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1980-10-22 第93回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十二日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君       大野  明君    鹿野 道彦君       金丸  信君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    薮仲 義彦君       林  保夫君    林  百郎君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣 原 健三郎君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         農林水産大臣官         房参事官    松下 一弘君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    大塩洋一郎君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 十月十八日  国立療養所邑久光明園及び長島愛生園所在の長  島、本土間架橋に関する請願大村襄治紹介)  (第二〇六号)  同(米沢隆紹介)(第二二五号)  同(平沼赳夫紹介)(第二四〇号)  同(水田稔紹介)(第二四一号)  同(逢沢英雄紹介)(第三八四号)  同(浦井洋紹介)(第三八五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三八六号)  同(寺前巖紹介)(第三八七号)  大分地区産業都市建設事業の是正に関する請  願(阿部未喜男君紹介)(第二四三号)  道路財源の確保に関する請願逢沢英雄紹介)  (第三八三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農住組合法案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  農住組合法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本住宅公団総裁大塩洋一郎君及び理事救仁郷斉君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 まずお伺いいたしますが、この法律案を三大都市圏に限定した理由をお伺いしたいのです。
  6. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合法案は、最近の宅地需給ギャップを埋めるための一つの決め手といたしまして農地の活用を図るものでございますけれども、そういうような場合に、一番そういうふうな問題が集まっておりますのは三大都市圏というふうに認識いたしております。したがいまして、当面、三大都市圏におきます農地の転用と利用転換ということが最も望まれるところであるという見地から、三大都市圏ということに限定いたしたものでございます。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 宅地需給関係から三大都市圏にしたと言いますが、宅地需給とはどんなことですか。
  8. 山岡一男

    山岡政府委員 現在、宅地需要見込みといたしまして、たとえば三全総等におきましても、今後十年、十五年の見通しにおきまして、大体毎年の平均の供給見込み量一万三千ヘクタールぐらいあればいいなというふうに見込んでおります。それに対しまして、全体といたしまして、オールジャパンでも約一万ヘクタールを切っておりますけれども、特に三大都市圏ではその傾向が著しくて、三大都市圏におきます供給量は、需要と申しますか、そういうことで予定いたしております量の約半分以下ということになっております。そういう点から申しましても、三大都市圏におきます需給ギャップのための転換ということが非常に望ましいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 需給ギャップだと、こうおっしゃいますが、需給ギャップというのは、金さえ出せば出てくるのじゃないですか。
  10. 山岡一男

    山岡政府委員 確かに収用とか都市計画事業とかいうふうな手法もございます。しかしながら、大都市圏にございます農家の方々につきまして、皆さん方自発的意思と申しますか、協力を求めながら、一部の営農を認めながらそういうふうな宅地転換を図るというのが最も現実的であり、かつ効果的な方法であるというふうに考えた次第でございます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 これは、大都市圏における需給ギャツプがある、こう申されますが、要は三大都市圏における、宅地がないんじゃない、これはいままで政策が不在であったからにほかならないと私は思う。したがって、先日も本会議質問がございましたが、鈴木内閣は田園都市国家構想なるものを依然として大平内閣から受け継いでおる、こう言う以上は、やはり三大都市圏に限定すべきでないと私は思うのですが、これは建設大臣国土庁長官の御見解を承りたい。
  12. 原健三郎

    原国務大臣 三大都市圏といいましても、三大都市及びその周辺でございますので、かなり広範囲であるし、全体に網を張るよりも、一番問題になっておる点から解決していく方が効果的であろう、こういう考えでこういうふうにしたような次第でございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 三大都市圏に限定するという意味が私にはわからない。そして、ここに網を張るとおっしゃいますけれども、全国に網を張ってどうして悪いのですか。全国に網を張って悪い理由はどこにあるのですか。国土庁長官、お伺いしたいのです。
  14. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  それは、張って悪いというよりも、現時点においてはこういう一番宅地の不足しておるところにこういうふうに網を張って対策考えていったら、その方がより効果的である、全国的にばっとやるよりもこの方か効果的であると考えております。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 なぜ限定することが効果的であるかという理由が私にはわからない。たとえばこれによって補助金を出すとかいうのならしかるべきでありますけれども、どうなんです、これは金を出すのですか。
  16. 山岡一男

    山岡政府委員 この法案対象といたしておりますのは三大都市圏でございますが、同じ法案の中で、十年間の間に手を挙げたところにつきまして認められるという制度になっております。緊急措置的な意味を含めておりまして、しかも三大都市圏の目前に迫ったそういうふうなものに対する対策というように考えておるわけでございます。応援の対策といたしましては、それぞれ土地区画整理事業土地改良事業等ができることになっておりまして、それぞれの手法におきましてできました宅地につきましては公庫の融資等もつながっておりますし、そういうものも十分前向きに考慮してまいりたいと検討いたしているわけでございます。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 いよいよ私はわからない。これはどういう目的でやるのかといったら、宅地需給ギャップを埋めるだけなんですか。そこには、都市形態といいますか、あるいはまた田圏都市国家構想なるものが全然入ってくることはないのですか。建設大臣、どうです、これは。
  18. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 所管の国土庁長官からお話しのように、重点的という思想が根底にあろうかと思います。当然先生おっしゃるような形は今後の推移の問題として考えられることであろうかと思いますが、当面農住法案考えられているものは、過密都市を重点的に、効果的にやるというような思考の結果であろうと、このように考えております。
  19. 井上普方

    井上(普)委員 重点的にやるとおっしゃいますが、国が補助金とか何とか出してやるのですか、これ。やらないのでしょう。ただ手法を認可するだけなんじゃないですか。
  20. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合は、土地区画整理事業土地改良事業宅地造成事業、それから住宅建設等につきまして一貫して行うというメリットを持っております。それぞれの土地区画整理事業なり土地改良事業なり住宅の建設なり等につきまして既存の制度を活用していく、さらに、来年度におきまして若干の予算などにつきましては、政府部内では、予算要求などいたしまして検討中でございます。
  21. 井上普方

    井上(普)委員 それではお伺いしますが、この農住組合で、今後五年間でよろしゅうございます、幾ら予定しているのですか。
  22. 山岡一男

    山岡政府委員 御案内のとおり、この法案によりますと、農民の皆さん方の自主的な発意によりましてつくっていただくという趣旨でございまして、私ども大いに慫慂してまいるつもりでございますけれども、いましかと目標を立てることは大変困難でございます。しかしながら、いろいろな前提をつけまして、ある程度見通しもないのかと言われると困りますので、私ども一生懸命検討いたしております。共管省もございますので、まだオーソライズされた数字ではございませんが、われわれの試算といたしましては、この農住組合法案によりまして、十年間に相当な組合ができる、その成果といたしまして四千ヘクタールぐらいのものは供給できるのじゃないか、また、そういうものを目標に供給してまいりたいというふうに考えております。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 四千ヘクタールつくると、幾らか国は補助金を出すのですか。
  24. 山岡一男

    山岡政府委員 補助金全体の試算はいたしておりません。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 私は、これほど漠然とした事業はないと思う。これほど将来に対して不確定な事業はないと思います。どうしてそのような不確定なことを需給ギャップの最もひどいという三大都市圏にやらなければいけないのか。なぜこういうようなりっぱな、あなた方自信を持ってこれをつくられておる以上は、なぜ全国に及ぼさないのですか。なぜ全国に及ぼしたらいけないのですか。その理由が私らは納得できない。
  26. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどもお答え申しましたとおり、三大都市圏に人口が集中いたしました。特に三大都市圏におきます地価高騰は、他の地域と比べて著しいものがございます。それから、そういうものの原因を探求いたしますと、先生も先ほどおっしゃいましたように、土地はあるのになかなか転換が進んでいない、その中の一番大きいものは農地であるという点に着目いたしまして、十年間に緊急措置として行おうという趣旨でございまして、そのためにはその緊急措置以外にも一般土地区画整理その他いろいろな手法があるわけでございます。しかしながら、特にこの三大都市圏におきましては、そういう地価高騰等も反映いたしまして緊急の措置が必要であるということから三大都市圏対象といたしておるというものでございます。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 三大都市圏地価高騰は目覚ましいと言いますが、地価高騰日本列島全部目覚ましい。なぜ限定するのか私にはこの意味がわからない。おわかりならひとつお教え願いたい。これは政治家として両大臣にお伺いするのです。なぜこれをやるのですか。三大都市圏に限定している理由がわからない。それほどいい、りっぱな都市施設をやるのであれば、なぜ全国に及ぼさないのか。重点的にやると言いますが、どういうようにして補助金を流していくかという方法すら決まってないじゃないですか。
  28. 原健三郎

    原国務大臣 あえて全国的にやっちゃいかぬという意味ではございません。それはやったっていいことですから、全国やっても決して悪いとは思いませんが、さしあたり緊急を要する、いままでの委員会等質問においても、土地が急騰しておる、ことに三大都市圏において急騰しておる、だから何とかせい、こういう質問も多いし、やってもいいのですが、さしあたり重点的に三大都市圏をやる、こういうだけのことでございます。  何もそれ以上、メリットがあるのかないのか、こういうことにつきましては、たとえば税制調査会答申によっても、将来昭和五十七年度から一般的宅地並み課税をやる方向でありますが、こういう農住組合において農地として営農をやるところについては課税をしないという方針が答申されております。こういうのにもメリットはやはりあると考えております。
  29. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私はわからないのです。三大都市圏でその宅地並み課税を五十七年度からやるのだという答申がある、あるというが私もまだ聞いてないのです。結論は出ていないと思うのですけれども、そういう方向にあるとおっしゃいますが、それではこの法律はいま宅地並み課税を除外するのですか、これをつくったところは。どうなんです。
  30. 山岡一男

    山岡政府委員 この法案宅地並み課税との関係につきましてはこの法案で直接関係があるというものではございません。ただ、考え方といたしまして地方税法の附則十八条に「検討」というのが書かれています。政府税調でも先ほど大臣から御答弁がありましたように、五十七年度からのA農地B農地C農地を含めた宅地並み課税につきまして検討するということが書かれております。なお、その中には営農継続等に対して十分な措置検討しながらその措置考えろというふうになっております。したがいまして、現行の農住組合法で直ちにそういうふうなものと関連はございませんで、五十七年度以降の宅地並み課税検討される場合に一環として検討されるものでございますけれども、その場合、当然のことながら農住組合でつくります営農地区等につきましては農地利用計画等もつくります。したがいまして、そういうものから見ますと、そういうふうなものの中にございます営農継続を十分に配慮をするということには当然当たるというふうな立場に私どもおりまして、そういう立場で五十七年度以降の税制検討に向かっていきたいという趣旨でございます。
  31. 井上普方

    井上(普)委員 農地宅地並み課税についてはいろいろ議論があります。永久的に農業をやる土地については農地そのもの課税にすべきだというのが大勢じゃございませんか。これをつくったからそいつは除外されるんだという考え方、私はどうも人をだますにほどがあるという感じがするのであります。なぜここにこの農住組合法という法律をつくらなければならないのか。あるいは、それほどりっぱなもの、いいものでありましたならば、なぜそれを全国に及ぼさないのです。私はその理由がわからない。  続いてお伺いいたしますが、この法律でつくった土地税金は一体どうなるのですか。たとえば、これは法人をつくり、出資金を出す、所有権は全部法人に移るわけですね。どうなんです、そこらあたりは。所有権はどうなるのです。したがって、それの譲渡をされた場合の税金土地譲渡税は一体どうなるのか。ここらあたりはどうなっているのです。
  32. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合に関します税制につきましては、別途税制要求ということで、法案とは別に来年度要求をいたしております。その中で、たとえば区画整理事業の施行に伴うもの、交換分合に伴うもの、土地改良に伴うもの等々がございますが、そういうものにつきまして特例をしきたいということで内部検討をいたしております。
  33. 井上普方

    井上(普)委員 じゃそれを、税金のことが出てきて、この法律と一緒に出してきたらどうなんです。私はどうもよくわからない。どういうような税金がかかってくるのか、譲渡した場合にどういう税金でだれが払っていくのか、ここらあたりはっきりさせていただきたい。
  34. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合の行います交換分合に係る譲渡所得税等課税特例、それから農住組合が行います住宅地等供給事業の用に供する農地等組合譲渡した場合の譲度所得特別控除農住組合農業共同利用施設に係る不動産取得税等課税特例等、相当項目がございますけれども、いずれも検討いたしまして内部税制要求をいたしておるという段階でございます。
  35. 井上普方

    井上(普)委員 所有権農住組合に移るのですか、どうなんです、これをつくった場合。
  36. 山岡一男

    山岡政府委員 まず農住組合の中でケースバイケースであろうと思います。一たん所有したものでも農住組合が売る場合もございますし、全体といたしましては所有権の存在はケースバイケースでございます。
  37. 井上普方

    井上(普)委員 そうしますと、譲与所得の場合はどうなるのです。土地所有法人に移っておる場合は譲与税はどうなるのです。
  38. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げました農住組合が行う住宅地等供給事業の用に供するために個人の方が農地等組合譲渡したという場合には、譲渡所得特別控除ということで要求をいたしております。
  39. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私にはわかりませんが、譲渡所得特別控除というのはどういうことなんです。
  40. 山岡一男

    山岡政府委員 現在の譲渡所得課税の中には長期、短期その他ございますけれども、それと同時に、そういうふうな目的がよいと申しますか、そういうものに対しては特別控除という制度がしかれております。したがいまして、他の並びと考えまして、こういうものにつきましては千五百万円控除が現在これに妥当するだろうということで要求をいたしておるわけでございます。
  41. 井上普方

    井上(普)委員 どうもいまの日本の状況から考えると、土地所有という、土地を持っておる者と持っておらない者との格差が余りにもひど過ぎる。その上にもってまいりまして、まだ決定はしておりませんが、こういうような特別控除考えておる。世論がこれを助けるだろうか。私は大きな疑問を持つものです。持つものならず、私は反対です。持つ者と持たざる者との格差が余りにもひどくなっておるのは御存じのとおりです。しかも、三大都市圏における地価高騰によって、土地所有者というものがどれほど大きな所得を持つようになっておるか。その上へもってまいりまして、このような恩典を与える、特別控除を認めるというような制度をつくろうとする考え方それ自体に私は間違いがあると思います。およそ考えてごらんなさい。われわれは、社会党といたしましては、あるいは野党の諸君全員がそうでございましたが、昭和四十年初頭から、開発利益の吸収をやらなければいかぬ、いかにしてやるのだということを盛んに強調してまいったものであります。今日の開発利益に対しまして何らそれに手を打ててきていない、これが地価高騰の大きな理由一つであると私は思う。抜本的な土地政策をここらあたりで確立せずに、ただ小手先だけで、しかも土地所有者に対して土地を出してくれというためだけに甘いあめをなめさすことは、もうここらでやめようじゃありませんか。どうです。
  42. 山岡一男

    山岡政府委員 土地税制一般論の中で、たとえば長期譲渡所得等につきましても、優良なものに対しましては穴あけが行われております。そして、そういうような穴あけを行うようなものと比べまして、今回の緊急措置として大都市圏農地転換ということは緊急の問題であるという認識に立ちまして、そういうものについてはやはりそういうふうな穴あけ対象にしたいというのがわれわれの願いでございます。  なお、同様の趣旨につきましては、たとえば農業協同組合等宅地等供給事業を行うことになっておりますが、それらの場合にも同様の取り扱いをしておるというものにも例としてならっておるわけでございます。
  43. 井上普方

    井上(普)委員 農業協同組合どんな例がありますか、ひとつお示し願いたい。
  44. 山岡一男

    山岡政府委員 農業協同組合の行う宅地等供給事業のために、組合員組合に対し農地等譲渡した場合には、特別措置として千五百万の特別控除を行うという制度がございます。
  45. 井上普方

    井上(普)委員 それ自体そもそも私は間違っておると思う。  ここに農林省来ていますな。伺うのですが、いま不動産部というのを持っておる農協がたくさんある。どれくらいの不動産売買あるいは宅地売買をやっておるのか、ひとつお伺いしたいのです。
  46. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 お尋ねの農協不動産取得でございますけれども、全体の農協につきましてどの程度のものが取得されているかというふうなことにつきましての資料がいま手元にはございませんが、そのうちで特に比較的手持ちをしているものとしては、全国共済組合連合会がございます。こういうものが現在どのくらいの不動産取得をしておるかという点につきまして申し上げますと、これは五十四年三月のデータでございますが、都道府県の共済連が持っております不動産が約五百九億円、これは一連合会当たりにいたしますと、平均的に申しまして約十億円ぐらい、こういう結果になっております。
  47. 井上普方

    井上(普)委員 全国共済組合取得した土地でしょう。農協不動産部譲渡した宅地幾らあるのですか。
  48. 矢崎市朗

    矢崎(市)政府委員 先ほど、農協によります宅地等供給事業というもので、いわゆる組合のために資する宅地供給事業というのは農協がいたしておりますが、これで申し上げますと、五十三年におきまして全国で二百九十四ヘクタール実施をいたしておりますが、そのうち改良いたしましたものが四十九ヘクタール、借り入れが〇・三、委託が二百四十五ヘクタール、こういう実績になっております。
  49. 井上普方

    井上(普)委員 農協宅地等供給事業でやって全国で二百九十四ヘクタール、これにつきましても私はまだ議論の余地はたくさんある。ましていわんや、こういうようなことでできるとお考えですか。のみならず、なぜ三大都市圏に集中するのか、私は幾ら説明を受けても意味がわからないのです。それほどりっぱなありがたいものだったら、全国でなぜやらないのだ。どうも私はわからない。宅地並み課税一環でひとつ考えたいというような考え方があるのじゃございませんか。あるならあるで私はいいのですよ。こんな法律などというのはやめさせたらいいのだから。つまらぬ法律だったらやめたらいいんだよ。法律をつくるのがあなた方の商売だけれども、受ける国民にしたら大変なんですよ。法律というのは昔から三令あれば足れりというような言葉もある。こんな法律どんどこどんどこつくられて、いままでも区画整理事業には幾ら手法がありますか。そのたびそのたびに法律をつくっているのでしょう。もう区画整理について何本の法律があります。その上へ持ってきてこういうような法律をつくる、ありがたそうにあなた方はおっしゃる、これで宅地供給一つ手法でございますなんておっしゃるけれども、実際はどうも成績が上がっておらぬのが実情じゃございませんか。現に先日小野委員が、区画整理によって一体幾ら宅地をつくり、幾ら売れたのだ、残っておるのは幾らなんだといって質問しました。計画局長は何と昭和四十九年の資料を出してきて、残っておるのは幾らでございます、こういうお話でしたね。四十九年の話を計画局長が言ったじゃないか。法律によるところの区画整理がつくられたのは過去五年間に幾らで、現在そのうちで住宅が建っていない土地幾らあるのか、この数字をひとつお示し願いたいのです。
  50. 升本達夫

    升本政府委員 区画整理事業実績につきまして私からお答えをさせていただきます。  区画整理事業は大正八年からスタートしておりますけれども、全体の量で申し上げますと、五十四年度末までに全国で約二十七万五千ヘクタールについて着工いたしました。このうち約十九万二千ヘクタールについて完了いたしております。これは全部の数字でございます。  特に最近五カ年で申し上げますと、約二万九千七百ヘクタールが着工されまして、約四万五千二百ヘクタールが換地処分を終わり完了いたしております。  以上でございます。
  51. 井上普方

    井上(普)委員 完了した土地はいいのです。私が伺っているのは、そこで家が建っているのは何ヘクタールあるのか、あるいは家が建ってないのは幾らあるのか、こういうことを聞いておるのです。
  52. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  先ほど先生から御指摘ございました区画整理施行が終わった後、まだ未建築地がたくさんあるじゃないか、しかも、それが四十九年度時点の数字じゃないかというお話がございました。そのとおりでございまして、この調査はかなり時間と金がかかりまして、現在、昭和三十六年度から昭和四十九年度までの間にどれだけ区画整理の施行面積があるのか、それからそのうち昭和四十九年度の時点ですでに市街化している区域とそうでない区域がどのぐらいあるのかという調査をやりました。それで首都圏と近畿圏両方やりましたけれども、首都圏では、四十九年までに認可されました面積が二万九千ヘクタールでございますけれども、その時点ですでに市街化している区域が一万一千ヘクタール、したがって残りの一万八千ヘクタールは、四十九年の時点ではまだ事業が完了していないで事業継続中、あるいはいまお話しのようにまだ建築物が建ってない区域、それから公共施設の用地等の面積の合計でございます。  それでこの調査によりましてわかりましたことは、区画整理をやりまして事業が終わりますと家が逐次建ってくるわけでございますが、全体が市街化するには大体二十年かかります。これがもう少し早く市街化しないかという点でいろいろ私どもも工夫をいたしておりますけれども、同時にまた地方公共団体の側から申し上げますと、直ちに学校、保育所、下水道その他の施設も整備しなければいけないということで、ある程度の緩やかさをもって市街化してもらいたいという希望もございます。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 区画整理事業が四十九年までしか実態をつかんでないのです。これはどう思います。宅地が不足だ宅地が不足だとおっしゃいますけれども。不足なのはわかります。しかし区画整理というような——法律、国家権力をある程度バックにして行われた区画整理なんです。それが実際には、三十六年から四十九年までに二万九千ヘクタールのうちで実際使われておるのは一万一千ヘクタール、四十九年からこっちの調査はできてないのです。それで次から次へ法律をつくられる。建設大臣、あなたの所管事項ですが、これはどうですか。お考えをひとつ承りたい。
  54. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま局長からもお話がありましたように、区画整理事業事業主体そのものが非常に長期的にかかるということ、三十六年から四十九年までの調査結果しかあらわれていないということを考えてもうなずけると思います。したがって、二十年によってようやく到達する区画整理事業というものをもう少し長期的に考えていただきたい、私はこのように考えます。もちろん、いたずらにそれの事業長期的になることを見守っていることでなく、現在までのところはそういうようなこととして推移いたしております。先生は恐らく、こうした長期的なことでなお残されている宅地住宅に有効に生かされていないということを追及されることと思いますけれども、いまの住宅問題のニーズ等を考えて、この問題もあわせて区画整理事業の完成等の期間的な問題も地域の環境等とにらみ合わせながら総合的に整合性ある一つ考え方区画整理事業考え直すときじゃなかろうか、いまこのようにも考えたわけでございます。
  55. 井上普方

    井上(普)委員 何をおっしゃっているのか、さっぱりわからぬ。  しかし、それはそれといたしまして、区画整理が完了しておって、宅地化していない、住宅のための区画整理がかなり進んでおるように思われるけれども、そこで家が建っていないところがたくさんある、この実態についてどうお考えになっているか。こういうような土地がたくさんあることは、大臣、あなたもご存じでしょう。だからお調べなさいと私は言っているのですよ。調べてみて、これをいかにして建築さすかということが必要なんじゃないですか、宅地なんというのは家をつくらなければ何も意味がないのですから。ただ、そういうような土地がたくさんある、その宅地を、土地はまだ値上がりするからと言って持っておる諸君がたくさんある。いわゆる広い意味での遊休地です。こういうのがたくさんある、これは一体どれくらいあるだろう。これを宅地化さすのには一体どうすればいいのかということをまず考えるべきじゃないのでしょうか。いかがです。
  56. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいまおただしの御意見、私もそのとおりだと思います。建設省におきましても区画整理をいままで指導いたしてまいっておりますけれども、やはり、農地とか山林原野が良好な道路とか公園とか学校用地を持っていい市街地ができますことを第一番に頭に置きまして区画整理を進めてまいったところでございますけれども、区画整理の清算事務が終わった後、その土地の有効利用について必ずしも施策が十分でなかった。  いままでも、この区画整理の施行済みの土地を譲り受けた人に対しましては、住宅金融公庫の個人の住宅融資におきまして、住宅建設資金とあわせて土地取得費の融資を行うとか、あるいはまた農住賃貸住宅の利子補給制度、あるいはまた土地担保賃貸住宅貸付制度というふうなことで、土地を地主さんが持ったままでそこに住宅が建っていくというような制度につきましていろいろやってまいりました。  それからなお、本年度におきまして税制を改正いたしまして、土地区画整理事業の施行区域内の土地を地主が住宅地として譲り渡す場合に、一定の条件のもとでは譲渡所得税の軽減等も図ってまいりました。  今後は、こういう施策をさらに拡充し、進めますとともに、いままで以上に市街化するあるいは住宅を建てるためのノーハウの提供を地主さんにするとか、あるいは資金のあっせん等についても十分配慮するとか、そういうようなことにも気を配ってまいりたいと思っております。  それからなお、たとえば保留地の処分につきましても、これを譲り受ける者が一定の期間内に必ず建築することを条件とするような指導等も検討してまいりたい、このように考えております。  ただ、この場合に、先ほども申し上げましたように区画整理によりまして個々の農地、山林がばらばらと住宅地になるのじゃなくて、計画的に市街化ができる意味で非常にいい制度でございます。この区画整理事業そのものの事業面積の拡大も重要でございますのでいろいろな措置をとります場合に、土地所有者区画整理そのものに対する意欲を減退させましては角をためて牛を殺してしまうというようなこと、そういうことのないようにも配慮をしながら、いろいろな措置考えてまいりたい、かように考えております。
  57. 井上普方

    井上(普)委員 この区画整理事業でできた宅地、これが投機の対象になっていないか。たとえて言いますと、赤ん坊ができたから孫のためにと言って宅地を買って取得しておるというような事例がたくさんあるんです。これを利用する方法考えるべきではないか、こう思うのですが、いかがです。あるいはまた、旧所有者土地が値上がりするんだということでじっと持っておる、この土地を吐き出さすにはどうしたらいいのか。法律によってつくられた宅地なんです。ですから、そこについては強権をある程度持ってしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがです。
  58. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えします。  いまの土地区画整理の仕組みでは、組合員の同意があればそういう事業ができまして、一部の少数の方の反対がありましても事業が遂行できるようにはなっておりますけれども、個人の所有地につきまして強制的にどうこうするという手法が一切ございません。  そこで考えられますことは、一つは強制的に取り上げるかどうかという問題がございますけれども、これはさておきまして、その他の仕組みとしましては税制の問題、それから金融の問題、税制につきましては、保有税を重くして譲渡税を軽くするのが土地を吐き出させる一つの方策かと考えます。ただし、先ほど来受益者負担の問題が出ておりましたので、非常に短い期間に土地を買ってその土地を売った場合には、これは投機の対象ということで、きわめて重い税をいまかけております。それはそれといたしまして、先ほど申し上げましたように保有に対する税を重くして譲渡の場合の税を軽くするというのは基本的なことだと思います。  それともう一つ、いまとり得る制度は金融で誘導していく、住宅金融公庫の政策金融等によりまして、地主さんかそこに自分自身で家を建て、あるいはまた家を建てて分譲するような場合の誘導政策をとっていく、これが基本でございますけれども、先ほども申し上げましたように、保留地等につきましては建築を義務づけるというようなことも考えてみたい。  なお、いろいろ指摘がございますので、この区画整理の問題につきましては、いままでも申し上げましたように、ややハードの面だけに対応しまして、あとの都市化の点について配慮が足りなかった点、もう少し検討していろいろな施策を展開してまいりたいと考えております。
  59. 井上普方

    井上(普)委員 法によってつくられた区画整理事業です。あるいは強権を発動することによって組合が成立し、区画整理もできていった実情もあります。しかし、つくった宅地については、局長の話によりますと、あるいは金融面であるいは税制面で誘導する以外の道が何らないというところに、日本土地問題のむずかしさがあるし、ここに悲劇があると私は思う。ここらあたりを、やはり法律に基づいてつくられた土地なんですから、これを吐き出させる、あめやあるいは金融でこれを誘導するという考え方よりも、むしろ根本的に、再三私は言うのでございますけれども、国土利用計画法によります土地というものは、国民の共有の資源であるという考え方にのっとったならば、手法幾らでも出てくると私は思うのです。これについては、国土利用計画法はあるいは憲法の二十九条に違反すると言う諸君もありましたけれども、実際にこの問題について法的に争われた事実もないようでありますが、しかしいずれにいたしましても、これは全国民の合意のもとで、土地に対しての国民共有の資源であるという考え方は、私は定着しておると思います。少なくとも国会におきまして、この土地についての国民の共有の資源であるというのは一致した各政党の合意の考え方なんです。したがって、ここに立脚いたしますならば手法というのは幾らでも出てくると私は思いますので、ひとつせっかくの御努力、御検討をお願いいたしたいと存ずるのであります。  しかし、いずれにいたしましてもまだ四十九年の資料しかないということでございますが、これは区画整理によって生み出された土地幾らあって、まだ住宅地になってない、住宅地と申しますか、建築がされてない土地幾らあるのか、早急に調査されることを強く要求いたしておきたいと思うのであります。  続いては、これは思い出したのでついでにお伺いするのですが、二十ヘクタール以上の土地については、市街化調整区域におきましても特別開発地域として知事が許可をやってまいりました。ここの土地もつくられておるのでございますけれども、この土地の利用度がはなはだ低いように思われてなりません。これも実態調査ができておるのであればその数字をひとつお示し願いたいのです。なければ結構です。
  60. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  全国的な調査はございませんので数字がございません。
  61. 井上普方

