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1980-11-13 第93回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十三日(木曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       植竹 繁雄君    桜井  新君       竹下  登君    近岡理一郎君       小川 国彦君    高田 富之君       前川  旦君    田中 昭二君       和田 一仁君    辻  第一君       木村 守男君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         外務省経済局次         長       羽澄 光彦君         外務省経済協力         局長      梁井 新一君         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         林野庁長官   須藤 徹男君  委員外出席者         水産庁長官   今村 宣夫君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         大蔵省主税局税         制第三課長   源氏田重義君         農林水産大臣官         房審議官    志村  純君         水産庁漁政部長 渡邉 文雄君         運輸大臣官房国         際課長     向山 秀昭君         建設省都市局都         市計画課長   牧野  徹君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         会計検査院事務         総局第四局長  高橋  良君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         農林漁業金融公         庫総裁     中野 和仁君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   武田 誠三君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   上田  哲君     小川 国彦君   山口 敏夫君     木村 守男君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     上田  哲君   木村 守男君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林水産省所管農林漁業金融公庫)      ————◇—————
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長武田誠三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 國場幸昌

    國場委員長 それでは、まず、農林水産大臣から概要説明を求めます。亀岡農林水産大臣
  5. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 昭和五十三年度の農林水産省決算につきまして、大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入につきましては、収納済み歳入額は一千八百四十二億一千二百七十六万円余でありまして、その主なものは日本中央競馬会法に基づく納付金であります。  次に、一般会計歳出につきましては、支出済み歳出額は三兆二千百二十二億四千四百四十九万円余でありまして、この経費の主なものは、国民の食糧需要動向の変化に対応した食糧自給力向上のための農業生産の再編成といたしまして一兆一千九百三十六億二千三百六十七万円余、農業構造改善地域農業振興といたしまして九百五十七億二千八百九十七万円余、農産物価格の安定と農業所得の確保といたしまして七千三百三十八億四千七百七十六万円余、農山漁村生活環境整備と福祉の向上といたしまして七百八十九億六千六百十八万円余、食品流通加工近代化消費者対策充実等といたしまして四百四十六億三千四十七万円余、農業技術の開発と普及といたしまして八百二十六億六千五百九十四万円余、農林漁業金融の拡充といたしまして九百七十七億九千三百八十六万円余、農業団体整備といたしまして二百四十六億四千七百七十六万円余、森林林業施策充実といたしまして二千九百三十四億三千七百四十七万円余、水産業振興といたしまして二千七百五十四億一千四百六十八万円余、その他災害対策等重要施策といたしまして二千四百七十九億八千百六十二万円余の諸施策実施支出したものであります。  続いて、各特別会計につきまして申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済み歳入額食糧管理特別会計勘定合計において九兆二千七百八億二千百六十九万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において五千二十四億七千五百七十六万円余、農業共済保険特別会計勘定合計において九百七十六億五千八百六十九万円余、漁船保険及漁業共済保険特別会計勘定合計森林保険特別会計自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において二千十五億一千八百五十三万円余であります。  次に、歳出につきましては、支出済み歳出額食糧管理特別会計勘定合計において九兆二千六百七十三億七千七百八十八万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において五千三十五億五千四百九十五万円余、農業共済保険特別会計勘定合計において六百五十八億五百七十一万円余、漁船保険及漁業共済保険特別会計勘定合計森林保険特別会計自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において一千六百十億六千九百七十万円余であります。  これらの事業概要につきましては、お手元にお配りいたしました昭和五十三年度農林水産省決算概要説明によって御承知を願いたいと存じます。  これらの事業の執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理等の適正な運用について、鋭意努力をしてまいりましたが、昭和五十三年度決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施適正化に努める所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 國場幸昌

  7. 高橋良

    高橋会計検査院説明員 昭和五十三年度農林水産省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十七件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号二八号及び二九号は、東北農政局西津軽農業水利事業所及び北陸農政局阿賀野川用水農業水利事業所において、水路に流入するごみ処理について、従前鋼製除じん用スクリーンを設け、これに付着したごみを人力で取り除いていましたが、地元の土地改良区等から自動除じん施設設置の要望を受け、西津軽農業水利事業所では、管内二カ所の排水機場阿賀野川用水農業水利事業所では用水路トンネルの吐け口部にそれぞれ設置したものであります。  しかし、ごみの量やその処理に要した費用等について調査しましたところ、自動除じん施設設置個所等におけるごみの量は少なく、その処理に要する労力、費用もわずかで、従前処理方法で足りると認められるのに、これらの点について十分把握し検討しないまま、ことさら高価な施設設置したのは適切とは認められないというものであります。  検査報告番号三〇号から五〇号までの二十一件は、公共事業関係補助事業実施及び経理が不当と認められるものであります。  これらは、土地改良農道、林道の整備及び災害復旧等公共事業関係補助事業を施行するに当たりまして、工事設計または工事費積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、事業費の精算が過大になっていたりしていたものであります。  検査報告番号五一号から六四号までの十四件は、公共事業関係を除く補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、事業実施するに当たりまして、補助対象とは認められないものを事業費に含めていたり、事業費を過大に精算していたりなどしていたものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  その一は農業構造改善事業等により設置した農機具格納庫規模に関するものであります。  農林水産省では、農業構造改善事業等各種補助事業により市町村農業協同組合等事業主体が行うトラクター、コンバイン等農業機械の導入とこれを格納する農機具格納庫設置に対しまして補助金交付しております。  この補助金交付対象となりました農機具格納庫につきまして調査しましたところ、その床面積規模につきまして、事業主体の中には、漫然と将来の機械増加等を見込んだものや、事業計画外機械の格納を見込んだものなどがありまして、導入する機械の長さ及び幅に見合う面積から見まして過大な規模となっているものが多数見受けられる状況でありました。  しかし、国の補助事業として設置する格納庫は、それぞれの補助目的で導入する機械に見合った規模基準とすべきものでありまして、事業計画外機械等まで見込んだ規模のものを補助対象事業として実施するのは適切とは認められないものであります。  したがいまして、格納庫設置は、今後も引き続き農業構造改善事業等各種補助事業によりまして多数見込まれるのでありますから、その所要床面積につきまして統一した基準整備するとともに、都道府県及び事業主体に対しましても十分な指導監督を行いまして、もって国庫補助金の節減を図る要があると認められるものであります。  その二は農用地地目別集団化を伴う土地改良事業実施地区における水田利用再編奨励補助金交付に関するものであります。  農林水産省では、過剰基調にあります米の需要を均衡させるとともに農産物需要動向に即した総合的な自給力向上を図るなどのため、従来からの対策に引き続き、昭和五十三年度以降、水田利用再編対策として一定の要件を満たす水田等において米の生産調整に協力して転作等実施した農業者に対しまして奨励金補助交付しております。  一方、農林水産省では、農作業を機械化することによりまして生産性向上を図るため、各所に散在しております水田畑等農用地を従来から水田または畑等が比較的多く所在している位置にまとめて、それぞれ水田地区畑作地区とするいわゆる農用地地目別集団化のための土地改良事業実施しております。この場合には畑作地区におきましては従前水田畑等に地目変換される一方、その見合いとして水田地区におきましては従前の畑が水田に造成されることになっておりますので、事業実施の結果、新たに農道水路等の敷地となる水田面積を除きましては原則としては水田面積減少は生じないこととなるものであります。  そこで、今回、北海道において農用地地目別集団化を行っている土地改良事業実施地区内における転作等実施面積に対する奨励補助金交付状況につきまして調査しましたところ、農用地地目別集団化により実質的に水田面積減少を伴わないで水田から畑等に地目変換されたものにつきましても、その前歴が水田であったということを理由に水田利用再編対策実施要綱等に定められている交付対象水田に該当するものとして、農業者からの申請に基づきまして、奨励補助金交付している事例が多数見受けられる状況でありました。  しかし、このように、農用地地目別に集団化する土地改良事業により、実質的に水田面積減少を伴わないで水田から畑等に地目変換されたものについてまで奨励補助金交付するということは、水稲から他作物への転作を促進して米の生産調整を図ることとした本対策の趣旨に沿わない結果となりまして適切なものとは認められないものであります。  したがいまして、農林水産省におきましては、この水田利用再編対策を五十三年度以降おおむね十年間の長期間にわたりまして実施することとしているのでありますから、土地改良事業による農用地地目別集団化により水田面積減少を伴わずに水田から畑等に地目変換されたものにつきましては奨励補助金交付対象から除外するように要綱等関係通達整備するとともに、これら事業実施地区関係する都道府県市町村に対しまして指導を十分に行いまして、もって、奨励補助金の適正な交付を図る要があると認められるものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、飼料用外国大麦政府備蓄に関するものであります。  農林水産省では、飼料穀物輸入について発生するおそれのある内外の不測の事態に備えるため、昭和五十年度に飼料穀物備蓄計画を策定し、その一環として食糧庁飼料用外国大麦四十五万トンを備蓄させることとしており、五十三年度末における備蓄数量は三十七万二千余トンに達しております。  一方、食糧庁における古米持ち越し量は、この備蓄計画策定当時は百十四万余トンにすぎませんでしたが、五十三年十月末には五百七十二万余トンになっており、この過剰米穀は五十四年度を初年度とする五カ年計画により処理することとしております。そして、この処理計画によりますと、米穀の成分が飼料穀物として総合的に良質であるところから、二百三十一万三千トンの過剰米穀配合飼料用原料として処分することとしており、そのうちの七十一万三千トンは五十七年度末においてもなお残ることになっております。  したがいまして、飼料用外国大麦輸入にかえて飼料用として処分予定過剰米穀を充てることとすれば、今後予定している備蓄用外国大麦七万七千余トンの買い入れが必要でなくなるばかりでなく、すでに備蓄している大麦品質低下による更新補充分買い入れ費及び保管経費が節減できることとなるので、今後、過剰米穀備蓄大麦に代替し得る間においては過剰米穀をこれに活用し、もって備蓄に伴う財政負担の軽減を図る要があると認められましたので、当局見解をただしましたところ、農林水産省では、五十四年十一月以降備蓄のため買い入れを予定していた大麦については当分の間これを中止し、また、今後、品質低下のおそれのある大麦を売り渡した後の補充原則として行わないこととしたものであります。  その二は、徳用米用原料米穀売り渡し価格に関するものであります。  食糧庁では、消費者主食用米穀を低価で供給する徳用上米制度を実施しておりますが、この徳用上米原料米穀米穀卸売販売業者に売り渡す場合の政府売り渡し価格は、食糧庁消費者価格をもとに、玄米を搗精する際の歩どまり搗精加工費取り扱い手数料等により決定しております。  この政府売り渡し価格について検査いたしましたところ、食糧庁では、四十一年から四十四年までの間に財団法人日本穀物検定協会に委託して行った小型搗精機による搗精試験の結果などから、搗精歩どまり八六・三%で徳用上米が生産されるものとして売り渡し価格を算定している状況でありました。  しかしながら、食糧庁各種搗精試験中央で一元化して実施するため、四十五年に設置した食糧庁米穀加工技術センターにおいて、近年一般的に使用されている標準的な掲精機により実施している搗精試験の結果を見てみますと、米穀品質搗精機の性能が向上したことなどにより、徳用米用原料米穀搗精歩どまりは、売り渡し価格算定基礎搗精歩どまり八六・三%を相当上回っていると認められました。  したがいまして、売り渡し価格算定基礎搗精歩どまりが実態と相違しているため売り渡し価格が低額になっていると認められましたので、当局見解をただしましたところ、食糧庁では、五十四年十月に搗精歩どまりを八八・五%に改めて徳用米用原料米穀政府売り渡し価格を改定し、同年十一月から適用することとしたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十二年度決算検査報告に掲記しましたように、管水路等の建設に伴う地上権の設定、農業近代化資金利子補給補助金経理水田買い入れ事業実施及び一時貸付水田に係る水田総合利用奨励補助金交付について、また、五十一年度決算検査報告に掲記しましたように、農用地造成工事における掘削運土費積算についてそれぞれ処置を要求しましたが、これらに対する農林水産省処置状況についても掲記いたしました。  以上が昭和五十三年度農林水産省決算につきまして検査をいたしました結果の概要であります。  次に、昭和五十三年度農林漁業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 國場幸昌

  9. 中野和仁

    中野説明員 昭和五十三年度における農林漁業金融公庫業務概況について御説明申し上げます。  昭和五十三年度においては、国によって、需要動向に即応した農林水産業生産体制整備し、総合的な食糧自給力向上農林水産業の健全な発展を図ることを基本として、長期的視点に立って総合的な施策が展開されました。こうした、国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営に当たりまして、関係機関との密接な連携のもとに、農林水産業生産基盤整備及び経営構造改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件改善も含め、融資円滑化に配慮してまいりました。  昭和五十三年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は六千三百二十億円を予定いたしました。  これに対する貸付決定額は五千四百五十八億七千三百七十四万円余となり、前年度実績と比較して百二十七億四千九十万円の減少となりました。  この貸付決定額を、農業林業水産業に大別して申し上げますと、一、農業部門三千七百三十六億五千二百六十七万円余、二、林業部門六百二十六億百七十七万円余、三、水産業部門千三十八億二千五百二十七万円余、四、その他部門五十七億九千四百二万円となりまして、農業部門が全体の六八・五%を占めております。  次に、昭和五十三年度の貸付資金交付額は五千五百八億三千八百九十三万円余となりまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金四千四百億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金からの借入金二百億円並びに貸付回収金等九百八億三千八百九十三万円余をもって充当いたしました。  この結果、昭和五十三年度末における貸付金残高は三兆千十五億千百八十万円余となりまして、前年度残高に比べて三千四百五十九億三百六十九万円余一二・六%の増となりました。  貸付金延滞状況につきましては、昭和五十三年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は四十六億二千八百九十三万円余となりまして、このうち一年以上延滞のものは四十二億二千六百三十三万円余となっております。  次に、昭和五十三年度における収入支出決算状況について御説明申し上げますと、収入済み額は、収入予算額二千百四十億九千七百三十三万円余に対し二千百三十二億九千百十六万円余となりました。また、支出済み額は、支出予算額二千二百億二千八百七十八万円余に対し二千百七十六億八千百八万円余となり、支出に対し収入が四十三億八千九百九十一万円余不足しております。  最後に、昭和五十三年度における当公庫損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は二千八百七十三億八千九百六十万円余、借入金利息等の総損失は二千八百七十三億八千九百六十万円余となり、利益損失が同額となりましたため、利益金はなく、国庫納付はありませんでした。  以上が、昭和五十三年度における農林漁業金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 國場幸昌

    國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  11. 國場幸昌

    國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東家嘉幸君。
  12. 東家嘉幸

    東家委員 きょう政務次官おいででございますけれども、最近、農水省農水省と、どうも林の方がなくなってしまいましたので、林業関係皆さん方が、そうした農水省という、新聞あたりでもそういうことで出てまいりますと、非常にさびしい思いをしておりますが、その点について今後少し気をつけてもらいたいと思いますが、ひとつその点の見解を。
  13. 志賀節

    志賀(節)政府委員 東家先生指摘のとおり、最近、農水省という呼び名をしばしば耳にすることはそのとおりでございます。日本語の場合は、たとえば通商産業省が通産省になるみたいに、どうも五文字が三文字になりがちでございます。したがいまして、なりがちであればあるだけに、私ども農林水産省におる者といたしましては、そのような林を欠落させることのないような、正確な農林水産省という呼び名一般通例とさせたいと日ごろ努力をしておるわけでございますが、ただいま申し上げたとおりのことで、農水省という呼び名がどうも一般化しつつある。ただ、私ども農林水産省といたしましては、林業に非常に力を入れておりまして、明年度予算要求につきましてもこの点はその方針でございます。  また、あたかもセミのかまびすしく鳴く音が林の森の中のしじまを一層浮き立たせるように、農水省というふうに林が欠落すればするだけ私ども農林水産省の者といたしましては林業を強く意識させられる、こういうようなことも一面においてございます。  私、亀岡大臣ともときどきお目にかかっておりますが、亀岡大臣もこの点非常に心を痛めておるばかりではなくて、いま、日本国定教科書に林の取り上げられ方がほぼゼロに等しいわけでございます。しかも、この森林林野関係日本の国土全体に占める割合は約七割でございますから、この七割方の大きなものを無視するということは今後許されない、したがって国定教科書等にもこの面で今後大いに配慮してもらわなければいけないという線で、亀岡大臣、御努力中でございます。  以上をお答え申し上げまして、ただいまの東家先生の御憂慮に対しての私どもの対応としての答弁にさしていただきたいと存じます。
  14. 東家嘉幸

    東家委員 その林の方については予算面にも重要視した政策をとるというようなことでございますが、いみじくも今日は、その林の皆さん方が大変不況で、日本の外材びきの製材所の皆さん方が特に大変な状況でございます。大体推測するところでは、半分つぶれるのじゃないだろうかというようなことで、外材の製品化輸入ということに対して、大変な、急速な変化に対処し切れない状況にあるわけです。なおまた、国産材に移行していこうとするについてはどうしても林道が必要である。林道がないからどうしても、せっかく国産材を有しながらも手入れが滞って、間伐あたりはまだ二〇%強の進捗率でございます。  きょう、このことについて質問する予定はなかったのですけれども、事態が余りにも大変な状況でございますから、そのことについてもう一遍、今日の国内の製材業に対して、そうした倒産防止に取り組むという姿勢と、林道の整備等については、これから先、国産材の依存度が高くなりますから、どのように対処しておられるのか、簡単でいいですから、ひとつ次官の方から御答弁願えれば幸いと思います。
  15. 志賀節

    志賀(節)政府委員 日ごろから東家先生林業関係について御指導をいただいておりますことを改めて感謝申し上げますとともに、この林業関係者が、ただいま御指摘のとおり、外材の輸入等によりまして非常に厳しい状況に立たされておる。また、外国に目を移しますと、原料で出そうという、丸太で出そうというのと、それからこれを製品化して出そうとする動きと両々ございまして、その面等とも日本の国内にいろいろあつれきがあって大変なわけでございます。したがいまして、日本のこういう状況にかんがみまして、日本の国内の林業関係者、業者に対しましては、鋭意資金的な面での配慮をしてきておりますし、また今後、木造による建築物、すなわち家屋の建設を増進させるような、そういう方向で建設省等にも働きかけをして御相談申し上げておる、そういうことでございます。  また、林道につきましても、日本の今後の林業経営にとって、これの整備がより一層効果を生むものとして、この面についても林野庁としては努力をしておる最中でございます。  いろいろ細かい多岐の点にわたりましては、担当官が来ておりませんので、おおよそ、大まかなことでよろしい、こういうお話でございますので、以上をもって答弁にかえさせていただきたいと思います。
  16. 東家嘉幸

    東家委員 住宅産業がかなり落ち込んできております。一番高かったときは、昭和四十五年度百九十五万戸まで着工いたしましたが、いま今日は本年度で百三十九万戸であろう、恐らく来年度はさらに落ち込んで百二十五万戸まで落ち込むであろうということでございます。  いま申し上げました製材所等も、そうした住宅着工の落ち込みが今日の不況の一つの原因でもございますし、特に農産物の中に入りますイグサ、このイグサも住宅着工の落ち込みで、かなり今日農家の経済はピンチに立たされております。そうしたことで、これから先、転作等の問題も含めて、農家の皆さん方が来年度に向けて希望を持ってイグサ生産に汗を流すことのできる方法を農林省はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
  17. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  イグサの需要につきましては、ただいま先生御指摘のように、住宅の着工件数の動きが大きな影響を及ぼすと思います。特に最近の動きといたしましては、五十年と五十一年に二年続きでイグサは減産したこともありまして、五十一年のイグサ、それから畳表の価格がかなり上がったということがその後の生産者の生産意欲を高めた、それが結果的には最近の住宅の着工件数の低下という問題と相乗いたしまして値段が最近非常に低迷しておるという事態が生じております。結局、今後は需要に見合った計画的な生産の推進と需要拡大を図ることが重要と考えております。  従来は、このイグサの流通を中心に、全国い業団体中央会というものがございましたけれども、これではただいま申し上げたような目的に機能的に対応できないということもありまして、本年の五月、生産者が中心になりまして、自主的かつ円滑に需要に見合った計画的な生産を行い得るようにということで、全国い生産団体連合会というものを設立いたしました。これが今後軸となって計画的な生産の旗を振ってくれるものと強く期待しておるところでございます。現に、全国い・七島い生産流通連絡協議会、これはただいまの生産者の団体のほかに、関係の県とか部市の流通業者も入ってこの協議会を開催したわけでございますが、こういったことを始めまして、生産者団体と生産県が一体となりまして需給調整対策を強力に推進するよう、役所としてもできるだけの指導を進めたいと思っております。  今後は、需給調整対策を円滑に推進するために、五十六年度の予算におきましても必要な予算を概算要求しておるところでございます。
  18. 東家嘉幸

    東家委員 昭和五十一年度は反当五十七万七千円上げておりました。五十二年度は四十三万三千円、五十三年度は三十七万七千円、五十四年度は三十六万八千円、私の試算では五十五年度は三十万円まで落ち込むだろう。キロ数にいたしますと、五十一年度五百二十七円が、五十二年度三百二十九円、五十三年度三百一円、五十四年度二百八十二円、こういうふうにしてどんどん下がっている。ところが作付面積は、五十三年度は九千六百二十町、五十四年度は九千七百二十町というふうにむしろふえてきているのですね。だから、私の試算では一万町歩で約五千万枚とれるわけです。しかしいまの過剰生産からいたしましても、来年度の需要というものを、過剰在庫等を含めれば、大体三千五百万枚ぐらいに抑えなければ、七千町歩ぐらいに抑えなければ、来年はイグサ生産業者は大変なことになるということを推察するわけです。いまおっしゃられました団体の方でその調整はやりましょうと言っても、なかなか、アウトサイダーの皆さんの問題等もあります。特に転作奨励金等の問題というものが結局過剰生産に絡んでくるということを考えるならば、もっともっと大豆なり小麦なり飼料作物なり、そうした、農林省全体の中で将来の本当の方向、農民が汗を流すに値する方策をもうちょっととっていただきたいと思うのです。  特にこのイグサ問題についてもう一度、具体的に、では来年度はどのぐらいの面積まで抑える指導をいたします、価格は大体どのくらいまでの単価まで持っていく指導をいたしますというような具体的なことが農林省の中にすでに私はなければならないと思いますが、その点についていかがでございましょうか。
  19. 志村純

    ○志村説明員 ただいまの重ねてのお尋ねでございますが、役所の方で来年のイグサの生産量について幾らにしろということまでは、これはやはり生産者の自主的な活動でございますので、現段階ではそういうことは考えておりませんが、たまたま本日、全国い生産団体連合会、先ほど申しました五月にできました団体でございますが、これの役員会が開かれます。そこで、最近の需要を踏まえまして、この秋と申しますか、この冬、これから五十六年産のイグサの作付をどうするかということについて検討されることになっておりますので、役所側もこの会議に参加いたしまして適切な指導を行ってまいりたい、こう考えております。  それから、農林省としてもう少し転作全体の面から物を考えたらどうか、こういう御指摘でございますが、確かにそういう必要があろうかと思います。  それで、最近のイグサの作付面積、その中で、転作によって現実にイグサがどのくらいふえているかということをいろいろ調べてみましたが、転作促進によって実際にイグサが増反された面積は私どもはそれほど大きくはないのではないかと思っておりますが、需給バランスの回復のためには、さらに転作政策を進めるに当たっての考え方を整理する必要があろうかと思っております。  そういう意味で、現在の需給状況を考慮した場合、土地条件等からイグサ以外への転作がどうしてもできない、こういうところはやむを得ないかと思いますが、条件の整っておるところではできる限り需給上問題のない作物へ転作が進むよう、そういう指導もしてまいりたい、このように考えております。
  20. 東家嘉幸

    東家委員 団体があることだから、なかなかそこまで踏み込むというわけにはいかないでしょう。しかし、私も先般熊本県で全国イ業大会がありましたときに出席して、その大会の空気を見ておりましたが、それぞれ産地によって事情が違うのです。だからイ業業界でこの減反政策をとることは、私は非常にむずかしいと思うのです。そういうことですから、よほど農林水産省が真剣になってこの業界と取り組んでいただきたく、心からお願い申し上げます。  なおまた、稲作の転作が進めば進むほど、またイグサに転作がいきかねない状況でございますので、その点も十分イ業団体との話し合いのもとに、来年度は少なくとも七千町歩以下に抑えていただくよう、そしてせめて反当四十万円を維持していただくようなことを前提として指導していただきたいと、くれぐれもお願い申し上げます。  次に、養蚕問題でございますが、私、資料を見ますと、四十五年度が三十九万九千養蚕農家がありましたのが、今日は十七万六千までに減ってきております。といいますのは、全体的な数量の落ち込みもございますが、しかし、非常に大規模の養蚕農家としての方向が進んできているようでございます。これはまことに指導が適正であったろうというふうに高く評価いたします。特にまたこれから先、韓国、台湾等の養蚕農家との競争力を高める。日本の自由貿易のたてまえからしましても、いろいろ規制措置等はしておられるようですけれども、そういうようなことではなく、やはり日本の国内の養蚕農家が外国の養蚕農家と太刀打ちできる、またそれ以上の、まさるような農家づくりをしていただくためには、もっと政府としてもこれからの指導について、たとえばいま一戸当たり大体キロ数にして四百六十一キロ、この間聞いてみますと千キロ農家を目指すのだというようなことでございますが、それにしても余りにも助成金等の金額が少な過ぎるのです。私はこれにはびっくりしました。そういう点について、これから先、養蚕農家育成に対し、どのような対処、方向を考えておられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  21. 志賀節

