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1980-11-26 第93回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北口  博君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       高橋 辰夫君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    近藤  豊君       寺前  巖君    野間 友一君       木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房技術審議官  山極 栄司君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     藤村 和男君         文部省体育局体         育課長     加戸 守行君         建設省都市局都         市計画課長   牧野  徹君         建設省河川局次         長       佐藤 毅三君         建設省河川局水         政課長     安仁屋政彦君         日本電信電話公         社施設局長   前田 光治君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     牧野 隆守君   小里 貞利君     小沢 辰男君   川田 正則君     小坂徳三郎君   北口  博君     浜田卓二郎君   小川 国彦君     上田  哲君   木村 守男君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     小里 貞利君   小坂徳三郎君     川田 正則君   浜田卓二郎君     北口  博君   牧野 隆守君     上草 義輝君   上田  哲君     小川 国彦君   山口 敏夫君     木村 守男君 同月十八日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     田村  元君   小里 貞利君     有馬 元治君   安井 吉典君     角屋堅次郎君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     小里 貞利君   田村  元君     上草 義輝君   角屋堅次郎君     安井 吉典君 同月二十六日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     日野 市朗君     ――――――――――――― 十一月十二日  第二期水田利用再編対策に関する請願野間  友一紹介)(第一八七四号)  水田利用再編第二期の対策に関する請願宇野  宗佑紹介)(第一八七五号)  農林年金制度改善に関する請願栗田翠君紹  介)(第一八七六号)  同(瀬崎博義紹介)(第一八七七号)  同(野間友一紹介)(第一八七八号)  同(松本善明紹介)(第一八七九号) 同月十三日  第二期水田利用再編対策に関する請願阿部  昭吾紹介)(第二二〇九号)  同(佐藤誼紹介)(第二二一〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第二二一一号)  農林年金制度改善に関する請願飛鳥田一雄  君紹介)(第二二一二号)  同(稲葉誠一紹介)(第二二一三号)  同(大久保直彦紹介)(第二二一四号)  同(木間章紹介)(第二二一五号)  同(小林進紹介)(第二二一六号)  同外一件(山田耻目君紹介)(第二二一七号) 同月二十二日  転作作物としての飼料用稲栽培等に関する請願  (野間友一紹介)(第二三四四号)  農林年金制度改善に関する請願寺前巖君紹  介)(第二三四五号)  同(三浦久紹介)(第二四九六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十二日  冷害及び豪雨に伴う農林漁業等被害対策に関  する陳情書外六件  (第一九一号)  第二期水田利用再編対策に関する陳情書  (第一九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  農林水産業振興に関する件(水田利用再編第  二期対策に関する問題等)  請 願  一 食料農業政策確立に関する請願北口博    君紹介)(第一五号)  二 道営圃場整備事業通年施行地区農家に対す    る休耕奨励金増額等に関する請願安井    吉典紹介)(第五〇号)  三 食糧自給政策確立及び水田利用再編対策    に関する請願安井吉典紹介)(第五一号)  四 異常天候による農作物被害対策に関する    請願粟山明君紹介)(第二〇三号)  五 食糧自給政策確立及び水田利用再編対策    に関する請願五十嵐広三紹介)(第二二    三号)  六 冷害による被害農家救済に関する請願(天    野光晴紹介)(第三九八号)  七 水田利用再編第二期対策に関する請願(北    口博紹介)(第三九九号)  八 異常気象による農作物被害対策に関する請    願(近藤元次紹介)(第四七一号)  九 水田利用再編第二期の対策に関する請願    (平沼赳夫紹介)(第四七二号)  一〇 異常気象による農作物被害救済措置に     関する請願平沼赳夫紹介)(第四七三     号)  一一 農業者年金制度の改正に関する請願(渡     部恒三紹介)(第四七四号)  一二 第二期水田利用再編対策に関する請願     (井出一太郎紹介)(第一二五二号)  一三 同(小川平二紹介)(第一二五三号)  一四 同(小沢貞孝紹介)(第一二五四号)  一五 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二五五号)  一六 同(串原義直紹介)(第一二五六号)  一七 同(倉石忠雄紹介)(第一二五七号)  一八 同(小坂善太郎紹介)(第一二五八号)  一九 同(清水勇紹介)(第一二五九号)  二〇 同(下平正一紹介)(第一二六〇号)  二一 同(中村茂紹介)(第一二六一号)  二二 同(羽田孜紹介)(第一二六二号)  二三 同(林百郎君紹介)(第一二六三号)  二四 同(宮下創平紹介)(第一二六四号)  二五 食糧自給力強化政策確立等に関する請     願(井出一太郎紹介)(第一二六五号)  二六 同(小川平二紹介)(第一二六六号)  二七 同(小沢貞孝紹介)(第一二六七号)  二八 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二六八号)  二九 同(串原義直紹介)(第一二六九号)  三〇 同(倉石忠雄紹介)(第一二七〇号)  三一 同(小坂善太郎紹介)(第一二七一号)  三二 同(清水勇紹介)(第一二七二号)  三三 同(下平正一紹介)(第一二七三号)  三四 同(中村茂紹介)(第一二七四号)  三五 同(羽田孜紹介)(第一二七五号)  三六 同(林百郎君紹介)(第一二七六号)  三七 同(宮下創平紹介)(第一二七七号)  三八 北海道米作農業振興及び国内の食糧自     給体制確立に関する請願上草義輝君紹     介)(第一四〇八号)  三九 同(川田正則紹介)(第一四〇九号)  四〇 食糧自給政策確立水田利用再編対策     に関する請願上草義輝紹介)(第一四     八三号)  四一 同(川田正則紹介)(第一四八四号)  四二 農林年金制度改善に関する請願(高沢     寅男君紹介)(第一六五九号)  四三 同(楢崎弥之助紹介)(第一六六〇号)  四四 同(吉原米治紹介)(第一六六一号)  四五 北海道農業地位向上に関する請願(五     十嵐広三紹介)(第一七四二号)  四六 水田転作面積一律均等配分実施等に関     する請願川田正則紹介)(第一七四三     号)  四七 農林年金制度改善に関する請願阿部     助哉君紹介)(第一七四四号)  四八 同(小川国彦紹介)(第一七四五号)  四九 同(米田東吾紹介)(第一七四六号)  五〇 第二期水田利用再編対策に関する請願     (野間友一紹介)(第一八七四号)  五一 水田利用再編第二期の対策に関する請願     (宇野宗佑紹介)(第一八七五号)  五二 農林年金制度改善に関する請願栗田     翠君紹介)(第一八七六号)  五三 同(瀬崎博義紹介)(第一八七七号)  五四 同(野間友一紹介)(第一八七八号)  五五 同(松本善明紹介)(第一八七九号)  五六 第二期水田利用再編対策に関する請願     (阿部昭吾紹介)(第二二〇九号)  五七 同(佐藤誼紹介)(第二二一〇号)  五八 同(渡辺三郎紹介)(第二二一一号)  五九 農林年金制度改善に関する請願飛鳥     田一雄紹介)(第二二一二号)  六〇 同(稲葉誠一紹介)(第二二一三号)  六一 同(大久保直彦紹介)(第二二一四号)  六二 同(木間章紹介)(第二二一五号)  六三 同(小林進紹介)(第二二一六号)  六四 同外一件(山田耻目君紹介)(第二二一七     号)  六五 転作作物としての飼料用稲栽培等に関す     る請願野間友一紹介)(第二三四四号)  六六 農林年金制度改善に関する請願寺前     巖君紹介)(第二三四五号)  六七 同(三浦久紹介)(第二四九六号)      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  水田利用再編第二期対策案について政府から説明を聴取いたします。亀岡農林水産大臣
  3. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産委員会の御審議当たり水田利用再編第二期対策につきまして、農林水産省が現在取りまとめつつある案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、第二期対策説明に先立ち、本年の冷害等による全国的な農作物被害に対する対策について御報告申し上げます。  すなわち、農林水産省といたしましては、省を挙げて災害対策に取り組み、天災融資法及び激甚災害法早期発動自作農維持資金災害枠の設定、農業共済金早期支払い被災地での公共事業重点施行規格外米買い入れ等各般措置をとり、被災農家救済に万全を期することといたしております。  また、昨年六月以来農政審議会で御審議願っていた農政見直しにつきましては、先般「八〇年代の農政基本方向」と「農産物需要生産長期見通し」という、今後の農政の指針とも言うべき答申をいただいたところであります。私といたしましては、この答申を踏まえ、農業の発展を図り、農業者が将来に十分希望を持って農業にいそしめるよう、各般施策を強力に展開してまいる所存であります。  さて、当面する農政の最大の課題である米の需給均衡回復につきましては、昭和五十三年度から水田利用再編対策実施しているところであります。その実施状況を見ますと、関係者の御理解と御協力のもとに、第一期の三年間は目標を上回る転作実施されております。しかしながら、米の需給は現在もなお過剰基調にあり、依然として憂慮すべき事態が続いております。  このような状況のもと、本年は全国的な冷害でまれに見る不作となったわけでありますが、来年度の米の需給につきましては、在庫を十分有しており、特段の懸念はありません。したがって、今後、水田利用再編対策の一層の推進に努め、速やかに米の需給均衡回復を図ることが、食糧管理制度を健全に運営するために、また農業に対し消費者を含めた国民の理解を得るためにもぜひとも必要であると考えております。  申し上げるまでもなく、今後の農業生産展開当たりましては、生産性向上を図りながら、需要動向に即応した農業生産の再編成を図っていくことが重要な課題となっております。水田利用再編第二期対策については、このような農業生産基本方向に即し、第一期に引き続き、米から小麦、大豆等への生産の転換及び生産性向上による転作定着化の促進を旨として、これを推進する必要があると考えております。  第二期対策具体的内容につきましては、後ほど事務当局から説明いたさせますが、その概略を申し上げますと、まず、目標規模につきましては、引き続く生産力向上消費動向等を踏まえ、新たな過剰の生ずることのないよう、需給均衡を図ることを旨として定める考えであります。  ただし、農業者理解協力を得て進めなければならない本対策の性格から見て、五十六年度につきましては、本年の厳しい冷害実情等を考慮し、五十六年度の特別の措置として、所要目標の軽減を行う考えであります。  次に、奨励補助金につきましては、米と転作作物との相対収益性改善状況転作定着必要性等を総合勘案してその見直しを行うこととし、その際、基本額を引き下げる一方、転作営農定着性向上を図る観点から、新たに団地化加算制度を創設する考えであります。  この他、制度内容改善につきましては、水田利用再編対策の円滑な推進に資するよう、できる限りの改善充実を図りたいと考えております。  なお、転作を円滑に進めるためには、排水対策を初めとする転作条件整備が必要なことは申し上げるまでもないところであります。農林水産省といたしましても、転作条件整備につき従来から各般施策を進めているところでありますが、今後とも、関連施策充実に最大限の努力を傾注してまいる所存であります。  以上、水田利用再編第二期対策趣旨について申し上げましたが、農林水産省といたしましては、今後とも米の需給均衡回復農業生産の再編成全力を傾けてまいる決意でありますので、委員各位の御理解と御支援を切にお願い申し上げる次第であります。
  4. 田邉國男

    田邉委員長 補足説明を聴取いたします。二瓶農蚕園芸局長
  5. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在検討を進めております水田利用再編第二期対策内容につきまして、お手元に配付してございます資料水田利用再編第二期対策について(案)」に即しまして補足説明を申し上げたいと思います。  御承知のように、水田利用再編対策は、米の需給均衡回復し、需要動向に適切に対応し得る農業生産構造確立することを目指しまして、おおむね十年間にわたり実施することとして昭和五十三年度から発足したものでございます。本対策が発足いたします際、その基本的考え方等につきまして「農産物の総合的な自給力強化米需給均衡化対策について」という閣議了解が行われておるわけでございます。その中で、本対策はおおむね十年間を数期に分けて実施をし、第一期は昭和五十二年度から五十五年度までの三年間とされております。したがいまして、第一期は本年度で終了し、昭和五十六年度からは第二期に移行するということになるわけでございます。  まず、第二期の期間につきましては、農家の計画的な転作対応を容易にいたしますために、昭和五十六年度から五十八年度までの三年間とする考えでございます。  次に、第二期の需給計画内容でございますが、これはお手元資料の三ページをごらんいただきたいと思います。これに即して御説明を申し上げます。  三年間を通じまして、まず潜在生産量でございますが、反収の向上傾向等を織り込みまして千三百七十五万トンといたしました。それから総需要量でございますが、これは最近の需要の実勢を踏まえまして千五十五万トンといたしております。そこで要調整数量でございますが、これは潜在生産量と総需要量との差、ギャップになるわけでございまして、三百二十万トンということに相なるわけでございます。これに見合う面積でございますが、転作等目標面積は六十七万七千ヘクタールといたしておるわけでございます。それから事前売り渡し申込限度数量につきましては、総需要量の千五十五万トンから農家消費等の三百二十万トンを差し引いた七百三十五万トンといたしておるわけでございます。  それでまた一ページに戻りますが、転作等目標面積の六十七万七千ヘクタールと事前売り渡し申込限度数量七百三十五万トンにつきましては、第二期三年間、原則として変えないという考えをいたしておるわけでございます。ただし、五十六年度につきましては、同年度限りの特別措置といたしまして、転作等目標面積は六十三万一千ヘクタール、事前売り渡し申込限度数量は七百六十万トンとすることにいたしております。  次に、第二期の奨励補助金についてでございますが、これはお手元資料の四ページをごらんいただきたいと思います。  基本的な考え方といたしましては、転作作物の米に対します相対収益性改善状況なり、転作定着性向上必要性等を総合勘案いたしまして適正に定めるということといたしまして、具体的には次のようにいたす考えでございます。  奨励補助金基本額でございますが、これは十アール当たり五千円一律に引き下げまして、特定作物は五万円、また一般作物等、これは三万五千円というふうにいたしております。それからなお、一般作物等のうち野菜につきましては、その需給事情にかんがみまして、十アール当たり一万円下げまして三万円とするということにいたしております。これは注の1の方に書いてございます。  それから加算額の方でございますが、加算制度につきましては、定着性の一層の向上を図るという見地からいたしまして、従来の計画加算制度見直しますとともに、これに加えて、計画転作地区において質の高い連担団地を形成して行われる転作に対しまして加算をするという団地化加算制度を新設することにいたしております。この加算につきましては、団地規模に関します要件作物の統一に関する要件とを設けまして、生産単位大型化を通じまして真に定着性の高い転作営農確立を図りたいと考えておるわけでございます。具体的な奨励金の単価はここに記載しておるとおりでございます。  それからまた、地域特産物生産振興等地域農業編成見地からの転作の円滑な推進を図りますために、都道府県知事が国と協議して指定した一般作物に対して十アール当たり五千円加算する地域振興作物加算制度を新設するというふうにいたしておるわけでございます。これらの点は二ページの3の(2)、(3)に書いておるとおりでございます。  それから次に、第二期の制度内容についてでございます。  第二期の制度内容は、原則といたしまして第一期と同様といたす考えでございますが、本対策の円滑な推進に資するということからいたしまして、永年性作物に係る実績算入制度、いわゆるカウント制度でございますが、その新設等所要改善を加えることにいたしております。  それから最後に、転作条件整備についてでございます。  転作の円滑な推進定着化を図りますためには、転作条件整備を進めていくことがきわめて重要でございます。このため、排水対策等土地基盤整備生産振興対策価格流通対策等各般施策展開を図りますとともに、農用地利用増進法等の積極的な活用等もあわせ図りながら、転作団地化集団化を進めていく所存でございます。厳しい財政事情のもとにはありますが、転作条件整備に今後とも全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。  以上をもちまして、簡単ではございますが私の補足説明とさせていただきます。     —————————————
  6. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
  7. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 ただいま農林水産大臣並びに二瓶局長さんから、いろいろ第二期転作の基本的な考え方等についてお話があったわけでございますが、この二期転作を前にして御案内のとおり冷害等が起こりまして、それらについての対策措置をいろいろ講じてもらうと同時に、こういう厳しい条件の中で転作等の問題について少しく緩和をしてもらいたいという強い要請があって、凍結論議その他の論議がございました。  そこで、この二期転作の基本的な考え方といいますか、一つには、いま六十七万七千ヘクタールを三年間その方針でいきますということでございますが、これに伴う都道府県別配分それから時期、もう一つは、冷害等に伴って特別の配慮を五十六年度にしたいということでございますが、この中身について具体的にお伺いしたいと思います。
  8. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編第二期対策目標面積は六十七万七千ヘクタールでございますが、これの配分考え方なり時期でございますけれども、実はこの配分方法をどうするかという問題につきましてはまだ具体的に決める段階に至っておりません。ただ、この配分方法につきましては、各地域それぞれの立場での御主張がございます。この御主張が相当隔たっておりますので、率直に言いまして非常に苦慮しているというのが実情でございます。いずれにいたしましても、行政の責任において適正な配分に努めてまいりたいと考えております。  それから配分の時期でございますけれども、これは目標配分方針なり制度内容につきましてもまだこれから詰めるべき細部の問題もございますので、その辺の詰めを急いだ上で、遅くとも十二月上旬までには配分を終えたいというふうに思っております。  それからもう一つは、四万六千ヘクタールの方の配分でございますが、これにつきましてはやはり冷害等被害の程度を反映させて行いたいと考えております。それでは具体的にどんな指標を使い、どのようなウエートで配分するかということにつきましてはまだ決めておりません。  それからこれの配分時期でございますが、六十七万七千ヘクタールの配分と同時に行いたいというふうに現在のところ考えております。
  9. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 上旬といいますと、一日も上旬だし十日も上旬ですが、なるべく早い機会にということで、予算編成を前にして、来年の営農等の問題もございまして、早い機会にそのめどを持ちたいというのが、政府がいま出された幾つかの条件を消化しながら協力をしようという農村の意欲があるわけですから、そういう意味でひとつ上旬も早い時期にしかるべく処置をしてもらいたいと私は思うわけです。  それから、いま御説明ございました四万六千ヘクタールの災害配慮ということで、これを軽減したいということでございますが、この配分等については検討中というのはわかりますけれども、では逆に言いますと、十四万二千ヘクタールの年度間生産調整をするということに対して四万六千の配慮をした、この背景はどういうところから出たかということになりますと、配分の大方針なり考え方なりというものは当然あってしかるべきと思うのでございますけれども、この四万六千の背景はどうして出たかということをひとつお伺いしたいと思います。
  10. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 四万六千ヘクタールという五十六年度限りの特例措置ということでございますが、これは今回の全国的かつ異常な冷害等にかんがみて冷害配慮をするということでの軽減措置でございます。水田利用再編対策は、先生御案内のとおり、農家理解協力を得て進めなくてはならない性格の対策でございますので、こういう冷害の事情にかんがみて、四万六千ヘクタールの軽減措置を五十六年度についてはやるということでございます。したがいまして、今後の配分におきましても、考え方といたしましては、冷害等被害の程度に応じて配分をするという考え方でいきたいと思っております。具体的な問題、指標等につきましてはまだ決めておらない、こういうことでございます。
  11. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 わかったようなわからぬような感じでございますけれども、配慮を加えたということは十分わかりました。しかし、災害地も市町村単位にそれぞれ災害の程度を全国的に掌握されておると思うのでございますけれども、今度の冷害は部分的にいろいろ問題があるということでございます。  たとえば市町村自治体あるいは都道府県単位でアバウトに押さえる、それはそれとしまして、一つの町村の中でも、率からいうとそう大きい被害率にはなっていないのですけれども、部分的には、おいしい米をつくれつくれと指導した背景があって、たとえば一例を挙げますと、北海道のユーカラ等はおいしいということでございますから、昨今のそういう方針に沿って努力しようとユーカラを植えたところが全滅した、こういうところが集落という単位でかなり出ているのです。町村単位、都道府県単位にこれらの配慮をすると同時に、そういうものが出ている地区については、いささかきめの細か過ぎる質問でございますけれども、そういうことはどう配慮されるかという考え方がもしあればお伺いしておきたいと思います。
  12. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回の冷害配慮ということで四万六千ヘクタールの軽減措置考えておるわけでございますが、国といたしましてはこれを県別に配分したいと思っておるわけでございます。この県別に配分します際のいろいろな指標なりウエートをどう見るか。たとえば作況指数をながめた際にも、作況指数はそう低くないけれども、どうも県の中では、非常に豊作のところと非常に激甚にやられているところとあるという県もございます。それからおしなべてやられていまして作況指数も非常に悪いというところもございます。あるいは冷害でなしに台風なり長雨でやられているという地帯もございますというようなことで、その辺をどういうふうに考えて指標なりウエートを考えていくかということでございます。  もちろん国がやりますのは県に対してでございます。したがいまして、県の方がこれをさらに市町村に配分する、それから市町村が集落なり農家配分する、これはやはりそういう県内の事情あるいは町村内の農家の事情にお詳しい知事さんなり市町村長さんにお任せするしかないと思います。  ただ国としては、冷害配慮でやりました際には、大体こういう指標で、こういうウエート、考え方でやりましたということは県にも説明しなくてはならぬと思っております。そういうものを参考にしながら県が市町村別にやっていただくということだと思います。したがいまして、国の段階からどこの集落が非常にひどくやられているからその分をというのは、国自身が直にどうというのは非常に困難かと思っております。
  13. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 そうすると都道府県に配分をして、都道府県の責任において市町村の格差といいますか、被害の実態に応じて配慮をする。そうすると、そういう裁量権は都道府県知事に一任するという考え方ですか、その点ひとつ。
  14. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 従来も転作等目標面積配分につきましては、知事さんが市町村別に配分するというのでまさに知事さんにお任せいたしておるわけでございます。したがいまして、今回も国が冷害配慮の分を含めまして配分をした際も、後で市町村別に割ります際は知事さんにお任せすることになろうかと思います。ただ、国が県に配分します際はどんなやり方でどうやったかという大づかみな算出の考え方配分考え方、これは知事さんが後で配分する際に非常に参考になる話でもございますので、国としては、六十七万七千ヘクタールはこう、あるいは四万六千ヘクタールはこんな考え方でこうやったのですよという御説明はしたいと思っております。
  15. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 もう一つお伺いしておきたいのですが、五十三年から五十五年まで三年間生産調整に協力をしてもらった。いろいろ論議があって、例の配分一つの基準といいますか物差し、七つの項目をつくりまして今日まで進めてきたわけです。  そこで、府県別にいろいろの意見があったり、地域にはそれぞれに意見がございますから、そういうことはできるだけ農林省の考え方でやってもらうのが私は本筋だと思いますけれども、ただその中で、わかりやすいために例を申し上げてお話をしたいと思うのでございますが、全国の生産調整の率は一六・二%やっておる。北海道も加えるとたしか一八・六と理解しておりました。北海道なんか四三・六、かなり厳しい水準で生産調整に今日まで協力してきたという実態があるわけです。そこで従来のあの七つの物差しもずいぶん緩和されて、地域に偏在する要素が多少客観的に調整されたという感じは持っております。  しかしいろいろ意見を聞きますと、特定の地域に重点配分をする、そういう地域の特性というものは、五十五年度までの間に、かなり厳しい生産調整をするところと、おいしい米がとれると想定されるところは少し緩和されておる、大きい傾斜がついていると思うのです。ですから、これから生産調整をもしするということがあるならば、七つの基準の物差しを少しく緩和して運営するか、さもなければもうそういう地域の傾斜配分は終わったので、これからは米が余っているという実態に即して面積割りでやってはどうかという意見も端的に言ってあるわけです。  ですから、これから配分するときに、従来の方針に、少しく全国的な声に耳を傾けて、いささか物差しを変える考え方なり、あるいは物差しはそのままだけれども、実態認識はたとえばこういう方向にひとつ考えてみたい、そういう考え方があればお伺いしておきたいと思うのでございます。
  16. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十七万七千ヘクタール等の県別配分でございますが、これにつきましては、先ほども地域によりましてそれぞれの御主張がございますということを申し上げたわけでございます。ただいま先生からもお話がございましたように、非常に転作率の高いところ、北海道もそうでございますが、九州等、西の方も非常に転作率が高くなっておる、したがってこれからさらにふやすという話であれば、むしろ面積割りといいますか、そういう要素を大いに取り入れるべきではないかという御主張が現にございます。それからまた、おいしい米どころと言われているような地帯につきましては、やはり適地適産という物の考え方で、当初七項目の配分で三十九万一千ヘクタールをやったので、あの思想をやはり貫くべきではないか、こういう御主張も現にございます。あるいはまた、飯米農家というのは食糧管理制度にお世話になっていないのだから、米が余って食糧管理制度の維持がどうだというようなお話であれば、米をたくさん生産するところで転作をやってもらうべきであるというような御主張もあります。それで先ほど、地域地域主張に大きな隔たりがあって率直に言って困っておりますということを申し上げたわけでございます。  したがいまして、いまの段階で、面積割りでという御要請等も確かにあるわけでございますが、ただ私たちの方としては、そういういろいろな御主張も十分検討させていただいて、行政の責任におきまして適正な配分に持っていきたいということで、いまのところ方針は何ら決めておりません。
  17. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 いま局長さんも、全国的な要望を踏まえながら慎重に措置をされるということでございますから、意見として申し上げておきたいと思うのでございますが、転作条件等が、たとえば私、北海道の例で申し上げたいと思うのですが、面積は広いし、少しく協力をしてくれても農家の所得水準その他からいって協力のしやすい条件があるではないかという御意見もあることは承知いたしております。  ただし、たとえば麦をつくりたいと言っても、排水条件などが、水位の高いところがあるわけです。今日排水事業がかなり進められているということも承知をいたしておりますが、水位の高いところでは面積が何ぼ広くてもこれはなかなか、今日三年間ぐらいやったところが立ち枯れをするというような実態も起こっているわけでございまして、その辺は実態論として客観的に、七つの物差しの中に排水条件整備ということが柱に入っておりますが、この実態等も少し考えてもらわないと、生産調整が五割を超えた町村が四割もあるという実態でございますから、それらの実態を実態として踏まえていただいて、ひとつ配慮を加えていただきたいものだ、これは要望いたしておきたいと思うわけでございます。  そこで、大臣にお伺いをしたいのでございますが、昨今の新聞にも、世界食糧会議等で食糧が不足である、ことしは冷害やあるいは干ばつその他の災害があったにせよ、これから世界の食糧が不足するのだという方向の中で米の生産調整をしなければならないという、最近テレビを見たり新聞を見たりしていますから非常に素朴な矛盾を持っているわけでございます。  そこで私がお伺いしたいのは、今度農政審の答申があったわけでございまして、これには六十五年を目途にして七十六万ヘクタールぐらいの生産調整をしないと、大体米を食べなくなります、そしてそれは肉であったり食品加工、そういうものに指向されますということが出ているわけでございます。この認識をどうするかということによって政策なり手だてがずいぶん変わってくるわけでございますが、その中で、高校を卒業した農業志向の農業後継者と言われる人は、将来の日本の農業ということについて農業後継者を志向しながら論文を書けない、夢も希望もないではないかという端的な言い方をしているわけでございます。  そこで一つ考え方として申し上げたいのでございますが、これからの六十五年までの食糧需給の方向はこうでありますという方向が出たのですから、たとえば水稲農家昭和六十五年にどれぐらいの水稲面積農家農家の理想像であるか、あるいは酪農家はどういう規模が理想像であるか、あるいは一般の畑作等についてはこうであるという、少なくとも、そういう厳しい答申を客観的に受けてその方針で進むということであれば、それぐらいのあるべき農家像というものは国としても提示をして、そして協力を願うということがあってしかるべきだというふうに思うのですけれども、この辺は農林水産大臣、どうお考えですか。
  18. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かにその点は御指摘のとおりの考え方もあるわけでございますけれども、しからば酪農についてはどれが適正規模であって、日本のいわゆる農業基本法に示されております都会並みの所得を十分上げて負債も返していける、こういうための適正規模というものはどういうものか、米作農家はどういう適正規模があるのか、そういう詰め方もあろうかと思います。そしてその一つ目標を示す方法もあろうかと思いますが、いま規模拡大という、そういう環境がやっとできて、そしてその方向に進んでいこうという再スタートの時期と言ってもいいのじゃないかと思われるときに、第二種兼業農家等の問題もございますので相当慎重に対処していかなければならない。  いままでは、これは農政の対象として第二種兼業農家まで全部包含した中での農政ということでやってきておりますので、農政審の答申も得ました以上は、そういう点にも十分配慮をしながら、いわゆる農村の地域社会に混乱を起こさせないような過程において逐次方向を明らかにしてまいるということが必要ではないかと私は感ずるわけであります。  したがいまして、一つの遠き将来の方向としての、いま渡辺委員から御指摘になりましたような線を示していくということも一つの方法かと思いますので、そういう点は、農政審の答申を具体化してまいりますのはこれからでありますので、十分検討してまいりたいという考えを持っております。
  19. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 慎重にやっていただかないと、いまそれぞれの考え方で試行錯誤といいますか、そういう気持ちもあるときですから、そう軽々に何か答えを出せばいいという趣旨で申し上げたのではなくて、ぜひ亀岡大臣のときにその方向づけはひとつ何らかの形で、農政審議会のあれだけ重たい答申を受けた昨今の実態からいいますと、粗っぽいという言い方は適当ではありませんけれども、大きい方向だけは明示をしてやってもらいたいものというふうに思います。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕  そこで、来年度の予算等の中で畑作に転作をする幾つかの新しい措置がもし示されておれば、これを具体的に二瓶局長にお伺いしたいと思います。  それから、それにあわせまして、大臣にいまのことに関連してちょっとお伺いしておきたいと思うのでございますが、かなり厳しい、団地化加算まで入れて永久転作するようなそういう方向を志向するのだということはわかるのですけれども、どうも転作奨励金だけを、高いか低いかという奨励金論議だけであったり、当面的ないささかのきめの細かい助成金制度をつくってやっても、私はどうもこれだけ世界的に食糧不足であってというようなたくさんの問題を抱えている実態から言うと、税制や金融だとかその他の制度を総合的にもうちょっと発動させる、こういう考え方がないと、表現は適当でないけれども、昔われわれが子供のころに漫画の本で見たような、馬の鼻先にニンジンをぶら下げて、転作奨励金だけを前に見せるような形でリードするのは少しく農政として親切でないのじゃなかろうか。  だから、そういうものをもっと総合的に判断のできるような体制、すなわち税制も金融もあらゆる施策を含めて総合的に、農民みずから決断できるような幾つかの条件整備、こういうふうなメニューがあるから私はひとつ農業後継者としてがんばりたいのですよという決断をできるような、そういう決断をさせるような、ウインドーケースに幾つかの問題点が整理されるべきだというふうに私は思っているのですけれども、この問題も関連をしてひとつ大臣にお伺いをしたいと思います。
  20. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 転作を進めるに当たって総合的な配慮をすべきではないか、税制上あるいは雇用の問題の上から考えるべきではないかという御指摘はまことに当を得たものと考えます。この答申をいただいた内容を具体化していきますためには、農林省だけの施策ではとてもとても目的は達せられない、こう思います。  特に規模拡大をいたしまして経営面積を大きくする、農家の所得がふえる、当然所得税も払っていかなければならないということはもう目に見えているわけでありますから、その際に、たとえば北海道で経営する場合の寒さとそれから積雪といったような問題を克服しながら農業をやっていくという際の必要経費というものは膨大なもの、関東や西部地区で考えられないような経費がかかる、そういうものを一体どうしていくかといったような問題。それから台風常襲地帯と言われておるようなところでしょっちゅう台風が来る、そういう問題を農業経営上、税法上特別な考慮をする必要がないのかといったような問題。かつて昭和二十年代に、その地域地域に、いわゆる臨時的なものではありましたけれども積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法とか、さらには台風常襲地帯の農業振興臨時措置法とか、湿田単作地帯の農業臨時措置法とか、海岸、砂地とか、いろいろできたわけであります。それは、その土地土地の特殊事情を国の助成によって克服をしていくという考え方が立法化された時代があったわけであります。したがいまして、今後そういう点を大きく配慮してまいります際には、やはり税法上の考え方が当然あってしかるべきである、これが一つ。  このことが実現いたしますと、今度は寒い地帯に進出してくる企業、あるいは台風常襲地帯を承知をしながら進出してくる企業、そういう企業も、事業税なりあるいは法人税法上なりの恩典を受けるというようなところになれば進出しやすい、そうして雇用の問題も解決して、いわゆる農村地域社会というものが非常に円滑に発展していく青写真がかけるのではないか。そういう点も私は実は事務当局にも検討を命じてあるところでございますので、そういう面においても御協力をいただきたい。
  21. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 転作条件整備の非常に幅広い角度からの対策等につきまして大臣から御答弁がございましたが、私の方からどういう新味のあるものを、転作関連ということで相当直に関連しそうなものを出しておるか、要求しておるかというようなお尋ねでございます。  それで一つは、やはり地域農業生産総合振興対策というのが五十四年度から、当初は五百億円でスタートしたわけでございますが、これは五十五年度五百七十九億円、これを五十六年度は六百四十八億円概算要求ということで出してございます。相当充実していきたいということでございます。  この六百四十八億という非常に大きな金目になりますが、この中で五十六年度特に考えておりますのは、一つは麦類共同調製集約化促進事業というのが十六億円ほど新設ということで入ってございます。これはむしろ都府県の方を中心にいたしたものでございます。そういうことで、中小規模産地に適した麦のバラ流通施設等を設置して、物流と品質向上、そういうものに寄与したいというのがございます。  それからもう一つは、やはり生産総合の事業の中で、集団的転作飼料作物生産促進事業、これは五億円でございますが、これを新規として考えております。これは畜産農家群と耕種農家群との有機的な連携のもとに、計画的な飼料作物への転作の拡大と定着化を図るというのをねらいにした事業でございます。  それから、これまた生産総合のこの六百四十八億の要求の中の新規でございますが、高度転換対策モデル事業ということで四十億ほど積算として考えております。これは地域ぐるみの農地の流動化、連担団地化等によりまして、生産性が高く永続性のある水田転換を図るということで、奨励金の世界でも連担団地化ということを考え団地化加算等も考えておりますが、こういう関連対策の面におきましても、こういうものを推進するための予算というものも出してございます。  そのほか排水対策特別事業、これも五十四年度からスタートを切ったわけでございますが、これも五十五年度二百五十九億を二百九十八億ということで、排水対策に力を入れていきたいというふうに考えております。  その他、稲作転換の肉用牛の生産地域育成モデルとかいう新規もございます。十億ほどでございますが、こういうようなこと等、この水田利用再編に直に関連いたします関連対策の中でも、厳しい財政事情ではございますけれども、こういう新規で出しておりますものは極力何とか確保したいということで、最大限の努力をしたいと思っております。
  22. 渡辺省一

