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1980-11-05 第93回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十五年十月十七日(金曜日) 委員会において、設置することに決した。 十月十七日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    島村 宜伸君       田原  隆君    橋口  隆君       原田昇左右君    水平 豊彦君       宮下 創平君    粟山  明君       渡辺 秀央君    後藤  茂君       城地 豊司君    藤田 高敏君       水田  稔君    長田 武士君       北側 義一君    宮田 早苗君       渡辺  貢君    伊藤 公介君 十月十七日  島村宜伸君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十五年十一月五日(水曜日)     午前十時四分開議  出席小委員    小委員長 島村 宜伸君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    近藤 元次君       桜井  新君    田原  隆君       原田昇左右君    水平 豊彦君       粟山  明君    城地 豊司君       藤田 高敏君    水田  稔君       長田 武士君    北側 義一君       小渕 正義君    渡辺  貢君       伊藤 公介君  出席政府委員         科学技術庁原子         力安全局次長  後藤  宏君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁次長     豊永 恵哉君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君  小委員外出席者         商 工 委 員 辻  英雄君         工業技術院総務         部技術審議官  山中 正美君         資源エネルギー         庁長官官房総務         課長      野々内 隆君         資源エネルギー         庁長官官房エネ         ルギー企画官  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官官房石油         代替エネルギー         対策課長    川田 洋輝君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   水田 嘉憲君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 十一月五日  小委員植竹繁雄君及び城地豊司君十月三十一日  委員辞任につき、その補欠として植竹繁雄君及  び城地豊司君が委員長指名で小委員選任さ  れた。 同日  小委員宮下創平君及び渡辺秀央君同日委員辞任  につき、その補欠として近藤元次君及び桜井新  君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員宮田早苗君同日小委員辞任につき、その  補欠として小渕正義君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員近藤元次君、桜井新君及び小渕正義君同  日委員辞任につき、その補欠として宮下創平  君、渡辺秀央君及び宮田早苗君が委員長指名  で小委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  前国会に引き続き、私がエネルギー・鉱物資源問題小委員長選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  まず、当面のエネルギー情勢、来年度のエネルギー政策重点事項並びに石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律に基づく供給目標策定方針について、政府から説明を聴取いたします。森山資源エネルギー庁長官
  3. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギー・鉱物資源問題小委員会の開会に当たりまして、概況の御説明をさせていただきたいと存じます。  今回のイランイラク紛争に見られるような不安定な国際情勢背景に、エネルギー安定供給の確保はわが国にとって最重要な政策課題であることは申すまでもありません。現在、イラン及びイラクからの石油供給は完全に途絶されておりますが、供給面におきましては一部産油国の増産やGG、DD原油の順調な拡大需要面における昨年来の石油消費節約成果等により、備蓄政府備蓄を含め百十一日分に達しており、国民の冷静な対応があれば当面石油供給面における不安はありません。また、これから需要期を迎える灯油につきましても、現在七百十万キロリットルの備蓄を確保し、石油供給計画における水準を大きく上回っており、需給価格とも安定して供給し得る見通しでございます。  一方、将来にわたりエネルギー安定的供給を図るためには、ベニス・サミットにおける合意を踏まえつつ、今後十年間に輸入石油依存度を五〇%に引き下げることを目標として、原子力、石炭、太陽熱などの石油代替エネルギー開発導入を強力にかつ加速的に推進していくことが必要不可欠な要件であります。その推進母体として去る十月一日には新エネルギー総合開発機構が発足しました。今後この機構を中軸として石油代替エネルギー開発導入のための施策の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。  本日は今国会第一回目の小委員会でもございますので、次長等から当面のエネルギー情勢、来年度の重点施策代替エネルギー法施行状況及びサンシャイン、ムーンライト計画の現状などについて御説明させていただくことにいたしたいと存じます。  なお、委員長からただいま御指摘のございました代替エネルギー供給目標等につきましては、詳細担当政府委員から御説明をさせていただきたいと存じます。  商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会委員先生方におかれましては今後ともエネルギー対策に御支援、御協力をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  4. 島村宜伸

  5. 豊永恵哉

    豊永政府委員 本日第一回目の小委員会でございますので島村委員長からもできるだけざっくばらんに政府の考えている問題点などを話してくれないかという御要望もございましたので、当面のエネルギー事情を御説明しますに当たりまして、まず第一にエネルギー問題をどういう観点から考えたらいいのか、これは政府自体も悩んでおります一般的な問題から、その考え方から御説明をしていきたいと思います。  まず、現在の世界エネルギー構造を大ざっぱに申すとどういうことになっておりますかと申しますと、世界自由圏石油を一日当たり五千万バレル・パーデー、一バレルと申しますと百六十リットル、大体ドラムかん八分目ぐらいの量でございますが、五千万本のドラムかん石油消費しております。それから石油以外のエネルギー、これは石油に換算しますとこれも大ざっぱに申しまして約五千万バレル・パーデー石油相当しまして、要するに自由圏は現在一日当たり約一億本のドラムかん石油相当エネルギー消費しているという構造になっております。ちなみに、そのうち石油国際貿易に回りますのは大体三千万BD、ドラムかん三千万本相当石油国際貿易に回っておるわけでございます。  それで、このエネルギーという問題を考えますに二つ側面があると思うのでございますが、一つ経済エネルギーかかわり合い側面と、それから第二番目には国際政治エネルギー関係でございます。  第一番目の経済エネルギーの問題のかかわり合いというのは、いろいろな複雑な面を持っておるのでございますが、まず一番基本になりますことは、ちょうどいまから二百年前になりますか、産業革命が起こりまして、地球上の経済というのは大変急速な進歩をしたのでございますが、その本質というのは、それまで人間が手足の労働でやっておりました仕事を機械に置きかえたというのが産業革命本質でございまして、その機械を動かすには何らかの形のエネルギーが必要となったわけでございます。したがいまして、長い目で見ますと、産業革命以後、世界経済発展にはエネルギー消費の増大というのが不可欠でございました。長期的に見てみますと、大ざっぱに見まして、世界経済を一%伸ばしますには、エネルギーはやはり一%よけいに要るというような関係にこれまでなっておるわけでございます。  これが基本でございますが、最近の状況を見ますと、急速な石油の値上がり、量の不足、いろいろ言われておりますが、第一次の石油危機、それから昨年のイラン問題に発しました第二次の石油危機を振り返ってみますと、どうも世界石油事情というのには一つの限度というものが見えてきたというようなことが考えられます。それは何かと申しますと、先ほど、現在の世界エネルギー構造の中で石油世界貿易に回る量というのが大体三千万バレル・パーデーであると申し上げましたが、この三千万バレル・パーデーというのは、実は過去におきまして二回この水準に達しております。その第一回目が第一次の石油危機の前、つまり昭和四十八年の世界石油貿易量が三千万バレル・パーデー水準に達したのでございますが、第二回目の水準というのが去年でございます。つまり、世界貿易の量が三千万バレル・パーデーに達しますと、世界石油需給は非常にタイトになりまして、そのときに石油価格が非常に暴騰し、それでその後には不況が来る。つまり、三千万バレル・パーデーというのは、どうも石油世界貿易一つ天井のような感じが現在までのところしておるわけでございます。したがいまして、この天井を考えながら世界経済石油関係いろいろ別の点から考えてみますと、およそ三つの点からさらに世界経済石油関係が考えられるかと思います。  一つは、需給関係がタイトになって石油価格が暴騰したときにどのような経済的効果世界経済に与えるかということでございますが、その第一点は世界経済に与える不況効果でございます。大体大ざっぱに申しまして、価格が一バレル当たり一ドル上がりますと、世界全体では約百億ドル、消費国石油輸入している国から産油国に資金の移転が行われるわけでございますが、たとえば日本で申しますと、一ドル上がりますと大体十七、八億ドルでございますので、昨年のように十数ドルの上昇を見ますと、それだけで約二百億ドル以上のものが日本から産油国所得移転が行われるわけでございます。つまり、昨年一年で円で申しますと約五兆円ぐらいの価格上昇が見られまして、これはちょうど国民から五兆円の増税を行いまして、そのお金をそのまま産油国所得移転をするということと同じような経済効果日本経済に及ぼしたのではないかと思いますが、これは日本だけではなく、世界経済全体に対して同様の効果を与えるわけでございます。つまり、石油価格が急上昇しますと、その上昇したこと自体世界経済不況効果を及ぼすというのが第一点でございます。  それから第二点目には、もちろんインフレ効果を持つわけでございます。それは、石油価格が上がるわけでございますので、そのコスト上昇分は当然のことながら各国経済インフレ効果を及ぼすということになるわけでございます。  それから第三番目には、石油価格が上がりまして、その外貨の支払い面が実は国際金融に非常な不安な要因を与えるわけでございます。先進国のように比較的支払い手段に恵まれております国は何とかしのげるわけでございますが、油を産出しない発展途上国は、石油価格上昇しますとさなきだに苦しい国際収支に非常な重圧を受けまして、債務超過、大幅な国際収支赤字というものが発生するわけでございまして、これは第一次の石油危機以後大変危機感を持って見られたわけでございますが、この赤字問題を実は先進国のファイナンスという形で何とかしのいできたわけでございますが、これがまた昨年のような急激な石油価格上昇に伴いまして、石油を持たない発展途上国国際収支赤字の問題というものが大変深刻な問題になってくるということでございます。  このように、国際経済に及ぼします石油の問題というのは経済面でも相当深刻な問題がございまして、しかもそれが、三千万バレル・パーデーというような一つ天井需要が到達したときに問題が起こるというパターンが世界経済に定着しつつあるかに見えるわけでございます。  それから、エネルギー問題をさらに複雑にいたしますのは、これが今回のイランイラク戦争に見られますように、国際政治によって動かされるという面を持っておるからでございます。国際政治の面になりますと、これは世界経済エネルギー関係よりざらに予測不可能な面がございまして、これが石油の問題を考えるに当たりまして問題を非常にむずかしくしておる点かと思います。これが世界エネルギー問題を考えますときの大きな前提となるかと思いますが、特に現在はイランイラク戦争影響もきざいまして、世界各国が短期的問題、長期的問題で悩んでおります。  先々週になりましたが、先進諸国エネルギー問題を討議しますIEA国際エネルギー機構というのがございますが、その理事会が開催され、私も出席いたしましたので、これまでの話を前提としまして、それでは世界各国が現在の短期的なエネルギー石油問題あるいは長期的な問題についてどのような悩みを持って議論が行われたかということを続いて御説明いたしたいと思います。  まず、先々週開かれましたIEA理事会におきましては、当面のイランイラク紛争を踏まえまして、世界石油事情がどうなるであろうかということを各国真剣に討議をしたわけでございます。この討議結論をまとめて申しますと、イランイラク戦争がいつまで続くかということはだれも予測し得ないわけでございますが、仮に戦争がしばらく続いたといたしましても、世界石油需給を考えてみますときは、来年の一−三月、日本流に言いますと、本年度の第四・四半期までは世界石油需給にそれほど心配はないであろうという結論に達したわけでございます。  なぜかということの論理を簡単に要約いたしますと、イランイラク紛争に伴いまして、現在イランイラクからは石油輸出されていないわけでございますが、大体の類推でございますけれども、この量が四百万バレル・パーデー、先ほど世界石油輸出量が去年は約三千万バレル・パーデーと申しましたが、そのうち四百万バレル・パーデーが現在とまっておるわけでございます。しかし、先進諸国経済活動は必ずしも活発でございませんで、需要はそれほど伸びていない。それから、先進各国石油備蓄量は大変高い水準にある。三番目に世界各国代替エネルギー、特に石炭に対する転換とかあるいはエネルギー節約の進展というのが相当昨年ございまして、戦争により石油輸出がとまっても各国備蓄を取り崩せば何とか来年のファーストクォーター、一−三月は大丈夫であるという考え方にほぼ全員が一致したわけでございます。  それから第二番目の問題、それは長期的な問題でございますが、先進各国共通に考えておりますことは二つでございます。  それは何かと申しますと、世界経済石油に依存しておる、石油依存度を現在のように高い水準に置いておきますと、これは先ほど冒頭に申し上げましたように石油供給世界貿易供給天井に達したときに価格の暴騰と世界経済不況インフレ発展途上国経済不安ということをまた招く、繰り返しになる、これを避けるためには世界先進国が一致協力して石油輸入依存度をいかにして引き下げるか、これが世界経済を救っていく唯一の道であるという点に関します合意というのが第一点でございます。  第二点目は、じゃ具体的にこの石油輸入依存度を引き下げるにはどうしたらいいかということになるわけでございますが、この具体的な手段二つの方法しかない。その一つ代替エネルギーをいかにして早く開発していくか、石油以外のエネルギーに早くどうやってエネルギー源をかえていくかということ、それから第二番目はエネルギー節約と申しますか省エネルギーでございます。  このIEAの長期的な考え方、これは先進各国も全く合意しておるわけでございますが、じゃその代替エネルギー開発にどのように具体的に取り組んでいくか、国際的にどういう点から手をつけていくか、この問題を国際的にどのように解決していくかということについて、現在IEAが非常に苦労しながら取り組んでおる次第でございます。昨年以来エネルギー庁国内で考えました政策も、大筋におきましてはこのIEAにおきまして世界先進国が考えております基本的なラインと全く一致しておりまして、このような考え方背景としまして日本エネルギー庁におきましても代替エネルギー開発政策及び省エネルギー政策というものを進めてきたわけでございます。  大変大ざっぱ話になりましたが、私の冒頭の御説明をこれで終わらしていただきまして、後ほど御質問があったときに詳しくお答えいたしたいと思います。
  6. 島村宜伸

