運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-11-19 第93回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十九日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  土地及び住宅問題に関する小委員       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    中西 啓介君       中村  靖君    村岡 兼造君       小野 信一君    中村  茂君       伏木 和雄君    渡辺 武三君  土地及び住宅問題に関する小委員長                 村岡 兼造君 ————————————————————— 昭和五十五年十一月十九日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 中村  茂君 理事 伏木 和雄君    理事 渡辺 武三君       大野  明君    鹿野 道彦君       鴨田利太郎君    田村 良平君       谷  洋一君    登坂重次郎君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       薮仲 義彦君    瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁水資源局         長       北野  章君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         建設省住宅局参         事官      松谷蒼一郎委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  橋元 徹志君         環境庁水質保全         局水質規制課長 渡辺 一志君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   田中  収君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課計画調         整室長     大脇 知芳君         農林水産省構造         改善局計画部事         業計画課長   北村 純一君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      岩城  彬君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   石田  寛君         建設大臣官房官         庁営繕部長   高野  隆君         建設省河川局次         長       佐藤 毅三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団理事救仁郷斉君及び理事久保田誠三君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、きょうは前から懸案になっておりました建設省専門委員の件についてはっきりさせたいと思います。  十月十七日に開催された本委員会において、私から建設省専門委員の件について質問いたしました。そして、私は次の二点について明らかにするように要求してまいりました。  その一つは、建設省専門委員制度について廃止を含めて見直し検討すべきであるということ、二つとして、適格者でない者は直ちに任命がえをすべきであるということ、この二点でありました。  調査検討の上回答するということになっておりますので、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  6. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先ごろの委員会中村委員からただいまの御質問をいろいろと受けましたことは十分承知いたしております。その後、先生の御質問に沿いまして、種々検討を進めてまいったところでございます。  現在の建設省専門委員のうち、一部の者につき出先機関関係筋を通じて調査を行いましたが、専門委員として特にふさわしくないと認められるような行為があったようには聞いていないとの回答がございました。しかし、いずれにいたしましても誤解を招くような言動は厳に慎まれるよう本人をお呼びいたしまして注意を申し上げたところであります。  なお、今後専門委員任命に際しましては、真に建設行政に対して学識経験を有する者に限って任命することとし、必要に応じて日常の行動が社会的に誤解を招くことのないよう注意することといたしたいと思います。  なお、制度の問題につきましても御質問がございましたが、将来、制度見直しについても検討いたしたいと考えております。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 はっきり申し上げましていまの回答では、私は要求に対して明確な答えになっていない、不満であるということを表明しておきたいと思います。  一部の者、恐らく蓮実進氏ではないかというふうに思うのですけれども出先等を通じて調査した結果ふさわしくないということはなかった、こういうふうに聞いている、いずれにしても注意しておく、こういうことですけれども、私は、こういう問題は 本人に聞いてみても、みずから肩書きを利用して業界を全部回ったとかこれを悪用したとかいうようなことは言うはずがないというふうに思うのです。  そういうことよりも、私がいままで指摘してきたことは、整理して申し上げますと、一つ専門委員の目的というか制度内容になっております建設大臣の諮問とか専門事項について調査、審議などするということになっていますけれども、この制度自身一回もそういうことはしたことがない。建設省専門委員室をただつくってあるだけだ。仕事を全然したことのないこういう専門委員というものについては有名無実に実際はなっているのじゃないか、存置する必要がないというような状態になっているのじゃないか。一回も仕事をしたことのないものについては当然廃止ということを含めて検討されてしかるべきだ。  それから二つ目として、任命が適正を欠いていたのじゃないか、こういうふうに思われるのです。元衆参国会議員が七名も任命されている。それらの人たちは次の選挙を目がけていろいろ運動している。また、元国会議員秘書が二名も任命されている。これらの人も次の選挙というようなものを目標にしていろいろ動いている。こういう運動について、肩書きをくれて運動させているような現実的な姿になっている。  しかも三つ目の問題としては、任命の経過が私としてはなかなか納得できない内容を持っている。二つほど例を申し上げますと、元秘書であった蓮実進氏、御存じのように船田中元衆議院議員秘書をやっておられました。それから冨山県萩山教厳氏、この方は正力松太郎衆議院議員秘書をやっておられた。この二人について、前の建設大臣のときには適格性を欠いているということで任命がされなかった、大臣がかわったら同じ人間が適格者として任命された、こういうことを考えてみると、どうも任命のあり方というものがどこかの力によって任命されたり任命されなかったりする、こういう任命の仕方が果たしてあっていいだろうか、こういうことを考えてみると私はなかなか納得いきません。  四番目の問題として、建設省というものがある、政治を支えている与党自民党がある、こういう専門委員政治を支えている与党から押しつけられてくる、その押しつけられてきた者が適格者であるかどうかということの可否を乗り越えてそれを受け入れざるを得ない、こういうことが進むとすれば、政党と行政というものが結びついて、それが癒着に発展し、政治のゆがみというものがそこから出てくるのではないか。もう少しうがった見方をすれば、そういうものが進むと汚職などが発生する根源になってくるのじゃないか。こういうことを考えてみると、これは建設省はもちろん、政治を支えている与党ももっともっと真剣に、こういうものについてただ建設省に任しておくのじゃなくて、私は考えていただかなければならない問題ではないか、こういうふうに思うのです。  ですから、私はいまの大臣答弁で、これからの任命については確かに言われる点がわかりました。それから、見直しという点についてもどの程度見直すのか、これからの問題だと思いますから、私どももなお意見を出していきたいと思います。  一部というふうに言われた点については、私は納得できません。ですから、廃止を含めて見直すという点と、任命について間違っているものは英断をもって考え直していく、この私の考え方についてはこれからもおろすつもりはありません。したがって、あらゆる面を通じてこの要求の実現のためにいろいろしていきたいと思います。ここで大臣に再答弁と言ってみても、もう検討してきたことですからその中身の発展はないと思いますから、私は大臣答弁をきょうこの場でこれ以上求めることはいたしません。大臣答弁に対する私の考え方を申し上げてこの問題については打ち切りたいと思います。  なお、必要としていませんけれども大臣答弁あったらしていただきたい。いいですか。では次の問題に入らせていただきます。  次は、日本住宅公団住宅に取りつけてあるガスふろがま事故問題点について触れてみたいと思います。  新聞報道どもされておりますけれども、十一月一日の未明に足立区の日本住宅公団花畑団地において十七歳、十二歳、九歳の三名の子供さんがガス中毒でお亡くなりになった、こういう痛ましい事故が発生いたしました。  そこで、住宅公団にお聞きいたしたいと思うわけですが、この事故の起きたガスぶろは、公団住宅の壁のところに取りつけてある排気口、これは七十五ミリだった、それからふろがまから出ております排気筒、これは百ミリだった。言いかえれば、煙突があって、そこへつなげるところの方が太かった。ですから、つなぎにくくなっていた、外れやすくなっていた、こういう事件であったわけですけれども、これはいま公団排気口の七十五ミリの住宅がどのくらいあって、それがどのように解決されて、いまどういうふうになっているのか、その点についてまず御答弁をいただきたいと思います。
  8. 久保田誠三

    久保田参考人 お答えいたします。  当公団住宅でありまして七十五ミリ排気口、いわば煙突部分ですね、そういうものを持ちました住宅は当初約九万五千戸ございました。そのうちで、テラス住宅など大きな九十ミリ等に煙突改修可能なもの、そういうものが約一万五千戸ございましたので、それはすでに改修済みでございます。しかしながら、その排気口といいますか、いわゆる煙突部分浴室のコンクリートの壁の内に、構造物の壁の内に埋め込まれているために改修が困難な住宅があります。それは浴室の壁の中を通ってずっと屋上までいっているわけです。そういうので改修が困難なもの、それがありまして、九万五千戸から一万五千戸差し引きまして、現在約二百団地、約八万戸にそういう住宅があります。いずれにしても、それらは三十一年度から四十三年度までに管理を開始したものでございます。同年度ですが、それ以後はいわゆるバランスがま等に変えて設置していますので、そういういわゆる古い型の煙突形式のものはございません。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、次は通産省にお聞きしたいわけですけれども、いま公団からお話があったように、三十一年から四十三年までに建設してきた住宅ふろがまに、排気口が七十五ミリのものが九万五千戸あった、その後それを改修した分が一万五千戸で、まだ残っているのが八万戸ある、こういうことですが、その七十五ミリの排気口に対して七十五ミリのふろがま排気筒が取りついていればちょうどうまくいくわけですね。  ところが、四十六年の四月一日に通産省省令ふろがま排気筒という方が八十ミリに制限された。そうすると七十五ミリよりも大きいわけですよね。そうなったから今度ふろがまの方の八十ミリ以下のものは製造しなくなってきた。ですからその後取りつけるのは大きいのを取りつけざるを得ない。先ほどあったように、煙突の方を直せるものは直した。しかし壁のところに取りつけてあって直せないものがまだ八万戸ある。七十五ミリのやつが何万戸もあるのにもかかわらず、そういうものを無視して八十ミリということで通産省省令をつくったその理由と、それをつくってから、その規格が違う公団住宅についてどう指導し、どういう措置をとってきたかということについて通産省からお答えいただきたいと思います。
  10. 石田寛

    石田説明員 御説明させていただきます。  先ほど先生が挙げられました花畑団地におきます事故は非常に残念なことでございまして、私どもも非常に遺憾に思っているところでございます。お気の毒なことであったと考えております。  ただいま先生お話にございましたように、昭和四十五年にガス事業法改正いたしまして、ふろがまを含めましてガス用品検定の対象にいたしました。その検定基準通産省令として制定いたしましたのが昭和四十六年の四月でございますが、その時点でガスふろがま検定基準といたしまして八十ミリメートル「以上の排気筒を取り付けることができる構造であること。」というふうに規定いたしたわけでございます。当時の状況必ずしも現在つまびらかにはいたしておりませんが、当時すでに八十ミリの口径——すでにと申しますか八十ミリの口径を持った排気筒を持つふろがま生産実態はすでになかったようでございまして、生産は九十ミリ以上のものが実際製造され流通しておったというのが実情のようでございました。しかし、保安上の観点から決める検定基準につきまして八十ミリのものではいかぬということでもございませんので、将来の製造の可能性ということも含めまして八十ミリまでの口径を一応基準数字として書いたわけでございますが、それ以下の口径のものにつきましては、たとえ数字を書いておきましてもその数字基準が運用されないというようなことになりますのも余り適当でないというふうに判断されましたので、八十ミリ以上の数字をもって基準の表を作成した、こういう事情があったというふうに考えられます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの答弁ですが、そういう公団等は七十五ミリになっている、それを八十ミリで制限した、そういうふうにやったんだから当然公団とかそういうところに指導指示をするわけでしょう。それをしたかしないかということを先ほど二番目の問題として言ったわけですけれども、それを答弁してください。
  12. 石田寛

    石田説明員 ただいま申し上げましたように、昭和四十六年にガスバーナーつきふろがまというものを政令によりガス用品に指定すると同時に、ガス用品検定を定める検定等に関する省令を定めたわけでございますが、その際に、その省令のいま御説明いたしました内容につきまして建設省さんと協議を行っているところでございます。さらに、同時期の法律の改正によりまして、ガス事業者がみずから供給しているガスを使用しているお宅へ伺って、そこに据えつけてあります消費機器について、お客さんの設備ではありますが、一定保安上の基準に照らして適合しているかどうかという調査をするという制度昭和四十五年に導入いたしておりまして、その調査の結果一定保安上の基準に適合していないというものが見つかった場合にはその所有者または占有者にその旨を通知するという規定になっておりまして、その制度の運用といたしまして、ガス事業者から公団に住んでおられます入居者と、同時に住宅公団の方へ、ここのふろがまについてはこういう問題があるので改善してほしい、基準に適合するようにしてほしいというふうに依頼をさせているところでございますし、私どもといたしましても住宅公団さんの方に同趣旨のお願いをしてきているところでございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 四十六年に省令が変わって通達を出した。それからガス事業法の第四十条の三には、いま言われましたように通産大臣が適合していないものについては命令を出すことができるという規定がある。それと、東京瓦斯株式会社からこの当時の特に公団の問題についてガス事業法に基づく措置をしているかどうかということをお聞きし、その書類をこのところに私ガス会社からもらってあるわけですが、これは昭和五十一年二月五日付の東京瓦斯株式会社西部支社支社長から日本住宅公団東京支社支社長あてに「ガス排気設備調査結果の報告について」ということで公団側に出した書類があります。これを見ただけでも、この管内のそれぞれの住宅公団について、「排気筒口径途中縮少」、これは七十五ミリのところへ大きいものになったわけだから縮小しなければ入らないわけですよね。そして改善方法として「器具末端口径同一口径に取替」、こういうことで、該当数量ということで国立の団地については該当戸数が百九十六あって改善で指摘したのが百九十六というわけですから、ここのところは全部同一口径に取りかえなさい、こういう指示になっている。以下のように七団地についてそれぞれ指摘しております。  そこで、省令が変わった。通達が出た。そして通産省からもこういうふうになったからそれに合わせるようにという指示があった。また、ガス会社の方もそれに基づいて検査した結果こういうふうになっていますよというものを出した。それに基づいて、公団で、先ほどの話は、排気口の受ける煙突の方の直せるところは一万五千直しました、しかし壁のところへ取りつけられて直せないものがまだ八万戸あります。それの中身実態はどうなっているのですか。
  14. 久保田誠三

    久保田参考人 お答えいたします。  御指摘のように東京瓦斯から公団住宅ガスぶろ等排気につきまして点検を行いました結果、異口径接続となっているものにつきまして当時改善要望の通知を確かに公団も受けております。そこで、当公団といたしましては、先ほど来申しますように、先生も御承知のように、テラス住宅等改修可能なもの、そういうものが約一万五千戸ありますので、それにつきましては排気口改修を行ったわけであります。しかしながら、先ほど私がやはり御答弁申しましたように、壁埋め込み式で屋上まで行っているというような改修困難なものにつきましては、その当時先ほどお話がありますように七十五ミリ口径ふろがまが製造されてなかったという事情もありまして、異口径接続をそのまま続けざるを得なかったという実情にございます。  なお、その間、こういう事態につきまして瓦斯協会等に委託して公団としては燃焼実験等を実施しておりまして、一応実際私の方で委託して行ったのが七十五ミリ対八十ミリ、それから東京瓦斯がみずから行ったものとその他がやりましたのが八十ミリないし九十ミリを二回やって計三回で、八十ミリないし九十ミリのものについてまず安全であるというような結果が出たということを聞いております。そういうようなことでありまして、そのままそういう壁埋め込み式のものにつきましては残っているわけであります。  そういう事情でございまして、われわれといたしましては、その後も、現状にかんがみまして七十五ミリ口径排気口に合うようなふろがまがまた製造できる状況になるような要望関係当局等に対してお願いもしてきたわけでありますが、残っているいわゆる八万戸という当初のものはそういう事情でございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、東京瓦斯実験した結果の資料がここにありますけれども、八十ミリと七十五ミリ、これは実用上差し支えがなかった。九十ミリと七十五ミリ、器具煙突の高さにより逆流するものがあった。それから百ミリと七十五ミリ、おおむねあふれ出してしまうという結果であった。いずれにしても八十以下のものはないわけですから、八十のものが全部取っついて、少し縮めてうまく接続しておけば、この実験の結果によっても大したことがなかった。しかし、先ほど申し上げたあの痛ましい事故、これは調査の結果、七十五のところに百のものが取りつけられ、それがそのまま漏れたのではなくて、何かさわって、ここのところが外れて一酸化炭素が充満した、こういうことのようでありますけれども、いずれにしても実験の結果によれば、七十五のところに百がうまく取っついていても、ここで言っているように相当あふれ出るような状態ですから、完全に接続させることができないと私は思うのです。ですからちょっとさわっても出てしまう。ですから、やはりちゃんと行政指導がなされて、皆さん方がそれを受けてきちっとした指導と各家庭に対して、指導というのは行き過ぎですが、よく説明して、こういうふうになっているのだからというきめ細かい公団の対応が必要じゃなかったのか、こういうふうに私は思うのです。  それで、今度話が少し変わりますが、先ほど答弁で後半の方に、七十五ミリのものを製造できるようにお願いしてきたという話があったわけですが、五十五年二月からそのとおりに七十五ミリも製造できるように、今度また通産省省令が変わったというふうにお聞きしているのですけれども通産省はそれをどういうふうな理由で、前に戻るというか七十五ミリを取り入れて今度省令を変えたのでしょうか。この辺のところを明らかにしていただきたいというふうに思うのです。
  16. 石田寛

    石田説明員 先ほど御説明させていただきましたように、昭和四十六年以降、異口径接続保安上適当ではないという判断をいたしまして、関係の先々に改善お願いをしてきているところでございまして、住宅公団さんの住宅につきましても、技術的に排気口の方で改造が可能であるというふうに理解をいたして、そのようなお願いを続けてきたわけでございます。  ところで、異口径接続状態改善するための方法といたしまして、いま申しましたように排気口の方を広げる方法と、それからただいまのお話にもございましたように器具自体排気筒口径を合わせるという方法と、両面あるわけでございます。最初に御説明いたしましたように、排気口の方を改善していただける、技術的にも可能であろうというふうに考えまして、そのようにお願いを続けておったわけでございますが、方法といたしましては、いま申しましたように器具の方で合わせるということも考えられる。その方法をとる道を閉ざしておくことはいかがなものであろうかというふうにも考えまして、このほど七十五ミリメートル以上の排気筒を取りつけられる構造にするというような省令改正を行いまして、五十五年二月二十八日公布、四月一日に施行したということでございます。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 だから私は、この問題を通じて行政のあり方というものについて非常に不信感を持つのです。どちらがいいとかどうとかと私は言いません。しかし、これは公団ばかりではなくて、このときの住宅事情というものは、公営住宅を含めて大体排気口の受ける方は七十五ミリ、それがよく連絡がなかったのか、まあ科学的にやって八十ミリ以下のものについてはカロリーやいろいろなものからして余り有効ではないということで八十ミリにしたのか知りませんけれども、いずれにしても違った排気口排気筒を取りつけざるを得ないというような通達が出てきて、通達が出れば製造会社は七十五ミリはつくらないのですから、八十ミリ以外は、それ以下のものはつくらないのですから、したがって今度買いかえという場合に八十ミリ以上のものになってくる。取りつけるときにうまくいかない、無理してやってもやっと入るぐらい、こういうものが八万戸も存在してきた。それで今度それを受けたのでしょう、通達がことし出て七十五ミリの製造も認めるようになった、こういうわけですね。しかし、いま八万戸のを見ると、きちっといっているのと、いっていないのと、いろいろあると私は思うのです。  それで、この通達は猶予期間というか何というか、これは二年だという話を聞いていますけれども通産省、その点はどうなっているのですか。
  18. 石田寛

