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1980-11-26 第93回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    羽田野忠文君       長谷川四郎君    吹田  愰君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         行政管理政務次         官       堀内 光雄君         大蔵政務次官  保岡 興治君         文部省大学局長 宮地 貫一君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   加藤  晶君         行政管理庁行政         監察局監察官  米倉  輝君         大蔵大臣官房審         議官      佐藤  徹君         大蔵省主計局主         計官      伊藤 博行君         大蔵省理財局資         金第一課長   亀井 敬之君         大蔵省銀行局大         臣官房企画官  鏡味 徳房君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小澤 春雄君         日本電信電話公         社総務理事   小川  晃君         日本電信電話公         社監査局長   森谷 昭夫君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社施設局長   前田 光治君         日本電信電話公         社建設局長   斎伯  哲君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本民間放送         連盟事務局長) 泉  長人君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 十一月二十二日  有線音楽放送正常化に関する請願鈴木強君  紹介)(第二四六八号)  同(鳥居一雄紹介)(第二四六九号)  同(阿部喜男紹介)(第二四九九号) 十一月二十五日  郵便料金値上げ及び法定制撤廃反対に関する  請願安藤巖紹介)(第二五五八号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五五九号)  同(浦井洋紹介)(第二五六〇号)  同(小沢和秋紹介)(第二五六一号)  同(金子満広紹介)(第二五六二号)  同(栗田翠紹介)(第二五六三号)  同(小林政子紹介)(第二五六四号)  同(辻第一君紹介)(第二五六五号)  同(寺前巖紹介)(第二五六六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五六七号)  同(正森成二君紹介)(第二五六八号)  同(松本善明君外一名紹介)(第二五六九号)  同(三浦久紹介)(第二五七〇号)  同(三谷秀治紹介)(第二五七一号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五七二号)  同(村上弘紹介)(第二五七三号)  同(山原健二郎紹介)(第二五七四号)  同(四ツ谷光子紹介)(第二五七五号)  同(渡辺貢紹介)(第二五七六号)  有線音楽放送正常化に関する請願伊藤宗一  郎君紹介)(第二五七七号)  同(加藤常太郎紹介)(第二五七八号)  同(畑英次郎紹介)(第二五七九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五八〇号)  同(堀之内久男紹介)(第二五八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十二日  郵便料金値上げ反対に関する陳情書  (第二〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会審査に関する件  逓信行政に関する件  請 願  一 郵便料金値上げ反対に関する請願外一件    (有島重武君紹介)(第九三五号)  二 同(大橋敏雄紹介)(第九三六号)  三 同外一件(岡本富夫紹介)(第九三七号)  四 同(鍛冶清紹介)(第九三八号)  五 同外一件(武田一夫紹介)(第九三九号)  六 同(鳥居一雄紹介)(第九四〇号)  七 同外一件(春田重昭紹介)(第九四一号)  八 同外一件(山田太郎紹介)(第九四二号)  九 同(坂井弘一紹介)(第一一三九号)  一〇 同外一件(渡部一郎紹介)(第一一四〇号)  一一 同(浅井美幸紹介)(第一四一二号)  一二 同(鈴切康雄紹介)(第一四一三号)  一三 同(田中昭二紹介)(第一四一四号)  一四 同(竹入義勝君紹介)(第一四一五号)  一五 同(玉城栄一紹介)(第一四一六号)  一六 同外一件(伏木和雄紹介)(第一四一七号)  一七 同(矢野絢也君紹介)(第一四一八号)  一八 同(玉城栄一紹介)(第一四八七号)  一九 同(吉浦忠治紹介)(第一四八八号)  二〇 有線音楽放送正常化に関する請願(鈴     木強紹介)(第二四六八号)  二一 同(鳥居一雄紹介)(第二四六九号)  二二 同(阿部喜男紹介)(第二四九九号)  二三 郵便料金値上げ及び法定制撤廃反対に     関する請願安藤巖紹介)(第二五五八     号)  二四 同(岩佐恵美紹介)(第二五五九号)  二五 同(浦井洋紹介)(第二五六〇号)  二六 同(小沢和秋紹介)(第二五六一号)  二七 同(金子満広紹介)(第二五六二号)  二八 同(栗田翠紹介)(第二五六三号)  二九 同(小林政子紹介)(第二五六四号)  三〇 同(辻第一君紹介)(第二五六五号)  三一 同(寺前巖紹介)(第二五六六号)  三二 同(藤原ひろ子紹介)(第二五六七号)  三三 同(正森成二君紹介)(第二五六八号)  三四 同(松本善明君外一名紹介)(第二五六九     号)  三五 同(三浦久紹介)(第二五七〇号)  三六 同(三谷秀治紹介)(第二五七一号)  三七 同(簑輪幸代紹介)(第二五七二号)  三八 同(村上弘紹介)(第二五七三号)  三九 同(山原健二郎紹介)(第二五七四号)  四〇 同(四ツ谷光子紹介)(第二五七五号)  四一 同(渡辺貢紹介)(第二五七六号)  四二 有線音楽放送正常化に関する請願(伊     藤宗一郎紹介)(第二五七七号)  四三 同(加藤常太郎紹介)(第二五七八号)  四四 同(畑英次郎紹介)(第二五七九号)  四五 同(藤原ひろ子紹介)(第二五八〇号)  四六 同(堀之内久男紹介)(第二五八一号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず、請願審査を行います。  本日の請願日程を一括して議題といたします。本会期中、付託になりました請願は全部で四十六件でございます。  まず、請願審査方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のことと存じます。また、先刻の理事会で御検討いただきましたので、この際、紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採否決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  有線音楽放送正常化に関する請願八件は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、残余の請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 佐藤守良

    佐藤委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、郵便料金値上げ反対に関する陳情書一件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律   案  逓信行政に関する件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件以上の各案件について、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 佐藤守良

    佐藤委員長 逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、日本放送協会理事田中武志君、日本民間放送連盟事務局長泉長人君を参考人として御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  11. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  12. 久保等

    久保(等)委員 私は、きょうは主として電電公社に関する納付金問題についてお尋ねをいたしたいと思っておりますが、大臣が参議院の本会議等に御出席でしばらくおいでにならぬようでありますから、若干順序を変えて、最初に、最近新聞等で報道せられておりますいわゆるマジックホンの問題について、少し政府の方面にお尋ねをしたいと思うのです。  通話料を免れるための技術を開発して、最近全国的にそういったような機械が売り出されておるといったような報道がなされております。この問題について、現在電電公社としてはどういう対処の仕方をしておるのか、概略きわめて簡単に御説明最初公社の方からお伺いしたいと思います。
  13. 森谷昭夫

    森谷説明員 お答え申し上げます。  電電公社におきましては、ことしの四月末ごろ、大阪電電サービスセンターマジックホンと称するものが料金を免脱する機能を持っておるということで売り出されているという情報を得まして、最初のうちは半信半疑であったのでございますが、そのうち非常に確度の高い情報がいろいろと入ってまいりました。重大なことであるということで、郵政省並びに警察当局と種々御協議申し上げまして基本方針を定めて、次のように対処するということにいたしております。  大体五点ございますが、第一点は、本件機器使用は悪質な犯罪と思いますので、使用者及び製造者警察当局に対して早急に告訴をするということでございます。  それから第二点は、本機器の設置の有無については各種の技術的手段を駆使して発見に努める。  第三点は、本機器電電公社の宅内巡同等で発見した場合には、警察当局に対しまして早急に通報いたしまして捜査に御協力をして、その後使用者にその撤去を要請して、応じない場合には通話停止契約解除措置をとる。  第四点は、製造者に対しまして事実確認を行い、このような違法な機器製造販売を今後絶対に行わないよう申し入れ、必要な法的措置をとる。  第五点は、このような不法な機器を設置しないよう加入者に対しましてもPRを行う。  このような対策をとっておる次第でございます。
  14. 久保等

    久保(等)委員 現実にいま公社で把握しておるこういった機器を設置しておる件数なり、あるいはまた告訴そのものもどういう運びになっておりますか。
  15. 森谷昭夫

    森谷説明員 公社で把握しておりますのは数十件というオーダーでございまして、告訴いたしましたのは九件でございます。九件でございますが、個人と法人をまとめてあれしておりますので、十一件でございます。
  16. 久保等

    久保(等)委員 先ほどの御説明で、何か四月末ごろにそういった情報があって、その後調査を進めて、ごく最近告訴されたようですが、その間少し対応の仕方が遅いようにも考えられるわけなんです。マジックホンと言われる方法、それからもう一つ何かセレクトホンというのですか、そういったものもあるようですが、どういう性格のものですか。ひとつ公社の方でつかんでおる実態をもう少し詳細にお答え願いたいと思うのです。
  17. 森谷昭夫

    森谷説明員 先ほども申し上げましたように、四月末ごろ情報が入りましたときは、そういったものが市販されるということにつきまして半信半疑でございまして、未確認情報ということで、したがいまして実際に警察当局と御相談したのはちょっとおくれてから御相談したようなわけでございます。それから、捜査上の問題でございますので慎重を期しておった関係で、若干時間を経過したような次第でございます。  先生御質問の、マジックホン以外にも同種のものがあるのじゃないかということでございますけれども大阪でやはり類似のもの、マジックホンを模したものだと思いますがつくっておりますし、そのほかも類似のものが二、三あるようでございます。ただ、現実には把握しておりません。機能といたしましては、電話通話をいたしますと度数計が回るわけでございますけれども通話が可能で、しかも度数計が回らない、こういう仕組みですね。着信した電話の相手方の度数計、かけた方の度数計が回らない、こういう仕組みになっておる機械でございます。
  18. 久保等

    久保(等)委員 告訴を受けた警察庁おいでになっておると思いますが、これに対する現在の捜査状況と申しますか、そういったことについて御説明願います。
  19. 加藤晶

    加藤説明員 お答えいたします。  いわゆるマジックホンにつきましては、日本電信電話公社から警察庁に対しまして、これが世間に出回っているので、ひとつ取り締まってほしいという要請がさきにございました。  この事案は電話のメカニズムを悪用した全く新しい形態の犯罪でございますので、慎重に対処いたしまして、法務省郵政省等関係省庁とも協議を十分にいたしました結果、マジックホン電話機に取りつけて使用する行為、これは刑法第二百三十三条の偽計による業務妨害に当たり、また有線電気通信法第二十一条違反になるとの結論に達しました。そしてまた電電公社からも、関係都府県警察に対しまして本件につきまして告訴がございましたので、本年の十一月十一日、関係都府県警察においてマジックホンを取りつけ、使用しておる疑いのある者の事務所、居宅等の捜索を実施いたしました。そしてマジックホン等多数の証拠品を押収するとともに、関係者任意取り調べを行っているところでございます。  なお、現在までの捜査により判明いたしましたマジックホン製造者は、長野県内エレクトロニクス・ジャパンという会社でございまして、すでに相当多数に上るマジックホンと称するものを全国の代理店等を通じて販売いたしておるようでございますし、また、これの類似品製造販売いたしている者も判明いたしましたので、現在関係都府県警察におきまして、これらの製造者販売者あるいはその販売先使用者等に対する捜査を鋭意続行しておるところでございます。
  20. 久保等

    久保(等)委員 新しい犯罪といいますか、電気通信に関する従来考えられなかったようなこういった犯罪行為が出てきたわけなんですが、このことについて、現行法制だけではこの種の問題になかなか十分に対処することができない問題があるのじゃないかと私は考えるのですが、郵政省ではこの事件に対して、現行電気通信関係法制の面から見て何らかの措置をとらなければならぬとお考えになっておるのか、どういう判断を持っておられますか、郵政省の方からお答え願いたいと思います。
  21. 守住有信

    守住政府委員 本件マジックホンと称する件につきましては、実は警察庁の方から有線電気通信法についての解釈の文書照会を受けたわけでございます。それによりまして私自身は初めて知ったわけでございますが、有線電気通信法の第二十一条並びに有線電気通信設備等の定義を決めております第二条、その両方の関係から、これは第二十一条違反であるという見解を警察庁の方にも差し上げた次第でございます。したがいまして、いま警察庁の方からも御答弁のありましたように、偽計業務妨害罪あるいは有線電気通信法違反としてこれが捜査に当たっておられるところでございます。  なお、私どもといたしましては、実は盗聴器のような異物がいろいろ市販されておりますけれども、このこと自体公衆電気通信のいわゆる通信の秘密を守るという点で問題でございますし、盗聴器等の一般はさておきましても、公社が製造しておるような外見と一見全く同じようなものが市販されておるということは、これ自体もまたゆゆしい問題である、このようにとらえておるところでございます。  現在、その盗聴器と称せられているような異物市販等の問題の実態調査も含めまして、この法的な面につきましての検討を進めよう、こういうことで公社との間にプロジェクトチームをこの間つくったところでございますが、そのプロジェクトの中でさらに法的な面、マジックホンにつきましては不備はないと考えておりますけれども、今後のエレクトロニクスの発達に伴いましてのいろいろな問題につきましても検討、研究していきたい、このように考えておる次第でございます。
  22. 久保等

    久保(等)委員 ちょっと法務省関係に来てもらっておらないので、どの程度御理解があるか知りませんが、昭和四十九年の法制審議会答申刑法改正草案の中には、電話不正利用に備えての条文が考えられておるという話も聞いているのですが、私は、この種の犯罪についてはもう少しそのものずばりで取り締まれるような法が必要じゃないかという感じがいたすのです。私がいま申し上げた、もうすでに数年前に答申がなされております刑法改正草案の中にそういった問題がたまたま取り上げられておるのですが、ただいま私が取り上げましたマジックホンあるいはこれに類似する新しい技術による、これは明らかに電気通信施設盗用行為ですから、しかもその盗用行為も、単に限定せられた盗用行為ではなくて無限大に拡大してまいりまする可能性、したがって金額的に見積もりますると一体幾らに見積もっていいのか、無限大に拡大をしていく可能性を持った機器を開発すること自体に私は非常に問題があると思うのです。単に盗用行為を行って、現実に被害を与えなければということが従来の犯罪行為に対する処罰の原則だろうと思うのですが、しかしこういう機器を製造すること自体が、目的が、先ほど来申し上げまするように、またお話がありましたように、結局料金を払わないで使用しようという行為ですから、これは明らかに盗用行為目的とする、しかもずいぶん多くの機器を製造して販売をする、そういう行為そのものをもう少し的確に処理できるような法制を確立する必要があるのじゃないか。たまたま今回の問題が新しい問題を提起した形になっておりますけれども、ひとつ、従来の法規はもちろん十二分に活用しなければなりませんが、同時に、もう少し端的にこういった行為を取り締まることができるようなことを法律制定の面から考えてまいる必要がぜひあるのじゃないかと思うのです。そういう点で、直接の主管は何といっても郵政省になると思うのですが、法律制定なり改正ということになればもちろん法務省との関係も出てまいりますが、しかしやはり発案というか、直接監督の立場にありまする郵政省がこういった問題について提起をする責任があるのじゃないかと思っているのです。私のいま申し上げた、もう少し端的なこういった問題に対処できる法律制定について、郵政省がひとつ早急にお考えをまとめてもらいたいと思うのですがいかがですか。
  23. 守住有信

    守住政府委員 いまお答えいたしましたようなプロジェクトの中で、こういう法制面につきましても、もちろんこれは法務省あるいは法制局とも最後の段階では関係してくるわけでございますので、私ども考え方をまとめまして、早急にこれに対応していきたい、こう考えておる次第でございます。
  24. 久保等

    久保(等)委員 この問題にも関連すると思うのですが、従来から当委員会でも何回も取り上げております例の有線音楽放送、この問題についても現実にはなかなか解決をしてない。むしろこの音楽放送、不当に有線を張りめぐらして電電公社電柱あるいは電力会社電柱等を不正使用する、この問題については関係するところが非常に多いものですからなかなか横との連絡も十分にいかない面もあるかもしれませんけれども、しかしこの問題も一向に改善の方向に向かっておらない。悪意を持って、とにかく故意に不正使用して、しかもそのことについては何ら事前に届け出も何もしない、それで無料で使ってどんどん料金をかせぐ、こういったようなことがいま全国的に行われているわけですが、私はこの問題なんかについても、とにかく人の建造物に勝手に電線なら電線を張り回す行為、こういう場合には、的確にその行為そのものを実力をもって排除するというぐらいなことはすぐできるようにしなければ、これもまた、告訴によって裁判に訴える、裁判でやっと勝訴になって撤去した、撤去したその直後にまたさらに従来より以上よけいに張りめぐらすといったようなことで、追えども追えどもとにかく問題が解決しない、こういうこともこれはやはり郵政省所管の問題で、郵政省が中心になって解決をしなければならぬ問題だと思いますが、こういったこの種の問題について、もう少し的確に対処できる法律制定についてぜひひとつ真剣に取り組んでもらいたいと思うのですが、その点もいかがですか。
  25. 守住有信

    守住政府委員 先生御案内のように、私ども有線電気通信設備技術基準ということから通信政策局でこれを所管しておりまして、基本的にはこの有線音楽放送の問題は実は有線音楽放送事業としての電波の方の所管になっておる。それがまた外部的な面では道路使用あるいは電柱等問題等と絡んでおるわけでございまして、私ども内部電波の方とも打ち合わせをしておるわけでございますが、やはり有線音楽放送は公共事業的な一つ社会的存在になっておりますので、その業界、業種としての位置づけというものを明確にして、その中で適正な競争ということで、それを基本に踏まえてこれを乱すものについてはそれなりの対策をやる、こういうことでなければならないのではないかというふうな面から、請願等もなされたところでございますが、現在も電波の方といろいろな側面から検討しておる。しかし、現実の問題としては、非常に先生おっしゃいましたような面がございまして苦渋をしておりますので、その位置づけ論の方からもう一遍整理をしてみたい、このように考えておる次第でございます。
  26. 久保等

    久保(等)委員 法改正もそう簡単にできるものじゃありませんし、特にこういったこの種の問題は非常にむずかしい面があります。私は、さればといって何年たっても検討検討では問題の前進にはならぬと思うのです。したがって、具体的なひとつ何か調査会等でもつくって、専門的な立場で十分に具体的に検討していくというような方向で御検討をお願いしなければならぬと思うのです。単に当局だけで、関係者で相談をしてといってもなかなか問題が進まないと思いますし、同時に、国民のこういった問題に対する理解また協力というものも求めなければなりませんから、そういう点では、法改正の問題についても単に郵政省関係方面と連絡をして成文的なことについての準備をするということだけではなくて、やはりもう少し世論そのものの意見なんかも取り入れながら的確な対処をしてまいる必要があると思うのですが、非常にむずかしい問題であり、単に郵政省だけでできる問題ではありませんけれども、しかし、少なくとも郵政省が中心になってこういった問題について取り組んでまいる必要があろうと思いますし、そういう点ではひとつぜひ真剣にお考えを願うように強く要望申し上げておきます。  次に移りますが、私は特にきょうお伺いをしたい納付金の問題がございますが、その前にもう一つ別の問題でお尋ねします。  それはかねがね問題になっております、しかも非常に重要な問題であります日米間の例の政府調達資材の問題について、いよいよこの問題も、ことしと申しましてもあと一カ月程度に差し迫ってまいりましたし、アメリカにおけるカーター大統領そのものが退任をするという事態を目前にいたしまして、この問題についてはいわば時間的な制約は非常に強くなってまいっております。政府の方におかれても、大来特別代表を中心にしてアメリカとの最近の折衝をしておられるようですが、前々のことはもう私どもも十分に承知しておりますが、ごく最近におけるというか、現状における状況が一体どうなっておるのか、従来から申し上げておりますようにぜひ不平等協定にならないようにやってもらわなければならぬと思うのですが、現状における状況について、ひとつ簡単に御説明を願いたいと思います。
  27. 守住有信

    守住政府委員 最近の状況ということでお答え申し上げますと、御承知のとおり、十月二十三日に東京でアスキューUSTR代表が中国からの帰りの際に大来代表と会談が持たれまして、さらに十一月十三日バージニア州のウィリアムズバーグで開催されましたこれも大来・アスキュー会談では、日米双方の立場に関しまして相当理解が深まった、こういうふうに外務省からも聞いておるところでございます。さらにはその中で、米国側の事情と申しますか、そういう事情で米国内の根回しと申しますかそういうものに多少の時間がかかる、こういうふうに聞いておる次第でございますが、いずれにいたしましても、この問題は長い間当委員会としても各方面からも非常に御関心の強い、また公衆電気通信設備の特質を守るという問題でもございますので、日本側提案の三段階方式を中心に適切な解決を図ってまいらなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 久保等

    久保(等)委員 念のためにお伺いしますが、細かい問題は別として、とにかく基本的な点については従来と同じように不変の態度で今後とも取り組んで、できるだけ早急にまとめてまいる、しかしあくまでも譲るべからざる本質的な問題についてはやはり私は毅然として取り組むべきだと思いますし、昨年のあの段階においても相互主義ということについてお互いに理解し合って、メモの交換も行うということもあったわけでありますから、当然そういった基本的な立場——相互主義という問題についても多少言葉のニュアンスに食い違いがあるとかなんとか言われておりますが、しかし少なくとも相互主義ということは、だれが考えても平等であるということが相互主義だと思うのですけれども、そういったことについても基本線については従来どおりこれを堅持して最後まで交渉に当たる、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。政務次官もおいでになるししますが、大臣にかわってひとつ御答弁を願いたいと思います。
  29. 守住有信

    守住政府委員 先生御指摘のように、公衆電気通信網の中で特に本質的な本体と申しますか、中枢部分と申しますか、そういうものについては、私どもいわゆるRアンドD、共同研究開発という方式で日米間の先端技術を持っておりますので、そのことが大きな意味も持つというふうにも考えておりますし、その先端技術を一面では守ることにもなる、こういうふうに考えておりますので、先生御指摘のような本質的な部分につきましてはこれを守り抜いていく、こういう考え方でございます。
  30. 渡辺紘三

    渡辺(紘)政府委員 従来どおりの方針で守り抜いていきたいと思います。
  31. 久保等

    久保(等)委員 それでは次に移って、きょうの私の主としてお伺いをいたしたい電電公社の納付金問題についてお尋ねしたいと思うのですが、最初に、行政管理庁の方から堀内政務次官にきょうはわざわざお出ましをいただいて恐縮です。今回の行革問題については政務次官が非常に精力的にいろいろと御活躍になっておるように新聞等を通じて拝見をいたしております。したがって問題の核心に触れる部分はやはり堀内政務次官の方からお伺いすることが適当だろう、かように考えてきょうはわざわざお出ましを願ったわけであります。  例の特殊法人の経営実態の見直しということですでにいろいろ御調査等をなさっておるようでありますが、電電公社に対する調査は最近いつこの見直しという観点からなされましたか。もちろんお答えは政務次官がすべてでなくて関係の方でも結構ですが、政務次官に特にお答え願うときには政務次官にお願いを申し上げるように私お尋ねいたします。どうぞ。
  32. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。電電公社に限りませず、今回の調査は百九法人全体を対象にいたしまして九月の末に各省に対し資料要求をしたわけでございますが、電電公社に関して言いますと、十月の初めから三日ほど現地に参りましてお話を伺い、その後も資料の提出等をお願いして現在調査検討中である、こういうことでございます。
  33. 久保等

    久保(等)委員 どういうことについて調査をせられましたか。
  34. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  この見直し調査につきましては、いろいろな観点が行管としてはございます。  まず第一にございますのは、経理基準のあり方、これでございます。少しかみ砕いて申し上げますと、民間企業の場合には必ず税法上の基準だとかあるいは企業会計原則とか、そういう一定の枠がございます。そういう枠組みによりまして経理の基準が明確になっているわけでございます。ところが、特殊法人についてはこういう原則的な枠組みというもの、あるいは基準というようなものがございません。したがいまして、われわれは、この調査を通じまして何らかの会計経理の原則とか基準とか、そういうものを検討してまいりたい。非常に短時日でできる話ではございませんが、第一の観点は、そういう問題に着手したということでございます。  それから第二の観点でございますが、国の行政機関は当然のことながら、そのもとにありますところの特殊法人でございますから、経営の効率化なり合理化なり、最大限の努力を払うべきでございます。したがいまして、そういう視点が第二番目の観点でございます。  それから第三番目の観点といたしまして、利益剰余金の処分等のあり方、これについても検討しております。これについてもちょっと補足いたしますと、特殊法人の中には、利益を生じた場合にはこれを国庫に納付すべきだということが法律で定められているものがございます。あるいは内部において積み立てをすべきだというものもございます。あるいは、一部を内部で積み立てた上で、あと国庫納付すべきだというようなものもございます。あるいは株式、出資等に対する配当という形で、その配当の場合に、政府後配制といいましょうか、一定の比率までは政府には配当しないでよろしいというような規定のものもございます。あるいはそういう剰余金の処分等につきまして何らの法律上の規定のないものもございます。かようないろいろな制度がございますが、そういう点を踏まえつつ利益剰余金処分等のあり方について検討を加える、これがわれわれの第三点でございます。  それから第四点といたしましては、特殊法人の活動、運営の効率化、そういうものをやる上で民間活力をいかに活用できるか、すべきか、そういうようなことでございます。  以上の四点を中心に鋭意調査中ということでございます。
  35. 久保等

