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1980-10-22 第93回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十二日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       東家 嘉幸君    羽田野忠文君       早川  崇君    吹田  愰君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    野口 幸一君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   福永 健司君     東家 嘉幸君 同月二十二日  辞任         補欠選任   武部  文君     野口 幸一君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     武部  文君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第九十二回国会閣法第二号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  郵便法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村章三君。
  3. 西村章三

    西村委員 私は、郵便法等の一部を改正する法律案関連をいたしまして、郵政事業特に郵便事業の現況とそのあるべき姿について質問を行いたいと思います。  まず、現在のわが国の経済状況がきわめてむずかしい局面に立たされておることは御承知のとおりであります。特に消費者物価上昇というものが非常に懸念すべき事態であることは、今国会の本会議における総理の所信表明に対する各党の代表質問の中の論議でも明らかなとおりでございます。また、政府昭和五十五年度経済見通しの中で公約いたしておりますところの六・四%の達成、これが非常に困難だと見られておりますし、ことし春の予算修正の中で、四党合意措置をされました物価対策特別費、この五百億の使途を含めまして、緊急な対策が求められております。このような時期に、公共料金である郵便料金の大幅な値上げ法定制緩和が行われるとすれば、これは一層インフレマインドを助長し、さらに憂慮すべき事態を招来すると思われます。  そこで、お尋ねをいたしますが、大臣は、物価抑制の最も重要なこの時期、今日のこの段階におきまして料金改定を行うことは、タイミングの上で適切だと考えておられるのかどうか。  いま一つは、昭和五十五年度消費者物価上昇率六・四%、これを抑えること、これ以内にとどめること、この関連において、今回の料金改定というものをどのように理解をされておるのか、まず伺いたいと思います。
  4. 山内一郎

    山内国務大臣 いま経済におきまして物価抑制ということが一番重要であるということは、深く認識をいたしているところでございます。政府決定消費者物価上昇率六・四%、これは政府決定でございますので、郵政省といたしましてもこれを守るように努力をしていかなければいけない、こういうこともよく知っているわけでございます。  もう一つの面において、郵政事業赤字が累積をいたしておりますので、これも解消していかなければいけない。そこで、われわれ好んでやるわけでございませんけれども、どうしても値上げはお認めをいただかなければなりませんが、その案というものはできるだけ物価上昇影響を少なくするように、たとえば値上げの時期を郵政審議会の答申よりもずらせるとか、あるいは価格についても工夫をするとかいろいろいたしまして、最小限度ぜひとれだけはお願いを申し上げたい、こういうことで提案をいたしている次第でございます。
  5. 西村章三

    西村委員 いろいろと今回の料金値上げについての配慮を加えておられることは、ただいまの答弁でわかるわけでございます。ただ、政府目標であります六・四%、これをどうしてもいまから抑え込みますためには、これから月間消費者物価指数というものを約四・二%以内に抑えていかなければこの目標というものが達成をされない、こういう時期でございます。したがって、そういう時期に、たとえばいまこれが今国会で成立をするといたしますと、公布の日がいつになるかまだ定かではございませんけれども、早急に実施をされるだろう、こういう見通しがございます。そうなりますと、勢い六・四%、月間にいたしまして四・二%以内に抑え込むことが、いまこの料金を引き上げることによって非常に一つの問題が出てくる。私はそういう意味で、やはり政府の閣僚としての責任ある立場から、もう少し時期をさらにおくらせるというようなことは考えられませんでしょうか。
  6. 山内一郎

    山内国務大臣 御提案いたしましたのは十月一日からでございますが、もうすでにおくれているわけでございます。  そして、どのくらい影響があるか試算をしたわけでございますが、これは数字の上の計算でございますけれども、今年度じゅうに、十月一日から値上げして、いまの原案では〇・〇四%、六・四のうちの〇・〇四影響があるであろう、こういう試算がされているわけでございます。
  7. 西村章三

    西村委員 これは郵便料金の直接的な値上がり率といいますか、生活にはね返る指数でございますが、しかしこれに関連・連動して間接的に波及効果も及ぼすものでございますから、その辺のことは十分に御検討いただいて、さらに慎重に取り扱っていただきたい。特に、実施時期につきましては御配慮をいただきたい、かようにお願いをいたしておきます。  そこで、具体的な質問に入る前にもう一点、大臣にお伺いをいたしておきたいのでありますが、それは、ことし春の通常国会でこの郵便法改正案提出する時点、一月の二十五日だったと思いますが、政府与党自民党総務会で、この郵政事業合理化努力がきわめて不足をしておる、そのことを理由にいたしまして、この値上げ法案国会提出することを了承せずに差し戻した、与党自民党通信部会郵政省の間で再検討せよ、こういう異例の決定がなされました。そして、再検討された結果は、結論として、今後三年間は値上げをしない、二つ目には合理化あるいは効率化、これをさらに進める、三つ目サービス改善、厳正な職場規律の維持と労務管理徹底を図る、こういう報告がされまして、当時の大西郵政大臣もこれを約束されて、国会への提出が決まった、こういういきさつがあるわけであります。  そこで、お尋ねいたしますが、この総務会了解事項については山内大臣御存じのことでありましょうし、当然これはそれなりの提出いきさつというものを尊重される、私はこう解釈をいたしておるのでございますが、御異議はございませんか。
  8. 山内一郎

    山内国務大臣 私も尊重してやっていきます。
  9. 西村章三

    西村委員 尊重してやっていくというお話でございます。したがいまして、私は、今後三年間は値上げをしない、あるいは合理化効率化をさらに進める、そしてサービス改善あるいは職場規律を守って労務管理徹底を図る、こういう理解をさせていただきますが、ただ今回のこの法案の中にはいわゆる弾力条項法定制緩和の問題が入っておるわけでございます。これが可決をされました時点におきましても、省命で決められる、改定できる場合、これも含めて尊重していかれる、こういうぐあいに理解をしてもよろしゅうございましょうか。
  10. 山内一郎

    山内国務大臣 御提案してございます法案の中にもいろいろと厳しい条件が入っているわけでございます。したがって、それらの条件を満たすようにこれからやるといたしましても、その線に沿ってやってまいるわけでございます。
  11. 西村章三

    西村委員 わかりました。  今回の値上げは、いわゆる消費者物価上昇に、いま申し上げましたように大きな影響を与える。そとで、先ほど自民党総務会決定の中にもございましたけれども、いわゆる従来の効率化なりあるいは合理化努力というものが十分ではなかった、こういうことが端的に指摘をされておりますし、先般来の本委員会の中での論議でも、このことが強く指摘をされております。  そうであるとするならば、赤字分だけは値上げによって解消するんだという安易な物の考え方ではなしに、やはりこれはまず効率化あるいは合理化、この努力というものが何よりも先決だと思うのであります。民間の場合でも、決算で赤字が出ましたときには、いかに歳出を減らすか、これは大から小まですべて同じだと思います。この合理化努力が足りないということでございまして、私は、そういう意味で、まず値上げを前に合理化努力をすべきだ、こう思いますが、大臣、いかがでございましょう。
  12. 山内一郎

    山内国務大臣 従来もいろいろ効率化あるいは能率化を高めるために、郵便番号の採用による機械的な仕分けの問題あるいは自動的にスタンプを押せるような大型機械導入いたしまして人件費を節約するように努力をしてまいりましたけれども、なお足りませんので、今後もさらにそういう面において努力を続けてまいりますけれども、まだ機械化も全郵便局に回っておりませんし、そういうものを整備しながら、さらに努力を続けてまいりたい、こう考えております。
  13. 西村章三

    西村委員 そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、郵政事業、そのうちの特に郵便事業ですね、今日までどのような合理化努力というものをされましたのか。これは、効率化合理化、この努力という言葉は過去しばしばまくら言葉のように使われてきておるわけでございまするけれども実態としてなかなかわれわれの目には触れてこないわけでございます。  前回の五十一年の値上げ以降具体的に努力実績というものを、まずそれを示していただきたいと思います。
  14. 魚津茂晴

    魚津政府委員 前回料金値上げ以降の具体的な合理化、これをどのような施策をとってきたかというお尋ねでございます。  まず、前回の五十一年以降という前から具体的に合理化施策を続けてまいっておりますので、お尋ねの五十一年以降ということよりも前からちょっとさかのぼらせて御説明させていただきたいわけでございますが、まず、昭和四十三年に郵便番号制を採用いたしました。そして、それと一体のものとして、郵便番号自動読み取り区分機導入をいたしました。  それから、局内作業機械化というものも、搬送設備だとか書留の配達証等複写機といったものも段階的に進めてまいっておるわけでございます。  それから、先生案内のように、たとえば大阪でございますと大阪小包集中局というものができましたが、それ以前に東京におきましては南北二局の小包集中局もつくりました。  それから、定形外郵便物を集中的に処理してスケールメリットというようなものをねらいまして、晴海の定形郵便物集中処理局もつくったわけでございます。  そのほか、当然のことといたしまして、外務作業においては自転車からバイクというような機動化施策も、じみではございますが、一歩一歩進めてまいりました。  そして、それを受け継いで前回料金改定後というようなことで今度申し上げたいと思いますが、郵便番号自動読み取り区分機、これは当初は約十万通くらい処理する郵便局という大局用機械ということで開発を進めてまいったわけでございますが、そのような大型自動読み取り区分機配備が大体完了いたしましたので、今度は引き受けが約三万通程度、中規模局といったらよろしいかと思いますが、そういったところにふさわしい小型郵便番号自動読み取り区分機配備し始めたわけでございます。  それから、小型の取りそろえ押印機、こういうようなことも着実に進めてまいりました。  それから、郵便外務作業省力化を図るということで、集合受け箱の設置お客様理解と協力を賜りながら、その辺の設置を積極的に進めるということもやってまいりました。  今後でございますが、従来から実施してまいりました、いま御説明を申し上げた施策を当然のこととして継続、促進をすると同時に、新しい機械開発のために私たち努力をしているわけでございまして、たとえばバーコードの郵便物処理、それから音声入力による郵便物処理という新しい機械開発にも努力をするというようなことも続けてまいる所存でございます。  それから、昨今、新聞等でも報道されまして先生方案内のところでございますが、配達度数を今日的に見直しまして、一度をやったらどういうお客様への影響があるだろうか、そのことによって効率化施策にならぬだろうかということで実験をすることにいたしました。  それから、窓口取扱時間、これも外国の実態も私たち調査いたしているわけでございますが、本当にお客様に現在の窓口取扱時間がぜひとも必要であるだろうかどうか、そういうような観点からも、減量経営的な施策一つとして今後続けてまいる。  いろいろ申し上げさせていただいたわけでございますが一郵政事業の最大の課題は、合理化効率化が今日的な問題としてあるだろう、しかしながら一方、合理化効率化施策というのは労働力集約性の高い郵便事業にとっては一番むずかしい問題である、特に郵便事業サービス国民生活の日常に密着していることでございますので、お客様への影響もいろいろ大きいだろう、周辺部門の問題はいろいろあるわけでございますが、そういった点について条件を整えながら、お客様の御支持を得ながら、以上申し上げたような合理化施策を積極的に進めてまいりたい、かように思う次第でございます。
  15. 西村章三

    西村委員 機械化目的といいますものは、効率化を行うことによってコストを下げていく、これが目的であろうと思うのであります。いまおっしゃられましたように、郵便事業の大宗を占めるものは人件費、それは勢い定員削減あるいは定員調整、こういうことにつながってくるわけでありますが、いまいろいろと申されましたそれらの具体的な人員削減効果をひとつ数字で示していただきたいと思います。なかんずく、特に強調されておりました自動読み取り区分機ですか、これが導入されたことによって一体何人の人を削減をする効果をもたらしたのか。大型小型あろうと思いますが、具体的に数字説明してください。
  16. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど申し上げたいろいろの施策を講じた結果、具体的にどのような人員節減に役立ったかということでございますが、私たち四十年度くらいから、先ほど説明をいたしましたいろいろと具体的な施策を続けてまいったわけでございますが、五十四年度、先年度までの間におおよそ一万七千七百人の節減ができたと思っておるわけでございます。  この一万七千七百人をもう少し具体的に御説明させていただきますと、機械が入ります、そうしたらその機械によって省力化できる人員を具体的に削減をいたします、こういったことで二千五百人削減といいますか、節減をし得たということでございます。自動読み取り区分機でございますとか、自動選別取りそろえ押印機でございますとか、集配施設専用自動車化でございますとか、機動車増備、こういうようなことでいま申し上げた数字節減できたと考えております。それから、必ずしもある施策をとることによって、それと引きかえに定員削減するということではございませんけれども、ある施策によって処理効率が向上したということで、そういった効率を向上させる施策がなかりせば当然人がふえただろう、人をふやさなくちゃならぬだろうということに対応いたしまして、処理効率を高めるということから定員抑制をするというようなメリットもあるわけでございます。これがおおよそ一万二千名。それからもう一つは、労働力転力化ということで施策を講じているわけでございますが、たとえば小包配達作業外部委託あるいは団地配達への主婦労働力の活用というような、本来の本務者の力によるものを外部能力を活用するという施策もございますが、それによっておおよそ三千二百名、合計一万七千七百人ということで、今日までの合理化効率化施策の具体的なメリットを以上報告させていただいたわけでございますが、そこで、番号自動読み取り区分機でございます。これについて具体的にお話がございましたが、これは一台機械を入れますと、それによって労働力がどの程度省けるかという計算をいたしまして人員というものの関連性を考えているわけでございますが、平均いたしまして一台入れることによって五・九名定員削減する、こういうことでございます。ただ、自動読み取り区分機を入れる局は、先ほども御説明をさせていただきましたように非常に大局でございます。非常に物数の増加も多うございます。そうなりますと、定員を落とすというかっこうで機械メリットを生かすか、本来定員措置をすべきものを改めて増員措置を講じないという形で生かすかというような選択がございますが、五・九人相当の労働力節減計算して具体的な措置を講じている、こういう次第でございます。
  17. 西村章三

    西村委員 私が先ほどお尋ねをしておりますのは、いわゆる自動読み取り区分機は五・九人に匹敵する、こういうことでございますが、これの導入をされたことによるいわゆる定員削減といいますか、これに見合う人数というのは一体どれくらいになるのでしょうか。――自動区分読み取り機導入したことによって、これによる人員の数、これをいま尋ねておるわけです。
  18. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十四年度までに百五台で六百二十人節減をし得たわけでございます。
  19. 西村章三

    西村委員 この「合理化等に伴う人員節減状況」という表をちょうだいいたしておるわけですが、この中で、人員指数が並んでおります。一台で約六人、大体五・九人、およそ六人を掛けたものがずらっとこう並びまして、六百二十人、こういう数字はなるほど出ておるわけでございます。そして五十年度以降五十四年度までの五年間の間に、郵便番号自動読み取り区分機大型が全国の十局に約十台配備をされております。この機械は、ただいまもお話がありましたように、仕事の量といたしましてはいわゆる内務職員、これにかかわってくるわけでありまして、したがって、これは単純計算でまいりますと、一台六人といたしましてもおよそ十台入れましたら六十人、剰余人員といいますか、これが出てくるのは当然のことであります。ところが、これらの配備をされました十局の内務職員増減は、トータルで減員をされた者がわずか三局で計五名、逆に増員をされているのが十局のうちの七局で総計百七十八名、差し引き十局で百七十三名がふえたことになっておるわけでございます。億を超すような金額の機械を入れて何でこんなばかな結果になるのでしょうか。もちろん、先ほどお話にもございましたように、この背景には、局の統合でありますとかあるいは集中化でありますとか、いろいろな要因もあったでしょう。あるいは物量の増大ということも考えられるかもしれません。しかし、これは私は、この自動読み取り機の入りました十局の数字が端的に示しておりますように、実際には、これは実態的に定員調整が果たして行われているのだろうかどうだろうか、はなはだ疑問に思うわけでございます。もちろん増員に対する抑制効果、これもわかりますけれども、しかし余りにもかけ離れた数字、十台入れて三局でわずか五名、大臣聞いておいてください、三局で五名減っただけなんです。あとの七局では総計百七十八名ふえておる、こういう実態が現実にこれはあるわけです。答えてください。
  20. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ただいま先生から、機械が入っても減量経営効率化ということにこの十局においては具体的に反映されてないのじゃないかという御指摘でございますが、私どもといたしますと、機械が入れば必ず定員を落とすか、その分定員の増を抑制するというメリットに絶対活用しているところでございます。  ただ十局というのは、私どのような局に入ったか、機械とその定員増減ということはちょっと承知いたしてないわけでございますが、私どもいろいろといま申し上げているように、その効率化あるいは合理化という施策をやりますと、定員増減というのはその合理化施策の結果、ある局が減ってある局に定員が移るというようなことも最近多いわけでございます。五十五年の十月、鉄道の合理化に伴って私ども職場にもかなり影響の強い施設改廃計画というものがあったわけでございますが、それによって、たとえば大体百二十人定員削減する、その百二十人のうちから百名を他の局に配置がえをして新しいシステムの仕事をするというようなことも最近非常に多く行われておるわけでございます。  それから先生先ほどちょっとおっしゃいました郵便区の調整と申しますか郵便区の組みかえをするというような場合に、ある局が落ちるが、その落ちた分の何がしかはある局にふやすというような措置も伴うことが多いわけでございます。したがいまして、いま機械を入れたけれどもかえって人がふえているということは、その機械メリットを消すということではなくて、全く他の事由による他の施策との関連による定員の増、あるいは機械メリットを上回る郵便物増大ということがあったものと私たち考える次第でございまして、機械が入ったけれども人がふえるということは、そのこと自体としては私たち絶対にやってない、こういうふうに先生にお答えさせていただきたいわけでございます。
  21. 西村章三

    西村委員 郵務局長御存じないというのはまことに遺憾だと私は思うのですが、若干申し上げてみましょうか。  五十一年度から五十四年度までに入りましたのは、局名を申し上げますが、牛込局小石川局昭和局福井局浦和岡山中央千鳥千葉中央大分世田谷、この十局でございます。減っておりますのは、外務職員は別ですよ、内務職員が減っておりますのは牛込で一名、小石川で三名、大分で一名。ふえておりますのが昭和で十名、福井はゼロということは機械が入ってもそのままだ、こういう意味です。浦和が六十七名、岡山中央が七名、千鳥は六十名、それから千葉中央が三十二名、世田谷が二名。計減員された者が三局で五名、ふえたのが七局で百七十八名。  そこで、私は具体的にお尋ねいたしますが、こういうように機械化がせっかく推されても、この効果というものが、先ほどからいろいろ理屈を言われておりまするけれども実態としてこれは発揮されておらない。実際にどういう職場からどういう職場へ移ったのか、あるいは現状そのままで定員が据え置かれておるのか、この辺はどうでございましょう。
  22. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生、具体的に局名を挙げて、その増減についてお話があったわけでございますので、その代表的なものを例にとってお答えさしていただきたいわけでございます。  たとえば浦和の局が六十七名も内勤で職員数がふえている、こういうことでございますが、これは、大宮の局で持っております分配事務分配事務というのは私たちのいささかテクニカルタームでございますけれども郵便物区分をやる機能でございますが、その区分をやる機能を、浦和の局が新築されまして局舎のスペースに余裕ができたということで、その大宮の局の分配局としての役割りを浦和の局が引き継いだということから増員になったものでございます。  それから昭和の局でございますが、これは十名ふえているというお話がございました。これは、五十二年に新築になりましたので、隣に瑞穂の局というのがございますが、瑞穂の局で取り集めしていた仕事機械関連させて、一局ごとで取り集めをするということじゃなくて何局分かを集めて一局が取り集めをやる、大きな取り集め、大収集と言っているわけでございますけれども、そういう取り集め機能を昭和の局が持つようになったということからの事務量の増大に伴う定員の増、こういうことでございます。  ですから、最初に申し上げましたように、機械が入ればそれによって定員が少なくとも郵便の内勤段階で落ちるべきだ、それはそれで絶対に私たちは本来そうすべきなんですからやらせてもらっているわけでございますが、それと全く別の理由で、あるいはまた機械が入ったことをきっかけに総合的な効率化のシステムをつくるということの中から関連局相互間の増減が起きるということから、先生指摘のような結果になったものと御理解を願いたいところでございます。
  23. 西村章三

    西村委員 この自動読み取り区分機は、金額的にはおよそ幾らぐらいのもので、どれくらいの能力があるものですか。
  24. 魚津茂晴

    魚津政府委員 昭和五十五年度におきましては、大型自動読み取り区分機の単価は一億八千六百五十万円でございます。それから、先ほど今後の機械配備を重点的にやっていきたいということで触れさせていただきました小型自動読み取り区分機が八千七百六十万円ということでございます。
  25. 西村章三

    西村委員 これは一億八千万円以上もかかるもので、たとえばこれ十台で十八億ですね。先ほど申し上げましたように、機械化目的はあくまでも効率稼働によってコストダウンを図っていくことなんだということでありまして、これはもちろん高い料金を負担していただいている利用者に還元をしていく、こういうことが筋なんです。郵政事業そのものは労働集約性の非常に高い事業でございますから、人件費が約九〇%かかっておる、それをいかに抑えていくかということがこれにつながってくるわけですね。ところが、実際に機械がこれだけ導入されておる、しかも高い金額のものが導入されておる、読み取り区分機だけでも、いま申し上げた十局だけでもこれだけの金額がかかっておるにもかかわらず、実態的には余り効果を発揮しておらぬ。先ほどから一万七千七百人抑制効果があった、こうおっしゃるわけでございまするけれども、実際には定員がうまく配置もされておらないし、定員調整そのものもかけ声倒れで終わってしまっておる。数字の上ではなるほどそういうことにされておる、あるいは予算の上でもそういう措置がとられているかもわかりませんが、実態的にはほとんどないように私は思うのです。もちろん定期異動はありましょうけれども、それに伴ういわゆる配置転換、そういうものが出てこなければ私は納得がいかないと思うのであります。そういう意味で私は、本当に定員調整というものを本気になってやっておられるのかどうか、あるいは定員削減も本気になってやっておられるのかどうか、このことをもう一遍尋ねたいと思います。
  26. 魚津茂晴

    魚津政府委員 機械を入れる、合理化施策を講ずるという観点を、いままで申し上げた以外の表現を使わせていただきますと、合理化というものはメリットを生み出して、そのメリットは国民にお返しする、職員にお返しする、それから郵政事業そのものの経営のために使う、こういう、大げさに言いますと合理化の哲学を持っておるつもりでございます。そういう観点からいたしますと、機械が入る、その機械によって、合理的な処理システムと相まってどれくらいの節減ができるかということについては、本当に、これは先生に私たちの立場を御理解願いたいわけでございますが、真剣に考えまして、それによる定員削減ということをやってきております。また、今後ともやっていくことをここでお誓い申し上げたいというふうに思う次第でございます。
  27. 西村章三

    西村委員 確かに職員の方にも還元をしていかなきゃならぬ、あるいは郵政事業そのものにもしていかなきゃならぬ。しかし、ポイントはやはり機械化効率化を図ることによっていわゆるコストを下げる、結局は利用者に一番先に還元するんだ、こういう姿勢がなければ、今回の料金値上げにつきましてもなかなか国民の納得が得られない、私はこう思うわけでございます。  いろいろと申し上げましたが、いま特にそのことにつきましては今後前向きでやっていく、こういう話がありました。大臣、このことにつきまして何か一言おっしゃっていただきたいと思います。
  28. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ御指摘がございまして、人的配置等の問題が主であったかと思いますけれども、ただいま郵務局長が答弁しましたように懸命にやっている、こういうことでございますが、なお落ちこぼれのないようにといいますか手落ちがないように、さらにさらに気をつけて郵務局長を督促してやらさせていきたいと思っております。
  29. 西村章三

    西村委員 関連をいたしまして、各事業部門の中で、業務遂行のためとは言いながら、業務費以外にいわゆる物件費、営繕費といいますか、そういう形で年間大量のアルバイトを雇っておられる。物件費に占めるアルバイト費といいますか、物件費の中の人件費の割合が何%ぐらいあるのか、年間の総経費というものは一体どれくらいかかっておるのか、アルバイトの採用が延べ人員で何人ぐらいあるのか。さらに、アルバイトを時期的に分けまして、およそ年末年始だろうと思うのですが、その辺の分布状況を教えてください。
  30. 岡野裕

    ○岡野政府委員 人事局長でございます。  これはもう先生御存じのとおりの中身になってしまうわけでございますけれども、私ども郵便局仕事の中で言いますならば、恒常的な業務は本務者、常在員諸君の労働力におんぶをするということではございますけれども、臨時的な事務量増につきましては、本務者、常在員の超過勤務のほかに、非常勤の雇用によって処理をするというようなたてまえで臨んでいるわけでございますが、ちょうど年末であるとか夏の繁忙であるとかというようなときには、郵便貯金、保険等も非常に大きな事務量増になりますものですから、相当大量の非常勤を雇用するというような実態でございます。  お尋ねの、数字の面でお話を申し上げるわけでございますが、五十五年度予算の面からこれをながめますと、全体では延べ約八百万人の非常勤職員を雇用をするという考え方で対処しております。これは金額に値しますと二百八十八億円に当たりますので、物件費全体は四千百七十億円、したがいましてパーセントにいたしますと七%である、これが全体の数字になるわけでございますが、先生お尋ね郵便事業関係にしぼってお話をいたしますならば、全体で非常勤職員の数は六百五十万人、経費は二百三十六億円、物件費全体は郵便事業では二千七百三十六億円という計数になりますものですから、パーセントにはじきましたところ九%になるというような数字をいま持ってまいっているところでございます。  なお、郵便関係の中でこういった非常勤職員を、どんなところにどのくらいの量を投入をするか。これは所管の方からお答えを申し上げたい、このように思っております。
  31. 魚津茂晴

    魚津政府委員 年末の非常勤の計画でございますが、そのときどきの物数の動向を見ながら、必要な労働力確保ということで非常勤職員数を決めるわけでございますが、昨今は大体二百十万前後という数に相なっておる次第でございます。
  32. 西村章三

    西村委員 この非常勤職員、臨時職員ですね、これの募集方法はどういう手段でやっておられますか。
  33. 岡野裕

    ○岡野政府委員 募集方法についての先生お尋ねなのでございますけれども、一般にはポスターを局前に掲示するとか、依頼状を常在的にお越しいただいている方々にも発送をして、今回はどうであるかというようなおいざないをするなどなどでございますが、ちょうどこれから始まりますところの年末繁忙などの場合には、やはり高等学校の学生さんにお越しいただくということが非常に大きいわけでございます。ということでございますので、これは地方公共団体の教育関係機関等に赴きまして、ことしはこのくらいの労働量が欲しいのである、賃金単価はこのくらいである、お越しをいただいた場合の作業の取り運びはこんなである、おおむね何時間ぐらいであるというお話をいろいろ申し上げ、あるいは学校当局に直接私どもも出かけましたりなどしてこの御協力をお願いをする。それから、ややきめ細かくいたしております措置といたしましては、非常勤職員の方の御父兄の皆さんにもあいさつ状を差し上げて、いまお話をしましたような御説明をして御協力を仰ぐ等々、こんなふうな形で、なるべく働きやすいような環境になっているから、ぜひお越しをいただきたいというようなことで、対処をしているところでございます。
  34. 西村章三

    西村委員 父兄へ依頼状あるいは本人あてに依頼状を送られるということでございますが、これは、すでに一度そういう職につかれた方というか、一度そういう非常勤の職員を経験された人、これに対して出しておられるわけですか。
  35. 岡野裕

    ○岡野政府委員 当該本人あるいは御父兄の方へのあいさつ状は、いままで私どもの非常勤雇用名簿、常々準備をしておりますけれども、そういうものに基づいていたしておるわけでございます。しかし、新規の非常勤職員にお越しをいただこうといいます場合には、先ほどお話をしました教育関係機関であるとか学校御当局であるとかというところに御依頼を申し上げるというようなやり方でございます。
  36. 西村章三

    西村委員 新規の人は教育委員会なり学校へお願いをする、こういう御答弁でございますが、実は私、ここに手紙を持ってきております。これは、ことしの九月二十九日に私あてに来たものでございます。ちょっと読みます。「資料をご送付申上ます。私の子供は本年四月都立千歳高校へ入学した者です。このような手紙が配達されて非常に困っている父兄の方が多うございますので、今後は一切学校」を通じてアルバイトの申し込みをせよ、こういうことであります。私も中身を拝見いたしました。五通来ております。ことしの九月です。しかも発信局がみなそれぞれ違うのです。新宿北郵便局、渋谷郵便局、千歳郵便局、しかも本人は、そういう経験は全くございません。ことし初めて高校へ入ったばかりです。父兄あてに二通、本人あてに三通、ダブっておるわけですね。これは一体どういうところからその名簿を仕入れるのか。しかも、これは各局がそれぞれ協定もせずに無差別に送っているのではないか。大臣、ちょっとこれをごらんください。――これは学校教育上やはりいろいろ問題がある。親御さんも非常に不愉快な思いをしておられる。なぜ三つの局から、これはお互いに協定してないのですか。
  37. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど来、人事局長が一般論としていろいろ御説明申し上げたわけですが、いま先生指摘の問題というのは、年末首繁忙に関連いたしましたアルバイトの雇用ということで郵便事業に深いかかわりがあるということで、私答弁をさせていただくわけでございますが、これは申し上げるまでもないことでございますが、年末首の業務量というのは、平素の量に比べますと、小包で大体二・五倍くらい、はがき等の通常郵便は大体四倍を超える量になるわけでございます。そこで、国民の皆様方の御信頼に沿う成果を生むための要諦というのは、職員に時間外労働をお願いすることと、いま一つは非常勤の必要な数の確保であるとか……(西村委員「聞いていることを答えてください」と呼ぶ)そこで、いろいろと各郵便局でその非常勤の確保をするというための苦労があるわけでございますが、全国的に見ますと、先生おっしゃるように地域的におのずから協定が行われて、そういう一人の高校生に何通ものあるいは何局からも来るということが考えられない地況の局もございますが、東京の場合ですと、御承知のような土地の事情でございまして、一つの地域、一人の高校生に、たとえば世田谷なら世田谷を例にとりますと、四つの大きな局がございます。その世田谷区に住む人たちのところに四つの局からアルバイトに来ていただけませんか、いま先生お示しになったようなお誘いをして、ぜひお願いいたしますという手紙というのはあり得ると私は実態としては考える次第でございます。  それから、本人の意向を考えないであるいは父兄の気持ちも察しないでというような点もございますけれども、これは私ども学校当局と十分連絡はとるものの、やはり部分的には学校のアルバイトに対する方針がどうであるかというようなことが徹底しないとか、あるいは何らかのわが方で使っておりますところの名簿の不整備というような関係で、いま先生指摘のような手紙がやってくる場合がある。  それからもう一つ、私の経験で、この手紙が行くということに関連いたしまして、父兄にも行く、それから高校生にも行く、二重の通信事務のものが行くというような苦情も時折耳にすることがございました。これにつきましては、全国的に家庭とも連絡をとりながらということはもちろん当然やっていくわけでございますが、必ず高校生あてのものと父兄あてのもの二通行くというわけじゃございませんけれども、中には同封で父兄あてと高校生あてというようなかっこうで郵便が差し出されるというようなこともございます反面、やはり子供と親は別人格だから別々にいただきたいというような要請のあるところもございまして、そういう要請のあったようなところは部分的に二通の郵便を差し出しているというような実態もあろうか、かように思う次第でございます。
  38. 西村章三

    西村委員 一々反論しようと思いませんけれども、その中を見ていただいたらわかるとおりでありまして、子供さんあてに送って父兄あての手紙も入っておる、父兄あてのがそのままそのものが入っておる、こういうことでございますよ。だから私が申し上げたいのは、無差別、無原則にどこで手に入れてこられるのかわからぬけれども、それらを各局でそれぞれ持ってやっておるというのはきわめてむだが多い、このことを申し上げたいし、また通信事務でこれをやっておられるわけですから、郵便局の方の腹は痛まぬのでしょうけれども、通信事務そのものの適用基準と使用基準というも、そういうものはあるのでしょう。これは全郵便量のどれくらいの比率を占めておるのですか、基準とその量、比率を示してください。
  39. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この無料郵便を差し出す場合には、郵便法の二十条でこういった要件に合致するのは無料郵便であるということが決められているわけでございます。それによる通信事務の郵便が年間どれくらい差し出されるかということは、私いま資料を持ち合わせていないので、まことに申しわけございませんが後ほど御報告をさせていただきたい、かように思う次第でございます。
  40. 西村章三

