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1980-11-12 第93回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十二日(水曜日)     午前十一時五十九分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君    理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       臼井日出男君    浦野 烋興君       太田 誠一君    奥田 幹生君       狩野 明男君    鴨田利太郎君       岸田 文武君    久保田円次君       高村 正彦君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    野上  徹君       木島喜兵衞君    中西 積介君       長谷川正三君    湯山  勇君       鍛冶  清君    永末 英一君       栗田  翠君    山原健二郎君       小杉  隆君 出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君         郵 政 大 臣 山内 一郎君 出席政府委員         文部政務次官  石橋 一弥君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省大学局長 宮地 貫一君 委員外出席者         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     岸田 文武君   坂田 道太君     太田 誠一君   長谷川 峻君     奥田 幹生君   船田  元君     鴨田利太郎君   三浦  隆君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     坂田 道太君   奥田 幹生君     長谷川 峻君   鴨田利太郎君     船田  元君   岸田 文武君     小澤  潔君   永末 英一君     三浦  隆君     ――――――――――――― 十一月七日  金沢大学教育学部養護教諭養成課程新設に関  する請願外一件(木間章紹介)(第一三三〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第一三三一号)  同(中西積介紹介)(第一三三二号)  同(長谷川正三紹介)(第一三三三号) 同月八日  金沢大学教育学部養護教諭養成課程新設に関  する請願村山喜一紹介)(第一三五六号)  同(嶋崎譲紹介)(第一四九六号)  私学の公費助成増額等に関する請願中西積介  君紹介)(第一四六六号) 同月十日  公立義務教育学校教職員定数最低保障率存  続に関する請願川俣健二郎紹介)(第一六一  〇号) 同月十一日  大学院生及び研究生研究教育生活条件改  善等に関する請願有島重武君紹介)(第一七一  四号)  公立義務教育学校教職員定数最低保障率存  続に関する請願佐藤敬治紹介)(第一七一五  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十一日  高等学校増設用地取得費補助制度創設等に  関する陳情書外二件  (第九三号)  私立高等学校生徒急減期における特別措置に  関する陳情書  (第九四  号)  教科書無償給与制度存続に関する陳情書  (第九五号)  公立高校における学級編成基準の改善に関する  陳情書(第九六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送大学学園法案内閣提出第四号)  文教行政基本施策に関する件(放送等により  教育を行う大学設置に関する件)      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  馬場昇君外四名より、日本社会党公明党国民会議、民社党・国民連合日本共産党及び新自由クラブ共同提案に係る、放送等により教育を行う大学設置に関する件について決議を行うべしとの動議提出されております。  本動議議題といたします。  提出者より趣旨説明を求めます。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につき、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送等により教育を行う大学設置に関     する件(案)   放送利用する大学は、広く国民期待され  ている。したがって、左記事項を充たし、国民  的合意を不可欠とする開かれた大学でなければ  ならない。  一 放送法学校教育法前提とする放送大学   は、この二つの法にもとづく整合性をもつた   大学であること。そのために、放送にかかわ   る現行法制公共・公平の原則と、教育にお   ける学問の自由・大学自治との矛盾解決   された大学であること。  二 学問の自由、大学自治を守るためには、   人事権を含む大学管理運営はもっとも民   主的な手続を保障する大学であること。  三 特に開かれた大学になるためには、国・   公・私立大学等にも広く利用の途を開くとと   もに、これら関係者協力がえられる大学で   あること。  