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1980-11-11 第93回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十一日(火曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    粕谷  茂君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    笹山 登生君       田名部匡省君    田村  元君       竹中 修一君    宮崎 茂一君       上原 康助君    角屋堅次郎君       矢山 有作君    渡部 行雄君       市川 雄一君    榊  利夫君       中島 武敏君    河野 洋平君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         行政管理庁長官         官房審議官   林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         防衛庁長官官房         長       夏目 晴雄君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         食糧庁次長   小野 重和君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   塚本 政雄君         大蔵省理財局資         金第一課長   亀井 敬之君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 山口 健治君         農林水産大臣官         房参事官    蜂巣 賢一君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     地崎宇三郎君   大原 一三君     笹山 登生君   粕谷  茂君     八田 貞義君   川崎 二郎君     友納 武人君   木野 晴夫君     中尾 栄一君 同日  辞任         補欠選任   地崎宇三郎君     上草 義輝君   友納 武人君     川崎 二郎君   中尾 栄一君     木野 晴夫君   八田 貞義君     粕谷  茂君     ――――――――――――― 十一月七日  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第六号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第九号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二六号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二七号) 同月六日  同和対策の充実に関する請願塩崎潤紹介)  (第九五五号)  外地派遣軍属処遇改善に関する請願有馬  元治紹介)(第九五六号)  同(武藤嘉文紹介)(第九五七号)  同(山中貞則紹介)(第九五八号)  同(渡海元三郎紹介)(第九五九号)  同(上村千一郎紹介)(第九九四号)  同(横山利秋紹介)(第九九五号)  同(久保三郎紹介)(第一〇七四号)  在外財産補償法的措置に関する請願有馬元  治君紹介)(第九六〇号)  同外一件(木部佳昭紹介)(第九六一号)  同(谷洋一紹介)(第九六二号)  同(河本敏夫君紹介)(第一〇三六号)  同(戸井田三郎紹介)(第一〇三七号)  同(勝間田清一紹介)(第一〇七五号)  同(北川石松紹介)(第一〇七六号)  同(小林恒人紹介)(第一〇七七号)  同(三枝三郎紹介)(第一〇七八号)  同(塩谷一夫君紹介)(第一〇七九号)  同(玉城栄一紹介)(第一〇八〇号)  同外一件(永田亮一紹介)(第一〇八一号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一〇八二号)  徴兵制復活反対等に関する請願野口幸一君紹  介)(第九八九号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願上草義  輝君紹介)(第九九〇号)  同(大塚雄司紹介)(第九九一号)  同(近岡理一郎紹介)(第九九二号)  同(与謝野馨紹介)(第九九三号)  旧満州航空株式会社従業員恩給法による外国  特殊機関職員として指定に関する請願足立篤  郎君紹介)(第一〇三四号)  旧中華航空株式会社従業員恩給法による外国  特殊機関職員として指定に関する請願関谷勝  嗣君紹介)(第一〇三五号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願足立篤郎紹介)(  第一〇三八号)  同(村上勇紹介)(第一〇三九号)  同(石川要三紹介)(第一〇八三号) 同月七日  台湾残置私有財産補償に関する請願江藤隆美  君紹介)(第一一四五号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願阿部昭  吾君紹介)(第一一四六号)  同(佐藤孝行紹介)(第一一四七号)  同(中川秀直紹介)(第一一四八号)  同(松野頼三君紹介)(第一一四九号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一三一五号)  同(西岡武夫君紹介)(第一三一六号)  同(堀之内久男紹介)(第一三一七号)  国家公務員等退職手当法改悪阻止に関する請  願外二件(中西積介紹介)(第一一五〇号)  在外財産補償法的措置に関する請願木野晴  夫君紹介)(第一一五一号)  同(近藤鉄雄紹介)(第一一五二号)  同(佐野嘉吉紹介)(第一一五三号)  同外一件(砂田重民紹介)(第一一五四号)  同(中山正暉紹介)(第一一五五号)  同外一件(永田亮一紹介)(第一三二五号)  北九州財務局福岡存置に関する請願(飛鳥  田一雄紹介)(第一一五六号)  同(中西積介紹介)(第一一五七号)  中小企業専任大臣設置に関する請願井出一  太郎紹介)(第一一八八号)  同(小川平二紹介)(第一一八九号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一九〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一九一号)  同(串原義直紹介)(第一一九二号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一九三号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一九四号)  同(清水勇紹介)(第一一九五号)  同(下平正一紹介)(第一一九六号)  同(中村茂紹介)(第一一九七号)  同(羽田孜紹介)(第一一九八号)  同(宮下創平紹介)(第一一九九号)  外地派遣軍属処遇改善に関する請願大原  一三紹介)(第一三一八号)  同(野呂恭一紹介)(第一三一九号)  同(下平正一紹介)(第一三二〇号)  同(新盛辰雄紹介)(第一三二一号)  同(堀之内久男紹介)(第一三二二号)  同(渡部行雄紹介)(第一三二三号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願中西積介紹介)(第一三二四  号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願赤城宗徳紹介)(  第一三二六号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一三二七号)  同(武藤嘉文紹介)(第一三二八号)  旧中華航空株式会社従業員恩給法による外国  特殊機関職員として指定に関する請願三池信  君紹介)(第一三二九号) 同月八日  外地派遣軍属処遇改善に関する請願三原  朝雄紹介)(第一三四八号)  在外財産補償法的措置に関する請願原田憲  君紹介)(第一三四九号)  同外一件(内海英男紹介)(第一三八〇号)  同(安田貴六君紹介)(第一三八一号)  同(山崎拓紹介)(第一三八二号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一四九二号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願宇野宗佑紹介)(  第一三五〇号)  同(大原一三紹介)(第一三五一号)  同(櫻内義雄紹介)(第一三五二号)  同(谷垣專一君紹介)(第一三五三号)  同(野呂恭一紹介)(第一三五四号)  同(福島譲二紹介)(第一三五五号)  同(木野晴夫君紹介)(第一四六〇号)  同(倉成正紹介)(第一四六一号)  同(藤田義光紹介)(第一四六二号)  同(上村千一郎紹介)(第一四九四号)  同(染谷誠紹介)(第一四九五号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願松野幸  泰君紹介)(第一三七八号)  同(武藤嘉文紹介)(第一三七九号)  同(愛野興一郎紹介)(第一四一九号)  同(赤城宗徳紹介)(第一四二〇号)  同(甘利正紹介)(第一四二一号)  同(有馬元治紹介)(第一四二二号)  同(稲村利幸紹介)(第一四二三号)  同(小沢辰男紹介)(第一四二四号)  同(越智伊平紹介)(第一四二五号)  同(大野明紹介)(第一四二六号)  同(加藤常太郎紹介)(第一四二七号)  同(海部俊樹紹介)(第一四二八号)  同(金丸信紹介)(第一四二九号)  同(亀岡高夫君紹介)(第一四三〇号)  同(木村守男紹介)(第一四三一号)  同(倉成正紹介)(第一四三二号)  同(小山長規紹介)(第一四三三号)  同(河野洋平紹介)(第一四三四号)  同(國場幸昌紹介)(第一四三五号)  同(坂本三十次君紹介)(第一四三六号)  同(桜井新紹介)(第一四三七号)  同(塩崎潤紹介)(第一四三八号)  同(澁谷直藏君紹介)(第一四三九号)  同(田川誠一紹介)(第一四四〇号)  同(田島衞紹介)(第一四四一号)  同(田中角榮紹介)(第一四四二号)  同(田村良平紹介)(第一四四三号)  同(高鳥修紹介)(第一四四四号)  同(野田毅紹介)(第一四四五号)  同(古屋亨紹介)(第一四四六号)  同(保利耕輔君紹介)(第一四四七号)  同(堀之内久男紹介)(第一四四八号)  同(前田正男紹介)(第一四四九号)  同(三原朝雄紹介)(第一四五〇号)  同(毛利松平紹介)(第一四五一号)  同(森清紹介)(第一四五二号)  同(森美秀紹介)(第一四五三号)  同(森田一紹介)(第一四五四号)  同(山口夫君紹介)(第一四五五号)  同(山下徳夫君紹介)(第一四五六号)  同(依田実紹介)(第一四五七号)  同(渡部恒三紹介)(第一四五八号)  同(渡辺栄一紹介)(第一四五九号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願外一件(大出俊紹介)(第一三八  三号)  台湾残置私有財産補償に関する請願田中昭二  君紹介)(第一三八四号)  国家公務員給与法早期成立に関する請願(甘  利正君紹介)(第一四八九号)  徴兵制復活軍備拡張反対等に関する請願(井  岡大治紹介)(第一四九〇号)  同(井上一成紹介)(第一四九一号)  北九州財務局福岡存置に関する請願阿部  未喜男君紹介)(第一四九三号) 同月十日  国家公務員給与法早期成立等に関する請願  (安藤巖紹介)(第一五四一号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五四二号)  同(浦井洋紹介)(第一五四三号)  同(小沢和秋紹介)(第一五四四号)  同(金子満広紹介)(第一五四五号)  同(栗田翠紹介)(第一五四六号)  同(小林政子紹介)(第一五四七号)  同(榊利夫君紹介)(第一五四八号)  同(瀬崎博義紹介)(第一五四九号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一五五〇号)  同(辻第一君紹介)(第一五五一号)  同(寺前巖紹介)(第一五五二号)  同(中路雅弘紹介)(第一五五三号)  同(中島武敏紹介)(第一五五四号)  同(野間友一紹介)(第一五五五号)  同(林百郎君紹介)(第一五五六号)  同(東中光雄紹介)(第一五五七号)  同(不破哲三紹介)(第一五五八号)  同(藤田スミ紹介)(第一五五九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一五六〇号)  同(正森成二君紹介)(第一五六一号)  同(松本善明紹介)(第一五六二号)  同(三浦久紹介)(第一五六三号)  同(三谷秀治紹介)(第一五六四号)  同(簑輪幸代紹介)(第一五六五号)  同(村上弘紹介)(第一五六六号)  同(山原健二郎紹介)(第一五六七号)  同(四ツ谷光子紹介)(第一五六八号)  同(渡辺貢紹介)(第一五六九号)  同(上原康助紹介)(第一五七〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一五七一号)  同(矢山有作紹介)(第一五七二号)  同(山花貞夫君紹介)(第一五七三号)  同(湯山勇紹介)(第一五七四号)  同(吉原米治紹介)(第一五七五号)  憲法第九条の擁護等に関する請願三浦久君紹  介)(第一五七六号)  自主憲法制定に関する請願瀬戸山三男紹介  )(第一五七七号)  同(小此木彦三郎紹介)(第一六七四号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願小渡三  郎君紹介)(第一五七八号)  同(越智通雄紹介)(第一五七九号)  同(金子一平紹介)(第一五八〇号)  同(木下敬之助紹介)(第一五八一号)  同(木村武千代紹介)(第一五八二号)  同(坂田道太紹介)(第一五八三号)  同(白川勝彦紹介)(第一五八四号)  同(泰道三八君紹介)(第一五八五号)  同(谷川和穗紹介)(第一五八六号)  同(八田貞義紹介)(第一五八七号)  同(平沼赳夫君紹介)(第一五八八号)  同(藤本孝雄紹介)(第一五八九号)  同(三原朝雄紹介)(第一五九〇号)  同(宮崎茂一紹介)(第一五九一号)  同(安田貴六君紹介)(第一五九二号)  同(渡辺朗紹介)(第一五九三号)  同(今井勇紹介)(第一五九四号)  同(木村俊夫君紹介)(第一六六九号)  同(根本龍太郎紹介)(第一六七〇号)  国家公務員等退職手当法改悪阻止に関する請  願(上原康助紹介)(第一五九五号)  同(部谷孝之紹介)(第一五九六号)  同(青山丘紹介)(第一六九〇号)  同(和田一仁紹介)(第一六九一号)  同(和田耕作紹介)(第一六九二号)  在外財産補償法的措置に関する請願小沢一  郎君紹介)(第一五九七号)  同(中村正三郎紹介)(第一五九八号)  同(原健三郎紹介)(第一五九九号)  同(倉成正紹介)(第一六七一号)  同(細田吉藏紹介)(第一六七二号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願愛野興一郎紹介)  (第一六〇〇号)  同(八田貞義紹介)(第一六〇一号)  同(宮下創平紹介)(第一六七三号)  徴兵制復活軍備拡張反対等に関する請願(東  中光雄紹介)(第一六〇二号)  同外一件(藤田スミ紹介)(第一六〇三号)  同(村上弘紹介)(第一六〇四号)  同(正森成二君紹介)(第一六〇五号)  同(三谷秀治紹介)(第一六〇六号)  同(四ツ谷光子紹介)(第一六〇七号) 同月十一日  国家公務員退職手当法改悪及び定年制導入反  対に関する請願藤田高敏紹介)(第一六九  三号)  同(湯山勇紹介)(第一六九四号)  国家公務員賃金引き上げ及び退職手当法改  正、定年制法制化反対等に関する請願米田東  吾君紹介)(第一六九五号)  国家公務員等退職手当法改悪阻止に関する請  願(小沢貞孝紹介)(第一六九六号)  同(玉置一弥紹介)(第一六九七号)  在外財産補償法的措置に関する請願染谷誠  君紹介)(第一六九八号)  同(野呂恭一紹介)(第一六九九号)  同外一件(薮仲義彦紹介)(第一七〇〇号)  国家公務員給与法早期成立等に関する請願  (五十嵐広三紹介)(第一七〇一号)  同(岡田利春紹介)(第一七〇二号)  同(川口大助紹介)(第一七〇三号)  同外一件(小林進紹介)(第一七〇四号)  同(島田琢郎紹介)(第一七〇五号)  同外一件(武部文紹介)(第一七〇六号)  同(塚田庄平紹介)(第一七〇七号)  同(山本幸一紹介)(第一七〇八号)  同(米田東吾紹介)(第一七〇九号)  同(渡部行雄紹介)(第一七一〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第一七一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十一日  靖国神社公式参拝に関する陳情書外十九件  (第七二号)  靖国神社国家護持に関する陳情書外四件  (  第七三号)  同和対策事業特別措置法期限延長に伴う附帯  決議の早期実現に関する陳情書外七十六件  (第七  四号)  情報公開法制定に関する陳情書  (第七五号)  中小企業専任大臣設置に関する陳情書  (第七六号)  北九州財務局存置に関する陳情書  (第七七号)  旧軍人・軍属恩給欠格者に対する恩給法等の改  善に関する陳情書外二十九件  (第七八号)  公務員給与法早期改正に関する陳情書外三件  (第七九号)  行政不服審査法の一部改正に関する陳情書  (第一五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  臨時行政調査会設置法案内閣提出第二四号)      ――――◇―――――
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  臨時行政調査会設置法案議題といたします。  趣旨説明を求めます。中曽根行政管理庁長官
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま議題となりました臨時行政調査会設置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  近年、わが国内外の社会経済情勢は大きく変化し、わが国は、今後、エネルギー・資源の制約、財政赤字累積等の多くの困難を克服しつつ、経済発展社会成熟化の進展、先進国家としての国際的役割り増大等に伴う新たな課題に対応していくことが要請されております。  このようなわが国行政を取り巻く諸情勢変化の中で、国民の要請に的確にこたえる簡素で効率的な行政実現するとともに、新たな時代への移行に対応した行政の諸制度の確立を図ることが強く求められているところであります。そこで、政府といたしましては、今後における行政の抜本的な改善を推進するため、長期的かつ総合的視点から行政の適正かつ合理的なあり方を検討する必要があると考え、今般各界の英知を結集した権威の高い調査審議機関として、総理府に臨時行政調査会設置することとし、ここにこの法案提出した次第であります。  次に、法案内容について御説明申し上げます。  臨時行政調査会は、社会経済情勢変化に対応した適正かつ合理的な行政実現に資するため、行政制度及び行政運営改善に関する基本的事項を調査審議し、その結論に基づいて、内閣総理大臣意見を述べ、または内閣総理大臣の諮問に対し答申することを任務としております。  調査会意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととするとともに、調査会は、これを内閣総理大臣から国会に対して報告するよう申し出ることができる規定を設けることとしております。これは、行政改善問題については、行政府がその責に任ずることはもちろんでありますが、あらかじめその問題点国民及びその代表たる国会に提示し、十分な御協力を仰ぎたいとの趣旨によるものであります。  調査会の組織については、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て任命する委員九人をもって構成するとともに、専門事項を調査審議させるため専門委員を、また、調査会調査事務その他の事務を処理させるため事務局を置くこととしております。  また、調査会の権能については、行政機関の長等に対して資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、みずからその運営状況を調査することができることとしております。  なお、調査会臨時機関として設置されるものであり、政令で定める本法律施行期日から起算して二年を経過した日に廃止されることとしております。  このほか、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 江藤隆美

    江藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  6. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に、本来ならばこれほど大きな行政改革の問題でございますから総理にお尋ねしたいのでございますが、総理出席が不可能だということでございますから、この分については留保をさせていただきます。     〔委員長退席愛野委員長代理着席〕  そこで、行政管理庁長官にお伺いいたしますが、今度の新たな臨時行政調査会設置法案をめぐる諸問題についてでございますけれども、これは歴史的な経過もございますし、いまから約二十年前に同じように第一臨調が行われておりますので、この名称を第二臨調というふうに略してこれから申し上げることをお許し願いたいと思います。そこで、この第二臨調設置するに至った一つ必要条件と申しますが、その理由について長官の所信をお願いしたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一臨調設置されまして二十年間たちましたが、第一臨調は大体経済成長時代の入り口につくられたものでございまして、またその答申の成果につきましては、その後政府もいろいろ努力してきたところでございますが、時代が大きく変わりまして、経済発展成長から安定成長時代に向かいました。そういう大きな変化がわれわれの経験したところでございます。その上に、最近内外の情勢が非常に大きくまた変わってまいりまして、国際関係における日本役割りも非常に増大してまいりました。また国内におきましても、高学歴の成熟した社会実現いたしましたし、自由と人権を求める市民社会の岩盤も厳然と拡大しつつある状況でございますし、コンピューターその他の発達によりまして、情報公開問題やプライバシー保護の問題という新しい問題も提起される状態でございます。このような新しい時代を迎えまして、日本政府あり方あるいは行政機能というものがいかにあるべきかという基準をまずつくっていただき、その基準に基づいて結論を出していただきまして、今後のわれわれの行政改革の指針にいたしたい、こういう考えに立ちまして、臨時行政調査会設置することにお願いしておるわけでございます。
  8. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで行政ということについて一体どういうふうな御認識を持っておられるのか、ただ単に政府機関の組織的なものとして受け取っておられるのか、それとも三権分立の中における大きな役割りと申しますか、その均衡の上で把握しておられるのか、その辺についての行政の概念と申しますか、御認識についてお伺いいたします。
  9. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政を見ますと、一面におきましては国家統治機構及びその機能という面がございます。またこれを国民の側から見ますと、憲法に基づきまして、政府の権力は国民に由来して、またその結果は国民が享受する、厳然憲法にも書かれておりまして、国民がその福祉の結果を享受するという立場にもございます。そういう面からも、公務員は全体の奉仕者として憲法に位置づけられております。そういう面を見ますと、国民の側から見ますれば、行政はサービスを受け福祉を享受する一つの手段である、そのようにも考えられるのではないかと思います。そういうような国家統治機能及び機構という面と、それから国民サイドから見ますサービスの享受という面と両方を両立させながら、そして簡素、効率的な政府をあるいは政府機能をつくっていく、そういう考えに立ってわれわれは行政というものを今日受けとめておる次第でございます。
  10. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、去る九月十二日の閣議での長官の御発言の中に、肥大化した行政ということが述べられておるわけですが、この肥大化というのは、三権分立の中におけるいわゆる司法、立法と行政という一つの均衡が破れて行政の方が大きくなっている、こういう御認識なのか、それともただ事務量だけが肥大化した、こういう御認識なのか。この肥大化した行政という中身についてひとつお伺いしたいと思います。
  11. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 肥大化したという理由にはいろいろあると思います。たとえば経済発展に伴いまして環境問題という問題が出てまいりました。あるいは新しい科学技術の発明と同時に原子力問題等も出てまいりまして、これらも国民の重大な関心を呼んでおる新しい分野でございます。あるいはさらに経済発展に伴いまして、さまざまな国民生活に影響を及ぼす問題が出てまいっております。たとえば原発の問題一つにいたしましても、あるいは石油の問題一つにいたしましても、国民生活に甚大な影響を及ぼすようになってきておるわけでございます。したがいまして、戦争前あるいは戦争直後と行政の概念の中には変化があると思います。質的に新しいものがつけ加えられてまいりまして、それに応ずるような機構なり人員なりもまた付加されて出てきていると思います。あるいは福祉行政の重要性が叫ばれまして、その面の機構や人員もふえてきておる現状ではないかと思います。  そういうような時代の進展に即応して機構や人員もふえてきておるところでございますけれども、また一面におきましては、その人員や機構の配置が必ずしもバランスを得たものでないという批判もございます。片方では非常に忙しい役所があると同時に、また片方では新聞を読んでたばこをふかしていると批判されるところもございます。そういうような面を整理統合いたしまして簡素化させる、あるいはさらにりっぱな能率を持ったものに仕上げていく、そういうような使命を私たちは持っておるものと考えております。
  12. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ただいま相当各般にわたっての御見解が述べられましたが、話に承ると、今度の行革の攻撃の矢は農林省と福祉関係の厚生省に向けられているというようなことを仄聞するわけでございます。いま長官のお話では、福祉行政の進展という御認識もあるようでございますし、今回の富士見病院やあるいは薬をめぐるいろいろな問題についても、これはまだまだ厚生行政が不徹底じゃないかというふうに私は考えておるわけですが、こういう問題を的確に処理しながら国の行政の徹底を期していくためにはどうしたらいいのかという点について、いまのお話に関連してお伺いをいたします。
  13. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新しい情勢出現と同時に、行政もこれに対応しなければなりませんし、必要なところには機構や人員も強化していかなければならぬと思います。しかし、また一面におきまして、財政能力の限界と国民負担の限界というものもございまして、その両者を調和せしめていくというところに政府の努力の目標があると思います。
  14. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、現在の日本は官僚主義社会になっているのかどうか、この辺の御認識はいかがでしょうか。
  15. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 官僚主義社会という定義がどういうことを意味しておるか、私はよく存じませんが、日本の官僚は、私は世界的比較においてかなり優秀である、そう考えております。よく言われることでございますが、フランスの官僚制度日本の官僚制度というものはわりあいに世界から評価されていると思います。私もそういうような感じがいたしております。  しかしながら、官僚制度の中身自体を今度はしさいに分析してみますと、硬直化しておったりあるいはなわ張り争いが激しくなってきたり、そういう点から国民の皆様方から非常に指弾されている面も少なくないのであります。いわゆる官僚システムというものをつくる以上は、必ずそういう病気もまた随伴してくるのでございまして、そういう面は大いに矯正していかなければならぬと思いますが、総じて言えば、日本公務員諸君や公務員システムというものは世界的比較においてはかなり清潔であり、かつ効率的であると私は考えております。
  16. 渡部行雄

    渡部(行)委員 官僚主義という一つの概念についてはいろいろあるとは思いますけれども、一口に言うならば、いわゆる行政組織に従事する人たちが政治家の権限を平気で侵す、あるいは乗り越える、そしてむしろ立法が行政に服従させられるというような状態、そして官僚と国家独占とが結びついて経済支配の一翼を担う、こういう体制が私は官僚主義だと思うのです。  そういうふうに考えていくならば、今日の日本あり方というのは、明らかに官僚主義社会になっているのではないだろうか。たとえて言うならば、いつも問題になるのですが、事務次官やあるいは参事官あたりが大臣の答弁や発言を修正したり、あるいはそれを乗り越える発言をやったり、こういうことが平然として行われておるし、またKDDのような事件にいたしましても、あのような資本との癒着というものが明らかになってきておる。そしてお役所仕事として、役所のやる仕事は住民になかなかなじまない、背を向けられている面が非常に多い。しかも大臣はというと、はなはだしいのは七カ月で交代する。こんなことで日本行政がやれるだろうか、本当の民主政治がやれるだろうか。私はそういう意味では、官僚機構が確立しているから、もう大臣は、無用の長物と言ってはなんですが、床の間の置き物に等しいような状態に置かれておる。こういう体制を打破しない限り、どんなにりっぱな答申案を書いても、それが実行に移されるということは非常にむずかしいのではないだろうかというふうに考えられてならないわけです。まあこれから逐次具体的にその問題について掘り下げていきますけれども、そういう点では長官はどのようにお考えでしょうか。
  17. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 基本的には渡部委員と私も同感でございます。ただ、最近におきましては、立法府や国会の力が非常に強くなってまいりまして、アメリカにおきましてもイギリスにおきましても、あるいは日本におきましてもそういう傾向が見られると思います。これは民主主義の成果でありまして、私はそのことは正しいことであると思います。
  18. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この民主化の問題、先ほど長官は自由と人権というお言葉を使われましたが、私はその思想というのは非常に大事なことであると思っております。そこで民主化というものの別名は一体何だろうか。これはつまり権力の集中を避けてなるべく権力というものを分散させる、これが私は民主化の別名じゃないか。そういうふうにして考えていけば、いまこの民主化を果たす上で重要なことは、特に地方の時代と言われておる今日、中央集権的な権力のあり方ではなしに、中央の権限の移譲、事務の地方公共団体に対する移管、補助金の整理、国と地方公共団体との税の配分の見直しあるいは先ほども出ました情報化社会におけるその対応としての情報公開法制定、プライバシー問題に対する法秩序の確立、こういうことができてこそ具体的な民主化の裏づけとなっていくものと思うのでありますが、これらの問題に対する長官のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  19. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政におきましても、自由と人権の尊重というものは最大限に尊重さるべきことであると思いますし、国民の参加をさらに求めて、国民の御納得を得るような手だてをつくることも必要であると思いますし、さらに人権を守るために、プライバシーの保護というような点につきましても、政治は行政とともに最大限の努力をしていく必要がある。そういう新しい時代のニーズに合った政治あるいは行政というものを展開していかなければならないと確信しております。
  20. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それで今度の行政改革を通して、あるいは第二臨調を通して、いまのこの権力の中で地方公共団体とかかわっておる部分が相当あるわけであります。そういう点の整理について、権限の移譲なりあるいは事務的な委託をしておるけれども、最終的権限は中央の権限に属して、そして最後に市町村長がやろうとしてもやれない、こういうような非常に矛盾のある分野が相当あるわけです。そういう点についての問題をどういうふうに処理しようとされておりますか。
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央と地方の関係は、官業と民業の関係とともに今日非常に重要な問題であると心得ております。これらの問題は、第二臨調におきまして委員の皆様方が恐らく議題としてお取り上げいただきまして、御審議願える問題ではないかと思います。
  22. 渡部行雄