    石田説明員 ただいまの猶予期間のお話は、ガス事業法の施行規則、最初に御説明いたしました調査義務を履行する上での安全上の判断基準改正の分であろうかと存じます。従前、いま申しました調査義務の履行上の判断基準といたしまして、消費設備基準の形で有効な排気が行われている措置が講ぜられていることというふうになっておったわけでございますが、それをこの五十五年一月一日に施行いたしました分において、より詳細、具体的な基準に強化充実、改正をいたしました。その改正いたしました分につきましては、五十五年一月一日施行日から二年間の経過期間を認める、こういう定めになっております。しかしながら、従前の基準においても、改正後の基準においても、異口径接続保安上適当ではないという考え方、立場には変わりかございません。従前からそこは改善していただきたいというふうにお願いしてきているところでございまして、今後ともその方針は変わらないところでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 異口径のものについては直ちにやらなくちゃいかぬ、今度七十五ミリになったけれども、八万戸の中はさまざまだ、いずれにしても猶予期間の五十六年十二月までにはこれをきちっとさせなければならぬというふうに思うのです。私は、やはり公団がもう少し、こういう問題については人命にもかかわる問題だから、積極的に対応していただきたいというふうに思うんですよ。  ここのところにこういう文書も私手に入れているのです。やはり東京瓦斯からこの異口径の問題について取り扱った日本婦人会議の府中支部にあてた文書ですけれども、ここのところではこういうふうに明確に言っているんですね。「日本住宅公団府中団地各戸浴室内に設置されている排気筒につきましては、通商産業省昭和四七、一、二〇発四六公局一一〇一号の基準に不適合であります。当社は、かねてより本件については住宅公団等に改善方を申し入れておりますが、今後さらに積極的に改善方について関係当局にむけ努力をいたします。」こういう状態で、それが二年の猶予期間があるとはいっても、異口径のものはすぐ直していただかねばなりませんし、この対策についてはどういうふうに公団はいまお考えでしょうか。
  20. 久保田誠三

    久保田参考人 お答えいたします。  御指摘のように異口径接続の禁止が定められたわけでありますが、その一方で、先ほどお話ありましたように、本年の二月にガス用品検定等に関する省令改正が行われて、先ほどお話のありました七十五ミリ口径ガスがまの方の排気筒、そういうものの製造が再開されましたということで、公団といたしましては、その後に空き家になりましたものにつきましては、空き家補修として改修いたしまして、それがおよそ七千戸ばかり、八万戸の中からすでに改修済みであります。  それからまた次に、そのほかでもふろがまが老朽化したというようなことによりまして、居住者御自身で新しく七十五ミリ口径の、その排気筒のついたガスがまの方に取りかえられたというものも相当数あるんじゃないかと考えられるわけです。しかし、何しろ先ほど言った八万戸という数字から考えましても、なお相当数の異口径接続のおそれのある住宅もあるわけでございますので、これらにつきまして、今般建設省からその安全性等の点検、確認をするようというような指示も受けましたので、速やかにその点検等を実施いたしたいと思っております。そして、その結果に基づきまして、建設省あるいは通産省等の関係御当局の御指導も得まして、先生御指摘のような排気筒排気口煙突部分ですね、そういうような接続をより確実にするというようなことも含めまして、早急に改善その他の所要の措置検討もし、さらに実行もしてまいりたいというように考えているわけでございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 公団は、この住宅に取りつけてあるふろがまはどちらの方の持ちになっているのですか。
  22. 久保田誠三

    久保田参考人 お答えいたします。  一般修理義務という契約のあれがありまして、それは修理ないし取りかえを一般的にしたもの、そういうものはそのまま公団のものとして考えております。ただ木製をほうろうがま等に模様がえしたもの、そういうようなものについては、いろいろ後、契約上の負担とか買い取り請求していただかないというような特約を定めはしても、所有権そのものは模様がえしたものは入居者にある、そういうような運用をしております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 公団住宅ふろがま公団持ちなんですよ。それから公営住宅というか地方自治体の公社住宅というか、それはふろがまは各人持ちなんです。ここに違いがあるんですよ、私調べてみたけれども。それで、かまが公団持ちということになってこういう問題が起きてきて異口径をどうするかという場合には、これはやはりよく検査してみたりそれから入っている人たちの意向を聞いて、ある程度もう古くもなってきているし、これは何とかしないとというものについては、皆さんの方で金を出して取りかえるのが私は筋だというふうに思うのです。こういう問題が出てきたんだから。これをまた七十五に戻す前にやらなくちゃいけなかった。それを通達の方をまた変え、省令を変えさして七十五にして、まあ合ってきているのも相当あるだろうけれども、これからつくるのも七十五ができるわけだから、そういうものについては公団の責任で七十五でぴしゃっと合うものを取りかえる、こういう姿勢を持っていただきたいというふうに思うのですが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
  24. 久保田誠三

    久保田参考人 お答えします。  その点につきましては、先ほど来、修理義務等で御本人の負担でやっていただくということになっていますので、現在のところは入居者の御負担でお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 修理とかそういうのはそうだけれども、家のところへ取りつけて、さあ入ってくださいといったときには公団で出して取りつけてあるのですよ。入ったときに自分が金を出してふろがまを取りつけるんじゃないのですよ、これは。それだから、修理とかなんとかいろいろな問題が出てきてということなら別問題だけれども、こういう行政上の問題か出てきて——七十五以下のがなかったんだから。そして八十以上のものをいま持ってきて無理して取りつけてある。ところが七十五が今度できるようになったといったら、そういうものはもう皆さんの方でよく話し合って進んで取りつけていくというふうな姿勢があってもしかるべきじゃないですか。この点はどういうふうにお考えですか、返答してください。
  26. 久保田誠三

    久保田参考人 一般的に修理義務といたしまして、修理義務の中にいわゆる修理とそれから取りかえというようなことが書いてあるわけです。それは入居者の御負担でしていただくということがわれわれの契約書にあるわけです。そういうたてまえを私申し上げたわけであります。  先ほど来、われわれの方で空き家になりましたものにつきましては積極的に七十五ミリの対応を実施しているわけです。なおそのほか、先ほど申しましたようにやはり御自身におきましても、老朽化いたしたような時期に来たものにつきましてはいまのように取りかえられている方もあるわけでございます。そういうことで、われわれといたしましてはやはり省令等の関係で、個別に考えますとお気の毒な点もあるかと思いますけれども、たてまえ上御本人の負担でお願いいたしたいと考えております。  なお、実際の問題として排気筒排気口煙突の部分が外れやすいかどうか、そういうことも、総点検の結果によりましてそういうことのないような措置を講ずる等その辺のことはやってまいりたい。ただし、それがどのような負担関係でいくかということにつきましては、私はたてまえを申し上げているわけでございます。実態をよりいいものにしたいということはともかく確保してまいりたいと思います。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、いまお聞きのとおりですよね。それで空き家になったものについてはかえると言うのだ。これはそうなんですよ。何しろ入っていただくときには、そういうものはきちっとさして入ってもらうというふうになっているわけだから。しかし、ふろがま公団持ちなんですよ。ただ、入っているものについてそうなった場合に修理という考え方本人負担、こうなっているだけなんだ。ところが経過があって、御存じのように、いまずっと言ってまいりましたように、通産省行政指導のずれやいろいろなものがあって、接続がうまくいかないものもあるわけですよ。ですから、そういう四角張ったことじゃなくて、いまあった、接続を点検してもらえたり、入っている人とよく相談して、接続のうまくいかないものについてはうまくいくようなことを考えてきちっとやる。これは古くもなっているし、どうしてもかえた方がいいというものについては、公団の方も少しくらい出費して、お互い相談で考えていく道を開いてもこの際私はいいと思う。こういう痛ましい事故もあったわけですから、そこら辺のところを含めて少し検討してみてください。
  28. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  花畑団地の亡くなられた三人の子供さん方、本当にお気の毒をいたしたわけで、御冥福をまずお祈りいたすわけであります。  先生御指摘の公営住宅、これはあくまで公営住宅でありますから、建てた方の責任において終始しなければならない問題であろうかと思います。ただ、問題は、ふろのような関係についての耐用年数等々、あるいは契約の時点がどうなっておりますか、詳しいことはわかっておりませんけれども、とにもかくにもこのとうとい犠牲を貴重な体験として、何としてもこうした事故を防がなければなりません。したがって、公団側からもお答えがありましたように、建設省としては直ちに一斉点検等々の指示をいたし、なお事業者についても御協力方を申し上げたわけでありますけれども、耐用年数等々を勘案しながらどこまで公団の責任において修理をしていくべきことか、あるいはどこからこれからの修理を居住者の方々にやっていただけるかという問題については、細かい詰めも必要かと思いますけれども、まるっきりあなた方がやりなさいということではなく、これは行政でございますし、公的住宅でありますから、十分な配慮を持って事故防止についてはやるべきだ、私はこのように考えますので、その点よく検討させていただいて、先生御指摘のような形ででも善後措置をさせていただきたい、このように考えます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 いま大臣がお答えいただいた温かい気持ちで対処していただきたい、こういうふうに思います。  次は、新設住宅の今年度の上半期、着工状況はどのようになっているか、あわせて、首都圏でいいですけれども、首都圏の新規のマンションの販売動向、まずこの二点について建設省から明らかにしていただきたいと思います。
  30. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  最近の住宅建設の動向につきまして建築着工統計等で見ますと、昭和五十五年の四月から九月までの上半期におきましては六十七万九千戸ということになっておりまして、前年同期に比べて一八・一%の減少というようなことになっておるようでございます。  また、首都圏におきますところの新たに供給募集されましたマンションにつきまして、民間の調査機関の調査結果でございますが、約四万一千戸でございまして、これは昨年の同期に比べまして八・六%の減少を示しておる状況でございます。  ただ、この供給されましたものにつきまして、募集をされましたその月のうちに購入契約の申し込みがありましたそのものの平均は六六・七%ということになっておりまして、前年同期の平均の契約率に比べまして若干落ち込んでいるというような傾向が見られる次第でございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 このいわゆる新設住宅の着工状況の落ち込み、それから首都圏でありますけれども、これは全国的にも同じだと思いますが、マンションの販売不振の状況、これはいまだかつてない落ち込みになっているというふうに私は思うのです。  ここにこういう調査の結果がありますけれども、こういう内訳が現在の実情かどうかひとつ判断していただきたいというふうに思うのですが、「本年度上半期の新設住宅着工の内訳」、民間資金による建設戸数は三十七万七千戸、前年同期比二〇・九%減、公団、公社、公庫融資などの公的資金の住宅三十万二千戸、前年同期比一四・四%減。それから、利用関係で見ていくと、持ち家三十三万五千戸、前年同期比二一・二%減、賃貸十六万戸、前年同期比二三・六%減、大体こういう数字でしょう。
  32. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の本年度上半期におきます資金別住宅の建設戸数、あるいは持ち借別建設戸数等の動向につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 いままでお聞きした点はちょっと保留しておいて、住宅公団にちょっとお聞きいたしますが、日本住宅公団の現在の空き家の状況について御報告してください。
  34. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 お答えいたします。  本年九月末現在のいわゆる未入居住宅でございますが、これが七千百二戸でございます。そのほか保守管理住宅がございますので、これをトータルいたしますと二万七千五百十四戸ということになっております。五十二年度末が、未入居住宅が一万六千五百四十六戸、保守管理を含めまして四万五百三十八戸ございましたので、それから見ますと改善されておりますが、なお一層努力してまいりたいというように考えております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの保守管理戸数の約二万戸は、一番古いものはどのくらい管理住宅ということでいるわけですか。
  36. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 個々の団地について正確な数字はございませんが、五年ぐらい前のものが古い団地としてございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 つくって入れるようになった、それで五年も管理住宅でいて募集にならない、そういう住宅で保守管理戸数というものが二万戸もあるということが私にはよくわからないのですが、五年もあるものはどういうことで五年も募集にならないで空き家で存在しているわけですか。
  38. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 大きく分けまして二つのタイプがございます。一つは、住宅そのものはほとんどでき上がっておりますが、関連する下水道あるいは上水道の建設が公共団体の手で行われているわけでございますが、これがいろいろな住民との折衝で大幅におくれてきたというようなたぐいのものでございます。  それからもう一つは、大きな団地がございまして、たとえば当委員会で二年ぐらい前に御視察願いましたと思いますが、埼玉県に三郷という団地がございます。これは九千五百戸ぐらいの団地でございますが、ここは現在八百八十四戸の保守管理住宅を抱えております。これは八千数百戸をもうすでに管理開始しているわけでございますが、それがまだ全体として満杯にならない。あるいは空き家が大体年間一割ぐらい発生いたします。そういうた関係で新規に出しても需要が見込めないという形で、現在需要促進を図りながら保守管理しているというようなたぐいの、大まかに分けますと二つの類型に分けられるかと思います。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 いずれにしても、約二万八千戸、家は建っているけれども入らない戸数がある。それから先ほどの、これは首都圏ですけれども、マンションなどについては売れ行きが非常に悪くなってきた。昨年などについては、昨年の十月は契約率が七九・四だったのが、ことしの九月六五・九、十月は多分もっと下がっているというふうに思いますが、そして首都圏だけで八千戸からの残がある。最近新聞を見ても、広告でりっぱなものが入ってくるのはマンションまたは建て売りの宣伝、新聞の中身を見てもどの広告よりもほとんど大きいスペースをとって、売れないから一生懸命売ろうと思ってやっているのでしょう。それから、先ほどの報告のように、上半期の新規の建設着工というものが二〇%も下がってきている。これは住宅というものを考えてみた場合に、私は大変な状況になってきているのではないかというふうに思うのです。  そこで、どうしてこういう着工が下がってくる、マンションが売れない、こういう状況は、どこに一番の原因があるというふうに建設省はお考えですか。
  40. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  最近の住宅建設の落ち込みの原因につきましては、いろいろあろうかと思いますが、一つには地価あるいは建築費の上昇によります住宅価格の高騰、あるいはまた民間の住宅ローン金利の高水準、さらには国民の一般的な所得の伸び悩み、そういったようなものが総合的に原因となっているのではないかと思われます。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 その状況が近いうちに改善される見通しはあるのですか。
  42. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 最近の景気の動向等にかんがみまして、公定歩合の二回目の引き下げが行われましたが、これに基づきまして近く一般の民間の住宅金融のローンの金利につきましても、その引き下げが現在検討されているところでございます。それからまた建築費の価格につきましても、木材であるとかその他の諸材料等につきましては、最近安定の傾向を見せております。そういったようなことの中で、地価の動向にも注意しなければいけませんが、地価の上昇率も若干低下しているというようなところから、いろいろな諸対策等を講ずることによりましてある程度の回復が見込まれるのではないかと思っております。  また、念のためではございますが、公的資金の住宅につきましては、昨年同期の場合は住宅金融公庫融資の金利が五・〇五%という非常に低い金利でございまして、そのために昨年は上半期に大量の建設の申し込みがあったというようなことがありますので、その間の比較をいたしますと実質的にはそれほど落ち込んではいないのではないか。去る十一月の十七日に住宅金融公庫の第三回の受け付けを締め切ったところでございますが、一般の個人住宅の建設、購入の申し込みにつきましては、七万戸を予定して募集いたしましたところ八万六千件余りのお申し込みをいただいたというようなことで、いろいろと今後の対策をうまくやることによって安定的に推移することを期待しているところでございます。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 ローンの利子が少しぐらい下がったって焼け石に水よりかまだひどいもので、これだけ落ち込んでいるものがそれでよくなるとは、私は決して考えていません。土地も、特に宅地については下がるという傾向はない。それから建築資材について、これも着工戸数が下がっているわけですから、いま木材業界についても不況風が吹いて倒産がどんどん出てくるというような状況にある。それから家を取得したいという国民の皆さんの気持ち、これは自分の所得が上がらないわけですから、なかなか家を手に入れるという気持ちにはならない。ですからどういうところから見ても、私はこの状況がそう好転するというふうには考えない。民間や業界等の調査や何かによりましても、なお暮れにかけて厳しくなるのじゃないか。マンションなんかについてもいろいろ言われておりますけれども、大体先ほど申し上げましたように九月が契約率六五・九で、十月はもう五〇%台に入った、それで残が一万二千戸までいけば完全に危険水域だ、こういうふうに言われている。しかし解決の方向というものがない。  ではそういう状況の中でこの対策をどういうふうに立てていくか、こういうことではないかというふうに思うのです。特に公共投資ということで、五十五年度は景気対策を含めて後送りにしてきた。それで、皆さんの方も後半へ来て「五十五年度における今後の建設省所管事業の執行について」というものを九月六日にお出しになっている。特に中小零細、または全建総連などに入っております一人親方の大工さん、また地方に行きますと、冷害で農家が非常に困っている。したがって、うちをつくるなんという意欲は全然ない。仕事がなくてどうにもならない。こういう実情が出ているわけです。ですから、こういうときにはやはり小さな企業、個人でやっている人たち、こういうところに仕事をどういうふうに持っていくかというものが国の対策でなければならないし、建設省のこれからの対策でなければならないというふうに思うのです。ですから、その点について景気対策等を含めながら、または冷害で非常に農家が困っている、その救農土木というような面も加えながら今後建設省としてはどういうふうに対応していこうとしているか、その点明らかにしていただきたいというふうに思います。
  44. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまいろいろお話がございましたように、建設投資の伸びか鈍化いたしまして建設業の倒産数もここのところ増加するなど、中小零細建設業を中心といたしまして建設業を取り巻く情勢は非常に厳しいものかございます。このため政府といたしましても、公共事業等の第三・四半期の契約目標額を全体としまして対前年同期比で三〇%増程度にするということにいたしました。しかも、この発注に当たりましても、分割発注をするとかあるいはまた発注標準を遵守させる、あるいはまた共同請負制度を活用する等のいろいろな施策を講じまして、中小建設業に対する受注機会の確保については十分配慮いたしております。  また、冷害等の被災地対策の一環といたしましては、そういった地方におきます公共事業の重点的実施を図るように、すでに次官通牒等を発しまして都道府県等にも十分お願いをいたしておるわけでございます。  それから、今後の住宅建設の落ち込みに対する考え方等につきましては、先ほど住宅局長からもお答えいたしましたけれども、ローン金利の引き下げ等の施策についても現在検討中でございます。  それから、一つの企業が倒産いたしますと、これに関連いたしまして中小の建設業が非常に被害を受けるというような状況でもございますので、この点につきましては政府関係の中小企業金融機関等の中小企業倒産対策貸付制度がございますので、これらの利用につきましても周知徹底を図っております。それから、九月でございましたか、倒産関連の特例保証制度、これは融資枠を多くするとかあるいは手数料を引き下げる等の制度がございますけれども、そういった不況業種に建設業も指定をしていただきまして、それらの中小建設業に対します金融その他の円滑化についても現在努力をいたしておるところでございます。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 資料を見れば歴然としていまして、特に冷害で農家が非常に打撃を受けた地域は建設の着工戸数もずっと落ちている。資料で明らかです。それで、いま対応について御説明があったわけですけれども、中小零細企業、個人でやっている大工さん、こういうところに仕事をどういうふうに確保するか。口では言えるんですけれども、それじゃ下へ行ってそこのところがどういうふうになっているかというとぼけてしまう。そこで、建設省も地方自治体とどういう密接な関係を持って対応していくかということが非常に重要だというふうに思うのです。いまも密接な連携とかなんかちょっとあったような気がするんですけれども、私は特に地方自治体との関係を密にしてこの問題については対応してもらいたい。密にするというのは、私が言ってまいりましたように中小零細、こういう人たち仕事の確保についてひとつ真剣に考えてやっていただきたい、こういうふうに思うのです。最後にその点大臣から答弁をいただいて私の質問を終わりといたします。
  46. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生が現下の不況環境の中で建設業者特に一人親方等々についての御配慮、また住宅需要の落ち込みということについての御心配について敬意を表する次第であります。  御指摘のような余り明るくない環境の中で行政的にどのように活力ある環境づくりをしていくかということが、私たちに課せられた課題であろうかと思います。住宅問題一つにつきましても、地価の値上がり、諸建築資材等々の値上がりでなかなか中低所得者の方々、勤労者の方々の手が及ばないというこの際に、住宅問題をどのように解決していくか。これはローンの金利を引き下げるといったところで大したことではないわけでありますけれども、あれこれいろいろと細部にわたって線引きの見直し等々やっておるわけでありますが、極端な明るい見通しというものはいまのところ持ち得ないというのが私の実感でありますだけに、なお積極的にこの問題については取り組んでまいりたいと思います。  なお、冷害地域のことにつきましてお触れになりました。まさにそのとおりであります。特にことしは冷夏による被害、それでなくても東北、北海道等々は非常に厳しい環境にさらされておるわけで、建設省といたしましては、地方自治体と密なるということは言葉の上だけでなく、何とか契約等々も先に先にどんどん進めていって、前年の例もございますので、本当に困った方々が実際の収入になるような一つの事業を起こしていただきたいというようなことを進めてまいっておるわけであります。したがって、いま局長から話がありました三〇%の契約増ということの枠はいただいておりますけれども、さらに進めて何とか冷地、冷害関係については重点的にこういう方々の救済のための、救農土木という表現もございますけれども、積極的に対応してまいり、建設業界を中心に本当に国民の方々のふところに直接影響するような形で事業を進めてまいるというようなことでせっかく努力中でございますので、ひとつなお一層の御支持を賜りたい、このように考えるものでございます。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  48. 稲村利幸