四 大学における教育充実をはかるととも   に、広く生涯学習に寄与するものであるこ   と。  五 全国的に教育機会均等保障される大学   であること。  六 放送大学が成果をあげるためには、勤労者   の教育有給休暇等条件を整備すること。   右決議する。以上でございます。  本決議案趣旨は、ただいま朗読いたしました案文に尽きていると思いますので、詳細な説明は省略することといたします。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  本動議賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立少数。よって、馬場昇君外四名提出動議は否決されました。      ————◇—————
  6. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより内閣提出放送大学学園法案議題といたします。  本案に対する質疑は、去る七日すでに終局いたしておりますので、この際、直ちに討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 私は、自由民主党を代表して、このたびの放送大学学園法案について、賛成の意見を申し述べます。  この法律案は、大学教育のための放送普及発達を図るため、国の出資により放送大学学園を設立し、放送等により教育を行う大学設置し、当該大学における教育に必要な放送を行う等の業務を行わせることを内容とするものであり、大学教育機会に対する広範な国民要請にこたえるものと思う次第であります。  また、特に放送等により教育を行う大学設置は、近年著しい高まりを見せ、かつ多様化しつつある国民高等教育機会に対する要請に的確に対応するものであります。もとより、従来にはなかった新しい形の高等教育機関となるわけでありますから、今後に残された検討課題も指摘されるわけでありますが、関係者が多年にわたりこの問題に取り組んできた熱意には深く敬意を表し、これを推進するとともに、さらに調査研究が引き続き行われ、この大学が理想的な形態で実現することを期待するものであります。  以上の点を述べまして、私は、この法律案賛成する次第であります。(拍手
  8. 三ツ林弥太郎

  9. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は、日本社会党を代表し、放送大学学園法案に反対する立場討論を行います。  本法案は、第八十七回国会提出され、審議未了となり、第八十八回、第九十一回国会にも再提出されましたが、国会解散で廃案となり、今国会に再び提出されたものであります。たびたび再提出されてきたにもかかわらず、この法案は、第八十七回国会提出されたものと全く同じものであります。  放送による今日の放送大学は、国民に開かれた大学でなければならないだけに、本委員会での十分なる討議を踏まえ、その疑問に説得力ある回答がなされなければなりません。しかるに、次の四点において十分にその理解委員会で行われていないのみならず、多くの疑問が出されております。  その第一は、学園放送する大学教育のための放送放送法との関係についての問題であります。  まず、放送大学学園は、国から独立した特殊法人ではありますが、それは政府全額出資法人であり、その運営費もほとんど国の補助によると考えられます。したがって、同学園が行う教育放送は準国営放送と言い得るものであります。このことは、国営放送を全く予定していない現行放送法制下のNHKと民間放送二つ放送体系に新たな第三の体系が加わることで、放送法の根幹にかかわる問題であります。したがって、放送大学放送放送法制上位置づけるための改正は、放送大学学園法案の附則で行うような事柄でなく、別途放送法改正案提出し、その改正を行うべきであると考えます。  しかも、このような重大な改正を内包しているにもかかわらず、逓信委員会では十分な審議が行われていないばかりか、郵政省と文部省との間に十分な意思統一もなされないまま法案の作成が急がれた節があります。放送大学は、放送利用してのみ成り立つ大学でありますから、放送法制上の問題点解決なしには設置することは不可能となります。  放送法教育基本法学校教育法前提とする放送大学は、この二つの法に基づく整合性を持った大学でなければなりません。そのため、放送法公共、公平の原則教育における学問の自由、大学自治との矛盾が存在することについても、当委員会で明らかにされてまいりました。  放送法四十四条三項と学問の自由とは調和しがたい問題点をはらんでいるのであります。放送法上の法理大学法理とは、それぞれの基本的価値前提としているだけに、技術的に解決しようとしても安易に妥協が許されないのであります。  したがって、第二の問題点、すなわち学問の自由の保障としての大学自治学園及び大学管理運営の問題がきわめて重大な意味を持つことになります。  まず、学園業務を行うために学園の役員として理事長理事及び監事を置くことになっておりますが、理事長及び監事はいずれも文部大臣任命者であり、理事任命については文部大臣の承認が必要とされ、また、学園業務運営に関する重要事項審議する運営審議会委員文部大臣任命することになっております。さらに、学園設置する放送大学学長文部大臣任命することになっております。  放送大学学園は、放送大学設置する目的設置される特殊法人であり、その設置する大学は、大学自治保障された正規大学であります。  