  7. 志賀学

    志賀(学)政府委員 それでは最近のわが国石油情勢につきまして、お手元にお配りいたしました「当面のエネルギー情勢について」という資料に基づきまして御説明申し上げます。  お手元資料の一ページの一番下から「最近の我が国石油情勢について」という項が始まっております。これに従って御説明を申し上げます。  まず、日本原油輸入状況はどうか。これはことしの四月二十一日以降、イランとの間で価格交渉がまとまりませんでイラン船積みが停止した、最近に至りましてさらにイラクからの輸入がストップしておる、こういう状況であるわけでございますけれども、その中で日本原油輸入がどうなっておるかということでございます。一ページ繰っていただきまして二枚目をお開きいただきますと表がございます。これが最近のわが国原油輸入状況でございます。真ん中に五十五年度、これは左の欄が上期、右が下期でございますけれども、現在までに上期まで判明しております。五十五年度でございますけれども、五十五年度の四−六月が六千三百四十二万キロリットル、七−九月が六千百七十一万キロリットルということで、上期合計いたしまして一億二千五百十三万キロリットルということに相なっております。これを五十四年度と比べていただきますと、これはすぐ上に書いてございますけれども、五十四年度上期に比べまして今年度上期は約九百万キロリットルぐらい減っておる、こういう状況でございます。パーセントにいたしまして約六・七%ぐらい減っておる、こういう状況でございます。  この上期が減っておりますのは、一つにはイランの問題も実はあるわけでございますけれども、ただ実際には、次に御説明いたしますけれども、最近国内石油需要が非常に停滞しておるということもございまして、備蓄レベルが非常に上がっておるわけでございます。そんなこともございましてタンカーのスピードを落としておるということで、いわゆる洋上備蓄と申しましょうか、そういう形での油がこのほかに実際ばかなりございます。ともあれそういうことで、昨年度の上期に比べますとかなり減っておる形になっております。  イラク影響でございますけれども、九月に紛争が始まったわけでございますが、九月積みまでは、実際上は紛争によりまして船積みがストップする前にほとんど船積みが終わっております。したがいまして、今後イラク影響が出てくるわけではございますけれども、いずれにいたしましても九月積みまでは実質上積んでおるという状況でございます。  それから次に国内需給でございますけれども、これはただいまもちょっと申し上げましたけれども、全般的に申しまして消費節約のムードが非常に浸透してきておるということ、あるいは経済拡大テンポが鈍化しておる、あるいは冷夏影響、このようないろいろなファクターが入りまして、石油製品需要は非常に落ちついております。二ページの下の方から三ページにかけまして、参考資料三ということで、「石油製品販売実績」というのがございますけれども、これを一枚繰っていただきまして、この表の最後に「燃料油計」という欄がございます。その真ん中辺に五十五年の四月から九月までの合計が書いてございますけれども、数量で申しまして約九千七百万キロリットル、前年に対しまして八九・九%、約一割燃料油需要が減っている、こういう状況になっているわけでございます。そのように国内需要が非常に停滞したということもございまして、国内需給緩和基調推移しております。  その結果といたしまして、備蓄でございますけれども、前に戻っていただいて恐縮でございますが、(2)というところの作文の終わりの方でございますが、五十五年の九月末で備蓄レベルは百十一日ということでございます。民間備蓄が約百四日、国家備蓄が約七日ということになっているわけでございます。先ほど豊永次長が、世界的に備蓄レベルが上がっているということを申しましたけれども、日本につきましてもこの百十一日というレベルはいままでにかつてない高い水準でございます。  ところで、国内需要品種別状況はどうかということでございますけれども、先ほどの表をごらんいただきますと、油種別需要状況が書いてございます。上期、四月から九月という欄でごらんいただきますと、ガソリンとジェット燃料油を除きまして各油種、かなり前年水準を下回っておりますが、特に減少の大きいのはナフサ及びC重油でございます。C重油で申しますと、これは一枚繰った次のページの欄にございますけれども、C重油の四月から九月までの需要は前年に対しまして八五・五%ということで、非常に需要が減っております。これは、このC重油分野におきまして、特に燃料節約対策あるいは石油からの転換というような対策が進んでまいっているわけでございまして、もちろん電力におきます冷夏影響というような特殊な要因もございますけれども、全般的にC重油分野におきまして脱石油というような対策も進んでおるというようなこともございまして、非常に減っているという状況でございます。それからいわゆる中間三品、灯油軽油A重油でございますけれども、この中間三品につきましても、灯油においては約一割、軽油におきましても若干というようなことで、かなり需要が落ちついているという状況でございます。  そこで、次に価格でございますけれども、石油製品価格を考えます場合に、やはり基本原油価格がどうかというのが問題でございます。そこで、日本原油輸入価格状況でございますけれども、参考資料四という表がございます。これは最近の通関CIF価格推移でございます。九月のところをごらんいただきますと、ドルベースバレル当たり三十四・五九ドルということに相なっております。これを円ベースに引き直しますと、キロリットル当たり四万七千六百七十七円ということになっておるわけでございます。これをごらんいただきますとおわかりになりますように、最近のCIF価格推移は、円高影響もございまして、円ベース価格でごらんいただきますとかなり落ちついた推移を示しているわけでございます。  なお、イラン政変前の五十三年十二月と比べてみますと、この表の参考資料の一番下に書いてございますように、ドルベースで申しますと二・五倍強、円ベースで二・八倍強、こういうことになっております。おわかりになりますように最近落ちついているわけでございますけれども、イラン政変前と比べますと、昨年来の産油国におきますGSPの急速な引き上げの影響もございまして、円ベースで申しますと二・八倍強という高いレベルになっているわけでございます。  なお、このような原油輸入価格状況でございますけれども、国内石油製品価格推移はどうかというのがその次の問題でございます。一枚繰っていただきますと、石油製品価格推移がございます。参考資料五というところに表が載っております。  まず卸売物価で見ますと、九月で二二一・五ということで、同じようにイラン政変前に比べてみますと二・四倍弱というような形になっております。  なお、卸売物価指数をごらんいただきまして、八月にちょっと上がっているわけでございますけれども、これは電力向けのC重油についての価格決定がさかのぼって行われたということで、それが八月以降に若干反映されたという統計技術的な問題でございまして、傾向としては五十五年六月をピークにいたしまして石油製品の卸売物価は軟調に推移してきております。  それから、小売物価、これは東京都区部の資料でございますけれども、ガソリン、灯油ともにやはり六月をピークにいたしまして軟調を続けております。これはちょっと九月までの数字しか入っておりませんで恐縮でございますが、十月の数字を申し上げますと、ガソリンでリットル当たり百五十一円、この九月百五十三と書いてございますけれども、それに相当するのが百五十一円でございます。なお、ガソリンにつきましてはガソリン税が大体リットル五十四円含まれておりまして、それを除いてみるとどうなるかというのがこの三角の括孤に囲まれた数字でございます。ガソリンについて五十三年の十二月当時と比べてみますと、税込みで五割アップ、税抜きで七割アップというような状況でございます。  それから、灯油につきましてもやはり六月をピークに軟調を続けておりまして、東京都区部で十月千五百八十円、リットルに直しますとやはり八十七円八十銭、九月のほぼ横ばいということで、灯油につきまして私どもも非常に関心を持ってウォッチをしておるわけでございますけれども、需要期の入り口に差しかかりました十月におきましても従来の軟調傾向を続けておるというのが現状でございます。私どもの感じといたしましては、先ほど申し上げましたように、原油CIF価格円ベースで二・八倍というようにイラン政変前に比べて上がっているわけでございますけれども、それに対しましてこの卸売物価あるいは小売価格の動きというのは相対的に原油価格上昇率よりもやや低いという形になっているわけでございまして、そういう意味で一応価格のパフォーマンスとしてはまあまあという感じで見ているわけでございます。  それから次に、一枚繰っていただきまして、イランイラク紛争影響の問題でございます。これは先ほどの次長の御説明と苦干ダブるかもしれませんけれども、ざっと申し上げますと、イランイラク紛争前の状況がどうであったかというのが参考資料六というところにございます。大体紛争イランは生産量といたしまして百五十万バレル・パーデー輸出量として六十万から七十万バレル・パーデー、これをほぼペルシャ湾経由で輸出しておった。それに対して、イラクは、生産量が三百五十万、輸出量が三百二十万ないし三百三十万、このうち三分の二はペルシャ湾経由、三分の一は地中海経由、こういう形で輸出しておったわけでございます。これにつきまして、イラクは九月二十三日から輸出を停止、イランについては九月二十四日ごろから停止しているというふうに見られております。  なお、イランについて、日本から言えば、イランからの輸入は先ほど申し上げましたように四月二十一日以降ストップということになっているわけでございまして、今回のイランイラク紛争による日本への影響という点から申しますと、イラクからの輸入がとまったということになるわけでございます。  そういうことで、イランイラク輸出が両国ともほぼ全面的にストップしているというふうに見られているわけでございます。したがいまして、単純にこの数字で見ますと、両国の輸出を合わせまして大体四百万バレルくらいが世界市場から消えた、こういう形になっているわけでございます。ただ、このイラン紛争前、多くの見方といたしまして、世界的に見て二百万から三百万バレル・パーデーぐらい原油供給余剰があったというふうに見られていたわけでございます。そういったこと、あるいはサウジを初めといたします最近のOPEC各国の増産の状況、MEESその他の資料から見ますと、第四・四半期で大体百五十万バレル・パーデーぐらいの増産が行われるのではないかというふうに見られるわけでございますけれども、そういうことと、それから世界的に備蓄レベルが非常に高いというふうなことを考えあわせますと、当面世界原油需給というものについては一応均衡を保ち得るというふうに判断されるわけでございます。  なお、ホルムズ海峡の航行がどうなっているかというのが非常に重大な問題でございますけれども、私どもの承知している限りでは、現在までのところ支障は生じていないというのが状況でございます。ただ、ホルムズ海峡を通りましてペルシャ湾に入ってから、イランイラン領のアブムサ島あるいはシリー島、そういったイラン領の島から南十二海里を通れ、そういった航路指定をやっております。したがって、その関係から、従来使っておりました航路が使えないという状況がございまして、水深あるいは海上油田の存在などとの関係から申しまして、三十万トン以上のいわゆるULCCクラスの航行にはやや支障があるという状況のようでございます。ただ通常使われておりますのは二十万トンクラスのタンカーでございまして、そういった通常のタンカーの航行については問題がないというのが現状でございます。  なお、このページの一番下に書いてございますけれども、最近の日本原油輸入におきますホルムズ海峡通過量というのは全輸入量の大体七〇%程度でございます。  そこで、イラクからの原油積み出しが現在停止しているわけでございますけれども、私どもといたしまして一日も早い紛争の平和解決というのを望んでおりますし、さらに一日も早い両国からの輸出の再開というのを望んでいるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような備蓄レベルから申しますと、不幸にして相当程度紛争あるいは輸出再開までの期間が続いたとしても、日本としては何とか石油安定供給の確保というのは可能であろうというふうに見ております。大体イラクからの日本輸入量というのがDD、GG合わせまして三十九万バレル・パーデーでございます。依存度といたしまして八ないし九%ぐらいということでございますが、仮に八・五%として計算をいたしますと、三十日分の備蓄を取り崩すことによりまして大体一年間、六十日分の備蓄を取り崩すことによって約二年間対応可能、これは計算上の話でございますけれども、そういうようなことでございます。  なお、ホルムズ海峡が閉鎖されるというようなことは万々あり得ないというふうに思っておりますけれども、仮にホルムズ海峡が閉鎖されたということになった場合には、三十日分の備蓄取り崩しによりまして四十日前後の対応可能、こういうことに相なるわけでございます。  なお、ただいま申し上げましたように、現在の備蓄から申しまして、あるいは現在の需給状況から申しまして、当面対応可能というふうに申し上げたわけでございますけれども、ただ、こういった備蓄の上に安心しているわけにはまいらないわけでございまして、やはり長い目で見まして、エネルギー安定供給確保ということをわれわれとしては強力に求めていかなければいけないというふうに思っております。石油という面で申しますと、当面エネルギー相当部分をやはり石油に頼らざるを得ないわけでございますが、石油安定供給確保という観点から申しますと、もちろん埋蔵量などから申しまして中近東の重要性というものは否定し得ないわけでございますけれども、できるだけ地域分散を図っていくということが必要である、そのために産油国とのつながりを深めていくということが必要である、あるいは自主開発というものを進めていくことが必要であるというふうに思っております。またさらに、長い目で見まして代替エネルギー開発というものを強力に展開していくことが必要であろう。そういうことによって日本エネルギー供給あるいは経済の安定というものを確保していくことが必要であろうというふうに思っております。
  8. 島村宜伸

    島村委員長 野々内資源エネルギー庁総務課長
  9. 野々内隆

    ○野々内説明員 昭和五十六年度のエネルギー関係の重点項目につきまして、予算の御説明をさせていただこうと思います。  お手元に横長の「五十六年度エネルギー関係予算要求の重点」という資料がお配りいたしてございますので、御参照いただきたいと思います。  これの三枚目に全体がございますので、ごらんいただきたいと思いますが、特別会計は五十五年度予算額で五千五百六十八億ございますが、これは二つに分かれておりまして、石炭並びに石油及び石油代替対策特別会計と電源開発促進対策特別会計に分かれております。この上の方の特別会計は収入が石油税がもとになっておりまして、これは石油価格の三・五%が石油税という形で徴収されまして一般会計に入り、そこから特別会計に繰り入れられます。五十五年度は二千五百二十億円の繰り入れがございまして、収入が約四千百億見込まれておりますので、まだ一般会計に千五、六百億の留保がございます。五十六年度につきましては、石油税が四千八百億か九百億程度見込まれておりますので、四千九百億の要求をいたしておりますが、一般会計に残っております分は今後エネルギー対策の増大に伴いまして特別会計に繰り入れたいというふうに考えております。  それから、原重油関税につきましては、現在キロリットル当たり六百四十円の関税がかけられておりまして、これが直接この特別会計に入っております。その双方を足したものがこの特別会計の財源となっております。  電源開発の方は、電源開発促進税というものがキロワットアワー当たり三十銭かかっております。それが直接的にこの特別会計の中に入ることになっております。  対策といたしましては、その下に五つの項目がございますが、石油対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、石油開発を促進をして自主的な石油を確保いたしたいという点がポイントでございまして、オイルマンセンターというふうに産油国の製油所で働く人たちを日本で訓練をするというふうなことを考えております。それから、石油備蓄の重要性が今回のイランイラク紛争を契機により明確になってまいりましたが、今後ともこれの強化に努めてまいりたいと思います。それから、今後重い油がどんどんふえてまいりますので、需要供給の質的な差というものを重質油の分解によって埋めるという技術開発を進めてまいりたいと思っております。  それから、将来石油代替エネルギーを十年後に五〇%までその比率を高めたいということで石油代替対策ということで、たとえば海外炭の探鉱、開発ですとか、ソーラーエネルギーの利用の促進とか、あるいは石炭の液化技術開発というような、石油代替エネルギーの確保、導入促進のための手を打ちたいと思っております。  それから石炭対策につきましては、石炭鉱業の合理化、鉱害対策、産炭地域振興対策というようなものがその対象になっておりますが、このうち産炭地域振興対策につきましては来年法律の期限が切れますので、今度の通常国会で延長を含めまして御審議をいただきたいと思っております。合理化と鉱害につきましてはその次の年に期限が切れますので、次の次の通常国会で御審議をお願いいたしたい、かように考えております。  電源立地につきましては、今後の電源立地の促進というのは非常に重要な対策になっておりますので、電源開発促進税をもとにいたしまして勘定をつくっておりますが、特に電源立地のところに「新政策(四本柱)」とございます。これは今後大蔵省あるいは各方面との交渉を続けて詰めていきたいと思っておりますが、原子力発電所のある市町村あるいは周辺市町村につきまして実質的に電気料金を安くする方式とか、あるいはダムのあります市町村への援助、あるいは発電量の方が消費量よりも多い、そういう発電県につきまして、県に対する補助というようなものを特に強化することによって電源立地を促進いたしたいというふうに考えております。そのために、若干の促進税の引き上げも必要かということを考えております。  それから多様化と申しますのは、発電のためのエネルギーとして石油以外のものを開発いたしたいということでございまして、大きいのが原子力と石炭でございますが、原子力につきましては、特に安全面について今後技術開発なり審査の強化という点に中心を置く必要があるかというふうに思います。  以上が来年度の重点施策でございますが、お配りいたしました資料の二枚目にこの辺が体系的に説明してございますので、御参照いただければありがたいと思います。  お配りいたしました最後の紙に「総合エネルギー対策投資促進税制」とございますが、省エネルギーとか代替エネルギーあるいは石油安定供給の確保ということの民間の設備投資を促進をし、あるいは景気浮揚対策に役立てたいということで新たに税制を検討中でございます。  以上、簡単でございますが、明年度施策の重点につきまして御説明申し上げました。
  10. 島村宜伸

