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1980-10-21 第93回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十一日(火曜日)     —————————————  議事日程 第六号   昭和五十五年十月二十一日     午後一時開議  第一 昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算     昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算     昭和五十二年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和五十二年度政府関係機関決算書  第二 昭和五十二年度国有財産増減及び現在額     総計算書  第三 昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総     計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 昭和五十二年度一般会計歳入歳出決       算       昭和五十二年度特別会計歳入歳出決       算       昭和五十二年度国税収納金整理資金       受払計算書       昭和五十二年度政府関係機関決算書  日程第二 昭和五十二年度国有財産増減及び現   在額総計算書  日程第三 昭和五十二年度国有財産無償貸付状   況総計算書  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣   提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 昭和五十二年度一般会計歳入歳出       決算       昭和五十二年度特別会計歳入歳出       決算       昭和五十二年度国税収納金整理資       金受払計算書       昭和五十二年度政府関係機関決算       書  日程第二 昭和五十二年度国有財産増減及び   現在額総計算書  日程第三 昭和五十二年度国有財産無償貸付   状況総計算書
  3. 福田一

  4. 國場幸昌

    國場幸昌君 ただいま議題となりました昭和五十二年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  初めに、各件の概要を申し上げます。  まず、昭和五十二年度決算でありますが、一般会計決算額は、歳入二十九兆四千三百三十六億二千二百万円余、歳出二十九兆五百九十八億四千百万円余、差引三千七百三十七億八千百万円余の剰余金を生じております。  特別会計の数は四十で、その決算総額は、歳入六十兆五千六百二十億八千五百万円余、歳出五十二兆二千六百八十四億二千七百万円余となっております。  国税収納金整理資金収納済額は十七兆九千五十三億三千九百万円余、支払命令済額及び歳入への組入額は十七兆八千五百七十七億千六百万円余となっております。  政府関係機関の数は十五で、その決算総額は、収入十七兆二千七十六億八千八百万円余、支出十六兆五千六百十七億九千七百万円余となっております。  次に、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、昭和五十二年度中に純増加した国有財産の額は、一般、特別両会計を合わせて一兆五千百三億五千二百万円余で、年度末現在額は二十四兆六千七百三十六億三百万円余となっております。  次に、昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書でありますが、昭和五十二年度無償貸付の純増加額は、一般、特別両会計を合わせて三十八億九千七百万円余で、年度末現在額は三千八百十九億三千六百万円余となっております。  次に、会計検査院昭和五十二年度決算検査報告において、不当事項として掲記されたもの九十三件、会計検査院法第三十四条及び第三十六条の規定により意見を表示または処置を要求したもの十件、検査院の指摘に基づき改善処置を講じたもの十一件、また、特に掲記を要すると認めたもの六件となっております。  各件のうち、決算は昨年五月二十九日、国有財産関係二件は昨年一月三十日に委員会に付託されました。  委員会におきましては、昨年九月三日、各件について大蔵大臣よりその概要説明を、会計検査院長より検査報告概要説明を聴取した後、質疑に入り、各省庁別に十九回にわたり審査を進め、政府予算執行行政運営に関する重要な問題を中心として終始熱心かつ活発な質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと思います。  かくして、昨二十日締めくくり総括質疑を終了し、決算については、委員会審査内容をまとめて、委員長より議決案提出いたしました。  以下、その内容を申し上げます。  すなわち、   昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実が上がつていない点があるのはまことに遺憾である。  