    渡辺(省)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、いま大臣からもあるいは局長からも、来年の予算に関連しての幾つかの措置やあるいは大臣から御配慮がございましたが、私は、高校卒の農業後継者が、若い連中が、合理性だとか国の政策の手厚いことを期待すると同時に、やはり自分たちが意欲を持ってやろうという、その意欲を出せるような考え方なり方針を出してもらいたい。  麦をつくります、大豆をつくりますということでこれだけの補助金が来てこういうきめの細かい政策がありますということも大事ですけれども、それよりも自分たちがやはり十年なら十年間農業をやる中でこういう展望を持ちたいという、展望を持ち得るような、先ほど申し上げましたような、まあおじいちゃん、おばあちゃんのこともあれば年金の問題についても考えているだろうし、それから金融、税制の問題も含めて、意欲を出せるような環境をぜひひとつ政治の中で明示をしてくれ、これ以上はできない、それでも結構だから、ひとつ自分たちが意欲を持てるような体制をつくってくれという声が若い連中の間に非常に強くなってきておるわけでございます。  そういう意味で、私も非常に漠然とした御質問をさせていただいたわけでございますが、大臣も考えていきたいという温かい御答弁をいただきましたので、ぜひひとつ農林水産省の中にその流れをつくっていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  23. 津島雄二

    ○津島委員長代理 小里貞利君。
  24. 小里貞利

    小里委員 当面の対策であった冷害対策あるいは水田再編二期対策の基本的な問題については、ただいま同僚渡辺委員の方からいろいろ解明がございました。したがいまして、私は転作奨励金、これを主としてお尋ね申し上げたいと思うのでございますが、ただいま渡辺委員の質問の中で大臣または局長の方から答弁ございましたことに関連をいたしまして、再度答弁いただきたい点が一つ二つございますので、質問の順序をちょっと切りかえまして、先ほど答弁ございました冷害などに関連する四万六千のマイナス減反、いわゆる減反緩和についてお尋ねをし、さらにまた、今次の十四万二千ヘクタールに関連する配分の基準方針につきまして最初にお伺いいたしたいと思うわけです。  まず、けさほど大臣または局長の方から御説明いただきました今回の水田利用再編成についての方針でございますが、私は端的に申し上げまして、この方針をお聞きいたしまして、本当に明快で、なおかつ、過去三年間の水田利用再編対策の貴重な経験の上に立ってこれからの再編成対策をどうするかという、一つのその現状認識あるいは見きわめ方、大変的確にとらえておいでになるという感じを受けました。  たとえて申し上げますと、今回の第二期の転作など目標面積六十七万七千ヘクタールを設定したが、そこで冷害対策として今回の四万六千ヘクタールのこの設定のところで、「昭和五十六年度については、冷害実情等を考慮し、」と、実情を考慮じゃない、実情などを考慮し、水田利用再編対策の円滑な推進を図る観点からこれを設定し、かつまた配分していくのだ、この考え方を明確に出しておいでになるわけなんで、私は、本当にきわめて適正な、そして厳しい水田再編成対策の第二期を進める上にとりまして大変きちんとした考え方を示しておいでになる、こういうふうに理解をいたしております。  そのような観点からしぼって申し上げまして、冷害の希薄な地域、おわかりでしょう。あるいはまたさらに、転作協力する非冷害地域と申し上げていいでしょうか、まあ今次の場合は、非冷害地域というのはさして全国的にないことは御承知のとおりであります。あるいはまた、先ほども渡辺委員も指摘いたしておりましたように、過去三年間水田再編成対策に高度な貢献を事実上してまいりました農民あるいは地域に対しても、当然配慮の対象とせられるべきである、こういうふうに私は理解をいたしたわけであります。また、けさほどの説明でもそのとおりだというふうに確認をいたしたいのであります。  いわんや、申し上げるまでもなく、先ほど大臣の話の中にも出ておりましたように、台風、塩害あるいはそのほか——まあ台風と申し上げましても、台風十九号など、その被害を大変激甚にこうむった地域もあるわけです。あるいはまた、そのほか長雨等によりまして相当被害を発生せしめるに至っておるところもあるわけでございまして、これらも当然その配分基準の要素の一角を占めるべきである、こういうふうに理解をいたしておるところでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  25. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 四万六千ヘクタールの配分の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、冷害等被害の程度を反映した配分を行いたいという考え方でございます。具体的な指標なりそのウエートのとり方等まだ決めておりません。今後慎重に検討していきたいと思っております。  ただ問題は、その冷害等という考え方を持っております。したがいまして、これは冷害だけでございませんで、台風の被害というのもあるところもございますし、長雨等もございますので、そういうことはやはり考えていかなければならぬのじゃないかというふうに思っております。ただ、完全にいかなる被害も全然ないというところにつきまして、それまでこの四万六千というものを配分するということにつきましては、この四万六千ヘクタールというものを考えました趣旨に照らしますと、全然被害のないというところまで及ぼすのはいかがか、こう思っております。今後慎重に検討していきたいと思っております。
  26. 小里貞利

    小里委員 局長の答弁は大変明快であります。先ほど大臣の答弁の中にもございましたように、長雨、台風等も当然その考慮の条件に入るということでございますので、納得いたします。  第二番目に、先ほどの水田利用再編成第二期、この事業を推進する一つの方策でございますが、来月の上旬には最終的にこの配分方法、ウエートの置き方、基準なども設定をして明示申し上げるというような話でございます。このいわゆる六十七万七千ヘクタールの中で五十三万五千ヘクタール、これはもうすでに配分の基準は決まっておるわけでありますから、配分済みでありますから、十四万二千ヘクタール、さて一体どういう配分基準で臨んでいくかということでございますが、いろいろな要件がありまして目下検討中でございますという先ほどのお話でございます。私は、いませっかく検討しておいでになるところであるから、できるだけ大局的に、公正に、そしてまた第二期再編事業を円滑に推進するという、そういう一つ要件からしかるべく設定されることを期待するわけであります。  その中において、先ほどの渡辺委員も指摘しておりましたが、従来の三年間の転作推進の上におきまして貢献度の高いところ、言いかえますと転作率の高いところ、もっとうがって申し上げますと、全国平均転作率一六%前後というこの数値から判断をして、著しく低いところもあります。私は決して、転作率が著しく低いからこれがどうこうと申し上げておるのじゃないのです。これは先ほども局長もお話がございましたように、うまい米、良質米をつくるところの地域の農民、あるいは日本経済全体から考えたいわゆる行政効率、そういう観点等から見ていきますと、これを決して正面から否定するわけではないのでありますが、また一面におきまして今度は、転作率が著しく高いところ、これはもう本当に申し上げるまでもなく大変な数値を示しております。  私は余り地域主義に視点を置きました議論をしたくないから細かなことは申し上げませんけれども、著しく転作率の高いところの農民の気持ちを、一応は農林大臣は理解をしてやらなければならないと思うわけです。特にその転作率の高いところの地域農民は、本当におれたちは日本農政進展のために協力しなければいかぬ、そういう気持ちで貢献をしてまいっておるわけですから、私は、この転作率の高いところの地域農業社会というものをどういうふうに評価するか、あるいはまたもっと具体的に申し上げますと、七つの要素による傾斜配分というのも、もう本当にほとほと限界に来ているのではないか、この辺の実情をどういうふうに理解しておいでになるかということをお聞かせいただきたいわけです。  また、県別配分当たりましては、そのような観点から、いわゆる面積などによる均等割りというものにウエートをかけていかれる方向にあることは間違いない。申し上げるまでもなく、第一期の五十五年分の配分におきましても、面積割りというものを五〇%採用されたいきさつから考えましても、その方向にあることは間違いないのでありますが、今次の場合どういうふうにお考えかお聞かせいただきたいと思います。
  27. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十七万七千ヘクタールの県別配分でございますが、これは先ほども申し上げましたようにまだ方針は決めておりません。ただ、この配分方法につきましては、各地域それぞれの立場での御主張がございます。先生おっしゃいますように、非常に転作率の高いところにつきましては、むしろ面積割りといいますか、そういう均等割り的な要素でやるべきではないかという御主張がございます。はたまた、おいしい米どころ等につきましては、むしろ当初配分の例の七項目等のことで、ああいう適地適産的な物の考え方でやるべきではないかという御主張もございます。いろいろございまして、率直に言いまして、どういう配分方法でやったらいいか苦慮しているというのが偽らない現状でございます。  いずれにいたしましても、これにつきましては慎重に検討いたしまして、行政の責任において適正な配分に心がけていきたいと考えておるわけでございます。
  28. 小里貞利

    小里委員 冷害など、減反四万六千ヘクタールに対する答弁は大変歯切れがよかったのですけれども、追加分に対するただいまの答弁はのらりくらりしておいでになって、一体どちらを向いているのかさっぱりわからないのですが、時間もありませんから、先ほど私の方から強く指摘申し上げておきました要件は、大臣ひとつしかるべく御勘案いただきまして、しかるべき措置をおとりになることを再度要請申し上げておきまして、次の質問に入りたいと思うわけです。  さて、転作奨励金に話題を移しますが、転作奨励金のいわゆる意義について私はもう一回聞いてみたいと思うのです。  本当に、大臣がいつも言われるように避けて通れない日本農業の宿命でございます、この基本から始まっておるわけです。これは本当に冷厳なる事実でございます。本当に避けて通れない、通りたくないのだけれども通らなければいたし方ない日本農業の宿命だということであります。当面のそれに対応する行政の姿勢として、とりあえず減反を奨励するための奨励金ですか、それとも日本農業の将来の展望の上に立って、何とかこの方向に本当にリードしていかなければいけない、誘導しなければいけない、もっと言葉をかえて言いますと、農業を合理化するための奨励金ですか、その基本をまず第一点としてお伺いいたしたいと思うのです。
  29. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私といたしましては、日本の農業を将来希望あるものにしていくために避けて通れない生産調整を実行していくための奨励金、こういうふうに自覚をしておる次第でございます。
  30. 小里貞利

    小里委員 大臣の御答弁のとおり私も理解をいたしております。そういうような前提でこれから二、三項目お伺い申し上げたいと思うのでございます。  まず、今回の第二期奨励金の設定の考え方は先ほど大臣、局長の方からお伺いを申し上げました。そこで、この第二期奨励補助金を今回引き下げられた、少なくとも奨励単価におきまして、私の試算では六万一千円が五万五千円ぐらいに落ちつくのではないかと思います。あるいは総額におきまして、面積との関係もありますけれども、五十五年度三千億が決算におきましては三千六百億前後に落ちつくでしょう。そこで、第二期の初年度の見込みといたしまして三千七百億円前後という試算が出てくるわけであります。私はこの単価基準、いわゆる奨励単価のことでありますが、これを引き下げられることを必ずしも不当だとは申し上げません。これはやはり、いろいろな条件の上に成り立っておりまする日本農業一つの今後の方向として避けて通れないものであるし、なおかつ、安定した農業経営形態というものを確立するために、先ほどお話もありますように、転作作物定着化ということもまた大きな要件一つでありますから、わからないでもないのでありますが、今回のこの引き下げの方向は、私はいま申し上げたように否定はしないけれども、余りにも急激に取り運ぶべきものではないと思うのでございますが、局長でも結構です、どういうお考えでございましょうか。
  31. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回の奨励補助金考え方でございますけれども、これは米と麦、大豆等の主要転作作物の収益性格差、この辺の動向という角度から見たものが一つと、それから転作の一層の定着性を図る、そういう観点等を総合勘案いたしまして第二期の奨励補助金というものの水準なり体系を考えたわけでございます。  そこで、具体的にただいま先生からお話しございましたように、基本額の方は五千円一律に下げる、それから加算額の方につきましては、計画加算制度見直しまして、特定作物でございますれば、計画加算一万五千円といいますものを、計画加算を一万、団地化加算一万で充実するということでやったわけでございます。  この基本額引き下げにつきましても、私たちの収益性の関係のデータ等をいろいろながめますと、まだもっと引き下げ得る余地があるという感じが実はいたしました。そんなこともございまして、当初は一万円というようなことを申した時期もあったわけでございますが、ただいま先生からもお話しございましたような急激に引き下げるということがどうか、あるいは二年続きで目標面積もまたふえるという実情もございます。いろいろな面を考えまして、基本額は五千円にとどめたという経緯でございます。
  32. 小里貞利

    小里委員 先ほども私の方からちょっと触れたわけでございますが、奨励金の水準、体系をただいま御説明のとおり変えられたことによりまする財政所要額、見込み額で結構でございます、それをお知らせいただきたいということ。  もう一つは、たとえば五十五年度におきましては三千億を一応見込んでおられたものが結果的には三千六百億円前後に落ちつくであろうという試算であります。これはもちろん、その目標面積に対しまして実施見込みが一〇%前後ふえてきた、あるいはまた預託があなた方農水省の期待どおりに進まなかった、あるいは計画加算が意外にふえたとか、いろいろな理由はあるにせよ、結果的にその総額がふえたということは、農民感情としては非常にいいことなんです。あるいはまた、行政の一つの姿勢としても結構なことだと私は思うのでございますが、さて、ただいまから御答弁いただきまするその見込み所要額が、五十六年度においては、決算のときに至りましては少なくともその見込み以上に整理されるものと思うし、また、よもや不用額などが生ずることが絶対にあってはならないという声が強いのであります。私もまたそう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  33. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 奨励補助金の総額でございますが、これにつきましては、転作の態様、たとえば特定作物がどの程度のウエートになるか、保全管理がどのくらいになるかというような、そういう態様が一体どうなるのか、あるいは計画加算なり団地化加算がどのくらいのカバー率になるのか、不確定要素がございますので、その辺につきましては予算編成時までに積算をいたしたいというふうに考えております。したがいまして現段階において、これは本当の大ざっぱな試算でございます、そういう御理解の上でお聞き取りいただきたいと思うのでございますけれども、従来の単価によります奨励補助金総額、これは六十七万七千ヘクタールベースで見ますと四千億強になります。それから第二期の六十七万七千ヘクタールというものを、今回の奨励補助金体系でございますが、これをはめて計算をしますと、これも大ざっぱでございますが、三千七百億円程度になろうかと思います。それから五十六年度につきましては四万六千ヘクタール軽減措置を講じます。したがいまして五十六年度分につきましては三千四百億円程度になろうかと考えております。なお五十五年度奨励補助金は、当初予算は先生御案内のとおり二千九百九十六億ということですから三千億。ただこれが五十八万五千ヘクタールということで九%ほど伸びます。これに、単なる面積がふえるだけでなしに特定作物に傾斜するとかいろんな要素もございます。まだ最後的に詰め切ってはおりませんけれども、三千六百億程度にあるいはなるのではないかというような感じもいたしております。  そこで最後に、この奨励補助金がこの年末等において固まりました際にも、不用額が出るのじゃないかというような御心配をしている向きもあるということでございますが、私たちといたしましては、五十六年度予算はこうだということで当初予算で固まりますれば、これが不用額が出るというようなことでないようにいたしたい。過去におきましてはいずれも超過達成をしております。不用額が出たという経緯がなくて、いつも相当の予備費支出等で対処してきているというのが過去の実情でございます。
  34. 小里貞利

    小里委員 次に、時間もないようでございますが、端的にお伺いいたします。  団地化加算についてでございますが、この要件についてであります。  地域実情等十分勘案して行われるべきであるという声が、今次の第二期再編方針が打ち出されてから俄然強く出てまいっているという実情であります。申し上げるまでもなく、二作物原則とするけれども、二ヘクタール以上の団地内にあってはおのおの、言いかえますと三作物、あるいはまた輪作体系上やむを得ないものについても三作物を了解するという、当初の方針からいたしますと一応緩和された方針に変わってきておることは大変結構なことだと思います。もちろん単一作物で完全連担で三ヘクタール以上というような団地化加算なんて事実上あり得ない、ほとんど皆無に等しいのじゃないかというくらいの感じを私どもは持っていたわけでございますけれども、そういうような観点から、地域の特性を十分勘案するというこの要件は、より具体的により親切に進めるべきことではないかと思うのでございますが、このことがまず一点。  それから地域振興作物加算問題でございます。これもけさほど説明があったようでございますが、県知事が農林水産省と協議をして一県一作物で設定していきましょうという考え方のようでもございますが、私は特に作物を具体的に申し上げます。なたねあるいは水田二期作地帯におけるソバ、大豆等も当然特定作物取り扱いがされるべきであると思うのでありますが、これについて見解をお知らせいただきます。
  35. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず団地化加算の関係でございます。  団地化加算につきましては、従来の計画加算の反省の上に立ちまして、より質の高い団地化、いわば連担団地というような思想を取り入れたものでございます。したがいまして、要件としては計画加算要件よりは厳しいものにならざるを得ないわけでございます。それにいたしましても、三ヘクタールというような連担団地だけでは土地条件等から十分対応し切れないものがあるというふうに私たちも認識されましたので、複数団地といいますか、複数団地型というようなものも考えましたし、さらにまた山間地でございますか、こういうところもやはり要件を緩和すべきだというようなことで、そういう面も考えたわけでございます。その他作物要件も、先生ただいまお話しございましたけれども、こういう面につきましても原則として二作物あるいは二ヘクタール以上三作物、輪作体系上どうしてもというところは数をふやし得る道も開くということで、団地化加算という制度の趣旨を損なわないような角度で実態に合った要件考えたつもりでございます。そういう点でさらに細部を詰めていきたいと思っております。  それからもう一つ地域振興作物加算というものも考えたわけでございます。これにつきまして、ただいま先生から非常に端的に、一県一作物ということのようであるが、これについてソバや大豆は考えられぬかということでございます。ソバと大豆は先生御案内のとおり特定作物という範疇に入れてございます。より有利な奨励補助金がいくというたてまえでございますので、これはそれでよろしいかと思います。  それからなたねでございますが、なたねは地域特産振興作物になり得るものと考えております。したがいまして、具体的にある県で何にするかというのは、知事さんの方で農政局長と協議して決めるわけでございますので具体的にどうと申し上げられませんが、考え方として需給上心配がないものということを念頭に置いておりますので、なたねは需給上はむしろ非常に足らないものでございますので、大いになり得る可能性のあるものであるというふうに理解をいたしております。
  36. 小里貞利

    小里委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  37. 津島雄二

    ○津島委員長代理 竹内猛君。
  38. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 第二次の減反それから養鶏の問題、それに国営干拓事業及びパイロット事業についての進行状況について質問します。  まず最初に、五十三年から始まって、第二次の減反政策は法律によらずに行政指導で、社会党を初めとする全野党の反対を押し切って十カ年で実施をする、それで三カ年が一期として終わったわけです。  そこで、初年度三十九万一千ヘクタールから出発したわけですが、現在はかなり面積は確かにふえていると思いますが、この三カ年の総括として、使った奨励金の総額、減反の実施状況、作付品目、その定着状況、農民の関心、こういうものについて農林水産省当局はどのように受けとめておるか、この点についてお聞きしたい。
  39. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第一期三年間、水田利用再編対策実施をいたしてきたわけでございますが、これに関連してのまず奨励補助金の総額でございますが、五十五年度はまだ当初予算しかわかりませんので、当初予算で考えますと、この三年間で水田利用再編奨励補助金は八千四百二十三億円ということに相なっております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕  それから達成の状況はどうかということでございますが、五十三年度一一二%、五十四年度一一一%、五十五年度は十四万四千ヘクタール上積みをいたしたわけでございますが、現在の実施見込みといたしましては一〇九%ということで、いずれも超過達成を見ておるということでございます。  それから定着性の関係はどうかというお尋ねでございますが、定着性といいますものは、単年性作物につきましては非常にむずかしいわけでございます。永年性作物なりあるいは林地等に転換したというようなものにつきましては、過去のものから五十五年度まで入れますと六万九千ヘクタールくらいの定着見込みがあるわけでございます。単年性の方は一年一年でございますのでなかなかわかりづらいわけでございますが、こういう面につきましては一層定着を図るということで、転作条件整備等を充実していきたいと思っておるわけでございます。
  40. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農民の関心、農家はどう受けとめておるかという関心については……。
  41. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども各年とも超過達成しておるということを申し上げたわけでございますが、なぜ超過達成しておるかということを考えますと、農家の方々が米の過剰基調といいますか、そういう非常に厳しい情勢を十分認識してきておるということでございますし、また農業の再編成ということで、不足いたします麦なり大豆なり、そういうものに生産を切りかえていくという面についての意識といいますか、そういうものも十分お考えいただいたからこういう成果が上がっているのではないかと考えておるわけでございます。
  42. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこが違うんだな。最後の方は違うんだよ。そこがそういう考え方だからどうも困る。  というのは、私の茨城県では、県庁の職員、それから改良普及員、こういう人たちが訪問で調査をした結果によると、国の減反政策については反対とはっきり言ったのが二七%、やむを得ない——奨励金をつけて、ペナルティーをやらないと言ったけれども、ペナルティーをやっている、五人の中で一人が反対をすると、おまえが反対をするからどうもうまくいかないのだということで、その一人が悪者にされる、こういうことだからやむを得ずやっているというのが六七、合計九四%という者が異議を唱えておる。これが、よそは知りませんけれども茨城県においての実態なんです。  ところが、最近あちこち歩いてみると、あなたは何をつくっているのだと聞くと、まあ本心じゃないかもしれませんけれども、奨励金をつくっています、こう言う。それくらいの状態になっているのです。だから、これは決して喜んでやっているわけじゃない。米を余らせたのは農民の責任じゃないでしょう。先ほど言うように、農林省が示した数字よりも農家は実際は余分に減反をしている。そうでしょう。その余った責任を米価で抑え、今度は減反でさらに抑え、価格の決まらない作目をつくらされたのでは農家はたまったものではない。こういうことで、農家からしてみれば、現在の指導について非常に問題がある。  そこで何を要求しているかというと、環境整備をしてもらいたい。野菜をつくっても何をつくっても価格の保障はない、あるいは地域指定制度というようなものももっとしっかりやって定着させてもらうようにしなければ、米をつくるより以上の条件をつくってもらわなければ定着性はないと言っている。この点について局長どうです。
  43. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生がいま茨城県の調査結果に基づきまして、九四%の方が異議を唱えているというお話でございます。もちろん、稲作農家の方がなれない稲以外の畑作物等をつくってくれという話でございますから、それは農家の方としても喜んでいるはずはないわけでございます。  ただ問題は、そういう環境の中におきましても、米の需給が異常に過剰基調にあって厳しい情勢である、あるいは日本の農政の方向としても、あるいは農家の経営の方向としても、農業の再編成ということで、不足しておる農作物についてやはり取り組んでいかなければならぬということをむしろ十分かみしめられて、それで転作協力していただいているのだろうと、喜んでやっているとは必ずしも私は申し上げておりません、厳しいイバラの道ということを踏まえて協力していただいているというふうに理解いたしておるわけでございます。  したがいまして、ただいまの環境整備の面についても定着するよう心がけよというお話につきましては、私たちといたしましては、大臣の御指示も得ながら、ともどもこれは、環境整備のための施策なりそういう予算なりを確保するよう、最大限の努力をしたい、こう思っております。
  44. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは非常に重大なことですから、大臣の見解も承りたい。
  45. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 とにかく米の生産を制限しなければ、現在でさえも六百五十五万トンの過剰米を出しておるというこの現実は、農家の方々も十分認識をしていただいているところだと思います。せっかく汗水流してつくっても食べてもらえないというところに大変な日本の農業問題、食糧問題の困難さがあるわけでありまして、やはりこれは、先ほど来申し上げておりますとおり、もう厳しい、非常にいやなことではあるけれども、とにかくこのままにしていったのでは食糧管理制度もその根幹を堅持できないような形になってくる。やはりいろいろな基盤整備にいたしましても、あるいは水田利用再編対策に使う予算にいたしましても、これは納税者の諸君の納めた税金を使わせてもらっているわけでありますから、そういうことが長く続くわけのものではない、食管制度の維持すら困難になる、こういうことで閣議で決めまして、水田利用再編対策の第一期を終わった、こういうことでございます。  幸い、農家の皆さん方も農業団体も、さらには市町村も県も、過剰米の処理と申しますか、この第二期生産調整に対して協力的な道を進まなければもう日本の農政はどうにもならぬというお互いの認識の上に立って、非常にやむを得ない、もう避けて通れない道、こういうことを理解していただいておりますからこそ、一応の目標達成の線を進ませていただいた、こういうことでありますので、私はやはり日本の農政の将来ということを考えました際には、できるだけこの需給のバランスを一日も早く確保して、そして積極的な農政の方向に全力を集中することができるようにしなければならぬのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
  46. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、私は一つ提案をしたいのです。前回の十一月十二日にも大臣及び局長にも要請をしたわけですが、水田の転作作目としての飼料用の米の問題であります。  昨日も、総理大臣並びに農林水産大臣に早朝から社会党を代表して要請をいたしました。そのときにもかなり前向きのお答えがあったわけでありますが、どうしてもこの問題は、われわれが農業を守る上からあるいは日本の農業を前進させる上から、畜産を進めていく上から避けられない問題なんです。にもかかわらず、なお農林水産省では遅々として、壁をつくって抑えている。私は七年前にも本委員会でえさ用の稲のことについて質問したことがありますが、それと余り変わりない答弁をしているというのは、現状の前進の中で余りにも役所の方が抑え過ぎやしないかという感じがする。自分たちの技術が最高であって民間の技術というものはやはり落ちるのだ、こういう官尊民卑の考え方があるのじゃないか、なければいいけれども、あったらこれは大変なんだ。  ところで、二、三日前の新聞を見ると、青森県の八戸地区においては、農林水産省が推薦した品種さえも再三にわたって冷害を受けている。山形県や秋田県へ行ってみると、その中でえさ用の米は依然として八百キロから九百キロの収穫を上げているという事実がある。こういうことを見ると、必ずしも民間のものを軽視するわけにはいかない。確かにまだ弱点はあります。これについて、きのうも申し上げましたけれども農林水産大臣のお答えをいただきたい。
  47. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 えさ米の研究につきましては、先生御案内のように民間でもいろいろとすぐれた品種があるという報告がございます。私どもも鋭意そういった点については研究をしているわけでございます。そういったような研究をしている方々とも一緒に成果の検討等も続けてやっておるところでございます。
  48. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在、わが国の畜産の問題も含めて、外国から輸入する穀物というものを国内の農地面積で換算すると八百万ヘクタールということをこの間、技術会議の方から言われた。その多くがえさであります。特にまた二百海里の問題やなんか進んでいくと、さらに畜産を振興しなければならない。えさの必要がますますふえてまいります。そういうときに、どうしてもえさを自給していくということが穀物自給率を高めるゆえんなんです。この問題について何が隘路かというと、私はこの三つくらいが問題だろうと皆さんから言われています。  一つは、えさをつくったら食用の米とまぜてしまうのではないか、こういう心配がある。それから現在の制度の上ではえさはどうも望ましくない、食管法あるいは種苗法あるいは農協法上にも問題があると言われている。そういう問題こそ、国民の税金によって支えられておる皆さんが道を開いていくのが任務じゃないですか。米が余れば減反もやる、奨励金も出すということをちゃんとつくり出してやっていく皆さんが、これから八十万ヘクタールも減反の目標を立てて、それについて定着もできないようなものをつくらせて農家を混迷に追い落としていくということは、これは日本の国益に反するじゃないか、だから国益論からいってもえさ米の問題というのはもっと真剣に取り組むべきじゃないか。これは農林大臣どうです。
  49. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 竹内委員考えと私どもの考え一つもずれてないと思うのです。  と申しますのは、政府が何もえさ米について傍観しているわけじゃなくて、現在の国の持っております試験研究の機構の動員をいたしまして、そして前の委員会でも申し上げたように、責任を持って奨励できる固定された品種をつくり上げなければならない、こういうことで全力を挙げさせておるということでございます。いろいろ民間の熱心な方々の研究も、先ほど技術会議の事務局長川嶋君からお答えいたしましたとおり、これはやはり民間機関でありますとかあるいは国の試験場、あるいは県の試験場、施設を通じて綿密な連絡をとりながら研究の促進を図っておる、こういうことでございますので、来年の転作作目として指定しないから政府は何もやってないのだと、こういうふうに言われたのではまあ私どもまことに遺憾である、こう思わざるを得ないわけであります。  確かに将来のことを考えますれば、多収穫のえさ米が開発されるということは大変重要なことでもあるわけでありますので、農政審議会からもその点指摘を受けて、農林水産省といたしましても長期的な問題として真剣に全力を挙げて取り組んでおる、こういうことを申し上げさせていただきたいと思います。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なお重ねて要請をいたしますが、先般八〇年代ですか、その中で提案を見て、農林水産省が天皇賞を与えたと言われる岡山県の牧野さんという人が岡山県農協中央会に建白書を出した。その建白書の中に、えさ米をはっきり位置づけなさい、そのためには技術者その他の者も動員してそういうものをつくってもらいたい。そこで、農林水産省の中に、養鶏のことが問題になればすぐ検討会をつくる、あるいはえさのことが問題になれば委員会をつくって懇談をやる、どうして一体このえさ米の問題については、民間の技術者やあるいは実際にえさ米をつくっている者を加えてそういう委員会をつくらないのか。そういうものをつくる意思があるかないか。これは大臣どうですか。
  51. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 えさ米につきまして、先ほど大臣から御答弁申しましたように、農政審議会におきましても将来の問題として、重要な問題として指摘されておりまして、長期的な課題として取り組む必要がある、したがいまして、農政審議会におきまして引き続き検討を続けるということにいたしております。具体的なメンバー等は決まっておりませんが、今後私どもはこれらの関係者の意見を十分取り入れながら検討を進めたい、このように考えております。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 検討ばかりして長くなって、二年も三年もかかったのでは困る。農林大臣は先般の日本経済新聞で、五年ぐらいかかるだろう。五年かかったら、もうこの十年間のあれが終わってしまうのですからね。そうではなくて、もっともっと早く答えを出すように努力をしてもらわなければいけないということを重ねて要請をしながら、養鶏問題に移ります。  鶏卵の問題、最近卵の値が上がったというようなことが言われております。それで、現在の卵価の状況と飼料の値段の見通しはどうか。
  53. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 まず、最近における鶏卵の需給価格の現状と今後の見通しでございますが、鶏卵の需給につきましては、先生御承知のとおり、従来から需要が長期的に見ますと停滞傾向でございました。そうした中で生産はそれを超過する基調で、いわば供給過剰基調ということであったわけでございますが、昨年の秋口以降鶏卵価格は、根強い家計需要等に支えられまして回復をいたしておりまして、本年度に入りましても、現在までのところかなりの水準で推移をいたしております。  しかし採卵用のひなのえつけ羽数の推移を見ますと、これは約六カ月後生産力化するわけでございますが、その推移を見ますと、ことしに入ってからのえつけ羽数はかなり増加をしてまいっております。四月から九月までの対前年比で見ますと、五・七%増という形でかなり増加をいたしておりますので、間もなくこれらが本格的な産卵期に入るということで、年明け後は鶏卵価格も低落をするのではないかというように思われるわけでございます。そうしたことから、なお鶏卵につきましての生産調整、これまでやってきておりますが、これは引き続きやっていく必要があるというふうに考えております。  それからえさの価格の今後の見通しでございますが、ことしの一月配合飼料価格の値上げがあった後は据え置かれてきておりますが、主要な原料でありますトウモロコシ、コウリャン、それから大豆油かすの価格が、御承知のような主要産地国でありますアメリカの熱波による減収、それからソ連の二年続きの不作と、そのための飼料穀物の大量買い付けということが見込まれておるために、価格自体が急騰をいたしておりまして、コストは著しく上昇しておるというふうに考えられます。  そうした点から見ますと、価格改定はいずれ近いうちにあるものというふうに考えざるを得ないわけでございます。いつごろからどの程度上がるかということにつきましては、現段階では関係業界の意向がまだ固まっていないというふうに見ておりますので、確たることはちょっといまの時点では申し上げかねると考えております。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 四十九年から農林水産省の行政指導によって実質的な調整をやってきたわけですが、この間に、大企業をバックとしたところのやみ増羽が生産調整を無視して勝手に生産を行ってきた。本委員会においても、五十三年の六月には参考人に来ていただいて意見を聞きながら決議をして、この問題についての取り扱いをしてきたわけですが、このインテグレーションの状況というものはいまどうなっておるかということについてまずお伺いをします。
  55. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 大規模なインテグレーターを中心とした無断増羽者が依然あるのは事実でございます。いわゆる無断増羽者につきましては、行政サイドといたしましてもその是正指導に努めてきたところでありまして、無断増羽者の数は漸次減少はしてまいっております。ことしの五月末現在で見ますと、二年前に比べますと戸数では二百四戸が百一戸、それから無断増羽数では、ことしの五月と二年前の五月とを比べますと四百十六万羽が三百四十六万羽というふうに減ってきております。しかしなお、鶏卵生産者全員が生産調整に協力をしていくという状況にないのは遺憾に存じております。今後とも適切な助成指導を行ってまいりたい、かように考えております。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間の関係から、あとの問題はかためて質問してまとめて答弁をしていただきたいと思います。  きのうの東京新聞の論説には、一週間に卵一個減らせというような論説まで出るくらいに、卵の問題はかなり問題になっている。そこで農林水産省が鶏卵需給安定対策検討会というものをつくった。これは十二月の十一日ごろには結論を出すであろうと言われておりますが、この委員の中に米山清一という人、これは鶏卵産業協会の会長、この後ろにはやみ増羽のグループがいると言われておりますけれどもへそういうものの代表。また鹿又久雄という宮城県の畜産課長、ここはこの委員会で問題になった色麻のやみ増羽の九十万羽を持っているところの中心の県でありまして、これを抑えることができなかったその県の畜産課長をわざわざこの委員にする。十六人の委員の中にそういう無法な者の代表が二人も入ってくるということは、この機会にやみ増羽を何とか緩和していこうというようなねらいではないのかということで、これは許しがたいことだと思います。  それから次の問題は、やみ増羽と生産調整と資金、金融関係ですね。この問題でもこの委員会で、やみ増羽のものについては、金融とか融資とかということについてはやむを得ないにしても、えさ基金からはひとつ除外してもらいたい、こういうことを要望した。ところが、これは民法上の契約だからやむを得ないというわけですが、来年はこれは切れるわけだから、今後はえさ基金から外していくというぐらいの制裁を加えなかったら、まじめにやった者はばかをみる、こういうことになるのだから、その点についてはぜひしっかりけじめをつけてもらいたい、こういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  57. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 第一点の鶏卵の問題につきましての検討会でございますが、御承知のとおり現在鶏卵価格はかなり高い水準に推移をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、えつけ羽数から見ますとまだ供給過剰状態が続いておるということで、農林水産省といたしましては鶏卵の生産調整対策を継続していくことが必要であると考えております。そうした中で鶏卵の需給事情も若干変わってきておるというふうにも考えられますので、最近の状況を踏まえつつ、鶏卵の需給安定対策をより適切にかつ有効に実施していくために、関係者による鶏卵需給安定対策検討会を開催をして、種々の意見を聞いておるところでございます。  第二点の御指摘のございましたこの検討会のメンバーのことでございますが、この検討会におきましては、生産関係、流通関係それから学識経験者という中から選んで委嘱をしてお願いをしておるわけでございますが、御指摘のような、この検討内容がやみ増羽者のために曲げられるということはないというふうに私どもは考えております。  御指摘のございました具体的な二人でございますが、一人の方は、大規模な採卵養鶏経営者で組織をいたしております日本鶏卵産業協会の会長として、大規模生産者の立場としての意見も聞く必要がある、それから、もう一人の県の畜産課長でございますが、県の畜産課長としては直接生産調整の指導に当たっている方でございますので、そういう方の意見も聞く必要があるということで参加願っておるわけでございます。いずれにいたしましても、この検討会におきます種々の御意見をちょうだいをいたした上で、私どもとしては適切な結論を見出したいと考えておるわけでございます。  それから、配合飼料の価格補てん制度との関係でございまして、前々から御指摘のございましたことを十分承知をいたしておりまして、この問題につきまして検討を重ねてまいっております。その具体的な手法をどうするかということで、現在、先ほど申し上げました需給安定の検討会が行われて、その検討の経過並びに結果を踏まえまして、えさの関係者の意見も聞いて決めてまいりたい、これは連動の問題については一定の結論を出したいというふうに考えておるところでございます。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、国営パイロット事業と国の事業についてはここで質問ができませんでしたから、これはまた別な形でやります。  それからいまの問題についても、いままでの審議の過程、国会の決議等がありますから、やみ増羽者を優遇するようなあるいはそれを黙認するようなことをぜひやめてもらいたいということを重ねて要望して、終わります。
  59. 田邉國男

