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1980-10-30 第93回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月三十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 木島喜兵衞君    理事 天野 光晴君 理事 佐藤  隆君    理事 渡辺 秀央君 理事 池端 清一君    理事 藤田 高敏君 理事 大橋 敏雄君    理事 横手 文雄君       逢沢 英雄君    植竹 繁雄君       内海 英男君    越智 伊平君       木部 佳昭君    菊池福治郎君       桜井  新君    笹山 登生君       田原  隆君    田村 良平君       高橋 辰夫君    津島 雄二君       戸井田三郎君    東家 嘉幸君       中山 利生君    羽田  孜君       福島 譲二君    山崎武三郎君       伊賀 定盛君    渡辺 三郎君       薮仲 義彦君    木下敬之助君       栗田  翠君    石原健太郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         国土政務次官  大塚 雄司君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君         建設政務次官  住  栄作君         自治政務次官  北川 石松君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   加藤  晶君         警察庁警備局災         害対策官    増田  裕君         厚生省薬務局安         全課長     有本  亨君         林野庁指導部治         山課長     松本 廣治君         林野庁業務部業         務課長     田中 恒寿君         通商産業省立地         公害局石炭課長 安藤 勝良君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   石田  寛君         中小企業庁計画         部金融課長   米山 揚城君         気象庁予報部長         期予報課長   菊池 幸雄君         建設省都市局公         園緑地課長   田辺 昇学君         建設省河川局砂         防部砂防課長  釣谷 義範君         建設省住宅局民         間住宅課長   浜  典夫君         自治大臣官房参         事官      池ノ内祐司君         消防庁消防課長 野沢 達夫君         消防庁予防救急         課長      山越 芳男君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十一日  辞任         補欠選任   三浦  久君     野間 友一君 同月十四日  辞任         補欠選任   毛利 松平君     植竹 繁雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     毛利 松平君   野間 友一君     三浦  久君 同月三十日  辞任         補欠選任   近岡理一郎君     植竹 繁雄君   米沢  隆君     木下敬之助君   木村 守男君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     近岡理一郎君   木下敬之助君     米沢  隆君   石原健太郎君     木村 守男君     ――――――――――――― 十月十六日  東海地震対策の促進に関する陳情書  (第六六号)  有珠山周辺地域地盤変動による被害救済に関  する陳情書(第六  七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  異常気象による被害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 木島喜兵衞

    木島委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、異常気象による被害状況について、また、異常気象による被害状況及び有珠山噴火による地殻変動被害状況調査のため、本委員会より、十月十六日から十七日まで、第一班熊本県、大分県、十月十六日から十八日まで、第二班北海道に、それぞれ委員派遣を行いましたので、現地に派遣されました委員から報告聴取いたしたいと存じます。第一班大橋敏雄君。
  3. 大橋敏雄

    大橋委員 派遣委員を代表いたしまして、私から第一班の調査概要を御報告申し上げます。  去る十月十六日から二日間、議長の承認を得、熊本県、大分県における異常気象による被害状況調査を行ってまいりました。  派遣委員は、木島委員長を団長に、自由民主党桜井新君、民社党・国民連合横手文雄君、日本共産党野間友一君、それに私、公明党国民会議大橋敏雄の五名で、他に地元選出議員として熊本県は東家嘉幸君、大分県は田原隆君、羽田野忠文君、畑英次郎君及び阿部未喜男君の御参加を得、現地実情をつぶさに調査をしてまいりました。  まず、今般の被害をもたらした要因について申し上げますと、北九州各地に七月以降断続的に大雨が降り、気温低温の日が続き、特に台風十三号及び八月下旬の集中豪雨は、地すべり河川隘水破堤を起こし、九月下旬まで続いた低温日照不足は、農作物に多大な被害をもたらしました。  次に、被害概況について申し上げますと、調査いたしました両県とも、公共土木施設農地農業用施設並びに農作物大雨による被害額が大きく、熊本県における被害総額は約四百十五億円、大分県における被害総額は約三百七億円に及び、激甚被害をこうむったのであります。  調査団は、第一日目の十月十六日は、熊本県庁において県当局県議会等から総括的な概況説明及び陳情聴取し、直ちに県内の嘉島町の三郎無田及び坪井川の永浦橋で冠水によって被害が生じた水田視察酒水町の富、村吉、旭志村の小原においては、集中豪雨による被害現場視察、大津町地区は、町長より車中地すべり地区被害説明聴取、その後、阿蘇町車帰では、日照不足による水稲被害現場視察調査いたしました。  熊本県においては、台風十二号崩れ熱帯性低気圧の影響で、八月二十九日夜半過ぎから三十一日の未明にかけて、県の北部、阿蘇地方及び熊本市を中心とする周辺部は局地的な豪雨に見舞われ、降雨量は六百ミリを超えて、時間雨量は記録的な六十ミリ以上の観測点も数カ所ありました。その結果、各地に起こったがけ崩れ河川のはんらん、堤防の決壊等を発生させ、多数のとうとい人命が奪われ、家屋の倒壊、流失を招き、激甚災害となったのであります。また、低温日照不足長雨によって、農作物の水・陸稲、豆類、野菜果樹等に大きな被害が発生し、水稲生育遅延、稔実障害果樹肥大不足野菜等の腐敗だけでなく、病害も発生しているのが現状であります。  次に、翌第二日目の十月十七日は、早朝から大分県庁において総括的な概況説明及び陳情聴取した後、直ちに庄内町阿蘇野で水稲調査をした後、院内町へ向かう車中県当局より農作物作物別被害状況及び院内町上舟木地区地すべり対策被災状況説明聴取しながら、院内町上舟木地すべり現場に到着し、視察調査いたしました。大分県の場合も、七月上旬から九月上旬にかけての長雨低温並びに台風十三号、十九号による被害は、県下全域にわたり、農作物は、水稲野菜果樹を主体に多大な被害を生じています。  低温による水稲生育遅延で、稔実障害いもち病の発生、野菜類においては、長雨の中でやっとできた結球が病害で全滅した夏秋キャベツ、そしてまた果樹については、湿害のイチゴ苗、特に浸滞水個所においては全滅状態でありました。台風で枝の先が傷められた温州ミカンハウス栽培ミカン及びメロンも全滅等激甚被害が生じておりました。  また、断続的に降り続いた豪雨等によって生じた院内町上舟木地区地すべり被害は、民家を亀裂や陥没で居住にたえない状態にさせ、山林や田畑は次々に地すべり現象を起こし、崩れており、現在いつ表土が地すべりを起こすかわからない状態でありますので、目下の緊急対策として、地下水を排出する復旧工事が進んでおりました。かかる現状を目の当たりにしつつ、地すべり問題で陳情する町長と地元民の方々の真剣なまなざしは、われわれに対して心のこもった思いやりの政治を期待している以外の何物でもない感を深くしました。  次に、両県における要望の主なるものを申し述べます。  まず熊本県におきましては、  一、激甚災害指定  二、災害に係る特別交付税配付  三、災害復旧事業に係る起債わく確保  四、災害復旧早期完成  五、天災融資法の発動と融資わく確保並びに償還期間の延期  六、自作農維持資金融資わく確保償還期限の延長  次に大分県におきましては、  一、天災融資法適用激甚災害指定  二、被害漁港施設等早期復旧  三、林道災害早期復旧  四、治山事業完全復旧  五、緊急急傾斜地崩壊対策専業実施  六、特別交付税配付 以上の点について、切々たる要望がありました。  時間の関係上十分意を尽くせない点もありますが、以上が熊本県、大分県の被害調査と、各地で熱心に訴えられた要望についての概要であります。  現地では目下その復旧救済に努力しているところでありますが、現下の厳しい財政状況のもとでは、その早期復旧及び被災農林漁家救済のための財源確保に苦慮していることもまた事実であります。  したがって、政府は、今次災害特異性を十分考慮し、各要望事項について慎重に検討を加えられ、これが期待にこたえるべく善処されるよう、この際強く要望しておく次第であります。  最後に、本調査に当たって御協力いただきました熊本大分両県初め、地元関係者方々に深く謝意を表し、報告といたします。(拍手
  4. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、第二班渡辺秀央君。
  5. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 去る十月十六日から十八日までの三日間、北海道道央並びに道南地方における異常気象による被害状況、及び有珠山噴火による地殻変動被害状況調査のため派遣されました、第二班の調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党植竹繁雄君及び高橋辰夫君、日本社会党池端清一君、公明党国民会議薮仲義彦君、日本共産党栗田翠君、それに私、渡辺秀央の六名で実情調査してまいりました。  まず、今回の異常気象により農作物被害をもたらした要因について申し上げます。  去る七月中旬から九月初旬に至り、きわめて長期にわたる低温日の持続で、特に八月の平均気温が平年に比べ三度も低い十七・三度と、観測史上第二位という記録的な冷夏となり、水稲を初め他の農作物生育期に著しい障害を来し、甚大な被害が発生したのであります。  次に、有珠山噴火後における被害現状について申し上げますと、地殻変動による隆起現象はいまなお続いており、有感地震相当数は八月には八十二回を数え、噴火前の標高四百八十八メートルは、本年八月三十一の日北海道大学有珠山観測所調査では六百五十八メートルとなっており、百七十メートルの標高差が生じているのであります。  この地殻変動による地盤沈下影響は、建物及び道路等亀裂を起こし、その危険地域住民に大きな被害と不安を与えております。  次に、農作物被害概況でありますが、特に水稲被害の占める比重が大きく、石狩管内では水稲被害五十八億、畑作被害十八億、合わせて約七十六億円、胆振管内では水稲被害五十九億、畑作被害二十億、合わせて約七十九億円、渡島管内では水稲被害四十億、畑作被害九億、合わせて約四十九億円であり、道全体の被害見込み額は、水稲畑作を合わせて約八百七十億円にも上る被害となっているのであります。  調査団は、十月十六日道庁に参り、知事を初め道議会及び農業団体関係者から総括的な被害概況について説明を受け、道中央に位置する比較的平坦な耕地に恵まれた当別町のわらび岱地区、新篠津町の中原地区水稲被害並びに転作によるビートの生育状況調査いたしました。  同地区における関係者との懇談の中で、今後の対策として、規格外米政府買い上げ価格については被災農家所得確保につながるようにとの要望があり、また、水田畑地転換に必要な河川の整備、排水事業及び水門の床下げ等問題点指摘されました。  二日目の十七日には、道南西部の早来町新栄地区にて水稲被害調査した後、有珠山に向かったのでありますが、途中、八月末の集中豪雨により被害を受けた白老町の臨海温泉地区がけ崩れ、及び国道三十六号線上の登別市富浦地区の土砂崩れの復旧状況視察いたしました。  現場は、火山性土壌に覆われた地形であり、予想外大雨による地山崩落に起因して導水が乱れ、大きな被害となったものであります。  現在応急的工事が進んでおりますが、当地市町村関係者から、公共土木施設災害復旧事業治山事業早期実施及び財政特別措置について、特段配慮をとの要望を受けました。  なお、今後の対策として、被害再発危険個所が多く、土質等の条件を十分研究しながら、恒久的対策必要性を強く感じました。  続いて、壮瞥町の有殊山ユースホステルを訪れ、地元壮瞥・虻田両町長及び関係者の強い要望があり、有殊山火口原まで登ることになりました。  山頂は、地殻変動隆起により、外輪山火口原比高差が少なくなり、また外輪山北方向に対するせり出しは著しく、傾斜度が四十度の急勾配となっている現状であります。  なお、今後の対策として、山頂の急傾斜に伴う崩壊により、山腹、山ろくに堆積した土石流が降雨とともに流れ出す危険があり、十分な防災対策が必要であると思われます。  日程最後の十八日は、道南に位置する渡島支庁管内平野部で、森町駒ケ岳地区、七飯町、大野町における水稲被害調査を行いましたが、同地区低温降雨による日照不足が持続し、やませの影響も受け、各作物生育は著しく遅延し、大幅な減収を余儀なくされている現況でありました。  以上で、三日間にわたる全日程を終了いたした次第であります。  最後に、各支庁管内における要望及び陳情の主なものを申し上げますと、   第一に、天災融資法適用並びに激甚災害指定をするとともに、被害農家天災資金所要額確保すること。   第二に、自作農維持資金の融通については、被害農家既借入残高を十分配慮した特例貸付限度を設定するとともに、所要額確保すること。   第三に、農業共済金早期支払い損害評価特例措置については、損害評価早期認定により共済金早期に支払いできるよう措置し、政府買い入れの対象とならない低品位米について共済減収とみなす特例措置を講ずること。   第四に、規格外米政府買い入れについては、災害により発生する規格外米について、政府買い入れ特例措置を講ずること。   第五に、地方財政対策については、冷害被災地方団体は、税の減免、徴収猶予等による減収に加え、冷害対策のための特殊財政需要が増大し、財政運営が窮迫することが予想される実態にあるので、所要財政措置を講ずること。また、有珠山地殻変動に伴う要望として、   第一に、地殻変動に伴う崩壊土石降雨による流出対策について、その危険個所の早急な対策を要請する。   第二に、地殻変動に伴う建物被害に対する援護措置について救済措置を要請する。   第三に、地殻変動に伴う地籍調査実施方について、特段措置を要請する。 その他多くの要望及び陳情がありました。  時間の関係上十分意を尽くせない点もありますが、被害地域住民の皆様が、今般の激甚被害にもめげることなく、今後の道発展のために希望を持って鋭意努力を重ねられている様子に接し、理解を深めることができました。  この際、政府におかれましては、被害地実態を早急に把握され、各要望事項についてその期待に十分こたえられるよう、特段の要請をいたす次第であります。  本調査に当たり、御協力をいただきました地元関係者方々に深くお礼を申し上げ、報告といたします。(拍手
  6. 木島喜兵衞

    木島委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま各班より報告がありました派遣地等の詳細な要望事項につきましては、これを会議録末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木島喜兵衞

    木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  8. 木島喜兵衞

    木島委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野光晴君。
  9. 天野光晴

    天野(光)委員 実はきょうの理事会で今度の冷害対策決議案を決定いたしましたから、後ほど決議案が採択されるものと思います。私はその決議案が採択された直後に質問したかったのですが、まあいろいろの都合がこれあり、前にやっても同じじゃないかという御意見もございますものですから、この間の私の質問と重複はいたしますが、施行当局が余りにもスピードが進んでいません関係から、決議の内容の中の二、三の問題について、私から再確認の意味で、ここで質問をやりたいと思います。  一つ救農土木の問題であり、一つは二期対策の問題、この二つについて質問をいたします。  この間私、申し上げましたように、農林省がさきに、二百四十億の救農土木をやるというように発表した関係から、各末端の災害地からは、大変いいことでこれはありがたいということの連絡あるいは礼状等を私、いただいておりますが、あの二百四十億は本当の救農土木にはなっていないと私、この間申し上げたとおりでございます。  要するに、今年度の一般会計農林省がすでに予定しておった公共事業の前倒しで二百四十億やるわけでありまして、重点的にどのように配分しようとも、われわれの考えているのは、出かせぎに出て残った者の、いわゆる力の余りない者のための現金収入仕事でありますから、そういう観点からもしも農林省がやるとすれば、設計変更して、人件費を二〇%現在予定しているならばそれを四〇%にして、残りの二〇%をどうするとかいうような問題になれば、あるいは救済を受けられるところもあるかもしれません。しかしそうでなければ、現在のままでやったとするならば、それは当然建設業者が請け負って仕事をやるわけですから、人件費二〇%で仕上げるものに年寄りとかあるいは女、子供を使うわけにはとてもまいりませんから、これはどうにもならないということと、その最も被害のひどかった地点にいま農林省が継続的にやる仕事がないということになれば、これは全然救農土木には当てはまらないわけであります。  そういう観点から、くどいようですがもう一度、五十一年度に施行したのはいろいろ問題はありますが、初めてやったからあれは問題があるのでありまして、今度は二回目ですから、その失敗を十二分踏まえてやるならば、私は大丈夫やれるという考え方を持っております。  そういう点で、できることならやはり、災害民が受ける感情的なものも非常に違いますから、そういう点で予備費から出すか、あるいは特別な財源措置を講じてやるという考え方があってしかるべきだと思いますが、この点はどうか、これが一点。  それから第二点は、私、個人的に各関係大臣とも話し合いをしたのでありますが、いまとなっては新しく公共事業を起こすことが非常に困難だというのならば、関係被害町村単独事業を自分のふところ勘定だけでやるのではなくて、政府は全面的に起債で見る、あるいは特交で見るという具体的結論を出して、政府の方からできるだけ多くやれというような指示をするようにという申し入れを、私は個人的に関係大臣にしてあります。大方の大臣の御了解は得ております。  そういう観点から、下から上がってくるのを待っているのではなくて、上から下げていくという方針で、少しでも多く見てやるという考え方をとるというその話し合いでございますが、決議の中にはそれをうたってありますから、日本語も非常に複雑ですからなかなかむずかしいと思いますが、申し入れした単独事業全額起債で承認するといういうことはどうなっているのか。これは自治省になりますが、きょうは各大臣見えておりませんが、その点を十二分にやってほしいと思うのですが、いまの自治省態度はどうか、これをひとつお答え願いたいと思います。  それから、きょうは時間がないので飛び入りみたいなかっこうになりまして御迷惑かけますから、私、簡単に仕上げますが、いわゆる二期対策の問題であります。  これは被害をこうむった各県、各市町村全部が要望している問題でございます。凍結してほしいという話もあり、われわれの同志の中にも凍結すべきだという意見相当強いのでありますが、その点は、現在の需要供結のバランスから言っての米作の問題でありますから、いろいろ問題点があろうと思います。しかし災害をこうむって皆無になった、あるいは三分作だ、五分作だという地域にまでこれを平均に押しつけるということは、やはり問題が相当あるとわれわれは考えております。  われわれ視察団一行並びにこの災害対策委員会では、十二分にその対策をなすべきであるという意思表示がなされているわけでありますから、そういう点で、二期対策に対しては、亀岡農林大臣は、災害実態的な問題が決まった後にこれはやる、それが済むまで延ばしてあるんだという意思表示がありましたが、御存じのように、二期対策生産調整をやるとすれば、その生産調整されたものに対しての準備態勢を整えなければなりませんので、これは時間的に猶予はないはずでございます。  そういう点で、今度の冷害で非常に災害をこうむった地域に対しては十二分に配慮をして、この問題を一年延長する、五年でやるのが六年になるわけで、それほどの問題はないと私は思いますので、そういう観点で、この二期対策を一年延期する、ただしそれは、激甚被害状況に応じてとまで私の方では譲歩しております。そういう点で、被害状況のひどいところほど問題でありますから、これは十二分に考慮して、生産調整は一年延期するんだという態度をはっきりしてほしいと思います。  一つ救農土木の問題、一つ生産調整の問題この二点について御答弁を願いたいと思います。
  10. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 まず第一点の、救農的な土木事業によりまして被災者を吸収していくという問題でございますが、いずれにいたしましても、特に最近の災害の非常にひどい積雪寒冷地帯を考えますと、一番こういう問題が要求されているのはまさに第三・四半期、ここに重点を指向していくことが非常に必要だというふうに、私どもも実は考えたわけでございます。  そこで、ただいま先生から御指摘もございましたように、すでに、公共事業としての予算組みの中から、特に二百四十億円を特別枠として、被災者の雇用を優先的に図っていくというふうな事業を計画いたしまして、すでに今月の中旬に各農政局等にそれぞれ配分をいたしまして、これからそれに取りかかっていく、こういう段階でございます。  御指摘のとおり、昭和五十一年には予備費をもちまして、特に救農土木事業実施した経過がございます。五十一年のときには、本年と違いまして公共事業が非常に施行された年でございまして、第三・四半期以降の契約残が非常に少ないというふうな事態もありまして、あの措置というのが一つの大きな意味をなしたわけでございますが、今回は多少そのころと状況が違いまして、契約残が非常にたくさん残っている、これをとにかく前倒しにやることによって第三・四半期実施をしていきたい、こういうふうなことで今回の事業を計画いたしたわけでございます。  御指摘のとおり、その実施の過程でいろいろ制約はございますけれども、何とかひとつ、これの運用の中で極力吸収をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、私どもも、果たして被災県に既定の事業が十分あるかどうかというふうなこともいろいろと検討いたしてみました。これはうまく運用してまいりますれば、特に比較的穴になりますいわゆる山村地帯につきましては、別途国有林事業によって、新しく地ごしらえ、除伐等の事業をやっていくというものをうまくマッチさせてまいりますれば、ほとんどの地域で何らかの対応が可能である、こういうことでいま実施を推進いたしておるところでございます。  なお、それぞれの地域におきます各府県のそれぞれの事業、あるいは市町村事業等につきましては、起債等の措置につきましては自治省にぜひお願いしたいということでお願いを申し上げておる次第でございます。  それから、第二期対策の問題につきましては、ただいま先生の方から、特に被災の大きな県についてはその点を配慮して、一年延期するなりなんなりという措置をとるべきであるという御意見を承りました。  この二期対策につきましては、実はいろいろな御意見がございます。特に、こういう災害の段階におきまして二期対策問題について検討をし、進めるということは適当でないということで、この間は一切その問題は白紙にいたしまして、ともかくも災害対策に注力する、こういう大臣の御指示もありまして、私どもいま災害対策に取りかかっておるわけでございます。そういう意味で、これからどう二期対策を取り扱っていくのかという点は、率直に申し上げてまだ全く何も決まっておらないわけでございます。  ただ、これは基本的には避けて通れない課題でございますので、そういう取り扱い方の中で、ただいま先生から御指摘のありましたような御意見もよく承らしていただきまして、各界とも協議をしながら、慎重に検討をしながら、この問題についての取り扱いは将来決めてまいりたいというふうに考えております。
  11. 池ノ内祐司