    井上(普)委員 これもひとつ早急に調査されることを強く要求いたしておきます。  こういうように考えてまいりますと、まだまだやるべきことは、建設省とすれば、宅地と申しますか住宅を建てる土地と申しましょうか、私はたくさんあると思うので、努力が不足なんだと言わざるを得ないのであります。  しかも、もう一つお伺いしましょう。生産緑地法という法律ができましたね。この生産緑地法によりまして営農地区かまたは第一種生産緑地というのを選択することになっておりますが、この実態はどうなっておりますか。面積があればひとつお示し願いたいのです。
  62. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘の生産緑地につきましては、生産緑地法によりまして第一種と第二種の区別を立てております。  現在までの実績でございますけれども、五十四年三月三十一日現在でございますが、第一種の生産緑地地区は、二十二都市におきまして計約三百二十八ヘクタール、それから第二種の生産緑地地区は、十七都市におきまして約百七十七ヘクタール、合計いたしまして二十六都市、約五百五ヘクタールが指定をされております。
  63. 井上普方

    井上(普)委員 この法律ができましてから、合わせましてもわずかに五百ヘクタール、さみしい限りじゃございませんか。ないよりは少しはましだというような実態じゃございませんか。法律をつくるのには皆さん方はえらいエネルギーを使われるけれども、つくった後一体どうなっているのか、これの追跡、そしてまたそれに対して反省というのが少し不足のように思われるのですが、いかがでございますか。
  64. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり、生産緑地に指定されますと、当然のことながら土地利用の制限がございますし、また土地の処分につきましても制約が生ずるということになりますので、土地所有者の方々からなかなかまとまった形で生産緑地の指定を受けようという動きが出にくいという状況がございます。片や都市計画の方から申し上げますと、市街化区域内の市街化の促進という観点からいたしますと、むやみに現状肯定的に土地を利用していただくというわけにもまいらないという制約がございます。したがいまして、いわば土地利用者の方々の御要望と都市計画の側からの規制の必要性ということからの接点のような形でこのような制度化が図られたものというふうに理解をいたしております。したがいまして、現状において当初私どもが期待いたしたほどには指定の状況がなかなか進んでいないということは御指摘のとおりでございます。私ども、さらにこの点につきまして制度の改善の余地があるかどうか、十分勉強をいたしてみたいというふうに考えておるところでございます。
  65. 井上普方

    井上(普)委員 私は、先ほど来申しておりますように、法律をつくるのにはえらい熱心にお役人さんはやられる、しかし、つくってしまったら後はどうも御熱心じゃない。これは役人の通例であります。ここらあたりを抜本的に考えてみたらどうなのですか。区画整理事業にしましても何本も法律があります。メニューはたくさんつくっておるけれども、その一つ法律によってこれを適用しておる地域はわずかに一カ所、二カ所だというような法律もあるでしょう。ここらあたりを私は考えていただきたいのです。もちろん、いまの社会情勢、いまの土地所有の実態から言って、むずかしいのはわかります。だから、むずかしいのはわかるけれども、抜本的にこれを解決するような方策を考えなければならない時期が来ているのじゃないか、私はこう思うのですが、これはもう大臣の御答弁でしょう。考え方として、いまの日本土地所有の形態がこれでいいのか、あるいは今後どうすればいいのか。私は、先日も十年先、二十年先の日本のあり方を申しましたけれども、やはり根本は土地所有のいまのあり方、それについてどうあるべきか、考えなければならない時期が来ておると思うのですが、いかがでございますか。
  66. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御指摘、先生のお考えと私も同感であります。国民の要望する住宅宅地というものの急激な変化に伴う、制度がついていっておらないということはまさにそのとおりであろうかと思います。したがって、諸制度等を見直すということよりも、いまある制度をいかように生かして国民の要望にこたえていくかということの課題をいま先生が投ぜられたわけで、御指摘のような形で、これからも前向きで有効適切に執行、制度の活用を進めてまいりたい、このように考えます。
  67. 井上普方

    井上(普)委員 私は、この当時、国土利用計画法をつくりましたときの一員でございます。当時、土地高騰が非常に激しいときに、四党が合意した上であの法律はでき上がったものでございます。問題を投げかけられるならば、各政党とも、土地に対していかにあるべきかという受け身の姿勢はでき上がっておると思う。実行する政府の考え方がまだふらついておるのでできないのじゃないか。たとえて言いますならば、先日も問題になりました国土利用計画法の、土地高騰もしくは投機の対象考えられる地域、この二つが重ならなければ規制区域に編入できない、指定できないというようなことは、これはもう、いま国土庁から示されるならば、これをこういうように変えたいということがありましたならば、恐らく各政党とも喜んでこれの審議に応ずると思うのです。国民の合意の上に立って、土地政策土地制度を抜本的に改める時期が来ておるのだから、ひとつそういう機会をつくろうじゃありませんかということを私は申し上げておるのですが、いかがでございますか。
  68. 山岡一男

    山岡政府委員 国土利用計画法の制定当時の事情は、先生が一番お詳しいわけでございますけれども、私どもが承知いたしておりますのは、やはり投機的土地取引というのは反社会的なものである、そういうものによって四十七、八年の高騰が起こったということが事の発端でございます。投機的土地取引ということが構成要件の一つとしてあるべきだというふうに私どもはいま考えております。したがいまして、十分勉強はいたさなければならぬと思いますけれども、現在のところ現行法に対しまして改正案を提案することは考えておりません。
  69. 井上普方

    井上(普)委員 そして、国土利用計画法は地価抑制法、地価凍結法というような意味合いを持った法律だと私らは制定当時に考えていました。しかし、その後におきましても、昨今のように定期預金金利の上昇よりもはるかに高い上昇、こういう状況はもう許すわけにはまいらない事態になってきておると思うのです。恐らくここにおられる高級官僚の諸君は自分の家を持っておられると思うけれども、持っていない高級官僚の方々でも、退職金で自分の家は建たぬでしょう。建設省は近ごろひどいことを言い出した。どんなのだと言ったら、親子二代にわたって家を償還することを考えようなどというまことに不届きな考えで言っているのです。親子二代で住宅取得させるべきだ。よくぬけぬけとこんなことを言い出したものだと思うのです。考えてごらんなさい。家を建てても、このごろの木造住宅だったら二十年か二十五年で建てかえをしなかったらいかぬような時代になっているでしょう。一生働いて、親子二代、三代にわたって自分の家をつくることだけで生涯終わり。情けない話じゃありませんか。他国と比べますと、えらい大きな差があると思われるのです。  住宅政策につきましてはいろいろと問題がございます。私は昭和四十二年以来国会に議席を置いておるのでございますけれども、最初は住宅政策につきましては公共賃貸住宅と持ち家というようなバランスを考えなければいかぬということで、公共賃貸住宅に国の施策の中心は置かれました。その当時保利建設大臣でございましたので、私は申したことがございます。あのときの第一種公営住宅、第二種公営住宅というようなものが早くスラム化する、スラムだと世間から考えられる時代をつくり上げたいものだ、こういうことを私は申し上げた。そのときに保利建設大臣は何と言われたか。この際はやはり住宅の数が足らぬからやむを得ないのだ、こういうお話をされたことを覚えています。あれから十二、三年たって、今日では住宅の質のことが問題になってきました。盛んに質のことをおっしゃるけれども、果たして将来を見通した上で住宅が個人にまんべんに及んでおるかというとそうじゃない。大都市における勤労者の諸君の生活を見てごらんなさい。木賃アパートで親子三人がわずか十四、五平米の部屋に住んでおる実態じゃございませんか。諸外国と比べて勤労国民は住宅問題でどれだけ苦しめられておるか。ここに思いを起こして、私は根本的な考え方をやらなければならないと思うのです。最初はいかにも公共賃貸住宅に重きを置いてきたのですけれども、御承知のように、途中で住宅公団が家を建てることができなくなった。最初年間九万戸ないし八万戸の住宅が建っておった。四十五、六年から四万戸に落ち込んでしまった。このごろじゃ二万戸に落ち込んでしまった。どこに原因があるのです。抜本的にここらを考えなければならない時期が来ておるのじゃありませんか。  そして、このごろでございましたならば、はっきり申して、自民党の議員の中には、賃貸住宅をつくるというとどうもあの票は全部革新側に行ってしまって困る、この際ひとつ公共賃貸住宅、これを払い下げようじゃないかなんていう考え方も出てきた。堂々と言う諸君も出てきておる。いかにも浅薄な、実際選挙の票だけを当てにするような考え方で、情けない政治家が多く出てきたものだと思うのだけれども、こういう考え方も出てきておる。それがあってかどうか知らぬが、持ち家政策持ち家政策なんて言い出してきた。持ち家政策にすれば宅地が不足なのはこれだけ人口が集中した都市があるんだからあたりまえな話。だから公共賃貸住宅を建てるということを中心に据えなければいけないときに、いや、持ち家政策だ、国民がその方を志向しているから、どういう理由のためだけで持ち家政策を推進してきた。持ち家政策を推進してきたおかげでさあ今度は宅地が足らない。ともかくどうやって宅地を確保するか、つくるかということにきゅうきゅうしておる。つくったけれども、国民は、このインフレの世の中だ、自分の生活を守るためにはどうしても土地を確保しておくことがインフレヘッジになるというので土地を買いまくっている。これをどういうようにして家を建てさすかということを考えるべき時代にも来ておるし、根本的には住宅政策を公共賃貸住宅に中心を変える、安くて、広くて、そして便利なところにつくる、こういうことを国が中心に考える時期が来ておるのじゃありませんか。先日私は、十年、二十年後の老齢化社会における住宅のあり方を申しました。大臣のえらい御賛同を得たのでございますけれども、そういう観点からしても、この際、公共賃貸住宅に中心を変えるとするならば宅地政策それ自体も改めるべきである、私はこのように考えるのですが、大臣の御答弁をお願いしたいのです。
  70. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の住宅政策につきましての御識見には本当に敬意を表する次第であります。  住宅問題の要望について、環境が確かに変化しつつあることは事実であります。終戦後絶対不足戸数が四百万戸と言われておって、住宅公団ができたのは鳩山内閣の昭和三十年。それ以後今日まで推移をいたしておるわけであります。そしていまはすでに量的には、家の内容はともかくも、二百七十万戸の空き家があるというような状況の中で、私たちは質的向上を目指して住宅政策に取り組んできたことは事実であります。しかも、入っておられる方々の持ち家に対する要望が非常に急速に伸びてきたということ、これは自然の増勢で、数字的にも否めない事実でございます。したがって、そうした要望にもこたえながら持ち家制度を進めてまいった実態が四〇%、六〇%から七〇%、三〇%というような形で推移してきたわけであります。その中において大都市における勤労者の方々の住宅政策がいろいろと問題点になってきたわけで、全く御指摘のように、大都市における公的賃貸住宅というものについての志向はこれからの問題というよりも、住宅政策の屈折点として重点課題としてやるべき環境になりつつあることは事実でありましょう。ただ、宅地政策とのかかわり合いで、過密化した都市の中で宅地の確保ということが非常にむずかしい、しかも採算性の問題から家賃の問題にも波及していくわけですけれども、とにもかくにも公的賃貸住宅大都市圏等々を中心にこれからもいままでと違った形で進めてまいらなければならないということはよく承知いたしておりますので、先生の御意見を拝聴しながら今後その面に向かって進めてまいりたい、このように考えるものであります。
  71. 井上普方

    井上(普)委員 それでは私は、飛び飛びになりまして雑駁な質問になりますけれども、家賃ということに考え方を移してお伺いいたしたい。  住宅公団、あなたのところで使っておる金は金利は幾らですか。
  72. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 財投資金としてお借りしている金が現在金利八・五%でございます。これを賃貸住宅に、私どもが家賃を計算いたします場合には、これは物によって違いますが、再開発的な面開発の賃貸住宅でございますと四・五%、それから一般の団地の住宅でございますと五%ということで計算することになっておりまして、その間の四%あるいは三・五%については利子補給をいただいているという形になっております。
  73. 井上普方

    井上(普)委員 おたくの使っているこの金には、生命保険とかそういうような金は入っていませんか。その金利は幾らですか。
  74. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 宅地開発とか施設とか、そういうものには民間資金を入れておりますが、現在では賃貸住宅、分譲住宅につきましては民間資金は入っておりません。
  75. 井上普方

    井上(普)委員 賃貸住宅は財投の金だけで行っているのですか。
  76. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 さようでございます。
  77. 井上普方

    井上(普)委員 その敷地についてもそうですか。
  78. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 敷地については二通りございまして、敷地をそのまますぐ住宅を建てる場合と、それからたとえば多摩ニュータウン等大規模ないわゆる宅地開発をする場合とございます。その大規模な宅地開発をする場合には一部民間資金が入ることになります。
  79. 井上普方

    井上(普)委員 まあ聞きましょう。大規模の場合、民間資金が入っていると言いますが、どのくらい、何%くらい入っていますか。そしてそれは金利は幾らですか。
  80. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 ちょっと宅地は私の担当でございませんので、資料はございますので、いま調べまして後ほど御報告申し上げます。
  81. 井上普方

    井上(普)委員 大体公共賃貸の敷地はやはり民間資金が入っているのでしょう。建物だけが財投でやられているのですよ。敷地と建物だったら、このごろであれば敷地の方が高いのはあたりまえの話です。このあたり、ともかくはっきり物を言ってもらわぬと、国民をごまかすようなことを言っては困る。  それはともかくといたしまして、ところが片方における金利につきましても、民間の宅地造成につきましては財投資金をかなり使っておると思いますが、どうですか。わかるところをお知らせ願いたいのですが……。
  82. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 ちょっと正確な数字はございませんが、私の記憶では大体六割程度財投資金を使っておるというように考えております。
  83. 井上普方

    井上(普)委員 民間の金利は幾らですか。
  84. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 民間の金利は、これもちょっと定かでございませんが、九・二、三%ではないかと考えております。
  85. 井上普方

    井上(普)委員 これは民間の資金をかなり使っておるはずなんです。九・何%というよりもむしろ一〇%近い金利で行われておるように思えてなりません。との資料はひとつ後でお伺いをするといたしまして、ともかく考え方自体としましても、何といいますか、公団の敷地をつくるのに民間の資金をかなり借りておる。しかも、かなりの高金利のものを使われておる。そうすると、持ち家政策に対しましては、御承知のように五・五%で推移いたしております。金利の面から言いましても、持ち家に対して比重を重きを置いてきたのであります。これは悪いとは私は申しません。しかし、いまの時代についてはやはり公共賃貸住宅についてはこういうような金利の面でも優遇処置を考える時期が来ている、こう思うのです。  私は公団にも罪はあると思う。考えてごらんなさい。あの多摩ニュータウンというのは、土地取得した途端に平らにしてしまって、山も谷も埋め尽くした。家が建つのは十四、五年後というのですから、工事費に対する金利が物すごくかさんできているはずです。元来安くつくらなければならない敷地がそういうために非常に高くなっておる。計画的にやらずに見通しもなしにやられてきた。これは土地取得についても同様です。土地取得についても、さあ土地は値上がりしてきた、もっと上がるぞというので、どこでもともかく不動産屋さんが将来困るだろうと思うような土地も全部公団が買ってしまって、あっぷあっぷ言い出して、とうとうこのごろになったらあそこの土地はひとつ地方自治体に買い取ってほしいなどということを住宅公団も言い出してきておる。これはもう実現しただろうと思うのでございますが、いずれにいたしましても、計画的あるいは長期見通しのもとに住宅政策がなされていない一つの証拠でなかろうかと私は思います。行き当たりばったりでありませんか、日本住宅政策は。今後もこういうことではいけないので、私は、先ほど来から申しますように、公共賃貸住宅に中心を置いた住宅政策にもとに返るべきである。もとに返って、その上で公共賃貸住宅に重点を置いた住宅政策を立案されることを強く要望いたしたいと思うのであります。  これは金利の面からもそうなのです。それについての施行主体である住宅公団において、このごろですと年間に一体どれぐらいつくっているのですか。ひとつここ四、五年の間の数字を示していただきたいのです。
  86. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 住宅公団の最近における建設戸数の実績を申し上げます。  予算戸数といたしましては、先生先ほど御指摘のように、五十年六万一尺六万一尺六万一尺それから五十三年以降四万一尺四万戸というような趨勢でございますが、実績戸数といたしましては、最近だけ申し上げますが、五十年は四万二百十三戸、五十一年が二万五千四百六十二戸五十二年が三万二千六百六十四戸、五十三年が三万五千二十五戸、五十四年はまだ締めておりません。そういう実績でございます。
  87. 井上普方

    井上(普)委員 一時は十万戸まで建てた公団なんです。それがこのように減ってきておる。予算戸数にしてもうんと減らした、実績はさらにそれを下回ってきている。このことについては再三にわたって私は申してきておるのでございますが、それなりに建設省及び住宅公団でも御努力をなさっておるとは思います。思っておりますが、どうですか、ちと情けないのじゃないですか。どこに原因があるのか。それで住宅公団の人員は依然と  して同じでしょう。
  88. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 事、最近におきまする住宅建設戸数の伸び悩み、特に住宅公団をめぐるいろいろな諸条件が変わってき、悪化しておるということに  つきましては、私どもとしましては過去においていろいろな問題を解決すべく努力してまいりました。しかしながら、一つの大きな問題は、いま議論になっております最近における土地取得難あるいは規模の増大を図らなければならないというような質的なものを要求する需要の変化等があります。もう一つは、地元の受け入れ体制との調整の問題等々が込みになりまして、住宅の建設の進捗が思わしくいかない、こういうような状況下にあるわけでございます。  それに対しまして、私どもは、現在定員が大体五千百名ちょっとでございますが、一月当たりと申しますか一カ所あたりの建設につきましても、従来にも増して非常に手の込んだ、期間のかかる仕事になっておりますけれども、定員としましては政府の削減もこれあり、大体現状のままで推移しているのが現実でございます。
  89. 井上普方

    井上(普)委員 再三言うておるのですけれども、公団というのは役所の計画的な面と民間の活力、これを生かして、そして効率のある仕事をやらすのだ、こういうことで公団は発足したのです。いまのお話を承りますと、どうも活力もなくなったし、あるいは計画的なものもできてない。根本的にひとつ御検討を願いたいと思うのです。これじゃいまの住宅公団のあり方それ自体からしまして、もはや当初の目的というのは達成できないのじゃないか、性格が失われつつあるのじゃないかという気がいたしますので、せっかくの御努力をひとつお願いいたしたいと思います。  それはともかくといたしまして、いずれにいたしましても宅地難だ、宅地の入手難だ、こうおっしゃる。そこで伺いたいのだが、またもとへ戻りますけれども、農住法をつくってそのつくられた土地に、住宅公団に建設さす、あるいはまた府県の公共住宅をつくるというような計画、考え方はあるのですか。
  90. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合につきましては、先ほど先生のお話ございましたけれども、必須事業ということで、土地の区画形質の変更と同時に上屋の建設を義務づけております。したがいまして、この二つの事業は必須ということでございまして、必ず認可の条件にもいたしております。  それからさらに権能といたしましては、その上に賃貸住宅をつくる場合もございますけれども、分譲する場合のケース考えております。権能としてはそうなっておりますけれども、譲り渡す相手もいわゆる上物が確実に建つものに限るという性質のものでございまして、国とか公団等も当然予定をしておるわけでございます。
  91. 井上普方

    井上(普)委員 そうしますと、なぜ一団の団地ということにして、二ヘクタールに限定しているのですか。
  92. 山岡一男

    山岡政府委員 市街化区域内の農地の状況を見ますと、まとまりといたしましては小さいものも相当大きいものもございます。したがいまして、大きいものしか認めないという制度ではなくて、小さいものも参加できるように最小限の規模を考えたというものでございます。
  93. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、最小限度が二ヘクタールなんですか、一ヘクタールなんですか。
  94. 山岡一男

    山岡政府委員 二ヘクタールの規模を考えております。
  95. 井上普方

    井上(普)委員 最小限度二ヘクタールの土地ということでございますね。そうすると、最小限度の二ヘクタールの土地で平均的にどれぐらいの組合員になる考え方なんですか。
  96. 山岡一男

    山岡政府委員 先生の御質問趣旨、間違えるかもわかりませんが、全国と申しますか、三大都市圏農地の賦存状況等を見まして私ども一般の積算といたしましてはやや大きいかなとは思いますけれども、十ヘクタール規模のものを基準としていろいろと考えております。しかし、応用動作といたしまして五ヘクタールのものもあれば二十ヘクタールのものもある。現地によりまして、実情に応じてまとまりが変わってくるだろうと思います。全体規模おおむね十ヘクタール程度ということで、もちろんこれは一つ手法でございまして、これで市街化区域内農地を全部覆い尽くすというものでは当然ございません。その中の一部をやるというものでございますが、私どもの努力目標といたしましては、先ほど申し上げましたとおり四千ヘクタールぐらいできればいいな、それを努力目標にしたいなと考えておるわけでございまして、そのためにはやはり七百ぐらいの個所が出るのかなというふうにいま紙上プランとしては検討いたしております。
  97. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私はこの農住組合法という法案はなくてもいいのじゃないか、こんなものをわざわざいまつくらなければならないという必然性、しかも三大都市圏に限定したものをつくらなければならない理由に苦しむのです。苦しんでいるのですよ。何とかして、どういうのをひとつつくる理由づけをこの間二、三日考えてみたんですけれども、どうも小手先ばかりでこういうようなことをやっていいのかいなという感じがしてなりません。そう言ってあめばかりをいま表面に出しておりますけれども、このあめばかりを出して、土地所有者住宅難の勤労者の諸君との間の格差が余りにも大きいことを考えますと、このようなあめを出すことによっていいのかなという感がしないわけにはまいらないのであります。  いずれにいたしましても、こういうような四千ヘクタールという非常に小さい数字でありますけれども、どうして全国にこれを及ぼさないのかわからないのが第一点です。第二点は、こういうようなことをして果たして効率が上がるのだろうかということが第二点です。  現に都市計画法ができましてからもう十二、三年たちますけれども、ここの実態をひとつお伺いしたいのですが、都市計画法かできて、市街化区域に都市施設はどれくらいできているのですか。下水道において何%、道路において何%、それから公園緑地において何%。金で言ったらだめですよ。予算で言われたらぐあいが悪いので、道路、公園、下水あるいはその他の都市施設、当初計画いたしました何%達成しているのですか、お伺いしたいのです。
  98. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画上の主要な施設でございます街路、公園、下水道の三施設について申し上げますと、街路につきましては、都市計画街路のうち整備完了したもののパーセンテージが三四・七、大体一、五%、それから公園につきましては同じく四一%強、それから下水道につきましてはおおむね三〇%、三〇%弱でございます。大体そのような数字になっております。
  99. 井上普方

    井上(普)委員 私は、都市計画法をつくりましたときに、都市施設がやがて十年後にはどういうようになる。街路は、あるいは公園は、下水道は大体十五年後には完成するようなことを申されておったのですけれども、これを見ますと、えらい低いですな。その上にもってまいりまして、このごろは土地が足らぬというので、市街化調整区域をまたまた市街化区域に編入しようなんという考え方も出てきておるらしい。こんなことで一体いつまでに、現在の市街化区域の土地において街路、公園、下水が九〇%ぐらいまでできるのは大体いつごろなんですか、お伺いしたいのです。
  100. 升本達夫

    升本政府委員 先行きの見通しでございますのでなかなかむずかしい御質問かと思いますけれども、私どもの努力目標といたしましては、下水道につきましてはおおむね昭和七十五年の時点で欧米先進国のレベルまで追いつきたい。すなわち九〇%台の普及率を確保いたしたい。それから公園につきましては、同じくその時点で一人当たり二十平米の公園を確保いたしたい。現在は一人当たりの平米数にいたしますと四・二平米でございます。それから街路につきましては、現在市街地面積の一平方キロ当たり大体一キロメートルの街路が確保されておりますけれども、これを一平方キロ当たり三・五キロメートルというところまで持ってまいりたいというふうに考えておりまして、街路につきましては長期計画としてはっきりしためどが立てるまでに実は残念ながらもう小し時間を要するという段階にございます。
  101. 井上普方

    井上(普)委員 これは金丸さんもおられるときに、この都市計画法をつくるときには、都市施設というのは大体十五年ないし二十年には一〇〇%できるのだと期待を持ってつくった。そのために市街化区域一市街化調整区域というのをつくったのです。ところが、市街化区域、市街化調整区域をやった途端に、われわれの杞憂、われわれの心配、それが全く当たりまして、市街化区域の土地はぽんぽん上がってしまった。そしてこのような土地高騰の時期を迎えておるのであります。都市計画法というのが土地高騰一つの大きな契機になっておる。これはもう皆さん方もお認めになるのだろうと思う。当時私どもは、こんなことをやれば土地は上がるぞということを再三警鐘を鳴らしたのだけれども、皆さん方都市施設をつくるために、スプロール化したこの町を直すためにはやむを得ませんということでおつくりになった。市街化区域、市街化調整区域を設定した途端に土地というものはぼんぼん上がり始めた。その次にはもう御存じのように列島改造論というようなむちゃくちゃなものが出てまいりました。これが国民の心理に火をつけてまたまた上がってきたのが事実。そして現在では、土地というものは将来インフレヘッジのためにはどうしても必要なものだ、将来土地というものは値上がりするものだという神話をいま国民の中に定着させてしまった。これがここ十四、五年来の政策の失敗じゃなかったのでしょうか。もう私はこれ以上申しませんが、こういう点からするならば、こんな小手先のものをたくさん法律をつくるのをおやめなさい。根本的に土地政策考える時期が来ておるのじゃございませんか。憲法の二十九条を見ましても、私有権というものは公共のためであれば、正当なる報酬を与えることによって制限することもできるのです。ここらあたりを中心にして物事をお考え願いたいことを強く要求しておきたいと思うのであります。  最後でございますけれども、もう時間が参りましたのでこの程度にいたしますが、いずれにいたしましてもいまの国土庁の御説明によりますと、なぜこの農住法をつくらなければならないのか、その理由が私にはわからないことをひとつ申し上げて質問を終わります。
  102. 稲村利幸

    稲村委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時休憩      ————◇—————     午後一時開議
  103. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木間章君。
  104. 木間章

    ○木間委員 農住組合法のよって来る要因は、午前の審議の中でも明確になっておりますように、今日の住民ニーズから来る土地対策住宅対策、そういったものをどうするのか、今日までいろいろ努力をお互いに行ってきたところでありますが、決め手がなかなか困難な状況の中で、一つ手法としてこの法律案が提案されておる、このように私も理解をするわけであります。  そういった中で、まず土地問題についてお尋ねを申し上げたいのであります。  先般、十月十七日に衆議院本会議におきまして趣旨説明が行われ、そして私も社会党を代表いたしまして質問の機会を得たわけでありますが、そのときに、土地の価格値上がりにつきまして国土庁長官にお尋ねをいたしました。値上がりが大変激しいではないか、こういうことで数字を挙げて申し上げたのでありますが、長官はその質問に対しまして、鈍化の傾向を見せている、とはいうものの、大都市では目立つと答えられました。その根拠といいますか比較対象は、あの狂乱時期に入りました昭和四十七年、四十八年、そしてそのときには投機的な取引による値上がりを見たわけでありますが、それと比較をされましてか、そういったような状況は今日見受けられない、このように答弁をいただいたところであります。  そこで、投機的な取引は私の見た限りでは今日では存在をしないのではないだろうか、このように私も長官の御答弁を一部認めるわけでありますが、しかし、国土法の十二条あるいは十三条に言う急激な上昇と、長官の御答弁になっております、上昇が目立つ、こういう言葉の対比といいますか、比較といいますか、どうも私にはなかなかのみ込めないのであります。それは、先ほども言いましたように、物価の上昇、そういった中での企業倒産がいよいよ史上最高に残念ながらなりつつある、あるいはそういった中で労働者、そういった皆さんの賃金が物価に追いつかない、あるいはまた土地価格だけが大変大きな値上がりを見せておる、特に都市圏では大変なんだ、こういうことを数字を挙げながら申し上げたのでありますが、そういった中でのこの法の十二条の理解をまずさせていただきたいのであります。もちろん長官の御答弁には事務当局の皆さんも目を通されておると思いますから、まず当局の皆さんのお考えをお示しいただきたいのであります。
  105. 山岡一男

    山岡政府委員 国土利用計画法の十二条の運用の問題でございますが、これにつきましては、私ども、やはり投機的土地取引及び価格の急激な高騰、しかもそういうものがある地域に集中して起こるということが前提になっております。したがいまして、その構成要件が満たされるかどうかについて絶えず監視をする必要があるということで、監視体制をずっととっておるわけでございます。いま先生のお話にもございましたように、幸いにして投機的な取引はいまのところ影をひそめております。しかし、いっそういうようなことが生じることがあるかわからないわけでございまして、現在のところいろいろな対策で十分押さえ込めるという自信を持っておりますけれども、もしそういうような事態が起きました際には、遅滞なくこれを実施をするというのが基本の姿勢でございます。  御案内のとおり、十二条には、都道府県知事はそういうふうな場合には「指定するものとする。」と書いてございまして、指定することができるという表現にはなっておりません。しかしながら、同時に、抜き打ち的に指定をした後でも、土地利用審査会の議を経まして、その結果として否定をされました場合にはさかのぼって効力を失うというふうな構成になっておるわけでございます。基本の姿勢といたしましては、いつでもそういう事態が生じた場合には機動的、有効的にやるんだという姿勢が基本の姿勢でございますけれども、当面は、そういう構成要件の中で監視を続けるというのが現状でございます。  十三条につきましては、これはやはり、この法案の成立いたします際に、こういうようなものについてはやはり第一義的には知事の判断にすべて任せるべきだ、余り国が関与すべきでな、両県にまたがるような場合には別でございますけれども、そういうような特別の事由がない場合にはあくまで知事の判断が優先すべきだという委員長からの御発言に対しまして、当時の企画庁長官から、そういう趣旨で運営いたしたいという答弁をしたいきさつがございます。その基本は現在でも守ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  106. 木間章

