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1980-10-24 第93回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十四日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君       大野  明君    鹿野 道彦君       鴨田利太郎君    桜井  新君       田村 良平君    竹中 修一君       谷  洋一君    登坂重次郎君       中西 啓介君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         国土庁土地局土         地政策課長   渡辺  尚君         法務省民事局第         三課長     清水  湛君         大蔵省主税局税         制第一課長   内海  孚君         大蔵省主税局税         制第三課長   源氏田重義君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     若林 正俊君         建設省都市局下         水道部長    遠山  啓君         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  農住組合法案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の農住組合法案について、農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。つきましては、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間の協議により決定いたしますが、来る二十九日午後一時から開会予定でありますので、さよう御承知願います。      ————◇—————
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、農住組合法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  5. 小野信一

    小野委員 昨年、KDD、鉄建公団、住宅公団特殊法人による汚職不正経理空出張が続々と発生いたしまして国民から厳しい批判を受けました。少しは反省の色が見えるだろう、そう思われたやさき、きのうの夕刊を見ますと、建設省の所管であろう、監督下にある下水道事業団汚職が摘発されておることを見ました。改めて容疑者の氏名、役職名汚職内容について監督責任者担当者からまず報告を求めます。
  6. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの収賄容疑事件について概要を御報告申し上げます。  一昨二十二日の朝、下水道事業団工務部工事検査課に勤務いたします副参事角田静治に対する収賄容疑のため、本人警視庁捜査二課に任意出頭いたしまして事情を聴取されたわけでございます。二十二日深夜に至りまして同本人金銭授受を認めたという事実がございまして、昨日未明逮捕状の執行を見たという経緯でございます。  容疑事実は、昭和五十五年七月ごろ、和歌山県伊都郡高野町の公共下水道終末処理場工事等工事検査手心を加えた、その謝礼として施工者松下電器産業東京特機営業所機電課長牛尾洋三から現金数十万円を受け取った疑いでございます。  本人は、先ほど申し上げました職責にございまして、下水道事業団工務部工事検査課におりまして、下水道事業のうち特に電気関係工事検査に当たっておるものでございます。  建設省におきましては、この事実を踏まえまして、下水道事業団に対し綱紀粛正の一層の徹底を図るように昨日指示をいたしたところでございます。事業団におきましても、理事長から全職員に対して綱紀の保持につきまして訓示を行いますとともに、全職員綱紀粛正についての文書通達を発したところでございます。  本人角田静治につきましては、これから予測されます起訴の時点におきまして休職処分といたしたい。なお、事実が判明、確定し次第厳正な処分をもって臨みたいと考えております。  また、松下電器産業に対しましては、今後の捜査状況を確認いたしました上で、これに対しましても厳正な措置をとる所存でございます。  いずれにいたしましても、このような不祥事を引き起こしましたことにつきましておわびを申し上げますとともに、これからの綱紀粛正につきましてはさらに意をいたしてまいりたいと考える次第でございます。
  7. 小野信一

    小野委員 贈賄側会社名松下電器とわかりましたけれども、所在地あるいは松下電器の、角田に対して贈賄をした担当者名役職名あるいは会社資本金従業員数事業内容等を含む会社概要について報告を求めます。
  8. 升本達夫

    升本政府委員 贈賄側牛尾洋三は、松下電器産業東京特機営業所機電課長——機電機械電気意味でございます。機電課長職責にある者でございます。贈賄側牛尾の所属いたします松下電器産業につきましては、会社概要等についていま詳しいデータを所持しておりませんので後刻お届けを申し上げたいと存じますが、この松下電器産業下水道事業団関係工事にどの程度かかわっていたかという点を御参考までに申し上げますと、この会社下水道事業団からの受注工事は五十三年度に一件、五十四年度に四件でございまして、金額にいたしまして合計六億六千七百五十万円という工事を受注いたしております。
  9. 小野信一

    小野委員 高野町の高野山下水道処理場建設に関する汚職でありますけれども建設省事業団関係事業団高野町が建設する処理場との三者の関係はどのようになっておるものか、報告を求めます。
  10. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり、下水道事業団建設大臣監督に属する認可法人でございます。この下水事道業団の職務は、地方公共団体、自治体から下水道事業についての工事の委託を受けまして実施をするということを主たる業務といたしておるわけでございまして、本件にかかわる工事につきましても、下水道法に基づきます高野町の公共下水道工事の一部を下水道事業団受託をいたしまして施行いたしておるものでございます。したがいまして、受託者である下水道事業団がその受託を受けた工事につきましては責任を持って執行するというたてまえで、発注下水道事業団が行い、工事検査下水道事業団が行い、でき上がったものを公共下水道事業主体でございます高野町に引き渡すという作業過程で仕事をいたしておるものでございます。
  11. 小野信一

    小野委員 現在事業団電気部門での指名業者は全部で九社と聞いております。この贈賄側である松下電器は他社におくれること三年、昭和五十三年に指名業者になったようですけれども指名業者になるためにはどのような条件がそろったときに指名業者になるのか。その松下電器指名業者に指定される際の経過がもしおわかりでありましたら、御報告を求めます。
  12. 升本達夫

    升本政府委員 業者発注方法、したがいまして、業者指名方法につきましては、下水道事業団責任において行うこととされておりますので、下水道事業団責任者から御答弁申し上げるのが筋合いかと思います。私ども、詳しい条件等を知悉しておりませんので、機会を得まして下水道事業団責任者から御答弁をさしていただきたいと思います。(発言する者あり)
  13. 稲村利幸

    稲村委員長 そうすると、だれの答弁になるのですか。
  14. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま申し上げましたように、発注責任下水道事業団にございますので、私の手元に実は発注指名条件等の詳しいデータを持参しておりませんのでいまお答え申し上げかねるということを申し上げたつもりでございます。早急にデータを取り寄せまして、後刻機会を得て御報告を申し上げたいと思います。
  15. 小野信一

    小野委員 私の後に三人同僚議員が行いますので、その際に、どなたかの際に報告をするようにお願いしておきます。  角田某は七月九日、十日、十一日と三日間、高野山下水道処理場竣工検査を行っているのであります。したがって、その復命書あるいは検査証明書事業団あるいは建設省に提出されておると考えますけれども、この報告書の提示を求めたいと思いますが、いかがですか。
  16. 升本達夫

    升本政府委員 昨日、下水道事業団の社屋に警察庁の捜査を受けておりまして、その時点で、関係文書押収をされております。したがいまして、ただいまおっしゃった報告書についても、ただいま警察に押収をされているという状況にございます。できるだけ早い時期に、その返還をいただきましたならば、お答え申し上げ得ると思います。
  17. 小野信一

    小野委員 先ほど局長答弁の中で、逮捕された容疑検査手心を加えた、こういう容疑のようであります。したがって、検査は通常、設計書仕様書に照らして細かくチェックされるわけですけれども、その容疑がある以上、高野町の下水処理場の再検査を行うことが筋だと考えますけれども、そのような措置をとるお考えがございますか。
  18. 遠山啓

    遠山説明員 高野町の処理場につきましては、現在すでに運転が開始されておりまして、機能上問題ないということで、再検査をする予定にはいたしておりません。
  19. 小野信一

    小野委員 やりとりがあったとしても余り意味がないような気がしますけれども、ただ逮捕された容疑検査手心を加えたという以上、地方自治体に対して事業団並び建設省は再度検査することが国民を納得させる道であろうと考えますので、そのような措置をとることを強く要望しておきます。やりますか、いかがですか。
  20. 遠山啓

    遠山説明員 いまおっしゃいました先生のお言葉を体しまして事業団に命令をいたそうと思っています。
  21. 小野信一

    小野委員 再検査を行うよう強く要望しておきます。  牛尾某角田某容疑を持たれ、逮捕されるためのきっかけとなったのは何であるのか、新聞テレビその他の報道によっては明らかにされておりませんけれども、もしどのようなきっかけで逮捕されるようになったのかおわかりでありましたら報告を求めます。
  22. 升本達夫

    升本政府委員 現在のところ、新聞報道による以外の事実については、事業団としても把握をしておりません。
  23. 小野信一

    小野委員 けさの新聞あるいはテレビで見ますと、角田某から賄賂を要求し、あるいは預金口座番号を知らせて振り込むことを要求しているようであります。これらはすべて遊興費に充てられたようであり、捜査次第によっては今後拡大する可能性が非常に大きい。あるいは二人の宴席に会社側の上司も出席しておることが明らかにされております。今後の汚職拡大可能性は大きいのではないかと考えますけれども建設省の現在までの報告の中にそのような事実があるかどうか、報告を求めます。
  24. 升本達夫

    升本政府委員 今回の事件は、私どもがいままで事実に基づいて判断をいたしております限りにおきまして、多分に角田本人の自覚の問題に帰するところが大きいのではないかというふうに考えておるところでございます。現在までのところ、この事件事業団の他の組織等に及ぶおそれはないものと考えております。
  25. 小野信一

    小野委員 汚職の件数、その内容において、建設省の管轄する特殊法人あるいは地方自治体関係者が圧倒的に多いことは御存じのとおりです。したがって、決意を新たにして国民の信頼を回復しようという決意を何度も大臣局長から聞いておりますけれども、それらの実が上がらないことは改めて残念であり、皆さん責任の重大さを国民の前に強くお訴え申し上げたいと思います。したがって、何ら隠すことなく今後明らかになった容疑事実についてはこの委員会に逐次報告して、国民の前に明らかにすることを希望しておきます。  続いて、農住法の質問に入ります。  わが国宅地あるいは住宅計画建設の歴史を振り返ってみますと、私鉄の沿線に新市街地をつくるという民間の努力によってなされてまいりました。公的機関がこれらの事業に介入するようになったのは昭和三十年初めて住宅公団が誕生してからであります。したがって、公的機関のこれらに対する経験はわずか二十数年にすぎません。しかし、大都市人口増加に対応して区画整理事業生産緑地法あるいは宅地供給のために利子補給、地主への優遇措置等、続々いろいろな施策が講じられてまいりました。  今回、宅地供給のための法律として農住法が提案されましたけれども、なぜ公的機関宅地を造成し、住宅建設して国民の要望にこたえなければならないのか、あるいはこういう背景のために私どもは強行するのだという宅地あるいは住宅計画建設理念について、改めて局長のお考えをお聞きいたします。
  26. 山岡一男

    山岡政府委員 国土が現在及び将来におきます国民のための限られた資源である。生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、国土利用公共福祉を優先させ、自然環境保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土均衡ある発展を図ることを基本理念として行うべきものである。これが国土利用計画法の第二条で示されております私ども国土利用に対します基本理念とすべきであると示された条項でございます。  このような国土の有する高い公共性を考慮いたしまして、特に近年の大都市地域におきます宅地需給の不均衡地価上昇等状況のもとにおきましては、宅地供給促進のための諸施策を強力に講じまして、豊かで住みよい社会の形成を図るということが私どもに与えられた非常に大きな課題であると考えております。私ども、もちろん公共性のある財でございますけれども土地経済財一つではございますので、原則的には市場原理に従って取引されるというふうに考えております。  しかし、さきに述べましたような土地の有します公共性ということに着目されまして、都市計画法土地収用法公有地拡大推進に関する法律国土利用計画法などの私権の制限を行う立法がなされているというのが現実の問題でございます。したがいまして、これらの法制の範囲内で国としては土地取引などに介入をしていくということでございます。  先生のいまお話しございましたように、私ども昭和三十年ごろから今日的意味土地問題が始まったというふうに思っております。ちょうど昭和三十年に預金利子率を上回る土地値上がりが生じたと言われておりまして、そのころまず最初に売り惜しみというかっこうで私どもの前に土地の問題が出てまいりました。さらに人口産業都市集中に伴う地価上昇、スプロール的な市街地拡大というようなものが四十年代前半に起きまして、いわゆる土地利用混乱ということが起きました。さらにその間に土地値上がりをするものだというようなことがある程度定着いたしまして、仮需要、いわゆる投機的な土地取引というようなものも発生いたしました。さらに四十年代の後半になりまして、金融緩和、それからいわゆる過剰流動性バック地価の高騰、乱開発ということが起きました。それらの時代に対処いたしまして、先ほど先生お話しございましたように、昭和三十年代には宅地供給ということを念頭にいたしまして、住宅公団等もできましたし、新住宅市街地開発法というようなものも制定されました。四十年代前半には土地利用混乱というものに対処するという意味で新都市計画法の制定もございました。農業振興地域整備に関する法律等整備をされてまいりました。地価公示法もこの年代にできました。昭和四十年代のいわゆる過剰流動性バックとしましたそういう乱開発の時期には、やはりA、B農地宅地並み課税でございますとかそれから法人譲渡益重課でございますとか特別土地保有税でございますとかそういうような税制による投機抑制措置とあわせまして国土利用計画法がつくられました。国土利用計画法を頂点といたしまして当時森林法自然公園法都市緑地保全法工場立地法公有地拡大推進に関する法律等々につきましていずれも規制の対象を広げる、もしくは許認可をふやすというようなかっこう規制が行われました。その結果、昭和五十年代に入りましてから、経済基盤の変化に加えまして、一連の総合的な土地対策の展開によりまして当分の間地価安定期が続いたというふうに思っております。しかし、その結果でございますけれども、最近はむしろ三大都市圏住宅地地価需給の不均衡ということを主因にいたしまして、もちろん効用増もございますが、また相当な値上がりを見せているというような状況になったわけでございます。したがいまして、私どもこういうふうな経過を経てまいりますと、目下の急務は、引き続き投機を抑制するとともに供給促進するということが一番大事だ。そういう場合に供給促進に当たりましては、再開発促進遊休地活用、ともに大いに力を入れてやらなければならぬわけでございますけれども、特に三大都市圏にまだ九万五千ヘクタールのボリュームがございますし、その九〇%が住宅経営用途地域の中にある。やはりそういうふうな市街化区域内農地活用ということについても考慮を払わなければならない。そういう意味市街化区域内農地皆さん方の自発的な意思によりましてこういうふうな組織をつくっていただき、当面の営農を認めながら皆さん方の総意によりまして宅地供給に協力していただくための組織それから事業というふうなものにつきまして定めていきたいと考えたのがこの農住組合法案でございます。そういうふうな経過の中で私ども農住組合法案を立案してまいったという次第でございます。
  27. 小野信一

    小野委員 高邁な理想を持って、実効が余り上がらなかった、こういう実態だろうと思います。ただ、いままでの計画を見ますと、やはり住宅建設五カ年計画中心になって実現のために努力されてきたことは認めます。ただ、公的資金による住宅建設計画にとどまっておったこともまた事実であります。民間建設については建設予定戸数を算定するだけでありまして、全住宅建設をどのように指導し、どのように規制し、公共責任をどう果たすかについて、あるいはわが国住宅造成宅地造成あるいは建設住宅の全体的な展望はほとんどないというのが実態でありまして、要するにこの住宅建設計画も、住宅市場全体を配下におさめて住宅事情の安定を図るという意味ではなかったろう、こう考えます。量的にも六割が民間であり、市場はそのままに放置されております。私は、高邁な理想を持って国民需要にこたえるためには、もう少し強力に、しかも有効な手段を打つべきではなかったのか、こう考える次第です。  ただ、高邁な理想といいましても、あるいは理念といいましても、私有財産を守るというこういう理念基本にある以上、高邁な理想理念も中途半端なものになったことは事実だろうと思います。したがって、私有財産を認めるというままで公共福祉を増進するという場合に、かなり意見の融合、調合あるいは妥協というものがなければならないだろうと思うのです。したがって、私は宅地造成住宅建設理念はいまどのような形で理解され、あるいは皆さんが持っておるのか、その点を聞きたいわけです。改めて局長答弁を求めます。
  28. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、土地につきましては非常に高い公共性を有するものというふうに思っておるわけでございますが、やはり先生いまおっしゃいましたように私有財産という面もございます。したがいまして、経済財一つというふうなことでございまして、原則的には市場原理に従って取引されるというような場合があるわけでございます。しかし、さきに述べましたような都市計画法土地収用法公有地拡大推進に関する法律国土利用計画法その他そういうふうな土地私有権に対する制限法律がいろいろございます。私どもはそういう国民皆さんの合意によってできておりますこの法律の枠内でそういうものにつきまして関与もし、それからそういうようなものに取り組んでいくというのが現在の任務だというふうに考えておるわけでございます。
  29. 小野信一

    小野委員 公的機関民間区画整理の三つの宅地供給を見ますと、三大都市圏停滞か最も著しい。したがって、農住法考えられ提案になったろうと思いますけれども、なぜ三大都市圏宅地供給が著しく停滞あるいは減少したのか、その原因について説明を求めます。
  30. 山岡一男

    山岡政府委員 三大都市圏におきましては少しさま変わりをいたしましたけれども人口産業集中がずっと起こってまいりました。五十年を機といたしまして、社会移動はむしろ減りまして、今後は自然増中心になると言われておりますけれども、今後の圧力はまだ相当あるわけでございます。したがいまして、三大都市圏におきます今後の住宅事情については、他の地方よりも重圧がかかっておることは間違いない事実だと思います。  それから、公式に話を申し上げるような数字ではまだございませんけれども、現在、私ども今回の国勢調査の結果等によりまして十分分析してまいりたいと思っておりますけれども、そういうふうな三大都市圏に定着された皆さん方人口の内訳でございます。特にふえている階層新制高校を卒業された年代、それから大学に入っておられる年代、そういう方が大体ずっとふえていっている。それからもう一つ、ちょうど、ベビーブーム期にお生まれになった方々が、先日申し上げましたように、最近の東京圏もしくは三大圏におきます住宅購入者階層を見ますと、サラリーマンで四一百万円以下で三十歳代が多いということでございますけれども、そういう方々が六割を占めているのが現状でございますが、そういう方々階層か含まれております年代別階層を三十年国調と五十年国調で比べてみますと、地方圏において減りまして、三大圏では一・七倍程度にふえております。まさにそういうふうな住宅を要求される方々が現在三大圏にはたくさんおられる。したがいまして、東京圏大阪圏名古屋圏には人口産業集中という一般の傾向のほかに、その中身といたしましては、そういう家を持たれる方々階層が非常にふえているというのが現状であろうかと思います。  それを反映いたしまして、最近の地価状況を見ますと、どうしても三大都市圏住宅地上昇誘導型というパターンがずっと定着いたしております。したがいまして、まず何よりも三大圏におきましてそういうものを解決することが目下の急務であると考えております。そういうことから申しますと、こういう緊急措置法的な性格を持ちます立法といたしまして、三大都市圏に限定して行うことをまず考えたということでございます。
  31. 小野信一

    小野委員 いまの説明人口がふえた人々の階層その他の説明であって、なぜ三大圏宅地供給が少なくなったのか、減少したかについての説明ではございません。改めて答弁を求めます。
  32. 山岡一男

    山岡政府委員 もちろん宅地開発に対します関連公共公益施設整備財政負担増大等の問題から大都市圏において地方公共団体宅地開発に対して消極的な対応がだんだん生じてきたのが一つの大きな原因であろうと思います。特に人口急増市町村等をもってみますと、四十九年ごろを境といたしまして事業をやるだけ起債がふえるというような状況が生じたわけでございまして、そういう消極的な対応を行っておるというようなこともある程度やむを得なかった面があろうかと思いますけれども、そういうふうな市町村の態度、それから主要な宅地供給源として期待されております市街化区域内農地宅地への転換が大変停滞をしたということであろうかと思います。  最近の統計によりましても、いわゆる純売却、純購入という見地で年間の土地取引を見ますと、四十九年ごろまでは家計、いわば農地等相当売りまして、それをデベロッパーなり地方公共団体なりが買っているというパターンでまいったわけでございますけれども、五十三年度、五十四年度ごろになりますと、むしろそういうような家計の方は当時の十分の一の売却に減っております。さらにそういうものを購入いたしますデベロッパ一等につきましても、買うものと売るものの差額では売る方が多いという状況になってまいりました。全体といたしまして四十五、六年の強まで下がっておるというのが最近の現状でございます。  農地の宅地化が進まない原因は何だということが一つあろうかと思いますが、一般的には現に農業を経営していらっしゃる方々の中に農業が最もなじんだものだ、自分の職業としても一番合っている、転職をしたくないという希望の方が相当おられるということでございます。それからもう一つは、農地を住宅地等へ転用する意思はあるけれども、転用後の土地につきまして賃貸住宅の経営等に非常に不安があるという方がおられます。さらに一部では、農地所有者の中には資産として保有しておる方が得だというふうにお考えになっている方もあるのではないか。それらのことが背景になりまして、農地の転用が極端に減っているというのが最近の宅地供給が減っておる原因ではないかというふうに私は思っております。
  33. 小野信一

    小野委員 要するに、農地、山林、原野を所有しておる地主が資産として保有しておる方が将来ともに有利である、こう判断してしまったことが素地の提供を減少さしておる最大の要因であろう、こう考えます。それならば、なぜ地主が資産として保有しておることが将来に向かって有利になると判断するようになったのか、その原因について答弁を求めます。
  34. 山岡一男

    山岡政府委員 長期にわたります地価の動向を振り返ってみますと、地価公示は昭和四十六年から始めておりますので余り古いのはございませんが、民間でやっております全国市街地価格指数というのがございます。これは不動産研究所で全国の百四十都市につきまして千四百地点を係数的に価格指数を毎年二回ずつ発表しておるものでございます。それによりまして伸び率を振り返ってみますと、昭和三十年から昭和四十九年までの間におきまして平均の上昇率が一九・二%というような高い数字を示しております。この三十年から四十九年までの一九・二%という平均上昇率を見ますと、いずれももちろん金利より高いわけでございまして、お金にかえておくよりは持っておる方がいい、もう一つはいろいろな固定資産税等も安くて、持っておっても余り金もかからない、そういうことからいわゆる土地神話ということでその間において定着を見たということであろうかと思います。
  35. 小野信一

