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1980-10-31 第93回国会 衆議院 文教委員会逓信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月三十一日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員   文教委員会    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君    理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       臼井日出男君    浦野 烋興君       小澤  潔君    高村 正彦君       坂田 道太君    塩崎  潤君       船田  元君    木島喜兵衞君       中西 積介君    長谷川正三君       湯山  勇君    鍛冶  清君       三浦  隆君    栗田  翠君       山原健二郎君    小杉  隆君 ―――――――――――――――――――――   逓信委員会    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    吹田  愰君       久保  等君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    竹内 勝彦君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         文部政務次官  石橋 一弥君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省社会教育         局長      高石 邦男君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   富田 徹郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送大学学園法案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより文教委員会逓信委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出放送大学学園法案を議題といたします。  本案の趣旨説明についてはこれを省略し、お手元に配付してあります資料によって御承知願うことといたします。     ―――――――――――――  放送大学学園法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  4. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、最初に、放送法放送大学学園法案との関連について二つ質問をしたいと思います。  今回御提案になっております放送大学学園法案内容を拝見しますと、その目的が「放送等により教育を行う大学を設置し、当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送普及発達を図ること。」というようにうたわれておるわけでございます。この放送大学は、放送、いわゆる電波媒体にいたしまして行われるものだと思います。  したがって、文部大臣にお伺いしたいのですが、昭和三十九年九月八日に臨時放送関係法制調査会から、日本放送体制に対する基本的な答申が出ておりますが、文相はそのことを御存じでございますか。
  5. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 いままでのいろいろな御説明を拝聴いたしておりますが、なお、詳細な具体的な経緯につきましては、関係の者からお答えいたさせます。
  6. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いや、そうじゃなくて、あなたは、放送体制というものの基本について答申が出ておりますが、それを知っておりますかと聞いておるのです。ほかの人に説明させるということじゃなくて、あなたはそれをお読みになっておりますかと聞いておるのです。
  7. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 開かれた教育という面でわれわれの方は考えておる次第でございますが、放送におきましても、教育の分野におきましてその国家的な任務を果たそうという御意図のあることは伺っております。
  8. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、あなたは、この答申については御存じないわけですね。読んでおらないわけですよ。したがって、私がここで申し上げたいのは、少なくとも電波、要するに放送媒体として行う放送大学でございますから、まず放送体制放送法上これがやれるかどうか、こういうことを十分に検討した上で、それが決着した上において法案を提出すべきものではないかということです。  参考のために申し述べてみますと、この基本的体制については、いままで長い間いろいろと検討が続けられてきております。放送も多様化してまいりまして、そういう中で答申を受けたものでございますが、ここに「放送体制に関しては、そのもつ社会的、文化的機能重要性にかんがみるとき、全国的な公共放送事業体としてのNHKと、経営自由性をもち、地域社会との密着性を主な使命とすべき民間放送事業二本立てとなっている現行制度は、まことに妙味ある制度と考えるので、これを維持すべきである。」、こういうようにはっきりと答申が出ておるのです。  こういう点からいたしまして、いま提案されておりますこの放送法案の中でわれわれが一番問題にするのは、この重大な電波放送媒体として行う放送大学基本になる現行放送法の中では、こういうことはできないのだ、それを、この「附則」というところで一、二行書いて、それでこの重大な放送体系についての論議を避けて放送大学をやろうとする、こんなことは絶対に認めるわけにはいかないです。この放送大学学園法案というもの性格、これは一体どういうものでございますか。大臣からお答えください。
  9. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、われわれは、開かれた教育体制社会教育の面におきましても、あるいはまた一般教養の面におきましても、特にその点を留意いたしておりますが、同時に、われわれの方といたしましては、社会教育審議会のUHF並びに電波の割り当てを活用いたしましての答申がございまして、この社会教育審議会での審議一つの契機となりまして、放送大学の問題が特に俎上に上ってまいった次第でございます。
  10. 鈴木強

    鈴木(強)委員 社会教育局が諮問をし、答申した当時は、もうずっと前のことでございまして、私も当時からこの問題については関係してきているのです。あの答申内容とは、これは全く違うのですよ。あの答申は、各地方の教育委員会ないしは大学免許を取って、そこから放送しなさいというのが趣旨なんですよ。  そうなりますと、NHKではすでに教育放送というものをやっておりますね、電波免許をするときには、教養は何%あなたの放送局でやりなさいという義務をつけて、郵政大臣は認可しているのです。そういったものもある。しかし、また一面、この必要性については私たちは否定するわけじゃないのです。ただ、やり方が非常にむちゃくちゃなのだ。NHKのいまの第3チャンネル、教育放送を強化してやるのか、あるいはどういう経営形態でやっていったらいいのかということが、あの答申をめぐって最終的にあなたの方で一番問題になったところでしょう。  私が聞いているのは、どういう性格で――要するに、経営主体国営でもない、民営でもない特殊法人放送大学学園だ、こうおっしゃるのでしょう。そうでしょう。国営になったらとても問題にならない、民営でも大臣、国との関与関係でまずいだろうというので恐らく特殊法人というものをつくったのでしょう。それならそれで、放送体系との関係でそういうものができ得るような論議を十分やらなければならないのです。  ところが今日まで、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会答申がありまして、私ども逓信委員会におきましても、何回か論議をし、早く結論を出すようにということでしたが、少なくともこの基本だけは、答申の中に厳然とあるわけですし、二本立てということになっているわけですから、その重要なところを附則か何かでもってやられてしまって、その基本を乱すようなことがやられる中でこのことが出てきたというところに問題があるのです。  この特殊法人経営主体というのは何なのですか。
  11. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 なお、過去のそういった経過につきましては、担当官の方からお答えをいたさせます。
  12. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生御指摘のとおり、確かに、勤労者に対する教育機会を広くするという観点で、社会教育的な観点から議論がされておったことは事実でございます。その後具体的には、それを受けとめるに際しては、正規大学として受けとめたらどうかという議論になったわけでございまして、さらにNHKとも十分御協議をし、NHKにも御協力をいただいて議論を進めておる、経過としてはそういう経過がございます。  そこで、一番問題になりました点は、放送局大学を同時にあわせ持つということでないと、放送局大学とが別々の主体であると、そこに放送法制上の問題と大学としての学問の自由を保障する大学の自治ということの調整を図るという観点から、一つ設置主体で考えていかざるを得ない、それで、一つ設置主体として考える際に、いろいろ方式はあるわけでございますけれども先生案内のとおり、国立大学方式でいくことについては放送法制上の制約がある、それから、また私立大学でいくという方式もあり得るわけでございますけれども学校法人私立大学でいくということに関しましては、国との関与の仕方で私学の独自性というようなものとの関連問題点がある、そこで、放送局大学一つ設置主体として持つならば特殊法人という形態でいかざるを得ないであろうという結論を、私ども検討してきました際の経過としていただいたわけでございます。  その点は、衆議院の文教委員会の中に放送教育に関する小委員会を設けていただきまして、そこでも御議論をいただきました際の結論である、その結論を受けまして、今日御提案申し上げておりますこの放送大学学園法案は、特殊法人を設立するということをお願いいたしているわけでございます。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、それは詭弁だと思うのです。では、現行放送法特殊法人放送ならできるかと言えばできないんですよ。あなたがたは特殊法人特殊法人だと言ってカムフラージュをして免許を得ようとし、しかも、そういう考え方ですから、大学学園法附則でいいのだということで二、三行書いて、重大な放送体系の変更をやろうとしているんですよ。これはそんなものじゃないのです。  最近どうですか。財政再建上からいろいろ論議されておりますが、鈴木内閣の閣僚の中で、特殊法人政府機関だ、だから、剰余金があったら国庫に納付すべきではないか、そういう論が出てきている。  それからもう一つは、教育基本法の第九条第二項、この適用が雑則で決められておりますが、これを見ると「放送大学は、教育基本法第九条第二項の適用については、国が設置する学校とみなす。」、こう書いてある。だから、何と言おうと国が全額投資をし、手続はありますが、最終的には文部大臣が学長を任命する、だれが見ても、これは国立大学と変わらない。仮に特殊法人だとあなた方が言うとしても、放送体系を変えなければできないことなんですよ。  ですから私たちは、第一回目にこの法案が提出されたときにも、連合審査をやりまして、なぜこれを一緒にしたのだ、仮に最悪の場合でも分離をして、その放送基本体制について逓信委員会十分論議をし、その中で、それではこういう特殊法人の組織にも放送をやらせようという体制がつくられて、初めてこの法案が出てこなければうそなんだ。それを、放送法というのを非常に軽く見ていらっしゃるのではないですか。われわれとしては、さっき申し上げましたようなその答申におきましても、放送体制自体については、基本的にNHK民間放送二本立てでいくべきだ、これが厳守されていかなければならないと思っているときだけに、こういうやり方については非常に不安ですよ。  だからこの前も、次は分離して提案してくださいということを、これは自民党の委員を含めて全委員連合審査のときには述べております。それは昭和五十四年の五月二十五日の議事録をごらんください。宮崎委員を初めとして質問に立った委員は、すべてそれを言っているんですよ。にもかかわらず、これで提案はもう四回目ですか、そのことを全く無視して、そして今度も重大な問題をそらして、附則によって放送大学ができるような条項をちょこっとつけ加えてそれでごまかす、そういうやり方については、全く国会軽視もはなはだしいですよ。そういう中でこれをスタートすることについては、私たちは絶対反対だ、こういう態度をいま堅持しておるわけです。  これは理屈の通ったことでしょう。大臣、どうですか。こんなでたらめなやり方じゃだめですよ。
  14. 宮地貫一

    宮地政府委員 この連合審査におきましても、そのような御質疑をいただいたことは私ども十分承知いたしております。  そこで、放送法改正方法についての御議論がありましたことを踏まえまして、提案に当たりまして、放送法を所管されております郵政当局とも事前に十分その点も私ども相談をいたしたわけでございます。その点は従来から御説明を申し上げておるわけでございますが、この放送大学は、放送を行う大学でございますので、放送が行われなければ本来の意味がないわけでございます。  そこで、この放送大学学園が行う放送位置づけにつきましての規定、つまり、放送法上の位置づけ、この放送大学学園放送事業者としてどういう位置づけになるかというようなことにつきましては、たとえばこの放送正規大学としての教育に限られるというようなことでございますとかそういう点がございます。そこで、放送大学学園目的とか業務と密接不可分関係にあると考えられますので、その点は従来どおりのこの放送大学学園法案附則放送法上の必要な改正を行うことが適切であるということで、前回御提案申しましたものと同じ内容法案で御審議をお願い申し上げているわけでございます。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは何回も聞いていることですから、そういうやり方はいけないと言っているのです。  放送体制を根本的に変えるものですから、この法案については、もっと早く逓信委員会提案をされて、それがなされた上でいろいろ論議をして、その結果、それでは特殊法人としてやるべきであるという結論が出るか出ないか、これは論議してみなければわかりませんが、しかし、そういう論議を経て初めてこれが乗っていくわけじゃないのですか。一番の基本を全く無視したような形で、しかも、附則でもってやることは、全くおかしな、非民主的なやり方だということを私は言っているのです。これだけの基本的な改革をやるものが、附則で出してきて押し切ろうという態度について、私は非常に不満だと言っているのです。三百代言のようなことを何回言われても、これは私としては納得できない。  しかし、これは見解の相違でございますが、そういった点は行政当局も立法府の意見を十分に踏まえて、そして、われわれが審議しやすいように、そして民主的に事が運んでいくようにやるのがあなた方の責任じゃないですか。そういう点は、この法案廃案になっても出し、廃案になっても出しということで非常に執念でやっているようですけれども、後からお伺いしたいと思っておりますが、そのスタートを見ても、わずかに関東エリア、しかも、電波の到達するところ、そうなりますと、平塚の先になると見えなくなってしまう、立川の先になると見えなくなってしまう、そんなちゃちなものを、何でそんなに早く急いでやらなければならないのか、そういう疑問すら持つのです。近く放送衛星も打ち上がるでしょう。もう少し準備体制をちゃんと整備して、その上でやってもいいのです。いまやるのは非常に時期尚早だと私は考えるのです。  これは事務当局でなく文部大臣、そういう点は郵政当局とよく相談したという話ですが、われわれは郵政当局に対しても、これはけしからぬことだと言っているわけです。いま私が言っていることは、決して理屈上無理を言っているわけではないのです。勤労青年が、大学に行けない人たちが資格を取れる、そしてみんなが勉強できることはいいことです。ただ、現行法制体系に比べての問題で、何回も言いますけれども、無理なことをちょこっと附則でやるようなことは少しおかしいじゃないか、堂々と基本的な軌道を引いて、その上からやってきたらどうですかということを私は言っているのです。そういう点について全然反省していないのですか。
  16. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 本件につきましては、過去十年以来いろいろと御審議経過もあることと存じます。なお、その間に両当局郵政関係並びに文部関係におきましても、折衝を繰り返し、また、皆様方の方におかれましても、委員会としていろいろと御相談に相なったことと思うのでございまして、それが幾多の経過を経まして今日の段階に立ち至った次第でございます。何とぞよろしく御協力のほどをひとえにお願い申し上げます。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 幾らお願いをされても、その点は私としては了解できません。  それで、これは平行線でございますけれども、私が述べている趣旨大臣にもよくわかってもらえると思うのです。ですから、これは今度は三本立ての体制に変わっていくわけですから大変なことなんです。これは十分心しておいてください。  それから、次にお伺いしたいのは、放送法第四十四条三項の放送番組編成上の制約がございます。たとえば、一つは「公安及び善良な風俗を害しないこと。」、二つ目には「政治的に公平であること。」、三つ目には「報道は事実をまげないですること。」、四つ目には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、こういうようなものがかぶさってくるわけでございますね。  したがって、私どもは、この制約条項放送大学における学問あるいは教育の自由を束縛することにならないかという心配をするわけですが、その辺に対する御所見はいかがでございましょうか。大臣、どう考えていますか。
  18. 宮地貫一

    宮地政府委員 御質問放送法第四十四条第三項と学問の自由との関連についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、放送大学学園放送は、放送大学授業としての実質を持つものでございます。そこで、これが放送であります以上は、放送の中立公平ということが守られなければならないことも、これまた当然考えられる点でございます。  そこで、放送大学学園法案におきましては、放送大学学園放送番組の編集につきまして、放送法第四十四条第三項の規定を準用することにいたしております。これは一つには、同一法人放送大学学園大学放送局とをあわせ設置するということにしました放送大学学園のそういう考え方からしまして、当然に、大学放送局とが相互に密接な連携が維持できる、そこで、放送番組制作に際しまして、大学の側におきましても、放送の中立公平という趣旨に十分留意しながら、つまり、その点は大学自身が適正な自制をすることによりまして、学問の自由、教育の自由の本質を損なうことなく対処できるもの、かように考えております。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そういう抽象論で言われましても、私には理解できません。たとえば放送法にありますように、意見が違うものにつきましては「できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という四号がございますが、これ一つとってみましても、たとえばA教授B教授C教授といらっしゃいますね、その方々は、たとえば法律解釈をとってみても、それぞれ見解が違う場合だってあり得るのです。そういうときにどうして調整をするのか、学校放送の方でうまくコンビネーションを組んでやれば、その辺はうまくいけると言うのですけれども、具体的にその学者が持っている考え方を、これは直接に学生を初め不特定多数を含めた者も聞くわけですから、そういう場合に非常に多くの問題が出て、そのけじめがつかないだろう、したがって、法案上はむずかしいとは私も思いますけれども、何らかの配慮をしておかないと、ただ運営だけでできると言われても、了承するわけにはいきませんよ。
  20. 宮地貫一

    宮地政府委員 具体的に四十四条三項の規定関連してのお尋ねでございますが、その第四号の「意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という規定について、意見が対立している問題については、その論点を明らかにする方策についてこういう特別の規定がかぶさっているということになりまして、その点では大学講義方法に対する一種の制約になっているわけでございます。しかしながら、この規定そのもので具体的に講師の学問的見解を述べることが禁止されているものではないと私どもは解釈いたしております。したがって、そのことによって学問の自由が損なわれることはない、かように考えているわけでございます。  ただ、それでは実際に放送大学授業放送で流す番組作成過程がどういうようなことになるかということでございますが、こういう制約を受けております放送番組制作、実際には各授業科目ごとに、これを担当します教員と放送関係スタッフとがコースチームのようなものを編成いたしまして、それによってその中身を検討し、映像化していくということになるかと思います。  そこで、大学教学側スタッフとしましては、教育内容放送されるというようなことに留意し、もちろん、先ほど申しましたような放送法制上の制約ということを念頭に置いた大学教学側自体自制ということもございますし、また、実際に放送スタッフの側におきましても、もちろん、学問の自由というようなものに留意しながら対応することになるわけでございまして、その両者の間でチームを編成して十分検討し、お互いに意見を交換して、その調整を図っていくというような形で対応されていくわけでございます。  ただ、それらの調整の点について、何らか調整機関を明定しておいたらどうだというような御意見もいただいたりしているわけでございますが、大学教授の自由に対する制約の問題でございますので、そのこと自身は、大学学園の間における協議、それに任せる方がより適切ではないかというぐあいに私どもは考えているわけでございます。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 具体的な例を一つ出したわけですが、万事そういうことが出てくると思うんですね。教授自体が持っております固有考え方、これを否定するものではない、これはできない。そうなりますと、一つの問題に対して違った見解を持つ人たちが、それぞれ同じ問題について論議してくれればいいわけですね、この放送法上から言えば。しかし、実際的にはなかなかそうもいかないでしょう。そうなると、いま言ったスタッフを含めて何か工夫をすると言うのですけれども、そんな器用なことができるものでしょうか。それはA、B、Cの教授あるいはスタッフを含めて検討して一つ結論を見出すとしても、講義をしている中には、その教授の持っております固有考え方というのが必ず出てくるはずですね。そうなると、やはりこの法律制約というものは、学問の自由、教育の自由というものを相当ゆがめていく、こう判断せざるを得ないのです。  ですから、これはもっと慎重に考究をするべき重要な点だと私は思うのです。これは文部大臣、いかがですか。あなたはどう思いますか。
  22. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 今日われわれが考えております放送大学の構想におきまして、ただいま放送法第四十四条三項でございますか、いろいろな面におきましても意見の対立といったような御見解の問題もありました。しかしながら、大学の方でお願いいたしました各教授のいろいろな御議論の中で間々そういう問題があるといたしましても、そういう点はいろいろとその間に調整をしなければならない点があるかとも存じますが、これはいまのところ、そういうことばかり考えておりましたならば、先に進むこともできないような状態でございますので、その点は議論としてそういう御意見のあることは十分承っておきますが、どうぞこの点もよろしく御協力のほどをお願いいたします。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは大臣の答弁としてはちょっと私は受けとめるわけにはいきません。この法律制約に忠実に従うとすれば、一つの問題について、たとえば教授二人で意見の違いがあるとすれば、教授が交互に同じものについて講義をするということになれば、これはこの法律に抵触しないわけですよ。しかし、そういうことは実際上できないでしょう。朝六時から夜中までやって十八時間ですか、やるのだそうですけれども、それにしても具体的にそのテーマ、テーマについて意見が分かれているものに対して、二人の教授あるいは三人の教授がそれぞれ立って、同じテーマでやるというようなことはできないでしょう。だから、そういう点は、やはり大臣のおっしゃるような、うまくやりますからよろしくというようなそんなものじゃないですよ。やはり法律的にもきちっと、そういう点はやるところはやっておかなければ、後に悔いを残すと私は思うのです。  そういう点、私は、これは非常に重大な問題だと思うのです。さっきの電波放送体制を崩す問題と、ここらはまさに放送法との関連でわれわれとしてはこのままでは後に非常に問題を残すという考え方を持っているのです。だから、もう一遍出し直した方がいいですよ。そういう点を考えて、そう言っているのです。
  24. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほども説明申し上げたわけでございますけれども、もちろん、大学教育を行うに際して、放送という手段を用いるわけでございますから、放送法四十四条三項がかぶさるのは当然のことでございます。ただ、それと学問の自由との調整は十分なされておるのかというお尋ねでございますので、その点は先ほども申し上げましたように、この放送大学学園においては、大学放送局とを一体のものとしてつくっており、かつ、それについては四十四条三項と学問の自由との調整は、私どもは、この法制で十分調整できるもの、大学の自治も確保されているものというようなことで御提案を申し上げているわけでございます。     〔三ツ林委員長退席、佐藤委員長着席〕
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣の御答弁になった点について、大学局長はいまそうおっしゃるわけですが、それにしても、私たちがではそれでようございますと言うわけにいかないのです。もう少しはっきりと法文化できるものであれば法文化をして、その点の調整をするということにならないと、ただ運営に任せてくれと言われても、それは任せられませんというのがわれわれの考え方なんです。  大臣の言うように、これはいろいろ検討してやったことですからよろしく、こういうことじゃ済まされない問題ですよ。ですからここいらは、私たちと皆さんとの大きな考え方の相違になっているわけですが、私は、非常に問題が残っているところだと思いますので、これはいまの答弁で私がよろしゅうございますなんと言うわけにはいかない。これはあくまでも平行線をたどらざるを得ない、だから、もう一遍出し直しなさい、こう言っているのです。その方がベターじゃないですか。
  26. 宮地貫一