    ○木間委員 私のお聞きしたがったのは、法十二条あるいは十三条に言う急激な上昇という言葉の持つ意味といいますか、そして、長官が答弁の中で述べられました、上昇が目立つ、こういうことについて実は局長のお考え一つは示していただきたかったのであります。これまたひとつ引き続いてお願いをいたしますが、そこで、先ほどもちょっと触れましたが、本年八月の消費者物価は八・七%の上昇でありますし、地価公示全国平均は一二・三%、一月一日の調査でございます。東京圏では、特に住宅地は一八・三%、私は、まさに急激な上昇である、異常であると言わざるを得ないのであります。また、東京圏といっても大変広い区域にわたっております。十二条はたしか知事の権限の付与だと思いますが、東京圏の中には埼玉県、千葉県、そして神奈川県、東京都と、こういうきわめて広範囲にわたっておりますから、いろいろの文献を見ましても、諸先生の御説をお伺いしましても、局地的には優に三〇%に届いておる、こういうデータもあるところであります。ですから、そういった意味での急激な上昇と、上昇が目立つということと、もう一遍そこら辺をお聞かせいただきたいのです。というのは、この上昇が目立つというのは急激な範囲に入るのか入らないのか、ちょっと局長、お願いをしたいと思います。
  107. 山岡一男

    山岡政府委員 あくまで局地的なものもございますので一概に申し上げられないと思いますけれども、私ども、目立つという中には急激なものもあるというふうに御判断いただいて結構かと思います。  いま急激な上昇というものの判断基準はないのかというお話でございましたが、あくまで判断は知事が第一義的に行うというのが法の趣旨でございまして、そういうものについての基準は設けておりません。あくまでも原因が土地の投機的取引という場合のことを前提として知事さんが判断なさるというのが法のたてまえでございますが、ただ、一つ、現実に規制区域をもし指定をしたという場合には、地価が凍結になるわけでございます。ただ、地価が凍結になりますけれども、そういう凍結をされた地価につきましても、ある程度の物価の上昇等については上乗せをして許可をすることができるというような精神で書いてございます。その場合の、どの程度のものを最小限乗せるのかというようなことになりますと、これはいわゆる消費者物価指数、それから投資財指数、そういうものを大体かみ合わせまして、三カ月間のそういうふうな経過を過去の経過と比べてみるとかいうふうな範囲内で上乗せをすることができるというようなことを政令等で定めております。そういうものが一つの目安にはなろうかと思いますけれども、それは最小限上乗せする限度でございますので、それを超したから直ちに急激かどうかということは一概には言えない、しかし、一応の目安にはなるのではなかろうかと思う次第でございます。  東京都の具体の、個別の場所につきましてそういうふうなことをやってみておりませんので、断定的に申し上げられませんが、目立つという意味では四十七、八年当時のように一番高いところは二・三倍に上がりました。今回は効用増で上がったところも二九%というのがトップでございます。そういうところはずいぶんさま変わりしていると思いますけれども、二九%の上昇そのもの、もしくは平均一八%の上昇が高いのか安いのかと言われますと、目立つという表現にいたしましたのは、やはり相当急激だなという判断がバックにあったことは事実でございます。
  108. 木間章

    ○木間委員 同じくその関連で、長官から、国土法の的確な運用を図っていきます、こういう答弁をいただいておるわけでありますから、やはり国土法十二条、十三条の規定を重視しなければ今日の地価対策の対応はできていかないと思うのです。もっとも国土庁の発足した歴史、また目的からいってもまさに土地対策が中心課題でありまして、そういった意味でのこの国土法の運用を的確にやっていかなければならない、このように思っておるところであります。  そこで、いま局長は、十二条、十三条の急激な上昇についての物差しは持っていない、決めるとしてもいろいろの行政全体の中での、国民生活実態の中での横縦の関連も配慮しなければならないし、こういう御答弁であったと思うのであります。この国土法ができたときに、その直前の委員会で十分に各委員の方から論議が集中されておりました。  その議事録を参考までに持ってきたのでありますが、委員質問に——この法案は議員提案でありましたので、委員の皆さんが質問され、その草案を担当された委員の皆さんが答弁席に立っておいでるわけでありますが、質問された委員土地高騰というものの判断について意見を求めております。答えられた委員の御発言は「その土地の価格が常識的以上に高騰するというような場合をさしておるのでありまして、どういう場合と具体的に言われても、ここで申し上げることは非常にむずかしいと思います」。局長もそれに似たようなことを言っておいでるわけでありますが、ところが、「読んで字のごとしだという答弁」が出ております。回答者も「それは常識的に考えていただければ、おのずから答えが出てくる」——私もまた漢和辞書で騰貴の騰という字を繰ってみましたが、月夜に馬がはね上がる、こういうことでありますから、狂乱物価のときのように二百何%上がる、今日そういう状況ではないわけでありますが、しかし、国民生活実態の中で土地高騰というのはまさにそれに匹敵するような、いまの国民ニーズからいって見受けられておると思います。  それからまた、同じこの委員会で議員立法であったので中身としては多少粗いかもしれない、だけど土地価格を含めた国土利用計画をみんなで知恵を出し合ってやっていこう、こういう御発言が続いておりますし、そういった中では役所にも十分それらを練っていただく。すでに六年の歳月をを経ておるわけであります。ですから、そういった意味での御検討がないというのはきわめて残念だと実は思わざるを得ないのであります。  また、公示価格そのものが一体地価と比較してどんな目安を持つものだろうか、こういう質問も出ております。それでそれは何とか抑えたい、抑えることが主目的であるから、実際売買価格周辺の、そういった価格の大体七〇%ないし八〇%でないだろうか、こういうやりとりも実は行われておるところでありますから、まさにこの公示価格そのものは低く抑えたい、そういう発想からに違いありません。私はやはりそうでなければいけないと思います。しかし、いま局長の御答弁を聞いておりましても、本来の主目的である国土庁において、この国土法の的確な運用について細部にわたる御検討をお願いしなければなりませんし、長官も私の質問に答えて運用をやっていって国民の皆さんの理解を得たい、このように実は述べておいでますから、そういった決意を含めて局長さんにお願いを申し上げたいと思います。大臣には先般本会議で承りましたので、御答弁をいただく必要はないと私は思っております。
  109. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども国土利用計画法の運用につきまして、先ほど来申し上げましたとおり法律を正確、確実に実施したいという信念に燃えております。したがいまして、絶えず監視を励行しながら、十二条の発動につきましても、そういう事態が起きましたときには機動的かつ有効に活用したいという精神でおります。そのために国土利用計画法の運用に当たりまして政省令等におきましても一番詳しく細目を決めておりますのは規制区域の関係の条項でございます。さらにそういうことについての決意を再三通達によりましても地方公共団体等にも示しておりますし、さらにそういうものにつきまして会議等におきましても絶えず状況報告を聞きながら、いざという場合はやるんだという話をいつもいたしております。それが基本の姿勢でございます。  それから公示価格の目安の話が出ましたけれども、先生おっしゃいましたように、当時そういうお話が出たことは事実であったと思います。当時の議論の中では、いわゆる町で売っている店頭価格というのは同じ物件について方々で違っておるじゃないか、そういうものに一つの目安を与える必要もあるぞ、そういうことからいいますと高いのもある安いのもある、その中で普通の取引価格だけではなくて、正常な価格という意味で鑑定技術を駆使した新しい価格の確立を図るべきだというのが当時の御議論であったと思います。したがいまして、地価公示の運用につきましても私ども厳正に行ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  110. 木間章

    ○木間委員 そこで私は、もう一つ大事なことは、この十二条あるいは十三条の法律運営上の解釈についてちょっと確認の意味でお尋ねをしたいと思うのでありますが、国土法をちょっと局長開いていただけませんか。まあ頭の中に入っておると思いますが、十二条の一項一号ですが、「その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、」云々と書いてあるのですね。また、十三条にも「投機的取引及び地価高騰」云々と書いてありますが、この「及び」の持つ意味についてお尋ねをしたいのです。というのは、投機的、そして投機というのが二つの条件を備えていなければならないのか、あるいはその片一方を選択するものなのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  111. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生が後でおっしゃいましたように選択する場合には法律上は「又は」と書くわけでございます。したがいまして、この「及び」というのは二つが要件であると解釈いたしております。
  112. 木間章

    ○木間委員 局長のおっしゃる意味は私もわかります。ここに法制局もおいでになりませんが、特に求める必要もなかったと思いますが、確かに二つの条件を備えていなければならないときには、及び、並びになるでしょうし、選択の場合には、または、もしくはになると思います。私は先ほどから申し上げておりますが、局長も、そしてまた長官も、投機的なものは見受けられなかった、だから急激な上昇が起こっておるけれども、この十二条もしくは十三条の発動がないのだ、こういう根拠に立っておいでになると私は判断をいたします。それでいいのですね。  そうなりますと、この法文そのものに大きな今日的な問題を持つのではないだろうか。確かに四十七年、四十八年の売り惜しみ、買いあさりという時代でありましたから、この表現はそのときなりに的を射ておったと実は私は思っております。以来いろいろの諸制度を駆使されまして鎮静化に向かい、そして下降ぎみをたどっておったのでありますが、ここでまた上昇を見ておる。そういった中で、国民は一戸建ての住宅を持ちたい、しかし国の住宅に対する基本的な考え方は、高い、狭い、遠いという高、狭、遠が今日の賃貸住宅の代名詞になっておるわけでありますが、そういった中でささやかな抵抗で何とか土地を求めて住宅を建てたい、そういうニーズが全国的に起こっておりますし、特に三大都市圏においては深刻な要請が起こっておりますから、四十九年当時の、制定された当時の国民感情と今日の国民感情との中にそういった変化が起こっておる。ですから私は、今日の土地価格公示の前段の作業にせよ、またこれから第四期住宅五カ年計画が立てられるわけでありますが、いろいろの統計がとられておりますが、数字だけをながめての今日の法運用でないだろうか、このことを指摘せざるを得ません。そしてまた、国土法そのものがいま国土の利用について中核でなければなりませんし、またこれが唯一の集大成の法律でないだろうか。大きな期待をしながら私はこの建設委員会に参加をさせていただいておるわけでありますか、いままたその法律の運用といいますか生かし方に、こういう表現はよくないと思いますが、手を抜いておられるわけでないとは思いますが、法運用にいま一つパンチがきかない。私はこういったところにも一つの要因を持っておるだろう、こう指摘をせざるを得ないのであります。  ですから、私がいま申し上げました十二条、十三条の問題についても、ひとつこれから十二分に御検討をしていただきたいのであります。そして、長官が答弁をされております、国土利用法の的確な運営を図っていきたい、まさに国民の二ーズにこたえていきたいという姿勢を、意向を見せていただきたいことをお願いを申し上げておきたいと思います。  土地問題でいま幾つかの御質問を申し上げようと思っておりましたが、わが党の先輩であります井上委員の方から申されました。ですから、私は意見として申し上げておきたいと思いますが、宅地関連の手法として、今日まで土地区画整理事業なりあるいは生産緑地法、その他の運用もされてきておるわけであります。もちろん、土地区画整理事業本来の目的目的で遂行されておると私は思うのです。たとえば、入りまじりになっておる今日の土地の区画を、公共事業といったもの、道路とか公園等々をふんだんに取り入れて整然としたものにやっていきたい、そして住民生活に還元をしていきたい、こういうことで公的資金も取り入れられまして行われてきたのですから、そういう一つ目的はあると思います。しかし、これも近年の国民ニーズその他からいって、やはり宅地を生み出す一つ手法をとられていかなければいけないと思うのであります。  くどいようでありますが、これも国土庁の大きな一つの任務でもあろうと思います。先ほどの答弁で、建設省の局長は、角をためて牛を殺すような方法を絶対にとらない、そういった中で努力をしていきたい、こういうことも言っておられますが、私は、そういった一つの法制度を運用するときに、たとえばどこの土地がだれに流れるのか、そしてそのときの価格はどうあるのか、また今日の都市が持つ大きな悩み、自治体がそういった面で悩んでおるわけでありますが、スプロール化をどういう観念に発展をしていくのだろうか、そういったいろいろの要素を調査をしながら、見きわめながら、法運用をされていかなければならないと思うのであります。  当然、区画整理事業でありますから宅地に提供される部分も出てくるわけであります。もっともっと思い切った宅地提供の場を求めていきたい。井上委員も言っておりますが、確かに首都圏では、建設省の調査でも一万八千ヘクタールが今日眠っておる。ひがんだ見方ではありませんが、値上がり待ちに死蔵されておる。一万八千ヘクタールは、優に六年分の需要に相当するのだ。こういうことが建設省の調査でも明らかになっております。そういったものを、これから住民ニーズにこたえていくための、いろいろの手段、方法をやっていきたいという局長のお考えだったと思いますから、そういう意味では、くどいようでありますが、いまほど申し上げましたように、その土地がどういった流れをするのか、価格的にどうなっていくのか、市場価格に任せるというのではなくて、行政介入というのはきわめて必要だろうし当然だろうと思うわけでありますから、そういった意味を含めながら有効利用をしていただくように意見として申し上げておきたいと思うのであります。  次に、住宅問題について御質問を若干申し上げてみたいと思います。  公共賃貸住宅の問題でありますが、先般建設省から資料をいただきました。昭和四十四年から五十四年まで十カ年間の賃貸住宅の流れがどうなっておるだろうか。私にとりましてはきわめて残念な結果になっておるわけであります。公営住宅では昭和四十六年、これは実績でございますが、十一万二千です。四十七年には十万に落ち込み、今日では六万九千、半分に下がっておるわけであります。公団住宅でも四十六年には六万近くありましたが、今日ではわずかの三千六百七十六戸、これは年間の建設実績見込みでございますが、こういうことになっておるわけであります。まずこの流れについて建設省の局長のお考えをひとつ示していただきたいのであります。
  113. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のありました公営住宅あるいは公団の賃貸住宅の建設戸数につきましては、最近におきましては計画を若干下回っておるということは実態でございます。このような公共賃貸住宅の建設が必ずしも順調にいっておらないという原因といたしましては、用地の取得難の問題であるとか、あるいはまた関連公共公益施設の整備につきましての地方公共団体との調整の難航、あるいはまた居住環境の整備保全に関する周辺住民との調整の難航等が共通するような問題であろうかと思われます。また公営住宅につきましては、最近かなり建てかえ事業を推進しておりますが、これも入居者と十分に詰めた御相談をいたさなければいけませんが、それらが必ずしも円滑にいっていないというようなこと等が主な原因として考えられようかと思います。私どももこのような状況に対処するために従来からも種々の対策を講じてきておりますが、一つには住宅宅地関連公共施設の整備促進事業昭和五十三年度から実施いたしておりますが、この事業の拡充、あるいはまた用地費単価の引き上げであるとか、その他の周辺対策事業を進めることによりまして今後一層その建設を促進したい、このように考えております。
  114. 木間章

    ○木間委員 決意のほどはよくわかるのでありますが、ちなみに五十六年度の計画はどうかただしてみたところ、五十五年の実績がまだ出ておりませんが、五十五年の計画が七万戸でありました。五十六年は六万戸と、実は一万戸の減にいま設定をされておるようであります。公団住宅は五十五年計画一万に対して一万二千戸、やや増ということでございます。しかし、いま国民の皆さんが求めておるこの期待からこの数字は遠く離れておると私は言わざるを得ないのであります。また、地元自治体との関係も大変困難だ、このようにおっしゃっております。精神的にだけ、もっとやってくれ、こういうふうにやったらどうかと指導されても、地方自治体ではなかなか受け入れが困難でありましょう。局長もすでに御存じのとおり、超過負担の問題がもろにかかってくるわけであります。  私は去る国会で公営住宅法一部改正のときにも申し上げたのでありますが、土地取得について抜本的にてこ入れをしなかったら今日の住宅問題は解決しませんよ。まさにこのことが裏返しに出ておると思います。いませっかく住宅を建てるものでも、自治体は安いところへ行かざるを得ません。それは勢いへんぴなところということになるわけでありまして、高、狭、遠が今日の賃貸住宅の代名詞であるとするならば、当然住民は避けようといたしましょうし、せっかく建てても空き家が目立つというのも今日の実態でありますから、私はそういう意味での発想の転換といいますか、住宅に対する見方といいますか、いま局長は、いろいろの要素はあって困難だが乗り越えていきますという決意を示されましたから、当然そういったことを念頭に置かれておると思いますが、取り組んでいただかなければならないと思います。この種の住宅の中でも、ある地区では百倍を超えるという応募率が今日そのことを物語っておると思うわけであります。ですから建設省は、国土庁と不離一体の形での土地対策の重視をひとつお願い申し上げたいと思うのであります。その決意をひとつお願いいたします。
  115. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からも御指摘ありましたように、住宅の建設はまた、都市問題であり、土地問題でもあるわけでございますので、国土関係の部局とも十分相携えまして、立地条件の改善あるいはまた建設戸数の確保、そういったことについては十分心いたしまして関係方面を指導してまいりたいと思っております。
  116. 木間章

    ○木間委員 同じ住宅問題でちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、最近よく耳にする問題にミニ開発、これは土地のことを直接的には指すでしょうが、取得された方は当然その上に住宅、上物を載せられるわけでありますから、そういった意味では住宅という表現の方が的確と思いますが、このミニ開発という範囲といいましょうか、建設省の用語では狭小住宅という表現もされておりますが、その一つの目安といいますか、そういったものをお持ちでしたら、ひとつお示しいただきたいと思います。
  117. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  ミニ開発といいますのは、正確な定義は実はございませんが、私どもは、一般的には、開発許可の対象とならない小規模の開発を行いまして、きわめて小規模に分割した宅地住宅が連檐して建築されている、その結果といたしまして、敷地が狭小なだけでなくて、行きどまり道路であるとかあるいはまた屈曲した道路の問題が出てきたり、あるいは住環境の悪化あるいは防災性の低下、そういったような問題の多く持っておりますような町並みが形成されているものをミニ開発というふうに考えております。
  118. 木間章

    ○木間委員 局長、言葉の表現だけではなかなか理解しにくいのですが、単位、たとえば百平方メートルとか八十平方メートルとかあるいは百二十平方メートルを想定しておるのだ、きっぱりと断定はなかなかできないと思いますが、局長のいま胸の中に持っておいでますその単位で結構でございますから、お示しいただきたいと思います。
  119. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。具体的に何平方メートルかといいますと、その土地の立地条件といいますか、住宅の建てられます地域によりまして、若干確定的なその数字が言えない変化がありますが、一般的に言いますと、二戸建ての専用の住宅につきまして見た場合に、おおむね百平方メートル未満のような土地に連立して建っているといったようなことをわれわれとしては通常頭の中に考えております。
  120. 木間章

    ○木間委員 そこで私は、数字的なものも若干見させていただきました。これは国土庁の方でまとめられた統計でありますから、私はこれについて、一、二質問をさせていただきたいと思いますか、東京都における距離圏別の狭小な土地所有者の割合というのを一つ見たことがあります。ゼロから十キロ以内、十キロから二十キロの範囲内、こういうことで出ておりますが、この変化を見ておりますと、たとえば十キロ未満の地区で、俗に言うミニ開発は、その地域の土地所有者の割合から言いますと、五十年度で四五・二%ありました。だんだん漸増いたしまして、五十三年には四六・六%になっております。四十キロから五十キロ、大変遠いところでもこの数字はふえておるというのが現状であります。昭和五十年に一〇・一、そしてふえまして、五十三年には一一・九、このように実は出ております。  いま一つのデータでございますが、住宅に困っている世帯の状況、これもながめてみました。東京圏では、四十八年と五十三年の数字が出ております。持ち家で、四十八年、二七%、五十三年、三二・七%です。借家で、四十八年五四・七、五十三年五六・七、これもふえております。  いま一つ数字ですが、住宅に困っている理由、こういった統計もありました。東京圏の数値も非常に国民のニーズがあらわれておると思いますが、四十八年当時なかった、庭がないあるいは狭い、こういったアンケート結果が五十三年には八・〇とふえております。また、プライバシーが侵害されておる、四十八年にゼロだったものが今日二・八。まさに狭小住宅がある意味ではここへ反映しておるような気がしてならぬわけであります。  この三つの表を比較いたしまして私なりに分析をして御質問するわけでありますが、一つは、遠いところも含めてミニ開発がふえておるということ、そして第二には、住宅に困っている人が三大都市圏でも持ち家、借家についてもそれぞれふえておる、第三点には、庭がない、あっても狭い、プライバシーが守られない、これも先ほど言いましたようにふえておるところであります。これは、自分のものになるなら少々環境が悪くてもやむを得ぬわい、値段も手ごろだし、こういうことが実は私なりに理解をしたところでありますが、ひとつ局長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  いまお話しのいろいろな資料につきましての状況でございますが、私どもも一般的には、昭和四十八年の調査から昭和五十三年の住宅統計調査あるいはまた住宅需要実態調査等を見ました場合に、従来の住宅の状況というものは、まず戸数においてはかなり達成できておる、それからまた居住条件の第一であります住宅の規模、これについても年々改善をされてきているというふうには考えられます。しかしながら、また一面いわゆる国民の皆様方のニーズが高まってまいっておりまして、いま御指摘の住宅需要実態調査によります住宅困窮の度合いにつきましては、四十八年より五十三年の方が住宅に困っていらっしゃる方の率はふえておる、またその内容につきましても、従来は住宅が狭い、あるいはまた建物が老朽化して住むに耐えられないといったようないわば絶対的な困窮という方々が多かったわけでございますが、最近では御指摘のように庭の問題あるいは環境の問題等、その御要望も非常に高度化し多様化しておる、そういうふうに感じられます。私どもも、そういった実態に即応するとともに、また私どもが目標といたしております、六十年度を目標といたします最低居住水準の確保あるいはまた平均居住水準以上の率に高める等のことにつきまして、なおいまの環境を含めて今後努力しなければならないというふうに考えております。
  122. 木間章

    ○木間委員 環境整備を含めて努力をするということは、このミニ開発について規制をされるんじゃなかろうか。それは、木造住宅でありますから、三十年後、五十年後を想定したときに、今日でさえ生活環境が非常に劣悪な状況の中で建っておるわけでありますから、その年月がたちますとまさにスラム街になるんじゃなかろうか、そういう御発想があるような気が私なりにしますが、これについてどうでしょうか。
  123. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 仰せのとおり私どもも、今後の住宅政策方向といたしましても、一つには住宅の規模といいますか、そういう面からも見る居住条件の改善、これは当然重要でございますが、さらには住環境というものを重視していかなければいけない、住宅が長い期間にわたってその地域を形成し都市を形成する重要な要素であることを考えますと、ミニ開発が集まることによりまして将来環境の悪い地域社会が形成されるということは何とか防ぎたいというふうに考えておりまして、これらの規制という方向では、たとえば開発許可の対象規模の引き下げによって対処するとかあるいはまた公的な立場で関連公共施設、公益施設の整備を強化いたしますとか、あるいはまた去る第九十一国会におきまして成立を見ました地区計画制度、こういうものの運用を図っていく等々、いろいろな措置を講じまして良好な市街地を形成するように努めたいというふうに考えております。
  124. 木間章

    ○木間委員 建設省はいまの答弁の中では持ち家志向になったという表現をされていないのでありますが、この間皆さんの御発言の中にもずいぶんとありました。それに刺激をされてかアパート住まいの人が、向かいもいよいよ引っ越ししたぞ、やつ隣も住宅を建てておいでになるらしい。そして役所はどんどん持ち家制度をあおり立てる。しかし自分の財布との関係からいって、いま一番出ておりますような三千万前後の住宅はなかなか買えない。ささやかな願いといいますか、国の土地政策住宅政策に対する抵抗といいますか、このようにそれなりに努力して求められる。確かに私も見てきましたし、都市周辺にはずいぶんと並んでおります。環境は決していいものではないと私も認めますが、しかし、国民の願い、ニーズがそこに集中されておると私は思います。そして局長も述べられたが、私もやっぱり何とか手を打たなければと思う一人であります。しかし国民の生活実態からいきますと、これが今日の現状であろうと思います。ですから私は、それらにいまから、規制という言葉はよくないと思いますが、指導しなければならない、指導するときには公共賃貸住宅を国民のニーズに合うところで建設をやっていかなければならないと思うのであります。先ほど五十六年度の計画も見たわけでありますが、いま役所が考えておいでになることからいって国民のニーズに本当に合うのかどうか。私は残念で仕方がないわけであります。ですから言葉の表現だけで、的確に対応したいだけでは国民は納得しないと私は思うのであります。それこそ政治に関心を持たない、だんだん離れていかざるを得ない、こういうことがうかがい知れてなりません。確かに二十三区の各区や市の実態を見ておりますと規制も近年出てきております。建設省の方の御指導もあったでありましょうが、私は規制するだけではこの種のものは後を絶たないだろうと実は思うわけであります。それには何と言いましても公営住宅の建設、賃貸住宅の建設がそうした高、狭、遠じゃなくて、それこそ財政的なてこ入れでやっていかなかったらこの問題は解決しないと思うのであります。  収入の面と住宅の面といま一つ比較をしてみたいと思いますが、「住宅用地購入者の所得階層別構成」、この表を調べてみたわけであります。つまり住宅用地購入者の状況なんですが、職業別にはサラリーマンが六五%を占めておる。そして所得階層別で見ますと、年収四百万未満の人が六八%を占めておる。年齢別では三十代、四十代が全体の六三%である、こういうことが実は出ておるわけであります。先ほども言いましたように、今日のこの東京近辺の住宅は建て売り住宅なんかを平均いたしましても優に三千万を超えておる。そこへ自分も入りたいけれども、先ほど言いましたように、四百万前後ではとうてい手が出ないわけであります。ところが、今日、毎朝配られてくる新聞を見ましても、広告なりチラシを見ましても、住宅問題の載っていない日はないわけであります。ですから、庶民にとってはため息が出ると言わざるを得ないのでありますが、私はやはり規制をすること、そのことに一つの問題意識をこの表の中からも持つわけでありますから、そういった規制をやる場合、規制が先なのか何なのか、私はやはりこの際に局長の決意を聞いておきたいと思うのであります。
  125. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生御指摘のように住宅状況の問題につきましては、先ほど改善の状況が見られると私が申し上げましたけれども、大都市地域において特に借家に居住していらっしゃる方々につきまして、私どもの基準によります最低居住水準未満の率が高いということは出ております。したがいまして、今後の方策といたしましては、大都市地域に重点的に公共の賃貸住宅を建設をいたしまして、借家居住者の方々の居住条件の改善を図るということがまず第一に必要だと思っております。また、いまの一般的なミニ開発につきましては、確かに土地の価格が高い、そしてまたささやかな所得では大きな規模の土地が買えないというような問題もあってそういうような流れになっているかと思いますけれども、しかし一面、せっかくつくられました住宅が長年月たちましてその都市の形成の中でやはり環境の悪化を招き、もう一度また不良住宅地区として何とか手当てをしなければいかぬというふうなことになっては、これはやはり国民経済的に見ても不経済でありますし、御本人にとっても決して将来的にはいい住宅状況と言えませんので、私ども先ほど申しましたような誘導と、それからまた地区計画制度等の運用等いろいろな手法を活用いたしまして、新しい健康な市街地づくりというものを進めてまいりたいと思っております。
  126. 木間章

    ○木間委員局長 の決意を今度は四期五カ年計画でひとつお示しいただきたいと実は思うわけです。ところが、残念ながら、先ほどこの過去十カ年間の流れと今日あるいは明年度の計画を指摘も申し上げたのでありますが、いままでの私と局長のやりとりの中で局長の気持ちだけが何かきれいに聞こえますが、姿になってあらわれてこないということを申さざるを得ません。私は先般の代表質問でもこのことを端的に申し上げたわけであります。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕 建設大臣がおいでになれば大臣の感想もこのやりとりの中でお尋ねをしたかったのでありますが、たとえば私は第三期五カ年計画は過ちであったのではなかろうか、誤りであったのじゃなかろうか、そしてその反省の上に立って四期五カ年計画を立ててもらいたい、こう申し上げたのでありますが、過ちではなかった、しかし次の五カ年計画では十分対応していきます、こう言われておるわけでありますが、残念ながらこれが私の見た限りでは減っておるわけであります。ピーク時の半分にもなっていない一さらにそれを下回ろうという今日の計画でございますから、私は言葉の羅列だけでは納得できないのです。そういった意味で、これから四期五カ年計画は当然次の国会あたりに出されてくると思いますが、私はやはりここで局長のそういった意味も含めてもう一遍御確認をさせていただきたいと思うのであります。
  127. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  三期五カ年計画の実績の件でございますが、全体の公的資金によります建設戸数は御案内のとおり住宅金融公庫の融資住宅が大幅に伸びておりますので、先生御指摘の公団の賃貸住宅あるいはまた公営住宅等の停滞がありますものの、トータルといたしましては何とか一〇〇%を超えるような状況になったというようなことを申し上げたかと思うのでございますが、しかし先ほどお話し申し上げましたように大都市における借家層において必ずしも居住条件が十分にまだ改善されてない点のあることも事実でありますので、それを第四期五カ年計画の中では何とか解決をしたい、またそのような地域配分等も考えてまいりたいというふうに思っております。  ただ、先生御指摘の点は、恐らくそういう決意はあっても、公団の賃貸住宅とかあるいはまた公営の住宅等がなかなか建たない状況にある、そういったものについて具体的な手だてもひとつ十分織り込めという御趣旨であろうかと思います。私どもも一つには単に郊外の方に広がって住宅団地をつくるというだけでなくて、もっと職住近接の立場から市街地住宅といったようなものを再開発関連の諸制度とあわせて建設をする、あるいはまた公営住宅等につきましては相当のストックがあるわけでございますので、これらのストックのうち老朽化いたしましたものにつきまして建てかえを図り、戸数の増と環境の改善と両方をあわせ行う、あるいはまたかなり効果を発揮いたしております関連公共施設の整備事業等の拡充を図る、あるいはまた先般来私どもの方の計画局長、都市局長通達で市街化区域の線引きの見直し、あるいはまた調整区域における開発許可の促進等を図っていただいておりますが、公的住宅につきましては特段にそういうような拡充の中で関係の公共団体とも御相談をいたしまして建設に努められるように、またそれができるような予算的な措置あるいはまた制度的な手当ても行ってまいりたいと思っております。
  128. 木間章

