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1980-10-23 第93回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十三日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 田中 昭二君    理事 浜野  剛君 理事 林  大幹君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 沢田  広君 理事 永井 孝信君    理事 草川 昭三君       阿部 文男君    大野  明君       鹿野 道彦君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    登坂重次郎君       丹羽 兵助君    後藤  茂君       新盛 辰雄君    三浦  隆君       中路 雅弘君    伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 池田 速雄君         北海道開発庁総         務監理官    大西 昭一君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省船員局長 鈴木  登君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         建設省道路局長 渡辺 修自君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    大村 喬一君         文部省体育局審         議官      遠藤  丞君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         運輸省海運局次         長       柳  昭夫君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         建設省道路局道         路交通管理課長 三木 克彦君         自治省財政局調         整室長     井下登喜男君         消防庁危険物規         制課長     椎名  泰君         日本国有鉄道総         裁室法務課長  関場 大資君         日本国有鉄道職         員局長     川野 政史君         日本国有鉄道貨         物局長     橋元 雅司君         日本国有鉄道運         転局保安課長  近藤 良司君         日本国有鉄道施         設局長     伊能 忠敏君         日本国有鉄道施         設局管理課長  野澤 太三君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     森田 松仁君     ――――――――――――― 十月十三日  交通遺児対策等に関する請願(岩垂寿喜男君紹  介)(第六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  交通事故死絶滅に関する陳情書  (第七〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 田中昭二

    田中委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事森田松仁君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中昭二

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 田中昭二

    田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
  5. 安田貴六

    安田委員 まず私は、自動車関係陸上交通の問題について御質問いたしたいと思いますけれども、私の承知いたしていますところによると、本年の六月現在の車の保有台数は約三千八百万台、若干切れると思いますが、免許証を保持しておる者も大体三千八百万人、こういう状態であるようでございますが、こういう非常に膨大な自動車また免許者というような中で、私は、道路交通取り締まりあるいは安全性について警察当局を初め関係皆様方が非常に御努力をいただいておることについては、非常に感謝をいたしておるわけでありまして、政府関係省庁皆さん方に対しましてもその点については敬意を表しておるところでございます。しかし、毎年二百万台も車がふえていくという状況の中にあって、私は一層この交通安全のための取り締まりその他の態勢に対しては配慮を尽くさなければならぬのではないか、こういうふうな気持ちを強く持っておるわけでありますけれども、道路交通事故状況を見ますと非常に成績は上がっておると思っております。しかし最近、五十三年ごろから総体として年々若干ではありますけれども、増加傾向にある。その中で死亡者というものについて特に考えてみますると、だんだんと減ってはまいっておったのでありますけれども、最近また増加傾向にあって、本年十月二十日現在では六千九百一人という死亡者が出ておるようでありまするし、昨年同期との比較で見ますると二百五十六人ほどふえておるというふうになっておるわけでありますが、これらの増加傾向にある理由をどんなふうにごらんになっておられるのか、まず警察当局の御見解を承りたいと思います。
  6. 池田速雄

    池田政府委員 本年に入りましてからの死亡事故につきましては、御指摘いただきましたとおり増加傾向にあるわけでございます。昨日、十月二十二日現在の死者は六千九百四十八名になっておりまして、対前年比二百五十人の増、三・七%の増という現状になっております。  この増加につきましては、ことしに入りましてから実は対前年の同月比でまいりますと、二月と三月と七月には若干減少を見ましたものの、その他の月はずっと増加を続けておるという現状でございますし、また地域的に見ましても、現在プラスのところが二十九都府県ございまして、同数のところが二県、マイナスを記録しておりますところが十六の道県ということになっておりますので、地域的に見ましても、また増加傾向から見ましても、これは一時的な現象でなくて、先ほど御指摘のとおり、車がふえ免許人口もふえるという厳しい情勢を背景にいたしまして、このまま推移いたしますと増加をずっと続けていくのじゃなかろうかという厳しい受けとめ方をしておるわけでございます。したがいまして、これが対策につきましては、基本的には長期的な視野に立ちまして、従来進めてまいりました交通環境整備とか安全教育の問題とか交通秩序の維持とかいった方策をより強力に進めてまいる必要があると思いますけれども、同時に、こういった増加傾向に歯どめをかけて将来の減少傾向を定着させますには、現状事故実態を詳細に検討いたしまして、有効な施策を打っていく必要があろうかと思います。  そういう観点から最近の増加しております事故実態を見ますと、一口で申し上げますと、特に若い層を中心といたしました運転者が無謀な運転によって同乗者を含めて多数の死者を出すといったような事故がふえておるのが大変特徴的でございます。  少し詳細にわたりまして恐縮でございますが、状態別死者数で申し上げますと、九月末の統計では三・五%の増ということになっております。その内訳を見ますと、歩行者事故につきましては、全体で占める比率は三〇・三%でございますけれども、傾向といたしましては四・五%のマイナスということになっております。しかし、自転車乗用中の死者につきましては、占める比率は一一・七%でございますが、二・五%の増。原動機つき自転車運転同乗中の死者につきましては、全体で占める比率は一〇・〇%でございますが、五・五%の増。自動二輪車の運転同乗中の死者につきましては、全体で占める比率は九・七%でございますが、八・四%の増。自動車運転同乗中の死者は、全体で占める比率は三七・九%でございますが、九・六%の増。しかもその中で同乗中が一四・二%の増といったような特徴がございます。  また、年齢層で見ますと、死者は十六歳から十九歳までの間につきましては五・八%の増、二十歳から二十九歳までが一五・〇%の増、三十歳から三十九歳までの死者が一五・二%の増といったようなことになっております。  事故類型別で見ますと、人対車両につきましては三・七%ほど減っておるわけでございますけれども、その中では横断歩道横断中の事故が逆に四四・二%もふえておるといった実態がございます。(安田委員「余り詳しく言わないでいいです」と呼ぶ)わかりました。  そういったような特徴がございまして、一言で申し上げますと、最近場所的にはカーブ事故、それから交差点での出会い頭の事故、それから横断歩道横断中の事故といったものがふえておりますので、そういうところに重点を置きますと同時に、無謀運転につきましても、酒飲み運転あるいはスピード違反、無免許といったところがふえておりますので、こういった点に重点を置きまして、当面する事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。
  7. 安田貴六

    安田委員 局長答弁はきわめて詳細にわたっての御答弁で、この点に対しては感謝しますけれども、時間の関係もありますので、今後はひとつ簡潔に御答弁をいただいて、なおかつ私自身がそうした答弁の中から質問をしたいと思いますものはまた私自身がお聞きいたしますので、どうか簡略に御答弁いただきたいと思います。  それで、私はまず、警察当局が非常な努力をされていることはわかっておるのですけれども、大体交通関係警察官増員警察当局の要求したとおり認められておらないという点が一つあるのではないか。これは各省庁にわたるのですから、そういうことは詳細申し上げる時間がありませんから申し上げませんけれども、一番取り締まりの衝に当たっている人方、要するに警察官ですけれども、警察官増員の問題がなかなか警察当局の思うようにいってないんじゃないかという感じがいたすのですが、ここ二、三年の経過を簡潔に話してくれませんか。これだけ欲しかったのですが、こうしかならなかったというようなこと、それを答弁していただきたい。
  8. 池田速雄

    池田政府委員 交通警察官増員につきましては、ここ数年の経緯を見ましても、五十五年度は二面三十七名、狂十四年度は百四十五名、五十三年度は三百十八名といった増員が認められております。  来年度につきましても、現在警察官全体で三千四百人ほどお願いしてございますが、その中で特に交通関係といたしましては、最近暴走族関係取り締まりに大変な人手を要しておりますので、その関係、それから高速道路が延びてまいりますのに必要な交通警察官等を含めましてお願いしておる現状でございます。
  9. 安田貴六

    安田委員 なかなか要求どおりは、もちろんこういう財政事情のもとですから認められておらないと思うのでありますけれども、私は、交通現状を見ますと、交通関係警察官というものは極力増員をしてやることが必要だと思っているのですけれども、その場合に、きょうは自治省調整室長さんがいらっしゃっているようですが、大体大臣は一緒ですわね、警察関係とそれから自治省関係は大体同じ人がやっておるので、緊密な連絡でやっておると思いますけれども、財政当局としての自治省のこうした面に対します配慮、これはお願いしておかなければならぬのではないかと私は思っておるのですが、調整室長さん、それに対して、これから警察官の問題については特別に考えてやりたいという御意向があるならばそういう御答弁をいただきたいと思いますが、どうですか。
  10. 井下登喜男

    井下説明員 地方警察官増員につきましては、現在の地方財政、大変厳しい状況にある中でございますけれども、警察事象の量的あるいは質的な変化を勘案しながらこれまでも逐次所要の増員を図ってまいったところでございます。もちろん、交通関係についてもその重要性にかんがみまして十分配慮してまいったところでございます。  今後の問題でございますが、交通警察官増員必要性の有無につきまして、警察庁とも十分協議してまいる予定でございますが、何分にも地方行財政一般につきまして簡素、効率化あるいは地方財政健全化という問題が緊急の課題になっているわけでございますので、一般的に地方公務員増員につきましては慎重な配慮をしながら検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  11. 安田貴六

    安田委員 きょうは井下調整室長さんがおいでをいただいておるので、何か地方行政委員会がほかの方でもあるようで、局長さんやそのほかの方はおいでいただけなかったのですけれども、とにかく特に交通事故という問題は人命にかかわる問題ですから、これはもちろん運転者そのものの問題ではありますけれども、やはり警察体制の強化ということはどうしてもやらなければならぬと私は思っているので、自治省としても極力そうした面に配慮を加えていただくように要望しておきたいと思います。  次に、第二次交通安全基本計画、これが今年度終わるようでありますが、第三次の交通安全基本計画に対応してどういう準備が進められておるのか、まず総理府にお聞きいたしたいと思いますし、それから、それに関連いたしまして建設省警察庁がやっておる、いわゆる交通安全施設等整備事業五カ年計画ですが、こういうものもそれぞれ準備中だと思いますけれども、やはり私は、交通安全の基本はこうした基本計画なり、これに関係のある交通安全施設等整備の詳細なる長期計画中期計画と申しましょうか、中期計画というもののつくり方、魂の入り方が非常に大きく影響してくると思うので、そういう面に対して簡潔でいいですから御答弁をいただきたいと思います。
  12. 仲山順一

    仲山政府委員 第二次基本計画でございますが、これは御指摘のとおり本年度をもって終わるわけでございますが、これは歩行者自転車利用者が安心して通行できるという道路交通環境確立、それから民間交通安全活動推進等重点を置いて、各般にわたりまして交通安全対策を総合的かつ強力に推進してきたわけでございます。国の関係行政機関及び地方公共団体におきましては、この基本計画基本方針にのっとりまして、交通状況地域実態に即して交通安全に関する施策を具体的に定めまして、相互に有機的な関連を保ちつつ総合的、効果的な実施を図るとともに、国民の十分の理解と積極的な協力を得てその効果を高めるよう努めてきたわけでございます。これらの施策国民協力の成果といたしまして、昭和五十四年中における交通事故死者は、前年に比べまして三百十七人、三・六%減の八千四百六十六人、昭和四十五年以来九年間連続減少を達成することができたわけでございます。これによりまして、昭和四十五年の交通事故死者の半減を目指す第二次交通安全基本計画目標をほぼ達成するに至ったわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、また最近石油事情好転等で、いろいろと交通量がふえでおりまして若干問題になっておるわけでございます。  なお交通安全施設整備五カ年計画進捗状況は、昭和五十五年予算で見てまいりますと、公安委員会が九四・五%、道路管理者分が一〇二・一%、合計で一〇〇・五%というふうに順調に進捗しておる次第でございます。しかしながら、いま申し上げましたようにこのごろ石油事情が好転してまいりましたので、そういうふうなこと等でまた暴走族等がいろいろ出ておりますが、交通事故発生件数死者数増加する傾向が見られましてきわめて憂慮すべき状況でございまして、交通事故減少を図るため今後一属各般交通安全対策を強力に推進していく必要があると考えております。  それから、御指摘の第三次のことでございますが、第三次の基本計画準備状況、その基本方針でございますが、第三次交通安全基本計画策定準備状況、その策定につきましては、現在、学識経験者の御意見、第二次交通安全計画実施状況、最近における交通事故発生状況等を勘案いたしまして、関係省庁連絡をとりながらその準備を進めているところでございます。  第三次交通安全基本計画基本的方針でございますが、第三次の交通安全基本計画策定するに当たり、その基本的な考え方の主なものは、まず第一に、わが国は国民免許の本格的な車社会を迎えつつあり、人と車の共存にふさわしい交通環境整備する。それから第二に、交通安全は地域に密着した問題であるので、地域に根差した民間の自主的な交通安全活動を育成する。第三に、健全な車社会確立のために交通に係るすべてのものが自他の生命の尊重という理念に基づきまして、他人を思いやる心を持つように交通道徳の徹底を図るということ。  それから、以上のような考え方を踏まえまして、第三次交通安全基本計画におきましては、交通安全施設等整備充実はもとより、次の点に特に配慮したいと思っております。  まず第一に、道路交通事故発生地域格差の是正。それから第二に、歩道整備など歩行者等交通安全対策充実。第三に生涯にわたる交通安全教育充実、まあ生涯教育ということでございます。それから第四に、運転者対策充実。最後に被害者救済対策充実というようなことを柱にいたしまして鋭意努力させていただきたい、こう思っております。
  13. 安田貴六

    安田委員 いまの点については十二分に準備を整えて、いまの時代に対応して最も適切な基本計画なりあるいは整備計画ができ上がるように御努力をいただきたいと思います。  それから、次に国鉄の方にお伺いいたしたいと存じますけれども、五十五年の一月から九月までの列車関係運転事故が四十件あるそうですが、そのうち列車脱線が三十八件、そしてまたそのうち職員取り扱い誤りによる、たるみ事故という言葉を使っては国鉄当局に対しては失礼かもしれませんが、そういう言葉すら使われてもやむを得ないような事故がわりあい多い、そういうような状態になっておりまして、取り扱い誤りによるもの十四件、こういうふうになっておるようでございますけれども、それに加えまして、去る十七日には中央本線大久保−東中野駅間における乗務員の不注意による衝突事故が起きておるわけです。こういうような事例を見ますると、私は国鉄のいわゆる乗務員に対しまする教育訓練というものが依然として何かたるみ過ぎておるのではないか、徹底しておらぬのではないか、こういう感じがしてならないのでありますけれども。こういう面に対してどういうふうな対策を考え、またどういうふうなことをやっておるのか。私は一口に言うと国鉄は、マル生という大分前の話でありますけれども、あの当時の総裁のやってきたことに対しまする組合の反発によって一とんざを来した、そういうことで自来何か職員に対しまする厳正な教育訓練というものがいまはもう大分後退しておるのではないかという感じがしてならぬのであります。この点に対して国鉄職員局長さんから、これまた要領よく簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  14. 近藤良司

    近藤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の件でございますが、職員取り扱い誤り事故というものにつきまして発生状況を簡単に申し上げますと、五十四年度昨年度は百六十六件でございます。この中身は列車衝突とか列車脱線といういわゆる運転事故二十五件を含みまして、そのほかの運転阻害を合わせまして百六十六件というものでございます。その前の五十三年度に比べますと十九件減少いたしております。  それからただいま御指摘の一月から九月をながめましても、五十五年は職員取り扱い誤りによる列車脱線が残念ながら十四件発生いたしてございますが、それ以外のすべての取り扱い誤りを包含いたしまして五十四年と比較いたしますと、五十五年が九十七件で、これは前年の五十四年の同じ時期に比べまして四十件の減少という実態でございます。  それで、ただいま先生御指摘がございました教育指導訓練でございますが、まず一つは、職員として採用いたしました場合にどういう過程で乗務員として養成するかというのが一つ問題があろうかと存じます。この動力車乗務員に仕立て上げるまでといたしまして、まず国鉄職員として採用いたしますと同時に、基礎教育を行います。その後それぞれの職場に参りまして種々の仕事を経験するわけでございますが、それを約四年経験いたしました中から、適性検査かあるいは学科試験等行いまして選抜いたしまして、その後さらに半年間の専門教育を行いまして、続きまして、さらに約半年程度の訓練を経まして実地試験を行います。そして、これに合格した者を登用するという順序で乗務員養成をいたしております。  続きまして訓練関係でございますが、登用後になりますと、一カ月に毎月二時間という職場におきます訓練をいたしております。これは列車運転に必要なもろもろの事項あるいは異常時におきまして、どう対処するかという取り扱い等、そういった訓練を繰り返し実施するわけでございます。これを実施いたしております。また規程の内容とか、それからあるいは車両の構造とか、また信号とか線路等に改良なり変更なりが生じますと、その都度、必要な訓練を行ってきておるというのが実態でございます。  御指摘のとおり、一時かなり国鉄の中も荒れた時代がございまして、訓練がおろそかになったのではないかという御指摘がございますが、そういう時代も一時あったかと思われますけれども、事故防止につきましては労使とも懸命に努力いたしておるのが実態でございまして、今後とも必要な対策、特に職員教育訓練、これの充実等々、物的、心的両面にわたりまして事故防止対策に懸命に努めてまいりたいと思いますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  15. 安田貴六

    安田委員 職員局長答弁は、またこれからしてもらいますから、ただいまの案件については保安課長で結構です。  ただ、いま答弁説明がありましたけれども、私は、この種のものは前年度と比較して減っているからといって、何かこう成績が上がっているような意味合いでの答弁をされているようですが、そういうことであってはいかぬと思うのですね。だから件数が減ったとしても、そういう乗務員等取り扱い誤りによるいわゆる事故というものは一切なくするという、それをねらいとした皆さん方の方の教育訓練が行われなければならないのであって、結局は、私はなぜそういうことを国鉄皆さん方に申し上げるかというと、これは国鉄職員が全部乗務員としてやっているわけですね。自動車なんかの事故とはちょっと性質が違うと思うのですよ。自動車事故というものは、民間の人が、一般国民がそういう事故を起こしているのですから、これもいかぬのですけれども、これは専門家がやっておるのですから、専門家がやっておって、件数が減ったからまあいいじゃないかというような意味合いでの説明をする姿勢そのものが、私は国鉄姿勢としていかぬと思うのですよ。絶滅を期する、なくするという、それが目標でなければならないんで、減らすことが目標でないのですよ。そこのところの問題、心構えですよ。だから、局長にしても課長にしてもそのくらいの意気込みをもってやっていただきたいということを、私は特に申し添えておきたいと思います。  それから次に、国鉄職員ストの問題について一言質問をいたしたいと思いますけれども、私は国鉄当局もそれなりに努力を払っておると思っておりますから、余り悪口を言いたくはないのですけれども、国鉄ストについてだけはもう国民的な批判があると思うのですよ。これは労使関係の問題ですから、それは労使の間でやっておる問題ですからまた別な問題が一つあると思いますが、しかし公労法の十七条によって国鉄職員ストは禁止されておる。違法ストである。これが行われているということは、違法行為をあえて行って、そしてストを行うわけですから、私は反国民的な行為だと思うのですよ。そういうようなことを考えてみますと、これは運輸省もそうですけれども、最も身近な、第一番に責任を負わなければならない、国鉄の総裁を初めとするいわゆる首脳部の責任は一番大きいのではないかと私は思っておるのですが、こういうような状況に対して国鉄は一体どういうふうな考え方を持っておるのか。大体において私は労働組合——労働組合と言っても同盟系はちょっと違いますから、これは除くわけですけれども、それ以外の国鉄労働組合が違法ストをどんどんともう毎年のように計画的にやっているわけです。そういう状態に対して、これも私はやはり厳然として信賞必罰を行うべきだと思うのですけれども、このストというものは一体——これは時間の関係もありまして余り詳しく聞く時間がないようですから概略でいいのですけれども、五年間の回数と延べ日数と時間、参加人員等はどうなっておるか、トータルでいいですから、それをひとつ説明していただきたいと思います。
  16. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  国鉄職員ストライキにつきましては、もう御指摘のとおり公労法違反でございますので、私どもも最大限努力を払っておるところでございますが、お尋ねの過去五年間のスト実施状況につきまして簡単に御報告いたします。  昭和五十一年から数字を簡単に申し上げてみますと、回数で申しますと、五十一年が四回でございます。五十二年が六回、五十三年が五回、五十四年が四回、五十五年が三回、それから延べ時間で申しますと、五十一年が百四十八時間、五十二年が七十三時間、五十三年が百五十一時間、五十四年が四十八時間、五十五年が二十五時間、こういうことになっておりまして、さらに参加人員を申し上げますと、五十一年が約十四万四千人でございますが、ちょっと長くなりますので途中省略いたしまして五十五年、今年度は八万三千三百人というのがここ五年間の実態の概略でございます。
  17. 安田貴六

