○劔持政府
委員 幾つかお尋ねございましたが、最初の書籍の点について申し上げますと、実は五十三年の秋ですか、二年前から出版物の
流通関係につきまして
調査を行ってまいりました。そのときの問題意識といたしましては、出版物につきましては独禁法上再販売価格維持行為といいますか、これが認められているものでございますけれ
ども、法律に定められた以上のいわばきつい再販制が
実施されているのではないか。それからいろいろ
調査をしてみますと、
調査の結果では出版社等もいまの書籍、出版物の
流通がそのままでいいというわけではなくて、もう少し緩めてもいいのではないかというような声も出てきているわけでございます。それで、そういうこともございまして、出版業界に対しまして、法律にのっとりました再販
制度を
実施するようにという
指導を続けてまいったわけでございますが、ことしの十月一日から再販契約が新しい再販契約に衣がえするということになって、そこの新しい契約では独禁法上法律が予定しているような中身の再販契約になっているわけでございます。部分再販とか時限再販とか言われているものが盛り込まれたような新しい契約になっているわけでございます。
ただ、何分にも出版業界では六十年にわたりまして定価販売という実績がございますし、商売としては定価で売るというのが末端の
小売店、書店では通常の形になっておりましたので、十月一日からその再販価格を必ずしも守らなくてもいい出版物が出るような余地はできたわけでございますけれ
ども、まあ具体的にはまだ余り動いていないというのが
現状でございます。
次に、十四
業種につきまして
流通関係の
実態調査を
実施しているわけでございます。その中には出版物も当然入っているわけでございますが、その
状況を簡単に申し上げますと、現在十四
業種のうちで、出版物を含めまして六ないし七の
項目につきましては一応の
調査を終わっております。さらに二度目の
調査といいますか、二回目の
調査に入っているものもございます。
調査を終わった中で具体的な
対策をとりましたのが自動車
関係と出版物でございます。出版物につきましては、いま申しましたように新しい再販契約を締結するということで、一応現在そういう
指導を行っているわけでございますが、自動車につきましては、メーカーとディーラーとの間で、メーカーが非常に強い地位にございますので、ディーラーに押し込み販売とか白地手形
制度とかリベートとかといったような面で、かなり優越的地位の乱用と見られるような行為があるのではないかという点がございまして、これは契約書を改定するようなことで、契約書の改定はすべて十一月で終わっております。そういうようなことになっております。
それからあと
調査が終わりまして具体的に問題点が出てまいりました、または余り問題がなかったというところなんですが、先ほど冷凍水産物について申し上げましたが、冷凍水産物につきましてはマグロとすり身、それからエビの三品目につきまして
調査をいたしましたけれ
ども、問題点が若干なきにしもあらずだったわけですけれ
ども、現時点までにはそれをいずれも直して、直っておりますので、
現状では
調査した結果について特に独禁法上の問題点はないというふうに理解しております。
それからインスタントコーヒーとスコッチウイスキー等につきましても、
調査が終わっております。インスタントコーヒーにつきましては非常に高度の寡占業界でございまして、参入障壁が非常に高いのではないかということが考えられますし、さらに同調的な価格値上げの体質を持った業界ではないかという問題点があるわけでございますが、現時点ではとりたてて独禁法上特に是正しなければならないという点はないように考えております。それからスコッチウイスキーでございますが、これは
先生、
流通コストの点でお尋ねがございましたが、それの一例かと思いますけれ
ども、円高であるにもかかわらずちっとも輸入スコッチウイスキーの値段が下がらないではないか、円高差益はどこへ行ったかというような、
流通過程で円高差益が吸収されてしまって
コストが高くなっているのではないかというような一般的な御
指摘がありましたものですから調べたわけでございます。特に輸入総代理店の輸入とそれから並行輸入と両方調べました。その結果でございますが、実は円高差益が輸出価格の上昇、つまりスコッチ側におきます輸出価格の上昇でほとんど吸収されていたという
実態が実はわかりました。それからさらに並行輸入がございますが、並行輸入は総代理店が輸入するものよりもやや高い値段で輸入して、かつ国内では低い値段で売っているということもありまして、総代理店の方も販売価格を下げざるを得ないということになりまして、全般的には国内の小売価格は引き下がりの傾向にあるということで、価格上の問題は余りないというような結論になっておるわけでございます。それからさらに、専売店制とかそういった
流通系列化上いろいろな問題があるかと思って調べたわけでございますが、この業界について現時点では余りそういった問題はないというふうに私
ども現状をとらえております。
それからもう
一つ、レ
コード及び音楽テープにつきましても
実態調査を終わっておりますが、これは現在
共同再販といったような
観点からどういうふうな
指導をしたらいいかということで、
指導の準備をしているところでございます。
それから百貨店、スーパーにつきまして一回目の
調査を行いまして、押しつけ販売とか不当な協賛金というような
実態が明らかになっておるわけでございまして、後で
公正取引委員会の要請に応じましてそれぞれの協会が自主的な規制
措置をとっておるということでございますので、現在その
実態について
調査をしているというところでございます。
なお、化粧品、石油業、広告産業、それから家電製品、輸入ブランデー、新聞、
フランチャイズといった
項目につきましては、現在
調査を続行しているところでございますので、
調査がもう少し進みませんと、その具体的な問題点を御披露する
段階には至りません。
それからめがねについてでございますが、実はこれは具体的な申告事件として参っております。これは景表法に違反する申告事件として参っておるわけでございますが、私
どもとしてはそういうとらえ方をしております。それで問題は二重価格でございまして、二重価格の表示が不当に、有利誤認と言っておりますが、景表法の四条二号に該当するのではないかということで現在
調査を続行している
段階でございます。