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1980-10-21 第93回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十一日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    大原 一三君       粕谷  茂君    川崎 二郎君       木野 晴夫君    田名部匡省君       田村  元君    竹中 修一君       上原 康助君    角屋堅次郎君       竹内  猛君    中西 績介君       前川  旦君    渡部 行雄君       市川 雄一君    小沢 貞孝君       榊  利夫君    中島 武敏君       河野 洋平君    田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     石川  周君         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         行政管理庁長官         官房審議官   林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         通商産業大臣官         房審議官    柴田 益男君         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君         運輸省海運局長 永井  浩君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         科学技術庁計画         局計画課長   松井  隆君         科学技術庁原子         力局原子力開発         機関監理官   須田 忠義君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     井上 良藏君         大蔵大臣官房審         議官      名本 公洲君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         厚生省医務局次         長       山本 純男君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      中川昭一郎君         林野庁林政部林         政課長     中野 賢一君         通商産業省通商         政策局経済協力         部企画官    新  欣樹君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     堀田 俊彦君         労働省職業訓練         局管理課長   菊田  顕君         建設大臣官房官         庁営繕部管理課         長       小野 正文君         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     中西 績介君   矢山 有作君     前川  旦君   渡部 行雄君     竹内  猛君   河野 洋平君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     渡部 行雄君   中西 績介君     角屋堅次郎君   前川  旦君     矢山 有作君   田島  衞君     河野 洋平君     ————————————— 十月二十一日  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一号)  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二三号) 同月十八日  旧軍人・軍属恩給欠格者に対する恩給法等の改  善に関する請願粟山明君紹介)(第一七五  号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願中馬弘  毅君紹介)(第一七六号)  同(三木武夫紹介)(第二〇八号)  同(宮崎茂一紹介)(第二〇九号)  同(奥田敬和紹介)(第二二六号)  同(藤田義光紹介)(第二二七号)  同(中村靖紹介)(第二四七号)  同(逢沢英雄紹介)(第二七七号)  同(青木正久紹介)(第二七八号)  同(麻生太郎紹介)(第二七九号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二八〇号)  同(池田行彦紹介)(第二八一号)  同(稲垣実男紹介)(第二八二号)  同(今枝敬雄紹介)(第二八三号)  同(上村千一郎紹介)(第二八四号)  同(浦野烋興君紹介)(第二八五号)  同(小沢一郎紹介)(第二八六号)  同(小渕恵三紹介)(第二八七号)  同(大石千八紹介)(第二八八号)  同(太田誠一紹介)(第二八九号)  同(奥田幹生紹介)(第二九〇号)  同(加藤紘一紹介)(第二九一号)  同(加藤六月紹介)(第二九二号)  同(鹿野道彦紹介)(第二九三号)  同(粕谷茂紹介)(第二九四号)  同(亀井静香紹介(第二九五号)  同(鴨田利太郎紹介)(第二九六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二九七号)  同(川崎二郎紹介)(第二九八号)  同(木部佳昭紹介)(第二九九号)  同(木村武雄紹介)(第三〇〇号)  同(岸田文武紹介)(第三〇一号)  同(久野忠治紹介)(第三〇二号)  同(久保田円次紹介)(第三〇三号)  同(工藤巖紹介)(第三〇四号)  同(熊川次男紹介)(第三〇五号)  同(栗原祐幸紹介)(第三〇六号)  同(小宮山重四郎紹介)(第三〇七号)  同(古賀誠紹介)(第三〇八号)  同(河本敏夫紹介)(第三〇九号)  同(近藤鉄雄紹介)(第三一〇号)  同(佐藤守良紹介)(第三一一号)  同(佐野嘉吉紹介)(第三一二号)  同(三枝三郎紹介)(第三一三号)  同(櫻内義雄紹介)(第三一四号)  同(椎名素夫紹介)(第三一五号)  同(島村宜伸紹介)(第三一六号)  同(砂田重民紹介)(第三一七号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三一八号)  同(谷洋一紹介)(第三一九号)  同(谷垣專一君紹介)(第三二〇号)  同(谷川和穗紹介(第三二一号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第三二二号)  同(辻英雄紹介)(第三二三号)  同(戸井田三郎紹介)(第三二四号)  同(渡海元三郎紹介)(第三二五号)  同(中島源太郎紹介)(第三二六号)  同(中曽根康弘紹介)(第三二七号)  同(中野四郎紹介)(第三二八号)  同(永田亮一紹介)(第三二九号)  同(灘尾弘吉紹介)(第三三〇号)  同(楢橋進紹介)(第三三一号)  同(丹羽兵助紹介)(第三三二号)  同(野中英二紹介)(第三三三号)  同(野呂恭一紹介)(第三三四号)  同(長谷川四郎紹介)(第三三五号)  同(原健三郎紹介)(第三三六号)  同(原田昇左右紹介)(第三三七号)  同(藤井勝志紹介)(第三三八号)  同(福田赳夫紹介)(第三三九号)  同(福永健司紹介)(第三四〇号)  同(藤波孝生紹介)(第三四一号)  同(古井喜實紹介)(第三四二号)  同(前尾繁三郎紹介)(第三四三号)  同(松永光紹介)(第三四四号)  同(松本十郎紹介)(第三四五号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第三四六号)  同(水平豊彦紹介)(第三四七号)  同(村田敬次郎紹介)(第三四八号)  同(山崎拓紹介)(第三四九号)  同(山崎平八郎紹介)(第三五〇号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第三五一号)  同(渡辺省一紹介)(第三五二号)  旧支那派遣軍の湘桂作戦期間戦務地甲区分に  改定に関する請願愛野興一郎紹介)(第二  〇七号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願伊藤茂紹介)(第二四四号)  国家公務員定年制退職手当法改正反対等に  関する請願伊藤茂紹介)(第二四五号)  在外財産補償法的措置に関する請願中川一  郎君紹介)(第二四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方支分部局整理のための行政管理庁設置法  等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、四国行政監察支局等設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、四国行政監察支局等設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 当面する政治課題の最も重要な柱となっております行政改革に関連する法案提出されているわけですが、後ほど若干直接法案関係することにもお尋ねをしたいと思うのですが、これまですでに同僚委員の方からいろいろとお尋ねもありまして、鈴木内閣といいますか中曽根行革といいますか、大方についての骨格なり考え方というのが明らかにされつつあるような感じはいたします。そこで幾分重複する面もあろうかと思うのですが、改めて私は私なりの立場からお尋ねをさしていただきたいと思います。  まず、中曽根長官行革に対する基本的な考え方といいますか、基本方針についてはすでに明らかにされているところなんですが、改めて五十五年行革、いわゆる前大平内閣行政改革で積み残されたものが、今臨時国会を通して、あるいはまたさらに来年の通常会にかけて進められていくというのが一つのレールになっているようですが、しかし、それだけでは国民行政改革に対するいろいろの意見なり、あるいは期待というものは、私はかなえられるとは思っておらないわけなんです。そこで何を重点に何をこれからやろうとなさるのか、もう一度長官の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申し上げれば、簡素にして効率的な政府をいかにつくるか、それから国民諸君に対する奉仕の精神に徹底したサービス改善をいかに図るか、それから八〇年代を見通した新しい行政あり方等について体系的な案を策定する準備行為を行おう、それが当面考えておることでございます。
  5. 上原康助

    上原委員 簡素にして効率的な政府運営というか行政あり方というのは、古くて新しい課題で、ある意味では言い古された抽象論ですね。  そこで、これから具体的なお尋ねに入っていきたいと思うのですが、そういう基本的な考え方というのは何もいまに始まったことではなくして、吉田内閣以降のずっと底流として、行政改革に対する歴代の内閣の姿勢として一応あった方針なり考え方だと私は理解するわけですね。そういう立場から考えまして、いまいみじくも八〇年代の行政あり方といいますか、よく言われる行政哲学というか、あるいは体系づくりをやっていきたい。これは具体的に言うと、第二次臨調設置をしてやろうということかと思うのですね。この点についてももっと具体的にお考えをお聞かせいただきたいわけですが、まず昭和三十九年の九月に第一次臨調の、これは答申というより意見書かと思うのですが、意見が出て、今日まで十六年、約十七年の年月が経過をしてきた。そこで、この第一次行革方向づけられるといいますか、これからの日本の行政あり方あるいは行政改革、よく言う簡素にして効率的な行政あり方政府運営というものはこうあらねばいかないという、ある意味では行政改革のバイブルだとさえ言われているわけですね。これが具体的にどう実施されたと見るのか。その第一次臨調で取り上げられた基本的な問題というものが果たして十分消化されたのかどうか、ここがこれからの行革考えあるいは第二次臨調考えるという場合に一つの問題だと思うのですね。ここを十分検証せず、あるいは総括せずして、八〇年代の行政あり方というものを、もちろん経済情勢社会情勢、いろいろな面で変化があり、国民価値観多様化といいますか、行政に対するあるいは政治に対するとらえ方というものも大きく変化してきたことは私も否定はいたしませんし、認めます。それにしても、第一次臨調で出された基本的な重要事項というものがどれだけ消化されたかということに対しては、私だけでなくして多くの国民が疑問を持っておられる。これを行政管理庁としてあるいは内閣全体としてどのように評価をされ、その足らなかった点を補うためにあるいはそれを実現をしていくためにどう御努力をしてこられたのか、その点についてひとつまとめてお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体四十項目ぐらいの御提案がございまして、全然手をつけてないのがたしか九項目くらいで、そのほかは一〇〇%やったのもありますし、七、八〇%手をつけたというのもございますが、総じて申し上げれば、大体七、八割はやった、そういうふうに考えております。  一番目につくものは、一省一局削減であるとか総定員法の実施であるとか、あるいは為替、貿易の自由化をやったとか、そういうようなことがあると思います。手をつけない長い懸案の問題は、地方事務官制度等であります。詳細につきましては、政府委員から御報告申し上げます。
  7. 佐倉尚

    佐倉政府委員 実現していないものの例としましては、提言の中にございました内閣府の設置内閣補佐官設置、あるいはこれに関連しまして総務庁設置へそういうもの。それから地方事務官制度の問題でございますが、これは現在運輸関係の一部につきまして準備中でございますけれども、ほかのものはできていないということになっております。そのほか青少年行政に係る研究所の設置とかという問題あるいは行政公正確保のための手続改革に関する意見、これらの問題につきましてもまだ実現を見ておりません。そのほか若干ございますけれども、主なものは以上のようなものでございます。
  8. 上原康助

    上原委員 もちろんいま御指摘なされた事項も未解決といいますか、実現されてない分野、部門に当たると思うのですが、私がお尋ねしているのは、もちろん未消化の分野はどうかと言うとそういうお答えも一つの答えになるとは思うのですが、もっと基本的な面をお尋ねしているわけです。  要するに、内閣機能問題、当時の臨調では、内閣補佐官制度の問題についてはいろいろと与野党の意見の相違、また政府部内の問題等もあったと思うのですが、もっと機能性を発揮できる内閣あり方あるいは機構あり方ということが非常に強調されているわけですね。この面は全く手つかずのままにされている。ある面では、広い意味で言うと、中央省庁統廃合問題といいますか、あり方を含めて検討を要するということだと思うのですね。しかし、これまでも、福田内閣時代にもエネルギー省の問題とかあるいは住宅省構想というものが出たが、結局しり切れトンボになったといういきさつもある、これは後ほどお尋ねしますが。いまおっしゃったような地方事務官の問題とか、そういうことではなくして、たとえば行政事務配分地方への権根移譲、これなどは単に地方事務官の問題だけじゃないと思うのですね。こういう根本的なことが手つかずのままに終わってきているのじゃなかろうかということを私は申し上げたいわけですね。あるいは公社、公団、いうところの特殊法人統廃合問題にしましても、三十九年時点から廃止しなさいとか合併しなさいということが指摘をされながら、今日までなお解決されてない問題もあるわけでしょう。それはそれなりの背景なり理由はあったにしても、余りにも年月がかかり過ぎる。そうしておきながら、一方においては非常に短絡的に、画一的に統廃合を強行しようとしている。こういう矛盾といいますか、何か抵抗力のあるところはまあまあでいく、しかし、そうではない弱い部分についてはどんどん合理化を強行していく。国民サービスとか地域というようなことには余り関係なくして、いまの行政改革あるいは機構統廃合整理というものがなされているところになお複雑な問題があるんじゃないですか。  そこで、いまいろいろありましたが、私が申し上げたようなことなども含めてさらにお考えを聞きたいわけです。これから第二臨調をおつくりになるということのようですが、当時の第一次臨時行政調査会の場合も実にりっぱな提言をしているわけですね。これを引用してみますが、「第一に、行政は、国民が便利なように、できるだけ国民の身近かなところで、国民の批判を受けながら実施し、国民のために実情にあった行政が行なわれるとともに、なるべく国民の負担を軽くすることが必要である。」これはいまも変わらぬでしょう、この理念というのは。「このため中央集権主義の行き過ぎを是正し、地方自治を強化する方向で、現地性総合性経済性原則に従って行政事務の可及的地方委譲下部委譲をはかり、あわせて、補助金制度の徹底的な整理改革地方出先機関縮小等改革を実施するとともに、行政運営面においても、行政手続法を制定して公正な手続により、国民が便利なように、窓口事務等改善を行ない、また、許認可事務等についても、行政庁側の都合を主とせず国民立場にたって整理合理化をはかる等の措置をとる必要がある。」これはまさに行政改革哲学じゃないですか。これがどう生かされたかを私は問いたいわけです。  「第二に、行政を実施する公務員精神や態度が民主化される必要がある。ことにわが国の公務員制度には、いまだに戦前の官僚制から脱しきれない面があるとともに、新制度が運用の実際において生かされていない点があるので、6に後述するような人事管理合理化をはかる必要がある。」いまだに旧態依然として、旧内務官僚みたいな発言をなさる方も実際おるのです。これもどれだけ本当に政府自体努力なさったのか疑問ですね。  「第三に、民主的な行政組織のうち、特に国民行政参加という意味を含む行政委員会制度については、これに全般的な検討を加えることはできなかったが、「内閣府」に新たに「行政監理委員会」を設け、これに民間有識者を入れて、行政改善に関して国民意見が反映できる方途を講ずる等その活用をはかることを提案している。また審議会制度に関しては、その本来の機能を果たしていないものについての統廃合をはかり、審議会設置する以上は、真に国民意見が反映されるように公正に委員選任を行ない、答申意見を尊重して十分活用しなければならない。」いわゆる行政運営原則というようなことで、こういう基本的な方向づけを第一次臨調ですでになされているわけですよ。これを踏まえて、行政改革問題といいますか、先ほどおっしゃっておられたような簡素で効率的な行政運営をしていこうということについて、今日まで本当にどれだけ努力されてきたかということを私はお尋ねしているわけですが、どうなんですか。いまもここで述べられているこの三つの原則といいますか基本的な考え方というのは、現在の行政運営にも対応できる、即応できると私は考えるのですが、長官のお考えはどうなんですか。
  9. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 上原委員のおっしゃるとおり、いまでも通用し得るりっぱなものであると思います。その中で、最初に哲学と申されました大本を決めた部分は、いまでも通用する部分と通用しない部分とあると思います。大体高度経済成長時代の入り口にできたものでございますから、総務庁あるいは内閣統合機能を非常に重要視しておったように思います。それも一つ大事な点ではありますが、むしろいまは縮減する、簡素化するというふうに安定成長時代に変わってまいりまして、そういう部分重点が多少変わってきているのではないかという気もいたします。しかし、中央地方との関係においてできるだけ簡素にしていくというようなことは、いまも厳然として必要性があるように思います。  それから、人事管理の点につきましても、これは同感でございます。この点は必ずしも徹底しておりません。しかし、内閣人事局をあれによってつくりまして、一歩前進しているということはあり得ると思います。  それから、国民参加による委員会は、行政監理委員会というものができまして、これがその後かなり機能して行政改革推進力になってきている、そう思います。現在の監理委員会というのは、あの一次臨調答申基づいてできたものなのでございます。
  10. 上原康助

    上原委員 私もこの一次臨調意見書といいますか答申といいますか、それが全く軽視された形で進んできたとは思わないのですね。部分的なところは取り入れている。それはわかりますけれども、もっと基本的な視点で、本当に誠意を持ってといいますか、どれだけ具体化をしようという努力をしてきたかということがいま問われていると思うのです。  そこで、われわれから見ると、こういった理念なり原則なりあるいは社会情勢変化はあったにしても、なおやろうと思えばできた分野もあったのに、これまでおろそかにされている点も間々あると思うのですね。そのことについては今後十分取り入れていただきたいということを要望して、次に進みたいと思うのです。  そこで、いまのお尋ねとも関連をするのですが、第二臨調設置するということはすでに明らかにされておりまして、その要綱などもマスコミでは報道されておりますので、そのとおりかと思うのですが、一つには、八〇年代の行政の基本的なあり方を確立して、その改善策を一層明確化していきたい。改善策方向づけるというお考えのようなのですが、もう一つは、重要な行政分野再編整備、そういうことを一応お考えになっておられるようで、特に八〇年代の行政の基本的なあり方の面では、行政運営の基本的なあり方と再検討、あるいは規制監督行政及び保護助成行政の見直し、いま一つは官業の合理化及び民業との役割り分担、いまもあったのですが、国と地方事務配分など地方自治体のあり方、こういうものを第二臨調設置して検討といいますか、いろいろ方向づけをしてみたいというようなお考えのようですが、第二臨調設置せねばならない理由ですね。あるいはまた設置をした場合には、調査事項といいますか諮問事項というのか、それは限定なさるのかどうか。それからこれまでの長官の御答弁なりマスコミ関係で見ますと、期限は二カ年ぐらいにして構成は九人ぐらいにする。第一次臨調の場合には七人ですね。これはお答えいただきたいのですが、そこらはどうなんですか。一応調査範囲というものを制限するのか、あるいは委員に選ばれた方々の自由裁量に任すのか、政府として何かの枠をはめるのかどうか、そこらの点についての第二臨調構想ですね。もし設置をされた場合には——これはまだ法案も出ませんからどうなるかわかりませんよ、仮定の話ですから。政府としてはどういうふうに諮問をなさるのか。何を調査させて、また出たその答申というか意見書というものはどういうふうに取り扱うのか。たとえば、第一臨調の場合の法律には、第三条に意見等の尊重というのがありました。しかし、第二臨調設置要綱案の前文というものが某新聞に報道されているのですが、この要綱を見てみますと、第一次臨調案のように具体的に意見等の尊重というのはない。落ちていますね。この点はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  11. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調法案は、いま内部で調整している最中でございまして、党及び各省との調整がまだ完了しておりませんので、内容的に発表する時期はもう少し御猶予を願いたいと思っております。しかし、第二臨調をやりたいということは、前から申し上げているとおりでございまして、近く、できるだけ早く法案を御提出申し上げたいと思っておる次第でございます。  そこで、その仕事の範囲は、やはり簡素にして効率的な政府をつくる、あるいは中央地方、ともかく八〇年代以降新しいニーズも掲げまして、どういう政府、どういう行政機能行政に関する諸般の関係問題、そういう問題について御答申を得たい、そういうようなことで諮問が行われるのではないか、そう予想しております。
  12. 上原康助

    上原委員 いまのお答えは何か少し漠然としてわかりませんが、わかりませんというよりも何かちょっと御遠慮なさっているようですが、構成はどうなるのですか。それと、期間はこの間のお答えでは大体二カ年ぐらいで、答申といいますか意見書も随時出してもらって、できるところからばんばんやるとかいう話も少しあったような感じもするのですが、まとめて出させるのか、あるいは随時分割というような方向で出して、行政改革というものを五十六年度なり五十七年度なりに取り入れていかれるおつもりなのかですね。まさか二年先まで中曽根さんが行管庁長官をおやりになるわけじゃないでしょう。それとも将来の総理大臣を目指して、その間に行政改革基本方針を全部つくらせておいて、それを実行するための行動開始ですか、どちらなんですか。
  13. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調はできるだけ短期間に処理をお願いいたしたいと思っておりまして、第一次臨調が三年有余かかりましたが、今度は二年ぐらいで仕事を終わるようにいたしたい。その過程におきましても累次総会を開きまして、できた分から御答申を願って、それを実行に移すようにいたしたい、そう希望しております。人数そのほか構成の問題等はまだ調整中でございまして、もう少し御猶予願いたいと思う次第でございます。
  14. 上原康助

    上原委員 珍しく慎重のようですから、これ以上聞いてもずばりお答えしにくいようなんで、これと関連しますが、ちょっと別の問題……。  第二次臨調検討される範囲内に入るかと思うのですが、プライバシー法ですね。せんだっては個々人のプライバシーの保護は立法の方向でいきたいということをお答えになったようですが、それとの関連で、第二次臨調であるいは今後の行政改革の中で、これは五十六年度になるかもしれませんが、オンブズマン制度を具体的に制度化していくあるいは取り入れていくというお考えなのか。五十六年度の行管の概算要求の中にもその調査費が要請されておりますね。このオンブズマン制度については長官はどのようにお考えなのか。これまで断片的に報道されている面では、この制度行政の不正監視役として来年度からでも実施をしていきたいということのようで、すでにスウェーデンその他に代表を派遣して検討さしているというような報道もあるわけですが、このことについてどうお考えなのかということ。仮に取り入れるとする場合に、日本型オンブズマン制度検討さしているということですが、どうも日本型福祉社会とか、日本型という形容がつくとなかなかややこしいのだが、議会型にするのかあるいは行政型にするのか、そういうことについても少しこの際、二次臨調との関係であるいは今後の行政改革、特に行政の監視という意味、監察というより監視ですね、あるいは不正をあばいていく——航空特もなくするくらいだから余り期待ができませんが、理解はできませんが、少なくともこれからの公務員の綱紀粛正、高級公務員のいろいろな不正事件等を考えた場合には、従来の制度だけではいま何かこういった綱紀粛正なりいろいろな綱紀の紊乱等を十分チェックしていく機能を果たすものがないのじゃなかろうか。そういう面からすると、オンブズマン制度もそれなりに制度化をしていく方向も十分検討に値すると私たちは思うのですね。この件についてはどうなんですか。
  15. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 オンブズマン制度検討しております。各党の皆様方から御意見を承りましたが、各党の御意見はおおむね国会に置くという御意見のようでございました。そういうお考えの場合は、これは国会の問題でございますから、行政管理庁の枠の外のことで、各党でお話し願うという形になると思います。  しかし、行政管理庁としても、現在の監察体系そのほかにつきまして、足りないところはないか、改善すべきところはどうか、年じゅう点検しておるところでありまして、スウェーデンやそのほか各国でやっておるオンブズマン制度も、調査団を派遣して検討などをしております。ただ、行政部内に置くといった場合に、屋上屋を架することになりはしないか、それをいま非常に恐れておるわけでございます。そこで、もし仮に行政部内に置くとすれば、どういうことをやるのが効率的であり、屋上屋を架さない、しかも国民の不満やうっせきしたものを吐かせることができるかということをいま検討中でございまして、置くと決めたわけではございません。目下検討しておる、そういう最中でございます。
  16. 上原康助

    上原委員 ある程度わかりましたが、いま調査団が行って、何かこの二十六日ごろ帰国ですか、それとも会を持つのか、いつごろ調査団の報告書というか意見書というのはまとめるつもりなんですか。
  17. 中庄二

    ○中政府委員 ことしの二月から研究会を開きまして、ほぼ七回開きました。各先生方は非常に熱心に勉強をしておられまして、まず外国の制度の問題が終わりまして、いまやっと日本の国内問題に入りました。先生方にいたしますと、役所の方向づけなどは別にして、おれたちに自主的にやらせろというお考えもございますので、いつごろの期限かということも、余り枠をはめるわけにもまいりませんが、私どもの希望といたしまして大体一年くらいのうちにということでございますので、できましたらこの年度内に結論を、最低、中間報告でもいただきたいものというふうに考えております。
  18. 上原康助

    上原委員 そこで、さっきの第二臨調の件、いまのオンブズマン制度あるいはプライバシー保護法——情報公開法はどうなんですか。これも総合的に調査対象にするのか、あるいは今後の行政改革というか情報化社会における行政運営あり方としては欠かせない分野ですね。こういうことについても二次臨調では検討なさるのですか。
  19. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 情報の公開あるいはプライバシーの保護というような問題は、歴史の流れの方向であると私、見ております。したがいまして、こういうような問題についてどういうふうに対処すべきか、公開と保護ということは矛盾する面もございます。そういう問題につきましても、一面において第二臨調ができた場合には御討議願う中に入る問題であろうと思いますけれども、また一面においては、行政府としても独自に研究も進めなければなりませんし、必要あらばそういう立法の準備も独自にやるべき性格のものである、全部臨調におぶさってしまっていいものかどうか、その点はいま考慮しておるところであります。
  20. 上原康助

    上原委員 では一応検討の対象にはなるわけですね。  そこでもう一点、この第二臨調行政改革という問題の関連でお尋ねしたいのですが、長官は各党にこの行政改革に協力をしてもらいたいということでいろいろ御要望もなさったようです。しかし、まだ社会党に来たということはわれわれ聞いておりませんのでどういうわけかわかりませんが、中央官庁の統廃合問題は一体どういうお考えを持っておられるのですか。いままでの行政改革の基本的考えというか方針には全然ないですね。これはない。しかし、やろうと思えばできない問題ではないと私は思うのですね。これはわれわれ社会党も一定の考え方を持っておるのですよ。行政改革に対して、七九年九月十四日に党の方針を飛鳥田さんが出しておる。この中で、要するに行政機構の改編というところで、私たちは宅地開発公団の住宅公団への吸収とか公安調査庁あるいは内閣調査室の廃止の問題、そして国土庁と環境庁の統合というようなことも具体的に挙げているわけですね。かつて国土庁の問題は福田内閣時代も問題になった。また言うところの公明党さん、民社党さん、新自由クラブさん、社会民主連合さんの九月三十日に提出をされている行政改革に関する四党合意という中でも、国土庁の問題に触れておられるわけですね。そうすると、野党はこれでは一致するわけですよ。あと中曽根派に賛成してもらえばできない相談ではないと思う。野党の方がむしろ統廃合問題については熱心に具体的に、こういう面は検討してみたらどうですかということを提言をしているのですよ。国民向けには野党が反対するから行革法案は通らぬとか簡素で効率的な政府はできないということを言っておきながら、逆にこういう具体的な提案については余り真剣に政府はお考えにならないのじゃないですか。どうなんですか、そこは。中央省庁統廃合問題も場合によっては断行していくぐらいの大物行管長官国民は期待していると思うのですが、その決意のほどをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 社会党さんには武藤政審会長にお会いいたしまして、御意見も承りましたし、私たちの考えも御報告申し上げました。  中央省庁統廃合問題は、今回は手をつけることをやめまして、そのかわり仕事減らし、法律や許認可という実質的な点を今度切り込んでいこう、そういうふうに考えた次第でございます。各党の中央省庁統廃合に関します御意見につきましては、非常に傾聴に値するものもあると思っておりまして、いずれ将来そういう問題が起きた場合には貴重な参考にすべきものであると考えております。
  22. 上原康助

    上原委員 そうしますと、第二臨調でもそのことには触れさせないような諮問をなさるのですか。それとも自主的にそういう問題まで触れた場合はどういうふうにお考えですか。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調は簡素にして効率的な行政機構云々というような発想がございますから、それはもう御自由にやっていただく。なるたけ前提条件あるいは規制するようなことはやめて、フリーハンドで自由に御判断を願うようにするのが適当ではないかと考えております。
  24. 上原康助

    上原委員 ある程度わかったような気もしますが、時間があればさらに当面する行革の問題に若干触れさせていただきたいと思います。  それから、総務長官おいでいただきましたが、お時間の都合があるということでありますので、先に特殊法人の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  さっきもちょっと触れたのですが、第一次臨調時代から特殊法人統廃合問題については、廃止をすべきだあるいは早目に統合すべきだというようなことで、まだ実現されていない面もあるわけですね。私はこのことについてとやかく言うつもりはないわけですが、しかし、できるものはやらなければいかぬと思うのですね、その条件がそろっているものは。それで特殊法人の天下り人事の問題とか最近の状況から入りたかったのですが、総務長官のお時間の都合もありますので、この際、中曽根長官と総務長官にぜひはっきりさせておいていただきたいのですが、確かに沖繩復帰のときに沖繩電力の取り扱いは返還協定との関係でも大変問題になった。しかし、なぜ特殊法人になったかと言いますと、米軍支配下では御承知のように電力、水道、金融、全部アメリカが握っておった。電力公社だったんですね。これを日本側が買い上げて、結局振興開発特別措置法で政府出資の会社にするといういきさつがあって、私も基本的に民営移管に賛成なんですが、条件がそろえばこういうのはやっていい。しかし、現在の状況というのは一体どう認識をしておられるのか。確かに昭和五十年十二月に民営移行にする閣議了解をやっておりますね。五十二年十二月に引き続き民営移管のための諸条件を整備するという前提で閣議決定になっている。そして昭和五十四年十二月にも五十六年度末を目途に民営移行するということを閣議決定になっている。これはいま読み上げましたように、引き続き民営移行のための諸条件を整備するという前提なんですね。しかし、その前提が崩れている。それでもうこれは申し上げるまでもないかと思うのですが、今年二月に四二・四%の料金値上げをしたわけですね。さらに十月八日になって一九・二%の値上げを行った。実質的には一年間に七一%。これはもう倍以上ですよ。これは明らかに民営移行には条件整備ができていないということが実態としてあらわれていると私は思う。したがって、こういう問題については、もう少し条件整備をやる努力を、もちろんこれは電力会社も県側もやらなければいけないと思うのですが、やった後に考えていただかないといけない問題だと思うのですが、まずこの点について、行政改革を進めていく立場からどのように中曽根長官はお考えなのか。  また一方、沖繩の振興開発計画という問題を考え、特にエネルギーという県民の経済あるいは社会生活の基本の電力と水力、そういう面から沖繩担当大臣として中山総務長官、開発庁長官は一体どういうふうにお考えなのか。この際、五十六年度末の民営移管というものは一応の決定ではあるにしても、条件整備がまだなされていないという以上は、やはり再検討の余地があると思うのですね。ここいらについてもう少し、県民も非常に不安を持っておりますし、今後これからのことにどういうふうに政府はお考えなのかということで、今度の料金改定問題とも関連をして大変関心を持っていることですので、責任ある御答弁を求めたいと思うのです。
  25. 佐倉尚

    佐倉政府委員 沖繩電力株式会社については、先生御指摘のとおり数年前から民営移行の諸条件を整備するとされております。それで私どもは担当省庁においてすでにある程度の合理化努力がなされてきているものと考えております。今回の閣議決定に沿って、主管省においても沖繩電気事業協議会における議論等を踏まえまして、赤字問題等含めて諸般の措置検討していると聞いております。予定の時期に民営に移行されるものと考えております。  第一次臨調との関係でございますけれども、未措置のものはほかの特殊法人についてもいろいろございますが、それらにつきましては、臨調後の諸情勢の変化等によりさらに慎重な検討を加えていくわけでございますけれども、沖繩電力株式会社の問題につきましては、現在そのように理解しております。
  26. 上原康助

    上原委員 私は断った、行革を進める立場から中曽根長官の御見解はどうですかと。せっかく開発庁長官も来ておられるのに、答弁する権限、権利は皆さんあるかもしらぬが、人が要望することに答えてくださいよ。ちょっかい入れるな、あなた。あなたいいね。そう言いますが、では、諸条件整っているのですか、本当に整っていますか。エネルギー庁長官の私的諮問機関で、確かに沖繩電気事業協議会の小委員会で昨年五月以来協議をして、民営移行の条件として、経営基盤の確立、良質、安定的な電気の供給、地域住民の意向が十分に反映された会社、そういう条件がそろえば民営移管していいという意見書じゃないですか。二月に四二%余りの電気料金を改定して、十月一日から三七・二二%の値上げをしたい、そうしなければどうにもにっちもさっちもいかないという。それをあなたが答弁するような、本当に五十六年度で民営移管できる基盤的条件がそろう、そういう認識で行管は行政改革をやろうとするから問題が起こるんだよ。改めて答弁し直しなさい。
  27. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、先生よく御承知のとおりいろいろと……(上原委員「御承知じゃない、そういうあなたが言っていることは。」と呼ぶ一関係省庁でいろいろ条件整備の努力がなされている現状でございますということを申し上げたかったわけでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 条件整備をする努力をしているということと、五十六年度末までに民営移管ができるような条件整備ができる可能性があるということとは大いに違うのじゃないですか。  そこで、これは一行革とかそういった事務的な問題でないと私は思うのですね。もちろんそれも大事です。それなりのお仕事をやってもらわなければいかないわけですが、いまやりとり聞いてもお二人おわかりだと思うのですが、私はさっき冒頭申し上げましたように、条件がそろえばこういうのは特殊法人よりも民営移管してもらった方がいい、条件が成り立てば。しかし、わずか百十万ぐらいの人口を擁している地域、しかも離島県であるということなどを考えた場合に、まだまだ条件整備というのは、努力はなされているでしょうが、五十六年度末というのは無理なんだよ。そのことについては再検討の余地ありと私たちは見ている、県民もまたそれを求めている。これについて、行革を進めていく立場からの行管庁長官沖繩開発庁長官としての中山長官の御見解を改めて求めておきたいと思うのです。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 条件整備につきまして必死に各省庁努力していただきまして、一応予定どおり実行してまいりたい、そう思います。
  30. 中山太郎

    ○中山国務大臣 沖繩電力の問題につきましては、いま御指摘のとおり閣議決定によって五十六年度末に条件がそろえば民営移管する、こういうことはすでに決定がなされているということは私も承知をいたしております。  問題は、沖繩電力は九九%以上の株主が大蔵大臣でありますし、沖繩県知事の所有株式数というものは、その残余のきわめてわずかな金額である、資本金は百四十七億でありますから。そういう中で、閣議決定がなされた時点と現在とどう違うか。それは第二次石油ショックが起こって国際的石油需給のバランスが狂ってきた、価格の高騰が起こった、こういうことで累積赤字がふえている。そこで、これを民営移管にするためにはどうするか、ここに一番大きな条件整備のポイントがあるわけであります。  また、裏を返せば、第一次振興開発計画が来年度で終わりますけれども、その目的であった本土並みの給与、県民の所得が本土並みになるというのが一つの目的でございましたが、現在では本土平均に比べて七〇%にしかならない。ここいらに今後の沖繩経済の発展、県民所得の向上という問題と第一次エネルギーの安価な供給という問題がそれぞれリンクして存在をしている。ここで民営移管をするとすれば、いわゆる沖繩電力を買い取ることが必要になってくるわけであります。株主がやらなければならない。  そこで、政府としては、どういう方向でこの所期の目的を果たしていくかについては関係各省庁でただいま鋭意その実現方について検討いたしておる。片や沖繩開発庁においては、安価な一次エネルギーの供給のためにいかなる措置を講ずるべきかを検討しておるという過程であろうと思っております。
  31. 上原康助

