する」というふうになっていますよね。その以前の基準案というのには「人口十万以上の都市を連絡する営業線」というふうに表現が変わっております。それからきょうお出しになりましたのは、「一日当たりの輸送量が一定量以上である」というふうに書かれていますが、その前の私が拾ってまいりましたのは「一日当たりの輸送量が四千人以上」と、こういうふうになっているんですね。それ、どうしてそういうふうになったんですか。
  276. 山地進

    政府委員山地進君) いろいろ、衆議院基準案を出せという御意見がございまして、そこでいままで私どもと事務的に相談した各省の御意見というものを踏まえて運輸省が取りまとめた案ということでお出ししたのがこの案でございまして、それ以前にはそういった公的にと申しますか、こういった基準案としては一切お示ししてないわけでございます。そこで、それの前に何らか国会で御説明した段階で、十万人都市を結ぶというようなことは申し上げたことはございますけれども基準案というものをとにかく審議のために出すようにという御指示を受けて正式に出したものはこれしかございません。
  277. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、それはいいです。で、そこは見解の相違、私持っているんだから。  そこで山地局長発言もしていらっしゃいますよね、十万人以上とか、私が言ったいわゆる十七日に、十万人以上の都市とか輸送量が四千人以上とかいうようなことは、これは出る出ないにかかわらず、御質問の中でいろいろお答えになっていらっしゃるわけですよね。それはわりときちっと出ていたわけですよ、数も出ていた。それが今度は「一定量以上であるもの」というふうにあいまいな表現になっていますね。局長も前言われた答弁に比べると、これあいまい以上だということなので、何でこういうふうにあいまいに「一定量以上」というふうにぼかさなければならなかったか。大変苦労なすったと思うんだけれども、その御苦労、どういうところからそんな御苦労出てきたんですか。
  278. 山地進

    政府委員山地進君) どうも何とお答え申し上げていいのかよくわからないんですが、実は私が委員会でお答えしている段階では、運輸省はどう考えているんだという立場でお答えを申し上げていたように思います。ところが衆議院運輸委員会で、少なくとも政府のものを出すようにということで、私どもとしては運輸省の何といいますか、自分だけの考えだけではない、しかし政府のものをまとめたものと言うことはできない、その中間的な感じで事務的な折衝というものを踏まえて運輸省で取りまとめた、つまり運輸省の独自の考えではない、さりとて全部の意見でもない、こういう形で出したものがこれでございますので、その差が若干あろうかと思います。
  279. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 余りはっきり数字出すと、これまた各省庁と話し合いするときに大変いろいろと問題が出てくる、だから「一定量以上」という形にお直しになったんだと私は推察をしているわけなんですよね。大変御苦労なすったんだろうなと、御同情申し上げながら推察をしております。そういうことでしょ、ざっくばらんに言えば。
  280. 山地進

    政府委員山地進君) いま私のお答えしたようでございます。
  281. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、ほんとつらいですね、そっちへ座ってると。ここまで言いたいことが出ていても言えないなんて本当に申しわけないような、同情いたします。  それじゃ、私が次に言いたいのは、正式な案として出したものではないよとおっしゃるけれども、一応はそういうふうに数字も考えてお出しになった。そして今度は、そこんところをちょっとこうぼやっとぼやかしてと。これ一転二転ですね、わずか五日の間に。そうすると、これ済むまでにあと何回くらい変わるのかなと思うぐらいに これは非常にあいまいでわかりにくい。こういうもので、この前の審議ずっと聞いていまして、本当に私はこれで何とかこの法律を通して乗り切ったとしても後に禍根を残す。本当にこれから後いろんな問題が出てくる。けさも問題がありました。大臣札幌へ行かなきゃよかったのに、本当にね、いらっしゃっちゃって新聞だねに。私はちょうど仙台に行っていて、そしてあそこで河北新報というのに出た。それにも出てますよね、それにも出ている。それから道新はもちろん出ている。各紙みんな出ているんですよ。  そこで私は、今度国鉄総裁にお伺いしたいと思うんですけれども、今度はもう具体的に国鉄総裁の立場でいろいろとこう基準を決められて、これでこう選定していくというのは本当に大変なお仕事だと思うんですよ。この前も頭が痛いとおっしゃってたけれども、率直にこれ政令をつくっていく段階の中でこの選定基準というものが本当にどういうふうなところで苦労になるのか。一番実情がおわかりになっていらっしゃる国鉄総裁としてどういうところでいま御苦労なすっていらっしゃるか、率直な御感想をいただきたいと思うんです。
  282. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) この地方交通線の問題が国鉄再建のためには非常に重要な問題であるということを御指摘を受けましたのは、もう十年以上前でございます。そして、何度か国鉄自身の手によりまして各市町村長さんにお願いをしたりしていろいろ取り組んでまいりましたけれども、やはり国鉄だけの問題ではないと、地域全体の問題でもありますし、もろもろの他の政府の行政とも関連がございますということで、実際はほとんど進行をしなかった経験を持っておるわけでございます。今回はぜひともそれを、従来の形でなしに、政府レベルの問題としてお考えいただきたいということをお願いいたしまして、それを政府で御採用いただいて、今回の法律のようなことで国会の御審議も経た上でお決めいただくということになったわけでございます。