    小野委員 いろいろな事情があるにしても、地主に対する優遇措置、過去の地価の高騰趨勢が地主をして素地を提供させることをためらわしている原因であることは間違いありません。したがって、宅地供給が減少しておる大きな理由の一つに、公的機関宅地造成計画、地主に対する優遇措置があったことは事実であります。したがって、これらに対する方策を改めていくことが今後の供給を増加させる一つの要因になることは間違いないだろうと考えます。したがって、それらに対する対策を考慮していただきたいことを望みます。  そこで、具体的にお聞きしますけれども、第三期住宅建設五カ年計画では、三大圏宅地造成を三万四千ヘクタール、——そのうち公の機関で千七百ヘクタール、民間で四千ヘクタール、区画整理で三千五百ヘクタール、——こう計画しておりますけれども、今年度までの実績はどのようになっておりますか。
  36. 宮繁護

    宮繁政府委員 三大都市圏におきましてはただいまお話しのような一応の宅地の見通しを持っておりますけれども、これに対しまして、供給の実績は約六〇%弱程度になろうかと思います。これは、その他の地方におきましては計画の大体八〇%ぐらい達成いたしておりますけれども、先ほどいろいろ御指摘がございましたように、三大都市圏におきましてはいろいろな問題から素地の提供が少ない、あるいはまた人口の増加が多いというようなことで、このような数字になっております。
  37. 小野信一

    小野委員 四十七年、四十八年の建設戸数は大体百七十から百八十万戸でありまして、そのうちの七十万戸が持ち家でありましたが、ここ二、三年は百五十万戸台に横ばいであります。何で狭い日本で持ち家志向が強いものなのか、その原因をもし調査しておりましたら発表願いたいと思います。どのように分析しておりますか、お聞きいたします。
  38. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。戦後一時期におきましては、御承知のとおり住宅戸数が非常に少のうございまして、一般的には約四百二十万戸の不足があると言われておりました。その当時は、まず自分の住まいを何とかして確保するということがありましたために持ち家率が非常に高かったわけでございますが、その後四十八年ぐらいまでの間につきましては、御承知のとおり急激な経済成長あるいはまた大都市への若年層の人口集中等がございまして、特に大都市におきましては借家の比重が高まってまいったわけでございます。ただ、最近に至りまして、いわゆる定住傾向が見られ、また戦後のベビーブーム世代の方々が持ち家へ移行しつつある、あるいはまた急激な中高年齢化傾向を示しておる、そういったことによりまして、所得あるいは年齢、世帯の構成、そういったようなものから持ち家というものへの志向が高まったように思われまして、最近におきましては持ち家の建設の方が高まっておるということが言えようかと思います。また一面、借家につきましては、経済事情等の変動によりましてもその建設戸数にかなり変動が見られますことから、昭和四十九年ぐらいまでのオイルショック以前におきましては建設戸数もかなり高うございましたが、オイルショック以降、借家の建設停滞しているという実態も見られるところから、このような持ち家の比重が高まっているというふうに考えられるところでございます。
  39. 小野信一

    小野委員 その一つの理由に、家賃程度の支払いで分譲代金を支払うことができるという制度が持ち家の需要を非常に大きくしているということがあるのではないかと思います。  逆に考えますと、賃貸住宅の家賃が非常に高いのではないか、こう考えられます。したがって、賃貸住宅の家賃を払って苦しむならば、分譲住宅を買って最後には自分のものになるという方法の方がより合理的だ、こう考えるのが生活の知恵であり、国民の知恵であろう、こう私は思います。したがって、公営住宅あるいは賃貸住宅の家賃が現状でいい、現状のままであれば、狭い国でますます持ち家志向が拡大していくだろうと考えられます。  改めて、家賃の水準についてどのような分析をしておるのか、お聞きいたします。
  40. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  家賃の水準につきましては、御承知のとおり、公営住宅につきましては国が二分の一、あるいはまた二種住宅につきましては三分の二の補助を行っておりますし、また家賃対策としましての国の補助制度等も本年度から実施しておりますところから、所得階層別に見ますと、いわゆる低所得者の方々に十分耐えられるような家賃体系になっておろうかと思います。  また一面、住宅公団の賃貸住宅につきましても、その金利が五%になるように、あるいはまた償却年数も七十年とする等々の措置を講じておりますところから、さらにまた公団につきましても傾斜家賃制度を導入するといったようなことによりましてかなりの水準の家賃になっており、これも中堅勤労者階層方々に御負担いただける程度のものとなっておりまして、おおむね所得の一五%から一七%程度の御負担をお願いする、またその程度でやれるというふうに考えております。  ただ、先生御指摘のように、持ち家志向の強いことは、先ほど申しましたようないろいろな客観的情勢とともに、やはり将来の資産保有といったような面もございまして、たとえば家賃負担の二・倍程度の負担をしても持ち家を持ちたいという国民の志向性が強いというようなこともございまして、そういったような点からの持ち家への傾斜が見られるように思われるわけでございます。
  41. 小野信一

    小野委員 そこでお聞きします。住居水準に関連して、収入における居住費比率をいまの国民経済の中でどの程度と考えることが合理的なのか、その数字によっていまの答弁が正しいのか正しくないのか決まるわけですので、その算定の根拠、考え方をお尋ねいたします。
  42. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  家賃の負担が一体幾らならば一番いいかということにつきましてはいろいろと問題があるところでございまして、私どもの方といたしましては、住宅宅地審議会に対しまして現行の家賃体系はいかにあるべきかということを諮問いたしておるところでございますが、かなり議論を進めておりまして、まだ御答申を得るに至っておりません。この七月三十日に今後の住宅政策の基本的方向についての御答申をいただきました折に、住宅宅地審議会からは、この答申の後に引き続きまして家賃問題について早急に審議を進め、なるべく早い機会に答申をしたいというような御報告もいただいておりますので、これらの論議を踏まえて家賃体系の基本的な考え方をまとめてまいりたいと思っております。
  43. 小野信一

    小野委員 先日、建設省が首都圏の区画整理事業によって造成された宅地の処理、売買された面積とまだ残っておる面積を発表いたしました。この報告によりますと、地主に還元された土地のうち、年間五%程度しか宅地として供給されておらないという事実が明らかになりました。これでは大体二十年かかることになります。  私はいままでの答弁を聞いておりまして、地価の高騰は需給のアンバランスによってもたらされたものである、こう何度も説明を受けております。しかし、地主は農地を商品として持っておるわけではございません。売ることを前提として持っておるのではありません。したがって、区画整理事業によって造成された宅地、これは明らかに商品でありますから、商品と素地と同じレベルで、同じ次元で物を考え供給させようとすること自体に無理があるのではないかと考えます。したがって、素地を提供させる、将来の資産あるいは職業のために農地を持っておる人に対して強制的なあるいは誘導的な政策をとる前に、私は、商品として眠っておる、売り惜しみをしておる土地に対して強力な規制を加えることが現在の日本の特に首都圏を中心とした大都市宅地を解決する大前提ではないかと考えるわけです。区画整理事業で造成されたけれどもいまだ売り惜しみをして残っておる土地に対して強制的に売ることを指導するあるいは規制する方法について早急に結論を出さなければならないと考えるのですけれども大臣の御所見並びに局長の御答弁を求めます。
  44. 宮繁護

    宮繁政府委員 区画整理が終わりまして宅地化に時間がかなりかかっていることは事実でございまして、先日も井上委員の御質問に、私は大体二十年くらいしないと全部市街化しないという傾向だということをお答えいたしました。これにはいろいろな理由がございますけれども区画整理そのものは、御承知のとおり地主さん、ほとんど農民の方でございますけれども、自主的に新市街地をつくるために参加をしていただきまして、大体一千平米の土地を持っておりますと、その中の二百平米くらい、二〇%くらいは学校、道路、公園等の公共施設に提供していただきます。それから、あと百平米、一〇%弱でございますけれども、これをいわゆる保留地として提供していただきまして、この保留地を第三者に販売することによって得た資金を事業資金に充てております。ですから、主として自己負担で新しい市街地をつくっていただいておる、こういう状況でございます。確かに区画整理が終わりました土地宅地化に時間はかかっておりますけれども、現在のところ、わが国では、新しい市街地、農地とか山林原野が市街地になる新市街地宅地供給が一万ヘクタール弱でございますけれども、そのうち四割程度は実は区画整理施行済み地が宅地化しそこに住宅が建っておると推定されます。そういう意味では、スピードは遅いわけでございますけれども、全体ではかなりございますので、宅地供給には大きな意味を持っております。  それで、この区画整理が終わりました土地に期限を設けて住宅の建築を義務づけられないかというお話でございますけれども、やはりこの前も御答弁しましたように、できるだけ早くよい住宅地になっていただきたいわけですけれども、市町村等におきましても、そこに関連する学校、保育所等の施設の整備も急速に市街化する場合には間に合わないという事情もございますし、それから、やはりこれは個人が新しい市街地づくりに参加していただいて、一千平米の土地を七百平米に減らしながらも新市街地におつくりいただいたというようなわけでございまして、いまのところ直ちにこれを強制して住宅の建築を義務づけますと、むしろ区画整理の意欲が減退されるのではないかという点も考えられます。しかしながら、先ほどお話ししました資金を得るために大体一〇%弱の土地を第三者に売るわけでございますから、これにつきましては、何らかの形で住宅が建つことを担保するような措置は早急に検討して取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。
  45. 小野信一

    小野委員 大臣にお尋ねいたします。  いま局長とのやりとりで御理解していただいたと思いますけれども、農民で農地を職業として保持して農業をこれから継続したいと考えておる人に対して宅地供給するような誘導政策を行うこと、私はこれも否定するつもりはありません。ただ、区画整理事業宅地を造成して売れるような段階まで来ておるのにこれを売り惜しんでおるというのもまた事実であります。どちらを優先しなければならないのかと考えれば、当然商品としてつくられた宅地を早急に吐き出させることが国土庁の最大の任務、緊急の任務ではないのか、こう考えるわけです。だれもそう考えると思いますので、改めてこれに対する指示を強力に行っていただきたいことを希望します。
  46. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答え申し上げます。  土地造成をしたところを早く住宅地になるように対策をやれということ、御趣旨は賛成でございます。これは管轄は建設大臣でございますので、御趣旨の点は建設大臣にもよく伝えて善処していただくことにいたします。
  47. 小野信一

    小野委員 早急な結論を出して宅地供給の緩和のために努力していただきたいことを希望しておきます。  それから、けさの新聞を見ますと、「都市農地の宅地並み課税」の「減額措置の廃止検討」、こういうことになっておりますけれども、農住組合法によって宅地を造成しその他の事業を行った場合に宅地並み課税を行わない、こういう答弁が何度もなされておりますけれども、これとの関係はどうなるのでしょうか、答弁を求めます。
  48. 山岡一男

    山岡政府委員 市街化区域内のA、B、C農地に対します宅地並み課税につきましては、地方税法におきましても附則で検討というのが設けられておりますし、私ども政府税調の中では五十七年度分からの適正な実施ということについて答申をいただいおります。その中で、十分に五十七年度以降のあり方について検討いたすわけでございますが、農住組合がつくります営農地等につきましてもその中の一環として検討するということに相なるわけでございます。しかし、その際、これは関係省庁間で十分協議をして方向が出るとわれわれ思っておりますが、国土庁といたしましては、当然のことながら、そういうふうな営農利用規約、農地利用規約等もつくられるような農地でございまして当面の営農継続を図られるということが明らかな農地でございますので、その際にはもし宅地並み課税が全般にかかるというようなことになりましてもそれは外していただくという方向でそういうふうな検討を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  49. 小野信一

    小野委員 現在までの宅地造成宅地開発供給政策を見ますと、なぜ減少したか理由を調べてみますと、第一に地主の売り惜しみ、二、素地の高価、三番目として関連公共公益負担の増、第四に税制、こう四つ挙げられるのが通常であります。要するにこれらの住宅問題は個人の問題として解決するにはかなり困難な条件がそろい過ぎたと言っても過言でないだろうと思います。したがって今後の開発宅地供給につきましては自治体主導型が最も適当ではないのか、こう考えるのであります。したがって、今回の農住組合法につきましても、地方自治体公共団体との結びつきによって都市計画あるいは宅地供給計画的に行われるのでなければいままでと同じような失敗を繰り返すのではないかという心配がございます。改めて農住組合法と自治体との関係についてどのように指導なさるつもりなのかお聞きいたします。
  50. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合の設立の認可につきましては地方公共団体が、知事が行います。それからさらに事業計画の承認も行います。それから農地利用規約等につきましては市町村長がこれをオーソライズいたします。それから法案の中には特に指導、助言等につきまして十分に努めるようにという規定を設けております。いろんな意味地方公共団体とかかわらしめますし、事業計画そのものも都市計画に従わなければならないというふうに規定がされております。したがいまして、先生おっしゃいましたように、まさに地方公共団体の指導、助言のもとに行っていくというようなことを考えているわけでございまして、私どもも、今後もその方向につきまして十分指導してまいりたいと思っております。
  51. 小野信一

    小野委員 現在までの都市計画の中でミニ開発が生まれた理由は、何といってもいろいろな法的抜け道があったことも事実でありますけれども、都市計画と結びつかなかったことが最大の欠点だろうと思います。したがって、農住組合法で宅地を造成する、住宅建設する際にもどうしても都市計画との結びつきが最善の前提条件だろう、私はそう考えます。したがって、建設省あるいは国土庁で、法律では規定されてはおりませんけれども、都市計画と農住組合法とを密接に結びつけて、都市計画からはみ出ないような農住法運営を行うことを強く希望して、質問を終わります。
  52. 稲村利幸

    稲村委員長 中村茂君。
  53. 中村茂

    中村(茂)委員 農住組合法は三大都市圏に該当するということですが、そこで、三大都市圏宅地住宅について、しかもこの法律は十年間ということですから、十年間三大都市圏別に、また十年間の年度別に、宅地住宅がどのように必要なのか、その対策としてどのくらい供給していかなければならないのか、実は私の方から資料を要求したわけですが、私の言う資料がなかなか整わない。特に宅地については三全総のときに示したものぐらいしかない、それから住宅については今度新しくしょうとしている第四次の住宅五カ年計画考えているぐらいのものだ、こういう話で、私の要求した資料は整わなかったわけですけれども、私はその点について非常に不満を持っているのです。  この法律は十年間ということで三大都市圏ですから、全体としてどのくらい宅地供給していかなければならぬのか、住宅をどのくらいつくっていかなければならないのか、そういうものがきちっとできて、そういう全体的なものの中で農住法ができ、そのどのくらいかは農住法でお手伝いしていく、こういうことになって農住法が提案になるなら話はわかる。しかし、そういう資料がなしで宅地なりまたは住宅対策をしてきたというところにいまの行き詰まりが根本的にはあるというふうに私は思うのです。ですから、私の言うほどしさいではないにしても、大体一年で結構です、一年にこの三大都市圏別に宅地はどのくらい必要になってくるのか、それから住宅はどのくらい必要になってくるのか、国土庁と建設省の方からひとつお答え願いたいというふうに思います。
  54. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおり、市街化区域内の農地の三大都市圏別の毎年度の転換量というようなものにつきましての資料を、実は持っておらないことでございます。三全総につきましては、先生お話がございましたけれども昭和五十一年から六十年までに二万七千ヘクタールを首都圏において供給する必要がある、それから大阪圏におきましては、昭和六十年までに一万ヘクタールを供給する必要があると言われております。これは三全総では表立っては首都圏と大阪圏しか出しておりませんが、三全総を基礎としました三大都市圏別の数字の積み上げをやってみますと、昭和五十年から六十年までに新市街地では五万九千ヘクタールというような新規宅地が必要だとされておるわけでございます。単純に割りますと年間当たりで五千九百ヘクタール、それくらいは必要だなということになるわけでございます。さらに、昭和六十五年度までになりますと、八万六千ヘクタールということでございますので、これを十五で割りましても、やっぱりおおむねその辺の数字、その程度のものの供給が見込まれておるということでございます。  最近の住宅地への転換に占める農地の割合につきましては、これは三大圏というわけにはなかなかいかなかったわけでございますが、全体で見ますと、市街化区域内におきましてもその比重が大変高いとは思いますけれども、五十二年、五十三年の全体の農地から住宅地への転換というのを見ますと、ほかの林地、埋立地等からの転換もあるわけでございますが、全体の転換の中の八割というものが農地になっておりまして、農地からの転換のウエートが非常に高いということが言えると思います。
  55. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  今後の宅地需要の見通しでございますけれども、大ざっぱに申し上げて恐縮でございますけれども、三大都市圏で大体四千ヘクタール弱、東京圏では大体二千ヘクタール弱程度じゃないかと考えます。しかし、先生からもいろいろ資料を御要求ございましたけれども、現在作業をやっておりまして、実はこの宅地需給見通しは大変むずかしゅうございまして、三全総とか首都圏の圏域計画がどうであるかとか社会資本計画がどうなっておるか、あるいは県別の人口の張りつけ計画、県別の住宅計画、こういうものを踏まえまして、同時に宅地のいまの実態、それから国民のニーズの動向、あるいはまた宅地の取得能力、それから宅地の環境水準、こういうものを勘案いたしまして、一方で宅地需要の推計をいたします。宅地供給の方につきましては、現在の宅地のストックとか、それから新規にどの程度着工が可能であるか、着工可能の場合には、いろいろ都市計画法上の制限等もございますので、そういうものを勘案いたしまして、同時にまた、府県別に学校計画とか道路計画その他の社会資本の整備計画、これでまたチェックをいたしまして、そういう観点からいま需給バランスをどういうふうに考えるか鋭意検討、作業中でございまして、近く成案を得る予定でございます。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、やはり科学的というか、少なくも十年ぐらいで三大都市圏についてはどのぐらい宅地供給をしていかなければならぬとか、住宅についてはどのくらい建てていかなければ需要に応ずることができないというような、きちっとある程度いま言われたような客観的なものを合わせてそういう方針があって、それで皆さん法律をつくってそれを消化するためにどうだというなら私は胸に落ちるのです。しかし、先ほどの三全総なんていったって、これは想定ということで三全総は出ている。想定ですよ。全く科学的な根拠はない。こういうことじゃ困りますから、できるだけ早くそういうものをつくってお示し願いたいというふうに思います。  それから次に地価の問題ですけれども一つお聞きしたいのは、地価の安定ということをよく言いますね、どのくらいが地価の安定なんですか。
  57. 山岡一男

    山岡政府委員 一般に地価上昇原因といたしまして公共施設の整備等によります効用増というものもございますし、需給ギャップに基づくものもございますし、投機的な土地取引というのもあろうかと思います。その中でたとえば効用増によりまして品位、品質、品等が上がってよくなったものがどの程度が問題かというようないろいろな問題がありまして、一概に許容度を決めることは大変むずかしいと思います。しかしながら、消費者物価指数、預金金利などを大幅に上回るような事態は非常によくないというふうなことでございまして、そういうふうなことになりますと土地の資産的保有の傾向を強めるというようなことになりますので、大変問題であろうと思います。  昭和五十二年に、少し古いわけでございますけれども、総理府が行いました大都市地域における住宅地価に関する世論調査によりますと、物価上昇率程度の地価上昇はやむを得ないという回答をなさった方が六〇%と過半数を占めております。したがいまして、一般的な意識といたしましては、物価上昇率程度の地価上昇というのが一つの目安になるのではないかと私ども考えております。
  58. 中村茂

    中村(茂)委員 この臨時国会が始まって本委員会でも先に一般質問をやって、今度農住法の審議に入っているわけですけれども、どなたもこの地価問題を取り上げて何とか安定できないかという立場で全部主張しているのですよね。それで皆さんの方の答弁を聞いていると、そういうことをすれば本当に地価が安定するなあという納得できる案がなかなか出てこないのです。いまの特に三大都市圏値上がり住宅地において物すごい。それは需給のアンバランスだ、こういうふうに片づけているわけですよね。だから、土地を出すようにすればそこは下がるだろう、こういう言い方なんですけれども、私はむずかしいと思うのですけれども、一応目標というかそういうものが必要だと思う。政府も消費者物価についてはことしの目標は何%にしよう、卸売物価について何%にしよう、こういう目標を立てて、抑えるためにあらゆる機関を動員したりしてやっていくのですよね。ですから、物価問題の柱というのは、地価、しかも住宅問題等を考えたときに、地価をどういうふうに安定さしていくかということが非常に重要な時期に来ているわけです。ですから、政府としても一応そういう目標というものを定めて、それ以上は上がらないようにしよう、あらゆる機関を動員して地価の安定を図っていく、こういう手だてが私はどうしても必要だと思う。  そこで、この農住法との関連ですけれども、確かに需給バランスもありますから、できるだけ宅地供給させるようにしよう。これは鶏が先か卵が先かということですけれども、私はやはり鶏が先だと思う。農家の皆さんにしても、土地を持っておる人も物が上がっていくという状態の中ではなかなか出したがりません。特に、預金金利よりも地価が上がるところを持っている人は土地を出す人はないのです。金にして預金しておくよりも土地を持っていた方が上がっていくわけですから、皆さんの方が法律をつくってどんな手だてをしたって私は渋ると思う。ですから、こういう法律をつくってみたところでなかなか運用がむずかしくなってくる。ここのところに参加する組合員の人も少ない。その前提としては、何といったってこれはもうあらゆる努力を皆さんの方でして、地価の安定だけは図っていく。そうしてこそこの法律の効果も出てくるでしょう。何回か聞いているのですけれども、長官、本当にあなたの、どうやって地価を安定していくかという決意でいいんですよ、ひとつお聞かせください。
  59. 原健三郎

    ○原国務大臣 先生の御趣旨には同感でございます。いろいろそれを研究しておるのですか、なかなか名案がないんで、過般も、もう一カ月ほど前ですが、経済企画庁長官と私の間で合意に達して、何とかこの地価に対する対策を研究するように、現行法を洗い直すのもいいし新たなる法律をつくるのもいいし、事務的にその他の役所を加えてもいいから、急いで答申を出してくれということを指示いたしております。そういうように意欲は十分あるわけでございます。そのうちにこの答申も出まして、御期待に沿うように全力を挙げて努力いたしてみます。
  60. 中村茂