    宮地政府委員 大学の自治なり学問の自由の確保という点は、たとえば、これは既存の国立大学におきましても十分私どもは確保されているというぐあいに考えております。  そこで、この放送大学における場合の大学の自治なり学問の自由というものと放送法制との調整はどうかというお尋ねでございますが、その点はまさに、非常に基本的な一つ問題点として私どもも認識いたしております。その点をこの新しい放送大学でどう調和させていくかというところが、まさに一つのポイントと申しますか、大学として成り立つかどうかの一つの重要な点だと心得ております。その点については、私どもとしても十分議論をいたし、結論といたしまして、先ほど申し上げましたように、放送法第四十四条三項の規定がかぶさっておるけれども、それはやはり大学放送局と一体のものとしてこれがつくられており、一つ設置主体であることによってその調整が可能であるというぐあいに考えておるわけでございます。放送法四十四条三項の規定が、放送によって行われる教育の部分にかぶさってくるということは、放送である以上は当然のことでございまして、そこの調整については、いま申し上げたようなことで十分確保されておるから、これが大学として成り立つのだということは、るる御説明を申し上げてきているところでございます。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、いま局長から御答弁がありましたが、一応筋を立てて、確かに放送法制上問題があるということは認めた上で、しからば、その点を重要視して、それに抵触しないような形で何とか努力をしていきたいというような趣旨の答弁がなされたのですが、しかし、大学の自治と言ったって、普通キャンパスでやる場合と放送でやる場合とですから、これは全く違うんですよ。そこのところで四十四条との関連が出てくるわけでございますから、そこを私は聞いているのです。大臣のさっきおっしゃったことと、いま局長のおっしゃったこととの間には、やはり考え方がちょっと違っておる。大臣の発言では納得できない。あなた、取り消すなら取り消してください。そして局長の言うとおりであるというなら、これは一応私どもも、見解ははっきり違っておりますけれども、それはまた今後検討したいと思うのです。
  28. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 この放送法四十四条三項の四号の意見の対立の問題でございますが、もちろん立派な見識のある大学先生として、その御意見を述べられるわけでございますから、いまの対立した意見につきましても、差異の出ることもございましょうが、その点は今後の運営によりまして、さらに進めてまいらなくてはならない重大な論点であると存じます。  その点につきましては、私の前段のお話が明確を欠いておりましたならば御訂正いたしますが、同時にまた、この問題は学問の自由という問題と放送の問題との非常にむずかしい点であるということは十分に認識いたしております。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 局長、さっきから私の言っていることは、あなたにもよくのみ込んでもらったと思うのです。それは苦慮しているところだということもわかります。したがって、その点については、もう少し慎重に検討してみてください。われわれもまたいろいろ考えてみますが、あなたの言うことだけでは、これはやはり学問の自由が四十四条との関係で抵触をしてくるという結論なんです、私たちは。したがって、それをどうするかということは、いま大臣もちょっと発言がどうだとかこうだとか言いましたけれども局長の言われておるような線に沿って、その辺を調整して、放送法なり学問の自由と抵触のないようにしたい、こういうことですけれども、なかなかそんな器用なことはできないだろう、結局は学問の自由、教育の自由というものが制約されてくるという結果にならざるを得ないと私たち思っておるわけですから、その点については一歩も譲るわけにはいかないです。また同じ答弁をすると思いますから、これは平行線でございまして、だから、もう少し法制上何かうまいぐあいにできないのかどうなのか、そういう点は検討したのでしょうけれども、さらにもう少し再検討してみるという余裕はないのですか。
  30. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど来御答弁申し上げていることになるわけでございますけれども、その点は非常に基本的な問題点ということで、いろいろ従来も論議されてきたわけでございます。そしてすでに前国会でも、参考人で塩野東大教授もその点について御説明をされたわけでございますが、その際も、これは大学放送局とが同一の法人でつくられておるわけでございまして、大学が適正な自制をすることによりまして、学問の自由、大学の自治の確保は保たれておる、放送法四十四条三項の制約がかぶさっておりましても、それは保たれておるのだ、保たれ方としては、放送を通じて教育をするという限りにおいて、そこの部分について大学自体の適正なる自制によって、大学の自治なり学問の自由の確保ということが行われているという御説明であったように承っております。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは参考人を呼んで意見を聞くことは当然のことですけれども、それはたまたま塩野先生がそうおっしゃったのでありましょうし、また違った参考人は違う意見を持っているわけです。そこに相違があるのです。あなたは、自分のやったことをうまくフォローするために、都合のいい参考人の意見を持ってきて言っているのだけれども、そんなことでやろうったって、それはだめですよ。  ちょっと木島委員とこの点関連でかわりますから……。
  32. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。木島喜兵衞君。
  33. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大臣ね、これは基本的な問題なんですよ。これは基本的な問題だから、これをやっておったのでは前に進まない、こう言うのです。あなたおっしゃったことと局長の答弁とは違うのです。局長の答弁にも問題があるのです、あるが、しかしそれは局長のは、局長としていままでもずっと文部省で考えておった方針です。その是非はいま私は問いません。というのは、いまここでもってそれを議論しておったのでは前に進まない。それでは、これは基本的な問題だから、これで委員会がストップする。それしかない。  そこで鈴木さんが、取り消すなら取り消しなさいと言ったのは、基本的問題であるから前に進まないというところを取り消せと言ったのです。それを取り消さなかったら前に進みませんぞ。基本的にこのことをあなたはどう考えるのかということをぴしっとして、さっきの発言を取り消しなさい。それでなければ前に進まない。これではストップです。
  34. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私がただいま申したことは、いまお話のようにそんな便宜論で、ここで停滞しては困るから早く進んでくれといったようなことを申し上げたわけではないと存じております。問題は、何分にも非常に重大な基本的な問題でございます。しかしながら、過去十年の間にいろいろな議論が交わされておると存ずるのでございまして、私は、過去の詳細な経緯は存じておりませんが、そういう点はすでにいろいろとこの委員会で御議論になった問題であろうと存ずるのでございます。この議論が進まないからというようなことにつきましては、もし誤解がございましたならば、はっきりと訂正をいたします。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それじゃ、基本的な問題をいまやっておると前に進まないので、よろしくというようなところは取り消すというわけですね。それをはっきり言ってください。
  36. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 さようでございます。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは平行線でございますので、われわれの方もさらに検討しますが、大臣におかれましても、もう少し国民がなるほどという点を探求してみてください。  それから、放送大学の中では教養学部が設置されまして、所定の課程を経てきますと学士号がもらえるという仕組みになっておるわけですが、この点についてNHKにちょっとお尋ねをしたいのですが、いまNHKは第3チャンネルで教育放送をずっとなさっておられます。このチャンネルは、少なくとも免許の際に準教育放送として許可をされているわけでございますから、ほとんど教育に関する番組でございますが、特にいまここで問題になっております教養学部に属するとみなされるような放送というのは、いまどの程度放送をおやりになっておりますでしょうか。
  38. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  現在NHKの方では、教育テレビの方で教育番組というところが七九・八%、それから、いま御指摘の教養番組というところが一九・二%、合わせますと教育教養で九九%やっておるということでございます。またラジオの方では、教育の方が大体七七・六%、それから教養の方が一〇・四%ということで、合わせますと八八%やっておるということになります。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから今後、さらに教養番組についてはふやしていくようなお考え方はお持ちでございましょうか。
  40. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま申し上げたとおりの編成時間あるいは比率で放送をやっておりますけれども、現在NHKが、こういったテレビ、ラジオの特性を生かしてやっておるわけで、現在の放送時間量といったものにつきましては、過去の長い間の経験などにかんがみまして、一応国民の皆さん方の支持を得ているというふうに思っております。したがいまして、いまの時点でにわかに、教育教養番組の量をふやすとかあるいは減らすとかというような具体的な計画はいまのところ持っておりません。しかし今後とも、NHKに対する国民の皆さん方のニーズ、要望というものが出てまいりましたり、あるいは時代の要請というようなことがございましたら、公共放送としての使命を十分踏まえつつ、そういった問題については十分検討していくつもりでございます。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 この放送大学が始まりまして十数年ですか後に、大体八〇%くらいの全国カバレージをやるというような御計画のようでございますが、郵政大臣どうでしょうか、いまNHKの方からも教養番組について御見解が示されましたが、この放送大学ができた場合に、NHK教育放送との関係の中にかなりの影響があるのではないか。それは学園放送放送で体系的にずっとやるでございましょうし、NHKの方はNHKとして適時適切な教養番組というのをつくられて放送されると思いますが、いずれにしても、これが競合といいますか影響が出てくることは、私は免れないと思うのですが、その辺いかがでございましょう。
  42. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いろいろお話ございましたけれどもNHKは現に教育放送をやっております。そこに新しく放送大学学園放送が始まるわけでございますので、教育の面においては十分に話し合いをしてもらわぬといかぬと思います。そうしてお互いにダブらないように有効に放送を生かしていただきたい、こういうふうに考えております。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)委員 せんだって私は、文教委員会にたまたま傍聴に行っておりましたら、電波監理局長でしたか関係ないというような答弁をしておりまして、とんでもない答弁をしているなとちょっと私、感じたのですが、いまの大臣のおっしゃることでわかりました。監理局長より大臣に全責任があるわけですから、そういうふうに私は受けとめておきます。  時間がありませんので、体系的な質問ができなくてどうも残念ですが、大体放送大学が開設される時期とか、これからの計画はどういうようになるのでございましょうか。前回、私が連合審査でお伺いしたときには、それがいつになったらやられるのか、そういう計画は全くお持ちになっておらなかった。その後、何か中長期の計画を立ててこれでいくのだ、予算はこの程度かかるのだというようなスケジュールはできておりますか。時間がありませんから、お答えだけしていただいて、内容についてもしあるなら、それを資料として後ほど出していただければ、それでも結構です。
  44. 宮地貫一

    宮地政府委員 ただいま御提案申し上げております放送大学学園、この特殊法人の設立が認められますと、続いての計画としては、放送大学そのものをつくる段取りになるわけでございます。放送大学そのものをつくりますのは、この特殊法人文部大臣放送大学設置の認可申請をするわけでございます。それと同時に、放送免許の手続を郵政大臣にするというのが並行して行われることになるわけでございます。  私ども現在日程として考えておりますのは、大学の設置認可に約一年を要するということでございまして、学園の設立が五十五年度でございますと、大学の設置が五十六年度になろうかと思います。放送局の開設としては五十八年度を目途といたしております。したがいまして、実際の大学の学生受け入れとしては、ただいまのところ五十八年度の二学期からということで、ただいま考えております第一期の計画では、以上のような前提で進めていくことにしております。  それから、昨年の連合審査の際にも、全体計画のことについていろいろ御議論がございまして、その後私どもとしても――従来から御説明申し上げておりますように、この放送大学は全く新しい大学であり、かつ放送を使い片や学習センターを置きましてスクーリングを相当重視するというようなことがございますが、具体的なスクーリングのやり方でございますとかそういうようなものについて、まずは東京タワーから電波の届く範囲内での関東地域でスタートさせていただく、そこで、それを順次学年進行で完成をいたしまして、その後においてさらに全国的にカバーをしていく拡大計画を考えていくということで申し上げたわけでございます。  その目途が立っておらぬではないかという御指摘があったわけでございますが、私ども考え方といたしましては、ただいま高等教育全体につきましては、五十一年から五十五年までを高等教育の前期の整備計画ということで文部省としては取り組んでいるわけでございます。したがいまして、五十六年から六十一年くらいまでを後期の計画ということで取り組んでおります。これは高等教育全体の整備計画ということで取り組んでいるわけでございます。  その際、入学年齢になります十八歳人口の動向がやはり問題になるわけでございまして、後期の計画は六十一年度までを目途としておりますが、ただいま申しました十八歳人口は、現在約百五十万人台で一番低いラインで推移しておりますけれども、これから昭和六十五年度前後が一番ピークになろうかと思いますが、約二百万人にまで十八歳人口がふえてくる、その後昭和七十一年度くらいで百八十万人から七十万人台で推移をすることになっておりまして、ただいまの十八歳人口の約百五十万人台よりも約五十万人からふえてくるという時期が昭和六十一年から七十年までにかけて出てくるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、高等教育の後期の整備計画は六十一年までを目途にしておりますが、それから後の約十年くらいの期間でさらにそれに続く高等教育機関の整備計画全体を考えて取り組まなければならないことになっておるわけでございます。  放送大学の全国的な完成と申しますか全国をカバーする目途といたしましては、それらの計画期間内には達成することにいたしたいということで考えている次第でございます。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)委員 きわめてずさんなもので、七十一年に最終的に目標を置いているようですけれども、どこからどういうようになるのかさっぱりわかりませんね。ですから、そういう点がもしあるなら、時間がありませんから後でひとつ資料として出してください。  大学卒業の資格を与えるということも一つのいい点でありましょう、しかし実際には、三分の一の放送、三分の一の学習センターのスクーリング、三分の一の教材による勉強ということで学生にとっては大変なことだと思います。ですから実際に、一般の視聴者のほかに学生として六万円かの授業料を払って何人の人が入学するのか、教育の需要予測といったものがどうなっておるのか、私、疑問の点の一つなんです。  それから、十一の大学と七つの短大でいま通信教育を実施しておりますが、これとの関連はどうなっていくのか。特に最近の通信教育なんかの実際の状況を見てみましても、生徒がだんだんと少なくなっていっているということ、これも事実なんですね。したがって、大変困難な問題だと思います。  私が先ほど申し上げましたように、基本的な点もまだ非常に不明確ですし、長い間確保しておった電波でございます、しかし、その電波が宝の持ちぐされでいま眠っているわけです。もっと具体的に、北海道から沖繩までせめて主要な地域には最初から放送ができるような思い切ったものをやるならいざ知らず、東京タワーから発信をして、そのエリアの人だけが聞ける、そして学生になれる、こんなことは法律に基づく機会均等の精神からいってもおかしいですよ。何でこんなものを早くやらなければならぬのか、さっぱりわかりません。ですから、もう少し周到な配意をし、もしおやりになるならば、金がかかっても勇断を持ってやるべきではないですか。こんなちゃちなものを何で急いでやるのか、私たちにはわかりません。  したがって、この法案は、この国会ではぜひ撤回をしていただいて、もう一度、疑問点を国民が十分理解できるような形で整理をしていただいて、それで電波法、放送法改正についても、ちゃんと分離して逓信委員会に出して、ようしそれならばこういうことで大学放送法の方はやることにしましょうというふうなきちっとした道筋をつけて、それからはおやりになった方が私はよろしいと思う。こんなちゃちなものをやることについては時期尚早です。だから、私は反対します。大臣に答弁を求めれば、それは困るからやってくれ、こういうことになるから答弁は要りませんけれども、私は、そういう意見を強く述べて終わります。どうもありがとうございました。
  46. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 久保等君。
  47. 久保等

    ○久保(等)委員 私ども逓信委員会の方では、昨日、例の非常に重要な案件であります郵便料金値上げの法案が衆議院を通過した、そういった情勢の中で大変な重要法案を抱えて審議を続行しておったわけでありますが、放送大学学園法案の問題についての連合審査をぜひきょうやれという強い要請がありましたが、私自身、きょうもわずかに三十分程度の質問時間しかありません。  そこで、この放送大学学園法案の意味するところは、近代的な電波を使って大学教育をやろうという、きわめて歴史的な画期的な大構想に基づく教育制度をここにつくろうとしておるわけであります。当然、単に従来の限られたキャンパスの中における教育と違って、電波は限りなくとにかく普及してまいるわけであります。そういう重要な問題でございまするが、今回の法案は、すでにもう何回か文教委員会の方でも審議がせられたようであります。その間、国会そのものも二回にわたって解散、総選挙といったような事態もあるわけなんですが、私は、何かしら急いでこの法案を片づけようという意図がきわめて露骨に出ておることにつきまして、まことに遺憾に思っております。  そのことをまず野頭に申し上げて、今回出されてまいった法案は、国会に提出せられた回数は何回になりますか、簡単に一言……。
  48. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げますが、四回でございます。
  49. 久保等

    ○久保(等)委員 私も、昨年の五月二十五日の文教・逓信の連合審査に参加してお尋ねをいたしました。それから満一年半ばかりになります。少なくとも通常国会がその間二回あったと思うのでありますが、長期の通常国会二回においても本案が廃案になる。いまもお話がありましたように、今回で四回国会に提出してまいる、しかも中身については、一言一句も違った形にはなっておらない。かねがね私どもが申しておりますように、放送法にとっては非常に画期的な大変な変革をもたらす案件であるから、ぜひひとつ国会の審議方法としても分離をして提案すべきだということを、私ども、特に党としては文教部会長、私も逓信部会長をやっておりますが、二人でもって特に時の文部大臣あるいは郵政大臣にも強くその点を要望してまいったところであります。また、昨年五月二十五日の連合審査機会にもいろいろと注文をつけたわけであります。しかし、今回提案せられました法案には何らそういったことについての手直しなり反省の色が見られない。私は、国会の審議を一体どう心得てお聞きになっておったのか、はなはだ実は疑問に思うわけなんですが、余り時間がございませんから、端的にお伺いしたいと思うのであります。  放送法改正問題がずっと前々から、この学園問題に限らず一般的な問題として提起せられております。こういった問題が不問に付されたままで今回こういう放送法の大改正を、しかも、学園法案附則の中で取り上げて提案をしてまいっておる、しかも、その中身を見ますると、第二章の二を設けて第五十条の二といったように、きわめて何か便宜的な一章一条、一章も独立した豆早ではなくて第二章の二、一条といってもこれまた五十条の二、こういう法体系をもって提案せられてまいっておるわけであります。まことに便宜的なこそくな形で提案をせられてまいっておるわけでありますが、一体こういう重大な問題について、郵政省ではどの程度、審議会なり委員会なり、そういったところで検討したのか。昨年の実は連合審査機会にも、当時の平野電波監理局長から、十二分に文部省とも連絡をとりながら、学者あるいは学識経験者その他専門家の意見を聞いたのだという御説明がありましたが、一体具体的には、どういう場でいつこの準国営放送といったような新しい制度をつくることを決定せられたのか。  時間がございませんから、きわめて具体的に端的にひとつお答えをお願いしたい。やっていないならやっていない、ひとつ端的にお答え願いたいと思います。
  50. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  この問題は、たしか四十四年ごろから発足したと思いますけれども、四十五年九月に郵政省の中に放送大学放送施設調査会、会長は長谷慎一先生でございますけれども、そういうものを設置いたしまして、放送大学放送局の建設費及び運営費の試算等を行い、四十五年に報告書を提出したわけでございます。またその後、文部省の方に放送大学設置に関する調査研究会議というものも設置され、また四十九年五月には、これも文部省の方で放送大学創設準備に関する調査研究会議が設置されたわけですけれども、そういう調査研究会議には一応私どもの方の企画課長あるいは技術課長というものが委員として参加しておるわけでございます。また、組織運営専門委員会というようなものも設置されたわけですが、これにも両課長が委員として参加しておるというようなことでございます。
  51. 久保等

    ○久保(等)委員 そういう文部省なりの中で、この大学学園を創設するに当たってのいろいろな準備の会合、そういったことを聞いておるのじゃなくて、現在ある放送法は、御承知のように公共放送民間放送、こういう二本立てになっていて、したがって、法律そのものも公共放送と一般放送事業者といったような形になっておるわけなんです。その間に今度、国営放送あるいは準国営放送という解釈の仕方もあるかもしれませんが、とにかくいずれにしても、従来の放送体系とは違った新しいものを、先ほどちょっと申し上げたように、一章設けて新しい制度をここに発足させようとするわけですね。  そういう大方針が一体どういう機関で、いつどこで決定をせられたのか、それをひとつ明確にお答え願いたいし、もしそういった手続を経ていないなら手続を経ていません、ただ、大学学園をつくるということについていつとはなしに協議をして今日に至ったということなら、その事実関係だけ簡単に一言お答え願いたいと思います。
  52. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  特に委員会あるいは連絡会というようなものを、文部省との間で設けたわけではございませんけれども、今日までいろいろ指摘されましたような、たとえば四十四条の三項をこの法案の中にかぶせることが適当かどうか、その他いろいろ御論議いただいている点について、その都度相談しながらまいったというのが真相でございます。
  53. 久保等

    ○久保(等)委員 私が聞いているのは、法案全体に対してどうこうという問題ではなくて、放送法の新しい制度をつくるわけですから、新しい体系を一つつくるわけですから、そのことについては、少なくとも何らかの委員会なり機関で――とにかく新しく創設しよう、従来、一般事業者とそれから公共事業者と二つあるが、今度新しい第三のというか、もう一つつくろうというような問題、これはここに大変大きな一つの政策を樹立するわけですから、そういったことが何らかの委員会なり何らかの場で正規にきちっと議論せられて決定されることは当然です。  いまのような問題は、電波法の中に、あるいは放送法の中に規定せられている電波審議会あたりでも扱うことのできないような大きな問題なんです。あの電波審議会というのは、放送秩序を守るためにいろいろな規則が適当であるかなんというような細々としたようなことを審議することになっていますが、いま申し上げたようなきわめて重大な決定は、電波審議会といえども扱うようなことにはなっておらないようです。  それほど大きな問題を、いまのような答弁で――一体いつどこでだれが決めたのか。世の中に出て自然に相談しているうちにでき上がったのだ、それで第二章の二を設けたり五十条の第二を設けたりというようなことをやったこと自体、私に言わせれば、何らの準備もなくして唐突にそういうことを決定していい問題ではありません。これは郵政大臣、直接お答え願いたいと思うのです。
  54. 山内一郎

    ○山内国務大臣 現在の放送法は、放送体制としてNHKと一般放送事業者、この二つあるのでございますが、今度新しく放送大学学園による放送を始めたいと文部省の非常に強い御意向があったわけでございます。郵政省といたしましては、放送に関しては両者に並んで新しい体制をつくるというのは認められますけれども、それ以外の点で放送の根幹に関することは一切従来の放送法によってもらいたい、こういう意向で今回の学園法の提案がなされている、こういうように考えているわけでございます。  したがって、附則においてというのはどうも軽視じゃないかという点も御指摘ございますけれども、いま申し上げましたように、放送法の根幹は全然変わってないのですから、それに従ってやってもらいたいということで、軽視と言われれば軽視かもしれませんけれども、従来の法律改正関連ということで附則改正というのもたくさんございますので、その例にならったと私は考えております。
  55. 久保等

    ○久保(等)委員 これは見解の相違という問題でないと私は思うのです。放送法自体をよく見てください。いかな素人でもわかるのですが、放送法は現在、第一章「総則」、第二章「日本放送協会」、第三章「一般放送事業者」、第四章「罰則」、これででき上がっているのです。したがって「日本放送協会」と「一般放送事業者」の間に今度一章設けようというのでしょうが、その一章も、先ほど申し上げたように、きわめてこそくな、第二章の二、しかも、その一条も五十条の二、それだけです。しかし、従来あった放送協会と民間放送、こういうものに対して全く異質の放送大学学園という放送事業者を今度はつくるわけですね。  これを大臣、その間にちょっと入れて附則にしたのはあたりまえだというようなお話ですけれども、そういう附則にしたとかしないとかいう問題は別にして、私のお尋ねしているのは、そういう重大な第三の放送事業体をつくるのについて、郵政省としては、郵政大臣としては、どういう機関でどういう場所でいつ決めたのかということをお尋ねしているのですから、それに対する明快なお答えをいただければいいので、そういうことはやっておりませんというのが事実ならそのとおりと一言言ってもらえればいいのであって、附則云々の話まで私はここではお尋ねしていないのです。
  56. 山内一郎

    ○山内国務大臣 文部省の方でいろいろ御検討されまして、放送大学学園をひとつ今度やろうじゃないか、こういう御決定に従って放送法にどういうふうに取り入れていくか、その学園放送によって放送法基本的な問題がどこか変わるということであれば、先生のおっしゃるとおり、これは全面的に改正しないといけないのでございますが、従来のNHKと一般放送事業者と同じ精神で放送をやっていただく、こういう点について申し上げているわけでございます。
  57. 久保等

    ○久保(等)委員 時間がありませんから、余りこの問題だけでやっておっても意味がないと思うのですが、しかし、私がいま申し上げたことを、これは速記録でもひとつ十分に見、識者の意見も今後聞いてもらいたいと思うのです。こういったところで結論を出そうと思っても無理な話ですが、しかし、新しい民間事業体、希望者が申請をして、それを許可するとかしないという問題ではないのです。とにかく今日まで考えられるのは、従来から臨放調でも言われておりますように、二つの体系というものは非常に好ましい理想的な姿なんだという考え方で終始してきているのです。そういう制度の中に国営放送というものが新しくできることが従来の体系を崩すものでないという、そんな説明はいただけません。そのことだけを明確に申し上げて、なお今後、根本的な問題でありますだけに、私は何か調査会でも設けて、徹底的にひとつ議論をして、この問題について結論を出せということを昨年来申し上げておるのですが、そういったことも一向にやっておらない、まことに私は遺憾でありまして、時間がございませんから次に移ります。  計画の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、これは昨年の連合審査でも文部当局に私、お尋ねをして、それについては当時、鋭意努力をして、とにかく早く具体的な計画をつくりたい、こういうお話が答弁としてございました。もう一年半たったのですから、文部省で今回非常に急いでおられるようでありますが、そんなに急がれるなら、少なくとも昨年連合審査お尋ねしたことについては答えられるような具体的な計画をお持ちのはずであります。そのことについてお尋ねいたしますが、計画自体を見直したということであれば、見直したということについて簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  58. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  先ほども鈴木委員の御質問の際にお答え申し上げた点に尽きるわけでございますけれども、従来、全国カバーをするめどはいつかということについては、連合審査の際には具体的にはお答え申し上げられなかったわけでございますが、その後の審議経過で、先ほども申し上げましたように、高等教育の整備計画全体の中で、五十六年度から六十一年度までが後期の計画でございますが、それに引き続く高等教育の整備計画全体を約十年の期間で定める必要があろう、その中において、この放送大学の全国的な整備についても具体的に取り上げていくというような点で御説明を申し上げているわけであります。
  59. 久保等

    ○久保(等)委員 放送衛星が打ち上げられるということが具体的な日程に上がっておるわけですが、そういう中で昨年の連合審査のときの御説明では、特に例の昭和五十年の十二月におつくりになった「放送大学基本計画に関する報告」、この中で具体的な数字等を挙げられておりますが、たとえば例の「全国各ブロックの世帯数の八〇%程度をカバーする」、そういったことを最終的に一つの目標にしておられるようですが、そのときにはおおよそ経費も四百二十億くらいかかるだろうという計算なんですが、これは恐らくもう今日全く架空の、問題にならぬ数字だと私は思うのです。  一点、たとえばの話でお尋ねしますが、その最終段階における四百二十億というのは、一体どの程度の金額になるか見直されましたか、ひとつ数字でお答え願います。
  60. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生御指摘の基本計画の数字についての見直しはどうかというお話でございますが、私ども五十年価格で計算いたしたものの五十四年度価格による試算は、全体規模の試算としては、いろいろ前提はあるわけでございますけれどもいたしております。  なお、先ほど放送衛星のお話もございましたが、放送衛星をこの放送大学にどう利用するか、積極的に利用すべきではないかという御意見もございまして、それらについても、これは今後、関係省庁間で十分協議をしながら積極的な姿勢で取り組みたいというぐあいに考えております。  全体規模につきまして資本的な投資額が、五十年度価格では、これは全体でございますが、約八百六十七億程度でございましたが、それを五十四年度価格で試算をいたしますと、約千九十二億くらいになるというぐあいに試算はいたしております。
  61. 久保等

    ○久保(等)委員 そういったものも、私の手元に持っておるのは青表紙のいま申し上げた報告書なんですが、そういったことを、これはもう一年半もたっているのですから、今回、先ほども申し上げたように、この法案をぜひ通したいのだと言ってやられるのなら、ことしというのは無理かもしらぬけれども、五十四年度当時くらいの物価なり人件費なり、いろいろそういったものを積算した形で少なくとも総額程度は、この前には四百二十億というようなことで提案したけれども、まあ今日は、一千億になる、あるいは二千億になるといったようなことのおおよその数字的なものを、見直したものを整備して、きちっと出すべきだと思うのです。それもしなくて、たとえば、いまお話にあった最終的には八〇%カバーというのは、全国およそ二百カ所くらいの送信所を設けようというのでしょうが、一体送信所を設けるのに、その送信所自体の坪数はおおよそどの程度の坪数を、約二百カ所の送信所をつくる場合にどのくらいの坪数を予定しているのか、これも価格の問題は別にして、一体どのくらいのスペースがあればいいと計算しておりますか。
  62. 宮地貫一