ぜひとも政府間できちっとした意思統一をしていただいて、そして法律ないし政令を通じて基準を決めていただきますならば、いままでとは違いまして実効のあるやり方で物事を進めることができるというふうに考えております。  ただ、現実に道路に切りかえる、バスに切りかえるということになります場合にも、たとえば現在民間バスが走っておる、それで鉄道をやめて民間バスに全部お願いをするということになりますと、非常に多くの地方交通線では結果的に運賃が上がる。フリクエンシーがふえるとか、あるいはバスストップの方が、国鉄の駅間距離よりも短いとかということで、かなりある面で便利にはなると思いますけど、少なくとも運賃水準に関する限りは上がる。これをどういうふうに具体的に家計負担への影響を緩和しながら進めていくかとか、あるいはまた先ほど来お話がありますように、道路整備とのバランスをどうするかとか、あるいは貨物輸送等について、トラックでも輸送はできるけれども、いろんな環境問題が起こってくるとか、そういうことがいろいろありますので、各線区ごとに地域の方々とお話し合いをしながら結論まで持っていくには、なかなか容易ならぬことだという意味で頭が痛いと考えておるわけでございます。  私どもとしましては、法律を通していただくことも非常に大事なことでございますけれども、そのあとなかなか大変だと、現実に見切り発車というようなことが条項にありましても、そう簡単にそういうことができないということを考えますと、うちの大ぜいの職員にもこれから相当苦労をかけなきゃいけないなというようなことで頭が痛いといいますか、悩んでおりますといいますか、そういう心境でおるわけでございます。
  283. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当に御苦労だと思います。私ももうよくわかります。  大臣に最後に、最後にと言ってもまだ後に続きますよ。この項の最後にお伺いしたいのは、安倍さんの発言の中で、やっぱり安倍さんが地域のいろいろな意見を尊重するということは大事だとお思いになったからああいうふうな発言になったと思うんですよね。大臣としても、先ほどから何度もいろいろと地域の事情だとか、皆さんの御意見も伺ってと、そして本当に出されているように足の確保もできる、そして生活の上でも弱者切り捨てにならないようにというように、実情を一生懸命反映させたいというお気持ちはそのとおりでございましょう。
  284. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 地域交通維持という点につきましては、全くそのとおりであります。
  285. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと不満なんですけどね。時間がないから、それ、この次に残しましょう。  次に、見切り発車、いま国鉄総裁おっしゃいましたように、見切り発車というのは非常に大きな問題なんですね。交通問題というのは非常に地域性が強い。その実情はまた地域によって、もう本当に北海道から南は沖繩までといって行きますと、地域性がかなり違っているんです。これを私どもに言わせれば、実情を無視して、画一的な基準ということになれば、亜寒帯の北海道から亜熱帯の沖繩まで、画一的基準というもので、廃止を前提に一方的に法案の成立を急ぐというようなやり方、これは非常に問題があって同意できない。もし政府が本当に国民の賛成が得られるような妥当な提案であるとお考えになるならば、いわゆる見切り発車条項というのは要らないんじゃないですかというのが私の意見です。  北海道でいろいろ調査も——もうほとんど廃線になる対象に行ってきました。そして交通学の専門家でいらっしゃいますが、北海道大学の五十嵐という教授、この方はいろいろ書物もお書きになっていらっしゃいますし、北海道のこの問題の委員になっていらっしゃいます。「まず何よりも必要なことは、一本一本の鉄道について改廃する前に慎重に、詳細に調査することである」とおっしゃっております。そして「十分に診察をしないで手術をするようなやり方は、埼玉県の富士見産婦人科病院事件を見てもわかるように、住民を不安にさせるだけです」と、こうおっしゃっているんですね。これは道新に出まして、富士見病院みたいになっちゃったら、これはもうそれこそ大変なことですが、先生はこういうふうに指摘していらっしゃいました。行ったところでも全部、やっぱり地方地域住民がいろんな面から心配しているわけでございますね。  そこで、国鉄総裁もいろいろ御苦労なすったとおっしゃいますけれども、この「法案では一日一キロ当たりの利用客四千人以下のローカル線が対象になっている」けれども、「北海道や九州の鉄道は全国一律の同じ基準で廃止しないで欲しい」というのが北海道、九州なんか一番大きな要請になってきているわけですよ。あの広い東北六県、新潟、この北海道に人口は五百何万、だから人口密度、広さ、これ考えますと、やっぱりこういう特殊性も考えてほしいというのが、これが非常にみんなの希望でしたし、それで北海道開発庁、通産省、自治省などともいろいろ見解が一致しない問題が出ています。それから北海道と九州に特例を設けると本州の各線との関係というので、これがまた今度は運輸大臣が頭が痛いと、次におっしゃるような問題でまことにむずかしい問題だと、こうおっしゃっているわけですよね。  そこで、政府として赤字ローカル線を一定の基準に基づいて廃止するという原則を変えるつもりはない、基準を見直して地域的な特例を設けると大混乱を起こすことになる、こういうふうに大臣おっしゃって、この兼ね合いというのがいまの大変な御苦労になっていると思うんです。国鉄が廃止されるといたしますね、この基準によって、対象線区、区別できます。それでバス、トラック輸送へ転換する場合ということを考えますと、この利用者の一つは足の確保の問題。足は確保したけれどもふところの確保ができないんですね、バスが高くついていくと。運賃、料金の負担。それから三番目には地域経済への影響の問題それから・地域開発、先ほどから出ていました、発展計画。三全総から定住圏構想、それから過疎過密の問題、それから生活環境、公害、交通事故、それから教育環境、教育条件などが絡んでくるわけですわね。これは切り離すわけにいかない。  そうすると、何か一つ大きな法律決めようとするときには、環境アセスメント法なんかもその一つだと思いますが、本当にこれでどういうふうに影響するんだということの調査ということをされているのではないか。そんなことは知らないよ、国鉄のそろばんだけでこれ切っちゃえばいいんだというような、そんなお考え方じゃないと思うんですが、その辺の御調査などはどういうふうになさっていらっしゃいますでしょうか。