  60. 串原義直

    ○串原委員 水田利用の二期対策について私は伺ってまいります。  ことしは大変な冷害を受けた、未曽有の冷害と言われた、食糧需給の見通しも楽観できない国際情勢である、そういうことから少なくとも一年は延期をすべきだという農民の声は強かった。仮に百歩譲っても五十五年度のままの減反面積で据え置け、あるいは奨励金の引き下げには絶対反対です、こういう農民の要請は切実でございました。  しかし、それに反してすでに議論をしておられますように六十七万七千ヘクタール、五十五年度比十四万二千ヘクタール、パーセントにすると約三〇%増加の減反面積を決めた。そうして奨励金も引き下げられるという状態になった。つまりこれは、目標を示すことではなくて、具体的に実施されるということでなければこの種の問題は解決しないわけです。つまり農民の理解を得るということがまず前提、その上で目標実現ということが大きな問題、したがって農民諸君が受け入れてくれない、一生懸命がんばるけれども、あるいはがんばったけれども、この目標はとてもとても達成できません、こういうことになったとするならば、大臣、その場合はどうするのですか。
  61. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、日本の農政確立してまいりますためには、そして将来明るい展望をつくり上げてまいりますためには、米の需給のバランスをとるということはもう避けて通れない道でありますことは、たびたび申し上げたとおりでございます。  特に、米の過剰ということを黙認するようなことで、年々過剰米がふえていくというようなことを承知をしながら据え置くというようなことになりましては、今後の積極的な農政展開してまいりますために相当思い切った予算措置を講じていかなければなりません。その予算措置というものは、やはり納税者の諸君からいただいた税金で公共事業等を進めていかなければならない、そういう方面にも影響してきはせぬか。何としても食管の根幹を堅持して稲作農家の安定を期していきますためには、やはり食ってもらえるだけつくるというのが原則じゃなかろうか。こういうところに農家の皆さん方も、ひどい道ではあるけれども、つらい道ではあるけれども、やはり避けて通れない道であるということで、今日まで第一期の生産調整にも御協力をちょうだいできたものと確信をいたしておるわけでございますから、二期対策につきましても、私どもの意のあるところを十分御理解いただいて協力を受けることができるというふうに信じてやらしていただいておる。  こういうことで、もし農家が拒否するというようなことになったらどうするかというようなことは、私はいまのところ農家を信用いたしておりますので、そういうことはさらさら考えておりません。
  62. 串原義直

    ○串原委員 大臣、農家は第一期対策のときも農林省の言うとおりという立場で協力をしてきたというふうに思うのであります。指示をした面積以上に協力したにもかかわらず、かつまた今日、現状のように過剰米が六百万トンも出た。だから、あの程度の減反をやっておるならば日本農業の将来は一応見通しがつくであろうと考えていた農民が、また今日、これから三年間、五十五年に比較すると約三〇%の減反増面積を消化しなければならぬ。一体こうなっていったら、日本の農業なりとりわけ水田というものはどうなるのだ。つまり言い方をかえるならば、農民が農林省に対して大きな不信を抱くという現状であることは事実なんです、現場の場合。  それに対していま大臣の答弁、私は理解できないことではないけれども、しかしもう一歩進んで、日本農業を将来こうするのだという立場に立った説得力ある説明方針を示さないと、ことほど簡単に現場の農家、農民は協力できないという実態であり、感情であろうと思う。このことに対して、将来性の問題も含めていま一度大臣から所信を披瀝願いたい。
  63. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そこで実は私が苦心をいたしましたのは、第二期の水田利用再編対策実施する前に、農政基本方向なりあるいは需要と供給の長期見通しなりというものを公表いたしまして、政府農政に対する基本姿勢というものを農家の皆さん方にもわかっていただく、そのために農政審議会審議の促進をお願いして御答申をちょうだいした、こういうことでありまして、とにかくいま先生が御指摘されましたように、将来の明るい農政の青写真をかいて、展望を示して、農家の諸君が本当に将来に希望を持って農業に従事することができるような体制をつくり上げてまいりますためには、基盤整備からいろいろな環境の整備から、国家投資をしていかなければならない面が非常に多いわけであります。  実はこの水田利用再編の仕事はどちらかというと後ろ向きといったような感じもするわけでありまして、つらい道ではあるけれどもこれをやり抜いて、そうして米の需給のバランスをきちんとして前に向かって躍進をする、これは避けて通れない道であるので、そういう点は農業団体等も十分理解をしていただいておるわけでありまするし、農家の皆さん方にもよく意のあるところを申し上げていけば、御理解、御協力いただけるものというふうに私は承知をいたしているわけであります。
  64. 串原義直

    ○串原委員 局長さんに伺いますが、この五十五年度比増加する十四万二千ヘクタール、つまりことしと比べて増加する面積ですね、この部分に対しては、農林省として作物別に検討した場合どんな姿で転作がなされるか、どんなふうにお考えになっていらっしゃるかお示しを願いたい。
  65. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期の場合は十四万二千ヘクタール上積みになるということになりますが、これが転作されます際にどんな作物別になるかという、その転作の態様といいますか、これは最終的には農家の方の選択によるというふうに思います。したがいまして、農家の方がどういうふうな選択になるかということはこれからの問題であると思います。  ただ私たちといたしましては、従来の一期の場合の例もそうでございますし、考え方としては小麦、大豆、飼料作物、こういうような特定作物を中心にして転作がされる、さらにもう一つは、今回地域振興作物加算というようなものも考えておりますので、そういうもの以外にも、きめ細かく一般作物の中の地域振興加算のあるようなものも転作されていくというようなことではなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。
  66. 串原義直

    ○串原委員 局長さん、知事が指定する作物ということを今度決められましたね。それにはコンニャクなどは農林省としては想定されていますか。
  67. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 コンニャクにつきましては需給上の問題がございまして、やはり地域振興加算ということで考えますものは需給上問題のないというものにいたしたい、こう思っておりますので、コンニャクは対象には考えないつもりでございます。
  68. 串原義直

    ○串原委員 関連してもう一つ聞いておきましょう。いま局長さんは野菜については触れられなかったけれども、野菜等についてはどんなふうに考えていますか。
  69. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 野菜につきましては、今回の奨励金の単価並びに体系の見直しの際に、一般作物よりさらに五千円下げるというマイナス格差を考えたわけでございます。これは野菜の転作といいますものが、一期の場合を見ましても毎年毎年伸びております。五十五年度では九万八千ヘクタールほどの野菜の作付になるというふうに見ております。したがいまして、二期においてまた十四万二千ヘクタール上積みというような場合に、さらに野菜転作ということでこれがふえますと需給上問題がある。入荷量が一割ふえれば三割も四割も値段が下がるというような性格を持っておるわけでございますから、野菜につきましては、やはり抑制的な角度でマイナス格差をつけるべきであろうということで考えておるわけです。  そういうことで一律に五千円のマイナス格差をつけたわけでございますが、ただその際に、野菜というものは作型なり種類なりいろいろございますし、他方また地域振興作物ということで五千円加算いたします際に、野菜につきましては、地域なりあるいは品目なり時期というものを限ってみますれば需給上必ずしも問題にならないというものもあろうかと思います。各県一斉にこれをやりますとやはり問題がございますので、国との協議というようなことは必要だと思いますが、てんから野菜は地域振興作物加算から外すということではございませんで、そこは品目なり時期なり地域を限定して、拾い上げ得るものはそれも対象にし得るというふうに考えております。
  70. 串原義直

    ○串原委員 永年性作物転作面積加算、つまりカウント問題でありますが、これは二ページに載っていますけれども、先ほど局長から説明をいただいたように、カウントいたします、加算はいたします、こういうことできちっと理解していいわけですね。
  71. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 永年性作物につきましては、奨励補助金を交付いたしますのに年限があるわけでございます。果樹五年、桑が三年というふうに年限があるわけでございます。それで問題は、この交付期限が切れた後も果樹なり桑は植わっておるわけでございますけれども、これは転作面積に算入をしない、いわゆるカウントをしていないわけでございます。したがいまして、カウントされないものですから、別なたんぼで新しい作物を探して転作をしないと目標が達成できないという問題がございまして、何とかこれは実績に算入してくれぬかという話があるわけでございます。  この面につきましては、二期対策におきましては何とかそういう矛盾を回避する、解決をいたしたいということで前向きにやっていきたい、先ほどの資料にも、そういうことの所要改善を図りたいということで考えたわけでございます。
  72. 串原義直

    ○串原委員 時間がありませんから私はこの転作作物のことにはこれ以上触れませんけれども、永年性作物の中にはまずまずというものもあるけれども、局長が指摘したように、野菜もなかなか大変なんだ、できるならば麦、大豆、飼料作物というところに重点的に転作をしてほしいということであるわけで、その方向は私はいいと思うのです。しかし、田舎流に言うならばなかなか勘定に合わない、転作をしてもとてもうまくいかない、ここに悩みがあるわけです。ここでは挙げませんけれども、解決する問題が幾つもあるでしょう。価格の問題、収穫時の作業の問題、流通の問題もあります。それらについてもっと積極的に、よしそれではやろうという気持ちが幾らかでも出てくるという方向で取り組んでもらいたいということを要請して、このことは終わります。  そこで大臣、さっき転作の方向、水田利用再編の減反はつまり後ろ向き農政という表現もちょっとございました。私はまさにそのとおりだろうと思う。その後ろ向き農政とうらはらに、前向きにこういうことを真剣に考えていくのだということでどうしても触れなければならないのはえさ米だと私は思っているのです。先ほど竹内委員が指摘をいたしましたけれども、どうして農林省はもう一足前へ出た答弁なり農民に対する説明をすることができないのだろうかという考え方を私は持っているわけです。  昨日も社会党が総理、農林大臣に二期減反の問題とえさ米の問題で要請をした。そうしたところ、総理はこのえさ米の問題について関心を持っている、それから民間の技術に着目をしておりますという意味の答弁をなさっていらっしゃる。ともかく総理が初めてえさ米について触れたというような報道もされておるところでございますが、農林省としてはもう一足前へ出て、えさ米については若干時間が経過するかもしれないけれども本気になって取り組むのだ、真剣に取り組んでいくのだから農民諸君も農業団体も一緒になってがんばっていこうじゃないか、私はこういう呼びかけをすべきだと思う。  具体的に触れますならば、むずかしい理由は幾つかあるでしょう。いままでの答弁を聞いていて若干整理すると、人の食べる米、つまり飯米とえさ米との区別がむずかしいということ、もう一つは品種の奨励すべきものがまだ決まらないということ、いま一つは価格の問題、三点くらいにしぼられると思うけれども、飯米とえさ米との区別の問題、品種の問題も含めて、民間団体と相協力して、何としても数年後にはえさ米を日本農業の軌道に乗せたい、こういう前向きな説明、姿勢、方針をこの際打ち出すべきではないのか、こう考えるのですけれども、大臣いかがですか。
  73. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その方針につきましては農政審議会ですでに御指摘をちょうだいいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますとおり、実は私もいろいろ各地の話を聞いたりあるいは新聞等による報道等も注意して見ておるわけでありますが、脱粒性が非常な問題になっておることは、農林省の農業試験場、筑波の試験場の技術者の諸君の言うとおりの現実であるわけでありますから、これを承知でそれではどんどん奨励しましょうと言って奨励した結果が、脱粒で二割も三割も落ちてしまうことになりますと、これは農林省の指導が親切ではないということになるわけでありますので、それこそ農林省の姿勢に対する信頼を失うことになります。  くどいようでありますけれども、私どもとしては一年でも早く固定化いたしまして、多収穫でえさ米としての脱粒性等もなくなるだけの品種を固定化して農家に奨励をしていくという筋道をどうしても通らなければいけないもの、こんなふうに私は考えておるわけであります。えさ米をことさらに拒否しておるわけじゃなくて、とにかくそういう段階において試験研究機関を動員いたしまして、また民間の技術等ともよく連絡をいたしまして、できるだけ早くそういう事態に持っていきたい、こういうことで農林省もやっておりますことを御理解いただきたい。
  74. 串原義直

    ○串原委員 大臣、できるだけ急ぐべきだと私は思う。可能な限り急ぐべきだと思う。少なくとも二期対策の終了時ごろには方向づけがなされるというような努力を真剣にやるべきだと思う。いかがですか。
  75. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 技術者の説明でも大体そのころになれば固定化にめどがついてくるのじゃないかということでありますので、とにかく私といたしましては、技術者の諸君に対しまして一年でも早く奨励品種が造出できるようにひとつがんばれ、こう言って指導いたしているところでございます。
  76. 串原義直

    ○串原委員 二期対策終了後の付近におおよそのめどがつくであろうという、その努力を見詰めさせていただきたい、こう思っております。  そこで、ちょっと具体的になりますけれども、いま話をなさった方向で、大臣の指摘をされたような品種改良試験、いま一つは飯米とえさ米との区分の方法等々、このことに対して官民一体となった組織、連絡協議の組織といいますか、それと予算計上等も含めた検討を進めるということに取り組みませんか。
  77. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、農政審議会におきまして検討を続けるということで、今後審議会にあるいは別途の部会等をつくるかどうか、まだ方針が決まっておりませんが、生産するサイドだけではございませんで、需要する畜産農家の側等の意見等も十分反映しながらこの問題は詰めていかなければならない、民間の技術も、そういう際に私どもとして傾聴すべきものは当然傾聴するような、そうした組織で対応してまいりたいと考えております。  なお予算的には、技術会議におきまして稲の改良の面におきましてこれらの問題も当然要求しておるところでございます。
  78. 串原義直

    ○串原委員 次に移ります。  私は期待いたしませんけれども、万一来年もことしのような冷害、災害があったら大変だ、私はこう考えているのです。しかし、学者の中にはそれも考えておかなければならぬのではないかという言い方をされている向きがあります。そうなった場合に、二期対策をどうするのかということが一つ、もう一つ食糧需給はどうなるのか、御答弁願いたい。
  79. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在、五十四年産米を政府といたしましては約百七十五万トンほど保有いたしておりますが、今年度の不作によって約百万トンほど単年度需給がギャップを生じますので、この百七十五万トンを使いまして操作をいたします結果、五十六米穀年度末におきまして約八十万トン程度の米を持ち越すことができるというふうに考えておるわけでございますが、そのほか五十三年産米を現在百三十万トンほど持っておりますので、これを五十六米穀年度中若干使いましても百万トン余のものが残ってくると考えておりまして、約二百万トン程度の余力を持っておると考えておりますので、万が一ことしと同じような災害が来年起こった場合でも、食糧需給上は心配がないと考えておる次第でございます。
  80. 串原義直

    ○串原委員 万一冷害になっても心配ない、こういう答弁でしたが、そうなった場合にどんな米を消費者に提供することになるのですか。
  81. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申し上げましたように、五十四年産米の百七十五万トンがございますが、これは今年度中になるべく消費をいたしまして、五十五年産米、今年産米を残していくようにいたしたいと思いますから、主体はこの五十五年産米を使っていくことになるわけでございますが、それ以外に五十三年産米も操作の対象に加えてまいりますれば、この五十五年産米の残る量をさらにふやすことができると考えております。したがいまして、基本的には五十五年産米を使っていくことになると思いますが、万が一の場合におきましては古々米を消費するというような事態も一部考えられるかと思っておるわけでございます。
  82. 串原義直

    ○串原委員 いま湿田と言われるたんぼはどのくらいあるのですか。水田に対するパーセント、どのくらいになりますか。
  83. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 乾田とか湿田ということは、用水をやめた後の冬季の地下水がどのくらい深いかということによって判断されるわけでございます。私ども冬季の地下水を、七十センチメートルよりも深いもの、それから七十センチメートルから四十センチメートルの間にあるもの、それから四十センチメートルよりもっと浅いもの、こういう三段階に分けて調査をいたしております。七十センチメートルより深いところでは通常の畑作物の栽培がそのままで可能でございます。そういうものの面積は五十年三月時点で百七十七万ヘクタール、全体水田面積の五九%でございます。それから七十センチメートルから四十センチメートルの間にあるものは、これは簡易な排水事業を行えば比較的湿害に強い作物の栽培が可能なところというふうに考えられます。ここは五十年三月時点で九十七万ヘクタール、全体水田面積の三二%ということになっております。それから四十センチメートルより浅い、つまり湿害の強いところでございますが、こういうところでは普通の畑作物の栽培は困難でございます。イグサ、レンコン、こういうものの栽培は可能だというところでございますが、これが二十七万ヘクタールで全体水田面積の九%ということになっております。
  84. 串原義直

    ○串原委員 つまり常識的に湿田であるというのがおよそ百万ヘクタールぐらい、こういう理解でいいと思うのですけれども、そこで私は将来の日本の農地を守るという立場、水田の利用という立場を考えた場合に、湿田の田畑輪換が可能になるための土地基盤整備、これを積極的に取り上げることも、先ほど来から議論されてきました水田利用再編対策の大きな材料、柱になり得るであろうと思っておる。将来の日本農業の方向づけにも重大な意義を持っていると思うのです。いま時間が来たという紙が来ましたから具体的にここで触れるわけにいきませんけれども、この湿田の田畑輪換、汎用化のために思い切った対策をこの際立てていくべき時期に来たのじゃないか、こう思うのです。いかがでしょう。
  85. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 おっしゃられるように、水田利用再編推進、それから転作定着化を図るためには排水対策等の基本条件整備が必要でございます。そのために私どもといたしましても、従来から水田の汎用化を図るということの観点に立って、土地改良総合整備事業あるいは灌漑排水事業、圃場整備事業、湛水防除事業、こういった各種事業を、特に排水を重点として行うということで進めてまいっております。そのほかに、特に水田の排水条件整備を緊急に必要とするもの、つまり水田利用再編の都合あるいは転作ということからして早急にその整備が迫られているような地域に対しましては、排水だけのための特別な排水対策特別事業というものを五十四年度から実施いたしております。このようなことをやって畑利用についての基礎条件整備を図ってきているわけでございますが、おっしゃられるように今後とも、重要な事業でございますので公共事業の中でも最重点としてこれを進めてまいりたいと考えております。  そういったこともございまして、先ほど私、湿田の状況がどうかということを五十年三月の数字で申し上げましたが、現在時点では、これは推定が加わるわけでございますがかなり乾田化が進んでいる。たとえば七十センチメートルよりもっと水位の低いものは、当時百七十七万ヘクタールであったものが百九十万ヘクタールぐらいになっておるという状況も出てまいっておるわけでございます。この方向をより進めたいというふうに考えております。
  86. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、終わります。
  87. 田邉國男

    田邉委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  88. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  89. 野坂浩賢

    野坂委員 冷害、風水害、長雨等の対策と、これに関連をして米の生産調整の二期対策について、当局の皆さんに質問をしていきたいと思います。  今夏の冷害当たりまして、それぞれ大臣初め執行部の皆さんが、その対応策として、天災融資法あるいは自作農の維持資金、共済金の早期支払い等々十九項目にわたりまして一応の対応をされたわけであります。私は、ことし七月の三十一日と八月の一日に米価審議会が開かれておりました、その際に、亀岡農林大臣の初就任の中で、青空交渉として農民側と激しく議論をされたことをよく覚えております。その際に大臣は、今日の過剰基調の中で、しかも農家の所得が減少するという状況を把握して二・三%ということをわれわれは諮問した、大きな勇気と決意の要ることであったということを述べられておりました。中身は、北海道奨励金等をやめて一%強の実質財源を支出をするということになるわけでありますが、演説そのものは実にごりっぱだったというふうに、先ほども大臣にお話ししたところであります。この対応策については、亀岡農林大臣のそういう主張の中で、十分対応し得たもの、十分であろう、こういうふうにお考えでございましょうか。大臣にお伺いします。
  90. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 冷害対策につきましては、私といたしましては力のある限り十全の対策をとり得た、こういうふうに考えております。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 昭和二十八年にも冷害がございまして、それなりの対応策が出されております。特に私は指摘をしておきたいのは、たとえば天災融資法農業維持資金等の融資はございますが、しかも低利の融資でありますことはよく承知をしております。しかし農家は、被害を受けたのは大きな損害があったということであります、一点は。融資というのは返さなければなりません。利子をつけて返すのでありますから、また来年でもこのような事態を迎えるということになりますと、その借金というものは増大をするし、返済は困難になってくる。でき得るならば、たとえば共済金とか、あるいはまたその他補助金とか助成金、そういうもので生活を補っていきたい、これが農家の本当の意味の願望でもあります。  そういうことを察しまして、二十八年には、自民党の皆さんの先輩でもあります安藤覚さんが、冷害等による凶作対策に関する決議として「過般の冷害並に十三号台風はついに未曽有の凶作をもたらし、今春以来の相継ぐ農業災害により打ちひしがれた被害農家の苦悩は今や極めて深刻である。」こういうことを前文にして、御案内のように米の追加払いということで百五十キロ当たり五百円の追加払いがされております。  当時の保利農林大臣は、亀岡大臣と同じように現地に赴かれまして、そのことを十分理解をされ、五百円の追加払いがされたわけであります。二十九年にも生産奨励金八百円追加が出されておりますが、そういう事態を踏まえて、農家の心情である助成、そういうことから考えてこれらも取り入れるべきではなかったのか、こういうふうに私は思います。大臣は、それは十分対応したというふうなことでありますが、これらの点について御検討いただいただろうかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  92. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、二十八年産米、二十九年産米におきまして減収加算額実施したということについては承知いたしておるわけでございますが、その後、時代が変わりまして、米価の算定方法につきましても、生産費所得補償方式という中に収量の変化が織り込まれるという形にもなってまいっておりますので、米価そのものについて直ちに減収を配慮するということは、現在の所得補償方式の中で織り込まれておるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、今回の災害につきましては、むしろ、収入がなくて米価の支払いも不可能なような農家に対して災害対策を講ずるということに重点を置いて考えてきた次第でございます。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 当時は不足基調であるし、いまは過剰基調である。米の計算の基礎も当時はパリティであるし、いまは生所方式であるとお話がございました。  しかし、時代の変遷があっても変わらないことは、ここの指摘にもありますように、農業経営が破綻しておる、いわゆる収入が激減をしておる。したがって、この収入が激減をした農家の経営を安定させるためには、もちろん、いま大臣からお話がありましたような融資その他はありますが、その上に追加払いをしていかなければとても農家はやっていけない、こういうことが趣旨として書いてあります。これは当時、井出一太郎委員長でありますが、二十八年の十一月二十四日に満場一致で決議をされておるわけでありますから、同じことであります。方式は違いますけれども、収入がない、この現状をどうするかという意味の決議であるということは、松本長官もよく御存じだと思うのであります。  だから、これらの問題についても、名前は違っても、助成金なりそういうものを本格的に考えるべきではないか、いまからでも遅くはない、こういうふうに思うのです。これが一つ。  二つ目は、そういう意味合いにおきまして、今度の被害総額というのは約七千億と言われておるわけであります。米は五千億以上の損害を受けております。この事態を十分御認識をいただきたいと思いますが、これに対していま示されました冷害対策は、早期に支払うということであります。それは早期に支払っていただくのは結構でありますが、その損害の評価をどうするかということが問題であります。被害というものは、作況指数をながめてみておりましても、だんだん日がたつに従って厳しい状況になっておる。農家の皆さんは、損害は全部、そういう意味で農林省としては救えるものは救う、できるだけの措置をとって、農業共済というものの保険の適用を全部が受けられるような対策、そういうものは落ちのないように進めていただけるものだろうと信じておりますが、その経緯と考え方をそれぞれ御答弁をいただきたい、こう思います。
  94. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申し上げましたように、米価の算定につきましては、昭和二十八、九年当時と現在とで相当変わってまいってきておりますし、現在の米価の考え方の中においても、収量の変動というようなものが織り込まれる仕組みになっておりますので、私どもといたしまして、直ちにこれを米価に織り込むということは困難ではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、むしろ災害対策全体の中で、収入が減少した者、特に米が減収して米価も支払えないというような農家に対して措置を講ずべきではないだろうかというふうに考える次第でございます。
  95. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 共済金の支払いに関するお尋ねでございますが、もちろん、天災融資法の発動その他によりまして諸般の対策を講じている次第でございますが、最も直接に農家救済になる制度は、何と申しましても、その第一が農業共済金の支払いであろうというふうに考えるわけでございます。  共済金の支払いにつきましては、まず、収穫皆無の農家というような非常に被害の甚大な農家を対象にいたしまして仮渡しを行うということで現在まで進めておりまして、水稲につきましては、北海道ほか十一連合会、五十二組合等におきまして百十七億円、果樹につきましては、一連合会、四組合等においてすでに二億円の仮渡しを行っております。また、これに必要な再保険金の概算払いでございますが、水稲につきましては百五億円、果樹につきましては一億五千万円の支払いをすでに済ませております。  しかし、何と申しましても、本来の支払いはいわゆる本払いでございます。本払いにつきましては、水稲の共済金につきまして、目下連合会がその評価に基づきまして鋭意その金額を取りまとめ中でございまして、その総額はまだ明確ではございませんが、多分その額は五十一年度をかなり上回るものというふうに考えております。私どもといたしましては、大臣からの強い御指示でございますので、年内に支払いができるように鋭意努力をいたしているところでございます。
  96. 野坂浩賢

    野坂委員 食糧庁長官と私の意見は異なるものでありますが、今後十分農家実情なり農家の所得、経営ということを考えていただきまして対応していただくように要望をしておきます。  次に、二期対策についてお尋ねをするわけでありますが、まず、今度は六十七万七千ヘクタールということが決まった。このうち四万六千ヘクタールは、冷害対策を背景として、それだけは少なくするということであります。これはここにも第二期対策の「転作等目標面積」、こういうふうに書いてあります。  先ほどの質問戦を聞いておりまして、大臣は、農家を信頼しております、こういうことであります。この転作につきましては、農家理解と納得と協力ということが従来から言われておりますが、従来どおりそういう理解と納得と協力という三本の柱で進められるわけでありますか。
  97. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりに進めておる次第でございます。
  98. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、ペナルティーというものは全然考えていない、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  99. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いわゆる公平確保措置でございますが、これは転作をいたしました農家転作をされなかった農家との間の公平を確保するということの必要最小限の措置というふうに理解をいたしておりますので、今後も公平確保措置というものは継続していくべきもの、かように考えております。
  100. 野坂浩賢

    野坂委員 公平確保の最小限の措置ということでありますが、二年、三十九万一千ヘクタールをやって、そしてその上に上乗せをして五十三万五千ヘクタールにした。その上乗せ分についてはそういう措置をとらないということがこの農林水産委員会で確認をされております。これと同じようにやはり措置をとるべきだ。しかも、いま大臣は、理解と納得と協力と。しかも現状は、あなたが説明されましたように、いままでの推進状況というのは一一二%なり一二一%というものが現状として把握できておる、こういう状況であります。全体が一〇〇%になればそういうような必要はないだろう、こういうふうにも思います。だから、納得をし、理解をし、協力をする、できないものはやむを得ない、こういう考え方であることは間違いありません。だから、この五十三年から始めて二年後にやったと同じような措置をとるべきだ。そうしなければ大臣の趣旨と合わないではないか、こういうふうに思います。そのような措置をしていただきたい。
  101. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 公平確保措置につきましては、五十五年度の場合、三十九万一千ヘクタールというものに対しまして十四万四千ヘクタール上積みをいたしました五十三万五千ヘクタールをお願いをいたしたわけでございます。そのときに公平確保措置をどのラインでやるべきかという問題があったわけでございます。そのときに、いわゆる第一期につきましては三年間原則固定ということがあったにもかかわらず、一期三年目の五十五年度におきまして十四万四千ヘクタールの上積みをやむを得ざる措置ということでやったという経緯があるわけでございます。しかも、この際には、この公平確保措置といいますものを従来の三十九万一千ヘクタールベースでやった方が非常に進めやすいという地方公共団体の事務ベースの強い要請もございました。いろいろ考えました上で、五十五年度につきましては三十九万一千ヘクタールベースで公平確保措置考える、目標といたしましては、当然転作等目標面積は十四万四千ヘクタール上積みをした五十三万五千ヘクタールということにいたした経緯は確かにございます。  そこで、今度の第二期の場合どういうことに相なるかということでございます。第二期の目標としては六十七万七千ヘクタールでございますが、初年度の五十六年度、これにつきましては四万六千ヘクタールの冷害等配慮した軽減措置をやりますので、正規の目標といたしましては、五十六年度は六十三万一千ヘクタールということに相なります。  そこで、公平確保措置を適用するラインはどうなるかということでございますが、これは六十三万一千ヘクタールが正規の目標でもあるとともに、新しく二期というものがスタートするわけでございます。一期三年目の、原則固定というのをやむを得ざる措置でやったというそういう話ではなくて、新しくスタートする話でもございますので、私たちといたしましては、現在のところ、この六十三万一千ヘクタールというものが公平確保措置を適用するラインというふうに考えております。
  102. 野坂浩賢

    野坂委員 公平確保をするための最小限の措置というものを、時間がありませんから文書で出していただきますようにお願いしたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。——文書で公平確保の最小限の措置というものを本委員会に出していただくように、よろしくお願いいたします。もうこれ以上質問できませんから。  それから二番目。今度割り当てをされるわけでありますが、その基準ですね。いままでもお話がありました。これはわかりやすい方法で、みんなが理解できる方法、こういうことで割り当てをされるだろうと思いますが、そうですか。
  103. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 二期の目標でございます六十七万七千ヘクタール、これをどういう配分要素でどういうウエートでやっていくかということは、現在まだ決めておりません。いずれこれは、いろいろ御主張もございますので、十分そういう御主張も踏まえまして、行政の責任で適正に決めていきたいと思っております。  なお、これを配分いたします際に、どういう配分要素でやって、どういうウエートでやったかという面につきましては、後の県の市町村別配分というようなことにも御参考になろうかと思いますので、大筋のそういう物の考え方等につきましては、これはあわせて県の方にも十分説明をしたい、こう思っております。
  104. 野坂浩賢