    安田委員 いまの説明された内容をひとつ文書にして後で出していただきたいと思いますから、委員長を通して結構ですが、よろしくお願いいたしたいと思います。  それで、大体こうした違法ストをやっておる職員に対する国鉄の懲戒処分あるいはまた損害の賠償なり、そういうものに対してはどういう扱いをしておるのか、短い時間での御答弁をいただきたいと思っておりますから、その点を御留意をいただいて、そして処分者というものは参加者に対してどのくらいの比率で処分されているのか、今年なりあるいは前年なりそういう二、三年の間の状況で結構ですから、参加者の中で何%の人が処分されているのか、それをひとつ答弁していただきたいのです。
  18. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  参加者は先ほど申し上げましたが、これに対しまして処分者数総計で申し上げますと……(安田委員比率だけでいいです」と呼ぶ)比率自体はちょっと数字は出しておりませんが、考え方を申し上げますと……(安田委員考え方はいいです。数字だけでいい」と呼ぶ)数字は、五十一年が十一万四千人処分いたしておりますので、先ほど十四万四千と申し上げましたから……。
  19. 安田貴六

    安田委員 要するに比率だけわかれば、いかに参加者に対する態度が緩慢であったかということがわかるのです。それを知りたいのだから、その考え方は要らないですよ。
  20. 川野政史

    ○川野説明員 参加人員十四万四千に対して処分者数は十一万四千でございますので、約九割近くになろうかと思います。それから、近いところで五十五年度は、これは御承知のとおり五十四年度と一緒に処分いたしましたので、参加者数が約二十万人でございますが、これに対しまして約十万人の処分で、これは五〇%ということになっております。  数字的には以上でございます。
  21. 田中昭二

    田中委員長 先ほどの文書の提出はいいですね。
  22. 川野政史

    ○川野説明員 よろしうございます。
  23. 安田貴六

    安田委員 いま説明を聞いたわけですけれども、やはりしてはならない違法ストをやっているのですから、全部処分されたらどうですか。軽重の差はあってもそういうふうにすべきだと私は思うのです。いまのは答弁要りません。  これから国鉄の再建法案の問題に入っていくわけですけれども、やるべきものをやって国民の信頼をかち取った上において、国鉄の再建を図るためにこういう今度提案になっておるところの法案の問題等によって国鉄再建の方途をどうするかという問題になっていかないと、これは国民から見ますると、国鉄に対する不信感というのは減少していかないわけですよ。そういう問題、やるべきものはやるという姿勢をちゃんと総裁以下国鉄当局がまず示さなければいけない。きょうは大臣もおいでになっていますから、大臣には後ほどお伺いすることにして、この問題については時間もありませんからお伺いしませんけれども、国鉄不信というのは、言いかえれば客離れですよ、国鉄を使うお客さんが減っているということですから。何ぼ金をつぎ込んだって何にもならぬような結果になってしまったのでは、これはいま法案審議に入っておられるわけですけれども、この問題だってそういう角度からながめると、大変疑問を持つ国民がたくさんあると私は思うのです。それはそれとしてそういうことで、信賞必罰ということを厳重にやって、そして国民に対して不法に違法ストをやっておる人たちに対しては厳然たる処置をとっているということを明確にするように、職員局長、ひとつやってくださいよ。
  24. 川野政史

    ○川野説明員 ただいま御指摘のとおりと思っておりますので、私どもそのつもりでやるつもりでおります。  一言、先ほど数字を申し上げましたが、私ちょっと間違えましたので訂正させていただきたいと思いますが、参加者につきましては、処分は全員やっております。ただいま申し上げました数字は延べと実際の数字でございまして、ちょっと数字が合いませんが、全員やっておりますので、訂正させていただきます。
  25. 安田貴六

    安田委員 いまのことは、先ほどお願いした書類とあわせて書類の形で回答していただきたいと思います。  それから次に、いまの鉄道の再建法案の問題に関連をして質問をいたしたいと思います。  私は自由民主党の議員ですし、自由民主党の総務もやっておりますから、この法案はやはり通さなければならぬ、そのことはよくわきまえておるんでありますけれども、しかし、この法案が成立した後における問題が大変だと思うのです。法案の審議そのものよりも、成立して、そして政令が決まって、いわゆる特定地方交通線なり地方交通線なりの運営の問題をどうするかあるいは廃止の問題をどうするか、バスにするのか、第三セクターにするのかという具体的な問題になった場合の方がより重大な要素を持っておるし、きわめて困難な問題だと私は思っておるのです。そういうこともございまして、特に私のふるさとである北海道は、この法案によるところの影響、被害というものはまことに甚大でございまして、時間があったら一時間でもしゃべりたいくらいな問題があるのです。しかし時間がないからそういうことは申し上げませんけれども、北海道は御承知のとおりの地域でございまして、五十三年から現在の北海道政のいわゆる基本政策である北海道の新総合開発計画というものを閣議決定に基づいて決定をしていただいて、これに基づいて各省庁協力のもとにいまやっている。要するにそういうようなことで、これは戦後第四回目の総合計画になるのです。そういう地域でございまして、これからの将来は、日本のいまの東京あたりのような状態は、極言すればもう人間の住むところじゃないというような感じすらもするのです。北海道のような新天地を求めて、これに必要な産業基盤あるいは生活基盤、あらゆるものを導入して、均衡ある日本国土全体の発展を図る、これが総合開発の意義ですから、そういうことをわれわれは夢見ながらこれの推進にいま当たっておるわけですし、政府自体もそういう状態になっておるわけです。  したがって、いろいろ申し上げたいけれども、時間がありませんからくどい話は申し上げませんが、そういうようなことを考えますと、何といっても私は、国鉄再建法案をつくって国鉄を再建させなければならぬことに至った経緯、それがまず反省の前提にならなければならぬと思うのです。その反省なくしてこれができたってだめだと思うのですよ。これは国鉄もそうですし、労働組合もそうですし、政府側と言えば運輸省もそういうことになるのですけれども、まず国鉄職員関係全部含めての問題ですから、国鉄の反省というものが何よりも基本的に明確になっていなければならない。どうしてこういう赤字になってしまったかということをどういうふうにお考えになっているのか、具体的に一々言わぬでもいいですから骨子になるような、骨組みになるような問題を二、三国鉄の当局としてまず御見解を示していただきたい。
  26. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄昭和三十九年から赤字が出まして、五十年前後から九千億ぐらいの赤字が連続して、五十一年にたな上げを二兆五千億ばかりしたのでございますけれども、また現在までに赤字が累積しておるわけでございまして、この原因として、鉄道全体がモータリゼーションというような交通革命といいますかそういう世の中の変動についていけなかったこと、あるいはオイルショック後の情勢に対応できなかったこと、あるいは先生先ほどいろいろ御指摘のような労使問題等いろいろあったかと思うのでございますけれども、全体的に見れば、国鉄の経営の方針、近代化とかそういうもののおくれがここに来ているということだろうと思います。
  27. 安田貴六

    安田委員 いまの答弁はきわめて私は不満ですね。反省を前提とした答弁にはならぬのですよ。いま前段で質問したように、違法ストをやっておるのに対して何にも言及されておらないじゃないですか。違法ストのようなことばかりやってきたからこうなったのではないですか。私はそういうことがまず強調すべき第一点だと思いますよ。それを黙認したわけではないけれども、今日まで手ぬるいことばかり国鉄当局がやってきて、結局再建法案と言っても、これは国民に対するしわ寄せですからね。われわれは国民の立場に立った見解、議論というものを展開しなければならぬはずなので、これは国会の自由民主党という立場あるいはまた政府という立場よりも、基本的な国民の立場に立って見た場合に、国鉄当局がいまのようにただ赤字になったからといって、赤字になった原因は何かも明確でないし、それよりも基本的に違法ストをやってきたことが私は最大の原因であると考えるので、そういうものをもう少し国鉄当局はこういう説明の機会の中で明らかにして、やはり国民に対して素直におわびすべきところはおわびした方がいいのじゃないですか。私はそういうことを強く求めたいと思います。  それで、時間の関係もありますから簡略に申し上げますけれども、北海道はそういう開発途上の地域でありながら、三十六線に対して地方交通線として存置すると言われておるのが五線、それから幹線として残すのが五線、それから特定地方交通線として廃止しなければならぬのが二十六線、こういう形になっておるのですね。なぜこういう数字を言ったかというと、あなた方から何もまだ政令案も何も出ておりませんから。政令の基準はいただいておるけれども。しかし、巷間伝わるところによるとそういうふうになるとわれわれは了承しておるわけなので、それで申し上げておるのですけれども、こういうふうに北海道の場合は大体全線路の四九・九%、五〇%がなくなるわけですよ。特定地方交通線だけについて申し上げますと五〇%がなくなる。北海道以外のところでは一〇・八%ですから約一〇%ですね、これが撤去の対象になる。こういうような事情になっておるので、したがって、北海道の道民から見れば——実はぎのりも北海道知事を先頭に市町村長、それから市町村の議会議員、それから経済団体の代表、こういう人が百二十人くらい来まして、ここにいらっしゃる阿部先生は北海道代議士会の会長代行できのうは主宰してやられたわけでございますけれども、これは全く私が冒頭に申し上げたことと違って再建法に反対なのですわ。私は自民党に席があるがゆえに反対とは言えないから言わないけれども、そういう非常に騒然とした状態なのですよ。その点を十二分に御認識をいただいて、そしてこれに対応する政令の制定、政令のつくり方、北海道だってより好んでこんな状態になっているわけではない。だからそういう点を考えて、いまのような内地府県との不均衡きわまりないような廃止される特定地方交通線というものは、北海道にだけこんなに五〇%もしわ寄せしないような政令を、私はどうしても検討してつくってもらわなければならぬのではないか、こう思っておるのです。これは私の強い希望ですから、国鉄にも運輸省にもいろいろ御都合があるでしょうが、この点を特にお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、時間もありませんが、一、二だけ質問します。  北海道開発庁おいでになっておるようですから簡潔に答弁していただきたいのですが、北海道開発庁は、一体国鉄の再建法案の成立を見て、いま巷間言われておるような鉄道路線が取り去られてしまう、撤去されてしまうという場合に、北海道開発に対する影響をどう見ているか、このことをひとつ総務監理官答弁いただきたい。
  28. 大西昭一

    ○大西政府委員 先生ただいま御指摘のように、巷間伝えられる基準でまいりますと、北海道四千キロの国鉄営業線のうち、ちょうど約半分に当たります二千キロが特定地方交通線に該当するわけであります。しかし、これはまだ巷間伝えられておる点でございまして、今後政令を決める段階で十分運輸省当局とも御相談をしながら、北海道開発は二十一世紀に向けての国家的課題であるというふうに考えておりますので、北海道開発に支障が生じないように十分協議の上政令をつくるように努力をいたしたいというふうに考えております。  それから、まず第一番には、法案が成立しますと政令になるわけでありますが、政令ができた以後につきましても、運輸省ないしは国鉄と具体的に開発の推進に支障が生じないようなことをいろいろ御相談申し上げていくという覚悟でございます。
  29. 安田貴六

    安田委員 開発庁は内閣の中に北海道のためにできている開発庁ですから、したがって私は、こうした現状を踏まえて、再建法に関連する政令の策定に当たっては、政府の中における北海道の理解者として、北海道開発を支障なからしめるために、障害なからしめるためにひとつ大いにがんばっていただきたいということを要請しておきます。  それから、時間がないということですが、もう二点ほどお伺いしたいのです。  一つは、自治省ですけれども、これの実施に伴いまして、恐らく過大なる負担が都道府県、市町村という地方公共団体にかぶさってくると思うのですよ。自治省としてはこれを一体どういうふうに見ているのか、所要財政需要というものはどういうふうに見ているのか、それに対応する財源対策はいかにあるべきかということを考えているのか、その二点を簡潔に御答弁いただきたい。  それから、大臣にせっかくおいでをいただいておるので、私から最後の要請になりますけれども、いま申し上げておるような事情でございます。前の大臣は北海道選出の地崎先生でありましたが、今度は地域開発の問題については最も御熱心な現大臣ですから、深い御理解をいただいておると私は考えております。日本全体を広く見まして、北海道だけが他の地域よりも全く過酷なほどひどい打撃を受ける。これは精神的打撃であり物質的打撃であり、あらゆる問題が全部今度は出てくるので、生活面に対するマイナスあるいは産業開発上に対するマイナス、あらゆるものが全部これによって重大な影響を受けるわけですから、これに対してはひとつ深い御理解を賜るように、最後で結構ございますけれども、大臣から一言御理解のある温かい御見解をお示しいただきたいということをお願いいたしたいと思います。  それでは自治省の方からどうぞ。
  30. 井下登喜男

    井下説明員 特定地方線につきまして、それが廃止後の地方財政負担についてのお尋ねでございます。  特定地方線を廃止いたしました場合に、考え方といたしましては、第三セクターによりましてそのまま鉄道で運営する方式とバス転換する方式と、こうあるわけでございます。  まず第三セクターによる方式でございますが、これについてはいずれの路線もその採算の見通しというのはきわめて不明確でございまして、赤字を生じた場合には地方団体にその負担が転嫁される可能性は非常に大きいのではないかというふうに考えているわけでございます。一般的に申しましてその赤字についてどうするかということでございますが、一般的には特定地域において経常的に発生するような赤字に、たとえば地方交付税等でその補てんができるかと申しますと、半恒久的にそれの補てんをしていくということは、これは現在の地方財政の仕組みからいってできないと言わざるを得ないわけでございます。したがって、第三セクターが恒久的に赤字を生じるというような場合には、これについての財源措置ということはちょっといたしかねる、こういうふうに考えているわけでございます。  それからバス転換の場合でございますが、地方交通線につきましても、まず基本的な考え方としまして、全国的な交通のネットワークを形成しているということから考えまして、バス転換についても基本的には国鉄の責任においてバス転換をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。バス転換をいたしました場合の赤字でございますが、国鉄以外のものがバスの経営主体となった場合、これは国において十分な財政措置がとられるものと私どもは期待しているわけでございますが、なお現行の地方バス路線維持費補助制度というのがございます。それに該当する場合にはこれも一部地方公共団体が負担をしております。その負担につきましては、従来からのルールに従いまして財政措置を講じてまいる予定でございます。
  31. 安田貴六

    安田委員 大臣の前にもう一回自治省にお聞きしたい。いま説明のあったことはそれでいいのですけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、これだけの国鉄再建法案というものが成立をして、実際の内容、実態は、これができた後の始末が問題なのです。そのときには必ず財政需要というものが都道府県市町村にかぶさってくるに決まっているのです。一応理論的には、自治省としては地方公共団体に負担を及ぼさせては困る、そういう姿勢はそれでいいと思うのですけれども、しかしそれでは済まなくなると思うのです。だからこういう場合には、これに伴う財政需要は一体どれだけかかるかあるいは財源対策をどうするかという問題は、自治省として内部的には十二分に検討して、それぞれの関係省庁と連携をとりながら——好ましくないものでも地方公共団体が出さなければならなくなるはずだと思うのですが、それを理屈上からいって負担させるべきではないという見解だけではやがて押し通していけなくなるわけです。そういうことが間近に来ているわけだ。それに対応する腹構えというものをつくって、大蔵に要求すべきものは要求する。いま五十六年度の問題として要求せいというのではなくて、やがてその時期が来ますから、そしてそれに伴います後始末ということになりますけれども、自治省における財政需要の測定とこれに対応する財源対策、これらについては抜かりなくやっておいていただかないと、最後に一番困るのは地方公共団体だと思います。その点ひとつ大臣にお願いしておきたいと思います。
  32. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まず最初に先生がお尋ねになっておりましたことでございますが、この法案をなぜ提出しなければならないような状態になったのか。これにつきましてはもう経緯は御承知いただいておると思うのです。  ところで、この法案を出すに伴いまして、国鉄の管理者といいあるいはまた従事する人といい、すべての者がこの際この法案を一つの転機にいたしまして意識の転換を図らなければ、とうていこの法案だけではそう簡単にできるものではないと思っております。しかしながら、当面この破局的な状況にある国鉄にどうして再建への希望を与え、またその道を開いていくかということの一つとしてこの法案は提出されております。したがって、この法案の中身をごらんいただきましたらおわかりのように、さしずめ経営改善のための計画書を作成しなさい、この計画書作成につきましては、運輸省といたしましても監督指導し、国鉄と一体となって再建の道を講じていかなければならぬ、ただ単に計画を作成すればいいという問題ではなくして、これには厳しい実施義務をかけていかなければならぬことは当然でございますが、これをとりあえず経営基盤の確立の基礎をつくる計画といたしたい、これが一つでございます。  そして二番目には、国鉄の債務に対する国の責任と申しましょうか、これをどの程度まで国が助成をし、国鉄再建への荷物を肩がわりしていくかということが出ております。  そうして三番目には、国鉄自身の経営の努力では及ばないところ、この責任について国鉄から責任を外してやる、これが地方交通線なり特定地方交通線という形で出てきておるのであります。現在、国鉄の再建のためにはいろいろな要素がございますが、その中の一つといたしまして、国鉄がいかに経営の努力をしても採算がとり得ないもの、いままでは公共事業であるがために維持し、また建設もしてまいりましたけれども、今日のこういう財政状況になれば、ある程度財政を立て直すためには、努力ではでき得ない地区につきましては、いわば国と地方とが一体となって責任を分担してもらいたいというのが、この地方交通線、特定交通線の考えであります。  でございますから、この地方線の特定地交線につきましての基準というものは当然各省庁間に非常に密接な関係がございますから、その協議が相調うた上でないと政令が決められないのは当然でございます。したがって、いま運輸委員会において審議をいただいておりますのは、いわば政令の骨子となるもの、基準の考え方を提示しておるのでございまして、各省庁間におきましてこの考え方はほぼ同意を取りつけてはおりますけれども、残念ながら具体的な個所づけとかいうような問題はまだなかなかできにくい状況になっております。  そこでこの法案成立と同時に、官房長官を中心といたしまして各省庁の間でこの政令をまとめるための協議をいたしたいと思っておりまして、その協議を調えた上において政令が公布される。しかしながら、その協議をするにつきましても、いま運輸省から委員会に提示しております骨子、基準というもののこの基準は、根幹はやはり維持していかなければならぬものでございますので、その点はひとつ御理解していただきたいと思うのであります。  そこで、いままではいわばその地域交通というものは運輸省並びに国鉄の責任でやってまいりました。しかしながら、特定地方交通線等につきましての交通は、道路の発達だとか空港の発達と相まちまして、いまや総合的に交通政策を考えていかなければならぬ。その交通維持をただ単に国鉄の責任だけでやれという時代ではなくなってまいりました。現に北海道におきましても、鉄道の利用度が年々下がってきておることは事実でございます。売り上げは横ばいであり、利用者は減っていくというのは事実でございます。それはやはり道路の発達があった。でございますから、この際何も地方の責任だということではなくして、国もそれから地方も一体となって、そういう地域交通をどうしようかということを相談していただかなければならぬ時期になっておる。ところが、地方自治体といたしましても、いままでの経過等もあり、そしてまた財源の手当てもなくして、一挙に地域交通は自治体の責任でございますとは言い切れない。でございますから、これは当然再建法案成立と同時に地域交通整備を考えていく、その段階において、そういう地方自治体に対する交通の責任というものと同時に、また権限なり財源なりというものを当然相並行して考えていかなければ、いわば円満な地域交通政策というものはとれていけない、こう思うのでございます。  そういたしますと、これは政府が一体となって取り組むべき重要な課題でございます。それは私たちも認識いたしておりますが、その下地をつくっていくためにも、この国鉄再建法案をできるだけ早く成立させていただいて、それを下敷きにいたしましてこれからの発展を、あるいはそういう制度の整備を行っていきたいと思っておりますので、ひとつ御理解はいただきたいと思うものであります。
  33. 安田貴六