    渡部(行)委員 少し具体的にお答え願いたいのですが、たとえば事務の移管とかあるいは補助金の整理というのは一体どの程度のことを考えておられますか。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 当面私たちがやらされておりますること、あるいは五十五年行革とか、われわれが行革の範囲内でやっておりますことは、いま一生懸命努力しておるところでございますが、補助金の整理にいたしましても三千八百件の四分の一、これを早く整理する、そういう方針で今度の予算編成に当たりましても大蔵と協力しまして推進していくつもりでございます。大きい観点から見ました中央と地方の行政の分野をどういうふうに調整して相互関連あらしむべきか、こういうような問題につきましては、新しい観点に立ち、この第一次臨調から二十年を経過しました経過を踏まえまして、第二臨調におきまして委員の皆様方に御審議をいただき、原則と同時に具体的結論を出していただけばありがたいと私は感じておる次第でございます。
  24. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ちょっといま三千八百円の四分の一と言いましたが、それは三千八百円ですか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 約三千八百件の補助金の件数でございます。
  26. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから情報公開法の問題についてですが、これは九日の朝日新聞にも出ておりましたように、今度日弁連でも情報公開法制定を決議されて、国民の知る権利を非常に重要視しておるわけでございます。しかも、国や公共団体の情報というものは、国民の共有財産である、こういう思想の上に立って知る権利というものを強調しておるわけですが、これは今後どういうふうに取り組まれていこうとしておるのか。また情報公開法というのは臨調審議を待ってから考えるのか、それとも次の通常国会あたりで一応考えていこうとされておるのか。その辺について明らかにしていただきたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 情報公開につきましては、臨調と並行してわれわれも独自の検討を加えてまいりたいと思っております。情報公開につきましては、過去の情報公開と現在の情報公開と二つあると思います。アメリカあたりで外交資料等を公開いたしておりますが、あれはやはり歴史の真実を発見するのに非常に大事な要素になっておると思います。日本におきましても、同じように歴史の真実を日本人及び世界に明らかにする責任を持っておるのではないかと思いますし、また現在の情報公開につきましても、医事行政にいたしましてもあるいは原子力の安全行政等にいたしましても、でき得る限り国民に知らせるということが望ましいものであると思います。ただ、いろいろ秘密を保護するとかあるいは国民のプライバシーを保護するとか、企業利益もございましょうし、国際関係もございましょう。そういう点につきましては、内外の諸法令等も検討いたしまして、穏当な制約もある程度必要であると思いますが、いずれにせよ、歴史の方向としては、情報公開の方向に向かって政治も行政もたくましく前進していく時代にあると心得ております。
  28. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いま世界の国々の中で、情報公開法を持っておる国はどのぐらいありますか。
  29. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 突然のお尋ねで手元に資料がございませんので、ちょっとはっきりお答えができないので、必要があれば……。
  30. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは後で私の方に、資料で結構ですから、そういう国、そしてできればその法文も資料としてお願いしたいと思います。  そこで、長官がいま言われた歴史の流れである、確かに私もそのとおりだと思っております。そこで問題なのは、プライバシーの保護と情報公開法との関係をどういうふうにお考えになっているのか、この点をひとつお伺いいたします。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは非常にむずかしい、複雑な部面があると思います。一般論といたしまして、情報公開の方向に流れておりますし、またプライバシー保護の方向に流れております。これは一面においては矛盾、対立する要素もございますし、また一面においては必ずしも矛盾しない面もございます。そういう間をどういうふうに適正に調整していくかということが、これらの問題の一つの核心にあると思いまして、これらは慎重に検討していかなければならぬと思っております。
  32. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いままで官庁関係の情報、資料等の閲覧についても利用度が少ない、こういうような批判もあるわけですが、そういう資料の公開等については、情報公開法ができないから公開できないというものではなかろうと思います。大体この程度はできるだけ公開しようという腹さえあれば、それは運用の中でも相当量的に大きな公開ができていくのではないか。そういう面での運用に対するこれからの指導、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  33. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 情報公開の問題は、私どもの直接の所管ではございませんけれども、内閣審議室の方でやっておりますが、行政管理にもいろいろ問題がございます。それで現在、先生がおっしゃるように、情報公開法というような法令の策定を待たずできる範囲のものはやろうということで、各省庁間に連絡会議がございまして、これは内閣の方で統括しているわけでございますけれども、そういう連絡会議で各官庁の持っております文書等公開できるものはなるべくやっていこうというようなことで、ただいま連絡会議で協議して具体的な方策を立てつつあるところでございます。
  34. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで問題なのは、なるべく法律によらないで運用でやっていこうとすることで、法律化を阻む側面もあるということを注意しなければならぬと思うのです。だから、いま長官が言われたように、情報公開というのは一つの歴史的な流れである、したがって、これは早期に取り組んで、一つ法律という、知る権利というものを保障する立場でこの法制定を急ぐ、こういうふうにあってしかるべきだと思います。ただ、その法律ができる間は、できるだけひとつ運用の面で十分考慮する、こういうことが重要だと思います。  そこで、長官が言われた歴史的流れというのは、これは早急に取り組むというふうに解釈していいのでしょうか、どうなのか。その点が一つと、それからもしこの法律制定されたならば、それはどこで所管することになるのか、この点についてお伺いいたします。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 渡部委員のただいまのお考えに私も同感でございます。できるだけ情報公開は早く法律化するのが好ましいと思います。ただ、非常にむずかしいいろいろな条件がございますから、それらの検討を経て、そして公正な穏当な情報公開法というものをつくりたいと私個人は念願しております。  それで、どこがこれを所管するかということは、いまのところ各省でまだ相談していないのではないかと思いますが、行管庁は行管庁としてそれを検討しておる、そういうことでございます。いままでは内閣がこれを総括しておりまして、この問題に関する取り扱いをやっておった次第でございます。
  36. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この点は問題がさらに深化する中でまた改めて取り上げたいと思います。  さて次には、行政改革の歴史的経緯の中で、これは長官御承知のとおり、行革というのは明治以来ずっと何回か行われてきたわけなんですが、どれ一つとっても成功したものに当たらないと思うわけでございます。そこで、中でも一番重要であったのが第一臨調設置でございますが、この臨調では本当に腹を据えた行革をやっていくのだ、徹底した行革をやるのだ、こういうようなことでなされたのでございます。しかし、現実にその実施状況等を見ましてもおわかりのとおり、なかなか多くの未解決の問題点があるわけです。こういうものに対して一体どういう反省をしておられるのか、そしてまたその問題点となっているのは何かという点について、長官からお伺いしたいと思います。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調で御審議願い、またわれわれに勧告されました諸項目を反省してみまして感ずることは、われわれが力足らざるを嘆く、申しわけないと思う気持ちでございます。非常にりっぱな内容の御答申をいただきましたけれども、必ずしも全部御期待に沿うようにやり切っていないという点は残念であります。ただ、時代変化とともにやる必要がなくなったものあるいは適当でないものも出てまいりました。それらは手をつけずにそのままにしてあるわけでございますけれども、たとえば地方事務制度のような問題は、まだ決着していないことははなはだ残念な次第であります。
  38. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、第一臨調設置される際に、当時の行政管理庁長官があいさつの中で実に厳しい指摘をしておられるわけです。それを具体的に申し上げて、その問題について長官はいまどういうふうに考えておられるのかをお尋ねしたいと思います。  まず、その第一点といたしましては、事務処理にはきわめて非能率なものが多く、しかも各省庁は役所特有の割拠主義に立てこもり、いたずらに窓口のみ多く、国民を右往左往させている現状であるという趣旨の発言がありますが、これについては、現在もやはりこのような状況が変わっていないかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その当時よりはわりあいに連絡協議会とか諸般の措置を講じまして弊害はひどくはないと思いますが、それでも国民の皆さんのお考え、民間レベルから見ますと、割拠主義とか独善的な弊害というものはまだ非常に残っているのではないかと反省しております。
  40. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この独善的な弊害と割拠主義を取り除くためには一体どうしたらいいと思いますか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一つには政治及び公務員の心構えの問題があると思います。いわゆる政府・与党と言われるものが官僚制度を指揮して、いまの行政をやっておるわけでございますが、これらに携わる者がまずそのような弊害を認識して、それを除去する心構えを持つことが大事であると思います。それと同時に、それを除去するに必要な組織や機構改善を図ることが大事であるだろうと思います。行管庁なんかはその役目を果たしておりますし、会計検査院などもその役目を果たしておると思いますが、このような監察的機能を有効あらしめるという措置がまた大事ではないかと思います。それから各省庁間の連絡協議を密にして、そして二重行政を廃止するとかあるいは国民の皆様から見て非常に煩瑣であると思うようなやり方を改革する、そういうことも大事であるだろうと思います。要するに、政府一体となって国民本位の立場に立った能率的な簡素なやり方で行政を心がけていくということが一番大事ではないかと思う次第でございます。
  42. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはさらに続けて、関係機関の権限が錯綜して、共管競合の弊害を暴露している面が多く、能率的行政運営と言うにはほど遠いと指摘されておるわけです。これはいま長官が言われましたように、やはり私は、各省庁間の連絡調整が不十分であるというだけでは事は済まされないのではないか。そしてまた説教的な意味での国民に奉仕する、国民サービスを上げるということだけでも済まされない問題じゃないだろうか。そこに横たわる一つの障害というものを具体的に把握しない限りどうにもならないように思うわけです。  そこで、私なりに考えますと、こういう問題は、やはり一つは伝統的な官僚思想と申しますか、人民に奉仕するという一つの考え方が欠如しておる、こういうところと、それから官庁間のなわ張り、これがなかなか氷解しない、そしてまた調整機能が確立されていない、こういう点に一つはあり、要は補助金とかあるいは一つの政策を通して財界やその他の団体と癒着する、そしてまた政界と癒着する、そういう点で政界、財界から圧力がかかって動くにも動かれない、やろうとしても結局そういう一つの裏側があって、たてまえはりっぱにつくっても、本音の方ではどうすることもできないというのが実態ではないだろうか、こういうふうに思いますが、長官はいかがでしょうか。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政に対しまして、そのような外部的影響があることも私は否定できないと思いますが、それよりもむしろ行政内部においてなわ張り主義とか割拠主義とか独善主義とかいうものがやはり弊害を非常につくっていると思いまして、そういう点を直さなければならぬと思います。
  44. 渡部行雄

    渡部(行)委員 さらに重要な問題は、一件の決裁に数カ月を要する例も決して少なくなく認可、許可等が極端におくれ、しかも責任の所在きわめて不明瞭なものがある、こういう指摘もありまして、具体的には、たとえば堤防の例をとって、関係機関相互の連絡調整不備の結果、堤防のない区間を生じている例さえあるというふうになっております。これは私も知っておりますが、たとえば建設省が河川改修をやる、そのわきで農林省が頭首工をつくる、そうすると建設省と農林省のなわ張り争いで、そこに住民にとっては非常に困る問題が出ております。堤防もちぐはぐなものになったりする。そういうことは現在はどうなっておりますか。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうような問題は、たとえば土木事務所であるとかあるいは環境庁であるとかあるいは農林省の農政局であるとか、そういうような出先で合議をして、二重投資を防ぐということをやらなければならぬと思います。  前に、河野建設大臣がおられましたころ、東京都でずいぶん道路をひっくり返しまして、水道が終わったら今度はガス管をやるとか、それが終わったらまた地下鉄をやるとか、そういうことでずいぶん非難がございました。そこで共同溝という思想になりまして、その弊害を直した経験がございますけれども、そういうように一つの公共物を使うという場合には、各省が連携を密にして住民の皆さんに迷惑を及ぼさないように、簡素で効率的にやらなければならぬと考えます。
  46. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そういう点については、今後どういうふうなやり方で調整されようとしておりますか。たとえば一番どこででも経験しておられるのは、せっかくりっぱに道路が舗装される、そうしてできてよかったなと思うと、今度その後でまたこのくらいの幅に道路を切っていってそこにガス管を埋める。それができたかと思うと、そのわきをまた掘って今度はケーブルを埋める。そうかと思うと今度下水道計画でまた掘り返す。こういうことがしょっちゅう行われて何ほどむだな金が使われているかわからないわけですよ。こういう金を節約していったならば、何も福祉行政をどうこうするなんという考え方は浮かんでこないと思うのです。私は、まずこういう点に十分メスを入れて、冗費の節約を図っていかなければならないと思うのですが、その辺についてはどんなものでしょうか。
  47. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま指摘の例がございました道路の問題でございますが、この問題を解決する一番基本の方法と申しますのは、いわば共同溝かと思います。そういう共同溝によりまして、各種の道路の下に敷設するものを一貫的にやっていくという方向も出ておりまして、すでにそういう方法も進んでおりますが、その他の道路につきましては、道路管理者が主体になって年間の計画の調整をやっているはずでございますが、この辺のところにつきましては、私どものいままでの監察の結果等もう一回見直しをしてみたいと思っております。
  48. 渡部行雄

    渡部(行)委員 道路管理者が調整するというけれども、実際にはそういう調整は行われておりませんし、またこういう問題を直すには財政法を変えていかなくちゃならぬのではなかろうか。たとえば水道を布設していくのに、先取りしてここは将来水道がどっちみち通るのだから水道管をいまから入れておこうとすれば、これは財政法上許されないということになって結局それはできない。こういうようないろいろな法律関係にも問題があるわけです。そういうものをこの際整理しながら、調整をどういうふうに図っていくかということが一番重要だと思いますが、この点については一体どういうふうにお考えでしょうか。
  49. 中庄二

    ○中政府委員 個別の事例に答えます資料を手元に持っておりませんが、御指摘の点につきましては、私ども役所の方へ帰りましてから調べまして、方策を検討してみたいと思っております。
  50. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、次にお伺いいたしますが、第一臨調の実施状況について明らかにしていただきたいと思います。  たとえば内閣の機能がどのように強化されたか、されなかったか、いろいろ指摘された問題があるわけでございます。具体的に若干例を申し上げますと、各省庁間の調整機能がいまだに確立していない、あるいは内閣の補佐機構、いわゆる補佐官制度をしいてはどうかという答申に対しても何らこたえられていない。さらに補助金の合理化についてもまだまだ不十分である、こういう問題があり、また公社、公団の改革に対する意見答申されておりましたのに、これの関係についての整理もできていない。その結果あのようなKDDあるいは郵政省のような問題が惹起されたのではないだろうか、私はこういうふうに思えてならないわけです。あるいは国鉄、電電公社に監理委員会を設けるべきであるという指摘に対しても何らなされていない。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 さらには科学技術行政として科学技術政策委員会設置すべきである、こういうようないろいろなその他の問題が指摘されておるのですが、それらについて誠意を持った措置がさっぱりとられていない。こういうことを一つ一つ検討した際に、一体何がそうさせたのか。この未実施事項と、実施できなかった理由、そしてその障害物となっているものをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  51. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘の第一次の臨時行政調査会答申の実施状況でございますが、先生細かにお挙げになりましたような点、未実施の分もあるわけでございますが、行政調査会答申は大きく分けますと十六項目でございます。これをやや詳細に見ますと約四十事項に整理できるわけでございますが、実施したものは、この四十事項で勘定しますと合計約七、八〇%というふうにわれわれは考えております。  実施されたものは、内閣運営の改善ということでは、内閣及び内閣補佐官の設置等は実施されていないというお話がございました。ただ官房長官の国務大臣制とか関係閣僚会議の活用等は実施している部分に入るのではないかと考えておりますし、また行政監理委員会設置するようにというような改革意見に対しましてはそのとおりになっております。それから総合開発庁を設置せよというような御提言があったわけでございますが、これについては、若干形が変わりましたけれども、国土庁が設置されたということもあるわけでございます。また中央省庁の部局の整理、統廃合及び新設抑制という問題につきましては、御存じの一省庁一局削減が実施に移され、またさらに小さな課、室、官の整理等については、私ども行政管理局の方でもその都度スクラップ・アンド・ビルドの原則をいままで貫いてきたわけでございます。  そのほか、ただいま七、八〇%は実施されていると申し上げましたけれども、各項目を詳細に見ますと、その実施のされ方についても濃淡がございまして、一部実施というようなものもあるわけでございます。そういうわけでございますが、実施されていない点につきまして、先生の御指摘のような点は基本的ななかなか大きな問題であって、関係各方面のいろいろなコンセンサスが十分に得られないというようなこと等もありまして、実施に移されてない面もあるわけでございます。ただ、いままでその都度臨時行政調査会意見を踏まえまして、それぞれの行政改革の中にも取り入れてやってまいった部分も、許認可、補助金等、不十分ではあってもそういうものもあるわけでございますが、今後とも一次臨調答申の精神に沿って改革を進めていきたいというふうに考えます。
  52. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そのなかなかむずかしいところを突破しないと、また同じ轍を踏むのではないかと思うのですよ。私の質問したのは、実施できなかったそのことは一体何なのか。二割、三割は実施していないわけですから、二十年に及んでなおかつ実施できなかった理由を明らかにして、問題点はこういう問題であった、したがって、これについては今後はこうすれば解決できると思う、そういうふうに原因をつかまなければ、その対応策は出てこないのではないかと思うのです。それをどういうふうにしていくのかお伺いいたします。
  53. 林伸樹

    ○林政府委員 今後、次の臨調をつくった場合でございますけれども、できるだけ具体的な実施案、抜本的な実施案でございますが、できるだけ具体的な案をつくっていただきたいということをわれわれは念願しているわけでございます。  もう一つ。第一次臨調で未措置になっているものにつきましても、中には時勢が変わってすでにできない、あるいは実施を見送ったというものもございますが、また第一次臨調答申の中で現在でも十分通用する、まだ努力が足りなくてできないというものもあると思いますので、そういうものはまた振り返って第二次臨調の中でさらに詰めて進めていくということも大きな課題の一つであると思います。  具体的にどういう項目を取り上げるか、これは臨調ができてから委員会でいろいろ決まると思いますが、そういうことが一つの大きな課題になると私どもは考えている次第でございます。
  54. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで第一臨調答申の実施ができなかったというのは、答申そのものに無理があったのか、あるいはその答申を受けて実施する側の体制に無理があったのか、あるいは人的な一つの能力に障害があったのか、その辺はどういうふうに受けとめておられるのですか。
  55. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 未実施の原因でございますけれども、これは各項目によっていろいろな面があろうかと思います。でございますが、一般的に申し上げますと、その当時はともかく、若干時間がたってみますと、ただいまも官房審議官の方からお話申し上げましたように、答申自体現在の目から見てなお検討すべきものではないかというようなものもございますし、また実行に当たって、それぞれ関係各方面が、総論は賛成だけれども、それぞれの各論になりますと意見もそれぞれございまして、なかなか実現を見なかったというようなものもあるわけでございます。そういうものを総じてただいま先生御指摘のように、二割ぐらい未実施の項目があるというふうに考えております。
  56. 渡部行雄

    渡部(行)委員 第一臨調答申があって、それを完全にやって、そこで何年か過ぎて時代が変わってこういう矛盾が出てきた、だから第二臨調でこれを処理しなければならないというならば話がわかるのですけれども、あれほど抜本的に根本的に行革をやろう、この機会を逃してはもう永久にできないだろうというまで大臣が決意をしてなされた第一臨調による行革が、まだ七割程度しかできないで、依然として住民からは不満が多い、サービスの低下が叫ばれておる。こういう中で第二臨調設置するという意味については、これは自分たちの怠慢を回避するために逃げを打っているのじゃなかろうか。つまり不平不満に対して、今度はやるぞという姿勢だけを見せるために第二臨調が責任回避としての手段になっていやしないか、こういう見方さえちまたにあるわけです。それに対しては一体どういうふうにお考えですか。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 時代の激しい移り変わりやこれから日本の前途にあらわれてくるいろいろな問題点等も考えてみますと、第二次臨調を設立することは非常に重要な意味を持っているものと考えておりまして、隠れみのにしようなどという考えは毛頭ございません。
  58. 渡部行雄

    渡部(行)委員 もちろんここで隠れみのにするなどという答弁をしたらおかしくしてしまいますから、当然そういうふうにお答えになるものと思いますけれども、これはやがて必ず具体的なものとして出てくるわけですから、ごまかしのきかないものなんです。  そこでお伺いいたしますが、当面の改革措置として「法令の廃止整理」ということが挙げられております。「法令の廃止整理」というからには、やがて法令整理法案国会提出されると思いますが、大体いつごろこの法案提出するようなお考えですか。その辺をお伺いいたします。
  59. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 「法令の廃止整理」についてでございますが、これはもう御存じのとおり、行政の減量化を図るためにぜひとも必要だと私ども考えております。現在、各省庁において行政事務の根拠となっております法令の見直しをお願いしている最中でございます。これによりまして、行政事務の仕事減らしということも考えているわけでございますが、その全体計画を年内をめどに取りまとめる予定でございます。必要があれば法令整理のための立法も考えたいと思っております。
  60. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大体年内に取りまとめるとなると、来春くらいにこの法律案を出したいというお考えですか。
  61. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 法令の問題でございますが、法令はもちろん法律から政令からいろいろございますが、その法律の問題につきましては、当然ながら法律改正が必要でございますので、一括してそういう法案を各省共同してつくるのかあるいはそれぞれの法律の方で取り扱っていくのか、それもこれから決めるわけでございますけれども、年内を目途に取りまとめる予定でございますので、必要に応じてなるべく早い機会にまた御審議をお願いするような法案を考える必要があろうかと思っております。
  62. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、「許認可等の計画的な整理」ということがうたわれております。あるいは三番目に「官業の民業への移行および特殊法人の経営の実態等の見直し」こういうことが掲げられておりますが、これは具体的に言えば、たとえばどういうふうなことなのか。その辺を例を挙げてでも結構ですが、少し具体的に説明願いたいと思うのです。
  63. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 まずお話の許認可事務でございますが、これは各行政機関それぞれ許認可行政をやっているわけでございますけれども、こういう許認可がどのように行われているかという実態を総点検しまして、それで必要がなくなったものあるいはその必要度の薄いような許認可等、また役所が、行政機関がそこまでやる必要はないんじゃないかと考えられるような許認可につきましては、現在やっているものにつきましては、計画的に整理を推進するために、これも年内をめどに各省庁において総点検を実施して取りまとめて推進したいと考えております。許認可につきましては、従来もそれぞれの役所で必要に応じてその許認可の総点検をやってきたわけでございますが、行政管理庁としましても、各省の許認可をまとめて過去八回一括整理法案としてお願いした経緯もございます。  それから、官業の民業移行という問題でございますが、この問題は非常に大きな問題からやや小さな問題までいろいろなレベルの問題がございます。これも行政機関がやっております事務、事業をなるべく簡素にするという意味で、民間の能力を活用する、民間の活力を利用してできるだけそちらの方でできるものは行政機関からそちらへ移行させようという観点でございまして、行政の減量化、効率化を図ることをねらいとしておりますが、この中には民間に対してこういうものは委託したらいいんじゃないかというような事務、事業の民間委託等も含んで考えているわけでございます。  それから、次にお挙げになりました特殊法人の経営実態の見直しでございますが、先生御存じのとおり、特殊法人につきましてはいろいろな種類のものがありますし、その事業も種々雑多でございます。それでございますので、一括して申し上げることははなはだ困難でございますけれども、現在行政管理庁の方で、特殊法人に対しましてその経営の実態を見直すというような意味における調査も実施しております。これは前国会において特殊法人を調査の対象に加えていただいたというような設置法の改正もお願いした経緯もございまして、それとの関係からも現在特殊法人を調査しているところでございます。それもまとまり次第どのようにするか作業を進めているところでございます。
  64. 渡部行雄

    渡部(行)委員 お答えが非常に抽象的で、言わんとするのはわかるんですけれども、もっと具体的に、たとえばこういう会社をこういうふうにしたい、こういう部門をこういうふうに民業に移したい、こういうふうに言われないとわからぬですよ。  そこで、この民業移管ということは、たとえば最近専売公社の民営化などということが言われておりますし、あるいは今度の国鉄再建法案にしましても、だんだんローカル線をぶった切って、それを第三セクターなりあるいは何らか別な形で民間に移譲するというようなこと、そういう問題もここに含まれているのですか。それから特殊法人のあり方の見直しということは、たとえば具体的にはどういうのをどういうふうに見直すのか、その辺を御説明願いたいと思うのです。
  65. 中庄二

