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1980-11-12 第93回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十二日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 津島 雄二君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北口  博君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       田名部匡省君    玉沢徳一郎君       丹羽 兵助君    保利 耕輔君       渡辺 省一君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    安井 吉典君       玉城 栄一君    吉浦 忠治君       神田  厚君    瀬長亀次郎君       野間 友一君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局審議官兼         物価局審議官  戸田 博愛君         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房技術審議官  山極 栄司君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         水産庁長官   今村 宣夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     池田 久克君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         文部省体育局学         校給食課長   奥田與志清君         農林水産大臣官         房審議官    志村  純君         農林水産大臣官         房企画室長   鴻巣 健治君         農林水産省経済         局統計情報部長 関根 秋男君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   吉浦 忠治君     玉城 栄一君   寺前  巖君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     吉浦 忠治君   瀬長亀次郎君     寺前  巖君     ――――――――――――― 十一月十一日  北海道農業地位向上に関する請願  (五十嵐広三紹介)(第一七四二号)  水田転作面積一律均等配分実施等に関する請  願(川田正則紹介)(第一七四三号)  農林年金制度改善に関する請願阿部助哉君  紹介)(第一七四四号)  同(小川国彦紹介)(第一七四五号)  同(米田東吾紹介)(第一七四六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十一日  昭和五十五年度サトウキビ生産者価格引き上  げに関する陳情書外四件  (第一一〇号)  カンショでん粉生産者適正価格保障等に関  する陳情書(第一  一一号)  食糧自給力向上及び米穀政策の確立に関する  陳情書外一件  (第一一二号)  北海道農業危機打開に関する陳情書外三件  (第一一三  号)  米の消費拡大対策推進に関する陳情書  (第一一四号)  沖合イカ釣り漁業経営危機打開に関する陳情  書(第一一五号)  森林総合整備事業の促進に関する陳情書  (第一一六号)  漁業者年金制度の創設に関する陳情書  (第一一七号)  農業者年金制度の改正に関する陳情書外二件  (第一一八号)  昭和五十六年度農業委員会等関係予算確保に関  する陳情書外七件  (第一一九  号)  昭和五十五年産畑作物価格等に関する陳情書  (第一二〇号)  異常気象による被災農家救済対策に関する陳情  書外十七件  (第一二一号)  水田利用再編第二期対策に関する陳情書外十九  件  (第一二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里貞利君。
  3. 小里貞利

    小里委員 きょうは与えられた時間がきわめて制限されております。したがいまして、質問も端的に申し上げますが、また大臣を初め関係当局も要点を簡潔にお答えいただきますようお願い申し上げます。  まず質問の第一点でございますが、昨日来の農林水産大臣の御答弁どもお伺いいたしておりますと、水田利里再編対策はわが日本農政上避けて通れない大きな課題であります。いろいろ今日の厳しい農村社会相手にいたしまして、何事にもこだわらない、そしてちっとやそっとの障害物は断固排除をして、たくましくしかも意欲的に農民皆さん農業に取り組めるようにやっていただきたいと考えているのだけれども、今日の農村農業経済の厳しさなどを中心に、あるいはせんだっての冷害など考えるときに、大変苦慮しておるというような昨日のお話もございました。     〔委員長退席津島委員長代理着席〕 なるほど、冷害対策あるいは第二期再編対策のそれらの明暗両面における一つの接点をどういうふうに求めていくか、大変苦労しておられるようでございます。また第二期対策でありますが、これもできるだけ第二期のかさ上げ分というものは避けて通りたいというのは農村の総体的な強い要望であることも事実であります。  私はけさども実は農協諸団体皆さんから強い陳情を受けました。せめても五十三万五千ヘクタールで抑えられないのか、こういう強い要請も受けておるところでありますが、やむを得ないことといたしまして第二期再編対策、そして大臣が言われるように少しでも何とかそこにプラスかさ上げ考えなければやむを得ないのだという前提に立つといたしましても、私は、新しい第二期再編課題というものは、大臣がきのうも言われたように、政府もあるいは都道府県、市町村、あるいは関係農業団体農民、すべてが、原則的にはそれこそ公正妥当に負担していかなければならない一つの問題であろうと思うのでございますが、その辺の基本的な理念につきまして、考え方について大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 昨日も申し上げてありますとおり、この第二期水田利用再編対策は、避けて通れない日本農政現時点における宿命であるというふうにも考えて、九月中に割り当てを済ませてという考えも当初持ったわけでありますが、このような厳しい凶作というような事態に逢着いたしまして、この考えを一時たな上げをしまして冷害対策に取り組まさしていただいたわけであります。しかるところ、一応の天災融資法閣議決定政令公布という手続等も終了をし、逐次被災農家の手元に対策がしみ渡りつつあることを確認をいたしましたので、いよいよ第二期再編対策に取り組んで、今月末あたりまでにその結論を出したい。結論を出すに当たりましては、御指摘のとおり、これはもう国も県も市町村農業団体も、特に農家の納得と協力がなければ二期対策の企図する成果も上げることは困難である、こういうふうに考えておりますので、適正に、公正に、冷害があったからこっちを外してあっちをやるというようなことじゃなく、どなたから見ていただいても、まあまあこれならやむを得ぬかというようなところまで意見集約をして最終的な結論を出したいという感じを持っておるわけであります。  ただ、その間の私の気持ちは、昨日の委員会においても当委員会に申し上げておるところでございますけれども、しからば数字的にどういうふうに固めておるのかということを言われますと、そういう数字的なことにまでは、実はまだ結論をつけておるわけではございません。やはりいろいろ勘案をいたしまして、議論過程においてはあるいは事務当局考えたような案も出てくることもあり得るわけでありますが、やはり本委員会等における御意見等も十分お聞きした上で決めていかなければいかぬ、そんな気持ちでおるわけでございます。特に、今回冷害がございまして、その冷害を受ける度合いも非常に差があるわけでありますから、冷害を受けたから、その分を冷害を受けない方で負担してもらうなんという考え方はしてはいけない、この点だけは事務当局にきちんと指示をいたしておるところでございますので、できるだけ意見集約をいたしまして、特に党の方とも緊密なる連携をとりまして結論を出していきたい、こんな基本的な考え方で臨んでおる次第でございます。
  5. 小里貞利

    小里委員 大臣から大変明快にきちんとお答えいただいておりまして、よくわかります。しかしながら五十三万五千ヘクタールにプラスかさ上げ分はいま検討中だ、十分委員会関係筋意見を聞きながら対処したいということでございます。希望でありますが、私はできるだけそのかさ上げ分最小限に抑えていただくよう善処方要請しておきたいと思うのです。  それからまた、大臣も言われましたように、しばしばこのことはお互いに耳しげく言ってきておるわけでございますが、冷害農民の経済的な損失あるいは心情を十分配慮してやらなければならないことは一つの原則であります。同時にまた、非冷害地域あるいは冷害をこうむった被害度が少ないところに今度のかさ上げ分というものをしわ寄せをすることは絶対にしない、そういう大臣のまた明快なお話でもございますので、十分了承するところでございます。しかしながら、先刻の閣僚会議におきましてもわが国の食糧需給長期見通し等におきまして明確に出されておりまするように、米の需要は顕著な勢いで減退していきますぞ、これもまた明らかなる、冷厳なる事実であります。こういうことから考えていきまして、先ほど、それこそ農業未来構想も出されたところでありますけれども、そういうことなどを考えますと、ただいま大臣も触れられたように、その第二期再編目標なりあるいは府県間の割り当てというものは十分検討し、そしてまたかなりの時間も必要でありましょうけれども、できるだけ早い時期に、しかも明確に農民の前で、農民が納得できるように作業を進められることを要望申し上げておきたいと思います。  時間がございませんから急ぎますが、その次に、このいわゆる冷害農家に対する第二期再編のさらにかさ上げ分をやらなければならないという前提に立ったときの話、いわゆる冷害減反進め方冷害軽減進め方でございます。これはまだ農林省当局の全く事務的な検討事項の範疇を出ないところでございましょうけれども、私どもが承りますところ、たとえば共済面積も三割以上、あるいはまた今回の被害面積も三十八万ヘクタール、これは日本の全水田面積二百八十万ヘクタールの約八分の一だ、あるいはまた、作況指数も八八%、あとの一二%は、それこそ十四万二千ヘクタールを一応農林省事務案と申し上げていいのでしょうか、その十四万二千ヘクタールから考えていくと、これもまた偶然にも八分の一だ、こういう一つの試算の過程があるやにも私どもは承っておるわけでございます。  そのような、一つ冷害にかかわる減反軽減というものを考えていく場合に、面積ごろ合わせと申し上げましょうか、面積の観点だけから考える発想というものはいささか手薄ではなかろうか。むしろ、冷害によって顕著な被害を受けた農民の実態というものが、一体経済的にどのような損失になっているのか。もちろん損失そのものがオールそのまま損失であるとは、総合所得においては言いかねる面があろうかと思うのです。共済金等もありましょうし、その辺のプラス・マイナスの計算が最終的になされるところに経済的な損失の絶対額というものが出てくることはわかるのでございますが、私は、その辺のもっと具体的な、科学的なと申し上げましょうか、算定が試みられて、そしてこの冷害農民に対する五十六年度分のいわゆる減反軽減構想というものが出てきていいのではないか、かようにも考えるところでございますが、まずこのことについてお伺いしたいと思います。
  6. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期対策におきまして目標面積をどうするかという問題があるわけでございますけれども、それとともに、何か五十六年度限りの特例措置としてでも冷害配慮ということが考えられないか、その辺を十分検討せよと、大臣の方からも御指示をいただいているわけでございます。  事務当局としていろいろ考え、また検討もしてみたわけです。そういたしました際に、一応需給上は問題ないという角度であるわけでございますが、そういう上に立って冷害配慮というのを目標の面でどう考えていくか。これは冷害配慮である程度面積を引けば、その分はむしろ、単年度需給という角度からすれば需給心配がないのだから、減らす分はむしろ後年度に持っていくなりどこかにかぶせないとおかしいではないかという議論も率直に申しましてあるわけです。しかし、後年度にかぶせるという話で、果たしてそれは冷害配慮というふうに評価され得るのかという問題もあるわけでございます。いろいろ検討した結果、事務局といたしましては、後でかぶせるあるいは他の地域にかぶせるということもあるでしょうが、それはおかしいので、むしろそこは軽減しつ放しということでいくべきではないか。だとすれば、これは需給上なぜそのくらい引いても心配がないかという説明がつかなければならぬ、そういう需給上の許容し得るものでなければならないということも言えるわけです。それとともに、その数量は冷害を配慮するのに十分なものと見られる数字でなければまただめだ。そうだとすればそこはどの程度のものであるべきかということでいろいろ検討したわけでございます。  そういうことで、ただいまお話も出ましたように、今回の冷害によります被害額調査いたしました際に、三割以上の被害面積というのが三十八万ヘクタールもあったわけでございます。これが全体の八分の一というぐらいのことにもなるし、あるいは作況指数が一二%低下した、これも八分の一ぐらい低下しているというようなことをあれやこれや考えて、大体八分の一程度に見合うものを上乗せ面積から引く、引きっ放しという角度考えればそんなことが限度じゃないか。     〔津島委員長代理退席委員長着席〕 それ以上と言えばまた返してもらうみたいな話まで御発展するかもしれませんが、一応そんなことではなかろうかということで、検討状況を党の方から説明せよということでございましたので、事務局としてはそんな程度のものが至当ではないかと考えておりますがということを申し上げた次第でございます。
  7. 小里貞利

    小里委員 時間がありませんから、もう一つただいまの局長答弁についてお尋ねいたします。  今日の段階でこれ以上具体的にきわめるということはお互いに無理なのであるわけでございますが、仮定いたしまして、私が先ほど局長答弁を引き出すといいますか、答弁がしやすいだろうという意味におきまして申し上げました、いわゆる冷害被害面積三割以上、それが大体相当面積三十八万ヘクタール前後でございましょう、あるいは共済面積三割以上というような基準などから考えて試算されておる、いま御説明になったそのことに関連して、一部の農民地域におきましては非常に心配しておることがあるのです。それはすなわち、その三十八万ヘクタールから逆算しておいでになりまして引き出されてまいりました数字、はっきり申し上げまして二万ヘクタール弱にプラスアルファが考慮されるのではないか、農民は非常に敏感でありますから、そういう心配も出ておる向きもあるわけなんです。しかしながら、そのプラスアルファ基本数字である二万ヘクタール前後の数字をはるかに超えるものでは絶対にないだろう。もちろん基本数字がたとえば一万八千あるいは二万ヘクタールと出た以上は、それ以内で、大体常識的に基本数字の枠内でおさまるものだろう、私はこう思うのですが、それはどうでしょうか。簡単でよろしゅうございます、一口でお答え願いたいと思います。
  8. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ですから、八分の一に若干のアローアンスがつく程度ということぐらいではございませんか、こういうふうに私は申し上げたわけでございます。
  9. 小里貞利

    小里委員 次に転作率でございますが、いままでの実績、御承知のとおりでございます。この問題は、ただ単に広い全国を対象にして、各地域にと申し上げましょうか、地域主義に視点を置いた論議は慎まなければならぬと私は思っております。これは客観性のない話をしてはだめだと思うわけでございます。しかしながら経過を見てみますと、転作率は少なくとも数値におきまして大変な起伏があることも事実であります。全国転作率平均は一九%前後でございますか、それに比較をいたしまして、たとえば南九州などは二六%、二七%という大変顕著に高い率を示しておるところもあるわけです。しかし、これはそれなりのまた一つ算定根拠があり、また数多くの議論をなさって積み上げてこられた一つ実績であろうと思うのでございますけれども、しかしながら、今日の第二期再編論議が出てまいりましてから、そのような高率の地域におきましては、転作率もストレートで非常に注目をし始めておる傾向があります。おれたち地域だけなぜこんなに転作率が高いのだろうかという素朴な疑問も出てきておることは事実であるわけです。  申し上げるまでもなく、湿田あるいは迫田、たな田、そういうような水田質的判断からいきまして、いままでは七つの配分要素、そしてまたこの前の五十五年度かさ上げ分については面積割り五〇%を基準にして積み上げおいでになったいきさつなどはわかるにしても、今度は面積割りというものを少なくとも、先ほど大臣が言われるように、かさ上げ分なさるといたしますれば最小限に抑えなければならないことは先ほど強く申し上げましたが、仮にかさ上げ分がなされるとすれば、その分については——従来の五十三万五千ヘクタールを言っているわけじゃない、これはこれとして一つの私は聖域だろうと思っておりますから、そういうふうに理解させていただきますが、それ以上のかさ上げ分については面積割りでやるべきではないかという意見が非常に強いようでありますが、まずこのことについてお聞かせいただきたいと思います。
  10. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期対策におきまして目標かさ上げ分が出てまいろうかと思います。いずれそれが固まりますれば配分という問題に次は入るわけでございます。その際に、この配分というときには一体どういう要素でこれをやっていくかというのは、現時点におきましては私たちもまだ検討作業に全然入っておりません。したがいまして、まだ何も結論的なものあるいはこういう考えでというようなことは現在時点でも持っておりません。ただ、これにつきましてはいろいろ現在も陳情その他が来ておりまして、従来転作率が非常に高いところでは水田面積割りというような形のもので大いにやってもらいたい、そういう角度でやってもらいたい。それからむしろおいしい米どころといいますか、そういうような地帯につきましては、むしろ地域分担的な思想、こういう面で十分やってもらいたいというような御主張もございます。それから市街化区域等を抱えた県等におきましては、兼業農家が多いので、ここは余りかぶせぬでもらいたいという話もございます。というようなことでいろいろ御主張が非常に違っております。そういうことで、具体的にどうするかという方向検討はまだ始めておりませんけれども、今後そういう時点になりますれば、当然この問題は非常に大事な問題でございますので、慎重に検討を重ねまして、何とか適正な配分というものに持っていきたいと考えておるわけでございます。
  11. 小里貞利

    小里委員 転作率にかかわる私の質問、提起については非常に右往左往して答弁しておられるようでございますが、これは非常に重要な、私どもは関心を払っておる問題でありますから、慎重にひとつ、しかも十分耳を傾けて御検討いただくように強く要請いたしまして、時間が参りましたから、これで終わります。
  12. 田邉國男

  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 八〇年代の目標並びに長期見通し質問する前に、二点ほど大臣に要求をしたいと思うのですが、きのう非公式に、来年度の二期減反割り当て等々について、いやしくも農林水産委員会が開かれている席上があるにもかかわらず、これを相談するならわかるけれども、公表するというのに至っては、これは議会軽視もはなはだしいということで、まずその資料を出してもらいたい、これが第一。  それから第二の問題は、きのうの寺前委員の要求された資料は、即刻これは出してもらわないと審議がしにくい。つまり、自民党と民社党さえあれば、あとの政党は委員会で物を言わせておけばいいのだ、こういうような受け取り方にもなるわけであって、これは重大な問題だと思うのですね。まず即刻出してもらいたい。そのことに対して答えをいただいてから質問します。
  14. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 二期対策の、けさ新聞等に載ったものは、あれは公表いたしたというものではございませんので、一つ説明を求められたのに対する現況説明資料、こういうふうに御理解をいただきたいと思いますので、この資料委員会に、もし御要請があれば提出をいたします。  さらに、寺前委員から昨日要請されたものは、できるだけ早く提案をするように事務当局に命じてありますので、この点は御了承いただきたいと思います。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは「八〇年代の農政基本方向」と、「農産物の需要生産長期見通し」について質問いたします。  すでに各委員からかなり詳細な質疑が行われておりますが、まだ十分でない点が幾つかありますから、これについて一つずつ確かめていきたいと思います。  まず大臣に、いままでそれぞれお答えをいただいてきたけれども、本来ならば国会の初めに、大臣施政方針の物の考え方というものを出して、それからそれに基づいて質疑をするのが筋であったけれども、それがない。この辺で大臣農政に対する哲学というか思想というか、それを明らかにしてもらいたいと思うのです。
  16. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農政に対する私の考え方と申しますか、やはり自然を相手に、大地を相手に物をつくり上げ喜びを感ずる農民諸君が長年の間その職に懸命に努力をしてきておる、そういう農村地域社会、それはとにかく国発展の基盤である、こういう考え方で私はずっと政治的な活動をいたしてきておるわけでございます。したがいまして、やはり農民としての農民魂と申しますか、そういうとにかく土からの生産喜びを感じ、それがひいては一億国民の食糧供給という大きな任務を果たしていくというものにつながる。したがって、農家としてはやはり自然を相手の、経済的な社会的な自然的な不利条件のもとに営まなければならない、この農業という非常に生産性上げにくい部門であるわけでありますから、高度工業国家である日本においては、農業だけで所得上げていくということは非常に困難である。したがって、やはり国としても大きな投資をして、そこに生産性の高い農業が経営できるような環境を思い切ってつくっていかなければならない、こういう立場をとりまして、とにかく農家自身が農民魂と申しますか農民精神と申しますか、プロ精神と申しますか、そういう国家投資にふさわしい構えと申しますか心構えを持って農業に取り組んでいただきたい、こういう気持ちも実は持っておるわけであります。  そうして両々相まって、北海道の酪農、あれだけの苦難の道を歩みながら、今日とにもかくにもヨーロッパ並みの酪農経営もするだけの実態をつくり上げた実力を日本農民の諸君は持っているわけでありますから、国の施策のよろしきを得、国家投資のよろしきを得ていけば、私は、農業の面においても国際農業にひけをとらないような体制を遠き将来においてはつくり上げることは不可能ではない、そういうような気持ちで実は指導に当たっておるところでございます。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま大臣からお答えがありましたが、農業は国の基本的な産業であり、そして食糧というのは大事なものである、それをつくる農民あるいは農業、これに対しては国が一定の保護をしていけばりっぱなものになり得る、こう理解をしてよろしいですか。
  18. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのとおりでございます。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、本案件は農政審議会の答申を得て閣議の決定をしていよいよ公表したわけでありますが、農業基本法の第八条に基づいておりますが、いま問題になっている長期見通しというものは、だれがだれにどんな責任を持ちますか。
  20. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、これは需給見通しの方も、それから「八〇年代の農政基本方向」も、いずれも内閣総理大臣の諮問機関でございます農政審議会から答申がなされておりまして、そのうち需給見通しにつきましては十一月七日に閣議で決定をいたしまして、政府としても正式にこれを決めたという形になっております。  一方、基本方向の方は、政府といたしましてこれをいただいた形になっておりますので、これから、農政審議会の八〇年代の基本方向をいただいて、その趣旨を尊重しながら施策の具体化を図っていくという段取りになるわけでございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それはだれに責任を持つか、つまり農業団体農民や地方自治体に責任を持つのか、それとも農林水産省が仕事をする上において参考にするのかどうなのか、それを聞いているのです。どっちです。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 これは農業基本法に法定されておるものでございまするから、これは政府が、農林水産大臣全国民に対して責任を負う、こういう立場で私はとらえております。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、同じ農業基本法の第十一条には、農産物の価格についてどうなっているかということを公表しろという項目がある。これについては、私が議会に来てから恐らくいまだに出されたことはない。四十五年ごろに一度出したことはあるけれども、これはどうして出さないか、出さない理由について明らかにしてもらいたい。
  24. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 価格政策について、基本法十一条に規定がございます。今回、農政審議会の検討で価格政策につきまして言及いたしまして、今後の価格政策のあるべき問題、これは当然これまでの価格政策の反省の上に立って、価格政策の総合的検討をいたしたわけでございます。そうした意味では、今回の農政審議会の御意見は十一条に規定するものと実質的に同趣旨のものを私どもいただいた、このように理解しております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 四十五年に当時の農林省が出したものと現在出ておるものとはかなり質的に違うわけだ。現在議論しているのは価格問題が軸になっているわけですから、価格政策をどうとってきて農家所得がどのように動いてきたか、農家がどういうふうになったかということについては当然別に出すべきであります。いまのように一つのものにしないで、それぞれ別に出して議論をさせてもらいたいということを要望します。  続いて、あの農業基本法をつくるときには、不幸にしてわれわれは参加できない形でつくられた。そういう意味において、農業基本法が成立するについては大変残念な経過があります。それにしても現在法律としてできているからには守ってもらいたいが、しかしあの中に盛り込まれている幾つかの項目は現在の農業の実態とはかなり違う。むしろ農業基本法そのものを再検討する時期に来ていると思うけれども、これについては大臣、いかがですか。
  26. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今回「八〇年代の農政基本方向」の答申をいただいたものを拝見いたしましても、昭和三十六年に制定をされました農業基本法の趣旨といたしておりますところと差はないものというふうに私は受け取っておるところでございます。基本法で企図したところがなかなか基本法どおりに進まない面も実はあったわけであります。そういう面について進みやすい政策をしなければいかぬぞと言って指摘してきたのが今回の「八〇年代の農政基本方向」、こういうふうに私は理解いたしておりますので、いまのところ基本法を改正する必要はない、こう考えております。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 必要がないという御意見ですけれども、あれを議論するために、委員長、もう一遍農業基本法に基づいて別に委員会を開いて議論をしてもらえますか。委員長にお願いします。これはどうですか。
  28. 田邉國男