    安田委員 運輸大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは質問を終ります。
  34. 田中昭二

    田中委員長 次に、沢田広君
  35. 沢田広

    ○沢田委員 くしくも自民党の安田委員の御質問は一部その真実を訴えているような気がいたします。いまわれわれ野党は、国鉄再建法案に対して連合審査をやるべきだという主張を実はやっているわけであります。ところが、自民党はがんとしてこれに応じない。個人的には理解ができるけれどもということを言いながら、連合審査を拒否しているわけでありますが、これは運輸大臣もおられますけれども、いま言ったような地方行政との関係建設省との関係あるいは借金の肩がわりというような形における大蔵省との関係、通学の子供たちを抱えている文部省との関係、こういうものを考えると、連合審査は当然必要になってくると理解ができる。また、しなければいわゆる整合性を欠く、こういうふうに思います。これは国会内部の問題ですから運輸大臣答弁を求めることは若干筋違いという面もありますけれども、運輸大臣としてはやはり国会にそういう場をつくってそれぞれの立場からの意見を吸収して法案の成立を図ることが当然だとお考えになられるのかどうか、まずその点についてお答えをいただきたい。  それからもう一つ、安田委員の発言の中で、違法ストというふうな形で、この赤字は一〇〇%とは言ってないと思いますが、それが原因であるというふうに言われておりますが、その点も若干、これは事実認識の上において相違しているような気がいたします。それもあえてお答えいただきたいのですが、一つは政令二百一号が出て公共企業体となった。その場合は第三者機関によって仲裁裁定を行う。それによって従業員である公務員においては人事院勧告に従ってそれぞれ生活の安定を図り、業務の能率を上げていく、円満な運営を図る、これが一つの法のたてまえ。ところがわれわれもその関係者でありましたが、仲裁裁定の実現を図らない。これは法律違反はどちらがしているのかということになると、言うならばこれは政府の方が法律違反をしている、こういうことにもなるし、また同時に不信感を増大させることにもつながるわけであります。  さらにもう一つは、昔の国鉄は木材を運び石炭を運んで貨物の収入を図った。今日、木材の輸送もない、石炭の輸送もなくなってきた、こういう原因も一つはあるわけですね。  さらにまた、政治路線として、いままでの自民党の政府なり官僚がみずからの選挙基盤の利益を誘導するために、赤字を覚悟の上で政治路線というものを敷いてきた実績も否定することができないだろうと思うのであります。  同時にまた、割引その他におけるあるいは用地の買収等の構造的な欠損、これも否定することのできない理由の一つだと思うのです。  そういうような意味で、違法ストが最大の責任であるがごときことを言われることは心外な点でありますし、この点は運輸大臣からそのことによって赤字だ——〇・一%ぐらいあるかどうかわかりませんけれども、そのことが今日の国鉄状況をつくり出した原因ではない、こういうふうに私は解釈をするわけでありますが、その点の見解を承っておきたいと思います。
  36. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まずお尋ねの第一点、連合審査についての考えでございますが、これは国会内の話でございまして、両委員会あるいは数委員会でございますか、これは円満に話し合って話を決めていただくのが一番望ましいと思っております。一つの法案の審査に当たりまして連合審査をとる必要のときもございますし、またその案件によりましては、当該委員会の委員の方々がそれぞれ関係の委員方に振りかえといいましょうか、そういうこともございまして、私は国会議員の一人としてそういうことを経験したことがございますので、申し上げておるようなことでございますが、これはあくまでも国会で決めていただければ結構かと思うております。  それから二番目にお尋ねの違法ストの問題でございますが、これと仲裁との関係、これは確かに重要な、また微妙に絡んでおる問題であるということは承知いたしております。仲裁は義務づけられております。これは当然われわれもそう思うておりますし、また過去において政府はほぼ仲裁を実施してきております。ただ仲裁裁定が下ると同時に実施できなかった。それは過去の経過は私も知っております。しかし実施を義務づけておると同時に、また財政上における政府の対応もとり得る余地が残されておる。そこらは要するに国鉄の財政状況というものが主体的に実施の時期を決めてきたと思うのであります。しかも国鉄が完全実施しようといたしますときには必ず借入金に依存しなければならぬという状況があった。それで実施の時期はずれてきておりましたけれども、実施はほぼ予定どおり政府は守ってきておると思う。ところがその実施の時期を早くするかどうするかその時期をめぐりましてストが行われた。これは事実でございましてそのストは現在の法のたてまえからいいましたら違法ストと私も言わざるを得ないのであります。  したがってこれは労使間におきますところの信頼が大事な問題だと私は思うのです。その他の要因があって違法ストをやるということ、これは問題外でございますが、労使の信頼が築かれていくならば、こういうものは漸次解消されていくものだと思っておる。そのための努力も今後しなければならぬ問題だと思うのです。また一方、これがために国鉄が巨額な赤字を出した。私は確かにそれも一つの原因であったと思う。けれども違法スト全部で今日国鉄がこのような破局状態になったとは言えないけれども、一つの大きな原因であったこともまた事実であろう。  それはたとえば、私は荷主の会合なんかに出ましても言われることは、もう荷物が確実に届くということがやはり荷主としての一番の要件であるということを言われておりますが、そういうこと等を見ましたら、これからの再建に取り組むときに当たりまして、労使一体となって意識を再建のために結集してもらうということが大事なことだと思うのでございまして、私たちが過去のことをいろいろと取り上げて、それがために逆に再建の方向が間違ってはいかぬという気持ちを持っておりまして、この再建法案を一つの転機にいたしまして、意識をすっかり転換し、強力な再建を図っていきたいと念願しておるものであります。
  37. 沢田広

    ○沢田委員 答弁は構造的欠損については触れられてなかったようでありますが、構造的欠損の問題はまた別の機会にやりますからこれは御答弁いただかなくとも結構です。  ただ、いま安田委員の御発言の中で、政令の基準はこれから各省庁と協議をして決めるというふうな言い方をされておりました。この基準は骨なんだから動かさない。たとえば北海道に例をとれば、積雪十日間、豪雪十日間ということがあればその路線は残すのだという一つの骨がございます。いままでの一日最大一時間で千人を超える場合は残す、こういうことも言われておるようです。それはいつの時点でいつまでの経過年数をたどるのか、あるいは将来の田園構想なんかを考えておる政府は、何年の新経済七カ年計画でいけば七カ年後における人口の分布状況、あるいは今後の気象条件はどういう意味に想定して十日間というものを判定していくつもりなのか、きわめてあいまいもこなんであります。  そういうものをわれわれが法律でつくって、どうとでも煮ても焼いても、どう手を切ろうと足を切ろうと勝手です、こういうことは通る話ではないんじゃないかという気がいたすのでありますが、この政令の間の不明朗さ不透明さ、その点については交通対策委員会においても明らかにしてもらえる用意があるのかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。
  38. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 政令の案となる骨格でございますが、先ほど申しましたようにそれは作成いたしております。これは客観的に見ましても国鉄努力の限界を超えた路線でございます。ただしその中で、政令の骨子のところで三つの条件を決めておりまして、それは積雪十日以上の地域あるいはラッシュアワーに千人とかいうことを決めておりますが、これは公共事業という公共性を維持していくためにはそういう線は国鉄の責任で継続していかざるを得ないという基準を決めておるのであります。  また、これは経済社会七カ年計画とあわせて見直しをするのか、こういう意味だと私は受けとめておりますが、法が成立し政令が公布されましてから以降におきまして著しい変化が直ちに出てくるというようなことは当分考えられないのではないかと思っております。しかし、いずれの時期におきましてか地域社会の発展というものが非常に変わってまいるようなときがございましょうから、そういうときは見直しの必要もあると思いますが、そういうことはそれではいつごろであるとか、あるいは七カ年計画との関連において見直すのかということは、いまのところは全然考えておりません。
  39. 沢田広

    ○沢田委員 これは予定外の質問になったわけであります。安田委員質問がそういうことに触れられたのでしたわけで、これはまた別な機会にやることにいたしますが、結果的にはあいまいもこであるし内容が明確にされない。いまの質問と回答を聞いても、どの線がどうなるのだろうかということをはっきり国民が納得できる条件は生まれてないと判断をいたします。しかしこれだけでやるとほかの質問事項が全部消えてしまいますので、残念ながらこれははこの辺にとどめますけれども、運輸大臣国民に対する責任と、またその沿線で商売をやり通学をし、あるいはそれを利用している多くの国民の立場——財政再建、確かに必要です。しかし、国民を無視した財政再建はあり得えない、また国民の意向を無視した財政再建もあり得ないと判断をしますので、その点は十分に大所高所に立って判断されることを切に要望する次第であります。  では本論に入ります。  運輸大臣も忙しいと思いますから運輸大臣関係——午後もおられるようでありますから、順不同になりますけれども質問をしてまいりたいと思います。  建設省関係交通安全の問題と関連をいたしまして、昭和五十六年度の交通安全施策のあり方、重点的な考え方は那辺にあるのか。この点、当初建設大臣が出るという予定であったのでそういう設定をしたのでありますが、建設省から来年度の交通安全対策施策について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  40. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  第二次の特定交通安全施設整備事業が今年度をもちまして終わるわけでございまして、明年度以降につきましては第三次交通安全施設整備五カ年計画をただいま大蔵の方に要求をしておる段階でございます。先生御承知のとおり、わが国の場合の事故でございますが、死者の中で歩行者と自転車の占める割合が非常に多いという特色がございます。イギリスにおきましては歩行者が多い、オランダでは自転車が多いというようなことも若干あるようでございますが、いずれにしましても歩行者、自転車対策を重要であるというふうに考えておりますので、第三次特定交通安全施設整備五カ年計画におきましては、まず第一に、歩道あるいは歩行者自転車道と申しておりますが両方通すようなもの、これを最重点実施をいたしたいと考えております。私どもの計算では、将来この歩道つき道路を大体二十三万キロぐらい欲しいわけでございますが、中でも緊急に整備を要する区間が約十万キロございます。これをこの五カ年計画の中で歩道つきにいたしたいというふうに考えております。  なお、この歩道整備の一環といたしまして、都市内におきましては通過交通を抑制しても構わないという道もございますが、そういうところは歩行者優先道路といったような施策実施いたしたいと考えております。  第二には、やはり事故の多い交差点の問題でございまして、交差点の改良とか車両停車帯の整備といったものもやってまいりたいと考えております。  それから道路の付属物でございますが、道路標識であるとか自転車駐車場であるとか、それから、異常気象時には通られる方に情報を提供する必要がございますので、道路情報提供装置、道路の上に、最近よく見かけるようになりました電光盤、字幕のものでございますが、こういったものの整備を推進したい。  なお、身障者対策といたしまして、歩道の切り下げであるとか点字ブロック等は引き続き進めてまいりたい。  これが重点でございます。
  41. 沢田広

    ○沢田委員 初年度の事業で千七百二億を要求されているのでありますが、その中で歩道歩行者自転車道の整備、これはこれでいいと思うのでありますが、通過交通の激しい裏通りのジグザグ状の車道をつくる、これが果たして今日の時代に即応しているのかどうか、きわめて疑問があります。改良工事にしたって、これは大変なことだと思うのです。  それからもう一つは、大規模の自転車道路として渡良瀬川を初めとする七路線の自転車道をつくる、これは今日的にまあ健康保持という意味のことなんでしょうけれども、果たして必要な条件にいま当面しているのかどうか。  それから、地方中核都市というか人口十万人以下にバス停ごとの自転車駐車場を置くというのですが、現在自転車置き場法案をやっておりますけれども、駅前に放置されているという自転車の激増している今日の状況において、このバス停ごとの自転車駐車場というものとの対比というものが果たして妥当なのかどうか、その辺若干疑問があります。  そういう意味において、建設省としては、総理府が所管なんでありましょうが、所管の総理府などと、今日まで交通対策特別委員会で行われていた審議経過、あるいはこれからの交通安全としてあるべき歩道、自転車道の整備、そういうものの発想に食い違いがあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点は今後調整するつもりなのか。もうこのとおりでとにかく大蔵省に要求したということになりますと、このとおりで行ってしまうというつもりなのか。この千七百二億と言われているものは一割カットされても千五百億ぐらいになりますが、その程度の金額の扱い方については建設省としては流動的に物を理解している、こういうふうに考えていいのかどうか。それだけイエスかノーかでお答えをいただきたいと思います。
  42. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 ただいま申し上げましたように、歩道整備、これは一番最重点でやらしていただきたいと思っております。  なお、先生御指摘のように交通の実情に応じまして弾力的な整備というものはもちろん考えてまいりたいと存じております。
  43. 沢田広

    ○沢田委員 道路構造令によりますと、「自転車道及び自転車歩行者道」というものの中にただし書きがあって、これがすべて優先されているわけでありますが、「地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、この限りでない。」こういうことで、安全かつ円滑なということの条項であるし、歩道もそうでありますし、車線の分離もそうでありますし、その他第四種の場合についてもそのとおりでありますし、すべて「この限りでない。」これが現在の道路状況を形成しているわけです。「この限りでない。」という条項だけが優先して扱われておって、歩行者の安全というものがとり得ない状況になっている。言うならば、これからの交通安全対策を考えるとすれば、道路構造令に言う「この限りでない。」というものをまず打ち切ったような気持ちで現行の道路構造を整備していく、こういうことが必要になっているのではないか、こういうふうに思いますが、その点の見解を承りたいと思います。
  44. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路構造令は道路を改築する場合の一般的技術的基準を定めたものでございまして、先生御指摘のように、ところどころの条項におきまして基本が示されておりまして、これに対してどうしてもやむを得ない場合はこれによらざることができるという意味の規定ももちろんあるわけでございます。私どもといたしましては極力原則にのっとってやるつもりでございますし、またそのようにいたしておりますが、場所によってはどうしてもしようがない場合がある、こういうことでございます。「この限りでない。」というのも、わが国の場合は地形も非常に複雑でございますし、地域状況もいろいろと違っておりますので、政令の規定としてはやむを得ないものであろうかと思っております。
  45. 沢田広

    ○沢田委員 だから、原則的に次の財源をそういう面に使っていくという方向で考えて、これは施行令ですか、あなた方が出した法律で決まっていることだから、ただし書きが優先するのではない、本文が優先するのだという解釈は間違いないでしょう。ただし書きはやむを得ない場合のただし書きであって、本文が優先するのだ、そういう解釈は間違いないですね。お答えをいただきたい。
  46. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 そのとおりでございます。
  47. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、道路構造令と関連をいたしますが、自動車運送業者が申請をいたします場合には、これは建設省の通達が出ておりまして、それぞれの自治体に道路の幅員、勾配その他の形状、そういうものについて諮問をする、意見を求める、こういうことになっておりますね。これはイエスかノーかでお答えいただきます。
  48. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 路線免許その他の場合にそのようにいたしております。
  49. 沢田広

    ○沢田委員 それを受けて、警察はどういうふうに対応をしているのですか。たとえば運送業者が許可の申請を出します。その場合はそれぞれの自治体に諮問をして意見を求めます。求めたものについて警察はどう受けとめているのですか。それを受け取ってないのですか、受け取っているのですか。
  50. 池田速雄

    池田政府委員 都道府県の公安委員会の方へ意見を求められますので、それの実態を把握いたしまして返答をいたしております。
  51. 沢田広

    ○沢田委員 その辺もう一回ちょっと答えてくれませんか。私の質問とあれとは違うのですが。
  52. 池田速雄

    池田政府委員 都道府県の公安委員会の方へ意見を求められますので、公安委員会におきまして判断いたしまして、御返答申し上げているはずでございます。
  53. 沢田広

    ○沢田委員 建設省の方の通達は、各自治体に道路の幅員、勾配、傾斜、その自動車営業に伴っての通達を出して意見を求めている、これは間違いないですね。公安委員会にも出しているわけですか。
  54. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘につきましては、私ちょっといま手元に資料を持っておりませんので詳しくお答えできませんが、一定の道路の区間を使われるということになれば、やはりその車の大きさと道路の関係その他いろいろございますので、道路管理者の方にここを通していいかどうかということをお尋ねをいただく、それに対してこちらが答える、たしかこういうシステムであったと思っております。
  55. 沢田広

    ○沢田委員 だからその通達は道路管理者に対する意見を求めてきている、こういうことですね。その意見警察の方には行っているのかいないのか、それを聞いているわけですから。
  56. 池田速雄

    池田政府委員 公安委員会に御相談がありました分につきましては、公安委員会は独自の立場で御返答申し上げているはずでございます。
  57. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、市町村なり県なりの道路管理者の意見公安委員会の立場の意見とは食い違ってくるということになるわけですね。
  58. 池田速雄

    池田政府委員 結論は別にいたしまして、それぞれの見解を出しておる、こういうことでございます。
  59. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、自動車営業のときに建設省が道路管理者に意見を求めているというのはどういう意味なんですか。公安委員会は別の立場で決める、道路管理者はたとえばこの道路は困る、こういう意見を出す、ところが公安委員会公安委員会で別な結論を出す、これは行政機関の不一致じゃありませんか、どうですか。
  60. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路法に、道路との関係において必要とされるいわゆる車両の制限という関係の規定がございまして、車両制限令という政令がございます。道路管理者としては、その車がその道路との関係において適切な幅以内のものであるかどうか、あるいは高さが適正であるか、こういう観点、道路の構造との絡みでの意見を申し上げるわけでございます。
  61. 沢田広

