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1980-11-13 第93回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十三日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 井上  泉君    理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君    理事 谷  洋一君 理事 吹田  愰君    理事 武部  文君 理事 長田 武士君    理事 塩田  晋君       今枝 敬雄君    小澤  潔君       狩野 明男君    亀井 善之君       工藤  巖君    田名部匡省君       長野 祐也君    野上  徹君       牧野 隆守君    五十嵐広三君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 劔持 浩裕君         経済企画庁長官         官房長     禿河 徹映君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁国民         生活局長    小金 芳弘君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君  委員外出席者         内閣審議官   藤沢 建一君         大蔵省主税局大         臣官房企画官  薄井 信明君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 齊藤 乃夫君         水産庁漁政部漁         政課長     谷野  陽君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       照山 正夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     橋本 昌史君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       岩崎 雄一君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ――――――――――――― 十一月十一日  物価値上げ抑制等に関する請願外一件(関晴正  君紹介)(第一七五二号)  同(岡本富夫君紹介)(第一七五三号)  同(長田武士紹介)(第一七五四号)  同(柴田弘紹介)(第一七五五号) 同月十二日  公共料金値上げ反対等に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第一八八四号)  物価値上げ抑制等に関する請願岩佐恵美君紹  介)(第一八八五号)  同(塩田晋紹介)(第一八八六号)  同(林百郎君紹介)(第一八八七号)  同(簑輪幸代紹介)(第一八八八号)  同(和田耕作紹介)(第一八八九号)  同(渡辺貢紹介)(第一八九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 井上泉

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  3. 五十嵐広三

    五十嵐委員 まず河本長官にお伺いを申し上げたいと思うのでありますが、昨年の夏、当時長官は自民党の政調会長として御活躍になっておられたわけでありますが、あのころ、当時の大平首相が示唆しておりました中所得者層年間所得で二百万から四百万くらいの所得層増税必要論に対しまして、この層の税金が他国に比べて低いので税負担を上げるべきだと言われているが、日本の場合そう簡単にはいかない、こうお述べになられて首相発言を軌道修正なされているわけであります。  その理由として長官は、第一に、中所得者層、特に都市部の中所得者層が諸外国に比べて商い住宅あるいは高い食料費負担に悩んでいる、それから第二には、日本の社会が安定しているのはこういう中間層が多いためであるということに留意すべきだ、こう述べられているのであります。これは非常にりっぱな見識でありまして、私どもも非常に敬意を深めていたものであります。しかし、最近も賃金を上回る物価のためにこれらのいわゆる中所得者層が毎月連続して実質所得を減らして、その苦しみはさらに重くなっているということは御承知のとおりでありますが、今日、かねがねお話しになっておられた中所得者層への増税路線に対する批判的見解にお変わりがないものかどうか、お伺いを申し上げたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお述べになりました私の昨年申し上げた見解は、いまも変わっておりません。
  5. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今月の七日に政府税制調査会答申がございまして、五十八年度をめどとする中期的な税制改正方向を明らかにされてきたのであります。この答申の中で特に本委員会に関連する二点について、この際長官の御所見伺いたいと思うのです。  その第一点は、課税ベースの広い間接税は避けて通ることのできない検討課題として、広く消費に着目した間接税、言いかえれば新しいスタイルの一般消費税が必要であると提言をしているわけであります。伝えられるところによりますと、大蔵省は早くもこの答申を受けて、明年度製造者消費税具体化に取りかかり、明後年にもこれを実施させる動きというのでありますが、しかし長官、これはまず昨年末の国会決議意思に反するものと思いますが、いかがでしょう。また、消費税物価を押し上げて購買力の低下を招いて、むしろ景気回復にとっても大きなマイナス要因と思うのであります。  長官は、先ほどお述べになられましたように、昨年来の御意思に変わりはないという御発言でございますが、このたびの税制調査会提言を受けました今日の時点で、改めてその御所見をお伺い申し上げたいと思う次第であります。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま財政再建ということがわが国最大課題であります。財政再建方法はいろいろあろうかと思います。単に税制の面だけではなく、国民経済全体の立場から判断していかなければならない、こう思っておりますが、先般の政府税調答申というものはそのままこれが決まるということではございませんで、やはりいまは政党政治の時代でありますから、党の方でも十分税制問題は今後どうあるべきかということについて検討するはずでございます。広い角度から検討が行われると思います。その結果どのような結論が出ますか方向が出ますか、それはこれからの作業いかんにかかっておるわけでございますが、財政再建最大課題であるということになりますと、考えられるあらゆる課題は私は検討していいと思うのです。  しかし、どれを採用しどれを採用しないかということは、最終的に国民経済全体の立場からこれを最終判断をする、こういうことでございますから、先般の政府税調答申は、せっかくの答申が出たわけですから、これを全面的に採用するしないは別といたしまして、個々の課題について一応検討してみる必要はあろうか、このように思います。
  7. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そこで、もう一つ掘り込んでいただいて、そういう手順になることは当然でありますが、長官としてかねがねそういうお考えに変わりはないということであれば、この答申が示している消費税方向についての所見をちょっとお伺いをさせていただきたいと思うのです。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、財政再建を進める場合に三つのことを考えなければならぬということをこれまでも申してまいりました。  その一つは、やはり着実な経済運営をする、わが国経済安定成長路線に定着させる。安定成長路線に定着させるということは、昨年の八月に決めました新七カ年計画を基準とする経済運営を進めていくということであります。毎年毎年の経済の実情に合わせて具体的な運営は決めるということになっておりますけれども、おおよその指針はあの七カ年計画で決められていると思いますが、それを運営することによってわが国経済安定成長路線に定着させる。そういたしますと、日本経済規模は非常に大きくなっております。来年の経済規模をどうするかということはこれから相談をいたしますが、とにかく三百兆近い経済規模でありますから、それが安定成長路線に定着するということになりますと、そこから生ずる税収も非常に大きな金額が期待できる、とにかく着実な経済運営をするということが財政運営の第一の条件である。もし経済運営を誤りますと現行税収すら確保できないということになりますから、とても財政再建なんか考えるわけにはまいりません。大変なことになってしまいます。  それから第二点は、現在の財政の中にもいろいろな経過がありまして非常に不合理な面がございます。それから浪費に近いと思われるような面もございます。そういうものはこの際はやはり惰性を断ち切って抜本的にこれを合理化していくということは当然に必要だと思います。それをやらないで財政再建というものはとてもできるものではございません。その二つ中心財政再建を進めるべきだと思いますが、しかしながら、どうしてもその二つでは財政再建がむずかしい、こういう場合にはやはり若干の負担増というものを国民お願いをしなければならぬ、こういう順序だと思うのであります。  第三の、若干の負担増国民の側にお願いをする場合にどういう方法がいいのかということは、先ほども申し上げますように国民経済全体から判断していかなければならぬ、このように思いますが、一般消費税につきましては、昨年の国会決議等もありましてああいう税制はやらないということになっておりますから、来年は新税というものはやりませんで、現行税制の枠の中で、仮に足らない場合でも増収を図っていく、こういうことであります。これはそれ以降の課題になると思いますが、仮に新しい税を考える場合でも、過去の経過等を十分尊重しながら総合的な判断が必要だ、私はこのように思います。
  9. 五十嵐広三

    五十嵐委員 つまり、一番おしまいに御発言になられました過去の経過等を踏まえて慎重に考えるということは、従前の長官のお考えの趣旨をいろいろこれからのお立場の中でさらに主張していきたい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年私が一般消費税反対をいたしましたのは、昨年は数年ぶりで経済回復をいたしまして、昨年の夏の段階においても完全にあの程度の経済がずっと続けば税の自然増収は間違いなく五兆前後はあるであろう、こういう判断ができましたので、五兆の税の自然増収が五十五年度に期待できるということであればいまの段階一般消費税などはやる必要がない、こういうことを言ったのであります。  しかしながら、先ほど申し上げましたことは、財政再建がどうしても新税考えないとできないという場合にはどういう新税がいいのか、これは総合的に判断をしなければいかぬ、こういうことでございまして、一たん立ち消えになり議会でやらないということが合意された一般消費税という形ではこれはもうよくないということはわかりますが、さてしからばどのような形の新税が妥当であるかということについては、これは新しい角度から、先の問題でありますけれども総合的に検討すればよろしい、こういうように思います。
  11. 五十嵐広三

    五十嵐委員 税制調査会答申にかかわるもう一つ問題点は、この答申のこれから三年間も物価調整減税はしないという点であります。大体これから三年の物価が一体どういうことになっていくかということもかいもくわからない今日、向こう三年据え置くという答申もいかがかというふうに思うのであります。現行夫婦子供二人の標準家庭で年収二百一万五千円が課税最低限、これは五十二年以降過去三年間据え置きされてきたものでありますが、これをさらに三年据え置くというわけであります。  課税最低限は 五十二年までは毎年引き上げられてまいりました。そうしないと名目賃金に課税し、物価上昇を無視して国民に過重な負担を強いることになるからであります。標準世帯で四十六年には百万三千円、四十七年、四十八年、四十九年、五十年と最低額を上げまして、五十二年に現行の二百一万五千円にしたわけであります。これをいままで三年間据え置いてこれからも三年据え置きますと一体どういうことになるか。  この間、各新聞なんかもそれぞれ試算をして発表しておったのでありますが、その一つをとりましても、毎年五%ずつのベースアップと仮定いたしますと、標準世帯で五十二年に三百万円でありましたお方は、五十八年には給料は三二・三%ふえますが、税金は二三七%、十五万四千円ふえるという結果になるのであります、これは所得の伸びの七倍も税額が高くなる。明らかな増税手段ではないかと思うのであります。今年の一月から、御承知のように七月を除いて毎月勤労者実質収入は前年比下がりっ放しというような中で、さらに向こう三年も最低限を据え置くということでは、それでなくともクロヨンに象徴される税の不公平というものが拡大される一方ではないかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 所得がふえるけれども税率が変わらないということになりますと、実質上たくさん税金を納める、こういうことになります。所得に対する税負担率などを調べてみましても、二、三年前までは一九%ぐらいでありましたが、現在は大体二二%ぐらいになっておる、こういうことでありますから、税負担というものは税制そのものは変わらなくてもふえておる、それはそのとおりであります。  それからまた、ことしは物価上昇のために実質所得は減っておる、実質賃金は減っておる、これが数カ月続いておるということも事実であります。しかも、一方で生活は高度化され複雑になってくるということでありますから、実際は所得が若干伸びてもそんなに楽な生活ができるということではない。しかしながら、一方で逆に減っておるということでありますから生活は苦しくなっておる、こう思います。  だから、こういうときには、実際は所得が減らないための何らかの対策が実は望ましいのですけれども、しかしよく考えてみますと、現在の財政事情ではこれはとても不可能である。残念ながら、それが財政の面からはできない、こういうことになりますので、いま政府が全力を挙げておりますことは、とにかく物価政府目標の水準に何とか下げる方法はないのかということで、各方面の知恵を拝借しながらいろいろ努力をしておる、こういうことでございます。しかしながら、実際は所得実質減る場合には財政の面で何らか対応ができるような、そういう財政が力を持つということが望ましいわけですから、その検討の力を持てるまで財政再建というものはいろいろやっていかなければならぬ、こう私は思います。
  13. 五十嵐広三