    上原委員 一応閣議決定を見たことを、またそれを閣僚が、実現性というか可能性がむずかしくなったので変えますと、そう簡単に言えないことはわかりますね、中曽根長官。しかし、いま開発庁長官がおっしゃるように、なかなか厳しい——ニュアンスがお二人の御答弁は違いますね。これは沖繩担当者とそうでない人の違いかもしれませんが。私たちはそう簡単にいくまいと思う。  そこは、私がさっき冒頭に言いましたように、これまでの行政改革というものがとても画一的、形式的で、かつて佐藤内閣が四十二年でしたか一省一局廃止、一部削減、大平行革地方支分部局一つずつなくせ、また特殊法人についても十以内のものは一つなくせ、それ以上のものは二つなくせ、その地域の住民や国民必要性があろうがなかろうがとにかくもう数さえ合わせれば、ごろ合わせすればいいのだ、極論するとそういうことになっているのです、皆さんがやっていることは。だから、いろいろな矛盾が出て反対意見も出る。総論賛成、各論反対ということになってしまう。この種の問題はそういうことではいけませんよ。この種の問題は、その経営実態とかその地域環境とかいろいろなことをもう少し総合した上で進めていただかないと、中曽根長官がおっしゃるように、閣議決定したからもう努力をして必ずやる——できっこないですよ、それは。私ははっきり言っておく。  そこで、この経営状態が非常に赤字を抱えている。これはきょうはたくさんは触れませんが、エネルギー庁が来ておると思うので、赤字解消についてはどういうふうに進めていくお考えなんですか。現在赤字は一体幾らあって、今度十月八日から料金改定が約一九・二%、この改定された料金では一体どのくらいの期間維持できるのか。今後赤字は出ないのかどうか。出た場合はどうするのか。九九・九%政府出資なんです、責任ありますよ。どういう条件整備を今日まで努力なさったのか。さっきぼくが言ったでしょう。五十年に閣議了解されて、五十二年、四年。それをいまごろになって石油が高騰したからといってみんな県民に、原価主義だなんて押しつけるなんというのはもってのほかだ。これはどうなんですか。
  32. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 沖繩電力株式会社は、昭和五十四年度末時点で資本金に一億円足りない百四十六億円という赤字を抱えておったわけでございます。昨年十二月のOPECのカラカス総会から始まりました油の高騰によりまして、五十五年度に入りましてからも同社の経営は非常に苦しい状況が続いておりまして、その状況に耐えかねて、先ほど先生からお話がございました同一年内に二回目の料金改定ということのやむなきに至ったわけでございます。  私どもは民営移行を進めるに当たっては、沖繩県民の意向を十分反映するということを基本としておりまして、先ほども御指摘がございました沖繩電気事業協議会の中間報告というのをいただいたわけでございます。その中間報告にもすでに示されておりますように、これまでに累積した赤字を思い切った措置をとって解消すべきであるということになっております。私どもは思い切った措置を実際具体的にどう進めるかというのを今後関係省庁と詰めていくことになるわけでございますが、通産省の考え方は一いままでに累積した赤字については県民に負担させることはしない、別な言葉で言えば、これからの料金に累積赤字の解消をもくろんだ原価を算入することはしないということが基本方針でございまして、この基本方針にのっとりまして関係省庁と相談をしていきたいと思っております。  また、改定いたしました料金につきましては、これを一日でも長く維持するということで沖繩電力の経営者には格段の経営努力を求めておるところでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 総務長官、約束の時間ですのでちょっと答弁をお願いしたいのです。  いま通産省の基本方針は大体わかりました。またさっき開発庁長官というお立場でのこの条件整備を各省庁と連携をとりながらやっていきたいということでありましたが、私は中曽根長官を初めそうしゃくし定規に物事を判断しておられるとは思いませんが、これだけむずかしい経営内容だということと、やはり戦後二十七年間の格差というものがそう簡単には埋まらないということがこれを見てもわかるわけです。そういうことですので、沖繩の今後の県民生活なり特に産業開発あるいは経済振興ということを考えた場合に、二次振計との関係もありますから、そこはいろいろ十分やっていらっしゃると思うのですが、やはり御判断をいただいて、この電力会社の移行問題については御配慮をいただきたい。改めての所見を伺ってきょうのところは……。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電力料金が一年のうちに七一%も上がるということは、県民生活の上に非常に大きな影響も及ぼしますし、産業の発展の上からも非常な阻害要因になる危険性もございます。そういうこともわれわれ目の前に見ているわけでございますから、将来できるだけそのような点については配慮いたすように各省庁とも努力して、そして予定を実行していきたいと思っております。
  35. 中山太郎

    ○中山国務大臣 沖繩経済の発展と県民所得の本土並みへの水準の引き上げのために、エネルギーを安価に確保するということを中心に各関係省庁と十分相談をしてまいりたいと考えております。
  36. 上原康助

    上原委員 きょうはこの点はこれでひとまず……。  そこで、内閣から来ておられると思うのですが、特殊法人との関連で、たしか昭和五十四年十二月十八日の閣議決定だったと思うのですが、特殊法人の役員問題についていろいろ決定がなされておりますね。しかし、これが一体守られているのかどうかということです。最近どうなんですか。まあ高級官僚という言い方はどうかとは思うのですが、要するに上級退職者、一般的に言われている高級官僚の天下り規制でいう特殊法人の役員縮減計画はどうなっているのか。五十四年、五十五年、まずその実態について御説明ください。
  37. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先生いまおっしゃいましたように、五十四年十二月十八日に閣議了解をいたしました。これは五十二年十二月に閣議決定いたしましたもののいわば運用方針としまして、さらに厳格に行うという意味で閣議了解を行ったものでございます。  その内容は、御承知のように、いまおっしゃいました国家公務員から直接特殊法人の役員に就任する、あるいはそれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とするといったようなことから、そのほかいわゆるたらい回しでございますとか、高齢者の起用とか、長期留任に関する例外につきましても、真にやむを得ないものに限るといったような非常に厳しい閣議了解を行われたわけでございます。  それで実際につきましては、私どもこれの具体的な役員の選考に当たりまして一人ずつ内閣官房として協議を受けているわけでございまして、その適材適所というものを確認した上で内閣としてもオーケーを出しているという状況でございます。  その点から申しますと、いまのいわゆる天下りと申しますか、国家公務員から直接あるいはそれに準じたかっこうで特殊法人の常勤役員に就任するという人につきましても、各省庁でそれぞれいろいろ事情はあるわけでございますけれども努力をしてもらって、少しずつ減ってきていると思っております。そのほかのいわゆるたらい回し、高齢者、長期在職者の問題についても、例外も非常に少なくなってきているというふうに認識しております。  また、この閣議了解におきまして、ちょっと先生触れられました役員の縮減問題というのもあわせて決めてあるわけですが、それも着実に進行しつつあるというふうに考えております。
  38. 上原康助

    上原委員 そうは言っても、われわれはそう見ないわけです。それは確かにこれだけ閣議決定なさったのだから、全くやらないということではないと思うのです。  いま特殊法人の常勤役員はどのくらいあるのですか。ことしの一月から十月まででもいいし九月まででもいいのですが、特殊法人の役員に新しく就任した人が何人いるのか。そのうち民間出身者はどのくらいなのか、内部起用、昇格したのはどういう分布になっているのか、具体的に説明してみてください。そういうのを掌握していないんじゃないのか、内閣としても。各省庁任せではないのか。
  39. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私どもの計算で申し上げますと、十月一日現在の特殊法人の常勤役員の数でございますが、七百七十三人というふうに把握いたしております。それで、やはり十月一日までで急いで試算してみたものでございますけれども、新任者、新しく特殊法人の役員に就任いたしました人をことしの一月一日から計算してみますと百十八人でございます。そのうち国家公務員から直接就任した人及びこれに準ずる者というふうな言葉が閣議了解にございますが、これは国家公務員の経験がございましても、非常に長い間、たとえば十年とか民間におられて、その能力を買われて特殊法人の役員に就任したという人もごくわずかでございますがあります。その程度のものは除いてございますが、いわば国家公務員からそういったかっこうで就任された方が六十人、それから民間あるいは部内から上がられた方が五十八人という数字と把握しております。
  40. 上原康助

    上原委員 百十八人のうち六十人、何とか五〇%に抑え込んだというような、それもごろ合わせみたいな答弁にしか聞こえませんね。確かにいまおっしゃったように六十人、しかし七百七十三人中新しく就任したのが百十八人で、そのうち六十人。この内部起用といいますか五十八人の中には公務員の方がいるのですか。
  41. 栗林貞一

    ○栗林説明員 新しい基準でいきますと、法人に入りましてから、法人の職員になりましてからおおむね五年以上たってその法人で上がった場合には、これは国家公務員出身者というふうに考えるべきじゃないのじゃないかと思っております。詳しく確認しておりませんが、いま申し上げた数字の中にはそういう人はどうも入ってないようでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 それにしても、この閣議決定がなされて、その後KDD事件あるいは鉄建公団その他いろいろありましたね。そういう中で特殊法人問題とか行革あるいは公務員の綱紀粛正問題等々出て、一時は政府もそれなりのお気持ちで、天下り人事とかそういうものをやらない方向で姿勢を正すのじゃないかという期待を私たちは持っておったわけですね。しかしいつの間にか、六月の衆参同時選挙で自民党が圧勝をして、すべてだんだん緩みっ放しですね。しかも、そういう行革を進める、天下りは規制をするという張本人たちがやっていらっしゃるわけでしょう。これは人様のことだから余り触れたくはありませんが、たとえば行管庁の前次官なんかもストレートに天下って行っている、あるいは会計検査院の総長ですかも。こういうことでは幾ら一般公務員に対して、もっとえりを正しなさい、行政サービスを向上させなさい、公務員精神を発揮させなさいと言ったって、上乱れれば下従わずだよ。私はそういうことはやはり行管そのものがえりを正すべきだと思う。同時に退職金問題にしたって、どうなんでしょう、本当に二割、三割削減というものが実施されているのかどうか。もちろん、職務分限によって給与なりいろいろ違うから、そこまで私はとやかく言いませんが、渡り鳥で、多額の退職金を一方においてももらって、次の会社に行ってまたもらって、またほかの法人に移って、そういうことをどんどん高級公務員という官僚はやっておきながら、一般公務員の退職手当については少々民間との差が出たからといってやるなんて、そんなのは賛成する人がおりますか。まずは上から正しなさいよ。どうなんですか。長官、そういう実態についてはもう少し——これは私は前の伊東官房長官にも申し上げたのですが、そういった特殊法人の役員とかあるいは給与の問題については政府部内で資料などももう少し整理をしていただいて公開をしなさい。われわれが資料要求をしても、出しなさいと言ってもなかなか出さない。これでは納得できませんよ。特殊法人の役員問題については、政府みずからがえりを正して、閣議決定でなされたことがどう実行されているのかも含めてもう少しぴしゃっとした姿勢を出さないと、行革問題というのはなかなか前進しませんよ。御見解を伺っておきたいと思うのです。
  43. 栗林貞一

    ○栗林説明員 実は、閣議決定なり閣議了解がなされたものにつきまして、いま特にお話がございました役員の人事問題でございますけれども、私ども各省から一件ずつ協議を受けておりまして、しさいに検討した上で閣議了解の線に沿っているかどうかを見た上で承認をし、各主務大臣において任命するわけでございます。そういう意味では非常に厳格に行っておるつもりでございます。  それから、特殊法人国家公務員から行くという問題につきましては、私どもの考え方は全く行ってはいけないということではないというふうに考えておりまして、本来、特殊法人というものは国の業務を弾力的にかつ効率的に行うということでつくられた組織でございますので、国家公務員でそれなりの知識、経験を持っている者が行くということも、またそれなりに意味のあることではあるというふうに思ってはおりますが、そういうことで安易に流れてはいけないということで、民間の知識あるいは能力というものを大いに活用して、活力ある能力を発揮していただきたいというふうな意味において、半々というふうなことを閣議了解していただいたものと理解しておりますし、その線に沿ってできるだけ厳格に守っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  44. 上原康助

    上原委員 もちろんそれは特殊法人に退職した公務員が就職というか就任をしてはいけないと私は言っているのじゃないんだよ、それは職業選択の自由だから、あなた。しかし、そこには一定の枠がありますよ、公務員法にもちゃんと。それもあなたどんどん拡大解釈で何ら歯どめがなくなっているじゃないですか。だからわれわれは法律の改正も出したんだ。そのことを指摘をしているのであって、これで余りやりとりしてもいけませんが、しかし、少なくともこれも当初意気込んだほどのことはないですね。これじゃいけませんよということ。  そこで、五十四年にこの種の関係の何々の法人にどういう人がどういう就職をいつやったという資料を出していただけますね。資料要求をしても皆さん出さないじゃないですか。整理をして出してくださいね。いいですね、その点は、内閣事官
  45. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私ども、資料要求がございますときには、できるだけその線に沿って御要望にこたえるようにしたいと思います。私ども一番気にしておりますのは、具体的な人の問題になりますので、私どもとしては、いわば先ほどのプライバシーみたいな感じになってきますので、その点は非常に気をつけながらお話し合いして資料を出させていただきたいというふうに考えております。
  46. 上原康助

    上原委員 しかし、それはそういうことで逃げられる問題じゃないですよ。その点、また公務員関係法案もあるはずですから、そのときにもう少し給与問題とのかかわりでお尋ねします。  そこで長官、いま私が申し上げたようなことについて、せっかく相当綱紀粛正をやろうと、特殊法人のいろいろな不正事件などもあったあれで、国民はそういうものについては非常に敏感なんですよ。こういうことについては内閣全体の問題あるいは官房長官か総理の専任事項かもしれませんが、やはりこれは行政改革の一環ですよ。これについては長官としてもそれなりの御見解なり御認識を持っていただいて、決められたことについては強力に実行していくという姿勢を示してもらわなければいかぬと思うのですが、この点どうなんですか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 決められたことは厳格に実行するように、私たちも監視してまいるつもりでございます。  それから、先ほど上原さんから御質問がありました第二臨調の内容でございますが、大体党内手続は終了したそうで、いま報告がありましたから、大体の内容を御報告申し上げたいと思います。  大体の目的としては、社会経済情勢変化に対応した適正かつ合理的な行政実現に資するため、現行の行政全般について見直しを行い、今後における行政の抜本的改善策を策定するということにしておりまして、存続期間は二年ということであります。  それで、この権限でございますが、基本事項に関しては内閣総理大臣に意見を述べ、または内閣総理大臣の諮問答申する。前項の意見または諮問内閣総理大臣から国会に報告するように内閣総理大臣に申し出ることができる。この点は強くなっているわけであります。  それから、調査会の委員は、九人をもってして非常勤委員とする。これは内閣総理大臣が任命しますが、両議院の同意を得るということにしてあります。  そのほか、専門委員を置くとか事務局を置くとか、そういうことにしておりまして、調査会は必要があると認めるときは行政機関、地方公共団体及び行政管理庁設置法第二条第四号の二に規定する法人に対して、これは特殊法人ですが、資料の提出意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる、こういうふうにしてあります。  あとは、普通の事務的規定で、調査会は法律の公布の日から四カ月を超えない範囲内において政令で定める日に設置する、行政監理委員会は調査会の設置の日の前日をもって廃止する、こういうふうにしてあります。
  48. 上原康助

    上原委員 途中でよけいな答弁が入るから、こっちの質問を忘れてしまったよ。  それはきょう与党調整ができて具体的に法案策定に入っていくという前提での御答弁だと思いますが、またそのときにいろいろお教えをいただきたいと思います。  そこで、決まったことについては厳格に実行していきたい、いかにも中曽根さんらしい御答弁ですが、問題はそうなっていないところにいろいろと疑惑が生じ、国民の不満や不信があるということも一つおとどめいただきたいと思うのです。  次に、この特殊法人の問題との関系で、全体ではないのですが特殊法人からの剰余金の吸収を検討したい。いわゆる政府の財政再建の一環という構想でしょうが、これは行管としてはどういうふうにお考えになっておられるのか。また具体的に今後政府部内で進めていくのか、もっぱら大蔵省あたりに任せていくおつもりなのか、御見解だけお尋ねをしておきたいと思うのです。
  49. 中庄二

    ○中政府委員 すでに御案内かと思いますが、今後の行革の方向といたしまして、特殊法人の経営実態の見直しということが決まりました。それとあわせまして、さきの通常国会で行政監察の調査対象が拡大いたしました。年度計画にも織り込んでございましたので、現在経営実態の見直しの調査に入ったところでございます。十月一日現在でございますと百九でございますが、私ども前からの延長で百十の経営実態の見直しをやっているところでございます。
  50. 上原康助

    上原委員 私が言っているのは、もちろん経営実態を把握をしていく、見直しをやっていくというのは、これは前内閣時代からそういう方針を出されていますね。一部で報道されておりますように、特殊法人の剰余金の問題について、政府納入とか還元とか、そういうことも行革の一環としてお進めになる作業をいま進めているんですか、いるんならどういうお考えでやるのか、どういう特殊法人が対象なんですかと、それを聞いているのですよ。
  51. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま申し上げましたように、何分数が多いものでございますから、いまその計数整理をやっておるところでございます。たとえて申しますと、連続貸借対照表、連続損益計算書、これは個別のものを全部入れるのでなかなか大変でございますが、私どもの見ております中身から申しますと、いま先生から御指摘ございました範囲よりもやや広く見ておりまして、財政に対する負担の軽減の面も入れております。寄与の面だけじゃございませんで、負担の軽減の両面から見ております。  大体見直しております内容を申しますと、特殊法人はいままでの成立の経緯等ございまして、会計経理基準といったものがいま特殊法人別に非常にバランスがとれておらぬと申しますか、たとえば費目をとりましても法人ごとに名称が違いますし、内容が異なっておるというようなことがございますが、それ等を初めといたしまして、俗に申します貸し倒れ引当金の率等にしましても、業務ごとにこれは当然差はあるわけでございます。違い等ございます。まず一つが会計経理基準等の見直しでございます。それからもう一点が経営の効率化、合理化と申しますか、経費の節減面等から、あるいは増収対策といった面からの検討面がございます。  それからその次に、民間能力の活用の面と申しますか、民間への委託等の問題がございますし、そのほか、先生御指摘の利益剰余金の処分等の問題、こういうものも含めて検討をしているところでございます。
  52. 上原康助

    上原委員 長官は、この件についてはどういう御認識、御見解を持っておられるのですか。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人につきまして、その経理関係あるいは出資、剰余金、そういうものの適正についていろいろ見直しをやらしておる最中でございます。八月におきましては、私の方の堀内政務次官がそういう財務の非常な権威者でありますので、概算的に洗ってみましたが、問題もあるということがよくわかりました。そこでいま各省庁から正式にその関係資料の提出を求めまして、それが終わりましていま正式にいろいろまた当たっておる、そういう状態でございます。
  54. 上原康助

    上原委員 これはこの程度にとどめておきましょう、なかなか言いにくそうですから。  そこで次に、この法案との関係で具体的な問題でちょっとお尋ねしておきたいのですが、地方支分部局整理あるいは統合問題はなかなかいろいろ問題があるわけです。さっきも申し上げましたように、画一的あるいは形式的な、ごろ合わせ的——ごろ合わせ的と言ったらちょっと失礼かもしれませんが、そういう地方支分部局整理なり統廃合がずっと進められてきている。その中では、もちろん整理をする、あるいは統廃合をしても降格、格下げしたって支障がないというか、まあまあ何とか妥当性のあるであろうと思われるものもあると思うのですね。だが、どうもさっきから申し上げましたように、たとえば一省一局一部削減とか、あるいはこれこれの数を持っているものはこれこれだ、そういうような方法でやられますと、どこかに必ず大きなしわ寄せがいくと思うのですね。犠牲をこうむる。今回の支分部局の降格とか統廃合では、その種のものはないのかどうか。けさの日経なんかを見ると、まさかこの法案が通るとは、行管庁自体も思っていなかったと書いてあるね。たとえば行管庁自体も、中国管区行政監察局と四国管区行政監察局と統合して中国四国管区行政監察局とするというのだが、四国がなくなるのはさびしい。だから、この法案が通らなければよかったと内心は思っておったが、もう通りそうだということだ。こういうことを思いながら法案を出して、われわれにまじめに審議しなさいというのもちょっと問題なんだな、実際から言うと。そういうことをあなた方が思っているのだから、そこで働いている人はもっと思っているよ。そこいらはどうなんですか。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その部分に関する新聞の記事は真意を伝えておりません。行政管理庁改革案として出したことは、もう率先して御審議願おう。そして一日も早く成立させようと思って夜を日に継いで努力しておるところでございます。
  56. 上原康助

    上原委員 ますますエスカレートするから……。  いまは行管の一つの例としてとらえたのですが、いろいろおやりになるときに、いわゆる全体的に見て、総体的に見て、そういった無理がないのかをもっと検討なさったらどうかということを申し上げているわけですね。  そこで、一つの例として新潟海運局の問題、これは日本海——私が日本海側のことを聞くのもちょっと変なんですけれども、地方海運局の問題で、新潟海運局の件なんですが、日本海側には、海運局というのはこの一局しかないわけでしょう、地域性から言っても。みな太平洋ベルト地帯に持ってきて、新潟からわざわざ横浜の海運局まで足を運ばなければいろいろなことができなくなる状態は来ないのですか。地域性、住民のニーズということは度外視をした降格、統廃合じゃないのか、整理じゃないのか。これは挙げて反対していますね。もちろんその関係している職員の皆さんしかり、新潟県知事も県会も、朝野を挙げて、まさに超党派的だ。さっき私が第一次臨調のときの原則を読んだでしょう。地域住民の意見を尊重するということとか地域性の特性を持たすということが行政運営の本来の姿でなければいかぬと思うのですね。都市にみんな集中させる、中央に集中する、それはよくないと思うのですね。ここいらはどういうお考えですか。問題ありませんか。運輸省はどういうお考えなのか。
  57. 永井浩

    ○永井政府委員 新潟海運局の件につきましては、私ども五十四年の閣議決定に基づきまして、簡素な行政機構をつくるということと、一方、行政サービスの水準が低下してはいけない、この二つの問題を検討したわけでございます。私ども十の地方海運局がございますが、新潟海運局が業務量におきまして、一番相対的に業務量が少ないということと、それから管轄区域が新潟県、長野県と二県で非常に狭いということでございまして、これを関東海運局に統合するということに考えたわけでございます。ただ、御指摘のように新潟港を抱えまして、本局であります、横浜にあります関東海運局との連絡等いろいろ問題がございますので、新しい組織として海運監理部というものを設けまして、ただいま御審議いただいておりますが、法案の附則にございますように、各種事業監督等の実体法の運輸大臣の権限も、いわゆる海運局と同じようにこの監理部に委任できるということで、行政サービスの低下を防ぐことができる、このように考えているわけでございます。
  58. 上原康助

    上原委員 いまの答弁で行管庁、いいですね。行管庁、そういう考えで進めますね。まずそこらを……。
  59. 佐倉尚

    佐倉政府委員 私どもの方としましては、海運局に限りませんけれども、それぞれの管轄区域あるいはその事務内容、そういうものを各省からいろいろヒヤリングを通じまして個別に検討をしました。極力各機関の実態に即した整理案を詰めたところでございます。その過程におきまして、各機関の組合を初め地元の関係者等の意見も直接あるいは間接にわれわれとしては十分聞いたつもりでございます。
  60. 上原康助

    上原委員 あなた、なかなか要領がいいけれども、私が聞いていることには答えないで、よけいなことを言っているんだ。  では、もう少し具体的に、いまの海運局長の御答弁を確認をする意味お尋ねしたいわけですが、確かに新潟局を関東海運局の海運監理部とする。そして、従来、従前、これまで——日本語もややこしいから、もう……。この新潟海運局で海運局長に大臣の権限を委譲というか委任をして行っておった業務というものは、監理部長に委任をした形で行うわけですね。新潟とか長野県の皆さんがそういった許認可とかいろいろなことでわざわざ横浜の関東海運局まで足を運ばないでもできるというのが一つの条件。これは正直申し上げて、大変ですわ。幾ら交通事情がよくなったからいいと言ったって、電車に乗れば費用もかかるわけでしょう。時間も食うでしょう。それから冬場とかそういう場合は実際大変な支障を来すのです。そういう不便を与えないというのがそもそもの行政でなければいけないと思うのだね。なるべく地域住民に不便を与えないということ、それがサービスの向上でしょう。サービスを向上しなさい、向上しなさいと言いながら、そういうものをどんどん削っていったのではだめなんだ。そういう権限は委譲するのでしょうねということ、支障は与えませんということをここでひとつ行管庁の方からもお答えいただきたいのです。  と同時に、その機構はどうなるのか。いま地方海運局には四つの部がありますね。あるいはまた人員はどうなるのか。配置転換とか人減らしを長官は盛んに言っておられるようですが、仕事減らしと人減らし、これは聞こえはいいんだが、生身の人間の首を切るというのはそう簡単に行きませんよ。公務員にはそれなりの権利がある。もっと言えば、生存権だってあるんだ。簡単に安上がりの政府とか安上がりの行政だからということで生身の人間の給与を引き下げてみたり首を切ってみたりするということ、これは許されないこと。そうすると言っていませんが、しかしいまの風潮で行くとそうなりかねない。ここいらの点についてもう少し行管庁のお考えを明らかにしておいていただきたいと思うのです。  それでまた、さきの御答弁に含めて、この監理部長が従来海運局長がやっておった権限を受けて、委譲、委任をされて、十分に地域住民やそういった海運行政に支障を来さない、職員にも不利益を与えない、そういう前提でこれはおやりになるわけですね。
  61. 永井浩

    ○永井政府委員 新潟海運局を関東海運局に統合いたしまして、新潟に海運監理部を置くわけでございますが、管内全体の調査とか統計とかあるいは政策の基本になるような企画とかいったものにつきましては、本局でございます関東海運局で行います。ただ、従来からございます事業監督行政、たとえば海上運送法に基づきます行政、港湾運送事業法に基づきます行政、あるいは船舶関係、船員関係、こういった個別、具体的な事案につきましては、従来と同様、あるいはほかの本局と同様に、直接運輸大臣の権限を監理部長に委任する、こういうことにしてございますので、行政関係のある方の御不便はかけないもの、こういうように考えております。  それから、内部組織、定員につきましては、現在行政管理庁と協議中でございます。
  62. 佐倉尚

    佐倉政府委員 行政サービスの低下を招かないようにするということでございますけれども、特に対民間の許認可等の権限、これは海運監理部長が取り扱うことができるようにしていくという方針でございます。そのほか内部組織、定員につきましては、ただいま海運局長から御答弁のあったように、具体的な事務量を算定して、それから海運監理部にどのような事務を残すかというようなことと関連しまして、なるべく行政サービスの低下を招かないようなことを配慮しつつ、なおかつ行政改革の趣旨に沿ったような、簡素にして能率的な部にしたいということで、これは五十六年度の予算編成過程でこの作業を詰めていくはずでございます。
  63. 上原康助

    上原委員 簡素にして効率的というか能率的という言葉でひっくくると、これはすべてひっかかる。そんな抽象論はないよ。具体的にはどういうことをやるのです、人員とか予算措置のことでやるということは。さっき言ったように、職員の不利益性というのはないですね。それと内部機構についても、従来のように、監理部と局とは機構上の面はもちろん違うかもしれませんが、平たく言うと実質的な変化はない。行管、そういうふうに理解していいですね。
  64. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまある新潟海運局と今度置かれる海運監理部というものは、やはり違うわけでございまして、ただいま海運局長から申し上げましたような一般的な事務あるいは関東海運局で取り扱える事務というものは関東海運局の方へ移すことになると思います。それに従いまして、海運監理部の機構、定員等も現在の新潟海運局のそれと若干異なってくるということになろうかと存じます。  ただ、そこに置きます人の配置その他について不利があるかないかということは、人事上の問題でございますけれども、そのことの起こらないようにいろいろと、この場合には運輸省でございますけれども、ほかの場合には各省庁に御努力を願っていることでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 くどいようで申しわけないのですが、もう一度私の方から聞いておきます。  あなたがおっしゃるように、それは確かに海運局から海運監理部に降格になるわけで、それは全く同じということにはならぬという考えもわかるわけですが、言葉を変えて言うと、格としては下がることになるが、実質的には局と同等の機能の担保をする、そういう運営をしていくということでいいですね。これはもともと運輸省も積極的にそれの格下げに賛成したわけじゃない、同意したわけじゃない。これはいま私が言ったような取り扱いをするという前提ですね。
  66. 永井浩

    ○永井政府委員 各種事業監督あるいは船員の問題、船舶の検査の問題等、こういった問題につきましては、従来の海運局と同じ扱いでございます。したがいまして、海運局においでになる関係国民の方々の手続その他については従来と全く同様でございます。
  67. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いま海運局長から答弁のありましたように、特に対民間関係許認可事務等はなるべくそこで処理できるようにという方針でやっております。
  68. 上原康助

    上原委員 なるべくがくせ者だが、この件で最後にもう一点要望と御見解を聞いておきたいのですが、いろいろまだ詰めていかなければいけない問題があると思うのです。運輸省の海運局と行管にある。それとまた、現在新潟海運局で働いておられる職員の皆さんと海運局、政府との関係で、いろいろこれまでもお話し合い、協議、交渉をなさってきたと思うのですが、特に、そこで働いている職員の身分なり労働条件等に関連をする事項については、これは念にも念を入れてやるべきなのが当然ですね。そういう意味で、いま私がお尋ねをしたことで足りない面もたくさんあると思うのですが、時間の都合もありますから、十分関係職員の皆さんと協議の上で、その提案なり意見というものを最大に尊重した上でいろいろな業務を今後進めていかれる、これは当然と思うのですが、おやりになりますね。
  69. 永井浩

    ○永井政府委員 内部組織、定員等については、これから行政管理庁検討を進めてまいるわけでございますが、どのような形の結論が出ても、関係職員が不利益にならないように十分配慮してまいりたい、このように考えております。
  70. 上原康助

    上原委員 ぜひそうしていただきたいことを重ねて要望申し上げます。  また、行管の方も、先ほど来お願い申し上げておりますように、指摘いたしましたように、十分な御配慮を求めておきたいと思うのです。  そこで、若干前後しますが、きょうちょっと補助金問題も聞こうかと思ったのですが、大蔵が来ておりませんので、行政改革の問題であと一、二点だけ聞いておきたいのですが、官業と民業の分担ですね、よく言われているわけですが、二次臨調でこれが重要になってくるかもしれませんが、どういうふうに基準といいますか、仕分けをしようとしておられるのか。たとえば中曽根行革という言い方があるいは失礼になるかもしれませんが、こういう言い方がありますからそう呼ばしていただきたいのですが、宇野行革よりは中曽根行革の方がいいのじゃないですか。基本方針案というのがありますね。この中にも、地方公共団体の厳正な定員管理とか、あるいは地方と中央の業務の分担とか、いろんな方針が出されているようですが、地方公共団体の厳正な定員管理、これはある意味では、基本、原則的には地方公共団体が自主的にやる仕事なんですね。しかし、さっき申し上げましたように、地方主義というか地方の時代という概念は、とらえ方もいろいろあると思うのですが、できるだけ中央集権的にならない業務分担、割り振りをやっていくということになりますと、これをどう分割をしていこうとするのか。これまでもそのことが言われながら、余り進展していないということがありますね。こういう問題はどうお考えなのか。  さらにもう一つは、公務員の総定員法もあっていろいろと言われているわけですが、私は、先ほど来申し上げておりますように、不正に対しては十分その内容を審査をした上で、それなりの粛正、縮小をやっていかなければいけないと思うのですが、最近の風潮はどうも公務員無用論的なことを言っている節があるんじゃなかろうか。何か公務員の数が余って、遊んで給与をもらっているのではないか、そういう言い方に聞こえる意見さえ出てきています。しかし私は、全体の公務員というのはそういうことじゃないと思う。それは機構のいかんによっては若干時間的ゆとりというか業務量の少ない面はあろうかと思うのですが、全体的には中央地方の機関を含めて政府官庁というものが、そんなに朝から晩まで新聞を読んでいるとか、ゆとりのある状態じゃないと思うのですね。加えて、いろんな給与問題でも大変な批判がある。それはそれなりに国民政治行政に対する注文ですから謙虚に受けとめなければいけませんが、しかし、そういう風潮に悪乗りしちゃいかぬ思うのですね。  そういう面からしますと、特に八〇年代、今後の公務員制度という面で考えて、わが国の行政分野において適正な公務員数というのは、一体どういう面が期待されているのかということも改めて検討する必要があると思うのですね。長官おわかりのように、第五次計画では三万七千幾らか減らすといっても、補充する面はすべて文教関係ですよ、厚生ですよ、あるいは消防、そういう国民の生活と密接にかかわっておる分野はどうしても増員をせなければいけないわけです。それがある面では今日の行政多様化でしょう。業務量がふえた一番の根源でしょう。そこまでみんなぶった切っていいということになると、それは決してサービスの向上になりません。  また、簡素で効率的といっても、簡素で効率的ということは、官僚だけの、政治家だけの、政府を預かっている人々だけから見て簡素で効率的であっては私はいけないと思うのです。国民がそう思うかどうかの問題。ある面では、直接的には国民の負担にならないが、間接的には国の税金が少々かかってもやらなければいけない行政もあり、増員もあるわけですよ、この社会的構造、仕組みの中においては。そういう面がこれまでの行政改革やいろんな人員問題では欠落していないかどうか。私はそういう面にもっとメスを入れていただきたいと思うのです。  同時に、これは公務員の皆さんの生きがいという問題です。人生、平均年齢が七十五、六歳、そういうふうになると、必然的に高年齢化社会というものが来ます。その中でいろいろ言われておりますが、公務員の皆さんだって、家族があるし、人間ですよ。そういう面で、一般の公務員の皆さんに対しても、将来に対して不安のない、生きがいを与えるということ。  そこからすると、いまいろいろ取りざたされているようなことについては、長期的に見て公務員が仕事に意欲を燃やす、あるいは将来に生きがいを感じて退職後の設計を立てていけるというそのぐらいのことは、私は社会全体で考慮してもしかるべきだと思うのですね。これがどうもいままでの行政改革の中では出てこないで、ややもすると悪い部分だけで、公務員の苦労している分野については余り評価されていないことについては、私は、あるいはわが党は同意しかねるのですね。こういう問題についてはどうお考えなのかということを、少し長官の御意見を聞かせていただきたい。  余りにも微視的な物の見方でなくして、長期的に見て全体的に公務員の皆さんの仕事、分限というものをどう評価しなければいけないのかということと、退職後の生活というものも考えて不安のないようなことをすれば、ある面においては不正もなくなるわけです、一般論で言うと。そういう点はどう今後やろうとしておられるのか、少し聞かせていただきたい。
  71. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず地方の問題は、やはり「地方自治の本旨」という憲法の条文もございまして、特に地方の固有事務等については十分注意を払わなければならぬと思います。  それから、公務員につきましては、私は、日本の公務員は世界的なレベルから見ればかなり能率のいい優秀な人たちが多いと思っています。世界で優秀なのはフランスの公務員と日本の公務員だと言われておりますが、そういう点は私たちも同感であります。  ただしかし、長い間の膨張過程において、暇なところも出てきたし、非常に忙しいところも出てきたし、また日の当たるところもあるし日陰のところもある、そういうところを調整して国民の満足のいくようなものに仕立て上げていくことは大事です。  しかし、政府としては、公務員を、いろいろ働いてもらっているわけでありますから、やはり公務員国民の一人で、基本的人権もあり生活も抱えておるわけでございますから、生きがいがあるように、毎日毎日の仕事に生きがいを感ずるように持っていくのがまた政府の大事な仕事であると思います。  しかしまた、一面において、そういう雪の吹きだまりみたいなところが出てきたりして、公費天国であるとか、あるいは前に批判を受けた鉄建公団だとかKDDの問題であるとか、そういうようなこともなきにしもあらずでありまして、そういう点は、綱紀を粛正して厳格にそういうことを起こさぬようにやらなければならぬ、そういう面もあると思っております。一概一律に、一面的にのみ断定することは非常に危険であって、非常に多面的にこの問題は扱っていく必要がある、そのように感じます。
  72. 上原康助