一 昭和五十二年度決算審査の結果、予算効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていない事項が見受けられる。    左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。   1 国の機関の一部及び公団・事業団等特殊法人、特に日本鉄道建設公団国際電信電話株式会社等において、幾多の経理上の問題点が指摘され、予算執行に対する国民不信感を招いたことは誠に遺憾である。    不適正な経理は手段、方法、金額の多少にかかわらず許されない行為であり、厳に慎まなければならないことである。    政府は、この際、勇断をもつて綱紀を粛正し、予算執行適正化を図り、いやしくも国民の疑惑を招くことのないよう措置すべきである。   2 本院が年々議決しているように、会計検充実は刻下の急務である。    政府は、昨年来、法改正の是非を含む会計検査院検査機能充実強化についての検討を行つてきたが、いまだに結論が出ていないのは遺憾である。引き続き検討の上、早急に結論を出すべきである。   3 行政改革については、昨年以来決定されてきた諸計画の着実な実施を推進するとともに、今後は行政改革の本旨に沿って事務・事業整理合理化に一段と努め、行政経費の節減を図り、もつて財政再建にも資すべきである。    また、特殊法人については、そのあり方を検討するとともに、いわゆる天下りの規制など役員の人事運用厳正化、給与及び退職金見直し等に努めるべきである。    さらに、認可法人については、その監督を強化すべきである。   4 日本中央競馬会経理については、種々の問題点が指摘された。特に、場外馬券発売所に対する建設協力金賃借料の支払い、その他中央競馬会業務及び経理について、さらにまた、日本発馬機株式会社等競馬会出資会社の実態に関して、今後、十分調査検討の上、必要な改善措置を講ずべきである。   5 実験用静止通信衛星あやめ二号の打ち上げが、一号に続いて失敗したことはまことに遺憾である。    政府は、その原因究明に全力を尽くし、その結果を今後の宇宙開発に反映させるとともに、これを契機に、自主技術早期確立を図るべきである。    また、国損を極力抑えるため、保険の活用等検討すべきである。   6 直轄の灌漑排水事業及び干拓事業の中には、大規模事業で大幅に事業の進捗が遅れているもの、地元との調整がつかないため中途で事業を休止しているもの、事業は完了したが土地配分が行われないため負担金を徴収できないもの等がいくつかある。事態解決のためには、何よりも地元との密接な接触が必要であり、今後とも一層事前に地元関係者等十分調整図つて、確実な見通しのもとに事業を開始すべきである。   7 国庫補助により全国の港湾三十九ケ所に設置した廃油処理施設の中には稼働率が極めて低いものがある。    政府は、船舶からの廃油の不法な投棄の防止に努めるとともに、これらの廃油処理施設が有効に活用されるよう適切な指導を行うべきである。   8 日本国有鉄道では、多額資金を投じて導入した近代化省力化のための設備で長期間にわたり稼働率が著しく低い例がある。    当局は、今後の設備投資に際して見通し対応策についてきめ細かな配慮をするよう努めるとともに、既に導入した機械の活用計画を樹立するなど、受け入れ体制を整備して効果を上げ、国鉄経営の再建に資すべきである。   9 公害健康被害補償制度地域指定に当たつては、窒素酸化物の濃度と健康被害との因果関係を究明し、その結果を考慮すべきである。    また、公害保健福祉事業については、依然として年々多額不用額を出しているが、事業内容質的充実及び運用方法改善等により、実施率の向上を図るべきである。  二 昭和五十二年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。    政府は、今後予算の作成並びに執行に当たつては、本院の決算審議経過と結果を十分考慮して、財政運営健全化を図り、もつて国民の信託にこたえるべきである。  以上が議決案内容であります。  次いで、決算外二件を一括して討論に付しましたところ、自由民主党及び民社党・国民連合は、決算について議決案のとおり議決するに賛成日本社会党、公明党・国民会議及び日本共産党は、議決案のとおり議決するに反対の意見を表明されました。  次いで、採決の結果、決算は多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決し、国有財産関係二件はいずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 福田一

    議長福田一君) これより採決に入ります。  まず、日程第一の各件を一括して採決いたします。  各件を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、各件とも委員長報告のとおり決しました。(拍手)  次に、日程第二につき採決いたします。  本件委員長報告は是認すべきものと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第三につき採決いたします。  本件委員長報告は是認すべきものと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内   閣提出)の趣旨説明