    五十嵐委員 最近の帝国興信所調査によりますと、十月の負債一千万円以上の企業倒産は千六百六十七件、負債総額が二千四百四十二億円に上りまして、件数では前年同月比一〇%増、負債総額では二八・七%増になったということであります。これは十月中の倒産件数といたしましては実に史上最高であって、二カ月連続でいわゆる危機ラインとしての千五百件を大きく上回ったというふうに報ぜられているのであります。業種別に見ますと、住宅であるとかあるいは建設であるとかあるいは繊維であるとか、こういうものなどが目立っているようでありますが、まさに中小企業が深刻な状況で年末を迎えなければいかぬということになっているわけであります。  これは考えてみると、先ほど申しましたように勤労者実質収入が連続してマイナス続きだというような中で、たとえば住宅建設等も前年に比べて大幅にダウンするというのはこれまた当然なことであります。したがって、この懸念すべき不況を脱して中小企業を底上げする形で景気回復するためには、第一に、お話しのように物価を抑えて中間所得者層実質収入をプラスに転化する、こうして個人消費を高めることが必要なわけであって、これに逆行して物価減税を六年も据え置いたり、あるいは先ほどの一般消費税的な大衆課税新税をつくるというようなことでは、いよいよ中所得者層消費意欲を抑えて、市況の深刻さを加速させるということになるのではないかと思うのであります。先ほどのお答えでもわかる面は多いのでありますが、しかし財政面だけではなくて、お話しのように総合的な政策判断でこれらに対応すべきものではないかと思いますので、この点につきましては最後のお答えをいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  14. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお話しのように、倒産が非常にふえております。倒産にはいろいろの理由はありますけれども、しかし倒産自身が激増しておるということはやはり経済状態がよくない、こういうことであろうと思います。  事実、ことしの初めには稼働率指数が一二七、八までいっておりましたが、いまは一一四というふうに非常に下がっております。これを産業の実際の操業率に直しますと、九二、三であったものが八三・六%まで下がっておる、こういうことでございますから、やはり経済にかげりが相当強く出ておる、こういう感じがいたします。  したがいまして、政府の方でもこういう状態を放置するわけにはいかぬ、物価に十分配慮しながら何とか景気が悪くならないように強力な対策考えていかなければならぬということで、いまいろいろ検討しておるところでございます。今月の末か来月の初めにはいろいろな経済指標が集まりますので、そういう経済指標を正確に分析をいたしまして、どうしたらよいかということを相談をするというスケジュールを立てております。やはり経済活力を持ちませんと、国民所得個人所得もふえない、こういうことになります。でありますから、何といたしましても経済活力を持ち、その中で所得がふえる。とにかく政治目標はいろいろあろうと思うのですが、やはり生活の安定、充実、向上、こういうことが最大目標でないか、こう私は思います。そういう面から、どうすればそういう方向にいけるかということについて、総合的に、来年の予算との兼ね合いもございまして、来年の予算、来年の経済運営等を展望しながら、そういうことをいまいろいろ相談中であるというのが現状でございます。
  15. 五十嵐広三

    五十嵐委員 では、次の質問をさせていただきたいと思います。  まず長官にお伺いしたいのでありますが、七〇年代、工場の地方分散であるとか大学の地方分散であるとか、いわゆる過密過疎の解消をする一方、地方経済を振興していくという政策がとられてきたと思うのでありますが、振り返ってみて、それが必ずしも成果を上げたとは言えぬように思うのであります。しかし八〇年代もこういうような考え方を持続して、都市問題を解決しあるいは地域振興を図り過密過疎を解消していく、国土全体に均衡ある発展を期していく、こういう方針に変わりはないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
  16. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十二年末に政府は第三次全国総合開発計画、略して三全総と呼んでおりますが、こういう計画をつくりました。これは昭和六十年代の前半までを展望した長期国土建設計画でありますが、それの中心は、戦後の日本は大都会中心に人口、産業文化が集中して、むしろそのために大きな弊害が出つつある、だからこれからの政策産業文化地方に分散させる、そういう方向に転換しよう、そのためにはやはり前提条件が必要なのでその前提条件をつくらなければならぬ。交通網の整備など、あるいは工業団地をつくること、あるいは住みよい環境をつくるということもその前提条件であると思いますが、そういう前提条件をとにかくこれからはしっかりつくりましょうということで、これまでの大都会中心政策方向転換方向に行きつつあるというのが現状でございます。
  17. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ところで、そういう考え方からいいますと、今回御提案いただいている国鉄再建法に伴う全国九十線に及ぶ特定地方線の廃止は問題がないだろうか。長期的に見ていずれ石油資源等の需給が逼迫することは言うまでもないわけでありますし、あるいはまた原油価格OPECサイクルで今後も持続的に上がるであろうことも言うまでもないわけであります。したがって省エネルギーへの見地から考えてもどうも問題があるように思うし、財政上ということではわからないわけではないのでありますが、しかし総合的に政策判断をする上では、今日特定地方交通線を廃止するということには、先ほどお伺いいたしました八〇年代も過密過疎を解消し地域振興を図っていく方針からいうとどうもおかしいのではないかという気がするのでありますが、いかがでしょうか。
  18. 岩崎雄一

    岩崎説明員 御承知のように再建法の御審議お願いしておりますが、基本的に輸送構造変化によりまして、国鉄再建を完遂いたしますための前提条件として、経営の重点化ということがきわめて重要な課題になっておるわけであります。その観点から申しますと、国鉄として任務を果たし得る伸ばすべき分野、これは充実をしていく、そしてモータリゼーションの結果輸送量が極端に減少していまや鉄道の特性を発揮できない、こういうところについては極力減量化をしていくということが国鉄にとってきわめて緊要な課題でございます。そういう観点から、現在地方交通線対策お願いしておりますが、これは言うまでもなく地域公共交通の足というものを確保するという前提で、代替輸送を確保した上で、国鉄の使命の終わったと考えられる線区については撤退をお願いする、こういう考え方でございますので、地域公共交通に大きな変化を与えますが、マイナスの影響を与えるものではないというようにわれわれは考えております。  また、エネルギー問題でいまお話がございましたが、鉄道エネルギー効率の面から見て非常にいいと言われるのは、大量に輸送している場合のことでございます。簡単に申し上げまして、一回分の輸送量バス一台分にも満たないというような状態下におきましては、これはバスの方が鉄道の車両よりも小さいわけでございますので、エネルギー的にも省エネになるというふうにわれわれは考えております。
  19. 五十嵐広三

    五十嵐委員 しかし、将来エネルギー事情が窮迫してくると、いまのようにマイカーでどんどん走るなんということにはならないわけでありますから、そうなるとどうなるかというと、当然大量輸送機関を集中的に利用させるような政策誘導が必要になる。誘導がなくたってそうなってしまうことだろうと思うのですね。そのときになってはがしてしまった線路というのは取り返しのつかないことになるわけであって、そういう面では、ただいまを比較するということだけではなくて、それは線路なんですから、十年後、二十年後ぐらいになったときにはどうだというぐらいの展望でやはり考えていかなければいけないわけで、どうもいまの答弁にはぼくはそう簡単に納得する気にはなれぬのであります。  それで、話は変わりますが、長官、ある町で水道会計赤字だ――どこもこのごろは大変でありますが、水道会計赤字で大変だ。そこで、内部の合理化も一生懸命やりながら水道料金も上げていかなければならないという場合に、結局その赤字の原因の一つは、都心部で集中しているところは非党に収益がいいが郊外のところではまばらに線が入っていて収益としては非常に悪い。この場合の料金を上げるときに、収益率のいいところと郊外収益率の悪いところと料金を二本立てにするということは適当なことだと思いますか。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのことは私は研究したことはありませんのでよくわかりませんが、これは五十嵐先生の方がよく御存じでしょう。
  21. 五十嵐広三

    五十嵐委員 余り適当なこととはだれも思わぬと思うのですね。また実際にそんなことをやっている町はないわけでありますから……。しかし、ぼくは今度の国鉄再建法特別運賃制を設けるということについては、そういう点からいってどうも納得がいかないわけであります。すなわち、鉄道線路を幹線と地方交通線というぐあいに区別をする、二本立てにする、そうしてこれは十月十七日の衆議院の運輸委員会での高木総裁の御発言でありますが、別建てにした地方交通線、これは全線の四一%に及ぶわけでありますが、これを当面幹線の五割高、将来は倍ぐらいに料金を上げていこう。国鉄は長い間ずっといわゆる一律運賃制でやってきたのでありますが、今回それを百年の歴史を破って二本立てにしていくということなわけでありますが、これは国有鉄道法に「公共の福祉」と明らかにされている目的に合致するのだろうか。地域格差をこうやって鉄道運賃に持ち込んでくるということは正しいことなんだろうかという感じがしてならないのであります。どうですか。
  22. 橋本昌史