    志賀(節)政府委員 東家先生指摘のとおり、養蚕の生産性向上につきましては、経営規模の拡大に大きくかかっております。今後わが国養蚕業の生産性を高め、国際競争力をつけてまいるためには、養蚕農家全体の規模拡大を図りますとともに、大規模養蚕農家の育成を一層推進する必要がございます。  五十四年における養蚕経営指数につきましては、五十年対比の指数で見ますと、一戸当たりの収繭量規模、ただいまこの収繭量規模につきましては四百六十一キログラムという御指摘がございました。そのとおりでございますが、これを一二六%に拡大しております。また年間の繭の生産量が一トン以上の大規模養蚕農家は一三五%、これは一万五千戸でございますが、それまでに増加するなど養蚕の経営規模の拡大は着実に進んでおる次第でございます。今後さらに近年における養蚕の地域特化の傾向に対応いたしまして、養蚕業の安定的な発展を図るために、五十六年度におきましては養蚕適地としてその将来性が期待できる養蚕振興地域を対象といたしまして、経営基盤の整備、省力多収技術及び稚蚕人工飼料育等革新的技術の導入を内容とする養蚕振興地域育成総合対策事業を新たに概算要求いたしまして、養蚕の産地形成による高収益、高能率な養蚕経営の実現を図りたいと考えております。  ただいま申し上げました稚蚕人工飼料育というような革新的技術の導入は、すでに東家先生御存じのとおりでございますが、ちなみに、これは粉になりました桑の葉っぱを約二、三割使いまして、いろいろ滋養分等をまぜ合わせた飼料等を使うというような革新的技術の導入を意味するものでございます。
  22. 東家嘉幸

    東家委員 農政については大変むずかしいことはよくわかっております。ただしかし、同じ予算の使い方でも、あめ玉を与えて、先ほどの話じゃありませんけれども過剰生産になって、むしろ農作貧乏になるような金の使い道でなく、あめ玉を与えて下痢をしたというようなことではいけないわけです、やはりもっと効率のいい面に予算を、先ほど申し上げましたように、農林水産省の内部で的確に配分する方法を考えていただきたいというふうに私は思っております。  養蚕農家の規模拡大ということは、これから国際競争に打ちかつためにはどうしても必要な条件でございます。それには何としてでも面積が必要でございますが、私は国有林野の中にもまだまだこれから先、皆さん方の同じ農林水産省の中で知恵をしぼってやります、林野を桑園に開放するというようなこともできるかと思いますが、その点についてひとつお願いいたします。
  23. 志村純

    ○志村説明員 養蚕規模の拡大との関連で養蚕業の農地をさらにいかにして造成するかという問題でございますが、農山村それから畑作地域といったところでの農家所得の確保のために、ただいま先生が御指摘になった方向で問題を解決することも勉強しなければならない、こう思っております。  農山村地域において国有林をどのように使っていくかということにつきましては、御承知のように、国有林野の活用に関する法律というものができておりますが、これを利用いたしまして、国有林野事業との調整を図りながら、国有林野の活用に努めて、養蚕業振興を推進していくということでございます。具体的に国有林野の活用ということ、しかもこれは農地を造成しなければなりませんので農家が個別に対応するということはできないと思いますので、この点につきましては、やはり地元がよい計画をつくって関係当局との話し合いを進めていくということが必要かと思いますので、そういうことで私どもも関係の養蚕団体等とも相談してまいりたい、こう考えております。
  24. 東家嘉幸

    東家委員 いまお答えの中にございましたように、やはりこれは集団桑園等を形成することも一案かと思います。いずれにいたしましても、山村振興、過疎対策というようなことからしましても、先ほどの林業の問題も大切ですけれども、養蚕農家育成ということからいたしましても、これからの農政の大きい柱として、ひとつぜひ今後とも一段の御努力のほどを私はお願い申し上げます。  次は、非常に最近、機械化貧乏という言葉がございます。せっかく国の助成等が行われながら、これが機械化貧乏を助長するようなことにつながることが非常に見受けられるわけです。これについて今後そういうことのないようにしていただかなければなりませんが、そのことについて農林水産省の方でどのようにお考えになっておられるかお尋ねいたします。
  25. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  実は今年度の米価決定の際の米価審議会におきましても、農業機械の効率的使用という問題、言葉をかえて申せば、先生おっしゃったような、いわゆる機械化貧乏問題をどう解決するかということが非常に多くの委員から指摘されております。そういった意味で、この問題は今後の農林省の行政の中でも無視できない分野だろうか、こう考えております。  現在、農業機械につきましては、その導入につきまして各種補助事業融資制度がございますが、その進め方をまず効率的にしていく必要があろうかと思っております。  第一点は、農業機械化促進法というのがございますが、ここで高性能農業機械導入基本方針というものを定めることになっております。農業機械の種類ごとに一定の条件というか、そういったものを示しまして、効率的な導入が行われるような基本線を示しております。まず、国の段階で基本方針がございまして、これを受けまして都道府県が高性能農業機械導入計画というものをつくりまして、農家の導入がむだにならないように大枠を指導していくということをやっております。  第二点は、それにしても農家が個々に導入するということは非常にむだが出ますので、特に最近兼業農家の過剰導入の問題もかなりございますので、そういった問題を解決するためにいわゆる受託、委託の関係、これを強力に推進する必要があるということで、何年か前から農業機械銀行方式というのを予算化してやっておりますが、これを今後強力に進めてまいりたいと思います。さらに農業機械の効率利用のためにもできるだけのPRをしてまいりたいと考えております。
  26. 東家嘉幸

    東家委員 時間が参りましたので、最後にお願いをして質問を終わらせていただきます。  先ほど私がイグサ問題について、よほどの指導よろしきを得なければ大変な事態になるということを申し上げましたが、どうか来年のこの農林水産の決算委員会において私の方から、よくやってくださいましたというようなことで政府の皆さん方にお礼を言えるように、ひとつぜひ取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、終わります。
  27. 國場幸昌

  28. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、まず、最近の燃料の高騰によりまして漁業経営が非常に窮地に陥っているということについて若干の質問をしたいと思うのです。  つい先ごろでございましたけれども、静岡県の有力な漁業指導者であって組合長までやった漁業経営者でございますが、これが経営難を苦にして自殺するという事件が起こりまして、関係者に非常にショックを与えたわけでございます。事実、最近の港に入ってくる漁船を見ますと、一年ぐらい操業をして入ってくるわけですが、市場で競りですぐ魚を売ってしまうと大きな欠損が出る。そこで、売らないで倉庫に入れまして、そして値上がりを待って後で売るという形にしてやっと出港ができる。もしそこで売ってしまえば一億か二億の損が出るものですから、差し押さえられて船が出られなくなってしまう、こういうきわめて切実な、悲愴な状況が現出しておるわけでございます。  なぜこういうようになってきておるかといいますと、まず第一に燃料の高騰です。第二次オイルショックによりまして、トン二万八千円ぐらいで買えておったのが約三倍弱になって七万円以上の油になってしまった。A重油以外に船は動かないわけですから、これはもう漁業にとっては決定的な打撃でございます。しかも油のコストが三割ぐらいから四割ぐらい占めておりますから、これが三倍弱になったということは大変な負担になってきておる。  それから第二は、カツオ・マグロ漁業について申し上げますと、これは回遊魚ではありますけれども、長年培ってきた漁場を二百海里宣言によってかなりのものを失っております。メキシコ、インドネシア等十二カ国から完全に締め出されてしまった。また、アメリカ、オーストラリア等の漁業協定に基づいて、操業について隻数とか漁獲制限、広大な禁止区域の設定というような規制を受け、入漁料も各地において相当のものを取られておるということでございます。したがって、そういうところから締め出されて限られた漁場でやらなければならないという制約を受け、そこへ漁船が、日本のみならず外国の漁船も殺到してくる。当然ながら一隻当たりの漁獲効率というものが非常に悪くなってきておる。こういうことで、満船になるまで操業するとすると、いままで三カ月か半年ぐらいでいっぱいになって帰ってこれたのが一年を超すというような状況である。当然、従業員にとって過酷な労働条件を強いられる、こういうことになるわけであります。  さらに、こうした状況にあるにかかわらず、わが国には台湾、韓国等から毎年年間十二万トンを超える大量のカツオ・マグロが輸入されておる。そして、わが国生産市場を混乱させるのみならず、巨大な在庫、いま恐らく十五万トン以上に上る冷凍マグロが冷蔵庫に眠っておるであろう、こう言われております。一説には二十万トンという説もあります。そういうことから魚価が非常に低迷しておる。この魚価の低迷で消費者の食卓に安いマグロが入るということなら非常に結構ですが、消費者価格は全く硬直化しておりまして、生産地の魚価の低迷は消費者価格に何ら反映されない。そういう流通のパイプが詰まってしまった。こういうところに非常に問題があるのではないかと思います。  このような状況を放置しておくならば、もうすぐにでもカツオ・マグロ漁業は崩壊してしまうのではないか、いまこういうような存亡の危機に立っておるという認識を私は深めておるわけでございますが、この認識について農林水産省の基本的な見解を伺いたいと思います。
  29. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)説明員 お答え申し上げます。  先生、大変カツオ・マグロ漁業には造詣が深く、日ごろ御指導いただいておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、最近の漁業全般、特にカツオ.マグロ漁業につきましての情勢は先生おっしゃるとおりだろうと思います。  繰り返しになるかもしれませんが、私どもの方の認識につきまして若干補足させていただきますと、漁業の中に占めます、特にコストの中に占めます燃油費の比率というのは、他産業には類を見ないぐらい高いわけでございまして、燃油が値上がりする前の五十三年度の各漁業種類ごとのコストの中に占めます燃油費の比率を見ましても、おしなべて十数%になっておりまして、完全に値上がりの影響が出ました五十五年度に入ってからのコストのアップのデータはまだ出ておりませんが、恐らく先生御指摘のように、二割あるいは三割、魚種によりましては三割を超すようなウエートの高い業界があろうと思います。  それから、そのようにコストが上がった反面、魚価自体の動きを見ますと、五十二年度の魚価の高騰を受けまして、五十三年に大暴落をいたしました。五十四年度に入りまして若干戻しましたが、最近時点におきましては、五十四年度並み、総じて言いますとそのようなことになっております。  ただ、魚種によりましては大変でこぼこがございまして、御指摘のマグロにつきましては、対前年で一−八月までの段階をとりましても、約一割ぐらい低い状態でございます。もう一つ、ことしの春以降大変豊漁が続いておりますイカにつきましても、大変な暴落を続けておるような状態でございます。  一方、消費の動向でございますが、まだデータが最近時点については出ておりませんで、消費の方は魚価の低下を受けまして若干ふえているのではないかというふうに推測はされておりますが、まだ十分なデータにはなっておりません。  特にカツオ・マグロ漁業のように長期間の航海の場合には、出港いたしましてから帰るまでに三百旧あるいは四百日ということになりますと、昨年の秋以降高い油を積んで出て最近帰港いたしておりますマグロ船につきましては、御指摘のように一隻当たりかなり高額な経営のギャップ、逆ざやを生じているのもよく承知しているわけでございます。  これにつきましては、私どもの方の基本的な対応策といたしましては幾つか挙げられるわけでございますが、一つは、安い時代と違って非常に油が上がったという前提を踏まえまして油の使用量を減らすという努力は基本的に重要であろうと思っております。そのためのいろいろな努力もいたしておりますが、いままでのデータで申します限りでは、今年に入りましてからの昨年度の同期との比較で言いますと、約八ないし九%の油の消費の節約がデータ的には出てまいっております。しかし、それだけで十分賄い切れるものではもちろんないわけでございまして、当面の経営対策といたしまして、どうしても金融上の手当てをかなり手厚くする必要があるだろうということで、漁業だけの特例というふうに私ども承知しておりますが、漁業だけにつきまして、燃油の購入資金につきまして五十四年度三百億、五十五年度に五百億の低利の融資をしておりますし、さらに経営が大変苦しくなっている漁業者に対しましては、別途、経営維持、安定のための長期低利の融資もいたしておるわけでございます。  あと、輸入問題につきましては、先生御指摘のような数字になっておるわけでございますが、主たる輸入先は韓国でございます。具体的にはIQではなくて自由化されておりますために、私ども韓国と四半期に一遍相談いたしまして、輸入数量の打ち合わせをいたしておるわけでございますが、現実の輸入量は、韓国につきましてはことしに入りましてからやはり一、二割減っているという現実になっております。  それから長期の問題としまして、いわば構造対策みたいなものも現実に検討する日程に上げつつあるわけでございまして、そのようなことを考えながら今後ともこういった融資資金枠の確保あるいは構造対策につきましても、業界の検討状況に応じまして私どもとしてもできるだけの御協力といいますか、御援助を申し上げていきたいというふうに考えております。
  30. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 水産庁の方も相当深刻な認識をしておられるようでございますけれども、私は、いまお答えいただいたような程度の対策ではこの危機は乗り切れない、十分ではないと思います。  去る十一月十日に漁業経営危機突破全国漁民大会というのが九段会館で行われまして、わが自由民主党も各党と同様に出席をいたしました。私もその現場に行って要望事項等を承ってきたわけでございますが、特にその要望事項の重点的なものを申し上げますと、まず燃料油に対して、こんなに燃料が上がってしまったのでは、コストが販売価格を上回ることになってしまうので、何とかしてもらわないと漁業というのはとても成り立たないのではないかということを深刻に訴えております。さらに燃料事情を覚ますと、イラン・イラク戦争の結果、OPECはまた値上げをたくらんでおるというような情報も入ってきておるわけで、これは本当に深刻な問題ではないかと思います。  第二に、金融の問題について、いままでいろいろな低利資金あるいは制度融資をしてきておりますが、これについてもぜひこの際見直して、そしてやっていただかなければ大変だということを強く、要望しておりました。  それから漁業の整備対策として、二百海里で追い出されて一つのところにかたまってきておるところはどうしても減船しなければいかぬ。船を減らすということについて積極的な国の助成をしてもらいたい。これはぜひやりたい。こういうことでございます。  さらに第四点は魚価の安定対策、それから輸入を何とかこういう状況において規制できないだろうか、こういうような魚価の安定と輸入の規制というものについて何とか考えてもらいたい。  それから消費者については、もっと市場で安くなった魚価が消費に反映するような、これは物価対策とも関連するわけですが、たとえば大消費地の東京とか大阪の周辺部等において直販して、少し魚離れを食いとめるように、少し魚になじみを持ってもらうような宣伝的な販売ができないかというようなことも言われておりました。  こういったようないろいろな対策を総合的に実施してほしいという強い要望がありまして、実際困っておる漁民の心からのせつない叫びではなかったかと思います。私ども自由民主党におきましても、水産部会、また燃料油対策のための議員連盟もできまして、そういったところでこの対策について緊急に成案を得ようということで鋭意検討を重ねておるところでございます。しかし、何といっても政府がこうした状況をしっかり把握して臨機応変の措置をとっていただかないといかぬわけでございまして、私どもの方でも鋭意成案を得るように努力いたしますが、ぜひ政府におかれましても、ひとつ積極的、勇猛果敢にこの対策について取り組んでいただきたい。そしてこの経営危機を何とか克服するように、そして日本の漁民にも明るい前途が開け得るように措置をしていただきたいと強く要望する次第でございます。
  31. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)説明員 ただいまの先生御指摘のような大会で御指摘のような事項につきまして強く漁業者から要望がありますことは、私どもも十分承知しておるつもりでございます。ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、できるだけ現在の経営危機を乗り切るための努力をいたしたいと存じております。
  32. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 政務次官。
  33. 志賀節

    志賀(節)政府委員 ただいま渡邉漁政部長からお答えしたとおりでございまして、私ども農林水産省として、漁民の立場を十分に考慮に置いてやってまいりたいと考えております。
  34. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それでは次に行きます。  農林水産省、先ごろ「八〇年代の農政の基本方向」というのを農政審議会でつくられたと聞いておりますが、その付属文書になっておるのですが、農産物需給の長期見通し案というのがありますが、これは何か閣議で了解を得たというように私は聞いておりますが、基本方向については、また時間のあるときに十分議論さしていただきますが、まずこの長期見通しの中にあります果実、中でもミカンの見通しをどういうように見ておられるか、御説明いただきたいと思います。
  35. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 「農産物需要と生産の長期見通し」、七日に閣議決定をいただいております。この農産物の中に果実がございますが、その中でも大宗を占めるものがミカンでございます。このミカンにつきましては、生食需要の方は一人当たり消費量が引き続き減少する。したがいまして、六十五年度では基準年次の、これは五十三年でございますが、一割減。全体では人口増というのが約一割ほどございますので、それを織り込んでほぼ現状並みというふうに見ておるわけでございます。  それから加工需要の方につきましては、引き続き果汁を中心として、これは大いに伸びが期待されるということから、六十五年度では一人当たり基準年次の二割増の増加と見通しておるわけでございます。  以上でございます。
  36. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ミカンが一割減で、人口が一割弱増になってとんとんと、こういうことですか。
  37. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 以上申し上げましたことからいたしまして、六十五年度における需要量ということで見ますと、現状から比べますと約一割増になりまして、三百五十四万トンと見通しておるわけでございます。
  38. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 消費量が一人当たり大体横ばいと見るようでございますけれども、ほかの、先ほどおっしゃった加工とか何かで、いまよりは果物、果汁の一人当たりの消費というのは全体としてかなり上がって見ておられるのじゃないかということでわれわれは若干危惧をしておるのです。そんなに需要が、人間、果物をたくさん食うようになるものなのかどうか、その辺はどうですか。
  39. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 需要を過大に見ておるのではないかというお話でございますが、私たちは一応過剰ではないと思っております。と言いますのは、ただいま申し上げましたように、全体の需要、総需要でございますが、これが一割ほど伸びております。しかし、この一割ほど伸びるというのは、人口が六十五年までには一割伸びるという人口増を見込んでおるからでございます。したがいまして、一人当たりということで見ますと横ばいでございます。その一人当たりの横ばいというものの中がどうなるかというのを、先ほど申し上げましたように、生食需要の方は一割ほど落ち込む、しかし果汁の方はまだ今後伸びるだろう、これは二割ぐらいに見ておるわけです。したがいまして、果汁の方のウエートが生食の半分ぐらいのものですから、両方あれしますと、一人当たりということになると横ばい。ですから、一人当たり果汁の消費の伸びまで織り込んでそれで横ばいと見ているということですから、過剰ではないのじゃないか。ただ、人口がふえますので、一割ほど人口がふえるに見合った分だけはふえる、こういう考えでございますので、過剰とは考えておりません。適当な線ではないか、かように思っておるわけでございます。
  40. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ミカンの中なら同じです。あなたの御説明でわかるのだけれども、ほかの果実があるわけでしょう。ほかの果物とかお菓子とかいろいろなもの、そういうものと総合して、全体としてはいまよりカロリーはふえないのだ、こういう話だから、ほかのものを食うようになると、ミカンの一人当たりの消費が減るのじゃないか、そういうことを申し上げておるのです。
  41. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生おっしゃるとおり、今回の六十五年見通しをつくるに当たりましては、六十五年における栄養水準といいますか摂取熱量、これは大体現在と同じ二千五百キロカロリーぐらいに思っておるわけでございます。その際に、摂取するのにたん白も脂肪も含水炭素もあるわけでございます。いろいろなことを考えておる際の中に、果実も当然ある。その果実につきましても、ミカン以外にリンゴもございましょうし、桃もあるわけでございますけれども、従来のそういういろいろな食べ物のある中におきまして、ミカンの生食用需要というのは一人当たり減ってきておる。また、そういう環境の中において加工需要の方が伸びてきておるということがあるわけでありますから、そういう傾向を考えながら六十五年としてはどうだろうかということを考えたわけでございます。そうした際に、先ほど申し上げましたように、ミカンの需要については一人当たりは横ばいであろう、あとは総体の数は人口増程度はふえるのではないか、それは一割増ではないか、こういうことなんで、これは過剰ではなくてこの辺が妥当なところではないかと思っておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  42. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 一応了解します。  そこで問題は、いまミカンは非常に構造不況の中にありまして、減反もしなければならぬということでいろいろ対策を講じていただいておるわけです。  ミカン園の転換事業は五十四年度から始まって四、五、六と三年でやるのだということでやってこられております。農家もなかなか大変なんですが、一応この線に沿ってやろうという努力を重ねてこられました。ミカンからほかの作物に転換するというのと、非常に古い木を、特にミカンに適地なところで、どうしてもほかの作物に転換するよりはミカンの中でいい品種にかえていこう、そのかわりミカンよりはほかの作物に思い切って転換した方がいいというところはそれに協力しろ、こういうことで総合的に対策を進めてきておるわけです。  そのために苗木等を用意しておって、苗木がかなりできておるのに五十六年度はミカンからミカンは一切補助は出さないのだ、打ち切りだというような声が聞こえてきまして、農家として非常に不安に感じておる。いままで三カ年間でやっていただくということで準備しておったのが急に打ち切りということになるのでは大変だということで、不安に感じておるという状況があるわけです。この対策は五十四年から五、六とやって、五十七年度に見直して新しいどれを重点にしようとか、新たにその段階で見直してやるということなら農家の方も十分納得してやってくれると私は思いますけれども、五十六年度に途中で急に朝令暮改をやられたのでは、いままで苗木をせっかく育ててきたものはどうするのだということになってしまいますので、こういう点は、まさかこんなことはないと思いますが、ひとつ農林省から農家を安心させるような明確な答弁をいただきたいと思います。
  43. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今後のミカンの需給動向ということからいたしまして、過剰が心配されたわけでございます。そこで、ただいま先生からお話ございましたように、五十四年度からミカン園の転換事業というものを三カ年計画でスタートしたわけでございます。スタートしたわけでございますけれども、その際の将来の需給見通しというのは一応暫定見通しといいますか、それでスタートしまして、いずれ長期需給見通しというものが決まるだろう、決まることになればそれをベースにしてもう一回見直して、それで新しい転換計画といいますかそういうものを立てながらやっていこうということで、実は五十四年度からスタートしたわけでございます。五十四、五十五とやってまいったわけでございます。  ところが先ほど御議論もいただきました「農産物需要と生産の長期見通し」が決定を見ました。もちろん決定する前には大体こんなことで決定することになろうという見通しがもうすでに役所ベースでは、事務当局としてはわかっているわけでございます。そこで、ただいま先生からお話ございましたように、当初五十四年から三カ年でスタートしたのだから、三カ年間終わって五十七年度から新しいもっと強化した計画をスタートさせるべきか、それとも大体の見通しは、事務当局としてはもう新しい改定計画が出るというのはわかっていますから、むしろそこは五十六年度から一年繰り上げてスタートするか、これは内部でもいろいろ議論いたしました。あとは日園連その他にも関係の団体の感触を聞きました。しかし、先ほど御答弁したような六十五年の需要の姿ということであれば、これは一刻も早く、より強化した転換計画をスタートさせるべきであるということになりまして、一年繰り上げまして五十六年度から、より強化した転換計画をスタートさせたいということで考えておるわけでございます。  その際に、ミカン戻りと申しますか、ミカンからなるべく他の作物に転換をしてもらうという指導はやっておるわけでございますけれども、ただいま先生からお話ございましたように、在来品種のものをそうでない、もっと優良品種のものに改植するというのもあるわけでございます。これは五十四年度からスタートしたときのは補助対象に実は認めておったわけでございます。今回、五十六年度から一年繰り上げてより強化した転換をやるという際に、これを一体どうするか、確かにこれは大きな問題でございます。農家の方にとりましても大変な話でございます。これをいろいろ議論しましたけれども、新しく決められるべき需給計画見通しというものから見ると、やはりこの際は、はなはだせつない話ではございますけれども、ミカンからミカンへといういわゆるミカン戻りというのを補助対象にするのは問題ではないか、またミカンからミカンでミカンをつくることになるわけですから。そういうことでミカン戻りは補助対象からは落とすというのもやむを得ないのではないか、そういうことで関係の向きにも御説明をし御了承を得ようということで、関係団体ともいろいろ協議を進めてまいっておりまして、おおむねそんなことかなという感じにはなっておる、完全にわかりましたというところまでまだいっていないところもございますけれども、そういうのが現状でございます。非常にせつない話ではございますが、ミカンからミカン戻りは補助対象から外すというのもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  44. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いまの局長説明は私は納得できません。それは五十七年に見直すときならいいのですけれども、三カ年間でやるということでもう苗木まで用意してやっておるのを途中からだめだというのじゃ全く血も涙もない行政だと言わざるを得ないと思うのですよ。そもそもこれをやらなければならぬというのは、ミカン園をやめてもらう、そしていいところに集中させるということで総合的に考えてやらしておるわけですから、ぜひ継続をして、少なくともいま苗木を用意して育てておるところを打ち切らないように考えていただきたいということでございます。
  45. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生からの重ねての強い御要請でございます。先ほども申し上げましたように、一年計画を繰り上げて強化をする、しかも従来補助対象にしていたものを補助対象から落とすという話でございますから、はなはだこれはせつない話であります。もちろんこれは、関係団体なりその辺とも一応そういう話も内々しながらそういう線で概算要求も出したという経緯もございます。先生からの重ねてのお話でございますけれども、この問題は非常にやむを得ざる措置だと私も思っておりますので、これはぜひとも御了解を得たいということで今後ともお願いをこちらからも申し上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いままでやらせておって、三年でやるということで——苗木なんというのはすぐ育たないですよ。三年間くらいのあれは要るわけですよ。それで、いままでそのつもりでやってきておるのを途中から切り捨てるなんというのは、こんなばかな話はない。私は絶対に納得しません。もう少し血も涙もある農政をやってもらわなければいかぬ。
  47. 志賀節

    志賀(節)政府委員 やはりこういう事業に関しましては関係の県、関係の団体等の深い御理解を得なければいけないことであると考えておりますので、農林水産省はかねてからこれらの県、団体等と協議を進めて、しかもおおむね御了解をいただいたもの、こういう理解のもとにこういうことになっておるわけでございます。ただ、ただいま原田先生から御指摘のようなことでもございまして、私からこの問題についてはもう一度研究をしてもらうように申すことでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  48. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 実情をぜひ調査していただきたいと思うのです。そういうようにもうすでに手をつけて五十六年度の事業に乗るように苗木をもう用意しているところもあるわけですから、いま政務次官から十分検討するというお話でございますので、ぜひともひとつこの辺は血も涙もある血の通った行政を考えていただくように強く要望しておきます。  時間でございますので、これで終わります。
  49. 國場幸昌