    ○沢田委員 いずれにしても警察の方もその点は余り知ってないようですから、これも時間の関係がありますから、今後の調整をお願いします。時間が十二時を若干回っているようですからもう一つだけにして、あと午後の部に回したいと思います。  道路構造令によりますと、これは基本的な問題だけいま聞いておきますが、速度と勾配、視距離、それから橋梁、こういうものについて、言うならば道路があって交通の規制が次に伴うというのが私は常識的な解釈だと思うのであります。それから見る距離も、その道路の構造に基づいてスピードがそこで決められてくる。それから橋梁の高さも、特にこの橋梁は別の問題があるのでありますが、それから道路の交通量の見通しも現在の道路構造令の見直しをする時期に来ているのじゃないか。その点は建設省警察の方からお答えをいただきたい。  道路構造令の方は、スピード、距離によって道路の構造が——右の欄と左の欄だからどっちが先だということにはならぬかもわかりません。しかし、法律は左側にスピードが書いてあって、右側に距離が書いてある。これはどうやって見ても、このスピードのときには直線距離はこれだけ必要である、あるいはこの道路についてはこれだけのスピードのときにはこれだけの勾配が必要である、道路構造令はこういう決め方になっているような気がいたします。その点はどちらなのか。道路の形状に従ってスピードの方を決めるのか、それともスピードの方が決まって道路の構造を決めるのか、その点、道路構造令に基づいて建設省警察からお答えをいただきたいと思います。
  62. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 先ほど申し上げましたように、道路構造令は道路を改築いたします場合の一般的技術基準を示したものでございます。したがいまして、道路に応じまして設計速度を決めまして、設計速度に対応するような見通し距離あるいは勾配の限度、曲線半径は何メートル以上とか、こういうものを決めておるわけでございます。
  63. 池田速雄

    池田政府委員 警察といたしましては、構造とそれからそれに基づいて行われます現実の交通との相関関係で物事を判断するわけでございますので、そういった見地から意見をまとめまして御返事しているわけでございます。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 若干あいまいですが、これは改良も含むわけですね。新築ばかりではありませんね。道路の改良も含むわけです。だから、とにかく現状の道路をいじる場合には、スピードが基準になって構造を決めるのか、これからの構造というものはこうあるべきだと決めてからスピードを決めるのか、その点は速度と勾配という問題について関係してくるわけですね。それから見通しの問題についても同じなんです。改良をやってからスピードを決めるのか、スピードが三十だから三十という限界においての構造を決めるのか、あなたの方はどちらの方針でやっているのか、こういうことであります。
  65. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路を改良する場合も同じでございまして、その場合はスピードをまず決めまして、それによる道路構造を決める、こういうことでございます。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 まさに逆さまの議論になっている。時代は変転きわまりないのだし、公安委員会はその都度住民の運動があったり何かすればスピードは変わっていくわけです。だからといって道路はすぐに直すわけにはいかないのであります。だから、それはまさに逆転の論理でありまして、道路は舗装をすれば、耐用年数からいったって大きな道路になればほぼ十年なり二十年なりはそのままになるわけであります。ところがそこに決められている悪い道路のときのスピードを基準にして道路構造を決めるというのは、まさに逆さまじゃないですか。これはイエスかノーかで答えてください。いままでのとおりなのか、これから考え直すのか、どちらなんです。あなたの論理でいったらとんでもないことになりますよ。
  67. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 道路を直します場合には、将来の道路の姿を考えまして、その場合においてどのくらいの設計速度が望ましいか、そういうことを考えた上でやるわけでございます。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 疑問でありますけれども、ちょうど昼の時間ですから、空腹では皆さんもお困りでしょうから、まことに中断の中断なんでありますが、一応ここで中断をいたしまして休憩にしていただきたいと思います。
  69. 田中昭二

    田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時九分開議
  70. 田中昭二

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢田広君。
  71. 沢田広

    ○沢田委員 運輸大臣の方がおくれるそうでありますが、道路構造令の問題で若干引き続いて質問いたしますが、たとえば道路構造令の交通量、これも現在の時点に合わせますと、一万未満が高速自動車国道でも第三級であるとか四級であるとか、あるいは一般の国道へ行けば五百未満というようなものもあります。市町村道に行っても、首都圏内なんかにおいては当然これに該当するものではないのであります。このとおりにやれるかというと、現在の予算体制ではなかなか困難でもある。また、「一車線あたりの設計基準交通量」というのが出ておりますけれども、第三種にしてもこれももう現状に合わないし、あるいは地域的な差というものが相当出ている。  これは基準なんだとはいいながら、これと、これから申し上げる見通しの問題あるいは勾配の問題、こういうようなものについても、改めた見地に立って、現在の交通量あるいは交通事情というものを勘案しつつ見直しをするべきではないか、こういうふうに総括的に考えますが、これはひとつ交通の方からお答えをいただきたいと思います。
  72. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  現行の道路構造令は昭和四十五年度に制定をいたしたものでございまして、すでに十年を経過いたしており、先生御指摘のように幾つかの点で現状にそぐわないような点も出てまいっております。たとえば最近は環境問題が非常に問題になるわけでございます。その後幹線道路につきましては、道路の外側に緩衝的な空間をとろうというような施策もいたしておるわけでございます。こういったものその他新たに必要となる事項あるいは見直しを必要とする事項といったことを総合的に検討を続けている最中でございまして、しかるべき成案を得ましたならばこれを改正する方向に持ってまいりたいと考えております。
  73. 沢田広

    ○沢田委員 関連して橋梁の問題ですが、特に私たち埼玉県あるいは首都圏においては、今日縦断測量をいたしますと、昭和四十年ごろから一メートルぐらいの地盤沈下を起こしている地帯もある。また毎年十ミリぐらいずつ地盤沈下をしている。井戸水のいわゆる規制は行いましたけれども現状ではまだ地盤沈下が進んでいる。そういうところで橋梁をかける場合に、やはり将来の地盤沈下というものを想定して高さを決めていかなければならぬ。いわゆるけた高というものをしていく。ですからどこの河川につくるにいたしましても、従来の河川から比べれば一メートル五十ぐらい高く橋梁がつくられているわけであります。  この橋梁が高くなることによって、すりつけの道路というものがおのずから勾配が必要になってまいります。結果的には近隣の商業地区あるいは近隣の住宅地区等からは、この勾配が緩ければ緩いだけに被害が大きくなる、こういう問題が生じてまいりますから、きょうは結論は出ないでしょうけれども、出ればなお結構なんですが、いわゆるスピードの制限等を行いながらある程度の勾配を強める必要が出てくるんじゃないかという気がするわけです。ですから、勾配を標準どおりとると結果的には先が見えないとか向こうの車が来るのが見えないとか、そういうような問題が起こり得る可能性はあるわけでありますが、長い橋ならばそんなことは起こり得ないのでありますが、小さな河川等においては起こり得るわけであります。そういうような状況における勾配については必ずしも従前の道路構造令による勾配等にかかわらず、これは橋梁をだんだん高くしていかなければならぬ必然性を持っている状況下における解決の仕方というものを考えなければならぬのではないかと思いますけれども、その点はいかがか。  それから同時にもう一つは、地下を立体交差する場合の勾配、これも同じような要件を持つものだと思います。そういう意味においての勾配というもの、スピードの問題はある程度制限するのもやむを得ないという考え方に立って勾配をある程度強めるという方向で考慮できないかどうか、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
  74. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 橋が高くなると、規定の勾配をとると橋梁の取りつけ延長が長くなってしまう、こういう御指摘かと思いますが、やはり勾配をきつくいたしますと、一般的には危険性がいろいろな面で増してくる点もあるわけございます。したがいまして、私どもといたしましては、その道路に予想される交通状況に応じた設計速度を考えて道路を設計するわけでございますので、大変交通量も少ないというようなところはおのずから構造令の規定によりまして、いわゆる低い設計速度をとってもいい道路になろうかと思います。そういう道路の状況に応じまして考えるわけであります。  ただ、たとえば国道のような非常な幹線道路でございますと長期にわたって使われるわけで、交通量も相当容量いっぱいに使われるというようなところでは、規定の勾配をとって取りつけ延長が若干長くなってもそれはやむを得ないというふうに思います。したがいまして、その道路に適用する規格を何にするかという点につきましては十分慎重に配慮してまいりたいと思います。
  75. 沢田広

    ○沢田委員 私の言うのは、ある程度のスピード制限を行ってもということをつけているわけですから、その点は近隣商業地区あるいは住宅地区等のことも考え合わせながら、規定だけでやると反対運動がそれだけよけい増すばかりですから、その点はひとつ御配慮いただくことを要望して次の問題に移ります。  学校安全会の運営の問題に入りますが、学校安全会の趣旨についてはもう申し上げるまでもないことでございますから、一つは他の共済制度との関係についての調整をどう考えているかということ。それから、保険システムをとっていくつもりなのか、あるいは現状保険システムをとっていると考えているのか、まずその二点からお答えいただきたいと思います。
  76. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 第一点につきましては、御承知のように、安全会は医療費と災害見舞い金、廃疾見舞い金、死亡見舞い金の三種類の給付を行うことにいたしております。そのうち医療費につきましては、健康保険その他の医療保険との調整を図る意味合いにおきまして、必要になります医療費の三割を支給するということで重複が起きないようにいたしております。  ただ、医療を受けるに当たりまして、直接の医療費ではございませんが、交通費その他が必要になるということも勘案いたしまして、療養に伴って必要な費用として医療費の一割を加算するということにしております。  なお、その他廃疾見舞い金、死亡見舞い金等につきましては、第三者による事故、一番典型的なのが自動車事故でありますけれども、そのような場合には自動車賠償責任保険の支給の限度においては支給しないということにいたしております。  第二点の保険システムと考えているかどうかという御質問でございますけれども、広い意味で言えば保険制度になろうかと思いますが、私どもとしては学校の設置者、国、そして児童生徒の保護者等のそれぞれが経費を負担し合う共済制度というふうに考えておるわけで、今後ともこの制度を維持してまいりたいと思っております。
  77. 沢田広

    ○沢田委員 あなたの方の決算あるいはしおりを拝見いたしますと、小学校で言えば千百十二万の子供がいて五十三年度の支払い合計は三十億、中学校でいけば五百二万の中学校の生徒で三十億、同時にまた幼稚園の方でいくと百八十九万で一億七千万ですか、その程度、保育所の方にいきますと百六十六万で二億七千万ぐらいというような状況になり、高等学校では四百二十七万で、全日制でありますが二十八億という給付になっております。  掛金と比べてみますと給付と掛金とのバランスがこれでとれておるかどうかということに若干疑義を持たざるを得ないのでありますが、その点は共済制度であるということで、小学校、中学校、高等学校、専門学校、いわゆる負担能力を勘案してこれからもこのまま継続をしていくつもりなのかどうか、その点についての解明をお願いいたしたい。これはもともとは特別立法でつくろう、こういうことで学災法でやってきた案件でありますが、これが学校安全会で取り扱うということになった経緯も承知をいたしておりますが、いま申し上げた点については御回答をいただきたい、こういうふうに思います。  ついででありますから、この貸借対照表と損益計算書も拝見させてもらいました。それについて一つだけ、あとはもう省略します。  減価償却が少し多過ぎはしないか。七千万ぐらいの備品あるいはその他の償却資産というものに対して二千八百万の減価償却というものは妥当性を欠いている。あるいはほかのものが入っているんじゃないかという気がいたしますが、その点、若干細かいことでありますけれども、お答えをいただいておきたいと思います。
  78. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 安全会の掛金につきましてはおおむね三年に一遍見直しをするということで、発足以来見直しを行って、三年間でほぼ収支とんとんになるという計算をいたしまして、支出と収入の調整を図っておるところでございます。  それから、学校別の負担区分につきましては、それぞれの事故の発生率、過去二十年間の実績がございますので、学校種別による事故の発生率をそれぞれ計算をいたしまして、それに見合う掛金を計算いたしておるところでございます。  なお、五十三年度の決算につきまして減価償却の引当金の御指摘がございましたけれども、この二千八百万と申しますのは、二十年間に積み上げてまいりました引当金の総合計でございまして、五十三年度に新たに引当金として引き当てたものは四百十万円程度でございます。
  79. 沢田広

    ○沢田委員 時間の関係で次に行きます。  倉庫の問題でありますが、倉庫業法というのがあります。現在の倉庫で申請をされているもの、あるいは無申請で倉庫等に類似する行為が行われているものが散見される状況にあります。これがいわゆる第四類でありまして野積み倉庫、こう言っているのであります。一定の建物とか一定の条件を具備しているものではないので外のへいを言うだけであります。ただ消火栓やその他そういうものを設備しなければならない、こういうことに倉庫業法では規定をされているわけでありますが、この件の監督は運輸省で行っているんだと思うのでありますが、運輸省としては、どの程度野放しになっているものがあり、野積みの倉庫についてはどの程度把握をし、それを検査をし、点検をしているのか、その点お答えをいただきたいと思います。
  80. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。     〔委員長退席、水平委員長代理着席〕  運輸省の倉庫は倉庫業法によって監督をいたしておるわけでございますが、倉庫業法上野積み倉庫というものを認めております。野積み倉庫と申しますのは、その寄託を受ける貨物が鋼材とか木材あるいは古タイヤ、そういう風雨にさらされても棄損しない、そういうものを扱う場合に限って野積み倉庫を認めておるわけでございますが、野積み倉庫の施設等につきましてはそれぞれ基準がございまして、認可をいたします際にはその基準に従ってこれを監督いたしております。そういう意味で、野積み倉庫につきまして、その野積み倉庫がどういう施設を持ちどういう状況であるかといいますことは、認可をいたします際にこれを確認いたしておりますので、把握をいたしておると思います。  それから、無申請の倉庫がかなりあるのではないかという先生の御意向でございますけれども、私どもが承知いたしております範囲では、無申請の倉庫というのはそれほどないものと承知いたしておるわけでございます。ただ、営業いたしておりませんで倉庫を所有いたしております倉庫の持ち主で、それを営業しております人に貸しておる人がございます。これは持ち主の方は倉庫営業していると私どもは考えておりませんので、営業いたしております倉庫としては無申請のものは多くあるとは考えておらないわけでございます。
  81. 沢田広

    ○沢田委員 まあこれにも若干問題があるのですが、続いて、無申請のものは少ないということですが、その点検はきちんとやっているかということについてはどうですか。
  82. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  倉庫業法の監督といたしまして、倉庫の監査をそれぞれ所轄の海運局が実施をいたすことになっておりますが、現在の状況では、人員等の関係もございまして、大体八年に一度ぐらいの割りでそれぞれの倉庫の監査を行っております。
  83. 沢田広

    ○沢田委員 八年に一回ぐらいのことで、今日の倉庫の現状は、人員が足らないなんという言いわけではぼくは済まされないのだろうと思うのです。もっとそれこそ行政改革をやってこれは点検していかなければならぬものがあるんじゃないかと思うので、野放しになっているかどうか、あるいは倉庫の基準が守られているかどうか、これは善良な管理者としての義務そのものを、法律を施行する者の義務を怠っている、怠慢になっている、こういうことになるんじゃないかと思うのでありますが、どうですか、それは。
  84. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 今後さらに監査の回数をふやして、十分に把握、監督いたすように努める所存でございます。
  85. 沢田広

    ○沢田委員 そこで、消防庁来ておられますが、消防の器具の点検の限度はそれぞれの施設によって若干ずつ違っております。それで倉庫以外の一般の営業の場合の消火栓というか消火設備等の点検はどういう基準のどういう年限でやっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  86. 椎名泰

    ○椎名説明員 お答えいたします。  消防では立入検査という検査を実施しておりまして、年に一度はそういう倉庫等の点検を実施しております。
  87. 沢田広

    ○沢田委員 さっきの倉庫業法の方では八年に一回ぐらいしか運輸省ではやれない。消防の方では一年に一回やっている。一年に一回やって、これはまずいという結論が出た場合は、それは業者を監督しているのでしょうけれども、倉庫業の監督を運輸省が何とも言ってこなければ、それは別に守らなくてもいい、こういう感じがすることは国民の常識じゃないか、こういうふうに思いますけれども。その点は運輸省としてはどういうふうに感じておりますか。
  88. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 倉庫業法の監査と申しますのは、その倉庫が倉庫業者として倉庫業法上問題がないかという観点から監査をいたしまして、それで問題があればそれを是正するような措置をするということでございます。消防の観点からの検査といいますか、それに関しましては、倉庫業法上はこれにはタッチをいたしておりません。
  89. 沢田広

    ○沢田委員 時間がないからこれを持ち出すまでもないのですが、倉庫の基準として第三条の第四号、野積み倉庫は「きわめて燃焼しやすい物品を扱う場所に近接する場合は、災害防止上有効な構造又は設備を有すること。」それから「敷地内に防火上必要な通路を有するとともに、消火せん又はこれに代る消防水利を有し、かつ、消火ポンプその他の消火器具を設備していること。」これは野積み倉庫に対して「次に掲げる要件を備えていること。」こういうふうに明確に書いてある。これが守られているかどうかという問題なんですよ。いわゆる消防の方では一年に一回守られているかどうかの点検をやっているわけなんです。あなたの方では八年に一回守られているかいないかをやっているのだが、こういうことは見てないのじゃないですか。必要なということを言われたが、必要な条件の中にこれは含まれてないのじゃないですか。
  90. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 ただいまの野積み倉庫が備えるべき条件につきましては、認可をいたします際にこれを確認いたしまして、こういう条件を備えているものを認可いたしております。
  91. 沢田広

    ○沢田委員 では次に、武蔵野線の野積み倉庫と言われている倉庫の古タイヤが燃えて国民に大変な迷惑をかけた、これは貸している者にも責任がある、それから借りた者も責任がある、しかし、倉庫として営業届けをした運輸省にもこれまたいま言ったような意味においては責任があるだろう、同時にまた消防の方の点検義務がどの程度行われ、実施されていたかという問題もあると思うのであります。  武蔵野線の事故については、一カ月有余に及んで通勤のお客さんには大変な迷惑をかけているわけでありますから、その点についての因果関係、いま言った問題と関連をいたしまして適切な処理をしなければならぬというふうに思います。私は、監視、監督に怠慢があった、こういうふうに断じて差し支えないだろうと思うのであります。運輸省を初め消防庁、国鉄関係庁すべてが、そういういわゆる善良な管理者としての義務を怠っていた結果として招来したものである、こういうふうに私は考えます。速やかにこの解決を図ってもらうことを強く求めるものでありますが、それぞれの立場から、もし私の意見といいますか要請に対して回答する気持ちがあるならばひとつ回答をしていただきたい。  それから、国鉄の場合に、特に線路下の貸し付けの分野においては、現状においても危険を相当包蔵しているものが営業をし、あるいは倉庫となりそれぞれ利用されていると考えます。二度と同じような事故を繰り返さないためにもこの改革を私は強く求めたいのであります。そのことが長年の権利となりあるいは第三者に移り、どんどん転貸し転貸しとなっているということは、現実問題として私も理解をしないものではありません。しかし、やはり国鉄を、国民の足を守るという立場から見ればそういう危険なものは払拭をする、そういう勇気がなければ国民の信頼にこたえられないであろう、私はこういうふうに考えます。  以上の点について、それぞれの立場からひとつお答えをいただきたいと思います。
  92. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 今回の火災につきましては、運輸省で現在まで調査をいたしましたところでは、同社に倉庫業法上の法令違反があったという点は認められておりませんが、先生の御指摘のように、こういった問題は大変重要な問題でございますので、先ほどお答え申し上げましたように監査の回数をふやすなどいたしまして、今後こういった事故が起こることを防いでまいりたいと存じております。
  93. 伊能忠敏