    ○中政府委員 ただいまの御質問のうち、私の所管しております許認可の問題と特殊法人の見直しの問題、この二点について申し上げます。  許認可の問題でございますが、この年末に、先ほど管理局長が申しましたように、閣議決定をいたしまして、その後、各省庁に二年間一割の方向を示しまして検討いただくわけでございますが、ただ各省にいたせというだけでございますと、内容についてもいいものが出てまいりませんので、私どもの方でいま準備を進めておりますと同時に、国民の意向、業界の意向等を十分伺って、アンケート調査等でそれぞれ重点的なものを補充していきたいということで、許認可につきましてはただいま検討中でございますし、案につきましてはできるだけ早くまとめたい、来年の時期でございますが、各省庁と相談して早くまとめたい、こういうふうに思っております。  それから、特殊法人の見直しの問題でございますが、現在百十の特殊法人全部を洗っているところでございまして、作業中でございますので、個別の名前は作業に差し支えがございますから、ここでは御勘弁いただきたいと思います。鋭意やっておりまして、一番早いものでございますと、ことしの冬の閣議決定にも入れたいと思っておりますし、全般の見直しをせっかくやったところでございますので、それまでに間に合わなかった部面についても息長く検討をやっていきまして、ある時期には結論を出したい、こういうふうに考えております。
  66. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 官業から民業への移行という点に関連してでございますが、たとえば特殊法人のうちの三公社あるいは五現業等につきましては、内閣の方で、公共企業体等閣僚会議で検討された経緯もございますので、そういうものを踏まえまして、その推進を図っていきたいというふうに考えております。
  67. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この整理の仕方なんですが、先ほど、一省庁二局の削減をやりました、こういうようなお答えがありましたが、一省庁二局というのは、行管庁の言っていることとやっていることとは大分隔たりがあるように私は思うのですよ。長官は、もっと質の高い、そして大きな見地から見た行革というものを考えているのに対して、やっていることは非常に画一的で、頭金を取っていくようなやり方で進めているんじゃないかと思うのですが、防衛庁についてはどの局とどの局を廃止されたのですか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  68. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、第一次臨調の中での中央省庁の部局再編成という項目に絡みまして、以前に一省庁一局削減ということが実施されたということを申し上げたわけでございますが、これは中央省庁の話でございます。ただいまのお話は、恐らく先日御審議願いましたブロック機関整理法案についてのお話かと思いますが、これも各省庁ブロック機関についてどこか一局を削減してくださいという法案であったわけでございますが、防衛庁関係、防衛施設庁関係はこの法案の中には含まれておらないわけでございます。これは決して防衛施設庁を検討の対象から外したということではございませんで、検討はいたしましたが、関係方面からいろいろ御意見がございまして、十分なコンセンサスが得られなかったということで、今回のブロック整理法案には防衛施設庁関係は入っていないというわけでございます。
  69. 渡部行雄

    渡部(行)委員 その二局というのは私の聞き間違いのようですから、それは一局だそうです。  そこで、今度の行革、これからの行革については、防衛庁の関係は対象になるのですかならないのですか。
  70. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 非常に一般的なお尋ねでございますが、行政改革一般としましては、防衛庁の機関も当然対象とするわけでございまして、別にそれを外して改革を行うというような考えはとらないわけでございます。
  71. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に移ります。  「審議会等の廃止整理」ということも当面の改革措置としてうたっておるわけですが、審議会あるいは都道府県知事が設けなければならない行政機関ということで法律にうたわれておりながら、実際には機能していないものが相当あるわけです。また都道府県知事が設けなければならないいろいろな審議機関ですね、付属機関と申しますか、そういうものが、数えれば大変なんですが、相当数あるわけです。しかもこれは、中には聞くと委員すらはっきりしていないというところもあるようでございますし、その機能が全然なされていないのが相当あるやに聞いておりますが、これらについての整理はどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  72. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 まず審議会の話でございますが、これにつきましては、先生御指摘のとおり、中央省庁に置かれているものも、あるいは地方支分部局に設置されている審議会もあるわけでございます。これらについては当然いままでも整理をやってきたわけでございますが、十分に見直す必要があろうと考えております。  それから、法令によって地方公共団体に設置が義務づけられている特別地方機関という種類のものについて、先生御指摘のとおり不活発なものとか必要性が乏しくなっているもの等がございますので、それの整理統合を進めてまいりたいと考えております。それにつきましては、行政監察局の方で調査をし、その作業を進めておるところでございます。
  73. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは市町村によって事情が非常に違うところがあるわけです。中には、必要な市町村もあれば、必要でない市町村もあるわけですよ。だから、こういうのは法律一本で国の強制力を押しつけないで、むしろ自治権に任せて法律を整理した方がいいのではないかと思うのですが、この点は、長官どうでしょうか。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 物によりけりだろうと思うのです。法律事項でやるのが適当なものもありますれば、自由裁量のものについては行政的にもやれるものもございます。しかし、大もとをやろうと思うと、やはり法律事項でやらざるを得ぬのではないか、そのように思います。
  75. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いまの長官の話だと、これは前向きに検討する意思がないようにしか聞こえないのですがね。法律事項というものは一つの最終的な段階で考えるべきで、その前に自主的にあるいは一つの自治権の中で処理できるものがあるとするならば、できるだけこれは地方の権力にゆだねさせる、なるべくそういう法で縛るのでなくて、むしろ自発性というものを喚起するように行政指導をしていくことの方がより重要じゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感でございまして、その方が上策だと思います。
  77. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも長官の話は、私の言うことには逆らわないで、そうして別な方法をどんどん進めていかれたのじゃどうしていいかわからなくなってしまうのですが、それは上策の方をとるべきだと私は主張しているのですよ。だから、その上策をやる気はないのかと聞いているのですが、どうでしょう。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度でも地方に負担を負わせるような許認可をできるだけ制限しよう、自主的に各省に自粛させよう、そういう考えを持ちまして、いま法令の整理をやっておりますが、適当なふるいをかける機関をつくろうではないか、地方に負担を課する許認可等をつくる場合には、中央省庁の一つの協議体にかけて、それでそれが了承しなければそういうものはつくれない、これも一つの自粛措置でございますが、そういうような形も考えながら、できるだけ自発的に地方に仕事をお任せする方向に持っていきたいと思っております。
  79. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、「地方公共団体におけ  る定員の抑制」等について述べられておりますが、地方公共団体の定員というのは、その団体の自主的な判断で設定されるべきものであって、国が介在して、何名に減らせということは、自治権の侵害になるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  80. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 地方公共団体の定員等につきましては、いまお話しのとおり原則としてその地方公共団体が決めるべきものであると考えております。
  81. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この定員の抑制ということはどういう御指導をなされるつもりで、またどういう考え方なのか、その中身を少しはっきりさせてもらいたいと思います。
  82. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 御存じのとおり、地方公共団体には国からもいろいろ事務を委任しております。こういうものも地方公共団体の事務としてやっているわけでございますが、国からの委任事務等、国と地方とのその事務をどのような線で配分していくかという事務配分の問題あるいはそういったものに伴う補助金等のあり方といったような諸制度全般の見直しを進めることによって、地方公共団体に国からお願いしております事務等も極力簡素化するというようなことによって、地方公共団体の定員等に関しましても抑制することはできる部分があるのではないか。またそれと同時に、地方公共団体におきましても事務事業の見直し、事務処理の方法などの改善を行っていただきまして、やはり地方公務員の定員の抑制に努めていただくように、自治省とも協議して要請したいというふうに考えているわけでございます。
  83. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は、こういう項目は削除した方がいいと思うのですよ。非常に誤解を招きやすい。しかも、国の委任事務といういま制度がございますが、その国の委任事務があるために、地方公共団体は超過負担を強いられているわけです。だとすれば、そういうものは地方にもう移譲してしまった方がはるかに能率的であるし、いいんじゃないかと思うのです。実際に市町村長が困っているのは、ほとんどその計画から施工まで委任されておって、最後の決済というか決定権が中央にあるために、そこでもたもたしておって、どうしていいかわからない、あるいは中途で投げ出さざるを得ないという実例があるわけですよ。そういうことをなくすのが今度の行政改革だろうと思うのです。  そこで、この地方自治体の定員の数にまで国が枠をはめようとする考え方にとられれば、これはもう自治権の侵害というふうにしか映ってこないわけです。だから、こういう表現はやめた方がいいではないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  84. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先ほど申し上げましたように、地方公共団体に必要な職員の数、定員等国の事務事業との兼ね合いも多いわけでございますので、そういう点で、先ほど先生御指摘のような超過負担の問題、国と地方の事務再配分の問題、あるいはそれとも関連しますけれども、いろいろ補助金等にかかる業務の問題、これらを国がどの程度やり、地方公共団体がどの程度に遂行していくかという事務配分の問題にも、いま先生御指摘の点が大いにかかわり合いがあるわけでございます。それで国民の側から見ますと、やはり中央であります国の仕事もあるいはその地方公共団体でやっております仕事も、同じ役所の仕事であるというふうな観点から国民が見ているわけでございますので、広い目で見れば、国から地方公共団体に流れております委任事務等も勘案しながら、全体として簡素、効率化を図っていくのがよろしいのではないかというふうに考えて、このような提案をしているわけでございます。
  85. 渡部行雄

    渡部(行)委員 行政組織の簡素化という指導監督をするなら話がわかるけれども、地方公共団体の主体において決定する権限にまで触れられたのでは、これはやはり問題として映るのは当然だと思うのですよ。しかも、この事務の再配分もさることながら、財源の再配分もともに考えて、地方公共団体というのはいま財政難で大変な苦しみをしておるわけですから、何もあえて好んで定員がふえているわけじゃありませんし、いまでもむしろ少ないくらいのところもたくさんあるわけですから、そういうのはもっと表現を考慮する必要があると思うのです。  そこで、時間もありませんから次に移りますが、第二臨調が今度設置されて、その調査、審議というものは一体どういう範囲でなされるのか、またそのテーマ、これはどういうのを検討されるおつもりなのか、その内容についてひとつ明確にしていただきたいと思います。
  86. 林伸樹

    ○林政府委員 新しい臨時行政調査会の調査、審議の範囲といたしましては、国内で行われている行政全般ということで、行政機関、地方公共団体及び特殊法人の制度全般に及ぶわけでございまして、具体的には行政組織、公務員管理、国と地方のあり方あるいは先ほどお話が出ました情報公開等新たな行政国民の関係等広い範囲にわたるわけでございます。     〔委員長退席染谷委員長代理着席〕 また最近の問題といたしまして、国民負担を頭に置きながら行政の守備範囲と申しますか責任領域といいますか、その辺をどうするのかということも大きなテーマになるのだろうと考えておりますが、ただ二年間で具体的にどれとどれをやるかというテーマは、委員会が発足いたしましてから決める、こういうことになるわけでございます。
  87. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから委員が九名というふうに決まっておるようですが、この前は七名でなされたわけでございます。今度二名ふえるのですが、この前のを見ますと、大体財界、マスコミ——財界から二名、マスコミ一名、官庁OB1名、労働者代表一名、法曹界一名、学者一名、このくらいで、これで七名ということになっておりますが、今度は九名というのはどういう構成でなされるおつもりなのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 超党派的にかつ国民の各界を代表するにふさわしい人選を願いたいと考えております。国会の承認案件でもございますから、国会の御意向もよく考えなければならぬと思っております。私たちの頭の中に去来しますのは、この前は地方の代表の方が入っていなかったように思いますが、その辺は欠陥ではないかとも思います。ともかく国民の各層を十分に代表し得る人たちを網羅して人選はすべきである、そう思っております。
  89. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、今回はここに地方の方も入れたいというお考えのようです。人間社会というのは男半分、女半分で大体構成されているのですが、これは全部男のようですが、女性を代表する人は考えていないでしょうか。また超党派となると当然各党と相談しなければならぬと思いますが、各党のどの辺と御相談されるおつもりなのか、お伺いいたします。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ともかく国民各層を代表し得るりっぱな見識のある方を選びたいと思いまして、まだ具体的にどれをどうというふうには考えておりません。いずれ法案が成立いたしました暁に考え始めていきたいと思っております。
  91. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは次に移ります。  行政の質を高めるということを長官はよく口にされますけれども、この行政の質を高めるというのはどういうふうにお考えなのか。たとえば公務員の一人一人の教養を高め、一般常識を豊富にさせ、あるいは専門的技術や知識や能力を高める、こういうことも一つは考えられますが、もう一つは、組織的に非常に効率的な行政を行う。その効率的な組織というものをどういうふうに考えているのか。こういう質的に高めるという内容についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  92. 林伸樹

    ○林政府委員 大臣もおっしゃっておりますけれども、公務サービスの革命ということで、既存の人員と予算の中でできるだけ国民に対するサービスを高めていくということでいろいろやっているわけでございますが、基本的に言いますれば、これから公務員はますます減量経営をしていかなければならない。しかも、国民のニーズは多様化し、社会は多元化し、行政事務は決して減らないということでございます。そうした中で、長い目でサービスを上げていくにつきましては、具体的には真に政府としてやらなければならないようなものをやり、民間の活力を生かして民間でやっていただけるようなものはできるだけ民間でやっていただく。たとえば官業と民業論というのもそのようでございますし、また国民行政との関係において、政府の許認可等の過剰介入あるいは予算、補助金等による過剰介入、そうしたものも見直していく。あるいは高齢化、高学歴化社会において公務員がどうして安心して、しかも力をいっぱい発揮してやっていけるか。そうしたことを総体的に考えていくのがこれからの私どもの仕事であり、また次の調査会でもそうしたことが非常に大きなテーマになるのであろうかというふうに考える次第でございます。
  93. 渡部行雄

    渡部(行)委員 非常にあいまいな答弁ですが、減量経営ということを大変いいことだと思っておるようです。私は、民間企業とこういう行政組織というのは、もともと対比のできないものだと考えております。民間企業というのは、利潤をどう上げるかということに焦点があり、行政府というのは、国民にサービスをどのようによくして、そしてそのサービスを通して各公務員国民から信頼され尊敬される、こういう関係をどうしてつくっていくか、こういうふうに基本的に立場が違うのですよ。これを民間の企業と比べて、あっちも減量したからおれも減量して財政を何とか建て直すなどというけちな考え方で、本当の行政ができるでしょうか。私はその辺が非常に問題だと思うのです。しかも、国というのは、どんな国民、橋の下にいるこじきに対しても責任があるのです。これは気に食わないから外国に追放するというわけにはいかないのです。こうして、いま減量経営と言うけれども、諸外国、先進資本主義国の公務員と人口に対する割合にいたしましても、決して日本は多くない、もうすでに減量されているのです。しかも日本のサービス行政としては、国民から批判が物すごくわいているとおり、さっぱりよくならない。こういうものを抱えて、事務量はこれからどんどんふえる、その中で仕事を合理化することはいいでしょうが、人を減らすという考え方はどこを押せば出てくるのですか。私はもっと行政府の労働者、公務員がふえたって不思議でないと思うのです。その人たちは、そこで働くことによって生活しているのですから。それを民間では減量で皆首切りされる、今度は官庁から皆減量でまた首切りされるで追い出されたら、この失業者はどうなるのですか。これに対する対策はどうできているのですか。こういうことを考えないで、ただ、言葉だけの行政改革なんて言ったってわからぬですよ。しかも、本当に質を高めるならば、もっと第一線の公務員がゆとりを持って国民に接しられる、そういう環境をつくることが一番大事だと私は思うのです。とにかく朝役所に詰めてから帰るまで全く暇なく動いて、そして今度ふろしきでその残った仕事をうちにまで持ち帰るような現状の中で、なおかつこれを締めていったらどうなりますか。長官の言う親切心なんていうのは、神様でもない限り出てくるはずがないのです。親切心というのは心のゆとりがあってこそできるのですよ。もっとゆとりある公務員をつくるべきだと私は思う。そういう点で、長官は一体どういうふうにお考えですか。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公務員制度は、憲法でも書いてありますように、全体の奉任者として位置づけられておりまして、しかも主権在民の憲法のもとにおいては、税金を納めていらっしゃる国民、あるいは日本人であられる国民、その受託に基づいて政府がつくられ行政が執行されておるわけでございますから、できるだけ国民に負担をかけないように、安い税金のもとに行政を遂行していくというのがわれわれに課せられた政府の責任であると思います。それがなおざりになった場合を、よく親方日の丸主義と言われておるのではないかと思うのであります。  そういう意味において、民間と同じレベルでは考えられませんけれども、しかし、減量経営とか効率経営とか親切な運営とか清潔な運営ということは要請されておるのであります。したがいまして、冷酷無残なことをやれと言うのは酷であると思いますけれども、国民の皆さんの常識に合う、社会通念に合う改革はやっていかなければならぬのだ、それは民主主義の原則から見ても、政府は国是の信託に基づいて国民の税金の上に運営されているという観念を徹底しなければならぬ、そうわれわれのサイドとしては考えるからであります。
  95. 渡部行雄

    渡部(行)委員 国民の税金を安くするなどと非常にきれいごとを語っておりますけれども、今度また税調がどうしても消費税のようなものをつくらなくちゃならぬと言っているじゃないですか。現実にもう増税の方策をどんどん出しておるのですよ。そういうものを具体的に進めておいて、いま長官の言うようなことは、私は国民は受け付けないと思うのです。公務員国民なんですよ、公務員国民を切り離して考えること自体、私は非常に矛盾があると思うのですが、これはとても議論しても尽きそうもありませんから、次に進みます。  次は、外務省にお願いいたします。この狭い日本に一億一千七百余万の国民がいるわけですよ。私は、このままどんどん人口がふえていけば、しかも日本の独占資本主義が進めば、これはまた帝国主義段階に突入して、結局侵略思想が必然的にそこにはぐくまれるんじゃなかろうかということを危惧するものであります。そこで、いまこそ外務省は勇気をふるってこの問題と取り組むときが来ているのではないか。アメリカとは経済摩擦を起こし、ECとも経済摩擦を起こしてにっちもさっちもいかなくなっておる。なぜそんなところと経済摩擦まで起こしながら競争しなければならぬのだろうか。地球上を見回すときに、中南米ありアフリカあり中東がある、あるいは東南アジア、ASEAN諸国がある、オーストラリアもあれば、大変な発展途上国があるわけですよ。こういう第三世界をもっと重要視して、そこに対して外交の重点というものを移していった方がいいんじゃないか。私はいまがチャンスだと思うのですよ。  そういう中で、具体的に例を挙げるならば、まず歴史的にも縁の深いブラジルをとってみても、ブラジルという国は日本の約二十五倍くらいありますか、その中でアマゾン地帯が四分の一、セラードという草木も生えないところが四分の一、あと利用されているのがわずかに四分の二ですから、半分なんですよ。そういう広大な土地があるのに、こういうものに援助してくれと相手様が言っているのです。ただ、金で援助すると、金というのは高官のふところにだけ入って、人民の中に落ちていかないのですよ。これはもうアフリカでもそのとおり。そういう形での日本の援助というものはほとんど効果を上げていない。だから、こういうものに開発援助として人ごと援助をしてやる。りっぱに教育して、日本人のプライドを外国で傷つけないような、しかも技術的にも知能的にもまさっている人を送ってやって、こういうものの開発にどんどんと移住させて、そのために国が大きな資本をぽんと投下する。そうしてやっていけば、やがて日本が資源が欲しいときには、いつでもその国の中から日本に手を差し伸べる要件ができてくるわけであります。そういうものをいま百年の大計として打っていかないと、まるで民間の移住に任せきりで、ほとんどいま移民らしい——移民というと非常に暗い感じがしますけれども、移住らしい移住はなくなってきているのです。また外務省もそういう担当課もなくしておる。こういうことでは私は非常に心配なんですが、その点、外務省はどういうふうに考えておられるか、これが第一点。  第二点は、在外公館の問題でこの前も私、言いましたが、その際、長官はこういうことを言っておられるのです。ずっと言ってきて「しかし、日本のほかの官庁も外務省に負けないぐらいみんな一生懸命やって、夜中の一時、二時まで残って政策をつくったりしておるわけでございまして、そういうような苦労においてはほかの官庁も負けないと思っております。」こういうふうに日本の各官庁と外務省を並べて、こっちも一生懸命やっているのだから外務省もそんなわがまま言わないでがまんしてくれというような趣旨の御答弁だったのですが、私は外務省の在外公館の問題なんかを日本の各省庁と比べること自体が大体ナンセンスだと思うのです。外務省の在外公館というのは、いわば日本の玄関口でございまして、どこの家の玄関口がりっぱだかりっぱでないかというのは、そこに行ってみれば一番明らかなんですよ。日本が大国としての襟度を保ち、その威厳を確立していくためには、在外公館において外国の公館に劣るようなことでは恥ずかしいのではないか、またそういう体制の中では、最も重要な国際情報の収集などできないではないか、私はこう考えられるのです。そういう点では、数字は挙げませんけれども、フランス、西ドイツをしのぐぐらいのもう少し迫力ある行政を展開してもらいたいと思うのですが、その点について、外務省もまた余りにも腹が小さい、もうびくびくして人員の要求なんかをしておる。それは意欲のない証拠でございますから、その辺もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  96. 塚本政雄

    ○塚本説明員 お答え申し上げます。  先生の第一の質問でございます移住理念の変遷と申しますか、御指摘のとおり、わが国戦前戦後を通じての、主としてブラジル、対南米、中南米への移住は、伝統的に農業移住が主でございました。しかし、最近におきましては、日本側の状況も、そういう派遣の要請もございませんし、一方ブラジルサイドの受け入れ自身が、その種の移住はもういっぱいで結構である、こう変わってきておりまして、まさに先生御指摘のごとく、技術と資本を持った少数の移住者を送り出すことが当面の急務となっております。これらの方々を、先ほど御指摘のブラジルのセラードその他の当該地域における社会開発計画、それとのコンバインにおいてわが方の少数のしかも優秀な移住者を現地に派遣して、これらの計画と一緒にした移住の成果を上げたい、かような方策のもとに、現在種々具体策を検討かつ実施している状況でございます。
  97. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 この夏、国会議員の方々が非常に多数外国をお回りいただきまして、在外公館の状況、外交活動の状況もつぶさに御視察いただきました。これはちょうど、毎年そうではございますけれども、最近のイラン・イラク紛争を初め非常に国際関係が激動している状況でございますので、そういう中でわが国の外交体制、わが国外交がいわばかなえの軽重を問われているという時期でございましたので、特にそういう点についていろいろ御視察いただいた次第でございます。それ以外の方からもいろいろ御視察をいただいておりまして、実は私どもお帰りいただいた国会議員等の方々から、外務省何をしてきたのだという大変厳しいおしかりを受けました。多年の努力が不十分なために、現状の非常に弱い外交体制が続いているのではないかという厳しい御批判を受けました。と同時に、これからでも遅くはないから、その充実のために最善を尽くすようにという激励もまたあわせていただいたわけでございます。私ども担当の者としては、実に身が引き締まる思いで伺ったわけでございます。というのは、幸い大蔵当局あるいは行管当局の理解によりまして年々いろいろな改善を図ってきて、それなりの成果は上がってきていると思いますけれども、現状、いまも御指摘のありましたように、その任地における他の国の在外公館と比べてみたりあるいは東京にあるその国の公館とその国にある日本の公館の大きさとを比較してみますと、遺憾ながらいろいろな面で非常に手薄であるということは、客観的な事実としてやはり認めざるを得ません。そういう意味において、現状が非常に貧弱だという点は、実は私ども日々痛感していることでございますので、そういう意味における御叱正、御指摘については非常に身を引き締めて伺った次第でございます。もちろん、私どもといたしましても、財政事情の困難というようなこと、その他行政改革等の必要性は十分自覚しているつもりで、それを知らずに物を言っているつもりはございませんし、また先ほどからも御指摘のあるように、サービス面の向上とかあるいは質の改善とかあるいは機械化の促進というような面においても最善を尽くしているつもりではございますけれども、正直申しまして、数の面において遺憾ながら非常に不足しているということは認めざるを得ません。これは人材の育成が中心でございますから、一年だけの予算ではなかなか解決しないということでございますので、当面は来年度の予算の折衝が焦点ではございますけれども、大体五年ぐらいを区切りました中期計画というものをあわせて持ちまして、現在、財政当局並びに行政管理当局と実は昼夜を分かたず真剣な折衝をしているところでございます。要求する側でございますから若干はびくびくいたしますけれども、同時に毅然としてわれわれの考え方を御説明して、ぜひそれら当局の御理解を得て目標を達成したいというふうに念願している状況でございます。
  98. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんので、またこれはいつかの機会にもっと徹底した議論をしたいと思っております。  次は、農林省についてでございますが、農林省については、現在食管法が非常になし崩しにされたと申しますか空洞化になったと申しますか、めちゃくちゃになっておるわけですね。たとえば流通面にいたしましても、やみ米が横行しておる、やみ業者が横行しておる。こういうものは厳しく食管法で取り締まれば、買った方は三年以下、売った方は十年以下の懲役というような非常な厳罰に処せられることになっているのですが、実態はそういうものは全然放置されている。しかし、だからこれを取り締まりを厳しくせよというのではなくて、こういう実態の中で、しかも食管法の三つの柱と言われる二重米価制あるいは全量買い上げの制度あるいは再生産費を償う米価、こういうものがみんな骨抜きにされている。しかも、一方においては食糧安保が叫ばれて、何とか日本の食糧の自給力を向上させなければ独立さえ保てないというふうに議論がされておるわけですよ。そういう中で、いまこの行革を通して農林省には厳しい合理化の嵐が吹きすさんでいる。たとえて言うなら食糧庁の統廃合はどんどん進められてきておる、あるいは営林署もそうです。そういうようにして農林部門がやり玉に上げられようとしておりますが、これは国策と反対の方向で現実には進められているのではないか。もしこういう農林部門に対する攻撃をしていくとなれば、いままでの食糧安保とか農政の転換だとか、あるいは希望ある農業などということは、全くのうそ八百だというふうに思わざるを得ない。この点については一体どういうふうに考えておられるのか、御説明願いたいと思います。
  99. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 食糧管理制度でございますけれども、その使命は、主要食糧につきまして国民の必要とする量を確保し、そしてそれを国民に安定して供給するというのが食管制度の使命であると思っておりますが、米につきましては、具体的にいわゆる直接統制方式をとっておるわけでございます。これにつきましては、最近いろいろ食管に絡む議論がございまして、間接統制方式とかいろいろございますけれども、食糧事情というものは、たとえばことしは日本を含めて世界的に不作でございます。いつも不安な要素があるわけでございまして、そういう意味で、いまおっしゃった食糧安全保障という点も十分考えなければいかぬわけでございます。そういう意味から、食糧管理制度につきましては直接統制方式、これを維持しながら、しかし、いまおっしゃいましたやみの問題とか過剰の問題がございますので、必要な改善をしていく、こういう基本的な考え方に立ちまして、いま食糧管理制度運営の改善の検討を進めているところでございます。  また、私ども食糧事務所の組織、定員問題がございますが、これは必要な改善合理化を図っていくことは当然だと思いますが、食糧管理制度の適正かつ円滑な運営を確保するために必要な組織、定員というものは維持する必要がある、かように考えております。
  100. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いま農民というものは、特に冷害を通して農業に自信を失ってしまっておる。たいがいいまの農業経営は年寄りによって経営されているのが実態ですが、その方々の話を聞いてみると、もう農業はおれ一代で終わりだ、息子たちには別な職業についてもらう、こういうふうに言っておる農民が非常に多いのですよ。こんなふうに農業に情熱を失ったら、日本の国は将来どうなるのでしょうか。私はこれは大変な問題だと思うのです。まさに農業の危機。ここにあって農林省がりっぱな農政というものに対する長期ビジョンを出して、そしてその農政の充実によって農民の情熱を呼び戻す、そうしてそれに対応する行政改革を通して、このようにしておれたちは農民、農業のためにやっていくんだという意欲を示さないで、流されるままに、削減しろと言われると、はい、御無理ごもっともで頭を下げてばかりいたんじゃ農林省なんというものはやがて吹っ飛んでしまいますよ。その辺についてはどういうふうに考えておりますか。
  101. 蜂巣賢一