    ○木間委員 この問題につきまして最後に御要望申し上げておきたいと思いますか、公営住宅制度は戦後間もなくのもっともっといまより別の意味での住宅難のときに制度化されたものであります。まさに福祉住宅だった、私はこう見ております。また法もその精神を貫いておるわけであります。今日ではニーズは変わったとは言いながら、昨今の物価高、とりわけこの土地政策のなさといいますか決め手がなかっただけに、ある意味での国民のニーズとの中にギャップが生まれておる。まさにニーズは変わっておるものの、やはり福祉的住宅制度の抜本的見直しは肝要だろうと思います。そういった意味での公営にせよ公団にせよ賃貸住宅に重きを置いていきたい、こういう局長のお考えも理解できるわけでありますから、私はいよいよ始まります次の五カ年計画に大きな希望を持っておりますので、ぜひそういった意味での計画を立てていただきますように、またこの討論を通じての若干のお気持ちの変化があれば、いまからでも遅くないのですから、思い切った変更を持つような中身での取り組みをお示しいただきたいと要望申し上げておきたいと思います。  次に、本法に入りたいと思いますが、午前の井上委員質問にも幾つか見られたわけでありますが、私はこの法律の持つ固有の事業が一体何なのかということに疑問を持っておるわけであります。端的に言って、今日進められております他の制度に任せよう、他の制度待ちだと言わざるを得ないのであります。ですから、この農住組合法案の持つ宅地供給の具体的なやつをひとつお示しいただきたいと思うのです。
  129. 山岡一男

    山岡政府委員 本法案で準備をいたしております農住組合一つの大きなメリットといたしまして、土地区画整理事業それから土地改良事業交換分合等を一つ事業主体でなし得るということがございます。さらに必須事業として、住宅建設を義務づけておるというようなことも特徴でございます。そのために、いま先生がおっしゃいました宅地供給促進のためにどんなイメージで仕事を行うのかということであろうかと思います。  まず、区画整理事業もしくは開発許可による宅地造成事業によりまして宅地の造成が行われます。造成が行われました宅地は、分譲住宅それから賃貸住宅の用地として供給されます。で、一定の場合には、住宅等の建設用地として更地のまま住宅建設が確実な方に売られるということもあります。  また、住宅の供給としては、分譲によるものと賃貸によるものがあるわけでございますが、特に農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法というのがございます。いわゆる農住利子補給法と従来言っておったものでございます。これにつきましても、こういったものの賃貸住宅がそういうことで建つことも期待いたしております。  それから、住宅金融公庫の融資でございます、特定土地担保賃貸住宅建設資金貸し付けそれから団地住宅建設購入資金貸し付け等の項目につきましては、これも当該事業に大いに活用していただきたいと期待をいたしております。  それから、日本住宅公団が行っておりますものに、民営賃貸用特定分譲住宅制度、いわゆる民賃と称しておるものがございます。これも公庫同様活用していただきたいと思っております。  で、具体の組合の地区内において行われることとなります事業の種類につきましては、いま申し上げたようなバラエティーがあるものを組み合わせまして、組合員の方々が地理的条件等によりましてうまく組み合わせてお使いになっていくというのが宅地供給のスタイルでございます。  さらに、そういうものの促進のための指導につきましては、この法案の中におきましても、宅地造成事業及び住宅の建設、賃貸または分譲事業組合の必須事業としていること、先ほど申し上げたことでございます。  同時に、宅地造成事業組合の地区内の市街化区域内農地等の全部または相当部分で実施するということを義務づけていること、それから、組合の地区内の市街化区域内農地の相当部分が組合事業により住宅地等転換される見込みが確実であるということを組合の設立の要件としていること等で宅地供給につきましての担保をいたしておるというふうに考えておるわけでございます。  なお、先生おっしゃいましたような趣旨に沿いまして、この法案が成立いたしました暁にはそういうことを駆使いたしまして、宅地供給が大いにできますように指導、努力をしてまいりたいと考えております。
  130. 木間章

    ○木間委員 どうもわからぬわけですが、これはまたこれからの審議を通じて理解をしたい、このように思っておる一人であります。  やはり何といいましても一番の原因は、土地価格の問題だろうと思うわけであります。宅地の放出をいただこう、そういった中でも気になるのは、やはり価格の問題であろうと思うわけです。こういった場合の価格の指導といいますか、ある意味での規制といいますか、これはどういう形でされようとするのでしょうか。
  131. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合として供給される宅地の値段ということでよろしゅうございましょうか。——先ほど申し上げましたいろいろな政府資金等による応援がございますが、これらにはいずれもそういうものについての制限が設けられております。その中で、公的資金を活用するという意味の供給が行われていくだろうと思っております。  それからさらに、この農住組合等で賃貸住宅をおつくりになるというような場合には、一般の場合と異なりまして、たとえば公的住宅でございましても地代相当分ということで六%ぐらいの地代を家賃の中に算入しておるわけでございますけれども、現実に従来まで行っておられました農家の方々の賃貸住宅経営等を見ますと、やはり六%よりももっと安い地代ということで経営なさる例が多うございます。いろいろな意味におきまして、安い住宅が供給されるのではないかというふうに思っております。  さらに、現在いろいろな予算要求等の中におきましても検討いたしておるわけでございますが、たとえば関連公共施設整備のための建設省に計上されております事業費等につきましても、こういう事業については優先的に配分していただくようなことをお願いしておるわけでございます。そういうものを加味してまいりまして、できるだけ安価なといいますか低廉な価格で宅地の供給ができるように取り計らっていきたいと考えておるわけでございます。
  132. 木間章

    ○木間委員 私は、この制度が施行されて実施の段階では、またまた再び土地の値上がりが心配になるわけであります。そういった意味でのいろいろの公的手法も講じてやっていかれる決意はいま聞いたわけですか、そういう手段、方法を駆使していった場合に再び土地の値上がりの引き金になるのじゃなかろうかという心配もされるわけですが、そういったものになるのかならないのか、局長の見通しみたいなもので結構でございますからお聞かせ願いたいと思います。
  133. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども、現在の土地価格の高騰の原因の中で一番問題なのは需給のギャップだというふうにたびたび申し上げております。  需給のギャップを埋めるということになりますと、やはり供給をふやすということが目下の急務であるということになります。したがいまして、黙っておけばいつまでも農地のままだというような状況のところに働きかけまして、皆さん方の燃える発意によりまして農住組合をつくっていただいて、せめてその半分でも宅地化を図っていくということが今後のねらいでございますので、そういうことから言いますと、宅地の供給がふえるということになります。長い目で見ていただけば宅地の供給がふえるということは、いま申し上げました需要と供給のギャップを埋めるということにつながるわけでございまして、そういう意味では地価の安定に大いに寄与するというふうに考えておる次第でございます。
  134. 木間章

    ○木間委員 土地区画整理事業などの例にも出ておったわけでありますが、大企業や大金持ちが再び買い占めをするのじゃなかろうか。それは昨今のいろいろの法仕組みの中でありますから投機的な買い占めはできないと思うのですが、たとえば自分の子供のために、孫のために、あるいはまた将来生まれるかもしれないそういった人たちのために買おうというような考え方だって出てくると私は思うのです。こういったものについての規制は実はありませんか、こういったものから想定をいたしますと、先ほどミニ開発の中でも申し上げましたが、収入の少ない方々といいますか所得の低い方々にはなかなか手に入らないようになっていく。私はやはりそういったような農住組合法制度であってはいけないと思いますが、そういったものに対する歯どめなりあるいは考え方なりお持ちですか。
  135. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、低廉な宅地を供給するということが大きなねらいでございます。たとえば、でき上がった宅地について投機的な買いが進まないかという先生のお話でございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、農住組合事業の中に必須事業というのを設けております。これはやはり土地区画整理を含みます土地の区画形質の変更でございます。営農すべきところと宅地化するところを集約をするという事業でございます。そしてさらに集約された宅地の上には必ず住宅を建設するということが必須事業になっております。また、そういう事業計画を持っておることが事業認可の要件ということになっております。したがいまして、そういうふうに住宅をつくるわけでございますから、素地そのものを取引の対象といたしまして投機が行われるということはないと思います。また、ないように指導していきたいと思っております。
  136. 木間章

    ○木間委員 それでは、この法律が施行されていきますと、いま局長もおっしゃるように、宅地の提供もいただくのだ、そういうことでありますが、どの程度宅地が供給されるのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのです。だが、そればいまの段階でございますから、はっきりした数字的なものは局長もなかなかおっしゃらないと思いますが、たとえば推計でも結構です、見通しでも結構ですからひとつお聞かせいただきたいと思います。
  137. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生からも言っていただきましたとおり、これは自発的な意思に基づきます農民の方々が結集してつくられる組合というたてまえでございまして、私ども、今後もいろいろと御相談に乗り、御指導申し上げてまいるわけでございますけれども、やはり何がしかの見通しを持たなければならぬのじゃないかということで、私なりに試算をしてみております。いま先生がおっしゃいましたように、この段階でまだ申し上げるような数字ではないかもわかりません。建設省、農林水産省等とも今後協議を詰めなければならぬわけでございますが、私ども現在腹づもりをしておりますところを申し上げてみますと、農住組合の平均的な地区面積だとか、農住組合の地区内の農地の割合だとか、農地等住宅地等転換割合だとか、公共用地の割合だとか、一市町村に平均的に設立される農住組合の数とか、それぞれについて仮説を立てる必要があります。それにつきまして私なりの仮説を設けて積み上げましたものといたしまして、今後十年間におおむね四千ヘクタール程度の供給ができるのではないか。これは、言葉をかえて申しますと、ちょうど日比谷公園の二百五十倍ぐらいというふうに思われます。そういうふうなことを努力目標としていたしておるわけでございます。  なお、この数字を別な見方をしてみますと、もくろみでいいとおっしゃいますので申し上げてみますと、これもやはりいろいろな推計があるわけでございますけれども、今後十年間におきます三大圏の需給ギャップというものにつきまして、他の手段、方法が講じられまして相当な宅地の供給が行われると思っております。そういう場合にも、せめてその半分ぐらいを目標にこういうもので埋めていったらどうか、またそれを大いに努力目標として相携えて努力したいと考えておるわけでございます。
  138. 木間章

    ○木間委員 この法律では、宅地供給に伴う関連公共事業農住組合でやるのだ、組合の負担でやるのだ、こういうことになっておるわけですが、これでいいのでしょうか。
  139. 山岡一男

    山岡政府委員 開発許可をもらいましたり土地区画整理事業で施行する場合でございますので、当然そういうことに相なります。しかし、そういう場合に、関連公共施設の整備事業費補助という五十三年度来建設省に設けられた制度がございますか、そういうものはこういうところに大いに活用していきたいというように考えておるわけでございます。
  140. 木間章

    ○木間委員 いま一つ、簡単な御質問ですが、当然宅地化されるわけですから人口も増になると思うのですが、その地域での人口増も当然あるわけですね。ということになりますと、いままで密度の少ないところに人が集まってくる。そして関連公共事業組合法人でおやりなさい、こういうことになるわけであります。先ほど公営住宅の方でも議論を申し上げたのでありますが、いま自治体は、福祉的な要素を持つ賃貸住宅でも、なかなか土地価格の問題その他で対応し切れない。いま農住組合にそのことを、公共負担をやっていこうということでありますから、私は、当然人が集まってくると、それらの経費はかさむ一方だろうと思うわけであります。そういった意味での、単に今日のいろいろの民間に対する助成制度を駆使してでも、なかなか公共団体の補助金その他の制度とは格段の開きを持っておると思いますから、そういった組合法人にその負担を転嫁をさせる、責任を持たせるということについて、私は少し納得できかねるのですが、局長ちょっとお考えを……。
  141. 山岡一男

    山岡政府委員 その点につきましては、一般土地区画整理事業、開発許可を受けて行う事業と全く同断でございます。私どもといたしましては、国の通常補助事業というようなものにつきまして当該地域に手厚く行くようにお願いする、同時に住宅宅地関連公共施設整備促進事業宅地開発等関連公共施設等整備事業債、住宅金融公庫の関連公共施設等融資等の活用を図りまして、そういうものについての援助を行っていきたいと思っております。一般制度の中で、やはり農住組合も同様にそういうような恩恵を受けるということになろうかと思います。
  142. 木間章

    ○木間委員 土地についてはそういうことでの手法を駆使していきたいということでございますが、賃貸住宅の場合にどういうことになるのでありましょうか。というのは、いま自治体でも土地取得が大変地価の値上がりで困難だということもありますが、家賃は原価主義をとっております。そうなってまいりますと、この民営の賃貸住宅でも、勢い家賃にそういったものがはね返ってくることは必至であります。公的資金の導入その他等の、一般公営住宅などとの差異がございますから、私は、やはり家賃についてのはね返りが心配になってならないわけであります。そうなってまいりますと、せっかく賃貸住宅をつくらせたが空き家ができたでは、この組合法人はたまったものではありません。もっともこの法律は、端的に申し上げますと農家の皆さんに不動産屋をやりなさい、免許はやらないけれども、という私の見方であります。いままですきくわを持ってやっておる農業についてはまだ経験も持っておりますから、そういった意味での事故なり発生率はきわめて少ないのです。むしろ、事故があってもそれは他の要件から来る事故でありましょうが、いま国土庁が指導されてこの種の、たとえば賃貸アパートをつくっていく、借り主がない、家賃の関係からない、高——狭、遠はどうか知りませんけれども、そういったものが起こってくる可能性をきわめて含んでおると思うのであります。ですから、私は、そうした組合法人に対する手だてももっと大所高所から検討をいただく必要があるのではないだろうか、農家のお百姓さん任せではいけないと思うのでありますが、そういったものに対する局長のお考えをひとつお示しいただきたいと思います。
  143. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほども申し上げましたとおり、そういうような農住組合が行います住宅建設、賃貸住宅の建設につきましては、農住利子補給制度土地担保賃貸住宅建設貸付制度、特定土地担保賃貸住宅建設資金貸し付け、団地住宅建設購入資金貸し付け、土地担保中高層耐火建築物建設購入資金貸し付け、民営賃貸用特定分譲住宅制度というのがたくさんございます。こういうものをいずれもリンクできるようなことを考えております。さらに、先ほど申し上げましたような関公につきましても活用してまいるということでございますので、やはり他の一般制度と比べましても、そういうふうな有利なものを大いに活用していただくということを念頭に置いております。さらに、先ほど申し上げましたように、そういうものにつきましていままでなかなか賃貸住宅が建たなかったゆえんは、自分ひとりではどうも経営が不安であるというようなこともバックにあったようでございます。そういうことにつきまして、地元の地方公共団体、農協等も応援するわけでございますし、そういうような意味で、認可の中の事業計画の中で、そういうものが十分成り立つような制度を認めて認可をしていく、また指導していくという方針をとってまいりますので、そういうような売れ残り等がないようにいたしたい、そういうふうに考えております。
  144. 木間章

    ○木間委員 先祖伝来の農業技術面においてはそれなりに技術者ぞろいでありますが、この種の新たな事業については全くのずぶの素人さんばかりであろうと思いますから、ぜひそういった意味での事故なり失敗なりが起こらないように、十分に指導、助成を含めてお願いを申し上げておきたいと思います。  最後に、自治省の方もお見えになっておりますので、宅地並み課税の問題でひとつお願いをしたいと思います。  まず、農地宅地並み課税目的といいますか、それについてお尋ねをしたいと思います。
  145. 渡辺功

    ○渡辺説明員 先生お尋ねの市街化区域農地宅地並み課税目的でございますが、これにお答えするためには、若干この制度ができましたときにさかのぼって申し上げなければならぬと思いますが、市街化区域内の農地の固定資産税につきましては、一つには周辺宅地との均衡論というのがございまして、負担の均衡論でございます。それからもう一つは、宅地化促進という政策上の観点、この二つから是正策を講ずべきだという議論が非常に強くなりまして、昭和四十六年度の税制改正におきまして、これは全国の市街化区域農地宅地並み課税を実施する、こういう税制改正が行われたわけでございます。しかし、これが実施段階に至りまして非常に反対論がございまして、たしかあのときは四党共同提案だったと思いますが、実態的には凍結ということに相なりました。  その後、昭和四十八年度から宅地化促進の要請が非常に強い首都圏、それから近畿圏、中部圏の既成市街地等の区域にあります特定の都市に所在します市街化区域農地のうち、これも限定いたしまして、比較的市街化が進んだ地域にあると考えられる農地、つまりA農地B農地と普通言っておりますけれども、これについて課税の適正化を図る現行制度ができたわけでございます。  そういったことを考え、経緯も考えますと、最近におきましては、宅地供給の促進という見地からする政策税制という観点が、あるいはそういう意味合いが非常に強くなっているというふうに理解しているところでございます。
  146. 木間章

    ○木間委員 そこで私ども先般来から、農協中央会など、今日営農に従事されておる皆さんの団体ともこれらについての意見交換も持ってきておるところでありますが、そこでいまお答えいただいたように、AB農地であっても、現に営農が行われているときはその緩和策をとるということで、農地並み課税が行われておるところであります。  この農住組合法の構想が発表されてから、農民団体や、また個々の農家の皆さんでも一番危惧をされておるのは、あめとむちの政策じゃないだろうか。その先に、先般の代表質問でも申し上げたのでありますが、C農地に対する宅地並み課税の問題、この法律が施行になったときにはどうなっていくのかということも申し上げたのでありますが、御答弁は、答申を受けておることもこれあり、あるいは各省庁との連絡調整も十分に図りながらということで、的確な返事をいただいていないのであります。しかし、農業団体等々の御意見の中には、そういったものが再び拍車をかけられてくるのではないだろうかと大変危惧をされておるところであります。  私たちも、そういった固定資産税の宅地並み課税につきましても、それなりの意見を持っておるわけでありますが、本会議の御答弁でなかなかわからないわけです。この法案が施行された段階で、この宅地並み課税についてどのように取り組んでいこうとされるのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  147. 山岡一男

    山岡政府委員 本会議の際に大臣から答弁がございましたように、本法案宅地並み課税の取り扱いにつきましては、直接の関係はございません。一般に固定資産税等にかかわりますいわゆる宅地並み課税の問題につきましては、御案内のとおり、五十四年度の税制改正におきまして、法案の中にも「検討」というのが附則に設けられておりまして、五十七年度からの施行について十分検討しろというふうに書いてございます。  さらに、政府税制調査会におきましても、「五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地課税の適正化措置対象に加えるとともに現在課税の適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する課税を強化するため、十分な検討を行うべきである。」というふうになっております。したがいまして、現在は私ども一生懸命検討する段階でございます。実際に関係の省庁の間で今後も十分検討を進めていきたいと思います。  ただ、その場合に、五十七年度以降の固定資産税等のいわゆる宅地並み課税について検討をなされます中で、この一団の営農地等に対する取り扱いについても、同時にその一環として検討されるということに相なるわけでございますけれども、私どもその際に、特に国土庁といたしましては、そういうふうな一団の営農地につきましては、農地利用規約等もつくるというようなものでもございますし、前に申しました税制改正に関する答申の中にございます「営農継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置」の中には当然に入るというふうに考えておりまして、そういう観点に立って国土庁としては今後この検討に臨んでまいりたいと思っておるわけでございます。  この宅地並み課税と農住法との関係におきまして、いま先生かおっしゃいました中にもちょっとございましたけれども、これが一つの踏み絵ではないのかというような議論がされておるようでございますけれども、実際の問題といたしまして、この農住組合法というのは、三大都市圏にございます市街化区域内農地の中の、全体ではなくて一部について行われる制度でございます。したがいまして、全体の制度としての検討の中で、その一部しかできない、ワン・オブ・ゼムであるこの制度の中の営農地をどう取り扱うかという問題でございまして、決して踏み絵などというような大それたものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  148. 木間章

    ○木間委員 いま局長がるる述べられたのですが、私は、宅地並み課税のそういったことこそ本末転倒でないだろうかと指摘せざるを得ぬのです。長官もあるいは局長も言っておいでになりますように、直接本法とは関係ありません、そのように断定をされておりながら、私もそう言ったのですが、答申もあり、関係省庁との調整を含めた話し合いをということをおっしゃっておいでになるのです。ですから、農協中央会の皆さんでも毒入りまんじゅうだ、こう実は最後におっしゃっておいでになります。農振法の適用も受けていない市街化区域の中で、さりとて都市計画法の範囲からも除外をされておる、そういった地域に従来何らかの便法をということで、農民の皆さんもいろいろ手だてを考えられておったところへいまこの法案が出てきたわけでありますが、しかしそれはいろいろの国民ニーズもこれあり、政治的判断もあったでしょうが、C農地については凍結をされてきておるわけであります。そこへ、いま主務官庁であります自治省が、実施するかどうかを含めての検討を続けていく、しておる最中なんだとおっしゃられれば、私は意味はよくわかります。国土庁は、長官も、局長もいま言われましたように、本来この種の問題については触れるべきではありません。ですから、私も誘導したような物の言い方で来ておりますが、大変残念でならないわけであります。まあ、時間も来ておりますが、そういった意味で私は局長の答弁に納得いきませんから、ひとつ重ねてお願いします。
  149. 山岡一男

    山岡政府委員 まず、確かに所管省は自治省でございます。しかし、同時に地価対策閣僚懇談会というのをことしの五月に設けておりまして、国土庁長官が主宰をいたしまして、関係九省庁で懇談会を持たれました。その懇談会の申し合わせ事項の最後の項に、この懇談会といたしましても政府の税制調査会答申を踏まえて十分検討していこうという申し合わせが行われております。  そういう意味で、従来からも私ども関係省庁間では、やはり最初にそういうような宅地並み課税が一番語られてまいりますのは、宅地の供給促進というような面もあるわけでございますので、私どももそういう意味でいろいろと検討さしていただく、検討の中に入れていただいておるということでございます。
  150. 木間章

    ○木間委員 最後に私の意見を申し上げておきたいと思います。  先ほど若干、この法律案の持つ項目について具体的にお示しいただきたい、こういう御質問を申し上げましたが、それは各事業官庁での手法にゆだねていくんだ。私の判断からいきますと、都合の悪いことは他の省庁に譲って、こういったものだけ国土庁で、まあ閣僚会議でどういったことがあったかは別といたしましても、しゃしゃり出られるという態度は、私はどうも納得できません。  そういった意味での私の意見を申し上げまして、長時間にわたりましていろいろ意見交換をさせていただきました、ぜひ国土法の持つ本旨を踏まえていただきまして、また国土庁におかれましても設立の原点に返っていただきまして、これからの土地政策に万全を期していただきたいことを要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。大変どうも御苦労さまでした。
  151. 中村靖

    中村(靖)委員長代理 薮仲義彦君。
  152. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、今般のこの農住組合法案に関連しまして、何点か長官並びに建設省、自治省にお伺いしたいと思います。  最初に、まず基本的な問題で長官にお伺いしたいわけであります。長官のみならず建設大臣のお考えもと思ったのですが、大臣所用でいらっしゃらないようですので、長官の御認識を最初に伺ってから質問に入りたいと思うのですが、まず私は、今回のこの農住組合法案、やはりこれは三大都市圏にある農地を有効に使おう、宅地の供給に資するためにこの法案を何とかということで、国土庁が今回提出なさったと思うのでありますけれども、私はこの国土の問題、いわゆる建設省、国土庁が所管する法律の中で、都市計画法であるとか国土利用計画法、こういう大きな法律によって日本土地政策というものが推進されているわけでございますが、一番基本になる問題は、いわゆる国土庁の認識の中に、現在の土地高騰土地需要と供給のアンバランスによる、需要に対して供給量が追いつかない、だから供給を何とかふやそうということで、その供給量の拡大を図る法案が次から次へと出てくる感じを受けるわけであります。  そのことは具体的に後ほどお伺いしますけれども、それでは、果たして需要に見合う供給を追っかけていって土地の値段というのは鎮静化してきているのか。私は、いわゆる今後の日本の国民生活、経済発展等を考えたときに、土地の値段の鎮静化ということを避けて通れない大事な段階にもう来ているのではないか。そこで私は、この土地に対する認識をまず長官にお伺いしたいのであります。  土地というものは生産できないわけであります。限られた土地である。それがいま公共の福祉ということより以上に、個人の財産形成、そういうことに非常に利用されている。土地を持っていることは得することだ、いわゆる貯金したりあるいは株に投資するよりも土地を持っている方が安定しているよ、もうかるよ。土地に対するもうかるという概念をどうしてもここで払拭しなければならない。土地を自分の必要以上に持っていることはかえって損するのだ、土地というものは国民共有の財産で公共のものだ、個人が、私が生活のために使う、あるいは事業のために使う、それ以上のものはむしろ公共の利用に資するように提供しましょう、もうそういうことに政策的に転換しなければ、いつまでたっても地価の抑制はできないのではないか。一切の諸悪の根源は私は地価高騰にあると思うのです。ですから私はここでやはり——需要に見合う供給をという政策は結構です。でも、後ほど申し上げますけれども、もはやそれでは追いつかない。地価を抑制する、そのためには個人が必要以上の土地を持つことは損である、そういう政策を国土庁そして建設省の法案の中身の中に盛り込んで、地価を抑制し、遊休土地は公共のために使っていただこう、国民共通の財産だという認識を国民全体に植えつける必要があると思うのですが、まずその基本的な考えから長官にお伺いしたいと思います。
  153. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  土地を持つことが、いま大いにそういう人々が、ふえておって、それで供給がとまっておる、だから土地高騰を来しておる、これはもう御案内のとおりであります。  それで、いま先生のおっしゃったように、そういう土地は個人のものではなくて国民全体のものである、こういう認識のもとに転換していきたい。そういうふうにすることについては原則的には反対ではございません。  しかし、一遍に直ちにその所有権をどうするかというようになってくると、また別のことを考えなければなりませんが、原則的にはそういうふうになっていくことを希望いたしております。
  154. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもう少し具体的にお伺いしますけれども、たとえば先ほど来同僚委員からも指摘がありました。やはりわれわれの人生、ライフサイクルの中で家を建てようということは一つの重要な、平和なあるいは幸福な家庭生活を営もう、あるいは子供の将来の教育のためにも良好な住宅環境というのが当然必要なことは、もういまさらここで申し上げるまでもない基本的なことです。いま都市部においてそれではマンションを購入しよう、こうなったときに、これは皆様御承知のように、大体いま二千二、三百万が限度じゃないかと言われておりますけれども、いまじゃそれをはるかに超えて、二千五百万を超えるようになっている。そうするとマンション購入ということは非常に困難な土地住宅高騰になっております。  先ほど来指摘がございましたけれども、おのおの人生があります。おのおの職場でそれぞれの目標を持って社会に貢献し、もちろん国、世界に貢献している、それは当然です。でもその働きによって得た財貨というものは主にどこに使われるか。家を建てる、土地を買う。人生のほとんどが土地を買い家を建てるために使われ、働いた金がそこにつぎ込まれる。そうなってくると、これからの国民生活というものは、建設省、国土庁がしっかりしないと土地を購入し家を建てるために一生働くのか。働いて得た財貨というものはむしろ文化、教養あるいは健康のためにもつともっと有効に国民は活用しなければならない。しかし、国の政策がきちっとしなければ、得た財貨というものがことごとくローン地獄と言われるように土地住宅を建てるために使われる。こういう政策がいまだに変わらないということに対しては多くの国民が政治不信を抱くと私は思うのです。ですからこの辺で、国民生活の少なくとも基本的な部分として住宅というものは楽に建てられる、ある程度努力をすれば建てられる、それ以上のものは、より豊かな文化的なあるいはもっといろんな意味でも、経済発展のために資するように、基本的なところで国土庁長官に押さえていただかないとこれは非常に大きな問題を含んでくるんではないかと私は思うのですが、そういう日本の将来の基本的な考えについて長官いかがでしょう。
  155. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  最前も申しましたとおり、原則的には賛成でございます。そういう方向に行くことはまことに結構なことだと思っております。具体的なことになりますとなかなかいろいろ問題もありますので、それはまた別個に答えざるを得ないと思いますが、御趣旨の点はよく了承いたしております。
  156. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは大臣にお伺いしますけれども、国土庁が調査なさった最近の土地の騰貴、この土地の騰貴の問題について二、三お伺いしたいと思うのでございます。  国土庁が集計した各都道府県の七月一日付の土地の値段の調査によりますと全国平均で八・八%、昨年は六・二%。八・八%の上昇ですね。中でも都市計画区域内の住宅地は一一・五%、前年度は八・五%の値上がり、こうなっております。この土地の上昇について長官はどう考え、どう認識なさっておられますか。
  157. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  これは最近においては上昇率がかなり急激に上がっておる現象だと思っております。ただし、昭和四十七、八年ごろのような全国平均で三割程度上がったのに比べればまだ、上がっておるが、それほどでもない、こういうようなところでございます。新聞その他によりますといろいろ、前代未聞の急騰である、いまだかってない大変なことだとおっしゃいますが、その程度までは行っておりませんが、上がっておることは事実でございます。
  158. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、政府の消費者物価の上昇見通しとこの土地の値上がりとパーセントをお比べになってどういう御感想をお持ちですか。
  159. 原健三郎