このように、大学設置という特別な目的を持って設立される特殊法人であることから、一般的な特殊法人よりも一層自主性のある管理運営組織が望ましいのであります。学園及び大学人事にかかわる文部大臣権限が異常に強く働く仕組みになっていることは、国家権力介入によって放送教育を通じての国民への思想統制が行われる危険性をはらんでいると言わなければなりません。  また一方、放送大学組織としての大学自治についても多くの疑点が提出されてまいりました。  今日まで、大学における自治管理運営について、その任に当たってきたのは教授会であり、それは大学の基本的、中心的機関と考えられてきたのであります。  しかるに、この放送大学においては、教員が各地に点在するという特殊形態理由に、新たに学長、副学長及び六人以上十二人以内の教授評議員として構成される評議会を設け、これを法律事項として起こし、大学自治の根源であるところの人事権を、この評議会権限として法律により付与することにしているのであります。  このことは、放送大学教授会は、大学重要事項審議する機関ではあっても、大学自治との関係において最も重要な人事権がないために形骸化されたものとなり、それにかわって教員全体の意思が十分反映しないような小人数評議会人事が決定されていくということになり、これは大学自治という観点から見ると、非常に危惧される重大な事態と断言せざるを得ません。  第三に、教員に関する問題であります。  まず、この放送大学教育研究体制は、教育に重点を置いたものになると考えられるので、研究心の旺盛な優秀な教員が集まりにくいことは必至であります。任期制を採用する関係上、腰かけ的な教育研究になりやすく、さらに任期経過後の身分の不安定性も考えられ、それらを総体的に考えると、放送大学教員確保についての不安を禁じ得ません。  また、放送大学を成功させるためには、各地方に設けられる学習センター整備充実、これはもちろん必須要件ではありますが、それ以上に各学習センター等で行うスクーリングに対する全国国公私立大学教員協力が絶対に必要であると考えられます。  これについても、いままでに概括的な協力要請をしただけで、具体的な協議は少しもなされていないというのが実情であります。国民に開かれた大学であるべき放送大学は、全国国公私立大学を初めとする関係者の積極的な協力とその参加なしに成功することはないのであります。  第四に、大学教育機会均等に関する問題であります。  放送大学が成功するためには、勤労者教育有給休暇を初めとする条件整備が不可欠であります。これまでの実験放送等調査結果から見ても、また、既存大学通信教育においても、スクーリングへの出席受講者にとって最大の難問であることが指摘されてまいりました。今日までの長い委員会での審議過程で幾たびかこれらの問題が指摘されてきたにもかかわらず、何らの努力がなされていないのであります。  また、放送大学の第一期計画によりますと、高等教育機関が多数ある東京を中心とした関東地区からスタートし、高等教育機関が少なく、放送大学が強く望まれた地域は後回しになることに問題があり、また、完成するまでが十数年ということになれば、教育機会均等の面からも重大な問題が生ずると言わなければなりません。まして、将来計画において放送衛星活用など不確定要因も絡んでいますだけに、その意味全国的に教育機会均等保障される条件も不明確であります。  以上申し述べました諸問題が、今日までの審議過程提出された中でも明確な回答がなされていないと断ぜざるを得ないのであります。  これらの問題が解明されないまま学園法成立が急がれるならば、必ずやこの大学国民期待にこたえることができないばかりか、かえって国家権力介入を許す危険性のみが浮き影りになるであろうことを確信を持って予言できます。  したがって、本法案成立に強く反対するものであります。(拍手
  10. 三ツ林弥太郎

  11. 鍛冶清

    鍛冶委員 私は、公明党国民会議を代表して、放送大学学園法案に関し賛成討論を行うものであります。  この法律案によって定められる放送大学学園が新たに設置する大学は、放送を効果的に活用した大学通信教育実施することによって、大学教育の門戸を広げ、受験地獄にまつわる教育のひずみを是正し、全国津々浦々の勤労青年を初め、広く社会人家庭婦人高等教育機会を提供する、国民の生涯学習、生涯教育中核的機関として大きな期待が寄せられております。  この大学に関しまして、わが党は、次の条件が必要であると考えます。  すなわち、この大学は、学校教育法第一条に規定する大学であると同時に、既存の諸大学単位互換及び教員の交流を積極的に促進する教育研究機関であること、そしてさらに、大学教育を含む各種各級の高等教育機関相互の弾力的な連携を可能ならしめるための一つ共同利用機関ともいうべき機能を果たすべきこと、以上三点であります。  これなくしては、この新規、新設大学存在意義は薄弱であると言わざるを得ません。  本委員会における審査過程におきまして、政府からその理解と決意を示す答弁を得ましたので、わが党はあえて本案賛成立場に立つものであります。  以上の前提に立って、以下、数点にわたり論及をいたします。  第一に、この大学は、従来の大学の概念の尺度に照らしてみるとき、諸般にわたり多少の過不足があることは当然でありましょう。たとえば大学自治学問の自由についてでありますが、これについては、国家権力介入を制限する人事管理運営民主的配慮によって保障されていることは申すまでもありません。  