    西村委員 これは一通の手紙を配達するのでもずいぶん人件費がかかっておるわけでございます。したがって、やはりそういうむだをなくしていくということがいわゆる効率化合理化なんです。したがって、その場合はよく気をつけていただきたい。  もう一つは、いま申し上げましたように無差別に、無原則にやらないで、一つの基準をつくって呼びかけるのなら呼びかけていただきたい。どうでございますか、検討をされますか、改善をされますか。
  41. 魚津茂晴

    魚津政府委員 非常勤の確保のためのいろいろのやり方、ただいま先生指摘の内容も十分踏まえて関係のところに徹底をさせて改善を図ってまいりたい。  それから無料郵便の要件は、先ほど申し上げましたように二十条に書かれている要件でございます。
  42. 西村章三

    西村委員 次いで、郵便区域、郵便局設置基準じゃございません、郵便区域の設定基準について教えていただきたいのでありますが、郵便区域の設定基準というのは一体どういうところに置いておられるのか、まず説明してください。
  43. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この郵便区の設定基準としては、大体二つの原則を持ってやっておるわけでございます。一つは、行政区をもとにしてできるだけこれを分割しないように設定をするという原則が一つでございます。いま一つは、道路、交通、業務量その他の事由によって分割する方がかえって郵便物の集配上便利な場合等には行政区を分割して設定する、この二つの原則から郵便区を設定している次第でございます。
  44. 西村章三

    西村委員 分割をしない――いろいろ原則があるのでしょうが、やはりその中で経済的な効果といいますか経済メリット、それからいわゆる配達速度といいますか送達速度といいますか、これは当然の一つの基準であろうと思うのです。そういうことから考えてみまして、現在の郵便区そのものが合理的に設定をされているかといいますと、これは局舎の立地条件その他によってかなり違ってくる。しかも私どもが考えまして、各地方自治体の出張所の設置でありますとか、あるいは学校の進学区域の調整でありますとか、いわゆる人口急増地帯等に伴ういろいろな変更が他の行政ではほとんどやられておる。警察もそうでございます。あるいは消防署もそうでございます。警察でございましたら、どうしても署の置けないところはマンモス交番所を置くだとか、あるいは消防署の場合も出張所を設置するとか、その対応がきわめて柔軟に行われておる。ところが郵便行政の場合には、一つの局というものを基点に物を考えるものですからきわめて不合理な面が出ておるということでございまして、いわゆる行政需要に対する対応といいますか、これが非常におくれておるように私は思うのであります。具体的な例を持っておりますが、もっと人口増やらあるいは現実にマッチした対応ができないものかどうか、私はこの点を申し上げて再検討していただきたい、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  45. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど私の方からお答えいたしました原則によって郵便区を設定しているわけでございますが、昨今二つの面から郵便区の調整というものを、従来のいきさつも踏まえながら積極的に見直すべきだという情勢を私ども承知いたしておるわけでございます。一つは、申すまでもなく、過疎化現象による郵便区の調整一つは、過密化現象による郵便区の調整ということでございまして、先生仰せのとおり、郵便事業こそが一番社会経済の動向に即応した姿勢でもって施策を講じなくちゃならぬということを絶えず念頭に置いているわけでございまして、郵便区の調整におきましても、まさにその観点から積極的に進むべきであるということで、五十年代で郵便区の調整百九十一件、百九十一局と言った方が御理解願えると思いますが、実施をしてきている次第でございます。
  46. 西村章三

    西村委員 くどくどしく申し上げようと思いませんが、たとえば速達配達の基準問題でございますが、局の所在地からいわゆる四キロ四方ということでなっております。ところが、新しく人口急増地帯に局ができまして、目の前にもう見えておるところへ配達が行かない。それは他の局の所轄事項になっておるものですから行かない。こういうケースが実は私どもの地元の方にも具体的に多くあるわけでございます。したがって、私どもは本当に局が新しく設置をされたのなら、それに見合うような新しい区域というものを当然のことながら考えなければならぬ。かつての局から四キロ以上だから行かないのだ、ところが新しい局からは目の前に見えている、ものの千メートルも離れておらないところが速達が届かない、こういうケースがたくさんあるわけですよ。そういう意味で、もっと合理的に基準の見直しといいますか、区域の設定の見直しはやるべきです。私は特に郵政事業はおくれていると思いますよ。どうでございましょう。
  47. 魚津茂晴

    魚津政府委員 新しい局をつくるということは新しい郵便区をつくるということになるわけでございますが、その郵便区をつくる際に、先生おっしゃるように、いろいろの条件を考えながら新局をつくるということは、単に古い局舎を新しい局舎に変えるとかあるいは一局を二局にするというようなことだけでなくて、その地域社会に役立つサービスということを考えながら郵便区をそういう意味で計画していくべきでございまして、事実、原則としては私たちそういうようなかっこうで新しい局をつくる、そして新しい郵便区を設定するというふうにやってまいっているつもりでございますが、いま先生の方々にあるというお話の中には、いま私が言っていることはあたかもきれいごとになるような具体的な事実をお持ちだと私は推察するわけでございます。私、その辺の事実関係を後日伺わせていただきまして、そのネックになっているのは何だろうかということを個別的に考えて対処をさせていただきたい、かように思う次第でございます。
  48. 西村章三

    西村委員 時間がありませんから私はもう具体的なことは、局長にそうおっしゃっていただくのですから、きょうは申し上げません。これはまた後でお渡しをいたします。  こういういわゆる利用者に対するサービス改善、これと関連をいたしまして、今回のこの法案の中にも郵便切手の交換で手数料を取ることが提案をされて、これの交換ができる、収入印紙についても同様だ、こういうことです。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 この手数料は一体どれくらいの金額のものを考えておられるのですか。あるいは表示金額によって手数料金を変えようとなさるのか、一律にされようとされるのか、その辺のところはどう考えておられますか。
  49. 魚津茂晴

    魚津政府委員 これは省令でその手数料の額を決めさせていただく仕組みになっているわけでございますが、私どもといたしますと、一律に五円程度をいま考えている次第でございます。
  50. 西村章三

    西村委員 かつての改正の中で、いわゆる書き損じはがきの交換というものが現在やられているわけでございます。これは確かに印刷ミスであるとか、自分が書き間違いがあったとか、それの再活用という意味で、これは手数料三円ですか、これを払って交換ができる。これは結構なことなんです。しかし、今回の改正の中身を見てまいりますと、別に汚損をしたり棄損をしたり、そうでない新しい切手をかえるのになぜ手数料が必要なのか。これはわれわれの常識で考えましてなかなか理解がいかぬわけであります。しかも、その表示金額そのものと違うものであっても等価交換するのは当然のことだと思うのであります。この発想というのはどこからどう出て、いかにも役所的な物の考え方……。たとえば、いま五円取るとおっしゃいました。いま五円切手二枚を持っておって十円に交換をしてもらおうと思えば十五円払わなければならぬ、こういうことでございましょう。そんなばかなことが実際考えられますか。郵便局で両替するのと余り変らないと私は思うのですよ。両替に手数料を取るということですか。
  51. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いまの交換手数料はどうすべきかというのは、実は私どもいろいろ悩みました。しかしながら、これは四十一年にまず先生指摘のようにはがきの交換ということから始まって、今回収入印紙でございますとか切手ということまで御賛同を得て実施したいということでございます。二円からスタートしたわけですね。二円から三円になって今日に及んでおるわけでございますが、結局交換により処分することとなる郵便切手やはがきの調製費それから交換に伴う事務に要する経費ということを考えますと、どうしても現在の三円あるいは五円というものをいただきたいという気持ちでわれわれ考えさしていただいている次第でございます。
  52. 西村章三

    西村委員 事務に関する手数の料金、わからないでもないんですけれども、等価交換がやはり基本原則でなければならぬと思いますよ、別に汚れているわけでもなし、自分のミスであれしたわけではなし。現行のはがきの問題でもあると私は思うのですよ。たとえば今度料金改定をされる、上げられましたときに、真っ白で使ってない二十円の現行料金のはがきをそのまま持っていったらかえてくれないわけでしょう、いまの法律のままでありましたら。裏を全部書き損じて初めてかえてくれる。こういう矛盾もあるわけです。今回切手の交換をなさるにつきましても、私は本当にそういう意味では同じ金額のものを簡単にかえるだけのことでなぜ手数料を取らなければならぬのか、どうも不思議でならぬわけですね。これはむしろサービス改善じゃなくして改悪ですよ。はっきり改悪でございます。撤回される気持ちはございませんか。
  53. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、不遜にもサービス改善というようなかっこうで申し上げさしていただいたわけですが、その意味は、現在切手でございますとか収入印紙の交換ができないという制度の中から、今回はできるようにするという点に着目をいたしまして、その点評価をしていただきたいという意味改善ということで申し上げさしていただいたわけでございます。  手数料を取るというのは先ほど説明したとおりでございますし、それから先生先ほどおっしゃったように、切手を交換するときに五円切手を二枚というようなことは実際には私たち予想もしてないわけなんです。要するに、高額のものを何らかの事情で買ったというようないままでのそういう御要請というものの声をわれわれ承知しているわけでございますが、そういう声が高額のものが何らかの事情で不要になったというような場合にぜひともということで、もちろん五円二枚はいけないというわけではございませんけれども実態といたしまして、そういったものが果たして出るだろうかというふうにも考えているわけでございます。  それから、はがきなんかは、先ほど言いましたコスト論とか、そういう観点のほかに、もし仮に無料で交換するということになりますと、たとえば子供たちが何か絵をかいてどんどん交換する、それも無料かというような、実態的な起こり得る可能性も考えまして、あわせてコストということから、手数料はいただきたいというふうに申し上げている次第でございます。
  54. 西村章三

    西村委員 小額のものは予定をされておらぬ――これはもう重大な答弁だと思いますよ。料金改定が成りましたら、今度は現行の封書五十円が六十円に上がるわけです。そうしたら十円切手が要る、それに張る場合は。あるいは今度二十円が四十円に上がりましたら、切手を張らなければならぬというときに、現在持っている五円だとか二円だとかそういうものをかえてくれというのはあたりまえの話でしょう。むしろ高い金額のものよりもそういったものの方が多くなるんじゃないんですか。私はそう思いますがね。金額が高いとか低いとか、そんなことにかかわらない問題です。
  55. 魚津茂晴

    魚津政府委員 もちろん先生の御立論の立場というのは高い安いの問題じゃなくて、むしろ本質的な問題を御指摘されているわけでございますが、私どもといたしまして、きっかけになった心情を申し上げますとということで、先ほど申し上げた例を御理解していただけたらありがたいわけでございます。
  56. 西村章三

    西村委員 くどくど言うようでございますが、切手の交換そのものはわれわれ大いに改善だと思っております。ただ、手数料を取ることが改悪だ、こう申し上げておるわけでございまして、大臣、手数料の問題はもう一度検討していただく、そういうことで御検討をいただけませんでしょうか。
  57. 山内一郎

    山内国務大臣 いま西村先生お話を聞いておりまして、交換して手数料を取るということは私はやむを得ないと思うのです。切手も、真っさらな新しい切手をお持ちになるということはほとんどございませんし、それをさらに売るというわけにもいきませんから、やはり手数料は取らさしていただきますが、省令で定めますので、余り不合理なことのないように、ひとつ気をつけて省令を決めていきたい、こういうふうに考えております。
  58. 西村章三

    西村委員 不合理のないようにということでしたが、先ほどすでに一律で五円だというようなお答えも出ておるわけでございまして、たとえば小額のものにつきましては金額はどの程度がいいのか、これはまだ定かではございませんけれども、そういうものにつきましては、やはりたとえば五円のものを交換するのに五円も取るというような不合理のないように、私は厳重にその辺のところは運んでいただきたい、このことをお願いをいたしておきます。  次に、これは先日鈴木先生の方からも触れられたことでございますが、五十五年度の年賀郵便の取り扱いの問題でございます。すでに先日の委員会の答弁で、二十円の額面のお年玉はがきがもう印刷されておるということでありますが、何枚くらい印刷をされて、すでにどの段階まで行っておるのか。さらに、発売開始を例年どおり十一月五日ということでおやりになるのか、この辺のところをまず答えてください。
  59. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在印刷を進めているところでございます。二十円の年賀はがきを印刷しているわけでございまして、二十八億五千万枚印刷中でございます。もちろん量的には、大部分もう印刷済みでございまして、配給局を通しましてそれぞれの窓口機関にいま運送をしている、こういう段階でございます。  それで、このはがきの売りさばきをどうするんだということでございますが、結論から言いますと、いましばらくこの郵便法国会での審議を見守りながら、そうして早期成立を期待しながら、しばらく待ちたい。それで従来、発売日というのは、昨今は十一月の五日、六日が多うございました。しかしながら、十一月の中旬ということもございましたし、それから、さらにさかのぼりますと十二月の一日というような年もございまして、これはある程度情勢を見ながら弾力的に決め得る余地のある日である、こういうふうに理解をしている次第でございます。
  60. 西村章三

    西村委員 この法案の取り扱いあるいは成立するかどうかということはきわめて流動的ですから、この年賀郵便そのものを変更しなければならぬかということも含めて、まだ定かではございません。しかし、成立をした場合には、当然現行の二十円のこれではだめでございまして、何らかの方法をとらなければならぬということでございますね。その方法論について、幾つか想定をされるわけでございますが、どのような方法で処理をされるのか、聞かしてください。
  61. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法律の制定によりまして、二十円が、私どもの期待しております三十円ということになったといたしますと、現に印刷しているものは二十円であることは事実でございますので、法律上の読みかえ規定等が現実的な施策ではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
  62. 西村章三

    西村委員 ということは、二十円のものを三十円で売るということですか。
  63. 魚津茂晴

    魚津政府委員 読みかえ規定と申し上げたのは、そういう趣旨でございます。
  64. 西村章三

    西村委員 これは利用される人が非常に多数に及びますし、国民感情からいいますと、二十円のものを三十円で買わされる、しかもそれはお役所でつくったものだ、これはやはり私はならぬと思うのですね。これは国民感情としても受けとめがたいと思います。ほかにいろいろ方法があるのでしょう。
  65. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ほかの方法としては、もちろん二十円に対して十円張っていただくとか、あるいは判こを押すというようなことも料金改正による対応策としては考えられますが、これは実際的にははなはだ無理だ、こういうふうに私ども考えている次第でございます。
  66. 西村章三

    西村委員 まあ確かに、利用者が十円切手を張って確実にやってくれるかどうか、これは定かではございません。あるいは局の方が差額の十円を徴収をして受け付けるということも、これも実はポストへ直接投函する人がありますから、これは非常に混乱が起こるからこれもだめだ、こういうことになりますね。それから、郵便法をいま改正して、おっしゃったように二十円を三十円という形で、二十円のものを三十円で売るということは、いま申し上げたように、これも国民感情としてそのまま使用することが非常にむずかしい、私はこう思うんですね。もう一つは、料金改定の公布の日を年賀郵便が終わった後にするということが一つの方法、あるいは、仮に成立をいたしましても、年賀郵便のみは現行のまま、来年に限って据え置く、この方法しかないのではないかと思うのです。願わくは、われわれは、年賀郵便だけでもそのまま据え置いてほしいという強い希望を持っております。それならば、額面二十円のものをそのまま二十円で売却できて、そう蹉秩はない。その方法は考えられませんか。
  67. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在御提案を申し上げております法案は、施行日が、先生案内のように十月一日になっておるものでございます。したがいまして、十月一日という施行日はもう失効して白紙になっているというふうに私たち理解をしているわけでございまして、その白紙にどのような日付を入れるか、いまいろいろと先生方御意見もあろうかと思いますが、そういった御意見をうまくまとめていただきまして、その施行日を取り決めていただきたい、かように思う次第でございます。
  68. 西村章三

    西村委員 そういう方向でぜひ検討して、施行日をできるだけ延期をしていくということ、特に年賀郵便に限りましてはそういうものを強くあれをしていただきたい。これは大臣昭和二十六年にそういう特例があるのです。そのまま年賀郵便だけ据え置いたという特例がございます。これも含めて御検討願えますでしょうか。
  69. 山内一郎

    山内国務大臣 いま非常に困っているところなのです。いま西村先生のおっしゃったようなことをいろいろと考えながら、どうするかなあというような御意見もいろいろ賜りまして、そういう点についても考慮の最中でございまして、十分に御意見を入れながら今後決定してまいりたいと考えております。
  70. 西村章三

    西村委員 もう時間が参りましたので、これ以上この問題は触れることはできません。  先ほど来いろいろと申し上げてまいりましたが、すべてを通じて申し上げられますことは、いかにして現在の赤字を減らしていくかということ、安易な値上げで問題を解決をするというよりも、むしろいわゆる効率化合理化努力、これをいかに推進をして利用者である国民に還元をし、また働いている職員さんの地位の向上にもつなげていくか、これに尽きると思うわけでございます。そういう意味では、郵政省として、今後の郵便事業のあり方あるいは現在の制度、こういったものの改善も含めて、大いにこれは検討をしていただく必要がある。特に仕組み、制度そのものにつきましては、一遍根本的に見直していただく。小包にいたしましても、御案内のとおり十月一日から値上げをした。わずか十日間で三三%以上ももう現に減ってきた。民間業者との競合の中で、先行きこれでは非常に暗いわけでございます。これをすべて料金値上げでカバーしていこうということにはやはり一定の限界もありましょうし、不安もあるわけでございます。これは単に小包だけの問題ではございません。小包料金のコストというものは勢い一種、二種にも乗りかかってくるわけでございます。やがては、この一種、二種の方もにっちもさっちもいかぬということになる状態も予測をされます。したがって、いま申し上げましたような制度改善も含めて、一遍根本的に郵便事業のあり方、あるいは特別会計そのもののあり方も見直してほしいと思います。これは最後に、できましたら大臣から御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  71. 山内一郎

    山内国務大臣 私も郵政大臣を引き受けてまいりましてから、郵便事業についても懸命な勉強をしているつもりでございますけれども、やはり基本的には料金の問題と、それから皆さん方が、国民の方がそれに応じてくれるかどうかというのは非常にむずかしい問題があるんですね。したがって、料金ばかり上げていいのかどうか、さらに、もっと根本的に合理化をする方法はないかというようなことも考えているわけでございますが、いまの御趣旨に沿いまして、ひとつ一層努力してまいりたいと考えております。
  72. 西村章三

    西村委員 終わります。
  73. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 以上をもって西村章三君の質問を終わります。  藤原ひろ子君。
  74. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 まず、お尋ねをいたしますが、仲裁裁定をすぐ実施されないで議決事項にされたのはなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。
  75. 岡野裕

    ○岡野政府委員 仲裁裁定につきましては、私どもも、なるべく早くこれを実施をいたしたいというのが念願でございました。しかしながら、現在当面をいたしておりますところの郵政財政状況でございますが、これは非常に厳しいものがございまして、財源措置を講ずることがむずかしいというような実態でございました。というようなことで、七月の十五日であったと存じますが、閣議が、開かれまして、その際、三公社五現業全体の仲裁裁定の扱いをどういうふうにするべきであるかというような御審議の際に、二公社四現業でございますか、これは直ちに実施をするのである、しかしながら国鉄と郵政、これにつきましては、予算上、支出が決して可能であるとは断定できないというようなことで、議決案件ということでこれを国会の皆様に御付議を申し上げようというようなことに相なりまして、今日御審議をいただくようになっているところでございます。
  76. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 つまりいまの御答弁では、前の国会郵便法の改正ができなかったから仲裁裁定が実施できないというふうなお答えだったと思うのですが、今春の通常国会で審議すら入れずに廃案になってしまったというのは、一体なぜだったでしょうか。それはKDDの汚職事件が発覚をして、多くの大臣経験者を初め郵政省の幹部まで関係をしており、次々に逮捕あるいは起訴されるという大問題に発展をしたわけです。そのために当委員会でも、決議審議以外の大問題ということでこの問題が追及をされ、今日に至っているわけです。KDD事件を起こすような郵政省自身の政治姿勢に問題があるのであり、労働者や国民には何の責任もないわけです。  さらに、仲裁裁定という制度は、公労協労働者からスト権を取り上げてしまった代償としてつくられたものではありませんか。裁定が出たら、政府はこれを無条件実施して当然でございます。私は、いまの答弁に対しては全く納得することができません。法案の成立を待ってなどというようなことではなくて、即時実施を強く求めたい、こう思うものでございます。  それでは、次の郵便法の審議に入りたいと思います。  そもそも郵便事業といいますのは、国民にとってどういう役割りを持っているというふうにお考えか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  77. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵便事業は国民の日常生活に密着して、必要不可欠なコミュニケーションの一つの手段ということで、社会的な今日的な郵便の意義というふうに理解をしております。
  78. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ただいま御答弁のとおり、郵便というのは、国民生活やあるいは産業活動にとって不可欠な基本的な通信手段であるというふうに思います。  前回昭和五十一年の値上げの結果、翌年の物数が大幅に減少いたしましたね。回復するのに三年もかかったわけですけれども、次もそういうことは再び繰り返されるであろうということが予想されるわけですが、これを回復させるために手が打たれなければならないというふうに思うのですが、あなた方はどのような利用促進という点での対策をお持ちでしょうか。
  79. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生仰せのとおり、郵便料金値上げいたしますと、俗に言う値上げショックというようなことで、その年とその次の年は、いままでの経験に徴しましても事実前年よりも利用は減っております。しかしながら、将来そういった予測でいいのかどうかという御議論はあろうかと思いますが、三年目になりますと、少なくとも、既往の料金改正の場合を例にとりますと、郵便物は再度増加してまいるということでございます。一般的な物数増減傾向を申し上げますと、そういうことになろうかと思いますが、そこで、先生指摘のように、今後そういう御懸念もございますし、何としても郵便事業というのが収入を確保する、あるいはまた国民の基本的な通信手段としての機能を一層高めるという意味で、郵便の需要を高めていくということが、当然郵便に携わるわれわれといたしまして大きな課題でございます。  そこで、どういうことを具体的に考えているのかということでございますが、私たち基本姿勢といたしまして、従来の観念にとらわれない新鮮で柔軟な営業感覚と、それを実行に移す積極的な姿勢というものをお互いに誓い合い、協調してまいりたいというふうに思います。そういったことを基本にいたしまして、全国で今日まで、昨年度から始めた施策でございますが、郵務部に営業課というものを東京、関東、東海それから近畿郵政局に設けました。単にそれは組織のネーミングの問題じゃないかという御批判もあるいはあろうかと思いますが、私たちは単にネーミングの問題じゃなくて、まさに新鮮で柔軟な営業感覚というものを徹底するために、役所の組織には余り伝統的にはなじめない営業課というものをつったのも、そういう趣旨であると御理解を願いたいわけであります。そういうことで、まず組織を整備いたしました。そして、具体的にこれは郵政局でいろいろの施策を講ずるわけでございますが、具体的な利用施策ということで、主な事項を若干御紹介をさせていただきたいと思います。(藤原委員「簡単にしてください」と呼ぶ)  郵便物の約八割を占める業務用通信の利用勧奨施策として、大口利用者打合会を開催し、良好な顧客関係を維持するとともに、各種の利用勧奨パンフレットを配布する等して、郵便利用に関するコンサルタント活動を行うということも、一つの大口利用者対策として考えているわけでございます。それから、大都市等において商店主を対象としたダイレクトメール講習会ということも、昨今各郵政局で行っているところでございます。そのほか個人通信、単に大口利用者ということだけでなくて、基本的には個人通信の利用勧奨施策が一番大切だと思います。こういったことで、人生の行事たとえば入学、成人、結婚というような人生の行事、季節のあいさつ、それから各種の記念日行事に関しての利用促進、折に触れて郵便の差し出し勧奨を図るとともに「ふみの日」キャンペーンの推進ということ、あるいは「郵便友の会」の育成、それから全国規模の各種コンクールの実施、たとえば手紙作文コンクール、あるいは全日本年賀状版画コンクールというようなことを通じまして手紙の価値の見直し、あるいは手紙に親しむ機会づくりに努力をしてまいりたい。なおこのほか、催し事に合わせた臨時出張所の開設や切手教室、切手展等を開催いたしまして、郵便の利用増大と同時に郵趣の普及に努めてまいりたい、こういうふうに思います。
  80. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これからの答弁でぜひお願いしたいと思うのですが、決して懇談会をしているわけではございませんので、私は重要な郵便法の真剣勝負のつもりで立っておりますので、郵務局営業課についてだけでも相当な時間をとられているわけです。ですから、答弁は簡潔にお願いをしたいということをぜひお願いします。  それから、いまの郵務局長の考え方は、値上げしても三年したら回復するのだという、こういう考え方に対して、私は値上げをしたら回復に三年もかかるという理解でございます。  そういう中で、いまいろいろお聞きしまして、利用促進のためにいろいろと努力をされておるというわけです。そういう中で大口利用者をふやすために郵便コンサルタントというふうな制度を設けて、これが大きな役割りを果たしていらっしゃるというふうにお聞きしているわけですが、この郵便コンサルタントというのは全国でどのくらいあって、どんな活動をされておるのか、そこをちょっと簡単にお答えください。
  81. 魚津茂晴

    魚津政府委員 全国では郵便コンサルタントということで一万二千四百九十名指名をしております。ただし、この一万二千四百九十名というのは専務というかっこう、コンサルタントということをもっぱらやっているということじゃございませんので、本来の業務の合い間にそういうコンサルタントという役割りを担って、利用拡大のために努力をしていただいているわけでございます。
  82. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私も現場の局へ行って、どんなことをやっているのかというのをお尋ねをしてまいりました。郵便局の皆さんの説明にも、利用を勧奨する、奨励をするパンフレット、こういう「DM作戦」であるとか、それからこのような「商売上手」であるとか、非常によくできたパンフレットですけれども、こういうものを配るようなこともしていらっしゃったわけですね。それから、そういう中で非常に懇切丁寧に書かれていて私も感心させられたわけで、大変熱心にやっていらっしゃるということを私も郵務局長さんにぜひお伝えをしたいというふうに思います。  そういう中で、その結果がどうかといいますと、全国引き受け物数のうちでダイレクトメールというのが非常に多くなっているわけですね。つまり、そういった熱心な成果が上がっているというふうに思われるわけです。ところが一方、そのダイレクトメールを配達している集配の労働者の方々にお尋ねしますと、先日も配達に行ってダイレクトメールを奥さんに渡したところ、うちはこんなものは要らぬ、こう言って目の前でビリリと破り捨てられた、こういうことがあるということで、自分は一体何のために一軒一軒これを配っているのだろうかと思うと大変悲しくなるんだというふうにおっしゃっておりました。それは特殊なことなのかと思っていろいろ相当数の方に聞いてみましたところ、一人二人の働く人の心を傷つけているばかりでなくて、多数の労働者が目の前で紙くずかごに捨てられるというふうな経験をやはり持っておられるわけですね。そういう点で、これを何とか考えなければならないのじゃないか。幾ら郵便物数はふえても、これでは郵便本来の姿ではないのじゃないかというふうに私は非常に矛盾を感じて帰ってきたわけです。その点はいかがでしょうか。
  83. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私もそういった心情乏いうものに駆られることがございます。つまり、郵便というものは魂を運ぶものというふうな伝統的な感覚で郵便をながめていると、いま先生おっしゃったような状況を想定すると、そういうことがあり得るかということは想像にかたくございません。しかしながら、翻って、郵便というものが社会経済の中に密接な関係を持ちながらその中で生きていく事業という点からいたしますと、いまおっしゃったダイレクトメールに込められた差出人、また中にはダイレクトメールにそういった受けとめ方をされて破られるという方もおられますけれども、それにかなり期待を持って、それを楽しみに待つ人も依然としていることも事実でございまして、そういう悩みを持ちながら、ダイレクトメールというのは恐らくいまは全体の三割くらいになろうかと思いますが、そういう中での職員の使命感、働く喜びというようなものを絶えず身につけていくというようなことがわれわれとしては必要になってくるのじゃないか、かように思う次第でございます。
  84. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大口需要者、ダイレクトメール、これをふやしていくことが悪いというわけでは決してないと思うのです。  それで、先ほど御答弁いただきましたように、郵便の基本的な役割りというのはやはり信書を中心として通信手段を全国的に確保する、だから国がそれを保障して営業しているということ、そういう意味からももっと個人の通信をふやしていくということが基本的に事業をするために必要だというふうに私は考えるわけですね。  そういう点で、私は、少しばかりこの後提案をしていきたいと思うのですけれども、今日、文字離れ、手紙離れしているというふうな日本民族の状態が確かにあるわけなんですね。そういうところで、手紙を書くこと、文章を読むこと、これは物事を思考していくというためにも大変大切だし、郵政省がそれを手紙を出してくださいということで奨励していただくことは、国民的な文化の発展にも重要だというふうに考えております。先ほど言われたように「ふみの日」などをいろいろやっておられるわけですけれども、私は将来を担う子供、ここに大きな焦点を当てるべきだというふうに考えるわけですが、三つ子の魂百までもという時代に、子供たちが非常に物事をよく覚えていくというふうな時代に手紙のよさを知らせていく、文化の伝承という意味からもそれは必要だ、こういう認識をしているのですが、郵政省の方にお尋ねいたしますと、小学生が郵便局に見学に行くそうですけれども、これは年間百四十万人というふうにお聞きしましたが、それに対して郵政省としてはどのような対策をとっておられるでしょうか。
  85. 魚津茂晴

    魚津政府委員 年間百四十万人というのは事実でございまして、この人たちを大切にして、郵便に対する理解者、郵便を支えてくれる国民の次代の人ということで受けとめていろいろの施策を講じているわけでございますが、郵便局見学においでになりますと、掛け図やスライドによる説明を行いまして、それから郵便局内を案内して、最近いろいろ機械が入っておりまして、その機械等の作動している状況を見せるなど、郵便物の流れや郵便事業の現状が小学校の児童たち理解できるよう説明や紹介に努めているところでございます。なお、この際パンフレットやグリーティングカードを配付するなどして、先ほども申し上げましたように、次代を担う児童の郵便事業への理解と協力を呼びかけるとともに、手紙に親しんでもらうことについても配慮しているつもりでございます。
  86. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 見学に来る子供というのは大体二年生が中心でございます。それはなぜかといいますと、二年生の社会科の教科書に「ゆうびんを はこぶ 人」というのが出てくるわけです。これは教育出版の教科書ですけれども、学校図書であるとか東京書籍であるとか、大体小学校二年生の教科書は皆載っているわけです。そうすると、全国的にこれは小学校二年生で郵便というところを学習するわけなんですね。この単元の学習をするために郵便局の見学が出てくる。そうすると、コンサルタントの活動はやはりここに目を向けていく一工夫が要るだろうと私は思うわけです。局へ行って、帰りにおみやげを上げますということで、そのおみやげを私にも下さいということでもらったのですが、それがこのおみやげなんですね。大変きれいな下敷きをもらっているわけですけれども、しかし、これが残念ながら「昭和五十四年発行特殊切手」と書いてあるのですが、一年生、二年生で習った漢字、つまり二年生が読める漢字といいますと、このうち「年」という字と「切」という字と「手」という字しか読めないのですね。キッテとは読めない。キルテとしか読めないわけですね。ですから、そういうところにももっとひらがなを打つとか、ひらがなで書くとか、その子供たちに合ったものを、せっかくお金をかけてやっているわけですから、そういう工夫が要ると思いますが、いかがでしょうか。
  87. 魚津茂晴