    ○池ノ内説明員 冷害対策の一環といたしまして、関係県なりあるいは市町村実施いたします救農土木事業につきましては、関係市町村におきましてはすでに予算化が済んでおるところもございますし、あるいは既定の予算の枠内ですでに実施に進んでおるところもございます。  自治省といたしましては、関係地方公共団体が単独で実施します小規模な建設事業、たとえば市町村有林の整備事業であるとか、市町村道の整備事業あるいは小規模な土地改良事業というものを中心といたしまして、地方公共団体が救農土木事業実施するわけでございますけれども、その点につきましては、その財源といたしまして、地方債につきましては十分な配慮をするということで、すでに関係地方団体に周知をしております。したがいまして、そのような救農土木事業につきましては、地方債の配分を重点的に、十二分に枠を確保いたしまして早急に対処してまいりたい、かように考えております。
  12. 天野光晴

    天野(光)委員 くどいようですけれども、第三・四半期農林省関係の中の公共事業を前倒しでやることが救農土木につながるのだといういま説明がございましたが、それは全然納得がいきません。ですから、最も災害のひどかった地点に対して、私、個人的に一カ月くらいたった後にずっと一回りするつもりであります。そのときにこの恩典の浴しない場所があった場合には、農林省、そのままでは済みませんよ。救農土木でやるのですから、一〇〇%も収穫がなくなったところに救農土木事業一つもいかなかったでは済みません。それをいまのうちに、農林省救農土木と言ったが、あれは今年度の公共事業の前倒しであるというふうに訂正するなら、それはそれで結構ですよ。そうでなければ完全に潤いがいくということ、そして被害を受けた農家の現金収入に役立つということをきちっとしてもらうのでなくては、これは意味がありませんから、ただかっこうだけよくて、中身が何もないものでは話になりません。  それと、二期対策の問題も、何かやるかやらないかはこれから検討だというような話でありますが、そんな遅い政治はありませんよ。現に二期対策をやっては困ると現地では言っておるのです。これからやるかやらないかでは、来年度の作付の問題に大きな影響があるわけでございますから、そういう点で、この点については一日も早く農林省の内部で話し合いをつけて決定していただきたいと思います。  自治省に対しては、いまの単独事業でやったというのは、自分の力の範囲内で市町村がやっているわけですから、それを十二分に考慮の中に入れて、全部単独事業としてやりたい仕事があるならば、われわれの方で見てやるからどうだというふうに流すようにと、私は石破大臣にこの間申し入れをしているはずでありますから、その点十二分に踏まえて、この問題を強力に推進するように希望いたしておきます。答弁は要りません。
  13. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、高橋辰夫君。
  14. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 先般、渡辺委員を団長とする災害視察委員方々に、北海道冷害あるいは有珠山等大変綿密な調査をいただきまして、心から感謝申し上げる次第でございます。  私は、最初に冷害問題について質問を申し上げたいと思います。  天災融資法激甚災害法の発動につきましては、農林水産大臣も早くやるというようなことも言っておりますけれども、この間の被害額調査でもって、全国では六千九百十九億円、あるいは北海道を見ましても九百三十九億円という、戦後最大の被害となっておるわけでございますけれども、早期に行うということは具体的には大体いつごろか、また、被災農家が必要とする融資枠の確保は大丈夫かどうかをまず最初に質問したいと思います。
  15. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 今回の被害が戦後最大の被害になったことは御指摘のとおりでございまして、こういう事態に対処して、天災融資法の発動及び激甚災害法の発動につきましてはとにかくできる限り急ぐ、私どももこういう方針でおります。大臣からも、十一月の早いうちに、できれば十日ごろ、遅くとも十五日くらいまでには出せるように準備をするようにという御指示をいただいておりまして、こういうタイミングに間に合わせるべく現在鋭意努力をいたしておるわけでございます。  ちなみに、五十一年のときには十一月二十九日に政令公布をしておりますが、それを今回の事態にかんがみましてひとつ極力前に持ってまいりたい、こういうつもりでおるわけでございます。  そこで、融資枠につきまして十分に対応できるかという御質問でございますが、五十一年の際には実は六百億円の融資枠を確保したわけでございます。実行は八〇%ほどでございまして、枠としましては六百億円ということでございますが、今回は五十一年よりも災害状況も非常に厳しいということで、まだ現在関係県からの要望その他を鋭意取りまとめ中でございまして、どのくらいになるかということを申し上げられる段階にはございませんが、五十一年をかなり上回る規模のものが必要であろうというふうに考えております。いずれにしましても、被災農家要望をされたときに、それによって支障がないように十分な措置はとりたいというふうに考えております。
  16. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 次に自作農維持資金についてでございますが、必要融資枠の確保を図るとともに、北海道については五十一年冷害と重複して被害を受けているので、ひとつ思い切った貸付限度の特別措置を講ずるべきだと思いますけれども、その点についてお答え願います。
  17. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 自作農維持資金につきましても、ただいま申し上げました天災融資の設定と、時期を合わせて実施をいたしたいというめどで、いま鋭意作業をして詰めておるわけでございます。したがいまして、枠としましても、まだいま申し上げられる段階まで固まっておりませんが、同じく、五十一年の三百六十五億円という枠設定よりはやはり相当上回って必要であるというふうな考え方を持っているわけでございます。  なお、その際に、貸付限度額につきまして特例的な枠を設定するようにという御指摘でございまして、私どももやはりその辺の配慮が非常に必要だというふうに思っております。  現在、被害状況なり貸付残高がどのくらいどの地域であるかというふうなことを把握、調査をいたしておりまして、こういう実態を踏まえて、そのような御要望にも沿えるように適切に対処したい、こういう方針で作業いたしておるわけでございます。
  18. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 次に農業共済金のことでございますが、地元からは年内に支払いを完了してくれ、早くしてくれという声も大きいようでございますが、その点の見通しはどうか。  また、低品位米が多量に発生しているので、共済の損害評価に当たっては、五十一年度の例にならい特例措置を講ずべきだと思いますけれども、どのような内容の特例を指導しているかどうかを御答弁願います。
  19. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 農業共済金でございますが、これはやはり、何と申しましても災害対策一つの中心の柱になる対策でございまして、私どもも年内の支払いを何としても完了させたい、こういうことで早期支払い体制を督励をいたしておるわけでございます。そういうことの結果、各地域ともその体制で現在進めておりまして、それは十分達成できる、こういう見通しを持っております。  なお、その際に、特に要望の強いところにつきましては、仮渡しもやるようにという指導をあわせてやっておるわけでございますが、すでに五県、十六組合ほどは仮渡しを実行しあるいは実施中でございますし、なお今後十四県、五十九組合ほどが仮渡しをする予定で準備をいたしておるようでございます。この面もさらに指導をいたしてまいりたいというふうに思っております。  次に、損害評価の特例の問題について御質問がございましたけれども、ことしのような冷害によりまして食用にならないような米が大量に発生しているという事態におきましては、損害評価につきましても特例を講ずる必要があるということで、かねて検討いたしておりましたが、実は十月二十四日にそれを実施するということを決めまして、各府県の農業共済組合連合会にすでに指示をいたしたところでございます。  その特例の中身でございますが、通常は縦目ぶるい一・七ミリメートルの選別で政府買い入れ基準に達するということで、これが通常のルールでございますけれども、今回は特に、買い入れ基準に達しないようなものについてはさらに被害粒を控除し、それでも不十分な場合には縦目ぶるいで一・八ミリメーター目で選別をする、さらに、なお不十分な場合には、青米等につきましての搗精試験をやりまして、その歩どまり低下分も見る、こういうふうな特例を決めたわけでございます。
  20. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 次に、大量に発生が予想されております規格外米について、さきに十月二十四日の最終被害額の公表に際しまして、大臣は買い入れ方針を明らかにしておるところでありますけれども、これについての買い入れ基準あるいは買い入れ価格、買い入れ見込み数量はどうなっているかについて、御質問申し上げます。
  21. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 災害によって発生します規格外米につきましては、かねてから、自主流通米として流通するようなことができるものにつきましては極力この線に乗せていく、こういうことで指導をいたしておったわけでございますが、それでは十分に流通し得ないもので、かつ、主食用として適当なものにつきましては、政府の買い入れを行うという方針を決めた次第でございます。  そこで、買い入れの基準でございますが、これは品質面を考慮いたしまして五段階の格づけをいたしまして、それによって買い入れるということで、食糧事務所あてにすでにその事務に取りかかるようにという指示をいたしております。対象県といたしましては、北海道ほか二十五府県についてこれを実施する予定でございます。  なお、買い入れ価格でございますが、規格外米の品質格差を勘案いたしまして、六十キログラム当たりで、未熟粒混入甲と被害粒混入甲のランクのものにつきましては一万一千四百二十五円、それから未熟粒混入乙と被害粒混入乙につきましては一万一千三十六円、それから青未熟粒混入につきましては一万八百二十一円というふうに定めております。  なお、政府買い入れ見込み数量はどのぐらいになるかというお話でございますが、本年は全国的な災害規模の上に収穫期も全般的におくれているという状況がございまして、現時点では的確にどのぐらいになるかということを見通すことは非常に困難でございます。五十一年の実績は約十万トンということになっておりますが、その程度になるのかどうかというふうなことが、いまの時点ではまだ十分に把握できない状況にございます。
  22. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 先ほどは、わが党の天野議員から救農土木のことについて質問がございました。私は、どうも救農土木という言葉については抵抗を感じております。それは、北海道でいまたとえば救農土木事業をやったとしても一日七千円ぐらいであり、土木関係業に就労すると一日一万円ぐらいになっておるということからすれば、救農という言葉が当てはまるかどうかというようなことも疑念を持っておるわけであります。しかし、何としても収入皆無というような状況の地帯もあるわけでございますので、いろいろな排水事業とかそういうこともやってもらいたいというような声もございますけれども、農林水産省としてはどのような救農事業実施を考えているかどうかをお伺いするとともに、特に北海道では、御承知のように積雪地帯でございますので、もうそろそろ雪も降ってきておるというような状態でございますので、せっかくそれをしていただくことについても、仕事ができないというような状態も出てきておるわけでございまして、これらの問題については明年早々にも、ひとつ四月にも出してもらうような方向がとり得るかどうか、また、そうしてもらいたいと考えておるわけでございますけれども、北海道に対しまして特別の配慮をしていただけるかどうかについて御質問いたします。
  23. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 就労確保のための公共事業実施につきましては、先ほども天野先生に申し上げましたとおり、第三・四半期の執行の中で、特に二百四十億円の特別な事業費枠、これは農業で二百億、林業で三十億、それから水産で十億でございますが、これを配分いたしまして、その中で極力被災者の雇用吸収を図っていく、こういう指導をいたしておるわけでございます。  なお、救農土木事業という言葉でございますが、私ども、実は公共事業の施行を重点的に促進して、その中で吸収をしていくということを申し上げておりまして、従来から救農土木事業という言葉を使ったことは私どもはないわけでございます。世間がそんなふうな言い方でよく言われるわけでございますが。そこで、さらに、それでは不十分な面につきまして特に補完するということで、国有林野の事業の中でも除伐、地ごしらえ等の、いわゆる家庭の主婦でも働けるような事業を仕組むということで、これもすでに各地域におろしまして、一部はすでに取りかかっているところでございます。こういう面をあわせまして、各地方自治体が独自に実施するものにつきましては、これまたできるだけ長期低利の融資の活用も図ってもらう、こういうふうなことで、総合的に雇用効果を発揮したいというふうにいま考えているわけでございます。  なお、北海道につきまして、積寒地帯の特殊性からのお話がいろいろございまして、私どもも従来から、こういった地域につきましては公共事業の施行をいろいろ配慮いたしておりまして、できる限りそれができる時期に極力前倒しでできるようにということを考えておるわけでございますが、今後とも、次年度以降の公共事業の施行につきましても、積寒地帯の北海道実情というものは十分に配慮してまいりたいというふうに思っております。
  24. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 この救農事業につきまして自治省に対して質問する予定でございましたけれども、先ほど天野議員との間で質問答弁がございましたので、自治省に対しまして、救農事業につきましては、起債枠あるいは特別交付税の交付につきまして十分考慮していただくように要望しておきます。  次に、水稲等の次季作用種子の問題でございますけれども、種子の確保が大変懸念されておりますが、再生産に必要な水稲等の種子購入について、五十一年度の例と同様に助成措置を講ずるべきであると思いますけれども、この点についての御答弁を願います。
  25. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 水稲等の次季作用の種子の確保が一部地域につきましては非常に困難であるという事態にかんがみまして、私ども実は、各地方の農政局を通じまして、地域間の調整あるいは県間の調整というふうなことをいたしまして、次季作用の種子を確保するという努力を現在いたしてまいっております。  現時点におきまして、北海道、東北地方におきましては準種子の利用等を含めまして何とかおおむね確保が可能ではないか、こういう段階になっております。ただ、西日本の方はいまだ収穫の完了していないところがかなりございまして、さらに引き続いてそのための努力、あっせん等の活動をしていかなければならないという段階であるというように考えております。  そこで、ただいま五十一年の例に準じて助成策を講ずるようにというお話がございましたが、私どもも、今後西日本の収穫がほぼ完了する段階で、全国的に種子の必要量等を正確に調査いたしまして、関係方面とも協議の上、いまのような御指摘の点を含めまして内容を固めてまいりたい、こういうことで検討いたしております。もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  26. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 先ほど天野議員から第二期水田再編対策のことについて質問されましたけれども、特に北海道においては、米価は二・三%上がったけれども激変緩和措置が削られたというようなことで、実質的には北海道の米価は下がっておるような状態でございますし、それにかてて加えて冷害というような実態もございます。特に北海道だけ特別扱いしろということではございませんけれども、どうも北海道においては一律配分ではなくて傾斜配分されて、これからまたそれを傾斜配分されるということになれば大変な——少なくともいま四十数%であり、それが五〇%以上になるということになると、北海道は専業農家が大体八割でございますので、そういう再編対策については北海道水田農家は大変な関心を持っておるような状態でございます。北海道冷害、全国的な問題もございますけれども、ひとつこの点につきましては十分これを配慮していただくように、一応要望しておきます。
  27. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 冷害対策との関連もございまして、いろいろとただいま先生からも御指摘のような御意見、その他、次の二期対策の進め方につきましては、十分に御意見を私ども承っておるわけでございます。  先ほども申しましたとおり、当面は冷害対策に全力を尽くすということで、いずれにしましても、再編対策は避けて通れない重要な課題ではございます。しかし、具体的内容は、これからいろいろ各方面の御意見等も検討いたしながら結論を出していきたいという段階でございますので、この場で今後のことをどうだというふうなことを申し上げられる段階にはございませんが、御意見として承らしていただきたいと思います。
  28. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 次に、中小企業金融対策についてでございます。  中小企業は冷害により農家に対する売掛金の固定化等の影響を大変受けておりますけれども、資金繰りが切迫しておりますので、政府系の金融機関において、既往借入金の償還猶予冷害特別枠の設定、期間延長等、資金の確保、条件緩和に特例の措置を講じていただきたいと思うのでありますけれども、これについて御答弁を願います。
  29. 米山揚城

    ○米山説明員 ただいまの先生御指摘の、政府系の金融機関におきます融資条件の問題につきましては、去る九月十九日付をもちまして、私どもの長官それから大蔵省の銀行局長連名の文書で通達を出しまして、やはり個別の企業の実情に応じました条件で、既往債務の償還の猶予を図るあるいは担保徴求の弾力的運用を図るということで、特段配慮をお願いするという通達を流しておりまして、これによりまして万全の措置を期していきたい、こう考えておるわけでございます。  それから、資金枠のお話があったわけでございますが、現在、私ども、この政府関係金融機関につきましては、十月から十二月期、いわゆる第三・四半期につきましては、昨年の実績に比べまして合計で二六%増ということで、一兆五千六百億円の枠を組んでおりまして、一応これで対処していけるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  いずれにしましても、冷夏、冷害によりまして厳しい影響を受けております中小企業の金融につきましては、今後とも十分配慮していきたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 よくわかりましたけれども、大体、冷害とかあるいはまた、私も有珠山対策の問題で道議会時代にやりましたけれども、第一次産業については手厚いそういう枠があるのでありますけれども、どうも商工業者に対しては、いろんな施策をやっていただいておるのでありますけれども、第一次産業から見れば大変不十分でありますから、今後ひとつ十分実態を把握いたしまして、特にこういう冷夏の問題で不景気の状態もございますので、それを十分ひとつ考慮していただきたいことを要望しておきます。  次に、国民健康保険事業の助成と、それから要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金の増額、それから育英学生採用枠の増加についてでございますけれども、もう時間がなくなってきましたので、中小企業同様に、ひとつその点にも厚生省あるいは文部省に要望しておきますので、十分の配慮をひとつお願いしたいと思います。  次に、八月末の北海道南西部における集中豪雨による災害について質問いたします。  まず、この集中豪雨により北海道ではどの程度の被害を受けたのか、その概要報告、そしてまた、この集中豪雨における災害に対して国はどのような措置を講じたかどうか、あわせてひとつ簡単明瞭に答弁を願いたいと思います。
  31. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 八月末の北海道集中豪雨でございますが、八月二十八日から三十一日にかけまして、登別で四百九十三ミリという総雨量を記録したのを初めとしまして、相当大雨が渡島、檜山、胆振地方に降ったわけでございます。  道内の二十五市町村におきまして、重軽傷者六名、住家の全半壊百棟、床上浸水千十七世帯、道路損壊百十カ所、がけ崩れ二十九カ所、田畑の冠水六十九ヘクタール等の被害が発生いたしました。  この豪雨災害に対しまして、国といたしましては、室蘭市、登別市、白老町に災害救助法を適用いたしましてとりあえずの対策をいたしますとともに、去る十月二十四日に、農地農業用施設につきまして、全国的な甚大な被害にかんがみまして、激甚災害として政令指定をしたところでございます。また、被災公共施設につきましては、災害査定を鋭意進めて、早期復旧に努めているところでございます。  以上でございます。
  32. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 次に、この集中豪雨における北海道南西部被害に対して各省庁が今後どのような措置を講ずるか、林野庁、建設省、国鉄にひとつ答弁を願いたいと思うのでありますけれども、国鉄の関係については、どうも国鉄の下を通す排水路等について非常に許可がむずかしいというような状態もございますので、どうも国鉄が集中豪雨においてはそれをせきどめしておるというようなことからして、土砂崩れあるいは崩壊についてはそういったことが大きな原因になっておりますので、特に白老町の虎杖浜、竹浦地区でもそうでございますし、あるいは登別の富浦地区でもそういうような状態になっておりますので、国鉄においては前向きでひとつ答弁を願いたいと思います。
  33. 村上温

    ○村上説明員 ただいま御指摘の件につきまして答弁いたします。  白老町のクッタリウス地域で、クッタリウス川という川に橋がかかっておりますが、この橋のすぐ上の部分で、御指摘のように線路に狭い部分がございました。これはあの災害の発生と同時にすでに取り除いてございます。  それから富浦地区に富浦川というのがございますが、この川にかかっております橋の排水容量が十分じゃなかったということで、この件につきましては別の地域に排水路をつくるという方向で、地元の登別市とすでに協議を開始しておりまして、間もなく解決いたしたいというふうに考えております。
  34. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 とにかくこれは、この場所の問題じゃなくて、どうも国鉄が、集中豪雨になると国鉄の線路がせきどめになってきて、それによる災害が甚大でございますから、このクッタリウスでも七十戸が何日間も水が引かなかったというような状態でございますので、国鉄においては十分ひとつこれについて御配慮を願いたいと思います。  次に、最後でございますけれども、有珠山の問題について質問いたします。  有珠山災害対策については、有珠山噴火以来、国においては避難施設緊急整備事業とかあるいは治山、砂防について十分な配慮をしていただいたことについては、私も深く感謝しているところでありますけれども、現在の有珠山は火山活動がかなり鎮静しておりますけれども、地盤変動地殻変動というものが大変大きなことになっておるわけでございまして、外輪山のせり出しは百七十三メートルも出ておるわけでございまして、こういった地域においては住民もあるいは町当局も大変不安に思っておるわけでございますし、先般のわずか二十ミリ程度の雨でもって昭和新山の道道がとめられたというような実情もございます。そういうようなことで、土石流対策地盤変動に起因する被害建築物の救済計画はどうなっておるのか、この二点を質問いたしたいと思います。  まず第一点は、外輪山のせり出しに伴い山頂付近の傾斜は大変鋭角となっておりまして、崩壊が続いていて、山腹・山ろくに土砂が堆積している状態であり、これが降雨とともに土石流となって、小有珠右の川に流出してくる危険が大きいものと思われるものでございまして、洞爺湖温泉に大きな被害があるのじゃないかということで、住民も大変な不安を持っておるようなわけでございます。そういうことで、地盤変動の著しい外輪山北東側についても、土石流が発生すれば、壮瞥温泉等がもう壊滅するのじゃないかというような危険視をされておるわけでございますけれども、これについて林野庁、建設省はどう考えておるか、ひとつ御答弁を願います。
  35. 田中恒寿