しかるに、この法案に定める学園及び大学管理運営は、法案に見る限り、従来の学校教育法の運用をやや超えるおそれなしとしません。  しかしその反面、この大学一つ閉鎖的教育研究機関にとどまることなく、他の大学を初め全国各種各級の高等教育機関と密接な連携を保って運営されるという特殊な性格上、実際には、諸大学教授会各種高等教育機関関係者はもとより、一般国民視聴者より常時監視を受けて運営せざるを得ないという事情を見落とすことはできません。  電波を通じて行われる大規模な偏向教育のおそれを強調される論者のあることは承知いたしておりますが、すでに情報豊かに向かいつつあるわが国教育水準の中で、この新しい大学は、極端な偏りをすれば、たちまちその存続を問われる民主的チェック機能に身をさらして設置されるものである点を強調しなければなりません。  さらに、この大学予算につきましても、国会審議によってチェックが行われます。新しく事を始めるに当たっては、大局観に立った勇気を必要とすることは当然でありましょう。  わが党は、以上の問題点を認識した上で、なおかつチェック機能が正常に働くことを確信し、ゴーのサインを下すものであります。  次に、この大学放送電波を用いるために、放送法規による制限と学問の自由との矛盾問題点として指摘されます。  この点につきまして、わが党は、この大学教育活動のすべてを放送のみに頼るものではなく、放送活用はその教育活動の一部であるにすぎず、したがって、教育研究内容放送電波になじまないものについては、この大学自主的判断において文書による通信教育によるなど、十分に他の手段に任せる措置がなされるのは当然であると考えます。  あながちに、仮定の上の矛盾可能性ばかりを強調することは、将来あり得べき危険性に対する警告とはなり得ましょうとも、余りにもこれに固執して、現実にあるべき放送規制学問の自由との両立に目をふさぐべきではないと主張するものであります。  およそ教育とは、人と人との触れ合いの中で、言葉と行動とを通じて、相互人間能力を開発していく営みであります。  文化の継承も、新しい創造も、こうした教育原型を経て行われるものと考えます。  いま、八〇年代より未来二十一世紀を展望するとき、ますます大量、多様な国民教育要求にこたえなければならないいわゆる後期中等教育後の高等教育に関して、わが党は一貫して、少人数対面応答教育原型保障すべきであると主張してきました。  このためには、一、学習形態教育形態を積極的に多様化し、諸形態を分類・記別すること。二、単位資格付与に際して、一々にその学習形態を付記せしめること。三、大学卒業資格に際して、一定の少人数対面応答授業履習保障すると同時に、種々の学習形態の適正な配分を定めて、その学習経験を得させること。  以上、三点の配慮が必要であると考えています。  ことに、本案に言う新しい大学は、放送授業を含む多様な学習形態の組み合わせを要求されますので、右の配慮検討実施が迫られると思います。  本委員会における審査の中で、これらについても、わが党の委員の質問の中で、政府が積極的に検討を行うとの約束を取りつけましたので、われわれはその実施期待を持って見守るものであります。  さらに、この大学に限らず、従来の大学通信教育は、高等教育における一つ学習形態を代表する教育機関として、本案の新しい大学と同等の重要さを持って、各大学学部との単位互換等連携をすべきでありますし、広く各種各級の高等教育共同利用機関としての機能を発揮するよう、本大学の形成と並行して配慮すべきものと考えます。  最後に「名は体をあらわす」と申しますが、放送大学学園という法人学園という名称にふさわしいかどうか、また、その設置する大学放送大学という名称がふさわしいものかどうかという問題であります。  これにつきましては、さらに、これらの機関が果たすべき機能性格、実体に応じて今後検討を進めるべき余地があることをつけ加えて、賛成討論を終わります。(拍手
  12. 三ツ林弥太郎

  13. 栗田翠

    栗田委員 私は、日本共産党を代表して、放送大学学園法案に対する反対討論を行います。  わが党は、従来より放送という大量伝達手段活用し、民主的な大学教育を広く国民に普及すること、同時に、この大学教育放送という一方通行的手段によって広範な国民に強い影響力を発揮し得ることから、一般大学教育にも増して学問の自由と教育自主性が守られ、学ぶ者も教える者も研究する者も真実と真理にのみ忠実で、他のいかなる強制にも服さないということが制度上からも確保されることの重要性を強調してまいりました。  本法案審議に当たっても、こうした立場から、文部省直轄型の大学学園でなく、全大学人放送関係者などの総意に基づく発足、教授会確立人事権を初めとする教授会権限確保など大学自治保障放送の自由を保障するために理事長独断を改め、理事運営審議会委員民主的選出理事会確立を要求してきました。  わが党は、放送大学学園法案に対する修正案大綱を昨日発表しましたが、これは以上のような基本的見地をまとめたものであり、本日、野党五常共同提出された放送等により教育を行う大学設置に関する決議案趣旨とも合致していると考えています。  ところが、政府文部省が提案している放送大学学園構想は、これまでの国会審議を通して数多くの問題点が指摘されているように、こうした一連の道理ある主張と相反する重大な問題を内包していると言わなければなりません。  以下、私は、それらの問題点を指摘し、本法案に対する反対理由を申し述べるものであります。  