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1980-11-13 第93回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十三日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    粕谷  茂君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    笹山 登生君       田名部匡省君    宮崎 茂一君       上原 康助君    大出  俊君       角屋堅次郎君    矢山 有作君       渡部 行雄君    市川 雄一君       小沢 貞孝君    榊  利夫君       中島 武敏君    河野 洋平君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    斧 誠之助君         行政管理庁長官         官房審議官   林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       萱場 英造君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局次         長       宮本 保孝君         水産庁長官   今村 宣夫君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         環境庁自然保護         局施設整備課長 大野  昂君         大蔵大臣官房企         画官      五十嵐貞一君         大蔵大臣官房審         議官      名本 公洲君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         大蔵省造幣局東         京支局長    田中 泰助君         大蔵省印刷局総         務部長     山本 六男君         文部省社会教育         局審議官    七田 基弘君         厚生省社会局老         人福祉課長   成島 健次君         農林水産大臣官         房文書課長   山田喜一郎君         農林水産省構造         改善局農政部構         造改善事業課長 瓜生  瑛君         労働省職業安定         局雇用政策課長 野見山眞之君         建設省河川局次         長       佐藤 毅三君         自治省行政局行         政課長     田中  暁君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     大島  満君         会計検査院事務         総局第四局長  高橋  良君         日本専売公社総         務理事     石井 忠順君         日本国有鉄道職         員局長     川野 政史君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     渡部 行雄君     ————————————— 十一月十二日  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願石原健  太郎君紹介)(第一七五七号)  同(植竹繁雄紹介)(第一七五八号)  同(内海英男紹介)(第一七五九号)  同(大内啓伍紹介)(第一七六〇号)  同(大原一三紹介)(第一七六一号)  同(小杉隆紹介)(第一七六二号)  同(田村元紹介)(第一七六三号)  同(中村正三郎紹介)(第一七六四号)  同外一件(楢崎弥之助紹介)(第一七六五  号)  同(西田八郎紹介)(第一七六六号)  同(橋口隆紹介)(第一七六七号)  同(浜田卓二郎紹介)(第一七六八号)  同(三木武夫君紹介)(第一七六九号)  同(箕輪登紹介)(第一七七〇号)  同(保岡興治紹介)(第一七七一号)  同(渡辺秀央紹介)(第一七七二号)  国家公務員等退職手当法改悪阻止に関する請  願(神田厚紹介)(第一七七三号)  同(塩田晋紹介)(第一七七四号)  同(中村正雄紹介)(第一七七五号)  同(西村章三紹介)(第一七七六号)  外地派遣軍属処遇改善に関する請願榊利  夫君紹介)(第一七七七号)  同(東中光雄紹介)(第一七七八号)  在外財産補償法的措置に関する請願奥野誠  亮君紹介)(第一七七九号)  同(梶山静六紹介)(第一七八〇号)  同(栗田翠紹介)(第一七八一号)  同(小杉隆紹介)(第一七八二号)  同(平泉渉紹介)(第一七八三号)  同(松永光紹介)(第一七八四号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願(林百郎君紹介)(第  一七八五号)  中小企業専任大臣設置に関する請願(林百郎  君紹介)(第一七八六号)  徴兵制復活反対等に関する請願瀬崎博義君紹  介)(第一七八七号)  台湾残置私有財産補償に関する請願大原一三  君紹介)(第一七八八号)  同(田中夫君紹介)(第一七八九号)  徴兵制復活軍備拡張反対等に関する請願(藤  田スミ紹介)(第一七九〇号)  国家公務員給与法早期成立等に関する請願  (安藤巖紹介)(第一七九一号)  同(池端清一紹介)(第一七九二号)  同(榊利夫君紹介)(第一七九三号)  自主憲法制定に関する請願梶山静六紹介)  (第一七九四号) 同月十三日  国家公務員退職金削減及び定年制実施反対に  関する請願井岡大治紹介)(第一八九一  万)  同外二件(井上一成紹介)(第一八九二号)  同外一件(上田卓三紹介)(第一八九三号)  同(川本敏美紹介)(第一八九四号)  国家公務員早期給与改定及び週休二日制実施  に関する請願井岡大治紹介)(第一八九五  号)  同外二件(井上一成紹介)(第一八九六号)  同外一件(上田卓三紹介)(第一八九七号)  同(川本敏美紹介)(第一八九八号)  四国地方医務局廃止反対等に関する請願(上  田卓三紹介)(第一八九九号)  同(中島武敏紹介)(第一九〇〇号)  防衛費削減に関する請願中島武敏君外一名  紹介)(第一九〇一号)  四国及び大阪鉱山保安監督部廃止統合反対  等に関する請願中島武敏紹介)(第一九〇  二号)  新憲法制定に関する請願田村良平紹介)(  第一九〇三号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願伊藤公  介君紹介)(第一九〇四号)  同(柿澤弘治紹介)(第一九〇五号)  同(小渕正義紹介)(第一九〇六号)  同(菅直人紹介)(第一九〇七号)  同(三池信紹介)(第一九〇八号)  同(米沢隆紹介)(第一九〇九号)  国家公務員等退職手当法改悪阻止に関する請  願(大内啓伍紹介)(第一九一〇号)  同(木下敬之助紹介)(第一九一一号)  同(高橋高望紹介)(第一九一二号)  同(竹本孫一紹介)(第一九一三号)  同(西田八郎紹介)(第一九一四号)  同(三浦隆紹介)(第一九一五号)  同(横手文雄紹介)(第一九一六号)  同(吉田之久君紹介)(第一九一七号)  外地派遣軍属処遇改善に関する請願相沢  英之紹介)(第一九一八号)  同(小渕恵三紹介)(第一九一九号)  同(神田厚紹介)(第一九二〇号)  同(松本十郎紹介)(第一九二一号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願中路雅弘紹介)(第一九二二  号)  在外財産補償法的措置に関する請願上原康  助君紹介)(第一九二三号)  同(小渡三郎紹介)(第一九二四号)  同(越智通雄紹介)(第一九二五号)  同(小坂徳三郎紹介)(第一九二六号)  同(河本敏夫君紹介)(第一九二七号)  同(國場幸昌紹介)(第一九二八号)  同外五件(近藤鉄雄紹介)(第一九二九号)  同(竹内黎一君紹介)(第一九三〇号)  同外三件(近岡理一郎紹介)(第一九三一  号)  同(登坂重次郎紹介)(第一九三二号)  同(中山利生紹介)(第一九三三号)  同(野田毅紹介)(第一九三四号)  同(原健三郎紹介)(第一九三五号)  同(平泉渉紹介)(第一九三六号)  同(松本十郎紹介)(第一九三七号)  同(阿部昭吾紹介)(第二二三二号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願相沢英之紹介)(  第一九三八号)  同(越智通雄紹介)(第一九三九号)  新潟海運局廃止反対に関する請願中島武敏  君紹介)(第一九四〇号)  徴兵制復活反対等に関する請願瀬崎博義君紹  介)(第一九四一号)  旧中華航空株式会社従業員恩給法による外国  特殊機関職員として指定に関する請願足立篤  郎君紹介)(第一九四二号)  台湾残置私有財産補償に関する請願伊藤宗一  郎君紹介)(第一九四三号)  同外二件(池田行彦紹介)(第一九四四号)  同(越智伊平紹介)(第一九四五号)  同(木野夫君紹介)(第一九四六号)  同外七件(後藤田正晴紹介)(第一九四七  号)  同外五件(灘尾弘吉紹介)(第一九四八号)  同外六件(藤田義光紹介)(第一九四九号)  同外七件(藤本孝雄紹介)(第一九五〇号)  同(前尾繁三郎紹介)(第一九五一号)  同(村上勇紹介)(第一九五二号)  国家公務員給与法早期成立等に関する請願  外一件(小川省吾紹介)(第一九五三号)  同(加藤万吉紹介)(第一九五四号)  同外二件(北山愛郎紹介)(第一九五五号)  同(久保三郎紹介)(第一九五六号)  同(久保等紹介)(第一九五七号)  同(串原義直紹介)(第一九五八号)  同(小林恒人紹介)(第一九五九号)  同(佐藤敬治紹介)(第一九六〇号)  同外四件(武部文紹介)(第一九六一号)  同(塚田庄平紹介)(第一九六二号)  同(中島武敏紹介)(第一九六三号)  同(中村重光紹介)(第一九六四号)  同(山田耻目君紹介)(第一九六五号)  同(山本政弘紹介)(第一九六六号)  北九州財務局の福岡市存置に関する請願上田  哲君紹介)(第一九六七号)  同(金子みつ紹介)(第一九六八号)  国家公務員定年制退職手当法改正反対等に  関する請願武部文紹介)(第一九六九号)  国家公務員退職手当法改悪及び定年制導入反  対に関する請願外一件(武部文紹介)(第一  九七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時行政調査会設置法案内閣提出第二四号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  臨時行政調査会設置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。榊利夫君。
  3. 榊利夫

    榊委員 まず、第二次臨調の前提として第一次臨調について一言お尋ねをしておきたいと私は思います。  第一次臨調は、御承知のように一九六二年に設置をされて六四年に答申が出ておりますが、改めて読み返してみましても、この答申行革考え方として六点を述べておりまして、一では「総合調整の必要とその機能の強化」として、政党、国会内閣との関係改善であるとか、それから二つ目には行政民主化の徹底をうたうなどしております。また十六項目提言も行っておりまして、個個の中身の賛否は別といたしまして、非常に意欲的なものを感じるわけでございます。しかし、実際には中曽根長官も一昨日でしたか言われましたように、手をつけられなかったものが九件あるなど、実を結んでいない点が多々あります。長官は、力足らざるを嘆くとおっしゃいましたけれども、そうなった理由をどういうふうに自己判断あるいは反省を込めて考えていらっしゃるのか、まずそのことを伺っておきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一臨調は、相当の権威のある方々が長時間にわたりまして御審議をいただいて貴重な結論を出していただいたと心得ておりますけれども、それらの結論について全面的に全部実施することができなかった点につきまして、もちろん時代の推移とともに必ずしもそのとおり実行することが適当でないものも内閣によってはあったと思いますけれども、ブロック機関の整理とか、そのほか第一臨調で盛られました中身が必ずしも万全に実現されていなかったということは、やはり政府としては努力の足らざるところでございまして、そういう意味で申しわけないという気がしたわけでございます。
  5. 榊利夫

    榊委員 ちょっと一つあいまいに感じますのは、その努力というのが一生懸命やったんだけれども力不足だったという意味なのか、あるいはいいことを決めたんだけれども実際に追求されなかったという意味なのか、そのあたりはどうでしょう。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 提言中身につきましては、たとえば内閣府であるとかあるいは補佐官制度であるとか、その後の内閣の運用から見まして、必ずしもとらざるところもあったと思うのです。それはその当時の総理の御見識によったと思います。そういうものは内閣の責任においてとらなかったことでございますけれども、当然この程度はやるべきであるというような点について必ずしも徹底して行えなかったという点は力足らざるところでございまして、申しわけないという気持ちがしておるわけでございます。
  7. 榊利夫

    榊委員 そこで振り返ってみますと、言葉は同じ行革でも中身重点はこの間に相当変わってきているように思います。たとえば第一次臨調答申の課題、いまちょっと紹介した点も次第に、たとえばマネジメント論にしぼられてくるとか、あるいは福田内閣のもとでは行革財政危機打開策と結びつけて浮上してくる。そうすると簡素能率化ということが非常に強調される。あるいはチープガバメント論であるとか。大平内閣のもとになりますとKDD問題とか鉄建公団などの汚職不正経理のスキャンダル、こういったものを暴露されまして、綱紀粛正さらには機構改革、器減らし、こういったものが行政改革の目玉として今度は強調される。このたび鈴木内閣のもとで仕事減らし人減らしということを行革の基本に置くということが所信表明でも述べられているわけでございますけれども、このことについて中曽根長官も、時代の流れが変わればそれで重点も変わってくるという趣旨のことをおっしゃっております。一昨日もそういう言葉でございましたけれども、言われる意味はわからないわけじゃございません。わからないわけじゃございませんけれども、余りくるくる変われば結局無定見ということにもなりますし、結局は看板倒れということになるわけでございます。それでは渦中にある公務員もたまったものではないし、国民も戸惑う、こういうことになりかねないわけで、このあたりにつきましては座標軸をどこに置くか、半年、一年じゃなくて、内閣によっては長命内閣もありましょうけれども、短い場合は一年程度という例もございます。だから、そこで終わるのではなくて一定の継続性を持ってやれるような座標軸といったもの、圧倒的多数の国民の合意を得られるようなそういったものが、かれこれ二十年の経緯を見てみますと、いま必要になっているように思うのであります。それはいかがでございましょうか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感でございまして、特に八〇年代以降非常に多元的な社会価値観変化等も出てまいりまして、そのためにある体系的な軌道を設定して行革を推進する必要を私も感じております。今回いわゆる第二臨調というものを御提案申し上げましたのも、そういう軌道設定のよすがといたしたいと思っておる次第でございます。
  9. 榊利夫

    榊委員 その軌道設定の問題でありますけれども、私はやはり清潔で公正で民主的でといった、そういう軌道と申しますか、それが非常に必要であると思うわけであります。第二次臨調設置法案を見ましても、目的を「適正かつ合理的な行政の実現に資するため、」というふうに述べられておりますけれども、清潔とかあるいは公正、民主的な行政といった問題意識、これは個々には第一次臨調答申にもあったことでございます。たとえば行政民主化といったもので、そういう問題意識が消えていると申しますか、欠けていると申しますか、そういうふうに感じるわけであります。しかも、さきの本会議での趣旨説明で、四、五日前中曽根長官自身も第一次臨調反省点綱紀粛正の欠如ということを挙げておられました。このことに照らしましても、どうもこの点では得心がいかぬわけであります。ロッキードからKDDまでの汚職腐敗が過去の問題になってしまったというわけでは決してございません。清潔、公正な行政、民主的な行政、そういった点はいまもますます国民各層から望まれている一つの大きな座標軸ではないかと思うのでありますけれども、そういうしっかりした座標軸設置目的として据えるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点も一つの大事な要素であると思います。
  11. 榊利夫

    榊委員 大事という御認識ですと、この中に含めるという意味でございますか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革とか、あるいは新しい行政の体系という中には清潔、公正な行政ということが含まれるのでございますから、当然そういう点も座標軸一つとして取り上げられるべきものではないかと思います。
  13. 榊利夫

    榊委員 そうだとすれば、むしろ当初のこの設立の目的の中に入れてほしい、こういうふうに思うのですね。現在の案にはないのですけれども、そのあたりについては考える余地はこれからございませんでしょうか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 適正、合理的というような考え方の中にそういう意味は含まれているつもりでございます。
  15. 榊利夫

    榊委員 調査会委員の選出について一言お尋ねいたしますが、法案では「優れた識見を有する者」、国会の同意を得る、こういうふうに簡潔に書いてあります。第一次臨調委員三井銀行の会長であるとか昭和電工の社長とか、率直に申し上げましてやや偏った編成になっていたように思います。三つの専門部会のそれを見ましても、やはりそういう印象を免れません。調査会委員構成については、たとえば世間一般でも非常によく知られている県知事会から市町村長会まで含めました全国の地方自治体などの組織がございますし、あるいは日本学術会議といった学者の国会もございますし、あるいは労働界等々のそういう国民各層意見が正しく反映されることが望ましいと思います。この点についてはどなたも異議はないと思うのでありますが、そういう斬新な構成と申しますか、そういうことを考えていいのではないかと思うのですが、いかがでございましょう。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まさに国民世論を代表する重厚な非常にりっぱな人物で委員会構成していただきたいと思っております。
  17. 榊利夫

    榊委員 そういう点では第一次臨調の延長線上であってほしくはないと私は思うのですが、ここで議論してもしようがありませんので、そのことを希望として述べて次に移ります。  さて、第二次臨調で国と地方行政のあり方について検討するということが一項目述べられております。このことに関してでありますけれども、実は九月十一日に中曽根長官永野重雄日本商工会議所会頭らと懇談の席上、道州制の導入を第二次臨調での検討項目に入れたいと述べたというふうに一部の新聞報道されております。前後を読んでみますと、本当にこう述べたのかなという気もするのですけれども、そういう報道がありますので、念のためにお聞かせ願いたいのですが、長官はそういう腹づもりなのでございましょうか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 道州制の問題は、永野さんからそういう個人的な御発言がございました。これは永野さんの持論のようでございます。それに対しまして私は、いずれ第二次臨調というものができましたらそういうお考えがあることもお伝えいたしましょう、そういうふうにお答えをしたのでございます。
  19. 榊利夫

    榊委員 そうすると、長官自身がそういう発言をされたわけではないのですね。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が積極的にそういうことをやるとかやらないとか言ったことはありません。
  21. 榊利夫

    榊委員 御承知のように永野さんは、そういう点では道州制論持論を持っておられる方でありますけれども、これまで出てきておりますところを見ますと、その構想の中には、知事公選制廃止であるとか知事任命制といったものも入っているのですね。こうなりますと、憲法原則一つである地方自治といった原則にもかかわりかねない非常に深刻な問題を内包するわけでありますけれども、道州制をめぐって出ておりますそういう見解について、長官自身はどういうふうにお考えでございましょう。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は白紙でございます。
  23. 榊利夫

    榊委員 それでは具体的にお尋ねいたしますが、知事公選制廃止、つまり裏を返せば知事任命制といったものについてはどうでしょう。賛成ですか、あるいはそれについて否定的なのでございましょうか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは地方制度に関する問題でございまして、その問題につきましても白紙でございます。
  25. 榊利夫

    榊委員 そうしますと、道州制の導入を第二次臨調での検討項目に入れたいという報道については、少なくとも中曽根長官自身は現在では考えていない、こう見てよろしゅうございますね。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調検討項目委員の皆さんに自主的にお選びいただくことになっておりますので、私たちの方でどうこうという指図がましいことは申さないつもりであります。しかし、日本商工会議所会頭というりっぱな地位にあられる方がそういう御意見を申されましたので、その御意見はお伝えいたしましょう、そう申し上げたのでございます。
  27. 榊利夫

    榊委員 いや、いま読み上げましたように新聞ではこうなっているんです。「第二次臨調での検討項目に入れたい」と。これは長官希望として報道されているのです。ですから、この点についてはどうなんでしょうかと聞いているのです。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その表現は必ずしもそのときの実情に合ってない表現になっております。私はお伝えいたしましょうと、そう申し上げました。
  29. 榊利夫

    榊委員 わかりました。私は、この道州制の問題というのは非常に重大な問題を含むと思います。それで、広域行政が必要なんだというようなことがこの道州制導入論一つ理由とされておりますけれども、広域行政というのは各種の現行方式などを民主的に活用することでもできるわけでございます。たとえば地方自治体による一部事務組合をつくったりあるいは協議会をやったりですね。それで道州制についてはあれこれの要求があります。しかし、現実に当の都道府県当局は道州制を望んでいないということがはっきりしているのですね。ことしの三月でございますか、自治省地方行政改善調査結果報告書というものを発表しておりますけれども、これによっても道州制を望んでいる都道府県の態度というのはゼロ%、一県もないという状態であります。そういう実情に照らしても、第二次臨調で道州制を検討せよという要求に対して、イエス、検討するということで、課題とすることは控えるべきではないかと思うのでございますけれども、長官自身のお考えはいかがでございましょう。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調の御審議につきましては、あらかじめ前提とか条件をつけないでフリーハンドで御議論いただくのが適当である、そう考えておりますので、地方制度の問題につきましてもそのような方法でやっていってもらいたいと思っております。
  31. 榊利夫

    榊委員 それでは、第二次臨調を離れまして行政管理庁長官としてどういうふうにお考えでございましょう。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これも結局は第二次臨調に影響することでございますので、そういう影響するおそれのあるような発言は、この際は慎んだ方がいいと思います。
  33. 榊利夫

    榊委員 委員会の運営についてでありますが、法案では「政令で定める。」というふうに述べられております。これだけではよくわからないのですが、これから政令で定めるということでしょう。  その際、国民の要望を踏まえた行革を進めようとするならば、会議の公開あるいは傍聴を許可するとか、公聴会を開く、あるいは国会への定期的な報告、こういったことがいろいろ考えられるべきではないかと思うのです。長官もきのう仙台へ行っておられたそうですが、けさの新聞によりますと、何か歩く行革ですか、調査会としてもそのようなことを考えていいんじゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  34. 林伸樹

    ○林政府委員 調査会といたしましては、先ほど先生御指摘のように、地方で公聴会をやるということを前回もやりましたし、現在もその方向でわれわれとしては考えているところでございます。
  35. 榊利夫

    榊委員 いまちょっと話が出ましたので一言聞かせていただきたいのですが、きのう仙台で中曽根長官が、事務当局に具体的作業に入るようにということで、各種許認可の廃止と緩和のための一連の指示をされたという報道がございます。この概略と申しますか基本的な考え方、それから見通しといったものをお聞かせ願えませんか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは九月十二日の閣議で報告いたしましてその方針を了承していただきました。自来各省相手にこちらの方でまず腹を決めまして、こういうものは整理したい、こういうものは期間を延期したい、こういうものは届け出に変えたい、そういうようにいま鋭意勉強し検討しておる最中でございます。一部は各省と話し合っているのもございます。その中間的な模様を一部例示として申し上げた次第なのでございます。
  37. 榊利夫

    榊委員 この中に、現在二年の車検の期間をもっと延ばす、それから各種検査、検定業務の民間機関への移譲、こういったことが三番目のあたりの柱として述べられております。この検査の民間機関への移譲についてですが、昭和五十三年に陸運局の自動車の検査だとか、それから米穀検査、真珠の検査、こういったものの検査、検定業務も改められた経緯がございますけれども、その際結局やり方が改められて手数料が上がる、こういう結果になっているわけです。したがって、こういう検定業務などの移譲等々につきましても、それらが手数料等々の引き上げを伴うようなものになりますと、これは国民の側から、利用者の側から見ますと非常に損害をこうむることになりますので、そういうことを極力避けてやっていただきたいと思うのですが、そのあたりはどういうふうにお考えでしょう。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 許認可やあるいは検査、検定を簡素化する、廃止するというのは、われわれは国民の皆様方のためにやらなければならぬと思っていることであります。たとえば車の車検のような問題は全国民が非常に関心を持っておりますし、また費用もかかっていることです。外国の例等も調べさせておりますけれども、国によってはやってないところもありますし、国によっては営業車だけやっているところもありますし、また国によっては二年くらいでやっているところもあるし三年目くらいでやっているところもあります。  日本の場合を考えてみますと、日本の自動車産業というものが非常に優秀になってまいりまして、日本の自動車の堅牢性や安全性は世界一になってきております。それから自動車の整備関係も非常に発達してきまして、車検の業務の一部のようなものは整備工場に委任してやらせているのもあります。そういうような実情を考えてみますと、相当前に二年ということを決められましたけれども、これだけ自動車が安全性を持ち、かつまたドライバーも非常に注意をしてやるようになってきたという情勢を見ると、自動車の事故というものは施設や機械の故障よりもむしろ運転者の不注意によるもの等が多くなってきておるのではないかと思うのです。そういうような面もよく考えてみまして、いま二年とある自家用車については、これを三年とかその他適当な時期に延ばしたらどうか。一回車検をやると大体十万円以上かかっているようです。これが少しでも延びていくという形になれば国民の皆さん方の御負担はそれだけ軽くなるわけで、これもばかにできない金額になると思うのであります。  これらにつきましてはもちろん運輸省の意見も聞き、また専門家の意見もよく確かめてみなければなりませんけれども、大分前につくられたものをそのまま墨守しているという時代ではない。それだけ日本の自動車が優秀、安全になってきているならばできるだけ国民負担を軽くする、そのかわり運転についてはさらに注意してもらう、そういうような配慮をしながら国民負担を軽減し、繁雑なことをやめていく、いまそういうふうに考えて検討し、また関係各省とも相談していきたいと思っておるところなのであります。
  39. 榊利夫

    榊委員 国家行政組織の問題で一つお尋ねいたします。  国会の承認なしに設置することは国家行政組織法、憲法の立場とは矛盾するのでありますが、このことは憲法制定当時の国会でも政府が、内閣の組織を明記した憲法第六十六条につきまして、官庁は原則として必ず法律に明定する、そういった趣旨を説明されております。つまり行政機関法定主義であります。  ところが、大臣や局長のもとに私的諮問機関が多数設置されております。たとえば厚生省では大臣のもとに社会保障長期計画懇談会だとか年金問題懇談会など十二ございます。環境庁などの場合もかなりの数に上っていると聞いております。委員に対して謝礼も行わなければなりませんし、何よりも国会が関与しないところで行政が実際上進められるということになりますと、そこに一つの問題が起こってくるわけで、こういう一種の私的な諮問機関は幾つくらいに上っているのでしょうか、また行管としてはこのままでいいと思っておられるのでしょうか、お聞かせ願います。
  40. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いわゆる私的懇談会というふうに呼ばれているものの話でございますけれども、この私的諮問機関と呼ばれているものは、私の承知しているところでは各省庁に置かれているものが大体四十くらいあるというふうに了解しております。これは個々の参集者から個別に意見等を聞いてその行政運営の参考にするということでございまして、国家行政組織法第八条に基づく審議会等とは異なるものでありまして、この国家行政組織法で置かれるものは当然機関としていろいろ意思決定をし、これを表明するものでございます。私的懇談会の運営につきましては、先生御指摘のとおり、ただいまの国家行政組織法第八条に基づく審議会等ではないかという疑いを招くことのないように、大分前でございますけれども、昭和三十六年に「懇談会等行政運営上の会合の開催について」というような行政管理局長通達を出しまして、その区分をはっきりとけじめをつけてやるようにということになっております。でございまして、いわゆる私的懇談会あるいは私的諮問機関と呼ばれるものが国家行政組織法の第八条に基づく審議会等と紛らわしい運営になっておることがあれば、それは余り望ましいことではないというふうに考えております。
  41. 榊利夫

    榊委員 いま答弁があったとおり、すでに通達が出ているのでその通達の趣旨を徹底すべきだと思います。これはぜひひとつやっていただきたいと思うのです。  次に、第二次臨調の発足が云々されている状況で、臨調待ちになる傾向と申しますか、これはやはり一面で警戒を要することだと思うのです。必要なものはやっていく、必要なものは各省庁でもやってもらう。中曽根長官はその点の当事者として希望だとか要望は当然あると思いますけれども、この点はいかがでございましょう。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調を隠れみのにしないということは前から申し上げておるところでございまして、五十五年行革及びわれわれがいま提示しました八項目、第二臨調を除きますと七項目になりますが、これらは第二臨調を待たずにどしどしいま推進していきつつあるところでございます。
  43. 榊利夫

    榊委員 たとえば情報公開の問題も、そういうやるべきものはやっていくということの一つではないかと思います。これは一昨日も長官自身情報公開法制定の必要性を述べられまして、このことは繰り返しませんが、実は八月末に、御承知かと思いますけれども、アメリカのアマーストで開かれました日本占領国際会議というのがございます。これはアマースト国際会議と俗称しておりますけれども、要するに日米の研究者、歴史家、政治学者、こういった人が集まりまして、その席上公文書の公開を急げという日本政府あての要請書が採択されております。日本からは竹前栄治、袖井林二郎教授らかなり著名な学者も出席されているのでありますけれども、鈴木首相にも要請書が手渡されておりますし、各党にも要請書が回っております。  その趣旨は、占領時代の日本側の対応を研究する際、日本政府から情報が十分出されていないので、日本人研究者もみんなアメリカまで行って米国側の資料だけに依存しているケースが非常に多い。そこで、現在三十年原則の公文書公開を米国並みの二十五年原則で公開するようにしていただけないかということが一つ。それからもう一つは、研究者が資料ファイルに実際に触れる機会をつくってほしいということなんです。これはもう聞けばだれでももっともなことでありますし、この点について便宜を図る考えはないかどうか。特に外交面では外務省ということになるでしょうし、また政治行政全般については行管ということになるでしょうか、ぜひその点について前向きの積極的な答弁をお聞きしたいと思います。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 情報公開につきましては、もうすでに政府におきましてもできるだけ公開をするように各省に指示しておりまして、各省の判断をもって実行しておるところでございますが、制度として考えました場合にも、ここで前に御答弁申し上げましたように、過去の情報というものはこれが正確に伝わるか伝わらないかということによって歴史が歪曲されます。そういう意味において、過去の情報というものを考える場合には政府は歴史に責任を持つ必要がありますし、それから現在の情報という問題については、民生に対して非常に大きな影響を持つものがあります。この前申し上げましたように、医事、メディカルアフェアーズという、これらは富士見病院の問題等見てもよくわかりますし、あるいは最近は薬とか医療に対して訴訟がかなり提起されてもおります。これは世界的な趨勢でもあります。あるいは原子力行政につきましても安全性についていろいろ議論がなされておりますが、それらに対する政府が持っておる情報というものは適切に国民にお知らせする責任が政府にはある。もちろんこの前申し上げましたように、さまざまな条件も考えなければなりません。なりませんけれども、方針としては、歴史の流れはそういう方向にも行っておるのでございまして、日本におきましてもこれだけ成熟した高学歴の情報豊富な社会が出現したものでございますから、その社会にふさわしいように行政も前進していかなければならぬ、そういう時代に来ていると考えているわけで、情報公開制度につきましては、わが行管庁といたしましても、研究の機関を設けまして積極的に取り組んでいく、また一方政府においても、これは内閣において総括的に取り扱っておるところでございますが、両両相まって前進していくように努力していきたいと思っておるところです。
  45. 榊利夫

    榊委員 具体的に出ております三十年原則じゃなくて二十五年原則で公開してほしいということ、それから研究者が資料ファイルに直接触れる機会をつくってもらいたいという、この点はどうでしょうか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは具体的な問題になりますと、専門家にいろいろ検討していただきまして、その結果によってわれわれは判断をしてまいりたいと思いますので、いまそれに対してお答えする段階ではないと思います。
  47. 榊利夫

    榊委員 外務省の方はどうでしょう。
  48. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 先ほど御指摘のございましたアマーストにおける会議の内容につきましては、日本側の参加者から総理大臣あてに要請書が出されまして、これは私どもも総理府の方から送達を受けて承知しておる次第でございます。  外交文書あるいは外交記録と申した方がよろしいと思いますけれども、外交記録につきましては、外務省は五十一年に学識経験者にいろいろ御意見を伺いまして、各国の実例をいろいろ調べまして三十年原則というのを当時決めまして、一定の例外を除きましたものについては三十年たった文書は原則として公開するということで、最近の第六回まで六回にわたってこれを公開しております。これを見る機会につきましては、外交資料館というところにこれらを用意してございますので、そこにおいて研究者その他の方々がごらんになれるようにいたしておりますし、新聞社等についてはマイクロフィルム等を差し上げる手続も公表のたびごとにとった次第でございます。  この三十年原則といいますのは、欧米諸国の例を調べまして、三十年の国と五十年の国とある、フランスとかあるいはイタリアは五十年、西独あるいは英国は三十年ということでやっておりますので、それらを勘案して三十年という原則を当時決めて今日に至っておるわけでございます。  アメリカの例をいまお尋ねでございますけれども、アメリカもいろいろな変遷を経て情報公開を行っておりまして、私どもの承知しておりますところでは、一九七八年に出されました行政命令が現在の根拠になっておると思います。これは非公開の文書のうち、一般的には二十年を経た後に公開の可否についてレビューするという規定が一つございますと同時に、外交文書、外国政府より得た情報等、いわば外国絡みの文書の場合には三十年を原則とするという点は変わってないと承知しておりまして、特に最近二十五年原則というのが策定されたということは承知しておりません。
  49. 榊利夫

    榊委員 アメリカがどうこうということを聞いているのじゃないのです。日本のことを聞いているのです。  いまの要望の中の特に二番目ですね、研究者が資料ファイルに実際に触れるような機会をつくってほしいという点、とりわけ日本の場合は、トップレベルの政策決定などの資料が現在ではほとんど見られないということが言われているわけであります。この点ではさきの長官の積極的な答弁もありますし、ぜひ前向きで検討していただきたいと思うのですね。わざわざ見るのにアメリカへ行かなくちゃならぬというようなことは恥ずかしいことでもあります。やはり日本であるものは実際に研究できる、マスコミにも提供する、その点どうでしょうか。前向きにひとつ検討していただきたいと思うのです。
  50. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 再来年の四月になりますと、いずれにしても講和条約発効満三十年になりますので、私ども先般六回目の公表をした後、これから着手する作業は講和条約前の講和条約関連の外交記録ということになるかと思いますので、一年余りのうちには三十年原則によりましても占領中の外交記録については原則公表が現実に実現するかと思います。  それから、都合の悪いものは公開しないで、大して価値のないものだけが公開されるのではないかというコメントも一部ありまして、それは実は残念に思っております。私どもが公開の作業を行いまして非公開にいたすものにつきましては、はっきりしたルールを持っておるわけでございます。国益に重大な支障があるもの並びにプライバシーに影響のあるものという二つのルール、これは各国の外交記録の公開に当たってもどこの国でも適用している例外規定でございますので、これはやはり厳守しなければなりませんけれども、それ以外のものにつきましては、それがトップレベルであれあるいはいろいろ失敗の記録であれ、先ほど長官もおっしゃいましたように、やはり原則としては、三十年たちました記録につきましては、その当時の担当した者は結果的にはいろいろ誤りがあったり、試行錯誤があったりいたしたにせよ、公人としてそのときには責任を持って仕事をしたわけでございますから、その記録というものは歴史の中において評価されるものということで、そういう基本的な考えで公開原則を決めたわけでございますから、それをいたずらに公開の対象から除外するという考えは毛頭持っていない次第でございます。
  51. 榊利夫

    榊委員 大変要望も強いので期待しておりますので、ひとつ前向きで実行していただきたいと思います。  次に、特殊法人の問題でお尋ねいたします。  政府は、電電公社の剰余金、五十四年度で四千五百億ですか、などの国庫納付制を検討しているということが伝えられております。特殊法人で収益の大きなものとして、たとえば日本専売公社であるとか日本開発銀行といったものがありますけれども、この収益はどれくらいでございましょう。
  52. 公文宏

    ○公文説明員 お尋ねの特殊法人の収益でございますけれども、ちょっと正確に御質問のような形で把握はしてございませんが、一般会計の歳入で見ましてどのような納付金があるかというふうにとらえてみますと、日本専売公社とアルコール専売事業特別会計からの納付金と二つがございます。その合計が七千五百八十九億円でございまして、専売公社の方から七千五百四十八億円、それからアルコール専売事業の方から四十億円という納付金になっております。これは一般会計の公債金を除きました歳入予算の中では二・七%を占めるということでございます。
  53. 榊利夫

    榊委員 開発銀行は。
  54. 公文宏

    ○公文説明員 実は私、所管でございませんので、そこのところは特別会計の方の納付金になっておりますので、私いま数字を把握しておりません。大変恐縮でございます。必要でございましたら後で資料でお出しいたしたいと思います。
  55. 榊利夫