    上原委員 もうこれで時間ですから終えますが、そこで、さっきちょっと申し上げました行政の各分野、いわゆる中央官庁というか政府機構というものがどこまでの守備範囲を持つべきかということですね。これを可能な限り具体的に示す必要があると私は思う。  中曽根さんがこれからおやりになろうとする行革の中で、官業と民業の再検討ということがあるわけですが、これは具体的にはどういうことなんですか。そういう理念をはっきりさせるということなのか、あるいはいま官業である、よく出ますが、何々公社とか何々は民営に持っていったらどうかと、またそういう論議を蒸し返すことなのか、そこも非常にぼやけているわけですね。したがって、結びとして、そういう問題を含めて五十六年度の行政改革の目玉というものは一体何なのか。これまで大体大平内閣から五十五年度行革ということで出ましたね。先ほど来申し上げておりますように出てはおりますが、さっき御答弁あった第二次臨調もそうでしょう。しかし、五十六年度はどうするのか。第二次臨調答申なり意見書が出るまでの渡り廊下といいますか、つなぎというものは何を目玉に五十六年度やっていかれようとするのか。そこいらはもう少し明らかにしていただかないと、五十五年度で出された方向だけやれば、あとは第二次臨調で出てくるものを受けてということになりますと、結局中曽根長官のかなえが問われることになりはしないのか。そこらを含めてまとめて御見解を承っておきたいと思うのです。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は、基本方針として前から申し上げておるところでございまして、第二次臨調を待つまでもなく、第一に仕事減らしを行います。それで法律、許認可の整理あるいは定員の問題、地方の問題、審議会の問題あるいは特殊法人の見直し、こういうことで思い切った仕事減らしをやろうと思っていまいろいろ取りかかっておるところでございます。  第二は、サービス改革、奉仕の精神に徹底する。そのためにすでに閣議決定もやりましたし、私も地方へ出向いて督励しておるところであります。  第三は、将来を展望した新しい時代にふさわしい行政哲学行政体系を策定する。  この三つが簡単に申し上げますと、五十六年行革というものの性格であると思っております。
  74. 上原康助

    上原委員 ちょうど約束の時間ですから終えますが、なかなか骨の折れる仕事だと思うのです。しかし、さっきから申し上げましたように、野党もそれなりの提案を具体的にやっているわけですから、そこいらも参考にしていただいて、この際、この行政改革に対する国民の期待なり、とかく言われている御批判に対しては十分沿うように御努力をいただきたいことを希望して、質問を終えたいと思います。
  75. 江藤隆美

    江藤委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  76. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  77. 中島武敏

    中島(武)委員 中曽根長官お尋ねします。  行政管理基本問題研究会の研究報告、つまり「今後における政府・公共部門の在り方と行政改革」、この問題についてお尋ねをしたいと思うのです。これは政府行革哲学というふうにも言われているわけですけれども、長官の見解では、この研究報告は政府行政改革方針の中でどんな位置を占めているとお考えになっておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理基本問題研究会報告は、一九八〇年代のわが国社会経済の動向を展望し、今後における政府、公共部門の担うべき役割り、すなわち行政の守備範囲のあり方について検討し、今後において望ましい行政あり方実現するため学問的、理論的立場から行政改革の基本方向を示したものであると承知しております。これに対しまして、「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、われわれが唱えたものは実践的課題を明らかにしたものであります。  御指摘の研究会報告は五十四年にたしか答申されたものでございますが、内容は、私の記憶では非常にアカデミックな観点から守備範囲を中心に論ぜられたもので、かなり傾聴すべき点があるように思いました。
  79. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、この研究報告の特徴としましては、まず「当面、治安、国防、外交等の行政機能については考察の対象から除き、」こういうふうに言って、自衛隊、警察あるいは公安調査庁などをいわば聖域化していることが一つの特徴だと思うのです。そして、それでは積極的にやろうとしていることは何かということになれば、これも率直に言って、またこの文書はずいぶん率直に書いていますけれども、国民生活に奉仕する部門の切り捨てを行おうとしている。たとえば低生産性部門に対する保護援助行政の一部あるいは農業、中小企業の価格支持政策等の保護助成政策、医療政策の一部等、こういうものを切り捨てるという考えを述べて、福祉施策における負担の適正化ということも言っておるわけであります。さらに大企業に対しては、いわば放任をするあるいは規制行政の撤退ということも言っております。各種の料金統制、開業規制、取引規制というような言葉でこれがあらわされております。そして私は、これは非常に見逃せないと思いますのは、あれだけ問題になりました政治の汚職、腐敗構造にはメスを入れようとしていないところが大変特徴であると思うのです。私は、こういう方向というのは、決して国民の望む行政改革の方向ではないと思っております。  先日、十月三日に中曽根長官行革問題について共産党の上田副委員長と会談した際に、私もこのとき同席をしたわけでありますが、わが党の行政改革についての見解を資料としてお渡ししました。私どもは、この行政改革の問題について何を重要な基準として考えているか、四つの柱を考えております。清潔で民主的な行政を目指す、看護婦など国民生活に奉仕する定員はできるだけふやして、不要不急の諸機構の定員はできるだけ削減して税金を国民本位に使う、地方自治体の権限拡大の方向で、国と地方自治体間の事務権限の再配分を行う、そして公務員が創意と自主性を持って全体の奉仕者としての役割りを発揮できるようにする、この四つを私どもは重要な柱と考えております。そしてこういう行政改革を進めるならば、行政経費も大幅に削減することができますし、また財政危機の打開の助けにもなると確信をしております。私どものこの見解について長官の見解を聞きたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 上田議員、中島さんからいろいろ御所信のほどを承り、また資料も拝見をいたしました。  基本的なスタンドポイントにおいてやや必ずしも一致しない点もあるように思いました。どっちかというと、われわれの方の考え方が現実的であって、共産党の考え方はかなり勇断をふるったお考えであって、ポイント、ポイントには聞くべき点もあったというような感じはしておりますけれども、現実性という面で可能な範囲という可能性を見ますと、われわれの考え方の方が可能性が強い、そういうような感じがいたしました。しかし、これは共産党独自の勇断をふるったお考えであるとして理解したところであります。
  81. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、いま私が申し上げたような見地から、具体的な問題を通じて長官に見解をただしたいと思っております。  以下、御質問申し上げる問題に関連する資料をちょっと用意しておりますので、見ながらと思いますので、委員長お許しをいただきたいと思います。  まず一つの問題ですが、予算定員の問題です。この総定員法が施行されましたのは昭和四十四年、その後の予算定員の増減を見ますと、全体で一万八千人強ふえております。このうちで厚生省関係また文部省関係を別にすれば、防衛庁が一万六千人強、非常に大きくふえているわけであります。その反面、国民生活に非常に密着した部門、たとえば食糧関係あるいは国有林野関係、治山関係、鉱山災害、鉱害防止の関係、気象観測、郵政事業、労基署関係あるいはまた職安関係、労働保険関係、治水関係、いわばこれは全部軒並みに減っておるわけであります。これは国民に対する行政サービスが非常に低下せざるを得ないという結果になっていると思うのであります。私は行政の基本というのは民生安定にあるというように思います。ですから、そういう点から言えば、防衛庁などいわば不急不要の部門を削減をして、一番急がれている国民生活密着部門の定員は十分に確保して、税金を国民本位に使うべきじゃないか、こういうふうに基本的な考えを持つわけですけれども、長官、どうでしょう。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いただいたこの表が果たして正確であるかどうか、まだチェックする余裕がありませんから、一応この表によって考えを申し述べてみますと、お示しのように防衛庁が一万六千人ふえておりますが、これは内外の情勢から見まして防衛を近代化し充実していくというためにやむを得ざる措置であると思います。この点で共産党とわれわれの考えが非常に基本的に違っている、そういう点がまず見受けられます。しかしながら、文部省がそれ以上にふえておるわけです。二万五千九百人、約二万六千人、防衛庁よりも約一万人も文部省関係がふえておる。あるいは厚生省関係が八千七百人、約九千人近くやはりこれもまたふえておる。こういうような情勢を見ますと、一定の総定員法の枠内におきまして、やはり教育あるいは福祉の面に重点政策がとられているということがこの表からもうかがわれるのではないか、そのように思います。
  83. 中島武敏

    中島(武)委員 これはこの委員会でもしばしば議論になっておりますように、いま長官の言っておられる文部省関係の中心は医科系の大学でありますし、それからまた厚生省関係でふえておりますのは病院関係であります。これらはいずれも行政需要が非常に多い。病院で言えば、また大変難病であるとか、そういうものを措置しなければならないということでふえておるので、しかし、これで十分ふえておるのかということになりますと、後でまた私、議論したいと思いますが、十分じゃないと思います。結局、総定員法があるものですから、防衛庁の予算定員が非常に大きな部分を占めてしまう。そして必要欠くべからざる厚生省関係、文部省関係、これを措置しなければならないものですから、ほかの国民生活密着部門が減っている、こういうふうなのが実態であろうと思います。  私、さらに具体的な問題についてお尋ねをしたいと思います。それは特殊法人の問題なんです。特に最初にお尋ねしたいのは、特殊法人に対する財投計画などの問題についてです。  先日、この委員会におきまして中曽根長官から特殊法人の出資金の引き揚げあるいはその余剰金の納付問題について見解が示されました。これはできるだけ出してもらう、これは政府の姿勢である、こういうふうに言っておられたと思うのです。これは横並びの問題として、特殊法人に対する財投計画のあり方、またその執行の仕方、つまり年度末にむだ遣い的に非常に集中してしまう、こういう問題について検討をしなければならないのではないかというように私は思うわけであります。  五十三年度は、特殊法人はこの財投を一兆五千億円使い残しをしております。それから五十四年度は六千八百億円使い残しをしておるわけであります。ところが五十三年度の会計検査院の検査報告、これはたしか昨年の十二月に出されたものですけれども、ここで例の水資源公団の予算のむだ遣い六億円ということが指摘されている。私はそういう点から言いますと、こういう財投計画あるいはその執行の仕方というようなものについて、いまこそメスをはっきり入れなければならないときではないのか。こういう点について長官の方で検討するというお気持ちはないかということについてまずお尋ねしたいのです。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財投の問題は、やっぱり検討する必要があると思います。これはいわゆる使い残りというものがどういう実態に基づいてあるのか、あるいはいわゆる官業と民業との関係という面から見まして、民間活力を充実させるという面からどの程度貢献しているか、そういうようないろいろな面から財投問題というものはある程度見直すべきときに来ている、そう思っております。
  85. 中島武敏

    中島(武)委員 同じく特殊法人の問題についてですけれども、特殊法人の役員の問題についてお尋ねしたいと思います。  この天下り問題というのは、戦前から大変大問題になってきた問題であります。しかも繰り返し問題になってきた。そしてその都度閣議決定とか閣議了解とかがつくられてきた歴史を持っているわけであります。最近では、福田内閣も閣議決定を行っておりますし、大平内閣もまた閣議了解を行っております。大平内閣のときには天下りの役人は半数以内にということを決めておるわけであります。しかし、それにもかかわらず、現実にこの天下りはどうなっているかということになれば、これは減っているとは決して言えないわけであります。中には、いまお渡しをした資料にもありますけれども、天下りの役人が一〇〇%を占めている特殊法人、こういう特殊法人が二十六もあるわけであります。これだけいままで閣議決定がされ、閣議了解がされ、そして問題になってきたにもかかわらず、一向に減っているとは言えないという状態、これは本格的にメスを入れる必要があるのじゃないか、そういう点では法的規制というようなことをも考えなければいけないのじゃないか、そういう段階にきているのじゃないかと私は思うのですが、見解を聞きたいと思います。
  86. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先生いまおっしゃいましたように、特殊法人の役員のいわゆる天下りといった問題につきましては、五十二年の閣議決定でも適材適所主義でいくということを言っておりますし、また昨年の十二月十八日の閣議了解でも「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」ということを決めていただいておりまして、それに基づいて一々私どもの内閣官房の方で各省から協議を受けてやっておるわけでございます。  それで、一つは、この資料を見させていただきますと、二ページ目の「特殊法人役員への天下り人事は野放し同然」と書いてありますところの上の方の数字は確認しておりますが、一番下の一九八〇年九月末現在の数字は、私どもが十月一日で一応計算してみたものとちょっと違っておるように思います。その点は後でちょっと確かめて調べてみたいと思います。ただ、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめる」ということでいいますと、この一月以降新しく役員に就任した者は大体半々、半分ぐらいでございまして、したがって、全体としての率も若干下がってきつつあるだろうと思っております。  それから「天下り役員一〇〇%法人は二十六法人も」、こう書いてございます。括孤書きにも書いてございますが、確かにこういった「国家公務員経験者を基礎として集計」したというのは、実は今年の一月などから数は減っているわけでございますが、これくらいあるだろうと思っております。ただ、これにつきましても、それぞれ業務の内容とかあるいは比較的常勤役員が少ないとか法人ができて間もないとかいういろいろな事情と、それからもう一つは、いまのこの中にも、たとえば役人をやめてから民間に十年も行ってこの役員になったという人も含まれているということも申し添えておきたいと思います。この点も私どもまた今後の問題として整理をしていきたいと思っております。
  87. 中島武敏

    中島(武)委員 それで、整理をされるというのは結局どうされるわけですか。
  88. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私、いま整理をすると申しましたのは、二十六法人という数字がまず基礎的な数字としていいのかどうかということをひとつ検討してみたいというのが一点でございます。それともう一つは、しかしいかに各法人の事情があるにしても、やはり民間の活力というものを本当に導入していけるかどうか、これは各省とよく相談してできるものはやっていきたい。そして全体としては閣議了解、これは全特殊法人の全体の常勤役員についての数字を目標としているわけでございますので、その点はしっかり守るように努力していきたいということでございます。
  89. 中島武敏

    中島(武)委員 この数字はあなたのところからいただいたものです。ですから間違いないと思うのです。それで、二十六法人も天下りの役員が一〇〇%を占めているというのは大変異常な状態である。民間の活力というようなことも言いますけれども、しかし、天下りの大変な人事は、先ほど言ったように、久しくしてなおかつ解決のつかない問題であります。よっぽど本気になってこれにメスを入れないと、問題解決はなかなか進まないのではないか。これはちょっと所管外かもしれませんけれども、長官、どう思われます。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり天下りが多いのはよくないです。できるだけ減らすように精力的に努力いたします。
  91. 中島武敏

    中島(武)委員 これも、先ほど申し上げた十月三日に長官行革問題についてお会いしたときに問題になりました特殊法人の役員の高額な退職金の問題についてです。  あのとき公務員並みになっていないなら検討するというふうに言われましたが、現実はどうかと言えば、ごらんのとおりこれは公務員並みになっていないわけであります。なぜそうかといいますと、何しろ基礎となる給与が大変高いですね。その上普通の人だったら年数を掛けるのですけれども、月数を掛ける。それで係数は最近〇・三六に下げられましたけれども、しかし青天井で、しかも功労加算金などがつけられる場合もあるということから、非常に高額の退職金になっているわけであります。一般の職員はいわば公務員並みになっているわけですけれども、役員だけが別扱いになっているのです。私は率直に言って、これは非常によろしくないというように思うのです。御存じと思いますけれども、四十二年の七月二十日に行政監理委員会から「特殊法人整理行政管理庁の審査権限について」という答申が出ておりますが、この中で、特殊法人の給与、それから退職金の基準などについて全面的改革の必要があるということが指摘されているわけであります。私は、これはもう公務員並みといいますか一般職員並みにやり方を変えるべきじゃないかというように思うのですけれども、長官の見解をお尋ねします。
  92. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまの特殊法人の役員の退職金の問題でございますけれども、これは各主務大臣が大蔵省と協議していろいろと取り扱っております。当庁の直接の所管事項ではございませんのでお答えする立場にはないわけでございますけれども、いままでもその閣議決定等を通じて適宜見通しを行っておりまして、民間並みの水準になったというふうに承知しております。人事院の実態調査等によってもそういう数字が出ていたのではないかというふうに考えております。
  93. 中島武敏

    中島(武)委員 特殊法人に天下りが多い、これはよろしくないということは先ほど長官も認められたわけです。これが民間並みであるからよろしいという考え方がいま局長から言われているのですけれども、私どもはそうは思わない。これはやはり一般職員並みの計算の仕方をするようにするのが至当だと思うのです。民間の役員と特殊法人の役員を比べて大体同じだからよろしいという考え方に立つのではなくて、やはり計算の仕方も苦労して一緒にやっている職員と一緒、こうなるのがあたりまえじゃありませんか。それぐらいのことはちゃんと指導するのが、あなたのところは指導権限はないのかもしれませんけれども、当然じゃないかと思うのです。非常に問題になったことですから、これは長官の見解も聞かしてもらいたいところです。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 たしか私の記憶では、月給掛ける在職月数掛ける〇・三六というふうに最近直した。これは民間の給与等をよく調べてみて、その〇・三六という係数がそれに近い、そういうことでやったと承っております。公務員の場合は月給掛ける年数掛ける特定の係数のようであります。その特定の係数と、月数を掛ける場合の係数とが果たして結果においてどういう関係を持つか、私、あなたに言われてからちょっと調べさしてみました。大体似たような数字になってきているように記憶しております。民間の会社等におきましても、役員の賞与やあるいは退職金というのは、やはり役員という独特の計算方法を持っておるようであります。公団その他におきましても、大体そういうような考えに立ってやっているのではないかと想像しております。
  95. 中島武敏

    中島(武)委員 お渡しした資料をごらんいただけばわかる点ですけれども、第一基礎になる給与が日銀総裁の場合だったら二百二十万円です。総理大臣は百五十五万円なんです。ここがもうえらく高いわけであります。ここに試算したものが出されておりますけれども、いずれも大変高額な数字が出されてくれるわけであります。私は、これは民間と大体同じだからということじゃなくて、この是正を図るようにしなければならないのじゃないか。重ねて伺いたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 月給あるいはそのほかの基準単価にしましても、民間の優良企業の方が月給もそのほかも公団や何かの職員よりも高いように私は聞いております。やはり遠慮して民間よりはちょっと下げているのではないか、そう思っております。  詳細は政府委員から御答弁申し上げます。
  97. 中島武敏

    中島(武)委員 どうもちょっと見解が合いませんので、さらにひとつ検討をしていただきたいということを申し上げて、関連しておりますが、次の問題に入らしてもらいます。  認可法人の問題です。いわゆる隠れ法人、この問題なわけです。これは現在九十八あります。そして、この問題については、前長官であった宇野長官もことしの予算委員会におきまして、わが党の議員に対して、そのあり方を十分検討していきたいという答弁をしております。  それからさらに、この問題は行政監理委員会答申もあります。あの答申が指摘しておりますように、特殊法人は行管庁の審査対象となっているが、認可法人は特殊法人と何ら変わらぬ政府の監督助成を受けながら、しかも特別の法律によりながら、単に特別の設立行為によらないということによって行管庁の審査対象となっていないのであります。特殊法人として設置が認められないと、衣がえをして認可法人として設立されたりという例もあるのであります。いわば特殊法人の隠れみの、そういうふうになっているきらいもあります。私は、こういうことを放置しておいたんでは、特殊法人になかなかメスが入らないと思うのです。  そこで、これは一体どこが所管をするんだという問題が出てくるのですけれども、統一的な所管官庁が今日ありません。行政監理委員会答申、これを読めば非常にはっきりしておりますけれども、やはり行管庁の設置法の改正をして、そして行管庁の審査対象とすべきではないかということを答申は言っておりますけれども、私もそうするべきだと思うのです。これは長官はどんなふうに考えられますか。
  98. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまの認可法人についてでございますけれども、特殊法人との関連でお話がございましたけれども、特殊法人は国の別働隊として国の仕事をやってもらうために強制的に設立するということでございます。認可法人は、いま先生もお話しのとおり、これは民間等の関係者の発議に基づいて設立されるものでございますので、国の別働隊としての特殊法人というものを審査する立場にあります行政管理庁がそこまでやるべきかどうかという点もございまして、これはなお慎重に検討させていただきたいというふうに考えるわけでございます。  特殊法人につきましては、認可法人との関連も踏まえていろいろと考えるべきものがあるという御意見も各方面にございますので、そういう点も踏まえまして検討させていただきたいと思います。
  99. 中島武敏

    中島(武)委員 この答申はよく御存じだと思うのですけれども、やはり答申の線に沿ってやるということが非常に必要じゃないかと思います。そのことを十分踏まえて検討するといういまの答弁だったというように思ってよろしいですか。
  100. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいま申し上げたことの繰り返しになりますけれども、関係方面の民間の発意によって設立されるものが認可法人でございますので、これを監理するということについては、各方面の意見もございますけれども、それらも踏まえまして慎重な検討が必要であろうかというふうに考えております。
  101. 中島武敏

    中島(武)委員 幾らか後ろ向き答弁のように聞こえます。ちゃんと答申のあったように検討されたい。  この問題に関してもう一つ聞きます。  そうすると、いまのところ、行管庁がそういう態度をとっておられるということになりますと、この問題を所管する省庁はないわけですね。したがって、私は内閣官房あたりが積極的にこの問題を引き受けるというようにするべきじゃないかと思うのですが、内閣官房はいらっしゃいますか。
  102. 石川周

    ○石川政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる認可法人につきましては、ただいま行政管理庁の方から御説明ございましたとおり、民間の発意に基づいて自主的に設立の発起をして設立されたものでございます。したがいまして、認可法人には種々の形態がございまして、非常に性格の差がございます。それぞれの法人の自主性を尊重しながら、それぞれの主務官庁におきまして監督を行っている現状でございますし、またそれが一番現状に合ったやり方ではないかと思っております。必要が起これば行政管理庁を初め関係省庁と協議をさせていただく場合もあろうかと思いますけれども、いかにいたしましても、現実には種々いろいろな性格の形態がございます。一律に扱うのはなかなかむずかしいように思っております。
  103. 中島武敏

    中島(武)委員 先ほども言いましたように、特殊法人の実際の隠れみのとしてこれが使われているというような状態では、問題はメスが入らないのです。その点では、それぞれの省庁でというだけではなくて、このことを統一的に見る、統一的に所管をするという必要があるのじゃないか。行管庁の方では、慎重に検討する、こういう話だったのですけれども、しかし、その所管するところが大いにはっきりしておりませんと、どこも統一的に見るというところはなくなるわけでありますから、これは結局内閣官房あたりが積極的に乗り出して見るという以外にはないんじゃないかと思うのです。いま答弁がありましたけれども、どうですか、そういうふうにする値打ちは十分ある問題なんですね。
  104. 石川周

    ○石川政府委員 行政管理庁におかれまして検討されるということでございます。私どもも、行政管理庁と十分連絡をとりながら、いろいろ今後の対応をしてまいりたいと思っております。
  105. 中島武敏

    中島(武)委員 いま国の特殊法人の問題に関していろいろとお尋ねしておるわけですけれども、地方にも大変たくさんの公社などがあるわけであります。ここにも資料に載せてありますが、三千数百あります。それで、地方公社の実態も、いわば国の特殊法人と同様にメスを入れなければならないことが多いわけであります。だれしも大変記憶に新しいところですが、東京信用保証協会の会長が六億八千万円の退職金を取ったというので、これは非常に世論の大問題になりました。それからまた職員の数より役員の方が多い地方公社もあるようであります。ほとんど数はトータルで見ましても匹敵をしているわけでありまして、職員と役員の数がトータルで見て匹敵をするというようなところは、一体何を実際やっておられるんだろうかという疑問もわいてくるわけであります。そういう点では、これを指導していらっしゃるのは自治省ですから、まずどういうふうに地方自治体に対して指導しておられるか伺いたいと思うのです。
  106. 藤原良一

    ○藤原説明員 お答えいたします。  地方公共団体の行政機構の簡素化につきましては、先般、一月ですが、事務次官から都道府県知事あてに通達を出したわけですが、その中で、地方公共団体の外郭団体であります地方公社等につきましても徹底的な見直しを行って、類似の業務を行う公社等の統廃合、役職員数の整理、業務執行の効率化等業務運営改善を図るよう指導しております。御承知のとおり、地方公共団体が一定以上の出資をしておりますそういった団体につきましては、地方公共団体に監査等の監督権限が自治法上認められておりますので、私どもとしましては、こういう通達等を通じまして間接的に指導している次第でございます。
  107. 中島武敏

    中島(武)委員 時間の関係もありますので、ちょっと先へ進ませてもらいます。  次に、各種審議会の問題についてお尋ねしたい。  政府諮問機関である各種審議会は、政府の政策立案あるいは許認可行政などで非常に重要な役割りを果たすものとして早くから民主化しなければならないじゃないかということが言われてきたわけであります。そしてまた、この問題についてのたくさんの報告や勧告やあるいは答申があります。閣議決定もありますし、閣議口頭了解もあります。そして常にその構成と運営が問題になってきているのです。  そこで、私はこの問題について幾つかのことをお尋ねしたいのですが、まず一つは、委員構成の適正化という問題であります。これは表にも示してありますが、経済審議会を初めとして、国の経済、税制、財政、金融政策を左右する主な経済関係審議会、十一の委員の構成を見ますと、財界、大企業の代表が五九・一%を占めている。政府関係者が一七・一%を占めております。合わせますと七六・二%、かねてから非常に問題になっておりますように、財界と行政の癒着、いわば金権構造の支柱の一つじゃないかということが各方面から指摘をされてきているわけであります。産業構造審議会、これは陰の通産省などというふうによく言われるわけですけれども、ここの数字を見てみますと、財界、企業代表百四人、六五・四%、政府関係者十七人、一〇・七%、これを合わせますと七六・一%になりますが、この問題についても行政審議会から答申が出ていることは長官もよく御存じだと思います。「特殊利益団体の代弁者を集めるような審議会は、設置すべきではない。」非常にはっきりと言っております。第一次の臨調でもこの問題の答申がありまして、政府の方も閣議決定を行っています。「所掌事務に利害関係がある者を代表する者を委員に任命するときは、原則として、これらの委員の総数が委員の定数の半ばを越えないものとする。」こういう閣議決定もやられておるわけであります。こういう点では、やはり直ちに是正をすることが必要じゃないか。  あわせて言いますと、特殊法人にもいろいろな審議会があります。この審議会を調べてみましても、大体同じことが言えるわけであります。特殊法人審議会の中でやはり財界代表は六四%強を占めるという状態であります。私は、この閣議決定どおり、やはり適正化を図るということが望まれていると思いますけれども、この点について長官の見解を伺います。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財界から出ている方が必ずしも利益代表であるとは限らないと思います。むしろ、財界から出ている方の国際経済に対する見識あるいは国民経済運用に関する見識、そういうものを買われて委員選任されており、また代表として出ておられる方々もそういう見識に基づいて行動なすっておる方が大部分であると私は確信しております。私が経済閣僚をやっておりましたときの経験から見ましても、そういう感じが非常にしております。労働界から出てこられた方が必ずしも労働界代表、そういうプレッシャーグループの代表としてのみ活動しておるとは限らない、やはり国家の審議会、各省の審議会という形になりますと、それだけの高度の見識を持たれて行動している場合が非常に多い、そういうように私は思いまして、それほど御心配なさる必要はない。ただしかし、油断すると曲がるから、曲がらないように常に注意はしておく必要はある、そう思います。
  109. 中島武敏

    中島(武)委員 閣議決定もあることでありますから、やはり閣議決定をきちんと守るというようにしませんと、いま長官のような解釈をやっておりますと幾らでもふくらんでいってしまうわけでありますから、これはひとつきちんとやってもらいたいと思います。  それから次に続けて、兼職制限の閣議決定違反、これも実に多いわけであります。これはもう申し上げるまでもありませんけれども、兼職の数は最高四、非常にはっきりしておりますが、事務次官で見ましても、十一もあるわけであります。私は、こういうものもやはり直ちに是正をすることが必要だと思うのです。  それから、いわば自問自答式の審議会というのがあります。これは大臣が会長をやっているような審議会、これも何度も閣議決定がやられているのですから改めるべきじゃないかというように思います。  それから、さらに続けて言いますと、公正で民主的な運営に関する通則を制定しろということが第一次臨調のときにも言われております。ところが、今日なおこの通則は制定をされていないわけであります。私は、審議会あり方一つとして、会議を公開制にするということも非常に大事なことであって、アメリカなどにおいてはサンシャイン法を制定して、あのウォーターゲート事件の教訓から学んで公開という道をとっているわけであります。私は、この点もやはり非常にはっきりと、いまここに踏み込まなければいけないのじゃないかというところへ来ておると思うわけであります。  なお、いま申し上げたこととかかわりのあることで申しますと、行政監理委員会長官委員長をやっておられるのですけれども、この行政監理委員会は行管庁長官と六人の委員で組織されておりますが、意見答申を決めるときは、委員長を除く六人の委員会議を開いて議決をしておられる。ところがこの運営は、「委員会は、委員長及び三人以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」というように、非常にはっきりと行政監理委員会設置法で規定をされているわけでありますから、私は、これも決められたとおりに改めるべきじゃないかと思うのであります。見解を伺います。
  110. 林伸樹

    ○林政府委員 行政監理委員会答申意見でございますが、大臣が入って委員会意見として出してもらっているものと、それから民間の委員だけで自由濶達な立場から、大臣の参考にということで自主的に民間人だけで意見を出していただいているのと、両方ございます。それは問題の性質によって委員の方々が判断をされてそういうふうに運営をしているわけでございます。
  111. 中島武敏

    中島(武)委員 私が幾つものことをたくさん並べたものでちょっと答弁しにくいかと思いますが、長官どうですか。さっき言いました兼職問題であるとか、あるいは自分が大臣でありながら同時に答申されてくるとか、それからまた長官自身も委員長をやっておられるところの問題であるとかということについて、どうでございます。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 たとえば沖繩振興開発審議会のようなものは、各省の事務次官がみんな顔を出しておりますが、これはやはり沖繩のおくれているところを取り返すという意味で、各省次官がみずから乗り出して連絡調整をうまくやる、そういうことで、政府の熱意のあらわれでありまた非常に有効である、そう私は思います。ですから、兼職が悪いとは必ずしも限らないです。仕事の内容及び対象によりまして兼職の場合もあるし兼職しない場合もある、そういうふうに、これは流動的に弾力的に扱うのが行政上効率のあるやり方ではないかと思います。  それから、大臣が委員長をやっているということ、これもいい場合と悪い場合とあるように思います。これも運用上の問題でありまして、中島委員も大臣になるとおわかりになると思いますが、やはり大臣がなっていてその決定を強く推進する、そういうふうな立場で先頭に立って推進するという場合があります。たとえば原子力委員会なんかの場合でもそういうことがありますし、行管の監理委員会の場合でもそうでありますが、閣議で発言をして強力に推進をしていくという迫力が出てくる要素があります。ですから、場所によりかつ運用によってそれは弾力的にやることが行政上から見てもうまいやり方ではないか、そう思います。
  113. 中島武敏

    中島(武)委員 私は兼職すべてがいけないと言ったのではありません。最高四つというふうに決定しているにもかかわらずもっとたくさんやっているというこの問題を是正するべきであるということを言ったのです。それから審議会の会長に所管大臣を当てるべきではないと非常にはっきりと答申があったりしておるわけであります。だから、そういう観点から私は言っているのであって、ここは長官はっきりしておいてもらわぬと困るのですよ。長官は閣僚なんですからね。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もしそういう内規があれば、内規を守る必要があると思いますが、恐らく閣僚が審議会の長になるということをそれほど強く厳格に禁止しておるようなことはないのじゃないかと、いま調べてみますけれども、そう私は思います。
  115. 中島武敏

    中島(武)委員 よく調べてください。  次に進ませていただきます。ブロック機関の整理再編成法案の問題について伺います。  今度の法案を見ますと、ブロック機関でも公安調査局とか管区警察局あるいは防衛施設局などには結局手を触れないで、先ほども申しましたように、国民生活に密接なかかわりがある鉱山保安監督部とか地方医務局とか地方財務局とかその他を整理することになっています。これは一律削減方式からこういうことになっていると思うのです。私はこういう点をまず改める必要があるのじゃないかと思うのですけれども、長官の見解をお聞きします。
  116. 佐倉尚

    佐倉政府委員 このたびのブロック機関の整理法案の作成に当たりましては、時間の制約等もございまして、行政監察等を通じて実態をつぶさに把握した上で整理案を作成するという形式はとらなかったのでございますけれども、閣議決定に際しましては、前の閣議決定の趣旨に沿いまして、各機関の設置数、管轄区域、事務内容等、各省から十分にヒヤリングをし個別に検討をしました。極力各機関の実態に即した整理案を作成したつもりでございます。  なお、整理案の作成に当たりましては、いま先生御指摘のとおりいろいろ関係機関の意見、地元の関係者等の意見あるいはその職員組合等の意見も聞きまして、これは直接間接いろいろございましたけれども、それでこの整理案を作成したわけでございまして、必ずしも一律ということではございません。
  117. 中島武敏

