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堀委員 いま
政治の問題でいろいろな問題がございます。
一つは
財政再建でございましょう。その中の重要な問題は、いわゆる三Kと言われている国鉄、健保、食管の問題でございます。さらに
政治資金規正法を含めて
政治倫理の問題がありますが、これはいろいろなことが対応されておりますけれ
ども、実はいずれも
一つのシステムになっておるものです。健康保険法もそう、国鉄もそう、食管法もそうであります。このシステムを動かさないで部分的にどこかをさわってこれを
改正しようとしても、これはだめなところに来ている、私はこういう判断なのでございます。
政治資金の問題を含め、
選挙法の問題を含めてシステムを変える、仕組みを変えることから、新しい物の発想がそれに参加するすべての者に生まれてくるのであって、
政治資金規正法の一部を変え
選挙法の一部を変えても、このシステムが変わらない限り、さっき
総理がおっしゃったように
個人本位の
選挙が行われておる限り
政治倫理の確立はできない、こう私は確信をしているのであります。
私が十年と申し上げたのは、五年や六年というのでは
皆さんなかなか大変だろうから、まあ十年ぐらい先に
実施するということならみんなでこの際やろうじゃないかといってやれるのではないかということで、期間が短ければ短いほど、それは
政治倫理が確立することでありますから大変結構なのであります。
しかし、
総理はこれから二年間おやりになるとして、
日本の国家百年の大計を
考えるならば、このことをやらなければ、せっかくあなたが和の
政治、話し合いの
政治、公正を追求する
政治という大変りっぱな
政治に対するお
考えを述べておられるのに、うつろな内容になるのではないだろうか。ですから、いま私
ども政治家に求められているのは勇気だと思うのであります。所信表明の中でも
総理はそのことに触れられているわけでございまして、「私は、このような立場に立って、未来を展望し、政策運営に誤りなきを期して次の世代に引き継ぐという責務を、誠実に果たしてまいりたいと思います。」とおっしゃっているわけです。私もこの十二月が参りますと六十四歳になります。二十年余り
国会で仕事をさせていただきましたけれ
ども、それでは私
たちがこの歴史の検証にこたえるものを本当に次の世代に引き継げるかと言えば、私はこの二十年間、歴史の検証にたえるだけのことをやってきたように思えません。私自身もそうですが、
日本の
国会も歴史の検証にたえることをやってきていないと思うのであります。この歴史の検証にたえるだけの
政治をやるかやらないかが、当代の
政治家に求められておる最大の責務ではないか、こう私は
考えているのでございます。
ですから、そのためには勇気が要ります。いまの国鉄、健保あるいは食管の問題についても、国鉄だけを
一つ申し上げると、あれは競争の関係になっているわけです。ところが
自由民主党は、いま五つの線をつくるのだと言っていますが、いま東北、上越の新幹線の土地をあの赤字の国鉄に全部買わせてやらしているのでありますから、これはもう大変な問題なのでございます。そういう全体のシステムを見て物を
考えないで、ただ出ている赤字だけを問題にしておったのではどうにもなりません。健康保険の問題もまたしかりであります。抜本
改正の問題が常々言われております、
財政調整の問題も言われておりますけれ
ども、
政府は何ら手をつけようとしないで、ごく部分的なところだけをさわろうとしているのであります。食管しかりであります。それはある程度既得権があるわけでありましょうし、いろいろな問題がありますけれ
ども、勇気を持ってそこヘメスを入れることなくして、今日の
日本の
財政再建も不可能であるし、あるいは
政治倫理の確立も不可能だと思うのであります。
どうかひとつ
総理は、この際、私が申し上げたような
政治のシステムを変えるだけの勇気を持って、あなたが
総理であったことが、やがて五十年、百年先でも、このときに出た
総理が勇気を持ってやった結果、今日の
日本の
政治はこうなったというようにしていただきたい。
経済は大変うまくいっているが
政治はだめだと言われておる
日本の
政治を、あなたが所信表明でおっしゃったように、ここで
国民のため、次代によきものを引き継ぐことができるようにするためには、まず一番の根本は
選挙制度だ。ですから
参議院の
選挙制度も大事でありますが、さらに重要なのは
衆議院の
選挙制度であります。これを
政党本位の
選挙にすることなくして、
日本の
政治倫理の確立などは、言うはやすくして実際には行えないことだ、こう思うのでありますが、ひとつ
総理の御決意を伺いたいと思うのであります。