    田邉委員長 その点につきましては、理事会によく諮りました上で検討させていただきたいと思います。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、農業基本法がむなしくて仕方がない。農業基本法が示しているような二町五反歩の農家が百万戸日本にできているかどうかといったら、そういうものは恐らくできていないでしょう。それから、都市的農民と、それと同じぐらいの者の所得が均衡であるということもないでしょう。実際は農業所得というものより農外所得の方がはるかに多くなっている。こういう事態で兼業農家が圧倒的にふえてしまっているという状態の中では、恐らく農業基本法というのはむなしい存在でしかないのじゃないか、こういうふうに感ずる。  それならお聞きしますが、ここに載っている中核農家というものは一体どういう農家を言うのか、それについて説明していただきたい。
  30. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 中核農家の具体的な取り扱い上の定義としましては、成年男子一人以上おりまして農業に専従することを前提といたしておりますが、概念的には私どもは、今後の農業生産の過半を担うべきこれからの担い手という考え方で中核農家を位置づけております。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 続いて、対照的な第二種兼業農家の存在をどうされるか。
  32. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 答申の基本方向にも示してございますが、従来、ややもすると第二種兼業が脱農をすることを前提といたしまして、これが中核的農家あるいは専業的農家への耕地の集中という形での規模拡大、そうしたものをねらいとして考えられてきましたが、今回の基本方向では、むしろ第二種兼業という状態自体が農家所得としては相当な水準を持ちまして、農外所得だけでも家計費を十分賄うような状況、これらが広範に現在の農村部にあらわれているという状況を前提といたしまして、両者が共存し得るような地域社会の形成を図っていく、そうした中において構造政策なり生産再編成を図りたい、こうした考え方に立ちまして、先般の農用地利用増進法なりの考え方もそうした方向に沿うような土地制度上の手当てをしたものと、このように考えておるわけでございます。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 三十五年に農業基本法をつくるときには百九十四万二千戸の第二種兼業農家が、五十四年では三百三十万三千戸になっている。全体の農家の七割が第二種兼業です。このように第二種兼業が健全に存在をしていて、これは農業の中では米をたくさんつくっていますね、それから野菜もつくっております。余り販売はしないけれども農村の中ではかなり定着をした存在になっている。むしろ一番危ないというのはこの中核農家と言われるものであって、先ほどの渡邊官房長説明は私は非常に不満なんだが、先ほどの説明のように一人の成年が営農をやるということだけでは中核と言えないのじゃないか。面積においてどれくらいの面積、それから農家所得においてどれくらい、こういうものが中核農家だということを示さないと、この方向の中には中核農家という言葉がたくさん出てきますね、何十カ所か出てくる。数えてみても中核農家というのは相当な数出ていますが、その中核農家というのはその程度の理解ではこれはやはり内容に一致をしないから、もう少し中核農家というものを吟味して説明してもらいたいと思う。たとえば北海道であれば何町歩でどれくらいの収入があるものが中核であり、都市近郊ではどうだ、あるいは土地利用型ではどうであり、あるいは施設利用型ではどういうものでどうだというぐらいの注釈や説明がなかったら、これはわれわれが帰って説明するわけにいかない。あの程度説明だったら納得しませんね。
  34. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 中核農家の定義自体をさらに具体的に申し上げますと、統計上の整理といたしまして、私どもは基幹男子農業専従者、十六歳から五十九歳以下で年間自家農業従事日数が百五十日以上という規定をもちまして統計上把握しております。この方々が五十四年の段階で約百万戸ということになっておりまして、農業生産額全体に占めるこれらの人々の割合は五六%、こういう現況でございます。  中核農家はおおよそどういうふうなイメージで持っているかということは一概に申すことは困難な面がございます。最近における経営の方向として、経営分野が従来にも増して多様化してまいりましたのと、複合化等のいろいろな形態を持っておりますから一概には申し上げられませんが、現況で稲作単一経営ということを都府県で申しますと二・七ヘクタール程度、酪農の単一経営で申しますと飼養頭数にいたしまして約十五頭ぐらいということになります。平均の経営規模につきましては、これらすべて合わせますと一・八ヘクタール。もちろん、施設的な畜産とかそうしたものも入りますので若干低くなるわけでございますが、農業所得としてはおおよそ三百万程度という形になっております。状況としてはそういう状況でございます。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 やや問題は明らかになりました。  そこで、今度はこの方針のつくり方について私は異議があるのですね。五百日かかって、十五人の審議会の委員皆さんと、それから事務局皆さんが大変努力をされたことについてはわかります。わかりますが、この中に地域の積み上げというものがないではないか。きのうやきょう始まったわけではなくて、もうすでに四十七年に一遍、五十年に一度、こういう長期見通しが出ている。それが幾ばくもなく崩壊をして、狂って、また新しいものに手をつけなければならないという形になっていて、十年の長期見通しが三年くらいでだめになってしまう、こういうことになっているのですね。私の茨城県でも、ここに「茨城県農業課題と農協の対応」とかあるいは「茨城県農業振興の基本方針」とかという、こういうものが出ているけれども、これもまた同じように、かげろうのようなものになって消えてしまう。活字としては残っていても、その中に生産農民の魂が入らない。こういうものが出たのだから、これに従って、目安にしてやっていこうではないかという魂が入らない。先ほど大臣から生産農民の魂の話がありましたけれども、大変結構なことだと思うが、その魂が入っていないような感じがする。だから、確かに表現としてはまとまってはいても、積み上げがないから、それならどこで何をつくるのだということになるとこれがよくわからない。  そこで今度は、六十七万七千というものを三年間でやろう、とりあえず来年は六十四万でありますか、こういう転作をするわけですけれども、これについて、どういうところに何を転作をさせようとするのかということについて明らかにしないとこれは不親切になるし、大変問題ではないかと思うのですが、そこはどうですか。
  36. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 前段のお話の点の、地域の問題を十分把握しなければという御提言は、まさにそのとおりでございまして、したがいまして、今回の基本方向におきまして、農林水産行政上初めて地域農業について、特に地域農政と、地域からの農業の発展の方向をお示しをいただいたという点では新しい問題でございまして、まさに御指摘のような課題がこれからの農政上の重要な問題と考えておるわけでございます。  ただ、私ども長期見通し全国ベースで算定いたしますが、長期見通しに基づきました地域的なものまで分担ということを画一的に示すべきではないという、審議会でも強い御意見もございます。むしろ地域農業農民の自由な発想あるいは創意をかき立てまして、新しい農業方向づけ、地域からの方向づけと国の全体の長期見通しとの間に時間をかけたフィードバック等の作業を通じてこうしたものが完成することを期待する意見が多かったと思いますし、私どももそういう方向で時間をかけてこうした問題には取り組むべき問題だと考えております。
  37. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 六十五年度に七十六万ヘクタールの要転作面積というのが出てくるが、一体何をつくらせるのかということでございます。  この面積につきましては、やはり総合的な食糧自給力の維持強化というような観点からいたしまして、今後生産拡大の必要な作物を中心として転作を進めていくべきではなかろうかというふうに考えます。したがいまして、その際には、やはり麦類、大豆、飼料作物というようないわば特定作物的な感じのものでございますが、これで三分の二ぐらい、それから残る三分の一は他の畑作物等への転作というようなことではなかろうかという一応の見通しを持っておるわけでございます。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この見通しは、日本型の食生活が定着をした、米からだんだん消費者が離れた、こう言う。そして最後には消費者に対する擁護というところで結んでいる、こういう形になっていますね。米をいかにして征伐するか、こういうことが財政上の見地からも言われて、一貫して米退治の方針だね、これは。そうなっている。いかにして米を征伐するかということに悩み抜いている、にじみ出るような感じがする、この中の一言一句がね。そこで、米よりほかにそれでは何をつくったら農家が満足するかということについても、苦しみ抜いているけれどもさっぱり答えは出てこない。これが今度のこれの内容だと思うのですよ。  だからどうしても、いま聞いてみても、大豆、麦、飼料作物その他云々と、こうなっている。その他云々というのは、この中には十三万ヘクタールもあるでしょう。十三万ヘクタールというのは、これは大変ですよ。それがうやむやでは、これは困るじゃないですか。農家は毎日毎日生産をしているのだ。こっちの方ではいろいろその他のところでいいけれども、実際はその他じゃ困るのですよ。あしたからおれのたんぼには何をつくるかということが問題になるでしょう。  だから、そのときに米退治だけでは困るから、一体この農畜産物の価格というものは、現在の地価、つまり日本の地価が水田で九十一万幾ら、畑で六十七万円、日本に一番食物を輸入するアメリカの地価というものは、この資料の中にあるように非常に安いですね。アメリカが二万七千円、西ドイツでも二十三万円、フランスが十万円、イギリスが七万四千円となっている。こういうような、地価において何十倍も安いようなアメリカから食糧が入ってくるということになると、農畜産物の価格は一体何を基準に決めるのか。つまり日本生産所得補償方式で決めるのか、それとも外国から輸入すればこれぐらいになるから、それと見合って決めるのか。何をもってこれは決めるのですか。
  39. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 基本方向の答申にも、価格政策の総点検をいたしまして、やはり農産物の価格政策がスタートいたしましたとき、当然それは価格変動防止ということを第一のスローガンにスタートしたものが多いわけでございますが、今後の価格政策のあり方、これまでの反省として、これからの価格政策の方向に当たりましては、一つは、価格が持っております需給の調整機能というものを反映する価格政策のあり方が必要ではないか。もう一点は、所得維持の観点あるいは農業所得を安定するという観点からは、これからの中核農家所得を安定させるという方向考えるべき問題であろう、このように指摘しておるところでございますし、私どももそういう方向でこれからは考えていくべきものだと考えております。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は先ほど農業基本法に触れて価格の問題に触れてきたけれども、まさにこの農業基本法、価格問題、今度のこの出した方針というものと全部関係がある。価格というものは、農家にとっては、資本主義の社会では価格がどう決まるか、これが一番大事なことですね、労働者の賃金と一緒なんだから。  そこで、ではもう一度今度お尋ねしますけれども、この方針の中にも参考に出ていますが、五十三年度農業粗収入三十九兆円と出ている。それがやがて六十五年には五十五兆になるということになっておりますが、その中の米での収入というのが恐らく三割五分から四割に近いのじゃなかろうかと思うのですね。それが今度は三分の一強これが転作をするというわけですから、米によって得ていた所得というものが他の農畜産物で得られるかどうかということについての保障は考えられますか。
  41. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘の点が具体的な数字を想定してのものではないと思いますので、一般的に申し上げますれば、稲作の場合あるいは酪農その他の経営の場合にありましても、やはりそれぞれの分野におきます中核的農家所得は安定維持するという考え方を価格政策の中でも持つべきだろう、私どももそういうふうに考えております。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほどもこの価格の決定の仕方について、あるいはいま説明があったけれども、いまのこの農林水産省の考え方は、つまり土地の流動化をやって、そして土地を集めて共同、協業、そこには少しの補助金を出します、今度の自民党に説明をした中にも三ヘクタール以上については一万円加算をする、こういうふうなことが言われているようになっていますね。それで農地三法を改正をしてこれで農地を集めよう、こういう話なんですが、そのようなことをしてみても、農地の価格が、売買をすれば非常に高いことになるが、仮に賃貸をした場合においても賃貸料はかなり高くなければならないという形になる。そういうことでこれからの経営を考えるときに、価格の決定を需給だけで決められない面が多々出てくる。そこで、外国との関係については先ほど触れられなかったが、外国の方をにらみながら国内の価格を決めているのじゃないか、つまり、生産所得補償方式じゃないということだけは明確だと思うのですけれども、その辺をもう少しはっきりお答えをいただきたい。
  43. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 いろいろ御指摘いただきますが、私どもはやはり今後の農業生産におきまして意欲的に取り組む方々、これを中核的農家に期待しておるわけでございます。そうした方々の意欲にこたえられるような価格政策というものであるべきであろう。そうした方々は当然生産の合理化、生産性向上にも最も力を尽くされる方だろう。そうした形で農産物価格に対します割り高感等の需要者の不満なりをできるだけ解消するような努力を払っていく、またそういうような意欲で経営をされる人が報われていくような価格が設定されるべきであろう、このように私ども考えております。  生産性向上をするということは当然、内外格差におきましてもこれ以上開かないという努力あるいはできるだけこれを縮小し得ることになればなおベターと考えておるわけでございまして、そうした立場での価格政策を考えるべきだろうというのが基本的な考えでございます。
  44. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょっと今度は方向を変えて質問しますが、現在の自給率が三四%、やがて十年後にはこれが三〇%になるということの報告がありますが、逆に言えば農地をふやそうという気持ちが今度のものにはないですね。五十年の展望には八十万ヘクタールを造成して六十何万を壊す、そして十六万ヘクタールくらい農地をふやそうという意欲があった。今度は余りそれには触れてないですね。のみならず、水田を今度は壊してしまうという形になっていくから、ますます農地は荒れ、農民の心が荒れる、生産力が鈍るという形になる。それで今度は外国から入ってくるという形になるけれども、国内では五百五十万ヘクタール、それの裏作も余り進めないようだから、二期作というのはほとんど不可能だろう。そうすると外国からいま入ってくる食糧、これを仮に日本でつくったらどれくらいの面積が必要でしょうか。
  45. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 お答えをいたします。  穀物、大豆の輸入量は、アメリカで生産するとした場合の面積がどのくらいかかるかということで私ども試算をいたしますと、五十三年度に小麦、大麦、雑穀合計いたしまして約二千四百万トンが輸入されております。これをアメリカの反収で割りまして向こうの面積に直しますと約六百万ヘクタール、正確には五百九十九万ヘクタール、約六百万ヘクタールでございます。それから大豆は、輸入量が五十三年度に四百二十六万トンございました。これをアメリカの反収で割りますと、向こうの面積、必要な面積は約二百十六万ヘクタールになります。したがいまして、小麦、大麦、雑穀の穀物計は約六百万ヘクタール、正確には五百九十九万ヘクタール、大豆は二百十六万、合わせまして八百十六万ヘクタールということに五十三年度の場合だったらなるということになります。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まさにこれはアメリカからの輸入によって日本人が生きている、こういうことになる。だから日本がむしろ補完をしている。いわゆる主人公はアメリカだ。特にえさがそうじゃないですか。二百海里で魚がとりにくい、その動物性のたん白は今度は畜産物にしょってもらわなければならない。その畜産物のえさというものはアメリカから輸入をする、だからアメリカがどうにかなったらこれは大変でしょう。  きょうの新聞にはソ連が五千万トンの食糧が不足をしているということが明らかになって公表されておりますね。二年間続いて五千万トン足りない。中国も人口がふえて食糧が足りなくなってきた。発展途上国も不足をする。こういうときに、この中にもありますけれども、食糧の安全保障という言葉が出てきたが、安全保障ということについて一体具体的にどうお考えになっているのか。  これは防衛庁の方から聞いた方がいいと思うのですね。食糧の問題について五十四年二月に私は予算委員会で防衛庁の長官に尋ねたことがありますが、そのときに答えたことと変わっているかどうかも含めて、防衛庁から安全保障としての食糧問題について答えてもらいたい。
  47. 池田久克

    ○池田説明員 食糧問題に関する安全保障につきまして果たして防衛庁がお答えすべきかどうか、ややわからない点があります。総合国力の分析及び測定は経済企画庁の所管になっておりますし、われわれは事態がどうなったときにどういうふうに変わるかという点について五十年の九月に分析をいたしまして部内の研究をしたことがございまして、その点について先生が昨年御質問になったことも承知しておりますけれども、食糧の安全保障について果たして防衛庁がお答えできるかどうか、ちょっと……。
  48. 竹内猛

    竹内(猛)委員 しかし、安全保障というのは食糧、石油その他云々でしょう、外交も含めて。そうでなかったらこれは安全保障にならないでしょう。防衛費ばかりふやして、自衛隊の隊員ばかりふやして、これで一体、それだけが防衛ですか。万一があったときには食糧というものはどうなるかぐらいのことは防衛庁としても考えていなければならないじゃないですか。それは不親切な答弁だ。もう少し親切にしてください。
  49. 池田久克

    ○池田説明員 食糧、エネルギーを含めまして国の総合安全保障をいかにするかにつきましては、さらに高所で現在いかに検討すべきかを検討しておられると聞いておりまして、防衛庁だけで議論すべき筋のものとわれわれは考えておりませんが、御質問の趣旨が、昨年の御質問に関連いたしまして、事態が緊急な場合に食糧の需給がどう変わるかという点についての御質問と理解してお答えしたいと思います。  この資料は、先般も大臣から御説明いたしましたように部内の参考資料でございまして、われわれのねらいは、有事において船舶量がどれだけ要るか、そしてこれらの船舶の航行の安全を保障するために自衛隊としてはいかなる備えが必要であるかということを検討するために推計したものであります。したがいまして、その作業には二つの大きな限界があります。  第一の限界は、将来の産業構造、ことに福祉型の国家になったときの産業構造がどうなるか、さらにそれが緊急事態になって物資が、需給がとまったときの経済構造、有事における産業連関はどうなるか、そういう点についてはわれわれは専門外でありますけれども、一応推論したものであります。  また第二の限界は、量的あるいは価格面で需給が逼迫したときに代替の物資、食糧も代替食糧等が議論になりますが、こういうものがどうなるかわからないという前提でございますが、そのときの分析によりますと、たとえば食糧が五〇%に減少したというときの熱量、たん白、脂肪等の状況につきましては、たとえば五〇%食糧の輸入がとまりますと、当時のカロリー水準から言いますと、カロリーが一八・九%、たん白質が二〇・七%、脂肪が二〇・七%に減少するであろう。また仮にそういうものが全く入ってこない、一〇〇%輸入できないという場合はどうかと申し上げますと、カロリーにつきましては三七・九%、たん白質について四一・五%、脂肪について四一・五%減少するであろう。さらに当時の、これは厚生大臣に対して栄養審議会の提出いたしました国民の最低生活保護基準に比べますと、いまの量は、当時の基準に対しましてカロリーもたん白質も脂肪も所要の最低限度のせいぜい六割ないし七割であろうという部内の研究をして公表したことがございます。  しかし、くれぐれも申し上げますけれども、われわれはこの点については専門の官庁ではございません。
  50. 竹内猛

    竹内(猛)委員 防衛庁が研究していることについてそれ以上追及してもこれはもうあれですから。  それでは兵たん部を担当する、生産と輸入の場所である農林水産省はどうです。食糧の安全保障ということについてひとつお考えを……。
  51. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 食糧の安全保障の問題を今回の農政審議会の答申でも取り上げておるわけでございまして、不測の事態というものに対する各種の分析もしております。不測の事態としての輸出国の港湾ストあるいは交通途絶ないしは国際紛糾、あるいは輸出国の不作、こうした事態とか、最近では食糧自体が外交上の手段として用いられるというような事態もあらわれてきております。  こうした事態への備えとしていかにあるべきかということにつきましては、やはり一般論といたしましては外交等を通じた諸外国との友好関係を維持することが基本でございますが、主要輸出国との二国間の取り決めとか、ないしは定例協議等によります事態に対する十分な対応をするような努力が当然必要でございます。ただ、そうしたことによりましても、やはり事態が及んだときの短期的な対応並びに長期な対応というような問題があるわけでございます。  短期的には、前の食糧危機のときにも経験いたしまして、こうした観点から現在備蓄政策をとっております。輸入食糧の主要なものにつきましては備蓄政策によりましてこれに対応するということで、トウモロコシあるいは食用の大豆等につきましての備蓄政策等もとっております。食糧管理特別会計でもそれなりの対応をしておるところでございますが、より長期的な事態の発生という問題になりますと、ただいまもお話がありましたが、やはりその際の国民の健康を維持する上での必要最小限度の栄養水準なり、あるいは農用地として利用可能なものが活用できる条件、さらには担い手の育成等各種の問題がございます。こうした問題を想定して準備を進めるべきだというのがこの答申の趣旨だと思いますし、私どもも全く同感でございます。  ただ、長期的な事態の場合におきましては、そうした事態が単に農産物だけにあらわれてくるのか、他の物資あるいは資材等にもあらわれる影響等を考えて、多角的な分野からこれを検討すべきだろう。現段階で直ちに、私どもとして試算したこともございますが、そうした試算をもって事態に直ちに対応できるというような簡単なものではない。この件につきましては農政審議会でもさらに検討を続けたい、私どももそうした問題につきましては今後の重要な課題として検討を深めていきたい、このように考えております。
  52. 竹内猛

    竹内(猛)委員 やはり安全保障としての食糧問題というものは非常に重要な問題であります。先ほども外国との輸入関係から聞きますと、国内でこれだけ農家皆さんが一生懸命につくっていても、なおかつ八百万ヘクタールの外国からの輸入を待たなければ二千五百カロリーがもたないという状態でありますから、日本生産の主人公であるよりはむしろアメリカが主体であって、アメリカというか外国が主体であり、まあその中ではアメリカが中心でしょうが、日本はそれを補完をするという意味しか持たないということ。特に畜産物に至ってはそのうちの九割近いものが外国の食糧に、えさに、穀物に依存をしているということは事実でありますから、そういうときには、少なくとも古々米に関しては特別会計によってこれを処理する、こういうことになっている、食糧備蓄についても一般会計でなくてやはり特別会計ぐらいつくる、食糧備蓄特別会計、米二百万トン、大豆一カ月、これも心細いけれども。それに、飼料についてもやはり安全保障としてもっと蓄えなければならない。  そこで、大臣にちょっとこれは苦言を呈しながら要求をするのですが、先般この飼料穀物については懇談会をつくったということになっていますが、その中には学識経験者、農業団体、飼料メーカー、大手商社となっている。生産農民というものはこれは残念ながら入ってないですね。大手商社、飼料メーカー、農業団体といってもこれは全農かそういうところだろうと思うけれども、なぜ一体畜産とか酪農とかあるいは養鶏とか、そういう実需者というものを懇談会に入れないのか。そしてその要求や不満や要請というものをなぜ聞けないのか。これを聞いた上でやはり備蓄というものをやれないか。これはどうですか。これは提案と要求ですね、大臣どうですか。
  53. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 備蓄の問題はきわめて重要な課題であるということは農政審議会でも御指摘をいただいておるところでございます。さらに政府といたしましても、総合安全保障問題として食糧の安全保障ということは当然考えなければならない課題であるわけであります。したがいまして、当省といたしましても、とにかく食糧の備蓄というものをどのようなシステムでどのような作目、品目を、地域的にどのような体制でこれを備蓄をしていくかというような、いわゆる戦略的な考慮等も十分配慮しながら、どういう制度をつくっていったらいいかということは、これはもう真剣に取り組まなければならぬということで、その準備体制を進めておる、こういうことでございます。
  54. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、古々米に対する特別会計があるように、備蓄に対しても特別会計をつくってやったらどうかという提案をしているのですけれども、これについてはどうですか。
  55. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 一つの有力な案として検討さしていただくということで、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、きのうまでの各党のそれぞれの質疑あるいは農業団体からの要請の中で、転作の中でそれほど頭を使わなくて直ちにできるものはえさ用の米だ、こう言っておる。にもかかわらず、えさ用の米については、自民党の人はいかがかわかりません、聞いたことはないのですけれども、恐らく心の中では見さ用の米はやりたいというけれども党が抑えているのかもわからないが、余り大きな声ではないけれども、この際……(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)大丈夫だね、言われたように、そんなことない、それならもう全党を挙げてえさ用の米をつくれと言うのに、役所がなぜこうもがんこにとびらを閉ざしておるのか。  大臣の話がここにあるけれども、これは八月二十三日の毎日新聞の「農業記録賞対談シリーズ」という中で、えさ用の米についての質問は「飼料作物の中で、水田が利用できるエサ米の導入が唱えられているが。」ということで、農林大臣がお答えをしていますね。「私も念を入れて視察してみたが、もう少し研究に時間がかかるようだ。来年度にはとても間にあわない。不心得者がエサ米を食用に安く売らないために、すぐ識別できるエサ米を作る努力を続けているところだ。」この「不心得者」というのはどういうことですか、これはちょっと聞き捨てならないことですね。「不心得者」、この御発言は認められるでしょう。
  57. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 不心得者という発言をした記憶はいま持っておりませんがね。
  58. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣はそういうふうに言われるけれども、しかし記録には残っているから、否定をしても、新聞ですからずっと全国に出ているのですから、ここで否定をされても人はそうは見ませんよ。ですから、そういう気持ちが恐らく農林水産省の中にはびまんをしているだろう。あるいはまた、私は先般農林水産省並びに各大学、研究所でどういう研究をしているかということの資料を求めてみましたが、えさ米の研究に努力をしているという筋は余りないようですね。  ところが民間では、これに対して命をかけて研究している人がたくさんいますね。特に私の県では小室秀俊という人がおりまして、けさもその人に電話をしたのですが、全国をえさ米の講習会に行脚をして歩いている、大変忙しい毎日である、こういうわけです。ことしも千三百キロ収穫がある。松本食糧庁長官はすでにその小室さんのうちを訪問されたということがありますね。——いや、あると言っていますよ、知っているはずですね。向こうが言っているのだからしようがない。  このように、至るところでえさ用の米、アルボリオJ十、これが希望されておりますね。そういうときに、少なくともこれだけの転作をやろうとするのですから、それならば農家の要望に従って、これについてこういう手順でやるのだというぐらいのことはぜひ必要だと思うし、それからこれは田邉委員長にもお願いしたいのですが、えさ用の米をつくっている何人かの仲間がいますね、こういう人を参考人としてこの場所へ呼んできて意見を聞いて、なるほどこれはまずいというようなことで大いに論争してもらいたいと思う。  そういう熱を上げなかったら、だめだと言って役所の門の中でとびらを閉められてしまったのでは、これはずいぶん冷たいわけですね。これは一番いいのですから、農家はいいと言っているのですから。特に湿田地帯においてはそのまま——価格の問題はいろいろありますよ。特に読売新聞なんかでは、農業考える会の皆さんが、単にこれはえさだけではなくて、アルコールにも使う、工業用にも使うと言っているのです。そういうときに、一方においてはイラン・イラクの問題がある、これを考えると、えさ用の米あるいは工業用の米として、米そのものを単に食うだけではなくて、いろいろな意味に、多目的に使っていくということは必要じゃないのですか。それはどうでしょうか。
  59. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 米の需要の拡大につきましては、ただ単に粒食として食べるということだけではなくて、多目的な活用を図っていかなければならないということは御指摘のとおりであろうと考えております。したがいまして、今後粉食の奨励というようなことの中に米を入れていくことについても努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  60. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣、このえさ用の米についても考え方をもう少し弾力的に、農家皆さんに温かい気持ちで接してもらいたいですがね。いま自民党の皆さんも各野党も、社会民主連合の議席がここにはないですけれども、たとえば阿部昭吾代議士がこの間朝日新聞に投書した、あの中には、やはりえさ用の米をつくれと言っている、高冷地では和牛を飼えと言っている、これをうまくあわせて営農をやれと言っているでしょう。だからこれは全部一致ですよ。すべてが一致のところに、ひとり霞が関が孤立するというのはどうもぐあいが悪いのじゃないですか。
  61. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 えさ用の米の問題でございますが、農林水産省が全く消極的ということではございません。先般の基本方向の答申でえさ米問題も公式的に取り上げられた。御存じのように二十六、二十七ページに「飼料穀物生産検討」ということで初めて取り上げられた課題でございます。この中におきましても「飼料穀物の国内生産については、食料の安全保障の観点に立って、長期的な課題として取り組む必要がある。」ということで、今後の重要な課題として取り上げた問題というふうに私ども理解しております。ただ短期的に現在の、いますぐの問題として、経営上の問題あるいは制度上の問題等、検討すべき問題が残っております。特に技術的な問題もございます。  ただ、私どもの方からお願い申し上げるのは、生産の方のサイドの御都合だけで、都合のいいものはすべて生産するというわけにはまいらないので、やはり生産から需要にわたります流通全体が仕組みとして十分完成し得るようなことが私どもに想定できませんと、やはり行政としてこれを一つの奨励なりしていくものとして取り上げるわけにまいらない。そうした意味で研究開発を急いで検討をいたさなければならない、また、そうした条件整備なりについての検討を早めるべきだ、このように理解いたしまして、研究開発について特段の努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  62. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たからこれで終わりますが、委員長にお願いしたいことは、先ほどの農業基本法の問題と価格の問題で、理事会で十分に討議の場を与えていただきたいということが一つ。もう一つは、えさ用の米をつくっている農家皆さんが大変希望しておりますから、必要に応じて参考人として呼んで意見を聞いたり、あるいは現地に調査をするなり、そういうことをやってほしいということが二つ目。それから、これは最後に官房長なり大臣要請をするわけですが、あの農業基本法の第四条ですか、財政的措置、法制的措置をとらなければならないということがありますね。こういうように、いままでの水田を三割ないし四割変えていくのですから、これは大きな転換ですね。そうなると、これはやはりもっと財政的措置なりあるいは法制的措置を講ずるべきだと思うのだが、農業基本法を変えないというお答えが出た以上は、それに従って努力をしてもらいたいというように私は思う。その点のお答えをいただいて終わります。
  63. 田邉國男