    ○田中説明員 お話のございました有珠山の北並びに北東斜面につきましては、現在も大変地殻変動隆起現象あるいは断層の発達によります崩落、崩壊現象が続いております。また、直接お話のございました小有珠右の川の上流につきましても、この上流部の内側にくぼ地がございまして、そのくぼ地に大有珠、オガリ山の隆起によります崩落並びにガリー、雨裂、水の道でございますが、こういうものの発達によります浸食等の現象が続いておりまして、現在そのくぼ地に大量の土砂も流入をしております。これはやはり外輪山を越えて越流するおそれもなしともしないような状態でございます。  この内輪部等は、地殻変動による隆起がございますことから、防災上必要な恒久的かつ大規模な工事を本地域に直接実施することは技術的に困難な個所でございます。このため、当面の対策といたしましては、堆積降灰が泥流化いたしまして一時に流下するのを極力防止することを基本といたしまして、山腹斜面におきましては編柵工、伏せ工、土どめ工、緑化工、ヘリによります実播等も含んでおるわけでございますが、こういうものによりまして、泥流及び土石流の主因となりますガリーの発生を抑止し、山腹の安定、植生の復活を図るとともに、渓流におきましては、低ダムの階段的配置によりまして、渓床の安定を図ることとしているところでございます。  なお直接、この北東部の壮瞥町につきましては本年度までに渓間工百九十七基、山腹工一ヘクタール、ヘリコプターによります緑化工二十八ヘクタールを実施し、災実の防止に努めてきたところでございますが、本年度につきましても、緊急治山事業をもちまして、緊要な個所に渓間工二基を追加作設する予定でございます。  さらに小有珠右の川、通称道銀裏の方でございますが、これには外輪山の内側のくぼ地の緊要な個所につきまして必要な土どめ工を作設し、対処いたしたいと思っております。  申すまでもなく、今後とも、当該地区におきます治山事業につきましては、関係機関と連携を図りながら、学識経験者、専門技術者の意見を踏まえ、荒廃状況の変化に対応いたしまして、適切な工種工法につきまして検討を加えまして、積極的に推進を図ってまいりたいと考えております。
  36. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 ちょっと時間を超過しましたが、最後質問いたします。  池端さんも後からされると思いますけれども、防災集団移転の事業についてでございますけれども、現在の制度では、地方公共団体に対する国の補助金が限度額は一戸当たり六百十四万というふうに聞いておりますけれども、大変な地殻変動でございまして、子供さんもうちが壊れて亡くなったというような状態もございますけれども、この限度額をひとつ増額してもらいたいと考えておりますけれども、国土庁の見解を簡単にお願いします。
  37. 四柳修

    ○四柳政府委員 お答え申し上げます。  現在の六百十四万というのが、実は昨年五百八十七万、その前五百三十万という形で逐年上がってまいりまして、これは他の省庁の予算とのバランス上、あの地区につきまして甲地区適用するのは非常に困難だと思いますが、できるだけ五十六年年度以降も単価アップに努めてまいりたいと思います。
  38. 高橋辰夫

    高橋(辰)委員 わかりました。仙台のときの地震については七百万以上にしたということも聞いておりますので、ひとつまた、この住宅密集地帯については十分勘案をしていただきたいと思います。御答弁をいただきましてありがとうございました。  地盤変動というものは大変な、全国的に類例のないものでございまして、それが百七十メートルもせり出して、湖水面に十メートルも出ておるというようなところから、他人の土地にうちが建っておったり、他人のうちの土地を耕やしておるというような例もございますので、この地殻変動が鎮静したときにおいては、ひとつ地籍調査を再調査していただきたいことを要望をしておきまして、私の質問を終わります。
  39. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、池端清一君。
  40. 池端清一

    池端委員 私も、まず最初に冷害対策についてお尋ねをしたいと思います。  農林水産省が二十四日に取りまとめられました十月六日現在での被害状況は、金額にして実に六千九百十九億円、五十一年冷害をはるかに上回る戦後最大の冷害になったことは御案内のとおりでありまして、ただいまも同僚議員からいろいろ御質問があったわけであります。  そこで、天災融資法適用激甚災害指定の問題についてただいまも御質問がありましたが、五十一年災害のときは十一月二十九日にこれは発動した、今回はそれよりも極力早くしていきたいという答弁があったわけでありますが、この問題は、被災農家の皆さんにとっては一日千秋の思いで待ち望んでいる問題でございます。もっと具体的に、いつの閣議でこの政令公布をお決めになるのか。もう少し具体的な日程を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  41. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 天災融資法及び激甚災害法につきましては、現在鋭意作業の取りまとめを急いでおりまして、この後政令発動に至るまでの各種の段階が必要になるわけでございます。  そこで、ただいま何日の閣議でというふうなお話がございましたが、閣議をいたします場合には、公布のどうしても三日ないし四日前に開くことが必要になるわけでございまして、先ほどお話のありました五十一年の十一月二十九日といいますのは、これは公布の日でございまして、閣議はたしか二十六日に開いておるように私、記憶いたしております。  そこで、今回でございますが、先ほども申し上げましたが、できれば十日ごろに公布ができるようにしたい。いろいろの関係でおくれても、十五日くらいまでには少なくともできるように、こういうつもりで作業を急いでおりますので、それに間に合うように閣議も開催をいたしたい、こういうふうに思っております。
  42. 池端清一

    池端委員 自作農維持資金の融通の問題でございますが、これにつきましても、先ほどは要望に沿って処理をしていきたいということでございました。これも天災融資法の発動などと同時に行われるのではないか、こう思うわけであります。そうなれば、もうある程度のめどがついているのではないかというふうに考えられるわけであります。  五十一年災害のときには、北海道の場合は百万円の上積み、東北地方は五十万円の上積みというふうにも聞いております。これは各県いろいろ実情によって違うわけでありまして、画一的にはまいらぬと思うのでありますが、五十一年災害の場合に比べて今回はどのように措置をされようとしているのか、この辺、五十一年災害との比較において、いま検討の状況を御説明願いたいと思います。
  43. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 自作農維持資金につきましても、ただいま先生からお話のありましたとおり、できれば天災融資法と同時期に実施したいということをめどに、作業を進めておるわけでございます。  なお、貸付限度のお話のようでございまして、確かに御指摘のとおり、五十一年のときには北海道につきましては百万円を上乗せをする、それから東北六県につきましては、当時百万円の貸付限度でありましたものを百五十万円に引き上げる、こういう措置をとっておるわけでございます。  で、今回総枠としてどの程度の枠を設定する必要があるか、同時に、五十一年にとりましたような貸付限度額の引き上げの措置として、どういう地域にどれだけのものが必要になるかというふうなことにつきましては、先ほど酷しましたとおり、現在各地域からの資料を集めておりまして、まだどの程度になったらいいかということをめどをつけるような段階に至っておりませんので、そういうふうなことで、申し上げられる段階には至っておりませんけれども、いずれにしましても、各地域被災者の方が、維持資金の要請がありながら十分にこたえられないということにならないように、その辺のところは適切に処理をしたい、こういう方針で作業を進めておるとろでございます。
  44. 池端清一

    池端委員 次に、農業共済の水稲損害評価の特例の問題でありますが、これにつきましても、先ほど二十四日に通達を出したという御答弁でございましたが、具体的に今回特に配慮した点、五十一年災害とは違って、今回特にこういう点について措置を講じたという点を具体的にお答えいただきたいと思います。
  45. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 損害評価の特例につきましては、いま御指摘のございましたように、すでに二十四日の日に決めまして、これを各都道府県連合会に指示をいたしたわけでございますが、その概要は先ほど申しましたとおり、通常の一・七ミリ目の選別、それで買い入れ基準に達しない場合には被害粒を控除する、それでも達しない場合には一・八ミリ目で選別をし、さらに不十分の場合には、搗精試験も行って歩どまりの低下分も減収として見る、こういう大要でございます。  そこで、五十一年にしなかったことで今回特に配慮したところはどこかというお話でございますが、それはいま申し上げました段階の中で一・八ミリ目で選別するということは、実は今回初めて特例としてとったわけでございます。かねてからこの種の御要望は非常にあったわけでございまして、作業を簡便化する上からも非常に効果的だというふうに私どもは考えております。
  46. 池端清一

    池端委員 規格外米の買い入れの問題でございますが、実はこの問題について、私どもが北海道調査に行っておりましたとき、たまたま北海道議会の冷害対策特別委員会が開かれておりまして、そのやりとりを新聞で承知いたしましたところによりますと、道の理事者は、政府規格外米の買い入れについてはきわめてむずかしい状況にある、という答弁があったという報道がございまして、現地被災農家からも、これでは困るという強い訴えがあったわけであります。いまお聞きしますと、これについても特段措置を講じたということでございます。これについても五十一年災害のときと特に変わったような配慮をされているのかどうか、その辺ひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  47. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 規格外米政府買い入れにつきましてもかねてから検討をいたしておったわけでございますが、今回はできるだけ早期に方針を出してこれに対する準備に入るようにしょう、こういうことで、すでに、実は買い入れ方針は二十四日に決めたわけでございます。さらに、買い入れ基準等の細部につきまして二十九日に決定をいたしまして、即刻食糧事務所に買い入れ手続に入るようにという指示をいたしたわけでございます。  基準を設けて、それぞれに買い入れ価格を設定し、それから買い入れをする、こういう手続におきまして、特別に五十一年と大きく変わったという点はございませんけれども、ただ問題は、今後これに該当する被害粒がどのくらい出てまいるか、その辺のところになりますと、五十一年にはちなみに十万トンほどの買い入れをしておりますが、今回はどの程度の結果になりますか、そこのところは、ことしはもう少し時期が過ぎてみませんとわかりませんが、そういうことで、私どもとしては、この面でも支障ないように対処をいたしたい、こういう方針でございます。
  48. 池端清一

    池端委員 先ほどからもいろいろ御指摘がありましたが、私もどうしても、第二期水田利用再編問題について触れざるを得ないわけであります。  先般の委員会でも、そうしてまた、本日も各委員から異口同音に、この問題についての特段配慮が求められたところであります。減反と冷害は別だという御意見もあるようでありますが、私は決して別個なものだとは思っておりません。  先ほどもありましたが、私は北海道出身でありますけれども、北海道の場合、ことしは激変緩和措置の撤廃、そして今度の冷害、さらに第二次減反ということになりますならば、生産者の皆さんにとってはまさにトリプルパンチでございまして、大変な打撃を農家の皆さんに与えることになるわけであります。これは私は政治のとるべき道ではないと思うわけであります。  先般の委員会でも、亀岡農林大臣はこの問題について大変苦慮しているということを、その答弁の中から私はうかがい取ることができたわけでありますが、いまこそこの問題は決断をすべき時期に来ている、私はこういうふうに考えますので、生産者の立場に立った、被災農家の立場に立った率直な見解をお伺いしたい、こう思うわけであります。
  49. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 今回の冷害が五十一年を上回る予想以上の深刻なものになったということもございまして、当初、実は、第二期対策は九月のうちに実施に入りたいという方針で進めつつあったわけでございますが、こうした被害実態にかんがみまして、当面は冷害対策に万全を期する、これに注力をして、被災農家にその面におきます一つの安心感を持っていただきたい、こういうことで、再編対策の方は当面それが終わってから、こういうことにいたしたわけでございます。  一方、再編対策は再編対策といたしまして、米の需給均衡なり将来の農政というふうなことを考えますと、やはり避けて通れない課題ではございますが、実は、ただいまのような経緯のもとに、具体的な内容というのは現時点においてはまだ全く決めていないというのが、率直のところ申し上げて、状況でございます。  今後、関係各方面からの種々の御意見をよく検討いたしました上で、その具体的な内容は決めてまいりたい、こういう状況でございますので、御了承をいただきたいと思います。
  50. 池端清一

    池端委員 農林省内部では、第二期対策の全体像はともかくとして、五十六年度についてはどうしても減反目標を緩和するしかないだろう、しかし、この五十六年度に緩和した分は残りの五十七年度、五十八年度の二年度に上積みをして、当初の計画はあくまでも変更しない、全体像は変更しないんだ、こういうようなことも一部に言われているというふうにお聞きをしておるわけであります。これでは被災農家救済することにはならないと私は思うわけであります。むしろ五十七年度以降に生産者に大いなる犠牲を転嫁するものである、このように考えるわけでありますが、こういうようなことも内部で検討されているのかどうか、ひとつ承りたいと思います。
  51. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 二期対策の内容につきましては、ただいまも申し上げましたとおり、現時点でまだ具体的な中身は全く決めていない、今後御意見を承りながら、それを検討しながら結論を出していきたい、こういう段階でございまして、ただいま御指摘のような、五十六年度に緩和して、その分が五十七、五十八年度に上積みされるというふうなことにつきまして、農林省としては、まだそういうふうなことを検討し、決めた、こういうふうなことでは一切ございませんので、御了承いただきたいと思います。
  52. 池端清一

    池端委員 後刻当委員会決議が出されるわけであります。この決議の内容についてもいろいろ検討した結果のものでございまして、ここにわれわれの意思が反映をしておるわけでありますから、ぜひこの趣旨を体して、さらにまた被災農家の立場、生産者の立場に立って農政を進めるという観点から、この問題については特段配慮を求めておきたいと思います。  次に気象庁にお尋ねをいたしますが、気象庁の気象研究所に藤田敏夫主任研究官という方がいらっしゃいますが、この方がこのたび日本気象学会で発表する論文をまとめられました。それによりますと、ことしの冷夏、冷たい夏の原因が、五月に大爆発を起こしたアメリカのセントヘレンズ火山の爆発によるものである、これは委員長以下皆さん御視察に行ったところでございますが、こういう研究をまとめられて、気象学会で発表されるということを聞き及んだわけであります。  同氏によりますと、吹き上げられた細かなちりが、夏場に北緯六十度以北の高層にたまり、日射をさえぎり、大気の循環をかき乱した結果、ヨーロッパ北部とカナダ北部、そして極東に寒気が居座って冷夏をもたらした、このように分析をされているわけであります。  しかも、ここで特筆しなければならないことは、このことは、昭和二十九年にアメリカがビキニで行った水爆実験の後の夏の気温分布状況とことしは非常に似通っている、こういうことまでまとめられたというふうにお聞きをしておるわけであります。  冷たい夏の原因がここにある、そして今次の冷害をもたらした大きな要因になったということになれば、これは、率直に申し上げまして非常に重要な研究ではないかというふうに思うわけでありますが、これらの研究内容について気象庁としてはどういう御所見をお持ちになっておられるか、御見解を承りたいと思うわけであります。
  53. 菊池幸雄

    菊池説明員 今回のセントヘレンズの爆発は、その規模から見まして、一九六三年三月のインドネシアのバリ島で起こりましたアグン火山の爆発の程度ではないか、そう推定されております。このときは、爆発後一年ほどたちまして、北半球全体の平均気温が平年よりも〇・三度ほど下がっております。  一般に火山の影響が効いてきますのは、吹き上げられた灰が北半球あるいは地球全体に広がってからでありまして、爆発によって打ち上げられた灰が地球の緯度線に沿って地球を一周するには、通常数週間から一カ月程度で、ごく短い期間で一周するのでありますが、それが南北方向に広がるには、先ほど述べましたアグン火山の例でもわかりますように、かなりの日時を必要といたします。そういうわけでありまして、セントヘレンズの爆発の影響があらわれるといたしましても、これはもう少し先のことになるだろう、私たちはそう考えております。  ただへ先ほど御指摘がありましたように、今回の気象学会では、セントヘレンズで爆発の影響に関する論文が幾つか発表されていると聞いておりますので、私たちとしては、今後これらの研究の進展を十分に見守っていきたい、そう考えております。
  54. 池端清一

    池端委員 時間がございませんので、それ以上お尋ねはいたしませんけれども、ひとつ十分こういう科学的分析を深められていただきますよう、お願いを申し上げます。  次に、有珠山の問題についてお尋ねをいたします。  これも、先日十月二十五日、新潟で開かれました日本火山学会で、金沢大学の守屋助教授と北海道大学の岡田講師のグループの一連の研究発表によりますと、有珠山崩壊の危険性ありと、こういうきわめてショッキングな研究内容が発表されたわけであります。  先日も調査団の皆さん、渡辺団長以下登山をしていただきまして、本当に御苦労さまでございましたが、実際に私もこの有珠山に登ってみまして、余りにも有珠山が変容しているのに実は驚いたわけであります。外輪山が洞爺湖側に約百七十メートル移動をしている、突き出している。あるいはまた、この火口原内の有珠新山やオガリ山が依然として隆起をしておりまして、噴火前は五十五メートルもあった外輪山鞍部と火口原との比高差は、八月現在でわずか一メートル三十という状況になっている、きわめて危険な状況にあるということを私もこの目で見てきたわけであります。  今日まで、有珠山対策について、治山に、砂防にと、非常に御苦労いただいておりますことを心から敬意を表するわけでありますが、しかし、そういう危険な状況にあるということになれば、もっと抜本的な治山砂防対策を進めなければ、この湖畔の住民の生命、財産を守ることはできないのではないかということを率直に感じてきたような次第でございますので、これらの今日的な状況に合った対策をどのように進められようとしておられるのか。その点について、まず総括的に国土庁からお答えをいただきたいと思います。
  55. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 先ほどもお話がございましたように、有珠山の火山活動は、噴火もとまりまして、地震の方も減衰を続けているわけでございます。ただ、地震もこの夏ごろからまた少し回数がふえたりしておりまして、非常に心配をしておるところでございます。  いま一番問題になっておりますのは、地盤変動に伴う被害がいろいろと出てきているということでございます。いまお話がございましたように、外輪山が押し出してくるとか、あるいは湖畔の住宅地において地盤変動によって被災建築物が出ているというような問題があるわけでございます。  今後の対策といたしましては、地盤変動による土石流の被害の防止をする、これが一番大事なことではないかと思うのでございます。それからまた、一部住宅地における被災建築物をどう救済するかという問題があろうかと思うのでございます。  これらにつきまして、私どもの方も関係省庁といろいろ連絡をとっておるところでございますが、適切に対処してまいりたい、さように考えておるところでございます。
  56. 池端清一

    池端委員 火口原内に堆積した火山灰は八十五万立方メートルというふうに推定をされているわけであります。この土砂が外輪山を越えて流れ出すのは時間の問題ではないかというふうにも言われているわけであります。私はいたずらに不安をあおるという気持ちはございませんけれども、そういうような状況もあるわけであります。したがって、いま地盤変動を続けている最中でありますので、そこに工作物を建造するというようなことは逆にこの危険性を増すことになるということは、私もわかるわけであります。しからば、下の方でどういう土石流対策をこれからさらに進めていこうとされるのか、この点は建設省あるいは林野庁等からお聞きをしたいと思うのです。
  57. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  まず、外輪山の鞍部の一番低いところ、それの下流には小有珠右の川があるわけでございますが、まず小有珠右の川につきまして、砂防激特並びに通常砂防によりまして、上流部には砂防ダムを設置いたしまして泥流の流下を抑制いたしまして、また下流部には流路工をつくりまして、その流路工の断面を、土砂を含んで流れるものに対して十分大きな断面をとりまして、それによって泥流を安全に流下させるという方針で、現在鋭意努力中でございます。  しかしながら、さらに、先ほど先生のおっしゃいますように、上から外輪山の内部のものが外側へ鞍部を通じて流下するという状況になりますので、それに対しましては、さらに砂防ダムを増設するか、あるいは現在までつくっております既設の砂防ダムを、現在財政当局に要求中の火山等緊急対策砂防事業というものによりまして、その既設ダムの土砂を排土する、それでさらに容量を確保する、そういう方針で泥流災害に対処しようという考えでございます。  それから、北東斜面といいますか、外輪山の北東側は先ほどおっしゃいますようにせり出しておるわけでございますが、これについても壮瞥温泉川について五十三年度より砂防ダムを設置し、さらに先ほど申しましたように新たに流路工を設置しまして、泥流が安全に流下する対策を図ってきたところでございますが、今後さらに、地盤変動に伴う問題に対処しまして砂防ダムの増設並びに既設砂防ダムの堆砂の除却、そういう対応をしてまいりたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  58. 田中恒寿

    ○田中説明員 有珠山現状についての先生のお話、私ども全く同じような考えを持っておりまして、林野庁は山腹から上部の方につきまして鋭意治山事業を進めているわけでございますが、何と申しましても一番危ないのが土石流、それから積もった降灰等が雨によって泥流化して流れる、そういうことを防ぐのが第一義ということに考えておりまして、やはり低ダム群の連続工法が非常に効果もございますので、堰堤、床固め等の渓間工を十分行っていきたい、それから降灰を安定させるための山腹工等によります緑化、これを行いまして、最小限にとどめるための努力をこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。
  59. 池端清一