    久保(等)委員 それは百余りに及ぶ特殊法人に対する調査の一般的なやり方の問題だと思うのですが、しかし、今回やられております調査は、一体何のために、どういう目的でおやりになっているのですか、特に三日間やられた特別調査というのは。そういったことは平生からもやるべき問題で、恐らく検討もしてこられたのだと思うのですが、特に今回は一体どういうところに目的を置いておやりになっているのですか。その目的をひとつ明確にお答え願いたい。特にお尋ねしているのは、百九に及ぶ特殊法人全般の話ではなくて、電電公社に対して特に三日間に及ぶ特別調査をやったのは、一体何を目的にやられたのか、その点にひとつしぼってお答え願いたいと思います。
  36. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  ただいま申し上げました点は電電公社に限らずでございますけれども電電公社についても全くいまの四点をねらって調査をしているわけでございます。
  37. 久保等

    久保(等)委員 いや、そんなことをお尋ねしているのじゃなくて、これは、九月十二日の閣議におけるあの問題、したがって、何とか財政再建に役立てよう、それがために、一体どこかにそういった余力のあるところはないだろうかといって調べているのじゃないですか。
  38. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  御指摘の点も入っていることは事実でございます。
  39. 久保等

    久保(等)委員 いや、も入っているのじゃなくて、むしろそこに重点を置いているのじゃないですか。三日やられたのは、これは特別調査という性格のものでしょう。要するに、いま私が申し上げたああいった閣議での了解といいますか、決定がなされて、それを受けて、いま言った、何とか利益金を吸い上げるような目ぼしいところはないだろうかというようなところで調査をされているのじゃないですか。
  40. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  いま先生御指摘の点でございますが、電電公社に限らず、一日あるいは二日、あるいは三日、あるいは引き続き何度かの調査をし、あるいは資料の提出を求めているわけでございます。電電公社に関しましてはあくまでいまの四点でございますが、先生御指摘のとおり、中曽根大臣の閣議における御発言を契機といたしましてこの調査をいたしておるわけでございまして、したがいまして、いまの四点のうち予算関連の事項等につきましては、昭和五十六年度の予算編成になるべく反映させたい、これが大臣の御意向でございます。これに間に合わせるべくわれわれとしては努力をしておる、こういうことでございます。
  41. 久保等

    久保(等)委員 だから、予算に反映させるというのは、具体的にはどういう形で反映させるお考えなんですか。
  42. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  電電公社につきまして言いますれば、いまだ結論が出ておりませんので、具体的にどういうふうに反映させるのか、その点についてはお答えできる段階ではございません。
  43. 久保等

    久保(等)委員 調査をせられたのが十月の初めというお話なんですが、そうするとぼつぼつ二カ月近くなろうとしております。いよいよ予算の本格的な編成期に入ろうとしておるわけなんですが、そうすると、行管としてはいつまでに一体結論をお出しになる予定ですか。
  44. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  電電公社に限らず、私たちもたくさんの数の特殊法人をやっておりますので、先生御指摘のとおり、電電公社に関しましては十月の初めから調査をやっておりますし、その後も引き続き資料をとっておるという状況でございますが、その他のものも含めまして、十二月の予算編成までには何とか間に合わせたいということで、昼夜兼行で検討をしておるわけでございます。
  45. 久保等

    久保(等)委員 だから、もう少し端的に御説明願いたいと思うのです。まだ二カ月も三カ月もある先の話なら、検討していずれは結論を出さなければならぬが、いまのところは見通しを言うことはできない。しかし反映させようというのでしょう。反映させるためには、大蔵なら大蔵そのものが、事前にそういったことについての一つの結論なり勧告というか、そういうものを手にしない限り、反映するわけにいかぬのですね。だから、それならばひとつ行管の政務次官にもお尋ねしたいと思うのですが、予算というのは一体政府としてはいつごろまでにつくり上げなければならぬものですか。
  46. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 予算の問題もございますが、ただいまの御質問は、いつまでに仕上げるかということと思います。二十数社にわたりまして現在鋭意調査を進めておりますが、少なくとも十二月の上旬も早い時期に仕上げなければならないというふうに考えております。
  47. 久保等

    久保(等)委員 そうでしょう。十二月上旬といえば、これは指折り数える程度の日数しかないのです。しかも、行管そのものが予算を編成するわけじゃないのでして、これは少なくとも大蔵省にそういった結論的なものを提出をしていかなければ反映できないわけですね。そうなってくると、これまたさらに時間というものが短縮されると思うのです。それがいまのように、百幾つあるとかいうような話をしておるが、政務次官の方からちょっと二十程度という話もあったり、さらに、その中で金額的に言えば、これは何といったって電電公社が最も大きな、中心的な問題だろうと思うのです。だから、そういった点についていつ結論を出すのかということについて、十二月上旬といえばもう数日と言ってもいいのですが、そういう中で、一体どういう方向にいまの結論というものが出つつあるのか、その程度のことは御説明願えるのじゃないですか。
  48. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 この問題は、一社ごとに片づけていく問題ではないと思っております。基本が、九十一国会におきまして、いままで部分的でありました行政管理庁の特殊法人に対する監査の権能が全法人に広がったわけでございまして、そういうことを踏まえまして全体に対しての調査をしろということが与えられたことは、いままで以上に積極的に取り組めというふうにわれわれは判断をいたしまして、全法人に対しての監査を始めたわけでございます。その中で、全法人といいましても、いろいろ分類をしてまいりますと、公庫の問題とか株式会社の問題とか公社だとかいろいろの分類が出てまいりますので、その中から一つ代表的なものを選び出しまして、それぞれの検討をしようということで始めたわけでございますので、基本的な姿勢が全特殊法人に対する監査でございますから、一社ごとについての判断というものではなくて、二十数社ができ上がったところで全体の判断を下して結論を出すというような考え方でやっておりますので、現在のところまだ調査が完了していないということが実情でございます。
  49. 久保等

    久保(等)委員 そういう何か漠然たる答弁をしておるのですが、競馬会だとか、そういったようなものなんかと電電公社と比較をすれば、これはまさにちょうちんとつり鐘以上の差があると私は思うのです。だから、そういうものを全部ひっくるめたような話の説明では納得できません。しかも、一体行管はどういう権限に基づいて、どういう方面にこの調査の結果というものを連絡するなり勧告するなり報告しようとしているのですか。特に電電公社なり郵政省に対しては、調査の結果について何らか中間報告的な、あるいは中間勧告的なものをやられたのですか、やってないのですか。その調査をやられた後、どういう手続をとっておられますか。
  50. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 まだ調査中でございまして、全く連絡も、調査の結果、中間も話をいたしておりません。われわれといたしましては、行政管理庁の調査検討結果は大臣に報告をいたしまして、大臣考え方に基づいて今後の行動を行うことになっております。
  51. 久保等

    久保(等)委員 そういう形式的な話だけをされても納得をするわけにはまいりません。予算に反映をしようとするならば、それは単に大蔵省だけにいきなり何か勧告といいますか、報告書みたいなものを出して解決する問題ではありません。原案は何といっても電電公社みずからがつくって、さらに郵政大臣が大蔵大臣と協議して査定をするわけですから、大蔵省も単独に勝手に電電公社の予算について一〇〇%査定権を持っているわけではありません。これは郵政大臣との間において協議しなければならぬ問題です。そうするならば、郵政大臣に対しても、行管として調査した結果についてあるいは中間的な状況等についても連絡をし、報告をする当然責任があると私は思っているのですが、その点については行管の政務次官、いかがお考えになりますか。
  52. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 電電公社だけではなくて、ただいま申し上げた二十数社について全体まとまりました段階で、大臣のお考えをもとにして、それから先、ただどういうぐあいにするかというような問題は結論を出して行ってまいりたいと思います。恐らく、各方面に対する御連絡を申し上げるようなことは出てまいると思います。
  53. 久保等

    久保(等)委員 そういうことを連絡の必要が出てまいるのではなくて、しなければならぬ。だから、私のお尋ねしていることに行政管理庁の政務次官として一体納得できるのかできないのか、私の申し上げておること自体無理なのかどうか。しかも、何かもう数日中にでも結論的なものが出るような、日程の関係からいって私はそうお聞きするわけですが、そうだとすると、これは勧告というか報告書というか知らぬけれども、そういったものは事実上ほとんどでき上がっておる状態でなければ、そういうことは不可能じゃないですか。しかも予算に反映するというのですから。いまも申し上げたように、郵政省電電公社、これは調査をした相手方ですから、当然そのものに対して、こういった点についてはこうすべきではないか、来年度の予算については。何らかそういったようなことについてのいわば行管としての所見、結論、そういったものが当然出ることになるのでしょう。大臣に報告しなければならぬという、それは内部のことですから、それは当然報告もされなければいかぬ。われわれに対する説明としては、行管としての立場からの答弁を願っているのでして、大臣に報告するかしないか、そんなことは内部の問題ですから、そういう御報告はわれわれにはなくても結構なんです。だから、行管としてどうお考えなのか、それを特にこの問題について中心的に取り組んできておる政務次官としてどう判断されるのか。私のお話ししていること、またお尋ねしていることが無理ですか、常識的じゃないですか、どうですか。
  54. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 私どもは現在二十数法人についての調査を命じられ、それを行っているわけでございますから、その結論を大臣に出しまして、大臣の結論を待って、それを必要となれば行動を起こすということでございますので、現在の段階では、私はそれ以上申し上げることはできません。
  55. 久保等

    久保(等)委員 それでは、大臣には大体いつごろ御報告できる見通しですか。
  56. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 先ほど申し上げましたように、十二月の上旬も早いところでございます。
  57. 久保等

    久保(等)委員 政務次官は十一月の十一日の午後あたりも総理にお会いになっているようですが、お会いになってどういうお話をされましたか。
  58. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 ただいま申し上げましたように、特殊法人の経営実態の見直し、こういうものが九月の十二日の閣議で行政管理庁長官から発言をされたわけでございまして、この発言の一環として現在調査を行っているわけでございます。そういう調査の実施状況につきまして総理に報告を行ったということでございます。
  59. 久保等

    久保(等)委員 それで、総理からどういうお話がありましたか。
  60. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 慎重によく検討をするようにということでございます。
  61. 久保等

    久保(等)委員 慎重じゃなくて、何とかひとつ納付金問題が実現をするような方向で努力せいというような、そういう指示がありましたか。
  62. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういうことはございません。
  63. 久保等

    久保(等)委員 それでは一体、納付金問題という問題は出ましたか、出ませんでしたか。
  64. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 二十数法人全体についての検討調査の内容を御報告申し上げたのでありますから、その中の検討一つとしては納付金問題というものは入ってございます。
  65. 久保等

    久保(等)委員 納付金問題が入っておる、すなわち、納付金問題について総理そのものがきわめて積極的に行管の政務次官に対して指示があった、そういうふうに理解されてもいいのですか。
  66. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 先ほど申し上げましたように、慎重に取り組むようにということでございます。
  67. 久保等

    久保(等)委員 それでは、少し具体的にお尋ねしたいと思っておるのですが、新聞等でも盛んに報道をせられておるいわゆる収支の差額の問題、この問題について、各年度ごとの問題にまで触れる時間がございませんから、よく新聞等でも伝えられております具体的な問題についてお尋ねしたいと思うのです。  この納付金問題に関連して、収支差額、特に昭和五十四年度末の問題がよく出てくるわけなんですが、この収支差額の問題について行管としては一体どういうふうに理解されておるのか、昭和五十四年度末について具体的な数字で、総額で結構ですからひとつお答え願いたいと思うのです。
  68. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  五十四年度の決算でございますけれども、総合収支でながめまして、収入の方が三兆八千五百五十六億九百万円、支出の方が三兆四千二十六億六千七百万円、したがいまして収支差が四千五百二十九億四千二百万円ということになったというふうに理解しております。
  69. 久保等

    久保(等)委員 一体、その収支差額というものはどういうふうに処理されておると把握しておりますか。
  70. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 収支差額というお言葉でありますが、先ほども特殊法人の問題についていろいろ米倉監察官からお話し申し上げましたが、収支差額という言葉自体、明確な定義はございません。電電公社で話されている場合にも、営業収支差を言われている場合、あるいは一般的な利益剰余金を指している場合、いろいろ明確ではございません。しかし、総体的に見て、利益剰余金の面を指されているのではないかというふうに考えますので、この利益剰余金というものはどういうぐあいに使われているかというふうに理解してまいりたいと思います。  本来、電電公社における収支というものは原価の補償主義によっているものと考えられておりまして、その収支差額というようなもの、利益剰余金は若干は上げることは認められているというふうに考えております。この利益剰余金は、私企業におけるところのように、法人税だとかあるいは配当というようなもので社外に流出するものではございません。一般利用者の便益を増大していくための原資として、企業内部に留保されて、再投資に回されてきていると考えております。常に電気通信サービスの改善と充実を図っていくという社会的需要を充足するための公共的資本の一部として活用されているものというふうに理解いたしております。
  71. 久保等

    久保(等)委員 したがって、昭和五十四年度の決算における収支差額約四千五百億と言われておりますが、その金額自体についてどういうふうに御理解になっておりますか。それが要するに利用者、加入者といった方々に還元されておる、したがって、そのことが一体適当なのか、適当でないと判断しておられるのか、どういう判断ですか。
  72. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 金額について申し上げた場合、いろいろ判断はあると思いますが、電電公社の総裁の諮問機関であります電信電話諮問委員会というのがございます。都留重人会長でございますが、昭和五十三年一月五日付の答申によりますと、収支差額というものは公共的必要余剰というふうに判断されて、この公共的必要余剰についても限度が必要であるというふうに言われております。この公共的必要余剰が過大になると、資源配分効率を悪化させていく、また二つ目には経営を放漫に導いて社会的不公正を拡大させるというようなことを指摘されております。そういう意味で、必要余剰というものには限界が設けられなければならないだろうというふうには考えておりまして、その必要の限界というものについても数値をある程度示しております。その数値からながめますと、現在の剰余金は相当大幅に上回っているというふうにわれわれは解釈をいたしております。
  73. 久保等

    久保(等)委員 相当に上回っている——ちょっとその数字を挙げて説明してください。
  74. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 五十二年度は、その数値でまいりますと大体四倍ぐらい、五十三年度は二・七倍、五十四年度は二・五倍という数字が大体われわれの数字では見られております。
  75. 久保等

    久保(等)委員 その公共的必要余剰という問題について、ひとつ郵政省の方にお尋ねしたいと思うのですが、この公共的必要余剰という点から見るならば、電電公社のいわゆる収支差額といったもの——収支差額といっても、さっきの四千五百億の中の三千億円は予算に計上されて、当然この使途が予算の中に組み込まれてしまっているわけです。したがって、いわば予算以上に収益を上げた、増収したという金額は約一千五百億円ですね。ですから、三千億円までは予算に計上してしまっているのです。しかもこれは非常に厳重な郵政省、大蔵省の査定を経て、しかも国会の承認事項ですから、国会が決めているのです。したがって、予算以上に収益を上げたとすれば、増収分の一千五百億円ですよ。これはもちろん五十四年度の話ですから、五十三年度、五十二年度になれば、金額ははるかに下回っております。そういうことを考えて、それがなおかつ公共的必要余剰から見ても必要以上のものだというふうに何かいまの政務次官の御答弁だとなっておると思いますが、そういう御答弁ですか。
  76. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういうことを申し上げたのではなくて、必要余剰という数字が示されていて、それを大幅に上回っているというふうに見ることもできますということを申し上げております。
  77. 久保等

    久保(等)委員 見ることもできますといったような権威のないそういう結論を出すことは、私は非常に軽率だと思うのです。これは万人の認めるというところまでいかないにしても、多数の意見がそういうことだということの結論が出るような判断ならいいけれども、そういう見方もできるのだというような、何といいますか、ある立場によったらそう見られるし、また違った角度から見ればそうは見られない、そういう程度の判断では、私は正しい判断だとは言えないと思うのです。  この電電公社の五十四年度末の決算について私のいまお尋ねしているのは、公共的必要余剰という問題、これは答申で出ているのですけれども答申から見て一体この公共的必要余剰を上回るものだというふうに判断されるかどうか。これは郵政省政策局長の方からでもお答え願いたいと思うのですが、いかがですか。
  78. 守住有信

    守住政府委員 その公共的必要余剰につきましても、物を単年度で見るか、もっとロングランで見るかという面もあろうかと存ずる次第でございまして、私どもはなるべくロングランで見よう、こういう考え方に立っておる次第でございます。しかも先生御指摘のように、四千五百億のうちの三千億は予算で定められて国会の御承認を得たものでございます。他方、上回るものにつきましても、いろいろな景気の支えもございますけれども電電公社自体の努力というもの、多様なサービス事業に進出していろいろな付加的なサービスも追加してやっておりますけれども、そういう原因にもよるものである。またそのこと自体、五兆三千億余に及びますところの膨大な利子つきの借入金、その利子負担というものは結局は電話加入者の方々に及んでいくわけでございますので、それをなるべく軽減するという意味からも、借入金の返済なりあるいは加入者債券、特別債券等の増高を抑制するというふうに使われた次第でございます。
  79. 久保等

    久保(等)委員 では、先ほど来お尋ねしている五十四年度末の決算の結果について、一体納付金としてどの程度これを吸収することができるというふうに判断されますか、具体的な問題で。
  80. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういう問題について現在調査中でございます。
  81. 久保等

    久保(等)委員 しかも累積余剰利益金、これまた巷間よく新聞で一兆三千億円と言われております。昭和五十二年度、五十三年度、五十四年度の三カ年間で累積余剰が約一兆三千億円出ている、こういうふうに言われているのですが、しかしこれは全く架空といってもいいような数字だと思うのですが、要するに年度ごとに出てきた予算を上回る収益についても、直ちに翌年度の債務返済なりあるいはまた建設資金なり、そういうものに使うべく事前に国会において予算でそういう組み立て方で決定しておるわけですから、それだけのいわば収支差額というものは出さなければならぬ。これは電電公社自体についての責任です。少なくとも昭和五十四年度について言うならば、三千億円の収支差額というものは出さなければならぬ。出さなければ予算上穴があくわけですから、そういう関係考えますと、そういったものが累積余剰金の何か一部に入ってみたりするような計算というものは、明らかに一種の数字的な、実存しない金額だと私は思うのです。そういう点から考えますと、一兆三千億円という金額も、いま言ったように、年度年度でもって翌年度の債務償還なりあるいはまた投資資金なりに組まれてしまっておる。したがって、一兆三千億円という金というものは現実に積み立ててそこにあるわけではありません。実存しておると判断しておるのですか。行管は一体どういうふうに判断しておられますか。いわゆる累積黒字の問題です。
  82. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 ただいまの先生のお話は、収支の会計と資金の会計を混同されているような感じがいたします。私は収支と資金との問題を区別して考えてまいりますと、その問題はおのずから解決する問題ではないかというふうに考えております。
  83. 久保等

    久保(等)委員 だからどういうふうに解決しますか。
  84. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 資金的に見てまいりますと、ただいまの先生のようなお話でございます。収支的に見てまいりますと、一兆三千億はそのまま残っているわけでございまして、その収支と資金とをどういうぐあいにつなぎ合わせていくかということであろうというふうに思います。
  85. 久保等

    久保(等)委員 数字があるからといって金があるわけじゃないのでして、仮に資金的にはゼロだ、それで一体どういう方法でその中から資金的に吸収することができますか、そういう手品みたいな話ができるなら教えてもらいたい。
  86. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういうことを現在検討いたしておる最中でございます。
  87. 久保等

    久保(等)委員 結局そういうことでは納付金なんというようなことはとても考えられない。結論としては、納付金なんかを制度として創設しようにも創設できない。納付金を取ること自体は不可能だというふうに判断してよろしいのですね。
  88. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そうではございません。まだそういうぐあいに検討中でございます。結論が出たわけではございませんが、同様な状況におきまして昭和五十三年度の日本専売公社の特別納付の前例がございます。
  89. 久保等

    久保(等)委員 事業には、それぞれ目的があって事業というのはできているのです。富士急は富士急としての目的があるでしょう。しかしそれは御承知のように民営ですからね。  電電公社法の第一条をひとつ御説明願いたいと思います。
  90. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  日本電信電話公社法の第一条は目的規定でございます。第一条は「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本電信電話公社を設立する。」かように書いてございます。
  91. 久保等

    久保(等)委員 ついでに、いま専売の話も出ましたから専売の第一条、目的をひとつ御説明願います。  いま政務次官が専売の話を持ち出したから、専売の方をひとつ。——目的をきちっと、間違えちゃいかぬですよ。みそもくそも一緒にしたような議論をして……。
  92. 米倉輝

    ○米倉説明員 申しわけございませんが、法律は持ってきておりません。
  93. 久保等

    久保(等)委員 この程度のことはお尋ねしてもわかるでしょうか。専売公社法には公共の福祉という言葉はありますか、ありませんか。
  94. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  日本専売公社法の第一条の目的規定でございます。「日本専売公社は、たばこ専売法、塩専売法、製塩施設法、塩業組合法、たばこ耕作組合法、製造たばこ定価法及び塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法に基づき現在の国の専売事業の健全にして能率的な実施に当たることを目的とする。」かように書いてございます。
  95. 久保等

    久保(等)委員 だから、公共の福祉ということが書いてありますか。
  96. 米倉輝

    ○米倉説明員 専売公社法の目的の中に特に公共の福祉と明言した規定はございません。
  97. 久保等

    久保(等)委員 だから、そういう目的というか使命というものを見当違いしないように私は冷静に見てもらいたいと思うし、考えなければなりませんよ。ただ単に帳面じりだけを見て、資金的にはないけれども数字を見たら差額があるから、何とかここから金が取れるのじゃないかというような錯覚を起こしてもらっては困る。特に電電公社法はその目的は公共の福祉、そのことのために奉仕するのが電信電話公社をつくった目的なんです。行管は、専売は一体どういう目的でつくられたと判断していますか。どういう目的で専売公社というのはできているのですか。
  98. 米倉輝

    ○米倉説明員 先ほど読み上げました目的のとおり、専売法とかそれからたばこ耕作組合法の組合関係のこととか、そういうものの実施のためでございますが、いわゆる財政専売、利益を上げて国家に収納するということも一つの大きな目的である、かように理解しております。
  99. 久保等

    久保(等)委員 だからそこに大体設立の趣旨が全然違っておるのです。目的が違うのですよ。なぜたばこあるいは塩を専売にしなければならぬのか。塩なんかの問題は若干情勢が変わってきていますけれども、少なくとも公社にしなければならぬ理由というのは、明らかに国家財政的な意味での資金確保のために専売にしているのですよ。電電公社の場合には、金もうけのためにつくっているのじゃなくて、あくまでも公共の福祉に貢献するために、電信電話の拡張なりあるいはまた拡充なりそういったことを目的にして電信電話公社をつくった。これは昭和二十七年に電信電話公社ができたわけですが、時の電気通信大臣佐藤榮作大臣、この大臣の提案趣旨の説明をちょっと見ましても、結局電信電話公社法を制定するときの提案趣旨の説明の中に、それまでは国営であったことに対する強い反省があって公社経営に切りかえるということになっております。一部をちょっと申し上げてみますと、要するに、従来の「事業の国営に伴う諸制約に縛られ、設備の拡張資金につきましても、その時々の国家財政のわくに左右されて、十分かつ安定した資金を得られず、さらに企業経営の基本であります財務、会計、人事管理についても、一般行政官庁と同一の規律を受けているため、活発な企業活動を阻害されて来た点が少くなく、」そういったところに従来の国営ではどうも国民の要望に沿い得ない、こういう提案理由の一部があるわけです。  そこで、電電公社法を提案しておる提案趣旨の説明には、大体第一条の目的のところを強調せられながら、「一方事業経営上財務、会計、人事管理等の面における一般行政官庁の制約を脱し、民営の能率的経営技術を取入れた自主的な企業活動を行い得る企業体としての公社形態に当事業の経営を行わしめることが最も適当であると考えまして、ここに日本電信電話公社を設立することといたした次第であります。」こうなっているのですね。要するに、非常に重要な公共事業、その中にいかに企業性を取り入れて国民の期待にこたえていく事業にするか、そういうところに公共企業体にした最大の目的があるわけです。したがって、独立採算制というたてまえをとっておる。そのことについても種々質疑の中で説明もしておられます。  そういったことを考えてみますと、私は電電公社もちろん現在独立採算制だろうと思うのですが、行管はどういうように判断しておられますか。
  100. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり独立採算制で実施されているものと理解しております。
  101. 久保等

    久保(等)委員 独立採算制というのはどういうことですか。
  102. 米倉輝

    ○米倉説明員 独立採算制につきましてはいろいろと広い、深い意味があるかとは存じますけれども、現在国からの補助とかそういうものを受けず、みずからの収入で経費を賄う原価補償主義で十分やっておる、かように理解しております。
  103. 久保等

    久保(等)委員 現在の独立採算制についてどういう批判を持っておられるのですか。電電公社の独立採算制についてどういう判断を持っておられるのですか。——だから、極端に言えば廃止するつもりですか。
  104. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういうお話は大分話が飛躍してまいりまして、現在そういう独立採算制に対してどういうように考えるかとかいうような問題を検討しているのではございませんので、現在二十数法人についての財務諸表並びに経営実態についての見直しを行う作業を行っているだけでございまして、それ以上の問題について取り組みをいたしているわけではございません。
  105. 久保等