    中島(武)委員 私、この問題で四国に調査に行ってまいりました。私、非常に驚きましたが、それぞれの対象になっているところの責任者の人たちと会って話を聞きました。当然行管としましては、各省庁からヒヤリングをするというだけではなくて、整理対象のところに対しては独自に監察をするとか、その必要性が本当にあるのかないのかという実態をよくつかむ、そしてまた十分に意見を聞く、こういう民主的なそしてまた実態をよくつかんだやり方をすることが必要だと思うのです。  ところが、今度はいま認めておられるように、そういうやり方がやられてないのです。それで私四国の監察局長にも話を聞きましたが、これは率直な話だと思うのですが、ここ数年中央監察ばかりで地方監察ができないでいるということを率直に言っていました。何を中央監察でやっているのかと言いますと行政改革の中央監察をやっている、こういうわけであります。地方監察までとても手が回らない。それじゃ行政改革の監察をやっているのだったならば、四国で今度整理統合の対象になっている医務局であるとかあるいは鉱山保安監督部だとかの監察をしたのかと言いますとそれはやっておりません、また医務局の方から聞いても、それからまた鉱山保安監督部から聞きましても、それはやられていない、こういう答弁なんです。私はこれは、この種の問題を扱うときには、やはりこういう官僚主義的な、一律ではないと言っても、現実問題としてこの経過が一律であったということははっきりしているのです。そして実際にやろうと思ったならば、いま申し上げたようなよく実態をつかみ事情を聞き、そして民主的にやっていくということが非常に必要だと思うのです。第一四国では行管の組織自身も今度はなくす、整理する方向が出されているわけです。行管がいま言ったような方向で本格的に調査をし、そして本当に必要なことは何なのかということをやるためには、行管の組織を切ってしまうのは私はおかしいと思います。自分の手足をなくしてしまってどうして本格的な行政改革ができるのか。そういう姿勢では行政改革は進まないのじゃないか。そういう点では今度出されている法案というのは、そういう意味で致命的な欠陥を持っていると私は思うのです。いわば率直に言えば、もう再検討する、これは引き揚げるというぐらいやって改めてもいい問題じゃなかろうかというように思っております。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行管に非常に御好意を持ってよく実態を御認識していただいてありがたいと思いますが、やはりこういうふうに涙をふるって馬謖を切るということをやりませんと、政治姿勢としましての行政改革は進みにくいのが人間の世界、官庁の世界でありまして、そういう意味で涙をふるってやっておるわけであります。  先ほど委員会の長のお話が出ましたが、それに該当するものを調べさせましたら、これは五十二年十二月二十三日の閣議決定でございますが、「大臣会長制又は行政機関職員会長制を採っている審議会等のうち、その答申意見等について当該行政機関限りで処理することがおおむね可能なものについて、大臣会長制又は行政機関職員会長制を廃止する。」そう書いてあるのでありまして、当該行政機関限りでは処理することが不可能なものはいいということになっておりまして、それが電源開発調整審議会とか原子力委員会とか行政監理委員会とかでございます。このクローズによりまして排除されたものが農業共済再保険審査会、農業資材審議会、かんがい排水審議会、輸出水産業振興審議会、輸出保険審議会というので、これはやはり当該行政官庁内部で処理するものが廃止になった、そういうことで御了解願いたいと思います。
  119. 中島武敏

    中島(武)委員 そっちの方の議論にまた立ち戻ってやる余裕がないものですから。しかし、原則としてはそうやらないようにということが基本に置かれていて、いま長官がお読みになったのはその上での話であります。そのことだけ申し上げておいて質問を続けます。  地方医務局の問題です。これも私、行ってお話を聞いてみますと、医師会にしましても、県の医務課にしましても患者会にしましても、それからさらにふだんは締めつけられるので感情的にはおもしろくないと思っているような労働組合にしましても、みんな異口同音に言われるのは、地域医療を充実すること、患者サービスを充実すること、あるいは医師の確保という上でどうしても必要だ、廃止することには反対だということを口をそろえて言うわけであります。そういう点では、事務が簡素化するわけでもありませんし、不便になるだけだし、医療行政が後退させられるというようなことがあってはならないと思うのです。それでなぜこれをなくしようとするのかということについて伺いたいのと、それから再編をして医務局を支局にした場合に、どのような措置をとるのか、サービスを低下させてはならないと思うのですけれども、どのような措置をとるのかという問題ですね。さらに言えば、五年後は一体どうなるのか、こういう問題をお聞きしたいと思うのです。
  120. 山本純男

    ○山本説明員 地方医務局の場合も、それぞれの行政庁いろいろ事情がありますとおり、私ども八つのブロックにそれぞれ支局を置いて、従来二百五十余りの国立病院、国立療養所の経営、監督、指導、全般的なコントロールを行わせてきたわけでございまして、これが不要であるとは必ずしも考えていないわけでありますけれども、行政改革という現在非常に要請の強い政策目標という見地から、私どもとして国民サービスに影響を与えることをなるべく避けながら行政の効率化、合理化を図るという命題に対処すべく検討いたしました結果が、地方医務局を一局他の局に統合するというやり方でございます。その際に四国が選ばれましたのは、八つのブロックに現在分けておりますのも、それぞれ地理的、社会的、経済的、もろもろの条件もございますし、官署の置かれました場所からそれぞれの医療機関への地理的な関係で分けておったわけでございまして、そういうものを総合的に判断いたしましたところ、四国を中国のブロックに統合するということが一番国民へのサービスの影響も少ないし、業務の効率的、合理的な進め方にもなじむというところからそういう判断をいたしたわけでございます。  その際、支局というものを設けて、もろもろの業務の遂行に支障がないようにいたしたいということは私ども強い希望を持っておりまして、その方向で現在関係方面とも折衝をいたしておるわけでございますが、何分私どもだけの問題ではございませんのでまだ確定的な成案は得ておりませんけれども、いま先生御指摘のように、国民に対するサービスになるべく影響が出ないようにということはもとより、十幾つの病院、療養所で仕事をしております職員の方々にも御不便をかけないで済むような形で支局の組織が成り立つように、私どもとしては来年度予算編成の過程の中で十分関係省庁と話し合いを進めていきたいと考えております。
  121. 中島武敏

    中島(武)委員 法案を出される以上は、これからどうなるのかという中身がはっきり決まっているのが当然じゃないでしょうか。それからまた五年後に「廃止するものとする。」というのですけれども、一体どうするのかということが、中身が十分煮詰まっていなければならないと思うのです。単に抽象的にサービスを低下させないようにというだけのことではなくて、それでは権限の移譲だとかそういうことはあるのかないのか、実際にはどうするのかということは全部きっちりしているのですか。そういうことがきっちりしていなければ、当然その支局の人たちにしてみれば大きな不安が起きてくるし、それからまた関係の住民の人たちからも大変不安が起きてくることははっきりしていると思うのです。私はそういう点ではっきり明瞭な答弁ができるのかどうか、この点を聞きたいと思っています。
  122. 山本純男

    ○山本説明員 私どもといたしましても、先生御指摘のとおり、そういう点を細部に至るまで詰めました上で法案をという強い希望を持っておりまして、そういう線で鋭意折衝をいたしたわけでございますが、やはり行政改革という一つの大きな政策目標と、それに伴います日程その他の関係で十分に詰めるに至らなかったわけでございますが、私どもといたしましては、いま申し上げましたように、サービスあるいは職員の仕事の面、そういう点で申しますと、ただいま先生がお触れになりましたように、人事の場合でも、従来地方局で担当しておりました中堅クラスの職員の人事問題、これは法律の形式がどうなりましょうとも、実効上その地域の実情を十分に取り入れ、また職員の皆さんの御要請にも十分こたえられる形で運営できる組織に持っていくということを強く考えております。また人事異動、その他従来の地方局が支局になったことに伴う影響につきましても、むしろ業務の効率的な進め方という見地で考えるわけでございまして、従来の人事慣行を無視するとか、決してそういうことにはならないように私の方も全力でやってまいりますし、行政管理庁その他もそういう方向で私どもと協調的に相談を進めてくれているというふうに考えております。  それから、五年後の件につきましては、これは幾つかのブロック機関の中に共通いたしまして六十年三月末で「廃止するものとする。」という文言が法律に盛り込まれておることは承知しておりますけれども、これはこの法案を閣議で決定いたしました際における政府方針がそこに述べられておるという了解でございまして、私どもといたしましては、これから五年間の業務の推移あるいはそれを取り巻くもろもろの社会経済情勢の推移というものも十分に勘案しながら関係方面とこの五年間に十分実情を詰め、論議を交換して、私どもとしても納得のできる結論に到達したいと考えております。
  123. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと簡単に関連してお伺いしたいのです。先ほどから言っているように、私は四国の方にも参りました。それからまた地元の王子病院なども視察をしました。そこで非常に感じましたことは、看護婦さんの健康破壊というのはひどく進んでいる。もう看護婦が看護助手の仕事をしている、看護助手が雑用に追い回されている、これが実態なんです。総定員法で縛られておりますから、定員内職員しか置けない。そうすると、結局仕事ができない。そこで定員外の賃金職員を置いてやっているわけですね。ところが仕事の内容は全く同じでありまして、それにもかかわらず給与は給与表が適用されない非常に低い状態にあります。また俸給の調整額もつかない。三月三十一日で雇用関係を中断して、一日あけて再雇用するというのが実態なわけです。そのために共済年金にも加入できませんし、単年度の低い退職金しか入りません。年次休暇も一般職員並みには与えられていない。非常な差別が生まれてくるわけであります。私は、率直に言って、厚生省はもっと増員をして定員化を図るという方向をとるべきじゃないかというように思うのであります。  それから、この問題にかかわって二つ目の点を申しますと、二・八体制の問題についてでありますけれども、私もずっと現地を見て非常にわかったことは、二・八体制をとれないということであります。すでに判定が出されましてから十数年たっております。改善はされてきておりますけれども、しかし、夜勤の回数という点ではほとんど改善されていない。私は、こういう実態に対して、人事院もはっきり物を言うべきではないかと考えるわけであります。  それから、三つ目の問題は、こういう実態というのを監察をするべきではないかということを行管庁の長官お尋ねしたいと思います。  以上、時間の関係で三つ、最後に質問をさせてもらいます。
  124. 山本純男

    ○山本説明員 私どもの関係の国立の医療機関が、公立の医療機関その他と対比いたしまして比較的少ない人員で仕事をしている状況は御指摘のとおりでございまして、私どもとしても大変心を痛めている問題でございます。その際、賃金職員というものは、本来臨時的なあるいは季節的な業務を担当していただくというたてまえで私どもは予算を編成いたし、そういうことで予算の執行の指導をしてきたわけでございますけれども、やはり医療機関と申しますのは、現にそこに患者さんがおられますと、医療上の見地から必要な看護というものを欠かすわけにいかないという責任も負っておりますところから、不本意な次第でございますけれども、そういう賃金職員の方の就業に過重にわたる面が出てきておるという御指摘も一部そのとおりであろうかと思います。私どもといたしましては、現在国立医療機関につきましては年を追って内容の充実ということでいろいろ措置を講じてきておりまして、それに伴う増員については必要最低限の増員は私どもも手当てをしてきたと考えております。そのほかまた、年々退職する職員の方もございますので、そういう後任の人事その他に際しましては、賃金職員の中から定員の中に組み入れて仕事をしていただくことが適切であるという方については、極力これを組み入れていくように努力はいたしておるわけでございますが、今後ともそういう問題の解決の方向に一層努力を重ねたいと思っております。  二・八の件は、四十年代から五十年代前半を通しまして、私どもも人事院の御指摘を受けまして関係省庁とも協議の上逐次その整備を進めてまいりまして、現在では国立病院で大体七五%、国立療養所で五〇%ということで、二・八の体制をとることのできる定員が措置されておるというふうに考えておりますが、実際には、最近の医療の内容が非常に高度になった面もございまして、必ずしも二・八というだけでは不十分な、人手のかかる診療分野というものもございましたり、あるいは職員の方に臨時的な病休その他が出たという場合にもやりくりが必要であるという状態もございまして、現場におきましては、夜間勤務が十日にわたっている人があるとか、そういう状況も現にあることを私ども承知しておりますが、今後とも国立病院の診療機能は、医療技術も進展いたしますし、国民の側の御要望も強まっておりますので、まだまだ充実していかなければならない状況にあると思います。そういう医療機関の改善、充実を進める過程の中でできる限り対処し、解消に努力していきたいというふうに考えております。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 過去十三年間に、総定員法の影響もありまして大体みんな減らしておるわけですが、外務関係がたしか二七%ふえておる。それから学校関係が二四%ふえておる。病院関係が一六%ふえておる。一般のものはたしか六%減らしておる。こういう状況を見ても病院に力を入れているということはわかると思います。  定員外の人の処遇につきましては、減量経営をやっているときに、いまのような形で病院関係を充実させることに一生懸命やっておるわけでございますが、いまの厚生省の答弁の要領で差し支えない、そういうふうに考えます。  自余のことは政府委員から御答弁申し上げます。
  126. 金井八郎

    ○金井政府委員 四十年の判定後、人事院といたしましても文部、厚生両省に対しまして看護婦の夜勤に関する改善の計画あるいはその状況、さらには職員を現地機関等に派遣いたしまして現状を把握するとともに、それの指導に当たってきております。いま厚生省からも御答弁がございましたように、相当の改善がいままでなされてきておりますので、人事院といたしましても、今後それを見守りながら、さらに改善に向かって関係機関に要請するなど努力をしていきたいというふうに考えております。
  127. 江藤隆美

    江藤委員長 田島衞君。
  128. 田島衞

    田島委員 行政管理庁長官を先頭にしてたとえどこからでも手をつけようとするその熱意と努力に対しては心から敬意を表するわけでありますが、敬意を表しながらも、果たしてどのように効果を上げることができるかということについていささか疑問を持つがゆえに質問をさせていただきたいと思うわけであります。  まず最初に、今回の一連の地方支分部局整理、ここに求めようとしていることは、一番やりやすいからなのか、それとも一番効果があるところだからなのか、効果の面で最初に手をつけようとするのか、一番安易だからか、どちらなのか、お答えをいただきたいと思います。
  129. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり行政の簡素能率化という面から見まして支分部局、ブロック機関等に手を入れるということになったのでございます。やりやすいという意味ではございません。
  130. 田島衞

    田島委員 行政管理庁の出しておる文書の中に、長官考え方でもありましょうが、行政改革は現下最大の政治課題だ、しかもこれを誠実に実行し、成果を上げることは内閣の重大責務である、こううたわれておるわけでありますから、当然安易な道を選んだのではなく効果ある道を選んだことだろう、そのようには御理解を申し上げます。  さて、そのような理解の上で質疑を続けたいと思いますけれども、この一連の地方支分部局整理縮小をやれば、当然それによって行政サービスの面での低下もあり得る。先ほどの質問の中にもあったとおりでありますが、こういう点についての配慮、それはそんな心配はないということか、それに対する点ではこのように考えておるということがあるか、そのことをできるだけさらっとお答えをいただきたいと思います。
  131. 佐倉尚

    佐倉政府委員 住民への行政サービスの低下の問題でございますけれども、これは廃止しましたブロック機関の後に現地的な事務処理機関を設けることによって、またその事務処理機関が十分に機能することによって、デメリットである住民への行政サービスの低下を極力最小限に食いとめたいというふうに考えておりまして、その機構、定員その他の問題につきましては、五十六年度の予算編成に伴いまして十分研究し、検討していきたいというふうに考えております。
  132. 田島衞

    田島委員 いまお答えの向きは、法案の中身を見ればわかるわけであります。現に法律改正文の中でも全体で十四局、いろいろ名前もありますけれども十四減らしている。それに対して別な名前で、下部組織とはいうものの十二ふやしているのですから、お答えなくともそのことは理解がつくわけであります。  それじゃ今度は反対に、たとえば行政管理庁の場合、一つの局を減らしてまたそのかわりに支局をつくる、そういう形の中で得られる行政改革の効果というのは、具体的に言うとどういうことですか。
  133. 佐倉尚

    佐倉政府委員 やはりブロック機関を一つ廃止するわけでございます。そこに置きますものは現地的な事務処理機関でございますので、その規模等も違いますし、またその事務の中身もいままでのブロック機関と違って、ほかへ持っていって合理的に行うというような点もございます。したがいまして、仕事のやり方及びその機構、定員等についてメリットがあるというふうに考えております。
  134. 田島衞

    田島委員 その内部組織等については省令で定める、こうなっておる。その省令の方はまだわれわれ御存じないわけだ。いまお答えの点、具体的に言うとどういうふうにしたらサービスは低下させない、しかもちゃんと行政改革の効果は上げられるということになるのか、もっとだれにでもわかるように説明してください。
  135. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいま先生お話しのとおり、これは省令等で定めることになっております。  それで、それはどのように決めていくかということは、五十六年度予算編成に並行して、予算編成の中でこれを煮詰めていくわけでございますので、いまここでこれだけの人数で、これだけの組織でやるんだということは御提示できないわけでございますけれども、行政簡素化の趣旨に沿った、簡素にして効率的な組織と、それから住民への行政サービスの低下にならないように、たとえばそこに置かれます処理機関に必要な許認可等の権限等もなるべく持たせるようにして、そういうサービスの低下にならないような措置を講じていきたいというふうに考えるわけでございます。一口に申し上げれば、五十六年度の予算編成の中でそれを煮詰めていくということになるわけでございます。
  136. 田島衞

    田島委員 五十六年度の予算編成の中で煮詰めていくということは、端的に言えば、いま現在は何とも確信がございませんということですわな。その確信のないものが行政サービスも低下させません、行政改革の効果もちゃんと上げられますと何で言えるのですか。
  137. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまのブロック機関を廃止しました後に置かれます現地的な事務処理機関との兼ね合いで決まる問題でございますけれども、これらをどうするかということは、これから検討していくわけでございますけれども、各省庁ともこの行政改革の一環であるブロック機関の整理ということの趣旨を踏まえまして、それからさらに住民への行政サービスの低下を最小限に食いとめるという趣旨に沿いまして鋭意努力しておりますので、各省庁とよく協議し、考えていくということで、そのように実現するものというふうに考えております。
  138. 田島衞

    田島委員 それじゃ効果を上げるための措置じゃなくて、ただ何となくかっこうをつけるだけの措置だとしか言えないんじゃないですか。少なくともいわゆる「省令で定める。」とあるその省令のうち、行政管理庁そのものの対応策ぐらいはできていて当然なんじゃないですか、違いますか。
  139. 林伸樹

    ○林政府委員 行政管理庁も一省一局削減の対象となっておりまして、実は四国の管区行政監察局を支局にするということになっておりますが、内部組織につきまして現在検討中でございます。たとえば人事、会計事務等管理事務は可能な限り本局に集中できないかとか、あるいは四国地域における行政監察、行政相談等の年度運営方針あるいは基本計画の策定等全体的な企画調整のようなものは本局に持っていけないかとかいうようなことを考えながら、実は私ども官房の方と監察局の方とでいま具体策を検討しておりまして、一案、二案いろいろ考えておりますけれども、最終的には査定の段階で決まる、こういうことでございます。ただ、繰り返しになりますが、官房と監察局の方で現地のサービスを落とさなくてどこが改善できるのかということをいろいろ検討している最中でございます。
  140. 田島衞

    田島委員 行政改革については、主務官庁は行管庁。その行管庁が先頭に立って、それは少しやり過ぎじゃないか、そこまでやらなくてもいいだろうと言われるくらいのやり方をしていかぬで、ほかの省庁の行政改革なんかできますか。その当面のいわゆる責任官庁である行政管理庁が確かに一局減らした。減らしたけれども、そのかわりにちゃんと支局を一つつくった。じゃ局が支局になってどのくらい変化があるのかと聞いてみたって何にも変化は、いまのところ確実なお答えがない。確かに行政サービスを全然変えずに行政改革らしいものをやるというのは無理です。だから、多少サービスの点において落ちるところもあるでしょうけれども、それが住民にとっての決定的なものでない限りは、住民の理解を求めて多少の改革への前進をやらなければならぬ、これはだれしも理解できるところですけれども、いま現在、お話を聞いてみると、何がどうなるか具体的には何にも決まっていない。その決まっていないのが、事もあろうに行政管理庁そのものであるというに至っては、一体この法案を出すのは少し早過ぎるのではないですか。
  141. 佐倉尚

    佐倉政府委員 事後の組織をどうするかということは、前の繰り返しでございますけれども、五十六年度予算編成の中で検討していく問題でございます。ただ、一般的に申し上げまして、このブロック機関の整理によりまして、たとえば共通管理業務といったようなものは簡素化されるというふうには考えられるわけでございます。これは行政管理庁行政監察局ばかりでなく、この整理にかかりますブロック機関全体について言えることだと思います。
  142. 田島衞

    田島委員 私が言いたいのは、行政管理庁が自分のところを初め各省庁の行政改革をやっていこう、できるだけ組織機構の縮小統合等をやって行政改革の実を挙げていこうとするのに、各省庁を説得するのに、自分のところの的確なあしたへの対策も固まってなくてできますか。それからまた五十六年度の予算編成の中で具体的なことは云々と言うけれども、それだったら法案出すのが早いんじゃないですか。大体法律を改正しようとするからには、その法改正によってどこがどうなってどうなると、どう聞かれてもかくかくしかじかでございますと、てきぱきと答えられなければおかしいじゃないですか。どうですか、長官
  143. 佐倉尚

    佐倉政府委員 法案の提案が早いのではないか、事後処理機関まで、内部組織、それからいろいろな権限の委譲等もかっちり詰めてというお話でございます。毎度繰り返すようでございますけれども、いまの事務のやり方及びその機構、定員をどうするかという問題は、これから各省と協議して十分に詰めていくというわけでございまして、いま詰めつつあるところでございます。
  144. 田島衞

    田島委員 途中ですけれども、間違えないでいただきたいと思うのですが、私は行政改革に賛成なんですよ。大いにやらなければいかぬと思っている。だから、大いに期待をしているわけです。期待をしているからこそどのくらいりっぱに進めてくれるのかなと思って、きょうは期待に胸をふくらませて帰していただこうと思って聞いているのに、聞いた当初からまるっきりがっかりさせられるばかりではまことに残念。  そこで、もう一回しつこいようですけれども聞きます。  それでは今度の一連の法案によるところの地方支分部局の組織の改編というか、一種の整理統合ですけれども、これは、行政改革という声は大きい、その声にこたえて何かやらなければかっこうがつかない、そこでとりあえずかっこうだけつけておいて、その中身の方は後から何とか一生懸命やろうか、率直に言ってこういうことですか。それならそれでも率直に言ってください、それなりの理解をしますから。余りりっぱなことを最初から言われると、こっちもそのつもりで質問していくと、どんどんどんどん食い違ってしまって話にならなくなりますからな。
  145. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ブロック機関の後に置く機関につきましては、お示ししてお願いしているわけでございます。それで、その組織をどうするかという点につきましては、現在各省庁から五十六年度予算編成に関しまして要求が出ておるわけでございます。それを組織につきましては私の方で、あるいはその経費関係につきましては大蔵省の主計局の方でいろいろ査定を通じまして検討して詰めていくという段階でございます。
  146. 田島衞

    田島委員 それじゃ肝心かなめの行政管理庁を別にして、ほかの今度の一連の法改正の対象になっているところのブロック機関で、ここだけはちゃんともう見通しついてますというところを例に挙げて、たとえば一つの局を廃止して支局をつくる、そのことによって物的にはどのような変化があり、人的にはどのような変化があって、そこにどのような行政効果が生まれるのだということを説明してください。
  147. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまのお話は、先ほど申し上げましたように検討中ということしかいまの段階では申し上げられないわけでございます。
  148. 田島衞

    田島委員 安易な道を選んでの今度の法案改正じゃなくて、あくまでも効果を期待しての法案提出なんだと言えますか、検討中で。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれが法案提出しましたのは簡素、効率化を行政改革でやろうという主義でやるのでございまして、この法案提出して、そして支分部局を具体的にどういうふうにサービスを低下しないように機能を充実さして維持して住民の皆さんにおこたえするかということ、それを目下検討しておる。それを省令でどういうふうに出したらいいか。これは一省だけでなくしてほかの省にも関係し、地方自治体にも関係するところでございますから、その辺の連絡を密にして省令をつくり施行規則をつくらなければならぬ、そういうので一生懸命検討している、そういう意味でございます。
  150. 田島衞

    田島委員 こういう行政改革の一端に手をつける場合には、それによるところの効果とそれによるところの行政サービスへの影響、この二面はだれが考えたって考えなければならぬことなんですけれども、効果の方はこれだけとはっきりねらいをつけて、ただしそれによって効果はあっても行政サービスの方へのはね返りのマイナスがあってはいけないから、それを極力抑えるためにいま検討中というのは、これはわかる。それから行政サービスを落とさない、それだけはもうはっきりしている。ただし、それで果たしてこの行政改革の効果が上がるかどうか、上がらなければ困るからその点を検討している、これもわかる。両方とも検討中じゃまさに雲の中で、わからぬじゃないですか。現に、われわれがこの法案を提示されて賛成、反対決めるのだって決めようがないじゃないですか。もう少し賛否を決めるための材料になるような話を出してもらいたい。
  151. 佐倉尚

    佐倉政府委員 この法案の趣旨に沿いまして、後に置くべき現地的な事務処理機関というものはできるだけ簡素にして能率的なものにしたいというふうに考えるわけでございます。それと先生御指摘の行政の対住民のサービス低下、これを最小限度に食いとめる、どこに接点を求めるかという話になるわけでございますが、申し上げれば、各省はなるべく組織を小さくしないように、私どもの方はやはり簡素、能率化の観点からこの趣旨に沿ってなるべくそういう簡潔な組織を置くようにということで、目下そこの点を折衝し検討中でございます。五十六年度の要求にいろいろ出ておりますので、それを目下やっておりますが、この法案の趣旨に基づきまして、簡素にして能率的な組織を置きたい、さらに住民に対する行政サービスの低下は極力最小限に食いとめるような方法も考えたい、そういうふうに申し上げているわけでございます。
  152. 田島衞

    田島委員 今度の一連の地方支分部局整理縮小等の中でも、行管、大蔵、厚生関係昭和六十年三月三十一日まで、言うならば一種の暫定措置ですけれども、局にかわる支局だとか出張所だとか事務所だとかを置いてやる。恐らくそれは行政サービスを低下させないという一面の大事な配慮だと思うのです。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 それはわからぬではない。今度の一連の整理縮小の対象になるところで、行管、大蔵、厚生関係だけが昭和六十年三月三十一日まで、そのほかはないんですよね、これを見ると。いまお話を聞いていると、五十六年度予算編成の中で、サービスもできるだけ低下させないで、しかもなお今度の一連の法改正によるところのブロック機関の整理による効果を出すんだと言っておるけれども、それは言葉の上でだけで、一番早くても昭和六十年三月三十一日ごろまでには何とかかっこうらしいかっこうをつけたい、それまではただ名前を局を支局にするだけで、中身は依然として変わりませんというのが本当なんじゃないですか。違いますか。違うんだったら、どこがどのように変わるか教えてください。
  153. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまどこがどういうふうに違うかという御質問でございますが、(田島委員「名前だけじゃなくてですよ」と呼ぶ)名前だけでなく、組織そのものも当然変化するわけでございます。この行管、大蔵、厚生の三つにつきまして五十九年度の末までに支局を「廃止するものとする。」というふうに書いてございますのは、現段階におけるそういう判断を示したものでございます。ほかの機関につきましては、現段階においてはやはりいろいろな恒常的な業務等がございまして、これを「廃止するものとする。」というような規定を設けることにコンセンサスが得られなかったということで、この三つにつきましてそういうサンセット条項を設けたものでございます。それまでと実態は変わらないんじゃないかということでございますが、事後処理、事後におきます現地的事務処理機関は、いま置かれておりますものよりは違ったものになるというふうに考えております。
  154. 田島衞

    田島委員 言葉の上で違ったものになると言うのは簡単ですけれども、形の上でちゃんと内容的に違ったものになるのはなかなかむずかしいのです。むずかしいということをお察ししていますから聞いているわけです。そんなことは大したことじゃないけれども、たとえば建物が半分になるとか、人間が半分になるとか、三分の一になるとか、こうなったら明らかに違う。だから、そういう意味でどういうふうに違ってくるんですか。たとえば局が支局になってどのように違ってくるのか、形の上でどう違うのか、経費の上でどのように違ってくるのか。それが違いがなかったら、効果なんかないと同じですからね。
  155. 佐倉尚

    佐倉政府委員 これはそれぞれの機関によっていろいろあろうかと思いますけれども、一般論を申し上げれば、現在ある機関より多少縮小した機関が置かれるというふうに考えております。
  156. 田島衞

    田島委員 余り聞いては気の毒のような気もだんだんしてくるわけですけれども、私は、一般論で聞いているのじゃなくて、あなたがいま当面真剣になって取り組んでいる行政改革の仕事のうちで、しかも自分が所属するところの行政管理庁関係のブロックの縮小といいますか、局を一つ減らして支局を一つつくる、そのことについて聞いているのですよ。わざわざ一般論にしなくていいですから、自分のところの真剣な問題として答えてみてください。現在答えられないなら答えられないにしてください、それじゃないと先に進まぬから。
  157. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  具体的なことでという御指摘でございますが、私どもの管区行政監察局でやっておりますのは、行政監察の仕事、行政相談、それから地方環境業務、そのほか管理局の業務等がございますが、私の所管で申しますと、監察と相談の方になります。この業務も、私どもの四国の管区局と申しますのは、四国全体を見ますと同時に香川県の調査機能を持っております。  いま問題になっておりますのは、特に管区局の機能をどうするかという話でございますが、行革等で各省庁のブロック機関を調査するわけでございますが、今度の行革でブロック機関がなくなりますのは、私どもを含めまして三つでございまして、実は業務量が余り減らない。先ほどサービスの問題がございましたが、行政監察の方は、むしろ効率、能率の方が問題になろうかと思います。これは新しくできます中国四国管区の方から高松に所在するブロック機関へ行くということになりますと、旅費の方が問題になります。そういうところから、今後四国に所在する管区機関に対しまして監察をやります場合に、管区と同等の支局において実施したいという形でのお願いをしているところでございます。それと絡みまして、ほかの機関でございますと、まだ四国にブロック機関が残り、その下に地方機関が残りますので、その下の地方の指導等の業務もございますが、そういう業務も引き続きやっていく必要があろうかとは思いますが、むしろここでは効率化の部面というのは、旅費等から考えますと余りたくさんは出てこないのではないかというふうに考えております。これは組織の決まりぐあいによりますが、それではどの辺が一番減ってくるのかという話でございますが、中国、四国というのはまだ一体的にはなっておりませんが、瀬戸内海をはさみまして行政的にはある面では似た面もございます。
  158. 田島衞

    田島委員 ちょっと発言中ですけれども、時間がなくなってしまいますから、私の聞いたことだけ答えてください。
  159. 中庄二

    ○中政府委員 いま申し上げておりますのは、一つずつ個別の業務の検討をやっておるという例示を申し上げたわけでございまして、広域単位の問題はなかなかむずかしいということで、同じ県の内部の問題についての簡素化を図る必要があるのではないかというふうに考えております。事務を全部で十五、六に分けまして検討をしているところでございますが、予算等との絡みがございますので、やはり最終の決定は予算の時期になろうかと思いますが、こういう法案が審議されますことによって一つのけじめにはなる、私どもはそのように考えておる次第でございます。
  160. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 委員長より政府委員に申し上げます。  御答弁は時間の関係上、簡潔にしかも的確にお願い申し上げます。
  161. 田島衞

    田島委員 委員長から大変御親切に言っていただいて感謝にたえませんが、私は別に責めるために聞いているんじゃない。それからまた質問時間というものをちゃんと守ろうと思うから、終わる途端にすぐ手を挙げて発言を求めて極力時間の節約を図っているわけです。わざわざ時間を長くするような答弁はやめてください。  私が聞いているのは、局が一つなくなって支局が一つふえて、それによって具体的にどこがどう違うのか、これを聞いた。いまの答えはそんなに長く聞かなくたって、要するに違いませんという答えなんです。それならそれでいいんですよ、最初から。そうだろうと思っているのです。だから、最初からどっちの認識で物を聞いたらいいかなと思って最初に長官に聞いたわけですけれども、もし人間を減らすと言えば、減らした人間をどこへやるのだと聞きたくなる。やるについては果たして配転することによってどのように経費が節約になるのか、反対にふえるのか、これもまた問題が出てくる。そこらの点も続いて聞きたいと思ったんだけれども、恐らく動かないのだろう、動かせないのか動かないのかどっちかわかりませんけれども。それは当然昭和六十年の三月三十一日までに一生懸命——実際には何の変化もないじゃないか、ないじゃないかと責められるから、その責められる過程の中で何とかそれらしいかっこうを五年間ですかの間につくっていこう、こういうことだろうと思うのですけれども、それはもう現実に行政改革なるものに手をつけようとすれば、いかに中曽根長官が手腕、力量をふるおうとむずかしいですよ。それはわれわれだって察しているのだから、何でもてきぱきそんなにきれいにできるとは思っていない。いないだけに、もっと率直にこういう点で本当にむずかしいのだということを述べてもらった方が私は有効だと思う。そういう中に行政改革というのは本当に実のあるものが進んでいくと思う。極端に言えば、総理大臣以下各閣僚、それから国家公務員から地方公務員公務員の全員、政治家と称する者は国会議員から地方議員まで全議員、これが本当に行政改革をやらなければいかぬなという決意を持って、本当に自分たちが血を流してでもというような勇気を持たなければできぬ。それだけに大変なことだと思うのですよ。中曽根長官、果たして何をつかんでいるかわからぬ。場合によると大変なものをつかんだのじゃないかなという感じがして同情しておるわけですけれども、長官のことだから何とか幾らかでも実のあることをやってくれるだろうと私は期待をしておるわけなのです。  そこで、続いてお伺いをいたしますけれども、今度の一連の地方支分部局整理縮小、その中で局を減らして支局を置くという操作がされているわけです。法律改正の中では十四減らして十二ふやして、実質減るのは二つだけ。その二つというのは、建設省関係の筑波研究学園都市営繕建設本部、これを減らしているのと、それから農林水産関係の営林局を一つ減らす予定だという。まだ全然決まっていない未確定要素だけれども、減らされるらしいのはこの二つだけ。でも、この二つだけ減らされても、それに伴うところの行政サービスの低下にそんなに響きがなければ、やはり前進だと思う。私は結構だと思いますよ。だから、むしろそれよりも、その後の、十四減らして十二ふやして、実際のところは二つだけが本当に減るのですけれども、この十四減らして十二変わった名前のものをふやすというやり方そのものが余り感心しない。だったらいっそのことそんなことをしない方がいいと思う。なまじ議論するだけよけいな時間と労力のむだ。むしろじっくりその間に三年でも五年でも各省庁と詰めて、そして何も暫定期間なんか置いたりごまかしたりなんかしないで一気にちゃんとやる。そのときには行管庁がやいやい言うから各省庁がそれに応ずるのではなくて、各省庁そのものが、私のところもそれじゃこれだけ協力して行政改革へのひとつ協力をやろう、各省庁みずからが進んで私のところはこれだけ切ろうということを言ってくるような指導の仕方といいますか、詰め方がやはり必要だと思うのです。行政管理庁が何とかあなたのところでもう少しはやりなさいよと言って、いやいや、それももじもじ、実質的には何年くらいかかったら何とかするからなんというやり方では、しょせんは効果は上がらないと思うのですけれども、長官、率直なところいかがでしょうか。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 田島委員のおっしゃることは大変真理をうがっておられると拝聴したところであります。実際問題として非常にむずかしい問題で、一つは出血を伴う整理はやらない、それから本人の意思に反する強制配置転換はやらない、そういう参議院の決議があるものですから、それに従ってやらなければなりません。そうなると、結局人間を減らすということはすぐ速効性が出てこないわけであります。そうなると、仕事を減らしておいて自然減耗で、自然減耗を待って人間を減らしていく。その場合にもう仕事がないのだから人間も要らぬはずだ。そういうわけで、実際補充をなくしていく口実もできますし、実員が減っていく、そういうことが可能になる。もし仕事があるというと、また自然減耗を補充する口実が出てまいります。そういう意味において、できるだけ三人でやったところは二人でやる。あるいはこのように自動車や、将来は新潟も新幹線がもうできるという時代でありますから、東京にもすぐ行けるようにもなる。そういう時代に合わせて、新潟の方は長野県と新潟県しか管轄してないし、仕事の分量もほかの海運局に比べて少ないから、この際がまん願って、みんなのために犠牲を負担していただく。が、しかし、できるだけサービス低下を防ぐために現場処理業務はそのまま残すようにいたします、そういう苦肉の策で宇野長官がいろいろこの前御苦心願ったので、私はその御苦心のほどを非常に評価しており、ぜひともこれは完遂しなければならぬ、そう思っておるのであります。正直なところ、私は就任早々は田島委員と同じような気持ちになりました。が、しかし、一メーターでも前進は前進ですから、一メーターでも進まなければ、むしろ時代が進んで民間が苦労しているところを見れば、後退につながると考えていいので、一メーターでも一メーター半でもいいから前進させなければならぬ、そう感じておる次第であります。
  163. 田島衞