    ○橋本説明員 先輩御指摘のとおり、国鉄は現在全国一律運賃制を採用いたしております。そのために、大都市におきましては民営鉄道の運賃と比べますと国鉄の運賃が割り高になっておりますが、逆に地方におきましては民営鉄道とかあるいはバスとかの運賃と比べますと二分の一ないし三分の一という運賃になっているわけでございます。このような運賃制度を採用している結果、国鉄地方交通線として経営区分いたしております約九千二百キロの線区から得られる運賃収入というものは、その線区で費やしております経費の四分の一にも満たない状況になっておるわけであります。このような大幅な赤字が生じておりますので、政府といたしましても、たとえば今年度におきましては地方交通線の欠損補助ということで千二百億近い助成金を国鉄に出しておるわけでございます。  それで、かつて国鉄が独占力を持っておりまして幹線で十分収益を上げられる時代におきましては、あるいは全国一律制の運賃というものも合理的であったかと思うわけでございますが、御承知のとおり近年の国鉄の幹線にいたしましても収益力は低下しておりまして、もはや地方交通線の欠損を補てんする余力を持っていないわけでございます。このようなことから、地方交通線の収支の改善を図るためにはいろいろな施策を講じなければならないわけでございますが、まず国鉄といたしましても徹底した合理化による経費節減を図ることは当然でございます。しかし、地方交通線に関しましては、実はすでにもうかなりの合理化を進めておりまして、今後経費の節減を図るにいたしましてもその余地はそんなに多くは期待できないというふうに考えておりまして、収支の改善を図るためにはぜひ収入面での施策を進めるほかないと考えているわけでございます。  先ほど岩崎地方交通線対策室長がお答え申し上げましたように、バスを利用した方が経費から見ても少なくて済むというように、輸送量の少ない線区につきましてはいかに運賃面で考慮したとしても欠損が出るわけでございまして、政府といたしましても国の助成措置は今後ともあわせて講ずることにいたしておるわけでございます。  なお、このようなことから利用の少ない地方交通線については特別運賃の実施を図らなければならないと考えておるわけでございますが、どの程度の水準かということにつきましては、先ほど先生御指摘のとおり輸送密度等において大体われわれが地方交通線考えております八千人以下のところの中小私鉄の経営状況を見ますと、国鉄のほぼ二倍程度の運賃水準で収支を償っておるわけでございます。われわれといたしましては、六十年度までに中小私鉄並みの運賃水準になるように段階的に改定していくというふうに考えておりまして、このようなことが公共の福祉に反するというふうには考えておらないわけでございます。
  23. 五十嵐広三

    五十嵐委員 これは、長官は御存じないと思いますが、最近八年間に料金が十七倍になったものが公共料金であるのですが、長官御存じですか。
  24. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 ちょっといま思い出せないのですが、公共料金の中で比較的高いのは、現在の段階では教育費ですね。授業料を中心とする教育費が高まっておりますが、御指摘の十七倍というのはちょっと思い出せません。よく調べてみます。
  25. 五十嵐広三

    五十嵐委員 それをちょっと説明したいと思うのです。  国鉄の方にお聞きしたい。  国鉄がいま地方線をバスに転換しようというのにパンフレットで宣伝していますね。よくできているのでありますが、あの中に川俣線を転換した例として出していますね。まあ住民も、停留所もよけいになったし、喜んでいるというようなことが書いてあるのです。結局、われわれがこれから先のことをいろいろ論じてもなかなか水かけ読みたいになるわけで、実際に四十七年の年に転換になった川俣線について私も調べてみたわけですよ。  そこでお伺いをしてみたいと思うのですが、この川俣線の松川-油田間、営業距離で約十二キロぐらいですか、これは廃止直前、つまり四十七年に廃止直前、鉄道運賃としては、普通運賃あるいは通勤定期及び通学定期、それぞれ幾らであったか、ちょっとお知らせください。
  26. 岩崎雄一

    岩崎説明員 やめました当時の前後の運賃関係はわかりませんが、現在に引き直して御説明いたしますと、松川-油田間は、国鉄バスでございますが、四百十円ということでございます。現在、もし鉄道が通ったといたしますと、鉄道の運賃に引き直しますと、百五十円でございます。
  27. 五十嵐広三

    五十嵐委員 聞いたとおりのことを言ってください。おたくから資料をいただいているのですから。けさ確認してあるのです。これを聞きますから、だからちゃんといただいた資料のとおり答弁してくれ、こう言ってけさも確認してあるのですから、それはちゃんと言ったとおり答えて――言ったとおりというのは、ぼくが質問しやすいようにという意味でなくて、質問したことと異なることを答弁しても困りますよ。ぼくはもう一遍言いますから……。  四十七年に廃線になってバスになった。この直前の鉄道運賃は一体幾らだったか、普通運賃とそれから一月の通学と通勤定期はそれぞれ幾らであったか、お知らせください。
  28. 岩崎雄一

    岩崎説明員 失礼いたしました。  廃止直前の鉄道の普通運賃は六十円でございます。それから、通勤定期運賃が千八百円、通学定期運賃、これは高校生の一カ月でございますが、八百三十円でございます。
  29. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そのとおりですね。それが四十七年の五月十四日にバスに転換になった。バスに転換になった直後のバス運賃は、それぞれ幾らでありましたか。
  30. 岩崎雄一

    岩崎説明員 普通運賃が百十円でございます。通勤の一カ月定期が四千九百五十円、高校生の通学の一カ月が三千八百円でございます。
  31. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そのとおりですね。そこで、八年経過した。今日、このバス運賃は一体幾らか。八年たってこのバス運賃の普通料金、通学、通勤の一月の料金はいま幾らになっているか、お知らせください。
  32. 岩崎雄一

    岩崎説明員 国鉄バス、これは先ほど申し上げた数字でございますが、普通運賃が四百十円、通勤の一カ月が一万八千四百五十円、高校生の通学の一カ月が一万四千七百六十円でございます。
  33. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ありがとうございました。  そうすると、普通運賃はバスになったために八年間で六・八倍になった、通勤定期は十・三倍になった、高校生の通学定期は実に十七・八倍になったということになるんじゃないですか。そのとおりですか、違いますか。
  34. 岩崎雄一

    岩崎説明員 高校生の一カ月の通学定期は、先ほど申しましたように、廃止直前の鉄道は八百三十円でございます。それと現在の国鉄バスの一カ月定期を比べると、これは一万四千七百六十円ですから、先生のおっしゃるような数字になるかと思います。
  35. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そうですね、これはだめですよ。  先ほどの御説明にも、バスの経費の安いところはやらなければいかぬじゃないかとかいろいろお話がございました。地方の、地域マイナスにならないようにしていこうというお話もあった。しかし、これではどういうことになりますか。五割や六割上がったというんじゃないのですよ、十七・八倍も上がるようなことで、われわれは認めるわけにいかぬと思うのですね。ひど過ぎるのですよ。  つまり、鉄道がなくなってしまうと、どうも天井知らずにバスは上がるきらいがあるのではないか。現状でも、鉄道が走っていてその沿線をバスが走っているというところと、鉄道がなくてバスが走っているというところでは、同じ距離でも運賃が全然違うのです。  ちょっと私の方の地域で調べてみたのですけれども、幾つかありますが、たとえば天北線、これは稚内から曲淵まで三十五キロのところでありますが、天北線の横を走っているバスは、三十五キロで四百七十円。同じ稚内から今度は大岬、これが三十二キロです。むしろちょっと延長は短い、ここで八百七十円。これだけ違うのですね。どこの線を引っ張ってみても、これはもう御承知のように大変に違うわけです。それは、線路が廃止されたらもう天井知らずですよ、これは困ると思うのです。  こういうことなんですが、長官、御感想はありませんか。
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 非常な急上昇になったというお話でございますが、私は、全体としての考え方を申し上げますと、公共事業全体に通ずることでございますけれども、やはりもう少し思い切った合理化が全体として必要だ、こういう感じが強くいたします。  その過程でいろいろなものをバランスをとっていかなければなりませんが、地方路線の廃止、あるいは新線で、建設中の地方路線の建設の中断等各方面でいろいろな問題が起こっておりますけれども、これは第三セクター方式に移しました場合に、しばらくの間は相当な援助ができる、どういう援助ができるか私も詳しく知りませんが、とにかく五年間は相当な援助ができる、このように聞いておりますので、そういう幾つかの対策もあろうかと思いますから、そこは、実情に合ったように総合的に地域地域と十分相談をしながら判断をし、実行に移してもらえばいいと思います。  ただ、国鉄現状から考えますと、国鉄だけを責めるわけにもいかぬ、私はこういう感じもいたします。戦争直後からたくさんの人を無理に抱え込んだ、こういうこともございますし、それから、現在自動車の時代を迎える、飛行機の時代を迎える、民鉄は有利な線だけを経営しておりますからやりやすい、国鉄全国すみずみまで経営しておる、大変やりにくい、こういうことですから、国鉄を責めるだけでは問題が解決いたしませんが、しかし、国鉄財政赤字というものが国全体の財政の足を非常に大きく引っ張っておりまして、表面に出ておる赤字だけではございませんで、それ以外にいろいろな負担も国にかかっておる、こういうことを考えますと、この際は、多少の無理は起こるかもわかりませんが、何とか国鉄再建を軌道に乗せませんと、これはもう国民経済全体の足を引っ張る、こういうことになりますので、そこは地方地方で具体的に最もいい方法相談をしていただく、こういうことでお願いできれば、こう思います。
  37. 五十嵐広三