  11. 川田洋輝

    ○川田説明員 石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律の施行状況について御説明をさせていただきます。  この法律は、今年度から強化をさせていただきます石油代替エネルギー対策の中心的な法律といたしまして先国会で成立をさせていただき、五月三十日に公布をさせていただいたものでございます。  その主たる内容は四点ございます。第一は石油代替エネルギー供給目標を策定すること、第二は石油代替エネルギー導入指針を策定すること、第三は石油代替エネルギー開発導入の促進のために、財政上の措置等について政府の努力について規定するものであること、第四が石油代替エネルギー開発を強力に推進するための中核体として新エネルギー総合開発機構を設立する、この四点であったかと存じます。これらについて、現在の状況につきまして御説明をさせていただきます。  まず第一の供給目標、第二の導入指針につきましては、省内に委員会などを設けまして、公布後鋭意作業を進めてまいりまして、同時に広く有識者の意見を聞くというところから、総合エネルギー調査需給部会の中に企画専門委員会というのを設けていただきまして、そこで御審議をいただいております。現在までに鋭意検討を進めてきておるところでございますが、審議会におきます議論も大体この十一月じゅうを目指して進めてまいっておりまして、法律に基づきましてこれは閣議を経て決定することになっておりますので、その手続で進めてまいりたいと思っております。関係するところが多うございますから若干遅くなるかと思いますが、できるだけ急いで策定をいたしたいというふうに考えております。  供給目標の内容につきましては現在そういうことで検討中でございますので、詳細は省かせていただきますが、昨年八月に総合エネルギー調査会でお出しいただきました長期エネルギー需給暫定見通しをベースといたしまして、本年度から強力に進めさせていただきます石油代替エネルギー対策効果などを勘案いたしまして策定をいたしたいということでございます。  それから第三の石油代替エネルギー開発導入についての政府の努力でございますけれども、これはただいま来年度予算についても御説明申し上げましたとおり、まずは今年度の諸対策を円滑に滑り出しをさせていただきまして、そのためにいま鋭意努力をいたしております。これを来年度以降一層充実強化をしてまいりたいということでございます。  それから、第四の新エネルギー総合開発機構につきましては、お手元に「新エネルギー総合開発機構について」という数枚の紙を配付させていただいておりますが、予定どおり十月一日に設立をさせていただきました。特殊法人ではございますが、民間の活力を十分に活用するというところから、たとえば民間出資とか運営委員会の設置などを行っておるところでございます。その事業は、石油代替エネルギーに関する技術開発を強力に進めること、海外炭の開発促進、地熱の開発促進、石炭鉱業合理化業務といったところが主たる業務でございます。予算といたしましては、五十五年度百七十六億円を計上させていただいておりますが、五十六年度は一層の拡大を図りたいと考えておるところでございます。  以上、簡単でございますが、石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律についての施行状況を御説明申し上げました。
  12. 島村宜伸

    島村委員長 山中工業技術院技術審議官。
  13. 山中正美

    ○山中説明員 サンシャイン計画とムーンライト計画の現状について御説明申し上げたいと思います。  お手元に一応資料は届いておると思います。それに準拠しながら御説明したいと思いますが、何分時間がございませんので、はしょって説明したいと思っております。  サンシャイン計画につきましては昭和四十九年から発足して七年目を経過しまして、ソーラーシステム等一部実用化が図られたものもございますが、大部分の計画についてはようやく基礎研究、応用研究を終わり、いよいよパイロットプラント等の建設に至っておる段階でございます。  現状を三ページの「サンシャイン計画事業概要」のところでかいつまんで御説明申し上げますと、太陽熱発電プラントは一応本年度中に一千キロワットの装置が完成いたしまして、世界に先駆けて熱発電ができる情勢になっております。  それから、太陽エネルギー利用の本命でございます光発電につきましても、一応結晶型の発電素子の研究が完成してきまして、いよいよこれについての大規模生産システムあるいは原料の大量供給システム等々を図っていきたいと考えているところでございます。  地熱につきましても、一応大規模深部についての掘削技術がほぼ完成に近づきまして、それに基づき大規模深部についての探査技術の検証調査等も実施していきたいと考えております。  石炭エネルギーにつきましても、一応液化のパイロットプラント等の建設が本年度及び来年度中にほぼ完成が図られる見通しでございまして、今後このプラントを利用して石炭液化の推進に努力していきたいと考えております。  それから、ムーンライト計画でございますけれども、五十三年度から発足いたしまして、いわゆるエネルギー節約を旨として種々の研究をやっております。  その内容につきましては、五ページでございますけれども、主だったものを二、三御紹介いたしますと、一つは廃熱利用技術システムでございます。廃熱といいましても固体の廃熱、液体の廃熱、気体の廃熱と三つに分かれるわけでございますが、現在一番進んでおりますのは固体の廃熱の利用でございまして、コークス炉から出てくる灼熱コークスを現在水で冷却しているのを窒素ガスで冷却しまして、これにより温度の上昇した窒素ガスを利用して廃熱を回収しようということでございまして、現在技術がほぼ完成して、今後東邦ガス等で十基を建設する予定になっております。  それから高効率ガスタービンでございますけれども、これは従来の発電効率が大体四〇%前後であったものに対しまして、これを五〇%まで引き上げようとする計画でございまして、これを使用いたしますと燃料を二五%節約することになっておるわけでございます。東京電力等の協力を得まして、昭和五十八年度に十万キロワットの装置を運転すべく現在努力中でございます。  それから下から二番目の「民間の省エネルギー技術開発の助成」でございますけれども、これにつきましてはこの進捗状況の欄に書いてございますように、民生用機器の競争開発等実施しておりまして、五十三年から始めましたエアコンディショナーにつきましては、従来八畳用で五百九十ワット使われておったものが、大体四百四十五ワットで一応八畳の冷却ができる冷房が完成することになっておりまして、大体二五%程度の節約ができる機器が開発されております。それから本年度から始めました冷蔵庫につきましては、二百二十五リットルの容積の電気冷蔵庫では大体三十キロワットアワー・パー・マンス使うものを二十キロワットアワー・パー・マンスまで減らすべく現在努力中でございます。  以上のような状況でございまして、サンシャイン計画、ムーンライト計画ともどもにいよいよ実用規模に向かって現在推進しておりますので、何とぞ先生方の御努力によりましてこの完成に御援助いただければ非常に幸いだと思っております。  以上、非常にはしょりましたが、御説明いたしました。     —————————————
  14. 島村宜伸

    島村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  15. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 エネルギー委員会でございますので、私はきょうはかみしも抜きでざっくばらんにひとつやらしていただきたいと思うわけでございます。そんなわけで自分の席からやらしていただこうと思っておりましたら、発言者席があるということでこちらに参ったわけでございます。  さて、先ほどの御説明でもございましたが、イランイラク戦争という大変大きな政治的な不安定要因が中東に起こって、エネルギー庁説明では当面心配ないということで大変結構でございますけれども、この戦争が非常に長期にわたるということになりますと、再来年の冬場あるいはそれ以降につきまして見通しが非常に厳しいんではないかと私は思います。  こういうような政治的な不安定要因のある石油輸入にわれわれはいつまでも多くを期待しているわけにはいかない。われわれ民族が二十一世紀に向けて生き残るためには、通産省で算定された六十五年五〇%という石油依存度目標を何が何でも実現していかなければならぬのじゃないかと思います。むしろ五〇%という石油依存度ですらむずかしいのじゃないか。つまり、五〇%の石油依存度というのは一昨年の東京サミットにおける六百三十万バレルが全部輸入できるということを前提に計算されておる。ところが現実は、まず、先ほど来御説明のあったIEA状況、いまのイランイラク戦争とかいろいろな要因がありますと、産油国状況等も考えますと、恐らく五百四、五十万バレル以上の輸入を現実に期待することは大変困難だ。しかも、原油価格はどんどん上がるわけですから、日本国際収支、外貨の問題もやはり六百三十万バレルの輸入ということになりますと考えていかなければならぬ状況であります。しかも、原油価格が上がってきた場合、コストから言っても、いま三十四ドルの原油で計算して恐らくキロワットアワー当たり新しい発電所だとコストが二十円を超すでしょう。原子力だったら十円かその辺でできるはずです。そういうように、非常に物価に対しての影響も考えていかなければならぬ。そうなるとわれわれとしてはむしろいまの成長率を、適正な安定成長率を維持し、そしてエネルギー需要がかなりふえていくとすれば、石油輸入量を六百三十万バレル以下に見積もるということになりますと五〇%依存度すらむずかしい。あるいは弾性値をうんと省エネルギーによって引き下げるということができればこれまた別ですが、いずれにしても五〇%の依存度というのは至上命令、むしろそれ以下になることも覚悟しなければいかぬ、こういう状況ではないかと思うわけでございます。この点について、通産当局、ひとつざっくばらんに率直に話をしていただきたい。
  16. 豊永恵哉

    豊永政府委員 先生の御指摘の問題、われわれ事務当局も日ごろ悩んでおります問題でございまして、全く問題意識としては同じでございます。  ただいまエネルギーの将来の見通しにつきましては学識経験者も交えまして検討中で、答えが出ておりませんので、その内容につきましては御説明を省かしていただきますが、ただ、考え方といたしまして、これから十年先を考えますとどうしても石油依存度は五〇%に下げなければいかぬ、できたらそれよりもっと下げなければいかぬということは、全く先生のおっしゃる問題意識とわれわれも同様でございまして、また、この考え方は単に日本だけではなくて、世界各国が一様に石油依存度をもっと下げなければいかぬということには共通した考え方を持っておると思います。五〇%に石油依存度を下げますには問題は二つございまして、一つはどのようにして代替エネルギー開発して石油依存度を下げることに役立たせるかということと、もう一点はエネルギー節約でございます。つまり、エネルギー効率をいかに上げまして経済発展に阻害ない形でエネルギー節約率を上げていくかという問題の二つにしぼられるかと思います。ただ、先生も御指摘のように、世界石油情勢というのは国際政治も絡みまして非常に不安定でございます。したがいまして、先生御指摘のように六百三十万BDというのを昨年東京サミットで定めましたが、この数字はもちろん節約代替エネルギー開発によって下げられるならばそれにこしたことはないわけでございまして、日本経済発展を阻害しない形でいかにして事実上はこの数字を下げる努力をするかというのがこれからの課題であることは、先生のおっしゃるとおりかと思っております。
  17. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 国際的にはせっかく六百三十万バレルということになっておるわけですから、この目標はもちろん掲げておいて結構だと思いますけれども、いま次長から説明のありましたように、われわれはその下も覚悟していかなければならぬという情勢であるわけです。そこで、長期エネルギー需給暫定見通しというのがきょうの配られた資料の三十三ページにありますが、これを見ますと、原子力に五千三百万キロワットという数字が入っております。一〇・九%。ところが、これが果たしていまの状況で実現できるかというと、これは容易なことではないという気がいたすわけです。同時に、きょうの説明資料の六十七ページの、たとえば建設中、建設準備中という原子力の発電所の数字を合計しますと千二百九十万キロワットであるわけで、現在は約千五百万キロが動いておる。そうすると、仮にこの建設中、準備中が全部稼働しても二千八百いくかいかないかということになりますね。そこで、いま原子力にどのくらい時間がかかるかというと、十数年かかるというのがいま通例になってきておりますね。六十五年というとこれから約十年後ぐらいになるわけですが、これではまことに心もとない。しかも原子力の五千三百がなくなっちゃったら、じゃほかにそれをカバーするものがあるかというとほとんどこれは目いっぱいで、石炭にしてもここまでいくのかいなという感じが率直にするわけです。これは大変なことになる。  そこで、特に野党第一党の社会党の皆さんに考えていただきたいのですが、原子力は何でも反対だということでなくて、代替エネルギーとしての原子力の位置づけということを、はっきりコンセンサスをわれわれが持ってこれから推進していかなければ大変なことになるという気がいたすわけです。これについて、むしろ野党の方にお伺いしたいくらいですが、きょうはそういう場でもございませんので、政府委員からひとつ率直に伺わせていただきます。
  18. 石井賢吾