    田島委員 やっと幾らか話が合うようになってきたようであります。私自身もお伺いする以上は、行政改革というものについてその道をどういうところに見出すべきか、その難易の度合い、こういうことをできるだけ私なりに勉強してお伺いをしているわけでありますし、それからまた乏しい自分の経験、知識の中でも、行政改革と言えばもう必ずそこにぶつかる大きな壁がある。それが官僚の壁であり、官公労の労働組合の壁である。なぜかと言うと、人間が減らなければそれらしい成果が上がらないわけですよ。その人間は自然に減るのを待つ以外にない。いま長官おっしゃるとおりなのです。自然に減ったら、今度はふやさないで済むようにしなければいかぬ。そこで組織、機構をできるだけ徐々に縮小していくということがこの効果を発揮してくるわけです。どだい本来学校の成績だって上がるのはなかなか大変、落ちるのはもう簡単に一瀉千里で落っこちちゃうのですけれども、今度一生懸命勉強したって成績を上げるのは大変。この行政の組織、機構も、たとえば高度経済成長期に放漫の限りにばかばかふくらました。そういうのは簡単なんだけれども、ふくらんだものを縮めようと思うと今度は大変。ちょっと縮めるのだって大変な抵抗が出てくる。この抵抗を排除する道は、本当は長官を先頭にして行政管理庁の皆さんだけに骨を折らせたって無理。むしろどっちかというと内閣総理大臣が先頭に立って、各省庁どこが一番みごとな行政改革の案をみずから出すか競争でやってみろくらいの命令を出して、そして行政管理庁が、何だ、やることないわというくらい各省庁みずからがそれぞれの行政改革への自発的な案を出してくるようにならなければ、本当に効果ある行政改革というのは生まれてこないと思うし、これに対してまたもう一つ議会側も、いまの財政事情の中で行政改革が必要だというならば、その行政改革のためには党派の立場を超えて協力する、そんな熱意と勇気がないとうまくいかないと思うのです。しかし、われわれのそのような熱意、われわれのそのような協力の姿勢も、やはり行政管理庁そのものの長官を先頭とする率直な正直な、一生懸命汗を流している姿勢に対して生まれてくると思うのですよ。そういう意味で、先ほど来一生懸命聞いているのですが、どうも何とか田島衞ぐらいごまかしておけばいいのだろうなんというような答弁に長い時間を費やしたようであります。  そこで、時間もなくなってきたようですから、そろそろ終わりにしたいと思いますけれども、長官は、今後の行政改革の進め方の中で「歩く行管庁」ですか、そんなことも考えておるようですけれども、いままで応答の中でも明らかにされたように、行政管理庁長官がみずから足を運んで歩いたり、幹部の皆さんが歩いて簡単に済むものならとっくの昔に歩いていただけばよろしいので、歩いて効果の上がるものではない。それは世間受けはいいでしょうけれども、実際の効果にはほとんど影響するところないのじゃないかと思うのですけれども、そういう点について長官にもぜひ御再考をいただきたい。行政改革とはまことにじみ、まことにむずかしい積み上げでなければならぬことでありますので、むだな費用をかけて効果のないことは、賢明なる長官はやめていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり歩かなければいかぬと思っておるのです。それは石油危機のときに、企業が再建する、そういう場合には、やはり社長が現場に行って、工員の皆さんと一緒に話して、こういうわけだからしっかりやってくれ、給料もそう出ないけれども精いっぱいこれだけのことはやる、そのかわり皆さんもしっかりやってくれ、そういうように社長の息吹を直接伝えて汗みどろになってやったところは、わりあいに早く回復しております。それが、重役が東京におって、電話かけたりしているという程度の会社は、復興が遅かったと私は思うのです。日本は大きな国ですから、われわれが九州の一角へ行ったとか北海道の一角へ行ったぐらいは、太平洋に灰をまいたぐらいの効き目しかないかもしれません。が、しかし、黙って東京にいるよりははるかにいい。  たとえば、一つは、国鉄に対していろいろこうやってくれああやってくれ、お客さんに対するサービスをきれいにしてくれ、そういうことも指示して、国鉄も全国旅客課長会議を開いて一生懸命いま動き出しておるわけです。それをこっちは、各府県にある行政監察局に、一週間に一遍なりあるいは三日に一遍なり行ってみて、どういうふうに変わっているか、その変わり方をチェックしろ、報告しろ、そう指示しております。そういうことについても、現場へ私が行くなり次官が行くなり、監理委員が行くなり局長が行くなりして一生懸命やっている、その心を現場の職員にうつして、現場の職員も一生懸命チェックする、それが自然にまたほかヘうつっていく、査察、チェックを受ける対象の方にも響いていく、そういうことで、つり鐘を動かすようなもので、初めは一ミリしか動かぬけれども、堅忍持久でえっさえっさとやっているうちには十センチも動いてくるようになる、そういうものだろうと思って、ばかみたいですけれども一生懸命やりたいと思っておる次第であります。
  165. 田島衞

    田島委員 実際の行政執行機関ですと、長官が全国を歩かれて顔出したといったら、それだけでも励みになると思います。けれども、行政改革ということを目標にして長官が全国を歩かれる、そんな暇があるなら、労働組合の幹部あるいは官僚連中と毎日でもいいからひざを交えて、何とか協力してもらえぬかということをやった方がよっぽど有効だろうと思うし、経費もかからない。それからまた、長官の信頼する部下であるところの行管庁の幹部職員にそれぞれ行政改革への一番いい道はどこをどうやったらいいかという作文でも出させて、見る、これもいいことだと思うのです。一人一人がおれは本当に行管庁の幹部なんだなという自覚を持つ。自覚を持つだけで、給料が変わらなくったって、やり方が変わってくる。こういう委員会といえば、ただ長官か上の方の者だけ答弁しておればよろしいなんてことじゃ行管庁そのものが火の玉にならぬ。やはり長官から、おまえたちいい案があったら出してみろとみんなに出させてみる。そうすると、何か書かなきゃならぬ、考えなきゃならぬ。そうすることの中に、同じ行政管理庁の幹部職員がきのうときょうとがらっと変わった本当の能率を見せてくる。それは「今後の行政改革に関する基本的な考え方」の中にも、公務員の能率云々とありますけれども、そういうところから生まれてくると思うのです。ぜひひとつお考えをいただきたいと思います。別に長官の行動を、それやめろ、これこうだとは言いませんけれども、意外と金をかけずに、身近なところに本当の成果というものが生まれる道はあるものです。御記憶にとどめていただきたいと思います。  それから、第二次臨時行政調査会設置についてでございますけれども、委員の選考に大変苦心されておるようです。そこで、私はぜひ長官の御再考を促したいと思うのは、各省庁が推薦してくるような委員を並べたって、それは行政改革への壁になろうとも決して道にはならない、むしろそういうものを全部排除してしまって、各省庁の推薦、ああそれはだめ、全然関係のない人、極端な言い方をすれば、納税者という立場で一番苦労しておるような人たち、幾ら多額の納税者であっても悠々と納めている者だったらそんなに痛感はしませんけれども、少額の税金でもきつい思いをして納めている人というのは、行政改革への願いはそれは大変なものだと思います。だから、そういうような立場の人たち、本当に行政改革に対してもう手を差し伸べるように大きな期待を持っておるような人たちの意見をこそ聞くような調査会でなければ効果がないのじゃないか。現に、第一次調査会のりっぱな答申案が出ておっても、答申案が出ただけでほとんどそれは生かされていない。また調査会をつくっても、そこへ出る調査委員がそれぞれの省庁が推薦した委員が出てくれば、当然応援団から言われておるところを一生懸命忠実に擁護作戦を張るに違いない。幾らそんな人たちが出てきて時間をかけ、金をかけて調査会をやったって、本当に行政改革の道が開くわけじゃないと私は思うのです。このこともぜひ長官の賢明なる御再考を促したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  166. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その御助言、深く心にとめて実行いたしたいと思います。
  167. 田島衞

    田島委員 まだ時間が多少残っておるようですけれども、私はこれで終わります。  ありがとうございました。
  168. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 竹内猛君。
  169. 竹内猛

    竹内(猛)委員 行政改革の対象となっている筑波研究学園都市営繕建設本部を廃止することに関連をして、関係省庁に質問したいと思います。  まず最初に、鈴木総理大臣は所感を述べる中で、五十五年の行政改革を着実に実施する、そのために国会で内閣法案の成立を図りたい、こういうふうに言っております。新たな角度から行政改革をやりたい、それを進めるためには、これまで実施してきた定員の削減などに加えて、主として行政の仕事減らしという観点からこの問題に取り組んでいきたい、こう言われておりますけれども、この行政改革というものに対する中曽根長官の思想的なものはどういうことか、まずこれをお聞きします。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革というものは、私の考えによりますれば、時代とともに一つのリズムを追って流れている、そう思います。ある場合には、高度経済成長のときには膨張ぎみになり、そして刺激を与え助長するという方向に動くでしょうし、あるいは社会福祉が非常に要望されているときにはそちらの方面に力がいく。しかし、安定成長時代になれば、今度は縮減の方向に動いてくる。そのときの国民経済なり社会の実態の基本の影響を受けまして、そのときに一番適切なやり方で国民の皆さんが納得する形で改革が行われてきていると思います。  それでは現在われわれが当面しているものは何か。そう言いますと、先般来申し上げました三つの大きな目標、すなわち減量、それからサービス、それから八〇年代の長期的展望のもとにビジョンをつくる、そういうようなことが現在要望されていると私たちは解釈いたしまして、そういう方針で実行しておるところでございます。
  171. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは率直にお伺いしますけれども、先ほどからの質疑を聞いていても、人間を減らすところに中心があるのか、あるいは財政上の財源を節約をするところに中心があるのか、当面の基本的な問題はどこにあるか、さらにお伺いしたい。
  172. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 簡素にして効率的な政府行政機能をつくること、そしてサービスを画期的に改善すること、その辺に中心があると思います。
  173. 竹内猛

    竹内(猛)委員 行政改革について私ども別に反対をしているわけではありませんが、今度のこの法案によってどれだけの人間が簡素化され、どれだけの財源が浮かび上がるか、このことについて見通しはどうですか。
  174. 佐倉尚

    佐倉政府委員 この法案によりまして、どれだけ簡素化されるかという分量につきましては、現在五十六年度の予算編成の中で検討しております。現段階ではまだお示しできない段階でございます。
  175. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つの金の問題、財政上は……。
  176. 佐倉尚

    佐倉政府委員 金額につきましても、いまどれだけ節約できるかという額を申し上げることができない段階でございます。
  177. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま金額のお話が出ましたが、五十五年行革のときのエスティメーションによりますと、いま進行中のもの、それからこれから実行するもの等を含めますと大体二千二百七十億円ぐらい浮くというのが宇野前行管長官の答弁でございます。
  178. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、行政とは国民サービスをする、これは先ほど長官も言われました。より民主的でなければならない。そして憲法でも保障されているように、地方自治をしっかり守っていく。特にこの八〇年代というのは地方の時代と言われるように、あるいはまた農政の面でいけば、地域農政というような形で、地域と住民と行政が密接に絡まっていかなければならない。こういうときに、このいま出された法案を見ると、特に局をどんどん減らしていく、そして地域の住民との間では距離を持たせるようなことになっている。局を減らすけれども、その権能が前と同じものであるならば、もっとこれは減らせばいいんで、そうじやなくて、権能が同じでなければ、当然これは地域住民は不便を感ずる。たとえば後で質疑があると思いますけれども、四国を見るとほとんど四国からは局を取り上げてしまった。こういうことになると、四国の遠いところでは広島まで行かなければならない。こういうことになると、時間と暇と金がかかる。これは確かに中央の行政は若干倹約をされるかもしれないが、地域住民はたまったものではないという形になる。こういう形になるのですから、サービスするという長官のさっきの答えと現実は違っているじゃないか。これはどういうことになりますか。権能は変わりはないのか。つまり名前だけ変わって、認可、許可というような権能には変化ないのかどうか。つまり四国の人間が広島まで行かなくても、高松なら高松、従来のところで役が足せるのか足せないのかというところが問題なんです。どうですか。
  179. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 人間をできるだけ縮減し、効率的に運用いたしまして、そして実際の実務は支障を来たさないようにその実体を残しておこう、そういう考えに立って処理しておるところであります。
  180. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一遍確認しますが、権能においては同じ権能が与えられると理解をしてよろしいか。
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 局が名前が変わりましたり、支局になったり、あるいは監理部というふうに名前が変わったりいたしますから、多少は変わるだろうと思いますが、しかし、局長から委任されるとかそのほかの手段を講ずることによりまして、できるだけいまの機能を保持するように努力してまいるつもりでおります。
  182. 竹内猛

    竹内(猛)委員 たとえば建設省の関係ですが、筑波研究学園の営繕本部が廃止をされる。これは先ほど田島委員も言ったように、二つの廃止をされるはっきりしたものであります。しかし、筑波研究学園は、現在まだ概成はしたというものの、やがて科学博覧会というものをつくり、道路、交通網、基盤整備、建築というように仕事はたくさんある。にもかかわらず、一番抵抗が少ないから、まあ形の上であれをやめたらいいじゃないか、こういうことで、その後にできるものがどういうものであり——その権能が前と同じように、そこで許可も認可も与えられる、つまり地元の者が他のところに行かなくてもそこで仕事ができるというものであるならば、それは問題はないけれども、もしそうでなかったら、これはサービスということになりませんよ。どうですか。
  183. 小野正文

    ○小野説明員 御質問にお答えいたします。  官庁営繕事業は筑波研究学園都市内において、五十五年の三月をもっておおむね概成いたしました。しかし、まだ残事業が約二百億程度ございます。したがいまして、今般いわゆる行政改革の要請に伴いまして、現在の筑波営繕本部は廃止するということになっておりますが、なお残事業につきましては、引き続き建設本省において実施するということになっております。
  184. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうことじゃなくて、権能はどうかということ、地元の者が東京へ出ていかなくても、その残ったところで始末ができるかと言っているのです。
  185. 小野正文

    ○小野説明員 筑波本部が廃止されれば、当然先生のおっしゃるとおり出先機関は廃止されることとなりますが、なお残されました事業等につきましては、研究の各施設と緊密な連絡をとりながら、本省において実施したいと考えております。
  186. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それじゃ住民へのサービスじゃないじゃないですか。  続いて通産省にお伺いしますが、三井グループがイランに石油コンビナートをつくった。そしてイランには政変が起きて今日は戦争に入っている。ところが最近は、国がこれに出資をし、さらにこれに追加出資をしていこうということになっている。いままでこのコンビナートをつくるときに、国との間で当初から話し合いがあったかどうかということが一点。  それから、今日まで日本の政府はこれにどれだけの金を出したか、今後これはどうなるのかということについて、これは通産省関係者からお伺いしたい。
  187. 新欣樹

    ○新説明員 御説明申し上げます。  このプロジェクトは、先生御承知のように重要な産油国でございますイランとの大型経済協力案件でございますけれども、イラン革命に遭遇いたしまして、建設工事を昨年中断せざるを得ないという困難な事態に直面したわけでございますが、一方イラン政府、革命政府でございますけれども、本件を最優先プロジェクトとしてぜひその早期完成を図りたいという強い要請もございました。したがいまして、政府といたしましては、昨年の十月、いわゆる海外経済協力基金から日本側の出資分の約四割に相当いたします二百億円まで出資を行うということを閣議了解によって決定をいたした次第でございます。これが最近の四回にわたるイラク軍機の攻撃を受けまして、またまた困難な状態に直面をしておるわけでございますけれども、この被害の状況というものにつきましては、ただいまいろいろな報告は受けておりますけれども、その詳細につきましては、現在まだ十分な把握はできておりませんし、今後またどのような追加資金が必要かということも、こうした調査を待ちましてからでないと決定できないという状況にございますので、今後国が追加の出資を行うかどうかということにつきましては、こうした調査を待って判断する問題と思いまして、現在のところではそういう問題について議論をする段階には来ていない、こういうことでございます。
  188. 竹内猛

    竹内(猛)委員 また科学技術庁にお尋ねしますが、原子力船「むつ」の問題。この「むつ」にかかわる費用、それから「むつ」の事業団にかかっている経費、これらについて今日までかかった部分についてを報告してもらいたい。
  189. 須田忠義

    ○須田説明員 これまで「むつ」に要した費用でございますが、これについては日本原子力船開発事業団が設立された昭和三十八年度から昨年度、昭和五十四年度までの決算の累計で約二百四十八億円支出してございます。  なお、このほかに昭和四十九年、「むつ」が洋上で放射線漏れを起こした際に、青森側と結ばれました四者協定に基づく漁業対策費といたしまして約十二億円及び佐世保港に修理を受け入れていただくに当たりましての魚価安定対策費として約二十五億円、これらを加えますと約二百八十五億円をこれまで支出してございます。
  190. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで長官、こういうふうにたとえばイランの問題でも当初から国との間に約束がなくて、大企業である三井が営利のために山下元通産事務次官を中心として始めてきた。途中で政変があり、確かに石油のために国際協力という関係から一定の理解はできるけれども、二百億という国民の税金をそこにつぎ込んでおる、この将来がどうなるかわからない。あるいは原子力船というものは何の生産もしない。ただこれだけの金を佐世保に行ったり青森に帰ったり途中で事故を起こしたり漁民に補償したりあれに補償したり、金ばかり食っている。こういうむだを私はやめてもらいたい。これの方が先じゃないですか。きわめて具体的でしょう。どうですか長官、この点については。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民の大事な税金をお使いすることでございますから、むだは絶対排除しなければならぬ責任があると思います。しかし、原子力船開発にいたしましても、アメリカのサバンナとかあるいはソ連のレーニン号とかそういうものができまして、海運国日本もおくれてはならぬ、そういうことでプロジェクトとしてスタートさせたのが思わざる、はからざることによりまして今日のような事態になったので、まことに遺憾千万な事態であります。ここに至るまでの経過については、必ずしも政府が万全の措置を講じてきたとは申されない点があって、その点は深く反省しなければならぬと思います。しかし、科学技術とか海運国日本の運命を考えてみますと、やはり研究というものは営々として持続的にやって蓄積していかなければならぬ点があるのではないかと思います。  それから、イランの問題にいたしましても、こういう問題が起こる前は日本の輸入石油の中の約一七%くらいイランから来ておったと記憶しております。日本の石油供給源の大宗をなしておったサウジアラビアと双壁でありました。それがパーレビ王の放逐以来、こういう事態になりまして、世界じゅうが大きな影響を受けており、日本がまともに受けております。しかし、これも石油を何とか入手して国民経済の安定的発展を図ろうという外交政策等に基づいてやってきたことで、それがはからざることによって、戦争ということはどちらかと言えば保険的には不可抗力に近いことであります。そういうことによってこういう結果になったのは、何とも残念至極な事態であります。  しかし、その中におきましてもできるだけ将来を考え、かつまた国民の税金をむだにしないように、政府としては万全の措置を講じていかなければならない、そう考えておる次第であります。
  192. 竹内猛

    竹内(猛)委員 万全の措置をとらなければなりませんが、少なくともイラン石油の問題でも、当初から政府関係しない、途中から石油が大事だということで膨大な金を出している。それじゃこれが将来失敗したら責任をとりますか。大きな問題じゃないですか。それよりもむしろ国内における、たとえば米、カンショあるいは果樹等から石油をとるという方面に金を使う方がはるかに前向きだと思うのです。原子力船なんというものは、ああいうむだな金があるならば、そっちの方に金を回して研究して、国内におけるエネルギーの開発に努力すべきじゃないですか、そういう点について長官、どうです。
  193. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油にかわる代替エネルギー、特に国産エネルギーの開発は焦眉の急でありまして、そういう点ではサンシャイン計画を初め政府も懸命に努力しておるところであります。これは今後とも努力してまいらなければならぬと思いますが、当面は石油を手に入れるという努力を継続してやらなければならぬのが目下の事態でございまして、そういう努力の一環として、この事態を厳正に見詰めながら適切な措置をしていかなければならぬ運命にある、そう思います。
  194. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうはこの問題を中心に議論するわけじゃないから先に進みますが、またいずれかのところで問題を展開しなければならぬと思います。  そこで、長官にさらにお伺いしますが、最近の一部の報道によると、中央競馬会に剰余金があるからこれを巻き上げるということを言われておりますけれども、それの真意はどうですか。どういう方法でどれだけ巻き上げようとするのか。
  195. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財政非常事態にあるものですから、できるだけ国民の税金の負担を軽くしつつ国債を減らそう、そういう考えに立ちまして、いわゆる特殊法人と言われているものの出資金、剰余金を見直しておる最中でございます。最近百十に及ぶ特殊法人から大体財務諸表が出てまいりまして、いま鋭意検討しているところでございまして、どこから幾ら取るとかそういうことは決まっておるわけではございません。
  196. 竹内猛

    竹内(猛)委員 同じように畜産振興事業団からもその剰余金については手をつけようと考えておられるようですが、これは本当かどうか。
  197. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、どこから何ぼ取るともう決めたわけでありません。目下鋭意調べている最中であります。
  198. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで私は長官に申し上げたいのです。  中央競馬会というものが確かに剰余金があることは承知をしておりますが、われわれは常に競馬の問題についていろいろ審議をしておりますけれども、いま競馬会の中の馬主あるいは調教師、厩務員、こういうものの関係、それから観客との関係の間にそれぞれの問題があります。特に最近二回にわたるストライキをするような状況が起こってきている。これは内部における雇用関係などが明らかでない、裁判もやったことがある。こういう金があるならば、まず内部の問題を近代化し整理して、しかる上に剰余金があるんなら、それは国の方でと言ってもいいけれども、現実に法律によって七五%は一般に、そして二五%についてはそれぞれ、国に対して一〇%、それから九%、六%の分野があって行われていることでありますから、こういう点について、黒字だからいきなり手をつけていくということは、これはおかしい話だと思うし、あるいは畜産振興事業団にしても、まだ畜産農家というものが安定をしていない。畜産の価格の審議のときには年じゅう集会を持っていろいろ陳情されるほど不安定です。借金もあります。そういうようなところから少し黒字が出れば手をつけて持っていくという、ふところの中へ手を突っ込んで持っていって、何でも余ったものは使ってしまうということで、むだだと思われるところには金が出ていくということでは、事業団にしても公団にしても公社にしても独立採算でやっていこうという、そういう努力に対して熱意を欠いてしまうんじゃないか。だから、安易にそういうところに手をつけてやってもらいたくないというのが私の要請なんです。これからそういうものが出れば、逐次材料を出して、これについてはやはり問題を提起をしますから、この点についてのお考えはどうでしょうか。
  199. 中庄二

    ○中政府委員 前段の中央競馬会の問題でございますが、今回の見直しは、経営の効率化と財務の厳正化を目的にしておりますので、先生御指摘の点につきましては、せっかくの御提言でございますが、今回の検討に含まれることにつきまして慎重に検討さしていただきたいと思いますが、後者につきましては、御指摘の観点を含めまして慎重に検討してまいりたいと思います。
  200. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この法律によると、農林水産省の林野庁の中で六十年三月三十一日までに一局を云々とあるけれども、これはどういうようなことになっているか、ちょっと具体的に報告してもらいたい。
  201. 中野賢一

    中野説明員 御案内と思いますが、現在、国有林野事業におきましては昭和五十三年七月に施行されました国有林野事業改善特別措置法というのがございまして、この法律基づきまして十カ年の改善計画をつくっておりまして、これに即しまして鋭意経営改善に取り組みまして着実に成果を上げておるところでございます。したがいまして、今度の法案につきましても、この間の経緯が考慮されまして、昭和六十年三月三十一日までに国有林野事業の改善の進捗状況を考慮して、改善計画につき必要な検討を加え、その結果に基づいて営林局を統合するための必要な措置を講ずるというふうになっておるわけでございます。  こういったことでございますので、林野庁といたしましては、当面現在の改善計画の実施に専念をいたしまして、その着実な推進を図ることにいたしております。
  202. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その改善の基準はどういうところにあるか。
  203. 中野賢一

    中野説明員 これは国有林野事業の能率の向上、それから林道であるとか造林でありますとかそういった生産基盤の整備、それから要員規模の適正化、それから組織、機構等についての適正化、そういったものが経営改善計画の中に決めてありまして、それに基づいてやっておるわけでございます。
  204. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、そういうふうに目録があっても内容はまだきわめて抽象的だ、そういう経営改善が具体的に進まなければということですね。
  205. 中野賢一

    中野説明員 経営改善計画というのは、いま申し上げましたように、大変広範な内容になっておりまして、それに基づきまして現在やっておるわけでございますが、広範であるだけに経営改善の中身の進捗状況等十分考えてからその実績を踏まえてやるということでございます。
  206. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その点もただ単に一省一局というような形で並びでやるようなことじゃなくて、実態に即してひとつこれは検討してもらいたいということを要請します。  続いて国土庁にお伺いしますが、筑波研究学園都市は五十四年に概成をするという形になっておりますが、現状はどうなっておるのか。もしそれが予定どおりに進まなかったとするならば、その主たる原因はどこにあるか、その点を報告してもらいたい。
  207. 井上良藏

    ○井上説明員 筑波研究学園都市の建設につきましては、移転または新設を予定されました国の研究教育機関は五十年の閣議決定どおりに五十四年度中にその施設の概成を終えました。また先行的に整備すべき公共、公益的施設につきましてもほぼ整備が終わった段階でございます。非常に大きなプロジェクトのわりには比較的順調に進んできたのではないかというふうに考えております。しかし、人口の定着が予定より下回っておりますし、また都市の機能の整備あるいは関連産業、民間研究所の導入等が十分ではございませんので、これらがまだ問題として残っておりまして、都市づくりはなお今後の課題を多く抱えておるというふうに理解しております。
  208. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その考え方は大体一致しておりますから、では続いて科学技術庁にお伺いします。  昨年のちょうどいまごろは、国際科学博覧会をどうするこうするということで党派を超えた皆さんに大変お世話になったわけです。幸いに筑波研究学園都市と関連して、その地に昭和六十年を目途に国際科学技術博覧会が開催されることになったことについては、地元としては心からお礼を申し上げたいわけでありますが、さて一年を経過する今日、予算規模としては大体どれくらいの規模で、それは国と県と地元と団体がどのような分担をするか。次に何を中心としたものにするのか。次は、場所が二カ所あります。ともにその土地は一〇〇%の買収が計画をされている状態でありますから、ぼつぼつ地域指定をしないとおくれるわけでありますから、その点についてどの辺が好ましいか、こういうようなことについて科学技術庁の方からお答えをいただきたい。
  209. 松井隆

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  国際科学技術博覧会の所要経費の件でございますが、これは今後具体的に基本構想を詰める、あるいは会場計画の策定を進めていかなくちゃならないわけでございまして、そういう過程で決まってくるわけでございますけれども、現段階で考えられている線を申し上げますと、会場建設費につきましては約三百五十億円ぐらい、それから政府出展がございまして、それについては約四百億円ぐらいを考えてございます。合わせて約七百五十億円になります。これが博覧会の会場建設、出展等の直接的な経費になるわけでございます。  それからもう一点は、道路整備、国鉄、たとえば常磐線の増強等の関連公共事業の問題があるわけでございますけれども、これにつきましては、昨年十一月の閣議了解におきまして既定計画の枠内で実施するという方針が確認されております。この経費については、現在具体的な事業内容であるとかあるいはその規模等について、目下関係省庁それから地方公共団体、博覧会協会等が鋭意検討しておる段階でございます。  それからもう一点は、この経費の負担関係についての御質問でございますけれども、まず博覧会の会場建設につきましては、昨年の閣議了解におきまして、建設費総額に占める補助対象事業の割合を三分の二程度とするということが決まってございます。それからもう一点は、補助対象事業に対する国の負担率でございますけれども、これは三分の二、残余につきましては、万国博覧会等の例を参考にいたしまして関係団体で協議するとの方針が確認されておるわけでございます。したがって、今後の博覧会の具体的な計画を固める段階におきまして、資金計画につきまして関係省庁、茨城県あるいは民間等と十分協議しなくちゃならないというふうに考えてございます。  一方、その関連公共事業関係でございますけれども、現下の財政事情にかんがみまして、国及び地方公共団体による特別の財政負担は避けるという昨年の閣議の了解がございまして、その趣旨に沿いますと、通常の公共事業の場合と同等の線に沿って事業が進められるというふうになると考えております。  以上のような負担関係によりまして博覧会の準備を進めるわけでございます。国の財政も厳しいわけでございますけれども、同時に地方の財政の厳しさも十分承知しております。この辺閣議了解の趣旨に沿いまして、私ども関係省庁あるいは関係団体等と十分協議いたしまして、関係団体には過大な負担がかからないよう、しかも全体として博覧会を成功させるようこれから知恵を出し合ってやっていきたいと考えてございます。  それから、もう一点の博覧会の趣旨についての御質問でございますけれども、これは現在日本語の仮訳といたしまして居住と環境、暮らしと科学技術という形でテーマを選定してございます。またこういった線に沿いまして、これから準備を進めまして、昭和六十年の春から秋百二十日間の博覧会を無事やりたいというふうに考えてございます。  それからもう一点は、博覧会場の件でございます。その場所につきましては、茨城県が責任を持って取得するということに決まってあるわけでございまして、現在茨城県におかれまして、まず博覧会会場の適地という観点、さらにもう一つは筑波学園都市の将来の発展の見地から候補の選定を進めておりまして、いま二カ所候補があるというふうに聞いております。それで、この候補につきまして国の方で選択してほしいという要望が来ているように聞いております。したがいまして、当庁としては早期に会場を決定する必要がございますから、目下関係省庁、博覧会協会等と検討を進めているわけでございます。これを決定する場合に、当然のことながらまず博覧会を十分にうまくやるための用地ということが必要でございまして、当然その中には交通の問題とか電気、ガス等の問題とか、もう一つは筑波学園都市の将来の発展をうまく持っていくというような観点、そういうような観点からいま慎重に検討を進めておるというところでございます。  以上でございます。
  210. 竹内猛

    竹内(猛)委員 かなり詳しい報告がありましたが、それでは場所については中央で決めるというように理解をしていいわけですね。
  211. 松井隆

    ○松井説明員 そのとおりでございます。
  212. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは先ほどの国土庁の井上さんの報告にもありましたが、筑波には人口が二十万の予定が十二万しか入っておりません。器は二十万人分つくってありながら十二万しか入っていないというところが問題なんです。そこで科学技術博覧会が終わった後の土地の利用について、何かお考えがあるかどうか。
  213. 松井隆

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  博覧会の跡地につきましては、これも同じく茨城県の責任において行うということが決められているわけでございますけれども、私ども聞いているところによりますと、茨城県といたしましても、筑波研究学園都市を二十万都市と申しますか、そういう形に建設するという計画の一環として、たとえば科学技術に関連のある産業等を誘致する等の考えも聞いてございます。私どもといたしましても、この筑波学園都市に四十三機関が移転して研究活動を本格的に始めたわけでございまして、そういった学園都市の機能を十分発揮して、日本の科学技術研究開発にできるだけ有効なものにしたいという考えを持っておりますし、さらにまた博覧会を契機といたしまして、国際的にも研究開発の大きな中心地となるというふうに持っていきたいと考えてございます。  かかる観点から私どもも、茨城県であるとか国土庁さんとも十分協議をして知恵を出し合ってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  214. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは私見ではありますが、特に地元にいる者としてぜひ各省庁にも協力を願いたいと思うのですが、いまあそこに二十万都市をつくろうということでりっぱな住宅ができました。ところがそれに移ってこない。移ってこない理由の一番大きいものは、東京あるいは平塚、千葉、多くの研究所のあったところからそれぞれ移っておりますけれども、そこへ移っても永住するという見通しが明らかでない。なぜなら定年制などというものによって、公務員といい研究者といい、五十五から六十になればやめなければならない。やめればその家を出なくてはならない。一方においては、離れた東京、平塚、千葉等の地域には自分の家を持っている人もいるだろうし、あるいは借地権、借家権を持っている人もいるかもしれません。こういう方々は、それをあけて他に移せば新しい権利がそこに生じて、帰っていけば立ち退き料を払わなければならない。それなら筑波で生活をしたらいいじゃないかというけれども、いまそのところの土地は坪二十五万以上しております。現在の所得ではそこに住むことは非常に困難だ。こうなれば、仮に周辺にどんなりっぱなものがあったとしても、そこに永住するということはなかなか困難だ。だとすれば、これを克服する一つの道としては、科学博覧会の跡地の問題もありますが、これらを利用して、筑波大学の教授あるいは科学技術者がたくさんおりますから、そういう人たちの協力を願って職能教育の学校、専門学校というようなものをつくって、そこで未来の労働者あるいは技術者を教育する。そうして現在工業団地ができておりまして、その工業団地に公害のない生産工場が大分来ますけれども、そこで働いてもらう、そこで所得を得る、こういうような方向にするために、新しくいまからそういうことを考慮して安心をして移ってもらうように、地元も安心して土地が提供できるようにするために考えてほしいということを私は特にここで要求したいと思います。  これは長官のお考えもいただきたいが、まず労働省の方からもお考えをいただきたい。労働省としてどうですか。
  215. 菊田顕