    榊委員 行管わかってないですか。
  56. 中庄二

    ○中政府委員 開銀の五十三年度の利益でございますが、三百八十億七千四百万円かと承知しております。
  57. 榊利夫

    榊委員 日本船舶振興会の収益は幾らでございましよう。
  58. 中庄二

    ○中政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので……。
  59. 榊利夫

    榊委員 大蔵省もわからないですか。
  60. 公文宏

    ○公文説明員 大変恐縮でございますが、いま手元に資料を持ち合わせてございません。
  61. 榊利夫

    榊委員 どうも出しづらいようなあれですけれども、私たちが調べたところでは五十四年度で約五百十五億収益があります。これはそれなりに膨大な収益でありますけれども、こういった大きな黒字、膨大な収益が上がっている特殊法人について、電電公社の例じゃございませんけれども、国庫納付制などを検討するつもりはございませんでしょうか。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前にも申し上げましたように、特殊法人につきまして財務諸表の提示を求めていまいろいろ検討を加えておる最中でございます。
  63. 榊利夫

    榊委員 そうすると、検討の結果国庫に納めてもらうということになることも可能性としてあるわけでございますね。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点も前に申し上げましたように、こういう財政状態でもありますし、中小企業の皆さんが石油危機のときにはみんな財産を売ったり土地を売ったりあるいはいやな人員整理までやって生き残ったわけでございますから、政府はこういうように苦しくなったときにはまず国有財産を売りなさい、あるいは剰余金を国に還元しなさい、そういうことをもって政治姿勢を正さなければならぬ時代である、そう考えまして、できるだけ国債を減らすために御協力願おうと考えておるところであります。
  65. 榊利夫

    榊委員 大蔵省にできたらお尋ねいたしたいのですが、いまちょっと紹介ございました専売ですね、これはかなりの財政貢献度があるわけでございますけれども、こうした官業の財政貢献度について大蔵省自身はどういうように評価されておられるのか、それからそれらの民業化の問題を大蔵省として検討されている事実はあるのかどうなのか、この二点をお尋ねいたします。
  66. 公文宏

    ○公文説明員 お答えいたします。  まず、多額の納付金を一般会計の歳入でいただいていることにつきましては、私どもはやはりこういう財政事情でございますから貴重な財源であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。ただ、専売事業が今後いかにあるべきかという問題につきましては、ただ専売納付金の確保という点だけからの検討では不十分でございまして、やはり官業と民業とはどうあるべきかというような基本問題を総合的に考えて、その中で財政的影響はいかなることになるかということとの関連で私どもは検討していかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。  具体的にたばこ専売事業とアルコール専売事業の問題について大蔵省の方としていまどう考えているかということでございますけれども、たばこにつきましては、民営化についていろいろ御意見はございますけれども、いまの時点で直ちに民営化するということにつきましては、たとえば喫煙と健康の問題でありますとか、それから外国たばこ資本の影響の問題、あるいはそれがひいては国内の葉たばこ業者あるいは販売店、そういうようなところに対していろいろ大きな影響が考えられるわけでございますので、やはり非常に慎重に検討していかなければいけないのではないかというふうに基本的には考えております。現在大蔵省には専売事業審議会がございますけれども、その専売事業審議会において検討をお願いしておるということでございます。関係各方面の意見を十分に聞きながら慎重に対処していく必要があるというふうに考えております。  それから、アルコール専売事業につきましては、昨年の十二月の末でございますけれども、行政改革に関する閣議決定がございまして、「当面専売制度は維持することとするが、製造部門については、二年以内に「新エネルギー総合開発機構」の事業部門とするとの基本方針の下に、所要の施策を推進する。」ということに閣議決定がなっておりまして、財政当局の立場で申し上げますと、この方針に従って今後対処していく、基本的には通産省がまずどう考えていくかということが出発点でございますけれども、財政当局としては基本的にこの閣議決定の趣旨に沿って考えていくということでございます。
  67. 榊利夫

    榊委員 いまの中にはからずも出てまいりましたけれども、外国たばこのたばこ自由化の要求ですね。これはかなり出ております。たとえばアメリカのたばこ大手のフィリップモリスの社長なんかも、日本の専売公社の問題に触れまして、それを変えると申しますか、そのことについて期待しているといった趣旨のことを最近も述べておりますけれども、日本の専売問題というのはかりそめにも外圧で左右されるようなことがあってはならないと思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 この点についての認識はいかがでございましょうか。
  68. 五十嵐貞一

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在輸入製造たばこの問題について諸外国からいろいろな御意見が出ております。それの背景としましては、現在製造たばこの外国品のシェアが一%程度にとどまっている、非常にシェアが小さいということを前提といたしまして、価格の問題であれ販売流通の問題であれ、公正な適正な競争条件を確保してくれ、こういった形で議論が行われているわけでございます。私どもと外国との間でそういった形でいろいろ協議もなされているわけでございますが、その場合に、先生御指摘のとおりあくまで専売制度の枠内での議論でございまして、あくまでも専売制度の枠内で適正な競争条件を確保するという見地から行われております。  また、当然のこととして、国内の葉たばこ生産業界の問題とかあるいは小売店の問題とかいろいろむずかしい問題もありますので、そういったことも十分配慮しながら諸外国との協議も行ってまいりたいと思っております。
  69. 榊利夫

    榊委員 わかったようで余りよくわかりませんでしたけれども、このたばこの問題、専売の問題について、外圧で日本の国益が損なわれるようなことのないように、このことを希望して、あと十分ぐらいしかございませんので、次に移りたいと思います。  同じ特殊法人関係の問題でございますけれども、認可法人というのがございます。これは大臣認可のものです。隠れ特殊法人というふうにも言われているのですが、第二次臨調でこれにメスを入れる方針だというふうに言われております。  そこで、具体問題ですけれども、そんな大きな全国的なというよりも非常に近くの問題でありますが、建設省の認可法人の一つに河川環境管理財団というのがございます。これは理事長も専務理事も常務理事もみんな建設省の高級官僚の一種の天下り財団でありますけれども、この財団が、東京都と神奈川県にまたがる多摩川の河川敷で、建設省から十七万七千平方メートルの土地を借りておるわけであります。ゴルフ練習場とか野球練習場を経営する私企業にそれをまた貸しする、こういうかっこうになっております。  東京の多摩川、荒川、江戸川、こういった東京の一級河川の河川敷は、御存じのように建設省の四十一年の方針がございまして、第一次開放それから四十九年以来の第二次開放、こういう計画のもとで一般への開放が進められてきているのではないかと思います。これはどういうふうに進んでおりますか、この二つの開放計画。
  70. 佐藤毅三

    佐藤説明員 先生いま御指摘のとおり、河川敷地につきましては本来公共用地として一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるという原則に立ちまして、原則としては占用は認めるべきものではないが、社会経済上、必要やむを得ない場合に限って許可をするという方針に従いまして河川敷地占用許可準則というのを定めておるわけでございます。そして準則によりますと、既存の占用の中で準則に適合しないものにつきましては逐次準則に適合するように措置をするということにいたしておりまして、東京都及びその周辺の都市につきましては、公園緑地等に対する需要が一層増大してきている状況にかんがみまして、特に私企業等が占用している都市区間の河川敷地を公園緑地等として使用できるように開放することといたしております。  具体的な措置といたしまして、多摩川、荒川、江戸川の都市区間につきまして、第一次開放計画、これは昭和四十一年度から昭和四十三年度まででございますが、さらに第二次開放計画、昭和四十九年度から昭和五十二年度までをそれぞれ樹立いたしまして、この計画に基づきまして私企業等の占用地を開放いたしまして、広く一般の公衆に利用できるようにしつつあるところでございます。
  71. 榊利夫

    榊委員 それでいまの趣旨はわかりました。  一つ具体的にお尋ねいたしますけれども、昭和四十年の十二月二十三日の建設事務次官通達は、「都市の河川敷は、地方公共団体の公園担当部局と連絡を密にして開放計画をつくり、速やかに一般公衆の利用に供し得るよう措置」せよ、こういうふうになっております。また、いわゆる第二次開放計画では、「多摩川のゴルフ場については、全面開放の措置を講ずるもの」というふうに明記しております。ところが、この多摩川の約十八万平方メートルに及ぶ河川敷を開放計画に沿って地方自治体に占用させるのではなくて、どうして河川環境管理財団の占用というふうになったのか、そのいきさつがよくわからないのですが、どうだったのでしょう。
  72. 佐藤毅三

    佐藤説明員 河川環境管理財団につきましては、先生御承知かと思いますが、都市の中の貴重な空間である河川敷地を一般公衆に広く利用させるために、河川敷地の整備と維持管理等を行う機関として昭和五十年に設立したものでございます。  これまで多摩川等の主要都市河川におきまして河川環境管理計画を立案し、河川敷の利用と保全に関する総合的な調査研究、公園運動場等の基盤整備、河川愛護思想の普及啓蒙、河川美化等の事業を実施しておるわけでございます。  そこで現在、先生御指摘のように、多摩川におきまして開放した河川敷地のうち、河川環境管理財団が占用しておりますのは約十八ヘクタールでございます。ただ、開放させました土地は全体で百五十八ヘクタールございまして、そのうち、それぞれ地先の地方公共団体が占用をして公園等に使った方がいいか、あるいは財団が占用いたしましてより広域的に使った方がいいか、公共団体と十分協議いたしまして、それぞれの開放地の引受先を決めておるわけでございまして、先ほど申しました百五十八ヘクタールの開放地のうち百四十ヘクタールは地方公共団体にいっておりまして、十八ヘクタールだけが財団にいっておるという状況になっておるわけでございます。
  73. 榊利夫

    榊委員 十分協議をしてという話でありますけれども、私たちが知る限りでは、都内の関係自治体は当然自治体の占用になるものだと期待していた、ところがいつの間にか河川環境管理財団の占用にされて失望したというのが実情なんですね。これはぜひ調査もしていただきたいと思うのです。結局天下り財団だからそうなったのじゃないかという話がもっぱらあったわけであります。このことについてはどういうお考えですか。どういうふうに認識しておられますか。
  74. 佐藤毅三

    佐藤説明員 先ほども申し上げましたように、私企業等の占用地を開放いたしまして一般公衆の利用に供したいということでやっておるわけでございます。開放地約百六十ヘクタール程度のうち大部分は地先の地方公共団体に占用させまして、公園等に利用されておるわけでございますが、野球場とかゴルフ練習場等につきましては、従来からの利用者ということもございまして、地方公共団体等といろいろ相談をいたしました結果、財団が占用いたしまして一般公衆の利用に供した方がいいということでやっておるわけでございます。  ただ、全体の中のごく一部につきましていろいろいきさつがあったりしたものもあるようでございます。そういうものにつきまして、現在私どもといたしましては適切な運用が行われておるというふうに考えておりますけれども、今後とも地元と調整を図りまして一層適正な管理が行われるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  75. 榊利夫

    榊委員 大田区などの関係者は、いまでも河川敷は自治体で占用した方が行き届いた管理ができるという意向を持っているようであります。実際私も現地視察をいたしましたけれども、区の管理しているところに比べて財団の占用地というのは草の手入れも悪いし、ごみなども散在しているし、ほこりも多いし、付近の住民も迷惑しているという実情があります。もちろん自治体でそれぞれ事情が違います。川向こうの川崎市が望んでいるのか望んでいないのか、川のこちらが望んでいるのか望んでいないのか、それはやはり具体的に対応するべきだと思います。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席」  一方、野球の巨人軍、読売ジャイアンツが財団から河川敷を借りている野球練習場があるわけでありますけれども、これが割り高になっているのですね。たとえば東京都の方に年額三十一万六千円の占用料金を払っております。そのほかに財団に協力金として年に約三百万円を払っている。一種のショバ代というかっこうになっているわけですね。財団ができる前は、巨人軍としては東京都に占用料金を支払うだけで済んだ。そういう点ではジャイアンツの関係者も財団の存在には不満を漏らしている。私はスポーツと離れて、読売ジャイアンツを応援するとかなんとかそういうことではございませんで、ただそういう実情があるということであります。  それで、一応の期限というのが五十六年三月三十一日というふうになっております。来年春ですね。そういう点ではこの際開放計画の趣旨を踏まえて、財団の河川敷占用を見直す必要があるのじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  76. 佐藤毅三

    佐藤説明員 先ほども申しましたように、河川環境管理財団は、都市部の河川につきまして、これが都市における非常に貴重な空間である、これをできるだけきれいに整備いたしまして一般公衆が利用しやすいようにという観点から仕事をしておるわけでございまして、そういう意味で今後ますますその財団の役割りというのは大きくなってくるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、おっしゃるように、地方公共団体に占用をさせた方がいいか財団が占用した方がいいかという問題はあるわけでございまして、多摩川について申しますと、全体のうちの大部分は地方公共団体が公園等として占用しておりますが、一部のところについて、ゴルフ練習場と野球場でございますが、より広域的な利用を図った方がいいということもありまして、財団に占用させておるというわけでございます。したがいまして、見直す考えはないかということでございますが、今後ともどういう形で運用していくのがいいかということにつきましては十分検討をいたしてまいりたいというふうには思いますが、現在のところにおきましてはそういう認識でおります。
  77. 榊利夫

    榊委員 この多摩川のことに関して言いますと、結局は三つ面があるのですけれども、巨人軍のグラウンドが一つある。それからゴルフ場も多摩川ゴルフ練習場と六郷ゴルフ倶楽部がある。そういったものが自治体の占用に移されて管理もきめ細かくなるという面があると同時に、双方とも得をするという面があるわけですね。だから自治体側が河川敷の占用管理を希望した場合、建設省としてもその要望に耳を傾けるべきではないか、こう思うのです。これが一つ。それからもう一つは、現在財団が占用しているところで環境整備が不十分なところは、財団の設立の目的に従っていろいろ改善の手を打つべきではないか。最後にこの二点だけお尋ねいたします。
  78. 佐藤毅三

    佐藤説明員 河川敷地の中で開放いたしましたところにつきまして、だれがそれを一般公衆の利用に供するための施設をつくったり管理をしていったらいいかという問題につきましては、われわれも常に検討しておるわけでございまして、地元地方公共団体が特に希望しておられるということがあれば、それはそういう意思も尊重しなければならぬというふうに思います。ただ、現在まではいずれも協議をした結果やっておるということでございます。  それから、地元の地方公共団体の方が非常にいいのじゃないかというふうにおっしゃられますが、これはやはりいろいろございます。財団は、私企業が占用しておりました土地を開放いたしまして、それを占用いたしまして若干の料金を取りますけれども、それを多摩川河川敷全体の整備のために活用しておるわけでございまして、それが環境財団を設立した趣旨でもあるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  79. 榊利夫

    榊委員 いまの活用しているという話ですけれども、先ほど来申し上げましたように管理が必ずしも十分にいっていないということが一つの問題になっているので、これはやはりそういうことがあれば改善をするということが当然あってしかるべきだと思うのです。その点いかがでございましょう。それは何かいまのままで十分だというふうな理解ですか。
  80. 佐藤毅三

    佐藤説明員 財団が占用した土地につきまして管理が十分でないのじゃないかという御指摘でございますが、これは私企業が占用しておりましたときに比べますと、私企業は相当な金を入れましてきれいに整備をしております。一つのいい例がゴルフ場などもそうでございますが、私企業がやっておりますときはもちろん非常にきれいに整備しております。それを財団が占用いたしますと、そこまではいかない。財源が非常に苦しゅうございまして、そこまでいかないわけでございますが、しかし、除草等も年に三、四回やっておりますし、それから遊歩道をつくったり、あるいはごみ箱をつくったりということをやりまして、できるだけ最小限の費用で一般の人たちに親しまれ、利用しやすいようにしておるつもりでございます。しかし、なお今後ともそういうことについては十分指導をしてまいりたいと思います。
  81. 榊利夫

    榊委員 時間がありませんのでこれ以上続けませんけれども、写真を持ってきています。いろいろ改善しなければならないところはあるのです、ごみがたまっていたり何か。それはよく調査をして、改善するところは改善する。問題は、ゴルフ場の問題じゃないのですから。  それから管理につきましても、私企業云々じゃなくて、区がやっているところの方がはるかにいいということを私は言っているのです。したがって、区の方からもしそういう希望があるならば、それは先ほどおっしゃったように前向きの姿勢で応じていただく、検討する、そういうふうにやっていただきたいと思います。その点よろしゅうございますね。——では、以上で終わります。
  82. 江藤隆美

    江藤委員長 河野洋平君。
  83. 河野洋平

    ○河野委員 いわゆる第二臨調設置について少しお尋ねをしたいと思います。  この手の調査会等を設置するという以前に、行政管理庁という役所は一体何をするための役所なのかということを御説明いただきたいと思うのです。
  84. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政管理庁設置法に書かれていることでございますけれども、まず行政管理局においては、国家行政機関の機構及び定員についての審査を行い、それのいろいろな面につきまして管理していくというのが行政管理局の、一口に言ってそういう仕事でございます。行政監察局の方は、各省庁の行政の運営の実態、これを調査、監察しまして、改善すべきような点があればこれを所管の主務大臣に勧告を行う、一口に言ってこういう仕事でございます。
  85. 河野洋平

    ○河野委員 第二臨調の仕事は、実はいまおっしゃったようなことをやると考えては間違いですか。
  86. 林伸樹

    ○林政府委員 第二臨調におきましては、先ほど管理局長が申しましたような行政機構、定員等の改善も含めまして、全政府的に行政全般につきまして抜本的なしかも長期的な展望のもとに立ちまして、総合的な哲学を持った抜本的な改善策をつくっていく、こういうことでございます。
  87. 河野洋平

    ○河野委員 行政管理庁は少し自信がなさ過ぎやしませんか。行政管理庁という役所は、いままさにおっしゃったように、全政府的に抜本的に総括的に行政の管理について検討をするために恒常的につくられている役所であって、臨時調査会などにこうした仕事をゆだねるというのは、いささか行政管理庁は自信を喪失しているのじゃないか、そんなふうに思いますが、いかがですか。
  88. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 そういう御意見もあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げました現在の行政管理庁の機能、範囲はなかなか膨大でございまして、毎年、毎日いろいろ目先の仕事に追われているというような点もございます。それで、こういう調査会によって将来の展望をもとに行政のあり方のビジョンと申しますか、そういうものを行政管理庁以外の知識も集約して御検討願うということもまた意味があることかと考えております。
  89. 河野洋平

    ○河野委員 中曽根長官長官就任以来、仕事減らしあるいはサービスの向上あるいは行政の簡素化、こういったようなことを指摘してこられたように思うのです。先ほど来の同僚議員の質疑の中でも、調査会、諮問機関その他はなるべくなら整理をしていった方がいいじゃないかという、そういう流れの中で、大元締めの行政管理庁がまた調査会をつくるというのは屋上屋。本来それをやるために存在している行政管理庁が、その仕事をまた臨時調査会をつくってそれにゆだねるというのではなくて、その仕事のためのエキスパートとして行政管理庁に入庁して何年も何十年もその仕事をずっとやってきている人が何もやらないで、それと違う仕事をどこかよそから来てもらって何人かに任せて、それでできると本当にお考えになっていますか。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理庁についていろいろ御激励いただきまして、まことにありがとうございます。  設置法を読んでみますと「行政制度一般に関する基本的事項を企画すること。」ということが第一番に書いてありまして、現在の日本の行政制度のあり方を見ますと、明治以来の大きな蓄積、それから戦後特に高度経済成長のもとに肥大化した情勢、しかも非常な大きな変化がいま日本に訪れておりまして、八〇年代のこの非常に多元化した、価値観が非常に分かれてきておる、しかも高齢化してきている、しかも国際関係が非常に複雑になってきている、そして婦人や老人の問題も強く出てきておる、こういうような時代に当たりまして、やはり普遍性のある穏当な考え方行政制度を見直して改革案をつくっていただく、そういう未来に向かって一つの展望力のある軌道をつくっていただきたい、こう思っておるわけでありまして、行政管理庁の職員もかなり優秀な人たちがおりますけれども、やはりいまの社会情勢全般あるいは国際関係あるいは文化問題、そういうところまではなかなか力の及ばない情勢でもあります。したがいまして、日本のそういう権威のある代表的な方々に集まっていただいて、われわれの及ばないいい案をつくっていただきたい、こう考えておる次第でございます。
  91. 河野洋平

    ○河野委員 日本のきわめて優秀な官僚の方々が、複雑化してきた国際関係とか高齢化社会とか、あるいは婦人の問題などに対応できないとは私は思わないのです。十分に対応できるだけの能力が官僚の方々にあるだろう、こう信頼をしてきたのですが、どうも行政管理庁自身が余り自信がない。もっと優秀な頭脳を集めたい。これは慎重の上にも慎重を期すということからもその考えが出たのだろうと思うのですが、もう一度お役所筋で結構ですが、各役所ともに行政改革行政の簡素化というのにも努力をしておられると思うのですね。そして行政管理庁がそれをまとめて全政府的な行政改革ということも考えておられるのですが、行政改革について役所では知恵が及びませんか。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もう一つ大事な点は、国民合意の形成という点がございまして、やはり新しい行政改革を実行していくに際しましては、できるだけ国民のコンセンサスを得た基礎に立って行う必要があります。そういう面から国民各界を代表する皆様方に、前提なしにできるだけ自由な御議論をしていただいて、そして国民合意の形成に役立ついろいろな案をつくっていただいて、そしてそれを形成していく、調査会にはそういう機能もございます。国民の見ている前で議論していただいて、その反応もジャーナリズムに載るでありましょうし、そういう国民合意の形成の上にできた案を強力に内閣が実行していくということの方が民主的ではないかとも考えております。
  93. 河野洋平

    ○河野委員 私はちょっと意見が違います。国民合意の形成ならば国会の場というのは非常に大事な場であって、国民合意の形成のために数人の有識者を集めるというのは余り筋が通らないのじゃないか。むしろいまの長官のお言葉を理解しようとすれば、国民のさまざまな分野の知恵を集めるということに私は理解をしたいと思うのです。もしそれでいいとすれば、私は繰り返しもう一度お尋ねをしますが、これだけ膨大な予算を使い、これだけ膨大な組織を持って全国各地でいろいろな情報を集めて、恐らく日本じゅうにある情報量からいえば役所が握っている情報量は一番多いだろう。その一番多くの情報を握っている役所が行政改革ができないというのはどうも納得がいかないのです。これは局長さんでもどなたでも結構です。これは役所ではできません、調査会にお願いする以外にありません、そうなんですか。もう一度お答えをいただきたい。
  94. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話は、行政改革の基本的な進め方に関するような部分がございます。役所だけでできないかということでございますけれども、役所としてもできる部分はいままでもいろいろやってきているわけでございます。ただ、先ほど大臣から答弁がございましたが、役所としていろいろ意見もあり、一つの問題につきましても種々の意見があるわけでございます。そういう際に、いま先生のお話にあったような各層各界の意見、これをまとめて行政改革を推進していくための一つの大きな基盤にするということもまた必要でございまして、役所だけでできるのかできないのかと聞かれましてもなかなか微妙な問題でございまして、できる点はどんどんやっていく。また、役所間の議論が違ってなかなかまとまりにくいような問題もあるわけでございますので、そういう点につきましてはやはり各方面の意見も聞く必要もあるということで、それは両面あるのじゃないかというふうに私は考えております。
  95. 河野洋平

    ○河野委員 それなら私からひとつ長官にこういうことを申し上げて、御返事をいただきたいと思うのです。役所でできることは役所でやります、役所でなかなか及ばぬところもあるのだから、日本の英知を集めて調査会をつくる、こういう御答弁のように伺いました。それならこの調査会にはお役人はもう入れない、元官僚、現官僚、役人はこの調査会には入れない、こうお約束できますか。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 九人の委員の中には現役の公務員は入らない予定にしております。
  97. 河野洋平

    ○河野委員 現役ではなくて、かつて公務員だった方、つまり現在の行政を改革しなければならない状況を構成してきた古手のお役人さん、昔役人だった人も入れるべきじゃないと思うのですが、いかがですか。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は、全国民を代表するような超党派的な識見を有する方々に入っていただこうというので、役人のOBであるからといって排除するのは必ずしも適当ではない。人材であればOBであろうが民間人であろうが、これを選任するにやぶさかではないのではないかと思います。
  99. 河野洋平

    ○河野委員 だから、私は少し伏線を張っていろいろなお話を申し上げたのです。役所でできるなら役所でおやりなさい、役所でどうしてもできませんというなら民間の力をかりましょう、それなら調査会は民間の方々にお願いをしたらどうですか、こう言っているので、役所のOBで頭のいい人がいればいいじゃないかとおっしゃるけれども、それならその方が役所におられるころなぜやらなかったかということになるのです。大体お役所のつくられる調査会審議会というのは、役所の風通しのいい人、物わかりのいい人がその中に入ってオピニオンリーダーみたいになって役所の隠れみのになってできてくるよと、世間ではそう言っている。そうでは絶対ありませんと長官は口を酸っぱくして、隠れみのにするつもりもないし代弁者の役割りを果たさせるつもりもない、そういうような言い方をしておられるわけですから、この調査会は、第一次臨調がスタートしたときに、当時川島長官のもとで民間人を選ばれて第一次臨調をおやりになったということもあるわけで、少なくとも中曽根長官のもとでお選びになる第二臨調のメンバーは、昔のとか現在のとか言わずに、少なくとも国会議員とか現旧公務員、役人は入れない、純粋に民間人の知恵をそこへ集めたい、こういうわけにいきませんか。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 民意を代表して審議をしていただくことでありますから、民意を代表するにふさわしい方々にやっていただきたいと思いますが、しかし、公務員のOBであるからといって必ずしも民意を代表しないとは限りません。経験を経て、そして権威と見識を持っている方もなきにしもあらずでもございます。したがって、入れるということをここで申し上げるわけじゃありませんけれども、そういう前提なしにりっぱな人材を選ぶようにいたしたい。やはりおっしゃるように、これは民間人を主体にした委員会にすべきであるとは当然思っております。
  101. 河野洋平

    ○河野委員 どうももう一つ長官らしくなく歯切れが悪くて、はなはだ残念ですね。ここで本当に調査会をつくるなら、それはもう民間をずらっと集めて、全くお役所の発想と違う新鮮な発想をここに集めるべきだ。元役人の中にもいいのがいるよというのは私もよくわかります。いい方がたくさんおられることは私は否定もしませんけれども、それはえらい方、いい方がおられても、何十年もお役所仕事に携わっておられた方と民間の方方との発想の違いというものは当然出てくる。そしてむしろお役所におられた方は、お役所のルートを通じていろいろな場面で行政改革には発言もできるだろうし、アドバイスもできる。こういうところに参画をしない限り行政改革にアドバイスができない世間一般、野にいる優秀な人をここに集めることが何よりも必要だということを私はこの場所から提言だけさしていただきます。  さてそこでその次に、長官、これは総理大臣もそうなんですけれども、仕事減らし仕事減らしと盛んにおっしゃる。仕事減らし、それからサービスの向上、こう言うのですが、この二つを少しお伺いをしたいと思うのです。  サービスの向上の方からまずいきたいと思うのですが、サービスの向上で非常に大事なことは官僚の責任感の問題だと思うのです。責任感を求める、しかし、残念ながら、その責任感がなかなか出てこない場合には、やはり責任の所在を常に明らかにする必要があると思うのです。  私は余り固有名詞を挙げて変な例を挙げたくありませんけれども、たとえばここ二、三日の新聞を見ても活字になっておりますから気になって申し上げるのですが、IJPC、イラン石化の問題です。あのIJPCをナショナルプロジェクトにするかしないかという時期がありました。つまり三井物産がやっていたあの仕事をナショナルプロジェクトにするかしないかというときに、通産省はその判断のために役人を派遣したわけですね。そして帰ってきて、これはナショナルプロジェクトだよ、こう言って、国はナショナルプロジェクトに突っ込んだ。しかし突っ込んだあの当時からこのイラン石化の問題がかなり困難な問題になるだろうと思っていた人は相当大ぜいいると思うのです。まさか戦争でこんなふうになるとは思わなかったかもしれないけれども、戦争でこういうことになる。なってみると、あれをナショナルプロジェクトに認定して国がバックアップをして今日の状況になって生じたかなりの責任というものは一体だれがとるのか。これは民間会社ならあんな投資をしていればぶっつぶれていますね。しかし、親方日の丸、まあこの程度はしょうがないなということで終わるでしょう。だれ一人責任を負わない。責任の所在は全くわからない。これがうまくいくかいかないかまだわかりませんけれども、うまくいかなかったときの責任の所在やなんかはわからぬ。こういうことはたびたびあるのですね。成田空港が何年も何年もかかって、その間に運輸大臣が何人もおかわりになった、長官もその間の大臣のお一人だったかもしれませんけれども。あるいは空港の担当者、責任者、何年も何年もうまくいかずかかって、長引いて長引いて、その間に国の財政には相当なマイナスを与えた。だれ一人責任は問われない。とらない。こういう行政の責任の所在がきわめて不明確。責任を問われない行政というのではだめだ。信頼は出てこない。先般ですか、行政管理庁が気象庁に天気予報が当たらんじゃないか、こう文句をおつけになった。気象庁に天気予報が当たらないじゃないかと言ってその責任を問うたかどうかは私は知りませんけれども、そういう言い方をなさるなら責任を問わなければならない。失敗を指摘して激励をする、あるいは責任を問うのかしなければならない部分は各省庁にいっぱいあるんじゃないか。行政管理庁はそういうことをこれから先各省庁に向かっておやりになりますか。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かにおっしゃるように、行政管理庁もいろいろな問題に関する責任について厳格に調査をし究明していく、そして明らかにしていく、そういう責任があると思いまして、そういう点はおっしゃるように今後改善してまいりたいと思います。  また、成田とかあるいはIJPCとか、そういう大きな問題につきまして行政にかかわる部面もございますけれども、こういうようなものはむしろ国会国民代表が政治的に御論議願う性格が強い問題ではないか。そのために国会があるんではないか、そういう気もいたします。
  103. 河野洋平

    ○河野委員 仕事減らしについて少しお伺いをしたいと思うのですが、この国会鈴木内閣が国際電信電話株式会社の法律を変えるという法案を出している。これは行政管理庁とは余り関係がない法案なんですが、この国際電電の法律を変えて、つまり郵政大臣の監督権を強化しよう、こういう法律を出しておられるのですが、これはまず一般論から言って、KDD事件というものは郵政省とKDDとの癒着が非常に問題だった。あの癒着からいろいろな腐敗が起こって大きな問題が出てきた。KDDと郵政省との癒着の問題ですね。その癒着が腐敗を起こしたのに、今後こういうことがないようにもっと郵政省に監督権を与えるというのはどうも不思議なように思うのですね。この問題は逓信委員会でやればいいことでしょうから、ここでそれのよしあしを行管に私はお伺いするつもりはないのですが、つまりここに仕事減らし内閣は旗印を掲げながらまた監督権を一つ引っ張り込む。大した手間暇かからぬわとおっしゃるかもしれないけれども、どっこいあれだけ膨大な仕事の監督権、そう無責任にやられても困るわけで、本来から言えば、こういったこの手のものも仕事減らし、つまり仕事をもっと民間に開放していくのだという内閣行政改革一つの流れから言えば、こういう考え方も、実はこの法律を内閣の閣僚の一員に否定をしろとか、よくないなんという答弁を求めるつもりはないのですけれども、どうも流れがちょっと違うのではないかという気がするのですが、御所見はいかがですか。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり政治、行政は緩急自在にやるべきもので、締めるべきところは締める。緩めるべきところは緩める。いたずらなる許認可あるいは錯雑する法律等で国民の活力を阻害しているような不必要なものはどしどし緩める、あるいは廃止する、しかし欠陥が目立って出てきたものは今度は締める、そういうように行うべきもので、総量としては、国家の規制をできるだけ現段階においては緩めて民間の活力を増大させる方が賢明だろう、そう思っております。
  105. 河野洋平

    ○河野委員 この問題は逓信委員会でやりたいと思いますから、ここではもうやりませんが、もうちょっとだけKDDについて伺うというか、私の意見を申し上げておきたいと思うのです。  これでまた監督権を郵政省が強化するわけですけれども、KDDの株主構成を見ますと、筆頭株主は郵政省の共済組合なんです。筆頭株主が郵政省の共済組合であって、そうして郵政省に監督権を強化して、いろんな値段の決め方から何から郵政省が相当介入する、これはおかしいのじゃないかと私は思うのです。行政管理庁も、特殊法人の中にあるさまざまな株式会社あるいは各官庁が監督権を有する株式会社、そういうものは一遍株主構成その他調べてみて、監督権と株主としての利益を得る部分というものとが、これはもちろん郵政省直接ではなくて郵政省の共済組合でございますけれども、しかしそれにしても、これは少し近過ぎはしないだろうか、私はこんなふうに思うので、これは第二臨調などでやってもらうような大問題じゃなくて、行管が調査権を発動するなり指導をするなり、直ちにできることじゃないかと思うのですが、こういったような問題に行管が問題認識を持って一遍調べて改善をしよう、そういうお気持ちはありませんか。
  106. 中庄二

    ○中政府委員 さきの通常国会で初めて全特殊法人に調査の権限が及びました。先生御指摘の十一の特殊会社というのはその中に入っておりまして、私ども今度の特殊法人の見直しで一応全部見ているわけでございます。いま御指摘の株主の数でございますが、粗っぽいところはいま見ておるわけでございます、初めてでございますが。ただ、この株主の数は非常に細かいところまでございますので、いま細部までは及んでおりませんが、着目はしております。実態を見るという点まではいっておるわけでございます。
  107. 河野洋平

    ○河野委員 先ほど来同僚議員の質問にもありましたが、ちょっと話がそれの近いところまで来ましたので若干重複しますが、いまお話があった十一の特殊法人の中の株式会社ですね、その株主構成は一遍ぜひチェックをしてください。  KDDについて言いますと、私の調べでは一一%近く郵政省の共済組合が持っていますね。そのほかに電電公社の共済組合なんかが持っていたり、少し仲間うちで持ち合って、しかもそれらが利益を構成する、利益を十分に守ることができる、つまり監督権を利用して。そういうことではちょっと困るなという気がするものですから、ここはちょっとお調べをいただきたいと思うのです。そうして改善をしていただきたい。  同じような問題に日本航空の問題がけさの新聞にちょっと出ておりました。これもまた、日本航空の株主構成から言いますと、国が四〇%を超えて日本航空の株を持っておる。四〇%も株を持っている必要がいまあるか。日本航空はかつてナショナルキャリアとして、国策としてこれはやらなければいけないと言っていたけれども、いまやもうそんな必要はない。世界の中でもトップクラスの飛行機会社として十分に自立していける。こういう企業の中に四〇%も依然として国が株を持っている必要があるかというふうに私は考えるのですが、けさの新聞を見ると、大蔵大臣あたりから、財政再建という意味からその株を売って財政に寄与したい、そんな角度からの議論があるようですが、財政に寄与するという角度もさることながら、私はやはり民間企業をもっと育成をしていくという考え方からして、こんなところに四〇%の株を持って政府の監督権とか発言権を留保しなければならぬというふうに思わないのですが、この流れ、考え方長官いかがでしょうか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう流れについては私も同感であります。でありますから、今回のわれわれの行革の七項目の中には、特殊会社等に対する政府出資金の見直しあるいは特殊会社の経営の見直し等をやらしておるわけでございます。特に日本航空とここで特定して申し上げるわけじゃございませんが、特殊法人全般について出資金や剰乗金等を見直しておる最中でございまして、そしてできる限り財政再建にも協力して、公債を出す金をそれでできるだけ減らす方向に持っていくように指示して、いま鋭意作業中のところでございます。
  109. 河野洋平