    宮地政府委員 送信所の建設等具体的な技術的なことについては、郵政省とも十分御相談をしながら、先ほど申し上げましたような試算はいたしておるわけでございます。試算額につきましては、必要でございましたら資料としてお出ししてもよろしいかと思っております。
  63. 久保等

    ○久保(等)委員 だからトータルした坪数くらい、何坪くらいのことを考えておられるのか言えるのじゃないですか。一カ所一カ所は要らないから……。
  64. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  まことに不用意でございますが、手元にいま資料がございませんけれども、私ども郵政省の部内でもまた精密な計算をやっておりますので、お許しをいただいて後刻お出しいたしたいというふうに存じます。
  65. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは、次にお尋ねしますが、特に当面の第一期計画、これはことしの九月につくられた「放送大学について」という青表紙の資料をちょうだいしていますが、この四ページにあります資本的経費九十七億円、ただし、これは何か用地の問題等については全然購入費は含まれていないというのですが、特に土地の価格というものは大変なもので、なになんですが、これも私、六カ所と予定されておりますところは、一々についてお聞きしませんけれども、トータルではどの程度の坪数をこれまた予定しているのですか。当面、いろいろだだいまお考えになっておるのだろうと思うのですが、どのくらいの坪数を予定していますか。
  66. 宮地貫一

    宮地政府委員 学習センターとして予定をしておりますのは、約二千五百平米を予定をしているわけでございます。したがいまして、それに要します敷地でございますが、敷地の価格については、先ほど申し上げましたようなことで、ただいま積算の基礎としてはまだ入れていないということでございます。
  67. 久保等

    ○久保(等)委員 ですから、その資本的経費九十七億円という数字はここに出ているのですけれども、そういう土地購入費、今日一番問題になるのは土地の問題だと思うのですが、そういった購入費については数字的に全然示されておらない。これは当面、四年かその前後でとにかく実施をする計画だと思うのです。だからせめて、そういったことについても、もう少し私は具体的な数字というものが出てこなければならぬと思うのです。  来年度予算あたりで当然、文部省はすでにもう要求書を出しておると思うのですけれども、五十六年度あたりでの予算の見積もりというのは、現在一体どの程度この放送大学学園について考えているのですか。
  68. 宮地貫一

    宮地政府委員 五十六年度の概算要求額といたしましては、金額で約十三億を要求いたしております。と申しますのは、ただいま五十五年度予算に計上されておりますのは、出資金その他が計上されておりまして、この特殊法人放送大学学園そのものが認められますと、それの第二年目と申しますか、それを平年度化した経費を五十六年度予算額として要求いたしているものでございます。
  69. 久保等

    ○久保(等)委員 計画については、昨年の連合審査機会に私がお尋ねした際にも、現在鋭意検討をしているところでありますといったようなことが言われておるのですが、まあ、いまお尋ねするところによりますと、どうも鋭意努力をせられた一年半における計画というものについて、その間、昨年よりも相当具体的にわれわれに説明をされるという状態にはなっておりません。私は、そういった点から考え合わせましても、なぜこの法案審議を非常に急がれるのか、その真意が非常に不可解であります。  特に、最後になりましたが、放送法改正の問題に関連して強く昨年来私ども要望し、また昨年来、特に国会が、先ほども申し上げたように通常国会が二回も開かれた、当然私は、その間における国会の委員会での審議なりあるいは連合審査における審議なり、そういったものが十分に取り入れられて、その上に立って法案提案されてしかるべきだと思うのです。法案そのものは、本来でありまするならば、三回も廃案になるような法案は国会に出すべきではありません。少なくとも廃案になるということは、すなわち、国会の意思が、決定をすることができない、要するに適当でないという判定が下ったのと同じことなんですから、そういったものを、三回でも四回でも五回でも何回でも出すなどというのは、まことに私は国会軽視だと思います。また、審議そのものを無視しておると思うのです。  一体、昨年来国会で審議されたことはどこにどう生かされておるか、残念ながら何も生かされておりません。このことについて私は厳重にむしろ警告を発しておきたい。文部大臣あるいは郵政大臣にしましても、もうすでに担当者はそれぞれ交代してしまった、そういう中でなおかつ強行しなければならぬ、ぜひひとつ何とか早く成立をさせなければならぬといった理由はどこにあるのですか。特になぜ急がなければならぬのか。また附則の問題で扱うには余りにも大き過ぎる放送法改正問題については、分離して単独に出すべきだという私どもの主張に対しても一顧だに与えない。一体それらの理由がどこにあるのか。私は、放送大学といったような、事教育に関するような問題については、与野党を問わず、とにかく全会一致で、やはり将来に対する非常に大きな夢と希望が持てるような形で発足をすべきだと思うし、放送大学そのものをつくることについては、私どもは決して反対ではありません。できるだけ教育機会を多く持つ、また特に、放送大学がねらっておるのは、僻地の人たち教育機会均等を与えようという考え方から発足しているのですから、そういう立場からまいりますならば、放送でなければできない教育の面があると思うのです。そういう点からいくと、残念ながら、計画を見ると、東京タワーから東京の首都圏方面だけにまず電波を出すというような計画だけが先行して、この点だけはある程度はっきりしておりますが、しかし、その後の計画になると全くもことして見通しが立たない、そういう放送大学学園というものを一体なぜ急いでつくらなければならぬのか、まことに私どもは不可解ですし、非常に大きな疑問を持たざるを得ない。  したがって、先ほど来のこの問題については、法案を撤回して、分離して提案をすること、しかも、放送法改正問題については、さっき郵政大臣の御答弁がありましたが、これは全くいただけませんが、調査会等を設けて徹底的に議論をする、そういう中で放送法改正を行い、順序としては大学学園法案を国会に出してまいる、そのときには附則の中には放送法の一部改正などは入っておらぬわけですから、そういう形の審議をして、堂々と審議をし、堂々と国民一般に、衆知を集める形で、放送大学学園として将来皆が非常に希望の持てることが約束せられるような学園をつくってもらいたいと思うのです。  もう時間が参りましたので終わりたいと思いますが、本日の審査における私の質問時間そのものもきわめて窮屈な中で、昨年来の私自体が質問いたしましたことについては、重複を避けてお尋ねしたつもりなんですけれども、しかし、少なくともいずれも根幹に触れる問題であろうと思いますから、ぜひ慎重に扱ってもらいたいと思うし、この法案そのものは当然撤回してしかるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
  70. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 阿部未喜男君。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まず、文部大臣郵政大臣に伺いたいのですが、先ほど来同僚の議員がくどくなるほど質問をされておるのに、御答弁がどうも聞いておって私には納得ができないのでございます。この放送大学学園法案が今回で四回目の提案であるということでございますが、なぜこの学園法案が成立をしないのでしょうか。学園法案が四回も成立をしないという理由について、文部大臣はどうお考えか、郵政大臣はどうお考えか、そこから承りたいのです。
  72. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えをいたします。  この放送大学学園法案の問題につきましては、今日の日本のありようから申しまして、開かれた教育、開かれた大学、生涯教育という面から申しますと、教養の面におきましても非常にレベルが高くなっておる次第でございます。同時にまた、大学教育にいたしましても、この新しい放送、ラジオ、テレビというものを活用いたしました大学を近代的につくらなければならぬということは、われわれの念願でございますと同時に理想でございます。さようなことから御提案を申しまして、以来もはや十年近くを経過いたしておるのでありますけれども、昨年、一昨年と御成立をいただくことができませんでした理由といたしましては、私は、この放送大学内容というよりも、むしろいろいろな客観的な政治情勢あるいはまた国会のあり方というようなことから御成立をいただけなかったというように考えるのでございます。同時にまた、昨年出しました法案をそのまま御提案申し上げておりますのも、そういうふうな経過を踏まえまして再度御提案申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。
  73. 山内一郎

    ○山内国務大臣 文部大臣のお答えしたと大体同様でございます。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先ほども議論がありましたけれども、いわゆる三回、今回は四回目でございますが、いままで廃案になったり、あるいは成立をしなかったのはいろいろな政治情勢等だとおっしゃいますが、それでは政治情勢がどう変化をしたから今回お出しになったのですか、そこをお伺いしたいのです。
  75. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 法案内容におきましては、政治情勢は内容的には変わりませんので、法案もそのまま再提出させていただいたわけでございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 きわめてふまじめで、まるで答弁になっていないでしょう。廃案になったものを今回また提案をする。なぜ廃案になったのかと言ったら、政治情勢がいろいろあって今日まで成立ができなかった。廃案になってもう一度出すということは、政治情勢が変わったから改めて提案をされた、こう私は受けとめたのです。そこで、政治情勢がどう変わったというふうにお考えになっておるのか、こう聞いておるのです。政治情勢がどう変わったから、廃案になったものを改めて提案したのか、そこを聞かしてもらいたいのです。
  77. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答え申し上げておりますのは、この法案内容そのものは、全く変わってはおらないのでございますが、その間政治的に、いろいろ解散その他の経過がありましたことは、先生よく御承知のとおりでございまして、そのことを私は申しておりますので、案それ自体はりっぱな法案でございますし、前に御提出いたしましたものをそのまま提出させていただきました。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 逆なんですよ。国会の審議を通じていろいろな御意見を承った上、法案内容をこう変えますから、もう一度御審議をいただきたいというのならば、これは明らかに国会等に対する行政府の責任を明確にしたものでございましょう。しかし、法案内容が変わらないからそのまま出すのはあたりまえでしょう、まさに国会をばかにした話で、変わらないものならば、廃案になった途端に終わっておるのです。変わったから法案内容をこう変えますので御審議を願いたいというのが筋ではないのですか。どういうことなんですか、これは。
  79. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほどの御説明でも申し上げましたが、放送法改正についての経緯についでは、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。もちろん、従来の国会のこの法案についての審議については、私どもとしても、検討すべき点を十分検討いたしておるわけでございます。  ただ、この法案そのものが、特殊法人放送大学学園法案としての御提案でございまして、いろいろ論議の中で出てまいっております点は、今後、この放送大学を実際に運営していくに当たりまして、大学の自治の確保でございますとか、そういう点でどうかというような点がいろいろ御議論が出されております点については、私ども法律規定としては、現在の規定で確保されていると考えておりますが、なお、具体的な運営そのものは、今後、大学がみずから運営をしていくに際して大学に任せるべき点も大学の特質として当然あるわけでございます。その際に、国会の御審議はその運営に当たって十分に生かしていくように、その点は私どもとしても、十分そういう配慮で対応したい、かように考えております。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、前回の審議の過程での具体的な例を申し上げますがわれわれとしては、現行放送法制上重大な変更を加える内容のものであるから、したがって、放送法改正については、切り離して十分な議論ができるようにしてもらいたいということを強く要請してきたことは、先ほど来同僚の議員が述べたとおりでございます。それだけ放送法改正放送大学学園の設置とを切り離して提案をしてもらいたいという国会の強い意思に対してどうお答えになっておるのですか。
  81. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほどもお答えした点でございますけれども廃案になりました後、私どもとしても、郵政当局、さらに法案内閣法制局等の審査の段階におきましても、その点を十分議論いたしまして、やはり私ども結論といたしましては、この放送大学学園法案の仕組みと放送法制上の位置づけというものは密接不可分な形でございますので、先ほど郵政大臣もお答えになりましたような通常の形式としての放送大学学園法案附則でその改正を考え、今回御提案さしていただいたというのが、その間の経緯でございます。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、国会の議論を無視しておると言うのです。国会の議論は、明らかにこれは切り離して提案をさるべきものであるということになっておったはずであります。それをあなた方の一方的な解釈で附則でやった方が、そういう例もあるのだからよろしい、こういう御答弁でございますが、しかし、附則でやらなければならないという理由が一体具体的にどこにあるのですか。切り離したらどういう不都合が生ずるのですか。そこをひとつ明快にしてもらいたいのです。
  83. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど来、御答弁している点でございますけれども放送大学学園法案では、これは放送大学を設置するわけでございますけれども放送大学であります以上は、放送による教育を行うことが大前提ということになろうかと思います。そういたしますと、この放送大学学園そのものが、放送事業者といたしまして、放送法制上の位置づけがどうなるかということが定められませんと、放送大学学園そのものがつくられましても、それの放送法制上の位置づけというものが、やはり放送大学学園がつくられます以上は、それが放送法制上の位置づけとしてどうあるべきかということか、議論としてはその点が――放送法上の位置づけというものを前提としなければ放送が行えないというようなこともございますので、そういうことで、私どもとしては、放送大学学園法案改正放送法改正という点は、密接不可分で切り離すことが適切でないという判断で、附則改正で御提案申し上げた、かような次第でございます。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法制局お見えになっていますか。――これは一昨年になりましょうか、私ともの逓信委員会で、郵便貯金法の一部改正の際に、いわゆる進学ローンの取り扱いについて国民金融公庫法の改正と郵便貯金法の改正とは、まさに密接不可分ではありましたけれども、明らかに別個の法案として審議、成立せしめた経過がございますが、その場合と今回の場合にはどういう違いがあるというふうにお考えですか。
  85. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  進学ローンのときの議論の経緯は承知はいたしておりますけれども、その場合には、国民金融公庫法の改正の問題と、それから郵便貯金法でございましたかの改正と両方あったわけでございます。その関係で、それにたしかあれは国民金融公庫からの貸し付けの方だったと思いますが、それを郵政省に移すのについては、これは国民金融公庫法の改正でいくということで、これは国民金融公庫の業務と密接な関連があるということで、そういうふうにしたのだと思います。  それから、進学ローンのもとと申しますか、あれの郵便貯金に一つ制度を設ける点につきましては、これは郵便貯金法だったですかの方でやらなければならないということで、法律としては二つに分かれておったということだと思います。  今回の場合は、先ほど大学局長からも御説明がありましたように、放送大学をつくる以上は、その放送を行うという前提として放送事業者の規律をするという、事業者としての規律が必要になる、それは放送法の体系であるということでございますので、それは当然、放送大学を設置して、その運営をするという以上は必要になってまいりますので、そこで、放送法改正附則に織り込んだということでございます。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 このことはここで議論しても始まらないのですが、しかし、郵便貯金法の改正の場合には、国民金融公庫が進学ローンというものをつくる、その中で郵便局も一つの窓口となるという、きわめて軽微な内容改正であったけれども、明らかにこれを二つに分けて、それぞれ審査をしたいきさつがあります。むしろ今回は、そういう内容ではなくて、いわゆる放送法体系全体にかかわる重大な問題ですから、国民金融公庫法と関連をする郵便貯金法の一部改正法案でさえ分離して審査をしたものを、日本放送法制上の大問題であるのに、なぜ附則でもってやらなければならないか、その扱いが統一を欠くではないか、ここのところをお伺いしておるのです。どうですか。
  87. 関守

    ○関(守)政府委員 今回の改正につきましては、確かに御指摘のように、放送大学放送事業者として位置づけることにつきましては、放送法上の問題としては重要な問題だろうかと思います。ただ、その仕組みと申しますか、それが放送大学学園をつくるということに伴いまして当然に一体としてそういう放送事業者としての位置づけが必要になるということでございますので、切り離してその提案を申し上げるというのにはむしろふさわしくないのではないかという感じがいたすわけでございます。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、文部大臣にお伺いしますが、確かに放送大学学園というものが国民にいろいろ有益な効果をもたらすであろうという点について、私どもは、必ずしも反対するものではございません。ちょうど原子力というものがエネルギーとしてきわめて効用の高いものであるということが議論をされておる、しかし同時に、原子力はきわめて危険な物質であるということについても議論をしなければならない。いまの議論は原子力の効用についてのみ述べられて、原子力の危険性について考えられていないのではないか。いま放送法体系が、先ほど来述べられておりますように、公共放送であるNHKと一般放送事業者免許をする、いわゆる民間放送二本立てが最も好ましいというのが今日までの議論でありました。しかし、もしそうでないとするならば、現行放送法制上、国が放送局免許の対象とならないというたてまえをとってきておる理由は一体どこにあるのでしょうか。
  89. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 非常に重要な大学教育というものは、御案内のとおりに教育の大憲といたしましてあくまでも中立性がなければなりませんし、あくまでも公益性がなければならぬという問題、それと今回の国が行います社会教育あるいは生涯教育、さらにまた、そこには一定の資格も与えるという今回の放送大学学園法というものは、この国の大学によります法制、それでは直接行うことができないラジオ、テレビというものを行わなければならないということと、それから放送法によります規制、そういうふうなものを、両々相まちまして別途な特殊法人をつくることによって解決いたしたい、かような理想を考えておる次第でございます。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 教育が非常に大切であることは、私もよく承知しております。しかし、誤った教育はいけないということも、これは間違いないはずでございます。誤った教育をしてはいけない。それはたとえば戦前の軍国主義の教育などというものはいけないということが、いま明らかに憲法の中で反省されておるところでございますが、そこで私がお伺いしたのも、どうも文部大臣ではわからぬようですから、電波監理局長、見えていますか。――今日までの放送法制上、国か放送局免許の対象たり得ないというたてまえをとってきた理由はどこにあるのか、それをお聞きします。
  91. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねのございましたように、放送法制定の趣旨から見まして、現行の放送法は国が放送事業者となることは予定しておりません。これは国という非常に強い力のあるものが放送という非常に影響力の強いものを行使することは好ましくないという考え方かと思っております。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 文部大臣、お聞きになりましたか。そういうきわめて危険な内容がある、国が放送を持つことは非常に危険だという考え方から、歴史的な経過を踏まえて国を放送局免許の対象としないというたてまえが大体でき上がっておるわけです。ところがいま、この放送大学学園法は、国に準ずるものに放送局免許を与えようとしておるのです。私は、これは非常に危険だと思うのです。なぜ一体、この大学国立大学にしないのですか、まず、そこからお伺いします。
  93. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  先ほども設置主体をなぜ特殊法人にしたのかというお尋ねの際に申し上げたわけでございますけれども放送大学の設置形態としましては、放送大学という観点から着目すれば、国立大学にするということも私立大学とすることも考え方としてはあり得るわけでございます。ところが、放送大学国立大学といたしますと、その大学放送局を開設することになるということになりますと、先ほど電波監理局長が御説明いたしましたように、国立大学という形であれば、国が放送局を持つということは、放送法制基本的なたてまえに抵触するから、その形はとれないということでございます。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま大学局長が御答弁なさったとおり、やはり政府としても、国が放送局免許主体となることは好ましくないというお考えから、それにかわるものとして考え出したのが放送大学学園という特殊法人でしょう。この特殊法人は国が全額出資をして、その運営にも国が予算のすべてを負担するたてまえになっておる、そういう内容でしょう。それは明らかに隠れみの、いわゆる国営放送はどうもぐあいが悪いから、こういう特殊法人をつくって、そこにやらそうということ、しかし私は、その場合、国家権力の及ぶ内容としては、国立であろうと特殊法人であろうと、国が全額投資をし、その運営の負担をする以上、内容は変わらないと思う。名前が特殊法人だろうと国立大学だろうと内容は変わらない、だから、きわめて危険な国営放送形態を持ってくる、そう考えるから、私どもは、放送法の根幹に触れる問題だ、こう申し上げておるのです。  特殊法人ならば構わない、国ならばいけないという言葉ではないのです。私は、内容が大事だと思うのですが、その点どうお考えでしょうか。
  95. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  放送大学学園という特殊法人の形でお願いをいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、これは学校教育法上の正規大学として位置づけるわけでございます。したがいまして、行います放送は、大学教育のための放送ということになるわけでございまして、先ほど来御説明を申し上げておりますように、この放送大学大学の自治を持っていることは当然の前提になるわけでございます。  なお、大学の自治そのもので申し上げますと、国立大学についても、もちろん大学の自治は保障をされているわけでございます。それと同様に、この放送大学におきましても、当然、大学の自治、学問の自由というものは保障されるわけでございます。したがいまして、その行われます放送というのは、大学教育のための放送ということでございますので、私どもは、その点が放送法制に引っかかる問題はない、かように考えております。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それを私は詭弁と言うと思うのです。放送大学大学の自治は守られるとおっしゃっていますが、私の分野でありませんから、深くは突っ込みませんが、大学の自治の根幹は教授会にあると私は思っているのです。教授会のない大学大学の自治が守られます、学問の自由が守られますなどと言うのを、私は詭弁と言うのです。ただ、これは私の分野でありませんから、もう少し文教の方で詰めてもらいたい問題だと思いますが、そういう意味からすると、放送大学には正しい意味の自治はない。なぜならば教授会がないではないか、この一言をもってしても明らかだと言わざるを得ないのでございます。しかしこれは、いずれにしても文教の方で詰めていただきたいと思います。  さて、そうなりますと、非常に重要な放送法制上の変更、国営にかわる放送ができてくる、そういう重大な問題でありますのに、郵政省の方ではどういう手続でこれを認めることになったのか、それはどういう手続を踏んだのか、そこを先ほど来お伺いしていますが、明確な答弁がありません。そこで、大臣は新任でまだおわかりにならぬと思いますから、これは当局にお伺いします。
  97. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  放送大学設置に関する調査研究会議という文部大臣の私的諮問機関がございますけれども、そこの「放送大学基本構想」の中で、次のような提言をいたしております。まず「設置形態は、放送大学の設置を主たる事業とする特殊法人とし、」……(阿部(未)委員「そういうことは要らぬから、どこでやったかだけわかればいい」と呼ぶ)また、放送教育に関する小委員会におきまして、会長は嶋崎先生かと思いますけれども、その御報告でも「大学放送局と一体のものとした放送大学を設置するとすれば、現時点では、現行放送法制上の制約にかんがみて特殊法人方式によらざるを得ないものと思われる。」というような御提言も受けまして、特殊法人形式に……
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まるで私の質問に答えてないのです。郵政省は電波を監理する責任があり、放送免許する権限を持っておるはずです。したがって、電波の監理上この放送免許することが妥当であるのかどうかという点について、たとえば電波監理審議会とか、どういう機関で審議をして妥当であると認めたのか、それをお伺いしておるのです。これは明らかに郵政省内部において免許するのでしょう。免許することを前提にこの法律はでき上がっているのです。免許することが妥当であるということは、どこでどういう議論をして決まったのか、伺っておるのです。
  99. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  この放送電波を使いました放送大学構想が四十四年ごろ提起されたかと思いますが、文部大臣の方からの御要請を受けて、たしか河本郵政大臣だったかと思いますけれども、この放送電波を使う放送大学の持つ教育的機能というものを十分勘案いたしまして、そういう大学のためならば電波を留保いたしましょうということで、テレビ電波とラジオ電波と申しますか、音声電波を全国一系統留保いたしますということがあった経過がございます。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 十年も前に一応の構想の中で、こういう電波を残しておこうという議論があって残してあった、そのことが今日、この放送大学学園に対して放送局免許を与えるという決定を郵政省がするに至った手続にはなりませんよ、それは。それはかつてあった議論一つの歴史的な経過だけであって、少なくとも電波を監理する郵政当局は、この法案として出された放送大学学園放送免許を与えるべきであるかどうか、これが私は非常に大きい問題だと思う。その手続をどの機関でどうお踏みになったのか、電波監理審議会に図って、適当であろうということになったのかどうか、そういうところをお伺いしておるのです。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この法案を提出するに当たりまして、電波監理審議会にはこの法案が認められれば、郵政省といたしましては、文部省の方の、学園の方の計画に従いましてテレビ電波なりFM電波を出さなければならないことになりますということで、いわゆる個々の一つ免許としてではございませんけれども、全体の計画として御説明してございます。  それから、十年も前ということでございますけれども、テレビ電波は予定している電波をほかに使いますとなくなりますので、私どもの方としては、十年という長い期間がたっておりますけれども、ちゃんとキープしてあると申しますか、そういう次第になっております。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いままで放送法改正あるいは電波監理法の改正について関係の向きでいろいろ議論をしてきて、法律改正をすべきだという段階にまで至ったこともあるのです。しかし今日、それができていないというのは、先ほど文部大臣がいみじくもおっしゃいましたが、政治的な情勢の変化に伴ってできていないのです。同じように、十年前はそうであっても、今日、明確な形として放送大学学園というものの放送局免許を、必然的に郵政省が許可をするということになるならば、何のための電波監理審議会か。そこに諮って決めるのが至当であって、こうなればこうなりますということを報告する程度の電波監理審議会ならば、法制上こういうものを置く必要はないのです。全く権威のないものじゃありませんか。  しかしきょうは、電波監理審議会のことをいまから議論しておっては時間がありませんから、ただ御忠告を申し上げておきますが、そういうことを報告しておいてそれで済むような電波監理審議会ならば、お開きにならない方がいいでしょう。国費のむだ遣いになりますということを私は申し上げておきます。  そこで、続いて伺いますが、放送法二条の定義では、いわゆる教育番組教養番組というふうに分かれておりますが、この放送大学学園放送は、教育番組に入るのですか教養番組に入るのですか。
  103. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 教育番組に入ると思います。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 では、その教育番組の中の学校教育の方、学校向けの放送の方に入るのですか、社会教育の方に入るのですか。
  105. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 学校教育に入ります。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 キャンパスのないところに学校向けの放送になるのでしょうか。  もう一つ私が疑問に思うのは、このメディアから考えて不特定多数の人がスイッチをひねれば見られるんですよ、それが学校向けと言えるのですか。
  107. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど来御説明を申し上げておるわけでございますが、この放送大学といたしましては、もちろん学校教育法上の正規大学として位置づけをいたしております。なお、放送大学であります以上は、放送による教育を行うということを前提にいたしておるものでございます。したがいまして、放送そのものは、教育番組であり、かつ、その内容としては学校教育ということになろうかと思います。  ただ、先生御指摘のとおり、正規にこの放送大学に登録されます学生以外の方々ももちろん見る機会があるわけでございます。家庭の婦人でございますとか、そういう方々も視聴することは当然にあり得るわけでございます。そのことが一般の教育全体からいいましても、大学教育内容のものが国民に広く開かれて視聴されるということの意味が意味としてあるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、教育番組であり学校教育であることは間違いございませんが、さらに、それが広く国民に開かれて視聴されるという意味では広く教育全体、それは社会教育的な機能といいますか、そういうようなものも結果としては出てくる、かように承知をしております。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 確かに放送する方は放送大学でございます。しかし、受信する方は登録をされた学生もおりましょうが、一般の方もおいでになります。しかも、これは学校という場合、やはりキャンパスを指すと私は思うのです。それが不特定多数の人がいつでも見られる状態にあるものが学校向けの放送であるというのですが、むしろ社会教育的な面の方が大きいのではないかという気がするのです。とらえ方が違いやしませんか。
  109. 宮地貫一