    野坂委員 五十三年度、三十九万一千ヘクタールを割り当てされた際には、七項目の基準設定をされまして、傾斜配分としてやられました。そうですね。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 しかし、その七項目の基準どおり県や市町村はやったかというと、そうではありません。それは百分の三十とか百分の十五とか百分の五とか、都市計画の区域とか、あるいは六十年までに転作目標を設定しておるところとか、あるいは湿地はどうだといういわゆる百分比が出てはおりますけれども、県ではそれはつかむことができなかった。これは全県であります。したがって、町村になればさらにできない。飯米農家は除けといっても、それもできない。一律割り当てということに内容的にはなっております。ほとんどそうです。そこで問題があって、その次の五十三万五千ヘクタールの際には、面積割りが五〇%と傾斜配分が五〇%でそれぞれ割り当てを実施された、こういう経過になっておりますね。  今度は一体どういうぐあいにやるのか。いままでの問題を含めてまずはっきり言えることは、先ほどもありましたように、冷害、風水害、長雨等によるものの背景、これについてはちゃんと理解をいたします、ウエートを持ちますということを言っております。わかりやすいという方法になりますと、面積割りということになります。これはだれでもわかります。きわめて簡単にできる。その上に傾斜配分の七項目基準というのは全くつかみにくい。現実にやられていない。したがって、もしあるとすれば、いろいろな条件を出してやらなければ——だから、あのときの傾斜配分を各県ごとに出せと言っても、あなた方は出されなかった。しかも、五%の増減をやってきたという経緯があります。きわめてわかりにくい。難解であった。また、あなた方の思うとおりできていなかった。これも事実。したがって、これらについて十分慎重に検討して、適正な配分をすると言っていらっしゃる。それぞれの立場からいろいろな意見がありますので、適正な配分でやりますと。私はよくわかりません。中身としてよく理解ができません。この適正な配分とは一体何なのか。  いま私が言ったそういう背景と、わかりやすい面積割り、そのほかに傾斜配分七項目というものはやはり改定をしていかなければならぬ。よくわかるものは面積割りということになりますが、そのような面積割りと被害総額というかっこうでやることが一番わかりやすい、こういうふうに思いますが、そういうふうに考えることが適正な配分考えてよろしゅうございますか。
  105. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十七万七千ヘクタールの二期の目標配分につきましても、いろいろ各地域からの御意見がございます。わかりやすいという面もございましょうし、従来転作率も高かったからというようなことも言っておるようでございますが、面積割りでやるべきではないかという御主張がありますことは十分認識をいたしております。ただし、これに対しましては、当初やりました七項目での配分、ああいう物の考え方をむしろ貫くべきであるというような強い御主張が別途あることも事実でございます。いろいろな御意見がございますが、そういう面を十分慎重に検討させていただきまして、行政の責任で適正な配分を行いたいということを申し上げたわけでございます。したがいまして、現段階におきまして面積割りになるかどうかは何とも申し上げかねるわけでございますが、こういう配分をいたしました際にはまた、どんな要素でどんなウエートでそういうものを見たかということは各県にも御説明をしたい、こう思っておるわけでございます。  四万六千ヘクタールの面につきましても、冷害等被害程度に応じてという考えでございますのは、これまた具体的な指標なりウエート等につきましてはさらに今後詰めて配分をいたしたい、かように考えております。
  106. 野坂浩賢

    野坂委員 十分に御検討いただきまして、農家が喜んで協力をするならばともかく、協力でき得ないものであれば、行政側の問題でありますから、十分われわれにもその内容を明らかにしていただきたいことを要望しておきます。  時間がありませんから、最後に、奨励金の問題についてお尋ねをします。五千円減額しました。一つの問題だけをとりますが、基盤整備事業をやる場合、五十七年度まで十年間十三兆円の予算で進めてきました。五十五年度末で約六九%程度予算執行ができると思います。しかし農家の場合は面積であります。百二十万ヘクタールに対して四十七万ヘクタール、四〇%しか執行されておりません。いままでに基盤整備事業をやった人たちは一反当たり四万円もらうことになります。早くやってくれと要求をしておった人たちでも、国の都合で公平に実施ができなかった。二瓶さんは何でも公平、公平とおっしゃっておりますけれども、これは公平でない。いままでは基盤整備事業というのは、だんだん物価が上がっても全体でならしていきますけれども、いままでやったものは四万円、今度からやるものは三万五千円ということになると、あなたの公平の原則を欠きますね。これも全部同じにしなければならぬということであります。  これについては、公平の原則に従って従来どおり実施することを私が構造改善局長に何回も申し入れをした際に、構造改善局長もそのとおりだなとおっしゃっておりました。いまおいでいただいておれば御答弁をいただくのですが、そういう点については十分に配慮しなければならぬだろうと思います。同じようにやっていただけますか。
  107. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 通年施行の奨励補助金の単価でございますが、第二期の奨励補助金としては五千円引き下げるということで考えておるわけでございます。  そこで、お尋ねは、五十五年度までに通年施行を実施した地区と五十六年度以降実施する地区、これで奨励金の面で差が出るということでございまして、それは三万五千円じゃなしに四万円というわけにはいかぬかということでございます。私たちといたしましては、五十六年度以降この奨励補助金が五千円下がった三万五千円ということになりますが、この基盤整備といいますか通年施行の奨励金単価だけでなしに、よその奨励補助金の方も一斉にそうでございます。そういうことで、これはやはり五十六年度以降実施するところにはどうしても三万五千円にならざるを得ない、その辺はやむを得ないというふうに考えます。この点、関係者の御理解もいただきたい、かように考えるわけでございます。
  108. 野坂浩賢

    野坂委員 私の質疑時間は終了しております。したがって多くを質疑することはできませんが、今度の二期対策すべての問題について、いまの御答弁を聞きますと、やらずぶったくりという方式であります。矛盾があればやむを得ないという考え方であります。すべて行政中心で勝手ほうだいということでは、農民の皆さんは納得しないと思います。減反の割り当てなり奨励金についても十分に再検討されることを要求して、私はこれで質問を終わります。
  109. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 島田琢郎君。
  110. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、六十五年見通しと二期減反の問題を、角度を変えた立場から考え方を述べてまいりたいと思います。余り時間がございませんから、ひとつわかりやすく的確な御答弁をいただくようお願いいたします。  いま二期減反を強行されようとしておるわけでありますが、どうも単純に、米が余っているからそれを減らせばいい、こういうことだけをねらった感じがしてならぬのであります。しかし、減反が行われて以来常に問題になっているのは、転作の受けざらという問題であります。そこのところが基本的にどうもはっきりせぬものですから、私たちは必要以上にこれに抵抗しなければならぬ、そしてまた末端においては、大事な国民食糧の増産という形になってあらわれていかない、だからわれわれは国会においても自給力強化の決議をしなければならぬ、こういうことになるわけです。  そこで、きょうは、この問題が酪農という側面からとらえた場合に一体どういう状況に相なっていくのか、また、現況から見て、六十五年見通しというものに対する非常な見通しの甘さ、また基準年における現況のとらえ方、こういう点で納得のできないところが実はあるので、この点をひとつ明らかにしてほしい、こう思っております。  まず、需要の枠組みといいますか、これは米だけではありません、全体的に長期的な視点は一体どうなっているのか、ここのところを明らかにしてほしいと思うのです。これは大臣に聞くというよりは、事務当局に聞いた方が明確になるのかもしれません。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 お答えいたします。  牛乳、乳製品の需要の全体の枠組みについてのお尋ねでございますが、昭和五十三年度を基準年次といたしまして、総需要量を、これは食用に向けるものとしてとらえておりますが、七百一万四千トン、これを六十五年度におきましては、中央値といたしまして九百四十九万五千トンを需要量として見通しておるわけでございます。その中で、飲用牛乳として仕向けられるもの、それから乳製品に仕向けられるもの、自家消費に仕向けられるものがございますが、六十五年度におきまして、飲用向けは五百四十三万トン、乳製品向けは三百九十万七千トン、自家消費向けは十五万五千トン、こういうふうに見込んでおるところでございます。
  112. 島田琢郎

    ○島田委員 いま五十三年の基準年の牛乳の需要量を七百一万トンと置いているというお話でありました。しかし五十三年の七百一万トンはこんな数字であるとは理解しがたい。間違いないのですか。もう一遍答えてください。
  113. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 基準年次でございます五十三年度需要量といたしましては、食料需給表によりまして七百一万トンと定めておるわけでございまして、これは先ほどもお断りいたしましたように食用向けということで数字をはじいておるものでございます。
  114. 島田琢郎

    ○島田委員 食用向けとおっしゃるけれども、総体の需要というものを考えましたときには、食用のものであれ、工業用に仕向けられるものであれ、えさ用に向けられるものであれ、牛乳から出たものであるならば、乳製品として当然総需要の枠組みに組み込まれなければならぬ性質のものではないのですか。第一、五十三年度に輸入された乳製品を生乳に換算すれば幾らあるのか、そこをまずお答えいただいてからいまの話を進めたい、こう思います。
  115. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 五十三年度におきます乳製品の輸入の生乳換算でございますが、先ほどお答えしました七百一万トンに含まれるもののうちの輸入量は百四万四千トンでございます。それ以外に総需要量に計上していないもの、これは一つは、御指摘のございましたえさ用の脱脂粉乳、これが生乳換算で七十一万トン、それから二番目に、大部分が食用以外の用途に供されておりまして、かつ食用に回される量が明確に把握しがたい乳糖、カゼイン、この合計が生乳換算で二十七万二千トン、それから三番目に、製品の成分組成が一様でなく、また標準的な生乳換算率の作成が技術的に困難である調製食用油脂、それからココア調製品、それの生乳換算を一定の前提のもとで計算をいたしますと、合計で二十五万三千トン、つまり総需要に計上されていない輸入乳製品の生乳換算の総合計量は、いま申し上げました数量を足しますと百二十三万五千トンということに相なります。
  116. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、足すと二百二十七万トン入っているということは間違いないですね。
  117. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 一定の前提で計算をいたしますとそのようになります。
  118. 島田琢郎

    ○島田委員 私がいまちょっと触れましたが、牛乳からできたもの、これはすべて総需要の枠の中に入ってこなければならないものではないのか。それを食用に供した分だけを総需要需給表の中に見て、あとは見ないというのはおかしいじゃないですか。だって、大豆からできたものとか植物からできたマーガリンだとか、こういうものまで入れろと私は言っているのじゃない。牛のおっぱいから出てきたものならば、加工段階でどうあろうとも、これは間違いなく牛乳、乳製品なんだ。それがどこに使われようと、私は外国で消費されたものまで入れろと言っているのじゃないですよ、日本の国内で消費されたものであるならば、それは総需要量ではないのですか。そこのところがわからない。もう一遍お答えください。
  119. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 確かに御指摘のような考え方もあろうかと存じますけれども、私ども考えておりますのは、たとえばえさ用で輸入される脱脂粉乳について申し上げますと、これは諸外国におきましていわば過剰乳製品の在庫処分として輸出補助金等がつけられて輸出され、わが国に輸入されている特殊な物資であり、わが国に入る場合は、御承知のとおり輸入割り当て制のもとで、えさ用に使われ、それ以外には使えないということが制度的に担保されておるわけでございます。一方、国産の脱脂粉乳につきましては、これは通常の経済ベースではえさ用に使われる可能性はほとんどない。そういったことから考えますと、国産の脱脂粉乳と輸入のえさ用脱脂粉乳とは利用区分が画然と分かれておると言えるかと存じます。したがって、これを合わせて合計で需給関係を見るということは現実の実態に必ずしもそぐわないのではないかということで、利用区分が分かれておるということで、一つ需給の全体の姿の中へ足していかないという扱いをしておるのでございます。
  120. 島田琢郎

    ○島田委員 それではお尋ねしますが、五十三年度に食料需給表というものが農林省から発表されています。これによると、乳製品の脱脂粉乳以外の穀物は、明確に飼料用として食料需給表の中に入っているのです。いまあなたがおっしゃったような外国の諸事情などわれわれが頭に置く必要はないと思うのです。とにかく国内に入ってきた、それがどんな形にせよ使われている、だとすれば——私は極端な話、ヤギの乳まで入れろなんて言っていませんよ。牛乳からつくられたもの、これに限定していま言っています。もちろんヤギの乳として入ってくるものもあるとすれば入れなければならぬかもしれぬが、えさ用の脱脂粉乳はそういう区分けの中でやると言いながら、穀物は明確に、小麦、大麦、裸麦、トウモロコシ、コウリャン、その他の雑穀、合わせますと大体一千五百万トンを超える。これは明確に食料需給表の中に入れているのですよ、外国から入ってきたものも含めて。なぜ乳製品だけは食料需給表の中に入らぬのですか。私は納得ができない。まさにそれはへ理屈と言わざるを得ない。  つまり、私が言いたいのは、最初からキャパシティーを小さくしておいて、そうでなくてもいま牛乳は足りないにもかかわらず生産調整が行われている。それはまさに、酪農家のわれわれにしてみれば、米みたいに余っているのではない、現に二百万トン以上も足りないのだ、そして、それは外国から入ってきたものと代替して国産化していくというところに政策目標が置かれなければならぬのに、全体のキャパシティーを小さくしておいて、これしか需要がないのだから、おまえら乳をしぼるな、生産抑制だ。働き場所を失われた酪農民は一体どこにどうすればいいということになるのでしょうか。こんな矛盾したことをそのままに残しておいて、六十五年見通しもへったくれもありますか。私は、少し語調が強いけれども、もう何年も前からこのことを指摘しておるにもかかわらず、それを直そうとしないかたくなな姿勢に声を大きくせざるを得ないのです。大臣、いまのお話の中で矛盾をお感じになりませんか。
  121. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 この問題につきましては、すでにしばしば御指摘がありましたこと、よく承知をいたしております。御指摘ではございますが、先ほどお答え申し上げましたように、利用区分が截然と分かれておる。相互に代替性があるということでございますれば、これは一つ需給市場、マーケットの中に入るわけでございますが、現在のところ、悲しいかなわが国の国産の乳製品をそのようなえさ用に向けるというようなことでは採算がとれないということで、それをわが国の牛乳、乳製品の需要先として見込むことは現実にそぐわない。でき得れば、そういう相互流用できるような状態に持ってくることができれば、これは望ましいのでございますけれども、残念ながらそういう状態ではないというところから、先ほどお答えいたしましたような取り扱いにいたしておるわけでございます。  もちろん、わが国の乳製品の国際競争力の向上によって輸入乳製品に十分対抗し得るような状態ができれば、そうした問題も考え方を改めていく必要があろうと存じますが、現実にはそういうことにはなっておらないということを御了解賜りたいと存じます。
  122. 島田琢郎

    ○島田委員 私は納得ができません。それでは、先ほどの穀物の飼料としての取り扱いで食料需給表に入れているこの理由というものが一体どこにあるのか明確ではないです。これは、あなたは畜産局長だから、牛乳の関係だけしかおれの守備範囲ではないとおっしゃるかもしれない。だとしたら、私は大臣にお聞きしたい。  こういう食料需給表がもとにされて六十五年見通しが立てられているわけですね。まさにそれがターゲットとなっていま二期減反が強行されようとしている。そういうお考えならばえさ米の問題だって一歩も進まぬということになってしまう。つまり代替できないとかなんとかという話だ。食用と区別することができないといったような話だ。すべて根っこはそこにあるということになってしまうのですが、農林省は、そういう考え方をもとにしてこれからの六十五年見通しを立て、二期減反を強行されようとしているのでしょうか。納得できるような御説明を願いたい。
  123. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 食料需給表の構成についての御質問でございますので、私の方からお答えいたします。  この需給表自体は昭和二十六年度から連続して作成いたしております。この作成に当たりましては、FAOの作成の手引きに準拠いたしまして、国内において食用として流通しないものや全く食糧になり得ないものは作成の対象としないというような分類でいたしてまいりました。トウモロコシ、コウリャン等につきましては、飼料用のほかに糖化用あるいは直接食用に向けられるものがあるので食料需給表上は計上いたしております。飼料用脱脂粉乳の場合におきましては、国内において食用として流通し得ないということが制度的にも担保されているというようなことから、従来このような扱いで、食料需給表上は食用ということに限定してまいった、こういう観点でございます。
  124. 島田琢郎

    ○島田委員 さすれば、先ほど、輸入分は二百二十七万トンのうち百四万トンだけしかいまのいわゆる食料需給表の中に入ってない、残りは飼料用七十一万トン、そのほかカゼイン、乳糖二十七万トン、その他ということで二十五万三千トン、こういう発表でありました。つまり百二十三万トンの中にはこういうものが入っているのだということですが、乳糖、カゼインが牛乳として代替できないということはないというのが常識でしょう。現実にはいま使われているかいないかという問題はあります。しかし、過去において乳糖、カゼインがかなり飲用乳として化け物になって出てきた、そういう事例がいっぱいあるのです。  いまの需給表は昭和二十六年以来一貫してそうだとおっしゃるが、代替できないものときめつける。しかし、現実には代替できる。脱脂粉乳だってかつてはそれを学校給食でもやったのですよ。しかも外国から入ってきている脱脂粉乳を。どこに代替できないという線があるのですか。代替してはいけないという気持ちはわかりますよ。願望としてはわかる。しかし、代替できないときめつける、そこの根拠は私はないと見るのです。農林省のおっしゃっていることはへ理屈だと私は思います。  これ以上この議論を続けても先に進みませんから、私は大臣にひとつ伺っておきたい。  いまさら基本のことを申し上げる必要はありませんが、つまりいまは農業の再編成を迫られている。米ばかりつくるな、米以外のものに転換せよ、これは言ってみればまさに配置転換でしょう。それを迫られているのだが、受けざらとなるべき転換の部分で受け入れできない幾つかの問題点を持っている点も事実でしょう。いまのように、牛乳はもっとしぼりたい、せっかく牛舎も建てて、乳牛の品種改良も終わった、土地基盤整備もぼちぼちながら進めてきた。しかし、後ほど触れますが、投下された資本は莫大なものです。それをこれから回収しながら、返すものは返し、生活を立て直していかなければならぬというやさきに、この二年間で二十万ないし三十万トンという牛乳の生産抑制が行われている。子牛に腹下しするほど牛乳を飲ますわけにはいかぬから、時には出すなと言われれば、畑に持っていって捨てなければならぬという状態に置かれている。しかし、それに対する何の補償も実は酪農の場合にはない。残念ながら投下した資本は負債となって累増し、金利はふくれ上がってどんどんわれわれの経営と生活を圧迫しているというのが現状でないですか。せめて六十五年には、あなた方これだけしぼれればしぼってもらって結構ですよ、そういう枠組みというものが示されることにわれわれは期待をつないできた。ところが、見たら依然として、同じ牛乳からつくられておるのに、これは代替できないものであるから食料需給表に入れるわけにいかない。需給表がいいかげんで——いいかげんというより小さいのだから、入れ物が小さいのだから、当然、依然生産抑制を続けていかなければならぬという結果になる。この矛盾は、生産している農民にとっては何とも納得のできないことなんですよ。やはり国内で使われた乳製品はしっかり需給表の中で見て、それを目標にして、われわれはどう乳をしぼり、どうやって負債を返していくかということを指示されるのが、農政の親切なやり方ということになるのではないでしょうか。私の申し上げていることに矛盾あるいは納得できないと大臣がお考えになっている点があればお示しを願いたい。大臣、ひとつ頼みます。
  125. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 専門家の島田委員、よく事実関係を明らかにされておるわけであります。私も酪農関係の問題についてはいろいろな面でもっともっと充実していかなければならぬという感じを持っているわけであります。特に、牛乳を生産調整をしながら、しかもいろいろな形で乳製品が入ってくる、擬装乳製品と申しますかそういう形で入ってくる、そういう問題についても、私、就任以来実は厳しく指摘をしてきているわけでございます。したがいまして、いま御指摘のありました点も拝聴いたしておりまして、やはり検討に値すべき問題である、こういうふうに感じます。  したがいまして、私自身も勉強いたしまするし、今後何といってもやはり受けざらというものを成長せしめていかなければなりません。その際に、御指摘のあったような点、さらには日本の酪農関係において、ナチュラルチーズに回す牛乳がいまのような状態でいいのかどうかという問題もあろうかと思います。これもどんどん需要が伸びていくというのに対して、ナチュラルチーズの生産体制をもう少し強化してもいいのではないかというようなことで、畜産局もいろいろと努力をいたしておるわけであります。  そういうような問題等も含めて、やはりこの生産調整をやってまいりますための受けざらを、もっと真剣に、私としても検討してまいりまするし、事務当局にもその旨指示をしてまいりたい、こう考えます。
  126. 島田琢郎

    ○島田委員 大臣の前向きの、誠意ある答弁をいただきましたから、私はこの問題はここらで矛をおさめたいと思います。ぜひひとつ御検討いただきたい、こう思っております。  ところで、よく潜在生産量、これはお米を減反したりあるいは転作させたりする場合に政府はこれを用いるわけであります。これを長く議論する時間がもうなくなってしまいましたから、私の方からお話しさせていただいて、考え方を後ほどお聞かせいただくことにいたします。  潜在生産量、つまりわれわれで言えば潜在生産力、こういうふうに置きかえて考えたいと思うのですが、この間も日経協の常務の方をこの農水で参考人として呼びました。日本の農民は勤勉で研究熱心で大変潜在力というものを強く持っていらっしゃる、これを発揮する、それが農政である、こういうふうに言いました。ただ、私はそのことを是認しながらも、いま残念ながらわれわれの能力とか技術とかといったものを発揮する場所が与えられないために、能力として潜在化してしまっている、これはゆゆしきことなんだ。実は、日本の農民は勤勉であると幾らおだてられたって、勤勉を発揮する場所がなくなるということは大変なことなんです。そういう意味で、ただおだてにだけ乗るわけにはまいらぬと、当時私は、参考人には失礼でございますが反論をいたしました。  まさにいまの農政は、こうした能力をますます潜在化するばかりではなくて、これを枯死せしめていくような形にしかなっていない。だから、減反が強行されてもその受けざらとなるべきものが実はなくてみんな呻吟しているのが実態だ。たとえば一万ヘクタールの水田を転作するとすれば、これは消費拡大とか新しい分野を開拓するといったものを除いても、あるいは農民自身の労働時間というものをさらに合理化することを前提に考えたとしても、いまの時点ではおおよそ一万ヘクタールの投下労働時間は四百五十六万時間になるのですから、これを仮に酪農で吸収するとすれば、乳牛にして新たに三万頭必要とする。一頭当たり四トンと見ても、牛乳の十二万トン分に相当する。この一万ヘクタールの転作によって、酪農で受けざらをするとすればこういうものが必要になるのです。  ところが、三万頭新たに入れる器ももちろん新しくつくっていかなければならぬという問題にも突き当たるし、いま三十万トンの生産調整が行われている上に十二万トンを引き受けなければならぬとしたら、一体どういうことになるのか。酪農の例で申し上げますとおり、いかに米の減反という問題が大きな問題として広がりを見せ、非情なまでの仕打ちにつながっていくかがこの数字でおわかりいただけると思うのです。  私はわかりやすく申し上げたので、それはみんな酪農でなんということにならぬかもしれません。しかし、仮に酪農で受けざらをつくるとすれば、こういう器がなければいけないのだ、あるいはこういう問題が解決されなければならぬのだという点では、非常にわかりやすい説明だと私は思っていますから申し上げたのであります。  つまり、こうした点を考えてまいりますと、私は先ほどもちょっと触れましたが、酪農というのは非常に大きな負債をしょい込んで、その負債を一日も休みなしに返していかなければならないというものが常に経営について回っている。だから、それにはいまの生産をもっとふやしながら、何としても負債の重圧から逃れなければならぬという宿命をしょっているということなんです。  この四年間の据え置き乳価の結果は一体どういうことになったか。私は、先般大臣室に伺いましたときに、大臣に米の問題でお話ししたら、北海道は酪農があるからなとおっしゃいました。私は実に頭にかちんと来ました。それは、この間のビートの問題のときに、酪農の問題ではなかったのですが、私が酪農家の負債の現状をここでつぶさに数字を挙げてお話をしましたときに、大臣はそこで居眠りもなさらずにしっかりお聞きいただいていたはずであります。そういう認識があったと思っていたのに、北海道は酪農があるから二期転作はスムーズにいくはずだという意味のことをおっしゃったので、私はきわめて心外に思いました。そういう御認識ならもう一遍ここでやらざるを得ない。  お話を申し上げますが、実は酪農家にだけ限定して申し上げますと、北海道で言えば、酪農は宗谷、釧路、根室、この三大地区が代表される地域であります。ところが、ことしの六月と昨年の六月の対比で見てまいりますと、同月比におきます組合員勘定の残高は実にほぼ倍になっているのです。つまり、倍の赤字が生じているのです。しかも、釧路管内のある農協は、これも私は調べてまいりましたが、二・三倍に達しているのです。また、本日私のところへ根室の皆さんが陳情に参りまして、細かな数字も私に示してくれました。これによりますと、五十三年三月末に一戸当たり千七百七十八万円であった負債が、五十四年、五十五年と経過するうちに、一戸当たり実に二千七百十万円と、わずか三年足らずで一千万円の負債をしようという結果になっている。  こういう状況の中で、たった一つの頼りは、繰り返して悪いですが、六十五年見通しの中で、酪農が一体どうなっていくのか、この見通しが、われわれが生きることができるか死んでしまうかの指針だ、こう思っていた。それが前段で議論を繰り返しましたような状態では、大臣として、日本の酪農なんか一つも要らない、外国からみんな買ってくればいいのだというふうにお考えになっているはずはないと思いますけれども、そうとも受け取れかねないようないわゆる指針のあり方だ、見通しだ。  きょうはもう時間が来ましたから、私はこれ以上論議することはできません。まだ幾つかの課題を残したまま質問を終わらなければなりませんので、いずれ通常国会では、何としても来年とっ初めに始まりますのが酪農、畜産の価格問題、当然亀岡大臣の手によってこれが決定されるはずでありますから、私はそのときにしっかり議論をさせていただきます。  もう一つつけ加えて申し上げておきますと、たった一ついままで酪農家の救いになっていたのは、牛肉がある一定のレベルで推移してくれたからであります。ところが、最近はまさにそれが半分以下の大暴落。そのさなかに、今度は牛肉を、十一月、十二月に事業団手持ちの放出を決定された。何たる冷たい仕打ちぞ。フローズンにしてもチルドにしてもエージドにしても大変な量、つまり一万七千五百トンも放出をする。法律のたてまえから言えば、市場が過熱状態に陥ったときにのみこれを冷やすというのがこの事業団のあり方ではないでしょうか。半分以下の大暴落をしているという中に追い打ちをかけるようにこれを放出するならば、どんな結果になるのか。肉牛農家に限らず酪農家の三分の二はこれで生きているのです。そうだとすれば、農林省は口でおっしゃることとやることが全く違うということになってしまう。その辺の御反省を求めながら、大臣から一言、先ほどのような誠意ある回答をいただきたい、私はこう思っております。もし回答がなければ、私は理事からどう言われようとここでまた踏ん張って時間を精いっぱいやりますから。いかがですか。
  127. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農業をめぐる諸情勢は、酪農に限らず、いずれも厳しい現状にあることは十分承知をいたしておるわけであります。それぞれ、畜産にいたしましても、一般農業にいたしましても、果樹産業にいたしましても、あるいは養蚕にいたしましても、なかなか厳しい情勢の中にあることは私も十分心得ておるつもりでございます。  したがいまして、ただいま御指摘のありました酪農問題につきましても、乳製品の輸入の問題、あるいは肉類の輸入の問題、さらには酪農製品のいろいろな一元輸入制度のすき間をくぐって入ってきておるというような問題等も解決していかなければならぬわけでございます。と同時に、何としても草資源の開発といったような面についても、まだまだこれから技術の革新を図っていかなければならない。それから、年々累増していきますところの農家の負債の問題等についても、放置のできないような形になっておる、こういう認識をいたしておるわけでございますから、水田の生産調整の受けざらとして今日まで大きな役割りを果たしてきております酪農に、光を与えることのできないようなことにしてしまったのでは大変であるという考えを持っておりますので、それらの点について、農林水産省といたしましても、十分前向きの姿勢で検討を加えていきたい、こういう意気込みでおる次第でございます。
  128. 島田琢郎

    ○島田委員 渡邊官房長、大臣がああおっしゃったのだから、事務方がいつまでも古色蒼然たる三十年前の需給表なんかに固執しないで、直ちに直すという決意に立っていただくことを私は重ねて要求しておきます。どうも事務方が悪いようだから、大臣がやる気になっても、事務の方で足を引っ張るようなことでは困るので、そのことだけきちっと申し上げておきます。  終わります。
  129. 田邉國男

    田邉委員長 松沢俊昭君。
  130. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いろいろと各委員の方から第二期減反の問題につきまして質疑が行われたわけでありますが、私も米のないときからずっと農業問題を取り扱ってまいりました。米のないときにおきましては、米を出さない農家に対しましては家捜しまでやって強権供出をやらせたわけでありますが、いまの減反政策というのは、言ってみまするならば、要するにこれの逆の強権発動じゃないか、かように実は考えているわけであります。  と申し上げますことは、五十三年からの生産調整というのは、生産調整をやらなければ買い入れ限度数量を次の年に減らす、あるいはまた開田で米をつくった場合におきましては二倍にして減らしていく、あるいはまた米の問題だけでございませんで、この要綱などを見ますと、要綱の第七には未達成問題が出ておりますし、それから五十三年四月六日に「水田利用再編の促進のための各種事業等の積極的活用について」、こういう通達が出ておりますが、いわゆる割り当て目標を達成した都道府県、市町村に対しては、農林省の予算は優先的に配分する、逆に言うならば未達成の場合においては予算をくれない、こういうことから見ましても、明らかに強権発動として受け取っても差し支えないのではないか。  そこで、こういうやり方につきましては、法制局長官でありました林さんの方でも、「現行憲法下における行政は法に基づいて行われることをたてまえとすべきものである。そういう意味で、行政指導ということが余り幅広くかつ盛んに用いられることは決して好ましい傾向ではない。それはえてして恣意に流れ、不公平に行われやすく、しかも相手方に対して不当な損害、損失を与えることになっても、相手方は泣き寝入りせざるを得ないケースが多いからである。」ということで、いまのやり方に対しては非常に批判的であるわけです。  こういう点につきまして、まず大臣の方から、米のないときにおいては農民は強権発動によっていじめられたわけでありますが、今回は米が余るからといって逆にいじめられている。しかも考えてみますならば、これは全部差別をつけてやっていくわけですから、泣き寝入りをやっているわけでありまして、こういうような強制減反はやめるべきじゃないかと私は思いますが、どうでしょうか。
  131. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 かつて米の不足いたしておりますときに、いわゆる供出という制度がございました。二十三、四年ころ、いわゆる強制供出ということを言われました。これは当時食糧確保臨時措置法という法律もございましたし、食糧緊急措置令、ポツダム勅令と言われておりますが、等もありまして、出さない場合には不供出罪も適用できる、まさに法制的に供出を強要できたという姿になっております。それに対しまして、今回五十三年度より講じております水田利用再編対策につきましては、これはあくまでも農業者理解協力を得てやるということで、いわばそういう意味では通達でもってやっておるものでございます。したがいまして、性格的にこれが強制であるという法律的な角度での問題ではないと考えております。  ただいま御指摘のございました公平確保措置、未達成の場合の加算なりあるいは新規開田の場合の加算なりの措置もとっておりますが、これはあくまでも転作協力農家と非協力農家との公平を図る最小限の公平確保措置ということで、これも通達上そういうことで考えておるものでございます。  それから五十三年に出されておりますいわゆる活用通達というのがございますが、これは未達成のところには予算をくれないというようなことで書いてはございません。これは限りある予算でございますので、達成した市町村なり目標の達成の確実な市町村に、他の条件にして等しければ優先して配慮しましょうという趣旨のものでございまして、いわばこういうことがあるから今回の水田利用再編対策は強制であるということが言われるわけでございますが、そういう性格のものではないと私は理解をいたしておるわけでございます。
  132. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いや、それは強制でないと、こう言っておられますけれども、それを達成をしなかった場合においては予算がつかないということに現実になっているわけなんですよ。これは本来からするならば、行政府が行政をやる場合におきましては、法に基づいてやるのが原則なんだ。行政をやるにしても、こういうふうにして幅広くやっていくということは泣き寝入りをするケースが多く出る、だから好ましいことではないのだ、こういうふうに法制局長官は言ったわけですよ。ですから、それは強制でないと言っても、泣き寝入りしているという現実はあるわけなんです。  だから、全国の県知事にいたしましても市町村長にいたしましても、要するにいまの減反に対して喜んで協力しているところ、そういう首長というのはほとんどいないと思います。また農家の場合におきましても、喜んでこれにこたえている農家はほとんどいないはずなんであります。そういうものがあるから仕方がないということで、泣き寝入りしながら政府の強制減反に服従しているということなんじゃないかと思うのです。そういうのは、言ってみますれば強権の発動と言っても過言ではないのじゃないですか。どうですか、大臣。私は大臣に聞きたい。
  133. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 決して強権の発動ではございません。先ほどから申し上げておりますとおり、信頼と納得と協力のもとに今日まで生産調整を始めてからもう十年、第一期対策三年、こういうことで円滑に進めさせていただいておるわけでございます。  というのも、結局そうすることがいわゆる農民の自衛権と申しますか自存権と申しますか、農民が将来、強力な農政展開のもとに光明を持って農業経営に従事することのできるような事態をつくり上げていくためには、食べてもらえない米を、米の産地だからといって幾らどんどんつくっておりましても、これが消費してもらえない、しかも米は国際価格に比しても非常に高い、そういう情勢の中で、それではどうすればいいのかということになった場合、そのまま自由に米をつくりなさい、こういうことにしたとすれば、食管法なんというのは本当に維持できなくなります。  結局、私がいつも申し上げておるように、農業関係の生産性の低い部門、しかも大事な食糧生産している部門は、民族のためにどうしても発展させなければいかぬ、その発展させるためには投資がもっともっとあらゆる面から要るわけでありますから、どうしても国民の納得のもとにそういう施策を進めていかなければならぬというときに、もう自分たちは米しかつくれないのだから米だけつくっていればいいのだということでやっておったのではだめだということをみんなわかった上で、生産調整という仕組みを、強制的な法律ではなくて、納得づくで、了解のもとに協力し合いながら今日までやってきておるわけでありますから、その点は私は、これからも賢明なる日本の農民の皆さん方は十分御理解いただいて協力してもらえるものと、先ほどから申し上げてきておる次第でございます。  したがいまして、松沢委員の言われる権力的強制というような気持ちではなく、やはりお互いの生きる道を最もよくしていくための措置をやっておるのでありまして、現状から見れば、本当にだれ一人として、私自身でも、できることならこういう憎まれ役をやらないで済めば一番いいわけでありますけれども、そうはいかない。やはり厳しい道を歩むことによって将来のともしびを展開をしてまいる、そういうふうになっておるのがこの二期対策であると私は考えておるわけでありまして、そういう意味で、どうぞひとつ農業を愛する皆さま方でありますから、積極的におまえらやれという激励をいただいて、そして一刻も早く米の需給のバランスを回復して、先ほど来御指摘いただいているような面にもっともっと思い切った積極的展開が図れるようにしたいな、これが偽らざる私の気持ちでございます。
  134. 松沢俊昭