    稲村委員長 午後零時四十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ————◇—————     午後零時四十五分開議
  49. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  50. 小野信一

    小野委員 最初に大臣の所見をお伺いしますけれども、川、沼、湖、これらは建設省の所管であり、大臣が最高監督者であるにもかかわらず、これらの水質の汚濁基準、防止等について何ら権限がないということについては私は非常に不合理を感ずるのですけれども、それらに対する大臣の所見を最初にお伺いします。
  51. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 河川、湖沼等々の水質関係についての汚濁問題が社会問題になっております。先生御指摘のように、河川、湖沼等々は建設省が所管になっておりますけれども、水質問題についてその権限がというお話でございますけれども、どう申し上げてよろしいのでしょうか、汚濁、汚染関係については厚生省所管、あるいは工場関係については通産省等々と分かれておるわけでありますけれども、本来的にはよく関係省庁が合い議して進めば問題は解決する問題であろうかと思いますけれども、来し方そのような所管の問題になっておりますので、先生の御指摘については一応の考え方としてはうなずける面もございますけれども、長い間の行政の問題として、いま直ちにこれについて言及する立場にございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  52. 小野信一

    小野委員 大臣は、監督者の立場にありながら、水質汚濁、それに対する発言権能がなくても建設行政は十分進められる、支障がないと判断されておるようでありますけれども、河川局あるいは下水道部長にお尋ねしますけれども、来ておりますか。——水質に関する権能がなくても建設行政が十分進められるとお考えになりますか。
  53. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘のように、水質を直接管理いたします水質汚濁防止法、その行政に関しましては、河川管理者、直接のタッチはできないということになっております。しかしながら、河川法第一条にもうたってございますように、流水の正常な機能を維持するということはやはり河川管理者の責務でもございますし、私どもとしても重大な関心を持っておるということでございます。そういったことから、全国の大臣管理区間の水質につきましては計画的に調査いたしておりまして、事が起きれば関係者と連絡し、それに対処していく体制をとっておるところでございます。
  54. 小野信一

    小野委員 昭和四十六年に水質汚濁防止法が成立いたしまして、特定施設が指定になり、排水規制がつくられました。それによって、河川は当然きれいにならなければならないはずです。下水道の流水もまた浄化されなければならないはずなんですけれども、今回環境庁は、湖沼環境整備法ですか、これをつくって、新たに湖、沼、河川の浄化を一層進めようと計画しておると聞いております。  そこで最初にお聞きすることは、現在の河川、湖沼、これらの汚染状況は進んでおるのですか、それとも水質汚濁防止法の制定によって浄化される方向にあるのか、現状とこれからの見通しについて、まずお聞きいたします。
  55. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、建設省におきましても、全国の一級河川につきまして水質の監視を続けておるわけでございます。実は、この水質の取りまとめは、その年の取りまとめが翌年の十一月、十二月ごろまでかかりますので、現在私どもの手持ちの資料は五十三年の資料まででございます。それで御説明さしていただきますが、それによりますと、大臣管理区間を対象にいたしまして、全国一級河川の百九水系におきまして、約十キロメーターに一地点の割合で河川及び湖沼の水質調査を行っております。  五十三年の調査結果によりますと、河川のBODが水道水源として望ましいとされております三PPm以下の地点は全体の約八一%でありまして、利水環境として好ましくないとされております一〇PPm以上の地点、これは全体の五%ということになっております。また、環境基準の点から見ますと、基準値を満足しております地点は全体の六四%というようなことになっております。このような水質状況は、五十二年とほぼ同様でございまして、最近数年間は横ばいのようであるという結論になっております。
  56. 小野信一

    小野委員 水質汚濁防止法が制定されて、特定施設が指定され、網をかぶせられても、河川、湖沼の水質は横ばいである、こういうことはどういう原因によるものと分析しておりますか。
  57. 小坂忠

    ○小坂政府委員 河川の汚濁につきましては、一つには流域内の人口あるいは工場の所在、そういったいわゆる社会環境、これに左右される面は非常に強うございますが、そのほかに、流域の形状であるとか、林相であるとか、あるいはいわゆる物理的ないろいろな諸状によりまして、影響を受けるというようなこともございます。したがいまして、いわゆる人口密集地帯の河川と、そうでないところの河川と事情はいろいろあるかと思います。  ただ、ただいまの先生お話の論旨と思われます人為的に汚した河川、これをきれいにするということにつきましては、私どもとしてはやはり第一義的には下水道の普及がまだ足りないのじゃないか、これをやはり促進、整備して汚濁源を減らしていくということが必要じゃないかというふうに考えております。
  58. 小野信一

    小野委員 汚濁源を減少させるために水質汚濁防止法が制定されて、八十一業種、二十六万施設が設定になったはずであります。したがって、そこから排せつされる排水はすべて基準以上に浄化されておらなければならないはずでありますから、当然河川は以前よりはきれいになり、終末処理場に流入する汚水も当然浄化されておらなければならないはずなのに、そうならないということはどこかに問題点があるはずであります。したがって、河川あるいは湖沼の水質あるいは終末処理場に集まる水の分析によって、どこからその汚染源が発生しておるのか明らかにできるはずだと私は考えます。もしその分析を行っておらないとすれば、それは怠慢と言われてもやむを得ないと思います。水質汚濁防止法が制定されて、なお河川、湖沼の水質がよくならない理由について改めてお聞きいたします。
  59. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま申し上げましたように、いろいろの原因が絡みまして実質的な水質の汚濁が進行しておるというふうに考えております。その下水道の整備による汚濁負荷量の軽減、これは私どもとしても基本的に必要なことであろうかと思いますが、先生御指摘のように水質汚濁防止法に基づきますその他の、たとえば雑排水の河川への流入規制であるとかあるいは工場排水の流入規制であるとか、そういう施策と相まちましてやらなければならないというふうに考えておりまして、お話しのように環境庁所管の水質汚濁防止法に基づきますなお強力な行政が必要であろうというふうに考えております。
  60. 小野信一

    小野委員 いまの答弁で納得するわけにはまいりませんけれども、下水終末処理場に集まる汚水、これは水質汚濁防止法が発動してからきれいになる傾向にありますか、それとも横ばいですか、それとも悪くなる傾向にありますか。
  61. 小坂忠

    ○小坂政府委員 河川あるいは湖沼の水質、先ほど申し上げましたように、その水質を左右いたします要因と申しますか条件、これにはいろいろなものがございます。流域の面積、地形、植生あるいは降雨量、河川の水利用の状況とか、そのほかに先ほどからお話しになっております流域内の人口、産業、こういったもののいわゆる汚濁発生源の状態、それから下水道の整備の状態というようなもろもろの要因が絡みまして現在の河川の汚濁状況が出ておりますので、その下水道の処理施設があるかないかだけによる比較というのは実はしにくいわけでございますが、同一の河川につきましてその終末処理場のできる前と後との比較はできるわけでございます。それによりますと、たとえばの例でございますが、近畿地方に猪名川という直轄河川がございますが、これなどにつきましては、その汚水処理場の運転開始以前と以後において格段の相違が出ておるということははっきりいたしております。
  62. 小野信一

    小野委員 私の聞いているのは逆でありまして、下水道終末処理場ができる、下水道施設ができることによって河川がきれいになることはわかります。そうではなくて、水質汚濁防止法ができて特定施設が指定され排水規制が行われますと、当然ある建物から出てくる排水は以前よりはきれいになるはずです。そうしますと、当然下水道の流水もきれいにならなければならないはずです。下水道終末処理場に集まる水も当然きれいにならなければならないはずなのに、それが汚れておるということはどういうことかということです。どういう理由によって水質汚濁防止法が効果を発揮しておらないのか、こういう原因を追及し、答弁を求めておるわけですから、再度答弁を求めます。
  63. 升本達夫

    升本政府委員 先生御指摘のように、水質汚濁防止法ができましてから、一般的に公共用水域に排出する水の水質につきましては、一定の制限が課せられるということになりました。したがいまして、特定施設からの排出水につきましては、一定の制限内まで水質をきれいにした上で排出しなければならないという義務づけが行われたわけでございます。したがいまして、一般的には御指摘のように、水質汚濁防止法の制定以降、その規制のために、水質に十分留意をして一定基準内で排出しなければならないという規制がかけられているわけでございますが、ただいま直接におただしの下水道に対する排出水、これにつきましては、一般の公共用水域に対する排出水と若干基準のグレードを異にいたしております。したがいまして、下水道は下水道自体で処理をいたしますので、下水道の施設の中に排出する水については、一般の公共用水域への排出水の基準より少し甘くしておりまして、一般的には六〇〇PPmでございますとかいう度合いまでの汚れであれば、これは処理なくして下水道の施設に流入しても構わない、こういう形で運用されております。したがいまして、事下水道に流入する水の水質のグレードにつきましては、水質汚濁防止法の施行前、施行後にそう顕著な隔たりはないのではないかというふうに考えております。
  64. 小野信一

    小野委員 まことに不思議な答弁だと私は思います。だんだん聞いていきます。  そこで、今回環境庁は十月二十日の庁議で十品目、いままで取り残されておった十業種約十万施設を特定施設に追加指定して、来年の十月からこれを実行しようといたしております。そして中央公害対策審議会にその制度とその内容を諮問いたしておりますけれども、改めてその背景と諮問の内容について御答弁を求めます。
  65. 渡辺修自

    渡辺説明員 水質汚濁防止法に基づきます特定施設の追加につきましては、水質汚濁防止法が施行されました四十六年以降順次追加してございます。  それで、今回は十業種につきまして環境庁の方でいろいろ実態調査をした上、先ほど先生御指摘のとおり、中央公害対策審議会に諮りまして、その下部機構に排水基準専門委員会というのがございますが、そこに諮問しまして、これから内容について鋭意検討することとしてございます。それで、これらの答申を得た上で、実態的にどのような規制の方法をするか検討しまして、府令等を改正して順次実施していきたいと考えております。
  66. 小野信一

    小野委員 要するに、下水終末処理場に集まる流水あるいは河川、湖沼にいたしましても、水質汚濁防止法が適用され、施行された後もそれほど効果を発揮しておらない、こういう現実の証明だろうと思います。ところが、確かに特定施設に設定された建物から汚水が出る場合には基準に沿った水が出るのですけれども、終末処理場に集まる水はまことに汚ない水、むしろ汚濁が進んでおる水が集まるということに不思議な現象になっておるわけです。  そこで改めてお聞きしますけれども、排水規制の強化をすることはもちろんまことに結構なことであります。河川、湖沼あるいは海水の汚濁防止のために欠くことのできない施策であろうと思います。ただ、特定施設に指定されました建物内に滞留する廃油、汚泥は、規制を厳しくすればするほど大量に集積するわけですけれども、これに対する追跡調査あるいは十業種を指定し、十万施設を設定した場合に、どれほど発生すると計算されておるか、明らかにしていただきたい。
  67. 渡辺修自

    渡辺説明員 水質汚濁防止法では、あくまでも特定施設から処理をされて最終的に出てくる排水の濃度を規制しているものでございまして、そこから、たとえば処理施設等にたまる汚泥等につきましては、別途の法律の規制の対象となっております。あくまでも水質汚濁防止法では排出される水質の濃度あるいは総量規制等ではそこの汚濁負荷量というのが規制の対象になっております。
  68. 小野信一

    小野委員 厚生白書を見ますと、昭和五十年度の全国産業廃棄物排出量、汚泥三千七百六十六万トン、全体の一六%に当たっております。五十一年、五十二年、五十三年、五十四年度は調査しておらないのではないかという不信を持つわけですけれども、もし十品目、十万施設が特定施設に指定されますと、この汚泥三千七百六十六万トンがどれほどふえると計算され、それに対する最終処理場あるいは運搬車、施設、それに対する配慮、計算がなされておるのだろうと考えますので、改めて答弁を求めます。——恐らくまだ計算しておらないのでしょうから、よろしゅうございます。  要するに、規制を強化すればするほど特定施設の汚泥ピット、グリーストラップの中に廃油と汚泥が大量に蓄積するということはお認めになりますか。
  69. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、それは大量に滞留すると思います。
  70. 小野信一

    小野委員 この汚泥、廃油は一分類上からいくとどの部分に入りますか。
  71. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 ビルにおける事業活動に伴って排出される場合は、これは産業廃棄物になります。
  72. 小野信一

    小野委員 産業廃棄物となりますと、汚泥ピットに集積した汚泥並びに廃油はどのような処理をしなければならないことになっておりますか。
  73. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  事業活動に伴って排出されるビルピットの汚泥、これは産業廃棄物でございますから、産業廃棄物は、いわゆるPPPの原則、汚染者負担の原則によりまして、当該排出事業者が処理をいたすことになります。
  74. 小野信一

    小野委員 特定施設のピットにたまった汚泥、廃油はその事業者が行うということですけれども、具体的にどのような方法でこれを処理しておるのか、また環境庁としてはどのような指導をなされておるのか、お伺いいたします。
  75. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 廃棄物処理法の第三条によりまして「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と規定してございまして、それにつきましては処理基準などが設けられてございます。これは廃棄物処理法政令の六条でございますが、たとえば汚泥の埋め立てを行う場合、これは焼却または汚泥の含水率を八五%以下にするというようなことでございますし、また有機性の汚泥の水面埋め立て処分につきましては、あらかじめ焼却処分をするという、そういうような基準に基づいて行っております。
  76. 小野信一