    田邉委員長 委員長への要望でございますが、これは理事会に諮って検討させていただきたいと思います。
  64. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘の農業基本法第四条「財政上の措置等」でございます。第四条の規定は「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」第二条の第一項には、生産対策以下各般の対策について規定しておりまして、私どもこうした政策については当然法制上、財政上の最大限の努力をして、必要な措置はとる考えでございます。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  66. 田邉國男

    田邉委員長 安井吉典君。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 竹内委員に引き続いてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、初めに食糧庁長官に、ことしの作況が八八というような数字になり、さらに転作は五十三万五千ヘクタールの目標を九%も超えて行われるというような状況になっているわけです。そういうような中で、これからの米の需給の見通しですね。冷害や、それから減反が余分に進んだという事情もあるだろうし、消費量が落ちたとかそういうような事情もあるし、それから、いままで残っている米の問題もあると思います。全体的な状況についてひとつお話しいただきたいと思います。
  68. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 今年の不作に伴います全体需給につきましては、現在その数値の確定を進めておる段階でございますが、現在までわかっております数字で申し上げますと、お話のようにことしの生産量が作況が八八ということでございますので、九百八十万トン程度考えられます。一方におきまして、今年の十一月以降の来米穀年度需要が千七十五万トンというふうに見込まれるわけでございますが、単年度では確かに供給が不足いたす状況になっております。しかし一方におきまして、従来からの持ち越し量が、五十四年産米につきまして百七十五万トンございます。そのほか、現在でも支障なく利用できる五十三年産米が百三十万トンほどございますので、この三百万トンを足して考えますれば、来米穀年度需給は十分に支障なく運営ができるというふうに考えておる次第でございます。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 それといわゆる備蓄の問題もあるわけですね。とりわけ回転備蓄方式という今日のやり方も関係を持ってくると思うわけでありますが、それらの見通しはどうですか。
  70. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 備蓄につきましては、確かに従来の古米を順次食べていくというような備蓄のやり方では、消費の実態からいって問題がございますので、やはりある程度備蓄量を準備しておかなければならないということが出てまいります。しかし備蓄量につきましては、これを備蓄をする年と、ことしのような不作の場合に備蓄を食いつぶす年とが出てくるということは当然考えられるわけでございます。  したがいまして、先ほど申しました五十四年産米だけにつきまして、適正在庫と考えております約百七十五万トンを持っておるわけでございますが、先ほど申しましたような需給ギャップを五十四年産米、五十五年産米だけで充てていくというふうに考えますと、五十六米穀年度末におきましては、備蓄量は約八十万トンということになるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、五十三年産米の持ち越し量が百三十万トンほどございますので、これを若干輸出用に使ったと考えましても、まだ百万トン以上のものが残っていくと考えられますので、五十六米穀年度末における備蓄量というものは、やはり約二百万トン近いものが残るというふうに考えておりますので、現在時点におきましての備蓄としては心配がないものというふうに考えております。  なお、今後のこういうふうな過剰がなくなった段階におきましての備蓄のあり方につきましては、ただいま御指摘がありましたような点を十分に検討をしていかなければならないというふうに思っております。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 俗に古米在庫量六百五十万トンというのが新聞の記事にもしょっちゅう出るわけなんですが、それは全部食糧の配給に回せる米じゃないと思うのですよ。それがまさにそういうものだというような形で報道されているような気がするのですが、もっとその内訳を言ってください。どれだけが食糧に本当に回せるのか。
  72. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 古米が六百五十万トンあると言っておりますのは、先ほど申しました五十四年産米が約百七十五万トン、それから五十三年産米が約百三十万トン、これで三百万トンでございますが、そのほかに五十二年産以前のものが約三百五十万トンございまして、これを全体で六百五十万トンというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、この五十二年産米につきましても、これは食用にならないというふうには考えておりませんで、最近も試食等もいたしておるわけでございます。しかし、現在の過剰米処理の考え方といたしまして、これらのものは輸出用ないしはえさ用に処理をしていきたいと考えておりまして、当面、国内での需給操作上に使うのは、先ほど申しました五十四年産米と五十三年産米に限りたいというふうに思っておる次第でございます。
  73. 安井吉典

    ○安井委員 最近、韓国から冷害の関係で米が欲しい、そう言ってきているという報道がありますけれども、これに対して政府はどうお考えですか。
  74. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 韓国におきましても今年は非常な不作でございまして、米の不足が深刻な問題になっておるようでございます。したがって韓国といたしましては、日本に対しても過剰米をぜひ輸出をしてもらいたいという要請があることは事実でございます。  ただ、その内容につきましては、この過剰米処理については、御案内のように、今年四月にアメリカとの間で過剰米処理の全体計画の了解をいたした経過がございますので、今後、特に輸出の増大を図るためにはアメリカとの了解をとる必要等もございますので、韓国という点が一つと、もう一つは、韓国自体の不足分は、アメリカの米の輸入も可能なわけでございますので、まずアメリカとの交渉を先に進めたらいいのではないかというふうに話しておりまして、現在韓国はアメリカとの間で交渉を進めておるというふうに聞いておる段階でございます。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 先ほどのお話から考えますと、五十四年産米、五十三年産米、五十五年産米はもちろんのこと、そこから外国に輸出するなんという余力はないように思うのですがね。だから、もしそれに応ずるとすれば五十二年産米以前のものということになるわけですか。
  76. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 御指摘のように、五十二年産米を中心にして今後輸出を考えたいと思っております。ただ、五十三年産米につきましても一部輸出の計画に組まれておるものが二十万トン程度はございますが、原則として五十二年産米を中心にして輸出は考えてまいりたいと思っております。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 大体の見通しは以上のお話で明らかにされたような気がするわけですが、こういうような需給状況で、来年度さらに二期減反をしていくというようなことになれば、いまぎりぎりな状況の中でこれは大変なことになりはしないか、米の輸入をしなければならないような状況になりはしないかという心配も出てくるわけです。五十六年は必ず豊作になるという見通しをだれがつけることができるのでしょうか。ことしと同じような状況がもう一年続くというようなことになれば、これは大変なことになるのじゃないですか。さらに二期減反を進めるという要素を加えるということは、大変なことになりはしないかと思うのですが、どうですか。
  78. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、いわゆる需給上の関係からいたしますと、五十六米穀年度末に五十四年産米で約八十万トン、五十三年産米で約百十万トンを相殺いたしました結果として、約二百万トン程度近いものがまだ利用可能な備蓄量として確保できますので、私ども需給上は、来年度減反をしてその次の年の需給関係のバランスをとるということに支障は出てこないものと考えておる次第でございます。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 その見通しは、来年はどれくらいの作柄を前提としているわけですか。
  80. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、五十六米穀年度末の在庫量といたしましては約二百万トン弱を所有しておりますから、適正在庫量程度のものを持っておりますので、通常いままで私どもが百七十万トン主食の備蓄と申しておりましたのは、通常の災害が二年程度続いた場合でも対応できるというふうに考えておりますので、そういった考え方を持っておる次第でございますが、五十六年産がどれだけのマイナスになるかということにつきましては、これは必ずしも現時点で明確でございません。ただ、先ほどから申しておりますように、もしももう一年間災害がありましても、必要な備蓄量は持っておるということだけは申し上げられると思います。
  81. 安井吉典

    ○安井委員 ことしの需給の引っ込んだ数字は百三十三万トンですね。ですから、来年ことしと同じようなことになれば、来年の生産需給計画より百三十三万トンダウンしていく。二百万トンストックがあったって、その次のランニングストックはどうなるのかという問題が出てくるわけですよ。だから、来年の作柄というものは大体平年作にいくのだろうという前提で農林水産省は物を考えておられると思うわけであります。したがって、そういう危険性があるということを前提に置いた二期計画を立てていく必要があるのではないか、私はこう思うわけであります。  そこでその二期対策の問題ですが、これは農蚕園芸局長ですか、けさ日本農業新聞に出ていた記事に絡んで、私はちょっとおくれてまいりましたけれども、いろいろやりとりがあったそうですから、この内容そのものにはいま触れませんけれども、しかし、これは後で理事会なり何なりでひとつ明確にしていただきたいわけでありますが、いずれにしても農林水産省の物の考え方というのは、六十七万七千ヘクタールぐらいを二期計画の減反目標に置いて、そのうち五十六年度は六十六万ヘクタールぐらいでいこうという腹だけはどうも明らかになったような気がするわけです。最終的な結論はどこへ落ちつくか、これはわかりませんけれども、そういうことではないかと思うわけであります。  私はいま、需給の問題からも危険性があるじゃないかということを言ったわけですが、やはり冷害の今日の状況をもっと勘案した心温かな対応が必要だという従来の主張をここで変えるわけにはいきません。しかも、そういう中で奨励金を減らすというようなことも、これも非常におかしな話だと思います。  そこで、大体においていまの減反目標をいつお決めになるのですか。総量をまず決めて、それから都道府県別割り当て、こういう段階にいくのだろうと思うのですが、その時期についてどうお考えですか。
  82. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答えを申し上げます。  第二期対策配分、特に五十六年度、合わせて配分になりますが、これにつきましては十一月末に都道府県別配分をしたい、こういう心組みでございます。そこで、ただいま先生からお話しございましたように、県別の配分に入るとすれば、全国ベースの目標数量、これが固まってなければ配分ができないわけでございます。したがいまして、全国ベースの目標数量なりあるいは奨励金の関係なり、その他二期対策の仕組みという共通的な問題といいますか、これは中旬に決めてもらいたいなというようなことでせっかく作業をし、関係方面の意見も聞いておる、こういうところでございます。
  83. 安井吉典

    ○安井委員 奨励金を減らすというそういう考え方をお持ちなのもこの中で明らかになっているわけですが、それは全国目標を決めるときと同時に発表されるつもりなんですか、それとも府県別のときですか。
  84. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 全国ベースの目標を決めるときに同時に決めていただこうかと、こういうふうに思っております。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 五十五年度目標割り当てに対して全国的に転作が九%増という形であらわれてきているわけです。五十三万五千ヘクタールが五十八万五千ヘクタールというようなかっこうで出ているわけですね。それは内容を見ますと、転作が目標に対して非常に進んでいる県とぎりぎりの県といろいろあるわけですね。そういう実績は、これからの新しい目標決定の際にどう処理されるわけですか。
  86. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 県別目標配分の際の問題につきましては、全国ベースのものをどう詰めるかということでまだ具体的な検討に入っておりません。ただ、従来からも、転作実績というものをその後年度目標配分する際に考慮するかという点については、これはそういうことを考慮いたしません。そうでないと、努力すれば損するというようなことで、目標以上には張り切ってやってくれないということもございますので、実績というのは、後年度目標を決めて配分する際にはその要素考えないというような物の言いぶりで従来きておるということを申し上げたいと思います。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 今度出た答申等の内容を見れば、これからの日本農業方向として、中核農家主体の生産性の高い地帯を中心にして考えていく、中核農家主体の農業生産の充実という、そういう方向考えていくという考え方一つあるわけです。それからもう一つ、米のところには、品質のよい米を確保したいという希望も書かれています。これはどちらをどうするかということで非常に問題が起きてくると私は思うのですが、その点どうお考えですか。
  88. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今後の稲作につきまして中核農家というものの育成といいますか、こういうものを重点に考えるか、品質なり食味を重点的に考えるか、どちらか、こういうことでございますが、これはどちらかということに私は割り切れないと思っております。やはり何といいましても、中核農家を中心にした稲作というものの形成に今後とも土地利用の集積とかいろんな面で努力していかなくちゃならぬ、そういうことでコストを下げていくという問題も必要だろうと思っております。それから、やはり現在の米の消費の実態からいたしますると、食味のいい米を求めるというような声も非常に強いわけでございますから、地域条件にかなった角度での品質というものを念頭に置いた米の生産というものも指導していかなくちゃならぬというふうに思っておるわけでございまして、一方だけに偏ったかっこうで割り切ってということは、画一的、一律的に言うということはなかなか困難であろう、こう思っております。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、この点が大事な問題だと思うのですが、私は地域的な問題をここで強く打ち出すつもりはありません。ありませんけれども、現在の中核農家主体の農業経営になっているのは、北海道のようなあるいは東北のような地帯の専業農家が大分大きな要素を占めているし、そうでないところは二種兼業の人が米をつくっていると言ってもいいというような状況の中にあるわけですよ。そういう中で、たとえば北海道などは半分の水田はもう転作させてしまっている。残り半分しか本当の水田は残っていないわけですよ、全国が一八%くらいの転作率に対して。そういうような状況の中で、これ以上つぶせば中核農家をみんなつぶしていくわけですよ。それよりほかに方法はないという状況なんですね。だから答申の中でそれを言いながらも、現実にはそれをばたばたたたき切っていくというような農政のあり方でいいのかどうかということが一つと、それからそうは言いながらも、やはり国民の好みに合った品質、そういう嗜好性もあるだろうと思いますね。だからその辺が私は非常に大事な問題だと思いますね。大臣のお考えを聞きます。
  90. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 北海道が畑作あるいは酪農等に、日本農政一つの模範的なと言ってもいい体制をつくり上げておられることにつきましては敬意を表するわけであります。また転作等についても大変な御協力をちょうだいしておる。これはやはり北海道農家皆さん農業団体皆さん方が、北海道農業のあるべき姿というものは一体どうあるのが一番いいのかというようなことを十分お考えの上に、政府の施策も御理解いただいた上で今日まで転換に協力をしていただいてきておる、こういうふうに理解しております。したがいまして、今回の冷害等においても、てん菜とかバレイショとかという畑作目をやっておった農家の方は所得がこういう冷害の中でも得られたという現実等もやはり十分認識をいたしまして、果たして北海道もこれがもうぎりぎりの限度なのか、あるいは転作にもう少し協力していただけるのか、そういう点はよく検討をさしていただいて決定をさしていただきたい、こんな感じを持っておる次第でございます。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 きょうはもっと大事な問題があるわけですからこれ以上この問題については詰めませんけれども、政策の重大な選択をこの機会に政府は迫られているということを念頭に置いた対応をひとつお願いしておきたいと思います。  農政審の答申に絡んでいままで行われてきた質疑を私全部聞く時間の余裕がなくて、若干ダブる点もあると思うのですけれども、総体的に言えることは、これは政府自身ではないわけですから、政府が進めてきた今日までの農政に対する批判というようなものがもっとあってもいいと思うのですけれども、そういうものがさっぱりないし、そういうような中で、今日の厳しい日本農業の現実に対して、いま八〇年代を迎えて、農村の明るい未来はこうなんだ、さあ、みんながんばりましょう、そういう農業再建の激励ができるような材料は、これを読む限りどうも見当たらないような気がするのですよ。大臣はどういうようにして農民説明しますか。
  92. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 安井委員十分御了承の上での御質問と思います。  近代国家の中における農業という問題につきましては、これはもういずこの国においても非常に厳しい環境の中で経営をされておる、政策推進の上においても各国とも非常な苦労をしておるというのが現実であろうか、私はこう考えるわけでございます。日本も、急速なる高度経済成長の中において、私どもとしては、これにおくれをとらないようにということで今日まで農業政策を進めてきておるわけでありますけれども、なかなか思うような成果を十分に上げ得ずに、農家皆さん方からいろいろと御批判をちょうだいしておるということも十分承知をいたしております。しかし、まあまあ私どもの大筋の農政というものが、戦後三十五年間、とにかく一億国民に食糧を不安なく供給してきたというこの事実、また食糧の問題によって国民に不安、動揺を与えたというようなことは全くないという立場からいって、全国民は、この農業政策の推進、具体的に申せば、国家投資をしていかなければならないような面に対しても、あるいは生産調整をするにいたしましても、相当な国費を行使するわけでありますけれども、そういうものに理解ある態度を示していただいておる。こういう中にあって今回の農政審の答申をちょうだいしたわけでございます。  今後の経済社会には安定成長あるいは資源エネルギーの制約、高齢化社会の到来というような問題が予想される。そういう中で農業農村というものは、いわば無限と言っていい自然エネルギーを使用するという長所を持っておるということ、経営者としての創意工夫を縦横に発揮できるというほかの職業に見られないよさ、都会にない農村社会の持つ相互扶助の機能などの面で強みを発揮していく、こういうふうに今回の答申は指摘しておる、こういうふうに見ておるわけであります。  また、食糧をめぐる市場も将来有望な巨大市場であり、五十三年の三十九兆円から六十五年には五十五兆円に増加をする。農業生産はこの中に十兆円から十二兆円に増加をすると指摘をいたしておるわけであります。このような見通しに対応して、生産から流通、加工に至るまで各般の対策を講じてまいりますれば、農業農村は決して暗い将来ではない、やり方によっては明るい将来を切り開くことができるということをこの答申は教えておる、私はこういうふうに受け取っておる次第でございます。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 お題目だけでは農家の経済は成り立たないわけですよ。先ほども竹内委員からいろいろ追及があったわけでありますから私は多くを申しませんが、そういう現実の経済的な行為としての農業あるいは農民は、この答申の遂行の中で決していまよりもよくなるという可能性はないと思うのですね。そういう気がしてなりません。  そこで、農政審議会はこの答申を行うに際して、これまでの農政に関するさまざまな提言や意見等を参考にしたというふうに聞いておりますけれども、ことし四月の衆参両院の食糧自給力強化に関する決議はどういうふうな形で考慮されているのか、それを伺います。
  94. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 衆参両院から御決議をいただきまして、食糧の自給力を強化する、そうした趣旨で私どもも現在の食糧の自給率等の問題を検討いたしまして、やはり過剰な物から不足な物へ、不足な物をできるだけ生産していくということが自給率の向上につながる、またこれが自給力を強化していくという観点に立ちますならば、現在過剰な稲作の生産なりは不足する麦あるいは大豆等の生産に振り向けていく、そうした努力をいたさなければなりませんし、かつ今後成長をなお遂げる畜産部門なりに対します飼料の自給率、こうしたものについては、格段の強化を必要とする、こういう観点で自給力の強化を図っていく。さらに、これは自給力自体の基盤をなします構造政策、価格政策等につきまして、私どもとして今後の力を尽くすべき方向について農政審議会の御意見をいただいた、こういうことでございます。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 この間の決議をお読みになったのかな。お読みになって案をおつくりになったのかどうかということを私は疑うわけなんですけれども、ここには「海外からの農畜産物の輸入増加に伴い、食糧自給度は年毎に低下し、国民食糧の供給体制を先き行き不安定にしている。」こう書いてあるわけです。  ところが、六十五年度目標で自給力は強化されたといま官房長おっしゃったようでありますけれども、果たしてそうなんだろうか。全体の穀物の自給率は落ちるし総合自給率は横ばい、それでしかないわけですよ。外国からの輸入はふえているわけですよ。ここにもまた書いてありますね。「先進諸国に較べ低位にあるわが国の食糧自給力向上を図り、」こう書いてあります。外国よりも自給力が低いから上げるのだ、こう書いてあるわけです。では、今度の六十五年目標は外国と比べてうんと上がるような対策になっているかどうかというと、決してそうではなしに、むしろ家畜の飼料を中心にして外国からの輸入がふえているわけです。  大体、自給という言葉も皆さん余りよく検討してないのじゃないかと思うのですよ。字引を引いてごらんになるとわかりますけれども、自給というのは「自分に必要なものを自分で生産して満たすこと。」こう書いてありますよ。どの字引も大体似たような書き方です。つまりほかの国から輸入するのを減らすということが自給なんですよ。しかし輸入を減らすという努力がどこにあるのですか。ふえているじゃないですか。自給という言葉を厳格に解釈してないのですよ。国会の決議は自給力であって率でないなどというようなへ理屈を言っているからそうなるので、自給という言葉自体は外国からの輸入を減らすということですよ。どうですか。
  96. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 決議に従いまして、先ほど申しました不足する作物につきましては、小麦あるいは大豆なり相当の自給率の向上を図っております。小麦の場合には六十五年においては輸入量を減ずるという形で国内での生産を高めるように図っておるわけでございます。私ども、飼料の自給率につきましても、自給飼料、購入飼料合わせまして自給度の向上を図っておる考えでございます。  ただ、よく御指摘になります穀物自給率の問題でございますが、やはりトウモロコシ、マイロの類の中小家畜のえさにつきまして、この十年間を見通してわが国におきましてこれに対抗し得るような飼料穀物生産が可能でないということで、私どもとしては、増大いたしますこれらの中小家畜需要にこたえる今後のえさ対策としては輸入に依存せざるを得ない、こういう立場に立って食糧の安定供給を図ろう、こういう考えでございます。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろ言われますけれども、外国からの穀物の輸入量はえさを中心にして五十三年度段階よりも六十五年度段階はふえるのでしょう。外国からの輸入はふえるのでしょう。その点はっきり言ってください。
  98. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 お答えいたします。  小麦につきましては、国内での生産をかなり意欲的に高めてまいるつもりでございます。(安井委員「それはわかります、結論だけ言ってください」と呼ぶ)したがいまして、小麦については六十五年は五十三年よりも減らすという形にやっております。中小家畜の関係のえさについては、ただいま官房長の御答弁のとおりでございます。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 私が聞いているのは、総合的に現在よりも六十五年目標は外国からの穀物の輸入量はふえるのだろうということですよ。イエスかノーか言ってください。
  100. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 豚肉、鶏の肉の消費がふえますから、量的にはふえざるを得ないというふうに見ております。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 だから、そのことを一言だけ答えてもらえばよかったわけですよ。  というのは、われわれが国会で決議をしたというのは、世界的な食糧事情の厳しさが一つ前提にあって、農林水産省の資料を見たって、先進国はまだ余裕がある、しかし、開発途上国の方は人口もふえていくので、これはもうマイナス要素になって、だからみんなで食糧生産をふやしていかなければいけないということになっている。地球全体の穀物生産というものは、もう総体的に限界があるのですよ。そこへもってきて、日本が先進国のつもりなら、もう少し金をかけても世界の穀物事情の中に貢献するという努力があってもいいじゃないですか。それを、家畜をふやして、穀物をうんと食うことしか考えないで、世界の穀物事情を悪くしていく、その中に日本が食い込んでいくという発想なんですよ、この根本に通っている考え方は。それを日本的食生活という言葉でなぞらえをしながら、世界の穀物生産に対して、これはなるほど自給の度合いを上げていくものもありますけれども、総体的には外国からふやすじゃないですか。外国の穀物を食い込むじゃないですか。だから、そういうふうな考え方はまるで先進国と言うにふさわしくないような対応ではないか、私はそれも言いたいわけですよ。つまり、はっきり言えば、自給というのは輸入を減らすということですよ。穀物についてその考慮がないじゃないですか。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 安井委員の御主張、よく理解できるわけでございます。確かに年々外国からの農林水産物資の輸入の状態というものは増大してきておる、昨年のごときは二百八十九億ドル、膨大な農林水産物資を購入をしておる、こういうことでございます。したがいまして、国会で御決議をいただいた御趣旨というものは、政府としても痛いほどよく理解いたしておるわけでございます。そういう中で、国民の食に関する多様なニーズと申しますか、そういうものをやはり十分尊重しないわけにはまいらないこともまた御理解をいただけるだろうと思うのです。  輸入をストップしてしまえばいいじゃないか、こういうことになりますと、これまた国民の食生活の中に大きな混乱を起こす。そういう情勢の中で今後十年間に自給力をどう向上させていくかということで、農林水産省といたしましてもあらゆる面から検討をいたしまして、そして各作目ごとにはその自給率は上げていこうということと、また、えさ問題等につきましても、確かに御指摘のとおり、国際穀物の現状の中で日本が膨大な消費をすることについての反省もなければならぬことはよくわかります。したがいまして、そういう面に対する反省のあらわれとして、実は飼料作物等の自給率をどんどん上げる努力もさしていただいておることは、今度の農政審議会の答申にも明らかになっておるところでございます。いかんせん十年先のことでございます、すぐにも改革ができないのが、自然を相手にしておる農業の実態ではなかろうか。  そういう情勢の中でやはりこつこつと積み上げて、農業基本法をつくりましてから今日まで、この高度経済成長の中で日本農業が、ある意味においては、とにかくここまでたくましく維持発展してきておるという事情等も御理解いただいて、やはり私は忍耐強く、あるいは試行錯誤の道を踏むのかもしれませんけれども、やがては日本農業の確固たる体制をつくり上げることができるという自信と意欲を持って取り進めていきたいということで、実は私も、五カ年計画あるいは十カ年計画等々、農林省にございますそういうものの改善検討を命じておるところでございます。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、少し答弁長過ぎると思うのですが、時間があとわずかしかありませんので、もっと御協力願いたいと思います。  今度のこの答申のありようというのは、まだまだ自給をどうやってふやすかということ、このえさ米の問題も、まだ六十五年目標ですから、それまでの間に何らかかっこうをつけるということにしてごらんなさい、えさの輸入が減るわけですからね。これは国際食糧事情への世界的に大きな貢献になるわけですよ。もしこれがうまくいけばですよ。そういう努力も全くしてないで、結局外国の輸入穀物をうんとふやして、日本の国民だけが牛肉や豚肉をうんと食べるようにしよう、その考え方だけですよ。  しかも、自給をもっとふやすということについて、この答申を読んでみると、これ以上いけませんという線を引いている。その中身というのは、こう書いてあるでしょう。生産性やコストを無視した自給率の向上は財政負担や消費者負担を大きくするので非現実的と言える、もうこれ以上いけませんという線を引いているのだから、農政はやる気がないわけですよ。私は、この点はそういうふうに受け取らざるを得ないわけです。こういうことで食糧の安全保障とかなんとか言ったってどうもおかしいので、結局は財界や一部の労働組合の、いわゆる農業過保護論への無条件降伏と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういう中で、これまでの農政の基本的な考え方を全く喪失している、それがどうも一番大きな問題点のように私は思うわけです。  そこで、いわゆる安全保障の問題に移りますが、まず、備蓄をするというのですけれども、備蓄をするということになると、これは大変金がかかるわけですよ。何をどれだけ備蓄するかということについてはこれから検討するのだと書いてありますけれども、大変金がかかるのですよ。しかし、それをやり遂げなければいかぬということも明らかなんですから、そのためには、さっき竹内委員が防衛庁の課長さんにも質問していたけれども、私はそれは意味があると思うのです。つまり、防衛費の一部をそれこそ減らしてでもこれに充てるというくらいの心構えでなければ備蓄だというようなことにはならぬし、食糧の安全保障というものがそんなに大事なら、GNPの一%は何とかして確保しなければいけないとかアメリカに言われてやっているわけですけれども、それにまさるとも劣らないくらいの努力、その一部をこちらに持ってくるくらいでなければ、安保なんて言葉を使ってほしくないわけですよ。  しかも、安全保障と言いながらも、海外依存ということを色濃く出しているわけですね。できるだけ輸入を減らして国内自給の向上がなければ、安全保障と言えないのじゃないですか。海外から何とか得たいということだけでは、安全保障などという言葉は私は通らないと思う。特に自給をふやすということを言わないで、国内の潜在的生産力の維持というようないいかげんな言葉を使っているという点であります。この点は財界の提言の中にもあるわけですが、いざというときに増産できるように農地の荒廃を防いでおく、肥料もどんどんためておく、そうしておけばいざというときに間に合いますよ、そういうようなことの提言がありますね。こんなばかげた言い方で農民は納得しますかね。  あくまでも、国内自給力を高めるという原点は農民と土地でしょう。土地の問題についていいかげんな対応であったということはきのうの質問でも明らかにされていますけれども、やはりそうなると、何といったって農民ですよ。農民が納得ができるような、理解ができるような——そういうようなことで自給の拡大なんてできっこないと思います。本当に安全保障をやるという気持ちなら思い切った予算計上を、外国の輸入を減らして国内で間に合うような仕組みをつくる、そういう努力が必要だと思うのですが、どうですか。
  104. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まず、やはり全部喜んで食べてもらえるものを誇りを持ってつくっていただく、つくってやろう、これが農家気持ちだろうと私は思うのですね。それがゆえに、米については特別の関係で現状のような状態になっておりますけれども、そのほかの作目については、そういう点は農家は本当に自主的な立場で自己防衛をしながら、施設園芸でありますとか酪農でありますとか、そういう面においては本当にすばらしい成績を上げつつあるわけでございます。そういう原則の上に立って、やはり外国から買っておるものをできるだけ国内でつくっていくということが安全保障のたてまえ、基本でなければならぬ、私はこう思います。  しかし、お互いの国の安全保障という問題につきましては、その国だけで安全を保障していくということはできない。国連という機構をつくり、また集団安全保障体制というものをつくり、そして各国がそれぞれ平和な政治をやっていこうという形になっておるわけでありますから、やはり食糧の上においても集団的なというか、もう本当に信頼関係のもとに供給してもらえるという体制も、これを保持するということも安全保障の一環に入るのではないかというふうにも考えております。基本は、御指摘のとおり国内の生産を高めて、そして自給率を向上してまいる、そういう方向を私どもとしてはとっておる次第でございます。
  105. 安井吉典