    ○松沢委員 生産調整はいまに始まったことではないわけなんでありまして、昭和四十年代から始まっているわけです。しかし、その当時の生産調整というのは緊急避難的なやり方であったということでございましたが、第一期から始まっておりますところのいまの生産調整というのは、そういう緊急避難的なものではなくして、転作定着する、そういう生産調整をやっていくのだ、これが宣伝であったわけなんであります。しかし、現在それではどういう状況になっているかと申し上げますと、「昭和五十五年度 水田利用再編対策実施状況」、九月現在でございますけれども、これを農林省の方からいただいたわけなんであります。  これを見ますと、ことしの転作面積目標というものが五十三万五千ヘクタールとなっているわけなんです。でありますけれども、この中で土地改良の通年施行、これが二万ヘクタール、それから農協に対しまするところの委託耕作、これは実際上は休耕でございます。それからさらにえさの中に入っておりますところの青刈り稲、これが全体で二万五千ヘクタールに及んでいるわけなんでありますから、実際上減反目標というのが上回ったと言っておりますけれども、しかし、その中には九万三千ヘクタールというのが緊急避難的な状況の中に置かれている、こういうことでございますから、転作目標というのを消化するに至っておらぬわけなんであります。  そういうところへもってまいりまして、さらに第二期減反が十四万二千ヘクタール上積みされるということになりますと、さらに一層この傾向が強まってくるのじゃないか。そうすると、緊急避難的なものではないのだと言っても、農家はそれにこたえるわけにいかない、こういう状況になってくるのじゃないか、かように考えているわけなんでありまして、仮に転作をやるにいたしましても、非常に無理な転作目標というのがつくられているのじゃないか、押しつけられてきているのじゃないか、こういうことを私は指摘せざるを得ないわけなんであります。特に青刈り稲の場合におきましては、全国で、五十四年は一万三千八百ヘクタールであったわけなんでありますが、三十九万一千ヘクタールから五十三万五千ヘクタールへ面積をふやしたら、途端に青刈り稲というのが二万五千百五十九ヘクタールというふうにしてふえているわけなんであります。倍になっているわけなんです。  こういうことを考えた場合、いまのこの目標をこれから県の方に割り当てをするというのでありますが、これは、いままでの経過からいたしましてもこなし切れないという状況が出てくるのじゃないか、かように考えるわけなんでありますが、その点はどうお考えになっていますか。
  135. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度から水田利用再編対策がスタートを切ったわけでございます。その際に、ただいま先生からお話がございましたように、過去四十六年から四十八年まで稲作転換対策等をやりましたが、このときは単純休耕も認める、まさに緊急避難的ということで稲作転換対策をやったわけでございます。水田再編が五十三年度から始まります際には、むしろ、おおむね十カ年間の対策ということで、そういう意味では非常に腰のすわった姿で転作というものに取り組んでもらうということで私たちも申し上げたわけでございます。  ただ先生は、現実の姿として、それでは皆緊急避難的でなくごりっぱにいっているかということでございますが、確かに、この再編対策の一期の面を振り返ってみますと、御指摘のとおり緊急避難的な要素がまだ十分見受けら曲るということは否定し得ないと思います。しかし、今後、また明年度から第二期に入りますけれども、やはり麦とか大豆とかそういう転作の主力になるべきものにつきましては、御指摘もございますように一層転作定着性を高めるということでわれわれも努力をする必要があるというふうに認識をいたしております。したがいまして、各般転作推進に当たっての対策、たとえばいま青刈り稲が相当ふえておる、あるいは水田預託の状態になっております水田が相当あるということも現実でございますので、そういう面の解消ということで、極力排水対策等にも力を入れていくように心がけていきたいと思っております。  第二期におきましてはさらに十四万二千ヘクタール上積みになるわけでございますが、そういうことも考え合わせ、関連対策等の推進については十分力を入れていきたい、かように考えておるわけでございます。
  136. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いま私が申し上げましたように、また局長の方もそれは認められるわけなんでありますが、そこで具体的な例といたしまして、こういうことがあっていいのかということをひとつ大臣に聞きたいわけなんであります。  昭和四十年から新潟県の福島潟という潟の干拓が行われたわけなんであります。その福島潟の干拓というのは、もちろん、あの新潟県の平野の中の一番低いところでありますから、海抜マイナス六十センチということでございます。そして、これは大臣もお知りだと思いますが、五頭山という山から十三本の河川が流れ込むわけなんであります。したがって、この周辺の治水対策といたしましては、あの福島潟から日本海に放水路を一本掘削しなければならない。胡桃山のところに大きな排水機をつけなければ治水対策は全くできないという場所でございます。  そのところは四百数十ヘクタールの潟でございましたが、それを大体半分に割りまして、半分は水田の造成のための国営事業として取り上げられまして、十年の長い歳月を経て五十年にようやく完成したわけなんであります。したがって、十三本の河川が流れ込むわけでありますから、当然のこと、半分は干拓をするわけにいかぬということで、その半分のところへ承水路をつくって十三本の川を受けとめまして、その水を半分になったところの福島潟のところへ流出をさせる、こういうことで始まったわけなんでありますが、それでもまだ、放水路ができない限りにおきましては、周辺に二万数千ヘクタールの水田がありますので、そのまま干拓したところに水を入れないということになりますと、これは全体が冠水してしまうということで、洪水時期になって大変だという場合におきましては、干拓をしたその干拓地を遊水地に使う。そのために、全国の干拓地には例を見ないわけなんでありますが、八百メーターの溢流堤、要するにそういう場合においては八百メーターの水口をつくりまして、そして干拓地に水を入れて、その干拓地を遊水地に使う、こういう干拓をやったわけなんです。ところが、米が余るから開田の抑制をやらなければならない、こういうことが始まりまして、米をつくってはならないということになりましたが、その工事は水田造成のために五十年に完成した、こういう状況になっているわけなんです。  でありますから、こういうような場所で畑にしようといたしましても、畑にするわけにはいかない。何しろ海抜ゼロメーター地帯でございますから、そしてまた溢流堤もあるわけなんでありますから、水に強いところのものとしてやはり稲作以外にないじゃないか、こういうことで農民がここで稲作をやろうといたしましたところが、県や農林省は猛然として反対いたしまして、それにもかかわらずそこで耕作をやった者に対しては配分の取り消しということになりまして、そして大騒ぎになって警察機動隊も出てくるという騒ぎが起きたわけなんでありますが、その後、いまの内閣総理大臣の鈴木先生が農林大臣の当時でありまして、何とかおさめなければならぬということで、ようやくその福島潟問題というものは一応のピリオドを打って、そして米を低湿部にはつくっても差し支えないという決着がついたわけなんであります。  しかし現在、県の方では一定の場所を区画して、この中で米をつくるという案を出しましたけれども、もうすでに配分が終わっておりますので、みんなそれぞれの所有権というのは分配されているわけなんでありまするから、なかなか一定の区域に米をつくれなんと言われてもつくれないということでばらばらにつくったところが、今度は要するにその枠の外にはみ出た連中は、これは調停違反であるからたんぼの取り上げをやらなければならぬということで、また第二次の訴訟が起きて、いま法廷での闘いが進められている、こういう状態であるわけなんです。  私が指摘申し上げたいことは、ここで米をつくらなかったならば、せっかく配分を受けたところでその農地の維持をするわけにはいかぬ、こういう状態になっております。ここの経費も大分かさむのでありまして、ことしから今度は実は償還の時期に入るわけなんであります。それで反当、償還金が二万四千七百十二円、その他土地改良費等を入れますと三万六千七百二十九円ということになっているわけなんです。そのほかにいろいろな手入れをやらなければならぬということでありまするから相当な経費がかさむ。  そこで、ここに麦を植えたらいいじゃないかということで県の方でもいろいろ補助金なんかを出してやらせておりまするけれども、麦をつくっても、これは悪いところになりますと反当、何もとれない。まあせいぜい二俵、三俵、幾らよくとっても八俵、こういう状態であります。仮に八俵とったとしましても、八千円程度でございまするから、八、八、六十四の六万四千円。そして転作奨励金は一銭もここにはつかないわけでありますから、結局、麦をつくってもだめだ、野菜をつくってもだめだ、だから荒らしておくということです。荒らしておくと、今度はさらに償還金の請求が行われるということで、恐らく今月になりますと三条申請で今度は売買が始まる。その売買も、潟の中の仲間同士の売買なら話は別でありまするけれども、これがずっと三十キロも離れたところの農家に売り渡しているような状況が出始めてきているわけなんです。  要するに、この干拓をやるに当たりましてかかったところの経費は二十三億円なんであります。二十三億円も金をかけて、米をつくれば十二俵もとれるところに米をつくってはならない、他のものをつくればほとんど経済ベースに乗せることができない、乗せることができないから荒らしておく、荒らしておけば今度は土地改良の方から催促がくる、もうすでに差し押さえを受けているところの農家もあるわけなんです。こういうところにそれでも米をつくってはならない、こうなったならば、一体何のために二十三億円の金を投入したのか、国費のむだ遣いなんじゃないか、こういう問題であります。  もう一つは、せっかく増反計画というものを皆さんが考えられまして、そして規模の拡大を図ろうとしたら、ところがこういう状況では、規模の拡大どころか規模の縮小になる、こういう状態になっておるわけなんです。一体こういうやり方というのが果たして日本のためにいいのか悪いのか、福島潟をこれからどう始末をつけていかれるのか、その点を明らかにしたいと思うのです。
  137. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 水田は確かに米をつくるために造成したものでございますから、畑作に転換するというのは一般的にいろいろ問題がございます。特に福島潟の場合、低湿地帯でございますし、潟を埋めたということから水位が高い、そのために通常の場合よりも畑作転換は困難であるというふうには承知いたしております。ただ、全く不可能というような話ではなく、その点は努力すれば私はかなりの畑作転換は可能であるというふうに考えておりますし、現に麦について先生の見方と若干違った報告も受けておるのでございますが、ある程度の成果を上げておるというようにも承知いたしております。  それから、県といたしましては、全体の公平を確保するということから、いろいろ困難はございましょうが、増反で経営も拡大している福島潟の農家の方々にそれなりに分担していただくということでいろいろお願いして、現在の転換につきましては、これは種々交渉の経緯はございましたが合意を得て成立を見ているものでございます。一部の方に最終的な同意が得られず訴訟に至っているものが見られるのは残念でございますが、これは今日のような厳しい転換の必要とされている情勢のもとにおきまして、県当局もやむを得ずとった措置であるというふうに理解いたしております。  今後経営をどうやって持っていくのか、将来設計はどうかということでございますが、私ども、地域の全体の経営の中で複合化を図る、そして困難な話ではございますが規模拡大を実現していき、いまおっしゃられたような、確かに経費の償還の問題も楽とは申しませんが、その中でこなしていただくというふうに考えております。そのためにまた営農指導等いろいろ手間暇もかかることでございましょうが、県とも力を合わせてその再建というか将来の発展に努力してまいりたいというふうに考えております。
  138. 松沢俊昭

    ○松沢委員 時間が参りましたのでやめますけれども、農林大臣に聞きたいわけなんであります。こういうのはつまり無理な調整減反ということになるのじゃないですか。こういう現地の実情というのを無視した生産調整というのは決して農民のためにももちろんならぬだけじゃございませんで、国がせっかく金を投入してもその国費のむだ遣いになってしまっている、これだけははっきりしていると思うのです。だから、こういうこともあえてしていかなければならぬのが第二期減反政策なのかどうか、その点、これは大臣の方からひとつ御答弁を賜りたいと思います。  それからもう一つ、これは営農対策協議会というものをちゃんと開いて、そこで営農の問題で関係者が相談して決めていこうじゃないかと言っているのにもかかわらず、たった一回きり開きっ放しで、後はそのままほったらかして三年もきているわけなんです。これも農林省の責任なんじゃないか。だから即刻、営農対策協議会というものはこれは農林省がこの中に入っているのですから、県に督励して開かせて、そして現在のこのような、もう経営ができないという状態になっているものをどういうふうにして善処するか、その検討をやらなければならぬ時期に来ているのじゃないか、こんなぐあいに私は考えるわけなんです。ですから、この点につきましては局長から御答弁願いまして、そして大臣からはこんなことまでしてやらなければならぬのがいわゆる生産調整なのかどうか、これをただしたいわけなんであります。
  139. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先ほど来お話しのありましたように営農上種々むずかしい問題を抱えておりますのと、関係者の利害問題がなかなか対立しておるというようなことから、営農対策協議会というものが設けられて、関係者の間で相談が行われているわけでございます。一回限りということはございません、数回開いておりますが、いま私の手元にある資料を見ましても、最近におきましては確かにその開催、活発ではございません。営農については県当局においてもそれなりに責任を持って指導していかなければならない問題であると同時に、この問題、国もその立場から十分指導に努めてまいりたいと思います。ただいまの御質問、十分胸に置いて今後事に当たりたいと考えます。
  140. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 生産調整というのは、米の需給のバランスをとるということでやってきておるわけでございます。したがいまして、松沢委員の指摘された福島潟ばかりが米だけしかつくれないわけじゃなくて、そのほかにも、米しかできないようなところでも農家の諸君が自分たちの将来のことを考え協力してくださっておるわけでありますから、その辺も考慮しながら県当局もいろいろと指導されておるやにも聞いておるわけでございますから、やはり何としても第二期水田利用再編対策は、本当に米の消費が急速に増加しない限りはこれはもうやらざるを得ない、こういうことを私は強く申し上げなければならぬ、こう思う次第でございます。
  141. 松沢俊昭

    ○松沢委員 終わりますが、大臣、それはそんな無理なところかどうか、一度ぜひ見ていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  142. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いまここでいつ行くということも予定がつきかねますので、よく日程を検討してみたいと思います。  松沢委員御承知のように、北海道でも九州でも沖繩でも、とにかく農林大臣、来てみなければわからぬというところが全国にあるわけでございます。そういう事情もひとつよく御理解いただき、私といたしましても、できることならすみからすみまで行ってみたいな、こういう気持ちはありますけれども、なかなか日程を生み出せるかどうか、これは検討させていただきたい。
  143. 田邉國男

  144. 小川国彦

    小川(国)委員 私は農林漁業の問題に関連をいたしまして、千葉県の埋め立ての問題について質問をいたしたいと思うわけであります。  御承知のように東京湾一帯は、大変多くの漁民がそこでノリとか魚介類をとって生活をしておったわけでありますが、東京湾全体の埋め立てが進む中で次々と漁民は漁場を放棄して、そうして漁業生活をやめざるを得ない、そういう状況の中で東京湾埋め立てというものが進んでいったわけであります。  私がここでお伺いをいたしたいのは、千葉県の浦安町におきまして昭和三十七年に第一次の漁業補償が行われました。総額七億二千六百四十五円、一人当たり四十三万円という漁業補償がなされ、ほかに一人当たり百坪の土地が漁民に与えられたわけであります。その後、昭和四十六年に総額百四十九億六百万円ということで漁業補償の全体の補償が妥結をいたしまして、このときに総額で三十七億円、漁民一人当たりにすると約八百万円という金が支払われたわけであります。  この金を得た漁民がどうなったかといいますと、大変残念なことに、その漁民のその後の追跡調査によりますと、預貯金にしたり貸し家を建てたり船を購入した漁師というのは三〇%で、あと七〇%の漁民は何となく使ってしまった、あるいはばくちで使ってしまった、こういう状況にあるわけです。  そういうように、国の政策として漁民に漁業補償をして海を埋め立てて新しい国土をつくって、その土地をまた国家的な使命を持った土地として生かしていく、こういう意味で漁業補償がなされ埋め立てが行われたわけです。浦安町では御承知のように約二百万坪の公有水面の埋め立てが行われまして、その中でオリエンタルランドというアメリカのディズニーランドに似た遊園地会社を設立して、その遊園地をつくるために、百三万八千二百坪という大変広大な面積の遊園地を建設する、こういう目的の埋め立て申請に対して、国も県もこれに対して承認あるいは認可を与えたわけであります。  このオリエンタルランドの百三万八千二百坪というものは世界に前例のない遊園地でございまして、アメリカのディズニーランドですら七万坪、こういう面積でございますが、その実に十五倍もの大きな面積の遊園地埋め立てを許可したわけでありますが、最初にきょうおいでになっている建設省の河川局の方から、この百三万八千二百坪という膨大な土地の埋め立てを遊園地建設という目的で許可をされたわけですが、これがこのとおり建設されるというふうにお考えになっていたかどうか、限られた時間でございますからひとつ簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  145. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 公有水面を埋め立てます際には、まず公有水面埋立法によりまして知事に免許の申請がなされるわけでございます。そこで知事がいろいろな条件を審査しまして免許するという手続になりますが、一定の要件に該当するものにつきましては、さらに、港湾区域ですと運輸大臣でございますが、一般海域は建設大臣の認可が要るということで、私どものところに上がってくるわけでございます。  御質問の浦安地区の埋め立てにつきましては、一般海域でございますので、知事が免許相当と判断しまして建設大臣の判断を仰いできたわけでございますが、当時計画は適切である、こういう判断をしまして認可をしたという経緯でございます。
  146. 小川国彦

    小川(国)委員 くどいようですが、そのときは百三万八千二百坪が遊園地目的に利用される、その計画が適切である、こういうふうに判断をされて許可をなすったわけでございますね。
  147. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 主たる地区、A、B、C、D、E、Fと六地区に分かれておりますが、いま問題になっておりますオリエンタルランドの該当する地区は浦安沖のC地区というところでございますが、これにつきまして、公有水面の面積で約二百八十六ヘクタールについて埋め立てたいという計画が出てまいりました。そこでいろいろ審査しました結果、C地区は三つの工区に分かれておりましたが、その第三工区につきましては、建設大臣としてはその埋立地のうちの少なくとも三分の一、七十七万平方メートルを公共的な住宅用地として利用することという条件をつけまして知事に対して認可しましたわけでございます。したがいまして、先ほど言葉が足りませんでしたけれども、百三万坪全部が遊園地ということを適切と判断したわけではございませんで、いま申し上げました少なくとも七十七万平方メートルについては公共的な住宅用地として利用してほしい、そういう条件をつけて認可したわけでございます。それを受けまして、一応事業者でございます千葉県の企業庁におきまして、この大臣認可を充足させるための変更の許可申請が提出されまして、昭和四十三年の十一月二十六日付で許可しております。  そういうことで、先生御指摘のように百数万坪全部が遊園地、これが適当であると建設大臣が判断したわけではございません。
  148. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっと水政課長理解が違うのでございますが、もっと流れを追って申し上げますと、百三万八千二百坪の埋め立て許可申請があって、そしてそのうち四十万坪を住宅用地としてこれを目的変更させて使わせる、残りの六十三万坪を遊園地とする、そしてその後、その中から二十三万坪というものを公共的住宅用地として指定する、こういう流れになっていると思うのですが、その点建設省の方で、その百三万坪から四十万坪引いていったという、そういう経過は御存じないのですか。
  149. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 オリエンタルランドに千葉県の企業庁から分譲しました土地の総面積は、先生おっしゃるとおり百三万八千数百坪、こういうことになっておりますが、ただいま私が申し上げましたのは、そのうちのA、B地区につきましてもオリエンタルランドにいっておりますが、主としてC地区のことを御説明申し上げた関係で若干数値が食い違っております。  ただ、当初に契約しましたのは昭和三十七年の七月十二日でございますが、そのときの予定としましては、住宅用地として、坪で申し上げてよろしいのかどうかわかりませんけれども、約四十万坪、それから遊園地の用地としては七十五万坪、計画段階ではそういうことでございました。これがいろいろ日を追って途中で変更等もございましたが、最終的におさまったかっこうとしましては、住宅用地は四十万坪、それから遊園地用地は六十三万八千坪、こういうふうなかっこうで企業庁からオリエンタルランドに譲渡がなされておるわけでございます。
  150. 小川国彦

    小川(国)委員 一番最初に、もちろん建設省の大臣に埋め立ての認可申請がなされたわけですが、そのときの数字はA、B、C地区全部含めますと百三万坪ではなかったのですか。
  151. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 先生おっしゃられているのは、将来オリエンタルランドにどのくらいいくかということでおっしゃられているのかもしれませんけれども、私どもとしては千葉県の企業庁に対しましてA、BあるいはC地区ということで免許しておりますので、その辺の数字がぴたり合うかどうか、ちょっとこの場ではっきりは申し上げられないわけでございます。
  152. 小川国彦

    小川(国)委員 最初にオリエンタルランドの埋め立て許可の遊園地は、あなたの答弁だと七十五万坪、それから住宅用地四十万坪、こういうことなのですが、計画の当初からそうではなかったのではないですか。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕 この点は、それでは後で調査をして御返事を願いたいと思います。時間が限られていますので。  それでその中で、そうすると建設省の方は、四十万坪というものは、どういうことでオリエンタルランドに住宅用地として四十万坪を認めるということになったわけですか。
  153. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 オリエンタルランドにその当時譲渡が予定されておった上でやったかどうか、ちょっとはっきりしませんが、オリエンタルランドに住宅用地として分譲するという前提でやったということは、オリエンタルランド自体が住宅団地としまして造成し、それをさらに住宅を建てて住宅の用に供する、そういうことで免許、それに先立つ認可を行っているわけでございます。
  154. 小川国彦

    小川(国)委員 答弁ができないのじゃないですか、あなた。ですから、私は河川局長なり建設省として責任をもって答弁できるような体制をつくっていらっしゃいと言ったわけです。  非常に細かい数字があるのであれですが、では、仮にあなたが言った数字で、七十五万坪をオリエンタルの遊園地、四十万坪を住宅用地ということでありますれば、その四十万坪というものはオリエンタルランドに、どういう住宅を建てて、どういう住宅用地に利用して、そして七十五万坪の遊園地をどういうふうにつくっていくのか、そういうことは当然その埋め立ての許可申請があったでしょうし、その許可申請に対して——あくびをしているのじゃないですよ、あなた。しっかり聞きなさい。どういう目的でその四十万坪の住宅用地というものはオリエンタルランドに埋め立て許可をしたのか。しっかり答弁してください。
  155. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 先ほどから申し上げておりますように、この免許は千葉県の企業庁に対してしておるわけでございます。オリエンタルランドに対して直接しているわけではございません。それから住宅用地とする場合あるいは遊園地用地として認める場合、やはり具体的な計画というものは、その後竣功をした後に必要があれば知事の許可なりあるいは開発許可と申しますか、そういうものを受けて具体化していくということでございまして、埋め立ての段階で詳細な計画について、たとえば住宅用地ですと高層用地であるとかあるいは低層住宅用地と、そこまでの用途を指定して許可しているわけではございません。
  156. 小川国彦

    小川(国)委員 これは答弁にならないですよ、あなた。その埋め立て許可を与えるのに、その内容は——企業庁に対して許可を与えたと言ったって、どういう目的のためにこの国土を埋め立てていい、海を埋め立てていいという許可をするわけでしょう。ですから、四十万坪住宅用地として許可をしたというなら、それはどういう目的で住宅用地として埋め立て許可をしたのかと聞いておるのですよ。そういうことなしに、盲判で大臣の決裁、押すわけではないでしょう。どういうわけで大臣はその埋め立て認可を与えたのか、それを聞いているわけですよ。
  157. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 たびたびどうも申しわけありません。地区と申しますか、浦安沖全体につきまして大体用途別の配分をしてまいりまして、その中で地区にしますと、A、B地区では主として住宅、あるいはほかの地区では工業地域を生み出すというようなことが行われるわけでございますが、その中でC地区につきましては住宅用地を四十万程度確保するのが適当である、こういう考えに立って認可をしておるわけでございます。  それで、では、どういう住宅を具体的に建てるのかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、そこまで細かいところは審査はしてないということでございます。
  158. 小川国彦

    小川(国)委員 それではその四十万坪は、その後どういうところにその土地は売られていったか、それを教えてください。
  159. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 ただいま手元にその詳細な資料を持っておりませんので、後ほど調査いたしたいと思います。
  160. 小川国彦

    小川(国)委員 これでは困るのです。私は委員部に、建設省のきょうの答弁は、水政課長、いま来ている課長だけでは私の質問に答弁できないのではないか、だから河川局長とか責任ある建設省の者が答弁に来なければ答弁ができませんよということを申し上げてあるのです。それですのに、課長で十分答弁ができますからということで参っているわけなんです。埋め立ての認可を与えた建設省が、その認可を与えた土地がその後どういうふうに処分されていったかということも全く把握してなくて、それが何の目的に使われたかもわからない。ただ必要だからという、そんなことで大臣決裁がおりるはずがないでしょう。どういう住宅用地にして、どういう利用をしていくためにこれは許可を与えるのだという決裁書があるはずですし、埋め立ての許可申請書があるはずですし、そういうものを見ていらっしゃれば、四十万坪はどういう目的に基づいて申請がなされ、そして許可をして、その土地はその後こういうふうに申請どおりに利用されています、そういう事後の説明ができなければならないわけでしょう。許可しっ放しでいいということですか。その答弁ができない方が来られたのでは、これは審議ができないですよ。国会軽視もはなはだしいですよ。
  161. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 先生の御質問に的確にお答えできないでまことに申しわけないと思っておりますが、その食い違いは、私どもが先生の質問の趣旨を十分に把握していなかったということでございますので、後日調査しまして御報告申し上げたいと思っております。
  162. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一度参考に申し上げますが、私のところには、建設省が埋め立て許可を与えた千葉県浦安沖の埋め立て免許の経過の概要というのがありまして、免許申請がいつ県の企業庁から、たとえば昭和三十八年五月三十日に千葉県の企業庁から免許申請が出て、大臣の認可申請は昭和三十八年十一月二十日にあって、大臣認可は昭和四十三年五月十三日になされたへそういう免許の許可申請から認可から、それが全部流れを追ってあるわけなんですよ。その中で、埋立地の百三万坪の中で六十三万坪が遊園地用地、四十万坪が住宅用地、私は内容を知っておりますけれども、少なくとも許認可庁である建設省がその内容説明できないということでは困ると思うのです。国会審議できないと思いますよ。
  163. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 ただいまおわび申し上げましたように、先生にお出ししました資料に即しまして一生懸命勉強してまいったつもりでございますが、先生の御趣旨に必ずしも沿えなかったという点は申しわけないと思いますが、C地区について申し上げますと……
  164. 小川国彦

    小川(国)委員 それを聞いているのじゃないのです。全体について、少なくとも四十万坪という広大な面積の埋め立て許可を与えて、住宅用地として許可したのですから、それがどういう住宅用地なのか。あなたはほかのところについて公共的住宅用地なんて答弁しているのですが、それはとんでもない全然また別なところの答えなんです。私は、四十万坪の許可を与えたその内容はどういうことなのかということを聞いているのです。
  165. 津島雄二

    ○津島委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  166. 津島雄二

    ○津島委員長代理 速記を起こして。
  167. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省の河川局というのは、公有水面の埋め立て許可を与えている官庁なんです。浦安地区はA、B、C、Dと埋め立て地区があるのです。私はまず全体のA、B、C、Dをとらえて質問をして、それからC地区の質問をしようとしているわけです。許可官庁がC地区のことしかわからなくて、A、Bのことを聞かれたら答えられないということでは困るわけですよ。許可官庁なんですから、AもBもCも全部許可してきているわけですから、全体をどう許可してきてCをまたどう許可したのか。私が資料をもらったのは、Cだけ出したからCだけだと思ったということでは、この浦安町の全体、まず二百万坪から百万坪になり、それから今度はだんだんと小さくなっていく過程、それが河川局長が来れば答弁できるはずだから、少なくとも答弁できる態勢をつくってくださいよということを私は言っているわけなんです。
  168. 佐藤毅三

    佐藤説明員 再々御質問いただいて恐縮でございますが、実は私どもの方で申しておりますのは、埋め立ての免許をいたしますときには、先生御承知だと思いますが千葉県の企業庁、千葉県知事でございますが、千葉県知事に対して免許を与えるという形で私ども建設大臣としても認可をしておるわけでございます。その段階ではA地区、B地区、C地区、D地区とございまして、A地区では住宅用地が百三十八ヘクタール、B地区では七十八ヘクタール、C地区では二十一ヘクタールというふうにあるわけでございます。先生がおっしゃっておる四十万坪というのは、その中で埋め立ての竣功後に一部オリエンタルランドに譲渡をした面積が四十万坪であるということで、それを取り上げておっしゃっておるようでございますが、竣功認可後にどこへ譲渡したかということにつきましては、もちろん私どもも把握はしておりますが、建設大臣として直接関与すべきところではないわけでございます。そういうことで若干資料の整理が本日は十分にできていなかったということでございますので、事情ひとつ御了解いただきたいと思います。
  169. 小川国彦

    小川(国)委員 了解できませんですね。A地区、B地区、C地区、一つの会社に全部免許を与えているわけですよ。認可を与えているわけですよ。ですから、四十万坪というのは全体を通しても一つなんですよ。ですから、その四十万坪がその後どういうふうに転売されていったかという経過もあるわけで、あなた方は認可をしてしまった後はどこに売ったかは知らないことだというので、それはそれでいいですよ。しかし少なくとも全体の百三万坪の埋め立て計画というものについて、当然大臣のところに、これはまず遊園地でやりたいということの計画申請がなされているわけですよ。よく資料を探してごらんなさい。百三万坪出して六十三万坪というものが遊園地で、その後四十万坪を目的変更して住宅用地にして売ってしまったのですよ。そのことが私がこれから指摘する大きな問題点になるわけなんです。  では、もう一つ参考に伺いますが、あなた方の方では坪幾らでこの埋め立て許可を与えましたか。
  170. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 埋立地の処分価格については承知しておりません。
  171. 小川国彦

    小川(国)委員 一体大臣は、たとえばあなたの方のある資料で言いますと、建設省はある一つの埋め立て許可については、昭和四十三年の五月十三日に建設大臣が、さっき課長が答弁したように、たとえば「第三工区については、埋立地のうち少なくとも三分の一を公共的な住宅用地として利用すること。」七十七万平米については公共的な住宅用地として利用すること、こういうような条件までつけているのですよ。それから、工事はこういうふうにやれというような条件までつけているのですよ。公共的な住宅用地とせよというような条件をつけているからには、ここは坪当たり幾らでできるところだから公共的住宅用地として使えという指示を出しているわけでしょう。土地の坪計算とか立地条件とかは検討されないのですか。この埋め立ての坪当たりの単価は幾らというようなことの数字も把握されていないのですか。
  172. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 免許申請の際に、全体工事費というのは出てまいりますが、いまちょっと手元資料がございません。それから、仮に分譲する場合にそれが幾らで売られるかということは、申請の内容にはなっておりません。
  173. 小川国彦

    小川(国)委員 これはしようがないですね。ちょっと質疑できないですね。幼稚園生に教えるような話になってしまう。質疑をちょっととめてください。
  174. 津島雄二

    ○津島委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  175. 津島雄二

    ○津島委員長代理 それでは、速記を始めてください。
  176. 小川国彦

    小川(国)委員 どういたしましょうか。建設省側に答弁の準備を願って、全然内容を答弁されないうちに時間が過ぎてしまいましたので、同僚のほかの党の議員の方の質問もありますから、もう一遍私の質問趣旨を申し上げる……  それからもう一つは、建設省の方にも厳重に注意していただきたいのは、私が再三、きょうは局長が出なければ答弁できないのじゃないかということを申し上げているわけですよ。総括的な判断ができないと答弁できないのじゃないかと何遍も繰り返して私が申し上げたことに、国会軽視で、担当課長で十分答弁できます、そういうような態度をとった結果ですから、だからこれについては、河川局長なり建設大臣なり建設省の責任ある人が来て、仮に同僚議員の質問が終わってから私が質問するときに答弁できないということがないような、そういうきちっとした体制をつくってもらうということと、委員長に、同僚の議員に御迷惑はかけられませんから、この皆さんの質疑が終わった後で、私に与えられた時間をもう一度お願いしたいと思います。
  177. 津島雄二