    ○菊田説明員 ただいま職業訓練校の設置の問題について御質問いただきました。職業訓練校は、当該地域におきます労働力の需給関係、人を求めております企業の方と、それから訓練校に入りたいという希望の数、そういうものを勘案し、それと既設の職業訓練校とのバランス等を考慮しながら設置を進めております。先生御存じのとおり、茨城県の当該地域におきましては、隣接に、土浦に訓練校がございます。それから近郊には水海道、下館に訓練校がございます。現在のところ、その入校状況、それから需要状況を見ておりますと、現状で賄えるような状態ではないかと考えております。  今後の問題につきましては、学園づくりの問題、地域事情の変化の問題、そういうものが出てくるかと思いますが、そういうものにつきましては、茨城県と十分に相談をしながら対応してまいりたいと考えております。
  216. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは大きな政治課題ですから中曽根長官にひとつ。この地域において二十万の人口を擁した都市をつくりたい。ところが、現実に十二万しか来ていない。それですから、ある公会堂をつくったところが年間の支出が三千万円、収入が三百万円だという、これは県民センターですけれども。そのように物をつくれば維持管理費に赤字が出る、こういう形になっておりますので、どうしても人口の固定的定着が必要である。そうなると、何がしかの新しい生産への努力、その前提としての技術者の教育、これが必要です。これについていま私はそういう提案をしたのですが、長官としてのお考えをいただきたい。
  217. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 労働省とよく相談します。
  218. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは十分に相談をして善処してほしいと思います。  先般学園の中で進出機関の学者、文化人が集まっていろいろ相談をしましたが、あれだけの学者、文化人が何万か集まっている中に、確かに各機関には図書館がありますけれども、中央に図書館がない。したがって、学者はどうしても勉強しようとすれば国会図書館に来ざるを得ない。それは交通費も日当もかかります。図書館をつくってほしいという強い要求がありますが、これについて国土庁はどうですか。
  219. 井上良藏

    ○井上説明員 図書館につきましては、この都市の性格あるいは規模から見まして、当然必要な教育文化社会施設であろうと考えているわけでございまして、国土庁といたしましても、ぜひつくるべきものであろうと考えております。  ただ、その性格につきましては、御指摘のような、特に高度な専門的な資料を集めた図書館等につきましては、現在各研究所にもたくさんの蔵書を抱えておりますし、図書室もございますし、そういうものの共同利用というような方法もあると考えられますし、置くべき図書館の性格等につきましては、今後関係各省とも協議いたしながら検討してまいりたいと考えております。
  220. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはよく考えてほしいと思うのですね。研究者、学者を集めて、それぞれの研究所にはあるけれども、一カ所にないということは非常に問題が多いと思うから、早急に検討していただきたい。  それから、農水省にお伺いしますが、十三機関が移転をしたわけでありますが、その中で最近農事試験場を廃止して農業研究センターをつくりたいということが言われております。これは機構改革なのか、行政改革になるのか、この点について農林水産省からお答えいただきたい。
  221. 中川昭一郎

    ○中川説明員 先生も十分御存じのことだと思いますが、現在米を初めといたします農産物需給の不均衡や兼業の深化と耕地利用の粗放化あるいは石油多消費型農業からの転換あるいは環境問題の発生など、わが国農業が当面いたしております諸問題を解決して、わが国食糧自給力の維持向上を図ってまいりますためには、農業生産全体を踏まえた総合的な視点に立ちまして、国土の効率的利用と生産性の高い農業の展開を可能とするための技術開発が現在強く要請されているところでございます。このような要請に的確にこたえてまいりますためには、専門分化しております従来の試験研究体制では不十分でございますので、筑波農林研究団地への試験研究機関の集中強化のメリットを生かしながら、各機関で開発される高度な技術を素材といたしまして、新しい農業の技術体系を確立することを主たる任務とする新しい研究機関として農業研究センター、仮称でございますが、を昭和五十六年度に筑波農林研究団地に設置することについて現在要求いたしているところでございます。このセンターの組織、運営につきましては、その任務の円滑かつ効率的な推進と、筑波農林研究団地に設置するという立地上の特性を生かし、専門別試験研究機関あるいは各地域の農業試験場等との連携の核としての役割りが果たせるよう次のような構想を持っているところでございます。  その一つは、総合研究推進体制の整備でございまして、多数の専門部門のスタッフの参加した共同研究の円滑かつ効率的な推進を図るための体制及び農業技術を体系化、総合化する上で重要な諸技術の開発に関連した研究部門をそれぞれ充実強化することでございます。  第二は、開放型試験研究機関としての整備でございまして、センター内外の関係研究者による共同研究あるいは保有する施設、機械の共同利用の促進、また農業関係者に対する研修技術相談に対応する体制の整備のほか、農業関係者あるいは関係試験研究機関場所長等の意見を反映させるための運営委員会設置などを考えているところでございます。  なお、この設立に当たりましては、現在の農事試験場及び関係研究機関の一部組織の再編整備によりまして、これを設立してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  222. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは行政改革というよりも機構改革として考えられるということと、それから関係者の理解はどの程度得ているか、どうですか。
  223. 中川昭一郎

    ○中川説明員 この問題につきましては、昨年の五月以来局内あるいは関係試験場所あるいは省外の専門家の学識経験者等によります検討を鋭意続けてまいりまして、現在いま申し上げたような考えに立ちまして、大蔵あるいは行管の方へ要求をいたしているところでございまして、これは一応機構の再編というふうに考えているところでございます。
  224. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今度は大蔵省にお伺いと要請と二つあります。  まず、機関が全部移っていきまして、学園というのは高度経済成長のときにつくったものですから非常にりっぱにできておりますが、この維持管理というものは大変なものだと思います。特に建物の中における冷暖房の装置あるいは機械の装置のために相当金がかかる。この間、実はある建物へ行ってみたところが、エレベーターがありましたが、そのエレベーターに、省エネルギーのために人間は乗らないでくれ、荷物を乗せろ、こう言うのです。研究所でありますから外国人もかなり行くんですね。そういうものを見てどう感ずるかね。人間が荷物以下だということではちょっとぐあいが悪い。だから、それに必要な維持管理費ぐらいは出さなければいけないだろう、確かにことしの単価から言ってみれば通産省も発表していますが、プロパンガスが三四%あるいは灯油が三六%、電力も五〇%以上上がっているということでありますから、節約はわかるけれども、今度の場合には補正、並びに来年度は現状の価格で十分に使えるようにしてもらわなければ、いま機構改革すると言ったけれども、研究者は自分の研究費の一部、旅費の一部を割かなければそれに間に合わないというようなことを言っておられるが、事実とすればせっかく筑波にりっぱな機関をつくった意味がない。やはりしっかりした研究ができるようにするためにはそういう措置を講じてもらいたい。同時に、あの広い庭、道路にはたくさんの木や芝が植えてあります。木の枝の処理あるいは刈り取った芝の処理等々に相当金がかかるはずです。そういうものについても見場の悪くないように処理をしてもらいたいと思う。これは各省庁関係ありますから、ひとつ総括して、大蔵省はこれをどのように処理されようとしているのか、これについてお答えをいただきたい。
  225. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  先生御承知のように、筑波研究学園都市に概成ないしは完成されました研究施設、大変高度なものでございます。したがいまして、その維持費、運営費あるいは研究費といったものも移転前に比べまして大変高いものにならざるを得ないということはよく承知をいたしております。したがいまして、その運営費、維持費等につきましては十分精査をして適切な対処をしたいということでございますが、御承知おきのような財政事情でございますので、一〇〇%関係者が要望されることにおこたえするわけにはなかなかまいらぬと思いますけれども、できるだけの配慮はしてまいりたいと思っております。
  226. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは機械ですから、機械はやはり一定の温度を保たないとうまく使えないし、精密な勉強をしているのだから、冷暖房なんというものに対してけちけちしていたのでは、あそこへ研究学園をつくった意味がない。どんなことがあっても、万難を排してそれの予算だけは確保してもらわなければ困る。それをけちけちするよううなことがあってはできないでしょう。どうですか。
  227. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  先生の御指摘のように、せっかくつくった施設が十分機能を発揮し得るように配慮をしたいのはやまやまでございますけれども、何せ万般の財政需要、それぞれの要求側にいたしますと、われらの要求こそはという要求がたくさんあるわけでございます。それをとにかく一定の金額の中におさめなければなりませんので、一〇〇%御要求を満たすということはなかなかむずかしいのではないか、できるだけの配慮はしたいと思います。
  228. 竹内猛

    竹内(猛)委員 最後に人事院にお尋ねします。  筑波に移転をするときに八%の移転手当というものが出されておりましたが、やがて十年たちます。こうなると、これが打ち切られるか続けられるかということで問題になっております。そこで、三月十八日に参議院で成田の空港の問題と関連をして調整手当というようなことが言われておりますけれども、この成田空港の調整手当と筑波における移転手当というものとの関係について、これから移転手当の問題の取り扱いはどうされるのか、お尋ねをします。
  229. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えを申し上げます。  筑波研究学園都市移転手当は昭和四十六年に創設された手当でございまして、手当を創設しましてから来年がちょうど十年目になるわけでございまして、人事院としましては、これをどういうふうに処理するのか、勧告等を意見表明しなければならない時期に来ておるわけでございます。  御指摘のように、ことしの八月にいわゆる成田の問題につきまして御勧告を申し上げましたけれども、この成田問題と筑波問題を対比して考えてみますと、一面においては似たような点がございます。それは多数の官署が一定期間内に移転をしたということにおいては似ておりますけれども、しかし、成田の場合ですと、国の機関の移転に伴いまして関連する民間の企業、事業所等も多数移転しておりますし、さらには、成田空港区域内におきますそういった移転の民間事業所に勤務する従業員の賃金水準というものは、大体東京都の区部内の賃金水準を持ち込んでおるというような状況でございます。しかし、筑波の問題につきますと、これは筑波研究学園都市をつくるという国の一大施策との関連におきまして、機関の移転に伴いまして研究員等が勤務する場合にその移動を円滑にする、さらには研究員等の定着を図るという趣旨で設けられたものでございますので、したがって、成田の問題と筑波の問題とはそういう面から考えまして性格の違いがあるというふうに考えております。したがいまして、来年度に向けまして筑波の移転手当をどういうふうに処理するか、いろいろ具体的な対策を考えなければならない時期に来ておるわけでございますけれども、一応成田問題とは別個な観点からそれぞれ適切な対策を考えてまいりたい、このように考えております。
  230. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど申し上げたように、二十万都市をつくろうという筑波に十二万しか定着をしない、あとはなかなかむずかしいであろうということで、その理由については、まず住宅と定年の問題あるいはその周辺におけるところの職業の問題、こういう問題があって、そこで工業技術院の職員組合の皆さん、これは労働組合といってもいいですが、その皆さんが調査をしたところによると、家族ぐるみで移転をした者が月に一万七千円、単身赴任者が五万円、独身者が三万三千円、こういう負担増になっているということが世論調査で出てきております。このように筑波に移ったために負担がふえた。それは確かに交通の便利が悪い、医者がない、買い物に行くにも遠くに行かなければならない、こういうことだし、学校も高校は不十分だけれどもあるけれども、なおその他の教育機関がないということで、金がかかることばかり。したがって、当初移ってきたときと同じような状況が依然として続いている段階においては、移転手当というものは、やはり継続すべきものと考えるけれども、もう一度人事院の方からこの点についてお考えをいただきたい。
  231. 長橋進

    ○長橋政府委員 移転手当が創設されました時点では、移転計画は五十年に一応完了するというようなめどでございました。その後移転それ自体が若干おくれておるというような状況でございまして、そういうことから考えますと、当初五十年に移転が一応完了するということで十年内にその処理についての御勧告を申し上げるということになっておりましたけれども、移転それ自体がだいぶおくれておりまして、機関によりましては五十五年度にずれ込んだところも一、二あるというふうに承知しております。そういうような事情を十分念頭に置きました上で、さらには施設の整備状況でございますとかあるいは生活環境の整備状況、さらには研究員等の定着状況、その実態、そういったようなものも十分考慮しながら、また各種の団体から御意見、御要望も寄せられておりますので、そういう御意見等も参考にいたしながら具体的な対策をこれから考えてまいりたい、このように考えております。
  232. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たからこれで終わりますが、これは長官に要請しますけれども、行政改革という形で各省から一局ずつ削っていくというようなことで、これは数をそろえていくという形になる。やはり八〇年代というのは地方の時代、農政でも地域農政ということが言われているし、地方自治ということが問題になっているときに、住民からだんだん不便なような方向に物を集めている、中央集権の方向に進めていくというようなことが考えられる。これは時代に逆行するんじゃないか。行政改革そのものについて反対しないが、むしろむだを省いていく、むだはないか、どういうむだがあるのかということになれば、人の首を切らなくてもいいんだから。行政改革ということになると人の首を切らなければならない。だから、さっきの田島さんへの答弁のように、簡単に切れないから、自然に仕事を減らして年をとってやめていくのを待つんだ、そういう消極的なことになる。原子力船をやめろというなら、これは簡単にはいかないだろうけれども、処理はできるはずだし、それからイランの問題にしても、それは国際関係であるけれども、それについても一定の方法によって処理しなければならない問題だろう。しかし、そういうようなむだがいろいろなところにあるわけだから、それを処理をしていって財政を浮かせるなら、そこから考えていくべきものであって、仕事をしようとする意思と意欲を持っている人間を始末する、仕事をやらせないというようなことはよくない。  それからもう一つは、公社、事業団、公団というようなところが多少の黒字が出たからといって、そこに手を突っ込んで余った金はみんな取り上げてしまうというようなことはちょっとよろしくないと思うから、こういうことについては慎重を期してもらいたいということを要請をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見としてよく承っておきます。
  234. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  235. 江藤隆美

    江藤委員長 前川旦君。
  236. 前川旦

    前川委員 行政改革の総論につきましては、いままでいろいろお話があったと思いますので、私は法案そのものずばりでお尋ねしていきたいと思います。  まず、行政管理庁にお伺いいたしますが、今度の四国の管区行政監察局を中国四国管区行政監察局に統合するという法律案でございますが、この地方支分部局整理の対象をなぜ四国に選んだのか、どういう必然性とどういう理論で四国を選ばれたのか、それをまずお尋ねいたします。
  237. 林伸樹

    ○林政府委員 お答えいたします。  実は行政管理庁のブロック機関は従来から八管区制をとっておりまして、比較的標準的な管区割りであったわけでございますが、今回の行革におきましては、行政改革の重要性と、もう一つ行政管理庁の置かれた立場というようなことを考えまして、率先垂範するという趣旨で一局を削減するということにしたわけでございますが、さてどの一局を削減するかという段階になりまして、実は私どももいろいろ考えたわけでございます。一局を削減するということになれば、各管区ごとの管轄区域の問題、それから管内の行政機関の数あるいは各ブロック間の社会、経済面の関連性、別の言葉で言えば隣のブロックとの関係などなどを総合的に勘案いたしまして、結局四国管区を廃止するということにしたわけでございます。
  238. 前川旦

    前川委員 大変わけのわからぬ御答弁だと思いますね。ずばりと言って一番小さいから選んだんでしょう。そうじゃありませんか。私は小さいから行政の手抜きをしていいとは思えないのです。小さいなら小さいなりに大切にしてほしいというのは住民感情なんです。おわかりですね。ですから、まして地方の時代と言われ、田園都市構想という話も出ておりますし、それから各地方の所得の格差を平均化していくというのも一つ政治の目的でしょうし、そういう意味ではもっと地方を大切にしていただきたい。いまの御答弁では、四国をずばっと選んだという理由がわからないのです。なぜ選んだんですか、もう一度はっきりお答えください。
  239. 林伸樹

    ○林政府委員 繰り返しに近くなりますけれども、八つの管区それぞれにつきまして管轄区域、管内の行政機関あるいは隣のブロックとの関係等を考えてみまして、それぞれこの管区と管区とくっつけたらどうなるかというようなことをいろいろ勘案しましたときに、まあ四国——先ほど先生は一番小さいとおっしゃいましたけれども、ほかの管区がなかなかつぶしにくい、くっつける相手等も考えまして、結局四国に落ちついたというのが実情でございます。なかなか理屈はつけにくいわけでございますが、いろいろ総合的に検討してそうなったということでございます。
  240. 前川旦

    前川委員 本当はきちっと答えにくいでしょう。あなたの御答弁を聞いていると答えにくそうに見えます。これだけでやりとりしていたんじゃ前へ進みませんが、大変これはみんな不満なんです。四国をばかにしているという感じが、後からまた出てきますけれども、大変いたします。不満であるということを申し上げておきます。  それじゃ具体的にまいりますが、この後支局を置くという法案になっています。この支局というのはほかにありませんね。初めての組織ですね。支局とは一体どういうものなのか。たとえばどの程度の規模になるのか、現在の定員を確保する方向でいくのか、この点いかがですか。
  241. 林伸樹

    ○林政府委員 支局を置くというのは、先ほどの先生の御指摘のように初めてでございます。  ところで、それなれば支局をどのような規模にするかということにつきましては、現在検討中でございます。と申しますのは、廃止した後の支局はできるだけ簡素な組織にするというのが政府の今度の行政改革方針でございまして、私どもといたしましては、現在、実際現地で監察、相談の業務をやっておるわけでございますので、監察局の方と官房の方とでいろいろ相談をいたしまして、たとえば管理業務を一部本局に集中できないかとか、あるいは監察なり相談なりの基本的な計画なり調整なりを本局に集中できないかとかというようなことを検討をして、できるだけ簡素な体制をとりたいということを考えているわけでございますが、実際それではどういう形のものに仕上がるのかということにつきましては、実は五十六年度予算査定の中で決める、こういうことになっておりますので、現在私ども内部で検討すると同時に、査定部局とも相談中でございます。
  242. 前川旦

    前川委員 五十六年度予算の大蔵省との交渉の中で固まるんだという内容ですけれども、大蔵省にお任せするわけじゃないんでしょう。交渉するにしても、やはりあなた方の方で一つ基本方針というものがなければいけませんね。ですから、大蔵省と交渉するにしても、どういう基本方針を持っていらっしゃるのか。たとえばいまのどの程度の規模かということもあります。  もう一つ、権限はどう変わるのか。どの権限が広島にいってどの権限が高松に残るのか。権限にどういう変化があるのか。いままでの四国管区行政監察局長と新しい支局長とは同じ権限を委譲してもらえるのかどうか。その辺どうですか。基本的な考え方としていかがでしょうか。
  243. 林伸樹

    ○林政府委員 実は組織、定員は行政管理庁行政管理局、それから予算面では大蔵省、実際は共同して査定、こういうことになるわけでございますが、私どもといたしましては、現在監察局の方といろいろ案をつくりながらいま内部で検討し交渉中でございますので、いまの段階ではちょっと申し上げかねるのでございますが……。
  244. 前川旦

    前川委員 いまの段階では言えないという事情もわかりますけれども、法案を出してくるときには、次はどうなるのだ、これはどういう形になるのだ、はっきりした形になってから法律案をお出しになるのが常道だろうと私は思います。法律案だけ先に通してくれ、どうなるかはこれからの話だ、これは何か非常におかしいのじゃないかと私は思います。しかし、いま決まっていないんだと言われますから、これ以上追及しても同じ御答弁しか出ないのであれば仕方ありません。  次にいきますが、先ほどの質問の中にも出ておりましたが、長官、ここにいる一生懸命働いている人は、生首を切られるのじゃないかという心配が一つあります。これはおやりにならないとおっしゃったけれども、これは直接長官の部下ですから、私、長官から答えていただきたいと思いますが、生首を切るようなことはしない、それから職員の強制配転もしない。これは、いままでは四国の管内ですから、異動が四国の中だけですね。ところが今度は、中国も含めますとずいぶん広い範囲、異動の範囲が大きくなります。ということで非常に不安がっています。しかも、行くことが不可能な配転命令を受けますと、やめなければいけませんから、実際生首を切ったと同じようになります。職員もずいぶん不安がっておると思いますので、長官からその点一言御答弁いただけたらと思います。
  245. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その前に御質問にお答えいたしたいと思います。  私も四国におりまして、前川さんと同じように高松にもおったことがありまして、あの海峡、海というものがどんなに厄介なものであるかということもよく承知しております。四国は人情純朴で風光は明媚で非常にりっぱないいところで、私は四国を非常に愛しておる一人であります。だからといって行政をそれで曲げるというようなことをやろうとは思いません。しかし、四国が狭いからといってへんぱな扱いを受けることは正しいことではない、そう思います。やはりみんながお互いに公平にその負担を分担し合うのが御政道の筋ではないかと思いまして、あそこへ支局ができた際にもできるだけ権限等は委譲して、普通の事務の処理については御迷惑をおかけしないように配慮して、できるだけ努力してまいりたい、そう思っております。  それから、生首を切るとかあるいは強制配転をするというようなことは、今回の行革においてはいたしません。
  246. 前川旦

    前川委員 それではもう一つ具体的に、これはサービスの問題になりますが、政府委員の方、行政相談業務も従来からサービスが低下するということはありませんね。  それからもう一つは、行政相談委員という方々が実費のみの奉仕活動であちらこちらで家にステッカーを張って行政相談に応じておられますが、この制度は残されるのか、あるいは残すにしても漸次減らす方向なのか、むしろこれはふやしていくということを考えていらっしゃるのか。この二つお答えをいただきたいと思います。
  247. 中庄二

    ○中政府委員 委員の定数の問題でございますが、相談件数も非常にふえてまいりましたので、むしろ増員の措置をいま考えておるところでございます。  それから、相談業務につきましては、七つほどの仕事に分けまして、細かく分類して影響等を見ておりますが、極力委員さんなり国民の方なりへの影響が少ないように取り計らいたいというふうに考えております。
  248. 前川旦

    前川委員 済みません。よくわかりませんでしたが、一般の住民の人が行政相談に行きますね。その行政相談に行って、この改革前、整理前も後も変わりはないように、その相談の業務は従来どおり変わりありませんか、こういうことを言っているのですが、その点どうでしょう。
  249. 中庄二

    ○中政府委員 従来どおり変わりのないようにしたいと思っております。
  250. 前川旦

    前川委員 したいというのは非常に弱い感じがいたしますね。それは住民に対するサービスですから、後ほど長官にも伺いたいと思いますが、サービスを低下させてはいけないと思います。ですから、したいと思いますなんという中途半端な答弁じゃなくて、もう少しはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
  251. 中庄二

    ○中政府委員 大蔵省の主計局と行政管理局というこわいところが控えておりますので、私としては精いっぱい努力をいたします。
  252. 前川旦

    前川委員 この法案を見ますと、新しくできた支局は五年後の「昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとする。」という文章になっておりますが、これも先ほどの御質問で多分出たと思いますが、「廃止するものとする。」というのはどういう意味なのか。なぜこんな文言を入れなければいけないのか。六十年三月三十一日の段階でこの支局をもう一つ格下げする方向なのか、あるいはまたもとに戻す方向で考えるのか。いずれにせよこのままではなくて何か違う形にするという意味がここに含まれていると思うのです。それでなければこんな文言を入れるわけがない。どういう意味でこういう文言を入れられているのでしょうか。
  253. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまお話しの「廃止するものとする。」ということでございますけれども、これはいまの段階、現段階における方針を明らかにしたものでございます。これは当然のことでございますけれども、廃止されましたブロック機関の後に必要な現地事務の処理機関を置くわけでございますが、それはやはり趣旨に沿いまして簡素にして効率的な体制とすることが必要だと考えているわけでございますが、その方針行政管理庁の四国行政監察支局と大蔵省の財務支局、それから厚生省の医務支局につきましては徹底させまして、これを「昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうに明示したわけでございます。「廃止するものとする。」ということは、この経過期間中に行政の簡素化の趣旨に沿いましていろいろと機構行政サービスあり方を十分検討してまいり、そのときまでにどうするかということの結論を得たい。いずれにせよ、この場合、法律的には改めて手続をとる必要があるというふうに考えております。  先生お話しの、これをやめる方向なのか存続する方向なのかということでございますけれども、その間に十分検討して、周りの客観的な情勢、地元とのいろいろな関連等も考えまして、行政サービスあり方等を十分踏まえまして考えていくということでございます。
  254. 前川旦

    前川委員 それではこの段階でもう一遍再検討考え直すという時期を明示してあるだけであって、それ以後どうするかということまで考えておいたのではないというように理解してよろしゅうございますか。
  255. 佐倉尚

    佐倉政府委員 「廃止するものとする。」というふうに書かれてございますので、その方向は一応現段階の判断としては示されているわけでございますが、先ほど申し上げましたのは、自動的に廃止されるということではなく、改めて手続をとる必要があるということを申し上げたわけでございます。その手続をとるまでに十分いろいろと検討して結論を得たいというふうに考えております。
  256. 前川旦

    前川委員 そうすると、検討するにしてもやめるということを前提にしての文言だ、こういうお話でしたね。そういうように理解していいのでしょうか。
  257. 佐倉尚

    佐倉政府委員 「廃止するものとする。」というふうに表現されている以上、現段階における方針としましてはそちらの方向の判断であるというふうに御理解願いたいと思います。
  258. 前川旦

    前川委員 私は率直に言いまして非常に心配になります。いま八つのブロックに地方の局を区切っている省庁が多いですね。この八つのブロックというのはかなり定着した、合理性のあるブロックの分け方だと思うのです。ただ農水省は中国四国農政局で七つで、四国にありませんね。そこで、今度のこの改革案ではまず行管庁が四国の局をなくする。もう一つ出ていくのは、厚生省が四国地方医務局を廃止する。通産省は鉱山保安監督部を統合する。これは八ブロックをやがて七ブロックに統合するんだ。たとえばほかの省庁はありますよ。陸運局とか海運局。これは運輸省ですね。郵政もそう、建設省もそう。労働省。それから財務局もありますよ。国税局もあります。通産局もある。法務省もある。いろいろな省庁、八つで四国にあるのですよ、ちゃんと。これを将来七つに統合して、四国から各省庁が撤退していくんだ、そういう方向であなた方は行革考えていらっしゃるんじゃないだろうか。となると、これは四国にとってもゆゆしい問題なんですね。それがこの辺ににじみ出ているように思うのですが、そうでなければいいのです。そうでなければきっぱりと、そうではないと否定していただければ、私は安心ができるのですけれども、そうでないと、ここから出てくる感じは、やがて何年か先には次々と各省とも中国に統合されていくんではないだろうか、その布石が始まっているということで非常に心配になるのです。その辺、長官のお考えを聞いて安心をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  259. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四国は大事なところでございまして、きっぱりとそういう方針を持っていないと申し上げます。
  260. 前川旦

    前川委員 これも長官にお伺いしておきたいと思います。  「地方支分部局整理再編成について」という五十五年三月二十八日の閣議決定の文章は「簡素にして効率的な体制」という文言が入っていますね。再々言われております。しかし、行政サービスを低下させるのであればだれでもできるとぼくは思うのですよ。行政サービスを低下させないで、一生懸命むだを削って、そして簡素にして効率化する。この言葉の前提には国民に対する行政サービスは低下させませんよ、これが前提になっての「簡素にして効率的な体制」だろう、そうでないとどうもおかしいのではないか。サービスは低下させますよ、人も減らしますよ、これは簡単な話ですよね。サービスを低下さすといえば、それは幾らでも、だれでもできるということになりますが、そこのところが私は政治家の腕の見せどころではないかと思いますが、その点について行政サービスは低下させないんだということが基本原則なんだということが言えるかどうか、長官、いかがでしょうか。
  261. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革の場合は、行政サービスを低下させてやるということはむずかしいのであります。それならみんなもう反抗して引き受けてくれませんから。だから、できるだけ低下させないでこれを改革するということがやはり通る道ではないか。そういう配慮を持って、四国の場合におきましても最善を尽くして、できるだけ低下させないように配慮をしていきたい、そう思います。
  262. 前川旦

    前川委員 長官は香川県に若いころいらっしゃいましてずいぶん事情も御存じだと思いますし、率直に言いまして大変ファンも多いのです。  それはそれとして、私は、整理をしてなぜ広島とくっつけるのですか、ここが一番わからない。長官は高松にいらっしゃったから御理解できると思いますが、四国は大阪の経済圏なんです。広島の経済圏じゃないのです。ですから、恐らく大阪に行ったことのない人はおりません。でも広島に行ったことのない人はたくさんいるのです。  たとえば、私はちょっと汽車の時間表で調べてきたのですけれども、交通の便一つとってみても、どれだけ広島にくっついているだろうか。たとえば船の例を挙げてみますと、高松から大阪へ行くのは一日三往復あります。神戸まで入れると一日八往復になります。阪神の経済圏というと八往復になります。徳島は、大阪八往復、神戸十二往復。阪神ということになりますと、徳島−阪神は船の便が一日二十往復、高知は大阪と一往復です。ところが広島と高松とか広島と徳島とか広島と高知とかいう便はないのですよ。ただお向かいの松山には観光翼船が、小さいフェリーとそれから水中翼船が一日に二十幾つか通っております。これは経済なんかの動脈ではありません。  飛行機の便を見てみますと、これは四国には全日空あるいは国内航空が入っておりますが、高松—大阪間一日十往復、徳島—大阪間一日十一往復、高知—大阪間一日二十二往復、松山—大阪間一日六往復。しかし高松—広島間、高知−広島間、徳島—広島間なんてありませんね。飛行機の便、全くありません。完全に大阪の経済圏。  新幹線だってそうですね。たとえば、どちらへ行くにしてもまず四国から岡山へ出なければいけませんが、岡山から大阪までの上りは一日に六十八本利用できます。広島までの下りは十七本減って五十一本しかありません。四国の三県は完全に、香川、徳島、高知は大阪の経済圏なんです。広島というと非常に足が不便なんですね。なぜ広島にくっつけるのでしょうか。まだ大阪にくっつけた方がずっと簡素化ができるのではないだろうか。恐らくこれは、皆さんの頭の中には小学校のときに習った地図の観念しかないのではないだろうか。たとえば関東地方、近畿地方、中四国地方、九州地方、経済圏で物を見て合理的に考えていくという頭がないのではないだろうかと疑いたくなるのです。これほど大阪の経済圏にくっついているのは、これは長官よく御存じです。後にも出てきます。厚生省も通産省も同じなんですよ。なぜ広島へ広島へ、むだなところ、むだなところへくっつけようとするのですか。恐らく出張するにしても何にしても、これは大変な時間のロスが出ます。時間のロスが出ると、旅費その他のロスも出るし、行政サービスも低下するだろうと思う。その辺のことを考慮に入れなかったのでしょうか、どうでしょうか。これはどなたでも結構ですが、答えてください。
  263. 林伸樹

    ○林政府委員 お答えいたします。  確かに人の行き来等の面で先生のおっしゃる事実はあるわけでございますが、私ども四国がまず一つのブロックである、中国がもう一つのブロックであるということもありますけれども、瀬戸内をはさんで歴史的にも非常につながりがあり、現在でも行政上の問題でも瀬戸内海を中心にしましていろんな問題が起こっているとか、あるいは山陽と四国の間でだんだんと交通の便が発達しているとかというようなことをいろいろ考えました。  もう一つは、先ほど申しました中国管区、四国管区の管内の面積なり行政機関の数なりその他いろいろなことを考えまして、中国四国を一緒にするのかなということで、大多数の常識的な意見がそういうことに落ちついたということで、論理的には非常にむずかしいのでございますが、そういうことに落ちついたわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  264. 前川旦

    前川委員 私はいまの答弁は答弁になっていないと思いますよ。やはり簡素にして合理的に考えるのであれば、経済の流れ、人の流れ、交通の流れというものをちゃんと考えなければいけません、むだを省くということですから。これも答える方いないのですか。やがて本四架橋がつきますというのですけれども、本四架橋がついて国鉄が乗りますと、四国発の大阪行きとか東京行きとかはありますよ。四国発の広島行きとかなんとかというのはきっとできないでしょう。まだ具体化しておりませんけれども、恐らくはそう思いますよ。ますます大阪の経済圏に近くなっていくということで、四国はこれから瀬戸大橋その他の架橋にどう対応するか、みんな地元で考えていますが、それは大阪の経済圏との間で考えているのであって、広島の経済圏と競合することを考えておるのは、香川県庁にも徳島県庁にも高知県庁にもいないのですね。ですから、これはぼくはもう少し合理的に考え直す必要がありますので、どうかひとつ五年後に見直すというのであれば、宿題として考えておいていただきたいと思います。大変むだになるということをぼくは予言しておきます。  それでは、いろいろ長官からいい御答弁もいただきましたから、次は厚生省いらっしゃいますか。厚生省にも、まずこの質問をしておきます。  なぜ廃止するのに四国の医務局を選んだのですか。これも四国のぼくらの住民の感情を逆なでするような発想だと思うのですが、なぜお選びになりましたか。
  265. 山本純男

    ○山本説明員 私どもの地方医務局は八つのブロックに分かれて現在仕事をいたしておりますけれども、それぞれのブロックの区分というものは、地理的な問題、さらには経済、社会的な問題を含めまして区分をすると同時に、それぞれのブロックがお互いにバランスのとれた仕事をするという配慮をしながら区分してあろうかと思いますが、その際、行政改革という非常に大きな命題の前に、一つの支分部局をいずれかのブロックに統合するという場合には、統合後のブロック区分、これが七つになるわけでございますが、これがやはりいま申し上げましたようないろいろな事情並びに規模の上でもバランスのとれたものになることが望ましい。たとえば余り大きくなりますと、やはりブロックの形としても業務の上に円滑でない面も出てこようか、そういうもろもろの事情を考えまして、四国を中国ブロックに統合する形で考えたということでございます。
  266. 前川旦

    前川委員 いろいろおっしゃいましたけれども、ぼくは答弁になっているようには思いません。いろいろな事情を勘案しているだけですね、中身を洗ってみると。どういう事情なのかとぼくが突っ込んで聞いても、なかなかお答えにくいんじゃないでしょうか。そんなに勘案してと言っても、結局、問題は一番小さいからここをやろうということに尽きるんだろうと思いますよ。  そこで、厚生省の方針として、先ほど行管長官があれほどはっきりお答えいただきましたので、ここでも生首を切らないとか強制配転はしないとかいうことはちょっと確約をしていただきたいと思います。いかがですか。
  267. 山本純男

    ○山本説明員 私どもも長官の仰せになったとおりの方針でおりまして、従来からそういう人事上の問題につきましては、もろもろの客観的な事情なり御本人の家庭環境、そういうものにも十分配慮してまいったわけでございまして、そのような人事上の慣行をこれを契機に曲げるということは全く考えておりません。
  268. 前川旦

    前川委員 いままでは四国の範囲で転勤をしていればよかったのです。そうしますと、たとえば高松と徳島なんというのは近いですから、車ででもそんなに長い時間かかりません。しかし、今度は中国地方まで転勤の範囲が広がりますね。それを非常に不安に思っている方も多いわけです。単身赴任ということになると仕事になかなか身が入らないということもできてくるだろうというふうに思います。特に厚生省の場合は病院、療養所等ですから、婦人の働く人が多いですね。総婦長さんなんか、各県をぐるぐる回るわけでしょう。これがいままで四国で回っておれたからよかったのに、今度は中国まで広がるということになると、これは非常に心配です。ですから、どうかそういう意味で、いままで四国にいた者はなるべく四国でおれるように、遠いところへ飛ばされるということのないように、そういう配慮を十分していただきたいと思います。これが一点、お答えいただきたい。  もう一つは、四国は対象になる施設が十二カ所ですね。病院が三、療養所八、ハンセン氏病の療養所が一ですか。十二カ所であれば手にとるようにわかるわけです。ですから適材適所に人物を配置できるのです。これが中・四国三十八カ所に対象が広がるということになると、きめ細かい人事はできないのではないだろうか。特にハンセン氏病の療養所が一つありますが、ここは長期あるいは終身の患者が対象です。やはりハンセン氏病のことがわかり、情熱を持った人が来てほしいのです。いやいやながら飛ばされて意欲のない人が、万に一ないと思いますが、もし仮に来るということになれば、これは非常に困る。そういう心配を患者たちはしているのですよ。その辺のことを十分配慮した血の通った取り組みをしていただけるかどうか、お約束していただけるかどうか。この点、いかがです。
  269. 山本純男