    原国務大臣 土地の値上がりの方が高くなっておると存じております。
  160. 薮仲義彦

    薮仲委員 そのとおりですね。ならば、やはりここで地価抑制のために何らかの積極的な施策を講じなければならない。それの一つとして農住組合法案をお出しになったと思うのですが、ならば、この農住組合法案を成立させれば需給のバランスはとれるのか、あるいは地価が鎮静化の方向へ向かうのか、その点いかがでしょう。
  161. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど来将来の供給見通し等についての試算を申し上げておりますけれども、これはあくまで試算でございまして努力目標ではございますけれども、三大圏におきますここ十年間の需給ギャップ等につきまして他の施策も大いに講じられるわけでございます。農住組合法一つですべてができるというものでは当然ございませんので、できればその中の半分ぐらいはとにかくこういうような手法でカバーしていきたいというようなことを考えておるわけでございます。
  162. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま局長半分とおっしゃいましたね。それじゃお伺いしましょう。いわゆる三全総で五十一年から六十五年まで新規必要な宅地、もちろん全国では十九万ヘクタール、三大都市圏でどのくらいですか。
  163. 山岡一男

    山岡政府委員 三全総では東京圏三万九千ヘクタール、大阪圏一万六千ヘクタールというふうに述べております。
  164. 薮仲義彦

    薮仲委員 合計で三大都市圏幾らですか。
  165. 山岡一男

    山岡政府委員 三全総では東京圏と大阪圏のみを摘記しておりまして、足しますと五万五千ということになります。
  166. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど来伺っていますと、この十年間で四千ヘクタール、三全総では、これは十五年でございますけれども、たとえばこれを五十一年から十年間の六十年まで、その間の三大都市圏宅地必要見込み量は三全総でどのくらいですか。
  167. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げた数字が三全総の数字でございます。
  168. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの数字は十年間ですか。
  169. 山岡一男

    山岡政府委員 十年間の数字でございます。——失礼しました。五十一年から六十年までの三全総によりますと、東京圏が二万七千、大阪圏一万ということでございます。私先ほど申し上げましたのは六十五年までのことでございまして、三万九千と一万六千ということになっております。
  170. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、この農住組合法案で四千ヘクタール。これは決して需給のアンバランスは解消できない、こういうことになりますね。それについてのお考えをお伺いすると同時に、もう一点。国土庁が調査した「東京圏農家の土地利用等に関する調査」、これは国土庁が五十五年一月東京圏五十キロメートル圏内で行ったものであるということですね。これは御存じだと思いますが、おたくの資料です。これはいわゆる農業者の意識調査でございますけれども、ここの中で出てくるのは「市街化区域内の農地の全部について、農業を続けていきたい。」四五・五%、「市街化区域内の農地のうち、多少は売却あるいは貸家・アパート等の施設用地に転用してもよいが、残りの大部分は農業を続けていきたい。」、いま半分ぐらいはとおっしゃったけれども、これは両方足しただけで八五%です。東京圏だけでも農業を営む少なくとも八五%の方は、この農住組合法に乗るという基本的な考えに立つのかどうか。これにあるとおり、全部農業を続けたい、大部分農業を続けたい、その方が八五%です。それで大丈夫なんですか。
  171. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げました推計は、何度もエクスキューズをつけて申し上げましたようにあくまで試算の段階でございますが、三全総をもとにした三大都市圏におきます新規宅地必要量、これは推計でございますけれども、八万六千ヘクタール、これは五十一年から六十五年までの見通しでございます。さらにその中から五十五年までの供給実績等差し引きまして今後の宅地供給必要量の見込みを出し、さらに他の施策によります宅地供給の可能性等につきましてはじいてみますと、大体一万二千ヘクタールぐらいの宅地不足が生ずるのではないか。さらにこの不足量を農住組合法ではいわゆる三大都市圏というのと農住圏が変わっておりますので、その範囲内におさめますと八千ヘクタール、おおむねそのうちで農地に期待される量としまして六千四百ヘクタールぐらいを期待いたすわけでございますが、そういうものの中の半分程度のものについてはカバーしていきたいのを努力目標にしたいということを申し上げたわけでございます。それからいまの私どもの調査によりまして、確かにああいうふうな結果が出ております。しかし四五・何%の営農継続なさるという方の中にも、私どもこういうような制度のPRをすることによって意思を変えられる方も出るかと思います。逆に五五%の中にもまたそういうふうなことにつきまして検討なさる方もあろうかと思います。そういうところにつきまして新制度のPR等に努めれば、十分にそういうようなものについての御協力をいただけるというふうに考えておるわけでございます。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、その問題なおもう少し深く突っ込んでいきますけれども、その前にちょっと国土庁に伺っておきたいのは、国土利用計画法第十二条、「規制区域の指定」でございますけれども、現在のこの土地の値上がりの状況は、ここにいわれている「投機的取引が相当範囲にわたり」、「地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれ」というこの二つの要件がうたわれておりますけれども、現在の土地の騰貴の状況は二つの要件のうちどちらかを満たしておりますか。
  173. 山岡一男

    山岡政府委員 現在のところ知事さんの御判断に最終は待つわけでございますけれども、相当の高騰を示しておると思っております。したがいまして、後段の方については相当対象のところがあるのではないかというように思っております。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はこの国土利用計画法、議員立法でできた経緯、あの列島改造での気違いじみた土地の騰貴を鎮静化さしたこの国土利用計画法の法律の持った役割り、これは私は非常に評価をするものでございます。しかし、私が冒頭で長官に申し上げたように、長官も少なくとも考えは同じ認識に立つ、手法についてはむずかしいとおっしゃった。であるならば、国土利用計画法、これによって土地を鎮静化という、供給も一つ手法、鎮静化も一つ手法であろうと私は思うのです。この法律ができてから伝家の宝刀はまだ抜いておらぬ。少なくともいま局長が言ったように、この法律の中の要件の一つは満たしておる。ということは、この土地というものは少なくとも騰貴しておる、この法律が作動しないから鎮静化の役にこの法律が立たないのであれば、議員立法の法律なんですから、この委員会にいる委員の先生ことごとくこのままではいかぬ、先ほど来の質疑を聞いておりましても同じような御意見だろうと私は思うのです。この法律が現在のような土地高騰、騰貴に対してそれなりに役に立つ法律に改めていかなければならないのではないか、改める必要が現時点ではあるのではないか、りっぱな法律が、せっかくつくった法律が国民生活に役に立たない、これは私は政府としては責任問題だと思うのですね。やはり現在に合うようにこの法律を改正し、国民生活を守るために有効に働くようにこの法律を改正し、それが作動していくようにすべきが私は当建設委員会の責任でもあり、またもちろん長官初め国土庁の責任であろうと思うのですが、この点いかがでしょう。
  175. 山岡一男

    山岡政府委員 先生御案内のとおり確かに四十七、八年のあの目に余る土地の騰貴というもの、高騰というものを抑えるためにこの法律がつくられたと私ども承知いたしております。これは要件として二つ挙げておりますが、投機につきましてはやはり反社会的なものであるということが一つバックにあると思います。そういうふうに土地の値上がり利益でもうけようというような投機的な土地取引、そういうようなものはこういうふうな地価凍結というような手段においてやってもいいんだ。しかもそれがある地域に集中して起きるというようなことについてこの発動要件を決めておられるということでございます。そういう意味から申しまして、私ども立法論的に見てもそういうような社会的不公正だからこういう頓服のようなきつい作用ができるというふうに考えておるわけでございます。実際の地価凍結が行われますと、収用以外では恐らく土地が買えなくなります。さらにそういうことから見ますと供給がストップしやすい状況になりはしないかという実態面のおそれもございます。そういう意味で投機ということが要件になっておるのは非常に重要なことであろうかと思っております。したがいまして国土庁といたしましては、そういうふうな投機があるのかないのかということにつきまして厳重な監視を続けております。さらに現在でも、ことしから特に詳細調査というのを始めまして、月別にそういうようなところにつきましての報告を徴しております。いずれの知事さん方からもそういう徴候は見られないという報告が毎月入っておるわけでございまして、今後そういうような事態が起こりましたときには遅滞なくそういうようなものにつきましても発動する、当面監視を続けながら、投機が起きたらやるというのがわれわれの基本の姿勢でございます。現在のところは事務的にそういうふうな意味の改正案について提案するというようなことについてはまだ考えておらないところでございます。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではこれは後ほど長官に聞きたいのですが、さっき政府の消費者物価見通しよりも土地の方が上がっております、こう簡単に言われては困るのです。やはり国民生活を守る基本は、消費者物価をいかに鎮静化させるかというのが大事な点だと思うのです。いまこれだけ消費者物価が値上がりしている。諸悪の根源といわれるのがこの土地の騰貴です。国民生活の一番根幹にかかわる問題なんですから、伝家の宝刀というのは抜かなくても、持っているだけで鎮静化することがなお好ましい。私は何も発動しろと言っているのじゃない。発動しないことが行政のあり方として私は好ましいと思う。ならば、列島改造を鎮静化させたこの国土利用計画法ならば、今後土地の騰貴に対して少なくともどちらか一つの要件を満たしたらこれは発動するぞ、このたった一字ここで、「集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び」、この「及び」をたとえばまたはとかどちらかの要件を満たせばいい、たった一字か二字変えただけでもこの法案はきちっと生きてくるわけですよ。何も私は発動しろと言っているのじゃない。発動しなくて土地が鎮静化するならば、私はこれはわずか二字変えただけで鎮静化でき、国民生活を守り、経済を安定させるのだったら改正すべきだと思うのですが、どうですか。
  177. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど来申し上げましたとおり「及び」に大変意味があると私ども思っておるわけでございます。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は「及び」に意味があると言っているのじゃない。この「及び」を改めろと言っているのだ。この二つの要件を満たさなくても、一つの要件を満たしたら少なくとも発動の要件を整えるということだけであっても、私は土地は非常に鎮静化すると思う。これは後ほどわが党の理事を通じて各党にもお諮りいただきたいと思うのですが、これは委員長にお願いしておきますが、これは議員立法ですので、この鎮静化のために私はこの法改正ということが論議されてもよろしいのではないかと思いますので、理事会等で後日お諮りをいただければと、このことを要望をいたしておくわけでございます。私は少なくとも現在土地の鎮静化のために役に立たなければならない国土利用計画法が有効に働かないということについては、非常に問題がある。これを有効に活用させなさい。これを発動しなくてもいいから、伝家の宝刀としてきちんと持つことがどれほど国民生活を守るのかわからない、このことは指摘をしておきたいと思うのです。  次に移ります。  建設省にお伺いしたいのですが、土地政策の基本となる都市計画法によって市街化区域と市街化調整区域をつくり、市街化区域にはおおむね十年を目途として良好な快適な市街化を築き上げていく、これが都市計画法のねらいであろうと私は思うのです。やはりその中に、根底には安定した宅地の供給ということも当然含まれてくるでありましょうし、そうなってきたときに、建設省としてはいま農住組合法案を出しておりますけれども、市街化区域の農地宅地化ということが非常に大事な問題だと私は思うのです。  これも国土庁の、五十五年一月の資料で、三大都市圏、中でも東京圏の住宅地の供給源の一番主要なウエートを占めているのが市街化区域内の農地宅地化です。東京圏では五五・六%、三大都市圏で六三%、全国では六五・九%、大半は農地宅地化というものが住宅地供給に非常に役に立っているのです。ならば、農住組合法案をつくる以前に、建設省として、宅地の供給ということが非常に大事なことはもう論を待たない。ならば、今日まで農地宅地化を誘導するために有効適切な手法を用いておやりになったと思うのですが、この法案ができてから今日まで十年を超えていると思う。これをどのような手法で供給をおやりになり、現実に——私の質問農地宅地化ですから、他のものをどうのこうのはやめておいてください、農地宅地化に対してどのような手法を講じ、具体的にどれだけの実績があったか、今度は面積だけでおっしゃってください。
  179. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  市街化区域内の農地宅地化を促進するために、これまでどういう施策をとってきたか、またその実績はどうであるかというおただしでございます。  まず第一番の対策といたしましては、三大都市圏のAB農地対象といたしまして宅地並み課税が実施されたわけでございます。これは宅地対策のみならず不公平な税制を是正するという意味合いも持っておりますけれども、これが宅地化のためにもかなりの効果を持っておると考えております。  なお、この宅地並み課税が実施されましたときに、これに対応する宅地化促進策として第二の対策がとられました。少し長い法律名でございますけれども、特定市街化区域内農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法、いわゆる優遇法で、ございますが、これに基づきまして二つの措置がとられました。  一つは、農地を転用いたしまして賃貸住宅等を建設しようとする地主さんに対しまして、住宅金融公庫の資金貸付利率の引き下げでございます。これは五・五%を四・五%に引き下げたわけでございまして、約六千五百件の住宅に対しまして融資をやっております。  それから二つ目の措置といたしまして、農地宅地化するために譲渡する場合の個人の長期譲渡所得税の軽減を図ったわけでございます。  それから第三の対策といたしまして、これも法律が長い名前でございますけれども、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、いわゆる農住利子補給法でございますが、これによりまして賃貸住宅の建設やそれに伴う水田の宅地化の促進が図られました。これにつきましては、約六百四十ヘクタール、一万三千戸弱の宅地化並びに賃貸住宅の建設が図られました。  それから第四番目の対策といたしまして、これもまた長い法律の名前でございますけれども、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法、いわゆる大都市法でございますが、これに基づきまして特定土地区画整理事業等の実施が図られております。これは五十五地区につきまして約四千ヘクタール弱の区画整理が実施されております。  第五番目の対策といたしまして、住宅金融公庫によります土地を担保にいたしまして賃貸住宅を建てる場合の貸付制度の活用でございます。これによりまして約十万戸の住宅の建設が促進されました。  これらの施策は、一般土地区画整理もやっておりまして、これらの促進と相まって市街化区域内農地宅地化促進の上でかなりの成果を上げてきたと考えられますけれども、なお従来必ずしも十分な活用が図られておらない制度もございます。  今後、私どもといたしましては、これらの実態を踏まえながら、既存の制度につきましても検討、改善を行いますとともに、市街化区域内の農地の一層の宅地化を促進するため、ただいま御審議をいただいております農住組合法の創設を初め、来年度からは宅地供給促進計画制度あるいはまた借地方式によります宅地供給の推進等につきましても新しい制度の導入について十分検討を続け、努力してまいりたいと考えております。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し簡単に、ポイントだけ明確にお答えいただけば結構です。  いまおっしゃった農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給制度、これで六百四十ヘクタール、そうですね。  それから特定市街化区域内農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法、これによって何ヘクタール農地から宅地に転用されたのか、それを私は聞いているのですから、そのことだけお答えいただけば結構です。戸数じゃないです。何ヘクタール供給量がふえたのか。  それから住宅公庫の問題、これは農地に限りませんので、もしも農地に限っているのだったらお答えください。  それから大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法、これはいま区画整理を四千ヘクタールと言われました。ならば、その四千ヘクタールのうち何ヘクタール宅地がふえたのか、明確に言ってください。
  181. 宮繁護

    宮繁政府委員 実績につきましては必ずしも宅地面積で押さえていないものもございまして、先ほど述べましたような数字でございます。  それから土地区画整理につきましては、実績が四千ヘクタール弱でございますけれども、この中でどれだけ宅地化しておるかということは押さえておりません。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほどここで指摘されましたけれども、法案をつくるのはお上手で、結構です。でも、その法律が実際に有効かつ適切に運用されて、所期の目的のようにその法律が役に立っているかどうかきちんと追跡調査をしていかなければ、何のためにこの農住法案をいまつくるのか、はっきりわれわれは説明がつかない。いわゆる都市計画法によって市街化区域をつくりました。国土庁も、市街化区域の農地宅地に転用することが一番大事な要素です。ならば、いま私が質問したこと、この農住法案を必要とする、これは何だ、少なくとも市街化区域における農地宅地化するために必要なんだということを審議するならば、過去十二年間、建設省としてはこれだけの誘導政策を講じました、でき上がったのは何百ヘクタールでございます、これではまだ不十分であります、これを補足する意味でこの農住組合法案を成立させ、今後十年間に四千ヘクタール宅地の供給を生み出したい、こういう説明があるならば説得力があるのですけれども、ちょっとその資料は、いまお答えいただこうったって時間がかかるだけですから、後ほど資料としていただきたいと思いますので、資料要求をしておきます。それから、時間がありませんから次の問題に入りたいのです。この農住組合法案の問題に入っていきたいのですが、その前にちょっとお伺いしておきたいのは、これはやはり建設省の調査ですね。これは新聞等で大きく出ておりますので御承知の、首都圏と近畿圏で家が建てられるばかりに区画整理されておるところが一万八千ヘクタール遊休土地としてあります、値上がりを待っております、これは建設省が三全総で必要とする六年分の需要に相当するのではありませんかということがここで指摘されておりますけれども、この農住組合法案もきることながら、いま財政危機だ、財政が逼迫している等、政府が大きな声を張り上げている。今日まで国民の税金をこのように投資して区画整理事業を行ってきた。国税です。それで一万八千ヘクタールも遊休し、土地の値上がりを待っている。そして、片や財政がピンチです、公共事業をどうします、こうします。これでは国民の納得は得られない。確かに区画整理をやるときに、将来宅地のまま置いておいたらいけませんよという条件をつけると区画整理にはなかなか乗ってこないという考え方も存在するかもしれません。しかし、存在するからといって、放置すること自体行政の怠慢だと私は思うのです。そういうことを十分捕捉して、なおかつ、せっかく国民のとうとい税金を使ってこれだけ区画整理をやった以上、新しい法案をつくるのに熱心なのは結構ですけれども、この一万八千ヘクタールが首都圏での六年分の供給になるならば、しかももう家が建てられるばかりになっている、新たな税金をつぎ込まなくてもいい、だったら、これを供給しやすくするような誘導政策をまずとって、なおかつこれもどうですかというならわかるけれども、いままでやったことについての明確な、農地から宅地への転換の面積もわからない。しかも一万八千ヘクタールが寝ておる。新しい法案を次から次へつくるのも結構ですけれども、これを供給するように誘導政策を真剣になって考える方がまず先じゃないですか。どうですか。
  183. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のとおり、区画整理事業につきましては、大変巨額の国費負担をもりて助成を図っております。したがいまして、私どもといたしましては、区画整理の完了した土地については、できるだけ速やかにこれが宅地として利用されることが望ましいと考えておりますし、期待をいたしておるわけでございますが、午前中の御答弁で計画局長から申し上げましたように、私どものまた一面の期待といたしましては、せっかく線を引きました市街化区域内の土地の市街化が合理的に進むことを何よりも期待いたしたい。そのためには区画整理事業というのは大変有効な事業でございますので、私どもといたしましては、まず区画整理事業を市街化区域のできれば全域にできるだけ早くやっていただいて、それが済んで市街地の整備が進めば、宅地化というのが全体の状況からかなり容易に展開できるのではないかという期待を持っていることが一つございます。  それから、国も地方公共団体も区画整理事業の進行については最大限の努力をいたしておりますけれども、また反面、区画整理事業の進行に当たりましては、御承知のように各土地の権利者にかなりの減歩負担をお願いしております。そういう関係もございまして、権利者といわば公共との相乗りで事業を進めるという性格のものでございますから、その辺の状況も御判断にお加えいただきまして御判断をお願いしたいと思う次第でございます。  それから、ただいまの御指摘は、そのような措置が済まない限りは農住法等による区画整理の進展というのはむしろ次の段階ではないかという御指摘であったかと思いますけれども、われわれといたしましては、区画整理済み地の宅地化の促進ということを、先ほど来の計画局長答弁の線に沿いまして、極力総合的に前進するということと並行いたしまして、区画整理事業に手をつけていただくという範囲を広めていただきたいというのが要請でございます。よろしく御理解をお願いしたいと思います。
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が御理解しても何にもならぬのであって、御理解なんかするよりも、この一万八千ヘクタールがいわゆる良好な宅地として供給されるよう、むしろ皆さん方がこれが有効に活用されるように努力することが大事なんです。建設委員会委員が御理解したところで何にもならない。そんなことは二の次、三の次です。     〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕 われわれがここで審議するのは、国民生活をどうするか、どうやって守るか、どうやって宅地を供給するかということに真剣なので、私が理解しようとしなかろうと、そんなことは問題じゃない。それよりも、この一万八千ヘクタール、これだけ、国民が建設省は何をやっていたんだという理解に立っている以上、これについてはかくかくしかじか有効な手法をもって供給いたしますという努力を示すことが行政の責任であるということを申し上げたい。  国土庁にまた戻ってちょっとお伺いしたいのですが、国土庁は土地対策地価対策で、大きな問題として市街化区域内の農地の活用、これに準じて農住法案をお出しになったと思うのですが、あるいは遊休地の活用ということをおっしゃる。それから市街地再開発一こういうことをおっしゃる。こういう三本柱ということを国土庁の方に伺えば、必ずこれをおっしゃるわけですけれども、いまおっしゃったように、市街地の再開発をしても一万八千ヘクタール眠ってしまう。あるいは市街化区域内の農地の活用をこれからやるにしても、四千ヘクタールしか出てこない。遊休地の活用はできない。そうなってきますと、国土庁の持っている手法の中で、今後地価が鎮静化します、絶対に大丈夫ときょうここで言い切れますか。手法があったら言ってください。
  185. 山岡一男

    山岡政府委員 現在、国土利用計画法の中の届け出制、事前確認制というものをこの五年間で定着させてまいりましたが、これを徹底的にやっていくということが一つでございます。  それから、投機的土地取引というものは絶対抑えるとわれわれ申してまいりましたが、そういうふうな国土法の運用と同時に、いろいろな税制の活用を図ってまいっております。短期譲渡所得の重課とか特別土地保有税だとか法人重課だとか、そういう制度でございます。こういう制度につきましては、やはり今後も堅持をしていただくようにしたい。さらに、これは融資の抑制ということによりまして、不要不急の土地に対する融資を抑えております。まず投機を抑えるということが地価対策の重要な柱の一つでございます。残りが宅地の供給の促進ということでございまして、これはやはりこれ一つでいいという決め手はないわけでございまして、いろいろな施策を同時的に、並行的に行っていく、その成果としてそういうようなものが供給がふえていって需給のバランスがとれるということでございまして、私ども、この農住法案などもその一環といたしまして、なるべく早急に実施をさしていただきたいと思っている次第でございます。
  186. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、法案について二、三簡単に聞きますから簡単にお答えいただきたいのですが、一つは、この組合区画整理等を行って良好な都市的な地域にしていこう、市街化にしていこうということが半分行われるわけです。営農地域以外ですね。やはりこれに対する関連の公共公益施設の整備の資金が必要だと思うのですけれども、この法案に伴って重点的に投入するようになっているわけですか。その点いかがでしょう。
  187. 山岡一男

    山岡政府委員 来年度予算に関連する問題も一部含んでおりますけれども、そういう方向で努力いたしております。
  188. 薮仲義彦

    薮仲委員 この関連公共公益施設の整備資金というのは、条件があるんじゃないですか。
  189. 山岡一男

    山岡政府委員 現在対象規模等につきましてまだ要綱の中に制限がございます。そういうものにつきまして撤廃していただくという方向でお願いしておるわけでございます。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 具体的に言うと、十六ヘクタール、三百戸以上の要件を満たさなければ関連公共公益施設資金は使えませんよと、こうなっているんです。私が言いたいのは、農住法案では二ヘクタールです。この要件を緩和するんですか。
  191. 山岡一男

    山岡政府委員 現在いろいろな施策につきまして建設省、農林水産省等と力を合わせて推進してまいっております。この法案も三省共管ということで提案しているのは御案内のとおりでございますが、建設省が来年度要求されております中に宅地供給促進計画制度というのがございます。その中でいろいろなものをオーソライズをして、そういうものについてはそういうふうな関連事業につきまして手厚くしたいという制度になっております。その中に農住組合によるものも当然ながら入れていただくということで要求を進めているわけでございます。
  192. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がないからこれも簡単にいきますので、ぽんぽん答えてください。  第一種生産緑地は組合の地区内に入れないというようになっておりますけれども、除外されているわけですね。しかし、やはりその第一種生産緑地というものを農住組合の中に加入させた方が区画整理交換分合もいろいろな意味でやりやすい。こういう地域があったときにこの法案の中では除外されておりますけれども、生産緑地の指定解除を建設省で考えているのですか、簡単に。
  193. 升本達夫

    升本政府委員 具体のケースに当たりまして国土庁と十分御相談を申し上げていきたいと思っておりますが、ただ、生産緑地制度は先生御承知のとおり、いろいろな条件のもとに発足し、制度化されておるものでございまして、指定解除というのはなかなかむずかしい要件がございます。一定の利用目的によって指定の解除が当然と考えられるようなケース等々限定がされますので、具体のケースに当たって十分相談をしてまいりたいと思っております。
  194. 薮仲義彦

    薮仲委員 やはり指定解除ということは必要な条件じゃなかろうかと思いますので、これは十分両省庁間で研究をしていただきたい、要望しておきます。  それから、でき上がった、たとえば分譲住宅、賃貸住宅ができるわけでありますけれども、これだけの公的な資金を投下してでき上がった組合の賃貸住宅あるいは分譲地でございますので、ここで確認しておきたいのは、家賃について適正であるように抑制できるような措置を講ずることができるのか。それからもう一つは、土地の分譲も可能であるということになっていますが、この値段についても、たとえば法律に該当しない小規模の土地を分譲することになったときに値段の抑制が可能かどうか、国土庁いかがでしょう。
  195. 山岡一男

    山岡政府委員 家賃の抑制につきまして本法案で直ちに規制はいたしておりませんけれども、そこに投入されます、もしくは融資を受けますいろいろな公的資金等の範囲の中で当然のことながら家賃の制限等を受けております。  それからさらに、分譲の場合の値段の問題でございますけれども、これにつきましても、確かに小さいものにつきましては国土法の運用の枠外になるということでございますが、地価公示法には一般の指標にもすべきであるということが書かれております。当然、国、地方公共団体等が一緒になって進めていく仕事でございますので、そういう場合の値段等につきまして一般の使用としての基準は守るということは励行させたい、またそのように指導してまいりたいと思っております。
  196. 薮仲義彦

    薮仲委員 指導したい、励行させたいということだけではおさまらないのがいまの土地じゃないのですか。  もう少し具体的に言いますと、国土法では二百九十九坪ですね、いわゆる二百九十九坪以下は法の規制に該当しないのです。このくらいの土地を高く売るぞ、たとえば農住組合がつくった分譲住宅地が非常に交通の至便な良好な土地にできた、高い値段で売れることになったとき、この法案によってできた土地、国民の税金を投下してできた土地、この二百九十九坪以下の法の網にかからない土地の抑制はできるのですか。はっきり歯どめを書かなくていいのですか。
  197. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合は協同組合でございます。したがいまして、営利行為はしてはならないということになっております。したがいまして、その範囲内で事業計画の認可、指導等に当たりまして十分そういう点の指導をしてまいりたいと思っております。
  198. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、どうかそういう点での問題等についてよく研究して、むしろ土地の値上がりを助長するようなことにならないようによく注意していただきたい、このことは念を押しておきます。  それから、この農住組合法案が有効適切に働くために必要なものがあろうかと思うのですが、——その前にいまの家賃の問題でちょっと私もう一つ聞いておきたいことがあるのです。  わが党は、この家賃については、いわゆる一般住宅を公共に資する、そしてまた公共住宅に準ずるような形で建てたらどうかということでセミパブリッター——いわゆる土地は自分のものです、家が古くなりました、土地は買わなくてもいいけれども、そこに半分公共に資するための住宅を建てますということでセミパブリック方式をとったらどうかということを提唱しているわけです。まあ国土庁、建設省等は従来の法律がありますと言いますけれども、それは十分に活用されておりません。もっと適用を緩和して、既存の土地が個人のものであっても良好な住宅供給のできるようなセミパブリック方式のそういう住宅建設について何らかの施策を立てられたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  199. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  新しい農住組合によりますところの住宅の供給につきましては、先ほど御指摘がありましたとおりいわゆる農住利子補給制度というものを活用してまいりたいと思っておりますが、これにつきましては利子補給期間中につきましての家賃の抑制を義務づける等の措置をとっております。いま御指摘のお話は、そういった農住制度、あるいはいわゆる特賃制度と言っておりますような、民間の方々が住宅を建設され国の利子補給を受けてやる場合に公営住宅と同じような措置がとれないかという御趣旨かと思いますが、現段階では、民間の方々がそれぞれ賃貸住宅を供給する場合における国の利子補給あるいは住宅金融公庫からの低利融資、そういったようなものでそれぞれに一応のバランスをとって実施しているところであります。一方、公営住宅は低所得者の方々のための住宅の供給ということで一応役割りを分担しているというところでございますので、当面はこの利子補給制度の活用を図っていくということで措置したいと思っております。
  200. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がありませんから突っ込んでやりませんけれども、私の言うのは、いまの利子補給の要件が非常に厳し過ぎてなかなか建てにくいということを言っているのです。私の質問趣旨をきちっと聞いて答えていただきたい。そんなことはわかっているのです。要件が厳し過ぎる。年齢等いろいろな条件を加味して、建てられないのですよ。使いたくても使えないのです。ですから、その利子補給のお金をもっと使いやすくしなさいということも含めて言ったのですから、今度はよく研究しておいてください。きょうは最後に、この法案が活用できるために二つ伺っておきたいのですが、一つは、学者先生の中にこの農住法を有効に働かせるために宅地並み課税についての意見があります。これは経済学者とか専門家の分析ですからそういう方の意見ということでお伺いしたいのですが、やはり農業者は住宅の経営なんということはふなれだ、そういうことよりも現状の農地のまま保有しておいた方が安全だ、こういう概念があります。先ほど私が冒頭に言ったように、日本の国土庁あるいは建設省の政策の中では土地を持っている方が有利というのが根底に流れている。国土庁長官も、基本的にはわかる。憲法二十九条、あれは公共の福祉ということがどこまでも優先するのです、私有財産よりも公共ということが大事なんだということも含めまして、そういうことから有利で安全だから土地を持っていようという基本的な考えがあります。ですから、こういうものから宅地を供給させるためには、学者先生は、C農地に対する宅地並み課税ということもこれは必要ではないか、こういうことが言われているわけですが、このことについて建設省、それから自治省、国土庁長官の御意見をお伺いをしたいと思います。  付随して私は、宅地並み課税というのは、農業を続けたいという方々の生活権は守らなければならないのですから、選別的というか選択的に、農業を続けたい人はずっと続けなさい、しかし農業を続けないという方のためには宅地並み課税を課するというような、本人の意思によって選択させ、そして課税をするということが将来考えられてもいいのではないかと思いますけれども、これを最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  201. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  大体過般の政府の税制調査会答申におきましても、いま先生のおっしゃったような線に沿うて答申が出ております。ことしと来年は課税しないですが、五十七年から課税に踏み切るべきである、そしてC農地、これは答申がなかなかややこしいですが、これにはっきり書いてあるのです。「昭和五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農継続する意思のある者に対する配慮を行うなど」これは配慮いたします。「必要な措置を講じつつ、新たにC農地課税の適正化措置対象に加えるとともに」加えるということです。だから、C農地も加える。「現在課税の適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する課税を強化するため、十分な検討を行うべきである。」答申方向は非常に明確になっておりますので、大体これは各省がまだ協議して最終的に議論をするのですが、国土庁としては前向きに積極的にこれは課税していきたい、こう思っております。
  202. 渡辺功