    ○安井委員 もう安全保障というのは味のよしあしではないのですよ。とにかく国内でどうしても食べていかなければいけないというぎりぎりの気持ちがこの安全保障という言葉になっているのじゃないですか。ですから、そういう言葉を使う以上は、思い切った投資がなしに何で安全保障になるのですか。アメリカが必ず食糧をいつも続けてくれると考えているわけにはいかぬと私どもは思いますよ。かつて大豆の例があったじゃないですか、豆腐が食べられなくなるような事態が。ですから、財界が何と言おうと、やはり計画的に輸入を減らしながら幾らかでも国内の自給を上げていくという、安全保障という言葉を使う以上そのことがなければこれはもう空念仏ということになってしまうと思います。  ですから一部には、これはもう本気になっての安全保障の提案じゃないのじゃないか、最近のはやりの総合安全保障体制とかあるいは有事体制だとか、そういうような問題を考えながら、国民の中に、いざとなったらということの世論操作を食糧に絡んでしようとしている、それだけの提案でしかないのじゃないか。本気で考えて自給を強化して、いざとなったら大変なことになるというその気持ちがあるのなら、備蓄だってもう少し思い切った対応が必要だし、国内の生産を、外国からの輸入に頼らなくてもやれるようなそういう姿勢がなければ、私は、いま言った世論操作だ、そういう考え方の方が本当かもしらぬと思いますよ。どうですか。自給のためにもう少し本気になるという気持ちを、大臣はっきりしていただきたいと思います。
  106. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の点、よく理解できるわけであります。確かに、これからの基本方向に示されたような、また長期見通しを実現していくような農政を展開するためには、非常に膨大な国家投資をしていかなければならないことは当然でございます。しかも、その膨大な国家投資をしてまいりますためには、安井委員御承知のとおり、やはり納税者なり一般国民なりの理解と協力が必要であることも当然だと思う次第でございます。したがいまして、やはり先ほど来申し上げておりますとおり、喜んで消費してもらえる作目をつくって、そうして米の需給のバランスをとるというのが、もうこれからの避けて通れない道というふうに、私は口を酸っぱくして申し上げておるところであるわけでございます。そういう点を是正をして、そうして思い切った投資を要求をしてまいる、こういうのが筋道ではないかな、私はそんな感じを持っておる次第でございます。
  107. 安井吉典

    ○安井委員 そういう努力をひとつ積極的にしていただきたいと思うわけですが、そういう意味合いで、えさ米のことについてどなたもみんな異口同音に触れているわけでありますけれども、しかし、きのうの大臣答弁などでも、言葉では一生懸命やりますということでは困ると私は思うのですよ。ぼろぼろ粒が落ちるとかなんとか言いますけれども、民間ではあれだけ一生懸命なのですから、もう少し民間の技術と農業試験施設が交流していただいたらどうですか。私は、日本農業試験場の品種改良の技術というのは世界一だと思いますよ。これはすばらしいものですよ。その技術をもってすれば、えさ米をもっと早期に日本の国土に合うように、九州は九州らしく、東北は東北、北海道北海道に合うような品種をつくるのもわけないと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、できると私は思うのですよ。本気になって、民間がいまやっているのですから、それとひとつ交流をやっていただきたいということが一つと、それから来年度の予算の中にひとつ明確にしていただきたい。この間御説明をいただいた中にたしか幾らか要求があったように思うのですが、予算にはどういうふうにして措置されますか、その二つ。
  108. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 えさ米についての政府の取り組み方が非常に消極的だという御指摘でありますけれども、実は私も、就任しますとすぐ筑波の試験場に参りまして、そうしてあそこでえさ米の、どういうふうに造成していくかという試験研究は非常に真剣に行われておるわけでございます。私どもそういう面の技術はよく理解できませんから、技術者の言うことをやはり尊重しなければならないと思います。行政の路線の上に乗っけてまいりますためには、やはり全国農家が信頼して耕作をした結果が思わしくなかったということになりますれば、これは私どもの、政府の大変な責任ということになるわけでありますから、やはり先ほど来申し上げておりますとおり、若干の時間をかければ、この十年の長期見通しの中において必ず政府が積極的に推進することのできる段階が来るものと、こう私は確信をしておりまして、来年度の予算概算要求の中にもこの点は十分配慮してある、これは事務当局から答弁させます。
  109. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 予算の関係につきましては、このえさ米の研究は水稲の研究の一環として現在進めておりますし、そういったような体制、人員、予算等を重点的にこの研究に向けておりますので、来年度はさらにこれを充実してやっていきたいというふうに考えております。  それから、先ほどの技術の交流でございますが、これは実際には私どもいろいろと各研究機関でやっているそれぞれの段階、また私どもの段階でいろいろと交流をして情報交換をしているところでございます。
  110. 安井吉典

    ○安井委員 予算はどうですか。
  111. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 予算は、先ほど申し上げましたように、いろいろ水稲の研究の一環としてやっておりますので、それぞれきめ細かく充実をしてまいりたいということでございます。(安井委員「どれくらい」と呼ぶ)  えさ米だけというのはございませんので、いろいろと集計の仕方によりまして、はっきりしたことは出てまいりませんけれども……。
  112. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、やっぱりこれは項目ぐらい立ててくださいよ。そんな大きな款項にする必要はないですけれども、もっとえさ米というのは明確に出るようなそういう予算措置をしなければ、いま大臣が一生懸命やるなんというようなことにならぬのじゃないですか。どうですか、もっとはっきり。
  113. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 予算計上上のことにつきましては、いろいろ款項目、これまでの経緯等もございますので、私ども十分な予算を取るということで対応いたしたいと思いますので、なおその点は研究させていただきたいと存じます。
  114. 安井吉典

    ○安井委員 まだ時間がありますから、ひとつ明確な対応をしていただきたいと思います。  実はたくさん問題があるのですけれども、時間になったようですから自後の問題は別な機会に譲って、これで終わります。
  115. 田邉國男

    田邉委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時十分開議
  116. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件、特に昭和五十五年産サトウキビの価格問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里貞利君。
  117. 小里貞利

    小里委員 認められた時間が十分間でございますので、すぱっと二、三、端的にお伺い申し上げたいと思います。  まず第一点は、本年産サトウキビ及び甘庶糖の価格決定の時期をお尋ね申し上げます。並びに価格の決定についての基本方針もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  118. 森実孝郎

    森実政府委員 十一月十七、八日ごろには正式に価格決定をいたしたいと思っております。  価格決定に当たりましては、パリティ指数を基準とすることは言うまでもございませんが、他作物との価格政策上のバランス、沖繩、鹿児島における基幹作物としての重要性、さらに最近の財政事情等、各種の事情を勘案して決定してまいりたいと思います。  なお、甘庶糖の価格の決定に当たりましては、台風等の被害によりサトウキビはかなり減収しておりますし、品質も低下しておりますので、そういった実情を歩どまりと操業量にできるだけ適正に反映いたしたいと思っております。
  119. 小里貞利

    小里委員 ただいま御答弁によりまして、四囲のいろいろな情勢に十分配慮しながら価格決定作業を積み上げていくというお話でございまして、大変結構なことでございますが、後の方で若干お触れになりました台風十九号の関係でございますが、この台風の被害状況及びこれに対処する具体的な対応策、当然お持ちだろうと思うのでございますが、この機会にお知らせいただきたいと思います。
  120. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  台風十九号、これは十月の十一日から十四日ごろ沖繩、鹿児島両県を襲ったわけでございますが、これによってサトウキビの倒伏、折損、潮風による塩害がかなり発生しております。  両県の報告によりますと、まず折損などによる減収は沖繩の久米島で約二〇%、ただし沖繩全体としては約五%程度。それから鹿児島の場合は種子島で約六%、鹿児島全体としては二%程度の減収と見込まれております。また、潮風によりまして青葉が枯れるわけでございますが、この青葉の五〇%以上の褐色枯死したいわゆる塩害面積は、収穫面積に対しまして平均で沖繩約五〇%、鹿児島約四〇%という報告になっております。特に、台風の通過地点となりました沖繩県の宮古島、久米島、鹿児島県の種子島では被害が大きくなっておるという状況でございます。  これに対する被害対策でございますが、営農上の措置としては緊急に大々的にやるというのではなくて、個別の農家の対応をお願いしておるわけでございますが、台風によって減収となった被害農家に対しましては、サトウキビの再生産の確保を図ることが必要であると考えております。このために、被害の実態に応じまして共済金の支払いを行うとともに、災害融資制度、具体的には自作農維持資金でございますが、こういったものの活用について詰めてまいりたい、このように考えております。
  121. 小里貞利

    小里委員 サトウキビ作に依存する農家の経営構造の実態は、十分御承知のとおりでございます。ことに、ただいまお尋ね申し上げました台風十九号の影響などにおける経営上の被害もきわめて大きいものがあるわけでございまして、ただいまお話しのとおりでございます。いろいろ温かい具体的な配慮をいただいておるやに承るわけでございますが、十分の措置をとっていただくように改めて要請申し上げる次第です。  なおまた、南の南西諸島周辺におけるキビ作農家の経営合理化、あるいはまたもっと具体的な意味における生産性向上のために、最近行政機関等におきましても特に主張せられておりますことは、いわゆる複合経営をもっと具体的に促進するべきではないか、こういうことが言われておるわけでございますが、このことに対する所見を伺いたいわけです。また、あわせまして、キビ作農家の機械化、経営合理化についてどのようなお考えをお持ちであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  122. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  まず、経営合理化対策でございますが、ただいま先生御指摘の方向考え方といたしまして、五十六年度におきまして新たに、サトウキビ作経営改善総合対策事業という名称の事業をやりたいと思いまして、現在大蔵省に要求中でございます。この中身は、サトウキビのほか野菜とか畜産その他のものと有機的に結合した経営という方向で物を考えてまいりたいということでございます。  それから、機械化でございますが、すでに一般の管理作業についてはかなり機械化が進んでおりますので、問題は収穫作業の機械化であろうかと思いますが、これにつきましては、農業機械化研究所を中心にしまして二種類ほどの機械を現在いろいろと実験をしている段階でございます。成績を上げ次第さらに整備してまいりたい、このように考えております。
  123. 小里貞利

    小里委員 政務次官に最後にお伺いいたしたいと思うのでございますが、ただいま御答弁いただきましたように、南の南西諸島周辺のキビ作農家の経営安定、ことに複合経営を具体的な意味で促進するために何とか施策はないかとお尋ね申し上げたわけでございますが、お聞きのとおり、目下新年度計画で大蔵当局とも折衝中だということでございます。ぜひひとつそれらの計画を中心にしてこれを成功させていただきたいと思うわけでございますが、政務次官の御所見をひとつお伺いいたしたいと思います。
  124. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 お答えいたします。  小里先生の御希望、御意見は、私どもといたしましてはもっともであると思いますので、鋭意前向きにこれに取り組んでおりますし、今後もその方針で臨む決意でございます。
  125. 小里貞利

    小里委員 政務次官を初め、どうもありがとうございました。どうかよろしくお願いいたします。  以上で私の質問を終わります。
  126. 田邉國男

    田邉委員長 新盛辰雄君。
  127. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ずばりサトウキビ価格の決定の政府の御認識をお伺いします。  十月二十日、畑作四品についてはもうすでに決定を見たわけでありますが、この関係との見合いについてどう理解をしているか。  それから、再生産を促すこの生産所得補償方式の適正価格の決定というところにあるわけですが、今日のパリティ指数その他を考えてみても、トン当たり二万六千円以上はどうしても必要じゃないかという要求も出されています。これについて前回申し上げておりますから回答をいただきます。  生産奨励金を基本価格に繰り入れていくことはどうか、これも前回申し上げていることですから、まずこれから回答をいただきます。
  128. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  価格の決定に当たりましては、パリティ指数を基準としつつ、他のてん菜等の作物の価格決定の方式とのバランス、それぞれの地域における作目の重要性等を総合的に勘案して今後決定をしてまいりたいと思っております。  次に、生産所得補償方式に関連した御質問と理解いたしましたが、私ども考えまするに、砂糖の価格支持政策というのは、御案内のように原料は農産物でございますし、四分の三を輸入糖が占めている、そういった中で相当膨大な関税の保護を与え、その上に立って一般会計と消費者の負担で現在の売買で価格支持を行っている仕組みでございます。そういった側面と、もう一つは、サトウキビについては今後ともさらに生産性向上に努力すべき余地を相当持っている。制度の仕組み及びそういった実態から考えますと、現時点生産所得補償方式をとることには問題があるのではなかろうかと思っております。  第三に、奨励金の点にお触れがあったわけでございます。御案内のように、昭和四十九年以降奨励金の交付を実施しております。御指摘のように、奨励金が農家手取りの一部を形成していることは事実でございますが、同時に、やはりこれは四十九年当時の収益性の大幅な低下、収穫面積の減少等に対応するための特別の行政上の措置として講ぜられたという二つの面を持っているわけでございます。ことし、昨年、自然災害があったわけでございますが、大勢としては収穫面積も拡大の方向に向かっていること、それから五十年以降パリティ方式の経時変化の幅を変えまして、年間の経時変化に改めたこと等から考えまして、いま直ちに奨励金の全額を生産者価格に織り込むことは、事柄の性質上いかがなものかと思っておりますが、私ども、奨励金も含めて農家手取りを形成している実態を十分頭に置きまして、総合的に価格決定をしてまいりたいと思っております。
  129. 新盛辰雄

    ○新盛委員 干ばつとか塩害、あるいは台風十九号の実績的な問題がありますから、こうしたことについて十分配慮するという先ほどの回答もございました。したがって、いま現実の問題として大体七・三%、畑作四品の決定がなされたわけですから、これを下回ることはよもやあるまい、こういうふうな理解をしているのですが、そのことは言えませんか。
  130. 森実孝郎

    森実政府委員 私どもただいま鋭意財政当局と折衝中でございます。私どもとしてはやはりサトウキビについて、離島における作目としての決定的な重要性なり、ことしの災害の事情ということは強く訴え続けてまいりたいと思っておりますが、なお結論に到達するところまでは来ておりません。
  131. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それで、国内産糖の価格支持のための糖価安定事業団への交付金というのがあります。二百八十九億六千万なんです。この実績は、すでにてん菜やカンショは決めました、したがって実績として出てきているはずであります。そのことについて内容をお知らせをいただきたい。そして五十六年度の総額を、これはいろいろ資材その他も上がっておるのですから、どう確保されていくおつもりか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  132. 森実孝郎

    森実政府委員 まず内容について申し上げますと、砂糖関係の予算としては、いま御指摘のように二百八十九億六千万円が計上されているわけでございます。これ以外に含みつ糖の価格差補給金十二億五千七百万円、それから糖業振興臨時助成費十三億円が計上されております。  予算上の扱いにつきましては、従来からも前年の実績等を基礎といたしましておおむね予算の枠取りを行い、不足する場合においては、これを予備費並びに補正予算で補完する仕組みをとっております。本年度も、今後の価格決定の状況いかん、また最終作況の状況いかんによりますが、必要になればその措置を講じなければならないものと思っております。
  133. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がありませんので、五十五年産サトウキビの農林水産統計速報によって出されております予想収穫面積、そして十アール当たりの予想収量、三つ目に予想収穫量、もう一々読みませんが、この内容は確認してよろしゅうございますか。
  134. 森実孝郎

    森実政府委員 十月一日現在の統計情報部の報告で見ますと、作付面積が鹿児島が一万二千七百ヘクタール、沖繩が二万一千百ヘクタール、十アール当たり収量は鹿児島が六千五百七十キロ、沖繩が六千七百二十キロ、予想収穫量は、サトウキビで申しますと八十三万四千トン、百四十一万八千トンとそれぞれなっております。
  135. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうしますと、これからの生産目標及び長期見通しですが、総需要見通しとして三百二十一万トン、このうち、てん菜、甘蔗が百二万トンあるわけですが、自給率三一・八%という内容です。われわれは三百四十万トンを切ったらどうしようもないということでこれまで主張し続けてきておったのですが、五十五年度十アール当たり六千四百七十キログラム、五十八年度、これは沖繩開発のあれで出てきている数量でありますが、八千二百九十九キログラム、六十五年度、これは今回の農政審の答申によって見通しとして出ておりますが、八千五百キログラムであります。十年もたってわずかこれだけの伸びで、果たして国内産糖の自給体制が確立されるのか。こういうことについて、これからの生産意欲という問題、いわゆる生産対策としてどういうふうにお考えになっておるのか。  基盤整備の問題、排水の問題、先ほども議論がありましたが、病虫害の問題とか、われわれは国立の糖業試験場をつくりなさいという話も出しておりますし、あるいは今度の予算の中でサトウキビ作経営改善総合対策事業十二億というのが新しく記載をされております。こういうような内容はよくわかりますが、現実の問題としてわずかな伸びしかないという状況で、果たしてキビ作農家皆さんに将来の展望を与えることができるのかどうか、そのことをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  136. 森実孝郎

    森実政府委員 砂糖全体で申しますと、着実に生産量がふえて、自給率は上がってきていることは事実でございます。これは主として北海道におけるビートの作付面積の増大、反収の増加によるところでございまして、まさに御指摘のように、これからどうやってサトウキビの増産を図っていくかが非常に重要な課題であろうと思っております。特にサトウキビの場合は、やはり反収の増加を図るための技術過程改善、またはそれを導入すべき条件の整備ということが重要な課題になるわけでございまして、そのような意味で、先ほど志村審議官からもお答え申し上げましたように、総合的な生産振興対策というものに留意してまいる必要があると思っております。
  137. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この後、島田委員の方からまた具体的な問題について質問いたしますが、最後に、このサトウキビ共済の被害認定の対象となる被害割合、これは現行二〇%ということになっています。これを一〇%以上に引き下げることはできないか。先ほど共済などについても十分配慮しておりますというお答えがありましたけれども、どうなんでしょうか、検討しておりますか。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
  138. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 お答え申し上げます。  畑作物共済につきましては、御案内のとおり実は五十四年度から発足いたしたばかりでございまして、いま鋭意その加入促進を実は図っておるところでございます。ただいま御指摘のありましたような、いわゆる共済支払いの限度をたとえば引き下げるというふうな問題になりますと、これはその対応といたしましては掛金の増高にもつながるというふうな問題もございますので、今後の推移を見ながら、さらに改善につきましては、ようやく発足したばかりでございますので今後ともひとつ検討はいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  139. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ぜひ前向きの御検討をいただきたいと思います。  それで、この沖繩七九・二%、鹿児島六九・五%といういわゆる基幹作物でありますサトウキビ、この価格決定に当たりましては、今回の塩害とか干ばつとかあるいは台風等の被害等も十分配慮していただいて、従来横並びとか、あるいはどうしても予算上の問題等もあってこれを下方に修正しがちでありますから、そうならないように、生産農家が望んでおりますように、みんなが展望を持てるような、生産意欲をかき立てるような価格決定をひとつぜひしていただきたいと思います。いま数字は言えないとおっしゃいましたが、私の印象では、これまで四品決められた内容を上回っていくのだろう、少なくともトン当たり二万六千円以上はどうしても確保できるように、ひとつ最善の努力をお願いして終わります。
  140. 福島譲二

    ○福島委員長代理 島田琢郎君。
  141. 島田琢郎

    ○島田委員 新盛委員質問に対しましてお答えがあった中で、畑作物の価格決定、とりわけ甘味作物の決定に当たっての他作物とのバランスということを言っているわけでありますが、これはビートの論議をしたときもそういう横並び、バランスの問題がありまして、私どもそのバランスをとる上で、高い山を削って低い谷に埋めてバランスをとるというやり方、これは実情を無視しているのではないか、さらにはまた畑作物の置かれている重要性というものを全く無視しているのではないかという厳しい指摘を十月の本委員会における論議の席上もやりました。  とりわけサトウキビというきわめて限られた地域における特用作物の取り扱いというのは、単純にバランスをとる、横並びだというだけで、政府がお考えになっているサトウキビの振興あるいは砂糖の自給率の向上、こういった点に結びつかないという意見を私は長い間持ち続けている一人であります。とりわけサトウキビは、沖繩を中心にして南西諸島でつくられている全く固有の、つまり地域にとっては基幹作物である、こういう立場を十分認識しないといけないのではないか。だからパリティ方式を単純に用いるというだけでこの目的は達成できない。そこから現地の皆さん方は生所方式を採用してほしいという意見もまた出てきているわけです。  それは何かと言えば、何といったって忘れてならないのは、沖繩が、二十七年余にわたります外国支配の中において、サトウキビを連綿として歴史の大事な過程の中でこれを守り続けてきた。ようやく本土に復帰をしてまだわずか八年足らず、本格的に沖繩の振興が軌道に乗るというのには復帰後二年ないし三年の期間を要して、ようやくいま軌道に乗るか乗らぬかというところにあると思うのです。しかもそういうさなかにあって、先ほどそれぞれの質問の中にもありましたように、台風銀座と言われている沖繩あるいは南西諸島の現状から見て、災害がいわゆる経済的なあるいは地域の産業振興の上にきわめて大きな影響をもたらしている。そういう実態がことしはまた顕著になった。したがって総体のサトウキビの収穫量に対しても予想通りに進まないという現状にいま置かれている。こういうふうに考えますと、サトウキビの価格決定に当たっての考え方というのは別な角度からなされなければ、単に横並び、バランスだけで物を考えるということが許される状況にない、こう私は判断をしているのですよ。  しかももう一つつけ加えておきますと、法律に基づくパリティ方式を採用する、法律を守る立場にいる政府としてはそうお答えにならざるを得ないのでしょうけれども、しかし私はいま申し上げましたように、法律に基づくパリティ方式というのは二十四、五年ごろを基準にしてやっている。つまり大方のアメリカ支配の中に置かれたときの数値を用いて現状のサトウキビの状態というものを的確に反映できるとは私は思えない。そしていろんな災害とかそのほかのファクターが加わってその年々の生産費というものは大きく振れていく、こういう現状を考えますならば、私は当然キビ価格決定に当たっての方式というものは別に考えられなければならぬと思うので、何としてもバランスをとるという感覚だけでのサトウキビ価格決定に対して私は問題があるというふうに考えるのですが、いかがです。
  142. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘、いろいろな点にわたっておったわけでございますが、一つは災害の問題一をどう考えるかという問題があると思います。  先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては関係各局いま協力いたしまして、自創資金の問題あるいは共済の支払いの問題、さらに端的に申しますと糖度が一六%を下回る、ブリックスが一六%を下回る低糖度系の扱いの問題、そういった問題にできるだけの努力をいたしまして、そういったことしの特殊の問題について、農家皆さんにできるだけ親切な扱いができる努力をすることがまず一つであると思っております。  第二の価格決定の問題でございます。私、先ほども申し上げましたように、パリティ指数を基準とし、他の作物の価格決定とのバランスも考慮してということも申し上げましたが、同時にやはりサトウキビが、それぞれの沖繩あるいは南西諸島における地域農業に重要な地位を占めている、なかなか思うようにビート、バレイショ等に比べると生産性も上がっていないという実態は事実として考えているわけでございまして、そういった要素を十分頭に置きながらできるだけの努力をしてまいりたいというふうなことを申し上げたわけでございまして、なお努力を続けたいと思っております。
  143. 島田琢郎