    ○蜂巣説明員 明るい展望を示せということでございますが、先生も御承知のように、先般、農政審議会に依頼して検討していただきまして、「八〇年代の農政の基本方向」という答申を得たところでございます。それから同時に「農産物の需要と生産の長期見通し」、これについても御答申を得て、十一月七日に閣議決定を見たところでございます。八〇年代は、農業にとりまして内外ともに非常に厳しい情勢が予想されます。先生のおっしゃるとおりでございますので、そういう情勢を踏まえて今回の答申を十分に尊重して、これから長期的に施策の具体化を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。それによりまして、厳しい情勢ではございますが、できるだけ農家が自信を持って農業生産に取り組めるように、そう願っておるところでございます。
  102. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、少しはしょりますが、防衛庁にお伺いいたしますが、第一臨調の場合にも、防衛庁の格上げ問題が議論されておるのですが、今度の第二臨調に対しては、防衛庁の格上げ、たとえば国防省とか防衛省とか、その名前は知らぬけれども、そういうお考えはあるのかないのか。これは長期にわたる一つの展望をつくるんですから、今回はっきりさせておかないで、一年か二年後にそういう動きをするようなことになれば、臨調を侮辱することであり、あるいは国民をごまかすことになろうと私は思うのです。だから、この際、その辺の考え方を明確にさせておく必要があると思いますが、その点のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  103. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 防衛庁の省昇格につきましては、昭和三十九年に省昇格のための法案が準備されまして閣議決定を見た経緯はございますけれども、当時も国会の会期の問題その他から提出されずに今日に至っております。現在、私ども防衛庁の省昇格について具体的な検討はしておりません。
  104. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、具体的にそういう考えはない、こういうふうに認識していいわけですね。
  105. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在そういうことは考えておりません。
  106. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは時間が参りましたから、最後に長官にお伺いいたします。  行政というのはやるだけが能ではなくて、やった成果あるいはそのやり方についての監察が非常に重要であることは申すまでもありません。そこで長官は、今度新たにオンブズマン制度を導入してもいいようなお話がありましたが、そのオンブズマン制度を導入するとすれば、大体いつごろをめどに考えておられるのか、この点が第一点。  それから第二点は、いま公務員の方々は行政改革で大変不安がっているわけでございます。したがって、この不安というものは、事務能率についても非常な支障を来してくることは想像にかたくないわけでございます。そこでこういう画期的な改革を断行していく場合には、自分たちの部下たちが動揺しないように、その不安を取り除くという措置が非常に重要だと思うわけです。その不安を取り除くために一体長官はどういうふうに考えておられるのか、その辺を明確にしながら、公務員の抱く行政整理の対象になるのではないかという不安を一掃していただきたい。  そして最後に、この答申実施についての長官の手順とそれから決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  107. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公務員の皆さんには無用な不安を与えないように、温情ある措置をやるということが行政当局者としてぜひとも必要であると思って、そういう点につきましてはよく配慮してまいるつもりであります。  オンブズマン制度につきましては、これはまだ導入を決めたわけではございません。野党の皆様方の御提案は、国会にオンブズマン制度を置くという考えでございまして、これはわれわれの領域外でございます。われわれは行政各部の内部で置くとすればどういうやり方があり得るかということをいま検討しておるという情勢でございます。  なおまた、この臨時行政調査会は、もし法案を成立させていたださましたらできるだけ早く発足させて、少なくとも年度内になるたけ早目に発足させたいと考えておりまして、そして中間答申もできる限り早くしていただいて、総会で決めたものからどしどし実行していくようにいたしたい、検討の上実行していくようにいたしたい、そのように考えております。
  108. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうもありがとうございました。
  109. 染谷誠

    染谷委員長代理 鈴切康雄君。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先般本会議で第二臨調設置に対して趣旨説明がありまして、私も本会議質疑をさせていただきましたが、本日委員会に付託をされました。そういうことから、本会議でいろいろお聞きできなかった問題についてきめ細かく御質問を申し上げたいと思います。なかなか二時間でこれだけの問題をお聞きすることは非常にむずかしい点ではあろうかと思いますけれども、精力的にひとつ御質問を申し上げたいと思っております。  私は、行政改革の基本的な考え方というものについては、たとえ景気がよくなろうが悪かろうが、政府としては常に効率的な、しかも簡素な行政を保っていくということの努力は大変に必要なことであり、むしろ財政再建とは別個の問題である、このように思っております。常に肥大化する機構に対してメスを入れる、そして国民のための行政サービスを保っていくためにそういう努力が必要だと思うわけでありますけれども、しかし、いま現在大変に低成長時代になって経済が落ち込んでまいりますと、自然、増収というものは期待できない、国債発行が増大をするという状況の中にあっては、やはり財政再建と行政改革の問題を関連づけて考えていかなければならないような状態にいま現在なっている、私はそう判断いたしております。そうなりますと、やはり財政再建のためになる行政改革でなければならないわけであります。ところが政府部内でよく言われることは、行政改革と財政再建は無縁のものとか、あるいは行政改革では経費の削減にはならないという意見が非常に根強く言われております。私は、やはり財政再建の中にあって、少なくともこれからの安定成長経済を保つということ、そしてまた不公平税制是正、しかも行政改革というのはなくてはならない重要な財政再建の柱だ、そのように思っておりますし、わが党も、財政再建としては安定成長経済路線とそしてまた行政改革と不公平税制をやる、これによって財政再建はできる、私どもは実はそういう考え方に立っておるわけであります。  そこで長官は、その財政再建と行政改革の関係についてどのように認識をされておられましょうか、その点についてまずお伺いいたします。
  111. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革と財政再建とは、一応直接的にはそう関係はないと思っております。行政改革行政改革として独自の道で国民の期待にこたえてやるべきものである、そう考えます。しかしながら、今日日本の当面する情勢を翻ってみますと、財政的にかなり窮乏している状態にもなっておりまして、かつまた国民の皆様方があの厳しい石油危機を乗り越えた経緯を考えてみますと、みんな汗を流して減量経営その他でやってきたわけでありまして、当然われわれ政府をあずかる者といたしましても、効率的な簡素な政府にして、そして財政を浮かして国民の負担を軽くしなければならない、そういう考えを持つのは当然のことであり、むしろ財政再建に先行すべき政治姿勢としてこれをとらえなければならない、そういうふうに今日的課題としてわれわれはまた受けとめておるわけでございます。いまのような状態を考えますと、やはり財政を救うためにもある程度行政への切り込みについて一生懸命努力していかなければならぬ、そういうようにも考えておるわけでございます。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実はきょう新聞を見ておりましたら、「天声人語」の中にこういうことが書いてありました。   政府の税制調査会が大型消費税に道を開くよ  うな答申をだした。答申を受けた政府は確実に  増税路線へのカジをとることになるだろう。こ  のさい、政府に注文したいことば山ほどある。   役人のむだ遣いがある。不当な税金の支出が  ある。行政機構の肥大化がある。特殊法人の乱  立がある。とっくに打ち切ったほうがいい補助  金が数限りなくある。まずそういうものを、徹  底的に見直してもらいたい。切りつめて切りつ  めて、これこの通り節減策のききめが現われま  した、と目に見える形で示してもらいたい。大  型増税を論議の場に持ち出すのはそのあとだ。   歳出の節減だ、行政の簡素化だ、と叫ぶだけ  ならだれにでもできる。たとえば、農業補助金  の整理統合が必要だとはだれもが叫ぶ。しかし  実効のあったためしはない。納税者は、政府が  歳出節減に真剣に取り組む気がまえがないこと  をはだで知っているのだ。節減するからまだ増  税を、では困る。増税をいう前にまず節減のあ  かしを、でなくては困る。   サラリーマンの場合は、課税の不公平感があ  る。増税をいうのならまず不公平税制をただ  せ、という反論があるのは当然だ。こういうような、きょうの審議に大変適切な言葉があるわけでありますけれども、これに対して長官はどういうお考えでしょうか。
  113. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま拝聴したその部分は、まさに天の声であるとわれわれは受けとめなければならない、そう思います。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういう考え方でいきませんと、ただ増税へと走るようであっては大変に困ることでありまして、長官のお考え方は私はわかったわけであります。  今回、臨時行政調査会設置法案提出されましたけれども、第二臨調設置を含め、今後の行政改革推進に対する長官の方針というのはどういうことなんでしょうか。すでに八項目の基本方針が出されておりますけれども、特にやりたいということはどういうことでしょうか。
  115. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 就任に当たりまして申し上げましたように、まず第一は五十五年行革のやり残したことを遂行すること。第二は五十五年行革でまだ足りなかったところに手をつける。これが八項目になって出てきておるわけでございまして、法令の整理以下、いま懸命の努力をしておるところであります。第三番目が八〇年代、九〇年代に向かって行政のビジョンをつくる、軌道を設定する。これも第二臨調でお願いしておるところでございます。こういう三つの種類の各方面に向かっていま全力を傾倒しているところでございます。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革は、このところ国民が非常に強く要請している問題であります。しかし、行政改革をやったから行政サービスが大変低下したとか、あるいはまたとんでもなく福祉切り捨ての方向に走ってしまった、財減がないためにそちらの方を切り捨てるということであっては、これは行政改革をやってくれと言っていながら、実際にはとんでもない方向に進んでしまったというふうに国民は思うでしょう。そこで私は、行革推進の意義とか目的については長官はどのようにお考えになっておられるか、その点についてお伺いいたします。
  117. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革の推進は政府として当然なすべきことであると同時に、国民の強い御要望と御期待にこたえるわれわれの仕事である、そういうように考えております。特に、先ほど鈴切委員御指摘になりましたように、財政的に窮乏している折からでございますから、できるだけ経費を浮かして国民負担を軽くする方向に努力することは、われわれとしての当然の姿勢であると考えております。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年の七月に「今後における政府・公共部門の在り方と行政改革」という行政管理基本問題研究会の報告書が出ております。行政の守備範囲の観点から今後の行政あり方を研究したものでありますけれども、この報告については長官はどのように受けとめておられましょうか、またそれをどういうふうに反映されましょうか。
  119. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理基本問題研究会報告の趣旨は、今後における行政の守備範囲のあり方を検討しまして、学問的、理論的立場から行政改革の基本方向を示したものでございます。今後の行政改革におきまして、行政の仕事減らしという観点から官業と民業等行政の責任領域の検討をすることになりますが、研究会の報告は大いに示唆に富むものがございまして、大いに参考にいたしたいと思う次第でございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これまで徹底した行政改革が行われなかったことは周知のとおりであります。総論賛成、各論反対とか、あるいはなわ張り根性的な官僚の機構のためとかいうことで、確かに行政改革が本当に進められていなかったということはだれしも感ずるところでありますけれども、またそれ自体が今日の行政に対する国民の批判になっていると私は思っております。そこで今後の行政改革を進める上で、いままでの大きな反省点に立たなければ第二臨調に取り組む姿勢が問われることになろうかと思いますが、長官としては具体的にどのような点を反省し、これからどういうふうに進めていかれるか、その点についてお伺いいたします。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申し上げますれば、行革をやる方のわれわれのサイドで勇気と度胸が不足しておった、そういうことが指摘されるのではないかと思いますし、また行革を進める上につきまして、精密な青写真あるいは戦略計画というものが不足していたのではないか、ややもすれば、その場当たりでつまみ食い的な行政改革に終わってきた、そういう批判をわれわれは受けております。やはり一定の体系のもとに長期的展望をつくって、その中で理詰めに一つ一つ克服していく、そういうやり方が必要なのではないかと思います。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その第二臨調の構想と当面の措置としての行政の減量化、いわゆる仕事減らしということでございますけれども、しかもその中には「行政サービス改革」ということが書いてありますが、この仕事減らしということと行政サービスの改革ということが、何か仕事を減らしていくということは行政サービスの低下を来すのじゃないだろうかという懸念を国民には与えるわけでありますけれども、この行政サービスの改革と仕事減らしとの関係性というものはどういうふうにお考えになっていましょうか。
  123. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申し上げますと、少数精鋭主義による質的向上ということであります。行政サービスという言葉にはいろいろ内容が含まれておりますけれども、やはり接遇態度の改革あるいは手続の簡素化、迅速化等々が含まれておりまして、それが国民の皆様方にはまた非常に大事な要件でございます。行政サービスの向上というと福祉やそのほかを非常に厚くする、そういうふうにもとられますが、私たちがいまここで当面考えておりますのは、接遇態度とか手続の簡素化とか国民の皆様方に利便を与える、与えられた一定の機構と予算の範囲内において最善を尽くす、そういうことで質的強化を図らんとしておるものでございます。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府は今回第二臨調設置するということで、不退転の決意を持ってするというならば、それはそれで私は必要なことであろう。やはり八〇年代並びに九〇年代、二十一世紀にわたる一つの大きな日本の将来というものを考えたときに、かつて高度経済成長であった時代から低成長時代に移行して、行政の中にあってもかなりそのときの状況とは変わった時代的な変化があるし、それから日本の将来というものを考えたときに、将来どうあるべきかという問題についても検討をする必要があると私は思います。われわれも今回早くこうやって審議をしたということも、そういう意味も含めてでありますけれども、これから臨調ができ上がるのに、やはりそれなりの時間もかかるでしょう。それからまた臨調答申を受けてやるということ、その間に必要なものは答申を出していただくということになるにしても、実はその間やはり時間的空間があるわけであります。となりますと、その間にどういうことを進めていかなければいけないのか。長官のまず御決意と、五十五年度行革並びに五十六年度におきましての行革も決定されるでしょうし、それ以後の行革というものに対しても、やはり何らかの方法で決定されるわけでありますけれども、その絡みについてはどうお考えでしょうか。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、五十五年行革がまだ未完成でございまして、ブロック機関そのほかいろいろな法案の成立を期しております。  それから、この九月十二日に決めました行政改革の大綱、これにいよいよ着手しておる最中でございます。  それから、将来の展望に向かっては、いまこの法案の御審議を願っておりますが、この法案が成立する、そして新しい第二臨調が発足すると同時に、いまの行政監理委員会は廃止する、そういうことになります。その間どうするかということでございますが、ともかく第二臨調を設立させるところに向かって第三の仕事はいま全力を尽くしておりまして、その間においていまの五十五年行革及び九月十二日の仕事等を着々と成就させていきたいと思っております。この十二月の末までにおきましても、法令の整理とか許認可の整理とか、特殊法人の見直しであるとか審議会の整理であるとか、あるいは各省の自主的な機構再編成を促進するための措置であるとか、ともかくやるべきことは非常にあるのでございます。  それから、来年の少なくとも三月くらいまでにはぜひとも正式に第二臨調が動いて、機能、活動を開始するようにしたいと実は思っております。それで、もしそうなると、いまの監理委員会が廃止されるということになりますが、その間もいわゆる第二臨調におきまして中間答申等を得るようにして、そしてその間に間隙を生まないように、実は監理委員会と第二臨調との間の連携関係も持たせるようにしていきたい、そう考えておるわけでございます。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政監理委員会が廃止されるということになりますと、確かに第一次臨調の推進役、お目付役だった行政監理委員会がなくなるわけであります。行政監理委員会がなくなる、そしてできるだけ早く第二臨調を発足したいというわけでありますが、行政監理委員会の最終的な仕事というのはどういうものになりましょうか。
  127. 林伸樹

    ○林政府委員 行政監理委員会は、審議事項設置法上はいろいろなことが書いてありますけれども、主たる仕事は、設置の経緯から見ましても、第一次臨時行政調査会の改革意見の推進ということでございまして、設置以来四十数回行政改革に対するいろいろな提言をしてきているわけでございます。現在も監理委員会から受けている提言は幾つかあります。それで私どもといたしましては、そうした提言を受けて、行政管理庁が当面早くなすべきことというものを決めておりますので、当面はその線に沿って着実に行政改革を進めながら、一方では長期のビジョンをつくる、そういうことでやっていきたいと思います。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私が申し上げたのは、要するに行政管理庁として行政監理委員会に諮問をされている問題があろうかと思うのです。ですから、そういう諮問に対する答申を受けられるのが最終的な仕事になるのじゃないかと思うのですけれども、そういう考え方なんでしょうか。それとも中途半端に第二臨調に移っていくのか。一応諮問をされたものは答申を受けて、それで第二臨調につなげていこうというお考えなのか。それは具体的にはどういうものがあるのか、こういう御質問です。
  129. 林伸樹