    ○渡辺説明員 御質問のありましたC農地課税を含めまして、AB農地も含めまして市街化区域農地課税の問題につきましては、ただいま国土庁長官からお話もありましたような税制調査会答申を私どもとしてはよく踏まえまして、今後検討してまいりたいと思います。その際、御提案のありました選択的なやり方をどう考えるかというお話がございましたが、これも私ども、今後とも非常に幅広くいろいろな御意見に耳を傾けながらいかなければいかぬと考えております。こういう政策税制でございますから、関係各省庁の御意見はもちろんでございます。そういう次第でございますので、具体的な御提案の一つでございますので、今後の検討の中において十分参考にさせていただきたい、こう考えております。
  203. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま国土庁長官並びに自治省の方から御答弁のあったとおり、私どもといたしましても、御指摘のような意見を含めまして、関係方面の意見をそれぞれ参考にしながら、十分な検討を行ってまいりたいと思います。  ただ、選択的という場合に、全く自由に主観的な選択によるかどうかというような点につきましては、またいろいろ御意見等も伺いながら進めていきたいと考えております。
  204. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  205. 稲村利幸

    稲村委員長 林保夫君。
  206. 林保夫

    ○林(保)委員 御提議になっております農住組合法案に関連いたします問題、それと同時に法案の実質的な内容、この点についてはひとつわかりやすく御説明いただきたいのでございますが、質疑申し上げたいと思います。  先ほど来同僚委員皆さん方が大変卓抜な御意見、さらには質疑をなさいまして、かなり問題が多い、どういう認識を強めております。しかし、なお今日土地高騰対策に何か手を打たなければならぬことも事実でございます。そして、既存の国土法を初めいろいろなものが、ひょっとするとこれは国民の立場から見たら怠慢かもしれませんけれども、機能を十分していない、こういうことも非常にここに明らかになったと思うのでございます。  この両点を踏まえまして、原長官の本法にかける意気込みと申しますか、改めてどうお感じになっているか、この点を率直に承りたいと思います。
  207. 原健三郎

    原国務大臣 この土地対策は、最前からるる各役所からも申し上げておるところでございますが、なかなか難事中の難事でむずかしいところは、ひとつよく御了承をいただきたいと思います。これは世界的にもむずかしい問題で、なかなか一朝一夕に名案というのはむずかしい。また、名案であるといたしましても、後の弊害がぞろぞろ出てくるのでは困る。だから、堅実に一歩一歩進めておるというような状態でございます。  御承知のように、地価がやはり上がっておりますが、いままでやった施策が間違っておるかというと、そうではなく、若干少しずつ地価安定に進んでおる。あんないろいろな法律がなければもっと急騰しておるかもわからないのですから、そういうことを考えております。今後においても引き続き地価動向を注視しつつ必要な対策をいろいろ考えていきたい。いままでもしばしば申し上げたが、その一つとして農住組合法案を今度新たに提出した。  それから、法律ではございませんが、私ども地価の急騰しつつあることを非常に憂えまして、国土庁と経済企画庁両庁間に話が合意に達して、両庁のスタッフを動員して早急に何かいい名案がないか、対策がないかということを研究させております。急いでやるように、いままでのものを洗い直したり、あるいは新たなものでもいいが、そういう点から検討するように命じて、せっかくいま努力をいたしておるところでございます。
  208. 林保夫

    ○林(保)委員 大変御苦労だと思いますが、その対策の研究と関連いたすと思うのでございますが、どういう機関、メンバーでやっておられるか、ちょっと教えていただければと思います。
  209. 山岡一男

    山岡政府委員 現在そのシステムにつきましても検討いたしておるところでございます。
  210. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは、これからやる、こういうわけでございますね。  過般来いろいろ御答弁がございまして、大体理解できるのでございますけれども、内容が理解できるわけではございませず、先般公示価格や基準地価格の動向につきまして、地価は三大都市圏を中心に強含みに推移しているけれども、大臣が先ほどもおっしゃったように、四十八年当時のような投機的なものでないというような御見解でございました。一体投機的と判断するのはどういう要件が満たされたときか、明示いただきたいと思います。
  211. 山岡一男

    山岡政府委員 投機的土地取引と申しますのは、将来の値上がり差益を享受する目的をもってする土地売買というふうに考えております。したがいまして、たとえば家が一つも建たないのに土地どんどん取引されているというような場合、それから、どこかで何かがありそうだというときに、わっと集中して取引件数がふえるというようなのがその土地取引の徴候でございます。そういうような点につきまして、現在全国では二百三十カ所ばかり、その中でも特に十一カ所ばかりは月別の調査を行ってまいっております。それにつきましては、相当詳細な、取引件数から取引値段、仮登記の内容等々まで、農転の事情等につきましても調査を行っております。それを総合的に判断いたしまして、投機があるかないかという判断の基礎に知事さんはなさっておるわけでございます。
  212. 林保夫

    ○林(保)委員 国民の立場からすると、わかりやすいのはやはり数字だろうと思いますが、指数では大体どのぐらいだったときに投機と判断されておりますか。
  213. 山岡一男

    山岡政府委員 まず法律の運用の面で申しますと、それは一に知事さんの判断にゆだねるというのが、知事は指定しなければならないといううらはらから任せられておりまして、その判断の是非を土地利用審査会が判断を重ねてなさるというのがたてまえでございます。しかし、私どもいままで国土白書等をつくります際に、国民の皆さんのアンケ−トなどもいたしたことがございます。その中で金利並みの上昇はやむを得ないとか、消費者物価並みの上昇はやむを得ないとかいうのが六五%ほどございました。皆さん方はその程度のところまでならばまあまあというふうな感じが、当時の白書では見られたわけでございますけれども、特にそういう点につきまして何が急騰かということについての具体的な法律的な基準はいまのところないという事情でございます。
  214. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、先ほどの金利並みとか、消費者物価上昇並みということからいきますと、東京圏の住宅地は一八・〇でございまして、ちょうど倍ぐらいいっておると思います。あるいは三倍かもしれません。これでもやはり騰貴ではないという解釈になっておるのでございますか。
  215. 山岡一男

    山岡政府委員 中身といたしまして品位、品質、品等よくなって上がったというものもございますけれども、一実際の値上がりの状況を見ますと、いわゆる投げる方の投機ではない騰貴という点については、・国民の皆さんから見られても騰貴に入ったなという感じは持たれるだろうと思います。
  216. 林保夫

    ○林(保)委員 議論が尽きませんが、時間がございませんので。  それで、本年度は大変また上がったという事実がございます。これからどういう推移を地価はたどるのでございましょうか。その辺について見通しを御説明いただきたいと思います。
  217. 山岡一男

    山岡政府委員 最近の地価の動向と申しますか、変動率の移動の状況でございますけれども、これは四半期別に中間動向調査というのを私どもの土地鑑定委員会でやっております。毎年三月ごとの成果を発表いたしておるわけでございますけれども、それによりますと昨年の五十四年の四—七月期の四半期、これが最近の三カ月間の上昇がトップでございまして、その後毎四半期ごとに伸び率そのものは鈍化してまいっております。鈍化の傾向はずっと出ておりますけれども、掛け合わせますとやはり上がっていることは事実でございます。しかし、そういうような傾向につきまして今後の見通しはどうかということでございますが、これにつきましては、長期とか一年間というような見通しはなかなか困難でございますが、私どもは三月ごとに土地鑑定委員会等と協議をいたしまして、そういうふうな見通しはいかがだろうという話をしておりますけれども、その中では当面この傾向は続くだろうというのが最近の見通しでございます。その背景には、いろいろな経済指標をたくさん準備いたしておりますが、そういうものからの総合判断で、この次の四半期もこんなにふえることはないというふうな見方でございます。
  218. 林保夫

    ○林(保)委員 実を言うと、私はそこが問題じゃないかと思うのですが、確かに立てにくいと思います。しかし今度、農住組合法案なんか出してきた。これで、たとえば十年先はこの辺のところで落ちつかせるのだ、こういう意欲が政府に見られませんと、何のために皆さん方国土庁で連日苦労されていられるか、わからないのじゃないかと私は思うのです。実効を上がらせるためにはそれなりの長期の供給見通し、それによって、この辺に抑えるぞ——抑えなくていいとは言いませんけれども、なおやはり間違うこともありましょう。その辺ひとつ大臣の御決意を承っておきたいと思います。ひとつやってください。
  219. 原健三郎

    原国務大臣 御質問される方から言うと、やはりそういう質問があるのは当然だと思われます。御趣旨は賛成でございますが、答弁する方から言いますと、何%上がると言って、上がらなかったときに本当にその責任どうするかと言われますし、なかなか苦しいところでございますから、その辺もよくお察しいただきまして、ぜひ御期待に沿うように万般手を打つだけ打ちます。効果はあることはありますので、どの程度と言わなくても、十分ではございませんが、かなりの効果があると確信して、いま誠意努力しておりますから、よろしくどうぞ。
  220. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう意味で、大臣の御発言も処置なしという形でなくて、やるんだということで、これはひとつ積極的に申し上げておきたいと思います。  続いてひとつ。先ほど多少出ておりましたけれども、国土法の運用の面が悪いのであって、法自体の問題ではないかもしれませんが、なおやはり今度の農住組合法が成立いたしますと、国土法の内容そのほか見直しをやるべきじゃないかという声がかなりございますが、改正の御意思がおありかどうか。
  221. 山岡一男

    山岡政府委員 国土法につきましていま論議が行われておりますのは、十二条、十三条関係の規制区域の関係の問題と、届け出等によります届け出面積を引き下げたらどうかという二つの問題がございます。  最初の方の問題は、これはたびたび申し上げましたとおり、私どもは「及び」というところに非常に意味がございまして、反社会的なものについてはああいう頓服的効果をねらう強行法規が実施できるのだというふうな立場におりまして、今後についても改正につきまして検討しているようなことはございません。  後者につきましては、前回の地価対策閣僚懇談会におきまして、今後の地価の推移を注意深く見守りながら、そういうものについても必要があれば前向きにやるつもりで検討を十分しなさいという指示をいただいております。したがいまして、私ども、本当にもし引き下げた場合にはどういう影響があるのか、どういうふうな人が要り、どういうふうな金がかかるのか、一遍にどれぐらい事業量がふえるのか、果たして県に施行能力があるのかというふうな点等につきましての検討は重ねてまいっております。ただ、いまの基準を決められます際に、当時の議論といたしまして、やはり大規模ないいものについてそういうふうな規制をしておけば、それを見習ってやはりほかのものにもうまくいくだろうという波及効果というのが一つ、当時の議論でございました。他の制度との横並び、それから都道府県の施行能力等がもちろん当時考えられまして決まったのでございますけれども、最近の物価といいますか、地価高騰の中で、私は大変うれしいニュースを最近新聞で見たわけでございますけれども、ある新聞に、国土利用計画法の規制の対象になっているものは一〇〇%売れている、それ以外のものは売れていないというのが出ておりました。それはやはり国土利用計画法の届け出制度、事前確認制度がある程度世間に定着したせいだろうと思います。したがいまして、今後はそういうふうなものを励行していけば、そういうところにもそういうものが波及していくという本来のねらいに近づいていくのではないかという面も考えております。したがいまして、今後の地価の動向、そういうふうなものにつきまして十分監視を続けながら検討していきたい、後者についてはそのように考えております。
  222. 林保夫

    ○林(保)委員 改めて承ることにしまして、農住法案そのものでございますが、これを国土庁が案をつくられて、そして建設、農水、両省のあれといたしまして閣議決定してここへ出されたのでございますが、いつごろからこの法案の準備といいますか、あるいはだれが発議したか、こういう経緯につきましてちょっと御説明いただければありがたいと思います。
  223. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のお話もございましたように、近年の地価動向等にかんがみまして、当面の土地対策として、騰貴を抑制すると同時に供給をふやすというのが最大の緊急の課題であるというふうに私ども認識したわけでございます。その際いろいろな調査をやりました。昨年でございますけれども、市街化区域内のいろいろな農地の状況なども調査をいたしました。やはり相当な賦存量がございまして、そういうものが将来の転換源として一番期待されるものだというふうに判断をいたしました。しかしながら、これは市街化区域内という一つの枠の中にある農地でございます。したがいまして、おおむね十年以内に市街化されるというふうな枠をかぶった中で、ダイナミックに現実的にやっていかなければならないという問題でございますので、大変むずかしい問題だというふうに認識をいたしまして、国土庁の方で発案したわけでございますけれども、建設、農林水産省に十分御検討を進めていただきまして、共同提案というかっこうでさきの九十一国会、通常国会に、三省庁の共管の法案ということで、四月の二十一日に提案いたしました。会期の終わりでございましたので、御案内のような事情で廃案になりました。その後、今国会に再度提出したものでございまして、十月の七日に再提案させていただいたということでございます。なるべく早い成立を心からお願いしたいと考えておる次第でございます。
  224. 林保夫

    ○林(保)委員 この法制定によりまして、いろいろと得をするところ、損をするところといったようなところもあろうかと思いますけれども、そういう点につきまして、効用と申しますか、組合をつくった場合に、一体どういう既存の恩典が適用されるのか、羅列で結構でございますが、ひとつ。
  225. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話は、いわば本制度によるメリットということであろうかと思います。  私ども一つメリットといたしまして、総合的な事業主体の創設ということを大きなメリットだと考えております。従来は、たとえば土地区画整理事業をやりますと、区画整理事業ができますと組合は解散をする、それから改良事業が終われば土地改良区はそれぞれ解散をするということでございましたけれども、農住組合土地区画整理事業もできますし、土地改良事業もあわせ施行することができる事業主体にしたといった点でございます。さらに、この法自体制度といたしまして、土地交換分合もできるというようなことを、総合的かつ一体的に行います。それで、必須事業の中では上物の建設、利便施設等の建設もできるというふうになっておるわけでございます。  いま申し上げましたようなことが一つの大きなメリットでございますが、さらに営農継続のための措置というのを考えたということでございます。農住組合農業関係事業を行うことができるほか、農地利用規約の設定、農地利用契約の締結等を行うことによりまして、当面の営農継続を希望される農地所有者の方々が、市街化区域内において、ある程度安定的に営農継続できるというようになったという点が一つの大きなメリットであろうと思います。  それからさらに、先ほどもお話ございましたが、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の特例というようなものもこの中で設けております。これは水田の転換を伴わない賃貸住宅の建設に対して融資する場合にも利子補給の対象になるというシステムでございます。  その他、指導、助言、監督、援助、いろいろなことがございますけれども、農業協同組合の投資等に対しまして必要な助言を求められる、または技術的、資金的、人的援助を求めることができるというようなことでございます。さらに、国及び地方公共団体から事業促進のために必要な助言及び指導を行うことができるというのもメリット一つであろうと思います。  さらに、こういう事業の円滑な推進のために、住宅金融公庫の各種の貸付制度住宅宅地関連公共施設整備促進事業等、既存の諸制度の活用を図ってまいる所存でございます。  これは既存の諸制度の活用でございますが、さらに国土庁といたしましては新しく——これは今後の問題でございまして、来年度予算の話なので、まだ政府部内で検討を要することでございますけれども、宅造事業に対する利子補給でございますとか、土地区画整理事業の補助対象への追加でございますとか、農住組合農業近代化資金の借り受け主体への追加などにつきまして、それぞれ政令の改正やら予算要求やらをいたしております。  さらに税制上の措置といたしましても、農住組合の行います交換分合、それから農住組合が行う住宅地等供給事業の用に供するため、農地等組合譲渡した場合の特別控除農住組合農業共同利用施設にかかわる不動産取得税等課税特例などなど、税制についても現在政府部内において要望いたしており、ぜひともその実現を期したいと思っておる次第でございます。
  226. 林保夫

    ○林(保)委員 税制は別にいたしまして、とりあえず五十六年度予算農住組合関係予算要求はどのくらいなものとされておりますか。
  227. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げました既存の諸制度の中におきましては、一般の枠の中にそれらのものを全部織り込んでいた、だくという作業でございますので、来年度要求の枠内で措置していただくということでございまして、現在その中の幾らというのはここに持っておりません。  ただ、私どもが要求いたしておりますのは、いわゆる事業促進費というのがございまして、そういうものといたしまして、初年度は五組合考えておりますので、八百万円利子補給金を要求いたしております。それから農住組合法の施行経費等につきまして二千万円ほど要求いたしております。その他の制度につきましては、先ほど申し上げましたように各省の要求の中に全部織り込んでいただいておるということでございます。
  228. 林保夫

    ○林(保)委員 それで積極的におやりになるのでございますが、なお、先ほど来の御議論を承っておりますと、対象地域これこれに対してこれこれという、こういうお話もございましたが、改めまして組合をつくる対象となり得る面積は幾らあるか、三大都市圏で、九万五千ヘクタールでございますかね。それで十年後幾ら対象として組合ができるか、何組合であるか。先ほど初年度は五組合とおっしゃったと思いますが、年度別にでもわかれば御説明いただきたいと思います。
  229. 山岡一男

    山岡政府委員 今後の見通しにつきまして、私なりに試算もいたし、いろいろと資料を持っておるわけでございますが、たびたび繰り返しますように、まだ本当の試案でございまして、関係省とも今後詰めていくことになろうかと思います。  ただ、私どもいま考えておりますのは、農住組合法対象区域内の市街化区域内農地、これは先ほどの三大圏と若干違っておりますので、八万八千ヘクタールぐらいが対象というふうに考えております。そういうものに対しまして最終的に私どもの方で供給の見通しを立てておりますのは、いろいろな条件を加味いたしまして、最終的に新規宅地の供給面積といたしまして、新市街地内の農地につきまして約三千二百ヘクタールばかり、それから既成市街地内の農地につきまして八百ヘクタールばかり、合わせて四千ヘクタールぐらいは新規に宅地として供給されることになるかなというふうな試算を持っております。なお、これにつきまして私どもは努力目標といたしまして大いにやっていきたい。  実は、いまの組合の数等につきましても農地の賦存状況などをみまして暦年の試算を持っておりますけれども、大体七百ぐらいが十年間にできるのではないか、また、そうなればいまわれわれが申し上げましたような所期の目的が達せられるのではないかというふうな試算を持っているわけでございます。  初年度につきましては、法案が通りましてから施行までに六カ月ございます。法案を通していただきますと六カ月後に施行になるわけでございますが、その間にいろいろなものの準備をいたします。そこで、来年度におきましては、従来から国土庁におきましてそういうふうなものにつきましての農地利用転換のための補助金等も計上いたしまして勉強してまいっているところがございます。そういうところを最初はモデル的にやって方方にお目にかけるからというようなことでございます。そういうことでございまして、初年度の数はいまのところ、もっと出るかもわかりませんけれども、予算としてはその程度を要求しておりますが、出れば出たでまた大いにできるというふうに思っておるわけでございます。
  230. 林保夫

    ○林(保)委員 さっき宅地の供給が、合計で四千ヘクタールになると思いますが、お答えがございましたが、これは農地をもちろん含んでないものだと思います。したがって、組合として持つ面積といいますか、総面積は大体どのくらいになるのでございましょうか。
  231. 山岡一男

    山岡政府委員 ちょっと詳細の資料を持ってまいっておりませんので確答できませんが、大体その倍以上だというふうにお考えいただけば結構だと思います。
  232. 林保夫

    ○林(保)委員 そうすると、先ほど御説明のような既存の法制度の中で補助、助成が出ているよりも、この農住組合によって少しはいいというような恩典が出てくる、メリットが出てくる、こういう御答弁でございますが、だとすれば、先ほども御議論がありましたけれども、なぜ三大都市に集中するのかという点、これは憲法上から見てもやはり余り公平じゃない、こういう問題が出てくると思いますが、重ねて、これを事務的にどうお考えになっているのか。
  233. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどから御報告申し上げておりますけれども、市街化区域内農地と申しますのは、おおむね十年以内に市街化されることが予定されている農地ということでございます。そういう中でダイナミックに、原理的な問題の処理としてこういうものをつくっていきたいということでございますので、そのためにはやはりいわゆる時限法的な、緊急法的な考え方でおるわけでございます。他に原則的な手法がいろいろあるわけでございますけれども、特別にそういうふうなものを一体的にやる組織をつくって、この十年の間に期待にこたえてほしいという趣旨でつくるわけでございまして、そのためには、先ほど来問題になっておりますように、最近特に土地の急騰が著しく、供給と需要の間にギャップのあります三大都市圏が一番問題だということで、三大都市圏に限定いたしまして、この十年間の措置ということで御提案申し上げたという次第でございます。
  234. 林保夫

    ○林(保)委員 重ねて恐縮ですが、三大都市以外にこの農住組合法対象にしてくれというところが来ておるとも聞いておりますが、どことどこが来ておりますか。広島という話も聞いておりますけれども……。
  235. 山岡一男

    山岡政府委員 私どもの方には直接そういう話は聞いておりません。ただ、いろいろな団体等の中で議論なさるときにそういうことが出ておるという話は聞いておりますが、直接どうだという話は、私ども承った例はございません。
  236. 林保夫

    ○林(保)委員 それからもう一つ、全体に関連いたしますが、五十七年に例の宅地並み課税の問題、これもたびたび出ておりましたが、いわゆる見直し、再検討するということになっておりますが、国土庁としてはどういう立場農住組合関連のものを扱われる方針であるか。
  237. 山岡一男

    山岡政府委員 五十七年度からの実施ということに向かって一般的な検討を十分やれというのが法律の附則に書かれておりますし、それから、いまの税制調査会答申にございますし、先ほど申し上げました閣僚懇談会でも確認をされております。したがいまして、私ども力を合わせてそういうことを勉強していく責務があるわけでございまして、現在から検討を始めておるわけでございます。農住組合法そのものは直接それに関係があるわけではございませんけれども、当然のことながら対象になりますのは市街化区域内農地でございますので、そういう意味でそういう税制検討する中に農住組合法をどう取り扱うかというのが今後の問題になるわけでございます。  その場合の国土庁の態度はどうかということでございますが、私どもは、当然のことながら、そういうふうに特別の事業として農民の皆さんが自発的意思に基づかれまして当面の営農継続するということで営農地区をお決めになる、さらに農地利用規約をつくって、それは市町村長がオーソライズされる、そういうふうなものでございます。また、必要があれば農業近代化資金等の貸付対象にもしていただこうというようなことを考えているわけでございまして、当然のことながら、そういう場合には、答申趣旨の中にございます当面の営農継続される農地に対する措置などについて十分な措置考えながらやれという趣旨にも合致するものでございますので、私どもは優等生というような立場でそういうことを考えていきたいと思っております。  ただ、先ほども一言申し上げましたけれども、農住組合対象になるところは全体の中のわずかでございまして、そういうことから言いますと、この農住組合制度がなければ、ほかのところは全部だめなんだというようなことを危惧なさっている方があるやに私ども聞いておりますが、そういうことは一切ございません。
  238. 林保夫

    ○林(保)委員 実務的な組合の運営とか手続、そういった面につきまして率直にお答えいただけたらと思いますが、第十六条に「組合員は、出資一口以上を有しなければならない。」このように出ております。そしてまた「均一でなければならない。」というようなことも出ておりますが、出資一口を大体どのような金額でとらえ、またお考えになっておられますか。
  239. 山岡一男

    山岡政府委員 出資金組合事業運営に必要な資金となるということでございまして、また組合の経済活動上の信用の基礎をなす基本財産ということで、組合員組合に出資をするというのがその性格でございます。出資一口の金額は定款で定めるということになっておりまして、その額につきましては組合事業の内容、資金の計画、組合員数、組合員の負担可能性など総合的に勘案されまして、組合が実情に応じた適切な額をお定めになるということが基本でございます。したがいまして、大きな事業でありますとか小さい事業でありますとか差があるわけでございますが、一つの例でございますけれども、農住組合と必ずしも一緒じゃございませんが、昭和五十三年の総合農協統計によります正組合員が二百九十九戸以下、小さなものもあるわけでございますが、総合農協におきます一組合員当たりの平均出資額は約十万円というふうに聞いております。この二百九十九戸以下というところの分類の中にどの程度のものが入るのかよくわかりませんし、今後十分検討してまいろうと思いますが、これはあくまで組合の定款で定めるべきものであるというふうに考えております。
  240. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つ、これは確認になりますが、十五条に組合員の資格を規定しております。いわゆる地区内の土地所有権または借地権者、こういうふうになっておりますが、これ以外の者が、たとえば土地との結びつきで売買に関するような人たち、あるいは何らかの形で加入を恐れ、あるいはまたこれを完全に排除する、いろいろなことがあろうかと思いますが、その辺のところをちょっと御説明願いたいと思います。
  241. 山岡一男

    山岡政府委員 第十五条でございますけれども、一号にございます所有権者または借地権者、これは正会員でございまして、二号の「組合の地区内の農地について使用収益権を有する者」、これが准組合員でございまして、組合員の資格はこれに限定をされるわけでございます。
  242. 林保夫

    ○林(保)委員 そうすると、たとえば私が不動産業を営んでおるといたしまして、借地権者になったら、やはり組合員になれるわけでございますか。
  243. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合の正会員資格の中に法人も認められると思います。これは農住組合の地区には農地、採草放牧地以外に土地も含まれるものでございまして、その土地をすでに民間の方が取得しておられるという場合もあるわけでございます。事業の円滑な推進を図るためには、そういうふうな方々を除くということは適当ではございませんので、借地権者等でございましたらメンバーになれるということでございます。
  244. 林保夫

    ○林(保)委員 その辺のところが、この組合は新しい制度でありますだけに、運用あるいは監督指導といった面で大変問題が起きやせぬだろうかと思いますけれども、この点についての指導監督そのほかはどういう形でおやりになるかということを、この資格をあれするときには認可は都道府県知事になっておりますが、大丈夫なのでございましょうか。
  245. 山岡一男

    山岡政府委員 知事さんは認可だけではなくて監督もいたすことになっております。したがいまして、その中で財務の状況などについても報告を受けながら、十分な監督を行っていけるというふうに思っております。
  246. 林保夫

    ○林(保)委員 これは杞憂かもしれませんけれども、第十七条に「組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。」ということの後の方に出ておりますが、権利義務の譲り渡しができる、そういったことが規定されておりますが、将来これがたとえば一口十万円で一つの権利として売買されるというような心配、あるいはこれの歯どめというものは何かお考えになっておられますか。
  247. 山岡一男

    山岡政府委員 十七条の柱書きにございます、組合の承認を得なければならないということが歯どめでございます。
  248. 林保夫

    ○林(保)委員 先ほど来、定款によって出資の一口の金額などは決めると出ておりますし、あとも全部定款定款、こういうことで決めるようになっておる。そしてその定款については、二十九条の三でございますか「主務大臣は、模範定款例を定めることができる。」こういうふうになっております。定款例ができておると思いますが、棒読みで結構ですからひとつ見せていただきたいと思います。
  249. 山岡一男