    久保(等)委員 そういう焦点をはぐらかしたような答弁をしてもらっては困る。独立採算制という問題は、電電公社そのものの企業経営としてはバックボーンでしょう。納付金制度を設けるということになってくれば、これはもうかったときに取り上げるなら、足りないときには一体どうするのかという問題が出ると思うのです。一体そういう考え方は、独立採算制から考えてどういうふうになるのか。独立採算制はこの際やめるのだ、だからもうかったときには出してもらいましょう、足りないときにはめんどう見ましょう——もうかったときに取り上げるだけなんですか。一方交通だけなんですか。ちょっとお尋ねします。
  106. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 現在財務諸表の調査を行い、検討を行っているということでございまして、すべての広い意味において検討を行った結論に基づいて判断を下すということでございますから、現在まだ納付金制度をどうするかとか、こうするとかいうような結論を出している問題ではございませんので、その点はひとつ御理解を賜りたいと思います。
  107. 久保等

    久保(等)委員 だから納付金制度という問題は、簡単に言えばこれは少なくとも取り上げるということです。したがって、独立採算制という制度そのものを崩すという考え方に立たぬ限り、そういう考え方は生まれてこないと思うのですが、独立採算制をとりながら、納付金だけは出してもらいましょうという考え方なんですか。どういうことなんですか。だから、その独立採算制との関連は一体どう考えるかということなんです。どう考えているのです。それは全然無関係な問題じゃないですよ。
  108. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 結論が出まして、そういうものの明確に出てまいりました後にそういうことはひとつ御検討、いろいろ御批判いただいたりお話を承りたいと思いますので、現在の段階におきましては調査検討中でございますので、その点で御了承賜りたいと思います。
  109. 久保等

    久保(等)委員 答弁をもう少しまじめに、正確に答えてもらいたいと私思うのです。結論が出てからその独立採算制の問題についてはお答えしましょうなんという話では、それこそ検討の出る前の問題でしょう。そんな見当違いな答弁してもらっては困る。
  110. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 結論というのは、庁内の方の結論を大臣に出しました結果の結論を踏まえてということでございまして、現在まだそういう結論が庁内で出ているわけではございませんので、そういう点についてはひとつ御理解を賜りたいと思いますということを申し上げておるのです。
  111. 久保等

    久保(等)委員 結論が出てからただ答弁してもらったのでは困るので、要するに、ここでお伺いをし、またわれわれの申し上げていることも十分にひとつ取り入れられると判断されたものは取り入れてもらいたい。そういう意味で議論をしているのですからね。だからそういう点では、出た結論、出た結論というような話で、出た結論のとぎには独立採算制の問題については考えましょうみたいな話では、そのときには考える余地はないわけですよ。しかもあなた、予算に間に合わせようというのでしょう。そんなのんびりしたような話ではありませんよ。独立採算制の問題についてどうするかというような問題は、これは基本的な問題です。そういう問題をよけて、納付金制度だけとにかく実行するのだというような考え方で安易に考えられては全く、先ほども一体電電公社目的は何だ、あるいは専売公社目的は何だと言ったら即答もできないで、そういう態度でこういう問題に取り組める力が一体あるのかないのか、はなはだ失礼だけれども、疑わざるを得ませんよ。  電信電話事業は何といっても百年を超える伝統と、しかもまた国民に今日まで大変な役割りを果たしてきていると思うのです。そういう事業で一片の一千五百億円ぐらいのとにかく予算外の収益が上がったからといってはしゃいで、やかましく言っているけれども、私に言わせれば、一体本質的に制度をどうするのか、独立採算制という問題をどうするのかという問題を解決しないで納付金制度の問題を議論するなんというのは、まことに本末転倒だと思うのです。そう思いませんか。
  112. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  先ほど政務次官からお答え申し上げましたとおり、行政管理庁として結論が出ているわけではございません。これは一般論でございますが、いま先生お話しの独立採算制でございますが、先ほど、私、特殊法人における剰余金処分の形態にいろいろなものがあるというふうに申し上げたわけでございます。まさに電電公社に関しましては利益が生じたときはこれを積み立てるということにしてございます。そのほかいろいろと処分の形態がございまして、欠損を補てんした後は残額はすべて国庫納付するという処分の仕方のところもございます。それから、一定率を積み立てた後残額を国庫納付するものというものがございます。先ほどお話の出てまいりました専売公社等も従来はそういうことでございました。それからそのほか地域振興整備公団とか日本開発銀行とかいろいろとございます。電電公社は利益が生じたときはこれを積み立てるもの、これは日本国有鉄道とか農用地開発公団とかそういうふうになっているわけでございます。あるいは利益金について配当制または分配制をとるものもございます。たとえば商工中金等については完全に配当制等とっているわけでございますが、独立採算制でないかというふうな御議論とは直接関係のないお話ではないか、かように考えております。
  113. 久保等

    久保(等)委員 ほかの特殊法人の話をしているわけじゃなし、聞いているわけじゃないですから、そんな話は時間をつぶすだけですから、もったいないですからやめてください。私のお尋ねしているのは、電電公社の場合の現状は、先ほどもお話があったように独立採算制です。だから、独立採算制というたてまえからいって、納付金制度を考えるならば、赤字になったときには一体どうするのか、当然それに対して、赤字は政府の手によって埋める、そういう方針でなければつじつまも合わぬし、事業の経営ができないでしょう。黒字のときだけは取り上げる、足りなくなったらめんどうは見ない、そういうことではつじつまが合わぬではないかと申しているのです。それこそ行管あたりがそういう大所高所からその程度のことについての判断がなくて、ただ何か納付金制度で金がどこかにないだろうか、特殊法人十把一からげではなくて百把一からげしたような物の言い方でこの問題に対処しているのは、私はとんでもない話だと思うのですよ。私は、少なくとも納付金制度を考える場合には、当然事前に独立採算制の問題についてどうするのかということについての結論を出すべき問題だと思うのですが、一体出さなくてもいいとお考えになっているのですか。そのあたり行管の政務次官、どう考えますか。
  114. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういう問題も含めて庁内でいまいろいろと検討いたしているところでございます。
  115. 久保等

    久保(等)委員 検討ばかりをされているが、検討自体がとんでもない見当違いの検討をしておったのでは意味がないです。そのことを私はやかましく、強くここで指摘をしておきたいと思うのです。私ども党の中でもいろいろ議論をし——議論するまでもないのですが、この問題については、納付金制度の問題については強く反対だ。電信電話事業というものが今日までやってきた戦後の約三十五年間の歴史を考えてみても、一体行管は今日までの電電公社のやってきた業績に対してどういう評価をしておられますか。
  116. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  先生御案内のとおり、わが国の電気通信事業は明治以来国によって営まれたわけでございますが、戦後同公社が公共企業体となりまして、その目的は先ほど「目的」で読みましたとおり「合理的且つ能率的な経営の体制を確立」ということでやったわけでございます。並びに「公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進」するという目的もあったわけでございますが、電電公社設立以来、現在たしか六次でございますが、六次にわたる拡充計画等の実施により、昭和五十二年度においては多年の懸案であった積滞も解消し、全国即時自動化もおおむねなし遂げた、そういう成果を上げてきたというふうに承知いたしております。
  117. 久保等

    久保(等)委員 成果を上げたという程度じゃ、確かにいま言った積滞解消という現実問題は処理をしたと思うのですが、全体から見て一体、やはり電電公社公社にしただけのかいがあった、十分に成績を上げてきたというふうに判断しておるのですかどうなんですか。むしろ電信電話公社にしなかった方がいいというふうに判断しているのか、どういうふうに判断しておられますか。
  118. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 先生のおっしゃるとおり非常な大きな成果を上げたものと考えております。
  119. 久保等

    久保(等)委員 特に納付金制度の問題については、御承知だろうと思うのですが、電信電話公社法制定のときに、当初は政府原案の中にありました。六十一条のただし書きとしてありました。しかしこれが国会の衆議院でもあるいは参議院でもいろいろ議論せられた結果、この点が削除になった。当時、国有鉄道の場合にはこの納付金制度があった。しかし電電公社が納付金制度がなくなったものですから、翌年これまた改正して、現在は法律上は納付金制度は国鉄の場合にもない。こういうことに現状はなっていると思うのですが、この納付金制度が、あれだけけんけんがくがくの議論をした結果、けんけんがくがくと言っても反対の議論があったという意味ではなくて、政府案を中心にしていろいろ議論があった。その結果、とにかく削除せられた。それが今日、またぞろこの納付金制度をひとつ法律改正でもしてやろうかという。  これは大蔵省、時間が余りないものですから、きょうはほとんど行管の方にばかり質問した形になったのですが、そういったことを検討しておるやに先般の参議院の逓信委員会でも答弁をしておるようですが、そういった点を考えますと、一体なぜ納付金制度を復活させよう——戦前、特に戦時中にかけて電電公社の場合、当時の逓信省ですが、納付金制度がありました。十数億、約十三億円近いものが十二年間にわたって納付金として巻き上げられた。当時の軍事費の中にも一部入ったり何かしております。しかも、当時の固定資産はきわめてわずかで、発足した昭和九年の当時ではわずかに三億数千万円程度の固定資産であったものが、終戦直前の状況で見ますと約九億余りの資産であったようでありますが、そういう中で十三億近い国庫納付を行った。そういう歴史もあるわけです。そういう結果、日本の電信電話事業はまことに荒廃し切って、しかも国民の要望には全然沿えない状況であった。それが昭和二十八年に電電公社になって、当時の加入電話は戦災等によってわずかに五十数万であったと言われております。この五十数万であった加入電話、これは一つの例にすぎませんが、加入電話にしても今日もう三千八百万を超える、明年度は恐らく四千万を超えるのではないかと言われるような状況になってまいっておるわけです。これはやはり政府が、少なくとも納付金制度などという悪制度をあの電信電話公社法制定のときに削除せられた電電公社現行制度が非常にあずかって力があったと私は思います。  そういう点では、制度的に考えてみましても、あるいは歴史的に振り返ってみましても、こういう悪制度をまたぞろ復活させようということは私はもってのほかだと思っておるのですが、行管はそういったあの当時国会で議論せられたことについての認識を十分にお持ちになっておりますか。
  120. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 議事録その他を読ましていただいておりますので、認識をいたしております。
  121. 久保等

    久保(等)委員 先般の参議院の逓信委員会での答弁では、目下そういった修正された当時のいきさつが余りよくわからないので、せいぜい勉強しておきましょうというようなお話が、これは政務次官ではありませんが、行管の担当者の方からそういう答弁があったのを記録でちょっと拝見しておりますけれども、いずれにしてもとにかくそういう経緯があるわけです。だから私は再びそういう愚を犯さないことを強く求めたいと思うのです。少なくとも十数億にわたる納付金制度というものが現実昭和九年から昭和二十年まで行われた経過があるのです。その結果にかんがみて、あの電信電話公社法制定の当時に議論があって結局削除になった、こういう経過があるわけですから、そういった点もひとつ十分に肝に銘じて——電信電話事業は、今後の展望を考えたときに資金的に一体余裕があるというふうに判断されますか。時間が余りないですから、行管の政務次官の方からひとつお答えを願いたいと思うのですが、今後の、特に五十六年度の問題について、五十六年度だけについても一体納付金というものが実施できる余裕があると判断しておりますか。それも検討中ですか。
  122. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 検討中でございます。
  123. 久保等

    久保(等)委員 現在、累積赤字というか累積負債は幾らありますか。
  124. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  流動負債、固定負債いろいろございます。いま先生御指摘の点は電信電話債券ということではなかろうかと思いまして、その数字を申し上げます。五兆二千六百億でございます。
  125. 久保等

    久保(等)委員 それで建設資金がどのくらい要ると見込んでおりますか。
  126. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 ここへ資料を持ってまいっておりませんが、いままでのところ大体一兆六千億から一兆八千億くらいのところを例年ずっとつながってまいっております。
  127. 久保等

    久保(等)委員 いま累積借入金が五兆三千億円程度ある。これを元利償還年々どのくらいやっておると判断しておりますか。来年度あたりはどのくらい返還しなければならぬと思っておりますか。
  128. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 資料を持ってまいっておりませんが、非常に変動をいたしておりまして、借入金の返済はこの数年非常に急激に減少をいたしております。(久保(等)委員「減少しておる」と呼ぶ)償還額が増加をいたしております。
  129. 久保等

    久保(等)委員 一年間にどのくらい元利償還をしておると判断しておりますか。特に五十六年度なら五十六年度について具体的にひとつ。
  130. 米倉輝

    ○米倉説明員 御説明申し上げます。  まず五十五年度の予定でございますが、これが五千三百十六億円というふうに理解しております。それから五十六年度のデータとしては五千五百九十六億円、かように理解をしておるわけでございます。
  131. 久保等

    久保(等)委員 少なくとも五千億円、さらにこれが五十八年度以降あたりになりますともう少しふえるというふうに言われております。同時に、特に拡充法と通常称しておりますが、電信電話設備の拡充のための暫定措置法、こういう法律もあるわけです。この法律によって加入者から特別債券を買ってもらう、そういう形で、加入者あたりが電話をつけるという要望があれば電話をつけていく、要するに拡張資金に回っておるわけです。実は昭和五十七年度にこの法律が期限切れになる、こういう情勢なんです。この法律がなくなると、どの程度財政的な資金確保を図らねばならぬと判断しておりますか。
  132. 米倉輝

    ○米倉説明員 将来の点について現在必ずしも明確に資料を持っておりませんけれども、五十四年末現在で考えますと、先ほどの電信電話債券五兆二千六百億と申し上げましたけれども、そのうち受益者債券が三千百三十七億円ということでございます。
  133. 久保等

    久保(等)委員 幾らですか。
  134. 米倉輝

    ○米倉説明員 失礼いたしました。一けた間違いました。五兆二千六百億のうちの三兆百三十七億九千三百万円、そういうことでございます。
  135. 久保等

    久保(等)委員 いや、この拡充法がなくなった場合に一体どの程度資金的に穴があくか、そのことを聞いているんですよ。
  136. 米倉輝

    ○米倉説明員 いまデータを手元に持っておりませんが、二千五、六百億だったというふうに記憶しております。
  137. 久保等

    久保(等)委員 どっちを向いても将来の展望というものは暗いですね。そんな首をかしげなくても、拡充法がなくなればいま言った二千数百億円の穴があくのですよ。その資金を一体どうするのか。これは昭和五十八年度からですけれども、もう当面の問題です。法律が切れることは間違いないのです、五十七年度末で終わるのですから。それに対する拡張資金というものは一体どこから確保するか。それから、いま言ったように従来からたまっております債券、負債に対する支払いも約六千億円前後、そういった資金的な手当てのめどはこういう方法がある、したがって少なくとも納付金制度というものをつくったって大丈夫なんだという裏づけがなくて、現在の実態そのものについて満足に、十分に説明ができないじゃないですか、いままでの御答弁を聞いておっても。
  138. 堀内光雄

    ○堀内政府委員 そういうものは全部含めて検討いたしておりますから、決して御心配いただくような形ではなくて、資料は一生懸命やっております。ただ、それが妥当であるかどうであるかという問題を庁内で近いうちに大臣と結論を出そうということでございますので、資料もない、検討もしていない、そういう形でわれわれが申し上げているのでは決してないということだけは申し上げておきたいと思います。
  139. 久保等

    久保(等)委員 そういう説明を聞かなくても、検討していないとは一言も言っていないのです。検討しているならば、私が先ほど来お聞きしていることに対して明確にわれわれが理解できるような説明をしてもらわないと、金は要るけれどもその手当ては全然しないわ、とにかく納付金だけは納めてもらいますよというような結論を前提にしたような形でただ調査だけしてもらっても、さっきから申し上げるように、率直に申し上げてこれは本末転倒ですよ。  そこで、時間がございませんから、私は最後に郵政大臣にもお聞きしたいし、大蔵省にもお聞きしたいと思っておったが、大蔵省の方には先ほど来お聞き願っておることで私のお尋ねしていることについてはある程度御理解いただけたと思うし、大蔵省の場合には何といっても年々歳々予算を直接いろいろ検討して査定までしておられるのですから、もう裏の裏までよく御承知だと思うのですね。だから、納付金制度そのものがもう全く議論の対象にもならぬと私は実は考えておるわけなんですが、先ほど来申し上げまするように、電信電話公社法が制定せられる経緯からずっと今日までの流れを見て、その中での電電公社の上げてきた実績、実態、そういったものを見た場合に、納付金制度をとることによって経営意欲が低下してくる、あるいは勤労意欲が低下していくということになってまいりますと、そのマイナス面が納付金制度以上にいかに大きいかということを私は恐れるのです。そういう点を考えますると、ぜひ角をためて牛を殺すという愚を犯さないように十分にひとつ——むしろ今日納付金制度の問題が非常に大きくクローズアップしてきているけれども、しかし、かつての電信電話公社法が制定せられたときのいろいろな議論、経過等から考えますると、まことにとんでもない見当違いだと私は思っております。  そこで郵政大臣お尋ねしたいのは、実は電信電話公社法の七十二条のただし書きというのがあるのですが、実は電電公社が発足当時にはお互いに非常に意欲を持って、新しい公社制度のもとでいわば前だれがけで働こうじゃないかという気概に満ち満ちておったと思うのです。ところが、だんだんその後の経過を見ておりますると、もう電信電話公社法はあれどもほとんど国家公務員と同じような、何か右へならえしたような形の扱い方をしてきたところに、私は率直に申し上げて、従業員、労働者そのものが幻滅感を感じておることは事実です。しかし、今日まで電信電話の合理化というのは、他の産業に比べても最も著しいものがあると思うのです。そういう中で、努力に努力を重ねて今日やってまいっておる。それから、電信電話事業もできるだけ開かれた国民のための電信電話事業にしようということで、電電公社当局に対して労働組合の方が逆に提案をしている問題もあります。たとえば、利用者委員会を設置して広く全国の国民、利用者の御意見を聞きながら、電電公社の経営が官僚化したり、あるいはまた電電公社の事業そのものが何か国民の気持ちから離れたような経営にならぬようにという提案もしております。そういったようなことを考えますると、この七十二条のただし書きは、これまた余り時間がありませんから申し上げることを差し控えますけれども、これも参議院で実は修正して追加をした条文ですけれども、要するに事業にとってはやはり問題は私は人だと思います。したがってその方々に本当に勤労意欲あるいは企業意欲というものを、経営者といわずあるいは従業員といわず一体になってそういう考え方で、やはり公共事業を守ってまいるというものがなければ事業というものは発展しないと思うのですね。そういう意味合いでぜひひとつ郵政大臣にお答え願いたい点は、七十二条のただし書きです。ただし書きの問題についてこの立法当時の状況に思いをいたしていただいて、ぜひひとつ弾力的な経営指導ができるように郵政大臣にお願いをしたいと思うのです。中身について申し上げたいのですけれども、私の時間がもう切れておりますので、このことについて、従来のような何かマンネリ化してしまっておるような傾向に対して、ぜひひとつやはり事業の実態を見ながら、成績を見ながら適切な弾力的な御指導を願いたい、かように考えるのですが、大臣から一言お答えをいただいて私の質問を終わりたいと思うのです。もし何だったら局長の方からお答え願っても結構です。
  140. 守住有信

    守住政府委員 この第七十二条にただし書きを加えた点は、先生御指摘のように国庫納付金の六十一条第一項ただし書きの政府原案を削除したときに国会で修正になったものでございますが、「経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずるため特に必要があって、郵政大臣の認可を受け、国会の議決を経た金額の範囲内で、臨時に給与を支給する場合については、この限りでない。」こういう条件つきではございますが、公社の経営努力といいますか、経済変動等の場合の職員の労働条件を配意した規定でございます。また他方、給与につきましては、第三十条に「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」この両面を踏まえて私ども考えておるというところでございます。
  141. 久保等

    久保(等)委員 大臣、一言。
  142. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いまの御指摘でございますが、七十二条のただし書きにつきましては当然これはやるべきである、私もこういうふうに考えまして、ひとついろいろ努力をさしてまいりたいと思います。積極的にやってまいりたいと思います。
  143. 久保等

    久保(等)委員 どうもありがとうございました。
  144. 佐藤守良

    佐藤委員長 久保等君の質疑は終わりました。  阿部喜男君。
  145. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、私どもの一番心配をしておりました年末の郵政の労使の話し合いが大臣の大変なお骨折りでスムーズに進みまして、年賀状等についても国民が非常に安心しているようでございまして、大臣の格段のお骨折りに冒頭お礼を申し上げておきたいと思います。  さて、きょう私はまず第一の問題として、先般来議論を重ねてまいりました放送大学学園法について、非常に意見が食い違っておるように思いますので、意見の違いについてひとつ明確にしておいてもらいたいと思います。  まず、郵政大臣は、この放送大学学園法案の審査の過程で、現行放送法を大きく変更することなく、放送番組では若干の競合があるかもわからないけれども、公共放送のNHKとそう大きい問題が起こることはないのではないかというふうにお答えになられた、これは間違いございませんか。
  146. 山内一郎

    ○山内国務大臣 そのとおりでございます。
  147. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、先般この委員会で同僚の議員からの質問に、NHKの坂本会長を初めNHKの経営の皆さん方は、放送大学学園法について、これが実施されることになれば支障があるのではないかというふうにお答えになりましたが、このNHKの考えは間違いありませんか。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  148. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のとおり、放送大学が実現した場合には、いままでNHK、民放二本立てのわが国の基本的な放送の体制、それに加えて新しく国費を主な財源にする第三の新しい放送事業が誕生するということになりますので、NHKとしては当然NHKの将来の経営に与える影響をあらかじめ十分考慮していかなければならないというふうに考えております。
  149. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま、一つは経営の観点からかなり影響があるというふうにNHKはお考えです。大臣は、大した影響はない、こうお考えです。  もう一点、番組の関係について、大臣は、先般お答えになったように、放送番組の編成は自由だからそれはある程度の競合はあるかもわからない、とこうお答えになったのですが、私は、いまNHKが公共放送としてその使命を果たしておるのは、一つはやはりNHKの報道番組だと思っております。やはり国民が、視聴者が見てNHKの報道だからと非常に信頼をする。これは一つ大きい公共放送としての使命を果たしておる点だと思います。もう一つは、やはりNHKでなければ得られないのは教育番組だと思っておるのです。この二つが、いまNHKが公共放送としてやっており視聴者から支えられておる公共放送たるゆえんだと思うわけですけれども放送大学は明らかにNHKの教育番組と大きく競合すると私は思うのです。  まずお伺いしたいのは——文部省見えられていますね。放送大学学園法というのは一般には何か大学ができるのだというような考え方ですけれども、この文部省が出しております「放送大学について」という五十五年九月の大学局の資料でも明らかなように、これは明らかに生涯教育を目的とした番組なんです。放送なんです。これは間違いありませんね、文部省。
  150. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生お示しの「放送大学について」というものの中に「広く大学関係者の協力を得て、放送を効果的に利用した大学教育を実施する」ということを書いてあるわけでございまして、この放送大学学園が実施いたします放送大学は、そういう意味では学校教育法上の正規の大学を設置し、大学教育を行うものでございます。ただ、結果といたしまして、登録されました学生以外に広く国民一般の方々が視聴することはもちろん可能なわけでございまして、そういう機能をつかまえますと、その面が生涯教育としての機能を果たすということを申し上げておるわけでございます。
  151. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは逆じゃないのですか。まず冒頭に「放送大学は」とこうありまして、そして「放送を効果的に利用した大学教育を実施することにより、生涯教育の中核的高等教育機関としての新しい教育システムを設立しようとするものである。」これが設立の趣旨じゃないのですか。違うのですか。これはあなたのところで出したパンフレットです。冒頭に目的が書いてありますが、生涯教育を目的とすると書いてあるじゃないですか。違いますか。
  152. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生御指摘のとおり、趣旨はそのようなものを考えておるわけでございます。そして、その次に「放送大学設立の目的」と書いてございまして、大学教育の機会を提供するわけでございまして、そのことが結果として生涯教育機関として広く社会人や家庭婦人にもそういう大学教育の機会の提供をするということになるわけでございます。
  153. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その目的の一番初めにも「生涯教育機関として、広く社会人や家庭婦人に」云々とこうなっておって、生涯教育の機関だと書いてあるじゃありませんか、目的の一番冒頭に。これはしかも五十五年九月におたくがお出しになったパンフレットです。ですから、私がお聞きしておるのは、放送大学学園の設立の趣旨、目的は生涯教育でしょう、そう言っておるじゃありませんか、こう言っておるのです。そうでしょう。
  154. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生お示しのとおりそれは私どもの方で用意をいたしましたものでございます。条文で申し上げますと第一条に書いてあるわけでございまして、放送大学学園は放送等により教育を行う大学を設置するということがまず第一でございます。そのことが大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるという意味では、機能として生涯教育としての機能を果たすというぐあいに申し上げておるわけでございます。
  155. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 逆でしょう。生涯教育を目的として設立をして、その一つの柱として大学の教育をやるというのです。この目的から見ても設立趣旨から見てもそういうことにしかならぬじゃないですか。むしろ大学の教育をさせるということの方が副次的であって、生涯教育の方が基本的じゃないですか。そうでしょう。違いますか。
  156. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 生涯教育というものの考え方が基本にあるわけでございますが、ただ、この放送大学学園が行います放送は大学教育のための放送でございますし、その大学としてはこれは正規の大学というものでございますということをるる御説明を申し上げているわけでございます。
  157. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、これはどうお聞きになりますか。「生涯教育の中核的高等教育機関としての新しい教育システムを設立しようとするものである。」こうはっきりなっておる。そして「放送大学設立の目的」の冒頭に「生涯教育機関として、広く社会人や家庭婦人に、大学教育の機会を提供すること。」明らかにこうなっておるのです。これはどう見たって生涯教育を目的とした大学に違いないじゃないですか。どうなんです。
  158. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 放送大学そのものは学校教育法の規定に基づく正規の大学として構想いたしておるわけでございまして、放送大学の定めます教育課程に準拠した教育放送を行うというものでございます。ただ、生涯教育の要請にもこたえられるもの、結果としてそういう機能を果たすということは従来から御説明申し上げている点でございまして、広く国民に視聴されるということによりまして生涯教育ないし生涯学習の見地からも非常に重要な意味を持っている、かように御説明を申し上げているわけでございます。
  159. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まるで反対じゃございませんか。私が言うのは、生涯教育を目的として放送大学学園をつくる、その中の一つ機能として大学の生徒を募集してその中の何人かが何とかいう免許をもらう。恐らくこれは私が勘定するところでは年間五万か六万でしょう。しかし、放送の対象になる者は最低五十万あるはずですよ。多ければもっと大きい数字になるはずなんです。その規模から見ても、五万人の卒業生をつくるために何百万という視聴者に放送を送るわけですから、やはり生涯教育の方がここに書いてあるとおり基本であって、その中の一つ機能として大学の卒業生が出てくる、こういうわけになるのでしょう。もうはっきり言いなさいよ、あなた。大学局長がうそを言っちゃいかぬですよ。ここに書いてあるのがうそかどうかはっきりしなさい。
  160. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 その点は従来から御説明を繰り返し申し上げておるわけでございますけれども、御提案を申し上げております放送大学学園法案では、放送等により教育を行う大学を設置するということでございまして、したがいまして、その大学における教育に必要な放送を行うということを目的といたしておるわけでございます。その大学教育の機会に対する広範な国民の要請にそれはこたえるものであることはもとよりでございまして、そういう意味では生涯教育の機能を果たしておるということを御説明申し上げておるわけでございます。
  161. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その放送大学の目的が生涯教育を目的としたものであって、一つ機能として大学の卒業生が何人かできるというのでしょう、放送大学そのもの目的が生涯教育を目的としておるでしょうと、そう言っておるじゃありませんかと言うのです。だれも大学をつくるんじゃないと言わない。大学をつくって、大学が放送するんですが、その目的は生涯教育でしょうと言うのです。一つ機能として卒業生が何人か出てくる、こういうことでしょう。
  162. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生御指摘のとおり、放送大学を設置し、その機能として生涯教育を行うものでございます。
  163. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣、いまお聞きのとおり、やはり放送大学が生涯教育を目的として放送を行うわけなんです。その中の一つ機能として何人かの卒業生が生まれてくる、こういう放送の形態になると私は思うのです。  そこで、NHKにお伺いしますが、そういう形態ですと、いまNHKのおやりになっておる教育放送あるいは生涯教育を目的とした教養番組、こういうものとこの放送大学がやる生涯教育、この関係をどうお考えになりますか。
  164. 田中武志