    ○伊能説明員 お答えいたします。  武蔵野線の事故の原因につきましては、現在警察並びに消防で調査されております。われわれ、この問題の処理につきましては、警察、消防の御調査を待って検討いたしたいと思っております。  なお、国鉄の現在の構内営業で貸しているもの以外の一般の土地の貸し付けの状況を簡単に申し上げますと、全部で八百九十万平米でございます。そのうち土地が七百四十六万平米、高架下が百十六万平米でございます。建物が二十八万平米でございます。これらは約三五%は公共的な道路とかそういうようなものに使用されているものでございます。あと駐車場が三〇%ばかり、それから材料置き場、作業所等が約一〇%、倉庫で約五%、店舗、事務所等で六%、その他が約一四%となるわけでございます。ただ、これは最近において特に業種別の調査はしておりませんで、数年前のものでございますので、分類は類推でございます。今後高架下でこのような火事が起こったりすることのないよう管理については厳に注意をいたしたいと思っております。また、現在高架下等で貸し付けしている中に古タイヤの野積みはございません。  以上でございます。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 野積み倉庫に関連して、なおもう一つだけ言っておきますが、無認可はないと言いますけれども、ドラムかんが相当置かれておったりあるいは古タイヤが相当置かれておったり、これから冬季を迎えて灯油の買いだめ等も当然起こり得る予想もあるわけであります。そういうような場合に、それを野積み倉庫と言うか言わないかという法律解釈の問題はさておいて、とにかく危険な条件であることには変わりはないわけでありますから、二度とこういう問題を起こさないような監視体制というものを各関連庁が連絡を密にしてそれぞれに対処をしてほしいと思いますが、その点の考え方、特に灯油なんかが五割も値上げをしているわけでありますから、さらにまた三月までは石油事情は心配ないといいながら、きわめて憂慮する条件もなくもありません。そういうようなことも考え合わせて、昔はよく山の中へ隠していた、あそこにも隠していた、ここにも隠していたというものがずいぶん発見された実例もあるわけでありますから、それらに関連いたしまして、その取り締まりに十分意を用いていただきたいということを要請し、お答えをいただきたいと思います。  それから武蔵野線の問題については、その程度の答弁で事を済ませようということ自体、私はきわめて遺憾だと思っている。とにかく、これだけの大きな事故を起こし旅客に迷惑をかけて、それでそのまま何も取り締まり上の問題はなかったかのごとき返答でこれを済ませようということは言語道断だ。私は、このことはそんなことで許すつもりはありません。しかし、きょうは時間の関係がありますから捜査の結果を見てから、それからどう措置するという問題ではない。とにかく、あれだけの旅客の方々に迷惑をかけた原因というものがそこにあったとするならば、もっと真剣に自分の問題としてこれは対処してもらわなければならない問題であったと思うのであります。少し緩慢過ぎます。これは運輸大臣、来たばかりでありますけれども、少し態度、態勢が緩慢過ぎる。それでは、前の質問にあったけれども、それは言われても仕方がないような気がしないでもないのであります。そういうようなことで、そういう場合の対処の仕方、それから毅然とした立場というものをとってもらうということ、その点については強く要請し、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  95. 関場大資

    ○関場説明員 お答えをいたします。  国鉄と日本運輸倉庫株式会社との損害賠償責任の関係でございますが、この点につきましては、両者の間の使用承認書十六条に損害賠償につき「使用者」、これは日本運輸倉庫でございますが、「使用者は、その責めに帰すべき事由により国鉄に損害を及ぼしたときは、国鉄の指示する損害額を賠償しなければならない。」という規定がございます。     〔水平委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、この「責めに帰すべき事由」ということでございますが、これは通常借り主の日本運輸倉庫の故意または過失と考えるわけでございます。そこで先ほど施設局長から御答弁申し上げたようなことで、現在原因が不明でございますので、直ちに日本運輸倉庫の責任が追及しがたい状況にあるわけでございます。しかし、大変御迷惑をかけたことも事実でございますし、国鉄としての損害賠償責任追及ということもございまして、一応現在検討はいたしておりますが、出火原因が非常に異常でございまして複雑な面もございますので、専門の警察並びに消防の御調査を待って、それも援用した上で適切な処置を講じたい、かように考えている次第でございます。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 責めに帰すべき理由というような言いわけを言うから私は気に食わない。貸してあること自身が間違っているのですよ、燃えるようなものの、倉庫を貸すということが。責任観念がないところに一番問題がある。そういうものには貸さないことなんだよ。そういう危険に、最悪の事態に備えてそれぞれの営業をやっていくことが善良な管理者の義務じゃないですか。それを、貸しておいて、それに責任があるかないかの問題じゃない。そういう危険のあるものを貸したこと自身に、その責任観念がないところに問題があるということを私は言っているのですよ。その点からの出発点、もとの出発点が違うのです。そういうところで私はお答えをいただきたい、こういうふうに言っているのです。
  97. 関場大資

    ○関場説明員 お答えをいたします。  御指摘の点、結果的に大変不都合な事態になりまして、国鉄内部の関係部局とも協議いたしまして、今後かかることのないよう注意をいたしたいと思います。
  98. 伊能忠敏

    ○伊能説明員 御指摘の点につきまして、今後高架下並びに土地の貸し付けにつきまして十分注意していきたいと思っております。
  99. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 古タイヤの火災によりまして国鉄の運行に障害を来し、御迷惑をかけたことは本当に遺憾なことであったと思っております。つきましては、これはいろいろなところに関連いたしまして、たとえば倉庫を貸す場合は国鉄の責任でございますし、また、倉庫の監督は港湾局の倉庫課でやっておる、そういう点がございまして、それぞれに一貫した御満足いただけるような答弁はなかったように思うのでございます。しかし、それにつけましても国鉄はそういう倉庫を、いわゆる高架下を貸すとかあるいは周辺を貸すとかというときには今後注意をしてそういうことを指導していかなければならぬと思いますし、また倉庫につきましても倉庫の業者の監督というものも強化していく、それが将来における災害の防止という点について重要なことではないかと思って、そういう指導を強めてまいります。
  100. 沢田広

    ○沢田委員 先般来レンタカーが大変はやり出しているわけであります。これは便利だということにもなるわけでありまして、しかも乗り捨ても可能である。われわれも、たとえば国鉄に単を積んだまま新婚旅行に行けるというようなものも考えたらどうかなんという意見も述べたこともあるわけであります。新幹線に乗りながら車を乗せていって、九州に行ったらその車で乗って走れる、こういうような形も考えたらどうだなんという意見も述べました。非常に新しい商業としてレンタカーが発達をした。そうすると中古車も置ければ各種各様の車をそろえる。ぴかぴかに光っていればいい車だと思っているのが日本人の感覚であります。そういうような感覚に便乗してこのレンタカーという新しい産業が大いに普及をしていることなんであります。これに対して新たな立場に立っての監督、それから新しい条件に応じたいわゆる業務監査あるいは交通対策、こういうものが求められているのではないかというふうに思います。  先般、東北自動車道で起きた事件というものは、不良車両を貸し付けたために死亡した、こういう事件になっておるわけでありまして、その意味においては刑事事件にもなるのではないかと私は思うのです。業務上の問題のことは当然でありますけれども、不良品を与えてそれによって人命を落としたということでありますから、民事はもとより刑事の問題としてもこれは処置しなければならぬ問題だと思いますので、この点の見解とこれからの取り扱い、それから、これからどういうふうにこれをやっていくのか、監督をしていくのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  101. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答えいたします。  レンタカーの事業につきましては、私どもも非常に特殊な変わった事業であるというふうな認識のもとにいろいろな規制をしてきております。  一つには、レンタカーを持っております事業者に対しまして、車両の管理を適切にやるための整備管理者というものの選任を義務づけておるところでございます。  さらにその整備管理をするに当たりまして、定期点検という制度が日本にはございますけれども、このレンタカーにつきましては運送事業用自動車と同様の取り扱いをいたしておりまして、具体的には事業用自動車としての一カ月点検の適用を義務づけておるわけであります。  さらにはもう一つは、自動車の検査でございますけれども、一般の自家用の自動車につきましては、乗用車等は二年でございます。それからトラックは一年でございますが、この自家用の二年というのを、レンタカーにつきましては検査の期間を一年に短縮いたしまして、ほかの自家用の車と違った形で、頻度を上げた検査を実施するということで実施をいたしておるわけでございます。  さらに先ほど申し上げました整備管理者につきましては研修ということを実施いたしておりまして、車両管理、整備管理の資質の向上を図るべく努力をしておるところでございます。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 いまの答弁では十分ではないのであります。たとえばキロ数をさらに加えるということは考えられませんか。常識的に、同じタイヤじゃなくて、悪いのに変えちゃえば切りがないのであります。一カ月ごとにやっても、そのときにはいいタイヤをつけておいて、検査をして帰っちゃったら古タイヤをまた持ち出してつけかえるということは不可能ではない。これは言うならば重大な犯罪だと思うのです。ですから、検査をしたときに封印というわけにはいかないでしょうけれども、検査証明の、ゴムですからそこへ刻印を打つとか、そういうようなことは当然考えられていいんじゃないかということが一つ。それからもう一つは、運送用、事業用だったらキロ数をその制限の中に挿入する。タイヤであれば三万ぐらいが限度でしょう。ですから、三万なら三万なり二万なら二万、営業用ですから二万なら二万を超えたときには、みぞが一・五ミリなら一・五ミリ以下になれば取りかえなければならぬのでありますから、それをやらないで起きた事故ですから、これは二万なら二万で切りかえをさせるとか、そういうようなことをやはり加えていく必要があるのではないかという気がするわけです。  たとえば、そこの場は、検査のときだけは新しいタイヤをつけますよ、帰ってしまったら夜なべしてまた次のタイヤに入れかえたら何にもならないでしょう。あなた方の検査なんというのは底抜け検査なんです。だからこういう問題が起きるので、底抜けさせないためには、縛りつけておいたらこれは走らないからそうはいかないけれども、結果的には刻印をするとか、何かそういうことをやって、やはりそこの検査の実効を上げていくことを考えなければ、いまの答弁ではこれからちっとも減る見通しはないじゃないですか。もう少し、キロ数を入れるとか刻印を入れるとか、また、その車両のナンバーを入れてこの車両でなければ使わせないとか、そういうことの措置を講じなければいけないのではないかと思うのですが、いかがですか。
  103. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答えいたします。先ほどのお答えで少し舌足らずのところがございましたけれども、国が直接行っております検査は、レンタカーにつきましては一年に短縮してやるということを申し上げました。その間におきまして、自動車というのは運行いたしますと絶えず損耗し調整を必要とするものでございますので、定期点検制度というものを取り入れておるわけでございます。これは使用者におきまして一定の期間ごとに定められた内容の点検をするということになっておるわけでございますが、その定期点検の実施に当たりまして、レンタカーについては事業用自動車並みの一カ月点検という短縮した期間を設け入れております。したがいまして、私どもがレンタカーの事業者を監督する場合に、こういう使用者の管理、自動車の保守整備、こういうものがどういうふうに行われておるかということを重点に監督をしていきたいと思っております。  それから、先ほど先生走行キロというお話がございましたけれども、私ども法律的には期間ということで言っております。運送事業もそうでございますが、車の使われ方が非常に違っておりますので、社内規定としてどういう点検をやったらいいかということを検討させて、車の使用実態に応じた形で整備をさせるということを十分考えていかなければいかぬのではないかというふうに考えております。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 少しも前に進んだ答弁じゃないので、この事故が再発しないという保証は、その答弁ではあり得ない。だから、極端に言えば、タイヤに車のナンバーを刻印で打つ、その車についてはこのタイヤである。若干問題になるのは、積雪のところを走るスノータイヤとの関係があるが、それは予備としてその刻印を打つ。それで、検査のときに——これも取りかえられてしまえばそれきりの話かもしれませんけれども、せめてその程度の保証を、不良品を貸さないという意味における責任を監督行政として持たなければいけないのではないか。さもなければ、いわゆる不良品に対する罰則規定を強める。  これで、この業者は営業停止になるのですか、ならないのですか。ではその点もあわせて聞いておきたいと思うのです。
  105. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答えいたします。  今回のような不良品を貸したと言われますこういう事象につきましては、処分の対象になりません。
  106. 沢田広

    ○沢田委員 これがならないのであるから、運輸大臣、これは事務官僚に任せておいたって話になることじゃない。不良品に乗っけて人を殺しておいて、これは推理小説じゃないけれども、もし意図があれば殺人事件ですよね。そういうようなことをやって罰則がないなんて、法治国家ですからこれが野放しにされていていいということにはならぬと思うのです。飲食店だって暴力事件その他が起きれば、それは三カ月の営業停止とか何かを受けるわけです。暴力事件ぐらいでもそういう営業停止を受けるわけです。それが、これだけの殺人を犯しておいて営業停止も受けないでのうのうと翌日から商売やっているなんて、こういうことをやっていたら、さっき違法ストだとかなんとか言っていたけれども、これはそんなどころの騒ぎじゃないですよ。(発言する者あり)もっとこれは重大な犯罪だと私は思うのでありまして、そういう意味においては、例は悪かったかもしれませんが、少なくとも告発すべき条件にあるということが一つ。  それから、いま申し上げた点に対して罰則が全然ない、行政処分もないということではこれは済まされない。運輸大臣、少なくとも三カ月や半年ぐらいの営業停止は、不良品を貸し付けた責任というものは当然明確にすべきだと私は思います。今後こういうものをなくしていくためにもその必要性がある、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  107. 宇野則義

    ○宇野説明員 ただいまお答えいたしましたけれども、もう一度十分調べてから先住に御報告を申し上げたいと思います。  なお、先ほど先生タイヤのお話がございました。タイヤにつきましては摩耗の限度というものを定めておりまして、それを超えてタイヤを使わないようにということで規制をしておるわけでございます。先ほど先生、このタイヤはこの車にというお話がございましたけれども、私どもの車のタイヤの使い方の指導といたしましては、実はタイヤの位置をなるべく変えながらまんべんなくきれいな形でタイヤが摩耗していくように、偏摩耗等を起こしますとかえって車の性能を落としますので、タイヤの位置を変える、取りかえるということも片っ方においてしております。したがいまして、肝心なところは、先生から御指摘のございましたようにまる坊主になったタイヤの車をそのままユーザー、お客さんに貸し渡すということはあってはならないことでございますので、その点については十分な指導監督をしていかなければならないというふうに考えております。
  108. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 自動車整備は人命に影響するところも多大なものがございますし、整備状況はたとえそれがレンタカーであろうが当然厳しくしなければなりませんが、特にレンタカーの事業等におきましては不特定の方が使うことでもございますだけに、今後一層検討せしめまして充実を期していくようにいたします。
  109. 沢田広

    ○沢田委員 もうあと時間が二、三分ぐらいですから、まとめてやって終わりにいたしたいと思います。  いまの答弁では気に入りません。ひとつ行政処分はやってもらいたい。そして、少なくとも今後こういうことが二度と再発しないような処分をしてもらうことが必要である。われわれ一般の国民は、スピード違反であろうと三十日の運転停止とかあるいは百八十日というものを受けるのですから、レンタカーだけがのうのうとしてそのまま営業できているということは許されるべきものではない、こういうふうに判断します。  続いて二・九通達に対して、ひとつ徹底した健康管理あるいは事故防止、休憩所の設置等について配慮をする意思があるどうか。  それからもう一つは、むずかしい問題でありますが、十八歳から二十歳までの青少年の犯罪、交通事故、この激増に伴いまする処罰規定を若干変える必要があるのではないか。体は大人になったということであります。そういう状況を考えてみると、青少年の交通関係における犯罪あるいは事故等にかんがみて、その分だけ若干規制を強めるという必要性があるのではないかと思いますが、その見解を承っておきます。  最後に要望いたしておきますが、これは簡単に回答してくださいね、あと一分ですから。過積み制限に対することについては従来どおりこれも強めていくと解決してよろしいかどうか。  それから、前の委員会でも言われましたネズミ取りは警察の不信感を買うだけである。日曜日等だけをやって、しかも渋滞しているところをやるのではなくて、やっとこれから走れるなと思ったところでネズミ取りをやる、きわめて国民の顔を逆なでしたような警察のやり方に対しては不信感きわめて高いものがあるわけでありまして、国会議員の中にも大分その該業者がいるようでもありますが、そういうような意味だけではなしに、いわゆる不信感というか、何かいやがらせといった感覚が多いのでありますから、その点十分配慮して処置してもらうことを要望し、また御回答いただければ幸いであります。  以上をもって質問を終わりたいと思います。
  110. 飯島篤

    ○飯島政府委員 二・九通達の関係と過積みの問題だけお答えいたします。  二・九通達の関連では、私どもといたしましても、過労の運転の防止という観点から労働法令との整合を図りながら事業者を指導してまいりたい。これにつきましては、事業者自身がやる乗務割りあるいは勤務割りの見直し、それから運転と荷役の分離、機械化、乗り継ぎ中継地点の設置、仮眠施設の拡充、さらにはフェリー、コンテナ等の協同一貫輸送の活用などによって対応していく必要があると考えております。なお、休憩施設につきましては、全日本トラック協会が中心になりましてトラックステーションを全国にすでに相当数建設し、あるいは建設しようといたしております。それから高速道路関係につきましては、建設省あるいは道路公団等と連絡をとりながら休憩施設の整備をお願いしているところでございます。  また、法令の遵守につきましては、労働省との間で相互通報制度を実施いたしておりまして、その円滑な運用によりまして効果を上げたいというふうに考えております。  過積みにつきましては、安全または運賃のダンピングにかかわる問題でありますから、従来どおりの厳しい方針で対処をしてまいりたいと考えております。
  111. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 二・九通達に関します高速道路の駐車場について申し上げます。  東名、名神につきましては、すでに供用当時より駐車マスの数を四四%増しにいたしました。なお今後とも東京周辺であるとか、そういう必要な個所につきまして、用地の追加買収等はなかなかむずかしい点もございますが、続けてやってまいりたいと考えております。
  112. 池田速雄

    池田政府委員 交通違反に対します指導取り締まりにつきましては、過積みあるいはスピード違反等につきましても従来どおり適正な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  なお、少年に対する扱いにつきましては、道交法上は成人と同じ扱いを交通反則金の適用等においてなされているわけでございますし、免許の制度上も同じ扱いでございますが、その教育あるいは講習あるいは行政処分といった点につきましては、御指摘の線に沿いまして十分特性に沿った処遇をしてまいりたいと思います。
  113. 沢田広