    魚津政府委員 全く仰せのとおりでございまして、いま先生おっしゃった点を私ども職場に十分伝えまして、今後小学校の児童たちが局に見学に来るという場合の対応の仕方として生かしてまいりたいというふうに考えます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 さらにこれ、表は大変きれいなんですが、裏はもういっぱい漢字を並べて何をかいわんやというものですから、その点はぜひいまの趣旨をお願いをしたいということです。  さらにもう一点、この際子供たちに手紙のよさを知らせ、手紙すなわち文字を書く習慣をつけさせるために私はもう一つ提案をさせていただきたいと思うのですが、それは学校で教材用として使うはがき――こういう単元が出てくるわけですから、必ず子供たちははがきや手紙などを書いて出す勉強があるわけなんですね。この教材用のはがき、これを割引をすべきだ。この値上げの際に二十円が四十円になるというふうなことでもちろんなくて、今日までも割引があって当然だ。文部省の教材費の中でこの品目が入っているかどうか調べたら、入ってないのですわ。ですから私は、本当は教科書無償という子供たちの義務教育の中で、はがきなど当然無償にしなければいかぬ、しかし、大切なお客様でもあるけれども大変な財政事情ということですね、無料は目指すけれども、二分の一にするとか、そういうことを考えるべきだということが一点。それから、そういうはがきのために、はがきの裏には原稿用紙のように枠をつくること。この間お聞きしますと、お年玉の年賀はがきは一円一銭かかるのだとおっしゃっておりましたけれども、子供たちのノートのように枠を入れるくらい、そんなお金もかからないわけですね。そういう子供が使う専用のはがきをちゃんと枠をつけ、書きやすいようにし、そして値段も半額あるいは無料にする、こういうことが大切だと思うのですね。国鉄も半額、私鉄も半額、子供が映画を見に行ったって半額じゃありませんか。なぜ郵政事業だけ、大人並みに大事なお客さんが扱われているのか、私は半額あるいは無料、そしてこういったはがきを新規につくるということを検討していただきたいと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。
  89. 山内一郎

    山内国務大臣 子供さんにもっとはがきを出してもらいたいということはいままでもやっておりましたけれども、将来もこれは非常に重要な教育にもなりますし、必要なことだと思っております。  ただいまの御提案については、ちょっと考えさしてください、いろいろ検討さしていただきます。
  90. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは次に、郵便コミュニケーションに関する調査研究会、この調査によりましても、集配を速く確実にということが国民の強い要望だというのがデータ的にも出ている。だれでも利用しやすい郵便というのが私はこの郵便事業の使命だというふうに思うわけです。ところが、郵便の利用促進にはいろいろと力を入れておられるけれども、集配の方はどうなのかという点なんですね。どうも手抜きがあるのじゃないか。といいますのは、十月十九日の朝日新聞には、郵政省が、二度配達地域も一度配達にする方向で来春からその試行を行うというふうなことも報道されている。それから窓口時間の短縮、こういうものも考えられているというふうな、集配面でのサービス改善が必要だと思うときに、こういう傾向が出ている点について心配があるわけですが、お答えいただきたいと思います。
  91. 魚津茂晴

    魚津政府委員 これからの社会の郵便サービスのあり方の基本的な方向といたしまして、配達度数をより多くする、窓口時間をより長くする、そのかわりその人件費がかさみまして料金もそれなりに上がっていくという、全体のセットになったサービスというものを基本にすべきか、それから社会の実態に即応して、二度を一度にするということから人件費抑制して、できるだけ郵便料金を上げないということを志向する方向がサービスとしてよろしいのか、これは選択の問題として御議論があるかと存じますが、私どもといたしまして、いま先生おっしゃった配達度数の問題に関連してちょっと申し上げさしていただきます……(藤原委員「結構です」と呼ぶ)そういうふうに考えております。
  92. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣お尋ねしたいのですけれども、実情をちょっと言わしていただきますと、窓口時間が短縮されます、そうしますと、共働きで昼間職場に働いている人たちにとって非常に不便なわけですね。それは、家に書留が来た、普通の日、平日にとりに行かなければなりませんが、とりに行けないわけですから、日曜日の午前中に郵便局の窓口に行かなければならぬという事態が起こるわけです。しかもこれらの人たちは、新興住宅に住んでおられる方が非常に多い。集配局まで行くのにバス代を払って半日もかかる。だから、京都でも周辺の方に行きますと、平日と余り変わらない人たち郵便局を利用しているわけですが、中には、もう速達料を払うから配達してほしい、こういう状態があるわけですね。二百二十円のバス代を払って日曜日に半日つぶすというのですから、それは速達料を払ってもよいからもう一遍配達に来てくれ、こういう本人の気持ちは当然だと思うのです。私は、要望があればこういったものを速達扱いで配達するぐらいの措置は検討したらどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  93. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵便は国民のものでございますので、当然国民のいろいろの立場の方、いろいろの境遇の方から、それぞれの立場の御意見があることは事実でございます。そういう観点から、先生の御意見も実際この世の中にある郵便に対する御注文ということで受けとめてはいるわけでございますけれども、われわれとすれば、大勢という観点から、いろいろ先ほど来御説明さしていただいておりますように、郵便事業のあり方という点からいたしますと、窓口時間を延ばすとか、あるいは現在日曜日窓口を開いていないというようなこと、あるいはそういったことに関連いたしまして新しいサービスを考える、そういったものについては、意見は意見としてあることを踏まえながら、経営の今後の方向としてはそれには必ずしも賛成できない面もわれわれ持つわけでございますが、ただ、いずれにいたしましても、こういう郵便法審議の際に先生からそういう御意見があったということは、今後の施策をいろいろ考える際に念頭に置きながらやってまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  94. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの郵政省のやり方というのは、国民に対して手紙を出してくれ、出してくれということで、いろいろな方法を考えて一生懸命やる。けれども、配達の方はできるだけ手抜きをするというふうな姿勢があるというふうに感じるわけですね。  事実、誤配に対する苦情も大変多いわけです。私のところにも、都内の方ですけれども、何度局に言っても他人の郵便物が送られてくるので、局長に抗議してわび状をとったということで、そのわび状を持ってこられたわけですね。これはお名前を言うと、また後々差し支えがあっても悪いので名前は出しませんけれども、再度の配達に対して――一遍の過ちと違うのですね、余りにひどいからということで言いましたら、再度の誤配について、何とぞ御容赦のほどをというような文面がつけられてきているわけですね。現場で本当に意図的に遅く配ってやろう、間違ってやろうなどとは思っておられないだろうけれども、やはりこういう事態が起こっているわけです。この誤配をなくすために事故係が置かれて処理されていたというふうには聞きますけれども、もっと措置について考えないと、今日のようにますます住宅事情が複雑になって、よけいに事故処理とか苦情処理の窓口の人が大変だというふうに思うのですね。こういう点につきまして、ぜひもっと慎重にやっていただきたいと思うわけです。  それから、ついでに申しますけれども、私の方にこういう手紙も参っております。ちょっと簡単に読み上げますと、私は京都市右京区嵯峨水尾――非常に僻地ですね、ここに住んでいる者ですが、今度郵便法が改正になりますと、郵便料金が高くなるばかりでなく、次々と急テンポに値上げされて、昨今提案されている二十円から四十円、五十円から六十円ということでさえ大変な上に、私たちの文化活動はますます至難になります――この方は美術の仕事をしておられる方ですね。たとえば展覧会等々の案内状などを皆ずいぶんだくさん使用しますし、画廊運営の場合も多量に案内状を使いますということで、大いに支障を来している。だから、こういったところの方は、郵便の日曜休配で新聞も見られない。そして速達はおくれる。こういうことで、僻地の住民にとってはまことに困難だ、だから、ぜひ日曜配達も強く要望しているというぐらいの方なんですね。そういうところに、窓口の時間は縮めますの、日曜はやめますのと、こういうことでいいものかどうかという点なんですね。その点いかがでしょうか。
  95. 魚津茂晴

    魚津政府委員 日曜の配達は、昭和四十一年ごろから段階的に、全国で約六千の配達をやっておる局がございますけれども、地域住民の御理解、御協力を得ながら、今日全局につきまして日曜の配達はやめるということで私たちは定着した今日的な郵便サービスだというふうに理解をしているわけでございます。ただ、郵便を待つたくさんの人の中には、やはり日曜日配達をしてもらいたいという方も事実いらっしゃると思います。いらっしゃると思いますが、これはやはり効率化という施策の観点もございましたし、それから郵便の配達を担当する人たちが、日曜日にはせめて休ませていただきたい、ただし、もちろん速達のサービスはやりますというような条件の中から、国民の大勢として御支持を得たものと理解しているわけでございますので、御理解を願いたいと思う次第でございます。
  96. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国民の中で御支持がないから私は質問を申し上げているということなんですね。郵政省が考えられているのは、とにかく赤字だからということでダイレクトメールを中心にして業務用の通信をふやすことは一生懸命やるけれども、配達の方はどんどん手抜きをする、これでは余りにも企業主義だというふうに思うのですね。国が国民のためにやっている事業なんですから、条件の悪い人たちのことをもっと考えるべきだ。平均的なことを行って、国民の皆さんに御了解いただいておりますという事業ではないと思うのですね。だれのための郵便事業かという点でもっとしっかり検討すべきではないか。財政再建の基本は、企業主義的な立場からでなくて、国民が本当に喜んで親しみ、利用できる改善ということが大事だ。郵便事業を真に国民のものにしていく、このことが基本ではないかと思うのです。そこの点は、幾ら言ってもすれ違いますので、もう終わります。   一つだけお願いしたいのですが、私のところに栃木県の宇都宮市の方から要請があったのです。それは関東郵政局長にあてたものですけれども、団地の中にある無集配特定局に私書箱をつくって、そこへとりに来いというやり方で郵便が配られている。そうすると、中には一つの私書箱を何人もで使わされているというところもあるようなのですね。この地域では、宇都宮市の平出工業団地というところであるわけですが、宇都宮市長の副申書をつけた陳情書が出ておりますので、郵務局長さんの手でぜひ一度お調べをいただきたいということを御要望申し上げます。いま御返事はいいですから、ぜひお願いいたします。それだけいかがでしょうか。
  97. 魚津茂晴

    魚津政府委員 事実関係を早速調べて対処してまいりたいと存じます。
  98. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 次に進ませていただきます。  今度の法改正ですが、なぜ法定制を緩和するのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  99. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答えいたします。  今度の郵便法の御審議をお願いしたい理由は、二つ大きな柱があろうかと思います。一つは、現在郵政財政が二千百億を超える累積欠損金を持っておりまして、財政的基盤のないところに国民の皆様の御期待に沿う仕事ができかねるというのが実態でございます。財政的な基盤を確立して、そして国民の皆様方に親しまれ、信頼される郵便事業にしたいという観点から、すでに御案内のように、所要の料金改定案を出しまして御審議を賜っているのが一つでございます。  それからいま一つは、現行法で一種、二種の料金が具体的に法律の中で定められておりまして、この料金を改正するという際には、当然のことながら国会の議を経て変えるという仕組みになっていたわけでございますが、郵政事業が経営的な観点で仕事をやっていくためには適時な料金改正をなし得る制度的な可能性を、現状にかんがみまして、どうしてもいただきたいというようなことから、厳しい条件をつけた中で、累積欠損金がある限りにおいて、国会の議を経ないで料金の適時適切な改正をできる仕組みにしていただきたいというような気持ちが骨子になりまして、改正法案を御提案させていただいている次第でございます。  それに関連いたしまして、この際にサービスを見直すということで、従来から御要請のあったもので、私ども考えまして、改正を可能だというふうな判断をした若干の施策につきまして、改正というかっこうで今後実施をさせていただきたいというような問題を盛り込みまして御提案を申し上げた次第でございます。
  100. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 厳しい条件をつけてということですけれども、法定制を緩和する「当分の間」ということは、いままでの答弁でも明らかになりましたように、累積欠損金が解消されるまでというふうに言われたわけですが、法定制を緩和する最大の理由は、累積欠損金が大きくなったから、それで、いままで料金変更する場合は必ず郵便法改正案国会に提案して、国民の代表である国会議員の審議があった、だけれども、特別の新しい問題が出てきたということで、それはやめてしまいたい、こういうことなんですか。
  101. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法定緩和のいま一つの私たちの考え方を申し上げさしていただきたいと存じますが、いわゆる憲法で言う財政民主主義、あるいはいろいろ沿革があったわけでございましょうが、財政法の三条、それからそれの特例法というような法体系が、公共料金、なかんずく郵便等の料金決定をする際の関連する法律であったということは承知をしているわけでございますが、その法律の第三条の法律に基づいてという形というのが、やはりそれぞれの事業における問題、あるいはまたその問題の変化というものの中から、立法論的にいま御提案をしておりますところの仕組みにいたしましても、財政法の三条でございますとか、あるいは財政民主主義というような憲法の秩序という点から見ても是認していただけるものというかっこうで提案をさしていただいたわけでございまして、これを通じまして一日も早く累積欠損金を郵政事業の中からなくして、再度財政的に健全な事業経営をして国民の御負託にこたえるということで御提案したものであるということを御理解願いたいと思う次第でございます。
  102. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 財政法三条につきましては、同僚議員からずっと今日までるる説明があり、御答弁がありましたので、私はそれを繰り返さないということにいたしておきます。  その中で、法定制を緩めたらこの累積欠損金というのは必ず解消されるという保証があるわけなんですね。その点いかがでしょうか。
  103. 魚津茂晴

    魚津政府委員 累積欠損金を必ず解消させなくちゃならないし、またこういった仕組みをお許し願えるならば、ぜひ赤字をなくしていかなくちゃならぬという厳しい気持ちを持って今後事業運営をやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  104. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 法改正をして、そして議会制民主主義を破壊をして、国会での審議を経ずして法定制を緩和してしまうという重大な問題でありますのに、させなくちゃならぬ、これでは困るわけです、そんなあいまいなことでは。させます、こういうふうにしたら必ずなります、このことがはっきり提起されなければ――させなくちゃならぬ、しかし、させなくちゃならぬと思っていましたがその時期に来ましたらできませんでした、ごめんなさい、こんなことでは大変な問題なんですね。ですから、法定制を緩和するというのは、この累積赤字が一向なくならないからというふうなことになってしまいますから、こんなことでは国会としても国民としても法定制を緩和するということに賛成できない。いまの御答弁では賛成できない。どなたがお聞きになったってあいまいだというふうに思うんですね。それでもあなたは法定制を緩和しろとおっしゃるわけですか。
  105. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いささか抽象的な答弁をしたために、私たちの真意を御理解していただけなかったことを私は非常に残念に思うわけでございますが、今後の郵便事業の収支を考える際に、先生御承知のとおりでございますが、まず今後の賃金なり物価、その他経済情勢、郵便の需要動向というのは一体長期的にどうなるかということを的確にとらえ得るかどうかということが基本的な課題としてございます。  そういうような点からいたしますと、どうしても不確定な要素が入り込んでくるということは否めないわけでございますが、仮に人件費が過去のアップ率というものを参考にいたしまして六・七%、物件費が五%程度上昇するものと仮定をいたしまして、今回御審議をお願いしている料金改定、それをもとにしてこの法定緩和というものが運用されることをわれわれ期待するわけでございますが、そうなりますれば、五十七年度以降二回程度料金改定を行いまして、十年間程度で累積欠損金の解消を図ることができるという試算の上に立って、また、それをわれわれの一つの義務として、いま申し上げたことを念頭に置きながら御提案をさしていただいている次第でございます。
  106. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 人件費、物件費につきましては後の論議で行いたいと思いますが、もう少し突っ込んでお聞きいたしますと、五十六年度、五十七年度、郵便物はどの程度に伸びるというふうに見ておられるのか、それは一種と二種、それぞれどうなのか、あるいは三種、これはどうなるのか、ここのところをちょっとお尋ねいたします。
  107. 魚津茂晴

    魚津政府委員 今回の料金改定に伴って物数はどういうふうになるかというその見込みでございますが、私どもといたしますと、五十五年十月から料金改定が行われるものとして、五十五年度は対前年度比〇・一%の減少、五十六年度は同じく一・五%の減少、五十七年度は料金改定影響はまずなくなるものという判断で、その五十七年度におきましては対前年度比三・三%の増加を見込んでいる次第でございますが、いま郵便の種類別の予測というものは資料を持ち合わせておりませんので、後で御報告さしていただきたいというふうに思います。
  108. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 三種の方をぜひ御報告をお願いをいたします。  私は、先日から審議をずっと聞かしていただき、また、いまも郵務局長が十年間に二回程度値上げして累積赤字をなくすというふうに、もう何度かここで答弁をしておられるわけですが、そのお考えに間違いないわけですね。
  109. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども法案の弾力化条項というものの御提案する背景といいますかそのバックグラウンドといたしまして、そのような試算をいたしまして、ぜひともこういうかっこうで赤字を解消したいというふうに思っている次第でございます。
  110. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先日来そういう御答弁でしたので、私は当局に、それじゃその具体的なプランを出してください、言いかえれば、累積赤字解消計画、この資料を出してくださいとこう言いましたら、資料要求もしたのですけれども、そんなものはないということを言われてみたりしているわけですが、いま試算があるというふうにおっしゃったんですが、その資料はいただけるでしょうか。
  111. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども、この十年間でぜひとも解消したいと言うからには、試算があることは事実でございます。それに基づいて私、先生にお答えいたしているわけでございますが、ただ、これは郵務局なりあるいは経理部という関係のところでいろいろ議論をしながら描いたいわばデッサンでございまして、たとえば大臣の御承認を得たもの、あるいは全省的にコンセンサスを得たものというような性格のものでないこともまた一方事実でございます。そういったような観点で、私たちがぜひともこういうかっこうでやりたいというような実務用のものということで持っているということでございまして、資料としていただきたいという点については、大臣にも私、御相談をさせていただきまして答えを出させていただきたい、かように思う次第でございます。
  112. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣の御指示で資料を出すなというふうなことがあるというのはゆゆしきことだというふうに思います。(山内国務大臣「違うんですよ」と呼ぶ)それから、いまのは最初はそう言われたわけですが、いまデッサンの段階だ、デッサンの段階は大臣にもお見せしないものなんだ、私たちの関係者の中でやっているんだ、そのことをまず第一私おかしいなと思ったわけです。それで、大臣に見せないようなデッサンを出していいのでしょうか、こう言ったら、大臣が出すなと言われた、これもまたおかしいなと二つ目に思ったんですね。まあそれは違うとかなんとかいま言われますが、後で言っていただいていいですが、私はそれならばこれは重大な問題だ、国会で議員が正式に資料を要求しても出せない、そういうものが大臣も知らないでいろいろ論議をされ、もう法定制が緩和されてしまっているではありませんか。現在、法定制緩和という中でこれがどうなんだという重要な論議をしているときに、その十年間のプランは、かくかくしかじかこのようにしたら解消できます、だから法定制を緩和しても大丈夫です、このものを示さないで、そんなものありますけれども出しません――電話かけて十六日に要求したら、そんなものはありませんと、まずこうだったわけですね。局長は、あります、しかしあなた方には見せません、大臣にも見せません、出せと言われたら、大臣、出すなと言われました、そのような答弁をして、もう法定制をあなたの独断で撤廃してしまっている。そんなことでいいのでしょうか。重大問題だと思いますが、いかがですか。
  113. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、先ほど答弁いたしました真意は、十年間たちますと、二回程度料金を改定して累積欠損金をなくする、そして今回のいわゆる法定制緩和による料金決定事態をなくしていきたいということで、その結果については私から大臣に御報告いたしました。私が申し上げたのは、いろいろその計算過程とか、それからその数字的な妥当性というようなものにつきまして、大臣に詳細御説明して御了承を得たものでないというふうに申し上げたかったのが真意でございまして、私の先ほど来申し上げておりますところの、十年間たって二回程度料金を改定していただけますとというその結論については、大臣にも御報告してございます。なお、資料の提出につきましては、先ほど来申し上げた性格のものであるということを御認識をされた上で受け取っていただくということにして、後刻提出をするように運びたい、こういうふうに思っております。
  114. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 全くあいまいなんですねへどこをつかんだらいいか、ヌエみたいな答弁で。  きちんと確認をいたします。十年間で二回値上げをしたら二千四百億円の赤字はなくなります、だから法定制緩和をいたします、それはかくかくしかじかでございます、もちろん大臣にも見せて、そして国会に資料提出する、こういうことなんですね。後ほどするということなんですね。デッサンですから何とかかんとか、その性格を御認識されてとか、何を認識したらいいのかさっぱり私わからぬですわ。
  115. 魚津茂晴

    魚津政府委員 どうも私、表現がつたない感じを反省しているわけでございますが、要するに現実とかなり乖離があり得る要素をとらえて計算をしておりますので、そういう意味では実際にどうなるかわからないという一面もある資料であるというふうに受けとめていただいて、私たち提出いたしますから御理解をいただきたい、こういうのが私の気持ちでございます。
  116. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それは許されませんよ。十年間で二回値上げすれば大丈夫です、私たちも国民に報告する義務がありますから、こういう資料に基づいて、これなら大丈夫でしょうというふうな説明をしなければならないかもわからないわけですね、値上げになってしまったら。そのときに、何かしらんあいまいで、出すか出さぬかわからないような、それからそれも大した資料じゃございませんと言わんばかりのものであれば、私はこのようなことで納得するわけにはいかぬ。きちんとした資料が出されるまでは審議はできない、留保したいと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 山内一郎

    山内国務大臣 いま郵務局長がいろいろ勉強しました結果を、十年間では赤字が解消するであろうという、研究してまとめた数字がございますが、これは十年間のことですから、いろんな仮定を入れて算出をいたしているものでございます。したがって、そのとおり行くというふうには確信をいたしておりますけれども、あるいはならないかもしれない、そういうようなちょっと不安な気持ちが表現をあいまいにしたものだと私は思っているわけでございます。その数字の資料については御提出をいたします。
  118. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 法定制を緩和する、「当分の間」というのは非常にあいまいな法律であるということが私はここで明確になったというふうに思うのですが、そういう中でいまの、十年間で二回値上げするのはかくかくしかじかこのようなことだというプランをいま大臣の方から出すという御答弁がありましたので、必ずそれは提出をいただきたいというふうに思います。  じゃ次に進みたいと思いますが、たび重なる国鉄運賃の値上げでせめて手紙ぐらいは出したい、こう思っても、それに水を差すのが今回の値上げの案だというふうに思うのですね。全くむちゃくちゃなことだ。障害者団体などもたくさんこの陳情に来られ、あるいは第三種の郵便物が十五円から三十五円に上げられたならばわれわれの活動は本当に困難をきわめるときちんと試算を出しながら――政府試算よりもきちんとしております、そういうものを示して、たとえば立命館大学では、このように値上げをされたら経常費の中身はこのような莫大な負担になりますという資料もここにございます。また労働組合などもそうです。あるいは新日本婦人の会であるとか子供を守る会であるとか、そういう団体の皆さん方、第三種について十五円が三十五円になったら大変だという声は本当にたくさん来ているわけです。  いまここには全国難聴者連絡協議会というところからも来ているんですけれども、障害者の親睦と福祉を目的にささやかな協会を組織し、ガリ版刷りの「北斗星」というのを発行して、各地の同じような障害者団体とも交流しているけれども物価の高騰を何とかやりくりして発行しているのが精いっぱいですのに、この過酷な一撃を受けたらもう協会活動の息の根がとまってしまうというふうに切々と訴えておられるわけですね。こういうことが公共の福祉の向上に役立つどころか、むしろ経済的な面から文化や言論を圧迫していくということになるわけなんですね。ですから、特に第三種の料金、このことをどう考えるのか。先ほど、第三種についてどうなんですか、一種、二種と同じように三種もどうなるのか言ってくださいと言ったら、後の報告ということで、私は非常に不安を感じるのです。このような切々とした声が皆さん方には聞こえないのか。そういう中で、私どもが審議しないで勝手に上がる。いろいろ厳しい条件をつけております、こう言いながらも大臣が判こを押されたら上がってしまうというふうな法定制緩和というのは、とんでもないことだと思うのです。いかがでしょうか。
  119. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ただいま第三種の問題を中心に伺ったわけでございますが、第三種の郵便料金決定する考え方というものについて若干御説明をさせていただきたいわけでございますが、第三種郵便物料金につきましては従来から低い料金に設定されておりまして、郵便事業財政悪化の一因となるとともに、結局第一種郵便物等の料金にしわ寄せされているのが実情であると私たちは認識しております。したがって、現下の事業財政にかんがみて郵政審議会の御意見にも沿い、第三種郵便物料金を適正な水準に改めたいと考えている次第でございますが、具体的な料金決定に当たっては、今後郵政審議会の御審議をいただいた上で決定することといたしております。また、第三種郵便物料金についていろいろ公党間のお話があったというようなこともわれわれ承知をしているわけでございまして、その結果は当然尊重していく、こういうことでございます。  それで、この第三種郵便物料金のレベルというものにつきまして、これはもう最近でも郵政審議会の答申で明らかになっておりますし、いわゆる三種郵便物の政策料金という場合のその政策というものについて、大体伝統的に確立されているものがございますが、第三種郵便物全体としては、少なくともそれを取り扱う直接の経費を償うことを目安として料金を設定すべきであるというふうに考えておりまして、先生から先ほど低料扱いの十五円から三十五円というお話がございましたけれども、そういう観点に立ちまして原案をわれわれとしては持っている次第でございます。
  120. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 三種はすでに法定制というようなことではなく省令扱いということになっていますから、そういった本当に切々とした声を聞こうとする努力なしにそういうことを簡単にされては大変だということです。  時間がありませんので、次に人件費の問題ということでお尋ねをしたいと思います。  あなた方は口を開けば郵便事業人件費が九割でございます、そんなにかかっているのだから値上げをしてもいたし方ありませんというような口実にしておられるわけです。しかしどうでしょう。もともと郵便事業というのは人手に頼ってやっているわけですから、人件費が多いというのもしょうがないという面があるわけなんです。  私には、あなた方の説明は若干納得がいかぬという点があるわけです。それは何かといいますと、いただいた資料を見ますと「人件費的」というものがあるわけですが、この中にはどんなものが含まれているのか。人件費的というのが一七・七%もあるというふうな問題なんです。これは一体どういうことでしょうか。
  121. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 御説明申し上げます。  五十五年度の予算について若干具体的に御説明を申し上げた方がおわかりいただけるのではなかろうかと思うわけでありますが、五十五年度予算における郵便事業の業務運営経費というものが九千二百六十九億円とございます。このうち予算科目上の人件費というのが六千五百三十三億円ございます。このほか、予算科目上は物件費である、しかしその経費の性格から言って人件費と同等の経費とみなされるもの、これが人件費的という先生のいまのお話のものに当たるかと思うわけでありますが、みなされるものとして郵便物の集配、運送等のための請負費、これが千三百六十億円ございまして、アルバイト職員の賃金がまた総掛かり費の郵便事業分担も含めまして二百三十六億円、それから恩給負担金等といったものが二十六億円、その他の各種請負料というものが二十五億円ございまして、合わせまして千六百四十七億円、これと人件費と合算いたしますと八千百八十億ということでございまして、最初に申し上げました業務運営費九千二百六十九億円、これの八八・二%を占めているということで、業務費の九〇%程度を人件費が占めている、こういうふうに申し上げているところでございます。
  122. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 実は私はこの請負の問題について具体的にお聞きをしたいと思って、理事会で日本郵便逓送の社長であります広瀬弘さんにこの委員会に出てきていただいていろいろお聞きをしたいというふうにお願いをいたしましたところ、大変残念なことには出席できないということでございました。広瀬さんという方は、新聞にもありますように郵政省郵務局長をやっておられたり事務次官でもって退官をされたというふうな方であるわけです。だから、それなりの見識がおありだろうというふうに思って参考人の要請をいたしたのですけれども、本人が出てこないということで大変残念だというふうに思うわけです。私は広瀬さんが、一昨日のKDDの公判で明らかにされておりますこと、すなわちKDDの接待が心にかかって出席しなかったようなことはないと思いますけれども、今後も参考人として呼ばれたようなときに、そういうことが心にかかって、いろいろ言って出てこないというふうなことがないように望みたいと思っております。  そこで、人件費的なものの大部分、これはいまのお答えも請負費だということですけれども、この請負費というのは各運送会社に対する郵便の委託料というふうに私は思うわけなんです。郵政省の言い分を聞きますと、各運送会社は車の燃料費だとかあるいは修繕費だとか車の償却費などそういうものは一切見ないで、労働者の賃金分だけで郵便物を運んでくれているように聞こえるのですね。また、そういう計算の仕方、枠の決め方というのがございますということですが、そういうことでいいのですか。
  123. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在、郵便の運送部門の大部分は外部に委託をしているのが実情でございます。そういった運送委託の現状からいたしまして、五十五年度ではざっと七百七十三億円に上る金額に相なっているわけでございますが、そういった委託料を決定する仕組みといたしまして、法律的には郵便物運送委託法というものがございまして、運輸省との協議によって決める、あるいは運輸省の認可によって決めるという仕組みでこの料金決定されているわけでございますが、いま先生おっしゃるように、経営として必要なコストも計算をしないでこのような委託料が決定されているとは私思っておりませんし、また事実、作業経過を私承知している者の一人といたしまして、そういった経営に必要ないろいろの経費を算出いたしまして、そして合理的なものとして協議をして決める、あるいはそういったものを受けて認可されている適正な委託料であるというふうに考えている次第でございます。
  124. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 運輸省が毎年出しております運輸白書を見せていただきますと、区域トラックの場合というのは四五%程度が人件費ですね。それから路線トラックの場合は五〇%を少し超える程度が人件費です。白書の中にコストを人件費だというふうに発表がされているわけですね。委託料の場合も、運送会社に委託するわけですから、これの中に入るわけなんですね。それから考えますと、委託料のすべてを人件費的なものというような考え方というのはおかしい、これは人件費を大きく見せようというものにすぎないと私は思うのですね。そう言えば、おまえさんのひがみだよと言われるかもしれませんが、その点どうなんでしょう。人件費的というふうなことでなくて、それじゃ明細がきちんと出せるんでしょうか。
  125. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 専用自動車の請負費の関係でございますが、会社の五十四年度の決算ということではじいたものを見ますと、大体九〇%程度が人件費ということになっております。
  126. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 余り時間がありませんのでそこでやりとりできませんので、次に進みます。  郵便自動車の運送部門を圧倒的に請け負っている――運送は大部分外部に委託しているんだというふうにいま郵務局長さんの御答弁がありましたが、その中でも大部分を請け負っているという日本郵便逓送、日逓でございますが、これの会社の中心であります社長さん、常務取締役という人が四人おられるわけですけれども、この中で郵政省の出身者、平たく言えば郵政省から天下りをした人は何人でしょうか。
  127. 奥田量三