    五十嵐委員 余り時間が残っていませんものですから、そうお話しできなくて残念なのでありますが、いまのようなべらぼうな値上げになるようなことはだれが考えたってうまくないです。今度の法案が通るか通らぬかわかりませんが、いま参議院でやっているわけですが、いずれにもせよこれらの問題については、こんな過重な負担地域住民に集中的にかけさせるというようなことはうまくないです。結局は国鉄赤字を少数の地域住民に負担させるということになってしまう、余りうまくないですね。いま定期は、いろいろ聞くのですが、これはなかなか計算の仕方が出ないのかどうか、国鉄側から十分にお知らせいただけないのですが、それでもこうざっとした感じで計算すると、地方線で七十万人くらいいるのですか、しかし、これは違っているかもしれぬが、ぼくのへそそろばんの話です。七十万人の定期利用者が、仮に年に十万ずつ違えば七百億ということだ。いま特定地方交通線赤字が、九十線廃止するという対象のところで九百億ないのでしょう。そうですね。こういうぐあいに、国鉄赤字の解消に努めることはみんな努力しなければだめなことだが、しかし一番弱いところに集中的に肩がわりさせるというやり方は間違っている、こうぼくは思うのですよ。これじゃ過疎の促進法でないですか。先ほど長官からお話がございましたように、八〇年代も均衡のとれた国土の開発や地域振興考えるとすれば、こんなやり方をしては目的に反するというふうにぼくは思います。時間がないのでこの問題はこの程度にしたいと思いますが、ぜひ長官も閣内で、これらにつきましては物価担当という立場から適切な御発言をいただきたいと思います。  最後に、残った時間でもう一つお聞きしたい点がございます。それは、サハリンの石油、天然ガスのプロジェクトの問題であります。  このプロジェクトは、一九七二年に第五回日ソ経済合同委員会で開発が合意されまして、七五年、サハリン石油開発協力とソ連外国貿易省との間に基本契約が締結されたものであります。七六年からサハリン大陸棚で試掘を進めていたところが、チャイウォ鉱区で日量十万バレル以上と思われる規模の原油鉱床の発見に成功したと伝えられております。また同時に行われたこのチャイウォ鉱区の天然ガス探鉱につきましても、厚いガス層が発見されて、きわめて有望な見通しと報道されているのでありますが、その状況について、現在確認されている内容をお知らせをいただきたいと思います。  また、本プロジェクトの今後の開発計画というものについてもお知らせをいただきたいと思います。  時間がないから一緒に御質問しておきますが、さらに問題は、これの受け入れ側で、最近の北海道の需要調査をいたしましたところが、どうも意外に需要が少ない。当初見込み、初めのころは五十億立米もあるかと言っておったのでありますが、最近の調査ではどうも数億立米しかないというようなことになっているために、当初のパイプライン構想を中止せざるを得ないということになってきているようでありますが、この辺の経過について、時間もありませんのでごく簡潔に、この機会に改めてお知らせをいただきたいと思います。
  38. 照山正夫

    ○照山説明員 資源エネルギー庁でございます。お答え申し上げます。  サハリン石油開発協力プロジェクトの最近までの経過は、先ほど先生が御指摘のとおりでございます。  今後の予定でございますが、今後二年程度さらに探掘を行いまして埋蔵量の最終的な確認を行う、その後開発すなわち商業生産への移行ということになることが予想されておりますが、私どもとしましては、わが国の石油、天然ガス供給の安定化と供給の多角化という点から、これについて強い関心を持っておるわけでございます。最近、去る九月に東京におきまして、日本側のサハリン石油開発協力の今里会長とソ連側のスシコフ外国貿易省次官の間で定期会議が開催されたわけでございますが、そこでサハリンの天然ガスを長期にわたりまして日本に供給するということについて双方が関心を有するということが確認されております。また、そのガスの輸送の方法等につきましては、次回、十一月の二十五日と聞いておりますが、その委員会でまた協議が行われるという予定でございます。  それから、先ほどの御指摘の北海道内の需要量の想定の問題でございますが、これは昭和四十九年当時に北海道内の天然ガスの需要量調査が行われたことがございまして、その際は、いま先生御指摘のように、昭和六十年におきまして年間約五十億立方メートルの天然ガスの需要が見込まれるということであったわけでございますが、最近調査をいたしましたのはその同じ機関でございますが、サハリン天然ガス導入促進委員会という、北海道内の地元の主要企業で構成しておりますが、その委員会が最近出しました見通しによりますと、当時の想定と著しく違いまして、昭和六十年では三億立方メートル程度しか得られない、また、将来の予想といたしましても、たとえば昭和七十年に至りましても約十億立方メートル程度しか見込めないという、前回と大幅に低い結果を予想として発表したというのが現状でございます。
  39. 五十嵐広三

    五十嵐委員 需要が減退したというのはさまざまな理由があるというふうに思います。発電の石炭化の問題であるとか、あるいは苫東がなかなか思うように進んでおらぬとか、いろいろあると思うのでありますが、しかし、価格が関連する点もあると思うのです。この石油の場合は国際価格の八%引きぐらいとかいうような話もちょっと聞いているのですが、あるいはこれにリンクしてガスの方も予想されるのか、その辺のところをちょっと簡潔に……。
  40. 照山正夫

    ○照山説明員 お答えいたします。  具体的な将来の受け入れ価格につきましては、まだこの供給計画そのものが将来のことでございますので、日ソ間でまだ話し合われているわけではございません。したがいまして、詳細なことはこれからの問題でございますが、一般的に申しますと、天然ガスの受け入れ価格は、今度は、受け入れ地におきます、あるいは受け入れ地までの輸送の方法、たとえば問題になっておりますパイプライン方式によるのか、あるいは新しく議論されているようでございますが、LNGの方式によるのかという受け入れの方法にもよりまして大きく違ってくるわけでございます。したがいまして、今後、いずれにせよこれはどういう方法であれ、恐らくは数千億円というようなオーダーでのコストがかかってまいると思いますが、それがその受け入れる量というものにどういうふうにコストとして反映していくのかということが今後の問題であろうかと思っております。
  41. 五十嵐広三

    五十嵐委員 時間になりますから、最後に御要望を含めて申し上げたいと思うのですが、このプロジェクトはいまのようなエネルギー事情の緊迫した国際状況の中で非常に注目すべきものでないかと思うのです。正直言って予測した以上に順調に進んでしまったという感じがあって、受け入れの方がややついていけぬのが現実でないかというふうに思います。もちろんいまお話しのように導入の方法といいますかシステムだとか、導入の時期だとか量だとか、いろいろな面で検討すべき要素は多いと思いますが、しかし基本的にはエネルギーをもっと多様化し多元化するという方向を志向する以上、非常に重視すべきことであろうと思うのであります。特に北海道の立場からいうと、住民の暖房であるとかあるいは地域経済の発展の上からもこれは非常に影響の大きい問題でございますし、ぜひ今後積極的にかつ柔軟に対応しながら、その需要を開発しつつプロジェクトの十分な進展に手をかしてほしい、こういう気持ちでいっぱいでございます。お答えはいただけますか。
  42. 井上泉

    井上委員長 簡単に。
  43. 照山正夫

    ○照山説明員 先生御指摘のようにこれは非常に重要なプロジェクトでございますので、特に北海道はその開発地域からの最近接地でもございますので、当事者であるサハリン石油開発協力も、それに出資をしております石油公団も、私どもも、十分深い関心を持って今後ともこの進捗には心を配ってまいりたいと思っております。
  44. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ありがとうございました。
  45. 井上泉

    井上委員長 春田重昭君。
  46. 春田重昭

    ○春田委員 緊急物価対策費の使途についてお伺いしてまいりたいと思います。  去る十日三十日、公社民と自民党の政調、政審会長会談でこの緊急物価対策について自民党から回答があったと聞いております。政府はこれを受けまして関係各省庁の物価担当官会議を開いて具体策を講じたようでございますけれども、いかなる省庁が参加したのか、その中心の省庁はどこなのか、まずお答えいただきたいと思います。
  47. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 物価担当官会議の構成メンバーは各省広くわたっておりますが、今回の対策で非常に関係の深い省庁としましては、農林水産省、通商産業省、国土庁、建設省さらには公正取引委員会、こういう省庁が対策の主要な関係省庁でございます。
  48. 春田重昭

    ○春田委員 それだけの省庁が参加しているわけでございますけれども、中心の省庁はどこですか。
  49. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 参加したのはもっと各省にわたっております。いま申し上げたほかにも大蔵省、文部省、厚生省、運輸省、郵政省、労働省、自治省、総理府等がございます。それで中心というかこの担当官会議を主宰してまいります省庁は経済企画庁でございます。
  50. 春田重昭

    ○春田委員 経企庁がこの物価対策を推進していくと私は理解しておるわけでございます。そこで、今回の緊急物価対策に必要な経費は幾らなのか、お答えいただきたいと思います。
  51. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 今回の三党の申し入れに対しての自民党回答、それに関連いたしまして物価担当官会議で決めました対策がその中に盛り込まれておりますが、その項目につきまして申し上げますと、全体の経費は三十七億円でございます。内容別に申し上げますと、野菜供給安定基金の関係が二十五億円、小売価格安定運動の推進のための経費として六億円弱、それから来年の春季フードウイーク事業についての充実拡大ということで二億九千万円、それから食料品の特別販売事業を十一月に行いますが一億八千万円、消費者に対する情報提供事業一億四千万円でございまして、以上合計いたしますと三十七億円ということになります。
  52. 春田重昭

    ○春田委員 この三十七億円というのは、この春の予算修正で社公民が自民党と合意したあの五百億円の中から全額出費されるわけですか。
  53. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 この三十七億円のうち、まず経済企画庁に計上されております国民生活安定推進費というのがございますが、この残額が約六億円ございます。したがいましていま申し上げました事業のうちで、フードウイーク事業、食料品特別販売事業、情報提供事業につきましては、その予算の残額の中から支出をしたいと考えております。それから不足する分がございますが、これにつきましてはいろいろその財源措置についての手段は考えられるわけでございますが、現在大蔵省とも相談をしております。必要な時期にその適切な手が打てるような財源措置が講ぜられるということで話をしておりますが、具体的にどういう形でやるかということはさらに検討したいと考えております。
  54. 春田重昭

    ○春田委員 一応三十七億円という経費が計上された。それで六億円をいままで経企庁にありました既定経費の三十億円の中から出していく、したがって五百億円の中から出していくのは新規経費としては三十一億円である、こういうことですね。三十一億円と言えば全体の五百億円のわずか六%にしか当たらないわけでございますけれども、経済企画庁は物価対策の上からこの額で十分いける、このように認識されているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  55. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 三野党からの申し入れがあって自民党で回答されたわけでございますが、その回答に即しますと合計額が三十七億円程度になるということでございまして、現状におきまして必要な野菜価格安定対策その他につきましての経費としてはこの金額をもって対応していきたいということでございますので、当面の問題としてはこの対策を早く実行してそして物価安定に結びつけていきたいというふうに考えております。
  56. 春田重昭