    ○山本説明員 三つ仰せがございましたのは、すべて関連していると考えておりますが、やはり人事の問題と申しますのは、それぞれの地域のもろもろの実情までも十分に踏まえまして、さらには一人一人の職員の家庭の事情等にも十分配意しながらやらなければいけない性質のものだと考えておりますので、これが中・四国という単位にまとまったといたしましても、やはり四国に所在する施設の人事につきましては、四国の事情を十分に理解する人が責任をもって対処すべきだと考えております。そのためには、たとえば法律制度の上で人事権を全面的に四国に委任するという形がとれるかどうかは、これからまだ十分詰めなければなりませんけれども、いずれにしても、四国の支局に十分責任をもってそういう判断をできるセクションなり人を配置いたしまして、その人の意見が人事の上に十分反映されるように、これは私の方でお約束をいたします。
  270. 前川旦

    前川委員 もう一つ、たとえばこれは行政サービスの問題ですが、施設の工事費の高いものは地方医務局で設計、監督するのだろうと思いますが、それができ上がれば、工事の監督も地方医務局から出ていって調べたのだろうと思いますが、これはこういう問題ですね。広島まで一々行くとなったら大変なんです。ですから、権限の委譲はどうなりますか。いままでの権限はそのまま置いておいていただきたいと思うのですが、その点、いまどう考えていらっしゃいますか。
  271. 山本純男

    ○山本説明員 まず権限の点につきましては、現在折衝中でございまして、そういう地元と密着した業務につきましては、なるべく権限を支局に委譲する形の組織に持っていくように折衝を続けております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 さらにそういう施設の建設あるいは監督という問題につきましては、従来からも地元の建設業者その他を十分に活用するという方針を、これはブロックとかそういう区分その他に必ずしもかかわりなく配慮してまいりましたので、いずれにしても、そういう点について地元との間の円滑が欠けるとか、あるいは手続だけのために非常に繁雑になるというようなことは極力避けるように工夫をしてまいりたいと思っております。
  272. 前川旦

    前川委員 ここでも厚生省としては行政サービスを低下させないように、きっぱりとお答えをもう一度いただきたいと思います。  それから、施設の側から言いますと、医務局との関係がやはり薄くなるのではないだろうか。それが非常に心配です。たとえばハンセン氏病の大島青松園の例で言いますと、あそこはかなり施設が老朽しております。老朽化しておる施設が多い。そこで患者の人たちはできるだけ医務局の人に施設の実情を見てもらいたい、老朽施設などを現に目で見てもらいたい、そして血の通った対策をとってもらいたい、こういう願いが強いのです。ところが、いままでであれば高松から気楽に来れました。これから来てくれることが少なくなるのではないだろうか。広島から来るとしたら大島青松園だけ行くわけにいきませんから、出張でも三、四カ所かけ持ちで行くということになりますね。そうすると、青松園というのは島ですから、海が荒れるときもあります、霧がかかることもあります。いま年間二十八日から三十日くらい欠航するのですよ。かけ持ちで来られると、欠航した、じゃまた次だと言って次の視察に行ってしまうのじゃないだろうか。ということは、いままで見てくれていたのに見てくれる回数が少なくなるのじゃないだろうか、施設の実情を生で聞いてもらえるチャンスが少なくなるのじゃないだろうか、このことを非常に心配をしているのです。その点絶対そういう心配は要らないというお約束をしていただけるかどうか、いかがでしょうか。
  273. 山本純男

    ○山本説明員 いま御質問のございました施設の整備その他というものは、支局が必要な調査をするようなことはございますけれども、最終的な判断は私ども厚生省医務局の担当の課がございまして、そこで全国の二百五十に余る病院、療養所の全体をながめ渡して必要の度合い、公平さということを頭に置いて進めておるわけでございますから、そのために必要な調査あるいは実地の視察その他というものをいまよりも少なくするということは絶対にございません。必要な調査その他はいままでどおりに公平にさせるという方針でございます。
  274. 前川旦

    前川委員 いままでどおりにちゃんとやるとはっきりお答えいただいたので、それはそれでいいのですが、しかし、考えてみると、旅費とか時間とか、広島に行くことによってずいぶんむだができてきます。これは法の趣旨に反することになりますので、権限委譲を含めて本当に血の通った対応をしていただきたい。絶対にいままでより落ちることのないようにしてもらいたいと思う。どうかその点もう一遍決意をおっしゃってください。
  275. 山本純男

    ○山本説明員 支局の組織をできる限り充実することによって、まずは御要望に沿えるように努力いたしますほか、中四国医務局長はどうしても広島におるわけでありまして、局長が直接視察をする回数は、やはり管轄が広がりますと従来よりはある程度ノルマを下げざるを得ないのかもしれません。しかし、ほかには中四国合わせましたよりも多い病院、療養所を監督しておる局もございますし、また地理的にも間に海はございませんけれどもなかなか往復に時間のかかる施設を持ったブロックもございますので、局長なり幹部の人には大いにがんばってもらいたいと思いますし、それの足らざる部分は支局の充実ということで対処していきたい、そういうふうに考えております。
  276. 前川旦

    前川委員 厚生省、結構です。  通産省にお伺いしますが、ここでもなぜ鉱山保安監督部を対象としたのですか。特に四国を選んでいる。この点お答えください。
  277. 植田守昭

    ○植田政府委員 お答えいたします  私どものブロック機関の再編成をどこにするかということにつきましては、行政管理庁とも協議いたしまして、いろいろ検討を行ったわけでございますが、今回は名古屋と大阪、広島と四国につきましてそれぞれ統合ということになっております。これにつきましては、その業務の面から言いまして相互に関連性がある、あるいはまた広域的運営の便宜というふうなことも考えまして、この二つの統合ということを考えたわけでございます。  たとえば名古屋と大阪につきましては、耐火粘土とか珪石の仕事がお互いに相当部分を占めておりますし、カドミ公害ということも両者でかなり共通した問題になっております。広島と四国につきましては、石灰石鉱山あたりがかなりの中心部をなしているとか、あるいは瀬戸内海に近接する製錬所からの排水問題、煙の対策ということでかなり業務の関連性があることも考慮いたしまして、これらの統合をそれぞれ行うようにしたというのが実情でございます。
  278. 前川旦

    前川委員 納得できるお答えではありませんが、平行線の議論になってしまいます。  そこで、鉱山の事故率あるいは発生数というのはいまどう推移しているのか、他の産業と比べてどうなっているのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  279. 植田守昭

    ○植田政府委員 鉱山の事故の発生率につきましては、一つのとり方といたしまして、百万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者数という指標がとられております。これを労働省調べでちょっと申し上げますと、五十四年の数字でございますが、三・六五というのが産業の合計でございます。これに対しまして鉱業の場合は二四・〇八という数字になっております。なお、鉱業の中でも幾つか分けますと、特に高いのが石炭鉱業でございまして三四・七五でございますが、金属鉱業は六・五六、非金属鉱業が三・三五という数字になっております。
  280. 前川旦

    前川委員 事故の発生数の推移はどうでしょうか。いま数字出ますか。
  281. 植田守昭

    ○植田政府委員 これは札幌から那覇に至るまでの全国すべての合計でございますが、災害の発生件数で申し上げますと、昭和五十四年千八百五十七件でございます。なお時系列的に見ますと、五十年が三千二百十二件と相なっております。
  282. 前川旦

    前川委員 事故の発生率が他産業に比べて高い、そして年々発生数は減ってきているのは事実です。これは一つには通産省の皆さん方、鉱山保安監督部関係の皆さんの努力と企業の努力が相まってだんだん減ってきているんだろうとは思うのです。しかし、減ってきているといっても、依然として高い率の発生数があります。したがって、まず人間の災害を防ぐという意味から、鉱山保安監督業務を手抜きしていいという結論はどこからも出てきませんね。むしろ人命のことですから重視する必要がある。その点いかがですか。
  283. 植田守昭

    ○植田政府委員 保安行政は、御指摘のように人命にかかわる問題でございますから、私どももそれは十分注意をして重点的に行っていかなければならないと考えております。
  284. 前川旦

    前川委員 私が質問したのは、保安監督行政必要性は減っていない、いま手抜きしていい、撤退していいというものではない、むしろ人命に関するものですからもっと力を入れなければいけない、そうではありませんか、あなた合意なさいませんか、その点をお聞きしたのです。  ついでにもう一つお聞きしておきます。いまのは労働災害ですね。もう一つは、いま稼働している鉱山、休廃止している鉱山はどれぐらいあるのか、数字がわかれば教えていただきたい。それから、休廃止鉱山の点検はどれぐらいやっており、鉱害の防止はどれぐらいの数やっているのか。この辺、今度廃止になる監督部の管轄で数字が出れば報告していただきたい、こう思います。
  285. 植田守昭

    ○植田政府委員 先ほどの保安行政は今後とも手抜きしてはならないということは、全く同感でございます。  それから、ただいまの数字でございますが、まず稼行鉱山数でございますが、これは石炭とか亜炭鉱山を除きまして、五十四年十二月末現在で八百七十二でございます。  それから、休廃止鉱山でございますが、休廃止鉱山の中でいわゆる政策の対象にしているものというのが六百七十二ございます。六百七十二の中でいわゆる巡回検査の対象となっておりますのが四百七十二でございまして、あと二百はいわゆる補助対象事業として政策の対象にしているものでございます。  以上が全体の数字でございますが、四国と大阪につきましては、六百九十三という巡回検査の対象が調査時点で出ておりますが、その中で四国が五十六、大阪が九十八でございます。  それから、休廃止の八百九十三というのが調査の時点で出ておりますが、その内訳は休止中のものが六十。そのうち大阪が二、四国が二。廃止が八百三十三で、大阪が百十六、四国が五十八ということになっております。  なお、先ほど現在の数字を申しましたときに、巡回検査の対象と補助対象合わせて六百七十二と申しましたが、これは調査の途中で出ました数字より若干少なくなっております。これは行政の対応が進みまして、一応対象外に外してもいいというものが少しずつ出てきておりますので、その点は若干時の経過とともに数字が少なくなっているという点がございます。
  286. 前川旦

    前川委員 私はいまの最初の答弁に非常に不満です。いまのは鉱山保安業務を後退させてはならないという答弁でしたね。非常に消極的な答弁。  たとえば、通産省は毎年予算編成の前に基本的な方針を発表しますね。私ここに資料として持ってきております「通産ジャーナル」の十月号に載っておりますが、「昭和五十六年度通商産業政策の重点活力ある社会と経済安全保障を目指して」、これは昭和五十六年度を目指しておたくが出した基本方針です。この中には「鉱害防止対策の強化」、「強化」ですよ、後退させてはならないなどというそんな言葉じゃないですよ。題が「鉱害防止対策の強化」「金属、石炭、石油鉱業における鉱害の発生を防止するため、監督、検査の強化を図るとともに、」という言葉があります。あなた方は五十六年の方針として強化を図るという方針を出されておられる。そのとおりですね。そうでしょう。  それから、これはちょっと古くなりますが、第七十一回国会、昭和四十八年三月二十八日衆議院商工委員会の金属鉱業等鉱害対策特別措置法案に対する附帯決議として「蓄積鉱害源を早急かつ確実に処理するため、休廃止鉱山の鉱害調査を一層促進するとともに、鉱害防止に関する指導監督を強化すること。」というのが出ております。この附帯決議は死んでいるわけじゃないのでしょう、生きてますね。事情はちっとも変わってない。そしてあなた方はそれを受けて、昭和五十六年度には鉱害防止対策は強化するとはっきり打ち出しておられます。後退させてはならないなどという答弁をあなたはされたけれども、違うでしょう、もっと積極的だったわけでしょう。どうしていまそんな後退させてはならないという消極的な話になったのですか、おかしいじゃないですか。
  287. 植田守昭

    ○植田政府委員 あるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、私どもも、まさにその五十六年度の基本方針にも出ておりますように、ますます強化していかねばならないということは同感でございます。そういう趣旨で、たとえば従来も補助率の向上等も行ってきておりますし、それから予算も増額要求しております。そういう点で、人命にかかわる問題でございますので、私どもは今後とも充実強化していくという気持ちに変わりないことは先生おっしゃるとおりでございます。
  288. 前川旦

    前川委員 いま動いている鉱山、これは労働災害等防がなければいけませんね。それから鉱害、これもあります。これも防がなければいけない。それから製錬所、これも鉱害を防がなければいけませんが、厄介なのは休廃止鉱山、これはいま掘るのをやめているから何もしないでいいのだというわけじゃないのですね。これが鉱害をまき散らす可能性が非常に強い。たとえばここにも資料ありますが、伊豆大島の地震のときには、シアンの濁流が大量に流出して駿河湾を汚染したという例もありました。これは昭和五十三年一月十七日の新聞に出ています。たとえ一たん鉱害防止措置をとった鉱山でも、事後の点検がやはり必要になると思いますよ。そういう意味では、鉱山保安業務はますます大事にされなければいけないと思います。  それから、エネルギー関係のいろいろな問題ですが、エネルギーの自立を図るためには、日本の石炭を見直さなければいけないとか、あるいはもっと鉱物資源を見直して自立を図らなければいけないという提言がいろいろな面からされています。となると、いま残っている、これから掘り出す鉱山なんというのは、海の下とかそんなところが多いのだろうと思いますが、ますます鉱山保安業務の必要性がこれからふえてくるだろう、エネルギー対策の上からも。くどいようですけれども、その必要性がますます大きくなると思いますが、あなたもそういうふうにお考えになりますか。同意されますか。
  289. 植田守昭

    ○植田政府委員 たとえば、御指摘のように石炭等におきましてはますます深部化が進んでおりますし、そういったこともございまして、保安行政、これは人命にかかわることでございますから、ますますその辺に十分な、たとえば合理的な方法があれば機械その他を必要とすることもありましょうし、そういった面で新しい状況に応じて十分対応していかなければいかぬ。そういう意味で、御趣旨のように保安行政は今後ともますます強化していかなければならない。一生懸命やっていかなければならないというふうに考えます。
  290. 前川旦

    前川委員 それでは多少細かく伺いますが、この法案が通れば中・四国鉱山保安監督部四国支部という名前になるのですね。それじゃその内容と機構はどう変わるのか。これは非常に心配になるところです。  そこで、ここでもまず通産省の方針として確認しておきたい。先ほど行管長官もきっぱりおっしゃいました。生首は切らない、強制配転はしない、その方針を確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  291. 植田守昭

    ○植田政府委員 私どももいわゆる生首を切るとかあるいは強制配転をするとかということは考えておりません。
  292. 前川旦

    前川委員 行政サービスを落としていただきたくない。ますます必要性があるというお話でしたから、鉱山保安業務というのはこれからますます大事なんだ。ですから、行政サービスを落としてほしくない。具体的にはいま三つ課がありますが、この三つの課、そのまま機構は置いておくのか。あるいはいま配置されている鉱務監督官の数は減らすようなことはないと思います。あっては困ると思いますが、この数はどうするのか、定員はどうなるのか、いろいろこれは心配になるところです。  そこで、いまの機構、いまの定員、いまの鉱務監督官の配置等が削られていくと、やはり現実に行政サービスを落とすことになると思います。まして、はっきり言ってここは整理、縮小と言ったか合理化と言われましたか、管理部門は持っていないのじゃないでしょうか、なかったと思いますが、そういう意味で、そういうものを踏まえた上で行政サービスは落としませんと約束していただけるかどうか。行政サービスを落とすなんということはいけませんよ。ですから、従来の行政サービスを落とすことはありませんと言っていただくとぼくらも安心できるのですが、いかがでしょうか。
  293. 植田守昭

    ○植田政府委員 先ほどからお話が出ておりますように、事は保安でございますので、その業務がある限り私どもこれに十分対処していかなければならないわけでございます。今後とも行政サービスを落とさないように努めていくということが私どもの考え方でございます。
  294. 前川旦

    前川委員 くどいようですけれども、まだ若干時間がありますから、もう一つ確認しておきます。  機構というかスタッフというか鉱務監督官の配置数というか、これは将来も縮小するということはない、将来縮小する計画はない、私はここを明らかにしていただきたいと思うのです。  なぜならば、事故が起きますと、この監督官ですか、すぐ現場へ飛んでいくのです。飛んでいって指揮するわけでしょう。急いで行かなければいかぬわけですね、山奥の現場でもどこでも。こういうふうに話を聞いております。これが高松におれば汽車もあるし車もありますからさっと行けるのですよ。ところが広島にいれば、海があるというのは決定的に時間のおくれになるのです。一番ひどいのは濃霧とかあらしです。船がよくとまります。橋がついて今度は国鉄が入るじゃないか、何年か後にはと言われるかもしれないけれども、海が濃霧で船がとまるようなときには、汽車だってダイヤが大乱れなのです。これはつり橋ですからそろそろと徐行しなければ危なくて通れません。まして台風のときにはつり橋は揺れますから、汽車はストップになるのです。ですから、残念ですけれどもしょっちゅう四国は陸の孤島になりまして交通が途絶えることがあるのですよ。それを四国の高知県の鉱山が爆発を起こした。広島から宇野まで行った。濃霧で船が出ない。こういうことになると私は大変だと思うのです。それがありますので、特にこの鉱務監督官は減らすというようなことはどうか考えないでほしい、広島へ持っていくというようなことは考えないでほしい。それはすぐサービスの低下にストレートにつながる。そのことを非常に心配している。そのことはどうですか。
  295. 植田守昭

    ○植田政府委員 今後は、先ほど申しましたように、いわゆる広島とそれから四国の支部ということになるわけでございますが、しかし、一々四国の管内で起こる事態に際しまして遠くから行くというふうなことでは、おっしゃいますように、従来以上に能率が下がってしまうわけでございますので、私どもは、四国の中にはやはり今後とも行政需要があるわけでございますから、その行政需要に応じた対応が十分できますように、たとえば内部的な事務委任等を行いまして、四国は四国で従来のように対処できるというふうな体制に持っていきたいというふうに考えております。そういう意味で、四国に起こった行政需要には対応できるような体制ということが基本になろうかと思います。
  296. 前川旦

    前川委員 ちょっと待ってください。私は鉱務監督官を具体的にいま問題にしまして、事故が起こったような場合、広島から出てくるには大変ですから、これは端的にサービスの低下になりますから、そういうととがないようにしてほしいと言ったのです。具体的に鉱務監督官を名指しで言ったわけですが、その点いかがですか。
  297. 植田守昭

    ○植田政府委員 基本的にはただいま申しましたようなことでございますが、なお今後の問題につきましては、先ほど来出ておりますが、先生も先ほど御指摘になっておりました閣議決定で、いわゆる「合理化に努め、簡素にして効率的な体制をとるものとする。」というのが内閣の基本的な方針になっているわけでございます。したがいまして、私どもは今後の問題につきましては、もちろんそういった関係部局と十分協議していくことになるわけでございますが、その際、私どもといたしましては、鉱山保安行政の実態を十分説明いたしまして、先ほどから御指摘のあります行政サービスの低下を招かないように努めていく、こういう考え方でおります。したがいまして、関係のところとは十分協議はしなければなりませんけれども、私どもは鉱山保安行政の遂行に支障のない体制を維持していくという観点から努力していきたいというふうに考えております。
  298. 前川旦

    前川委員 いまいろいろやりとりしておりましたけれども、こういう鉱山の保安を、いまわずかな節約をするために手抜きをして、そのことでもし事故が起きるようなことがあれば、これは後で非常な損失を招くわけです。その辺を考慮していただいて、行管も、こういう人命に関係のある面は、その行政サービスが落ちるようなことがないように配慮していただきたい。いま通産省も、本当はすぱっと答えたいのだろうけれども、あちこち遠慮して、大蔵省に遠慮したり行管にも遠慮したりして、何かはっきり物が言えないような感じがしましたが、そうではないかしら。行管さん、どうですか。
  299. 佐倉尚

    佐倉政府委員 住民への行政サービスの低下を防ぐ、最小限度にとめるということは、行政の質、態様、行政需要の形等に応じまして、先生のお話を聞きまして、十分検討させていただきたいと思います。
  300. 前川旦

    前川委員 サービスを低下させないだけの監督官はちゃんとそろえておいてほしい、こう言っているのです。通産省、危険を防止するのに必要な監督官はちゃんとそろえておいてもらいたい、この点、合意できませんか。そう要望しているのです。先のことはわからぬというのじゃなくて、はっきり返事していただきたいのです。
  301. 植田守昭

    ○植田政府委員 私どもは、いずれにしましても、先ほどからいろいろ申し上げておりますが、行政需要に応じた対応は十分できるようにしていきたい、これが基本でございます。人数は、いまここで絶対数を何人とかということは、今後の行政需要はもちろん、保安行政が重要であるということは、まさに先ほど先生のお言葉どおりでございますが、たとえば鉱山数の今後の推移でございますとか、いろいろなファクターがございますので、要は、そういった行政需要に応じたものは十分確保していきたい、こういう考え方でございます。
  302. 前川旦

    前川委員 もう一つ、これも行政サービスの範囲に入りますが、権限はどうなるのか、広島と統合されました後の権限はどうなるのか。これは一つの例ですけれども、たとえば四国の四県内の鉱業権者、つまり鉱業をやっている会社、ここから申請が来た、この書類の流れをちょっと考えてみますと、まずこの申請は四国の通商産業局長にあてて出される。四国の通商産業局長は四国鉱山保安監督部長と協議をする。そして四国鉱山保安監督部長が四国通商産業局長に回答する。そして四国通商産業局長から認可が鉱業権者におりる、こういうふうに許認可の場合動くんだろうと思うのです。これはいままでの例です。これが権限を広島に持っていきますと、四国四県内の鉱業権者から何らかの認可の申請が出る。四国の通産局長が受け取る。いままで同じ庁舎の中で四国鉱山保安監督部長と協議すればよかった。同じ庁舎の中ですから歩いて一分もかからない。これが一遍広島に行かなければいけない。広島に郵送される。広島の中国四国鉱山保安監督部長から今度は逆に四国支部で審査しなさいという審査の指示が来る、戻ってくる。そうして今度は四国支部で審査して、その結果をまた広島へ回答する。それで広島から今度は四国の通商産業局長あてに回答がくる。そして四国通商産業局長から申請者の鉱業権者に認可がおりる。高松から広島へ、広島から高松へ、また高松から広島へ、そして広島から高松へ、こんなふうになるのではないか、非常に心配なんですよ。いままで同じ庁舎の中でさっさっといっていたやつが何回も往復しなければいけない。複雑化になります。それは権限をどの程度置くかという問題になると思うのですよ。その権限をどう考えられるのか。今度統合した後に、そういう複雑なことになって、簡素化にも合理化にもならぬようなことになったのでは意味がないですから、それをどう考えていらっしゃるのか、その権限の問題をお伺いいたします。
  303. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいまのは施業案の件かもしれませんが、個々の具体的なことにつきましていまここで正確にお答えできるかどうかわかりませんが、私どもの基本的な考え方は、鉱山保安法に基づきます権限を内部的に事務委任いたしまして、それで支部におきましてできるだけ従来と同じような処理で事が済むようにしたい、これが基本的な考え方でございます。私もいま直ちに一つ一つの郵便がどうなるかというところまであれできませんが、考え方はまさにそういうことでございますので、先生の御心配でございますけれども、私どもといたしましては、支部長限りでできるようなことを旨といたします事務委任をしたいというのがこの鉱山保安法関係、御指摘のようないろいろな権限がございますので、この保安法関係の権限につきましてはそういった基本的な考え方で詰めていきたい、こういうふうに考えております。
  304. 前川旦

    前川委員 残念ですが、時間が大分オーバーいたしましたので、これで終わります。
  305. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 中西績介君。
  306. 中西績介

    中西(績)委員 時間の関係もございますので、簡潔に御答弁願いたいと思います。  まず長官にお聞きしたいと思いますけれども、行政管理庁が五十五年九月十二日に出されております「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、この中に改革の目標なりあるいは当面措置すべき事項なりいろいろ出ておりますけれども、これを見ますと、大平内閣時代の目標、簡単に言いますと簡素化だとか効率化、人減らしを中心とする機械的なものであり、しかもごろ合わせみたいなものが多かったわけでありますけれども、こういうものと、今度出されたこの八〇年代に向けて長期的かつ総合的な視点に立ってどうあるべきかという内容がこの中には含まれるだろうと思います。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 ということになってまいりますと、いままでなかった「行政に関する哲学と体系を確立し、」云々というような表現に見受けられますように、相当の違いがあるわけであります。したがって、お答えを願いたいと思いますのは、十九日の新聞に出ておりますように、いよいよ第二次臨時調査会なるものを設置して、これから委員の人選等に踏み出すということになっておるようでありますけれども、この問題について目標をいつごろに設定をして、この臨調意見聴取なりこれを固めて具体的に手だてを施していくのはいつごろを目途としておられるのか、この点についてお答えいただきたいと思うのです。
  307. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 きょう党の調整が終わりましたから、次の閣議で御請議を願って、できましたら国会へ直ちに提出して御審議をお願いいたしたい、そういう段取りでおります。そして成立いたしましたら、できるだけ早期に人選等も終わって本年度内に発足させたい、そう思っております。でき得べくんば新春早々発足させるようにいたしたい。それでスピードアップして審議をしていただいて、そして二年で終わる。その間も総会を適宜開いていただいて中間的にも結論をお出しいただいて、それを実行に移すようにいたしたい、そのように思っております。
  308. 中西績介

    中西(績)委員 そこでいままでの例から言いますと、特に大臣の任期が内閣改造等がございまして、昨今の状況というのはほとんど一年以内程度くらいになってきていますね。したがって、いま言われたような問題等について絶えず一貫性ある方針なり何なりが持たれるかどうかということについて大変危惧するわけです。したがって、今回の場合には将来的にそういうものも含んで相当根回しをし、そして方針化されていくのかどうか。この点、どうでしょう。
  309. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 閣僚がかわり内閣がかわることはあるでしょうが、自民党は永遠である、そう信じております。
  310. 中西績介

    中西(績)委員 ところが自民党が永遠であるということは言っておるけれども、第一次臨調の出された方針などについては、私たち二年くらい前から文教委員会などで法人の問題等についても審議してまいりましたけれども、全くジグザグで一貫されたものはないのですね。そういうことを考え合わせていきますと、いま言われることが果たして私たちがまともに受けとめ得る中身かどうかということを大変危惧しておるわけです。この点どうですか。
  311. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調は料理のメニューみたいなものでありまして、四十項目にわたるごちそうが出た、それを歴代の内閣が自分はこのごちそうを選ぶ、自分はこのごちそうを選ぶ、そういうことで相次いであの中のものを相当数こなしてきた、そういうように思っております。約四十項目のうち、手をつけなかったのが九項目であって、あとは大なり小なり実行いたしてきた。第二次臨調の成果につきましても、もっと短日月にそれを遂行するように全力を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
  312. 中西績介

    中西(績)委員 いま答弁ありましたように、成立させて四カ月以内、そして来春にはこれを発足をさせ、二年以内を目標にしながらやる、こういう方針のようでありますけれども、そうなってまいりますと、お聞きしたいと思いますのは、「基本的な考え方」の中でずっと述べられておる中身を見ますと、「今後の行政改革検討課題」として出ております中に「当面の検討課題」として七項目にわたって出されております。そして、しかも二番目に「八〇年代以降を展望した新たな臨時行政調査会設置」これはいま説明がありましたので一応の理解がいくわけでありますが、いままでの臨調の場合には、いまあなたが答えられましたように、四十項目なり何項目なりの項目を設定して、それをメニューとして、その中をそれぞれが勝手に食っていったというような中身のようでありますけれども、今回の場合にはそうではなくて、基本的な問題から含めて、哲学的なものを十分すべての人が認識できるような体制の中で方針化していく、こういうことになってくると思うのですが、その点は間違いないですね。
  313. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 過去を踏まえまして、また八〇年、九〇年代の日本や国際情勢を踏まえまして、そういう認識の上にしっかりとした理論構成を持って基準をつくり、ドクトリンをつくって、そして案を作成していただく、そういう考えに立ちまして案をつくっていただきたいと思っております。
  314. 中西績介

    中西(績)委員 そうなってまいりますと、そこで「当面の検討課題」は七項目ございまして、まず一の「「行政サービス改革」の推進」から始まりましてずっとございます。私はこれを全部読ましていただいて、特に強く感じるのは、六項目目に「昭和五十五年行政改革の推進」というのがございます。これを見ますと、一から七までの間における方針的な考え方というものの中で何だかこれだけが奇異な感じがするわけなんです。この点はそうお考えになりませんか。
  315. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 八月の時点でこれからやろうとする考え方をまとめまして、宇野長官が残されました重大な事項が幾つか残っておるわけでございます。したがって、それを遂行すること、それからいわゆる第二次臨調以前に推進していくべき数項目、そして第二次臨調、こういうふうに区分けをしたわけでございます。いま御審議願っておりまするブロック機関整理法案も五十五年度行革推進の一環をなしておるわけでございます。
  316. 中西績介

    中西(績)委員 行政改革については、私たちも、内容的に合意できれば、この点は何ら反対する中身のものじゃないです。ただ問題は、いままでの第一次臨調で示されました点を、それぞれの内閣のときにそれぞれ各省庁なりいろいろなところでもって部分的に蚕食するみたいにしてこれを改革したりなんかして、いま聞きますと九項目が残っているだけというような言い方のようでありますけれども、その中の一つとしてこれもあるわけですね。この六項目に示されておる「五十五年行政改革」の問題が一つある。ということになってまいりますと、当面の課題としてあるといいますけれども、これからやはり八〇年代を目指し、そして方針化されていくということになってまいりますと、これをずっと読ませていただいても、これだけが何だか全体のバランスからいたしましても中身からいたしましてもそぐわないものがあると私は見ておるわけです。ということになってまいりますと、これをいま強行しなくてはならぬという理由は何もないのじゃないでしょうか。
  317. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほどお話がありましたように、内閣の継続性におきまして、前内閣の残した重要な政策をわれわれは継承して遂行すると鈴木内閣は言っておるのでございまして、その一環でもあります五十五年行革を遂行するということをやっておるわけでございます。しかし、それだけで行革は終わりではないのでありまして、新しい見地に立ってさらに努力を継続し倍加していくべき対象を探しまして、そしてそれ以外の六項目をつくりまして、それからいわゆる第二次臨調と言われる未来に向かっての展望を考えたわけでございます。
  318. 中西績介

    中西(績)委員 内閣の継続性、そしてそれを遂行するというお言葉でありますけれども、この継続問題については、これからやはりいままでの総反省なり総括の上に立って、行政改革がいかにあったかということがこの長い期間、約十数年にわたっての問題であっただけに、その反省の上に立ってこういう方針化していくということになれば、いま出されている「五十五年行政改革の推進」、これらの問題についても当然討議され、あるいは検討される課題ではないかと私は思うのです。ただ単に機械的に継続をすることがいまの内閣なり自民党の政策として当然なんだ、永遠だからそうしなくちゃならぬという理屈にはならぬのじゃないか。この点どうですか。
  319. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五十五年行革と言われる内容は、かなり画期的な内容を持っておりまして、行政を効率化し、そして能率化するためにも、また国民の御要望におこたえするためにも、どうしてもやり抜かなければならぬ内容がやり残されておりますから、引き続いてやろうと決心しておるものなのであります。
  320. 中西績介

    中西(績)委員 ただ、私が指摘をしておるのは、こうして出されておるこの中身というのは「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、そしてその文章の中身、それらを読んでみましても、なるほどと思われるものが相当ある。全部を是認するというわけにはまいらぬ点もありますけれども、一応うなずける中身が相当ある。そして「今後の行政改革検討課題」として出されておるこれらの問題については、当然過ぎるような中身も相当あるわけですね。ですから、いま手がけなくてはならない問題が何であるかということの視点が、この六項目の「五十五年行政改革の推進」が入ってくると、これら全般の問題とのかかわりからいたしますと非常に奇異な感じがするのです。そういう意味で私はお聞きしているわけなんです。ですから、何としてもここ一年あるいは二年の間に、先ほどお答えいただきましたように早急にやるとすれば、二年くらいでこれについて手がけられるような体制をつくり上げていくということでありますから、いまこれをすることがもし誤ったりあるいは後で後悔をしたりということになることよりも、こういう全面的な問題として方針化され、そしてこれを国民合意の中でやっていくということがいまきわめて重要な課題ではないか。この前文にありますように、行政改革というのがいま大きな国民課題としてあるという文章になって表現されておりますけれども、そうであればあるほど、このことはいまあるからやるんだということだけでなしに、もう少し軌道に乗せた中でどうなのかということをもう一度しんしゃくあるいは検討する課題ではないかということを、私はこれを読みまして強く感ずるわけなんですね。この点どうでしょう。
  321. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民的御要望、あるいは自民党が選挙で公約しました事々等を考えますと、行革にストップはない、政治に休息はない、そういうように感ずる次第であります。
  322. 中西績介

    中西(績)委員 行政改革にストップをかけろと私言っているわけじゃないのです。少なくともこうした基本方針と、これらの問題を具体化すること自体が、いままでなかったことを手がけるわけでありますから、このことは何もストップじゃなしに、むしろ——しかも二年くらいでこれをやるということになれば、具体化する、方針化されていくとなれば、これは大変な前進であるわけですね。そういう意味で私はお聞きしているわけなんです。この点、どうでしょう。
  323. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨は、新しい仕事に向かって充実した着実な仕事を開始せよという御趣旨のように解せられますが、やはりこの間の春の議会で廃案になりまして、その後解散、選挙という事態があって、そして自民党も国民に公約もいたしましたし、国民的御要望も強い、やりかけた仕事は重大な仕事である、そういう観点からいたしますと、これを無視して、抜きにして前進はできない。これをやり抜いてさらに前進を継続していく、そういう基本的構えに立っておるわけなのでございます。
  324. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、いまこの論議をしても相当時間もかかりますが、いずれにしても、公約である、あるいは廃案になった公約である、こういうことを理由にいたしまして、これを実施しながらということを言っておられますけれども、もしこれが実施をする場合に、内容的に問題であるといった場合には、このことはやはり普通常識的には取り上げて変更することだってあり得るわけなんですね。こういう点については、もう全くただ強行する、自民党としては選挙で公約をしたからこれをやるんだということを言っておるんですか。そこはどうでしょう。
  325. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もし間違っておることをしておれば、改めるにやぶさかではございません。しかし、われわれが出しておる政策は間違っているとは思いません。
  326. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、大蔵省にお聞きしたいと思うのですけれども、大蔵省の地方出先機関、国税局十一、税関八、財務局十ございます。このうち大蔵省として、財務局の役割りをどうお考えになっておるのか。
  327. 名本公洲

