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政府委員(
森山信吾君) まず、六百三十万バレルというものについてどういう
考え方を持っておるかという前段の方の問題意識に対するお答えから申し上げますけれ
ども、いま
先生から
石油の価格と絡めてどういう
考え方を持っているかという御
指摘をいただいたわけでございまして、まさにそういう
考え方が一方にあると同時に、逆に六百三十万バレルというものが五年先の世界の需給バランスから見て、
日本にそれだけとるだけの力があるだろうか、あるいは本当にそれだけ確保できるだろうかという問題意識もあるのではないかと思います。したがいまして、それだけの量が確保できるかという
考え方と、高くなった
石油をそんなに必要とするのかなという
考え方と両方がいろいろな
意見として現在出ておるという
段階でございまして、私
どもはどちらの
考え方に基づいて
幾ら幾らの数量があったらいいかという
作業をする
段階ではまだない、問題意識として持っておることは事実でございますけれ
ども。といいますのは、先ほどの
小柳先生の御
質疑に対する私
どもの答弁にもたびたび申し上げましたとおり、
長期需給暫定見通しは一応
前提といたしまして五年先あるいは十年先の
日本の
石油の
輸入量を三億六千六百万キロ
リッターということで
想定いたしておりますから、その
整合性の関係から言いますと、現時点におきましては六百三十万バレルを現
段階におきましては変更する余地はないという
考え方を、まず持っておるわけでございます。
それから、後段の方の御
質問のイランとイラクの紛争によって
石油がとまって、その分をどういう方法で調達するかという御
質問につきましては、端的に言いましてイランの方はこの四月から船積みがとまっておりますから、ことしの五十五年度の
日本の
原油の
供給計画の中には、はっきり言って顕在的にはカウントしてない。潜在的なイラン市場を放棄したというわけじゃございませんけれ
ども、一応は形の上ではイランの分はカウントしてないということでございまして、イラクは御
承知のとおり三十九万バレル・パー・デーということでいままで入っておりましたし、これからもおおよそその
程度の量が入ってくるのではないかという
想定で
計画を組んでおりましたけれ
ども、これも九月の下旬以降とまったということでございます。そこで、問題は、五百四十万バレル現在
計画上は購入をする
計画になっておりますけれ
ども、
現状はいまの備蓄水準あるいは需要から見まして、果たして五百四十万バレル必要とするのかというような問題もございます。これは年度末になってみないと、五十五年度の平均が
幾らになったかという
数字はなかなかわからないわけでございますけれ
ども、いまの時点で言えますことは、ことしに限って申し上げますと、一日当たり平均五百四十万バレルというのはちょっと需要の状況から見て高いのではないかなという気がいたしますから、無理にイラクからとまった分をほかの国から調達をするという
考え方をしなくても、需給バランスはとれていくんじゃないか、こういうような
考え方が
一つございます。
それから、一方現実の問題として、
先生御案内のとおり、湾岸諸国のうち特にサウジアラビア、クウェート、カタール、UAE、この四カ国は増産をするというような報道もなされておりまして、一説にはこの国々を合わせまして百五十万バレル・パー・デーという説もございますし、もうちょっと多いんだという説もございますけれ
ども、いずれにいたしましてもそれらの国々がある
程度の増産をいたしております。その増産がどういう形で世界じゅうに配給されるかということはまだいまの
段階では判明いたしておりませんけれ
ども、少なくともイラクの輸出がストップし、また
日本に
供給した以外の地域に
供給しておりましたイランの油もとまっておるということに対する相当なショックを緩和することにはなるだろう、湾岸諸国の増産がショックを緩和することにはなるだろう、こういう気がいたしております。といいますことは、端的に増産をされました湾岸諸国の油が直接
日本に入ってこなくとも、間接的に世界の需給が緩和される効果があるならば
日本の
原油調達にもいい影響を及ぼす、こういうような
意味を申し上げているわけでございまして、直ちにサウジあるいはクウェート、あるいはUAE等の国から油を引っ張ってこなくても需給バランスは十分対応できる、こういう
考え方を持っておるということでございます。