○
近藤政府委員 まず第一点の、スプリンクラーの
設置を義務づけられておるもの以外に野放しになっておるものが一万二千件程度あるというような
お話でございますが、
新聞紙上でそういった数字が出ましたが、根拠がどこにあるのかも、私
ども実はその数字についてはわからないわけでございます。ただ、スプリンクラーの
設置を義務づけておりますのは、現在御承知のように六千平方メートル以上の防火対象物ということになっておりますので、この
川治プリンスホテルの場合には、六千平方メートルに満たないものですから、スプリンクラーの
設置は義務づけられておりません。屋内
消火栓、
火災警報機その他によって
防災体制をしいておるというような
状況でございます。
スプリンクラーの
設置には、いま
お話がございましたように、相当の経費も要しまして、いろいろ検討の結果、過去の
火災事例から見まして、六千平米以上については
設置を義務づけよう。もちろん高層建築などになりますと例外がございますけれ
ども、あるいは雑居ビルにつきましてはもっと狭い面積にしておりますけれ
ども、一応四十七年にこういう基準を設けております。これをもっと狭い面積のものについても
適用すべきではないかという意見はもちろんございます。ただこれも、経費の面、社会通念の問題、いろいろございますので、この問題につきましては、関係方面とこれから十分検討をしていきたいと思っております。
次に、
査察の関係でございますけれ
ども、
査察をいたしましても、すぐ
措置命令あるいは告発に結びつけていないということを先ほど申し上げましたけれ
ども、全国的な
査察の数字はございませんけれ
ども、御参考のために少し申し上げますと、東京
消防庁管内で、昨年一年間で三十一万一千百八十八件の予防
査察を行っておりまして、
改善の
指摘をいたしました件数が三十九万二千三百十六件でございまして、その
指摘に応じて是正されましたものが十五万七千五百八十九件、この段階で四〇・二%が
改善されたということであります。
そこで、
改善されなかったものに対しまして、今度は警告を発しております。この警告の段階で是正されたものが六七・五%でございます。それで、これでも是正されなかったものについて
措置命令を出しておりますが、五十四年、年間で東京
消防庁管内では九百六件の
措置命令が出されておりまして、これによって是正されたものが四百三十九件、四八・五%というような形になっております。したがって、
査察は行い、いろいろ
指導という形での是正を要請しておるわけでございますが、最終的な
措置命令という段階に至るものは、先ほど申しましたような数字でございます。
ただしかし、その間相当の年月がたつ場合もございますし、今回のような不測の
事故にも結びつきかねない問題でございますので、私
どもこの関係につきましては、できるだけ早急に
改善させるという趣旨に基づきまして、必要に応じて
措置命令も出し、場合によっては告発をすべきであると考えておりまして、今回の一斉
点検通達におきましても、その旨を特に
指摘しておるところでございまして、今後はそういった方針で
指導してまいりたいと思っております。
なお、
査察の実態につきまして、
消防当局が捕捉しておるだけでは不十分なのであって、やはり関係地方団体の協力を得る、このことは非常に必要なことだと思います。それぞれ
消防本部と関係地方団体と協力して、
違反が
一つでも少なくなるように今後とも努力してまいりたいと思います。