  9. 福田一

    議長福田一君) この際、内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。国務大臣大村襄治君。     〔国務大臣大村襄治登壇
  10. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並び防衛庁職員給与法の一部改正内容といたしております。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千六百十九人、航空自衛隊七百十二人、計二千三百三十一人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機就役等に伴うものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一は、海上自衛隊潜水艦部隊の一元的な指揮運用を図るため、司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る潜水艦隊を新編して、これを自衛艦隊編成に加えるものであります。  第二は、航空自衛隊補給機能を効果的に発揮させるため、各補給処業務統制を行う補給統制処を廃止し、これにかわるものとして、各補給処業務全般指揮監督を行う補給木部を、航空自衛隊機関として新設するものであります。  第三は、人事管理及び編成上の必要性等から、自衛官階級として曹長を新設するものであります。  第四は、自衛隊予備勢力を確保するため、陸上自衛隊予備自衛官二千人を増員するためのものであります。  最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官階級として曹長を新設することに伴い、曹長について俸給月額を定めるとともに営外手当を支給することができることとするものであります。  以上が防衛庁設置法等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  11. 福田一

    議長福田一君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。上田卓三君。     〔上田卓三登壇
  12. 上田卓三

    上田卓三君 日本社会党を代表いたしまして、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に関連して、政府外交防衛政策基本について御質問いたします。(拍手)  いま、国際緊張は異常に激化し、前例のない核軍拡競争戦争の危機が増大いたしております。世界核兵器の数は、アメリカが三万発、ソ連が二万発も保有し、広島型原爆にして実に百万発もの核兵器が、人類の頭上にのしかかっているのであります。科学者は、「米ソ核戦争に突入すれば、北半球の生物は完全に死滅する。核戦争にはいかなる勝利者もあり得ない」と警告を発しておるのであります。  政治家の最大の任務は、熱核戦争を防止し、国民をいささかでも戦争に巻き込まないように努めることではないでしょうか。  国際緊張激化が、大統領選挙を前にしたカーター政権世界戦略と無縁でないことは明らかであります。巡航ミサイル移動大陸間弾道弾トライデント核ミサイル潜水艦海外前進基地への新型中距離ミサイルの配備といったアメリカの新たな軍拡政策の推進は、米ソ核戦略情勢を著しく不安定なものにしております。  カーター政権の新しい核戦略構想は、核抑止に比重を置くものではなく、核戦争はいかに実施できるか、それはどの程度に受け入れられるかといった限定核戦争理論に急傾斜しており、それが今日のきわめて危険な緊張状態をつくり出しているのであります。  今日の国際緊張激化原因は何であり、わが国としてどう対処すべきとお考えか、総理見解をお伺いいたすものであります。  鈴木内閣外交防衛政策は、世界冷戦に引き戻そうとするアメリカの動きに無批判に追随して、重大な転換を遂げたと言わざるを得ません。いかなる国とも敵対関係をつくらず、政治体制のいかんを問わず相互の交流を深めるという従来の全方位外交は消え去り、アメリカ国内ですら意見が分裂している米ソ軍事バランスについて、一方的なソ連脅威論のみが大宣伝されているのは、一体どういうことでしょうか。  外交青書は、西側の一員として、時には犠牲も覚悟で、アメリカの力の政策協力をし、ソ連と敵対するという驚くべき方針を打ち出しております。  この方針は、全方位外交を完全に否定し、日米基軸西側連帯外交の発足、平和外交から軍事力重視への転換を宣言するものであり、そこには、世界を東西両陣営に分かつ冷戦的発想すら濃厚に出ていると断ぜざるを得ないのであります。  日本は、軍事力で守れるような国では絶対にありません。住宅は火災に弱い木造で、狭い国土に工場、人口が密集したわが国において、戦争が起きれば、大規模都市破壊と軍人よりはるかに多くの非戦闘員犠牲が生じることは明らかであります。広島や長崎や沖繩の悲惨な経験を忘れてはいないでしょうか。  石油を初めとする資源や食糧の大部分を海外からの輸入に依存するわが国は、戦争によって致命的な打撃を受けることは間違いございません。  