    ○河野委員 少しトピックスばかりで恐縮なんですが、先ほどもやりとりがありました電電公社の剰余金の問題ですね。この電電公社の剰余金——これも何も電電公社とばかり限らないのでしょうけれども、こうした剰余金の問題についての長官のお考えは、おとといの当委員会における情報公開法に対する長官のお考えと若干逆行するんじゃないか。  情報化社会の中で国民の日常生活の中における情報というものの持つ意味、そのウエートというのはだんだん高まってきている。そういう中で、電電公社の剰余金は国庫に納入して財政再建の一助にする、気持ちは非常によくわかります。いま財政再建というものが国家的な急務であるということも私は理解しないわけではありません。しかし、電電公社の剰余金を、剰余金が出たら国庫に入れてしまうんだ、これは一種の税金のバイパスみたいなものですから、必要以上の料金でお金を取って余ったお金は国庫に入れる——私は、剰余金が出るなら、本来から言えば値下げをするというのが本来の筋で、むしろ電話料金なんていうものは、いまの長距離電話の料金というものはもっと下げて、もっと情報がスムーズにやりとりできるという方向の方が情報化社会には合致するのじゃないだろうかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電電公社も充実して機能を高めていっていただきたいと私は思いますし、また料金も安くしてもらいたいとも思います。また一面において、いま財政非常事態でもありますので、相当の剰余金が出てきた場合には、また国のためにもこの際ひとつ御協力を願いたい、そうとも考えます。最終的にどういうふうにこれを処理するかということは目下検討中でございまして、まだここで結論が出ておりませんので申し上げかねる次第でございます。
  111. 河野洋平

    ○河野委員 情報問題というのは非常にむずかしい問題であり、非常に重要な問題であります。私は新自由クラブとして、情報公開法の制定を自民党にも強く望んだことがあって、自民党もその当時はいまよりもっともっと前向きに検討を約したことがあるわけで、私は、その情報公開法の進みぐあいがまだまだ遅過ぎると思って非常に残念に思っているわけですが、情報公開法を私どもが強く求める気持ちは、いまも申し上げたように近代社会、現代社会における情報の意味あるいは情報の価値というものは非常に大事なものだと思っているわけです。この情報量を抑制していってしまうということになるというと、これは国際的な競争力にも不安が出てくるんじゃないかということすら私どもは考えるわけですね。  よく巷間言われる、たとえばこれだけ財政に問題があって財政再建、財源を求めるということになれば、たとえば広告税という発想だってあっていいじゃないか。最近の広告は少し行き過ぎている、こういう説もあって、そういう広告税なんていう発想もあっていいじゃないかという説がある。しかし、それに対して、やはり広告の持つ情報の重要さというものを考えると、広告に税金をかけることは情報量を減らすことになるだろうというようなことで、この案が水面上に浮かびそうになっては沈み、浮かびそうになっては沈んできているということもあるわけで、私は、電電公社の剰余金はまだ結論が出ていないようですから、いまここで議論をこれ以上詰める必要もないかもしれませんけれども、この手の剰余金が財政再建の名をかりて安易に制度的な変革で国庫に入ってしまうということにはそう簡単に賛成できない。これはもっともっと慎重に検討をしてもらいたい。利用者の立場に立てば、これらはいずれももっと低廉な価格で利用者に利用してもらえるような方向でむしろ使うべきだというふうに私は考えておりますので、この点は長官に御検討を願いたいと思います。  そこでもう一つは、昭和五十三年六月に政府の公共企業体等基本問題会議——中山先生のですね。この会議が三公社五現業の経営形態のあり方について政府答申を出された。この政府答申の中には見るべきものがたくさんある。専売もそうですし、もちろん国鉄もそうですし、たばこもそうですし、アルコールもそうであります。特にその中で、たばこの専売制度については明らかに民営による効率化のメリットの方が大きいということを中山会長の答申では書いているわけですね。  先ほどこれも御答弁がありましたけれども、いかにもたばこの専売については担当者の受けとめ方は消極的だ、非常に後ろ向きだ、できることなら当分やりたくない。ですから、検討をしておりますと言うけれども、検討は遅々として進んでいない。むしろなるべくならこのままじっとしていたいという感じのように、私が何回問い合わせてもそういう感じが出てきます。これらの問題は、できるかできないかは別として、やはりこれらの答申があったら、答申を受けた当該担当者はもっと誠心誠意積極的に議論を重ねて、できないならできない、できるならできると答えを早く出すべきだと私は思うのですが、この五十三年の答申についてほとんど議論が進んでいるように思えない。私はこれは質問の予定に入れておりませんから、急な御答弁はなかなかむずかしいのかもしれませんが、もし御承知の方がおられたら、どの程度まで進んでいるか、御答弁してください。おられなければ答弁は結構ですから……。おられますか。——それでは結構です。これは私が質疑通告をしていないので御答弁をいただけないのはやむを得ません。しかし、これも行政管理庁にぜひお願いしておきたいと思います。  これはつまり第一次臨調がずいぶん長い間たって、できるものとできないものとあって、これはできました、これはできませんでしたということがあったときから審議会をつくる、調査会をつくる、答申案はもらう、しかしその答申案がいつでもたなざらし、これでは調査会に加わって答申をする方だっていいかげんいやになるだろう。元お役人さんでその手のことを知っている人なら、まあこれはやっても当分日の目は見ないやとわかっていて答申を出される方はいいけれども、民間の人が自分の仕事をなげうってまじめに調査会に一年なり二年なり取り組んで、答申は出したけれども何にもそれが具現化されないということでは、これは大変困るだろうと思うのです。  そこで最後に、もう一度長官に二点お伺いしたい。  一つは、今度の答申はこの先何年ぐらいを見通してこの調査会の議論をしていただくのか。まあこの先五年ぐらいだな、あるいはこの先少なくとも十年は見通してやるんだ、つまり第三次臨調なんてものは、もう向こう十年間はつくらないんだとお考えなのか、いや、これだけ変化の激しい時代なのだから、いま二年かけてやったって、また一年か二年たてばまた違った状況になるかもわからぬから、それはわからぬのだということなのか、そこら辺の見当はお示しいただかなければ、調査会に参加をするメンバーの方々も、何年先ぐらいをカバーする答申を出せばいいのかという見当ぐらいはつかなきゃ困るだろうと思うのですが、どのくらいの将来を見通してお願いをするのか、お答え願いたい。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 少なくとも十年以上を見通した展望に立った答申をお願いいたしたいと思っております。
  113. 河野洋平

    ○河野委員 そうすると、第三次臨調法案というのは十年ぐらいは出ない、少なくともいまはそう考えていいということでございますね。  それから最後に、これはもう答弁はわかり切った答弁なんですが、それでも長官からお答えをいただいておきたいのは、やはりここで、恐らく大体二年で答申が出るというふうに伺っておりますが、二年後に出た第二臨調答申については、第一次臨調のときのように積み残しはしない、やり残しはしない、そっくりまるまるやりますよということは言えますか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 結論が出まして、勧告、御提案を受けたことをよく検討しました上で、これは適当であると思ったものは断固やらなければならぬと思います。
  115. 河野洋平

    ○河野委員 ちょっとぼくが予想していた答弁と違いましたね。この調査会から答申を受けて、その上で行管としてはやれるものとやれないものとの判断をさらにもう一度するということなんでしょうか、いまの御答弁は。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりわれわれは政治家でありますから、また国会というものもよく考えておかなければなりませんので、したがって、臨調答申は、これは文章にも書いてありますが尊重しなければならぬ、それから内閣総理大臣を通じて国会に提出する、そういうことがあるので、臨調答申というものは尊重さるべきものであると心得ております。  しかし、これを現実化するというときには、そのやり方やそのほかについてもよく検討しなければなりませんし、時期もいつが適当であるかということも考えなければなりません。したがって、そういうような検討を加えた上で、やるべきときには断固としてやる、またやらなければならぬことは断固としてやる、そういう考えで、尊重しつつ進んでまいりたいと思うのであります。
  117. 河野洋平

    ○河野委員 どうももう少し強い調子の決意表明がないと、調査会に集まってこられる方々が一生懸命やるのには多少不安のような気もしないではありませんけれども、しかし、この第二臨調結論が出るときには、長官長官でいるかどうかもわからないわけですから、いま長官にこれ以上御答弁を伺っても仕方がないことでございます。  いずれにしても、行政改革国民の最も強く望んでいるところであります。と同時に、その国民が望んでいる行政改革は、明らかに行政の簡素化を望んでいる。そしてそれはいわゆるチープガバメントというものを国民は望んでいるのであって、わかりにくくなる、あるいは複雑になる、機構が大きくなるというようなことであってはならないというふうに思うのです。  長官は先ほど来、第二臨調には余り注文をつけずに、フリーにフリーにとおっしゃっておられますが、私は、第二臨調に注文をつけるつもりはありませんけれども、行政管理庁には注文をつけさせてもらいたい。これはもうせっかく行政管理庁というお役所があるのですから、そこにおられるベテランのお役人さんでできることは、もう寸時を惜しんでどんどんと実行をしてもらいたい。そして皆さんでできないことは、民間から英知を集める意味で第二臨調にお願いをする。これははっきり考え方を整理して、民間の知恵、つまりお役所でどんなに優等生をそろえても役所の中からなかなかいい発想は出てこない。それば民間の知恵を第二臨調で掘り出す。だから、第二臨調は民間人でやるべきだ。役所の皆さんの英知でできる行政改革は一刻も惜しんでどんどんと進めるということでぜひいっていただきたいということを最後にお願いをして、私の質問を終わります。
  118. 江藤隆美

    江藤委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  119. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  120. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、同僚議員の質問に引き続きまして、当面の重要な行政改革に対する法案として提示されてまいりました臨時行政調査会設置法案について、持ち時間二時間ということになっておりますが、若干の質問をいたしたいと思います。  今回、行政管理庁長官になられました中曽根さんが、最近の衆参両院の国会審議を通じて、五十五年行革の宇野さんが残された法案関係の一つ地方支分部局のブロック関係の法案が賛否は別としてとにかく処理されたということで、まあ内心長官自身行政管理庁としてもやれやれと思っておられるんじゃないかというふうに思います。これは各党の賛否は別として、一つ中曽根長官自身の、ほめて言うわけじゃありませんが、政治力というものも影響があったかもわかりません。今回の臨時行政調査会設置法案は、本来の国会の通常の議論の順序からいけば、緊急性を要する公務員の給与改善という問題に先駆けてこの法案審議されるというふうなことは、通常の国会以外の対外的なところでは異例のことだと受けとめておるかもしれません。この点については、かつて農水関係で同僚議員でありました江藤委員長の陰ながらの努力というものも、こういうふうに緊急の公務員の給与問題、これは単に国会ばかりの問題ではなしに、地方公務員にとってはいわゆる十二月の県議会あるいは市町村でもそうでありますが、そういうところを通じて、議会を通らなければ年内支給ということにならない、そういう点から見れば、この方が緊急性があるというふうに私は党内でも言っておったわけでありますが、この臨時行政調査会法案がそれに先駆けて審議される、これは皆各党の理事諸君の相談ももちろんでありますけれども、江藤委員長の陰ながらの努力というものも先行したのであろうかと思っておるわけであります。  私は、この臨時行政調査会法案に日本社会党として一体どういう態度を示すべきかという点については党内でもいろいる議論をしておるところであります。手放しでよろしいという条件には率直に言ってないわけであります。しかし、同時に、今日国民的な要請の中で、中央地方を通じての行政改革が、先ほどの河野委員に対する中曽根長官の、十年くらいを展望して、いわゆる中央地方を通じての行政改革をどうすべきかという青写真といいますか、そういうものを示してもらいたいというふうな点等について考えてみました場合に、それはやはり全面的に否定をするということには党としても立てないと思うのであります。  同時に、しかしそれならば、人選で選ばれてくる人々が各界各層を代表するりっぱな人々によって構成されることを期待しておりますけれども、政治的な一つの背景、意図を持って、われわれが期待する方向と違ったそういう委員構成になる場合に、その答えがどう出てくるかという将来のことを考えてまいりますと、無条件あるいは白紙で第二臨時行政調査会の発足を歓迎をし、またその答申についてはこれを無条件で認めるという立場には立てないわけであります。私は、そういう今日時点の気持ちをまず申し上げながら質問に入りたいと思うのであります。  私がまず第一に聞きたいのは、実力者と言われる中曽根さんが行政管理庁長官になられ、宇野前長官の後を継がれてその宿題を処理していくとともに、これから行政改革に臨む基本的な方針については長官自身の基本的な考えを述べ、そして同時に、当面の課題として七項目の実践、同時に八〇年代の今後を展望して臨時行政調査会を新たにつくって、総合的な立場から行政診断を仰ぎたい、これがこれからの行革に臨む中曽根さんの基本方針になっておると思うのでありますが、この第二番目の八〇年代を展望した第二臨調設置しようというのは、率直にお伺いしたいのでありますけれども、これは中曽根長官自身の発意で行政監理委員やあるいは行政管理庁に相談をされて、これをひとつ中期展望としてやろうじゃないかと言われたのか、あるいは行政管理庁自身に、これからの将来問題を考えた場合に、十九年前にやった第一次臨調式なものをこの際考えなければならぬという下地があり、行政監理委員会もそういう点についてはその必要性を認め、期せずして中曽根長官と一致をして、そしてこういう第二臨調を出されるということになったのか。私の判断は、むしろ中曽根さん自身が中期を展望した臨時行政調査会をつくりたいというのがそもそものスタートではないのかという、私自身そういう感じを持っておるのでありますけれども、その辺の点についてまず率直に長官からお答えを願いたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本法案につきまして与野党各委員の皆様方の多大の御協力をいただきまして感謝申し上げる次第でございます。  本法案考えましたのは、私、行管庁長官を拝命いたしまして、五十五年行革に際して宇野長官委員各位との応答等も勉強いたしまして、そしていろいろ勘案の結果、私自身でこのような臨時行政調査会設置する決心を固めて、そして役所にその準備を命じた次第でございます。
  122. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 必ずしも率直にその経緯についてお話があったかどうかわかりませんけれども、ただ、いままで行政管理庁とタイアップをして苦労してまいりました行政監理委員会から、本年の九月八日付で「行政改革の推進に関する新たな措置について」ということで、委員長であられる中曽根さんを除いて六人の方々の意見書が出ておりまして、過般私はこの問題を少しく取り上げたわけでございますが、その第二項で、中期展望に立ては第二臨調設置が必要であるということを述べていることは御承知のとおりであります。ある人は、みずからは任務を解かれ、二年間は新しく臨時行政調査会委員にバトンタッチがされる、この第二番目で述べている意見は、そういうふうに述べなければならぬ事態に来たということで、受け身で第二番目の問題が出たというふうに私にお話しされる人もあるわけであります。中曽根さんは行政監理委員会委員長でありますので、その辺のところ、行政監理委員会関係において第二臨調問題というのは、正式には九月八日の提言で出ておることは文章上事実でありますけれども、その間のところについてはいかがでございましょうか。
  123. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 八月の下旬から九月中にかけまして、監理委員の皆さんといろいろ懇談をいたしました。その際に、私の考えも申し上げ、委員のお考えも拝聴いたしまして、その結果両方の意見が一致いたしまして、そして監理委員会としてのそのような御提言になってきたものと考えます。
  124. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第二臨調設置する前提のいきさつという点は、本質的な問題というよりもこれからが大切な問題でありますから、長官からはその程度にとどめたいと思います。  第二番目は、これは同僚委員からもいろいろ質問があったわけでありますが、簡潔にお答えを願いたいのでありますけれども、長官自身先ほども触れましたように、これからの中曽根長官自身として臨む行政改革の基本的な考え方について、九月十二日の閣議で御発言になった要旨がわれわれにも入っているわけであります。この問題についても、前段の部分については過般の地方支分部局のブロック機関のときに私も取り上げました。それは改めて取り上げるつもりはございません。  そこで、お聞きしたいのは、いずれこの法案国会を通過する場合に、新たに設置されて発足していくであろう臨時行政調査会で取り扱う問題と、行政管理庁自身が従来進めてまいりました、しかも大臣自身から言えば「当面の検討課題」として行政管理庁自身が取り組んでまいりたい七項目との関連問題についてであります。この点については、明確にようかんを切ったように切断はできないと思うのでありますが、臨時行政調査会で二年間にお願いする基本問題、それから行政管理庁自身が「当面の検討課題」としてやっていく七項目の問題、この相互関連については基本的にはどういう方針で対応されるのでございましょうか。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 七項目委員会答申を待つ前にできるだけ実行してしまいたいと思っています。特に大事なものは十二月の末までに閣議決定をして、内閣としての意思も正式に決めて実行に移したい。五十六年度を通じて実行していくという形になると思いますが、そういうように十二月末までに方針、実行について決着をつけたい。そして来年の三月までに、この法案を御成立していただきましたらできるだけ早く委員会構成いたしまして、委員会をスタートさせたい。そして活動に入って、委員会が扱う問題はわりあいに大きい問題で、長期的な展望を持った問題でもございますから、それはそれで多少時間をかけてじっくり取り組んでいただいて、でき次第中間答申でもあるいは総会を開いても御結論をいただいて、その出た分から逐次実行に移していくように努力していきたい、そのように考えております。
  126. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 七項目については、第二臨調とは別個の問題として早期に決着をしたいというお考えのように聞きましたけれども、私はそうは簡単にいかないんじゃないか、こういうふうに思います。  たとえば、七項目のうちで「「行政サービス改革」の推進しといったような問題は、これはこれとして、第二項目の「事務・事業の縮減と移譲」、その中には「法令の廃止整理」というのが含まれてくる。これは立法機関にも重大な関係のある問題であります。これが短期に簡単に処理される、そういう政治判断はできないはずであります、たとえば、私の同期でありますが、自民党の政調会長の安倍さんが、党内でありますけれども全国の政審会長会議をやったときに、いわゆる補助金問題について、法律関係にかかわる八割の補助金問題にも手を加える、そして財政上の軽減を図るという趣旨での発言をされて、きょう大きく報道されておるわけでありますが、これも法令による補助でありますから、国会にかかわる重大問題ということになってまいります。ここで言っている「法令の廃止整理」も、底辺としてはそういう問題も含んでくるわけでありますし、それは軽々にいかない問題であります。国がいわゆる国の財政の中から法律的に義務づけされた補助としていろいろな事業をやる場合に、これは教育といいあるいは社会保障といいあるいは公共事業といい、いろいろなものを含んでおりますけれども、しかもこれは国会審議を通じて、そういう法律で補助率として明定されたものについては、立法機関とのかかわりもあるわけであります。したがって、第二臨調とは関係なく決着をつけたい、こう簡単に言われましたけれども、この項目の中にある「法令の廃止整理」、安倍さんが言っておるようなものを含んでくれば、これはやはり重要な問題であります。  それから、「許認可等の計画的な整理」そのものにいたしましても、やるべきものはやってまいりますけれども、そう簡単に短期に、これであとは中期展望に立っても処理しなくてよろしい、そんな簡単なものではなかろうと私は思いますし、これはまた各省にまたがる問題であります。  それから、「官業の民業への移行」という問題、こういったような問題は、まさに臨時行政調査会でも、中央地方を通じていま国あるいは地方公共団体がやっておる事業、お仕事、こういうものを民業に移していくという問題は、相当実態に即して関係者の意見も聞き、国民の声も聞き、こういうことでやらなければ、そう簡単に七項目臨調とは関係なく決着をつけたいということにはならないはずであります。私は長官自身の基本認識というものがよくわからないのでありますけれども、そういう問題。  あるいは「中央省庁内の自主的・計画的組織編成の推進」というマネジメントレビューの問題は、長官自身がそういうふうにやりたいという、ローテーションによるそういう実施の問題それ自身としてはわかりますけれども、しかし、中央省庁という問題について一体臨時行政調査会がどう考えていくのかというものは、まさに臨時行政調査会自身の問題であります。  それから、「審議会等の廃止整理」の問題もそうでありましょうし、それから第七番目にある「地方公共団体における定員の抑制」という問題、これは自治省に関係のある問題であり、全国の地方公共団体に関係のある問題である。なぜ簡単に、七項目行政管理庁のサイドでなるべく早い機会に決着をつけたいと言われたのか、私はその基本認識を疑うのであります。  私の見解をもってするならば、「当面の検討課題」と言って挙げた七項目で、行政管理庁の長官なりあるいは行政管理庁自身の手で推進できるものはできるだけやろうということならばそれはそれとしてできます。同時に、たとえば「事務・事業の縮減と移譲」という「法令の廃止」等を含む問題、「許認可等の計画的な整理」の問題、「官業の民業への移行および特殊法人の経営の実態等の見直し」の問題、これらの問題はまさに臨調でも取り上げるべき重要問題の対象の一つである。また三番目の「中央省庁」の問題については、臨時行政調査会自身も当然取り上げの対象にするべきものである。「審議会等の廃止整理」、同様である。「地方公共団体における定員の抑制」問題も、中央地方を通じての行政改革をどうやるかということは、まさに臨時行政調査会自身の取り扱う対象の問題である。こういうふうに私は認識しておるのであります。したがって、いわゆる行政管理庁自身の当面の課題で挙げておる、いま申しました二番、三番、四番あるいは六番、七番、こういう関連の問題は、新しく発足する場合に、臨時行政調査会自身が総合的な立場から中期展望に立って二年の間に精力的にやはり検討して取り扱うべき対象であろう、こう認識しておりまして、そういう立場から見て、臨調が本来やるべき問題、重なっておりましても、行政管理庁なり行政管理庁の長官としてやるべき問題の仕分けを基本認識としてどうやっておられるかということを私は先ほど尋ねたわけであります。もう一度答弁をお願いします。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 角屋委員の申されるとおりでありまして、私の言葉が足らなかったと思います。  十二月までに決着をつけたいと申し上げましたのは、方針について決着をつけたい。たとえば法令の整理等については、約三百二十ばかり死に体になっている法律がありますが、この法律を全部洗い出して、その廃止法案を閣議で決めて通常議会で御審議を願う、あるいはそれ以外の法律につきましても、できるだけ統合廃止できるものは、さらにこれを詰めて各省と折衝して決めていく。許認可にいたしましても同じであります。あるいは特殊法人の見直しによる資金の吸い上げ等につきましても、これらもやはり各省と折衝し、特殊法人とも折衝して、大蔵省等と一緒になって決めまして、法律を必要とするものは立法措置を講ずる、これらも通常議会で御審議を願うことになると思います。あるいは地方公共団体に対する定員の抑制の要請ということも、これも自治省等とも相談をいたしまして、そして具体的にどういうように地方自治体に御協力を願うか、その方針もある程度具体的に決めて、そして自治省等を通じて、来年度を通じましてそういう御協力も願う、そういうことで大体の方針あるいは法律を提出する、そういうようなことを十二月までに決めて、予算編成と同時に、これは並行して行われることでございますが、その成果は今度は法律事項となって国会に提出いたしまして御審議を願い、そしてそれが成立したら、今度は実行の段階に移る、あるいは法律を提出しないものでありましても、事実上来年かかって一生懸命やる仕事、そういうものもあるように思って、それらはそれぞれ区分けをいたしまして努力をするつもりでございます。
  128. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 要するに中曽根長官自身の御答弁は、「当面の検討課題」というのは、行政管理庁自身で処理できるものについては従来の継続のライン上で処理をしていきたい。いわばそういう意味で、来年のたとえば予算あるいは来年の通常国会に間に合うものについては、行政管理庁長官の責任において、あるいはこれは最終的には内閣ということになると思いますが、そういうことで処理したいという御答弁ならば、私は理解できるのです。七項目という問題をすべてというふうに当初の答弁が聞こえたものですから、これはやはり「当面の検討課題」の各項目のうちで重要なものは臨時行政調査会も相互関連を持つということで、私は再度お尋ねをしたわけであります。  時間の関係もありますから、この辺のところは私がいま述べた認識で長官自身も答えられたということで、次に進みたいと思います。  そこで、「当面の検討課題」、これは臨時行政調査会にもかかわることでありますけれども、「地方公共団体における定員の抑制」ということで触れておるわけでありますが、この「基本的な考え方」の七項目目として示すときに自治省が激しく抵抗したというふうに私は承っております。これは憲法地方自治の条項があり、それに基づいての九十二条から九十五条まで、いわゆる旧憲法と違って、新憲法には地方自治の本旨に基づく憲法上の条項があることは御案内のとおりでありますが、それは十分基礎に置かなければなりませんけれども、要するに、七項目長官自身の「基本的な考え方」の中に、七番目に「地方公共団体における定員の抑制」ということを成文として、重要な検討課題の項目として入れることについて、自治省は強く反対をしたというふうに聞いておるわけでありまして、そして文章上の表現もそういうところをようやく調整をしてこの文章になった。自治省としては、それは項目ではなしに、なお書きにしてもらいたいという、そういう要請であったとも聞いておるわけであります。その間の点について、まず中曽根長官自身から、七項目目の問題について御答弁を願いたいと思います。
  129. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自治省は、おっしゃるように地方自治の本旨に基づいて地方自治としての権限あるいは立場というものを守るために独自の見解をお述べになりました。われわれは、これは閣議全体の仕事として、行政全般の仕事として、これを地方公共団体にも御協力を願う、そういう状態でこれは行いたいので、一行政管理庁の仕事として言っているのではございません。そういうことで、自治省ともよく話しまして、そして理解を得たわけであります。それから自治省とも話しましたときに、地方公共団体の長と直接話してもよろしい、そういうお話がありましたから、知事会の代表あるいは町村長会の代表等ともお会いをいたしまして、よく御説明申し上げて御納得をいただいて、そういう立場ならば協力してよろしいという御理解をいただきました。それでその定員抑制に関するところはもっと上の方の位置にあったのであります。また自治省はなお書きでできたら書きたいと言われたことも事実でありますが、われわれは努力をして理解をしていただいた結果、内閣全体の仕事としてこれはやろうというので、項目として挙げてもらいまして、ただ位置をずらしまして七番目にそれを持っていったというのが実相でございます。
  130. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この「当面の検討課題」というのを、その七番目として地方公共団体にかかわる部分をこういうふうに書くかどうかということについては、委員の中にもいろいろ意見があるかと思います。私は、やはり行政改革という以上は、憲法に明定されておる地方自治の本旨を踏まえつつも、当然、中央地方を通じて一体として行政改革はやられなければならぬということは、厳然たる事実だと思うのであります。その手法をどうするかということについては、中央の行政官庁については、これは中央自身、内閣自身ができる権限内の問題であります。地方の問題については、やはり地方自治の本旨を踏まえて十分それを尊重しながらやらなければならぬということは、手法としては事実でありますけれども、行政改革国民サイドから見れば、中央地方を通じてどうやるかということが一体の問題であるということは間違いのない事実だと私は思います。  そこで、特にこの定員の抑制という問題に絡んで、いままで一部に、国に総定員法ができておる、したがって、地方公共団体についても国に準ずる総定員法式なものを法律としてつくるべきだという意見があるわけであります。これはまさに地方自治との関係において、憲法九十二条との関係においても重大問題であるというふうに、私自身は基本認識を持っておりますが、同時に県の段階を考えてまいりましても、これは一都一道二府四十三県ある。市は六百四十六ある。町は千九百九十四ある。村は六百十五ある。市町村合計で本年の十一月一日現在自治省の資料に基づいて三千二百五十五ということになっておる。いわゆる都道府県にまたがる、しかも市町村にまたがって地方公共団体の総定員法式なものが現実的につくれるのかどうか。これは憲法上の議論ということは議論としてありまするけれども、そういう立法をもって国の行政機関の総定員法と同じような形には現実的にもできない、私はこういうふうに認識しております。こういった地方公共団体の定員の抑制の手法として、法律によって総定員法に準ずるようなやり方でやろうとする考え方、これは行政管理庁あるいは自治省自身としてどういうふうに受けとめられておりますか。まず自治省からお伺いしましょうか。
  131. 大島満

    ○大島説明員 お答え申し上げます。  先生から御指摘ございましたように、地方公共団体は国からの委任事務のほか、住民の総意と責任に基づきまして、固有事務を自主的に執行する権能が保障されているところでございます。したがいまして、事務、事業の選択、それに基づきます職員の定員管理等は地方公共団体の自主的な判断にゆだねられているというぐあいに考えております。したがいまして、地方公共団体の職員の定数を法律によって国が一方的に規制することにつきましては、固有事務の選択と執行について地方公共団体の自主的な判断を制約することになりまして、憲法で定める地方自治の本旨に抵触するおそれがあり、困難であるというぐあいに考えております。  また、御指摘がございましたように、地方公共団体は三千三百余の団体がございますが、これら一の団体はそれぞれその規模が異っておりますし、地理的、社会経済的諸条件が異っているわけでございます。したがいまして、これらの諸条件の差を受けまして、行政に対する住民の要求も千差万別でございます。その要求を受けましての地方公共団体の首長さんが選択する事務の内容も、それぞれ差異が出てくるわけでございます。したがいまして、すべての地方公共団体を通じて、その実情に即した定員算定の基準を求めることは、先生から御指摘ございましたように、現実問題として困難でなかろうかというぐあいに考えております。  このようなことで、地方公共団体の総定員法を制定することにつきましては困難であるというぐあいに考えておりますが、地方公共団体も厳しい財政事情に直面しておりまして、これに対処するために、地方行政の全般的な簡素効率化、特に定員の増加の抑制ということが必要でございますので、国と地方との事務配分とか国庫補助金のあり方等、諸制度全般の見直しを進めるとともに、地方公共団体においても厳正な定員管理を実施するよう要請しているところでございます。  以上でございます。
  132. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの点中曽根長官自身から。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方公共団体の定員関係を法律で総定員法のように縛ることはむずかしいし、適当でないと考えます。憲法第九十二条によりますれば「地方公共團體の組織及び運營に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」こう決められておりまして、いわゆる固有事務という独自の権限を握っておるわけでございます。それから地方自治法第百七十二条第三項は、普通地方公共団体の吏員その他の職員の定数は「条例でこれを定める。」と書いておりまして、条例で自主的に決めるということになっております。したがいまして、定員まで法律でこれを干渉していくということは適当ではないと思います。現実問題といたしましても、三千数百の市町村は人口急増のところもありますし過疎で減っていく場所もございますし、千差万別であります。だがしかし、全般から見ますと、増員を抑制していただかなければならぬ情勢にはあると思います。これは中央地方ともに一体となって簡素効率化する国民の要請があると思っております。したがいまして、自治省におかれて各町村の実情に応じて個別的に要請をする、あるいは指導をする、そういうことでお願いいたしたいと思っているわけです。
  134. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 定員問題について若干、行政管理庁の方とそれから自治省からもおいでになっておりますから自治省の方とに、これは総定員法ができて以降の国の総定員法に基づく減あるいは行政需要の変化に基づいての増。通常は昭和四十二年末の定員を基準にして、国の場合で言えば第一次削減期間、第二次削減期間、第三次削減期間、第四次削減期間、したがって、第一次から第四次まで、四十三年から五十四年度までのトータル、こういう形で資料として私も十分承知しておるわけであります。いわば総定員法に基づいて、国の場合は非常な苦労をしながら、一方では新規需要にこたえ、他のところにおいては場合によれば業務の実態をある程度乗り越えて削減をすることによって総体的な総数というものを増加に持っていかないように抑制をしてきた、こういう経過に数字上ではなろうかと思います。細かい数字は別として、国家国務員の定員の数、いわゆる四十二年末を基準とした第一次以降第四次まで、そして新しいプランについて簡潔に、まず国の問題については行政管理庁からお答えを願います。
  135. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの期間中に、国家公務員数でございますけれども、削減が十三万人ちょっとでございます。それからふえましたのが十二万六千人で、ネットで約九千人減っております。
  136. 大島満

    ○大島説明員 基準を国の定員削減が始まりました四十二年末ということで、四十二年からの推移を見てまいりますと、四十二年四月一日現在で職員数は二百三十二万三千四百九十八人でございまして、五十四年の四月一日現在の数は三百十一万八千二百七十五人ということになっておりまして、その頭数だけの比較では七十九万四千七百七十七人の増加になっておりますが、このうち途中で沖繩県の復帰がございますので、その分を除きますと七十五万八千六百十一人の増ということになっております。
  137. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 とにかく四十二年に起点を置いて、四十三年以降今日時点までの国家公務員の場合あるいは地方公務員の場合の人数の対比というものから見ると、国家公務員関係は総定員法の制約によって、一方では増加のところにはこたえながらも、総体的な定員の抑制をするために、他方面では人員削減を各省に求めていくという形で、結局全体的な定員を増加の方向でなくて抑制をしてきたということは、数字的には事実であります。  そこで、地方自治体の場合は、地方自治体のそれぞれの地域における変遷または住民との関係、いろいろな問題もありますし、沖繩復帰等に伴う問題もありますが、この期間に約七十九万近くの増員のうちで、沖繩を除いて七十五万の増員があったという形になるわけでありますが、この増員のファクター、これはどういうふうに地方自治体の場合なりますか、さらに簡潔にお答えを願いたい。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の記憶では、地方自治体で増員されましたのは学校教員関係、警察、消防、それから病院、そういうようなものが多うございまして、一般行政職でふえた分はたしか三十一万人である、このように記憶しております。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど来私が国家公務員地方公務員の定数問題ということで御質問申し上げましたのは、そのことのゆえに地方公務員についても先ほど質問としていたしました総定員法式のものが必要であるという立場ではなくて、これは私どもの基本認識からいっても憲法九十二条との関係、地方自治体の実態あるいは本旨から見て、そういう法律を通じてやるべきものでないという立場に立っておりますし、長官自身も、そういう国に準ずる総定員法をつくるということについては賛成しない立場を表明されたわけであります。  そこで、きょうは地方公共団体関係についてさらに深く入って、中央地方を通じての行政改革をやる場合に、地方行政改革は、いわば自治省が音頭取りになって各県、各市町村を通じて行政改革の協力を要請していく、物によっては指導していくという立場であろうと思いますが、第二臨調が発足した以降、地方公共団体の関係の問題については、行政管理庁ももちろん関係ありますけれども、自治省自身としては、臨調の発足と関連をして地方公共団体の行政改革はどういう考え方でこれにタイアップしていこうとしておるのか、それをお伺いしたいのであります。
  140. 田中暁