    田中参考人 私どもといたしましては、放送大学の放送がどのような態様になるのか、また、その結果NHKの教育番組にどのような影響を与えることになるかということについては、あらかじめ十分配慮しておきたいというふうに考えております。私どもといたしましては、放送大学の放送につきましては、放送大学における教育に必要な放送が行われるというふうに理解しておりまして、こういった考えのもとにひとつ内容を十分に選定していただきたいというふうに私ども考えております。
  165. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま私が申し上げたとおり、この放送大学が放送する目的は生涯教育ですよと、そのことはそう理解しておるわけでしょう。その中の一つ機能としてたまたま何人かの大学の卒業生が生まれてくるだけであって、まさにわれわれが受信料を負担して行っておる公共放送のNHKと、国費でもって行われる放送大学学園という二つのところから、国民に向けて生涯教育の電波が出されていくのですよ。こういうばかげた話がありますか。そうなってくればNHKなんか要らぬじゃないですか。NHKでなければできない重要な教育の問題、いわゆる生涯教育の問題は放送大学でやってもらえるのです。そのうち恐らく、生涯教育ですからニュースもおやりになるようになるでしょう。正確なニュースをやるか何をやるかわからぬが、おやりになるようになるでしょう。それじゃNHKはなくなるじゃないですか。あとの娯楽番組なんというのはNHKでなくたっていいんです。民放で結構間に合うんです。年間に一万円も負担して公共放送NHKを支えていかなければならぬ理由はどこにもないのです。われわれがこれを支えておるのは、NHKの公共放送のその公共放送たるゆえんである、いまの報道の番組とこの生涯教育の番組があるからこそ一生懸命になって支えておるのですよ。それがなくなるに等しい状況、同じものが二つも出されて、何で国民が金を納めてまで公共放送を支えなければならないのですか。つぶしてしまったらいいじゃないですか。どうなんですか。NHKはもっと態度をはっきりしてください。
  166. 田中武志

    田中参考人 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この放送大学の放送というものにつきましては、放送大学における教育に必要な放送が行われるというふうに理解しておりますので、そういった考え方のもとで、ぜひひとつそういった内容で選定をしていただきたいというふうに特にお願いしておるわけでございます。
  167. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お願いをする筋じゃないのですよ。はっきりしておることは、放送大学がやるのも生涯教育ですと、いまはっきり明確になったでしょう。生涯教育なんです。そこに書いてあるのです。その中の一機能がたまたま何人かの大学の卒業生をつくるという形態になっておるだけなんです。生涯教育をNHKがやっておるから、われわれは公共放送としてのNHKを高く評価しておる。それが、金を出してまで見なくてもちゃんと国費でやってくれるというのです。ぼくは国費でやるのは反対ですからね、反対だから一生懸命言っているのですが、国費でやってくれるとなれば、同じものを何で受信料を払ってまで見なければならないことがありますか。期待しておるとかいうのじゃなくて、そうなっては困るのだということを、NHKはどうして明確に言えないのですか。何か政治的な圧力があるのですか。政治的な圧力があるかどうか、そこだけひとつ聞かせてください。
  168. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  決してそういうことはございません。
  169. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この問題はいままで長く議論しましたからもうこれ以上議論しませんが、しかし、ぼくらが心配しておる点については大臣も十分わかっていただけると思うのです。これは非常に重要な内容を含んでおるのです。どっちも生涯教育であることは間違いがないのですよ。たまたま放送大学がやる放送の中には何人かの大学卒業生に免状をやるシステムがあるというだけの違いなんですよ。だから私はこれは非常に問題があるということを力説してきたわけです。  そこで、もう一つお伺いいたしますが、NHKは先般韓国の大統領の全斗換さんと単独インタビューというのをおやりになって、解説委員長さんがインタビューをされておったようでございますが、放送法の精神からいいますと、一方の意見だけでなく、反対の意見があるときにはそれもまた視聴者に伝えるというのが原則だと思うのですけれども、一体あれは全斗換さんに雇われてNHKがPRをしたのですか。それとも、NHKが独自にそういう計画を持っておやりになったのですか。
  170. 田中武志

    田中参考人 いま先生御指摘のように、私どものニュースあるいは番組の編集に当たりましては、放送法あるいは国内番組基準、そういったものに基づきまして不偏不党の立場に立ちまして、政治的公平な立場を貫くということで放送しておることはよく御存じのとおりでございます。今回のあのインタビューにつきましては、今月十四日夜のニュースセンター九時の中で放送したわけでございますけれども、こういったインタビューにつきましては、私どもこういった非常に関心の深い国の最高指導者にこれまでもたびたび単独インタビューを申し込みまして、そしてその国の現状、あるいはどういう方向に向かうのかというような考え方をこのインタビューを通じまして放送するというねらいのもとにやったわけでございまして、たとえば最近の例を申し上げますと、五十一年、約三年ほど前に北朝鮮の金日成主席の単独インタビューも行っております。それから、ここ一年ぐらいの間で申し上げますと、イランのホメイニ師の単独インタビューも磯村がやっております。それから、ことしの七月にもエジプトのサダト大統領の単独インタビューもやりまして、NC9、ニュースセンター九時の中でこういうふうにやっておる、そういう一環でございまして、今回の大統領インタビューにつきましても、先ほど言いましたような趣旨でかねてからソウル支局あるいは在日韓国大使館の両方から、われわれとしてはそういった編集の自由の立場を踏まえながらひとつインタビューをしたいという取材の申し入れをしておったものが実現をしたものでございます。
  171. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、だからインタビューをしたそのこと自体が悪いと言うのじゃないですよ。しかし、いま日本国民の関心は、もっと大きく言えば世界じゅうの関心は、全斗換大統領が政権をおとりになった後、日本と非常にかかわり合いのあった金大中さんがどうなるのかと、その裁判をめぐっても世界が非常に大きく注目をしておる中です。まして、きのうですか、わが国の、一国の総理が全斗換さんに対して、大使を通じて、金大中さんの裁判について非常に深い関心を持っておるということまで申し入れをする、そういう社会情勢の中にあるわけですから、そのことを配慮せずに全斗換さんの言い分だけを報道する——極端な言い方ですが、何も野党とかいうのじゃなくて、たとえば与党の中にだって田中伊三次先生とかあるいは宇都宮徳馬先生とか、金大中さんの問題について非常に深い関心を持っておられる方がおいでになる。そういう方々の意見でも十分なり十五分つけ加えて、そして全斗換さんの意見に対してこういう意見もあるということを報道をするのが報道の公平を守るゆえんではなかったでしょうか。少し勇み足であったということと、もう一つは、一方的だったのですね、あのインタビューは。われわれが聞いてもらいたいということがなかなか聞けないのです。全然聞かないわけじゃないが、聞いたけれども向こうは言わないのですよ。あれは山室さん苦労してましたよ、一生懸命引き出そうと思って。しかし向こうは言わないのですよ。自分の言いたいことだけ言って、こっちの聞きたいことは言わない。そうならば、ほかの人から意見を入れてもらうのが私は報道の公平を保つゆえんだったと思うので、これはどうもまずかったと思うのですが、どうですか。
  172. 田中武志

    田中参考人 いま先生の御指摘のように、あのインタビューにつきましては相当準備もかけましたし、それからNHKの公共性、公共放送という立場についてのお互いの相互認識ということにつきましても十分意を尽くして、そしてインタビュアーもいま先生がおっしゃったように、特にわが国で関心の高い金大中さんの問題につきましては何回も質問を繰り返し、そして私から申し上げるのもなんでありますけれども、ジャーナリストとして真っ正面から質問したと思いますし、そういった中でNHKとしての主体性あるいは言論機関としての姿勢は貫いていったのではないかというふうに私は思っております。
  173. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 聞いたけど言わなかったからそれでいいのだということにはならないと思う。あれだけ一生懸命お聞きになった熱意が山室さんにはおありになったんですから、それならばほかの方法で全斗換さんの主張に対する反対の意見も国民の前に明らかにすべきではなかったのか、そういう配慮に欠けておったのではないか。聞かなかったと言うのじゃありません。山室さん、苦労しておりましたよ。ぼくが見ておって涙ぐましい努力をしておりましたけれども、向こうが言わないんですよ。山室さんの質問に答えないんですよ。だから一方的な報道になる。そのことを憂うるならば、反対の意見、別の意見もあの後に入れるべきではなかったのか、そういう配慮が欠けておったのではないかということを申し上げたのですが、済んだことですからこれはこれ以上言いません。  もう一つ現行の中で朝の茶の間のドラマがありますね。いま「虹を織る」というのが放映されております。大体NHKは基本的な姿勢として、特定の商品とか特定の企業の名前は余りドラマの中でもお使いにならない方針だと思うのですが、非常にりっぱなドラマですけれども、どういうものか宝塚、宝塚、宝塚と耳にたこができるほど聞かされるのですが、あれは特定な企業ではないわけですか。
  174. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、いま放送しております「虹を織る」につきましては、確かに宝塚が舞台になっておりますので、宝塚という言葉が番組の中に多々出てくると思いますけれども先生御存じのように、関西におきましては宝塚は女性のああいう芸能の方々の母体としまして非常に長い間役割りを果たしてまいりましたし、そういった中で、一人の若い女性がこれからいろいろな面で成長していくという過程を描く一つの手段として私たち使っているわけでございますので、その辺はどうかお許しをいただきたいというふうに思うわけでございます。
  175. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 許すも許さないもないんですけれども、ほかの方から苦情が出ないのかと思って、いままで十分配慮してきたNHKにしては少し宝塚の宣伝をし過ぎる、あるいはスポンサーになったかなあという気がしないでもないのですが、しかし、たとえば丁少女歌劇と言ってもみんな恐らく宝塚と思うのです、あそこにあるんですから。それだけの配慮があってもいいのではないかという気がしたのですが、これは別に政治的な圧力があったと思っておりません。これは大体何かの手違いだったと思うのです。  そこで、先ほどの放送大学学園法なりそれから全斗換さんのインタビューの問題なりを含めて、いまNHKはいろいろな番組なりについて、その他運営上政治的な圧力を感じておるかどうか。だから、私はこれは会長に来てもらいたかったのですが、幾らか政治的圧力はありますか。どうですか。
  176. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  私どもNHKは、公共放送という立場から国民の皆さん方各層からの御意見、御要望というものについては十分耳を傾けるということで現在やってきているわけでございまして、事実いろいろな意見、要望というものが参っております。政治的な面ということで言いますと、私どもの事業そのものの計画、予算あるいは決算というものが行政の窓口を通しましてこの国会の場でいろいろ御審議を願っているということでありまして、そういった面でいろいろ御意見の交換があるということも御承知のとおりでございます。  ただ、そういった機会におきますいろいろの御意見、御要望につきましても、万が一にも私どもの番組の内容あるいは編成の基本にかかわる、つまり私どものいつも言っております編集の自由にかかわるような、干渉をするような、介入するようなおそれがあるような場合には、断固こういったことについては排除していかなければならないという決意を持っておるのは当然でございます。御存じのように、放送法の第一条、第三条によりまして守られておりますNHKの自主性、不偏不党、そういった報道の自由ということにつきましては、私自身、これからも重大決意を持って守っていかなければならないと思っておるわけでございます。
  177. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 なかなかりっぱな決意ですが、大臣、おやめになったNHKの前の幹部が「公共放送と政治」というのをお書きになっておる。その中に「放送法上、NHKの独立は保証されているけれども現実の流れの中では強く政治の力を感じるわけで、放送は決して蒸溜水の中の聖域に安住できるものではなく、政治と社会の激流の中にある、というわけです。」というふうに述懐をされております。大臣は非常に理解が深いようですから、閣議とか党のいろいろな会議の中で、何かこのNHKという放送の機関は自分たちの思うように政治的な圧力で扱おうとか、極端な例を言えば、たとえば受信料を義務制にするからNHKは言うことを聞けとかいうようなことがないように特段の配慮をお願いしておきたいと思いましてちょっと取り上げました。  NHKの関係放送大学関係は終わりますから、お帰りになっていただいて結構でございます。  次に、先般来、郵便貯金の利子の引き下げについて、新聞報道によりますと、郵政大臣が郵便貯金の利子の引き下げを郵政審議会に諮問をして方針を決定された、そういうことになって、何かもう公示したのでございますか、そういうふうに聞いておりますが、その内容を簡単に説明してもらいたいのです。
  178. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金の金利の改定につきましては、十一月十四日に郵政審議会に郵政大臣諮問第百六十三号というので、利率の改定について御諮問を申し上げております。  利率の改定案といたしまして代表的な例を申し上げますと、定額郵便貯金の一番利率の高いもの、現行八%でございますが、これを〇・七五%引き下げまして七・二五%にする、あるいは通常郵便貯金でございますと、現行の利率四・五六%を〇・四八%引き下げまして四・〇八%にする、それから定期郵便貯金、これも六カ月ものと一年ものがございますが、一年もので申しますと、七・七五%を〇・七五%引き下げて七%にする、こういうふうな中身のものにつきまして御諮問を申し上げ、十一月十八日に「諮問の内容どおり改定することは、やむを得ない措置であるという結論に達したので答申する。」という御答申をいただいております。
  179. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、諮問をする案は郵政省でおつくりになったのだと思いますが、郵便貯金の利子を引き下げる理由、あるいは一%、〇・七五%という数字を出した根拠、それをちょっと御説明いただきたい。
  180. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 引き下げを諮問いたしました理由でございますが、景気の拡大のテンポが鈍化をしているという中で、卸売物価が鎮静傾向を続けている、なお消費者物価の騰勢も鈍化の傾向にあるという経済情勢がございます。そういう中で十一月の六日に公定歩合が引き下げられまして、これに伴って民間金融機関の預金金利が十二月の一日から引き下げられるということに相なったわけでございます。こういう民間金融機関の預金金利の引き下げが決定をされましたこと、それから郵便貯金が先生御承知のようにわが国の金融において非常に大きな存在になっているということにかんがみまして、一方郵便貯金法第十二条という規定がございますが、この規定に照らしまして郵政審議会に御諮問を申し上げたという次第でございます。
  181. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、景気を刺激するために公定歩合が下がったから、それで郵便貯金も利子を下げる。郵便貯金の利子を引き下げることそれ自体が、景気と非常に影響があるわけですか。
  182. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金法の十二条には、郵便貯金の利率の決め方というものが規定されてございます。それによりますと、一つには、郵便貯金というものが国民大衆の利用に供される簡易で確実な少額貯蓄の手段であるということに留意をして、その利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うという点があります。それにあわせて一般の金融機関の預金の利率についても配意しなければならない。この両方の考慮を払った結果、いま申し上げた御諮問を申し上げたということでございます。
  183. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 後段の方の「あわせて一般の金融機関の預金の利率についても配意しなければならない。」この点は十分配意をしていますね。前段の「国民大衆の利用に供される制度であることに留意し、その利益を増進し、」という点は、その利益を増進をするということについてはどういう配慮をしておるのですか。
  184. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  ここにございます十二条の二項でございますが、預金者の利益を増進しという点につきましては、お客様からお金をお預かりをする、それに利子をつけて最終的にお返しをするということの中で利益の増進を図るということと理解をいたしております。
  185. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 利子はだれだってつけるのです。銀行だって利子はつけますよ。郵便貯金だけ利子がつくのじゃないのです。銀行だって利子がつくのです。これは知っておるでしょう、局長。銀行に貯金しても利子がつくのです。郵便貯金だけ利子がつくのじゃないのですよ。特に郵便貯金法十二条の二項で、ここでうたっておるのは、いわゆる大衆の利益を増進させる——利益を増進させるために利子をつけている、あなたはいまこうおっしゃったけれども、その利益が増進するということは、先ほどちょっとあなたがおっしゃったが、少なくとも貯金をしておって、国が扱う貯金で、その貯金の目減りをするというような利息では、利益を増進したことにはならないのではないでしょうか。目減りはしてもいい、利息さえつければそれで利益が増進したというお考えですか。大切な庶民のお金を預かっておるのですから、目減りがしないようにしていくのが利益を増進することになるのじゃないのですか。その辺の兼ね合いはどう考えますか。利子さえつければいいのですか。
  186. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生御指摘のとおり、物価騰貴というふうな中で、預金者の利益というものを広く経済全般の情勢の中でできるだけお守りをしなければいけないということは全く同じ気持ちでございますけれども、いま申し上げました第十二条は、利子のつけ方という点につきまして、できるだけ預金者の利益に配意をしなさいという趣旨というふうに理解をいたしております。
  187. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは貯金法の第一条の関係もありますが、どちらを読んでも、いわゆる国営の郵便貯金というものは零細な庶民のお金を預かって大切にしてあげなさいということを書いてあるわけですよ。そうすると、特段のインフレでもない限り、最低預かった金は目減りはしない、利息でもって目減りは補えるという程度のものが本来的な利息の姿であるべきだ、私はこう思います。  ところで、これは大蔵省の方が中心になるかもわかりませんが、先ほど貯金局長は、最近卸売物価が鎮静の傾向にあり、消費者物価もまた鎮静の傾向にある、こうおっしゃっていますが、どこを指して消費者物価が鎮静の傾向にあると言うのですか。
  188. 鏡味徳房

    鏡味説明員 大蔵省官房企画官の鏡味でございます。  卸売物価でございますけれども先生御承知のように、いま年率では二けた台の伸びをしておりますけれども、前月比ではマイナスの数字を示し始めております。このように卸売物価の低下の基調はもう完全に定着していると思われます。また消費者物価でございますけれども、ことしの十月の東京都区部の数字が出ておりますが、これが六・八%という前年同月比の数字を示しております。卸売物価が上昇の基調が鈍化してきている、そういうことが定着して、それが消費者物価へ波及するということもだんだんとなくなってきているという中で、そのような数字が出てまいりましたことは、大蔵省と申しますより政府全体としまして、消費者物価の上昇が鈍化し始めてきている、その傾向が定着化し始めたのではないか、そのように考えているわけでございます。
  189. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全国の消費者物価指数を対前年比で見ますと、七月が七・七、八月が八・七、九月が八・九、こう上がってきておるのです。十月はまだ出ておりません。それから東京の消費者物価の場合にも、対前年比で見て七月が七・三、八月が八・五、九月が八・七、こう上がってきております。たまたま速報値で東京都区部の消費者物価が六・八になったからといって、これで消費者物価が鎮静をするのだというふうにお考えになっておるならば、昭和五十五年度の年度末における全体的な対前年比の物価の上昇を何%というふうにお考えになっていますか。
  190. 鏡味徳房

    鏡味説明員 ただいまの御質問でございますけれども、この問題につきましては、経済企画庁を中心としまして政府全体で見通しを立てております。したがいまして、今年度の政府見通し六・四%ということで消費者物価がおさまるであろう、このように経済企画庁を中心とする政府見通しがなっております。
  191. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国民のだれが六・四%で消費者物価がおさまるだろうなどと思っていますか。国会でやりとりしている中でも、六・八か七%を超えるのじゃないかというのがみんなの意見じゃないですか。いま計画しておる数字がそうでございます、そんなことはぼくは百も承知していますよ。しかし、この速報値であなたが物をおっしゃるから、この東京都区部の速報値がたまたま十月に六・八%になったから、もうこれで消費者物価は鎮静するなどと大きな見通しをおっしゃるから、私は聞いているのです。それでは年度末にどうなりますか。六・四という計画はありますよ。しかし六・四でおさまりますか。それだけあなたは気のきいたことを言うなら答えてみなさい。必ず六・四でおさめますと言ってみなさい。政府の計画ぐらい私は知っていますよ。
  192. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先生の御質問に私がお答えするのは適当かどうかと思いますけれども、経済企画庁を中心として、政府の見通しは六・四%でございます。
  193. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは経済企画庁は呼んでいないから、それはいいでしょう。  そこで、東京都区部が六・八%ということになります。それで貯金局長、郵便貯金を一年間、これは対前年度比ですから一年ですね、一年間新しい利率で郵便局にお預けになりますと、幾らの利息がつくことになりますか。
  194. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  いまの先生の御指摘のケースを定期郵便貯金と仮にいたしますと、定期郵便貯金の一年のもの、これが改定の利率七%になっておりますので、仮に十万円お預けいただくといたしますと、利息が七千円でございます。
  195. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、もし物価が七%を超えた場合には、これは目減りということになりますね。郵便貯金の最近五年間の歴史の中で、物価の上昇よりも貯金の利息の方が上回った年次は何年と何年ですか。
  196. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私、手元に持っておりますもの、月別に細かい数字で出ておりますので、五十一年ころにはたとえば一月に一〇%、これは東京都の消費者物価指数でございますが、というふうな数字がございます。五十二年の一月に九・四%、五十二年の一月に四・五、五十四年一月には三・六、五十五年一月に六・二というふうな数値がございます。それで、郵便貯金の場合の利率のとり方というものが、先生御承知のように、定額等もございますのでいろいろなケースがございますけれども、いま申しました一年定期というふうなことで考えますと、五十三年あるいは五十四年それから五十五年の一部、これは月ごとでございますけれども、いま申しました定期の七%という数値との対比においては低い時期であったというふうに考えております。
  197. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たまたま一月の消費者物価が、全国平均でも東京都区部でもいいですが、幾らか安かった。しかし、その年度、たとえば昭和五十三年度の全国的な消費者物価が幾ら上がっておるかもわからないのですか。対前年度比幾らか、そんなものはちゃんとわかっているでしょう。
  198. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 失礼いたしました。消費者物価の対前年上昇率でございますが、五十一年で九・三%、五十二年で八・一%、五十三年で三・八%、五十四年で三・六%でございます。
  199. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そのうちで五十一年、五十二年、五十三年、五十四年、これは貯金の利息が一定していないはずです。消費者物価が下がったときには貯金の利息をうんと下げていますね。一番安い利息は幾らですか。
  200. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほどから例示として申し上げております一年ものの定期預金でございますけれども、一番低くなっておりましたのが五十三年四月二十五日からのものでございますが、四・五〇%でございます。
  201. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま大臣お聞きのように、消費者物価が少し下がるとすぐ貯金の利息を下げていくのです。もちろん、公定歩合との関係が一番大きいのはわかっておりますけれども、下げていく。しかし、消費者物価が上がったからといって貯金の利息はなかなか上げてくれないのですよ。大変な目減りをして、裁判まで起こったことがあるのですけれども、下げることには急であるが、なかなか上げる方には急でない。だから私が言うのは、平均してといいますか、少なくとも目減りだけはしないぐらいの貯金の利子をつけてあげるのが郵便貯金法の精神ではないのか、そこを基本にして郵便貯金というものの利息を考えるべきではないかと私は思うわけです。しかし、大蔵省が何か言えば、もう大蔵省の言うままに下げなければならぬもののように思うてすぐ下げてしまうのですが、大体、郵政省というのは金融機関のうちに入っているのか、入っていないのですか。
  202. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  郵便貯金法では、いま申し上げました十二条の中で、一般の金融機関の預金の金利に配意しという点がございますので、その意味におきましては一般の民間金融機関とは異なりますけれども、金融機関の広い意味での一つであるというふうには理解をいたしております。
  203. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先般私が聞いたときに、郵政省はその意味では金融機関と言えないのではないか、お金を集めてはもらうが、融資をするというシステムに本来なっていない、だから厳格な意味では郵政省は金融機関ではないのではないかという大蔵省の方のお話があったのですが、大蔵はどうお考えになっておりますか。
  204. 佐藤徹