    ○島田委員 ちなみに、五十四年産、つまり昨年のキビ価格の生産費が発表になりました。一つ政府御自身がおやりになったのが十月に発表になった。その生産費の農林省発表によりますと一万九千七百七十四円。しかし価格は一万九千三百五十円が現行価格であります。そういたしますと、明らかに四百二十四円農家の手取り全部含めても少ないということになる。これでは生産費を償っているということにはならない。基準価格で比較をすれば実に千百円の差があるということに相なるわけです。さらにまた、沖繩開発庁がお調べになって発表になったものがありますが、これによりますと二万二千六百五十九円コストがかかっています、こう発表している。その差は大変なものでありまして、農家の手取り価格では三千三百円余のいわゆる実質減ということに相なっているわけです。  それはそっくりそのまま沖繩経済にも大きな影響を及ぼしている。沖繩全域のいわゆるキビの減収は六億三千万に上ると言われております。これは沖繩経済に及ぼす大変甚大な影響であり、被害であるというふうに見なければなりません。ことしはまだ細かな数字が発表になっていないようでありますけれども、その上に台風がまた十二号だ、十六号だ、十九号だと襲ってまいりました。その間において未曽有のまた干ばつに見舞われるという状態でございます。したがって、全体の収量も落ち込むという状態になっているわけです。昨年だけでも、サトウキビだけに限定してみても、これだけの大きな沖繩経済に減収という形であらわれているのでありますから、サトウキビを考える場合に、単にサトウキビだけをとらえて考えることができないという特殊な事情も、沖繩を振興させるという立場から言えばあるということもやはり考えの中に入れて、それは刺身のつまみたいな農作物ではないのだ、基幹作物で、これによらなければ生きていくことができないという人たちがたくさんおるということもあわせ考えるならば、北海道のビートと横並び、他の作物とのバランスというだけの御主張では、沖繩はとてもじゃないがたまったものじゃない、こういうことに相なるわけです。これは特別なやはり価格決定の方式を採用されるということから検討すべきだと考えているのですが、そのお考えは全くない、こういう御答弁でありますが、そのとおりですか。
  144. 森実孝郎

    森実政府委員 まず生産費と価格との関係について申し上げますと、実は昨年もかなり災害があったわけでございます。私ども、昨年ビートとサトウキビを同時に十月に決定しましたことは非常にまずかったということで反省をしておりまして、ことしはぎりぎり見きわめるということで、サトウキビの価格決定は十一月にしたわけでございます。  そこで、昨年は確かに、生産費と農家手取り価格を比較いたしますと、鹿児島についても沖繩についても、ある程度生産費が農家手取り価格を上回っているという実態がございます。しかし、趨勢としてみますと、御案内のように、生産費と農家手取り価格との関係を見ますと、五十年以降は事態が好転してきて、サトウキビで鹿児島で申し上げますと、四十九年、五十年以降は大体生産費を賄える形になっている。沖繩については、名目上、生産費をなお賄えないという実態もあるわけでございますが、これも若干のものでございますし、これにつきましては、釈迦に説法でございますが、沖繩の剥葉労働という集約的な特殊労働をどう見るかというむずかしい問題もあるわけでございます。なお、参考までに十アール当たりの家族労働報酬収益の趨勢を見ますと、五十年以降、鹿児島につきましても沖繩につきましてもかなり急速に一日当たりの家族労働報酬収益は改善されていることは数字が示しているとおりでございます。  価格算定の問題でございますが、私どもやはり価格算定方式というのは、当該作目の価格支持方式と申しますか、管理方式と表裏一体で考えざるを得ない。全量国が直接介入して買い入れ、売り渡すもの、それから間接の市場介入を行うもの、不足払いを行うもの、それぞれによってやはりそういった方式がありまして、その方式は、それぞれの商品特性や生産、流通事情を反映して決められているわけでございますし、またその方式がやはり価格算定方式を規定せざるを得ない。  率直に申し上げまして、先ほども申し上げましたように、砂糖につきましては原料農産物でございます。輸入糖のウエートも高い。非常に膨大な関税の保護を与えている上に、一般会計の負担と消費者の負担で現在の価格支持を行っているわけでございまして、やはりユーザーの存在、国際的な関係等を考えますと、なかなかいまの仕組みを直して国内産糖に手厚い保護を与える仕組みというのを現実的に模索していくことは困難があるのではないだろうか。そういう意味では、やはり算定方式についてもいまこれにかわるべきいい方式が出てこないというのが偽らざる現状だと私は思います。しかし、御指摘のお気持ちもよくわかります。何と言っても基本は離島の生産性向上に努力するという問題だろうと思いますが、いろいろ各般にわたる勉強は今後も続けてまいりたいと思っております。
  145. 島田琢郎

    ○島田委員 何と言ったって、いわゆるキビをつくっていられる農家所得というものを主としてキビ作によって確保するという手段しか沖繩にはないのですね。農家所得と言われる部分の農外所得にその大半を得ようと言っても、そのシェアは年々縮まっていくばかり。それを示すがごとく、失業者は増大をしているというのが今日の沖繩の実態です。だとすれば、沖繩のサトウキビ生産農家はキビによって生活の大半を支えるということにならなければならないのですが、この実態を調査してみますと、二月当たり平均の農業所得はわずか八十二万九千九百円ということにしかなっていないのです。これで暮らせと言ったって暮らしようがないから、勢い農外に所得を求めざるを得ないのですが、いま申し上げましたような実情の中ではなかなかそういう場所を見つけることも困難だというのが沖繩のいまの実態なんです。ですから、キビを大事にするというお考えがあるならば、ここで大半の所得を得るという政策が持ち出されてこなければ、沖繩の人たちは生きていけないということは自明のことなんですね。  そういう点を配慮してもらわなければいけないし、またパリティとは別に、物価はひとり歩き。いまや農村物価指数は一一・七%、これも農林省統計情報部が発表いたしました十月三十日現在のいわゆる統計数字であります。七・三%の横並びでやられたのでは、物価が一一・七%も上がっている、資材も上がっている、こういう状況の中では暮らしていけないではないか、こういうことになるわけですから、そういう配慮も十分加えていただきたい、こう思うのです。  わずかな時間しか論議ができませんので最後になりましたが、砂糖の買い入れ価格、これもビートのときに申し上げましたことの繰り返しみたいですけれども、第二次オイルショックと言われるような現状を迎えて、この加工段階におけるいわゆる砂糖の製造コストというのは非常に増大をしている。せっかくキビをつくって工場に持ち込んでも、工場が砂糖にするという過程で膨大なコストをそのまま強いられるというようなことだったら、目標どおりの国内産糖の自給率を上げていくことの目的は達成できない、こういうことがありますから、砂糖の買い入れに当たっても十分な配慮を加える、それはまさに石油の問題を中心にして製造コストの増大分はしっかり一〇〇%見てやるという考え方が示されなければいかぬと思うのです。  それからもう一つ、沖繩には御承知のように含みつ糖というものがございます。この含みつ糖は、最近は前とはちょっと違った傾向になっているようですが、これは余り長期的に判断をするということはできないのではないか。幸い台湾赤糖の輸入というものが少し減少傾向にある、こういうことでありますけれども、含みつ糖の現状というのは、私はまさに一過性と見るべきだと思うのです。したがって、助成措置というものの継続、さらにこれに手厚い手当てを考えていく、こういうことがないと、せっかく含みつ糖の生産にいまかなり皆さんが真剣に取り組んでおられることでありますから、それに水を差すような結果に相なることを私は憂えているのですが、この点についても前向きに積極的な助成措置を講じていこうというお考えをぜひ示してもらいたい。この二点についてお尋ねをして私の質問を終わりたいと思うのです。
  146. 森実孝郎

    森実政府委員 災害を受けまして糖度が落ちている実態、さらに最近の物価、賃金事情で製造コストが上がっている事情等は、できるだけ最近時の状況に照らして適正に反映するように努力いたしたいと思っております。  含みつ糖の問題につきましては、私ども、基本的には需給が過剰状態にあるという認識を持っておりまして、やはり伊是名の工場の設置に助成する等、分みつ化の促進を講じておりますが、それだけでカバーできないこともまた先生御指摘のとおりでございます。現在とっております補てん措置は当面継続する考えでございますし、やはりそういった実態は制度が切りかわる時期においても十分頭に置きまして制度化の努力をいたしたい、こう思います。
  147. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  148. 福島譲二

    ○福島委員長代理 玉城栄一君。
  149. 玉城栄一

    玉城委員 先ほどからの御説明で、今年度のサトウキビ価格決定が十七ないし十八日になされるという御説明を承っておるわけでありますが、先ほどからもるる御説明のあったとおりでございまして、沖繩県のキビ作農家、もちろん沖繩県に限らず鹿児島県のキビ作農家の方々もそうでありますけれども、特に沖繩県の場合はこのキビ作というものが基幹作物である。したがって、この価格決定が幾らになるかということが、キビ作農家はもとより県の経済に大きな影響を与えるということで、まさにいまかたずをのんで、幾らの額になるか、トン当たり二万六千円以上という要望が本当に満たされるのか満たされないのか、そういうことで注目されている状況であるわけであります。  そこで、先ほどの御説明を承りますと、現在財政当局と鋭意努力をしている最中であるという御説明があったわけでございますが、端的にお伺いしまして、その見通しについておっしゃっていただきたいと思います。
  150. 森実孝郎

    森実政府委員 政府部内で現在折衝中でございまして、まだ内容についてはつまびらかに御報告する状況にございません。  私どもとしては、先ほどお答え申し上げましたようにパリティの問題、他作物との価格決定のバランスの問題以外に、やはり沖繩、南西諸島における作目としての農業経営における重要性ということも十分頭に置きまして努力をしたいということでございます。
  151. 玉城栄一

    玉城委員 その価格決定についての農林省御当局の基本的な考え方につきましては、もう何回も伺ってわかるわけでありますが、端的にどういう数字をもって財政当局と折衝しておられるのか、その辺もう一回、いかがですか。
  152. 森実孝郎

    森実政府委員 政府部内における折衝の試算でございますので、これはひとつ御堪忍願いたいと思います。
  153. 玉城栄一

    玉城委員 何回申し上げましても……。  それで、毎年このキビ価格が決定されるたびに、関係農家の方々はもとよりでありますが、大変大きな失望をするわけであります。今回も決してそういうことがないようにということで、先ほど冒頭にも申し上げましたとおり、農林省御当局はもとよりでありますが、大蔵省にも強い要請を行っている最中であるわけです。  そこで、台風十九号の影響等が特に今回の場合あったわけですが、その被害状況について概略御説明があったわけです。その台風十九号によるキビ作農家への被害の状況、それに対する対策、そしてそれは今回の価格決定に反映されるというふうに承ったわけでございますが、いかがでしょうか。
  154. 森実孝郎

    森実政府委員 台風並びにそれ以前の宮古等における干ばつ等の影響、これはやはり島によりまして、経営によってかなり差があるわけでございまして、基本的には自創資金の問題とかあるいは農業共済の問題という、災害対策としてまず努力すべきことが筋道だろうと思っております。しかし同時に、御指摘のように災害が価格決定にもいろいろな形で影響を与えるわけでございます。私、やはり基本的には、ことしのブリックスを幾らに見るかということは、災害を受けた実態をできるだけ反映した形で、去年のようにはまいるまいということを申し上げておるわけでございますし、できるだけ実態に合わせたいと思っております。また、糖度十六度を下回るようないわゆる低糖度のサトウキビの扱いにつきましても、どういう扱いを行うかということについても現実に即して努力をしたいと思っております。
  155. 玉城栄一

    玉城委員 去年のようではなく現実に即してというお話もあったわけでございますが、それでちょっとお伺いしておきたいのですが、沖繩の農業共済の加入の状況、率をちょっと教えていただきたいと思います。
  156. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 沖繩県のサトウキビの共済加入の状況でございますが、五十四年度実績で申しまして三七・六%、五十五年度になりまして多少上がっておりまして四四・八%程度になっているようでございます。
  157. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、先ほどの御説明の中にもございました災害被害に対する対策という立場から、共済金の支払いということでございますけれども、ただいまの御説明で五十五年度四四・八%の加入率ということからしますと、約五五%は未加入という状況になるわけでありますが、そういう方々に対する対策というものはどういうふうなことになっていくわけでしょうか。
  158. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、サトウキビの加入率は鹿児島県に比べて沖繩県が非常に低いという状況にございます。これは試験実施期間中におきます災害の状況が余りなかったというふうなことも影響しているのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、やはり何と申しましても災害に対しましての中心的な制度でございますので、私ども今後その加入の促進を図ってまいりたいというふうに思っております。  なお、今回の災害、たとえば台風十九号等によります災害につきましては、共済の問題とはまた別途に、災害関係の融資面で、必要な方々についてはできるだけ対応するということにつきましても検討をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  159. 玉城栄一

    玉城委員 いまの農業共済の問題につきましては、沖繩の場合は過半数の方がまだ未加入ということで、したがって、台風十九号による被害に対して、加入者の方々についてはまずその共済金の支払いということで、それはそれなりの対応策だとも思うわけでありますが、その未加入の方々については災害融資制度等というようなことであるわけであります。そういうことからしますと、やはりどうしても何か片手落ちというような感じも出てくるわけであります。したがって、その辺につきましては農林省当局とされましてもきめ細かく、再生産なりそういう意欲の出るような施策をやっていただきたいと思います。  次に、今回の価格決定についてはパリティ指数を基準として云々ということでありますが、そこでパリティ指数をどのような数字で価格算定に置いておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
  160. 森実孝郎

    森実政府委員 ビート、でん粉等の価格決定に当たりましては、昨年の四月から八月のパリティ指数の平均を分母に置きまして、ことしの四月から八月を分子に置くという形でそのパリティ指数を使ったわけでございます。実は最近時まで数字を持ってまいりますと、昨年とことしとの一年間の変化ではむしろパリティ指数は下がってくるという問題もありまして、さてどういう扱いをするか、いろいろな試算で私どももいま腐心をしているところでございまして、御賢察を賜りたいと思います。
  161. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、先ほどから具体的な数字はおっしゃれないということなんですが、一番聞きたいところはそこなんです。しかしことしの場合については、先ほどの御説明の中にも、たとえばビートの価格決定の時期とのずれ、あるいは沖繩の場合はそういう災害の発生等いろんな要因があって、御説明の中でもありましたとおり実態に即してやっていくのだということを承り、関係農家の方はもとよりでありますけれども、沖繩県全体が非常に期待をしていま見守っている最中であるわけですね。ですからそういう意味におきまして、先ほどから最善の御努力をされるということでありますが、最後に、これはやはり財政当局等皆さん方の熱意の問題だと思うわけでありますので、その辺決意のほどを聞かしていただきたいと思います。
  162. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 玉城先生の先刻来の御熱意に満ちた御質問等をしかと拝聴いたしまして、そのお気持ちを十分に心に置きまして前向きに対処させていただきたい、かように存じます。
  163. 福島譲二

    ○福島委員長代理 神田厚君。
  164. 神田厚

    ○神田委員 サトウキビの価格の問題につきまして御質問を申し上げます。  適地適作の地域農業を進めていく上で沖繩県、南西諸島のサトウキビはその地域の基幹作物としまして非常に重要な地位を占めております。糖工業とあわせて地域経済のかなめとなっていることはすでに御案内のとおりでございます。したがいまして、サトウキビ価格の決定に当たりましては、農家所得の確保並びに生産のさらなる発展に資するように特段の配慮をお願いしたいと思うのでありますが、まずその点につきましてお伺いをいたしたいと思っております。
  165. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 神田先生御指摘のとおり、適地適産の典型的な作物でございますサトウキビの価格決定に当たっては、先生御指摘のとおりのことでなければいけないと存じます。そこで、五十五年産の価格につきましては、糖価安定法の規定に基づいてこの十一月二十日ぐらいまでに決定することといたしておるわけでございます。台風の被害等によりまして減収となった被害農家に対しましては、先刻来お答えもございましたが、サトウキビの再生産の確保を図るために各種災害対策を講ずることといたしております。  以上の措置を踏まえつつ、サトウキビの生産者価格については、法的に言われておりますとおり、パリティ指数を基準として、これも先ほど来御指摘のとおりでございますが、てん菜等他作物価格とのバランス、そしてまた、ただいま御指摘のとおりの沖繩、鹿児島における基幹作物としての重要性、そしてまた厳しい現下の財政事情、これらを総合的に勘案して適正に決定してまいりたい、これが政府の今回の価格決定に対する基本的な方針でございます。
  166. 神田厚

    ○神田委員 この価格の問題については、特に沖繩、南西諸島という地域の非常に大事な作物でありますから、先ほどの御答弁を聞いておりますとパリティが下がってちょっとどうしようかという話でありますけれども、極力再生産の道がきちんと確保できるようにひとつよろしくお願いをいたしたいと思っております。  次に、この価格政策の強化とあわせまして、同時に生産振興対策の拡充が必要になってくるわけでありまして、この問題につきましては、一つには土地基盤整備対策は今後どういうふうに進めていくのか、あるいは病害虫対策についてはどういう対策をとろうとするのか、さらに品種改良、優良品種の開発、こういうものにつきましてはどういうふうにこれを指導なさっていくのか、この点につきましてお答えをいただきたいと思うのであります。
  167. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 生産基盤の整備の問題についてお答えいたします。  サトウキビの主要生産地域でありますところの奄美、沖繩の土地基盤整備につきましては、サトウキビそのほか畑作物の生産振興のために農業用水源の開発、灌漑排水施設の整備、それから農道や圃場の整備、こういった事業によって畑地基盤の整備を実施してまいっております。奄美、沖繩の農業基盤整備事業につきましては、採択基準の面それから補助率の面で一般の場合よりもかなり優遇措置を講じておるところでございますし、予算につきましても重点的な配分をするということで、ほかの一般地域よりも予算の伸びも大きくなってまいっております。今後とも積極的な推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  168. 志村純

    ○志村説明員 病害虫対策について申し上げます。  最も代表的なものはサトウキビの黒穂病、それからこれは虫でございますがアオドウガネ、俗に言うハリガネムシでございますが、こういったものについては現に各種の補助事業で防除対策を講じておりますが、来年度の予算におきましてもこういった病害虫の防除事業を引き続き充実して実行できるように必要な努力をいたしたい、このように考えております。
  169. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 品種改良の関係についてお答えいたします。  新品種の改良につきましては、石垣島にあります熱帯農業研究センターで基礎研究、それから種子島にあります九州農業試験場の研究室で従来育種をやってまいりました。しかしこの重要性にかんがみまして、昭和五十一年には沖繩の県の農業試験場に全額国庫負担の試験地を設置をいたしております。その他沖繩、鹿児島各県に各種の試験地を設けまして育種を進めておるところでございます。すでに三品種新しい品種を育成してまいりましたが、これからもこの点については力を注いでまいりたいというように考えているところでございます。
  170. 神田厚

    ○神田委員 時間がほとんどありませんので、もう一点だけ御質問申し上げます。  十一月七日に閣議決定されました昭和六十五年の「農産物の需要生産長期見通し」の中で、このサトウキビの振興の見通しにつきまして、一つは作付面積の問題で五十三年には三.五万ヘクタール、それが六十五年では三・八万ヘクタール、十カ年にわずか三千ヘクタールの拡大しか見込んでないわけであります。このような伸び率では、先ほど申しました地域の基幹作物の振興という形でこれを発展さしていこうという行政当局の姿勢が非常に見られない、この点が一つ問題であります。  もう一つは、反収を見ていきますと、五十三年には七千二百八十四キロ、六十五年にはこれを八千五百キロと見ておりますけれども、五十五年の予想は六トン台に落ちるというふうにされているわけであります。十年間に反収をこれだけ引き上げるという計画自体に非常に問題があるというように思っておりますが、この作付面積と反収の問題につきましてどういうふうにお考えでございましょうか。
  171. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  まず作付面積でございますが、種子島を除きまして、六十五年には全体的に見ますと普通畑面積の大体七〇%程度まで拡大いたしたい、こう思っております。基準年の五十三年は六六%でございますが、そういう意味で今後他作物との競合や合理的な輪作体系ということを考えますと、六十五年で大体七〇%まで引き上げるというのは、面積としてはまあこれが限度じゃないだろうかというような感じを持っております。  それだけに反収の方でできるだけの努力をしなければならないわけでございますが、数字につきましてはいま先生御指摘のとおりの数字でございますが、ではいかにしてこれを打破していくかということで、考え方は三つあると思います。  一つは健全な病気のない苗の生産、優良品種の導入ということでございまして、これは最近沖繩本島と種子島に原原種農場を整備いたしまして、これを起点として原種圃、採種圃という体系の整備が最近できてまいりましたので、こういったことでよい苗を供給していくというのが第一点であろうかと思います。第二点は、永年性の作物で現在六年、七年、八年という栽培をやっておりますが、長くなればなるほど反収が落ちますので、適正年次に植えかえをやる。国の指導といたしましては、株出しを大体二、三回というところでそういう方向に切りかえてまいりたい。あとは客土その他の基盤整備、こういったことで何とか八・五トンという反収を実現してまいりたい、こういうように考えております。
  172. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  173. 福島譲二

    ○福島委員長代理 瀬長亀次郎君。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 九月九日に、沖繩側から沖繩県知事、県会議長、それから鹿児島側から副知事に県会代表者が農林省を訪れまして大臣に会っています。そのとき森実局長も同席されたと思いますが、このときに亀岡農林大臣はこう言っていますね。「キビは沖繩・鹿児島の大きな産業なので、事務当局に十分検討させ、地元の意向に沿えるようにしていきたい」、地元の意向は価格は二万六千円なんです。これは沖繩県及び議会、それからキビ作農家農民の決起大会でも決定された価格です。県の意向は一本にまとまっております。ですから、この農林大臣の約束は、いわゆる「地元の意向に沿えるようにしていきたい」という御意向は、やはり今度のキビ価格は二万六千円内外になるであろうという理解をしているわけなんですよ。これについて大臣がおられぬから直接お聞きするわけにいかないが、政務次官の方で私もそういう考えだという何か言えますか。
  175. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 私はその場に同席いたしておりませんので、大臣の御発言がそのようなものであったかどうかにつきましては、ただいまの瀬長先生からのお話が初耳でございまして、そのことを、ああそうだったか、あるいは後で大臣にお目にかかったときお確かめしようかといま考えておったところでございます。したがいまして、私はそのことについて同じ考え方であるというようなことを申し上げるまでに気持ちはなっておりません。
  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 政務次官、無理もないと思いますが、いずれにしてもこのことは、沖繩県知事さらに県会議長、それから鹿児島は宮原副知事、富永農政部長ら二十名が聞いているのですよ。その「地元の意向に沿えるようにしていきたい」というのは、地元の意向は二万六千円ともう決まっているわけだ。だからそれに沿えるようにしたいというのは当然のことながら、その前に「キビは沖繩・鹿児島の大きな産業なので、事務当局に十分検討させ、」ということがありますね。     〔福島委員長代理退席、委員長着席事務当局というと、局長、あのとき同席されたのでしょう。検討させるということもはっきり言っておるので、そういう大臣の意向に沿って、さらに沖繩、鹿児島の要望に沿ってキビ価格の設定作業をしておると思うのですが、そう理解していいのですか。
  177. 森実孝郎

    森実政府委員 両県の御陳情の皆様には、大臣がお会いになりましたとき私も立ち会っておりますし、私自身もかなり時間をかけてお話をしております。大臣が申し上げましたのは、地元の意向も尊重してできるだけの努力をしたいという一般論を申し上げただけでございまして、二万六千円をお約束したり、生産所得補償方式をお約束したような経過はございません。なお、参考までに申し上げますと、キビについては、これはビート等も同様でございますが、生産所得補償方式をとることは私どもは適当でないと思っておりますということを私はかなり明確に申し上げたつもりでおります。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それではこれを聞きたいのです。  これはあなた方が出した生産費だが、五十四年、二万二千六百五十九円になっておりますね。これは何もこっちから出したものじゃないのですよ。あなた方が出したものの中で第二次の一トン当たりキビ生産費、資本利子、地代も加えたのは二万二千六百五十九円、これが生産費としてはじき出されているわけだ。だからこれを下回ると、再生産、いわゆる生産の確保はできないということなんです。この数字はあなた方が出したのでしょう。だからあなた方が出した二万二千六百五十九円、これは奨励費は別ですよ、トン当たりこれだけかかるのだ。これは第一次じゃなしに第二次生産費ですから、もちろん資本利子と地代は入っております。これだけなければトン当たりのキビは生産できないのだということが農林省の分析なんです。ですから、値段は幾らか、もちろん告示は十七日か十八日にやられる、その前に言えぬでしょう。言えないにしても、あなた方がはじき出したこの二万二千六百五十九円、これは五十四年だ、そうなりますと、それから物価も高くなっておる、労務賃金も高くなっている、いろいろ問題がある、そうなると、これよりも上がっても安くはならぬという基準だけは言えるのじゃないですか。そこら辺はどうですか。
  179. 森実孝郎

    森実政府委員 二つの点から議論を整理してみる必要があるだろうと思っております。一つは、趨勢として生産費が下がってくる、生産性が上がってくるという傾向がある、一方価格は上がってきている、そういう意味においては、たまたまいま御指摘の数字は五十四年の数字の御指摘があったわけでございますが、年度によって生産費と価格の関係はかなり変わる本質を持っているということは御理解いただく必要があると思います。それからもう一つは、沖繩が南西諸島より南にありまして、当然糖度の高い砂糖ができるわけで、コストが安いにもかかわらずなぜ割り高につくかという問題が一つあるわけでございますが、これはもう釈迦に説法でございますが、剥葉労働を農業経営上どう見るかというなかなかむずかしい問題があるだろうと思います。私ども基本的には再生産の確保というのは、実態的に農家所得なりあるいは労働報酬というものも考え、一方において生産費を考え、傾向として再生産ができる条件にあるかどうかということだろうと思っております。  なお、方式として生産所得補償方式をとるかで議論がまた別にあるわけでございますが、これは私ども、それぞれ商品の特性に応じました価格支持方式、それに応じた算定方式ということで、その方式をとるべきものとは思っておりません。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの答弁は、あなた方が分析して出した二万二千六百五十九円よりも下回るであろうという認識のもとに言っておるのですか。いろ.いろ説明しましたね。それほど説明を聞こうと思っていなかったのだが、るる説明された。いまあなた方が出した二万二千六百五十九円は、農林省がはじき出したものでしょう。生産費、トン当たりこれだけかかるのだ。パリティ方式であろうがなかろうが、これだけなければ再生産できぬという数字でしょう。パリティ方式をとろうが、再生産に要する費用所得補償方式をとろうが、いずれにしても、あなた方のパリティ方式に関係なしに、トン当たりこれだけかかっておるのだ。これはあなた方が出したのでしょう。こっちから出しておるのじゃないのですよ。県から出したりしておるのじゃない。これは鹿児島県でも同じ、沖繩県でも同じ、これだけ生産費がかかっておるのだということをあなた方が言い出しておるのじゃありませんか。これを下回るような言い分がいまあったね。どうなんですか。
  181. 森実孝郎