    田中(暁)説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体におきましては、一方におきましては国と地方を通ずる行政改革の推進ということで、国における補助金制度でございますとか、あるいは法令の整理といったことによって国の側で地方公共団体の行政改革をやりやすくするような措置を期待いたしながら、一方におきましては、地方公共団体自身の自主努力によりまして、特に事務、事業の見直しあるいは組織の簡素合理化、定員の抑制、こういったことを重点努力を続けているところでございます。自治省といたしましても、ことしの一月に次官名の通達を出しまして、一層のそういった努力を要請しているところでございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いろいろお尋ねしたいことがたくさんあります。一応地方公共団体との関係においては、総定員法の問題で私の伝え聞くところでは、行政監理委員会でも、そのものずばりであるかどうか知らぬが、議論の対象になり、それについて市川行政監理委員から憲法上の問題からそれはやるべきでないという話があったという経緯等も聞いているわけであります。行政管理庁長官自身の御答弁でも、そういうものを考えない、また実態から見て必ずしも適当でないという趣旨の答弁があり、したがって、これは新たに臨時行政調査会が設けられて、地方公共団体の定員の抑制という場合も、いわゆる手法としてこういう立法措置をとるということは、意見として求められれば、自治省においても行政管理庁においても、それは実態として適切でないということで臨まれると思うのでありますが、その点について、これはむしろ長官自身から代表してお答え願いたいと思います。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調におきましては、行政制度及び行政運営の重大問題についていろいろ御審議を願いますから、中央と地方の関係等についても当然論議は及ぶものと思われます。しかしながら、憲法や法律を犯した結論を出すことはできないと思います。したがいまして、ただいまわれわれ及び自治省で答弁申し上げたとおりの線に沿って結論は出てくるものと考えております。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 第一次臨調の当時は、亡くなられましたいわゆる実力者の川島さんが行政管理庁の長官、国務大臣ということで、当初小沢さんがやっておりましたが、実際に法案が通るときは川島さんの時代であります。そして私は当時の議事録を全部読み直してみたのでありますけれども、そうしますと、わが党の方でも現飛鳥田委員長委員のメンバーである、あるいは前書記長の石橋さんが大体内閣委員会の中心になっておられましたが、石橋さんも委員としていろいろやっておられる。そのほかにも同僚委員がおりましたけれども、そういう議事録をずっとひもといてみたわけであります。そして衆議院の内閣委員会では、石橋さん自身が各党の同意を得て法案に賛成をし、満場一致の附帯決議でこれは三十六年十月二十七日に衆議院の内閣委員会を通っておる、こういう経緯がございます。本会議があり、参議院の内閣委員会でもそういう趣旨のものがやられ、参議院を通るという形で第一次臨調は発足したわけであります。しかも、これは第一臨調問題が出た当時は、非常に国民的な関心、あるいは報道機関等も含めて関心は深かったと見えまして、議事録を読み直してみますと、行政監理委員会委員長には吉田茂さんが適当である、あるいは委員にはわが党の鈴木茂三郎委員長も適当であるというような報道がなされた問題を取り上げて議論が行われている経緯もありました。川島さんはそれに対して、政党人ずばりの幹部あるいは実力者というものは必ずしもとらないというふうな答弁等が展開されておるのを興味深く読んだわけであります。  ただ私は、臨時行政調査会設置法が内閣委員会に三十六年十月三日に提案されたとき、川島国務大臣が提案理由の説明をずっと述べておるわけでありますが、この述べておる提案理由の説明と、今日同じく実力者と世上認められております中曽根長官自身がこの間読まれました提案理由の説明というものを対比してみますと、提案理由の説明の中で相当に違った色彩が出てきておるというふうにも思うのであります。つまり、いわば高度成長期ということももちろんありますし、今日は安定成長期であるかどうかは議論の存するところでありますけれども、そういう政治経済といいますか、主として経済的な諸条件というものがもちろん背景の中で変化してきておる。また国際的、国内的な行政需要に対する変化ももちろん時代とともにあるということは事実でありますけれども、しかし、端的に申し上げて川島国務大臣が三十六年の十月三日に提案理由の説明をされた内容の中にいろいろ言われまして、「臨時行政調査会設置目的は、あくまで行政の根本的な体質改善をはからんとするものでありまして、公務員の人員整理のごときことを意図するものではありません。」こういうふうに述べております。これは小沢さん当時、補足説明の中で強く強調された点であります。  同時に、こういったことで石橋さんや各委員内閣委員会で議論したそれぞれの質問の展開の中で、人員整理問題については川島さんは、人員整理については、そういうことを意図したものではないし、そういうことはやりません、あくまでも行政の改革というところに目的がございますということを明言をしておるわけであります。したがって、それを受けて、三十六年十月二十七日の衆議院内閣委員会における附帯決議では、石橋さんが提案されたわけでありますが、「政府は、本法案審議の過程において、調査会設置目的は、公務員の人員整理を意図するものでないこと並びに公務員の身分に変更を加えるものでないこと等をしばしば言明しているが、調査会答申を行なう際には、右の政府言明を十分尊重すべきことはもちろん、重要問題については一致を原則とし、本法案を議決した当委員会の意思より逸脱することのないよう要望する。」あとは、調査会委員の問題については超党派で構成をやってもらいたいということをつけて、「右決議する。」満場一致、こういう形になっておるのであります。  国家公務員関係で働らく第一線の労働者からすれば、みずから働いておる職場で引き続きやっていくのか、あるいは時代の要請に藉口し、財政の再建に鶏口して、実態に合わない過酷な行政整理が来るかどうかということについて、今日これからの議論というもの、あるいは調査会発足がどういう構成にされ、どういう議論をしていくかということについては、重大な関心を持っておることは事実であります。  しかも、こういう第一次臨調が発足をし、議論をされ、政府の見解が示され、そして先ほど申しましたように、衆議院内閣委員会でも満場一致の先ほどの趣旨の決議がなされて、そして第一次臨調が発足をし、総論十六項目の改革が提言をされ、それに基づいて、ある部分を残しましたけれども、相当部分の実施がなされていったという経緯になっておるわけであります。  私は、前回にももちろん取り上げ、岩垂委員自身も、支分局のブロックのときにも冒頭の質問の中で、いわゆる総定員法が通るときの衆議院の段階における、これは四十四年四月四日の衆議院内閣委員会における——私の後で大出委員も質問に立つから、そのことにも触れられるかと思いますけれども、要するに大出質問に対する、いまは亡くなりましたけれども佐藤総理答弁、これは答弁をどう言われたか資料がありますけれども深く触れませんが、同時に、四十四年五月十五日の参議院内閣委員会における佐藤総理の答弁も、の内閣委員会の附帯決議も、公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行わないというふうなことが、総定員法が通るときのいわゆる総理の見解であり、また国会が総定員法を通すときの国会側の気持ちであったことは歴史的に事実であります。  そこで、私がお伺いをしたいのは、第二次臨調が、各党の賛否は別として、これから議論をされ、そしてこれが実現する場合、基本として行政改革というものは、本来行政改革自身について中央地方を通じてどうあるべきか、総合性を考え、また統一性を考え、同時に、理想図ではなくて現実に実施できる実現性の問題も考えて、今日の時代に合った答申が出てくるかどうかというのはこれからの問題でありますけれども、その場合に、財政再建に名をかりて、この犠牲を第二次臨調答申を通じてやろうという意図は、行政管理庁長官自身に毛頭ないと思いまするけれども、先ほどの第一次臨調の通ったときの衆議院内閣委員会等の附帯決議、総定員法の通ったときの衆参両院における議論、附帯決議、これは第二次臨調を今後運営していく場合にも、基本的にはその趣旨を尊重しながらやっていくということを長官自身考えておられると思いますが、明確にお答えを願いたいと思います。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調の際におきまする附帯決議やあるいは国務大臣の答弁等につきましては、私もよく勉強して知っております。ただ、附帯決議につきましては、これは委員会で与野党で折衝しておつくりいただくものでありまして、われわれの及ばないところでございますので、よく慎重に御協議願いたいと思う次第でございます。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 それはおかしい。ブロック機関設置するときにおいても、これは岩垂委員自身が——総定員法当時のいわゆる附帯決議ということについては、国会の御意思でございますのでこれは尊重しますということを明確に答えられたはずである。いまの答弁は納得いきません。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまこの法律を審議しておられまして、この法律につきましておつくりになる附帯決議は、これから与野党で御折衝になるものでございますし、したがいまして、いま、与党には与党のお考えがあり、野党には野党のお考えがあり、野党の中にもいろいろなお考えもあるようにも思いますので、私がここで申し上げることは越権でありますから、それでいまのように申し上げた次第なのであります。
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、総定員法は厳然たる法律なんですね。それに基づいての附帯決議というのは依然として生きておるわけでしょう。しかもこれは、先ほど、国家公務員関係の総定員法ができて以降のいわゆる人員の増減問題、そしてこれから第五次がスタートしていく問題、これは深く触れませんでしたけれども、現実に生きておるわけでしょう。その場合の附帯決議というのは、法律が現実に存在をしておる以上は生きておるわけでしょう。それをも否定するというわけですか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 総定員法をつくりましたときにおつくりいただいた附帯決議については政府は尊重する、これは当然のことでございます。
  149. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 要するに、いまの中曽根さんの答弁からいくと、第一次臨調のときの附帯決議と第二次臨調の議論を通じて与野党で相談をしまとまるその附帯決議という場合が、中曽根長官自身の期待からいくと、第一次臨調そのままの趣旨の附帯決議になることには、自民党を通じて別の見解のようにという、そういう意思にもとれるわけですね。それは第一次臨調のときの附帯決議というのは、今度の場合においては、相談はあってもなるべくやらぬようにという意思がいまの答弁のニュアンスとして出ているわけですか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調に関する附帯決議は、これから各党で御相談いただくことでございまして、私は全くこれは白紙で臨んでおる、またそれに言及すること自体が越権のさたではないかと自制しておるわけであります。
  151. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 形の上では答弁になっておるようでありますけれども、肝心の聞かんとするポイントの点については、話を答弁からそらしたということであります。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、これは私がいま法案の最終段階において総元締めの質問をやっておるわけではありませんが、いまの答弁は、行政管理庁長官の答弁としては私は承服できません。まあ私の後大出委員も、先ほど述べた総定員法当時、あるいは内閣委員会に相当長くおられましたから、これらの問題についてはさらに言及されると思いますので、私は承服できないということを明確に申し上げておきたいと思います。  そこで、第一次臨調のときと第二次臨調のときでは、いわゆる定員問題ということについても政府自身の提案理由でも違ってきておる。同時に、いま公務員の身分にかかわる重要な問題については、いずれ与野党で決めることでございますのでということで、総定員法は厳然たる法律として生きている問題でありますから、これは尊重する。第二臨調の問題については、委員会国会で決められるということで避けておる。第一次臨調のときには、川島長官自身が、これは行政改革であって人員整理を意図するものでは断じてございませんということをあらゆる機会に述べている点と対比してみれば、やはり違っておるというふうに思います。これは最終段階までの間に、私としては承服できないということで、次に移りたいと思います。  そこで、今回の第二臨調というものについて若干御質問を申し上げたいと思います。  私は、第一次の場合といい第二次の場合といい、臨時行政調査会委員にどなたが選ばれるかということは、ある意味ではこの調査会の死命を制するような重要問題だと思います。われわれが一般的に言えば、国民意見を代表する各界各層のいわゆる見識ある人、この中には第一次臨調にはもちろん労働界からも推薦されたわけであり、こういう制度論の問題や身分にかかわる問題、国家公務員、場合によっては地方公務員にもかかわる問題でありますから、そういう立場から当然代表としてふさわしい人が選ばれて入る、これは当然のことだと私は思うのであります。この間、中曽根行政管理庁長官が同僚委員の質問に対して、前回は地方公共団体からの代表が選ばれてなかったのは欠点である、早々と九人というふうに提示されておる中で、一人は地方公共団体と恐らく言われたのだろうと私は理解したのですが、地方公共団体関係からの代表をその中に一人入れたいというふうに先行して述べられたという点はどういうふうに理解すべきか。いわば中央地方を通じての行政改革ということを考える場合に、先ほどの第七番目の自治省抵抗の問題ではありませんけれども、総合的にやろうとすれば、地方公共団体からもしかるべき人を入れておく方がいいという政治判断もあって、この構想については何も言われないのだけれども、九人の中の一人は地方公共団体からの代表を入れたい、従来入ってなかったのは欠点であると言われたか欠陥であると言われたか、そういうような趣旨を述べられた。この九人の委員構成の問題について、特に地方の代表を入れたいという趣旨は何であったのか。  それから、全体的な構図の中で、従来労働界からも当然入っておったので、これは当然入れるという趣旨であろうと思いますけれども、その辺のところも含めて、全体的な委員のメンバーについては、国会へもかけてくる問題であり、どういう構想、そしてそれを最終的に決める場合の各党への協力、国会承認、スタートからそういう点については慎重の上にも慎重に対応されると思いますけれども、この人選問題について、先ほど言った地方の代表というものも含めて率直にお答えを願いたいのであります。
  152. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ法律も通らないのに人選をするということは非常に僭越でございますから、一切これにはさわらない。事務次官も呼びまして、これは法律が成立して、そして人事については国会で御承認をいただくまでは表へ出してはいかぬ、そういうものはさわると顔に出るからさわらぬことにしようと次官とも話し合って、厳にこれを守っておることであります。ただ、この法案をせっかく御審議願う大事な場所でもありますから、超党派的に国民全体を代表する見識のある方をお選び願うようにしたい、そう考えておると申し上げたのであります。国民全体を代表するという形になれば、当然労働界も入るでしょうし、学界も入るでしょうし、あるいは文化界、中央地方という言葉はあるわけですから、地方国民全体の中には入るのではないかと私は想像しておるのであります。
  153. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 委員のメンバーについて、これは同僚委員からも後ほどまたさらに触れてもらう問題であると思いますので、次に移りたいと思います。  臨時行政調査会委員、これがなぜ七名が九名になったかという問題は別として、各党ともに適当な人を選び、人選は公正であるということで選ばれるという場合でも、専門委員があります。それから事務局。それから調査員というのは第一次臨調のときには法案として出てきておったわけですね。ところが第二臨調の今回の法案では、調査員というのは消えておる。行政管理庁の方では調査員というのはもちろん考えておるのだけれども、それは調査員として法文上出すのではなしに、従来調査員としての役割りをやった者は事務局の中に入れて運営をしていくのだ。いわば法文上臨時行政調査会委員、専門委員というのは出ておって、それからもちろん事務局があり、事務局長行政管理庁の事務次官がやる、こういうふうなことでいろいろ書いてありますけれども、調査員を除いておるというのは、第一次臨調の経験に基づいて、これはむしろ事務局に包含をするというふうに聞いておるわけです。第一次臨調の場合と第二臨調の場合、いわゆる委員の下の専門委員、調査員、事務局という点で特に少し変わった点は、調査員の問題も含めてでありますけれども、第一次臨調の経験に基づいてどういうふうに考えておるのか。  さらに、この第一次臨調の終わった後、委員のメンバー、専門委員のメンバーでいろいろな公のところの座談会や何かで、私も幾つかそれに目を通しましたけれども、第一次臨調の場合には専門部会をつくる、そして班に分けて班でやる。専門部会で出てくる意見というのと委員全体としての七人の討議の意見というのにはギャップが出る。私は当然出るだろうと思う。ギャップが出ていかぬということはない。いわば全体の最終決定の前段としてやられる議論は、専門的な分野からいろいろ突っ込んでいって、委員全体としての討議をやる前提としてのギャップが出てはいかぬということではなしに、下敷きの専門部会の報告と臨時行政調査会委員全体の討議をかけて、重要問題は満場一致でやる。今回もやるというふうに私は考えておるわけでありますけれども、この点については、特に大臣からも御答弁をいただきたいと思います。  そういうことで、この専門委員あるいは事務局、調査員等も含めて、第一次臨調の経験にかんがみて第二臨調では——委員の運営問題は別ですよ。いわゆる全体を運営していく専門委員や事務局やいろいろな問題については、従来の考え方と同じ方向なのか。特にこの点については第一次臨調の経験にかんがみてこういうふうにしたいという考え方があるのか。これは明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  154. 林伸樹

    ○林政府委員 第二次臨調構成といたしましては、委員と専門委員、それから事務局になっておりまして、事務局の中に調査員とそれから会議等の庶務あるいは資料の収集等を行う狭い意味の事務局というものが含まれることになっております。  なお、専門委員あるいは事務局の構成につきましては、なるべく簡素なものにしたいということで、これから予算査定の過程で決まるわけでございます。  先ほど先生の御指摘の調査員を事務局の中に入れたということについてでございますが、前回は調査員を専門委員の補佐としてそれぞれにつけたわけでございますけれども、専門委員というのはそれぞれの項目ごとに担当をしてもらうということで、今回の場合、二年の短い期間に、しかも緊急を要するものは途中ででもどんどん答申を出していただくということになりますと、調査員は事務局にプールをしておいて機動的にやった方がいいのではないかということで、調査員を事務局に入れたわけでございますが、基本的な考え方としては前回と変わっておりません。
  155. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣がお答えになる前に、さらに次の問題も含めて大臣からお答え願いたいと思います。  私は、臨時行政調査会の運営に当たって、本来この種性格の委員会というのは、重要問題については満場一致で決めていくことが原則であるのは当然だと思う。このことについては、行政管理庁長官自身として異議がないということならば異議はないと答えてもらいたいと思うのです。  それから、行政改革問題については、第一次臨調のときにも地方に出かけていって八カ所でやりました。いろいろなルートを通じて国民からの要請や何かについては行管もタッチをし、できるだけ国民的な意見も吸い上げるということもやりました。今回の場合も当然いろいろな地方に出かけていくなりあるいは国民的な改革の意見なりいろいろなものを聞くという、手法は別として、当然それは考えられると思いますが、同時に、こういう重要な行政改革の問題については、直接それぞれの行政官庁にある労働組合、全体的な組織というものの意見というのも必要な段階がそれぞれの時期にあるわけです。これも当然十分聞かなければならぬという点については、今後の臨時行政調査会の運営あるいはこれからの行政改革に取り組む基本的な姿勢として、今後そういうことで運営をしていくということであろうと思いますけれども、中曽根長官からその点について明確にお答えを願いたい。
  156. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨時行政調査会は日本でも相当権威のある、見識のあるりっぱな方におなりいただくものでございますから、われわれ行政側が余り条件をつけたりあるいは前提を設けたりすることはできるだけ避けて、完全にフリーハンドで自由な御判断をしていただくように取り計らうのが筋であると私は思っております。  それで、その議事規則や運営等につきましても、これは選任された委員の皆様方がお決めいただくべきことで、議事規則までわれわれが決めるということは越権ではないかと思っております。しかし、相当な権威君たちがおつくりになってくださる委員会でありますから、円満を第一にして、みんなが納得するような議事規則をおつくりいただけるのではないかと私は期待しております。
  157. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 臨時行政調査会というのは政府から提起があり、国会もそれについて議論をし、そして臨時行政調査会が発足をしていくわけなんです。だから、そういう立場からいけば、臨時行政調査会行政改革の問題を取り扱う場合には、重要問題については、ばらばらの少数意見、多数意見というもので提起されてよろしいということはあり得ないはずだ。少なくとも重要問題については、当然臨時行政調査会で議論をし、そしてやる場合でも満場一致が原則であるということで、すべてフリーハンド、白紙でお任せするということにならないのではないか。これを白紙とかフリーハンドという形でわれわれが責任を持って通していいのですか。
  158. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 相当権威のある、そうして国民からも信頼される方々がおつくりくださる委員会でございますから、その議事規則に至るまでわれわれがいろいろ申し上げるのは越権だと思うのであります。しかしながら、そういう権威のあるりっぱな方々がおつくりなさる委員会における議事規則というものは、当然国民の皆さんが納得するような議事規則や運営の仕方をしていただけるのではないかと私たちは期待しておるのでありまして、そういうようなものでなければ国民からも信頼を失うような形になるのではないかと思います。しかし、行政管理庁長官として、そこまでどうこうということを事前に申し上げることは僭越でございますから、これは委員の良識に期待しておくのが適当ではないかと思っておるわけであります。
  159. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは立法機関である国会の立場から見て、いろいろ附帯決議なり何なりというケースもあるわけですけれども、重要問題については、これは本来満場一致が原則で運営するということは、行政管理庁長官、国務大臣として述べて何ら差し支えない。いまの答弁等についても私はきわめて不満であります。  そこで、第二次臨調をつくるに当たって中曽根さんは、委員構成についても地方からの代表と言っておったが、今度は次官と相談をしてそれもなるべく言わないようにする。先ほど私が今回の問題について質問したことも、これはいささか越権かと思いますと言うが、よくこれで重要な臨時行政調査会法案が出せたものだと私は率直に思うのであります。  そこで、若干具体的に入りまして、第一次臨調のときは、中央省庁問題というのは内閣総合調整機能、この中に、あるいは内閣補佐官があったり予算編成権問題で議論があったり、そういう若干の議論はやりましたけれども、通常言う省庁という問題については、最初ちょっとやりまして、あとはそれは議論なしでいったわけであります。これは座談会等でも責任のある人々が皆語っておる。今回の場合も、中曽根長官自身が「当面の検討課題」の中で、いわゆる各省庁の自主的なあれをローテーション方式でやろう。それと臨時行政調査会ができて、中央省庁問題に立ち向かうのか立ち向かわないのかという問題との関連でありますけれども、新しくできる臨時行政調査会委員が発足する場合には、それも白紙でございまして、そこでやってもらうということでしょうか。
  160. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨時行政調査会審議すべき事項は臨時行政調査会でお決めいただくということは前から申し上げているとおりでございます。しかし、一般的にいまの時代の要請等を考えてみますと、重要な行政制度というものの中には、中央の省庁の問題も入りましょうし、あるいは中央と地方の関係も入りましょうし、官業と民業の関係等も入りましょうし、これは一応常識として、そういう重大問題があるという認識から入るのではないかと私たちは予想しておるところなのであります。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ここで、臨時行政調査会設置法案と直につながらないと思いますけれども、私の承知しておるところでは、中曽根長官自身はかつて中堅幹部から実力者へのコースの時分に、首相公選論というものを熱心に全国的に提唱されたわけです。中曽根さんは旧内務省出身でありますけれども、昔は官選知事で首長はやっていた。いまは公選制である。民主時代の新憲法下でそういうふうに地方自治体も変わり、憲法上も地方自治地方自治法に明確にされた。勢いのよかったといいますか、いわゆる中堅幹部から実力者コース時分には首相公選論というものを盛んに提唱されたわけです。この持論はいまもお変わりがあるのかないのか。ここでそういう質問をすると、中曽根長官の胸に去来するのは、最近の憲法論議というのは一歩誤ると、奥野君じゃないけれども、また何かかんかとやられるのじゃないかということで、次へのコースを考えた場合に、ここはなるべく穏便に済ましておこう、こういうふうに考えておるかどうか知りませんけれども、かつて盛んに首相公選論というのを提唱されたことは識者の十分承知しておるところだと思います。この点は持論としてはいまもお変わりないのでしょうか。当時、首相公選論を言われた真意というのはどういうものだったのですか。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はいま行管長官でありまして、憲法問題を論ずる立場にはないのでございます。ただ、三つ子の魂百まで忘れず、そういう気持ちは持っております。しかし、いまの憲法に対してどういう具体的な考えを持っているかということは、大事な法案審議している際でございますから差し控えさしていただきたいと思っております。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは私は、まあ行政管理庁からきのう熱心に、きょう聞く骨子についてと言うものだから、これは外しておけばよかったと思うのだけれども、これをあらかじめ骨子のうちに言っておいたものだから、長官自身も一晩考えて、さっき河野君の質問に対しては勇断を持ってとか勇気を持ってとか、私が質問するようになったら白紙でございます、これは国会のことです、きわめてそういう点は不満でありますが、きょうこれ自身の——関連はあります、地方の官選知事から公選へ、中央の首長を、いわゆる総理を、憲法問題はありますけれども、国民全体のそういうものによって選ぶというのは一つの見識ある考え方でありましょうけれども、いまは次を考えたらとてもじゃないけれどもこれは言わない方がいい、私もこれ以上はこの問題には触れません。  そこで、この委員会渡部委員からこの間防衛庁の省昇格問題というのを取り上げた。防衛庁の夏目官房長がそういうことは考えておりません、こういうふうに答えた。中曽根長官はその答弁を聞きながらどういうふうに頭の中が去来したのかは読み取ることはできません。ただ、私が言いたいのは、第一次臨調審議のときに、わが党の石橋委員が川島国務大臣に、防衛庁の問題やその他の問題も含めてですけれども、防衛庁の省昇格問題その他の若干の問題も含めて聞いたときに、川島長官はこう答えているのですね。私どもはこういうものを取り上げてやる気持ちは持っておりません、こう答えております。ところが、臨時行政調査会委員や専門委員をやっていた人の座談会の中で見たり、佐藤臨時行政調査会会長なんかの言っておるのを、またそれを受けて言っておるのを聞くと、この防衛庁の省昇格問題については、政府側から臨時行政調査会の方に話があって、佐藤さんの意見を言うならば、憲法上の問題もあるけれども、唐突の間に言われたのではとてもじゃないけどそんなものはさばけぬ、こういうことで、それで全体としてもそれは取り上げないことにした。答弁では川島国務大臣はそんなことは全然考えておりません。どこから臨時行政調査会に持っていったかということについては私もつまびらかにしないのだけれども、臨時行政調査会のメンバーあるいは専門委員会に関係あるメンバーが座談会で言っておることだから、これは虚構、うそを言っておるのじゃない。中曽根さんはここではなるべく当たらずさわらずに言って、行政管理庁長官の席にある間は、自分の考えておることは、ここの答弁いかんにかかわらず、直接関せずということでは、これは国会は一体何の審議をやったかということにもなろうと思う。亡くなられた川島長官のことにこれ以上触れようと思いませんけれども、この防衛庁の省昇格問題について夏目さんは、これはそういうことは考えておりません。よもや政府あるいは臨時行政調査会委員に対して、行政管理庁や防衛庁から、これをひとつぜひ検討してもらいたいということで持っていくことはないと思うのですが、その辺のところも含めて防衛庁の省昇格問題についてはどう考えておられますか。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、昭和四十五年でありましたか、防衛庁長官をしておりましたときに、委員の皆さんから防衛省昇格はどうかという質問を受けました。そのときに私は、防衛省昇格は適当でありません、そういうふうに否定的答弁をしたのであります。なぜか、そう言われましたときに、内外の情勢、それからやはり国会に常任委員会で防衛委員会というものができて、しっかりとしたシビリアンコントロールをつくることの方が先じゃないかと思います、そういうこともその当時言った記憶がございます。現在は機構いじりはやりませんと私申し上げておるのでございまして、そういう考え方に立っております。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 中央省庁の問題で、これは行政管理庁自身ももちろん本来は臨時行政調査会ができなければ行政監理委員とともにやっていく問題になるわけですけれども、総理府設置法の十七条の総理府の外局として公正取引委員会、国家公安委員会から公害等調整委員会、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、これはいまお尋ねしたわけでありますが、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖繩開発庁、国土庁、国土庁はあとから、第一次臨調以降総合開発庁の関連で生まれたわけで、御承知のとおりであります。これを総理府の雑居ビルというふうに言う人があるのですけれども、それは当たらざる批判だと思いますが、とにかくこれは当然第二次臨調あたりでは、こういう姿でいいのか。第一次臨調のときは、御承知のように国家公安委員会自治省とかいうのをどうすべきかというような議論があったり、内閣その他、先ほど言ったような問題はありましたけれども、そういう点では当然中央省庁、それから特に総理府の外局としてこういう姿でずっとずいぶん入っておる問題、そしてしかもこれはそれぞれについては国務大臣がちゃんとまたつくようになっておるわけですね。この辺のところについては長官自身が多くのところを経験されて、外局の方の経験もあるわけですけれども、いまも厳然たる外局ですけれども、総理府の外局のこういう姿というのは、行政改革の点から見て、現状のままではいかないだろう。やはりいろいろ検討する必要があるだろうという問題意識は少なくとも長官自身持っておられるんじゃないかと思うのです。  あわせて、第一次臨調のときに、私もこの前ちょっと聞きましたけれども、予算編成権問題というのは、大蔵省からいわゆる内閣総合調整機能として内閣に移すということがいろいろ議論されて、そしてそれはもちろん答申の中である程度出ておるんだけれども、完全に移すという形の答申になっていない。これは御承知のとおりでありますが、今回の場合も、やはり予算編成権問題のあり方というのは、当然の議論として第二次臨調では議論されるだろうと思う。その場合に、諸外国行政機構というものを私いろいろ見てみたんですけれども、アメリカの場合には、長官が厳に席を占めております行政管理庁と予算の編成権を持つ、日本で言えば大蔵の主計局を中心にした機構、これでアメリカの場合には大統領府の中に行政管理予算庁というものをつくっておるわけですね。だから、これは予算編成権を内閣自身が持つという場合に、これは恐らく副総理格の人がなるということになるんだと思うんだけれども、行政管理予算庁というものがアメリカ自身でとっておる手法なんですね。予算編成権問題はやはり現状のままでいくか。もちろん大蔵省というのは、後ほど人事院に他の問題で聞くのですけれども、いわゆる国家公務員試験の上級試験等で一番いいところが、従来から伝統的には大蔵省とか、外務の関係はまた別にあるが、外務省とか、昔は非常に実力がありましたけれども、最近各省庁の実力関係というのが変わってまいりましたが、最近実力の出てきておるところとか次のところへ、こういう変遷がありますね。学校の成績だけで言えば、人材をある程度集めておるということは客観的には言えるだろうと思うんだけれども、だからといって、いまの状態でいいのかどうかということは、基本的にはやはり議論としては当然存在する。その場合に、アメリカがとっておるようなものをそのまま導入するという意味で申し上げたんじゃないのですけれども、たまたま答弁に立つ中曽根さん自身が行政管理庁長官であり、アメリカで言えば行政管理予算庁ということでやっておる。これは検討する場合に、どういうところでやらせるかという場合の有力な判断の素材にはなり得るというふうに長官自身考えられますか。この辺のところについてもあわせお答え願いたい。
  166. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 最初に、総理府の外局の問題でございますが、おっしゃるように非常に錯雑しております。それで特にほかの省に属さない新しい問題が出てきたり、めんどうくさい問題が出てくると、みんな総理府に押しつけられるという傾向もなきにしもあらずでございまして、こういう状態はよくない、やはりちゃんと交通整理をすべきものはしなければならぬではないかと考えております。これらの内閣府とか総理府、そういうような問題は、第一次臨調でも大変議論になりましたが、第二次臨調においてやはり議論になるべきものではないかという感じがしております。  それから、アメリカの行政管理予算庁、予算局とあれは言っておりましたか、これはアメリカは大統領制をとっておりまして、ホワイトハウスにかなり権限を集中してきておるわけであります。そういうような情勢からああいう制度ができたんだろう。つまり大統領が非常に全権を把握して行政並びに予算を掌握するという形でできたので、アメリカらしい制度であると思っております。  日本の場合は議院内閣制をとっておりまして、アメリカとは情勢が違いますが、第一次臨調の際に、あるいはその前におきましても、たとえば河野一郎先生あたりが予算編成権を大蔵省に置いていいかどうかというような一石を投ぜられたこともあります。いろいろな経緯がございますが、この人事管理及び予算編成という問題は行政上の大問題でございまして、特に人事管理の問題につきましても、第一次臨調においては各省幹部要員の一括採用というのがございました。これは現在行われておらない。この一括採用というのが行われればセクショナリズムはなくなるであろう。そういう官庁の派閥意識やあるいはいまのようなかきねを取り除こうという意味で一括採用という発想も出たのであろうと思いますが、そういうようないろいろな問題も恐らく行政制度の基幹問題の一つとして検討されるのではないかと予想いたします。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、次の問題に入る前に、少し人事院の方からお伺いいたしたいと思います。  私は、きょうは特に人事院の関係で、大学とかあるいは短大とか高校とかを卒業する人々の中で公務員に人材が得られておるかどうかという立場からのみ取り上げたいと思うのであります。そこで、人事院は昭和五十五年版公務員白書というのを人事院編で出しておるわけであります。時間の関係もありますから、これに基づいて若干質問をいたしたいと思います。  もちろん公務員の採用は上級関係、中級関係、初級関係、一般的なものと専門的なものといろいろあって、これは白書の二十七ページに「採用候補者名簿からの採用等の状況(昭和五十五年三月三十一日現在)」ということで出ておるわけであります。その前段の部分には、公務員の試験を受ける者、これは昭和四十八年ごろからずっと上昇傾向をたどって、五十四年は初級も中級も上級も受ける者が減少、それまでの間は、上級試験の方もおおむね上昇傾向、中級試験の方もおおむね急カーブをとるかなだらかなカーブをとるか、上昇傾向、それから初級は、山がちょっとございましたが、四十八年ごろから上昇傾向で、特に注目されるのは、五十三年と五十四年を対比すると、公務員試験を受ける者が三つともいずれも減少傾向というのが出ておる。そういう中で試験がやられて、そこで公務員の上級試験合格、これも甲種、乙種ございますけれども、そういうこと。外務は特別にまたございましたり、国税がございましたり、労働基準監督官の関係がございましたり、中級もいろいろ分かれておりますが、こういう中で、たとえば上級の甲種というのを見てみますと、名簿確定が五十三年十月二十五日で千三百十一名合格した。採用したのは六百四十五名だ。辞退、無応答者数が三百四十三名だ。持ち越しの残存者数が三百二十三名だ。こういうのが出ておる。中級の国家公務員試験では、名簿に載ったのは二千七百八十三名、採ったのは千四百一名、辞退や無応答の者が千三百八、残存が七十四。それから初級の方でも、合格が一万七千二百六十七あったが、採用は九千百十九で、辞退その他が八千六十八。公務員の試験というのは上級でも中級でも初級でもなかなかむずかしい試験、激戦の一つだということになっておる。  そこで、私が尋ねたいのは、人事院はずっと公務員の試験をやってきておるんだけれども、私は成績主義じゃないが、成績のいいところが最近は上級でも中級でもこぼれていく、ここのところの実態がわからないわけなんです。それから採用者数というのが大体予想される。その場合に、合格者というのは一定の水準ということで、来年はなかなか採らないということから水準を少し上げるというふうなことはやっておられると思うんだけれども、現実にいわゆる合格と言っても採用というのは半分にもならない採用になる。それで待機命令というかいわゆる残存者が残る。また国家公務員上級試験を通ったということを一つのタイトルにして、他の民間産業のいいところにどんどん移っていく傾向もあるだろう。中央にしろ地方にしろ、いわゆる行政の立場から言えば優秀な人材をやはり得たい。今日のような状況の中で、もうここ当分公務員は見込みが薄いということで人材が得られないということでも、行政全般の問題から見れば問題になるだろうと思う。  そういう点で人事院に、上級、中級、初級を通じて名簿に候補者を載せるが、それと採用の人数との関係。辞退の中に相当優秀者がどんどんほかへ行くという傾向はないのか。また残存者の中で、翌年度一年間は資格があるわけだけれども、これは新しく通ってくる者よりも絶えずやはりワンポイント不利な条件になる。私どもがいろいろ頼まれる中でもそういうことが起こるんだが、そういう点は一体どの程度残存者の中で翌年度採用していくのか。こういった問題について簡潔に私の趣旨に沿うてお答え願いたい。
  168. 斧誠之助