    ○石井政府委員 ただいま先生御指摘のように、六十五年度五千百万ないし五千三百万キロワットの目標を達成するということは、これを決定いたしました電気事業審議会の中間報告におきましても述べておりますように、容易なことではないということは私ども十分承知をいたしておりまして、今後とも代替エネルギーの最も有望な電源ということで最大限の努力をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。  先ほど御指摘の表によりましてもおわかりのように、六十年度二千八百万キロワット程度の電源の運開は一応可能というように判断いたしておるわけでございますが、このほかの地点につきましても、五十五年三月に各電力会社から提出されました施設計画におきまして、たとえば東電柏崎刈羽の二号ないし五号等々の建設を現在地元と調整をしている地点が数カ地点ございます。こういった地点につきましての地元の理解と協力を得まして、私どもとしては安全性に万全を期しつつ推進を図ってまいりたいというふうに思っております。
  19. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 代替エネルギーの促進法による供給目標、これは政府が立てることになっていますね。これは近くお示しいただけると思っておりますけれども、代替エネルギーとしてさっきのサンシャイン計画にもいろいろなものがあります。しかし、これは非常に長期を要することであって、早くキロワットアワーにして、時間的に間に合う、そしていつまでにできるのか、どのくらいの規模で供給ができるのか、しかもコストが安い、こうなるとやはり原子力に頼らざるを得ない。そこで、いまいろいろ努力するということはありますけれども、やはりこれは政治の問題として私ども与党、野党を通じてこの問題を本当に考えていかなければいかぬ。そうでないとわれわれ民族は生活水準を切り下げて、豊かな生活はやれないというところに押し込まれることは必然なんです。先を見て判断して政治決断をするのがわれわれ政治家の務めでありますので、ひとつこの点について十年以上もかかるということでなくて、まず原子力発電の立地については五年ぐらいでできるということにせぬと、これはもうどうしようもないという状況ではないかと思うのですが、なぜ五年ぐらいでできないのか、その点等について政府側の御意見を伺いたい。
  20. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先生御指摘のように、原子力発電所の立地につきましてのリードタイムというのが最近非常に長期化いたしておりますのが現実でございますが、これの根本的な理由は地元との調整に非常に長期を要するというところでございます。かつて大体八ないし九年でございましたが、現段階では十年を超え、十二、三年ということになりつつあるわけでございますが、一つは発電所の大容量化ということで、建設に物理的に期間が要するということはございますけれども、これはさしたる事情ではございません。問題はやはり電調審付議以前の、地元との調整におきまして相当の長期を要することが全体的なリードタイムの長期化を招いている根本的原因でございますので、私どもとしましては、地元福祉の向上を通じまして地元住民の理解と協力を得て、今後電源立地がスムーズに進むように、五十六年度におきましてたとえば原子力発電施設等立地協力交付金というような制度の創設を要求いたしまして、今後努力をいたしてまいりたいと思っております。
  21. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 いまの地元との調整の問題、これは大変大事だと思いますし、また五十六年度予算において立地交付金をいろいろ考えておられる。そしてまた、原子力立地の電力料を実質上割り引くというような考え方、私は全面的に賛成でございます。ぜひ推進していただきたい。われわれも大いに応援するつもりでございますが、しかしそれだけではなかなか片づかない。やはり地元の方々に本当に安全性について理解をしていただき、国の大きな政策協力していただくということについては、各政党間でしっかりとコンセンサスを持たなければいかぬと思うのです。この点についてわれわれ少なくともこの小委員会で皆さんと率直に議論さしていただいて、推進を図っていくことがこの小委員会の重大な使命だと思いますので、委員長、ひとつしかとその点をお考えいただいて御推進をいただきたいと思います。  さてその次に、時間がありませんので簡単にやりますが、備蓄の問題、代替エネルギーの促進について、いま原子力を例に引いたわけですが、そのほかの地熱にしても水力にしても、あるいは石炭火力、LNGにしましても相当がんばらないといかぬという感を強くいたしております。これらについてもぜひ御検討いただきたい。  さらに備蓄の問題ですが、こういうイランイラク戦争のようなことが起こりますと、やはり備蓄がある、百十一日あったということは経済に対する安定感を増す上でも非常に大事だ。ところが内訳を見ますと、政府備蓄は三千万キロの目標を掲げておるにかかわらずわずか七日である。しかも陸上にタンクは一つも建っていない、みんな船の中にあるんだ、これじゃちょっと情けないという感じが率直にいたすわけであります。本年度も相当予算があるわけですが、このままでいったら使い残しが出るんじゃないか。これは地元との調整に相当手間取る点はわかりますけれども、率直に言って公団が用地の交渉とか地元との交渉に行くのに手足がないわけですね。まあ県を使うというのもいいのですが、早く備蓄会社を現地にどんどんつくって、そして先兵としてそれが地元との交渉をやる。とにかく東京から出張で行って泊まり込んで、ちょっとぐらい行ってまた帰ってくるんじゃこれはだめですよ。その辺をぜひ考えて、もっと備蓄について促進をしてもらいたい、この点について具体的にどうですか。
  22. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま原田先生から備蓄の問題について御指摘を受けたわけでございますけれども、私どもも今回のイランイラク紛争に際しまして備蓄があって本当によかったと思っておるわけでございますけれども、ただ御指摘がございましたように国家備蓄ということになりますと、タンカー備蓄で七日分ということにとどまっているわけでございます。それで、国家備蓄につきましては五十三年度から三千万キロリットルを目指しまして施策を進めてまいっているわけでございます。現在までに八カ所の調査をし、そのうちむつ小川原一カ所について着工に入った、こういうことになっておるわけでございますが、私どもといたしましても、ほかの地点につきましても一日も早く着工に移したいということで現在公団を督励しているところでございます。公団の方におきましても対策本部というものを最近つくりまして、総裁みずから陣頭指揮をして国家備蓄対策を進めるという決意を持って当たっているところでございます。また、地元との関係もにらみながらでございますけれども、できるだけ早く現地事務所というものをつくりまして、先生御指摘のように地元自治体と一体となりまして地元の方々の御了解あるいは土地取得、そういった問題について地元地方公共団体と連絡を密にして作業を進めるということで、いま公団の方も一生懸命やっているところでございます。私どもといたしましても、さらに公団とともに努力を続けてまいりたいと思っております。
  23. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 この点についてはさらに一段と努力をしていただきますように要望しておきます。  それから石油資源の開発の問題ですが、石油輸入先を各地に大いに広げていくということも必要ですが、国内開発について、まあ具体的な例で恐縮ですが、私の地元に相良町というところが御前崎の近くにあるのですが、ここは昔から井戸を掘って石油が出ておるわけです。わずかの石油ですがね。恐らく地層的にも掘ればかなりあるだろうと言われておるのですが、調べてみると、鉱区を全部いろいろな人が持っておりまして、さっぱりやらぬのですよ。地上でかなり良質の油が少しは出ておりまして、わずかでございますけれども。もう少しこういうところを探査をやったらどうかと思うのです。ところが鉱区権が邪魔をして、それもただ名前だけの鉱区権で、眠っておって何もやらぬというようなことがありますので、ぜひこの点は御調査をいただいて進めていただきたいと思うのです。鉱区権だけ持って何もやらぬというのは、これはちょっとおかしいと思うので、あぐらをかいておるという点、鉱業法の面からもこれは検討のし直しをする必要がある。鉱区権を獲得した以上は、ある一定年限内に努力をしないものについてそのままにしておくということはどうかと私は思っておるのですが、その点はどうでしょうか。
  24. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘がございましたように、確かに開発を考えていく場合に、海外の開発ということも重要でございますけれども、同時に、国内にいろいろ資源がある、そういった資源をできるだけ探鉱し開発し、有効に使っていく。最も安定的な供給源でございますので、そういう面で努力をすべきではないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもも日本の場合に、特にオンショアの場合には量的には限られていると思いますけれども、せっかくある資源でございますので、できるだけそういった資源の探鉱開発というものを進めていくことは必要であろうというふうに思います。  先生いま具体的な御指摘があったわけでございますけれども、この辺は一度調査をいたしまして、検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  25. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 それから原子力についてですが、原子力の放射性廃棄物を南の海に捨てるというのはよく新聞記事で出るのですが、これはどうなっておるか私は伺いたいのです。  とにかく原子力の反対の一つは、放射性廃棄物の処理がしっかりしないということが非常に重要なポイントだと思います。これについては本当に責任を持ってやらなければいかぬ。日本の漁業者を説得できないのを海外へ行って海へ捨てちゃうというのはいかにも無責任だと私は思うのですね。まずみずから説得できないものをよそへ行ってやれるわけがないと思うのです。海外からひんしゅくを買う。この問題については相当真剣に考えていただいて、陸上でしっかりした廃棄物を管理できる地点を選んで、そこで管理するとかいうようなことを考えなければいかぬのじゃないかと思うのですが、科学技術庁おいでだと思いますが、どうですか。科学技術庁か水産庁、どちらですか。
  26. 後藤宏

    後藤政府委員 お答えいたします。  先ほど先生が御指摘のように、いまの石油事情の解決を図るためには原子力の開発の推進が必要なことは改めて強調するまでもありません。また、原子力の開発、特に原子力発電の推進をしてまいります際には、どうしても発電に伴って発生いたします低レベルの放射性廃棄物について適切な処分方式を確立しておかなければならないこともまた重要な課題でございます。こういった観点から、実は五十一年十月に原子力委員会が、発生してまいります低レベルの放射性廃棄物については、陸地処分と海洋処分とを組み合わせて解決していこうということを決めております。特にこのうちの海洋処分につきましては、実は国際的にも条約等で確立した処分方式でございまして、ロンドン条約というものを実はこの春国会で御承認をいただきまして、この加盟が十一月十四日に発効することになっておりますし、これに絡んだ海洋処分につきましては、国際原子力機関といったところで安全性のための基準を設けられておりますし、また、これを具体的な処分をいたします際には、国際監視ということで、OECDのNEAという原子力機関での監視機構もできておるわけでございます。  私どもは日本の国土の状況、特に国土が非常に狭小である上に人口が稠密であるといったような実態だとか、地震国であるといったようなことから見て、発生いたします放射性廃棄物をすべて陸上だけで処分することは非常に困難と考えておりまして、この海洋処分にも着目いたしまして、すでに七、八年ぐらいの時間をかけまして安全性確保のための海洋調査、いろいろな、投下物の安全性のための実験といったものを積み重ね、その上で実はこの安全評価を行政庁といたしましては五十一年の七月に一応済ませまして、それでもなお不安があろうということで、さらに原子力安全委員会でもダブルチェックをしていただきまして、この海洋処分によって人類に対して何ら悪影響がないという確認をダブルチェックの結果得ておる次第でございまして、その結果をもちまして実は国内の漁業関係の方々に対しての御理解を進めるべく、いろいろ努力をしておりましたところ、先生も御案内のとおり、本件について南の諸国につきましても日本がこういう海洋処分の計画があるということを実は紹介してまいりましたものですから、内容をそのまま伝えたところ、やや波紋が生じておる現状でございます。  私どもは、この海洋処分につきまして内外の十分な理解を得た上で実施するという方針でございまして、私どもはそういった方針に沿いまして、南の諸国に対しましても本件の計画の内容、またその安全性ということにつきましていま十分説明を行っておるところでございまして、すでに八月に第一次の説明団を出したことが皮切りでございまして、実はこの六日から第二次の説明団をマリアナ方面に出して、南の諸国の本件に対する理解の増進を進めたいと思っております。  なおまた、国内につきましても、実は漁業界の説得につきましては引き続き努力をしておるところでございまして、われわれも決してこういったものを強行する気持ちはございませんで、十分な説得、説明積み重ね、その上で国際協調を図りながら進めていきたいといま考えておるのが現状でございます。
  27. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 よくわかりました。ぜひ十分な理解を得られるように対処していただきたい。と同時に、国内においても陸上に適切な地点があれば、完全にコントロールできるような格納方法を考えるということも検討していただきたいと要望しておきます。  それから最後に、原子力の本格的な開発利用を進めるには、もちろん地元との調整が何より大事でございますが、さらに進んで再処理、ウラン濃縮の事業化の推進など、自主的な核燃料サイクルの確立をしていかなければならぬと思うのです。これについてもぜひ一層の御努力をいただきたい。  同時に、軽水炉の点につきましても、これを早く規格化するなり、あるいは軽水炉を補完するものとして高速増殖炉とか新型の動力炉の研究開発について、ぜひ一段と御努力をお願いしたいと思います。決意のほどをひとつ御答弁いただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 ただいま先生からお話がありましたように、原子力発電を推進する上で一番大切なことは核燃料サイクルの確立でございまして、特にそのかなめと申しますのが再処理工場の建設であろうかと思います。ことしの三月に日本原燃サービス株式会社が設立されまして第二再処理工場の建設に取りかかるということになっておりますので、そういう事業の円滑な推進のために、通産省といたしましても万全の処置をとりたいと思っております。また、核燃料サイクルの一つの問題といたしまして、軽水炉とともに必要なことは濃縮ウランの工場の充実でございますが、これにつきましても近々その民営化のための検討を進めたい、こう考えております。  また、軽水炉におきましては、これは十数年にわたりまして建設、運転の経験を経てまいりましたので、これの経験を取り入れまして、日本型軽水炉の改良標準化ということを進めまして、安全でかつ信頼性の高い軽水炉をつくることにいたしまして、原子力発電の安全性につきまして十分国民の信頼を得るような技術を確立したい、こう考えております。
  29. 原田昇左右

    ○原田(昇)小委員 どうもありがとうございました。
  30. 島村宜伸

    島村委員長 水田稔君。
  31. 水田稔

    水田委員 先ほど、当面のエネルギー情勢について御説明をいただいたのですが、ことしの見方について、私はちょっと甘いのではないかという感じがするわけです。というのは、ナフサなり重油なりがことしの夏使用量がずっと落ちておるということですが、もちろん省エネで努力をしたものと、ことしの冷夏による、たとえば電力の重油の使用量の減とか、あるいはナフサなんかが落ちておるのは、ことしの四月以降というのはエチレンなどは工場によっては半分以下に落ちておる、こういう問題があるわけです。全体で見て冷夏影響とそういう不況の問題、そして省エネをやったというトータルで出ておるわけですね。ですから、本当に省エネで出た効果がこの中でどれだけなのか。異常なケースで起こっておることは除外してこれからの将来の展望というのはつくらなければならぬと思うのです。四十八年の第一次オイルショック以来、まさに鉄鋼が、たとえば炉頂圧発電であるとか、あるいはこれまで重油を使っておったのをコークスに転換するとか、あるいは平電炉では、固定費は倍ぐらいかかるけれども炉のつき方を変えて燃料消費量を半分に落とす、そういう努力もやってきておるし、あるいはまた発電であれば熱効率を上げていく、そういう努力をされたことはよく知っておりますけれども、それでどれだけのものが効果として出てきたのか、この数字だけではまさにそれ以上にことしの冷夏といまの不況によって起こった影響の方が大きいのではないか。たとえば去年に比べてことしの発電はたしかトータルでは下がっておると思うのです。そうすると、年成長率を経済の成長率と考えてみると、電力が使った重油というのはトータルで五%くらい落ちておるのではないか。あるいはまた、ことしは長雨ですから水力発電はフルに動かす。あるいは重油が高いものですから、石油火力は少し落としてでも石炭火力は、たとえばこの間も電発の磯子に行ってまいりましたけれども、これなんかフル運転でやれ、こういうことで、そういう電力会社のやり方もあっただろうと思うのです。     〔小委員長退席、原田(昇)小委員長代理着席〕 そういうものがここへ出てきたのであって、私は、先ほどの説明だけでは不十分ではないか、まさに省エネならこの中ではどれだけの効果があったということを見て将来の需給ということを考えなければならぬのではないかというぐあいに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  32. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま私どもの見方が甘いのではないかという御指摘でございますが、確かに先生御指摘のように、最近の石油製品需要の落ちつきという中に、冷夏影響であるとかあるいは景気の影響であるとか、これは私はやはり相当あるだろうというふうに思っております。ただ、たとえば灯油ということで申し上げますと、私どもは供給計画を年度初めにつくるわけでございますが、昨年は御案内のように非常に暖冬であったわけでございます。ただ、私ども供給計画をつくるときには、暖冬ではなくて通常の寒さ、そういったようなことを頭に置きながら供給計画をつくっているわけでございます。具体的に灯油ということでお答え申し上げますと、そういう供給計画におきまして九月末におきまして六百五十万キロリットルの在庫を積み上げよう、六百五十万キロリットルまで積み上げれば通常の寒さにおきましての供給の安定は図られる、こういうことで供給計画をつくったわけでございます。     〔原田(昇)小委員長代理退席、小委員長着席〕 他方、実際の動きはどうであったかということになりますと、九月末で約七百十万キロリットルの在庫、そういう形になっておるわけでございます。  そういったようなことを踏まえまして、確かに先生御指摘のように、最近の燃料油の動きにつきましては、そういう一時的なイレギュラーな要因があるわけでございますけれども、そういったようなことを踏まえまして、供給の安定というものは一応確保できるだろう、こういうふうに見ておるわけでございます。
  33. 水田稔