    ○春田委員 現段階考えられる五百億円の使途につきましては一応三十一億円、これは一応今回緊急物価対策で出てまいりましたけれども、それ以外には考えられませんか。
  57. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 もともとこの問題は四党のお話し合いの中から出てきたことでございますので、今回四党でお話し合いになった線で必要な対策、そのために必要な金額、それがいま申し上げましたような三十七億円ということでございます。私どもとしては、その四党のお話し合いの趣旨に即して関係省庁で具体的な対策をとっていこうとしておるわけでございます。そういうことで当面、先ほど申し上げましたようにこの対策をもってこれが物価の安定に結びつくような努力をしていきたい、このように考えております。
  58. 春田重昭

    ○春田委員 経企庁は、年末年始対策としていわゆる正月のいろいろな商品を確保するための対策を十一月中旬ごろお決めになるようでございますけれども、この費用の捻出は五百億円の中からは出てこないわけですか。
  59. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 年末年始対策は十一月の中旬にまとめたいと思って現在作業しております。  そこで、その中に盛られた項目につきましてどういう経費が必要かということは、その対策がまとまった段階でわかるわけでございますが、当面各省といま話している段階では、各省それぞれ予算を持っておりますので、その予算の運用で処理できるのではないかというふうに私ども考えております。最終的には年末の具体策がまとまった段階でその点がはっきりすると思います。
  60. 春田重昭

    ○春田委員 先ほどの答弁では当面の対策という話がございましたけれども、今後の物価の変動いかんによっては第二段第三段の手を打つ必要があるのじゃなかろうかと思いますけれども、その際はこの五百億円の中から使っていく、こういうお考えですか。
  61. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 私どもとしても、物価の状況が非常に大きく変わっていくというときに当然適切な対策を打たなければならないと思いますが、そういうようなときの対応としては、必要な経費につきましてはまたいろいろ関係省庁とも相談していかなければならない。しかし、現状ではこの対策を推し進めていくということで対応できるのではないかと思っております。
  62. 春田重昭

    ○春田委員 もう少し具体的に言っていただきたいのですが、その五百億円の使途につきましては、今回は一応三十億円決まりましたでしょう。今後それにつきましては使う必要はないと現時点では思っておられるのですか。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは予算修正のときに四党でお決めになりまして、どういうときに使うかということについては細かい調整ができていなかったものですから延び延びになっておったのですけれども、先般四党で調整ができましてこういうことに使えというお話が出ました。それを受けて企画庁が中心になりまして十四項目の対策をまとめたわけですが、その中でざっと三十億ばかりの金が入っておる、こういうことでございますから、まだ四百七十億ばかりが残っておるわけです。いま物価対策が非常に重大な課題でありますから、引き続いて有効な対策があれば私はどんどん使っていっていい、こう思っております。  ただ、いきさつから申しまして、四党でこれを決められたものですから、四党の間で第二段としてあるいは第三段としてこういうことに使ったらどうだ、こういう御意見が出た場合にそれを受けて私どもの方でスタートをする、形はそういうことにはなっておりますが、物価がまだ非常に重大な段階でございますから、必要とあらばこれを積極的に使っていってしっかりした物価対策を着実に進めることが肝要か、私はこう思いますけれども、これはついいましがた第一段階のことを決めたばかりでございますので、もう少し時間を見ながら第二段階については御相談があるのではなかろうか、このように期待をしております。
  64. 春田重昭

    ○春田委員 そこで具体的な問題についてお尋ねしてまいりたいと思いますが、既定経費の三十億円の中から先ほどの御説明で六億円が出されているわけでございますけれども、その事業が今回の自民党の回答でもまた物価担当官会議の中でも数項目が上げられているわけでございますけれども、この事業は来年度はこのベースでおやりになるとお考えになっているのですか。
  65. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 今回の措置というのは、やはり五十五年度の物価情勢に対応しての対策でございますから、今回限りで処理されるものが多いかと思います。ただ、国民生活安定対策経済政策推進費三十億円というのは引き続いて計上されてまいるものでございますから、この中からそのときどきに必要な対策を打つこともできますし、それから毎年毎年すでにやっているものとして地方物価安定対策事業というのがございます。これは生活必需物資につきましての調査、監視を行うとか消費者に対して情報提供を行うとかいうことが主体でございますが、こういうものは毎年行うということでございます。新しい事態が出たときにそれぞれの必要に応じて対策を打っていくということがこの経費の主眼でございますけれども、そういうある程度固定的なものもあるわけですから、この三十億円の予算をこれからも機動的に使っていきたいと考えております。  それで、今回の対策でやったうちで、たとえばフードウイークというのはことしに限って事業を拡充しようということでございますし、食料品特別販売事業というのは特に十一月についてやろうということでございます。それから、商店街等に対しての小売物価の安定運動といいますか、そういうものを推進していただくための広報宣伝費その他につきましてはことしだけのものではないかと考えております。いずれにいたしましても、この政策推進費というのは非常に機動的に使えるようになっておりますので、その点は事態の推移に即して適切に使っていくというふうに考えております。
  66. 春田重昭

    ○春田委員 この既定経費は来年度は三十一億五千万円ですか概算要求で要望されていると聞いておりますけれども、いずれにいたしましても今回の三十七億のうち六億円が既定経費から出ているわけですね。そういう面からいってもこの事業は来年度も継続してやっていくべきである。この事業を継続しなかったならば五百億円の中から出すべきであって、要するに既定経費の六億が出ているわけですから来年度も同じベースでやるべきである、このように私は主張しておきます。  さらに、野菜供給安定基金の造成という形で新規費用二十億円が出されているわけですね。この内容について若干御説明いただきたいと思うのです。
  67. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 野菜供給安定基金と申しますのは、主として、生産いたしました野菜が、天候等が非常に順調に推移して過剰に供給されるような状況になったときに価格がかなり大幅に低落いたします、そういう場合に、生産者に対して価格の一部を補てんするということが主眼でございます。  そこで、そういう状況で使われていきます野菜供給安定基金でございますが、現在の状況で見ますと作柄も非常に順調でございますし、それから農林省も早くから、ことしは少し余分にゆとりを持って作付をしておくように、そしてもし仮にでき過ぎて暴落した場合には別途手を打ってあげましょうというような形で、かなり安定供給を頭に置いた指導をしてきているわけでございます。  そこで、現在の野菜の作柄は非常に順調だということでございますし、これから春野菜とかその先の野菜の生産について農家はやや不安を持っている。作柄が非常にいいものですから、多くつくったときにどうもまた低落するのではなかろうかという不安を農家が持っているようでございます。したがって、この基金に対して早目に増額をしておきますれば生産者が安心して作付をすることができるという、そういう効果が期待できるものでございますから、その意味で今回二十五億円というのをあらかじめ明らかにして基金を増額することを決めたわけでございます。
  68. 春田重昭

    ○春田委員 今回の緊急物価政策の上ではこれが目玉だと思うのです。三十一億円のうちの二十五億円ですから、金額の上ではこれが目玉だと思うのですけれども、価格暴落のときの生産者農家への価格保障ということですね。これは具体的に言ったら、たとえば水準から何割ぐらい下がった場合補償するのですか。
  69. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 これは技術的な面で農林省がその基準をいろいろつくっておりますが、趨勢価格といいますか、ある程度トレンドとして想定される趨勢値を想定いたしまして、その趨勢値の九割ぐらいのレベルを割った場合に基金の方から補てんをしていくという制度になっているかと思います。趨勢値価格に対しての補償基準額というのが趨勢値価格の九割ということでございまして、その補償基準額を割っていった場合にその割り方に応じて基金から金を出す、そういうシステムになっております。
  70. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、その趨勢値の九割以下にならなかった場合、暴落しなかった場合においてはこの金額は使われない、そういうこともあり得る、こういうことですか。
  71. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 野菜供給安定基金のねらいはまさにそこにあるわけでございます。非常に下がったという場合の補てんをすることによって農民が安心して作付できるということを促進しようということがねらいでございます。
  72. 春田重昭

    ○春田委員 そういうことで三十七億、新規費用が三十一億円という形で一応大々的に報道されておりますけれども、要するに野菜の価格が安定した場合にはそういう形で補償費は出ないわけですから、これは使われない場合だってあるわけですね。そういう面では、これは四党合意したわけでございますけれども、五百億という中には今回の緊急物価対策が三十七億、そのうちの新規費用が三十一億円、そのうちの最大の目玉が二十五億円のこの価格保障なんですね。要するに、野菜がそういう形で暴落しなかった場合、これが使われないとなった場合、何か五百億円かち取ったというわりには中身がないような感じが私はするわけでございます。そういう面では、今回四党合意したわけですから私から言う筋合いじゃないかもしれませんけれども、この五百億円をもっと有効に使っていく必要があるんじゃなかろうか、こう私は思っているわけでございます。  さらに、最近冷凍水産物の中でもサケの高騰といいますか、これが主婦の間にずいぶん話題になっておりますけれども、その原因をつかんでおられますか。
  73. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 サケの生産、輸入の状況でございますが、どうもことしは輸入の方が昨年に比べて大分減っているということのようでございます。生産というか水揚げの方はそれほど変化がないというふうに聞いております。それから昨年来の在庫がやや減ってきているということがあるようでございます。そういう意味で多少いままでのような供給量は期待できないということがあるようでございます。そういうことで現在北海道等の産地において価格の上昇が見られるということも数字的に出ているようでございます。  そこで、産地の状況でございますが、消費地の方の価格の動きを見ますと、これは非常に動きが少ないわけでございます。したがって、そういう産地の価格と小売価格との間にいま非常に異なった動きがあるということでございますので、農林省として早くからこの問題については関心を持っておりまして、現地の方の団体等に対して、消費地の価格等の動きも十分考えて適正な価格形成をするようにという指導をすでにしているわけでございますから、その指導に応じてどういう動きがさらに出てくるのかということについては十分見守りたいと思っております。
  74. 春田重昭