    ○奥田政府委員 日本郵便逓送株式会社に現在取締役、監査役、合わせまして十四名の役員がおりますが、そのうちの六名がかつて郵政省に勤務した経験を持つ者でございます。
  128. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 十四名中六名。私が申しましたのは、社長と、常務取締役は三人おられますね。そうしますと、いまお答えはありませんでしたが、いただきました資料を見ますと、取締役社長広瀬弘さんが郵政省出身、常務取締役のうち青山幸夫さん、植木精一さんが郵政省からの天下り、四人中三人というふうな会社であるわけですね。日逓の広瀬社長というのはKDDからの接待を受けていたという疑惑が出てきたわけですけれども、日本郵便逓送というふうな会社は郵政省、国民、郵便事業にとって非常に大事な会社だというふうに思うのです。なぜかといいますと、七〇%以上も請け負わせている会社であるわけですね。七〇%といいますとものすごい請け負いです。大部分郵政省仕事をやっているというふうな会社であるわけですね。そして、元郵政省の最高官僚でいまは社長さんだ、こんな人が社長をしているという会社にいままでは七五%請け負わせていた。それもそういうことでいたし方ないとしても、それはしようがないとしても、ほかからは中小企業の方方ももっと考えてくれという御意見があることは私もよく知っておりますし、考えなければならないと思いますが、諸般の事情から七五%請け負わせていた。けれどもKDDがこのようになった、KDDで四十万円程度の接待を受けていた。新聞紙上拝見しますと、いや、そんなことは知らぬとか四十万もかかってないはずだとかいろいろおっしゃっているようですが、とにかく少なくともそのことが明らかになるまで、今後もまたここに七五%も郵政省の事業をさせる、請け負わせるというようなことはまかりならぬというふうに思うわけですが、大臣はこの一連の問題をどのようにお考えになっているでしょうか。
  129. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生指摘なさっておられますように、日本郵便逓送株式会社がこの運送部門のうち七五%のシェアを占めているわけでございますが、こういった数字の持つ意味というものは歴史的、沿革的にある程度御理解を願いたいと私は思うわけでございます。と申しますのは、戦時中自動車運送に困難を来しました時代、当時郵便輸送を受託していた数十社の会社が集まって設立したものでございまして、そういう意味で全国的なネットワークも持っているというようなことになったわけでございまして、昨今、ある意図的に七〇%を超えるシェアにしたという事実はないわけでございます。むしろ最近の傾向といたしましては、先生案内のとおり、最近の郵便というのは鉄道部門から自動車部門への変化というのが著しいわけでございます。いわゆるオフレールの時代というようなことが言えるかと思いますが、そういったようなときに、新しい路線というようなときに他の業者に委託して日逓によい意味の刺激を与える、そして経営の合理化を常に要請をしているというような施策を講じているわけでございまして、七〇%のシェアの持つ歴史的、沿革的な経過を御了承されまして、いまの御指摘の問題について御理解を賜りたい、こういうふうに思う次第でございます。
  130. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 魚津郵務局長はとんとん拍子に御出世なさったというふうに聞いておりますが、いつ大臣になられたんでしょうか。私は大臣に対して答弁を求めたんです。しかも、それはいろいろありましょうが、中小業者の方も御不満があろうが、それは今後の問題として、いろいろな経過があるので七五%になってきた、それは私は知っているわけです。だからその説明などしていただかなくても、そういうものは歴史的にあるけれども、いまこういう事件が起こっている、その社長をしている会社に、そういうことが潔白になるようなことがあれば別ですが、いま疑いが持たれているのか、とにかくはっきりしてきたという状態の中で今後七五%というようなことを請け負わすのかどうか。これは政治的な判断だからこそ私は大臣の御答弁を求めたわけです。七五%の歴史の経過などは重々承知の上で、当面これでも七五%請け負わすのかどうかという点を聞いているわけです。よろしく。
  131. 山内一郎

    山内国務大臣 いま私、内部のことを知らなかったものでございますから郵務局長からまず答えてもらいましたけれども、従来からの経緯がいろいろあるようでございます。請負に出すのに、たくさん小さな会社がございまして、一つ一つ別個にやるというのは能率が上がらないという点もございますし、その会社が一緒になってやっているわけでございまして、それの方が私は能率が上がるかと思います。それからなお、郵便事業の専門家がその役職につくということも、私は重要な一つかと思います。しかし、余り偏りますとまた弊害も生じますが、いまの程度でやっていただきたい。  なお、特定の人物についてはいろいろ係争中でもございますので、その点は見守ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  132. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣は、今度の郵便法を審議いたす冒頭のごあいさつ、所信表明的なものがありましたが、綱紀の粛正ということは堅持する、保持するということを言明されたわけですね。そうすると、いままでは、能率が上がるとか御答弁になったような場合に、専門家、よく知っている人がこの役職につくのも重要な点がある、余り偏ってはいかぬけれどもということは、十分納得はしませんけれども私にも通じるのです。しかしああいう事件が発覚して、そしていまどうするのだということを聞いているので、そんなことを聞いているのじゃないのです。綱紀の粛正が大切なのだということをあれほど言われた大臣として、いまの問題はいまの問題として受けとめて、どのように処理されるのか。きのうでしたか、おとといの七時のテレビでしたかにばっと出たからそれは大臣はびっくりされたかもわかりませんが、だからいますぐどうするこうするという手は打てないかもわかりませんが、私は重要な問題だと思う。鈴木総理も言っておられる綱紀の粛正、それを受けて郵政大臣も言っておられる綱紀の粛正、それに通じないじゃないか。元郵務局長時代じゃないか、事務次官をしていた人じゃないか、その人がこれをやっていて、七五%なおも温情をもって郵政省は請け負わせられるのかどうか、そのことです。もう一度よろしくお願いいたします。
  133. 山内一郎

    山内国務大臣 私、最後にお答えしたつもりでございますけれども、問題の人につきましては、いろいろ調査の段階もございますので、しばらく見守ってまいりたいと考えております。
  134. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 見守るだけでなくて、すぐに手を打つ、検討するというふうにしないとまたまたぞろぞろと出てくる。あの問題は、先日も申しましたように、郵政省の方から、ございません、ありません、こう言って出てきた、そういう経過がありますから、ぜひともそれを、郵政大臣として当時私はいなかったといえども、当時のことをつぶさに御調査されるということが重要だ、国民に対してあのごあいさつを実践する立場に立つことだということを申し上げたいと思います。  それじゃ、最後にお尋ねをいたしたいと思います。  大都市圏を除きまして赤字というのが圧倒的だと思うのですけれども、経費の問題なのですが、どんな僻地でも郵便を届けるということになればこれは当然だ、赤字になってもしようがないということだと思うのです。過密過疎が進行すればなおさらそうなっていくだろう。しようがないからほっておくというのではないわけなんですね。郵便事業は本来こういう問題を抱えているものなのだ。だからこそ国の事業として保障していくことが重要だ。民間の会社はもうからない分野は切り捨てるということになるわけなんです。けれども、国営と民間との違いというものがあるわけです。外国の場合は一体どんな仕組みになっているのか、ぜひとも郵務財政の仕組みというのを説明していただきたいと思います。
  135. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  まずイギリスとアメリカでございますが、これは公社形態で運営されております。事業会計は国から独立しておりまして、料金はイギリスにおいては郵電事業利用者全国協議会に、またアメリカにおいては郵便料金委員会に諮った後、公社が決定する仕組みでございます。フランス及び西ドイツにおいては郵便事業は国営でございまして、財務会計については、フランスは一般会計の一部、また西ドイツは特別会計となっております。料金は、フランスにおいては上級審議会に諮った後、政令によって、また西ドイツにおいては管理委員会決定後省令によって決定されております。  また、各国とも会計制度上、収支相償が原則となっております。このため、イギリス、西ドイツ、フランスの各国におきましては一般会計による欠損補てんは行われておりません。ただアメリカにおいては、従前政策的に低額とされていた種別の料金を漸次収支を均衡し得る料金とするための暫定的な措置として各年度に政府支出金が認められておりますが、この政府支出金は段階的に縮小ないし廃止することとなっている。  制度的に大まかに申し上げますと、大体そういうことでございます。
  136. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 最後に大臣にお答えいただいて私の質問を終わりたいと思います。  アメリカの場合は、郵便事業だけ独立をして公社制度でやっておりますが、政府から補助金を出しております。フランスとか西ドイツは国営ですけれども、電信電話もあわせて一緒の会計でやっているわけです。とにかく郵便だけで赤字を出さないようにというようなやり方は先進資本主義国にも他に例がないわけです。日本だけであるわけです。これは私がさきにも申しましたように、人手に頼るというふうな事業であって、どんな僻地、どんな山間辺地にもきちんと郵便を届けるという事業の性格から見て、もともと無理なんです。全部をそういう独立採算でやるということそのものが無理であるわけです。ですから、本当に郵便事業を健全に発展させようと思うならば、国営事業にふさわしく国も財政を一部負担する、建物を建てる費用は見ていこう。いま大臣と政務次官と事務次官と秘書官ですか、この四人以外は全部国民が人件費も見ている、建物も全部国民の郵便料金によって賄われている、こういう状態であれば、そしてさっき申しましたように、山間僻地にも配らなければならない、早く親切に丁寧にというふうなことも大切になる。しかもそれは、幾ら合理化しても合理化しても、やはり人手に頼る。合理化というのは、同僚議員の質問に対して郵務局長は、合理化いたしております、人件費はかくかくしかじか大いに合理化いたしております、機械化いたしております、効率化いたしておりますという答弁が一貫してありましたが、非常に心配です。なぜならば、そういう機械化合理化をすることによって首切りにつながる。労働者の削減をする。当面生首は切らないけれども、行く行く新しい人を雇わないというふうな方向だというふうに答弁は聞こえるわけですね。そんなことで国の事業、国民の郵便と言うことができるでしょうか。本当に郵便事業を健全に発展させていこうというふうに思うならば、国営にふさわしく、国もその財政の一端を負担をする、建物ぐらいは建てるということがどうしても必要だというふうに思うのですけれども大臣のお考えを聞いて、終わりたいと思います。
  137. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろお考えはあろうかと思いますけれども、やはり独立採算制ということも私は非常に重要だと思います。一度国費を入れてこれの経営をやっていくようなことになりますと働く方もどうかと思いますが、外国の例を見ましても、一緒にやっているようで会計は別になっているところがたくさんございますので、やはり会計を別にして、私は、独立採算で、まあやれるところまでやります、一生懸命やっておるのでございますから、さらにこの態度を続けてまいりたいと考えております。
  138. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  139. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵便法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。久保等君。
  140. 久保等

    ○久保(等)委員 今回の郵便法の一部改正法案、もちろん第一種、第二種の郵便料金値上げの問題、これはこの前五十一年にもこういった値上げ法案が出てまいったわけでありますが、今回は、加えてさらにいわゆる料金値上げ法定制緩和という問題が今回の改正の非常に大きな一つの問題にもなっておるわけであります。もちろん私ども、今日の物価情勢から考えて、こうした公共料金の最たる郵便料金値上げを大幅に行うことにつきましてはとうてい賛成しがたい立場でありますし、このことにつきましてもすでに同僚委員の方からずいぶんいろいろ御質疑がありました。したがって私は、主として法定制緩和の問題、これは従来の値上げ法案では見られなかった問題でありますし、事は、特に国会のわれわれの審議権の問題と直接関係する非常に重大な問題だと思います。同時に、郵便料金の問題は、申し上げるまでもなく、国民全体の立場から見て直接非常に大きな影響を持った料金でありまするだけに、しかも物価問題に対するいわば指導的立場にある郵便料金値上げをされるということは、そうした国民生活の立場から考えても大変重大な問題だと思います。  ところが、今回の法案の中で、特に九十三条から新しい条項を起こしまして、郵便料金の法定制を緩和しようという提案がなされておるわけであります。これは、先ほどもちょっと申し上げましたように国会における審議権との関係においても非常に重大ですし、特に憲法に言われまするように、憲法第八十三条の例の財政法定主義、財政民主主義という立場から言って、公共料金でありますから一種のこういった財政の問題に関係があるわけであります。そういう点から申しましても、憲法のいま申し上げた八十三条あるいは財政法の第三条、この点からいたしましても、法定制緩和をすることは、憲法なり法律の精神から言っても、私はやはりとるべき政策ではないと思っておりますし、また財政法第三条の特例に関する法律というのがございますが、この財政法第三条の特例に関する法律の面からまいりますると、明らかにこれは、経済の緊急事態の中においてすら郵便料金あるいは電信電話、その他国鉄あるいは専売といった公共料金についてはこれを除外しておる。こういう現状からいたしまするならば、いま申し上げた憲法なり財政法を一貫して流れる、国民の生活を十分に守っていくという立場で公共料金の問題についてはこれを厳正に扱ってまいろう、それがためには国会でひとつ十分に審議をし、国会でその料金決定を行う、こういう原則が確立されておると思うのです。それにもかかわらず今回こういう法定制の緩和がなされようとしておることについては、私どもは非常に残念に思いますし、また特に納得できないわけであります。特に財政法第三条の特例に関する法律、この問題を今回の法定制緩和の問題との関連においてどういうふうに考えておるのか、ひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  141. 魚津茂晴

    魚津政府委員 御提案を申し上げておりますいわゆる法定制緩和の問題が財政法三条、なかんずく財政法第三条の特例に関する法律という関係でどのように考えるかという御趣旨の御質問だろうと受けとめてお答えさせていただきます。  要するに財政法第三条の特例に関する法律の趣旨は、立法経過から伺いまして、財政法第三条がいろいろ当時の経済情勢の中で施行できなかったというような次第もありまして、財政法第三条の特例に関する法律でその辺ひとまず決着をつけて財政法三条というものをスタートさせるという趣旨であったと理解しております。したがいまして、財政法三条というものが実益として、たとえば国の専売事業でございます塩でございますとかアルコールというようなものは財政法三条からすると入るんだけれども、この三条の特例に関する法律によりまして、三条との関係は、その時点においては三条に拘束されることなく実施できるという法律上の効果が実際あった、こういうふうに考える次第でございます。ともあれ財政法第三条の特例に関する法律によりまして、間違いなく、郵便料金は第三条との関係でその適用を受けるということははっきりしている次第でございます。  そこで、今度の法定制緩和の仕組みというものが財政法三条にもとるのかもとらないのか、問題はそこにしぼられてくる、かように思う次第でございます。財政法第三条は、国の独占事業の事業料金については法律に基づいて定めなければならないとしておりますが、これは、あらゆる場合に法律で直接具体的な金額、一種は何円、二種は何円というように直接具体的な金額を定めることまでを要求するものではないというふうに私ども理解しているところでございます。そこで、今回の郵便料金決定方法の特例措置は、郵便事業財政の現状にかんがみ、法律において郵便事業にかかる累積欠損金が解消されるまでという期間を設け、また料金の改定幅の上限を定めるなど、こういった厳しい条件を付した上で行おうとするものでございまして、財政法三条にもとるものではない、こういうふうに考えて、御提案を申し上げているところでございます。
  142. 久保等

    ○久保(等)委員 法律解釈の問題についてはこの財政法第三条の制定当時にもいろいろ議論せられておりますし、法律論的にはそういう解釈も政府側の方でずっと終始一貫なされておるわけですが、公共料金といってもいろいろあるわけですし、それから特にいま私が指摘した財政法第三条の特例法律、この中には専売のたばこなんかも含まれているわけです。したがって、もちろん同じ公共料金といっても、この三公社、あるいは郵便なんかを含めてもこういった公共料金につきましてもそれぞれ性格が若干ずつ違うと私は思います。また事業の実態等も違いますししますから、そういった点では画一的には必ずしも言えない面があると思うのです。  ただ、法定制緩和の理由として財政の赤字すなわち欠損、この解消のために今回法定制緩和をしようということのようですが、この欠損という経営上の問題ももちろん十分に考えなければならぬでしょうが、問題は、やはり特に国民の立場から直接見たいわゆる物価の状況あるいは国民生活実態、それからこの公共料金の及ぼす影響、こういった面を重視をしていく必要があると思うし、そういう立場からするならば、極力私はこの財政法定主義というものはあくまでも貫いていくべきだ。これは先ほど申し上げたように憲法に由来するところでもあるし、財政民主主義、言いかえれば公共料金そのものもやはり法定民主主義、こういった考え方で一貫していくべきだと思うのです。先例としてはすでに専売にしてもあるいは国鉄にしてもあるから、私は見ておりまして、政府としてはどうも安易に流れておると思うのですが、そういう点で、特に郵便料金という国民全体に非常に緊密なあるいはまた関係のある公共料金の問題、その主導性――さっきもちょっと申し上げたように、公共料金の中でも特に主導的な立場にある性格を持った郵便料金でありますだけに、このことについては法律的に必ずしも違法であるとかなんとかということは別にして、やはり慎重でなければならぬし、したがって、いま言う財政の欠損あるいは赤字という観点を強調する余り、財政民主主義、これは広い意味では郵便料金も一種の財政の財源としての性格を持っておると思うんです。そういう点では、どうも今回こういう形で法定制緩和に踏み切ったことについては私は理解しにくいわけなんですが、その点については特に欠損金云々の面を強調せられた提案趣旨になっておるところに一体どういう配慮が、特にいま申し上げた物価なり――物価の問題については先ほど同僚委員の御質問に対して大臣の方から〇・〇四%の影響程度しか考えられないと言われておりましたが、家計に及ぼす影響も先般来の御説明で〇・二二前後の影響が各家庭の生計に及ぶというふうに言われております。しかし、いま申し上げたように郵便料金の性格が性格であるだけに、私はその数字そのものより以上に心理的な影響、こういったことも非常に重要視をしなければならぬと思いますが、そういう面に対する配慮はどういうふに考えていますか。
  143. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、郵便料金の家計に及ぼす影響といいますか、割合というのは一万分の十五というようなことでございますし、一方、私たち御提案申し上げている料金の改定による物価指数への影響というような点については、これまた何回か御答弁申し上げているわけでございますが、〇・〇四ということでございまして、先生郵便料金の持つ意味、とりわけ心理的な影響ということを強調されておいでなわけでございますが、国鉄、たばこ、それぞれのいま申し上げた数字に相当するものに比較しましても、実態としては非常に少ないというようなことが言えることと、さらに、心理的という点で多少私どもの理屈を言わしていただきますと、郵便は他人の信書の送達は独占ということなんですが、日常生活におけるコミュニケーションの手段としての郵便というような観点からいたしますと、いろいろの通信メディアの発達、多様化というような中でも、心理的に郵便よりもほかの通信手段というようなこととも相まちまして、さほど私たち心理的な影響というような点、最初に申し上げた数字を結果的にひっくり返すような重みのある影響というのは、私いま持っていないんじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  144. 久保等

    ○久保(等)委員 これは郵務局長、そういう認識ではちょっと困りますよ。郵便事業が非常に重要性のあること、これは郵務局長は一番自覚をせられ、また認識をしておられる立場だと思うのです。したがって、それだけに郵便の持つ使命なり性格が重大であればあるほど、また、郵便料金というものがどういう性格を持ち、またどういう影響力があり、またどういうものであるか、これは当然とにかくきわめて重要な重みを持った性格のものだと思うのですね。そうだとすれば、このぐらいの値上げは大したことないんだというような理解は、私は、先ほど来申しておりまするように、必ずしもその数字だけの問題じゃなくて、それより以上の一つ影響力なり、あるいはまたこのことが一つの基準といいますか、右へならえ式になっていく意味での一つの主導性、そういった性格は持っておると思うんです。それは大したことはないし軽微なんだという理解の仕方は、これは私、直接担当する責任者の立場においての御答弁なりあるいは発言の中身としてはちょっといただけませんよ。だから、私、数字数字としてそのまま承るわけですが、ただ、影響力の問題については、やはり重大な影響を持っておるという自覚の上に立って、しかしいろいろ検討したという話なら、これは説明としては一応説明としてなっておるが、影響力は大したことないからというような御説明では、これはそういう説明をしておると、二体本体の郵便事業そのものが大したことはないんだという話にも連動しないとも限らないと思うのです。その答弁についてはいささか聞き捨てならぬ気がいたすのですが、どうお考えですか。
  145. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私が、一万分の十五でございますとか、それから〇・〇四というその数字そのものを客観的に見るとということで申し上げたわけでございますが、ただその郵便の持つ影響力、これはもう先生おっしゃるとおり、私どもも私たちの立場でその重要性を認識しているがゆえに影響の大なることは十分承知しているわけでございます。そういった認識があって法定制の緩和をさせる仕組みを御提案させていただきましたけれども、そういう気持ちであるがゆえに、厳しい条件をつけさしていただきまして、こういった自己規制と申しますか、そういうことをしながら、適時に料金を改定させる仕組みをお許し願いたい、こういう御提案でございますので、私の最初に申し上げた答弁、多少私の意にそぐわない受けとめ方をされるということは私も不本意でございますので、訂正をさせていただきながら補足をさしていただいた次第でございます。
  146. 久保等

    ○久保(等)委員 それから委員長、同時に特に郵務局長、この法定制緩和の問題でいまいろいろお尋ねしているのですから、法定制緩和の問題は、今回の上げ幅だけの問題じゃないのですからね。むしろ今後の問題なんです。だから、それが一万分の十五だとかなんとかいう話は、今回の中身はそういうものかもしらぬが、法定制緩和によってどういう形になっていくかは、それこそわれわれとしては国会の場で議論できないような状態になるだけに、今後の問題として非常に大きな危惧を持つわけです。だから、そういう立場から、法定制緩和の提案理由としては、いまの郵務局長の答弁というものは、私は答弁としては全然見当違いだと思うのですが、今回の郵便料金値上げの問題に限れば、郵政省郵務局長のお考えとしてはいま御答弁になったような考え方かもしれませんが、それにしても私は不穏当だと思って再質問したのですが、とにかく、いずれにいたしましても法定制緩和という問題が今回こういう形で出てまいりますことには私は非常に強く反対をせざるを得ないと実は考えております。  ところで、九十三条なんですが、九十三条の一項、二項、三項とありますが、この一項と二項についての御説明をちょっと願いたいと思うのですが、簡単にひとつ。
  147. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  九十三条の第一項では、今回の料金改定は、郵政大臣郵便事業の単年度の損益計算において欠損が生じた場合または欠損が生ずることが確実であると認められる場合にのみ行い得るということを盛り込んだ条文だ、こういうふうに私たち理解をしているわけでございます。  なお、第二項でございますが、第二項では、第一項の規定により郵政大臣料金改定を行い得る期間が郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの期間であることを規定している、こういうふうに私ども理解しているところでございます。
  148. 久保等

    ○久保(等)委員 したがって、料金の改定を行おうとする場合には、その単年度における欠損と同時に累積赤字、その両者がそろわなければ料金値上げという問題を考えることはできない、考えない、こういう理解の仕方なんですか。
  149. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございます。
  150. 久保等

    ○久保(等)委員 この九十三条の第二項をながめますと「郵政事業特別会計の一の会計年度において、郵便事業に係る累積欠損金が生じないこととなったときは、」云々として「新たに料金を定めることはできない」こういうふうになっていて、この二項だけを見ると、あたかも累積赤字がなければ料金改定をすることはできないけれどもというふうになっているのですが、累積赤字がないときでも何かやれるようなふうに反面解釈からなるような感じがしますが、そういったことはないわけですね。
  151. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのようなことはございません。
  152. 久保等

    ○久保(等)委員 それから、この九十三条の第一項のところに書かれております「政令で定める場合に限り、」というその政令の内容についてはどういうことを考えておられますか。
  153. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  ただいまの九十三条の一項の「欠損が生じた場合又は欠損が生ずることが確実であると認められる場合として政令で定める場合に限り、」という政令の予定をする内容でございますが、これは趣旨といたしましては、確定をしてない時点において累積欠損――当年度において欠損金が出るであろうという場合にも料金改定というものが行えるということでございまして、どういう時点でこの欠損が生ずることが確実であると認めるかということになろうかと思いますが、一般の場合は、当年度の年度末近くになりますれば大体の傾向として把握できるわけでありますし、たとえば当年度予算自体で欠損を予定をしている場合、そしてまたその年度におけるベースアップあるいは物価上昇等考えてみましても大体そうであろうという一つのめどもつくわけでありますけれども、政令案として考えておりますのは、一つの目安といたしましては、毎月私ども計算をいたしております総合計残高試算表というようなものがございます。これは一口で申し上げますと郵政事業特別会計の毎月の決算ということでございまして、こういうものをやっておりまして、それからほぼ判断ができるということでございますので、そういうものをもとにして、欠損が出ることが確実であると認める場合というものを規定しよう、こういうふうに考えております。
  154. 久保等

    ○久保(等)委員 この法定制緩和は、今後の扱いとしては結局国会での決定ということにはならない。したがって郵政審議会に郵政大臣が諮問をする、そういう形で郵政大臣権限で決定をせられることになるわけなんです。私はもちろん先ほど来申し上げまするようにそういったことは全く賛成できないわけなんですが、この郵政審議会がしたがって従来より以上に非常に大きな責任と、まあ権限というわけにはまいらないでしょうが、郵政大臣の諮問機関ですから。しかしそれにしても、とにかく責任が非常に大きくなってまいる。実質的にはこの料金問題に関する限りは何か国会にかわる審議が要請せられることにもなると思うのですけれども、今日現存する郵政審議会、これについては私もいろいろ意見を持っておるんですけれども、現在の郵政審議会というものは現実に一体どういう運営がされておるのか。私も若干資料等も御提出を願って見ておりますが、この運営状況について、これもできれば簡潔にひとつ御説明願いたいと思います。
  155. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵政審議会郵政省の所掌業務にかかわる重要な事項を調査審議するという重大な役割りを担うものでございまして、まず委員の構成につきましては、広く国民各層の意見が反映されるよう、極力各界の有識者を網羅するよう配意をいたしておりまして、現在人数といたしましては三十八名以内ということで運営をされております。  郵政審議会の具体的な任務といたしましては、法令等により郵政審議会に諮問することとされている事柄、あるいは議を経ることとされている事柄、あるいは審議会の意見を聞くこととされている事柄、これらの中には現在のいわゆる郵便についての省令料金あるいは郵便貯金の利率あるいは簡易保険の約款等が含まれておりますが、そのほかに郵政省の所掌業務に関する重要事項について随時郵政大臣が諮問をいたす。最近の例といたしましては、現在御審議をいただいております郵便法改正案の基礎といいますか前段作業となりました財政改善策について昨年諮問を行った事例等がございます。  また審議の方法といたしましては、総会における審議はもちろんでございますが、一部高度専門的あるいは技術的な事項等につきましては、常設されております四つの部会において審議をされる場合もありますし、また特別な事項あるいは二つ以上の部会に関連する事項については特別の部会、たとえば先ほど申し上げました去年の審議会における特別委員会というふうな形で審議をされることもございます。またその審議の過程において、必要に応じ広く各界から参考人の意見を聴取する、あるいは業務の実態を視察される等の方法によって慎重な審議運営がなされている次第でございます。
  156. 久保等

    ○久保(等)委員 いま御答弁の特に最後のところ、慎重に審議を進めておると言われておるのですが、従来からの運営についてこれで十分にその使命をまず果たしてまいっておるというふうに理解をせられますか。どういうふうにお考えになりますか。
  157. 奥田量三

    ○奥田政府委員 従来郵政審議会に審議をお願いしました事項については、審議会として十分意を尽くし、慎重に御審議をいただいてきた、かように存じております。
  158. 久保等

    ○久保(等)委員 この開催の実情等についても、私資料を見ておるわけなんです。昭和五十三年、五十四年、暦年で開催数を資料として出してもらったんですが、総会が五十三年も五十四年もいずれも四回、それから部会、確かに四部会常設をしておられるようですが、その部会も一年にまず二回、せいぜい二回程度開かれているのですが、まことにどうもこの程度で審議会というものが任務を全うしておるとはちょっと考えがたいわけなんです。特に時間数からいっても、総会は昭和五十三年が四回やっておりますが、通算して一年間に十四時間弱、五十四年が五時間半、その程度の時間しかやってない。郵便部会も五十三年は合計して二時間二十分、五十四年が二時間十分ぐらい。これは二回ずつですから、一回一時間ぐらいを二回やっている。為替貯金部会も、これは五十四年は一回もやっておりませんが、五十三年だけが四十五分間、一遍やっている。保険年金部会も一年に二回ずつやっておるのですが、トータルして二時間前後。こういう程度では郵政審議会そのものが論議らしい論議もできない。しかも総会のごときは、先ほどお話があったように約四十名近い委員がおるわけですが、要するに何か審議会をつくって十分に大臣施策の中に生かしていくように各界の方々――確かに各界の方々が顔を並べておられるわけですが、必ずしも各界から大ぜい出るから十分に審議できるというものでもない。  私は、この郵政審議会の今後のあり方の問題として、運輸省には運輸審議会というものがありますが、この運輸審議会あたりのあのやり方をある程度考えてみたらどうかと実は思うのですが、これも性格がまず違いますから、運輸審議会並みにするのであれば当然法律改正もしなければならぬ。単なる諮問機関ではなくてむしろ運輸大臣そのものを縛る、運輸大臣はその結論に基づいて、これを尊重して実施しなければならぬというふうな形にもなっておりますし、もちろん勧告もできるわけです。しかも、人員が運輸事務次官を入れて七名というまことに少数精鋭主義で、この開催日数だけをとって考えてみましても、多いときには百回以上年間に開いている。少なくともといいますか、大体一年に八十回から九十回、この数字も私、手に入れてちょっと説明してもらっているのですが、五十三年に九十八回、五十四年が九十一回というように、去年おととしとも九十回を超えておるのですが、私はやはり郵政審議会というものが従来もそういう点では形骸化というか、どうも余り実効が上がるような形での審議会の構成になっていない。それから実績も、いまちょっとお話があったような、あるいはまた私が申し上げたような状態でして、四十名近い委員の方々がおられて、そしていま言ったように、時間的に言えばほんのわずかな時間でもって年に総会を四回やったが、去年あたりは一年間全体でわずかに五時間半ぐらいの論議をしたといっても、こんなものは論議をしたうちに入らないと私は思うのです。先ほど官房長から話のあった郵政事業の財政改善策に関する方策を諮問した特別委員会、これにしても八回、これは特別委員会でやっておられるようですが、これも全部トータルして十八時間余りです。これは短期間に八回開いたのですから、回数としては他の部会あたりとは比べものにならぬと思うのですが、とにかくそれにしてもいまのような構成なり運営をやっておったのでは、従来の所管事項だけについても十分に大臣の諮問に答え得られるような構成になっておらぬと思うし、運営がなされておるとは言えないと私は思うのです。  ですから、その点については今後十分に考えていかなければならぬし、同時に、今回この法定制緩和主義でもって、この郵政審議会が事実上料金問題について、決定権はないですけれども、少なくとも大臣が諮問するからにはその審議会の意見というものが十分に反映されるのだろうと思いますが、そういうものの効果を上げていこうとするならば、やはり郵政審議会そのものの性格についても当然変更を考えていかなければならぬ、検討しなければならぬ重要な問題だと思うのです。この郵政審議会、私はこの数字から見れば、あってなきがごとしと言ってもいいほどまことに貧弱な、とにかく部会にしても多くて年間二回、一遍も一年間に開かぬ場合もある、そういうような審議会では話にならぬと思いますし、総会そのものがいま言ったように年に四回ということで、各委員の出席状況も率直に申し上げて芳しいとは思わないのですが、非常に短期間で精力的にやられたと思われる特別委員会における出席なんかにしても、やはり出席状況は非常によかったとは必ずしも言えない状況でして、この審議会の今後の問題として、先ほど、きわめて慎重に十分に審議をされておるという官房長の御答弁だったのですけれども、私はこれは大いに改善を要する実情に現在あると思う。もちろん委員個々の方々が熱心にやられたことは当然だと思うのですけれども、個々の方々が熱意があったとかないとかという問題は別にして、運営の仕方について、少なくともこの数字から見て十分に審議をしてもらい、検討してもらい、熱心にやってもらったという形とはお世辞にもちょっと言いがたいと思うのですが、その点いかがですか。
  159. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘のように、郵政審議会と運輸審議会を比較いたしますと、委員の任命方法あるいは構成人員等かなり異なる面があるわけでございますが、いずれも郵政関係、運輸関係の重要事項を審議するという重要な任務を持っている点については同じであろうと思うわけでございます。  ところで、郵政審議会先ほど申し上げましたように四十名近い委員の方がいらっしゃるというふうなことでございまして、それぞれ他に仕事を持っておられるということから、各会合に全部御出席ということは必ずしも望み得ないといたしましても、極力可能な限り御出席をいただいておりまして、その都度その案件については十分な御審議をいただいているわけでございます。  先ほどまた総会の回数等についても御指摘がございましたけれども先生御承知のように、昨年の郵便財政再建方策に関する諮問案件は、当初に総会を開きましてその席で委員のうちから十九名を選ぶ特別委員会を設けられまして、八回にわたる審議を重ね、さらに総会で最終的な審議をされるというふうな形で行われたものでございまして、この全体のプロセスを一貫してながめますときには、かなり慎重に十分に審議をいただいたというふうに考えているわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘のように今後郵政審議会の任務は、単に郵便料金の問題のみならずますます重要になると思いますので、審議会の御活動についても省として一層御期待を申し上げると同時に、郵政省としてもその審議がさらに充実したものとなるよう、できるだけの力をいたしたいというふうに考える次第でございます。
  160. 久保等