    宮地政府委員 実際問題といたしまして、視聴する方は広く国民一般が視聴することになるわけでございます。ただ、その放送そのものは、やはり放送大学のために行われるものでございまして、もちろんねらいとしては、登録された学生が放送によって教育を受けるということを考えております。  なお、先生御指摘の、学校というのがキャンパスがないものが学校と言えるのかという点でございますが、この放送大学教育の中身そのものは、すでに前回も御説明申し上げておりますが、放送による視聴が約三分の一、スクーリングによる面接授業が三分の一、ほかに印刷教材による自習と申しますか学習が三分の一というようなことで組み立てて全体を考えているものでございます。  なお、ちょっと補足させていただきますが、先ほどのお話の中で、この放送大学には教授会が置かれていないというような趣旨の御発言のように承りましたが、形といたしましては、もちろん学校教育法上の教授会もこの放送大学には置かれるものでございます。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その問題は文教の方で触れてもらいたいけれども、それは形の上で置くのであって、実質上先生が集まらぬところにそんなばかなことはできっこないのです。だから、それをぼくは詭弁だと言う。文部省がかかる詭弁を弄するようになりますと、私は、日本教育の将来に非常に大きい危惧を感じます。  さてそこで、いま伺いますと、確かにそれは教材をもってする場合、それからスクーリングとかいろいろな場合がありましょう。しかし、そういうものを持たなくて、なおかつ、この放送を受信する者が不特定多数あると思うのです。そうすると、学校向けの放送だとおっしゃるのは間違いで、私は、やはり社会教育だと受けとめるべきではないかと思うのです。仮にあなたのおっしゃることに百歩を譲って、教育放送でございます、しかも、それは学校向けの放送でございますとしても、学生でない多くの人が見ることは間違いがない。これは教育番組であることは間違いがない。そうすると、現行の公益放送と言われるNHK放送の中に明らかに教育番組というのがございますが、このNHK教育番組とこの放送大学教育番組はどういう関係になってまいりますか、受信者の側に立って考えてもらいたいのです。
  111. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、放送大学の行う放送でございまして、学生のための教育をこの放送によって行うわけでございます。したがいまして、行われます放送教育番組であり、学校教育であるということは、先ほど御説明したとおりでございます。  ただ、先生も御指摘のとおり、それは実際国民に広く開かれた大学、そういう点が一つまたねらいでもあるわけでございまして、国民のどなたでもスイッチをひねれば、放送大学放送として行われておりますものを視聴することは可能でございますし、この放送大学が新しくそういうこれからの一つ大学のあり方として、国民に広く大学を開かれたものにしていくというところが、また、ねらいでもあるわけでございます。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKのことに一向に触れてもらえませんが、たとえば大学の中には、体育というようなものもあると私は思うのです。そして時報というものは、いわゆる教育の中に入るか入らないか。恐らくテレビを見ながら勉強をしておる人たちは、時間を知りたいから時報が要るかもわかりません。野球の試合があると、これは体育の一つであるからといって放送大学学園放送するかもわからない。そういう場合に、いまあるNHK教育番組放送大学学園が出す電波内容は、重なってくる部分が非常に多くなってくるおそれがあると私は申し上げている。この段階では、おそれがあると思うが、どうでしょうか。
  113. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほどのお尋ねの中で、NHKのいわゆる教養番組と申しますか、そういうものと……(阿部(未)委員教育番組ですよ」と呼ぶ)教育番組との対比でございますが、NHK教育番組大学レベルのものが社会教育として行われることはもちろんあり得るわけでございますが、この放送大学学園放送は、正規大学教育課程に基づく大学教育そのものであるという点に相違があろうかと思います。  なお、時報の点は、私どもは、講義の切れ目ということはあり得ましても、時報を放送することはないというぐあいに考えております。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 放送法の四十四条の五項、大学局長はこれをお読みになったことがありますか。これは協会の任務ですよ。協会の任務の中に「学校向けのものであるときは、その内容学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」、これが教育放送について学校向けの場合の日本放送協会に課せられておる任務です。一体これと放送大学学園とは――学園もこれを準用するんですよ。競合しないかどうかですよ。これをどう考えますか。
  115. 宮地貫一

    宮地政府委員 NHK大学レベルの番組放送するということは、もちろんあるわけでございまして、その中身がこの放送大学放送と実質的な面では重複する点が出てこようかと思いますけれども基本的に違います点は、大学そのものの放送ではございませんので、放送大学学園放送NHK放送との差はその点にあろうかと思います。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 競合するかしないかと私は聞いているのです。同じものを放送して競合しませんか、しますか。同じものを放送して、それを競合と言うか言わないか、学問のあるところで答えてください。
  117. 宮地貫一

    宮地政府委員 繰り返しの答弁になって大変恐縮でございますが、その点は内容的にレベルにおいて大学レベルの教育ということが行われますとすれば、もちろん、この放送大学そのものの、大学そのものの放送内容的には重複する面が出てこようかと思います。ただしそれが、それでは正規大学放送であるかとお尋ねがあれば、それは正規大学放送ではございません、この放送大学学園放送正規大学放送でございますという御説明で、重複で大変恐縮でございますが、そのように理解しております。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ですから、それが登録をされた学生だけを対象にして行われる放送ならいいけれども、実際問題としては不特定多数の人がごらんになる。そうすれば、当然、NHK教育番組放送大学学園の出す番組が競合してくる、これは間違いない事実でしょう。たとえば、私が例をとりました、時報だってそうでしょう、あるいは体育だってそうでしょう、いろいろな問題が競合してくるのですが、NHKはこの点をどうお考えになっていますか。
  119. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  放送大学は、大学教育ということを目的内容が編成されるわけでありますけれどもNHKでは、先ほどからお話が出ておりますように、長い経験を持ちまして教育番組をいろいろつくってまいりました。そういったことで、もし競合するようなことになりますと、これはNHKにとってというか、あるいは日本教育放送全体にとりまして、なかなか大きな問題であろうというふうに私は思っております。  ただ、このような同じような放送の競合が起こるようなことがないように、私どもといたしましては、放送大学設立の目的に沿いまして内容を選定していただきたいというふうに思っているわけでございます。
  120. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 競合する場合が起こるだろう、そうすると、NHKにとっても大変な問題だというふうにいまお答えになりました。  そこで郵政大臣、あなたにお伺いするのですけれども、ということは、競合する場合が起こり、NHK、公共放送にとっても重大な問題だという内容を持っておるこの新しい免許は、いわゆる従来の公共放送と呼ばれるNHK放送でもない、競合するから、その放送でもないことは間違いない、同時に、民放でないことも明らかです。これはそうすると、新たに第三の放送の体系をつくる、こういうことになりますか。
  121. 山内一郎

    ○山内国務大臣 せっかくの電波でございますから、どういう放送局であろうとも、ダブって同じような放送をしてもらうことは、私は不適切だと思うのです。したがって、NHKの現在おやりになっている教育番組、それと新しい放送大学学園放送とよく調整をしていただいて、そういうことのないようにやっていただきたい。
  122. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そういうものを調整する機関がないと同時に、放送免許された免許主体放送番組の編集の自由があるんですよ、それを規制するような、そういうばかげた話がありますか。だから、これは大変な放送体系上の重要な問題だと言っているんですよ。
  123. 山内一郎

    ○山内国務大臣 全く同じようなことをNHKでもおやりになり放送大学でもおやりになるということは、お互いにそれは自由でございましょう。しかし、現実に出てくる姿というものは同じ電波、いろいろ電波を有効に使わないといけないという立場からいけば、これは少し考えていただかなければいけない問題じゃなかろうか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは明らかに統制に入ってきて、郵政大臣、それはきわめて危険な発想です。それは放送の自由、番組編集の自由に対する侵害であって、きわめて危険な考え方であると言わなければならない。そういう考え方に立っておるから、私は、この新たな国営放送に準ずるような放送免許が、日本放送体系に重大な影響を持つだけでなく、危険な要素を持っておると申し上げなければならない。  しかも、いま大臣がおっしゃったように、そういう大きな問題、そういうことがあるとすれば大変だというのですから、そういうことが起こり得るのですから、何もいまあわててこの放送免許をする必要はない。この法案をもっと時間をかけて慎重に審議をしながら、悔いを千載に残さないように、そういう取り扱いをすべきであると思いますが、これは文部大臣と両方で答えてください。
  125. 山内一郎

    ○山内国務大臣 それぞれ番組の自由はございます。したがって、そういう点を強調するといたしますと、NHK放送大学も同じような放送が起こり得る、これはやむを得ないと思います。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはちょっと問題だ。(発言する者あり)
  127. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  128. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 速記を起こしてください。
  129. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ちょっと補足させていただきます。  先ほどから議論になっておりますNHK番組、特に教育番組だと思いますけれどもNHK番組と今度予定される放送大学番組が競合する点が大いにあるのではないかということでございますけれども、これにつきましては、もちろん全然ないとは申し上げません。しかし、NHK教育番組の場合、広く幼稚園から小学、中学、高等学校、また大学レベルの番組もあることは承知いたしております。ただ、実際問題といたしまして、大学レベルの講座は、私の記憶では現在のところ週六時間、四・九%程度というふうに承知いたしております。したがいまして、これの聴取率も、残念ですけれども、非常に悪いというふうに思っております。そういう意味におきまして、放送大学は、大学教育のための放送に限られるということで、これにつきましては、電波法の第七条の根本基準の中におきましても、今度行われる放送大学放送事項につきましては、大学教育のために限ると限定いたす予定をしておりますので、特に競合することはないものと理解しております。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、聞いておって何のことかさっぱりわからないのですけれども、まず、電波監理局長の認識の大きな過ちは――公共放送であるNHK教育放送を認めておることは基本ですよ。これは当然でしょう。したがって、NHK教育放送について、その内容大学教育の中に入っていこうといくまいとNHK放送の自由であり、番組編成の自由なのです。それがこうなる、ああなるなんということをあなたは考えている、まずそれが間違いです。したがって、NHK番組で何をやろうと、いわゆる公序良俗に反しないとか、あるいは政治的な偏見がない限りにおいてやれるのです。そうすると当然、新しい放送大学大学教育という内容においてやれるんですよ。競合するじゃないですか。しないですか。(発言する者あり)
  131. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  132. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 速記を始めてください。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 現在のところ、NHK教育番組内容では、新しくできる放送大学学園放送と競合するところは少ないのではないか、そういうことをいま電波監理局長はおっしゃいました。しかし、それは明らかにNHK放送番組の自由に対する侵害だと見なければなりません。私ども視聴者の側からすれば、公共放送であるNHKの特徴、将来の展望について、教育放送があるからNHKの存在価値があるとさえ私は思っておるのです。ほかの番組は民放だって全部あるんですよ。教育放送こそはNHKの使命であるとさえ私は受信者の立場から考えておるのです。そのNHK放送内容が、大学教育内容に立ち入ってはならないというようなことを考えたら大きな間違いです。立ち入ってもらわなければならない。立ち入ってくればくるほど、この放送大学学園と競合する分野は多くなる、こう考えるべきじゃないのですか。どうですか。
  134. 山内一郎

    ○山内国務大臣 ただいまの御質問NHK教育番組放送大学教育放送、これはダブる場合があり得る、少ないかもしれませんけれども、あり得ると思います。
  135. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 午後一時二十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十五分開議
  136. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、山内郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山内郵政大臣
  137. 山内一郎

    ○山内国務大臣 先ほど来の私の発言について、一言補足させていただきます。  NHK大学レベルの教育番組放送大学番組との間で実質的に競合することはあり得るものと考えます。しかしながら、双方とも番組編集の自由を有している放送事業者でありますので、私がそれを先刻、双方の番組調整という言葉を使ったとすれば不適切な表現であったと思います。
  138. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、いま大臣からもお話がありましたように、放送番組の編集は、きわめて自主的であり、自由であるわけでございますから、当然、NHK教育放送と新たにできる、免許しようとする放送大学学園との間に競合が起こり得る。そうなってくると、これは明らかに現行の公共放送と民放というほかにもう一つ放送体系ができる、やはりこう理解をしなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
  140. 富田徹郎

    ○富田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、NHKとも違う、また民間放送とも違うという放送事業者があらわれるという点では、三本立てという表現もあり得るものと考えております。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 三本立てという表現があり得るとかあり得ないとかそういう抽象的な問題ではなくて、実質的に日本放送体系として従来の公共放送と民放とのほかにもう一本できる、こういうことになるでしょう。
  142. 富田徹郎

    ○富田説明員 そのとおりでございます。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、一番最初に返るわけでございますけれども、いわゆる国を放送局免許主体としないという今日までの一連の考え方からして、先ほど来議論がありましたが、国立大学であっても構わないけれども、その場合に一番問題になるのは、やはり国が放送免許するということが問題になる、いろいろ詭弁を弄しておられますけれども内容はそうだというふうに私は理解をしております。  そこで、第三の放送体系特殊法人に与えようとしておる、そう理解をして間違いありませんか。
  144. 富田徹郎

    ○富田説明員 そのとおりでございます。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、問題になりますのは、やはり先ほど議論をいたしましたけれども、国が全額を出資し、そしてその運営に国が全部の予算を負担する特殊法人が行う放送は、きわめて国営に近いものである、国営そのものではないかもわからないけれども国営に近いものであると理解をして間違いありませんか。
  146. 富田徹郎

    ○富田説明員 経費の支弁が国費によって賄われているからといって、国営放送であるというふうには考えておりません。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、国営放送という場合の定義を知らしてもらえませんか。
  148. 富田徹郎

    ○富田説明員 国自身放送事業者の地位を得ることだというふうに考えております。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国自身放送事業者の地位を得ることをたてまえとしてなぜ、禁じられておると言ったら言い過ぎですが、やらないことになっておるのですか、もう一遍、繰り返し聞きます。
  150. 富田徹郎

    ○富田説明員 戦後、昭和二十五年に放送法が制定されました際に、NHK性格をめぐって、国営放送的にいろいろな仕組みをつくるべきだという御議論もありましたけれども、言論機関たる放送事業は国から一定の距離を置いた組織体で行う方が適当であるという放送法制定の経緯をめぐる御議論等もありまして、放送法趣旨から国自身放送事業者となることが不適当であるという趣旨があるものというふうに解しております。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国から一定の距離を置くということは、国が直接放送事業者であるなしにかかわらず、国がその放送に対して強い支配力を持つということが想定されるからではないのですか。
  152. 富田徹郎

    ○富田説明員 国が放送番組に対してどう支配力を持つかどうかということをせんじ詰めて考えたという御議論は、詳しくは承知しておりませんが、やはり言論というのは、なるべく多様な言論がいろいろな形で起こって、それを表現の自由として保障すべきだという考え方が、当時からいまも強いものというふうに考えられます。
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 認識としては全く放送部長と私ども一諸でございます。したがって、国が直接放送主体であるなしがそれほど問題であるのではなく、国が放送内容に支配介入の力を持つことが懸念されるから、国が放送をやることをたてまえとして禁じていた、そういうことになるのではないでしょうか。
  154. 富田徹郎

    ○富田説明員 国家が国益ということを考えまして、いろいろな形で国家としての発言が必要な場合もあろうかと思いますけれども、現行の言論法制においては、国家が前面に出て、そういうような放送なり何なりの中に入ってくるということは望ましくないという現段階における考え方があるものと承知しております。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全く同じです。私も、望ましくない、現段階においてそういうふうに考えられる。しかし、一体これが法律として成立をして運用の段階に入ったときに、どれだけそれに対する保障があり得るのでしょうか。たとえば、いま憲法の問題がいろいろ議論されておりますけれども日本国の新しい憲法ができるとき、今日のような膨大な軍事力を持つ自衛隊ができるなどということを想定した人があったでしょうか。しかし、できた自衛隊法は、今日御承知のような、われわれが想像もしなかった膨大な軍事力を持つような運用になっております。これは法律の運用の中でそうなってきたのだ、憲法の解釈の中でそうなってきたのだ、こう私は考えるのです。  そういう意味からするならば、国がまず発言力を持ち得るような機構である第三の放送体系をつくるということについて慎重でなければならないのではないでしょうか。
  156. 富田徹郎

    ○富田説明員 郵政省といたしましては、いわゆる第三のたてまえの放送ということが今回始まるとすれば、それについていろいろな観点から、文部省とも御相談の上、法案の体系を慎重に検討して、その番組編集の自由、あるいは大学学問の自由というような観点の保障制度をでき得る限りとって、学問の自由と、それから放送の自由との調和点に立った法案として御提案申し上げておる次第でございます。     〔佐藤委員長退席、三ツ林委員長着席〕
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 以上、大体わかりましたように、第三の放送はきわめて危険な内容を持つ。確かに、片方の面としては国民に対して大学教育機会を与えるという意味では非常に意義のあるものであるけれども、同時に、今日まで私どもが国を放送免許主体にしないという、その危険性があるがゆえにとってきた政策からするならば、危険な面があると言わなければなりません。したがって私は、この問題については、もっと慎重に時間をかけて、そういう危険性がないような十分な措置が講じられた上でもう一遍やり直すべきだ、こう考えますので、文部大臣の御意見を聞きたいと思います。
  158. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 先生のような御意見もございますけれども、一面、教育という面が、ことに大学教育が開かれた姿に相なるということは、国家といたしましても非常に望ましいことでございます。さような意味におきまして、国全体として考えました場合におきましては、大学の自由をあくまでも守り、同時にまた、放送法上の放送コードというものも守り得る姿ならば、その間に何らかのものができてしかるべきではないかというのがわれわれの考え方でございます。
  159. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 学問の自由の問題あるいは大学の自治の問題について、私は触れようとは思いませんけれども、しかし、先ほど来議論をしてまいりましたように、私は、この放送大学学園が、大学自治の面から考えても学問の自由の面から考えても、まだ十分議論の尽くされた内容であるとは思われません。たとえば申し上げたい一例は、まことに形骸化した、形だけの教授会というものをつくってみても、大学基本である本当の大学の自治が守れるだろうかという大きい懸念もございます。さらにまた、先ほども議論がありましたが、いまそんなに急いでつくらなければならない理由があるのだろうか。本来、教育機会均等ということは教育の原則でなければならないはずでございます。したがって、いずれは近い時期に、言われるところの放送衛星が機能することになりましょう。その放送衛星の機能を待っても、まず教育機会均等の面からは心配がない、さらに、いま申し上げた放送法上の、国が放送に支配介入するという点についてはこういうふうに心配がなくなった、そこまで議論を尽くした上でおやりになっても、全体の計画から見て、それほどおくるるものとは思いません。むしろ私は、早く始めることよりも、全国あまねく教育機会が得られる時期がどれだけ早くできるかということの方が重要だと思っております。  その意味から、新しい放送衛星の問題もあるわけでございますし、また反面、今日国家財政がきわめて緊迫した状態にあって、文部省としてもいまの教科書の無償配付を一部規制しようかというような財政上の危機にあるときに、何を好んで、あわてて、いわゆる急いでこれをやらなければならないのか、まことに理解に苦しみます。  重ねて私は、この法律審議をもっと慎重に延ばすことを要請いたします。
  160. 宮地貫一