    國場委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  50. 森下元晴

    ○森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  51. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず私は最初に、農林水産省に対して、いわゆる総予算の一制あるいは一割以上を、構造対策なり生産増強対策なり価格政策あるいは所得政策、そういうことに取り組むことが農林水産省の所期の目標である、こういうようなとらえ方では今日的には当を得ない、財政再建を至上命題としているきょう今日、予算額をいたずらにふやすことだけでは、やはり本来の省としての責任が十分果たされていないと思うのであります。政策的な効果をいかにして上げていくか、こういうことにやはり焦点を置くべきだと思うのでありますが、この点についてはどういうふうに農林大臣は反省をされ、かつ今後取り組みを強めていこうとなさっていらっしゃるのか、まず、その点についてお聞きをしたいと思います。
  52. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産省としての任務は、国民に安定的な食糧を十分に供給してまいるということ、その食糧をできるだけ国内で生産する努力を傾けながら、しかも質がよくて、できることならば生産性の高い農業を展開して、コストの面の改善を図りながら、食糧供給という使命を果たすと同時に、その食糧を生産をする農家の諸君ができるだけ一般国民に比して遜色のない生活が営んでいけるような、そういう環境をつくってまいるということが、これは農林行政の使命であるわけでございます。それがため、水産関係でありますとか、さらには治山治水という国土の保全というような面の責務もあるわけでありますけれども、これらはいずれも重要な使命であるわけでございます。  こういう使命を果たしてまいりますためには、やはり何といっても農家のたんぼとか畑とか、あるいは草地とか林地とか、あるいは漁港とか、そういうところは、農林水産業を営む、私は一般勤労者にとってみれば工場であるという見方をしてまいりますと、やはりその工場を近代化さしていかなければ生産性を上げることはできないわけでありますから、その近代化をしてまいりますためには、基盤整備等に相当な公共事業が、国費が投下されるのはこれはやむを得ない、むしろ戦前、地主制度のために一番おくれておりました基盤整備というものを積極的に整備改善をしてまいるということに国費を公共事業費として相当の部分を充当してまいったという今日までの農林水産行政は誤りではない、これがあるべき姿の道を歩んでいるもの、また、これからもそういう立場で行かなければならない、特に先般八〇年代の農業の基本構想、十年間の生産及び需要の長期見通しというようなものの答申を得た今日でございますから、あれを実現してまいりますためにも、やはり相当な投資をして、農家が農業を経営しやすい環境をつくっていくというところに重点を置いて施策を進めることは、これは私はぜひしていかなければならないもの、そういう認識を持っておる次第でございます。
  53. 井上一成

    ○井上(一)委員 要するに、能率的な農業経営を実践していく、その中から農業経営者、いわゆる農業者が十分生活が安定できるような環境づくりが必要である、こういうことですね。私は、そういうことに最も重点を置いていかなければならないという考えについては同感であります。  そこで、いま大都市圏の中で、とりわけ市街化区域内における農地の問題について宅地並み課税の強行というものが進められていくわけです。そういうことになりますと、いずれ市街化区域の中に介在する農地というものはすべて宅地化されていく、こういうことにいやおうなしになっていくわけです。そういうことになれば、どのようにそれが影響していくのか。もちろんその生産の問題と、それに従事する農業従事者、いわゆる農業をなさっていらっしゃる方にどう影響していくのか、この点についてさらに聞かせていただきます。
  54. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 都市計画法におきまして、十年間に市街化地域としての整備を図るということで、市街化地域並びに調整地域あるいは農振地域といったような土地の利用区分というものを設定をいたした次第でございます。  しかし、やはり十年間たっている今日においても、都市機能としての水道でありますとか下水でありますとか、あるいはその他の道路関係整備等が非常におくれて、一般農振地域と同じような農業地域が存在しておることもこれはまた事実でございます。  したがいまして、いろいろな宅地並み課税等の立法によって農業者に土地を提供させようという試みもやられたわけでありますけれども、一遍取った税金を片っ方で農業者にまた返すというようなことで、その効果がなかなか期待できない、こういうことであり、また、私も建設大臣のときに生産緑地法というような、やはり農業者農業でしか食っていけないのだということ。それから、農業者というものはとかく大地から物をつくり出す、その喜びと申しますか、そういうものに生きがいを感じて、そうして、ほかに働きにいけばもっと所得があるというような場合においても、その農業に愛着を感じて、農業でなければ生きていけないという方も、これは都市にもおられるわけであります。そういう方が農業を続けていく限り、先ほど申し上げたように、やはり農業経営の生産性向上とか合理化とか、そういうことができるように、そして市街地で農地を持って農業をやっている方々も、生鮮野菜類とかあるいは果物とか、さらには花あるいは小家畜といったようなものを生産をしながら、実は農業経営でなければ生きていけないということで、ほとんど専業農家的な働きをしておるというのが東京あたりの実情でございます。  実は私も先般、東京の農業祭というところに行ってまいりまして、そこでいろいろ農業者の方、御婦人の方に、むしろ農業に生きることを喜びと感じ、そうして品種改良であるとか、果樹類なんかも生産をする計画も立てて実施をしておるということを聞いてまいりまして、やはり都市機構の中で、特に日本の三大都市圏の中で、名古屋はちょっと違いましょうけれども、東京、大阪等におきましてはどうしても空閑地が少ない、緑地が少ない、公園が近代都市としては少ない。そういう役割りを果たしているのがむしろいまの市街化の中にある農地ではないか。したがって、これはむしろ、急いで宅地化を図るのが賢明なのか、あるいは今度の国会で御審議いただいております農住法案といったようなことで、土地も若干提供します、宅地も提供します、そのかわり農業も続けさせていただきます、こういうことで、緑地を、農業地域を、農地をどういうふうに持っていくかということは、これは私の立場から申し上げますと、農住法の法律でねらったところあたりがいいところではないか、こういう感じを持っておるわけでございます。
  55. 井上一成

    ○井上(一)委員 要するに市街化区域に介在する農地の役割りというものは非常に大である、こういうことの認識に立っているということでしょう。そういうことから考えれば、無条件で宅地化を促進することには応じられない、こういうことに受けとめられるわけですね。
  56. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 市街地の農業も大切でありますけれども、また一方、暴騰する土地、宅地、特にいま宅地が欲しいという方々が非常に多数おるにもかかわらず地価の暴騰をもたらして宅地がなかなか手に入らない、住宅を求めることもできない、こういう現実も見逃すわけにはまいりません。  したがいまして、都市計画の中でどれだけの公園なり緑地なりがあればいいのかというようなことは、大体最近の都市計画を立てます際の一つの基準というものがあるわけでありますから、そういう範囲内で、都市的要求にもこたえながら、農家としての経営も成り立っていくような、両立することを考えようということで、これも実は建設省あるいは国土庁と農林省並びに農業団体等でいろいろ検討をした末、やはり農住法というものに協力をしていこう、こういうことであの法律が提案されたというふうに承知いたしております。
  57. 井上一成

    ○井上(一)委員 都市化を促進しながら、一面ではやはり市街化区域における農業というものが十分成り立つような配慮をしていく、こういう御意見です。そこで、それでは今度は、その市街化区域に介在する農地が、とりわけ国民生活の中での生鮮野菜、そういう生産に十分な役割りを果たしている。所有者の選択によって、農業から離職していく、あるいはさらに営農に、専業として農業を持続する、これはいろいろと選択があろうと私は思います。  ここで、市街化調整区域の中で生産される野菜と市街化区域の中で生産される野菜の比率というもの、とりわけ大都市圏でどういうような比率で生産されているか、大体で結構ですから、こういうことについて大臣からひとつ聞いておきたいと思います。
  58. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 大体市街化農地で生産されている野菜類は、東京に例をとれば、東京で消費している一割ちょっと切れるという程度ではなかろうかと考えております。
  59. 井上一成

    ○井上(一)委員 大阪の場合は御承知でしょうか。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 大阪は承知いたしておりませんので、事務当局から……。
  61. 井上一成

    ○井上(一)委員 大阪府の場合におけるいわゆる市街化調整区域と市街化区域の中で生産される率は、タマネギ、キャベツ、ナス、サトイモ、キュウリ、大根、トマト、ネギ、ハクサイ、シュンギク、ミツバ、とりわけ軟弱野菜では七〇%から八〇%になるわけであります。タマネギで三八%、キャベツで六一%、ネギで七〇%、シュンギクで八〇%、ミツバで八八%が市街化区域で生産される。もし市街化区域の中にある農地が宅地化、あるいは何らかの形で公共用地に変化していくということになりますと、この生産は全くなくなってしまうわけです。これは都市圏における野菜飢饉につながる、こういうオーバーな表現じゃありませんけれども、そういう理解をするわけです。  それで、具体的にタマネギをひとつ例にとって、大阪の生産するタマネギの量、さらにはこれが出荷される量、そして大体で結構ですから、どの地域にこのタマネギが消費者の手に出荷されていくのか、こういう点についてひとつ答えていただきたいと思います。
  62. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のタマネギでございますが、大阪は作付面積が千三百ヘクタールで、大体全国の四・五%、それから出荷量は五万五千九百トンという数字になっておりまして、これは五十四年でございますが、大体五・五%でございます。タマネギにつきましては、実は春先から十一月までは内地のものが、十一月から四月にかけては大体北海道のものが全国に出回るわけでございまして、大阪のタマネギも大体春から秋口まで出回る中に入るわけでございますが、大阪市場の比重は非常に高く、それ以外に京阪神市場に主として出荷されております。
  63. 井上一成

    ○井上(一)委員 いまお答えがあったのです。それで、私の調査では生産量は六万一千七百トン、出荷量が五万五千八百九十一トン、とりわけこのタマネギが、大阪府に限っての生産を見ますと九七・五%が泉州地域で収穫をされるわけです。そのうちの三八%が市街化区域で生産をされる。これは全府下でいけば約三七%の生産量になるわけです。  私が尋ねたいのは、泉州という一つの地域をここで申し上げたのは、いま運輸省なり大蔵なりで問題になる関西新空港の建設ということがあるわけです。関西新空港が建設されることの是非をここでは私は論じたくないわけであります。関西新空港の建設にかかわって農水省はいままでに、このような介在農地に対して、具体的なタマネギの生産というものに対してどれほどの配慮をして、どれほどの対策を講じて取り組んでこられたのかを、まずは聞いておきたい。大臣、いかがですか。
  64. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 関西空港の新設が大きな話題となっておりますが、まだその具体的な計画はできておらないわけでございます。いずれにせよ、これが具体化されれば付近の営農なりあるいは土地問題、農地問題に大きな影響を及ぼすものと考えております。そこで私ども、関係省庁の間で逐次この問題について協議をしなければいけないというふうに考えておりますが、整備計画の原案が示されるまでに十分そういったことについても検討を進めてまいりたいと考えております。
  65. 井上一成

    ○井上(一)委員 すでに航空審の答申もあり、あるいは運輸省が縮小案まで出してきているのですよ。そういう中で、関連の取り組みとして農水省は漁業補償、漁業調査というのはやっているじゃないですか。農業関係についてはいままでは手落ちでした、そこまで気がつきませんでしたと言うのか。あるいは、このことについてはほっておいていいと思うのか。漁業の問題については十分な配慮をしたいということで、調査を委託して、莫大な予算を投じているじゃありませんか。関連の調査の中にこういうことが入っておったのか入ってなかったのか、どうなんですか。
  66. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 漁業問題につきましては、これは直接被害が及ぶというようなことから特に先行してそういう調査、検討が行われたと承知しておりますが、一般の関連する、陸上問題といいますか、農地の問題につきましては、どういうルートを通って空港に人を運ぶのかとか、そのほか関連する問題についてまだまだ十分な結論を得る段階までに至っておらないわけでございます。そういった構想が明らかになった際は私どもとしては農業との調整というものを十分考えなければいけない。同時に農地についても、線引きの問題もございますし、さらには転用の問題もございます。それらの調整を図らなければいけないということで内部的な検討は進めておりますが、いずれ関係省庁間で本格的な、具体的な話し合いに入るものと考えております。
  67. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、やはりそこまで気がつかなかったと。鉄軌道だとかあるいは交通体系だとか、地域整備だとか、そういうことについてはそれぞれ具体的な詰めまでは入っておりませんけれども、そういう話し合いがなされておるわけです。あるいは要望等があるわけです。ここでさっきから申し上げたように一〇〇%に近い生産量、そして大阪府下における需要のほとんどを泉州で賄う。さらに、これは農水省が私に提示をしたパーセンテージですけれども、大阪でとれるタマネギは六二%以上が東京だとか東北だとか北海道で消費されるわけです。もし泉州のタマネギが関西新空港の建設によって、いわゆる宅地並み課税の強行によってそういう生産がゼロになると、これはもう大変なことだ。大阪府下にはタマネギはなくなるし、あるいはそのことによってタマネギの値段は上がるし、さらには北海道だとか東北だとか東京でいままで食べてもらっておったタマネギもとまるし、これは物価にまではね返ってくる。農業者の問題もさることながら、タマネギは高うなりまっせ。関西新空港とタマネギ、これはもう非常に深いかかわりがあるのですよ。農林大臣がそんなことまで気を配ってくれてはりまっしゃろか、こういうことを実は私は指摘をしたいわけなんです。だから関西新空港にかかわってはその影響を及ぼすたくさんの問題があります。こういうことで大臣、これは事務当局ではもう答弁になりません。関西新空港建設によってタマネギの生産が——いや、大臣の考えを……。後からそんなことを教える必要ないのだよ。それならあんたに答弁を求めるよ。タマネギの生産が少のうなったらもう大阪でタマネギがなくなってしまうし、それは外国から輸入したらいい、こういうことを言えばそれで答えになると思ったらあきませんよ。それにタマネギを生産してくれておった泉州の農民はどうなるんや。そしてさらに消費者物価というものにもはね返ってくる、こういうことまで大臣は気を配って対策を講じてもらわなければいけないと思いますが、大臣の率直な、ああそうだったのか、あるいはそんなのはもうちゃんと対応しておりますと言うならその対応策、そこらの点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  68. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 現在の日本経済の中で物価の安定というのが一番重要な課題であるということは、わが内閣の基本姿勢でございます。そういう中で全国の野菜農家が本当に厳しい条件の中で生産性向上を図って低廉な野菜を供給してくださっておるという事実は、私は本当に感謝しておるわけでございます。タマネギの例がありましたけれども、そういう農家の方々がおられるために最近の日本消費者物価等の安定も期されておる、そういう意味において農家の諸君の立場を十分考えていくというのが私の任務でありますから、成田空港の轍を踏まないという立場からも、そういう国家的な関西新空港の建設というような事態になりつつあります現在、そういう点の調査あるいは動向等については御指摘のように私としても十分考慮をいたしておるところでございます。特に現在農住法を御審議いただいておる関係で、せっかく先ほど来申し上げております都市農業の持つ重要さというものを私自身も認識をいたしておりますから、そういう面でタマネギ耕作農家が空港建設のために大きな影響を受けるというふうなことのないような処置を私としては主張をし、進めてまいりたい。
  69. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに、さっきも指摘をしたように、シュンギク、ミツバというのは八〇%から、その生産が市街化区域でされておる。これは軟弱野菜だから輸入というわけにはいきませんよ。そういうことになると、とりわけ大阪圏における軟弱野菜は、値段が上がるということじゃなく、なくなってしまうということですね。そういう意味では、市街化の中にある農地でいわゆる生産性を配慮しながらもっともっと営農に力を入れてもらわなければいかぬ、こういうことになるわけです。私は、とりわけ関西新空港の建設に絡んでは泉州地域のタマネギを生産していらっしゃる方々、さらには大阪全体の市街化区域における農地の役割りというものを考えれば、関西空港は建設や運輸や大蔵やという問題だけではありませんよ。だから、閣僚会議があるとかあるいは関係協議会がつくられるということですけれども、農林水産省はこれに入りますか。漁業はもちろんですからこれは当然ですが、漁業を抜いていわゆる近郊農業、都市圏の中における農業というその保護対策上からも私は必要だという認識を持っておるのですが、それはいかがですか。
  70. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いろいろな、建設行政にいたしましても、運輸行政にいたしましても、全国どこを見ても農家の協力なしには何もできないというのが実は私の認識なんです。したがって、そういう面において農家の十分な納得を得ないで事を進めるということは、これはもう非常によくない。ましてや命から二番目の大事なものを一生懸命——所得上から言えばもっといい職業があるということはわかっておっても、土に愛着を感じ、土から物をつくり上げることに喜びを感じて、そしてそれを生業としてやっていこうというのが私は農業者だと思うのです。そういう方々の立場を十分伸び伸びと伸ばしてやるというのが農林行政の使命であろう、こういうふうに私は考えておりますから、他方から厳しい国家目的の要請があった場合においても農家の納得のいくだけの努力を私は常にしたい、こう思っております。
  71. 井上一成

    ○井上(一)委員 関西新空港の建設は、地域農業者だけでなく、平たく言えば近畿圏、もう少し縮めても大阪圏の農業従事者にもこれはもろに影響がある、こういうことでございますね。
  72. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 詳しい空港建設の計画を見ないと、どこまで、どの辺に、どういうふうに生産上の影響が出てくるかということはこれからの問題であります。したがって、その時点において、先ほど来申し上げておりますとおり、できるだけ農業者に影響のないような施策をとれないかどうか、そういう立場で私は意見を吐いて主張していきたい。
  73. 井上一成

    ○井上(一)委員 全くいまの泉州地域の市街化区域が空港建設については現状のままであるということはあり得ないわけですね。どれだけの面積のどれだけの地域がどういうふうに宅地化されるか、そういうことは量の問題になるでしょうけれども、全くいま予想もつかないというわけじゃないわけです。公共事業建設にかかわる、あるいはそれ以外の民間開発の分野での必要面積、そういうことを考えたら、いま私がさっきから指摘するように、タマネギだけじゃなく、軟弱野菜も含めて全般的に大阪で生活をしている人たちの消費生活にまで関西新空港というのは影響を及ぼすということを私は指摘しているわけなんです。大臣は、農業者の生活保護というか、生活を守るということ、さらには大阪圏で住んでいらっしゃる人たちの消費問題にも大きく影響する、こういう理解を持っていらっしゃいますかということなんです。しておれば、それに対する対応を考えてもらわなければ困る。
  74. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 消費者に対する配慮、いわゆる物価の安定という面に野菜農家は大変重要な役割りを果たしておるということは一番先に申し上げたわけであります。したがいまして、たとえばタマネギ生産の基盤が非常に制約されてきたという場合には、それに応ずる施策を配慮しなければいけない。生産量が下がれば価格は上がってくるということでありますから、その辺のところは当然消費者のことも十分に考えて配慮をしなければいかぬ、こう考えております。
  75. 井上一成

    ○井上(一)委員 だから関西新空港建設はいわゆる消費者物価にまでかかわってきますよ、そういう認識で取り組んでくださいということの強い指摘を兼ねて私は要望をしているのです。それは十分理解をしていらっしゃいますか。私のいまの指摘と質問に対して理解をして取り組んでくれますか、こういうことなんですよ。
  76. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ですから、先ほどお答えいたしましたように、そういう点は十分考慮をしてそういうふうにならぬようにしていくのが私どもの務めである、こういうふうに認識をいたしております。
  77. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、いまも指摘しましたように、関西新空港への農水省としての取り組みを十分果たしてもらいたいという要望を強く申し上げたい。同時に、宅地並み課税、このことがどのようにはね返ってくるか。税収の問題ではなるほど宅地並み課税を強行することが増税につながるということでありますけれども、宅地並み課税を強行していくということはいろいろと問題があるのだ、市街化区域の中で生産緑地として残さなければいけない分野は当然残し、かつ生産性向上に力を注いでいくべきである、こういうふうに思うのです。だから非常に問題が多い市街化区域の中における農地の扱いについて、私は非常に影響があるのだという具体的な事例を指摘したのですけれども、農水大臣としてどのようにこれを受けとめていらっしゃるのか、お尋ねをしておきます。
  78. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 宅地並み課税につきましては、検討した結果を昭和五十七年度から実施をしていこうという税制調査会の意向等もあったわけでございます。したがいまして、その検討の中におきましても、先ほど来申し上げておりますとおり、宅地化しなければならないという強い要請も一方にあり、また都市計画法で十カ年間に市街化するという法律の中で、農業しかやっていけないという人のいる現実、これに対してどう対処していくかということで、今日まで、宅地並み課税という法律を制定をいたしまして、そうして宅地のどんどん出てくることを期待したわけでありますけれども、なかなか宅地は出てこない。しかも宅地並み課税を徴収いたしました結果、結局一方においては農業者に対する奨励といったような形で、生産緑地の保持というような名目でその税金が還付されておるといったような実情を経まして、今日の宅地並み課税の問題がいろいろ論議をされておることは十分承知をしておるわけであります。したがいまして、私といたしましては、やはり農業者の立場に立って、農業経営以外に生きる道のない人に、そこは市街化地域だから宅地並み、一般の人の税金を納めなさいということでは、これは政治にならないのではないかということで、そういう立場で主張をしていきたい、こう考えております。
  79. 井上一成

    ○井上(一)委員 宅地並み課税についてはいろいろ問題がある、そしてそれはあくまでも農業を維持継続をしていきたい、そういう方の立場に立って十分な配慮をしていく、ぜひその線で私は努力を願いたい、このように思うわけです。やはり土地というものが結果的にいかにたくさんの公共の用に役立っているか、そのことの価値判断に立つべきだ、私はこういうふうに思うわけです。大企業がうんと保有する遊休地に対しては厳しい姿勢であっていいと思うのです。だけれども、生活をそこに持つまじめな国民が、生活をしている人たちがばかをみないように、その人たちを踏み台にしないようにやはり政治というものはあるべきだ。そういう意味で、重ねて恐縮でございますけれども、関西新空港の建設、さらには野菜のとりわけ軟弱野菜の危機、消費者物価のいわゆる安定を図っていく、いろいろな対策上からもこれはおろそかにできないのだということを、しっかりやりますということを大臣、確認をするようで悪いですけれども、関西新空港でも非常にかかわりがあるのだ、一生懸命やります、タマネギの生産というものにもこれは大きく響きます、大阪府民の台所から野菜がなくなっていくような結果にもときにはなります、そして一生懸命つくっていらっしゃる生産者の農家の人の生活を奪い取ることにもなるのです、こういういろいろな問題があるということの強い認識を持っていただけるか。あるいはいただいていると思うのですが、そういう認識で取り組んでいただくということをもう一度お答えをいただいておきたいと思います。
  80. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨はよく理解をしておるつもりでございます。
  81. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私はここで、これはきょうに始まったわけじゃありませんけれども、全共連についてはいろいろとその中に問題が指摘されてきたわけであります。具体的な一例として、私は土地取得についてお伺いをしたいと思うのであります。  岩手県の岩洞湖畔の土地買収についての事件の概要をひとつまず聞いておきたいと思います。
  82. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 御指摘の岩手県の岩洞湖の件でございますが、これは昭和四十九年三月に全共連が農林水産省の未承認のままに七億一千万円の金額をもちましてこの周辺の地域約百万平方メートルを取得いたしまして、これにつきまして農林水産省といたしましては、その後検査指摘し、未承認取得を厳重に注意いたしまして、財産運用目的を達成する上で適切な物件とは認めないということを申しましたと同時に、またその後五十四年三月の検査指摘の際にも、再度処分を含めて稼働化の措置を検討するように申し渡している、その件だろうと思います。
  83. 井上一成

    ○井上(一)委員 全共連については、農林水産省は何回か厳重な注意をしたということです。これはとりわけどの点について指摘を集中されましたか。
  84. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 特に従来指摘をいたしてまいりました重要な点は、一つは未承認のままにこれを取得したという点につきまして厳重に注意をいたしますと同時に、これが稼働化しないという問題がございますので、その稼働化の措置につきまして検討するように指摘をいたした次第でございます。
  85. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらにこの土地については、その価格が適当でない、不当に高い、べらぼうに買収価格が高いという、こういうことについては農林水産省はどのように受けとめていらっしゃいますか。妥当な価格だとおっしゃるのか、どうなんですか。
  86. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 この土地を取得いたしましたときの価格が七億一千万円でございました。当時の鑑定書を見てみますと、この土地の評価額は八億二千万円ということになっておりまして、実はこの土地は若干問題がございまして、この上に県行造林地があったわけでございます。この県行造林地の解除ということを前提にいたしまして恐らくその鑑定書はできていたというふうに考えますが、この県行造林地はそのままその後も持続するということになっておりまして、現時点におきましてはその評価額はかなり下がっているということでございますが、取得時におきましては、そのときの状況においてこれは取得価格から必ずしも鑑定価額が離れていなかったという状態であるというふうに思っております。
  87. 井上一成

    ○井上(一)委員 私の方の調べでは、農水省検査の折に、地上権がついた土地としては価格は適当でないという指摘をしたということになっているのですが、そういう事実はなかったのですか。
  88. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 その点はそのとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、この地は県行造林地でございまして、そのような地上に物権がある、そういうものにつきましての価格としてはこの取得価格は適正ではないということを申した次第でございます。
  89. 井上一成

    ○井上(一)委員 だから、価格は適当でないと指摘をしておきながら、さきの答弁では妥当なような答弁をしている。私の受けとめ方が間違いであるのか、どっちなんですか。価格が妥当であるのか、指摘をしたように適当でない、高いのだ、どっちなんですか。
  90. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 私、申し上げましたのは、当時の評価額というものを鑑定いたしました際におきましては八億二千万円ということで評価いたしておりまして、これは県行造林地ということが解除できるという上での評価額だったということを申し上げたわけでございまして、しかしそのような県行造林地が解除できないという前提に立ちますと、私どもは検査書で指摘したとおり、これは妥当な価格ではないということを申した次第でございます。
  91. 井上一成

    ○井上(一)委員 妥当な額でないわけです。さらにこれは不明朗きわまりない七億に及ぶ使途不明金が指摘をされているわけなんです。そして聞くところによれば、そのことが一部政治家に政治献金をされた、流れたのだというふうに伝えられているわけなんです。このことについては、私はさらに今後の委員会において詳しく追及をしていきたい。きょうは時間がありませんから。だから、妥当でない、高い買い物であるのだということも隠さずに最初から言わなければいけない。もっとオープンでないと、さらにこれから七億の不正、使途不明金、そういうことについてももっと明らかにしていかなければいけない、こういうことであります。  余り時間がありませんので、さらに私は中央競馬会についてひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。  中央競馬会については、もう何回か当委員会でも私はその資金のずさんな運用指摘したわけであります。とりわけ場外馬券売り場についての建設協力金あるいは賃料について、不当であるという指摘を私はしてきたわけであります。そして、この改善に向かって中央競馬会も検討を加えるということで、その後どのように検討を加えられたのか、まずはこの機会に報告を受けたいと思います。
  92. 武田誠三