    ○斧政府委員 お答えいたします。  公務員試験上級、中級、初級、これで見ますと、ただいま先生御指摘のように、昭和五十三年度が申し込み者数、競争率ともピークでございました。それで、五十四年、五十五年——五十五年の場合は上級だけ合格者発表がありまして、中級、初級はいま第二次試験の最中でございますので、まだ結果が出ておりませんが、いずれも申し込み者数で見ますと下がっております。そういう点で若干心配はしておるのでありますが、上級試験の場合で申し上げますと、競争率がことしの場合で三十六・七倍でございます。まあまあ競争率としましてはかなり高い競争率で激戦でございます。この程度の競争率が得られておれば、相当優秀な人材も来ておるものと考えられます。  それから、私ども試験を実際に実施しております過程で合格の水準点を見ましても、特段下げなければ合格者が得られないという状況にもございませんし、それからこの試験合格者から採用いたしました省庁から苦情が出るということも全くございませんので、いい人材が得られておるものと信じております。  それから上級試験、中級試験、初級試験で辞退者の内容は若干違うわけですが、上級試験の場合は、全く民間との競合関係でございます。中級試験の場合は、これに地方公務員の関係が入りまして、民間、地方公務員、そちらを志望する者が合格者の中にもかなりいるということでございます。それから初級試験の場合は、この辞退者の大部分は進学のための辞退でございます。それから上級試験関係の残存者でございますが、これは大部分は大学院に進学した人たちでございます。したがいまして、公務員を志望しつつなお残っているというのは、上級試験の場合はほとんどおりません。中級、初級に若干残存者がございますが、中級、初級の場合は、上級試験と違いまして年度当初に一括採用して、その後はさっぱり採用がないという状況ではございませんで、一年間欠員に応じて採用が継続していくということでございまして、その間に、名簿失効までにどうしても本人の希望と採用省庁の採用条件というのが合わないということで、若干はついにそのまま名簿の効力が失効してしまうというのがございますが、そんなたくさんではございませんので、この程度はやむを得ないのではないかと思っております。  以上でございます。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いずれにしても、私が問わんとするところは、国の行政機構においてもあるいは地方公共団体の行政機構においても人材を得る、これは単に成績のみの問題を言っているのではありません。やはり公務員として全体にサービスのできる適当な人材を得ていく。それが最近の官公庁を見ておると、せっかく受けたけれども他の民間に行くというふうな形勢が今後一層強まるということでは、これはとてもじゃないが、国の行政にいたしましても、地方自治体行政にいたしましても、国民に対して真にこたえるゆえんにならないというふうに思うので、特にこれに対してどう考えるかというようなことを言っておりますと、あとまだ相当ボリュームを残しておりますので、若干のことを質問をいたしたいと思います。  この間、地方支分部局のうちでブロックの機関をある程度廃止をしたりあるいは統合したりというのが通ったわけでありますけれども、世上ややもすれば、外部からの改革意見の中にも、いわゆる国のブロック機関というのは原則としてやめたらいいんじゃないか、あるいは県の段階の事務所とか支所、出張所はやめたらいいんじゃないか、実態も必ずしもよく知らずにそうすればいいんだろうという意見には私は承服できないのであります。やはり国の行政機関として中央省庁があって、ならば霞が関の望遠鏡から地方自治体との接点において行政が実態的にもまた総合的にも国民の要請にこたえるようにできるのかといったら、私は必ずしもそうはいかないだろう思う。それは県の行政機関の場合においても、重要な市にはやはり県の出先を置き、市町村と連携をとりながら県行政としての総合的な運用をやろうというのと同様であります。  そこで、私はそういう立場から、ブロック機関についてもあるいは県段階機関についても、国の行政をやる立場から見て、当然これは将来ともに必要であるというふうな問題については安定的な立場を与えるべきである、そういう前提に立って内部の運営問題として改革をやるべき分については全体の中でそれはやられていくというのであって、いわゆる中央省庁というのは非常に力の強いところでありますから、これは臨時行政調査会がやろうとしてもはね返されてしまう。結局ブロック機関や県の出先機関の方にそのしわ寄せが全体として行く。そういう答申が出てくるならば、そういう答申は全体から見て受け入れる価値のない答申であるというのが私自身の見解であります。  たとえば、県段階についても、営林署があり税務署があり、郵便局がありあるいは法務局の出先があり、食糧あり統計あり、そういうことでずっとなされておるので、よもや出先の県の段階では、御承知のように全体の中で郵便局自身が一万八千六百五十あるわけです。全体が二万五千八という中で郵便局が一万八千六百五十、これは一番大衆に密着したところであります。そういうふうなことも出先の中に含まれて、ブロックがあり出先がありということでありますので、機械的にいわゆる国のブロック機関廃止するとか、県の出先機関は原則として全部廃止だ、そういうことでは実態に合わない。また国の行政遂行上もそういう運営に支障の来るような考え方はとるべきものでない、こう思いますが、私のそういった考え方について、これから臨調が発足していく場合には、中央は手がつけられない。それならば、ブロックや出先やということで実態に非常に逆行するような形というのはあってはならないと思うわけでありますけれども、そういう点について長官自身の御見解を聞いておきたいと思います。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調でいろいろ御討議願う内容であると思っておりますが、中央地方おのおの歴史もあり、また独得の機能もあることであると思っております。それらの交通整理をどういうふうにするか、第二臨調の皆様方の良識に期待して見守ってまいりたいと思っております。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 あと十数分ということになりましたので、私はもともといまで言う農林水産省のOBということになります。昭和二十四年以降三十年の段階までは第一線におったり中央で労働組合の委員長等もやって、あのときは吉田内閣当時の非常にあらしが吹いた時分で、廣川さんの家を訪ねたり根本さんが農林大臣のときに中目黒の家に雨の日も風の日も訪れたり、あらしの中でずいぶん苦労した経験を持っております。  その後、国会に席を占めてからも、何かあると食糧の安全性、農政の重要性と言いながら、絶えず農林省の方にいろいろ御無理、難題をたくさん言ってきて、実績としてもそういう経過になっておると思うのであります。私は農政の基本問題ということについて亀岡農林水産大臣にも来てもらって、中曽根さんからも国務大臣としての見識も聞きたいと思っておりましたが、時間の関係もありますので、それをカットいたしまして、同時に、県段階における最近行政監理委員会を通じてまとめてきた状況についても行政管理局長から聞くつもりでございましたけれども、これもまた他の委員等も触れることかと思いますので、そこも私は承知しておるわけですから、農林関係についてその前提で若干お尋ねをしたいと思います。  そこで、行政管理庁でもよかったのですけれども、農林省の方にそのことを言ってありましたので、昭和四十二年を時点とした定数あるいは機構の関係あるいは食糧統計の出張所の関係等について簡潔にまず御説明を願いたいと思います。
  172. 山田喜一郎

    ○山田説明員 農林水産省関係の四十二年度以降におきます機構改革の問題、それから定員の問題でございます。  まず、定員の関係でございますが、四十三年度以降第一次定員削減計画が開始されましてから五十五年度に至るまで、約二万人少々の定員を削減いたしております。この数字は全省庁を通じまして最高の数字というふうに私ども理解しております。  それから、次に機構問題でございますが、主として地方の出先機関に関します数字をお答え申し上げたいと思いますが、食糧事務所につきましては、出張所約三千カ所ございましたが、これにつきましては五十五年度をもちまして全廃いたしております。それから支所につきましては、四十三年度以降ほぼ二割弱減少となっております。それから統計情報事務所でございますが、四十五年に本所を七カ所減少いたしまして、出張所につきましては今日に至るまで約四割ほど減少いたしております。そのほか営林局署等もございますが、これは省略いたします。  以上でございます。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま定員、機構の問題で若干文書課長からお話がありましたけれども、私が高等学校の先生から農林の出先の方に入ったのはちょうど二十四年ですけれども、その当時、たとえば統計で見ますと二十三年の時点では一万九千六百二十六人、それが半減されて八千名台、それからあの当時出張所というのは、二十四年のときで二千百十三、これがいまや三百九十四。昔第一線におりましたから、実に血のにじむような行政改革に基づいて第一線でもあるいは農林省全体としてもやってきておるわけですけれども、なおかつ今回の県段階の、行政監理委員会でまとめたものでは、食糧事務所の検査員については中期で半分やれ、あるいは統計についても一割やれ、こういうことになると、食糧の場合で言えば食糧管理法あるいはその他の第一線における農政の関係の中で時代の要請にこたえるものも取り入れながらやっておる、統計は全体的な生産から経済からあるいは最近は流通問題まで含めて総合的に統計としての役割りを果たしておる、こういうところに必要以上のしわ寄せがいけば、国政の第一線にあっての仕事全体の中の運営に重大な支障が来るのではないかということを憂えておるわけでありまして、そういう点については最終決定までに十分実態に即して善処願いたいという強い気持ちも持っておるわけであります。その点について、いま県段階の、全体的なものについては私も行政管理局長からの説明を省略いたしましたけれども、また同時に農林関係についての、食糧、統計ばかりでなしに従来からずっとやってまいりました全体的な問題についても、私はもともとOB関係でありますから十分承知しておりますけれども、農政の重要性、これから国際経済の中で国民の命を預かる食糧関係、これは平場といわず海といわず、そういうものを全体的に安心のできる体制に持っていかなければならぬという立場から見ますと、事あれば農林関係に集中的なしわ寄せが来るということは避けなければならぬぎりぎりの段階に来ておるというふうに私自身は認識しておるわけであります。今回の県段階の一応行政監理委員会を通じてのあれは、年内に、十二月までにそれを最終的に決めながら来年度予算に生かしていく、そういうプログラムだと思いますけれども、中曽根長官からそういった問題も含めてお答えを願いたいと思います。  その場合に、日本の公務員はフランスと同様に国際的にも評価されておる、なかなか優秀である。国際的に見ても、今回の議論の中で、国家公務員の単一国家における比較という問題で、就業人口千人当たり日本の場合は十六・七人であり、イギリスの場合は三十三・四人であり、フランスの場合は七十九・八人である。したがって、単一国家を比較してみても、日本の国家公務員は全体から見て決して多くない。人口千人当たりから見ても、日本の場合は八・一人、イギリスの場合は十五・四人、フランスの場合は三十二・六人といったように、単一国家の比較においても決して人員が多いわけではない。長官自身が言われるように、有能であり、そして全体から見て、諸外国を見ても日本は人員が多くないとするならば、そういう基本認識の上に立って、今回の臨時行政調査会が発足していく場合に、私の質問に対して言葉を濁されましたけれども、これはまだ法案の最終段階まで同僚議員からさらに質問が展開されると思いますが、そういうことも含めて本法案の処理に当たっての機構や人員の問題、こういうことについての基本認識、歴史的に大きなしわ寄せを農政関係にしてきておることに対して、農政推進がそういうことの中で果たして国民の期待にこたえるのかどうかといった問題も含めて御答弁を願いたいと思います。
  174. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 農林省関係、特に食糧関係に従事している方々は、戦時中は食糧増産、戦後におきましても食糧確保のために非常に尽瘁されたのでありますが、最近は食糧が少し余ってくる、こういう状態になりまして非常に気の毒な立場にあるように思っております。しかし、その中にあってもできるだけ合理化して国のために役立ちたいとして努力されておることと私は確信しております。今回の行革におきまして仕事減らしということを言っておりまして、できるだけ仕事を減らすように努力しておりますが、農林省ともいろいろ協議をいたしまして、これらの農林省の関係の皆様方のいろいろな処理につきましては慎重にやっていきたいと思っております。  それから、日本の官僚制度でございますけれども、どの国に行きましても官僚制度というものは硬直化して不能率の代弁みたいになっておりまして、日本だけではありません。しかし、その中でも日本の官僚制度は能率や政策能力あるいは廉潔度におきまして国際比較は高いのではないかと私は思っております。しかし、日本の労働者諸君は、特に民間産業の労働者諸君の生産性はまたほかの国に比べれば抜群でもあり、中小企業の皆さん方もまた人一倍努力されております。そういう国内の諸元を見渡して見た場合に、やはり公務員の皆さんも民間労働者や民間の中小企業の皆さんの御苦労に負けないだけの苦労をさらに上げていかなければならぬのは、これを管理している政府国民に対する責任でございまして、そういう点につきましても、私たちは腐心しておるところなのでございます。  しかし、いずれにせよ日本の公務員諸君がともかくいろいろ言われながらも一生懸命努力されて、日本の国運が外国に比べて落ちるよりも、むしろ外国を凌駕するぐらいになってきている背景には、労働者諸君や公務員の皆さんの陰の努力もあるのでありまして、全部いかぬとか一概に決めつけるというそういう単純な考え方はとってはならない、きめの細かい、そして公務員国民の一人でございますから、愛情を持ってその身分やその他について考えてあげなければならない、そのように考えております。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本法案に対する私の質問について、基本的な問題について長官自身ぼかされた点もありますし、また私が期待する方向でのこの調査会の発足に当たっての基本的な事項についての明確な答弁を避けられた点については不満もありますけれども、私の持ち時間がちょうど参りましたので、国家行政機構、地方行政機構を通じての行政改革という国民的な要請の中で、そこで働く人々の立場も考えながら現実的に総合的にどうやるかという問題については、一つの先見性を持たずに長官自身今後とも対応してもらいたいということを強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  176. 江藤隆美

    江藤委員長 大出俊君。
  177. 大出俊

    大出委員 しばらくぶりで本委員会で質問をさしていただきます。  中曽根さんが四十八年でございましたか、通産大臣をおやりのときに通産省の大きな、今日で言えば大変大きな改革を手がけられたことがございました。九局を七局にする、そして資源エネルギー庁をつくる、こういう筋立てでございましたが、実は私はそのときに非常な心配を一面でいたしまして、最終的には賛成をし、まとめなければということになったんです。これをまとめたのは四月。七月発足でありますが、ところがすぐ追っかけて九月にこの資源エネルギー庁の汚職事件が起こりました。全国石油商業組合連合会専務という方に金をもらった方がエネルギー庁に出てまいりまして、石油精製やスタンド等についての便宜を図るなんというようなことで、実は非常に残念な気がした思い出が一つ残っています。したがって、機構というものは、いまも話が出ておりましたが、よほど慎重に考えなければいけないなという気が当時もしているのであります。  そこで、一つ承りたいのですけれども、中曽根さんがこの第二次臨調といっていい今回の法案を提案するに当たりまして、何が目玉かという、何か総花的に物を考えたってしょうがないのですから、何をやろうというのかというここのところをひとつはっきりまずしていただきたい。  断っておきたいのでありますけれども、まず入れ物をこしらえるということでございますから、そこのところには賛成をしたいと実は思っているのです。もちろんこれは党として態度を決めていません。いませんから目下のところ個人意見になる。公務員三法などがやたら荒れてきて妙なことになるんなら、事と次第によってはつぶしちゃわなければしょうがないじゃないかということも考えているのですから、党の結論が出ていない。  それからもう一つは、いいなと思って始めてみたら、臨調中身がとんでもないところに行っちゃったということになると、かね太鼓で行管を責めるのみならず、第二次臨調そのものを今度つぶしにかからなければいかぬということになりかねないわけでありまして、この種の行政改革というのはえてしてそういうものであります。したがって、入れ物については賛成を個人的に目下したいと思っておりますけれども、出てくる結果、これについては残念ながら是々非々で、時によってはどうしてもつぶせというようなことにしなければならぬものも出てくるかもしらぬ、そう実は思っているわけでございまして、これはあくまでも党の結論がございませんから、個人的な意見を前もって申し上げておきます。  第一次臨調で私、大変苦労いたしました。それは、私が国会に出てまいりましたのは昭和三十八年でありますが、臨調ができましたのは三十七年でありまして、私が出てきた翌年三十九年九月に臨調答申が出た、そういうことでございまして、以来足かけ十五年内閣委員会におりましたが、この臨調答申をどういうふうに処理するかということの明け暮れが実は私が内閣委員会で機構をいじった十五年間、この臨調第一次答申の真の改革はまだ全く地についていない、こう言い切れると私は実は思っているのでありますが、そこに第二次臨調と言われるのだから一体何が中心なんだ、ただ単なる哲学をなどということで八億も十億も金をかけるわけにいかない、そこのところをきちっと承りたいのであります。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内閣委員会で久しぶりで大出議員にお目にかかりましてはなはだ光栄に存ずる次第であります。長い間第一次臨調をフォローアップせられましていろいろわれわれよりもよく知っておられる大出委員のことでございますから、私の知識の足らざるところは大いに補って御叱責願いたいと思います。  第二次臨調は、第一次臨調以来約二十年経過いたしまして、第一次臨調はややもすれば発展期の入り口に当たりまして、その発展を前提にしつつある程度答案ができたのではないか。今日は安定期に向かいつつありまして、しかもあの当時では想像もできないような高齢化、そして多元的社会、しかも自由と人権を愛する市民社会の岩盤が厳然といま日本にでき上がってまいりました。そういう新しい時代を迎えまして、第一次臨調の手法では通用しないような時代にもなってきているところがございます。コンピューターの出現というようなものはその典型的なことでございます。そういう面からも、これから十年、二十年にわたりまして日本の政府のあり方あるいは行政の機能について基準あるいは政策をつくっていただいて軌道を設定していただきたい、それをわれわれは参考にして改革を断行しよう、こういうことで設置を図り御審議を願っている次第でございます。
  179. 大出俊

    大出委員 もう一つ重ねて承りたいのですが、今回の提案では臨調は二年ばかりかがるわけであります。そうすると、来年度予算の編成から始まりまして二年間、この入り口に立っている中曽根さんの行革はどういうことになりますか。臨調に預けるのだから二年先でなければ結論が出ない。これから予算編成を迎えているのだけれども、大平行革がここにある、その前に挫折はしましたが福田行革がある。大平行革のときは中曽根さんの御関係の宇野さんが長官。だから後、中曽根さんが長官をおやりになるというときに、宇野さんが行管の事務当局に、一体何か具体的なものはないか、宇野さん、あなたが一生懸命おやりになるから、みんな一生懸命洗っちゃったのでない、さて困った、そこで第二次臨調と、こういうことになったのだとすると、ちょっと私は納得いたしかねるので、一体その間はどうなるのか、何を中心にお考えになるのか、承りたい。
  180. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理庁長官を拝命いたしまして、私は自分の仕事についていろいろ考えました。  そこで第一に、いわゆる五十五年行革と言われておる宇野長官がやり残した仕事がございます。いわゆる八法案を成立させる、これをまず第一に心がけなければならぬ。  第二に、宇野長官がやれなかったこと、あるいはやり残したことで、しかも大事な改革案はないか、それをいろいろ探求いたしまして、そして主として減量経営、仕事減らしという点に目をつけまして、法令の整理、許認可の整理、特殊法人の見直し、あるいは地方の定員管理の要請等々を打ち出しまして、これをいま鋭意追求中でございます。  それからさらに、これだけ大きな激動の時代を迎えまして、八〇年以降の日本の政府のあり方、行政の機能につきまして指針をつくらなければならぬ、そういう意味臨調の御審議を願う、こういう三つに分けて、いま仕事を努力している最中でございます。
  181. 大出俊

    大出委員 ところが、いまのお話だけでは私はまたしり抜けになると思っておるのですが、抽象的に言ったってしようがありませんから、具体的に事実を挙げながら後ほどずっと詰めてまいりますけれども、まずもって今度の臨調で一体どのくらい金がかかるのですか。
  182. 林伸樹

    ○林政府委員 第二次臨調は、実は今度の予算編成で具体的なことは決まるわけでございます。いま建物を探しておりますが、建物を除きまして、要求ベースで年間三億円余りということで、私どもこれから査定当局と折衝するわけでございます。
  183. 大出俊

    大出委員 だけれども、これは九人というわけですが、無給だとかいうのが無給じゃ済まないとか、いろいろなことになっているのでしょう。一説には八億だというのでしょう。ところが、いや八億じゃ上がらない、トータルでいけば十億ぐらいになるんじゃないかというわけです。十億使って二年間遊ばれてはかなわぬので、はっきりしてください。
  184. 林伸樹

    ○林政府委員 あくまでもこれは要求ベースでございますので御勘弁願いたいのでございますが、委員は非常勤、それから専門委員も非常勤ということで、前回も委員は大体週に一回ぐらい来ていただいた、専門委員は週に二回ぐらい来ていただいた。今度も恐らくそういうことになると思いますし、それから調査員等は大部分は行政管理庁等からの出向職員でございますので、経費の大部分は大体会議費、印刷費等が主でございます。
  185. 大出俊

    大出委員 だから大部分事務局を行政管理庁がやるのだから、行政管理庁の考えがきちっとしていなければしりが抜ける、そうでしょう。  そこで、ひとつ改めて冒頭に念を押しておきたいことがあるのですが、たまたまさっき角屋委員か質問しておられましたが、あの質問の中に出てくる、つまり千人当たりの日本の公務員の数というのは、行政管理庁の資料で、さっき角屋さんが挙げましたように、国防関係を除きますと日本で千人当たり十六人。イギリスで、国防費を除きまして千人当たり四十四・八人。正確に言っておく必要がありましょう。フランスで五十人ですね。アメリカの場合には連邦政府、各州政府がございますから、そういう意味で、地方公務員の方が五十七・七になっている関係で八・九という数字が出てくるのです。西ドイツが千人当たり十七・五、地方の方が五十四・八です。こういうところからすると、さっきも中曽根さんが例に引かれましたが、日本の公務員の数というのは先進諸外国に比べて決して多い数ではない。少ない数である。しかもきわめて能率的に運営されている。それはもう人間がやることですから、官庁という仕組みもあるわけでありますから、見方によればいろいろな意見が出ますけれども、そういうものである、こういうことですね。だから、まずもって行革結論が出る、臨調結論が出る二年先、今日からそれまでの間を含めまして、まずこの行政改革というものは、首切りだとか配置転換だとか、つまり公務員の人を減らす、そういうところに視点はないのだ、それは見当違いだというそこのところを私は明らかにしておきたい。  そこで、ずばり承りますが、前の川島正次郎さんのときの、第一次臨調のときの提案理由の説明がある。これは昭和三十六年十月三日、内閣委員会議録第二号の十四ページ、ここで「公務員の人員整理のごときことを意図するものではありません。」ときちっと言い切っている。そこでこの点について中曽根長官考え方を、第一次臨調ではこういう考えが述べられているんだが、長官、このくだりはどういうふうにお考えになるのか、ひとつ承っておきたいのであります。
  186. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 提案趣旨の説明でも申し上げましたが、わが国の行政制度及び運営の重要問題についていろいろ御審議を願う、そういうことが主でありまして、公務員の人員整理を目的としてこういうものをつくっているものではございません。
  187. 大出俊

    大出委員 つまり国家行政組織法等で職務定数というのは法律で決めることになっております。しからば一体職とは何だ。国家行政機構に関して岡崎さん等も詳しく書いておりますけれども、ここに仕事がある。国民へのサービスという意味行政が成り立っておりますが、仕事がある。この仕事を処理するために人の配置が必要である。つまり職の裏づけが人である。これを法律で決める。そこに定員法というものの考え方が出てくる、こういうわけですね。したがって、仕事が減っていって人が減るということは当然あり得るわけです。そこのところが逆になると、人員整理だということになってえらいことになる。その意味では中曽根さんのおっしゃっていることと一脈相通ずるので例に引きますが、昭和五十五年十月十六日の内閣委員会議録第二号四ページにございますが、「そこで、今後の行政改革に関する基本的な考え方をまずお伺いいたしたいと存じます。」という質問に対して、長官は、「今回の行政改革に関する基本的な考え方は、いわゆる機構いじりをやめて、むしろ減量経営に徹する方針で行こう。機構の問題はいま御審議願っておりますブロック法案とか」、これは大平行改ですね。「あるいは公社公団の統合であるとか、まだやり残している仕事がかなりございまして、この法律を成立させるだけでも相当な精力を要する点がございます。今回はむしろ機構の問題よりも仕事減らしをやろう。」つまり職と仕事との関係、職があり、人の配置をする、職の定数を決める、定員法ができる、これが経過でありますけれども、国家行政組織法でも、職の定数は法律で決めろということになっている。その意味では総定員法というのは実は行政法違反だ。なぜならば、上限を決めたのは、職の定数を法律で決めたことにならないからです、改めて議論をいたしませんが。だから、そういう意味で言えば、ここのところは、きちっと長官もそう言っているんだから、改めてお認めおきをいただきたいのでありますけれども、人減らし云々ということで行政改革考えているのではない。つまり仕事を減らしていく、このことは間違ってはいない、そういうことだということ。「仕事減らしの中心はどこにあるかと言えば、やはり仕事をつくっているのは法律、許認可等でございますから、」私はこれだけでは、これには大きな反論がございますけれども、法律、許認可、それは認めます。「でございますから、法律、許認可の整理に力を注いで、まず仕事を減らしていく。それと同時に、自然減耗を促進して、そしてそれをできるだけ補充しない。それによって人員を浮かしていく。」こう言っておられます。これはいわゆる首切りであるとか、そしてまたここで言っている思想は、仕事を減らして人を浮かしていってそれを補充しないでおく、強制配置転換をやるなんという思想はここには出てこない、こういうふうに私は受け取りたいんであります。  もう一つ念のために申し上げますと、この種のものは、結論が出たときに、労使間でお互いに納得し合える合理性のある、説得力のある形で結論が出ていませんと、せっかく金をかけてプランをつくっても実行できない、こういうことになります。そういう意味で首切り、そういうことをねらっていない。それから強制的に身分変更を考える、そういうふうなことは考えていない、こういうふうに受け取りたいんですけれども、念のために御答弁をいただきたいと思います。
  188. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現在、私が手がけておりまする行政改革は、仕事減らしということを中心にやっておるので、お説のとおりでございます。  第二次臨調結論につきましては、先ほど角屋さんには申し上げましたけれども、それは委員の皆様方に議事の運営やら内容等もお決めいただくので、私たちがここであらかじめ干渉がましいことを申し上げない方がいい。自由に御判断を願って結論をつくっていただく。しかし、りっぱな権威ある方々がおやりになるのでしょうから、国民の納得の得る穏当な御判断を諸般の問題について示していただけると思う、こういうふうに御答弁申し上げた次第でございます。
  189. 大出俊

    大出委員 いまそこまで詰めるのは早いのかもしれませんけれども、ここに参議院における附帯決議がございますが、総定員法ができますときに、衆議院の方はごたごたいたしまして、そういう時間的余裕もなかったわけでありますが、参議院で「本法律案審議の過程において政府の言明せるとおり、公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわないこと。」こういう一項が入っている。それから第一回目の臨時行政調査会、これは行管がおつくりになった縮刷版でありますけれども、この中に附帯決議等がございますけれども、身分変更が行われるようなことがないという意味での配置転換を行わないという意味の決議があるのであります。行革に当たって、公務員の身分、それから生活がかかっておりますから首切り、そういうふうなことがあったんでは、私どもとして納得いたしかねる結果が出てまいります。  あわせて端的に承りますが、その二つの点について長官のお考えはいかがでございますか。
  190. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調におきまして、委員の皆さんがいろいろな問題をみずから提起されてどういう御判断を最終的にお示しになりますか、これは委員の皆様方にお決めいただくのが適当であると思います。われわれとしては、できるだけ自由にフリーハンドを持って判断をしていただくようにすることがわれわれの努めではないかと思っております。  それから、国会の附帯決議につきましては、政党間でいろいろ御論議願いましてお決めいただくのが適当で、そのお決めいただいたことをわれわれは誠実に遵守したいと思っております。
  191. 大出俊

    大出委員 いままでたび重なる行政改革というプランができまして、めったにそのとおりになったことはないのでありますけれども、その都度ずっと国会が決めてきている経過がございます。したがいまして、それに触れて、かつ長官が本委員会で述べていることに触れてお考えを聞いた、こういうことでありまして、もちろん政党間の話し合いは後刻行われるだろう、こう思っておりますが、この経過を御尊重願いたいと申し上げておきたいのであります。  そこで、第二次臨調のポイントを幾つか承っておきたいのでありますけれども、まず一つは、官業、民業という行政の守備範囲というような意味での議論が最近行われておりますが、今回の第二次臨調に当たりましても、一体どういう形のものを議論してくれといって委員の諸君に提起するのかという問題もございます。そういう点も含めまして承りたいのでありますけれども、官業、民業論、しきりにいま論ぜられておりますけれども、そういう行政の守備範囲、そこらのことのたとえば物差しを考えてもらうとか、そういう考えがあるのですか、具体的に。
  192. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調で御討議願うアイテムは委員がみずからお決め願う、こういう態度をとっておりまして、こちらからこういうアイテムについて御論議願いたいという差し出がましいことは控えたいと思っております。  ただ、想像いたしますに、現在の行政制度上の問題あるいは運営上の問題を考えますと、やはり中央と地方の関係、守備範囲であるとか、あるいは官業と民業の関係であるとか、そういうような問題もいま世の中で論ぜられておるのでありまして、やはりこういう大きな問題を委員の皆さんも無視はできないだろう、そういうふうに想像しておるところでございます。
  193. 大出俊

    大出委員 まあ今日までにも幾つもそこらの問題は議論をされておりまして、たとえば公共企業体等基本問題会議というところから意見書が出て、その意見書に対して、逆に各省でいろいろな審議会をつくりまして、審議の結果、これに対応する意見としてこういうふうにまとまったなんというようなことになってきている。今回の第二次臨調をめぐって、この官業、民業というものについての当該の組織、いろいろなところからこの問題についてのたくさんの危惧等が出てきています。したがって、いま触れたわけでありますけれども、避けて通れぬだろう、こういうお答えでございました。  そこで、次に特殊法人制度について、大平行革にもございますけれども、これは私は今度の第二次臨調では、改めて自由に論議してもらうのじゃなくて、どうせ事務局は行管がおやりになるのでしょうから、本来ならやはり出すものはずばっと出すのが筋だと思っているのですけれども、そこらのところはどう考えておられますか。
  194. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これもアイテムの一つでございまして、官業、民業の関係で出てくる問題の可能性があると思います。特殊法人の中にもいろいろな形態がございますけれども、現在の国民生活や行政運営上非常に関心を呼んでいる問題もありますし、アイテムもあると思っております。
  195. 大出俊

    大出委員 特殊法人のみならず、その次に出てくる隠れ法人と言われている認可法人、これはまことにけしからぬと私は思っているのが幾つもあります。それからさらにもう一つその先に、民法三十四条に基づく公益法人、これもまことにもってふざけたことになっている。これと直接大きなかかわり合いを持っている補助金の問題。補助金というのは、これはいろいろな補助金に対する批判がございますが、まさに大変なものです。諸悪の根源はまさに補助金という一面もある。これはとんでもないことになっていると私は実は思っているのでありますが、これだけを本当に追及する気になりますと、三日や五日やらなければならぬぐらいたくさん実は数が多いのでございますからございます。ここのところを実は第一次臨調では本当に一行ぐらいしか物を言っていないのであります。つまり特殊法人、その次に出てくる認可法人、認可法人が隠れ法人なら、その次に出てくるより悪い隠れ法人と言っていい公益法人、そしてこれらとすべて絡んでいる補助金、特に補助金、ここのところを本当ならば二年間待たずして来年の予算編成からどんどんばりばりおやり願わねば困るのですけれども、後からこれは具体的に申し上げますが、そこのところはどうお考えでございますか。
  196. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 補助金の整理はわれわれも現在心がけておりまして、今度の予算編成を通じましてできるだけ補助金を整理しようと大蔵省と打ち合わせして、いま努力しつつあるところでございます。
  197. 大出俊

    大出委員 そのほかに許認可とかいろいろございます。だがここで私は、第二次臨調でも、自由に論議してもらうなどというのではなくて、むしろ皆さんの方から取り上げて、大胆な提起をして議論してもらう必要があると思っておるのでありますが、それはこれから具体的に申し上げることにして、さて、もう一つだけ……。  なるべく機構というものは、つまり仕事というのは少なくしていかなければならない。そうすれば相関関係で最終的には人も減る、経費もそういう意味では減っていく、こういう部面が出てまいります。しかし、ここで二つばかり問題がある。逆に仕事がどんどん現実にふえてくる職場もある。こういう財政再建の時期であり、行革が中心課題、政治課題にもなる時期であるからといって、そこにオーバー労働が積み重なるというのでは全く意味がない。ここのところをどうするかというのが実は三年、五%の構想でもあったはずで、定数というものは行管が集めて持つけれども、新しく需要が起こればそこに配分していくという姿が実は今日までの姿。今回の四・二%でもそうでしょう。  だから、一例を挙げて申し上げれば、印刷局というのは、最近私行ってみようと思っているのですけれども、二億五、六千万、一つ間違うと二億七、八千万の札をよけい印刷する。長いこと職場を見ておりますから私もよく知っておりますが、札を印刷する機械等がいろいろ入っております。ところが検査というのは、女子職員が印刷したものを拾って見て検査している。手なれていますけれども、白い紙や何かが中に幾つも入っているのですから、一万円札を印刷してあけて見たら真っ白だなんて。ところがこれは物理的に手作業なんです。そうすると、印刷する札の数がふえるのだから、ふやさなければやりようがない。そういう具体的な問題についても皆さんがお考えいただかなければ困る。一例を挙げましたが、そういう一面は一体どういうふうにお考えですか。
  198. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 必要不可欠な部分はやはりふやさなければいかぬと思います。現に外務省関係で在外公館ができております。こういう外交上不可欠のものについては増員を認めて、ほかの方は減らしておりますが、ことしはたしか外務省は八十人ふやしております。あるいは国立大学あるいは学部、こういうものはどんどんできておりますが、こういう面も必要不可欠なものでもありますから、これも増員を認める。しかし、減らしていいところはまた減らしてもらう。全体の枠の操作で既定方針の枠内におさめるように、緩急自在に適切を得るように努力してまいっておるところでございます。
  199. 大出俊

    大出委員 さてそこで、特殊法人、隠れ法人、民法三十四条に基づく公益法人、ろくなことしてないのがたくさんあります。そこに政治をやる方がくっついている。最もよろしくない。  具体的に物を申し上げながら進めていきたいのでありますが、実はその前に補助金でございますけれども、これはもうどうしても、私は私流に機会あるごとに、特に予算委員会等でも具体的にやりたいと思っていることはいっぱいあるのでありますが、ここに日本経済新聞が「「五十五年行革計画」の節減効果(行管庁試算)」ということで書いている。皆さんがまとめられたもの。大きなものを持ってくるのはめんどうくさいから。ここに書いてあるが、この一番最後に「補助金の整理合理化」というのがございまして、廃止三百二十八件、千六百六十七億円ここで浮くというわけですな。皆さんの方の構想、考え方、決定はそういうことですな。違いますか、補助金は。
  200. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  201. 大出俊

    大出委員 これは佐倉さん、どうなんですか、減りましたか、補助金は。あなたの方は、ここにふえる方は書いてない。減る方だけ書いてあるけれども、三百二十八件減って千六百六十七億円ばかり廃止によって金が浮く、こうなっている。
  202. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生が先ほどおっしゃいましたその部分につきましては減っておりますけれども、ほかの部分でふえているところはございます。
  203. 大出俊