    ○林政府委員 先生御指摘の問題は、経済協力行政の見直しということの監理委員会答申の件であろうかと思います。  実は、この件につきましては、一昨年諮問したわけでございまして、以後、関係省庁非常に多うございますし、それから審議の途中で国際情勢変化も非常に激しかったということで、相当回数を重ねて審議をしたわけでございますが、その結論を得ないうちに、実は昨年末、府県単位機関の改革意見をまとめるようにということで総理から要請があったわけでございます。以後十数回もっぱら府県段階間の整理統合の問題で各省を呼んだりあるいは事務当局の調査結果を聞いたりというようなことがございまして、しばらくこの問題の協議が進んでいなかったわけでございますが、最近府県段階の整理合理化案がまとまりましたので、改めて近いうちにこの取り扱いについて委員の各先生と協議をいたしたいと思いますが、まだしばらく時間もございますし、実はこの最終的な取り扱いはまだ決めていないのが実情でございます。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、その結果が出るのはどうなるかわからない、もう少し時間がかかるということは、最終的な結論は第二臨調に移すのか、あるいは行政監理委員会の最終的な仕事になるのか、その点はまだ決めていない、こういうお話でしょうか。もし御意見があれば御答弁願えば結構ですが、先に進めます。  すでに政府として計画されたものの中において、たとえば行政改革に対して昭和四十年以降閣議決定されたあるいは閣議了解された問題についてどれだけ実施されておられるのか。また五十五年行革の実施の状況はどういうふうになっておりましょうか。
  131. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 四十年代からというお話でございますが、これまでの行政改革の閣議決定、たとえば四十二年の「各省庁の一局削減について」あるいはこれは第一次、第二次とあるわけでございますけれども、四十三年、四十四年の「行政改革計画について」あるいは「今後における行政改革の推進について」といったような累次の閣議決定がございます。こういうことで行政の全般にわたって簡素合理化を進めてきたところでございます。  その主な実績としましては、まず昭和四十三年の中央省庁の十八局の整理、それから昭和四十六年度以降五十四年度までの間の約三千七百カ所の地方支分部局の支所、出張所等の整理がございます。三番目には、昭和四十三年度以降数次にわたる定員削減計画を実施してきました。これは四十三年から五十四年度まで約十二万八千人の削減を行ったわけでございます。第四番目に、昭和四十一年度以降、これもまた数次にわたって整理してきたわけでございますけれども、審議会を実質六十三縮減してございます。五番目には、そのほかいろいろ特殊法人あるいは許認可等についても大幅な整理合理化を進めてきたところでございます。  それから、五十五年行革についてどうかというお話でございましたが、さきの第九十一国会において十六件の行政改革関係法案提出しました。このうち八件が成立しましたが、先日お願い申し上げましたブロック機関整理法案等、廃案となったものが八法案ございまして、現在国会で御審議いただいているところでございます。これも早期に成立に努めていきたいと考えております。  五十五年度中に実施が予定されている事柄としましては、以上申し上げましたほかに、特殊法人の役員の縮減あるいは出先機関の整理あるいは定員削減計画、補助金等の整理合理化の計画、これらの大部分についてはすでに具体的な成果を上げているところでございますけれども、なお今後に残っているものもございます。予定されております特殊法人の統廃合、地方支分部局の整理等のいろいろな事項につきましても逐次実行に移していきたい、ただいま申し上げました五十五年行革の着実な実施を図っていきたいと考えております。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革の計画をお立てになってから、現時点でやると言って実は残っている問題がたくさんあるようであります。その中の一つに、地方事務制度については本年の六月を目途に結論を得るものとするとありますけれども、いまだにその措置方針が出されていません。現段階の検討状況はどの程度になっておられましょうか。
  133. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 地方事務官の問題でございます。地方事務制度、御存じのとおりでございますが、国と地方との事務の配分の問題等いろいろ非常にむずかしい点があるわけでございます。  このうちの運輸省陸運関係の部分でございますが、これの車検及びその登録に従事する地方事務官の問題は、道路運送車両法等の一部を改正する法律案としまして今国会提出して、御審議をお願いしているところでございます。これも経緯がございましたが、現在提出してお願いしておる次第でございます。  そのほか、厚生省の社会保険関係及び労働省の職業安定関係の地方事務制度の問題それから運輸省関係で、やはり陸運関係ではございますが、先ほど申し上げました以外の特に輸送管理の関係の問題、この三点につきましては、その取り扱いについて政府部内において鋭意検討協議を進めてきたところでございますが、先ほど申し上げましたような国と地方公共団体との機能分担のあり方とか、現に勤務している職員の身分等に関連する問題が多くて非常にむずかしい点がございまして、その抜本的な解決につきましては、現在のところまだ成案が得られていない状況でございます。政府としましては、今後ともその問題の基本的な解決の方向を見出すべく引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 むずかしいことがあるということはもう百も承知でありながら、地方事務制度については「五十五年六月末を目途として結論を得るものとする。」こうなっておるわけですね。あなたがいまおっしゃったように、国と地方公共団体の機能分担のあり方あるいは勤務している職員の身分等、これは大変むずかしいことはよくわかるのですけれども、このままでいいとお思いになっておられるのですか。このようなことでありますと、いつまでたってもこの地方事務制度という問題に対して結論は出ませんよ。どうされるのですか。
  135. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 私ども、決していまのままでいいと考えておるわけではございませんが、行革本部等を通じまして各省と鋭意、関係省庁ございますが、自治省も含めまして、いろいろ詰めているわけでございますが、まだ成案が得られていない状況でございますので、先ほど申し上げましたように、成案を得るべく検討を進めてまいりたいというふうに考えております。このままでいいと考えているわけではございません。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 成案が出るまでこれから検討するというわけでありますけれども、御存じのとおり、厚生省並びに労働省の方についてはほとんどまだ手がつけられていませんね。道路運送車両法、これは運輸省の方でありますけれども、今国会提出されたわけであります。厚生省の社会保険及び労働省の職業安定関係の地方事務制度の取り扱いについては、この次の通常国会には何とか法案にして出したい、こういうことでしょうか。
  137. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いま御指摘の地方事務制度の問題の現在まだ成案を得ていない部分でございますが、これにつきましては、基本的な解決の結論を得ることが現在の制度等との兼ね合いから非常にむずかしくて、この次の通常国会等にどうだという御示唆でございますけれども、現段階において私からそのような運びになりそうだということは申し上げられない状況でございます。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、なぜその地方事務制度の取り扱いについて、各省間における検討、協議を進め、「昭和五十五年六月末を目途として結論を得るものとする。」、こういう期間を設定されたのですか。これから通常国会にも出せないようなそういう内容、煮詰めることができないものを、あえてここで日にちを設定して「結論を得るものとする。」なんということは、これはもう国民の皆さん方に対して本当に政府自体がやらない証拠を示しているという以外にないのじゃないですか。
  139. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 従来、ただいま先生から御指摘のありましたような点は、何回かにわたりまして検討を進めるということを決めてきたわけでございます。ただいま先生のお話のありました六月までというのは、昨年末の話だと思いますが、その時点では一つの努力目標と申しますか、そういうものとして、できるだけ早くという意味を込めまして六月までにというような一応の決め方をしたものと考えております。その後、いろいろな事情からまだ成案を得るに至っていないというわけでございます。このままでいいとは決して思っておりませんけれども、非常に基本的な解決のむずかしい問題でございます。ということで、現段階は先ほど申し上げました段階にあるということでございます。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、いま地方事務制度の問題について論議をしているわけでありますけれども、地方事務制度については「昭和五十五年六月末を目途として結論を得るものとする。」こういうことで話し合いを続けておられるというわけでありますけれども、その中には国と地方公共団体の機能の分担のあり方、あるいは勤務している職員の身分等むずかしい問題があるということは百も私ども承知であります。承知でありますけれども、政府がこのようにして閣議決定して、五十五年の六月を目途として結論を得るものとするという努力目標を設定したけれども、むずかしいむずかしいと言って、それでは来年の通常国会においてこれに対する何らかの法案が出るかといえば、そういう法案を出せるめどもありませんというのでは、もう地方事務制度は全くお手上げという状態じゃないですか。これに対してやはり行政管理庁長官はリーダーシップをとってその協議の中心に入って、この問題にある程度のめどをつけるという必要があるのじゃないかと思うのですが、長官、どうなんですか。
  141. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鈴切委員のお説のとおりであります。このまま放置してはいけない段階でございまして、いま国会でいろいろ法案関係の努力をしておりますが、こういうものが一段落しましたら、精力的にそちらの方へ取りかかって、できるだけ早期に解決していきたいと思っております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、やはりこういう閣議決定をしてもなかなかできないようなことであっては、国民の信頼が実際にはなかなか得られないわけです。ですから、そういう問題についていまだめだとするならば、それでは来年の通常国会にせめて法案を出す、それだけの努力をしましょうとか、そういうめどをつけなければ、こういう問題はなかなかむずかしい問題です、むずかしい問題ですで進んだのでは、これは行政管理庁としての行政改革に対する姿勢というものが疑われるわけです。ですから、長官はこれはどういうふうにされるつもりなんですか。来年の通常国会に何らか話をつけられて、鋭意努力されるつもりなんでしょうか。
  143. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 来年の通常国会法案を出すというお約束をすることは非常にむずかしいと思いますが、ともかくこの解決の糸口を三つの問題についておのおのつくり上げていくように努力してまいりたいと思っております。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それからブロック機関と府県単位の国の行政機関、これの統廃合ということでありましたけれども、ブロック機関については現在審議されておるわけであります。府県単位についても同様に本年の六月を目途にその整理合理化に関する成案を得るものとされておったわけでありますけれども、実は、先日行政監理委員会意見が出されたにすぎません。今後どのようなスケジュールで整理合理化案が策定されるのか、その点について明らかにしてください。
  145. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 地方支分部局のうちの都道府県単位機関のお話でございます。これは先生いまお話しのとおり、先月三十日に行政監理委員会から改革意見提出されたものでございます。これにつきましては監理委員会意見に沿って政府としてどういうふうにするかという合理化の方針を取りまとめるため、すでに各省と折衝に入っております。年内に何らかの成案を得て閣議決定の運びにしたいというふうに考えております。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ところがその行政監理委員会意見というのは、当初の目的から大分離れてしまって、機構そのものの整理合理化には触れないで、人員削減だけを決めるというきわめて甘い内容になっております。ブロック機関の整理合理化については曲がりなりにも実施されようとしておるにもかかわらず、府県単位機関の整理合理化が余りにも進まないということでは、これはなかなか納得ができないわけであります。すでに六月を目途として府県単位についての整理合理化案も出さなくてはならないのが政府の本来の約束であったはずであります。  そこで、こういう甘いような状態で果たして国民の納得するような整理合理化ができるだろうかということで、私は大変に問題があろうかと思いますけれども、政府としては、その意見書以上に踏み込んで機構の整理合理化を示す御決意があるのか。もしその決意がないとしたら、昨年十二月の閣議決定で六月をめどとして府県単位の整理合理化をお決めになったということは、これまた地方事務制度と同じように空手形に終わってしまうのではないですか。その点についてはどうお考えでしょうか。
  147. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 都道府県単位の機関は、昨年末の閣議決定で決まっておるわけであります。これが六月末というふうに決められた期限までに出てこなかったのは、いろいろ政局等も大きく動いたようなこともございましておくれたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、監理委員会意見に沿って、政府としましては各省と折衝してそれを取りまとめて、できるだけ年内の閣議決定等をしたいと考えておるわけでございます。  ただいま先生の御指摘で、人減らしに重点があって機構減らしは全然ないじゃないかということでございました。これは今回の監理委員会の御意見としましては、機構いじりよりも、まず定員の縮減と事務の合理化が必要であろうとお考えになったものだというふうに理解しております。機構そのもののあり方につきましては、いろいろな管区の局、ブロック局等との兼ね合い、あるいは地方公共団体と国との事務をどのように整理をしていくかということの基本的な問題等を踏まえまして今後検討していく必要があろうかというふうに考えております。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たしか中曽根行革は機構いじりよりも仕事減らしと言っておられるわけです。しかし、今回の意見書は、その仕事減らしより人減らしだということにすべてが終始しておるわけでありますけれども、これをどういうふうに受けとめられようとしておるのですか。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 仕事減らしが人減らしに通ずる、そう考えているわけです。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では仕事減らしの方は手をおつけにならないということでしょうか。
  151. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 仕事減らしというのは、法令を整理するとかあるいは許認可をやめるとか、そういうことによって仕事を減らす。自然減耗で片方では人間を減らしているわけですが、仕事があれば人間はどうしてもついてきます。したがって、仕事をなくせば人間は要らなくなる、要らなくなれば増員は要らない、そういう考えをもちまして仕事減らし、そして人減らしを相連係させようと思っているわけです。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは伝え聞くところでございますけれども、行政監理委員会は当初大胆な行政改革案をまとめておられたようでありますけれども、府県単位の整理合理化というものは、各省庁との話し合いの中で大幅な後退を余儀なくされたというふうに伝えられております。それで、こういう問題をやるときには必ずと言っていいくらい官僚の強い抵抗というものがあるわけでありまして、行政監理委員会自体も言うならばその強い抵抗に屈したというような形になってしまったわけでありますが、このような経過についてどういうふうに受けとめられておられましょうか。
  153. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政監理委員会におきまして、この問題につきましては二月から十九回にわたりて御審議願ったわけでございます。各省からの説明を聴取していただくこと、あるいは現地へ行きまして、その行政機関を実際に監理委員の先生方が調査をなさること、それから行政監察局の調査結果を御報告申し上げ、それからそのほかいろいろな関係地方団体等の意見を聴取する等御審議を続けていただいた結果、このような意見を御答申願ったわけでございますけれども、この意見はやはり当面の実行可能性ということを考慮されたのではないか、そういう面はあろうかと思いますけれども、ただいま先生がおっしゃいましたような各省庁の意見に屈したというようなことはないだろうと思っております。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府における部門間配置転換の実現状況は必ずしもはかばかしくないと聞いておりますけれども、その実現状況及び今後の推進方策をどうお考えでしょうか。
  155. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 御指摘の部門間配転でございます。これは五十五年度から政府は部門間配転に着手したと言ってもよろしいのではないかと思いますが、現在、配置転換につきまして、職員を出していただくような省庁あるいはそれを受け入れていただくような省庁の間で具体的に詰めが行われている段階でございまして、その実績見込みを申し上げることは、ちょっと私の手元にも資料がございませんし、これからでございます。  配置転換の実施に当たりましては、当然のことながら本人の意に反するような配置転換は行わないという国会の附帯決議等もございますので、このような経緯も尊重して、各省庁の理解と協力を得つつ配置転換を推進してまいりたいというふうに考えております。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはたしか受け入れの窓口ですか、窓口で受け入れるのが二百五十四だという中にあって、いま現在まだまだ半分にも満たない状況だというのはこの間の答弁であったのじゃないですか。その点についていかがでしょうか。まるっきり知らないとはずいぶんひどいじゃないですか。
  157. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 半分というお話はちょっとよくわからないのでございますけれども、いま先ほど申し上げましたように、各関係省庁間、配転を行います省庁間で具体的に——具体的にと申しますのは、どの人をどうということを詰めておる段階でございまして、その見込みがどうかという点は、現在、私の手元にもちょっとデータがございませんので、お答えできる段階ではないわけでございますが、いずれにせよ、五十五年がこの配置転換の道づけの年というふうに考えておりまして、できるだけ実現するように鋭意努力していきたいというふうに考えております。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 配置転換が思うように進まないという原因に、いわゆる縦割り行政のひずみとか、あるいはなわ張り的な考え方があるように思われるわけでありますけれども、配置転換を進めるためには本人の了解を要するということであるならば、それはある程度本人に対してメリットを与えるとか、あるいは縦割りとかなわ張りを乗り越える一つのルールをつくらなければ、結局はこの問題の抜本的な改革にはならぬのじゃないでしょうかね。その点について長官はどう思いましょうか。
  159. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 現在、配置転換につきましては、政府部内に推進のための連絡会議を設けております。ここでその配置転換に関するそれぞれ御本人のいろいろな条件等も含めまして情報の交換等を行って、先ほども申し上げましたが、各省庁間で相談しているわけでございます。そしてその推進を図りつつあるわけでございますが、今後ともこの各省庁間における推進連絡会議の場を通じて配置転換の円滑な実施に努めてまいりたいわけでございます。  何らかのメリットを与える方がいいのではないか、また与えるべきではないかというようなお話でございましたけれども、私どもも、新しい職場に出向されます人に、円滑にできるだけ早くその職場になれ、仕事にも習熟されるようなことを期待して、そういう点も先ほどの連絡会議等を通じまして、各省とも受け入れが円滑に進むようにお願いしておるところでございます。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 配置転換がこれから具体的に進んでいかないということになりますと、長官行政改革が柔軟に対処できなくなってしまうというおそれが多分にあるわけですね。それかといって、配置転換については強制的な配置転換はしない、本人の意思を尊重するという形になっておるわけでありますけれども、配置転換と行政改革の推進というものを今後どういうふうに位置づけをされて、どういうふうに進められようというふうに長官はお考えなんでしょうか。
  161. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革をこれから推進していくといたしますと、各省内部における配置転換、それから各省にわたる配置転換というものが非常に重要な意味を持って、これが行われなければ、円滑に行政改革は行われないとすら考えていい問題であるだろうと思います。この二百五十四人に及ぶことしの配置転換を成功させることは、次につながる大きな渡り廊下にもなると思いますので、全力を尽くしてことしの分は完成するように心がけてまいりたいと思います。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府部内に配置転換推進連絡会議というものが五十四年の十月十一日事務次官会議の申し合わせになっておりますけれども、各省庁間の窓口になっているその機構というのは、私は必ずしも推進できるような機構になっていないんじゃないか、弱体じゃないだろうかというような感じがしてならないわけでありますけれども、その点についてはどうなんでしょうかね。
  163. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘のありました点、もしもそういうことがあれば、そうでないように、部門間の配置転換につきましては各省間、やはり配置転換の人を出すところと受け入れるところとが十分本人の条件等も踏まえまして協議していく必要がございますので、この連絡会議の場をさらによく機能するように努力して、推進を実現していきたいというふうに考えております。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年度は二百五十四のポストが、これは五十五年度の予算編成時の受け入れ可能数でございます。二百五十四人というふうに決めたわけでございます。これはもう少したたないとおわかりにならぬとは思いますけれども、二百五十四人はこれから精力的にお進めになるわけでしょうけれども、五十六年度はどういうふうなお考えでお進めになるつもりなんでしょうか。
  165. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま示されました数字、これは確かに受け入れ可能数として各省庁からお申し出のあったものを取りまとめた数字でございますが、現段階ではどの程度実現するものなのかということもはっきりいたしません。これで今年度の実績が出てまいりますれば、それを踏まえまして、またいろいろと配置転換の際に行うべき条件整備等も、ことしの成果を踏まえまして、先ほど申し上げましたように五十五年度は道づけの年でございますから、それらの経験を踏まえまして五十六年度はどういうふうにするか、その規模もさることながら、その方法等、きめの細かい点も必要だと思いますけれども、そういうことも五十六年度は決めていきたい。いずれにせよ、今年度の成果を踏まえて考えていかざるを得ないのだろうと考えます。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 当面の措置の推進状況はどうなっているかという問題でありますけれども、法令整理の検討状況はどのくらい進んでおりましょうか。それから死に体の法令の整理にとどまらず、不要不急な事項の根拠となっている法令の大幅整理を図るべきであると考えますけれども、どういうふうにお考えなんでしょうか。
  167. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いまのお話のとおり、法令整理の点でございますが、先ほど長官からも申し上げましたが、行政の減量化、仕事減らしということは、仕事は法令に基づいて行われているわけでございますから、当然そういう点からも非常に重要だと考えております。このため、閣議においての了解に基づきまして、各省庁にその趣旨説明し、各省庁から法令の整理について協力を要請し、これを私どもの方で取りまとめまして、その結果に基づいて政府として法令整理の全体計画を立てたいと考えております。これはめどとしましては、年内をめどに取りまとめて、次の段階としては法令整理のための法案提出したいと考えております。ただ、法令整理につきましては、各省庁それぞれ法令があるわけでございますから、それぞれの法律でその改正をやっていくのかあるいは一括して法令整理のための法律案をお願い申し上げるのかという点につきましては、各省庁から出てまいりまして、私どもの取りまとめましたその中身を見て検討していきたいと考えております。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官の八項目の基本方針の中には、「法令の廃止整理」がうたわれておりますけれども、具体的に対象となる法令数はどれくらいになりましょうか。また当初中曽根長官試案の段階においては「大幅」という言葉が入っておりましたけれども、長官自身としてはどれくらいを整理、廃止しようというお考えなんでしょうか。
  169. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体いまもう機能してないと認定されるものが三百幾つかあるようであります。これは一括して廃止法案を出すべきものだと思います。それからいま生きているものであっても、できるだけ仕事を減らすために削減する努力をいまやっておる最中でございまして、これは相当数ということでいまのところ御理解いただきたいと思うのです。幾つということをお約束するのは、いまやっている最中でございまして、正直に申し上げていまのところ見当はついておりません。しかし、私は相当数やらないといかぬぞ、そう言って指示しておるところなのでございます。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 相当数という数、これは非常に幅が広いわけでありますけれども、きちっとしたことは言えないにしても、大体どのぐらいのめどをお考えでしょうか。
  171. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体千五百ぐらい法律があるそうであります。それから政令が千六百ぐらいあるそうでございますが、その中でどの程度か相当数という考え方で指示しておりまして、幾つという数字による指示はいまのところはしておらないのであります。各省庁とのかけ合いの情勢を見ながら大体この見当というのがそのうちに出てくるかもしれません。いまのところはともかくがんばれがんばれと言ってやらしておる最中であります。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いつごろ出そうですか。
  173. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十二月の末までに、来年度予算編成のときまでにぜひやりたいと思っております。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法令の整理について、今回法令の整理に手をつけようというわけでありますが、かなり長い間放置してきたわけですね。こういう状況が果たしていいかということになりますと、疑問視する向きもあろうかと思いますが、これを一つのシステム化していく、何年サイクルに行っていく、そういう考え方はございませんでしょうか。もうそのとき思いつき、場当たりにやるという行き方ではどうかと思うのですが、その点どうでしょう。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法令の中で一番問題になるのは許認可であります。その生命の中枢をなしている許認可について、これをコンピューターの中に完全に入れて管理をする形にしていきたい、そう思いまして、いまそういう方向で動き出しておるところでございます。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その「許認可等の計画的な整理」ということについて、合同審査機関設置して推進しよう、そういう動きがあるわけでありますけれども、この合同審査機関内容についてはどのようなものを考えておられましょうか。
  177. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 機能としましては、先生御承知のとおり、いままでも許認可整理につきましては、数次にわたって許認可整理法案等お願いした経緯もございます。ただ、新しくまた許認可がいろいろ出てくるわけでございますので、このような許認可の新設を抑制すると申しますか、新設の際に本当に必要なのかどうかというようなことでございますが、まずその許認可を所管いたしますそれぞれの省庁におきまして、自律的な抑制に努めるようにしたい。それから新設抑制といいましても、これはやはりあるシステム、仕組みをつくる必要があるのではないか。新設の審査上の取り扱いや新設に関する基準等について必要な協議を行うことなどがその内容だというふうに考えております。いずれにせよ、許認可についてこれを整理合理化するため検討するいろいろな事項をここで検討を進めているところでございます。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 合同審査機関設置して推進をするというふうに伝えられているわけでありますけれども、いつからこれを発足させて、どういう機構でおやりになろうとされているのでしょうか。また内容的にはどういうふうにお進めになるつもりなんでしょうか。
  179. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 できれば年末ぐらいの閣議決定において、この協議機関の構成員としては、現在のところ、たとえば内閣法制局あるいは私ども行政管理庁の行政管理局などの調整官庁が考えられるわけでございますけれども、そういうものを構成メンバーとしました協議機関を年末の閣議決定ぐらいで決めたいというふうに考えております。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十二年に引き続いて、活動の不活発な審議会等の整理や委員構成の合理化を図るというふうに聞いておりますが、その検討状況はどうなっておりましょうか。
  181. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いまの五十二年に引き続いての話でございますが、中央省庁に設置されております審議会等につきましては、一昨年の昭和五十三年に全面的な見直しを行ったわけでございます。その結果、審議会等の設置数を三十六、これはネットでございますが純減させております。現在審議会等二百十二ございます。そのほか審議会の委員数の縮減あるいはその委員構成の改善等を行ったところでございます。しかしながら、活動が不活発なもの、あるいは必要性の乏しくなったものについていま一段の見直しを行うことが必要かと考えまして、中央省庁、今度はまた地方支分部局に設置されている審議会等も含めまして整理統合を図っていくようなことをやっていきたいと考えております。  委員構成の合理化につきましては、国会議員の先生方が審議会等の構成員として関与することについて、昭和三十九年の臨時行政調査会答申においても御意見がございました。そういうところで諸方面の意見を伺いながら、委員構成の是正についても検討してまいりたいと考えております。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国の方の審議会はそういう形になるわけでありますけれども、ブロック機関等に付随する審議会、そしてまた府県単位に付随する審議会というものは、数はどれくらいあるのでしょうか。そしてまたそれに対してはどういうふうにされようとしているのでしょうか。
  183. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 地方に置かれている審議会の数でございますが、都道府県単位の国の地方支分部局並びに国が法令に基づきまして地方公共団体に義務づけております審議会の数はちょっと資料がございませんが、いわゆる国の管区機関と申しますか、ブロック機関に置かれております審議会は約二百九十というふうに了解しております。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、国の方の審議会はかなりメスが入ってきているわけでありますけれども、ブロック機関に付随している審議会、国の出先機関であるブロック機関の中に付随している審議会あるいは府県単位になっている審議会等についても、やはりこれはメスを入れないと、これから大変にむずかしい問題になってくるのじゃないかと思いますし、また設置について法律で決められた審議会等もあるでしょうけれども、しかし、この見直しというものもやらなければならない時代になってきているのじゃないかと考えます。その点、長官、どうお考えでしょうか。
  185. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず第一に、ブロック機関及び地方における審議会の整理を今度は非常に精力的にやるつもりでおります。第二に、中央におきまする審議会につきましてもここで再検討を加えまして、廃止、簡略化あるいは改造等を考えてみたいと思っております。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革の八項目の中にある特殊法人の経営の見直し及び余剰金処理についての考え方というのについては、どういうふうにお考えになっているか、またその基準をどうされようとしていますか。
  187. 中庄二

    ○中政府委員 お答えいたします。  前回の御審議のときもお話がございましたが、ただいま御指摘の点は二点かと思います。  まず、経営実態の見直しの方でございますが、歳出のいわば抑制対策と申しますか、そういう面から申しますと、基準としまして、経営の合理化方策を検討しております。もう一点は、増収対策といたしまして利益金等の処分のあり方、それから経営の合理化といたしまして民間能力の活用という三点を考えております  それから、もう一点の御指摘の剰余金の見直し基準は何かというお話かと思いますが、特殊法人は国からの出資あるいは補助も出ておりますし、財投等もございます。それからまた国の独占事業になっておるものもございます。経営成績につきましては、適正な表示がどうしても必要であろう。いままでで申しますと、どうも役所のどんぶり勘定と申しますか、悪いことに使うわけでもないというようなことで、若干どんぶり勘定的な気分もございました。そういう面の見直し基準といたしまして、企業会計原則等にあります民間の基準を使っていくのが一つの方策ではないかということで、いわば民間でも行われております利益の内部留保の形式といいますか、こういうものをいま会計経理学的に見ております。それから特殊法人に金融事業等が非常に多く行われております。こういうものにつきましては、かねて監察をやりまして勧告をいたしました。俗に申しますと、貸し倒れの引当金と申しますか、こういうものの見直しをやりましたので、一応の基準は、事業ごとには違いますが、頭の中にそういうものもございます。  一方、歳入面の方から申しますと、諸種の料金問題等も絡んでこようかと思います。これは個別のいろいろな問題があろうかと思っておりますが、それぞれごとの基準があるのではないかと思います。ともかく百十の多種多様な業務をやっております特殊法人につきまして、公共性の観点からと経済性の観点からと二つの見方でやっておるわけでございますが、統一的な基準と申しますのはなかなかむずかしいかと思います。業務の類型別なりといった基準を頭に置いてやっている次第でございます。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまの御答弁、特殊法人からの利益余剰金を国庫納入させるという話が出ておりますけれども、特殊法人の自主性とか独立採算性というものについて十分に配意をする必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  189. 中庄二

    ○中政府委員 ただいまも申し上げましたように、特殊法人は非常に公共性が強うございます。公共性のほかに、先生ただいま御指摘の自主性の問題もございますし、経営努力の問題等も必要でございます。財政面から見ましても、独立採算性というのも尊重される原則であるというふうに考えております。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 利益の余剰金を国庫納入させるということになりますと、逆に今度は、赤字になった場合当然国が補助をする考え方が出てくるわけですが、この点についてはどうなんでしょうか。     〔染谷委員長代理退席、塚原委員長代理     着席〕
  191. 中庄二

    ○中政府委員 特殊法人の種類はいろいろございます。先生ただいま御指摘の赤字になった場合には即補助じゃないかという性格のものもございますが、全般から見ますと、すべてがそうではございません。たとえて申しますと、専売の例等もございますが、こういうものは恒常的に利益が出るものでございます。  赤字が出ました場合にどうかというお話でございますが、これは一般論になろうかと思いますが、経営の悪化した場合の方策というのは種々ございます。経営の資金の不足というようなことになりますと、これは増資と申しますか出資という対策が必要かと思います。一時金の不足というようなことでございますと、貸付金ではないかというふうに存じますし、ある事業の実施の分野になりますと、これは財投の額の問題とかいろいろそういう問題も絡んでこようかと思いますし、またこれは特殊法人によりますが、原価が上がったというような場合は、各種の料金なりいわば手数料といいますか、そういったものも考えなければならぬということもございます。そのほかに、事業によりましては政策的な補助金というような、先生御指摘のようなものも考えられますが、逆に赤字になった場合にはすぐ補助かということには——私ども特殊法人全部を見ておるものでございますから、全般から申しますと、いまのようなお答えになろうかと思いますが、赤字の場合に補助というのもいま申し上げましたような中の一環であろうかとは思います。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 余剰金のいわゆる吸い上げみたいな形になるわけでありますけれども、公共性の強い特殊法人が余剰金を出そう、利益をより上げようと考え、値上げを図っていくというようなことも十分に考えられるわけですが、値上げに転嫁するということについては、国民の方としては大変に困る問題ですけれども、そういうことにつながらないとも限らない余剰金の吸い上げの問題については、どういうふうにお考えでしょうか。
  193. 中庄二