    武田参考人 建設協力金を含めて賃料の適正な決定の仕方につきまして、当委員会でもたびたび御指摘がございました。それに基づいて私どもも抜本的にこれを検討いたしますために、中央競馬会において学識経験者による研究会を設置いたしました。六名の専門家の方にお集まりをいただきまして、本年の三月以来鋭意検討を続けているところでございます。その間に総会を八回、現地調査を二回、小委員会を八回ほど開いていただきまして、近く結論を得られるものと期待いたしております。  以上が研究会のおおむねの状況でございます。
  93. 井上一成

    ○井上(一)委員 協力金のあり方なり賃料についての具体的な指摘は検討中とのことですが、まだ最終決定でなくても、こういう点についてはこういう方向に持っていきたいのだ、そういうことは検討されたのでしょうか。
  94. 武田誠三

    武田参考人 賃料研究会の検討の結果をいま取りまとめ中でございますが、その主な点につきまして二、三申し上げますと、まず建設協力金でございますが、これは現在私どもがやっております建設協力金の形はどうも大分古いものである、一般的には現在では建設協力金という形よりもむしろ保証金ないしは敷金というような方向に移行しつつあるという御指摘がございます。そこで、まず今後につきましては、そのような傾向も踏まえ適正に対処していきたいと考えております。  それから、賃料でございます。賃料を求める方法には、先生も御承知のように積算法、賃貸事例比較法、収益分析法といった三つの方法がございますが、この委員会におきましては、競馬会の場合には従来私どももとっております積算法によって算出することが妥当であろうということでございます。ただ、賃料積算項目の中の土地価格の求め方あるいは諸公課、火災保険料等の積算につきましては、改善すべき点があるのではないかという御指摘がございます。  それから、場外発売所につきまして、それを使っていきます上でときどきいろいろ改造工事等を行っております。これにつきまして、従来私どもはオーナーの負担ということにいたしまして、これについて賃料に加算をしてその後の賃料を決めるというような方式をとっておったのでございますが、これにつきましては、むしろ改造工事は私どもの負担で行っていく方が賃料の算定上、より適正になるのではないかというような御指摘もございます。  これらの御指摘については、そういった御指摘を十分踏まえまして適正に決めていくようにいたしたいと考えております。
  95. 井上一成

    ○井上(一)委員 最終的にはいつの時点をめどにまとめられるお考えですか。
  96. 武田誠三

    武田参考人 ただいま申し上げましたのは賃料研究会のおおむねの検討の方向でございます。  このほか私どもといたしましては、当然監督官庁の御見解あるいは会計検査院の方でいろいろ御調査中でもございます、そういった御調査の結果等を踏まえまして適切な処理をいたしたいと思っておりますが、先生からもいろいろと今日まで御指摘を受けております。そのような御趣旨も十分に踏まえまして適正な賃料の決定をしていきたいというように思っておりますので、いましばらく時間はかかるかと思いますが、できるだけ早い機会に適正化を期してまいりたいというように考えております。
  97. 井上一成

    ○井上(一)委員 会計検査院はこの場外馬券売り場にかかわる問題で調査をされたわけですが、最終的な結論はまだ出ておらないのかもわかりませんけれども、きょうまでの経過を踏まえて、ひとつ報告をいただきたいと思います。
  98. 小野光次郎

    ○小野会計検査説明員 お答え申し上げます。  私どもはこの場外馬券売り場、電話投票所の検査につきましては、今年度重点をもって検査をいたしました。  これらの検討の結果でございますが、ただいま競馬会からお話がございましたように、賃料につきましては算定方式が幾つかございます。ただ私の方は、競馬会で現在取り入れております積算方式による算定方法を中心といたしまして検査したわけでございます。この算定要素といいますのは、土地建物の基礎価額あるいは投下資本利子、固定資産税、火災保険料、減価償却費、その他の必要経費というようなことから積算することになって、積み上がってその賃料を決定することになっております。この点につきまして、私どもは各項目にわたりまして今年において検査をしたわけでございます。  次に、建設協力金につきましても、その資金貸し付けの時期とかあるいは金額、据え置き期間及びその利率、こういうような契約条件につきまして検討いたしまして、また現在のビルの貸しビル業界におきます協力金のあり方、これにつきましても検討をしたわけでございます。この結果につきまして現在どういうふうに対応していくかということを局の段階で検討している段階でございますので、結論についてはしばらく御容赦いただきたいと思います。
  99. 井上一成

    ○井上(一)委員 中間的な段階で、結論が出てないわけでありますけれども、これはやはり中央競馬会がもうかり過ぎる、そのもうかった剰余金の使途についていろいろとよけいなところにかさ上げがされていく。これはどうなんですか、それほど剰余金の使い道に困るというのかそういうことであれば、一定の法というものはありますけれども、大衆競馬ファンに配当金をふやしてやる、そのくらいの思い切ったことでもされる、つまらぬところへ金を使うならそういうことも一つの方法じゃないですか。
  100. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 競馬事業の全体の制度にかかわる問題でございますので、私からお答え申し上げさしていただきたいと存じます。  中央競馬会につきましては、御承知のとおり国庫納付金制度がとられておりまして、発売金額の十分の一が第一国庫納付金、それから毎年度決算の結果生じた剰余金の二分の一につきましては第二国庫納付金として国庫に納付をしておるところでございます。今後とも業務及び経理の適正な運営によりまして国の財政に貢献するように私どもといたしましては指導をしてまいりたい。やはり競馬事業の適正な実施とそれからそれに必要な経費をできるだけ抑制をし効率的にやっていくということが必要であろうと存じます。ただ、現在生じております特別積立金は、毎年度生じた剰余金の二分の一を国庫に納付した残りのものでございまして、この積立金についてはいま御指摘のようなさまざまな御意見なり要望はあるわけでございますけれども、現にございます特別積立金は、その大部分が、土地、建物、スタンドその他の施設でございますが、そういう固定資産になっておるわけでございまして、残りの一部の流動資産につきましても、今後の設備投資の準備のために必要な金であるとか、あるいは競馬自体が馬の集団的な疾病の発生等によりまして中断をする、その間の必要な経費に充てるための準備資産として持っておらなければならぬとかいうようなことから、現にあります流動的な資産につきましてもまだこれは積み立てをしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。いろいろ御指摘ございましたけれども、それらについての検討はもちろんしてまいらなければならぬと思いますが、現状においてはなかなかむずかしい問題だというふうに存じております。
  101. 井上一成

    ○井上(一)委員 まだ結論が出てない中間の時点ですから、私もそれがどれほどむだであったかということはここではまだ断定できません。しかし、大臣、このきっかけは、場外馬券売り場については私が前の大臣にも指摘をして、見直そうという約束の中で発足をしたわけですね。いわばむだなそういう投資が安易な形でなされておるという実態を指摘をした。今日それが中間的だけれども大体集約する直前である。やはりできれば年内をめどに、私はこれは行政指導をしながら中央競馬会に適正な運営を図るように農林省が指導すべきであると思う。配当をふやしたらええやないかという、これは本当にたわいもない発想かもわかりませんけれども、そんなに金が余って、剰余金の二分の一を国庫にまた納付さすのだ、それでもなおかつまだ余って使い道に往生しておる、それならいっそのこと全部国庫に納付させて、必要なものに対しては農水省が妥当であるというその資本投下を行政指導しながら、余ったものは皆この際国庫納付にしてもらうのだ、こういうこともまた一つの意見なんです。私はやはり大衆が、競馬ファンが一番利益を受ける大きな権利があるという意味でそういうふうに配当の問題を言ったわけであって、必ずしもいまの法律でそれが可能であるとかそんなことは考えておりませんけれども、もっと冗費をなくしていくという姿勢を、あるいは実際にそういう取り組みを私は求めているわけです。大臣からひとつこの問題に対して、競馬会の運営のあり方、とりわけそういう投資にかかわる資金の使途並びに今後の取り組み、指導、そういう点も踏まえてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 競馬会が発馬機の問題等によって、あるいはいま御指摘の場外馬券売り場の問題等についていろいろと指摘をされた事実は私はよく存じております。競馬法に基づいて国民に与えられた一つの大きな公的な楽しみの場、そういうところから零細な馬券を売ったお金が入ってくるわけでありますから、これは国民のお金と、こう考えて、やっぱりその扱いは公金と同じく慎重に対処しなければいかぬということを私は就任早々競馬会の役員の皆さんに実は申し上げて、そして、やはり信頼される競馬会というふうになっていかなければなりません、そのためには、井上委員からも競馬会は金持ちじゃないかというような言葉が出てくるわけでありますから、そういうことの誤解を受けないような日本競馬会になっていってこそ初めて競馬法に基づく国民に与えられた本当に競馬というものの楽しみをしながらという法の精神を全うできるもの、こういうことでありますので、二度と再びこういう事態の起こらぬようにやってまいりたい、こう考えております。なかなか競馬会には競馬会のいろいろな伝統とかあるいは調教師と馬丁あるいは騎手との関係等々ございますようですから理事長も大変苦労して指導されておりますが、この上とも御努力を願って、誤解を受けることのないような、また不心得者が出ないような、そういうきちんとした競馬会というものになっていただくように、私どもとしても努力をいたします。
  103. 森下元晴

    ○森下委員長代理 この際、関連質問の申し出がありますので、これを許します。小川国彦君。
  104. 小川国彦

    小川(国)委員 最初に農林大臣にお伺いしたいと思いますが、いま大臣も就任早々中央競馬会の運営については深い関心を持たれてその適切な運営についての御指示をなすったということを伺い、まことに心強く思うわけであります。実は、国際電電、中央競馬会、開発銀行、こうした百余の特殊法人に対しまして、その財政状況を見直して剰余金を国庫に吸い上げるべきである、こういうことが行政管理庁から総理大臣にこの十一月十一日に報告がなされ、さらに十二日の閣議においては総理から関係閣僚に対してその面についての協力を求められた。それを受けて農林大臣として中央競馬会の経営を改めて見直して、私どもから言わせればこういうところからの剰余金の吸い上げ対策というものは遅きに失した感がありますけれども、農林大臣としてまずこれに取り組む姿勢をお伺いしたい。
  105. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど局長からも申し上げましたとおり、中央競馬会の剰余金につきましては、その二分の一が国庫へ納付され、残りが特別積立金として積み立てられておるわけでございます。この積立金については、その大部分が競馬開催に必要な固定資産でありまして、残りは流動資産として、競馬開催が一定期間中止された場合であっても、また今後の競馬場の設備の更新等に備えるための準備金といたしておるわけでございます。いずれも一種の興業とでも申しますか、競馬事業はそういう性質のものでありまして、きわめて不安定な事業と見ることができるわけでありまして、中央競馬会の運営上この積立金というものは必要不可欠のものと私どもは見ておるわけであります。したがいまして、中央競馬会の剰余金を現行以上に国庫に納付するということは、今後の中央競馬会の運営に相当深刻な影響を与えていくのではないか、せっかく今日まで円滑に運営をされてきておりますのに、剰余金をこれ以上吸い上げていくということにつきましては、にわかに賛成しがたいというような実は私の気持ちであるわけでございます。御承知のように、中央競馬会から納付していただいておる金額が日本の畜産振興に使っておる金額の大部分を占めておるというわけでありますから、これ以上剰余金を出すことによって、競馬会の運営なり売り上げなり国民の信用なりに影響いたしまして、競馬離れというようなことになりまして、結果的には角をためて牛を殺すというような結果になら ないとも限らないという気が、実は私としてはいたしておるわけでございます。
  106. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣は、私の言っております発言を全体的にとらえていない。部分的に積立金、剰余金の問題だけに限って私は質問しているのではないわけです。中央競馬会と、それから中央競馬会が全額出資してつくっている日本発馬機、あるいは日本トータリゼータ、日本馬匹、あるいはまた先般来国会で問題になってきた日本発馬機の不正経理の問題、それからまた中央競馬会のずさんな支出の問題、それからまた全国にございます馬券発売所の協力金、いわば貸付金の問題、それからまた、その家賃の問題、そうした問題についてもっと全体的にきちんと見直すならば、そういう中で新たな剰余金を吸い上げる余地は十分にある、こういうふうに私どもは考えているわけです。  端的な例が、五十四年で一兆二千六百六十二億の売り上げがあって、そして国庫には第一次納付金として千二百六十三億円が入った。第二次納付金について皆さんの予算を見ると、百七十億の予算を見込んだところへ、最終的には三百二億という倍近い第二次国庫納付金が出ている。そして五十五年を見ますと、売り上げの見込みは一兆二千八百四十五億円で、この一〇%が第一次国庫納付金として千二百五十四億、それから第二次の国庫納付金は、昨年の予算よりも見込みとして五十億上げて、二百三十億見込んでいる。しかし、現実には、昨年の実績ではすでにもう三百億を超した実績が出ている。こういうふうに、中央競馬会の運営を見ると大変な剰余金が出ている。しかもその運営の中身においては、国庫納付金が約一〇%で一千億前後と見ますと、中央競馬会の経費が一五%、約一千五百億近く見ている。ここに私は、中央競馬会が、それと同じような他団体なり他の民間会社と比べて、その組織や内容から見て、一千五百億になんなんとするような運営経費が果たして要るのであるかどうか、非常に疑問を持っているわけです。  その疑問を裏づけるようにして起こったのが、昨年の日本発馬機における不正事件なんです。これは、御承知のように日本発馬機の一専務の横領で、一年間で二億四千万円という金が領得されている。さらにまた、四十八年から五十三年で六億、合計しますと八億四千万という損害を与えられているわけです。これは全額政府出資の中央競馬会出資の会社でありますから、いわば国損を与えられたと同様なんですね。そういうような事態を日本発馬機が起こした。金が余っているところに不正や犯罪がやはり起こってくる、こういうことを日本発馬機は示しているわけです。そういう中で、この八億四千万の不正だけではなくて、私は、さきの国会で指摘したように、補修機材費の請求も、約十億の日本発馬機の運営費のうちで、昭和四十九年まで約五千万であった部品代が、五十年では三倍の一億五千万、五十一年には二億八千八百万、五十二年では三億、五十三年では三億五千万と、毎年毎年膨大なにせ伝票によって部品代が引き上げられてきた。こういう実態があるわけです。  参考に、私は当局に伺いますが、五十四年の補修機材の請求費は幾らになりましたか。
  107. 武田誠三

    武田参考人 三千五百万円だそうでございます。
  108. 小川国彦

    小川(国)委員 このように、三億五千万を請求していた部品代が三千五百万と、十分の一になったということですよ。いかにごまかしてきたかということがこの五十四年の一年間のトータルの中にあらわれていると思うのですね。こういうことを見ると、私どもが指摘した部品代一つで十倍の経費をいままで中央競馬会に対してごまかして請求していた、こういう事実が明らかになっているわけです。これはまだ一つの事実ですよ。ですから、私が大臣に申し上げているのは、こうした事実に出発して、もう一度中央競馬会の関係会社全体の経理を見直す、こういう考えを持てないかと、それは最終的には剰余金の問題に発展していきますけれども、その辺の考え方があるかどうか、これを伺っているわけです。
  109. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いま御指摘になったようなことも含めまして、実は就任早々競馬会の方に要請をいたしておるわけであります。畜産局の方に対しましても、監督不十分ではないかと。ということで、先ほども延々と申し上げたわけでありますけれども、何といってもやはり不信感があるようでは発展は見込めないわけでありますから、そういういま御指摘をいただいたような線を含めて、さらに適切に検討をするようにいたしたいと存じます。
  110. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、この日本発馬機の問題は事件発生以来一年有余を経るわけでありますが、これについて、中央競馬会は日本発馬機の関係者を告訴してまいりましたけれども、その後について、その決着はどうなっているのか、それから、内部的にこの発馬機の経理決算の問題について、最終的な欠損額は幾らであったか、この金額が明らかになっておりましたら伺いたい。
  111. 武田誠三

    武田参考人 発馬機事件につきましてのその後については、私どもが伺っております限りにおいては、警視庁において鋭意取り調べを続行中であるということでございます。いつごろどういうふうになるかということについては私どもとしてはちょっと知る由もないということでございますが、いずれ、私どもとしてはできるだけ事態の解明が早からんことを期待をいたしておる次第でございます。  それから、発馬機会社の経理といいますか、あるいは決算につきましての御質問でございますが、発馬機会社の五十四営業年度の決算は、御承知の事件発生という異常な事態がございまして、そのために、公認会計士事務所に依頼をいたしまして決算事務の取りまとめを行いましたが、この結果、貸借対照表では資産は約四億一千万円、負債が約九億八千万円、欠損金など資本は約五億七千万円の赤字ということになっております。この負債の中には、不祥事件に関連いたしまして事実が確認できないこともありまして、未決算勘定約四億として処理せざるを得ないものもございまして、同社ではこの点を含めて事件の究明の結果を待つということでございます。  なお、損益計算では営業収益約三億七千万円、販売費等の費用約四億八千万円で、差し引き一億一千万円の営業損失と相なっております。これに特別損益を加減いたしまして、当期の損失は約六億二千万円ということに相なります。この金額が五十五営業年度に繰り越されるということに相なっております。
  112. 小川国彦

    小川(国)委員 三千七百万円で済む部品代を三億五千万円も請求されながら、そういう経営を黙認してきたためにこの団体は六億二千万もの赤字をつくった。これは全部悪意によって費消されたものであるというふうに断定せざるを得ないと思うのですね。この問題については今後さらに司直の手によって解明されると思いますが、中央競馬会でもさらにこの問題を究明して一日も早く明らかにしていただきたい、そういうふうに思います。  次に、私は日本発馬機と同じような、やはり中央競馬会出資による日本トータリゼータの運営の問題について質問いたしたいと思います。  これも同じように中央競馬会の寄生虫のような存在であって、切って捨てればどのくらい国庫に寄与するかわからぬというふうに私ども考えるわけでありますが、まず最初に、日本トータリゼ一タにおいてFACOM二三〇−一〇、昭和四十五年十二月七億四千三百八十二万円で購入された機械がございます。この償却期限は六年と承っておりますが、償却終了年月はいつでございましたか。
  113. 武田誠三

    武田参考人 FACOM二三〇−一〇システムは四十五年の十二月に設置をしたものでございます。これにつきましては、償却の完了が五十一年の十二月でございます。それから、PFU−二〇〇システム、これは五十一年の十一月に設置したものでございまして、これの償却予定は五十六年の十二月でございます。また、複合投票券払い戻しの端末装置は五十三年の十月に設置いたしたものがございまして、これの償却完了は五十九年の十二月というように予定をされております。
  114. 小川国彦

    小川(国)委員 そのFACOMの二三〇−一〇という機械は五十一年十二月で償却を完了しているということですが、五十二年、五十三年、五十四年——五十五年はどうかわかりませんが、これもあったらですが、においてこの償却を終わった機械に対して中央競馬会は幾らの使用料を払っておりますか、償却を見ておりますか。
  115. 武田誠三

    武田参考人 ただいまお尋ねのFACOM二三〇−一〇システムでございますが、これは私ただいまお答えいたしましたように、償却済みの施設ではございますが、これにつきましてはトータリゼータとして今日まで十分な保守も行っておりまして、従来どおり十分な効用を発揮しております。一般のこういったものの契約通念上も、これが特別に機能を発揮していないということであれば別でございますが、十分な機能を発揮しておりますので、これにつきまして減価償却は済んだからといって特に値引きを要求することはいかがかというように思います。一般的に償却の前後を問わずこのように処理するのが通常であるというように考えております。
  116. 小川国彦

    小川(国)委員 聞いているのは、五十二年、五十二年、五十四年、五十五年と、この機械に幾らの償却をみなして金額を支払っているか、こういうことです。金額の数字を五十二年、五十三年、五十四年、五十五年について挙げていただきたい。
  117. 武田誠三

    武田参考人 これは五年ないし六年という償却期間を前提にいたしまして定額法で償却をいたしております。個々の機器損料ということでいま一括しての資料でございますので、その意味で先生の御質問とあるいは合わないかもしれないと思いますが、機器損料として積算法をとりました際の償却額と考えられますものは、これはトータリゼータに関連する機器でございますが、五十一年が九千七百九十六万円余り、五十二年が一億二千三百万円余り、五十三年が一億二千三百万円余り、それから年度途中に設置したものがございまして、その分が二百三十万ございます。また五十四年も一億二千三百万円余りで、途中に設置した機械の部分二百七十万といったものが償却額でございます。
  118. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、五十五年はまだ予算に計上しているのですか。
  119. 武田誠三

    武田参考人 五十五年はまだ精算されておりませんが、契約をいたします際の算定の基準といたしましては一億一千九十万円ほどでございます。それからなお、途中で設置予定のものを見込みまして、それが二百五十万ほどでございます。
  120. 小川国彦

    小川(国)委員 後楽園にございます富士通のレンタルはやはりFACOMの五八ですが、後楽園の馬券売り場の場合には富士通からレンタルを受けているわけですね。ところが、いま私が指摘したFACOM二三〇−一〇、これはたしか中京競馬場だと思いますが、これは日本トータリゼータ自身が所有している機械であって、しかも六年の償却を終えたものに、さらに五十二年から本年まで払いますと五億近い金をまた支払うということになるのですね。これは中央競馬会は金が余っているからこんなに気前よく、償却を終わった機械に償却のときと同じ割合の金を払っているというのは、これはいかにも一般の企業の常識から考えてけた外れな行為じゃないかと思いますが、いかがですか。
  121. 武田誠三

    武田参考人 これにつきましては、先ほども申し上げましたように、このトータリゼータシステムのレンタルの料金をどうやって算定するかということにかかわると思いますが、これはリースの場合にいたしましても同様だと思いますが、積算法をとっておりますので、当該機械が効用を十分に発揮している場合には当然従来どおりの算定で行われておるのが一般的であるというように考えております。普通の状況でも償却の前後を問わず、その機械なり施設が十分な効用を発揮しておりますれば、当然支払わるべき賃料というものを算定してしかるべきものというように考えております。
  122. 小川国彦

    小川(国)委員 これは大変な競馬会長を雇っていらっしゃると思うのですよ。償却を終わった機械に、償却のときと同じような料金を支払っている民間企業なんてありませんよ。もうその機械は十分わが社に対してもうけを終わった機械なんだから、使用料だけで経費は見るべきである、こういうのが普通の親会社の子会社に対する支払い方ですよ。それをもう償却を終わったものに対して、七億で買って、六年間一億二千万で償却が終わって、終わった後もまだ償却をしていると同じ金額を毎年毎年払っているなんて企業は存在しません。それが常識だというようなことで、どちらが常識か、これは農林大臣に判断をしていただきたいと思いますよ。いかがですか。
  123. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私もよく実情を聞いておりません。いまここでにわかに、理事長からお答え申し上げた点が不都合であるのかどうなのか、私にはまだ判断する材料を持っておりませんので、検討をさせていただきます。  特に、これは恐らくオンラインのコンピューターの問題であろうと思いますので、これを常に故障なく、常にフル回転、一〇〇%の効果を期待するという上において、どういうふうな賃料を支払うべきが適切か、そういう点については私はそういう方面の知識をいま持っておりませんので、もう少し検討させていただきたい。
  124. 小川国彦

    小川(国)委員 こんなことでは質疑できないですよ。農林大臣が出せなかったら、農林省としての統一見解でも結構ですが、償却を終わったものに対して償却中と同じだけの経費を見ているというのは、一般の社会常識でこれはないですよ。それに対してしっかりした答弁がない限りは、質問を続けられません。
  125. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 機械の貸し借りの場合の方式といたしまして、リース方式とレンタル方式がございます。リース方式の場合には、償却年限を見まして、その償却年限に見合って定額あるいは定率でリース料の中にそれを織り込んでいく。したがいまして、償却期間が終了いたしました暁には、その機械施設はリースを受けた者の所有に帰するというのがリース方式でございます。小川先生の御指摘の、償却が済んだ時点で賃貸料が変わるではないかという点でございますが、それはリース方式の場合ではなかろうかと存じます。  一方、レンタル方式の場合は、償却年限を法定のものとしてあらかじめ設定するのではなしに、その機械が有効に使われる期間を想定をいたしまして、そして毎年定額のレンタル料とするという方式が通常でございまして、償却前と償却後との間におきまして、当初の計画におきまして定額のレンタル料とするわけでございますのでその変化はないというのが一般の通例の取引であるというふうに承知いたしておりますので、先ほど競馬会から答弁をいたしましたのは、そのようなことで答弁をしたというふうに理解をいたしております。
  126. 小川国彦

    小川(国)委員 それなら、このFACOM二三〇についてはリースなんですか、レンタルなんですか。
  127. 武田誠三

    武田参考人 これは貸借契約の中で分類をいたしますれば、レンタル的なものということになると思っております。
  128. 小川国彦

    小川(国)委員 これについては契約書がございますか。
  129. 武田誠三

    武田参考人 いまの御質問の趣旨が請負契約書という意味でございますれば、これは当然ございます。
  130. 小川国彦

    小川(国)委員 請負契約書ではなくて、そのFACOMのいわゆる賃貸借料、これを一億二千万というふうにずっとしている、そういうレンタルの契約があるかということです。請負契約じゃないですよ。この機械のレンタル契約があるのかということなんです。
  131. 武田誠三

    武田参考人 この機械につきましては、賃貸借契約という形でやっております。
  132. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、賃貸借契約はあるということですね。
  133. 武田誠三

    武田参考人 あるというふうに心得ていただいて結構でございます。
  134. 小川国彦

    小川(国)委員 心得るのではなくて、あるのかないのかと聞いているのですよ。私は心得る必要はないのですから。
  135. 武田誠三

    武田参考人 ございます。
  136. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、それは中央競馬会から日本トータリゼータの、請負契約ではなくて、このFACOM二三〇の点について、一億二千三百万円で、レンタルならこれはずっと金額が変わらないはずでございましょう。五十五年になって一億一千九十万というふうに変わってきている。それは部品の変化はあるでしょうが、ではこのレンタルでずっとおやりになるというお考えですか。これからもずっと、償却が終わってからもさらに、もう本年で五年目に入るのですが、償却のときに払っていたと同じ金額をずっと払っていかれるのかどうか。
  137. 武田誠三

    武田参考人 たとえば、五十五年度トータリゼータシステム賃貸借契約書の中の第五条に「賃貸借料金」ということで、本件装置の賃貸借のことを契約し、かつその料金を決めております。これにつきましては、年々機械の一部の更新その他もございますしいたしますので、年ごとにこの年額は変わってまいります。
  138. 小川国彦