  286. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 実は私どもといたしましては、今日このように御審議をいただいておりますまでの段階で、地域ごとの実情調査というようなことをいろいろな形でできればその方が望ましいというふうに考えておりました。できればもろもろの調査をすべきだというふうに一面では考えておりました。しかし、どうもそれに対してどこからともなく聞こえてきます声としましては、まだ何も、どこの路線が問題になるのかということがはっきりする前に、何で国鉄はごそごそするんだということで、もっと国の方針が決まってからやったらいいじゃないか、何か自分のところがねらわれているようなことでどうも感じが悪いというようなことの御意見もありまして、私は、いま御指摘のような北大の先生が言っておられることはまさにそのとおりだと思うんですけれども、それではそういうふうにやったら今度はどういうハレーションが起こるかと考えますと、どういうわけでおまえの方はおれのところの地域だけをそうやって調べるのだ、向こうは調べないでこっちを調べるのだというような御意見がちらちらと出てまいりましたものですから、実はそこのあたりはいままでのところややむしろ差し控えております。  国会でこういう御議論をいただくについては、もっと早く、国鉄としてはどう考えているのかということを関係市町村なり、あるいは利用者の方々と、たとえば話し合いをしたらいいじゃないかというような御意見はいろいろありました。ありましたけれども、反面において、それはもう少し、基準がはっきりする前に国鉄が自分の都合でバスに切りかえさせていただきたいからということで一種の事前運動をやるのは、どうもやっぱり反対の方もあるわけです。でございますので、私どもといたしましては、現段階では、もちろん今後経営改善計画等で、どういう手順でどういうふうに問題を提起いたしましょうかということになっておりますから、法律が通りました後で、そういうことでいろいろ事前調査といいますか、決して運輸大臣にこことこことをバス転換させていただきたいということをいきなり書類を出しまして御承認——法律の上では何かえらいぎすぎすそういうことをやるように書いてございますけれども、実は私どもとしては長年御利用いただいた地域のことでもございますから、そうぎすぎすすることなしに、いまおっしゃったようないろいろな手続を経ながら、何とか御理解を求めながら、少なくとも一種の強権発動的な感触が生まれないようにしながら取り進めてまいりたいという心がけでおります。
  287. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろと御苦労なすっていらっしゃることはわかりました。私もやっぱり先ほど言ったように非常に影響力が方々に波及していくということで、国鉄としてはこういうことをどういうふうに考えていらっしゃるのかなといままでいろいろ調べてみました。そうしたら、地方交通対策委員会規程、昭和五十一年九月二十四日総裁達十七というのがございまして、それずっと読んで、地方交通対策だからそれを読んでみましたら、第二条の第一項に「地方交通線の実態調査及び分析に関すること。」、こういうことをしなければならぬというふうに出ているというのが見つかったわけですよね。  いま総裁おっしゃったように、やっぱり国鉄としてもそういうふうにしたいと思ったけれどもいろいろ地元の人たちの感情もあるしと、こうおっしゃったんです。そこで、私は国鉄総裁のお気持ちはわかりました。  そこで、運輸大臣、やっぱり相当それこそ大きな影響を与える問題だし、もう具体的にこうなってきてますよね。運輸大臣としては、いままでそんなことする必要もない、決まってからでいいんじゃないかというふうなことで、国鉄総裁やろうと思ったけれどもいろいろの事情でというようなときに、運輸大臣としても、こういう問題が現実に起こってくる、だからやっぱり法案が通っちゃってということではちょっと手おくれになりますからね、これはすべきである。もししていらっしゃらなければ、私は早急に、それがもう事前調査で、おたくの線は反対だということを言って乗り込んでいくんじゃなくて、もう大体自分のところ、いままでの基準でいろんな解釈していますから、そういうところでいろいろと実情をお聞きになるとか、どういう影響が出てくるかというような点について、大臣としてはやっぱりやるべきだというふうにお考えになると私は思うんですけれども、いかがでございますか。