    水田委員 本当は省エネでどれだけの効果があったかというのを出してほしいけれども、そこまできょうは申し上げません。  もう一つは、先ほどの説明の中で、私ども不安になるし、余り言えば国民が不安になるということで言われないのかもしれませんけれども、たとえばイランイラク紛争がおさまったとしても、あれだけストップすれば次の再開までというものは相当長期にわたるし、またあの国の持っておる技術からいって、外国の援助がなければ輸出余力がほとんどなくなるということになるのではないか。  それからもう一つは、この間も行かれて皆さんが心配されたのですが、まさに四十八年のオイルショックまでわが国石油だけもらえばいい、買えばいいということで買ってきた。イスラムの教えというものはわれわれの生活とほとんどかかわりないと思っておったけれども、まさに現在の生きたイスラムの教えというものとかかわり合いを持ちながら石油輸入しなければならぬということをいやというほど思い知らされたわけです。そしてイランイラク紛争を見ても、イランというのは御承知のようにペルシャ人でございまして、同じイスラムでもシーア派がいま支配しているという中で、他のたとえばアラブの諸国との関係等を考えた場合、あの地域からホルムズ海峡を七五%通るというような状態というものは、まさに本当に薄氷を踏む思いで常におらなければならぬ。それが日本の産業のエネルギーの大部分を支える原料であるというところに不安を持つわけです。そういうイランイラク紛争が解決した場合、あるいはまたこの後のそれぞれの国家関係を見た場合、一体どういう形で確保するか大変むずかしい問題があると思いますが、そこらは答えでなくても、どういうぐあいに見ておられるかということだけでも結構ですからお答えいただきたいと思います。
  34. 志賀学

    志賀(学)政府委員 大変むずかしい御質問でございます。  まずイランイラクの被害状況でございますけれども、これははっきり申し上げまして、はっきりした状況というものはわかっておりませんし、恐らく日々変わっていくのだろうというふうに思います。ただ、私どもがいろいろな情報源から知るところを総じて申しますと、多くの情報でほぼ共通しているのは、油田そのものについての被害というものは比較的少ないという情報が概して多うございます。他方、バスラとかアバダンとか、ああいった製油施設についての被害というものは非常に大きい。それから積み出し施設でございますけれども、たとえばイラクのファオ及びその沖の二つ積み出し施設がございますけれども、この辺についてはかなりの被害がある。  それからイランでございますけれども、イランについてはなかなかわからないわけでございますけれども、カーグ島についての被害はやはりある程度ある。それからもう一つは、オフショアの、海上油田の積み出し施設があるわけでございますけれども、そちらの方は比較的被害がないのではないかという情報がございます。  それから、地中海へイラクのパイプラインが通じておりますけれども、このパイプラインについての情報もいろいろあるわけでございますが、比較的被害が軽微で、あるいは修復にそれほど時間がかからないのではないか、こういう情報が比較的多いようでございます。  以上の情報の信憑性、もちろん問題があるわけでございますけれども、製品の輸出ということになりますと、精製施設も非常に被害をこうむっておりますから、恐らく製品の輸出ということになりますと相当な期間を要するのではないかというふうに思います。ただ、私ども日本の場合で申しますと、製品の輸入というのはほとんどございません。むしろ原油輸入ということでございますので、製品に比べて原油輸出再開の方が、紛争がおさまった後比較的、相対的には早く再開の可能性というのはあるのではないかという感じがございます。  あと、イランイラク関係をどう見るかというのは、これは非常にむずかしい問題でございます。現在OPECの中でいろいろな対立、抗争というのが出ているわけでございますけれども、私どもといたしましては、イランイラク関係あるいはOPECの中の相互の関係というのを慎重に見ながら対応を考えていくことが必要であろうというふうに思っております。  なお、いずれにいたしましても中東地域に現在七割ぐらい依存しているわけでございます。将来とも埋蔵量の関係から申しまして、中東地域の重要性というのは無視し得ないし、これら産油国とのつながりというのは、経済協力その他を通じまして深めていくことが必要でございますけれども、ただそのほかの地域、たとえばメキシコであるとかあるいは中国であるとかあるいはインドネシアであるとか、そういった地域というもの、要するにホルムズ海峡を通らない地域というものに対する接触、あるいはそういった地域からの輸入拡大、あるいはそのための開発面での協力といったようなことを積極的に進めていくことが必要だというふうに思っております。
  35. 水田稔

    水田委員 それでは、時間の関係でその問題はそれだけにしておきたいと思いますが、いよいよ需要期を迎えた灯油の問題について、そしてこれは物価問題との絡みで、六・四%の実現というのはなかなかむずかしい状態。一番手っ取り早いのは、これからの物価を考えれば灯油をきちっと抑えられるか、あるいは季節野菜が抑えられるかということで物価の動向というのはころっと変わるわけですね。先ほどの御説明によりますと、まさに量の点でも価格の点でも心配がないということなんです。これまで灯油というのは、毎年のように需要期になると上がってきた実績があるわけです。去年に比べてもいま二・八倍ぐらいの値段になっておるわけですね。一体心配ないのか。七百十万キロリットルで全部が賄えるわけではないので、それはその需要期に全部灯油をつくるわけにいかない、そういう仕組みになっておるものですから、それを先にためておいて、そしてこれからの生産とトータルでこの冬を賄うということになるのですから、その中で、いま七百十万キロリットルあるからそれはもう絶対心配は要らないということになっておらないのです。本当に心配ないのかどうか。特に価格という問題では北海道などはドラム十本使うわけですから、いまの計算でいけば大変な負担になるわけです。これは一面言えば、たとえば都市ガスを使うあるいは電気で代替できるわけですが、これは公共料金なのですね。灯油は公共料金になっていないために、ともすれば石油会社のそのときのナフサとかガソリンとかのとり方によって、あるいは値段も原価主義じゃないわけでありまして、片一方を抑えれば片一方でふくらましてとる、政策的なものが大変あるわけですから、そういう心配を国民としては持っておると思うのです。見通しだけじゃなくて通産としてこれは絶対抑えていくのだ、いまの油の需給状態からいっても上げる理由がないということで、むしろ抑えるということを指導としてやるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  36. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、七百十万キロリットルで全部賄うという筋合いのものではございません。生産を続けながら供給をしていく、こういうことになるわけでございます。その場合に、先生、得率の問題その他ちょっとおっしゃいましたけれども、C重油との関係が問題になるわけでございます。先ほど御説明申し上げましたようにC重油需要というのが前年に比べて非常に落ちた。片や石油製品は連産品であるということから、C重油需要停滞がネックになって中間三品の生産に障害が及ばないだろうか、こういう御趣旨だろうと思います。この点につきまして、現在やはり中間三品の安定供給というのはきわめて重要だということで、たとえば現在の設備の運転条件を変更する、これによって得率が変わります。それによって中間三品の得率を上げるということで、会社の方でもそういう方向で努力をしておりますし、私どもの方も会社の方とそういうことでお話をしておるということで、そういったような対策、あるいはたとえば電力会社におきますC重油需要をふやすというようなこと、そういったような対策を通じまして中間三品の供給の確保ということを図っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから価格の問題でございますけれども、先ほども資料に基づきまして御説明申し上げましたように、六月をピークにして大体消費者物価はやや弱含みで推移してきておる、十月におきましてもその傾向は維持しておる、こういうことでございます。私ども、価格の問題につきましては、元売り価格の引き上げに際しまして状況を会社の方からヒヤリングいたしまして、便乗的な引き上げがあるかどうか、こういうチェックをしておりますし、また流通過程で不当な行為がないように厳重にウォッチしておるわけでございます。私どもは、価格の問題についての行政のかかわり方というのは非常にむずかしい問題でございますけれども、従来からそういうことで引き上げに際して便乗的な値上げがないように、それから流通過程におきまして不当な行為が行われないように、こういうチェックをしてまいっておりますし、そういうことで今後も厳重に対応してまいりたいと思っておるわけでございます。  特に灯油の問題だろうと思いますけれども、先行きの価格の問題でございます。私ども現段階で考えてみますと、一つイランイラク紛争というのが今後どうなっていくのだろうか、それから原油価格というのが今後どう動いていくか。これはサウジが八月一日にさかのぼって二ドル上げ、UAEが九月一日にさかのぼって二ドル上げた、こういった影響が今後出てくる、まだ通関統計べースにはあらわれてきていないと思います、今後出てくる問題だと思いますが、そういったサウジあるいはUAEの引き上げが今後どう影響してくるのか。あるいはスポットマーケット価格が、十月の最後の第四週でアラビアンライトで三十八ドル二十五セント、こういうことになっているわけでございますけれども、一ころに比べてかなり上がってきているわけであります。そういった動きが今後どういうように原油価格影響してくるのか、こういったことも考えていくことが必要だと思います。あるいは円レートが今後どうなっていくのだということも頭に置いておくことが必要だろうと思っております。  そういった各種の不透明な問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては不透明な問題はございましても、今後円高の基調が継続するとするならば、石油元売り各社において価格を安定するようにするであろうということを期待しているわけでございます。
  37. 水田稔

    水田委員 答弁の中に円高の問題がありました。私は別に意味があって特定の会社の名前を出して言うわけじゃないのですが、新聞発表になったもので、円高差益で上期四百五十億円の利益を上げておる。これは日石なんです。そして、円高で一部キロリットル三千円下げて、ナフサはたしか七百円下げたと思うのです。これはこの一年間で八回の値上げをやった。それはいろいろ原油の値上がり等があって上げてきたのでしょうけれども、こういう円高差益を上げているわけですね。  この状況の中で、たとえば原油が一遍に一バレル十ドルも二十ドルも上がれば別ですけれども、二ドル三ドル上がってもいまの円高状況の中でこれが特別に変わらない限り、何らかの形で消費者に還元すべきじゃないか。石油会社が膨大な利益を上げたときにどういうぐあいに使ったのか知りませんけれども、たとえば土地投機に使ったり関連会社の投資に使ったり、もうけですからいろいろ自由にできるわけですね。しかし、そういう中で、いまのこれだけの原油高の中で、国民生活に一番関係の深い灯油について考えれば、こういう点は消費者に還元すべきじゃないか。それは、そういう利益を上げたときに、為替差益等の利益についてはまさに灯油価格の安定という形の中にそういうものを使っていくという点から言えば、先ほど上げるべきじゃないと言ったのですが、むしろ少々下げてもいいじゃないか。むしろ通産のかかわりとしては、物価という問題等から考えて、これはまさにこの冬は心配ない、こういう点で石油業界を指導して、量についても価格の点についても心配はない、そういうことがやれるときじゃないでしょうか。その円高差益の問題での石油業界の指導という問題について、当然これを差益還元ということで消費者に還元さす。それは灯油価格を安定させるという方向で、この前のような返せというようなことでなくて使うべきじゃないだろうかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、日石の中間決算を見ますと、約四百五十億のユーザンス差益を計上しているようでございます。こういった問題をどう考えるかということでございますが、申し上げるまでもなくユーザンス差益というのはユーザンス期間における為替変動に伴う手形決裁ごとの為替差損益の集積という形で出てくるということで、言ってみますと一過性のものと考えられるわけでございます。ただ、いずれにしてもそれだけの差益が出ていることは事実でございます。  石油業界の収益状況がどうかというのは、これは日本石油という石油業界の中での最も優良企業でございますから、この一社だけが発表されているにすぎないということで、全貌がどうなるかはまだはっきりしないわけでございますが、いずれにいたしましても期中の急速な円高の進行ということを考えますと、経常利益が高目に出ることは十分予想されるところだと思います。  こういった経常利益をどう考えるかということでございますが、こういうことで相当の経常利益が出るとすれば、今後の原油価格動向あるいは円レートの問題がございますけれども、会社の経営判断としてある程度のコストアップ要因は吸収して価格の安定を図るという経営判断をすることを私どもとしては期待しているわけでございます。
  39. 水田稔

    水田委員 そういう状況を十分理解した上で、もしこの冬、灯油の値上がり等がある場合には石油業法なりあるいは生活関連二法等十分活用していただいて抑えていただく、こういうことを要望してこの点は終わります。  時間がありませんから、あともう一つまとめて申し上げます。  先ほどの五十六年度の重点施策の中で、原子力発電施設等立地協力交付金というのが要求されておるわけであります。実は私、一体これで立地が促進できるのかどうかという疑問を持つわけです。まさに混乱を起こすのではないだろうか。あるいは交付金という形ですが、実質は各家庭に対する交付金ですから、いわゆる電力料金の格差がそこには起こってくる。あるいは新潟で、たとえば柏崎とその周辺市町村に二分の一出るとすると、新潟県全体でいま問題だと言っているのは、むしろ新潟県では問題が解決できるんではなくて不満が拡大して残っていくという問題になるのではないか。あるいは原子力発電だけに限定しているが、たとえば石炭火力の大火力を置く場合には考えられるとしたら一体なぜなのかという問題が起きる。水力というのはダムをつくれば相当広範囲に影響を及ぼすが、一体どうなのかという問題が起きる。それからいま電源三法で電源の三つの交付金がありますが、これが一体どういうぐあいに使われたのかということを考えると、これは道路であるとかあるいは文化施設であるとか教育施設というのをつくる。しかし、できてしまった後はそれがあるだけであって、地域開発にそれほどの寄与はしてないというのが実態ではないだろうか、そういう反省を踏まえてこの問題は考えるべきではないだろうか。まさにこう薬の上にさらにこう薬を張ったようなことになって、むしろ問題を大きくしていくのではないだろうかと思います。  たとえば水資源の問題なんかまさにこれと同じような形になるだろうと思いますね。いま水道の事業というのは市町村の事務になっておる。しかし、市町村の力では水源の確保はできない。実際には水源を確保したという証明をつけて県へ上げて、厚生省へ上げて認可ということですが、実際にはそれはできなくなっている。もっと広域で水資源というのは考えなければならぬ時代になった。そういうものをやる場合に一体どうなのか。私の岡山県では、苫田ダムというのがもう二十数年間にわたってもめておる。下流の市町村は水道水が足らないからやってくれと言ってお願いする。反対賛成が半々で、まさに長期にわたるどろ沼のような闘いをやっておるということになってきておる。そういうものにどういうかかわりを持つのかということとの関連等考えてみれば、むしろ立地を促進するよりは立地を混乱さしていく、あるいは電力料金の公平さなりあるいは原価主義というものをここで崩していくことになる、そういう大変な問題を含んでおると思うのですが、どのようにお考えか。私は、これはやめるべきではないか、こう思うのです。この際はやめてもう一遍考え直すべきではないか。そういう立地促進を施策としてすることは私は反対じゃないのです。ただ、このやり方というのはまさに混乱を起こす以外の何物でもないと思うのです。いかがでしょう。
  40. 石井賢吾