    ○沢田委員 終わります。
  114. 田中昭二

    田中委員長 次に、草川昭三君。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三であります。  まず一番最初に、五十五年度の高速自動車国道の建設についてお伺いします。  現在、国土の基幹的ネットワークの形成と地域間格差の是正に資するため、第八次道路整備五カ年計画があるわけでございます。この計画に基づいて高速自動車国道の建設が推進されておるわけでございまして、五十五年度の未供用の延長予定が二千八百七十九キロ、そして五十六年度、来年度の計画として三千キロを超す計画が出ておるわけでございますが、五十五年度のこの延長予定はどのような実施予定になっておるか、一〇〇%遂行されるかどうか、その見通しについて最初にお伺いをします。
  116. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  五十五年度の予定といたしましては、ただいまのところ二千八百七十九キロメートルを予定いたしております。それから、これがおくれているかどうかという点につきましては、五カ年計画その他長期的なものは若干のおくれが出ておりますということを申し上げます。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 先ほどもありましたように、高速道路上における自動車の利用台数が非常に大幅に増加をして事故も多い。あるいはまたこの事故の誘因として覚せい度というのですか、眠気の問題等からドライバーの過労対策として新しい二・九通達というのが労働省の基準局の方からも出ておるわけでございまして、これは前回よりは非常に厳しい対応として出ておるわけでございますが、肝心のいわゆるパーキングエリア、サービスエリアの拡充を図らなければいけない。いまも自動車局長の方ですか道路局長の方からも答弁が出ておりますけれども、私どもはこれの早急な改善ということを実施していただかなければいかぬと思うのですが、きょうは、そのサービスエリアあるいはまたパーキングエリアで利用者にどのようなサービスが実態として行われておるかということに問題をしぼりまして、少し質問をさせていただきたいと思うわけです。  そこで、パーキングエリアの内容になりますけけれども、これはサービスエリアもそうでございますが、ここへ行きますと休憩所、給油所、修理所その他いろいろなものがあるわけです。これは国が公団、あるいは公団から道路占有許可を財団法人道路施設協会というのに与えて一切やっておるのではないかと思いますが、この協会一社だけですか、お伺いします。
  118. 森田松仁

    森田参考人 お答え申し上げます。  お尋ねの高速道路におきます売店、食堂、給油所、そういったものの建設、管理につきましては、道路占用物件といたしまして、公益法人でございます道路施設協会に一元的に行わせております。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 そしてこの協会は、公益性とある面での企業性というものの調和を持って一エリアに一つの民間業者を選んでおるわけです。一エリアというのは距離的に二百キロだとか百五十キロと言われておるわけでございまして、全国的に五十から六十近い民間業者があるようでございますが、大手の五社ぐらいの名前を挙げていただきたいと思います。——予定がなければ一社か二社でいいです。公団は御存じだと思うのですが、何かないようでございますから、それでは、一番大きいので日本ロードサービスという会社があることは御存じですか。
  120. 森田松仁

    森田参考人 メンテ業者でございまして、存じております。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 ごめんなさい。日本ハイウェイ・サービスというのがあるかどうかということですが、訂正してもう一回質問をします。
  122. 森田松仁

    森田参考人 日本ハイウェイ・サービス株式会社は、当公団の料金徴収あるいは清掃業務あるいは売店の営業を委託によってやっております。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 大手五社の例を挙げますと、日本ロード・メンテナンスだとかトッペイ産業だとかハイウエイ開発だとか東京ハイウェイ、いま私が触れました日本ハイウェイ・サービス、非常に大きな企業がございます。これは大体昭和三十七、八年ごろにそれぞれ設立された企業でございますが、非常に収益性が高いということが会社年鑑等を見ても出ておるわけでございます。これはいま触れましたように、施設協会がハイウエー百五十キロから二百キロで独占的に契約をさしておるわけでございますから、非常に収益率がいいわけです。この会社の内容でございますけれども、協会は、営業契約書第十七条というので、当該地区の営業についていかなる方法あるいはまた名称によるかを問わず第三者にかわって営業させることはできない、こういう項目があるわけでございますが、公団はそういうように御指導なすっておみえになるわけですか。
  124. 森田松仁

    森田参考人 道路公団が、道路施設協会に占用の許可をいたす場合に、占用の条件がございます。その中に「占用者は、営業者がその他の第三者に営業を行わせないように配慮する」という占用条件がございます。したがいまして、それを受けまして施設協会は、委託の営業者と契約を結んでおる、かように考えております。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 ではもう一回前に戻りまして、協会は一地区に一民間会社と独占契約をするわけですけれども、その会社は全国で五十から六十あるわけですが、道路だとか施設に理解ある者ならばだれでもそういう会社を設立することができるのか、あるいは設立した会社に対して協会は営業権というのですか、そういう契約を与えることはできるわけですか。
  126. 森田松仁

    森田参考人 サービスエリア、パーキングエリアの道路サービス施設でございますけれども、これの営業につきましては先ほど申し上げましたように、道路占用者でございます通路施設協会が、まず道路の利用者へのサービスを確保するため、あるいはきめ細かなサービスを提供するといった観点から営業者を選定してまいっております。具体的には、たとえばパーキング等の小規模な売店につきましては道路管理業務に精通した者の中から、またサービスエリアの食堂につきましては広く信用、経験を有する者の中から、また給油所につきましては元売り十三社、石油精製業者の中から選定いたしまして営業を行わせ、道路利用者へのサービスを図っておる、こういうことでございます。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 そこの二つの条件で、私は具体的な例を挙げて申し上げるわけでございますが、日本ハイウェイ・サービスは全国ネットの、高速道路におけるメンテナンス業者としては最大手でございます。資本金は、払い込みがたしか五千万円で、授権は約一億になっておりますか、そして企業内容も最近の実績は大変いいわけでございまして、先ほど触れましたように食堂から売店からあるいは料金徴収から、いろいろな仕事をやっておみえになるようでございますけれども、たまたま愛知県の守山と東郷の売店をやっておるわけでございますが、いま日本ハイウェイ・サービスが直接協会と契約をしておるにもかかわらず、実質的には第三者の方が、日本ハイウェイ・サービスが契約をする以前から公団の幹部の方々の紹介で食堂を経営なさっておみえになるわけです。この件について、名古屋地方裁判所で争いがあることを御存じでございますか。
  128. 森田松仁

    森田参考人 道路施設協会を通じまして聞いております。
  129. 草川昭三

    ○草川委員 これをごく簡単に申し上げますと、安田明雄さんという方が高速道路ができたときに、昔建設省のお役人だったと言われております方の御紹介でこの売店を経営した。ところがこの人は、いまのお話ではございませんが、食堂経営については非常に精通をしておりますけれども、個人でありますから日本ハイウェイというものを通じなければ契約ができないということになった。ところが、契約上は道路施設協会は日本ハイウェイ・サービスとより契約できませんし、日本ハイウェイ・サービス自身が仕事をしなければいけないという契約になっておるわけですから、この安田何がしという人を便宜的にここの支配人ということにして、給料を払っていないにもかかわらず払ったがごとき書類をつくりまして、そして支配人という扱いで現実に営業をしてきておるわけです。  これが今日争いになりまして、ハイウェイ・サービスは、私がやり出すということを言い、建物の明け渡しを命ずる。本人は、おかしい、私はあなたが言うより以前から仕事をやっておるのだということで、名古屋地方裁判所の第一審で日本ハイウェイ・サービス会社が敗訴をしておるわけです。前から食堂を経営なさってみえる方が勝訴をしております。  こういうものをいま公団の方がお認めになったわけですが、この記録の中からいきますと、上納金が非常に多過ぎる、マージンが多過ぎるということに問題が出てきておるわけです。たとえば、うどんの営業にしても売店のいろいろなものの売り方についても、協会なり日本ハイウェイ・サービスという会社の手数料、ピンはねが多過ぎるのではないかと思うのですが、一体幾らぐらい食堂経営者から上納しておるかということについて、公団は御存じですか。
  130. 森田松仁

    森田参考人 道路施設協会と営業者の間で締結されます営業契約の対価でございますが、これは通常営業料と申しておりますが、この営業料は高速道路上で営業を行うことに対しまして支払われる総合的な対価と考えております。  先生御質問の上納金という言葉でございますが、先ほど申されました日本ハイウェイ・サービスと安田氏の訴訟でございますが、その訴訟の段階で、証拠書類の中で納付金というものが記載されておる、かように聞いております。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 具体的なパーセントということは、公団は御存じないのですか。
  132. 森田松仁

    森田参考人 聞いておりません。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 聞いてないということは、実際問題として管理監督がなっていないと思うのですね。常識でしょう。たとえばガソリンスタンドの権利の取り合いなどというのはすごい問題があるじゃないですか、ガソリンスタンドをどこのメーカーが取るなどということについて。ガソリンだって、現在市中は、都市の近郊では百三十円から百三十五、六円ですよ。いま公団は——公団というよりもこの施設協会がガソリンを納入しているのは百四十八円。高いじゃないですか。こういうことだって関心持ってもらわなければ困る。  五十五年九月六日、私のところにこの小さな食堂、ハイウェイのパーキングエリアですから、いわゆる日本ハイウェイというところの上納金は、小さなうどん屋さん一軒で千五十三万二千九百六円の請求書が来ているのです。守山売店納付金という名前ですよ。千五十三万二千九百六円、こういうものが上納されておるわけですし、マージンは裁判記録等によりますと二八%取られておるのです。うどん屋さんも自分の営業をとらなければいけない。先ほど触れましたようにハイウエーの延長キロ数は非常に長いキロ数になっておりまして、さらに今度も二千何キロふやすわけでございますけれども、私はこれは全国的、全道路的にこういうことがあると思うのですが、その点の把握はどうでしょう。
  134. 森田松仁

    森田参考人 先ほど申し上げましたように、道路施設協会と契約しております営業者の間で支払われますものは営業料でございます。この営業料と申しますものは高速道路上におきまして道路施設協会が所有しております施設、これを使いまして、かつ高速道路上といったような有利な条件のもとに営業を行う、これに対します総合的な対価でございまして、それ以外のことは聞いておりません。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 対価ですからこの程度のことはあたりまえだとおっしゃるわけですね。そうすると、やはり高速道路そのものは国がつくるわけですよ。そして国民の税金が入っておるわけでありますし、われわれもこの高速道路にお金を払って利用して社会的な影響を受けるわけでありますから、その道路におけるサービスというものはおのずから公益性というものがなければなりませんね。そういう条件がなければいけない。だからこそ国は公団に、公団は施設協会に、施設協会は一エリア一民間企業に独占させる。しかもこの食堂の場合も例を挙げますと、かつて神戸におみえになった方々が、仕事をやめてキツネかタヌキが出るような不便なところで営業をなさった。しかもそれは公団の指示でやった、幹部の紹介で。ところが、普通ならばそのうどん屋さん、その食堂の人に協会は直接契約すべきなんだけれども、お役人の天下りがないと、日本ハイウェイという会社あるいはハイウエイ開発、トッペイ産業、東京ハイウェイ、日本ロード・メンテナンス、日本高速道路施設管理株式会社、こういう会社は協会によって認定されない、協定されないわけですよ。だれでも自由に、私はやりたいと言ったってお役人を入れなければだめなんです。官僚の天下りですよ。日本ハイウェイ・サービスは社長も元防衛施設庁長官林さんであります。あるいは建設省からもお見えになりますし公団の方もお見えになりますし、地方の支店長は、ほとんど日本道路公団の監事だとか技術部の調査役だとか補佐さんだとかというような方々が大半のメンバーになっておみえになるわけです。そして財団法人の施設協会の役員の方々も、これは前の公団の総裁から協会の顧問から理事長から、前の監査役だとか、何とか建設局の局長だとか、もうずらっと、結局お役人のグループでなければまず会社をつくっても意味がない、資格がない。  たまたまその小さな食堂のおやじさんは先住権というのですか、もうそこで営業することになったので、やむを得ずメーキングというのですか、これは私全部資料もございますけれども、七月、八月、九月、十月という毎月の納付金に自分の給料をわざわざ上納したようなメーキングをして、つくって、そしてその会社の従業員だという形にしてごまかしてきているわけです。  こういう例について、いま公団の方は承知をしていないと言うのですけれども、私はいろいろと調べておりますと、それこそ神戸の方からあるいは東北から北陸から、道路公団を取り巻く営業行為というのはほとんど同様、類似的なことが行われてきておる。しかも大型の食堂、サービスの権利の取り合いなんというのは熾烈なものがある、こういう状況だと思うのですが、私のこの意見についてどうお考えになるのでありますか。
  136. 森田松仁

    森田参考人 高速道路のパーキングエリアの売店でございますけれども、これは御案内のように軽い食べ物あるいは飲み物、手軽なサービスを提供いたしております。ただ、パーキングエリアは単にこういったサービス提供の場所だけではございませんで、道路の運営管理上きわめて重要な役割りを実は課しておる場所でございます。たとえば災害あるいは事故あるいは異常気象などの異常事態の発生の場合の現場処理基地、さらには道路情報の提供、道路案内の場所、それから冬季の雪氷対策の基地、あるいは不正通行車両や過積載車両の検問、こういった仕事にも使われる場所でございます。したがいまして、売店の営業者につきましては、こういった道路管理の運営にかかわります業務全般に精通して十分な知識経験を有する者、場合によりましては道路管理者にかわりまして臨機応変な措置をとり得る、こういった者から選んでいるわけでございます。  なお、食堂等につきましての先生の御指摘につきましては、今後十分注意してまいりたいと考えております。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 一番末端でとにかく常業行為をする人は、いまおっしゃられましたようにやはり道路の施設あるいはメンテナンス、いろいろなことについて十分な関心と責任がなければいけないのは当然です。たまたまいま私が申し上げましたこの安田さんというのは、そういう意味では、移動売店の排除あるいは盗難防止だとか植木の盗難等について、自分がそれを植えかえるとか清掃、整とんに大変努力をしたというので日本ハイウェイ・サービスの支店長からの表彰状があったり、財団法人道路施設協会理事長の門叶さんの感謝状なんかを受け取っている人なんですね。  ところが、それほど過去に実績がある人にもかかわらず、日本ハイウェイ・サービスというのは契約不十分ということで追い出しにかかっておる、名古屋地方裁判所はその追い出しが不当だといって会社側に敗訴を命じておる、こういう現実を公団はどう見るのか。恐らく何回かの話し合いがあった。それほど熱心な人だったら直接契約したっていいじゃないか。しかし個人じゃだめですよ、いわゆるお役人の天下りで一つの会社をつくらなければだめなんだよ、こういう状況が実際インフォーマルな中にあるわけですよ。そうすると、お役人の天下りを入れればこういうことができるのかどうか。お役人の天下りがなくてもこういう営業をさせることができるのかどうか。たとえば高速道路の問題について私が非常に熱心だ、私が会社をつくったら、まあ私という個人の名前では問題ですけれども、一民間人が出したらそれは認めますが、やはりお役人の天下りがなければだめですか、明確に御答弁願いたいと思います。
  138. 森田松仁

    森田参考人 先ほど申し上げました休憩施設だけではなくて、道路運営管理上の業務全般に精通し、十分な知識経験を有するということであれば対象たり得ると考えております。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 ですから私は、サービスエリアあるいはパーキングエリア、それから改札業務、それぞれ違うと思うのです。改札業務だけをやっておると赤字になるから、大きな会社でプールをしようというお考えも若干あるようですね。しかし、高速道路のゲートの切符を取ったりやったりする人たちは大体定年過ぎた方々が多いわけですし、一定の経費をストレートに払えば何も赤字になるわけないのですよ。そこの働く人たちに対するピンはねがあるから、そのピンはね料が少ないから、これがトータル的に余りうまみがないから食堂とくっつけようじゃないか、こういう発想そのものが私は間違っておると思うのです。集金業務は集金業務で別建ての指導をすべきだと思うのです。お金を扱うのですから。食堂は食堂、ガソリンスタンドはガソリンスタンド、それを何か一括の営業相手にしなければいけないという発想がおかしい。そこへ何だかんだ言うけれども天下りが必要だ、こういうことになります。いま公団の森田理事の方から、別にお役人の天下りが前提でなければやれないということはないということをおっしゃったわけですから、私はそれを一つの問題点として理解いたしますけれども、けじめだけははっきりとつけておいていただかなければいかぬと思うのです。  時間が来ましたので、とりあえずこの種のものが実は全国的にたくさんあるということ、しかもたくさんの方々がこのハイウエーを利用しておるわけでありますし、それが一部の方々の独占になり、しかも利権の対象になるということは大間違いなことだ、私はこう考えるわけでございまして、最後に建設省の方から私の意見についてひとつお答えを願いたいと思います。
  140. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 パーキングエリアでありますとかサービスエリアを含みます高速道路の管理につきましては、もちろん先生の御指摘のように道路利用者へのサービスという点がございますし、また交通の安全ということも十分考えてやらなければいけないと思うわけでございます。そういう意味で、いままで道路公団あるいは施設協会を指導してまいりましたが、なお本日の先生の御指摘の趣旨を踏まえまして、今後とも一層適切な管理が行われるように指導監督してまいりたいと存じます。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 最後に、これは委員長にも要望し、それから調査室の方にも要望いたしますけれども、一番最初に触れましたように、これから非常に供用区間も延長されるわけでございまして、私が触れた点も今後ますますこの種の類似事項が多くなる問題もございますので、ぜひとも全国的な調査調査室としても把握していただきたいことを要望して、終わりたいと思います。以上です。ありがとうございました。
  142. 田中昭二

    田中委員長 次に、三浦隆君。
  143. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 初めに、シャットル・アラブ川に足どめされております日本船舶の安全確保の問題についてお尋ねしたいと思います。  シャットル・アラブ川に足どめされております日本船舶の実態と乗組員の動向について御説明いただきたいと思います。
  144. 柳昭夫

    ○柳説明員 御説明いたします。  十月二十二日現在、きのうでございますけれども、ペルシャ湾内には四十四隻の日本商船隊の船舶がおるわけでございますが、このうちシャットル・アラブ川及びその周辺におります日本船は、日本籍船が五隻と外国船が二隻、合計七隻がその地区に足どめをされておるわけでございます。これらの船舶の中には、現時点におきまして、日本人船員五十三名と外国人船員三十九名、合計いたしまして九十二名の乗組員が船内及びその近くに滞在しております。このほかに、これらの乗組員のうちすでに船を離れて帰国した者あるいは帰国の途にある者が、日本人四十九名と外国人三十二名の合計八十一名でございます。運輸省といたしましては、外交チャネルを通じまして、イラン、イラク政府に対しまして乗組員の帰国に際しましての便宜供与方を要請いたしておりますとともに、日本商船隊の安全確保方を再三にわたりまして要請しているところでございます。
  145. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この人たちが脱出できない理由は、イランがとめているのか、イラクがとめているのか、あるいは日本自体の理由でとまっているのでしょうか。
  146. 柳昭夫

    ○柳説明員 船舶の脱出につきましては、日本政府並びに船会社といたしましては、なるべく早目に安全に退避させてまいりたいということを両国政府に再三にわたりまして申し入れておるわけでございますけれども、不幸にいたしまして、いまの時点におきましてはまだ安全航行につきまして保障されないということでございまして、やむを得ずイラン、イラクにとどまっておるわけでございます。
  147. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いまイラクのバスラ港にいたりあるいはウムカスル港にいるのだと思うのですが、イラク側は出ることは別にとめてないわけですか。
  148. 柳昭夫

    ○柳説明員 とめておるわけではございませんけれども、安全を保障できない、こういうことでございまして、日本政府並びに日本船社といたしましては、航行について安全が保障されなければ出港することについて危険を感じておりますのでまだとどまっておる、こういうことでございます。
  149. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 安全を保障できないというのは、たとえばイラクの港を出たときにイランの側からの砲撃その他が心配されるということですか。
  150. 柳昭夫