    森実政府委員 私申し上げましたのは、統計調査部が実施しております裸のそれぞれの年度生産費を出しているということでございまして、それぞれの年度生産費がサトウキビ等のように非常に変動が大きい商品について、それをとって価格を決めることがいいかどうかという問題は基本的にあると思います。また、方式といたしましては、先ほど申し上げましたように、やはりそれぞれの商品の価格支持のための管理方式に従って算定方式が決まってくるわけでございまして、パリティ方式を基準として決めるということを申し上げているわけでございます。  なお、剥葉労働の点について触れましたことも御理解を賜りたいと思います。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、あなた方がパリティ指数に基づいて算出するということであろうがなかろうが、要するに甘味資源の再生産ということを念頭に置いておるわけだ。そうしない限り、キビでつくる砂糖はなくてもいいのじゃないか、もう砂糖はどんどん外国から安く買い入れていいのじゃないかといったような方向になればいざ知らず、そうじゃないのですね。今度審議会あたりでも自給率を三二%にするのだということを出している以上、これはどうしても、生産農家生産意欲をそぐような価格の決定をしたら首を絞めることになる。何か財政事情の話なんかやっておるようですが、とんでもない話です。サトウキビのトン当たりの価格を農民の要求どおりやったから膨大な予算が出る、そういったことは考えられぬでしょう。  これは一例ですが、私沖繩だから言いますが、思いやり予算というのがありますね。今度の概算要求、沖繩だけで七十四億になっておるのですよ、思いやりで。財政の問題を言う前に、あなた方は関税でも——これは関税は、キビをつくった、それから砂糖をつくったものとは違いますが、砂糖消費税も上がっておるでしょうが。いろいろ問題を考える場合に、ほかのものとは違って、財政事情がこうだああだということでキビの値段が左右されるようなことは絶対にないと私は思う。  それで、もう一つ奨励金というのがありますね。奨励金の基準は一体何かという問題、簡潔に答えてください。
  183. 森実孝郎

    森実政府委員 現在甘味資源に支出しております奨励金は、四十九年当時のコストの急上昇並びに生産の停滞、農家所得の停滞等を頭に置きまして、また同時に、当時の価格算定方式が一年間のパリティしか見ていなかったという事情も頭に置きまして、一時的に支出したものでございます。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 奨励費は四十八年から始まっていますね。四十八年、トン当たり千三百円、四十九年三千八百円、五十年三千七百六十円、五十一年三千七百九十円。それで五十二年、五十三年、五十四年。五十三年以降千円台に落ちていますね。これは基準はなくて、少し買いたたき過ぎたので気の毒だからということで出すものなんですか、この奨励金というのは。毎年そうやっていますね。基準はないのですね。これは当然のことながら、いま申し上げたように、本当に農家が安心してキビがつくれるようなことになれば、奨励金というものはなくてもいいのじゃないの。どうなんですか。
  185. 森実孝郎

    森実政府委員 先ほど申し上げましたように、奨励金は、農家の収益の動向とか生産の動向とか、あるいはその時点における価格算定方式の問題点等を頭に置きまして、補完的に行政の判断で支出しているものでございます。しかし、私はやはりこの奨励金が同時に農家手取りの一部を形成しているという事実もまた尊重していかなければならないだろうと思います。そういう意味で、実質の農家手取り価格としてどういう価格を決めていくかということが大事だと思っておりまして、御指摘のように、奨励金は別だというふうには考えておりません。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この奨励金といまの値段の問題は非常にバランスがとれていないのですよ。これは四十八年から出ておりますが、毎年毎年違って、農家の手取りと奨励金ではバランスがとれない。だから、基準として一体どういうふうに奨励金を出しているのかなということは、キビ作農家だけではなくて、普通の県民でも非常に疑問に考えているわけなんです。それがあれば、これは本当のキビ価格に入れるべきだ。そして、これだけあればキビ作農業が安心してできるということをはっきりしてほしいというのが農家の希望なんですよ。こういった基準のないようなあいまいな、まあまあこのくらい、今度は千円くらい出そう——では聞きますが、ことしは何円になりますか、千円以上になりますか。
  187. 森実孝郎

    森実政府委員 奨励金につきましては先ほどのような経過で支出いたしまして、その後二分の一価格に織り込む、さらに残った半分も四分の一織り込むというふうに、逐次織り込んできた経過がございます。しかし、価格の本体と織り込んだ分とは、私ども、価格算定上は明らかに区分して取り扱ってきた経過がございます。  そこで、この奨励金を全部価格に織り込むかどうかについては、そういう御要望があることは私ども承知しておりますが、やはり先ほど申し上げましたように、奨励金の支出目的から考えて、にわかにそこまでは判断しがたいもの、こう思っております。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 三回聞きますが、あなた方がこの前出した五十四年度のトン当たり生産費二万二千六百五十九円、これ以下になると、農民に対して自分たちが出した生産費すら出せない政府かという結論になりますよ。だから大臣が、沖繩、鹿児島の意向に沿いたい、沿うように努力すると言ったことは、私たちが、ここら辺までは最低じゃなかろうか、それに物価が高くなっていく、労務賃金が大きくはねていくとなると、それ以上にならざるを得ないという結論になるんですよ。私は、少なくともそこまで努力されないと、政府が甘味資源自給率を上げる云々と言っても、これはとんでもないことだと思うのです。これは、政務次官御意見ございますか。
  189. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 先ほど私の答弁の後に、その大臣御発言の席に同席をいたしておりました森実局長説明がございまして、私は合点がいったわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、大臣の御発言があったからというふうには私は理解しないで対処したい、このように考えております。これは、先生の場合は同席をしておられないで、あるいは先ほど新聞をごらんになっておられましたから、新聞の記事の方の間違いじゃないかという気がいたすものでございますから、そのようにお答えさせていただきます。  なお、このサトウキビの価格形成につきましては、先ほど私、答弁をさせていただきましたとおりでございますので、少なくとも金額は現在明確に申し上げることのできない状況でございますが、ともかく常識的な前向きの努力をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでもう一つ、これは要望しておきます。  沖繩の含みつ糖を分みつ糖と同様に国の買い上げ対象にすること、その実現まで現行の価格差補給金制度を継続すること、これは現在の含みつ糖をつくっている農家の心からの願いなんです。局長御存じでしょう、含みつ糖の関係。含みつ糖を分みつ糖と同様に国の買い上げ対象にすること、その実現まで現行の価格差補給金制度を継続すること。これは沖繩の場合、離島では分みつ化しようにも、し得ないところがあります。だから、そういったところはやはり制度化して、価格差の補給をやってほしい。これは別にむずかしい問題じゃないと思うのです。いま離島でも分みつ化できるところは分みつ化する。ところが、どうしても分みつ化できない、含みつでないといかぬというところはいま申し上げましたように価格差補給金制度、これを継続してほしいという要望ですが、これに対してはひとつ前向きに検討してほしいと思いますが、局長、どうです。
  191. 森実孝郎

    森実政府委員 含みつ糖を分みつ糖同様、糖価安定事業団の売買対象にすることにつきましては、やはり含みつ糖自体が品質がまちまちであること、それから固有用途が多いという実態から見て、そういう制度に仕組むことは困難だろうと私ども思っております。  そこで、現在の価格差補給のための助成措置をどうするかということにつきましては、当面これを継続することになっております。ただ、これにはいわば経過措置として講ぜられたもので期限がございます。その時点にどうするかについてはまだ私ども白紙でございますが、やはり一方において、たとえば伊是名の分みつ工場のように分みつ化を促進しながらも、他方においてはやはり含みつ糖を生産せざるを得ない地域があるという実態は、私ども篤と承知しておりますので、そういった実態を尊重いたしまして、期限が切れた後の保護措置についてもできるだけ前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  193. 田邉國男

    田邉委員長 以上で昭和五十五年産サトウキビの価格問題に関する質疑は終わりました。     —————————————
  194. 田邉國男

    田邉委員長 引き続き、農林水産業振興に関する件について質疑を行います。近藤元次君。
  195. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 大臣、大変御苦労さんでございます。とりわけ昨年来、農業問題には農政審の答申が出てからというようなことで、われわれ農政審の答申、どのようなものが出てくるかということで、実は期待と、またそれなりの評価をしていきたいと思っておるわけでありますけれども、そういうときにたまたま大臣が就任をされ、かつ第二期転作のところに直面をし、予想外の冷害ということで、まことに同情に値する大臣の御苦労でありますけれども、いずれにいたしましても農政審の答申が出てきたわけで、これによって従来の国の農政に何かの方向の転換を考えて受けとめておるかどうかということと、あわせて、答申が出た後で全中の藤田会長からのコメントが五点ほどありました。その五点ほどあった中で、珍しく団体側から地域分担について積極的な努力を政府に求めるというコメントが一つあったわけでありますけれども、これは余り団体側から御発言や御協力というか、そういうものがなかった発言でなかろうかと考えるわけですが、大臣がこれをどのように受けとめておるかを最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  196. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 藤田会長から地域関係の問題について農政審の際にお話のあったことは私も承知をいたしております。適地適作と申しますか、その土地に合った物を、しかも最もいい物ができる、そういう地帯で農作物をつくり上げていくということは、私は農業の原則というふうに理解をいたしておるわけでございます。やはりそれだけに、このモンスーン地帯の日本で硬質小麦をつくれ、こう言っても、これはとてもなかなか品種をそこまで改良できない、日本がそれだけ苦労してもどうしても硬質小麦ができないというのと同じように、やはり適地適作という原則を踏まえて農政の将来というもの、基盤を確立していかなければいかぬ、そんなふうに考えておるわけでございます。  そういう意味で、団体がそういう方向を打ち出したということは、やはり将来規模拡大に伴ってできるだけ消費者のためにもなろうという、何と申しますか、生産性向上から見ましても、この適地適作ということは当然考えられることでありますから、そういう意味において、これからのいろいろな問題を処理してまいります際には、そういう考え方が入ってくるということは、当然私は言い得るものと考えておるわけでございます。  その答申が出ましてどういう方向に運用するのかというお尋ねもあったわけでございますけれども、私は、まず何といっても農業の基盤整備だろうと思うのです。そういう意味において、土地改良十カ年計画というのがあるわけでありますけれども、この委員会でもいろいろ御指摘を受けてきておるわけでありますが、基盤整備。この答申を受けた、それから八〇年代の基本構想を確立してまいりますために、基盤整備をどういうふうにしてやったがいいのか、いままでの土地改良といったような考え方だけの長期計画を立てるべきなのか、あるいは総合的な日本農政というものの基盤整備というものをどうすべきかという立場で考えていくのか、農村環境整備もあわせて考えていくのか、そういうものをまずひとつ構造改善局で案をつくりなさいと、答申をもらった次の日、実は指示をいたしておるところでございます。
  197. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 大変ありがたい御答弁をいただいたわけでありますが、次に、農家の経済事情は昨日も議論があったところでございますけれども、この農政審の答申の中に、従来の主な目標としては、「農業と他産業間の生産性所得格差を是正する、」というところを第一番目に掲げてこられた、いわば基本目標だと思うのです。今回はそこのところはかなりぼけたような形になって、それがどうでもいいなんとはちっとも考えていないはずではありますけれども、ただそれが、他産業と農業とのいわば格差是正というものがぼかされたような、中に織り込まれたような表現で出てきておるわけでございます。ここのところを、他産業と農業所得格差というものを現状どのような認識を実はされておるか、ここのところを最初にお聞きをしながら、奨励金の引き下げ、いわば二期対策というようなものがいま出されておる、そういう状況の中で、これからの農業所得というものをどのように農林水産省の方で受けとめておるのかということをお尋ねをさせていただきたいと思うのです。
  198. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 従来、所得格差につきまして他産業との均衡という問題が確かにございました。これらの概念につきましては、農林水産省には農林水産省独自の考えはございますが、一般的には、現在の農家所得水準が、農家一般的にそうした水準に到達するというふうに考えられてはおりますが、むしろ今回の審議会の考え方を申し上げますならば、やはり現在の農家の置かれておる状況がきわめて多様化いたしておりまして、御存じのように専兼業の比率なりが相当変わってきております。第二種兼業が相当数を占めるというような状況になっております。むしろ、そうした所得概念なりにつきましては、中核農家を中心にしますこれからの所得の維持安定につきましては、やはり他産業との均衡という点に焦点を合わせて考えていくべきだろう、こういうふうに考えております。
  199. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 それは農外所得が増大をし、農業所得が減ってきておる、二種兼業農家が増大をしておるというところで、農業そのものを本来考えるときには中核農家の強化をしていくということでございますから、いまのような中核農家は必ずしも他産業に匹敵するほどの所得上げていないという認識の答弁であっただろうと思うのです。その面については、それなりに同じ認識をしておるわけでございますからあえて申し上げませんが、実は奨励金を今回引き下げるというようなことが、確定をしていない、仄聞をされておる範疇でございますけれども、いま二期対策だ、冷害だ、そうしてまたその上に奨励金を引き下げるというようなことで、その一つの理由の中には、もちろん国家財政という立場を考えていくわけでありますが、一面では、やはり農家経済、農家所得というものもあわせてこのような事態に考えてやらなければいけないことだと思うのです。  そこで、仮に奨励金の引き下げをやるとしても、それなりに、これは転作の、計画転作、集団転作への誘導的な役割りを果たしてきた金でもなかろうかと思うのです。そういう面では、一体この奨励金をいま引き下げて、何をもって二期対策の誘導として皆さん方の方で考えておるのか、そこらあたりをひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  200. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 転作奨励金の引き下げと団地化等の誘導との関連でございますが、転作奨励補助金につきましては、これは加算額等も含めまして、いわゆる稲作所得との均衡という考え方で、五十三年度から現行の奨励金の水準を考えているわけでございます。その際にも、団地化、定着化を誘導するという考え方のもとに、基本額のほかに計画加算額というものを考え地域ぐるみの計画転作というものについては計画加算額を交付する、こういう考え方で現行の奨励金の水準体系ができている、こういうことでございます。そこで、奨励補助金は期ごとに見直すということでございますので、来年からの二期対策を踏まえまして、どういうような水準体系に奨励補助金をしたらいいのかということで、目下検討中でございます。まだ結論を出しているわけではございません。  ただ、検討状況として私たち事務当局として考えておりますのは、一つは、稲作所得との均衡をとるという考え方はやはり堅持していくという考え方でございます。その際に、米と転作作物の相対収益性の格差というものがどういうふうに推移してきておるかということを見ますと、麦にしろ大豆にしろ、相対価格関係是正ということで行政価格は上げてきておる、反収の向上等についてもいろいろ生産対策をやっているということもございまして、生産調査等の結果からすれば、麦にしろ小麦にしろ大豆にしろ、収益性は上がってきておる。したがって、米との所得のギャップというものが縮まってきている。そういう縮まってきているという範囲内で、ある程度基本額については御協力をいただきたいということで、基本額を事務当局ベースとしては一万円程度引き下げるということが考えられるのではないか、こう思っているのです。ただ、ただいま先生からお話がございましたように、計画を誘導するという角度からしまして、加算額の方は知恵をこらして、これはふやしながら仕組みの方も考えていきたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  201. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 時間がないので一つだけ、いま検討中だと言うから御要望申し上げておきたいと思うのです。  誘導という意味では、基本額、計画加算額、団地化加算と三種類になっているわけですから、総体的に金を減らすということを考えないで、基本額をある程度減らしていっても、少なくとも計画加算をするあるいは団地化加算をするということは、特に農林省として強い指導をしておるところでもあるし、願っておるところでもあろうかと思うのです。だから、総体的の金額の中でいわば枠組みを増減をすることはこれは別としても、そういうものが一つの誘導としていままでとられてきたわけですから、そういう姿の中で総体を減らさないで、ひとつより誘導的な枠組みにしていただくように御要望申し上げておきたいと思います。  二期対策の問題でいろいろお尋ねをいたしたいところでありますけれども、もう残すところ五分という時間でございます。  二期対策冷害だから一年見送ってくれ、あるいはどうしようという議論がいろいろありますけれども、仮に避けて通れない、やらなければならぬという場合に、私ども過去の経緯をいろいろたどってみると、三年前に算定をしたときと、昨年臨時的に、三カ年というのを中間で三年目にこの見直しをやったわけでありますけれども大臣が冒頭に全中の地域分担性のコメントに対しても一定の評価をしておるということでありますから、地域分担を織りまぜた従来の傾斜配分というものが考えられて、それなりに、表面的にはいろいろ団体から言われながらも、少なくとも割り当て面積全国的に消化をしてきたということでありますから、そういう精神をこの二期対策にも貫いていま検討されておるかどうかということについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  202. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二期対策につきましては検討を進めておるわけでございますが、ただ私たちといたしましては、全国ベースのもの、いわゆる目標規模をどうするか、あるいは奨励金の水準体系をどうするか、その他制度改善ということでいろいろなことを考えておりますが、まだ具体的な配分の方までの作業にも入っておりませんし、まだ十分頭もそちらに向いておりません。  ただ、各県の方からもいろいろ事情は聞いております。その際に、地域ごとにいろいろ御主張が大きく分かれております、率直に申しまして。非常に転作率の高い県等におきましては水田面積割りというようなものにウエートを置いてやってくれ、それからおいしい米のとれるところというような地帯についてはむしろ地域分担思想というか、そういうものを非常に重視した角度でやってくれというような話もございます。いろいろこれは議論がございます。したがいまして、今後こういう面につきましては、全国ベースの問題というものを早く結論を出していただきまして、その後引き続いて慎重に適正な配分をするという角度検討させていただきたいと思っております。
  203. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 まだ二つ、三つ質問したいことがあるのですが、もう時間が二分ほどしかないので、いま全国的にいろいろ意見があるという話が農蚕園芸局長からありましたけれども、これはいつもあることでもあるし、およそ予想もされておることでもあるし、せめてもう少し前向きな答弁をしていただきたいな、こう思って、大臣に再度最後の質問でお尋ねをしたいのですが、およそ従来の考え方や従来の地域分担というものの、農政というものは引き続きそういう精神に基づいて、二期対策もいろいろ意見を聞いて検討して実施をするというぐらいの答弁大臣から出せませんか。
  204. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 午前中から申し上げておりますとおり、二期対策は非常にむずかしい難事業でございます。そのむずかしい中で、ややともすると自分のところよりも人の方がよく見えるといいますか、自分のところが一番ひどいような感じを持つのはもう人情でございます。お互いにまあまあと言いながらも、とにもかくにも十年間やらなければならぬことだということで協力していただいておるこの実績というものも踏まえまして、そしてとにかく昭和五十六年の米作において水田利用再編事業が円滑に実施できるような最終的な割り当てをしていきたい、こう考えております。
  205. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 残りの問題は改めてまた時間をいただいてやらせていただきますけれども、再度、くどいようでありますが、少なくとも地域分担なり傾斜配分というようなものはわが党の農政の根幹でもあるし、従来とられてきた道でもあるし、これを根底から覆すようなことはあり得ないということは、大臣が冒頭に、いままでタブーとされておったものが全中のコメントの中に出てきたということに対して一定の評価をいただいたことで、そのものに期待をしながら、質問を終わらせていただきたいと思います。
  206. 田邉國男

  207. 吉浦忠治

    吉浦委員 八〇年代の日本農政基本方向ということで答申がございました。参考人への質問、また昨日からほとんどの議論が出尽くされておると思いますけれども、三十七年、四十三年、五十年に続いて、このたびのいわゆる画期的な答申というふうに考えてよかろうと思いますが、具体性という問題でかなりまだ問題があろうと思うわけでございます。  私は冒頭に、日本のこの十年間の農政方向というものは示されておりますけれども、やはり問題なのは、食糧の国際需給等の関係から、何と申しましても発展途上国のまだこれからのいわゆる人口増の問題もありましょうし、また異常気象等の問題もありましょうし、また政治的な問題等で起こる食糧への影響というものもあろうと思うわけでございますが、まず最初に世界の食糧事情の長期、中期、短期にわたる見通しを政府はどのように持っておられるのかをお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
  208. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今後における農産物のうちの穀物の国際需給につきましては、FAOの「一九八五年見通し」というものが出ておるわけでありまして、これによりますと、世界全体では需給が均衡するものの、やはり開発途上国ではどうしても不足がちになるであろう、また先進国では当分余剰が続く、こういう見通しを持っております。さらに、より長期的視野で見た場合には、FAOの「二〇〇〇年に向けての農業」という報告書によりますと、二〇〇〇年には世界の人口は六十億に達するであろう、またそのうちの二億四千万人の栄養不足人口が生じるというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、長期的には楽観を許さないという情勢を指摘いたしておるわけであります。  では、当面の需給状況はどうか、こういうことになりますと、米国の熱波による飼料穀物等の大きな被害、さらにはソ連の打ち続く不作、中国のこれまた不作など、世界各地で異常気象による農作物の被害が伝えられておるわけでございまして、日本も一千万トンを割るというような作況でもあるわけでございます。そういう中で品目別に見てみますと、農産物全般としての減収の中でも、米と小麦については相当余裕のある作柄であった、こういうふうに指摘しております。また、粗粒穀物、トウモロコシ、マイロ等、それから大豆等につきましては世界全体でも減産ということでありまして、在庫水準も低下をしてきておるということで、需給は逼迫ぎみということでございまして、価格水準もかなり高くなってきておる、こういうのが最近の現状であるというふうに私どもとしては認識をいたしているわけであります。
  209. 吉浦忠治

    吉浦委員 食糧の重要性はいまさら申すまでもございませんが、人間の生命を維持するということで、これは不可欠かつ重要な要素でございます。したがって、この問題は最悪の事態を想定し、万全を期さなければならないと思うわけでありますが、今回の答申において、食糧の安全保障を図るために食糧自給力の維持強化ということは強調されておりますけれども、食糧の自給率の向上ということはうたわれていないわけであります。前にもいろいろ論議がございましたが、自給率面では大きく後退して、六十五年見通しでは穀物自給率は三〇%というふうになっているわけでありまして、食糧の安全保障確保のためには、国内の生産体制を整備して、いまから真剣にまた着実に自給率を高めていかなければならないと思うわけであります。いま大臣が申し述べられましたが、今後懸念される食糧の心配な点等も、十分対応できるかどうかということが心配になってくるわけでありますけれども、自給力と自給率の論争をいましょうとは思いませんが、食糧の危機に対応できるような体制をお考えなのかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
  210. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 今回の見通しにおきましては、食糧の安全保障等の観点からも自給率をできるだけ高めていくという観点に立ちまして、特にその中心となります主食用の穀物の自給率は六八%、約七割近くを確保することに六十五年の見通しでもいたしております。さらに、これから増大いたします畜産の需要にこたえるためにも、飼料自給率、現在三〇%を割りまして二九%程度でございますが、これにつきましては三五%に高めるというふうに考えております。品目別には米が完全自給でございますし、野菜も——米、野菜については完全自給、果実それから牛乳、乳製品、肉類等につきましてもかなり高い自給率を持っております。  私どもこうした観点で、自給率を引き上げるというのは、ただ単純に計算上の話だけではなく、やはり生産性向上に裏づけられた形でこうした自給率の向上が図られなければならないという観点に立っております。そうした意味で、御指摘のような国内の整備という問題での担い手としての中核農家の育成、あるいは技術の問題、基盤整備の問題、各般の問題にこたえながら生産力を高めてまいりたい、このように考えております。
  211. 吉浦忠治

    吉浦委員 それからしますと、穀物の自給率の三〇%という、長期に見た場合、長期というよりも六十五年を見通した場合に、これは向上するとすれば三〇%では穀物自給率は低いのではないか、このように考えるわけでございます。  次に参りますけれども、「農産物の需要生産長期見通し」というのがございますが、これはあくまでも見通しであるかどうか、そのような可能性が強いということを示したにすぎないと思うわけですけれども、これからは政府は、これを受けて、自給率向上を目指した中長期の需給計画ということを、しっかりしたものをお持ちにならないといけないと思うわけでございます。私ども公明党でも、食糧基本法というようなものを制定して、水産物まで含めた長期、中期の計画をすべきであるという考え方を持っているわけでありますけれども、行政の責任にある政府としてこの需給計画を、きちっとしたものを年次別でも策定していなければならぬじゃないかというふうに考えておりますけれども、こういう点についてどういうお考えをお持ちなのか、お尋ねをいたします。
  212. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘のように、需給が適切に対応できるように図られることは私どもも望ましいことと存じます。ただ、先生御承知のように、農産物は年々の豊凶変動で左右されますし、あるいは経済の短期的な変動もございます、ないしは対外的な要因によります変動要因等もかなり大きいものがございます。これらの影響をすべて見通して毎年の需給計画ということは、実際上困難ではないかというふうに私ども考えます。むしろ長期的な方向での需給の見通しを立てまして、そうした見通しに向かって私どもは施策の展開を図るというふうに考えるべきだろう、将来そうした需給計画的なものができるかどうかは今後検討すべきだろうとは思いますけれども、現在ではそういう考え方に立っております。
  213. 吉浦忠治

    吉浦委員 ぜひ年次別等の需給計画というものをやはりつくっていただきたいと思うわけでございます。  次に、需給見通しの中身について二、三伺いたいわけでございますが、まず大豆でありますけれども、食用大豆を十年間で完全自給すべきだという積極的な姿勢で臨まれるべきだと私は思いますけれども、結果的に見通しの中ではどうして完全自給されるものとならなかったのか、この点お答え願いたい。
  214. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 食用大豆需要の六一%ということで、自給率を高めることで考えておりますが、全量までいっておりません。なぜ全量までできないかというお尋ねでございますが、一つは、大豆は夏作物でございます。そういたしますと、もちろん水稲というのがありますが、そのほかの飼料作物なり野菜という、いわゆる他の農作物との競合の問題が一つございます。それから、大豆は非常に連作障害が起きるというふうに言われておる作物でございます。したがいまして、連作障害を回避する、そういう合理的な輪作体系という中において大豆というものを栽培してもらうという角度考えますと、六一%の自給率というのが、これが精いっぱいではないかというふうに考えております。
  215. 吉浦忠治