    ○中政府委員 また先生と若干感じが違うかもしれませんが、先生はあるものを頭に置かれていらっしゃるのかもしれませんが、私どもいま全般を見ておりますので、いまの政府の方策から申しますと、先ほど申しましたような出資なり補助なり財投なりいろんな手段がございます。そういうものを見ておりますと、適正な料金等の問題もございますが、一定の経営努力を行っておりますれば、剰余金が出るという特殊法人も普通はあるわけでございます。  そういうことでございますので、先生ただいま御指摘の、あるいは専売公社かと思いますが、ことしからは制度が大分変わりました。まあ専売も確かに利益金を上げるのが一つの目的ではございますが、経営努力を行った上で利益金を上げていただくのが私ども一番適正かと思っております。普通でございますと、剰余金を出すために値上げというようなことは、特殊法人の経営の原則全般から申しますとちょっと違う話ではないか。特定の法人については、あるいはそういう御懸念があるかと思いますが、私ども全体から見ておりますので、ただいまのようなお答えになろうかと存じます。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いわゆる国民から料金を取って利益を上げたということになれば、これは国民に当然その利益を還元するというのが、私は言うならば筋論だと思うのですね。ところがどういうふうな形で余剰金を吸い上げるかということについて明確でないがゆえに、実際にはそういう心配も出てくるわけです。特殊法人といってもいろいろの特殊法人があることもよく承知ですけれども、そういうことで、国民の料金体系の中から出している金が吸い上がって余剰金になった場合には、ある程度の留保金を考えた上において国民に還元するという形になりませんと、これはどんどん値上げに転嫁するというように私は思うのですが、その点のたてわけをどういうふうにお考えなんでしょうかね。
  195. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  特殊法人の剰余金の考え方でございますが、まず第一には、特殊法人のいろんな法律を見ておりますと、まず利益の積み立てをやっておきまして、欠損が出ました場合に欠損を埋めて、残額を国庫に全部納付する、それから一定率を積み立てて残額を国庫に納付する、一定率を積み立てというのは、ある場合に、赤字が出たような場合ということでございますが、特殊法人の全般から見ますと、そういう形態のものが一つございまして、すべてを国民に還元せにゃならぬということにはならないのではないかと思います。まずそういう剰余金の性格が一つございます。  それから、二番目のいわば剰余金の性格といたしまして、俗に申しますと、必要的な公共余剰と申しますか、特殊法人の形態にもよりますが、次の発展のための改良の設備投資であるとか、こういったものも剰余金の方から見るというのも一つの方向ではないかと思います。  なお、先ほども申しましたように、国から出資も出ておりますし、財投等も出ております。独占事業でもあります。経営努力によりまして出ました利益金というものは、私は国庫に納付すべきものとは思いますが、収入がほとんど公共料金によっておる、こういうものになりますと、先生御指摘のようなお考えになろうかと思いますが、これもいろんな見方がございまして、たとえば金融機関等でございますと、貸す対象がまた違ってまいります。それから道路公団等でございますと、利用者がいろいろ違ってまいります。いろいろな意味の料金なり利子とかございますが、確かに一部のものにつきましては、先生頭に置いておられるのはどういうものか若干の推測はつきますが、そういうものにつきましては、国民に還元すべきであるという性格のものもあろうかと存じております。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府は、いまのところ財政再建に資するために電電公社の余剰金の吸収とかあるいは電源開発、日本航空の持ち株整理を進めるというふうに聞いておりますけれども、これ以外にどういう特殊法人を考えておられましょうか。
  197. 中庄二

    ○中政府委員 私どもは、現在の段階では百十の特殊法人全部見直しをやっており、重点をどこに置いていくかというのは、いま庁内で検討中の課題でございまして、先生御指摘のございましたものも全部が対象になっておりまして、いまの段階では大臣からしかられますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実態調査をしておると言うのですが、その見通しはどうなんですか。
  199. 中庄二

    ○中政府委員 大臣からの督励がございまして、できるだけ多くのものをこの年末の閣議決定に持ち込めというお話が第一段としてございます。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、国有財産の処分については長官が大蔵省に進言をされた。大変に財政が苦しいときなんだから、各企業も血のにじむような努力をしておる現在にあって、国だけが国有財産を保有しながら財政再建をするなんというのは甘い。だから国有財産も処分して財政再建の糧に充てなさいという、大変に次元の高いお話をされたというふうに聞いておりますけれども、ただお話だけであって、中身が何もないんじゃ困るのですが、その点について、具体的には大蔵省に国有財産を処分するというふうに言われた内容の中身というもの、また方向性というものをどうお考えでしょうか。
  201. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政治姿勢といたしましても、中小企業の皆さんが株を売ったり土地を売ってこの危機を切り抜けたわけでございますから、国が金がないというときに、国民の負担をお願いする前に、自分で持っておるものは売るべきである、そういう考えに立って大蔵省に進言いたしまして、大蔵省もわかりました、できるだけ努力して額をふやすようにいたします、そういうことでいま努力してもらっております。  中身につきましては大蔵省に任しておりますので、大蔵省にお尋ねいただけばありがたいと思います。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省きょうは来てないわけでしょう。私のときは呼ばなかったのです。ですから、長官がそういうふうに言われた内容について、どういう基準でこれを進めたらいいかというまでの偉大な構想をお持ちでお話しをされたんじゃないか、私はそう思ったので、渋ちんの大蔵省にあえて聞いてもしようがないので、長官にお聞きしたわけですけれども、そういう程度のものですか。たとえば国有財産を処分するについては、できるだけ国民のためになるような土地の利用とか、そういうものを含めて財政再建にもまた寄与できるような国有財産の処分の仕方等、あるいは公共団体等に譲るとか、そういう問題も含めていろいろな構想があると思うのですが、先ほど御答弁された程度で、大蔵省の方には叱咤激励をされた、こういうふうに判断していいんですか。
  203. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 可能なあらゆる方法を考えてやってみてくれ、そういうことでやっております。国有財産にはいろいろな種類もありますし、また売り渡す相手につきましても、大体原則として公共団体が主になるということでもありまして、大蔵省も金を浮かすについてはいろいろ苦労しておるようであります。ともかくあらゆる手段を使ってできるだけ金を出すように努力してくれ、そういうことでいま見守っておるところであります。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その点についてはまた大蔵省に聞きましょう。  第二臨調の基本的な考え方について、第二臨調設置そのものは基本的には直接的に行政改革そのものではないということはよくわかります。特に新たな組織をつくり予算を計上することは、そのことだけから考えるならば、行政改革に逆行するような形になるわけでありますが、真に行政改革につながるためには、臨調答申等が十分生かされる必要があります。臨調設置することに意義があるのでなくして、臨調答申意見政府がどれだけ実行するかによって価値が発揮されるものだと私は思うのです。しょせんは今回の第二臨調設置というのは隠れみのじゃないだろうか、そういう一部の考え方がありますけれども、私はそうであってはならないと思います。そして少なくとも臨調設置された以上は、その答申とか意見というものについて政府が忠実に実行する、その結果に基づいて、隠れみのであったというそういう批判はなくなると私は思うわけでありますけれども、長官臨調に対する姿勢はどういうものでしょうか。
  205. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまやっておることはやっておることで努力しておりますし、また臨調として、次の時代の行革の軌道を設定するという大事業に取りかかるべくやっておることでありまして、断じて隠れみのではございません。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第一次臨調の際にも、臨調意見または答申内閣総理大臣から国会に報告するよう申し出る措置がとられておりましたけれども、実際は十分に行われないままで終わってしまいました。今回の第二臨調の場合は、適宜国会に報告するようにすべきである、私はそのように思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  207. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 答申情勢を見まして、もし必要であるならば国会に御報告申し上げたいと思います。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 財政再建というのは非常に目下緊急課題であるわけです。すでに政府の方は大衆課税に転嫁するような、そういう動きもあるわけでありまして、これが二年もかかってということになりますと、国民行政改革政府の考えておる増税との板ばさみということになるわけでありますけれども、二年の期間はちょっと長過ぎると思うのですが、二年の期間を短縮するというようなことは可能でありましょうか。また二年間、第二臨調で項目的にいろいろの答申が出た場合はどんどんそれを進めていかれるんでしょうか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次の際は三年有余かかったのでございますが、今回は二年ということに限定いたしまして、その二年の内部におきましても、総会を中間的にどんどん開いていただいて、できたものから御決議を願い、答申を願い、それをわれわれにお下げ渡しを願って実行に移したい、そう考えております。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その第二臨調に八〇年代を展望したものまで答申をしてもらおうというような考え方でありますけれども、本来政府というものは、いろいろな資料それから情報、そういうものを持っておられるわけであります。ですから、八〇年代における問題としては、資源エネルギーの制約とか高齢化社会とか地方の時代、こういうふうな問題があるわけでありますけれども、そういう問題に対して、政府みずからビジョンを持って、少なくとも方向づけをするなり方針を決めるなりの一つの政治的な判断というものは、私は非常に大切じゃないかと思うのです。ところが、今回の第二臨調は、実際にはそれまでを答申してもらうのだということでありますけれども、それでは余りにも政府はおんぶにだっこのような感じがしてならぬのです。少なくとも政治家というものは、先の見通しをつけながら日本の国をどうしようかということについて、私はそれなりの先見性がなくてはならぬと思うのです。ですから、そういう先見性のあるものを政府がある程度決めた上において、効率的で簡素ないわゆる運用をしていこうかということについてより専門的な立場、広い立場から検討してもらうというならば、それはそれなりに大変に有意義だと私は思うのです。そういうふうに考えたときに、まず政府が指導的な立場をとっていかなければいけない、第二臨調に任せ切りだという形ではない方がよい、私はこういうように思うのですが、長官はそのビジョンについてはどうお考えでしょうか。
  211. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん第二臨調に全部おんぶしてもらうという気持ちはございません。われわれはわれわれの内部において、独自の見解で勉強すべきものは勉強し、つくるべきビジョンはつくってまいりたいと思いますが、やはり相当大きな問題を御判断願うことになると思いますので、権威のある超党派的な、全国民的な規模の委員会でいろいろ御判断を願った方が適当であると考えておるわけでございます。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第一次臨調の任務は「行政改善し、行政国民に対する奉仕の向上を図るため、行政の実態に全般的な検討を加え、」となっていましたけれども、今回の第二臨調においては、前段の「行政改善し、行政国民に対する奉仕の向上を図るため、」そういう文言がなくなっております。その理由は何でしょうか。これはいわゆる守備範囲の見直しということで、官業の民業移行等の名のもとにおいて弱者切り捨てあるいは福祉後退ということにつながるのじゃないかという心配が国民に大変あるのですが、その点はどうなんでしょうか。
  213. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で性格的なことを申し上げますと、第一次臨調は行革の具体的な指針という性格があったと思います。今回の場合は行革のビジョン、あるべき政府の姿あるいは行政機能、そういうような次の時代の改革の軌道設定というような性格が強いと思います。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 調査会意見または答申は、調査会内閣総理大臣から国会に報告するよう内閣総理大臣に申し出ることができることとしています。それは、行政改善問題については、行政府はその責に任ずることはもちろんでありますが、あらかじめその問題点国民及びその代表たる国会に提示し、十分な協力を仰ぎたいとの趣旨であるとのことであります。しかし、そのような趣旨であるならば、明確に内閣総理大臣を通じ国会に報告するとすべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
  215. 林伸樹

    ○林政府委員 先生の仰せられるような説もあるわけでございますが、政府審議会でその答申国会に出すということそのものも非常に異例である。それでいまの段階では、まず総理大臣が答申をもらって、それを閣議にかけた上で国会に出すということでも十分担保されるのじゃないか。実は前回の調査会のときにその辺のことがいろいろ議論されて、ほかとのバランスからいって大体そのくらいでいいじゃないかということに落ちついたというふうに理解をしております。そのこと自体も異例に近いというふうに聞いております。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第一次臨調の実施状況なんですが、実施状況概要はどんな状態でしょうか。
  217. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 第一次臨調答申の中身がいかに実現したかということでございますが、概要を申し上げます。  もちろん基盤的には政府臨調答申行政改革をいろいろやりましたけれども、極力臨調答申を尊重するという基本姿勢はあったわけでございます。実施の例としましては、まず各省庁一局削減というようなもの。それから総定員法の制定及び第一次から第五次にわたります定員削減計画の実施。それから四十三年から四十五年の行革三カ年計画。これが三つばかり事項があるわけでございますけれども、まず第一に許認可等の整理、二番目に地方支分部局や審議会等の整理、三番目に補助金等の整理というのがございます。次に昭和五十五年行革、これも三つばかり事項がございますが、特殊法人の統廃合、特殊法人の役員数の縮減、三番目にブロック機関の整理、再編等でございます。  いろいろ申し上げましたけれども、以上の結果、第一次臨調答申内容は約十六項目ございますが、これを約四十項目に整理区分してみますと、実施したものと一部実施したものの合計は約七、八〇%というふうに考えております。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま御報告ありましたけれども、第一次臨調で残された問題について、第二次臨調で引き続き検討するという項目はどういうものが具体的にあるのでしょうか。
  219. 林伸樹

    ○林政府委員 具体的には委員会発足後、委員の方々がいろいろ相談されるんだと思いますが、第一次臨調で残っているもののうちで、現在もなお委員の方々から進めたらいいじゃないかというふうな結論が出たものは取り上げる。それがどういうものになるかということは、まだこれからの問題でございます。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府として、第一次臨調で積み残されたんだけれども、第二次臨調で取り扱ってもらいたい、そのようにお考えになっているのは何でしょうか。
  221. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 たとえば中央と地方の関係に関することで、地方機関の問題、あるいは官業と民業の関係、そういうことで大きなことを扱っていただいたらいいんではないかと思います。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは必ずしも第一次臨調の問題ではないですね。第一次臨調で積み残された問題として、政府としてどういうものを第二次臨調でも扱ってもらいたいなという希望があるのか、その点はどうなんでしょうか、具体的に。
  223. 林伸樹

    ○林政府委員 しばしば話題になっております第一次臨調の積み残しで大きな問題としては、当委員会などでも、たとえば内閣府あるいは内閣補佐官の問題、あるいは科学技術行政関係の問題とか行政手続法の問題、あるいは国鉄、電電の監理委員会の問題とかいうものが残っているというようなことは話題になっておりますが、具体的に委員の先生方がこれらの中でこうしたものはもっと検討して進めたらいいじゃないかという結論が出たものは、また改めて検討されると思います。それから相当進んだものでも、たとえば許認可なり特殊法人なりというものは相当進んでおりますけれども、時代が変われば、また新しい問題がいろいろ出ているだろうというようなことで、そういうものもまた見直しが行われるんじゃないかと思いますし、その辺、いまの段階で私どもが申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第一次臨調のメーンテーマでありました内閣府や内閣補佐官というものの設置、これは当時アメリカの機構である大統領補佐官、その機構だけを見まして、これを日本に入れた方がいいんじゃないかという大変に先走りのことが実はあったわけであります。本来アメリカの大統領制度日本総理大臣とは違うわけでしてね。議会の構成等も違うわけでございますから、これが日本の国になじまないというかっこうになって、結局は内閣補佐官というものは今日まで全然手を触れられないで来ているわけでありますけれども、この内閣補佐官とか内閣府という問題について、現在の状況から取り残されてしまった、そういうことについて今後どういうふうにされようとしているのでしょうか、長官
  225. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの当時はトップマネジメントという言葉が盛んに言われまして、そういう意味で行政の中枢部における指導力が問題になって、そこで内閣補佐官とか内閣府という思想が出ました。おっしゃるように、議院内閣制の日本と大統領制のアメリカでは非常に違う要素がありますから、取り残されて残った要素もあると思うのです。時代の変転と同時にそういうふうに思想も変わり、また時代の要求も変わると思います。いまフリードマンの安い政府とか、いろいろこういうふうに言われておりますけれども、また時代が変われば、前のトップマネジメントみたいに言われないかもしれません。要するに、よく慎重に身構えながら綿密に時代の流れと日本に対する現実的必要性を考えて物はやっていかなければいかぬ、そう思います。
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第一次臨調答申のうち、国土庁とかそういうものの設置は、機構の膨張につながるものが実施されて、第一次臨調の重要な課題等が取り残されたわけでありますけれども、そういうふうなやり方は問題じゃないでしょうか。その点はどうお考えでしょうか。
  227. 林伸樹

    ○林政府委員 私ども必ずしもそういうふうには考えておりませんでして、特殊法人なり補助金なり相当整理も進んでいると思うわけでございますし、事実、三十年代を通じて特殊法人なり公務員数なり非常にふえたものが、四十年代からばったりとまっているというようなこともございますけれども、中央省庁の再編成そのものは、行政の根幹にかかわるというようなことでなかなかむずかしい問題だというようなことで、いろいろ検討すべきもの多しということで残ったというふうに理解をいたしております。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国土庁についても、当時は確かに高度経済成長の時代であって開発ブームの、中に生まれた省庁であるわけでありますが、私どもは基本的には、もう国土庁は思い切って中央省庁の整理統合で建設省等に包含されるべきであるというふうに思っております。今回中央省庁の統廃合にメスを入れなかった、あるいはまた局、部、官、室等の整理統合というものが行われないということは、これはどういうお考えなんでしょうか。
  229. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 中央省庁の内部機構の問題でございますが、今回の行政改革の基本的な考え方というのは、長官もいろいろ答弁されているとおり、機構減らしよりもむしろ仕事減らしの方に重点を置くということでございます。中央省庁の問題につきましては、その中でも自主的にいろいろと簡素にして効率的な機構を目指すように、自主的点検、計画的点検を行うという考え方でございまして、これのやり方等につきましても、現在具体的に検討しているところでございます。やはり各省庁が自主的に自分のところで一番効率のよい組織を模索するというのが一番うまくいくのじゃないかということで、イギリス等で行われておりますマネジメント・レビューといったようなものに範を求めまして、わが国でもそういうことをやってみてはどうかという発想でございます。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、行政改革をするについて器減らしだけでよいとは思っていません。また仕事減らしだけでもよいとも思っていません。いわゆる仕事減らし、器減らし、そして定員管理、予算の問題、これはもう調和のとれる状態で進んでいかなければ本当の行政改革が進むことにはならぬだろう、こう私は思っておるのですが、その点についての長官のお考え方をお聞きしたいわけであります。  それと同時に、第二臨調について、どのような問題を検討することを期待しているか。たとえばオンブズマン制度についてどういうふうに研究をされていますか。あるいは情報公開法臨調としてはどうお考えになっているのか。あるいはプライバシー保護法等についても導入の方向で諮問されるおつもりなんでしょうか。あるいは行政手続法という問題も一つの課題になるのでしょうか。その点についてはどうでしょうか。
  231. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調におきましては、比較的大きい問題を取り上げていただきたいと私たちは念願しております。いまお挙げになったような問題は、行政管理庁としても独自にいろいろ検討を加え、これを施策するかどうかということを勉強さしていきたいと思っておりますし、また現にやっておりますが、第二臨調の側におかれて、そういう問題にも言及されるならばそれでも結構である、第二臨調の皆さんがお決めいただくことである、そのように考えております。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特殊法人は役所と民間の悪いところをあわせ持っていると言われておりますけれども、鉄建公団とかあるいはKDD問題とか生ずるのも、その基本的なあり方に問題があるのではないかというふうに言われております。第二臨調では抜本的なメスが加えられるべきだと私は考えておりますけれども、特殊法人についてのお考えはどうでしょうか。
  233. 林伸樹

    ○林政府委員 先生御指摘のように、前回の臨調のときに比べまして、最近の特殊法人は非常に成熟化し、行政制度の中でも大きな地位を占めるようになっております。したがいまして、第一次臨調と今度の第二次臨調の違いの大きな点の一つに、調査対象に、従来行政機関だけであったのを今度は特殊法人も加えた、これが大きな違いの一つでございます。そういう意味で、特殊法人についても、今度は相当メスを加えて改善策を出していただけるのではないかというふうに私ども期待しているところでございます。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特殊法人はそういうことで、いま国民の批判の中にその姿勢を正そうとしているわけでありますけれども、特殊法人に付随する子会社、孫会社が実はあるわけであります。当初、特殊法人はそれなりの理由で設立されたわけでありますけれども、子会社あるいは孫会社については、もう特殊法人とは非常に異なるものまでできているという状況が指摘をされております。よくよく特殊法人の条文を見ますと、拡大解釈すれば、それも可能だなというようなことまで実は手を広げているということでありますけれども、特殊法人としての本来たる設立目的を逸脱をしているような子会社、孫会社に対しては、長官、どういうふうなお考えで臨まれるのでしょうか。
  235. 林伸樹

    ○林政府委員 特殊法人そのものは、実は強制設立ということで行政の延長ということがはっきりするわけでございますが、いま先生御指摘のような子会社、孫会社あるいは世上問題になっております認可法人等々につきましては、必ずしも一律に網をかぶせることはできないわけでございますけれども、ただ、実際問題としては、特殊法人の検討の一環として、そういう問題にも事実上及んで検討してもらえる可能性もあるというふうに私ども期待はいたしております。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま御答弁のありました認可法人について、これは従来から隠れ法人とかあるいは特殊法人逃れとか、そういうふうに問題視されているわけでありますけれども、その特殊法人との機能的また実際的相違が論議されてきたところでありますが、第二臨調の検討テーマとして、認可法人についても取り上げざるを得ない問題だと私は思うのです。その点はいかがでしょうか。
  237. 林伸樹

    ○林政府委員 認可法人につきましては、その範囲が必ずしもはっきりしない。形の上から言えば、民間人その他の人が任意に申請をして設立するということなので、特殊法人とは全く同じに議論をすることもむずかしいわけでございますけれども、実際上、特殊法人と同じような非常に公共性の強い業務をやっておるものもたくさんあるわけでございますので、特殊法人と同じようなと申しますか、特殊法人の検討とあわせて認可法人の問題についても検討していただけるのではないかということを期待しているところでございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第二臨調の性格というものは、委員の構成の中からずいぶんこれは判断されますし、いまこの場所において、国会審議の中にやはり明らかにすべきだと私は思います。そういう意味において、こういう委員会において明確に長官はお考え方を示せばいいわけであって、もし示さないということであるならば、それは国民に言いづらいというふうな内容を含むと私どもは判断せざるを得ないわけであります。  委員の構成ですけれども、七人であったのが九人だというふうに言われましたね。九人でやる。学界、労働界、財界のOB、マスコミ、中立あるいは官界のOB、法曹界、これで七人でありますけれども、今度は九人になるわけですね。それで長官は先ほど、いま頭に去来するのは、そういう中に地方の人ということをおっしゃいましたね。地方の人だって、これは広うござんすということに実際にはなるわけです。そこで具体的にお聞き、しなければならないわけでありますけれども、地方の人というのはどういう人をお考えでしょうか。
  239. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方の人という表現を用いたのではございません。御質問の方が文化界、労働界及び地方を代表すると、そういうような御質問であったので、それで地方を代表するという、そういうことは第一臨調のときには抜けておりました、今度はひとつ考える必要がありましょうかと、そういう意味のことを申し上げたのであります。要するに、超党派的に全国民を代表するような見識の高い人を選んでいきたい、いまのところはそういう抽象的に考えておるのでありまして、いま新聞記者の皆さんがウの目タカの目で、どんな人が出てくるかと思って毎日のように私の家になんか来て競争しております。無用な刺激を与えてもいけませんし、そういうような選考みたいなことをかりそめにも始めると顔に出るものですから、顔に出ればもうすぐまたわんさわんさ騒ぎ出す、そんな無用なことはやめた方がいい。この間事務次官を呼びまして、選考は一切まだやらない、それでこれは国会承認案件であるから、国会承認案件として国会提出するまではこれは表へ出すべき問題ではない、さよう心得て、選考一切まかりならぬ、お互いに凍結しよう、そういうことにしてあるのであります。これは正真正銘本当の話であります。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人選については御検討願わなければならぬし、また国会の承認ということですけれども、どういう形のところから出されるのか。地方の人じゃ余りにも範囲が広いわけですね。ですから、具体的にお聞きしますけれども、たとえば首長のうちの代表の方かあるいは地方制度調査会のところにおられるような方でしょうか。その点はどうなんでしょう。
  241. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ決めたわけでも何でもない。いま申し上げたような状態で、星雲状態でおるわけであります。しかし、先ほど御質問がありましたときは、地方の意見を代表し得る、そういう意味であると私は理解いたしまして、そういえば、第一次臨調のときにはそういう方は入っておらなかった。なぜならば、第一次臨調のときには地方には手が届かなかったわけであります。今度は地方の問題にも手が届くようになったわけでございますから、そういえば、そういう人を入れるということも大事なのではないかな、そういう気がかすめましたから申し上げたわけなのであります。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうすると、たとえば首長になりますと、やはり首長は個々の相当偏見的な考え方を持っておられて、大所高所というわけにはいかないわけですね。そうなりますと、やはり地方制度調査会とかそういうところに的がしぼられてくるような感じがするのですが、その点については、全くこれはでたらめである、そのようにおっしゃるのでしょうか。
  243. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全く白紙であるということであります。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 白紙であるということは、考えていないということですか。
  245. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 考えていない、これには当分さわらない方がよろしい、そういう考えでおるわけです。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それ以上言ってもあれですけれどもね。地方の人が出てきたわけですけれども、もう一人はどういうことが頭にかすめているのでしょうか。文化界でしょうか。
  247. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 かすめているものは何もありません。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間になったようですから、これで質問を終わります。
  249. 塚原俊平

    ○塚原委員長代理 神田厚君。
  250. 神田厚

    ○神田委員 臨時行政調査会設置法案につきまして御質問申し上げます。  最初の段階で、まず第一次臨調の実施状況をお聞きいたしまして、後半で第二次臨調に対する関係を御質問させていただきたい、こういうふうに思っております。  最初に、第一次臨調は大変労作でございまして、それなりにかなりりっぱな意見もここに出されておりますが、その中でなかなか実施されない部分が非常に多いのでありまして、私どもは、どうして実施をされないかということにつきましても政府の方の御見解、考え方を聞きたい、こういうことで二、三質問を用意しております。  まず、この勧告の中で、先ほども御意見がありましたが、内閣の機能の問題につきまして、あるいは内閣の運営の改善の問題につきまして答申が出されております。その中で、一つは、「国務大の在任期間の著しく短い今日の政治の状況は、内閣の政策および行政方針の継続性を阻害し、国務大臣を担当行政に通暁させる暇を与えないのみならず、施策も近視眼的となりやすい。従って、国務大臣の在任期間を現状よりは長期のものとする配慮が望ましい。」というふうに言っておりますが、依然としてその当時も、「戦後の国務大臣の平均在任期間は九箇月である。」こういうことが言われております。この辺のところはどういうふうに答申を反映されているでありましょうか。
  251. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国務大臣の選任ということは最高の政治行為の一つでありまして、時の総理大臣がその情勢を判断されてお決めになっていることであると思います。私が想像いたしますのに、議院内閣制であり政党政治でありますから、政党の微妙な生きている情勢国民と内閣との密着度合い、世論や人気のぐあいあるいは行政遂行能力上の諸問題、そういういろいろな面を考えて改造が行われたりしてきているのではないかと思います。しかし、一般的に考えますと、いま指摘されるとおりのことはあると思いまして、それはわれわれとしては深く考えなければならぬ問題点であると思います。
  252. 神田厚