  288. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この法案提出をするまでに過去には長い経過がございまして、国鉄再建が論議されましたのは昭和四十年に入りましてからこれで五回目でございます。したがいまして、国鉄営業路線のそれぞれの実態というものは国鉄自身がもう平素営業しながらそれを十分に把握しております。でございますから、一つ一つの線区についての国鉄の把握というものはそれはもう十分しておると思うんです。しかも、地方線の廃止と申しましょうか、これを国鉄の経営の責任から免除してもらいたいということはもう長年国鉄が主張してきたものでございますし、いわば、私からあえて申さしていただくならば、いままでこの地方交通線を国鉄がこれほど財政が落ち込んできてもよくぞ今日まで耐えて維持してきたということは、一にかかってやっぱり公共性の自覚のもとでやってきたと思うんです。  その間、やはり各省庁との連絡というものもこれは確かに不十分なことがございました。ですから、これを一つの転機に、今後は政府が総ぐるみでこの対策を講じようとしておる、これは御承知いただけると思うのでございます。したがって、いまここで国鉄がその一つ一つの線について実情を調査しなければならないという、そういう状況はもうすでに過ぎ去っておるように思いますし、国鉄自身といたしましてもそこらは十分に承知しております。また、地方自治体として、あるいは地域の方々も、国鉄の閑散線のこういう売り上げの減少がなぜ起こってきたかという理由等についても十分御存じであろうと思いますし、要するに、今後は政府地方がいかに一体となって足の確保をしていくかということがこれからの重要な政治問題ではないかと、私はそのように認識しております。
  289. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 開発庁おいでになっていらっしゃいますか。——地域開発計画と経済との関係について伺いたいと思いますが、たとえば新北海道総合開発計画、五十三年から六十二年、閣議決定もされているわけです。これによると、一九八七年には人口六百二十万人、広域振興計画などにより大都市と地方もつり合いのとれた発展で住みよい町、地域づくりが進むと言っているわけで、そこでは、もちろん鉄道について廃止するなどとは反対に、さらに北海道の発展については国鉄をスピードアップする、そして充実するということが言われているわけなので、この新北海道総合開発計画と鉄道の関係で、国鉄鉄道の位置づけはどういうふうに考えていらっしゃるか、時間ももう大分迫りましたので、要点を簡単によろしくお願いします。
  290. 田中貞夫

    説明員(田中貞夫君) お答え申し上げます。  御承知のように、北海道は全国土の二〇%を超える面積を擁しておりますけれども、人口はなお五%程度にとどまっておりまして、その限りにおきましては今後人口の定住の余力のきわめて大きな地域であるというふうに考えております。  ところで、目下実施中の新北海道総合開発計画、これは五十三年から六十二年までの十カ年の計画でございますけれども、この計画におきましては、このような北海道の特質を踏まえまして北海道内のそれぞれの圏域の発展段階あるいは開発の熟度、そういったものに着目いたしまして適切な施策を講ずることとしておるところでございます。特に、交通体系につきましてはその一層の整備を図ることとしておりますけれども鉄道につきましても基幹的交通体系の一環といたしまして、総合開発の推進上重要な役割りを果たしてきた経緯にかんがみまして、北海道開発の現状と展望に立ちまして、緊要なものにつきまして積極的に整備を進めると、さようにいたしているところでございます。
  291. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この問題はこの間の本会議での各党の代表質問の中で、開発庁長官の原大臣がこうおっしゃっていましたね。地域の開発計画にそごを来さないよう十分協議していきたいというお言葉であのときおっしゃったと私記憶しているわけなんです。つまり、地域の開発、特に北海道開発庁長官としてそごを来さないようにということは、現にそごができそうだということからそごを来さないように協議していきたいというふうにおっしゃたわけだと思うんです。そうすると、確かに私はそごを来さないということは、そごが出てくると、いろいろな問題に。  そこで、率直に御意見をお伺いしたいのですけれども、この運輸省案に対して北海道開発、いまおっしゃったような計画、地域の特性という点から見てどこが問題なのか、北海道開発庁としてどういう点を配慮してほしいか、その点率直に具体的に御意見を伺わせていただければと思いますが。
  292. 田中貞夫

    説明員(田中貞夫君) 先ほど来運輸大臣もお話になっておりますように、この国鉄再建法案をめぐりましては、政府としてはいろいろな観点に立って御提案を申し上げておるわけでございます。で、北海道開発につきまして鉄道がその開発の当初から非常に大きなかかわり合いがあるということについては先生もよく御存じであろうかと思います。私どもなりにはこの基準案といったようなものについて内々御説明をいただいておりますけれども、今後、大臣が御答弁を申し上げておりましたように、総合開発を進めていく上で支障がないように各般の施策を講じていかなきゃいかぬ。そういう観点から、今後政令案が固められます段階におきまして北海道開発を推進していくという立場から十分協議を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  293. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 具体的に私はお聞きしたかったわけですよ、北海道としてね。もうちょっと具体的なものはないんですか。なかなかお立場上おっしゃりにくいのかもしれませんけれども、率直に具体的なものが幾つかあれば問題として提起していただきたいと思いますが。
  294. 田中貞夫