    吉浦委員 今後のわが国の農業食糧政策を考えていく上で重要なことは、穀物の自給率、中でも飼料穀物の生産をわが国農業生産の中にどういうふうに位置づけていくかということだと考えられるわけでありまして、これについて私は、畜産物は昔はぜいたく品という性格が強かったわけでありますけれども、いまや畜産物は必需品化していると見なければならないと思います。この安定確保という考え方を軽視するならば、将来食糧事情が緊迫してきたとき、こういう場合には大混乱に陥るのではないかというふうに考えるわけです。したがって、畜産物の安定確保のためにも、もっと飼料穀物の自給率向上ということを真剣に考えなければならないと思いますが、この点ではどのようにお考えか。
  216. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 畜産物の安定的な供給を図るために、飼料の供給につきましてこれを安定的にしてまいらなければならぬというのは御指摘のとおりでございます。そのために、飼料の国内生産につきまして可能な限り進めるということで、従来から牧草生産の増大のほか、飼料穀物であります国内産の飼料用麦の流通促進でありますとか、あるいは実取りではございませんが、青刈りトウモロコシの生産拡大等に努力を払ってきておるところでございます。  ただいまの飼料穀物を国内でうんと増産をすべきではないかという御指摘でございますが、国土面積の制約があり、また一方輸入の飼料穀物に比較して収益性が低いということに相ならざるを得ない現状におきまして、数量的にはそれほど大きなものを期待することはできない現状でございます。したがいまして、これまで飼料穀物につきましては、安定的に供給するという見地から輸入の安定確保に努めておるところでございまして、今後も、飼料米の問題は一方ございますけれども、このような基本的な方向で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  217. 吉浦忠治

    吉浦委員 政府農政審に示しました六十五年度における七十六万ヘクタールの転作内訳の内容を示していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  218. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 七十六万ヘクタールの内訳ということでございますが、やはり農家所得の確保なり土地資源の有効利用なり、総合的な食糧自給力の維持強化というような角度からいたしますと、この七十六万ヘクタールというものについては、今後生産拡大の必要な物、そういう物を中心にして作付をしてもらおう、転作をしてもらおうというように考えております。  そこで、具体的には、小麦を中心とします麦、大豆、飼料作物、こういうものがこの七十六万ヘクタールの中で大体三分の二、五十万ヘクタールというくらいに考えており、それ以外の野菜とか永年性作物等で二十六万ヘクタール、三分の一というような内訳を想定をいたしておるわけでございます。
  219. 吉浦忠治

    吉浦委員 その中で飼料作物の占める内訳はどのくらいになっておりますか。
  220. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 二十四万ヘクタールと一応見込んでおります。
  221. 吉浦忠治

    吉浦委員 この飼料作物のことでございますけれども、先ほどもお話がありましたが、稲の青刈りが、私はこういうものは見せかけじゃないかというふうな、それはいろいろとり方はありましょうけれども、実質的には畜産の飼料として有効活用されていないのじゃないか。飼料作物についても畜産と結合したものとはなっていないし、農家も単に転作奨励金をもらうためというふうなことになりかねないのじゃないかというふうに思うわけであります。したがいまして、飼料作物も結構でありますけれども、それ以上に飼料穀物を農家につくってもらうことが積極的に考えられるべきじゃないかというふうに考えるわけです。その意味からも、えさ米を転作の対象として位置づけていくべきじゃないかというふうに考えますが、この点、いかがでございましょう。
  222. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 えさ米の問題につきましては、農政審議会の基本方向の答申におきましても、今後の重要な課題として取り上げられております。将来の食糧の安全保障という観点からも検討すべき課題であるとされております。  ただ、現実の状況について申し上げますならば、いまトン当たり約三万円程度の価格で飼料穀物が取引されておりますので、現在の米の生産の状況からいたしますと、十アール当たり約七万円程度の物財費がかかるということで、収益性等においてこれが償うものではないということが一つございますのと、また技術的にも、あるいは多収穫品種と呼ばれるものについての技術的な問題についてもその安定性がまだ図れていないというような各種の問題がございます。私どもも、こうした問題は重要な問題でございますから、技術等についての開発研究について早急に検討をすべき問題だろうと思いますし、同時にこうしたものが、生産をする側だけの御意向でなく、需要者を通じて流通し得るような制度なり仕組みというものも十分検討した上で国として対処すべき問題だろうと考えておりますので、農政審議会におきましても、この問題についてはなお今後検討すべき課題として私ども対処してまいりたい、こう考えております。
  223. 吉浦忠治

    吉浦委員 時間があればまたこのえさ米の問題は詰めてみたいと思うわけでございますけれども、きょうは全般的に一応概略をお尋ねしたい、こう思いますので、次に進めさせていただきます。  次は、牛乳、乳製品についてでございますけれども、五十三年度の国内消費仕向け量が七百一万トンで、自給率は八九%、これが六十五年度においては、国内消費仕向け量が九百二十七万トンから九百七十二万トンへと伸びるのに対して、自給率は同じように八九%となっているわけであります。ということは、消費の増大に比例して国内生産量もふえるが、輸入量もまた大きく増大することを意味していると思うのです。こうなりますと、現在国内の酪農家が乳製品の過剰在庫を抱えて大変な危機に直面している中にあって、十年先の見通しとはいえ、余りにもひどいのではないかと考えますが、この点いかがでございましょうか。
  224. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 今回の六十五年の長期見通しに当たりましては、牛乳、乳製品の総需要量は、基準年次五十三年度の一・三五倍と見込んでおります。そのうち国内生産によって賄われる部分も倍率といたしましては一・三四倍を見込んでおりますが、一方、輸入につきましては一・〇三倍ということで低く見込んでおります。これは、現在は輸入に依存せざるを得ない実態にあっても、今後国内生産に取り組むことができるようなものについては、可能な限り輸入を削減をいたしまして国産で賄われるものと、意欲的に見通しておるのでございます。ただ、輸入がわずかでありますがふえることになりましたのは、価格関係等で国内生産が困難なものの輸入を若干見込んだということの結果でございます。  なお、自給率が横ばいであるという御指摘でございますが、これにつきましては、基準年次、昭和五十三年度は単年度需給からいたしますと約三十万トンの過剰分がございまして、それを含めての自給率でございまして、それを落として計算をいたしますと基準年次の自給率は八五・一%でございまして、六十五年におきましては四ポイント程度高めるということに相なるわけでございます。
  225. 吉浦忠治

    吉浦委員 わが国の生産農家が、米を初めとする農産物について何でも生産調整、生産調整ということで大変な苦悩を強いられている中にあって、政府はこの見通し作業を行うに当たって、農政審にこのような甘い数字を諮問し答申を得るということでは、当面する農業の深刻な危機を打開しよう、農家の立場に立って本当に打開しようというふうな気魄が欠けているのではないかというふうに思いますが、気魄をお尋ねするのはどうかと思いますけれども、この点どういうふうにお考えなのか。
  226. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 乳製品の、牛乳の過剰状態ということもございまして、このところ乳価の据え置き等もやらざるを得ないという情勢にあるわけでございます。しかるところ、輸入の乳製品が逐次入ってきておる。バターとかそういうものは一元輸入ということでやっておりますけれども、そのほかの姿を変えた形でどんどん入ってくる。チーズなんかも相当消費が伸びてきておる。ところが、それに対するチーズの生産工場の日本における現況というものはまことにまた不十分である。こういうふうなもろもろの事情があるわけであります。  やはりそういう面において、酪農業を進展せしめていくために、バターの生産はどれくらいやらなければならないか、チーズはどれくらいあるのが常識であるかというようなことは国際的な各酪農国を見ていけば大体見当をつけられるわけでありますが、その面、日本の場合においてはチーズの、特にナチュラルチーズの製造関係、生産関係がもう少しあっても国際的な批判を受けないのではないかというようなことで、チーズの工場増設というような具体的な施策も進め、なおかつ調製油脂といいますか、マーガリン三割であとはほとんどバター、そういうものが法外に多量に入ってきておる、温度でちょっとあれしますとすぐにバターになる、こういうようなことをやはり幾ら国際関係を、親善を図っていかなければならないということはわかりますけれども、しかし、国際親善のために日本農家が首をつっていいということもないわけであります。  その辺のところは、バターで入れるのなら両国お互いによく話し合いをして、その辺のところの十分な自制策も相手国にとってもらうようにしてまいりませんと、日米間の自動車問題にいたしましても繊維問題にいたしましても、一時は熱くなってお互いにかっかとしますけれども、話し合いをすれば調整がついて両国とも発展していけるという例もわれわれはつくり上げておるわけであります。私も就任以来、この畜産振興のために多少の輸入規制の問題については厳しい態度をとって臨もうということで、事務当局を指導しておるところでございます。
  227. 吉浦忠治

    吉浦委員 いま大臣がおっしゃいましたいわゆる擬装乳製品の問題でございますけれども、武藤前農林水産大臣にこの擬装乳製品の問題をただしましたところ、私の任期中によい方向を打ち出したいというふうに仰せられていたわけですが、突然の解散もありましたし、内閣も変わって現亀岡農林水産大臣でございますが、やはりいまおっしゃられたように十分な決意で私はおやりになっていただきたい、御要望を申し上げて次の問題にまいりたいと思います。こういう問題の中でもやはり輸入が増大しておるわけでございますから、よくお考えになってその決意のほどをぜひ実行していただきたいと思うわけでございます。  次に、人の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、二兼農家であっても、農業についての経営やあるいは能力や生産意欲を持っている人は農家の対象から切り捨てるべきではないというふうに思います。中核農家の育成と言いますが、やはり二兼農家という方々でも、中核農家と画一的な外面的な区別だけではなくて、もっと人ということに基準を置いて行政に反映していかなければならぬと思うわけでございますが、こういうシステムといいますか行政的な手法といいますか、どういうふうに二兼農家をお考えなのかお尋ねをいたします。
  228. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘がございましたように、現在専業農家あるいは一種兼業農家、二種兼業農家というような分類でこれまでまいっております統計の分類がございますが、必ずしも二種兼の農家だからすべて農業生産について中心的な役割りを担ってないというふうに断定することもできないわけでございます。そうした意味で、現在中核農家という概念で私どもとらえております約百万戸の農家の中にも、約十三万戸近くが二種兼という従来の分類に入っておる方々がおるわけでございます。やはりこれからの構造政策を進めるに当たりましても、こうした農業者、中核農家を中心にして農政を進めるに当たりましても、その地域におきまして兼業というような形態でなお農村に定住しながら就業していく方々との協調といいますか、共存できるような状況をつくっていくことが御指摘のように大事だと考えております。  また、そうした意味での地域農業の組織化というような方向で、単に中核農家だけがりっぱに育てばいい、またりっぱに育ち得るものではなくて、やはり地域内におきます現在農林水産省が進めております地域農政事業等を中心にいたしました、地域社会におけるこれらの方々が共存できるような生産、生活両面にわたっての対策を積極的に講じたい、こういうふうに考えております。
  229. 吉浦忠治

    吉浦委員 答申の中に、価格政策について需給調整機能の重視ということで、米価の抑制といったことがことさら農家を大きく圧迫しておりますが、農家にとってどうしても将来に明るい展望を抱けないという状況となっているわけであります。そのためにも、せめて五年先なり十年先には自給率の低い小麦や大豆、飼料穀物の価格はお米に準じた価格水準がこれこれの制度のもとでは保障されるようにするといったような、あらかじめ価格を明示するような、前もって知らせるような、そういう決意があってほしいと思うのですが、この点はいかがでございましょう。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
  230. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 価格政策につきましては、答申にもございますように、やはり需給の調整を図りつつ中核農家所得の維持安定を図っていくという観点を重視されておるわけでございます。  御指摘の小麦なり大豆なりについて、米と均衡をするような価格という御意見もございますが、ただいま進めております生産調整におきます奨励金の考え方も、いずれはそうした奨励金なしでも稲作と匹敵し得るようなものになるように私ども指導いたしまして、いずれは奨励金を脱却するようにというような考え方をもって所得維持を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、御指摘の予示価格と申しますか、あらかじめ価格を指し示すという点につきましては、非常に貴重な御提案でございますが、事実問題としてなお検討しなければならない、いろいろ価格変動等が最近大きい中でそうしたものがとれるかどうかという実務的な問題等もございますので、なお研究さしていただきたいと存じます。
  231. 吉浦忠治

    吉浦委員 最後に大臣にお尋ねして終わりにいたしますが、きのうでございますか、十一日、政府が自民党に対して検討案を示されました水田利用再編二期対策について、農水省は転作面積の上乗せを方針よりもずいぶん緩和されるような様子を当初伺っておりました。ところが十四万二千ヘクタール上乗せされまして六十七万七千ヘクタールですけれども、この十四万二千ヘクタールのうちの八分の一に当たる分を緩和して、六十六万ヘクタールというふうな配慮をなさるように何かきのう検討を党の方とやっていらっしゃるようでございますが、まずこの八分の一というのはどこから出てきたものかということ。  時間がございませんのであと二点ばかりお尋ねしたいのですが、その奨励金の引き下げがうわさされておりますが、きのうの検討では、いろいろ理由もありましょうが五千円程度引き下がるというふうな状態でございます。私は二期ではぜひ引き下げないでほしい、特に冷害やなにかで打撃を受けた方々に対しての配慮が欠けているのじゃないかと思うのが第二番目。  第三番目に、特に大臣冷害地を視察なさるときかなにかの農民の御要望のときに、胸詰まる思いでお答えになったかどうか、お考えになっただろうと思うわけでありますけれども、心の内を拝して私は申し上げているわけではございませんが、冷害対策として一カ年間だけは凍結してもいいのじゃないか。最低一年間だけは何としても上積みを凍結すべきじゃないかというふうに大臣も一時お考えになったのでしょうけれども、のど元過ぎればという言葉もございますが、時間になりましたので、そういう三つの点を明快にお答え願いたい。
  232. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三点のお尋ねでございますが、前の二点は私の方から説明をしたことでもございますので、私の方からお答えを申し上げます。  昨日、自民党の農業基本政策小委員会がありました際に、二期対策検討状況について説明をせいということで、私の方から検討状況説明を申し上げました。その際に、冷害配慮の問題、これは何か考えられぬかということで、いろいろ検討してきた結果、十四万二千という想定される上積み、これの八分の一程度全国量としての軽減量ではなかろうか、なぜそういう全国量を示す際に八分の一というのを考えたかというのに、これは実は被害調査をやりました際に、三十八万ヘクタールほど三割以上の被害面積というのがある、水田面積から見ますというと大体八分の一に相当する感じである、その他作況指数等の低下率、これなども八分の一ぐらいかなということを考え合わせまして、上積みの一部というのは八分の一、その辺ちょぼちょぼのところではないか、かように思っておりますということを申し上げたわけでございます。  それからもう一つは奨励金の関係ですね、これは基本額と加算額とございますけれども、基本額の方を一万円程度下げる、それから加算額の方は団地化加算というものも新設するということで充実をしていくということで、足し上げますと現行の足し上げた水準よりは若干落ち込む、こういうスタイルになるわけでございますが、そういう説明を申し上げました。  これにつきましては、従来どおりにできぬかというお尋ねでございますが、これはやはり相対収益性の推移なりあるいは転作定着化の誘導といいますか、そういう団地化の推進という観点、それから現実問題としての財政負担の問題等々を考えますと、ただいま私が申し上げたようなことが事務当局としていろいろ検討した線としては妥当なものであろう、こういうことを御説明をした、こういうことでございます。
  233. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 冷害だから凍結しろ、こういう御意向があるのも十分承知をいたしております。しかし一面、やはり将来の農政を考慮した場合に、いままで災害があったからということで、その災害というものを考慮して生産調整を緩和をした結果、それがまた膨大な余剰、過剰の米を生むに至ったという経験を二回も過去において繰り返しているわけであります。後になってみればどっちが農家のためになったのか、こういうことを考えますと、私といたしましては、三回も同じようなことを繰り返して農家に何回も何回も苦労をさせるということよりも、やはりこの辺でやるべきことをきちんとやるという態勢をとった方が、私はむしろ農家のためになるという感じも実は持つわけでございます。  しかし、何といっても現実に被害を受けたところはこれはもう御指摘のとおりの情勢でありますから、その辺を何とか五十六年度に限って特別措置をとることはできないか、そういう立場で検討をするようにということで事務当局指示をいたした結果、現在事務当局ではいろいろと各界の意向を参考にいたしまして案を練りつつあるというのが現状でございます。  それから奨励金の問題ですが、とにかく奨励金というのは税金の中から出していくわけでありますから、まあまあ納税者に対して説明のできる形をとるのがわれわれ行政の責任者としての立場でもあるということを私は考えまして、そうして事務当局にあのような検討も命じておる。つらいところではありますけれども、しかしそういう点をきちんとしておいて、将来大きく農政を推進していく際に大きな国家投資を必要としていくわけでありますから、そういう面にむしろそういう態勢をとった方が農政の展開により有利であり、将来の農家のためになる、実はこんな感じもいたしておるわけであります。
  234. 吉浦忠治

    吉浦委員 大臣、大変心の温かい大臣なのが、だんだん農家に冷たくなってきたような状態でございます。しっかりお願いをして、終わります。
  235. 福島譲二

    ○福島委員長代理 神田厚君。
  236. 神田厚

    ○神田委員 私はまず最初に、昨日、当委員会で共産党の委員から問題にされました、京都のため池の改修工事の予算要求の際の問題につきまして農林省当局の回答を要求したいのでありますが、まず、これによりますと、予算を要求するのに自民党と民社党に限ってその推薦を必要とする、それがなければだめだというふうなことであったということでありますが、これはわれわれとしましては、そういう様式に自民党、民社党に限った議員名を書くというふうなことになっているのかどうか、その辺の事実関係はどうなんでございますか。
  237. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 農業基盤の整備につきましては、これは地域において非常に強く要望されております。したがいまして、地元の意向も反映されて、国会議員の先生方からもそれぞれ陳情なりあるいは御照会をいただくことが日ごろきわめて多いわけでございます。私どもといたしましてはこの応接はかなり重要な仕事となっております。  いま先生が御指摘になりました防災事業についてのお尋ねの資料、これは、いま申し上げましたような御照会等に適切に対応し得るようにということで、事務を担当する防災課において参考としてお出し願っているところのものでございます。しかし、これは何も特定の党の先生方についてどうこうというものではございません。防災課の示した様式におきましても、そのようなことは何ら触れておらないわけでございます。事業の採否あるいは事業費の額の査定というものは、事業自体の内容に基づいて公平に行われなければいけないということは言うまでもございません。それからまた、推進される国会の先生方がついていないということで不利益に扱うというようなことは何らいたしておらないところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、そのような資料を様式を示して提出を求めるということは適当でございませんので、この点につきましては直ちに是正するよう措置いたしたいと考えております。
  238. 神田厚

    ○神田委員 自民党と民社党の二つの特定の政党がこのことにつきまして非常に深くかかわっているというふうな印象を受けたわけでありまして、これは新聞等にも一部報道された。そのことは、農林省当局にとりましても、そういうことであるならば非常に問題でありますし、われわれとしましても問題にしなければならない。  しかしながら、いまの答弁を聞いておりますと、いわゆる特定の党派に偏った形ではなくて、多くの政党の議員の人たちがそういう場合に関係をしているということであるとするならば、自民党と民社党に限ったというふうな指摘は、われわれは非常に正鵠を射ていないというふうに考えているわけであります。それがどういうふうな形で問題提起がされたかというと、様式そのものに自民、民社に限るということが印刷をされていたわけではなくて、赤鉛筆で係員が自民党と民社党の先生の推薦が必要なんだという話をしたということでありますから、その信憑性そのものも私はきわめて、そのこと自体についても問題にしていかなければならないものでありまして、たとえば農林水産省がその様式の中に自民党、民社党に限るというふうに書いてあるならば、それはそれなりに大きな問題になるわけでありますが、そういう事実関係についてもはなはだあいまいなものにつきまして、農林水産当局があたかもそれをやや追認するような昨日の答弁等が報道されておりますけれども、そういうものにつきましてはわれわれとしましては納得ができない、このように考えております。いかがでございますか。
  239. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 実態は私がいま答弁申し上げたとおりでございます。新聞の報道等は一部正確でない点がございます。その点、私どもも迷惑している点はございます。
  240. 神田厚

    ○神田委員 この問題につきましては理事会等でもまた話し合われることになっておりますので、この程度にしておきますけれども、いずれにしましても、われわれとしましては非常に迷惑なことでございますから、その点につきましては、農林省当局がそういうことにつきましていわゆる指導のあり方に問題があったということであるならば、それは農林省自身も反省をしてきちんと指導をしていただきたい、こういうふうに要望をしておきます。  続きまして、通告をしておきました問題に移ります。  まず最初、新経済社会七カ年計画の運用につきまして、これは経済企画庁の関係でございますが、農政審の答申等もありましたが、それらの問題につきまして御質問をしたいと思っております。  新経済社会七カ年計画は、六十年までの長期経済運営の指針として決められたというふうなことでございますが、この計画は当時、一般消費税の新設によって必要な財源を調達する、こういうことを前提としたものでありました。これによりますと、五十三年度の租税収入三十三兆円が六十年度には二・七倍の八十九兆円に増加をする、その国民所得に対する比率も五十三年の二〇%が六十年には二六%に上昇するということになっております。ところが、御案内のように一般消費税の新設を断念をしました。  そこでまず第一は、財源の裏づけのない七カ年計画で、計画に盛り込まれている諸施策を支障なくやれるのかどうかという問題が一つあります。第二点は、計画の中身を改正しないで消費税にかわる新しい財源を見出すことになるのかどうか、この点はいかがであるか。この二点につきましてまずお答えをいただきたいと思います。
  241. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 お答えいたします。  御承知のように、新経済社会七カ年計画におきましては、国民生活の安定あるいは社会資本の整備等と並びまして、財政の再建を図っていくというようなことを計画の骨子にいたしておるわけでございます。そういうような方針に基づいて六十年度の経済の姿を描いてみますと、いま先生御指摘になりましたように、国民所得に対する租税負担の比率は、五十三年の二〇・五から六十年には二六カ二分の一程度になるというふうに見込んでいるわけでございます。経済計画はあくまで政策の基本方向を示したものでございまして、個々の具体的な施策の内容までは決定をいたしていないわけでございます。したがいまして、いま申し上げました二六カ二分の一%程度の租税負担率につきましても、個々の税目でどれだけになるのだというようなことは、数値を積み上げていっているわけではございません。  また、御指摘にございましたように、一般消費税につきましては、五十四年度のフォローアップにおいて「一般消費税(仮称)については、その仕組み、構造等につき十分国民の理解が得られなかった。」ということで、いわば白紙還元をいたしたわけでございます。そのフォローアップにおきまして、今後いかなる方法によって所要の財源を確保するかについては、今後政府において、財政当局を中心に検討を進めていく必要があるというふうにいたしておるわけでございます。  現在、経済審議会におきまして、ちょうど五十五年度のフォローアップの作業が行われております最中でございますが、その中で財政再建をどういう形で進めていくかにつきまして、財政支出の規模や経済全体との関連を考慮しながら検討を進めて、本年末ないしは来年早々には経済審議会から政府に御報告をいただくという手はずにいたしておるわけでございます。
  242. 神田厚

    ○神田委員 次に、食管制度の運営につきまして二、三お聞きをいたします。  まず最初に、大蔵省に来ていただいておりますが、この新経済社会七カ年計画の中には、「食糧管理制度については、米の需給均衡の回復を最重点とし、経済の実態に即して、米の生産・流通・消費に係る食管運営の各般の面にわたりできる限り、市場メカニズムの良さが生かされるよう制度・運営の改善を図る」と書かれております。  そこで、このことにつきましては関係各省が責任を分担していくべきでありますが、まず第一に、大蔵省は、米の需給均衡対策として進められている転作奨励補助金について、主計局編さんの「歳出百科」の中で、転作奨励補助金は転作面積の拡大に正比例して膨張する仕組みになっているので、財政面からこれが完遂は至難だとして、制度そのものの根本的見直しが必要だというふうに指摘しております。本日のいわゆる減反等の報道等にも転作奨励金の問題等も一部出ておりますけれども、大蔵省としましては、これらにつきましてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  243. 的場順三

    ○的場説明員 農政上の問題として、米の需給均衡を達成するという点は非常に重要な問題でございまして、従来から大蔵省としてもできる限りその方向に即して協力をしているところでございます。ただ、来年度から生産調整の第二期対策が始まるに際しまして、面積の相当な増加が必要である、仮に単価を据え置きますと財政負担がふえるということになっております。一方で、財政の再建というのは国民的課題として早急に達成すべきものとされておりますので、その点の調和をどう図っていくかということが一つの問題であろうと思っております。生産調整の仕組み方あるいは食管のあり方につきましても、農林水産省の意見を聞きながら、財政再建に資するような方向でこれから検討してまいりたいと考えております。
  244. 神田厚

    ○神田委員 大蔵省としましてはかなりシビアな形でこの問題について取り組んでいるわけでありますが、農林水産省との協議の上で、農林水産省の意見も十分聞きながら推進していくということでありますから、農林水産省当局はこの問題についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  245. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答えいたします。  転作奨励補助金につきましては、ただいま主計官の方からもお答えがありましたが、転作面積等がふえますれば、単価を据え置けば奨励金所要総額は確かにふえるわけでございます。ただ私たちといたしましては、各期ごとに奨励金の水準、体系は見直すということでございますので、現在検討を進めているわけでございます。  その際に検討の視点といたしまして、米との相対収益性がどう変わってきているかという推移をやはりよく見届けないといかぬ、そういう観点からこの奨励補助金の水準をどう考えるか。それからもう一つは、団地化推進、定着化をさらに高めるという角度でこの奨励金の仕組み方を考えなくちゃならぬじゃないかという視点。それから冒頭申し上げました財政的なそういう視点というようなものを総合的に考えながら奨励金の水準なり体系というものを考えていくべきではないかということで、現在検討を進めているということでございます。
  246. 神田厚