    中村(茂)委員 相変わらず努力の域を出ないのですけれども、これはもう政府機関挙げて対処していただきたいと思うのです。私は、何回も言うようですけれども、この法律地価の安定ということが前提にならなければ成果を上げることはできないと思いますよ。  そこで、法案の中身に若干入っていきますが、いままでそれぞれの方から質問があって、山岡土地局長はいろいろな角度で発言しておりますけれども、それについて私も再確認しておきたい点が二、三ありますから、したいと思います。  この法律によってどの程度の供給が可能かという点について、三大都市圏のことを言うのですが、市街化農地が現在八万八千ヘクタール、そのうち新市街地三千二百ヘクタール、既成市街地八百ヘクタール、十年間で計四千ヘクタール程度を目標にしている、こういうふうにそれぞれ答弁してきたと思うのですけれども、いま申し上げた数字をそのまま確認してもいいですか、その点ひとつ明らかにしていただきたい。
  61. 山岡一男

    山岡政府委員 私いままで御答弁申し上げた数字は、いま先生のおっしゃったとおりでございます。  それで、この制度は、自発的意思に基づきます農住組合の活動を通じて供給拡大を図ろうというものでございます。そういう自発的意思がどの程度あるかということも非常な要因の一つでございまして、こういう試算は大変むずかしいわけでございますけれども、私どもこういうものを提案いたしまして多くの制度の中の一つとして柱を立てるというからにはどの程度の努力目標を持つべきかということで相当粗い試算をしたものでございまして、いろいろな前提を考えながらの試算でございます。したがいまして、農地所有者の自発的意思ということが一番の原因でございますので、このとおりなるのかどうかと言われますと大変むずかしいのですけれども国土庁としての努力目標という意味を含めてあえて推定しました数字は、いま先生のおっしゃった数字のとおりでございます。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 これも努力目標として推定したと、こう言うわけですよね。ですから、それにあわせて五十六年五カ所、それから十年間で七十カ所というふうにどなたかの質問で言われたと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  63. 山岡一男

    山岡政府委員 宅地供給量の見通しは、先ほど申し上げたように大変むずかしいわけでございますけれども地方公共団体それから農業団体を通じての農地所有者等に対します積極的な啓蒙活動等も今後行っていきたいと考えておりますし、本制度の対象となります地域の市区町村数だとか農業団体の数などを勘案いたしまして、今後十年間におおむね七百余りの組合が設立されたらいいなというふうに思っております。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕
  64. 中村茂

    中村(茂)委員 この四千という数字も七百という数字も、お願いして、想定しているような数字で、余り科学的な根拠がないようです。だから、私どもも雲をつかむような話で、法律審議をしているのだけれども、あなたの方からこれぐらいだ、あれぐらいだと言われても、もう少し科学的に、こういう地域はこうだから、それでも七百ぐらいなりどのぐらい可能性があって、それだけになると、この法律に基づく枠内でやったとしても四千になる。それでも少しぐらいは目安なり何か土台なり、そういうものがあってこの数字が出てきたのでしょう。全くの、これぐらいやりたいものだなといって書いた数字なのですか。
  65. 山岡一男

    山岡政府委員 私どもの内部では相当議論をしながら詰めております。一応の掛け算等もございますけれども、こういうものはまだこういう国会の場で申し上げるほど熟したものではない。したがいまして、結論的に申しますと、おおむねああいうふうなことを努力目標にしていけば、われわれのいわゆる射程距離に入るのじゃないかというふうなことでございまして、願いを込めてつくっておるわけでございます。
  66. 中村茂

    中村(茂)委員 この法律をつくって皆さんが願っている効果が出てくるというふうには、いまの答弁ではなかなか私どもも確信を得るわけにはいかないですね。  別な内容についてですが、この法律の一条ですけれども、一条について二つに分けて御質問いたしますが、前段の方の質問は営農という問題とそれから事業の問題です。これは恐らく十三条とも関連してくると思いますけれども、この「目的」だけ見ても、中段のところから「必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ当該市街化区域内農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業」と下へ続いているのです。ですから、この法律は農地からいわゆる宅地化をしていこうというのですから、宅地の立場から言っているからですけれども、この法律を見た場合に「当面の営農の継続」ということで「営農」という字句が十幾つあるのですけれども、その前には必ず「当面」と書いてあるのですね。「当面」と全部書いてある。将来は全部営農はなくしてしまって、それで宅地供給に切りかえてしまう、こういうお考えですか。
  67. 山岡一男

    山岡政府委員 市街化区域内農地は、市街化区域内というのが上についておりますように、やはり市街化区域の中にあるわけでございます。都市計画法によりまして、原則としてはおおむね十年以内に市街化されるべき区域の中にある農地でございます。したがいまして、こういうふうな立法をいたします際に、未来永劫というのはなかなか書けないわけでございまして、そういう意味からも、すり合わせ上も、原則としては十年以内にある市街化区域農地というのを念頭に置いてやっておるわけでございます。やはりそういうふうな網をかぶった中の農地の活用ということでございますので、都市計画法の枠内でこういうふうなものを考えておるということでございます。
  68. 中村茂

    中村(茂)委員 この法律は、「目的」にも書いてあるように、「当面」と上に書いてありますけれども、営農の継続をしつつということにみんななるわけですよ。それは結局十三条の関連が出てくるわけですけれども、農業をやっているわけですから、それぞれそれを持ち出して組合をつくって造成なりをしていく、住宅宅地供給を行う。そういう中で、今度でき上がったそういうものは、どのくらいか営農するところをまた残すわけでしょう。それは全体のどのくらいを残して、どういうふうに営農をしていくのですか。
  69. 山岡一男

    山岡政府委員 逆に申しますと、宅地化の促進ということも一つの大きな柱でございますので、そういう面から申しまして、法案の中では全部または相当部分について宅地化を図るというふうに言っております。実際問題としては、七割ぐらいになる場合が一番多いのかと思いますけれども、現実の問題としまして、周囲の市街化の進展の状況等によりまして、一番考えられるケースと申しますのは、たとえば公共施設の用地を除きまして、あとは大体半々ぐらいのものが残る事業計画が多く出るのではないかというふうに想定いたしております。
  70. 中村茂

    中村(茂)委員 ちょっとそこがあいまいなんですけれども公共施設を残して半々ということですが、いま違うものもいろいろある、農地がある、それで違うところを含めて全体的にやっていこうというふうになった場合に、そのある農地の半分を残すということですか。
  71. 山岡一男

    山岡政府委員 まず全部が農地ということになりますと、たとえば二割ぐらいは公共施設になる。そうしますと、八割残るわけでございます。それの半々ということでございまして、十ヘクタール単位で考えますと、恐らく四対四というような割合で宅地と農地になるというふうなことが一般的だと思っております。
  72. 中村茂

    中村(茂)委員 今度は逆な聞き方ですけれども本人の希望でみんな開発してしまう、営農もこれでやめだ、農地は全部必要ありませんよ、こういうふうになった場合はどうなるのですか。
  73. 山岡一男

    山岡政府委員 この法律は、あくまで農地所有者の皆さん方の意向を十分尊重して行うということでございますので、そういうケースもあり得るわけでございます。ただそういう場合に、従来の農地がなかなか転換されなかった、いろいろな手法があるのにそういうことができなかったということがこういう法案を考え出したもとでございまして、大部分につきましては、恐らく私はほとんどだと思いますが、そういうふうな営農地が残るだろうというふうに思っております。
  74. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、指導のあり方ですけれども、この法律自身が当面というふうに言っているけれども、いずれにしても営農を継続しつつ組合の運営を図っていく、こういう趣旨ですから、これは緑地帯という意味を含めても、相当広範な開発については、私は営農地域というものをある程度確保するように、まあ本人の希望といいますけれども、それは指導のあり方等いろいろあると思うのですよ。ですからそこのところは、開発したけれどもゼロになっしまった、みんなミニ開発みたいに細かくなってしまった、それで結果的には、何だこれはミニ開発じゃないか、こんなふうにならないように、ある程度緑地帯という意味を含めて、営農という点についても適切な指導をしていただきたいと思うのです。その意思があるかどうか、明らかにしていただきたい。
  75. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話しのようなことも、私ども大いに指導すべきであると考えております。
  76. 中村茂

    中村(茂)委員 六十条についてちょっとお聞きしておきますが、この六十条の一の「政令」というのは、これから政令をつくる場合に二ヘクタール、こういうふうに理解していいのか。  それから二番目の後段の方に「面積の大部分を占めるものであること。」この「大部分」というのはどのくらいに考えているのか、その点ひとつ明らかにしてください。
  77. 山岡一男

    山岡政府委員 第六十条の第一号の「政令」が最初のお話だと思いますが、ここでは住宅地等の転換することを目的とするものであることから、政令では二ヘクタールを考えております。それから、大部分ということにつきましては、八〇%程度というふうに考えております。
  78. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、七条関係ですが、いろいろな事業ができることになっているのですけれども、その中の特に賃貸というものについて私の考え方を申し上げておきたいというふうに思うのです。  これは大きい観点から見れば、三大都市圏住宅問題を解決するには、庭つきの戸建て住宅推進では解決できないというふうに私は思います。やはり賃貸、しかも低廉で良好なもの、再開発等を含めてこの賃貸住宅というものについて本格的に取り組まない限り、三大都市圏住宅問題は解決できないだろう。そういう中における今度の法律に基づく事業を行っていく場合に、確かにここのところで賃貸も挙げていますけれども、私どもの要求というか希望は、できるだけこの中に公共賃貸住宅ができるようにということが一つ。  それから二つ目には、営農しながら事業をして、自分の生計を営んでいく、将来のその農家の皆さん生活設計などを考えていく、そうした場合に、若干の分を営農しながら、それではどこから収入を永久的に受けていくかと言えば、自分の土地の上に賃貸を建てて、そしてその収入と合わせて自分の将来の生計を考えていくということになるとすれば、賃貸というものを建ててやっていくというのがこの法律の趣旨に一番合うのじゃないかというふうに思う。それを、ここのところは分譲で売ってしまったわ、こちらの方も売ってしまった、農業も、先ほど言ったのですけれども、もうあれだから、それもみんな分譲で売ってしまった。これでは不動産会社と同じなんですよ。組合をつくって、おまえ不動産会社やれ、こういうふうに言ったのも同じなんです。ですから、この法律の趣旨からして、私はこの賃貸というものについて、もう一度繰り返しますけれども公共賃貸のできる、例を言えば日本住宅公団でいいですし、または地方の公社でもいい、そういうふうにそこのところでやる。それから先ほど申し上げたように、本人も将来の生計等を考えながら賃貸で経営していくようにする。これを重点にしていただきたいというふうに思う。その点のお考えはいかがですか。
  79. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合が取得造成いたしました土地につきましては、一般には組合がみずから住宅やら利便施設等を建設することが多いと思いますけれども、たとえば公営住宅建設等のために土地の取得を希望する地方公共団体に更地のまま譲渡してその利用に供するということは、良好な住宅市街地の速やかな形成を図るという上で非常に有効な方法であろうと思っております。  なお、法第七条の第二項の二号で「政令で定めるものに対して行う土地の賃貸その他の管理又は譲渡」というふうに挙げておりますが、ここで考えておりますのは、住宅を確実に建てることが期待されるものといたしまして、地方公共団体それから公団、公社等を予定いたしております。先生のおっしゃるような趣旨で、まあ進めてまいることにしておるわけでございます。ただ、これも絶えず協同組合という性格から申しまして、強制はできませんので、そういうふうな方向で十分指導してまいりたいと思います。  それから、第二の御質問でございましたけれども、組合員の安定的な収入の確保のためにも賃貸住宅の方がいいじゃないか、こういうお話でございます。これも一般論といたしましては、そういうようなものを必らず義務づけるというようなことにつきましては、協同組合の自主的運営という意味からいたしますと、きめつけるわけになかなかいかないわけでございますけれども、私どもも、先生がおっしゃいましたような趣旨で農住組合が賃貸住宅建設するということにつきましては、組合員の安定的な収入を図る上でも有効な方策でありますし、政府のいろいろな応援の手だてもございますので、そういうようなものについての積極的な推進を図るように指導してまいりたいというふうに思っております。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほどの営農の問題も、いま私が提起した賃貸という問題も、性格上、考え方を持っていても押しつけるわけにはいかないからむずかしい、こういう言葉が出てくるのですけれども、そこで私ども非常に心配になる。法律を見れば、先ほどの、営農もゼロでもいい、それからこの七条の中から選択するわけですから、そんなものはいやだと言えば、賃貸が一つもなくもいい、法律上はそうだと私は思う。そこで皆さんの指導というものが非常に重要になるわけですね。しかし、賃貸にしても分譲にしても、相当な税金を片一方に有利な条件になるようにこれからしでいくわけでありますから、そういう裏では、指導というものが生かされてもしかるべきだ、指導が生かされないようなら、そこのところへ税金など入れる必要はなし。したがって、この法律の趣旨とその次の住宅政策に協力願う意味で指導というものを十分生かせるようにその点は強く要求しておきたいというふうに思います。  それから、やはりこの七条の関係と、先ほど、地方公共団体それから住宅公団、公社等という、この政令の中身の話があったのですけれども、やはり国なり地方公共団体なり、そういう公的なもの、そういうところによって十分援助しながら指導をするという姿勢をひとつつくってもらいたいというふうに私は思う。これはそういうことを言っては先礼かもしれませんけれども、いままで農業を経営してきた、それを土地を出してそれで組合をつくって、膨大な土地を、青写真をつくってそのものを一つ一つやるということになると、とてもじゃないけれどもどうにもならないと思うのですね。それをやるということになれば、これは一つの例ですけれども、名前だけ貸すから、デベロッパーか何か大きい不動産で、ひとつあなたのところで計画立ててやってくれ、名前だけは貸すわい、そういうふうにしてデベロッパーとかそういうものが介入してくる、そういう要素も十分あると思う。  皆さんの方がいままで、特に農協などに話をして了解を得ながら協力を要請しているようでありますけれども、農協の人に聞いたんです。これは練馬です。練馬では、農協みずからいま大きく相当なところを開発してやっているところがある。私どういう立場でそれを聞いたかというと、そこに住んでいる人たちが、初めはよかったというのです。ところがどんどん値上がりしてきて、もうこんなに値上げしてくるんならひどい目に遭った。すぐ向こうの方へ行くと日本住宅公団があるのですが、それは入ったきり上がらないで、入ったときにはそう差がなかったけれども、いまになったら倍も差がついちゃった、こういうわけなのです。そこで、今度農協の人に聞いたわけです。しかしそれを実際に経営してみると、いろいろな物価が上がってくるから、実際の中身は、これは家賃も上げざるを得ない。上げないでいれば、本当に倒産というようなことになってしまう。ですから、そういうことを考えていくと、確かに不動産的な考え方になって、そのときいい値で全部売っ払ってしまうというなら別問題ですが、私が先ほど言っているように、やはり賃貸なら賃貸というものをやって、将来の経営を含めてやっていこうというようなことを考えて——私も賃貸を要求しているわけですけれども、しかし、そのうらはらの関係として、将来それをどういうふうに運営していくかということを考えていくと、その農協の専務の人の言うように、確かに悩みが出てくると思うのです。その専務は言ったのです。今度農住組合法ができて、そういうふうにやるけれども、私どもどうもそこの組合を指導しろと言われるけれども、これをやってみてなかなか勇気が出てこないというのですね。ですから、そこにどういうふうに機関が参加して適正に指導申し上げるか、これはやはり地方公共団体、それから公的な農協、特に地方公共団体の相当な協力を得なければ、私は失敗に終わるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点の考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  81. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおりだと思います。皆さんの中で、そういうふうな一部の農地も宅地にして経営したいというようなことをお考えになっている方がおられましても、なかなか一人では不安だということが、なかなかそういうことが進まなかった原因一つに私ども挙げておるわけでございます。したがいまして、こういうふうな組織によりまして一貫して仕事をやるという点に大変なメリットがあると私ども思っておるわけでございますが、同時に、農業団体の助言、指導等が十分必要でございますし、市町村におきましても十分に助言、指導するということを期待しておるわけでございまして、私どももまたそういうふうなことで、関係省庁力を合わせて応援をしてまいりたいという趣旨でこの法案を提案いたしております。実施に当たりましては、十分配慮したいと思います。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 それに関連して、でき上がった住宅の、賃貸の場合には家賃、それから分譲等の譲渡価格、やはり国も相当指導し、援助し、地方公共団体の御協力もいただくという、この仕組みの中で、できたものが余り高いものではどうにもならないんですよ。またこの趣旨にも反するのですが、こういう家賃とか譲渡価格についてはどういうふうにお考えですか。
  83. 山岡一男

    山岡政府委員 この制度にかかわります事業につきましては、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、例の農住利子補給法という法律がございますが、その特例も設けております。したがって、その特例を受けて実施する場合には、従来からの賃貸住宅建設に対します利子補給という制度が生きてまいります。  それから住宅金融公庫の各種の貸付制度、これを活用してまいりたいと思っております。その分は、やはり公庫の資金でございますので一般の資金よりも低利の貸し付けになるということでございます。  それから、住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これにつきましても、計画宅地開発の一環といたしまして、そういう既存の制度の活用を図っていくということも考えております。  それから、たとえば住宅公団におきましても、民営の分譲住宅で民賃と称するものがございますが、そういうものも積極的にやりたい、場所によってはやると申しております。  それからさらに、これはまだ政府部内の相談事でございまして、予算要求の段階でございますけれども、現在私どもといたしましては、農住組合の行います宅地造成事業等にかかわる借入金につきまして利子補給制度をつくってほしい。それからさらに、農住組合施行の土地区画整理事業の補助対象へ追加をしてほしいというようなことにつきまして強く政府部内で要望いたしております。  これらの制度を成立させまして積極的に活用してまいれば、相当適正な価格で供給できるのではないかと思っております。  それからなお、農地の所有者の皆さんがすでにアパートを経営なさっておる例があるわけでございます。それは過去の実例から見ましても、土地を新たに取得した場合に比べまして地代分の原価計算が非常に安くなっておる例が多うございまして、むしろ近くの公的住宅よりも安く供給しているという例もあるわけでございまして、その点からも本制度によります賃貸住宅の家賃か比較的安価になるものと期待をしておるわけでございます。  農住組合そのものは営利を目的としないというようなことでまいっております。したがいまして、適正な価格での分譲または家賃の設定が行われるというふうにわれわれ考えておりますけれども、なお、先生のお話もございましたように、家賃もしくは譲渡価格の適正化につきましては、これは一番大事なことでございますので、力を合わせて十分に指導してまいりたいと思っております。
  84. 中村茂

    中村(茂)委員 それと、私にはどういうふうになるのか全体像というものがちょっと浮かんでこない面があるのですけれども、四人以上なら四人以上土地を出す、それで組合をつくる、知事の許可を得る……。  それから、准組合員というのはどういうことなんですか。
  85. 山岡一男

    山岡政府委員 組合員の資格というのを十五条で決めておりますが、正組合員は組合の地区内の土地につきまして所有権または借地権を持っておられる方、それから二号で、組合の地区内の農地について使用収益権を有する方というものを決めておりますが、これがいわゆる准組合員でございます。小作権者の方などはこれに当たります。
  86. 中村茂

    中村(茂)委員 それでその組合が事業をするということですが、この土地というものほどうるさいものはないんですよ。土地の境がどうだの、それから前の土地が畦畔まで含めてこういうことで、畦畔なんか、こっち側の方はここまでだ、おれの方はここまでだと言って、土地の紛争というのは絶えないのですよ。ですから、そういうものをこうやって造成しながらこの組合が運営していくというのは、よっぽど民主的——民主的というか、いろいろな人の意見を総合して一つの結論を出していくということですから、一口に言って、准組合員等そういう者を含めた民主的な運営がなされるようにしていかなければ、なかなかこの組合がスムーズにいかないと思うのです。ですから、その辺のところがちょっと突っかかるのですけれども、運営のあり方という点はどういうことになっているのですか。
  87. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合の行う事業につきましては、特にその必須事業の中で市街化区域内農地を「住宅地等へ転換するための事業」というのが一つの大きな柱でございますので、正組合員は所有権者及び借地権者に限定するということでございますが、一方、土地利用の転換には、農地につきましては使用収益権を有する者が協力しなければうまくいかないことは当然でございますので、同じく准組合員というかっこうでメンバーになっているということでございます。しかし、農住組合法の正組合員というのは、いわば組合の意思決定とか議決権なり選挙権なり被選挙権なり、いろいろな一般の組合の組織法的なものの中の基本のものについては、正組合員がその権限を持っておるわけでございます。准組合員は組合の事業、施設を利用する権利を持つという点では正組合員と全く同様の取り扱いというふうに規定上も規定されておるわけでございます。  もう一つ、やはり事業の中の一つといたしまして土地区画整理事業というのがこの本来事業になっておりますが、その全体の事業といたしましては、借地権者と所有権者というものが土地区画整理事業の本来施行者ということになっておりまして、そういうものとの整合性も考えながら、宅地促進という意味から正組合員と准組合員を分けたというだけでございまして、事実上の、事業の施設を利用する権利、それから事業の中身等につきまして運営に参画するという点につきましては正組合員と同じと考えていただいて結構だというふうに思うわけでございます。
  88. 中村茂