国際緊張を抑え、平和外交に徹して少しでも脅威を薄めることが、わが国民に平和な生活を保障する唯一の道なのであります。  防衛庁長官所見をお伺いいたします。  政府自主性を失った対米追随外交は、国民生活にも重大なしわ寄せをもたらそうといたしております。  アメリカ政府要求に屈して、二兆五千億円もの超大型防衛予算、後年度負担を入れると実に四兆円以上の防衛予算特別枠で組むことは、赤字財政をさらに圧迫し、福祉と教育の切り捨てに通じることは明らかであります。しかも、対米自動車輸出自主規制防衛費増額が取引されたのだということすら報道されております。  アメリカに追随して対ソ経済制裁に加わった結果はどうでありましょうか。エネルギー、化学など重要なプラント輸出で、西ドイツフランスなどに次々と契約を奪われ、日本にとって重要なマーケットの一つでありますソ連市場から脱落したのが実情であります。欧州勢のこうしたソ連市場独占傾向の中で、日本プラント業界は苦境に追い詰められているのであります。  今日、重要なことは、アメリカに対し自主性を持ち、変化する国際情勢に対応できる現実的な外交政策であります。鈴木総理、せめて西ドイツシュミット首相フランスジスカールデスタン大統領並み自主性と対米交渉力を持ってしかるべきだと思いますが、どのようにお考えでありましょうか。(拍手)  イランイラク紛争を理由に、アメリカ湾岸地域空母ミッドウェーを初め、三十一隻の艦隊と百七十機の戦闘機を展開し、ホルムズ海峡制圧に備えていると言われております。サウジアラビアのファイサル外務大臣が言うように、米国の軍事力集中がかえってこの地域緊張をあおることになるのは明らかであります。  この紛争は二国間の問題でありまして、いかなる国といえども両国の相互関係に干渉したり、この地域緊張をこれ以上エスカレートさせる権利など持っていないのであります。アメリカ軍事介入による戦火の拡大は、日本経済に取り返しのつかない打撃を与えるものであります。こうした砲艦外交は断じて許し得ないものでございます。  イランイラク紛争アメリカ海軍集中に対する政府基本的見解をお伺いしたいのであります。  さて、アメリカ欧州経済は、同時に景気後退に入ったと伝えられております。  わが国経済も、本年初頭から国内需要停滞が目立ち始めております。これは、物価上昇租税負担増によって実質賃金が低下し続け、個人消費が大幅に鈍化したからであります。  特に、ここ三年間、物価調整減税が行われていないことによる実質増税は、勤労者税負担伸び率を三〇%近くにも押し上げているのであります。いまや、わが国経済は、はっきりと個人消費停滞を主たる原因として不況局面に入りつつあるのであります。  景気対策のかぎは、個人消費の立て直しであり、本来ならば相当の所得減税を行うことがぜひ必要であります。膨大な財政赤字を前に減税など論外とする意見は間違っております。なぜならば、国民生活に直結する景気の回復の方が、財政の均衡よりはるかに重要であり、景気後退がこのまま進み、再び深刻な長期不況に見舞われるようなことになれば、税収の増加も見込めず、財政再建も大幅におくれるからであります。  石油ショック以後、国内需要の喚起と個人消費を無視して、相変わらず高度成長型の設備投資を進め、そのはけ口を輸出に求めたところから、今日の深刻な対外経済摩擦が生じているのは周知の事実であります。  こうした高度成長型の輸出一本やり経済体質を放置するならば、対外経済摩擦は避けがたいのであります。しかも政府は、その解決策軍備拡大に求めようとする悲劇的な道を進んでおるのであります。  今日の国民生活は、果たして先進国にふさわしいものになり得ておるでありましょうか。労働時間は先進国並みに短縮しておるでありましょうか。運動施設は整っているでしょうか。子供が安全に遊べる場所が十分確保されているでしょうか。お年寄りは平和な老後を送れるでありましょうか。通勤ラッシュは緩和されたでありましょうか。  個人消費拡大し、国内需要の健全な拡大に基礎を置く経済成長を実現することが政府基本姿勢でなければならないのであります。消費多様化国内需要拡大によって、発展途上国や他の先進諸国からの輸入増加するという経済政策によってのみ、わが国は諸外国と共存共栄できるのであります。  平和憲法の求める経済成長はこうしたものであろうと考えますが、総理所見を伺いたいのであります。  最後に、現憲法基本理念と改憲問題に対する見解をお伺いいたします。  法務大臣は、「現憲法占領軍に押しつけられたものである」との発言をいたしております。わが国明治憲法を廃し、新憲法を制定するに至った根本は、一体何であったでありましょうか。戦前天皇制軍国主義政府が、大東亜共栄圏の名のもとに国民を欺き、中国、東南アジア諸国を侵略し、手痛い敗北をこうむったという歴史的事実を否定することは絶対に不可能であります。(拍手ポツダム宣言を受諾し、無条件降伏という厳然たる事実を無視して、またファシズムと軍国主義に対する深い反省を抜きにして、新憲法制定過程のみを問題にすることはできないと思うのであります。  新聞報道によれば、法務大臣内務官僚出身で、鹿児島で特高警察課長をしていたという経歴の持ち主であります。法務大臣発言戦前天皇制軍国主義を賛美するかのごとき響きを聞くのは私だけではないでしょう。  憲法は、「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と述べております。  