    ○津島委員長代理 委員会として建設省にお願いをいたしますが、小川委員の質問に対して、責任を持って資料を添えて対応していただきたいと思います。  それでは、質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
  178. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 米の二期対策につきまして、付属した二、三の問題について、時間の許す限りお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、アメリカの大統領がかわりますので、来年の一月二十日ごろからでしょうけれども、かなり対日政策が心配をされるだろうというふうに考えるわけであります。アフガン以来対ソ輸出問題等が、これから強いアメリカというふうな打ち出しのレーガン政策のようでございますので、これが解禁になりますと、やはり大きな変動が日本にも及ぶだろうというふうに考えているわけです。  第一番目に、対日政策について変化はないのかどうか、政府が情報を集めておられます範囲で結構でございますので、まだ仮定の話ではございますが、危惧の念を持っている関係上お尋ねをするわけですが、この点をお尋ねをいたしたいと思います。
  179. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  共和党政権の農業政策の基本につきましては、私ども情報を得ております限りでは、基本的に申しまして余り相違はないのじゃないかというふうに考えておりますが、なお、レーガン次期大統領の選挙中の主張等をつぶさに検討いたしますと、今回の共和党政権になりました場合の農業政策の特徴という点から申しまして、一つは、できる限り政府による介入あるいは規制を排しまして、市場原理による農産物価格の形成を通じまして農業所得の増大を図るというのが一つの方向であろうと思います。それから第二は、対外的には農産物の輸出の拡大を進めるという点が大きなポイントではないかというふうに考えられるわけでございます。  ただ、現在日米の農産物貿易につきましては、MTN交渉もございますので特別の問題はないわけでございまして、共和党になりましてもこのような基調に急速に大きな変化が起こるということは考えておりません。ただ、新大統領になられる方の基本的な方針といたしましては、具体的な施策につきましてスタッフにゆだねられるということがございますので、今後農業関係のスタッフの主要な方々が御決定いたされるということになりましてから、次第にその方向が明らかになるということが考えられます。したがいまして、その状況については十分注目をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  180. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 対ソ禁輸の措置等が私は問題だろうと思っていまお尋ねをいたしておるわけでございますけれども、輸出割り当て等で輸出の制限措置がとられることが日本にどういうふうに影響してくるかはこれからの問題でありますが、まず飼料の原料の値上がりに伴って日本の配合飼料価格が上がってきておりますし、畜産農家の経営が圧迫されるのではないかという点で私大変心配をいたしているわけです。それでなくても来年度も値上がりがすでに決まっているようでございますので、そういう点の影響も踏まえて、レーガン政権そのものでなくても、影響力が日本に大きく作用して、特に畜産農家等への影響が大きいのじゃないかというふうにとらえているのですけれども、この点いかがでございますか。
  181. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 確かにレーガン大統領が候補でおられましたときに、特に対ソ穀物禁輸につきましては解禁をするということを公約なすっておられたことは事実でございます。しかしながら、現在のところアメリカの国内で相当インフレが進行しているということと、それから穀物の国際需給が逼迫しておりまして緩和する状況にないということを考慮いたしますと、やはり国内のインフレということを防止するという、そのような考え方のもとにおきましては、そう簡単に禁輸を解除するという方向に踏み切られるということはなかなかむずかしいのではないかという感じがいたします。  ただ、先生御指摘のように、国際的な需給情勢は、特に穀物、その中でもトウモロコシ等の飼料穀物を中心にいたしましてかなり需給が逼迫しているということは事実でございますので、基本的な基調として、日本の畜産農家にも影響を与えるような形での需給情勢の緊迫化ということは考えられるというふうに思う次第でございます。
  182. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 十二月九日、十日に日米食糧協議というものが開かれるようでございますけれども、政府はこれに臨まれるのにどのような方針でお出になられるのか。
  183. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 十二月九日と十日の両日にわたりまして、ワシントンで日米間の農産物に関する協議が持たれるわけでございますが、この協議は、一九七五年にいわゆる安倍・バッツ合意と言われました合意がございまして、これが三年間の有効期間の後に失効いたしております。この合意にかわる措置ということで、昨年五月の大平総理の訪米の際に、日米共同声明に基づきましてこの協議が設定されたということでございまして、今回が二回目になるわけでございます。  この協議は、日米両国が農産物貿易に関する相互理解と関係の改善推進するために、穀物等の需給状況について情報の交換を行うということになっております。今回の会合におきましては、先ほど私も申し上げましたように、粗粒穀物あるいは大豆等につきまして相当世界の情勢が逼迫してまいっております。したがいまして、明年度のわが国における穀物等の需給事情あるいは世界の全体の穀物事情、さらには日本国の輸入の必要量につきまして十分にディスカッションもいたします。また情報も提供いたしまして、米側から安定的な供給を要望するということが非常に大きな目的でございます。あわせて、この点につきましては、レーガン政権に行政が引き継がれた場合におきましても、それを引き継いでもらえるようによく話してまいるつもりでございます。  またさらにこの機会を利用いたしまして、先般農政審議会から御答申のございました「八〇年代の農政基本方向」及び農産物需給見通しについてもアメリカ側に十分説明をしてくるというつもりでございます。
  184. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 本来の二期対策に入らせていただきます。  来年度からの二期対策について、転作目標面積は原案どおり来年度から三カ年間固定した十四万二千ヘクタール増の六十七万七千ヘクタールにしたわけですが、来年度に限って、冷害を考慮されたのか、四万六千ヘクタールの緩和、したがって六十三万一千ヘクタールにされておるわけであります。この問題が一つと、転作奨励金の問題で、いわゆる基本額を現行より五千円引き下げる。野菜については一万円。それから計画加算額も現行より特定作物、永年性作物で五千円、一般作物で二千五百円それぞれ引き下げる。新しく団地化加算制度を設けて七千五百円から一万円を加算する。それから団地化加算要件等の問題。概略申し上げましたが、その中で、午前中からいろいろ質問が出ておりますけれども、私は私なりにお尋ねをいたします。  来年度に限って四万六千ヘクタールの緩和という、この四万六千ヘクタールの緩和の背景と申しますか、その数にとらわれているわけではないけれども、大臣が被害農家救済と言うので、私どもも何回も凍結の申し入れをいたしたわけでございます。それにもかかわらず、避けて通れないということで四万六千ヘクタールの数が出たのだろうと思います。その数そのものに私は疑問を持っているわけじゃないけれども、来年度どこを基準にそういう緩和の四万六千が出てきたのか、この背景を明快にお答え願いたい、こう思います。
  185. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期の転作等目標面積、これは六十七万七千ヘクタールということでございますが、特に初年度当たります五十六年度につきまして、四万六千ヘクタールの目標の緩和をすることにいたしたわけでございます。  問題は、この四万六千ヘクタールの緩和というのをいたしました背景といいますか趣旨と申しますか、これを申し上げますれば、結局水田利用再編対策といいますものは、これは何といいましても農家の方々の理解協力を得て進めなければならない、こういう性格のものでございます。今回全国的にわたり、しかも非常に深度の深い災害を冷害を中心として受けたわけでございます。したがいまして、この初年度につきましては何らかの配慮というのが必要ではないかという背景があったわけでございます。したがいまして、需給上これが緩和をすることによりまして三たび過剰を出さないという角度からいたしますと、問題が出るというのでは困るわけでございますけれども、そうでない範囲内におきまして何らかの配慮措置を講じて、理解協力を得ながらこの二期の対策というものを軌道に乗せてスタートさせていきたい、そういう背景で四万六千ヘクタールを軽減するということを考えたわけでございます。
  186. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 来年度から三カ年ということですけれども、四万六千ヘクタール、いまのところでは五十七年、五十八年にその分の上乗せは絶対になさいませんね。
  187. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十六年度に四万六千ヘクタール軽減をいたします。これに見合いまして事前売り渡し申込限度数量は二十五万トンふえる、こういう角度になるわけでございます。  問題は、そういう措置を五十六年度とる、そうした際に五十七年度なり五十八年度にその身がわりのことをやるのかというお尋ねでございますが、それは五十六年度で軽減しっ放しということで配慮をしたい、こう考えております。
  188. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 これも午前中からそれぞれ質問がございましたけれども、転作奨励金基本額を現行よりも五千円引き下げるということは、奨励金そのものに対する軽視であると考えているわけです。三年前に第一期の対策のときに、奨励金の問題で、こういう形になるだろうと心配して何回も質問したわけですが、この五千円引き下げの背景と申しますか、団地化加算ということをおっしゃるでしょうけれども、基本額の引き下げに対する背景を明確にお答え願いたいと思うのです。
  189. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期の奨励補助金につきまして検討をいたしました結果、基本額の方につきましては五千円引き下げることにいたしたわけでございます。  問題は、検討当たりましては、当然主要な転作作物であります麦とか大豆等と米の所得関係、相対収益性と申しますか、そういう面の関係等を見ますとともに、転作定着性の一層の推進という観点等を考えたわけでございます。基本額はこの転作農家すべてに交付をすることになるわけでございます。これはおおむね十年間で進める対策でございまして、いよいよその第二期ということでございます。したがいまして、これを定着性のある形で考えていかねばならぬだろうということで、計画加算のほかに団地化加算ということで従来の計画加算制度見直したわけでございます。これも定着性を高めるという角度で物を考えたわけでございます。  そういう際に基本額というものにつきましては、いろいろ第一期の実態を振り返りますと、余り定着性のない形でやっておる、緊急避難的だとか擬装転作だとかいろいろ御批判もございます。そういうことも頭に置きまして、やはり二期の場合には、定着性を高め、しかも米との相対収益性は十分考えたものとしてこういう水準、体系を考えたわけでございます。
  190. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その団地化加算転作水田の中身ですが、連担でなければ奨励金を出さないということですけれども、連担をどのような形で、内地と北海道とそれぞれ違うようでございますけれども、簡単で結構ですから御説明を願いたい。
  191. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 団地化加算といいますものをこのたび新設しようということで計画をいたして考えておるわけでございます。この団地化加算につきましては、現在の計画転作でもいろいろ団地化というものを推進はいたしておるわけでございますが、実態を見ますと、完全な地続き、そういう面からしますとまだまだ不十分な面もございます。したがいまして、団地化の質を高めた形で、真に定着性のあるような転作をやっていただきたいという角度でこの団地化加算制度考えたわけでございます。  その際に、要件といたしましては二つございます。一つ団地規模等に関します要件、もう一つ作物に係る要件というふうに考えております。  団地規模等に関する要件でございますけれども、一つは、三ヘクタールというものが計画地区内の転作田としてあります際に、都府県は三ヘクタール以上の連担団地があればよろしい、これに対して北海道の場合は九ヘクタール以上の連担団地ということで、三倍の規模で一応考えたわけでございます。それからもう一つは、三ヘクタールといっても、都府県の場合でも土地条件その他でなかなかまとまりづらい問題もございます。したがいましてこれにつきましては、一ヘクタール以上の連担団地でございまして、これらの面積の合計がその計画地区の転作実施水田の三分の二以上になる場合に、それぞれの連担団地につきましてこの団地化加算を交付する、言うなれば複合団地型というものも考えたわけでございます。この場合は、北海道は三倍ということで三ヘクタール以上の連担団地考えております。それから、山間地はそれもなかなかむずかしいという話もございます。したがいまして、この連担団地の物の思想の中におきまして、山間地につきましては先ほど一ヘクタールと申し上げたところは〇・七ヘクタールということで緩和をする、団地規模要件は現在そういう考え方で詰めていきたいと思っております。  作物に係る要件でございますが、この連担団地で栽培されます転作作物原則として二作物というふうに考えておりますが、二ヘクタール以上の連担団地につきましては三作物、それから、畑作物でございますので輪作体系が必要なわけでございますが、そういう輪作体系の面から見てどうしても作物を増加することが必要だという向きにつきましては、知事と農政局長等との協議によりまして作物の数をふやすことも可能な道を開きたい、かように考えております。
  192. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その連担、合わせるという場合に、真ん中に、道路ぐらいはいいでしょうけれども、何か鉄道が走っておるとそれは連担と認めないというふうな説明をちょっと読みましたけれども、その連担、つながっていないと認めないという意味は、道路くらいは——その道路の幅も影響するのですか。
  193. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 連担団地ということで物を考えます際には、営農的な視点からいたしましてやはりまとまりを持った集団的な栽培を頭に置いているわけでございます。したがいまして、そこに農道が通っておるあるいは用排水路が通っておるということだけで、別に営農をやります際に支障がないというものにつきまして、それは連担ではない、地続きではないということは考えるつもりはございませんが、確かに、高速道路とか鉄道とかがございまして、団地的なまとまりとしてのいろいろな栽培をやるという面につきまして支障があるものについてはどうかなということでございます。  ただいま幅員はどのくらいだというお話まで出たわけでございますが、この面につきましては、さらに詰めさせていただきたいと思っております。
  194. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 地域振興作物加算制についてお尋ねいたします。  来年度から地域振興作物加算制度も新設されて、原則として一つの県で一つ作物というふうに言われているようですが、このような形で進みますと、私の千葉県等で、南の暖かい方では落花生などがつくれるようなところもありますし、花卉栽培等も盛んでございます。あるいは山間地等でも、前にも問題にしましたミョウガ等の特産物もあるわけですが、そのような場合に、一つ作物だけでは地域振興作物としての奨励金にはちょっと足りないのではないか。知事から要請があれば二、三作物、それ以上でも認めてもらえないものだろうか。これから検討のようでございますけれども、これはどういうお考えですか。
  195. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 地域振興作物加算制度といいますものを第二期の奨励補助金の世界の中で考えたいということでございますが、その際に、一県一作物というのは厳しいではないかという御指摘でございますが、地域振興作物という際に、いろいろあろうかとは思います。ただこれにつきましては、一応わが県は何というふうに、やはり一つぐらいでどうかと現在考えております。  ただ問題は、先生いま御指摘のとおり、県で一つといいました際も、県の中でも農業地帯といいますか、これがいろいろ変わっておるわけでございますから、そういう農業地帯別にも、一つ作物でございましても南の方は何、北の方は何というようなことでやり得るような弾力性を持たせていきたいということで検討しておるわけでございます。
  196. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 きょうは文部省の方もお呼びしておきましたので、時間がありませんので先にそれをお尋ねしたいと思います。  私、米の消費について常日ごろ関心を持っておりますし、この前も二期対策で大臣に党として申し入れをしました際にも、重大な点ということで米の消費を一項目加えておいたわけですが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。  今後の消費の問題は大きな問題だろうと思います。これがなくては二期対策を幾らやりましてもまた大きな障害にぶつかる。何回も何回も委員会で取り上げてまいりましたけれども、根本的打開策がないがゆえに、消費の減退ということで大変問題が大きいという点を取り上げてまいりたいと思います。  六十五年の転作政府の計画どおりいたしますと、七十六万ヘクタールに抑えよう、こういうふうに農政審の答申にも出ているわけですが、果たして抑えることができるのかどうか、少し甘いのではないか。このままいけば、七十六万ヘクタールでとどまらずふえていくのではないかという感じがいたしているわけです。米の消費の減少傾向というものをどこの付近で抑えようとなさっておられるのか、果たして政策として減少傾向をとめることができるのかどうか。  これは当委員会だけで論議するのではなくて、国全体の産業構造のあり方ということで考え直さなければならぬときが来ているのじゃないか。価格も問題でありましょうし、農業の一定の形を保つという点では環境づくりも大事ではございましょうし、そういう点で、政府はどのような見通しを持っておられるのかをまず最初にお尋ねをいたします。
  197. 松本作衞

    松本(作)政府委員 米の消費につきましては、ただいま御指摘のように、今後の需給均衡を図る上におきまして非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございますが、国民生活の今後の動向を客観的に考えますと、米の消費の減少というものは避けられないというふうに考えておるわけでございます。そこである程度政策的な努力をいたしまして、今後の需要といたしまして六十五年に約一千万トン程度のものにとどめていきたいというふうに考え、そういう前提に立って長期見通しを作成したところでございます。  したがいまして、この長期目標の線を達成するためには、消費拡大の努力を各方面にわたっていたさなければならないというふうに考えておりまして、現在地域ぐるみの消費拡大運動または学校給食の推進ないしは米の加工食品の拡充その他、この消費の拡大のためのできる限りの努力を続けていきたいと考えておるところでございます。
  198. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そこで学校給食の問題でございますけれども、これは何回も指摘して、私は予算委員会等でもお願いをしたわけですけれども、そもそも学校給食のあり方というものは、発足当時から見まして、米がないので、食べ物がないのでやむを得ずパンということになったと思うのです。これは歴史に書いてありまして間違いないわけであります。いまこれほど米があり余っているときでも、依然として最初に出発した当時の定着化というのは恐ろしい力を持っているわけです。やはり少年期の原型というものが一生を支配すると私は考えております。したがって、学校給食も根本的に考え直さなければならぬのじゃないか。何かあっちに遠慮しこっちに遠慮して、また同じようなことを繰り返しているというふうなことが私は納得できないわけであります。  そこで、今度農政審の方でも日本型食生活等で明確に述べられてはおりますが、私、十七日でございますか大臣に申し入れをしたときに、大臣室で大臣が、米の消費についてどの教科書にも全然出ていないと、校長さんみたいなことをおっしゃっておられました。私も教育の現場に二十数年おりましたから、そういう面での関心は特に高いわけでございますけれども、一年生から六年生、それから中学校の一年から三年、いわゆる義務教育において、米の大切さといいますか、米の消費というのはちょっと言葉が子供にどうかと思いますけれども、大変おいしいお米ということで教科書で扱ったところがありますかどうか、文部省お見えになっておりましたらお答え願いたい。
  199. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 文部省から答える前に一言申し上げておきたいと思います。  指導要領、それから小学校の教科書、中学校の教科書に、農業、水産業のことはよく取り上げてあるわけでございます。またその中で米のこともよく書いてはございます。生産調整のことまで指摘してあるわけでありますが、農林大臣として願わくは、モンスーン地帯で一番よくとれるのが米なのだ、その米を食べるべきではないかといったようなことが書いてあった方がよりいい、こう感じておるということをこの前申し上げたわけでございますので、念のため申し上げておきたいと思います。
  200. 藤村和男

    ○藤村説明員 御承知のように、教科書というのは現在検定制度をとっているわけでございます。したがいまして、学習指導要領というのが小中高等学校にございますが、それにのっとりまして著作者がそれぞれ創意工夫をして教科書の記述をするという制度をとっているわけでございまして、私どもは、その中で著作者の創意工夫をできるだけ生かすような書き方を希望しており、しかもできるだけこちらの線に沿った形でというふうに考えているところでございます。  ところで、小学校を例にとってまいりますと、小学校の指導要領では、社会科の五学年の内容としまして「我が国の農業や水産業の現状にふれさせ、それらの産業に従事している人々が自然環境との関係の上に生産を高める工夫をしていることを理解させるとともに、国民生活を支える食料生産の意味について考えさせる。」という項目がございます。教科書ではこの内容に沿いまして、まず米が日本人の主食であるということは大体共通に書いてございます。それから、米の生産が国民の食糧の確保の上で大きな意義を持っていること、これも大体共通に記述してございます。さらに、教科書によりましては食糧の自給率や国民の食生活との関係を考えさせる記述をしているものが多いわけであります。  一方、小学校に家庭科がございますけれども、この家庭科を例にとってみますと、六年生のところの内容には、米飯の簡単な調理ができるようにすることを示しておりますが、この場合でも教科書では、米が日本人の主食として大切なものであることを記述しました上で、その調理方法、特に御飯、みそ汁、野菜を使った調理方法というようなものから入るという形になっているところでございます。  教科書によりましてはかなり詳しく書いているものがございまして、たとえばいま申しました米の記述について、ある会社の例を一つ取り上げてみますと「日本人の主食は、米であることがはっきりとわかります。」という記述とか、次に「日本は、食料の自給率が低い国です。」というような意見を取り上げて「国民の必要とする食料を、将来にわたって確保していくためには、できるだけ国内での生産を高めることが必要です。」と、食糧確保の問題を展開している。それから「日本の食料生産は、米の生産を中心に発展してきました。米をつくる技術や、生産力はすぐれており、安定した生産をたもつこともできます。でも、一人あたりの米の消費量は年々へっているので、農家の人たちも米の生産に力を入れにくくなっています。」「このような今の食生活について、人々の中には、「日本の自然のようすにあった食料生産をもとに、食料の消費をすすめていくことがたいせつだ。」という意見をのべる人もいます。」大体こういう記述などがあるわけでございまして、現行指導要領の範囲では、おおむね米の生産消費の両面から記述する量としては、まあまあこの程度ではなかろうかと考えている次第でございます。
  201. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 よくわかりました。私が申し上げているのはそういうことでなくて、定着性と申しますか、幼児のときからお米というものに——これだけ日本国じゅうが、米だけの過剰ではありますが、その消費について関心を持っているときに、検定制度とはいえ何らかの措置はないものかという点が一つでございます。  それから、時間がございませんので、お呼びしてお尋ねしないと申しわけないと思ってあわてているわけですけれども、私いま子供の健康というものに大変関心を持っております。いまお米を離れた形のものが外食産業というもので大変はやってはおりますけれども、いろいろ指導の中に、日本的なもの、日本型食糧、食生活というものが大変もてはやされている、しかし実は中身はだれも指導してきたわけじゃない、自然にでき上がったもの、それを日本型食糧と定義づけたかどうか知りませんけれども、私が申し上げたいのは、お米というものを表に出す形の指導が欠けていやしないかという点を指摘したいわけです。それと体位の向上とどういう関係性があるのか、こういう点で文部省はどういうふうにとらえておられるのか、時間になりましたので一言で結構でございますが、お尋ねをいたします。  最後にもう一点、運動の面で、いまの食糧が理想的な調和を保っているというものの、骨が折れやすいとか血液が薄いとか言われている時代に、体育面における指導はどのような点に着目されて御指導なさっておられるのか。あわせてその二点をお答え願いたいと思います。
  202. 加戸守行

    ○加戸説明員 お答えいたします。  第一点の米の食事と体位の関係につきましては、そういった相関データを残念ながら持ち合わせておりません。ただ一般的に米の栄養素につきましては、小麦よりも米の方がすぐれているという観点での文部省としての指導をさせていただいております。  それから第二点の運動との関係でございますが、現在青少年の体位が年々向上いたしておりますけれども、文部省で調査いたしておりますスポーツテストの結果を見てみますと、十年前と比較いたしましても、小学校の五年、六年あるいは中学校一年は運動能力の点数がかなり落ち込んでおりますし、中学校二年、三年以上につきましても、若干運動能力等の伸びはございますが、体位の伸びに比しますとその伸びは落ち込んでいる、そういう観点では相対的に体力が低下しているのではないかということが指摘されておるわけでございます。  こういった観点に立ちまして文部省といたしましても、家庭、地域、学校の三位一体となった体力づくりを進めたいということで、たとえば学校につきましては体育的クラブ活動あるいは体育部活動の充実、それから全国的に体力づくり推進校の指定を図り、あるいは父兄に向けまして「子育ての中の基礎体力づくり」という資料を作成いたしまして、家庭におきましても親が子供の体力づくりに真剣に取り組んでいただくようなPR資料を作成する、あるいは市町村におきますスポーツ振興事業の一環として、親と子のための基礎体力づくりのための教室の開設といったようなこと、そのほかに体育スポーツ施設の面におきましても、子供たちが自然の中で伸び伸びとスポーツ活動あるいは遊びに取り組めるようなグリーンスポーツ構想というものを推進していくといった諸般の政策の中で、子供たちのための体力づくりということを重点的に力を入れて施策を進めている段階でございます。
  203. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので、終わります。
  204. 津島雄二

    ○津島委員長代理 武田一夫君。
  205. 武田一夫

    ○武田委員 私は二期対策について、二十分の限られた時間ですので二問お尋ねいたします。  農林水産省水田利用再編第二期対策に対する基本方針を示したわけでありますが、正直言いまして、農家あるいは農業団体の皆さん方は非常な不満と不安というものを覆い隠せないような状況を、事実としてあらゆる面で受けとめられているわけでありますが、私は稲作農家の皆さん方のことを考えますと、これまでいろいろとなされた施策、減反という残酷に思えるようなそういう一つ施策というもの、さらに米価の抑制、さらにまたことしのような異常災害、そういういろいろな角度から、いままでにないような非常に厳しい環境に置かれているというふうに受けとめております。  先ほど同僚の吉浦議員がお話しいたしましたけれども、私たちも十七日に大臣にこの件につきましては申し入れをいたしまして、特に二期対策につきましては、減反面積の安易な拡大あるいは転作奨励金の水準の引き下げなどは改めるように、あるいはまた五十六年度の減反につきましては、いろいろとそうした事情、被害の激甚さを踏まえまして、現状の凍結を考えてほしいという申し入れをしたわけでありますが、私はこれは農家の声であり、農業者皆さん方のひとしく望むところだと思うわけであります。そういう意味におきまして、私は、農家の声を十分に聞き、そしてその中で今後の農業というものに真剣に取り組めるような環境づくりをしてあげることに最大の努力をしていただきたいと思うわけであります。  そこで、まず第二期の減反六十七万七千ヘクタール、五十六年度六十二万一千ヘクタール、この面積というのは、正直言いますと、日本の二割以上、二二%ぐらいだと言いますから相当大きな面積です。北海道、九州の全水田面積と言われております。この大変な減反、さらにまた奨励金の引き下げ、こういう基本方針というのはあくまでも実行するおつもりなのかどうか、簡単に、するかしないか、それだけで結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
  206. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十六年度から第二期に入るわけでございます。したがいまして、この第二期につきましては、転作等目標面積六十七万七千ヘクタール、初年度の五十六年度冷害等の災害に配慮をいたしまして四万六千ヘクタールの軽減をやります。それから奨励金の方につきましては、先ほど冒頭御説明申し上げたライン、これで二期対策の方はお願いをしたい。非常に避けて通れない道でございます。非常にイバラの道だとは思いますけれども、二期対策はこういうラインで進めさしていただきたい、かように考えております。
  207. 武田一夫

    ○武田委員 減反政策の基本的な考え方というのは、農家の経営安定をにらみながら需要に合った生産を行うよう政策的な誘導をすべきであろうというふうに私は考えておりますが、この考えはいかがでございますか。
  208. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策につきましては、これはどういうねらいであるかということは五十三年の閣議了解の面でも明確に記述をいたしておるところでございます。一つは米の需給均衡を早急に回復するということでございますし、それとともに、転作作物生産性向上を図りながら、需要動向に即応した農業生産の再編成を期するということをねらいにしておるわけでございます。したがいまして、第二期対策につきましても、この基本路線、基本的な考え方に即して展開をしていきたい、かように考えております。
  209. 武田一夫

    ○武田委員 農家の経営の安定という点の配慮はその中に十分入っている、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  210. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 定着性を高めながら、転作営農というものを足腰の強いものに育て上げたいというふうに考えております。したがいまして、先生のおっしゃる経営の安定というものも念頭に置いてやるべきもの、かように心得ております。
  211. 武田一夫

    ○武田委員 全体の中でのその要素は重く考えてもらわなければ困ると私は思います。これは農家にとっては切実な問題であります。  そこで、大臣がこの二期対策のことにつきまして、第二期は奨励金への依存を次第に脱却し得る定着性の高い転作営農確立する第一歩とする、こういうことを言われたそうでありますが、どういうことをどうするかという、その具体的なことをひとつお聞きしたいのであります。大臣としましてこうお話しなされたということをお聞きしましたので、その点についての大臣のお考えというものがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  212. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かにいま武田委員の申されたとおり私は申し上げたわけであります。その具体的にどうするかということにつきましては二瓶局長の方から答弁をいたさせます。
  213. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 転作奨励補助金依存を脱却し得るような転作営農確立ということの第一歩としたいということで大臣から申し上げたわけでございます。  具体的にはどうかと申し上げますと、第一期をやりましたときの反省に立っておるわけでございます。一期の際には確かに各年とも目標は達成をいたしております。ただ、これにつきましては、まだ定着はしておらない、あるいは転作と言うものの、言うなれば擬装転作ではないかというような御指摘も現にございます。したがいまして、この奨励補助金といいますものは、おおむね十年間やりますこの事業の間は、その水準、体系は違いましても続くと思いますが、十年過ぎた後はむしろこういうものがなくとも一本立ちできる、そういう転作営農確立していくということでなければならぬものと思います。  したがいまして、今回の二期対策当たりましては、奨励金の水準、体系の問題につきましても、その第一歩として基本額の方は下げましたけれども、定着性の高い形に持っていくために、計画加算という従来の仕組みの上に、連担団地というような思想を取り入れました団地化というものをさらに進める、そしてスケールメリットを享受し得るそういう畑作経営というものもでき得るような形で考えた、そういう意味で第一歩と申し上げたということでございます。
  214. 武田一夫

    ○武田委員 それでは余りさびしいじゃございませんか。私はそれでは以下何点かについて続けて質問いたしますが、その一つ一つについてお考えをお聞きいたします。  まず、この転作の実質的な定着を図れるようにする、これは当然必要なことであります。そのために、再三当局の皆さん方がおっしゃっている自給率の低い小麦、大豆等についての課題でありますが、私たちはこれは数年後に、できれば五年くらいの範囲の中において、転作奨励金でなくて、米作収入に見合う価格制度を確立することを国が確約すべきである、そういう一つの方向によって安心して取り組めるという条件をつくる。先ほどから理解協力ということを言われますから、理解をさせる、協力していただくための条件としてのそうした明確な確約というものが必要ではないか。このことにつきましては予示価格制の導入と言う方もおるようでありますが、この点についていかがお考えでございますか。  二番目は、その価格制度が確立するまでの間は、そのための準備期間としまして、われわれ再三いろいろなところで主張してまいりました田畑輪換可能な基盤整備、さらに技術指導、そしてまた地域ぐるみの生産販売体制の整備というものに万全を期すような、そういう条件整備に力を入れなければならないと思うのですが、いかがでございますか。  三番目は、これも再三に主張しておりますえさ米を転作作物として導入するための体制整備推進を図るべきではないか。特にあわせましてハト麦等につきましてのお考え、さらにこうした研究開発のための予算的措置というものを十分に今年度から考え、これを今後の一つ課題としていかなければならないと思うが、その点についての御配慮はあるのかどうか。  四番目は、永年性作物にかかわる転作奨励金につきましては、支給期間の延長というのが強く要望されております。たとえば私たちの地元など、青森、宮城等々東北の場合の一例を申し上げますと、リンゴなどの果樹等を五年から八年、桑その他のもので三年から五年に延長してほしい、こういう切実な要望があるが、そのことについて真剣に検討しておるのかどうか。この点につきまして、簡単に具体的に明確に、ひとつ納得いくような答えをお願いしたい。
  215. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第一点の問題、これは非常に大きな問題で、私からお答えするのはいかがかと思いますが、一応私の方から申し上げます。  要するに転作定着するように小麦なり大豆、これが米作収入に見合うような価格制度をつくるべきではないかという御指摘でございますが、やはりこの小麦なり大豆なりそれぞれの作物につきましては、それぞれの生産なり流通なりあるいはその事情もあり、また農業に占める地位なり、国民経済的な視点から見てのウエートもございます。したがいまして、それぞれ、小麦につきましては食糧管理法に定めるところによりまして決めておりますし、大豆は大豆なたね交付金暫定措置法に基づきまして決定をしておるということでございます。したがいまして、今後のこれらの価格の面につきましては、法の定めるところに従いまして適正に定めていきたい、こういうことであろうと思っております。  それから第二点の、田畑輪換等できますような基盤整備につきましては、まさに水田の汎用化ということが非常に大事でございます。したがいまして、排水対策特別事業等やっておるわけでございますが、予算の要求等も増額要求いたしておりますが、極力こういう面につきましては充実を図りたい。技術なり販売、流通体制の整備というものも含めまして、転作条件整備につきましては努力をしていきたいと思っております。  それから第三点の、えさ米なりハト麦のお尋ねでございますが、えさ米につきましては、収益性が十分償わないという角度の問題もございます。あるいは主食用の米との識別の問題があるとか、いろいろ問題がございます。農政審議会等におきましても種々御議論をいただいたわけでございますが、やはり長期的な課題として取り組むべきものであろうということで、農政審議会の方でもさらに検討を進めるということでございます。ただ、これにつきましてはやはり育種の問題等ございますので、この面は技術会議等におきまして、五十六年度予算で特別研究的な予算も要求をいたしております。  それからハト麦につきましては、やはり湿田でも栽培し得る作物ということで、そういう意味での転作作物としては非常に意味のあるものであろうと思っております。ただ、これは未改良の新作物でございますので、この面につきましても今後技術的な面等詰めていく必要があろうと思います。五十六年度概算要求におきましても、このハト麦関係の分につきましては増額要求をいたしておるわけでございます。  それから第四点の永年性作物の関係でございますが、これは転作奨励補助金の交付期限があるわけでございます。果樹が五年あるいは桑が三年というようなことがございます。これの延長というお話でございますが、延長は困難かと考えております。ただ、交付期限が切れた後で転作面積に実績算入がされてない、カウントされてないということが非常に問題であるというようなことがございますので、そういう面につきましては何らかの解決策を考えたいということで、現在検討を前向きに進めておるところでございます。  以上でございます。
  216. 武田一夫

    ○武田委員 こうした大きな事業を三年間という期限の中でやるということでありますから、前回のように途中でまた計画変更などということをなさいますと、それでなくてもそのときどきに大変に各関係者は苦労なさるわけであります。ましてこれからはこうした厳しい環境でございますから、相当その厳しさというのは深刻だと思います。農協の組合長さん方にもお話を聞きますと、もうこれ以上は協力できない、無理だ、責任は持てない、大変なる心情を私たち伺いますにつきましても、やはりそれをバックアップしてあげる国の基本的な方向というものを明確にしておかないと、私はまたぞろこれは途中で挫折をするなり失敗するのじゃないかという心配があるわけでありまして、いま申し上げた点につきましてはさらにもう一層真剣なる御配慮をいただきたいと思うわけであります。  時間がございませんので最後にお尋ねいたしますが、東北などの地方というのは、大臣も福島でございます、私も宮城県でございますが、特に湿田地帯がかなり多うございます。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕 そういう地域に対する転作というものを考えると、一生懸命やっているところもありますが、往々にしてできない。しかも、いままで三年間転作を続けてきまして、正直言いましてこれからは最高のいいたんぼがその犠牲になっていく、これは耐えられないことである。しかも、いままでの減反の傾向を見てみますと、専業農家あるいは一種兼業農家の方にかかわる減反の割合というのが多いわけであります。しかも国が消費拡大のために良質米を奨励しておるということは、この方向性というのは今後も変わらないと思うだけに、こういう地域に対する配慮というのはどのようになっているものか、この点について、今後配分が行われるわけでありますが、政府の見解をお尋ねして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  217. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十七万七千ヘクタールの配分あるいは四万六千ヘクタールの配分という問題を控えておるわけでございますけれども、問題は、地域地域によりましていろいろな御主張がございます。ただいま先生からも、湿田の多いところ、こういうところに余り増加させるのでは問題ではないかという御趣旨のように伺いますけれども、いろいろ条件がございます。したがいまして、私たちといたしましては、そういう御意見等も踏まえながら詰めていきたいと思っておりますが、その御主張に非常に隔たりがあるというのが現実でございまして、その辺一番苦慮しておるわけでございますが、十分御意見を伺いながら慎重に私たちの方も検討をし、行政の責任におきまして適正な配分をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  218. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、終わります。
  219. 田邉國男