    中村(茂)委員 権利が同じはいいけれども、別な言い方にすれば、権利と義務がある者、それで請求できる者とこれを受ける者、それが正組合員と准組合員というかっこうになっていて、それが合わさって一つ事業をしていくということ、だからどうもしっくりいくのかいかないのかという点がぴんとこないのです。まあ、いいです。私は、それはいまのところ、大体そういう仕組みだけ承知しておけばいいと思いますから、危惧を持っているということをひとつ御理解をしておいていただきたいというふうに思います。  それから次に、いわゆる宅地並み課税ですが、自治省、来ていると思いますけれども、特に三大都市圏のいわゆる宅地並み課税地域現状について、明らかにしていただきたいと思います。
  89. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 お答えいたします。  いわゆる宅地並み課税と申しておりますが、これは三大都市圏の特定の都市、たとえば首都圏であれば既成市街地あるいは近郊の整備地帯というものがかかっている都市の市街化区域内農地についてそういう措置を講じているわけでございます。関係市の数は百八十五市でございまして、現在いわゆるA農地というものが二千二百十五ヘクタールございます。それから、B農地が八千四百七十六ヘクタール、したがいまして、ただいま先生御質問のいわゆる宅地並み課税対象となっている、その現状はどうかということでございますが、この二つを合わせた一万六百九十一、約一万一千とよく言っておりますその数字でございますが、それが宅地並み課税の対象面積、こういうことになっております。  次に、現状ということで申し上げますと、そういう一万六百九十一ヘクタールのうち、いわゆる減額対象、これは地方税法の附則の第二十九条の五によって法律上定められている制度に乗って条例が定められて減額をする、こういうことでございますが、その面積が八千二百七十六ヘクタールございます一ただいま申し上げました一万六百九十一ヘクタールに対します税額の状況を申し上げますと、固定資産税額で百五十二億九千万円、都市計画税で六十一億二千二百万円という数字になっておりまして、これらにかかる減額税額は、固定資産税が九十九億六千八百万円、それから都市計画税が四十億二千九百万円、こういうことになっております。  以上が現在行われております特定市街化区域農地に関しますいわゆる宅地並み課税状況でございます。
  90. 中村茂

    中村(茂)委員 いまのは二十九条の五に基づく減額ですけれども、もう一つの側面として、条例をつくっている市町村、それから条例でどのくらい返還しているのか、条例の面から数字をお教え願いたいというふうに思います。
  91. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 返還しているといいますか、減額している数字は先ほど申し上げましたところですか、条例の状況を申し上げますと、先ほど申し上げました百八十五市のうち条例を制定しております都市は百七十五ございまして、首都圏が九十六、近畿圏が五十一、中部圏が二十八となっております。条例の制定によります減額割合というものを条例が定めるわけでございますが、これは五〇%から一〇〇%まで分布しておりまして、そういう減額状況になっております。
  92. 中村茂

    中村(茂)委員 その面積はわかりませんか。
  93. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 減額対象面積は一万六百九十一ヘクタールのうち八千二百七十六ヘクタールになっております。
  94. 中村茂

    中村(茂)委員 国土庁へお聞きしたいのですが、先ほどからいろいろ出ておりますけれども、本法案といわゆる宅地並み課税とは全然関係ないわけですね。
  95. 山岡一男

    山岡政府委員 本制度といわゆる宅地並み課税とは直接の関係はございません。
  96. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次は、このいわゆる宅地並み課税は五十七年度に見直しする、見直しの際には、営農地になったととろは何とか検討の対象にしてもらいたい、こういうふうに前からの答弁があると思うのですけれども、この制度を土台にして五十七年度に見直しする、こういうことではないわけですね。
  97. 山岡一男

    山岡政府委員 五十七年度におきます見直しの検討につきましては、政府税調の答申の方針に従って検討を続けるという一般的なことでございます。今回行っております農住組合の制度と申しますのは、全農地を対象にするわけではございません。全体農地の中でごく一部のものと申しますか、相当対象にしたいと思っておりますが、そういうものを対象にするわけでございますので、そういうものの営農地の取り扱いにつきましては、政府税調の答申の中にも「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、」というふうに明記してございます。私どもは当然これに当たることと思っておりますので、そういう措置の講じ方につきまして関係省庁と十分検討を詰めてまいりたいと思っておるわけであります。
  98. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  99. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  100. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 私は建設に初めて入れていただいたものですから、余り建設の内部事情は知りません。ですから、きわめて素朴な質問をいたしますから、余り専門的にならないようにお答えを願いたいと思います。  この農住組合法が施行されて、明年度以降実際どのくらいの組合ができて、それからどのくらい住宅転換ができて、その総面積はどのくらいになるのか。希望じゃいけません。実際予算的に、利子補給もされるわけでありますから、現実可能な明年の計画、それからここ数年の計画を数字をもって挙げてください。
  102. 山岡一男

    山岡政府委員 実はたびたび御説明申し上げておりますが、農住組合は自主的な協同組合組織として仕事をするということでございまして、今後の私どもの農業団体等を通じます啓蒙活動などによりまして手を挙げていただいて、それが成果になっていくものでございますので、いま先生がおっしゃる意味で、十年先の予算まで計上してということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、種々の仮説を予定いたしまして、私どもある程度荒っぽい積算でございますけれども、努力目標という意味も含めてあえて想定した数字がございます。それは、組合は今後十年間におおむね七百余りを予定いたしておりまして、実際に供給されます宅地の面積を四千ヘクタール程度というふうに考えております。本制度によります農住組合の設立の促進等のために、来年度も予算要求いたしておりますけれども、来年度は初年度でございますので、過去におきまして農住型の土地利用転換等の計画を進めてまいった市町村の中で、相当具体化したものなどがまず最初にモデル的に手を挙げてくれるだろうということも期待しておりまし、五組合程度を来年は見込んでおります。それにつきまして、三・五%利子補給を行うというような予算を一千万足らず要求いたしております。それ以外の、たとえば土地担保賃貸の融資でございますとか、公団の民営賃貸の分譲でございますとか、そういうようなものの予算は、一般の予算のそれぞれのところで要求している予算の枠の中のものを活用させていただくということになるわけでございます。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 先般私は、名古屋でございますが、現場へ行っていろいろと関係者の話を聞いてみました。もちろん農住組合法は制定していない前のことでございますから、この種の実績、経験について聞いてみたのですね。そうしたら、開口一番言うことが、まあ先生、お百姓が集まって、おい農住組合をつくろうやとか、おまえと交換分合だとか、権利はどうなるとか、そんなことを百姓同士で何がやれるものか。お役人なんて二年か三年で転勤してしまうじゃないか。わしがひとつ骨を折ったから一部のところはできたけれども、わしなんか銭ももらわずに、日曜日といえども夜といえども、夜遅くまで、どうだ田吾作どんやらんか、わしのような努力をする人間がどこにおると思います、そんなことできやせんぜ。また、名古屋付近では土地区画整理事業がきわめて発展しておりますから、わしのところはもう関係ないわ、こう言うわけですね。私もそうだろうと思うのです。お百姓の自主的努力、農民の自主的努力といったって、Aさん、Bさん、Cさん、四人以上集まって、農住組合法ができたで、どうだ交換分合をやろまいか、土地区画整理事業をやろまいかといったって、話が煮えるはずがないというのですよ。私は常識的に、そうだろうそうだろうとうなずいてしまったのですが、来年は五組合ぐらいだとおっしゃる、しかもそれは前に少し話がそういう傾向のあるところだとおっしゃる。来年五組合はできるかもしれないけれども、七百組合というのは、私は本当によくも自信があるのかなと思うのですが、だれが一体その推進役をやるのですか。お百姓自身が御相談なすって、さあどうぞということでは、実際問題としてはできないと思うのです。その組合設立をしてから事業運営をする、交換分合をやる、権利が非常に錯雑しておる、だれが組合長をやるか、田吾作どんか次郎作どんかですぐもめる、そういうようなことをだれが一体まとめるのですか。地方自治体ですか。農業団体ですか。それとも、こんな小むずかしいいろいろなことをやる人は、結局は民間のデベロッパーなり不動産屋たちが計画をして、どうですか、私どもこういう案をつくりましたが、次郎作どん田吾作どんおやりになりませんかといって極力勧めるか。推進母体になるのは一体だれだと想定しているのですか。
  104. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃる御趣旨は、私ども大変よくわかるわけでございます。いままでも、たとえば再開発でありますとか、住宅地区改良事業だとか、ああいうものには、本当に熱心な人がたいていその地区を取りまとめるということが多かったわけでございます。しかし、現在これと類似の仕事で土地区画整理組合があるわけでございますが、これも年間で何百というオーダーで認可がなされておると思いますが、そういうものにつきましても、やはりそういうふうな皆さん方の盛り上がる力で進められるという場合が多いわけでございます。  私どもこの種の農住組合制度は、大都市地域市街化区域内農地の所有者等の自発的意思がまず第一でございまして、その意味で、この制度の主役はあくまでも大都市地域の農業者、さらにはそれらの者が結集される農住組合であると思っておりますが、その事業を円滑に推進していくためには、事業の面でも関係する面が非常に多い農業団体等の協力がぜひとも必要であると考えております。そのような観点から、法律でも六十五条とか九十一条とか、農業団体関係の規定も設けておるわけでございます。  それから、国及び関係地方公共団体につきましても、「国及び関係地方公共団体は、組合に対して、その事業の施行の促進を図るため必要な助言及び指導を行うことができる。」ということにしておりまして、いわば地方自治体も農業団体も、その主役である農民の方々と三位一体で仕事を進めていくというような態勢を考えておるわけでございます。むずかしい面はあろうかと思いますけれども、そういうふうなこの制度ができましたならば、十分PR、啓蒙に努めまして、ぜひとも推進してまいりたいと思っております。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 わかっておるならいいようなものですけれども、田吾作どんと次郎作どんたちが集まって、自主的に交換分合、区画整理から権利の保全、役員なんということはとてもできません。だれかがどこかで推進しなければならぬのです。  私がこの間農業団体と党の建設部会長として皆さんとともに会ったのですね。皆この法案に消極的ですね。消極的な一番バックグラウンドは、宅地並み課税です。これはうまいこと言って、宅地並み課税の導入部になるのだということです。そして農業団体だって、これは反対すべきことではないが、まあどうですかね、それが二つ目ですね。そういう状況です。ただ朝の九時から夕方の五時までおるお役人的な人が、この推進母体をやるような熱意はないですよ。これはまた市町村でもそうです。お役所の人が、こんな一生懸命田吾作どん、次郎作どん集まってこいよ、今晩相談するから集まってこいよ、そして口をきわめて、これはいいからやろう、宅地供給してくれ、おれが骨を折ると言うて、事務一切おれの方でやってやるという奇特なお役人は本当におらぬですよ。そうすると、結局は大きなデベロッパ一やあるいは不動産屋さんが、ひとつわしがこういう計画をつくったのですが、次郎作どんどうでしょうか、皆さんに集まってもらって、やるまいか、こう言って一生懸命やるという結果に私はなると思うのですが、そういうことを想定しませんか。
  106. 山岡一男

    山岡政府委員 最初の宅地並み課税の問題は、これはこの法律と直接関係ないと従来申し上げてきたわけでございまして、この法律がそういう宅地並み課税を掘り起こす前提だということでは決してございません。五十七年度以降の税制につきまして、関係省庁も一緒になりまして検討せよということになっておりまして、その検討の一環の中で、この営農地につきましての優遇措置等についてはもちろん検討いたしたいと思っておりますが、この法案と宅地並み課税は直接関係がないというのが私どもの現在の考えでございます。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕  それから、そういうふうなものにつきまして先生おっしゃいますように、農業団体等の技術援助というようなことを書いておりますけれども、中身といたしましては、もちろん融資も期待いたしておりますが、従来の、たとえば人員派遣のこともあるでしょうし、それからいろいろな技術的な御相談に乗ることもあるでしょうし、十分そういうような点の地元に密着した農業団体それから地方公共団体、これらが助言、指導するわけでございますので、私どもはそういうようなことで十分間に合っていくのではないかと思っております。従来の土地改良区の進め方なり、それから土地区画整理の進め方なり、まさにそういうふうな苦労をしながら進めてまいっておるわけでございます。先生もおっしゃいましたように、名古屋などは区画整理の組合の中に本当に熱心な方がおられまして、大多数のところにつきまして全国一、区画整理が進んでおるところでございます。それは確かに熱心な方がおって指導されたということで、区画整理事業推進のためには非常にりっぱに行われたと私は思っておりますが、そういうふうなことになりますように、地方公共団体、農業団体それから主役である農民の方々、三位一体となるような指導、これはもちろん、三位一体と言いましたが、国も加えていただきまして、四位一体でやるつもりで推進してまいりたいと思っております。  先生もおっしゃいますように、農住組合では地権者が主となる組合でございますので、全部または大部分のところが農地であるという考えでおります。したがいまして、デベロッパ一がそういうものに対して介入するという余地は私はないというふうに思っておりまして、そういうふうなことが絶対にないように農民主体の推進を図っていくというふうに考えております。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 宅地並み課税関係ない、関係ないとおっしゃる口裏から、農住組合ができたら、その農地だけは宅地並み課税があるときでも課税されないように、強化されないように努力をいたしますと、あなた、何遍ここで言っているの。そのことは、農住組合以外の農地は強化されても私は知りませんよということの、これは逆説的にあなたがここで何遍も言っているから、ははあという気持ちに皆なっている。農業団体がこの法の実施について一生懸命になろうという気持ちにさせるためには、本当に関係がないなら、農住組合の農地については、これだけは宅地並み課税をされないように、強化されないように努力をいたしますということ自身がむしろおかしいじゃありませんか。そう思わないの。
  108. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども説明させていただきましたのは、五十五年度税制改正に関する政府税調の答申の線に沿って検討を進めると言っております。その際に、営農地はどうするんだねという御質問がございましたときにお答えしておるのが、いまの答弁でございますが、その五十五年度の税制改正に対する答申の中には「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに」「十分な検討を行うべきである。」という答申でございます。ですから、もし今後の検討がありまして、そういうような宅地並み課税の適正化を行うことがありましても、そういう場合には、ここに書いてある「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮」という中で、農住組合の営農地区は当然含まれるものだと思っている。したがいまして、われわれは検討に当たってそういうふうな方針で考えていきたいのだ、こういう御答弁を申し上げておるわけでございます。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 これはあなたとやり合っておってもしようがないですからね。  大臣、私のいままでの質疑応答をお聞きになったと思うのです。宅地並み課税の導入部であるという印象は、みんなそう思っているのですね。ですから、中央会だって、全日農だって、そんなものは裏返しの問題だ、宅地並み課税の強化というところへつながる限り、これは、全日農はもちろん反対だし、中央会も、絶対反対とは言いやせぬけれども、消極的ですわ、こう言っているわけですね。宅地並み課税がどうなるかについてはまだ時間もありますわ。その時間の間は中央会は知らぬ顔ですよ。だれも手伝いはしませんよ。そのことについて折り目をつけた大臣答弁をひとついただきたい。
  110. 原健三郎

    ○原国務大臣 これは非常に微妙なんですが、宅地並み課税と農住組合とは関係がない、こう言うものだから、どうも後が続かない。それなら直接うんと関係があるかと言うたら、それほどでもないのですがね。それを抜きにして、それならどうするかということを答えた方が私はいいと思うのです。それは御承知のように、何回も申し上げておるように、昭和五十五年の、政府の税調で答申があります。だから、五十五年と五十六年は宅地並み課税はやらない、五十七年になって初めて、ここに書いてありますように「昭和五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行う」べしということにしておるのですがね。そうすると、営農地として残したいという人には、税金は配慮して、取らない、こういうことになります。しからざるところに対しては、それからまたその次に「新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加える」——これも文章はずっと次から次、連続しておって、ややこしいのですがね。切りがない。「新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに」——加えるということです。それで次は「現在課税の適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する」——これが大事なんです。「課税を強化するため、十分な検討を行うべきである。」だから、A農地もB農地もC農地も、営農しておるところ以外のものに対しては課税を強化する。幾らせいということはございませんが、それについて検討せい、こう言っておるのですが、これをどういうふうにするか、まだこれからやっていくのですが、私ども国土庁としては、営農をする人には課税はいたしませんが、しからざるところに対しては課税をいたしたい、こう思っております。それでないと、いつまでも土地を持ってあっためられて土地が出てこない、宅地が出てこない、まことにそれが今日住宅ができない一つの重大原因でありますので、もうこの機会に踏み切るべきである。これは国土庁だけの意見ですが、そういう方針で、これは私のところだけでなくて、農林省だとかその他と相談して前向きに検討いたしたい、こう思っております。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 書いてあることは知っておるのですよ。私知っておるけれども、これに対して農家、農業団体は挙げて反対しておる、捨て身になってがんばる、こう言っておるわけです。これはその時期における反対運動は容易に想定できるわけです。それは、今度のものはその一里塚だと彼らは思っておるわけです。書いてあることはわかっているけれども、そのときにおける条件考えまして、ああそうですか、それなら強化はやむを得ませんと、農業団体も農家も言やせぬのですよ。そこでまた一騒ぎあるわけですね。一騒ぎの前に、ここで堤をまずつくられるから、私らはこれに協力ができない、こう言っておるわけです。だから、来年は五組合だ、十年後には七百組合なんてうまいことを絵にかいたって実行性が乏しいということなんですから、そこのところを、農住組合を本当につくってやろうというならば、政治的にそれが一大障害原因になっておるということをあなたもわかってもらわなければ、これは絵にかいたぼたもちになりますよ。ただでさえ、お百姓を集めて、どうだやらんか、農住組合をつくらんかといったってそうできやせぬのです。できやせぬところへ、もっと大前提として宅地並み課税があるから協力できない、こういうことじゃ全くこの農住組合は絵にかいたぼたもちになりますよ。それをわかってもらわないとあかぬのです。  その次に、私は都市の真ん中に住んでおるのですけれども、この間名古屋のある税務署長に、相続についていろいろ懇談をいたしました。そうしたら、税務署長ともあろうものが、この間——といっても十年ぐらい前におやじが死んだ、だけれども私はまだ相続登記しとりやせぬ、そんなばかな、相続税はどうしたんだ、相続税はちゃんと納めましたよと言うんです。いろいろ調べてみましたら、とにかく全国で、おとつつあんが死んだどころじゃない、死んだおじいさんの登記のままになっておるというものが山ほどある。私、推定して、数十万ありゃせぬか。税務署長をもってして登記が未完了だ、十年前に死んだおとつつあんのまんまになっておるというわけですね。法務省へ聞いてみますと、それは率直な話どうにもなりません、こう言うわけですね。  今度、交換分合だとか土地区画整理だとかなんとかということになりますと、この相続登記が日本全国で、死んだ直後に行われてないものが実にたくさんある。そこのところ一件だけならいいんですよ。ところがそこをやるために全部の判こが要るときに、そこだけが問題になって、やれ判こだ、やれ共同登記の場合だとかとなりますと、この農住組合は、私は実際はそんなのは起こらぬと思うのでありますけれども、組合が設立されないと思うけれども、この機会に解決すべき一つの問題ではないか。  そこで、私は、大蔵省からも法務省からも農林省からも来てもらいましたが、お百姓が一番相続登記がおくれておるのです。山奥のお百姓になりますと、本当に相続登記をしていないわけですね。この機会に何か相続登記を促進する方法考えたらどうか、私はそう思うのです。  その方法の私の一つの案でございますけれども、まあその人の不動産なり何なりについて、その人が死んでから少なくとも三年なり五年なりの間に相続登記をさせる、そうすれば登記料だとかいろいろな問題について便宜を図られる、その年限が済んだら損する、高うなるというような方法でも考え促進をしなければならないと思うのです。  この間も、会議をやっておりましたら、ある人から、道路ですか水路ですか、それが数十人の問題である、それを処理しようと思ったら大分死んでおる、こう言うわけです。私の近くの春日井でも明治時代のままの水路があるわけです。そういうことを考えますと、この機会に相続登記を促進をする方法について、その必要について、まず法務省、農林省、それから大蔵省の税関係の御意見を伺いたいと思います。
  112. 清水湛

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  不動産についての相続による権利の承継というものが登記簿に速やかに反映されるということが非常に望ましいということは仰せのとおりでございまして、相続をめぐる紛争を回避する、あるいは各種の事業の執行を容易にするという意味において非常に望ましいことだと私ども考えておるわけでございます。  しかしながら、登記を所掌する法務省の立場から申しますと、相続登記というのは御承知のように当事者が任意に申請をするということになっているわけでございまして、法律上これをいついつまでに申請しなければならないというような形で強制をすることはできないということになっております。したがいまして、この相続登記を円滑に速やかにするということのためには、どうしてもその関係者と申しますか当事者、相続人の理解を深めることが必要ではないかというふうに思われます。  そういうことから、私どもの方では、直接その相続登記の申請手続につきまして、手続を代理する等の業者といたしまして司法書士というものがあるわけでございますが、司法書士会あたりもこの問題について積極的にPRもしたい。具体的にはそれぞれの各地の司法書士会が、その住民に一番つながりのある市町村の広報紙等に、相続登記を早くやった方がいいというような趣旨のPRをするとかあるいは広報パンフレットをつくるとかあるいは登記の相談に際して相続登記を早くした方がいいというようなことについての啓発をするというようなことを、司法書士会の方で現に計画し、一部を実行しているわけでございます。そういうようなことから、私どもといたしましても司法書士会等も通じまして積極的に相続に伴う当事者の理解を深めるというようなことで努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  113. 若林正俊

    ○若林説明員 御説明いたします。  農家の相続登記が大変おくれているという御指摘、先生のおっしゃるとおりでございます。いろいろな理由がございますけれども、一般に農家の場合、耕作が事実上継続されていく、長子に限りませんけれども農業後継者に農業資産がそのまま利用されているという実態があり、特に転用その他の権利関係の調整を要しないという地域にあっては、おっしゃるようにそのままにしておくというのが続いているわけでございます。  私ども基盤整備事業でありますとかあるいはそういう権利調整の必要が出てまいります農地法上の諸手続の場合には、統制事務としては、資本関係でございますから必ずしも登記簿謄本の添付を要しないわけでございますけれども、しかし農地法の諸手続の場合には必ず登記簿謄本を添付せしめる、そういう機会をとらえながら、相続登記などについてもあらかじめしておかないと、大変手続に時間を要したり、その時点で権利関係の紛争が出るというようなことがあるので、その機会には他の土地についてもできるだけ相続登記をするようにという指導をしておるわけでございます。  なお、農村部におきましては、先般の国会で農用地利用増進法という新しい所有権移転を含めます法律の制定をいただいたわけでございますが、この農用地利用増進法による集団的な権利移転につきましては、市町村の代位登記の制度を導入いたしまして、その際に権利関係として、相続登記が行われていない場合にありましても、もちろん関係者の委任を受けてございますが、市町村が代位登記をするという制度を新たに開いたわけでございます。  今後、権利の調整の機会にできるだけ相続登記もきちっとしておくような指導を進めたい、こう思っております。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省の御返事がある前に申し上げておきたいと思うのですが、司法書士に宣伝させる、あるいは農林省もそういう話があったらなるべく相続登記をするように言うというぐらいで話がつくものではないのです。これは閻魔様に、おまえさんのところに行っている次郎作どん、十年川前に死んだけれども、どうなっておったと聞かねばならぬですね。実際問題としては、相続税の課税またはその延納、それから相続を数年なり十数年たってしたときの相続の実態とちぐはぐになっていくわけです。その間の事務の渋滞というか、何かのときに隣近所にえらい迷惑をかけるわけですから、ぼくの言うのは、何とか政策的にある時期までに相続登記をした方が得だ、その時期を過ぎたら損だ、こういう誘導政策をやらないか、折り目を一つつけたらどうか、こう言うている。そういうことは税法だって、あるいはいろいろな法律の中で幾多の例があるのだから、きょう私が初めて言ったからといったって、まあまあの答弁をせずに、ひとつ関係省集まってよく相談いたしましょうくらいのことを言わなければ何にもならぬですよ。大臣、そうお思いになりませんか。——大臣がそうだと言っているから、大蔵省、返事をしてください。
  115. 原健三郎