このことは、特定国民への不信猜疑心をあおり、軍事力を培養して対抗し、特定国とのみ軍事同盟を結ぶという冷戦的対決政策が、まさに憲法原理のじゅうりんであることを示しております。  わが国安全保障は、憲法平和主義理念にのっとった緊張緩和、全方位外交安保条約破棄、非武装中立以外にあり得ないのであります。  吉田内閣から現在に至るまで、憲法第九条がアメリカの対日軍備増強要求に対する歯どめになってきたことは事実であります。わが党を初めとする平和憲法擁護国内世論が、東南アジア中東諸国発展途上国軍国主義日本に対する警戒心をやわらげ、今日の経済繁栄の一要因になっていることも見落とすことはできないと考えるのであります。(拍手)  憲法第九条を守り、アメリカ防衛費負担増要求をはねつけて、国民経済発展を維持していくか、それともアメリカ冷戦政策無条件に追随し、国民経済を圧迫する軍事費負担増、対ソ連敵視政策をとり続け、日本国民の利益を裏切るのか、重大な岐路に立っております。総理の賢明なる決断を促します。  きょう十月二十一日は、三十数年前、雨の明治神宮公園から、学生がペンを銃にかえて侵略戦争に駆り立てられた悲劇の記念日であります。「青年よ再び銃をとるな」の合い言葉こそ、十月二十一日を国際反戦デーと定めて闘ってきたわが国民の良心の叫びであります。  わが党は、戦争脅威に対して真剣に闘い、そうして決断と行動をすることを申し述べて、質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  13. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) まず第一に、国際情勢に対する認識についてお尋ねがございました。  私は、戦後の国際政治、軍事情勢は、基本的には米ソを中心とする東西関係を軸に推移してきたものと考えておりますが、最近、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入等、国際社会の基本的秩序を脅かす事態が発生し、インドシナ半島、中東などの地域でも対立と抗争が続くなど、不安定要因が増大しております。全体として国際情勢は厳しいものに相なっておりますことは、御承知のとおりでございます。  このような国際情勢に対し、わが国としてはあくまでも平和に徹し、軍事大国にならないとの方針を堅持しながら、世界の平和と繁栄に貢献する積極的な平和外交を推進することが重要であると考えております。  わが国としては、今後とも、米国を初めとする自由主義諸国との連帯を一層強化し、世界の軍縮への貢献、エネルギー問題の解決、南北関係の改善など、今日の国際社会の直面する諸問題の解決に最善の努力を尽くしてまいる所存でございます。  次に、わが国の対米外交についてであります。  今日の国際社会は、アフガニスタン問題など国際社会の秩序自体を危うくするような問題が起こる中で、政治、経済両面にわたって厳しい情勢に直面しておりますことは、すでに申し述べたとおりであります。  このような国際環境のもとで、わが国は、国際社会の責任ある一員として、世界の平和と繁栄のために行動していくに当たり、わが国と政治経済上の理念を共有する米国との友好協力関係を重視しております。また、このような政府の外交姿勢は、広く国民の支持を得ておりますことは、ここに申し上げるまでもないところであります。もちろん、わが国の外交が、わが国の国益を踏まえた、自主的なものでありますことは、申すまでもございません。  御指摘の防衛問題につきましては、政府は、従来より一貫して、国民のコンセンサスを得つつ、自主的判断に基づいて対処する考えでありますことは、これまでも私がしばしば申し述べてまいったところであります。  なお、アフガニスタンに対するソ連軍事介入は、いかなる理由においても正当化できるものではございません。対ソ経済措置につきましても、このような認識に基づき、わが国独自の判断により、米国、ヨーロッパ各国との協調のもとに行ってきたものであります。  第三に、経済運営についてでありますが、今後の経済成長の上で、個人消費が重要な役割りを果たすということは、上田議員御指摘のとおりであります。また、わが国経済成長が、健全な国際関係を害することのないよう、調和のとれたものでなくてはならないということも、御指摘のとおりと考えます。  私は、わが国経済の現状は、諸外国との比較で見ても、決して悪いものではないと確信をいたしております。むしろ第二次石油危機後の経済運営は、成長率でも、物価で見ても、また雇用面でも、世界で最も上手に石油危機に対応した国の一つであると確信をいたしております。(拍手)  今後の経済運営におきましては、第二次石油危機に上手な対応を示したわが国経済を、内需や輸出のバランスをうまくとりながら、将来も安定的、継続的に発展さしていく、こういうことが大事なことであると思っております。  そのためには、政府が当面とるべき対策は、先般、九月五日、経済対策閣僚会議において公共事業等の円滑な執行など八項目の対策を決定しておりますので、これに従って物価と景気の動向に細心の注意を払いながら、機動的に経済運営を図ってまいる所存でございます。  最後に、わが国安全保障政策のあり方についてでございます。  