    大出委員 だからいかぬのだ。佐倉さんの答弁も少し素人っぽいけれども、もうちょっとうまく答えたらどうなの。人が笑う。  これを見ると、これが困るのですね。皆さんは閣議で決めたとか、特殊法人だって、やれこどもの国協会とか、こどもの国というのは横浜の緑区にあるのです。きょうはうちの伊藤茂代議士がそこへ行ったりしているのだけれども、それ以下幾つ統廃合しますなんと言う。ふえる方をほっぽっておいて、行管の言った方だけ減っています、そういうやり方というのをしり抜けと言うのです。それで隠れ法人はいけないなんて、つい最近できた厚生省の隠れ法人に行管から人が行っていれば世話がない。そうでしょう。後から言いますよ。  いいですか、ここにあるのは大蔵省の発表です。大蔵省が五十五年の一月末に発表した補助金の整理合理化の実績がございます。これによると、補助金、これは削減計画にもかかわらず大変にふえています。一般会計歳出全体では、廃止したものが三百二十八件、行管の計画どおり。このほかに減額したものが七百三十七件、終期を設けたもの——アメリカシステムですね。サンセット方式というのがあります。スクラップ・アンド・ビルドとかサンセットとか四つばかりありますが、サンセットというのは終期を決める、終わりはいつですよと決めるのが行革のサンセット方式ですけれども、サンセット方式があったから、終期を決めたもの六百六十七件、その他百七十四件で合計千九百六件が整理合理化の対象に取り上げられ、その金額は千六百六十七億円。これがあなたの方で書いているPR。新聞にも大きくPRしている。ふえた方は一つも言わない。減った方だけ書いてある。ところが、こうした整理合理化が行われる一方で、新規に三百二件ふえているのです。あなた方一つも書かないじゃないですか、PRに。三百二十八件閣議で減らすことになりました、減りました、片方で三百二件ふえています、何で一緒に書かない。三百二件補助金がふえた。ふえて、減額されたものもあるけれども増額されたものもある。増額されたものとふえたものを入れると、結局補助金の総額は、五十四年度の十二兆八千八百五十一億円から五十五年度の十三兆八千五百二十億円、九千六百六十九億円ふえているじゃないですか。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 どうする、行管。二年間待つのですか、長官。看板に偽りがあるじゃないですか。減らしますよ、新聞にそれしか書かないじゃないですか、あなた方の方針は。片方で三百何件もふえちゃって、増額もされていて、九千何百億もふえちゃって、それで行政改革をやりましたと、のほほんとされてはたまったものではない。八億もかけて第二臨調で済む筋合いじゃないですよ。どうする、これ。
  204. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一方において減らしましたけれども、一方においてふえて、結論において、いま御指摘のように、ふえたことは事実でありまして、大変残念なことであります。いろいろそういう結果も踏まえまして、いま大蔵大臣とも相談して、できるだけ今度は思い切って減らしていこう、そういうことで非常に決心を固めて臨もう、そう思っておるところであります。
  205. 大出俊

    大出委員 ちょっと中曽根さん、いま大蔵大臣という話が出たけれども、その大蔵大臣というのは、いまひょっと考えてみたら、渡辺美智雄君が大蔵大臣ですな。当選七回、私も七回だから、彼は同期だ。出たから言うようなことになるのだが、大蔵大臣みずからが、わざわざふやさぬでもいい補助金を百億円もふやしているのですよ。公務員は一人単価年間大体四百万ですよ。そうすると、一万人やめさせても四百億です。百億円ふやすと二千五百人分の公務員の単価に当たるのだ。公務員を二千五百人やめさせたって、経費の節約は百億ですよ。ところがぽかりと新しい補助金を百億つけちゃった。そういうことをしてはいけませんですよ。いいですか、「村づくり補助の裏の政治配慮」というふうにここにある。何ですか、これは一体。これは渡辺美智雄君です。彼は実力者だから、私は単にけなしているのじゃない。びっくりしているのだ、えらい力があるものだと思って。中曽根さんにもこれは抑えられないのじゃないかと思って心配しているのですよ。だから、念のために聞きたい。  これはどういう補助金かというと——三回名前変わっているのです。五十五年度の農林水産省の予算要求の中に、新規の補助事業で、村づくり総合推進事業百億円というのがあった。これは何かというと、前の五十四年度の農水予算の、農林漁業村落振興緊急対策事業百億円。これは同じ中身を看板塗りかえた。予算編成作業で村づくりがどう扱われるか注目していたところが——前身の村落振興はどうなっていたかというと、五十四年、渡辺美智雄いまの大蔵大臣が農林大臣になった。なっていきなりこれを持ち出して通してしまった。さすがにやり手だといって農林省官僚の皆さんからはしきりにほめられた。全国で三百二十市町村を選んで、一市町村当たり六千二百五十万円つけて、半額は地元の自治体の負担。そして、農漁村の担い手の健全な育成を目指し、住民の交流促進、健康増進、福祉の向上を図るために集会所、婦人ホーム、運動場、連絡道などをつくる、こういう性格。取ってきてやったぞと言えば自治体、市町村は喜びますよ。これが通った。さて、この裏に——これは私が言うんじゃない、朝日新聞が言っているんだ。農林漁業村落振興緊急対策事業というのがある。この配分の厚い選挙区はどこか。栃木一区五市町村、新潟二区、長野二区、千葉三区、熊本一区、いずれも四市町村指定された。栃木一区、渡辺君のところが一番。配分の少ない県、茨城、富山、石川、福井、徳島、いずれも全県で三市町村。朝日新聞五十五年三月十六日付の朝刊。この記事の後にこういうふうに書かれている。栃木一区は渡辺美智雄氏の選挙区、さきの総選挙の際、補助金交付の対象として選ばれた五市町村のうち三市町村で渡辺票が最も多かった。新潟二区は、衆議院農林水産委員会委員長だった佐藤隆氏の選挙区、長野二区は衆議院農水委の筆頭理事だった羽田さんの選挙区、山形一区は総合農政推進派の近藤鉄雄氏の、また千葉三区は同派浜田幸一氏の選挙区、とある。こういうことで百億もふんだくってはいけませんですよ。力のあること認めますよ。なかなか愛すべき人物であることも、私は同期ですから知っていますよ。だけれども、その大蔵大臣と相談をなさると言うのだから。  そこで、本当ならば今年度、五十五年度は大蔵省は削りたいのだ。ところが中曽根さんのところからおん出た彼は、片方に行ってしまったものだから功労者になってしまって、自分が農林大臣になるわけにいかないから武藤嘉文君を出して、まさか渡辺さんが、自分が農林大臣の五十四年につけたものを、五十五年に武藤嘉文さんがなっているのに削るわけにいかないというので、最後に大臣折衝で、しょうがないからつける、だけれども、幾ら何でもまた同じ名前では余りあくど過ぎるというので名前を三回変えた、そうでしょう。こういうやり方というものは、つまり決して彼の実力を疑うわけじゃない、じゃないが、これをみんな皆さんがおやりになったのでは、力のある皆さんの方の——われわれは力ないから、野党には関係ない。それをみんなやられたんじゃそこらじゅう票がみんな皆さんに行ってしまいますよ。だから今度皆さんあんなに取ってしまったんでしょう。これでは大蔵大臣と相談して補助金減らしますという一言だけで、そうでございますかと言えない。御感想承りたい、いかがですか。
  206. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 渡辺農林大臣は別に放浪しているわけではなくて、私の盟友で、いましっかり手を握って国家のために働いている同志であります。  いまの補助金の内容については、いま初めて大出さんから承りまして、私も拝聴したのでありますが、恐らくそういう行政需要が強い場所がたまたま選挙区にあったんではないか、そういうふうに拝察いたしております。しかし、いずれにせよ、要路にある者は我田引水するということは慎むべきことでありまして、私たちも大いに戒心していかなければならぬと思っております。
  207. 大出俊

    大出委員 その要路にある人の我田引水が、補助金をどんどんふやしておりまして、端的にもう一件ひとつ申し上げたい。  時の総理鈴木善幸さんが団長でおいでになったりいたしまして、私はこれはどうしても納得ができない。これは補助金です。こういう補助金の使い方、やり方、しかも隠れ法人のみならず、民法三十四条に基づく民法上の財団法人ということですべてが補助で成り立っていて、二百五十八億も金をやっている。しかもこれは慎重にひとつお答えをいただきたいんでありますが、いまの鈴木総理にかかわるプロマルサー、サン・マリン・プロダクトというんですが、会社は宝塚です。この間予算委員会で私は会計検査院の方に承った。そのときに水産庁長官も御出席おきいただきたい、こう念を押しておいた。だから、私の質問をお聞きになったはず。これだけでやめません、やがて後ほどぼつぼつ質問させていただきます、こういうふうにお断わりをしてあります。またきょうここでこれだけでやめる気もありません。きょうは機構改革というそこに焦点を当ててこの問題を御説明して、御答弁いただきたい。大変なことになっています。この融資をいたしました海外漁業協力財団、ここにパンフレットがございます。漁業協力財団、こう言うのです。農林水産関係の水産庁でしょうな、承りたいんでありますが、何年に、どういう経緯でできたんですか。
  208. 今村宣夫

    ○今村政府委員 海外漁業協力財団は、四十八年に民法法人として設立されまして、農林大臣の認可を受けたものでございます。  御高承のとおり、やがて来るであろう二百海里を踏まえまして、発展途上国を中心とします領海及び漁業水域の一方的拡大設定ということが予想されるわけでございまして、そういう事態を踏まえまして、わが国の漁業の健全な発展を図っていきますためには、やはり沿岸漁業国の漁業の開発振興に協力しながら、相互に漁業の発展を図るということが必要であろうということで、そういう基本姿勢のもとに海外漁場の確保と一体となった海外漁業協力事業を推進するという趣旨で設立されたものでございます。
  209. 大出俊

    大出委員 どういうふうにできたんですか。つまり私が言いますからお答え願います。  民法三十四条に基づく財団法人でございますね。したがって、先ほどの認可法人じゃない。だから、これには基本財産が要りますな。基本財産は政府の予算補助で一億円、これに民間から、四つばかりの漁業関係団体から資金を入れた。一億円は政府の補助金、これで基本財産の半分、それからあと日鰹連、日トロ、南米北岸、それからもう一カ所あります。四つ。正式名称は、大日本水産会、日本鰹鮪漁業協同組合連合会、日本トロール底魚協会、南米北岸底曳網漁業協会、この四つが金を持ち合って一億、政府が補助金で一億、これで海外漁業協力財団の基本財産をつくった、そういうことですな。
  210. 今村宣夫

    ○今村政府委員 先ほど申し上げましたような趣旨でこの財団が設立されたわけでございますが、政府としましても、これを積極的に支援する必要があるという判断に立ちまして、基本財産の二分の一に相当する一億円を補助することにしたわけでございます。あとの一億円は、先生先ほどお話のあったような四団体から一億円が拠出されたわけでございます。
  211. 大出俊

    大出委員 その四団体から幾らずつか。時間がありませんから私の方から言いますが、日本鰹鮪が三千九百六十万円、日トロが三千九百六十万円、それから南米北岸が千九百八十万円、もう一つが百万円、小さいですからね。これはなかなかむずがしい名前なんで、南米北岸底曳網漁業協会というのですね、これが百万円。これで一億にした。それなりのメリットがそれぞれあるからこれだけ出した。つまりその二億円が基本財産。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 後、今日まで、四十八年以来運営が行われておりますが、運営されている金は全額補助金。ちょっと申し上げましょう、時間がありませんから。設立は四十八年六月二日、間違いがあるかないかを後でお答えください。補助金は、四十八年が十億円、四十九年が二十五億円、五十年が四十億円、五十一年が四十七億円、五十二年が五十二億円、五十三年が四十五億円、五十四年が三十九億円、合計二百五十八億ぐらいになりますかな。これは全部補助金である。毎年毎年、四十億だ、四十七億だ、五十二億だ、四十五億だと、ずいぶん金をどんどん出したものだと思うのですけれども、四十八年から五十四年までですからね。二百五十八億、間違いありませんな。全額補助金ですな。しかもこれは根拠法律はありませんね。予算に書いてあるだけですね。いかがですか。
  212. 今村宣夫

    ○今村政府委員 設立年月日は間違いございません。  それから、先生のおっしゃいましたのは、国際漁業振興協力事業費の補助金のうち貸付資金の造成費でございまして、その数字も間違いございません。
  213. 大出俊

    大出委員 間違いないですな。いいですな。——はい。  さて、この二百五十八億という金はどういうふうに運営されるかというと、ここが問題ですよ。利子は三分五厘で五年間据え置き、五年据え置いて六年目から十五年で払う。だから総計二十年。利子は三分五厘、世の中じゅう駆け歩いて探したってそんな利子はないでしょう。大洋漁業のアメリ方法人にいっている九十万ドル、二億四千万円ばかりの金、これが三分五厘で五年間据え置きなんですよ。ほっぽっておけばいい。後は六年目から十五年で払う。こんなべらぼうな、ただみたいな、ばかみたいな金が通り抜けでもってそっちへいっていたとしたらえらいことになる。この三分五厘の利子、しかも五年間据え置きで六年目から向こう十五年間で払う。据え置きの五年を入れると二十年。間違いないですな。
  214. 今村宣夫

    ○今村政府委員 五年据え置きの十五年の償還でございます。利子は三分五厘でございます。
  215. 大出俊

    大出委員 こんなべらぼうな安い利子。郵便貯金がいま五十七兆あるけれども、これは大蔵省へ持っていって資金運用部に預託したら、預託利子が八分五厘ですよ。間違っちゃいけない、本当に。これは国民の金だ。しかも補助金だから。いいですか、水産庁は海外漁業協力財団にやっちゃったんだ。海外漁業協力財団が二百五十八億持っているんだ。これは毎年毎年補助金がつくたびにふえていく。だから、水産庁は願ってもこんなにいいところはない。歴代の理事長は水産庁出身じゃございませんか。一番最初はだれですか。水産庁長官をやった方じゃないの。二番目もそうでしょう。三番目の方は大場さん、いまの理事長さん、水産庁の何をやっておられた方ですか。おっしゃってください。
  216. 今村宣夫

    ○今村政府委員 現在の大場理事長は、水産庁では海洋部長をいたしておりまして、やめる前は構造改善局長をいたしておりました。
  217. 大出俊

    大出委員 初代、二代は。
  218. 今村宣夫

    ○今村政府委員 初代の藤田巌さんは水産庁長官をやっておりました。二代目の荒勝さんは、同じく水産庁長官でございました。
  219. 大出俊

    大出委員 藤田さん、荒勝さん、水産庁長官がそれぞれ就任をしているでしょう。こんなにメリットのあるところはないからですよ。しかもこれは法律も何にもない。予算書の中にぽんと一億の補助金を書いておいて、それが出ていって、四団体、水産関係団体のメリットもあるから、そっちの方の四つのところから金が出て、一億、一億で財団基金をつくった、基本財産をつくった。それで民法三十四条の財団法人ができた。称して海外協力財団。民間の金はその一億だけですよ。あとはいま申し上げたように、二百五十八億は、毎年毎年何十億もの予算書の端の方に書いている補助金ということだけですよ。何にもない。それで二百五十八億も金ができちゃう。そうでしょう。  さて、日本メキシコ漁業協力使節団という名称で鈴木善幸さん以下皆さんがメキシコに行っておられるはずですが、いつおいでになって、いつまでおられて、団長はだれで、団員はどなたでございますか。
  220. 今村宣夫

    ○今村政府委員 メキシコの大統領からの招聘によりまして、鈴木議員を団長といたしまして、荒勝理事長ほかを団員とするミッションが出かけたわけですが、期日は昭和五十年一月十二日から一月二十日まででございます。団員は、荒勝海外漁業協力財団の理事長と、水産庁から研究課の職員の課長補佐が一人随行いたしております。あと鈴木議員の秘書が二人と永谷園本舗の専務さんが御一緒をいたしておるわけでございます。
  221. 大出俊

    大出委員 日本メキシコ漁業協力視察について、期間昭和五十年一月十二日から一月二十日、目的、石油問題一般、メキシコとの友好関係促進の一環として漁業協力についての率直な意見の交換、メンバー、氏名、所属、こうありまして、団長鈴木善幸さん、いまの総理、衆議院議員、議員はただ一人。それから荒勝巖さん、海外漁業協力財団理事長、前水産庁長官、今村弘二水産庁研究課、永谷博永谷園本舗専務、材津昭吾、これは鈴木さんの秘書の方、もう一人、木村貢さんという秘書の方、これだけです。しかも十二日から二十日まで、北尾という社長が連日一緒について歩いていたと言われている。  もう一つ承っておきたいのでありますが、一体金は幾ら、いつお貸しになったのですか。私の手元にあるのをちょっと申し上げますと、「海外漁業協力財団のサン・マリーン・プロダクトに対する融資について」というので、総額六億二千万の計画のうち四億二千万貸したことになっております。そして九十万ドル、つまり二億四千万ぐらいになりますかね、大洋アメリカにいっておることになっておるわけでありますが、そこのところをちょっと答えてください。
  222. 今村宣夫

    ○今村政府委員 財団からサン・マリーン・プロダクト、これは本邦法人でございますが、そこに貸し付けられました金額は四億二千万、これは全体の事業の七〇%に当たるわけですが、五十年六月から九月までの間に三回にわたって四億二千万の融資が行われております。この金は大体同日付で第一勧銀からプロマルサへ流れております。先生のおっしゃいました九十万ドルは、大洋漁業がプロマルサに貸し付けておった貸付金の返済として、九十万ドルを返済してもらったというその数字かと存じます。
  223. 大出俊

    大出委員 金に字が書いてあったり、債権債務が書いてあったりするわけじゃないのでありまして、金の流れということになるんで、私もいろいろなものを今日まで手がけてまいりましたが、今回も実は相当詳しく調べております。ただ、いまここで申し上げるべき時期かどうかという問題もありますので、申し上げないでおくこともございます。  そこで、いまのお話をもう一遍ここではっきりさせておきたいのでありますが、融資対象施設、漁船、運搬船、船着き場、トラック、無線電話、作業場、冷蔵庫というふうなことで六億二千四十万ですか。融資条件、利率が年三分五厘で利子支払いは年二回、償還期限は五年据え置きで十五年、昭和七十年五月二十日まで。融資までの経過、融資申し込みの日時が昭和五十年二月十四日、事前の相談だと言うのですが、内諾が七カ月余前に出ているのですね。荒勝さんが七カ月以上前に内諾しているのです。そして融資決定が五十年六月十七日、融資実行日は六月二十日、七月三日、九月十九日と分かれて融資しています。契約はサン・マリーン・プロダクトと漁業協力財団の間で結ばれて、金は銀行送金の形をとってプロマルサに流れている、こういうことなんです。大洋漁業の側が認めているのは、このプロマルサから債権を九十万ドル返していただいた、同じ時期でありますが、こういうことになっているわけであります。  そこで、水産庁に承りたいのでありますが、皆さんが調べた結果は一体どういう結論になったんですか。長官、いかがでございます。
  224. 今村宣夫

    ○今村政府委員 まず融資対象施設は、漁船、運搬船、それから船着き場、トラック、無線電話、作業場、冷蔵庫、こういうことで六億二千万ということでございます。その七〇%を海外漁業協力財団が融資をいたしましたから、その融資額は四億二千万円でございます。利率及び償還期限は先生のおっしゃったとおりでございます。  それから、七カ月前に荒勝理事長が内諾を与えたということは、私の方では承知をいたしておりません。そこで私の方としましては、海外漁業協力財団からいろいろ事情を聴取いたしたわけでございますが、海外漁業協力財団からサン・マリーン・プロダクトを通じプロマルサへ金は流れております。同時にまた、書類等の整備ができておるわけでございますが、先ほど御指摘のございましたように、大洋漁業はプロマルサからつなぎ融資として貸しておった金の九十万ドルの償還をしたということを申しております。  そこで、まず第一に、その融資の目的が達成されておるかどうかということでございますが、プロマルサは五十三年にハリケーンに遭いまして、前進基地でウニをとっておりましたロザリオの施設が全壊したというふうな災害もございまして、プロマルサの事業は停止をされておるわけでございます。したがいまして、私たちは融資の目的を達成していないという判断に立ちまして、海外漁業協力財団から連帯保証人でございます大洋漁業に対しまして四億二千万円の償還の請求をいたしております。  それから、もう一つの問題の、金が流れて、それが大洋漁業の言うごとく、大洋漁業の償還に充てられたのではないかという点でございますが、この点はいろいろ金の流れでございますから非常に複雑でございまして、現在なお調査中でございます。
  225. 大出俊

    大出委員 おたくの部長さんが私のところに参りましての説明によると、いま私が申し上げた六億二千万という金を使用した領収証がそろっていると、こう言う。六億二千万という金のこの計画の、いま申し上げた漁船、運搬船、船着き場、トラック、無線電話、作業場、冷蔵庫、みんな金額が入っておりますが、これに見合う金を払って物をこしらえたり買ったりしたという領収証がそっくりそろっている、六億二千万。にもかかわらず大洋に九十万ドル行っていることも事実でございます。いかにしてこれが両立をしたかという点が不分明でございます。こういうこと。化け物みたいな話ですよ。六億二千万の領収証が全部そろっていれば九十万ドル大洋に行くことはないのです。もちろんこの二億という金は、もう一カ所別な銀行から入っている。四億二千万皆さんがお貸しになった、別な銀行から二億金が入っている。これにはわけがある。なぜならば、一言だけ触れておきます。言い過ぎにならぬ程度にしておきますが、時期は四十九年十一月、このときの会社側の記録がある。この記録によると、北尾氏、社長です。再び来日、メキシコからこっちへ来た、財団より百ないし百五十万ドル借り入れる、理事長(当時の理事長は荒勝理事長である)よりの内諾ありと報告、これを契機に北尾氏の姿勢にわかに高姿勢が目立ち始めたというところから始まる報告がある。それで大洋との関係は、借金がある方が強いので、大洋は取りたいのでずいぶん苦労したようです。  そこで、ちょうどこの融資が決まる内諾があって七カ月間というのは、まさにつぶれて雲散霧消する寸前までいっていた。何とかしてこれを維持しておかぬと融資がもらえない。しかも全くの無手勝流で、一銭もなくて融資をくれと言ったってそうはいかないというところから、二億ばかりの金をつくらざるを得ないという問題になっている。つまりある銀行がちょうど二億円の金をこのサン・マリーン・プロダクトに融資をした。つないだわけであります。そして四億借り入れるところの態勢をつくった、こういうこと。  ところで、何もかもこの領収証六億二千万がそろっていると、こう言うんだけれども、そんなものは、ロッキードのときだってシグ・片山さんという人が領収証づくり会社をやっていた。後から警察庁に承りますが、鈴木善幸さんが週刊現代の記事がけしからぬと言って週刊現代をお訴えになったけれども、しかし補助金二百五十八億もぼかぼか毎月流れていっちゃった。基本財産も一億円補助金で、そして三分五厘で。これは何も水産庁は関係ないのですよ。海外漁業協力財団がやっているのですよ、三分五厘で。そうでしょう。そういうことになっていて、早い話が、アメリカの大洋、国籍がアメリカであるアメリカ大洋、これが大赤字である。それを二億何千万か、ぼんとこの金で埋めてもらったら、据え置きなんだから五年間返さぬでも何でもいいんだから、これはこたえられぬことになりますよ。領収証なんというものはロッキードと一緒で、つくればいいんだ。しかも、お訴えになった例の週刊現代の記事は二つになっていて、一つはシグ・片山さんの関係の例の領収証づくり会社の、ゼンコー・スズキといってその重要なところに——ゼンコー・スズキさんが鈴木善幸さんかどうか、K・ハマダと一緒でこれはわかりませんけれども、そういう記事もあるのですが、そっちはお訴えにならぬで、そうでない方をお訴えになっていますが、領収証がそろっているなんということはこれは全く当てになりません。また完全にそろっているということ自体に、これは逆に問題がある。金がほかへ行っているんだから。こういう事件であります。  さて、そこで警察庁に承りたいのでありますが、私などが見ましても、新聞も書いているのですけれども、サン・マリーン・プロダクト、宝塚にある。そしてメキシコに現地法人、さっきの話のプロマルサがある。もう一つカリフォルニア半島に近い方にソルマルサという会社をつくっている。このソルマルサという会社は全くのダミー、これははっきりしている。これは賄賂だ何だやって有利な利権を取り込もうという会社をつくった。大洋アメリカは翌年までこれを検討してついに参加しなかった。大分参加しろと揺すぶられて、でなければ金を返せなんて言われて、ついにしなかった。三つあるのですけれども、そのプロマルサという真ん中の会社。これも見てごらんなさい。ある新聞だけれども、「まるでユーレイ工場疑惑つのる「プロマルサ」」砂漠の中に、足のこの辺まで入ってしまうような砂の中にぽかりと建っている。幽霊会社と書いちゃ悪いようですけれども訴えられていますから。  警察庁の方はどういう——実は新聞で見た限りは、総理の告発だから、訴えだから、ここにありますが、総理の訴えだから告訴を受理することは決めてはいるけれども、総理の告訴状なので慎重に検討したいと言って、この日は正式な受理をしなかったというのですけれども、どういうことになっているのですか、この告訴のどこがポイントなんですか、ちょっと説明してください。
  226. 漆間英治

    ○漆間説明員 お尋ねの件につきましては、鈴木総理の代理人から警視庁に対しまして週刊現代の編集人と担当記者、計三名を被告訴人とする告訴状が十一月七日に警視庁に提出されました。翌十一月八日に警視庁の方で告訴人側から事情聴取の上、告訴意思を確認して、これを受理いたしております。
  227. 大出俊

    大出委員 これは不思議なことだらけなんです、私がずっと当たってきた限りでは。全くえたいが知れぬようなことだらけなんです。  そこで、皆さんが受理なさるということになるとすれば、その間事情聴取その他をなさったんだと思うのですけれども、何かそこに不思議なポイントでもあったのですか、いかがでございますか。それならば、今後これをどういうふうに、直接お調べにならなければおかしいのだろうと思うのですけれども、どうなんでございますか。
  228. 漆間英治

    ○漆間説明員 ただいま申し上げました告訴は名誉棄損罪の告訴でございます。したがいまして、親告罪でございますから、告訴人から犯罪事実がお示しがあって、しかもそれについて犯人を処罰してもらいたいという意思表示があれば、当然警察はこれを受理して処理することになるわけでございます。
  229. 大出俊

    大出委員 それじゃこれからお調べになる、こういうことでいいんですな。受理したというだけじゃないんですね、これからお調べになるというわけですな。
  230. 漆間英治

    ○漆間説明員 告訴状を受理した以上は速やかにこれを処理するということは当然刑訴法に書いてございますので、その手続に従って処理いたします。
  231. 大出俊

    大出委員 いろいろございますが、きょうは機構について、具体的に申し上げないとなかなか皆さん真剣になっていただけないから、これはまた総理がおいでになったり関係者がおいでになるところで御質問申し上げる機会はいずれございますから、途中までいま申し上げたわけであります。  中曽根長官に申し上げたいのでありますが、こんなに、国民の税金ですよ、この二百五十八億という金は。毎年、やれ二十何億、三十何億、四十何億、五十何億と、どこどこ補助金が出ていって、これはどこでも審議してないですね。私も予算委員会におりますが、予算委員会がふざけていると言われたって、そんなべらぼうな補助金の数、ひとつ後で大蔵省に聞きますが、幾らあるかわからない、こんなべらぼうなものを調べようがないです。ぽかり予算補助でこう書いておかれたんじゃわからないんです。神様でもわからない。どういうふうにいたしますか。その前に、中曽根さんといま申し上げましたが、一遍大蔵省に聞いてみましょう。  ここに「補助金便覧」というのがある。これは五十五年なんですよ。一般会計補助、特別会計補助、その他の補助、補助金等という法律前提がついている。だから、会計検査院にも一言言うておかなければいかぬのだけれども、補助金等で補助金がついていれば立入検査できるんだ。これは単に補助金というが、補助金などというのは負担金もあれば、何というのですか四つばかり枠がございますけれども、一体これは幾つあるのですか、五十五年の補助金総計は。一つずつにこれはこういう補助でとみんな書いてあるけれども、総計を書いてないです、不親切ですね。これは調べようと思えば、私が何日もかかって一々当たって調べなければわからない。幾つあるの一体。ひとつ念のために言ってください。
  232. 吉野良彦

    ○吉野(良)政府委員 御指摘のいわゆる補助金等の件数でございますが、この御指摘ございました「補助金便覧」に掲げてございます補助金の数は、これは区分が非常にまちまちな点がございます。そこで昨年度、補助金整理計画を設定をいたします際に、政府部内におきましていわゆる補助金等の件数の数え方につきまして調整をいたしました結果、現在のところ昭和五十五年度におきましては三千七百七件の補助金等があるということになってございます。
  233. 大出俊

    大出委員 三千七百七件。ここに五十二年の補助金等を計算したのがある。一生懸命端から計算したのです。二千六百二十三件。三千七百七件。これまたふえたものですな、これは。まさに一般会計の三分の一は補助金なんですよ。しかも、さっき渡辺さんの例を挙げたけれども、いままた総理の例を挙げたけれども、こういうふうに使われていたんじゃ国民は泣くにも泣けませんよ、中曽根さん。まともなものもないわけじゃない、それは認めないわけじゃない。ないけれども、こういう使われ方をしていたんじゃ。しかも何かなければぼくらが気がつかないようなところに入れられていたんじゃ調べようもなければ何のしようもないじゃないですか。行政管理庁が補助金をと、さっききれいなことをおっしゃった。しかし、私が申し上げたように片っ方で三百二十八件減ったら片っ方で三百二件ふえていて、結果的に十二兆八千八百五十一億が十三兆八千五百二十億にふえて、九千六百六十九億もふえている。それでいて片っ方で、やれ一兆円の、ちょうど一兆円ですよふえたのは。公債を一兆円減らすの、ちょうちんのどころじゃないですよ。ばかばかしい、本当に。何やってるんだ一体。こんなものを放任できますか。二年先にするのですか、いかがですか、長官
  234. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五十五年行革によりまして、約三千八百のうち四分の一をまず減らしていこう、こういうことで、十二月の予算編成にかけて、いま減らすように努力しているところでございます。
  235. 大出俊

    大出委員 それは長官だけを責めても仕方がありませんが、さて、そこで各省にばっと聞きたいのでありますが、ずっとお答えをいただきたいのです。  実は、これは全部補助金で、二つばかりは国民年金の還元資金がございますが、似たようなことをこんなにたくさんの省で競合してやっているというのは感心しない。これも中心は補助金。中央行政のばらばらレジャー施設です。  労働省が勤労青少年ホーム、働く婦人の家、これをやっておられますね。このほかに労働省は、勤労者いこいの村、野外趣味活動施設、勤労者福祉センター、勤労者体育施設、農村教養文化体育施設、これは方々にどんどんつくっているのですが、どのくらいの規模でどういうふうにつくっているのですか、ちょっと御説明願いたい。これは労働省。  それから文部省は、公立青年の家、公立少年自然の家。私が、これは一体何事か、ひとつ中身を、予算その他を全部持ってきてくれと言ったところが、いや先生それは違います、公立じゃありません、国立です。いや、そんなことはない、公立だ。いや国立です。さんざんやりとりをしたのですが、持ってこられたのを見たら、私の申し上げたとおり公立なんですね。やっている人がわからない。困ったものだと思うのですがね。  それから農林水産省、さっきのやつは抜きますが、緑の村整備事業、似たようなものです。  環境庁が、国民休養地、国民保養温泉地。それに厚生省から移管された、これは補助金じゃありませんが、国民宿舎、国民保養センター、こういうことですね。これは一体どういうものなんですか。  各省こんなに分かれておりますけれども、一体、これは本当に似たようなことをおやりになっているんですな。実は、もう時間がないから余りあれしておられませんのでちょっと申し上げておきますと、どういうことかというと、環境庁がおやりになっている国民休養地、国民保養温泉地というのは何かといいますと、国民保養温泉地の方からいいますと、全国に二千三十三カ所の温泉がある。そのうち六十九カ所指定をして、そして毎年やれ三千七百万とか、やれ二億六千九百万ですかというふうに予算をつけていく、補助金をずっとつけていく、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年というふうに。そうすると何をつくるかというと、六十九の指定されたところで園地、芝生や何かの庭ですよ。それから歩道、これは遊歩道、散歩道です。駐車場、車道、それから温泉館、温泉プール、こういうものをどんどんつくる。その六十九カ所を指定をだんだんふやしてやっているのですよ。いまにどこまで指定するかわからない、二千三十三カ所も温泉があるんだから。それで、言うことによると、四万温泉みたいな、高崎から中之条に入っていくあの山の中だとか、上田のところの丸子だとかあるいは九州の湯布院だとかいう温泉を指定する。これみんな政治家がその中に一つずつ顔を出しているということになると、私は穏やかじゃないのです。どんどんふやしていくんでしょう。そうすると、どういう理由なんだと言えば、熱海とか箱根湯本というところは、やれヌードスタジオだとかやれ芸者だとか、こういうことになると言う。そういう温泉にしちゃぐあいが悪いから、環境庁は自然環境を守る立場なんだから、補助金を出してそういう温泉にしないようにしているんですと言う。そうでしょう。  ところが、先ほどもう一つ申し上げましたお年寄りの何とかホーム、国民保養センター、それから厚生省のこれを見ると、できるだけ温泉地などというところを選びなさいとなっている。片っ方も温泉地で片っ方も温泉地、みんなかみ合っちゃってて同じものばかりやっている。どうもこういうのをこのままほうっておけるかなという気がまじめな話私はするので、ちょっと答えてください。
  236. 野見山眞之

    ○野見山説明員 勤労青少年ホーム及び働く婦人の家につきましては、補助金といたしまして設置する市町村に補助をするという内容でございまして、勤労青少年ホームは中小企業に働く勤労青少年のための各種相談施設ということで、これまで四百四十六カ所。それから働く婦人の家につきましては、勤労婦人に対していろいろな相談及び講習、実習等を行うために、これまで累計百二十二カ所つくっております。  それから、後にお話しのございました勤労者いこいの村あるいは勤労者野外活動施設、勤労者福祉センター等は、雇用保険法に基づきまして雇用促進事業団が設置、運営する勤労者福祉施設でございまして、これは出資の形をとっております。いこいの村、野外活動施設等につきましては昭和四十八年度に発足をして、いこいの村は二十八カ所、野外活動施設につきましては八十カ所。その他体育施設等については四十三年度ないし五十年度から発足して、事業団が設置いたしまして関係市町村が運営をしておるという形をとっております。
  237. 瓜生瑛

    ○瓜生説明員 いまお話しがございました農林水産省関係の緑の村整備事業につきましては、これは農村地域の持ちます豊かな自然環境の保全及び活用を通じまして観光農業の組織化を図る。これを通じまして就業機会の増大、農家経済の安定向上を図るということが一面ございますとともに、都市生活者に対して農村の自然環境及び農業に親しんでもらって、これに対する理解を深める機会を提供することを目的とする事業でございます。この事業につきましては、事業の面的規模であるとか目的というような点をいろいろ検討いたしますと、農村地域農業構造改善事業という事業がございますがこの事業と共通する面が少なくございませんので、事業種類の簡素化を図りますとともに、こうした観光農業対策についても構造政策的な側面を一層強化する、こういう考え方に立ちまして五十五年度には農村地域農業構造改善事業と整理統合いたしまして、この構造政策の位置づけの中でこうした観光的な農業、就業機会の増大、所得の拡大というようなものも図ってまいるという形の整理をいたしております。
  238. 大野昂