    小野委員 実際わが国には八十一業種、二十六万施設が設定されておりますけれども、東京都のビルで、ピットから汚泥をとり、廃油をとって、これを産業廃棄物最終処理場に持っていって処理しているビルがあったらお目にかかりたいと思うのですけれども、これを調査したことがございますか。——これは環境庁も建設省調査したことがありませんので答弁できないはずです。  そこで、私は、この問題に関心を持ってから、特定施設あるいは排水規制を行われておる、当然法にのっとって処理しなければならない汚泥、廃油をどのように処理しておるかを追跡調査してみました。  一つは、都内のある全国有数の百貨店の場合です。テナント、飲食店が約三十店舗あり、約五百リッターの容量のグリーストラップが一店舗につき一台ないし二台、それから大食堂、社員食堂、惣菜、食肉、野菜、魚類、作業等で約二十台、合計五十台の汚泥ピットを持った百貨店です。毎週バキューム車を借りてこれを清掃いたしております。一回の排出量が約五十トン、油分を含む汚泥、水を排出しております。これが夜間に、驚くなかれ、五十台の汚泥ピット、二トン車一台で処理してしまいます。どのように処理しておるかといいますと、汚泥ピットから、片方でバキューム車で吸い取って、片方は下水道のマンホールをあけて流すのです。人が参りますと、マンホールは閉めます。そしてバキューム車に吸い上げます。そして次のピットにそれを吐き出します。前の分が空になりますと、次の分を吸い上げて、前の分は次のピットに排出します。このようにして一晩で五十台のグリーストラップを清掃して回っております。これが水質汚濁防止法によって規制された特定施設の汚泥、廃油の処理の実態であります。  これらについて環境庁は調査したことがございますか、改めてお聞きいたします。
  77. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先ほど建設省の方から御説明がございましたが、水質汚濁法では、特定施設から直接公共水域等に流される場合が特定施設になってございます。したがいまして、たとえば都内のような場合に、特定施設がありまして、それが下水道に流れて、それで下水道で処理して流されるというような場合には、終末の下水処理場は水濁法上の特定施設となりますが、その下水道へ放流しているそういう施設につきましては、これは水濁法上の対象とはなっておりません。したがいまして、そこは、先ほど説明がありましたように、下水道法による規制がかかってございます。  それと、実際にそういうことを調査したかというあれでございますが、水濁法上ではそういうあれは規制の対象となっておりませんので、調査もしてございません。
  78. 小野信一

    小野委員 先ほど、産業廃棄物は、ピットにたまった汚泥並びに廃油は、当然その管理者、建物の事業者が収集して、これを産業廃棄物最終処理場に持っていって処理しなければならないと答弁しております。ところが、建物事業者は、そういうことを一切やっておらないわけです。もしそういうことが許されるとすれば、汚泥ピットは必要ないわけです。厨房から、流し台から汚泥なり廃油が出た場合には、水と一緒に下水にそのまま流してやればいいのですから。なぜピットをつくって汚泥をため廃油を蓄積してそれを最終処理場に持っていって処理しなければならないと法律で決めたのか、その理由が全然わからなくなります。  下水道部長にお聞きしますけれど、このような実態で、下水道に集まる流水は、水質汚濁防止法ができても全然浄化されないということですか。したがって、建設省は、河川を管理し湖沼を管理しておりながら、水質に対する権限が何もないということは、建設諸行政を進める上にまことに不都合になっておると私は思うのですけれども、改めて局長の答弁を求めます。
  79. 升本達夫

    升本政府委員 私、先ほど先生に対するお答えにおきまして、若干中間をはしょりまして、お聞き苦しかったかと思いますので、おわびをしたいと思います。  下水道におきましては、下水道法によりまして、下水道が最終処理をするわけでございますけれども、この下水道管に流し込んでいい水の質というのは、やはり一定基準で下水道法もしくはそれに基づく政令で規制をいたしております。その規制が、先ほど私が申し上げましたのは、一般の汚れを示します指標でございますBOD値におきましては、これは一般の公開水域に出されるよりもかなり緩い規制になっております。しかしながら、毒物、金属類あるいはおただしのような油類、これらにつきましては、かなり強い規制をいたしておりまして、この規制の基準は、水質汚濁防止法による一般公開水域へ出し得る限界と合わせております。したがいまして、御指摘のように、この部分につきましては、水質汚濁防止法制定以来若干きつくなっているというふうにお答えすべきだったかと思います。  そこで、ただいまおただしの、したがいまして水質汚濁防止法施行以降さらに下水道を通じて汚水を排出いたします場合に、事前処理として一定の施設については基準値以下に汚れを落としていただかなければならないわけでございます。その汚れを落としますものを、あるいは落とした形にしてまた別のマンホールへつぎ込むというような違反行為が行われているという事実がある、御指摘になったところなのかと思います。私ども、その事実についてはつまびらかに把握しているわけじゃございませんけれども、そのようなことは当然考えられ得る違反行為であろうかと思います。これにつきましては、私ども、下水管理者としては、これは当然下水道法の違反行為でございますので、十分取り締まらなければならないという法令上の義務を負うわけでございますが、現状におきましては、下水の水質管理につきましてなかなか人手が回りかねているという市町もあるようでございます。私どもとしては今後その点の規制、監督を十分徹底いたすように努力をいたしてまいりたいと思っております。
  80. 小野信一

    小野委員 厚生白書では、昭和五十年度、汚泥は三千七百六十六万トン発生したと言われております。これは一般終末処理場で発生した汚泥と産業廃棄物の汚泥とが合計された数量であります。三千七百六十六万トンのうちで一般終末処理場で出た汚泥と産業廃棄物処理場で出た汚泥とどんな割合になりますか。
  81. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 この三千七百六十六万トンにつきましては、これは汚泥の全排出量でございまして、いろいろな業種にまたがっておるのでございます。その中で、多いものはパルプ、紙加工製造業
  82. 小野信一

    小野委員 一般処理場と産業廃棄物で分けていいです。
  83. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 これはすべて産業廃棄物に係るものでございます。
  84. 小野信一

    小野委員 厚生白書ではそうじゃないと書いてあるよ。
  85. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 これはすべて産業廃棄物でございます。  それで、ビルピット汚泥などにつきましては、このうちのサービス業、二十七万五千トンでございますが、これが主なものかと思われます。
  86. 小野信一

    小野委員 環境庁は汚泥ピットにたまった汚泥、廃油はどのように処理すべきだと指導なされておりますか。
  87. 渡辺修自

    渡辺説明員 御指摘のようなことが現実に行われているとしますと非常に残念なことでございます。それが直に公共水域に流れ出るような場合には、河川の汚濁原因になりますので、そのようなことが起こらないように関係省庁に対して要請をしてまいりたいと考えております。
  88. 小野信一

    小野委員 要するに答弁にならないのですけれども、建物にある厨房から出る、汚泥ピットにたまる汚泥と廃油はどのように処理しなさいと環境庁では指導しておるのですかということです。バキューム車で吸い上げて産業廃棄物処理場に持っていけと指導しているのですか、それともバキューム車で吸い上げて下水道に流せ、水を大量に注ぐことによって薄めまして流せと指導しておるのですか、どちらですかとお聞きしているのです。
  89. 渡辺修自

    渡辺説明員 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、そういった下水道に流し込んでいるそういうピットからの問題につきましては、水濁法の対象となってございませんので、環境庁の方としては特にそれに対して指導は行っておりません。ただ、廃棄物処理等に関するそちらの方の法律の問題かと存じます。
  90. 小野信一

    小野委員 それでは、いまのような環境庁の答弁で、産業廃棄物である汚泥、廃油が下水道にバキューム車を通して流されておるという実態がありますけれども、これは違反ですか、それとも大量に水を加えることによって薄められればこれは認められる行為でありますか、お聞きいたします。
  91. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり現在のところ下水道関係の水質規制は、水質の規制でございまして、水量、総汚濁量の規制にまでは至っておりません。したがいまして、ただいまおただしの油類、フェノール類で申し上げますと、一般的に特定事業場から下水に排除され得る規制の基準値は一リットルにつき五ミリグラム以下ということになっておりますので、いわば大量のものでございましても、大量の、汚水の形で量的に薄めることによってこの基準値を下回り得るということが申せるかと思います。しかしながら、これは一般的な考え方としてそういうことになっておるということでございまして、直接おただしのような行為は下水道法上、管理上許されるべきものではないというふうに考えております。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕
  92. 小野信一

    小野委員 大臣、いままでお聞きになっておわかりのことと思いますけれども、グリーストラップ、汚泥ピットからバキューム車を通して下水道処理場、下水道に流入されるのが少数であればまだいまのような答弁で私は納得いたします。ところが大部分、九〇%以上の特定施設から出る汚泥、廃油はすべてバキューム車を通して下水道に、マンホールを通して流されておるのです。  それでは環境庁にお聞きしますけれども、グリーストラップ五百リッター、これを清掃する場合に幾らの手数料をお取りになっておるか調べておりますか。あるいは協定料金あるいは料金としてどれほどとなっておるか調査したことがございますか。——調べたことがないようですからお教えいたしますけれども、大体先ほど言った某百貨店、五十個のグリーストラップがある厨房で十万円です。一グリーストラップ二千円になります。一トンの水を処理するのに二千円であります。産業廃棄物として産業終末処理場に持っていってこれを処理しますと幾ら手数料を取られると考えますか。あるいは調べておりますか。——これも調べておらないようです。驚くなかれ、完全に法律にのっとって焼却、処理いたしますと、一トンで十五万かかります。事業者が終末処理場の処理証明書が必要だと言いますと、バキューム車を持った運搬業者は三万円要求してまいります。処理証明が必要でないと言いますと一台一万円、五十台ありますと値切ってたった二千円。一トンバキューム車が片方で二千円、片方で十五万である。こんなばかげたことが放置されておって日本の河川や湖沼がきれいになるわけがありません。規制すればするほど汚泥ピットに堆積する汚泥と廃油は多くなるわけでありますから、それに対する完全なる処理を行わない限り、わが国の終末処理場の最終能力はますます悪くなってきます。下水道施設のない地方都市は、河川はますます汚れます。海はますます汚れます。新聞によりますと、今回諮問をする中で、排水量五十トンを超える大規模なものはこの汚泥ピットをつくるだけで一千万かかるだろう、こう書いております。これらを完全に行わせる、これを実行させるという決意を持って、今回環境庁では中央公害対策審議会に諮問しておるのかどうか私はまことに疑問に感じますし、業者は、片方で一台十五万取る業者があり、片方でワンピット二千円取る業者があるという、こんなばかげたことがいまの環境行政の中で、水質行政の中で行われておるわけです。改めて大臣の所見をお伺いします。
  93. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  小野議員のきょうの質問の要点を聞いておりまして、私自身、建設省の責任者としていささか愕然としたという表現は当を得ないかもしれませんけれども、過密都市における河川の汚染にいまさらと驚いたわけであります。所管が建設省、産業廃棄物は通産省であるといえどもやはり河川、下水道所管の省庁としては、この問題は、きょうの先生の御提案を聞いて積極的に対応をしなければならないのではなかろうか、このように考えます。  ともあれ、具体的にどのような方法をとるかということは、せっかく防止法があり、河川法があり、廃棄物法があるのですから、この点につきまして関係省庁とよく合い議いたしまして、過密都市化、ビル化する都市における汚染、汚濁の処理問題については追及、対応してまいりたい、このように考えるものであります。
  94. 小野信一

    小野委員 要するに、この問題の発生のもとは、特定施設に指定された事業者が運搬業者に産業廃棄物の輸送を頼む、委託する、その運搬業者が産業廃棄物の終末処理場に行って処理を頼む、委託する、委託された産業廃棄物終末処理場業者が確かに受け取って処理いたしましたという証明を特定事業者が確認できるような方法がとられなければ、どこかで必ず不正行為が行われるということであります。したがって、いまの法律の中でも、このことが確認され、実行されますと、かなりこの不正投棄は緩和されるだろう、こう私は考えます。したがって、公害対策審議会からの答申がおくれる、あるいは来年、再来年になることがあっても、これらの方法によって不法投棄が取り締まれる道があるわけですから、十分な配慮をお願いしたい、こう考えておりますけれども、だれの所管になりますか、これらの問題は。
  95. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 ビルピット汚泥のそういう不法投棄につきましては、これは下水道法につきましては先ほど御説明がございましたが、廃棄物処理法におきましても、この十六条で、汚泥を下水道管理者の意向に反してみだりに下水道のマンホールに投入した場合に「投棄禁止」という条項に該当するかと思います。この件につきましては、厚生省といたしましては都道府県等を通じまして今後取り締まり等を一層強化してまいりたい。  それから、廃棄物処理法で定められましたそういう基準に従いまして処分されるよう一層指導を強化してまいりたいと思います。
  96. 小野信一

    小野委員 大臣、たとえば新宿の西口にある四、五十階という大きなビルの最上階にレストランがありますね。あそこのピットに集まる汚泥はバキューム車で吸い取るわけにはまいりませんから、当然これは手でビニール袋に集めてこれを処理しております。したがって、莫大な費用がかかります。ところが一階、二階あるいは地下一階くらいにある厨房、レストラン、食堂、これらの厨房から出る物は全部バキューム車を通して、マンホールを通して下水道に投棄されております。不法投棄されておるのが一割で、まじめに処理しておるのが九〇%だというならまだ話がわかります。昼間バキューム車が東京都内を、日本国じゅうでもいい、二十六万特定施設があるのですけれども、吸い取って産業廃棄物終末処理場に運んでこれを処理しているバキューム車を見たことがありますか。一台だってありません。走っているのは全部空で走っております。空で走っておるということは、取った汚水を全部マンホールから下水道に投入しておるということです。まじめにやっておる人がばかをみる。まじめに汚い仕事を一生懸命やっている業者はつぶされていきます。こんなことで日本の行政が国民から信頼を得られるということはあり得るはずはありません。私は、漫才のことわざに、赤信号みんなで渡ればこわくないというのがこのごろはやっておりますけれども、みんなでやればこわくないという、こんな感じで運搬業者、慶棄処理者がこの問題を処理しているのじゃないか、こういう気がしてならないわけです。改めて強い要望をしておくと同時に、短期にこれを行おうとすれば当然この資料で見ましても八十一業種で約二十六万施設、今度十業種を追加して十万施設追加になりますと、二億四千万トンの四割が——また産業廃棄物がふえるわけですから、約一億トン汚泥を含めて処理する施設が必要になってまいります。これが一年や二年で直ちに建設されて処理できるものではありませんし、一年に一億トンふえるとすれば、これに伴うバキューム車も莫大な数量が必要になってまいります。したがって、これらの施設と並行に規制が行われなけれが不法者がもうける、仕事を獲得してしまうというまことに困った現象が起こるはずです。したがって、急がなければならない仕事ではありますし、正しくやっておる業者なり正しく行っておる特定施設の責任者は大切にしていかなければならない、けれどもそういう背景もあるということも十分お考えの上事業を進めていっていただきたい、こう希望いたしておきます。  次に、河川局長にお尋ねいたしますけれども、岩手県から青森県を通して北上川が流れております。これは明治初年に開発された、硫黄を採掘しておりました松尾鉱山が廃山になってこの廃鉱から非常に酸度の強い水が流れて北上川を汚染いたしております。これに対する対策として、五十六年度の十一月までに中和施設をつくって、完全な流水にして北上川を清流に戻したい、こう行っておるわけであります。  もう新年度の予算を決定しなければならない時期でありますけれども、この中和施設の施行主体あるいは管理主体がいまだに決まっておりません。したがって、まずお聞きしますことは、現在までどのような経過でこの管理主体が決まらなかったのか。そして、今後いつまでにこれを決めて、北上川を清流に、岩手県民、宮城県民に不安のないような対策をおとりになるのか、いままでの経過を含めまして答弁を求めます。
  97. 小坂忠