    ○春田委員 この点も要望しておきますけれども、昨年のカズノコ騒動のように商社等の買い占め売り惜しみがないように厳しい監視体制を持っていただきたい。これを要望しておきます。  それから、小売価格運動の推進という形で六億円の経費が出されておりますけれども、この小売価格の推進の中で、価格の割引または据え置きという形になっておりますね。この価格据え置きというのは特別価格と言えるかどうかという問題でございますけれども、経企庁としてはどういう認識なんですか。
  75. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 今回の物価安定推進運動は、全国の商店街等の自主的な小売価格についての据え置きさらには割引ということをやってもらいまして、それを政府としても積極的に支援する、そういう考え方でございます。現在、その商店街のどの程度の方が参加していただけるかということについてお話をしているわけでございますが、その場合の価格の決め方等につきましては、その据え置き、割引というふうに明らかにしているとおりでございまして、現在の小売価格を上げないということと、さらにその中から割引をして売るものもある、そういうことでございまして、額面どおり受け取っているわけでございます。
  76. 春田重昭

    ○春田委員 さらにフードウイーク、商業サービスでございますけれども、私たちの要求では、十一月から来年の三月まで毎月開催を主張していたわけでございますけれども、今回の皆さん方がお決めになった当面の物価対策では、開催都市を若干ふやす程度で従来どおり一回である、このようになっているわけですね。これも私は、今後の物価動向いかんによっては、やはりこの五百億円という金があるわけですから、毎月やるべきじゃないか、こう思うのでございますけれども、経企庁のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  77. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 食料品につきましてフードウイークの問題があるわけですが、これは、フードウイークを三月にいたしますが、同時に十一月に食料品の特別販売事業ということもやります。それから年末にかけては、もちろんいろいろな供給をふやすというようなことについての運動も政府としてやろうと考えておるわけでございます。  したがって、毎月ということではないのですが、かなり頻度は高められると思いますし、それから、サービスセールということについてのお話があったことについてきましては、むしろそういう形よりは、商店街にお願いをして価格の安定運動をしてもらう、それは早いところは十二月、遅くても一月、しかもそれは年度いっぱいお願いするということでございまして、これがどの程度参加するかということは現在作業中でございますが、いずれにしてもこういう形で物価マインドというのが商店街に起き、さらに消費者は当然賢明な選択をされますでしょうから、その店の選択ということについてもいろいろお考えになるということでありますれば、かなりその運動自身での価格の安定効果というのは期待できるのではないか、安易な値上げというものが抑制されるという効果を十分持っているのではないかというふうに考えております。
  78. 春田重昭

    ○春田委員 時間がございませんので最後に要望しておきますけれども、先ほどから言っているように、今回五百億円の緊急物価対策の中から運用されるのはわずか三十一億円だけである、率にして六%だけであるということで、今回の緊急物価対策で効果が出なかった場合には第二段、第三段の手を打ってひとつ消費者保護に努めていただきたい、このように主張してこの問題は終わらしていただきます。  さらに次の問題としまして、国民センターが構想を描いている消費生活専門相談員の公的資格制度ですか、こういうのを打ち出しておられるわけでございますけれども、この制度を打ち出した背景は何なんですか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  79. 小金芳弘

    ○小金政府委員 現在地方消費生活センターや国民生活センターにおきまして消費者の相談というものが非常にふえておりまして、全国で十八万件ばかり取り扱われておりますが、この内容が時とともに非常に複雑化かつ高度化してまいりまして、これに対して相談にあずかる人の、何と申しますか素質でありますとか知識、訓練というものにだんだん醜いものが要求されてきた。この状態におきまして、従来の単に研修を受ける、あるいはいままで経験を積んでいたというだけでなく、専門的見地からこの資質なり能力なりというものをテストいたしまして、ある程度統一のとれたサービスができるようにという要望がかねて強くなっておりましたので、それを背景にいたしましてこういうことを生活センターでやるようになったというふうに解釈しております。
  80. 春田重昭

    ○春田委員 従来は消費生活相談員ですね。この方たちの資質を向上するとか水準の維持を図るという目的で公的制度を打ち出したようでございますけれども、現在までの消費生活相談の中で、同じ案件、同じ事件、同じ問題でも人によって若干の見解といいますか答えが違うということもあり得たわけでございますか。
  81. 小金芳弘

    ○小金政府委員 具体的な相談の一件ごとの性質によりまして、その取り扱いなり答えの仕方というものは、同じ人が扱うにしても変わってくるということは当然あり得ると思います。そのほかに、もちろん相談員個々の違いというものがございますので、必ずしも全国すべてのものが一律に取り扱われるというようなわけではございません。
  82. 春田重昭

    ○春田委員 それは確かにそうだと思うのです。先ほど話があったように十八万件の相談があったわけでございますから、人によって必ずしも統一した答えは返ってこないと思いますけれども、たとえば、新聞等でも、洗たく機の商品テストにおいても、同じ新製品でありながら、片方は三洋電機の洗たく機がいい、ある人によっては松下電器がいい、ある人は東芝がいいという形で、全然見方が違うというのですね。そういうこともあるわけでございますから、こうした国民センター、または地方にあります消費生活センターにかなりの苦情が来て、相談が相当活発に行われている。そういう点で、この際、苦情処理の判例といいますか事例といいますか、また一定の基準というものをつくる必要があるのじゃないか、私はこういう考え方を持っているわけでございますけれども、どうですか。
  83. 小金芳弘

    ○小金政府委員 いまの点につきましてはわれわれも同感でございまして、これは各現場の方からも、よそでどういうふうに扱っているのかということについての情報が必要とされるわけでございます。それで、現在のところでは、国民生活センターが各地の消費生活センターから事例を集めまして、それを整理いたしまして情報として流すという段階で努力をしておるわけです。  ただ、問題は、一件一件それぞれの個別の問題がございますので、統一して扱うという点には限界がある。たとえば各種の約款その他につきましてある程度統一した見解が必要なものもございますので、そういうものにつきましては順次国民生活審議会等で検討いたしまして、これならば共通に使えるというようなものができました段階で、それを順次実際問題として流していくというふうに考えておりますので、頭から共通の答えをつくって出すというよりは、われわれがやっておりますことは順次積み上げるというようなことであります。
  84. 春田重昭

    ○春田委員 それから、こうした苦情処理というのはほとんど個別処理で扱われているわけですね。これを集積して行政に反映するという点で、現段階では的確に反映されているかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  85. 小金芳弘

    ○小金政府委員 現在、国民生活センターにおきまして、危害情報それから各種の苦情処理の事例を集積いたしておりまして、これを整理、分析しているという段階でございます。行政的に一括して取り扱う場合、たとえばある種の危険なものについての規制をつくるということにつきましては、それぞれ各担当の省庁におきまして行われているわけでございまして、そういう直接規制というものになじまない問題につきまして一括して取り扱うということはなかなか困難である。したがいまして、われわれといたしましては、やはり情報の集積と整理というものを通じましてだんだんに統一的に扱えるものは扱うという方向考えております。
  86. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、現在通産省がお考えになっているみたいでございますけれども、消費生活アドバイザーですか、これも通産省が公的資格を与えて権威を高めようということで、ことしの十一月八日におやりになったみたいでございますが、この辺で今回の消費生活専門相談員との競合というものはありませんか。
  87. 小金芳弘

    ○小金政府委員 消費空活相談というものは非常に新しく、かつ多様でございまして、これに対しては、対応する側といたしましては、行政の方における相談員と、企業の内部におりまして、消費者から問題が入っていきましたときにこれを取り扱う消費者窓口と、二つの種類のものがございます。理論的に、消費者の問題から申しますと両者は同じ性格のものでございますが、現実に個々の、ある特定の物やサービスを生産しております企業の窓口にあってこれを処理するという立場の人と、行政の消費生活センターというところにあって一般の消費者の問題を受け付けて処理するという相談員とは、少なくとも現状におきましてはその機能なりあるいは必要とされる能力その他にかなり違いがございますので、将来のことはとにかくといたしまして、現在のところでは両者別々の資格を持つ人がいて働きましても特別の問題は発生しないのじゃないかというふうに考えております。
  88. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、いま消費者から、また国民から持ち出されるいろいろな相談がありますが、その内容というものは相当多様化しておりますから、そういう面では今回の、いわゆる公的制度を打ち出して相談員の資質を向上させるということは、私は非常に賛成であります。そういう面で、今後ともあくまでも消費者の立場に立った行政を進めていくためにも、よりよい内容で進んでいかれるように要望して、私の質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  89. 井上泉

  90. 岩佐恵美

    岩佐委員 十月一日から公文書閲覧制度が実施されて、四百四十人程度の方々が利用された。そういう意味ではまだまだ非常に少ない利用ですし、それから利用された方も、目録がきちんとできていないとか、あっちこっち回されたとか、あるいは資料にしてもいままで出ている範囲内での資料だったとか、いろいろな不満を述べているわけですけれども、こういう制度について今後どういうふうに発展をさせていかれるのか、簡単にお考え伺いたいと思います。
  91. 藤沢建一

    ○藤沢説明員 ただいま先生御指摘のように、本年の五月二十七日の閣議了解に基づきまして、この十月に入りまして各省庁におかれまして国民の皆様方がおいでになるための閲覧の窓口というものを順次設けていったわけでございます。  ただいま御指摘の点でございますけれども、この問題につきましては、私どもとしてもやはり新しい分野の問題でもございますし、各省庁準備が整いましたものから実施していくという基本的な考え方でやっております。したがいまして、いま閲覧に供する資料のことも御指摘がございましたけれども、私どもとしましては、当面、公開する文書の範囲というようなものにつきましても、窓口で目録を備えるほか、目録にないものについても各省庁の判断によりできるだけ提供を図っていくというような考え方でやっております。  なお、そのほかさらに目録の整備であるとか、あるいは公開基準の策定の問題であるとか、こういう検討を続けていくことによりましてさらに国民の皆様方の御要望に沿うような形での提供に努力をしてまいりたい、こういう所存でございます。
  92. 岩佐恵美