    田邉委員長 神田厚君。
  220. 神田厚

    ○神田委員 水田利用再編第二期対策について御質問を申し上げます。  第二期対策が示されたわけでございますが、第一期対策のところでもいろいろ問題が出ました。そういう中で五十六年度から五十八年度までの三年間、以下、別紙この配られました案のような形で出てまいっておりますが、問題は、府県別配分等の問題につきましてはいつごろこれを発表するのか。新聞等によりますといろいろ説が分かれているようでありますけれども、この配分の時期につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  221. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十七万七千ヘクタールの都道府県別配分の時期でございますが、これは目標配分方針といいますか、どういう要素でどういうウエートでということを詰めるということや、それから制度の中身につきましてもまだ細部まで詰まっておらない。そういう面の詰めを急いだ上で遅くとも十二月上旬までには行いたい、かように考えております。
  222. 神田厚

    ○神田委員 制度の中身についての問題が残っているというのはどういうことなんですか。全体に六十七万七千ヘクタール、特に来年度は六十三万一千ヘクタールというふうにこれはもう決まっているわけでありますね。そういう中でどういう点がまだ問題になっているのでしょう。
  223. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 制度の大枠は第一期の場合と同じに考えてございますが、たとえば先ほど申し上げました団地化加算につきましても、その要件考え方はどうかということにつきましては、大づかみの話は申し上げたわけでございますけれども、さらにそれの細部、たとえば道路が通っている場合に、その道路の幅員がどうだというようなお話もあったわけでございますが、そういうような面等を細部ということで申し上げたわけでございます。
  224. 神田厚

    ○神田委員 この配分の要素、昨年は七つの要素をとって配分をいたしましたけれども、今年度は、府県別配分、これの要素はどういうふうに問題になっておりますか。
  225. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度第一期をやります際に、ただいま先生からお話しございました七つの要素に基づいて三十九万一千ヘクタールを配分いたしたわけでございます。それから昨年度、十四万四千ヘクタール、やむを得ざる措置ということで上積みをお願いいたしました。この際は、この三十九万一千ヘクタールを配分しましたこの物の考え方で、十四万四千のうち半分をこのウエートで、あとの半分は言うなれば水田面積割りといいますか、そういう角度のものでもって割ったわけでございます。  それで第二期の場合はどうするかという問題でございますが、これにつきましては目下検討中でございます。やはり当初配分のあの思想でやるべきだという御主張もございますし、いやここまで来るとむしろみんなせつないのだから、水田面積割りというような要素でやるべきではないかという御主張もございますし、さまざまでございます。その辺も十分伺って、これは慎重に検討して適正な配分に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  226. 神田厚

    ○神田委員 そこのところが問題なんですね。この配分の要素のとり方というのは、これは相当慎重にというか、いろいろと考えていただかなければならない問題でありまして、特に昨年度の第一期の配分のときには、たとえば栃木県などは内地で一番大きな割り当てを受けたということで、栃木県の知事が全国知事会の席上で局長に対しまして切々と訴えたような事情があるわけであります。それで、私どももその後研究をしたりいろいろしておりますけれども、どうもその配分の要素が釈然としないものがある、こういうことから、今回の第二期対策については、第一期の配分の要素、それからその上の十四万の上積みの配分問題等々も十二分に検討していただいて、この第二期のいわゆる水田利用再編対策の府県別配分の要素のとり方につきましては、ひとつわれわれが納得のいくような配分の要素を示していただきたい、こういうふうに思っておりますが、いかがでございますか。
  227. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期のいわゆる六十七万七千ヘクタール、これをどういう要素で、どういうウエートをつけて配分したかというようなことにつきましては、これは都道府県別配分をいたしました際に、どういう考え方でやったかということにつきまして県の方にも十分御説明したいと思います。といいますのは、やはり県の方はさらにそれを受けて市町村別に配分しなくてはならぬという問題も控えておりますので、そういう説明はできるだけしたい、こう思っております。
  228. 神田厚

    ○神田委員 しかし、もう大体農林省の中では詰まっているのでしょう。これは詰まってなければこういうはっきりした数字を出せないし、もうすでにいろいろな形で準備もされていると思っておりますが、端的にお聞きしますと、いわゆる第一期の形を踏襲するような形になるのか、それともいわゆる上積み分にとったような形でそれをするのか、そのいずれでもないという形になるのか、その辺はどうでございますか。
  229. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三十九万一千ヘクタール、それに対して昨年度十四万四千ヘクタール上積みしたもの、これが五十三万五千ヘクタールということで、五十五年度目標面積になっておるわけでございます。今回六十七万七千ヘクタールということになります際は、十四万二千ヘクタールふえるわけでございますが、これにつきましても、地域によりまして、その上積みの十四万二千だけでなしに根っこからもう一回配分し直すべきであるという御主張もまだございます。したがいまして、上積み分だけ配分するのか、さらにもう少し根っこの方まで振り返って配分するのか、その辺もまだ決めておりません。
  230. 神田厚

    ○神田委員 上積み分だけではなくて根っこの方からもこの配分の問題を根本から考えるということになると、やはり非常に違った形になってくると思いますね。傾向としてはそういうふうな傾向になりそうだというふうに、これは委員会ですから、部内で検討しているものであってもわれわれにも多少そういうところを教えていただきたいと思うのですが、その辺はどうでございますか。
  231. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただ、この根っこから考えたらどうかという御要請も実は二つの側面がございます。去年半々で見たということなんですが、半々じゃなしに平等割りを一〇〇にせいという御主張も率直に申しましてございます。それから、いや去年見たのは暫定的に見たのだから、全部当初割り当ての七項目でやるべきであったものを暫定的にやったので、今回はもう一回振り出しに戻ってやるべきであるという角度で、根っこ論をそれぞれ違う立場から言われておるということもございます。  それから、そういうこともあるけれども、五十三万五千というのは県別に一応配分した実績があるから、むしろ上積み分だけをやってはどうか、この上積みにつきましてもいろいろ御主張が分かれておる、こういう状況で、いまの段階におきましてはまだ役所の中ではその辺十分詰め切っておりませんし、今後意見も聞きながら慎重に検討して適正な配分に持っていきたい、かように思っております。
  232. 神田厚

    ○神田委員 これは大きく考えますと十カ年計画の中での問題になるわけで、一期、二期、三期と、四期まであるのかどうかあれですけれども、そういう形でやっていくわけですね。したがいまして、最終的に十カ年やったときには全国的に平均にうまくできたということが得られるのが一番の模範解答であるわけでありますが、そういう中で第二期というのは、ですから一期でやったことと、これから長期的にもう少し先を見たときの中間点としての配分の仕方をしていかなければいけないと思うわけです。ですからそれなりの工夫なり一つの長期的な展望を持った形での配分の要素のとり方なり、いろいろなことをしていかなければいけないと思う。最終的には全国的な公平な配分がされなければならないというふうに考えておりますから、ひとつその辺のところを御留意いただきたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、先ほど来出ておりますけれども、冷害緩和分の配分の方法でございますね。これはいまちょっと言ったこととも関連をするのでございますが、本年は、特別冷害緩和分があるわけでありまして、これの配分方法についてはどういうふうにお考えでございますか。
  233. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十六年度冷害等配慮ということで、四万六千ヘクタール軽減措置考えておるわけでございます。これの県別配分でございますが、考え方として冷害等被害の程度を反映させていきたい、こう思っております。ただ、これも具体的にどういうふうな指標なりウエートをとって配分するかということにつきましては、まだ十分検討も詰まっておりませんし、決めておらないわけであります。
  234. 神田厚

    ○神田委員 しかし、すでに四万六千ヘクタールという数字が出ておるわけでありますから、それなりの考え方があってこの四万六千ヘクタールといういわゆる冷害緩和分があるわけですね。ですから、その四万六千ヘクタールというのはどんなふうな形で算出したのですか。なぜ四万六千ヘクタールなのか。
  235. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 四万六千ヘクタールの軽減措置冷害等配慮して考えるということにしたわけですが、この際の根拠というお尋ねでございます。  これは、今回の冷害による被害等で三割以上の被害面積といいますものが三十八万一千ヘクタールほどあるわけでございます。それから、それ以外の三割未満のもございます。そういう未満のところも百四十二万六千ヘクタールほどございます。私たちの方といたしましては、そういう被害のあれをながめた際に、総体として、三割被害ということで考えますとどのぐらいの面積になるかということを頭に置いたわけでございます。  そういたしますと、三割被害でならしますと約九十二万ヘクタールぐらいになります。これが、大体水田面積二百八十六万ヘクタールぐらいございますが、その三二%ぐらいに当たります。これを十四万二千ヘクタールに掛けますと、大体四万六千ヘクタールということになるわけです。そういうぐらいの配慮量といいますか軽減量、これが冷害配慮という意味では必要にしてなおかつ十分ではないか、もちろん需給に悪影響を及ぼさないという問題もございますが、そういうことも配慮した上で、そういう数量が適当であると、こう見たわけでございます。それは全国量をどう決めるかという角度においての物の考え方でございます。  それで、全国量が決まった際に、今度は具体的に配分します際にこれをどういう要素でどういうふうにやっていくか、ウエートをつけてやっていくかというようなことにつきましては、全国量はこれでいいということにした上で、さらに詰めた上で適正に配分をしたい、こう思って現在検討を進めておるところでございます。
  236. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、いろいろ御説明いただきましたが、端的に言いますと、三割以上の被害のところに冷害緩和分の配分が重点的になされる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  237. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 これは配分の、あとの具体的なものはまだ決めておりません。ただ考え方としては、冒頭にも申し上げましたように、冷害等被害の程度を反映した形で配分をすべきもの、こう思っております。具体的なことは、さらにどういう指標でというのは、今後詰めたいと思っております。
  238. 神田厚

    ○神田委員 これは農家の皆さんが大変注目しているのですよ。そうじゃなくても減反分が多過ぎるということで、少しでもこちらの県に、あるいはこちらの地方に、自分たちの町に冷害緩和分が来るのじゃないかというようなことを期待をしている。そういうところから見ると、余り持って回った言い方じゃなくて、いまのお話を聞いていれば、大体もう三割以下の被害のところには冷害緩和分というのはないというふうに考えていいですね。
  239. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、四万六千ヘクタールは、むしろ全国量として、冷害配慮ということで考えたときに適当な数字ということで考えて決めたものでございます。したがいまして、これは三割以上の被害のあったところの農家を積み上げたとか、そういうような積み上げで物をやっておるというものではないわけでございます。  したがいまして、必ず三割以上のところは軽減措置が行くが、三割までいかないところは軽減措置はないとかというようなことは現在言い切れないものである、こういうふうに思っております。
  240. 神田厚

    ○神田委員 だんだんはっきりしてきました。  そうしますと、いわゆる全国の都道府県になべて、すべて冷害緩和分の配分があるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  241. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 県別配分をします際に、少なくとも冷害以外の被害というものも念頭に置かなければならぬと思います、台風とか長雨とか。ただ、全然災害のないというところまで行くかどうか、県別配分ということについてもこれはなかなか行きづらいのではないか、余り大きな相違ではございませんし。ということで、具体的には決めておりません。  それから問題は、これを県別に配分いたしました際に、あと市町村別配分、これは知事さんにお任せをいたします。さらに、これを受けました市町村長は、農家ごとといいますか集落ごとに割ります際も、市町村長さんが農家の経営の実情も一番わかっているわけですから、これは市町村長さんにお任せするということになろうと思いますので、末端の農家の方が、三割以上やられたから必ず減免が来る、あるいはそうでない方は二割被害だから行かないとか、そういうことに必ずなるとかいうようなことではないというふうに考えております。
  242. 神田厚

    ○神田委員 なかなかむずかしくなってまいりましたね。そうしますと、大体わかりました。  冷害なり異常気象なり台風災害なり、そういうふうなところにはこの緩和分は行くけれども、そうではない、無災害というか、ほぼ災害のなかった都道府県についてはこれは行かない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  243. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まだ最後的に決めておりませんのでそうだというふうに申し上げるわけにもいきませんが、これの考え方としては、やはりそういうことで、災害の配慮でございますから、冷害を中心にしたそういうところに行くべきものではなかろうかということで検討をしておるということを申し上げたわけでございます。
  244. 神田厚

    ○神田委員 そういうことでの方向であるということでございますが、問題はそうしますと、たとえば冷害を受けたところで、それの配分を受けた県が市町村に配分をするという段階で、非常にこれはまたいろいろ問題が出てきそうですね。たとえば青森県とか、必ずそういうふうなこの冷害緩和に該当するだろうと思っております東北の冷害地域等では、その被害があっても緩和分をもらえないという市町村なり農家なりがたくさん出てくる、こういう可能性もあるわけですね。
  245. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 四万六千ヘクタールの県別配分につきましては、災害の程度を反映した形で国としては適正にやりたいと思っておりますが、それを配分を受けた知事さんがどう割り振るかという問題があるわけでございます。もちろん県は県としてむしろ被害調査等もやっておりますし、市町村別にも知事さんの方がお詳しいわけでございます。したがいまして、そういうものも参考にされながら知事さんとしては配分をされると期待をいたしております。市町村はまたさらにそういうことだと思うわけでございます。
  246. 神田厚

    ○神田委員 先ほどの説明で、三割以上の被害を受けたのが三十八万一千ヘクタール、三割未満が百四十二万ヘクタール、こういう全体的な冷害規模からいえば、四万六千ヘクタールというこの冷害緩和措置そのものはやはり絶対的に少ない、そういうところからいろいろな問題が出てくるというふうに思っております。しかしながら、そういうことで内々お決めになっているようでありますが、私はやはりこの際、この冷害規模等の問題を考えれば、もう少し冷害緩和措置というものが絶対量として大きくとられなければならなかったのではないかと思っておりますが、この辺のところの論議はどうせすれ違いでありましょうから、私は意見としてそういうことを述べさせていただいておきます。  そして次の問題に移りますが、もう一つは水田への畑作物の導入が困難な湿田地帯の転作目標面積配分をどういうふうにするのか。これは先ほどの配分の要素のところにも関係してくることでありますけれども、水田の約三〇%、百万ヘクタールが畑作物の導入が困難な湿田地帯だと言われている。これらについては、やはり配分の時点で考えていかなければならない要素の一つだというふうに思っておりますが、その辺はどういうふうにお考えでありますか。
  247. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度に三十九万一千ヘクタール配分いたしたわけですが、その際に、いわゆる七項目というのがございまして、これには排水条件の要素といいますものを考えて取り入れまして、この三十九万一千ヘクタールの配分をやったわけでございます。したがいまして、そういう意味では湿田地帯の配慮が三十九万一千ヘクタールには十分織り込まれた、十分といいますか、相当織り込まれたことになっておると思います。それから、昨年の場合は、十四万四千ヘクタール上積みした場合に、その五〇%、半分につきまして当初の割り方、すなわち七項目の思想でやったわけでございますから、それはそれなりにこの排水条件が考慮されているということになろうかと思います。  第二期につきましては、先ほど来申し上げておりますように、そういう七項目で考えた当初の割りといいますか、そういうものを大いに考えるべきだという御主張と、いや平等割りでやるべきだというような御主張なり、いろいろな御主張がございます。その辺につきましては、さらに慎重に検討させていただきまして適正に決めたい、こう思っておるわけでございます。
  248. 神田厚

    ○神田委員 どうも御答弁を聞いていると、こういう湿田地帯の特別な考慮なり、これらを要素として取り入れるというふうには考えられなくて、平均してぱっとやられそうな感じがするわけでありますが、やはり先ほど私が言いましたように、これは十年計画の中の二期目なのですから、最終的には全体的に公平な配分になるような形でやっていかなければならないわけで、考え方としてそれではこの湿田地帯をどういうふうにするのかというふうなこともあわせて、これは一緒にやってやらないと非常にいろいろな問題が出てくるのではないかと思っておりますが、その辺はどうでございますか。
  249. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 いろいろこういう湿田地帯に対する配慮という角度のお話でございますが、その他飯米農家に対する配慮をせよとか、あるいは四十六年度以来稲作転換対策をやってきておりまして、果樹その他に転換もして、水田面積そのものの器が小さくなっておる、そういうところも十分配慮せよとか、いろいろな御意見がございまして、その辺いずれもごもっともな御意見なのでございますけれども、十分そういう面も検討させていただきまして、適正な配分というのに持っていきたい、かように考えておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  250. 神田厚

    ○神田委員 次の問題に移ります。  備蓄問題でございますが、第二期対策を見ておりますと、どうも備蓄という観点が欠落している。つまり、五十六年度から五十八年度まで、米の潜在生産能力千三百七十五万トン、需要量が千五十五万トン、減反目標三百二十万トン、現在五十四年度の備蓄米が百七十万トン、政府の在庫が六百五十万トンで、主食用として、食べるのが可能なのが百七十万トンと言われております。そういうことになりますと、五十五年度、米は冷害によりまして収穫量は予想よりも百五十万トン近く下回る、こういうふうに言われていますから、五十四年度の備蓄米百七十万トンを取り崩すと、残りは二十万トンになってしまう。これは農協等の人たちもこういうふうなことで大変心配をしております。今後、政府は備蓄の目標は二百万トンというふうに言っているわけでありますけれども、こういうふうな形で二期対策の中での備蓄制度というのをどういうふうにやっていくつもりなのか、その辺はいかがでございますか。
  251. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今後の食糧需給の中で備蓄をどう考えるかという点でございますが、当面五十六米穀年度につきましては、確かに生産の減退によりまして約百万トン程度の不足が生ずるものと考えておりますが、いま御指摘がございましたように、五十四年産米だけで百七十五万トンほど持っておりますので、これを使って回転をしてまいりますれば、五十六米穀年度末には約八十万トン程度が残ってくるというふうに考えておるわけでございます。しかしこのほかにまだ五十三年産米が五十六米穀年度末で百十万トンほど残るというふうに考えられますので、この時点では約二百万トン程度のものが確保できるものというふうに考えておりまして、今後再び不作が起こるような場合にも対応可能と思っております。  しかし、その後の備蓄のあり方につきましては、今後の生産動向等も十分に考えていくという必要があるわけでございまして、実はこの前の生産調整をやりました後、不作が五十一年に起こりまして、その結果備蓄量を拡大したということが、かえってその後の過剰米の累積をもたらしたというようなこともございます。たとえば今後豊作が起こってくるということで、五十二年、五十三年と同じような豊作を考えてまいりますと、一〇五、一〇八というような作況指数でございましたので、ここで約百三十万トン程度新たな在庫が積み増しになるということも考えられるわけでございますので、この辺の事情につきましてはさらに今後の生産動向も見ていかなければならないというふうに一つ考えております。現在のように過剰米を抱えております中におきましては、やはり備蓄のあり方というものはそのような点も配慮していかなければならぬと思っておりますが、需給操作上は、平年作でまいりましても百万トン程度は次年度に持ち越す前年産米が出てまいるというふうに考えておりますので、需給操作上の問題は対応できるものというふうに考えておるわけでございます。  なお、備蓄のあり方につきましては、農政審議会答申の中でも今後検討するようにというふうに言われておりますので、私ども今後検討していく課題であるというふうに思っております。
  252. 神田厚

    ○神田委員 冷害というのは二、三年続くことが大変多いことで、そういう意味ではいまの長官の説明のようにうまくいくかどうか、われわれ非常に疑問に思っていますし、さらに、いずれにしましてもかなり古い米まで消費に回されるような状況になってくることだと思っております。そういう関係で、これは考え方が違いますからなかなかうまく話が合いませんけれども、備蓄につきまして、われわれとしましては二期対策の中でもう少し先を見通しながらこれをひとつやっていただきたい、こういうふうに考える次第であります。  時間がありませんので次に移りますが、一つ転作条件整備の問題で、土地基盤整備の問題であります。  畑作可能の水田の汎用化、乾田化対策の現状とこれの見通し。さらに、時間がありませんから二、三質問を一緒にさせていただきますが、第二次土地改良長期計画、これは四十八年度から五十七年度の実質進捗率が四〇%ぐらいだと言われておる。これはいろいろな問題があると思うのでありますが、今後の土地改良の方向づけというのは、稲作主体から転換していかなければならないという非常にむずかしい問題を含んでおります。こういうものについてはどういうふうにするのか。  さらには、田畑輪換可能の土地改良の計画は特別にこれをつくるのかどうか、持つのかどうか、こういうようなことにつきましてひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。  同時に、基盤整備のための投資計画、六十五年を目標とする国の年次別計画というふうな形でこれらを明らかにできるのかどうか、その点を簡潔で結構でございますから御答弁いただきます。
  253. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 水田における畑作可能な乾田の状況でございますが、これは全体としてはかなりふえてまいっておりまして、現在、七十センチメートル以深の地下水のところが百九十万ヘクタール、全水田面積の約六五%ございます。それに対して、これは先生も先ほど触れておられましたが、簡易な排水事業を行う、あるいは通常の作物の栽培は困難であるが、根の浅い作物、レンコン等の栽培が可能な水田は、合わせますと約百万ヘクタールございます。問題は、この百万ヘクタールの地域について土地改良、排水事業を進めていくということであろうかと存じます。  従来の一般的な土地改良事業の中でも、特に最近におきましては排水事業を重点に事業を進めてまいっております。特に五十四年以降は排水対策特別事業ということで、これは転作の促進、転作定着ということに歩調を合わせまして、早急に排水を要するところについての特別な手当てをいたしております。年間の事業費も大体二百数十億ということで、最近、若干年々ふえてまいってきておるわけでございます。  それから、今後の見通しはどうかということでございますが、いま申し上げました最近の、五十五年時点での乾田の状況も、五十年当時に比べますとすでにこの数字でも十二、三万ヘクタール乾田がふえてきているというような状況で、いま申し上げましたような排水対策を実現していくことによって、この傾向はますます伸ばすことができるというふうに考えております。  それから土地改良の長期計画でございますが、現行の土地改良長期計画は四十八年を起点として五十七年までの間、十年間について立てられておるものでございます。御承知のように農政見直し、それから需要生産長期見通しが六十五年を目標にして設定されたわけでございます。これに合わせまして私どもも、土地改良長期計画についても、現在のものを本格的に将来見通しについて検討し直すということが必要であるというふうに考えております。大臣からの御命令もありまして準備作業に取りかかっているところでございます。  この期間につきましては四十八年から五十七年に終わるということになっておりますので、需給の見通しの六十五年終期と全く同じに合わせるということにはならないかと存じますが、いずれにいたしましても、六十五年目標需給見通しとマッチした内容の土地改良長期計画を策定する必要があるということで、鋭意作業を進めているところでございます。その中におきましては、当然御指摘になりましたような排水事業、特に転作との関連を結びつけたところの排水事業、これを重点としてその中で十分配慮するようにこの計画を策定してまいりたいというふうに考えております。
  254. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣にお伺いいたします。  いまいろいろ御質問申し上げましたが、この二期対策について農家の人たちは非常に不安を持っているのですね。ですから農政一つの方向づけを明確に示しながら、農家の皆さんに、だからこれを協力してくれというふうな形で、本来、農家の皆さんの十二分な納得を得た上でこれは進めなければならないわけでありますが、行政の方のベースが非常に早くて末端農民たちは大変戸惑っている。こういう中でこういう政策を進めていく上で、少なくともこれを完遂すれば本当に農政の先が開けてくるのだというものを示しながら協力してもらっていかなければならないというふうに私は思っているわけであります。  どうかひとつ、そういう意味でありますから、特に配分等に対しまして不公平感を抱かせたりあるいは大変な重圧感を持たせたり、あるいは転作等に対しまして非常に意欲を失わせるような形のないように、これから先の食糧安保の大事な八〇年農政をやっていく上での御指導をいただきたい、こういうふうに思うのでありますが、お考えをお聞かせいただきます。
  255. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まことに適切な御指摘をちょうだいしたわけであります。私どもといたしましてもいま御指摘いただいた点に十分留意をいたしまして、農家の諸君が安心して、この冷害を克服しながら来年の再生産を通じて第二期対策にも御協力いただけるように、省を挙げて努力してまいりたいと考えております。
  256. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  257. 田邉國男

  258. 野間友一

    野間委員 減反第二期対策について聞く前に、電電公社お見えだと思いますので、電柱の敷地補償料についてお尋ねをまずしておきたいと思います。  農民のかねてからの強い要求でもありますが、電電公社は敷地補償料を払っておる電柱を全国で約五百数十万本持っております。そして田、畑あるいは宅地等々、そういう地目別に補償料をいままで払っております。ところで、この敷地補償料の法的な根拠といいますと公衆電気通信法ですね。これに使用期間あるいは使用料、対価の規定があるわけです。これは八十一条以降にありますが、知事の認可に基づく当事者間の協議、それから協議が調わない場合のいわゆる知事の裁定、こういうものを中心として規定がされておるわけであります。電電公社はこういう規定をそのまま適用というのですか、これをそっくりそのまま各土地の所有者との間の個々の貸借契約の中身として使っておられるという状況にあると思いますけれども、この点についてまず確認を求めたいと思います。
  259. 前田光治

    ○前田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたとおり、公社が支払っております電柱の敷地補償料の額、それから土地の種別につきましての金額等につきましては、公衆電気通信法の定めておるところに準じて決定をしております。
  260. 野間友一

    野間委員 さて、この補償料ですが、昭和四十年一月に電柱敷地補償料調査委員会答申書が出ております。この中には農林省農政局の農業協同組合課長も入っておりますが、あるいは林野庁等々も入っておるのですが、これには三年置きに見直すというふうに答申が出ておりますね。これから以降は三年ごとには見直しを行っておられると思うのですけれども、その事実の確認と同時に、次回の見直しの時期は来年の、五十六年の四月一日から、それについていま改定の作業が進められておると思いますけれども、その点についてまず確認をしたいと思います。
  261. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたとおり、昭和四十年に電柱敷地補償料調査委員会というところから答申が出されておりまして、自後三年に一回程度改定をするようにという答申をいただいておりまして、それに基づきまして現在まで三年に一度改定を行っております。現行のものは五十三年四月に改定をされたものでございまして、したがいまして、次回の改定はおっしゃるとおり五十六年四月を予定いたしております。
  262. 野間友一

    野間委員 そこで問題は、改定されました場合に、改定された補償料を具体的にどのように適用されるかということについて幾つかの問題があるわけですね。  一つは、五十六年四月以降に新しく電柱を建てた場合、それからこの法に基づく十五年間の使用期間が経過してその後の電柱等の残存期間に対して払われる場合、それから十五年未満で、法では全額一括前払いの方式をとっておるという場合に、これをどう具体的に適用していくのか、この三つの場合があると思うのですね。  そこで私がお伺いしたいのは、たとえば五十六年四月以降に新しく建てた場合には、当然その改定した補償料が払われるわけでありますけれども、三年ごとの見直しをすれば、それに即して三年分を一括して支払うということになろうかと思いますが、この点についての確認と、それからこれは従前からそうだと思いますが、十五年の使用期間を経過した場合には一年ごとに支払う、こうなっておりますけれども、これも当然改定後の補償料が支払われることになりますけれども、この二点についての確認を、イエスかノーかで結構ですよ。
  263. 前田光治

    ○前田説明員 お答え申します。  先ほど先生おっしゃいました前段のものにつきましては、これはたとえば五十六年四月に改定になったといたしますと、四月以降新たに建てますものにつきましては、従前どおりのやり方で十五年一括という形になろうかと思います。それから、十五年を経過いたしましたものにつきましては一年ごとということに相なります。おっしゃるとおりでございます。
  264. 野間友一

    野間委員 来年の改定後、四月一日以降に新しく建てる場合に、その電柱に対する補償料は三年ごとに見直しをされるわけですから、三年ごとに見直したその料金で支払うというふうに手続的にはしなければおかしいわけですね。そうでしょう。そういうふうに取り扱いをされるかどうか、こういうことです。
  265. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  新たに建柱いたしまして契約をいたします場合には、その契約の時点での補償料というもので十五年間の一括払いというやり方を現在までとってきておりまして、今後ともそのように、従前どおりにいたしますとそういう形になるわけでございますが、これについてはいろいろ御意見等もいままで伺っておりますので、今後これを改定時にどのように取り扱っていくかということにつきましては慎重に検討いたしてまいりたいと思っております。
  266. 野間友一

    野間委員 それからもう一件ですけれども、十五年未満の場合は、全額先払い、一括払いしていますね。ですから、いろいろな変動があっても、いままでは追加払いと申しますか、改定後の料金、補償料が払われてなかったわけですけれども、これについてはそうでなくて、三年ごとに見直しをするわけですから、その見直し時において、これはいまの情勢からすれば上がるわけですから、それに従って払ってほしいという希望、要求をいままでもずっと電電公社にわれわれもしてきたわけですけれども、これについても先ほど答弁があったような形で、ぜひそういう要望に即してその処理をしてほしい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  267. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  すでに一括払いで契約が済んでおりますものに対して、それ以降に生じました補償料の改定の適用についての御質問かと思います。この点につきましては、すでに契約が成立しておるといったような点もございまして、いろいろむずかしい問題もございますが、いろいろ御要望もあるということも承知をいたしておりますので、今後公社内で慎重に研究をいたしてまいりたいというふうに存じております。
  268. 野間友一

    野間委員 大臣、これは農民の要求の中でも一つの切実なものになっているわけですね。五百数十万本あるわけですね。たんぼの中に突っ立っております。いま牛馬から機械化されておりますので非常に手間暇がかかる。こういう点で適正な補償対価をぜひ欲しいという要求で、いままでもずっと、これは農協中央会もそうですし、あらゆる農民が要求をしておるわけですけれども、いろいろな不合理な点がまだ残っておるわけですね。  いま局長から答弁があったのですが、実際この基本となる法律がおかしいわけで、増減変更というのは、地代家賃の場合には増額請求あるいは減額請求というのが法で保障されておりますけれども、そういうのが全くないわけですね。だから、十五年前に結べば十五年間は全く文句を言えない、こういう非常に不平等、不公正なものになっておるのです。だから、将来的に法律の改正をしなければならない。農林省もいま申し上げたこの電柱敷地補償料調査委員会の中に入っておりますので、農林省としても農民の立場に立ってそういう方向でぜひひとつプッシュしてほしい、こういうふうに思います。  それからもう一つの問題は、その対価の中身の問題であります。いま指摘をした答申書の中にもいろいろ書いてありますが、たとえば耕作、収穫等の作業の機械化の現状を実態調査し、その結果を労力損等に反映させろ、あるいは労賃については、米価算定の場合と同じく製造業平均賃金によることを検討せよとか、畑とたんぼの補償料の割合が、畑の場合にはたんぼのおおよそ五分の三しかないわけですね、しかし、これは現状に合わない、農作業の実態を反映していない、こういう点がこの答申の中には出ておりますね。したがって、その畑の補償料をもっとアップしろということ、それから山林の補償料についても、実態をよく調査し、補償料額等に反映させろ、こういうような幾つかの要求が出ておるわけであります。  いま作業中と聞いておりますけれども、もちろんこの答申書をつくったのが、この委員会委員長が施設局長その人でありますから、これについては、ぜひこれに即して今度の改定時には農民の要求を入れて、そして上げてほしい、こういうふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  269. 前田光治

    ○前田説明員 改定に際しましては、農業の労力損失時間というものがその補償料の重要な構成要素になるわけでございまして、この労力損失時間を、農作業の機械化が現在非常に進んでおるという実態を踏まえまして、農作業の実態に合ったような形に改定をいたすべく、現在東京農工大学等の専門家に依頼をいたしまして、現在の農作業の実態に即した労力損失時間の調査を行っておるところでございます。
  270. 野間友一

    野間委員 ですから、この答申の中身を、電電公社が特に当面の委員長としてこういう答申を上げたということと、それからこの電電公社の補償料は、国鉄とかあるいは電力会社の補償料がこれをベースにして決められるわけでありますから、非常に重要であります。その点もう一遍、こういう答申の中身に即して改定をしたい、改定をするという決意を述べていただきたいと思います。
  271. 前田光治

    ○前田説明員 補償料の改定に当たりましては、専門家並びに農民団体の代表の方々にも入っていただき、あるいは先ほど申しましたように、労力の損失時間の農作業の実態に合わせた改定というものには専門の学者の調査も依頼をいたしておりまして、おっしゃるように実態に即した改定を行ってまいりたいというふうに思っております。
  272. 野間友一