    小川(国)委員 私は細かいことを聞いているのではないですよ。大まかに言いまして、五十二年以降一億二千万円を払ってきて、そしてこれからも払い続けるのかということを聞いているのですよ。
  139. 武田誠三

    武田参考人 水準としては同様の水準として考えております。
  140. 小川国彦

    小川(国)委員 常識では脅えられませんですね。七億で購入した機械ですよ。そして四十五年に購入して、十二月の購入ですから、使い始めたのは四十六年と思います。四十六、四十七、四十八、四十九、五十、五十一と六年間でもう七億四千三百八十二万の元は取った。そしてそれに対して五十二年以降、毎年一億二千万ずつ払って、ですからこれはもう五億ですよ。これからもまだこのレンタル契約に基づくと払っていく。こんなぼろいもうけのできる会社というのは私はないと思いますよ。そういうぼろいもうけをさせている中央競馬会のような組織もないと思いますよ。農林省、この点いかがですか。もう中央競馬会から聞いてもむだですから、農林省はこの問題をどう考えるか、明らかにしていただきたい。
  141. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 その契約の金額の内容について私はまだ十分承知いたしておりませんが、機械の損料とそれからオペレートする人件費とによって主として構成されておるというふうに存じます。損料の部分につきましては、先ほど私が一般論として申し上げたレンタル方式の場合は、定額でその機械が機能する限りは支払っていく。いま御指摘の金額は、人件費も含まれての金額でございますので、それを足し上げて七年間で機械の購入費に相当額になると申しましても、その中には人件費が含まれておると思われますので、それを差し引いてどうかという問題になろうか、なお、よく精査をいたしたいと存じます。
  142. 小川国彦

    小川(国)委員 その人件費はどのぐらいになっておりますか。
  143. 武田誠三

    武田参考人 いま御質問がございました人件費というのは、トータリゼータシステムの保守契約にかかわる人件費の御質問でございましょうか。
  144. 小川国彦

    小川(国)委員 だからまごついてくるのですよ。保守の人件の契約費はまた別にあるでしょう。これは膨大な額を払っているのですよ。これもこれから質問していきますけれども、この機械、一人一人にかかる人件費は別途に見ているのですよ。しっかりしてください。
  145. 森下元晴

    ○森下委員長代理 中央競馬会並びに農林省の方に申し上げますが、この問答では時間が空費すると思いますので、しばらく時間を置いて、いま小川委員からの質問の内容に十分答えられるように統一見解を出しておいてください。  それでよろしゅうございますか、しばらく留保していただいて。  そこで農林省側並びに中央競馬会の方、どれぐらい時間がかかるか、ちょっと御答弁願います。
  146. 武田誠三

    武田参考人 二十分ぐらい御猶予いただきたいと思います。
  147. 森下元晴

    ○森下委員長代理 二十分でいいですね。  それでは、小川委員からの質問、しばらく保留しまして、後刻農林省並びに中央競馬会より小川委員の質問に答えられるように態勢を整えさせます。  その間、新村委員の方より御質問を願いたいと思います。新村勝雄君。
  148. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に大臣にお伺いします。  アメリカの大統領選挙によって、近く政権がかわるわけであります。そうしますと、これは当然対日政策、特に経済政策もある程度の変更が予想される。特に日本とアメリカとは、貿易の面で、農業関係の貿易が非常に重要な関係にあるわけであります。そういう点からしまして、大臣として今後の日米関係、特に農業関係の貿易を中心とした日米関係をどういうように見通しておられるか、それを伺いたいと思います。
  149. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先般の大統領選挙によって、共和党のレーガン氏が大統領に就任することになったわけであります。共和党政権の農業政策の基本につきましては、現カーター政権と基本的な相違はないというふうに見ておるわけであります。  なお、レーガン次期大統領の選挙中の主張によりますと、農業政策といいますか経済政策の特徴といたしましては、できる限り政府による介入、規制等を排しまして、市場原理による農産物価格の形成を通じて農業所得の増大を図っていこうというようなことが明らかにされておるわけでございます。したがいまして、対外的には農産物輸出の拡大というようなことを進めてくるのではないかというふうに私は見ておるわけであります。  また、現在、日米農産物貿易におきましては特別の問題はございません。共和党政権になりましても、このような基調に大きな変化が出てくるというふうには考えていないわけであります。  なお、具体的な政策につきましては、今後農業関係の主要スタッフがどういう方々が御就任になるかというようなことを初めといたしまして、どういう方策がとられてくるか、おいおいと明らかにされると思いますが、こちらといたしましても十分注視をいたしてまいりたいというふうに考えております。  なお、農産物輸入に当たりましては、わが国の食糧の安定的確保という観点から、その需給の勉向を踏まえまして国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行われるということは、これはもうあくまでも基本的な、重要なことでありますので、そういうふうに対処をしてまいりたい、こう考えております。  農産物の自由化についても、従来からこのような考え方に沿って対処をしてきたわけでございます。現在、輸入制限品目は、わが国農業のやはり基幹をなしておるという作物、また地域的にきわめて重要な作物、そういうものを非自由化ということで守ってきておるわけでございます。レーガン大統領はカリフォルニア州出身と聞いております。あそこはオレンジの産地というようなことから、オレンジの攻勢があるのではないかというような、一部心配もしている向きもございます。しかし私は、お互いの親善関係、信頼関係を有する両国間で、たとえそういう事態になりました際においても十分話し合いをして、私どもといたしましてはやはり日本農業を守るという立場で話し合いをつけていく方途には変わりはございません。
  150. 新村勝雄

    ○新村委員 日米関係、特に農業を中心として見た場合に、これは食料の安定的な供給ということのために非常に大切であると同時に、また、ある品目については、いま大臣がおっしゃるように、日本は保護しておる制限品目が依然として存在しておるわけでありますけれども、こういう品目に対する今後のアメリカの出方、これはまあいま明確にはわからないでしょうけれども、これに対して大臣は確固たる方針なり信念をお持ちであるのかどうか、特にこの制限品目の点に関して、これをあくまで守っていくのだということであるのかどうか、その点をお伺いします。
  151. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおり、二十二品目の非自由化のものは、日本農業推進のためにはどうしても守り抜いていかなければならない、こういうふうに私は考えております。
  152. 新村勝雄

    ○新村委員 それと、最近の情報によると、ことしのアメリカの熱波による減収あるいはソ連の不作、中国の減収ということのために、世界的に穀物需給がある程度逼迫をするのではないかというようなことが言われておるわけです。八一米穀年度において、これはアメリカの発表でありますけれども、生産が十四億一千百万トン、そして期末の在庫がかなり減るのではないか、一三・五%から一〇・七%へと低下をするというようなことが予想されておるわけであります。  こういう中で、この米国の需給関係日本に与える影響、これは当然考えなければいけないでありましょうし、新しいアメリカの政権が経済ナショナリズムによって、いわゆる穀物を戦略的にということはないでありましょうけれども、需給の逼迫する中で新しい情勢が出てこないとも限らない、こういった点についての大臣のお見通しはいかがですか。
  153. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 先生御指摘のとおり、本年の世界の穀物生産につきましては、特に米国の熱波による飼料穀物等の被害など、世界各地で異常気象による農作物の被害が伝えられておりまして、ひとりわが国のみではなく、世界全体が非常に穀物につきましての問題が多いわけでございます。FAOが十月三十一日に発表いたしました見通しによりましても、ただいま先生おっしゃいましたように、ほぼ昨年並みの十四億一千八百万トンというのが穀類の生産でございまして、米国農務省の発表もほぼ同様の水準ということになっております。また、大笠につきましては、主要生産国である米国等の減産によりまして世界全体で八千百万トンということで、対前年一四・三%の減産ということになっております。  これを品目別に見まする場合には、米と小麦につきましては全体としておおむね良好な生産ということで、需給につきましては余裕があるというふうに見られますけれども、特に粗粒穀物、えさを中心といたしました穀物でございますけれども、これと大豆につきましては、米国における熱波被害のための減産、それからソ連が二年間にわたりまして不作になっておりますし、さらに中国の不作等も伝えられておりますので、世界全体でも相当な減産となりまして、需給は逼迫ぎみというふうになっていると考えられます。また、これを反映いたしまして、穀物、大豆とも価格は強含みでございますし、さらにまた先生御指摘のとおり、在庫水準も粗粒穀物及び大豆はかなり低くなっているという状態でございます。  このような状況に置かれまして、私どもといたしましては、とにかく穀物を中心にやはり現段階では相当量の農産物を海外の供給に仰いでいるという状況でございまして、今後この状況は注意深く見守っていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、実はこのような状況にもかんがみまして、この十二月の初めにアメリカとの間で定期的な協議を行いまして穀物の世界の需給情勢について十分話し合ってくる機会がございます。この機会を利用いたしまして、安定的な確保につきまして遺憾のないように米国政府と話し合ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  154. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひひとつ安定的な供給に御努力をいただきたいと思います。  次の問題ですが、市街化区域内農地の課税については先ほど論議がありましたけれども、重複しないように、別の観点からお伺いをしたいと思います。  現在、ABC農地、市街化区域内農地は、三大都市圏で、AB農地が一万一千ヘクタール、C農地が七万五千ヘクタールあると言われておりますが、このうちで宅地並み課税を実際に実施をしているのはどのくらいあるのか。そして、それが事実上は還元ないしはそれに相当する還元的な措置によって、実際の財源的には徴税しないと同じ結果になっているところがたくさんあるわけですね。宅地並み課税を実際にやっているところ、そのうちで事実上は還元しておるところ、それの面積を伺いたいと思います。
  155. 渡辺功

    ○渡辺(功)説明員 ただいま新村委員御質問のことは、市街化区域農地の課税の状況を基礎にして、どういう減額の状況になっているかというお尋ねと思いますが、現在、新村委員よく御承知のとおりでありますが、市街化区域農地全域ではありませんで、三大圏の百八十五市のいわゆるA農地、B農地が固定資産税の課税の適正化措置対象になってございます。その関係は、面積にいたしますと、A農地で二千二百十五、B農地で八千四百七十六ありまして、一万一千ヘクタールぐらいになってございます。  これの税額でございますけれども、固定資産税で申しますと、当該一万六百九十一ヘクタールになるわけでございますが、それに見合う固定資産税額は百五十二億九千万、約百五十三億でございます。これに対しまして減額された税額を申し上げますと、九十九億六千八百万となっておりますので、この減額割合は、金額で言いますと六五%、こういうことになってございます。ただいまの減額された税額に見合う、減額措置が適用されました面積、これは八千二百七十六ヘクタール、これが対象となりましてただいま申し上げましたような減額が行われた、こういうふうになってございます。  以上でございます。
  156. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、この市街化区域農地の課税については、その方針が決定してからもうかなり時間がたつわけでありますけれども、依然として当初の方針が貫徹できない、実際には還元をされておるわけです。  このように、せっかく立法されながらそれが実施ができないということは、この方針が非常に矛盾に満ちた非常に無理なものであるということを示していると思うのです。税体系の中で全くこの部分だけが異質なものであって、全体の一貫性がない。そして農民を納得させるに足るだけの強い合理性がないためにこうして還元せざるを得ないということになっておるわけでありまして、この課税自体が非常な矛盾を含んでいると思うのです。固定資産税についても、これは基本的には財産税的な性格ではあっても、収益を考えた財産税というのが固定資産税の性格ではないかと思うのですけれども、いわゆる宅地並み課税というのは実際にそこから収益がないわけでありますから、ただ農地を市街化区域から排除していくという一つの政策目的のために、こういう無理な課税なり立法をしておるわけであって、この点、農民にとっては非常に過酷な政策、課税方針だと思うわけです。この方針は、考え方によれば憲法二十二条を初め人権各条に違反する疑いさえもあるというふうにわれわれは考えておるわけでありますが、この市街化区域農地の課税ということについて大臣はどうお考えであるか、伺いたいと思います。
  157. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 宅地の供給が非常に窮迫して地価がどんどん上がるということで、何としてでも宅地を提供したい、そのためには農家の協力が必要であるということで、とにかく税法で宅地がどんどん出てくるような手法としてこの立法がなされたわけでございます。しかるところ、先ほど自治省からも答弁がありましたように、十数年たっても成果が思うように上がっておらないという御指摘も確かにそのとおりであるわけでございます。どの辺にこの立法の趣旨がよく生かされていかないのかという点については、いろいろ政府の中でも検討は進められておるわけでありますけれども、五十五年度の税制調査会において、五十七年を目途にしてさらに十分な検討をしょう、こういうふうにいたしておるわけでございます。  そういう中で、先ほど来申し上げておりますとおり、農家というものは農業以外の職業に転向しろと言われてもなかなか急においそれとできるものではないということと、やはり土に愛着を持って、土に種をまいて、肥料をやって、そうしてそこから物を生産していくという、その土というものと結びついての生産に喜びを感じてやっておるのが農業者である、私は、そういうふうに理解いたしますとき、税法だけで宅地供給というのは大変至難なことであるという感じがいたすわけでございますから、今度の国会で御審議をいただいております農住法というような構想も出されてきたということ、それから、生産緑地法という立法もなされた経緯等も考えてみまして、やはり農業でなければやっていけない農業者に対しては、農業を続ける限り、固定資産税法上は特別の措置を講じ続けていくべきではないか、これが実は私ども農林水産省としての立場でございます。  ですから、都市計画法に定めてある市街化にふさわしい、いわゆる都市計画の推進を早く図って、都市施設、都市機能というものが発揮できるような環境づくりということも一面で進めてまいりますと同時に、農住法等によって、宅地に供出してもらうところは直接農家の賛同によって宅地提供に協力してもらう。農家に相談をした上で宅地にしていくというのは今度の農住法が初めてではないかという感じもいたします。これについては農家側も大分理解を示しておるというふうに聞いております。したがいまして、そういう事態になりました場合にも、やはり農業をやっていく土地については、先ほども御指摘のように、農業生産というものはほかの農業以外の産業に比べて土地の生産額というものはそう多く期待できない宿命も持っておるわけでありますから、そういう点も考慮して特別措置を続けていくべきである、こんなふうに私としては考えておるわけであります。
  158. 新村勝雄

    ○新村委員 確かに宅地供給という大きな政策目標はあるのでしょうけれども、いままで各産業の各分野の中で、こういう形で一つの産業が排除されていったという例は恐らくないのじゃないかと思います。これは明らかに農業を市街化区域の中から排除していく、ということは、農業というものは特殊な産業ですから、代替性に非常に乏しい。そこを追われた場合には果たしてどこへ行って同じような条件のもとに農業が経営できるのかというと、それはちょっとむずかしいわけです。ところが政府はそういう排除の政策を立てながら、そこで現に農業を経営しておる農家をいかに救済していくかという点については、ほとんど施策らしいものがないわけです。代替の土地を与えるということもなし、その者が仮に移転をしたいということであっても、同じ条件、同じ条件以上の農地を政府が責任を持って確保するというような政策もないわけです。そして一方的に重税を課して地域から排除していくということは、非常に過酷な政策ではないかと思うのです。ですから、確かにそういう宅地確保の一つの方法ではありましょうけれども、そのほかに現在の土地不足を解決する方法がないのかどうか。そのほかの努力はどういうふうにやっておられるのか。たとえば市街地再開発によって、これはある程度の成果が上がるはずであります。あるいは地域指定の弾力的な運用によってこれがある程度できるはずでありますけれども、こういう農業を排除していくという方法以外のどういう努力をいままで政府はおやりになったのか、そうしてそれがどの程度の成果を上げておられるのかについて伺いたいと思います。
  159. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 市街地の高度利用という問題は、直接には国土庁なりあるいは建設省所管の問題であると思いますが、農林水産省といたしましても、やはり市街化区域内の農地だけでなく、それ以外の地域の農地も含めて、農地とのかかわりのあるところでございますので、もっと有効な利用の仕方、たとえば都市高層化というようなことも検討すべきであるというようなことを含めて、建設省なり国土庁なりともいろいろ相談をいたしております。  線引きの運用の問題につきましては、私ども従来から、市街化区域を拡大するという場合もございますが、逆に市街化区域の中の農地としてまとまっているところは、市街化調整区域にいわゆる逆線引きをするというようなことも要請してまいっておるわけでございます。そういう全体の線引きあるいはその運用の関連の中でさらに市街地の中心地の特に高度利用というようなことの要請もいたしておるわけでございます。そういった点が建設省なりそれぞれの関係方面で相当程度理解されて、それぞれ関係通達等においても相当程度反映されているというような状況にあるわけでございます。
  160. 新村勝雄

    ○新村委員 最近の情報によりますと、建設省は新しい地域区分を考えておられるということでありますけれども、これはどういう内容のものですか。
  161. 牧野徹

    ○牧野説明員 新しい区域区分というような御質問でございましたが、法律上の制度といたしましては四十四年から施行されております線引きの制度の運用のことであろうかと思います。先般、九月に線引きの見直しに関する局長通達を出したわけでございますが、そこの考え方を申し上げますと、大きくは四点ほどございます。一つは、ただいまもお話がございましたような、市街化区域への編入に当たりましては、土地区画整理事業実施が確実な区域など計画的な市街地整備が確実な区域について行うというルールを立てたということでございます。二つは、飛び地の市街化区域につきましては、従来のルールもございますが、それに加えまして、これに準ずる一定の要件を具備する区域についても飛び市街化区域を設定し得るということにしたということでございます。それから三番目でございますが、ただいまのお話にもございましたように、現在市街化区域内にはございますけれども当面宅地化が期待できない農地等につきましては、従来からも十ヘクタール以上まとまった土地につきましては調整区域に編入するいわゆる逆線引きするということにしておったわけでございますが、今回はこの基準をさらに、五ヘクタール以上まとまったものについて、かつそれもやみくもでございませんで、当該市街化区域の計画的な整備に支障がないというものであれば積極的に市街化調整区域に編入いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  162. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、それによって新しい宅地の供給を目指すわけでありましょうけれども、それによってどのくらいの成果が上がるとお考えですか。
  163. 牧野徹

    ○牧野説明員 いわゆる線引きというのは、先生御案内のように、都道府県知事の権限でございます。現在多くの都道府県では、先ごろ実施されました国勢調査に合わせまして都市計画法上の基礎調査と申す調査を実施しております。その結果を踏まえまして今後具体的な見直し作業に入っていくわけでございますので、現時点でどの程度市街化区域がふえ、あるいは宅地が供給されるかということを明確にすることはできないわけでございます。ただ、通達の基本的な考え方は、先ほども申し上げましたように、適正なものを市街化区域に入れると同時に、当面宅地化の見込みがないものについては逆線引きするというようなことを基本方針にしておりますので、この考え方に基づいて都道府県において適正な作業が行われれば需要に対応した宅地供給に資することになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  164. 新村勝雄

    ○新村委員 これは自治省にお伺いしますけれども、現在、A、B農地については課税をするけれども、還元をしておると実際には大部分は課税をしていないような結果になるわけです。六五%ですか、ですけれども。将来の見通しとしてはどういう方針をお持ちですか。C農地に対しての考え方はどういうことですか。
  165. 渡辺功

    ○渡辺(功)説明員 お答えいたします。  C農地についてのいわゆる宅地並み課税の見通しについてでございますが、先生御案内のように、この問題につきましては非常に長い経緯の結果、現在のC農地の扱いになってございます。こういうことを踏まえまして、五十五年度の税制改正に当たりましての税制調査会の答申におきまして、C農地への課税の拡大ということと、それから現在宅地並み課税を行っておりますA、B農地の課税の強化、これはいずれも三大都市圏の特定の都市のそれらA、B、C農地の問題でありますけれども、答申をいただいております。同時にまた、その措置をするに当たっては営農の継続を希望する者に対する配慮をしつつと、それに対する措置を考えながらということが答申の趣旨でございますので、この税制調夜会の答申の趣旨をよく踏まえてこれから検討してまいりたい。その際には何よりも先ほど来議論がありますように宅地供給促進という政策税制でありますので、国土庁、建設省を初め関係各省庁の意見も十分承りながら検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  166. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、C農地に対する課税について確たる政策はまだ決定してない、これから検討するということですか。
  167. 渡辺功

    ○渡辺(功)説明員 C農地への課税の拡大の問題につきましては、五十七年度以降の宿衛化区域農地に対する固定資産税の課税の適正化措置の一環として検討してまいりたい。現在までのところ、こういうことでするというようなことが決まっているという段階ではございません。
  168. 新村勝雄

    ○新村委員 とにかくこの方針については将来とも進めていく、A、B農地に対しての課税についても、これは逐次還元等は廃止していく、こういうふうに考えていいですか。
  169. 渡辺功

    ○渡辺(功)説明員 A、B農地の課税の強化につきましても、C農地への課税の拡大につきましても、同時に営農の継続を行う意思のある者に対する配慮をしつつということが税制調査会の答申でございますので、そういったことを十分踏まえまして検討したい、こういうことでございまして、現在のところ、それについて具体的にどういうふうにするということが決定されておるという段階ではございません。
  170. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、大臣にお伺いをいたしますが、市街化区域内であっても、A、B、Cいずれのランクであっても農業を行っていく者については課税をしないということ、こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。
  171. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨のとおりでございます。
  172. 新村勝雄

    ○新村委員 それからもう一つ。これは市街化区域から農業をできるだけ排除をしていこうという方向は持っておるわけですね、この政策は。そうしますと、それに対する対策が当然必要だと思うのです。それでは市街化区域から外に出ていきましょうと言う者に対するどういう対策があるのか、その点を伺います。
  173. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 それでは市街化区域の土地を売って外に出ていきましょうと言う方が実はなかなかおらないわけであります。と申しますのは、税法上、土地を、それが農地であっても売った場合にかかりますところの税金が非常に高額であるというようなことで、なかなかそういう農家が、きわめて数が少ない、こういうことでございますので、農林省としてもそういう特段の施策を立てておるわけではございません。
  174. 新村勝雄

    ○新村委員 税金を強化をして課税をして、それをてこにして農難を排除していこうという、それだけでは政策目的を達成することはできないのではないかと思うのですね。たとえばそれを売って調整区域に移ろうというような者に対しては、売った場合の課税の特例等があるのかどうか。これは一定の政策目的に沿ってあるいはそういう政策に基づいて、出ていく場合にはこれは出ていくわけでありますから、それ相当の他の対策なり配慮なりがないとこの政策そのものが生きてこないし、また農家自体としても非常な苦境に立つ、排除されていく、こういうことになるわけでありますけれども、それに対する対策、たとえば代替地を用意をするとかあるいは税制上の特典を与えるとか、こういうことはお考えにならないのでしょうか。
  175. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 市街化区域から出ていく農業者、そして市街化区域外のところで農業経営をやりたいという場合には、都道府県なり市町村、そういったところが代替地についてしかるべく手当てするということが望ましいわけでございますが、実際問題としては、地域の実情を一番よく承知しておりますところの農業委員会がそのあっせんをするというようなことがございます。  それから、税制上は、代替地の取得については課税上の特例が設けられておりまして、完全に十分であるかどうかは別といたしまして、農業政策上もそういった手当てはなされているわけでございます。
  176. 新村勝雄

    ○新村委員 これはそういう政策によって排除されていくというか、土地を手放すわけでありますから、他の場合、たとえば公共事業に該当して土地を売るという場合と性格的には似ている、ほとんど同列に扱っていいのじゃないかと思いますが、そういった点の解釈はいかがですか。
  177. 源氏田重義

    ○源氏田説明員 収用の場合と同じように扱ってはどうかというお話でございますけれども、収用の場合には強制的な権限をもちましてその土地を買い上げるものでございますから、三千万円の特別控除とかというふうなものを設けておりますけれども、この場合には、市街化区域内から市街化区域外へ出てまいります場合には買いかえの特例というのを認めておりまして、市街化区域内の農地を売って市街化区域外の農地を買うという場合には、同じ値段で売ったり買ったりすればその税金はかからない、そういうふうな取り扱いをしております。
  178. 新村勝雄

    ○新村委員 それと同時に、たとえば交換分合等についての特例はないのですか。
  179. 源氏田重義

    ○源氏田説明員 現在特例を認められております交換分合といいますものは、土地改良法によります交換分合であるとか農業振興地域の整備に関する法律による交換分合、それから農用地開発公団法による交換分合というようにきわめて限定されたものになっております。こういう厳しい財政事情でございますので、新たな特別措置というものもなかなか考えにくいような状況でございます。
  180. 新村勝雄

    ○新村委員 農家にとって土地は命の次に大切なものですね。それを国の政策目的のために、収用ではないですけれども、これを政策のために放出をさせるような強制的な力を持つ政策を進める場合に、もう少し農家に対する思いやりのある対策、総合的な対策を立てていかなければ、せっかくのこういう政策が生きてこないし、また農家も大変な苦況に陥るということになると思うのです。それとまた、この政策自体がこれを立法してからもうかなりの時間がたつのですけれども、依然として課税ができない、実際にはできない、きわめて一部しかできないということは、この政策の持つ矛盾ですね。そして農家を納得せしめ得ない、あるいは農業団体を納得せしめ得ないというところに原因があるわけですね。ですから、いままでの経過で大臣のお気持ちはわかったのですけれども、少なくとも市街化区域であろうが、A農地であろうが、B農地であろうが、農業を続ける気持ちのある農家にはどこまでもそこで営農できる道を与えていただくということ、それからまた、この政策によってその地域から排除をされていくというか移転をしていくという人については、税法上の措置なりあるいはまた代替地を取得をする道なりを国が十分考えてやる、こういう総合的な対策をひとつ確立をしていただいて、しかる上でこういう政策を進めていただくように特に大臣にはお願いをしたいと思いますが、いかがでしょう。
  181. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨よく理解いたしました。  先ほど、私、ちょっと勘違いをしておりまして、農地を売ってよそで買う際には税法上の特例措置がないというふうに申し上げたわけでありますが、農地に関しては特例措置が残っておるようでございますので、この点訂正させていただきます。  なお、そういう面について代替地のあっせんとかいう問題についてさらに積極的に検討せよということでございますので、その点については十分勉強をし、検討をしてまいりたいと考えます。
  182. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣、いまの点を特に農家の立場に立って御努力いただくように特にお願いいたします。
  183. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は先ほど来たびたび申し上げてきておりますが、特に最近、私、都市農業にタッチされておられる団体の方、農家の方等と直接お会いしまして、いろいろと検討いたしまして、野菜とかそういう面で物価政策上も非常に大きな役割りを果たしておるということを認識をいたしておりますので、そういう面からも農業しかできない方々に対する措置は十分いままでどおりの配慮を加えていくということにしていきたいと思います。
  184. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  185. 森下元晴