    池端委員 ひとつ、これこそ万全の対策を講じていただきたいということを心からお願いを申し上げておきます。  次に地盤変動問題でございますが、一般民家が地盤変動影響によって大変な被害を受けているということは、これはもう国土庁の皆さんもつぶさに視察されておりますので、よく御存じのとおりであります。私どもも見てまいりました。この間行った西村さんのお宅では、実はきょうで十八回目の視察がお見えになっております。みんな道議会だ、国会だといろいろ見には来るけれども、さっぱり今日まで何もやってないじゃないかという、むしろ強いおしかりを私ども受けてきた、そういう状況なわけです。本当にトイレも使えない、バスも使えない、うちにくいを立てて何とか支えている、こういう状況でございます。  この対策を講ずるためには、私はやはり現行の活動火山対策特別措置法、これに問題があるんじゃないか、地盤対策の問題、地盤変動の問題がこれでは具体的にうたわれていない、したがって、これの法改正の必要もあるんじゃないかというふうにも考えますし、いま国土庁が進められようとしております防災集団移転促進事業、これでいま地元と協議中のようであります。しかし、先ほどもお話がありましたように、この補助対象基本額が六百十四万円というきわめて少額である、さらにまた、個人の希望がいろいろ違う、家屋の被害状況あるいは希望内容等が違うということで、これをまとめてこの事業でやるということはなかなか至難なわざだというふうに私は思うのですね。そういうことで地元でも大変苦慮しているわけなんですが、これらについてどのようにいまお考えになっているか、またこの事業実施についての見通し、さらにまた特段対策というものがこのことについてとられることができないのかどうか、その点について国土庁、特に四柳さんは噴火以来この問題に携わってきたのだし、あなたは最後まで見届ける責任がいまあるわけだ、ここで手を抜きますと画竜点睛を欠くわけでありますから、ひとつしっかりやっていただきたい、こう思うわけであります。
  60. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 地盤変動対策として必要な事業というものを考えますと、治山砂防、それから被災公共施設の改築等についての助成、それからお話がございましたような災害危険地域内の住宅の移転をどうするか、これの助成、こういうものが考えられるわけでございます。  活動火山対策特別措置法を改正して地盤変動事業を追加すべきでないか、こういうお話につきましては、道議会その他からも御要望は前々から私どももいただいておりますけれども、いまのところ現行の法律によりまして、先ほど申し上げました必要な事業というのは何とかやっていけるんではないか、そういうふうに考えているところでございます。
  61. 四柳修

    ○四柳政府委員 お尋ねの点でございますけれども、岡村町長さん来られまして、いろいろ経過を伺いまして、ただいまお話ございましたように、地元の方々の御意見をまとめるのが非常にむずかしいということが一点と、とりわけ、例の公共事業でやりました流路工との金額の差ということが、やはり地元の方々にとってみては、片一方は公共事業で非常に大きな金額が出るのに、どうして省令補助の場合は出ないんだろうかという、地元の率直なお気持ちを伺いまして、私どもの方も実情はよくわかります。  もう一つ、実は虻田だけでいいのか、壮瞥の方のカトレアなり向こうの方のはどうするんだろうか、とりわけ、いま実は岡村町長さんがお考えの点は、建築基準法の規定によります災害危険区域の指定をしたいというようなお考えもあるようでございまして、これを虻田町だけでやるのか、あるいは壮瞥町についてもやるのか、その場合に、仮に活断層沿いの帯状の地域だけとしましても、いろいろの影響が出ると思います。  それやこれや考えまして、どういう形に落ちつくか。確かにお金の面では、仙台の地震が起きましたときに、従来の単価とは別に、住宅金融公庫の基準によります、比較的大都市部分につきましては住宅金融公庫並みの地域区分によりまして単価をとったわけでございますけれども、せっかくのお話でございますものですから、何かせめて、点睛とは言わなくても、少し目玉が入るようなことができればと、検討させてもらいたいと思います。
  62. 池端清一

    池端委員 ひとつ、いまの言葉に期待をいたしております。また、きょうは時間もございませんのでこれ以上申し上げることはできませんが、機会を改めてお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  最後になりましたが、この地盤変動で住宅建設が不適当になった土地、これを買い上げて公園として活用するというような方法も私は考えられると思うのでありますが、建設省、これについてはいかがでしょうか。  さらにまた、個人住宅の被害に対する救済制度の一つとして災害復興住宅資金というものがあるわけでありますが、これらについての融資額の増額なり償還期間、据え置き期間の延長及び利率の引き下げ、こういうものについて、いわゆる条件緩和の措置をとる考えがないかどうか。建設省から最後に、簡単でいいですからお答えをいただきたいと思います。
  63. 田辺昇学

    ○田辺説明員 住宅と公園の問題でございますが、住宅の集団移転が図られました場合には、その跡地を公園化することにつきまして、当該町の一部が都市計画の区域でもございますので、その跡地が都市公園の整備基準等に適合するのであれば可能ではないかと考えられますので、検討してみたいと思います。
  64. 浜典夫

    ○浜説明員 災害復興住宅という融資項目を設けまして、住宅金融公庫から被災に当たられた方の復興融資をしておるわけでございますが、現在条件は、通常の場合に比べまして非常に有利な条件にいたしておりますことは御案内のとおりであります。  ただ、この条件をさらに改善するということになりますると、たとえば金利で申しますと、昨年来非常に金利が上がっていった中で五・〇五という、通常では五分五厘でございますが、非常に有利な金利に設定してございまするし、償還期間なども木造でも二十五年と法定しておりますので、改善の余地は余りないのでございますが、これを十分に御活用いただくのが筋かと思うのでございます。  ただ、貸付限度額に関しましては、現在六百三十万というふうにいたしておりますのが約一年ほど前のことでございます。時間も経過しておりまするし、この災害状況を拝見いたしますと、その後の物価変動等もございますものでございますから、それを改定すべく準備を進めておりますので、建設省といたしましてはそういう方向で改定すべきではないかと考えて、関係方面とこれからお打ち合わせに入ろう、こういう状態でございます。
  65. 池端清一

    池端委員 有珠山噴火以来満三年を経過いたしました。この間における政府関係機関の迅速にして、かつ、手厚い対策については私は本当に心から敬意を表する次第であります。  しかし、先ほども申し上げましたように、この地盤変動問題の解決なくして有珠の解決はあり得ないということでございますので、ひとつ特段の御努力をお願いをしたい。  最後に、きょうは大臣お見えでございませんが、政務次官がいらっしゃいますが、実は歴代長官は全員有珠山視察に来られて、状況をつぶさに見聞されておるわけであります。まだ原さんだけがお見えになっていないんですね。北海道開発庁長官でありながら、苫小牧まで来て有珠には寄らぬ、こんな不都合な話はないので、このことはよく大臣に伝えておいていただきたい。このことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  66. 木島喜兵衞

    木島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後二時五十七分開議
  67. 木島喜兵衞

    木島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、自由民主党日本社会党公明党国民会議、民社党・国民連合日本共産党及び新自由クラブの各派共同をもって、異常気象による被害対策に関する件について本委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺秀央君。
  68. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提案者を代表して、私からその案文を朗読し、趣旨の説明にかえたいと存じます。     異常気象による被害対策に関する件(案)   本年七月以降の記録的な異常低温日照不足及び長雨等の天候不順は全国的に過去に例を見ないほどの被害をもたらし、水稲の稔実障害生育遅延をはじめとする農作物被害は今や被害農家に極めて深刻な苦悩を与え、これが関係地域の社会経済に及ぼす影響は多大なものがある。   よつて政府は、この際被害農家実情に思いをいたし、生活の確保、農家経営の安定を図り、再生産体制の確立を促進するとともに、緊急に左記事項について適切な措置を講じ窮状の打開に万全を期すべきである。         記  一、天災融資法及び激甚災害法を早期に発動するとともに、それまでの間のつなぎ融資措置及び既貸付金の償還条件の緩和措置並びに自作農維持資金についても必要な融資わく確保と貸付限度額の特例措置を講ずること。  一、農業共済金早期支払いを行うとともに、損害評価にあたっては、被害粒を控除する等の適切な措置を講ずること。  一、被害農家現金収入を考慮し、就労機会の確保のため、早急に、公共事業の被災地における重点施行及び国有林野事業等における雇用の拡大を図るとともに、特に関係地方団体が単独で実施する救農土木事業等については地方債の配分、特別交付税の交付、その他必要な措置を講ずること。  一、被害農家の飯米確保のための政府米の特別売却等の措置、米穀の予約概算金に係る利子の減免措置及び規格外米政府買入等の措置を講ずること。  一、被害農家の営農に支障をきたさないようにするため、水稲の次季作用種子及び越冬用飼料の確保等について適切な措置を講ずること。  一、水田利用再編二期対策など再生産対策については、被災地の実情、需給の動向等を考慮し、慎重に取り扱うこと。  一、被害農家の負担軽減を図るため、関係地方団体がとった地方税等の減免措置に対しては適切な財政措置を講ずること。  一、恒久対策として冷害の回避技術確立のため、試験研究の充実等技術開発に努めること。   右決議する。 以上であります。  決議案の内容につきましては、案文によりまして御理解をいただけると存じますので、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  69. 木島喜兵衞

    木島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  渡辺秀央君外五名提出の動議のごとく、お手元に配付いたしてあります案文を本委員会決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 木島喜兵衞

    木島委員長 起立総員。よってさよう決定いたしました。  なお、本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 木島喜兵衞

    木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  ただいまの決議につきまして、政府より発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀岡高夫君。
  72. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、十分検討の上、適切に対処してまいる所存であります。  ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  73. 木島喜兵衞

    木島委員長 質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  74. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先般静岡で発生しましたガス爆発事故、あの災害について、再びこのような非常な痛ましい災害が起きないように、その意味合いにおいてきょうは質問をさせていただきたいと思います。  先般の事故は、御承知のように、亡くなられた方が十五名、負傷者が二百二十二名、史上二番目の大変痛ましい災害でございました。こういう事故が二度と起きないために、私は今日まで何点か指摘をしてまいりましたけれども、重ねて当委員会指摘をいたしたいのは、あのような重大な災害が起きて、国民の間に、ガス事業は安全なのか、ガス漏れというものは国民生活を守る上で断固防止されておるのか、こういう危惧の念があるにもかかわらず、その後依然として静岡瓦斯のガス漏れば終わらない。あの事故発生以来、当局ではその事故の概要を掌握していると思いますけれども、きょうは質問の時間が限られておりますので、こちらで指摘いたします。  あの爆発以後、九月四日には静岡市の城東町で、地上から露出しておったガス管からガスが噴出した。続けて九月十五日には静岡の駒形通りで、路上でガスが火を噴いた。さらには十月十七日に、静岡駅前の所も同じゴールデン街でガス漏れが発生した。続いて十月二十二日には有東で、今度は静岡瓦斯の工事によってプロパンの本管を切断した。十月二十五日には静岡市の丸子でガスが噴出している。  このように、たび重なる事故があの大惨事以降いまだに続いておるということは、一体通産当局は、当該事業者に対して、県民の生命、もちろん国民の生命の安全の上から、安全にもっと留意をするようにきちんと指導を適切にしているのかどうか。しかも、東京通産局が静岡瓦斯を調査した結果は、保安上に問題がない、こういう報告を得ております。これでもまだ問題がないと言えるのかどうか。  私は、ここで、こういう問題について原因の究明は当然として、静岡瓦斯のガス管の埋設、そしてまた、工事上の技術、保安対策上に大きな問題があるんじゃないか。再びこういうガス漏れを起こしてはならないという観点から、ガス管の総点検をすべきであると私は思うのでございますが、これについてきちんとした当局の見解と、かねて私は、通産ができないのだったら地方自治体に権限を委譲しなさい、県民の安全のために、ガス漏れを見逃すようなあいまいな行政をやっておるのだったら許されない、また消防庁にももっと権限を委譲して、通産だけではなく、地方自治体、消防庁、みんな力を合わせて、生命の安全のためにもつと真剣に取り組め、これが行政のあり方だと、今日までに何回も指摘してきました。いまだにガス漏れが直らないのだったら、もう政府としてはきちんとした対応をすべきだと思いますが、公益事業部長の見解を、きょうは大臣が海外へ行っておるそうでございますので、部長の責任ある御答弁をまずもって伺っておきたいと思います。
  75. 石井賢吾

    ○石井政府委員 お答えいたします。  八月十六日の静岡駅前の事故以後、再発防止、絶対こういうような事故を二度と起こさないようにいうことで、全ガス事業者を指導してまいったわけでございますが、特に静岡瓦斯に対しましては厳重に注告をいたしまして、一斉点検を行うということにいたしたわけでございます。  ただいま薮仲先生御指摘の、全埋設導管につきまして、現在静岡瓦斯は検査機器による一斉点検を実施中でございまして、高圧導管につきましてはほぼこれを終了しており、現在、中圧及び低圧導管につきまして漏洩点検を行っておる段階でございます。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がありませんから、もっと突っ込んだことを言いたいのですが、次の方へ移ります。  いまの中で、私は、通産当局だけでは保安体制が万全でないということを指摘して、その御答弁がございませんけれども、次の機会には、これはもっと具体的に追及をしてまいりたいと思います。  私がここで指摘をしたいのは、先ほど具体的に挙げましたその後のガス漏れの事件の中で、十月二十二日の静岡市有東で発生した都市ガス工事で、プロパン本管切断という問題があります。この中で、私は、事業部長にもこういう問題はいかがかという連絡はしておきましたけれども、なぜこういう事態が起きたか。事前の保安の連携がない。当該都市ガスと転換すべき相手側のLPガスとの間で、工事についての協定がなかった。ですから、当然、技術上・保安上の安全確認が行われずに、このようなガスの工事でプロパンの本管を切断するような事態が起きたわけです。こういう事態、さらに私は、前にも指摘しました、静岡瓦斯が工事を行った五十五年七月十六日あるいは七月十二日、こういう静岡瓦斯が行った工事の中で、後でコックをひねると都市ガスとプロパンガスが一緒に噴出してくる、こういう事態が発生をいたしております。これは御承知のように、都市ガスとプロパンとはカロリーが全然違います。燃焼装置が違います。そこに、都市ガスとプロパンが両方出るような工事を行うこと自体、これは爆発の危険どころか、とんでもないことになります。都市ガスのバーナーにプロパンが流入して、それに火をつければ炎がどれほど上がるか、専門の部長並びに皆さん方は先刻御承知のことだと思います。こういう危険な工事が行われる。なぜか、都市ガスとプロパン業者の間に明確な協定がない、協定もなしに転換が行われるところに私は重大な問題があると思うのです。県民生活の安全の上からも、私は断じてこれは見過ごすわけにいかないと思います。協定が都市ガスとプロパン業者の間で確立していない間は、断固転換すべきではないと思う。こういう事故を起こさせないためにも、協定の確立を急ぎ、協定のない段階では断じて都市ガスからプロパンへの転換はしてはならぬ。  そこで、私はさらに突っ込んで言いますけれども、ガス事業法の十六条、それを盾に供給しなければならないという一方的な見解がございますが、これはこの次に聞きますけれども、私は協定が結ばれない間は転換を一時差しとめて、都市ガスとプロパンとの円満な形で、その転換については、安全と責任を明確にしない間は断じてすべきでないと思いますが、いかがでしょう。
  77. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先生御指摘の十月二十二日の事故につきましては、静岡瓦斯の方から東海瓦斯の方に一応工事立ち会いを二度にわたって依頼したわけでございますが、先生御指摘のように、協定がその間になかったということをもって、東海瓦斯がこれに立ち会わなかった。で、十分な埋設管の点検をした上で工事に入ったわけでございますが、地上におけるマーク等について工事人が見過ごしたということのために御指摘のような事故が起こったということは、きわめて遺憾であったというふうに思います。  私どもとしましては、都市ガスとLPG相互間の共々共栄を図るという観点で、双方の事業がそれぞれの特色を生かしながら発展するということが基本であろうと思っております。ただ、最終的には消費者がそのどちらを選好するかということにかかってまいりますので、どうしても転換という問題が生じてまいるわけでございますが、その転換に当たりましては、事業者間のトラブルをなくすということと同時に、御指摘のような保安面における万全の措置をとるということが必要でございますので、当事者間の話し合いを奨励しており、また友好関係ないし保安対策上の必要な協定をするようにという指導を行ってきておるところでございます。今後もそういう方針のもとに指導してまいりたいというふうに思っております。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が言っているのはそういうことではないのですよ。協定のない段階では転換をすべきでないと言っているのです。いま指摘した二件はともに協定がないのです。静岡瓦斯と東海瓦斯の間に協定がなかった。だから、協定がなければ転換すべきでない。また、いま静岡県には静岡瓦斯の供給エリアとその地域のプロパン業者の間に協定がない。ないまま転換するからこういうことになるのです。なぜそれを見過ごすのか。そんなことをやられたのでは、県民の生命の安全から許される問題ではありません。協定ができない間は、断じて都市ガスからプロパンへの転換はやめていただきたい。いかがでしょう。
  79. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先ほど申し上げましたように、消費者の利益ということを考えますと、それぞれがLPGあるいは都市ガスを選好するということは必然的に生じてまいるわけでございまして、すべての地域におきまして問題が起こっている、両事業者間でトラブルが発生しているということではないと承知しております。  基本的には、先生御指摘のような協定がございまして、事前に連絡をする等立ち会いを求めて、相互に保安上万全の措置をとった上で転換をするということが必要でございますが、先ほど御指摘の静岡瓦斯と東海瓦斯との間におきましては協定がなかった。しかし、静岡瓦斯の方からは二度にわたりまして立ち会いを求め、図面の提示を求めておるわけでございますが、それが拒否されたまま、一応慎重な工事を行ったものの、工事中の事故ということで問題が発生しておるわけでございます。  そういう意味におきまして、地域実態に即して協定ができるように指導する。できなければ転換できないかといえば、それは都市ガスを選好する消費者の利益が直ちに損なわれるわけでございますので、その間のかね合いを十分とりながら、かつ、保安面が最大の問題でございますので、保安面につきまして遺漏のない両当事者間の話し合いのもとに、工事を進めるということが肝要ではなかろうかと思っております。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の言っているのは二つあるんですよ。部長、よくお聞きになってくださいよ。私が指摘したのは、先ほどの東海瓦斯との埋設管の破損の問題と、静岡瓦斯といわゆる東海瓦斯が加入していない静岡県のプロパンガス協会、中でも静岡瓦斯が供給エリアになっているところのプロパンガス業者との間にいま全然協定がないのです。いま言っているのは東海瓦斯との間です。ですから、問題は二つあるんです。両方とも協定がないのです。東海瓦斯との協定もない。現在、地域のいわゆる零細なプロパンガス事業者との協定もないのです。だから、両協定が成立しない間にそのようにやることは問題だ。  確かに部長の言うことはわかりますが、では、部長に重ねて聞きますけれども、確かにガス事業法の十六条で「一般ガス事業者は、正当な事由がなければ、何人に対しても、その供給区域又は供給地点におけるガスの供給を拒んではならない。」これを金科玉条のように持って回りますけれども、それでは、これと県民の生命の安全とどっちが優先するのですか。保安協定のないまま工事をして、ガス漏れを起こし、ガス事故を起こすことと、ガス事業法の十六条と生命の安全とどっちが優先するのですか、答えてください。
  81. 石井賢吾

    ○石井政府委員 お答えいたします。  生命の安全はすべてにまさる問題でございます・したがいまして、保安対策に万全を期するということが基本であろうかと思います。  先ほど御指摘の静岡瓦斯及び東海瓦斯との間の協定は近々のうちに締結される、そのための合意がすでに成立しておると聞いておりますし、その他の静岡瓦斯区域内のプロパンガス事業者との間におきましては、一応協定ができているというふうに了解しております。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 その後段の方の見解、考えは間違いでございます。現在、各地域と静岡瓦斯との間の協定は無協定の段階で、この協定をいま鋭意話し合おうという段階ですが、必ずしも円満な形ではいっておりません。  その問題点を私が何点か指摘いたしますけれども、都市ガス側からプロパンに対して、転換の通告が一方的に、一週間前の事前通告で来る、これでは、作業内容やあるいは立ち会いのためにプロパン側から立ち会おうとしても、一週間前の事前通告では無理がある、もう少し通告の期間を欲しい、これが問題点一つ。  さらには、その技術上の安全の確認を双方ですべきであるが、まだ双方の安全についての技術上の確認がなされていない。この点がなされないまま、まだ協定は確立していないのです。よくお調べいただきたい。これが二つ。  と同時に、私は、これはまた次の機会にでもお伺いいたしますが、きょうは時間が参りましたのでこれを最後にいたしますけれども、確かにガス事業法並びにプロパンに対しては液石法がございます。液石法はプロパン業者に対しての規制法です。ガス事業法は事業者を何とか育成しようという法律です。ここに都市ガスと液化ガスとの法律のバックグラウンドが大きく違っております。  そこで、私は、この問題は後ほどまた伺うことといたしまして、きょうどうしても指摘しておきたいのは、いま私が指摘いたしましたように、保安並びに技術上の協定が確立しない段階で、断じて、県民の生命の安全のためにも、安易な転換はやめ、単なる十六条より優先するというならば、直ちに協定を結ばせることを第一にして、安全の確認を最大事にしていただきたい。これに対して重ねて部長の答弁をいただいて、きょうは質問を終わっておきます。
  83. 石井賢吾

    ○石井政府委員 保安対策確保ということは、LPG及び都市ガス間の転換に関しまして、われわれが留意しなければいけない最大の問題点であることは、御指摘のとおりでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、すべての地域においてトラブルが発生しているということではございません。(薮仲委員「静岡だけでいい」と呼ぶ)静岡につきましては、一応協定を締結し、かつ、地区会との協定をさらに改定すべく現在作業が行われておるわけでございますが、私どもとしましては、最低限、協定の存在いかんにかかわらず、保安上必要な事前の通告及びその立ち会いを求めて、きちっとした形で、LPGから都市ガスへの転換を行わせる必要があるというふうに思っておりますし、またそのように指導してまいりたいというふうに思っております。
  84. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  85. 木島喜兵衞