    野間委員 電電公社御苦労さまでした。もう結構です。  二期対策についてお伺いをしていきたいと思いますが、この二期対策についていままでも何度もこの委員会でも論議をされましたけれども、政府と与党自民党の政治折衝の経過があるわけですね。これについてまずお伺いしたいと思います。  この二十日付の読売新聞でも書いてありますけれども「生産者米価をはじめ、ことあるごとに行う自民党、農水省の政治折衝というのは、さっぱりわからないことが多い。今度の二期対策はそのいい例だった。」こういう痛烈な非難がしてあるわけです。政府と自民党とのつまらぬ駆け引きあるいは田舎芝居とまで読売新聞の署名入りの記事には書いてあるわけです。十一月二十日付であります。十一日の当委員会におきましても、わが党の寺前委員から、国会では減反第二期対策については検討中という答弁を繰り返しながら、与党自民党には具体的な案を示して検討を求めておったということが明らかにされ、その示した案の中身が理事会でも示されたわけでありますが、十八日夜の農水省と自民党との合意なるものについても文書を示して説明してくれ、こういうふうに私たち要求したのですけれども、これも文書はないということで説明がされないままに今日まで来たわけであります。また、冷害への配慮と称して四万六千ヘクタールの緩和を行った根拠をただしても、いままで納得のいく説明をわれわれは受けることができませんでした。  そこで、そういう前提でお聞きするわけですが、その農水省の十一日の案、つまり自民党に示した案、一万八千ヘクタール、これの緩和。ところが十八日に四万六千ヘクタールに緩和が変わったわけであります。その根拠は一体どこにあるのかということですね。これも先ほどから論議をされましたけれども、一万八千ヘクタールの緩和の根拠、そしてこの変更になりました四万六千ヘクタールの緩和の根拠、いずれもひとつ説明をしていただきたいと思います。
  273. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 冷害等への配慮ということで五十六年度限りの軽減措置を講ずるということでございますが、これに対しまして農林水産省が当初考えておりましたものは、大体一万八千ヘクタール程度で十分ではないかという一応の線を考えた経緯はございます。最終的には、ただいま先生が申し述べられましたように、農林省案ということで固めて、いま御説明申し上げていますものは四万六千ヘクタールということでございます。  当初考えました一万八千ヘクタールはどういう根拠かということでございますが、当初は、三割以上の被害面積が三十八万一千ヘクタールほどございます。これが水田面積全体から見ますと大体八分の一ということがございます。それから別な側面から見ますと、作況指数が八八というふうに下がっておるわけでございますが、平年作からながめますと、これまた八分の一程度のものということでございます。したがいまして、十四万二千ヘクタール上積みをする、六十七万七千へということでございますが、大体その上積み分の八分の一程度を冷害配慮ということで面積考えればいいのではないかなというような感じで、原案といいますか、当初考えたことは事実でございます。  ただ、この面につきましてはいろいろ御批判がございまして、これを冷害配慮ということで県に配分をし、また知事さんが市町村に配分をし、市町村が農家へといった際に、被害の本当に重い農家だけということにぴしゃり配分するということもなかなかむずかしいのではないか、ある程度の、相当のゆとりというものを持った角度で考えないとまずいのではないかというような御指摘もございました。  そういうことで、米の需給に悪影響を及ぼすということではこれは大変でございますので、そういう影響もそう及ぼさないという範囲内におきまして、何かこの面積をしかるべき根拠の上に立って考えてみてはどうかということで四万六千を考えたわけですが、これの基礎といたしましては、三十八万一千ヘクタールの三割以上の被害面積があるわけでございますが、それとともに三割未満の被害というのも現実にあるわけでございます。無被害のところもいっぱいございます。ただ、三割未満の被害面積、これが百四十三万ヘクタール程度ございますけれども、こういうところの被害、三割以上の被害、全体をひっくるめまして、いわゆる災害というのは三割以上というのは相当ひどいというふうに一般的に認識されますので、総体として三割の被害ということになればどのぐらいの面積になるかなという推計をしたわけでございます。大体九十二万ヘクタール程度に相なります。そういたしますと、全体の水田面積の三二%程度になりますので、これを上積みの十四万二千というものに掛け合わせますと大体四万六千というような数字が出る。出た数字につきまして冷害配慮ということで、第二期から相当目標面積もふえる、奨励金体系の方も大分仕組みも変えたりもいたしておりますので、二期対策はやはり理解協力を得てやらなければならぬという性格のものでございますので、この際、四万六千ヘクタール程度の軽減措置といいますものをやるということが適当ではなかろうか、こういうふうな判断に立ったわけでございます。
  274. 野間友一

    野間委員 だから、経緯からしたらどうも合点がいかないわけですね。結局一万八千ヘクタールがベストとして提案されたものなら、四万六千ヘクタールというのは大幅な緩和ということは間違いないわけですし、逆の場合も同じように言えると思うのですね。しかも先ほど農協とかあれこれからいろいろな批判意見が出たとおっしゃいましたけれども、これはもっと以前から、要するに二期対策は凍結しろとかいろいろな要求は各知事会あるいは農協とか団体から出ておったわけで、そんなこと百も承知の上で実際一万八千ヘクタールというものが提案されておるわけですね。  結局、結果からしたら四万六千ヘクタールの緩和、これをいま農林省としては出しておるわけでありますけれども、最初からそれでよかったと思うのですね。最初からそれでいいものを、何か政治的な折衝の中で、いかにも最初の辛いものが両者の折衝でふえ、農民の意見が通ったというような、ちょうど米価の審議会のあのときもわれわれ野党がそういうふうに言ってきたわけですけれども、非常に不明朗なものがあるわけだと思うのです。特に転作面積については、農民にとってみれば本当に死活の問題でありますから、そういうふうに非常に不信感を持っても私はむしろ当然ではなかろうかというふうに考えるわけであります。  奨励金の問題についてお伺いしたいと思いますが、これもいままでからずっと論議がありました。この「自民党との調整結果」という農水省の文書を見ますと、団地化加算を創設し、基本額、計画加算額及び団地化加算額の合計額で、奨励金の水準は従来の水準と同じとする、こういうふうに書いてあるわけですね。ところで、この奨励金の水準が従来と同じなどと言えないと私は思うのですよ。これは澤邊事務次官が、この団地化加算をもらえるのは四〇%しかないのだ、こういうふうに述べておることからも明らかだと思うのです。しかも十アール当たり平均単価は現行の六万一千円から五万五千円に六千円も落ち込む、こういう試算が日本農業新聞でもなされております。  そこでお聞きしたいのは、この奨励金を現行の水準と体系で支払った場合に、六十七万七千ヘクタールでは水田利用再編対策費として一体幾らになるのか、また、政府案のように変えた場合、六十七万七千ヘクタールで幾らになるのか、この具体的な金額をお示し願いたい。そしてまた同時に、それぞれの平均単価、いま農業新聞の試算を申し上げましたけれども、これらについてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  275. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 奨励補助金総額でございますが、これの所要額といいますものを厳密に考えますと、転作の態様などいろいろ不確定要素もございますので明確にはわからないわけでございますけれども、非常に大胆な試算ということで大づかみに申し上げますと、そういう御理解で聞いていただきたいと思いますが、従来の単価、いわゆる第一期の奨励金の単価体系等ではめてみますと、これは大体四千億円くらいの所要額に相なるかと思います。それから第二期になりまして六十七万七千ヘクタールということで、しかもこの奨励補助金の姿は、いま考えております農林省案ということではじきますと、三千七百億円程度になろうか、かように思っております。
  276. 野間友一

    野間委員 もう一つお聞きしておったのは、農業新聞で試算しておりますけれども、平均単価が六万一千円から五万五千円になるというような試算がされております。大体そのとおりでしょうか。
  277. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 日本農業新聞に載っておるのはどういう計算でやったのかよくわかりませんが、ただ、三千七百億というような程度ではなかろうかというのを、むしろ面積で割って単価を出したのではないかというふうにも考えられますけれども、正確な平均単価というのは役所ベースとしてははっきりしたものは持ち合わせておりません。
  278. 野間友一

    野間委員 そう考えますと、結局新しく団地化加算というようなものを今度つくられる計画があるわけですけれども、これは字面でトータルしてみればいかにも何か現行の水準がそのまま維持されておるように感じるわけですが、いま二瓶局長が言われたように、四千億円のものが今度の新しい奨励金の体系といいますか、そういう制度の中で三千七百億円にダウンするわけですね。つまりその差が三百億円ですか、これがいままでよりも少なくなる、農民のふところぐあいがそれだけ減る、こういうことになるわけで、決して従前のような、団地化加算を加えたところでその水準が維持されるというものではないということが明らかになったと私は思うわけであります。  要するに減反面積をずいぶんとふやし、そしてこの奨励金についても新しいそういう試みをしても、奨励金の全体の額についてはそう変化がないのだというようなことを言われておりますけれども、そうでなくて、これもやはり農民の実入りがこれだけ減るということがここで私は明らかになったのではないかと思うのです。こういうやり方でなくて、後で申し上げますけれども、いまのこういう状況で減反がさらに拡大するという中で果たして食糧の供給安定、これができるかどうか、あるいは農民の生産意欲という点からして一体どうなるのかということは、農民が非常に不安を持つのは当然だし、私たちもそう思うわけであります。  そこで、需給計画について次に聞いてまいりたいと思いますが、食糧庁が十二日に明らかにしました「五十六米穀年度需給推算」、これを見ますと、五十四年産米と五十五年産米を合わせた年度末の持ち越しは八十万トンになる、こういうふうに言われておりますし、当委員会でもそういうふうに答えておられます。これで果たして米の需給操作に心配がないと言い切れるのかどうか。もしそう言うなら、その根拠は一体どこにあるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  279. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま私どもが保有しております米は、五十四年産米につきまして約百七十五万トン程度持っておるわけでございますが、そのほかに五十三年産米で百三十万トンほど保有をいたしております。今年産米の減少によりまして単年度需給といたしましては約百万トン程度不足するわけでございますが、先ほど申しました五十四年産米を中心といたしましてこれを使用していくことによりまして、五十五年産米を中心として約八十万トン程度が持ち越せる。そのほかに五十三年産米として百十万トン程度が持ち越せるというふうに考えておるわけでございまして、もう一年もしも重大な不作が襲ってまいりました場合でも、主としてこの五十五年産米を中心とした操作によって需給操作ができるものというふうに考えておる次第でございます。
  280. 野間友一

    野間委員 米の消費を拡大しなければならぬと言い条、鶏の鳴くような古々々々米ですか、そういうものも計算の中身に入れて心配ないというふうに言われるわけで、これはどうも納得がいかぬわけですけれども、それでは、五十七米穀年度の末、それから五十八米穀年度末、これの前年産米の持ち越しは一体どのくらいになると見込んでおられるのか。
  281. 松本作衞

    松本(作)政府委員 五十七米穀年度末及び五十八米穀年度末につきましては、これは今後の作況いかんによりましてその推定がいろいろあり得るわけでございますが、一応平年作といたしますと約百万トン程度になろうかと思っております。一方、過去におきましてわりあいと豊作でありました五十二年、五十二年というようなときが再現されたというふうに考えますと、一〇五、一〇八というふうな作況でございますから、これだけで百三十万トン程度プラスされるということになりまして、二百万トンを超えるということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今後の作況によって判断をしていく必要があるというふうに考えております。
  282. 野間友一

    野間委員 ですから、作況がよければもちろんふえますし、あるいはことしのような冷害が来ればさらに落ち込む。そうすると、長官のお話では、平年作として前年産米約百万トンの持ち越し、そういうことですね。  ここで、第二期対策の柱としては単年度需給均衡、これがあると私は思うのですね。いろいろ資料にもあります。また、需要量も期央の五十七年度で千五十五万トン、こう言っておりますね。五十五年度計画では千百十五万トンでありましたから、六十万トンの減、こういうことに見込んでおりますね。これは第一期のように政策的に米をどう消費拡大していくのか、そして需要の落ち込みをストップするというようなことを踏まえたのと違って、五十七年度で千五十五万トン、こういうようなことを予測はしながら、どうも以前に比べて消費の拡大という努力を全く計算に入れずに、減退する、やむを得ないというようなことがあたかも当然のような数量になっておるのではないか、こう思うわけであります。  単年度需給均衡のためにシビアな計画をつくったというふうに農水省は言うわけでありますが、この五十六年度末の持ち越しあるいは五十七年、五十八年、先ほど長官の答弁がありましたけれども、非常に不安定な要素を持っておると私は思います。そこで、農水省としては、いままで適正在庫と申しますか、大体どのくらいあれば安心だというふうに考えておるのか。いかがでしょうか。
  283. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来から、適正在庫といたしまして主食用として百七十万トン程度、そのほかに加工用として三十万トンということで、二百万トンということを申しておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この備蓄の考え方につきましては、一方において豊作が起こってくるというようなことも予想しておかなければなりませんので、現在六百五十万トン程度の過剰米があり、五十八年度末までこの過剰米が残るというような状況のもとにありましては、豊作によって再び大きな過剰が生ずるというようなことについては、食管の財政負担上もどうしても避けなければならないというような点も配慮をして考えておる次第でございます。
  284. 野間友一

    野間委員 そうしますと、古い米を計算の中に入れていまつじつまを合わせるような結果になるのじゃないかと私は思うのですけれども、確かにいままで二百万トン、これが適正在庫ということを農水省が一貫して言ってきたと思うのです。  五十年の十一月、当委員会において大河原さんが、食管の需給操作上は百万トンの在庫はどうしても必要だということを前提として、ゆとりを持つためには二百万トンの在庫が必要だ、この二百万トンあれば四十六年の作況九三という不作が二年連続しても大丈夫だというようなことを述べておられますが、しかし、そうするとこういう基本的な二百万トン体制と申しますか備蓄の適正在庫、こういうような方針は変更されるのかどうか。古米、古々米の古いものを入れて、これでも二百万トン体制は変更ないとおっしゃるならともかくとして、これは論外だと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。変更されるのかどうか。
  285. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほども申しましたように、現在六百五十万トンの古米を保有しておるわけでございますが、これが五十八米穀年度末におきまして、平年作の場合を前提といたしましても二百万トン程度のものが残るというふうに考えられますので、一応備蓄の規模といたしましてはつじつまが合うというふうに考えるわけでございます。もちろん、その場合の操作上の問題といたしましては、主として一年古米を操作していくということで不作の場合にも対応が可能であるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、いま申しました備蓄の今後のあり方につきましては、こういった過剰米が処理されてきた段階におきましてどのような備蓄のあり方がいいのかというようなことについて検討する必要があるだろうというふうに考えておりまして、この点につきましては農政審議会答申の中にも触れられておる点でございますので、検討していく必要がある課題であると考えております。
  286. 野間友一

    野間委員 字面ではいろいろな数字の組み合わせができると思うのですが、しかし実際に消費をふやさなければならぬという命題があるわけですね。食糧の安定的な供給という点で、その中で実際に食えるのかどうか、失礼な言い方ですけれども、それは実際に消費者が好まないようなものを合わせてそのような数字を出されるということは、私は問題があろうかと思います。また、将来どのような作柄になるのか、これも非常に不安定な要素がありますのでわからぬわけですね。実際だれにもわからぬと思いますけれども。  日本農業新聞によると、長官は、昭和三十年以降の作柄を見れば不作の翌年は豊作だ、こういうふうに述べたやに報道があるわけでありますけれども、しかし三十年以降を見てみますと、四十六年、それから五十一年、この五十五年、不作年の間隔が非常に狭まっておる、しかもこういう大きな冷害というものが集中して出ておるわけであります。ですから、簡単に不作の翌年は豊作だともしあなたが言ったとしたら、そういう認識はやはり長官としては正しくないというふうに言わざるを得ないと思うのです。  私は何も米の増産をやれというようなことを決して言っておるわけじゃないのです。しかし、せめて実際に消費者が食べられる、そういう米を十分に確保してほしいと思うのです。計画的な備蓄も行わなければならぬという点から考えますと、何としても、農水省はみずからの減反政策そのものが正しいという前提にまず立っておりますからこれは別だと思いますけれども、しかしそういう点からしたら、私はさしあたりこの減反面積をふやす必要はないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、もう時間があと余りありませんけれども、やみ米業者の暗躍の実態等についてお伺いしますが、政府の米は古米の混入が多いので新米は幾らでも高く売れる、こう言って、比較的作況のよかった地域で買いあさりがいま続いておるという新聞報道もありますし、私たちが現地で調べたところ、そういう傾向が非常に出てきておるわけですね。こういう実態について御存じなのかどうか、これをまずお伺いしたいと思います。
  287. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘ありましたように、不作のためにやみ米の買いあさりが多いという報道等もありましたので、私どもも食糧事務所等を通じて実態把握に努めておりますけれども、なかなか具体的にこういう形でのやみ米の横行があるということは把握しかねておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、適正な集荷を確保できますように、都道府県、関係団体等に対しまして通達を出しまして、このような年において、特に適正な集荷が励行されまして不正流通が防止できるような体制をとってもらうようにということで、協力方を依頼をしたという段階でございます。
  288. 野間友一

    野間委員 きょうの農業新聞で亀岡大臣は、食管制度の根幹を堅持するためにも転作推進は避けて通れない課題と、こういうことを言っておられますね。そういう食管制度を維持するという点から考えても、このやみ米業者の横行、こういうものは私は厳しく対処しなければならぬ、こう思いますけれども、これについての見解はいかがでしょう、大臣。
  289. 松本作衞

    松本(作)政府委員 御指摘のとおり、農民の方々に生産調整をお願いをしておるわけでございますから、われわれとしても食管制度を守っていくということにつきましては十分努力をしていかなければならないと思っております。しかし、具体的な法律の適用につきましては、実態とたてまえとが非常に乖離しておるというような点もございますので、できるだけ不正流通を適正流通に変えていくための努力をいたしてまいりたいと思いますが、その運用等につきましては、実態に合わせて適切な処置をとってまいりたいと考えておるところでございます。
  290. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管制度を堅持していきたい、消費者からも生産者からも、食管制度は最近もどうしても維持してほしいという声が強くなってきております。そういう間において、いま食糧庁長官から申し上げましたように、なかなか守られてない面も現実にあるわけでございます。  したがいまして、この食管制度を、消費者のためにも、生産者のためにも、日本の食糧政策のためにも、事実上守られる食管法に改善をしていく必要がある、こういうことで、いま食糧庁に対していろいろと改善の方向、特に食糧券制度をめぐっての問題についての改善の方途等を検討せしめておるわけでございまして、できることなら、合意ができれば次の通常国会にでも提案をしたい、こんな気持ちでいま検討を進めさせておるところであります。
  291. 野間友一

    野間委員 こういうやみ米買いあさりの業者がはびこるのも、一つは、やはり政府のいろいろな計算の中に古い米が入っておって、古米がまぜられる、古々米がまぜられる。だから、それはまずいから、われわれの米は新しくてうまいのだ、新米だというようなことでいろいろと暗躍しておるわけですね。  いろいろ調べてみましたら、被害の比較的軽かった秋田とか山形というところ、これはまさに農協とか食糧事務所の集荷に挑戦する形で動いておるケースがずいぶんとありますし、逆に、冷害がひどくて被害が発生しておる青森とかあるいは岩手、ここでも買いあさっておるケース、これは両方実際あるわけですね。大臣の地元福島でもあるわけです。恐らく農林省はこれの事実を知っておると思いますけれども、あちこちでやみ業者が出ておるわけで、東京ナンバーで堂々と八郎潟あたりまで行っておるというようなことも言われておるわけです。  これでは実際に困るわけで、特に岩手日報など見ますと、業者は米をみずからの地下工場に運んで、被害を受けたところのいわゆる着色米、褐変米ですか、こういうものの着色粒を除外して、上級並みにして格上げして売りさばく、こういう状況もあるというふうに報道があるわけであります。したがって、こういう点について実際にいま厳しくこれに対処しなければ、いまの米が、要するに在庫がだんだん減ってきて、適正在庫二百万と言いながら、実際に用を足せるものが百万トン前後、こうなりますと、こういう不足時には政府管理米の手当ても十分できないというような事態も、これはオーバーかもわかりませんけれども、生じないとも限らない。こういう点から考えて、やはり毅然とした態度で対処をする必要がある、こう思います。  と同時に、時間が参りましたので、もう一つ続けて大臣に質問をしたいと思いますけれども、それは消費者米価の問題です。これについてはあれこれ観測記事になりますか、いろいろ報道がされておりますけれども、要するに在庫米が減る、それから減反によって買い上げ米等、財政的にもいろいろな改善、軽減がされるわけだし、何よりも消費者の立場からいたしますと、要するにやはりうまい米が食べたい、古い米は困る。消費を拡大しなければならぬ、その消費を拡大しなければならぬのに消費者米価を上げるというようなことになりますと、とんでもないことになる、逆の効果しか出てこない、こう思うわけであります。  大臣は、何か年内は値上げをしないとかいうようなことで、あたかも来年度にはこれを見直しをするようなニュアンスのことを言われたやに報道が幾つかありますけれども、この消費者米価の値上げについて、私はもう断固としてこれはする必要はない。消費者の立場に立っても、また、いまの食糧行政の面からとっても、私はこれは非常に大事なことじゃなかろうかというように思いますけれども、この点について大臣の所見をぜひ伺いたいと思います。
  292. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、生産者米価を決定する際に、米価審議会に対しましては、今年中は値上げをしません、こう申し上げてきておるところでありますから、現時点においてもその気持ちでございます。  と同時に、先般試食会をやったわけでありますが、私も米を食べる味見は人に劣らないつもりでありましたけれども、やはり炊きがけの御飯のせいでしたか、昭和五十二年産のお米でも決してまずくはないわけであります。これは最近非常に貯蔵方法が進んでおりまして、お米というのは、私がここで申し上げるまでもなく、玄米として貯蔵しておるわけでありますが、これが生きておればおいしいのです。米が死んでしまえば味は本当にまずくなるわけでありますけれども、大体三年ぐらいは、特に低温貯蔵しておりますと米は生きているわけであります。生きているか死んでいるかは浮かしてみればすぐわかるわけであります。したがって、私ども農家に生まれ、農家に育ったわけでありますので、もう古々々米は食べられないのだ、まずいのだという意識は——私はこの間五十二年産、全然何年産か区別せずに試食いたしたわけでありますけれども、五十二年産米であると当たった人の方が少ないぐらいであるという事情でございますので、やはりお米は大事なものであるという形で食糧庁でも大事に取り扱っておるわけでありまして、その辺はひとつ、古々々米だからもうだめなんだというような意識じゃなく対処していっていただきたいなという感じも率直に申し上げておきたいと思います。
  293. 野間友一

    野間委員 いまの答弁の中で、本年度は上げない、上げる意思はないということですね。本年度というのは暦年でおっしゃっておるのですか。どうなんでしょう。
  294. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もちろん暦年であります。
  295. 野間友一

    野間委員 それでは、もう年が明けたら上げる、逆にそういうようなニュアンスにとれるわけですけれども、これについては何としても上げるべきではないということを強く訴えまして、質問を終わりたいと思います。
  296. 田邉國男

  297. 小川国彦

    小川(国)委員 遅くなりまして大変恐縮でございますが、先ほど私の質問に対しまする当局の答弁が、説明が非常に不十分でございまして、それにつきまして、もう時間も経過しておりますので、はしょって私の方から内容説明して、それに対する当局の答弁を簡潔に求めたいと思います。  実は、オリエンタルランドの今後の問題については、農林大臣、建設大臣の協議事項もございますので、大臣にその協議の際に特に厳重に対処してもらいたいという点がございますので、若干時間をちょうだいして、その点の御了解を得たいと思います。  私は先ほど、オリエンタルランド百三万坪の埋立地のうち、四十万坪の住宅用地、それから約六十三万坪の遊園地用地という二つの問題を申し上げたのですが、私が申し上げたかったのは、実はオリエンタルランドというのは百三万坪の遊園地をつくると言っていた。ところが自己資金がないために四十万坪を宅地として売って、その金で六十三万坪の遊園地をつくるようにということで——埋め立て申請をする当初、千葉県は百三万坪全部遊園地にする、こう言っていたのです。ところが、三井不動産と京成電鉄が出資して設立されたオリエンタルランドという遊園地会社は金がない。そのために四十万坪を住宅用地として売らせてほしいという要請になって、国もそれを、大臣の認可として売らせることを認めたわけなんです。  ところが、国や千葉県がオリエンタルランドという会社に売るのを認めたところが、その土地がオリエンタルランドをトンネルして、オリエンタルの出資会社である三井不動産と京成電鉄が、その四十万坪のうち二十二万七千七百六十三坪を坪単価四万五千円で引き取ってしまったわけです。そして、その土地を京成と三井はまたたく間に住宅公団に坪九万二千円で売ったわけです。四万五千円でオリエンタルランドからとった土地を、倍以上の値段で住宅公団に売って、そこで大変な利益を上げた。最終的には十三万九千円で売ったものもあったわけです。そうしてそういう形で十万八千八百八十四坪を売り渡して、残りの十一万八千八百七十九坪というのをまたいま一般分譲しているわけです。これがまた大変な値段でございまして、三井不動産がパークシティーとして売り出しているのを、きょう実は私案内書をとってもらって調べましたら、坪当たりの単価で三十八万から四十八万円で売っているわけです。  こういうように、遊園地をつくるためにということで一万六千円で国や県が払い下げた土地を、トンネル会社のように次々と転売して、三十八万、四十八万というべらぼうな値段で売りさばいている。これは三井不動産を太らせたのみであって、オリエンタルランドという会社はもうからなかった。そのために遊園地計画に挫折しまして、そして五十五年一月七日に至りまして、オリエンタルランドには金がない、こういうことで、また千葉県とオリエンタルランドそれから三井不動産、京成電鉄の間に協定が結ばれました。四十万坪を住宅地にして売って、その金で遊園地をつくると言ったのだけれども、オリエンタルランドに金がないから、また新たに二十万坪と十万坪で三十万坪の宅地転用を認めるということで、実は五十五年一月七日に、また千葉県とオリエンタルランド、三井、京成の間で協定が結ばれたわけです。  そうしますと、建設大臣が埋め立てに当たって百三万坪の遊園地ということで最初来たのが、金がないから四十万坪宅地で売っていいといって、また今度、本年の一月七日に三十万坪宅地で売っていいということになりますと、これは、百三万坪のうち七十万坪も宅地に売ってしまって、実質的には遊園地は三十万坪程度しかつくらないということになってしまうわけなんです。これはまさに国をだましてきたやり方である。  そして、資本というものが国に申請し、県に申請するときには、東京と千葉県の真ん中の江戸川の一番突端のところだから、理想的な東京都民と千葉県民のオアシスの遊園地をつくります、こういう申請で許可を得ながら、資金がないないと言って、だんだん宅地宅地で売ってしまって、遊園地はもうほんの小さな、三割近くのものになってしまった。私は、まだ小さくなってしまうのではないかと思うのです。というのは、アメリカのディズニーでさえ七万坪でできているのに、百三万坪とか七十万坪とか、七十万坪にしてもディズニーの十倍というような遊園地計画を建設大臣が認めてきたのに重大な問題があった、こういうふうに思うわけです。  そこで、いまの埋立法では残念ながらこれに対する規制が国としてできない。今後何ができるかということになりましたら、それはやはり、建設大臣がこれから行う都市計画の中でこれに対してどういう規制ができるか。建設大臣が都市計画を決定するときには農林大臣とも協議しなければならないという規定があるわけなんです。ですから、建設省と農林省がこれに一体どう対処するのか、それをひとつ簡潔に答弁を願いたいと思う。  まず建設省の方から、五十五年一月七日に千葉県の行った、新たに二十万坪プラス十万坪で合計三十万坪を住宅地に転用してもよろしい、こういう相談を受けているかどうかについて伺いたい。
  298. 牧野徹

    牧野説明員 私の方では浦安の都市計画区域についての用途地域を担当させていただいておりますが、もし先生がおっしゃるようなことになりますと、用途の目的が変われば当然用途地域の変更も伴ってまいるわけですが、それらについては現在のところ、私のところでは何にも聞いておらないわけでございます。
  299. 小川国彦

    小川(国)委員 農林省の方は聞いておりますか。
  300. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 市街化区域、それから市街化調整区域の区域区分の決定または変更の場合は、都市計画法第二十三条第一項に基づきまして、建設大臣からの協議を受けて、農林漁業の土地利用との調整を図っているところでございます。  お尋ねの件につきましては、四十五年七月線引き決定、その後昭和五十四年七月に線引き見直し決定がされておりまして、この協議に当たっては、当該地域の中には農林地は含まれないというようなことから、異存はないというふうに判断して、その旨建設省に回答を行ったところでございます。  その市街化区域の中の用途地域につきましては、これはいま先生御指摘のように、その後計画の変更があったではないかというようなこともございますが、直接協議の対象としておりません。ただ、当初の線引きについて協議を受けます際は、人口等の全体のフレームとの関連で全体構想を承るというようなことになっておるわけでございます。
  301. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると端的に言って、農林省もまだ今度の新たな一月七日のことについては御相談を受けてない、こういうことですね。
  302. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 市街化区域内でどういう使い方をするかということについて、当初線引きに当たって農用地が含まれていない、したがって農林省としてはこれを市街化区域として扱うことには差し支えないという判断をいたしました以上、その中がどういうような用途で使われるかということは、市街化区域内の問題としてはございましょうが、直接農用地と関係するものでないので、その後の変更の問題については、相談を受けていないというよりは、そもそも相談の協議の対象にはなっておらないところでございます。
  303. 小川国彦

    小川(国)委員 わかりました。  それでは建設省の方に伺いますが、これが今後上がってきた場合には、建設省としてはこれにどういうふうに対処されますか。
  304. 牧野徹

    牧野説明員 用途地域の変更が県の方から上がってきた場合ということですが、その前に、浦安につきましては首都圏の近郊整備地帯になりますものですから、用途地域の決定権は知事さんにございます。その後建設大臣の認可、こういう手続に相なります。  御質問の浦安の都市計画区域の変更については、先ほども御答弁申し上げましたように具体的にはまだ承知しておりませんから、その点についての個別、具体のお話はできませんが、ごく一般論的に、用途地域の変更が上がってきた場合に建設大臣はどう対処するかということでございますれば、現在の土地利用の現況でございますとか及び動向を勘案いたしまして、それぞれ住居、商業、工業その他の用途を適正に配置するという観点からチェックをいたしまして、よろしいということであれば認可をしてまいるということになろうかと考えます。
  305. 小川国彦

    小川(国)委員 これは河川局でも都市局でもいいのですが、問題は、埋立地の目的が遊園地という目的でその埋め立ての許可をして、第一回四十万坪というものを売らせた。売らせたところが、実質は、オリエンタルがそれを売るのじゃなくて、三井や京成が土地を持っていって売ってしまった。三井不動産がこれで上げた利益は数十億というわけです。現に千葉県は、今度のこのオリエンタルランドのために、低く見積もっても十五億ほどその利益を吐き出せというふうに言っているわけですね。そういうような利益を与えてしまった。  本来なら遊園地という目的で、一番最初の値段は一万六千円という安い値段ですから、それをオリエンタルがトンネルで通して四万五千円で三井不動産が買ったにしても、四十万なり四十五万で売るということは、これは十倍の利益です。そういうような土地転がしのようなことがこういう国や県の認可した埋立地で、都市計画で行われていくということを河川局あるいはまた都市局とも今後認めていくのか。それから、この三十万坪の転用については当然建設省に上がってくるのですが、そういういままでの、いわば本来の目的に反した、土地が不当に転がされて売られていくという実態について、これを規制したり指導する考え方というものは河川局、都市局にないのかどうか、河川局と都市局からそれぞれ承っておきたい。
  306. 佐藤毅三

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  埋立地につきましては、先生御承知かと思いますが、竣功認可までは建設大臣が認可権を持っておりまして、変更等についてチェックをすることになっております。竣功認可をいたしました後は、免許権者である知事が用途の変更でございますとか権利の譲渡についてはチェックをするということになっておりまして、もちろんその際に、知事が総合行政の担当者といたしまして十分に適正な判断をされるであろうというふうに考えておるわけでございます。
  307. 牧野徹

    牧野説明員 都市計画といたしましては、現在の所有者がどういう経緯でその土地を所有したかということには何ら関係しないものでございますが、いずれにしても現在、浦安の千六百九十七ヘクタールですか、あの市街化区域には全部色塗りがしてございます、用途地域の指定がしてございますから、仮に、現在は先ほど御答弁申し上げましたように上がっておりませんが、上がってきました場合には、その変更をどういう理由でやるのかという点については詳細に検討を都市局としてもやらしていただきたいと思います。その際に、埋立地の用途に係るこれまでの経緯についても認可に際しての参考にしたいというふうに考えております。
  308. 小川国彦

    小川(国)委員 あと一点だけ。これは農林水産に関係しないと言われるのですが、実は、漁民が八百万円の補償金で土地を手放したときには、この土地は遊園地にしてそこで皆さんを働かせますという条件になっているわけなんです。その遊園地がだんだん減らされていったら漁民との補償協定というものはほごにされる、こういうことで農水にも深い関係があります。  最後に一点だけ建設省に言いたいのですが、河川局は、埋め立ての許可をしてしまった後は、それはもう千葉県のことで建設省は関与しないと言うのですが、それならば、これは答弁できなかったら後で文書でもいいですからきちっと回答をもらいたいのですが、七十七万平米、二十三万坪というものを一遍召し上げて、そしてそれをまた、地盤が軟弱であるから住宅をつくるのは無理だからそれはD地区に移すからということにして、そしてそこにまた住宅用地がつくられるのですが、この召し上げてそれをまた返したという経過は一体どういうことなのか、その点だけここで説明しておいていただければ結構だと思うのです。公共的住宅用地として二十三万坪召し上げたものを今度D地区につくればいいということになったそうですが、D地区につくるのかどうかだけひとつ答弁しておいてください。それで終わります。
  309. 佐藤毅三

    佐藤説明員 C地区におきまして第三工区のうち三分の一、約七十七ヘクタールを公共的な住宅用地にするようにという条件をつけましたが、その後、当該地のボーリング調査等をいたしましたところ、公共的な住宅用地、すなわち住宅公団の高層住宅を考えておったわけでございますが、そういう住宅用地としては地質等が適当でないということになりまして、その分をD地区に変更したいということで変更の申請が上がってまいりました、昭和四十九年であったかと思いますが。そういう事情を勘案いたしまして適当であるということでD地区の方に変更を認めたわけでございます。      ————◇—————
  310. 田邉國男

    田邉委員長 これより請願の審査に入ります。  今国会において、本委員会に付託になりました請願は全部で六十七件であります。  本日の請願日程第一から第六七までの請願を一括して議題といたします。  各請願内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきましても慎重に検討いたしましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第一及び第一一の両請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  ただいま議決いたしました両請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  313. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  314. 田邉國男

    田邉委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、食糧自給力向上及び米穀政策の確立等に関する陳情書外二十六件でございます。右御報告いたします。      ————◇—————
  315. 田邉國男

    田邉委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各件につきまして、閉会中もなお調査を行いたい旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、法案の取り扱いにつきましては、理事会の協議に基づき、委員長に一任されましたことを御報告申し上げます。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員を派遣する必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  317. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会