    ○柳説明員 そういうことでございます。
  151. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 このようにいまイラン、イラクの紛争が激化している中で、こうした事態がなぜ避けられなかったのでしょうか。
  152. 柳昭夫

    ○柳説明員 ペルシャ湾につきましてはかねてから情報をとりまして、いろいろと船社並びに当該船舶に通報しておるところでございますけれども、今回足どめを食らっております船は、すべて今回の紛争が始まる前にこれらの地域に入ったわけでございまして、今回の紛争が非常に突発的に起こったということで、情報につきましては十分予知できなかったということでございます。ただわれわれといたしましては、外交チャネルを通しましてできる限りの情報をとるということに努めておりますけれども、現実に船は、九月二十五日以降はイラン、イラクのこれらの戦闘地域には一切配船されておりません。
  153. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 イラン、イラクの紛争が突発的で予測できなかったというのですが、ではイラン、イラクの紛争が始まって以後、ペルシャ湾内や何かに日本の商船は出入りしているのでしょうか。
  154. 柳昭夫

    ○柳説明員 危険地帯と申しますのは現在のところイラン、イラクの戦闘地域だけでございまして、そのほかのペルシャ湾につきましては目下は安全に航行しております。特にホルムズ海峡でございますが、これは若干イラン側から航路の変更の要請がございまして、旧来の航路に比べますと若干南に下がった航路を通っておりますが、少なくとも船舶は安全にかつ確実に運航されておりまして、現在のところ全く支障はございません。したがいまして、イラン、イラクを除きましたペルシャ湾地域につきましては、従来どおり全く平常にタンカーを初め各種の船が出入りしております。
  155. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 船員法の十九条六号に、船長の航行に関する報告義務があるわけですが、船長あるいは所有者並びに運航者の船会社から、現在とどめられている船の積み荷の状況とか、あるいは船の中に閉じ込められている乗務員の昨今の生活状況など、どういう報告がなされておりましょうか。
  156. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。  船員の現地の状況につきましては、全日海の方とそれからこちらの船社の代表の方々がしょっちゅう連絡会議を催しておりまして、そこで船社と全日海との間で決められたことがそのまますぐ、現地に箱崎丸という船がおりまして、その船がマルサットという非常に性能のすぐれた通信装置を持っておりますので、その船を通じて全部そちらの方に連絡をする。それから現地で変わったことがありました場合には、その箱崎丸のマルサットを通じて現地の状況がまたこちらの方の船社筋あるいは全日海の方に連絡がありまして、それで両者で寄ってその対策を立ててすぐ連絡する、その都度私どもの方にまた船会社あるいは全日海の方から連絡が来るというふうな体制になっております。
  157. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま足どめによります船舶の船体あるいは積み荷にもし損失などがあった場合、どういう補償がなされるのでしょうか。
  158. 柳昭夫

    ○柳説明員 基本的に、危険水域に配船しておりますので、当然その危険に伴いますところのいろいろな保険料の割り増しでございますとか経済的な損失があるわけでございます。これにつきましては、船社は第一義的に荷主に対しまして特別な割り増し運賃をいただく、こういうふうなことで対処するわけでございますし、万一の場合には保険でそれの損失をカバーするというのが通常の商業的な考え方でございます。
  159. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 船員の方の補償の問題につきましては、実は船員保険法が原則にはございますけれども、そのほかに使用者側から別途の慰労金といいますか補償金といいますか、それが出ることになっておりまして、その辺につきましては船主団体と全日海、これは海員組合ですけれども、その方とで確認書というのを結んでおります。これはもともとこういう紛争地域にある場合には常に結ぶようになっておりまして、アラブとイスラエルの紛争のときにもそういうような覚書を結んでおります。今回の問題についても、どの程度の補償をするか、あるいはそういう危険地帯へ行くのに対してどういうふうな補償金を出すかということは、現在労使間で話し合い中でございます。
  160. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 もし乗組員だけが脱出したとして、その残された船舶と積み荷ですね、いままでのところは乗組員が乗っている状況質問したわけですが、仮に乗組員だけ先に逃げ出してしまった、その後の問題はどうなりましょうか。
  161. 柳昭夫

    ○柳説明員 先ほど御説明いたしました七隻のうちには、すでに船員が離れておりまして空っぽになっている船もあるわけでございますが、私が先ほど申しました補償関係、保険関係あるいは荷主に対する請求というようなものは、船員が乗っている、乗っていないには関係ございませんで、全く同じでございます。
  162. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いまバスラ港なりウムカスル港などに入っている場合、いわゆるとん税のようなものは支払っておるのでしょうか。
  163. 柳昭夫

    ○柳説明員 まだ詳細に私は聞いておりませんけれども、戦争状態でございますので、現に金を払っているということはないと思います。
  164. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 足どめされています船舶乗組員の安全確保について、政府のいわゆる外交交渉というか外交保護権というのは具体的にどういうふうに展開されておるのでしょう。
  165. 大村喬一

    ○大村説明員 当初、紛争勃発当時、実は在留邦人の安全とともに船舶及び乗組員の安全について、イラン、イラク両国に申し入れをいたしました。それから、運輸省と実は密接な協議をして、こういう安全確保については万全の措置をとるということにしておりますけれども、全日本海員組合から特に要望がございまして、イラク政府に対しましては、停泊中の船舶及び乗組員の安全確保、出港許可、それから、もし出港許可が行われた場合の安全航行、パイロットの手配、水、燃料、食糧等の確保ということについて申し入れをいたしました。これに対しましてイラク政府は、十分協力します、ただし、先ほど御説明がありましたように、出港許可につきましては、安全は各社の責任においてやってほしい、こういうことがございましたので、この辺、海員組合と運輸省との間で協議の結果、そのままバスラ地区にいるということになりました。なお、バグダードの大使館からは人を一人派遣しておりまして、乗組員が脱出したいという場合には同行いたしまして、実はクウェートの国境まで船員を誘導して、いろいろ出国手続等について手伝いをしておるのが現状でございます。
  166. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 イラクに対しては申し入れて、それに対する協力が約束されているということですが、そうすると、いまイラクの港にとどまっているわけですから、その乗組員だけは全員逃げようと思えば逃げられる状況にあるわけですか。
  167. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 仰せのとおり逃げられる状況にございます。
  168. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 全員逃げられる状況にありながら、なぜ危険を覚悟で残っているのですか。
  169. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 この問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、海員組合の方と使用者との間でしょっちゅう連絡会議を開いておりまして、せんだってもその会議の席上、できるだけ早く逃げてくるようにというふうな申し合わせになりまして、その点を先ほど申しましたようなルートを通じて現地の方に連絡しております。ただ、現地の方にそういうふうな連絡はしておりますけれども、やはり最終的な判断というのは船長にあるわけでございますので、船長には連絡しておりますが、船長の判断で、まだ現地におる方が安全だろうというふうな感じで残っておるのだろうとわれわれは推察しております。
  170. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 当地はいま一番危険であるアバダンのすぐそばにあるわけですね。しかも、アバダン攻略はいま最後の大詰めに来て、極端に言えばどうなるかわからぬくらいの緊迫した状況にあると思うのです。そうすると、そんな一番危なっかしい時期、危なっかしい場所になぜとどまっているのか、それをなぜ船長が自分の判断だけでもってがんばらなければならぬのか。もしそのところにアバダンの飛ばっちりで弾が飛んできて船員の生命を損なうような場合、船長判断だけだからでは済まないのじゃないでしょうか。むしろこちらの方から船長に対して、アバダンはいま攻略中できわめて危ない時期なんだから早いところ逃げ出せ、そう指示すべきじゃないでしょうか。
  171. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 御指摘の点は、船長だけの判断ではございませんで、乗組員の中で船内委員会がございますので、乗組員全員が決めておることだと思います。それから、いま先生の御指摘の点につきましては、先ほど申しましたように、船主サイドと組合サイドとの間の話し合いによりましてできるだけ人命の安全を図るように、危険なときには早く帰ってくるようにという連絡は向こうにしております。
  172. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 そうすると、逃げられるにもかかわらず船長並びに乗組員の自由意思で残っているとすれば、もし仮に被害があっても、今度は仕方がないのじゃないか。言うなれば逃げられないからやむなく、たとえば被害が起こったら、これはかわいそうだという気がしますが、いまは逃げられる状況にあるのにあえて逃げないのだというならば、この人たちは仮に事故が起こってもしようがないのじゃないかという気もしますが、どうでしょう。
  173. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 私どもの方も実は船主サイドあるいは組合サイドといろいろ話し合っておる最中でありますけれども、八隻のうちに、すでに船舶から全員引き揚げてきた船もございますし、全員残っておる船もございますし、あるいは半数引き揚げて半数残っておる船もございます。そういうことから判断いたしますと、やはり船舶それぞれによってそのおる場所あるいは雰囲気、そういうものすべてを判断して、これは危険だと思う船は帰ってきておる、それから、まだ大丈夫だという判断をされる船は残っておるのだろうということでございまして、御指摘のとおりできるだけ早く安全確保のために帰ってこいという指示はしておりますけれども、何せ現地の方でそういう判断のもとにとどまっておるのだろうというふうに推察しておる次第でございます。
  174. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 イラクの方には申し入れたということですが、イランに対してはどうなっているのでしょうか、安全保障について。
  175. 大村喬一

    ○大村説明員 イランについても同様申し入れを行いました。しかしながら、イランの場合にはわが方の船は一隻でございまして、それがたしか十月の十三日かと思いましたけれども、いままで一度も爆撃を受けたことのないバンダルアバスの港の方に出港して実はそちらの方に停泊しておりますので、比較的安全だと思われますが、同様な申し入れは、先ほど申しましたようにイラン政府にもいたしております。
  176. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 イラクのバスラ港なりウムカスル港から仮にペルシャ湾を通って全員が脱出したいということに対して、イランに政府として申し入れて、いまわが国の船が七隻ですかおる、これから出ていくから、出て、たとえば何月何日何時に通るから、そのときだけ何とかしてくれぬかと、イランに直接具体的にそういう申し入れをしたということはないのですか。
  177. 大村喬一

    ○大村説明員 実は、言葉足らずで申しわけありませんでしたけれども、先ほど先生のおっしゃったとおりの申し入れをいたしております。
  178. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 申し入れてもそれに対して向こうはいわゆるいい返事をよこさない、こういうことなんでしょうか。
  179. 大村喬一

    ○大村説明員 残念ながら、はっきりとした返事はイラン側からもらっておりません。
  180. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 もし直接でだめな場合に、第三国を介してというか、周旋とかあるいは仲介とか調停とか、そこまでいきませんが、周旋ぐらい何かやられないのですか。
  181. 鈴木登

    ○鈴木(登)政府委員 シャットル・アラブ川は非常に運航のしにくい川でございまして、船長だけで船を運転して帰ってくるというわけにはまいりません。パイロット、それが絶対必要な地域でございますので、その辺についていろいろ要求するわけですけれども、まだその辺が解決されていないということだと思います。
  182. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 質問の仕方が悪かったか、答えが違った方向にいったのですが、私が言いたかったのは、イラクの港からその川をおりてくるときに安全保障が確立されていない、そのときにイランに申し入れられたけれどもはっきりとした安全の裏づけがとれていないということなので、直接のイランとの交渉ではなくて、日本とイランとの間にだれか、どこかの国を、第三国を媒介としてもう少し色よい返事がもらえるような何かができないだろうかということです。
  183. 柳昭夫

    ○柳説明員 この問題につきましては、国連のワルトハイム事務総長がイランとイラクの双方の国に対しまして提案を行いまして、これらの船に国連旗をつけさしてそれで安全に出してくれぬか、こういうことを申し入れしたわけでございますけれども、これに対しまして、私ども承知しておりまする限りにおきましては、イランはいいと言ったのでございますが、イラクの方はイラクの旗をつけなければだめだ、こういうことを言って、いまのところ暗礁に乗り上げている、こういうふうに私ども承知しております。
  184. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 こういうイランあるいはイラクとの紛争があると、紛争だから品物を持っていけば売れるのではないかといったどさくさに紛れた人たちも出るかもしれないということを踏まえて、今後の事故防止のためにも航行規制等しっかり行政指導を行っていただきたい。これは要望であります。  次の質問に移らしていただきます。  二番目、国鉄たるみ事故の問題であります。時間も大分なくなりましたが、たるみ事故がなぜ起こってくるのかということに関連しまして、一つに、働いている人の給与が低いとかあるいは休日、休暇が厳しいということが考えられるのかと思うのですが、動力車乗務員の給与というのは、職員管理規程の五十四条一項四号に動力車乗務員勤務及び給与基準規程というのがありますが、これはほかの働く人たちの給与に比べて特段に低いというふうな基準なのでしょうか。
  185. 近藤良司

    近藤説明員 お答えいたします。  ただいまの問題につきまして、動力車乗務員の給与の関係の御質問でございますが、給与関係につきましてはただいまの御指摘のとおりの定めがございまして、決して、他に比較いたしまして特段に劣るとか低いとかいうことは毛頭ございません。そういうふうに判断いたしております。
  186. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、乗務員の就業条件なんですが、日本国有鉄道就業規則というのがありますが、ではそこの基準はほかの人たちに比べて特段に厳しいのでしょうか。
  187. 近藤良司

    近藤説明員 お答えいたします。  就業条件のお尋ねでございますが、他と比較いたしまして特段にきついというものでもないというふうに考えております。
  188. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 給与が特段に低くなく、就業条件も特段にひどいというわけではない。にもかかわらず国鉄たるみ事故が続くというのは、ではなぜなんでしょうか。
  189. 近藤良司

    近藤説明員 たるみ事故の御質問でございますが、たとえば昭和五十四年度をながめてみますと、職員取り扱い誤りによる事故につきましては全部で百六十六件発生いたしております。ただし、この中身をながめますと、列車の衝突とか脱線とかそういった運転事故というふうに分類いたしておりますが、これが二十五件で、そのほかたとえば駅の構内の入れかえによります車両脱線とかあるいはポイントを破損したとかこういった運転阻害と称しておりますが、これを合わせまして百六十六件というものでございますが、五十三年度に比べますと十九件減少いたしております。  それからまた、詳細なデータを持ち合わせておりませんが、他の私鉄関係もそういった件数でながめてみますと、職員取り扱い誤りによって発生いたしております運転事故というものは、特段に多い数字であるというふうには判断いたしておりません。
  190. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 数を聞いたのではなくて、給与を普通にもらって休日、休暇も普通に保障されているのに、なぜ国鉄だけが事故が多く起こるのか、乗務員がなぜそういう間違いを起こすのかという人間の問題なんです。心の持ち方にたるみがあるのか、どこに欠陥があるのか、そこを聞きたいのです。
  191. 近藤良司

    近藤説明員 お答えいたします。  ただいまの職員取り扱い誤りによります事故の発生の背景でございますが、これはもちろんその職員のモラルあるいは技量とかそういったものを初めといたしまして大変多くの要素が影響してくるのであろうというふうに考えておりますが、先ほども申し上げましたとおり、特に私鉄との差もないと思っておりますし、今後ともそういった事故が発生のしないようにさらに一層引き締めてまいりたいと思っております。
  192. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 そうした抽象的な表現だけであるから事故が減らないのだろうと思うのです。昭和五十年には事故は百五十一件でして、五十四年は百六十六件でして、特に減っているということはそこからも考えられません。むしろ百五十を割ってもいいじゃないか、あるいは百を割ってもいいじゃないかということなんです。  これが人間によるたるみであれば、当然その人間自体にどこか姿勢を正してもらわなければいかぬと思います。場合によっては十分処分の対象になると思うわけです。ここまで、国鉄の方には、日本国有鉄道の就業規則六十六条によりますと、どういうことが懲戒されるのかといった懲戒される行為が列挙されていますし、六十七条には懲戒の種類も書かれていて、それを受けて具体的に職員管理規程五十六条の一項第二号に、懲戒の手続及び取り扱い方に関する基準を制定せよとあって、それを受けて懲戒基準規程というのも全二十九条にわたってあるわけであります。  私が言いたいのは、こういう規程があったとして、現実に何件も何件も事故が起こってきた、過去どういう処分を行ってきたのか、あるいは今回もこれからもどういう処分を行っていくのか、その点をはっきりお尋ねしたいと思います。
  193. 近藤良司

    近藤説明員 お答えいたします。  処分のお話でございますが、職員取り扱い誤りにより事故を起こしました場合、当然処分いたすわけでございます。その処分につきましては、もちろん事故の原因とか事故の内容、それから責任の軽重、あるいはまた刑事処分等も当然出てまいるわけでございまして、それの有無あるいは量刑、そういったものを総合的に判断いたしまして従来から極力速やかに対処いたしております。内容的には非常に厳格にやってきておるつもりございます。ただ、司法機関の訴追等を受けますと、刑事処分の量定が部内処分の判断要素の一つになるわけでございまして、そういった判決の確定を待ちまして部内処分を行っているという場合もあるわけでございます。
  194. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 国鉄はいま多大の赤字を抱えている中にあって、ATSその他に多額の金を支出しているわけです。ATSが作動していれば事故が起きないにもかかわらず、あえてそれをとめて事故が起こっているということもあるわけであります。そうすると、赤字であるのに多額の金を支出しながらそれを使わないならば、何も金かけてつくる必要もないじゃないのかという気もしないではありませんし、また、そうして事故が起こったときに、いわゆる国鉄一家というふうなことで事故を起こした人に対する温情ある処置というものを講ずると、これはまたまた次の事故へといくのではないかというふうに思います。  そういう意味で、続けて質問したいのですが、ちょうど時間切れのようでございますのでこれで打ち切ります。二度とこうした事故が相次いで起こらないように、ひとつ十分に気をつけていただきたい、こう思います。終わります。
  195. 田中昭二