    ○森下委員長代理 この際、小川国彦君の保留分の答弁を許します。武田参考人
  186. 武田誠三

    武田参考人 中京競馬場のトータリゼータシステムの賃貸料のことにつきまして、補足的に答弁をいたします。  この賃貸料の構成費目といたしましては、機器損料、これが償却分にいま相当する部分でございます。それから投下資本金利、機器整備費、管理費等となっております。このうち、レンタル契約ということでもございまして、機器整備費の中に機器整備に必要な人件費が含まれております。この機械損料等につきましては、機械が変わらぬ限り、毎年同一水準の金額ということに相なります。しかし、先ほど申し上げました機械整備費の中に人件費あるいは部品等が入っておりますので、この部分は年々変動をいたしてまいります。したがいまして、賃貸料金全体といたしましては、ここに導入をしております機械が更新されたりいたしてまいりますと機器損料の総額は変わってまいりますが、機械が同一でございます限り機器損料は一同額でございます。  以上が中京競馬場トータリゼータシステムに関します賃貸料につきましての御説明でございます。
  187. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 先ほどのお答えの中で、ただいま武田理事長がお答えしたことと若干私のお答えで間違っておった点がございますので、訂正させていただきます。  それは、中京競馬場における契約は、機械の賃貸借契約と保守整備の請負契約とがあるわけでございますが、私は先ほどの御説明の中で人件費が含まれるということを申し上げましたが、オペレートの方の人件費は、いま申し上げました保守整備の請負契約の方に含まれておるのでございまして、機械賃貸借契約の中に含まれる人件費は、武田理事長からお答え申し上げましたとおり、機械整備費の中に含まれるものでございまして、両者を若干混同した点につきまして訂正させていただきたいと存じます。  それからなお、機械損料につきまして、同一機械である限りは同一水準であるという点につきまして武田理事長からお答え申し上げたのでございますが、これにつきまして、そのことの意味でございますが、現在やっております方法でいきますと、機械の所有者ができるだけ機械を長もちさせることによって利益を得たいということで、当然努力を行うわけでございますので、機械の更新時期がおくらせられる。機械の更新時期がおくらせられるということは、つまり次代の、跡継ぎの機械を入れる時期をおくらせるということになるわけでございまして、跡継ぎの機械を入れる場合には、当然その機械は新しい機械になりましょうし、同じ機械でも金額が高くなるということで、高い損料を払わなければならないことになるわけでございます。そうした意味で、機械の所有者ができるだけ長く長もちさせるということで利益が生じましょうし、今度は借りる側といたしましても、いま申し上げましたような意味合いにおきまして、長い期間使うということであれば、損料もその長い期間に見合って平均的に低減されるということで、借りる側も有利になるということでございます。したがって、現在の中京競馬におけるレンタル方式というのは、そういう貸し手、借り手、両側にとって有利な方法ではないかというふうに考えられます。
  188. 小川国彦

    小川(国)委員 どうもこの統一見解、要領を得ないのですが、まず一点、機械の賃貸借契約の中に含まれている機械整備費の人件費はごくわずかであると思うのですが、これは明らかになりましたか。さっき申し上げた一億二千万の中に含まれる人件費というのは幾らだったのですか。
  189. 武田誠三

    武田参考人 この中京競馬場のトータリゼータシステム賃貸料の中の、五十四年が一億二千百八十七万円でございますが、この中の機器整備費は三千三百八十六万円ほどでございます。これは人件費と部品費と両方から成っておりまして、いまこれを両方に分けます細かい資料がございませんので、大ざっぱには大体七割見当が人件費になろうかと思いますが、これにつきましては後刻御必要がございますれば積算の基礎を明らかにいたしまして提出をいたしたいというように存じます。
  190. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、一億二千万のうち人件費部分というのは、いまおっしゃった一億二千万円のうちの機械機器整備費。人件費と部品費を含んだのは三千三百八十万で、その七〇%が人件費と言えば約二千万。そうすると、一億二千万のうち人件費は二千万円で、やはり機械のレンタル料は一億円になっていく、こういうことでございますね。そうして機械を長もちさせることによって、それは借り手の方に利益にもなるし、貸し手の方にも利益になるのだ、こういう答弁なんですが、それは機械を長もちさせることは結構なことです。それは物不足の折から非常に結構なことですけれども、ただ問題は、そういうことでもって支払われていく利益というものは、このトータリゼータに膨大な利益を生んでいくことになってしまうのではないか、非常に過払いになっていくのではないか。だかちその点については、少なくともこれを再検討するというぐらいの考え方が農林省の中で出てこなければならないと思うのです。その点いかがでしょうか。
  191. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 トータリゼータに関する契約につきましていろいろ御指摘があるわけでございます。私どももいまの段階で考えられますことを申し上げましたけれども、さらに合理化なり適正化を図る見地から、十分御意見等も念頭に置きつつ精査をしてまいりたい、かように存じます。
  192. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣はいかがでございましょうか。
  193. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来いろいろ御指摘をいただいたわけでございます。競馬会の経費ができるだけ適正化されるということは、これはもう当然のことでございますので、そういう意味から、ただいままで論議されました点につきまして改善を図っていくことができるように、十分に留意して指導してまいりたいと考えます。
  194. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、その点についての今後の改善に期待したいと思いますが、この全体のFACOM二三〇−一〇に関する請負契約書、それからこの機械のレンタル契約書、これについては後ほど資料でお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  195. 武田誠三

    武田参考人 提出をいたします。
  196. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、先ほど局長が混同した人件費の問題について伺いたいと思います。  時間がございませんので要約して申し上げますが、日本トータリゼータにおいては、人員は正規の職員が四百名、嘱託が常勤嘱託が七、八十名、技能嘱託が二百六十名。この技能嘱託の二百六十名がいま言ったこういうFACOMなどの維持管理に当たっておるそうですが、平均年齢が五十七、八歳の人で週四日勤務しておる。そして、ベアは五十二、五十三、五十四、五十五と大体六%ぐらいのベアが行われてきているが、この技能嘱託については大体四%ぐらいのベアで行われてきた。これはそのとおり理解してよろしゅうございますか。
  197. 武田誠三

    武田参考人 お話のとおりに御理解いただいて結構だと思います。
  198. 小川国彦

    小川(国)委員 その場合、発売機保守料に占める人当経費が五十二年では七億四千七百四十六万円余、五十三年は七億五千二百八万円余、五十四年は七億六千三百五十万円余となっておりますが、実際に技能嘱託員に支給した給料は五十二年四億八千七百九十七万円余、五十三年は五億四千万円余、五十四年は五億八千六百万円余ということになってまいりまして、その差額が五十二年度では二億五千九百四十八万円余、五十三年では二億一千百三十一万円余、五十四年においては一億七千六百七十二万円余というふうに、日本中央競馬会から日本トータリゼータに支払われた人件費のうちここで五億円余の差額がある。人件費ということで中央競馬会からトータリゼータが受け取っているけれども、実際に保守に当たっておる技能員に支払った給与との間には約五億円の差がある。こういうことが出てきているのですが、これについてはいかがでございますか。
  199. 武田誠三

    武田参考人 トータリゼータとの間の保守整備契約におきまして、積算の基礎として人件費の計算をいたしておりますが、この人件費の積算といたしましては、技術職、技術助手、技能員と三種類について算定をいたしております。  いま先生からお話がございましたのは技能員の分だと思いますが、これについては、技能員の方の給与と福利厚生費、旅費、教育費、技術諸費、退職引当金等の六項目をこの人件費の中に入れております。ただいま先生からお話がございました技能嘱託員に支給したそれぞれ各年度におきます金額は、この給与に相当する部分だと存じます。したがいまして、残余の差額については、福利厚生費あるいは教育費、技術諸費等々のものに相当部分が使われておるものと考えております。
  200. 小川国彦

    小川(国)委員 この問題については、中央競馬会としては昭和四十九年以降この人件費の支払いの内容についての検査を行ってない。したがって、人件費でとったものをそういうふうな多目的に使用している、こういう実態になってくると思うのですね。ですから、この点については中央競馬会としても人件費として支払ったものが具体的にどういうふうに使用されておるか、もう一度農林省ともども検査してもらう必要があるのじゃないか、これが一点。  それから、もう時間がございませんので最後に指摘したい問題点は、中央競馬会の指導の欠陥からトータリゼータにおいて大変な利益が生まれている。昭和五十二年においては五億三千二百十万円、これは税引き前の当期利益でございます。それから五十三年では四億二千三百八万円、五十四年では六億七千万円、こういう剰余金を生じてきておりまして、五十四年十二月三十一日現在の日本トータリゼータの剰余金は十六億三千七百十余万円に上っているわけでございます。私は、当初農林大臣に申し上げましたように、中央競馬会そのものだけではなくて、それが全額出資しているこうした会社、外郭団体をもっと適切な運営で行っていくならば、こういう剰余金をもってして国庫に充てることができるのではないか、財政再建の一助にすることができるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、時間がございませんので、この剰余金についてのさらに突っ込んだ討議は次回に譲りたいと思います。  以上の点について、今後中央競馬会並びにその外郭団体について農林省としてさらに適切な指導を行ってこの剰余金問題について検討を行う姿勢があるかどうか、それを最後にもう一遍ただしておきたいと思います。
  201. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨のとおり処置をしてまいりたい、こう思います。  競馬会に対しまして国民の信頼を得るように、また関連会社の取引、特に全額出資しておる会社等に対する御指摘のような点、妥当かどうか、そういう面からも適切な指導をして信頼を取り返すようにしていきたい、こう考えます。
  202. 森下元晴

    ○森下委員長代理 田中昭二君。     〔森下委員長代理退席、原田(昇)委員長     代理着席〕
  203. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 戦後のわが国の農政は、一部においては大変評価するものがあるかと思いますが、また反面、批判されておるものもあるかと思います。私は専門家ではございませんから、その点、あしからずひとつ大臣から簡潔、要領よくお答えいただきたいと思います。  その農政の中で批判されることで私たち久しく聞いておりますのは、ノー政、何もやらないのじゃないかという話、それからネコの目農政とか言われますが、大臣、そういうことにつきましてどういう御所見をお持ちでしょうか。
  204. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 戦後の農政というものは、御承知のように国会を中心にいたしまして、農林水産委員会というものがございまして、ここでいろいろ立法をしていただき、それを忠実に行政面で実行をするという形で進んできておるわけでございます。したがいまして、戦後の農業立法の例を振り返ってみますと、ほとんど各党賛成で今日の農政が進められてきておる、こう私は理解しております。  そういうバックのもとに今日のような厳しい冷害、凶作がありましょうとも、またアメリカにおける干ばつ等の被害による減収がありましょうとも、あるいはソビエト、中国、韓国等々国際的にも地球上の冷干ばつという事態があって食糧が非常に不安なとき、またポーランド等においては肉がないためにあのような労働運動まで起きるという事態を考えました際に、日本はどんな事態になっておりましても食糧に対する不安はほとんど起きておらない。これが日本の戦後の平和、進展の基礎をなしてきたもの、私はこういう認識を持っておるわけであります。したがいまして、田中委員は何もかも御承知の上で何もしない農政なんということを言われたと思いますが、しかし、やはり農政に取り組む心構えというものに対してそういう表現を用いられたのではないかなというふうに私は受け取ったわけでございます。やはり、先ほど来申し上げておりますとおり、土地から物を生産することに喜びを感じなければ農業という職業に全力を傾けるということはなかなか至難だ。そういう農家の仕事のやりやすいような環境をつくるのが農政である。そのために皆様方の御意向を十分取り入れさせていただき、また適切な御決議をちょうだいしたり、あるいは立法措置をしていただいたりして日本農業というものの進展を図ってまいりたい。何といっても命から二番目に大事な食物を生産している産業であるという重要な任務を持つ農業分野でございますので、全国民的な理解のもとに推進をしていきたい、こんなふうに考えておるわけであります。
  205. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 観点を変えてみますが、いま問題になっております財政再建ということは大変政治の重要な課題になっております。先日から鈴木総理も、何といいましても歳出の削減を図るべきであるというようなことを言われているのでございますが、大臣、どうでしょうか、農林水産省の中で歳出を削減する具体的な何か方法、所見をお持ちでしょうか。
  206. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、現内閣におきましても歳出削減という方針を立てられまして、農林水産省におきましてもその方向に沿うように、特に農林水産行政におきましては補助金等の占める割合が御承知のように多いわけでございまして、そうした意味で、これまで農林水産行政の推進上重要な補助金は私どもとしてはぜひ獲得いたさなければなりませんが、一方、補助金自体の持っております硬直化あるいは零細化等の弊害自体も謙虚に反省しなければならないという観点に立ちまして、零細補助金の統合廃止、あるいは目的達成の補助金の廃止ないしは類以補助金の統合というようなことで、目下その方針に従いまして、新規の補助金を要求する際にもスクラップ・アンド・ビルドという方針で進んでおるわけでございまして、五十五年度予算におきましても、事前に当省内におきましてサマーレビューを実施するなど、そうした趣旨に従って予算を編成いたしましたし、五十六年度におきましても、内閣におきます行政改革の趣旨に沿いまして補助金の整理、合理化を図ってまいりたい、このように考えております。
  207. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 農林省の中には莫大なる補助金等があるということですね。その補助金が自民党の一部の政治家と役所とのなれ合いによって自由自在に分配されておるというようなことが言われますが、どうですか。
  208. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういうことはもう絶対にあり得ないことは田中先生が一番御承知だろうと思います。一例を申し上げれば、土地改良をやりたいということであれば、そこで計画をつくり、それを申請をし、そしてそれが市町村で取り上げられ、県で取り上げられ、それが農政局に回る、そして本省に来る、本省に来て一定の基準に従って審査をしてそこに補助を出す、こういうことでございますから、自民党と特別組んでなんというようなことはあり得てはなりませんし、そういうことは絶対にあり得ない。農林省八万三千六百人の諸君は忠実に国家公務員としての職責を果たすもの、こう確信をするということは、もう農林大臣に就任した日にその瞬間に私は全国の職員の諸君に向かって申し上げたところでございますので、そういうことはあり得ない、こう思います。
  209. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は亀岡大臣はそういういままでの経歴をお持ちでりっぱであると思いますよ。しかし、世間等に報道されておることはそうじゃないのですよ。ですから、そこにギャップがあるわけでしょうね。それじゃ申し上げましょう。あなたははっきりないと言われたけれども、ないならばこういう話は出てこないはずなんです。そのまま読んでみますよ。ある農林大臣が就任のときに新規の補助金百億円をつくったというのです。これは農林省でも省内ではつかみ金だと言っているそうです。何ですか、つかみ金というのは。これは一年限りだということでその補助金が決まった。その分配の結果がおかしいのです。自民党の有力議員に優先に配分した。その心はといいますか、ここにまた出ていますけれども、農家に一律に米価を引き上げるよりも——なるほど最近上がっておりませんね。一律に米価を引き上げるよりも繰作のきく補助金の方が農民の票をとるために有効であるからだ、こういうふうに報道されております。一回だけじゃないのですよ。これに関連して、役所でも、ある課長さんが、農水省課長さんですよ、こう言っておるのです。私どもは自民党の総合農政派の議員に協力したい気持ちがある、なぜかならば、その心は、日ごろの協力とその好意にこたえたい、そこで十分に配慮をせざるを得ない、こういう報道がなされておる。一言で、大臣、どうですか、所見を言ってください。
  210. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう新聞報道か何か知りませんけれども、そういう指摘を受けましても、やはり国家公務員としての中正なる職務遂行ということに励んでいるもの、こう信じたいわけであります。
  211. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣が言われることは、農林水産の政策が、農家の実情に合わせて、そして役所が地元の意向をよくくんでやっている、そういうことだろうと思うのですね。そういう線上にあると思うのです。ところが、その原因と結果、いわゆるつくったときの原因と結果というのは、これはどちらも大事であると思いますよ。特に言うならば、結果、配分されたその姿が大事であると思う。そこに注目をしないところに問題があるということだけ指摘しておきます。  時間が限られておりますから次に移ります。  次に、先ほどから言われますように、農政の中の補助金が大変多い、多種多様にわたっておる、細分化され過ぎておる、こういう意見があるのですが、どうですか。実感だけ、大臣、簡単にお答えください。
  212. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど官房長から答弁申し上げたわけでありますが、戦後三十数年の間、日本の農村の変貌に従いましていろいろな助成策がとられてきておることは私も十分知っております。ただ、確かに数多い補助金の中には硬直化して効果の薄いもの、零細化して、結局核になる補助をしてあるいは県なり市町村のそれに対する追加等のことも予想しながらやっておるというようなこともあるわけでありますので、そういう面については整理をしていくということで処置をいたしているところでございます。五十五年度におきましても、また来年度の予算編成におきましても、そういう趣旨を生かすように指示をしてございます。
  213. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣に細かいことを言ってどうかと思いますが、その多いということで私ここに「補助金便覧」というのを持ってきておりますが、これだけの厚い膨大なもの、この中に農林省関係が約半分ですよ。ページ数でいきましても半分です。そこで、農林省には大体何項目の補助金があるのですか。
  214. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  補助金の本数でございますが、先般補助金を整理するということで閣議決定を見ました際に、大蔵省なりに各省すべて登録いたしました際、農林省の五十五年度の本数は千百九十四件と、こういうふうになっております。
  215. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 千百何ぼですね。千百という補助金はこの項目の中から出てきませんよ。  大蔵省、農林省担当で補助金の数は何ぼですか。
  216. 的場順三