    説明員(田中貞夫君) 私どもといたしましては、いろいろと勉強はいたしておりますけれども、まだこれからいろいろと御協議をいただく場面もございますので、運輸省サイドの考え等も今後ともお聞きしながら対処していきたいと、こういうふうに考えておりまして、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  295. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これから勉強だとちょっと落ちこぼれになりますよ。落ちこぼれだな、その答えは。まあ、それしかおっしゃれないというお気持ちもわかりますのでこれ以上しつこくはいたしませんけれども、やっぱり本当に北海道、北海道だけじゃございませんけどね、地域開発、これが本当にそごを来した後で問題を起こさないようにということで、ぜひともしっかりお勉強——もうしていらっしゃるのよ、本当は。おっしゃらないだけですわ。まあしっかりやっていただきたいということをひとつお願いしたいと思います。  今度は国土庁にお伺いいたしますけれども、これまた北海道非常に関係出てまいります。過疎地域振興計画というものとまた非常な矛盾がここに出てくるのではないか。全国の過疎地域を整備発展させるために過疎新法というものが施行され、それに基づいて各道府県で過疎を克服する本当に懸命な努力がされているわけでございます。特に過疎を抱えましたこの北海道、大変な努力をしてこの過疎対策をやっておりますが、四十九年には中間答申が出されまして、四十八年から五十一年まで四年間審議された。これなんですけれども、「北海道における辺地、離島、過疎地域交通対策について」の答申というのが五十一年の五月に出ているんですわ。そこにこう書いてあるんですね。いろいろ書いてあります。「鉄道の利用度が減少しているが、面積が広大であり、かつ、積雪寒冷地域である本道にあっては、鉄道への依存度は依然として大きいものがある。」と。「特に、辺地、離島、過疎地域(以下「辺地等」という。)における鉄道は、輸送事情の変化、国鉄財政の悪化などにより、その整備が遅れており、今後は、既設路線施設の整備充実と鉄道新線の建設を促進する必要がある。」と、こういうふうになって、はっきり書かれているわけでございます。  国土庁の長官が、定住圏構想と北海道開発にそごを来さないようにと、先ほど言いましたように、そういうふうに言われたわけでございますが、地方ローカル線の果たす役割り、これは国土庁としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  296. 清野圭造

    説明員(清野圭造君) 北海道におきます地域的な特性等から申しまして、やはり鉄道への依存度が高くて、その整備充実の要望が非常に強いということは承知しております。なお、北海道に限りませんで、他の地域からも関係の地方公共団体からこういった国鉄地方交通線の維持、存続、それについての要望が出されておりますことも承知いたしております。しかしながら、国鉄の経営の再建というのも大変重要な課題でございますので、この両者の調整を図りながら地域交通を確保するために、国あるいは地方公共団体を通じます財政負担の問題もございますし、そういった問題も考えると同時に、また他の輸送手段の可能性といったようなことも考慮しながら、その地域実情に応じた可能な輸送手段といったようなものについて、十分今後検討してまいらなければならないんではないかというふうに考えております。
  297. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 開発庁さんと同じような御答弁で終わって、もう少し具体的にお伺いしたいと思ったんですけれども、なかなかそこまではおっしゃれなかったんだと思いますので、これはこれで、それでは結構でございます。一生懸命に、北海道のこの過疎辺地の住民の立場に立って、経済がどうなっていくのか、生活がどうなっていくのかという問題について、今後とも御努力をいただきたいということを申し上げておきます。  次に、具体的にお伺いいたします。国鉄足尾線の場合です。  これは群馬、栃木両県にまたがる足尾線の廃止というのが対象になって出てくるわけでございますけれども、ここに御承知の足尾銅山というのがございまして、それが銅山は閉山になりましたが、製錬がございますよね、製錬をやっている。そして、ここは製錬の足尾、古河鉱業でございますが、ここで生きている町、唯一の産業なんです。この産業、この古河の関係で働いている人は一千人というふうに言われております。もしここが廃止されれば、運賃コストの面から見ても非常に大変な問題になると。町の人口は六千人くらいなんですけれども、ここも陳情にもいらっしゃって、私いろいろ調べさせていただいたわけですけれども、ここはまた特殊な問題がございます。  ここは銅の製錬をやっているわけですけれども、この銅の製錬の過程の中で濃硫酸が出てまいります。その濃硫酸、これが国鉄で輸送されて、一日三百五十トンの濃硫酸が運ばれているわけです。これがもしトラック輸送にでもなれば、五トン積みで七十台分、日光−桐生間の国道百二十二号線を走ることになり、中身が中身でございますから非常に危険だと。一つは非常に危険だということと、それから今度そういう危険を冒してトラックで運んでも、これはまたコストの面で決して国鉄輸送というようなわけにはいかないということなんですね。そうすると、この足尾の製錬所というものは、ここのところじゃもうやっていけない。だから、これをどこか配置転換といいますか、ほかへ移さなきゃならないというと、足尾の町がもう消えちゃうんですね、ここで生きていると。  こういうように非常に深刻な問題を抱えて陳情をなさいますもんで、私は、こういうような問題になると、これはまたまさに画一的な基準で切り拾てられないんじゃないか。もう町の存亡にかかわるということになってしまう。こういうことを考えると、ここでも話ができなければ見切り発車というところまで行っちゃうのかどうか。こういうような深刻な、町の存亡にかかわるという問題についてどういうふうにお考えになりますか。お答えを簡単にね、もうあと十五分しかないのです。
  298. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 足尾の問題、これが対象線であるかどうかということは、まだ政令が決まりません段階で何とも申し上げかねるわけでございますけれども、非常に特殊な例をおっしゃいましたので……。これはしかし、道路の問題、あるいは仮に対象になった場合には、第三セクターとかいろいろな考え方は、当然いろいろな形で地元の方と、あるいは地方団体とも御報告または御相談してまいる必要があろうかと考えております。