    ○大野説明員 お答えします。  環境庁の関係では、地域指定の関係で二件ございます。それから宿泊施設で二件ございます。  国民休養地でございますが、これは都市住民が身近な緑と触れ合うことによりまして自然保護思想を培うための拠点として、都市近郊の都道府県立自然公園の中に昭和四十八年から公共的利用施設を整備してまいっているものでございます。現在三十二カ所指定しております。  それから、もう一つの地域指定は、国民保養温泉地の関係でございます。これは温泉法の規定に基づきまして温泉の公共的利用の増進を図る、そういうことを目的といたしまして昭和二十九年に最初の地域指定が行われて、その公共的利用施設の整備につきましては三十四年度から予算が補助されるようになっておりまして、そして温泉本来の効用を生かした温泉地づくりを目指して今日まで来ております。現在全国に六十九カ所を指定してございます。なお、この整備費予算につきましては、五十五年度は一時休止ということになっております。  それから、単独施設でございますが、国民宿舎、これは自然公園等のすぐれた自然環境の中の公共的宿泊休養施設として、広く国民一般に低廉で健全な利用施設を提供して、国民生活の福祉の向上と健康の増進を図ることを目的としております。この目的を達成するために昭和三十一年から設置されまして、これは年金積立金還元融資が受けられるということになっておりまして、現在全国に三百四十五カ所設置されております。広く国民に利用されて親しまれているところでございます。  それからもう一つが、国民保養センターでございます。これもやはり立地は国民宿舎と同様に、自然公園等のすぐれた自然環境の中で地域住民等の家族連れを中心にした気軽な、この場合は日帰りの利用施設ということでございます。昭和四十二年に創設された制度でございまして、現在全国に七十六カ所設置しております。この施設の建設につきましては、同様に年金積立金還元融資を受けることができるようになっております。  以上でございます。
  239. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  青年の家、少年自然の家は、青少年を自然に親しませるということのために団体宿泊訓練を通じまして規律、協同、友愛、奉仕の精神を涵養したい、そしてそのために心身ともに健全な青少年の育成を図るというのが一つのタイプでございます。それからもう一つのタイプといたしましては、都市におきます青年の日常生活に即して交友と研さんの場を提供いたしまして、青年の研修、団体活動の助長を図るという二つの種類がございます。それで、御承知のとおり、これは社会教育施設として位置づけられておりますが、最近の青少年は団体訓練の機会がございませんので、この団体訓練をする社会教育施設としてつくってきたわけでございます。  それで、文部省といたしましては、青年の家につきましては昭和三十年以来、それから少年自然の家につきましては昭和四十五年以来補助をいたしております。現在、青年の家は全国で四百五十八ほどございます。そして少年自然の家が百三十六ございます。このうち文部省が補助いたしましてつくりましたのが、青年の家の関係が二百三十九、それから少年自然の家が百ということになっております。  いま申し上げましたような状況でございますが、先ほどちょっとお話がございました国立の施設ということで何かトラブルがあったようでございますが、これは実は国立の青年の家及び国立少年自然の家がそれぞれできておりまして、ほかに都道府県あるいは市のつくるこういう施設があるものですから、それを多分混同したのではないかと思います。一応国立につきましては全国的な規模でございます。それから地方公共団体のそれぞれの区域でやる施設というようにしております。
  240. 成島健次

    ○成島説明員 老人休養ホーム制度は、昭和三十八年に老人福祉法が制定されまして、老人福祉に対する関心が高まるに伴いまして、各地方公共団体から、老人が温泉地ですとか休養地などで休養できる施設建設の要望が強まりました。これに対処するために昭和四十年度に本制度を創設しております。年金積立金還元融資による建設資金の融資を行っております。昭和五十四年十月現在で全国で約七十カ所設置されております。
  241. 大出俊

    大出委員 どうも済みません。時間がかかりましたが、皆さんに少し聞いていただいて御判断をいただきたいという気もあって、答えていただきました。  補助金というものは一つずつ調べていきますと、係がありまして、補助金一つを落としますと、係長がいなくなったり係がなくなったりする、そういう補助金がたくさんある。そうすると、目的や背景が違いますけれども、これは似たようなものがたくさんあるのですから、これは全部中曽根さんがおっしゃっている、それぞれが仕事なんですね。そうすると、仕事がある限りは人を置かなければならぬのです。つまり職があるんだから、その職に人を配置しなければならぬ。つまり仕事がなくなれば、その係の係長がなくなる、係員がいなくなる、こうなるのですね。そうすると、かくのごとく各省がそれぞれ競合して温泉地なんというようなことになると、いろいろなものが重なっている。それから緑の村式の村というのもそうです。それにはそれぞれみんな係があって、担当者がいてということになっていている。これはいま一例を挙げているのですが、これだけじゃない。至るところにこの種の行政の重複。みんなが割り切ればもう少し簡素な行政機構でやれるものがたくさんある。  さて問題は、今度は金の面で言えば、私は行革というものは、やはり金を生み出していいと思っている。一つも悪くない。ただし、公務員が年間四百万の一人単価だとすれば、二万人やめたって物理的に八百億しか金は浮かない。そうすると、いま申し上げたこの補助だけで軽く一千億を超してしまうのです。これだけの金を生み出すのには二万五、六千人の公務員がやめなければ出てこない金です。つまりそういうように至るところ至るところなっている。それでいて片一方では、やれ赤字国債が出過ぎているから一兆円減らすとかなんとかばかみたいなことを言っている。話にも何にもならぬということになると私は思うのです。こういう財政事情なんだからというので大変な税金を取るというなら、その前に少しがまんしてくれということだってあり得るわけですから、二年先まで何も待つことはない。なぜやらぬかと実は言いたいわけであります。後で中曽根さんにあわせて答えていただきます。  もう一つここで承っておきたいのは、特殊法人と財政投融資という問題。財政投融資はすでに破産をしている。逆ざや現象が至るところに起こっていて、郵便貯金五十七兆、正確に申し上げますと、私も郵政の出身ですが十一月十日現在で申し上げますと、郵便貯金は五十七兆五千七百六十七億円であります。そうしてこれは大蔵省の資金運用部に預託利子八・五%で預託されております。これが現在です。  ここで問題になりますのは、さて一体この財政投融資と通称言われている資金運用部資金の特別会計、これは五十三年に二百六十九億円の赤字になった。五十四年度は二百八億円の赤字となった。しかも全国の預金者が返してくれといったら一遍でつぶれちゃう、崩壊をしている。こんりんざい返らないところの国鉄なら国鉄に九千億も融資をしているのですから。石油公団もそうです。石油公団は会計検査院に指摘事項でぽかり指摘をされて、私どもがずいぶん言ったって聞かなかったが、とうとう幾つか整理をしたら金は返ってこない。どうしようもない。しかも至るところで一般会計から埋めている。住宅公団なんというものは全くそうだ。利子補給を補助金でやっているのです。補助金の総額もここにありますけれども。  そこで、つまりこの財政投融資の投資対象はどこになっているかといえば、そのほとんどが特殊法人ですよ。だから、大蔵省にまず聞きたいのだが、いまの財政投融資の運営方法で特殊法人に貸した結果、あわせて見たときに、行革の立場から言うならば、特殊法人全体をもう一遍根本的に見直し、洗い直し、たたくものはたたき、削るものは削り、なくすものはなくさなければならない。あわせて、大蔵省の戦後の悪弊にも近い最近の財投の運用の仕方をこれまた根本的に変えなければならぬ。財投は十四兆何がしだ。だから財投が十五兆の国債を全部引き受ければ市中には国債はなくなってしまう。それだけの金がある。しかも八分五厘で、使い残し、使い残しでやたらな使い残しもできちゃうものだから、それは高利運用できない。できないから低利運用、六分ぐらいの運用になってしまうから、八分五厘で逆ざやが出る。赤字になってしまう。回収の方法はないから一般会計で埋める。それならこれは国民の税金の負担だ。不公平の最たるものだ。これを一体どう考えるか。これはこの行政改革のきわめて大きな中心点だ。これをやらないで行政改革なんてできませんよ。  ところで、大蔵省はこの財投の今日的状況、この赤字、数字的におっしゃっていただきたい。それと理由も。
  242. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 いま御指摘の点でございますが、財政投融資の実行状況につきましては、金融情勢であるとかあるいは景気情勢等に左右されやすい面があるわけでございますけれども、計画策定後のいろいろな変化によりまして、計画と実績に相違することがございます。五十四年度におきましては確かに二兆九千億の繰り越しと七千二百億円の不用を生じておるわけでございますけれども、その繰り越しの大部分は地方公共団体関係によるものでございまして、これは地方公共団体の支払いが翌年の四、五月期に来るというふうな技術的な理由によるものでございます。  不用につきましては、特に輸出入銀行等に多いわけでございますけれども、これらにつきましては相手国による事情、計画変更などある程度やむを得ない面もございますが、私どもといたしましては、十分その点につきましては注意しながらやっていきたいと思っております。  ただ、財政投融資につきましては、最近資源エネルギー関係でありますとかあるいは中小企業、住宅などいろんな資金需要も多うございます。また国債引き受けの要請なども強うございまして、これら全体をよく見きわめました上で、財投機関の事業内容等の見直しも行いまして、一層重点的効率的な運用になるように十分配意してまいりたい、こう思っております。
  243. 大出俊

    大出委員 わずかな質問で環境庁さん、労働省さん初め先ほど私お願いいたしました皆さんをお呼びしまして恐縮でございましたが、補助金というものを一遍、あるいはそれにつながる機構というものになるので考えていただきたいというつもりでお招きをいたしました。皆さんに対する質問は終わらせていただきますので、御退席いただきたいと存じます。  いま御答弁をいただきましたが、納得いたしかねることだらけでありまして、具体的に指摘をいたします。  私、ここに持っておりますのは大蔵省の資料です。いま主として地方財政の関係だとおっしゃいますが、そうじゃありません。五十二年、五十三年、五十四年と三つございます。真ん中の五十三年の例をとりますと、これはさんざん悪口を書かれてあわてて翌年はやり方を変えていますけれども、住宅公団などをながめましても、五十三年の住宅公団というのは二兆二千三百十億ですか、これが二兆一千六百二十九億繰り越しで千七百六十億不用額ですね。使い切れない、建ててないんだから。無理して、強引に買ったりすると片っ端から入らざる住宅、建てても流末処理その他が行われていなくて、人を入れようがない住宅、これは予算委員会でもあんなに指摘されたでしょう。一体住宅公団、何をやっているのかさっぱりわからぬ。あれだけ建ててみんな空。しかも、建てたのは大変単価が高いんだが、流末処理もほったらかして建てたものだから、下水処理ができないから入れない。そんなものだらけ。二月の予算委員会でもさんざんつかれてどうしようもないでしょう。だから、住宅公団なんていうのはべらぼうな投融資が入っているんだけれどもべらぼうに残ってしまっている。二兆一千六百二十九億円。千七百六十億不用額がある。これは運用しているんだから翌年回しでいいんじゃないんですよ。  こちらの例もそうですね。これは石油なんかもそうですね。大変にひどいもので、石油公団もまる残りと言ってもいい残り方であります。八百九億という当初計画を立てて、前年度繰り越し等を入れて九百七億ばかりにした。ところが二百億翌年度繰り越しで二百五十億不用額。これが五十三年。それから五十四年もやはり百三十四億不用額。どっち向いても、いまの説明だけじゃありません、地方公共団体だけじゃない、つまり貸している公団の状況がそういうことになっている。だから私は、住宅公団なんかでも全然方向を変えて、昭和三十年にできたんだけれども、一体これからどういう運用をしたらいいかということまで含めた根本的な再検討が必要だろうと思っている。  中曽根さんに少し承りたいのですが、この種のべらぼうな投融資が入っていてべらぼうに残っている、べらぼうに繰り越されている。とにかく一割以上も残っている。こういう形では、これは私はその特殊法人自体に問題がある、そう見ているんですが、後から細かく申し上げますけれども、このあたり長官行革という立場から見る特殊法人、どういうふうにお考えでございますか。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま大出さんがお示しになりました補助金の実態あるいは財政投融資の問題は一これは一つの片りんを示したのではないか、同じような性格のものが各所にあるのではないかと、実は憂えをともにしておる次第でございます。  それで、やはり補助金につきましても、根源は国民の大事な税金を使わせていただいておるわけでありますし、財投にいたしましても国民の大事な貯金を使わせていただいておるわけでございまして、あだやおろそかで使うべきものではございません。いま自然休養村とか自然休養林とか温泉とか、いろいろな問題を御指摘になりましたけれども、ずいぶんだぶっていそうなものもありますし、あるいは簡素に統合してよさそうなものもございます。これはみんなある意味においては役所のなわ張りとか勢力争いとかあるいは政党政治の弊が出てきている面があるのではないか、自戒しなければならぬと思った次第でございます。  このような補助金の問題や財投の問題は、現時点においてもわれわれはこれから精力的に努力してまいりますが、特に財投の問題などは、恐らく第二臨調の大きな問題としてある程度メスを入れなければならぬ問題だろう、そのように感じております。
  245. 大出俊

    大出委員 中曽根さん、時間もなくなってまいりましたから細かく申し上げている暇がありませんので、結論から先に言いますと、財投というのは本当に前向きに全部当たり直してみて、私も長いこといろいろなことを手がけてきておりますが、実は十七、八残したらいいのではないかと思っているくらいなんです。十七、八といいますと、国鉄、電電公社、住宅公団、ただし住宅公団というのは市街地再開発式のことを考えていかないと、私の足元の近くに新しく市街地再開発をされて公団が土地を買いましたが、ああいうやり方をすれば、まさにやたら人の入る公団になってしまうと思うのです。いろいろな利権が絡んでいることも百も承知ですが、いまのやり方を放任はできない。そういう条件で住宅公団、道路公団、住宅金融公庫、国民金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、商工組合中央金庫、社会保険診療報酬支払基金、日本航空、日本放送協会、帝都高速度交通営団、日本育英会、国立劇場、原子力研究所、心身障害者福祉協会、実は私はこのくらいあればいいと思っている。あとは全部根本的に考え直してみる必要があると私は思っている。  しかも、これはひとつ承っておきたいのでありますけれども、特殊法人というものは大平行革で、今回もこどもの国協会から始まって統合だ云云だと言っておりますが、行管の立場から見て、一体この十年間でどういうことになったか。昭和四十四年度から昨年まで十年計算をして、特殊法人の数の上の推移はどうなっていますか。
  246. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 昭和四十二年度末に百十三、それが順次百九、四十四年度百十、四十五年度百十二、四十六年度百十二、四十七年度百十三、四十八年度百十二、四十九年度百十二、あと五十年、五十一年度が百十三でございますが、五十二年度、五十三年度、五十四年度末は百十一でございます。五十五年度、十一月十三日現在数は百九でございます。
  247. 大出俊

    大出委員 そういう言い方をするからわからないので、昭和四十四年からの十年間ということになりますと五十四年まで、いまの御答弁のように昭和四十四年百十、これは私も経験しているのですが、十年間で十三法人が廃止または改組されて、十四法人が逆に新設されたのです。十三廃止されたのだが、十四できたのですよ。だから、昭和四十四年の百十が百十一になった、そういう言い方をするからいかぬので、財政投融資の資金もそうなんだが、きちっきちっと返しておりますと、こう答える。書類をもらうと返しているのだ。ところが返した途端に新しく借りているのだ。借りては返して、だからきちっきちっと返しておりますと答える。紙に書いて持ってきてくれ、持ってくる、なるほど返している。何年に返しました、ちゃんと約束を守りましたと、ちゃんと書いてある。うそばっかり、一々借りかえているわけです。借りかえて、新しく借りたので返している。借りっぱなしで延々と続いているのです。これが特殊法人に対する財投の持ち込み方ですよ。しかも財投の一割以上が残ってしまって、ここに十法人挙げたのがありますが、ほとんどみんな一割以上残ってしまっているのですよ。中には三割、三分の一残っている年がある。財投が十四兆を超える、約十五兆の中で五兆円残ってしまう。これでは運営できませんよ。  しかも利子補給という形の補助金、これを見てごらんなさい。ちょっと念のために申し上げておきますが、財政投融資対象機関の多くには、財投計画を通ずる有償資金のほかに資金コストを低減させるために多額の補助金が一般会計から支出されていることである。五十四年度予算で見ると、たとえば国鉄に対し六千億円のほか住宅金融公庫千三百億円、住宅公団八百億円、農林漁業金融公庫八百億円、道路公団六百億円、これは全部補助金ですよ。これは一体何だ。資金コストを上げないための利子補給ですよ。たとえば住宅公団で言えば、家賃の上限が上がるでしょう、八百億も利子補給をしている、それで上げないでいる。そうすると、八百億というのはどこから出た。一般会計なんだから国民の税金でしょう。厳密に言ったら、住宅公団を利用しない一般の国民が住宅公団の家賃を抑えるために八百億円金をつぎ込んだことになる。そうでしょう。住宅金融公庫もそうです。いまシェアでいけば市中金融をどんどん食っていっている。これは利子補給しているからですよ。そうでしょう。安く借りられるのだからいいということにはなるけれども、その利子補給はすべて国民一般の税金ですよ。こういう大きな矛盾を抱えて、各種法人が高給をとってのほほんと生きている、放任できないでしょう。これは放任できない。  時間もなくなってまいりましたが、私はここで大蔵省にもう一遍承っておきたいのですけれども、逆ざやという現象がそこらに大変大きく起こっているのですが、それをあなた方どう見ておられますか。つまり預託利子は八分五厘でしょう。そして大体幾らぐらいの金利でどういうふうに貸しているのですか。お答えください。  たまたま私は環境衛生公庫の貸し付けの利子の一覧表をここに持っていますが、八分五厘というのがずいぶんたくさんある。八分五厘の預託利子で八分五厘の金利で貸しているのだからツーペイ、とんとん。そうでしょう。大蔵省資金運用部に五十七兆円の郵便貯金を入れる、短期もありますから全額じゃないけれども、運用部が運用する。それを郵政省が預けた預託利子、大蔵省から郵政省に払う利子が八分五厘ですよ。郵政省は五十七兆の国民一般の郵便貯金を大蔵省に持ち込んで、八分五厘の預託利子を持ってきて金利を払って運営している。さて、大蔵省がその資金運用部の金の運用に当たって、八割は郵便局の貯金なんだから、これの運用に当たって八分五厘で運用すれば、預託利子と運用利子が八分五厘でとんとんなんだ。そうすると、これは八分五厘がいっぱいあるけれども、どこかで逆ざや現象が起こっていれば赤字になるのはあたりまえなんだ。こういう金利の数字を挙げて、預託利子八分五厘、そして貸出金利幾らぐらいに、どういうふうに運用しているのか、一言おっしゃってください。片っ端赤字だ。これは将来黒字にならぬ。
  248. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 御指摘のとおり、大蔵省といたしましては、郵政省から八分五厘で預かりまして、運用部の特別会計は八分五厘で貸すわけでございます。ただ、その運用部の特別会計から八分五厘で借りました政府の関係機関等が貸しますときには、高いものにつきましては九・五%というふうな開発銀行の基準金利、これは民間の長プラと同じでございますけれども、それを最高にいたしまして、あと特利というのがございまして、それぞれの政策目的に従いまして、たとえば御指摘のとおり住宅金融につきましては五・五%であるとか、あるいはきめ細かにいろいろな金利がございまして、いまここで平均的な数字を申すことはできませんが、仕組みはそういう仕組みになっておるわけでございます。
  249. 大出俊

    大出委員 これは大蔵省のどなたに聞いても正確に答えられる人がいない。わからない。膨大な金をいろいろな形で貸しちゃっているからまるっきりわからない。困ったものだ。いまの環境衛生公庫なんかも金利がずいぶん違うのですよ。九・〇五のもあれば八・五のもあれば、物によってうんと違うのですね。  ところで、ここのところ特別会計自体が続けて赤字になっていますね。このままいくとますます赤字はふえるばかりですね。放任できる数字じゃない。すべて八割以上国民の郵便貯金。だから、たとえばいまここに持っている環境衛生金融公庫なんかも飲食店にべらぼうな金を貸しているのですね。もうあきれ返るような金です。千四百七十六億八千七百二十一万、千四百七十六億貸しているのですよ、環境衛生法に基づく十七団体のうちの飲食店の関係だけで。政策推進労組会議なんかこれをなくせと言うから、何だと思って見たら、バー、キャバレーに貸しているというから呼んで聞いてみたら、貸してない、こう言うのだ。バー、キャバレーじゃなくてスナックだと言うのだけれども、それはわからぬ。ここのところは調べるけれども。そこで、やっていることは何かといったら、この環衛公庫というのは何にも手足がないのだから、どういうふうに運営しているかというと、国民金融公庫に代理業務を頼んで八五%金を貸しているのだ。残り一五%はどうしているのかといったら、市中銀行に代理業務を頼んで一五%をやっている。一〇〇%、国民金融公庫と市中銀行がやっている。それなら環衛公庫はどこに必要なんですか。置いておくだけばかな話だ、そうでしょう。みんなそういう状態なんだ。要らないじゃないですか、金融公庫と市中銀行に枠を決めればいいじゃないですか。何でもないじゃないですか。それで飲食店だけで千四百七十六億八千七百二十一万円、こんなに貸している。片っ端これだ。こういうふざけたことにばかりなっているわけでありまして、放任ができない。  ここでもう一つ、例の石油公団、これがむちゃくちゃ、でたらめで、私にすれば国民の税金をかくのごとく湯水のごとく使うというのは憤慨にたえない。一遍どこかでもう少し詳しく物を言いたいと思っておりますが、きょうは時間が半端でございますから。  それで承りますが、会計検査院が五十二年に出した五十一年度決算検査報告、その中で石油公団に対して「特に掲記を要する」、つまり特に掲げて記録を要すると認めた指摘事項、これは余りにもひどい。十何年間も石油も出ないのに、穴を掘っていると言って金ばかり持っていって使っている、返さない、これは国民の税金だ、それじゃいかぬじゃないかと言って指摘したのですよ。私どもが何遍言ったってほっておいたのだ。ずいぶんひどいですね。ここに指摘している会社があります。検査院、お答えいただけるなら答えてください。どういうところがだめだと言って指摘したのか、整理しなさいと言ったのか、わかりますか。
  250. 高橋良

    高橋会計検査院説明員 現在、ちょっと手元に用意してまいっておりませんので、御勘弁願いたいと思います。
  251. 大出俊

    大出委員 こういうことなんですね。ジャペックス・カナダというところから中東石油、サバ石油開発株式会社、カタール石油、サバ海洋石油、コロンビア石油、ジルド・オーストラリア、マダガスカル石油開発株式会社、スマトラ石油、ベンガル石油、日本ギニア石油会社、ジャペックス・オーストラリア、ナイジェリア石油開発株式会社、これは公団対象会社でなくなった会社というのはどういう意味でございましょうか、資源エネルギー庁の方。
  252. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  会計検査院から五十二年の四月と五十二年の十月に御指摘を受けたものが十七ございます。このうち解散または石油公団が保有しております株式を整理をしたものが七社でございます。解散の方向で検討中のものが一社、それから新規のプロジェクトの可能性を検討中のもの三社、それから探鉱活動を実施しているもの一社、そういう内訳になっております。それで解散または石油公団が保有する株式を売却したものというのは、石油公団の対象でなくなった、こういうことでございます。
  253. 大出俊

    大出委員 五十四年度末で政府の出資金や資金運用部の資金借入額、返済額等トータルをとって、これらやめた会社、損失はどのくらいになるのですか。
  254. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  会計検査院から御指摘を受けたもの以外に、失敗をいたしましてすでに解散したものがございます。それを含めてお答え申し上げます。  公団の投融資対象プロジェクトのうち、いま申し上げましたように、解散または公団が株式処分を行ったもの、これは十三社でございます。これらに対します公団の出資額は約三百億円でございます。このうち回収額は七億五千万円でございます。それからなお、この十三社のうち一社につきましては、公団からの融資十七億五千万円が行われておったわけでございますけれども、これは全額回収済みでございます。
  255. 大出俊

    大出委員 ここに五十四年度末現在の資金運用部借入資金その他を含む——いまのお話でいけば、つぶれたところだけで三百億ばかりの中の七億返ってきただけで、あとみんな損しちゃった、こういうわけなんですが、そうですね、間違いないですね、大きな声で念を押しておきますから。十何年もかかって一生懸命掘ったらドライホール、掘ったか掘らぬかわからぬけれども。全く動かしているだけでも何とかなるんだというのだけれども、そういうことばかりやっているわけでしょう。  そこで、現在公団の傘下六十社くらいあるのでしょう。その収支決算がどのくらいになっているのですか。政府の出資金が幾らで、資金運用部の借入金が幾らで、返済額が幾らで、債務残高幾らになりますか、石油公団。
  256. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 手元の資料で先生の御質問にぴたりとした御答弁ができないかもしれませんことをお許しいただきたいと思います。  五十四年度末現在におきまして、探鉱関係での公団に対します政府の出資金の合計でございますけれども、これは四十二年度から五十四年度までの累計でございますが、約二千七百億でございます。それから資金運用部の借入金。これは残高で申しますと約六百三十億円でございます。それから現在までの石油関係企業に対します探鉱投融資でございますけれども、累計で申しますと、約四千五百億ということでございます。このうち出資として助成をいたしましたものが約二千億ちょっと、こういう形でございます。  それから、これまで公団が投融資あるいは債務保証というような形で関与いたしました企業の数というのは六十六社でございます。このうち生産中または生産準備中というものが十四社で、そのほか産油国の石油公社に直接貸したものが一社、そのほかにございます。これは生産中でございます。それから生産可能性を検討中のもの、これが七社、探鉱中のものが二十五社、それからいわゆる休眠中のものが五社でございます。そのうち三社は整理準備中、それから先ほど申し上げました解散したものが十三社ということでございます。
  257. 大出俊

    大出委員 私の方から言っておきますが、政府出資金というのは何と二千七百五億円なんですよ。これは出資金ですよ。これはどういう金かというと、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計というところから、税金の中から取るわけですよ。皆さんが払っているのです。そうしてそこから二千七百五億円出資している。全額国民の税金です。そのほかに資金運用部借入金というのが六百六十四億円ある、四十七年から五十四年まで。返済は三十億三千七百万ですね、これしか返していない。それで六十幾つになっているのだけれども、いま生産中というのを端から聞いてみたら、絶対掘るのですけれども、まだ日本に持ってくるようなところになっておりませんでというものだらけです。アブダビのジャパン石油、これだけですよ。あとは債務保証している会社だ、アラビア石油は。アブダビのこの会社、これもBP、ブリティッシュペトロリアムの利権を買ったのです。そうでしょう。あとは量を言うほどないじゃないですか。そこらのやつをアメリカにおぶさってやったところが一つ、二つあるけれども、全部入れて日本が輸入している必要な石油の量二億九千万キロリットルくらいですか、八千万キロリットルくらいに減っていますか、九%ないのです。そのためにこれだけの金をかけなければいけないのですか、実際。これはばかみたいな話ですね。それで私がぎゅうぎゅう詰めたら、いや、掘っても出ないけれども、一生懸命やっているから、その国からDDの原油を買いました、そんなばかな話がありますか。それこそ商社に任せなさい、そんなことを言うなら。そういうことに国民の税金をこんなに使う。それを行管の皆さんも、行政改革といって黙ってほっておくというなら、全く意味がない。このあたりひとつ、特殊公団を含めまして、隠れ法人、それから先ほど幾つか例に挙げました民法上の法人は一万三千から一万四千あるのですよ。みんな補助金が出ているのです。間違ってはいけないですよ。隠れ法人と言われる法人は九十幾つで、れっきとしたものを除けば四十三くらいだけれども、だから、そこらのところをひとつもう一遍聞きますが、思い切って当たり直す、そうしてわれわれがわかる形で行管が調べてみる、そしていずれしっかりしたデータを出していただいて、どこかでその結論を求める。説得力がなければいけませんからね。人がそこに勤めているのですから。そういう意味で御努力を願えますか、長官
  258. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人につきましては、いま御指摘のように千差万別で、われわれが全部把握し切れないものもかなりあるように思いますし、経営の実態自体も必ずしも適正に行われていないのではないかと疑われるものもございます。いまいろいろ御指摘の点も大いに参考になりました。われわれが今度七項目の中に「特殊法人の経営の実態等の見直し」ということを入れましたのは、そういう配慮もあって入れたのでございまして、御指導をいただきまして、厳正にこれを監察して、適正に直していきたいと思います。
  259. 大出俊

    大出委員 最後に長官、第一次臨調設置されましたときに、川島さんが行政管理庁長官でございまして、アメリカのフーバー委員会等の先例にならったわけでありますけれども、当時、これは三十七年でありますけれども、私は、総評から当時の太田議長を労働者側委員に出したわけです。労働者側というわけじゃありませんが、当時の七人の中に入れていただいたわけであります。彼は精力的にやりましたので、当時太田議長で私が筆頭副議長という時代でございまして、これは大変な臨調というものができた、専門委員の方もたくさんできて進めていくということでありますから、対応するためのセクションをわれわれもつくりましてフォローを始めた。その翌年に、私は衆議院に当選をしましたから国会に出てきた。ところが内閣委員会ですからこれをフォローせざるを得ない。そうしたらその翌年、三十九年九月に答申が出た。以来ずっとやってきたということなんでありますけれども、第一次臨調のときの経験で、総評側にいて議員じゃありませんでしたが、ずいぶん何回も何回も行管に足を運び、川島さんの時代でありますけれども、臨調でいろいろ問題になり専門委員が取り上げるというふうな問題が新聞に出ましたので、議員でない時代でも、専門委員の方でも委員の方でもあるいは所管している行管の方々でも、ずいぶん気持ちよく時間を割いて会っていただきました。それを実はずっと二年七カ月、途中で議員になったわけでありますが、組合の立場でいろいろ物を持ち込む、行管の皆さんも気持ちよく応じていただく、そして行管の皆さんが専門委員の方々に紹介を願う、そういう場面もございました。  そういう経験がございますので、今回も隔絶したことにしないで、なるべく多くの提言なり、多くの材料なり、意見なり、あるいは新聞に出ることがございましょうから、それに対する反論なり、そういうものは隔意なくひとつ聞いていくという、行管も取り組んでいくという、そうしてでき上がったものに説得力を持たせるというようにして、なるほどあれだけ内部議論もし、かつ過程でいろいろな問題を持ち込みやったんだから、その結果なんだからということになるような仕組み方を考えませんと、大変な予算を使ってやった結果がそれぞれまた血で血を洗う大闘争にでもなるなんということも感心をいたしません。そういう意味で、第二次臨調の仕組みを提案なさっていらっしゃるわけでございますが、それには個人的に賛成だと申し上げているのでありますけれども、ぜひそこらの御配慮が賜りたいと思うのでありますが、そこで長官の御答弁をいただきたいと思ます。
  260. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 太田さんが臨調委員になりまして、それから行政監理委員として引き続いて非常に精力的に勉強もなさり、またいろいろ御提言をなさったその勇気と努力には非常に敬意を表しておるところでございます。  いまお示しのように、これは超党派的に運営されるのが望ましいのでございますから、御意見は十分承り、われわれも大いに勉強もし努力もしてまいりたいと思います。
  261. 大出俊

    大出委員 どうもちょっと時間が延びて恐縮でした。
  262. 江藤隆美

    江藤委員長 小沢貞孝君。
  263. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 最近、行管で大変いろいろ監察それから勧告をしていただいた新聞記事等を見ておるわけであります。たとえばごく最近では「当たらない天気予報」こういう見出しで、予報をやっている人々に反省を促す、こういうようなことを見ております。水道料金体系の見直し、水行政のあり方、公費負担医療制度についての勧告、あるいはこれは去年でしたでしょうか、簡易保険制度のあり方に対する見直し、下取り制度を採用せよ、こういうようなことで数々の提言をされて勧告をされているわけであります。私は、一年間に十件か二十件では、最近のいろいろの行政のあり方を見直そうというには、これだけの大きな行政の全部に目を通すことはなかなかできませんが、ちょっと数が足りなくはなかろうか。行政というのはどうしてもマンネリ化していってしまう。民間であるならば、大企業は大企業なりに、あるいは中小企業は中小企業なりに毎日が反省と新しい制度への移行ということであります。ところが役所の組織はどうしても沈滞しがちで、マンネリ化しがちだと思うのですが、これは第二次臨調とは無関係に、本来の行管の任務だと思いますが、もう少し拡充強化してやっていくことがいま国民的な要望ではなかろうか、こういうように考えております。できるならば、余っているところの職員を連れてきて二年間なら二年間、そういうことを数多くやる、こういうようなことがまず必要ではなかろうか、こういうように考えます。これは後で長官、またお答えいただくならば、なお結構だと思います。  そこで、第二次臨調についてお尋ねいたしますが、先般来私は、この第二次臨調というのは隠れみのになるんではなかろうか、こういうような疑いの目をもって最初は見ておりましたが、大臣の国会の答弁その他でこれは本当にやる気だな、率直に言ってそういうように受けとめて、いろいろ哲学的なことやまくら言葉はさておいて、やはり実行の段階にある、そういう中で私は主な点が二つ三つあるのではなかろうか、こういうように考えます。  どういう点かと言うと、これも大臣等が触れられておるようですが、民間企業は大きいところであろうと小さいところであろうと、技術革新の荒波あるいは国際化の金融その他貿易の荒波をくぐってまいりました。あるいはまた石油ショック、好況、不況という経済変動の荒波をくぐってまいっておるわけであります。そして血の出るような減量経営等をやってまいりました。そういう民間の目から役所の日ごろのやり方を見ていると、大変マンネリ化して沈滞しておって、これで果たしていいだろうか、こういうのが私は一般の国民の目ではなかろうか、こういうように考えるわけであります。  特に、そういう中で、いままで行政一般、政府の機関の方についてはいろいろと行管からも先ほど申し上げたように提言があったわけですが、私は特に第二次臨調に当たって重点を置かなければならないことは、一つは官業、これは三公社五現業を含めて官業の経営のあり方を見ておると、もう民間の経営者から見れば腹が立つような実態だと思いますから、どうしてもそれに重点的にメスを加える、あるいは当然わかり切っておることならば、結論の出る前からどしどし提言していく、こういう一つ重点が必要ではないか、こう思います。  二つ目は、先ほど来私、質問を聞いておったわけですが、地方公共団体三千三百団体、これまた憲法上あるいは地方自治上見直さなければならない大変な問題だと思いますが、これは直接には第二次臨調とは関係がないことになるわけであります。やるとすれば、補助金の整理だとか許認可事務の整理だとか、あるいはまた地方に余分な負担をかけておるような法律を整理するというような、国で反省すべきものはあるけれども、地方自体が国と同じように見直さなければならない、こういうことも重点なことではないか、こう思うわけであります。これらの点について、二、三質問を進めさせていただきたいと思うわけであります。  私たち民社党は、いち早く行革についての第一次提言、第二次提言、あるいは最近に至っては四党合意の上でいろいろ提言をする等積極的にやらなければならない、こういう立場でもありますし、第二次臨調はしっかりやっていただいて、それなりの国民の期待にこたえてもらう、そして必ず実行しなければならない、こういうことで叱咤しながら、監視しながら大いに進めてまいりたい、こういうように考えておるわけであります。実は民間の労働組合、これは総評、中立、同盟等を超えて昨日も行革シンポジウムがありました。共産党を除く各党からみんなそれぞれ出て積極的ないろいろの発言やら何かあったわけですが、民間の労働組合といえどもこれについて重大関心を持っていろいろの提言をしておることは、御案内のとおりでございますから、そういう国民の声を背景にしながらひとつ第二次臨調をしっかりやっていただきたい、こういう立場から、いま申し上げた二つの点についてお尋ねをします。  まず第一に、今度のは政府の方でやることですから、地方公共団体、これはたしか昭和三十五年ごろは六十万前後の人、いろいろの学校の先生とかそういうのを除いても六十二、三万の人が、いまは百八十何万、三倍にふくれ上がっているわけですが、これには大変なむだが多いわけであります。私たちが日ごろ見ていても、たとえば清掃業務、これを役所でやっている。これは民間の委託でやったら値段がもう三分の一でできる。こういうことをだれも気づかずに平気でやっているわけであります。  だから、そういうことを含めて地方に対してどういうようにするか。法律をつくって命令するわけにはいかぬ、地方地方で自主的にやらなければいかぬ、こういうことになっているわけですが、一体地方に対して、これと同じことをやってもらうためには、具体的にはどういう手だてを経てやればいいだろうか。自治省も見えていると思いますし、長官にまずその点からお尋ねをしたい、こう思います。
  264. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は私も実は一番腐心したところでございまして、そのために自治大臣とも何回か会いましたし、あるいは知事会の代表や町村長会の代表さんともお会いをしたのでございます。しかし、国全体として一緒にやらなければ実効は上がらないし、国民の皆さん方の方から見れば、お役所といえば市役所も県庁もあるいは政府の出先機関もお役所なんでありますから、別に区別はないと考えておられると思うのです。そういうような面から、いかにしてこの地方の公共団体に御協力を願うか、いろいろ苦労しました。自治省の方も地方の自治権を守ろう、そういう責任もございますから、そういう面でいろいろ苦心もしておったところでございますが、大体定員管理等につきましては、いままでも自治省から何回か通達も出し、あるいは閣議決定等においても、地方も中央にならって努力する、そういうようなことも決められたこともございますけれども、実効性あらしむる方法を今度は考えなければならぬ、そう思いまして、自治省とも相談をして、三千何百あるような市町村、みんな千差万別でございますが、何かやる基準をつくりまして、そうしてその具体的基準を地方にお示しして、それを参考にしておのおのが自主的にやっていただく。その結果を自治省に報告してもらう。それをわれわれは通報を受ける。そういうような形で、実際実効性を担保する方法もひとつ考えてみたい。そう思っておるところであります。
  265. 田中暁