    宮地政府委員 放送大学学園法案審議に当たりまして、先生からの御質疑、前回の逓信委員会でも御質問いただいたわけでございますが、その際にも申し上げたことの繰り返しになるわけでございますけれども放送大学の構想の検討そのものについては、今日まですでに十年余りを経過してきております。そしてまた、社会全体の変化と申しますか、国民全体が生涯教育というような観点で広く教育機会を求めている声というものも大変強くなってきておるわけでございます。そういう要請を受けまして、この放送大学の構想を固めて、先ほど来御議論のございます特殊法人放送大学学園法案で御提案を申し上げておるわけでございます。  新しい形の大学をこれからつくっていくということになるわけでございまして、私どもも、いままで十分、慎重に検討も重ねてきておるわけでございますが、全く新しい形の大学をつくっていくという意味では、まずは、従来からも御説明しておりますように、関東地域からスタートをさせていただきまして、実際に学習センターの学習の状況――従来、検討は十分いたしてきておりますか、実際にそれを大学として運営していくとすれば、そこでまたいろいろと問題点も出てまいろうかと思います。そういうような問題点をさらに具体的に受けとめて、解決をしながら、できるだけ早く教育機会均等という趣旨にかなうように全国にこれを広げていくことを考えさしていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。  具体的に、たとえばほかの大学とのいろいろ協力関係でございますとか、そういうことを実際に御相談をするにいたしましても、まずはこの放送大学そのものができまして、その上で、ほかの既存の大学との、たとえば単位の互換の問題もいろいろと議論されておりますが、そういうものと具体的に取り組むためには、私どもとしては、やはり出発をさせていただきまして、その上でなお具体的な問題の処理に当たりたい、かように考えております。  従来御説明申し上げておる点の繰り返しになるわけでございますが、そういうような意味で、まずは関東地域から出発をさせていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。
  161. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 基本的な問題で意見の一致、合意が得られるならば、大学局長のおっしゃることは、私には理解ができます。しかし、いままでの議論で明らかなように、基本的な問題で、まず放送法制上に大変な問題がある、その次に、放送の自由という観点からも問題がある、国家権力の介入という点からも非常に問題があるとか、いろいろな面から問題があり、加えて大学の自治、学問の自由、さらには教育機会均等、そういう基本的な問題で非常に多くの解明されなければならない問題を残しておるのに、まずはやってみましょうと言っても、それはなかなか理解ができません。国民全体が大きく期待をしているといまおっしゃいましたけれども、国民全体は、この放送大学がすぐ自分たちが聞くことのできる、見ることのできるというふうに考えて期待をしておるのであって、いま国会で問題になっているような内容については、まだ十分に知らされていないところでございます。  したがって、教育という百年の大計でございますから、慎重を期して、十年間検討したからもう千分でございますという理論はないのです。長かろうと短かろうと、内容が、合意を得たものがりっぱなものであって、内容が合意を得られないものは、十年やろうと二十年検討しようと、それをもって正しいとする理屈は決して成り立たないはずでございますから、いままで多くの同僚からも意見が出されておりますように、基本的にたくさんの問題を含んでおる、疑問点がある、これを解明して、本当に放送体系上、放送の自由が守られ、さらには、学問の自由、そして教育機会均等、そういうものについて安心できるところまで十分議論を尽くした上で実行されますように私は期待をしております。  これはもはや大学局長のお考えではなく、やはり大臣として決断をしていただかなければ、どうもその辺が、当局が前に出過ぎまして話をするものですから、大臣の方の考えがそれ以上に出て適正な判断をすることができなくなってしまう、いわゆる官僚がちょっと前に出過ぎて物を言い過ぎるから、大臣の判断を誤らせることになると思うのです。政治家としての大臣の判断をもう一遍聞きます。
  162. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 いろいろと先生の御見解を賜りましてありがとうございますが、私は先生とは意見を異にするものでございます。よろしくお願いいたします。
  163. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いやしくも一国の国務大臣が、意見を異にするなら、こういうふうにするということを国民の前に明らかにして――それなら、同じ国会議員である私の質問、主張が正しいのか、異にするあなたの主張が正しいのか、明確にしようじゃありませんか。
  164. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 大学局長がるる御説明を申し上げたのと私は全く同様でございます。
  165. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、事務当局の弁解を聞く気持ちは毛頭ございません。責任者である大臣から、明確に、意見が違うなら違う意見を述べてください。失敬じゃないですか。
  166. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 まことに失礼でございますが、私は、放送大学をこの際つくるということは、文教政策上からもぜひ必要である、かように信じて行っておる次第でございます。
  167. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そう信じたから法案を出された、出されたけれども、その内容についてわれわれが多くの質問をして、その疑問が解明をされない、されないから、もう少し検討すべきではないですかと、こう申し上げておるのです。それなら私どもの疑問について明確に解明をしてください。
  168. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 きょう来のお話とともに私が申し上げておるということは、先生もおっしゃるとおり、平行線であると、こうおっしゃいますが、しかし私は、開かれた大学をつくりたい、そうして今日の教学全般のレベルを高めていかなければならない、同時にそれには、先ほど来申し上げておりますような大学の自治というもの、それをあくまでも尊重する姿におきまして、ただいま御提案申し上げましたこの放送大学学園法案というものはそれでりっぱに目的を達しておる、同時にまた、放送関係におきましては、これは私の所管ではございませんけれども放送コードにつきましても、私は、今回のこの御提案で御了承をいただきたいものだ、かように考えます。
  169. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大学の自治や学問の自由の問題につきましては、これは文教の同僚の皆さんの議論にまつことにいたしましょう。しかし、申し上げたように、私ども見解からするならば、これで本当に大学の自治があるのだろうか、学問の自由があるのだろうかという懸念を持つという点については、幾つかの事例を挙げながら指摘をしておきましたから、それを参考にしながら議論をしていただきたいと思います。  あわせて、放送法体系上きわめて重要な問題をはらんでおるから、この際延期をすべきであるという主張に対して、郵政大臣の答弁を承りたいと思います。
  170. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いろいろ御意見ございまして、放送法上の観点から検討してまいったのでございますが、放送法基本的な点は変更なく従来どおりやっていただく、そういう意味において放送大学学園の今度は設立をしたい、こういうようなことでございますので、先ほど申し上げました本旨を守っていただくことにおいて大学の設立というものをやっていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  171. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣の認識とわれわれの認識に大きい違いがあるのは、現行放送法制上大きな変更はないのだ、こう大臣はお考えになっておるようでございます。しかし、いままでの議論で、いまの放送法制上に大きい変革があるのだと、われわれはそう理解をし主張をしておるわけでございます。  したがって私は、いまの郵政大臣の答弁でも納得することができません。で私は、強くこの法案の慎重な審議、時間をかけての審議を要請し、なお、同僚の皆さんに御迷惑をかけますから、私の質問を終わりますが、政府においても十分な配慮、検討をされることを期待をして、私の質問を終わります。きわめて不愉快でした。
  172. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 竹内勝彦君。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 昨年の五月、私も、本連合審査においてこの放送大学学園法案に関しての幾つかの問題点を要望しておきました。一年数カ月後の現在、また同じ状態でこの放送大学に関して連合審査をしておるわけでございますけれども、私もかつて多くの問題点を出しました。同時に、同僚委員から幾つもの問題が出ておる、これは私、ここに議事録を持ってきておりますので、もうおわかりだと思いますけれども、数多くの問題点、これはもう政府の方も御承知のとおりでございます。  そこで、ここに何の進展というか法案に関しては全く同じものをまた出してきましたね、この流れというものをちょっと見てみますと、昭和四十九年三月二十二日、このときに文部省が放送大学設置に関する調査研究会議、これは仮称ですが、放送大学基本構想案を取りまとめて公表しました。そしてその後、五十年十二月十七日、文部省放送大学創設準備に関する調査研究会議、これが「放送大学基本計画に関する報告」を取りまとめた。そしてその間、いろいろございましたが、五十四年一月十八日、文部省として「放送大学について」ということを公表しました。それからさらに、五十四年二月二十三日、放送大学学園法案が閣議で決定された。ところが、それは国会閉会に伴って五十四年六月に審議未了で廃案になった。その五十四年の五月、本連合審査において多くの論議を行いました。それから、同じく五十四年八月二十四日、放送大学学園法案がまた閣議で決定された。これが同じく五十四年九月七日、衆議院解散に伴って同案が廃案になりました。さらにまた、本年の二月、放送大学学園法案が閣議で決定された。しかし御承知のとおり、本年衆議院解散に伴って法案審議未了で廃案になった。そしてなおかつ、いよいよまたここで、この九月三十日、本臨時国会におきまして放送大学学園法案を閣議決定して提出してきた。  私は、ここでどうしてもお伺いしておきたい点は、これだけ重要な案件を、多くの問題点を出して、そして逓信委員会におきましても、あるいは文教委員会におきましても、多くの論議を呼んできた、連合審査もやってきた、にもかかわらず、政府としてこれは何か変わったものを出してきたのですか、全く同じものを再度提出してきたその理由を最初にお伺いしたいと思います。
  174. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  法案審議経過は、先生御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、この法案につきまして審議の中でいろいろと御議論がございましたことは十分承っております。その一番大きな問題としては、先ほど来御議論もございます放送法改正をこの法律附則で一体のものとしてやることについての御議論が、恐らく一番大きな論点とも言えるかと思うわけでございますが、放送法改正をこの放送大学学園法案附則であわせて御提案申し上げましたその間の経違は、先ほども説明をいたしたわけでございますけれども、今国会で提案するに際しまして、郵政当局とも十分御相談もしたわけでございます。先ほども説明した点でございますけれども放送大学学園放送法制上の放送事業者としてどう位置づけるかということは、この放送大学学園法案と、目的なり業務その他から考えまして密接不可分規定をする必要がございますので、この法案附則として従来と同じ形で御提案申し上げたということでございます。  なお、審議の中でいろいろ御議論のございました点の中で、たとえば具体的に大学の管理運営の内容としていろいろ御議論のありました点もございまして、それらを法律事項として規定すべきかどうかという点について御議論をいただいた点もございます。私どもとしましては、従来からも御説明を申し上げておりますように、ただいま御提案申し上げております法案内容で、法律事項としてはそれにとどめて、具体的な大学の運営にかかわる問題については、やはり大学の自主的な判断を尊重する面も必要であるというような判断から、内容的には前回と同様のものに相なっておるわけでございます。  先ほども御答弁申し上げましたように、国会における審議でそういう具体的な放送大学学園の運営なり大学の運営に対する貴重な審議の御議論というものは、今後の放送大学学園なり放送大学そのものの運営に、もちろん生かしていくべき点は十分生かしていくべき事柄でございますし、それらについては私どもも十分実際の運営に当たって配慮していかなければならぬ事柄である、かように考えておるわけでございます。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私どもが要望しておるのは、それを反映するとかいう簡単な問題を言っているのじゃないのです。この法案自体幾つもの問題点がある。評議会の問題にしても、欠格条項の問題にしても、根本的な放送法というものにかかわる大事な問題であるがゆえに、これを附則で片づけてきた、こういったものを根本的に考え直さなければいけない、こういうことから議論をしておるのであって、いまの御答弁のようなことをこちらが言っておるのではございません。  そこで、文部大臣に伺っておきますが、大臣はちょくちょくかわるわけですけれども、これは流れとしてはそれを引き継いでやっていくのが政府として当然でございます。昨年の五月、内藤大臣は、この論議を踏まえて「皆さんのおっしゃったことは大変ごもっともな点が多いから、これは今後、慎重に対処して御期待にこたえたいと私は思っております。」と言われたのですが、何かこたえたのがありますか。
  176. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほども説明しましたように、連合審査会なり、さらに文教委員会なり、いろいろとすでに時間数で申しますと四十時間を超える審議が行われているわけでございまして、そういう審議の過程での御議論のございました点の踏まえるべき点は、これから放送大学学園なり放送大学そのものを実際につくり上げます際に、それを十分生かしていくという趣旨は先ほども申し上げたわけでございます。  この法案の仕組みそのものが特殊法人放送大学学園の設立をお願いする法律でございまして、具体的には、この特殊法人ができまして、それを踏まえまして、この特殊法人文部大臣に対して放送大学の設立の認可申請をする、手続的にはそういうことになっていくわけでございます。  放送大学そのものにとりましての、たとえば評議会の規定でございますとかいろいろ御審議の際に御意見もいただいておるわけでございますが、私どもとしては、この放送大学の特殊性から見れば、ただいま御提案申し上げておりますような内容で、大学の自治なり学問の自由を確保するための手だてとしてそういう規定を設けておるということも御説明申し上げておるわけでございます。  したがいまして、実際に放送大学そのものが動き出す際に、御指摘のような点を生かしていくということは先ほど御答弁申し上げたわけでございまして、基本的にはそういう対応で考えておるわけでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この放送大学に関して私どもの立場としまして、もちろん生涯教育であるとか、あるいは働いておる人たち、あるいは主婦の方だとかお年寄りの人たち、そういったところまで電波を通して直接家庭の皆さんと結んで、そうして大学教育をしていこうというその趣旨は理解できます。しかし、それだけによいものにしよう、こういうことで議論をしておるわけです。お互いに努力しているんですよ。それを、何にもこの法案自体にも進歩したものがあらわれてこないで、なぜそのように急いでやろうとするのか。まずその急ぐ理由。そこまでせっぱ詰まって急いで、この法案というものを何としても通していきたい、先ほどからの御答弁からも見えるように、こういう形でお願いしたい、このように強硬に考えておる、その急ぐ理由は一体何ですか。それを説明してください。
  178. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  この放送大学学園構想そのものは、先ほども申し上げましたように、十年来検討いたしてきておりますが、社会全体の変化と申しますか、社会経済全体が非常に急激な変化をしまして、自由時間の増大でございますとか、あるいは高齢化社会への移行等いろいろな要因がございますが、そういうことで国民各層の間に生涯にわたって学習し自己啓発を行っていこう、そういう機運や必要性が大変高まってきておるわけでございます。     〔三ツ林委員長退席、佐藤委員長着席〕 放送大学は、言うなれば、そういう国民各層の広範な教育需要にこたえて、広く社会人や家庭婦人等にも大学教育機会を提供するというようなことがあるわけでございます。  先ほど来申し上げておるわけでございますが、十八歳人口の全体の流れというものにつきましても、今後五十六年度以降、十八歳人口が順次またふえてくる。百五十万人台から昭和六十五年度前後になりますと約二百万人というところまでふえていく。そういう大学進学人口と申しますか、そういうものの動向というものも、私どもは考えていかなければならないわけでございます。もちろん、これは高等教育の整備全体でそれに対応する必要があるわけでございますけれども、私どもとしては、この放送大学というものを、広く国民に開かれた大学として新しくスタートさせていただくということになれば、もちろん、ただいま申しました高等教育機会を拡大する、十八歳人口の増加の趨勢にも対応することができるというようなことがございます。  先ほども申しましたとおり、この特殊法人そのものができますと、それから大学そのものの設置認可申請を文部大臣にし、また、放送局免許の申請を郵政大臣にいたすわけでございます。そういう手続的な面がございまして、ただいま五十五年度予算には第一年目の予算が計上されておるわけでございますが、私どもの予定をいたしております設立の日程から申し上げますと、そういう前提に立ちまして、最初の放送大学の学生の受け入れというのが、昭和五十八年度の二学期ということでただいま予定をしているわけでございます。その五十八年度に第一回の学生を受け入れるということで臨みましても、最短の卒業で申せば、四年間ということでいけば六十二年ということになるわけでございます。  そういうことから申し上げますと、さらに第一期の計画が関東地区から始めさせていただくということで御説明も申し上げておりますが、教育機会均等の見地から全国に早く広げるべきではないかという御意見を受けて、それをどういう日程で広げていくかということも検討はいたしておるわけでございますが、それらから踏まえますと、私どもとしては、できるだけ早くこの放送大学学園の発足をさせていただきまして、国民全体に対して開かれた大学機会を提供するということで取り進めさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 現在わが国の置かれた立場というのは、財政再建や行政改革、あるいはまた特に赤字国債を減らしていこうとか、いろいろと大事な問題が幾つもございますよね、その要望というものはよくわかりますが、特殊法人等を減らしていこう、そういうときに、ここでまた特殊法人をふやして、そしてこれは国費だけでも一千億でしょう、それだけ莫大なものをかけて設立していかなければならないという理由、いまの御答弁では私は納得できません。  そこで、この論議を進めるに当たってもう一度ただしておきたいのは、内藤大臣も一生懸命御期待にこたえるようにやると言っていながら、結局何も出てきていないというのでは、ここで議論する意味がないのです。  私は、文部大臣に伺っておきますが、ここで議論するからには、この問題点あるいは要望、幾つものものがございますが、そういったものを一体今後法案に生かすのか生かさないのか、その点はっきりしないのだったら、ここで議論をしても、また同じようなことを言ってくるのでは意味がないわけですよ。最初にあなたのお考えをはっきりさせておいてください。
  180. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 内藤大臣が前々任者といたしましてお答えを申し上げたと存じますが、内藤さんは、言われますように、皆様方意見を十二分に伺って法案の審査を進めてまいりたい、こういうことであったようでございます。  なぜ急ぐかとおっしゃいますけれども、御案内のように、すでに御提案をいたしましてから十年という一昔の歳月がたっておりまするし、それからまた国会には四回御提案申し上げておる、と同時に、またその間に、いろいろと御意見あるいはまた役所の方、政府側の方も話を詰めてまいりました結果が、ここに再提出するような姿になった次第でございます。この結論に参りますに当たりましては、十分に検討に検討を加えた結果が本案と心得ていただきとうございます。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、具体的な問題に入っていきます。  まず、ただしておきたいのですが、放送大学放送設備に対してお伺いしておきます。大学先生講義したものをビデオテープなりあるいはオーディオテープなりにとって、その中身というものを検討し、そしていよいよ電波に乗せて各家庭やそういったところに放送をしていくわけですね、その送信部門に関してちょっと聞いておきたいわけですが、どのようなシステムというものになっていくわけですか。送信部門だけ教えてください。
  182. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  放送大学放送を行うに当たりまして、ただいまテレビ一系統とラジオ一系統で行うという計画でございます。その第一期の計画でございますが、その送信用アンテナは東京タワーに設置いたします。ここから南関東一円に電波を送ろうという考え方でございます。まず千葉市の幕張に建設予定の放送大学学園本部がございますが、そこにあります演奏室あるいは副調整室あるいは主調整装置等から成ります番組送出を受け持つ演奏所が設けられる予定でございます。この幕張から東京タワーまでマイクロ波回線で番組が送られることになろうかと思います。東京タワーにこうして送られました番組は、東京タワーに設置されましたUHF帯の五十キロワットのテレビジョン放送用送信機あるいは十キロワットのFM放送用送信機から送信されるということでございます。いま東京タワーで予定しておりますのは、少し専門的になりますけれども、二百六十メートルの高さのところにテレビ用の五段四面四L双ループアンテナというものを備え、またFM用としましてはスーパーゲインアンテナというものを据えつけて、南関東一円に送り出されるということでございます。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういう送信部門に関しては、これらの費用というものを新たに設けていくということは莫大なお金がかかりますよ。  そこで私、この前も論議をしておきましたが、これらの費用、新たに設けていくものよりも既存のものをどこか利用できるものはないかということになれば、こんな莫大な費用になっていかないと思うのです。そこでもちろん、放送法の問題がございますし、あるいは電波法との関連がございますが、公共放送であるNHKの設備ですね、こういったものを利用するという考え方、その絡みというものは、もちろんこういう大事なものでも附則で片づけようとしているわけですから、そこに何らかの修正というものを加えて、NHKが全面的に放送技術部門を受け持つ、ただし番組編集権はあくまでも大学に置いておく、そうでないと、その辺の学問の自由と放送法という問題でいままでも論議されておるわけでございますので、この代行をした場合、もちろん、いまある設備に相当な増設あるいはまた全く新しいものをいろいろ入れていかなければならぬ点があると思いますが、しかし、全く新しいものを新たにつくるよりは、いまあるものを少しでも利用できる点は利用しよう、その点を調和をもってやろうという考えがあるか、あるいはまた、そういうようにやっていったならば、そこにはおのずと何らかの費用としても差が出てくると思いますけれども、どんな見解を持っていますか。まずNHK、それから郵政省にも聞いておきたい。
  184. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御存じのようにNHKは、現在テレビジョン系統が二系統、それからラジオの中波の方が二系統、それからFM放送が一系統で国内放送をやっております。このほかに海外向けの国際放送も実施しているというのが実情でございます。こういった放送をやっております事業運営の中で、長期的な構想の中でより適正な規模で現在業務運営をやっておりまして、現状におきましては、放送大学放送のためにNHKの現在の施設を充てるというような余裕はないのが現状でございます。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省、答えてください。
  186. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  NHK放送設備を学園放送に利用できないかという御質問かと思いますけれども先生もすでに御指摘のように、NHK放送設備のうち無線設備を用いて学園放送に供するということになりますと、NHKが他人の用に供するいうことで公衆通信業務を行うということにもなりかねません。これについては日本電信電話公社等、特定のもの以外はこれを行ってはならないという電波法第四条の規定がございます。しかしながら、これら無線設備以外の設備、たとえばスタジオ等の学園への賃貸し等についての御質問もあったかと思いますけれども、一定の条件のもと、申し上げますと、両議院の同意を得た郵政大臣の許可認可で認められる場合もあり得ます。しかしながら、ただいまもNHKの方から御説明がありましたように、現在のNHKの設備は、もっぱら放送を行うことを目的としておりまして、NHKの使命を達成するためには、放送事業の基礎となる放送設備を長期間学園の用に供するということは余り好ましくないと考えており、また実際問題としても、学園の用に供する余裕はほとんどないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  187. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで、この放送大学学園法案の中の第二十条二項に「学園は、前項各号に掲げる業務を行うほか、」云々ということで「第二条第四号に規定する無線設備をいう。)を除く。」ことなっておって「及び教材を当該大学以外の大学における通信による教育その他の教育又は研究のための利用に供することができる。」、こうございますね。これはつまり、いまある通信制大学等の通信教育あるいはほかの大学のもので行っておる教育というものを、この大学電波に乗せて、そして利用することができるのだ。いまあなたは、電波法第四条で、電電公社と国際電信電話株式会社以外はこの電波法上から無理なんです、こういうことですが、ここではわざわざこういった形で設けて、他の者も利用できるというようにうたっておるわけでございますが、これを逆にしたならば、やはりいまあるNHKの設備等を、何も私は、そこにないものをやれと言っているのじゃないのです、利用できるものは利用できるじゃないか、こう言っているのです。全く新しいものをつくっていくとなれば大変なお金になるから、それを少しでも利用できる点は利用した方がお得じゃないですか、こういう論議をしているのですから、この辺の解釈からもう一度回答してください。
  188. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えを申し上げます。  立法政策上の技術といたしましては、先生いまおっしゃったようなこともあり得ようかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、現在NHKの設備にはそれだけの余裕はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  189. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、NHKにもう一度聞いておきますが、利用できる点は全くありませんか、それともできる点が少しでも、何かの手を加えていけばできるということがありますか。
  190. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  施設の面では、先ほど申し上げましたように、余裕がほとんどないということでございますけれども番組制作、そういった面につきましては、私ども長年の間、教育番組につきましての制作、そういった経験を持っておりますので、私どもは、そういった経験を生かしながら、放送大学が実現いたしまして、具体的に大学側の方から要請があった場合には、現在の放送法を十分勘案しながら、その範囲内のところで何とか協力できるのではないかというふうに考えてまいりたいというふうに思っております。
  191. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのとおりですよ。ですからもう一度、郵政省なり文部省でもいいですが、イギリスの公開大学御存じのとおりBBCと、放送部門と大学の部門とを分けて、タイアップして四十六年一月からずっと行ってきていますよね、チームを組んで、何の支障もなく。もちろん、これはいまの日本のこの放送大学とは形態が違いますよ。最初は放送大学で行こうというのが、そこにはいろいろと無理があるということから、オープンユニバーシティー、公開大学という形になったわけです。そして放送部門に携わる者はわずか一〇%です。あとの九〇%は他の機関に頼って教育を行っているのです。これは放送法大学の自治あるいは学問の自由、こういったものといろいろな面で抵触するから、こういう形になってきているのです。努力している面が幾つもうかがえますよね。そういう面から考えて、いまのNHKの答弁では、要請があれば考えたい、こう言っていますが、どう対処しますか。
  192. 宮地貫一

    宮地政府委員 具体的に、これから放送大学学園ができまして、放送局を持つことになるわけでございますが、その際、学園放送局の開設あるいは運営に当たりましては、NHKを初め既存の放送事業者から、技術面とか放送関係の要員の確保とか、いろいろな面で御協力を得る必要もあろうかと思っております。そういうような具体的な協力関係の問題については、私どもも、もちろん関係省庁とも十分協議をしながら、積極的な姿勢で検討していかなければならぬ課題と考えております。
  193. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKにお伺いします。  電波が国民に与える影響は実に大きいものがあると考えられます。そこで、NHKにも経営委員会とか番組審議会等がありますけれども、公共放送に対する考え方電波の影響をどのように認識しておるか、また、NHKが受信料制をとって苦労しておるが、どういう点に重きを置いて行っておるのか、その点の御認識をお伺いしておきたい。
  194. 田中武志

    田中参考人 お答えいたします。  先生御存じのように、放送は、電波の特性を十分利用いたしまして、即時に広範囲な地域にわたって報道、教育教養あるいは娯楽といったそれぞれの分野にわたって、国民生活に大変重要な面での放送をしまして、その結果、社会的にも文化的にもきわめて多様な、かつ重要な影響力があると私たちは思っております。特に、国内外のニュースあるいはその他の諸情報の放送については、現在は国民の日常生活に不可欠のものになっているのではないかと考えております。また、先ほどから御論議になっております学校放送とか社会教育というような分野においても、私ども長い経験で、体系的な教育番組の編成あるいは教養番組、娯楽番組の提供なども行っております。こういった面での放送は、国民の福祉、文化の向上に十分役立っているのではないかと考えております。  なお、蛇足ではありますけれどもNHKが先年実施いたしました「日本人とテレビ文化」という世論調査の結果によりましても、テレビの文化的効用として、新しい思想や文化の発展とか日本の経済的発展、政治の民主化、伝統文化の保存ということに大変影響を受けているというような結果も出ております。
  195. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、ここで一つ問題点として文部省にお伺いしておきます。  この放送大学一つのテーマ、たとえばいま問題になっています憲法の問題を取り上げるとか防衛の問題とか天皇制の問題とか左右両論に複雑なものがあるような問題を取り上げて講義するときに、放送法第四十四条三項にあるごとく、政治的公平あるいは意見が対立している問題はできるだけ多くの角度から論じていく、こういうことも言われております。  しかし、授業が学生に魅力ある授業となってきて、いろいろな大学でいろいろな講義が行われるからこそ、わが国の社会に健全なものを与えておると言っても過言ではない。学問というものは、画一的な何かに統制されていったような、あるいはいろいろな角度からニュース解説みたいにこういうことを言っている人もあります、こういうことを言っている人もありますというようなもので果たして――わが大学の主張はこうなんだ、私の主張はこうなんだというものが言えなかったら学問的にならぬですよ。  そういった面と、この学問研究の自由、教育の自由、これはもちろん大学の命です。しかし、もしもそれが時の権力支配者の考え方に従っていかなければならない形になったのでは、もはやこれは学問の自由も何もあったものではないわけです。したがって、この放送法の面から政治的な自由とか多様性といった面を考えていけば、果たしてそういった放送ができるのか。  同時に、一歩誤れば、皆さんのいまの計画でいきますと、多くの人たちがこの放送大学で勉強していくわけです、何しろ六百何十万人から考えている、最初でも二十何万人、常時で四十数万人を考えていくのだ、こんなことはいまだかつてない大学の規模になりますね、そういった者にもしも画一的な教育しかできなかったならば、これはまた大変なことになります。そうなってきますと、意識の画一化あるいは誘導機関になるおそれがこの大学に出てくると私は思うのです。この点どういう認識を持ちますか。
  196. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  特に、放送法第四十四条三項の中でも、第二号の「政治的に公平であること。」と、第四号の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という規定があるわけでございまして、その関連と、学問の自由なり大学の自治というものとの関連についてのお尋ねであろうかと思いますが、第四号に「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という規定があるわけでございまして、これは意見が対立している問題については、その論点を明らかにするということにつきまして、特に講義方法に対する一種の制約がかぶさってくることになろうかと思います。ただ、この場合でも、先ほども申し上げたわけでございますが、講師の学問的見解を述べることまでも禁止されるものではないと私どもは考えておりまして、それによりまして学問の自由が損なわれるものではないと考えております。  次の問題点でございますが、政治的な問題にかかわる場合には、講師が自己の学問的見解を述べる、このことが第二号の「政治的に公平であること。」という規定との関係で問題になってくるという点についての御質問であろうかと思うわけでございますが、その点に関しましては、大学自体においてその教育内容そのものに適正な自制をすることによって学問の自由との調和を図るというのが考え方基本的な点でございます。  なお、放送大学の場合の講義については、先ほども説明をしたわけでございますけれども番組制作に当たっては、各授業科目ごとにそれを担当する教員と放送関係スタッフとで実際上はコースチームを編成して、それで内容の検討をし映像化するというようなことになろうかと思います。その際、教学側と申しますかアカデミックスタッフ、そういう側においても教育そのものが放送されるということに留意をして、教学側自体の自主的な判断、主体的な判断でそれを自制し、また、放送スタッフ側においても学問の自由という点に十分留意し、慎重に対処することが望まれるわけでございまして、具体的には、そういうチームを編成して検討し、十分に意見を交換して、それらの点について十分調整を図った上で実際に番組が流されるというような仕組みになろうかと思います。
  197. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、電波を使った教育の影響というものは多くのものが出てまいりますよ。たとえば教育の基礎となる教師の選定が、時の権力支配者の考えを支持、そういう学説を持つ者を中心に集められたとなったら、これはもう大学の名にも値しない、そういうものになってきますね。  そこで、具体的にちょっとこの前も私は指摘をしておきましたけれども、たとえば特に第十条にあるように「理事長及び監事は、文部大臣が任命する。」、こうありますね、それから、第十九条は委員の選定でございますね、運営審議委員の選定の中で「学園の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。」、こうございますね、それから学長及び副学長、教員の任命、こういったものも、第二十一条の二項に「文部大臣が任命する。」、こういうふうに出てきていますね、つまり、すべて文部大臣、もちろん理事長は文部大臣によって任命されるわけでございますけれども文部大臣理事長とによって一切が決まっていく形ならば、これはもう文部大臣のオールマイティという形ですよ。たとえば、いろいろな意見を持っていたら、そういう人はやめさせることもできるのですから。任免があるのですから。そうなってくると、これはもう完全に文部大臣の影響が出てくる。  こうなってきたならば、これはもう大学の自由だとか自治だとかなどと幾ら体裁のいいことを言っていたって、この法案自体を見ても傾いたものにならざるを得ない、そう思うけれども、認識はどうですか。
  198. 宮地貫一