第一の問題点は、放送大学正規大学たるに値する内容を伴うのかどうか、はなはだ疑わしいという点です。  この間の国会審議では、放送大学基本計画にしろ、第一期計画にしろ、具体的な構想とその実施条件整備計画が少しも明らかにされませんでした。  私も質問しましたが、たとえば第一期計画に基づく学習センター設置場所さえ決まっていないことや教員確保の見通しも立っていないことなどは、その端的なあらわれにほかなりません。  今後のわが国における高等教育のあり方に大きな影響を与え、また、厳しい国の財政事情のもとで貴重な予算を投ずるからには、慎重で十分な審議こそが必要なのではないでしょうか。それにもかかわらず、いわば見切り発車的に処理しようとする政府文部省の態度は、「わが亡き後に洪水は来れ」式の全く無責任なものだと言わなければなりません。  第二の問題点は、大学の生命ともいうべき大学自治学問の自由が根底から脅かされる危険性をはらんでいるという点です。  このことは、放送大学設置者であり、放送局となる学園理事長放送番組編集権理事大学教員任命権を初めとする管理運営権を一手に握り、理事長独断専行体制がつくられるようになっていること、しかも、その理事長の任免、理事人事についての認可、学長任命運営審議会委員監事任命は、文部大臣権限に属するなど文部大臣直轄型の仕組みとなっていること、さらに、既存大学保障されている教授会自治が形骸化され、教員人事選考権は、教授会になく、学長、副学長及び理事長任命少数教授によって構成される評議会にゆだねられていることなどを具体的に見るならば明白であり、まさに大学が国家統制下に置かれようとしていると言わなければなりません。  第三の問題点は、大学自治さえ保障されない文部省直轄放送大学では、教育内容への権力の介入のおそれとも相まって、放送の自由も奪われかねないという点です。  この行き着く先は、戦前のNHKを思い起こすまでもなく、国営放送として、国民思想統制に大きな役割りを果たすという民主主義の圧殺なのです。政府・自民党の改憲発言などともあわせ考えるとき、さらに、この危険性を強く感じざるを得ません。  私は、最後に、政府文部省当局の放送大学に取り組む基本姿勢についてどうしても触れないわけにはいきません。  この放送大学学園法案は、三たびも廃案になっています。そして、その審議過程では、多くの問題点が明らかにされ、条理を尽くした提案がされているにもかかわらず、政府文部省当局は、今日に至っても全く同一内容のものを提案し、原案のまま押し通そうとしています。  さらに、放送大学の成否のかぎの一つである教員確保の問題について見ても、文部省は、国大協、私大連、日本学術会議などの協力理解を求める努力を何ちしてきませんでした。  これらの事実は、この大学性格から言っても、きわめて重大な問題点であると指摘せざるを得ません。このような姿勢のもとで放送大学が発足したとしても、国民に背を向けられた大学になりかねないでしょう。成功するかどうかやってみなければわからないような大学、このような放送大学国民は多くを期待はしないでしょう。  私は、もっと十分な審議保障され、かつ・すべての関係者の意見が吸収されるべきものであることを強く要望し、本法案に対する反対討論といたします。  なお、本案採決後、附帯決議の提案がなされるかもしれませんが、さきの五党提案の決議趣旨に照らしても、いま附帯決議を付する段階でないと思考します。と同時に、放送大学の発足を前提とすると解釈されかねない決議には賛成しがたいことを申し上げ、討論を終わります。(拍手
  14. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 小杉隆君。
  15. 小杉隆

    ○小杉委員 私は、新自由クラブを代表して、放送大学学園法案賛成する討論を行います。  そもそも私たちにとって、教育は、日本の置かれた環境、つまり、限られた国土や資源を考えるとき、最も重要視すべきものであります。日本の今日あるを振り返るとき、国民がいかに教育に熱心であったか、あの戦中戦後の苦しい時代においても、教育に対する情熱と真剣な態度をゆるがせにしなかったかを身にしみて感ずることができます。  教育の自由な広がりこそが、今日の日本の民主主義と経済発展をつくり上げた源と申し上げてもよいと考えます。  学校における教育から社会におけるさまざまな教育まで、私たち日本人は、学ぶことに貧欲な性格を持つ民族であります。教育機会、多様な教育の場をつくることに私たちは同様に食欲であるべきだと考えます。日本国民は望む教育を受ける権利があります。その機会は均等でなくてはなりません。  放送手段の高度な発達、その設備の充実は、国民の頭脳と努力がつくり上げた貴重な財産の一つです。この新しいノーハウが次の時代の教育充実に役立てられなければならないことは言うまでもありません。と同時に、放送というコミュニケーション手段は、教育機会の枠を飛躍的に増大させることが可能な方法でもあります。  しかしながら、現段階での放送大学学園構想には、幾つかの問題点があります。  第一に、機会均等という点であります。  技術面を整備すれば、全国民に均等に教育機会を与え得るものでありながら、いまの段階では関東地域にしか教育の場を与えることができない。すでに大学の数も多く、質も高い首都圏から出発して、そうした教育機会に恵まれない地域へのサービスがおくれるという点で不満足なものだと申し上げざるを得ません。  