  86. 大橋敏雄

    大橋委員 私も、まず初めに、いまの静岡駅前地下街のガス爆発の問題に関連して、お尋ねをしてみたいと思います。  この地下街のガス爆発がきっかけとなりまして、その抜本対策が迫られているわけですが、すでに消防庁等がこれら地下街の全国一斉点検を実施したということが報道されておりまして、またその結果がまとまった内容が一部公表されたわけであります。これに対して政府としてはまずどのような感想を持ったのか、そして問題点はどこにあったかということと、たとえば福岡市、私の郷土ですけれども、この福岡市の地下街ではどんな問題が指摘されたのか、明示していただきたいと思います。
  87. 山越芳男

    ○山越説明員 消防庁の行いました一斉点検の結果について御報告申し上げます。  消防庁の点検は、地下の工作物内に設けられた地下街、全国で六十一カ所、うちガスを使用しておりますのが五十八カ所でございますが、それと、これらの地下街に隣接する建物の地階で、地下街と一体をなすこういうもの十カ所、さらに、地階の店舗などが地下道に面しておるいわゆる準地下街でございますが、これが十五カ所、さらに建物の地階で、その地階内の通路を一般の方々が通行しておるこういうもの三十三カ所、合計いたしまして百十九カ所について点検を実施したわけでございます。  その内容について申し上げますと、ガス使用器具の接続管、開閉弁などについてのガス漏れの問題は、全体の一八%に当たります二十二カ所におきまして発見をされたわけでございますが、いずれも微量でございまして、措置済みでございます。  それから、ガス漏れの警報器の設置状況も見てみたわけでございますが、設置をしておりますのは少ないわけでございまして、地下街で八カ所、その他を入れて合計で十四カ所が設置しておった。うち、中央監視システムとなっておりますのは三カ所であるということでございます。  それから、ガスの換気施設とか消防用設備等の維持管理の状況につきましては、おおむね良好でございました。  ただ、喫煙場所の指定とか吸いがら容器の配置の状況などを見てみますと、全体の四二%しかそういうことをやっていないということでございまして、こういう面については問題があるというふうに判断をいたしました。  その他、災害発生時の連絡通報とか消火とか、さらには避難などを行うためのいわゆる防火管理体制につきましては、地下街では九三%が共同防火管理協議会を設置しているわけでございますけれども、地下街以外のところでは約半分しかそういうものを設置していないということでございます。  それから、福岡市についての点検の結果を申し上げますと、地下街が二カ所、博多駅前と天神でございます。それから地下街と一体をなすとみなされるもの、福岡朝日ビル等とそれから岩田屋等でございます。これら四カ所について点検をいたしました。そのうちの一カ所で若干のガス漏れが発見されたわけでございますが、直ちに措置をいたしております。  その他の点検項目につきましては、喫煙場所の指定などについて一部問題があるわけでございますが、おおむね良好であるというふうに判断をいたしております。
  88. 大橋敏雄

    大橋委員 いまの報告を伺っておりますと、全国的には地下街についてはお寒い防災体制であった、実態そのものはいろいろと指摘はされたが、福岡市の場合はまずまず問題ない、このように理解していいですね。  そこで、いまの報告の中に、たとえばガス漏れの検知器がほとんど設備されていなかったというお話があったわけでございますが、これなどは、現在のガス感知器そのものの性能が非常にあいまいだというようなことで、取りつけたいという気はあってもまだしてなかったというのが実態ではなかったんでしょうか。
  89. 山越芳男

    ○山越説明員 ガス漏れの検知器の問題でございますが、現在私どもといたしましては、ガス漏れが発生をいたしました場合にこれを速やかに検知をする必要があると思いまして、そういう考え方に立ちまして、消防庁内にガス漏れ火災対策研究会というのを設けておりまして、最終的な詰めを急いでおるところでございます。その結果に基づきまして、ガス漏れ警報器の設置の義務づけ等につきましても十分検討していいきたいと思っています。  以上でございます。
  90. 大橋敏雄

    大橋委員 実際に有効的なガス検知器というものが開発され使われるようになるまでには、あとどのくらいかかるのですか。
  91. 山越芳男

    ○山越説明員 先ほど申し上げましたガス漏れ火災対策研究会の先生方の御検討によりますと、現在開発中ないしは開発されているものの使い方によりましては、有効に対処し得る道があるわけでございまして、そういう意味で、ガス漏れ検知器のいわゆるハード面と、それから、それをいかにつかんでどのように対策を講ずるかというソフト面と、両方を含めて考えまして、できるだけ早くそういった体制をとりたいというふうに思っております。
  92. 大橋敏雄

    大橋委員 きょうはいろいろなものを聞きたいものですからこれ以上突っ込みませんけれども、最近の新聞に、日本警備保障会社は東京瓦斯と提携して、地下街やビル、マンションを対象に、ガス漏れの感知から緊急対処までのガス防災を請け負っていく「セコム・ガスケット・アウト・システム」というものの受注に乗り出したという記事が出ているわけですね。これを拝読しますと、非常にすばらしい内容なんですよ。とにかく、警備保障会社が二十四時間監視ネットワークを張りまして、そうしてガス会社の方からは、ガスの取り扱いの専門知識というものを組み合わせてその対策を進めていくということなんです。読めば読むほど、こんなものが本当に確立すれば安心なんだがなという内容になっているわけですね。  たとえば、日本警備保障のガス防災システムは、ガス漏れを感知した後有人か無人かの現場状況を識別して、それから警報を発信、さらに東京瓦斯へ緊急点検を要請し、自分の会社からガードマンの現場急行、それからガスメーカー点検員とともに現場対処する基本システムから成っている、こういうことなんですね。  これがいいとか悪いとかということは政府側としては言えない立場でありましょうが、これは非常に関心を持ってこの内容を見守っていく必要があるんじゃないかと私は思うのですね。これが仮に皆さんが研究された内容どおりに働いたとすれば、このガス防災対策には画期的な内容になるのではないかということを参考のために申し添えておきます。  次に、話はがらりと変わるわけでございますが、国土庁そして通産省関係になろうかと思いますけれども、福岡県の筑豊地区と申し上げますと、ここはかつて黒ダイヤで貴重がられた、あるいはもてはやされたいわゆる産炭地域なんです。ところが、いまでは荒れ果てた炭住街、あるいは非常な地盤沈下等の公害、また多数のボタ山があちらにもこちらにも放置されているわけでして、まさに石炭の後遺症と言えるだろうと私は思うのですが、このボタ山というのは、もう御存じと思いますけれども、石炭を掘り出す際に坑内から搬出されてくる土石なんですね。それがいわゆるボタなんです。そういうことで、人工的にだんだんと積み上げられていった山というわけですから、これは非常に危険な内容を含んでおります。これが筑豊地域の至るところに散在しているわけですけれども、そして地域の環境改善の阻害要因になっているということが一つです。  また、これが、先ほど言ったような状況ですから、流出、崩壊等の災害をしばしばもたらしているわけでございます。もう石炭が全く出なくなったわけでございまして、地域住民は一日も早く完全に除去してもらいたいというのが偽らざる心境でございます。  この前の長雨によりまして、筑豊地域でまた二カ所ボタ山が流出いたしております。飯塚市の幸袋それから庄内町の芳雄、綱分、伏尾というのですか、ここのボタ山が相当流出があったわけでございますけれども、幸いなことには、人家がなかったということで人命には問題はなかったわけでありますけれども、私はまさに大災害と隣り合わせているといった感を深めるわけでありますが、この二カ所についてその後どのように対処されたのか、お伺いしたいと思います。
  93. 安藤勝良

    ○安藤説明員 お答えいたします。  ことしの七月、八月にかけて降った集中豪雨によりまして、ボタの流出がございまして、いま先生のおっしゃいました幸袋あるいは芳雄のボタ山、これも一部流出したわけでございますが、私の方は、早速現地に福岡鉱山保安監督局の監督官を出向かせまして、現地調査をすると同時に、県の方とも、また地元の町村とも十分な連絡をとりながら、この対応をどうするかを協議いたしました。  そこで、早速ことしの防災工事の事業として取り上げることにいたしまして、大蔵省の方とも協議いたしまして、当初計画を変更して、今年度事業ということで組み込み、いま地元の方で設計中というふうに聞いておりまして、近々事業に着手するというふうに聞いております。
  94. 大橋敏雄

    大橋委員 この飯塚の幸袋のボタ山の流出は、これはちょっと問題だと思ったのは、すでに四十七年、四十八年、四十九年、三カ年で三千万円の予算をかけて工事が完了していたところですね。そこがこういう流出という現実を醸し出したわけでございまして、こういう点で、私たちは非常に不安を感ずるわけです。また、資料を拝見しましたら、予算を三千万円かけたボタ山に、さらに今度の流出で一千七百二十四万三千円の予算がついているようですね。それからもう一つの芳雄の方は一千五百万円、ここはいままで全然手がつけられていないところでございますが、工事の計画は、飯塚の幸袋の方は五十六年度までには完成する、ところが芳雄の方は五十七年までだという計画を通産省の資料の中で私は見たわけでございますけれども、流出の少ない方が長くかかるような計算になっているわけですけれども、何か特別の事情があるのですか。
  95. 安藤勝良

    ○安藤説明員 ボタ山の防災工事につきましては、これは私の方も、福岡鉱山監督局にボタ山委員会というのがございまして、大学の専門家の先生方にお願いいたしまして、こういった工事を県並びに市町村がやる場合には、必ず現地を見てもらいまして御指導を仰いでおります。  ボタ山というのは、御存じかと思いますが、一気にやるのが一番望ましいのですが、要するに長い間かけて蓄積しているボタでございますので、余り急激な変化を与えるとかえって不安定化を招き、そして危険状態になるというようなこともございまして、それぞれのボタ山の特性をよく理解した上で設計をすることになっておりまして、そういう意味で、必ずしもボタの集積量それ自体だけで云々するというのはどうかと思っておりまして、もちろんこの二つのボタ山についても当然先生方の御指導を仰いでおりまして、決して予算面とかそういった面から長引くというようなことではなくて、適正な設計に基づく工事期間というふうに御理解いただきたいと思います。
  96. 大橋敏雄

    大橋委員 それではボタ山の数、その中でも特に危険性のあると思われるボタ山などが幾つあるのか、掌握されているのかどうかをお尋ねします。
  97. 安藤勝良

    ○安藤説明員 ボタ山は全国で約九百ございます。  われわれの方は、こういった防災工事をやるに当たりまして、実は昭和四十八年から五十年まで三カ年かけまして、ボタ山の実態調査をやってまいりました。そういった調査に基づきまして、危険性の高いものから逐次計画に組み込みながら、現在までやっておるわけでございまして、もちろんボタ山というのはある意味では生き物みたいなものでございますから、どうしても経時変化をいたすものですから、常にその実態を把握しながら、計画的に年度の工事の中に取り込んでいるというのが実情でございます。
  98. 大橋敏雄

    大橋委員 持ち時間は四十分ですけれども、けさの理事会で十分程度延ばしていただくことをお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。  危険なボタ山、少なくともこれはしっかり掌握していただいて、当然手をつけるのは無資力の方でしょうから、その中で有資力、無資力というのを分けて、きちっとした計画を立てながら着手していかなければならぬと私は思うのです。ともかく地元の皆さんは、政治あるいは行政に対する根深い不信感を抱いているわけですね。もうその地域の人たちは、いつ流出しあるいは崩壊して危険にさらされるのじゃなかろうかという、いわゆる潜在的危機感にとらわれていると言っても私は言い過ぎではないと思うのです。五十五年度の災害防止工事としての予算は十四億五千万円だったと思うのですけれども。来年度はどの程度を考えておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  99. 安藤勝良

    ○安藤説明員 お答えいたします。  ことしの予算約十四億五千万でございますが、来年度はその一三%増の要求をいまいたしております。
  100. 大橋敏雄

    大橋委員 本工事の補助率が三分の二から四分の三に変わったのですが、これは本工事だけじゃなくて、付帯的工事の方も同率で補助すべきではないか、もともと同じだったわけですから。厳しい予算の中でしょうけれども、近くそういう方向に進んでいくのかどうか、これもあわせてお尋ねしたいと思います。
  101. 安藤勝良

    ○安藤説明員 お答えいたします。  この補助制度は三十九年度から発足したわけでございますが、当時二分の一の補助率でございました。途中三分の二に変更いたしまして、五十四年度から四分の三制度を取り込んだわけでございます。これは、いま御指摘のありましたように決して一律じゃないわけで、本体工事四分の三、付帯工事三分の二、それから事務費が二分の一、こうなっております。実質は約七割ということになろうかと思います。  私の方ももちろん、こういうふうに補助率のアップということで今日まで努力しておったわけでございますが、一方におきましては、工事量は消化しなければいかぬというふうな問題もございますものですから、限られた予算の中でそういった工事をやっていかなければならぬということもございますので、その辺の兼ね合いも十分考慮しながら今後改善に努めていきたいと思っております。
  102. 大橋敏雄

    大橋委員 とにかく、このボタ山というのは地域にしてみれば大変やっかいものなんですよ。金もかかる、いろいろな問題で大変なことだろうと思いますけれども、地域の環境整備の上からも一日も早くこれを整理していただきたいと思います。強く要望して、次に移ります。  今度は厚生省、運輸省あるいは自治省等に関係する問題でございますが、十月一日に起こりました愛知県の大府市の化学薬品倉庫火災、これは御承知のとおりでありますが、この事故は、危険物倉庫の管理、防災対策の両面で、重大な盲点をさらけ出した事故だったと私は思うのでございます。  その盲点の一つとしては、毒物劇物等の危険物等を一時保管する営業倉庫は、その業者に届け出の義務を課すべきではないか、現在それがありませんから、課すべきではないかということをお尋ねしたいわけです。実は政令都市ではすでに、火災対策上、保管者が消防署に届け出るように条例ができ上がっておるようでございますけれども、これは政府としても当然そういう方向に進むべきだと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  103. 有本亨

    ○有本説明員 お答えいたします。  毒物劇物取締法では、現在先生御指摘のように、営業倉庫につきましては届け出の義務が課されておりません。ただ、今回の火災について見ますと、倉庫内にどのような毒物劇物が保管されていたかということが速やかに把握できなかったということが、一つ問題点であろうかというふうに考えております。  倉庫業者に対しまして今後届け出の義務づけをいたすことにつきまして、倉庫業を所管いたしております運輸省とも十分検討してまいりたい、私どもこういうとかうに考えております。
  104. 大橋敏雄

    大橋委員 これは当然義務づけてほしいということを強く要望しますが、もし届け出の義務づけが行われたとしました場合、そこに中和剤等いわゆる防災用品を一緒に設置すべきではないかという考えを持つわけでございますが、その点どうですか。
  105. 有本亨

    ○有本説明員 中和剤ないし処理剤の備えつけの問題につきましては、現在私ども、運搬事故時についてのそういう薬剤の備えつけについては指導をしてまいっておるわけでございますけれども、営業倉庫のように多くの毒劇物が出たり入ったりするようなケースにつきまして、常に十分の中和剤を備えさせるということについては、技術的になかなかむずかしい問題があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、一つ対策といたしまして、先生御指摘のような営業倉庫についての届け出制度がもしできました際には、当然現在の毒物劇物取締法に基づきまして、毒物劇物の取扱責任者というものが設置されるようになるわけでございます。こういう専門の知識を持った方が設置されるようになりましたら、恐らく、緊急時に近くの地域からそういう中和剤を入手するという方法がとりやすくなるのではないかと考えるわけでございまして、そういう点で検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  106. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに、同時に中和剤等の防災用品を置くということは非常にむずかしい問題だけれども、どこに何がいつもあるのかということの情報を的確にキャッチしていれば、いざというときには間に合うと思うのですが、今度の大府市の問題は、実際は地元に中和剤があったんだけれども、それを掌握してなかったばかりに、わざわざ千葉県までとりに行ったというずさんな問題があったわけですので、これは大いにそういうことがないようにしていただきたいと思います。  このような毒物劇物等の危険物が現在どこに何がどれだけあるのかを掌握されているのかどうか、またされていなければ早急に総点検をする必要があるんではないかと思うのですが、いかがですか。
  107. 有本亨

    ○有本説明員 現在、毒物劇物取締法で掌握しております業者の範囲と申しますと、毒物劇物の製造業者、輸入業者、販売業者、それから届け出を義務づけられておりますシアンを使っておりますメッキ工場等の一部の届け出業者、こういうことでございますが、そのほかの先ほど御指摘のような営業倉庫等の問題につきましては、現在消防庁が中心になりまして、私どもも協力いたしまして全国調査を行うように計画が進んでおります。
  108. 大橋敏雄

    大橋委員 時間がもうあとわずかになりましたので、もう一つお尋ねしますけれども、いま静岡県では、専門的な知識がなくとも適切な対応がとれるようなものをという趣旨で、防災カルテというのができ上がったそうでございます。これを見ると、いざというときになすべきこと、あるいはしてはならないことが一目でわかりやすいものになっていると聞いたわけでございますが、この防災カルテというものを政府としても早急に作成をして、そして関係者には配布するというような計画はないのですか。
  109. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 静岡の場合には、東海地震の危険がございますのでその強化地域ということになっておりまして、いざ警戒宣言が出た場合あるいは地震が発生した場合にどうしたらいいか、これは個々人の日ごろの心がけが大事なわけでございます。そういう意味で防災カルテというようなものがつくられているわけでございますが、確かに一つのおもしろいといいますか、非常に有益な考え方であろうかと思うのでございます。何分にも防災には一人一人の人がそれに対処していく、そのときにあわてないようにいつもそういうものを見ておくということが必要だと存じますので、御指摘の点、私どもの方も十分検討さしていただきたいと思います。
  110. 大橋敏雄

    大橋委員 最後にもう一つ聞きますが、今度の化学薬品火災で明らかになったような防災消火体制のもとで、果たして予測されている大きな地震に対応できるだろうかというのが、これは国土庁の問題になると思うのですけれども、関係者の率直な感想でございます。地震と大火災は密接な関係があります。その中でも関東大震災あるいは五十三年の宮城県沖地震の実例が明らかにしましたように、学校や研究室あるいは研究所等に保管中の化学薬品が落下転倒し、あるいは混合発火した、とにかくこうした火災の原因がトップであったという東京都の消防庁の調査報告が出ているわけでございますが、ここでお尋ねしたいのは、先般アルゼンチンで、そして先日はメキシコでマグニチュード六から七というわりと大きな地震が発生して、数多くの被害者が出たということが報道されました。これは決して対岸の火事ではなくて、そう遠くはないいつの日にか、わが日本にも大地震がやってくるのではないかという不安を抱いている国民は少なくはないと私は思うのでございますが、あの恐ろしい直下型地震というのがわが国にも発生する可能性があるのかどうか。また、発生するというふうに予想した場合、どのような研究と対策が練られているのか。最後にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  111. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 いわゆる直下型地震の発生の可能性があるかどうか、これは非常にむずかしい問題でございます。ただ、全く発生の危険がないというようなところは少ないわけでございまして、これはいつかは発生する危険があるわけでございます。  したがいまして、この直下型地震が大都市において発生をいたしました場合に、わが国の場合には非常に過密でございますから、いろいろな被害が生ずることが考えられるわけでございます。  特に、いま先生が御指摘になりましたように、社会、経済の進歩とともに危険な薬品等もかなりあるわけでございます。これに対する対策といたしましては、根本的には、この過密型の大都市の構造を抜本的に変えるということが基本でございますけれども、それはなかなか一朝一夕にできることでない。それぞれの都市におきましてできるだけ耐震性の向上を図っていきたいということで、そのことにつきましては、政府は大都市震災対策推進要綱というのを決めておりまして、主として避難地・避難路を確保する、あるいは建築物の耐震・不燃化を促進する、こういう施策を進めているわけでございます。  今後ともこういう施策をさらに充実強化するわけでございますが、国土庁といたしましては、そのほか、東京で仮に大地震が発生した場合、どういう被害が起きるか、またその応急対策としてどういうことが適切かということについて調査研究を進めていきたい。それからまた、災害対策活動の拠点になり、また住民の避難の場所になりますところの防災基地と申しましょうか、防災拠点というようなものの整備を図ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  112. 大橋敏雄