    宮地政府委員 御指摘のような任命方法になっておるわけでございますが、具体的に、第二十一条でございますと「学長、副学長及び教員の任免等」の規定でございますが、その二項に「学長は、理事長の申出に基づいて、文部大臣が任命する。」というような規定がございます。具体的な任命に当たりましては、もちろん理事長の申し出に基づくわけでございまして、理事長が申し出るに当たっては、評議会の議に基づくわけでございます。さらに第二十一条の五項でございますが、「教員は、学長の申出に基づいて、理事長が任命する。」ということになっております。第六項に、第二項の申し出、つまり、学長の任命に当たっての理事長の申し出でございますが、その際も、また、教員の任命については学長の申し出に基づいて理事長が任命するわけでございますが、それぞれ理事長なり学長が申し出る場合には、いずれも「評議会の議に基づいて行われなければならない。」ということになっておるわけでございます。その「議に基づいて」ということは、非常に拘束力の強い規定でございまして、実質的にはそれぞれ、教員の任命なり学長の任命というようなもの、そういう人事については、具体的の権限行使に当たりまして、大学関係者みずからが行うという仕組みを確保してあるわけでございます。  直接の比較にはならないわけでございますが、国立大学の学長も文部大臣が任命をいたすわけでございますが、これももちろん学内で、大学自体の選考の行われました者について申し出に基づいて文部大臣が任命をするという仕組みになっておるわけでございます。  以上のようなことでございまして、文部大臣の権限が非常に強過ぎてどうかという御質問でございますけれども、この特殊法人放送大学につきましての人事に関する規定というものは、大学の自治を確保する規定を、法律上必要な点については十分設けまして、その点は大学の自治の確保に十分努めておる、私どもはかように理解をいたしております。
  199. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまあなたは「評議会の議に基づいて」というところを出しましたね、私、評議会に関しても、この後言おうと思っていたのですけれども、この評議会も同じことなんですよ。評議会はまた、学長の申し出に基づいて理事長が評議員を任命するのですから。文部大臣それから理事長、そういった者の全くのオールマイティになっていると言っても過言ではないわけですからね。  したがって、これをこんな形に、偏ったものに持っていっては――本来大学には教授会という自主性を持った権威のあるものがあるわけですよ。ですから、教授の地位を強めるという意味から、第二十三条の二項二号にあるとおり「評議会が定めるところにより選出される教授」ではなくして、これを、教授が、あるいは教授会によってこの評議会の評議員というものを定めていくというように変えていく必要があるのではないか、こう考えます。これが一点。  それと、理事長あるいは監事あるいは学長の任免に関しても、これを、他の特殊法人等の例を考えても、国会の両院の合意を得て任免するというような表現にすべきではないかと提案したいわけでございますが、いかがでしょうか。
  200. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  評議会の規定をこの放送大学については設けておるわけでございますが、評議会の所管します事柄としては「人事の基準」ということで二十二条が「学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて、学長が定める。」ということでございますので、もちろん評議会の議に基づくわけでございますから、評議会自身がお決めになるということになろうかと思います。  そこで、そういうことで評議会が二十三条に置かれておりますが、先生案内のとおり、この放送大学の組織全体、これは全く新しい形の大学でございまして、実際に教官組織というようなものにつきましても、発足してから具体的なものが置かれていくわけでございますが、私ども現在想定しておりますところは、この放送大学自体の専任教授ももとよりでございますが、それぞれ国公私立のほかの大学の適当な方々に客員教授として積極的に入っていただいて御協力をいただく、さらにまた、全国各地に学習センターが置かれるわけでございまして、学習センターにもまた専任の教員が配置されるわけでございます。そういう構成全体が大変複雑な構成になっていくわけでございまして、したがいまして、評議会という規定を設けまして、人事に関する事項は評議会が行うという形の規定を設けてございます。この点は、既存の国立大学の例で申しますと、筑波大学には評議会に関する規定法律規定してございます。  そこで、二十三条二項二号でございますが、「評議会が定めるところにより選出される教授」ということで、これは評議会みずからがお決めになって、代表の教授を六人以上十二人以内ということで構成を定めたものでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、学校教育法上の教授会は、もちろんこの放送大学においても置かれることは当然でございます。  なお、次にもう一点は、役員あるいは運営審議会の委員の任命についての国会の承認を得ることにしてはどうかというようなことについてのお尋ねでございまして、たとえば具体的には、放送法十六条ではNHK経営委員を国会の同意にかかわらしめているわけでございますが、私ども伺っておるところでは、これはNHKが受信料に基盤を置く公共放送というような性格から国会の承認を必要としているというぐあいに伺っているわけでございます。この放送大学学園の役員人事につきましては、従来、通常、特殊法人の役員の任命について規定をしております規定の例にならいまして、文部大臣が任命をするということにしたわけでございます。具体的に、運営審議会は理事長の諮問に応じまして法人の業務の運営に関する重要事項を審議するということでございますが、たとえば文部省所管の特殊法人についても、運営審議会なり諮問機関としての評議会というようなものを置いているものもございますが、任命方法としては通例こういう形で規定をいたしております。  具体的に運営審議会の構成メンバーとしては、先ほど学識経験者の中から文部大臣が任命するという十九条の規定を御引用になったわけでございますが、具体的な人選といたしましては、もちろん、たとえば国公私立の大学関係者でございますとか、あるいはまた放送事業者というような関係の方々を適正な形で網羅をして、その運営については全体の意見が十分反映されるような構成で考えていくというようなことは当然のことでございます。
  201. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この後、同僚議員から関連質問がありますので、もう一問で終わります。二点伺っておきます。  十三条の二項、文部大臣または理事長は、この役員に関して「その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。」、この条文でございますが、この「役員たるに適しないと認めるとき」というのは、ちょっと幅が広過ぎて、自分にはちょっと気に食わぬというようなことになってきたら、これはそのまま解任することができるわけですね。  したがいまして、この部分を取り除くか、あるいはその表現に限定したものを加えるか、その点で一点お伺いしておきたいのと、同時に、業務のところで、第二十条、この業務に携わるに当たって「大学における教育に必要な放送を行う」、こうなっていますね。「大学における教育に必要な放送」、これは「必要な放送」となれば、教育は生涯教育ですから、また何でも教育に必要なんですよ、いろいろなものが。そうすると、この「教育に必要な放送を行う」というのは、もっと限定しなかったならば、先ほどの議論NHK教育放送あるいはほかのものにも拡大解釈できるんですよ。たとえば夏休み、冬休み、授業がないので、その放送の時間帯が空いている。そうなったときには、では、教育に必要なんだからということで、音楽関係でもスポーツ関係でも何でも放送できるのだと解釈しないとも限りません。  したがいまして、私はここに要するに、大学教育における、もっぱらその教育に必要なものであるというような、そういう限定を加える必要があるのではないか、こう思いますので、この二点御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  202. 宮地貫一

    宮地政府委員 お尋ねの第一点は、十三条二項で「役員たるに適しないと認めるときは」という規定では広過ぎるのではないかというお尋ねでございますが、そこに例示としてございますのは「心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。」とか「職務上の義務違反があるとき。」というような規定があるわけでございます。したがいまして、「役員たるに適しない」というのは、その例示に掲げた事柄に類似するような事柄であることは当然でございまして、こういう規定の仕方になっているというのが通例でございます。  それから第二点の、第二十条第一項第二号の「教育に必要な放送を行う」という点について広くなるおそれはないかという御質問でございますが、「教育に必要な放送」といたしましては、教育課程に基づく授業としての放送を言うわけでございまして、したがいまして、そういう教育課程に基づく授業としての放送のほかには、たとえば学生に対する告知放送でございますとか、あるいは入学者募集放送等大学教育そのものに付随をすること以外には広がることはない、かように私どもは考えております。
  203. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、これで終わりますが、いまの答弁では、私、不服です。そんな「その他役員たるに適しないと認める」というのは、前の方にかかっておるような言い方をしていますが、この表現からいけば、もう自分は役員たるに適しないと考えたら解任できる、こういうふうにとられます。  同時に、先ほどのこっちの二十条の方でも、放送教育関連あるならばどんなものでもできるということから、たとえば、いまのNHK教育放送だって、もううんと関連が出てまいりますし、そのほかのものにまで出てくるという面で、この議論というものが大きく出ておるわけでございますので、その点の論議というものはもう一歩進めていかなければならないと思いますが、時間の都合でこの際、同僚議員に関連質問のために譲りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  204. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。有島重武君。
  205. 有島重武

    ○有島委員 本法案につきましての逓信とそれから文教の方の連合審査ということでございますけれども、先ほど来各委員からさまざまな御質問がございましたけれども、そこでみんな指摘されておりますように、相当長い期間やってきた、そこでもって全然法案は変わらない姿で出てきておる、それで、この前の連合審査のときに、前任者であられた文部大臣が、その点は十分検討するというようなお答えがあったような事項もある、それがそのままになって、また持ち越されておるというようなことがあるようであります。  そこで、文部大臣にひとつここでお約束をいただきたいのですけれども、そのような事項につきましてチェックしていただいて、それで検討を前任者が約束されている点につきましては、この法案審議中の文教委員会なり、また他の方法によりまして何らかのお答えをなるべく早く出していただきたい。ひとつお約束をいただきたいのですけれども、いかがでございましょうか。
  206. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほどもその点については御答弁申し上げたわけでございますが、指摘事項についてどう考えるかというような事柄について、ただいまの御質問は、個別にそれらの事柄を整理して、それについての考え方を示すようにという御指摘でございましたので、その点は早急に検討して、個別の事柄についてお示しをするようにしたい、かように考えます。
  207. 有島重武

    ○有島委員 何分大変限られた時間でもってやっておるので、そういった事項がたくさんあると思いますから、いま大学局長が言われましたけれども、必ずこれを早い時期に実行していただきたい、お願いいたしたいと思います。
  208. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 内藤前々文部大臣のお話もありますが、その後にまた私の前任者も、やはりこの御審議をいたしたと存じますが、さらにまた私の代に引き継がれました経過でございますので、ただいま大学局長からまたお話申しましたように、その点につきましては局長相談をいたします。
  209. 有島重武

    ○有島委員 この大学といいますか放送大学学園というところでもって設置される新しい大学、これは大変新しい試みであるということをたびたび言っておられますけれども、その一番新しいと言われるエッセンスは、放送を用いるという点にかかわっているのではないだろうか。だから、放送大学などという名前を、いま、これは仮の名前であるようでございますけれども、使っておられるのではないだろうかと思います。  ところで、いまの竹内委員から御指摘のありましたように、放送によって教育を本当に進めていくのかということでございますけれども、これは教育の中の時間数にいたしましても三〇%以下でありましょう。そしてBBCでもって英国がやりましたオープンユニバーシティーの場合でも、当初は二〇%程度の放送による教育ということも想定していた、これがだんだん、実際やってみますと、いま竹内さんの言われましたように、一〇%になってきた経緯もございます。ということでございまして、これは放送による、ないしは電波を用いていく大学教育であるという言い方でございますけれども電波も用いるという方が本当は実態をよく言いあらわしているのじゃなかろうか。主として放送を用いる、主として電波を用いるということではない、主としてということになりますと、これは五〇%以上を使うということでございましょうから、そういうことではさらさらないのであるということを、ここでもって確認しておきたいのですけれども大学局長、いかがですか。
  210. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生御指摘のように、放送による教育の分野はおよそ三分の一程度ということで考えておりますので、もちろん、面接授業によるスクーリングというものも考え、印刷教材によります学習ということも考えておるわけでございます。そういう意味では、放送も含まれるという先生の御指摘のとおりと理解をいたしております。
  211. 有島重武

    ○有島委員 その点がややPR不足といいますか、すべてが放送で賄われるような感じで議論が交わされやすいのじゃないだろうかどいう点を私は指摘したかったわけであります。  あとこれは将来の話になろうかと思うのですけれども放送衛星が用いられるようになったときに、カバーできる範囲が日本列島に限られるというようなことを、せんだってちょっと伺いましたけれども、当然韓国、朝鮮というようなところは含まれてしまうのじゃなかろうかと私は思うのですが、これを伺っておきたい。それからもう一つ、いわゆる北方領土、四つの島については、ここにも行き渡るのでしょうね、こういう点でございますけれども、これも承っておきたい。  それから第二番目に、放送衛星について遠い将来に、もっと大きな範囲、東南アジアといいますか、環太平洋全域をカバーするような状況を将来の問題として考えていかなければならぬと思うのですけれども、そういうときのための技術的ないしは国際法上でもっていろいろな問題があろうかと思うのですが、これは可能なのか、それともこういったことは不可能なのであるか。  それからもう一つ放送技術のことでありますけれども、これは衛星に限らず、いわゆる多重放送につきまして、電波局長の方から、テレビ一つ、それからラジオ一つ、こういうことでございましたが、このテレビの波にはプラス一の多重放送が加わる、こういうことでございます。ところで、テレビでもって多重放送を用いない場合も多々あろうかと思うんですね。そのときにはテレビでもって普通の放送をやっておる、余っている多重放送のプラス一の電波は、別なラジオ放送の用にこれをもちいることは可能でございましょうか。  以上三点をお伺いして終わりにします。
  212. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、北方領土ないしは韓国に電波は落ちるのではないかということでございますが、ほとんど日本本土と申しますか、与那国を含めまして大東島あるいは小笠原というようなところにつきましても入るわけでございますけれども、ただ入り方がございまして、韓国などには非常に大きな――大東島あたりか四・五メートル程度のパラボラアンテナを考えておるわけでございますが、それが十メートルというようなパラボラを用意するということになりますと入ることになろうかと思います。そこらあたりは国際的な協定もございまして、スピルオーバーさせないということで、技術的にほとんど問題にならない、つまり、問題にならないというのは、混信を起こさないというようなことで、漏れは韓国などについては小さい、北方領土は十分入ると思います。  それから次に、環太平洋等、そちらの方に放送電波をおろすということでございますけれども、これにつきましては、いま国連におきましても論議されておるところでございまして、国際的な協調あるいは協議が調えば技術的には可能かと思いますけれども、いまのところ、よその国から自分の国へ放送電波をおろしてほしいというような話は余り聞いておりません。ただ、非常に友好国で言葉も同じだというようなことでは、話し合いいかんによってはあろうかと思います。  もう一度繰り返しますけれども、空からおりてくるわけでございますが、日本も非常に細長いといいますかそういうところですけれども、アンテナの工夫によってかなり、かっこうの悪い、真ん丸くなくてもそこだけカバーするというのは、技術的には可能でございます。  次に、最後の御質問でございますが、テレビに音声を加えることでございますが、技術的にはいろいろの工夫があるわけですけれども、ただいまのところテレビに音は一つついておりますが、それにもう一つつけられるということで、現実にもう放送実用化試験局というようなことでやっておるのでございますけれども、この波を現在のところはテレビの絵に付随した補完的利用というかっこうでやっておりまして、これを絵と余り関係のないラジオとして使うことにつきましては、独立利用というふうに私ども申しておりますけれども、この辺につきましては、いろいろなマスコミの集中排除の問題等々からいたしまして、それを認めるかどうか、認める際には非常に問題があるということで、鋭意御検討をいただいておるわけでございます。放送の多様化会議というものを、省内に大臣の諮問機関として設けまして、いま御論議いただいておるということで、技術的には絵に二つ音をつけるということは可能でございます。
  213. 有島重武

    ○有島委員 どうもありがとうございました。
  214. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 木下敬之助君。
  215. 木下敬之助

    ○木下委員 この放送大学学園は、国民の要請にこたえて、すべての国民に教育学問機会均等を図るという設立の趣旨から考えてみまして、全体計画を明確にしてから発足すべきではないかと考えておりますが、この点につきまして文部省のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  216. 宮地貫一

    宮地政府委員 御案内のとおり、放送大学につきましては、社会的な要請を受けまして国民に開かれた大学をつくるという考え方で取り組んでき、今日まで十年余にわたって検討し、御提案を申し上げておるというような経緯がございます。私どもとしては、それらの検討過程においての問題点も十分把握しているわけでございます。先ほど来御説明いたしておるわけでございますが、この放送大学放送教育に使った大学という意味では、全く新しい最初の試みでございます。しかも、全体計画といたしますと、非常に大きなプロジェクトになるというようなことでございまして、その整備については、私どもは段階的に慎重に取り組みたい、かように考えております。  そこで、第一期計画としましては、私どもは、人口の集積でございますとか、あるいは人口の構成、そういうような点から見まして、今後、全国に広めていく際の拡大計画に必要な具体的な資料も得るというようなことで、既存の東京タワーを利用し、かつ一カ所送信所をつくるというような形で関東地域をまず対象として進めるということで取り組んでいるわけでございます。  将来計画につきましては、先ほども説明いたしたわけでございますけれども一つには放送衛星の実用化の動向といいますか、そのことについても十分踏まえなければいけないであろう。それから、先ほどもお話をいたしたわけでございますが、今後の高等教育へ進学する年齢の十八歳人口の動向、そういうものも十分踏まえながら、たとえば昭和六十五、六年には、おおよそいまよりも約五十万人多い約二百六万から七万というのがピークに達するわけでございます。したがいまして、昭和六十二年から約十年間くらいで高等教育の整備計画全体というものが、これから検討していく課題として出てくるわけでございます。放送大学の対象地域を全国各都道府県に拡大するという課題につきましても、そういう次期の高等教育機関の整備計画全体の中で検討させていただくということでございます。
  217. 木下敬之助

    ○木下委員 同じ答弁で大変お疲れでございましょうけれども、新しい大学であればあるほど国民の期待というものは大きいのでありまして、特に教育とかこういったものは、基本的な姿勢というものが大事になるかと考えます。そういった意味で、私どもは、こんな、だめかもしれないけれども、もしかしたらすばらしいかもしれない、そんなものが、国民に均等にということが中心にあっていいのではないかと思う。これはどちらを大事にするかという比重の問題でありまして、いまのような徐々にやりたいとかそういった答えでは、私どもは大変不満なのであります。基本的な姿勢として、教育する者の基本的な姿勢として、この機会均等よりもそういった技術的なものを優先したというのは、非常な汚点ではなかろうかと私は考えるわけであります。  次に、郵政省にお伺いいたしたいと存じます。  同じ教育機会均等を図る見地から考えて、放送衛星を利用して全国をカバーすべきではないかと思うのでありまして、これができるようになってからやられてもいいのではないかと考えるのですが、また費用の点から見ても、その方が安くなると聞いておるのですが、どうでございましょうか。
  218. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  放送衛星を使えばどうかということでございますけれども放送衛星は、その性質上一つ電波日本全土をほとんどカバーすることができるものでございますので、将来、日本全土を対象に放送を行うことが予定されているといたしますと、そういう放送大学学園放送にお使いいただくのは、きわめて有効であろうかと考えるわけでございます。  しかしながら、学園放送衛星の利用の時期でございますけれども、いま私どもで推進しております放送衛星でございますが、五十九年二月に打ち上げを予定しているものがございます。これはBS2というふうに言っておりますけれども、これにつきましては、こういうものを打ち上げます場合に最低五年ぐらいの準備がかかるということで、すでにNHKの難視聴解消用――NHKは現在五十一万の難視聴解消がございますけれども、それを五十八年までに従来方式で四十一万まで減らす、その時点におきまして、それ以上のものを従来方式で解消するのはきわめて困難であり、経費もかかるというようなことで、繰り返しますけれども、五十九年二月ごろを予定しております放送衛星は、NHKの難視聴解消用ということで予定しているわけでございます。つまり、余分の番組はもう入る余地はない、こういうことでございます。したがいまして、もし放送大学学園番組というものを放送衛星にも利用するということになりますと、第二世代の放送衛星と申しますか、BS3というようなもの以降でないと考えられない。それにつきましても、もし利用するにしましても、やはり五年以上かかるものでございますから、かなり早い時期にお決めいただかないと、その利用もそれだけおくれるというようなことでございます。放送衛星の利用につきましては、今後とも関係の文部省とも緊密な連絡を保ちながら検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、費用はどうだということが御質問にあったかと思いますけれども、最終的に全国普及を図るということでございますと、先ほども申し上げましたように、人工衛星を利用した方が、推定でございますけれども、コストは安いであろう、これは非常な山間僻地までを考えての話でございます。
  219. 木下敬之助

    ○木下委員 郵政省としまして、この放送衛星を利用することは十分考えられる御意見と思いますが、ただ、いう発足させてどうするかという点について受け身のようでございますけれども、郵政事業は特に地域的なハンディを克服させる手段をいろいろと有しておると考えられます。地域的なバランスを図る義務があると考えて、もっと地域的なバランスをとるということの重大さを認識していただきたいと思います。恵まれない地域の発展のために真剣に取り組んでもらいたい。そういうことのできる郵政事業だと考えておりますので、受け身ではなくて、もっと積極的にこの問題を考えていただきたいと思います。  たとえばその他の点でも、FM等のチャンネルプランにおいても地域的なバランスを配慮して、逆に民力度の低い方を優先してするという考えもあると思いますか、どう考えますか。
  220. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  FM等のチャンネルプランにおいても地域的なバランスを考えろというお話かと思いますが、余り大都市優先で考えるべきではないということかと思いますけれども、そのとおりでございまして、私どもも、電波は非常に有限で大事なものでございますので、「電波の公平且つ能率的な利用を確保する」というのが電波法の目的にございますけれども、そういうものを達成するという観点から、チャンネルプランの策定に当たりましても、地域の経済力あるいは人口、放送需要あるいは周波数事情というようなものを総合的に勘案いたしまして、できる限り地域間の情報格差の是正を図るという見地を守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  221. 木下敬之助

    ○木下委員 ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。  それでは次に、文部省にお伺いいたしますが、この学園構想とともに生涯教育という言葉が使われておるようでございますが、生涯教育というものをどう考えておられるのでございましょうか。
  222. 宮地貫一

    宮地政府委員 生涯教育についてのお尋ねでございますが、生涯教育という観点から申しますと、青少年期の特に学校教育に限定をすることなく、それぞれの国民各人が生涯にわたりましてみずから必要とする学習を自分で主体的に選択をするといいますか、そういうことで幅広く教育学習活動が行われるようにすべきであるというぐあいに考えております。
  223. 木下敬之助

    ○木下委員 そういう観点からながめまして、非常に多くの人が、この放送学園によって同じものの教育を受ける、しかも、その教育が計画的に押しつけになるのではないかと考えられるわけですが、この点どうお考えでしょうか。
  224. 宮地貫一