    ○小坂政府委員 松尾鉱山から北上川に流出してまいりまして、北上川上流部の水質が非常に強酸性になるという問題でございますが、ただいま御指摘のように昭和三十年代ごろから松尾鉱山に起因いたしまして、非常に急速な悪化が示されております。  昭和初年から昭和四十四年までは松尾鉱業所がいわゆる中和処理をいたしておりました。その後松尾鉱業所が経営不振から、それに岩手県が取ってかわりまして、昭和四十四年から四十五年まで県が中和処理を行った経緯がございます。その後、松尾鉱業所の倒産に関しまして更生会社ができまして、昭和四十五年から四十七年まで更生会社による中和処理が行われたわけでございます。四十七年の初めに、いよいよこの更生会社もなくなるということで、これをもし放置いたしますと、強酸性のものが北上川に流入し、非常に重大な結果になるということから、五省庁相寄りまして、それでいろいろ協議をいたしたわけでございます。もちろん岩手県も御一緒に協議したわけでございますが、そこの場ではなかなか結論が出ませんで、とりあえず緊急措置として、建設省におきましてそれまで行われておりました炭カル投入による中和作業、これを暫定措置として続けようということになりまして、財政当局の方にもそういう御了解をいただきまして、関係省庁との了解のもとに、暫定措置として建設省はその中和作業を続けたわけでございます。  しかしながら、やはりこれはあくまでも暫定的なものでございまして、いわゆる恒久対策が必要であるということから、私ども建設省が中心になりまして、対策の検討委員会を開いていただきまして、諸先生方にもいろいろなお知恵を拝措いたしまして、その対策を検討したわけでございます。その結果、やはり恒久処理施設、新しいタイプの鉄バクテリアでございますか、ちょっとむずかしい学問的なあれは詳しくは存じませんが、それを利用した恒久処理施設、これをつくることが一番よろしい。そのほか何件かの恒久対策、これが指摘されたわけでございます。  それで私ども建設省の立場といたしましては、この問題、松尾鉱山からの流出が出ます以前の状態、いわば自然の状態のときの北上川の水質、確かに酸性の出る山ではございますが、これは非常に致命的な問題は起きていなかったわけでございます。ちなみに、昔は盛岡市内あたりまでもサケが上っておったという事実もあるわけでございまして、それがやはり鉱山とともにだんだん酸性水質が悪化しまして、その結果こういう問題が起きたのである。したがって、これを改善するのは当然その休廃止鉱山の所管をいたします行政の中でおやり願うのが至当ではないかというふうに考えまして、その主張は実はこの暫定処理を始めるときから申し続けておるわけでございますが、そういった考え方建設省としては一貫して持っておるわけでございますが、そういった主張も含めまして、通産省におきまして先ほど申し上げました恒久的な新処理施設を、通産省の所管いたします休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金というのがございまして、それで岩手県が新中和工場施設の建設に五十二年度から着工いたしまして、それが今度完成するということになるわけでございます。したがいまして、その設置費につきましては一応解決したというふうに見られるわけでございますが、問題は、先生御指摘のように、今後この施設を使いまして恒久的に永久的に運転をしなければならぬという問題がございまして、それについて県あるいは関係者の間からこれはやはり国でやっていただきたいというお話がございまして、私ども五省庁もそれを受けまして再三協議をいたしておるわけでございます。いまお話しのように、もうその完成間近でございますし、これを恒常的に運転する必要がございますので、その問題当然早期に解決しなければいかぬというふうに考えておりますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては、やはり原因者のある問題でございまして、原因者が休廃止鉱山であるということから、その所管いたします通産省の方でひとつ解決いただきたいというようなことでお話は申し上げているわけでございますが、なかなか話がまとまらないというのが現状でございます。  しかし、私どもといたしましては、北上川全般の河川の流水の正常な機能を維持するということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように重大な関心を持っておりますので、この問題、どうしても解決しなければいかぬ問題であるということでございますので、たとえば技術協力等、いろいろな御要請がございましたら、いろいろな隘路がございますが、そういったことも御相談しながら今後解決していきたいというような態度で現在臨んでおるわけでございます。
  98. 小野信一

    小野委員 大臣にお伺いしますけれども、この問題は御存じのように公害発生源負担者が倒産いたしまして、責任者がおりません。同時に、松尾鉱山は国策会社として、特に戦争中に露天掘りで非常に急激に発展させられた会社であります。戦後、エネルギーが石油にかわることによって、国の政策の転換によって採算が合わなくなって、これまたつぶれた会社であります。したがって、誕生も国の政策によってなされ、休業も廃止も国の政策方向転換によってなされた会社であります。したがって、これは岩手県あるいは宮城県というように地方自治体が責任を持ってこれを処理するような仕事ではなくて、国が一貫して全責任を持って処理しなければならない仕事だと私は考えるわけです。したがって、建設省通産省あるいは環境庁といろいろな問題点、お互いの不満はおありになると思いますけれども、国が責任を持ってこれを処理する、こういう方向でこの問題に取り組んでいただきたいと考えますけれども大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  99. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  北上川の清流化の問題につきましては、当然河川管理者として重大な関心を持つところでございます。先生御指摘のように、歴史的な経過をたどっていきますれば当然の責任の所在というものは明らかになってぐるものであろうかと思いますが、来し方を顧みつつ、いま局長からの答弁のように、よく先生御指摘のような形で関係省庁と協議を進めまして、何とかかつてサケの上った北上川の清流化のためにも努力したい、このように考えるものであります。
  100. 小野信一

    小野委員 いまの大臣答弁で、北上川清流中和施設の経営主体は国が責任を持って行う、どの官庁が行うかは別にして、地方自治体、岩手県、宮城県にこれを任せない、こういう答弁だと私は理解しておきます。  また前に戻りますけれども、小さい質問になりますけれども、現在、汚泥ピットから発生する汚泥、廃油を処理する法案、これを指導する要綱が出るまでどのような形で業者あるいは特定施設者を指導していくお考えなのか、最後にお聞きして終わりたいと思います。
  101. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 都道府県や市町村におきまして、産業廃棄物の処理に関しまして公共が関与したそういう施設を、公社等を設立しておる例がございます。これは全国で現在三十一カ所ございます。厚生省におきましても、そういう公共関与の促進につきまして、都道府県や市町村を指導してまいりたいと思っております。それによりまして、先ほど御指摘のようなそういうビルピットの汚泥につきましての処理も向上してまいるものと思います。  それからもう一つ、汚泥の最終処分地の確保の問題でございます。  最終処分地は、汚泥に限らず全般的な廃棄物の最終処分地がなかなか確保が困難でございます。この点につきまして、市町村の個別の対応ではなかなか困難な状態でございますので、厚生省におきまして、運輸省と共同しまして広域廃棄物埋め立て処分場計画、俗にフェニックス計画と申しておりますが、それを推進を図ることにいたしておりまして、昭和五十六年度におきまして事業主体を設立するための経費を現在要求いたしております。
  102. 小野信一

    小野委員 十分調査しておらないところの質問ですので私の方にも無理があると思いますので、これ以上の質問はいたしませんけれども実態はそのような事態まで発展しておる。非常に不公平、不公正、特定の人だけが困る、まじめな人だけが仕事を失うあるいは金がかかるということになっておる。片方では、幾ら規制いたしましても、下水道あるいは湖沼、河川がきれいにならないという実態でありますので、それらに対する全体の計画、綿密なる調査検討の上、改めてこの問題と取り組んでいただきたいことを希望して、質問を終わります。
  103. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 薮仲義彦君。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうの質問は、国土庁かお出しになった長期水需給計画、それをベースにして行管が水資源の利用に関する調査結果報告書、これをお出しになって、幾つかのわが国の長期にわたる水の需給の問題点一つの方向性として指摘をされております。そういう観点から、まず国土庁長官の基本的なお考えを聞いてから質問に入ろうと思ったのでございますが、まだ長官がお見えになっていないということですから、その辺はちょっと飛ばしまして、後で長官お見えになったらお伺いしたいのです。  では、ずばり行管の調査結果の方へ最初から入らせていただきます。  ここの中でいわゆる日本の水の需給の問題点として、わが国の年間の平均降水量は一千七百八十八ミリメートル、降水総量は約六千七百四十九億トン、世界の年間の降水量九百七十二ミリよりも一・八倍もある、非常に降水量は多いのですよ。ところが、人口当たりあるいは季節的に降水量が集中するときと集中しないとき、雨の降らないとき等を考えますと、人口当たりでは非常に限られた水量です。関東地方では人口一人当たり二千百八十九立方メートル、近畿地方では二王八百十五立方メートルとして、世界では五分の一程度ですということが指摘されております。  ここで私が問題にしたいのは、今後六十年、六十五年等の需給バランスを見たときに、建設省が計画するダムをつくっていわゆる水資源の確保を図っても、やはり昭和六十五年度で関東臨海、近畿臨海、北九州の三地域では年間九億トンの水が足りませんよ、こういうことが冒頭指摘されておるわけでございますが、この辺は長官が来てからお伺いしますが、これによって具体的な問題として建設省にお伺いしたいのです。  いわゆるこのような水の問題を解決するために、水資源の開発の基本計画を持っております。それで水資源開発促進法に基づいて河川の総合的な開発利用の計画を立てておりますけれども、この中で指摘されておりますのは、利根川、荒川、木曾川、淀川、吉野川、筑後川の六水系について指摘されてあります。ここの中では、細かい点はもう御承知だと思いますので問題点だけ指摘いたしますと、水資源開発計画の中で掲上しなければならないのは、いわゆる計画の目標、あるいは施設計画の期間、それから水の需要供給の目標、計画の実態等が明確に出てこなければならないのですが、ここではそれらについて何点か指摘されております。筑後川について言えば、全く事項が掲上されておりませんよとか、淀川水系では、漏水の防止、回収利用、下水処理水の再利用、既存水利の合理化等を進めるとしておりますけれども、具体的な施策や事業名が明らかでありません等々、ここで淀川、利根川、荒川、木曾川水系等が指摘されております。なぜこのように指摘されるようなことが放置されておったのか。これはやはり大事な点でございますので、最初建設省にお伺いしたいと思います。
  105. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの先生御指摘の水資源開発基本計画、各水系につきまして立てておりまして、それに基づくダム建設を建設省で進めておるわけでございます。いわゆる施設計画の部分と、それからただいま先生の御指摘のような基本計画そのものの内容を煮詰めていく問題、いわば私どもの方でフルプランと申しておりますが、それを確定していく問題、実は二つあるわけでございます。フルプランの方は国土庁の方でおやり願っておりまして、私どもは、その具体の計画である施設を一つずつ、いわゆるダム建設として進めていくということでございまして、御指摘の筑後川につきましては、いろいろな問題もございまして、現在進んでおらないのも事実でございますが、建設省サイドとしてのいろいろな努力も現在進めておるわけでございます。具体のいろいろな事例につきましては、水系ごとにかなり様相も違いますので、一つずつは申し上げませんが、私どもとしては最大限の努力をしているということでございます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはこの問題に余り時間をかけたくないので、後ほどもう一度具体的にお伺いしますが、これらの水系について具体的な計画の進捗状況がおくれておるという指摘に対しては、いろいろ事情もあろうかと思いますけれども、大事な点でございますので、今後の方途については改めて突っ込んでお伺いしたいと思いますが、きょうはこれでとどめておきます。  長官がお見えになりましたので、また同じことを二度繰り返すのはいかがかと思いますので、長官、五十三年八月に国土庁でお出しになった長期水需給計画、ここで一番最初にこう書いてあります。「水は生命の源であり、人間はもとより地球上に生存するすべての生物にとって欠くことのできない」ものであるという書き出しで始まっておるわけでございまして、申すまでもなく、われわれにとって水は非常に大事な生活の、そして文明の、あるいは自然構成の要素である、この指摘のとおりでございます。そこで、先ほど大臣がいらっしゃらない間に指摘しましたが、その内容大臣先刻御承知だと思います。この中で指摘されておりますように、昭和六十五年になりましても、ダム等を建設しても水が不足する場所がございますよ、いわゆる関東臨海、近畿臨海、北九州、この地域では水が不足いたします。こういう問題を踏まえまして、国土庁として、この解決、その対策のためにどう対応なさるか、長官からまずお伺いしたい。
  107. 原健三郎

    ○原国務大臣 薮仲先生にお答え申し上げます。  水の重要なことはいまさら申し上げるまでもございません。それで、対策として、長期的な水の需給の見通しと、さしあたり今後の見通しと二つに分けて考えるのですが、最近予想以上に水の需要が増大いたしております。一般国民の生活が上がったとか、あるいは産業の発展が著しい、農業の近代化等によって予想以上に上回ってまいりました。それで、最前もお話がありましたが、昭和五十年に八百七十六億立方メートルが必要とされておったのが、昭和六十五年には約一千二百億立方メートル、この十五年間に需要増が約三百三十億立方メートルと予想される。でありますから、予想以上にふえてきて、十年も十五年も前に予想したものをじきにすぐ上回ってくる。それで、それのためにどうするかということになって、ダムの建設とか湖沼の開発を中心として計画を進めておるところでございます。供給量はこれらのもので約三百四十億立方メートル供給いたそうとしております。  水の需給の見通しでございますが、全国的に供給増でありますから、一応余ることになっておるのですが、一般論にはそうですが、全国的に均衡をとることになると、関東臨海地区、近畿臨海地区それから北九州の三地区では約九億立方メートルの水不足を生ずると予想されておりますのは、先生のいまの御指摘のとおりであります。  問題は、これからどうするかというのですが、ときどき予想が外れますので、このような大都市地域等を中心とした水不足に対応するため、国土庁としては、関係省庁と協力して、最前もお話がありました、水資源開発促進法に基づいて計画的にダム等の水源施設を拡充していきたい、建設していきたい、これが大事でございます。  それでは、口ではそういうふうに水源施設を拡充していくと言うけれども、そんなに簡単にできるものでございませんので、第二としては、水源地域対策特別措置法によって道路等の整備事業の推進、さらに水源地域対策基金によって生活再建措置の充実を図る。そういうところに関連しておる人々の生活再建の措置をやらないと、ダムの建設ができなくなってまいりますので、これもやる。  第三には、これは細かいことでございますが、節水型社会の形成を図るために節水とか水使用の合理化等を促進していく等々、これらを総合的に水の需給対策を推進して、水不足を来さないように、万遺漏なきを期していきたい、こういう方針でいま鋭意尽力中でございます。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの大臣の御答弁をもとにして具体的に何点かこれから聞いてまいりたいと思います。  先ほどの水資源の開発促進についてではなくて、きょう私がむしろ伺いたいのは、いま大臣から節水社会、こういうお話もございました。そして行管の指摘の中に出てくる次の項目は、いわゆる農業用水、工業用水をどう転換していくか。それには節水社会の中で雑用水の利用というのは非常に大事な水利用の形態ですというような指摘もなされておるわけでございます。  そこで、これは大臣でなくても結構ですが、国土庁にまず伺っておきたいのは、節水社会というのはこれからの日本の大きな水に対する社会のあり方だと思うのですが、やはりこれは地域の実情に即しませんとその効果があらわれてこない。国土庁としては具体的に、この施策の方向づけあるいはまた実施の目標、こういうものかきちんとできておるのかどうか、その辺まず伺っておきたいのです。
  109. 北野章

    ○北野政府委員 お答え申し上げます。  節水型社会の形成ということにつきましての基本的な考え方、それにつきましてはただいま大臣からお答え申し上げましたように、まず水需給の逼迫に対しては、基本的にはダムの建設を促進するということでございますが、やはり三大都市圏、北部九州等では次第に水資源開発の限界性が近づいてきております。そういうことで、水資源開発と並行して今後、雑用水利用等の水の有効利用を積極的に進めていく、いわゆる節水型社会の形成を進めるということが今後の水対策の基本でございます。  それで具体的な対策といたしましては、まず一つといたしまして、節水型社会形成のために国、地方公共団体等が総合的な水利用合理化対策を推進する際の一つの指針といいますか、ガイドラインを昭和五十七年ごろを目途に作成するということで現在作業中でございます。  それから、先生御承知のように、昭和五十二年から閣議了解に基づきまして、節水合理化について広く国民の理解と協力を得るということで水の週間行事を全国的に展開しております。  それから三番目といたしまして、水使用合理化のうち工業用水、農業用水の合理化に関しては、所管省庁の努力によりましてすでにかなり進んでおりますが、これについてもさらに一層の促進を図っていくことが必要でございます。  これに比べまして雑用水利用、循環利用が非常におくれております生活用水の分野でございますが、これにつきまして今後、節水とか雑用水利用の促進を重点的に推進する必要があるわけでございます。それで雑用水利用の促進については、関係省庁ともそれぞれの立場からその必要性を認めておりまして、現在は調査試験の段階でございますが、特に、促進上の問題点でございます水質基準、施設の維持管理基準等の技術基準、それからコストの低減策、これらにつきまして私どもといたしましても、関係省庁と協力して具体的に検討を行いまして、雑用水利用というものが社会的、経済的合理性を高めるように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま局長の御答弁になった節水社会については後ほどもう少し具体的に聞きますけれども、特に二番目にあった雑用水、中水道の計画があるわけでございますが、上水道より中水道の方がコストが高い、そのコスト高が非常に阻害要因になっておるわけでございますが、この辺は後ほどもう一度重ねてお伺いしたいと思っております。  それはそれとして次の問題に移らしていただきたいのですが、水利用の合理化という問題で、先ほどお話しした農業用水と工業用水の上水道への転換、都市用水への転換という問題が大きな課題としてここで挙がっておるわけでございます。そこで具体的な問題でお伺いしたいのは、御承知のように、ここで指摘されておりますように、現在、日本では農地が、昭和四十年度を一〇〇としますと五十三年度で九二というふうに減っております。具体的に数字を言えば、六百万ヘクタールあったものが現在は五百四十九万四千ヘクタール、九二%に減っております。それから、特にいま国土庁長官が将来の水の不足ということをうたわれた北部九州とか京阪神、南関東、こういうところの数字もここに挙がっておりますけれども、南関東では農地が四十年度を一〇〇として七五%に減っております。京阪神も同じく七五%、北部九州も九二%と、農地がどんどん減っております。農地が減っておるにかかわらず農業用水の使用量が一向に減っておりません。  これが大きな問題の指摘でありますけれども、具体的に聞いてまいります。ここで指摘されておりますように、農林水産省、いわゆる農林省は農業用水合理化対策調査昭和四十五年度以降四十四カ所実施しております。ところが、実際にこの農業用水合理化対策事業として移行したのは二カ所だけです。いわゆる調査から事業実施への移行が非常に少ないですよという指摘がここであります。同時に、ひどいのは、水の需給がさほど逼迫してないような地区を調査対象に選定しているじゃないですかとか、あるいは農業用水合理化対策事業はその基準が、百ヘクタール以上の農業振興地域を含む二百ヘクタール以上の受益地を有する、こうなりますと大都市圏ではほとんど事業採択基準にならない、とてもこれだけ広いところはない。ですから、水の需給の逼迫しているところでは実際は農林省の行うこの農業用水合理化対策が行われるということはないんじゃないか。一つは、ここで言われているように、事業採択基準をもう少し変更しなければならない、見直さなければならないのではないかということと、なぜこのように水の需給の逼迫してないようなところを含めて四十四カ所もやって二カ所しか事業が進んでいないのか、こういう指摘は好ましいことだとは思わないのですが、農林省いかがでしょう。
  111. 北村純一