    大橋委員 時間が来ましたから終わります。
  113. 木島喜兵衞

  114. 木下敬之助

    ○木下委員 今回の冷害につきましては、農業の被害の大きさにつきましては言うまでもありませんが、水産、林業にも大変大きな被害をもたらしておるようでございます。  大分県の実情を申し上げますと、水産関係につきましては、長雨、冷夏による漁獲高の減少もありますが、特に台風十三号、十九号による被害は甚大で、魚類養殖、漁具、漁船、漁港関係施設等の被害は総額二十五億二千万円に及んでいます。二百海里時代を迎えるとともに、第一次、第二次のオイルショックによる燃料の高騰や不足など、現在の漁業経営はきわめて厳しい状態に置かれています。このような時期に、養殖魚の流出や生産手段である各種施設に甚大なる被害を受けた漁家にとっては一大打撃であり、今後の生産を維持するためにも早急なる復旧が必要であります。  また、林業関係につきましても、本年七月から九月にかけての長雨、それに追い打ちをかけた台風十三号及び十九号により、林地の崩壊二百三十五カ所、林道被害百十四カ所に上り、被害額も十五億一千万円に達しております。  林地治山は、森林の持つ公益的機能に対する社会的要請も強く、また、国土保全や森林資源の増強を図る上からも、重要な役割りを果たしているものであります。  なお、林道につきましては、森林の生産基盤整備の中核となるもので、林道なくしては林業なしと言っても過言ではないと考えております。また、農山村にとっては生活道としての性格を持ち、地域振興に果たす役割りも大きいものがあります。これら林地、林道の被害個所は、今後の降雨量によってさらに拡大崩壊や二次災害を起こすおそれもあり、早急なる復旧が必要であると考えます。  以上のように、大分県の水産、林業の被害状況について申し上げましたが、全国各地での被害も大変なものであります。今後の生産を維持するためにも早急なる対策が必要であり、天災融資法適用激甚災害指定被害漁港施設、林道や林地の崩壊等の早期復旧が必要であると考えますが、どう対処するおつもりか、お答えをお願いいたしたい。
  115. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 台風十三号によりまして農作物及び漁業の養殖物等に相当被害が出ておる点、御指摘のとおりでございます。私ども、現在、被害の結果を踏まえまして資金需要等の把握も行っておりまして、関係省庁とも協議しながら天災融資法なりの発動につきまして鋭意準備をしたい、こういうことで現在作業をいたしておるところでございます。  それからなお、ただいま御指摘のような漁港施設あるいは林道施設、治山施設、こうしたものにつきましても、長雨、八月末におきます豪雨あるいは台風十三号あるいは台風十九号、こういうふうなものによりまして、やはりかなりの被害が全国的に発生をいたしております。こういうものにつきましては、私ども、できるものから早期復旧のための査定も実施し、応急に復旧すべきものはする、こういうことでこれに早急に取り組んでまいる、こういう体制で進めつつあるわけでございます。
  116. 木下敬之助

    ○木下委員 激甚災害適用の見通しについてはどうでございますか、考えられませんか。
  117. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 台風十三号につきましては、私どもも激甚災の適用対象たり得るかどうかということも検討はいたしておりますが、現在までにわかっております被害額状況からいたしますと、激甚適用はきわめて困難だというふうに考えております。
  118. 木下敬之助

    ○木下委員 激甚災害指定にいろいろな考え方があるのでございましょうけれども、農業以上に漁業の場合は個別にいろいろな種類がございまして、そのうちの一部が大変大きな損害を受けるということもありますので、どうか個別な事情をよく考えられて、また大変災害のひどいところについては特別なことの考えられるように、今後の御検討をお願い申し上げたいと思います。  次に農業災害についてお尋ねいたしますが、このたびの冷害長雨被害は、東北地方における被害が特に大きく取り上げられているようでございますが、私の地元大分県を初め九州方面では、この夏の長雨冷害に加えて、台風十三号、十九号による被害と、複雑な山間の地形による大きな災害に見舞われております。政府におかれましては、この大分状況を十分に認識いただいておりますでしょうか。その点一言お聞かせ願いたいのでございます。
  119. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 八月末の豪雨あるいは台風十三号また十九号、こういうものによりまして、農地や農業用施設の被害も全国的に発生をいたしております。  私ども、復旧対策としましては、被害後直ちに係官を現地に派遣する等いたしまして、復旧の指導をいたしておりまして、また緊急査定もいたしておるわけでございます。できるだけ早く査定を終了させて、必要な個所から直ちに復旧してまいりたい。そういう中で、大分につきましても同様な考え方で対処してまいりたい。
  120. 木下敬之助

    ○木下委員 このたびの冷害によってたくさんの教訓ができておると思いますが、今後の冷害の回避技術確立のために、新しい技術的な考え方等まとまったものが出ておりますでしょうか。
  121. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 私ども農林水産省といたしましては、従来から、気候の変動に即応して生産を安定していくための適品種の導入なり、あるいは施肥なり、水管理の適正化というような技術指導に努めてまいったわけでございますが、御指摘のように、今回の冷害の経験というものを十分に生かしまして、さらに今後への技術対策に万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、すでに国立試験場等によりまして、この夏の冷害等の被害を激化させた、あるいは軽減させた要因というものが、具体的にどういうふうな地域ごとに現象を起こしているのか、それから一方、普及組織によりまして、異常気象が営農に及ぼした影響が具体的にどういうふうになっているのかというものを、実証的に各地域のデータを集めまして、これらの調査結果を総合化しまして、専門家による詳細な分析、検討も行っておるわけでございます。もうしばらくかかりますが、こうした経験を踏まえまして、以上の検討の上に立って、次年度以降の技術対策に今回の経験を十分に生かしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 木下敬之助

    ○木下委員 大変御努力なされておるようでございますが、たとえば畑地におきまして、山間部を平らにきれいに造成してつくった畑よりも、なだらかな丘陵のままにつくっておるようなところの方が水はけもよくて被害が少なかったとか、たくさんのことがわかっておるようでございますので、どうか農家に適切な今後の御指導をお願いいたしたいと思います。  そういった中で、農家によってはいろいろなことを自分で考えて、今後の研究をし、新しい方向を見つけておるところもあるのでございますが、構造の改善をしたり、雨よけ等の施設をつくったり、前向きに取り組んでおる農家に対して、今後そういった資金を、いまあるよりも安く、三・五%以下の資金のようなものを考えるおつもりはございませんでしょうか。
  123. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 今回の冷害等に対処し、農家におきましてもそれぞれいろいろな工夫、知恵を出して今後への営農対策に努力をされておるわけでございます。私ども、そういう方々に対しまして、御指摘のように資金面なりの十分の御協力を申し上げるようにということで、今後も指導してまいりたいと思っております。  ただ、いま御指摘のように、現在の農業関係の制度資金といいますのは、農林漁業金融公庫あるいは近代化資金その他の資金がございますが、全体の資金体系から考えますと、実はかなり低利長期の資金になっているのが現状ではないかというふうに思います。  たとえば、今回、いま鋭意努力をいたしております天災融資にいたしましても、これは三・〇%あるいは五・〇五、六・〇五というふうな段階はございますが、主たるものは三%資金、これはほかの災害資金から考えましても最も低率の資金でありますし、こうした資金制度をいろいろと総合的に運用してまいれば十分に資金需要にはこたえられるというふうに考えておりますので、そういうものとは切り離して、新たにさらに低利の資金を設けるというようなことは現在考えておりません。
  124. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、本日本委員会決議されましたような重要な諸対策の現在の進行状況について、お尋ねいたしたいと思います。  まず、種子の確保についてでございます。  来年度の営農に必要な稲及び大豆等の畑作物の種子の確保が懸念されておりますが、この問題について、農林省は、九月六日の通達で、地域間、県間での調整をして種子を確保し、それで不足する場合は一般圃場から準種子を確保することとしておるようでございますが、現段階において種子の確保に対していかなる対策を講じておられますでしょうか。  五十一年の冷害時には、水稲の種子を農家が購入する場合三分の一を補助しているようで、五十一年の被害総額が四千九十三億円、本年度はその七割増しの六千九百十九億円と被害が甚大であることにかんがみて、補助率を二分の一に引き上げるなどの特段配慮はできないでしょうか。
  125. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 今回の大きな災害被害状況下におきまして、来年度の種子を確保していくということが非常に大きな課題でございます。  まず何をおきましても、種子そのものを各農家が確保できるという体制をつくることが非常に必要でございまして、そういうことで、私ども、ただいま御指摘のありましたように、各地方の農政局を通じまして、地域間の調整、さらに県間の調整あるいは県を越える調整というふうなことをいたして、この確保に努めておるわけでございます。  北海道、東北等におきましては、準種子等を含めましてどうやらおおむね確保できる状況になってきたというふうに考えておるわけでございます。ただ、西日本の方は、まだ収穫が完了しておりませんものですから、引き続きさらにその努力をいたして調整をしてまいりませんと、まだこれで大丈夫という段階には至っていないというふうに思っておるわけでございます。  そこで、ただいま御指摘のとおり、五十一年には次季作用の種子の購入に対しまして助成の措置をとった次第でございます。今回もその種の助成措置を講じてほしいという要請は私どもも十分承っておるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたとおり、果たしてどれだけの数量がどれだけの地域で購入が必要になるのかというふうな、数量的な把握、調整というものがまだ終わっておりませんので、西日本の収穫がほぼ完了する段階におきまして、必要量等の調査を行って、ただいまのような御要請も含めて十分に内容を固めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、御質問のように実施するといたしました場合に、何%の補助というところまでまだ検討はいたしておりませんが、この点もひとつ今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  126. 木下敬之助

    ○木下委員 西日本の方がまだだということでございますが、全体的なこの結論が出るめどというのはいつごろでございましょうか。
  127. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 これからの調整にもよりますが、現時点でのめどといたしましては、来月の中旬くらいにはおよそめどがつくのではないかというふうに考えております。
  128. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、畜産の飼料の確保についてお伺いいたしたいと思います。  畜産農家においては、越冬用家畜飼料が確保されてない地域がございます。昭和五十一年には、大麦とふすま増産用小麦を売り渡す措置を講じておられるようですが、本年の場合、政府対策は、九月二十九日に越冬用粗飼料を確保する旨の技術指導をしたのみと聞いております。政府は今後いかなる対策を考えておるのでしょうか。
  129. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 粗飼料を確保していくためには、生産された牧草等の粗飼料を有効に利用することと同時に、稲わら等の流通粗飼料も活用をしていく、さらに水田裏作の作付も増加さしていくというふうな、多角的な対応が必要だというふうなことで、ただいまお話のございましたように、そのための技術対策を含めまして、これらの指導を現在いたしておるわけでございます。  なお、ただいま御質問のありました、政府操作用飼料の五十一年のような措置はどう考えているのかというようなお話でございますが、確かに昭和五十一年の冷害のときには、北海道に対して飼料用の大麦を三千トンあるいはふすま増産用小麦、あるいは岩手県に飼料用大麦というふうなものの売り渡しをした経緯がございます。  本年はまだ、各被害者から政府操作用の飼料につきまして具体的な要望というものがなされておりません。現在、全体として越冬用飼料確保をどう図っていくか、こういう対応をいたしておりまして、そういう中で、果たして五十一年のような措置が必要かどうかというふうなことにつきましても慎重に見守っている、こういう状況でございます。
  130. 木下敬之助

    ○木下委員 ぜひ要望に合わせて御検討をいただきたいと思います。  いま一つ、干し草、ヘイキューブ等の飼料を購入した際の輸送費等に対する助成措置を講じられるお考えはございませんでしょうか。
  131. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 ただいま申し上げましたような私どもの越冬用粗飼料確保の指導のもとに、相当の県におきましては、県独自の考え方によりまして、青立ち稲の飼料向けの調製に要する経費なり、あるいは粗飼料の輸送費なりというふうなものに対します助成を考えている県が相当ございます。  それで、国といたしましては、先ほど申しましたような指導のほかに、これから実は実施したいというふうに考えております天災融資なり、それから自作農資金なり、こういった制度資金の活用をあわせまして十分に越冬用飼料の確保を図ってまいる、こういう考え方に立っておりまして、ただいま現時点で、私ども特にそのために別途に助成をするというふうな考え方は持っておりません。
  132. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、米の予約概算金の返納についてお聞きいたします。  返済期限の繰り延べ、分割払いや金利の減免措置を求める農家の声が強いようでございますが、政府の対応はいかがなものでございましょうか。出荷俵数が予約限度数量に著しく満たない場合に、減収による経営悪化を緩和するため、予約概算金の精算はとりあえず出荷俵数分だけ行うこととして、残金の支払いの繰り延べ、金利の減免等の対策を講じる考えはございませんでしょうか。
  133. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 米穀の予約概算金は、政府に米を売り渡すという前提のもとにあらかじめ概算金を交付しておるわけでございまして、これが買い入れの時期というのは地域によって違いますが、明年の四月なり五月なりまでに予約した数量が国に売り渡せないという場合におきましては、それに見合う概算金のあらかじめ支払われたものにつきまして返納していただくということが必要になるわけでございます。  それに対しまして、まず利子の減免等が講ぜられないかということでございますが、被災の程度によりまして、負担がきわめて大きな影響になるという方々に対しましては、こういった災害のもとにおいては減免措置も講ずる必要があるというふうなことを私どもも実は考えておりまして、そのためのいろいろデータの把握を現在いたしておるわけでございます。  ただ、延納を認められないかというお話ももう一つございましたが、この面に関しましては、どうしても農家がその予約概算金を返納できないというふうな場合には、集荷業者が代位弁済をして、一定の時期まで農家にかわって弁済をするというふうな制度が認められております。特にそれが困難な場合は、さらに上部団体の都道府県の集荷団体なり、あるいは全国の集荷団体なりがかわって弁済するというふうな仕組みもございます。五十一年もそういうことで運用をいたした経緯もございまして、今回もその辺の仕組みを適切に運用することによって対処してまいりたいというふうに考えております。
  134. 木下敬之助

    ○木下委員 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、農作物の損害の評価についてお聞きいたします。  農作物被害に関する調査について、国の統計情報事務所、県並びに農家、農業団体の間に著しいギャップがあることをしばしば耳にするのでありますが、地元の大分県の場合、県農協中央会の調査によると、水稲の収穫量は現時点で反収三百八十五キロ、平年の一七・八%減であると見ておりますが、県の調査では一〇%に満たないという数字であります。政府ではどういう数字を持っておられるのでしょうか。農相も、被害一つなのに数字が二つというのでは農政の不信にもつながるので、このようなことがないように努めると答弁しておられるようですが、農業団体等の調査と国等のそれと著しい差異が出てくる場合は、再調査を行う用意がありますでしょうか。被害の的確な把握について農家に納得のいく対策を講じてもらいたいと思います。
  135. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 ただいまの御質問は、私ども、被害額につきましては、実は統計情報部の組織を通じましての被害額調査というのをいたしておるわけでございますが、それとはまた別途に県なり市町村なりが調査をいたしておる、こういうものとの間の食い違いがあるのはどうしてか、その辺を何とかならないかという御趣旨かというふうに承ったわけでございますが、確かに、実は私どもが国の過程で把握しておりますものとは別に、県なり市町村なりが独自に被害額をまとめて発表しておられるケースが多いわけでございます。いろいろ状況を見ますと、これまたやり方、方法等はまちまちでございまして、いわゆる市町村別に報告のあったものをまとめて県報告、県の結果というふうにしておるところもあるようでございますし、また県は県で独自に、サンプル等を置きまして実測等をやりながら被害を出すというふうなこともやっておるところもあるようでございます。  いま大分の例で具体的にどういう結果になっておりますか、私もちょっといまのこのところでは把握をいたしておりませんが、ただ一般的に申しまして、その間に大きな乖離があるということは確かに好ましいことではございませんで、そのためにいろいと農家の方も迷われるというふうなこともございますので、できるだけそういうものの実態が一致するということが本来望ましいというふうには私ども考えておるわけですが、ただ何分にも、それぞれの公共団体がおやりになることを全く国のやり方と同一にするというわけにもまいりませんし、どうしてもその辺のそごがあるわけですが、国としてはその正確を期するという意味で、十分の実測法を設けまして、一定の偏差のもとに十分に県の結果が反映できるようにという努力をいたしておるわけでございます。今後ともさらに、今回の経験を踏まえてその努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  136. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、自作農維持資金についてお尋ねいたしたいと思います。  農家の間に資金需要の強い自作農維持資金について、貸付限度額の引き上げとともに、すでに自創資金を借り入れている農家の新規借り入れについてどのように対処をするおつもりでしょうか。  現在農林省は、自創資金の現地の資金需要、要望額を取りまとめ中と聞いておりますが、五十一年の三百六十億を大幅に上回ることが予想されると思います。この自作農維持資金枠の拡大の見通しについてお伺いいたします。
  137. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 まず、自作農維持資金でございますが、私どもも今回の災害に対応した資金枠を確保する必要がある、こういうふうに考えて、いま鋭意どれだけのものをどういう形で確保することが必要かということの作業を進めております。御指摘のように、五十一年は三百六十五億の災害枠を設定いたしたわけでございまして、今回は、被害の態様からいたしましてもそれを相当上回るものが必要ではないかと私どもも考えております。  なお、その際に、過年災等ですでに借り入れをしておるというふうな農家に対してはどういうふうな対応をするのか、こういうお話でございまして、これに対しましては、どの地域においてはどの程度の借入金を抱えているかという点を十分把握いたしまして、貸付限度を特例的に引き上げるというふうな対応で、今回の災害に関して必要な資金の借り入れにそごのないように措置をいたしたいということで、現在そのための準備、検討の作業をいたしておるわけでございます。
  138. 木下敬之助

    ○木下委員 被災農家の悩みは借入金の返済だと考えております。普通農家は営農・生活資金等で借り入れた金は十一月末を期限に農協等に返済せねばならないのが多いと思いますが、農協から農家への営農貸越金などの売り掛け残高が六月時点でどれくらいになるか、一度調査していただきたいと考えております。  冷害等による減収で返済が滞ると、農協の経営にも深刻な影響が及ぶのは必定でありますので、また、五十一年冷害時に借りた自作農維持資金の返済もことしから始まると思いますが、したがってつなぎ融資、すでに貸し付けておる金の償還条件の緩和に関しまして、農家の窮状に十分配慮していただきたいと思います。  九月二十四日付の通達で、金融機関が必要な措置をとることにしたと聞いておりますが、現在具体的にどのような措置がなされておるのでしょうか。この際、農家が大量に抱えた負債を整理し、農家経営の更生に資するよう、超低利の経営安定資金制度の創設を民社党として強く要望するものであります。
  139. 木島喜兵衞

    木島委員長 要望ですか。
  140. 木下敬之助

    ○木下委員 要望でございますが、その前段の点についてお答えを願います。
  141. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 自作農維持資金のすでに過去において借りております者にどう対応するかという点は、先ほどの御質問でお答えしましたように、今回の貸し付けに当たっての特例を十分にひとつ考慮したい、こういうことを申し上げたように、対応を考えておるわけでございます。  その他の一般の金融でございますが、御指摘のとおり、私どもも、こういった被災を受けた農家で、すでに償還をしなければいけない農家がなかなか償還できないというケースが非常に多いであろうということで、関係の金融機関等に対しまして、相談を受けた場合には十分にそういう面の配慮、相談に乗ってほしいということで要請をいたしておるわけでございます。  たとえば具体的に申しますと、農林漁業金融公庫から借り受けた方でそのような悩みを持っておられる方は、窓口で御相談をいただければ、必要があればその償還期限を延ばすなり、あるいは中間の据え置きを設けるなり、その他償還に絡んでの条件は可能な限り、必要な限りにおきまして御相談に乗る、こういう仕組みになっております。これは、いずれにいたしましても金融機関対借入者の間の問題になりますので、そういう面で金融機関にも十分に対応してほしい、こういうふうに私どもも指導いたしておるわけであります。
  142. 木下敬之助

    ○木下委員 では、後段に要望いたしました超低利の経営安定資金制度の創設というものについて、現在のお考えをお聞かせ願いたい。
  143. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 超低利の経営安定資金のお話でございますが、実は、先ほどの経営面につきましての天災融資、それから特に経営を維持するために必要な自作農維持資金、こういう分野を総合いたしますと、まさにお話しのような趣旨の低利の資金制度になっておるわけでございます。  先ほども申しましたように、農業関係につきましては比較的恵まれた金融体系が整っているというふうに実は考えておるわけでございまして、新たに、そのための新しい資金制度をつくるというふうなことは現在は考えておりません。
  144. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、救農土木事業により被災農家の就労機会を確保し、現金収入を得る方策が緊急の課題となっておりますが、さきに農林省は二百四十億円の公共事業特別枠確保したとありますが、これは第三・四半期の予算の前倒しにすぎず、本年の異常災害による被害救済というのには余りにも微々たる額であろうかと考えます。予備費から救農土木事業の予算を確保されてはいかがなものでしょうか。
  145. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 私ども、就労確保のための事業を考えるという場合に、何よりも必要なことは、特に災害のはなはだしい積雪寒冷地帯等におきましては、この第三・四半期事業こそ非常に重要な時期だというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で非常に急を要するということで、そのために全く新しい事業を起こすということは、それなりに、地元の調整なり関係者意見調整なり用地の問題その他、いろいろと時間を要することでございますので、既定の予算を前倒しで御指摘のように実施する中で、できるだけ就労を確保してまいりたい、こういうふうなことで今回事業を考えて実行に移しておるわけでございます。  二百四十億円と申しますのは実は国費ベースでございまして、事業費にいたしますとほぼこの倍程度になるというふうに実は考えておるわけでございます。
  146. 木下敬之助

    ○木下委員 公共事業実施方針は十月十七日付の通達で決められたと聞いておりますが、その内容、配分に当たっての指針について明らかにしていただきたい。
  147. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 農業、林業それから水産業、それぞれの公共事業につきまして十月の十七日それから十八日、この両日にわたりまして各地方農政局に配分をいたしたわけでございます。現在、それぞれの地方農政局等におきまして、県別の配分につきましての検討が進められているわけでございまして、近くこれが実行に移せる、そういう中で、私どもはやはり被害実態被害額というふうなものを十分考慮いたしまして配分をいたしたわけでございますが、地方農政局等におきましても、各府県への配分に当たりましては、各府県の被害額、さらに各府県におきましてどういう実需があるか、その要望額、そういうものを十分調整をして、さらに、今回の二百四十億というのは、できるだけ労務費率の高いような事業を優先させ、かつ、その中に被災者にできる限り働いていただく、こういう場として十分に活用していただくつもりでございまして、そのような指導、通達もいたしておるわけでございます。
  148. 木下敬之助