したがって、教育機会均等を考え、できるだけ早く全国をカバーできるよう努めること、そのために放送衛星活用に本格的に取り組むことを要求するものであります。  第二に、放送という手段大学運営にもたらす影響が予測しがたく、未知の領分が多く残されているという点です。  放送の自由と大学の自由とが両立すること、さらに、学問の自由、大学自治を守るために大学管理運営が民主的に行われることなどに留意すべきであります。  第三に、特殊法人組織として専門に学問を扱うものは、これが最初となるでありましょう。  従来、特殊法人の幾つかが国民の不信や疑惑を招くような不祥事を引き起こしたことは記憶に新しいところです。学問を担う特殊法人において、万が一にもそのようなことがあっては、教育の荒廃につながる重大事となります。  この点に関して所轄官庁、大臣を初め、われわれの慎重な監視が必要であり、留意をしなければいけないと思います。  なお、この放送大学は、莫大な予算を要するので、効果を検証しつつ、有効に活用されるよう特段の注意が必要でございます。  最後に、放送大学の基本理念である多様な教育機会を広げようとする今回の試みには協力を惜しまないものでありますが、いままで申し上げたように、早急に全国レベルの放送を実現させること、大学の自由と自治を守ること、法人として健全な運営を行い、本来の目的を果たすことの三点については、この先努力を怠ってはならないと考え、文部省、大臣にも強く望む次第であります。  わが国にとって全く未知の領域へ踏み出す第一歩として、放送大学学園の実現を高く評価するとともに、その国民の要望にこたえ得る大学となることを強く要望して、私の討論を終わります。(拍手
  16. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて討論は終局いたしまし  た。     —————————————
  17. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより採決いたします。  内閣提出放送大学学園法案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  19. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、有島重武君外三名より、公明党国民会議及び民社党・国民連合共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  本動議議題といたします。  提出者より趣旨説明を求めます。有島重武君。
  20. 有島重武

    有島委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     放送大学学園法案に対する附帯決議(案)  一 本法にいう「大学」は、学校教育法第一条の大学であるが、その機能するところは、従来の概念を超えて、いわゆる「新しい高等教育システム」の中核的機関として位置づけられる。したがって、本法第一条の「大学教育機会」は、「大学教育その他の高等教育機会」として、より広く解釈すべきである。  二 放送法学校教育法前提とする放送大学は、   (1) この二つの法にもとづく整合性をもった大学であること。そのために、放送にかかわる現行法制公共・公平の原則教育における学問の自由、大学自治との問題を合理的に解決するよう十分配慮すること。   (2) 特に開かれた大学となるためには、国公・私立大学等にも広く利用の途を開くとともに、これら関係者協力がえられるよう必要な措置を講ずること。   (3) 全国的に教育機会均等保障される大学となるように配慮すること。  三 本制度の発足後、一定の時期をみて、教育の効果及び大学教育全般との関係等について見直しを行うものとすること。   右決議する。 以上であります。  その趣旨につきましては、案文に尽きておりますので、ただいまの朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ、各委員におかれましては、御審議の上、御賛同くださいますよう望むものでございます。  以上。
  21. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより採決いたします。  有島重武君外三名提出の本動議賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議に対し、政府の所見を求めます。まず、田中文部大臣
  23. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意してまいりたいと存じます。(拍手
  24. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次に、山内郵政大臣。
  25. 山内一郎

    ○山内国務大臣 ただいま御決議をいただきました事項につきましては、その趣旨に十分留意いたしまして、今後の運用に当たってまいる所存でございます。(拍手)     —————————————
  26. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  28. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、明後十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会