    田中委員長 次に、中路雅弘君。
  196. 中路雅弘

    ○中路委員 きょう最初ですので、障害者の交通安全対策、それから交通遺児の修学援助の問題で、二、三お聞きしたいと思っているいるわけですが、その前に、きょうは運輸大臣に来ていただいておりますので、この数年来国会でも公害環境関係委員会では何度か取り上げられてきた問題ですが、国鉄、鉄建公団等直接運輸大臣の指導監督の問題でありますので、最初に具体的な問題でひとつお尋ねしたいと思うのです。  武蔵野南線に関する問題でございます。公害対策の問題に入る前に、一言これもお聞きしておきたいのですが、ちょうど一年前、昨年の十一月十八日に、武蔵野南線二十五キロのうち四分の三が地下トンネルでございますが、生田トンネルの中で貨物列車の衝突横転事故があったわけです。後続の石油専用列車がぶつからなくて火災などの大事には至らなかったようですけれども、この問題に関連して、川崎市長からも「武蔵野南線にかかわる安全対策の強化について」という国鉄総裁あての五項目の要望書もすでに出されていますし、また、川崎市議会でも国鉄関係者を呼んで論議もされてきたところです。きょうはこの衝突事故そのものの状況事故の問題の質問ではなくて、安全対策に関連して一、二点最初にお聞きしておきたいと思います。  一つは、この武蔵野南線を含めまして、いま国鉄で危険な火薬類、これは年間どのくらい輸送されているのか。といいますのは、南線を建設する際に鉄建公団が住民の皆さんに説明会で、南線では火薬は運搬しないということを当時約束していられるわけです。ただこの問題は、先日の川崎市議会でも追及されて、鉄建公団の方が国鉄との打ち合わせが非常にまずかった、申しわけなかったということで陳謝をされていますのであえてここでは問題にしませんが、南線にも火薬類あるいは石油専用列車が通っているというわけですけれども、全体としていま国鉄で火薬類の貨物輸送はどの程度行われているのか、簡潔に数字を最初お願いしたい。
  197. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答えいたします。  国鉄が現在運んでおります火薬類の輸送実績でございますが、ここ数年来大体四万トン、ずっと横ばいでございます。申すまでもなく火薬類の輸送につきましては、火薬類取締法に基づきまして火薬類運送規則がございます。それを受けまして、日本国有鉄道運転規則等によりまして取り扱い方を厳格に定めておるわけでございます。国鉄ではこの内容を受けまして、荷づくり包装、貨物あるいは積載方法あるいは連結方等につきまして関係規程で規定をいたしているところでございます。  たとえば荷づくり包装でございますが、これは火薬類運送規則の定めるところによりまして内装、外装、緩衝方法等厳重な規格を適用いたしておりますし、また、使用貨車につきましては原則として内側木張りの有蓋車を使用するということにいたしております。さらに積載につきましては、係員が立ち合いで、運送中摩擦、動揺、衝突あるいは転倒ということのないように積みつけ方を厳重に指導いたしております。また、積載そのものは原則として昼間に限るということにいたしております。そのほか積載重量は使用貨車の表記荷重の八〇%に限るとか、あるいはお客さんをお運びする列車とは連結をいたさない、貨物列車に限るという制限もございますし、一列車には十両以下、あるいは火薬を積んでおる貨物の前後には介在車と申しまして空車をはさむというような非常に厳格な制限をいろいろ付して、安全方につきましては十分意を用いているところでございます。
  198. 中路雅弘

    ○中路委員 年間約四万トン、いまのお話ですと輸送されていますから、当然主要な貨物幹線であるこの南線の地下にも火薬が通っている、あるいはその他石油類等も通っているわけですが、このことと関連して、トンネル内の特に防災対策について関係の住民の皆さんも大変不安もありますし、自治体の要望も、その点について要望されているわけです。  私は時間の関係で一点だけお聞きしておきたいのですが、先日も川崎市議会の中で、特に地表から地下への消防隊や消防器材の搬入、これがいま各所につくられています立て坑と言われているもの、これを利用するということは困難だ、中から出たり脱出したりするときがありますけれども、消防の器材等を入れることは困難だということが議会のやりとりの中でも出ているわけです。  したがって、市長からの要請もありますが、地表からの消防隊の専用の出入り口といいますかトンネルの出口、梶ケ谷あるいは府中本町というものがあると思いますが、こうしたところにやはり消防の体制のいろいろそういう器材等の準備が必要ではないかということがあるわけです。事故の後の安全対策、あるいは自治体からもこういう要望が出ているわけですが、地元の自治体とも相談をされて、こうした要望が出ています消防のたとえば出入り口の整備の問題、こうした点について具体的なお考えがあるかどうか、一点お聞きしておきたいと思います。
  199. 野澤太三

    ○野澤説明員 生田トンネルの防災対策につきましてお答え申し上げます。  川崎の市長さんからの申し入れ等に基づきまして、私ども、昭和四十七年に発生しました北陸トンネルの火災事故にかんがみまして、従前からトンネル内の火災対策についてはいろいろ意を使ってきたところでございますが、生田トンネルにおきましてもこれにならいまして、消火器を坑内に三十メートルおきに設ける、あるいは標示類を出しまして、待避所の位置あるいは坑口の方向の指示その他を行うとか、あるいはトンネル内の照明を設置しまして歩行が容易になるようにする、それから、電話機を三百メートルおきに置く、また、列車の無線がトンネル内から外に聞こえるように設備をする、なおまた、対向列車あるいは後続列車がトンネル内に事故の場合進入しないような装置を設けるといった一連の安全設備を施しております。  なお、火災が発生いたしました場合に、御指摘の消防関係の皆さんが直ちに入れるようにということで、工事を施行する際に設けました立て坑の利用につきまして、関係の市町村あるいは消防署、警察署等と連絡をとりまして、これらの利用が速やかに行われるように、かぎの受け渡し、連絡のやり方その他についての打ち合わせを十分やっておるところでございます。市議会関係皆さん方にも、当方の担当者が赴きまして、その段御説明を済ましておるところでございます。  以上でございます。
  200. 中路雅弘

    ○中路委員 私がお聞きしているのは、その委員会でいまお話しの立て坑を使っての消防活動、消防器材や消防隊が入る、これが困難だということが議会の論議の中で出ているわけです。その対策としてやはりトンネルの出入り口、立て坑じゃなくてそういうところに施策が必要じゃないかということをお尋ねしているわけなんで、この点について検討されているのかどうか、もう一点だけお聞きをしておきたい。
  201. 野澤太三

    ○野澤説明員 立て抗につきましては非常に狭いものもございまして、御指摘のように器材を持って入るということが困難なものもございます。広いものにつきましては階段等も設置されておりますので、比較的客易に出入りができますが、消防のホース等の持ち込みは立て坑経由でもすべて可能だと考えております。  なお、トンネルの入り口付近におきます消防活動の拠点の件につきましては、これから十分市の方と詰めまして、御相談に応じていきたいと考えております。
  202. 中路雅弘

    ○中路委員 今後市とこの問題を十分相談していくというお話なので、ぜひ具体的にこの問題は、設置ができるように、対策をお願いしたいと思います。  きょうお尋ねしたかったのは、いままでも取り上げてきていますし、関係者はもう御存じですから状況はお話ししませんが、この南線が七六年の三月一日に開通してから四年余りたちます。開通直後から、もう一般の新聞等でもたびたび報道されているように、振動、騒音、特に振動ですが、公害が大問題になってきて、今日に至るも、部分的な改善はありますが、ほとんど全くと言っていいほどまだ改善をされていない。  ことしの二月十九日に私が国会でこの問題を取り上げた際に、参考人で来ていただきました鉄建公団の藤田理事も、これをつくる前に、七〇年六月二十日に、国鉄と川崎市議会の間で、騒音、振動については県条例の基準、振動を〇・三ミリ以下に抑えるようにするという確認書がありますが、これをもう一度確認をして、そのために努力をするということを約束されていますし、運輸省の鉄道監督局も、いろいろ研究をして、沿線の住民の皆さんと話し合って、問題の解決のために、振動、騒音で迷惑をかけないように努力をするという約束を再度されているわけですが、いまに至るも解決していない。  それだけじゃなくて、これも七八年の九月十九日に、ダイヤについて、特に振動、騒音のひどい深夜ですが、「列車運行本数については、夜間運行本数を減らすように今後検討する」という、ここにありますが、国鉄の西局と関係の住民の皆さんの間で、代表者の署名した確認書があるわけです。  しかし、ことし十月のダイヤ改正に当たっては、上下線でさらに二十五本ふえまして、百三十五本から百六十本になったわけですけれども、それも問題になっています深夜と朝方にに集中してふえている。しかも、こういう確認書があるにもかかわらず、関係の住民の皆さんには事前に全く何の連絡もない、相談もない、説明もないというのが現状でありまして、この点では関係の皆さんは、国鉄、運輸省に対する不信をむしろ大変強めておられるというのが現状なわけです。  たびたび市議会等でも関係のところでこの振動、騒音についても測定していますが、きょうは時間がありませんから資料を出しませんが、現在も約束の基準にとうてい及ばない状態です。一部線路をロングレールにしたり、あるいはレールのつなぎ目に防振パッドを入れたり、あるいは二十六戸ですか、家屋のひびの多いところを直接補修をしたりやっていますし、いまモデルで家屋に対する耐震の実験の工事もやられているわけですけれども、しかし、この工事がやられている水村さんですか、このお宅の話を聞いても、十一月には一応結果が出るそうですが、幾らか改善されてもほとんど変わらないというお話も聞いています。  最近、運輸大臣、私も出席したのですが、横須賀線の分離で横浜で祝典があったときにお会いしたのですが、五十四年の十月に開通した東海道の新貨物線の鶴見−羽沢間のトンネルは違う工事法をとられたわけですね。これはいまの武蔵野南線の教訓といいますか、これから出たんだと思いますけれども、フローティングスラブ軌道、少し浮き上がるのですが、これをとられて、これを最近関係の住民の皆さんが国鉄の案内で見に行かれた。全く違うというのですね。こちらの方はそういう振動もほとんどないということで、いまの国鉄の技術でこれだけのことができるのだから、すでに開通している路線ですけれども、もう少し南線についても抜本的な対策をやってもらえないだろうか。いまでも震度三ぐらいの地震を、真上の住宅の人たちはいつも通ると感じるわけですね。だからこのままですと、もう全部補償か何かして立ち退かなければ解決できない状態なんです。  この点で私は、国鉄がこれだけの技術もあるわけですから、もう少し全体として、専門家等も結集していただいて、この問題の抜本的な解決について検討するプロジェクトなりを持っていただいて、この振動、騒音についていまどういう解決の方策があるのか検討していただきたいと思うのですが、まずこの点で、現状はもう詳しくお話ししませんけれども、ひとつ大臣にお伺いしたいと思うのです。
  203. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 武蔵野南線、振動で御迷惑かけているということを聞いております。こういうことのないように鋭意努力してまいったのでございますが、どういうところからなったのか、その原因探求もいたしております。現存防音壁の設置をするとかロングレールの継ぎ目の溶接、まずこういうことで騒音対策をやっておりまして、これはおおむね完成してまいりましたが、振動につきましては何か軌道パッドの改善工事をいまやりつつございますし、家屋の防振工法で、新しい技術を入れてみていま試しに行っておるように聞いております。まだこの試し、検査の結論が出ない段階で、もうしばらく様子を見ていきたい、こう言っておるようでございますが、運輸省としては国鉄に、この件の騒音、防振対策について万全を期するように強く鉄建公団に指導しておるところでございますので、もうしばらく経過を見てやっていただきたいと思います。
  204. 中路雅弘

    ○中路委員 いま大臣がおっしゃったのは、確かに部分的にそういうことはこの四、五年やられてきたわけです。それも一回ごとに、何度も関係者と協議の中で、やっと腰を上げるということです。しかし、それがいままでのものでは、特に振動問題ではなかなか効果が出ていない。さっきの実験のことですが、これも一戸だけですからね。費用も若干かかるわけですけれども、もう少し対象を広げていただいてポイントを設定して、多様な形態の家屋についても検討しないと、今後の改善の手法も出てこないだろうと、私は素人ですが考えるわけです。そういう意味も含めて、これだけ大きい問題になっているのですから、下の工事局だとか関係者だけでなくて、ひとつ運輸省として鉄建公団、国鉄を指導して、技術陣でももう少し専門的に動員して抜本的な対策を、四年余りたって解決しないのですから、この機会に検討をお願いしたいということが一点。  それから続けてお話ししますけれども、もう一点は、被害者の人たちは相当多数の市民に上っておりますが、国鉄、公団じゃ解決しないから、この問題で一度大臣に現地を見てほしいという要請が私のところにも来ているのです。できればそういう機会も持ってほしいのですが、とりあえずぜひ直接運輸大臣に要請もしたい、陳情もしたい、お願いもしたい、できるだけ早い機会に陳情をお渡ししたいということなので、これもひとつ検討していただきたい。きょうは詳しく実情をお話しできませんので、その二点、もう一度大臣から……。
  205. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 その試行をやっております結果を急がすとともに、あらゆる面から検討をやらしまして、私も鉄建公団に直接指示をいたすようにいたします。  それから、陳情にお越しになりましたら、私たちも陳情をお聞かせいただきます。
  206. 中路雅弘

    ○中路委員 いま大臣も、ぜひ関係者の皆さんの陳情もお聞きするというお話なので、その機会にもう一度現状も聞いていただきたいと思います。  せっかくお見えになっているので、あと五分、短くて申しわけないのですが、予定をしました一、二問だけ簡潔に質問いたします。  来年の国際障害者年に関連して、障害者の交通安全対策の問題です。障害を持つ人が町に買い物に出たり市役所や学校、公園、そういうところに行くのに大変苦労しなければならないということは、障害者の皆さんからよく訴えられます。特に道路や交通機関、こういう市民生活の条件が、障害を持つ人への配慮を抜きにしてつくられておるところが多いからでありますが、近年ようやく一定の対策がとられましたが、他方、駅などが橋上駅になったり高架駅になったりしますので、階段の上りおりなど、新しい障害者の困難もまた出てきております。  私は、来年の障害者年と関連して国際決議等も読んでみましたけれども、この中に、障害者のための目標対策の国家計画準備するということが書かれておりまして、国内では、国際障害者年推進本部が中心でやっておられると思います。八月十九日付で決定されました「国際障害者年事業の推進方針」の中で、「障害者のための鉄道、バスその他の公共交通機関利用対策充実強化」「障害者の利用を考慮した道路、公共建築物等の生活環境施設の設計及び改修の推進」ということが挙げられています。お話で聞きますと、いまこの問題を扱っております国際障害者年特別委員会、中央心身障害者対策協議会の中にありますが、ここで保健、福祉、雇用、教育の四つのプロジェクトチームを設置して計画、立案の作業にかかっておられるということをお聞きしているわけでありますが、いまお話ししました障害者の日常活動、生活における交通機関等を利用しやすくしていく、こういう調査研究は、この四つのプロジェクトの中へ含めてどこかやられるのか、あるいは将来独自のプロジェクトをつくられるのか。障害者年に関連してこの問題をどこで具体的に検討し、施策を進められるのか、厚生省だと思いますが、お聞きしたいと思います。
  207. 板山賢治

    ○板山説明員 先生御指摘の建築物あるいは公共交通機関、道路、こういったものの障害者の住みよい町づくり、生活環境の改善ということが大変重要なテーマでございまして、いまお話がありましたように、中央心身障害者対策協議会の中に設けられました特別委員会、この特別委員会のプロジェクトチームの中で御審議をいただきたい、このように私どもは考えております。特に福祉生活環境部会とでもいいます部会の中で御検討いただいたらいかがか、このように考えまして、ただいま事務的な準備をいたしております。
  208. 中路雅弘

    ○中路委員 時間もありませんから、この問題は具体化される中で改めてまた御質問したいと思います。  もう一点、最近鉄道の駅の構内や公共施設などは、点字ブロック等の施策もいろいろ進んできているわけですが、逆に訴えられますのは、この点字ブロックの上に自転車がどんどん置かれるとか、視力障害者はそれにぶつかってしまって大けがをするとか、そうした種類の、せっかくの施設が設置されても、その目的が国民に十分知らされていない、啓蒙されていないということによって、そこに障害物が置かれて衝突するというような事故も起きているわけです。私は、こういう物理的な改善だけじゃなくて、やはり障害者年に関連して十分そういったものの機能が発揮できるように、政府としてもいろいろ国民に対する、理解、関心が高まるような広報活動なり啓蒙活動が必要ではないかと感じるわけです。決して取り締まり的な方法だけでは解決できないという問題でありますので、時間が来ましたので、これは建設省、運輸省一言ずつ、どういうふうにしてこういった問題の解決、特に国民の正しい理解が障害者のために必要だと考えますが、どういうお考えか、お聞きをしておきたいと思います。
  209. 三木克彦

    ○三木説明員 道路の正しい使い方につきましては、日常のパトロール活動の中で指導しておるわけでございますが、さらに、交通安全運動、道路を守る月間といった機会をとらえまして広報活動を行なって、利用者の方々の理解を得るようにしておる次第でございます。いまお話しの国際障害者年にちなみまして、来年度につきましてはさらにこの広報活動を徹底して行なっていきたいと考えております。
  210. 石月昭二

    石月政府委員 国際障害者年の行動計画といたしまして、私どもは明年度三大都市圏で身障者の方々に主要なターミナルでどんな身障者用の施設があるかというような利用の手引きをつくりまして、身障者の方々の公共交通機関の利用の利便を図りたいと考えているわけでございますが、このほかに、ただいま先生からお話がございましたように、施設をつくりましても仏つくって魂入れずということでは困りますので、今後とも積極的に一般乗客への呼びかけを、政府広報の活用、新聞雑誌等の活用もしくは交通事業者の広報の活用というようなことをやりまして、施設の適切な使い方並びに身障者の公共交通機関の利用に関しての一般の利用客の皆さん方の御協力をPRしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  211. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が来ましたので終わりますが、最後一問だけ、済みません。関係者が来ておられますので一問だけ。改めてこの問題はまたお尋ねしますが、いま街頭でもまた募金をやられています交通遺児の修学援助事業の拡充の問題ですが、委員会でも何度か取り上げられてきている問題です。  いま交通遺児育英会の援助をやっています財政状況というのは、お聞きしますと大変困難な状態になっていまして要望書も出ていますが、特に政府の補助の拡充ということが強くその中で言われているわけです。昨年度の予算の中で、特に補助率をいま三分の一ですが、二分の一ということで運輸省の方は要求をされたそうですが、昨年度はいままでどおり三分の一となっています。ことしの概算要求について、五十六年度どのようになっているのかということとあわせまして、いま大変な状態ですし、先日発表になった交通遺児育英会の「交通遺児家庭の生活危機と生活不安」というタイトルがつきました家庭調査を見ましても大変困難な状態だと思いますので、この点についてはぜひ来年度の予算の中では補助率を含めて拡充について努力をしていただきたいと思いますが、最後にこの問題について一問だけお聞きをして、改めて詳しくお尋ねしたいと思います。これで質問を終わりますが、いまのをまとめてお答え願いたいと思います。
  212. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  私どもが関係しておりますのは、交通遺児育英会の事業のうち高等学校に在学される交通遺児に対して行なっております奨学金の貸与事業に対しての助成でございます。この助成についての考え方は、この育英会がそもそも民間の善意を基盤といたしまして育英活動を行なうということで設立された団体でございます。それで、そういう趣旨を前提といたしまして、健全な事業活動促進のため国が応分の助成をするという考え方で来ておるわけでございます。  自賠責特別会計から昭和四十四年度以来助成を逐次拡充してまいりまして、昭和五十四年度までに基本財産に対する二億二千万円の補助を含めまして累計十一億一千万円余の補助を行なってきているところでございます。五十五年度予算におきましては二億六千万円の補助金を計上しております。さらに五十六年度におきましては、財政方針が非常に厳しい中でございますが、昨年と同様の考え方で四億四千五百万円を補助するため現在要求中でございます。  なお補足いたしますが、五十五年度におきましては公立高校に通います奨学生に対しまして前年度月額一万円でありましたのを一万五千円に、私立高校に通います奨学生に対しましては前年度一万五千円を二万円ということで単価アップしたところでございます。五十六年度の予算においては、先ほど申し上げたように奨学金総額の補助率をおおむね二分の一とするべく要求中でございます。
  213. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの要求は私たちは補助率は三分の二ぜひ必要だと思うのですが、当面二分の一ということで、去年から運輸省の方は要求されているわけですが、ことしはぜひこの要求の中でも補助率の点については実現ができるように努力していただきたいということを要望して終わりたいと思います。時間が延びて申しわけありませんでした。
  214. 田中昭二

    田中委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十六分散会