    ○久保(等)委員 大臣にいまのようなことを前提にして少しお伺いしたいと思うのですが、郵政審議会は、御承知のように郵政省設置法の第十九条のところに「その他の附属機関」という形で出ているのですが、それも一条設けて規定せられているのじゃなくて、この十九条に「その他の附属機関」ということで一覧表みたいになっておって、その中に同時に簡保年金審査会といったものがずっと五つばかり並べられておるのですが、そういう程度で、その下のところに数行でもってその性格、目的といったようなことが定められておる。これで終わりなんです。どうもこの程度の規定の仕方では、先ほど来申し上げるような運営にもなり、したがって郵政大臣が諮問をせられて出てくる答申というものも、十分にあらゆる角度から議論をして出されてくるという仕組みにはなっておらないと思うのですね。運輸省設置法の中に規定せられております運輸審議会、これは性格が全く違いますが、しかし料金値上げ等の問題については、運輸審議会の持っております重要な使命あるいは目的と全く同じような重要な意義を持っておると私は思うのです。だから、そういう点から言えば、立法論的にはこれを改正をして、十分に国民の期待に沿えるような権威のある、権限のあるものにする必要があるんじゃないかというふうに私は考えます。だから、特に法定制緩和という問題等を今回提案せられるような機会にこそ、郵政審議会の性格、権限、そういったものについて本来であれば検討をされて、今回の国会に当然こういった問題もわれわれに御提案が何らかの形で出てくる、こういう形でなければならぬと思うのです。その点、この郵政省設置法の中に規定せられる「附属機関」といった規定の仕方について非常に問題があると私は思っておるのですが、大臣、どんなふうにお考えになりますか。
  161. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま郵政審議会につきましては、法律の中ではいまお話があったとおりでございます。また官房長から先ほどいろいろ説明をいたしましたが、いままでは一生懸命やっていたんだという説明がありましたけれども、いま久保先生のいろいろな御指摘もございますし、なおかつ今度は法律を通していただければこれは重要な役目も帯びてくるわけでございますので、先生の御趣旨の点を十分に体してこれから運用をうまくやっていきたいとも考えるわけでございます。  ただ、運輸審議会と書き方が違うじゃないかという御指摘もございましたけれども、運輸審議会だけちょっと特に違うのでございますが、大体の省はこういうような書き方でやっておりますので、書き方はともかくとして、厳重に運用をこれからやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  162. 久保等

    ○久保(等)委員 大臣、それは書き方の問題だけじゃないんでして、先ほどから申しておりますように、運輸審議会の場合には全く性格、権限が違うわけです。運輸審議会の委員は総理大臣が両院の同意を得て任命をするというようになっておりますから、運輸審議会の委員そのものは選ばれ方が全然異なっておりますし、大変な非常に重みを持った運輸審議会の委員ということになっておるわけです。したがって、過去あるいは現在までの問題は別としても、本質的に言えば運輸審議会の委員にも匹敵すべき郵政審議会委員ということにもなると私は思うのです。立法論的に考えると、運輸審議会の委員と並ぶ重要性を持った郵政審議会委員であるわけです。したがって、数ばかりはなるほど一般の審議会と同じように多いわけですけれども、中身の問題になりますと、先ほど来申し上げますような現在の運用が運用の実態であるだけに、これはぜひ大臣も認識を新たにしていただいて、立法論的に考えるなら私の申し上げておることがそう筋違いだとは思わないわけです。だから、ただ単に法文に並べる書き方の問題ではないのです。運輸審議会の委員郵政審議会委員は全く性格が違います。違いますが、違うだけに運輸審議会委員にも匹敵する郵政審議会委員だろうと私は思うのですが、そういう点では立法論的に検討に値する問題だと思いますし、それについての検討をされる必要があるとお考えになるかどうか、そこらのところをひとつ結論的にお伺いいしたい。
  163. 山内一郎

    山内国務大臣 御趣旨の点は十分にわかりましたので、よく検討させていただきます。
  164. 久保等

    ○久保(等)委員 それは立法上の問題でございますから、当面の運用問題について大臣に少しお尋ねをしたり、私の意見も少し申し上げたいと思うのです。  郵政事業は、全般的にながめても、何と言っても先ほども申し上げたように国民全体に直結するいわば国民全体に対するサービス機関でありサービス事業だと思うのですね。そういう点からしますと、郵政事業について平素十分に国民全体の意見も吸い上げてまいる、あるいはまた郵政省が需要の拡大とかなんとかということでいろいろ苦労されておるわけですから、当然郵政省の考えておる考え方というものについても十分に国民の方々に御理解を願う、そういう点ではパイプらしきパイプがないのですね。したがって、われわれは最近電電公社あたりにも強くそういったことを進言をして、実施に移されている点もあるのです。たとえば中央と地方に、地方といってもそんなに細かく設けることは大変だと思うのですが、郵政局単位ぐらいごとに利用者委員会というか、そういったようなものをつくって国民の方々に十分に郵政事業に対しての御理解もいただくと同時に、いろいろ御意見もいただく。そういうことになれば、午前中のいろいろな質疑の中でも出ておったようでありますが、国民が本当に切実に考えておる問題が事業の上に反映されているかどうかということについて疑問が持たれるような問題も若干あったようですが、そういう点ももちろんのこと、私は従来から実は考えておることなんですけれども、本省とそれからいま申し上げたように各郵政局単位ごとぐらいに利用者委員会というものをつくって、そこでとにかくいろいろコンセンサスを図ってまいる。ということは、特に事業官庁であり、これだけ膨大な、全国津々浦々もちろん郵便仕事もありますし、簡易保険にしてもあるいは貯金その他の業務にしてもあるわけなんですが、そういった仕事をお役所式にただこっちから一方的に、郵便は配達するあるいは保険の募集はするというものの、本当のその地域地域での国民の要望あるいは希望といったようなものが生々しく吸い上げられるようなシステムがないと思うのですね。これは大臣の御一存でやれることですしするから、そういったことについてこれは単なる検討じゃなくて、ぜひひとつ前向きでそういったことをやってみよう、もちろん私、何人でどうこうなんというそんなことまで申し上げませんが、つくろうとする意味は私がいま申し上げたことで御理解いただけると思うのですが、そういったことについて大臣、どうお考えになりますか。
  165. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま先生指摘の問題について、実情について御説明を申し上げます。  先ほど来話題になっております郵政審議会、これは国民、利用者の意見を事業に反映させる最も重要な場であると考えておりますが、そのほかに、現在郵政省におきましては全国主要な郵便局郵便協力会というような組織を地元の皆さんにおつくりをいただきまして、ときどきお集まりをいただいて郵便事業に対する声をお聞きする、あるいは郵便局側からのいろいろな御説明お願いをするというふうな場を持っております。また、郵便貯金預金者の会あるいは簡易保険加入者の会というようなものも郵便協力会とほぼ同じ範囲に組織をされております。また、特にこの預金者の会、簡易保険加入者の会につきましては、各郵政局管内ごとに地方会、さらに全国を合わせて中央会というふうなものもございまして、定例的にお集まりをいただいていろいろな意見をお聞きしているというような意味におきまして、先ほど先生御引例になりました電電公社の利用者委員会と全く同じとは存じませんが、かなり似たような機能を果たしているのではなかろうかというふうに存ずる次第でございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 なおそのほかに、若干形は違いますが、郵便モニターあるいは郵便貯金モニターというふうな形で毎年数千名の方にお願いをして絶えず御意見を拝聴するというふうなやり方もしているところでございます。
  166. 山内一郎

    山内国務大臣 いま官房長から一応利用者といいますか、声を聞く仕組みの説明がありましたけれども先生の御指摘もございましたので、ひとつさらに検討して、一層その声を集められるにはどうすればいいかというようなことをやらさしていただきたいと思います。
  167. 久保等

    ○久保(等)委員 官房長の御説明はそれぞれの事業部門でそれぞれ地域においてやっているというお話で、それは私も承知をいたしておりますが、もう少し統合的にというか、もう少し系統立った形で、しかも協力会というのはあくまでも協力してもらうというので、郵政省の都合と言っては何ですけれども郵政省サイドで考えた構想だと思うのです。そうでなくて利用者、国民の方々を中心にして、そういった方々の意見を本当にどうしたら生かせるだろうかという立場での利用者委員会、名前も仮称ですが、そういったことを考えたらどうか。それで、先ほど申し上げたように数をそうたくさんつくるわけじゃないし、それからまた貯金部門だ、やれ保険部門だというのじゃなくて、郵政事業全般について――そのかわり、委員になっていただく方にはある程度総合的に物をお考えいただいたりするような方でないとまずいと思うのです。だから、そういう方でもう少し体系的に整理した形の利用者委員会的なものを中央並びに各郵政局ごとぐらいに設けて、そこで時と場合によれば大いに議論もするというようなことにすることにしていったらどうかという提案ですし、大臣、そういったことについて積極的に取り組んでまいろうというような御答弁と理解をしておきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。――大臣、うなずかれておるようでありますから言葉の上での表現はあえて求めませんが、そういうことで御努力願いたいと思います。  同時に、郵政審議会の運営の仕方の問題について。  料金問題等がいろいろ議論せられたり審議をせられたりする郵政審議会については、従来どんなふうになっておるか知りませんが、国民に直接関係のあるような料金なんかの問題が議論せられる場合には、議論せられたものそのものが詳細に記録せられ、少なくともこれが公開せられてしかるべきだと思うのです。そういったことについてどうお考えになっておりますか。
  168. 奥田量三

    ○奥田政府委員 現在の郵政審議会の運営方法でございますが、議事の公開、非公開につきましては審議会自体がお決めになるというやり方になっております。公開で行われる審議会も多うございますが、事案によりましては、各委員がそれぞれ忌憚のない意見を述べることができるようという配慮からかと思いますが、非公開ということで行われる場合もあるわけでございます。したがいまして、議事録の取り扱いにつきましても、公開で行われた審議会の議事録についてはお求めに応じて閲覧等に応ずることもありますが、非公開の会議の議事録については、したがって非公開というようなことになっておる次第でございます。  なお、ちなみに類似の審議会等の状況について、大変詳しく調べたわけではございませんが、たとえば運輸審議会あるいは専売事業審議会、これらの審議会におきましても、大体において非公開で審議がされているといったふうな状況でございますが、今後におきましても郵政審議会、ただいま先生のおっしゃいましたような御趣旨で審議の適正な運営を図っていただくように私どもとしても努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  169. 久保等

    ○久保(等)委員 従来の運営の仕方についてはいまお話があって、それはそれなりに理解をするとして、だから今後の扱いの問題です。私は、何もかもとにかく審議会の記録は全部公表した方がいい、そこまでは申しておらないつもりなのですが、直接国民に関係のあるような重要問題については、審議の詳細な記録、言いかえれば速記録みたいなものですが、そういったような形で審議の内容が明らかにされなければならぬと思うのでして、単に審議会の諸君が、これは公開してもいいじゃないか、これは公開にしないでひとつ非公開にしようなどという、審議会の諸君の判断に任せるのじゃなくて、むしろきちっとした規定なり何なりを設けて、いま私が申し上げるような趣旨で原則として公開という形で運営をすべきではないか。特に今後は、料金問題等についての議論があったとすれば、これはわれわれとしても当然要求せざるを得ないし、また国会に詳細に報告をせざるを得ないと思うのです。その場合に、いま言ったような方針で、委員が非公開だからといって資料は出せませんとかなんとかいうようなことでは許されないと思うのです。同時に、出された結論を一体どの程度大臣が採択をしたのかしないのか、そこらの経緯を、やはり国会の場としても少なくとも十分に見定めていかなければならないと思うのですが、その場合に、諮問機関という形で各委員の発言なりあるいは審議の模様はわからぬ。そして、審議会にかけて、大臣としてはこういう形で決裁をしたのだという程度のことでは、どういう経過でどうなったのかちっともわからないわけですし、したがって国会では少なくともそういったことについて要求をしてまいらなければならないと思うのですけれども、そういった要請にこたえられるためには、いま言ったようなきちっとした記録をとっておく、各委員の発言の内容等についてもきちっとしておく、こういうことは当然必要だと思いますし、先ほども申し上げましたように、本質的には法改正をも必要とするほど重要な審議会に、従来は別としても、とにかく今後はそういう性格のものになるわけですから、したがって従来やっておったという程度では済まされないと思うのですが、特にこの会議の記録の問題、公開すべきだと思いますし、それからまた同時に、特に国会等で要請をした場合には十分にこれにこたえ得るような体制をつくっておく必要があると思います。その点、大臣、どうお考えになりますか。
  170. 山内一郎

    山内国務大臣 重要な審議会でございますので、議事録を詳細につくることは従来のとおりでございます。その議事録を公開するかどうかという問題は、いろいろ発言者等の問題もございますが、ほかの審議会の状況をちょっと御披露させていただきますと、運輸審議会は非公開、金利調整審議会非公開、専売事業審議会非公開、資金運用審議会非公開、米価審議会非公開、大体議事録は自由に発言者が発言できますように非公開になっております。けれども、こういう逓信委員会等で、どういうことがあったのか、こういうようなお尋ねがあったような場合には、ひとつ御説明ができるようにはしたいと思っております。
  171. 久保等

    ○久保(等)委員 これはひとり逓信委員会だけの問題じゃないと思うのですが、実は審議会問題に対する本質的な政府全体の取り組み方がやはり私は誤っておると思うのです。よく言われるように、審議会というのは要するに隠れみのだと言われるのはそこにあると思うのです。それは審議会としては当然大臣の諮問機関ではあっても、所管の大臣に対して耳の痛いことでもやはりどんどん発言としてなされるし、また審議もなされるということがあってしかるべきなんですが、とにかく大体審議会というのは、諮問した側の方で実質的にはとにかく答申までつくる。そしてそれに対してイエス、こういうのが審議会の大体の運営状況です。ここに私は、だから審議会というものに対する国民の信頼なり、あるいはこういったものに対してどうも好感が持てない非常に大きな原因があると思うのです。少なくとも民主的な一つの機関として設ける審議会であるならば、審議会の中で十分に自由な発言がされ、そのことがまた、あのやろうは特別な発言をしてけしからぬとかなんとか言うこと自体が大体民主的ではないのでして、結局、思った自分の自由な意思が発表せられてこそ、初めてそこに審議会としてもあるいは委員会にしてもその機能を発揮することになるのでして、人が言っているから、まあとにかく当たらずさわらずのような態度をとっておけばいいなんというような考え方で運営するとすれば、そんな審議会は設けなくたっていいので、あったって意味がないと思うのです。  そこで、ほかの話は別として、とにかく当面する問題としての郵政審議会のあり方としては、いま大臣お話があったことは何も法律で決まっているわけでも何でもないわけですから、あくまでもこれは所管の大臣の御判断でどうでもなることですし、それこそ諮問機関なのですから、だからひとつそういう意味では山内郵政大臣郵政審議会に対しして新しい先例をつくった、しかもいい先例をつくったと言われるように私はぜひ運営をしてもらいたいと思うし、ましてや国会で要請があったときに速記録を提出するというようなことは当然あってしかるべきだと私は思うのです。国会の場合でも、御承知のように秘密会なんというのはほとんど今日までなかったわけですが、とにかく国会では自由に議論しているけれども、審議会になったら、とたんに非公開でもって秘密で何かわからないのだ、それで大臣は一応形式的には審議会が答申をして値上げ決定したというような運びでは、これはもう全くやみからやみに決定をせられていくという非常に大きな危惧を感ずるわけなのですが、ぜひひとつそういう私がいま申し上げたような立場から、審議会の問題についても何から何まで全部公開にしようとは言わないのですが、原則として公開をする、あるいは原則として速記録的な詳細な記録というものも公表するというふうにしてやってもらえれば、審議会のメンバーそのものだって今度はまた心構えが違ってくると思うのですね。出ておって、とにかく何も発言しなくても、それで何か任務を果たしたような顔をしておるというようなこともないだろうし、また発言するからには自分も相当研究して、勉強して発言しなければならぬということになって、委員の諸君に使命感というものを持ってもらうことにも役立つと思うのですね。だから、そういう点でも審議会というものは隠れみのではないのだということを、ひとつ郵政審議会の運営に当たっては新機軸をつくるような気構えでお願いしたいと思うのですが、これはもう法律上の問題でも何でもありませんしするのですが、現実の長い間の政府全体の審議会の運営というものは、いま大臣からお話があったような運営になっておると思うのですけれども、そういうことでは相ならぬ。特に今度の場合は、くどいようですが、国会の場合には記録をとっているわけですから、国会にかわるべき機能を持つ郵政審議会としてはそういったような意味でやはり詳細な記録もとって、われわれが要請すればもちろん提出してもらえるという状態にしてもらいたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  172. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、審議の内容については、たとえばこういう逓信委員会でいろいろ御質問がございましたら御披露はさせていただきたいと思うわけでございます。  そこで、審議会の委員先生方もどういうことを考えて、これは想像でございますけれども、いろいろしゃべりたいのだけれどもみんな外へ出てしまうのならというような委員の方もおいでになるかもしれませんし、十分に先生のお考えについては審議会の委員先生にもお話をして取り扱いを決めていきたいと思っておるわけでございます。
  173. 久保等

    ○久保(等)委員 従来のような審議会のあり方ではなくて、とにかく一歩でも二歩でも前進した形で、非常に重要な使命を持つことになるわけですから、そういう意味では新機軸をつくり出すようにぜひひとつ御努力を願いたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、今回の法律提案そのものが欠損、赤字解消という立場で考えてこられたようですが、やはり郵政事業もなかなか経営的にはむずかしい事業だとは思いますが、しかし、それにしてもできるだけ増収対策というか、いろいろと努力を今日までもされておると思うのですけれども、今後一層その点について努力をしなければならぬと思うのです。  午前中の審議の中で合理化問題等がいろいろ質疑応答されておりましたが、合理化というのはいわば一種の消極的な増収対策だと思うのですが、一方、もう少し積極的な増収対策というか増収を図るための施策、こういったことについては従来以上に努力をしてもらわなければならぬと思うのですが、どういったことを今回のこの法案提案に当たってお考えになっておりますか、主だったところをひとつ簡潔に御説明願いたいと思います。
  174. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生仰せのとおり、合理化というのは消極的な増収、それに対して積極的な増収策という意味でいろいろ考えてまいりましたし、今後一層その施策を具体的に進めてまいるわけでございますが、私、何回か答弁をさせていただいた言葉でございますが、何といっても基本の姿勢としては、従来の観念にとらわれない新鮮で柔軟な営業感覚とそれを実行に移す積極的な姿勢というものが必要であるだろうと思います。別の言葉で申しますと、郵便というのは正常な運行という大きな使命ということと同時に、今日的には郵便もセールスであるという感覚というものが必要だろうと思いまして、組織もそれに即応したものに手直しして進めておりますし、それから大口に対するコンサルタント的な諸活動、そしてまた個人通信をふやす、そして手紙を本当に愛するというような機運を醸成するということで、いろいろの各郵政局の工夫、各郵便局での創意というもので進めてまいっているわけでございますが、今度のこの法案との関係で若干御説明させていただきたいと思いますが、広告つきの郵便物を出しまして、安い料金で、しかも郵便の差し出しの利便を図る。一方、今度官製の絵はがきをつくるというようなことも郵便法レベルでの増収策の一つと御理解願いたいわけでございます。  それから、いまいろいろと国民のニーズに合ったサービスというようなことで、まだ模索の段階と言った方が実態に沿ったことでございますが、電子郵便というようなものの開発なんかについても鋭意取り組んでまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  175. 久保等

    ○久保(等)委員 第三十四条の「郵便葉書の売りさばき額の特例」これがいま郵務局長の言う一つ施策でもあるわけなんですか。
  176. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございます。
  177. 久保等

    ○久保(等)委員 この第三十四条の一項の一号、二号は「対価を得て」というのと「対価を得ないで」というようになっておるのですが、これがどういう形で増収というか、一つの新しい試みとしての企画になっておるのか、ちょっとそこのところを、表現上の問題かもしれませんが、一号では「対価を得て」となっておるし、二号では「対価を得ないで」となっておるのですが、たとえばこの具体的な数字等を挙げて御説明願えればなお理解がしやすいと思うので、ちょっと御説明願いたい。  それから、ついでに、第三十四条の二項のところで、大蔵大臣と協議をするということになっておりますが、それを大蔵大臣となぜ協議をしなければならないのか、それもあわせてひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  178. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法案第三十四条一項一号に書いてございます「対価を得て図画等を記載した郵便葉書」これがいわゆる広告はがきということで考えておるわけでございます。企業等の広告を、私どもまだ構想の段階でございますけれども、表面の大体三分の一程度のスペースに出しまして、そして広告費に相当するものをいただきまして、その分をお客様に還元するということで郵便料金を減額するという構想が第一号の広告はがきと称しているものでございます。  それから、第二号は、これはすでに法制上の問題を離れまして、ということは郵政省自身やっていないかっこうで、事実が先行しているわけでございますが、地方に参りますと郵便協力会等で地元の名所等の絵を刷り込みまして、それを御希望の方にお分けしているというようなこともヒントになっているわけでございますが、そういうようなはがきを発行する。それから、慶弔の行事にふさわしい、グリーティングカード的な性格になろうかと思いますが、そういったものを、今度は料金に多少印刷代というようなものを加えまして版売をさしていただくという構想が、私たちが持っております三十四条の一号、二号の構想ということでございます。  それで、具体的にどの程度の収入を見積もっているかということでございますが、昨日も報道機関に、まず広告主、スポンサーというものが広告郵便なんかにどのような注文を持っているのかというような調査をした結果を発表しましたところが、一部報道にもなっておりますが、まだその辺見きわめないいろいろな事情がございます。ございますけれども、われわれといたしましては、お客様料金を割り引く結果になるというからには区切りのある減額ということはぜひ考えたいなというようなことで、これはすでに記者クラブ等にも私申し上げたわけでございますが、大体五円割り引くというようなことになりますと、印刷費とかその他のいろいろな費用からすると大体一枚について十円程度広告代というようなかっこうになるということでございまして、そういったいま御説明を申し上げましたことを前提にしまして、来年度、五十六年度の概計要求でそういう広告収入というようなものを、これはまだいささかとらぬタヌキの皮算用という実態もあるわけでございますが、大体七億五千万円というようなことを郵便収入というかっこうで見積もっている次第でございます。なお、その官製はがきというものについては、まだ具体的にその需要可能性といいますか、そういったものの調査が済んでおりませんので、これはまだ具体的な数字を計上するとか見込んでいるというような実態ではないわけですので、その点御了承願いたいと存じます。
  179. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 第三十四条の大蔵大臣協議のお尋ねでございますが、この趣旨は、国の物品を無償あるいは時価より低い対価で譲渡するとき、こういう場合には、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律というのがございまして、これに基づきまして大蔵大臣と協議する、こういうことになっておりまして、ただいま郵務局長から御説明いたしました今回の広告つきはがき、これは広告料相当額だけ安く売りさばくということになるわけでございますので、ただいま申し上げました法律の趣旨に従って大蔵大臣と協議する、こういうことでございます。
  180. 久保等

    ○久保(等)委員 なおいろいろとこの増収対策の問題としては考えられると思うのですが、一つ一つやっておりますと時間がありませんから省略いたしますが、新規事業というか増収対策というからには新規の分野を開拓するという形にならざるを得ないと思いますし、なかなかむずかしい問題もありますが、なお一層そういったことについての研究を重ねてもらいたいと思います。  これはまあ増収対策とは若干違って合理化みたいな話ですが、特定郵便局、これは郵政事業にとって地域的にも大宗をなす分野だと思うのですが、この問題の経営については、管理経費の非常に過大といったような立場から、かつて、大分前ですが、昭和三十二年の十月ごろ、行管から勧告が出された経緯もあるようであります。そこで指摘されておることは、特定郵便局の中でも特に小規模の無集配特定局についての勧告だったようですが、数からいって三名以下の特定局だけでも全国で約六千五百程度あるようです。したがって、三人以下といえば、局長と二人ないしは一人といったような小規模の局なんですが、こういったものがやはり経営的にはなかなかむずかしい問題じゃないかと私は思うのです。  しかも、先日の当委員会政府委員説明を聞いておりますると、局長の年齢なんかも相当高齢者がおられるような話でして、六十五歳以上になってなおかつ局長をやっておる方々が四百四十名余おられるようなお話も聞いて、ここらあたりにも少しきちっとけじめをつけた方がいいんじゃないかと思うのですが、少なくとも六十五歳以上になってなおかつ局長をやっている。これは後進に道を譲るという面から考えても、それからまたさらには年齢的にも六十五歳以上――今日日本の現状からすると何とか六十歳というのが一つの悲願でありまするが、局長ともなってなお六十五歳以上というのはいろんな意味において、それも郵政省の全職員がそういう方針でやっているというんならこれまたなになんですが、そういう特別なしかも局長という責任者のポストに六十五歳以上でなおおられるということも、これは私、現状からするなら余り適当でない、したがって六十五歳どまりという程度のことで扱っていくべきじゃないかと実は思うのです。そして、とにかく特定局長の部外者という問題については、できるだけ部内者を起用していくという方針で進めていったらどうかというふうに思うのですが、その点はどうでしょう。
  181. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先生お話しございましたように、部内事情につきましてはずっとお詳しい久保先生お話でございますものですから、こんな申し上げようもなにだと存じますのですけれども御存じのとおり、特定郵便局が全国津々浦々に設置をされまして、地域社会に密着をした、きめの細かな郵政サービスを提供するのである、そして国民あるいはその地域住民の皆様に非常に親しまれ愛されている存在であるというようなことから、その郵便局を主宰をしますところの郵便局長の人事、これにつきましても、あにひとり部内者に限りませんで、部内、部外を問わず広く適任者を選考、任用してまいりたいというのがいまとっている制度でございますが、先生のおっしゃいますように、部外者のみならず部内者につきましても、局長候補者の在来の勤務ぶりあるいはその実績でございますか、あるいは直接面接等もいたしまして、人物の評価あるいはそのお人柄などがそういった局務運営にふさわしいかどうかというようなことで、これまた十分大ぜいの人数の皆様が局長に任用をされているというようなこと、これが実態であろうかと思っております。先生がおっしゃいますような意味では、部内、部外を問わずにいまのような趣旨で適任者を選考してきました結果が、結局部外者について一割ぐらいであるし、あるいは四親等以内の血縁者でございますか、姻族を含めてもでございますが、それがそのまた半分ぐらいであるというようなのがいまの実態になっているところでございます。  それからまた、余りに高齢者はいかがなものであろうかというお話でございますのですけれども、私どもいまとっておりますやり方といたしましては、特定局長は、五十九歳以上の者で、かつその退職を勧奨するのに適当な者につきまして、あるいはこれを能力の面からあるいはその健康状態の面から検討いたしまして勧奨対象者を決めまして、言いますならばこの勧奨をしているというようなことでございます。  というようなことでいままでやってまいったところでございますが、先生の御意見その他いろいろございますものですから、私どもも、あれやこれやいろいろの考え方を今後もめぐらしてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  182. 久保等

    ○久保(等)委員 地域に密着ということは、これはもちろん必要なことですが、ただ、特定局を新しく創設をする、あるいは創設をした、まあ新しい団地ができた、団地ができたんじゃなくて新しい部落、部落はもう前々からあるんだが、そこへ今度は新しい局をつくる、そういったような場合には地域との密着という点でその地域における方を局長にするということにも全然理由がないわけではないと私は思います。しかし、もう特定局ができて数十年にもなるというようなことになってくると、その地域における密着とかなんとかということはそう大して現実の問題としてはないと私は思うんですね。したがって、局長が他の地域から転勤をしていって業務をやって、それで支障が出るというようなことはあり得ないわけですよ。だからそういった点を考えるならば、いまお話があったように一割程度とはいっても、とにかく部外者がいきなり責任ある局長に就任できるなんというのはこれは郵政省以外にどこにもないし、それからまた、局内に非常に優秀な方が大ぜいいて、むしろ適当な機会に昇進の道をつくっていくということはこれはもう当然大事なことだし、そういう意味では、むしろなかなか行き詰まっておって人事がはけないというのが現状だろうと思うのです。それをあえて部外から起用しなければならぬという理由は私はないと思うのです。全然ないと言い切れるかどうかは、地域によって非常に辺陬の地あたりですと、あるいは赴任していくこと自体を――しかし、それならそれでまたその内部にいる二人なら二人、三人なら三人いる局員の中で一体適格者がいるのかどうか、そこらも十分に検討してみる必要があると思うんですね。そういう点では、年齢の面でも六十五歳あたりのところに線を引くことは、これは私は決して無理な引き方じゃないと思うのです。いま定年制の問題云云言われておりますが、しかし六十五歳になってなおかつその後何年か勤めていいということには私はならぬと思うんですね。  これは率直に言って、いろいろその方面からの強い圧力的な意向があったり何かして特定郵便局制度そのものは、私も昔からよく存じておりますが、なかなか簡単にいかないことはこれはもう現実問題としてあることはよく知っています。しかし、郵政事業というものは徐々に近代化をしていかなければならぬと私は思う。だからそういう意味では、取り残された最も非近代的な地域、地域というよりも職場はやはり特定局の問題であると思っているのですが、その点ではやはり合理化すべきところは、一般の職員についても合理化している今日の時代に、特に小局の特定郵便局だけは例外だなんということは許されないと思うんですね。だからそういった点では、郵政の人事行政にしろあるいは一般の仕事そのものは、普通局といわず特定局といわず、均等にしかも平等に扱われていくという形でなければおかしいですよ。これは私はいろいろな現状のむずかしさというのはよく知っております。知っておりますがゆえに、なおかつそういったところにも十分に配慮をし、努力をしていくことを強く要望いたしたいと思うのです。  経費の問題で言っても、やはり年をとっておればおるほど給料が高いことは現実ですから、そうすれば若い方を持っていけばそれだけ給料は安くて済むわけですし、経費の面でも節約になりますよ。三人以下の局で一局あたりの局の給与が全体で平均して一千百万円程度、局長の給与が約五百万程度ということを考えますると、結局、一局の中には局長のなにも入っているわけですから、約半分近いものは局長が給与としてもらっている、あとの半分ぐらいを二人か、二人足らずの人かもしれませんが、まあとにかく給与をもらっている。それで実際の仕事は、その局にいる局長代理というか何かその方がよほど仕事はできると思うんですね。そういう給与問題を一つとって考えてみても、経費の面で相当合理化ができるのじゃないかという感じがいたすわけでありますから、そういう点で理詰めの問題として、また現実のそういう問題としてぜひひとつ積極的に取り組んでまいってもらいたいと思うのですが、いかがですか。これも何だったらひとつ大臣の方から、余りむずかしい問題ではないのですが、現状を少しでも近代化をしていく、郵政部内における不均衡、不平等をなくしていく、そういう原則論に立ってもお考えいただけるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  183. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ人事のお話がございまして、定年とは言わないでしょうけれども、年齢の問題、若返りの問題、また経費の問題、いろいろお話がございましたけれども、従来からいままでやっておりますことを一挙に変えるというのは、私なかなかむずかしいと思うのです。考え方としてそういう方向を考えながらやっていくべきではなかろうかと思っておりますけれども、そういう方向を考えながらいまの体制をどういうふうにやっていくかということをよく検討してやらせていただきたいと思っております。
  184. 久保等