    ○神田委員 いまの答弁を聞いていますと、そうすると、従来よりもかなりこの奨励金のあり方について違った形での決め方をするというふうにとってよろしゅうございますか。
  247. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在検討を進めているわけでございますので、最終的に決まったというものではさらさらございませんけれども、いま考えておりますものは、先ほど言いましたような三つの視点から考えまして、一つは、基本額は一万円程度引き下げる、それから加算額の方は、団地化、定着化の推進という角度からいたしましてこれを充実していきたい。でき得れば、計画加算のほかに団地化加算というもう一つの加算額を考えたらどうか。そういうことで、両方足し上げました水準については現行の水準よりは若干落ち込むというような形でいかがであろうかというようなことを事務レベルでは考えておるわけでございます。
  248. 神田厚

    ○神田委員 大変大事な答弁になっておりますけれども、われわれとしましては、転作奨励補助金の扱い方につきましては、少なくとも現状水準からこれが下がるような形のものには賛成できないということで何回も要望しているわけでありますから、いまのような答弁の内容ではなかなか承服ができない、こういうことを伝えておきたいと思っております。  次に、転作問題の中で、これだけ減反政策を進めていく上には転作した作物あるいは転作についての作付指導、そういうものをもう少し工夫してやっていかなければならないのではないかとわれわれは考えておりまして、まず一つに、かなり多くの人たちに指摘されておりますけれども、いわゆる農産物の中からアルコールを抽出しまして、ガソリンの添加のようなものにこれを使っていったらいかがかというようなことで、すでにブラジルなどではかなり積極的にいろいろなことがなされている。芋類を大増産して、これによってアルコールをつくって石油に混用する、こういうことがすでにブラジル等では成功しているわけであります。アメリカでも穀物からアルコールをとるような研究が非常に進んでいる。  しかしながら、わが国にはこういう問題について積極的に取り組んでいこうという姿勢がどうもないわけであります。たとえば七十万ヘクタールの転作水田でアルコール用の芋をつくれば、いわゆる石油の中近東依存からかなりの部分改善がされるのではないかという試算も示されているわけであります。これは通産省等の関係もいろいろあるわけでありますが、いわゆる減反水田の中で、穀物からアルコールを抽出していく、こういうふうな方向で少し物を考えることができないかどうか。この辺はどうでございますか。
  249. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 たとえばカンショ等につきましてこれを転作作物にして、それで工業用アルコール原料用の芋をつくらせてはどうかというような声も確かにございます。私たちの方もいろいろ検討してみたことがあるわけでございますが、一つは何といいましてもやはり収益性の問題が出てまいります。アルコール用という角度考えますと、どうしても物財費を償わないというような計算しか実は出てこない。そういう赤字になるものを大いにつくれと言うわけにもいくまいというのが一つでございます。  それからもう一つは、現実問題としてカンショのアルコール製造工場は実は鹿児島と熊本に若干ございますが、立地なり処理能力の問題がございまして、原料の受け入れに限度があるということもございます。それから、何といいましても、現在カンショにつきましては、やはりデン粉用といいますか、そちらに向けられる形で指導価格が決まっておりますので、アルコール用ということで考えました際も、やはりでん粉用原料の方にいくというようなこともあるのではないかというふうに思います。  また、これはきわめて一般的な話でございますが、カンショからアルコールをつくるためのエネルギーよりもカンショからつくったエネルギーの方が少ないのだというようなことを言う人もございますし、またアルコールが、今度は排気ガスの中に大気汚染になるような物質がどうも入っているとかいうような話もありまして、いろいろ検討はいたしておりますけれども、収益性その他の面から今後も十分詰めなくちゃならぬという問題が多いようでございます。
  250. 神田厚

    ○神田委員 これはブラジル、アメリカその他の国でもかなり進んでおりますし、またオーストラリアあたりでは、木から、ユーカリのようなものからとろうというようなことも進んでいるし、いろいろ工夫をしていかなければならないと思うのであります。おっしゃるとおり収益性の問題は非常に大事でありますが、ただ、そういうことについてのもう少し積極的な研究というものを期待をして、推進をしていただきたい、こういう要望をしておきたいわけであります。  あと二、三、転作で何をつくったらいいだろうかというようなことで私もいろいろ意見を聞かされたりなんかしているのでありますが、一つおもしろいと思いましたのは、南米パラグアイ原産の菊科植物のステビアの葉からとれる甘味資源が非常に有効だというふうに聞いております。このことでまず第一に問題になりますのは、日本は甘味資源の中の砂糖のうち八〇%を輸入しておりますから、約三百万トン、お金にしまして二千億円近い外貨を支払っているような状況になっております。このステビアは砂糖の三百倍の甘みがあるというふうな話で、これは栽培には問題がないというふうなことも言われております。ただ問題としましては、いまの砂糖業界がこのことによりまして打撃を受けないような措置をとりながら、農家の転作の一つとしてこういうものを奨励してはどうかという話がございますが、その点につきましてはどうでございますか。
  251. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ステビアでございますけれども、これは現在、九州等を中心にしまして百五十ヘクタールほど現に栽培をされております。加工利用面の開発もだんだん進んできておりまして、加工食品業界でも逐次利用されておるという状況でございます。  問題は、これにつきましては導入されましてから比較的日が浅いということもございまして、適地はどこかという適地性、それから栽培技術の問題、新規用途、安全性の問題等々、まだ今後十分検討すべき問題が残っております。ただ現在、転作作物等といたしまして九州でやっております際も、契約栽培というものを結んで、そういう形でやるようにというような指導も実はいたしておるわけでございます。最近、大企業等においてもこれについて関心を持って、ステビアの製品、三百倍か二百五十倍ほど砂糖よりも甘い、こう言われておりますが、これに乗り出してきておるようでございますので、この辺につきましては、そういう技術的な問題等もこちらも詰めながら進めていきたい、こう思っております。
  252. 神田厚

    ○神田委員 それからもう一つは、薬用植物、これを転作水田でつくらしたらどうか、こういうような考え方があります。わが国は西ドイツに次ぐ世界第二位の医薬品の輸入国で、七八年の輸入額も八億ドル、膨大な量になっております。それから国産医薬品の出荷も三兆円。こういう中で、いわゆる漢方薬の需要が非常に大きく伸びておりまして、この漢方薬を転作水田を利用してつくらせるような指導をしたらどうか、これはかなり需要も見込まれるし、価格の面でもそれなりの収益性があるのではないか、こういうふうに言われておりますけれども、この辺はどういうふうにお考えでございますか。
  253. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、最近健康問題というのが非常にクローズアップされておりますし、特にスモン病等によります薬禍問題というようなものも出ておりますので、薬用植物、これに対します見直しといいますか、そういう機運が出てきておるということは確かにそのとおりでございます。  問題は国内生産の問題でございますけれども需要がそういうことで見直し機運に乗ってきておるわけでございますが、この需要というものが実はなかなか不安定な面がございます。それから、栽培しておりますものと天然にございますものの採取というのがあるのですが、一般的には相当採取の関係が多いようでございますが、そういう採取労力が減っておるという問題もございます。それから、具体的な生産技術というものにつきましても必ずしも十分ではないという問題がございます。そういうような問題点があるわけでございますが、この薬用植物の生産振興を図るというような観点で、現在も農蚕園芸局の方で、関係の協会等がございますけれども、そこで特産農作物新規導入促進事業というような角度のものでいろいろ研究をしてもらい、また、これの栽培面についても一部助成をしておるというようなことで推進を実は図っておるわけでございます。今後ともそういう形で有用なものにつきましては積極的に進めていきたい、こう思っております。
  254. 神田厚

    ○神田委員 日本の農耕地というのは、そういう意味では薬草などの栽培に非常に適しているというふうな指摘もありますし、転作される水田をそのままにしておくよりは、やはりもう少し積極的にそういうものにつきまして、規模もそんなにたくさんなくても、これはかなり収益性のあるものとして使えるわけでありますから、そういう点ではひとつ、かなり研究をして推進をしていただいているということでございますので、その辺のところはよろしく御推進をお願いいたしたい、こういうふうに思っております。  それからもう一つは、同じく水田利用の問題ですけれども、いま二百海里その他の水産事情が、水産業の問題が日本にとりまして大変むずかしくなってまいりました。日本も魚介類の輸入がついに一兆円を突破するような事態になっております。こういう事態でありますので、この際やはり転作水田を利用して淡水魚の養魚をやらしたらいいのではないか、こういうふうなことを言われておりますけれども、この辺はどういうふうにお考えでございますか。
  255. 今村宣夫

    ○今村政府委員 水産庁といたしましては、いわゆる食生活の高度化あるいは多様化というふうな傾向に対応いたしまして、内水面養殖につきましても、従来からウナギでありますとかコイでありますとかニジマス等について、その生産の拡大に努めてきたところでございます。最近ではテラピアとかギンザケ等の需要もございますので、そういう新品種の導入を図っておるわけでございます。  いろいろな新しい品種のものにつきまして、これをどの程度どういうふうに導入できるかということは、一つにはやはり技術の開発の程度が問題でございますが、同時にまた、需要の動向でありますとか、あるいはまた水産に特有な生態系への影響等も考えなければいけませんが、そういう諸点を十分考えまして、地域の実態に応じてそういう魚種の導入につきまして関係県と協力しながら指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  256. 神田厚

    ○神田委員 いろいろな魚のことが言われておりますけれども、アメリカ原産のキャットフィッシュ、中国原産の団頭魴、ギンザケ、シロマス、アメリカザリガニ、南米のペヘレイ、ソ連のオームリ、それから淡水エビ、それから日本に従来ずっとおりますドジョウ、タニシ、シジミ、こういうようなものですね、これは少し強力につくらせてみたらどうだろうかというような意見があるわけです。私も、魚介類の輸入が一兆円を超しておるというような統計はちょっと初めて教えられた面もあるのでありますが、そういうことでありますから、水田でございますので、そういう意味では環境としましてはこの淡水魚の養魚あたりが一番無理なくできるというふうなところもございますから、ひとつそういう点につきましてはよろしく御推進をいただきたい。  特にこのことは、なぜそういうふうな話をするかというと、魚をたくさんつくれば、それに伴っていわゆる主食である米飯ですね、これの消費拡大にもある程度つながってくるわけでありまして、そういうことから米のことも考えますと、水田に魚をつくって、それをかなり収益も上げながら安定的に供給ができるというふうな一石二鳥、一石三鳥のところもありますから、ひとつこういう面も考えに入れていただきまして、水産庁だけに内水面の問題をやれと言ってもいろいろ問題がありますから、農林省当局でこの問題につきましても検討していただきたい。やはり私は、転作をさせていくという状況の中で、どういうものをどれくらいの量でどういうふうにしようかという計画性を持ってこれを指導していかなければ、これから先の膨大な転作に対応できないと思うのですね。ただ単に休耕させておくというもったいないことじゃなくて、ひとつその辺を強力に御推進をしていただきたい、こういうふうに考えております。  農林大臣、御感想がございましたらひとつどうぞ。
  257. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 あらゆる努力をして米の需給のバランスをとっていく、その一つとして内陸面の養魚等についても、ただいま水産庁長官から答弁申し上げたように十分努力をしてまいる必要がある、こう考えております。
  258. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  259. 福島譲二

    ○福島委員長代理 野間友一君。
  260. 野間友一

    ○野間委員 十月十三日付の日本農業新聞に、学校給食用の牛乳の国庫補助について大蔵省が打ち切りを画策しておるということが報道されております。いま、たとえば酪農、それから処理、それからメーカーですね、あるいは学校へ行きますと先生方、そして父兄、こういう方々が大変不安な面持ちで五十六年度の予算編成を見守り、これを維持存続させろという要求が高まっておるわけであります。  私は、時間がありませんので、八〇年代の農政について、総論は別にいたしまして、牛乳の国庫補助の問題、それから、あと富有ガキ等の被害とその救済について御質問をしたいと思います。  いま冒頭に申し上げたような点で、文部省お越しですか。——まず文部省にお聞きしたいのは、この国庫補助による学校給食の中での牛乳の取り入れ、これがどのような成果をいままで上げてきたのか。同時に、今後これを何としても維持し発展をさせるというような方向でいま進められておるのかどうか、時間がありませんので端的にお答えいただきたいと思います。
  261. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生いまお話しの件につきまして、御存じのように発育盛りの児童生徒に対しまして実施されます学校給食におきましては、牛乳は特にカルシウム、ビタミンB2の補給源といたしまして、栄養的にも重要な役割りを果たすというふうなことから、学校給食におきましては不可欠なものだというふうに考えておりまして、私どもといたしましてもかねてからその飲用奨励をしてきたところでございます。  そこで、御案内のとおりこの学校給食用の牛乳供給事業といいますのは、農林水産省におきまして予算措置をしていただき、酪農振興というふうな観点から実施されているわけでございますけれども、そのために牛乳飲用の普及が今日非常に図られてきているわけでございまして、たとえば昭和五十四年度実績におきましても約千六百万人以上の児童生徒がその恩恵に浴しているというふうな状況でございまして、今日におきましては、おかげさまで学校給食におきまして牛乳の飲用というのは定着をしてきているのではないかというふうに思っております。こういうふうなことから、この事業の継続に対します関係者の要望も非常に強うございまして、私どもといたしましても、この事業の果たしております役割りの重要性にかんがみまして、この存続を強く希望しているところでございます。
  262. 野間友一

    ○野間委員 農水省にお聞きしたいわけですが、これは子供の体位の向上という点からも大変重要な問題でもございますし、また、農水省サイドからしても牛乳の消費の拡大、あるいは特に中小メーカーの経営を守っていくという点からも非常に大事な課題ではなかろうか、こう思うわけであります。  そこで農水省にお聞きしたいのは、この供給事業者の数の中で、六百七十二業者、そのうち学校給食用に関係しておる中小メーカーは四百二十九業者、供給量からいたしますと五割を超えておるというふうに理解をしておりますけれども、これは間違いがあるのかないのか、お答えいただきたい。
  263. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 国庫補助に係ります牛乳の学校給食の事業実施主体でございますが、ただいま御指摘のとおり中小乳業者の扱い数量の割合は五〇%、それから、業者数は私どもの承知しておるところでは四百三十ということでございます。
  264. 野間友一

    ○野間委員 生乳の中に占める割合が九%とも聞いておるわけですけれども大臣はすでに御承知のとおり、この消費の拡大という点から、もし万が一国庫補助が打ち切られると——いま二百CC五円八十銭のようでありますが、この補助金をふやしてくれという要求が非常に強いわけでありますけれども、それはそれとしても、もし打ち切られるようなことがあれば、これは酪農から処理、そして中小メーカーを含めたところに大打撃を与えるということは必至だと思います。  その予算の要求でございますが、これは昨年度とことし同様でしょうか。たしか補助金額百七十四億五千六百万円の要求をされておるやに私は聞いておりますけれども、これを何としても維持し存続させるという強い決意で、予算要求に農水省としても大臣としても御奮闘いただくというようなお考えなのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  265. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 学校給食用牛乳供給事業は、先ほど文部省からお答えがありましたように、児童生徒の体位、体力の向上に大きく寄与しているところでございますが、酪農の安定的な発展の見地からも重要な役割りを示しておりまして、牛乳の供給量の中に占める割合は九・三%、飲用牛乳の供給量の中に占める割合は一五%ということで、大きな割合を占めておるわけでございます。本予算につきましては、農林水産省としては五十六年度も事業を継続すべく財政当局に対して要求しておるところでございまして、本事業の継続につきまして努力をしてまいりたい、かように考えております。
  266. 野間友一

    ○野間委員 大臣、いま事務当局ではそういう継続の考えで進めておられるということですけれども大臣としても、ひとつこの点についても不退転の決意で維持をさせるというために御奮闘いただきたい。決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  267. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私の責任において大蔵省に概算要求をいたしたわけでありますから、あらゆる努力をしてこの事業の存続を図る、これはもう当然のこととして努力をいたします。
  268. 野間友一

    ○野間委員 では質問を変えます。  カキの王様富有ガキあるいは平タネガキ、すでに出荷も盛んになされておるわけでありますが、ことしの異常気象あるいは冷害、その他台風でカキそのものが大変な被害を受けておるわけであります。まず被害面積、あるいは三〇%以上の被害がどのくらいあるのか、それから被害量、被害の見込み金額、こういうものがわかりましたら、ひとつ簡単に数字だけお答えいただきたいと思います。
  269. 関根秋男

    ○関根説明員 七月以降の冷害によるカキの被害状況は、全国被害面積八千三百ヘクタール、被害量八千六百六十トン、被害見込み金額は十三億円でございます。
  270. 野間友一

    ○野間委員 これは事前に農水省からいろいろ聞いたわけですが、たとえば奈良とか和歌山あたりは、調査の中で被害がゼロというふうにたしかなっておると思うのですけれども、いま言われたのは最終の調査の結果でしょうか、それともそうではないのでしょうか。
  271. 関根秋男

    ○関根説明員 いま申し上げましたのは冷害等による被害でございます。それで、その後冷害現象につきましては、気温の状況は十月になりますと回復をいたしまして、いわゆる冷温状態ではなくなって平年的な気温になったということで、私ども一応十月六日現在で、冷害現象といいますか気象上の冷害状況は終わったという判断をして取りまとめたものでございますが、その後、カキにつきましては、十月中旬に来襲いたしました台風十九号、それから十月下旬の強風、さらにカキの軟化の被害、そういうようなものが発生しておるというふうに理解をいたしております。
  272. 野間友一

    ○野間委員 そういたしますと、いまの数字のほかに被害があるということになるわけですね。これは答弁はいいです。  私は、和歌山のある地域へ入りまして調査に行ったのですけれども、ことしは落葉病がずいぶんと出ておるわけです。しかも特徴は、聞きましたら昨年までは角斑落葉病、ことしは円星落葉病、これが大変大きく伝播をしておったわけであります。先ほどの答弁にもありましたけれども、異常な軟化、つまりカキをもいでしばらく置いておくと直ちに熟柿になっていくという異常な状態、あるいは木にくっついたまま異常に早くこれが熟して市場価値がなくなるということで、いまカキ農家の方々も大変不安を感じておるわけであります。  いろいろ聞いてみますと、この原因がどうも定かではない。たとえば落葉病によってこういう異常軟化が生じたのか、あるいはそうではないのか。これは落葉病にかからない木にもやはりこういう現象があるわけで、この点について、たとえば異常気象あるいは落葉病の結果こういう現象が生まれておるとするならば、それに対する適切な手当てをすればいいということになるわけですね。ところが、原因がわからなければどうにもならない。こういう点でいま大変に困っておるわけですけれども、農水省としてはどのようにこれらの原因をとらえておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  273. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からもお話のございました軟化の原因でございますけれども、これについては果たして生理的障害によるものなのか、異常気象によるものなのか、落葉病との関連があるものなのか、この辺、県の方を通じて調査をしたり、その他、試験研究機関の関係の方とも連携をとって聞いてみたり、いろいろやっておるわけでございますが、率直に言いまして、ことしの軟化の原因はこういうためであるという角度の原因はまだはっきりつかまえておりません。今後とも引き続きまして原因究明の方は十分やっていきたい、こう思っております。
  274. 野間友一

    ○野間委員 大臣、お聞きのとおり大変不安な気持ちなんですね。温州から晩柑へ、そして今度ミカンからカキへということで改植や転植がずいぶんと進んでおるわけです。しかし、この丹精を込めたものが、いま局長が言われたように、いまのところまだその原因が究明されていないという状況なんです。  そこで、私、国の機関としてこういうものを一体どこでどのように研究されておるのかということで、実はあちこちいろいろ聞き合わせたわけでありますけれども、どうやら広島にある安芸津の試験場でカキを担当しておるというふうに聞いたわけです。ところが、ここへ聞き合わせてみますと、たとえば病害研究室では、いま雑柑とブドウはやっておるけれどもカキはやっていない。育種研究室というのもあるわけですが、ここで聞きますと、軟化は聞いたことはあるけれども研究はやっていない。この育種というのは文字どおり品種改良が中心のようです。この最も頼りにしなければならぬ安芸津でも研究がなされていないというのが率直な現状なんです。  その研究費等も、聞きますと、研究者が四人おられるようですが、人当研究費が四百八十四万、これをもしカキとブドウに折半いたしましても、カキについては百万少々しか研究費がないというのが現状なんですね。したがってこのような状況では、これはやはり不安はなかなか解消することはできない、被害もいまのところ全国で十二億と言われておりますが、その後も異常軟化等でさらにふえる、そういう見込み、見通しが立てられておるようでありますけれども、こういう状況では安心してカキの栽培ができない、こういうことであります。したがって、早急にこのカキの病原菌の究明とそれに対する対策、これだけは何としても人と予算をつけてこれをやるべきだというふうに私は思うわけでありますけれども、この点についていかがでしょうか。
  275. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 カキの試験研究につきましては先ほど先生おっしゃったとおりの状況でございますが、国といたしましては、県もいろいろやっておりますので、県に助成をする等いたしまして、いろいろと指導あるいは協力、こういうことでやっておりますが、ことしの状況にかんがみまして、なお一層努力してまいりたいと思います。
  276. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、県の方にも要求があれば補助金を出すというふうにいまの答弁は伺ってよろしいでしょうか。委託研究費か何かでしょう。
  277. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 従来も和歌山県を初めいろいろと相互助成等で助成をしております。そういった点につきまして、ことしの状況にかんがみましていろいろといま連絡をとってやっております。
  278. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので次にいきますが、果樹共済についてお伺いをしたいと思います。  これは比較的新しいということもありましてなんですが、五十三年度で見ますと共済加入率が六・三%、大変に低いわけです。これはやはりいろいろ現地で聞いてみますと、樹園地ごとの共済をしてほしいという要求が非常に強いわけですね。これは当委員会でも何度か論議をされております。もし樹園地ごとの共済にできなくても、せめて桃とかあるいは温州ミカン並みにわせとあるいは中晩生を合わせて、こういうような分類で、ぜひこの共済の制度を改正してほしい、こういう要求が非常に強いわけでありますが、これについての農水省の見解はいかがでしょうか。
  279. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 まず、園地単位かそれとも農家単位で引き受けるか、この点につきましては常に議論のあるところでございますが、私ども考えは、園地単位引き受けの場合には、総体としての被害程度は同じでございましても、たまたま災害がある園地に偏った農家にだけ共済金が行くという支払いの形になりますので、経営的に見ますと損害の合理的な補てんという立場に立ちますれば、やはり農家単位共済の方が適当だという考え方を持っております。特に共同出荷体制の整備されている地域におきましては、損害評価の事務効率といった面からも、農家単位の方がいいというふうに考えます。また、園地単位でやりますと、農業経営上それほど重大でない被害にも共済金を支払うという場合があることになりますので、やはり深い災害に対してできるだけ安い掛金で支払いを行うということになりますと、農家単位の方がよく、また逆に園地単位でいきますと掛金が上がるという問題があると思います。  ただ、園地単位でやってほしいという声が非常に強いということは私どももわかっておりまして、その声の背後にありますのは、一つは、ただいまは全相殺方式でやっているものですから、そこで被害のない圃場についても損害評価を行うということで、実務の面からも非常に煩瑣だし、損害評価が大変だということは非常にわかる理屈でございます。そこで九十一国会、先般の国会におきまして当委員会にも御審議を願った次第でございますが、今回の法改正におきましては、いわゆる半相殺方式をとることにいたしまして、被害園地だけで損害評価をしまして、それで共済金を支払うという方式をとりました。これで損害評価の問題はかなり片づきますし、また支払いのチャンスが多くなるということからも、相当程度ただいま御指摘の点を解決できるのではないかというふうに思っておりまして、この方式で法案も通していただいたという経過がございます。これで私どもとしてはやってみたいというふうに考えております。  なお、早生、晩生別の加入をどうするかということでございますが、果実には当然品種によりまして価格とかあるいは収穫時の違いがございます、また被害の発生も違います。そこでこれを総合的に勘案いたしまして、いわゆる区分した形での取り扱いをするということをやっておりまして、カキにつきましても実は甘ガキと渋ガキの品種で分けておるわけでございます。そこでこの点につきましては、カキにつきましては収穫期が他の樹種、たとえばリンゴとかあるいはミカン等に比べますると比較的短い、あるいは被害の発生態様が酷似しているという点から、これを区分しておらないわけでございますが、これをさらに細分いたしましても非常に事務が繁雑になるという問題もございまして、現時点では現在の区分が適当ではないかというふうに考えている次第でございます。
  280. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので最後の質問です。いまはカキについていろいろ要求したわけですが、被害県から自作農維持資金などの申し込みがあると思いますが、これに対してはぜひひとつ速やかに対処してほしいということを要望しておきます。  それからなお最後に一言、大臣に。冒頭に神田委員からのいろいろ質問もありました件ですが、これはやはり補助事業の申請書類の中に様式十三−(二)とか(三)とか、正式に様式の中に組み入れておるわけで、これが単なる便宜的なメモとかあるいは手控えというふうには受けとめにくい。これは様式の体裁からしてもそのとおりだと思います。恐らく大臣は御存じなかったと思います。きのう初めてお聞きになって、直ちに改善をするように指示をするというようなことを言われたわけでありますが、ただ私、非常に不安に思いますのは、事務当局では単なる手控えとかあるいはメモ程度のような認識しか持っていないわけですね。だとすれば、この件が単に防災課のため池等の補助事業だけではなくて、これは防災課あるいはほかにも補助事業の申請の一つの様式の中にあるのではないか、こういう疑いを私は捨て切ることができないわけですけれども大臣のきのうの発言を聞いておりましたら、こういう申請書類の中に正式な様式としてやっぱり置いておくこと自体がおかしいわけですから、もしこういうものがあればぜひすべて是正するように、ひとつ点検なり指導をお願いしたいということを私は要求して、この点についての答弁を求めて終わりたいと思います。
  281. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 国家公務員は法律、政令、省令あるいは規則に定められた書類によって行政行為をしていく、こういうことが中心であります。あのような書類は私も見て実は意外に思ったわけでありますが、ちょっと道を外れている書類じゃないかなという感じがきのういたしましたので、早速誤解を受けるような行為はせぬようにということで各局長に注意をいたして、直ちに改善をするようにいたしております。
  282. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  283. 福島譲二

    ○福島委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会