    宮地政府委員 この放送大学内容についてのお尋ねで、押しつけになるのではないかという御意見でございますが、私どもといたしましては、もとよりそのように考えておりません。  なお、具体的なお尋ね、あるいはもっと一般的視聴者からの意見を反映するようなことも考えるべきではないかというようなことをお尋ねのことであろうかと思うわけでございますけれども、これは大学教育でございまして、たとえばNHKの場合には、放送番組につきまして第三者の意見を反映し、それの適正化を図ると申しますか、そういうことで番組審議会というものが設置されているというぐあいに伺っておるわけでございますが、この放送大学学園放送は、先ほども申しましたように、放送大学講義そのものということでございます。したがいまして、その内容につきまして、大学以外の機関といいますか、そういうようなものがこれに介入するということについては、必ずしも適切ではない。むしろ番組の適正化につきましては、大学みずからの自律的な規制に期待するということが適切であろうか、かように考えておるわけでございます。  もちろん、国民が広くこの番組を聞く、むしろそういう点にも一つのねらいがあるわけでございますから、一般の視聴者を初めといたしまして、いろいろな御意見が寄せられるであろうことは予想もされる点でございます。そういう御意見については、学園放送大学授業としての実質を持っておる、そういう点に着目をいたしまして、先ほども申しましたような大学の自主性を尊重するという観点から、むしろ大学の中にしかるべき適切な委員会のような組織を設けまして、そういう意見を十分受けとめて自主的に対処をするような配慮をするということが、私どもとしては考えるべきことであろうか、かように考えます。
  225. 木下敬之助

    ○木下委員 一般の大学であれば、いろいろな大学がありますから、それぞれの大学が自主的に考えてやられて、そういったことの影響で評判がいい悪い、あそこにはいい教授がいるからとかいろいろなことで選択をして学問をするわけですが、選択の余地のないものの場合、そういう自主的なものだけに任せていないで公の声が入れるようなシステムというものが必要ではないかと考えておりますが、この点どうお考えになりますか。
  226. 宮地貫一

    宮地政府委員 その点は、先ほど来の御議論にもございましたように、放送法四十四条三項によります、政治的な中立でございますとか、あるいは意見の対立する点については、公平にその点を述べるというような点での放送コードの規制というものが、この大学にもかかっているということは先ほど来申し上げている点でございまして、それと大学学問の自由と申しますか、それとの調整、この点が一つ基本的な問題点ということで、その調整といたしましては、先ほど来御説明しておるような大学自体の適切な自制にまつことによりまして学問の自由を確保しておりますということを御説明申し上げているわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、この放送大学そのものの講義の中身につきまして、いろいろ視聴者からの御意見等があることも予想されるわけでございますが、先ほど御説明を申しましたような大学自体の自律的作用でそれに対応するのが適切ではないか、かように考えております。
  227. 木下敬之助

    ○木下委員 言葉で言うのは簡単ですけれども、現実に運用するのは人間ですから、その点、これほど大きなシステムが一カ所に集中して、それしかないという形の中で、ただ言葉の上での自主性というのに任せてしまっていいものと私ども思えないわけです。  私としましては、具体的に解消するための提案といたしまして、たとえば、その講義内容に反論をしたいというような他の大学の学者があれば、その学者に対して放送機会を与えるような時間枠の設定とかいうシステムができていいのではないかと思うわけです。常時そういった国民のために広く開放する時間枠があれば、その時間等を通じて公平にいろいろなものを、その枠を利用する人たちが全く別の次元から利用して、国民に広く理解を求めることができるわけではないかと思うのですが、この点どう考えられますか。
  228. 宮地貫一

    宮地政府委員 もちろん、それぞれの学者がお互いに自己の学説なり主張につきまして、公開の場と申しますか、いろいろ言論その他手段があるわけでございまして、それを主張し合うことは、学問の進歩、発達のためにも必要なことであろうかと思います。  ただ、御提案のような放送大学放送についてそういう機会を与えることはどうかというお話でございますけれども放送大学授業としてこの放送は行っているわけでございまして、その大学における授業そのものにつきまして、ほかの大学の方が反論をするということそのものについては、私どもとしては、それは必ずしも適切ではないと考えております。  むしろ視聴した結果、ほかの学者がほかの公開されておりますいろいろな機関でそのことを反論すること自身については、もちろん、これは学問的に自由でございますけれども、この放送大学放送そのものは、放送大学授業そのものでございますので、したがいまして、そういうことは考えていないということでございます。  もちろん、番組の中身につきましては、先ほど来御説明しておりますように、放送法四十四条第三項の規定が準用されているわけでございます。それを踏まえました授業ということになりますので、具体的な授業の形としては、担当教官とプロデューサーその他放送関係者も含めましてコースチームのようなものが編成され、そこで慎重な検討を経て制作し、放送されるというような仕組みで考えているわけでございます。したがって、意見や学説が対立しているような事柄につきましても、もちろん、多角的にかつ公平に取り扱われた授業というものを私どもは期待をしているわけでございます。
  229. 木下敬之助

    ○木下委員 放送学園の、大学放送であるから、他の大学のが入れられないということでございますけれども、一日じゅうやっている放送の中を全部その放送大学でとらずに、そういった他の大学もできるような時間枠を最初からとっておいたらどうであろうか、こういう私の提案なのでございますが……。
  230. 宮地貫一

    宮地政府委員 放送そのものは、放送大学授業ということで、放送大学自体の編成されております教育課程に従って行われる授業そのものであるわけでございます。したがいまして、いわゆるAとBとの間での論争を、ある事柄についてそれを提供するというような形のもので取り上げるものではないというぐあいに私どもは考えております。
  231. 木下敬之助

    ○木下委員 それは皆さんのお考えでそういうふうにやられるつもりのようでございますけれども、こういった教育が一方的になされる可能性があり、政府等の考えが偏重して伝わる可能性があるようなもののとき、反論できるように、同じように力のある者を用意するというのが、公平に教育が行われるために大事ではなかろうかと私は考えております。  郵政省にお伺いいたしますが、この放送大学学園による放送は、国営放送ではないかとも考えられるのでありますが、番組内容も時の政府の考えに偏向したものになりはしないかと懸念するわけでございます。その点どう考えておられるでしょうか。
  232. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  放送大学学園国営放送となるのではないかという御指摘かと思いますけれども放送法制定の趣旨からも考えまして、現行の放送は国が放送事業者となることは予定しておりません。郵政省といたしましても、放送法制定のそうした趣旨から考えまして、国が放送事業者となることは望ましくないと考えているわけでございます。  そこで、形式的には、放送大学学園は国とは別の法人格を有するということにしておりますために、国みずからが放送事業者となる国営放送とは形式上も明確に区別できるのではないかと考えております。また実質的にも、学園の国からの独立性についてでございますけれども、この法律では主務大臣の監督命令は財務、会計に限定するなど、通常の特殊法人とは異なる配慮をしておると考えております。また学園放送は、NHKのようにバランスのとれた娯楽、報道、教育教養というような放送とは違いまして、大学教育として行われるものであるために、大学の自治、学問の自由はより十分に確保されておるというふうに考えておることでございます。  したがいまして、国の資金によりまして運営される放送大学学園放送を認めるといたしましても、放送法第一条の精神と申しますか、放送の不偏不党に背馳するとは考えておりません。御指摘のような危惧はないというふうに考えておる次第でございます。
  233. 木下敬之助

    ○木下委員 幾つかの質問をさせていただきましたが、私どもの懸念しているものに対して十分な用意というか対策の講じられたお答えとは見えませんでした。この学園の運営いかんによっては、教育統制と放送、情報支配の危険を十分にはらんでいるものであると考えます、決してそのような結果に陥ることのないように今後十分な対策を講ぜられますように期待いたしております。  大変疑問のある放送大学学園であろうかと考えますが、今後の十分な対策の講ぜられ様というものが、これから私どもの賛成、反対に大きく影響していこうかと考えております。特に保革伯仲の時代と違いまして、安定多数の与党の中で、こういった大きな重要な、将来に大変危惧を持たせるようなものが一方的にでき上がることのないように、今後よろしくお願いいたしたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  234. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 いろいろと率直な御意見、ありがとうございました。  ただいま最後におっしゃいましたように、われわれも十分戒慎いたしまして御期待に沿いたいと思います。
  235. 佐藤守良

    ○佐藤委員長 藤原ひろ子君。
  236. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 まず、郵政省にお尋ねをしたいと思います。  現在の放送法は、放送番組の編集につきまして国家の行政権力による干渉など規制を厳しく排除しているところでございますが、郵政省は、この放送の自主性について、その確保がなぜ必要と考えておられるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  237. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  放送の持つ広範性と申しますか、地理的な制限もなく伝わると申しますか、その普遍性によるものと考えております。
  238. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、そのような簡単なことではないと思うのです。そういう認識では、後々の質疑が大変だなということをまず感じます。  この放送大学学園は、財政的には国が出資をして、補助金を出すことになっております。組織、人事については、学園の最高責任者であります理事長を文部大臣が任命すると規定されているわけです。つまりこのことは、既存の放送事業者NHKや民放各社に比べまして財政的にも組織的にも公権力が介入できる余地が残されているというわけでございます。だからあなた方は、放送大学番組編集の独立、放送の自主性を確保する最大の担保として、大学の自治あるいは学問の自由ということからくる自律作用に期待するというふうに、昨年の私の質問に対してはお答えになっているわけでございます。  そうしますと、当然、郵政省として大学の自治とは何ぞや、こういうことを認識された上で、放送事業者放送の自主性が保障されると確信した上で郵政省はゴーサインを出されたというふうに思うわけですが、そのとおりでしょうか。
  239. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりでございます。  放送大学における大学の自治の確保についてでございますけれども大学におきます学問の自由、大学の自治の具体的内容といたしましては、大学の学長、教授等の選任が、大学の自主的判断に基づいてなされていることが重要な内容になるというふうに考えております。学園法案におきましては、放送大学の学長、教員の任命方法等につきまして、学園の一般の職員と区別しまして、国立大学の教員に係る教育公務員特例法の例にならった特別の規定を設け、放送大学の学長、教員の人事について、大学の自主性を尊重することを法律上明確にしているところでありまして、学園法の第二十一条、二十二条によりまして、学問の自由、大学の自治の保障が担保されておるというふうに考えておる次第でございます。
  240. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 さらに、郵政省にお尋ねをいたします。  郵政省は、文部省との協議の中で、放送大学学園という放送事業者放送の自主性、つまり、番組編集権の独立を保障する最大の担保が大学の自治にある、こういうふうにおっしゃっているわけです。  それでは、既存の大学教授会に与えられております権限との相違点は何でしょうか。郵政省にお答えいただきたいと思います。
  241. 宮地貫一

    宮地政府委員 この放送大学学園は、特殊法人が設立する大学でございまして、そういう形態はいままでなかったわけでございます。したがいまして、その人事についての規定をどう設けるかということにつきましては、私ども既存の国立大学規定の例にならいまして、大学の自治は十分確保されるように規定をいたしたわけでございます。  たとえば、評議会の規定をこの法律規定をいたしておるわけでございますけれども、既存の国立大学では、筑波大学について評議会の規定を定めております。それ以外の既存の大学については、個々の大学にそれぞれ具体的に評議会というものは置かれておりますけれども、そこが既存の大学規定の面では異なる点であろうか、かように考えます。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省にこれが答えられないのはまことに残念です。大学の自治などといろいろ言いながら、では、ほかの大学はどうなっているのかと言ったら、文部省しか答えられないといった状態では、私は、この放送大学学園法案というものは、ますます不安定きわまりないというふうに思います。大学の自治を守るということは、大学みずからが自律的に大学教育研究にかかわる問題を責任を持って決定し、執行できることを保障することが、その大切な自治を守る根幹の一つになっているというふうに私は認識をいたしております。この根幹をなすものの一つとして、教員の人事の規定というものがあると思うわけですが、学園の最高責任者であります理事長の任命についても、文部大臣が任命をするということになっているわけですね。  そこで私は、文部大臣お尋ねをしたいと思いますが、日本放送協会経営委員会委員の任命に当たりましては、放送法の第十六条で「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」云々というふうになっております。また、委員の選任につきましては、教育、文化、科学、産業その他の各分野から公平に代表させる、こういうふうになっております。つまり、委員の任命とか選任については、ある程度規定がされているわけです。ところが、この放送大学学園法案につきましては、理事長も監事の任命も、こういう選任に当たっての理念というものは何ら明確にされておりません。これでは理事長や監事の任命に当たって、文部大臣、あなたの恣意が働くのではないかという懸念があるわけでございますが、いかがでしょうか。
  243. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御懸念の点につきましては、いろいろと議論もいたした次第でございますが、なお、人事の点につきまして、理事長その他の任免の問題について担当の局長からお答えいたします。
  244. 宮地貫一

    宮地政府委員 理事長の任命については文部大臣が行うわけでございますが、これは特殊法人の通常の規定の例にならったわけでございます。もとより、この放送大学学園というものが、放送等により教育を行う大学を設置するというこの法律目的に照らしまして、それにふさわしい人材を考えるということは当然のことでございます。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私がお聞きいたしておりますのは、理事長及び監事などの任命に際して、その役員の選出母体、こういうものについての理念が何ら明記されていないではないかという点をお聞きしているわけです。この点もう一度明確にお答えをいただきたいわけですが、大臣が任命されるという理事や監事について、こういったこともお答えできないということでは、まことに困ったことだと重ね重ね思う次第ですが、いかがでしょうか。
  246. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答えとしては重ねてのお答えになって恐縮でございますけれども理事長と監事は御指摘のとおり文部大臣が任命をするわけでございます。その際に、考え方といたしましては、もちろん、この法律の一条の「(目的)」に書いてございますように、放送大学学園というものが、放送等により教育を行う大学を設置し、かつ当該大学における教育に必要な放送を行うというその二つの機能をあわせ持つわけでございます。そして大学教育機会に対する広範な国民の要請にこたえるということが目的に書いてあるわけでございます。この特殊法人が、大学放送局をあわせ持って大学教育を広く国民に与えるというような特殊法人でございますので、そういう観点をもちろん想定いたしまして、それにふさわしい人材を充てるという考え方でございますが、法律上にそのことは規定はいたしてございません。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ただいまのお答えでは、役員の選出母体についての理念は何ら明らかにされていないということがはっきりしたと思うわけです。  今回の法案では、役員の選出や任命に当たりまして、文部大臣の考え、つまり、公権力の介入の余地が残されております。これでは放送大学学園における放送の自主性が十分確保されるでしょうか、人事の面につきましても、重大な懸念を持たざるを得ないわけです。それは、文部大臣がどのような考えを持って学園大学の人事配置をするかということがきわめて大きな意味を持つからでございます。  私は、いまここに「これからの日本 激動下の祖国防衛」、こういう分厚い本を持っているわけでございますが、この本の監修は元総理大臣の福田赳夫さんです。しかも「これからの日本 激動下の祖国防衛」、これの中に出てまいりますけれども、政策委員会委員一覧、これが並んでおりますが、このメンバーに現文部大臣であります田中龍夫さんが入っていらっしゃる、このことは御存じでしょうか。
  248. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 存じております。私と福田さんとの関係御存じのとおりのわけでございます。  なお、すでに五月ごろからその編集会議がなされておったと存じます。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この本の第十章を読ませていただきますと「愛国心教育と国を守る気概」の中で「戦争の場合には特にそうである。市民防衛体制がしっかりできていれば、いたずらに貴い生命を失うことはないのである。仮に核兵器による攻撃を受けたとしても」云々、こういうふうにして戦争、とりわけ核戦争を想定して市民防衛の論議と国を愛することの大切さを教える教育を、学校、家庭、諸種の社会教育の場で進めることを提案し訴えたい、こういうふうに明記してございます。これでは戦争、核戦争に備えるために愛国心教育、国を守る気概教育を進めようとしているのではありませんか。  先日、十月二十二日の文教委員会におきます審議で、わが党の山原委員質問に対して文部大臣は「国防教育といったようなことは、私は決して申した覚えはございません。」、こういうふうに答弁をされているわけです。しかし大臣、あなたの真意は、この本の中に出てまいります「愛国心教育と国を守る気概」、つまり国防教育そのものではないでしょうか。その点はっきりお答えいただきたいと思います。
  250. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 改めて申し上げますが、私が国防教育というようなことを申したことは絶対にございません。  それから、国を愛するという問題につきましては、これは日本国民でなくとも、東西を問わず、体制のいかんを問わず、みんな国を愛し郷土を愛し、また、家を愛し妻を愛する、この一連のものでございます。
  251. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国を愛することは、親を愛し妻を愛し、それは教育勅語の肝心のところを抜いたものと同じでございますね。「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ」、これはだれが聞いてもいいことです。その後が大変だという論議があるわけですが、あなたもいま、それと全く同じことをおっしゃっているわけです。国を愛することの大切さを教えることを、学校や家庭、諸種の社会教育の場で進めることを提案するのは当然だとおっしゃったわけですが、その前段を抜かしております。戦争、とりわけ核戦争を想定して市民防衛の論議、これと国を愛すること等ということを言っていらっしゃるわけです。ごまかしていただいては大変です。  先ほど何か小さな声でよく聞こえませんでしたが、福田さんとどうとかこうとか、同時に、五月にこの本をつくるために編集会議が何回かあったということですが、本というのは出版された日が大事なんです。明記してあるわけです。この本は、あなたが文部大臣になられた後の九月一日付で出版をされております。あなたは七月十七日に文部大臣に就任されたわけであります。     〔佐藤委員長退席、三ツ林委員長着席〕 ですから、政策委員の一人として当然この本の内容について責任を負うものと理解されます。あなたの真意が違うというのならば、この政策委員からおりるべきではありませんか、取り消すべきではありませんか。御答弁願います。
  252. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御案内のとおり、声が小さかったと言われますが、大きな声で申し上げましても、私は、福田元総理等とともに政策の集団を持っておる一人でございます。われわれの考え方が同氏のいろいろな御苦労によりましてその本になっておることは、おっしゃるとおりでございます。しかし、だからといって、いま先生が演繹せられまして、私が国防教育をあれするとかどうこうと言うことは、少し範囲を広くお考え過ぎてやしないかと存じます。  日本国民である以上は、だれでも日本国を愛することは当然でございましょうし、また、それは洋の東西、体制のいかんを問わないところでございます。
  253. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が想像や恣意的に申しているのではなくて、ここに書いてあるわけです。あなたが政策委員の一人であるものの中に書かれていることを言っているわけですから、私の勝手な判断などではないということは明らかですし、国防教育と言ったような覚えはないというのならば、この書かれている政策委員としての田中龍夫さんと文部大臣としての御答弁とは相矛盾するものだというふうに指摘をしたいと思います。  放送大学学園という放送事業者理事長や監事などの役員の任命権者がこのような考えを持っていらっしゃるとは大変だ、非常に重大なことだと言わざるを得ないわけです。放送番組の責任は学園側が負い、しかも、学園側の最高責任者は理事長です。つまり、理事長の考え一つ大学側の番組編集の自由が侵されかねないような状況でございます。  さらに重要なことは、講義番組講義番組の間をどうつなぐのか、スポットあるいはお知らせ等をどう入れるのか、こういう問題でございます。既存の放送局では、いわゆる箱と箱とをつなぐものとして、民放ではCMが入ります、NHKの場合はお知らせであるとか公共的なスポットが入っているわけです。それでは放送大学学園の場合は、三十分ずつ講義があるというそのつなぎは、どんな内容のものを考えていらっしゃるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  254. 宮地貫一

    宮地政府委員 放送大学学園で行います放送は、先ほど来御説明しておりますように、放送大学の行う大学教育そのものでございます。通常はもちろん授業授業との間が接続して行われるわけでございますが、先生御指摘のような点で申し上げますと、たとえば入学募集でございますとか、大学運営そのものにかかわることに限定されることは当然でございます。
  255. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 まさか政府広報のスポットが入るというふうなことはないでしょうね。いかがでしょうか。
  256. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど御説明申し上げましたようなこと以外に広がるということは考えられません。
  257. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろ御答弁されますけれども、なぜこのように何度も繰り返しお尋ねをするかといいますと、放送大学学園の「目的」を見ますと、「当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育機会に」云々、こういうふうに規定されているわけですね。この「等」ということ、このところにスポットを入れられるというような余地が制度的に残される、こういうふうに思われるわけですね。政府広報番組が入らないというふうな保証はどこにあるのでしょうか。この「行うこと等により、」という点を明快にお答えいただいて、そのようなスポットなどは入れないということを明快にお答えください。
  258. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  第一条の規定で「放送を行うこと等により、」という「等」という規定があるから、政府広報が入るのではないかという御質問でございますが、私どもこの放送大学教育の中身といたしましては、先ほど来御説明を申し上げておるわけでございますけれども放送による授業というものは全体のほぼ三分の一ということで考えております。ほかに学習センターにおけるスクーリングというものをほぼ三分の一、それから印刷教材等によります学習、これは自分で学ぶわけでございますが、それがおおよそ三分の一ということで考えているわけでございまして、そこの「等」というのは、そういう内容を含めているという意味でございます。  なお、先ほどのお尋ねで、私は、学生に対する告知放送というようなことで申し上げましたが、たとえば入学者の募集の放送でございますとか、あるいは番組の予告放送など、そういう大学教育そのものに付随するもの以外が入ってくるということは考えられないわけでございます。
  259. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、この「等」というのは、学習センター、スクーリングあるいは印刷による教材、こういうものがあるから入れたのだ、では、三十分講義があって、その次の三十分そこの間は、いま言われたような入学募集などであって、絶対にほかのものはないというふうに考えていいわけですね。
  260. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど御説明を申し上げたもの以外が入ってくるということは考えられないわけでございます。
  261. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、大学局長さんはそうおっしゃいますけれども、これを決める編集権は理事長にあるわけですね。文部大臣が任命をされた理事長がこれを決めるわけです。どうしますか、この理事長に対して文部大臣は、こういうスポットなどを入れてはならないというふうなことが言えるわけですか、いかがでしょう。
  262. 宮地貫一

    宮地政府委員 先ほど御説明を申し上げたとおりでございますけれども、それ以外の先生の御指摘になるスポット放送というものがどういうものを具体的にお指しになっておられるのか、ちょっと具体的な事柄が私にはイメージがわきませんので、やや理解に苦しむわけでございますけれども、先ほど御説明を申し上げた以外のものが入るということは考えられないわけでございます。
  263. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 具体的イメージは、余りテレビを見ていらっしゃらないので、わからないのかもしれませんが、民放ではCMがよく入りますね。いまの子供には十五分ずつ休憩しないといけないぐらいの間隔でCMが入ってくるというふうな状況も、文部省であるならばよく御存じかと思いますが、まあ、そういうものが、この国営放送の中に、文部大臣が指名をされた理事長の権限でもって番組が自由自在にできるという状況にあるわけです。ですから、この「等」という言葉に対してどのような歯どめをかけられるのか、大臣、いかがでしょうか。
  264. 宮地貫一

    宮地政府委員 民放が行いますような広告放送は、この放送大学放送では禁止をされている事項でございます。
  265. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 文部大臣、いかがでしょうか。
  266. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ちょっといまの答えがあれではなかったかと思いますが、先生の言われますのは、番組編成というものをいかようにして決めていくかという御質問であろうと存ずるのですが、文部大臣が任命した理事長が専断をいたしまして万事決定してしまう、そういうものではなく、番組の編成その他、民主的な姿において決定いたすようになっております。
  267. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そのような漠然としたことを聞いているのじゃないのです。先ほど申しましたように「当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育機会に」云々とあるここの点、この「等」というのが大変あいまいだ、だから、権限でもって政府広報を入れてみたり、いろいろなことをやろうと思ったらやれるわけですね。そういう歯どめをかけるのはどういうふうになさいますか、こう聞いているわけです。じゃ、スポットは入れさせません、いま大学局長が答えられた入学募集とかそういうこと以外には絶対に入れない、それは理事長になった人に文部大臣はちゃんと言うということなんですね。
  268. 宮地貫一

    宮地政府委員 私どもは、法律の仕組みからそのようになっていると理解をいたしているわけでございますが、もちろん、文部大臣の任命される理事長が、この御提案申し上げております法律規定に従いまして執行することは、当然のことでございます。
  269. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大学局長が出てこられるわけですけれども、私が聞いておりますのは、この法案では理事長一人が番組編集権を握っている。理事長が絶対の権限がある。しかも、この理事長の任免権は文部大臣が握っている。その当人である田中文部大臣が、先ほど取り上げました「これからの日本」という本の政策委員に加わっている。こういうお考えを持っておられる方が、この理事長の首を左右することができる、こういう事態は、だれが考えても危険きわまりないというふうに考えるでしょう。とりわけ、あの十五年の長い戦争を経験してまいりましたたくさんの国民、犠牲者は危惧を持つはずでございます。この本には「有事に備えるべき法的措置」として「有事に自衛隊が行動する場合、」、「放送局等の利用」などということが書かれているわけです。これはあなたは御存じでしょう。  文部大臣、あなたは有事の際には、NHKや民放、そしてこの学園放送局の利用を図る考えを持たれているのではないだろうか、こういう危惧を私は強く感じるわけです。これを読ましていただけばいただくほど、その危惧の念は強くなるわけですけれども、この場で明快にお答えをいただきたいと思います。
  270. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいまお話のような御心配は、私に関する限りは断じてございません。どうぞよろしくお願いします。
  271. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、さらに郵政大臣にお聞きをいたしますが、郵政大臣よろしいでしょうか。  放送が持っております特質から、放送メディアか有事の際に利用されるということを断じて許すべきではない、電波放送免許を与える責任者として、この点についていかがでしょうか。
  272. 山内一郎