  299. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ちょっと補足します。  足尾の問題というのはなかなかいろんな問題含んでむずかしい問題なんですけれども、それではいろいろな貨物を私の方に乗せてくださるかというと、非常に個別個別の品物ごとに採算等を考えられて相当トラックもお使いになっているわけなんですね。全部われわれの方に任してもらって、それでどんどん運んでくれと、こういうことになればわれわれも仕事のしがいがあるんですけれども、いろいろ品物の種類を選んではトラックにしたりレールにしたり、いろいろ選択されましてどうにもならぬ物だけ持ってこられるようになっておるものですから、こうしたことでも地域がお困りになるのも困るのですけれども、うちが困る点もあるわけでございまして、それこそそういうことをひとつ協議会等でももっときちんと深く議論をしていきたいと思うんです。しかし、それやるにもいまのところまだ線区が決まってないしというふうなこともありまして、現段階ではだめでございますので、まずこのシステムを法律でおつくりいただいて、そしてその協議会でじっくりいろいろ議論をして、そうしてどうしたらいいかみんなで考えるということに願わないと、とにかくいまの調子で非常に危険なものだけ持ってこられても、せっかく線路がありますのにまことにもったいないということになっておりますので、ぜひ協議会でそういう特殊な問題を論議していただきたいというふうに考えております。  そこで、そうした場合に何とか一致点を見出したいわけでございまして、みだりに見切り発車とか何とかいうことに結びつけて何か乱暴なことをするというふうにお考えいただきませんようにお願いをいたします。
  300. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、もう両方の言い分あるんですね。おたくの方は勝手なときだけ国鉄に持ってくると言うけれども、向こうは送りたいんだけれども、貨車が来ないよと、やってくれないよと。大企業にはもう頼んだ次の日に来た、だけどさっぱりうちの方は来ない。あるんですよ。私も北海道へ行って、農産物なんかでも、いま北海道カボチャ、お芋ですわ。送りたいんだけれども、貨車すぐ送ってくれないと言うの。だから、国鉄使いたくても使えないよという話になったから、そりゃ国鉄、サービス悪いと、貨車送りなさいと言ったら、ちゃんと貨車が行って、おかげさまでカボチャが送れましたと、こうなってくるから、これ両方なんですわ。総裁もおっしゃる、足尾の方もそういうふうな立場でおっしゃると。  だから、そういう意味でいろいろと問題が立場上あると思いますけれども、いま最後におっしゃいました、お互いにざっくばらんに、もっと国鉄を利用してくれというふうなお話で十分に話し合いをなすって、そして足尾の町、本当に歴史的な町ですよね。そして、そこに住民としている人の立場から見れば町の存亡にかかわる問題、心配しないで済むように十分のこれからの御相談ということを切にお願いをしたいと思います。  次の問題に移りますが、一つの線が非常に長いというのが北海道のまたこれ特徴でございます。たとえば、通院というもの。この間も私ずっとその廃止線に乗ったんですけれども、大体そういうのに乗っているというのはお年寄りと子供とそれから病気の方、それから荷物を持った年配の方というのが多いんですね。で、この北海道で百キロ以上の路線が八線もございます。そして、廃止対象路線の長さというものを調べてみましたら、全国平均の二・三倍もありました。これ全部廃止対象路線です。しかも、あの北海道、御承知だと思いますけれども、無医村というのも多うございますし、また町に出てくるというのも非常に広い範囲で大変なんですね。しかも、専門医という形になりますと、やっぱり都市にしか専門医というものはおりません。たとえば、いろいろ数字がございますけれども、線が長いということで一番困っているのが、お年寄りや病気の方たちの通院のその支障なんです。  で、百キロ以上の線が八線と申しました。これ釧網線、日高線、羽幌線、深名線、天北、名寄、池北、標津線というのはこれ全部、釧網本線百六十六キロですよ。大体もう百六十キロ、百四十キロというのが一番多いですね。こういう線路が長いんですね。それで私はやっぱり具体的でないとお話ができないと思って、それで調査に入りましたのが紋別、北見の紋別、オホーツクの方に面しております。そこのこれ名寄本線ですけれども、紋別もたびたび参りまして市長さんと話をいたしました。耳鼻科、眼科がないんです、その紋別というところ。地図で、わかりますか、紋別。
  301. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) わかります。
  302. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 総裁はおわかりになると思いますけれども、その紋別、もう本当に流氷が流れてくるという紋別の市で耳鼻科、眼科がない。だから、患者さんは北見、旭川まで通院をしなければならないんです。列車で二、三時間やっぱりかかる。それから、問題なのは腎臓の人工透析ですね。人工透析やっている患者さんが六人、これが北見、網走へ行かなければ人工透析できないというんですよ。これも大変ですね。機械によって違うけれども、一週間に多い人で三回ですね。いい機械でも二回は透析しなければ、これやめれば命がなくなるというような患者さんがこの路線で何とかいま通っているという問題です。  それから二番目の例としては、川上郡の標茶町というのがそこにあるのですが、この標茶町というところ、ここも酪農地帯で、私もここも何回も行ったんですけれども、ここは釧路に総合病院ございますから釧路に行くんですね。そうしますと、五十四年で釧路市やほかの市町村へ標茶町から病院へ通院する数は何人いるんだと、こういうのを調査したんです。そうしたら、五十四年度で、これはもちろん延べですけれども、一万六千五百二十名標茶町から汽車に乗って通院していますと。