    佐藤説明員 お答えいたします。  金融機関という言葉は法律上使っている場合もございますが、いろいろなふうに使われますので、一概に申し上げることはできないと思いますが、私ども通常金融機関と言っております場合には、貸出業務をあわせて行っている場合を金融機関と言っておりますので、そういった意味で郵政省はどうかということになりますと、郵政省も貸し出しを若干行っております。しかし通常の意味での貸出業務は行っておりませんので、そういった意味の金融機関には当たらない。ただし、非常に広い意味でこれは使われる場合もございますので、いかなる場合にも郵政省は含まれないということまで申し上げるわけにはいかないと思います。
  205. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きわめてあいまいですが、この見解は非常に分かれておって、ある意味では金融機関じゃないのじゃないか、融資をしないじゃないか。最近は幾らかやっておるからという理屈も出るのですが、しかし、ある場合には、金融機関と言えば郵政省がすぐ冒頭に引っ張ってこられる。しかし性格的に、言われるところの金融機関、民間の融資をする金融機関と郵政省というのは、私は特に郵便貯金は違うという気がするわけなんですがね。そういう意味合いからすると、郵便貯金は、民間のように預かってそれを融資して利ざやをかせぐというような機関ではなくて、本当に国民の福祉のために零細な預金を預かる機関であるから、その預金の利子が常に民間の金融機関に連動しなければならないだろうか、そこに私は疑問を持つわけです。郵便貯金はいまのところ三百万円よりたくさんはできないのですから、総額制限があるわけですから、その総額制限があるということを踏まえるならば、郵便貯金の利子というものはもっと独立したものであっていいのではないか、この点、どうお考えですか。
  206. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 金融機関という意味合い、大変広い意味ではと申し上げましたけれども、いま大蔵省から話がありましたような理解ができようかと思います。  いま御指摘の、そういう性格を持った郵便貯金の利用者に対するという意味におきまして利率をどう考えるかという御指摘かと思いますけれども、たびたび引用いたしまして恐縮でございますが、郵便貯金法の十二条の二項には「あわせて一般の金融機関の預金の利率についても配意」というのがございます。この点につきましては、私どもも、この条文によりまして必ずしも一般の金融機関の利率に連動というふうには理解をいたしておりません。配意をするというふうに書いてございますけれども、これが即連動を意味するものではないというふうに考えております。
  207. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 即連動をしないと言うけれども、しかし、実際の運用では非常に連動をしてきておると見なければならぬですね。現実の問題で、下げ幅なり上げ幅が余り大きく変わったことはないように思っていますから。しかし、私は本来、いま申し上げたように、郵便貯金というものが零細な庶民のお金を利益の増進を図るように預入されておるわけですから、その利子の決め方というのはやはり独自のものであっていいというふうに思うわけです。  そこで、いま大体郵便貯金は、五十五年度中の増加の見通しはどのくらいになる予定ですか。
  208. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 五十五年度の予算上の目標値が七兆九千億円でございます。現在、それに対しまして九〇%をちょっと超えたところまでの数字になっております。
  209. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 五十五年の年度末の増加額はどのくらいになる予定ですか。
  210. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 実は毎年度の状況等をいろいろ検討しなければ、まあ、ただいまの状況が九〇%をちょっと超したところとは言いながら、年度末においてどういうふうになるかという点は必ずしも予測をいたしがたい面がございます。特に今回の場合、現在までのところは大変順調な伸びを示しておりますけれども、いま申しました利下げが十二月の一日から始まります。それからもう一つ、二月、三月というのが比較的貯金が払い戻しをされるというケースの多い時期という傾向がございますので、その辺のところを全般的に検討いたしませんと、はっきりした見通し、正確な見通しというものがつきかねるわけでございます。  ただいまの状況からいたしますと、当初予定をいたしております目標は達成可能であるというふうに考えております。
  211. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省の方は、五十五年度のいわゆる財投原資、郵政省に期待しておる額は幾らですか。
  212. 亀井敬之

    ○亀井説明員 五十五年度の財政投融資の原資で郵便貯金に期待いたしております額は、七兆九千億でございます。
  213. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまの趨勢からいくと大分郵便貯金の増加額の方が上回ってくるようで、これは大蔵省としては、資金運用部の方に余りうんと金が入っては大変迷惑をするわけじゃないですか。そこで郵便貯金を少し抑えなければいかぬ、こういう方針ですか。
  214. 亀井敬之

    ○亀井説明員 私どもとしては、郵政省からお預かりいたしておりますお金を財政投融資、公共投資等有効な面に活用させていただいておりますので、お金がふえて集まってくることを迷惑だといったようなことを考えておるわけではございません。
  215. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ことしはふえても迷惑はしない。そこで、五十六年度の財投の目標は何ぼですか。
  216. 亀井敬之

    ○亀井説明員 五十六年度、郵便貯金は、私からお答え申し上げるのが適当であるかどうかちょっと疑問でございましたが、八兆九千億というふうに郵政省から伺っております。
  217. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これが六兆円ぐらいしか集まらなかったらどうなりますか。
  218. 亀井敬之

    ○亀井説明員 財政投融資関係につきましての要求は、五十六年度におきましても、ことしの計画に対しまして二三・六%といったような高い要求額になっております。要求でございますけれども、しかし各種の公共投資等の需要もございますので、私どもとしては八兆九千億の見込みが達成されることを希望いたしておる次第でございます。
  219. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 希望はわかっておるのだ。もし半分ぐらいしか郵便貯金が集まらなかったら、財投の方はどうなりますかと言っている。
  220. 亀井敬之

    ○亀井説明員 集まらなかったらという仮定のお話でございますが、郵政省からちょうだいいたしましたのが五十六年度八兆九千億を見込めるということでございますので、重ねて申しわけありませんが、それだけ入りますことを希望いたしておるわけでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  221. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはいわば現金で入ってくるようなお金ですから、その中で、仮に財投の原資に二兆円なり三兆円という穴があく。大蔵省は、二兆や三兆穴があいても余りお困りにならないわけですか。
  222. 亀井敬之

    ○亀井説明員 厳しい御指摘でございますが、たとえばある年度につきまして、郵政省からちょうだいいたしました年間の郵便貯金の見込み額が計画に組み込まれて進行いたしておりまして、それがいま先生の御指摘のように、仮定の話といたしまして二、三兆も穴があくというようなことになりますと、計画の進行自体に障害が生ずると申し上げざるを得ないかと思います。
  223. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣、私は郵便貯金の二つ目の特徴はここにあると思うのです。その集まったお金が国の財政運用に使われておる、非常に大きく貢献しておるということを見逃してはならぬと思うのです。その意味からいっても、直ちに金融機関だという解釈でなくて、郵便貯金というものは独自なものであるというふうに考えて扱わなければならないのではないか。  郵便貯金法の第二条によりますと「郵便貯金は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」ということになっておりますが、これは間違いございませんか。
  224. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 第二条は「郵便貯金は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」と書いてございます。先生の御指摘のとおりでございます。
  225. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その管理する郵政大臣でないお方が、たとえば大蔵大臣であるとか大蔵省首脳などと呼ばれる者が、あちこちで郵便貯金について勝手なことをふれて歩いておりますが、これは大臣、どうお考えになりますか。
  226. 山内一郎

    ○山内国務大臣 郵便貯金というものは当然郵政大臣の管理でございまして、先ほどからいろいろお聞きをいたしておりますと、利子等についてももっと独自でやったらどうか、こういうような御意見がございますけれども、ほかの省——余りどこと言うわけにいきませんけれども、いろいろ話があるということは、やはり行き方にこういう問題が生ずるおそれがあるのではなかろうかというような懸念からの御発言だと思いまして、必ずこうしなさいとか、そういう話は全然ございません。これは郵政大臣の管理ということははっきりしているわけでございます。
  227. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 はっきりしておってもらうといいのですが、これは日経の十一月十四日の記事ですけれども、「郵貯の位置づけ点検、大蔵省・日銀首脳相銀大会で表明」大蔵省と日銀の首脳が相互銀行の大会で郵便貯金の位置づけを点検するということを決めたそうでございまして、第三者の審議会を何かつくるとおっしゃる。私は郵政大臣が郵便貯金を管理しておるものとばかり思い込んでおったのですけれども、どうもこれを見ると大蔵省と相互銀行が管理しているように思われますが、これはどういう意味ですか。
  228. 山内一郎

    ○山内国務大臣 真意のほどは私はわかりかねますけれども、そういう機関ができまして、それでは郵便貯金をこうしなさいというところまで足を踏み込むわけにはいかないと思うのです。一般の銀行の預金と郵政省の貯金、こういう相対的な関係でいまいろいろ言われておりますのは、郵便貯金がふえ過ぎるというようなことでございますけれども、私はふえ過ぎてちっとも悪いこともございませんし、職員には大いにおやりなさい、こういうふうに言っているわけでございます。だから、そういう従来のバランスがある程度破れれば、それに即応したやり方は私はあると思うのです。たとえば国債購入という点について、いままでは非常に銀行の方でおやりになっておりましたけれども、今度は財投の方でやったらどうかとか、資金運用部資金の方でやったらどうかというやり方についていろいろ御議論、御審議されるのは自由だと思いますけれども、貯金がふえるとかなんとかという点について審議会をおつくりになっていろいろやるというのは、私はこれはどうかなというような気がいたしているわけでございます。
  229. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは私も全く大臣と同感で、国債を買うなり地方債を買うなり、国債は銀行は引き受けたがらなくて困っているわけですから、郵政省が集めた郵便貯金で国債を買い取ればきわめて簡単に処理はできるわけでございます。私は、どうも民間の金融機関をかばうために零細な庶民の貯金を犠牲にしようとしておるように思われてならない。しかもそこに乗り出してきて、大蔵省の首脳だとかあるいは大蔵大臣だとかが、何か郵便貯金は金が集まり過ぎるから外務員の募集手当を検討しなければならぬ——これこそ大臣所管事項だと思うのですが、いつから大蔵省が郵政職員の給与についてくちばしを入れることになったのか、これは大蔵省の方からちょっと聞かせてもらいたい。
  230. 佐藤徹

    佐藤説明員 初めに事実から申し上げますが、先ほど先生がおっしゃられた十一月十四日付の新聞記事、これは新聞記事のことでございますので、とかくは申しませんが、現実に大蔵大臣が相銀大会で申し上げました祝辞は、「私は、今後とも郵便貯金機能そのもののあり方や、金融政策における郵便貯金の位置づけ、更には、金利その他の諸条件の面で民間金融機関と郵便貯金とがどのような現状にあり、その現状についていかなる改善をなすべきかについて広い視野から真剣に検討を進めていく必要があると考えております。」ということでありまして、新しく審議会を設けるとかそういうことを申してはおりませんので、この点は申し上げさせていただきます。  どうして大蔵省が郵便貯金のことについてとやかく言うのかという御質問でございますが、私ども、郵便貯金が、国民の零細な貯蓄に対して貯蓄の手段を提供する、あるいはそこで集まった資金を財政投融資を通じて国民経済の発展に役立てていく、そういう非常に重要な機能を果たしていることを高く評価しているわけでございます。したがって、今後とも郵便貯金が健全な発展をすることを望んでいるわけであります。ただ、私どもの役所は金融政策あるいは財政、予算の作成、それから税の執行等々の機能所管しております。そういった面で郵便貯金の問題が私ども所管しております事項にかかわり合いを持ってくることは幾つかあるわけであります。そういうかかわり合いを持ってくる事柄につきましていまいろいろ問題が提起をされている。そういった問題について何事かを考え、また必要な場合には意見を申し上げるということは、これは当然あっていいことではないかというように考えている次第でございます。
  231. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 たとえば大蔵省の首脳が、これは九月二十六日の——新聞記事だからとおっしゃられると、私もこれを頼りに物を言っているのですから、新聞記事がうそだと言われれば私も言いようがないのですが、特にきょう大蔵大臣に出てもらいたいと言ったのは、大蔵省の首脳なり大蔵大臣が、外務員の募集手当などというものをやってまで金を集めなければならないかどうか問題だということを言っているのです。しかし、郵政大臣所管する貯金の業務の中で、資金運用部に預託をした利子と払う利子、その差益をもって運用していく中でどういうふうに給与を分配していくのかというのは、まさに郵政大臣が労働組合と協議をして決定する内容のものでございます。それを、募集手当がいいとか悪いとか、そんなことまで大蔵省が口を入れるというのも——うそですか本当ですか書いてある。大蔵大臣が言ったというのですから大蔵大臣が一番いいのですけれどもね。
  232. 伊藤博行

    伊藤説明員 募集手当の関係につきましてお答え申し上げます。  郵貯の募集手当が、まじめに働く職員の勤労意欲を支えるという非常なメリットがあるという点は私どもも重々承知をしております。ただ、同時に一方では、ごく最近の各方面の御意見の中に、民間金融機関との公正な競争条件等の観点から、国の事業のあり方としていろいろな問題が提起されております。そういった中に、民間で支給されていない募集手当を支給してまで勧誘するのはどうだろうかという意見があるのも事実でございます。そういった意見があるということは横に置きましても、私どもが一般的に予算という観点で、募集手当を含めまして経費全般につきまして毎年度いろいろ郵政省と御協議申し上げているということは、これまた予算ということを担当しております私どもの仕事でもございます。格別募集手当だけを云々というわけじゃございませんが、経費全般の効率的な運用、執行というような観点からいろいろ場合によっては御意見を申し上げるということもこれまでもありましたし、また今後もあり得ようかと思いますけれども、そういった観点での関心でございます。
  233. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ここに明らかに募集手当と出ておるのですが、それはしばらくおくとしましても、それでは、それだけ関心を持っておやりになっておるのならば、いま郵便貯金の特別会計は赤字になっておるか黒字になっておるかぐらいは大蔵省御存じでしょうね。
  234. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  手元にございます五十五年度予算で申し上げますと、単年度では四百五十億ほどの黒字になっております。ただ先生御案内のように、累積では約千五百億程度の赤になっておるというのが現状かと思います。
  235. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 予算の執行に当たって容喙をするんだといまおっしゃいましたが、郵貯特会がそういう千数百億の赤字を持っておる、じゃあそれを大蔵省はどういうふうに解決をしていくおつもりですか。
  236. 伊藤博行

    伊藤説明員 一般論でございますけれども、収支の差というのは歳入と歳出の両面にわたっております。私どもはそれぞれにつきまして、より効率的な方向での検討、特に一番、あらゆる分野を通じてでございますけれども、経費の側面につきましては極力効率的なコストの使い方、経費の使い方をしていきたいというのが大きな問題点の一つかと思っております。
  237. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、郵便貯金特会はもっと経費の使い方を節約して赤字をなくしていけという、それだけの考え方で千数百億の赤字が消えると思っておるのですか。どのくらい節約するのですか。
  238. 伊藤博行

    伊藤説明員 もちろん、コストの構成要素はいろいろなものがございます。支払い利子の問題等もございます。したがっていろいろな面での努力ということに相なろうかと思いますけれども、一般的な経費の面につきましても極力効率的な使い方ということが必要かと思います。
  239. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長郵政省はそんなに貯金特会の中でむだ遣いをなさっておるわけですか。経費の節約をして千数百億の赤字が消せるほどむだ遣いをなさっておるのですか。
  240. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 これまでの累積の赤字がございますことはいまお話が出たとおりでございますけれども、郵便貯金の赤字が出ております原因と申しますものは、四十八年以降の金利改定の際に、預託利率の引き上げ幅が郵便貯金の利率の引き上げ幅に及ばなかったということから両者の利差が縮小いたしました。そのために四十九年度以降五年度間にわたりまして赤字が生じたということでございます。定員が多過ぎるとかあるいは募集手当を出しているというふうな、郵政省の経営の不効率によって生じたものではないとわれわれ考えております。  なお、こういった経費を含めました経費率でございますが、民間金融機関と比較をいたしましても低くなっておりまして、われわれとしましては、オンライン化等を含め、あるいはその他の経営合理化努力といったことを懸命にやっている中で効率的な経営が行われているというふうに考えております。
  241. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省とまるで見解が違うじゃないですか。大蔵省は、経費を節約して千数百億の赤字を消せ、こう言う。ずいぶんむだがある。だれが聞いたってむだがあるように聞こえますけれども、貯金局長のお話は、まるでむだはない、むしろ利差が出なかった、国の要請によって資金運用部に預託した金利が安かったから赤字が出たのだ——それは大蔵省の責任じゃないの。その大蔵省が、利差を認めなかったその責任を貯金特会の経営の切り詰めによって埋めていけ、こう言うわけですか、あなたは。
  242. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  冒頭申し上げましたように、経費だけでどうこうということじゃなくて、経費も含めてというふうに申し上げたつもりでございます。たまたま議論が経費の部分に集中しておりますのでその部分を申し上げましたけれども、あらゆる面を通じての努力ということで、先ほど郵政省の方からお答えございましたように、これまでも郵政省がサボっておったということを申し上げておるつもりではなく、いろいろ努力されておることもわれわれ十分承知しております。これまでの努力を大いに多とするとともに、今後ともますますお願いしたいという気持ちを申し上げておる次第でございます。
  243. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 問題は、なぜその赤字が出たかということなんですよね。さっき議論があったように、電電公社が少し計算上黒字になったらこれを召し上げようか、召し上げれば後でまた電話料が上がることは間違いないのですが、郵便料金だって同じでしょう、さっき利息の問題が出ていましたけれどもね。  そもそも郵便局で集めたお金を資金運用部に預託をした、その預託の利息が、いままで公平にあなた方が言うところで決めてきた支払い利息との利差が少なかったから赤字が出たのならば、どこかで利差を埋める以外にこの赤字は埋まらぬじゃないですか。それをあなたは経営努力で埋めろと言う。しかし郵政省のいまの言い分を聞くと、利差が少なかったから出た赤字ならば、国の方策に沿って資金運用部に預託した利子が安かったから出た赤字ならば、その利差をどこかで、資金運用部で見てやらなければいけない、そう思うのですが、やはり経営努力で穴を埋めろ、こういうことになるのですか。
  244. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  要するに利差は借り入れと貸し出しの差でございます。コストの方に相当する方の金利という問題もございます。それから預託金利という問題もございます。それぞれがそれぞれの理屈に基づいてそれぞれの審議会等で決められてまいっております。相対的な問題のどちらによりウエートをかけて解決をしていくかという問題は今後なお議論が必要かと思いますけれども、そういった議論ももちろん必要であることを否定するわけじゃございませんが、だからといって経費の方は何ら検討する必要はないということにもならない、やはり両々相まってということであろうかと思います。
  245. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは一切利差については考えないというのではなくて、経費の方も努力してもらうが、利差によって出た赤字だからそれについても検討しなければならない、そういうお考えですか。
  246. 伊藤博行

    伊藤説明員 利差につきましては、預託金利の問題と同時に預け入れる方の金利の問題もございます。その相対的な差として利差という問題が出てまいります。仮にその問題をどちらの方向でどう解決していくのがいいかというのはまたいろいろな観点からの御議論があろうかと思います。
  247. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで非常によくわかりました。いわゆる郵便貯金の利子が高いから利差が少ないんだ、だから、郵便貯金の利子をもっと下げなさい、そうすれば差は出ますよというのがいまのあなたの言い分でしょう。それほど郵便貯金というものは独自の性格を持っておるのならば、先ほど来私が言うように、貯金の利息について大蔵省が干渉することはやめてもらいたい。郵便貯金の運用はちゃんと郵政大臣でやってもらいたい。利子を下げろとか上げろとかいつも干渉しておきながら、その下げた貯金利息と預託利息の差が少ないのは、それは貯金の利子が高いから利差が出ないんだ、早く言えば、もっと下げなさい、貯金利息を下げさえすれば利差が出ますよ、あなたはそう言いたいのでしょう。それならば利子については大蔵省の干渉なしに郵政省が勝手に決めますよ。そのかわり赤字が出ようと黒字が出ようとその責任は郵政省が負えばいい、こういうことになるわけでしょう。ところが、常に大蔵省は、郵政省が物を言う前に郵便貯金の利子までくちばしを入れて文句を言っておきながら、結果についてはいま言うように郵便貯金の利子をもっと下げればいいと言う。下げるか上げるかはもともと協議して決めたのでしょう。協議して決めた。その集めたお金に利子を払って、預託したお金との利差が少ないというのは、一緒に決めたあなた方にも責任があるじゃないですか。それはどういうことですか。
  248. 伊藤博行

    伊藤説明員 これまでの利差といいますか、利差が生ずるもとになる部分につきましては、それぞれ協議して決められてきたと承知しております。いま先生がおっしゃっておられますのは、今後どうするかということに関連しての御議論かと思いますけれども、いろんな議論があり得るであろうということを申し上げたわけでございまして、一つの答えをもってお答えしているつもりじゃございません。一般的な議論として申し上げているつもりでございます。
  249. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に抽象的でよくわからないのですけれども、郵便貯金の利子を決定するときには大蔵省も了解をして、民間の金融機関のいろいろがあって決めておる。そしてまた、資金運用部の預託利息についてもこれまた当然協議しなければ、大蔵がうんと言わなければ決まらないわけですから、いわば一心同体で、一緒に利子も決め、預託利息も決めておきながら、その利差が少ないから赤字が出たのだから、早く言えば郵便貯金の利子をもっと下げさえすれば赤字にはなりませんよ、そういう言い分というのはおかしいんじゃないですか。
  250. 伊藤博行

    伊藤説明員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、いろいろ両省でもってあるいはその他の関係者でもって協議しながら決めてまいったことはお説のとおりだと思います。その結果、累積赤字はございますけれども、ところが現状で見ます限り、単年度では黒になっておるということで、そのときそのときどういう形にするのが最もいいのかというのは、いろいろな観点からの議論を踏まえての結論であったかと思います。したがいまして、その赤の部分だけに着目して一義的に答えを出すということが短兵急にできるかどうか。もちろんそれを念頭に置いていろいろな議論がなされようかと思いますけれども、あくまでも一つの要素であって、それだけということではないように思います。
  251. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ぼくは長期的な展望を持てば貯金の赤字をそれほど心配していないのです、率直に言って。ただ、あなたの発想が、貯金の利子が高いから利差が少ないのだぞ、貯金利子をもっと下げればいいではないかというような発想だから私は言うのであって、いまの赤字を直ちに大蔵省から補てんしてもらわなければだめだろうとかそんな考えは持っていないのですよ。それは貯金特会は長い目で見れば何とか消えるでしょう。私はそう見ています。消えるでしょうが、あなたの発想は、利子が高い、だから利差が出ないのですよという言い方になるから不都合だ、こう言っているのですよ。  そこで先ほどの問題に戻りますが、主計の立場と資金運用部の立場はずいぶん違うとは思いますけれども、一体外務員の募集手当というようなものがどういう性格を持っているのかということについてお考えになったことがありますか。第一線の貯金を集める方々は、いまはわらじ、地下たびではありません、皮ぐつをはいて行くけれども、くつのかかとをすり減らしながら、コメツキバッタみたいに頭を下げて一万円、二万円のお金を一生懸命集めて歩く、そのためには、子供がおればあめの一つも持っていってやる、そういうこともしながら血のにじむような努力をして集めておるのであって、もし外務員が一戸一戸を訪問して金を集めるということをおやめになったならば、郵便貯金などというものはいまの半分にもならないだろうと思います。  そこで、郵便貯金の外務員だけに募集手当があるのは不都合だという話もあります。民間に比べればおかしいとかなんとかいう話もありましたけれども、民間の場合にはボーナスでもってそれを全部調整していくのです。ボーナスで調整していって、功績があった者にはたくさんやるのだから、結果的には同じことじゃないですか。発想が違うのですよ。いまわずかな募集手当の中からそういういろいろなことを配慮しながら血のにじむような思いで努力をしている人たちの上に思いをいたさずに、座っておって金が集まるくらいに思って、やれ八兆九千億だとか七兆九千億だとか大きなことばかり言うけれども、あなた方がそういう発想で郵便貯金をながめておるならば、郵便貯金はやがて金が集まらなくなって、国の財投も何もどうしようもないようなかっこうになってくるおそれがある。そういうところに手をつけて、やれ募集手当がどうだとか、何か民間の金融機関のしり馬に乗って——はっきり言えば、民間の金融機関は選挙のときにはたくさんお金を持ってくるだろうから、大臣などというのはそっちの方をよくしておった方がいいのかもしらぬけれども、しかし国民の側から見れば郵便貯金を信頼をし、零細な金を集めて貯金をして今日郵便貯金を支えておる。しかも目減りするのはわかっておるのです。目減りがするのもわかっておりながら、それ以外に手段がないのですよ。だからそこに貯金をするのです。民間の金融機関は何ですか。あの過剰流動性は一体だれがっくり出したのか。過剰流動性は民間の金融機関が金を集め過ぎたからで、無理に貸し出して土地を買わせて、国民がどんな大きな迷惑をしましたか。そのとき知らぬ顔をしておって、いま少し金の集まり方が少ないからといって、零細な国民、庶民を相手に郵便貯金の集め方が多いとか少ないとか、そのしり馬に乗って大蔵省が、大臣なり首脳などという者が勝手なことを言うのは許されませんよ。主計官はどう考えますか。
  252. 伊藤博行