    ○北村説明員 薮仲先生にお答えいたします。  農業用水合理化対策調査は、水需給が逼迫しております水系における水利用の再編成を行うことによりまして水利用の合理化を図ることができると見込まれる水系または都市化の進展が著しく、他種用水の需要が緊急であり、農用地の壊廃、地目変換、農業水利施設の老朽化等が進んでいる水系、地域でございまして、農業水利施設の近代化等を図ることにより相当量の農業用水が節約されると認められる地域を選定いたしまして、主として大都市周辺地域において実施することといたしておりまして、そのようにして実施してまいったところでございます。ところが、ただいま御指摘がございましたように、残念ながら実際その調査が事業の実施に結びついております割合が非常に低いという御指摘をいただいておるところでございます。鋭意その事業化に努めているところではございますが、以下述べますような原因がございましてその事業化に苦慮しているところでございます。御指摘いただきましたように、この事業が農業者の申請事業であって、農業者側にとって他種の用水を生み出すために自己の負担までして実施するという緊急性に乏しいといった問題がまずございます。それから、新規利水者でございます都市用水側と事業費の負担等につきまして非常に調整がむずかしいという問題がございます。それから、農業用水は主として夏季の灌漑期のみのものが多いのに対しまして、都市用水が年間を通じての需要を満たす必要があるといったような問題がございます。  ただ、今後対処いたしていかなきゃならない問題といたしましては、農業者と都市側の新規利水者、両サイドに十分この事業の趣旨を徹底させなければならないという点が一点。それから、農業者と都市側の新規利水者とのコミュニケーションを十分によくすること、これが第二点でございます。それから第三点といたしまして、調査地区の選定につきましては、ただいまも御指摘がございましたが、十分に慎重に対処いたしまして、その必要な個所について実施するということといたしたい。第四番目といたしまして、関係省庁間におきまして連絡の緊密化を図り、関係省庁間の行っております調査につきましても十分把握していかなければならないという問題がございます。さらに第五点といたしまして、事業の制度、仕組みにつきましてただいま御指摘いただきましたが、その採択の基準、たとえば御指摘いただきました面積の改定問題等、今後十分検討いたしてまいりたいと考えております。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま指摘にあったのはいみじくも本音だと思うのですが、農業者側にすれば、都市用水に転換するのに、いわゆる都市用水という余剰水を生み出すために自己負担するのはいかがか、また負担が明確でない等一番ネックとなる問題がありますよという御指摘、これは後ほどまとめて国土庁長官にその辺の調整の御意見を伺いたいのでございますが、その前に厚生省、厚生省はやはり水の一番の主務官庁でございますが、ここでも指摘されておりますね。厚生省は五十年度以降、いわゆる既存水利の活用に関する調査を行いました。五カ所行っておるけれどもいまだに転用実現に至っておらずという指摘があります。上水道については一番責任官庁である厚生省のおやりになることがこれでいかがと思うのですが、厚生省いかがでしょう。
  113. 田中収

    ○田中説明員 御指摘の調査の件でございますが、五カ所の調査のうち、宮城県で行っておりますプロジェクトにつきましては、現在計画の中に入れて具体的に取り組んでまいっております。あと三カ所につきましても、なお具体的に検討に入るべく努力しておる次第でございます。  国がやっております調査は比較的大規模のものでございまして、これを実施いたします点につきましては、やはり関係者間の円満な合意が前提でございますので、事業体の計画との調整とかあるいは河川法上の手続等もございますので、それらを総合的に調整いたしますにはかなり努力と時間がかかるわけでございます。その点につきましては、農業用水の転用ということは、ありがたい水資源でございますので、十分な努力をしていきたいと思っております。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、これらの調査は一応大規模のものでございますけれども、それぞれの地域におきましては農業用水の地域的な水道への転換ということも事実行われておるわけでございます。かなりの数が行われておる実態を御報告申し上げます。  以上でございます。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 では建設省にちょっとお伺いしますけれども建設省もやはりここで指摘されております。建設省はいわゆる河川管理者という立場から農業用水を都市用水へ転換しようということで、四十七年以降水利用合理化計画企画を三十五カ所、また四十八年以降水利用合理化指導調整を四十三カ所、合計七十八カ所行いました。そして転換を図られたのが十六カ所でございます、こういう指摘がございますし、さらにここの中で私がちょっと問題だなと思うのは、ここで指摘されておりますのは、同じように同じ場所を厚生、農林、建設が調査をいたしました。葛西地区という農業用水の調査を厚生省も農林水産省も建設省もおやりになった。  そこで、ここで問題が指摘されておりますのは、いわゆる省庁間の連携、先ほどお話しございましたが、省庁間の連絡並びに当該地方自治体への連絡が全然なされていないで、調査が一方的に行われる、調査されたことが有効に活用されていない、こういう点が指摘されておるわけでございますが、建設省、その辺も含めていかがでしょう。
  115. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま御指摘の農業用水あるいは工業用水等も含めまして余剰水が生じた場合の問題でございますが、私どもの水資源開発という立場から、また河川管理の立場から申し上げまして、長期的な需要見込みを勘案してなおこれらが余るというような場合には、これは非常に貴重な水資源でございますので、これを有効に利用することが当然必要であろうかと考えておるわけでございます。特に建設省としては、河川水を総合的に管理いたします河川管理者の立場というものがございますので、上水道等が非常に需要が増大して逼迫しておるというような地域等につきまして、この円滑な転用を積極的に図らなければならぬと考えておるわけでございます。  ただいまお話しのように、建設省におきましてもいろいろ調査いたしまして、一級河川につきまして昭和四十六年から五十四年までの九年間で三十三件、毎秒十・二トンの上水道への転用を行ったところでございます。しかしながら、ほかの調査を終了した個所につきましても、先ほど来農水省の方からも御説明のございましたように、農業利水者からの御理解をいただくのにはまだいろいろな問題もございまして、なかなか簡単にはいかないのも現状でございます。今後ともこれらの施策を推進していきたいというふうには考えておるわけでございます。  で、ただいまお話しの各省庁間の連携でございますが、確かに御指摘のような問題もあったようでございますし、私どもといたしましては、今後これら関係省庁あるいは関係地方公共団体あるいは関係機関との連携を密にいたしまして、事態が実現いたしますように努力したいというふうに考えております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、国土庁長官並びに建設大臣、いま各省庁いろいろ、苦しい答弁ではないでしょうけれども、歯切れの悪い御答弁がございました。建設省は七十八カ所調査をして十六カ所しかできておりませんよ、厚生省も現在はまだ余り具体的に進んでおりません。農林水産省も、お話がございましたように二カ所しか進んでおらない。調査はしたけれども進まないというのはなぜかと言うと、いま御指摘のように、いろいろな関係者がおりまして、連携を密にとりませんと、事柄は一省庁だけでは進みませんというのが本音のところであろうと私は思うのです。いわゆる農業用水を都市用水に円滑に転換するということは、先ほど長官がおっしゃった、これからの節水社会あるいは水を有効に使うという一番大事な問題であって、これを解決することが国土庁長官の非常に大事な問題であろうと私思うわけでございます。  そこで、私は、やはり利害が直接絡んでくる河川管理者、建設省、あるいは厚生省、農林水産省等々ではなかなか調整しにくい問題でもあろうかと思うわけでございます。そこで、私は、こういう問題は国土庁長官、国土庁が、これを何とか円滑にやるためにはどうしたらいいか。要は、農業用水を使っている関係者あるいはこの転用を受ける都市の水の利用者、あるいはまたその水の許可を与える河川管理者である建設大臣建設省、あるいはこういう問題について円滑にやるためにはどうしたらいいかということを、いろいろな意味で調整機能を果たす機関がどうしても必要ではないかな。そういう連絡、ここで出てまいりますのは建設省、厚生省、農林水産省、そして国土庁がその中心かもしれませんが、どうなるか、大臣のお考えをお伺いしたいのです。そして地方自治体との連携をどうするか。自治省も入ってこなければならぬでしょう。しかし、そういう連携の中で一つの協議会のようなものをつくって、そしてこの農業用水をどのように有効に、合理的に転換するか。しかも調査を各省庁でばらばらにやっております。さっき葛西用水のことを言いました。むだだと思うのです。この地域は水の需給が逼迫しております。ここを調査しようではないかということを各省庁で協議してそこを調査して、連携を保ってこのように転換をしましたという結果を出さなければ、いま鈴木内閣挙げて財政再建を叫んでおるときにこれはむだ遣いだと私は思うのです。そういう意味も込めて、水の有効、合理的な利用のために、これは国土庁がコンダクトしていろいろな省庁を集めて適切な農業用水の転換を図っていただく御努力をいただきたいと思いますが、長官、お考えいかがでしょう。
  117. 北野章

    ○北野政府委員 長官のお答えの前に、私から少し国土庁で総合調整をやっております具体的な事項について御紹介いたしたいと思います。  国土庁におきましては、先ほど話がございましたように水資源開発促進法に基づきまして計画的な水資源の開発と合理的な利用を図るということで、現在六大水系を指定水系にして事業を進めております。その中で特に農業用水から都市用水への転換ということで最近利根川、荒川水系につきまして私ども関係省庁、地元を調整いたしまして、具体的に基本計画の中に織り込みましてやった事業が二つございます。その一つは埼玉合口二期事業でございまして、これは、徳川時代からの見沼代用水というのがございますが、これにつきまして最近水路の末端の方が市街化してまいりまして、したがってその分だけ農業用水が要らない、また、この水路をもう少し合理的に用水ができるように改修したいというふうな両方の意見を調整いたしまして、これを昭和五十三年に埼玉合口二期事業といたしまして基本計画に入れまして、昨年度から事業を実施しておるものでございます。それからもう一つは、これはことしでございますが、すでに水資源開発事業として終わりました利根川の群馬用水、これにつきましてもその後の社会情勢の変化によりましてそれだけの開田が不要である、一方前橋、高崎市を中心とする十七市町村で水道用水の需要がふえたということで、これにつきましてもフルプランの一部改定をいたしまして転換計画を行ったわけでございまして、これに対する事業はこれからでございますが、そういう二つの事実がございます。そういうことを踏まえまして、国土庁といたしましては指定水系を中心にこういった問題を整理いたしまして、先生御指摘の関係省庁の調整ということを積極的に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  118. 原健三郎

    ○原国務大臣 御承知のようにこの水の問題は大変緊要な問題で、急に飲用水などが不足したからさてどうしようか、そのときはもう遅いので、ふだんからこの準備をしなければならない、こういう重大なものでございまして、御忠言のことはよく存じております。ことに最近の農業用水を都市用水にもっと利用するように、変えていくようにというような政策は若干おくれていると思いますので、先生御指摘のように建設省、厚生省、自治省ともども連携を密にして、それをやるのには国土庁がそういう連絡調整の役所でもありますので、私の方で連絡いたしまして、機関をつくるか、あるいはつくらなくてもやれるか、どういうふうにやるか等々も踏まえて御期待に沿うように、円滑にいくように尽力する決心でございますから、よろしく。
  119. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、この農業用水転換は今後の水の有効利用に非常に大事な点だと思いますので、ただいま御答弁のとおり、よろしく御努力をお願いする次第でございます。  次に、農林水産省にちょっとお伺いしたいのですが、先ほどの国土庁の調査結果の中に出てくる関東臨海、これは東京都も入るわけでございます。そこの中で農地面積の減少の著しいことが出てまいっておるわけでございますが、四十年度を一〇〇としまして五十三年度は農地面積が二〇です。中でも一番水を使うと思われる水田などは四十年度が七百三十五ヘクタール、五十三年度は十四ヘクタール、パーセントで二%ぐらいになってしまっているわけですね。ということは、もう非常に農地の状態が変わっておる。東京は二つ土地改良区の例が挙がっておりますが、もう一カ所も、同じように四十年度を一〇〇としますと、五十三年度で四九というパーセントで半分以下に農地が減っております。こういうように農地が減っておる。中には水田で二%ぐらいになってしまうというような極端な減り方があるわけでございますが、こういうような問題がある。  先ほど農林水産省は、われわれが使っておる水、いわゆる都市用水に転用するのに、余剰水を生み出すのに自己負担はいかがかとかいろいろな問題を御指摘になりましたけれども、こういうような専門の省庁でございますので、こういうように農業用水を都市用水に転換すべきであるということをむしろ積極的な形で推進なさっていかれた方が、私は結果としては国全体として好ましいと思うのですが、そういう問題点を、いま長官のお話のように各省庁間で費用負担をどう分担するか等を含めて、農林水産省に積極的に取り組んでいただきたいと思うのですが、お考えはいかがでしょう。
  120. 大脇知芳

    ○大脇説明員 お答えいたします。  都市化が進行しております地域において農業用水を転用するということにつきましては、一般的に農地の転用そのものが、いわゆる虫食いというのですか、スプロール的に行われるというようなこともありまして点在的に残る農地があるわけでございます。こういった農地に給水することについては、一定の水位を確保していく必要があるということ、それから都市化の進展に伴いましてごみなり汚水なりというものが用水路等に入ることによりまして、そういうものを浄化するというのか掃流する、いわゆるフラッシュするための水が必要であるということ、それから従来地区内の小さな河川なり渓流から取水しておった水があるわけでございますが、こういうものが水質の悪化によりまして、従来のため池とか渓流とかいうようなものから取っておりました利用可能な水量が減っていくというようなこと、それから周辺の宅地化が進みまして、残った農地への地下浸透水がふえるというようなことがございます。こういったようなことがいろいろございまして、水田面積が減少しましてもこれに比例して水量が減少するものではないわけでございます。  それで、余剰水を生み出していくというためには、先ほどからお答えしておりますように、用水路の改修とかいうようなものを含めまして、その地域の残った農地への用水を確保しつつ余剰水を生み出していくということを積極的に進めておるわけでございます。  この行政管理庁の御報告の中にありますJ土地改良地域のことについて申し上げますれば、これは江戸川の最下流に位置するものでございまして、二カ所の揚水機によりましてポンプの取水を行っておるわけでございます。この土地改良区自体は四十七年に解散しておりまして、現在は江戸川区の土木課で揚水機なり水路を管理しております。この地域の揚水機なり水路そのものは昭和四十一年に都営の土地改良事業により整備されたものでございまして、現在は受益地はすべて市街化区域になっておるわけでございます。こういったところに、積極的に水を転用するという意味で、東京都におかれましては五十三年度から農業用水の合理化のための調査を実施しておられまして、東京都の上水への転用を図ることを検討されているというふうに聞いている地区でございます。
  121. 薮仲義彦

    薮仲委員 御答弁なさる方に私、言っておきますけれども、ここに書いてあることを重ねて言わないで結構です。御答弁なさっている、農地が減少してスプロール化してどうのこうのというのは、全部指摘されておりまして、私は何回も読んでそれを百も承知で、いわゆる農林水産省として、農地の中で農業用水が余剰になったらば、こういうように指摘されない前に自分の方からこれを転用するために積極的な対応をしなさいと言っただけですから、それについてすぽっとお答えになれば結構。そんなわけのわかったようなことを聞いているのじゃない。私の質問の要旨に明確に答えてください。そんなのは時間のむだです。  時間がなくなりましたので、残念なのですが、私が申し上げたいのは、農業用水を合理化、転用いたしますと、一立方当たりのコストは非常に安いですよ、ダムの建設コストよりも安いですとここに指摘があるわけです。私は、なるほどなと思いました。私も静岡でございますけれども大臣と同じところでございますが、ダムを一つつくるということは非常に困難な問題が数多くあります。確かに農業用水の転用も大変かもしれませんけれども、各省庁で鋭意努力すればコストの安い水が転用できるということであれば、将来農業用水の転用ということとダムの建設とどちらが果たしていいかということも重要な研究課題ではないかと思うのですが、この辺建設大臣にお伺いしたいと思うのです。  時間がありませんから、まとめて聞かざるを得ません。通産省にお伺いしたいのは、いわゆる工業用水がだぶついておる、だぶついておると言っては失礼ですね。余剰ですね。東京都の例を挙げますと、工業用水系が二つありますが、供給能力が三十二万六千トンあります。ところが、実際供給されているのが六万三千六百七十八トン、供給能力の二〇%です。もう一つは、三十五万トンの供給能力がありながら十一万七千五百五十六トンということで、三四%の供給実績、能力に対して二〇%ないし三〇%ということがここに出ているわけでございますが、いわゆる工業用水道、これは原水は上水道と同じでございますので、この転換も今後の水不足対策に私は非常に大事な点であろうと思います。こういう点、通産省の好ましいといいますか、工場配置の転換あるいは経済成長あるいは人口等の問題で需要が減っている部分もあろうかと思いますが、もっと詳細に、今後工業用水の需要増が望めるか望めないか、そういう見通しを立てて、これは転換してもいいという余剰水利につきましては、積極的に厚生省、関係省庁と話し合って、この工業用水を都市用水に転換を図っていただきたい、こう思うわけでございます。こういう点、通産省がどうお考えになるか、お伺いしたいと思うのでございます。  もう一点、さっき節水社会ということが問題になりました。大事な点は中水道初めいわゆる雑用水をどう循環させるかということがこれからの都市構造で大事な点でございますので、このコストを下げるために国土庁としては具体的に今後どういうお考えで中水道のコストを下げていくか、この点をお伺いをしたいと思うのでございます。  と同時に建設省にお伺いしたいのは、節水のためには新築家屋に節水機器、トイレを初めあらゆる機器に節水の機器を取りつけることが大事だと思うのです。当然通産省のJIS規格あるいは水道法上のいろいろな問題もあろうかと思うのですが、そういう問題と積極的に取り組んで節水社会に取り組んでいただきたい。  最後にもう一つ国土庁長官にお伺いしたいのは、さっき節水社会とおっしゃいましたけれども、中水道の水質の基準であるとかあるいは構造であるとかあるいは維持管理であるとか、このことがまだ明確な基準もございません。現在中水道について何もないわけです。ですから、長官が将来節水社会をつくるとおっしゃった以上、私は、将来の都市構造の中で中水道を初め雑用水をどう循環させて有効に社会に還元利用していくかということをこの辺で関係省庁集めて調整して、一つの法制化といいますか、規制化をする必要があろうかと思うのですが、最後にその答弁をいただいて終わりたいと思うのです。いま指摘した省庁それぞれお答えをいただきたいと思うのですが、それで終わります。
  122. 岩城彬