    ○久保(等)委員 私も一挙にどうこう言っているわけじゃなくて、たとえば局長の後任問題等が問題になっているといったような問題があるところは、そういったところからいま申し上げたような考え方でひとつ処理をしていってもらったらどうかということですから、きわめて現実的な処理の仕方を要請をしておるわけですから、ひとつ今後十分に心して取り組んでもらいたいと思うのです。  時間がありませんから私最後に、午前中の質疑でも問題になった実施時期の問題ですね。これは郵務局長の御答弁でも、国会の審議をしばらく見守りたいというようなお話もあったのですけれども、しかし年賀はがきのことなんかを考えると、ここ数日中くらいに郵政大臣としても最終的な決断を下さなければならぬ時期に来ているのじゃないかと私は思うのですね。本来ですと十一月の一日から年賀はがきを売り出すということになるのが普通なんですから、これも遅い場合には十二月一日ぐらいからという話がありますが、これはまた利用者の立場からしますと、できるだけ早く売り出してもらった方が、何日まで年賀はがきを投函しろといってもなかなかできないんですから、そういう点では郵政省が受け付ける立場なら、極端なことを言えば十二月末になって受け付けてもらってもいいようなことになるかもしらぬけれども、しかし郵政の方もまた人手の問題がありますからそうもいかない。問題があれでしょうしするから、これはきわめて数日中に決定しなければならぬようなせっぱ詰まった問題だ思うのですね。したがって、それとの関連において、当然十月一日からであった実施をいつにするかという問題は同時に決めなければならぬ問題だと思うのです。収入の問題にもちろん直接関係するわけですし、それからできるだけ一日でもよけいに増収を図りたいという、それは事務当局は考えると思うのです。  したがって、この実施時期の問題は、法律案としては御承知のように十月一日からはがきを三十円にするのは提案として出されているわけですが、しかし現実に十月の一日の日がもう過ぎてしまっておるわけですから、そうすれば審議するわれわれの立場からすれば、一体いつ実施する気かということは審議の中身として当然のことなんですが、それが実はわかりませんという話ではこれまたどうしようもないわけでして、したがって十月一日が現実に過ぎてしまった現時点からするなら、これに対して明確な御答弁が当然あってしかるべきだと思うのですが、何かどうしようかこうしようかということで迷っておられるのだとは思いますけれども、しかし一体いつにするのか、けさほどの答弁以上に出ないのかもしれませんけれども、これは大臣にぜひひとつこの時期の問題について明確にしてもらわなければ、われわれとしては何のための法案の審議をやっておるのか、架空の、要するに十月一日として過ぎ去ってしまったものを法案として論議しておるような、何かまことにこっけいな状態にいまあると思うのですが、大臣いかがですか。
  185. 山内一郎

    山内国務大臣 年賀はがきの点はけさほどお答えしたとおりでございますが、いつから施行するかというのは参議院の審議にも関係がございます。ここで私がお話しすべき問題かどうかちょっとはかりかねますし、衆議院と参議院でよく御相談の上適切な期日をお決めをいただいたらどうか、こういうふうに考えております。
  186. 久保等

    ○久保(等)委員 提案者そのものがきわめて自主性のないお話で、まことにどうもわれわれは何ともはなはだ不可解に存ずるわけですが、特に年賀の問題はこれまた先ほど来申し上げますように、郵政省の立場に立ってもそうだろうし、国民の立場からしても当面非常に重大な関心のある問題であるし、同時に、年賀はがきというのは大量に出すのが一般ですから、そういった準備の都合その他もあるでしょうから、これまた大変直接国民に利害関係があるわけですから、早急にお決めを願うことが必要だろうと思いますし、そういう点ではひとつ大臣、衆参両院の審議に任すというまことに謙虚な、態度は結構なんですが、若干無責任のそしりも免れないと思うのでして、ぜひ善処をお願いしたいと思っているのです。もちろん料金値上げには、劈頭に申し上げましたようにわれわれ強く反対するのですが、ただ法案の中に十月一日実施となっておるのが架空の、というよりも現実になくなってしまった日にちになっておるものですから、そういった意味指摘をしておるわけなんですが、ぜひひとつ早急にこれらの問題についての結論というものを出すべきではないかということを要望申し上げて、ぴたり時間が来ましたので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  187. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 以上をもって久保等君の質疑は終了いたしました。  次に、野口幸一君。
  188. 野口幸一

    野口委員 私は、郵便法の改正に関連をいたしまして、若干見解を明らかにしていただきたい事項がございますので、順次お尋ねをいたしたいと存じます。恐らく同僚議員並びに先輩議員が数多く御質問になった後でありますので、重複する向きが出てくるかもわかりませんが、その点はあらかじめお断りをいたしておきます。  まず第一番に、後ほど大臣からも御答弁いただきたいと思いますが、さておきまして、事務当局からの御判断をいただきたいのでありますが、最近の郵便のコミュニケーションの現状分析と申しますか、郵便の内容というものが年を追って変化をしている、こう思われますが、郵便物の内容の分析の結果、近年の移動の状況はいかがなものか、これをまずお聞きしたい。
  189. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  私ども、三年に一回ずつ郵便の差し出し内容等のいわゆる利用構造というものを調査をして、業務運行の諸計画に資するようにやっておるわけでございますが、そういった利用構造調査というような結果をかいつまんでお話し申し上げて答弁にかえさせていただくわけでございますが、第一点といたしまして、差し出しについて、私人と申しますか、個人と事業所の別についてという観点、これがよく問題になるわけでございますが、こういった点がどうなっているかといいますと、ちなみに四十八年の九月に調査をした場合には、個人の差し出しが一九・五%でございました。最新の調査でございます五十四年の九月、その場合には、ほとんど変わりがないと言えばないのでございますが、一九・九。したがって、事業所の差し出しが四十八年では八〇・五%、それから五十四年の九月では八〇・一%、こういうふうに差出人別の分析をしているところでございます。  それから、受け取りについて私人と事業所の別について見てみますと、私人、個人受け取りの物と事業所の受け取り物の比率は、私人の受け取りの物の割合が増加する傾向にございます。事業所受け取りの物の割合がしたがって減少する傾向にあるわけでございまして、これも四十八年と五十四年という比較において御説明を申し上げますと、四十八年においては個人の受け取りが五六・五%でございました。それに対して五十四年の九月では六五・一%。事業所の受け取りが四十八年では四三・五%であったものが最新の五十四年の調査によりますと三四・九%、こういうことに相なっておる次第でございます。  次に、郵便物の内容別の利用状況というものも調査をいたしているわけでございますが、五十四年の調査では、そのシェアの大きい順に申し上げさせていただきますと、ダイレクトメールと言っているものが二二%、それから金銭関係が二一%、あるいは行事とか会合の案内というような内容のものが一三%、それから消息、各種のあいさつ一二%というようなことでございまして、以上御説明を申し上げたものの郵便物で全体の六割という現状に相なっているところでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  190. 野口幸一

    野口委員 ただいまお伺いをいたしましたように、先ほどちょっと郵務局長舌を滑らせて、郵便の持つコミュニケーションはいささか軽くなるような傾向にあるようなことを言われましたので心外だったのですが、後ほど訂正されましたのでこれはあえて言いませんけれども、内容的には郵便というものが今後どういうように進展していくであろうかというに足る資料をいろいろな角度から見てみました場合に、いまお答えになりましたように、たとえば受け取りの場合に増加の傾向にあるとか、あるいはまた全体的なものからいいますと、事業所間におけるところの取り扱いというものが非常に大きいとかいうところに恐らく目を向けておられるのだろうと思いますが、最近、電話ファクシミリのいわゆる販売の関係が非常に盛んでございます。  電電公社総裁にお越しをいただいておりまするので、この点について少しく伺いたいのでありますけれども、過日、私ある百貨店にこの種の催し物があるのを知りまして、実はもちろんバッジも外しましての話でありまするが、お伺いをいたしました。非常に生の声を聞いてまいったのであります。これはいまたまたま郵務局長がお答えになりました事業分析とちょっと類似をしているのでありますけれども、これからの郵便物というものはずいぶん変化をするであろう、したがって、ファクシミリの持つ重要性というのは非常に多大である、したがって郵便、特に速達郵便にかかわる施設としてぜひともお備えをいただきたい、小売店業者なんかでは非常に必要でございますよ、こういう御説明を現場でなさっているわけであります。それでいかほどですかというような話などをいたしまして、パンフレットがたくさん並んでおりまするので、パンフレットをいただいてまいりました。電電公社という「電話ファクスミニ」こういうのが出ているのです。よく見ますと、一番最後のところに「社内資料」と書いてある。社内資料なるものをどうして外へ出すのだろうかと思ったら、値段も何も書いていないのですね。それで、これは一体幾らで普及をさせるのですかという御質問をいたしますると、大体公債が十五万円前後だ、使用料といいますか利用料金といいますか、そういうものを月額四千円程度もらう。ところが、実はこれは郵政省がなかなか認可をしないんだ。なぜ認可をしないのかとわれわれは不思議に思って上司に聞くんだけれども、その内容は言ってくれない。認可は恐らく十一月の末になるだろう、どうして十一月末なんということを言うのですかという話をしておりますると、郵便法改正の問題もひっかかってくる、こういう話なんであります。  この電話ファクシミリというものは、電電公社としてはいわゆる速達郵便にかわるものとして今後発展させていきたい、こういう意欲的なお考えでございます。これの善悪は別といたしまして、そこでお聞きをいたしたいのでありますが、現在、電話ファクシミリそのものの販売の進行状況はどのような現況にあるのか。大きさはいろいろありますね。ほかのパンフレットももらってまいりましたが、大きさは10、20、40ですか、たくさんあるのです。これは一番小さなものでありますが、まだ販売されておりませんからゼロでありましょうけれども、それ以外のファクシミリの販売の進行状況というのはどのくらいであるのか、それをまずお聞きしたい。
  191. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  数字は丸めて申し上げますが、電電公社で提供しております直営と申しております電話ファクスは、五十四年度中に、ファクス40と申します、これはスピードの遅いものでございますが、これが二千四百五十台、それからファクス20と申しております、これは中間的なスピードでございますが、これが千八百八十台、それからファクス10と申しております、これは高速の機械でございますけれども、これは売り出したばかりで少数でございまして五十台、合わせまして約四千四百台を新しく販売をしております。  一方、御案内のとおりでございますが、ファクス40は昭和四十八年度から売り始めております。それからファクス20と申しますのは五十三年度から、それからファクス10は五十四年度からそれぞれ販売を開始しましたが、累積をしてまいりまして、五十四年度末の稼働しております施設の数を見ますると、ファクス40というスピードの遅いものが一万二百台、それから中間スピードのファクス20が二千台、それからファクス10は五十台、合計、電電公社提供の直営の電話フックスというのは一万二千三百台、こういう数字に達しております。  それから一方、ユーザーさんの方で設置なさる自営と申しておりますファクシミリがございますが、自営のファクシミリで電話網を利用する形態のもの、これは中速、高速が主力でございますけれども、各種の機種を合わせまして五十四年度中にはおよそ三万三千台増加をしております。同年度末でこの自営の電話網利用ファクシミリというものが全国で約八万六千五百台、これだけ稼働しておるというふうに承知をしております。  したがいまして、私どもの電電提供の直営のもの、それからユーザーさん設置の自営のもの合わせまして、電話のネットワークを利用しておるファクシミリというものは五十四年度末でおおむね十万台、こういうふうに把握をいたしております。
  192. 野口幸一

    野口委員 そこでファクスミニに入るわけでありますが、非常に小さくて経済的、しかも「小売店主の皆さん方へ」というようなキャッチフレーズで、速達郵便物にかわる、こういう御説明をなされておられるのでありまするが、現場で御説明になっているように、公債が十五万程度、料金が月額大体四千円ということで、十一月末の認可を待ってやるんだということを一応指示してそれぞれの展示会等でお話をさせておられることは事実でございますか。そういう指示をなされておるということは事実でございますか。
  193. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話のございました、ミニファクスとかファクスミニとかホームファクス、いろいろな言い方をしております小型のファクスを開発いたしておりますことは事実でございますが、私どもといたしましては、これの提供条件、その前提になります需要予測その他についてただいま詰めておりますところで、また、そういうやり方についてただいま郵政省御当局と打ち合わせ中でございまして、具体的な指示その他を下部段階にいたしておるということはございません。
  194. 野口幸一

    野口委員 それではどうして展示会等で大々的にこういう宣伝をなさるのですか。お客さんが集まっているところというのはファクスミニのところに集っている。非常に関心を持っている。それはいいのですけれども、まだ何も話ができ上がっていないにもかかわらず、説明を求めると、公債は十五万程度だとか使用料は四千円程度だ、ただ十一月に郵政省が認可をするであろうということで説明をしている。この事実はどうなんですか。
  195. 西井昭

    ○西井説明員 公社はいろいろな新しい機器を開発いたしておりますが、その機器を開発いたしますときには、その機器を利用されるであろうと思われる方の御意見も承りまして機器を開発しておるところでございます。一番端的な例で申しますと、肢体不自由者の方とか身体障害者等の機器等につきましては、そういう方のところに最初に開発しました機器を持ち込みましていろいろな御意見を承りまして、直すべきところは直し、物によっては抜本的に直るものもございますが、そういう手続をとって、いよいよこれで商品として売り出せるという見通しがついたところで販売をするというのが実態でございます。ただいま先生のおっしゃいましたとおりに、確かに公社の中の展示場あるいはそういうところに一部見本として展示しておるところもございますが、そういうところで皆様方の御意見も承りまして、必要なところの手直しをいたしまして、そしてほとんどの方の御納得なり御意見を承ったところで販売開始をする、こういうふうにいたしたいということでございます。
  196. 野口幸一

    野口委員 私の言っていることとお答えが違うのですが、事実、これはもういまにも十一月から売り出すんだ、ただ郵政省の認可がおりないので待っているんだという説明をしているのですよ。しかも公債は十五万円だ、使用料は四千円だと言っているのだから。そして、その資料を見ると社内資料としてごまかしてあるのですよ。社内資料となっている。公開資料になっていないのです。それじゃ、そういうものをなぜいまの段階でやらせているのか。もちろんモニター的に各界のいろいろな御意見をお聞きになるのは勝手ですけれども、しかし、少なくとも百貨店でたくさんの人を集めて、ああいう中でいかにも十一月からこれが販売されるがごとき感覚でもって御説明されているこの現場の状況というのは、これはどうなんですか。
  197. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  公社が新しい商品を販売いたしますときは、機器の性能あるいは使いやすさということの御意見を承ることももちろんでございますが、その機器がどれくらいで売れるかということになりますと、需要数と実際その機器を生産するときの創設費と申しますか、これは非常に密接に関係してまいるわけでございます。したがいまして、新しい商品を販売するときには、この小型ファクス以外のものにつきましても、ある程度の、大体このくらいだろうという大ざっぱな目安を立てまして、このくらいの値段になろうと思います、それについてどのくらいの需要が発生するか、そういう需要予測をいたしまして、そしてその結果に基づきまして郵政省と御相談の上販売をする、こういう手はずをとっているのが実態でございます。ただいま先生のおっしゃいましたとおり使用料四千円程度ということは、これは需要数によって多少出入りはいたしますが、いままででも数百円あるいはもう少し出入りをしたことがございますが、そういう料金だとどのくらいの需要が発生するだろうか、こういうことで市場調査しておるというのが実態でございます。
  198. 野口幸一

    野口委員 それ以上申し上げるのもどうかと思いますから、これはこの辺でとめさせていただきますが、少し電電公社の方も勇み足だろうと思うのは、値段を聞くと会場によって確かに違うのです。差しさわりがあるといけませんから名前は申し上げませんが、この間市内のあるところで聞きましたときには、公債は十万円程度というお答えでございました。一昨々日だったと思いますが、百貨店で聞きましたときには十五万円から二十万円程度だとおっしゃいました。日が違わないのにずいぶんさまざまな言い方があるものだなと思って聞いておりましたが、それも徹底はしていないわけですから、ある意味では展示会をおやりになっておる人の感覚なり、あるいはその人がいままでいろいろファックスを売り出された経験からしてお答えになっているのかもわかりませんけれども、ただ気になりましたのは、発売はいつからかということに対して十一月ごろと、しかもそれは郵政省の認可待ちということをはっきりとお答えになったところに問題があると私は思うのです。なぜ十一月なんですかとつけ加えてこう申し上げましたならば、郵便法の関係があってということでございますから、それはいかなことということでこの問題を取り上げてきたわけでございます。  それでは、裏返しもう一点だけお聞きしますが、これは社内資料として断ってあるのはどういう理由ですか。
  199. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま申し上げましたとおり、新しい商品を販売するときには、実は先ほど簡単に申し上げましたけれども、もう少し詳しく需要調査をしておりまして、たとえば、大体四千円前後で売れるのじゃないかと思ったときには、三千円未満ですとどのくらいの需要が出るとか、三千円から四千円ですとどのくらいの需要が出るとか、四千円から五千円ですとどのくらいの需要が出るとか、こういう聞き方をいたしまして、三千円のときならどのくらいの需要率、どういう型がどのくらいの需要が出るであろう、もしそれが五千円になれば、どういう型がどういう需要が出るであろう、こういう聞き方をしておるわけです。  それから、その社内版というのは、そういう需要予測をしますときに、全く口頭で内容の御説明をするというのは、利用者の方になかなかイメージがわきにくい関係もございますので、大体こんなものでございますというのを、需要調査のときに、これは市場調査の資料としてそういう関係のところに配っておるというのが、いま現在公社のやっておるやり方でございます。
  200. 野口幸一

    野口委員 特定のところでおやりになるのは構いませんけれども、少なくとも百貨店等で非常にたくさんの方がお集まりになっている中で、十一月販売というような形でもって、このようなまだはっきりしていないものをお出しになるのはいかがかと思いますので、ぜひともその点についてはひとつ下部の機関に御指示なさって、余り行き過ぎた御説明を――何かその人が特別だったと思うのですけれども、たとえば速達郵便物にかわるとか、紙代が一通三円くらいでございますとか、そういうどんどん前に進んだ説明をされるものですから、これはいかがかというような気がするわけでございまして、ひとつそういう点は十二分に御配慮いただかなければいかぬというお願いをいたしておきます。公社関係はそれで終わりなので、結構でございます。  そこで、こういう状況にあるのですが、この販売関係の方がおっしゃっているのは、いみじくも私は本音が出ていると思うのです。恐らく公社の内部では宣伝方法として、一般のお客さんから聞かれればそういうようにお答えした方がいいんじゃないか、つまり、速達郵便物にかわるものだ、商社間では非常に便利でございます、わずか一通三円でございます、ロールがこう巻いてありまして、出てくるのが大体A5判でこのくらいです、紙代は三円で非常に低廉でございます、売上伝票だとかそんなものを本社へ電話で送らなくても、すぐさまファクスミニで送れますと、非常に宣伝上手でございまして、私は、郵政省が速達などとの競合関係に対して、電話ファクスミニというものを非常に軽視していなさるのじゃないか、これは今後非常に重要な課題になると思うのでありますが、いわゆる速達郵便物との競合関係について、現在の時点でいかなる見解をお持ちになっておりますか。
  201. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  近年、ファクシミリなどの電気通信手段の著しい発達によりまして郵便の分野で最も影響を受けやすいのは、先生のただいまのお話でも指摘されているわけでございますが、速達郵便の分野であるというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、また速達郵便物物数の動向というものをわれわれしさいに調査をしてみますと、確かに料金改定時には一時的に落ち込むということは当然あるわけでございますが、そういった料金値上げ時あるいは直後の時期は別といたしまして、年々着実に増加をしているという趨勢も事実としてございます。そこで、今後の技術革新によりましてファクシミリなどは迅速性、経済性等の特性がさらに高まりまして一層普及することも予想されることは当然でございますが、物自体が届くという郵便のすぐれた特性を持つ速達郵便の利用が急速に減少するというようなことはないものと、われわれ考えているわけでございます。この辺、事実認識が甘いと将来展望を誤るというような御指摘、御助言もいただくことになろうかと思いますが、われわれ、この現在の郵便サービスは、迅速性という点では、物自体を送らなければならないことからくる限界がありますので、これに対応するためには、一方、電気通信を利用したサービスの検討ということも当然並行して進めていかなくてはならない、どういうふうに考えている次第でございます。
  202. 野口幸一

    野口委員 みずから自分でお答えになりましたから、それでいいのでありますけれども、確かに物を持っていかなければならないということで、また、物が届くということでは郵便の値打ちがある、これはもう当然のことであります。ただ、郵便の伝達時間あるいはまたそれに要する費用というものが少しく、いわば料金問題に関連するならば、一定の限度で抑え込まれるのではないか。たとえば物が向こうへ行くということについての料金を上げていくということは今後考えられる。しかし速度において競争しようというのは、とてもじゃないが、いわゆるファクスには負けるのじゃないか。ということになりますと、料金というものを今後設定をしていく場合、郵便がどんどんふえていくことは結構でありますけれども料金制度を考えていく場合には、この速度、一定の伝達時間に対する、またそれを短縮していこうというその費用というものを考えての料金というものは、一定の限度で抑えられてしまうのではないだろうか、だから別のところで料金をもらえるだけのサービスをしなければ郵便はふえていかないし、利用度がなくなっていくのではないだろうか、こう考えるのですが、この辺はいかがですか。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  203. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私どもも基本的には同様の意見を持っておるわけでございまして、したがいまして、郵便料金の設定に当たりましては、同様の機能を持つ他の通信手段のスピードや料金ども勘案して行う必要がある、こういう意味からいたしまして、料金の限度というものが将来的に他の通信メディアとの関係で出てくるということは踏まえた上で対処していかなくてはならない、こういうふうに考えております。
  204. 野口幸一

    野口委員 それでは少しく角度を変えて、別の問題を申し上げます。  そういったことで、郵便が一定の速度というものだけで競合し得るということは、もはや今後むずかしいであろう、他の面でもって他のサービスを提供することによって維持をしなければならないし、またその利用のいわば拡大を図っていかなければならぬだろう、こういう立場に立って物を申し上げるわけであります。  昨今、郵政省はいろいろと知恵をしぼって「ふみの日」だとかいうようなことをお考えになりまして、毎月二十三日は「ふみの日」だ、郵政省にしては非常にできのいい施策でございますが、どうもやり方がみみっちいですな。やるならば国民の皆さん方にもっと親しみのある、受け入れやすい「ふみの日」でなければならぬと思うのであります。「ふみの日」を設定されましたことと今日郵便法を改正しようとする郵政省の姿勢と、いささか考え方といいまするか、姿勢が違うんじゃないですか。「ふみの日」をつくって郵便文化というものを少しく伸ばしていこう、こうおっしゃってやっていることと実際一種、二種の値上げに対する物の考え方は非常に逆な立場をおとりになっているんじゃないか、このことを指摘を申し上げるのでありますが、一つは、たとえば第一種の郵便物の原価というのはいま幾らですか、定形郵便物の原価。
  205. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  第一種郵便物の原価でございますが、定形の原価が四十一円でございまして、定形外が九十四円ということでございます。
  206. 野口幸一

    野口委員 お答えになりましたように、現在五十円でありまするが、四十一円で実はでき上がっているわけであります。少なくとも第一種郵便物、つまり一般の私人等が特に差し出す需要の多い第一種郵便物、第二種もついでにお聞きすればいいのでありますが、ここに資料がありますが、大体二十七円程度でございまして、いま赤字になっているということは認められます。確かにその辺のところはわかるのでありますが、特に第一種なんか、手紙を出そうなんてキャッチフレーズを出しておりながら、赤字になっていない部分まで大幅に値上げをして手紙を出そうなんということを奨励していることがおかしいのでありまして、言っておることとしておることとが逆になっているのですが、この点は矛盾を感じられませんか。
  207. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども郵便物料金を決める際に幾つかの政策課題があろうかと思うわけでございます。一種、二種という観点の料金政策のあり方、一方、三種、四種等の俗に言う政策料金のカテゴリーになるものあるいは小包というもの、それぞれ要請される課題があると思います。その課題を満たすものとして現在の郵便法の第三条でいわゆる総合原価主義によって収支相償を図るという中から、現実の姿としましては先生指摘のとおり、一種につきましては原価よりも上回った料金ということで料金が決まっているわけでございますが、しかしながら冒頭申し上げましたように、これはやはり郵便物の種類、それぞれの政策課題というものを総合的に踏まえた上で結論づけるということから、現状はそれなりの理由があって国民の皆様から御支持を得るものというふうに考えているわけでございます。  ただ、具体的に「ふみの日」というようなものを近来キャンペーンを大々的にやりまして、読み書き文化あるいは手紙を差し出すというようなことを進めながらそういった一種、二種の料金を上げるというような点についての問題点ということでございますが、もちろん料金は手紙を差し出していただくということのためには上げないことがよろしいかと思うわけでございますが、先ほど申し上げました総合原価主義というような立場、それから財政基盤を確立するということによって国民の皆様方に安心して利用できる郵便の体制づくりというようなことで、あれこれ考えますと、総体的に申し上げましてやむを得ないことということで国民の御支持と御理解をそれなりにいただけるんじゃないだろうか、こういうふうに思っている次第でございます。
  208. 野口幸一

    野口委員 郵便法第三条に総合原価主義なんということは書いてませんよ。あなたの郵便法と違うのかな。そんな都合のいいことは書いてないですよ。相互に入り組んでよろしいなんということは書いてないですよ。  たとえば「郵便の将来展望に関する調査会」の報告書なんかにも「経済成長によって形成された大衆社会の中で、人間の孤立化が深まりつつあるが、」「人間関係はますます弱まりつつある。手紙を書くことによって自己を確認し、人間関係の希薄化を克服する必要があるので、手紙を書く習慣のキャンペーンが組織されてしかるべきである。」これはいいことを言っているのですね。それによって「ふみの日」だとかいろいろなことが考えられた。それはいいのですよ。それをやられるのはいいのだけれども、原価がまだ四十一円だというのに、五十円をまだ下回っておるのに今度六十円を出そうというのでは、やはりそれなりに国民の皆様におわびしなければならないでしょう。なぜよその部分で赤字になっている分を今度第一種でもって上げなければならないのか。その理由はどういう理由でその分を取らなければならないのかという御説明が実は国民に対してないのですよね。これはわれわれに対しては説明があったかもしれないけれども、国民に対しては郵政省はそんな説明はしてないですよ。そうでしょう。片一方では手紙を出しなさい、手紙を出しましょう、人間性の回復ですよなんていいことを言っていて、その裏では、よそで赤字が出た分までしょい込んで第一種が値上げになるという、こんな理論と実際と違う話がありますか。だから、郵政省の言っておられることとしておられる料金政策なんというのは全く逆になっているのじゃないですかと、こう申し上げているのです。いかがですか。
  209. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  ただいまの原価のことから関連いたしましてちょっと補足説明をさせていただきたいと思うのでありますが、先ほど申し上げました原価、これは五十四年度の原価を申し上げたわけでありますけれども、これも原価の計算の方法でございますけれども、いままでの累積赤字というものをカバーするという形での原価という計算をいたしておりません。したがいまして、このままでは一種のものが定価よりも原価の方が安いからということで累積赤字をこれでカバーできるという体系のものではとうていないということが一点。さらに、将来の原価というものがどうなるかということからながめてまいりますと、いろいろな前提条件はございますけれども、いままでの傾向、そういったものを直して見てまいりますと、漸次原価というものが上がってまいりまして、五十七年には大体五十円、五十八年には五十三円、こういうような形になる。これも先ほど申しましたような累積赤字、こういったものを解消するということを費用として見込んだ原価ということではございませんので、その辺のところ御理解をいただきたいと思うわけであります。  なお、料金決定に当たりまして全体としての収支を償うということにつきましては、郵便法三条でそういう定めがございます。もとより料金決定につきましては、それぞれの原価というものをにらみながら、またサービスそれぞれの特性、それぞれのバランスの問題あるいは効用の問題、いろいろなものを総合判断して決める、ただし、総体としての郵便事業の費用というものを郵便料金で賄っていくという形の中で決めていくということでございますので、大宗を占める一種というものに負うところというものも出てくるということになろうかと思うわけであります。
  210. 野口幸一

    野口委員 それでは、従来郵便の一種、二種だけは法定で、三種以下は違う、省令でもって定めることができると言って分けたのはどういう理由で分けたのですか。どうして以前はそれが分かれてあったのですか。
  211. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  現在、三種等の省令料金になっているのは、四十六年に法定料金から省令料金に改正になったものでございますが、そのときの考え方が今日もなお生きていると思うわけでございます。やはり先ほど来から御議論をいただいております財政民主主義とか財政法三条というような観点からいたしますと、やはり郵便物というものの持つ独占の度合いでございますとか、それが国民生活に与える影響というようなことを一つの視点として決めたわけでございますが、三種、四種等の料金決定というものがいま申し上げた独占性の問題とか、そのことが国民生活に与える影響というものが、すでに四十六年においてもそういう観点からいたしまして省令料金にいたしましても財政法三条にもとることはないという判断をしたものというふうにわれわれ理解をしているわけでございます。そして、昭和五十五年度今日において、それじゃ一種、二種というものをめぐる諸情勢あるいは他の電気通信等を含めた通信メディアというようなものの実態を考えてみますと、そして一方、郵政事業の抱えている累積欠損金を解消するための手段としてどういう方法があるだろうかという点から、五十五年に至りまして一種、二種につきましても省令料金というかっこうで運用していただくように御提案をした、こういうふうに御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
  212. 野口幸一

    野口委員 それは郵政省が全く独断と偏見でもって考えていることでありまして、一種、二種を残して法定にして、三種以下は省令でやろうということについては、いわゆる三種以下の収支について少しく弾力性を持たせて、そして郵政省自身が収支に伴うような対策というものにある意味では幅を持たせてやっていこうということであったし、また片っ方の一種、二種というのは国民生活に非常に関係があるし、いわゆる郵便の持つ文化性というようなものを考えてひとつ法定制というものを維持させていこうという考え方が今日まで継続されてきたものだと私は判断をしているのですよ。だから、片方で経営努力を十分やっておかないで、それでもって郵便物が減っていくなりあるいはまたいわゆる収支が伴わないというようなことがあるのに、それをほっぽらかしておいて、そして時期が来て赤字になって累積赤字がどかどかということで、一、二の分もあわせて、しかもそれもまた高めて、そして五十五年度において大幅に値上げをさせていただきたい、私はこんなことは国民に対して申しわけないと思うのですよ。たとえば、小包料金はいつ改定されましたか。
  213. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ことしの十月一日に改定させていただいております。
  214. 野口幸一

    野口委員 その前。
  215. 魚津茂晴

    魚津政府委員 その前が昭和四十九年でございます。
  216. 野口幸一

    野口委員 昭和四十九年から五十、五十一、五十二、五十三、五十四、五十五と、ことしまででまるまる五年間据え置いたんですよ。何で据え置いたんですか。小包料金を据え置いた理由。
  217. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十九年から六年間据え置いたわけでございますが、その間の単年度の収支というような点を見てみますと、御案内のとおり、五十年度と申しますか、五十一年一月二十五日に郵便料金を改定させていただきまして、単年度はずっと黒字というようなこともございまして、総合原価的な立場からすると、片方で黒字になっているのに小包が、その種類だけに限って赤字だからということもいかがなものかというふうな判断で六年間据え置かれていたというふうに理解をしております。  それからもう一つ、小包料金料金決定の方針といたしまして、郵便法にもそういった条文がございますけれども、競合する国鉄の小荷物運賃あるいは今日では民間の宅送便というようなものもございまして、その辺のにらみといいますかバランスというような点も考えまして、結果として五十五年の十月一日まで料金の手直しを見送ってきた、こういうふうに私たち理解をしておるところでございます。
  218. 野口幸一

    野口委員 あなた、うそと言うと失礼だけれども、余りいいかげんなことを言わないでくださいよ。三十一条によって「小包郵便物料金は、小包郵便物に係る役務の提供に要する費用、日本国有鉄道の小荷物運賃、物価その他の経済事情を参酌して、郵政大臣郵政審議会に諮問したうえ省令で定める。」こうなっていますね。それじゃその間ずっと鉄道小荷物と小包郵便物、同じ金額でやってきたというわけですか。
  219. 魚津茂晴

    魚津政府委員 同じペースでといいますか同じ料金の額で設定をしたものじゃございませんけれども、何回上げたとかそういったようないろいろの事情、それから何といっても心情的には先ほども申し上げましたように、単年度の収支というようなものがある期間どうであったかという辺もかなり決定のウエートのある原因であったというふうに理解をしているわけでございます。
  220. 野口幸一