    ○木下委員 各県の事情に合わせて早急にお願いいたしたいと思います。  被災市町村が独自に救農土木事業実施する場合に、財源不足が最大のネックとなっておるようでございますが、そこで、救農土木事業に要する経費の一部を市町村に国が交付金として交付して、市町村起債の特例を認めるような内容の法案、「昭和五十五年における冷害等に係る被害農業者のために被害市町村実施する緊急冷害対策事業に関する臨時措置法案」を社会党、公明党国民会議、共産党とともに、今国会に四党で共同提案しておりますが、農林省としてはどのようにお考えになりますか。
  149. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 四党の御提案での臨時措置法案がございますが、これに対しまして、私ども行政府としてどういう意見だというふうなことを申し上げる立場にはないと思いますので、その点は避けさせていただきたいと思います。  ただ、一般的に、この種の事業についてどのような考え方を持っているか、こういう御質問というふうに承って、私どもの考え方を申し上げますれば、  重複いたしますが、やはり何をおいても必要なのは第三・四半期事業ではないか、そういう意味で非常に急を要する、できるだけ緊急に実施する仕組みの中で手がけることが必要ではないか、こういうふうなことを第一点として考えております。  それから、私ども、第二点といたしましては、冷害対策と申しますのは、各種の金融対策なり農業共済の対策なりあるいは営農対策なり、こういうもの等の総合的な効果によって冷害には対応していくことが必要だ、こんなふうに考えておりまして、私どもそんな考え方のもとにいろいろ対策を講じつつあるわけでございます。
  150. 木下敬之助

    ○木下委員 時間がありませんので、最後に、第二期水田利用再編対策について考えを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  これまで新聞等を通じて明らかになった二期対策概要は、   一、減反面積を現行より十四、五万ヘクタール上乗せする。   二、転作奨励金の基本単価を二万円程度引き下げる。   三、計画加算の削減。 こういった農家にとってまことに厳しい内容と聞いております。  二期対策は、本来ならば、麦の採種期前の九月末までに示すべきであったが、いまだに明らかにされていないのでは、農家は来年の営農計画が立てられないと思います。速やかに二期対策を決定すべきであると考えます。  また、八〇年代の農政ビジョンが現在農政審議会で論議されておるようですが、八〇年代の農政を切り開いていく上で最も大切なことは、農業者の信頼と理解の上に立って、長期的視野をもって農政を展開することであり、未曽有の被害に見舞われたこの時期に、一年間の猶予もなく、米の単年度需給均衡に固執するような農政の姿勢は、とうてい農業者の納得を得られないと考えます。  民社党は、第二期水田利用再編対策の凍結もしくは一年延期を強く要望するものであります。  これにて終わります。
  151. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、栗田翠君。
  152. 栗田翠

    栗田委員 私は、八月十六日に起こりました静岡駅前ガス爆発事故について、質問させていただきます。  この問題は、事故が起こってからすでに二カ月たっておりまして、二度とこのような災害を起こさないためにという立場で、いままでも商工委員会、地方行政委員会などで私は質問をしてまいりました。しかし、残された問題がまだまだたくさんありまして、きょうもこの場で質問をさせていただきたいと思っております。  まず、最初に国土庁に伺いますけれども、このガス爆発事故の結果を見ましても、また、いま予想されています大規模地震の状態を想像してみますのに、ガス事業というものが、そういう大きな地震とかその他の都市災害などの中でどんな危険な役割りを果たしているか、よほど防災にも注意していかなければならないし、また、その公益的な役割りの重大さというものを持っているということを改めて感じます。  それで、災害対策基本法を見ますと、二条の五号に「指定公共機関」というものが決められておりますけれども、この「指定公共機関」に該当するものとして、国鉄だとか電力会社だとかというのとあわせまして、ガス等「公益的事業を営む法人」というふうに例を挙げて書かれております。しかし、ガスなどの会社はまだ実際にはこの「指定公共機関」に入っていないというのが事実です。ガス会社といいますと、東京、大阪のような大手から、中には非常に小さいものまであるわけですけれども、とりあえずこのガス爆発事故を振り返ってみましても、いわゆるエネ庁所管の「ガス事業者」と言えるような大手をこの災対法の「指定公共機関」に加えて、災害時の体判、それから防災体制などについて整備させていく必要があるのではないかと思いますけれども、その点について政務次官の御意見を伺いたいと思います。  また、検討しておられましたら、その経過などをお話しいただきたいと思います。
  153. 大塚雄司

    ○大塚(雄)政府委員 お答えいたします。  いま先生御指摘の「指定公共機関」にガス事業者を指定せよということでございますが、ただいまもお話がございましたように、災害対策基本法二条六号にございます「指定地方公共機関」に指定をいたしまして、今日まで対処をしてきたというのが経過でございます。  御指摘のように、大都市地域等におきます地震に対する災害対策は大変大事なことでございます。電力につきましては、ガスと違いまして事業範囲の態様が若干異なるわけでございますが、ガスにつきましても、広域的な供給をする大手のガス事業者、たとえば三大都市圏にございますようなガス事業者につきましては、前向きで「指定公共機関」に指定をするように関係省と十分協議をいたしまして対処をしてまいりたい、こう考えております。
  154. 栗田翠

    栗田委員 すでに協議をしていらっしゃるような経過はございますか。
  155. 大塚雄司

    ○大塚(雄)政府委員 すでに協議をいたしておるところでございます。
  156. 栗田翠

    栗田委員 この問題につきましてもまた時間をいただいて詳しく伺わせていただきたいと思いますが、きょうは時間の関係で次の問題に移ります。  通産省に伺いますけれども、通産省は、静岡瓦斯の事故がありましてから後、立入調査をして「立入検査結果について」というのを発表しておられます。この中身をしさいに見てまいりますと、たとえば「保安規程等の遵守状況」という中身でも、保安管理組織の整備状況とか、そのための教育の実施状況は保安規程に沿っているものであるといったような評価だとか、導管の材質、構造、漏洩検査の実施状況とか遮断装置の設備など、いわゆる「ガス工作物の技術上の基準」は規定を遵守しているとか、「消費機器に関する周知及び調査状況」などは遵守しているというふうにずっと評価がされているのですけれども、最後のところへ参りまして、あの緊急事態が起こったときのガス会社の初動体制、それから事故処理の行動などについては特に評価をしていないというふうに私は読めるわけでございますけれども、そう考えてよろしいですか。
  157. 石田寛

    ○石田説明員 御説明させていただきます。  先生のお説のとおり、事故が発生いたしました直後の八月二十日と二十一日にわたりまして、通産省の職員並びに東京通産局の職員から成りますチームで、立入検査を実施いたしております。その立入検査は、ガス事業法の規定に基づきまして、「保安規程」の遵守状況、「ガス工作物の技術上の基準」の適合状況等について行ったものでございますが、これらは帳簿あるいは書類、それに会社からの事情聴取というようなものについて調査を行ったものでございます。  ただいま先生のお話にございました、事故当日の静岡瓦斯のガス漏れ通報を受けた以後の行動については、ただいま関係当局により調査が進められているところでもございますし、当省としては、ただいま申し上げましたように、会社からの報告を一方的に聞いただけでございまして、その辺の事情についても明確でない点も少なくございませんので、判断をしなかったというものでございます。
  158. 栗田翠

    栗田委員 当時この報告が出されたときに、一斉に新聞などがそのことを報道したのですが、「ガス事業法上では違反ない。静岡瓦斯の立ち入り検査結果」といった例に見られますように、全部について違反がないという結論が出されたかのような報道が一斉にされておりました。けれども、いまのお答えどおり、実際に、事故当日の処理の仕方などについてはまだ通産省も評価をしていらっしゃらないというわけですね。  そうしますと、これは、通産省としてもさらに調査を進められて、ガス事業法の違反があったかなかったかという結論をお出しになるのでしょうか。それとも、関係のところでやっているとおっしゃったのは、警察などが調査をしていらっしゃる、それを待って評価をなさるということなんでしょうか。
  159. 石田寛

    ○石田説明員 ただいま御説明申し上げましたように、ガス事業法の規定に基づきます立入検査と申しますのは、書類、帳簿の調査といったような限界があることもございますし、さらに、御説明いたしましたように、関係当局で調査が進められているところでもございますので、しばらくその調査を見守るということにいたしたいと考えております。
  160. 栗田翠

    栗田委員 わかりました。その点では、通産省は当日の処理までも違反がなかったと言っているかのような印象が広がっていますので、改めて伺ったわけでございます。  それでは次に、ガス会社への通報処理をめぐって、私、前々回また前回の地行委員会などでも取り上げてきましたその続きを、きょう質問させていただきたいと思います。  まず、八月二十八日の商工委員会で、私は、ガス会社が消防からの通報以外全く第二爆発まで通報を受けていなかったという申し立てをしているのに対して、第一ビルの中に店を持っている「アデランス」の支店長八本さんが通報していたはずだということを申しました。それに沿って通産省は調査をなさって、先日地方行政委員会の答弁の中では、ガス会社もそれを認めたということを答弁していらっしゃるわけです。つまり、消防以外に「アデランス」支店長の通報があったわけでございます。しかし、通産省に対してガス会社が答えた中身によりますと、通報は受けていたけれども、それを記録はしていないということを言っております。ガスが漏れたとか爆発したとかいう事故がありますときに、住民から通報を受けたとき記録をするということは、保安規程またそれに沿った幾つかの要領などによって義務づけられておると思いますが、この「アデランス」の支店長の通報の記録がなかったということは、保安規程に違反しているのではないでしょうか。
  161. 石田寛

    ○石田説明員 御説明申し上げます。  ただいまお話しのような先生からの御指摘もございましたので、静岡瓦斯から事情を聴取したところによりますと、受付の職員が「アデランス」の方からの通報内容を受付責任者に伝えたところ、それ以前にも消防本部から通報があったのと同じ内容であって、すでに無線車に現場への急行をも指示していたということもあって、受付票への記入は行わなかったということでございました。  静岡瓦期のガス漏れ通報処理要領によりますと、ただいまの先生のお話のように、通報を受け付けたときは受付票に記入することということになっているわけでございますが、いま御説明申し上げましたように、すでに同一内容についての通報がありまして、無線車に現場への急行を指示していたというときでもございまして、重ねて受付票に記入しなかった、こういう今回のようなケースが直ちに保安規程上問題があるとも言えないというふうに考えるわけでございますが、いずれにしましても、緊急時の通報処理体制につきましては、地下街におけるガス保安対策全般の一環として、ただいま専門委員会において検討を進めているところでございますので、この検討結果を踏まえまして、今後通報の受け付け体制の整備を図っていきたい、かように考えている次第でございます。
  162. 栗田翠

    栗田委員 この無線車へすでに指示していたということ自体がちょっとおかしいのですね。これはガス会社が言う時間と通報者の言っている時間との間にずれがありまして、これはこの前地行委員会でも私、問題にしたと思いますけれども、通報者は九時三十二分ごろに通報しています。そのときにはまだ無線車に指示をしていないのです。ガス会社が無線車に指示をしていたのは九時三十五分、その前に入った通報なんです。このことが一つございます。  それからもう一つは、いま同じ通報だったとおっしゃっておりますけれども、第一通報をしたのは消防ですが、消防というのは、これは各分団に「ガス漏れ事故あり、火災警戒態勢に入る」という通報をして、これは一斉に電話が通じるようになっていて、ガス会社にも通じるようになっている、いわゆる一方通行の連絡です。ガス会社がこれを傍受したという言い方をしていたという例が挙がっておりますが、そのような性質のものでございますから、いろいろ聞き返すことはできない種類の通報です。  ところが、この「アデランス」支店長八本さんの通報というのは、つまり現場近くの住民からの第一報であるはずです。そして、この保安規程に沿ったさまざまな要領などに書いてある記録の仕方というのは、どういう状況で、どこで起こって、時間から何から全部聞くようになっていまして、六項目書き込むようになっているわけです。こういうことは消防からの通報では聞き返すことができない性質のものでございますから、当然住民からの第一報について詳しく聞き返して「ガスもれ受付票」に記録すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。それと同時に、同じものだったら記録しなくてよいということは保安規程に書いてありません。そういう立場から考えて、どうなんでしょうか。
  163. 石田寛

    ○石田説明員 ただいまの先生のお話のように、第一報は消防本部からの通報であったとのことでありますし、公的な機関からの通報でございますので、非常に重要な第一報であろうというふうに考えておるわけでございます。  また「アデランス」の方からの通報につきましては、先ほど御説明いたしましたとおりでございまして、その時間につきましては、静岡瓦斯では、九時四十分に通報があったというふうに説明いたしております。  いずれにいたしましても、これらの通報を受けたときにどういう受け付け処理をすべきかという点につきましては、先ほども御説明いたしましたように、そのあり方を検討中であるということでございます。
  164. 栗田翠

    栗田委員 ガス会社を弁護する立場でだけ物を見ないで、今後災害が起こらないように厳しく見ていただきたいと思うのですけれども、では、同一内容だということはどうして断言できますか。  もし爆発という通報だったらばこれは同一内容ではないはずで、この「アデランス」の支店長は「ガス爆発がありました、まだガスが漏れているようです」と通報したと言っているのですね。爆発という中身だったら記録をしないでよかったのでしょうか。
  165. 石田寛

    ○石田説明員 同一内容であった場合には記録をしなくてもよいと、明示的に保安規程あるいは要領に規定されているわけではございません。しかしながら、先ほどのような説明、あるいは私が御説明しましたような解釈もとれるということを御説明いたしたわけでございます。  いずれにいたしましても、それらの一件ごとの通報に対しましてこれからどう処理すべきなのかということについて、ただいま検討を進めているということでございまして、私どもといたしましては、静岡瓦斯の説明聴取しているということを御説明申し上げているわけでございます。
  166. 栗田翠

    栗田委員 ちょっと前の方に座って、私の言うことを聞いてください。私のいまの質問に答えていらっしゃらないのですよ。爆発という通報だったならば、同一内容ではないけれども、その場合にも記録をしなくてもよいのかと伺ったのです。ガス漏れと爆発と大変違いますものね。その点で伺っています。
  167. 石田寛

    ○石田説明員 明らかに通報の内容が違うような場合には、どちらが適当かという意味において申し上げますれば、記録がとられていることが望ましかったのではないかということも言えようかと存じます。
  168. 栗田翠

    栗田委員 どちらが適当かなんというものじゃないんじゃありませんか。これはガス会社自身が当時コメントを出しておりますが、消防がガス漏れだと言ったので一人しか係員を送らなかったけれども、もし爆発と聞いていたら、自分たちは数台、数十人を送ったであろうなんて言っているんですね。それでわかるように、爆発とガス漏れというのはかなり違います。しかも保安課長、そんなことをおっしゃいますけれども、保安規程に沿ってつくられている「ガス漏えい通報処理要領」を見ますと(緊急を要する場合の処理)ということで、第九条「受付又は調査の結果、緊急に措置を要する事故と判断したものについては、導管事故緊急対策要領により処理する。」と書かれておりまして、この「導管事故緊急対策要領」を見ますと、「ガス事故に起因すると思われる火災又は爆発」という項目が入っています。この「ガス事故に起因すると思われる火災又は爆発」の場合には、受けつけてから、記録はもちろんのこと、社長にまでずっと連絡を上げなければならないという体系がちゃんと記されているのですね。この第一爆発は第二爆発ほどには大きくはなかったというものの、地下街の天井が落ち、地上のシャッターが大きくゆがんだというくらいの爆発です。だから、爆発でもそれは書いた方がよかろうがというようなものじゃなくて、保安規程に沿ったらこれは当然記録はしなければならないし、それから連絡体系まできちんとあるわけですから、これに沿ってやるべきものじゃないんですか。
  169. 石田寛

    ○石田説明員 若干補足して御説明いたしますが、九時四十分にあったと申します「アデランス」の方からの通報の内容は、第一ビルでガス漏れがあったようだ、こういう通報の内容であったというふうに静岡瓦斯からの説明を受けております。かくて、同一の内容であったということで改めて記録は行わなかったというふうに説明を聞いておるわけでございます。もちろんそれが「ガス事故に起因すると思われる火災又は爆発」が発生しているという事態のときには、「導管事故緊急対策要領」によって処理されるべきものでございます。
  170. 栗田翠

    栗田委員 これはガス会社に、ガス漏れという通報であって爆発という通報でなかったということを証明してもらいたいのです。なぜかというと、記録はありませんね。しかも、ガス会社は大変うそをついています。ガス会社の言っていることは信憑性に欠けております。それはなぜかと言えば、ちょっと時間がなくて私、余り長くしゃべりたくないのですけれども、初めに、通産省が立入調査をなさったら消防の通報しか受けていなかったと言って、私に事実を突きつけられて追及されて、実は「アデランス」のがございましたと言って、しかしそれは記録はなかったという、記録を書かなかった理由までも通産省に言ったわけですね。そしてその後で、今度は、私ども共産党のガス事故対策本部が静岡瓦斯に抗議に行って「何であなたたちはうそをついていたのだ、記録もないそうじゃないか」と言ったら、「いや、記録はございました」と言って出してきたというのは、この前お話ししましたね。そうしますと通産省は二重、三重に偽りを言われてきたわけで、まず通報のあった事実、それから記録があったのかなかったのかわかりませんけれども、記録についての事実、実際に記録がなかったとすれば、私たちに対して後からあわててつくった記録を出してきた、こういうことをやっているわけで、保安課長も、この前の地行委員会のときに「それは恐らく後で書いたものでございましょう」とみずから言っていらっしゃるわけですから、こういうことをやっていらっしゃるガス会社が、記録も証拠もない中身で、爆発ではなかった、ただガス漏れだったと口で言っていても、それをそのまま聞くわけにはいかないわけです。これは爆発だという通報があったと考える方が信憑性が高いです。  それはなぜかといいますと、それでは消防庁に伺いますけれでも、一一九番で住民から通報があったのは何時何分、またどんな内容だったでしょうか。
  171. 野沢達夫

    ○野沢説明員 二九番に住民から通報がありましたのは九時三十分でございます。内容は「紺屋町の西武の向かいのあたりで何かガスの爆発があったようだ、少しガス臭い。火は出ていない模様です。詳しいことはわかりませんが、西武の向かいの共同の何とかいうビルだそうです。「ダイアナ」くつ店付近です。この店のシャッターが少し崩れたみたいです」、大体こういう要旨の通報が九時三十分にあったと報告を聞いております。
  172. 栗田翠

    栗田委員 続いて一一〇番にやはり住民から通報があったはずですが、一一〇番への通報はどういう中身のものだったでしょうか。
  173. 増田裕

    ○増田説明員 一一〇番の関係で御説明いたします。  第一回目の爆発の際に二〇番があったわけでございますが、警察の方には九時三十一分、県の警察本部の通信司令室の方へ一一〇番で「紺屋町の地下ゴールデン街の「菊正」という店ですが、ガスに火をつけようとしたところ急に爆発して、ガスが漏れているのですぐ来てください」との通報がありました。それで引き続いて、同じ電話ですけれども人がかわりまして「ガスが漏れているのですぐ消防もお願いします」との通報がございました。後で調べましたところ、最初の通報者は「菊正」の店員の角野房子さん、後の方は「柴田薬局」の柴田安代さんということになっております。
  174. 栗田翠

    栗田委員 いまお聞きのように、一一九番、一一〇番、どちらも住民は「爆発」ということを言っております。目の前でシャッターが吹き飛んだりしていれば、当然だれもショックを受けて爆発という事実を口にするのは常識です。「アデランス」支店長は、この「菊正」の店員と「柴田薬局」の奥さんが電話をかけているのを見て、一一〇番にかけているから自分はガス会社にかけようと、ほとんど同時に、任務分担をした形でガス会社にかけているわけですね。それで本人は「爆発がありました。場所は「菊正」付近です。ガスが漏れているようです」と言っているというわけです。こちらの証言の方がはるかに具体的で信憑性があるとお思いになりませんか。時間の点でもそうです。まだ消防は来ていなかった。そのことをやはり通産省はリアルにその事実に沿ってお聞きになって、ガス会社が言を左右にしているのでしたら、やはりそこのところをはっきりさせなければいけないと思います。いかがですか。
  175. 石田寛

    ○石田説明員 最初の消防からの連絡が「ガス漏れあり」ということであった、さらに「アデランス」の方からの通報も「ガス漏れがあるらしい」、こういうことであったということで、二重にガス漏れの通報だということで、先ほど来御説明しておりましたような処理をいたしたのかというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、先生の御指摘のように、確かに事故直後の通報について混乱している面があるようにも私どもとしても思います。しかも、当省に対する報告にははっきりしない点があったということも感じます。きわめて遺憾に思っております。今後かかることのないように、同社に注意を喚起したところでございます。
  176. 栗田翠

    栗田委員 このほかに、紅林清一さんというゴールデン街の第一ビル管理人も電話しています。この人が九時四十分にしているんですね。この人は、消防が来てしまってから、ゴウゴウといってガスが漏れているようなので、「ガスが漏れているようです。早く元栓をとめてください」と言って、ガス会社にしました。そのとき「女の人がまず受け付けに出て、男の人にかわりました」と、そこまで具体的に言っています。ですから、九時四十分というのは紅林さん、その前に「アデランス」の支店長が九時三十一分か二分ごろかけています。これがいろいろ住民の証言を聞いた事実だと私は思いますし、その中身は非常に具体的ですから、ガス会社が単に混乱しているのか、気がついているのに隠しているのか、隠している部分もあるようです、間違いなくありますが、そういうことがたくさんあるという事実、それはいま保安課長も「遺憾だ」とおっしゃいましたのでお認めになっていらっしゃると思いますので、そういう立場で、さらにもう一歩突っ込んだ、誠実な態度での事後処理ということをさせるような御指導をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  177. 石田寛