    ○岩城説明員 工業用水道をめぐる水需給状況につきましてお答えを申し上げます。  先ほど先生御指摘にありましたような三つの要因によりまして、主として臨海部の大工業地帯を中心にしまして工業用水道施設にかなりの余裕が出てきているところが見られるのは事実でございますし、他方、既存の大工業地帯の周辺部あるいは内陸部におきましては、新たに工業用水道の建設需要が出てきている、それに対応しなければいけないというふうな状況が現在の実情でございます。  このうち、前段に申しました施設に余力の生じているところ、これにつきましては、将来の工業用水需要がどうなるかということを検討いたしまして、われわれ工業用水の供給責任を負っておるわけでありますから、その責任について何ら欠くるところがないという見きわめをつけた上で現実に上水道への転換を行ってきております。これは今後ともそういう実態を把握しました上でそういった事態に対応していきたいと思っておるわけでございます。  なお、ついででございますが、先ほど節水型社会で通産省のことについても触れられましたけれども、私ども、今年度から優良節水型機器の認定制度というのを新たに発足させました。この点についてもこれから積極的にやってまいりたいと思っておりますので、ちょっと付言させていただきます。
  123. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの先生の御指摘で、コストの面から農業用水の転用の方が非常に安くいく場合が多いじゃないか、ダムよりもそちらに多く頼るべきではないかというような御指摘もございましたが、私ども建設省といたしましては、昭和五十一年から六十五年までに約三百六十の水資源開発施設を完成させて、年間二百六十一億トンの水資源を開発しようという目標のもとに現在鋭意ダムと取っ組んでおるわけでございます。それを完成いたしましても、なおかつ昭和六十五年時点で、南関東あるいは京阪神、北部九州等におきましてまだ年間約十五億トン程度の不足が生じるということでもございます。ただいまの御指摘の農業用水の転用につきましても、これも重要な資源、貴重な資源でございますので、当然これの中でこれにプラスしてやっていかなければならぬというふうには考えておりますが、このダム事業の方もやはり私どもは強力に推進せざるを得ないというふうに考えております。  それから節水に関連いたしまして節水機器等、これにつきましては、建設省直接所管する部分、所管しない部分がございますが、私どもといたしましては、少なくとも水資源をどんどん開発していかなければいかぬという立場から、片方では当面節水あるいは合理化によって急場をしのぐということも非常に重要なことでございますので、わが省としてもこれに十分取っ組んでいきたいというふうに考えております。
  124. 北野章

    ○北野政府委員 お答えいたします。  雑用水利用と一般の水道のコストの低下の問題でございますが、これにつきましては方式とか規模、用途に応じた目標水質などでいろいろ違ってまいります。そのコスト高の主な原因といたしましては、やはり高度の水処理施設を新たに設置しなければならぬ、あるいは二重配管を要する、それからできた施設の維持管理にお金がかかるということ等でございますが、これに対しましては、雑用水利用は最近全国的に緒についたばかりでございますので、やはり水処理プラント等の技術開発の推進によって相当コストを下げられる余地がございます。それから一方、水資源開発のコストが次第に需給逼迫地域では高くなりますので、そのコスト差については漸次低減の方向にございますが、しかしこれを待つわけにはまいりませんので、当面の対策といたしまして、具体的な調査を実施して問題点の整理と解明に努力しておりますが、昨年から日本開発銀行による融資制度それから法人税、所得税の特別償却制度、そういうことを実施しておりますが、今後ともこういったものを拡充強化していきたいということが一つ。  それから先ほども申しましたように、私どもは全国的な長期水需給計画、主要水系における水資源開発基本計画を推進する立場でございますので、やはり地域の実情に即してその導入を図らなければならないということで、雑用水利用の水資源開発全体に占める位置づけというものを明確にして、国、地方公共団体の役割り分担を明確にするような仕組みを関係省庁、関係地方公共団体とも連絡調整して今後進めてまいりたいということでございます。
  125. 原健三郎

    ○原国務大臣 最前から先生、水に対する注意を喚起していただきましてわれわれも大いに参考になりました。農業用水から都市用水に転換する等についても各省庁間協力することを申し上げましたが、水質の基準とかコストの低下を図る等々、この問題もそれに劣らぬ重要なことでございますから、これも各省庁なわ張りでやっておりますとどうもらちが明きませんので、まず最初に各省庁の連携を緊密にいたしまして、またさらにいま局長から話のありました地方公共団体とも連絡して、これらの水の諸問題を解決し、国民が不安のないようにしていきたい、御期待に沿いたいと考えております。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  127. 稲村利幸

    稲村委員長 瀬崎博義君。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 国際障害者年では社会への全面参加をうたっているのですね。そのための町づくりについてまず質問をしたいと思います。  今日、世界各国の中で身体障害者のための建築基準を設けている国にどういう国があるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  129. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  建築基準そのものにつきましてどのような基準を設けているか、私もちょっと現段階ではつまびらかにいたしておりません。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 厚生省見えていると思いますが、厚生省の方でつかんでいませんか。
  131. 板山賢治

    ○板山説明員 同じようにその詳細を把握しておりません。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一九七四年六月に開かれた国連障害者生活環境専門家会議の報告書によりますと、「少なくとも十七カ国は可動性の制限されている人々にも利用しやすい建物を設計するための基準をすでに設けている。」と書かれているのですけれども、こうした事情について国際障害者年だというのに政府は余りにも不勉強だと思うのですが、いかがですか。
  133. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 外国の細かい点につきましてはいま申しましたように詳細をつまびらかにいたしておりませんが、私どもといたしましても、建築物はわれわれの生活に非常に関係の深いことでもありますし、特に公共性の強い建築物等につきましては身体障害者の方々が利用しやすいようにいろいろな施設、設備等について配慮を加えることは必要であろうと考えておりまして、中央心身障害者対策協議会におきますところのプロジェクトチームにおきまして今後こういった建築物につきましてはモデル的な設計に関する標準を作成いたしまして、官庁施設であるとか公共性の強い建築物につきましてそういった標準の普及啓蒙を図っていくというような方向で現在検討をさせていただいております。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、それならばなおのこと視野を広く開いて国連のこういう権威ある会議から十七カ国が何らかの基準を設けているのではないかという報告も出ているくらいですから、少なくもそういう調査をするべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  135. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま局長からもお話し申し上げましたように、来年、福祉年ということで特別にそうした計画についても政府で現在考慮中であろうかと思います。建設省といたしましても福祉年を迎える以前から先生方の御推挽等々もございまして障害者関係の施設につきましては積極的に進めておるところでございます。なお、国際福祉年を契機に先生御指摘の関係につきましてもなお勘案を重ねながら進めてまいりたい、このように考えるものであります。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これまで鋭意やってこられたと言われるのですが、なるほど何かやったものはないかと言えば、ここに「身体障害者の利用を考慮した設計資料」、これは営繕協会が発行しているのですね、こういうものが出てきましたが、聞けば、「この資料をもって、内容的にも位置づけからいっても国が出している身体障害者用の建築指導要綱とみなすことはとうていできないものである。」というお断りがついて出てきたのですね。では一体これはどういう性格の資料なのかということを聞いてみたいと思うのです。
  137. 高野隆

    ○高野説明員 お答えいたします。  その資料は、昭和四十七年ごろから身体障害者の方の問題がいろいろ出てまいりまして、官庁建物の施設を建設している私ども官庁営繕部としてもその対策を考えようではないかということで、身体障害者の方の施設の研究をしていらっしゃる人たちお願いいたしまして資料をつくりました。それで、それはたしか四十六年か四十七年……(瀬崎委員「いや、五十一年」と呼ぶ)古い方でございます。二つございます。(瀬崎委員「古い方が五十年、新しい方が五十一年」と呼ぶ)もう少し古いのがあるかと思います。それでそれに基づきましてたしか五十年ごろに一遍通達を出しております。それからまたさらに二つ目調査をやりまして、その資料に基づきまして五十二年に通達を出しております。  それで、現在実際に身体障害者対策をやるに当たりましては、通達に、大体どういう施設をやったらいいか、それからその内容はどんなものかというふうな基準をつくっているわけですけれども、それに基づいて新設の建物あるいは古い建物の改修をやっておりますが、いまお示しになりました設計資料あるいは設計資料修正というのは設計のための参考資料ということで運用しております。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま五十二年に通達を出したと言われたのは、官庁営繕部長名の通達のことを言っているのですか。
  139. 高野隆

    ○高野説明員 さようでございます。
  140. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまのあなたの話を聞いておれば、あたかも全部の建物にこういう基準が適用されているかのように見えるけれども、これはあくまで官庁営繕における身体障害者等の利用に対する措置だけじゃないですか。範囲はきわめて限られておるのじゃないですか。
  141. 高野隆

    ○高野説明員 そのとおりでございます。
  142. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、とにもかくにもこれもまことにお粗末なものでありますけれども、この建築基準に従ってつくられた官庁建物は今日までどのくらい整備されていますか。
  143. 高野隆

    ○高野説明員 この通達を出しましてから後の新規施設につきましては、すべてこれに基づいてやっております。それから、これは五十二年十月の通達でございますが、五十三年度以降におきましては、在来の施設の中から重要な施設ということでウエートをつけまして、順次改修をするというふうな整備を行っております。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その整備状況ですけれども、予算の経緯等を見ておりますと、五十三年、つまりこの通達の出た後ということでしょうね。やっと一億台に予算が上ってきました。五十三年、一億四千八百万、五十四年、二億二千万、五十五年、二億二千万ですね。これによって、既設の建物のうち改造、改良のできた建物と、それから残っている建物と、どういう状況になっていますか。
  145. 高野隆

    ○高野説明員 五十三年度から在来施設の整備を始めまして、五十三年度と五十四年度にかけましては中央官庁の整備をいたしました。各省の建物には、御承知かと思いますけれども、身障者用の便所であるとかスロープであるとか、そういったものかもうできております。それから同じく五十三年度から、地方合同庁舎と港湾合同庁舎がございますが、そういうものの整備を始めまして、今年度五十五年度末でたしか百九施設かと思います。  ちなみに私どもが建設に関係いたしました全体の施設は、これは正確な数字ではございませんけれども、約六千施設ございます。ですから、四十七、八年以降、新規施設のうち一部のものについては身障者対策を施しておりますし、それから五十三年度以降についてはすべてのものについてそういう対策をしております。それ以外に在来施設について整備をしたのが百九施設でございます。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、いま言われた六千施設、これが全部必要かどうかは別にして、一応身障者施設を持っていないために改造対象になる、こういうことではないのですか。
  147. 高野隆

    ○高野説明員 実はその点につきまして、私ども詳しくつかんでおりません。なぜかと申しますと、身障者対策施設というのはそれほど予算のかかる施設ではないものもありますものですから、入居している省庁さんが庁費をお使いになってやっておられるものもございますし、そういうわけで、私どもとしては重要というか、大規模でかつ重要だというふうな施設から順にやっておるのですけれども、あと具体的にどこの庁舎にどういう施設整備が必要かということをいま詳しくつかんでおりませんので、いま調査をスタートさせているところであります。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、国際障害者年が迫ってくるのですが、まず率先して模範を示さなければならない政府の官庁の建物でもこのとおりです。まず第一に、既存の建物についてこれがどの程度手が加えられているのか、全く手が加えられていないのか、このことがまだはっきりしないとおっしゃるのです。つまりこれまで調査がなかったということがはっきりしましたね。六千施設のうち、多少細かく調べられれば手当てしたものも出てくるかもしれません。あるいは改良の必要のないものが出るかもしれませんが、少なくとも千単位の施設は今後改造対象として残るでしょうね。一方、三年間で改造したのが百九であります。この数字を見ただけで、いまのような予算措置では、それこそ十年の国際障害者年が短くてしようがない、こんなことになるのではないでしょうか。この点では建設省はもう少し思い切った措置をとる必要があるのではないですか。
  149. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  障害者の方々への施設の新設、改造等々につきまして御指摘のように、長期的に見ますると、確かにおくれておったことは認めざるを得ません。福祉という言葉が国会で具体的に出たのはこの十年くらい前からなんです。その点については、私もいろいろとじくじたるものがあるわけでありますけれども、それはそれとして、いまの建設省といたしましては、だからこそこれからの施設、それから既存の施設等々につきましては積極的に改造、改修いたしまして、障害者の方々が何とか一般の方々と同様に社会活動ができるようなことをやるという心組みで指示いたしておるところでございまして、来年の福祉年に向かって、現在挙げた数字は、先生御指摘のように大変御満足いかないかもしれませんけれども、これからの問題としてひとつ御理解いただきたいと思います。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは身体障害者の皆さんが障害者年が来るに当たって期待されることにこたえる、このことだけははっきり言えますね。
  151. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 その心組みで対処してまいります。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう政府の施策に比べますと、すべてではありませんけれども、地方自治体はずいぶん努力していると思われますね。私も全部を調べることはとうてい不可能でしたが、首都東京の状態も尋ねてみました。東京都は、五十一年の六月から「障害者のための建築上の配慮−都立施設の障害者向け建築指針」というものをつくっておるわけです。これはもちろんその対象がここにうたわれているとおり都立施設に限定されております。他の公立施設や民間施設についてはこの指針に理解と協力を求める、この程度にとどまっているのであります。実質都立の施設に限っての適用であります。東京都のように、自治体みずからがつくる施設について身体障害者のための建築基準を定めている、こういう自治体は全国でどのくらいあるのでしょうか。もし建設省でわからなければ厚生省にお答えいただいてもいいと思います。
  153. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  私どもの方におきまして全部つぶさに調べたわけではございませんが、公共の施設についてのみ対策を講じておるのは、府、県、市等を含めまして、要綱が定められているものが十九公共団体、条例を定めているものが四団体ございますが、これは必ずしも全部のものを対象としておりませんで、このうちの一部のものが官公庁施設のみを対象としているというように聞いておりまして、その内数は現在正確には把握しておりません。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 数字そのものも含めて厚生省にもちょっと伺ってみたいと思うのですが、いまの建設省答弁は、要綱をつくっているのが十九、条例をつくっているのが四つ、このうち官公庁のみにしぼっているものとそうでないものとの比率がわからないということなんですが、厚生省の方ではどうですか。
  155. 板山賢治