    野口委員 私はここで余りかっこうのいい御答弁を求めているわけでないですよ。本当に赤裸々な話をしてほしいと思うのですが、四十九年から全然上げてないんですよ。これはぼくらから言わせるとサボっておったと言えるのですけれども。というのは、なぜ上げられなかったかというのは、年々小包の利用というのがどんどん減ってくる。漸減になっている。正直言ってここで上げたら大変だという気持ちもあったんじゃないですか。これはいかがですか。
  221. 魚津茂晴

    魚津政府委員 四十九年に料金を改定しましたときには物数の動向にどのような影響を及ぼしたかと申しますと、一般小包、書籍小包ひっくるめましてでございますが一・九%の減がございました。それから五十年度では前年に比べまして一一・五%減りました。しかしながら五十一年度では一四・三%増加をしたというようなことから、私たち料金の改定と物数の動向という際の基本的な認識の仕方としては、確かに料金値上げがございますとその年だとかその翌年減るということは否めないわけでございますけれども、三年目程度になると再び増勢傾向になるというようなことを過去の趨勢、データから判断しておりますので、その時点料金を改定すれば物数の減ということがかえって企業的に見て損失を大きくするというようなことは大勢としては理由ではなかったというふうに理解をしているわけでございます。
  222. 野口幸一

    野口委員 ここにちょっと資料があるんですけれども、速達小包郵便物については昭和五十年度二千八百万個、昭和五十四年度二千三百万個、つまりこの五年間に五百万個減っているわけですね。こういう漸次減少をしていっている傾向だって速達小包の中には厳然としてあるのですよ。だから、そういう理由であったかどうかというのは私は認められませんけれども、少なくとも五年間小包料金を上げなかった理由というのは単にそれだけの問題ではなくて、これ以上小包の利用が減ってしまっては困るという、いわゆる競合の部分におけるところの取り扱い数というものも非常に勘案されて実は値段を据え置かれたのではないだろうか、それが一番強かったのではないだろうか、こう思うのですが、そうじゃないのですか。競合する部分との関係において料金というものが決められなかった、それ以上高くすれば小包の利用者がなお減るであろうということによって据え置かれたのではないのですか。
  223. 魚津茂晴

    魚津政府委員 六年間、料金を決める関係者が、心情的にはどういうようなことがあったか必ずしもわかりませんが、そういったことだけですと、ことしの十月一日に小包料金を上げるという関係からいいましても若干ちゅうちょせざるを得ないような点もございまして、もちろんそういった要素がなかったとは私は断定はいたさないわけでございますけれども、それが主たるものであったかどうかは、私は必ずしもそうではなかったんじゃないだろうかというふうにも考えるわけでございます。
  224. 野口幸一

    野口委員 余り時間がありませんから、そればかりしゃべっているわけにいきませんけれども、少なくとも十月一日に小包料金を上げられた。しかし、これでも結局原価計算をしていくと、今後それでは原価に見合った料金が取れているのかということについて疑問があります。どうですか郵務局長、この十月一日の改定の価格でもって、小包は今後仮に三年間なら三年間としましょう、三年間料金を上げなくても済むような展望がありますか。ないでしょう。いまの時点でありますか。それじゃいまの時点で原価を上回っているのですか。
  225. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の料金自体がいまなお原価を下回っているわけでございまして、今後いろいろな情勢、条件を考えながら、今度六年ほっておくというようなことでなくて、もっと機動的に考えていかなくちゃならぬじゃないかというふうにも考えております。
  226. 野口幸一

    野口委員 その考え方がちょっとおかしいのですが、つまり十月一日に上げた、それはまだ原価に到達してないんだ、まだ赤字なんだということなんですけれども、それじゃその部分をどこから取っていこうとするのかということになりますと、実は先ほど来申し上げているように、一種、二種を初めとする他の郵便物料金の方でそれをカバーしようとして考えておられる。そのことが、先ほどおっしゃっている郵便に対する認識というものが少しくゆがんでいるのじゃないだろうか、もっと小包そのものが他の宅急便等に競合していくべき――料金問題だけではなくて、利用者がふえていくような方法というのはもちろん考えられておるだろうと思うのですけれども、もっと抜本的に考える必要があるのじゃないでしょうか。小包郵便物がなぜ減ってきているのかというのは、単なる値段だけの問題じゃないと思うのですが、この辺どうなんですか。
  227. 魚津茂晴

    魚津政府委員 おっしゃるとおり、小包が横ばい状態という昨今の趨勢は、料金論だけでは説明がつかないと思います。やはり民間の小荷物でございますとか宅急便の小型物件の輸送というような、サービスの質的な違いということも相当大きいのじゃないだろうかということは、私たち十分認識をしているわけでございます。したがいまして、小包の収支をいまよりか改善するというような点につきまして、単に小包料金値上げという観点でなくて、民間の小型物件の運送方法を私たち郵便における小包にも取り入れ得るものは取り入れていくということで、いろいろサービスの種類とサービスの内容に目を配りまして、できるだけ私たちの方にそういったものを取り入れて、民間に逃げていく小型物件輸送というものをまた郵便の小包という分野で取り戻すような方向も、私たちの今後の大きな課題だろうというふうに考えております。
  228. 野口幸一

    野口委員 そうでないと、実はこれは法定緩和の問題で話をしようと思いましたけれども先ほど来他の先生方おっしゃいましたから、あえてそれを繰り返しませんが、つまり「省令で定めることができるものとする。」ということによって、結局「郵便事業に係る累積欠損金が生じないこととなったときは、」「新たに料金を定めることはできない」つまり、累積赤字のある間は勝手に料金を変えますよ、こういうことになるわけですから、すると、その累積赤字がなぜ起こっているかということをよく見てみると、小包の方で赤字が出ている。小包の赤字がある間は、いつまでたっても郵便料の値上げが続くわけですから、そんなものじゃたまらぬわけですね、国民の側から見たら。だから、もちろん経営努力という部分についてもっと抜本的な対策を立てて、なおかつ宅急便との関係あるいは他の輸送機関との関係で、料金がこういう形になってくるんだということが説明ができるような形にしなければならないし、また、それを一歩進めて、郵便局の小包でなければならないというようなアイデアをぜひとも生み出してもらわなければならぬだろう。  たまたまここにもいろいろありまするが、たとえば小型コンテナ、郵便コンテナというようなものをこしらえて、いま切手類とかそういうものを送っております小さな箱がありますが、あれを郵便局に備える。皆さん方は荷物の荷づくりをしなくても、コンテナにずぼっと――息子に本やお菓子を送ってやる場合でも、その箱にぽっと入れれば郵便局からすぐ発送してくれるというようなことを考え出すとか、あるいは書籍類の小包などは、百個以上あるところは取りに行きますよ、だからどうぞお出しくださいというようなサービスを提供するとか、考える方法はまだまだあると思います。もっと抜本的に郵便小包のあり方というものを考え直すことによって出てくる収益を考えて、そしてそれが他の郵便物影響を及ぼしていかないように施策を講じなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  229. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在小包分野において相当赤字がある、それが累積欠損金の大きな原因である、そしてその累積欠損金が法定緩和制というものにつながってくるというような事態を、私たちは深刻に受けとめなくちゃならぬと思います。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、小包郵便物の増加というようなものを通じて収支率をよくする責務というのは、仮に御承認を得られるとするならば、法定緩和制というような事態になった今日、私たちはその責務としては一層大きいというふうに感じているわけでございます。  私ども、小包の増収というような点につきまして、今日最大の問題として取り組んでおります。先生先ほどおっしゃったように、集荷サービスというようなのも、民間から見習う一つのアイデアとして、そのことを小包のサービスの中に取り入れるとすればどういう問題があるかというような点も、私ども現在真剣に取り組んでいる次第でございまして、ともあれ、小包の赤字というものが、ひいては累積欠損金の大きな原因になり、それが法定緩和制という仕組みに連動するような今日の事態というものを真剣に受けとめ、今後改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
  230. 野口幸一

    野口委員 まあその姿勢で当然あってほしいと思うのでありまするが、立ちましたついででありますので、ひとつ関連をいたしまして予定外のことを申し上げます。  収入印紙収入取扱手数料、これは従来からずっと同じ手数料で続いているわけであります。これは経理部長の分野かとも思いますが、ぜひとも大蔵省等に折衝をして、この際手数料を大幅に上げてもらうように、ひとつ郵政省も積極的な増収対策に乗り出されてはいかがかと思いますが、この辺のところをひとつお考え方をお示し願いたい。
  231. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  先生の増収に対するいろいろな積極的な御提案、お話の一環として承ったのでございますけれども、そういう目で私どもも検討いたしたいと思いますけれども、いままでの収入印紙手数料、そういったものの手数料の状況を見てまいりますと、かなりな伸びで伸びてきているということでございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  232. 野口幸一

    野口委員 遠慮しなくてもいいと思いますよ。取り扱いの金額というのは非常に伸びていることは事実です。確かに最近の、たとえば収入印紙の使用量なんかもたくさんふえましたから、それは確かにふえているでしょうけれども、手数料の率そのものを上げてもらうように努力をする。これは郵政事業がいま全般的に赤字なんですから、そういった立場から考えても当然そのことを念頭に置いて、いわゆる対大蔵省関係を説得してもらいたい、これはひとつお願いをしておきます。  それからもう一つは、農産種苗郵便物数の動向を考えますと、昭和五十年度三百十七万通程度でありましたこの農産物の種の関係の郵便物が実は激減いたしまして、昭和五十四年度百五十九万通となっております。これは五年間の間に半分以下になっているわけです。なぜこんなに減ってきたのですか。
  233. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この四種の農産種苗の物数が落ち込んできたというような理由につきましては、今日の流通機構及び交通網の拡充からして、郵便によって頒布しなければならないという必要性は次第に薄れてきて、その次第に薄れてきている事実が郵便物数に反映したものと、こういうふうに考えております。
  234. 野口幸一

    野口委員 四種が非常に減ってきているという実情からかもしれませんが、四種の引き上げ率というのは下げてあります。その意味ではそのような配慮があるのだろうと思うのでありますけれども、少なくとも今日、種苗の郵便物というのがなぜ減ってきているのかという内容の分析が、必ずしも適当でないと私は思うのです。これは私、たまたま友達がタキイ種苗という京都のあれにおりまして、聞かせていただいておるわけでありますけれども、非常に販売網などの変化だとか、あるいはまた特定農産物のいわゆる全国分布の変化だとかいろいろなものがありまして、郵便利用というものが、事業そのものの形態からいって変わってきている。こういうものを特殊取扱いにする必要があるのかないのかということまで考えなければならぬと私は思うのであります。四種にしなければならない理由があるかないか、存在するかどうかということも考えなければいかぬ。だから、これは研究課題として今後ひとつお考えおきをいただきたいと思うのであります。  さて、別の話でありまするが、外国郵便との関係について、若干お尋ねいたします。  現在、先進国関係の料金は、アメリカなんかについては資料をいただいております。ところが、アジア諸国についての料金、現在第一種、二種の料金の現況を伺っておりませんが、一体、韓国あるいは台湾、香港、中国等の現状はいかがですか。内国郵便物の一種、二種と、それからもう一つついでにお伺いしますのは、日本あての郵便物を、第一種郵便物をお出しになった場合の航空郵便物の、航空料も含めて日本円に換算して一体いかほどのものかということ。
  235. 魚津茂晴

    魚津政府委員 まず、内国郵便物料金でございますが、まず中国でございますが、中国の書状が十三円でございます。それから香港は十円でございます。それから台湾が十三円でございます。それからはがきは中国が六円、それから香港ははがきの制度はございません。それから台湾が七円というふうにわれわれは情報を持っている次第でございます。  それから、外国郵便物として日本あての船便それから航空郵便物、これを十グラムまでというふうに考えてみますと、中国が船便で四十三円、それから香港が二十五円、それから台湾が三十二円。それから航空郵便でございますが、これも十グラムまでの書状というふうに限定して申し上げますと、中国が八十五円、それから香港が三十四円、台湾が四十一円、こういう料金になっております。
  236. 野口幸一

    野口委員 そこでお尋ねをいたしますが、国の名前をはっきり申し上げられませんけれども、とにかくいま申し上げましたのと韓国を含めまして、航空郵便によるところの差し出し郵便物で、そこから日本あてに郵便を出しましても、内国の郵便料はいま五十円ですか、五十円で換算いたしましても安いのであります。したがいまして、最近、まとめて印刷をなさる諸君の郵便物が、いわば印刷の引き受けも含めて、もちろん外国でさせておるのでありますが、それの発送も含めて引き受けているという事実がございます。そして、向こうから差し出しますと、内国の郵便物よりも安く到達するわけであります。こういう事実を御存じですか。
  237. 魚津茂晴

    魚津政府委員 承知いたしております。
  238. 野口幸一

    野口委員 大体どのくらい存在をしているかということはおわかりになりますか。
  239. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そういったたぐいの郵便物数は、私ども承知いたしておりません。
  240. 野口幸一

    野口委員 万国郵便条約第二十条の「外国における通常郵便物の差出し」という項におきますると、これらの違反郵便物といいますか、そういうものが出た場合においては「当該郵便物を差出元に返送し、又はこれに内国料金を課する権利を有する。」云々ということがあります。また、それらの問題に関連をいたしまして、外国郵便規則第七十五条にも「規定違反の外国来通常郵便物の取扱い」ということで項目がありまするが、実態としまして、こういう郵便物をいま該当の日本の郵便局でお調べになっておりますか。それともなっておらないですか、いかがですか。
  241. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほどその物数、そういうたぐいの物数については承知していないとお答え申し上げたわけですが、総体として、どれだけそういう目的を持って出されたものがあるかは承知していないわけでございますが、そういった郵便物については先生案内のとおりでございますが、現在のローザンヌ条約というようなもので、返すか、それから内国郵便料金をそのときに課すという仕組みになっておりまして、そういうようなものに、うちの方で外国郵便規則なりUPU条約に違反をしているということで料金を課したというような件数を私ども承知をしているわけでございまして、その限りでは九牛の一毛かもわかりませんが、かなりあるのじゃないだろうかというふうには想像いたしているわけでございます。
  242. 野口幸一

    野口委員 それじゃお聞きいたしますが、いままででどのぐらい挙がっておりますか。そういうような郵便物があって、課した金額だとか通数だとか……。
  243. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  五十一年からちょっと申し上げさせていただきますが、五十一年では十八件で徴しました金額は五百九万三千円でございます。それから五十二年度は十二件でございまして、二百四十万五千円、それから五十三年度は二十二件で五百五十万でございます。それから五十四年度は十八件で二百七十七万、こういう記録になっております。
  244. 野口幸一

    野口委員 私が調査をいたしました限りにおいては、それらのものは私が申し上げている趣旨によるところの違反郵便物ではないようでございます。その他のものも入っておるようでございます。これはあくまでもうわさでありまするから、私も実際その郵便物を全部つかんだわけではありませんけれども、印刷業者の申しておりますのは、一件につき一万通とも二万通とも言われております。これを外国で発注をいたしまして、発送も全部引き受けて幾らということで、内国でいろいろと画策をしているやに承っております。したがいまして、今後郵便の増収の面あるいは今後の料金対策から考えましても、この種の検査は厳重にやってもらわなければいかぬ。特にそういった出先の、受け入れ先の郵便局におけるところの検査を、また内容検査も含めてできるかどうか。するならばどのように今後進めていこうとするのか、その辺のところを少し前むきに御検討いただきたい。
  245. 魚津茂晴

    魚津政府委員 UPU条約の二十条で定めております仕組みというのは、本来は、安い料金の適用を受けるために差し出すということ、いわゆる郵便のダンピングというものを国際的にチェックするということがそのUPU条約の趣旨だろうというふうに思っておりますが、事実問題、この辺は現状認識をどういうふうに理解するかということでございますが、たとえば外国に旅行なさいまして、二、三千通のはがきとかあるいは手紙を出すという方も事実おいでだろうと思うのです。そういったような場合には、現在のUPU条約の解釈論といたしまして、安い料金で出すという目的がなくても、多数出すというような場合というものがチェックをされるというような対象になりますので、その辺がなかなか実際問題としてはむずかしいようなところがあるわけです。料金を免れるという意味ではなくて、外国に出かけて多数の郵便物を出すという方の辺の配慮ということも、もちろんその条約なり外国郵便規則ではその点割り切っているわけでございますけれども、その辺が非常に実際的というか、人の心という点からするとちょっと食い違うというような点も、制度の運用上としてあり得る制度でございます。  そういう問題は抱えているわけでございますが、今日われわれとしては、大体三千通以上差し出す、UPU条約では多数の郵便物という表現になっているわけでございますが、私ども運用といたしまして三千通以上出すというような場合には、目的のあるなしにかかわらず、この条約の指示に従って内国料金を課すということで内部指導をしているわけでございまして、今後とも郵便料金の適正徴収というような観点からも、先生の御指摘、また私たちに少しでも増収への道というようなありがたいお気持ちからということでもあると私理解しておりますので、積極的にそういった問題について取り組んでまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  246. 野口幸一

    野口委員 それでは、少しく視点をかえて申し上げます。  郵便法の第一条に「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」これは読むまでもなく「あまねく、公平に提供する」ということが一つの大きな課題でありますけれども、と同時に六条では「何人も、郵便の利用について差別されることがない。」こういう命題があるわけであります。ところが郵務局長、いかがなものでしょうか。わが国におけるところの郵便制度で、国民があまねく平等で何人も郵便の利用について差別されていないと言えるでしょうか、いかがなものでしょうか。
  247. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この法のもとの平等、ゆえなく差別するというのはひとり郵便法の問題だけではなくて、大きく言えば憲法の問題にもなりますので、私、いま先生からそのような御質問を受けたときに、頭の中でちょっといろいろ考えてみたわけでございますが、当然国の事業としてやっている郵政事業にあっては、ゆえのない区別といいますか差はないもの、こういうふうに考えております。
  248. 野口幸一

    野口委員 普通局における配達回数の現状、特定集配局における配達回数の現状、あるいは郵便物の収集回数の現状、速達配達回数のそれぞれの現状、これは言わなくてもよろしい、もう時間がありませんから。ずいぶん差があるのです。全国津々浦々で、都会に住んでおるのと田舎に住んでおるのと大分違うのです。ものすごい格差を強いているわけであります。しかも先ほどお話がありましたように、速達の配達区域については、これは非常に郵便局のエゴでもって今日定められている。速達郵便局の配達区域というのは住民の意思をある程度反映されたいと思うのでありますが、それを反映する機関は、先ほど来お聞きをいたしておりますと、郵便協力会という名前を使っておみえになっておるようでありますけれども実態郵便協力会がそんな速達配達区域の問題について口をはさんでいる経過はございません、はっきり申し上げて。したがって私が申し上げますのは、差別を考えないとするならば、現在そういう差別がある部分について解消しなければならぬ。これはあるわけですね。先ほど西村先生の御質問に対して、具体的にそういうところがあれば私にお聞かせをいただきたいという郵務局長のお返事でございましたので、今後、具体的にそういうところがあるところをどんどんと郵務局長に持っていきまするが、解消されますか。
  249. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生、「あまねく、公平に」というまず郵便法の一条の精神から、それに反している事象というのはいろいろ郵便サービスの中にもあるのではないかという前提でお話をされたわけでございますけれども、その差というのは、私、具体的に提起されてわかったわけでございますが、特定局、普通局という差ではなくて、要するに郵便区、一局の持つ配達エリア、その郵便局一つ郵便区として、その中に具体的に一人の人が配達をする配達区というのがあるわけでございますが、その配達区というのは私どもの内部の公達によりまして集配運送計画規程というのがございます。その集配運送計画規程によりますと、市内区は原則として二度配達する、そして市外区は一度である、こういうことで差がございます。結局、その根底に流れている考え方は、通信力のある地域と比較の問題として市内に比べて通信力が少ないというようなところを市外区ということで、具体的にどういうところを市内区と言い、どういうところを市外区と言うかという基準をつくりまして、それによる一度の配達あるいは二度の配達、速達についても速達の配達地域というようなものを郵便の規則の中で明らかにしておりまして、速達の配達区、配達区外のところということで、そういう意味での差があることは事実でございます。
  250. 野口幸一

    野口委員 いずれにしても、それは郵政省の内部で考えている判断基準に基づいて決められた差であります。国民の立場から考えてみますと、どこに住んでいようと、どこで郵便物を出そうと、同じ立場で取り扱ってもらわなければならないというのがこちらにあります。郵便局の方は、取り扱いの関係上、たくさんあるところは二回配達をする、たくさんあるところは何度でも行く、こういうような基準で考えられますが、国民の側、出す方から見れば、どこで出そうと同じ料金で同じように公平に受けなければならぬという権利を持っているわけですね。ところがその基準たるや、実は郵政省でお決めになるけれども郵務局長は偉い人だから上の方だけしかわからないでしょうけれども、現場の方へ行きますと、郵便区の認識も非常に局によって格差があるのですよ。それは長い伝統と歴史の中でありますから一概に変えられないでしょうけれども、たとえば郵便区の区画を変えるにも物すごく何日もかかって変えるのですよ。そのくらいむずかしいものなんだということは、ぼくは部内出身だからよく知っています。わかるけれども、余りにも前時代的に守り切っているのです。先ほど西村先生お話があったときに、新しい局ができてその配達区域を決めるときにも、既存の郵便局の配達区域があるものですから、それとの競合がありまして、せっかく新しい郵便局を建てたにもかかわらず、速達郵便配達区域は目の前の一キロばかりのところに行かないのですね。というのは、向こうの局の配達区域になっているから、これは四キロ以上ありますからだめなんです。こちらから行けば一キロ以内で行くというような、そんなのは全国幾らでもありますよ。実はこの間も私どもの選挙区の中で一つそういうのがありまして、近畿郵政局へ参りまして速達郵便物の区域の改正についてお願いをしました。そのときに言われるのは、地域住民の方々の理由はよくわかります、私どももそのようにしたいのです、ところが問題は金です、銭がないんです、こういうところに最後は来るのですね。銭のことで話があったから、ついでにそこでは一体何かということになってくると、この一種、二種の話が出てきて、速達郵便小包の話になってくるわけですよ。  私はなぜこんな話をするかといいますと、料金を上げる、上げざるを得ない、この方は確かに一方的には理由はあるでしょう。しかし、少なくとも国民の側にしてみれば、そういったいわば矛盾、郵便を配達される、あるいは郵便を利用する者に対する格差のある矛盾を、少なくとも不公平をなくしていくという考え方をもっと前に出して、もっと建設的に郵政省が取り組んでもらわなければ、これは私どもが仮に賛成するとかそういうことではなくて、国民の中から大きな反対世論が沸き起こってまいりますよ。だから私の言いたいのは、いま新設局の配達区域、特に速達区域の決定に当たって隣接局との協議決定が行われると思うのですけれども、実際はやっておられると思うのですけれども、と同時に、住民の意思をどのような形でとろうとなさっておるのか。先ほどあなたは郵便協力会と言われましたけれども、もっと変わった形でやってもらいたいと思うのです。  特に私の申し上げました例は、実はこういうことです。郵便局を建てるについて土地の提供をしてもらいたい、それで当該町の町当局等にも非常に働きかけられまして、だから町当局も一生懸命動きまして、安く土地を郵便局のためだということで提供をした。そのときの約束として、新しい局ができましたら当然速達区域の拡大とか集配区の問題についても住民の皆さん方の御意見を承ります、こういう約束で新しい局舎の土地を提供した。ところが、局舎が建って一年たつけれども、実はその速達区域も全然改正されないし昔のままだ、何のために郵便局ができたのかさっぱりわからないじゃないか、こういう言葉が出てくるのですね。だから先ほど郵務局長の御返事で私も安心したのです。そういう具体的なものがあれば私のところに言ってこい、直してやるからという話だったから、これはありがたいことだと思って先ほど喜んでおったのですけれども、そういう具体的なものは全国津々浦々にありますから、この料金制度を直していくというような時期に当たってそういった欠陥、不公平というものをなくしていくように、各郵政局、各郵便局にそういう通達なりあるいは指導をぜひとも流していただきたい。そして、そのためにどれだけの人員、どれだけの経費が必要なのかということを――当該局はみんな知っていますよ。ここをこういうふうに住民から言われている、飛び地になっていて、ここのところが配達区域外になっているとか、いろいろなことを言われている、そういうことを全部挙げておると思います。この現状を御存じですか。御存じじゃないと思うのですが、どうですか。
  251. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お言葉でございますがということをまず申し上げたいわけでございますが、いま配達度数の一度とか二度の差あるいは速達区域内と区域外のサービスの差というものは、その限りにおいては差であるということは事実そのとおりでございます。ただ、郵便法の趣旨に徴してとかあるいは今後の郵政事業のあり方として、いま御議論を願っているような差というものは今後の方向といたしまして解消しなければならない差であるかどうかという点については、一般論として申し上げますと、私はにわかに賛成できかねるわけでございます。つまり伝統的に一度、二度というものの差あるいは速達の区域内、区域外というものがございまして、今後の方向としてそういう差を解消するということが方向かどうかについては、私ども申し上げておりますところの合理化効率化というような観点からしましても、にわかにそのとおりでございますということは私ども言いかねる面もございます。ただ、私……
  252. 野口幸一

    野口委員 もう時間がないから……。そんなことを私、聞いているんじゃないのです。全部二度配達しろとか、そういうことに平等化しろ、そんなむずかしい話といいますか、いまの外国の諸例を見ても、ほとんどの国が、ほとんどといいますか、先進諸国では郵便は一度しか配達していないという現状も知っています。だからそれはいいんだけれども、少なくともいま取り扱っている中で考えられる格差というのはまだそのほかにあるでしょう。一度とか二度とかの問題じゃなくて、その一度とか二度というのを決めたのも、実は郵便がたくさんあるから二度行くというふうにこっちが勝手に決めたのであって、二度配達してもらうということは国民の側から要求されて出てきたのじゃなくて、たくさん郵便物があって一遍に持てないから二遍になっただけの話じゃないですか。そういうサービスの提供の仕方だったんだけれども、そういう考え方でなくて、国民サイドからのあまねく平等という立場を堅持するようにやってもらいたい。ついては四キロというのは速達配達にあるでしょう。その四キロというのはあるのですよ。ところが四キロでも局の相互間のあれによってそうなってないところがたくさんあるというのですよ。だからそれは当然平等にすべきだ。四キロというのは現行ではっきりしているんだから、四キロ以内は速達郵便物を配達しますということをやはりきちっと決めなければだめでしょう。そういう意味での不公平をなくしていただくように全国へ御通達をいただきたい。それに対する金、要員は一体幾ら要るのかということもあわせて調べてもらいたい、こう申し上げているのです。
  253. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのような個別的な問題解決というような点については積極的にお話を承り、その中からふさわしい解決、できるもの、できないものを整理して、そういう御不満がないように進めてまいりたい、こういうふうに思います。
  254. 野口幸一

    野口委員 最後になりましたが、一言だけつけ加えさせていただきます。  郵政事業が今日まで非常に長い歴史を持って国民に対応をしてサービスを提供いたしておりまするが、一番大事なのは、そのサービスを提供する従事員であります。その従事員が本当に郵政事業のことを思って仕事をし得る状態に置かれるようにしていただきたいと思うのでありまするけれども、それがいまの制度の中では必ずしも万全であるとは言い切れません。先ほどの私の先輩の先生の御発言の中に、特定郵便局制度の問題が持ち出されておりましたけれども、一方ではそういうような人事の状況が存在している。特定郵便局長の任用は自由任用制であるということで、今日息子なりが継承しているわけでありまするけれども、そういった矛盾が部内に存在する限りにおいて、幾ら美辞麗句を並べ、あるいはまたその合理性を説得してみても、近代性を追求するという郵政省の姿としては私どもは率直に受け取ることができないのであります。片っ方は古い存在、六十五歳といったって、局舎を持っておる者は六十八まででも特定郵便局長でいる。なぜ六十八までいるんですかと言ったら、この人は局舎を出しているからだなんてこんなばかげたことがまかり通っておりて、片っ方は郵便の近代化を図るということをいわば従業員に周知徹底をして、近代化、事業の合理化を言ってみてもナンセンスであります。だから、全体的にひとつ御検討をいただくように、大臣はおりませんけれども、一言皆さん方からお伝えおきをいただきたいということを最後に申し述べまして、私の質問を終わります。
  255. 佐藤守良

    佐藤委員長 野口幸一君の質疑は終了いたしました。  依田実君。
  256. 依田実

    ○依田委員 いろいろこれから郵便法の改正についてお尋ねするのでありますが、その前に大臣に関係のあるところだけ二問ばかりさせていただいて、もし大臣御用がありましたらどうぞお引き取りいただいても結構でございます。順序が逆になりますけれども、もしあれでしたら、二問だけ先にやらせていただきたいと思います。  まず一つは、これは直接関係があるわけではございませんけれども、最近の話題の中の例の公定歩合の引き下げに伴いまして、前回は連動しなかったわけでありますけれども、今回は郵貯の利子の引き下げが行われるのかどうか、この辺について大蔵省筋からあるいは日銀からすでに何事か相談があったのかどうか、この辺について大臣からお話を伺わせていただきたいと思うのです。
  257. 山内一郎

    山内国務大臣 新聞では公定歩合引き下げというのはたびたび見ますけれども、ただいままでのところ、大蔵省から全然連絡はございません。
  258. 依田実

    ○依田委員 もう一つ大臣に御質問いたします。これは順序が逆になるのですが、先に質問させていただきます。  先ほどから郵便法改正の実施の時期についてはお答えがなかったわけでありますけれども、御承知のように、消費者物価は、政府見通し六・四%、現状八・七%、こういう意味でなかなか達成が無理じゃないか、こう思われているわけでありますけれども、・実施の時期を決める段階で消費者物価の動向を勘案するかどうか、これだけちょっとお尋ねをさせていただきたい。
  259. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省といたしましては一日も早く値上げの御承認をいただきたいと思います。ただ、六・四%は政府で決めておる見通しでございますので、御提案申し上げておることは、なるべく遅く、そしてなるべく安く、こういう案で御提案いたしております。したがって、法律の御審議によると思いますけれども、衆参で御審議が終われば、ひとつできるだけ早くお願いしたいものであるなと考えております。
  260. 依田実

    ○依田委員 それでは本論に戻らせていただきます。  郵便物の流れ、時勢によりましていろいろ変化があるんだろうと思うのであります。量あるいは種類についてもいろいろ変化があると思うのでありますけれども、その中の一つに都市近郊そして地方都市、この二つのジャンルを取り上げて、郵便物の流れに近年顕著な変化があるのかどうか、この辺についてお尋ねをさせていただきたい。
  261. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵便をめぐる社会経済条件からいろいろな影響があることは事実でございますが、その顕著な影響一つとして、先生ただいま仰せのとおり、都市においては人口の増加並びに核家族化による世帯数の増加、あるいは郵便物数の増加という地域が非常に顕著でございます。一方、地方に参りますと過疎化現象が見られる地域がございまして、配達個所数でございますとか利用していただいております郵便物数の激減ということがあるわけでございます。そういう社会経済条件の変化の一つとして、先生指摘のとおり、私ども郵便事業を運営する大きな課題ということで受けとめているわけでございます。
  262. 依田実

    ○依田委員 いま御指摘の、もし変化があるとするならば、それに対応して郵便局員、職員の定員が適時変えられているのかどうか、そういうことについてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思うのです。
  263. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども定員の配置というのは、仕事の量、端的に言いますと郵便物数の量にふさわしい労働力の配置ということが基本でございますので、ただいま御説明を申し上げました過密化というところには増の要因があるわけでございますし、過疎化の地域においては減の要因があるわけでございますので、その増減を適正に調整する必要がございます。私ども、これを定員調整と称しているわけでございますが、その定員調整をできるだけ実態に応じて正確に早くやりたいということが私たちの念願でございます。それで、昭和五十年から五十四年度の定員調整措置したものを具体的にちょっと数字で御紹介させていただきますが、内務で四百九十人、外務で七百四十人、計一千二百三十人の定員調整をやったところでございます。
  264. 依田実