    伊藤説明員 郵貯の関係で外務員の方々が庶民の足がわりとして非常に重要な役割りを果たしておられるという事実、またこれまでも果たしてこられたという事実、それはわれわれも十分了解しておるものでございます。冒頭に申し上げたかと思いますけれども、私どもは外務員の募集手当だけがどうこうということではなくて、経費一般ということで——冒頭の議論に戻ってしまいましてまた先生からおしかりを受けるかもわかりませんが、経費一般は、やはり限られた財源の中の効率的な運用という点で常に見直しをするといいますか、検討するということをやってきておりますし、そういうものとして、予算を組む場合には常時議論をしてきておる。私どもだけで勝手にどうこうするということではなくて、郵政省ともども協議をしながら予算をつくってきておりますけれども、そういった経費一般の中での議論として御理解をいただきたいというふうに思います。
  253. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから私がきょう大臣に出てもらいたいと言っているのはこれなんですよ。  日経九月二十六日「郵貯の募集手当制度撤廃を含め再検討 蔵相方針」こう書いてありまして、参議院の決算委員会渡辺大蔵大臣が「郵便貯金の巨大化が問題になっているときに、外務員に募集手当を払ってまで郵貯を集める必要があるのか非常に疑問だ。検討する必要がある」こう述べたと書かれておるのですが、これはうそですか。
  254. 伊藤博行

    伊藤説明員 議事録を私も読みましたので、そのとおりの発言があったかと思います。
  255. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣、どうお考えですか。これは労働組合との間に、郵貯の運営についてその給与がいかにあるべきか、あるいは手当がどうあるべきかということを十分検討されて協約を結ばれて、いま行われておる募集手当が、一閣僚の勝手な発言で募集手当を廃止するなんと言っている。郵政大臣がおるのかおらぬのかわからないのですが、どうお考えですか。
  256. 山内一郎

    ○山内国務大臣 郵便貯金につきましては、外務員制度がりっぱに従来からできておりまして、この皆さん方の努力によって私は貯金が現在のような額に達したと非常に感謝をいたしておるところでございます。  そこで、募集手当の問題につきましても、労使協調の面から一番重要な手当のうちの一つでございまして、これは絶対に、だれが何と言おうとも従来どおりひとつこの制度を続け、手当についてもがんばってまいりたい。大蔵省はいろいろ予算全体の編成の責任もございますけれども郵政省としてもこれが一番重大なことの一つでございますので、がんばってまいりたいと考えております。
  257. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵便貯金を管理する大臣の決意を聞きまして、私も非常に安心しました。これは単に第一線で働いておる人たちのことだけでなく、国家財政全体からながめても、いま大蔵大臣なり大蔵首脳などと呼ばれている人たちの考えているようなことになったら、日本の財政そのものがつぶれるような大変なことになると思います。ひとつ十分がんばっていただきたいと思います。  それから次に、電電公社お残りいただいて大変恐縮ですが、時間も少なくなりましたので、一つだけ伺わしてもらいます。  先般秋草総裁が、電話通話料の調整でございますね、いわゆる遠距離を安くしてそのかわり市内通話は少し値上げをした方がいいのではないかというような御発言をなさったことについて、これはまた大変マスコミから出されておったようですが、私は総裁の真意ではないのではないかという気もするのですが、あれはどうなんですか。
  258. 秋草篤二

    ○秋草説明員 全く私の真意ではなかったのでございますが、定例の記者会見で日ごろの私の考え方を、納付金という問題もあったので、いわゆる収支差額の意義というようなものを解説しまして、できるだけこれを加入者に還元するのだ。趣旨はいつもこれは国会の席等でも申しております。それにつきまして遠距離の格差の是正ということは念願でございまして、年来の方針でございますので、それに沿ってやれば、これは必ず加入者に多少なりとも有意義に活用できるということを伝えたかったのが私の本旨でございます。
  259. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど久保先生からも非常に詳細な御意見が述べられたわけですが、基本的に私は、やはり大蔵もおりますから聞いておってもらいたいのですが、電電公社の会計が単年度で若干黒字になったからといっても、もう値上げをせんならぬのは目に見えておるわけですから、早く言えば電電公社が上納金といいますか、お金を国に納めるのではなくて、これは大衆課税だと思うのです。電話加入者通話料が早く上がるか遅く上がるかの違いだと思うのです。これはもう明らかに大衆課税にほかならないので、電電公社の幹部が勝手に上納金を納めるなどということを決められちゃ大変なことだ。加入者の財産であるということを間違いなくひとつ肝に銘じていただいて、横暴な一部の政府の言い分を聞き入れることのないようにがんばっていただきたいと思います。  もう一つ、これも先ほど御質問がありましたが、マジックホンの対応の仕方です。通話停止をやったらどうかということがあるのですが、いまの公衆電気通信法上通話停止ができるかどうか非常に問題があるような気がしますが、その辺どうお考えになっていますか。
  260. 森谷昭夫

    森谷説明員 お答えいたします。  公衆電気通信法の第四十二条に「通話の停止及び加入電話加入契約の解除」というのがございまして、「この法律の規定に違反したとき。」というのが一つの条項にございます。これに確実に該当いたしますので、通話停止も行えると思います。加入契約の解除も行えると思います。
  261. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この法律違反をしたとなっている。ここのところ私、調べてみましたが、この法律の中ではないのじゃないですか。電気通信法じゃなくて、もう一つの方の有線電気通信法の二十一条か何かにはありますね、こういうことをやっちゃいかぬというのが。ところがこっちの公衆電気通信法の方にはこれがないとすれば、この法律を待っておったのでは困るのじゃないかという気がしたのです。
  262. 森谷昭夫

    森谷説明員 先生御指摘のように有線電気通信法にも違反するわけでございますけれども公衆電気通信法の第百五条に「利用者による設置」というのがございまして、これの第三項、ちょっと読み上げますが、「第一項の規定による公衆電気通信設備の設置は、公衆電気通信業務に支障を及ぼすことを防止するために必要な限度において公社が郵政大臣の認可を受けて定める技術基準に適合するものでなければならない。」というのがございます。それから第四項の中ごろに「郵政省令で定める場合を除き、第一項の規定により公衆電気通信設備を設置したときは、公社の検査を受け、その設置が前項の技術基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。」というようなこともございます。それから七項には、工事担任者でなければこの工事をさせてはいけないとかございますので、これらにはやはり違反しているわけでございます。ただ、先ほど申しました有線電気通信法の二十一条には罰則がございますけれども、この公衆法の方は罰則はございませんので、加入契約の解除とか通話の停止という私ども措置があるということでございます。
  263. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。終わります。どうも御苦労さまでした。
  264. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  265. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  266. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、電電公社郵政省との間で実験段階として行われてきました電話回線とテレビ受像機を使う新情報システム、いわゆるキャプテンシステム、これに関していままでの実験段階においてどんな形で行われてきたのか、概略御説明をいただきたいと思います。
  267. 守住有信

    守住政府委員 先生御案内のように、キャプテンシステムというのは、電話回線網と御家庭にありますあるいは事業所等にありますテレビの受像機を結びつけた新しい情報システムでございまして、この特色は、一つは受け手の側から情報の自主的な選択ができる、こういう面がある、このように理解をしているところでございます。郵政省電電公社、ニューメディアとしてのキャプテンシステムをとらえまして昨年の十二月の二十五日からでございますか実験に入ったわけでございます。  そうしまして約一年足らずの期間がたったわけでございますが、この間におきます施設等あるいは情報内容等いろいろ限られた条件がございますが、いままでの段階はどちらかというとデモンストレーション的な意味合いでの実験というふうに受けとめておりまして、今後いろいろお尋ねあるだろうと思いますけれども、今後はキャプテンシステムの実用化に向かっての検討、いままでの評価の上に立ちまして実用化に向かってのいろいろな角度からの検討に入ろう、そこで、本日、この実用化研究会と申しますか検討会といいますか、会長は日本精工の会長の今里先生にお願いいたしまして、その他民間の流通界なりあるいは情報界なりいろいろな方面の方々の御参加を得ながら、十五人でございますが、今後の実用化に向かっていろいろな角度から検討を続けてまいりたい、このように考えておる状況でございます。
  268. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後の問題として、実験はさらにどういうように続けていくのか、どう拡大していくのか、そしていま実用化の話がございましたが、いつごろをめどに、そしてまたエリアをどのように考え、同時にそのサービス方式であるとかあるいは情報内容、また法的制度、こういった面も考えて、あるいはまた将来性、新聞への影響、そういったものへのいろいろなものも踏まえて将来の考え方、もう一度御説明をいただきたいと思います。
  269. 守住有信

    守住政府委員 一応のいままでの評価でございますが、約一千世帯、事業所も多少入っておりますが、一千世帯の方々にモニターとなっていただいておりますけれども、そのアンケート結果によりますれば、モニターの半数以上の方々が週一回以上利用しており、実用化した場合利用する意向を持っているモニターも半数以上を占めているというのが財団法人キャプテンシステム開発研究所の報告で出ておるわけでございます。  しかし、なおこれが諸外国、特にイギリス、西ドイツ、フランスなど諸外国においてもすでに、またその中ではイギリス、西ドイツ等では商用化の段階に入るという状況でございますし、わが国といたしましても昭和五十八年に一つの実用化のターゲットを置きまして、これに向かってのいろいろな、ハード面もございますしさらにはシステム面、また情報提供の業界の方々約百九十社ぐらいでございますけれども、こういう方々の御意見等も踏まえて、その五十八年度に向かっての準備段階ということで五十六年度以降取り組んでまいりたい、こう考えておるところでございます。  なお、このエリアといたしましては、現在は東京二十三区内の一部で約千世帯ということでやっておるわけでございますが、電子交換機の置かれておる電話局の所在する特定の区域にこれは限られるわけでございますので、実用化の際には当面東京都区内全域をサービスエリアと、こういうことを念頭に置いております。ただし、そのプロセスにおきましては、一つのデモンストレーションと申しますか展示と申しますか、そういう国民各層の御関心も得たいと考えておりますので、他の地域へも展示的な意味でこれを行ってみてはいかがか、こう考えておる次第でございます。  それから情報内容でございますが、現在のところでは画面が約七万五千画面に相なっておりまして、分野別で申し上げますと、ニュース、天気予報だとか、広報、お知らせ関係、あるいはショッピングやリース関係、御家庭のいろいろな食生活等に結びついたもの、あるいは教育教養、あるいは娯楽趣味、旅行観光、その他専門情報等いろいろな面に現在わたっておるわけでございます。しかし、今後の問題といたしましては、やはり実用化というものを念頭に置いて進めていくためには、その情報量の増大という面と同時にこれの専門情報と申しますか、いわば商業的にも価値のある情報というものに私ども取り組んでいかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  270. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 電電公社総裁にお伺いいたします。  このたび総裁が、電話料金の遠近格差是正、これに関して予定より一年早めて五十七年度から電話料金の改定を行いたいのだという意味の発言をされております。市内料金は二倍に、遠距離に関しては最も遠い七百五十キロ以上のものが市内電話料の七十二倍に現在なっておりますが、これを二十三倍程度に縮めるんだ、こういう御発言でございます。私は、この遠距離料金に関しての是正というものは早急にやらなければならない問題ではないか、こう解釈します。同時に、この時期になぜ市内電話まで含めて市内の料金を二倍に持っていくのだ、これは将来の問題でございますが、そういう発言をされたのか。  同時に、物価上昇などとスライドをして改正できるように、いわゆる国鉄運賃と同様の考え方。本委員会郵便料金の問題に関しても物価等変動率にスライドして上げていくという件に関して論議が行われた直後でございます。そういうときにこの法定制緩和という問題を取り上げてきた。電話などというのは、いまはもう生活上なくてはならない最も国民に密着したものでございます。それが、民主主義の基礎であるこの国会においていろいろと論議が行われていってこそ、初めてそれが国民のコンセンサスを得ていくものでございます。それを、このような問題をこのときに唐突に言い出したというのは、その真意は一体何なのか、国民はわかっていません。その意味で総裁から御答弁をお願いしたいと思います。
  271. 秋草篤二

    ○秋草説明員 一週間前の定例記者会見で、私が記者会見をした中身が意外に露骨に発表されまして、私も非常にろうばいしまして、いろいろくだくだと言いわけというようなものを申し上げましても、すでにああいうふうに発表されてしまいましたけれども、私の談話の仕方の配慮の足らなかったということをつくづく私は考えております。  そこで、この問題の背景には、私どもの現在の増収、収益は好調でございますが、好調だといってもますます増収に励め、節約を旨として、いわゆる私どもで言う収支差額というものが多くなればなるほど結構なのだということ、また長く料金を持ちこたえるということが国民に対する責任であるということも、この国会でも常々何回か私は述べた記憶がございます。そういう精神を私は常々持っております。  そこで、ただいま納付金というか、具体案はまだ見えておりませんけれども政府に上納するというような問題が出ておりますので、この収支差額の意味、使い方というものをもっと有効に加入者のためになるように使うというためにはどうしたらいいかというので、年来の願望でありました遠距離の格差を思い切って是正するのだ、これによって多少の市内料金の上がりもありますけれども、要は多少の黒字のときにやれば、それだけ財源が豊富でございますので、いい調整ができるということは私考えておりましたのであります。大分先のことではありますけれども、そういう希望を持っているのだということを申したところが、上げる話だけが非常に極端に大きく出まして、下げることはなかなか出てきていなかったように出ております。私は繰り返し繰り返し、大幅に市外を下げるのだということが非常に大きな目的でありますよということも強調したのでございますが、記者の皆さんは、やはり国民の関心の多いような市内というものに中心を置いて記事を書いたというのが真相でございまして、あくまで私はいつも申している信念を申し上げただけであって、それから遠距離格差の調整、是正ということは国会でももう何回か私は述べた記憶がございます。それだけでありまして、幾らにするとか、そういうことは具体的に私が初めから公式発表としてしたことではございません。  なお、法定制緩和につきましては、これはこういう質問がございまして、きょうも国会でもどなたか御質問がありましたけれども、五十一年の料金値上げの法案が成立したときに、その附帯決議を受けて、電信電話諮問委員会というものを設けてもろもろの電気通信に関する諮問をしたらどうか、それにはまず料金原則というものをはっきり諮問して打ち立てることが必要だというので、翌年都留重人先生を中心とする十三名ほどの委員の方々から答申をいただきました。その中に非常にいい答申がございまして、電電公社はモダレートの、妥当なる収支差額、つまり今日言われている収支差額でございますが、これは社会的必要余剰だ、非常に公益的な必要余剰であるということでありまして、そのモダレートというのは何であるかということを数式をもって示されたのでございます。  そういうものを私は非常にいい案だと思いますが、これを堅持するには、どうしてもいまのような法定料金では堅持できないのでありまして、今日も、大きな収支差額が出ても急にこれを直すわけにはいきません。したがって、認可料金で、さしずめこの十一月二十七日から郵政大臣の御認可を得まして実行する、これによって千三百億円ほどの料金が平年度で安くなるという、加入者に還元する一つの方途ができておるのでございます。その他のものにつきましては、法定料金でございますからいろいろと手続なり時間もかかりますので、何かこういうような事態が起きた場合にも、そういうものも不可能に近いのでありますので、いま国鉄も郵政も専売もそういう配慮が行われるようになったのであるから、将来私どももそういうことを研究しておけということを私は営業局長に命じてはありますということを申しただけでございまして、もちろんこういうものを大臣の御了解を得たわけでもありませんし、私は経営者として当然そういうものはおさおさ怠りなく勉強しておくということは当然だと思って、記者会見では、局長に命じましてそういう研究をさせているのだということを言ったのが、一部の新聞にはそういうことに出ております。
  272. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政大臣にお伺いしておきますけれども大臣はさきの参議院の逓信委員会におきましても、この値上げ問題に関して何の連絡も受けていない、いま秋草総裁は常々考えておった、こういうように言われておりますし、本当に何も連絡を受けていなかったのか。  それから、値上げは非常に時期的にまずいということですが、時期的にというのはいまの時期なのか、あるいは、五十七年度という総裁のお考えのようでございますけれども、五十七年度の時期というのがまずいのか、その辺の大臣のお考えとその状況を御説明いただきたいと思います。
  273. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いま電電公社でいろいろ研究をしている段階でございます。したがって、郵政省として電電公社からこういうふうにやりたいという連絡、話は一切ございません。あれば関係部局によく検討させまして、省としても決定しなければいけない問題でございますが、いまのところはない。  それから、時期的と言いましたのは、ちょうど参議院の逓信委員会で郵便料値上げの審議の最中なんです。そしていろいろ将来、電話料金についての御質疑もあるわけなんです、電話料金を今後どうするんだ。こういうような真っ最中でございますので、いま電話料金等については法定制緩和も含めて、全然そういうことは省としても決定いたしておりません、こういう点からいってまことに時期がまずかった、こういうことでございます。
  274. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それから、もう一度だけただしておきたいのです、大臣。  私、この前もこの委員会で、電話の法定制緩和に関して、もしも郵便料金が法定制緩和という方向になっていってしまったならば、あと残るのは電話だけじゃないですか、もしこの法定制緩和が電話というものになった場合に、大臣はどう考えていますか、法定制緩和というものを電話に関してどう考えておりますかと言ったときに、あなたは、現在は全く考えていない、こう言われました。この現在というのは一体どの時期を指しておるのか。それから、五十七年という話が出てきておるわけでございますので、その辺まで考えていられるのかどうなのかということを、これは大事な問題ですので、大臣、率直な腹の中を述べてください。
  275. 山内一郎

    ○山内国務大臣 この前お答えいたしましたのは、全然そういうことをいま考えておりません。それから将来の問題は、これはなかなか、いろいろあると思いますけれども郵便料金をお願いしたときにも、累積赤字があります、それから毎年どうも赤字がたまっていきます、こういうような情勢でございますので、特例措置として厳しい条件をつけてお認めをいただきたいという御提案を申し上げましたので、そういう事態なのかどうかということもわかりませんし、まだ将来のことはいまのところ何とも御返事のしようがない、こういうことでございます。
  276. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間の関係電電公社にお伺いしておきたいと思います。  五十三年及び五十四年度の事業収支というのはどうなっておりますか。これは簡単でいいですが、概略のものを説明してもらうのと、特に報道等によりますと、五十四年の剰余金は四千五百億と空前のものである、こういったものが、大蔵省等からいわゆる上納金の問題や電話税といったものに出てきた原因ではないか、こう考えますので、五十三年、五十四年度、まずその収支報告をお願いします。
  277. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  五十三年度につきましては、総収益が三兆六千二百二十四億円、総費用が三兆二千三百十六億円で、収支差額が三千九百八億円でございます。五十四年度は、総収益が三兆八千五百五十六億円、総費用が三兆四千二十七億円で、収支差額は四千五百二十九億円でございます。
  278. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 なぜ利益がそれだけ生じたか。これは五十一年の値上げ率、この問題に関して妥当性を欠いておったか、あるいは見通しを誤ったのではないか。結局国民にそれだけ多くの負担をかけたことになるわけですよね。その辺、どう考えておりますか。
  279. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  前回の五十一年十一月から実施いたしました料金改定でございますが、これは五十一年から五十三年度までの三年間を料金算定期間といたしまして、その間値上げしなければ発生するであろうというふうに見込まれる赤字を充てんするほか、改良投資充当分、これが収入の約三%でございます。それと、四十九年度、五十年度に発生いたしました赤字回復分というものを合わせまして、基本料を二倍、それから一度数を七円から十円というふうに上げるということを主な内容といたしまして、国会の御審議を経て定められたものでございます。  それで、当初お願いいたしましたのは、五十一年の六月からということでお願いしたわけでございますが、ただいま申し上げましたように五十一年の十一月から実施というようなこともございまして、収入の面につきましては予定よりも相当落ちたわけでございますけれども、経費の節減等いろいろその面の努力もいたしまして、結果を申し上げますと、この三年間での収支差額の累計と申しますのが、案では七千九百億ということでございましたけれども、実績といたしましては六千八百七十三億ということで、予定よりも一千二十七億円減でございました。ただ、一千億円程度でございましたので、いろいろ債券の発行等の中で対処してきたということでございます。
  280. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 過去二年間の建設事業の結果はどのようになったか、当初の計画のとおり行われたのか、またはそこには何らかの差があったのかどうか、説明をしていただきたいと思います。
  281. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  五十三年度の建設勘定工事、この当初予算は一兆六千百億円でございましたが、当時の政府の景気対策による補正予算三百億円を加えまして、五十三年度の建設勘定工事の予算は一兆六千四百億円の計画で行ったわけでございます。それの支出の実績は一兆六千三百九十八億円ということになっております。  それから、続きます五十四年度の建設投資の実施状況でございますが、予算が一兆六千八百億円をもって計画をいたしまして、その支出の実績は一兆六千六百六十四億円でございまして、五十三年度、五十四年度ともに、この計画と実績の対比は一%以内の差ということで、ほぼ計画どおり実施できたというふうに考えております。
  282. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、今後の計画として、五十六年あるいは五十七年度全体の事業計画、並びにその中で特に建設事業計画というのがどういう内容になっておるのか。同時に、電信電話拡充改良第六次五カ年計画といったものがございましたが、これに関してはどこにポイントをしぼって立てたのか、それを御説明いただきたいと思います。
  283. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  お答えの順序をちょっと逆転いたさしていただきまして、第六次五カ年計画の建設計画のポイントから話さしていただきたいというふうに思います。  第六次五カ年計画は五十三年度から五十七年度にかけます五カ年間の拡充改良計画でございますが、考え方といたしましては、充実した国民生活の実現に寄与すること、経済社会活動の効率化に寄与すること、それから安定したサービスを確保するための基礎設備の拡充改良を図ることというようなことを基本といたしまして、具体的な問題といたしましては六項目ほどございますけれども、第一番目は、加入電話の新規並びに移転の申し込みに対して常に応じられる体制を維持すること。また年々の通話量の増加に対応すること。  それから二点目といたしましては、過疎地域など電気通信設備の整備のおくれた地域におけるサービス改善を図ること。さらに具体的に申しますと、加入区域の七キロメーター円への拡大、それから地集の一般化、あるいは農村公衆電話の普及をさらに図るというようなことでございます。  第三点目といたしましては、社会福祉の向上に寄与する電話サービスの充実に努めることというようなことで、シルバーホン等、あるいはまた、五十六年度からは肢体不自由者用電話機器等を開発するということになっております。  第四点目といたしましては、多様化いたしますお客様の御要望にこたえるために、各種電話サービスの普及を積極的に進めますとともに、新しい電話サービスの開発拡充に努めることということでございまして、プッシュホン、ホームテレホン、親子電話、ビジネスホン等、在来からありましたものの普及をさらに図りますとともに、自動車電話というようなものに代表されますような新しい電話サービスの拡充に努めるということでございます。  第五番目といたしまして、公共的、全国的、開発先導的システムを中心にいたしまして、データ通信の拡充開発を推進いたしますとともに、画像通信——これは先ほど先生、キャプテンというようなお話がございましたが、移動通信等を含め、通信システムの拡充開発を積極的に推進すること。  第六点目といたしまして、非常災害等の異常時における電気通信サービスを確保するための諸施策を推進すること。  こういうような六点ほどが大きな項目でございまして、それらをもとにいたしまして、サービスの拡充、改善を図るということといたしております。  また、既設加入者に対しまして安定した良好なサービスを提供していくことが必要でございまして、電送路、市外交換設備など基礎設備の拡充整備と、ステップ・バイ・ステップというようなものに代表されます旧形交換機の更改等、老朽設備の更改改良を推進するということにしております。  電気通信と申しますのは、将来はディジタル化ということが世界的に見ても必須の方向でございますので、電電公社といたしましても、光ファイバー通信とかあるいはディジタル通信等の研究、実用化の推進を図っていくということにしてございます。  それで、五十六年、五十七年というお話でございましたけれども、五十六年度につきましては、現在概算要求を提出している段階でございますけれども、その中身を申し上げますと、ただいま申し上げました第六次五カ年計画というものを基調にいたしまして、引き続き加入電話につきましては百三十万の増設をいたしまして需給均衡を維持する、またその中には、約二百十万と思いましたが、二百十万の移転にも応じていくということでございますし、それから電気通信網の維持改善、それから新たな電気通信サービスの開発拡充、さらに過疎対策、福祉対策用電話、防災対策等、ただいま六次計画で申し上げましたようなものを投資の重点といたしまして、建設投資額一兆八千二百億円というものをもって概算要求をしている状況にございます。  それで、五十七年度の建設計画がどういうふうになるかということでございますが、まだ具体的な検討ができる段階ではございませんけれども、今後とも公社は、電気通信サービスに対する広範な社会的な要請にこたえる義務があると思いますので、これを幾つかのカテゴリーに分けて申し上げますと、第一番目といたしましては、申し込めばすぐつく電話、これは年間百万を超えます新規加入がございますし、年々増大する移転へも対応する必要がございます。それから、どこへでもすぐつながる電話という、この電話サービスの基本的な機能というものを維持していく必要がございます。  第二点目といたしましては、現在約三千八百万を超えます加入者がすでにおるわけでございますけれども、日本の電話は非常に故障が少ないということが世界的にも言われておりまして、そういうものをもととして経済活動、社会活動あるいは家庭生活というものが成り立っているというふうに考えられますので、そういうよいサービスレベルというものを今後とも維持する必要があるであろうということで、経年劣化しております設備というものを逐次適切に整備、取りかえまして、また、取りかえるときには新しいサービスの要望にもこたえられるというような設備で取りかえていく必要があろうと思います。  それから、三番目といたしまして、より便利な電気通信サービスの提供というようなことで、電話サービスにつきましてもまだ各種のサービスの提供地域というものは全国的に見ても非常に限られているということでございますので、まず各種サービスというようなものが全国一円どこへでも提供できるようにするということが大事であろうかと思いますし、また新しい自動車電話等のサービスも拡大していく必要があろうと思います。  さらに、近年はデータ通信あるいはファクシミリ通信というものの需要と申しますか、そういうようなものが非常に激しいものがございまして、DDX、これは新データ網通信サービスと申しておりますが、私どもはデータ通信の基本的なサービスであろうと考えております。また、加入ファクシミリ通信網サービスと申しますのをファクシミリの基本サービスというふうに考えておるわけでございますが、これらのサービスのサービス提供地域というものをできるだけ早く全国に拡大する必要があろうかというふうに思います。  第四点目といたしましては、公社がやはり公共的な性格といいますか、公共的な仕事をしなければならないということでございまして、過疎地域対策とか福祉用の電話機器の開発とか、あるいは東海沖地震に代表されますようなそういう天災地変というようなものに対します防災対策というようなものを進めていかなければならぬと思います。  なお、それらを進めるに当たりましては、まず機能的に満足する必要がございますし、さらに、一つ機能を満たすにもできるだけ経済的にそれを達成する必要がございますので、そのための研究開発というものにも重点的に投資して、投資といいますか配意していく必要があるのではなかろうかというふうに思っております。  それで、以上申し上げましたようなことを推進いたします上で、先ほど申し上げましたディジタル通信というものが、経済的に、かつ非常に機能的に高度になり、新しい通信需要に対しても経済的、効率的に対処できるということでございますので、ディジタル通信というものを積極的にその中で取り入れていかなければならないというふうに思っております。  それで、建設投資の額と申しますのは・・・(竹内(勝)委員「時間がないので簡単に」と呼ぶ)失礼いたしました。  以上でございます。
  284. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、この建設事業計画に関してはいまいろいろと話がございました。私は、最近のものは、これは一般加入電話も積滞が解消している現状でございますね。そういう中で、果たしてこれは——そのほか自動車電話であるとかポケットベルであるとかいろいろなものが、いまのデータ通信問題等々も含めて、果たして今後この建設事業というものは減少していくのかあるいは増加していくのか、その点がどうなのか、それを説明いただくのと、五十五年度で一点お伺いしておきたいわけですけれども、この建設事業の中で上半期と下半期とに分けて、発注計画というものがございますね、その発注計画と、実際の発注はどうなったか、これを説明していただきたい。
  285. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 先生御質問の第一点でございますが、今後建設投資が増加するかどうかという点につきましては、先ほど五十七年度の展望ということで申し上げましたけれども、それを経年的に将来を予測いたしますと、相当数に増加しなければサービスを維持していくことができないのではないかというふうに考えております。
  286. 前田光治

