○小杉
委員 私は、新自由クラブを代表して、
放送大学学園法案に
賛成する
討論を行います。
そもそも私たちにとって、
教育は、日本の置かれた環境、つまり、限られた国土や資源を考えるとき、最も重要視すべきものであります。日本の今日あるを振り返るとき、
国民がいかに
教育に熱心であったか、あの戦中戦後の苦しい時代においても、
教育に対する情熱と真剣な態度をゆるがせにしなかったかを身にしみて感ずることができます。
教育の自由な広がりこそが、今日の日本の民主主義と経済発展をつくり上げた源と申し上げてもよいと考えます。
学校における
教育から社会におけるさまざまな
教育まで、私たち日本人は、学ぶことに貧欲な
性格を持つ民族であります。
教育の
機会、多様な
教育の場をつくることに私たちは同様に食欲であるべきだと考えます。日本
国民は望む
教育を受ける権利があります。その
機会は均等でなくてはなりません。
放送手段の高度な発達、その設備の
充実は、
国民の頭脳と努力がつくり上げた貴重な財産の
一つです。この新しいノーハウが次の時代の
教育の
充実に役立てられなければならないことは言うまでもありません。と同時に、
放送というコミュニケーション
手段は、
教育の
機会の枠を飛躍的に増大させることが可能な方法でもあります。
しかしながら、現段階での
放送大学学園構想には、幾つかの
問題点があります。
第一に、
機会均等という点であります。
技術面を整備すれば、全
国民に均等に
教育の
機会を与え得るものでありながら、いまの段階では関東地域にしか
教育の場を与えることができない。すでに
大学の数も多く、質も高い首都圏から出発して、そうした
教育の
機会に恵まれない地域へのサービスがおくれるという点で不満足なものだと申し上げざるを得ません。
したがって、
教育の
機会均等を考え、できるだけ早く
全国をカバーできるよう努めること、そのために
放送衛星の
活用に本格的に取り組むことを要求するものであります。
第二に、
放送という
手段が
大学運営にもたらす
影響が予測しがたく、未知の領分が多く残されているという点です。
放送の自由と
大学の自由とが両立すること、さらに、
学問の自由、
大学の
自治を守るために
大学の
管理運営が民主的に行われることなどに留意すべきであります。
第三に、
特殊法人組織として専門に
学問を扱うものは、これが最初となるでありましょう。
従来、
特殊法人の幾つかが
国民の不信や疑惑を招くような不祥事を引き起こしたことは記憶に新しいところです。
学問を担う
特殊法人において、万が一にもそのようなことがあっては、
教育の荒廃につながる重大事となります。
この点に関して所轄官庁、大臣を初め、われわれの慎重な監視が必要であり、留意をしなければいけないと思います。
なお、この
放送大学は、莫大な
予算を要するので、効果を検証しつつ、有効に
活用されるよう特段の注意が必要でございます。
最後に、
放送大学の基本理念である多様な
教育の
機会を広げようとする今回の試みには
協力を惜しまないものでありますが、いままで申し上げたように、早急に
全国レベルの
放送を実現させること、
大学の自由と
自治を守ること、
法人として健全な
運営を行い、本来の
目的を果たすことの三点については、この先努力を怠ってはならないと考え、
文部省、大臣にも強く望む次第であります。
わが国にとって全く未知の領域へ踏み出す第一歩として、
放送大学学園の実現を高く評価するとともに、その
国民の要望にこたえ得る
大学となることを強く要望して、私の
討論を終わります。(
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