    ○神田委員 何でもそうでありますが、防衛庁長官の在任期間一つとりましても、あんなに短くて本当に日本の大事な防衛の政策全部に通暁できるのか、あるいは農林大臣の在任期間一つとりましても、たとえばソビエトとの漁業交渉等において非常にむずかしい立場に置かれるような状況があるということで、内閣の一番のポイントであります国務大臣の在任期間の問題は、長官から御答弁がありましたような形で少し考えていかなければならない問題だというふうに私は思っておりますので、その点はひとつよろしくお願いをいたしたいと思っております。  また、先ほども質問に出ておりましたが、内閣の機能の問題につきましては、内閣府の設置をしろということが言われておりました。これは当時のいろいろな状況もありますし、さらにそれはそれなりに、内閣府の設置という問題についても前向きに考えていく要素も多分にあったわけでありますが、この内閣府の設置が行われなかったことと、内閣補佐官制度設置されていないというのはどういうことなのか、簡単で結構でございますからお答えをいただきたい。
  253. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは恐らく議院内閣制と大統領制との差によるのではないかと思います。大統領制におきましても、たとえばキッシンジャー氏や補佐官と国務省との間が非常に微妙になってきているとときどき報ぜられております。ブレジンスキー氏の場合も同様でございます。そういう意味で、アメリカの大統領制ですらもそういう微妙な関係があるということですから、いわんやわが国のような議院内閣制のもとにおいては、大統領制よりももっと微妙なむずかしい関係ができてくるのを総理大臣は恐れて補佐官制度あるいは内閣府という問題を再検討したのではないかと想像いたします。
  254. 神田厚

    ○神田委員 さらに予算編成機構の整備についての答申がなされておりますが、この勧告が実施をされていないのであります。いま大蔵省に予算編成の権限が集中しているという問題につきましては、これも一つの検討課題として改善の方向で進めていかなければならないのではないか。特に現在のように、財政再建を集中的にやろうとしているときには、いわゆる予算編成機構その他の機構について内閣と直結した形でこれをやっていくような決断というものもある時期においては必要ではないかというふうに私どもは考えております。第一次臨調におきまして、特に予算編成機構の整備についての重要な提言があったわけでありますが、これが実施をされていないということについてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  255. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 第一次臨調答申の中では、予算編成権を内閣に移すべきである旨提言されております。この問題につきましては、各方面でいろいろ御議論があるところでございまして、次のような意見もあるということが今日まで実現を見ていない理由かと思います。  その一つは、予算は歳入と歳出を一体的に見て編成するものでありまして、租税、国債等の歳入面の制度及びその実施の責任を持つ機関が編成に当たった方がいいという意見があること。それから二番目には、予算編成と、言うならば通貨、金融政策あるいは国際収支政策との調整の必要性あるいは財政投融資計画の策定との関連等からいって、予算編成のみを切り離すことは問題があるのではないかというような意見もあるということでございます。三番目は、現在予算は内閣の責任におきまして国会提出されております。閣議において総合的な観点から調整が図られておりまして、現在の予算編成のあり方でも特に問題はないのではないかという御意見もある。私ども考えるに、そういう意見もございまして、特に一次臨調のときの予算編成権の問題が現在まで実現を見ていないということの一つ理由であろうと考えております。
  256. 神田厚

    ○神田委員 この問題は非常に大きな問題でありますが、しかしながら、いわゆるこういう財政再建を国家的にやらなければならないという状況の中では傾聴に値する答申だというふうにわれわれは見ていたわけであります。ここでこのことについての議論をすることは避けますけれども、そういう意味では、この答申が生かされなかったということにつきまして、われわれとしては非常に残念だというふうに思っております。  続きまして、総理府と行管庁を統合して総務庁とする、こういう勧告が出ております。現在の総理府の持っている総合調整機能、それから行政管理庁の組織管理及び行政監察の機能を強化して総務庁とするという一つの案が出ておりますが、これが実現をされなかったのはどういうことでありましょうか。
  257. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 広い意味におきましては、総理府もあるいは行政管理庁もある意味での総合調整機能を果たしているというわけでございますが、総理府本府における総合調整機能は各省庁にまたがると申しますか、実態施策、たとえば交通安全対策あるいは老人対策といったような施策の実態行政についての連絡調整であるということに対しまして、行政管理庁は、ただいまも先生のお話にありましたように、機構、定員の管理あるいは統計等の基準、あるいは行政監察等を通じて行政の運営を総合的に調整する機能であるというふうに考えられるわけでございます。両者の機能には、実態面の行政ということと、言うならば内閣の中ではございますけれども、それをチェックしていくという総合調整機能であるという点においてやや異質なものがございます。ということが特に機構を統合しなければならないということでもないという意見があったのであろうかと存じております。  それから、現行の体制、すなわち総理府本府と行政管理庁が別になっておりますが、実際上は相互に必要に応じて連絡を密にしているというようなやり方で、現行体制においても特段の支障は必ずしも生じていないじゃないかという意見もあるやに聞いております。  以上のようなことが第一次臨調における総務庁、すなわち総理府本府と行管とを統合整備して総務庁にするという構想が現在まで実現していない理由かと考えられます。
  258. 神田厚

    ○神田委員 これは私ども問題点を指摘して、お答えを聞いて、さらにそれを検討の課題にするということでありますので、一つ一つの問題について往復はいたしません。問題点の指摘をさせていただきます。  続きまして、総合開発庁の問題であります。「総合開発行政に関係する行政機関を整序し、その機能を強化するため、経済企画庁総合開発局および水資源局、北海道開発庁ならびに近畿圏整備本部を統合して、総合開発庁を新設する。」こういうふうに答申をされておりますが、これが国土庁は新設されていても北海道開発庁はそのままになっている。こんなふうな形で非常にちぐはぐな形になっておりますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。
  259. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 これもまたいろいろ御議論があろうかと思いますし、議論をされる方によりまして、その理由の分析等も違うかとは存じますが、北海道開発庁は北海道という一つの地域、これの開発のための計画及び予算を一括して担当するとともに、北海道開発局におきまして公共事業を実際に実施しております。国土庁は企画調整官庁でございますので、北海道開発庁という公共事業を実際に実施している機関を国土庁の設立に際しまして一緒に統合しなかったというふうに考えられるわけでございます。
  260. 神田厚

    ○神田委員 国土庁はそれなりに機能を果たしているということは認めてはいるのですけれども、しかしながら、国土庁ができても開発行政の一体化というのはなされていない様子がある。つまり国土庁の定住圏構想、自治省の広域市町村圏、それから建設省の地方生活圏、それぞれがばらばらな施策を持って地方に押しつけられているような状況があるわけで、そういう意味では開発行政そのものがうまくいってないというふうなことがありまして、とれもやはり行革の一つの大きな対象として今後とも考えていかなければならない問題ではないかというふうに思っているわけであります。  ところで、次に「中央省庁における既存部局の整理・統廃合の促進および部局新設、膨張の抑制」こういうことが答申をされております。この既存部局の整理、再編成というのはどのぐらいになされているのか。答申では「現行部局の数をおおむね半数程度に減ずることが可能」と言っておりますけれども、現在われわれが見ておりますと、そのことにつきましては非常に不十分だというふうに思っておりますが、この点はいかがでございますか。
  261. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 中央省庁の内部部局の話でございます。これは従来から行政事務の増加を理由とする機構の膨張というものは極力抑えるような方針で、なお事務処理能力の向上あるいは既存部局の再編に対処してきたところでございます。  たとえば中央省庁の局の話でございますが、四十二年度には百二十局設置されておりました。四十三年度には御存じの一省庁一局削減によりまして十八局を削減し、その後は極力スクラップ・アンド・ビルドの原則にのっとって対処してきた結果、四十六年度の環境庁の設置あるいは四十九年度の先ほどの国土庁の設置等に伴う局の新設があったわけでございますけれども、現在の設置数は先ほど申し上げました四十二年の百二十よりも小さな百十四という段階でございます。  第一次臨調の、中央省庁の現行の部局、先ほどのお話でおおむね半数程度減ずることが可能じゃないかというふうに言っておりますけれども、臨調答申の中身は、企画部門と実施部門とを組織的に分離しまして、企画部門につきましては、ある程度専門官の制度を導入するというようなことを前提にして、既存部局の半数程度に減ずることが可能であろうというような趣旨であったと理解しております。  企画部門と実施部門との分離については、従来からいろいろ議論のあるところでございます。これも日本の風土に合うのか合わないのかといったような学者の御意見もございまして、いろいろとむずかしい点がございます。  なお、臨調答申以降、企画事務の増大に対しましては、参事官あるいは審議官といったような専門官の強化によって企画部門の課なり部なりというものの膨張を抑制してきている次第でございます。
  262. 神田厚

    ○神田委員 中央省庁については部局の削減というのは大変大きな問題ですからなかなか手がつかないのはわかるのでありますが、今後中央省庁の改編問題については、第二次臨調にそういうふうな精神でこれを諮問しようとしているのか、その辺はどうでございますか。
  263. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 さらに中央省庁の改編についての御意見でございますが、先般取りまとめました「今後の行政改革に関する基本的な考え方」におきましては、当面の検討課題の一つとしまして、中央省庁内の再編に関しまして自主的、計画的な組織再編というものの推進を実施することにしております。これは行政機構の膨張を抑制しながら、組織とその運営が行政需要の変化に弾力的に対応し得るようにすることが趣旨でございまして、この実施に当たっては、当然ながら臨調答申趣旨を踏まえつつ検討することとなると考えております。  なお、今回の臨時行政調査会におきましては、中央省庁の機構については、行政機構全体の問題としまして、その関連において必要に応じて調査、御審議いただくことを私どもとしましては期待しております。
  264. 神田厚

    ○神田委員 次に、審議会の問題について御質問申し上げます。  審議会運営の改善その他でいろいろなされておりますけれども、審議会の問題についての答申はどの程度実現をしているのでありましょうか。
  265. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 審議会の運営面の改善に関する臨調答申の骨子がございました。これは委員構成の是正、あるいはその議事運営の改善あるいはその審議会の主務官庁におけるその審議会からの答申意見等の尊重、こういうものが前回の第一次臨調からの答申と承知しておりますが、このうち委員構成の是正につきましては、昭和五十三年の一括整理に当たりまして相当大幅に実施したところでございます。  特に、行政機関職員につきましては、主務官庁として、当該審議会等の不可欠の構成要素と見られる場合を除いて、極力審議会等の委員から除外したところでございます。  次に、議事運営の問題でございますけれども、議事運営の改善あるいはその答申の尊重等につきましては、常々それぞれの主務官庁においてその実現に努めているところであるというふうに考えられますが、今後とも行政に対する審議会を通じての国民の意思、そういったものの反映があるわけでございますから、審議会等の設置の本旨にもとることのないように不断の見直しを行ってまいりたいと思います。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
  266. 神田厚

    ○神田委員 委員構成についてかなり改善をしたということでありますが、この審議答申には、一つには、委員には国会議員は充てないこととするというようなこともございまして、この前の委員会におきましても長官の方に御質問申し上げた経緯がございます。たとえば電源開発調整審議会は十七人のうち九人が国会議員であります。国土開発幹線自動車道建設審議会は三十一人のうち二十三人が国会議員であります。科学技術会議は十一人のうち五人が国会議員であり、貿易会議は二十九人のうち五人がそれぞれ大臣、国会議員であります。答申によれば、国会議員を委員から外して、行政部の委員も原則として任命せず、するときは幹事としての参加にとどめるものとしております。委員構成をこういうような形で現在改めたとは言いながら、まだまだこういうふうなことがございますので、これを改めるべきであるというふうに考えておりますけれども、その点はどうなのか。  同時に、大蔵省の事務次官は三十四、運輸省の事務次官は三十一、通産省、建設省の事務次官は三十、農林省の事務次官は二十九もの審議会の委員となっております。答申意見を聞くはずの次官が委員になるのは、これはまた大変おかしいものでありますから、この点についても改めるべきではないかと思っておりますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  267. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 審議会に関する委員構成の御指摘でございますが、政府職員審議会の委員になることは特殊な場合を除いてやめた方がいいというのが臨調の御意見でございますが、これはいろいろ審議会等の委員からそういうふうに除外してきた結果、整理前に百二十三あった行政機関職員を構成員とする審議会が現在では三十九に減少しております。  それから、国会議員を構成員とする場合にも言及なさっておりますけれども、一括整理による統廃合の結果でございますが、これが十七から八に減少しておりますけれども、残っております八審議会につきましても、今後各方面の御意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
  268. 神田厚

    ○神田委員 審議会の委員構成は、やはり一つの大きな問題点として出されたものでありますから、徐々に御努力をなさっておることはわかりますけれども、ひとつさらに推進をしていただきたい、こういうふうに考えております。  次に、審議会の整理状況、これは臨調答申以来どういうふうになっておりますか。
  269. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 臨時行政調査会答申以後の話でございますが、審議会の整理そのものでございます。これはできるだけ精力的に実施してきた一つの項目でございますが、昭和四十一年の一括整理におきまして、これは純減でございますが三十四、それから昭和四十四年行政改革計画におきまして純減十、さらに昭和五十三年の一括整理において純減三十六というふうに審議会を減らしてきております。この結果昭和四十年度末に二百七十七ありました審議会が、現在は約四分の一整理されて、二百十二というふうに減っている現状でございます。
  270. 神田厚

    ○神田委員 私ども、この審議会の整理につきましては、かなり進んでいるというふうに認識をしております。しかしながら、われわれはなおこの審議会は、一つは必要性の乏しいもの、二つには不活発なもの、三つには類似のもの、これを中心に今後も整理を進めていくべきである、こういうふうに考えておりますので、これについては第二次臨調答申を待つまでもなく実施をすべきである。そしてこの運営の改善についても、臨調ですでに答申済でありますから、改めてこの審議会の問題については第二次臨調答申を待たないで、ひとつ勇断をふるって整理を進めるべきだというふうに考えておりますが、お考えはいかがでございましょうか。
  271. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先般取りまとめました「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、この中におきましても、「当面の検討課題」という中に「審議会等の廃止整理」を掲げてございます。でございますので、先生おっしゃいますように、第二臨調答申を待つというまでもなく必要性の乏しくなったもの、あるいは活動の不活発なもの等を中心にいま一段の見直しを行って整理統合を推進していきたい、そう考えております。
  272. 神田厚

    ○神田委員 続きまして共管競合事務についての問題を御質問申し上げます。  この答申の中でも「いわゆる行政事務の共管競合に対する国民の苦情は非常に多く、かつ、行政の広範な部面にわたって提起されている。」こういうふうに言われております。それによりまして、この第一次臨調におきましては具体的な事例を挙げまして、そして共管競合事務についての改善答申しているわけでありますが、これらの問題につきましてどういうふうにお考えでございましょうか。
  273. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 共管競合事務は確かにいろいろ行政上の問題のある部分でございます。これの改革に関する意見は、当時わが国の緊急な行政分野でございました港湾あるいは貿易、経済外交、経済協力行政というものを取り上げて、その改善策を提示したものでございますけれども、その実施状況はどうなっているかというお話でございますが、まず港湾における通関関連行政につきましては、各省庁の連絡協議会の設置あるいはその必要な提出書類、国民からの提出書類ですね、こういうものの様式の統一あるいはその港における合同庁舎の建設の促進等々。  それから二番目に、貿易関係の許認可業務でございますが、これにつきましては、外為法の改正による貿易関係許認可事務の簡素合理化。  三番目に、経済外交につきましては、在外公館における経済担当官の充実。これは昭和四十六年度二百四十二人、五十五年度三百十人という数字が上がっておりますけれども、こういう海外との通信体制の整備等。  それから四番目につきましては、経済協力行政についてでございますが、対外経済協力閣僚懇談会の設置、これは昭和四十四年でございますが、なお五十年には閣僚会議に改組後、五十二年に閣僚会議の効果的運用によって廃止されましたが、民間有識者を含む対外経済協力審議会に改組されたわけでございます。これによりまして、輸出入銀行と海外経済協力基金の業務分担の明確化等を通じて、いま申し上げましたような各項目につきましていろいろと実現してきたところでございます。  ただ、ほかにも共管競合の問題はございますわけで、共管競合の問題はやはりこれからも十分に意を用いて検討していきたいというふうに考えております。
  274. 神田厚

    ○神田委員 この臨調答申が具体的に挙げました「軌道事業に関する各種の許認可」の問題、「標準外決済にかかる輸出の承認」、「農林・運輸両省の行なう漁船の検査・登録」の問題、「農林・運輸・建設三省の行なう海岸保全行政」、「厚生・建設・農林三省および文化財保護委員会の行なう景勝地保護行政」、こういうものにつきましてはどういうふうに改善がなされましたでしょうか。
  275. 中庄二

    ○中政府委員 先生ただいま御指摘の許認可でございますが、臨調では別に付属資料といたしまして詳細なものが出ております。それを入れますと三百七十九事項ございまして、現在までのところ二百六十八事項で七一%が措置済みでございます。まだ残っておりますものもございますが、鋭意努力をいたしたいと思っております。
  276. 神田厚

    ○神田委員 この臨調答申の共管競合の問題で一つ重要な指摘がありますのは、共管競合による不都合発生の原因のうち、特に重要なものは「行政官の姿勢の問題である。」と指摘しております。その「根本の原因は、採用から退職後の再就職に至るまでのすべての人事が基本的に各省別になされ、これらの面での各省間の横断的関係づけのルートが皆無に近いという人事制度あり方にある」こういうふうに述べております。この点が全く現在も改善されていない、手がついてないわけでありますが、今後こういう問題につきましては改善していく意思がおありなんでありましょうか。
  277. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 これは人事の問題でございますので、私からお答え申し上げるのは必ずしも適当ではないかと思いますけれども、臨調答申では、確かに上級職公務員の一括採用制度等を提言しておられます。これにつきましては、まず第一に各省大臣のその任命権との関係を初めとしまして、具体的な任用に当たってはその職種あるいはその本人の適性、各省の人事構成等につき個別に考慮されるべき問題があるわけでございます。種々検討すべき問題がございますので、いまだ実現を見ておりません。しかしながら、この臨調答申趣旨を生かすという意味におきまして、採用されました上級職採用者につきまして、各省全部集めまして合同初任研修等を実施をしておりますが、こういうことを実施を始めたということで、各省庁間の人事交流の活発化等の努力がなされてきているというふうに思います。
  278. 神田厚

    ○神田委員 この問題は後で総定員法等の関係でもう一度質問をさせていただきますが、われわれとしましては、まだその点が全然手がつけられてないというふうに判断をしております。  次に、行政事務の再配分についての問題でありますが、これはやはりいろいろ具体的な事例がありますけれども、答申の勧告どおり実現されてないということが大部分であるというふうに考えております。この点はどうしてでありましょうか。
  279. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政事務の配分に関する改革意見実現していないというわけでございますが、行政事務の配分に関する改革意見は、まず教育、民生あるいは産業、労働関係等の行政分野における個別的、具体的な事務の地方移譲をするように、あるいはその二番目に地方事務制度、これが問題であるのでこれを廃止せよ・それから三番目に個別補助金の整理、四番目に国の地方出先機関の整理等がその答申の主なものであったと理解しております。  これにつきましては、個別、具体的事務の再配分につきましては、従来から許認可等の整理の推進等を通じまして取り組んで来たところでございます。一部、そういう意味では実現しているものがあるわけでございますが、臨時調査会における指摘、三十二事項のうち十九事項は実施されているというふうに把握しております。またその補助金の整理あるいは国の出先機関の整理につきましても逐時実施に移してきているところでございまして、これもまた部分的に実施されている部分があるわけでございます。私が二番目に挙げました地方事務官の制度でございますが、これにつきましては、各省庁と鋭意詰めておりまして、運輸省関係の陸運局の車検及び登録の部分につきましては、今国会法案を御提出して審議をお願いしているところでございますが、ほかの三つの分につきましては、まだ成案を得るに至っておりませんで、今後引き続き検討することとしている次第でございます。
  280. 神田厚

    ○神田委員 時間がございませんので、どんどん前へ進んであれですが、次に、許認可の問題について御質問を申し上げます。  この許認可の問題も、臨調答申によりましていろいろ指摘をされておりまして、許認可等の改革に関する意見の中で、具体的事例を挙げて改善を要望しておるところがございます。この辺のところにつきましては、どういうふうになっておりますか。
  281. 中庄二

    ○中政府委員 許認可につきましては、具体的に三百七十九事項の指摘がございまして、二百六十八事項を実施いたしましたが、まだ残っているものがございます。その辺につきましては非常にむずかしい問題等もございますが、政府としてできますものは今後とも推進をしてまいりたいと思っております。
  282. 神田厚

    ○神田委員 さらに行政機構の問題。これも答申の「行政機構の統廃合に関する意見」の中で具体的に事例を挙げまして、やはり問題提起をしております。これらにつきましてはどういうふうな形で実施がなされたのでありましょうか。
  283. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政機構の整理合理化につきましては、四十三年度の一省庁一局削減によりまして十八局の減、それから最近では昭和五十三年から五十四年度における課、室、官等の一律削減、これは五十一の減でございますが、これを初めといたしまして、ブロック機関の整理再編成、これは今国会法案を再提出いたして御審議願ったところでありますが、さらにその下の機関であります支所、出張所等の整理、これは昭和四十五年から五十四年度までに約三千七百機関を整理しております。こういうふうに地方支分部局の整理合理化の措置を図ってきたところでございます。第一次臨調答申において具体的な改革意見が出されている機関につきましても、これらの整理合理化の際にその実施を図ってきているところでございます。
  284. 神田厚

    ○神田委員 以上、大変大ざっぱでありますけれども、第一次臨調答申についての問題につきまして御質問申し上げました。  これを見ましても、私はこの第一次臨調というのは大変りっぱによくできていると思っておりますけれども、その答申を受けてこなしていく行政の方がどうもそういう意味では非常にネグレクトしていたという感じがするわけであります。私がいま指摘をした問題だけでも、第一次臨調で言われていることを本気になって行管庁がやろうとするならば、いま改めて第二次臨調というものをここに持ち出してやらざるを得ないというようなことはないんじゃないかと考えているわけでありますが、そういう意味では、ここに出してこられました第二次臨調の中に、いかにしてこの第一次臨調の中で積み残されたものを入れていくかという問題を真剣に考えていかなければならないと思っております。  以下、この第二次臨調の問題につきまして御質問申し上げます。  先ほど来から御質問がありましたが、この第二次臨調の規模や運営につきましては、委員とか専門委員とか調査員、事務局、これはどれくらいの人数で、どういうふうな構成をとろうとなさっておるのか、特に専門委員、調査員あるいは事務局の体制は具体的にどういう形になさるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  285. 林伸樹

    ○林政府委員 委員九名の下に専門委員事務局をつけることにしておりますが、専門委員事務局につきましては、これからの予算査定の段階で決まるわけでございますが、私どもとしてはできるだけ簡素な組織にしたいということでは進んでいるわけでございます。  ちなみに前回で申しますと、委員七名の下に専門委員二十一名、調査員七十名、庶務関係四十名という構成でございました。今回はこれよりも若干下回る、できるだけ簡素な組織でやりたい、こういうふうに思っております。
  286. 神田厚

    ○神田委員 第一次臨調におきまして、官庁派遣のスタッフが当該官庁に関する行革になると非協力的な姿勢をとるというふうなことが指摘をされておりました。これはやはり人情としてうなずける問題でございますけれども、こういうものにつきましては、この第二次臨調ではどういうふうに対応なさるのか。  また、労働組合など民間スタッフをできるだけ多く登用せよという意見もございますが、この辺のところにつきましては、委員だけではなくて専門委員などにつきましても、こういう労働組合等民間のスタッフの登用をお考えでありましょうか。
  287. 林伸樹

    ○林政府委員 まず専門委員でございますが、前回も学識経験者等、学者なり民間の人を充てていたわけでございます。それで二十一名のうち大学の教授、助教授クラス五名、その他の民間の方九名というようなことでございましたし、今度も恐らくそういうことになるのだと思います。  それから調査員でございます。今度は事務局の中に入れておりますが、前は専門委員に直結させたわけでございますが七十名、この中で行政機関出身者が五十六名、うち行管が三十名、その他二十六名、それ以外が民間の方ということになっておりました。今回もある程度民間の方に入っていただこうということで、予算のお願いはしておるわけでございます。  なお、御指摘の各省からの出向者でございますが、各省から大体一名あるいは二名くらい来ていただいたのが前例でございます。ただ、各省から来ていただいた方が非常に邪魔になったとかいうことは、実は私ども余り耳にはしていないわけでございますし、今後もそういうことについては十分気をつけてやっていきたいと思っております。
  288. 神田厚

    ○神田委員 議論をしていると時間がありませんので、先に進みますけれども、やはり自分の官庁のことになるとかなり消極的だということは周知の事実でありますから、その辺のところは今度は少し考えてもらった方がいいのではないかという提案をしているわけでございます。  次に、この臨調答申を受けて行革を成功させるためには、やはり当局が決意を持ってリーダーシップをとって行わなければならないことでありますが、国民の間にも行革推進のコンセンサスを形成しなければならない、こういうことでありまして、このためには調査会の論議の状況を適時公表しまして、事実上国民参加の形にするように持っていかなければならない、われわれはこう考えているのでありますが、その点はいかがでございますか。
  289. 林伸樹