    ○的場説明員 ただいま農林省の官房長からお答えのございました千百九十四件でございます。
  217. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことを言ったら、大蔵省、この補助金の数を数えてみなさいよ。私は全部数えたのです。これだけあるのです。私の数え間違いがあるかもしれぬけれども、それにしてみても余りにもずさんだ。よく農林省は、係長以上の数ぐらい補助金があるとか一般的に言われておりますよ。  そこでもう一つ、これは現実にある県の農水課の振興室長さんがこういうことを言っておるのです。補助金が余りに細分化されてふえてくると、専門家でも全体がつかみ得ない。これが実情だろうと思うのです。もらう方も、余り多いものだからわからぬと言うのです。それだから、農林省にはいわゆる係長以上の幹部職の数ぐらいの補助金がある。その補助金の数は、これはどこがつくったのですか。この資料は大蔵省が提供したのでしょう。私が数えて千百ないですから。もちろんこれは後で数えてみればわかることですから、きちっとした正確なものを聞きたいと思います。  そこで、このことばかりやっておれませんから、次は、簡単に言いますと、この補助金の中に整理するものもあるということは、一部分とは思いますけれども、大変むだな補助金があって、そのために農家は大変困っておる。それから、農家から言わせますと、農水省補助金は麻薬的な実害を与えている、こういうことを言われるのですが、いかがでしょうか。
  218. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 補助金につきまして、先ほど申しましたように、目的を達成したもの、類似の補助金等につきましては、私どもとしてはできる限り整理しているつもりでございます。また、農家なりの段階におきまして当然必要なものを、私ども、必要な予算を計上して配分しておるつもりでございます。ただ、農林水産省の予算は、間接補助の形態をとるものが多いわけでございます。したがいまして、県なり市町村なりからそれぞれの申請に基づいて私どもとしては配分しております。御要望の趣旨に沿うように私どもとしては配分しているというのが実情と考えております。
  219. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、私いまむだな補助金と言いましたが、それに関連して、きょうここに、もう少し大事なことを勉強してみたいと思うのです。むだなというのは、やはり検査院の指摘もありますから、そういう面でやっておりますが、まず、農水省関係補助公共事業が、ある年では五万カ所、多いときでは十三万カ所。これは私、十年間ずっとさかのぼってみたのです、ちょうど創立百年のときでもありますしね。百年さかのぼるわけにいきませんから、十年間さかのぼってみました。そうしたところが、いま言うように補助公共事業というのが五万カ所から十三万カ所ある、そういうふうに言われておる。この十年間で、検査院より検査を受けるのが平均三千カ所から四千カ所ですから、事業所数の約三%から四%ですね。大ざっぱに言って四%とすれば、これは四%しか検査できないということに問題がありましょうけれども、これでは十年間かかっても全体の公共事業所の半分もできない。はなはだこういう問題については疑問があります。後からまたもう少し内容に入りますけれども、そういうことがあるということですね。  そこで、検査院から不当事項とされたもののほとんどが補助事業なんです。すなわち、昭和四十三年は全体の不当事項農水省で七十一件あったのですが、そのうち六十九件が補助事業なんです。ということは、もうほとんどですね。せっかく調べましたから一応十年間読んでみますと、昭和四十四年が全体が八十五、補助事業が八十三、四十五年が六十の五十七、四十六年が六十二の六十、四十七年が八十二の八十一、四十八年が六十一の六十、四十九年が四十一の四十、五十年が五十九の五十九、全部補助事業です。五十一年が百二十一の百二十、五十二年が三十八の三十、五十三年が三十七の三十五、こういうふうに、農水省補助公共事業がほとんど全部不当事項を占めておるということですね。この不当と指摘されたことにも問題がありますが、補助公共事業が毎年あるということ、これが問題でしょう。  補助公共事業の中にも種類がありますから、まず、大枠としまして補助金による公共事業並びに農業構造改善事業、それと農業改良資金貸し付けということについて不当事項指摘されておる。この指摘事項が毎年繰り返されておる。そしてさらに、その指摘の内容について同じことが繰り返されておる。ここに問題があるのです。簡単に言えば、ある村の補助金が不当と指摘されて、同じ内容の補助金がまた次に隣の村で指摘される、これが十年間毎年繰り返されているというところに問題がある。  それじゃその不当事項はどういう内容を指摘されているかといいますと、工事設計の相違、設計が間違っておったというのですね。または過大な精算、いわゆる過大な見積もりをしておった。それから三番目は、目的が達せられていない。そのほかいろいろありますが、特に農業構造改善事業では、補助対象外のやつに行っているのです。補助対象にしていけないものに補助金が行っているのが毎年繰り返されているということはどういうことなんですか。さらには、事業を全く実施せず。大臣ようございますか、やってならないものに毎年やっておるから検査院が不当として指摘している。それから、事業を全くやらないものにまでやっていた。どこから見ても補助金を出してはならないものにやっているということじゃないですか。さらには、農業改良事業の貸し付けについても、先ほど言いましたように、対象外に貸し付けたり、または事業を全く実施しない、そういうものを毎年指摘されておりまして、これを数え上げればきりがない、こういう状態でございます。検査院の不当事項についてまだありますけれども、そこでやめましょう。こういう状態をどう思われますか、大臣。
  220. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど官房長からも申し上げましたように、単年補助あるいは府県なり市町村を通じての間接補助公共事業が少なくないわけでありまして、毎年厳しく指導はいたしておるわけでありますけれども、いま田中委員が御指摘されたような、会計検査院からの不当事項ということで指摘されておりますことは、私といたしましてはまことに残念であり、遺憾である、こう思わざるを得ない次第でございます。特に構造改善関係あるいは改良資金等につきましては、年々同じことを指摘されるので、そういうことのないようにということで省内を挙げて対策を講じておるにもかかわりませず、また指摘を受けるということでございまして、私といたしましても当決算委員会の御趣旨を十分に体しましてさらに反省をして、そして今後そういう指摘を繰り返して受けることのないような努力と勉強をさしていただきたいと思います。
  221. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 各大臣も、農林大臣、そういうことをいままでも言ってこられたと思いますし、私は大臣のおっしゃっていることも、そういうことがあれば大変遺憾であるとか、それからちゃんとした処置をとるとかそういう意味だろうと思いますね。そうでしょう。それはいいのですが、問題は——それは当然のことですよね。私が聞いておるのは、農家を困らせるような補助金があるのでは困るのじゃないか。それは何だろうか。それはどういうものなんだろうか。さらに、そこに反省点を見つけ出して、今後の農業政策の中にそれをどう生かしていくか、これが問題でなければならない、こう思うのです。ここで、そういう遺憾であるとか、今後は必要な処置をとるとかいう答弁を繰り返しているだけでは私は納得できませんから、検査院の指摘事項もそうでございますけれども、現実の農家からどういう声が上がっておるかをもう少し大臣に聞いてもらいたいと思います。  まず、ある——あるというよりも秋田県の米作農家の大変優秀な方ですが、この人がこういうことを言っております。高橋さんという方ですが、補助事業でつくったサイロは二十九万円かかったのに、自分の手でつくれば十二万円でできた、これでは何のための補助事業かわからない、業者をもうけさせるだけじゃないか、こういう趣旨のことが報道されております。  そして、今度は有名な米作農家の日本一の石川県の竹本さんという方がこういうふうに言っております。農家の生活の破壊と滅亡に通ずるという表題になっているのですけれども、農林省の手厚い補助指導により協同組織をつくり、水田二十七ヘクタールを耕作のため、不必要と思われる機械力、すなわち二十馬力から三十五馬力もの大型トラクター五台とそのほか田植え機械などいっぱい至れり尽くせりであるが、こういうことをやっておってここの十アール当たりの、一反当たりの装備費、専門語はよくわかりませんが、装備費は十八万六千九百円になっておる。ところが、竹本さんの言われるのは、私のところではトラクターも一台で、装備費はわずか——もちろん面積は小さいのですよ、トラクターも一台であり、わずか六万一千八百円でやっておる。三倍もかかっておる、こういう余分なことをやっておるということの意味。だからこの方がおっしゃっていますよ、米作日本一の表彰された方ですよ、こういうことを農家がやっておれば、補助事業に頼っていたら農業では飯は食えない。これは本当の切実な、農林省の言うとおりやっておっては飯が食えぬ。そこから問題が出発している。補助金のでたらめ。先ほど私が言いました、必要のないもの、地元は何にも知らないのに開発事業補助金がついておったとか、言えば切りがないですよ。補助金を出さないでもいいところに出しておったという、先ほどの検査院の指摘もあったわけです。そういうふうに言っておりますよ。  それから、そこには補助事業を拒否する会というのがあるというのだ。大臣、そういうことは知っておりますか。——知っている。それじゃ、ただ補助金は正確に適正にやっておるということだけじゃなくて、考えてもらわなければいけないのじゃないでしょうか。知っておられるそうでありますから、いま言ったように、農民が知らないうちに開発事業が進められておる、負担がふえた、このことには触れますまい、同じことですから。  一つだけ言っておきますが、島根県のある町では、これまた農民が全然知らないうちに開発事業が進められておって、それで後で補助金返せと言ってきたから、それでわかったのですね。そういうことがあったというのです。それで、五十二年ですが、このときも検査院の指摘で、検査官の人も、こんな計画によくも農林省は補助金を出したものだ、こういうふうに言っておるのです。どうですか。大臣の声が小さくなっているけれども、大きな声で、わかるようにはっきり決意を言ってください。
  222. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、補助金の中でも零細化しているもの、それから硬直化しているもの、ということは農家がむしろ迷惑がっているもの等があることは、私も十分承知をいたしております。したがいまして、私が来年度の予算概算要求をさせるにいたしましてもそういう補助金融資への転換なりあるいは廃止なりということを指示いたしておる気持ちも、田中委員と大体似たような経験を私も持っておるわけであります。畜舎をつくりなさい、補助をやります、自分でつくれば本当に格安で上がるもの、あるいは地元業者にやらせれば格安にできるものを、わざわざ名指しの業者を引っ張ってくる、そういうことをするために補助金なり借入金が膨大になっていく、こういうことでは困りますという経験を私も何遍か多くの農家から聞いておるわけでありますから、そういうことのないように、就任早々各局長さんに対して厳しくそういう点の改善をするように指示をいたしておるところでありますから、ひとつその点は御理解をいただきたい。
  223. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 お言葉を返すようで大変恐縮でございますが、大臣が指示なさいましても、先ほど私がちょっと触れましたようなことがありますとなかなか、ですから大臣も補助金が来て農家が困っているということを御存じならば、そういう補助金はきちっとやめたらどうですか。全体の補助項目の中で一割か二割かあるのじゃないですか。ことしは補助金どのくらい削ったの。
  224. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 前の御質問に関連した点でお答え申し上げます。  補助事業につきまして、先生のおっしゃるような画一的に流れやすい面がございます。特に農業用の機械等にそうした例がございまして、五十四年から農業機械施設補助につきましては、一般化しているようなものにつきましては補助対象にいたさない、これらは融資対象事業に移すというふうに私どもとしては切りかえさしたところでございます。また補助事業自体が非常に画一的になりやすいのは、単一の目的だけで補助を組みましたためにどうしてもその補助事業を強引に配分するというような結果にもなります。したがいまして、補助事業自体の統合メニュー化というような方式によりまして弾力的に地元に対応できるようにということで、現在では十七県の補助事業を統合いたしまして、地域農業生産総合振興事業というような総合事業を起こしております。そういうような形で現在やってきておりますが、補助事業の本数につきましては、先般の閣議決定に従いまして、補助金の四分の一を整理する。したがいまして、農林省としては五十四年度で千二百五十五件でございますが、この四分の一に相当いたします三百十四件について整理する。五十五年度におきましては百五十八件を整理いたしたものでございます。
  225. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 何か五十四年度は四分の一やって三百何十件ですか、五十五年度は百五十八件と言うけれども、これまた大蔵省、この補助金便覧には五十四年と五十五年の補助金の数が出ていますけれども、そういうことは出ていないね。ですから、その数のことで余り細かく言っても仕方がないけれども、物の考え方です。大臣、いまの私が言ったのは、そんな農家が困るような、麻薬を飲んだような実害を感じている補助金、当然そういうのは考えなければいけない。それではそういうのは何だ、それをよく吟味して、その中から農民、また消費者、国民が喜ぶような補助金を出して日本農業を守らなければならない、こういうふうに出てこなければいけないのじゃないでしょうかね。  そこで、時間も決められておりますから、予定の項目を終わらすために次に移りますが、いまやはり問題になっておりますたとえばお米にしましても、大変ありがたい状況です。戦時中なかったときのことを思えば、いま私もそう思います。そういう状態でありながら、生産者米価についても毎年上げろ上げろというような状態ですね。消費者米価、これはもう国際的にも安い米という背景もありますね。納税者から見ましても、そういうことをよく基本的な観点に置いてやらなければならないと思うのです。  そこで、先ほどから大臣は、役所と政治家のなれ合いはないというようなことをおっしゃったから、それのまた一つの例としまして、適当であるかどうか知りませんが、ひとついまから問題にしたいと思うのです。ですから、補助金が全部悪いのじゃなくて、むだな補助金を切れということと、それといまから申し上げるこの補助金は、むだだとは私は思いませんが、五十四年に新設された、先ほど私が言いましたつかみ金百億だと言われた補助金ですけれども、これは簡単に言いまして村落振興補助金といいますか、そういうものだそうでございますが、これはどうしてできたかといいますと、消費者米価との関連で生産者米価が上げられないからこういうものをつくったとか、いろいろ趣旨はあるようでございますが、この配分が、先ほど大臣の考えておることから言えば、地元の要請に従って農政局がちゃんと均衡をとって、それに応じて適正に配分されたというのですが、ここでそのものを申し上げますと、私が自民党の有力な議員によけい厚く配分されておると言いましたね。それは総合農政派の自民党の先生方がそうでございますが、確かにそんなふうになっておるようですね。衆議院の選挙区は百三十ですか。農村のないところもありますから百前後と見まして、この百億円の金が実際配分された町村は二百四十三、ですから一選挙区二か三、まあ二でしょうね。ところが、全体の県で見ましても、少ないところは一県に全然ないところもありますけれども、少ないところで大体二とか三とか、こういう割り当てになっているのです。ですから、四十六都道府県の中で、県でも二つか三つかの割り当てに結果的になっておる。その二百四十三の町村を百三十選挙区で割りますと、農村がないところもありましょうから、大体二ですかね。ところが、いまから申し上げる区はこういうことになっているのです。まず衆議院北海道二区が四町村、北海道三区が六町村、全部これは平均より上です。五区は五町村。そこだけじゃないのです。多いところは岩手一区、長野二区、新潟二区、山形一区、千葉三区、熊本一区。長野の一区も多いですね。新潟三区も多いようです。あと兵庫の五区、鹿児島の三区。薄いところは、県で二つか三つというところが茨城、富山、石川、福井、徳島、山梨、奈良、和歌山、鳥取。問題は、この配分が厚いと言われるところが、どうしても自民党の偉い先生方がおられるところだというようなことでございますが、違いますかな。     〔原田(昇)委員長代理退席、越智(通)委     員長代理着席〕
  226. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 あの助成も、県からの申請に基づいて交付をいたしておる、こう報告を受けておるわけでございます。私もちょっとこの一覧表を見たわけでありますが、やはり自民党の大物がいるからとかなんとかということは当たらないような感じがいたします。山梨県のごときは、相当な大物もいると思いますが、いま見るとゼロか一かということになっておりまするし、田中先生のせっかくの御指摘でありますから、私自身は十分そういうところには注意はいたしますけれども、まさかそういうことは、農林省の皆さん方は、県からの申請をねじ曲げてまでやるというようなことはしておらぬのではないか、こう考えますが。
  227. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうじゃないかと思いますが、でしょう。それは大臣がおわかりにならなかったら、ゆっくり別の機会に大臣室で私から御説明申し上げることにしまして、余り深入りしないようにしましょう。  そこで、こういうような状態をまたこういうふうにも言われておりますよ。総合農政派が農林官僚と二人三脚、せっかく書いてあるから読んでみますよ。米価据え置き論をぶって過去に大蔵関係法案の強行採決をリードしてくれたので、大蔵省に貸しがある。この総合農政派の方たちですよ。そこで、貸しがあるから強い。そこで、農林省も予算を優先的につけてくれる。かっこうがいい。自民党の農村議員としては、一律に米価を引き上げるよりも、補助金という武器により票をいただく、こういうことを報道されています。また、ある自治体の幹部は、公共事業関係補助金の五%は与党の主流派に還流する、そういうことを言う人もおります。また、法政大学の教授の方は、こういう図式を書きまして、そういうものが一般に出ておる。ですから私は、きょうはここで一つの問題を通して申し上げましたけれども、大臣は、いやそういうことはない、こういうふうにおっしゃいますから、それがあるかないかは、現実に配分された結果が、各町村の状況があるわけです。  それでは申し上げますけれども、その補助金が一年限りで、それは五十四年限りだと言ったことに対して、五十五年まで引き継がれた理由は何でしょうか。これはひとつ大蔵省も答えてください。
  228. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  五十四年度は農業村落振興緊急対策事業として実施いたしました。五十五年度は、御指摘のように、農業構造改善村落特別対策事業として実施いたしました。これらは構造改善の一環といたしまして、地域の環境整備等を含めた整備事業で、単年度事業として五十四年度限りというふうに実施いたしました。さらに各地域等の要望も強いというような状況にかんがみまして、五十五年度におきましても単年度事業として実施したものでございます。
  229. 的場順三

    ○的場説明員 ただいま農林省から御答弁がございましたとおり、五十四年度の事業と五十五年度の事業は性格が異なる、五十五年度は当初予算の段階から農林水産省は構造改善事業の中に別途の事業として組みかえて一歩進歩した形で御要求になった、それを予算編成の段階で十分に検討して、構造改善事業の中でやっていただくということでお認めしたということでございますので、事業が継続したものであるというふうには考えておりません。別のものであるというふうに考えております。
  230. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私はそういうことでは納得できません。それではそれなりの状況説明してもらわなければ納得できませんが、ここでは一々問題にいたしません。  それでは最後に、これは私の考えておることでございますが、こういう農家に対して、農家が困るようなこと、またつかみ金とか何か言われて、去年はここに補助金をやったからことしはもらえなかったところがある、だからもらえなかったところにはまた来年つけてやろう、そういうことで補助金が出ておるとするならば、私は補助金が麻薬だというような感じが起こってくる。と同時に、農家の不満というのが私は心配でならないのです。そういうことになれば、どうしても政府に対する不信感、また金権至上主義と言う人もおります。その政府に対する不信感の中で私が考えますことは、どんなに補助金を投資しても、または行政指導も同じでございますが、効果が上がらない、そういうことで逆効果になっておるということがこの不信感の一つであろうと思うのです。二番目には、こういうことを続けていけば、行政、立法府それぞれに対しましても農家の不満が起こってきて、私は民主主義の根底を危うくするものではなかろうかという心配がしてなりません。三番目は、個々の農家の生活を暗いものにして、そして先ほどの米作農家の方のお話じゃないけれども、農家の生活を破壊する。四番目には、農業全体の荒廃につながり、農民に対する愚民政策でもあり、希望を失わしていく、こういうことが言えるのではなかろうか。五番目に、食糧の危機と国民の健康を阻害し、国家の存立を危うくする、そういうことでございます。六番目には、社会というのは有機的なものです。その有機的なつながりをなくして、人間性の喪失を進めるということが生まれるのではなかろうかと思います。  また、金権至上主義というようなことから考えてみれば、その第一番は、農家の新しい創造力を失い、これまた生活の破綻を来す。二番目には農業の荒廃、先ほど言いました愚民生活にもつながる。三番目には、自然のリズム——先ほど大臣がおっしゃったように、農家というのは自然とのかかわり合いが大事だ。その自然のリズム、創造を失い、国土の破壊につながる。四番目には、経済の混乱と資本主義の弊害をさらにさらけ出したことになり、自由というものも危うくなってくる。最後に、福祉と弱者の切り捨てにつながるのではなかろうか、こういう心配をするわけでございます。  あと、こういうことの論議を踏まえまして、農政の民主化ということについてお尋ねしたかったわけでございますが、時間がありませんので、最後に大臣の御所見をお聞きして終わりたいと思います。
  231. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 田中委員からいろいろ御指摘をちょうだいしたわけであります。実は私も農民との話し合いというのは飯よりも好きでありまして、当選以来今日まで二十年間に、五時間ぐらいの懇談を約七百五十回農民諸君と持ちました。したがいまして、どういう補助金にどういう意向であるか、どういう補助金に対して反発をしておるかというようなことは大体見当をつけておるつもりでございます。したがいまして、就任早々、そういう意味において、ただいまいろいろ農政不信の芽が出かかっておるぞ、そういう芽をいまのうちに摘まなければいかぬぞという御指摘があったわけでありますから、そういう点を十分考慮いたしまして、役所の諸君を督励をいたしまして、信頼される農林行政の指導をいたしてまいりたい。と同時に、先般農政審議会から、需要と生産の長期見通しというものと、八〇年代の農政の基本構想というものが答申になりましたので、あれに肉づけをいたしまして、そうして全国民的なバックアップのもとに農家に対する政策が堂々と積極的に進めていくことのできるように展開をしていきたい、こんなふうに考えております。
  232. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ひとつ、大臣のそれだけの実情を踏まえての御奮闘を祈りまして、これで終わります。
  233. 越智通雄

    ○越智(通)委員長代理 中野寛成君。
  234. 中野寛成

    中野(寛)委員 私は、将来にわたってわが国の食糧を間違いなく確保していくという立場から、幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず、食糧の安全保障についてであります。何といっても、安全保障ということになれば当然これは供給源の多角化ということになると思います。もちろん、自給力を高めながら、しかし足らざること、また不安に思うことは常に手を打っていくということが大事だと思います。  そこで、政府としては将来に向けての世界の穀物需給、食糧情勢についてどのような見通しを持っておられるかについてお聞きをしたいわけであります。  現在、一九八五年における世界の穀物需給見通しとして、国連それからOECD、米国農務省のデータなどがあるわけであります。もちろん、農林省も通産省もデータを出しておられるわけでありますが、一九七四年三月に公表されました「世界食糧需給モデルによる需給展望」というのがあるわけであります。しかし、当時に比べますとずいぶん情勢が変化しているわけでありますが、これにつきましても、改定すべき時期に来ているのではないかということも含めまして、まずお尋ねをいたします。
  235. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  中長期にわたる世界の食糧需給の状況でございますが、ただいま先生御指摘のございました、FAOの一九八五年見通しというのがございまして、これによりますと、世界全体では、この年には需給は均衡しているという状態でございますが、開発途上国では不足が生じ、先進国では余剰が続くということになっておりまして、数字で申しますと、先進国の間におきましては、トータルで申しまして七千九百万トンの余剰でございますが、開発途上国は七千二百万トンの不足という状態で見通されておるわけでございます。  さらに、FAOがその後に出しました「二〇〇〇年に向けての農業」という報告書がございまして、この報告書によりますと、二十一世紀におきましては、開発途上国での人口増加がございまして世界人口は六十億になるということで見通されておりますし、その間におきまして、開発途上国の食糧生産が年率三・八%。実は実績といたしまして、一九六三年から七五年までの実績では二・六%しか伸びておりませんでした。このような状態できわめて高い伸び率を示したという状態でありましても、なお二億四千万人の栄養不足人口が生じ、二千万トンの食糧援助が必要であるということが言われておるわけであります。  いずれにいたしましても、農業生産は自然の条件に左右されやすいわけでございますし、また、先進国等を中心にいたしました畜産物消費の増加に伴う飼料穀物需要の増大ということが当然見込まれるわけでございます。さらに、開発途上国におけるただいま申し上げましたような人口増加、所得向上に伴う需要増加要因というものを考えますと、長期的には、世界の穀物需給は決して楽観を許さないというのが私どもの判断でございます。
  236. 中野寛成

    中野(寛)委員 まさにそのとおりだと思うのです。それだけに食糧を輸入に頼っている、特に穀類の六〇%以上を輸入に依存しているわが国にとっては、決して無関心でおれない重要な課題だというふうに申し上げなければならぬと思います。そういうことで、これからの世界の食糧情勢を的確に把握する情報収集機能というようなものが大いに強化をされなければならぬと思うのでありますが、ややもすると総合商社の情報に依存してしまって、十分な、公的な情報というものが果たしてあるのかしらという疑問を持つこともしばしばあるわけであります。そういうことを考えますときに、この情報収集の強化、それからもう一つは、先ほど来も御指摘がありましたように日本の食糧、それがいわゆるアメリカに依存度が偏り過ぎているというふうなことも考え合わせますと、このアメリカとの二国間協議なんというものは大いに進めていかなければならぬ。しかしこれをやりますと、これは、やったはやったでまた向こうからいろいろなものを押しつけられる、いろいろな心配がありますけれども、グローバルな食糧政策というものを、的確な情報収集とともに考えながらやっていかなければならぬと思うのであります。たまたまきょうの朝刊にも、食糧輸出入国会議の開催を日本が先頭切って主催してやるべきではないかというような投稿も出ておりましたけれども、このようなことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
  237. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘は、国際的な食糧情報を的確に速やかに把握をして、そして一億国民の食生活に不安なからしめるようにせよという御趣旨かと思うわけでございます。その御趣旨はまことにそのとおりと感ずるわけであります。  農林水産省といたしまして、現在二十七カ所に三十四名の専門家を派遣をいたしまして、大使館に常駐をさせておるわけでございます。米国はもちろん、カナダ、ブラジル、アルゼンチン等を初めといたしまして、ヨーロッパのEC、それからソビエト、韓国、中国等々の各国に置いておるわけでございます。そういう諸君からの情報収集と、それから食糧関係で一番関係の深いアメリカとの間には、年々定期的に食糧関係の情報交換ということをやっておりまするし、また、それぞれの作柄の発表とか、そういうことについてはいち早く、お互いに連絡し合うというようなこともいたしておるわけでございます。しかし、お説のとおり今後もそういう面に力を入れまして、そして食糧対策施策に遺憾なからしめるように期していきたいと考えております。
  238. 中野寛成

    中野(寛)委員 先ほどお尋ねいたしました多国間の食糧会議の主催等についてはいかがでございましょうか。
  239. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 多国間の食糧に関する会議についてでございますが、これは、やはりFAOといったようなところで、このような定期的な会合も行われておりますので、既存の組織を使いながら、そこで話し合いを進めていくということも必要でございましょうし、また先ほど大臣もお触れになりましたが、主要な輸出国との間にバイラテラルと申しますか、二国間で協議をしていくということもやってまいりまして、総体として世界の食糧需給、特に先生御指摘の国内の供給をきちんと賄えるような形で将来とも進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  240. 中野寛成

    中野(寛)委員 それでは、先ほどの御答弁に関連して話を進めていきたいと思います。  先進国についての食糧の確保というのはおおよその見通しがついているわけでありますが、開発途上国の穀物不足が大変深刻だということ、これは先ほど御答弁がございました。しかし、この開発途上国の慢性的な食糧不足を改善する、そしてまた栄養状態をよくしていくということは、これは人道的に見て南北問題の解決にもなるわけでありますが、同時に世界全体の食糧需給を緩和することに大変意味があるわけであります。そしてそのことは、ひいては日本の食糧の安全保障を高めることにもつながっていくわけであります。  わが国としては、いろいろな立場から、とりわけアジアの開発途上国における食糧増産、こういうものは政府として技術援助等も含めて大いにやっていただかないといけないと思うのでありますが、どうも最近までの様子を見ておりますと、これも総合商社頼りという感じが私ども強くするのであります。  確かにアジアにおける米の生産というのは、効率からいって日本の約三分の一くらいだと言われるわけです。これは灌漑とか排水とかが立ちおくれている、水のコントロールがきかぬ、いろいろな理由がある。長期にわたって莫大な投資が必要であります。その負担に応じることはなかなか大変でありますけれども、国際的なプロジェクトをいま申し上げましたようないろいろな機関で相談する、また多国間の協議を通じてそういうものを構築をして開発途上国の食糧対策を進めていくことが、とりわけいま大事ではないかと思うわけでありますけれども、いかがお考えでしょうか。  数年前には、アジアの米倍増プランというのを大来前外相等のグループが作成したこともございましたけれども、これだと東南アジアと南アジアだけで十五年間に約五百四十億ドルくらい要るだろう、こういう話も出ております。農業生産の資材、技術者派遣等々、これはわが国の将来の問題を考えると、いまやらなければならない重要課題ではないか、こういうふうに思うのであります。もちろん、こういう問題を論ずるときに必ず出てくるのがブーメラン効果であります。しかし、そのことを克服してこそ初めて長期にわたっての日本の食糧安保というものは確立されるのではないか、こう思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  241. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、FAOが取りまとめた「二〇〇〇年に向けての農業」という報告を見ましても、開発途上国においては人口が現在の二十億から三十五億へということで、実に年率二・三%の増加をするということが見込まれております。このような人口の増加とこの間における生活水準の向上ということを考えますと、やはり食糧需要は発展途上国で非常に高まってくるというふうに考えられます。  このような観点から申しますと、まさに先生御指摘なさいましたとおり、開発途上国の農業開発を進めるということは、一つは、これらの国々の食糧不足に対応するということだけではなくて、その経済なり社会なり民生の安定ということのためにも非常に重要でありますし、また世界的に開発途上国を含めて生産の体制ができていけば、それがまたひいては日本の国の食糧の安全の保障にもつながっていくというお考えは、まことにそのとおりであると思います。  さような観点から、私どもといたしましても、外務省等ほかの関係各省とも協力をいたしまして、農業開発にかかる協力要請、これの増大にこたえていくということでやってまいっておりまして、特に開発途上国におきましては、土地、水、気象といったような自然条件をよく考えなければなりませんし、また農民の状況も十分考えなければいけませんが、その間にありまして専門家の派遣あるいは研修員の育英、資材供与といったようなことを通じまして、特に発展途上国の自助努力をも促進しながら支援をしている次第でございまして、これは将来もまた続けていかなければならないと思います。  特に、その手段といたしましては、国際協力事業団を通ずる食糧増産、あるいは肥料、農薬、農機具等の生産資材の援助、灌漑整備等についての借款の供与、あるいは専門家の派遣、研修員の受け入れ等がございまして、これらを総合的に利用いたしまして、このような体制をつくっているわけでございます。  なお、先生が最後にお触れになりましたブーメラン効果ということもございますが、やはりわが国の国内の食糧の自給度というものは、これは高めていかなければならないということは当然でございますが、わが国がどうしても自国内で供給できないものにつきましては、特にこういったことも考えながら開発輸入ということも考えているわけでございます。
  242. 梁井新一

    ○梁井政府委員 外務省といたしましても、特に東南アジア地域におきます食糧の自給度を高めるということを非常に重要視しております。先ほど松浦局長からお答えございましたとおり、東南アジアにおきます人口の増加等、相当早いわけでございまして、そういう観点からも、特にこの社会的な安定と申しますか、一国の政治的安定のほかに社会的安定のためにも、いまの段階から食糧増産のための援助を考えることが必要であるというふうに考えておりまして、食糧増産につきましては準備にも相当長期間を要するということでございますけれども、なるべく長期的な観点から、特に東南アジアの食糧増産に資する援助をしたい、このために資金協力あるいは技術協力を組み合わせてやっていきたいというふうに考えています。
  243. 中野寛成

    中野(寛)委員 私もASEAN諸国を回ってきたことがありますが、その中で、海外青年協力隊の農業技術指導に当たっている方々の話を聞いたこともありますけれども、実はまだまだその開発の余地というものが大変たくさんあるわけですね。そして同時にまた、現地の住民の皆さんの農業に対する意識というものが大変まだ低い。なぜ畑をつくらなければならないかからまず指導していかなければならぬという実態もあるわけですね。そういう意味では大変積極的な対応策というものが講じられなければならぬ、こう思うわけでありまして、せっかくの御努力をお願いしたいと思います。  しかし、そういう一つの努力の中で、いま挫折しかかっている問題がある。これは穀物の開発輸入プロジェクトの問題なんです。一九六八年に三井物産等がインドネシアにミツゴロ農場というのを建設しました。トウモロコシとかマイロなどの生産を開始したわけでありますけれども、そのほか総合商社による穀物開発輸入プロジェクトというのはインドネシア、タイ、ブラジル、オーストラリア等々で進められてきたわけであります。しかしながら、東南アジアでの生産というのが、いま御答弁にもございましたけれども、気候、土地条件、病害虫、労働力、いろいろな面で困難があるということで、国際競争力がつかない、勝てないというふうな理由でほとんど失敗している。そして次々に引き揚げにかかっているというふうなことを聞くわけであります。  しかし、私は、たとえば民間企業がこれをやって採算に合わぬから引き揚げる、これはこれで企業としてある程度やむを得ないことかもしれません。しかし、国家的な見地から食糧の問題を考えるときに、それで済まされていいものだろうか、こういう気がしてならぬのであります。こういうプロジェクトというのはやっぱり長期にわたってしっかりとした考え方を持って進めていかなければならぬと思うのでありますけれども、むしろ政府の立場でこのような問題にもっと大きな見地から取り組む、または助成をする、このような姿勢があってしかるべきかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  244. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  確かにただいま先生御指摘になりましたランポンの計画、このような計画につきましては必ずしもうまくいってないものもございます。特に食糧の安定供給の確保ということのためには、やはり基本的には国内生産の確保を図る、これが第一でございまして、これを重点的に進めていかなければならないということは当然でございますが、一方で輸入に依存せざるを得ない、そういった農産物につきましては、主要国から安定的に輸入をしてもらう、さらにまた輸入ソースの多元化を図るということは、どうしても必要であるというふうに思います。そこでこのために海外におきまして農業開発を行いまして、わが国が必要とする生産物を輸入するという形での協力を行うということも一つの方策であるというふうに考えられるわけでございまして、この点やはり国としても、農業開発投資を行う民間企業に対しまして、国際協力事業団等によりまして低利資金の融通等を行っているわけでございまして、これを拡充しながらこのような事業の推進に努めていっていただくということが必要であるというふうに考えております。
  245. 中野寛成