    ○前田説明員 後半の御質問にお答えいたします。  五十五年度の建設工事の実施状況でございますが、御承知のとおり、今年度の前半は物価動向に細心の注意を払って抑制的な事業執行を図れというのが公共事業の執行に対します政府の御方針でございましたので、この線に沿いまして、電電公社の建設勘定工事につきましても抑制的に執行を行ってまいりました。  上半期末の契約の率でございますが、年間を一〇〇%にした場合、上半期末で年間の六三・五%が契約が完了するようにという目標で実施してまいりました。九月末のこの実績値は六三・七%でございまして、目標より〇・二%オーバーしておりますが、ほぼ計画どおりということでございます。したがいまして、残りの三六・三%について、この十月以降、今年度いっぱいに契約が行われるわけでございます。これは契約をベースにした場合のペースでございまして、例年の平常に執行しました年に比べまして、上半期末で数%から約一〇%ぐらい契約が若干後ろ寄りという形の執行になっております。しかし、実際に仕事をいたしますのは、いろいろ用意がございまして、契約後しばらくして着工いたすわけでございまして、着工ベースで見ますと、実際に仕事をいたします建設工事の業者の稼働等にこれが対応してまいるわけでございますが、その辺のものが非常に偏って仕事がやりにくい、ある時期非常に忙しく、ある時期は非常に暇になるといったようなことがございませんように、年間通しまして、それから地域的にもアンバランスが生じませんように、工事計画については細密に検討して実施いたしております。
  287. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 上半期に関して大体約一〇%ぐらいの後退じゃないかというような御説明でございますが、私が調査したある段階においては、もう少し建設工事に関して発注量が、全体を上半期と下半期に分けて、おのおの上半期を一〇〇%、下半期を一〇〇%とした場合、上半期が大体七〇%ぐらいしか出されていないで、結局三〇%ぐらいダウンして、下半期に一〇〇%のところを三〇%というようにうかがえるわけでございます。この真偽のほどはもりと調査してみなければわかりません。  そこで、たとえば仕事量というものは、御承知のとおりこういう建設工事等はだれでもできるというものではございません。非常に高度な技術を要するものであります。人員としても、仕事量が減ったら、では簡単に人員整理する、そういうわけにはいきません。また、下半期で仕事量がふえたから今度は人員をさっとふやせるかというと、そういうわけにもいかないわけです。それだけに業者としては工夫、努力をしていかなければならぬ、そういう面があると思いますので、その点、今回約一〇%ぐらいの後退じゃないかというものももう少しよく検討していただいて、その辺の公社としての対応というものをどうしていくか、御検討をお願いしたいのと、また同時に、この建設事業に関して、特に毎年発注する仕事量が上半期と下半期と大体バランスをとって計画どおり発注できるような形にならないかどうか、その点、御答弁をお願いしたいと思います。
  288. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  ただいま上半期と下半期の発注の率について御指摘があったわけでございますが、上で七〇、下で一三〇というお調べでございますが、私どものいまの進捗模様は、先ほど施設局長が申し上げたとおりの数字でございまして、年間の六三・五%を上半期にやる目標に対しまして、わずかに進んだ六三・七%という姿になっております。なお御指摘の数字につきましては、また後ほどお越しいただければ調べたいと思っておりますが、私どもの調べでは以上のとおりでございます。  なお、ことしは政府の御方針もございまして、先ほど施設局長が申し上げたとおりに、上半期はやや抑制ぎみではございましたけれども、年間の予算額といたしましては五十四年度とほぼ横ばいでございます。したがいまして、大体年間を通して見れば昨年度並みの仕事が出るというふうに考えております。ただ、各地方ごとによりましては、工事の種別ごとによっては地域的、時期的に差が出ることが間々ございまして、私どもといたしましては、こういった差が大きゅうございますと、御指摘のとおり業者の稼働に影響を与えることにもなりますので、極力こういった変動が少ないように、常に平準化に心がけて配意しているところでございます。  なお、毎年このような配意ができないかという御指摘に対しましては、努めてそのように実施していきたいと考えている次第でございます。
  289. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 場所あるいは業種によってはそこには差があると思いますけれども、その面では、たとえば上半期に計画しておったのができない、結局下半期にそれがしわ寄せとしてくる、ところが人員の確保ができない、そうなると結局仕事の稼働ベースとしてはそれが実際上はできていないで翌年に繰り越すという形になって、こういう業界としてはそういう面で非常に苦労していくという形になるのではないか、こう考えますので、その辺のバランスをよろしくお願いしたいわけでございます。  同時に、最近の電電公社から関連企業への人事の送り出し、いわゆる天下りについて、部長以上で資材関係あるいは建築、建設工事等に関連したこういう一般企業に送り出した人たち、最近二年間ぐらいでも結構でございますが、その状況はどうなっているでしょうか。
  290. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  いま先生お尋ねの最近二年ということでございますので、五十四年、五十五年度で、本社の局長、あるいは通信局長以上の役職員が、いま先生天下りというお言葉でございますが、関連資材、建築あるいは建設工事の関連業界に役員として再就職した人数は、合計四人でございます。なお、公社の出身者はその持っております技術なりあるいは経験を買われて、請われて入社をしておるわけでございまして、電気通信設備あるいは電気通信施設そのものの持ちます非常に高度かつ専門的な技術内容からいたしまして、公社以外にはそういう人材を非常に求めにくいというような点がいろいろございまして、請われて行っている者が大半でございます。
  291. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは人事に関しては、いまお話しのとおり、公社関係でないと仕事がしにくいという意味で、最近二年間では四人というお話がございましたが、私は、部長以上それから関連の者でここ数年の実態というものを調べてみますと、これはもうほとんどが公社関係あるいは郵政省関係、そういったところからの人たちで占められておりますね、役員一つをとってみても。この辺に関しては、人事に関して資料がございましたら後ほど提出をお願いしたいと思います。これ一点、よろしくお願いします。  それから、同時に、建設工事業者を例にとってみると、一級から四級といろいろ業者がございますね。その中の一級の中で指定元請業者以上ですね、上位四社の発注額、また、これは数十社あるやに伺っておりますけれども、下位四社の発注額等がわかりましたら御説明いただきたいと思います。
  292. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  五十四年度につきお答え申し上げますが、上位四社の請負契約額は千九百八十億円になっておりまして、五十四年度の年間では五千七百六十億円でございましたので、約三四%に相当いたします。なお、下位業者につきましてはちょっといまデータを持ち合わせておりませんので、後ほどまた御提出いたしたいと思っております。
  293. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その資料、さっきの人事の資料は出してくれるかどうかちょっと答えておいてください。
  294. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  先生の御質問の趣旨伺いまして、提出をさせていただきたいと思います。
  295. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 同時に、下位の方はちょっとわからないということですが、私はこの差を調べてみたい、こういう考え方でございますので、後ほど細かい資料はいただきたいわけでございますけれども、ABCでもいいですが、各社別に上位四社の額はわからないでしょうか。
  296. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答えいたします。  別途調べましてお答え申し上げたいと思います。
  297. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私がちょっとこの問題で調べたところでは、九州だとか四国だとかいろいろ地方の傾向等も調べてみました。そしていろいろと問題点として出てきたのは、国家公務員法の規定によりますと、公務員は退職後二年間は自分の関係していた所管の系列企業へは一応天下ってはならない、こういう規定がございますよね。電電公社においてはそういった面でおのずと自粛なりそういったことを考えておるのかどうか。  同時に、仕事の発注量といわゆる天下りの人数との相関関係ですね。どうも一般世間の常識から考えてもそういった面での差というものが出てきているようにうかがえるわけです。その辺はどうでしょうか。
  298. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  先生の御指摘は、電気通信設備工事を中心としての御指摘だと思うのでございますが、現在、電気通信設備工事は、一般の建設工事というものに比べまして高度あるいは専門的な技術を必要として、電気通信システムの一環としての施工をいたすものでございますので、工事上わずかな誤りでも直ちにシステム全体に影響を与えるというようなことでございますので、そのような技術力を持ち、それからまた工事能力を持ち、かつ経営の健全な業者に工事を発注するということにいたしておりまして、これはまた指名競争というかっこうでの工事の発注をいたしてございますので、特に先ほど先生、天下りというお言葉でございますが、そのようなものによってこの指名競争が阻害をされるということは全くないというふうに考えております。
  299. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最近、自動車電話とかポケットベルの拡大とか、そういった面で新しい分野の仕事が技術革新に伴ってふえてきておりますね。その対応策として新会社をつくっております。私は、この新会社を設立するという手段も確かにございますが、むしろ既存の業者の中で技術革新に伴う対応の努力をさせていくことによって新しい仕事をふやして、そういったところを安定させていくことができるというようになってくると思いますけれども、その辺はどういうように考えておりますか。むしろ新しい会社をつくっていくとどうしてもそこにまた人事を送り込んでいく、こういうような形で非常に——単に天下り先をふやすというふうに私は考えたくないわけです。むしろ現在ある建設工事業者が努力をして、そしてさらに発展をしていくというような形に持っていくことが大事ではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
  300. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました、また公社がいままで答弁しておりました建設業者といいますのは、一般的な電信電話機械、線路、土木、こういったようなものを工事する業者でございまして、ただいまお話のございましたポケットベルとか自動車無線と申しますのは、たとえばポケットベルを例にとりますと、たった一つの商品、単品の商品を利用者の方に販売、保守をしておる会社でございまして、非常に範囲が限られておりまして、かつ内容が非常に専門的なものでございます。そういったものを実施いたしますときには、やはりそういった専門的な人間がそういう業務を行うのが最も効率的である、こういう考え方で、ポケットベルとか自動車電話といったようなものはそれぞれの専門会社を設立いたしまして、そこにいま申しましたいろいろな端末機器の設置、販売、保守を委託しておるわけでございます。
  301. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間の関係で次の問題に移らせてもらいますが、一級業者は全国に数十社ございますが、特にこの中で東京を中心として全国の仕事を行っている業者が四社ございますね。一方、地方の元請業者となればおのずとそこに制限が出てくるわけです。全国で行っている業者の仕事量というものが圧倒的に多いわけですね。地元業者の分まで食い込んでいるように私自身考えられるわけです。各方面に地元業者というものがあるにもかかわらず、この四社が全国で仕事ができるようになっているということは、そこにどうしてもおのずといろいろなプレッシャーが地元業者に対してかかっているのではないか。同時に、じゃ地元業者としては技術面の対応というものができないのかどうか。そんなことは考えられないと私は思います。また、現在地方財政というものが非常に苦しいといわれているが、この公共事業は、法人税などを考えれば、これは地元業者へ持っていった方が各地方を潤すことができるわけですね。そういう面から考えて、地元業者に各地方の問題を全面的に請け負わせていくという考え方はないか、その辺御答弁をお願いしたいと思います。
  302. 斎伯哲

    斎伯説明員 お答え申し上げます。  東京を中心といたしまして全国に仕事をやっている会社は四社ございます。特に全国業者という名前をつけたわけではございませんけれども、いまこれらの会社とそれから各地方にございます会社との間の技術的な問題についてお答え申し上げさせていただきますが、御案内のように、電気通信設備工事請負業者の技術能力につきましては、各業者が持っております技術者の質でございますとか、量でございますとか、あるいは工事経験、それから技術革新に対応する経営努力などによって区々でございます。そこで公社は、かねてから新しい技術などを開発もしておりますし、かなり高度な技術を持っているわけでございますが、たとえば、こういった電子交換機あるいはディジタルデータ伝送装置などの新しい技術でございますとか、あるいはマイクロウエーブなどの高度な技術を要する工事につきましては、必要な能力を有する業者に対しまして、技術の習得の努力をさした上に工事を発注して、逐次その全国的な普及を図っているところでございます。このような新技術に即応する高度な技術能力というのはきわめて専門的なものでございますので、一遍に拡大するということは困難でございますが、逐次増強、普及していくということが望ましいと考えておりまして、当初の間は特に技術能力の高い専門業者を選んでいる次第でございます。当初の間は仕事も少のうございますので、その間はその業者が全国的に行っているということは御指摘のとおりでございます。  こういったことがございますので、一般にはこの業者を全国業者というふうにも言われているわけであります。当然、これらの業者はほかの業者に比較いたしまして一層の努力をしなければいけないわけでありますが、こういった高度あるいは新しい技術もだんだんと仕事がふえてまいりまして、全国的に普及するようになってまいりますと、将来の工事量を勘案いたしまして、それ以外の業者の方々の技術習得の状況とかあるいは技術力の向上の度合いを見ながら、逐次指名を拡大するというふうに考えている次第でございまして、いま御指摘の御趣旨に沿うような努力をしていきたい所存であります。
  303. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間でございますので終わりますが、この電電公社に関連して、そこには元請業者、下請、孫請等々と幾つものものがございます。それに関連してこの日本の経済の中にあって非常に重要なシステムになっているわけですね。その面で、アンバランスやあるいはその中でプレッシャーがかかっていってどうも業者がうまくやっていくことができないというような形になっては、経済の発展自体に影響が出てくる問題でございます。そういった面をひとつ考慮に入れていただいて、賢明な処置をとっていただくことを要望し、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  304. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  村上弘君。
  305. 村上弘

    村上(弘)委員 初めに、去る十九日に秋草電電公社総裁が行いました電話料金値上げ発言に対する郵政省の態度について、少しお聞きしておきたいと思います。  大変膨大な黒字が問題になっているときになぜ値上げ発言なのかということで、いろいろな批判や疑問が出されておりますが、これは当然だと思います。本来、電話料金の問題は公衆電気通信法で法律の中に規定されていることでありますし、料金値上げということになれば当然法律改正が必要になるし、政府が国会に出してきて、審議をして検討する、こういうことになるわけですが、その前に総裁が大変気楽に物を言っておられるわけです。大体郵政省電電公社の間で電話料金の問題について検討する場合には、どういう手順や手続をとってやることになっているのか、その点ちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  306. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  公社内部でも経営の観点からいろいろ料金の問題につきまして御検討になるわけでございますが、いずれにいたしましてもこれは法律料金でございますし、認可料金につきましても私どもの方と事前に御相談があるわけでございます。そうしまして、私ども郵政省あるいは政府の立場で、あるいは他省庁の関係もございますので、そういう点を内部的にも外部的にも詰めながら、法定料金は法定料金のように、認可料金は認可料金の手続に従って執行する、こういう手続でございます。
  307. 村上弘

    村上(弘)委員 過去三年間の収支差額が平均して四千三百億というような大変な収益がある企業で、民間企業含めて日本一の高収益企業だ、こういうふうに言われているわけですね。それには、私ども考えでは、電話の高い設備料、しかもそれが資本剰余金ということになり収入扱いにされていないことや、あるいは過大な減価償却、さらには大変高い電話料金、こういうようなものが基礎にあると思うのです。もちろんそういうことも含むいわゆる経営努力ということも言われておるわけですが、しかしマスコミなども言っていますように、黒字経営の最大の理由が完全な独占制にあるということは明白だと思うわけです。ですから電話料金などは公衆電気通信法第六十八条によって別表に金額まで一々明記されている、こういう扱いになっておると思うわけです。  利用者、主権者である国民は、この高収益に対して、数年来それを利用者に還元するようにということを強く要求しておると思うわけです。しかし、こういう法律制度があるのをよそごとのように、政府大蔵省筋は、あるいは行管庁筋は、電電の納付金問題について適当な見解を述べておるし、また秋草総裁は、電話料金値上げだとかあるいは法定制緩和だというようなことについて発言をしておるわけですが、こういうことについて国民の側から見ますと、非常に勝手なことを言っておるなというような思いがするわけですね。主権者や利用者、国会というものを無視をして、国民のための公共企業体という立場も無視をしたような発言が横行しておるわけで、これ自体が非常にけしからぬことじゃないかというように思うわけですが、こういう法の精神、公共企業体の性格などに照らして、大臣はこういう状況をどう見られるか、見解をお聞きしておきたいと思います。
  308. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いろいろと電電公社で御研究をされつつ仕事をやっておられますが、電話料金の問題、これは遠方の方が高いというのは絶えずいろいろな方面から言われておる問題でございますし、さらには、これからの電話料金はどうあるべきかということも、これは電電公社で大いに御研究を願い、御検討をしていただかなければいけない問題だと思っておるわけでございます。  そこで、郵政省の立場は先ほど電気通信政策局長が言いましたように、電電公社で練って出ました結果について、担当の局としてそれをいろいろさらに調査を重ねながら、国民生活に対する影響等を考えて、その案についてはこうあるべきではなかろうか、こういう段階でだんだん進んでくるべきものだと私は考えておるわけでございます。したがって、電電公社の総裁、ここにおいでになりますけれども、まだ検討の段階で御発言があったと思いますが、そういう点についてはまだ相当練っていただかなければいけない問題がたくさんあるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  309. 村上弘

    村上(弘)委員 事前に公社郵政省が協議をするというのが本来の手順であり、手続であるということでありました。しかし、そういう法律や制度とは無関係に、公社だけではありません、行管庁筋も、これは料金そのものではありませんが、大いにそれにかかわりのある納付金制度問題なんかも出ていますね。こういうことで主権者、国会を無視して一人歩きをしておるというのが現状だと思うのですが、これは総裁は事前に協議をしたのか、大臣は協議を受けたのか、それはどうなんですか。
  310. 山内一郎

    ○山内国務大臣 この間の電電公社の総裁の発言については、協議を受けておりません。
  311. 村上弘

    村上(弘)委員 受けていない状況で総裁がああいう発言をしておるのを大臣はどう思っておられるのか非常に不思議な気がしますが、私はこういう状況がまかり通っているのには、郵政省の姿勢にも問題があるのじゃないか。その最たるものが、参議院の委員会も強行通過させられたようですが、一種、二種の郵便料金値上げや事実上の法定制の撤廃、こういう事態が、国会や主権者あるいは監督官庁の意向すら無視して料金問題が云々されるような空気をつくっているのではないか。国鉄、専売に次いで郵便の料金の法定制が撤廃をされていく、それにいわば悪乗りするような状況が公社総裁の発言じゃなかろうか、こういうように思うのですね。  大臣は協議を受けていないということですけれども、日経新聞の十一月二十一日付によると、公社首脳の話として、総裁の「発言自体はともかく、値上げについては郵政省と何回も議論しているし、早く(値上げを)やれといわれている」と報道していますね。郵政省公社値上げを早くやれと指示したり、あるいはそうとられるような対応をしておるのではないのかということ、あるいは電報電話料金の法定制を撤廃するということを企図しているのではないかということが、当然国民の側から見れば疑問に思われるわけですね。そういう点については、大臣の姿勢というものが非常に重要になると思うのですが、どうですか。
  312. 守住有信

    守住政府委員 電話料金につきまして値上げをしろというふうに指示をしているだとか、あるいはその法定制緩和等につきましてそういうことを私どもの方から申しておるということは一切ございません。特にまた法定制の問題につきましては、もともと電電公社そのものが国の事業でございましたときに財政法三条の関係があり、公社になりましてから直接の適用はないわけでございますが、その精神をくんで基本料金については法定をしておるところでございますし、また料金一般につきましても、これは国民生活に非常に重要なかかわりがある問題でございますので、慎重かつ厳正に対処しなければならない、こうとらえておるところでございます。
  313. 村上弘

    村上(弘)委員 秋草総裁の側あるいは公社首脳の発言に対しては郵政省側はいまそういうふうに言われるわけですが、同じく二十日の参議院の逓信委員会における大臣の答弁の中では、秋草総裁の発言の時期がまずいと思った、こう言っているわけです。そうなると、五十六年度か五十七年度か、または近い将来に値上げをしたいという考えがあるのではないかということに当然なると思いますし、もしそうでないのであるならば、この秋草発言に対して大臣は相当厳格な態度をとる必要があるのではないのか。第一に値上げはしない、あるいは法定制は守るということについて、公社幹部を呼んでそれこそきちっとした意思統一を図るべきではないかと思うのですが、まず前段の大臣の頭の中にやはり値上げや法定制緩和の意図があるのではないかということと、そうでないならばという両面についてお答えをいただきたいと思います。
  314. 山内一郎

    ○山内国務大臣 前半の問題でございますけれども、ちょうど参議院の逓信委員会におきまして郵便物の値上げの審議の真っ最中でございまして、やはりその質問の中に、郵便物以外に電話料金の問題について、値上げの問題とか法定制緩和の問題についていろいろ御質疑のあったときでございますので、こういう時期にあの発言はまずいなというふうに私は感じたわけでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 それからさらに、将来にどういうふうになるかという問題は、郵便物の値上げで御提案申し上げましたように、法定制緩和をとるにいたしましても、いろいろな厳しい条件が必要なわけでございます。ただ何となく法定制の緩和をしてもらいたいという御提案は、これはなかなか通していただけないものでございますから、二年後にそういう事態になるかどうかという問題、あるいは値上げの問題も、いまのところは収支の差額は黒でございますので、そういう点からいきましても、二年後の予想は現在のところはつきかねておりますし、いまの時点で二年後、三年後に値上げするとか法定制緩和ということは一切考えておりません。
  315. 村上弘

    村上(弘)委員 二年後、三年後の値上げや法定制緩和は考えていないということですが、そこから先はわからぬということは、きわめて原則のはっきりしない態度であろうと思います。そのいまの大臣の態度に対して、公社総裁はこの前の発言の問題を含めてどう考えているか、あの発言に対するいまの態度をお聞きしておきたいと思います。
  316. 秋草篤二