    岩佐委員 朝日新聞十一月九日付に出ているのですけれども、「壁厚い官庁秘密主義」こういう見出しが出ているわけですけれども、当然見せてもいいような資料でもあちこちおもんぱかって資料が出てこない、そういうことが往々にしてあるんではないかというふうに思うのです。  私は、情報というのは国民の知る権利あるいは消費者の知る権利、こういうことからいって大変重要な問題だというふうに思います。これらの大切な問題について、公開の目録をつくるに当たってどういう基準にするかとか範囲にするか、いろいろな問題あると思うのですけれども、これを内部規定で行うということではなくて、十一日の内閣委員会で中曽根行政管理庁長官が言われておられましたけれども、情報公開法、これについてできるだけ早く法制化していきたいということを言われておりますけれども、私はこういう方向に行くべきではないかというふうに思うのです。もうすでにアメリカとかあるいはスウェーデン、フランス、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、オランダ、こうした国々では法制化をしているわけで、日本もその道に歩むべきだというふうに思いますが、河本大臣のお考え伺いたいと思います。
  93. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題は内閣審議室と行政管理庁が中心になりまして検討しておられますが、前向きに何とかまとめたい、こういう方向でございます。私もその方向には賛成でございます。
  94. 岩佐恵美

    岩佐委員 それからもう一つ。この間から私この委員会でずっと議論をしてきている問題で、石油製品の価格の問題とかあるいは前国会から引き続いているいろんな電気やガスの問題とか、それに絡まる石油製品あるいはLNGの価格の問題、こういうことがあるわけですけれども、こういう大企業製品の原価が国民に明らかにされないことによって不当な価格のつり上げが行われたり、あるいは為替差益が消費者にきちんと返されない、そういうことが起こってくるわけでありまして、こうした問題を根元から変えていくためにはどうしても国会の場において、大企業製品の原価などを調べることができるそういう機関をつくっていく、機構をつくっていく必要があるというふうに私は思うわけですが、これも大臣のお考え伺いたいと思います。
  95. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 一般的ないまの企業経営の公開の問題になりますと、すでに自由経済の原則のもとで商法とか証券取引法のようなものがあって手続が決まっておるわけでございますから、そういう形で行うことが妥当ではないかと思います。一般的にやるということになりますと市場経済活力が失われるというようなこと等の問題が出てまいりますので、その点については慎重にしなければならないのではないかと思います。  ただ、公共料金に関係する企業につきましては、その前提としての事業内容をしっかり理解していただくということが必要でございますから、こういうことにつきましては、特別にそれによりまして公正な取引が阻害されるということがある場合を除きましては、自主的にできるだけ内容を明らかにするようなそういう指導を現在までもしているところでございますし、前回の電気、ガス料金の改定に当たりましても、公聴会の意見等、さらにそれに対しての査定の内容等も、これを細かく試算したものも一般的にも公表しているわけでございますから、公共料金に関してはできるだけその方向を強めていくべきである、そのように考えております。
  96. 岩佐恵美

    岩佐委員 大手私鉄各社があした値上げ申請をするというようなことが伝えられているわけですが、私ども調べてみたら、赤字赤字だということ、経営が苦しいので値上げをしなければならないというような一般的な話があるのですけれども、中間決算も出ていない、そういう状況であるわけですね。こうした私鉄の態度というのは、いま政府公共料金をどんどん上げている、そういう値上げバスに乗りおくれてはまずいということで、大急ぎで値上げ申請をしてきているというような感じがしてならないわけです。こういう状況というのは私は順序が間違っていると思うし、許されるべきではないというふうに思うわけですが、この点、先ほどの原価の公開問題とあわせて大臣のお答えをいただきたいと思います。
  97. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の産業経済の仕組みというものは、自由経済のもとで激しい競争をしながら経済の発展を図られる、こういう形で進んでいっておりますので、その間にはおのずから企業の秘密というものがございます。でありますから、やはり一定のルールのもとに差し支えない限度においていろいろな資料を公開する、こういうことになろうかと思いますが、ただ公共料金の問題はいま物価局長が答弁いたしましたように、これも国民生活に直接関係がある問題でございますから、ある程度別個の取り扱いをする必要があろうか、こう思います。  それから、私鉄運賃の値上げにつきましては、これはまだ正式に私どもの方へ連絡はございませんが、手続といたしましては、運輸省がまずこれを受理いたしまして、いろいろ査定をした上で、最終段階で企画庁の方に相談があろうかと、こう思います。  これにつきましては、公共料金の取り扱いについて原則が決まっておりまして、徹底した合理化をその企業に求めるということが第一であります。しかしながら、油の値上がり等がございまして、どうしても合理化によって吸収できないというものがあれば、これもある程度の値上げは万やむを得ないと思いますが、しかし国民生活に非常に大きな影響がございますし、いま物価政策を強力に進めておる最中でもございますから、値上げの幅あるいは値上げの時期、こういうものにつきましては厳正に判断をしていきたい、こう思っております。
  98. 岩佐恵美

    岩佐委員 それからもう一つ消費者の行政がどう行われているかということ、あるいは行政にどういうふうに消費者の意見を反映させていくかということで大事な役割りを果たしている機関として審議会というものがあるわけですけれども、この審議会につきまして、たとえば石油の問題では最近消費者が使う灯油とかあるいはガソリンとかいろいろ問題が多いし、そういう声が反映されなければならない。あるいは水産物についてもこの委員会で取り上げましたけれども、カズノコとかサケとか大変大きな問題がある。そしてまた税制問題では、大衆課税がどうしても必要だというような論議がされていて、税制調査会の役割りも大変重要になってきていると思います。  具体的に私は、石油審議会に現在消費者が専門委員という形で二人参加をしておりますけれども、正式に委員にすべきだというふうに思います。それから水産庁の関係では、いま正式委員がいないようですが、どういうふうな形で参加をさせることになっているのか。それから税制調査会はいま消費者代表が一人参加をしておりますけれども、労働代表は二人もいる。その中でどうしても労働代表が忙しくて出られないときなどは消費者代表一人でなかなか大変だというような話がありますので、ぜひこの点は改善をしていくべきだ、ふやしていくべきだというふうに思いますけれども、それぞれのところから、余り時間もありませんので簡単に御意見を伺いたいと思います。
  99. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 石油審議会につきましては、御指摘のように消費者関係の方が二人専門委員ということで御就任いただいておりまして、大変多角的な御活躍をいただいているわけでございます。御指摘の点につきましては、私どもも今後さらに検討したいと思いますが、実は、御参加いただいております委員の中に、兼職制限といいますか、審議会の委員を四つ以上兼ねないという方針と抵触される方がございます。そうなりますと、ほかの、これも非常に重要な審議会に御参加いただいておるわけでございますが、そちらの方を辞退していただくというような手当ても必要でございまして、御本人の御意向等を確かめながら今後さらに考えてみたいというぐあいに思っております。
  100. 薄井信明

    ○薄井説明員 税制調査会の委員についての御質問でございましたが、御承知のとおり、税制調査会税制に関します基本的事項を幅広く御検討いただくということで設けられておりまして、定員三十名ということで構成されております。その中には、ただいま御指摘ありましたように、労働団体からお二人入っていただいておりますし、それから消費者代表といたしまして田中里子先生にお入りいただいておりまして、大変御活躍いただいておるところでございます。そういうことで、国民の声を反映できる構成をとってきておると思っておるところでございまして、その点御理解をいただきたいと思います。
  101. 谷野陽