    ○林政府委員 会議を公開にすることも一つの方法でございますが、公開した場合には、審議の中立性、円滑性を阻害するという一面もあるわけでございまして、前回も非公開にしておりましたし、今回もそのように考えたい。ただ、途中で公聴会等なるべくいろいろな意見を入れることにしたいというふうに考えているのでございます。
  290. 神田厚

    ○神田委員 これは長官にお聞きしたいのであります。八〇年代、九〇年代を展望した行政の哲学、これを調査会で練るという遠大な計画もわかるのでありますが、当面、行革というのは財政再建の方向を決定づける緊急かつ最大の政治課題であるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、さきに答申をされました政府税制一調査会意見書を見ても明らかなように、現在の財政危機を克服するには行革など歳出の徹底的な削減を一応進めるということになっております。しかしながら、そうはしましても、課税ベースの広い間接税の導入もやむを得ない、こういう意見が出ておりまして、つまり財政当局は昭和五十七年度からの新税の導入をある程度考えている、こういうことでありますから、まさに来春調査会が発足して論議が進められる時期に、五十七年度に向けての増税の論議がこれまた出てまいりまして、国民の世論が二分されるということになります。こういう時期に、二年以内にこの行革のいわゆる臨調答申をするという余裕が果たしてあるのだろうか。したがいまして、われわれとしましては、増税なき財政再建の道は行革をおいてほかにないというふうに考えておりますので、これらの問題について二次臨調答申を待たないで緊急不可欠のいわゆる行財政の改革を行うことができないだろうか、その辺はどうお考えでございますか。
  291. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革は行革、それから財政再建は財政再建、みんな独自性を持っていると思います。しかし、今日のこのような財政窮乏の事態を見ますと、おのずから政治姿勢として行革を断行しなければ財政再建もできない、そういう環境にあると思います。そういう意味においては、両方に一つの共同の地盤があると思っております。そういうようなことも踏まえまして、この二次臨調が成立しました暁には、二年と限っておりますけれども、できるだけできた分からどしどし答申をしていただきまして、それを検討の上実施に移していきたい、そのように考えております。
  292. 神田厚

    ○神田委員 一般会計の三分の一を占める補助金並びに三K赤字、財政投融資、こういうものの歳出の抜本的な見直しがいわゆる財政再建のポイントでありますが、これらは二次臨調で検討することになっている官業と民業及び中央と地方の境界線等とのテーマに非常に深くかかわっていることでありますから、われわれとしましては、やはりこの二次臨調答申を待ってこれを行ったのでは間に合わない、そういう意味では、緊急的なものとそうでないものとを分けまして、緊急的な課題につきましては、これを二年というようなことではなくて、その都度解決していくような努力が必要ではないか、こういうふうに考えているわけでありますが、いかがでありますか。
  293. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見のほどはよく傾聴いたしまして、参考にいたしたいと思います。
  294. 神田厚

    ○神田委員 次に、二次臨調の検討課題といたしまして、まず一つは、国と地方の任務分担、境界線のテーマ、単にこれは守備範囲の領域にとどまらずに中央集権的な従来の行財政システムの根幹にかかわる問題になっているわけでありますが、約一万件に及ぶ許認可事項、地方自治体の命綱とも言える補助金の交付、現業部門を除いてほとんど意味のない地方支分局などは、中央の政府が地方自治体に対する監督といいますか、画一的な方向づけになっているわけであります。われわれとしましては、この問題につきましては、量的な拡大の道をとるのではなくて、質的な充実が求められているというふうに考えておりまして、そういう意味では、この中で福祉や医療や教育、文化、それから都市問題、こういう住民に密着したテーマを解決していくために、地方の主体的な創造的な対応が今後とも要請をされるように考えております。したがいまして、地方の時代は、自治体の権限と財源の強化なくしては発展しないということでありますが、かつてのように、自治体が繁雑な補助金申請の陳情を重ね、縦割りのひもつき補助金で財源の足しにしている状況では、自主的な企画あるいは行政の推進が望めないということで、公共事業などにおける補助金の総合化を進める必要はないか。われわれとしましては、これは第二補助金、いわゆる第二地方交付税という形で前々から御提言を申し上げているわけでありますけれども、こういうことについて政府としまして、この補助金のあり方についての検討というものを、ただ単に補助金の数を減らすということではなくて、その交付の仕方を変更する考えはないかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  295. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのような工夫も大いにしてみる必要があると思います。
  296. 神田厚

    ○神田委員 この補助金の問題につきましては、この前の委員会等におきましてもかなり具体的にわれわれの方として提言をしております。そういうことで、それらの問題につきましても、ひとつ今後とも発想の転換をしていただきまして、思い切った改革をしていただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思うのです。  続きまして、総量規制方式の見直しの問題について御提言を申し上げたいと思うのでありますが、佐藤内閣が昭和四十二年に一省庁一局削減を行って以来、スクラップ・アンド・ビルド方式が確立をしまして、また昭和四十四年に総定員法が制定をされまして以来、各省庁の組織、人員の抑制策は総量規制方式と称されて、行革の手法としてはこれが日常化しているわけであります。この背景には不満の公平な配分、こういうことが言われているわけでありますが、しかし、これからのいわゆる行政改革の推進に当たっては、多様化した行政需要に的確にこたえるには人員、機構の配備が重要でありますので、総量規制方式にかえて、たとえば英国のマネージメントレビュー、西ドイツの組織点検、こういう合理的な方法を検討していかなければならないと思っているわけでありますが、この辺のところはどういうふうにお考えでございますか。
  297. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話、総量規制方式というふうにお呼びになったわけでございますけれども、定員の問題につきましても、その上限を定め、その中で重点的に必要な方へ必要性の薄くなったところから人員を回していくということができるわけでございます。この上限を決めて総枠を定めるということが、全体的に人員の不必要な膨張を抑制してきているという効果はあったわけでございまして、必要なところに機構なり人員なりの手当てをするということが、いま総量規制と先生がおっしゃったことと別に矛盾することではなく、場合によってはそれがやりやすい方法であるというふうにも考えられるわけでございます。また一省庁一局削減といったような方法は、確かに合理的な側面から若干欠ける面があるかもしれませんけれども、現実面としましては、行革の一つの手段であるということもまたあるわけでございます。いろいろな手段を駆使して、簡素にして効率的な政府をつくり上げていくことにいたしたいと考えているわけでございます。
  298. 神田厚

    ○神田委員 これはこの前も御質問申し上げましたが、いま国家がこういう行政改革の非常事態だ。そういう中で、たとえば配置転換の問題一つとりましても、どうもほとんど進んでいない状況だ。こういうことを考えますと、やはり各省庁間のいろいろな形での決め方というものは、この際考え直していかなければならない。そして一つの大きなセンターのようなものをつくって、たとえば大変仕事が少なくなったところの職員を無理のないような形でほかの職場に持っていくというような形でのものがなければ、行政改革といっても人の関係のものは解決をしない。労働の中身の問題とそれから人の配置の問題、この二つに手をつけていかなければ行政改革の実が上がらないと私は思っているのですが、その辺のところはどういうふうにお考えでございましょうか。
  299. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 各省間、部門間の配置転換の問題でございますが、いま先生お話のとおり非常にこれはむずかしい点がございます。これは直接的にどの人をどういうふうに動かすかという人事の問題でございますので、必ずしも私の方の所管とは申せないのでございますけれども、やはり定員管理に関係はございますのでお答え申し上げますけれども、確かに、具体的にどの人をどう持っていくかということは非常にむずかしい条件、本人の希望もございますし、また出す側の機関あるいは受け入れる側の機関等諸種の条件なり何なりというものが円滑にうまくいかなければならないということで、きめの細かい配慮が必要でございます。そういう意味でむずかしい点はございますけれども、先生御指摘のように、これはなかなか重要な問題でございますので、私どもとしましては、この配置転換は、きめの細かい条件整備を行いながら、ぜひとも推進していきたいというふうに考えております。五十五年度はこの道づけの年でございまして、私どもとしてはぜひとも実績を上げていきたいと考えているわけでございます。
  300. 神田厚

    ○神田委員 次に、特殊法人との関係もございますが、財政投融資の問題が近ごろ非常に大きく取り上げられております。つまり第二予算というような言われ方をしておりますけれども、財政投融資がどうもうまく効果的に使われていない、こういう指摘がございまして、二、三財政投融資の関係につきまして御質問を申し上げたい、こういうふうに考えております。  財政再建というのは、増税によらずに行財政改革の徹底化だというのが多くの世論であります。行財政改革の観点から補助金、三K赤字、こういうものがこれまで論議されてきましたが、さらに財政投融資の状況も課題だというふうな指摘を近ごろ厳しく受けるようになってきております。その中で現在財投計画は一般会計の財源不足をカバーして、本来一般会計でやるべき各種の行政を、特殊法人の投融資という形で補完をしまして、財投計画の一般会計化が進んでいる状況でありますが、財投の中でとりわけ資金運用部資金の運用が特殊法人などへの貸し付けになっておりますが、将来回収されるという形で行財政改革による見直しの対象から外されている、これが現在の実情であります。  しかしながら、財投がすべて本当に必要なところに向けられているかというと、これが大変いろいろ問題がございまして、低利融資のための利子補給や焦げついた融資の肩がわり、利子の免除、こういうものについて一般会計にツケが回ってくるような状況であります。たとえば国鉄は新線を建設するのに鉄建公団をつくりまして、主に財投資金で建設費を賄っております。しかし、財投に頼って赤字新線を建設したツケが現在一般会計にも回ってきているわけでありまして、国鉄予算に対する年間六千八百億円もの助成を初めといたしまして、これまでの累積赤字五兆円の利子の肩がわり、さらには財投の返済猶予、今後十年間にわたって一兆二千五百十億円の新たな融資を決めている。こういうようにしまして、不良な投融資のツケが国民の税負担を重くしているわけで、財政再建を妨げているわけであります。  それで、特殊法人が財投資金を借りる場合、一般会計からの利子補給や貸付金、補助金、出資金などの形で財投計画へ出資される金額は五十五年度で一兆三千億円にも達しているわけであります。財政当局として財政投融資の融資基準、また一般会計での利子負担など財投な基本的あり方について、行財政の観点からどういうふうに考えているのか。行管庁は財投の融資状況、融資対象機関に対する行政監察を今後強めるべきではないかと思っていますが、この点、長官はどういうふうにお考えですか。
  301. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財投につきましては、御指摘のような問題点があると思います。いま国民経済の中におきましても、昔と違って相当大きな地歩を占めてまいりまして、肥大化すると同時にマンネリズム化してきた点もあると思います。したがいまして、第二次臨調におきまして、当然財投のようなものは検討の対象になるのではないかと考えております。
  302. 神田厚

    ○神田委員 この問題は非常に大事な問題であります。財投の非常なむだ遣いといいますか、使われ方が非常にわかりづらいということが言われております。  大蔵省、きょう来ていただいておりますので、大蔵省の方にお聞きしたいのでありますが、財投が今後どういうふうに進むかということは、行財政改革の大変重要なポイントになってまいりますが、この財投の内容は、国会提出をされる資金計画、原資見込み、使途別分類表という三枚の総括表があるにすぎない。これでは一般会計の歳出削減など行財政改革を議論をしてもしり抜けになってしまうわけでありまして、この財政投融資の実態、特に資金運用部等がどういうふうな形でどういうふうになっているかというものがもっとはっきりしていかなければならないわけでありまして、民間金融機関からも、資金運用部の余裕金が深い霧に覆われている、こういうふうに指摘をされている面もございます。財政当局は、第二予算というべき財政投融資について、この際、その全貌を国民の前に明らかにすべきであるというふうに考えまして、われわれは一般及び特別会計予算について「歳出百科」を出したように、「財投百科」を作成したらどうだ、こういうふうに要望している、提言をしているわけでありますが、この点はどういうふうにお考えでございましょうか。
  303. 亀井敬之

    ○亀井説明員 御指摘の財政投融資の問題につきまして若干御説明を申し上げたいと存じます。  まさに先生から御指摘がございましたけれども、財政投融資自体につきましては、すでに昭和四十八年からすべて国会にお出しをいたしまして、それぞれ議決の対象となっておるわけでございます。御指摘の問題、産投会計であるとかあるいは運用部特会であるとかあるいは簡保特会であるとか、そういうのはそれぞれ特別会計等の予算といたしまして御議決をちょうだいをいたしておるという形になっておりますし、またその運用実績につきましても、決算参照書に添付をいたしまして国会にお出しをいたしておるところでございます。  また、その説明につきまして若干わかりにくいといったような御指摘がございました。財政投融資といいますのは、財政的な意味で国会の御議決をいただくとともに、大変金融的な操作というものもあるわけでございますので、各原資等が運用機関に回っておりますという表は御参考に供しておりますけれども、そういった御指摘がございますが、私どもは、国の予算の説明ということのパンフレットがございまして、国会にお出しをいたしておりますが、それにおきましても、財政投融資を、最後の「財政投融資計画の説明」というところで、数十ページにわたりまして参考に供するために御説明をいたしておる次第でございます。
  304. 神田厚

    ○神田委員 非常にわかりづらい使われ方をしているということについては、やはりある程度そういう事実もあるというふうにわれわれは考えております。また使われ方の問題で、官業と民業の境界線、これが一つ検討課題になっておりますけれども、財投の運用についてもこの問題があります。たとえば開銀を通じて資金運用部の資金がホテル建設にまで貸し出されている、こういうようなことが言われておりますね。巨額の国債を押しつけられている民間金融機関は、開銀を通じて何も資金運用部の資金をホテル建設にまで融資をする必要はないのじゃないか、こういうふうなことを言っておりますし、このまま財投がこういう形で融資先を拡大していくということは、不当に民業を圧迫するということにもなりかねないことでもありますし、また筋道から言いまして、大変筋が違うというふうに思われることがあるわけでありますが、こういう点につきましては、行政管理庁としまして、行政監察その他の問題でどういうふうに対応なさるおつもりがございますでしょうか。
  305. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 最近の財投の肥大化、国民経済における重要性及びその使われ方に関しては、御指摘のような批判があることを私も承知をしております。  それで、まさに御指摘のように、これは官業と民業との境界線あるいはその機能との問題にも関係してくることと思います。財投の将来や国民経済の将来、自由経済の将来、そういうもの等も考えながら、やはり財投というものについて検討を加えるべきときが来ているのではないか。恐らく第二臨調においても、そういう点は検討を加えられるのではないかと想像しております。
  306. 神田厚

    ○神田委員 次に、大蔵省の方にお聞きしますが、これは行管の中曽根長官の方もこの前の委員会質疑に答えまして、財政再建の一つの方策として国有財産の売却ということも考えられるのではないかというようなお答えがあったようでありますけれども、大蔵省としましては、具体的にこの国有財産の売却の問題につきましてはどういうところをどんなふうな形でこれをなさるような考え方をお持ちでありましょうか。
  307. 山口健治

    山口説明員 財政再建に大蔵省は省を挙げて取り組んでおりまして、こういう折から国有財産をどんどん売って民間に処分をして歳入を上げるべきではないかという御意見が各方面からあったわけでございますけれども、国有財産の現状をちょっと申し上げますと、昭和四十七年以来国有財産中央審議会の答申を受けまして、国有財産、特に土地は最近国有地が非常に少なくなってまいりましたので、他方過疎問題、過密問題あるいは都市の再開発等を解決するにはどうしても国有地を有効に使わなければいかぬ、そのためには公用、公共用に最優先的に使う、主として処分の相手方は地方公共団体を最優先として、民間には処分しないということで鋭意やってきております。この傾向は、現在もあるいは今後も全然変わるということが予想されておりませんで、現実に私どもの方に地方公共団体から、たとえば小学校とか保育所とかあるいは公園とかをつくりたいけれども土地がないかという要求が毎日のようにございまして、それに国有地が応じ切れないというのが現状一であります。したがって、われわれとしては、そういう公用、公共用に現在欲しいあるいは今後も欲しいと、いうところは、やはり民間に売るということはふさわしくないというふうに考えまして、ただ、こういう折からすでに、たとえば物納財産とかあるいは戦後そこを借りまして住んでおるとかというようないわゆる権利つき財産等につきましては、特定の人がその国有財産についてある権利を持っているわけでございまして、公用、公共用優先で使うということができないものですから、そういうところは一生懸命努力をいたしまして、大いに処分を促進して、幾らでも、なるべく多くの国有財産収入を上げるというふうにいま具体案を検討しております。鋭意取り組んでおります。
  308. 神田厚

    ○神田委員 それは五十六年、五十七年、大変財政事情が苦しいところでありますが、いつごろくらいまでにどういうふうな形でそれの取りまとめが行われるのでありましょうか。
  309. 山口健治

    山口説明員 五十六年度及び五十七年度についてどういうふうな姿になるのかという御質問でございますけれども、実はこの点につきましては、どういうふうな財産の種目についてどの程度の数量というか金額が上がるかという点につきましては、現在内部で検討中でありまして、まだ成案を得ておりませんので、これは後日案がまとまった段階で何らかの形で外部に発表されるのではないか、こういうふうに思っております。
  310. 神田厚

    ○神田委員 方針としては、かなり積極的にそういうふうな方向でいくということでございますね。
  311. 山口健治

    山口説明員 先ほど申し上げましたように、昭和四十七年以降、公用、公共用優先ということでやってきておりますので、そういう方向に即して現状の公用、公共用の需要がどれだけあるかということをにらみながら、財政再建に少しでも協力するという意味においてできるだけ前向きに考えたい、こういうふうに思っております。
  312. 神田厚

    ○神田委員 次に、行政ニーズに対応した行政の体系、機能あり方、これを第二次臨調の検討項目に入れる、こういうふうに長官は明らかにしております。行政ニーズに対応した行政の体系、機能あり方、こういうことになりますと、一つにはすぐ情報公開制度の問題が出てくるわけでありますが、この情報公開制度についてはどういう方向で今後検討を進めていくのか、この点はどうでございますか。
  313. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 情報公開法については、内閣官房が中心となってそのあり方を検討しているところでございます。本年五月二十七日に各省庁の保有する情報の公開に関しまして「情報提供に関する改善措置等について」の閣議了解を行ったところでございます。この閣議了解において、法制化の問題については諸外国における法制、その運用実態について研究を行うなど、わが国の実情に合った情報公開に関する法制化の諸問題について幅広く検討を進めるということになっているわけでございます。これに基づきまして、先ほど申し上げましたように、内閣審議室を中心にして検討が行われているものと承知しております。
  314. 神田厚

    ○神田委員 ちょっと先ほどの財投の関連で御質問しようと思ったのでありますが、長官にちょっと御質問申し上げます。前に戻りまして大変恐縮でありますが、長官はいわゆる特殊法人の中での利益の上がっているものについての国庫納付金制度というふうなものを行政管理庁として考えている、こういうふうに一部報道されましたが、この問題についての考え方はどういうふうなことでございましょうか。
  315. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人につきましては、行管当局としても独自の立場からいまいろいろ点検をしております。先般来各省庁に対しまして、その所属する特殊法人の財務諸表の提出を正式に求めまして、それはもう到着しておりまして、いろいろ点検をしておりますが、こういう財政窮乏の折からでありますので、それらの特殊法人においても国債を発行することをできるだけ減額する等に役立つように御協力願えないものか、こういう面から鋭意努力して検討しておるところでございます。
  316. 神田厚

    ○神田委員 それは特定のものということではなくて、特殊法人全般についてのいわゆる財務諸表等の検討から利益の上がっているものについて協力をさせていく、こういうふうなことでございましょうか。
  317. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人は千差万別でございまして、いろいろ性格も違いますし使命も違います。したがいまして、一律に扱うわけにはまいりません。したがいまして、一つ一つ点検をいたしまして、どれが適当であるか、どれが可能であるか、個別的に検討しておるところでございます。
  318. 神田厚

    ○神田委員 これは政府の方が財政投融資の資金計画、五十四、五十五年度でも膨大な投融資をしているわけでありますが、そういう中で非常に利益を上げているところも現実にあるわけでありまして、一部日本電信電話公社等の問題も触れられましたが、具体的に電信電話公社等についてもそういうふうな形でお考えであるというように理解してよろしゅうございますか。
  319. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特に電信電話公社を目指してやっておるわけではございません。特殊法人全般について一つ一つ個別的に検討しておるところでございます。
  320. 神田厚

    ○神田委員 検討の過程の中でどのぐらいの国庫納付金の増額が見込まれるというふうに試算されておられるでありましょうか。
  321. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま点検している最中でございまして、どの程度出てくるかまだ見当はついておりません。
  322. 神田厚

    ○神田委員 この特殊法人の問題では、経営形態の見直し等が行政監理委員会意見書等についても言われておりますけれども、いわゆる対象法人が秘密にされているというのは、これはまだ明らかにできないようなことがたくさんあるのでありましょうか。公開をして一つ一つのものについて公表できるという段階でないというふうなことでございましょうか。
  323. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あらかじめどの程度御協力願えるかというノルマを決めてやっておるわけではございません。何が適当であるか、そういうことでいま検討しておるのでございまして、まだ御報告申し上げる段階に至っておらないのであります。
  324. 神田厚

    ○神田委員 それでは前の質問に戻ります。  この行政ニーズに対応した行政の体系、機能あり方、この中ではいわゆるコンピューター等の出現に伴いましてプライバシーの保護を求める国民の声が広がっております。これはこの前の委員会でもいろいろ論議がされておりましたが、プライバシー権の確立に関するOECDの理事会の勧告、これもなされました。わが党もさきにプライバシー保護法案の要綱を策定しまして、この早期立法化を強く政府に求めたいきさつがございます。政府は、この第二次臨調におきましてどういう方向でこのプライバシーの問題というものを検討するお考えでございますか。
  325. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 民社党のプライバシー保護法案、私も拝見をいたしました。われわれの方もプライバシー保護につきましては前向きの姿勢でこれを検討したいと思っておりますので、民社党の案も参考にさせていただきたいと思っております。第二次臨調でどういうふうにお取り上げになるかどうか、われわれはわれわれ独自の線でまた検討を加えておるところでございます。
  326. 神田厚

    ○神田委員 私は、ぜひともこれをひとつ強力に推進をしていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  同時に、国民の立場から行政の公正な執行というものを求める意味からも、行政監察を行うオンブズマン制度の導入を何度か要請をいたしました。この四党合意の中でもそういうものがあるのでありますが、長官国会でのことだから国会の方でうまくやれというふうなお話でございますが、これはその第二次臨調の中での検討課題といいますか、検討項目の中には入るのでしょうか、どうでしょうか。どういう方向でこの行政監察のオンブズマン制度というものをお取り上げになるのでありましょうか。
  327. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調でお取り上げになるかどうか、まだ予断をすることはできませんが、われわれの方も行政各部の内部におけるオンブズマン制度の可否についていろいろ検討を加えておるところでございます。
  328. 神田厚

    ○神田委員 国会で勝手にやれという答弁からは一歩前進だというふうに思っておりますが、これはひとつわれわれとしましては、この際やるのが一番時期的にもふさわしいし、そういう意味ではぜひこの第二次臨調の検討項目に入れるか、あるいはそうじゃなくて、政府の方で積極的にこの問題についての対応をお願いをしたい。要望しておきたいと思っています。  次に、第一次臨調の課題でありました行政手続法の立法化、これにつきましては第二次臨調にはどういうふうな形で御反映をなさるのでありましょうか。
  329. 林伸樹

    ○林政府委員 非常に検討すべき課題の多いむずかしい問題でございますので、現在行政管理庁でも勉強しておりますが、第二次臨調でやっていただくかどうか、これから委員の先生方の意向等も踏まえながら決めるところでございます。
  330. 神田厚

    ○神田委員 時間もありませんので……。行政監理委員会意見書を出しました。この中で米の検査官の問題が出ております。これはどういうふうな形で進めていくかということにつきまして、農林省と行管でその時期等につきましてかなり食い違いがあるというふうに報道されておりますけれども、行政管理庁としましては、この問題についてはどういうふう考えておりますか。
  331. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 問題はいろいろ多方面に関係するわけでございますけれども、そのうち特に米の検査官の問題等につきましては、先ほどの行政監理委員会の御答申の中に、数カ年間に半分を減らすようにという趣旨の文言が入っております。これにつきまして、現在私どもの方と農林省の方でその具体策についていろいろと協議中でございます。
  332. 神田厚

    ○神田委員 最後に、中曽根長官にお尋ねをしたいのでありますが、いわゆる行政改革は財政再建の一つの大きな決め手になるわけであります。そういうことでありますから、財政再建そのものについてもやはり厳しい注文なりしっかりした取り組みを行管としても求めていくということは当然でございます。そういう意味から財政再建法というのがいまにわかに研究され始めてまいりました。西ドイツ、ニューヨーク市あたりでは、いわゆる財政再建を推進するために財政再建法を制定しまして大変大きな成果を上げております。わが国におきましても、経団連を初めとしまして財政再建法の制定を求める声が高まっているわけでありますが、この問題についてどういうふうなお考えをお持ちでありましょうか。
  333. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財政再建法に関する直接の主務官庁は大蔵省でございますので、われわれは余り干渉がましい、余り足を出し過ぎたことは控えたいと思いますが、確かに西ドイツやニューヨークでやった例というものは参考になるものではないかと思います。ただ、日本の場合に、各党によっていろいろ御意見もございますし、また日本国内のさまざまな反応というものもありまして、独特の体質があるものでございますから、慎重に検討しなければならぬと思っております。
  334. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  335. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十九分散会      ————◇—————