    ○石田説明員 今回のような事故を二度と繰り返してはならないというような立場から、いろいろ対策を検討しているわけでございますが、専門委員会における対策の検討を待つまでもなく、先般行いました一斉点検の結果に基づきまして、静岡瓦斯を含めます各ガス事業者に対して、たとえば、ガス漏れ通報の受付処理の体制について整備拡充をするようにというような指導、通達をいたしたところでもございます。  さらに、先ほど来御説明しております専門委員会の結論も得まして、こういった通報並びにそれの処理、さらには出動態勢に至るまで点検をし、必要な体制をとらせるべく指導してまいりたいと思っております。
  178. 栗田翠

    栗田委員 後のいろいろな指導とか体制ということばかりでなく、事故そのものに対して、ガス会社が言を左右にして、不誠実な態度であるという、そこのところをやはりきちんとさせていただきませんと、さっきの調査報告にもありますように、いろいろ形の上のものは基準を遵守しているように見えても、実際のところでちゃんとやらないということになったのでは事故は防げないと思うんですね。そのことを私は言っております。  それでは、時間がありませんので残念ながら次に進みますけれども、警察庁に伺いますが、先日、十月二十四日の地行委員会で、第一爆発の原因について刑事局長は「メタン説の公算が大である」と何回か繰り返しておっしゃいましたが、それはどういうことを根拠にしていらっしゃるのでしょうか。
  179. 加藤晶

    ○加藤説明員 お答えいたします。  第一次爆発が起こったと思われます地下の「ちゃっきり鮨」それから「キャット」、さらにその床下部分、そこのところから資料を採取いたしまして検査、鑑定をいたしましたところ、そこから採取いたしました水あるいはヘドロ等からメタンガスが検出されたということでございますし、その現場状況、床下などが爆破されて上に盛り上がっているというふうな現場状況等をもあわせ考えまして、メタンガス説が有力であるというふうに答えたものと思います。有力であるということでございまして、まだそれのみというふうに断定はいたしておらないということでございます。
  180. 栗田翠

    栗田委員 採取されたメタンは何%ぐらいでしたか。
  181. 加藤晶

    ○加藤説明員 メタンそのものを採取したわけではございませんで、メタンの発生源になりますそういうヘドロ、水というふうなものを採取したわけでございます。したがいましで、まだ鑑定を続行中でございますので、それが何%ぐらいになるかということにつきましては、詳細な検討を経た上でないとちょっとお答えいたしかねます。
  182. 栗田翠

    栗田委員 メタンが多少出たのかと思ったら、ヘドロを採取なさっただけなんですね。そうしますと、爆発するかどうか、爆発できるような状態にあるかどうかも、まだ全然結論は出ていないというふうに理解してよろしいですか。そうですね。
  183. 加藤晶

    ○加藤説明員 最終的な結論ということではございません。そういう試料鑑定の結果を踏んまえまして、現場状況とあわせましていろいろな計算もし、さらに検証もし、こういう過程が必要でございます。まだそれをやっておるところでございますが、そういう中間検討の結果でメタンガス説が有力である、こういうことでございます。
  184. 栗田翠

    栗田委員 私、時間があればいろいろ伺いたいのに残念ですが、このメタンについて、何人かの学者たちが現地に入って、床下からメタンが発生するだろうかということ、そしてたとえ多少発生しても爆発する状態にあるだろうかということを調査しております。  その調査の結果を見ますと、たとえば科学者会議静岡支部が、ここは現地に入って調査をしてニュースを発行しているのですけれども、爆発する状態には全くないという結論を出しています。私は警察の調査もずいぶん長引いているということを非常に疑問に思っておりまして、すでに二カ月たっています。ヘドロを培養すればもうとっくにメタン菌も出るだろうし、それから実際にメタンが爆発する状態かどうかということはそれほどむずかしいものではないわけでして、なぜいつまでも結論が出ないのか。なかなか爆発しそうになくて警察庁、困っていらっしゃるんじゃないかなと実際思うのですね。これは爆発しないとはっきり科学者会議が書いております。  それから、私は、元通産省の微生物工業技術研究所にいらして、いま大阪府立大学の農学部教授をしていらっしゃる外村健三先生にも、先日お電話でお話を伺いました。外村先生はこの方面を研究していらっしゃる権威ある学者ですけれども、一般論だけれどもとおっしゃって、メタンが爆発する状態というのは、ヘドロがメタンが発生するだけのものが相当量なければならないということ、それから温度が試験管でメタンを出したときには五十六度Cぐらい、常温でメタンが出る場合でも三十七度Cぐらい必要であるということ、それから空気の流通がないところで密閉性がなければならないということ、メタンの濃度は一五、六%なければならないということや、それから特に、メタンは無臭だけれども、発生していく過程にはいろんな物質が分解されて出てくるものですから、大変なふらつくような激しいにおいがする。これはアンモニアよりもひどいはずである。こういうにおいがなかったわけですからね。あそこは食品店街でそんなにおいがしていたらとても商売できる状態じゃないですから、そういうものもなかった。ということになれば、爆発するほどのメタンがもし出るとすれば、よほどの圧力で一ぺんにメタンでも吹き込んだかなんかしないと、あるいはガスでも吹き込まない限りは、そういう床下から爆発しないであろうということを言っておられます。  そして、私、ここに今度の事故の中間調査報告書を持ってまいりました。これは静岡駅前ガス爆発事故についてまとめられた初めての本格的な調査報告ではないかと思いますが、きょう静岡市で二時から発表されているはずでございます。  この調査報告書をまとめたのは、静岡駅前ゴールデン地下街ガス爆発災害調査委員会というものです。これはどういうものかと言いますと「この災害による「被災者の会」弁護団の要請にもとづき、都市防災、防災計画、建築設計、設備、構造、物理、生物、土木等の各専門家によって調査委員会を組織し、災害の総合調査として行われているものである。」、この調査委員会の代表者は大屋鍾吾氏、これは地域総合計画研究所の副所長ですけれども、この地域総合計画研究所というのは東京の南青山にありまして、多摩川の決壊の原因なども調査して、あの訴訟に大きな影響を与えたりした、さまざまな功績のある研究所でございます。その方が代表になって、大ぜいの学者、専門家と一緒に調査をして、詳細な調査報告、中間結果ですが、出しております。  初めの方は、第二次爆発の経過とかその影響などがずっと述べられていて、後の方に「第一次爆発について」という項があります。ここでは非常に重要な二つの点を論じております。一つは、あの床下のピットでメタンが爆発するほど発生するかどうかということです。もう一つは、床の盛り上がりは、床下からの爆発ではなく、床上からの爆発の影響によって盛り上がったということを推論しております。いま警察庁は、床が盛り上がっていたから床下であろう、ピットから出るとすればメタンぐらいだろう、こういうふうに考えていらっしゃるようです。ですから、なかなかメタンが爆発しそうもなくて結びつかないでいらっしゃると思うのですけれども、こういう二つの重要な指摘をしております。  委員長、時間が大分近づいてきたのですが、ちょっと時間をいただけますか。——それで、このメタンが相当量、爆発限界に達するだけ発生するかどうかという点なのですけれども、これは構造から論じております。  床下には湧水槽、それから汚水槽と雑排水槽がございます。ここにその床下の構造図があります。これは第一ビルのちょうど半分です。こっち側にもう一つついておりまして、ちょうどこのあたりが爆発した「ちゃっきり鮨」とか「キャット」などがあるところなのですけれども、この爆発したところの下にあるのはわき水をためる湧水槽です。これらは全部湧水槽です。ここが雑排水槽、ここが汚水槽です。これはパイプでつながっておりまして、わき水をずっとためて流して、雑排水槽から汚水槽に入れて、一定の高さになるとポンプでくみ上げるようになっている、こういう構造なのです。ですから、ヘドロがそう大量にこの湧水槽の中にたまる構造にはなっていないということです。ただし、よく調べてみたら、地下街の上から手を洗う水などがちょろちょろっと落ちるようにはなっていた。もう一つは、地下街の床を掃除したときに、ほうきで掃いていって水を落とすところがあるのですが、金網があってそこから水が落ちるようになっているので、床を掃除した水が多少入るようになっている、そういう構造なのです。しかし、メタンが爆発限界に達するほど大量に発生するだけのヘドロがたまる構造ではなく、しかも実際に現地を見たけれども、「このビルの地階床下の構造は、他と比較してとくに汚泥が蓄積しやすい構造でもなく、また現実に、大量に汚泥を蓄積した痕跡もみられず、むしろ他よりも良好な状況とも言える。」という結論を出しております。そして、この構造から見ますと、空気の流通があるということ、水も動いているということ、またあそこは非常に地下水の多い地域ですけれども、安倍川水系の地下水が非常に多いのですけれども、ああいうふうに地下水の多い地下では、地上がかなり暑く熱せられても、地下のピットはそんなに温度が高くなるはずはない状態だということです。そして、さっき外村先生もおっしゃいましたようなにおいの問題もなかったということ、その他まだ非常に細かく推論しておりますが、私、いま簡略に申し上げていますけれども、だから、ここでの地下街にメタンが相当量滞留する条件は全く考えられないという結論を出しております。次に、床が盛り上がっていた点ですけれども「床の変形の状況から単純に床下での爆発とは断定できず、床上方での爆発と推定する方が現実的である。」と言っております。  警察庁に伺いますが、床が盛り上がっていたということはずいぶん言っていますが、床のへこんだ部分があったということは検証していらっしゃいますか。
  185. 加藤晶

    ○加藤説明員 床が盛り上がった部分、これは明白に何カ所か認められるわけでございます。ただ、その後いろいろそういう爆発もございましたし、落下物などもあったということで、床そのものがやはり上下に若干動いている、こういう状態はございます。  それから、いまいろいろ御批判がございましたけれども、私どもはそこの現場における現実、事実がどうであったかということを鑑定をするわけでございまして、構造一般からのみ論じているわけではございません。  それから、爆発の限界ということを先ほどおっしゃいましたけれども、一五%混入した場合にということをおっしゃいましたが、それは爆発の上限でございまして、当然下限もあるということでございます。その上下の限度内にありますれば爆発は起こり得るということでございます。もちろん、先ほど御指摘がありましたように、室内等のように若干囲まれるといいますか、そういう状態でなければなかなか爆発は起こり得ない。また、具体的には、そういう混気団が形成されましたときでも、下限がなければこれまた爆発しないということは当然なことであるわけでございます。  それで、メタンがそれほど大量に発生しない、それで打ち出したメタン説では爆発しないので困っておるのではないかということでございますけれども、私ども、そういう困る、困らないの前に、事実どうであったのか、それが科学的にどういうふうに証明されるのかということをやっておるわけでございまして、その中間結果でメタン説が強いということを申し上げておるわけでございます。いろいろなことを予想いたしましての綿密な検査、鑑定というものを現在鋭意進めておるわけでございまして、その予想される中には、いま御指摘のございましたようないろいろな問題点をも当然含めました上でそういうことを進めておる、こういうことでございます。
  186. 栗田翠

    栗田委員 そういうふうにおっしゃられますと、ますます伺わなければならなくなってくるのですが、それでは下限は何%だと考えていらっしゃいますか。
  187. 加藤晶

    ○加藤説明員 一般的に言われておりますのは、メタンガスにつきましては五・三%ということでございます。
  188. 栗田翠

    栗田委員 それでしたら、それだけのメタンが検出されていますか。新聞報道では〇・〇四から一%しか検出されなかったということですが。
  189. 加藤晶

    ○加藤説明員 先ほど言いましたように、その現場で直接メタンガスを採取、検出した、こういうことではございません。発生源となると思われるそこのヘドロ、水、そういうふうなものを採取いたしまして、それから一定の科学的な検査をやりました結果、そういうメタンが発生をいたしたということだけ申し上げておるわけでございます。したがいまして、その現実の発生量がどのくらいになるのか、あるいは滞留の度合いがどの程度になるのかということは、さらに現場の条件等を突き合わせましていろいろ検討をした上でなければなかなか結論は出ない、こういうことでございます。
  190. 栗田翠

    栗田委員 そうなってまいりますと、私、時間を急いでさっきはざっと申し上げましたけれども、それならば現場状況一つ一つおっしゃってみてくださいませんか。空気の流通、水が流れている、温度、におい、それについてどうでしたか。
  191. 加藤晶

    ○加藤説明員 そういうことでございまして、現在全般的な捜査、その中の重要な事項として検査、鑑定を実施しておるわけでございますので、まだそういう詳細につきましては、私どもの方として答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  192. 栗田翠

    栗田委員 詳細は言えないけれども、メタン説が有力である、有力であるとしきりにおっしゃっていますが、これはただ捜査の過程の問題だでは済まないのです。実際、被災住民たちの切実な訴えを私は聞いていますけれども、あそこの地下街は、事故の起こらなかった地下街さえも、最近は売れ行きががたっと落ちてしまったのですけれども、それは結局爆発が起きたせいだ、しかもメタンが出ていたなどというのはおまえたちの管理が悪いからではないかということで、結局は、第一ビルの人たちは大変な被害を受けた上に、周囲からいま非常に精神的な圧迫を受けているということさえ言われているのです。それと、もう一つは、早く原因が究明されませんと、賠償問題その他だって一向に片がつかないし、現場保存ということで手をつけることもできないということに実際になっているのですから、メタン、メタンとおっしゃるなら、納得できる中身を、有力だとおっしゃるその有力の裏づけになるものをおっしゃらないと、私は大変不誠実だと思いますけれども、いまのお話を伺っていると、まだわからない、わからない、わからないけれども有力だ、これは一体どういうことですか。
  193. 加藤晶

    ○加藤説明員 御指摘のとおり非常に重大な事故、事件でございますので、それの原因のいかんというのは大変大切なことになるわけでございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、そういうことについて誤りのないように、いろいろ各面から諸般の必要な捜査をしておるということでございます。そして、いままで申し上げましたのはあくまで中間検討の結果である、こういうことでございます。  なお、メタンのみなのかということにつきましては、さらに諸般の実験あるいは捜査というものをやっておるということでございます。それが重要でございまして、しかもある場合には人の刑事責任ということにもかかわりますので、そこのところはいろいろ慎重にやっておる、こういうことでございます。  そこで、先ほど現場保存その他ということで復旧の作業もできないというふうな状況だということでございましたけれども、私ども八月二十八日までに現場の検証というものは一応終了しております。そういうことでございますので、それから先、現状保存措置とか立入禁止等の措置を特にお願いしておる状況ではございませんので、その辺は私どもも、そういう害を受けられた方々ができるだけ早く立ち直られることの邪魔にならぬようにという配慮はしておるつもりでございます。
  194. 栗田翠

    栗田委員 ヘドロをとってきて試験管で出せば、メタンは多少出るかもしれませんよ。問題は一体、そこに爆発するほどメタンが出る条件があるかということで論じているわけです。ですから、いまのお答えでは私は全く納得できないのですけれどもね。それで、調査団は、現場へ行ってヘドロも培養しています。それから、詳しく全部調べているということです。  委員長、本当に延びちゃって申しわけないのですが、もうちょっとくださいね。済みません。  それで、現場へ行かないで、新聞報道で云々とおっしゃいましたけれども、とんでもありません。この床のふくらみ、へこみなどについても、現場へ行きまして全部詳しく寸法まではかって調査しています。ちょっと済みませんがこの図をお渡ししていただけないでしょうか。——実に詳しい調査がされているわけです。いま、後から爆発もあったことだしいろいろ変形もしているとおっしゃるけれども、第一爆発のときにふくらみがあったというのは皆さん目で見ただけで、寸法まではばかっていらっしゃらない。だからどの程度の変形があったかということもわからないわけで、現状に沿いながら大きな変化というものは見ていかなければなりませんし、特に地下というのは第一爆発で大きく変形しているのですね。だからそれに沿って、もうちょっと広い目でこの推論というものをお聞きいただきたいと思うのですけれども、床下でなければならないと考えるべきなのかどうかということで考えていただきたいと思います。  いまお上げいたしました図を見ますと、床が上がっているところと下がっているところ、それをアップとダウンで書いてあります。実際には寸法もはかってあるそうですが、その図が発表されていますので、とりあえずその図を使わせていただきますけれども、その図によりますと「この床の目立った変形は第八、第七、第三、第九の各槽の上である。」、ここがちょうど「ちゃっきり」「キャット」などの上になっているわけですが、「一見、もり上って見える、三つの床の変形の連関性が、下の圧力では、床下の構造から説明がつきにくい。床下は、図−五のように、地中梁で区画されて、各槽ができている。したがって、何故、第九、第八、第七、第三槽のみが変形したか、そして、もし下からの圧力でもり上るなら、槽の中央部が頂点となると考えられるのに、何故、第七、第三は地中梁にすぐ近い端でもり上ったか等々の疑問点が多い。」というまず第一の疑問がありまして、この第七、第三、みんな頂点は端の方です。このピットの真ん中ではありません。そのことをこれは言っているわけです。下からやればピットの真ん中が盛り上がるであろう。ところが、すみっこが盛り上がっているということが問題になっているわけです。  「それで、床上から一見して与えられた先入観を排して、床下構造から考察すると次のようなことがより現実的な想定となる。」と言っています。  ちょっと図を使わせていただきますけれども、これにはこういうことが書かれているわけです。「第八槽の上方から加えられた圧力で、第八槽の中央が凹み、床全面は一枚のコンクリートスラブのため、第七槽との区画の地中梁が支点となって、第七槽の第八槽に近い端をもり上げ、」た。つまり、これは上から爆風がかかったためにここが下がっているのですね。下がっていますが、これは全部一枚のコンクリートスラブだものですから、ここが支点になってこっち側が上がっているということなのです。確かにここは上がっていました。これは「ちゃっきり鮨」の外のシャッターのところですけれども、ここが上がっているわけですね。ここからの爆発によってこっちが上がっている。シャッターは閉まっていましたから、こちら側は余り影響を受けていないわけです。こうなっている。同じくここもそうである。上からの爆風を受けて、ここが支点になって上がっている、ここが上がっている、それからここが上がっている、こういうことなのだということです。  それで、残念ながら現場の保存が悪くて、大切な床面で最も中心になる「ちゃっきり鮨」の第八槽の上の大きい部分が、床がはがされております。これはどうも検証のときにおはがしになったようですが、そのためにそこの部分はわからないのですけれども、こういう状態になっているということです。  そして、こういうことで、床の盛り上がりは下からの圧力だとだけ考えないのでもよいのではないか。上から当たったためにこういうものを支点にして、ピットのはりを支点にして床が上がるということ、こういうことがあると考えられるという推定ですけれども、このようにこれは細かく考察しているわけです。  次にまた機会をいただいて私は質問をさせていただきたいのですけれども、実際「ちゃっきり鮨」や「菊正」の上に当たります歩道の下のガス管が大分腐っていて、ガス漏れがあったということも後から新聞報道されておりますし、それについていろいろ実験もなさっているようですけれども、そういうことから考えて、また被害状態から見ても、地下の上の屋根が大きく破壊されている。床下のメタンなどの爆発だったら厚さ十センチ以上の床のコンクリートを突き上げて、しかも天井まで落とす力があるのだろうかということはだれしも疑問に思いますし、床下からの第一爆発だったらば「菊正」の店員は恐らく無事ではなかっただろうと思いますが、ちょっと毛を焦がしたぐらいで済んでいるわけですね。こういう状況とかいろいろあって、床下説だけに目を向けないで、もう少し床上からの爆発があったということも考えて、検証をしていただく必要があるのではないかというふうに私は思うわけです。  初めに政務次官に伺いますが、いまのこの推論をお聞きになってどう思いましたでしょうか。こういう場合もあるのではないかとお考えになりませんか。
  195. 大塚雄司

    ○大塚(雄)政府委員 先ほど来警察庁から御答弁があるように、目下慎重に捜査中のことでもございますので、私からの発言は差し控えさせていただきたいと思います。
  196. 栗田翠

    栗田委員 政務次官、それでは、これは災害という立場に立って調査された詳細な報告ですので、ぜひ国土庁としてもお取り寄せになって御研究いただきたいと思いますが、いかがですか。
  197. 大塚雄司

    ○大塚(雄)政府委員 ぜひ読ませていただきまして、検討させていただきたいと思います。
  198. 栗田翠

    栗田委員 警察庁に最後に伺いますが、広い目でさまざまな可能性に立って、床下だけに固執せずに、床上からの爆発ということもある、天井裏の爆発ということもあるという立場に立って検討していただきたいと思いますけれども、その辺についてどうお考えになりますか。
  199. 加藤晶

    ○加藤説明員 捜査をやります場合に予断、偏見を抱いてやる、これは最も慎むべきことでございます。したがいまして、いまいろいろ論点をお出しになられたわけでございますけれども、私ども、まず、真実は何かということを検証あるいは鑑定、検査等によって確かめておるところでございます。そういう場合に、いろいろな可能性というふうなものを、確かに、いまおっしゃられましたようなそういうこともあり得るのかどうかというふうなことに対しましても、広く目を開いた上でいろいろ検討しておるというのは、これはそのとおりでございます。
  200. 栗田翠

    栗田委員 それでは終わります。大変時間を超過いたしまして申しわけありませんでした。ありがとうございました。
  201. 木島喜兵衞

    木島委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会      ————◇—————