    ○原国務大臣 どうなるか、まだ……。先生の御趣旨の点は一遍相談して検討してみます。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 ありがとうございました。  では、大蔵省、いいのだな。
  117. 源氏田重義

    ○源氏田説明員 お答えいたします。先生、税の専門家でいらっしゃいますのであれですが、相続税について申し上げるのは、かねて御高承のとおりだと思うのですけれども、登録免許税と申しますのは相続とか売買がありました際に所有権が移転します。そこに担税力を見出しまして、それでその登記の際に課税するという制度になっております。したがいまして、これを登記を早くされたから安くするとか遅くされたから高くするというようなものになじむのだろうかという疑問がわれわれにはあるわけでございます。  それから、御高承のとおり、相続の場合の登録免許税というのは千分の六という非常に安い税率になっておりまして、登録免許税法で定める所有権の移転に関する税率の中では最低になっております。それで、その評価も固定資産税の評価額でやるというふうなことになっておりますので、これは政策税制というのははなはだむずかしい、なじみにくいものではないかとわれわれは考えております。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 大臣と違うじゃないか。大臣の言葉に即応してもう一遍答えなさい。けれども、せっかくの大臣のごあいさつでございますからと……。
  119. 源氏田重義

    ○源氏田説明員 どうも、やはり税の性格から考えまして、これはなかなかむずかしいというふうに御答弁申し上げざるを得ないのじゃないかと思います。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは税の専門家だからそういう答弁が出てくる。しかし、もっと高い次元で、大臣と私がやり合ったように、このままではいかぬ、相続がちっとも行われない。何とかその相続を促進する方法考えたいというのが、大臣と私とのコンセンサス、あなたの言う税金は一番安い方だからいいじゃないかというのはだめ、それは事務屋の答弁だ。それだったら税金を高くすればいいじゃないか。五年以上ほっておく者には倍にするとか、そうすればいいのだ、幾らでも……。あなたも将来政治家になるかならぬかわからぬけれども大臣がああいうことをおっしゃった後だから、少しは考えなさいよ。しかし言ってもしようがないから、これは大臣のお話で終わります。  その次は、同じような問題ですけれども、実は登記所へ行きますと不動産登記法によって十七条地図というものがあるはずになっているわけです。地図及び建物所在図を備えつけておるべきはずなのですが、恐らく皆さんも御体験だと思うのですが、公図というものがある。公図というものは法的根拠は何もないのだけれども、世間の人は公図を持ってくると、これは間違いない、法的な根拠のあるものだと思ってそれでやったら、そんなものは法的根拠はない、そんなことはない、これは役所からもらったのだとかなんとかということで裁判になったり、てんやわんやの大騒ぎがあるわけです。それで十七条の地図及び建物所在図は一体だれが責任を持って全国をつくるのかということなのであります。国土庁、国土地理院はその責任の一端を持っておるわけです。法務省も法務省でそれをつくるべき責任の一端があるわけであります。端的に私は伺いますが、国土庁のやっておる仕事でいつごろになったら全国完了しますか。ことしは予算百億だそうですね。それを出して地方自治体に協力させてやらせておるのですが、いつごろになったら全国的な地図及び建物所在図が完成するか。法務省は法務省で、不動産登記法十七条の備えつけるべき責任はいつごろになったら完了するのですか、それを伺いたい。
  121. 山岡一男

    山岡政府委員 現在私どものところの仕事といたしまして、地籍調査というのをやっております。これはそれぞれの一筆ごとの土地の面積を、地球上の位置を明らかにしながらはっきりと確定していくという仕事でございます。したがいまして、これは昭和二十六年ごろからずっと引き続き始めておる仕事でございまして、わが国の全国土面積の三十七万平方キロの中で、いわゆる国有林のようなものを除きまして、約二十八万平方キロぐらいは必ずやりたいと思っておるわけでございますが、現在までのところ、約四分の一に相当する六万六千平方キロの調査を完了したという段階でございます。本年度から第三次の十カ年計画というのを先般の国会でお認めいただきまして、法律の改正をしていただきまして、閣議の決定をいたしましたけれども、これでは全国の平地と周辺の林地を対象にいたしまして、六万平方キロをこの十年間でやるということの計画にいたしております。初年度では、五十五年度といたしまして四千平方キロメートルを実施することにいたしております。二十八万平方キロに対してまだ四分の一の成果でございますので、それをそのままやれば相当の時間がかかります。現在のところ、いまのペースで四千平方キロをネットにいたしまして相当努力いたしましても後二十年くらいはかかるということになるわけです。ただ今回の第三次の十カ年計画の対象にいたしたいと考えておりますのは、いわゆる平地のほとんど、それと接続して開発されるであろう林地の大部分につきましては、この十年間でカバーをいたす、あと残るのは林地と大都市の中が残ります。そういうものにつきましては、現在数値地籍の導入とか山地に対します新しい調査の方法ども検討いたしておりますけれども、そういうものもなるべく早く終わるようにしたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、地籍調査の仕事でございますけれども、これは一筆ごとの位置、形状を明らかにするわけでございますが、これにつきましてはあくまで権利を形成するものではございません。権利が確定したものを青写真のように書くということでざいまして、権利がまだ未確定のもの等につきましては境界不明ということで残しながら調査をしていっているという性格のものでございまして、いろいろな立会人の方々の立ち会いをいただきまして所有権が明確になったものについて丈量をして地図にしていく、こういうものでございます。  それから、建物については、これは地籍調査ではやっておりません。
  122. 清水湛

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  不動産登記法で、各筆の区画を明らかにした地図を登記所に備えるあるいは建物所在図を備えるということになっていることは仰せのとおりでございます。そういう地図が、土地の位置を特定し権利関係を、つまり権利の客体たる不動産を明確にするという意味におきまして国民の権利関係に非常に重要な関係を持っておるということは十分に認識しているつもりでございます。しかしながら、現在登記所に備えられております、登記所の方で表示登記に活用しております地図というのは、先ほど先生がおっしゃいましたいわゆる公図と言われているもの、これは明治の初期あるいは中期につくられたものでございまして、不正確なものが多いというふうに言われているわけであります。そういうことから、法務省といたしましてもできるだけ早期に法十七条の地図を整備したいということでいろいろな努力をしてきたところでございますけれども、法務省独自の力で全国的にこれを整備するということは、人的な面、それから予算的な面ではなはだ困難な状況にある。そういうところから、国土調査法に基づきますところの地籍調査の成果として送付されます地籍図というものを最大限に活用するということで当面臨んでいるわけでございます。  同事業推進につきましては先ほど御答弁がございましたところでございますが、私どもといたしましてもこの成果の活用に大いに努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 何年ころまでにあなたの仕事は完了するかと聞いておるのです。
  124. 清水湛

    ○清水説明員 いまのところ十七条地図の最大の供給源が国調の地籍図でございますので、先ほど御答弁ございましたように、このままで推移いたしますと国調の地籍調査事業の成果と軌を一にするということになるのではないか。(横山委員「二十年か」と呼ぶ)ということにいまのところ考えております。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 これもまた、ここで二十年過ぎたときに約束が違うではないかと言える人は何人おるかわかりませんけれども、とにかくいま聞いても二十年と言うのですね。いまの条件で二十年でできるはずがないですよ。そして、四分の一ができたと言うけれども、山の中のかっこうのいいところばかり、やりやすいところばかりをやって、いま局長が話したように都市の中はほうりつ放しにしてある。そんなものは権利関係が複雑で先生できるものじゃないですよというのが率直な話だな。それから、百億あったって、それを地方自治体に分けて後は知らぬ顔だな、あなたの方は。だから、これは何かの方法でひとつ大臣促進をせぬと百年河清を待つようなものです。本当に二十年どころじゃないですよ。それは号令一下でできるものじゃないですよ。隣と一寸土地が違っておっても、いやおれのものだおれのものだと争うんだ。そこを処理してやらなければならぬから、何も役所が号令一下でできるものではないと思う。思うけれども、それにしても余りにもマンマンデーである。そういうことですから、この点についてもひとつ何か知恵を出してもらいたい、こういうところをお願いしておきます。  私の質問はあと二十分ぐらいだから困ってしまうんだけれども、いまから言うことについて同僚諸君にも聞いてもらいたいし、時間はないから後で文書で返事を提出してもらいたいと思います。役所の方へは問題点として出してありますから、ひとつ記録の意味において申し上げます。  第五条「組合は、その行う事業によってその組合員のために直接の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行ってはならない。」営利を目的として事業を行ってはならないと言ったって、不動産屋をやれって言うのですからね。商売をやれと言いながら、商売をやってはいかぬぞ。それはおかしいじゃないか。これは何を言いたいんだということが一つ。  それから十三条、十四条、「農地利用契約」、そのモデルを見なければ話ができないと思う。モデルを一遍示してもらいたい。そして、この農地利用規約をなぜに認定をしなければならぬのか。この種の問題はこの法案の中にいっぱいあるわけでありますが、あれもやれ、これもやれ、これをやったら罰金だぞ、懲役三年だぞということが続出してくるわけでありますが、なぜに認定の必要があるか。  二十一条「組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。」これは何ですか。組合に新たに加入しようとする者、それについて加入を拒否してはならぬと書いてあるわけですな。拒否してはならぬというのですが、いま五、六人で組合をつくった、こっちの人が、おい入れてくれやと言ったって、こっちの人はいままで権利義務関係があって、あんな者を入れたらかなわぬぞということになるのに、「正当な理由がないのに、」という頭がちょっとついておりますけれども、加入を拒んではならない。なぜ加入の自由というものをここで特にうたわなければならぬのか。この辺でやっておった者が、おうおれも入れてくれやと言って後から入ってこようとするのを、おまえはいかぬ、いままでこの辺でやったんだから新たな者が入ってもらってはややこしいだけだからだめだと言って断って何で悪いのか。原則的に断ってはならぬと言っておるのだが、それがわからぬ。  後戻りするが、十三条の一項の二、「当面の営農の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。」「当面」とはこれは何だ。何か含みがあるのか。これから農地利用規約をつくって一生懸命やろうとするのに、「当面の営農の継続が可能」というのは、当面が済んだら営農をやらなくてもいい、こういうことなのか。  六十七条は、第三項で「第一項の規定による認可の申請を行うことができるのは、この法律の施行の日から十年を経過する日までとする。」組合の設立の認可申請は十年たったらあかんぜ、こういうことですね。何で十年たったらいかぬのか。農住組合は十年計画でさようならか。そう言えば、さっき十年で七百組合かをつくるとおっしゃった。何だ十年でこれはさようならか。何でそんなことを決めんならんか。  それから七章「監督」、知事の監督権限ですね。知事の監督権限をべらぼうに強めていますね。県知事がそんなことまで逐一権限を強めなければならぬのか。特に目を引くことは、八十三条の二「都道府県知事は、組合が前項の規定による命令に従わないときは、期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止又は役員の改選を命ずることができる。」役員を改選しろ。いまの役員は気に入らぬからおまえらはだめだ、役員を改選しろと要求することができる、命ずることができる。そんなのはほかの法令にありますかね。あると言っていばっているんだけれども、あったら、それは間違いですよ。何でそんな知事が人事に介入して、自分の気に入らぬ役員はおまえだめだ、かえろという、そんなの憲法違反だと私は思うのであります。何でそんなことまで知事がくちばしを出さなければならぬのか。これほど権限を強化する必要はどこにあるか。  それから九十五条、「組合の役員が、どのような名義をもつてするのであっても、投機取引のために組合の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」、「三年以下」というのは、私は法務委員をやっておりますけれども、実に重い処罰ですね。その頭が「投機取引のために」と書いてある。ここで言う「投機取引」とは一体何だろう。投機取引と判断をし得る条件というのは一体あるだろうか。ずいぶん争いの問題になると思うのですが、「投機取引」とは一体何を言い、かくも厳しい罰則を付するのはなぜだろう。  九十一条、「組合は、主務省令で定める農業団体等に対し、組合の事業に関し、必要な助言又は援助を求めることができる。」気持ちはわかるけれども、これは特に援助の請求を条文でうたわなければならない積極的な理由は一体何だろう。援助の請求がなかったら主務省令の定める農業団体には援助をしないのか、援助の請求がなかったらしてはならないものであるか。そんなことはさっきの話で言えばあたりまえのことではないのか。麗々しく援助の請求というものをここに規定しなければならない積極的な理由が何かあるのか。  九十条、大都市の特例規定。指定都市の長が政令の定めるところで行うとあるけれども、これは県と指定都市との関係はどうなのか。予算は一体国土庁から直接指定都市へ行くものであるか。  八十七条、組合員の責務ですね。「組合の地区内の土地で一団の住宅地等に属するものについて所有権又は借地権を有する組合員は、できる限り速やかに組合の事業利用して住宅建設する等により、当該土地の有効かつ適切な利用に努めなければならない。」これは一体何か。組合ができた、その組合員がサボっているというか、自分は組合の事業利用して住宅建設することはいやだからといって、知らぬ顔をしているやつはいかぬぞ、おまえらは組合がやっていることに協力して土地を提供して住宅をつくらなければいかぬぞと言いたいらしいが、これは組合員の責務として書いたところでこれをやらなかったら一体どういうことになるのか。わざわざ訓示規定、修身みたいな条文をつくる必要がどこにあるか。  八十六条第一項に、「土地区画整理事業の施行の認可を受けた組合の組合員は、」「区画整理事業の廃止又は終了の認可の日までの間は、」「組合を脱退することができない。」あるいは一遍区画整理事業の認可を受けたその組合員はどんなことがあってもおまえ脱退は許さぬぞということは、これはちょっと厳しくはないか。ここには「第二十三条第一項各号に掲げる事由による場合を除き、」とありますけれども、組合員がおれはやめたいと言うのを脱退することはできないと言って、それでも事実上脱退をしてしまったらどうなのか。何か罰則があるのか、ないでしょう。  八十三条、これは先ほど言いました役員の改選。  八十四条、「組合が法律の規定に基づいて行うことができる事業以外の事業を行ったとき。」これはたとえばサウナぶろやってはいかぬ、トルコぶろやってはいかぬということでしょう。サウナぶろならいいけれども、トルコぶろならいかぬというようなことでしょうか。とにかく「規定に基づいて行うことができる事業」は別定されておりますけれども、そのほかのいかぬという事業というのは一体何があり得るか。  それから六十四条、六十四条は事業基本方針について「主務省令で定める事項」とあるが、この「主務省令で定める事項」がわからない。  それから、この法律の中にはありませんけれども、農事組合の所得に対する課税は一体法人税の何が適用されるのか、どういう恩典があり得るのか。農事組合の事業所得ですね。  それから附則の二、附則の二で名称使用制限がありますね。いままで農住組合という名前を使っておった者は、六カ月間は認めるけれども、六カ月済んだらこれは使ってはいかぬぞと書いてある。それを使っておったら一体どういうことになるのか。罰則がないですが、一体どういうことになるのだろうか。  それから九十五条以下ずっと罰則が九十七条まであります。私はこれを見て実にびっくりしたのですね。農住組合の運営についてかくも罰則を羅列しておく必要がどこにあるか。それは一つ一つ見たらなるほどそうかと思うのですけれども、組合員に設立の相談で、田吾作どん、おまえこれやったら三年以下だぞ、おまえこれやったら十万円だぞというて罰則の説明したら、ふるえ上がっちゃってやりません。農住組合のような、大したことでもないと私は思うし、そうできもせぬと私は思うのですが、そういうところになぜ罰則をかくも厳しくせんならぬのか。  まあ切りがないんです。同僚の諸君もお読みになったと思うけれども、私はかくもこの法案の中には疑義があるわけです。けれども、まあ政治家というものは余り細かいことを言ってもしようがないが、私が仮に——名古屋では農住組合はほとんどできる可能性はないけれども、仮に建設委員やっておるから説明してくれと言われて説明するときに、これじゃおつくりなさいよと言えませんし、それから法律の中身を説明しろと言われても、一応国会議員としてお話しするときに、こんなに厳しい、こんなに監督権限がある、こんなに罰則があるものについて、私は進んでやる気がしませんな。  それで、一々御答弁を願うことができませんので、私のいま問題提起したことについて別紙で政府の文書による回答をいただきたい。あなたの方で想定問答集があるでしょう。それでもいい、しようがない。私の言ったことを含めて——少しは私どもに、自信と確信とは言わぬけれども、これはどうかと思うという気があるから、ひとつ私のいま問題提起したことを含めて文書による御回答をお願いしたい。  最後に、私は名古屋ですけれども大都市ほとんどそうだと思うのですが、大臣住宅が余っておるわけです。大都市内でいまから建てるといったってそろばんに合わないのですよ。住宅金融公庫でも予算がこのごろ余って、条件も緩和しておるくらいなんです。建てたところで家賃は高くつくわけです。だから入らない。こういうことになっている。だから、この法の目的である「大都市地域における住民の生活の安定と福祉の増進に寄与する」と言っておるけれども、寄与しないのではないか、平生そうかなと思うことは、ここにいうところの住民の生活福祉ということには勤労者は入らないのじゃないか。都市周辺の農民のことを考えて、まあ商売やれよ、もうけさせるで、それで宅地供給してくれよということに意味があるのであって、そこを借りようとする勤労者のためにはならぬではないか、そういう気がいたしますが、どうですか、大臣
  126. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答え申し上げます。  現在わが国住宅戸数が総世帯数を上回っておることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、国民生活が向上しておるし、でありますから、いままでこのぐらいの住宅は何でもやればいいと思っておったところが、だんだん生活の向上に伴ってもっと広いところ、もっと広い家、もつと、三DKなら四DKあるいは環境のいいところ等々を熱望するようになって、そういう需要が根強いものがございます。  農住組合が行う事業については所要の補助、融資等の助成措置を講ずるよう現在鋭意努めておるところであります。これらの措置を積極的に活用して、適正な価格、どちらかといったら安い価格で良質な住宅供給が行われるようにしたいというのがこの農住法考えであります。  でありますから、先生御質問にありました勤労者を目当てにしていないと、そんなことはございません。勤労者の方にもそれなりに安くて良質な住宅供給されるようになる、そういうふうに考えております。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 終わります。     〔村岡委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 稲村利幸

    稲村委員長 伏木和雄君。
  129. 伏木和雄

    ○伏木委員 農住組合法について御質問をいたしますが、同僚議員からいろいろ御質問がいままでございました。今日の地価上昇に対して、需給ギャップを埋めるためにはこうした手法が必要なんだ、こういうお考えで提案された、その御趣旨のほどは理解いたします。ただ、それでは土地が出てくれば地価の方はどうでもいいのだというわけにはまいらないと思います。今日の地価上昇を安定させるというためにはいろいろな施策が必要ではあると思いますが、従来からそれなりに宅地対策の施策が行われてまいりました。したがいまして、この農住組合法が仮に成立し、施行されたといたしましても、そう簡単に地価を抑制するというわけにはいかないと思います。  そこで、その前提になる今日の地価に対する認識の点をお伺いしておきたいと思いますが、地価公示価格で東京圏で一八%という二けたに突入する、全国平均でも一〇%を超しているわけでございますが、このこと自体、国土庁長官としてどのようにお考えになっているか、まずその点からお伺いをいたします。
  130. 原健三郎

    ○原国務大臣 最近地価がかなり高い上昇率を示しておるということも遺憾ながら認めざるを得ない実情でございます。お説のとおりであります。しかし、民間の調査によった場合には、地価動向の調査は不動産業者の店頭表示価格を基礎にしているから、これと実際に取引されるのとは若干の違いがあるのであります。それで地価公示、都道府県地価調査等に比べて高い変動率を示す場合が多いようでありますが、しかしながら最近の民間調査の結果では、去る十月一日、ごく最近ですが、十月に発表した都道府県地価調査と全体としては地価の値段は大差のないところでありまして、また昭和四十七、八年のような狂乱物価のときに平均して三割ぐらい上がった、ひどいところは二倍にも三倍にもなったというようなときに比べれば、まだ上がりつつあって心配ではございますが、一応この程度でごしんぼういただきたい。われわれもこういうことを踏まえていま申しておる農住組合法も提出して何らかの寄与をいたしたい、こういう趣旨でございます。
  131. 伏木和雄

    ○伏木委員 大臣答弁、どうも先へ行っているようでして、私お伺いしているのは、民間の調査と国土庁の調査との差があるということを聞いているのではなくて、国土庁の調査自体でももう東京圏では一八%という異常な事態が起きているわけでございます。いま大臣が言われたところの不動産研究所のデータ、私はこれもまた少し実勢価格とは違うのではないか。現実に取引をされている価格というのは、国土庁でいうところの上昇率よりもはるかに上回っていることは事実でございます。それは民間調査と国土庁の見解は別といたしまして、政府で調査した価格ですから一八%という異常事態であるわけです。その点についてどのようにお考えか。ただこれは高いというだけのお考えであるのか、この事態にどのように対処されようとしているのか、あるいは高いならどのぐらい高いと思っていらっしゃるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  132. 山岡一男