    ○谷野説明員 水産庁関係の法律に基づきます審議会につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、消費者代表という関係での委員がおられないことはそのとおりでございます。水産庁の審議会はいろいろございますが、たとえば中央漁業調整審議会というのがございますが、これは漁業の調整をやる、漁業秩序を維持するために各種漁業が入り合っております場合の調整を行う、こういうような関係でございますし、また漁港審議会は漁港の施工基準でございますとか漁港の指定を行う、こういうようなことをやっておりまして、水産庁の場合には、いわゆる総合的な政策を扱う審議会あるいは価格問題を扱う審議会がない、こういう事情があるわけでございます。  そういうようなことで、特に利害関係がございます漁業者の代表でございますとか、あるいは漁船乗組員の団体の代表の方々あるいはその関係の学識経験者の方々に御参加を願っておる、こういうのが実情でございます。もちろん私どもといたしましても、水産行政につきまして、消費者の意向というものを反映をさしていくということはきわめて重要な課題であるというふうに考えておりまして、かねてからいろいろなモニター制度その他で意向の把握に努めておりますほか、最近におきましては、これは法律上の審議会ではございませんが、問題になりました冷凍水産物の関係で需給調査検討会等をやっておりますが、これにつきましては消費者団体の方からも御参加をいただいておる、こういうのが実情でございます。今後もなおいろいろな機会を通じまして、そういう方向でやってまいりたいというふうに考えております。
  102. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、健康食品の問題について伺いたいと思います。  最近、大変労働強化、日本人は働き過ぎということ、あるいは公害等で病人がふえたり、あるいは健康に自信のない人が非常にふえております。そういう中で健康食品が大変はんらんをしている。そういう実態があるわけですが、五十三年の七月に国民生活センターが「健康食品 その問題点考える」というレポートを出しておられます。この中で健康食品についていろいろ書いておられるわけですが、たとえば「「食品」と称しながら健康食品は、種々の点からみて、医薬品的であるということである。食品と称しながら、1その効能効果は食品の範囲を超え、病気の治癒に効くという医薬品的な効果を期待させるものが大多数であること、2形状も丸剤、カプセル、顆粒状、粉末といったように、医薬品的であること、3摂取方法も特定されているものが多いこと、4価格も通常の食品と比べて著しく高いこと、5味覚の点でも食品的ではないことなど、およそ食品という名にふさわしくない面が多い。すなわち、本来、医薬品として、薬事法に基づいて規制されるべきものが、薬事法のがれのため、食品と銘打っているのではないかと思われるものが多いことである。製造する時点では食品と称されていたものが、販売する時点では医薬品に変身している場合も少なくない。」「効能に関する問題は、現在販売されているもののなかには、効能効果をうたっていながら、それが医学的、薬学的観点からみても、また経験的にみても明確でないものが多いことである。また、その不明確さを神秘性におきかえてそれをセールス・ポイントにしているものもある。」というようなことが言われているわけですが、実は私、この委員会で取り上げるに当たって、健康食品の店を回ってみました。  そういう中で気がついたのは、一つはこういう「密教食」という食品があります。これは食べ物なんですね。「密教食」と書いてある。こういう箱に入っている。ちょっと値段が高いものですから、買ってこようかと思ったのですけれども、商い物になると三千、五千、二万円、三万円なんというものがあるものですから、ちょっと買い切れなくてやめました。あと、食べる気もないものですから。それで、こういう「密教食」で、中がよくわからないものですね。あけてみますと、こういう粒のものなんですね。およそ、これは食べる物かどうか。まあ、薬みたいな感じですね。こういうものが売られていた。あるいは「えんめい茶」という、お茶みたいなものなんですが、あけてみると、何かこれはパンダのえさじゃないかと思うような、クマザサが入っているのですね。こういうものとか、これは「えんめい茶」といって、だからこれを飲むと何か健康がよくなる、長生きする、そういう感じを受けるわけですね。きのう私が買い物をしまして、お金を払う際に、サルノコシカケの最高峰ということでこういうものが出ました、これはとってもいいのです、ガンにきくのです、ということを言っておられました。これの方は、ちなみに、いま食品添加物とか農薬とか、皆さん悪い物質が体にたまっておりますけれども、これを全部外へ取り出すものなんです、というふうに言って、試供品をいただいてまいったわけですけれども、こんなものが売られていました。  そして、では、これがどうかといいますと、この国民生活センターでは、健康食品による被害があったとする相談件数、これは五十年、五十一年、五十二年の二年半くらいの間にわたって調べておられますが、たとえばクロレラについて全体で四十五件あるのですね。それからチョウセンニンジンについては二十一件、植物の葉、それから根(ホルモン入り)、そんなものでは十四件、ローヤルゼリーでも十件、それからプルーンというので十二件、こういう被害が出ているわけです。そして読んでみると、その被害の内容なんですが、たとえばクロレラによる被害の四十五件の中身を、時間もありませんのでざっとはしょって読みますと、「(下痢、おう吐、腹痛、胃痛など胃腸障害)一日八錠飲んでいるが下痢をし、吹き出ものができる。飲むとつわりのような状態になる。食前三十分に六~七粒飲んだら三十分ほどで吐いた。飲みはじめて一週間したら下痢をした。」そういうこととか、それから皮膚炎を起こした。湿疹が出た。そういう、読んでいると何かひどいなあというふうに思うようなものがあります。  それからチョウセンニンジンについては、医学的に一応漢方の中に位置づけられているわけですが、このレポートによりますと、「漢方医学においては体質を虚証、実証に大別し、また病を病勢により陰・陽証に大別し、証にしたがって治療するというが、朝鮮人参は虚証タイプの人には効くが、実証タイプの人には害になるとされている。」その虚証タイプ、実証タイプの説明として、「すなわち、体つきががっちりして太りぎみ、赤ら顔で、のぼせ症の人、高血圧ぎみの人は実証タイプとされ、」だから、この人にはチョウセンニンジンというのは効かないわけですね。こういう医学的なことがあるわけですけれども、チョウセンニンジンを使ったものが無制限に効くかのごとくに売られている。そういう問題があります。  それからあと、クロレラの問題についてはいろいろ調べておられますが、ケンビクロレラというのはこの間問題になった皮膚炎症が出る。東京都の衛生研究所における調査によると、フェオホルバイドと一致する物質が検出されている。このフェオホルバイドというものは動物実験によって光過敏症を発現する、そういうことが言われているわけですね。「このフェオフォルバイド様物質は、ほとんどのクロレラ中にも微量ながら含まれているといわれる。したがってクロレラを多量常用することは好ましくないとの説もある。」こういう状況が健康食品にあります。  そして、五十四年度に東京都がこの健康食品について実態調査を行っているわけです。これもまた読んで非常に問題だと思ったのは、たとえば一般の雑菌、これは生きているものですけれども、五十九品目調べたうちいわゆる一般の雑菌は、健康食品には十万個以上のものが十七品目、二九%出た。ところが一般食品の場合には一〇%未満でありました。それから、逆に十万個以下の一般雑菌の場合、健康食品には四十二品目、七一%だったわけですが、一般食品の場合には九〇%近くであった。つまり、一般食品の方がきれいだということですね。それから大腸菌については、検出されなかったものが、健康食品の場合には五九%、三十五品目、ところが一般食品は八〇%あった。検出されたものについては健康食品が二十四品目、四一%、そして一般食品は二十数%と低い。つまり倍、健康食品の方が大腸菌があった。こういう検査結果が出ているわけです。  それから農薬についても、たとえばBHCは規制がある。それから出てはいけないものとしてディルドリンがあるわけですが、こういう農薬がチョウセンニンジンから出ているという状況があるわけです。  それから表示違反が全体の四四%にわたっている。これは非常にわかりにくい。この「えんめい茶」なんかもそうじゃないかと思うのですけれども、たとえば「ミンネリオレ」という名前で売られているもの。これは粉末清涼飲料、それから最近わりあいと有名で、きょうテレビでやったそうですけれども、コンニャク加工品で「ヘルスマンナン」、これもよくわかりにくい商品名ですね。それから「青汁の素」というのですか、清浄野菜粉末、こういうものがひっかかってきている。  それからあと薬事法違反の問題として、五十九検体中三検体薬事法違反ということでこれは明らかになったわけですけれども、東京都が薬事法違反じゃないかということでお伺いを立てたのは五十九品目中十三品目、つまり二二%とかなり多いわけですね。ところが、薬事法の場合には非常に厳密に四つの条件でチェックをするということになっているものですから、範囲が狭まってしまう。だから、薬事法違反でとらえることができない。そうすると、あとは一般食品ということになってしまうわけですね。こういう健康食品が野放しになっている状況というのは私は非常に大きな問題だというふうに思うわけです。  物すごい超特急でいろいろ申し上げましたけれども、まず厚生省の、今後こういう健康食品をどうしていかれるのかということについて簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。
  103. 齊藤乃夫

    ○齊藤説明員 食品衛生課長でございます。  ただいま先生いろいろおっしゃったわけでございますが、私ども食品衛生を預かる立場からいたしますと、いわゆる健康食品というふうなものにつきましては通常の食品と同様に食品衛生法の網をかぶっていると理解をしております。そういうことから考えますと、当然食品衛生法に基づきまして、有害なものが製造販売されることがないように今後とも十分監視、指導を強めてまいりたい、かように考えております。
  104. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから、これはローヤルゼリーの公正競争規約について不服審査があり公正取引委員会で審決を出しているわけですが、この審決の中で公取の見解として「天然、自然、健康食品等の文言は、その定義が明確でなく、その用語の使用によっては、対象商品の品質が優良であると一般消費者に誤認されるおそれがある。したがって、特定の業界において、これらの文言を使用することを自粛することは、公正な競争を確保し、消費者の商品選択を保護するうえで望ましいものであり、一般消費者の利益を害し又は関連事業者の利益を害するものではない。」こういうような条項があるわけです。私は一番最初に申し上げたように、いわゆる薬事法違反みたいな、明確に見つけるにはむずかしい面でも、売るときになって、これはがんに効くのですよとか、そういうことも言われるわけですし、それから表示の問題からいっても果たして「えんめい茶」みたいなものがどうなのかとかいうこともあるのですが、公正取引委員会としてこの健康食品あるいはそれに類似したものについて今後どういうふうにしていかれるのか。たとえば私、景表法の四条三号で厳しく規制をするということなんかもできないことではないのじゃないかと思うのですけれども、その辺のお考え伺いたいと思います。
  105. 劔持浩裕

    ○劔持政府委員 健康食品につきましてのお尋ねでございますけれども、先生おっしゃいましたように、現在のところ健康食品につきましては定義とか基準が必ずしもはっきりしているわけではないようであります。また、個別の食品を離れまして健康食品というものが果たしてあるのかどうかということもわかりません。したがいまして、景表法で一般的に健康食品の問題を取り上げるということはやや困難があるのではないかというふうに考えられておるわけでございますが、個別の食品の問題として個々の食品が健康食品として売られているという問題、これについては景表法でどういうふうに対応するかということはあろうかと思います。  現状におきましては必要に応じまして、個々の食品の公正競争規約及びその規則におきまして健康といったような文言を強調する表示とか医薬品的な効能効果を暗示する表示、そういったものを不当表示として規制しているものがございます。たとえば果汁飲料の規則では健康飲料という表現は認めないとか発酵乳の規則では保健飲料、それから健康づくりに欠かせないとか健康に非常に効果をあらわす、こういったような表現は規制しておるわけでございます。当面はこういった方法で、個々の食品につきましての公正競争規約及び規則等におきまして健康食品について必要な規制を行っていくということが適当ではないかというふうに考えておるところでございます。  なお、御指摘がございました「えんめい茶」というお茶の名前につきまして、単に名前が「えんめい茶」というだけで景表法の不当表示に当たるかどうかというところにつきましては疑問があるのではないかと考えておるわけでございます。
  106. 岩佐恵美

    岩佐委員 この健康食品についていままで申し上げました実態、私は、国民生活センターなりあるいは東京都の方なり大変じみちな研究を行っておられる、本当にすばらしい努力をされておられると思うのですけれども、それでいて、なおかつ大きな問題が山積をしているわけです。表示の問題は古くて新しい問題だと思うのですけれども、いつも縦割りになっています。健康食品について薬事法で規制する、食品衛生法で規制する、栄養改善法で規制する、景表法、あるいはJAS法、あるいはJASの品質表示基準、こういうふうにずっと分かれているところにすごく大きな問題があるというふうに思うのです。それぞれのところでやりますと言ってなかなかうまくボールをキャッチできない。トンネルばかりする。しかもまたそれぞれのところで幾らキャッチしたとしてもそれで漏れてしまう部分も出てくるというようなことではこの問題は根本的に解決できないというふうに私は思うのです。経済企画庁の役割りというのは、表示については統一的にやっていかれるという点で重要なかなめ的な役割りを持っておられるというふうに思うのです。  最後に私は経済企画庁に、せっかく国民生活センターのいいレポートもあるわけですから、真剣にこの問題について取り組んでいただきたいということを要望したいと思いますが、いかがでございましょうか。
  107. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 担当局がちょっと違うのですけれども、やはり消費者保護基本法の中でも表示の適正化ということについて大きな項目に取り上げておりますし、それに関連する法律というのは各省にもあるわけでございます。そういうことでなお足りないところがあれば、それについて改善を加えていく必要があると思いますので、絶えず関係省庁との連絡を保ってやっていきたいと思います。
  108. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  109. 井上泉

    井上委員長 次回は来る十七日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会