    ○名本説明員 私ども大蔵省といたしましては、財務局は国税それから関税を除きます大蔵省の所掌事項全体を処理する縫合的な地方出先機関でありまして、金融機関、証券関係の事務、それから国有財産事務等、非常に現地に密着しております業務、現業的な性格の業務につきまして、大蔵本省と地方とを結びます非常に重要なパイプ役を果たしているというふうに考えておるところでございます。
  328. 中西績介

    中西(績)委員 いま言われましたように、中央と地方における機関のあり方というのは、政策の徹底化、そして今度は地域のそういう要望なり要求なり問題点を速やかに中央に収集できるという体制、そういうものを中心に据えながら、いま言われましたように、この中では、この財務局というのは、いろいろ税金だとかそのほか二、三のあれを除くと、全部の面について所管しているということが言えるわけですね。この点間違いないですね。——うなずいておるから、もうよろしいです。  そうしますと、昭和二十四年——ここでは昭和で通していきたいと思うのですが、二十四年以前には、たとえば九州におきましても、熊本にありましたね。そしてこの時点で改正されて、福岡に設置案を提起をした結果、熊本へということもあって、参議院で修正をされて九州は二局置くようになる、これが経過だろうと思うのですけれども、そのときの経過の中の重要な部分は何であったか、なぜこう二局になったのか、この点についてどうですか。
  329. 名本公洲

    ○名本説明員 先生御指摘のように、昭和二十四年に財務局が国税局と分離いたしまして現在の体制の財務局になりますときに、参議院におきまして御修正がございまして、九州が二つのブロックに分かれたわけでございますが、そのときの経緯、これは何分古いことでございますけれども、議事録等を読んでみますと、国税局が置かれてあるところには置くのがよろしかろうというのが、一つの御修正をいただきました御理由であったというふうに理解をいたしております。
  330. 中西績介

    中西(績)委員 国税局のあるところに置いた方がいいということが主要な原因ですか。もう一度。
  331. 名本公洲

    ○名本説明員 二十四年の当時の参議院の内閣委員会におきます議事録を読んでみますと、その御修正をいただきました理由につきまして、「国税局の管轄区域と同一にすることが事務運営の能率上必要であるという理由であります。」というふうな速記になっておりますので、これがその理由であろうかというふうに考えます。
  332. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、議事録によれば、そういうように書いてあるというのですけれども、いまそのようにお考えですか。
  333. 名本公洲

    ○名本説明員 国税局と財務局におきまして取り扱います事務の内容が、片やいわゆる税でございまして、片やそれ以外の財政、金融、証券、国有財産等でございます。当時考えられていたほど国税局と財務局におきまして、情報の伝達その他におきまして密接な関係があるというようには言えないのではなかろうか、かように考えますが、いずれにしましても、大蔵省の出先機関でございますから、相互に連絡をとりながら行政をやっていくということは非常に重要なことであることは、これは間違いございません。
  334. 中西績介

    中西(績)委員 後半に言っていることは、密接ではないし、これはそこに置かれなくてはならぬという理由にはならぬわけです。なぜなら、二十四年に改正をする際に、福岡に置いて熊本には置かぬというのが大蔵省の原案であったわけですね。それがたまたま国会における審議の過程の中で、何の理由か知らないけれども、理由は国税局のあるところにということで置いたということになっておる。いま聞いてみましても、税金とこの出先機関である財務局とのかかわりというのはそんなに深いかかわりはない、これを置かなくちゃならぬという理由にはならぬですね。そのことは当然認めておるわけでしょう。どうですか。
  335. 名本公洲

    ○名本説明員 先生御指摘のように、昭和二十四年当時におきましては、財務局が国税の事務と現在の財務局の事務と両方兼ね備えた業務を行っておりました。したがいまして、当時これを分離するに当たりましては、現在実際の業務が行われている状態とは異なりまして、もっと密接な情報連絡その他、そういう相互の関連というものがあるであろうということを考えたことは、これは十分考えられることでございますが、現在の業務の執行状況から見ますと、昭和二十四年当時考えられて設置されたほど財務局と国税局の間に深いかかわり合いというものはないというのが実態であろうというふうに考えております。
  336. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、あくまでもこの財務局というものが、いままでの税務まで含んで仕事の量としてあった場合には、そのことは当然言えるけれども、しかし、それが分離をした過程の中では、このようにして福岡に設置をし、その後審議の過程の中で熊本ということになって二局になってきたということですね。ですから、直接関連あるものとしてでなくて、業務的なものからいたしますと、福岡の方が当時からの考え方からいたしましても問題として重要であるし、関連深いということで福岡という形になったというふうに理解してよろしいですか。
  337. 名本公洲

    ○名本説明員 昭和二十四年当時におきまして私どもが御提案申し上げましたのは福岡になっておりますので、当時におきましては福岡に置くことが適当であるというふうに判断されたことは間違いございません。
  338. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、今回の地方支分部局整理の中身で財務局をまたその対象に挙げたのは、大蔵省内ではどういう理由ですか。というのは、過去の定員の削減の数等を見てみましても、当時六千六百二十七人いたものを、五十三年ですか四年ですかになってまいりますと千五百人程度削減しておる結果になっていますね。ところが大蔵省全体の職員の数からいたしますと、六万七千五百六人が現在では六万八千二百五人になっています。ふえておるにもかかわらず、ここの部分は、毎年と言っていいかどうか知りませんけれども、たびあるごとに削減をしてきておるわけです。それなのにいままた改めてこの行政改革の中に財務局を対象としたのはどうしてですか。
  339. 名本公洲

    ○名本説明員 今回御提案申し上げておりますこの法案におきまして、財務局を対象といたしまして一局削減することになっておるわけでございますけれども、これにつきましては、昨年暮れのいわゆる行政改革に関します閣議決定におきまして、ブロック機関につきましては一定の基準に基づいてその数を減少していく、その際に大蔵省は財務局をその対象とするということになっておるわけでございまして、私ども大蔵省といたしましては、この閣議決定の趣旨に沿いまして、財務局の一局削減ということを決定した次第でございます。
  340. 中西績介

    中西(績)委員 それではもう一度確認をしますけれども、大蔵省としては、大蔵省がもしこのような整理をするということになれば財務局だということでなくて、これは行管庁の方なりから提起をして、そして閣議決定の中で大蔵省は財務局を整理せよ、こういうふうに言われたということですか。どうですか。
  341. 名本公洲

    ○名本説明員 内閣方針といたしまして、各省一局削減をしていくという方針があり、その中におきまして、大蔵省は財務局をその対象とするという政府全体としての方針のもとに、十ブロック体制を一局削減いたすことといたしている次第でございます。
  342. 中西績介

    中西(績)委員 わかりません。いま言われたのでは、政府全体としてこういうことを決めたということなんですが、確かに閣議決定すれば政府方針であるということはわかりますよ。しかし、この財務局を対象に挙げたのはどこが挙げたのですか、端的に聞きます。
  343. 名本公洲

    ○名本説明員 これは政府全体とし種々——まあこれは当然でございますが、行政管理庁が中心におなりになるわけでございますけれども、各省の出先各ブロック機関につきまして御検討をいただき、各省のブロック機関につきまして一局削減という御方針をお決めになり、その対象になるものとしては大蔵省は財務局であるということが提示をされ、それが政府としての方針ということになりました。その方針に従いまして、どの一局を削減いたすかということを私どもとしては検討をし、現在御提案申し上げておりますこの法案になっておるということでございます。
  344. 中西績介

    中西(績)委員 もう少しちゃんと答えなきゃだめですよ。最初から、大蔵省が財務局を対象に挙げた理由は何ですかということまで聞いておるのに、いや、そうじゃありません、これは閣議決定であって、政府全体で決めたことですとこう言い、そしていま聞くところによると、最後は大蔵省が提示をして、ブロック機関ということであれば大蔵省が提示をしたこの財務局ですと、こう言っているわけでしょう。もう一度確認しなければいけませんが、そこははっきり言ってくださいよ。ごまかしてはいかぬ。
  345. 名本公洲

    ○名本説明員 ただいま先生から、大蔵省から言うならば財務局をどうぞというふうに私がお答え申し上げたという御指摘でございましたですけれども、言葉が間違っておりましたら訂正させていただきますが、私はそのように申し上げたわけではございませんで、行政改革を行うに当たり、各省ブロック機関につきまして削減を図っていくという検討政府部内において種々なされた結果、大蔵省は財務局の一局を削減するようにという閣議決定を政府としていただいたわけでございます。
  346. 中西績介

    中西(績)委員 わかりました。そうしますと、大蔵省の意見なしに、これは政府全体として検討した結果、大蔵省は財務局をつぶしなさい、こういうふうに言ったということで理解をしてよろしいですか。これは確認しないと後に移れません。
  347. 名本公洲

    ○名本説明員 閣議決定におきまして財務局という名前が明示的に明示されました。その一局を削減するという方針政府として決まったわけでございまして、大蔵省としては、閣議決定で決まりました以上は、これを誠実に履行してまいるということは当然であるわけでございます。そういう観点から現在の法案を御提示申し上げているわけでございまして、私どもとしまして、もちろん閣議に大蔵大臣も出ておりますから、これにつきまして大蔵省といたしまして財務局でやむを得ないということで、大蔵大臣ももちろん入っております閣議の決定になったわけでございます。大蔵省としてそのような判断をするに当たりましては、いわゆる国税局、税金にかかわる問題、それから税関、通関にかかわる問題そういうような業務の現状等から見まして、最終的に政府方針として決まりました財務局について、一局大蔵省は削減をするという政府方針について、大蔵省としてこれを了承せざるを得ないというふうに考えたわけでございます。
  348. 中西績介

    中西(績)委員 審議官、ちゃんとしてもらわなければ困るのは、あなたはいま言うような答弁で、持って回ったような答弁で理解できるかもわからないけれども、私たちはそういうことでは理解できないわけですよ。もう少しはっきり物を言ってください。というのは、政府全体として検討した結果、大蔵省は財務局を整理をしなさい、こういうように言われたので、だから大蔵省はそのように従う以外ありませんという物の言い方なのです。私が聞いておるのは、大蔵省の意見は全然入らずにこういうことが決定されるのですか、こう聞いておるのです。なぜなら、なぜこの財務局が対象に上がったかわからぬからです。一番わかっておるのは大蔵省だと思うから私、聞いておるのです。
  349. 名本公洲

    ○名本説明員 財務局という名前が上がりまして、昨年末十二月二十八日の閣議決定が行われたわけでございます。閣議決定でございますからもちろん大蔵大臣も入っております。したがいまして、大蔵省として最終的にもその財務局の一局廃止ということがのめないということではないわけでございます。大蔵省は、御承知のように、先ほどお答え申し上げましたように、国税局、税関、財務局と持っております。その中で各省一律ブロック機関について削減するという一つの大方針があり、その中でどのように対処していくかということになりますと、国税局、税関というものの業務の性格から考えて、財務局について一局を削減するようにという方針は、最終的には了承せざるを得ないものということで閣議決定されたものでありまして、最終的に大蔵省としてそれについて了承していないということでは当然ございません。
  350. 中西績介

    中西(績)委員 集約しますと、大方針の中で示されたので、大蔵省としては国税局、税関、これをいまするということにはならぬ、したがって、財務局ならばよろしいということを大蔵大臣が納得して帰ったのでよろしい、こう言っているのですか。理由というのはそういうところにあるということを言っているのですか。もう幾ら聞いたってわかりませんから、今度は行管庁。  いま答弁していることを聞きますと、中身はどうもこれは大蔵省の主体でなしに、行管庁の方がこれを示されたのではないかという感じが非常に強くするのですね。そうしますと、私がお聞きしたいのは、財務局をなぜ対象にしたのか、この点について答えてください。
  351. 佐倉尚

    佐倉政府委員 大蔵省の財務局がブロック整理法案の対象になったというのは、昨年の年末の閣議決定でございますが、閣議決定でございますから、これは各省と協議の上、そういう閣議決定がなされているわけでございますので、私どもの方としましては、あそこに名前の上がっているものにつきましては、当然各省と協議して決めているわけでございます。
  352. 中西績介

    中西(績)委員 いまの昨年十二月の閣議決定、その場合には行管庁が勝手にやるのではなくて、各省庁と連携をとり、連絡をし、その中身について十分打ち合わせた中でこれを出されたということになっているわけですから、先ほどから大蔵省が言っていることと全然違う。これは大体どういうことですか。先ほどから言っている二人の答弁内容からしたらずいぶんな食い違いがあるわけでありますけれども、この点はどうなんですか。だれがこれははっきり明言できるのですか。
  353. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 食い違いはないと思います。政府一体で決めたことであります。行革をやろうということで、行管庁とか大蔵省は率先垂範しなければいかぬ。そういうわけで行管庁は監察局を一つ出しましょう、大蔵省も何か出しなさいと恐らく宇野長官が竹下君に交渉したのだろうと思うのです。竹下君も、そう言われてみれば、大蔵省も何かサービスしなければ御政道の筋が立たぬと大分苦しんだのじゃないかと思うのです。それで次官やみんなでいろいろ相談して、それじゃしょうがない、こっちも協力しよう、そういうわけで涙をのんで財務局を出す、そういうふうに大蔵省が決めて財務局を選定した。行管庁に財務局を出せなんという力はとてもありません。
  354. 中西績介

    中西(績)委員 いま閣議決定をするという段階については、そのことはわかりました。そうならなければ閣議決定というのはできないし、行管庁はすべてを指示までしてやることはできないということもわかります。だからこそ私は、先ほどから何で財務局を対象にすることを大蔵省は納得するのかと言ったら、ほかのところはやられぬが、ここは何かやられるみたいな話だから、ということになってくると、私が一番最初に聞いたこととの関連がまた出てくるのですよ。というのは、実際業務の関連のある地域にそういう行政の機関が必要だから置いているわけです。不必要だから置いているわけじゃないんですよ。だから、それが福岡であったものが、たまたま政治的なものか何か知らぬけれども、熊本という二局に分かれたという経過はあったが、今度こういうような財務局を一つつぶそうという場合には、先ほどから大蔵省審議官が答えておる中身と十分筋の通った中での答弁になってこなければ、私は納得できませんよ。その点は大変ぎくしゃくして、どういうふうに理解していいかというのがぼくはわからなくなってきているのです。その点どうですか。もう一度なぜ財務局を対象にしたのか。
  355. 名本公洲

    ○名本説明員 ただいま中曽根大臣がお答えになりましたように、閣議決定されたものでございますから、大蔵省といたしまして財務局を一つ廃止することにつきましてこれを了承いたしておることは、先ほどから私もお答えを申し上げておるとおりでございます。政府全体といたしまして、各省におきまして地方ブロック機関を一局削減するという方針のもとにまいったものでございまして、国税局、税関というものの行っております業務の内容から考えまして、これについて現に配置されております局、税関を廃止することは不可能であるという判断のもとに、財務局につきまして一局削減の方針にのっとってこれを一局廃止するということに従うことといたしたわけでございます。
  356. 中西績介

    中西(績)委員 いま答弁を聞きますと、さらにわからなくなるわけでありますが、そこでもう一つ、今度は進めて、その中身からもう一度検討してみましょう。  大蔵省設置法の一部を改正することによって、北九州財務局を統合して熊本に九州財務局を置くことになるわけですね。では統合する目的は何ですか。統合はどのような効果があるのか。この点どうでしょう。
  357. 名本公洲

    ○名本説明員 統合の目的、効果でございますが、これは本年の三月の閣議決定にもございますように、行政機構を簡素化して効率的にやっていこうということがその目的でございまして、それを果たすようにしていくということ、その目的を果たすような効果を上げていくということを考えておるわけでございます。
  358. 中西績介

    中西(績)委員 それでは統合の目的は行政の簡素化、効率化ですね。その目的を果たすためにこれをやるのだ、こう言っていますけれども、いま、では業務とのかかわりから言うと、そういう行政の簡素化なり効率化というものが果たして果たせる中身であるのかどうかですね。この点はどうでしょう。
  359. 名本公洲

    ○名本説明員 財務局に対します行政需要というのは、その範囲が非常に広うございます。経済的な部面、特に金融、証券等について見ますと、確かに九州全体としましては北九州の方にウエートが乗っております。しかし、国有財産あるいは財務局で所掌いたしております地方債に対します融資の業務、その他多々ございまして、そういう面から考えますと、必ずしもいずれかという、北九州でなければならないというふうな判断もできないのではないかというふうに考えた次第でございます。
  360. 中西績介

    中西(績)委員 いま業務の中身はいろいろたくさんあるということですから、これは私、一々読み上げたり、ここで言っても時間がかかるばかりでありますから……。  そうしますと、いろいろな人が選挙のときだとかいろいろなときに演説をしたり何かしているのを聞いたりしますと、他省庁のブロック機関との関係だとかあるいはその地方の組織、機関の数からしても南の方が多いんだとかいろいろ言っていますよ。それと全く同じようなことをいまあなたは言っている。だから、具体的にそういうものがあるなら、たとえば財政を効率化するためにとか、あるいは業務実態、その中身がどうなっておるか、こういう点について、いま統合し、そして熊本に九州財務局を置くことが、さっきあなたが言われた大きな簡素化、効率化につながるという中身があるならお示しを願うわけなんですけれども、そういう資料があるなら下さい。
  361. 江藤隆美

    江藤委員長 いまですか、後日でいいですか。
  362. 中西績介

    中西(績)委員 だから、説明をしてください。
  363. 名本公洲

    ○名本説明員 現在の九州におきます財務局二局体制のもとにおきましては、金融、証券関係で申しますと、地方銀行、相互銀行等の店舗数から申しますと、北九州財務局管内の方が多うございます。しかし、財務局、財務部におきまして、その主力をもってやっております信用金庫の数から申しますと、これは南九州の方が多うございます。また、地方債に対します融資件数から申しましても、南九州の方が若干多くなっております。  そのようなことでございまして、そのほかに、これは実際の数字でもってお示しすることはなかなかむずかしゅうございますけれども、九州全体の経済活動がどうなっておるかというような面から申しますと、先ほどもお答え申し上げましたように、九州全体としましては、北九州に経済活動としてはウエートが寄っておるということが事実であるだろうというふうに思います。
  364. 中西績介

    中西(績)委員 数の多いのを一つか二つ例を挙げましたけれども、業務とのかかわり、そしてそのことが行政の簡素化、効率化につながる、こういうことがいま追求されているのですよ。ですから、私は先ほどから長官にいろいろお聞きをした場合も、何でこの五十五年というものを、いま改めてやる必要ないじゃないかということを言う理由は、その最たるものはここにあるからなんです。南北統合してやらせるという大平内閣当時におけるごろ合わせなり、はしなくも長官が言われましたように、言われたところが何かサービスで出さなきゃならぬ、こういうことでもってやられたのではないかという危惧が私はあるのですね。なぜなら、財務局の状況から、国の出先機関から、金融機関あるいは証券、それぞれの業務分担、資金運用における地方資金の貸し付け問題、有価証券から証券取引所の問題、国有財産、数え上げていくともう数限りないわけですよ、これ。そうしますと、それとのかかわりからいくと、果たしてこれが納得のいく中身であるか。さっき何か信用金庫は数がちょっと多いとか言っていましたけれども、そういうものじゃないでしょう。それでは業務は信用金庫というのが最優先して考えられなくてはならぬですか。どうですか。
  365. 名本公洲

    ○名本説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、財務局の所掌しておる事務は、大蔵省の国税と税関を除きました事務全体でございますので、その内容は非常に多うございます。幾つかの例を申し上げただけでございますが、またつけ加えさせていただきますと、たとえば主計事務で財務局が行っておりますのは、建設省、農林省等の災害の査定に立ち会います業務が非常に多うございます。そういう業務につきましては、これは南九州の方が台風常襲地帯ということもございまして多くなってございます。また共済組合の監査というようなもの、これは財務局におきましては主計課の業務でございますが、その共済組合監査対象になります事務所数等も南九州の方が多うございます。そのように、南九州財務局の方が多いものもございます。もちろん北九州財務局に多いものも当然のことながらございますし、さらに先ほどもお答え申し上げましたように、経済活動全体といたしましては、九州におきましては北九州の方にウエートが寄っておるということも事実でございます。
  366. 中西績介

    中西(績)委員 わかりました。時間がありませんから何ですが、いまいろいろ言われましたけれども、一番問題は、先ほどから言う簡素化、効率化、それと業務とのかかわりからいうと、南の方が効果が上がり簡素化が行われるという中身でこのことをやっておるかということを聞いておるわけです。そのことについては全然触れぬわけでしょう。幾つかはあるでしょう。しかし、先ほど申し上げた点についてはあなたはおっしゃらぬわけだな、私がずっと指摘をしたような問題等については、物すごくあるのだけれども。まだここにあるのですよ、こういうものについては全然指摘がないんだ。ですから、そうすることによって果たして簡素化が進んでいくだろうか、あるいは効率化が行われるか、こういう点について答えてください。時間がありますから簡単に言ってくださいよ。
  367. 名本公洲

    ○名本説明員 三月末の閣議決定にもございますように、今回のブロック機関の一つの削減によりまして、管理部門を初めとして合理化を進めて簡素、効率化を図っていくということでございます。そういう考え方から申しますと、二つの局に分かれておりますものを一つに統合することによりまして、可能な限りの簡素化を図ることができる余地が出てくるわけでございます。その方向で今後の運営考えていかなければならないと考えておるわけでございます。
  368. 中西績介

    中西(績)委員 いま言われたのがまさに問題で、二つを一つにすれば何か簡素化が行われるような物の言い方ですね。これではとうてい納得できないわけです。  そこで、もう少し進んで聞きたいと思いますが、たとえば二十一条の三「九州財務局の所掌事務の一部を分掌させるため、福岡財務支局を置く。」という、これはまた簡素化どころじゃなしに複雑化するようなものがこの中には出ておりますよね。「所掌事務の一部を分掌させる」、これはどういうことなんですか。
  369. 名本公洲

    ○名本説明員 九州財務局の中の支局といたしまして、福岡に財務支局を置くわけでございます。  その具体的な内容といたしましては、南北両財務局の統合によって行政サービスに支障を来さないことを旨として今後のことを考えていくわけでございますが、現在、たとえば地方の国有財産審議会等が名財務局に付置されておりますけれども、そういうものを九州財務局に一本にしぼっていくというようなことは当然行われることに相なると思います。と同時に、先ほどもお答えいたしましたように、三月末の閣議決定でありますように、管理部門を中心といたしました合理化を極力図っていくということを考え行政サービスの低下は絶対もたらさない方向で今後の運営考えていくことを行いたいというふうに考えておるわけでございます。
  370. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、「所掌事務の一部」というのは、いまあなたのお答えになったのは、行政サービスを低下させないということを指しておるわけでありますか。そのように理解していいですか。
  371. 名本公洲

    ○名本説明員 さようでございます。
  372. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、この三月段階におきまして前長岡事務次官が九州に参りましていろいろ発言いたしておりますね。そういう中で、大蔵省は地元に迷惑をかけるようにしない、こういうことを言っておるわけでありますけれども、いまあなたが言われたように、行政サービス的には迷惑をかけない、ただ管理部門を態本に移すという中身のようですね。そうなった際に、先ほど言ったこれからの行政あり方として、局があり支局があるわけですね、こういう状態。これらについては、またその先々の出張所やいろいろなものが出てまいりますが、縦の系列というのは、官庁のあり方としては必ず順次これを追っていかなくちゃならぬということは当然ですね。管理部門にかかわるようないろいろな問題について、行政サービスとのかかわりの中で横と縦のかかわりがそのようにうまくできるのかどうか、その点どうですか。
  373. 名本公洲

    ○名本説明員 現在の北九州財務局の管轄区域につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、経済活動は非常に活発でございます。したがいまして、特にその部面につきまして、私どもとしても意を用いてまいらなければならないというふうに考えております。そういうこともございまして、今回の法律の改正案の中にも盛り込んでございますが、金融、証券部門につきましては、支局長局長と同様の権限を付与するという改正も、これは実体法の方でございますが、行っております。三月十日過ぎだったと思いますが、前長岡次官が九州に参りまして、地元に御迷惑をおかけしないということをお話ししておりますけれども、その方向で今回の法律におきましても手当てをさせていただいておりますし、今後、組織、運営考えていく部面におきましても、そういう方向で考えてまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
  374. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、いま言われるように行政サービスを遂げていくということになれば、支局長にも局長と同じように権限は付与しないとできないわけですから、そこはそのようにするというお答えのようですね。——このように確認しますよ。  そうしますと、もう一つお聞きしておきたいと思いますのは、先ほどの質問者の場合にもありましたように、附則に次の一項を加えて「5」として「福岡財務支局は、昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとする。」こうなっています。先ほどの答弁から聞きますと、廃止措置をとらなければ、新たな提案がなければこれは廃止できないのだということを言っておられましたけれども、そのように理解をしてよろしいですか。
  375. 名本公洲

    ○名本説明員 「廃止するものとする。」という法文の解釈は、先生ただいま御指摘のとおりでございます。
  376. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますといろいろ考え方があるのですけれども、六十年までの間、いま言われたように、権限なり権能なりというものも同じものを与えながら、行政サービスとしては全然落ちないようにしながらやっていくという中で、いまこれを取り去ってしまっていろいろなものを南の方に移していくあるいは熊本に統合するということになれば大変なことになるというので、この五年間なりの間に十分検討した上で措置をするということに理解をしてよろしいですか。
  377. 名本公洲

    ○名本説明員 福岡財務支局につきましては、第一点としまして、五十九年度未をもって「廃止するものとする。」ということになっております。まずそれまでの間におきまして財務支局をどのように運営していくか、これは大蔵省で申しますと主計局あるいは行管当局と今後さらに詰めていかなければならない点でございますが、私どもといたしましては、その五年の間に住民の方々に対する行政サービスというものを十分行う、サービス低下をもたらすことのないような方向で措置をしてまいることが必要であるというふうに考えております。その上で五十九年度未という時点がいずれ五年先にやってくるわけでございます。その時点におきまして、行政サービスという点から考えましていかなる体制で行政を行っていくべきかということを再度検討いたしていくことが必要であるというふうに考えております。
  378. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、これはその点で再考慮するということになるわけでありますけれども、いままで出されたいろいろな資料などを見てみますと、そもそも南の方にということが出てくること自体が、行政とのかかわりあるいは業務の簡素化、効率化、すべての面から考えましてもおかしいわけでありますから、どうもそういうことになってくると——ここにいまこれだけたくさん三月時点で出された新聞がありますが、これは全部南北戦争と書き、しかも政治決着、政治の力によって決められたと書いてある。  ということになってくると、長官にお聞きしますけれども、いままでの論議の過程からしますと、何もそういうことをする必要もない。ただ言われたから大蔵省の主計局なりあるいは大臣あたりが行管の顔を立てなくちゃならぬだろうとかいうことでもって財務局というものを血祭りに上げる。こういうことになってきたというのは、いままでの論議の過程からしますと、そう言わざるを得ないのです。しかも、九州で出された新聞というのはこんなにあるのです。これが全部政治力学で決まったと書いてある。約一カ月の間に出された新聞の切り抜きです。一つだけじゃありません。各新聞全部に書かれているわけです。そうなってまいりますと、先ほどから私が指摘をしておりますように、これから取り扱おうとする八〇年代に向けての行管の基本姿勢、そういうものからしてこれが木に竹を接ぐようなものであるし、大変問題があるということを指摘せざるを得ないわけです。ですから私は、わずか一年とか二年という短い年限が、逆にこれを実施することによって大きな過ちを犯しながらやるということになったときには、この二年間というのは決して停滞あるいは中止、そういうものではなくて、これは堅実な歩みを続けていっているということにつながるということを先ほど来主張しているのです。そういう意味でどのようにお考えですか。
  379. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま御議論をいろいろ拝聴しておりました。私は当時おらなかったわけでありますが、私は自分で政治家として判断をいたしますに、これはある意味における政治的決着だろう、そう思っておるのです。それは新聞にそういうふうにうんと書かれたということから推測してみても、そんな感じがします。と申しますのは、福岡も非常に重大な場所であります。熊本も福岡に負けない重大な場所であって、福岡から消えるのも変であるし、といって熊本から消えるのも変である。福岡が残ってもあたりまえだと思うし、熊本が残ってもあたりまえである。全くこれは同じくらいの目方を持ち、同じぐらいの重要度を持っておる場所を、ともかくどこか一つ減らして簡素、効率化に貢献しよう、そういう簡素、効率化という大使命、大目的のために一つ減らさなければならぬという断崖の上に竹下さんが立ったという場合に、私ならどうするかと考えてみると、これは歴史だ。つまり熊本の方が古い。明治二十九年とか言っていましたね。だからもう甲乙ない、全く同じ力を持っておるという場合には、これはおみくじを引くか、歴史に頼るか、そういう形になるのは政治的決着で、政治家としてあなた方もその点はよくおわかりいただけるところじゃないかと思いますよ。だからやはり歴史じゃないか。熊本の方が古い。そういうところで大蔵省の皆さんや地元の皆さん方にも御了承いただいて竹下さんが決断をしたのではないか。私の立場だったらそうしたろう、そう思う次第であります。御迷惑をおかけしないように十分手当てをしながらそういうことをすることになったのだと思います。
  380. 中西績介

    中西(績)委員 もう一つだけお聞かせを願いたいと思いますのは、先ほど前川さんの方からいろいろお聞きした際に、そのように整理をされる中で、まず第一にそこで働いている皆さんの生首を飛ばさない、無理な転勤だとか人事配置はしない、こういうことを申されておりました。この点についてはここでも同じですか。
  381. 名本公洲

    ○名本説明員 今回の九州財務局の統合後における職員の問題でございますが、国会におきまして、いわゆる生首が飛ばない、意思に反した配置転換を行わないという附帯決議をさきにちょうだいいたしておるわけでございます。その趣旨に沿って私どもも対処をしてまいらなければならないというふうに考えております。
  382. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、また元に返らなくてはならなくなるのですよ。なぜなら、先ほどから言いましたように、長官は、これはあくまでも政治的決着、そして大目的のためには歴史の古いというところでもう決めなければいかぬ。これは政治家としておわかりいただけるだろうという言い方をしましたけれども、私はそこに今度のあなたが提唱しようとしている行革方針と、いままである行革方針との食い違いが明らかに出てきていると思うのです。われわれの頭脳でできないようなことだって、本当に科学的にコンピュータにいろいろな資料をプログラム化してたたき込んでやればできるのですよ。そうしたときに初めて、私はそれの万能主義ではありませんけれども、より補完するためにいろいろなことを全部組み立てていけばできるはずなのです。それをいままでやらずに来ておるところに問題がある。抽象的に公務員の数が多いとか、地方公務員を減らさなくちゃならぬというような、こういう抽象観念的な論議をしてきたところに大きな誤りがあったと私は思うのですね。そういう意味で、いま言うように人員も減らさないのですよ。あるいはこの九州を考えてみた場合に、この財務局なんてものは人事の面から考えますとどうなっているかというと、少なくとも採用の制度の中から考えますと、任命権者というのは局長でしょう。そうなってくると、局を越えての異動はいままでほとんどありません。それが九州全体になったときには、いままでの局を越える可能性だってあるわけですね。ということになってきたときには、いままでの慣行なり何なりを全部崩さなければならぬという事態が出てくるわけですよ。だから、いま言ったように、生首は飛ばしません。それから範囲等についてもそういうことはやらないと言うけれども、それを統合することによって出てくる中身は具体的になってくるわけですね。ですから、少なくともこういう問題を考える場合には、まず第一に関係の職員、それを代表する組合あたりに事前にそういう話があってしかるべきですよ。さきの通常国会で通りましたね。オリンピック記念青少年総合センターの問題等についても、文部省の所轄の中では一番先にこれが挙げられた。二年間も三年間もかけて長い間の討論してきてますよ。そうしたときに、初めてそこでお互いに納得のいく中身になって出てくるし、そのことは無理のない行政改革になってくるわけです。きわめて民主的なものになってきています。今回の場合には、幾ら要求しても大蔵省当局としてはいままでこれがない。該当する組合に説明もしないし、今日に至ってもそれはされていない。ということになってくると、先ほど言ったように、今後の労働条件の変更、身分、雇用の保証等を含めて多くの問題があるわけです。そういう問題等についてもこれからどうするつもりですか。少なくとも関係のそういう人たちと十分ルートに乗せて正式に話し合いをして、そういう民主的な改革をやっていくつもりかどうか。
  383. 名本公洲

    ○名本説明員 南北両財務局を統合してどこに置くかという決定が三月二十八日ございましたが、それを福岡、熊本、いずれに置くかという問題につきましては、大蔵省内におきましても非常に議論があり、なかなか決定のむずかしい問題であったわけでございまして、三月二十八日の閣議の直前に至るまでそのいずれにすべきかということは決めかねた実情にあったわけでございます。したがいまして、財務局の職員あるいはその団体に対しましてこれを説明するという時間的余裕も当然のことながらなかったわけでございますが、三月二十八日に閣議決定になりました後におきましては、全財務労働組合の各級機関と本省あるいは財務局におきまして累次にわたって話し合いを遂げておりまして、今後も職員の十分な納得が得られるように、また職員の意見が私どもの今後の運営に十分反映されるように、そういう話し合いをやってまいる必要があるというふうに考えております。
  384. 中西績介

    中西(績)委員 それでは委員長初め委員各位に時間の延長をされたことに対しておわびを申し上げながら、こうして質問をさせていただきましたことに対しましてお礼を申し上げたいと存じますが、最後に長官に、先ほど申し上げましたように、この方針からすると、ずいぶん内容的には問題のある中身、したがって、政治的なこういうこと以外にはできないという言い方でありましたけれども、こういう措置国民の納得なり何なりをいただくためには大変困難なものになってしまうわけです。これでは私はこの行革の前途が危ぶまれる。これが入るために、やはりそういう目で見られるということになってまいりますと、これは納得できる中身ではありません。したがって、もう一度再考していただくなり、そしてこの点についてはやはり一つの手を加えるなり、先ほど最後に言っておられましたように、支局を置くということになれば、人員的にも何も変わりはないということになれば、屋上屋を重ねるような問題でありますだけに、この点についてはもう、一度十分検討していただきたいと思いますが、どうですか。
  385. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 福岡も熊本も全く同じ重要性を持っておって、仮に目方で言えば両方とも百匁、百匁である。これが百匁と九十九匁ならどっちかに軍配を上げることができますが、両方百匁というときには、やはり歴史とか何かに頼らざるを得ない。それぐらい重要なところであるだけに、非常に大蔵大臣も苦しんだろう、そういうふうに申し上げたので、どちらが重要であるというような比較はできない、そう私は見ておったわけであります。  それから、ただいま大蔵省当局がここで言明したことは私も支持いたします。またこの法案が成立した以後におきましては、地元の住民の皆さんに御迷惑をかけないようにわれわれも極力努力いたします。そのことをお約束いたしまして、この法案はぜひお認めいただきたいとお願い申し上げる次第であります。
  386. 中西績介

    中西(績)委員 終わります。ただ、いまお答えになった中身で、百匁、百匁で同じだというような言い方、であれば、これを統合することの効率化あるいは簡素化ということには全然つながらぬということですから、この点だけはひとつ十分お認め願っておきたいと思います。  以上です。
  387. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会