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長谷川(正)
委員 文部省としては、そういうお答えになるのだろうと思いますが、日教組と
文部省は敵、味方というわけではないので、立場が違っていろいろ要求をぶつけ合うということはあるでしょうけれ
ども、そういう実態については、できるだけ正確に把握されて、この扱いについて最高判断を誤らないようにしていただきたいと思うので、あえて伺うわけであります。
大臣もお帰りですから、いま主任手当の問題について、日教組に組織された多くの
先生方がこれは要らない、主任になっていろいろ皆さんの協力を願ってお互いに助け合って
学校運営をやっている、それに特定な主任というものに手当が来ることによって
学校運営等が非常にうまくいかなくなる、そういうものは要らない、そうでなくても、いまの定数の問題にしても
教育諸条件の整備にしても、まだまだ至らないところがたくさんあるわけですから、少しでもそういうお金があるならそっちに回していただいて結構だ、こういう一にも二にも金、金という世の中に、まことに何ともいえない清らかな風が吹いてくるような話なんです。
〔中村(喜)
委員長代理退席、
委員長着席〕
ところが、強引にメンツにかけているのか、これによって
教育の支配、統制を進めようとするのか、その真意はどこにあるのか存じませんけれ
ども、これをそのまま推し進めておりますね。相当の県で主任手当は来てしまいますから、それではそのお金はそっくり出して、別の活動に使ってほしいということで、いろいろな創意
工夫がなされた使い方がされているのが現実なんです。たとえば高校進学予定者または在学者に、奨学金の一部として、これは返さないでいいお金ですよと言ってあげている県もある。あるいは交通遺児や母子
家庭の児童生徒への援助あるいは社会福祉施設への援助をして大変感謝されているという例もある。あるいはまた図書や
教材、教具あるいはスクールバスなど小中校の特に養護
学校への条件整備にこのお金を使っていただいて、非常に感謝されたり喜ばれたりしている、こういう例もあります。あるいは音楽会や文化事業の助成あるいは講演会、こういうようなところに使ってほしいということで、
社会教育的な面あるいは文化的な面で
一つ成果を上げている県もある。あるいは
教育研究活動への助成というようなことや、そのために
教育研究所を創設する費用にするというようなこと、あるいは県民大学というようなことを行って、県民からの非常に大きな反響を呼び、また高く評価をされている、こういういろんな例が出てきているのです。しかし、これは
考えてみれば、ずいぶん回り道なんで、そうであれば、それほど根強いものがあるなら、単に
教育の統制上、上からの統制を強化するために主任制というのを確立するのだ、そのためには金も出すのだというようなお
考えではないと思うのです。あるいは本心はそうかもしれないけれ
ども、恐らくそうだとは言えないだろうと思うのですが、もしそうでなく、いろいろな
学校の運営上に少しのプラスになるつもりでお出しになっているなら、それがそうでないと言っているのですから、この辺でいままでの行きがかりはともかく、もう一遍じっくり
考え直して、そしてもっと緊急な
教育諸条件の整備、たとえば四十名学級にする地域をもうちょっとふやすとか、あるいは施設設備がまだない、特別教室もない、あるいは図書館もないというような非常に不十分なところにもう少しお金を回してあげるとか、もうそろそろ行きがかりを捨てて、率直に事実を見ながら、
考え直していい時期ではないか。
私は、別にきょうはむきになって
教育の
国家統制はけしからぬという、青筋立った言い方でなくて、冷静に、本当に
日本の
教育を
考え、そして
学校というのは、波風が余り立たずに、
教育上の
議論は職員同士で大いに火花を散らしてもいいのですけれ
ども、夜を徹して
議論するくらいのこともたまにはあってもいいのですが、しかし、
教育そのものでない、副次的なことに非常に時間が食われたり、校長と職員の間に険悪な空気が流れたり、絶えずにらみ合っていたり、また、そのために貴重な時間をそういうための
議論に使っていたり、こういう
教育の現場は見ていられない。やはり余り無理なことはこの辺で
考え直していいのじゃないか。
私は、初めて国会に議員に選ばれまして、出てきて文教
委員会でお世話になりました、比較的早いころだと思ったのですが、学力テストという問題がありまして、これは
文部省が勤務評定に続いて、また学力テストを
全国一斉にやりました。これは大変な衝撃を与えまして、
全国各地でいろいろな問題がありました。たしかあれは三年ほどやりましたけれ
ども、ちょうど私が当選して文教
委員会に出てきて、そういう実情を訴えて、何とか
考え直したらどうかという時期が、
文部省内でも再
検討をする機運がようやく生まれたのか、亡くなった、愛媛から出ていた当時の政務次官が私の
質問に
答弁して、何とか再
検討いたしますと言ってくだすった。そうしたら、その翌年からそれはとりやめになった。そして大変
教育の
世界が平静に戻った、こういう過去の事実もありますので、この辺で主任制問題について、もう一遍
考えて、そして少しでも、国の財政の厳しい時期ですから、これを大蔵省に吸い上げられたのじゃ
意味がないので、
教育の施設改善や定数改善の方向に振り向けていく、そういうお
考えをぜひ持っていただきたいと思いますが、
大臣並びに
局長いかがですか。