で、釧路まで行くというのは、やっぱり釧路が一番大きいですから、ここが主で一万二千人でございます。これで六十七分かかっていると、こういうことなんですね。健康な者でも本当に長時間のバス通勤というのは疲れると言われているのに、このバスの今度平均のスピードですね、乗用車でなくてバスで平均のスピードというのはそこでどれぐらいだということを調べましたら、平均しますと時速は三十五キロから四十キロというのしか出せませんね、バスですから一だから、百キロの通院、もしもバスありますよとおっしゃってもこれに三時間かかる。  だから、お金の問題を抜きにしても、足はバスがありますよとおっしゃっても、この病人が三時間バスに揺られていくというようなこういう問題を考えたら、私はやっぱりこれも本当に人命にかかわる問題になってくるというふうに思うわけでございます。大臣は、効率的であり、同時に住民の足を守りと、こうおっしゃる。確かに足は守れたと、しかしこういう病人がバスに乗って三時間かかって行かなければならないというようなところ、そこもこれ切り捨てられて果たして住民の足を守りましたとおっしゃれるかどうか。交通弱者のこういう問題を私は具体的にお考えをいただきたいと思うんですが、御意見いかがでございましょうか。もう本当に私は調べれば調べるほど深刻な問題だと思って帰ってきました。大臣の御見解を伺いたいと思います。
  303. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはもうまさに日本全国にたくさんそういう地点がございまして、四国もそうでございますし、また中部地域におきましてもそうでございますが、それでございますだけに、先ほど桑名先生の御質問がございました定住圏構想というもの、それをやはり推進していかなきゃならぬと、これは私、国務大臣としての答弁でございますが、だから政府としてはやっぱりそういうのを総合的に進めていく、その一環としての地域交通のあり方というものを考えていくべきであって、だからそれを全部国鉄責任なんだということはひとつ御勘弁いただきたいというのが今度の再建案の一つの大きい考えなんです。  今日まで国鉄はその責を果たしてきたんです。ですから、私たちもその後を引き継いで、どうして国と地方とでそういう対策を講じていくか。これはバスで行かれるのを鉄道にかえてもそれは何時間とやっぱりかかるだろうと。鉄道は待てども来ない、こういう地域も実はございますし、そうするとやっぱりそこでその医者の関係、学校の関係という定住圏の形成、ここに問題はやっぱり来るように思うておるのでございまして、お説は私はようわかりますが、といってこれは国鉄の問題だということには結びつかない、こう思うております。しかし、足の確保ということについては、お尋ねのとおり、私たちは懸命の努力はいたす覚悟です。
  304. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当に私、もうちょっと温かい気持ちがほしいんですよね。政治というのはそろばんじゃないと思うんですよ、大臣。やっぱりそういうのがいっぱいあるから、だからこれはもうそんなこと一つ一つ考えてたら、国鉄責任じゃないとおっしゃる意味もわかりますし、国鉄だけでこれを果たせというのもこれは無理だとおっしゃる意味もわかりますよ。しかし、総合的にいろいろな問題が確保されていない現在、現在での話をしているんです。現在、本当にそういうお年寄りや病人持った方、人工透析で顔色も悪いその方たちが自分の命をかけて、この線がいま取られてしまったら大変なんだという、そういう私はやっぱり政治というものは愛情だと思いますよ。そして政府責任というのは人間の命を守ることだと思いますよ。お立場上そういうことしかおっしゃれないのかもしれないけれども、やはり私はそこにいまの日本の政治の大きな問題があると思う。本当に国がわれわれの命を守ってくれるんだと、そういうときに日本の国というのはなんていい国だろうと、本当に日本を守ろうという愛国心ね、愛国心と言うと、またよそにそれちゃうからもうやめますけれども、そういう日本の政治をつくってもらいたいということ、それを重ねて私は申し上げたいのです。  その次、もう時間がないから今度文部省にお伺いしたいと思います。  そこで大臣、いろいろ先ほどからも国鉄としては十分事情を知っているとおっしゃいましたけれども、学校の生徒が国鉄にいま通学パスで通わせていただいておりますけれども、これがバスがありますと、バス転換にいたしますといったとき、どれくらいの財政負担になるのかということ、御想像になったことありますか。お調べになったかおわかりになったことありますか。
  305. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 金額的に定かにはしておりません。
  306. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大体何倍ぐらいというふうに感じられますか。
  307. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 三倍から四倍、五倍以内だろうと思っております。