    ○秋草説明員 一週間前の私の記者会見の発言に対しまして、非常に大きな誤解を招き、またいろいろと御迷惑をかけました筋もございます。私は、早速大臣におわびを兼ねて釈明に参りました。  私の考え方は、電電公社の事業は受益者負担、国民のための電話ということにのっとっておるのでございまして、利益が幾ら出ても、あえて利益という簡易な言葉を使わせていただきますけれども、利益剰余金、収支差額が大きくても差し支えないのだ、これはみんな国民に直接なり間接なり返るのだということであるということをいつも国会でも申しておりまして、またそれが多くなることは料金値上げが、時期が一年でも半年でも一カ月でもおくれることはいいことなんだということをこの席でも何回も表明したことがございます。  たまたま一面、電電公社料金の体系は、遠距離が世界で……(村上(弘)委員「簡単に、あのときの発言は撤回されるかどうか」と呼ぶ)記者会見の発言ですから、撤回といっても……。一言で言えば、加入者のために利益剰余金というものを有効に活用する意味で、近い将来の料金合理化の際に活用するということに尽きると私は思います。簡単に言えばこういうことになります。  それから法定緩和の問題ですが、これに対しましては、記者会見の席上で、私たちも料金の弾力化に対して事務当局に命じて検討させておるということを言ったのがああいう記事になったのでございます。
  317. 村上弘

    村上(弘)委員 きょう明らかになったことは、近い将来二、三年の後以降は値上げがあり得るということと、法定制の問題について、高収益の、しかも完全独占企業である電気通信の面においても法定制を緩和することを検討しておるということが言われたことは重大だと思います。このことは銘記して、これから対応していかなくてはならないと思います。  次に、郵便事業の職場を明るくし国民の信頼を回復する問題について、先月の二十三日にこの委員会で私は取り上げました。郵政事業の中で職場に大変な荒廃がある、国民の信頼は必ずしもよくない、ある地域では非常に低下しているということを取り上げまして、五月十九日NHKの「ニュースワイド近畿」が取り上げた大阪住之江局の遅配、誤配問題に関連していろいろな具体的実情もここで取り上げました。  あのとき私の質問で取り上げたことは、一つは、大変人手不足であるけれども業務の管理の仕方にいろいろ問題があるということ、特に仕事をしない職員がおり、本人がしないだけではなしに他の職員にもおちおち仕事ができないような状況をつくっておるということ、しかもそれを当局が事実上公認をしておるということ、それが部落解放研究会いわゆる解放研のメンバーであるということ、そういうことに関連する幾つかの実態を指摘してきたわけです。そして具体例としては、おびただしい勤務解除がある。やや繰り返しになりますが、ことしの一月から九月の間に、たとえば大阪中郵では延べ四百二十六人、千七百三十九時間、日にちに換算して二百四十日、住之江郵便局では五百九十六人、二千七百四十時間、日にちに換算して三百八十一日、こういうような仕事をしない状態があるということ、そして勤務時間中の頻繁な研修会などが行われる、事務所や物品が不当に供与されておる、そして異常とも言うべき、いわゆる差別かどうか疑わしい問題が差別扱いにされて確認会や糾弾会というものが行われる、そしてこれら全体を通じて職場が大変暗くなっておる、自由に物も言えない状態が起こっておるということについて問題にしました。  あれから一カ月余りたちました。大阪の各郵便局からは大変大きな反響が出ております。私の事務所にもそれがどんどん寄せられている。その反響の大きさに私自身が改めて驚いているわけです。いろいろの立場の人がいます。職場の人も、それぞれの役職の人もあります。解放研の中の会員からも、実は私らも大変なんですという、無理やりに会員にさせられたいろいろな状態についての話もあります。多分大臣あるいは郵務局長のところあたりにもいろいろと反応が寄せられておるのじゃないかと思いますが、何か来ておりませんか。
  318. 奥田量三

    ○奥田政府委員 私、郵政本省でこの問題の担当をしている者でございますが、私のところにはいま先生おっしゃったような情報あるいは手紙等は参っておりません。
  319. 村上弘

    村上(弘)委員 余り信頼されていないのかもしれませんね。  こういうふうに寄せられている新たな声に共通していることは大きく言って二つあります。一つは、実態はもっとひどいですということが言われておるのですよ。ある解放研のメンバーが、内部告発というのですか、場合によったら勤務解除時間だけでもわれわれの計算ではもっと多いとはっきり言っていますね。こういう状況があります。もう一つの共通している点は、本当にもっと明るい職場にしたい、もっと明るく働ける職場にしたい、こういうことです。そして本当にこれに何とか光を当ててほしいということでいろいろとカンパなども党派を超えて寄せてこられる、こういう状況があるわけですね。  その後いろいろ聞かされる中の一、二の例を申し上げますと、たとえば大阪の小包集中局には横田という解放研の会長がいますが、この人は集中局開設の翌年から今日までの七年間全く仕事をしていない。したがって、これを人件費で換算しても月二十万円として七年間で千六百万円というような数字まで言うてこられる。備品や用紙、事務用品、局の物を自由に使用している。特に電話代、新聞代からキャンプなどの行事の経費まで月数万円から十数万円、毎月ですよ。告一号の職員、つまり局長さんや次長さん、課長さん、副課長さんなどが結局カンパをさせられる。それは自分で出したということになるのかもしれませんが、こういう状況がある。これは毎月ですから大変ですね。それから、解放研の集会やら研修会へ動員する場合に近畿郵政局の出張扱いもあるわけですが、それ以外のメンバーに対してもその旅費を管理職の中でカンパする。これはもう解放研のあるところ、共通していますね。その出張の穴埋めのアルバイトの人件費も大変なものだということを言っているわけです。  そこで、新たにちょっとお聞きしておきたいのですが、この前取り上げました住之江局と中郵でどれくらいアルバイトを雇っておるか。十月の最近の状況で結構ですが、人数や金額にしてどのくらいになるかお聞きしておきたいと思うのです。
  320. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先生お尋ね大阪中央郵便局と住之江郵便局でございますが、十月の一日から二十二日まで合計二十二日間、これの数字を取り寄せてみました。郵便繁忙からしまするならばちょうど平常月というところになろうかと思いますが、大阪中央で千九百二十一人、金額にいたしまして七百十九万円、また住之江郵便局の方は六百九十六人、二百四十六万円、このような数字になっております。なお、この人数は延べ人員ということでございます。
  321. 村上弘

    村上(弘)委員 これはわずか三週間のことですから、大変なものですね。全部の局がそうではないのですよ。たとえば、事前にお聞きしたのですが、阿倍野だったら金額にしてアルバイトのお金が五十一万円とか、あるいは浪速の場合には三十八万円とか、こういう二けた水準ですよ。ですから、解放研の問題のあるところでこういう状況が特殊に生まれておるということが言えるわけですね。  なぜこういうことが可能になるのかということについて、職場でこういうことが言われておるのですね。これには近畿郵政局長が部落解放同盟大阪府連委員長あてに何か秘密の確約文書を出していて、この約束があるじゃないかということでいろいろと無理難題も言っておるのではないかということが言われておるのですが、何かそういうような秘密の文書が出されているのでしょうか。
  322. 奥田量三

    ○奥田政府委員 近畿郵政局から解放同盟あるいはその関係者に出した書面が過去において存在するという報告は受けております。
  323. 村上弘

    村上(弘)委員 それはここに資料で出してもらえますか。
  324. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま申し上げました書面につきましては、これはもともと部外者に対して出した書面でございます。したがって、差し出した側においても、受け取った側におきましても、公開することを予定していないものでございますので、第三者に公開するということは差し控えさせていただきたいと考えているものでございます。
  325. 村上弘

    村上(弘)委員 たてまえはそうかもしれませんが、実際にはそれが猛威をふるっておるわけですよね。ですから、やはり郵政当局はもう少しそういう問題に対して勇気のある態度をお持ちになる必要があるのじゃないか、公正な態度をお持ちになる必要があるのじゃないかと私は思いますが、実際に事態はもっと深刻なんですよ。特に私が最近痛感しておりますのは、失踪してしまう人、いつの間にかおらなくなる人がいるのですね。あるいはある局の課長さんは定年前に退職をされる、つまり優遇措置が受けられないような状況のもとで退職される。決して自分の意思じゃないのですね。それから、問題の住之江局では最近就任二週間の課長さんが自殺していますね。糾弾会出席後にそういうことが起こっておる。因果関係をだれもしかと確かめられません。しかしながら、私のところへ電話してきた人は非常に憤りを持って訴えておられますね。非常に深刻だと思うのです。ですから、こういう状態に対して郵政当局が責任を持って、勇気を持って対処される必要があるのじゃないか。もっと明るい職場にしてほしい、もっと明るく働ける職場にしてほしい、そして地域の住民の信頼を回復していきたい、みんなそのことを願っているわけです。  前回大臣調査するということを約束しておられるわけですが、先日、どういうようになっていますかと聞いたら、勤務解除についていま調査中ですということですが、決して事は勤務解除だけではありません。前回も今回も相当多面的に、相当具体的にここで状況をお話し申し上げておるわけですから、そういう点についてやはり全面的に調査をお願いしたいと思うわけです。その実態を明らかにするという点でこの前大臣は約束されたわけですが、もう一度その調査に対しての大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。
  326. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ちょっと事務的に。  前回の委員会先生から御要請がありました勤務解除の関係調査につきましてはただいま取り進めておりまして、なおしばらく時日を要しようかと思いますが、取りまとまる予定でございます。  なおそのほか、御指摘のありました問題等につきましても、大臣もお答えいたしましたとおり、必要な調査をいたしたいと思います。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕既往のものにつきましてなかなか調査困難なもの等もあろうかと思いますが、調査をいたしまして、その結果は、今後における適切な同和対策推進のための参考としたいと思っております。  なお、恐縮でございますが、冒頭私お答えいたしましたことについて一言補足をさせていただきたいと存じますが、近畿郵政局が同和問題に関連をいたしまして解放同盟に出した文書が存在をするという二とは承知をしておりますとお答えを申し上げましたが、その内容につきまして、先生が御指摘のような便宜供与等の約束云々にかかわるものであるかどうかということについては私はただいま承知をいたしておりません。
  327. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いろいろお話ございまして、この前の委員会におきましても調査をさしていただきたい、こういうことでお約束をしましたけれども、事務当局に督促をいたしておりますがなかなか調査がむずかしいようですが、さらにひとつ引き続いて調査をやるように、こういうことで、いま盛んに事務当局のけつをたたいているところでございます。
  328. 村上弘

    村上(弘)委員 これは職場のいろいろな役職の方も、第一線で苦労しておられる方も、大臣及び郵政当局の態度を注目していますよ。本来この委員会で現地調査してもいいようなことじゃないかと思いますが、しかしまず当局が責任ある実態の把握をやっていただく、事実を明らかにすることが半ば以上の解決じゃないかと私は思うのです。やみからやみに済まされておるからこれは解決できないと思うのですね。ですから、当局といえば権力機関ですから、ひとつその責任と役割りを果たしていただきたいと思うのです。  では次に、国際障害者年と郵政省の対応や態度についてお聞きしたいと思うのですむ  一カ月後には国際障害者年が始まるわけですが、二度にわたる悲惨な世界大戦の経験だとかいうものの上に立って、国連が世界人権宣言を一九四八年に採択をし、また精神薄弱者の権利宣言を一九七一年に、そして障害者の権利と人権の問題、障害者の権利宣言を一九七五年にずっと採択してきているわけですね。こうしたものが国際障害者年の基本的な大前提になっていることは当然踏まえておられると思いますが、私は、この国連のこういう一連の決議の中で一番大事なことの一つは「国際障害者年行動計画」のAの序の六十三というところに書かれておることだと思うのです。  これは「国際障害者年行動計画の概念構成と主な原則」ということが述べられております。ちょっと長くなりますが、こう書いてあります。  社会は、一般的な物理的環境、社会保健事業、教育、労働の機会、それからまたスポーツを含む文化的・社会的生活全体が障害者にとって利用しやすいように整える義務を負っているのである。これは、単に障害者のみならず、社会全体にとっても利益となるものである。 こう述べています。そしてさらに  ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。 こう述べています。これは非常に有名な言葉ですね。そして  障害者は、その社会の他の者と異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを充たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである。こういうふうに述べております。非常に味わい深い言葉だと思うのですが、これが国際障害者年行動計画の概念構成の主な原則の一つになっているわけですね。  そうすると、社会、特に近代社会にとって非常に重要な機能を持つ交通だとか通信だとかいう分野は、社会に対して人々が参加し生活していく上でなくてはならぬものですが、当然障害者も、全面参加と平等という国際障害者年のテーマからいって社会参加の第一の関門ですね。これは不幸な最近のイタリアの大地震を見ても、崩壊するということでまず新聞などが報道するのは、交通が遮断したとか通信がとだえたということがまず問題になるわけです。ですから、こういう社会への全面参加と平等というテーマ、概念に対して、郵政省所管する分野、通信というものの持つ位置と役割りというものは非常に大きいと思うのです。ですから、大いに意気込み、大いに国際障害者年に対する郵政省の立場、役割りというものについて抱負を持って臨まなくてはならぬであろうと思うわけでありますが、こういう国際障害者年の主要なテーマに対して郵政大臣電電公社総裁はどうお考えになるか。つまり、全面参加と平等の最初の関門である交通や通信という分野に対して、大いに意欲的に立ち臨む決意でおられるかどうか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  329. 奥田量三

    ○奥田政府委員 まず事務的な御説明を申し上げたいと思います。  郵政省といたしましては、先生御指摘のように、身体障害者の方々の社会参加を進めるために通信あるいは放送といったメディアが非常に大事である、そのためにそういった方々がこれらのメディアの利用から取り残されないように配慮することが大切であると考えておりまして、従来から郵便料金の取り扱いの問題、あるいは電話の設備料あるいは債券の問題、NHKの受信料の問題等について種々配慮しているところは先生御承知のとおりでございます。特に、来年の国際障害者年に関連いたしましては、総理府に設けられております国際障害者年推進本部が取りまとめた推進方針の中で、直接当省に関係いたしますものとしては、一つは記念切手の発行を予定しております。それからまた、広く公共建築物等の施設の改善と申しますか、障害者の方々が使いやすくするための手当てという項目がございます。それに関連いたしまして、郵便局等の出入り口のスロープの取りつけあるいは自動とびらの取りつけ等の施策について、明年度引き続き一段と力を入れてまいりたいと考えているところでございます。
  330. 山内一郎

    ○山内国務大臣 いま官房長からいままでやってまいりましたことについて説明がございましたけれども、来年は国際障害年でございますのでさらにひとつ新しいことを考えてみたい、こういう決意でございますけれども、いまのところまだ成案はないのでございます。いろいろと諸先生の御意見をお聞きをしたり、どうやればできるだろうかということをいろいろ工夫しながら、国際障害年の年にふさわしいような通信問題について考えてまいりたい、こういうように考えております。
  331. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま郵政省から全体的なお話がございまして、その中で電電公社のことにつきましてもお話をいまいただきましたとおりでございます。公社といたしましても、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、また国際障害年のテーマであります参加と平等、こういう目的に沿いまして郵政省の御指導を得まして対処してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。  具体的には、公社はいままでそういう身体障害者の方、いわゆるハンディキャップを負っている方がそのハンディキャップを克服するために、そういう方が容易に利用できます各種の電話機器等を数多く開発してまいったわけでございますが、来年は国際障害年にも当たりますので、それにふさわしい新しい機器といたしまして肢体不自由者用の電話機というものを国際障害年中に実用化を目指して開発をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  332. 秋草篤二

    ○秋草説明員 電電公社は、前から政府の方針に基づいてまず働ける余地のある障害者の雇用につきましても十分配慮しております。それから、電電公社特有の通信関係を利用してくださる障害者のあらゆる機器の開発につきまして鋭意努力しておりますが、なお一層郵政当局とも相談の上、推進していきたいと思っております。具体的にはかなりの機器が開発されております。
  333. 村上弘

    村上(弘)委員 時間がなくなってきて余り細かく言えませんが、電話料金値上げ発言の威勢のよさに比べたらいかにも抱負がない感じですね。やはり国連の決議の精神にもっと所管されておる通信の分野の社会的役割りというものについて気概をお持ちになって臨む必要があるのじゃないかと私は思います。  それから、国連の行動計画では、「各国がとるべき措置」の中で、マスメディアによるキャンペーンを促進するということが非常に重視されております。最近大阪の高槻市で、わかくさ作業所というところで十七人ばかりの障害者が自分で働いて生きていくのだということでがんばっています。洗たくばさみなんかを不自由な手で一生懸命つくって、十七人で月に十万円ぐらいの売り上げですね。そのようにがんばっております。しかし、何とか資金も必要だということで毎年バザーをやっておるのですが、先日もその年中恒例のバザーをやりました。鳥本二三男さんというそこの方がテレビ会社に投書しまして、そして、自分たちは人間である限り、障害を持っていてもあらゆる場所に出て自分の可能性を確かめたい、国際障害者年をきっかけに、自分がこれからどう生きていくのか、何かをつくり出せないかということで真剣に考えているというようなことで、同時にバザーなんかも催してがんばっておるのだというようなことを投書しているのですが、それを幸いにテレビ朝日が取り上げて、二十二、二十三、二十四と百貨店の上で行われたバザーが二十一日に朝放映されて、いろんなニュースにも織り込まれて非常に反響があり、三万の人がそのバザーに参加して、三百四、五十万の売り上げがあったようですね。非常に人々の善意がここによくあらわれておると思いますけれども、同時に、こういうマスメディアの果たす役割りというもの、国際障害者年を記念してこういうような取り組みがやられておるということについて、こういうふうにいろいろな努力をお知らせしていくということの持つ意味は非常に大きいと思うのですね。そういう点でことしは特にキャンペーンを強化する必要がある。一九七九年一月からそれを実施するということにされておるわけですが、こういう面でのNHKや民放連での努力はいろいろされてはおりますが、いま言った事例一つを見ても、投書をしなければわかってもらえないという事態もあるのですね。もっと思い切った取り組みが要るのではないかと思いますが、その考え、決意などもお聞きしておきたいと思います。
  334. 田中武志

    田中参考人 NHKにおきましても、国際障害者年の取り組みにつきましては、ことしの番組編集基本計画の中ですでに柱を立てて、関連番組などで十分やっていこうということを考えまして、すでにプロジェクトをつくって現在いろいろ作業を進めておる最中でございます。  若干具体的に申し上げますと、特別番組につきましては、来年年間六本前後をつくりたいと思っておりまして、そのうち「障害者と現代社会」という特別番組につきましては、四回シリーズで来年一月早々から放送したいということで海外取材などもすでに終えております。また、一分間のミニ番組につきましても、いま先生おっしゃったように、キャンペーンの必要性から昨年の児童年の実績にかんがみまして「地球の仲間」というテーマで年間五十本前後の番組をつくりまして、一分間のミニ番組として年間通して放送していこうということで、これも海外取材を含めましてすでに制作を一部始めている最中でございます。
  335. 泉長人

    ○泉参考人 民間放送連盟の事務局長の泉でございます。民放といたしましての取り組み方といたしましては、三つの面が考えられると思うのですが、放送というのは一番あらゆる人々に利用されるものでございまして、寝たきり老人、身障者も含めて一番接触する機会が多いものでございます。したがいまして、放送事業の中で取り上げますことは、身障者の方々にも一番お役に立つことだろうということで積極的にやらなければならないということをわれわれは考えているところでございます。  第一は、やはり基本的には丈夫な人間が丈夫でない人たちに愛の心を持つということで、民放連が中心になりまして来年で五回目になりますが、「はたちの献血」というのを毎年成人の日を中心にやっております。これはいままで保護されていた子供たちが成人になったときには、今度は自分たちが弱者を助けるという思想を一つ広めるという意味で献血運動をやっておりまして、大変効果を生んでおります。  二番目は、いま先生がおっしゃったように、キャンペーンなどを通じてそういう弱い人たちに資金を提供したり、募金活動をしたり、そういうような活動、これは各社個々の考え方でそれぞれ地域に密着したものを取り上げてやっております。  それから三番目は、今度はそういう身障者の方々が自立するための励ましといいますか、保護するだけでなくて自立するための励ましという意味では、そういう自立の事例を番組としてドキュメンタリーとしていろいろ取り上げまして、これを放映することによって丈夫な人々はもちろん、身障者の人たちが励みとして自分たちが社会参加する意欲を沸き立たせるという意味で、そういう意味での番組づくりを奨励しております。過去三年ごとに大体各地方社の地域社会活動というものをデータを取りまとめておりますが、そのデータを見ましても年々そういう取り上げ方の番組もふえてきておりますし、キャンペーンもふえてきているのがわかっております。一番最近のは昭和五十二年のデータでございますので古いのですが、この次は来年の春にまたもう一遍取りまとめることになっております。  後で先生に資料は差し上げたいと思っておりますが、こういう活動をさらに、来年は国際障害者年ということで各社ともより積極的にやろう、これは一時の線香花火じゃなくて、放送事業者としてはだんだん拡大していかなければならない問題で、特に来年はそういう区切りでもございますので、各社に問い合わせますと、それぞれキャンペーン活動それから番組活動についても特に力を入れるという答えが来ておりますので、以上御報告申し上げます。
  336. 村上弘

    村上(弘)委員 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますけれども、しかし郵政省及び電電公社にしろ、部分的なことを、これをするあれをするというのが少し追加されておる程度で、全面参加という社会の中において交通と並ぶ通信の位置にふさわしいような行動計画を持つ、何と何が参加の障害になっておるかということを全面的に見直して、そしてそれに対して十カ年の行動計画を立てる、遠大な、やはり社会全体が豊かになり密度が濃くなるようなこういう構想に意欲的に取り組む必要があると思うのですね。そういう点では非常に部分的で、まあお茶を濁すような程度のものじゃないかという気がするわけです。  そこで、私は、もう個条書き的に課題を若干提起しておきたいと思います。  たとえば、放送に関しては、難視地域の解消ということについては放送法によっても義務づけられておりますが、聴覚音声言語障害者に対する施策としては必ずしも積極的でない。難視地域と聴覚音声言語障害を持つ人との数はほぼ似たような数なんですね。片一方は人工衛星を打ち上げてでも何とか難視地域を解消しようかという意欲も示しておられるが、他方テロップを入れるとかいうことに関してはきわめて消極的じゃないかというような問題があると思うのですね。  それから、郵便関係では記念切手というのが企画されておりますが、記念切手は毎月二回くらいは出されておるようなことなので、それは国際障害者年の記念で出されることはいいことですが、せめて要望されておるような付加金つきの記念切手ですね、あるいは記念はがき、こういうものを企画すべきじゃないか。それをまた障害者に還元する措置をとるべきじゃないかということがあると思うのです。  それから電電公社に関しては、これはもうもうけに比べて余りにもみみっちい、ちょっと恥ずかしいような気がしますね。これは秋草総裁、本当に考えてほしいと思いますね。いままでシルバーホンで「あんしん」だとか「めいりょう」だとか「ひびき」だとか、いろいろ工夫はされています。しかし、それの設備料は全部お金をもろうているわけですね。「あんしん」の場合だったら月三千五百円、「めいりょう」の場合だったら使用料月百七十円、「ひびき」が月九百円というように取っているわけです。ハンディキャップを持っている人が電話をよく聞こえるようにするためにまたハンディキャップを負わなければならない、こういう状況に置かれておるわけですね。ここが、社会全体がその貧困な人を締め出す社会はそれだけ貧困なんだという具体的なあらわれであろうと思うのですが、仮に「あんしん」月三千五百円を、現在設置されておる数が千三百で、全額免除しても年間五千四百六十万円ですね。いまの莫大なもうけから見たら本当に恥ずかしいようなことが、しかしやられない。いろいろ機械を開発されるという点では努力されておると思うのですよ。せっかくそういう技術を生かして「あんしん」だとか「めいりょう」だとか「ひびき」だとかいうのを開発されながら、それをわずかの金額であるのにお金を取ってやっておる。画竜点睛を欠くといいますか、こういうことは、そういうことがあるのだということは総裁は御存じだろうと思いますけれども、やはり見直してみる必要があるのじゃないかというように思いますね。  それから、聾唖者に対して、この間もお話に出しましたが、車いすで電話をかけられるようにという問題で同僚の藤原議員もいろいろやり、少しは検討されている面もありますが、国鉄やあるいは飛行機あるいは高速道路などの行っておる五割引きだとかあるいは無料だとかいう制度に比べて、電電の場合は全く何もないのですね。それは同じ家に障害者でない人がおって電話をかけるかもしれないから、こういうことがいつも言われるわけだが、これも本当にみみっちい話だと思いますね。何回か一定の度数分は免除するという工夫もやればできることですから、こういうようなこともひとつ見直してほしいし、私は、これら全般について、郵政省としての国際障害者年に対する行動計画、構想、これをここに提起されてはどうか。  それから、いままで通信白書も出しておられるけれども、障害者の問題については一行もないのですね。せめて通信白書に障害者の一項目を設けるとか、そういうような思い切った措置をとるべきではないかということを提起して、そこだけお聞きして、えらく超過しましたが、質問を終わりたいと思います。
  337. 山内一郎

    ○山内国務大臣 国際障害年を迎えるに当たりまして、いろいろといま大変貴重な御意見を御提起をされたわけでございます。何とかして新しい政策をやりたいという意欲をもちましていま取りまとめている最中でございますので、いまの御提案をひとつ参考にさせていただいてやってまいりたいと考えております。
  338. 佐藤守良

    佐藤委員長 村上弘君の質疑は終わりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会