    ○依田委員 現場の声を伺ってみますと、都市近郊においてはいまだ定員が少し不足しているんじゃないか、そしてまた地方都市においては依然として前の定員が残っておる、こういうような傾向がある、こういうふうに聞いておるわけでありまして、いまの局長の御答弁にありましたように、なるべく迅速にその流れを見ながら定員調整をしていただきたい、こう思うわけであります。  ところで、都市近郊非常に郵便物が多くなっておるということで、現場では定員調整がおくれておる、そこで非常勤であるとか請負制度、こういう形で補助をしておるこういうことでございますけれども、非常勤、請負の現状はどうなっておるのでしょうか。
  265. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  大都市及びその近郊地の急激な発展に対処するため、小包配達については一部部外へ委託しております。さらに、団地の郵便配達や郵便の引き受けには、一日のうちでも時間帯によりましてかなりの増減がございます。そこで、ピーク時における必要労働力というような点を非常勤職員で雇用している実態がございます。  これをさらにもう少し具体的に申しますと、小包の配達委託は、受託者が約四百人、配達戸数が年間約一千百万戸、これを小包の委託というかっこうで請負者の方にゆだねているわけでございます。それから団地配達でございますが、実施個所が全国で五百三十六団地ございまして、世帯数にいたしまして約九十八万六千世帯ということで、これを非常勤職員、マスコミ的な表現で言いますとママさん配達というふうに称しているわけでございますが、こういった人たちが一千三百人おります。それから、ピーク時に対処する調整的な労働力というようなかっこうで約二千五百人お願いをしている、こういうのが実情でございます。
  266. 依田実

    ○依田委員 請負、非常勤、これの人件費というのは全体で見て何%になっておるのでございましょうか。
  267. 魚津茂晴

    魚津政府委員 まことに申しわけございませんが、直ちに答える資料を持ち合わせておりませんので、後刻御報告をいたしたいと存じます。
  268. 依田実

    ○依田委員 これから、定員の問題もそうでございますけれども、なるべく能率的、合理的にこの郵便事業をやっていただかなければならぬわけでありまして、そういう意味郵政審議会の答申の中にもございますように、一日二回の配達、これを一回にしたらどうだ、こういう提案がなされておるわけであります。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 先般も何カ所か決めて試みに行う、こういうことを郵政省の方で発表されておりますけれども生活状態がだんだん変わりまして、都会においては共かせぎの世帯なども多くなっておりまして、普通の一般の御家庭では一日二回郵便物を受けなくてもそう不自由はないんじゃないか。それはビジネス街とかそういうところは違いますけれども、それ以外のところは原則として一日一回でよろしいんじゃないか、こう思うわけでありますけれども、現在一日二回配達をしている区域というのはどういうところなのか、そしてまたこれを一回になさるのに、試行といいますか、試みに行う地区をお決めになりましたけれども、全体的にこれを一回にする御計画はいつごろまでにおやりになるのでしょうか。
  269. 魚津茂晴

    魚津政府委員 配達一度化の問題、これはもう先生御承知のところでございますが、郵政審議会の答申でも御提言をいただいておるわけでございまして、そういう一度化の施策をとるという私たちの基本的な考え方といたしまして、一つは、本当に二度のニーズがあるかどうか、そういう問題もございます。それから、現在二度配達しているのを――午前中に配達するのを一号便と称しておりますが、私どもの運送便の実態からいたしますと、おおよそ一号便で配達するのは八三%くらいでございます。二号便で一七%くらいという極端なアンバランスも出ておるという辺と、それから効率化合理化という施策にも役立てたいということから、私ども、関係の地元の皆様、それから関係の職員によって組織されている労働組合というようなところとそれぞれ話をしながら試行してみたいということが現状でございまして、現在全国で郵便の集配区画というのは約五万区ございます。五万区のうち四六%が二度地でございます。区数にいたしまして二万三千区ということで数えておるわけでございますが、そういうようなところを、今後試行の結果を見ながら、特段の問題がないというような社会的な条件が整うとすれば、私ども将来的には一度地にしてまいりたいという気持ちで、いま来年の春を目途にその試行のための準備をしているのが現状でございます。
  270. 依田実

    ○依田委員 現状から言えば、一日一回でいいとわれわれはこう思っておりますので、ひとつなるべく早く試行を終えられて実施に移らせていただければと、こういうふうに思うわけであります。  ところで、諸外国の郵便料金を比較しているのを拝見させていただきますと、大体先進国は六十円から七十円ぐらいが普通でありまして、アメリカだけが非常に安い、こういう表が出ておるわけでありますけれども、聞くところによりますと、アメリカは補助金、助成といいますか、そういう金が出ておって安くなっておるんだと聞いておるのでありますが、しかし一説には、われわれが逓信委員会の派遣でアメリカへ行きまして向こうの当局者からいろいろ話を聞きましたときに、やはり機械化、自動化、これがその大きな原因である、こういうふうに答えられておったわけであります。それに比較しまして、いまの日本の郵便事業の中でどの程度機械化が行われておるのかどうか、大略お知らせをいただきたいと思うのです。
  271. 魚津茂晴

    魚津政府委員 機械化の現状ということでございますが、まず、郵便番号制に伴う自動読み取り区分機導入というものが四十年代最大の機械導入であったと存じます。それから、局内作業搬送設備とわれわれは申し上げておりますが、その搬送設備における機械化という分野もございます。それから、集中処理局をつくりまして、その中で効率的に大量な作業が可能になるような機械も入れました。それから、外務作業における機動力という観点で、モーターバイクでございますとかあるいは四輪というようなものも入れました。  そういうことで今日まで機械化、それを通じた合理化効率化という施策を進めてまいったわけでございますが、今後においてもこの配備機械類のより効率的な運用と改良に努めまして、そして中規模局に適した小型郵便番号自動読み取り区分機等の導入、それからバーコード方式、白黒によってある一つの記号をつくりまして、その記号がある数字をあらわす、あるいはアルファベットを表現する、そういうものを読み取るというかっこうで省力化機械が出てまいっておりますが、それをバーコード方式と言っておりますが、そういうバーコード方式による郵便処理のための機械化、あるいは音声によって郵便物区分する。とりわけいま考えておりますのは、小包郵便物の処理をする、いままで手で打鍵をしたものを、音声で区分をするというようなかなり効率的な機械を、実際に使えるように今日実験を続けているわけでございます。  機械化という観点からすると、大体そういう施策を進めているところでございます。
  272. 依田実

    ○依田委員 細かいことでありますけれども、その自動読み取り区分機、これが、聞くところによりますと、印刷の番号と手書きの番号を同時に読み取れない。同じ機械でスイッチを切りかえることによって別々には読み取れるんだそうですが、同時に手書きと印刷物の番号を読み取れない、こういうふうに聞いておりますが、そうなんでしょうか。
  273. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  現状においてはスイッチを使って、印刷による番号表示、それから手書きの表示というものを同時に区分ができないということでございましたけれども、今日、同時に手書きのものも印刷によるものも読み取れる機械というものの使用というものにめどがつきまして、本年度末には配備できるものというふうに考えております。
  274. 依田実

    ○依田委員 機械化と同時に、やはり合理化の大事な部分は輸送システムといいますか、そういうものの改善じゃないか、こう思うのであります。輸送システムと申しましても、バイクとかそういう意味じゃなくて、物流――普通の商品ですとトラックターミナルであるとか物流センターであるとか、そういうところが最近は非常に多くできまして、物の流れを合理化しておるわけであります。そういう意味では、郵便の流れというのはやはりどこで差し立てをするか、これじゃないかと思うのであります。中央郵便局などはどちらかというと場所的にもう拡張の余地がないわけでありますから、ああいうところは窓口サービス専門の局にいたしまして、差し立ては広いところを郊外なりにつくりまして、そこへ集めて、そこでやるのが合理的じゃないか、こういうふうに思うわけであります。晴海にそういうものができておると聞いておりますけれども、もっと全国的な規模でそういう差し立ての局の統廃合というものをお考えいただければと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  275. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現状におきましても、東京にはそういった趣旨でのシステムというものが晴海の集中局、それから南部、北部の集中局、さらに国際郵便局というものがそういった観点からの施策として打ち出されたものでございますが、そのほかに大阪にも小包集中処理局、それから近い時期に開局するということで準備を進めておるわけでございますが、名古屋において、さらに神奈川局においてというように、先生おっしゃる御趣旨でわれわれ施策を進めてまいったわけでございます。  なお、そういう集中処理局というようなネーミングのついてないところであっても、考え方として二局のものを一局でやる、三局のものを一局でやるというような差し立ての集中化、それによる輸送区分方というものを全国で進めてまいっているところでございます。
  276. 依田実

    ○依田委員 ぜひその線に沿って実施をしていただきたい、こう思うわけであります。  もう一つ差し立てのことで、郵便物の集配の流れと時間の関係があるんだろうと思うのであります。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 われわれが聞いておるところは、大体午後三時ごろから夕方にかけて郵便物が差し立て局へ入ってくる、こういうことであります。そうなりますと、それ以降、六時以降九時なり十時なり、つまり夜間にかけて作業を進める、これが一番物の流れと人員の配置を合理的にする方法ではないかと思うのでありますけれども、現在組合などとの話し合いで、この夜間労働、こういうものが郵便物の流れにうまく適合するように話し合いができておるのかどうか、この辺についてお話をお聞かせください。
  277. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この夜間労働を主体とした作業、それから昼間の時間帯を主体とした労働力配置の仕組みというものについては、それぞれ功罪がございます。要するに経費的に安くやるというようなためには昼間帯の労働力を配置するということになろうかと思いますが、どうしても郵便の差し出しの時期という実態を考えますと、夜間における処理というものを通じましてスピードを維持するということから、夜間労働というものが私たち職場に必要になってまいるわけでございます。そういうようなことでございまして、現在交代制、夜間に仕事をする、昼間に仕事をするというシフト制の職員が四万七千五百人、郵便関係職員でいるわけでございますが、そのうち夜間に配置している職員というのは三〇%に当たります一万四千七百人という職員数を夜間の時間帯に配置しまして、郵便のスピードというものを維持するための労働をお願いしているというのが実態でございます。
  278. 依田実

    ○依田委員 経費上昼間がいい、こう言うのなら別でありますけれども、いろいろ組合との話し合い、こういう問題で夜間の要員が確保できない、こういうことでは困るのでありまして、その辺の話し合いをスムーズにできるような環境整備をぜひしていただきたい、こう思うわけであります。  ところで、郵政審議会の答申の一番最後のところにも「職員一人一人が意欲をもって職務の遂行に当たることが不可欠であり、そのためには、厳正な職場規律を確保する」「適正な処遇を行う」こういう提言がなされておるわけであります。ぜひその線でやっていただきたいと思うのでありますが、最近は少し落ちついているようでありますが、一時はこの適正な、厳正な職場維持ができていたかどうかということについてはわれわれいろいろ疑問があったわけであります。  少し古い話でありますが、二年前の年賀はがきのスト、このときに行いました処分、これは信賞必罰の上から大事なことなんでありますが、どういう状態だったでしょう。
  279. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先生お話しいただきましたようにちょうど二年近く前になるわけでございますけれども、私ども部内の労使関係の紛争から非常に大きな郵便の混乱を起こしまして、国民の皆様に御迷惑をおかけしたわけでございますが、やはりその原因はともあれ、実際になされた違法行為といいますものは厳然として存在をいたすわけでございますので、その実態といいますものを十分に把握をいたしました上で私どもなりに適正厳格な処分をいたした、このようなつもりでおります。  念のためでございますが、処分の内容でございますが、これは五十四年の四月二十八日に、解雇三名、懲戒免職五十七名を含みますところの八千百八十二名の処分を執行いたした次第でございます。その後、おかげさまで私ども、全逓信労働組合との間で今後お互いに反省すべきは反省し、大いに意思の疎通を図って業務の運行を図っていこうではないかというような取り決めができまして、その後先生おっしゃいますように、どうやらいまのところ大きなおしかりはいただかないで推移をしてまいっておるというのが現状の姿でございます。
  280. 依田実

    ○依田委員 いまの局長のお話ですと、どうやらスムーズにいっておるということでございますけれども、一説には、現状でも五十万から百万ぐらいの滞貨、こういうものが常にあるんだという話も聞きますが、実際そういう平常滞貨があるのか、どのくらいあるのか、伺わせていただきます。
  281. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私たち、最近の郵便業務は全体として順調に運行されているということで、国民の皆様方にこたえ得る仕事ということで考えている次第でございますが、それじゃ全然滞留というのが全国の郵便局をながめましてないのかということになりますと、もちろん郵便物数というのがその日のあれによって違いますので一概には言えないわけでございますが、平均的に言いまして、先生いま仰せの全国大体五十ないし六十万通の滞留がある。一日の配達物数は大体三千六百万程度でございまして、そういう点から一・数%になろうかと思います。それじゃ、なぜそういうたとえば一・数%にしろ滞留があるのかというような点につきましては、職員が意識的に郵便物を残すというような態様による原因ではない。もちろん一カ月なら一カ月を見てみますと、一過性的な職場のあつれきというのは時としてないとは私は申しませんけれども、一日数十万の滞留というものは、原因として共通しておりますのは、発展の著しい、先ほど先生のおっしゃった過密化というようなところに発生する。大都市及びその周辺のところで、人口世帯が著しく増加している上に、町名地番の混乱あるいは頻繁な転出入、交通事情の悪化など、配達作業環境というものが依然として整備されてない面もございます。それから、月末などの郵便物がふくそうする時期に郵便がおくれるというふうに原因を見ているわけでございます。
  282. 依田実

    ○依田委員 繰り返しますが、それでは意図的に滞留はない、こういうふうにはっきり言い切っていただけるわけですね。
  283. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ただいま申し上げたように、そういったものはないというふうに考えております。
  284. 依田実

    ○依田委員 最近、集配職といいますか、郵便の外務員、これに大学卒を数年前から採用されておるわけであります。新聞にも出ましたけれども、当時非常に不況であったということでこれへの応募者が非常に多かった、こういう現象が出ましたが、現在、大学卒郵便外務員というのが何人くらいあるのか。最近の募集状況、それに応募状況はどうなっているのでしょうか。
  285. 岡野裕

    ○岡野政府委員 お答えをいたします。  もともと国家公務員の初級職試験でございますか、あるいは手前ども内部でいたしておりますところの郵政職員採用試験、いずれもこれは高等学校卒業程度もしくは中学校卒業程度の学力があるか否か、それによりまして郵便局の職務執行に適性を有しているか否かというようなものを判断をするための試験なのでございますけれども、最近やはり高学歴化社会になってまいったとか、あるいは就職状況いろいろやさしくはないというようなことが原因であるのでございましょうか、先生おっしゃいますように、大学あるいは短大卒業生の皆さんが、あるいはそれが卒業見込みの者が受験にお越しになるという者も数がふえてまいりまして、ここへ準備をいたしました数字は、五十四年度中の数字ではございますが、郵政職員採用試験の乙を中心とするものでございますが、全体で五十四年度につきましては応募人員が三万六千八百十九人のうち、大学卒業もしくはこれが見込みの者九千五百四十四人でございまして、二五・九%というような高い数字になっております。  しからば、応募状況がこんなであるが、実際の採用者はどうであろうか。採用者につきましてはつまびらかな数字がないのでございますが、試験を受けた、その結果合格をいたした者の数三千四百七十三名中、大学卒業もしくはこれが見込みの者が九五六十一名でございまして、パーセントは二七・七、こんなふうになっているわけでございます。ただ、合格をいたしましても、実際には郵政部内に就職されない、民間さんに行かれるなどというようなケースもございますので、採用者の数はこれよりも幾らか少ないのではないか。しかしながら、やはりパーセントとしてはある程度高い数字になっている、こんなふうに把握をいたしておるところでございます。
  286. 依田実

    ○依田委員 まだ現在は採用されてそう間もないわけでありますから、それぞれの職場に意欲を持ってお働きになっていらっしゃると確信しておるのでありますが、やはりこの職員間の異動というのは非常にむずかしい。つまり外務員で応募された方は外務員、こういう形になっておるわけでありますから、やがて数年後にいろいろ職場に対する不満、つまり高学歴のために持つ不満というものが出てくるのではないか、こう思うわけであります。そこで、この将来に備えて部内での異動あるいは昇進などについて、そういう事態を予想していろいろ適切な手が打たれておるのかどうか、その辺についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  287. 岡野裕

    ○岡野政府委員 その大学卒業生としての外務職員に限りませんで、外務職員としていろいろ希望を持つ、あるいは勤労意欲を発揮をしていただけるいろいろな方便があるかと思うわけでございますが、一つ昇進の面でどうであるかという面からのみ取り上げてみるといたしますならば、外務員であってもやはりその中間職制というような意味合いにおきまして主任制度あるいは班長制度――これはちょっとニュアンスが違いますけれども班長制度、それから主事制度などという職制があるわけでございます。これらにそれぞれ任用、登用されるというような諸君は非常に数も多いわけでございます。それからまた、郵便外務員以外の分野において大いに仕事をいたしたいと言います諸君につきましては、転用試験と申します試験がございまして、一定の試験を内部的に受けました結果、これに合格をいたしました段階では内務職員の方に配置がえになるというような仕組みもございます。あるいはまた、昇進とは必ずしも直接結びつかないわけでございますが、部内にはもろもろの研修制度がございまして、いわく中等部研修あるいは高等部一科、二科の研修、あるいは専門部あるいは郵政大学校本科などというもろもろの訓練制度があるわけでございますが、これはやはり公に、外務員、内務員を問わず門戸を開放して広く受験をいただけるようにというような構えをとっておりますので、そういった道におのれが力を発揮をするというような諸君も多かろう、こんなふうに思っております。  しからば、実際いま管理者の中で外務職としての経験を持つ管理者がどのくらいの数があるであろうか。これは郵政局の課長以下あるいは郵便局の局長、次長あるいは課長といいますようなポストにある者の数でございますが、全体で千百五十四人が外務職出身の郵政部内管理者であるというようなことから見ましても、一応その努力のいかんによりましては門戸は開かれておるというふうにいまのところ理解をしているところでございます。
  288. 依田実

    ○依田委員 郵政事業は人に頼るところ大でありますし、一人一人が勤労意欲を持って働けることが大事だろう、こう思うわけであります。そういう意味で労働組合との話し合い、これが一番大事になるわけでありますけれども、民間においてはよく経営協議会、こういう形のものがあるわけでありますが、郵政省においてはこういうものがあるのかどうか。あるいはまた職員側の提案というものがスムーズにいろいろ仕組みに生かされておるのかどうか、その辺のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
  289. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先ほど先生郵政審議会の答申の中にもこんな表現があるというお話があったわけでございますが、私ども記憶をいたしております中でも、五十四年の十二月十一日の郵政審議会の答申の中で「適切な職員管理と安定した労使関係の確立」これがすべからくその業務の正常な運行を図るための要諦になるというようなお言葉もありましたりなどしまして、これを体しまして私どもいろいろの努力を積み重ねているところでございますが、その一つは、先ほどお話をいたしましたように、何はさておいて労働組合の諸君といろいろな労働条件をめぐる問題についてざっくばらんな話し合いを十分詰めていくということが一番の道となるのではないかというような意味合いでいろいろ努力をしているところでございますが、そのほかにはまだ労使協議制というほどのものにまでいっているか否か、この労使協議制につきましては、言いますならば協議決定権まで持つというようないろいろ欧米のシステムもありますものですから、そこまではいっていないのでございますが、大体年に四回ぐらい労使双方の幹部が郵政事業労使懇談会というような名のもとに、たとえば郵便貯金の金利の問題でありますとか郵便財政の問題でありますとか等々につきまして意見の交換をする場というようなものも発足をいたしているところでございますし、それから、先生のお言葉にもございました職員を対象としますところの提案制度でございますが、これは郵政省いささか誇りにしているところでもございますが、おかげさまでその事業経営に取り入れることができるような提案も相当上がってきておりまして、それらを含めまして大体年間で、昨五十四年度におきましては三万七千件の提案が上ってきております。郵政部内職員三十一万余でございますが、三万七千といいますと相当皆様が意欲的に応募をしてきてくれているという数字になっているのではないかなという感じを持っているところでございます。中には非常に優秀なものがございますので、これらにつきましては逓信記念日の大臣表彰というようなものを差し上げることによりましていささかのお報いをするというような、あれやこれやの施策を講じているところでございます。
  290. 依田実

    ○依田委員 話題は変わりまして、例の小包の話になりますけれども、先般小包の料金が上がりましてから、一部に民間の宅急便、宅送便などへの乗りかえがふえておる、こういう現象を聞くわけでありますけれども、この値上げ後に際立ったそういう現象が出ておるのかどうか、伺わせていただきたいと思います。
  291. 魚津茂晴

    魚津政府委員 小包の料金改正は、御案内のとおり十月一日からやらせていただいたわけでございますが、その後の影響を全国的に、しかも正確に把握するという調査はまだ済ませておりません。ただ、私ども料金改正後の小包の物数増減というものに非常に関心を持っていることは事実でございまして、全国の主要局六十六局を抽出いたしまして十月一日から十一日までの間調べてみましたところが、前年同期に比べまして約三三%減という結果が出ているわけでございます。ただ、この三三%というのが全国の実態を推しはかるに合理的な数字であるかどうかという点については、私はいささか疑問も持っているわけでございます。と申しますのは、その六十六局でも局によってずいぶんアンバラのある数値が出ているということと、それから九月の終わりに約一週間、前年の物数と比較してみましたら、これはまた八三%程度増加をいたしております。つまり、料金値上げとの関連で、私たち俗に駆け込みというような言い方をしておりますが、駆け込みの利用という実態があったということになりますれば、いましばらく時間をかしていただきましてその実態を調査いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  292. 依田実

    ○依田委員 今回の値上げ後まだ日時が少ないわけでございますから、その実情についてなかなか調査ができない、これはもっともなことだと思うのであります。しかし、前回値上げ後の動向を見ておれば大体推測はつくわけでありまして、そういう意味先ほど同僚議員からいろいろ質問がありまして、それに対して局長は、民間のサービスなどで学ぶべきものを取り入れてやっていきたい、こういうお話だったのでございますが、無理をしてこの小包部門で民間と競争をするよりは、国鉄の赤字路線の切り離しの論と同じでありますが、なるべくこういうものは民間へ移譲したらどうか。なるべく官業部門を縮小するというのが私たちの政党の趣旨でありますので、そういう意味からしても競争、太刀打ちできないようなものは民間へ移譲させたらどうだ、こういうふうに考えておるのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  293. 魚津茂晴

    魚津政府委員 小包が民間との競合ということから、それに押されて一層赤字をふやしているのではないかという観点から、小包民間移管論というようなことも私ども議論として伺うことがございます。しかしながら、私ども実態を承知しているところによりますと、民間の運送業者にカバーされているエリアというのは、全国の市町村で言いましてわずか三四%程度であるという実態でございます。したがいまして、六十数%というのはもっぱら郵政省の小包という形によって送達される、またそれ以外の手だてがないような地域でございまして、赤字の原因である、また都会地において押されているということから小包を民間に移管することは実態にもそぐわないし、郵政事業の公共性という点からは、国民の御支持はとても得られないことだというふうに思っております。  ただ、小包の民間移管であるとか特殊な郵便物を全体として移管をするということについては、それぞれ郵政省が歴史的なものあるいは今日的な合理性、必要性がある中でやっているわけでございますので、そういう観点ではなくて、事業運営の合理化効率化という観点から、郵便物の移送あるいは山間地等における個人請負による配達、あるいは小包郵便の配達など、郵便物の部分的なあるいは作業工程の部分的なものについては民間に委託をしていくということで進めてまいりたい、かように思う次第でございます。
  294. 依田実

    ○依田委員 外国においては、こういう郵政事業に当たるようなものの中で民間に委託しておるものはあるのでしょうか。
  295. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、詳細承知はしていないわけでございますが、先ほど申し上げましたような限度で郵便の使命を保持しながら民間委託が行われているというふうに理解をしているところでございます。
  296. 依田実

    ○依田委員 時間がございませんので法定制緩和の問題に触れさせていただきたい、こう思うのであります。  財政法三条にも、事実上国の独占に属する事業については云々、こうあるわけであります。五十二年の国鉄の法定制緩和のときの国会の御議論をいろいろ見ておりますと、たとえば政府委員の答弁の中に、国鉄のように財政法制定当時に比べまして独占度が著しく低下しているような事態に応じましてとか、事業の独占性の程度に応じまして、その決め方、その基づき方というのはおのずから差異がある、こういうふうに、つまり独占性というのを非常に強調いたしまして、そういう意味で国鉄は独占からだんだん事態が変わっておるので緩和をしたい、こういう議論がなされておるわけであります。  ところで、郵便事業というのは全く独占だろう、こう思うのでありまして、そういう意味では緩和をする論拠が薄いのではないかと思うのですがいかがでしょう。
  297. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  仰せのとおり他人の信書の送達ということは、郵便法の五条によりまして独占ということで郵政事業が専掌しているわけでございます。考え方といたしますと、自己の信書の問題、それから信書以外の郵便物の問題、それから郵便というものの中における独占論議ではなくて、要するに社会的な生活の中におけるコミュニケーションの中に占める郵便の果たしている割合、その割合の低下という点から注目して見る。さらにまた、何回か御答弁申し上げているわけでございますが、郵便料金の持つ国民生活への影響というような点をわれわれ考えまして御提案をさせていただいた次第でございます。
  298. 依田実

    ○依田委員 この議論は前回にもいろいろされておりまして、何度聞きましてもわれわれとしてはなかなか解釈しにくい、こういうふうに思っておるので、水かけ論になりますからあれでございますが、こうなりますと、財政法三条の特例に関する法律の中にいろいろ決められた価格がありますけれども郵便がこれで外されますと残るのは電信電話、こういうことになるわけであります。やがてこれも公共性のあれから言えば、独占度の分野から言うと公共企業体でありまして、郵便が外されるぐらいなら、やがてこれも赤字になったときは当然緩和される、こういうふうに考えておるわけであります。そうしますと、この特例に関する法律というのはもう有名無実ということになるのでありますが、この電信電話についても同じような解釈で、やがて赤字が累積する場合は緩和をする、こういうことですか。
  299. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  電信電話事業につきましては、財政法三条あるいは財政法三条の特例に関する法施行時におきましては国の事業であったわけでございます。したがいまして当然に適用があったわけでございますが、昭和二十七年に公社に移管いたしまして財政法、会計法の適用がないということになったわけでございます。もちろん、一方国鉄、専売の方につきましては、それぞれ国鉄法、専売法の中でこの財政法三条を準用する、こういう規定が入っておるわけでございますが、公社法を制定いたしましたときはその準用規定は入っていないわけでございます。しかし、その三条の精神に照らしまして電話料金の基本的なものにつきましては法定、こういうことになっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在電話料金等の問題では通話科の遠近格差という問題が大きく検討課題になっておりまして、この法定制の問題は現在検討はいたしていないというところでございます。
  300. 依田実

    ○依田委員 現在は検討されてないということでありますが、いずれこれは簡単に外される、緩和される、こういうことではないかというふうにわれわれは解釈するわけであります。  どうもこの法定制を緩和する政府側のいろいろな議論に、赤字がたまって大幅に上げるよりも、弾力的に適時適切に料金値上げする方が合理的だという思想が貫かれておるのではないか、こういうふうに思うわけであります。そうなると、どうしてもやはり三年ごとの大幅よりも毎年小幅にという議論が成り立たなくもないわけでありますけれども、今度の郵便法の改正の中には、郵便事業の損益計算書が赤字あるいは赤字になると見込まれるとき、こういうふうに書いてあるわけであります。そちらから出されております損益計算書を見ますと、五十八年度に赤字になる、こういうふうに出ておるわけであります。そうしますと、その間はやらない、そして五十八年にもう一度値上げをやる、こういうことでございましょうか。
  301. 魚津茂晴

    魚津政府委員 御提案申し上げている料金値上げの経営的な考え方ということで私ども持っておりますのは、五十五年度、六年度、七年度それぞれ単年度において赤字を出さないということを目指しながら料金改正案を御審議願っているところでございます。してみますと、単年度で赤字が出なかったということになりますれば、料金の法定緩和という仕組みからいたしまして、仮にやろうとしても法律的にはできないということになるわけでございまして、私どもの考え方、またわれわれの気持ちといたしまして、そういった時期までやらないという気持ちで現在いるわけでございます。
  302. 依田実

    ○依田委員 確認させていただきますが、これは見込みの計算でありますから、途中から物価とか賃金とか、いろいろそういう問題の趨勢いかんによってはこの数字は変わるわけでありますが、しかしこの数字どおりにいけば五十八年まではやらない、こういうことですね。
  303. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法制的にもまた私たちの意欲といたしましても、そのように御理解願って結構だと存じます。
  304. 依田実

    ○依田委員 緩和をされますと郵政大臣郵政審議会に諮問した上省令で、こういうことになるわけであります。ところで、これが大事になるわけでありますけれども、この郵政審議会の人選というのは学識経験者あるいは郵貯の利益代表者、簡保郵便年金の契約者の利益代表者、こういうふうにあるわけでありますが、後者の方の二つ、郵貯と簡保年金、こういうもののこれから選ばれる人の具体的な人選方法というのはどういうふうにされているのか、つまり地方の郵政局なりそういうところから推薦をしてお決めになっておるのか、何かそのほかの選ぶ方法をおとりになっておるのか。
  305. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵政審議会委員につきましては、たびたびお答え申し上げておりますとおりなるべく広く各界の意見が反映されるようにということで人選をいたしているわけでございますが、具体的な人選の手続といたしましては特に地方郵政局等からの推薦とかそういったルールは定めておりませんで、主として本省の目で広く各界の有識者の方々、特に郵政事業に関心を持って御発言になっておられる方々というふうな方を選びましてお願いをしているというのが大体の状況でございます。
  306. 依田実

    ○依田委員 現在のメンバー、私一覧表を持っておりませんから存じ上げませんが、中にいわゆる銀行、金融関係あるいは生保、そういうところからの学識経験者もいらっしゃるのでしょうか。
  307. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵政審議会に対するこれまでの考え方といたしまして、たとえば米価審議会のように生産者代表あるいは消費者代表云々というふうな三者構成そのほかのそういった明確な考え方は持っておりませんで、広く郵政事業に関心をお持ちの方あるいは郵政事業の利用者の方ということで一般的な選び方をしております。したがいまして、特に銀行あるいは保険業界といった業界の利益を代表される方というふうな形で人選をしているわけではございません。しかしながら、各界の意見を代表する方々をお願いするという意味合いにおきまして、経済界において企業経営の手腕、経験をお積みになった方というふうな方も委員お願いをしているわけでございまして、そういった見地から、金融機関等でお働きになった方あるいは現に金融機関の経営の責めにあられる方というふうな方が郵政審議会委員になられたことが過去においてございましたし、同じ意味合いにおいて今後においてもあり得るのではなかろうかというふうに考えております。
  308. 依田実

    ○依田委員 これからいろいろ、国鉄の方もそうでありますし郵便の方もそうでありますけれども、審議会の諮問を経て大臣が省令で決める、こういうことでありますが、そうなると審議会自体のあり方というもの、これは郵政審議会だけじゃなくてすべてに共通することでありますけれども、この辺の人選についていろいろ問題が出てくるのじゃないだろうか。本当に国民の世論といいますか――いまは特別に消費者とかそういうものは勘案してないというお話でありますが、逆に言えば、そういうものを勘案して人選をしていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  ところで、最後に、時間がありませんので一問だけやらせていただきますけれども、今度の値上げの家計における負担はどの程度になるのか、あるいは消費者物価への影響度は何%になるのか、それだけ伺わせていただきたいと思います。
  309. 魚津茂晴

    魚津政府委員 今回の料金改定が当初の予定どおり十月一日から行われるというふうに前提をとりまして計算いたしますと、家計に与える負担増は小遣い、つき合い費からも郵便料として支出されると見込まれるものを含めると、五十五年度において一世帯一カ月当たり約百円の負担増になるものと見込まれております。それから消費者物価指数に及ぼす影響は、年度平均で約〇・〇四%程度と見込んでおります。
  310. 依田実

    ○依田委員 以上で終わりです。
  311. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。  次回は、明二十三日木曜日午後零時五十分理事会、一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会