    ○石井政府委員 原子力発電につきましては、電力の安定供給あるいは脱石油の推進ということでわれわれ最大の課題の一つであるということで考えておるわけでございますが、いま先生御指摘のように原子力発電所を立地いたしましても地元の福祉の向上に必ずしも直接つながらない、あるいはこれまでの電源交付金によりましていろいろ公共施設をつくりまして、福祉の向上ということで施設の整備を図ってきたわけでございますが、これが必ずしも個々の地元住民あるいは雇用効果の増大、こういったものにもつながってこないという問題がございます。そういう意味におきまして、私どもとしましては地元市町村及びその周辺市町村に対しまして協力交付金を交付することによりましていわば家計負担の軽減、あるいは工場電力の場合でございますと、その限界費用分の低減を通じまして雇用効果を増大するというような観点から本制度を考えた次第でございまして、一応現在は各電源県におきましてぜひこの実現を期してほしいという強い要望を受けておるところでございまして、私どもとしましては、五十六年度におきましてこの実現を図りたいというふうに考えておるところでございます。  先生御指摘の他への波及の問題でございますが、私どもは電源立地というのは先ほど申し上げましたように現下の最大の課題の一つということで、特に原子力発電所の推進が脱石油化という観点からもきわめて重要であることは言うをまたないというふうに思っておりますが、これらにつきまして同時に電気事業者は増大する事業に対しまして供給義務を負うわけでございます。そういう電力の現在の重要な課題性及び事業者の供給義務の実現、これは将来増大する需要に対しまして電源を開発することによって供給をしていかなければならぬ義務があるわけでございますので、そういうような電力という特殊性を踏まえ、かつ、技術的に考えましても電源開発促進税の徴収によりまして特別会計を構成してこれを交付するという仕組みをとっておりますので、私どもとしては他に波及することはないのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから第三点といたしまして、石炭あるいは水力はどうするのだというお話がございますが、私ども原子力発電所に限定をいたしまして本制度を構成いたしましたゆえんは、第一に電源コストの低廉性でございます。今後の電力料金の安定を確保するために原子力発電所が一番コストが低いということが第一に言えるわけでございまして、同時にこれが大量かつ準国産エネルギーによって賄い得るという点があるわけでございます。残念ながら一方にリードタイムが非常に長くなっておるというような事情もございますので、ぜひその原子力発電所の立地推進のために本制度を実現したいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 水田稔

    水田委員 時間が参りましたのであとは質問をやめますが、問題提起だけしておきたいと思うのです。  いまの御説明でほかへ波及しないと納得する者はだれもおらないと思うのです。電力を供給しなければならぬということで言えば火力発電も水力発電もまさに同じです。それから、これまでの交付金が本当の意味での地域開発にきわめて有効に役立っている、そういうことはないわけですね。ですからこれは、私は原子力を進めよとかなんとかということは申し上げませんが、電源立地について進めるならば、地方自治体との間に十分な協議ができて、その地域の振興が図れるという計画の中でそれに対して援助をしていく、そして理解と協力を求めながら電源立地を進めていくということの方が、まさにその政策を進めるのに最善の方法だろうと思うのです。ですから、こう薬の上にこう薬を張っていくような、しかも金さえ出せば、そこでうんと言ってもらえばいいのだというような、これは電力会社も悪いですね。漁業補償などは札束で面を張るようなことをやって、そのためにその地域の人心を非常に荒廃させておるというような、それと同じことを政府がやるということは私は何としてもうなずけない。これは改めて商工委員会等で、どうせ通常国会にかかってくるわけですからやりますが、通産としてもそういう点は、いま答弁されたようなことしかいまの立場から言えば言えないのかもしれませんけれども、問題があるということの理解と、もう一遍正規のものになるまでには内部での論議をぜひやってもらいたい。このことを要望して質問を終わります。
  42. 島村宜伸

  43. 長田武士

    長田委員 石油需給見通しについてお尋ねをしたいと思っております。  イランイラク戦争によりまして、石油輸入のストップに加えまして、アラブ首長国連邦が対日原油を十一月から一二%カットする、そういう通告をしてきておるわけであります。エクアドルも対日供給を八万バレルふやす意向でありましたけれども、これはブラジルに回すというようなことで、どうも日本には来ないような様子なんですね。サウジは日量四万バレル供給をふやそうというような話し合いができておるようでありますけれども、これも限定されまして十月から十二月までというような状況であるようであります。こういうような点を考えますと、供給の確保という点で非常に先行き不安と申しますか、そういう点が出てくるのではないか、そう考えております。また、価格の面においても、この戦争影響でアブダビの値上げやあるいはカタールの割り増し金の要求等が出てきておるようであります。この点についても、私たち価格の動向についても非常に心配をするわけであります。この二点についてお答えをいただきたいと思っております。
  44. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  いま先生からいろいろ動向の御指摘があったわけでございますけれども、現在産油国側のイランイラク紛争に関連してのいろいろな動きがあるわけでございますが、産油国相互間のいろいろな配慮その他がございまして、非常にデリケートな問題であるわけでございます。私どもイラクからの輸入が三十九万バレル現在とまっているわけでございますが、そういったイラクに関連して供給がストップした諸国に対する産油国側における配慮、動き、いろいろ現在あるわけでございます。そういった中で、あるいはDD契約で今年限りで切れる契約があるとかいろいろ問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いろいろ御指摘のような動きもございますけれども、ただ、従来から積み上げてまいりました産油国とのつながり、そういったものをベースにいたしまして産油国各国にお話をいたしまして、できるだけの原油の確保というものをやってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  他方また、たとえばメキシコの例の今年内に十万バレルまで増量する、こういう約束があったわけでございますけれども、この点については十月に十万バレルまで引き上げる、こういうことですでに連絡が来ております。十一月につきましても引き続いて十万バレル、こういうことになっておるわけでございまして、いろいろ供給カットの話も確かにございますけれども、他面において増量の話もあるということで、現在の需要が落ちついていること、あるいは備蓄があること、さらに従来からやってまいりましたDD契約あるいはメキシコのようなGGの増量といったようなこと、総じて申しますと原油の確保というものについては、それは特段の努力が必要でございますけれども、当面特に私どもとしては石油製品安定供給に支障を及ぼすようなそういうことはないというふうに思っております。  価格の点につきましては、先ほど日本CIF価格推移を申し上げましたが、最近の円高によりまして最近の円建ての価格日本輸入価格というのは安定した形で推移しておるわけでございます。他方、御指摘のようにUAEが二ドル上げた。これは、先般のOPECの会議におきましてサウジの原油は二ドル上げたわけでございますけれども、十二月のOPEC総会まではほかは上げない、こういう合意があったわけでございますけれども、その中でUAEが二ドル上げた、これについていろんな解釈があるわけでございますけれども、現在までのところOPECのほかの国でもって追随して上げたという国はないわけでございます。もちろん今後の動向については十分ウォッチしていく必要はあるわけでございますけれども、最近の円高傾向が今後も維持されるということであるならば、日本輸入原油価格に対する影響というのは比較的軽微にとどまるのではないかと思っております。  なお、最近スポット価格イランイラク紛争影響を受けて上がっているわけでございますけれども、私どもの承知しているところではそれによる実際の制約というのはそれほどないというふうに思っております。ただ、いずれにいたしましてもスポット価格上昇というのは全体の原油価格影響をしかねない、こういう問題でございますので、先般のIEAにおきます合意、すなわちスポットマーケットにおける高値買いの自粛、こういう合意ができたわけでございますけれども、日本としてもスポットマーケットにおける高値買いの自粛に努めまして、できるだけ世界原油需給を乱さないように努力をしてまいりたいと思っております。
  45. 長田武士

    長田委員 先ほどメキシコの話が出ましたが、商工委員会といたしまして去年メキシコを訪問いたしました。私もその一員として加えていただいたわけでありますが、そのとき鉱物資源次官と話した経過といたしまして、将来二十万バレル供給できるだろう、それはメキシコの供給量に対して状況に応じてという条件がついております。その中で私たちが心配いたしましたのは価格の点、輸送費の関係ですね、パイプラインもすでにでき上がって、供給が十万バレルということで非常にいい傾向になっておりますけれども、価格の点はどうですか。
  46. 志賀学

    志賀(学)政府委員 メキシコの価格でございますけれども、イスマス原油で七月一日に従来の三十三ドル五十から三十四ドル五十に引き上げております。
  47. 長田武士

    長田委員 それから次に、石油代替エネルギー法に定められております代替エネルギー供給目標については速やかに定める、このように言われておるわけでありますが、作業状況について簡単に御説明いただきたいと思います。
  48. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 作業状況について御説明申し上げます。  石油代替エネルギーにつきましては、エネルギー情勢から見まして非常に緊急性があるということで、法律の御審議も大変お急ぎをいただいたわけでありますけれども、この法律の一本の柱といたしまして、石油代替エネルギー供給目標を定めることになっておるわけでございます。これにつきましては、非常に関係するところも広うございまして、また重要性も高いものでございますから、省内の検討だけではなくて、学識経験者の方の意見を承るということで、総合エネルギー調査会の中に企画専門委員会というものを設けまして御検討をいただいておるわけでございます。できるだけ早く検討作業を終えて公表にこぎつけたいというふうに考えておりまして、秋以来週一度ぐらいのベースで審議会での御検討をいただいておりますけれども、できれば十一月中あるいは各省との折衝等もございますので予断を許しませんが、できるだけ早く、できれば十一月中あるいは十二月の初めぐらいまでには公表にこぎつけたいと考えておる次第でございます。
  49. 長田武士

    長田委員 需給暫定見通しの作成について政府エネルギーの対GNPの弾性値を〇・七七としておるわけであります。ベネチア・サミットで参加国全体の弾性値を〇・六にしようという合意ができております。現在作業中の代替エネルギー供給目標についてはどの程度の弾性値を見込んでおりますか。
  50. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 エネルギーの弾性値につきましては、ベネチア・サミットグループ全体で〇・六ぐらいにしようということになっておりますけれども、そのときにわが国から出しております計画としましては、〇・七七ということで出しておりまして、それを含みましてグループ全体として〇・六ということになっておるわけでございます。  現在検討中の供給目標でどうなっておるかということでございますけれども、私どもとしてはできるだけ弾性値は低くしたいということでございますけれども、これまでにかなり省エネルギーが進んでおりまして、これからさらに省エネルギーを進めていくというのはなかなかむずかしいような状況でもございますので、〇・七台で何とか持っていきたいと考えております。
  51. 長田武士

    長田委員 石油代替エネルギーを具体的に各業種に導入するために、導入指針についてお尋ねしたいわけでありますけれども、導入指針をどのような業種に適用するか、また導入の目安となる指針策定についてはどういうところに重点を置くのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  52. 川田洋輝

    ○川田説明員 導入指針につきましては、法律にも石油代替エネルギーを使用する工場、事業場といったところに広く適用になるようにということで、できるだけ一般的に、たとえば石炭をどういうケースに使い得るとか、地熱はどういう場合に使い得るとか、そういうことで規定をしてまいりたいと思っておりまして、これこれの業種ということでことさらに業種をやるというよりは、むしろ業種が自然に、たとえば焼成工程などについてはこういう代替エネルギーが使い得るという形で、広く一般的に使い得るような指針といたしたいと考えておるところでございます。この作業につきましても、先ほど来御説明いたしておりますのと同様に、エネルギー消費型産業を所管しております部局などと一体となって省内で検討を進めるとともに、総合エネルギー調査会の御審議も仰いでおるというのが現在の状況でございます。
  53. 長田武士

    長田委員 五十四年八月につくりました長期エネルギー需給暫定見通し、この中間報告というのがあるわけですが、昭和六十五年には総需要が七億キロリットル見込まれておるわけですね。これは新経済社会七カ年計画で見込んだ経済成長率五%、これに基づいて策定しておるわけであります。しかし、原油価格の高騰や、企業を中心といたしました民間の節約意識が非常に浸透してきたと私は考えております。そういう点を考えますと、エネルギーの総需要の見込みについても再検討が迫られているんじゃないかなと思いますが、どうでしょうか。
  54. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 暫定見通しにおきましては確かに経済成長率というのが大きな前提として考えられております。この経済成長率につきましては、御指摘のように新経済社会七カ年計画の昭和六十年度まで五・五%というのを採用しておりまして、それ以降六十五年度までを五%ということで、平均しますと五・三%程度の成長率で見ておるわけでございます。この成長率が過大であるかどうかという御議論もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、現在の計画がそういうことになっておるものでございますからこれを前提に組まざるを得ないということが一つございます。  それから、省エネルギー等が進んで弾性値が非常に下がっておるのではないかということでございますが、これにつきましては、昭和四十八年から五十三年までのエネルギー弾性値を計算いたしますと〇・一ということになっておりまして、確かに非常に低い数字になっております。しかし、これは昭和四十八年度までの非常に低廉かつ大量なエネルギー石油供給というのを前提に、ある意味では油づけみたいなことで世の中は進んできておった。その後一次、二次の石油ショックがございまして、そういう時期に当たりまして省エネルギーを大変しやすかったし、あるいはしなければならない時期にあったわけでございまして、そういう意味で、ある意味では特殊な時代ではなかったか。その後の暫定的あるいは見通しの数字で大変恐縮でございますが、四十九年から五十四年までの弾性値は〇・二ぐらいに上がっております。それから見通しになりますが、五十年から五十五年までの弾性値が〇・三ぐらいに上がっておりまして、そういうことで省エネルギーがかつて進んだために、逆に以後の省エネルギーというのは非常にむずかしい、なかなか困難があるというような状況でございまして、先ほど御説明いたしました〇・七台の弾性値で計算するというのはいまのところやむを得ないのではないか、そういうことでございまして、暫定見通しで算定しております六十五年七億キロリットルの需要というのはそれほど過大ではないというふうに考えております。
  55. 長田武士