    山岡政府委員 どの程度高いと思っておるかという御質問でございますけれども、大変お答えしにくいわけでございますが、一般に地価上昇原因といたしましては、たとえば効用増のものがございます。今度の東京都内あたりで一番高く上かりましたところは、一年間で二九%上がったわけでございます。これは標準地の真ん前に地下鉄の駅かできたというようなことでございまして、そういうふうなものによる値上がり等につきまして、物がよくなって上がるという分をどこまで許容したらいいのか、これは非常にむずかしいと思います。しかしながら一般的に申しまして、需給ギャップ等の投機取引等によりましていろいろな地価が上がるというような場合に、消費者物価指数だとかそれから預金金利などを大幅に上回る上昇が続くというようなことにつきましてはいろいろな弊害を生じまして、私ども大変問題だという認識を持っております。  少し古い調査でございますけれども昭和五十二年総理府が行いました大都市地域における住宅地価に関する世論調査でございますが、そのときには物価上昇率程度の地価上昇はやむを得ないなとお答えになった方が六〇%でございました。六〇%だから直ちにこれが正しいというわけではございませんが、傾向といたしましては、一般的な意識としては物価上昇率程度の地価上昇一つの目安になるのかなというふうに思っております。その面から振り返ってみますと、最近の地価状況で見ますと、消費者物価指数との関係で見ますと、四十八年までは地価上昇率が物価上昇率を上回っておりました。四十九年から五十二年は物価上昇率の方が地価上昇率を上回っておりました。五十三年、五十四年に至り再び地価上昇率の方が物価上昇率を上回るという事態になっております。私どもも大変注意すべき事項である、注目していかなければならぬと思っております。
  133. 伏木和雄

    ○伏木委員 いま局長から御答弁がございましたか、ただ高い高いといっても異常な高騰。政府は大体どのくらいであれば常識的に地価上昇はやむを得ないとする、この確固たる基準をお持ちにならないところに、このような一八%の上昇という数字が出ましても、高くなったなという程度で済まされてしまっているのではないかと私は考えるわけなんでございます。いまも物価上昇率程度ならやむを得ない。もし仮にそういうことでありますと、本年の政府の物価目標は六・四%でございますから、そうしますと、地価は六・四%程度に抑えないと政府の考えていることと大きな食い違いが出てくる。昨年の物価上昇率に対して去年一年間で地価公示価格が一八%上がったということでございますから、消費者物価に比べますと三倍の値段、三倍の上昇率ということになってまいります。四倍近い。高いところでは先ほどお話ございましたように三〇%に近いところもあるわけでございます。しかし、地価の問題といたしましては、自然環境とか社会的環境によって特定地域は左右される。ある程度はやむを得ない。したがいまして、私は特定地域のごく一部分の三〇%というような異常な事態を取り上げているのではなく、東京圏においての一八%という数字、これを見ましても物価上昇率の三倍、四倍ということでありますから、ただ単に地価がちょっと高いというような程度ではないのではないか。これはもう政府の方は重大な決意をしなければならないと思います。  建設大臣がお見えになりましたから建設大臣にお伺いいたします。  来年、第四期の住宅五カ年計画を政府はお出しになるようでありますけれども、七百七十万戸を目標にしております。大体この七百七十万戸を建設するに当たって、宅地はどのくらい必要だとお思いでしょうか。
  134. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  第四期住宅建設五カ年計画の案におきましては、七百七十万戸の住宅建設計画が構想されておりますが、これに対応いたします宅地の必要量につきましては、現在鋭意検討を進めておりまして、近く成案を得る予定でございます。  それで、現行の第三期の五カ年計画八百六十万戸に対応いたしまして、新しい市街地で五カ年間で約六万六千ヘクタールが必要とされておりますけれども、近年の住宅建設の動向を見ますと、都市の成長によります既成市街地の広がり、それから国民の職住近接志向を反映した既成市街地内のマンション建設の増加等によります宅地の有効利用、高度利用がかなり進んでおります。また、新市街地での立地が減少していることによりまして、新市街地でもテラスハウス等の共同住宅建設に増加傾向が見られること等によりまして、計画戸数は八百六十万戸が七百七十万戸になりますけれども、この減少分よりもかなり下回るのではないかと考えております。
  135. 伏木和雄

    ○伏木委員 五カ年計画の中身についてはまたいろいろ別の機会に議論をさせていただきますけれども、第三期の五カ年計画住宅公団あるいは公営住宅それぞれ約十万戸目標に対して不足している。これは土地の問題に一番大きなウエートがあったと思います。したがいまして、この五カ年間に地価はどのように移行していくか、どのような見積もりでこの次の五カ年計画の策定に当たっておられるか。もしここに見積もりがなく地価の問題についてある程度の施策を施していきませんと、また第三期のように目標に到達しないというような結果になりかねないと思います。  住宅建設についてはもう切り離すことのできない宅地問題について、年率で大体どの程度この五カ年間で地価上昇していくのか、そういうものを勘案されてこういう長期計画というものをおつくりになっていらっしゃるかどうか、建設大臣にお伺いしたいと思います。
  136. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  計画の策定に当たっては一応の環境の推移を図りながら決めていく、まずその原点。それからいま国民皆さん方住宅に対する要望についての基本的なものを試算してはじき出すという面、もちろんその関係において地価の推移ということは十分考えなければならないわけであります。先生御指摘の七百七十万戸で六万六千ヘクタールという一つの目安としての問題点はあるわけでありますけれども、とにかく計画としてあれこれを勘案して出した数字であります。  問題は、いま御指摘のように地価の問題であろうと思いますが、いままで過去に来た地価の数字を一つの推移と見て、その伸び率を換算して総額を出したというように承知いたしております。このような経済環境の変化の多いときはこれとても最終的に五年目にはおしかりを受けるのかもしれませんけれども、やはり計画策定の上から基本考え方としてやらなければならない問題であろうかと思います。  詳しい数字的なことにつきましては局長から答弁させます。
  137. 宮繁護

    宮繁政府委員 宅地需給見通しにつきましては、需要の点につきましては先ほどお答えいたしましたが、供給量につきましては現在検討中でございまして、これは三全総あるいは圏域計画社会資本の整備計画等を踏まえまして圏別に人口計画住宅計画考え、また宅地実態国民のニーズそれから宅地の取得能力、これによります宅地の環境水準等を考えていくわけでございますけれども、この場合に、同時に圏別の宅地需要を推計し、圏別の宅地供給量を推計するわけでございます。ここでバランスをさせまして、バランスがとれなければそれだけ地価が上がるわけでございますけれども宅地のストックあるいは新規着工量をふやすためにどの程度、どういう施策を展開するか、こういうものでセットをいたしまして鋭意作業をやっておりますけれども、これは五十五年度中に作業が完成する予定でございまして、いまちょっと、見込んでおります地価上昇率を申し上げる段階にまだなっておりませんので、いずれ成案を得ましたら御説明をしたいと思います。
  138. 伏木和雄

    ○伏木委員 これは非常に大事な問題だと思います。経済計画をつくる場合に物価の上昇率を別にして成り立たないわけでございますし、こういう住宅計画をつくるにいたしましてもその達成のためには一番問題になっている宅地の動向というものを見きわめなければならないわけでございます。先ほど国土庁の答弁によりますと、消費者物価程度というのですから、これが事実であれば、国民皆さん住宅建設計画というものをおつくりになると思います。  総理府の調査によりますと、住宅を建てたいという希望を持ちながら計画が立てられない、こういう答えを出している方が相当数おります。地価の行く先を政府が責任を持ってこの点で抑えていきたい、こうなってくれば結構なことでございますが、いまのような状況においては私はまず不可能だろうと思う。したがいまして、冒頭申し上げましたように、土地に対してはいろいろな施策をやらなければならない。国土法における地価規制地域を指定するというのも欠かせない大事な要素であると私は思います。しかし、今回の法案審議に当たりまして、各委員からの質問に対して国土庁の方は、二つの要件が伴わない、要するに投機的対象になっていないということで積極的な姿勢が見られないわけでございます。しかし地価は、国土庁の公示価格が消費者物価の四倍というような状態が起きているわけですから、これは国土法の二つの要件のうちの一つ地価の高騰、これだけでも規制地域の指定をしていくという積極的姿勢にならなければならない、このように私は考える次第でございます。  しかし、この国土法は議員立法でございますので、これは国会の方としても私どもが真剣に検討をしなければなりませんし、各委員さんの御質問の中にも、何とか規制地域を指定しろというような御発言もございます。各党の御意見の中にもそのようにございますので、当建設委員会といたしましては、住宅宅地委員会——今回は設けられておりませんが、国土法の改正も含めた意見交換と、各党の合意を得るためにも住宅宅地委員会を速やかに設置すべきである、私はこのように考える次第でございますが、この点、委員長からちょっとお答えを承っておきたいと思います。
  139. 稲村利幸

    稲村委員長 ただいまの伏木委員からの小委員会設置の提案につきましては、理事会において協議したいと存じます。
  140. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは、よろしくお願いいたします。  次に、建設大臣にお伺いいたしますが、市街化区域内農地が二十二万ヘクタール、三大都市圏でも九万五千ヘクタールあるわけですが、しかし、建設省はこの市街化区域をさらに拡大して線引きの見直しをやる、もちろんこれは都道府県によって設定されていくものでありますが、そういう方向を考えているようでございますが、私はこれは誤りではないかと思います。現在、市街化区域内にある農地をまず宅地化する、ここにすべての施策の重点を置いていかなければならない。ただですら市街地整備率は非常に低いものがあります。現在、道路が三五%、公園四一%、下水道三〇%というような整備率であります。これを、さらに市街地をふやしていく、これは建設行政にとっても少しやり方が誤りではないか。現在ある市街地をもっと整備すべきだ、同時に市街地にある農地をもっと活用できるようにすべきが筋ではないか、このように考えるわけでございますが、線引きの問題につきましてお伺いいたします。
  141. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、先般都道府県知事に対しまして線引きの見直しの方針を通達いたしたところでございますが、この通達におきまして、見直しの基本方針の一つといたしまして、いたずらに市街化区域の規模を拡大することなく適正に想定された将来の人口産業を収容するために必要な市街地の規模を確保するように定めるべきこと、ということを明らかにいたしております。したがいまして、見直しにより線引きの変更を行います場合にも、現在の市街化区域の中におきます農地は将来方向として当然宅地化されるということを前提といたしまして、その上でなお不足と考えられる市街地部分を取り込むという計算をいたしました上で取り込むことになるというふうに考えております。市街化区域内の土地利用の現況は御指摘のとおりでございます。したがいまして、この通達に基づきまして具体の線引きの見直しを行います場合には、まず市街化区域内の農地等の計画的な市街化の促進に努めることといたしますと同時に、線引きの変更基準におきましては、たとえば区画整理事業の実施が確実な区域というような宅地化が当然に予定される区域を取り込むということにいたします一方、市街化区域内に農地としてかなりのかたまりとして残存しておりますものはむしろ積極的に調整区域に切りかえる、いわゆる逆線引きと申しておりますが、調整区域に切りかえるということを積極的にやってまいる。つまりこの出し入れを通じまして適正な市街化区域の規模を確保してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  おただしのように、市街化区域内の農地の宅地促進策に努力いたすべきことは当然でございますけれども、以上申し上げましたところから、今回の線引きの見直しによりまして特にみだりに市街化区域の拡大を行うものでないことは、御了承いただきたいと思う次第でございます。
  142. 伏木和雄

    ○伏木委員 いまのお話でございますと、市街化区域内農地をすべて宅地活用するということは見込んだ上でさらにというお話でございますけれども市街化区域内農地宅地化されたら、そういうことができるのだったら、私は調整区域をいまからどんどん開発をする必要は全くないのじゃないかと思います。せっかく調整区域をつくっておったのに、市街化区域内の農地を残したまま新しい市街地をつくっていく、一たびこういう手法を用いますと、これはちょっと宅地が不足するとまたやってくれ、この要求はどんどん出てくると思うのです。したがいまして、一たんつくった線引きというものはよほどの事情がない限り軽々には変えるべきではない。そして市街地の農地を開発していく、ここに最大の重点を置くべきであると思います。  先ほど局長が言われましたように、現在の市街化区域内の農地が宅地に提供されるというようになれば、いまの住宅建設の目標から言って線引きの見直しは必要ないということになるのじゃないでしょうか。
  143. 升本達夫

    升本政府委員 線引きの基準といたしましては、その都市の将来の人口産業の想定に基づきまして将来必要となるであろう市街化区域を取り込む、こういう考え方でございますから、現状において、直ちにいまの時点で農地が宅地化されるということを必ずしも予定はしておらない。一応十年と言っておりますが、将来を見越しまして、その過程において徐々に現在の農地が宅地化されていくということを見込んだ上で最終的に線引きのあり方を決定する、こういう方法をとっております。したがいまして、いまの時点ですばっと切っていただいて農地がどれだけあるからすなわちいまの需要に対応すべきだというふうにおっしゃられましても、直ちにそのように計算上ぴたりといかないのではないかというふうに考えております。  そこで、御参考までに申し上げますと、御承知のとおり、線引きの見直しは今回の措置によって初めて手をつけるという問題ではございませんで、線引きは都市計画法の規定によりまして基本的に五年ごとの基礎調査に基づいて見直す、こういうことにいたしております。それで、新都市計画法の発足が昭和四十四年でございまして、四十五年以降徐々に線引きが行われてまいりまして、現在までのところ五年以上経過しておりますものが、三百二都市計画区域がございます。この三百二都市計画区域のうち、すでに五年ごとの見直しという法律上の準則に従いまして見直しを行っておりますものが二百五十ほどございます。第一回の見直しが完了いたしております。そのうち、見直しの結果、区域を現実に修正いたしたものが百九十区域ございます。この百九十の区域について、トータルでどれだけ市街化区域がふえ市街化区域が減ったかということを見てまいりますと、差し引きで大体従来の市街化区域面積に対して四・八%の拡大という数字になっております。三大都市圏で見ますと、さらにこの拡大率は二・八%とかなり少な目になっております。以上のような数字から御推察いただけますように、市街化区域の拡大によって市街化区域の面積をみだりにふやしているということはないのではないかというふうに御報告をさせていただきます。
  144. 伏木和雄

    ○伏木委員 それはわかっているのです。五年ごとに見直すということも、それから徐々に必要に応じてやってきたということもわかっておるわけでございますけれども、今回特に建設省が積極的に通達を出した、その辺のところをお伺いしているわけであります。全国総合開発計画によりますと、五十一年から六十五年までの十五年間には十九万ヘクタールが必要だ、こういうことになっているわけですね。したがいまして、二十二万の農地が宅地化されていく、その中には市街地の再開発による住宅建設も相当出てくることでありますから、こうしていきますと、私はいまの問題を言っているのじゃなくて、相当将来においてもそう必要ないのではないか、こういう感じを持っているわけなんです。全国総合開発計画は十五年の見通しでやっていますから、昭和六十五年になってもいまの市街化農地が開発されていけば充足されていくというように思うのですが、この点はどうでしょうか。
  145. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  いまお話しの三全総の数字は、実は宅地の必要量につきまして、住宅の敷地面積のほかに狭い足元道路と共通の小公園を含んでおります。しかし、優良な市街地にするためには実はこの面積の一・五倍程度の土地が必要かと思います。これは御承知のとおり道路とか学校用地その他が必要でございます。そういたしますと、十九万ヘクタールのためには約二十八万五千ヘクタールぐらいの土地が必要でございますし、そのほか当然事務所とか商店街とかいろんなものも必要になってまいりますので、十九万ヘクタールの住宅地を確保するためにはその倍以上の実は市街地面積が必要になってくるかと思います。
  146. 伏木和雄

    ○伏木委員 そこで、私はただいまも申し上げましたように、市街化区域内の農地を極力宅地化できるようにしていかなければならない。その一つ宅地並み課税の問題があるわけでありますが、大臣、この宅地並み課税大臣としては五十七年からおやりになるような決意でございますが、相当抵抗もあると思いますが、どうでしょうか、大臣の御決意のほどは。
  147. 原健三郎

    ○原国務大臣 われわれは、政府が発表いたしました税制調査の答申、これに従って処理したい、こう考えておるところでございます。それによりますと、御承知のように「昭和五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を」行え、これが一つ。だから、農地は特別な配慮をして、農地に残すものは端的に言うと税金をかける気はないという意味じゃないかと思うのですがね。それから「新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに」、いままではA農地、B農地だったが、C農地も課税の対象に加えるべし、こういうことでございます。それからまた、「現在課税の適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する課税を強化するため、」——強化せよと書いてある。「十分な検討を行うべきである。」これは国土庁だけで決定するわけにもいきませんので、方々建設、農林、大蔵省とも相談して、最終的にはそうして決定するのですが、国土庁だけで言うならば、きわめて前向きに、もうこの際、ずいぶん宅地供給されずに、温めておれば値が上がってもうかる、こういう人が多くなってきて宅地が出ない、これを防ぐためにやろうとしておるものでございますから、この線に沿うて、税金もかかる、どうせそれは税金を取られるのだから宅地として提供しようという人も出てくるのでしょうから、そういう線に沿ってやりたい、こう思っております。
  148. 伏木和雄

    ○伏木委員 私どもも単に農業者いじめのために宅地並み課税を言っているわけではございませんで、当然住宅が不足している三大都市圏において宅地並み課税をやるべきである、しかもそれは農業者が選択できるように、将来ともに営農をやつていくという方は、それははっきりと営農の意思を固めた上でしかるべき手続をとり、いつ土地を手放すかわからぬというところにのみ宅地並み課税という考え方でありますから、農業者に対しては十分な保護をしていかなければならないと思います。  この宅地並み課税、都市では非常に不公平税制の尤たるものということになっております。勤労者、サラリーマンが退職金までも前提にして高い土地を買って、そうして日常の生活費を詰めてローンで返済する、そういう必死の努力で買い求めたわずかな土地に対してはびしびしと課税をされている。ところが、隣にある広大な土地に対しては課税がされていない。都市にあってはこれほど不公平な税制はないということで、勤労者の間では相当な不満が出ております。こういう問題を解消していかなければなりません。そこで、国土庁の御意見は承ったわけでございますが、これにちょっと複雑な顔をされるのが自治省ではないかと思うのです。せんだっての本会議では、国土庁長官は五十七年からやりますとえらい元気で御発言をされておりましたが、次に答弁された自治大臣は、やると言ったんだかやらないと言ったんだか、やるべきだと言ったんだかやってはいかぬのだと言ったんだか、聞いておってさっぱりわからぬ。そこできょう自治省においでを願ったわけでございますが、自治省としてはどういうお考えでしょうか。
  149. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 お答えいたします。  お尋ねの宅地並み課税についてどう考えているかということでございますが、私どもとしましても、ただいま国土庁長官からお答えがございましたように、税制調査会の答申がここ三年間続けてございます。その税制調査会の答申の中にもいろいろなニュアンスが含まれておりますことは御承知のとおりでございますので、そういったことを十分踏まえまして、これはやはり政策税制ですから、関係省庁の御意見も承り、あるいはその他各方面の御意見に耳を傾けて、五十七年以降の扱いについて慎重に検討してまいりたい、こう考えております。(伏木委員「自治省としてはどうですか」と呼ぶ)私どもとしましては、現在どういう方向ということを決めておりませんので、慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  150. 伏木和雄

    ○伏木委員 いまここで詰めるのは無理だと思いますが、ひとつ閣議でがんばってください。激励もしておかないといけませんので。  それでは、法案に関係して一、二点お伺いいたしますが、この農住法で果たしてどれだけ土地が出てくるかということであります。ということは、現在市街化区域内に農地を持っているような農家の方は、土地を手放したくない、土地は持っておった方が得だ、これがもう圧倒的な御意見でございます。したがいまして、こういう制度ができても果たしてどれだけできるのか。初めに建設省に伺っておきますが、建設省としても、宅地をつくるためにいままでいろいろな制度がおありになったと思います。この農地の宅地化を促進するためにどんな政策があって、それがどれほどの効果をあらわしてきているか、この点をお答えいただきたいと思います。
  151. 宮繁護

    宮繁政府委員 市街化区域内の農地の宅地化を促進するためにこれまでとってまいりました施策について御説明いたしたいと思います。  まず第一番は、やや不完全ではございますけれども、三大都市圏のA、B農地を対象といたします宅地並み課税を実施いたしております。  第二番目の施策といたしましては、これに対応する宅地促進策といたしまして二つの措置をとっておりますけれども、これはいわゆる優遇法に基づくところの措置でございまして、農地を転用いたしまして賃貸住宅等を建設しようとする者に対する住宅金融公庫の資金貸付利率の引き下げ、それから二番目には、農地を宅地化するために譲渡する場合の個人の長期譲渡所得税の軽減等の措置をとっております。  三番目の施策といたしまして、いわゆる農住利子補給法によりまして、地主さんが賃貸住宅建設や水田の宅地化を推進するための援助の措置をとっております。  四番目の施策といたしまして、いわゆる大都市法に基づきます特定土地区画整理事業等の実施につきまして助成の措置をやっております。  五つ目の施策といたしまして、住宅金融公庫によります土地担保の賃貸住宅貸付制度の活用を図りております。  これらがその主なものでございますけれども、これらの施策は一般の土地区画整理事業等の促進と相まって市街化区域農地の宅地促進にある程度の成果を上げておると思いますけれども、他方また、必ずしも十分な活用が図られていないものも見られるわけであります。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕 私どもといたしましても、今後これらの実態を十分検討しつつ、既存の制度についても検討を行うとともに、市街化区域内農地の一層の宅地化を促進するために、ただいま御番議をいただいております農住組合法の創設を初め、宅地供給促進計画制度というのをいま新しく考えております。それから、地主さんが御自分で土地を持ったまま借地方式によりまして宅地供給を図る諸施策につきましても、その導入を図るために今後十分な検討を続けてまいりたいと思っております。  いろいろな施策をやっておりますその中で、実績はどうかというおただしでございますけれども、たとえば公庫の住宅建設資金の貸し付けの利率の特例がございまして、賃貸五・五%を四・五%というふうに引き下げておりますけれども、これによりまして六千五百二十五件の住宅が五十四年度末までに実現を見ております。また、農住利子補給法によります賃貸住宅建設につきましては、五十四年度末までに一万三千戸弱の住宅建設を見ております。それから特定土地区画整理事業につきましては、五十四年末までに五十五地区、約四千ヘクタールにつきまして事業が実施されております。  主な実績につきましては以上のとおりでございます。
  152. 伏木和雄