    ○山内国務大臣 現行の放送法には有事の際の規定は一切ございません。
  273. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、そのような答弁をされても、今日の情勢からいたしまして、非常に危惧の念を禁じ得ないわけです。それは具体的に申し上げますと、さきの文部大臣であり、防衛庁長官でありました三原朝雄さんも、この雑誌「國防」、これで「有事には電波の統制という問題が起こるかもしれないのに、何らの検討もなされておらず、これでは的確な通信指揮を行うことはできない」、こう述べて、放送の統制を言われているからです。  このようなことを許さないための制度的な保障がない限り、大臣、あなたが言われていることは、この大学局長の口移しであり、絵そらごとに終わるのではないでしょうか。  こういうことと関連をいたしまして、また、前文部大臣三原さんの後を継いでおられるこういう政策委員田中龍夫さんに、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  274. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御案内のとおり、今日までの私の考え方と申しますものは、あくまでも世界が平和でなければならない、あくまでも日本は自由でなければならない、そういう自由主義経済と同時に、また、外交的にも内政的にも平和に徹してまいるのが私の信念でございます。
  275. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、ここに書いてあるようなことは、政策委員に名前は連ねているけれども文部大臣としてはこういう考え方は全くないというお答えと認識していいのでしょうか。
  276. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私は、文教の府をお預かりいたしておる者といたしまして、さような考えはございません。
  277. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、この名前を連ねているのは、まあ、かっこうがいいから並べておくけれども、しかし、そのような文教政策はとらないということでございますね。そうしますと、このあなたが任命をされる理事長であるとか監事であるとか、審議会も全部あなたの任命になるわけですけれども、そういう考え方でもってはやらないし、具体的に言えば、先ほど申しましたような三十分と三十分、箱と箱とをつなぐようなそういう時間などを恣意的に行うことはないと考えていいわけですね。もう一度お願いいたします。
  278. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 当然でございます。
  279. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、これまでの委員会を通じまして、この放送大学学園という放送事業者が、公権力からの介入を組織や人事、こういう面でも防止をして、そして放送の自主性を確保することができるのかどうか、大変不安に思うわけです。いまスポットの点についてはそんなことはしないのは当然だ、こういうふうにおっしゃったわけでございますけれども、しかし、先ほどからの同僚議員の質疑を聞いておりましても、この疑念を払拭することは非常に困難だというふうに思います。NHKに対する影響としても大変なものが出てくるのじゃないか。それは前の文教委員会論議の中でも私は考えるわけですけれども放送大学の学生以外の視聴者には、ただで受信をして、NHKに対しては受信料を払って見なければならない、こういうことが起こってくるわけですね。そうしますと、NHKに対して不払い運動も起こりかねないというふうなことも危惧されるわけです。  昨年の五月三十日の文教委員会での論議を見てみますと、そうした影響が出た場合どうするのか、確実に取れるような形態として、たとえば支払い義務を直接的に規定づけたら云々というふうな意見も述べられているわけですね。こういう諸般の疑念がたくさんあるわけですけれども、こういう点、NHKにお聞きいたしますが、この郵政省の見解に対して一体どう受けとめておられるでしょうか。
  280. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  私ども放送大学放送がどのような態様になるのか、その結果はNHK教育番組に影響を与えることにならないのかどうか、また、先ほどから御指摘のように、受信料を財源とするNHKと、それから広告費を主な財源といたしております民放との中に新しい国費を主な財源といたします放送大学放送が加わることによりまして、受信料関係に影響を与えることにならないのかどうかなどにつきまして、十分あらかじめ考えておかなければならないのではないかというふうに考えております。
  281. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 しかし、その不安としてそういうものが起こってきたら、支払い義務などと言われておりますけれども、その点NHKに対する問題として担当責任者であります郵政大臣はいかがでしょうか。
  282. 山内一郎

    ○山内国務大臣 NHKに対する影響は、いまNHKからお答えしたのでありますけれども、影響はそう大きくはない、こういうふうに考えております。
  283. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 思いますということで、思ったけれどもそうじゃございませんでしたというふうなことになりかねないわけなんですね。先ほどの同僚委員の御質問に対しても、競合するじゃないか、それじゃ調整いたしますというふうなことが不用意に出てくるというこの郵政大臣の御答弁がなかなか信頼しにくいわけなんです。そのようなことで学問の自由が侵されたり、放送の自由が侵されるというふうなことがあってはならないと思うわけです。  なぜそういうことをしつこく言うかといいますと、戦前の放送があの侵略戦争遂行のために最大限に利用されてきたではありませんか。過去の苦い教訓に学んで、戦後の一定の民主化の中で政府自身放送事業者になり得ない、つまり、国営放送は排するのだ、やめるのだという理念が、今日まで国民の中に培われ、定着をしてきているわけでございます。そういう状況の中で、いまこの放送大学学園法、これは国営に準ずるような人事権までも大きく政府の側が握る、大臣が任免権まで持つ、首根っこを押さえているというふうなこういう問題について非常に危惧をいたします。  同時に、前の質問で、私は、放送大学放送手段を使って運営される以上、当然、放送の自主性が十分確保されるのかどうかという点についてはお尋ねをしましたので、きょうはその続きとして聞いたわけですけれども、現行の放送制度の点から見ましても、この放送大学国営放送となる危険性を制度的にも排して、まさに言論表現の自由、放送の自由、これを守る保障が何ら示されていない、こういうことを強く指摘をして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  284. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 依田実君。
  285. 依田実

    ○依田委員 私は、放送大学の理念については賛同するのでありますけれども、しかし実際問題として、これが果たして広く一般に利用されるのかどうかということになりますと、非常に危惧の念を抱くわけであります。御承知のように、いまもう全国くまなく大学というものは存在しておるわけでありますし、また、いまの国の窮迫した財政の中で、果たしてこれだけの膨大な予算を使って放送大学をつくりまして、それだけの費用対効果のあれが出てくるのかどうか、こういうことに対しては非常に疑問を持つわけであります。  文部省でおやりになるについてアンケート調査をしたところが四五%近く希望者がいる、こういうことでございますけれども、これはどういうアンケートの調査のやり方をやったのでしょうか。
  286. 宮地貫一

    宮地政府委員 昭和五十年に五千人の抽出調査をいたしたわけでございます。それで、ただいまお話のように四五%、四五・二%であったかと思いますが、希望者がいるという数字が上がっております。  なお、その後の調査でございますが、直接放送大学そのものの調査ではございませんけれども放送教育開発センターが実験番組を行っているわけでございます。これは本年度も実験番組を流しておるわけでございますが、その実験番組の希望者等につきましても、昨年よりもさらにことしの実際の受講希望者の方が、枠よりもおおよそ四倍ぐらいの方々が希望を出しているという状況でございまして、私どもといたしましては、国民に開かれたこの新しい大学をつくるということにつきましては、やはり広く国民から期待されているものと、かように理解をいたしております。
  287. 依田実

    ○依田委員 五千人に調査をされたと言うのですが、その五千人の選び方をちょっとお尋ねしたいのです。
  288. 宮地貫一

    宮地政府委員 教育需要の予測調査についての取り方でございますけれども、全国から五千人を無作為に抽出しまして、面接調査を行って、回収率八三・一%の回答を得た、実際の調査の実施は、新情報センターというところにお願いをしたわけでございます。
  289. 依田実

    ○依田委員 私は、世論調査の基礎的データについてとやかく言うわけではございませんけれども、いまNHKでいろいろそれに類似するというわけじゃありませんけれども教育テレビでいろいろやっておりまして、通信高校講座などをやっておるわけでございますが、文部省、この通信高校講座の登録受信者というのはどのくらいか御存じでしょうか。
  290. 宮地貫一

    宮地政府委員 ちょっと聞き漏らしましたが、NHKの通信制の高等学校の登録者といいますか、在学者の数でございましょうか。――失礼しました。生徒の入学、卒業等の状況でございますけれども、年次的には順次減ってきておりまして、入学者で申しますと、五十三年では千五百十二人、在学者数は六千四百九十三人というような数字に相なっております。なお、高等学校につきましては、先生案内のとおり、高等学校に対する進学率というのが、もうすでに全国で約九三%を超えるというところまできておりまして、これはそれぞれ地域における高等学校の普及の状態といいますか、そういうこともあるわけでございますが、全日制の高等学校へ通学する者が大変ふえてきております。したがいまして、通信制の高等学校、このNHKでおやりになっておりますNHK放送学園の高等学校の入学者は、たとえば昭和三十八年度当時でございますと約一万一千七百人いたものが、現在では入学者としては千五百十二人というところに落ち込んでいる。それは先ほど申し上げましたような高等学校教育全体の普及の度合いと申しますか、そういうことに原因があろうか、かように考えております。
  291. 依田実

    ○依田委員 いずれにいたしましても、NHKがそのほか以前には市民大学、いまは大学講座、いろいろ番組をやっておるわけでありますが、視聴者といいますか、数をふやすということはなかなかむずかしいのであります。この放送大学は、御承知のように出ますと教養学士、こういう肩書きになるわけでありますけれども、これも御承知のように就職のときにそういう肩書きというのは余り役に立ちそうもないわけでありまして、文部省が見込んでおられます最大四十五万人、果たしてこういう受講者があるのかどうかということについては、非常な疑念を持つわけであります。  そういう意味で、膨大な金をつぎ込むということに対して一抹の不安を持っておるわけであります。確かに生涯教育、これから平均寿命も延びるわけでありまして、御婦人たちにも生涯教育としていろいろ勉強したい、そういう意向のあることはあるのでありますけれども、しかし生涯教育ならば、また放送大学ではないほかの形でやることもできるわけであります。そういうわけで、この実施について果たして文部省の見込んでおるようなそれだけの方が利用なさるかどうかということについては、私は一抹の懸念を持っているわけであります。  ところで、この法律の一条あるいは二十条に「教育に必要な放送を行う」、こうあるわけであります。ところで「教育に必要な放送」の限度というのが、非常にむずかしいと私は思っておるのであります。たとえばカリキュラムの中に音楽史というのがございますけれども、では、音楽史の勉強だということで中に軽音楽、そういうものの演奏を入れる、こういうふうになってくると、果たしてそれは放送大学の中に入るのかどうか。あるいはまた体育教育、こういうようなことで、それでは野球放送を実況したらどうだ、少しそのくらいにまで広げてみたらどうだ、こういうことにもなりかねないと思うのでありますが、この一条、二十条にある「教育に必要な放送」、これの限度というのは、どの程度までお考えになっているのでしょうか。
  292. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。「教育に必要な放送を行う」という規定の範囲が不明確ではないかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、放送大学放送と申しますのは、従来御説明も申し上げてきておりますように、大学教育課程に基づく授業としての放送ということでございます。したがいまして、実際にその放送番組そのものを組み立てるに際しましては、先ほども説明をしたわけでございますけれども、教官スタッフ放送関係の技術者と両者がそれぞれチームを組みまして、十分協議をし、そして内容を固めまして、それを流すということになるわけでございますが、もちろん、その点は大学教育として行う中身でございまして、大学教育そのものといたしましては、基準的なものとしては、大学設置基準というものが基本にあるわけでございますので、その大学設置基準に従いました大学の単位を修得するに必要な教育ということを行うわけでございまして、その内容につきましては、それぞれの大学が自主的にお決めになるということになるわけでございますが、御指摘のような放送が行われるということは、通常の大学教育講義ということではまず考えられないことだと私は考えております。  なお、先ほどもそれ以外の放送が行われるのか、まあスポット放送というようなことで御指摘がございましたが、それらの点については、学生に対する告知放送でございますとか、あるいは入学者の募集放送とか、そういうような大学教育に直接付随するような事柄に限られるというふうに考えております。
  293. 依田実

    ○依田委員 私は、これは放送事業にタッチする者の宿命だろうと思うのでありますが、やっているうちにどうしても視聴率を上げたい、上げなければ学生が集まらない、こういう循環に入ってくるのじゃないかというふうに思うのであります。そしてまた、番組をつくる制作担当者というのは、自分の番組にただ先生の顔がストレートに出ているだけじゃ自分の腕をふるう場所がない、つまり、そこへいろいろ細工をすることによって制作者の評価がいろいろ決まるわけであります。そういう意味で、制作者としては、どうしてもいろいろ番組に手練手管を加えたい、こういうことになるのじゃないかと思うのであります。  そこで、この放送大学というのは、視聴率は全然関係ないのか、つまり、視聴率というのは即入学者に関係することでありますから、それと番組内容のどっちにウエートを置くのか、その点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  294. 宮地貫一

    宮地政府委員 この放送大学の行います放送というのは、放送大学の学生の教育のために行う放送というのが本来の目的であるわけでございます。ただ、結果といたしまして、そうして放映されましたものを広く一般国民の方々が視聴することによりまして、大学教育機会に恵まれるということはあるわけでございますが、私どもとしましては、先ほど来御説明をしておりますような調査をいたしておりまして、その調査でこの放送大学に登録されます学生の数の予測は、先ほど御答弁申し上げたようなことで数字をただいまのところ想定をいたしておるわけでございます。それ以外の方々に広く関心を持っていただきまして視聴していただくということは非常に望ましいことだと思いますけれども、これは学生のための放送による教育そのものが本来のねらいでございますので、その点ではお話のように、放送関係の技術者といたしましては、いわゆる視聴率というものに伴う技術的な加工と申しますか、そういうことがあるというお話は伺っておるわけでございますが、本来のねらいは、ただいま御説明したようなところにあるわけでございますから、大学教育そのものというぐあいに御理解をいただければありがたいかと思います。  なお、本当にそれだけ来るのか、片方、通信教育などがだんだん衰退の傾向にあるというようなことから見れば、それだけの数が確保されるのかという点でお尋ねがあったわけでございますが、大学の通信教育は、先生案内のとおり、私立大学について戦後三十年来取り組んでいただいておるわけでございますが、私立大学の通信教育につきましても、入学者というものが、ここ近年減ってきている傾向にあるということは事実でございます。ただ、私立大学の通信教育につきましても、これはやはり基本的には、もちろん通信だけではございませんので、スクーリングをやるわけでございます。スクーリングをやる際に、勤労者等でスクーリングを実際に受けるのが、時間的な制約でございますとか、あるいは地域的な制約とか、そういうようなことがございまして、なかなか受けにくいということが、やはり一つのネックになっているということも言えるかと思います。その点につきましては、私ども、この放送大学の事業といたしましては、先ほど来御説明しておりますような学習センターにおけるスクーリングというものを重視するわけでございますが、それも極力、受講生の方が便利でありますように、学習センターの設置につきましても、全国に設置をするという考え方でございますし、また、スクーリングの授業にいたしましても、ただいま想定をいたしておりますところは、日曜日を含めまして時間的にも実際に受講をされる方々の便宜を極力考えるというような形で、なるたけこの大学が受け入れられやすいような形で運営していくということが、まず、いろいろ工夫もいたしていかなければならぬ一つの大事な点であろうかと考えております。
  295. 依田実

    ○依田委員 私は、12チャンネルが発足したときの理想といまの現実の形を見てみますと、やはり相当変わってきている、その間に資本系列もいろいろ移動があったりして、そう変わったのでございましょうけれども、この放送大学というものが、当初の出発の時点の姿というのをよほどかっちり規定をしておいていただきませんと、やがてNHKの分野あるいは民放の分野へ割り込んでくるという形に相なるのじゃないか、こういう意味でいろいろお尋ねをさせていただいたわけであります。  次に、大学学問の自由とまた放送法四十四条三項の放送の自由、この相違点についてお尋ねをさせていただきたい、こう思うわけであります。  御承知のように大学講義というのは、それぞれその先生方の持ち味によって受講生がつくわけでありまして、われわれも大学で単位を選ぶときは、先生の主義主張を聞きたいということで講座をとっておったわけであります。そういう意味で、やはり教授の個性というかそういうものから出る教育の味というのが大事だろうと思うのでありますが、一方、放送というのは電波という限られたものをやるわけでありますから、政治的な公平であるとかあるいは一つ議論に対して多角的な方向から答えを出す、こういうことが大事でありまして、その間には抜きがたい矛盾があるわけであります。学問の自由と放送の自由との間には抜きがたい矛盾があるわけでありまして、この辺をこの放送大学というのはどういうふうに解決なさるおつもりなのでしょうか。
  296. 宮地貫一

    宮地政府委員 学問の自由と放送法四十四条三項の関係につきましては、先ほど来御質問をいただきまして御説明をしてきておるわけでございますが、この放送大学は、もちろん大学でございますので、大学の自治、学問の自由が確保されなければならないのは当然のことでございます。片方、放送法制上の制約といたしまして、放送法四十四条三項がかぶさっているということも、これは放送に伴う事柄として当然その規制が及ぶということは、放送大学についても、その規定を準用していることからも言えるわけでございます。  その点の調整は、先ほど来御説明もいたしておるわけでございますが、大学自体の適正な自制によりまして、その間の調整を図るというのが基本的な考え方一つでございます。そしてまた、放送番組の編成の自由といいますか、そちらと学問の自由との調整の問題につきましては、これを一つ設置主体ということで、特殊法人放送大学学園という形で放送局大学とを同一の設置主体ということにいたしまして、その一つの組織体の中でその点についての調整を図っていただくという考え方で、基本的に大変むずかしい問題点でございますけれども、そういう形で私どもはこの放送大学大学として成り立つもの、かように考えているわけでございます。  なお、お話のように具体的には大学先生の、たとえば一般の大学でございましても、それぞれの先生の学説といいますかそういうようなものに引かれて講義を聞くということがもちろんあるわけでございますが、私ども大学の教官スタッフにつきましては、もちろん、大学の自治を確保する形の規定は、いろいろ評議会の規定その他を設けまして、この特殊法人の場合でございましても、その点は十分確保するような法律的な規定は設けてあるわけでございますが、実際に行います際には、先ほども言いましたようなコースチームのようなものが組まれまして、検討をされていくということになろうかと思います。また教官、スタッフにいたしましても、この放送大学自体に専任の教員が置かれるのは当然でございますが、ほかに既存の国公私立大学からも積極的に御協力をいただくということで、客員教授というものももちろん大いに活用するという考え方でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この放送大学教育内容そのものがきわめて質の高い大学教育を提供するようになるものと期待をし、確信をしているものでございます。そしてまた、そういう大学教育の中身そのものが国民全体に開かれたものになる、つまり、大学教育そのものを広く一般国民が視聴するということによりまして、従来とかく閉ざされた形で行われておると一つの欠点として指摘をされておりました既存の大学のあり方といいますか、そういうものにつきましても、この放送大学がまさに国民に開かれた大学ということになることによりまして、むしろ従来言われておりますような国民に開かれた形での大学を確保していく一つのよすがといたしたいというようなところも、一つのねらいとして考えているところでございます。
  297. 依田実

    ○依田委員 先ほどから放送大学の自主性、自律性、つまり人事における文部大臣の権限、こういう問題についていろいろ議論がされておったわけであります。確かにこの条文を見ますと、理事長、監事は文部大臣が任命する、理事もまた文部大臣の認可を受けて任命されるとか運営委員会あるいはまたいろいろ評議会、大体文部大臣の権限下に置かれておるわけでありますが、この三十七条に「文部大臣は、放送大学に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。」、こういうふうにあるわけであります。しかし、この「必要な」というのがこれまた拡大解釈されますと、いろいろ国の文部大臣の圧力――圧力というのはおかしいですか、大学の自治、学問の自由、こういうものが侵される心配があるのじゃないかと思うのでありますが、「必要な報告書」、これをもう少しはっきり規定できないものでしょうか。
  298. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  第三十七条関係教育の調査、統計に関する報告書の提出を求めることを規定してあるわけでございますが、一般論といたしまして、行政機関が所掌する行政事務の運営に必要な範囲内において調査等を行うことは、特に法律上の根拠がなくともできることと考えておりますけれども、必要な報告書を義務的に提出させるという点では法律規定がなければいけない、かように考えております。  そこで、この規定を設けたわけは、私立学校法において、私立学校に対する所轄庁の権限として規定されている例にならって規定をいたしたものでございまして、文部大臣は、私立大学に対すると同様の立場で放送大学の所轄庁として教育の調査、統計その他に関して必要な報告書の提出を求めることができるという規定を設けたものでございます。したがいまして、この規定は、従来の私立学校法上私立大学に対して持っております事柄と同趣旨規定を設けたということでございます。
  299. 依田実

    ○依田委員 時間がありませんので、ちょっと飛ばさせていただいて、この第一期計画のお金を見てみますと、四年間で資本的投資額が約三百三十億、年間予算百四十億、第二期計画は資本的投資額が四百二十億、年間予算、一番最盛期になると二百九十億、これだけ予算をかけるわけであります。全国二百地点にテレビ、ラジオの送信所ができる、こういうふうになるわけでありますけれども、しかし、いまや放送衛星が目の前へ上がろうとしておるわけであります。もし上がるとするならば、この全国へ設けましたネットワーク、これはまた無用の長物になるわけでありますが、どうでしょうか、放送衛星が上がる時点、この辺からスタートさせるようなお考えはないでしょうか。
  300. 宮地貫一

    宮地政府委員 放送大学の開設時期を、放送衛星の利用が可能になる時期まで待って考えたらどうかという御質問でございますが、私どもといたしましては、国民に対して開かれた大学としての放送大学の検討を十年来行ってまいっておりまして、具体的な調査、需要調査その他もいたして、その期待が非常に大きいことは、先ほど来御説明したとおりでございます。  そこでまず、そのためにすでにテレビ並びにラジオについても、全国ネットで一波、郵政省との御協議で確保していただいているわけでありまして、これを教育のために放送大学という形で使うわけでございまして、電波の利用といたしましても、私どもとしては、こういう教育機会を広く国民に提供するということは有意義なことであろう、かように考えております。  そこで、先ほど来の繰り返しの御説明になるわけでございますが、実際にこの新しい大学をスタートさせるということになりますと、実際問題として具体的にさらに検討しなければならない課題もいろいろあるわけであります。それはこの大学放送を利用することはもとよりでございますが、ほかに学習センターを設けてスクーリングを重視するという事柄がございます。その学習センターのスクーリングと放送事業との組み合わせの問題でございますとかそういう問題につきましては、実際にこの大学がスタートをいたしまして、さらに個々具体の問題についても、なお、いろいろと検討を要する課題があろうかと思っております。  したがいまして、それらを勘案いたしまして、まずは東京タワーから電波の届く範囲内でこの放送大学を第一期の計画としてスタートをさせていただきたいということで御説明を申し上げておるわけでございます。  なお、基本計画にございます、先生御指摘の第一期計画というのは、恐らく青表紙の基本計画の点でお話になったことかと思いますが、私ども説明を申し上げておりますこの第一期計画というのは、先ほど言いました東京タワーから電波の届く範囲内でまずはスタートをいたしまして、具体の日程で申し上げれば、特殊法人の設立をまずお願いしまして、その特殊法人大学をつくるということになるわけでございまして、実際の学生が入ってまいります時期は、本年度特殊法人が発足をいたしまして、ただいまの日程では昭和五十八年の第二学期からということを想定しているわけでございます。  そこで五十八年度から学生が入ってまいりまして、学年進行という形で最短で卒業生が出る時期ということになりますと、四年後に卒業生が出ることになるわけでございます。私どもとしては、これを教育機会均等という見地から、全国に広げることはもちろん、できるだけ早く達成すべきであるということで考えておりますが、まずは第一期の計画の学年進行が完成しましてから、さらに全国に広げていくことを具体的に考えていきたい、かように考えているわけでございます。  放送衛星の問題も、具体的な日程に上がってきておるということは、先ほど郵政省の方から御説明もありましたとおりでございますが、ただ、放送衛星の問題にいたしましても、具体的に放送大学放送衛星を利用する時期といたしましては、第一世代の放送衛星は無理でございまして、第二世代の放送衛星からというようなことに現実問題としてはなるわけでございます。そういう第二世代の放送衛星の上がります時期の見通しでございますとか、放送衛星を使う際の具体的な問題点等については、さらに郵政省を初め関係の省庁ともそれぞれ御協議をさせていただかなければならぬ具体的な課題もございます。  そういう点を踏まえまして、私どもとしては、まず関東地域から、東京タワーから電波の届く範囲内を第一期のスタートの地域的なものとさせていただきたいということで御説明を申し上げておるわけでございまして、それ以降の計画につきましては、ただいま申し上げましたようなことを踏まえまして、さらに関係省庁ともよく御相談を早急に詰めさせていただきたい、かように考えております。
  301. 依田実

    ○依田委員 放送法改正の絡みについて質問する時間がなくなりましたけれども、時間が参りましたので、これでやめさせていただきます。
  302. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会      ――――◇―――――