    長田委員 次は、C重油対策でありますけれども、輸入原油が毎年重質化してきておるわけであります。五十一年には全体のうち重質油の占める割合が三六・三%であったものが五十四年度には四二・五%、こういう状況になっております。反面、内需は灯油軽油などの軽質油が拡大傾向にありますし、重質油については石油代替エネルギーへの転換などによりまして縮小傾向になっておるわけですね。このような需給ギャップが原油精製の大きな課題ではないかと私は思いますが、この点はどうでしょうか。
  56. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりでございまして、日本供給される原油というのはだんだん重質化が進む、他方需要は軽質化する、特にC重油需要分野におきまして石油からの転換というのが行われるという傾向がございます。そういうことで、石油が連産品であるということから申しまして、そういった中でどうやって中間三品を確保していくか、実はこういう問題があるわけでございます。  先ほど当面の問題として実はお答えを申し上げたわけでございますけれども、そういった基本的な傾向の問題として少し長い目で考えてみますと、私ども重質油対策というのを進めておるわけでございますけれども、そういった重質油対策というものを強力に進めていくことが必要だと思っております。それで、現在熱分解設備、これは減圧残油を熱分解いたします、熱分解する設備あるいは技術というのがあるわけでございますけれども、そういった既存の熱分解技術あるいは設備と申しますのは、中間三品が余りとれないという問題がございます。したがって、中間三品多産型の分解技術というものを早急に確立することが必要だというふうに思っておるわけでございまして、実は五十四年度からそのための研究組合というものをつくりまして、現在対策を進めているところでございます。
  57. 長田武士

    長田委員 それでは最後に、C重油対策につきましてはいま御答弁ありましたけれども、上期で三千六百五十二万キロリットル、当初計画四千二百七十六万キロリットルでありますから一五%ぐらい減少しているのですね。これは私は、電力が石炭火力に切りかえておる、そういう影響が非常に大きいとは思います。先ほど御答弁がありまして、電力会社にも使ってもらうのだという話なんですけれども、設備投資も原油の生だきから石炭火力に変えているのですね。そこへもってきてまた石油を使ってもらうなんというのはどうも一貫性がなくてうまくないのじゃないか、そういう危惧をいたしております。いま開発途上であるようでありますけれども、COMですね、原油石炭を混合するという、そういうものの開発なんかも私は早急にすべきであると思っているのです。この点の御意見。  それから灯油についてでありますが、九月末七百十万キロリットル在庫があるということであります。しかし、ことしは冷夏でありまして、冷夏のときには冬も相当冷え込むのじゃないか、このような気象庁の予測も実は出ておるわけであります。実際問題、平均気温で摂氏一度下がると、その冬場は百万キロリットルふえるということが言われておるわけであります。現在在庫があるといいましても、私は、このようなC重油対策も含めて、灯油供給という点では先行きちょっと不安が出てくるのではないか、このように考えますが、この点も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  58. 志賀学

    志賀(学)政府委員 石炭と重油の混焼の問題は公益事業部長の方からお答えさせていただくといたしまして、そのほかの部分について私からお答えいたします。  当面の問題といたしまして、灯油安定供給を確保するためにC重油との関係でどう考えていくのかということでございますけれども、これは一つには、先ほどもお答え申し上げましたように、運転条件を、要するに中間三品の得率を上げるような運転条件に変更するということで一つ対応策をとっているわけでございます。同時に、C重油との関連で、実需に見合った灯油供給確保が困難になるというような実情になった場合に、電力の場合には比較的燃料選択の幅が広いということで、現在電力の方で原油の生だきもやっておるわけでございますけれども、原油の生だきからC重油の方にウエートをかけてもらうとか、そういったようないろいろな対応というのが考えられるのではないかというふうに思っておるわけでございます。そういうことで公益事業部の方とも現在いろいろ相談をしておる、こういう状況でございます。  それから、ことしの冬は去年みたいな暖冬ではないのではないか、こういうことで、それでも大丈夫か、こういう御指摘でございますけれども、私ども供給計画を策定いたします場合には、通常の冬、要するに暖冬ではなくて普通の寒さの冬を想定して、それに若干、ある程度の安全を見込んで供給計画というものをつくっておるわけです。その供給計画におきまして、九月末において六百五十万キロリットルの在庫積み上げ、こういう目標を掲げてやってまいったわけでございますけれども、それに対して九月末において七百十万キロリットルの在庫がある。もちろんその在庫だけでことしの需要期を乗り切るわけではもちろんございません。やはり安定供給に必要な生産というものをやっていかなければいけないわけでございますけれども、その点については、先ほど申し上げたような対策をとりながら対応を進めていきたいというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味から申しまして、灯油について、安定的な供給というのは今需要期について十分対応できるというふうに私どもは考えているわけであります。
  59. 石井賢吾

    ○石井政府委員 COMの実用化につきましてお答え申し上げます。  石油火力発電所におきますCOMの利用を推進するという観点から、これまで電発の竹原一号で小規模な研究を進めてまいりましたが、これの実績を踏まえまして、本年度から一応五十九年度までの予定をもちましてCOMを利用いたしますボイラーの改造の問題、それからCOMの製造設備につきまして実証試験に入ろう、一部につきましては機器の製作に入ろうという観点で、現在電発を活用いたしまして技術の実証試験を実施しているところでございます。また、これらの実証試験の終了に合わせまして、電発及び東京電力が小名浜で一応これを実現するために計画を進めようということで、地元と折衝に入ったところでございます。
  60. 長田武士

    長田委員 終わります。
  61. 島村宜伸

  62. 小渕正義

    小渕(正)小委員 私は、工業技術院の山中審議官ですか、この方が四十五分には退席されるということでありますので、まず一つだけ早く質問したいと思うのです。  先ほどの御説明の中で、五十六年度のエネルギー関係予算要求の御説明がいろいろあったわけでありますが、この中に、項目的に見ていきますと、原子力開発ということで六百七億が五十六年度要求の中に一応数字として入っておるわけであります。これは要するに新しい原子力開発ということで、たとえば新型炉のふげんとか高速増殖炉の常陽とか、ああいった次のタイプのもの、そういうものを中心にした開発費なのか、それとも現在いろいろ稼働している軽水炉中心の原子炉、ああいった諸設備に対する改良その他、そういったものを重点とした開発費なのか。まずこの予算の主要な内容について御説明をいただきたい、かように思います。
  63. 野々内隆

    ○野々内説明員 多様化勘定の中の原子力関係五十六年度六百七億を要求いたしております。このうち五百億程度が科学技術庁で使用される予算でございますが、中身は、新しい高速増殖炉の建設などの予算もありますと同時に、軽水炉の改良技術の確証とかあるいは被曝低減化技術の確証とか、安全解析コードの改良というふうに、現在の技術の改良の部分、双方を含んでおります。
  64. 小渕正義

    小渕(正)小委員 わかりました。  それでまず最初に、これは十月二十三日の日経に載っておった記事でありますが、要するに今回政府が新しく日本エネルギー政策を見直すということで、昨年八月の長期エネルギー需給暫定見通しに対しまして供給目標を、これはベネチア・サミットその他の現在の状況の中で策定をしておるわけであります。ベネチア・サミットにおけるいろいろな申し合わせその他から考えますならば、当然長期需給暫定見通しは変わらなくてはならないというふうにわれわれ常識的に思うわけでありますが、結果的にはこのようにほとんど中身が変わっていないというのが記事の大要であります。それで、これを読んでみましても、結果的には原子力発電や水力発電の供給量を発電量というふうに単位、表示を変えただけでありまして、ほとんど中身は同じだ。その原因としてはいろいろ挙げられておるわけでありますが、先ほど出ておりましたわが国経済計画その他とのかかわり合い等がありまして現在のところ変わらなかったというようなことをこの記事では書いておるわけであります。それが第一の特徴であります。それからあと一つは、原子力発電が現状の段階ではもうとても当初の目標どおり、計画どおりは達成不可能ということがはっきり判断できるにもかかわらず、そういうものをあえてそのまま載せておる、変えてないということが一つでございます。こういうものが記事に出ておるわけであります。  確かにわれわれが考えてみましても、昨年の八月につくった長期エネルギー需給暫定見通しからその後のああいった東京サミット、ベネチア・サミットと、それぞれの石油情勢を考えますならば当然もう一度見直さなくちゃいかぬということでありますし、それからいきますと変わらざるを得ないという感じがするわけであります。それが、諸要因があったにいたしましても、このような形でほとんど何も内容が変わってない形になったというのは、その一番大きな要因は、新聞に記事が出ておりましたが、わが国経済の七カ年計画といったものが変わってないので、これを検討する際におけるそういう土台が変らないので変わってないというふうに見ていいのかどうか。こういう目標をいろいろ立てたといたしましても、それが本当に現実的でない目標、計画でありますならば非常に国民の信頼感を失うわけであります。そういう意味で今回のこういう作業では情勢が変わったのにどうして全然変わらないような供給目標になったのか、その大まかな要因のみ、私の持ち時間は十分ですから簡単に、ひとつ要領よくお願いいたします。
  65. 豊永恵哉

    豊永政府委員 お答えいたします。  エネルギー供給目標につきましては、現在、通産省内部のみならず学識経験者も交えまして鋭意検討中でございまして、まだファイナルな形で公表できる段階には至っておりません。したがいまして、具体的にどういう形になるか御説明できないのでございますが、作業の前提といたしましては長期の経済見通しを前提とせざるを得ないものでございますので、それを前提に、なお需要面につきましては、単にマクロの数字だけではなく、主要業種につきまして業種ごとの需要の見通しなどもすべて調査いたしまして数字を積み上げておる過程でございます。  また、ベネチア・サミットとの関連の御質問がございましたが、ベネチア・サミットで決まりましたことの重点は、今後世界経済石油のリンクを断ち切り、そのためには代替エネルギー開発を大いに進めようじゃないか、また節約も大いに進めようじゃないかというところが最大の重点でございまして、この代替エネルギー開発政策につきましては、私ベネチア・サミットに行っておりましたが、参加国の中では日本考え方政策が最も進んでおる国と言ってよいのではないかと思います。したがいまして、ベネチア・サミットの結果を実行していく面では、参加国の中でむしろ他の国のある意味では先端を切って政策を推進している国ということが言えるかと思います。
  66. 小渕正義

    小渕(正)小委員 それでは次に移ります。  これは十月二十六日の報道でありますが、今回IEAわが国石油輸入量の削減、日量で言いますと五百七万バレルですか、このような計画案をつくって次回の協議の中でやろうという動きが出ておることが報道されておりますが、これに対する対応策について当局としてどのようにお考えなのか、ひとつ簡単にお願いいたします。
  67. 豊永恵哉

    豊永政府委員 お答えいたします。  確かに昨年の東京サミットで日本石油輸入量は一九八五年に六百三十万BDから六百九十万BDということになりました。その後IEAの閣僚会議で、八五年には世界石油需給は非常にタイトになると思われるので、さらに全体で四百万BDぐらいを、アンダーシュートと申しておりますが、下回るような努力をすべきではないかという考え方が示されたわけでございますが、日本といたしましても、六百三十から六百九十という幅のある中でございますが、その最下限の六百三十万BDに輸入量を抑えるという努力をするということを約束しておりまして、さらにIEAの事務局の中では八五年の需給見通しを現在詰めておりまして、今後具体的に四百万バレル・パーデーのものをアンダーシュートすべきかどうかの検討を事務局として行っているところでございまして、その問題は今後IEAでも議論されてくる問題ではないかと思っております。
  68. 小渕正義

    小渕(正)小委員 もう時間が参りましたので、二点だけ簡単にちょっと質問いたします。  先ほどエネ庁長官からは、特に石油代替関係エネルギー関係については強力、大胆に推進する、こういう決意が表明されたわけでありますが、先ほども触れましたが、わが国の今日の原子力のそういう計画から言えば、かなり大幅なおくれが出ておるわけでありますが、それをそういう計画に向けて達成するためにはどのような具体的施策をお持ちなのか、先ほどのお話の中では、何か電源立地関係を一部言われておりましたが、そういうことで達成可能と見られるのかどうか、そこらあたりについて一つ。  それからこれは先ほどの予算の中で、特に多様化の中で、先ほどの原子力開発と、その他ということで四百四十二億一応要求をしようということになっておりますが、これは既存の石油火力を石炭火力へ切りかえていく、そういうためのいろいろな助成費だ、こういうような内容のようでありますが、現在の石油から石炭火力へ切りかえる、そういった計画はどのような形ででき上がっておるのか、その計画の状況がありましたらそれを御説明いただきたい。以上二点でございます。
  69. 石井賢吾

    ○石井政府委員 原子力発電所の建設推進につきましては、先ほど来申し上げておりますように、原子力発電所の安全性確保に万全を期しつつ、われわれとしましては、地元の理解、協力を得ましてこれを推進したいというのが基本的な考え方でございますが、具体的施策につきましては、五十六年度におきまして先ほど来御質疑がございました原子力発電所施設等立地協力交付金あるいはすでに電源交付金によりまして設置いたしました施設の維持管理費につきまして交付する等の施策を通じまして、地元の福祉の増進を通じて問題の解決を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから第二点の石炭火力への転換計画はどうなっておるかということでございますが、ただいまのところ全体で八基、約百十五万キロワットが一応石炭への転換を考えておりまして、このほかに約六基が石炭のたき増しを計画中でございます。
  70. 小渕正義

    小渕(正)小委員 終わります。
  71. 島村宜伸

    島村委員長 渡辺貢君。
  72. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 石油輸入基本的な見通しの問題なんですけれども、たびたび論議をされておりますが、IEAが十二月に閣僚会議を開くわけですね。この中で最終的には八一年度の日本に対する供給の大枠が決定をされるであろうというふうに言われております。すでに十月の会議では、今年度供給のマイナス七%ということなんですが、このままの推移でいくと、来年度、一日五百六万バレルになるわけなんですが、もしこれが十数%カットされるということになると大変重大な問題になるであろうというふうに考えるわけですが、この閣僚会議に臨む基本的な立場をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  73. 豊永恵哉