    ○伏木委員 区画整理事業を完了してもいまだ農地として残っているところもたくさんでございます。それから農住の利子補給ですね、賃貸住宅利子補給ですが、約一万三千戸ですか、という御説明ですが、五十四年、五十三年、要するに土地がなくなってきてからですが、この五十四年、五十三年の実績はどうなっていましょうか。
  153. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  この制度が発足いたしましてからの四十六年からの実績につきましてはただいま計画局長からお答え申し上げましたが、五十三年度、五十四年度につきましては、五十三年度が七百四十四尺五十四年度が千八十八戸と相なっております。
  154. 伏木和雄

    ○伏木委員 件数でどのぐらいですか。
  155. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 失礼いたしました。件数につきましてはちょっと詳細に手元に資料がないのでございまして、戸数で表示しております。
  156. 伏木和雄

    ○伏木委員 私が聞いたところでは、これは確かであるかどうかわかりませんが、五十四年度が件数で四十五件、五十三年度はわずか四十四件と、非常に少ない利用率になっているわけですね。問題はこういうことなんです。こういう賃貸住宅に対する特別の措置をしても、肝心の農家の方で農地を手放すという意思がない限り、次から次へいろいろな施策をやってみても実効が上がらないのではないか。今回の農住法もそのたぐいになる可能性はたくさんあるわけです。ですから、四十六年から十年間で一万三千戸というと相当できたようですけれども、それは土地がこんなになくならないときの話でして、農地、農地と騒がれるようになってからはわずかこの程度しか、一年間に四十四件とか四十五件とか、家の数にして二年間で二千戸しか建たない、こういう状態になっているわけです。このようにいろいろな制度をたくさんつくっていきますと、その都度その制度によって宅地化され、家は建たないで土地の値段だけ上がっていくのです。あの制度もありますよ、この制度もありますよ、ですから、この価格で手放しても損はありませんよ、こういう価格で開発しても十分ペイするんですよということで、制度がいろいろできればできるほど余り使われずに地価だけ上げていくという結果を私どもは心配するわけであります。  したがいまして、今回もいろいろな措置がとられておりますが、その中で一つお伺いしたいと思いますけれども、このような制度ができて優遇措置がいろいろとられる、しかし、地方自治体とすれば相変わらず宅地開発の指導要綱という厳しい枠があるわけであります。この指導要綱から見て、実際、農地を持っていた人が国の施策に協力して不足している住宅を建てよう、こういう意思表示をしたときには、どうでしょう、自治省の方は宅地開発指導要綱について地方自治体に特別めんどうを見てやれというような行政指導をなされるか、あるいは住宅局の方で、または国土庁になるかもしれませんが、地方自治体に対する緩和の行政指導は行うのかどうか、この点をお伺いいたします。
  157. 藤原良一

    ○藤原説明員 お答えいたします。  現に、それぞれの公共団体で要綱中に、事情に応じて減免等の措置を講ずることにしておりますので、自治体がそれぞれ地域の実情あるいは農住の事業計画等の内容を勘案しながら適切に対応するものと考えておりますので、われわれはできるだけ自治体の自主性にゆだねたいというふうに考えております。
  158. 宮繁護

    宮繁政府委員 大都市とその周辺の市町村の多くは宅地開発に伴います関連の公共公益施設の整備のための財源負担に大変悩んでおりまして、このためやむを得ない措置ということで、宅地開発指導要綱によりまして開発者に負担を求めているのが実情でございます。  指導要綱につきましては、一面、居住環環のいい住宅地が造成される効果もございますけれども、同時に社会的通念に照らしまして行き過ぎの点もありまして、これが計画的な宅地開発の隘路の一つになっておることも事実でございます。このような事態に対処するためには、基本的にはやはりこれらの市町村に対しまして財政的な援助措置を行うことが必要であると思います。建設省といたしましても、宅地関連の公共施設の整備につきましては、一般公共事業費も重点的に配分いたしております。たとえば去年五十四年度は、ほかのところは伸び率ゼロでございましても数%を伸ばすというようなこともやっております。そのほか関公の促進事業費制度ができてましてやっておりますし、また立てかえの施行制度等々措置を講じております。ことしの七月にも関係各省に対しまして宅地開発等に伴います地方財政負担の軽減措置に関しまして、私どもの事務次官名をもちましてお願いもしたような次第でございます。  なお、昨年の三月、自治大臣建設大臣が話し合いまして基本的な合意ができまして、本年五月には、自治事務次官の名前で、宅地開発等に伴います負担金の使途の明確化を図るとかあるいは行き過ぎは見直していただくということを内容とする地方財政運営の通牒も発せられました。  今後とも私どもは、地方公共団体の負担の軽減と宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正のために努力をしてまいりたいと思います。農住法につきましても、やはり同様な観点から負担の軽減その他を図っていくべきだと考えております。
  159. 伏木和雄

    ○伏木委員 この農住法について特別に見るように行政指導をするかということなんです。と申し上げますのは、開発が非常にやかましくなっていまして、それでもし開発が出来るのならば——私は農業団体の幹部に聞いたのですけれども、何も素人がこういう事業をやらなくても、開発ができるのならば一般のデベロッパ一にお任せしちゃった方がいいんだ、こういう農業団体の幹部の方の御意見も伺ったわけです。したがって、こういう指導要綱が壁になっておって開発ができない。したがいまして、先ほど申し上げましたように、これは他の法律ができて、それに協力しましょう、住宅宅地問題に貢献しましょうという農家の方に対しては、農住組合法について特別の措置はとれるのかどうかという点を伺っているわけです。
  160. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども三省力を合わせまして農住組合法を提案いたしましたが、その前提といたしまして、市街化区域内には九万五千ヘクタールの農地がある、それもこの農住法の対象の中には八万八千ヘクタールの農地がある。その所在を調べますと、都市計画用途地域で見まして、住居系の地域の中にその九〇・四%がございます。準工業地域に四・四%が含まれております。したがいまして、住宅の盛大に建つという地域の中に九五%ぐらいがあるわけでございます。その中の皆さんの中で、特に東京圏の皆様方につきまして「市街化区域内農地の今後の利用意思」というのを聞いたわけでございます。当然のことながら「農地の全部について、農業を続けていきたい。」今後十年ぐらい続けていきたいという方が四五・五%でございました。それから、「多少は売却あるいは貸家・アパート等の施設用地に転用してもよい」、あとは農業を続けたいという方が三九・三%でございました。それから「半分位は」という方が九・二%、それから「大部分は」というのが五・九%で一いずれも「多少は」とか「半分」とか「大部分は」とございまして、まあ農業を続けていきたいという意思の方が多いというように私ども見受けるわけでございますけれども、やはりそういう方々の中にも宅地に転用したいという方もいらっしゃるわけでございます。  先ほど先生のおっしゃいました営農といいますか農地がなかなか転用されない主な理由の中に、資産として保有するというようなもの、それからいまおっしゃいましたように、本当に農業を継続したいとお考えの方、そのほかもう一つ、実際は転用したいのだけれども、どうもノーハウもないし、でき上がったものについて借家を経営するのも不安だしという方もおられるわけでございます。現に私どもいろいろな農業団体を通じましてもそういう話を聞いております。したがいまして、そういう方々にこたえる意味で農住組合法をつくっていくわけでございます。それに対しまして地方公共団体宅地開発要綱、いままで各省からも申し上げましたように、私ども社会的通念に照らしまして行き過ぎたものは是正してもらわなければならないと思っております。しかし、それと一方、財政的な応援ということでやはり関連公共施設整備事業だとか立てかえ施行制度だとかその他予算の要求等も含めますと、相当いろいろな応援を考えております。それと同時に、やはり地元市町村という地に足のついたところが応援をするわけでございますから、先ほど自治省からのお話もございましたとおり、私どもはそういうものの運用に当たっても一定の配慮を期待できるのじゃないかと考えておりますし、またそういうふうに応援もしていきたいと思っております。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕 現に全部ではございませんが、土地利用転換計画というのを国土庁でも補助金を出しておりまして、その中ではそういうふうな関連公共施設の整備の問題も含めまして、市町村が農民の方々について指導なさっておるという状況でございます。いろいろと実施のときに当たりましては、通達などにつきましても十分関係省と協議をして前向きに検討してまいりたいと思います。
  161. 伏木和雄

    ○伏木委員 先ほど住宅宅地関連公共施設整備費のお話が出ました。この整備費で助成をするというわけであります。しかし、宅地開発事業は十六ヘクタール以上という制限があるわけでありますが、この農住法でいきますと、二ヘクタール以上ということで組合が結成されるようになっております。こういう十六ヘクタール以下のところでもこの対象になるかどうか。さらには、建設省関係の道路、河川、下水道、公園というように限定されております。しかし、飛び離れたところへ行きますと、消防署の出張所をつくってほしいとか、あるいは学校とか医療機関までも指導要綱の中に入ってくるわけですね。ですから、適用の面積をもっと縮小できるのか、あるいはこういったいろいろな設備を拡大できるのか、この点はどのようになっておりますか。それでないと実際使えないということになります。
  162. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど建設省の方から御説明ございました宅地開発計画策定ということにつきまして来年度予算要求もなされておりますが、そういうものに適合するものの中に、農住組合の計画も当然適合する、その範囲については関公の対象範囲を下げていただくということの要求を両省一緒にがんばっておるわけでございます。  それから、医療施設等に対します公益施設的なものの応援でございますけれども、確かに現在の関公の中にはないわけでございますが、これはまだ余り前例はございませんけれども国土庁に事業調整費というのがございます。その事業調整費の中に、建設省で行っておられます関公費の対象になるような事業については、そういうようなものについての事前の調整という枠内ではそういうようなものをやってもよろしいということを関係省間で協議を済ませております。ただ、従来までは予算が相当ついたせいでございますか、学校につきましても医療施設につきましても、いままでのところ余り要望がない、一、二カ所しかなかったということでございますが、今後におきまして一気に小さいところまでいけるかどうかわかりませんが、予算の範囲をふやしながら、そういうものについても活用してまいりたいと思っております。
  163. 伏木和雄

    ○伏木委員 そうしますと、住宅宅地関連公共施設整備費は来年度は相当予算をとらないとだめなのですが、建設省、自信ありますか。
  164. 宮繁護

    宮繁政府委員 関公の整備費につきましては、五十三年度三百億、補正で三百五十億になりました。五十四年度が六百億、五十五年度が九百億というふうに大変なふえ方でございました。しかし、来年度の要求につきましては、御承知のとおり非常に厳しい財政状況のもとでございまして、建設省全体の公共事業費の伸び率も七・五%で抑えられております。なお、下水道その他に対する国民の要望も非常に強いわけでもございまして、その中で九百億を一千億、約一一%増、なおそのほかに用地につきまして国庫債務費の別枠百億ということで一千百億を要求いたしておりますけれども、何としてもこれだけは確保したいとがんばってまいりたいと思っております。
  165. 伏木和雄

    ○伏木委員 いろいろ申し上げましたが、ひとつ新しい制度をつくる以上は、これが十分に生かされるように御努力をお願いいたしまして、質問を終わります。
  166. 稲村利幸

    稲村委員長 瀬崎博義君。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 農住組合法について伺います。  三大都市圏住宅宅地状況はきわめて深刻であることは自明であります。宅地供給実績で見ても、四十七年に七千九百ヘクタールだったものが半分以下の三千七百ヘクタール、これは全国が同じ年度で見て六〇%であるのに比べて、大幅な低下ということになります。三大都市圏での必要な住宅宅地供給の確保について、建設省が必要だと考えている施策の主なものにはどういうものがありますか。
  168. 宮繁護

    宮繁政府委員 宅地供給は緊急な課題でございまして、いろいろな施策を講じております。一つは、何と申しましてもいままで山林原野でありました土地を都市的な土地利用に転換させたい、そして計画的に新しい市街地促進することが一つございます。  もう一つは、最近では東京都におきましてもマンションが非常にたくさん建っておりまして、これは若い方々住宅を手に入れたい、その場合に、郊外の一戸建てのものはなかなか入手しがたいと同時に、交通の便利なところで、またショッピングその他子供さんの教育についてもいい場所というようなことで、既成市街地の高度利用、有効利用がかなり進んでまいっております。五十年では東京都内のマンションが一万戸ぐらいでございましたけれども、最近では三倍の三万戸程度建っておるかと思います。こういうふうに新しい市街地での宅地化を進めると同時に、既成市街地の高度利用、有効利用を進める、二つの面で宅地供給の展開を図ってまいりたいと考えております。  具体的にやっております施策を一、二挙げてみますると、住宅公団とか地方供給公社等の公の機関によりまして計画的に宅地開発してこれを分譲する。また住宅金融公庫、開発銀行からの政策金融によりまして、民間の優良なデベロッパーの宅地開発を進めていく。三番目には、先ほどもお話が出ました地方公共団体の負担を軽減し、同時に民間デベロッパーの負担も軽減するという意味合いから、関連の公共公益施設の整備の拡充、推進を図っていく、こういうことをやっております。そのほか宅地開発の場を拡大するという見地から、線引きの見直しとか、開発許可の適切な運用も図ってまいりたいと考えております。  既成市街地の高度利用、有効利用につきましては、都市再開発によりまして土地の有効利用推進を図る、それから総合的な宅地施策の一環といたしまして、土地税制の改善等につきましても考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しばしば言われているように、宅地土地の対策は総合的に行われてこそ効果があると言われるのですが、今回そういう総合的な施策を同時にスタートをさせるのではなく、この農住法案というものだけが飛び出してきた。どうしてこういうものだけが急がれてきたのでしょうか。
  170. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のお話にございましたとおり、土地対策につきまして、これ一発という決め手はなかなかないと思います。総合的にいろいろないいと思うことをやっていかなければならない。その中の一つといたしまして、先ほど申し上げました九万五千ヘクタールの農地、しかも九〇%以上が住居系の用途地域の中にあるというものにつきまして、やはりそういう土地利用転換を図ることがまず目下の急務ではあるまいかということが一つでございます。  それから同時に、国土法等におきましてすでに遊休地活用の制度も開かれておりますし、都市の再開発につきましては、前国会で一部法律の改正が図られたところでございます。  それから、宅地供給促進の見地からの税制につきましても、逐年改善等も行ってまいっております。それらの中で、そういうふうな農地の利用転換ということは焦眉の急務であるという見地から、こういうものにつきまして立案した次第でございます。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これまでにも農地のいわゆる吐き出しといいますか宅地化については施策はとられてきておると思うのですね。宅地並み課税であるとか生産緑地法あるいは税制も一部改正されている。あるいは農住利子補給法等があったと思うのですが、私どもの方から見れば、どちらかと言えば農地の吐き出しの方に、効果があるかどうかは別にして、政府は積極的で、むしろデベロッパー等の保有地の吐き出しの方が消極的であった、こういう感じがしてならないのであります。  そこで、具体的に一、二、法案内容について伺いたいのですが、十五条で組合員の資格を規定しております。そこで、「組合の地区内の土地について所有権又は借地権を有する者」とあるわけですが、これは借地権さえ持っておれば、あるいは今後持つに至ればだれでも組合員の資格がある、そういうことなんでしょうか。
  172. 山岡一男

    山岡政府委員 十五条では、者と書いてありまして、個人、法人を含めて借地権者につきましては組合員になれるというたてまえをとっております。法律上の組合員資格といたしましては、組合の地区内の土地につきまして、所有権または借地権を有する者、それから組合の地区内の農地について使用収益権を有する者というのは認めておりますけれども、個々の組合の実際の組合員資格、これはそれぞれの組合の定款で定めるというふうになっております。これは法律の十五条に規定しておるわけでございますが、あくまで定款による組合の自主的な判断にゆだねられているということでございます。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、いわゆる開発業者であるとか不動産業者、そういう人々でも、借地権さえ存在している、あるいは取得していけば組合員にはなれる。これを排除するというふうな法的規制はない、こういうことなんでしょうか。
  174. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合の地区につきましては、相当な部分が農地でなければならないというのが一つございます。それと同時に、相当の部分と言っておりまして、残りのところに農地及び採草放牧地以外の土地も一部は入ることも予定しております。したがいまして、その中にもし法人が持っている土地があれば、これは組合員たり得るわけでございます。それからさらに、相当のまとまりのある農地のすぐ近くに若干の法人の所有の土地がある、そういう場合に、それを取り込んで全体計画をする場合の方が全体の町づくりとして結構だという場合には、それも参加することができるようになっておるということでございます。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに七条で組合の行う事業を決めておりますが、「住宅又は店舗、事務所その他の利便施設を建設するため土地を必要とすると認められる者」となっておるわけでありますが、ここで言う利便施設の範囲、どの程度までを意味しているのでしょうか。
  176. 山岡一男

    山岡政府委員 七条では「組合員及び一般公衆の利便に供される店舗、事務所その他の利便施設」ということで、店舗、事務所等がその例に挙がっております。したがいまして、それに類似のものとして考えておりますのは、駐車場、保育所、幼稚園、学校、図書館、集会所などが考えられるわけでございます。これはいずれも公庫の融資対象などになっておるものでございますが、具体的には小さいところにこういうものが全部要るわけではございませんので、地区の大きさ、地域状況等を勘案しながら運営されていくものだと思っております。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはいささか極端な例を言うようになるのですが、バーとかキャバレーとかパチンコ、このたぐいをまさか利便施設だとは言われないと思うのです。その場合に、こういう業種に譲渡される、そのことを防ぐ保障というものはあるのでしょうか。
  178. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、組合員及び一般公衆の利便に供されるというのが一つかかっておりまして、そういうもののために必要な店舗、これは入れ物でございます。事務所も入れ物でございます。そういうものをつくって貸すわけでございますので、実際そういうものにつきまして、いま先生がおっしゃったものは、箱としてはありますけれども、適当でないというふうな指導をしてまいりたいと思います。これを法律上いかぬという根拠は現在のところは、いまの組合員及び一般公衆の利便に供されるものかどうかということが一つの判断基準になると思いますけれども、私どもといたしましては、そういう箱を使っていただく場合にも、適当かどうかというものにつきましては現在の情勢によるべきだと思いますが、一般的にこういうものは好ましくないのは当然だと思います。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この土地の譲渡もできるわけですが、譲渡を受ける者として、いわゆる開発業者、不動産業者、こういう者は対象にはなり得るのでしょうか。
  180. 山岡一男