政府といたしましては、所信表明で明らかにいたしましたように、わが国が平和の中で国の繁栄を図っていくためには、今後とも日米安全保障体制の維持を基本とし、みずからも節度ある、質の高い自衛力の整備に努力していく所存でございます。(拍手)  ただ、私は、今日の複雑な国際情勢わが国が置かれておる立場を考えれば、国の安全を確保するためには、単に防衛的な側面の努力のみで十分であるとは考えておりません。経済、外交を含めた広い立場からの施策、すなわち、外交、経済協力、エネルギー、食糧などに関する諸政策が、総合的な安全保障の観点から高いレベルで整合性を持って推進されることが必要でございます。  なお、わが国が軍事大国になるのではないかとの御懸念でありますが、わが国平和憲法のもと、非核三原則を国是とし、シビリアンコントロールのもとに専守防衛に徹した施策をとっており、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国になる考えは毛頭持っておりません。(拍手)     〔国務大臣伊東正義君登壇
  14. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 上田さんにお答え申し上げます。  イラン・イラクの紛争アメリカの海軍の集中に対する政府所見を問う、こういうことでございましたが、現在インド洋には、米国の海軍艦船のみでなくて、ソ連やその他の国の海軍艦船も所在しておるのでございます。米国の艦船につきましては、今次のイラン・イラクの紛争勃発前から展開していたものでありまして、米国は、紛争勃発後もしばしば紛争には介入しないという立場を繰り返し明らかにしているわけでございます。  また、米国の海軍艦船の展開は、ホルムズ海峡やあるいは西太平洋からインド洋へ通ずる通航の安全ということを確保すること、また、この地域に対しまして域外から無用な干渉があることを抑止して、安全保障の環境を維持しようということがアメリカの海軍の艦船の展開の基本的な関心であるというふうに理解しているわけでございます。(拍手)     〔国務大臣奥野誠亮君登壇
  15. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 押しつけられた憲法ということに関するお言葉がございました。  八月の末の衆議院の法務委員会で、自主憲法ということがあるが、日本の場合に当てはめてどう考えるかという質問をいただいたわけでございまして、その際に、私は、国民の間に合意が生まれて、同じものでもよいからもう一遍つくり直してみようじゃないかという考えが生まれてくるならば好ましいと考えると答えたわけでございまして、その際に理由を三つ挙げたわけでございまして、その一つが、日本憲法占領軍の指示に基づいて制定されたものである、こう理解しておりますと、こう答えたわけでございます。それは内閣に設けられました憲法調査会の調査あるいはアメリカの外交文書等の公表に基づいて申し上げているわけでございます。  なお、日本憲法は、過去の反省に基づいて設けられておるものでもございますし、同時にまた、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重という貴重な基本原理の上に組み立てられておるわけでございますから、これらの基本原理は将来とも堅持していかなければならない。こう考えておるものでございます。(拍手)     〔国務大臣大村襄治登壇
  16. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 上田議員の私に対する御質問にお答えいたします。  わが国は、国防の基本方針にのっとり、近隣諸国との友好協力関係を確立して、国際緊張の緩和を図る等の外交施策と、経済的、社会的発展を図るに必要な内政諸施策を講ずるとともに、防衛計画の大綱に従い、わが国みずから適切な規模の防衛力を保有し、さらに米国との安全保障体制を堅持することによって、すきのない防衛体制を堅持し、もって侵略の未然防止に努めているところでございます。  しかしながら、万一不幸にして侵略を受けるような場合があっても、自衛隊の総合的な運用を図り、また米国と協力することによって、極力早期にこれを排除する考えでおります。  御指摘のように、食糧資源及びエネルギーへの対策はもとより大切なことであります。同時に、わが国安全保障を確保するためには、平和外交に努めるとともに、必要最小限度の自衛力を保持することが必要不可欠であり、これがわが国の独立と安全を守り、国民安全保障を達成する道であると確信いたしておる次第でございます。(拍手
  17. 福田一

    議長福田一君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  18. 福田一

    議長福田一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         法 務 大 臣 奥野 誠亮君         外 務 大 臣 伊東 正義君         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         国 務 大 臣 大村 襄治君      ————◇—————