    山岡政府委員 模範定款例は、必ず示すということではなくて、「定めることができる。」と法案上も書いてございます。組合の健全な発展のためにはよりよい定款が設けられるということを期待しなければなりませんし、数多くの組合の定款にある程度の統一が保たれるということが制度の整合性のためにも期待されるところでございます。したがいまして、模範定款例につきまして鋭意検討も進めなければなりませんし、現地の実情に即したものにしなければならないということでありまして、まだここでお読み申し上げるほどの確たるものは持っておりません。十分検討していいものをつくりたいと思っております。
  250. 林保夫

    ○林(保)委員 ぜひりっぱなものを早くつくって見せていただきたいと思います。これがないと、一体組合がどういう形になるのか、いい法律が出てきたといっても、やはり内容がわからなければみな不安がってとてもじゃないけれどついていけない。一番のポイントだと思いますので、ぜひ早目につくっていただきたいと思います。りっぱなものをつくってくださるようまた重ねてお願いしておきたいと思います。  次は、第三十四条でございましたでしょうか、「理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と、それぞれ兼ねてはならない。」こういうことが出ておりますが、所有権者が農家である場合には、これが理事になって百姓はもうやめる、こういうことになりはせぬだろうか。勝手な解釈ですけれども、これはどのようにお考えになっておられるのでございましょうか。
  251. 山岡一男

    山岡政府委員 協同組合の原則といたしまして、理事と監事はとにかく立場が違うというようなことになっておりますが、そういう意味で使用人と理事との間に併任を禁じているということでございまして、使用者と被使用者の立場の別を明確にして、事務処理上においても責任の帰属を明らかにするということが法上も必要とされるところでございます。なお、この種の規定につきましては他の協同組合法上におきましても全部とっておるところでございます。
  252. 林保夫

    ○林(保)委員 と申しますと、先ほど私が申したような専業農家で理事になってしまうとその組合関係する農地の耕作を自分で汗水たらしてできないということになるのでございますか。その点どうなんでしょうか。
  253. 山岡一男

    山岡政府委員 そこで農業をなさるという点については、組合の使用人という立場と違うと思います。組合の事務を行う中身の問題でございます。
  254. 林保夫

    ○林(保)委員 それからもう一つ、老婆心ながら。兼業の禁止がしてありますね、対抗する事業というようなことで。これは「実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、その組合理事、監事、参事又は会計主任となることができない。」ということで四十七条に出ておりますが、この二つを一緒に考えてみますと、先ほど質問申し上げたこととまた関連いたしまして、理事というのは、それになったらもうほかの仕事をやらないでも大体食っていける、こういうように考えられるのかという問題でございます。二ヘクタールあるいは十ヘクタールという基準もお示しになっておられますが、それぐらいでそういうことができるのだろうかというちょっと疑問があるのでございますが、その点についてどのようこ……。
  255. 山岡一男

    山岡政府委員 この四十七条も大体協同組合におきます基本的例文でございますが、役員等の地位の乱用を排するための規定、主として経済事情が中心になるわけでございます。その事業が事実上組合に経済上の不利益を与えるような競争関係にある事業を営んでおる、または与えるおそれがある同種の事業を営む者というのが対象でございまして、当該事業が営利を目的としない場合なども競争関係心ある場合には含まれる。法人の場合にはその代表者というようなものを考えておるものでございます。これはあくまでその地位の乱用を排するということが願いでございまして、先生おっしゃるように小さい組合においてまでそういうことがあるのかなという御疑問があろうかと思いますが、その点につきましては、やはりここにあるような趣旨は守らなければならないと思っております。
  256. 林保夫

    ○林(保)委員 第六十五条に「農業団体等に対する事業基本方針の送付等」というのがございまして、この農業団体というのは「等」となっておりますが、どこを指すのでございましょうか。
  257. 山岡一男

    山岡政府委員 これは二行目のおしまいの方にございます「主務省令で定める農業団体」ということで主務省令で定めることになっております。現在考えておりますのは、農住組合の地区を組合の地区の全部または一部とする農業協同組合を予定いたしております。さらに中身等につきましては、主務省令を本当に作成する段階で三省の間でもよく協議をして進めてまいりたいと思っております。
  258. 林保夫

    ○林(保)委員 その二の項に「事業基本方針の送付を受けた農業団体等は、発起人に対し、当該事業基本方針について意見を述べることができる。」とあり、第三の項に「発起人は、その概要を創立総会に提出するものとする。」ということで、これの扱い、つまり強制力があるのかどうか、ただ報告するだけで、ああそうか、こういうことでよろしいのかどうかという問題でございますが、どのようにお考えになっておられますか。
  259. 山岡一男

    山岡政府委員 この第六十五条の規定をつくりました趣旨は、農住組合の設立に当たりまして農業協同組合等事業の概要をあらかじめ知っておいていただく、あらかじめ両者の調整を図る機会を与えることが事業の円滑な実施のために望ましいという観点から設けられたものでございます。第九十一条に「農業団体等に対し、」「必要な助言又は援助を求めることができる。」こう規定をしておることと関連をいたしております。
  260. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは指導と助言という範囲で、強制はないということでございますね。
  261. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合に対しましては、あぐまで農住組合の自発的発意がもとでございまして強制はございません。
  262. 林保夫

    ○林(保)委員 組合ができて都道府県知事の認可という形ででき上がるわけでございますが、都道府県知事が認可を拒むといいますか、この要件を羅列的にで結構でございますから、どういう場合ならだめということをお考えになっておられるか。
  263. 山岡一男

    山岡政府委員 「認可をしてはならない。」という基準を六十八条に定めております。「設立の手続又は定款若しくは事業基本方針の内容が、法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき。」「組合の行う事業のために必要な経済的基礎を欠く等事業基本方針に記載される事項を達成することが著しく困難であると認められるとき。」「組合事業の実施により組合の地区内の市街化区域内農地等の相当部分が住宅地等転換される見込みが確実でないとき。」「地区の全部又は一部が他の組合の地区と重複することとなるとき。」以上でございます。
  264. 林保夫

    ○林(保)委員 この罰則規定でございますが、九十五条に「投機、取引のために組合の財産を処分したとき」というようなことがございます。これらの投機取引では実際に物を動かして売買するわけでございますが、営利事業を営んではいかぬということが厳然と組合趣旨として、またこの条文の中に出ておりますけれども、そういうものとの関連というのはどういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  265. 山岡一男

    山岡政府委員 おっしゃいましたとおり、営利行為を禁止するということでございますけれども、組合事業には外形的な基準によりましては、営利行為か、組合事業の遂行に伴いたまたま利益を生じたかが判然としないものが多いわけでございます。このため、営利行為のうちの外形的に明白であり、かつ組合に対し、不測の損害をこうむらせるおそれの強い投機的取引に限定して罰則の対象としたということでございます。  この投機的取引と申しますのは、ある財の価格の変動によって生ずる差額を利得しようとする行為でございます。いま申し上げましたような取引は一般的には第九十五条第一項の罰則の対象となりますけれども、場合によっては背任罪等の刑法上の罪に該当する場合があることも考えられます。このような場合には一般法である刑法によるという趣旨で、同じ九十五条の末尾に「刑法に正条がある場合には適用しない。」ということでございまして、事柄の内容はやはり背任罪等のようなものを想定いたしているわけでございます。
  266. 林保夫

    ○林(保)委員 重ねて恐縮ですが、十分御検討なされたと思われますので、この営利類似行為の疑いが出るおそれがあるようなもの、たとえば土地の造成、土地を売るといっても、これはお金を伴いまして物も動きますから当然でしょうし、それから、分譲する、また家を建てる、それを賃貸する、これも組合事業になっておりますけれども、一体どういうものが出てくる心配があるのか。そしてまた、それに対する、営利行為でないというあれの監督指導でございますか、それをどういう形でけじめをつけておやりになろうとしておられるのか、その辺のところをもう一度。仮定の問題だと思いますけれども……。
  267. 山岡一男

    山岡政府委員 組合は、当然のことながら「営利を目的としてその事業を行ってはならない。」というふうに書いてありまして、構成員に利用させることを目的として事業活動を行うものでございまして、組合自体が有形の利益を獲得するということを目的として事業活動を行ってはならないというのがこの営利を目的としてはならないという趣旨でございます。  先ほど申し上げましたように、組合の行います事業の中には、外形的と申しますか、今後、もっと先生がよくおわかりになるように具体の例を考えなければならぬと思いますけれども、背任に当たるような行為、投機という特別なことで、自分の代表権を利用いたしまして、表見代理のようなことでほかから土地売買してもうけるというようなことがあったような場合、そういうようなのが一番ティピカルな例だと思いますけれども、そういうようなことを予定いたしておるわけでございます。これについては刑法の本条の適用もある問題でございますので、十分いろんな指導、通達等には明記をいたしたいと考えております。
  268. 林保夫

    ○林(保)委員 法の趣旨に沿ってしっかりした監督が必要だと思いますので、せっかくの御努力をお願いしたいと思います。  時間がございませんのでもう一つ最後に。組合が解散をしたとき、「合併」の七十四条、七十五条、「清算人」の七十六条、七十七条とずっと出ておりますけれども、組合の解散の場合は大抵意見が分かれて解散するわけでございますが、そのときの処分そのほか。これもやはり監督官庁の立場として一応想定して、きっちりやるのを見届けなければならぬ、公平にいくようにいかなければならぬと思いますが、これらについて何か具体策なり案なり対応したものを考えておられますでしょうか。土地所有権組合に移転した場合と移転しておらない場合と両方あると思いますけれども、その両面について心配されますので、ちょっと御説明いただきたい。
  269. 山岡一男

    山岡政府委員 第七十一条で組合が解散をした場合でございますけれども、組合が解散することになりますと、解散前に組合が行っていました事業はどうなるのかというのが一番心配な点であろうかと思います。先生の御心配も恐らくそこにあろうかと思いますが、組合が解散したときにおきましてもなお清算の目的の範囲内において存続するものとみなされるというふうに規定いたしております。第八十条で準用いたしております民法の第七十三条というのがそれに当たります。原則として「理事がその清算人となる。」というふうに七十六条で決めておりまして、清算人は現務の完了その他の事務を行うものとされております。第八十条でこれも準用いたします民法七十八条の規定でございます。したがいまして、解散前に行われていました事業は速やかに完了のための手続がとられることになります。  なお、組合土地区画整理事業を行っている場合の清算人は、当該区画整理事業について速やかに完了するかあるいは廃止することについての都道府県知事の認可を要することになります。したがいまして、そういう認可等を通じましてもそういう点についての監督ができるということでございます。
  270. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がございませんので、個別的にはそのくらいにとめておきたいと思いますが、私の方が十分でなくて理解しにくかった面が多いかと思いますけれども、いずれにいたしましても、土地の問題について、持っている人の愛着というのはいまさら申し上げるまでもなく大変すさまじいまでのものがございますので、こういうものをつくった、入った、よかった面もあったけれども、後で大変後悔して、とうとう取られてしもうたと言うような悲劇がまたまた出てきはせぬだろうかという心配をこの法案を読ましていただいてもなおするわけでございます。しかもこれが十年間でおしまいだ、こういうことであれば、よけいに、いいものならどうしてもっと長い、不磨の大典とまではいかなくても、それに近いようなものにしなかったのだろうかと思うのですが、これについて局長はどういうお考えを持っておられますか。
  271. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど来おおむね十年以内に市街化されるべき区域の中でダイナミックな取り扱いといたしまして制度を設けたということで、十年というサンセット方式にしたわけでございますけれども、これについては十年目にそういうふうなものが醸成されまして組合が結成された、しかし結成された組合事業をなさるということはずっと続くわけでございます。十年という期限は法の期限ではなくて、手を挙げていただいて組合の認可の申請をなさる時期の限定でございまして、その限りにおいてはこの法案はずっと続くというものでございまして、それに基づく監督もずっと行われるというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  272. 林保夫

    ○林(保)委員 それではもう一つだけ。  言葉を返すようですけれども、十年間に早くこの舟に乗っちゃったら得するという状況を国土庁は考えておられるといいますか、そうなんだと言い切れるわけですね。
  273. 山岡一男

    山岡政府委員 御案内のとおり三大都市圏の住宅地を中心とする土地の値上がりが著しいというのが最近の土地の値上がりの状況でございます。そしてそれも何とか十年以内にはおさめなければならない、そういうことであればそういうところを対象にいろいろな意味で皆さんの協力を仰がなければならない。そういう場合に一般法律もございますけれども、そういうふうな一貫的にそういう仕事ができるような権能を持った組合をつくって差し上げるということの方が事業進捗上望ましいことではあるし、皆さん方も手を挙げていただきやすいという意味でこの法案考えておるわけでございます。したがいまして、十年の時がたちまして、そのときにこれは非常にいい法律だ、もっと延ばしたらどうだという話はそのときの話だろうと思います。
  274. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは大臣、最後にひとつ先ほどお聞き及びのように定款の模範例、これもやはり見せてもらいませんと、一体どうなるのだ。法案のよしあしの判断すら、やはりそういうものを見ないことにはどうにもならない、こういうふうにすら感ずるわけであります。そのほかいろいろと長年御工夫なさってできた法律ではございますけれども、なお問題があろうかと思います。そこらあたりにつきまして大臣の方からひとつしっかり詰めていただきまして、それで実効あるようにするためにはどういうふうにしたらいいのか、もう少しはっきりと前向きのものが出てこなければ乗ろうにも乗りにくいような面もあろうかと思いますので、ひとつ御決意を重ねて聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  275. 原健三郎

    原国務大臣 先生のおっしゃった定款の模範例というようなものを早速つくるようにいたしましてお見せいたしたい、こう思っております。  それからいろいろ委員会において御心配の点、るるけさからもずいぶん聞きましたが、それらのことをよく身に体して、頭に入れて、そして万遺漏なきを期していきたい、こう深く決意いたしておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  276. 林保夫

    ○林(保)委員 長時間ありがとうございました。
  277. 稲村利幸

    稲村委員長 林百郎君。
  278. 林百郎

    ○林(百)委員 これは国土庁に聞きますが、三全総で、三大都市圏昭和五十一年から六十年までの新規宅地必要量というのはどのくらいと見ているのですか。
  279. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 お答え申し上げます。  三大都市圏で十年間に必要となります宅地の量は、全国では五十一年−六十年で十二万八千ヘクタール。それから東京圏で二万七千、大阪圏で一万ヘクタールということになっておりまして、名古屋圏の数字はちょっと手元にございませんが、至急いま調べて返答させていただきます。
  280. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私の方から申し上げますが、五万九千ヘクタールというように計算が出てくると思うのですが、そうすると、これは年平均にしますと五千九百ヘクタールになるわけであります。今度の農住法で先ほどからお聞きしますと、この十年間で農住組合によって出される土地というのは、大体四千ヘクタールと聞いておいていいのでしょうか。
  281. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど来申し上げておりますように、いろいろな仮定を加えた試算でございまして、それぐらいはぜひともやりたいなという数字だと御認識いただきたいと思います。
  282. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、三全総で三大都市圏で五十一年から六十年の平均一年に必要なのは五千九百ヘクタールだ。そうしますと、それでは一・年分も足りない。五十三年度の供給実績を見ますと三千七百ヘクタールは供給しているようですが、平均して二千二百ヘクタール不足になるわけなんです。そうすると、先ほど言うように、この法律が三大都市圏の必要な宅地を供給したりあるいは地価高騰を抑える、率直に言ってそういう効果が期待できるのでしょうかね。
  283. 山岡一男

    山岡政府委員 私どもの推計の中には、今後一般土地区画整理大都市法による供給それから公団その他によります供給、いろいろな従前からの供給が相当あるわけでございます。したがいまして、そういうものが今後逐次伸びる傾向にございます。そういうものが伸びていった上でなおかつ足らないというようなものに対して相当のインパクトを与えたいと思っておるわけでございまして、端的に申しますと、十年間で四千なら一年は四百じゃないかということになりますが、それでもなかなか大変な供給量であろうというように私どもは考えております。
  284. 林百郎

    ○林(百)委員 これは各委員が聞いて、新聞にも出ているところなんですが、ことしの三月、建設省の計画局の宅地需給長期見通しの調査によりますと、御承知のとおり土地区画整理事業を各認可年度別に集約し、各区域別に認可年度別の平均市街化率を求めてあるのです。それによりますと、土地区画整理でまだ市街化されない地域が首都圏で一万八千ヘクタール、近畿圏で六千三百ヘクタール、合計二万四千ヘクタールある。これは各委員が言っているのです。これは東京工大の石原教授に私の方も問い合わせてみたのですが、やはり農業をやりたい意思の人が八〇%以上もあるというその農地をこういう農住法というような方法で吐き出させるよりは、これを吐き出させる必要があるのではないか、こういう意見もあり、新聞にも大きく書かれてあるわけなんですが、これについてはどういうようにお考えなんですか。そういうことも基本的に考えていかなければいけないのじゃないですかね。
  285. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  いまお示しのような調査によります結果が出ております。ただ、これは四十九年の時点におきます数字でございますし、繰り返して申し上げて恐縮でございますけれども、現在事業継続して実施中のものと、でき上がったけれども家が建たないものと、公共施設の予定地を含んでおります。  それで、今日ただいまの区画整理の状況を単年度でちょっと御報告申し上げますと、昭和五十四年度について見ますと、五十四年度一年間に認可の申請が出てきまして認可いたしました区画整理の面積が大体六千ヘクタールぐらいございまして、ここ数年大体六千ないし七千ヘクタールを毎年認可いたしております。それからやはり区画整理は数年期間がかかりまして、換地処分が終わりますと区画整理が終わるわけでございますけれども、五十四年度で換地処分をやりました面積が大体八千ヘクタールぐらいになっております。これは先ほどの認可面積より多いのは、過去のものの集積で五十四年度にたまたま完成したところの面積が八千ヘクタール。しからばそのうち大体どの程度が市街化しておるかと申し上げますと、これはその年に完成した八千ヘクタールが直ちに市街化するわけではございませんで、大体二十年ぐらいかかっていままでは市街化しておりますけれども、五十四年度に市街化して住宅が建ちましたのが大体三千五百ヘクタールぐらいだと私どもは見込んでおります。しかし、いずれにいたしましてもこういうふうに公共投資を入れまして地主の皆さん方の御協力、減歩をしていただいてつくり上げました優良な市街地がまだ建築物が全部建たないで残っておることは残念なことでございますので、これらにつきましては、いままでもいろいろ申し上げましたけれども、真剣に取り組んで何とか早急にこれを本当の意味宅地にするために最善の努力を続けていきたいと考えております。
  286. 林百郎

    ○林(百)委員 残っておる農地と言いますけれども、国土庁のことし一月の農家の調査では、「農業を続けていきたい。」のは四五・五%、それから幾らかは出しても「残りの大部分は農業を続けていきたい。」というのが三九・三%、八四・八%が農業を続けていきたいという意図があるわけなんです、三大都市圏の周辺の農民としては。それを優良な土地だからこれを吐き出させるのだということは、農民の意思に反してくるのじゃないですか。
  287. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生がおっしゃいました調査は、私どもの方で五十キロ圏におきます市町村に主たる事務所を持ちます農業協同組合の中から無差別に抽出をいたしてやってみたものでございます。いま全部を足してお話があったわけでございますが、確かに「多少は」とか「半分位は」とか「大部分は」とか、それぞれ差がございますが、私どもはその四五・五の残りを足しました五四・五というものについては、あるいは「貸家・アパート等の施設用地に転用してもよいが、残りの大部分は農業を続けていきたい。」ということでございまして、一部農業を続けながらしかし「多少は」とか「半分位は」とか「大部分は」とございますけれども、他へ転用してもいいという意思の方もおられるという点に、私ども大変望みをつないでいるわけでございます。  そういう皆さん方の中で、特にまだいままでいろいろな手法その他について御案内のない方もございます。農地として保有しておる方が資産価値があると思っていらっしゃる方も当然おられると思いますが、まじめな営農の方もいらっしゃいます。それから、他へ転用したいと思っているけれどもどうも一人では不安だという方もおられます。それらの調査結果を総合いたしますと、こういうふうな新しい制度をつくりまして、皆さん方に十分活用していただければ成果が上がっていくのじゃないかと考えて御提案を申し上げておる次第でございます。
  288. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの方の調査には、いま局長の言うようなことは書いてない。「市街化区域内の農地の全部について、農業を続けていきたい。」というのが四五・五、「市街化区域内の農地のうち、多少は売却あるいは貸家・アパート等の施設用地に転用してもよいが、残りの大部分は農業を続けていきたい。」あなたの言うように、そうは言っているけれども腹の中はこうだなんていうことは別に書いてない。だから、建設サイドだけで物を考えて一体国土庁はいいのかどうか。やはり農業サイドからも考えていかなければならないと思うのです。  そうかといって、私はいま三大都市圏宅地が非常に要望されているのをそのままにしていいとは思いません。ただ、こういう土地の財源があるのですね。あなたの方の五十四年三月の調査によりますと、一億円以上の企業の持っている三大都市圏の販売してもよろしいという土地の利用になっている状況、これは市街化区域でどのくらいありますか。
  289. 山岡一男

    山岡政府委員 私どもの調査によりますと、五十四年三月末現在で資本金一億円以上の企業が三大圏の市街化区域内に保有する販売用土地は約八千ヘクタールでございます。そのうち造成工事等の未着手土地三千二百六十ヘクタールぐらいでございます。  ただ、販売用土地取得、売却の状況は別途また分析調査いたしておりますけれども、その状況を見ますと、四十九年以降取得を上回る売却が行われているという実績がございまして、民間開発事業者の意向を見ましても住宅地の素地の在庫には不足を感じている者が非常に多いというのが現状でございます。したがいまして、総じて企業が保有している販売用土地がだんだん宅地として供給されつつあるというふうに見ておりますけれども、なお未利用のまま残されている土地につきましてはしっかりやらなければならないということでございますので、従来国土法の届け出等を経て遊休地になっておるというようなものにつきましては、現在総点検をいたしております。  それから、関係市町村によります民間開発型の土地利用転換計画の策定につきましても、国土庁としてわずかずつでございますが、補助金を出しまして進めてまいっております。そういうようなことを今後も大いに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  290. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし、昭和四十四年度以降に取得されたものということがあなたの方の「国土の利用に関する年次報告」にあるわけでしょう。だから、そんなに速いテンポでぽっぽこ埋めていけるなら、五十四年の調査にこういう数字が出るはずないのですね。  試みにお聞きしますが、それならば市街化区域と市街化調整区域と都市計画区域全部入れれば、資本金一億円以上の企業が持っている、販売してもよろしいという土地の状況はどうですか。
  291. 山岡一男

    山岡政府委員 三大圏で申しますと、都市計画区域外まで含めまして二万五千ヘクタールでございます。
  292. 林百郎

    ○林(百)委員 農住法とかなんとか、農民が八十何%も農業を続けていきたいという土地を放出させる前に、これに対してどういう対策をとるのですか。このままにしておいていいのですか。二万五千ヘクタール、それは市街化区域や調整区域も入っておりますけれども、一億円以上の資本金の企業の持っておる販売用の土地なんです。これに国土庁は何らの規制の手も打つ考えはないのですか。
  293. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども、いま焦眉の急と思っておりますのは、三大都市圏でも特に市街化区域内ということでございまして、未着手土地につきましては先ほど申し上げた対策を大いに講じてまいりたいと思っておるわけでございますが、市街化調整区域の中等におきまして、昔買ったけれども、その後市街化調整区域になったというところにも相当販売用土地があるわけでございます。これは個別の企業の云々ということを抜きにいたしまして、市街化区域の線引きの見直し、開発許可の促進ということにつきまして建設省の方で九月半ばにも通達を出されたところでございまして、それらの通達の運用の中でも十分にりっぱなものについては採択されていくのじゃないかとわれわれ予想しているわけでございます。
  294. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、国土庁としては建設省の出方を待つのだということなんですか。あなたも答弁しているように、ことに三大都市圏の中の市街化区域でもう八千ヘクタールでしょう。これは十年かかって出す農住法の倍ですね。それも実際出るか出ないかわからぬけれども、これがこのままにしてある。三大都市圏の市街化区域での造成工事は他と比べて非常に進んで約六〇%で、全くいつでも宅地になり得るわけですよ。それが八千ヘクタールも残っている。それはそのままにしておく。これはあなたの方の調査にあります。そして今度は農住法を新しく出す。しかし、その三大都市圏の市街化区域の中にある八千ヘクタールの、しかも六〇%ももう工事着工して造成をしているという方は建設省の方が適当におやりになるでしょうということで、それでいいのですか。
  295. 山岡一男

    山岡政府委員 三大都市圏の中に確かに販売用土地が八千ヘクタールあるわけでございますけれども、そのうちの大部分はもう着手をされておる、もしくは供用の途中にあるということでございまして、まだ手をつけていないというのが三千二百ヘクタールでございます。そういう意味でございまして、下の着手率と申しますのは、上の八千ヘクタールの中で六割はもうすでに手をつけられておる、残りは四割だということでございます。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  それから、市街化調整区域の中におきましても一万一千ヘクタールあるわけでございますが、その中では一万ヘクタールが手をつけられていない。その差は恐らく開発許可を受けたものと思いますけれども、この一万ヘクタールについてはいまだに開発許可も受けていないという数字で、未着手のまま残っておるというのがこのデータでございます。
  296. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、それは違いますよ。あなたの方の書いたのを見ると、造成工事ですよ。もう売買が決まって、宅地に決まっていて、やっているということじゃないのですよ。宅地にするための造成工事が平均すれば二九%、市街化区域や都市計画区域も入れれば。しかし、三大都市圏は六〇%ということで、もう売ることが、供出することが決まっていて、そして着工しているなんてそんなことはあなたの方は書いてありませんよ。
  297. 山岡一男

    山岡政府委員 注に書いておりますけれども、「着手済または未着手の区分は、造成整地等の工事の終了または工事への着手があるか否かに基づく企業の判断である。」多少あいまいな点はございますけれども、分類にございますように、未着手土地というのは、いまの八千ヘクタールの中で三千二百ヘクタールが手がついていないというふうに理解をいたしております。
  298. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、あなたの言う造成工事に着工しているということは、何もそれがもう宅地として供給されて売買が済んで、そして住宅用地として利用されているというのではなくて、いつでも宅地として売れば売れるような造成工事をしている、こういう意味でしょう。だから農住法みたいに、必ず家を建てなければいかぬなんということはここにはないですよ、工事着工部分に。ではなぜここに、農住法みたいに、こういうところは何年間のうちに早く売って家を建てなさいとかそういうことをやらないのですか。
  299. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃる意味がわかりました。造成工事が完了しておるということと販売されたかどうかにつきましては確かに差がございます。現状におきまして、販売用土地についてすでにでき上がったか、でき上がりつつあるアイエヌジーのものが上に入っているというのは事実でございます。したがいまして、こういうものにつきましては、たとえば国土利用計画法の施行に当たりまして、そういうふうな届け出なり事前確認なりを受けたものにつきましては、徹底的に後追い調査をするという手だてを講じておりますので、その中で適正利用が図っていかれるだろうというふうに思っておるわけでございます。  一般のものにつきまして、先ほど申し上げましたように、最近は販売用土地につきまして非常に在庫の不足を感じておるというのが一般企業の現状でございまして、恐らくこの八千ヘクタールで造成されたものの上にはどんどん物を建てているだろうというふうに私は思っておりますが、そういう点についての調査は現在のところまだやっておりませんので、今後十分調べていきたいと思っております。
  300. 林百郎

    ○林(百)委員 農住法は現に農業をやっているものをこれから宅地に造成してそして家を建てなさいよ、なるべく速やかに。「速やかに」という言葉がありますね。しかしこれはもう造成して宅地になっているところでしょう。そういうところを何年間に宅地にしなさいという規制的な立法措置をなぜ講じないのですか。いま農地の状態になっているところについてはこれからなるべく早く農地宅地の用に供しなさいと言う。ところが、三大都市圏でもう市街化区域になって、しかも造成が六〇%できている、そこに家が建たるようにどのように利用されているかということについては調査もしてない。そして農地の方は至急に吐き出しなさいよ。それも、わずか、一億円以上の企業の持っている土地の約半分ですよね。それを十年間でやれというのですよね。これに至急に手をつけるべきじゃないですか。
  301. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合法につきましては、私ども、メリット一つとして、これは強制ではないという点を挙げております。そういう希望の方方がお集まりになってそういうことをおやりになる場合に、組織、権能を規定した規定でありまして、そういう意味では強制ではないという点が一点ございます。  それから国土法に遊休地の指定制度というのがございます。現に民間のような土地でございまして、売買後三年間も放置をされているという場合には、知事が指定をいたしましてそれを買い取るもしくは他へあっせんをする、直ちに有効利用させるということの命令ができるようになっております。  先ほど来申し上げておりますのは、そういう制度の活用を十分図りてまいりたいということを申し上げておるわけでございます。  で、八千ヘクタールの分につきましては、これは母票によってもう一遍点検しなければなりませんが、現在家が建っているとか建ってないというのは原票を見れば調査はできるだろうと私は思います。
  302. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃその調査したのを私の方へ資料として下さい。  で、強制は別にしていないのだというふうに言っていますけれども、これはこの農住法で、農地を利用しない場合は宅地並み課税が五十七年度から完全実施になるわけでしょう。だからそれは税金の面から強制されることになるのじゃないですか。これは自治省に聞いてもいいのですけれども、もしこれが農住法の適用を受けない、あるいは仮に農住法の適用を受けても第一種生産緑地地区の要請が伴わないというような場合はどうなるのでしょう。
  303. 山岡一男