    田中(暁)説明員 御承知のとおり、地方公共団体は自治権を持っておりますので、みずからの努力において行政改革を進めるということが基本であると存じておるわけでございます。ただ、最近の地方公共団体を取り巻きます厳しい社会、経済情勢にかんがみまして、自治省といたしましても本年の一月、事務、事業の見直し、それから行政機構の簡素合理化、定員管理の適正化、こういつたことを中心にいたしまして、こういうことを計画的に推進して行財政運営の適正化、簡素効率化の実現にいま以上の一層の努力をされるように強く要請したところでございます。今後とも各地方公共団体におきます行政改革の実施状況を踏まえながら適切な指導を行ってまいりたい、かように存じておるところでございます。
  266. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣から基準を示して、その結果を報告してもらうということは結構だと思いますが、せっかく国においても第二次臨調でしっかり取り組んでやっていこうという決意を示しておるわけですから、やはり府県単位ぐらいに、各県の市町村と一緒になって国における臨調式のものを自主的につくってもらって、これも二年も三年もかかっていては何にもなりませんから、地方公共団体だったら府県単位につくってもらうならば、これは一年か一年半ぐらいで——これは町村軒並みやるわけにいきませんが、ひな形は同じですから大体のことはわかるわけです。あとは県。こういうものを地方の中につくってもらう。  これは、中央が一年や二年ならば、地方だったら一年半ぐらいにすれば、中央地方結論が出てくるし、中央における許認可事務とか法律を廃止すべきものはすべきものという進行もわかる。そういうことになったならば、それに対応する地方はどういうことをやっていったらいいかという、これは中央地方一体になってやっていかなければなかなか実効は上がらないのではないか、こういうように考えるわけです。そのやってもらい方がなかなかむずかしいと思うのですが、その辺をどうにか工夫をしてやっていったらいかがでしょうか。
  267. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それも一案であると思いますので、参考にさせていただきたいと思いますが、われわれもいろいろ実態を調べてみますと、たとえば静岡県とかあるいは岡山県とか広島県とかそういう県ではかなり自主的にいろいろ創意工夫でやっております。あるいは豊橋市とかその他の市におきましても創意工夫で自主的にやっておるところもございます。そういうようなすでに一生懸命やっておる先例等も示し合って、そうしてお互いが切磋琢磨していくというやり方も一つの方法であると思います。県を見ますと、おっしゃるような臨調的な委員会をつくりましてその答申を得てやっておるところもあるのです。静岡県なんかやはりそういうことをやっておりました。  これは結局県の主体性に基づいてお考え願うということになると思いますが、大事なことは、やはり自治省がその中心の軸を握って、そうして各公共団体が自主的にどんどんやるように督励もし、また実績の報告も受ける、そういう中心の指導力が大事じゃないか、そういうふうに思いまして、自治省ともよく相談してみたいと思っておるところです。
  268. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 地方公共団体における行政簡素化の問題については、ひとつ自治省とも十分連絡の上、万全を期していただくように特に要望申し上げておきます。  私のきょうの質問は、第二次臨調の中にありますように、官業と民業のあり方、特に民間の活力を生かしていく、できるならば民間にできることは任せたい、こういう一つの強い方向を私は持っております。そしてまたそれができない場合にも、経営のあり方はやはり産業人のような経営でもって官業のあり方というものを根本的に見直してもらいたい、こういう願望を込めながら、具体的に私は関係各省庁並びに行政管理庁に質問をしてまいりたいと思います。  その前に一つお尋ねしたいことは、これは長官にお尋ねしますが、行政機関の審議会の中に立法府の国会議員が入っている、これは矛盾じゃないか、そういうものを整理をしろ、こういうのがきのうのシンポジウムでも出てまいりました。調べてみると、いま国会議員が入っておるのは、北海道開発審議会とか国土審議会とか鉄道建設審議会、その他地方制度調査会、選挙制度審議会等々があるわけです。これは一回やはりそういう声に応じて見直してみる必要がある。国会議員が入っているがためにかえって赤字線をつくらなければならないみたいなことをやっていて、大局から見ると害がある面も出ておるわけです。この問題は、長官、どうでしょう。
  269. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は第一次臨調答申の中にもございまして、国会議員は国会で論議する権限もあり場所もあるのであるから、何もそんな審議会なんかに入る必要はないじゃないか、かえって民間人に任して、国会議員は独自の立場で国会で論じた方がよろしい、そういう議論と答申がなされております。  ただ、これは国会の内部において各党でそういうお話を願う筋のものでありまして、われわれの方からとやかく言う筋のものではございませんので、これはわれわれはわが党を通じまして、また各党の皆さんとも御相談して、その問題は決着をつけたらいいと思っております。
  270. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっとこの資料を配ってもらいたい。——まず、大蔵省あるいは専売公社にお尋ねをしたいわけですが、私はこれはことしの春の予算委員会でも提起した問題であります。  なぜ大蔵省に一番先にお尋ねをするかというと、大蔵省は安易な増税、そういうものをやらなければ財政再建はできないという、これはとらわれた立場のようにすら見えるわけです。しかし、私たちは、行政の簡素化、行革をやることによって大変に財政再建に役立つ、こういう目でもっていままでやっているのを改めて見直さなければならない、こういう立場から、もうわずかなことですが、二、三具体的に予算委員会でも提起しました。  一番最初お尋ねをしたいのは、そこに一覧表を差し上げましたが、一番下から造幣局病院、印刷局病院、専売公社病院、この経営がまるでもう赤字のたれ流し、これを改革しようとする意思がないということであります。  大蔵省自体の足元でこういうことですから、たとえば造幣局の病院は、病院数が三、ベッド数六十、職員五十七、一点単価は六円なんですよ。一般のものは、健康保険その他一点単価十円です。それをわざわざ六円にして、そして収入が三千七百万であるにもかかわらず、支出が三億四千百万、赤字は三億なんです。これは一番下は造幣局ですか、造幣局の方は来ていますか。−こういうものをことしの春から提起しているが、どういう改善をしているか。これだけの赤字のものは切り離せばいい、独立して。これは職域病院みたいになっているから、自分のところの職場の者しかかかれない。そうするとかかる人がなくなってしまう。だからいよいよもっていいお医者さんが来ない。なおかからぬ。そうしてこれだけの、収入三千七百万に対して三億四千百万。ことしは四千四百万に対して三億六千四百万。こういうものを持っていて、大衆に増税だなんていうことが言えるか。私たちは全く憤激してしまうわけです。大蔵省及び造幣、印刷局……。
  271. 名本公洲

    ○名本説明員 大蔵省で所管いたしております造幣局、印刷局の病院の収支率の問題につきましては、先生御指摘のとおり、本年春予算委員会において御指摘をいただきまして、この収支差額の改善の問題及びこれを地域医療機関として開放の問題等についても前向きに検討いたさなければならないというふうに当時の竹下大臣からもお答え申し上げたところでございますが、私ども事務当局といたしましては、早速検討を開始いたしておりまして、五十五年度に入りまして、一点単価につきましても、職員につきましては六円から八円に引き上げるというような措置もすでに講じており、とりあえずそれをやりまして、さらに造幣、印刷当局におきまして、おのおのの病院経営の改善のためにプロジェクトチームをつくってもらいまして、具体的にこの収支関係を改善するのにはどういう措置をとるべきかということを現在検討をいたしているところでございます。  その一つの方法としましては、地域医療のことも考えまして、一般開放ということも考えていかなければなりません。ただ、造幣局病院は三病院で六十床、一病院当たり二十床ということになっておりますので、そういう面については、仮に一般開放をいたしましてもなかなかむずかしいという問題もございますが、一般開放できる部面につきましては、これは地域の医師会等のなかなかむずかしい問題もございますけれども、そちらの方へたびたび足も運んでもらいまして、そういう方向で対処するように現在鋭意検討をし、かつ、できるころから手をつけてやっているという状況でございます。
  272. 田中泰助

    田中(泰)説明員 ただいま大蔵省の名本審議官からも御答弁申し上げましたように、先生の御質問がありましたことしの春以降、ことしの四月からでございますけれども、まず診療単価の引き上げ、造幣局職員及び家族につきましては一点当たり六円を八円に、それから関係官署の職員及び家族につきましては一点当たり八円を九円に引き上げを行っております。  それから、社団法人共済組合連盟と申します、現業、非現業の国家公務員の共済組合の連盟でございますけれども、それに加盟している組合につきましては、相互に乗り入れと申しますか、二十八の共済組合と診療契約を締結いたしまして、診療の数の増加を図っております。  三番目といたしまして、人件費を含めまして経費節減対策を実施しておりまして、五十五年度につきましては人員五名を削減いたしております。  このような努力を重ねておりまして、今後とも合理化を推進するために最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  273. 山本六男

    山本説明員 印刷局としまして、先ほど名本審議官及び造幣局の支局長から答弁もありましたが、先生からことしの春御指摘いただいた点を十分に反省いたしつつ、現在、検討委員会を設けて、病院の改善を図っていきたいということで鋭意検討中でございます。  診療単価の引き上げにつきましては、当面職員につきましては六円を八円に、それから診療契約の締結の相手先を増加するということで、東京都職員共済組合と診療契約の締結をいたしました。その他、先ほどの造幣局と同様の共済組合との診療契約の増加というものを図ることに努力しておりますが、検討委員会で相当一生懸命やって、できるだけ赤字を消していくという方向で現在努力しておる次第でございます。
  274. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 率直に言って、これはなくちゃいけないですか。三千万ばかりの収入で三億の支出をかけて病院を置いておかなければ従業員の健康上まずいのですか。付近には幾らでも病院ができているのだから。自分のいままで持っていたものはどうしても持っていなければならぬというその役人根性がいかぬ。これはやめさせてしまうか、独立させればひとつも首切りにならぬし、民間に売れば民間はちゃんと経営をしていく。そういう何とか検討委員会にかけてと言うが、一般の保険は一点単価十円ですよ。それを六円という単価を今度は八円に上げるとか、家族の単価は八円を九円に上げるとか、そんなことをやっていてはだれからも納得を得られないんじゃないですか。  大蔵省どうですか。こういうことからまずやっていかなければいかぬのではないか。これを独立させてしまうとか、あるいは施設そのものを売り払ってしまう。その方が早いし、そうしても職員はちっとも困りはせぬ。ろくな医者がいないから行かぬ、だれも診てもらいに行かないのだからいよいよもってそこは赤字がふえて人件費を支払っているだけ、こういう現象はだれが見てもわかりそうなものだ。どうですか、大蔵省。
  275. 名本公洲

    ○名本説明員 造幣、印刷各病院とも職域病院といたしまして職員の厚生のために設けられたものでございまして、それなりの歴史があるわけでございますが、御指摘のように、収支差というのは特に造幣におきまして著しい差が出ております。したがいまして、ただいま造幣、印刷各当局において検討をしてもらっておりますけれども、二十床の病院というのは最低の病院でございます。そういう病院として存続することの可否を含めまして、現在当局において検討をしてもらっております。印刷局病院の方は、百五十床を抱える規模の病院でございますが、これをたとえば一般に開放した場合にどういう収支が見込めるか、それによる経営改善ということが可能ではなかろうかということも考えられます。  そういう先生のただいまの御指摘にありましたような点も含めまして、現在、印刷局、造幣局におきましてプロジェクトチームを組んで鋭意検討をしているところでございます。もうしばらくお時間をかしていただきたい、かように存じます。
  276. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これはもうやめてしまうあるいは民間に売り払ってしまう、そしてそこでちゃんと一般の民間の人も診療をする、治療をするということをやりさえすれば、ちゃんとりっぱに黒字にしていけますよ。その表の一番上にある国家公務員の共済組合、たとえば虎の門病院等はこのようにちゃんとりっぱに黒字で、一点単価十円でやっているわけなんだ。それをいままで一点単価六円でやって赤字が出るようになって、だからろくな医者は集まらぬ。だれが考えたってこれではだれもそこへ行かないですよ。こんなものはいますぐやめるかどうかしなければ国民の批判に耐えられないのではないか。大蔵省は増税とかを言う前に、足元のこういうことをまず改善していくべきではないでしょうか。いま大臣がいないからあれなんだが、これは行管はどうでしょう。
  277. 中庄二

    ○中政府委員 先生御指摘の事項は、私どもの方でも注目しておりまして、近く監察をする予定にしておりまして、いま立案中でございますが、この結論をどういう方へ持っていくのか、どういう感じで見るのかということをいま検討中でございます。
  278. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 次に、専売公社にお尋ねしますが、専売公社の経営のあり方については過去いろいろな提言があったと思います。公務員制度審議会等の提言を含めて過去に検討された主な提言について、どういうことがあったかお答えをいただきたいと思います。
  279. 石井忠順

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  専売公社の経営形態と申しますか、そういったことにつきましては、公社ができましたのは二十四年の六月でございますけれども、自来何回かいろいろな機会に御審議、御答申が行われております。  一番最近の機会では、公共企業体等基本問題会議という審議機関におきまして審議が行われまして、その答申によりますと、たばこ事業については長期的な観点から言えばむしろ民営に移してしかるべきではないのか、ただその前提にはいろいろ検討すべき問題があるので、いろいろな角度からさらに慎重に議論をされてしかるべきだということがたばこ事業についての答申でございます。  それから、塩事業につきましては、お塩というものは代替性のない、国民生活に不可欠の物資でございますので、日本の塩産業の自立というものを早い機会に実現をするように、そうした上に立って塩専売のあり方というものを考えるべきではないか、大体そういったような御答申であったように記憶いたしております。
  280. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは私は大臣にお尋ねをしたいと思うわけです。たばこを民営にするというような問題は、それなりの理由があってずいぶん論議をされてきておりました。私、その経過はずっと拝見をしてきているんだが、ただ、公共企業体等関係閣僚協議会の専門委員会等においては、民営ないし民営に準じた経営に変更をする場合は争議権を認め、そうでない場合は認められない、専売公社の経営形態については民営に移行すべしという意見等、経営形態の変更を検討することが必要であるとの意見が大勢を占めた、こういうように言われているわけです。  それで、私はやはりたばこについては大変な問題がある。小売店の既得権等をそのまま存続させる、あるいは耕作者に対する生産費の補償制度というものはそのまま続けていく、こういうような条件を付しながら、製造その他のシステムは民間に移行した方が能率が上がるのではないか、政府及び地方の消費税等を納める金額は当然確保しながらそういうことが不可能ではない、こういうように考えるわけです。  だから、私は後でいろいろ申し上げますけれども、これも一つの重要な問題だと思いますから、第二次臨調の民営か官業かというような問題を重要な議題として提起をして検討してもらえるかどうか、こういう問題ですが、どうでしょう。
  281. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 恐らく官業、民業の問題の中の大きなアイテムとしてこの問題は登場してくるのではないかと想像しております。
  282. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、冒頭に申し上げたように、民間の活力ある運営あるいは企業の形態、こういうものがいいのではなかろうか、こう思います。第二次臨調の重要な一項目として検討していただくように要望しておきます。  ただ、条件は、これは一切合財やれば大変なことですから、いままで小売店は小売店のあれを持ってやっておりました。そういうこともそのままにしてできると思います。あるいは耕作者には生産費を補償する仕組みができておりますから、そういうことも十分そのまま続けてやることができるし、国に納める税金、地方に納める税金等も確保しながらできるのではないか。たとえば沖繩に行けば沖繩独自でもって従来からたばこをちゃんとつくっているわけですから、そういう特徴あることを生かしてやっていけば、民営の方が活力があって、従来のメリットというものはそのまま残してやっていける、こういうように考えるわけで、ぜひこれは第二次臨調の重要な検討事項にのせていただくように要望しておきます。  どうしてこういうことを言うかというと、私は専売の中は余り詳しくは見たことありません。先ほど大臣のいない間に、ことしの予算委員会でも提起したように、たとえば専売公社のあの病院の経営を見たって、これでは大変なことだ、その一端がのぞけるわけであります。専売公社の病院の運営の仕方、これだけの赤字を出しながら平気で温存をしておって、何も自分から改革をしよう、こういう意図が全然あらわれておりませんから大変なむだがある、こういうように考えます。  この間お尋ねをして、専売公社から貸借対照表、決算書を見せていただいたら、資産は一兆三千九百億だ、こう聞いておるわけです。もし民営に移すというようなことがあって、数会社なりなんなりに分断してこれを移すということになれば——どうも資産については大ぜいからいろいろ言われているようです。十兆もあるのだ、いやいや十五兆も二十兆もあるのだというようにいろいろ言われています。専売公社から聞けば、とてもじゃないがそれはありませんとこう言う。これは実際評価をしてみなければわからぬと思いますが、私は、財政再建の大きな柱の一つとして、行革は必要です。これはぜひ進めなければいけない。行政費節約。もう一つの柱として、やはり貧乏したときはだれだって財産を売り食いをしてその危機を克服していくわけですから、十兆なり十五兆ある財産というものを年次でもって返還させるようにしていくならば、この財政再建の非常に大きな一助ともなる、こういうように考えます。  専売がそれに適するかどうかは検討していただかなければなりませんけれども、またたとえば、国鉄にもむだなところがあって、民間の人は欲しくて困っているけれどもちっとも売らないとか、国有林の中にも地元が欲しがっているが少しも手離さないとかいうことがあるから、やはり財政再建の一つの柱として国有財産を処分してやっていく、そういうことも一つの大きな柱にしてよかろう、私はこういうように考えます。どうでしょう。
  283. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は全く同感でありまして、今度の七項目の中にも、特殊法人の見直しと同時に国有財産の処分ということも言っておるわけでございます。渡辺大蔵大臣に対しても私から強くそれは申し上げておるところであります。
  284. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、次に国鉄にお尋ねをします。  国鉄の再建で、地方線を切って再建をしていこうという提案がなされていま審議中でありますが、あれだけの大騒ぎをしてこれから二年間かけてやっていって赤字解消八百億だ、こういうように言われているのですが、八百億の解消になるだけですか。
  285. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の件につきましては正確な数字はちょっと持ち合わせておりませんが、地方ローカル線によりまして発生いたします赤字額は、決算上は大体約三千億と承知しております。その中で、今回まだ確定はいたしておりませんが、法案その他で御議論いただいている面につきましては約八百億と承知しております。
  286. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これもいまそこへ表を差し上げてありますが、たとえば春以来病院を独立にしたらどうだ、こういう提案をしているわけです。それで二百五十億近く浮くわけでしょう。これはどうしても切り離せない理由があるわけですか。自分で持っていなければならない特段の理由があるのですか。これはさっきの大蔵省とちっとも変わりませんよ。だれもかかりに行かないから患者は少ない、患者が少ないから医者もいい医者が集まらぬ、いよいよもってだれも行かぬ、だから赤字は雪だるま式だから、これは独立して売却をして、これも重要な収入になりますから、民間でやっていきたいという人に売るのでもよろしい、どういう方法でもいい、あるいは独立採算で赤字は出しても自分でやっていけという分離の仕方でもいいわけです。直ちに二百五十億浮くでしょうが。
  287. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  鉄道病院の経営につきまして種々問題のあることは、もう先生の御指摘のとおりでございます。五十五年度の見込みで約二百三、四十億の収入不足といいますか、赤字を生ずることは御指摘のとおりでございます。ただ、私どもの病院といたしましては、御承知のとおり、国鉄業務の安定的遂行と申しますか、特に夜間とか不規則業務とか重労務とか、そういった現業職員が安心して勤務ができるというために、この鉄道病院が明治四十年以来設けられておるわけでございますが、現在一年間に延べ約百万人の職員の健康管理、特に運転関係に従事いたしております職員が数多くございますので、これの定期的な健康診断というものは不可欠でございまして、そういう者を含めまして約百万人の健康診断を行っております。それから職員、家族を含めてでございますが、年間四百五十万人に及びます患者の診療を行いまして、職員と家族の健康維持に努めておるという実態でございまして、病院そのものの維持は、私どもといたしましては必要ではないかと実は考えておるわけでございます。  ただ、運営につきまして、収支の問題その他いま御指摘のような問題があることは十分承知しておりまして、現在これを抜本的に整理統合するという案を考えまして、すでに関係の労働組合にも提案をしてございまして、できるだけ早い機会にこれを実施に移していきたい。そういうことを行いまして、お医者さんを初め関係職員の合理化、それと病院の重点的整備と申しますか整備を行いまして、遠からず収支その他もとんとんになるように改善をいたしていきたい。あわせて地域社会との交流と申しますか、国鉄職員とか家族のみならず、一般の方々にも利用していただけるような病院にしていきたいということで、現在関係の医師会なり関係官庁とも御相談をいたしまして着々準備を進めているところでございまして、病院そのものの存否についての御指摘がございましたけれども、この点につきましては十分効率化、合理化を行いながらぜひ国鉄で維持していきたいと考えております。
  288. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ一点単価は、いま七円だか八円のを十円にすることもしていますか。
  289. 川野政史

    ○川野説明員 申し落としました。  単価の御指摘も一いただいておりましたが、これはすでに年内に八円に上げるように決定をいたしております。現在七円でございますが、一円上げまして八円にするように決定いたしております。
  290. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 局長国家公務員の共済病院は十円でやってちゃんと黒字を出しているのですよ。これだけの赤字を抱えていながら、どうして七円を八円に上げるようなことでやめておかなきゃいけないのですか。地方線を切って犠牲をみんな地方におっかぶせようという時期なんですよ。経営がこのまま成り立つかどうかわからぬというときに、何でそんな程度のことしかできませんか。これは国鉄の職員に直接的な負担にはなるわけじゃないでしょう、すぐには。共済の関係があるでしょうけれども。これはやはりここなりに独立してちゃんと採算がとれるようなことをどうして考えないのですか。
  291. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  御指摘のような問題があることは私ども十分承知いたしておりますが、単価の問題は、もう御承知のとおり、共済組合が支払いをいたしますけれども、共済組合の短期経理、健康保険に該当する経理も非常に苦しい経営をいたしておりまして、すでに私のところ、過去数年にわたりまして連続値上げということで、御指摘のような問題につきましては、若干時間をいただきまして、順次改善していきたいと思っております。
  292. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは押し問答をやっていても仕方ないのだけれども、あれだけの国民に犠牲をかけて再建をしようといって地方線を切ろうということでしょう。そういうときに内部の、これだけの、二百五十億の赤字ですよ。それを黒字にする方法は幾らでもできると思う。国家公務員は単価十円でちゃんとやって黒字を出しているんじゃないですか。そんな企業努力さえできないわけですか。  それじゃ続いて聞くけれども、これはたとえば鉄道労働——労働組合からさえ提起されているんだが、三千人いる公安職員、これを何で国鉄でやらなきゃいけないのですか。公安の職員はやはり警察庁に移管をして、その人が今度は指導的な役割りを果たして、そうしてやっていけば、これは三千人いるわけですから、ちょっと私が計算してみても、一人五百万から六百万要るわけでしょう。その他の経費を合わせれば二百億ですよ。国鉄がそれをどうしても自分でやっていかなければいけないというのは、過去の、明治時代の遺物をいままでずっと固執しているわけです。これは自治省に頼んでやれば経費はほかから出て、そして公安の仕事を特別自治省にやってもらう、いままでいた人がその中において指導的な役割りを果たしてもらう、そうすればいきなり二百億ないし二百五十億になると私は思うのだけれども、これだって浮くわけでしょうが。これはどうしてできないわけですか。
  293. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  公安職員は、現在御指摘のとおり約三千人おります。これに要する経費はほとんどが人件費でございまして、一人頭の単価をいかほどに計算するかでございますが、私ども大体四百万程度かと思いますが、百二、三十億かと思っております。  この公安職員制度は、昭和二十四年、公社発足のときに発足をいたしまして、昭和二十五年に法律ができまして現在のような司法警察職員に準ずるような捜査権なりが与えられたという経緯でございまして、その間の事情は、当時といまとではさほど変化はないと思っておりますが、何が何でも抱えておくんだという意味ではございませんけれども、お客様の安全とかサービスとか、特に多客期の問題、それから御承知のとおり鉄道妨害でございますとかあるいは車内におきます刑事犯、暴行犯とかそういった問題につきまして、私どもといたしましてはかなり利用者の方々のお役に立っておるというふうに判断しております。  何が何でも持っていくんだという趣旨では決してございませんけれども、公安官制度がつくられた趣旨から考えまして、国鉄の本来の業務の一端ではないかというふうに考えておるわけでございまして、これを移管すればよろしいじゃないかという御意見ございますが、現在のところでは、国鉄としてお客様のサービスなり鉄道犯罪の防止なりそういった面でどうしても必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  294. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは、あればそれにこしたことはないわけです。しかし、その機能を警察に頼んで——いまいる三千人では、完全にやろうとすればこれは完全に足りませんよ。だから不十分なんです。だから、せっかくのその三千人は警察へ行って指導的な役割りを果たして、いままでの機能以上のことを果たさせるように警察庁と話してみたことが大体ありますか。いきなり二百億ないし二百五十億は浮くのですよ。経営という立場から見たら、自分でそんなものを負担するよりは警察にやってもらった方がありがたいから、とうの昔から警察に頼む頼むとやるのが経営としてのあたりまえの立場じゃないのですか。過去そういう交渉をしましたか、警察と。
  295. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  御趣旨のような点で過去に交渉なり折衝したことはございません。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、現在の根拠になっております法律の内容なり趣旨から申し上げまして、警察と緊密なる連絡をとりながら協力関係を持ちながらやれ、こういったことが趣旨になっておりますので、移管とかそういった種の折衝をしたことは実はございません。
  296. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 国鉄の経営のみずからの中からはそういうことを考えようという体質が出てこないと私は思うのです。民間の経営だったらもうとうの昔にそういうことは、何かこれだけの安全なり保安のことをほかでやってくれる、警察が幾らでもいるのだから、そっちへ頼んでやってもらった方がいいじゃないか。もうイロハのイの字で考えることさえ一回もやったことないというのですから、私は、国鉄は経営能力なし、こう見る。本当になしなんです。そうしておいて地方線の赤字だけは切っていこうみたいな、みずからやっていないのです。  あと、具体的にこれは行管長官に聞きたいと思うのですが、そのほかに行管で勧告を受けた、切符を自分のところでつくっている。私もこれを聞いてびっくり仰天をしちゃったわけですが、国鉄の中に印刷所を持って、まあ古い人が多いようですから。いいですか、年間六百万ですよ。年間六百万ということは、分単価——民間で企業をやるときの単価は分単価で、あの部品や何かつくるところへ行くと、どうもあすこの経営者は一分単価十五円しか出さない、いや、私の方は十六円出してくれる、こうやって部品をつくっているのです。ですから、そういう計算でいくと、おたくの印刷に従事している人は一分間単価五十円。いいですか、一分間単価五十円のものが、一番安い切符は幾らですか。入場券だか何か、八十円か、いま百円かね。どのくらいかかっていると思いますか。経営者としてそういうことを検討してみたことありますか。これは行管で勧告をしているはずです。行管の方からどういう勧告をしたか、ごく大ざっぱでいい。  それと、駅の無人化。これだって、汽車が夜中に一本か二本通るためにわざわざ人を置いてあるわけですよ。これだって要らないという勧告を受けているはずですから、もっと無人化を進めろ。  印刷のこと、幾つも幾つも細かいことは提起されていますけれども、私、異様に感じたことはその二点であります。行管からどういう勧告をしたか、ごく概略のことでいいです。そして国鉄からは、その勧告に基づいてどういうことをやったか。
  297. 中庄二

    ○中政府委員 手元に十分資料ございませんが、先生御指摘のような、印刷工場の件でございますが、外部への委託について勧告をしたようでございますが、詳細、いま手持ちいたしておりません。
  298. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の、行政管理庁からいただきました勧告は、昭和五十三年の十一月にいただいておりまして、内容は、簡単に申し上げますと、「業務委託の活用による要員合理化は更に拡大の余地が残されているので、一層推進することが必要である。」こういう趣旨であったと思います。  この勧告をいただきます以前から実はこういう趣旨で私どもやっておったのでございますが、特に、いま御指摘の小駅の無人化なり委託の問題についてでございますが、昭和五十四年度末現在で全駅数が五千百八十五ございます。このうちの四四%に当たります二千二百九十三駅を無人化ないしは全面委託を行っております。この問題は御承知のとおり、地元の利用者の皆様方からは余り歓迎されない問題でございますが、その辺をよく御相談をいたしながら、私どもとしては過去十数年にわたりまして委託と無人化という問題を進めてまいりまして、現在、ようやくただいま申し上げました四四%に達したということでございます。これは今後とも利用者へのサービスなりあるいは運転保安という問題が実はございますが、その辺の制約も考慮いたしながら、なお御趣旨のとおり進めてまいりたいと思っております。  それから、御指摘のありました乗車券の印刷でございますが、この問題につきましては、御指摘のような問題があることは事実でございます。現在、自動券売機の拡充に力を入れておりまして、御承知のとおり自動券売機は機械の中で印刷をいたしますので、当然印刷所で印制する必要はないわけでございますが、自動機械化を進めることがまず一番大きな基本であろうかと思っておりまして、それに伴いまして印刷所の業務量はどんどん減少してまいるし、縮小してまいる。しかも、御指摘のような外注といいますか、民間の力をお借りして委託するという問題は、すでに昭和四十四年に乗車券以外は全部外注してまいりました。その後、乗車券につきましても、私ども軟券と称しております定期券とか回数券とかの薄くやわらかい乗車券でございますが、現在、こういうものを重点に鋭意外注を進めておりまして、残りました印刷所につきましては、職員の減耗等を勘案しながら逐次縮小合理化してまいりたいと思っておりまして、現在その努力を続けておるところでございます。  なお御参考までに、昭和三十年には千二百人ぐらいおりました職員が、現在では約五百人に減少いたしておりまして、効率化と合理化には一生懸命努力してまいっておるところでございます。
  299. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 一々反論しておったのでは時間がないのですが、それを民間に委託するとか——私鉄で自分で印刷しておるところがどこかあるでしょうか。そんなことをやっておる経営感覚に対しては私はあきれ果てております。自分で切符を印刷してやっておるということを聞いて私は本当にショックだった。そういうことを国鉄は平気でいつまででも続けられておる。こういう経営感覚のなさが赤字を出してしまったわけですよ。あの行管の勧告だって、あの改善だけでたしか年間で二十億とか四十億という金額が浮くとわざわざ書いてあったはずだと思うのです。まあこれ以上やってもいけませんが、そういうことを国民の期待にこたえるように速やかにやっていかなければ、私は経営者としての感覚がないと思うのです。  そういう意味から言うと、保線、これをどうして国鉄の職員がやらなければいかぬか。新幹線でさえ委託請負でやっているわけでしょう。だから、在来線なんか当然できるはずです。二万何千人も従事しているのじゃないですか。私は職員の首には全然関係ないと思うのです。年間二万人もやめていくのだから、そういうこととは全然関係なくできることなのだ。  工機部がある。これもこの間党内で話をしたら、それはそうだ、あの工機部をどうしてみんな民間と契約をしないかということだった。これも二、三万人いる。民間の複雑な石油化学の工場でも何でも、メンテナンスなんというのはみんな外注でやらしているのですから、どうしてそういう方法でやっていかないか。大体ここでできる修繕の原価計算というものをしたことがないと思うのですよ。  これ以上やっていても時間が長くなっていけないですから、長官、これを第二次臨調にかけてその結果を待つなんてことは言っていられない、国鉄は瀕死の状態にあると思うのです。あの法案が通ったってだめですよ。いまも答弁があったように八百億浮くだけだ。私がいま申し上げたことをやって、公安職員をぜひ警察でやってくれないか、これは具体的にすぐにもあっせんをやれば、私は身分とかそういうことに全然関係なく、警察の中へ入って指導的な役割りを果たして業務を教えながら、従来以上のことを浮き浮きとしてやれるような職員になれると思う。それで二百五十億浮くのですよ。病院をみんな独立させたら二百五十億浮くのですよ。印刷所で四十億、それから保線業務やそういうものをみんな民間契約にしていく方向をたどっていくなら、ことしすぐというわけにはまいらぬけれども、いま地方の赤字線を切っているぐらいの八百億や一千億はすぐ浮くのです。私がきょう経営者になれと言われたらすぐそれをやります。  行管長官、これだけ国鉄問題で騒いでいる中で、これは第二次臨調で論議してもらう、そしてこういうことが改善できないなら、国鉄そのものを民営にしたらどうだろうかということを論議してもらってもいいのですけれども、長官が間に入って、たとえば公安職員の問題はどうだろうかと、これは二百五十億浮く話ですから具体的に進めてもらわなければ、再建整備法が通っても再建整備はできぬ。本体の経営能力がないのですから、経営をしていこうという感覚がないのですから、これは当面すぐにもやっていただかなければならぬ問題ではないか、こう思います。長官、どうでしょう。
  300. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おっしゃるように経営意識の問題のように私も思います。いろいろ御指摘の点は、今後とも改善するようにわれわれの方も側面からやりたいと思います。
  301. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは郵政の郵便の配達あるいはまた保険業務、貯金、あるいは私がずっと前から提起しておる電電公社の電報、これは二万何千人も置いて、実際の電報の機能を果たしているのは一割何分しかなくて、あとは冠婚葬祭の慶弔電報だけです。こういうものを廃止すれば一千二百億浮くのですよ。そういうものを浮かして大いに財政再建に役立たしてもらわなければならぬ。  これは郵政事業しかり、電電公社の事業しかり、いま私が申し上げた大蔵省関係あるいは運輸省関係の現業の中に大変むだが多過ぎる。民間人から見たら、よくぞこのようなことをやっているものだという経営の状態ではないかと思いますから、どうぞ第二次臨調の中でやるべきものはすぐやってもらいたい。第二次臨調の中で一番大きなウエートとしてこの問題をやる。民間人を大いに活用してもらって、委員あるいは専門委員等に民間人が入ってくれば、真っ先に指摘するのはこういうことだと思います。ぜひ積極的にやっていただきたい、こういうことを長官に要望しておきます。長官、どうでしょう。
  302. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘の問題は、第二次臨調を待つまでもなく経営のイロハの問題だろうと私は思います。したがいまして、臨調を待つまでもなく、われわれは側面から改善するように努力したいと思っております。
  303. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会