    ○板山説明員 実は中央心身障害者対策協議会の中にここ数年来プロジェクトチームをつくりまして、特にその中の生活環境改善に関しますチームにおきましては建設省、運輸省、警察庁あるいは厚生省等が一緒になりまして議論を重ねてまいりまして、五十三年の暮れに一つの中間的な報告を出しております。これも先生お話のように条例、規則等ということで縛るものではありませんが、一つのめどとしてこれを地方心身協あるいは都道府県、自治体にお示しをいたしまして、各県におきましてもこういったものを受けとめながら、いまおっしゃいますような条例、要綱というようなことでかなり努力をされております。ただ、それを強制力のあるものにしていくということについては、自治体自体が問題があるというので、一つの訓示規定といいますか、自治体の住民挙げて努力をしようではないかという方向づけという形で整備されているものが大多数だと承知しています。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一方、進んでいると言われております京都市の状況も調べてみました。ここは要綱ですね。福祉のまちづくりのための建築物環境整備要綱という名のものであります。これは、適用の範囲を本市の区域内にある不特定多数の市民が利用する建築物と非常に幅広くとっているところが特徴ではないかと思います。そして具体的には、適用建築物として、一、百貨店、マーケット。二、物品販売業を営む小売店舗または飲食店で、その用途に供する部分の床面積の合計が五百平米を超えるもの。三として、劇場、映画館、演劇物、観覧物、公会堂または集会場。四、展示場または展覧会場。五が遊技場。六が公衆浴場、理容店または美容店。七、図書館、美術館または博物館。八、病院または診療所。九、ホテルまたは旅館。十が学校または体育館。十一、老人ホーム、保育所、その他の福祉施設。十二、銀行または郵便局。十三、鉄道駅舎または旅行案内所。十四、国及び地方公共団体が公用または公共の用に供するもの。十五、その他市長が特に必要と認めるもの。こうなりますと、身体障害者の皆さんが全面的に社会に参加するに必要な施設をほぼ含んでいるように思うのですが、この辺まで対象を広げている自治体はどのぐらいあるか調べていらっしゃいますか。
  157. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、条例または要綱によりまして定められておる公共団体が計二十三あるわけでございますが、その内容といたしましては、ただいま御指摘ありましたように、不特定多数の方々が利用される公共的性格を有する建築物を含めて、さらに建築物以外のその他の都市施設にまで広げているもの、それから、官公庁施設のみを対象としているもの等区々にわたっておりますので、個別に見ませんと一概にどこまでというふうに言えないかと思います。
  158. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私、とりあえず東京と京都の基準を比べてみたわけなんですね。基準を設定する個所といいましょうか整備の区分といいましょうか、これはアプローチ、駐車場、出入り口、通路またはドア、階段、エレベーター、便所、洗面所、カウンター、公衆用電話、浴室、通報設備等の住宅設備など、ほぼ共通しているんですね。ですから、身体障害者のために特に配慮を必要とする建築物の個所といいましょうかあるいは設備、こういうものは今日実施に踏み切ってきている各自治体共通の指針、要綱になっているんではないか、こう推察するんですね。大体固まってきている、こう見ていいんじゃないかと思っているんですが、この点いかがでしょう、プロジェクトの中での御論議も含めて。
  159. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、中央心身障害者対策協議会のプロジェクトチームにおきまして御報告をいただいておりまして、今後公共的な性格の建築物についてもひとつモデル的な標準をつくって、指導、誘導していくべきであるという御答申をいただいております。私どももそれに基づきまして現在モデル的な標準設計をつくるべく準備し、また予算要求等も行っているところでございます。  ところで一方また、御案内のように公営住宅等につきましては、心身障害者の方々のために特定目的公営住宅というのをすでに十数年来設置してきておりまして 総数か一万数千戸になっておりますが、それらの実績を見ました場合に、身体障害者の方々のいろいろな内容によりまして設計なり具体的な標準というものも非常に区々でありまして、相当幅広くかつ深く検討しないといけないというような点がありますので、そういう点を踏まえてさらに私ども検討させていただきまして、また一面各地方公共団体の方でも、いろいろ御努力いただいておりまして要綱等を整備していらっしゃいますので、これらの要綱等の状況等も見、全国的になるべく共通したような指針が定められるよう努めていきたいというふうに思っております。
  160. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 確かにそういう点、標準をつくるということには大事なことですから、十分な研究、検討は必要だと思いますよ。しかし、いまの東京と京都と比べてみて、基準内容といいますか、規格といいますか、仕様といいますか、これは一致しているのはどこもないと言っていいくらい違いがあるわけです。  確かに考えようによって違ってくるなと思う部分もありますが、ごく一般的な部分で、少なくもこの辺は統一したものになるはずだと思われるようなところをちょっと拾ってみますと、出入り口の前後に一定のスペースを設けなくちゃいけないわけです、特に車いすの方などに対しては。東京都の場合は、出入り口のドアの前にいすが回転できるスペースを設ける。一般に車いすの回転スペースは百五十センチ掛ける百五十センチまたは百三十五センチ掛ける百三十五センチが必要であるが、メーンとなる出入り口は二百センチメートル掛ける二百センチメートルのスペースをとるとなっているのです。京都市の場合は主な出入り口の前後には奥行き一・八メートル以上の広場を有しとなっているのです。違うわけです。だから、東京がこの基準で普及してそこになれた身体障害者の方が、じゃ今度は京都へ行かれますと非常に違和感を感じられる。非常に操作がしにくい、こういう感じを持たれるのではないかと思うのです。  それから今度はドア。東京都の場合は、出入り口の有効幅は、玄関は百センチメートル以上、その他の出入り口は九十センチメートル以上とするとなっています。京都市の場合、戸の開口時の有効幅員が八十五センチ以上であって容易に開閉の行えるもの。東京都の方が広いわけです。だから、東京でいっぱいいっぱいいけるなと思って、じゃ京都では、こうなりますとこれはひっかかるおそれが出てくるわけなんですね。  それからエレベーター。東京都は、エレベーター入り口の有効幅員は九十センチメートル以上で中央開きとする、京都市は、出入り口の戸の開口幅員が八十センチメートル以上。これは十センチ違う。それからかごの奥行きがそのかわり一・三メートルと規定を設けております。さらに操作盤についても規定がありまして、東京都は、操作盤は次により設置するとして、高さが八十センチメートルないし百十センチメートルの範囲と決めておりますが、京都市の方は、操作盤がかごの床面から七十センチメートル以上百二十センチメートル以下の高さに設けなければならない。こういうふうに違うのです。だから、京都の一番低い基準でもって手が届くと思って東京へ来ると届かないというようなことがあり得るわけです。  それから階段。東京都は、け上げは十六センチメートル以下、踏み面は三十二センチメートル以上というふうに決めているのですが、京都市の場合は、け上げは十センチメートル以上十六センチメートル以下、踏み面三十センチメートル以上、こういうふうな決め方なんです。わずかですがここが違っているし、先ほど言ったように相当大きく違っているところもあるのです。  それと、先ほど言いました整備区分にいたしましても、ほぼ共通しているとは言いましたが、たとえば点字による表示などは京都にあって東京にないとか、あるいはスロープ、手すり、キックプレートなどは東京は別項目を立てているのですが、京都は階段とか通路の中にひっくるめている。こういう違いも出てくるのです。そういう意味では、先ほど申し上げましたように、やはり使用者の立場に立っても、これだけ広がってまいりますと、その経験と教訓を十分学んで国が統一基準を決めなければならない段階に来ているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  161. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどちょっと御説明申し上げましたように、私どもといたしましても、モデル的な設計に関する標準を作成いたしたいと考えておりまして、来年度の概算要求等にもそういう経費を盛り込んで現在財政当局とも折衝中でございますが、そういったことを待つまでもなく、一方、こういった仕事をされますのは具体的には設計あるいは施工管理をされる建築士の方々によるところが大きいわけでございますので、そういう建築士会の連合会等を通じまして現在も検討を進めていただいております。  いまお話がありましたような各公共団体におきましてもいろいろ御努力いただいておりますが、具体的な個別の項目について見ますと、なかなか基準の統一的な設定が現在まだ十分でない点が感じられますので、そういった点を踏まえまして、各公共団体の経験等も徴しまして、より統一的な設計標準をつくるように進めてまいりたいと思っております。
  162. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、モデル的な設計指針、基準を決める努力はやろうと言われることですからいいのですが、国際障害者年もすぐ始まることですから、いつそれができてくるのか、それに向かって密度の高い作業をやってもらう必要もあると思いますね。  それと、どういうふうな位置づけになるか、これも自治体としては非常に関心の的のようであります。  たとえば京都市の担当者の話をそのまま伝えてみたいと思うのです。   ただやみくもにやってきた感じ。建物に車いす用施設をつくるのが千件になろうとしている。京都はずいぶん多いのですね。   しかし、現実には使いにくいものもあるようだ。だから来年は障害者年でもあり、見直し点検作業を行う予定。やってきたけれども、どうもみずから見直しが必要になっているのですね。   しかし、たとえば、スロープの勾配、ドアの構造などまちまちであり、統一的基準が欲しい。   とにかくその統一的基準がないままでは試行錯誤の状態である。   また、要綱では行政指導だけであり、強制できず、拘束力がない。建築基準法などでこれが入れられないものか。大体ほかも似たような意見を述べていらっしゃいますね。  そこで、ここに二つの問題がある。いま言ったように、大体だれが考えても統一基準の方がよいという部分はまず統一基準を早くつくってほしい。第二点目は、何らか法的基準をつけてほしい。京都の場合は建築基準法の中でと、こう言っています。  そこで、建設省の方の意向を一応聞いてみたいと思います。
  163. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 まず第一に、統一基準の件でございますが、いま申しましたようなことで、なるべく早急に、私どもも現段階でも研究させておりますが、さらにそのピッチを速めましてルールづくりをしたいと考えております。ただ、その際、いまもお話がありましたように、身体障害者の方々がお使いになるためにどういうものが最もいいかというのには現在まだ試行錯誤中の点もありまして、たとえば手すり一つつけるにいたしましても、その高さはどの程度がいいかということはいろいろと御議論があるようでございます。そういった点がありますので、若干そういった細かい点につきましては今後の検討にまたなければいけない点があろうかと思っております。  それからもう一つは、建築基準法ででもというような御指摘でございましたが、建築基準法につきましては、御承知のとおり、建築物の安全衛生、防火上の最低基準を定めるものであり、また強制的なことの効果が出てまいりますが、そういった点につきまして、現段階で各公共団体でも御苦労されておりますか、要綱なり条例なりの御方向というのは指導、誘導的な立場として使っていらっしゃるように思われます。  私どもも、これからの検討課題でございますが、やはり当面は全国的になるべく統一した基準をつくり、これをひとつ要綱として指導し、それで新しいものは当然これに従っていただくとともに、既存の建築物につきましても改善の方向で努力していただくということで当分は進めてまいりたいと考えております。
  164. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応建設省考え方はそれでわかりましたが、大臣、やはり、先進的に取り組んできた自治体が、みずからの経験を踏まえて希望していることが、一つは、決められる範囲でもいいから統一基準を早く出してほしいということと、それから法的根拠を持たしてほしいということですね。建築基準法の体系でむずかしいならば、これは一遍厚生省とも協議をされて、別途の福祉法の体系ででもそういうものをつくるとか、何か自治体の意見にこたえていただきたいと思うのです。  大臣としては、大体何年をめどに基準をつくるのか、その督励をするのかということが一つ、それから、いま申し上げました建築基準法でむずかしければ、厚生省など、福祉の体系の中でこういうことを検討していただきたいということに対する大臣のお答え、この二点いただきたいと思います。
  165. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  法的基準について何年をめどにと言われますと……(瀬崎委員「いや、それは法的じゃない、要綱」と呼ぶ)いま直ちにお答えできないわけでございますが、いま局長からもお話がありましたように、既存の東京、京都というようなモデル的な方針もあるようでございますので、専門家等々の御意見も聞きながら、とにもかくにもこの問題については早期にモデル的な統一基準というものを定めたい、このように進めさせていただきたいと思います。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 基準法以外の法体系、福祉のような体系でそういう方面の検討をしてみる用意はありませんか。
  167. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの点につきましては、総理府におきましても、中央心身障害者対策協議会等を通じましていろいろ御議論をいただいておりますので、身体障害者の方々全般の福祉のいろいろの問題につきましての総合的法制化ということは一つ考えられようかと思いますが、これはまた別途その協議会なりの方で御議論いただくべき課題かと考えております。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは全く参考でありますけれども、滋賀県も現在まだ実施はしてないのですが、来年度の要綱実施を目指していま努力をされているわけです。私もずいぶん詳細にその作業内容を聞いたのですが、現在は県の事務的な案の段階だということです。  その特徴は、整備を三つの段階に分けているのです。完全に整備をしなければならないというレベル、それからほぼ完全にやらなければならないレベル、やることが望ましいレベル。そして、対象施設はほぼ京都のような形を考えているようでありますが、その中で、たとえば通路、出入り口、とびら、こういうものは対象施設全部で必ず完全実施をする。それから便所、エレベーターは対象施設の大部分で完全実施、一部でほぼ完全実施。駐車場、階段、洗面所、公衆用電話、水飲み場それから点字案内板、出入り口誘導板、こういうものは対象施設の大部分でほぼ完全実施、一部で実施が好ましい、一部では不要。それから浴室、カウンター、スイッチコントロール、こういうものは対象施設の一部必要なもののみほぼ完全実施、他は不要。こういうふうにずっとランク分けしながらやっていこう、——これが今後どうなるかわからないのですが、なかなかいいアイデアだな。しかも環境整備基準そのものも進んだところのをいろいろ研究していますので、非常に丁寧で精緻なものができているわけです。これをさらに身体障害者の団体と協議をし、審議会にもかけてということですから、まだいろいろ改良されると思うのですけれども、こういうふうなそれぞれの自治体の努力をぜひそのプロジェクトチームで吸収して、国としてりっぱなものをつくってもらいたい。その点について自治体の方の意見として、確かに自治体によって相当アンバランスでしょう、だから足して二で割る式のやり方はしてくれるな、つくる以上はいいものを、こういう意見が出ておりますから、この点も十分検討しておいてもらいたいと思います。  もう一つ、名古屋市なんですけれども、ここでは民生局が「車いすガイド なごや」こういうものを出しているのです。本当によくできています。この中には名古屋市内だけじゃなしに一部岡崎市なども含んでいるのですが、建築物では官公庁、医療機関、福祉施設、保養施設、文化教養施設、この文化教養施設の中には会館ホール、社会教育センター、図書館それからスポーツ施設、ホテルなどの宿泊施設、自動車学校、これを網羅しておりまして、施設の名前がずっと書いてあるのです。それらについて「車いすトイレのあるところ」「エレベーター設備のあるところ」「入口がスロープになっているところ」「車いすが常備してあるところ」これは全部マークで明示してあります。そのほか説明文章の形で「駐車場あり。」とか「駐車場優先利用できる。」とか「低い筆記台がある。」とか「電話・エレベーターのボタンの高さ等に各種の配慮あり。」こういうふうなことが建物ごとにちゃんと注釈がついているのです。またホテルでも「身障者用特別室あり(一室)。」というふうな注記が入っております。あるいは文化施設では便所の位置についてまで「専用便所が入口右側にあり。」こういうずいぶん丁寧なものなんですね。逆に「千種郵便局」の項になりますと「使用は困難。」こういうふうな逆の注もついているわけです。それから、特に大事な車いす用トイレのあるところは全く別にもう一遍一まとめにしてあります。いまのは建築物についてです。  あと名古屋駅とか駅前、地下街、栄商店街、名古屋城周辺そのほか主要公園、こういうものがイラストマップつきになっておりまして、一目で身障者便所その他の身体障害者施設がわかるようになっています。これはぜひ取り寄せて参考にされるといい。私、一部しかないのでお渡しできませんが、こういうふうな調子です。その中に、たとえば「名古屋駅前」のところでは「残念ながら車いすで使えるトイレは一ケ所しかありませんでした。」などと、リアルな実情の書き込みがある。ですから、単なる宣伝物ではなくて、親身さを感じますね。私は残念ながら名古屋の実例しか持っていないのですが、厚生省の方ではこういう例を全国的にもつかんでいらっしゃるのじゃないかと思うのですが、その他の自治体、どんな状況でしょう。
  169. 板山賢治

    ○板山説明員 その種のガイドブックといいますか、このようなものを各地で自治体が福祉のサイドからつくっておるものと、あるいは障害者団体がみずからつくっている場合と幾つかあります。そのつくり方も車いすの方のためにつくっているもの、さらに視力障害者のために点字でつくっているもの、いろいろなタイプがございます。たとえば名古屋市もそうでありますし、京都市もそうでありますし、神戸市にもあります。あるいは高松市などもございますし、私ども知っております範囲でも二十を超えるところでいろいろな形でのそういうガイドブックがつくられております。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういうガイドブックは身体障害者の生活圏単位といいましょうか、日常の行動範囲単位でつくられることが望ましいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  171. 板山賢治

    ○板山説明員 最近とりわけノーマライゼーションというふうな考え方が福祉の主流にありますし、障害者の人たちの意識も家庭や地域で生活をしたいという願いが非常に強うございます。そういう意味で、住んでおります町や県、そういうエリアにおける利用しやすい施設がどのような形で整備されておるか、こういうマップあるいはガイドブックがありますると大変に障害者にとっては暮らしやすいことだと考えます。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ですから、結局つくるとすれば市町村単位とか、郡、市単位とかあるいは都道府県単位でつくられることが好ましい。縦割りで、たとえば郵便局の全国のものがあったとしても、まさか北海道と鹿児島を利用するということはまずないと思いますね。ですから、そういう地域単位に、そのかわりあらゆる施設の状況が一目でわかる、こういう点がいいので、そこら辺は名古屋のは大変すぐれているように思うわけです。その場合このガイドブックは、施設、設備が改良普及してきますと、それに応じて新しいものを出さないと、古いものを出しておってもこれもまた意味がなくなりますね。そういうこととか、名古屋の場合は車いす対象だけですね。しかし、すべての身体障害者向けあるいは身体障害者の保護者向けにこういうものもつくる必要は当然あると思いますね。これだけのものをつくろうと思いますと、確かに大臣、これは費用も相当かかるように思われますし、手間もかかると思います。しかも国際障害者年のメーンテーマが社会への全面参加ですから、何はともあれ社会に身体障害者設備をそろえた施設があることを知らせる、これが第一だと思うのです。そういう意味で、これはきわめて何でもないガイドブックのようだけれども、大事なものじゃないかという気がするし、身体障害者団体もこういうものの普及を強く望んでいらっしゃるようなんですが、そのためには、先ほどあちこちやっていると言っても二十余りだとすれば、これの全国的な普及を考えるとすれば、国が積極的に協力、援助をしてあげるということが必要になる思うのですが、その点、厚生省お考えありますか。
  173. 板山賢治

    ○板山説明員 私どもも大変大事な問題だということで、ここ数年来それについて取り組んでまいりました。具体的には一つは、障害者社会参加促進事業というものが本年度段階では十七のメニュー事業として実施をされております。これは県レベルで事業としては実施されるんでありますが、一県当たり千二百五十万ぐらいの予算額でやっております。その中の一つに生活環境改善という事業が入っているわけです。この事業は、たとえば障害者の皆さんが、いまのように使える施設はどこにあるかというふうなことについてのガイドブックをつくる、こういうこともメニューの仕事としては結構ですという御指導を申し上げております。  それから、昨年度から実施されました障害者福祉都市、昨年二十市、本年二十五市、二年間継続の補助事業でありますが、この中にもガイドブックあるいは福祉マップの作成の事業もメニューとして入っておりますので、現に実施している市もかなり出てきております。  さらに来年、実は現在展開されています、全国的に行われております共同募金の配分対象の中に障害者の社会参加を促進するという意味で重点的な一つの配分対象事業としてこのガイドブック等の作成を取り上げてもよいということにしてもらいまして、公的な助成、そして民間資金の活用両面からただいまの住みよい町づくりを進めたい、このように考えております。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは最後に大臣になりますが、建設省は主として建築物をつくる方なんです。しかし、ハードの面もおくれておるので大いにやってもらいたいと先ほど申しましたが、せっかく改良、改造した場合にそのことが広く知れるようにしなければならないという意味では率先して建設省が国の中央、出先の建物で身体障害者の施設がここにこういうものがありますという情報を自治体に提供してあげる、このことが一つですね。そういう努力をやる、さらにいま公的資金として十七のメニュー事業の一つであるとおっしゃったのですが、そういうメニューの一つではなくて、そんなに大きな金額にならないと思いますが、独自の制度としてこういうガイドブックをつくるために国が一定の補助制度をつくる、こういうこともぜひ閣議等で御検討いただきたい、こういうふうに思うのでありますが、ひとつ大臣のお答えをいただいて終わりたいと思います。
  175. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  瀬崎先生の障害者に対する御配慮につきまして敬意を表します。  直接的にはいま総理府を中心に国際福祉年を目指していろいろの諸案件をまとめているところでありますけれども、なお、建設省建設省なりに、先生の御趣旨のような形で、でき得るならば情報等々を流すような形で、まず隗より始め、公共施設から積極的に障害者の方々の施設について改善改修等々を進めてまいりたい、このように考えるところであります。  なお、補助制度につきましては、直接所管は厚生省でもありますが、関係省庁とよく御相談申し上げて、せっかくの御指摘でもございますし、福祉年でもございますので、何とか実現方に努力いたしたい、このように考えます。
  176. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会