    山岡政府委員 農住組合法といわゆる宅地並み課税とは直接関係がないというふうに申し上げてまいりました。  で、いまの、五十七年度分からそういうふうな宅地並み課税の強化の方向検討せよということが法律にも書いてございますし、いろいろなところでも私どもに検討を命ぜられておるところでございます。したがいまして、五十七年度分に向けまして関係省庁の間で十分検討していかなければならないと思っておりまして、農住組合員に関しますものはその一環として検討されるものであろうと思います。  ただ私どもの考えといたしまして、農住組合では、整序、集約をいたしまして当面の営農継続する営農地ができます、農地利用規約もつくります。したがいまして、そういうものは従来の政府の答申の中にございます当面の営農継続に対する配慮を十分した上で検討しろという中の当然検討しなければならない事項であろうということでございまして、五十七年度の実施に向けて検討いたします際に、私ども国土庁としては、ぜひともそういうようなものにつきましては当然宅地並み課税ではないというふうにしたいという方向検討をお願いしたいと考えておるところでございます。  一般に、農住組合法というのは、先ほどからもお話がございますように、相当広い市街化区域内農地に対しまして、全部をやるわけではございませんで、皆さんが本当に発意をなさった場合の組織法、権能法をつくったということでございまして、いろいろな他の制度に対するワン・オブ・ゼムという考えでおります。したがいまして、それをやるかやらないかによってそういうふうな宅地並み課税関係があるかないかということではなくて、いまの農住法を今後われわれが宅地並み課税とすり合わせるときに、農地の方はどんなことがあっても農地並み課税にしたいな、またするように努力したいなというふうに考えておるということでございます。
  304. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言っていることは何だかわからないのですが、要するに、一条の目的を見れば、これは「大都市地域の市街化区域内農地所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農継続を図り」、当面だけですよね。「円滑かつ速やかに住宅地等転換するための事業を行う」とあって、これはあなたが言うように農業をやりたければ農業をやっていてもいいのだというようなことじゃないのですよ。  それでは自治省の方に聞きますけれども、これは、農住法の適用がない、それで、三大都市圏でしかも第一種生産緑地地区の適用がないという場合には、いまの状態のままでいけば五十七年度からC地区も含めて宅地並み課税が適用になると思うのですが、その辺はどうなるのですか。
  305. 渡辺功

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問のことは、農住組合法の適用がある営農地区になったかならないかということとは別に、現在の制度でどうなるかということの問題であろうと思います。  まず、いわゆるAB農地でございますけれども、それは現在宅地並み課税がされておりますけれども、これに対して減額制度というのがとられております。これが五十六年度までということになっておりますから、御指摘のように五十六年度までで現行法のままですとそれが期限が切れますのでこれは宅地並み課税になる、こういうことでございます。それから、C農地の問題は、これは先ほど来いろいろ御議論がありますように、現在は宅地並み課税から外されております。したがいまして、これはむしろ五十七年度からこれをどうするかという今後の御議論あるいは検討ということになるのだろう、こういうふうに思います。
  306. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、いまのままでいけば、五十七年度からC農地を含めて宅地並み課税が適用されるようになるのじゃないですか。それは五十七年に国会の方でどういう法案をつくるとかあるいは政府の方でどういう法案をつくるかということは別として、このままでいけばC農地も五十七年には含まれるようになっているのじゃないですか。
  307. 渡辺功

    ○渡辺説明員 現在、地方税法の附則で、当分の間いわゆる三大都市圏の特定の市のAB農地宅地並み課税が行われておりまして、それ以外は除かれております。したがいまして、地方税法におきましても、先ほど国土庁土地局長からもお答え申し上げましたように、五十七年度以降の扱いにつきましては、現在、むしろC農地に拡大すべきではないか、こういうような御議論をされておるわけでございまして、それによってAB農地と同じような扱いになるのかというようなことが検討課題であろう、こう考えております。
  308. 林百郎

    ○林(百)委員 原則として宅地並み課税を課す、しかし、AB農地については今日のままで適用する、C農地については五十七年に見直すと書いてあるので、見直されなければ適用になるのじゃないですか。見直し措置がされなければ。
  309. 渡辺功

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  現在の法律構成は、一二大都市圏のAB農地以外の農地、市街化区域農地については当分の間適用しないという形になっておりますので、むしろ問題はC農地に対してどういう課税をするかという検討課題になるのであろう、こういうふうに考えております。
  310. 林百郎

    ○林(百)委員 その点はあなたと論議していても限りがありませんが、とにかくそういう宅地並み課税の適用ということが一つのプレッシャーになる。それで農住に農民の方が関心を持たざるを得なくなる。これは、法案の中でも、第一種の生産緑地地区の要請をし許可を受けることができるというように、許可を受ければ適用されないわけですから。AB農地はもう宅地並み課税されているわけですからね。だから、そういう宅地並み課税があるし、それから自治体がそれを補完しているというような形もあるのでありますから、これはあなたの言うように別にプレッシャーして農住法をつくろうというような要因はどこにもないというようなことは言えないというように私は考えているわけです。税金の面でもそういう措置があるというように思うわけです。  それからもう一つお聞きしておきたいのですけれども、法の六十八条、設立の認可ですけれども、一項二号で「組合の行う事業のために必要な経済的基礎を欠く等事業基本方針に記載される事項を達成することが著しく困難である」ときには認可されない。ここで言う組合の行う事業というのは法七条で、事業を施行するには相当莫大な費用が必要なんですね。設立の認可は六十八条ですけれども、行う事業は七条に書いてあるわけです。その経済的な基礎を欠かないようにするということは、たとえば一人で十万の出資と先ほどあなたは言っていますけれども、そんな程度で七条の事業を行う経済的な基礎ということになるのですか。あるいは法十六条の組合員出資金というのはあなたの言っているように十万程度でいいのですか。そのようなもので七条の事業を行う経済的基礎を欠くということにならないのですか。
  311. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、十万円というのは総合農協統計による総合農協における一組合員当たりの平均出資額で小さいものの例が十万円だったというのを参考に申し上げたわけでございまして、あくまで出資一口の金額は組合事業の内容、資金計画、組合員数、組合の負担能力等を総合的に勘案して定款で定めるということになるわけでございます。ただ、実際に事業をやります場合には、借入金等によりまして事業費そのものは借り入れによってできるわけでございますが、その借り入れのもととなる信用のもとになるような協同組合であるかどうかということのためにも適正な額の出資が必要であろうというふうに思うわけでございます。
  312. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの方から出ている「農住組合法案の構想図」によりますと、これはポンチ絵なんですけれども、家が宅地の方になる部分には十二軒あるわけですね。マンションだか店が一つあるのです。あなたは先ほど出資十万円程度だと言うのですが、十二軒じゃ百二十万ですよね。百二十万で七条で規定しているようなこういう客土だの暗渠排水だの公衆の利用に供されるレクリエーション施設だの、以下農産物処理加工施設だとか、こんなものができるのですか。だからあなたのさっき言った一人十万の出資なんというのはいいかげんなことを言っているのじゃないですか。そうでなければ、農住組合をつくってもどこかから資金を借り受けなければならないということになりますよね。そうすると、借り受けるということになると、将来その借り受け先が組合員になる可能性もあるし、あるいは金融的にはそういうものの支配を受けることにもなる。そういうことになりませんか。
  313. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどの十万円はあくまで先ほど申し上げたように一つの例として他の例を申し上げたわけでございまして、実際問題としてもう少し多いのじゃないかと思います。思いますが、それは信用のもとでございまして、先生おっしゃいますように、仕事をする場合にはやはり他の資金を借りてやるということが必要になります。したがいまして、そういうふうなものにつきまして借り受けた場合の利子補給などについて私ども検討もしていると申し上げたわけでございますけれども、そういうふうな借入金によりまして仕事をするということは当然のことになろうかと思います。
  314. 林百郎

    ○林(百)委員 そうなりますと、たとえば組合員の加入、脱退の自由もありますし、自分の権利の譲渡もありますし、あるいはそういう資金の借り入れもあるとすれば、これが営農をしていた者の永久的な財産として残る可能性よりは、これを世間で言うデベロッパー、そういうものが食い物、食い物にすると言えば言い過ぎかもしれませんが、そういうものが農住組合を将来支配する、あるいは解散してその事業を承継するとか、そういう可能性がないと言えますか。原さんどうですか。
  315. 原健三郎

    原国務大臣 そういうことがあったら本当に大変なことで、やぶへびみたいなことになるので、そういうことのないように、これは県当局においても十分査察もし、監督もするように連絡をとってやるように、万遺漏なきを期したい、こう思っております。一それは大変なことでありますから。
  316. 林百郎

    ○林(百)委員 長官も言うように大変なことになるので私は質問している。大変なことになる要素が方々にありますので、それじゃ長官の言うような規制、監督、そういうことをどういう方法でおやりになるのですか。これは長官に細かい技術的なことを聞くのもなんですが、局長どうですか。
  317. 山岡一男

    山岡政府委員 組合が経済的に破綻を来しては大変でございます。したがいまして、この法案で準備いたしておりますのは、組合員に一定の出資義務を課すことによりまして組合の経済的な基盤を確立するという関係一つございます。それから、組合の設立の認可に当たりましては、組合事業のために必要な経済的基礎があるかどうかにつきまして、都道府県知事がチェックを行うということになっております。それから、土地区画整理事業を行う組合につきましては、土地区画整理事業に係る経理を他の事業に係る経理と区分をして経理をするということを義務づけております。それと同時に、準備金及び繰越金並びに剰余金の配当についての規定を設けております。  その他、組合の財務を適正に処理するための基準として従わなければならない事項を、これは政令で明らかにしたいというふうに考えております。決算関係書類等の備えつけを理事に義務づけております。組合員及び組合の債権者にその閲覧請求を認めております。都府県知事が組合の業務または財産状況の報告の徴収及び業務または会計状況の検査を行うことができるようになっております。これらの措置を適確に運用いたしまして万全を期してまいりたいと思っておりますけれども、農住組合事業の円滑な推進のためには、農業団体等によります助言、援助等の活用あるいは住宅金融公庫などの各種貸付制度の活用、それから関連公共施設整備促進事業費の優先的な活用等によりましてあらゆる努力をいたしまして、経済基盤も安定するように、そして健全な運営ができるように、関係方面とも力を合わせて指導してまいりたいと思っているわけでございます。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  318. 林百郎

    ○林(百)委員 必要な経済的な基礎、六十八条の設立の認可ですね。しかもこれは農家ですね。それにもかかわらず、事業の七条、これは私が先ほど言ったような非常に大きな事業をやらなければいかぬわけですよ。これが農民の財産でできるはずないですね。たとえばこの中で、組合員及び一般公衆の利便に供する店舗、事務所その他利便施設の建設、それから農産物処理加工場、客土、暗渠、それからレクリエーション施設、教育及び組合員に対する一般的情報の提供の施設とか、こんなものは、あなた、できますか。どうしてもどこかから金を借りなければいけない。金を借りて返せない者があれば、その権利は、要するに金力のある者に脱退して譲られてしまう。そして農住組合組合員の中に金融業者やあるいはデベロッパーが、金の力で入る道は十分にあるんじゃないですか。そういう観点からこの条文を見てみますと、「組合員たる資格」というのは十五条にありますが、また二十一条、二十二条ですね、組合員たる資格は必ずしも農業経営者でなく地区内の土地所有者であればいい。また、二十一条、二十二条には加入、脱退の自由がある。八十六条には土地区画整理事業に係る組合員の脱退もできると、脱退した場合には組合員の権利を承継することもできると、こういうように、組合員の資格が自由に出たり入ったり、自分の権利を譲渡したりいろいろする。そして金は借りる。そして、こんな店をつくったり、あるいは教育施設をつくったりレクリエーション施設をつくるというようなことになると、どうしたってデベロッパーか何かを入れなければ、農民にこんな知識はありませんからね。そして、そういうものか入る余地、あるいはそういうものに実権を持たれる、そういう危険が将来あるんじゃないか。長官はそういうことになると大変だから十分その点は監視していくと言いますが、監視といっても非常に抽象的なことですからね、長官の言われるのは。事務当局のあなた方が実際どう考えているか、局長の答弁だけじゃわれわれこの心配はちっとも解消できないですよ。
  319. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、第七条の事業には相当の資金が要ることはそのとおりでございまして、先ほど来申し上げますように方々からの、たとえば私ども期待しておりますのは金融公庫の融資なり、それから近代化資金なり、それから農協の施設融資資金なり等を期待しておるわけでございます。そういうものによりまして仕事をするわけでございますが、あくまで組合員につきましては十五条にございます組合員が正規の組合員でございまして、協同組合の性格上、確かに加入、脱退の自由を認めておりますけれども、いずれの場合におきましても事業そのものは最後まで趣旨一貫できるように法制上の手当てをしておるつもりでございます。その点多岐にわたりますのでいま一口に申せませんが、そういうふうなことで仕事の確実な担保ということは法律上十分に私ども担保しておるつもりでございまして、そういう意味のことにつきまして御心配の点がないように、十分指導してまいりたいと思っております。
  320. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので急ぎますが、あなた、こういう金があると言うけれども、それはみんな借金でしょう。抵当権も設定しなければなりませんし、返済もしていかなければならないでしょう。返済ができなければ、抵当で取られてしまうんでしょう。そういう点で、国が農住組合をつくれば、特別な低利の融資で二十年なら二十年の資金を融資するということでなければ、農協から借りることができるとか金融機関から借りることができると言ったって、あなた金を借りた経験があるかどうか知りませんが、そんなに簡単に金は貸せませんよ。ちゃんと抵当権も設定したり、いざというときには抵当が取れるようになっていますし、あるいは、返せなければ差し押さえもしてきます。だから、そういうことで金融の資本やデベロッパーが農住組合の実権を将来握る道を開く可能性があるんじゃないかと、その点をどう保障するかという点を聞いているわけなんで、もうあと時間がないので、ちょっと農業サイドからもこの問題を聞いておきたいと思いますので……。  建設委員会なものですから、初めから終わりまで建設サイドでどうやって宅地化できるかということばかりで、三大都市圏あるいは首都圏で農地が果たしている役割りについて私はちょっとお聞きしたいのですが、東京都の五十三年度における中央卸売市場の野菜の入荷状況の調査によりますと、都内産で第一位を占めるものはカリフラワー、コマツナ、ウド、つまみ菜、タカナ等の五品種、第二位を占めるものがゴボウ、レンコン、つけ菜、ワケギですか、サラダ菜、ワサビ、豆もやしなどの八品種、第三位を占めるものが京菜、カラシナ、ヤツガシラの三品種、東京中央卸売市場における野菜のベストテンを占める四十九品種を都内の農地、農民が果たしているわけですね。また・キャベツのように順位は第五位だけれども、六月には入荷量が四〇%、十一月には二〇%という季節的な比重を占めているものがあります。  そこで、農水省にお伺いしますが、以上のようなことは、市街化区域での農業を含む東京都の農業が、都民の食生活にとって新鮮な野菜供給に大きな貢献をしているという側面があるのではないか。だから、都民にとっては、都市圏の農業というのは新鮮な野菜を確実に提供するということで非常に重要ではないか。それで国土庁自身の調べたのでも、農業を続けていきたい、という人が八四八%ありますので、首都圏内における、あるいは都市圏内における農業の果たしている役割りについてひとつ農業サイドからお答え願いたいと思います。
  321. 松下一弘

    ○松下説明員 先生御指摘のように、東京都にはただいま面積にしまして約一万二千ヘクタールの農地がございまして、その大部分は畑でございまして、農業生産も野菜、畜産を中心に生産が行われております。いま先生御指摘のように、特に軟弱野菜では東京都の中央市場に入ってまいります入荷量のうち都内が第一位を占めるものもございます。このように東京都の農業は生鮮な農作物の供給という面で一定の役割りを果たしております。さらに、都市の緑地とか空間という面でもそれなりの機能を果たしております。しかし、東京都の農地の大部分、一万二千ヘクタールのうちの約一万ヘクタールが市街化区域の中にございまして、市街化区域の性格上宅地等への転換が次第に進んでおるものですから、産地も次第に遠隔地の方に少しずつ移ってきておりまして、長期的に見ますと、東京都の農業のウエートは下がってきております。そういう面で現在では相当の機能を果たしておりますけれども、長い目で見ますと宅地等への供給も次第に進んでいくと見ております。
  322. 林百郎

    ○林(百)委員 これで質問を終わりますが、何も建設委員会へ来たからといって、あなたそんなに遠慮しなくてもいいんで、当面重要な役割りを果たしているなら果たしていると言っておけばいいんです。  それでは国土庁にお願いしておきますが、三大都市圏の販売用土地の利用状況がその後の調査でどうなっているのか。ことに市街化区域の販売用土地の八千ヘクタールがどういう状態になっているか、わかったら資料を私に提供してもらいたいということと、それから農住組合の定款、先ほど同僚議員も言っていましたけれども、どういうようなものを定款にするのか。そのティピカルなものがあったらひとつ提供していただきたい。これは委員長を通じてお願いしておきます。
  323. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど八千ヘクタールの追求ができると私申し上げましたが、いま至急調べさせましたところ、地目については詳しく個票を調べればわかるそうでございますが、現状については、私が申し上げた意味のようなことは現在の個票ではちょっと無理だ、調査に入っていないと言っております。ひとつ御容赦願いたいと思います。  それから、定款の方につきましてはなるべく早く関係省庁間で検討いたすことにいたしておりまして、やや時間がかかるかと思いますが、なるべく早くお届けするようにいたします。
  324. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃこれで終わりますが、こういう一億以上の企業が持っていて、しかも販売用の土地になっていて、しかも造成工事が六〇%も終わっている、しかも農住組合法によって十年間に提供する土地の倍もの状態がいまあるというのに、この調査がまだできていない、この委員会で報告できないというのは私は不勉強だと思うのですよ。至急調査されて、中間でもいいですからぜひひとつ提供していただくよう重ねて委員長を通じてお願いして、私の質問を終わります。
  325. 稲村利幸

    稲村委員長 甘利正君。
  326. 甘利正

    ○甘利委員 まず最初に三点御質問いたしますので、土地局長の一括の答弁をお願いいたします。  第一に、農住組合法が特定市街化区域農地宅地並み課税の実施を前提とするものではないと私は考えますが、あなたはどのようにお考えになりますか。  次に、三大都市圏の市街化区域農地の現状の認識についてでございますが、三大都市圏におきましては、私の知る範囲におきましては、二ヘクタールの一連の団地、このようなとらえ方をいたしますと全体の三分の一程度である。首都圏、その中における神奈川県にこれをとらえますと四分の一程度である、こういう点についてお考えの食い違いがあるかどうかということでございます。  さらに申し上げます。これらの市街化区域農地の中を通っております国県市道、この両側はほとんどが住宅で埋まっておる、これが今度政府で考えられた農住組合法がお嫁入りをする三大都市圏の市街化区域の現状である、私はこういう認識でございますが、局長はいかなる認識をお持ちになっておりますか、お尋ねをするわけでございます。  次に、組合の地区についてお尋ねをいたすわけでございますが、組合の地区については規模要件が一つ、団地要件が一つ、八〇%以上の農地要件が一つ、要件が三つあるわけでございます。このうち規模要件についてはこれを引き下げたらどうか。私は二ヘクタールと聞きますが、一ヘクタール以上にされたらどうか。さらに、団地要件についてはこれを削除されたらどうかということでございます。さらに、八〇%以上の農地要件はこれを五〇%以上にして、道路の両側の宅地等についての協力をいただかないと道路設定等不便ではないのか、そうして姿、形が気に入らずにお嫁にいく場所がないのじゃないかという心配をしておりますが、以上三点についての見解をまず求めましょう。
  327. 山岡一男

    山岡政府委員 まず最初は農住組合法宅地並み課税の問題でございますが、農住組合法案は、先ほど来申し上げておりますが、大都市地域の市街化区域内農地所有者等の自発的意思に基づく組織を設けまして、その事業活動を通じて、当面の営農継続との調和を図りながら、住宅地及び住宅の供給の拡大を図ろうということがねらいでございまして、固定資産税等に係るいわゆる宅地並み課税とは直接の関係は一切ございません。  それから、市街化区域内農地のうちの二ヘクタール以上の一団のものにつきまして、三大都市圏では三分の一ぐらいしかない、神奈川県では四分の一じゃないかというふうな御設問でございますけれども一私ども調べてみますと、本制度対象となるような二ヘクタール以上の一団の農地がどの程度存在するかにつきまして、現在のところは公式のデータそのものは実はございません。ただ、私ども練馬区におきまして相当の調査を行っておりますが、二ヘクタール以上の一団の市街化区域内農地の全市街化区域内農地に占める割合は、約二分の一というふうに練馬区ではなっております、したがいまして、東京都の二十三区の周辺区のあたりでは、このあたり一つの目安であろうかなと思います。  なお、別途の調査から国土庁が推計したものがございます。東京圏ではおおむね三〇%程度の割合を占めるというふうな数字が出ておりまして、先生のお示しの数字とおおむね一致するのではないかというふうに思っております。  なお、実際のところにつきまして、道路の両側は家が建っておるというお話でございましたが、私ども全部を見ておるわけではございませんが、少なくとも東京周辺の現地を見させていただいたところによりますと、びっしりではございませんが、農地でなくなったところが相当あるように思っております。  それから、組合の地区要件のうちで、二ヘクタール以上は一ヘクタール以上に引き下げたらどうかという規模要件のことでございますが、本制度は必要に応じまして当面の営農継続を図りながら農地宅地化を進めようというものでございます。法第十三条に規定いたします農地利用規約の対象となる営農地区の面積をおおむね一ヘクタールというふうに決めておりますが、本制度が、地区内の市街化区域内農地等の相当部分を住宅地転換するということを目的とするものであることから、一ヘクタールの営農地区を定めた場合に、住宅地等転換するところも含めますと、全体としては少なくとも二ヘクタール以上の地区面積が必要であろうと考えておりまして、地区に含むべき一団の市街化区域内農地の規模は二ヘクタール以上というふうなことを予定させていただきたいと考えております。  一団性を求めていることにつきましてでございますが、市街化区域内農地等宅地化及び当面の営農継続につきましては、一定規模以上のまとまりをもって行われることが、良好な住宅地等の造成のためにも、当面の営農継続に必要な日照、通風、水利等を確保するためにも望ましいことであると思っております。したがいまして、組合の地区には一定規模以上の一団の市街化区域内農地等を含むべきこととしたものでございまして、なお以上のような二ヘクタール以上の一団の農地を核として、周辺の一定の飛び農地を地区に含めて組合を設立することは可能であるというふうになっておりますので、これによりましては小規模農地宅地化についても機動的に対処することができるというふうに考えております。  それから、市街化区域内農地が地区の大部分を占めているということについてでございますが、本制度は市街化区域内の農地等につきまして、必要に応じて営農継続を図りながら住宅地等への転換を促進するということを目的とするものでございますので、組合の地区の面積の大部分が市街化区域内農地等であるということを要件としたものでございます。  以上のとおり、法案におきます組合の地区の要件につきまして、私どもの意見と先生の意見と多少違うようでございますけれども、今後いろいろと細目につきまして検討する際に、先生のお話等も念頭に置きながら検討を続けてまいりたいと思っております。
  328. 甘利正

    ○甘利委員 私が申し上げたことは、政府案では対象となる市街化区域農地の範囲が限定されますので、より多くの農地等に本制度の利用の道を開く必要がある、こういうことから申し上げたわけでございます。  次に、農地利用規約並びに対象農地についてでございますが、営農の円滑なる運営に資するために農地利用規約を定めることができるとし、その対象となる農地の区域はおおむね一ヘクタール以上の一団の区域とされているが、以上二点についてお尋ねをいたします。  営農地区規模の引き下げについてですが、おおむね一ヘクタール以上とされているが、五十アール以上ではいかがですか。この点を御見解を求めるわけでございます。  さらにその二は、営農団地内の農地の転用等についてでございますが、農地利用規約によって規制することとしているが、農地法に基づく農地転用届等の調整はどのように考えられるか、規約だけでよろしいのですかということでございます。たとえば、なお規約が完全に運用されるかどうかの監視等が必要ではなかろうかと思うわけでございますが、この点についてはひとつ十分御研究をいただきたいわけでございます。  この二点についてお伺いします。
  329. 山岡一男

    山岡政府委員 営農地区の面積を五十アール以上であればよいとしたらどうかという御提案が一つございました。農地利用規約は、一団の営農地等に所在する農地が無秩序に宅地化をされ、残存する農地における営農継続に支障を及ぼすことがないように、これらの農地について所有権等を有する組合員が集まりまして、当面の営農継続を希望するものの合意による申し出があった場合に、組合が当該農地の利用に関する一定の規約を定めることによりまして、これらのものが安定的に当面の営農継続できるようにしようということをねらっているものでございます。したがいまして、同規約の対象となります営農地区の規模につきましては、数人の営農地を含む区域であることから、一定面積以上の規模が望ましいということ。それから、市街化区域内におきまして安定的に当面の営農継続を図るためには、日照、通風、用排水等の面での必要な条件を確保できることが必要でございまして、これもある程度のまとまりが必要であろうと考えること。また、営農地区の中の土地につきましても、一般的には、将来の住宅地等への転換が予定されているものでございます。もちろん、生産緑地、公園等の都市施設も予定されておるところでございますけれども、その際にやはり将来の転換等に備えましても、ある程度まとまったものでなければ困るのではなかろうかというようなことを全部総合的に勘案をいたしまして、おおむね一ヘクタール以上の規模というふうに考えた次第でございます。  営農地区内の農地の転用につきまして、農地利用規約によって規制することにしておりますけれども、農地法に基づく農地転用届け出等の調整はどのように考えるのか、規約だけで本当に大丈夫かという御質問でございました。  農住組合法案は、大都市地域の市街化区域内の農地につきまして、再々申し上げますとおり、当面の営農継続を図りながら、円滑かつ速やかな宅地化を図っていこうというのを目的とするものでございますが、この目的の円滑な達成を図りますためには、当面営農を希望される方々の土地と、住宅地等への転換を希望される方の土地とをそれぞれ一団の土地に集約いたしまして、それぞれの用途に応じた土地の有効利用が図られるよう措置することが必要でございます。農地利用規約につきましては、このような趣旨に基づきまして、一団の営農地等に所在する農地が無秩序に宅地化され、残存する農地における営農継続に支障を及ぼすことのないようにいたすものでございます。都市計画制度の例外を設けようとするものではございませんで、農地利用規約の設定に当たりまして、営農地区内において当面営農の円滑な継続を図られるとしましても、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている市街化区域における当面のものであるという枠は一応あるわけでございまして、将来は都市的土地利用が予想されることもあるわけでございます。したがいまして、農地法第四条、第五条・の市街化区域内農地にかかわる原則の例外を設けて対処するというものではなかろうというふうに思っておるわけでございます。
  330. 甘利正

    ○甘利委員 施行通達のときに、その点についてさらに検討していただきたいと思います。それからさらに組合規約が完全に守られるようにチェックする、こういう点を要望いたすわけでございます。  次に、組合事業対象区域の拡大について御意見を求めるわけでございます。  政府案では、事業対象区域を三大都市圏の市街化区域内農地等としております。ところで、都市計画線引きの見直しの関連について九月十六日に都市局長通達、線引きの見直しでは、「優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」としておおむね三年以内に土地区画整理事業の着手が確実な地域等を挙げ、さらに、計画変更の時期も基礎調査実施時期にこだわらず、開発事業等の実施見通しが明らかになった時点でできるものとされたが、この点に関連して二点についてお尋ねをいたします。  さて、前回の見直しの実施状況はどのようになっているのか、また新しい市街化区域に編入された地域の開発整備の状況はどうかということでございますが、すでに御答弁がありましたので、神奈川県の実情について申し上げますと、三年おくれの五十三年に線引きの見直しがありました。区画整理が条件でございました。したがいまして、いまだその新しく見直された地域が開発された事実はないというのが実情でございます。  そこで局長さん、農住組合による事業を計画的な開発が確実と考えられる調整区域等への適用についてどのようなお考えを持っておりますか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  331. 山岡一男

    山岡政府委員 線引きの見直しによりまして市街化区域に編入される地区も本法の適用の対象とすべきではないのかという趣旨であろうかと思います。市街化区域は、すでに市街化を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として新都市計画法施行以来逐次整備が進められてきたものでございます。その後の経済情勢、財政事情もあって、市街化区域内における都市施設の整備等は必ずしも十分には進んでいないというのも実情でございます。  市街化区域が形成されてからもうほぼ十年経過しても、なお九万五千ヘクタールの農地が存在しているというのが現状でございます。今後におきます市街化区域への編入につきましては、このような実態を踏まえながら進められることであろうと考えております。したがって本法におきましては、現に市街化区域に編入されながら十分に宅地化が進展されていない農地対象を限定いたしまして、これに対して現実に即した対応措置を講ずることとしたものでございます。したがいまして本法案におきましては、このような現状を踏まえた緊急措置としての性格を有するものでございまして、組合の設立もこの法律施行の日から十年以内に限っていることでもございまして、この点からも、対象区域を限定する必要があるというふうに考えておるわけでございます。今後、線引きの見直し等が行われると思いますけれども、やはり法の施行の日の状況で押さえる。というのは、やはり十年の期間を念頭に置いているということが原則だからでございます。
  332. 甘利正

    ○甘利委員 局長さん、十年の応急的な措置でなく、恒久的な手法として将来取り上げられるようになるかもしれないと私は思いますので、申し上げたわけでございます。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  333. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、来る二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会