    豊永政府委員 お答えいたします。  一部新聞に、この十二月の閣僚会議で来年度の輸入目標が決められるというような報道があったことは承知しておりますが、十二月の閣僚会議の議題につきましてはまだ決まっていない段階でございます。それが決まりますのは、十一月の二十一日に事前の準備の理事会がございますので、そこでファイナルに確定するのではないかと思います。先般、先月末に開かれましたIEA理事会でこの閣僚会議の議題についてどうするか簡単な議論がございましたが、そこでの議論は、当面の世界石油情勢をどう見るかという議論をするのがいいんではないかということが一点と、それから今後の各国政策体系について意見を交換しようではないかということが仮の議題として議論された程度でございまして、詳細についてはまだわかっていないというのが現状でございます。
  74. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 詳細はわからなくても、いずれにしてもきわめて重大な会議になるだろうというふうに思いますが、私の意見として二つぜひ考慮していただきたいと思うのです。  一つは、中東など産油国との関係です。アメリカが右を向けば日本も右を向く。イランの問題でもそうなんですが、そういうことではなくて、ああいう植民地から独立国、民族主権国家を確立した各国に対するいわゆる対等平等な立場での経済関係あるいはさまざまな関係を正常に発展させていく、そしてそういう産油国ともわが国が堂々と話ができる条件をつくっていく必要がある。そうなれば当然いまのイランイラク問題に対してももっと日本が積極的な発言をしなければならない。欧米諸国に比べて中東に対する依存度が最も高いわけでありますから、あるいは同時に、逆にわが国のすぐれた技術など産油国に対しても十分に協力体制ができるというふうに考えております。そういう点が一つ。もう一つは、サミットを経てこのIEAの会議でありますが、わが国の立場を十分に反映させる努力を要請をいたしたいと思います。  次に二番目の問題ですけれども、代替エネルギーの問題で昨年とことし、亡くなられた大平総理がアメリカを訪問した際にも協定されておりますエネルギー研究開発協力協定がございますが、特に代替エネルギーの問題で、核融合やあるいは石炭液化、アメリカのガルフのSRCIIなどがいま具体的な研究開発に進んでおりますけれども、この協定の関係で私は大変心配しているのです。かつてのように、石油依存へというふうに全部傾斜すればすぐにわが国エネルギー政策石炭から石油転換をする。聞くところによると、ガルフの石炭液化というのは、九〇年代から二十一世紀にかけて最大の目になるというふうにも言われているわけですが、そういう代替エネルギーの問題でも、何か外国に依存してそして全部傾斜するということじゃなくて、わが国のきちっとした態度を確立する必要があると思うのです。そういう角度からこの協定の現実的な詰め合わせといいましょうか、今日の段階で問題点があれば、簡潔で結構ですがお聞かせをいただきたいと思います。
  75. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えいたします。  SRCIIのアメリカ、日本、西ドイツの三国の共同につきましては、日米間では七月末に協定を締結したわけでございまして、六千トン・パーデーという現在の時点では最も大きな規模の石炭液化プラントでございまして、これを円滑に進めますことによりまして、日本石炭液化技術が大いに進むことをわれわれは期待しておるところでございます。現在、その協定に基づきまして、具体的な事業を進めるべく諸準備が進められている段階であるというふうに承知をいたしております。
  76. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 ひとつ国益を十分守ってやっていただきたいと思います。  原発の問題はすでに論議がありましたけれども、今後かなり大きなウエートを占める、しかし目的、計画からははるかに遠いというのが現状であります。立地がなかなか進まないという原因の中に、一つは核アレルギーの問題もある。これは廃棄物を含めてまだその安全性が十分に確保されていないという問題をわれわれも強く指摘をしてまいりました。もう一つは地域性の問題もあると言われておりますが、これは新潟の君県知事が最近指摘をしておりましたけれども、立地問題の中で、電力会社が札束で漁民の顔をたたくようなやり方をとっている、これはきわめて重大な問題だし、地域を逆に荒廃させるのではないかというふうに言われております。東北電力の女川原発を見ると、補償金に百二十数億かかっている。立地確保のために百二十数億だと言われておりますが、これは一キロワット約二百万円だというふうに報道されているわけです。いままでは二十万円、十倍の補償金が出されている。金で解決すればいいという問題ではないと思います。もちろん漁業補償など、漁民の生活にとってはこれからの暮らしにきわめて大事でありますから、お金による補償も重要でありますが、雇用の問題などを含めて、地域の総合的な発展のために貢献することができるように、これが立地対策の上でも重要であろうかと思います。  そういう点で、先ほど総務課長さんから五十六年度の概算要求の中で、こうした点での特会の活用の仕方についてお話がございましたけれども、ただ単に金を渡すということだけではなく、そういう展望を持ってひとつ努力をされていく必要があろうかというふうに思いますので、一言御見解を承りたい。
  77. 石井賢吾

    ○石井政府委員 電源立地の推進のためには、やはりプロジェクトの性格上、地元雇用効果あるいは地元の住民が直接その電源開発によって裨益をしないということがいろいろな問題が生じている一つの原因になっていることは先生御指摘のとおりでございまして、私ども五十六年度の新政策におきまして、電源立地地域振興対策交付金制度の創設をいまひとつ考えておるところでございます。  これは電力移出量と申しまして、県を越えまして移出いたしております量が、その当該県の消費量よりも一・五倍多いというような発電県に対しまして、県がその地域の振興計画をつくりまして、その振興計画にのっとりまして産業の振興あるいは雇用の増進あるいは福祉の向上、いろいろな施策を講ずるものに対しまして必要な交付金を出そうという形で、地域の振興及び雇用の増進ということを重点に置いて制度づくりを考えてまいりたいと思っております。
  78. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 ひとつその点は十分に対策を深めていただきたいと思います。  最後に、冬を迎えて灯油などの供給の問題と価格の安定の問題がありますが、これは毎年出される問題ですね。冬になってくると価格が高騰する、一方消費者の方は価格の安定を要求する、これは当然だと思いますが、とりわけC重油の場合には元売と個別企業の間で契約を結んで、最近の報道によると、円高差益を還元して現実には供給価格は安くなっているというふうに言われているわけです。消費者の場合に、中間三品の場合にはなかなかそういうふうにいかない。  そこで一つ提案がございます。石油審議会がございますが、この審議会の中に消費者の代表をぜひ加えていただく必要があるのではないか。通産大臣に対して石油関係製品の安定的な供給あるいは価格を含めて意見を述べることができるというふうにもなっておりますし、そういう点では構成について十分国民各層の代表の意見が反映できるように、とりわけ消費者の代表などが参加をし意見が開陳できるように、そういう配慮が必要ではないだろうかというふうに思いますが、この点の構成はどういうふうになっておりましょうか。これは最後ですけれどもお尋ねをいたしたいと思います。
  79. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  石油審議会には石油部会という部会と開発部会と二つございます。お尋ねの関係の問題というのは石油部会という方で扱っておりますので、そちらの方でお答えさせていただきますけれども、現在石油部会のメンバー、委員の数は二十三人でございます。部会長は円城寺さんがやっておられます。その中に消費者の代表を入れるべきではないかという御指摘でございますけれども、現在日本生活協同組合連合会の代表、それから全国地域婦人団体連協議会の代表の方お二人が入っております。なお、そのほか漁業関係の代表といたしまして全国漁業協同組合連合会の方がおいででございます。  いずれにいたしましても、私ども灯油の問題については、国民生活と非常にかかわり合いの深い問題というふうに理解をいたしておりまして、価格の安定につきましては従来に引き続いて十分注意を払ってまいりたいというふうに思っております。
  80. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 いまのは部会の委員の方で、審議会の委員ではないのですか。私の言っているのは審議会の正式な委員という趣旨を……。
  81. 志賀学

    志賀(学)政府委員 審議会の専門委員の方でございます。先生御指摘の点につきましては、今後の問題として検討してまいりたいと考えております。
  82. 渡辺貢

    渡辺(貢)小委員 終わります。
  83. 島村宜伸

  84. 伊藤公介

    伊藤(公)小委員 日本エネルギー石油に大きく依存をしているということも大きな問題点でありますし、同時に石油輸入の七割五分も中東に依存をしているということも今後の非常に大きな課題だと思います。しかもいろいろな御議論がありましたとおり、中東の情勢を初め国際情勢が非常に大きく変わっている状況の中であれば、まして均衡のとれたエネルギーの確保ということが大変急務だと思います。そういう中で、たまたま私ども一年生議員のときに、外務委員会で大変大きな政治的な関心を呼んだ日韓大陸棚協定の問題をちょっとお聞きしておきたいと思うのであります。  当然自主開発を海外においてするということも大事でありましょうし、大陸棚の開発ということはこれからの日本エネルギー確保には欠かせない問題だと思いますが、最初に試掘をいたしました日本側の、日石の開発部門の子会社でありますが、日本石油開発が試掘をされた一号井においては失敗をされている。結局、掘ったけれども出なかったということであります。今度は韓国側が第七小区域で試掘をされているわけでありますが、その状況を御報告をいただきたいと思います。
  85. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  日韓大陸棚の共同開発でございますけれども、昨年の秋から具体的な探鉱作業に着手いたしたわけでございます。具体的に申し上げますと、第五小区域と第七小区域、それから第八小区域におきまして、それぞれの日韓両国の開発権者によりまして昨年の十月から物理探鉱が行われたわけでございます。この物理探査の結果を踏まえまして先生お尋ねの試掘が行われたわけでございますが、まず第五小区域においては、ことしの五月初めから七月初旬まで、これは日本側が操業管理者ということで、日本側がやったわけでございますが、御指摘のように商業生産可能なような石油あるいはガスの発見には至らなかったわけでございます。  引き続きまして、ことしの七月から十月の下旬まで、第七小区域におきまして、これは韓国側が操業管理者でございますが、同じように試掘が行われたわけでございます。結局、四千四百八十六メートルまで掘削したわけでございますけれども、残念ながらこの試掘におきましても商業化可能量の石油、天然ガスの発見には至らなかった、こういう状況でございます。
  86. 伊藤公介

    伊藤(公)小委員 そのほかの鉱区があるわけですけれども、その他の鉱区をどのようにやるのか。また、希望が出ていない、空白になっている鉱区についてはどうしていくのか。状況を見なければわかりませんし、石油開発の成功率はそう高くないということも承知しているわけでありますが、掘っても石油が出ない、そういう期間が長くなってまいりますと、当然資金の問題も大きな問題になると思いますが、そういう資金の問題まで含めてどういう見通しを立てていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  87. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたように、現在まで第五小区域で一本、第七小区域で一本、それぞれ試掘を打ったわけでございます。現在その二本の試掘の結果及び物理探査の結果、これを踏まえまして次の試掘地点をどこにするか、これを現在日本側、韓国側で検討が進められておる、こういう状況でございます。いずれにいたしましても、第五小区域及び第七小区域、これは区域の広さあるいは物理探査の結果などから見まして、最も優先度の高い小区域というふうに日本側、韓国側で認識をしているようでございまして、恐らく当面この第五小区域及び第七小区域に探鉱を集中していくだろうというふうに思っております。  また、第八小区域につきましては、これはやや深いわけでございますが、先ほど申し上げましたようにすでに物理探査は実施しておりまして、その解析作業を現在進めておるという状況でございます。  そのほか、第二、第三、第四及び第六小区域というのがあるわけでございますけれども、こういった小区域につきましては、やや面積が小さいといったようなこともございまして、先ほど申し上げましたように、こういった小区域に対しまして第五小区域及び第七小区域を優先させていきたい、こういう判断をしているように承知しております。  なお、第一小区域と第九小区域につきましては開発権者の申請がなかったわけでございますが、その理由といたしましては、第一小区域は非常に面積が小さいということ、それから、すでに実施されておりました物理探査の結果からいって、有望性と申しましょうか、そういった点においてやや低い、こういったようなことが影響したと思います。それから第九小区域につきましては、これは水深がかなり深いわけでございまして、そういう面から開発権者としての申請がなかったというふうに理解をいたしております。  それから資金面でございますけれども、これは、現在それぞれの企業が自分の調達した資金で探鉱を実施しておる、こういう状況でございます。現在までのところ、試掘の段階でございますので、一本三十億とかそういった金がかかるわけでございますけれども、韓国側と資金を折半して負担するわけでございますが、そういったようなことから申しまして、現在までのところ、日本側の企業から特段の国に対する要望はございませんし、それぞれの企業がみずからの資金調達力によりまして探鉱をやっておる、こういう状況でございます。将来開発段階に仮に移行するということになりますとかなりの資金量が必要になってくるであろうと、こういうふうに理解をしております。
  88. 伊藤公介

    伊藤(公)小委員 一言だけ伺っておきたいのですが、資金の問題ですけれども、将来状況によっては国の財投もあるのかどうなのかということだけ、短くお聞きしたい。
  89. 志賀学

    志賀(学)政府委員 将来の問題といたしまして、資金量がやや大きくなるということは考えられるわけでございますけれども、他方、公団法の改正に際しまして国会の附帯決議というのがございます。紛争のおそれのある地域については公団の財政資金というのは差し控えろと、こういう国会の附帯決議があるわけでございます。私どもといたしましてはこういった国会の附帯決議の趣旨というのは、これは十分尊重していく必要があるというふうに思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、将来の問題としてそういう資金量の問題ということで仮に問題が起こってきた場合には、国会のそういった附帯決議の趣旨を十分踏まえながら対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
  90. 伊藤公介

    伊藤(公)小委員 強い関心を持ち続けたいと思いますが、もう一つ、いろいろと御報告を伺ったり御議論を伺ってまいりまして、昭和四十七年に石油パイプライン事業法というのが通りまして、日本列島改造論に沸き返っていたころから非常に華々しく打ち上げられたパイプライン計画でありますが、関東ラインが三つ、それから中京ライン、京阪神ライン、北九州、それから道央ラインと、合わせて七つのパイプラインが実は計画をされたわけであります。特に首都圏における三つのパイプライン、空港公団のパイプライン、それから関東パイプライン、国鉄パイプライン、この進行状況はどうなのかをまず伺いたいと思います。
  91. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたけれども、昭和四十七年に石油パイプラインの設置とパイプライン事業の運営を適正化する、そういったいろいろの目的を持ちまして石油パイプライン事業法が制定されたわけでございます。この法律に基づきまして五十三年の九月に石油パイプライン基本計画が定められまして、新東京国際空港航空燃料パイプラインについての計画が定められたわけでございます。そのほかいろいろパイプラインの計画があったわけでございますけれども、その後の石油をめぐる状況の変化が非常に大きかったわけでございまして、現在のところ具体化しておりますのは新東京国際空港航空燃料パイプラインだけでございます。  なお、このパイプラインの進捗状況につきましては、これは運輸省が所管でございますので、運輸省から御答弁をさせていただきたいと思います。
  92. 水田嘉憲

    水田説明員 お答えいたします。  成田空港のパイプラインでございますが、合計四十七キロほどあるわけでございます。この四十七キロすべてにわたって現在工事をやっておりまして、そのうち二十三キロにつきましてはすでに導管の埋め戻しが完了しておるわけでございます。残りのうち、特にトンネル構造の八キロ部分が若干問題でございますが、この部分につきましてもすでに四キロの掘進が終わっておるという状況でございます。
  93. 伊藤公介

    伊藤(公)小委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ひとつ計画だけでなしに、長期的な展望に立って御計画を進めるように強くお願いを申し上げたいと思います。
  94. 島村宜伸

    島村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会