    山岡政府委員 これは二項の二号でございますけれども、「政令で定めるもの」ということにいたしております。政令で定めるものにつきましては、ここで上物等につきまして、いわゆる土地転がしの発生も防止しなければなりません。それで住宅建設等を確実に行うというものを政令で指定するというスタイルをとっておるわけでございまして、現在地方公共団体、公団、公社等を政令・指定事項として規定いたしておりますが、将来の検討の中に、民間の法人であって資力、信用があるもの等については指定をした前例等もございますので、三省間で十分検討してまいりたいというふうなことを考えております。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局これは、農民が事業をやるのだと言いながらも、十分、大手不動産業者開発業者の入り込む余地を与えているのではないかとわれわれは判断せざるを得ないのであります。  そこで、これも政府としては重要な宅地供給策の一つとして打ち出されたのでありますが、これから本当に土地問題を解決しようとするならば何が必要か、その根本に触れて質問をしたいのであります。  委員長にお願いをいたしまして、ちょっと質問をわかりやすくするために、大臣並びに政府側の方に資料を配らしていただきたいのですが……。  二枚資料があるわけでありますが、まず資料1を見ていただきたいわけであります。それは、大手不動産業者民間デベロッパーの団体及び会員である企業から自民党に対して行われました五十四年の政治献金の一覧であります。物すごい額であります。  まず、団体の方について見ますと、不動産協会から六千六百三十五万円、日本ビルディング協会連合会から二千八百万円、日本高層住宅協会から二千七百八十五万円、全国不動産政治連盟から二千万円、都市開発協会から二百万円となっております。  さらに、このそれぞれの団体の構成員であります企業、これからも、それよりもさらに大きな額が出ております。不動産協会あるいは都市開発協会のいずれかに加盟しているか、両方に加盟しているかの私鉄関係十五社について見ますと、東急二千二百三十九万円、東武鉄道二千百十七万円、小田急千八百九十万円、京王帝都千七百六十七万円、西武鉄道千七百六十七万円、京浜急行電鉄千七百六十七万円、この辺、額がほぼ等しいということは、当然協調融資ならぬ協調献金ではないかと思われます。京阪電気鉄道千六百六十万円、西日本鉄道千四百五十万円、相模鉄道一千万円、近鉄三千七百四十三万円、阪急二千百十七万円、名鉄千六百九十七万円、南海鉄道千六百四十万円、阪神電鉄千五百四十万円、山陽電鉄三百万円、この私鉄関係だけでも二億六千六百九十五万円に上るのであります。  さらに、不動産関係七社、これは三菱地所千三百十一万円、国土興栄百万円、住友不動産十二万、東急不動産十万、阪急不動産十八万、阪神不動産二十四万、西武不動産六十万、締めて千五百三十五万円であります。  それから、いわゆるゼネコンといいましょうか、建設関係の不動産業者六社、竹中工務店三千八百七万円、大成建設三千五百三十二万円、鹿島建設三千四百四十万円、清水建設三千四百三十二万円、不動建設千七百三十六万円、国土計画十二万円、締めて一億五千九百五十九万円であります。  それから商社系の不動産業者二社、三菱商事六千百九十万円、住友商事二千四十九万円、合計が八千二百三十九万円であります。  それから不動産協会員であります金融関係七社、日本債券信用銀行五千六百七十万円、三菱信託銀行三千三百二十五万円、住友信託銀行三千十万円、安田信託銀行同じく、三井信託銀行同じく、東洋信託銀行二千六百六十一万円、殖産住宅相互二百万円、この金融関係が合計で二億八百八十六万円、合計いたしますと八億七千七百三十六万円、これが去年一年間、こういう不動産業界の団体並びにその構成員の会社、大手の会社から自民党に贈られている政治献金であります。もちろんこれは私の調べた範囲でありまして、漏れている部分はあり得ると思います。  まさに、これは大手不動産業者中心に、不動産業界ぐるみで━━━━━━━━━━━━━━ような観さえ見られるのであります。(発言する者あり)  自民党は、こうした不動産業界との関係について、かつて三木首相がこういうことを予算委員会で言っております。「どうも自民党がいままで安易に企業の献金というものに依存し過ぎてきた。」「国民からややもすれば疑惑の目で見られることは政治の信用を害しますから、」「原則としては、個人献金あるいは党費、こういうことで賄う」ことが理想であり、「こういう原則的な考え方は、私は変わってはいない」、また、「政治資金には節度を設けなければいかぬ。」こういうようなことを言っているわけであります。  そこで、まず建設大臣に伺いたいのですが、建設大臣はいま私が申し上げました不動産業界と自民党との関係について、これがあたりまえの姿だ、こうお思いになるのですか、いかがでしょう。
  182. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 適否については見解の相違があろうかと思います。お調べになっておわかりのように、これは堂々と出された数字であろうと思いますので、あえてこれについて意見を申し上げる場ではなかろうかと、このように考えるわけであります。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、このような多額の政治献金を出している側の意思からいえば、たとえば国土利用計画法土地取引規制区域指定の発動であるとか、あるいは遊休土地の指定の発動であるとか、こういう措置がなかなかとられない、これは結局、こういう政治献金にどっぷりつかっているからではないんですか。また、こういう政治献金をどんどん受け入れておって、不動産業界の利益に反してでも厳しい措置というものがとれるでしょうか。
  184. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 いまお答えいたしましたとおり、堂々とお調べのとおりの数字が出るくらい公明にやっておられると思います。しかも、民主主義議会の中で、皆さん方の前で公明的に、いろんなことは、法案等々は進められているわけで、そこにいささかも疑義があるようなことはないと私は確信いたしております。
  185. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 かつては企業からこの種の政治献金はもらわない方がよい、もらうことは国民の疑惑を招く、こう言われておったのでありますが、いまの内閣は、こういう献金も公明正大だからどんどんもらっていくんだ、こういう方針だと理解していいのですね。
  186. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  公明正大だからどんどんもらっていいのだということは、少し考え過ぎといいますか、意見の進み過ぎではなかろうかと思います。正当な行為で公明に出される献金についてはいただいてもよろしかろう、しかも公明に数字にあらわれているわけで、いささかもそこに私は危惧をしたり、あるいは、何というのですか、そのように推測をする必要はなかろうかと、このように考えているのですけれども……。
  187. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 他の業界の政治献金などと比べて、きわめてこれは急増しているところに一つの特徴があるわけであります。  さらに、これらの大手不動産業者あるいは民間デベロッパーの団体からの政治献金は、自民党の政党へだけではなくて、政治家個人にもずいぶん出ているのであります。これは資料2の方に載せておきました。  たとえば、登坂衆議院議員の朋登会に二百万円、安井謙参議院議員の正峰会に百二十万円、渡海衆議院議員の政策研究会に二百万円、浜田幸一前衆議院議員の幸風会に二百十六万円、石井一後援会に百万円、粕谷茂衆議院議員に百万円、村田敬次郎衆議院議員に百万円、山中貞則後援会に百万円、政親クラブ、これは金丸信衆議院議員の政治団体でありますが百万円、金丸信氏の場合は四つの団体から合計して七百五十四万円出ております。それから安倍晋太郎衆議院議員に百万円、渡部恒三議員の恒山会に百万円、上田稔参議院議員の国土開発研究会に百万円、玉生孝久後援会に百五万円、金子一平議員の政経研究会に五十万円、天野光晴議員には、これも四つの団体から三百六万円、中野四郎議員のところへ五十万円、亀岡高夫議員の達山会に二十万円、小此木衆議院議員の京浜政経調査会へ百二十万円、河本嘉久蔵参議院議員の湖山会に百二十万円、中曽根議員の山王経済研究会に百二十万円、嶋崎均参議院議員の経済研究会に百二十万円、細川護熙参議院議員の新昭和研究会に二百四十万円、糸山英太郎前参議院議員の新日本政経育成会に百十九万円、藤田正明参議院議員の翠峰クラブに二団体から五百七十万円、平泉渉衆議院議員の泉友会、白泉会に二百八十八万円、野田卯一後援会に四団体から千七百七十五万円、箕輪登前議員の新国際経済研究会に二団体から二百万円、服部安司前衆議院議員に二団体から百万円、渡辺栄一衆議院議員に二団体から百万円、佐藤守良議員の良友会に二団体から百万円、佐々木義武議員の科学経済研究会に二団体から五十万円、栗原祐幸議員の友交クラブに二団体から五十万円、大村襄治議員の日本経済調査会に二団体から五十万円、左藤恵議員のEPE研究会に二団体から五十万円、ざっとわかっているだけでこういう数字が出ているわけであります。  この政治献金の贈られた先というのは、いま申し上げましたようにほとんどが現職の自民党議員であります。しかも自民党内の宅建議員連盟など、土地関係をしている議員にこの献金が集中しておるのも特徴であります。これは明らかにこの土地の問題について業界の要求が実現されることを期待してそれぞれの団体が贈っている、そういう政治工作資金の性格を持つものだ、こういうふうに考えられても私は仕方がないと思うのですが、いかがでしょうか。こういうことがまた、三木元首相の言う、国民からややもすれば疑惑の目で見られることは政治の信用を害する、こういうことにも私は該当するのではないかと思うのですが、いかがですか。
  188. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 政治家個人への献金でございますので、私がいまそれに言及する立場ではございません。先生、少し考え過ぎじゃないでしょうか。明らかに、出された数字に示すように公明正大に政治家個人がそれぞれの関係方々から献金を受けておられるものと私は考えたいのです。また、考えてよろしかろうと思います。
  189. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの大臣答弁に非常に鈴木内閣の性格がよくあらわれている。いままでは、こういう営利企業からの政治献金に対して追及を受ければ、多少は遠慮しようかというふうな答弁が出たものであるけれども、いまは開き直って、こういうものは公明正大であれば幾ら受けてもよい、こういう発言になっております。  考え過ぎかどうか、それぞれの献金をしている団体がどういうことを要求しているか、明らかにしておきたいと思うのです。  まず、不動産協会でありますが、不動産協会は、五十四年度に「市街化調整区域における開発適地の宅地促進に関する要望」というものを出しております。これは当然御存じだと思います。その中で、第一に「市街化区域に隣接する開発適地については、面積の大小に拘らずこれを市街化区域に編入すること。」第二が「同一土地保有者が市街化区域と市街化調整区域にまたがり土地を所有し、これが開発適地である場合は、面積の大小に拘らず、調整区域の部分を市街化区域に編入すること。」これはずいぶん虫のいい要求であります。第三に「市街化調整区域において、新駅が設置、または予定されている場合は、当該駅勢圏を市街化区域に編入すること。」そういう新駅に予定されているところは調整区域になって、とかく大手不動産業者が買い占めておったところであります、御存じですね。それから第四が「市街化区域に隣接していない五十ヘクタール以上の土地で、開発適地である場合は、これを「飛び市街化区域」とすること。」第五に「市街化区域に隣接していない二十ヘクタール以上五十ヘクタール未満の土地で、開発適地である場合は、これに開発許可を付与すること。」こういうわけであります。これが不動産協会の要求になっております。  次に、都市開発協会の自民党への働きかけを見てみましょう。「昭和五十四年六月、自由民主党土地問題委員会住宅対策特別委員会・都市政策調査会の合同会議に意見書「宅地の低廉化と供給確保について」を提出、」「供給確保のための市街化調整区域の活用、」「などの対策を提案した。」これに対して「「自由民主党の合同会議では、同年七月、「当面の土地対策等の基本方針について」をとりまとめ、このなかで、」「都市計画法の線引きの見直し、」「などを提言した。」こういうふうな受け答えになっております。  また、全宅連の要望書を見てみますと、「線引きの大幅見直し」となっておりまして、「線引き見直しについて、従来の微調整方針を速やかに転換、長期的展望にたった思いきった見直しを行い、市街化区域の大幅な拡大を図るべきであり、地域によっては撤廃を検討すべきである。」こう言っております。  それから、特に個人への献金の多い全国住宅宅地経営連合会でありますが、これも「大都市周辺における市街化調整区域について、いわゆる線引きの見直しを行い環境の整備された秩序ある宅地開発を誘導すること。」こういうふうに言っているわけです。  つまり、これらの団体の共通して打ち出していた昨年度の要求というのは、線引きの大幅見直しなのであります。しかも一昨年のこういう団体の政治献金、たとえば不動産政治連盟の場合を見ましても、せい、ぜい一人に十万円が限度であります。それも十人程度であったわけであります。これが五十四年度では一気に一けたも上がっているし、数もうんとふえている。こういうこともあわせ考えれば、だれの目から見ても、こういう政治献金の目的が線引きの大幅見直しにあった、こういうふうに見られることは明らかなことじゃないかと思うのですが、大臣はそういうふうにお思いになりませんか。
  190. 稲村利幸

    稲村委員長 ちょっと、先ほどの瀬崎君の発言中、不穏当な言辞がありましたようですから、後刻速記録を取り調べの上、委員長において処置いたします。御了承をお願いします。
  191. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの不穏当というのは、どういう部分を言われるのですか。
  192. 稲村利幸

    稲村委員長 ━━━━━━━━━━━━━━こういうことで速記録を取り調べの上、処置したいと思います。  斉藤建設大臣
  193. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま先生御指摘の、それぞれの協会の宅地住宅関係の要望について細かくお話があったわけですけれども、自由主義社会でございますので、それぞれの営業団体が一つの経営主体を考えながら営業を考えていくということは当然のことであろうと思います。これが第一点。  それから、住宅宅地政策がいま日本の国で一番重要課題とされておるような状況の中で、それへの協力、そのためにはこのようにしてほしいというような要望があってしかるべきであろうかと思います。一々言われたことにつきまして、それぞれのお考えがあろうかと思いますけれども、私はまじめに受けとめて、住宅宅地政策について国民方々の、業界の方々の、民間の御協力を得るというような形で、、ぜひこの問題は考えてまいりたい、このように考えます。  なお、先ほどの献金の多寡の問題でございますけれども、居直ってというようなお言葉があったわけでありますけれども、私の性格からそういうようなことを少しも考えるものではありません。人おのおの、受ける、差し出す人たちの立場関係によって金額というものは決まってこようかと思います。確かに十万円が百万円になれば大きいということもありましょう。しかしそれもやはりいろいろな社会環境の変化、バックグラウンドの状況等々によって、おのずから違ってこようかとも思います。したがって、私はまじめに、多いと言えば多いかもしれません。少ないと言えば少ないのかもしれません。その点はぜひ常識ある理解の仕方で対応していかれる方がよろしいのじゃなかろうかという認識の上に私は立ったものですから、先ほどそのように申し上げたわけであります。御理解をお願いいたします。
  194. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 重ねて大臣に伺いますが、こういうふうな多額の政治献金を行っている企業の側の意図の中に、いま言いました線引きの見直し、こういうことの実現を期待する、そういう気持ちがないと断定できますか。
  195. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、線引きは市街化調整区域、要するに乱開発を防ぎながら、なお開発志向の土地については整然たる開発をするというふうなことから発足したわけであります。一応五年目、五年目で見直すというようなことになっておるわけであります。ところが、やはり環境が非常に激変しつつある中で、業界といたしましても、またわれわれ政府側といたしましても、それに対応するためにはどのようにするかということは当然考えられてしかるべきではなかろうかと思います。そのような過程の中で線引きの問題も出るということは否めない事実であろう、私はこのように考えるわけであります。
  196. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が調べたのは実際のところはほんの氷山の一角だと思うのです。恐らく各団体の地方の支部等が、あるいは企業がそれぞれの選挙区の自民党やまた自民党の議員などに相当な政治献金を行っていると思われますから、合わせれば全国的にはこの数倍、数十倍、大きな金額になっているのではないでしょうか。いま私が挙げただけでもほぼ十億円近い金額にはなっているのであります。結局これも地価にしわ寄せされて、国民が高い土地、高い住宅を買わされる、こういうことにしかなっていかないのではないかと私は思いますが、これをもあえて大臣は否定されますか。
  197. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  否定するとか否定しないとかという問題でなく、やはり社会環境、経済環境ということと国民の要望という時点から視点を変えて発想していかれた方がいいように思います。御指摘のような関係の中においても、やはりそれぞれ、苦しい関係にあって倒産した会社もあるであろうし、また利益を上げた会社もあるであろうし、いろいろケース・バイ・ケース、立場立場で違うかと思います。私は、どのように表現していいのか、まじめに方々の御意図をくんで行政に反映していくという形の方がよろしいのじゃなかろうか、このようにいま考えておるわけでありますけれども……。
  198. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣は、まじめにそれぞれの献金者の意図をくんでと言われたけれども、われわれから言わせれば、それぞれ大企業の意図に忠実に、こういうことになってくるだろうと思います。特に、不動産協会などの性格を考えてみますと、建設省から物件価格査定手法の開発調査というような業務の委託を受けて一種の補助金のようなものをもらっている団体。また、この間通過した宅建業法の改正によって近代化センターがつくられますが、これはこの協会の出資もあり、政府の出資もあり、共同で運営されるような形のものでしょう。政府から言えばこういう不動産協会に半公的な性格を与えているわけです。こういうものについてはかつて、特に三木元首相などは、公益法人で国から補助金が入っているような団体から政治献金をもらう、こういうことだけはやるべきではないと答えたこともあるんです。ですから、そういうことについてもいまの段階では、いまの内閣では構わないんだ、これも公明正大だ、こういうお考えかどうかお答え願いたいと思います。
  199. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 調査委託で補助金は出ていないんだそうでございます。(瀬崎委員「だから私は補助金的なものと言っているでしょう」と呼ぶ)的ですか。それらの不動産業界の問題でございますけれども、どうでしょうか、やはり不動産も大中小とございます。先ほど御指摘の、このたびの宅建センター等々はいわゆる弱小零細の不動産業者方々の救済措置、それから指導というような意味合いでこのたびのことが発足していったわけであります。均衡ある国土開発のためにもやはりこうした指導センターが出て零細な不動産業者方々を救うとともに、やはりそのことが基盤になって住宅宅地政策に前向きで進んでいくというような、そういう面での前向きの理解をひとつぜひしていただきたい、このように考えます。
  200. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう意味での前向きの理解、たとえば近代化センターに対してはわれわれは持ちますよ。私が聞いているのはそのことではなくて、かつて政府が方針としておったのは、政府から補助金的なものをもらっている公益法人が政治家あるいは政党に政治献金をする、このことはやめるべきだ、こういう方針があったけれども、これに対しても大臣は、いまはもうそういう方針はとらない、いまの鈴木内閣はそういう公益法人であっても政治献金はどんどんもらってもいい、こういうふうなお考えかということを聞いているんです。
  201. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 なかなか困った質問でありますけれども国民協会という政治団体ですか、に献金するというような形をとっておるわけでありますけれども、とにもかくにも献金の主体性、性格の問題等々はなかなか問題があるわけでありまして、それぞれの立場で思考あるいはバックも違うことと思いますけれども、私は、いまここでそのことが直ちにいいとか悪いとか、鈴木内閣は三木内閣と違ってそういうことを是認するのかということではなく、当然私たちは、同じ内閣、継続性の問題を考えれば、そうした思想、基盤のもとにこういう問題には対処してまいりたい、こういうふうに考えていくものであります。
  202. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 よくよく鈴木内閣の政治姿勢というものがわれわれに理解ができてまいります。  これは建設省の方にちょっと聞いてみたいのですが、自民党の政治家個人の方に多額の政治献金をやっております全国住宅宅地経営連合会が「宅造時報」という小冊子を出しておるのですね。これに建設省の斎藤民間宅地指導室長が小論文を載せていますね。「市街化調整区域における開発許可について」、これが言わんとするところは、最近線引きの見直しとか調整区域内での開発許可という言葉が各新聞紙上をにぎわしている。報道されると民間の方からいろいろな照会が来る、また投書も多い。ところが、残念なことには、報道の中に行政側の検討しているものの真意を必ずしも正確に伝えていないものも見受けられる。その例として朝日新聞などの例も挙げて、従来の開発許可基準が五十ヘクタール以上だったのを二十ヘクタール以上に緩和することだけのようで、これでは大企業救済にすぎない、こういうことが書かれている、あるいは土地を大量に買い占めた企業の救済だという指摘もあるが、これも真意を見誤ったものであるということで、建設省の真意を伝えたいという形の論文なんですね。いままでいかに首都圏で開発許可が抑えられてきたかなどなどの例を挙げながら、今回の線引きの見直しとかあるいは開発許可の見直しが大企業の意向を受けたものではなくて純粋に政策上から出たものだ、こういうふうな論文なんですよ。  確かにいま私がるる述べてきたような灰色の政治献金という背景がなければそういうものもまともに受けられるけれども、冊子を発行している団体自身が多額の政治献金をやっている団体ですね。こういうところへこういう論文を出す。結局、読んでいる側からすれば、何か線引き見直しや調整区域における開発許可の見直し、これが企業への救済ではない、こういうことを一生懸命弁明している、何で建設省の幹部がこういう不動産業者の冊子の中で、企業の救済ではないんだ、不動産業者の思惑とは関係ないんだ、こういうふうな一種の弁明をしでやらなければいかぬのか、こういう点で非常に疑問を感ずるわけですね。なぜこういうふうな冊子に建設省の幹部がこういう小論文を載せるのだろうか。いささか軽率な感を受けているのですが、いかがですか。
  203. 宮繁護

    宮繁政府委員 私ども課長が書いたものだと思いますが、実は私はそれは見ておりませんけれども、日夜いかにして宅地開発をスムーズに展開し安定した価格で宅地供給するかということに取り組んでいる彼としましては、一部マスコミでいろいろなことを言われておりますけれども、一切そういうことがなく、真剣にまじめに取り組んでおるということを多分表現したのだろうと思いますけれども、実は私まだ見ておりませんので、論評を差し控えたいと思います。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう返答であれば、あえてわれわれはこういう事実も指摘をせざるを得ないのでありますが、この全国住宅宅地経営連合会の会長とそれからこの団体の政治団体であります全国住宅宅地政治連盟の会長を兼ねている小山さんという方が、昨年の七月、あいさつがわりというわけで実に六万円分もの京扇堂の扇子を建設省国土庁に贈っているようですね。もちろんわれわれは善良な意思でつき合いが行われることまで否定しようと思わないけれども、もともとがそういう一定の政治的意図を持って相当多額の政治献金を政界にばらまいている団体、それが一本や二本の扇子なら手みやげという話もわかるけれども、実に六万円分ですね。どういう意味があってこれだけのものを用意したか、それはわれわれ直接はかり知ることができないのでありますが、これは相当建設省とこの団体とが日常的にねんごろではないか、こういうふうな疑いを持たされるわけです。そして、その中で、たとえ意図はどうあれ、その冊子に先ほど言ったような内容の論文が載ってくる、こういうことになりますと、本来問題の多い不動産業界の厳格な指導監督に当たらなければならない建設省が、結局この不動産業界とある意味ではなれ合いになっている。こういう印象さえ受けかねないし、あるいは事実そうかもしれない。こういう点で、建設省として今後ともこういう状態を放置していくのか。これは私がたまたま気づいた一例であります。だから、ある団体とこういう関係があるということは他のいろんな不動産業界とのつながりも推して知るべしという感じがするから言うわけであります。こういう点について、建設省は、これがあたりまえだというお考えなのか、こういう点についてはメスを入れなければならない、こうお考えになるのか、伺ってみたいと思います。
  205. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 いろいろと御指摘の点よく承知いたします。扇子のことにつきましても、私いま初めて聞くわけでありますけれども、それがどの程度のものであるのか、おつき合いの程度であるのか、いろいろと問題があろうかと思います。とにもかくにも建設省というところはいろいろと仕事も幅広く、深く、そして国民生活に密着した仕事をさせていただいておりますので、誤解のないようにえりを正してこれからも倫理の確立等々図りながら進めてまいりたい、このように考えます。
  206. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はこれを結論にするわけでありますが、今日これほど土地の高騰に国民の批判が集中している。また、今回の線引きの見直しについても不動産業界の意を受けたものではないか、こういう批判が高まっている。こうしたときには、この種の政治献金はきっぱりと拒否して、厳正に不動産業界の指導や土地対策に臨む、これが本来の政府のあるべき姿だと思うのです。ところが、これまで大臣は終始その反対の答弁を繰り返されたわけであります。まさに鈴木内閣が政治倫理の確立だとか倫理委員会をつくろうとか言っているけれども、全くこれがごまかしだ、やはり航空機調査特別委員会を廃止したそこに本音があった、これも言わず語らずここにはっきり出てきたと思う。  そういう点ではあえて言いたい。結局鈴木内閣のもとでは本当に土地問題の解決、地価の抑制とか住宅宅地の確保、こういうものは期待できない、こういう感を私はいよいよ深くしたものであります。ですから、まずは本当に地価の安定とか宅地の確保をわれわれが期待しようと思えば、いまのこの自民党の政治姿勢、大企業から政治献金を受けてはばからない、この姿勢を正すことから第一歩は始まる、こういうふうに思いました。ですから、そういう点では、この問題を今後も私は徹底して追及し続けることを結論として、きょうは終わらしていただきたいと思います。
  207. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、来る二十九日午後零時五十分理事会、午後四時委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会