  308. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当にこれも私大変な問題だと思いました。もう北海道広いし、各線回って歩くから、初め学校の方は余り行かないで、もういろんな経済的な問題というところを重点を置いて調査したのですよ。ところが、さっき言った紋別というところの隣に興部というまた小さい町がございまして、そこへ行きましたの。それで、そこへ私が行くというので、学校の校長先生、先生方協力して、そして資料をきちっとつくってくだすったわけですよね。  その前に、前段北海道というところで言いますと、これは北海道の教育委員会の調べなんですけれども、北海道の公立高校生約十七万人のうち三万九千人、二二%国鉄で通学していますと、文部省としてどういうふうに全国的に国鉄利用者があるというふうに見ていらっしゃるかどうか。調査していらっしゃればその御調査の結果を伺いたいし、それから汽車通学生の全生徒に占める率、これ私が興部高校の資料をもらったときに、生徒の五二%が廃止対象になる線から通っているんです。そして全然バスがなくってというところもあるんですね。これ五二%で、驚いて全部を調べてみたら、留萌支庁の苫前というところの商業高校は六五%です。これ日本海側です。それから天塩の高校では六〇%ということなんですね。非常に国鉄に頼って通学をしているということなんです。  それで、さっき額としてはとおっしゃいましたけれども、これも具体的に全部調べてまいりました。もう時間ないから、ひとつ、いまのその興部高校、紋別市から通っています。そうすると、いま国鉄一カ月三千五百八十円なんです。これがバスになりますと一万八千九百円ですよ。一万八千九百円。倍率にしますと五・三倍なんですね。今度いろいろと援助もするよというような中で、在校生の場合は卒業まで保証されるということで私は大変ありがたいことだと思うけれども。たとえば、ここに通っている子供が卒業します、弟がいるんですよね、弟がいると。そこら辺はまた酪農家と畑作地帯ですよ。いまはもう酪農は御承知のとおりでしょう、牛殺せ、牛乳つくるなと。そしてまた冷害ですよね。そんな中で一月三千五百八十円の通学パスが今度一万八千九百円。弟が入るときからはこれ出さなきゃならない。とてもじゃないけど出せないと言う。私は、子供の教育というもの、高校の教育というものは本当にもう進んできている、これはもう世界に誇るべきことだと思うんですけれども、これが、バスで足は守りますと言ってもこれまた一万八千九百円、五・三倍だということになると、お兄ちゃんは行けたけれどももうおまえはがまんしなさいよと、こういうことになってこの進学率というようなものは下がってしまいます。  そこで、もう時間がありませんので、文部省、もしも、こういうような御調査をなすっていらっしゃったら結果を聞かしてください。していなかったら簡単にしていないというふうに一言でお答えをいただきたい。時間がない、一言でいいです。
  309. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) 昭和五十一年度の国鉄の推計によりますと全国で約百四万人の列車通学者がいるというふうに聞いておりますが、私どもでは具体的につかんでおりません。なお、北海道の場合には公私立の高校生が二十二万人余りで、うち、国鉄利用者が十一万人ぐらい、四九%少しというところでございます。
  310. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最後に大臣に私お願いしたいと思います。  いまも少し具体的な問題を通してお話をいたしましたけれども、やっぱりこれだけ非常に大きな影響力があるというような問題この問題に私たち意見を反映させるのはこれはもう言う必要もない当然なことでございますよね。だから、それについて、いま文部省としても、もっと具体的にそういう経済の面だとか、それから、いろいろとここまで法案がきて基準案まで出ている段階だから、やっぱりそういう調査をしていただきたい。そして、いろいろな影響力がどう出てくるかということを私は調査していただきたいというのが一つのお願いです。そして、いろいろと私もきょう述べましたけれども、いろいろ聞いたけれども、後はその基準でいきますよと、まさにもう白紙委任みたいな形に最後はなっちゃいそうな気がするんですよね。それが大変不安でございます。だから、どうか弱者を犠牲にしないように、私はそのことを最後にお願いしたい。一言大臣の御所見を承りたいと思います。  それから、この次の質問で必要なんで総裁にお伺いしたいんですけれども、運賃毎年値上げ、毎年値上げ、新経済七カ年計画によってというようなことがあります。毎年値上げ五%とさっきおっしゃったですわ、国鉄総裁は。この前聞いたときは五・四%なんです。その前聞いたときには五%なんですよ、毎年上げると。こういうふうに、一々聞くたびに五%だの五・四%だのなんて言われるくらい、そんなあいまいなものかということを一つ言いたい。これはもうこの次に譲りますけれども、どっちですか。五一四ですか、五%ですか。そこだけ一言最後にお願いします。
  311. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは私も御質問を一々聞いておりまして、これは非常に参考に私たちもさしていただきます。それでございますだけに、政令制定のときにはこの基準、原則を崩さない範囲においてでき得る限りの努力をしてまいりたいと思いますし、またこの地方線の整備等にかかりますときにも、おっしゃるような足の確保と民生の安定ということに十分な対策を講じた上で協議会でもまとめていただくようにいたしたいと思うております。
  312. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 基本構想案、昨年の七月に御提出いたしました基本構想案をいろいろ計算しますときに使いました数字は五・四でございます。で、五と申しましたのは五・四をラウンドで申し上げたわけでございまして、五が五・四に変わったんじゃなくて、ふらふらしているのじゃなくて、五・四という数字を丸い数字で申し上げたことがあったかと思いますが、それは正確には五・四でございますので、五と申しました御答弁は訂正させていただきたいと思います。
  313. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、いいです。五・四でわかりました。いいです。
  314. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 本日の質議はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時六分散会      ——————————