    中野(寛)委員 しかし現実には挫折して引き揚げかかっている、このことについてどう考え、そしてそれをやり直す気があるのか、そしてその気があるならばどうしようと思っているのか。
  246. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 農業開発につきましては非常にむずかしい問題が幾つかございます。  一つは、農業はその地域の土地であるとか、あるいは水とか、あるいは気象等の自然条件と、また農民の状況等が密接に関連し合うものでございまして、特に事業の効果というものの発現には相当の時間がかかるという問題がございます。また特に農産物価格の点につきましては、やはり国際的な相場が変動いたしますとどうしてもそのような投資が回収できないといったような問題もございます。また、開発事業が行われます地域が先ほど申し上げましたような東南アジアの地域といったような場合でございますと、この地域においてはそれに適した農業技術というものが適応しなければならぬわけでございますが、まだわれわれの知識経験が乏しいという問題もございます。それからまた、相手国の農業に関する制度あるいは慣行といったようなものがわが国とかなり隔たりがあるといったようなこともございます。さらには農村地域における道路とかあるいはその他の基礎的なインフラが問題であるというようなことで、その実施に当たりまして、民間企業の経営採算は維持しながら、その地域の農民等の協力を得てこれを実施していくということを考えてまいりますと、なかなかむずかしい問題がたくさんあるわけでございます。  そこでまず基本的なことを申し上げますと、一つには、国際協力事業団を通じまして、事業の開始に先立って十分調査をしておくということが非常に重要だと思います。それからまた、事業の進行の度合いに応じて専門家等を派遣しながら事業が円滑に行われていくということが必要でありますし、このような点でわれわれとしては今後とも協力援助というものを進めていくということが必要だと思います。  特に、ただいま先生御指摘になりましたランポンのプロジェクトでございますが、この点につきましては、ここで三井物産あるいは三菱商事、伊藤忠といったような各社が現地合弁の会社をつくりまして、トウモロコシとかキャッサバとか、こういった農産物の生産をいたしたわけでございますけれども、この事業はスマトラにおける食糧増産あるいは雇用の機会の創設といったようなことを通じましてこの地域の開発に寄与することが期待される事業であるということを考えまして、国際協力事業団なりあるいは海外経済協力基金から援助もいたしたわけでございます。ところがこの開発事業は、予期せざる病害虫の発生であるとか、あるいは周辺農民との関係がうまくいかないといったようなことで経営が好ましくないという状態になっていることは、これも私ども十分承知をいたしております。しかし私ども、この事業を決して捨てるという気持ちはないわけでございまして、この事業の今後の取り扱いにつきましては、やはり先方のインドネシアとの間でこれら企業がいろいろと話し合いを行いまして、その対策を検討中というふうに聞いておりますし、その結果を待ちまして、国際協力の視点から農林水産省としてもどのような対応ができるかということを十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  247. 中野寛成

    中野(寛)委員 大変詳しい御説明をいただいてありがとうございました。むしろ最後の部分だけを期待をしておったのでありますが、結論としては、それでは、これは挫折としてとらまえるのではなくて、大変困難があるけれども今後なお一層この事業を推進していくために農林水産省としては全力を挙げて取り組む、こういうことですね。
  248. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 率直に申しまして、いまのような形態でなお継続ができるかどうかということは幾つかの問題があろうかと思います。これは先生もよくおわかりだろうと思います。そこで、私どもとしましては、どのような形に変えながらこのような協力事業を続けていくかということにつきまして各関係企業等でもインドネシア政府との間でいろいろ話をしておりますので、その結果も踏まえながら、この国際協力の事業を推進するために農林水産省としてどういうことができるかということを現地の事情等も踏まえて十分に検討してまいり、その成果を出していきたいというふうに考えているということでございます。
  249. 中野寛成

    中野(寛)委員 この重要性についてはよく御認識のようでありますから、その重要性にかんがみて、ぜひとも全力を尽くしてこれらの事業の内容の充実または改善すべきことは改善して、その促進方に取り組んでいただきたいと思います。  次に、東南アジアから一転してブラジルでありますが、一九七五年にアメリカの科学アカデミーが出した「アメリカ農業の生産力の将来」という論文があります。これによりますと、われわれの最もいま食糧の上で頼りにしているアメリカ農業の問題についてこのように触れているわけです。過去二十五年間にアメリカ農業が発展してきたテンポで今後引き続いて成長していけるかどうかは疑問である、もちろんアメリカ国民には心配はかけないけれども、アメリカの過剰穀物に依存している諸外国に支障なく供給できるかどうかについては問題がある、こう指摘をしているわけであります。わが国にとっては大変これは重要な問題だと思います。食糧の大半を米国に依存しているわけでありますから、そのことをわれわれ十分認識しなければならぬ。そこで、結局このように北米ですとかASEANに限定されている状況というのが大変問題があるわけでありますから、供給源の多角化を図るという意味から、われわれとしてはもっとほかのところにも目を向けていかなければならぬのではないか、こう考えるわけであります。  たとえば、ブラジルの中部にありますシェラード地帯、約五千万ヘクタール未利用地が存在しているということでありますけれども、こういうところについても、いまその開発のネックとなっている輸送システムの整備、こういうふうなもの等も考えながら、アメリカもしくはアメリカ以上の食糧の基地だ、こういうふうにも言われているこの地域の開発等が大変わが国にとっては魅力のあることではないだろうか、こう思うのでありますけれども、こういうこと等も含めまして、またブラジル側も大変日本に期待している、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、このような観点に立っての積極的な日伯経済協力についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  250. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 先生御指摘のとおり、ブラジルが非常に広大な国土を利用いたしまして農業生産力を高めました場合には、将来の安定的な食糧供給国となり、世界の食糧需給の安定にも寄与し得るということはよくわかっております。特に、今回の大豆の世界的な不作の状況の中においてもブラジルが千五百万トンの供給力を持っているということは非常に頼りになる点でございまして、わが国にとりましても、輸入源の多角化という見地からは、これを開発していただくということは望ましいことだと思っております。  農林水産省といたしましても、ブラジルにおきましては農業生産の増大が重要な施策の一つということで取り上げておりますので、各国の協力も得まして、シェラード地域の未開発地域において農業開発を積極的に進めておるわけでございまして、この地域は先生も御指摘のとおり非常に広大な地域でございます。まだ酸性土壌でございますので、そこを中和して、そして特に水のあるところがございますれば、これを開発することは非常に有効な大豆その他の生産につながると思います。私ども現在やっておりますのは、国際協力事業団の投融資事業等を通じましてこれに積極的に協力をいたしておるわけでございまして、実はこの事業、現在非常に順調に進んでおる状況であることを御報告したいと思います。
  251. 中野寛成

    中野(寛)委員 ぜひ今後この問題については、より一層積極的にお取り組みをいただきたいと思います。  同時に、やはり輸送の問題と、それからそれを備蓄しておく問題とがあります。そこでブラジルの政財界では、アジアポート構想というのがあるようでございます。ブラジルの飼料、大豆また鉄鉱石、そういうものをアジア・太平洋地域に輸出する、そしてまた、そこを中継基地として中国、韓国、東南アジア等々への積み出し拠点とする、また備蓄、加工、そして集積基地としての複数機能を果たす大型港湾というふうなものができないだろうか、こういう内容のようでございますけれども、私どももこれは大変いい構想ではないか、こういうふうに思うわけであります。とりわけわが国、特にまたこの問題を想定いたしますと、沖繩県などというのは歴史的、そしてまたその条件、特性等を考えますと大変いい地域に所在をしておる、こういう気もするわけであります。きょうは國場委員長がいらっしゃいませんけれども、國場委員長のお言葉によりましても、沖繩を握るものはアジアを制するということのようでありますので、そういう意味では私どもは大変注目をしているのです。このアジアポート構想というのは沖繩県のいま置かれている情勢や、そしてまた今後の開発等を考えますと、これも大変積極的に考えてもいいのではないか。先日来日されたブラジルの企画大臣ですかもこのようなことを出しておられたようでございますけれども、このことについてどのようにいまお考えですか。これは運輸省ですか。
  252. 梁井新一

    ○梁井政府委員 お答え申し上げます。  アジアポート構想、昨年八月の日伯閣僚会議のときに持ち出された構想でございますけれども、非常に雄大な構想でございまして、その前提として調査すべき案件もたくさんございます。そういうことで、現在のところ、外務省あるいは農林省、運輸省におきましてこのフィージビリティーについて検討しているという段階でございます。
  253. 中野寛成

    中野(寛)委員 全くの勉強ですか、それとも、これはいいやということで、まあ取り上げられるのですから確かにいいと思って取り上げられているのでしょうけれども、その実現性、可能性、決して公的な意味でのかたい御答弁ではなくて、いまの日本の国力や国情、そしてその他の情勢を考えて、可能性のある内容なんですか。それとも、たまたまブラジルの方から言われたので、とりあえずは勉強しているということですか。
  254. 梁井新一

    ○梁井政府委員 お答え申し上げます。  日本側といたしましても、国際開発センターというコンサルタントを使いました報告書はでき上がっております。ただ、日本側にとりましてもどの程度メリットがあるか、かなり長期にわたる問題でございますし、また同時に、不確定の要素もずいぶん入っております。そういうことでまだ具体化するに至っておりませんけれども、私どもといたしましては、このフィージビリティーの検討を進めたいということを考えている段階でございます。
  255. 中野寛成

    中野(寛)委員 沖繩開発庁はきょうはお願いしておりませんけれども、沖繩開発庁等とも絡んだ構想として考えられるのではないだろうかと思いますけれども、外務省なり運輸省なりから、そういう観点からの考え方もできるかどうか、そして一緒に御相談なさる御用意があるかどうかお聞きしておきます。
  256. 向山秀昭

    ○向山説明員 先ほどからお話が出ておりますように、構想としては大変おもしろい構想であろうと思いますが、何分にも不確定な要素もありますし、それから経済的、技術的な実現可能性について多面的な検討をしなければならないというふうに考えておりまして、実は運輸省の方では部内で内々の研究会を設けて研究に着手しております。一口で申し上げまして、現在の検討の段階は基礎的な資料の収集という段階でございまして、現在まだその立地をどこにするかというようなことを論議するような段階には至っておりません。
  257. 中野寛成

    中野(寛)委員 これ以上この問題についてはお尋ねしませんが、ブラジルサイドから言われるような内容というよりも、私は地理的条件や日本の将来のことを考えれば、むしろわが国サイドからこういう問題は諸外国にPRしてもいいような内容なのではないかというふうにさえ思うのであります。せっかく御検討を始められたということでありますから、大いに前向きに御検討いただきたいと思います。  これは大変政治的な問題でもあろうと思います。関西新国際空港が先ほど話題に出ておりましたけれども、ある意味ではそれ以上のプロジェクト、また必要性、意味を持つものではないかとさえ思うのでありますが、諸官庁のそれぞれのお立場以上に、閣僚の一員としてむしろ大臣、これは大臣の一つのヒットとしてお取り上げになられたらいかがかと思いますが……。     〔越智(通)委員長代理退席、森下委員長     代理着席〕
  258. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来答弁申し上げておりますとおり、これからの地球上の食糧供給の大きく展望できますのは、ブラジル、南米大陸であるということは私もそう考えておるわけでありまして、あそこでできたものをできるだけコストを安くして持ってくるということは、これまた向こうの生産を上げると同時に大事な問題であるということでありますので、そういう意味からも局長からも答弁させたとおりでありますが、政府といたしましても食糧の安全保障というような立場も踏まえて、やはり安定的に食糧を確保するという立場からも十分これは検討に値するもの、ましてや生産国である南米諸国も大変このプロジェクトには意を燃やしておるように私は感じとっておるわけでありますので、具体的な構想をつくり上げていく努力をしたい、こう思っております。
  259. 中野寛成

    中野(寛)委員 よろしくお願いいたします。  続きまして、有事に際しての食糧自給プログラム、こういうことでお尋ねをしたいと思います。  「八〇年代の農政の基本方向」におかれましても、食糧安保というのが前面に打ち出されているわけであります。最近の国際情勢等々を見ますときに、海外からの輸入が断たれるというような場合が果たして万が一にもないかどうか。これはわが国が国際紛争当事国になるとかということではなくて、むしろ輸送路を断たれる、またはわが国に輸出をしてくれている国が国際紛争に巻き込まれる等々、いろいろなことをこれからやはり想定しなければならぬ、きわめて緊迫した状態にもあると思うのであります。たとえばスイスの例等もあえて私が申し上げる必要もないと思います。大変充実した食糧安保プログラムを講じ、そして備蓄対策を立てているようであります。これらのことについて政府はいまどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  260. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 先生御指摘のように、先般の農政審議会の答申「八〇年代の農政の基本方向」の中におきまして、初めて食糧の安全保障という問題が取り上げられたわけでございます。  この中におきましても、輸入食糧に頼らざるを得ないわが国の立場としまして、外交面等におきましても安定確保のための二国間の中長期にわたる輸入取り決め等の努力を常にしなければならないわけでございますが、御指摘のような不測の事態という点では、異常な交通途絶もございますし、あるいは国際紛争というようなこともございますが、そのほか過去の経験でも港湾スト等のようなものもございます。そうした意味で、短期的にはそのような事態に備えての備蓄対策というものが、特に輸入食糧等に頼る場合には必要であろうということで、主要な物資につきましてなお備蓄対策を現にとっておりますし、また今後需給の規模に応じた備蓄対策をさらに充実していかなければならないというふうに考えております。  もう一つ、御指摘のような、スイスにおきましては相当の食糧自給プログラムを持っているということも、私ども目下勉強さしていただいておりますが、こうした有事の際の不測の事態に備えての潜在生産力と申しますか、総合的な食糧自給力の維持を図るために、平素から農業生産の担い手の育成とか優良農地、水資源の確保あるいは技術の向上というような生産面での努力と、さらにその場合の最低限度必要な基本食糧の見通しなり、こうした問題についてはまだ十分に解き明かされていない面がございます。  したがいまして、審議会におきましても今後こうした面につきましてもっと具体的な、先生御指摘のようなプログラムになりますか、そうしたものを十分検討すべきであるという宿題として受けとめております。私どももこれから審議会とも諮りながら、そうした今後の方向づけを具体化してまいりたい、こういうふうに考えております。
  261. 中野寛成

    中野(寛)委員 大変問題の大きい質問をしましたから、それ以上具体的なお答えは出てこないだろうと思います。これも御努力をお願いしておきたいと思います。  そういうことで、今度は若干各論めいたお尋ねを一、二点さしていただきたいと思います。  いま出ました基本方向の一つのテーマとして取り上げられたものとして、もう一つは食生活の見直しということが挙げられております。これは消費者サイドから考えまして、たとえば畜産物などの動物性脂肪のとり過ぎということが、最近よく欧米型食生活の中で指摘をされるわけであります。私もそのうちの一人かもしれませんけれども、これはアメリカでも同様の趣旨から、たとえば牛肉の格づけに今日まで霜降りというのですかさしというのですか、その基準を引き下げる運動が発生をして、アメリカ政府の方もこの格づけ基準の改定に踏み切ったようであります。霜降りを多く入れるということになりますと、トウモロコシ、コウリャンその他の濃厚飼料を使うのだそうでありますが、これはそのままコストアップにもつながるわけですし、いろいろな問題がそこかち起こってくる。こういうことを考えますときに、こういう基準というのは一回洗い直してもいいのではないか、引き下げてもいいのではないかという気がするわけであります。栄養のとり過ぎの問題そしてコストの問題、そういうことについて考え直すお気持ちはございませんでしょうか。  それともう一つは、これもいままで何回も取り上げられて複雑な問題にはなっているのですが、たとえば東京ラウンドの日米農産物交渉に当たったアメリカSTR代表のストラウス大使は米国上院の農業委員会でこういうことを言っているのですね。日本の流通機構は世界一複雑です、われわれは日本の市場に割り込むためには流通機構の問題に固執せざるを得ないのです、過去二年半にわたって私は、ポンド当たり四ドルで日本に入った牛肉一切れがどんな仕組みで二十五ドルないし三十五ドルになってレストランに出てくるのか、またポンド十六ドルでスーパーマーケットにあらわれるのか回答を探してきました、いまだにその仕組みがわかりません、食肉は三、四回の変形を受けますが、四十八時間以内には同じ牛肉が四、五倍の値段のついたものになります、こういうふうに指摘をしているわけであります。ちなみに、また沖繩県が出てきて恐縮ですが、沖繩県の牛肉はヒレ二百五十グラムのステーキが千円で食べられる、こういうことであります。関税、課徴金等が本土に比べて若干安いわけでありますけれども、それにしても本土の小売価格と比較した場合にはもう比較にならぬ状態があるわけであります。  また、逆にバナナになりますと、今度は沖繩では本土での関税の半分の二〇%というふうに優遇されているのだけれども、「かしこい消費者の会」という会がありますが、そこで調査をいたしますと、百グラム当たり沖繩では二十五円、大阪で二十円、東京で十五円、逆にバナナは沖繩が高いのであります。この価格の追跡調査というようなことを実施して対応策をもっと講じなければならぬのじゃないか。しばらくこの追跡調査もやられてないような気がいたしますし、これらの仕組みについてどのようにお考えでしょうか。
  262. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 まず第一点の牛肉の規格の問題でございますが、牛肉の規格につきましては現在枝肉の取引価格を定めて実施をいたしております。枝肉の肉づきでありますとか、あるいは脂肪の定着、付着の状態、肉のきめ、締まり、それからいま御指摘の脂肪の交雑、つまりさしでございますが、そういうことによりまして判定しておるところでございます。この規格につきましてどのような要素をとるか、またそれぞれの要素につきましての判定の基準ということが問題になるわけでございますが、これにつきましては牛肉の需要及び生産の動向によりまして変わり得るものというふうに考えております。現在行っております規格は日本食肉格付協会で行っておるわけでございますが、ここにおきましてただいま申し上げました規格の要素及び基準を検討するために専門の委員会を設けて常時検討いたしておるところでございます。  先ほどアメリカの規格を脂肪の交雑率一ランク下げたというお話がございました。確かに一九七五年にそのようなことが行われております。わが国におきましても、いわゆる日本型食生活の中で牛肉がどのように食べられていくか。最近よく言われる話でございますが、さし重視よりも赤肉嗜好というようなことが言われております。そうした傾向と相まってこの規格の検討もしてまいらなければならないというふうに考えております。  それから牛肉の流通の問題でございますが、輸入された牛肉につきましては、御承知のように、現在その大部分を畜産振興事業団の一元輸入にいたしておりまして国内産牛肉の価格動向に応じてその売り渡しをいたしておるところでございます。国内産の牛肉の価格の安定あるいは国内産牛肉の生産の保護という見地から、現時点におきましては課徴金ともいうべき差益を事業団において吸収しておるというようなこと、また流通の過程におきまして、各種の流通段階におきまして加工が行われるわけでありまして、それらの加工が行われるのに応じてそれだけのコストがかかるということで、最後はアメリカ等と違って非常にきれいな形の精肉の状態で小売店で売られるということで、非常に手間がかかるというような問題もございます。しかし、いずれにいたしましても流通コストを引き下げることが必要でございまして、輸入牛肉につきましては指定店の設定をいたしましてその小売価格の目安価格を設定をし、それに従って売られるようにいろいろ指導をいたしておるところでございます。  それから、追跡調査のお話もございましたけれども、牛肉の流通各段階の価格につきましてはなかなかむずかしい問題がございまして、事例的な調査をいたしております。それを一般的に広げるということにつきまして技術的な問題がございますが、追跡調査の問題につきましては今後の需要価格動向に応じて検討してまいりたいと考えております。
  263. 中野寛成

    中野(寛)委員 バナナの問題もありますが、要望にして、かえておきます。  時間が大分超過をいたしましたし御迷惑をおかけしてもどうかと思いますので終わりますが、いずれにいたしましてもこれからの大変厳しい私どもの食糧情勢でございます。農産物の需給見通し、生産見通し、いろいろな問題がございますけれども、どうか国内的には農業基盤整備のための中長期にわたっての財政プラン、効率のいい財政運営の中で効果を上げていただくための御努力、そしてまた、それの足らざる部分についての海外への進出を含めての長期の食糧安保にせっかくの御努力をお願いしたい、こう申し上げて質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  264. 森下元晴

    ○森下委員長代理 辻第一君。
  265. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、国営十津川紀の川土地改良事業について質問いたします。  奈良県と和歌山県の農民の切実な要求や申請あるいは運動にこたえて、昭和二十七年に始まり今日まで二十八年間かかっております。総事業費が三百三十二億という大事業でございます。そのうち十津川紀の川農業水利事業、大和平野農業水利事業、この奈良県の関係分については昭和四十九年に工事が完了しているわけでございます。そして現在奈良県には吉野川の分水が、本当に美しい良質な水が大和平野を流れているというのが現状でありまして、奈良県の大和平野の農民は大変喜んでおるというのが現状でございます。農林省、国に対してもまたこれに大変な理解や協力をしてくれた和歌山県の人々や農民にも大変感謝しているというのが現状でございます。しかし、喜びだけではなしに不安や悩みもあるというのが現状であります。  さて、まだこの全事業の完了に至っていないわけでありますが、いつごろ完了するのかお尋ねをいたします。
  266. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いま先生おっしゃられましたように、大和平野についてはすでに工事は完了いたしておりますが、事業としては、実はこれは水利権の調整問題等も絡んでおりまして、まだ完成したことになっておりません。それから大和平野だけでなく、これは和歌山県に主として多いわけでございますが、紀の川筋の用水事業、これはまだ着工していない部分もございまして、この点につきましてはまだかなり期間も要するものというふうに考えております。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま構造改善局長から奈良県の分は工事完了ということにはなっていないと言われたわけでありますが、大まかに言えば工事完了に近いというふうに私は思うのですが、その上での事業変更の協議はいまされておる。その協議事項の一つで事業費については当初計画昭和二十七年では九十六億、それから昭和四十年の現計画では百四十七億、また現時点の変更計画では三百三十二億、このように聞いておるわけであります。奈良県関係事業費では昭和四十年の時点では九十億、現時点では百八十八億、このように認識をしておるわけでありますが、そのとおりかどうかお答えをいただきたいと思います。
  268. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先生のおっしゃられたとおりでございます。
  269. 辻第一

    ○辻(第)委員 計画が現時点でさらに延びるということで大変おくれております。また、事業費がいま言われたように大変ふえておるというのが現状であります。その主な要因の一つに大迫ダムの建設のおくれということがあったように聞いておるわけであります。その大迫ダムのおくれの一つはダムの治水機能をめぐって農林省と建設省の協議に三年もかかった、このように聞いているわけであります。その点についてどうなのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  270. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 工事のおくれた理由はいろいろあるわけでございますが、いま先生のおっしゃられたように、大迫ダムに関しては建設省との協議が若干期間がかかったということ、それから工事自体が断崖層——断崖といいますか、断層の岩盤処理が非常にむずかしい問題が生じたというようなこと、それからつけかえ道路等についても新しい工事を必要としたというような技術上の理由もあったわけでございます。しかし、今日においてこれらの問題はすべて解消いたしておるわけでございまして、いま申し上げたようなことも過去の問題となったわけでございます。
  271. 辻第一

    ○辻(第)委員 おくれた、それから事業費が大変ふえた、そういうことには国も一定の責任がある、私はこのように考えるわけであります。地元負担分は、百八十八億としますと特別会計の利子負担を含めますと大体九十五億になるわけですね。これを県と改良区がもし折半といたしますと、農民の負担は四十七・五億。これを十アール当たりに換算いたしますと、私どもの概算では七万六千円になる、こういうふうに見ているわけであります。すでに県営とかあるいは団体営分で約二十億の農民の負担がされておるわけであります。このように見てまいりますと、今日深刻な、農業経営の危機的な状況の中ではかなりの負担であると考えております。そういう状況でありますので、何とか農民負担を軽減する方法がないのか、このように思うわけでありますが、何らかの措置をとられる考えがないでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  272. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いま先生のおっしゃられたような地元負担の関係でございますが、細かい数字は持ち合わせておりませんけれども、一般会計で言えば、四十年時点で四十六億三千六百万だったものが、五十年時点では百十六億三千六百万、そのほかに特別会計それから利子負担の増加分といったようなものを考えますとおっしゃられるような数字になるのかと存じます。そこで、確かに当初に比べますとかなりこの負担分がふえてくる、農家の負担もなかなか大変だということはよくわかるわけでございます。  そこで、これは十津川紀の川に限りませんが、一般的にこの種の大型事業の負担軽減を図るということで、従来から、たとえば昭和四十年度には償還期間をそれまで十年であったものを十五年に延長するとか、それから昭和四十九年度には新たに据え置きの期間を設けて二年間据え置くということにいたしておるわけでございます。こういう財政事情のもとでは補助率を上げるというようなことはなかなかむずかしゅうございますが、いま申し上げましたように償還の条件では最大限措置を図ってまいってきたところでございますし、この上は、あと水利権の調整問題等もできるだけ早期に解決しまして工事を早く完成する、最終的な仕上げにまで持っていく、そして負担のこれ以上の増高にならないように努力するということであろうかと存じます。
  273. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、通水期間の変更についてお尋ねをいたします。  これまでは六月十五日から九月十五日までの期間通水であったわけでありますが、これから年間通水に変えられようということであります。このような変更によって、十年あるいは二十年に一回と言われるような深刻な渇水、そのようなことがあっても十分な水量を間違いなく保証できるのかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
  274. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 大和平野の営農についての将来の見通しを立てまして、それに必要な水量は全量必要なだけ確保するということでもってあの計画ができているわけでございます。私どもとしては今後の必要水量の確保につきましては、需要それ自体の増減もございましょうし、それから吉野川、紀の川の系統だけでなしに、小河川なりあるいはため池等に依存している水源もございます。そういった小河川、ため池等の水源は先行きむしろ不安定であるというようなこともございますので、この紀の川の水源を最大、一番頼りになるものでございますので、確保するということを中心にして将来の必要量は確保してまいりたい、このように考えております。
  275. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは年間通水によって農民の管理費の負担がふえることはないか、こういうことも一部心配があるわけでありますが、その点についてはどうでしょうか。
  276. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 管理費といいますのは、ダムでありますとか頭首工といった水利施設の維持に要する経費、それから人件費、電力料、こういったものでございますが、そのほかに機器の取りかえでありますとか破損個所の修理、こういったような問題もあるわけでございます。確かに農業用の水利につきましては、従来期間限定をしておりましたものが年間通水ということになったわけでございます。ただ、その期間が年間に延びたから、では管理費がふえるかといいますと、この十津川紀の川につきましては、幸いなことに実は水道用水も取水しているわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたようなダムなり頭首工等の管理経費、そのほかの管理経費はいままでも年間分は負担をしておった、経費を要しておったということでございますので、今回農業用水が年間取水になったからといって改めて特別に経費が増加するものではございません。その点は御安心いただけるというふうに思っております。
  277. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、管理の問題でお尋ねをするわけでありますが、大迫ダムや津風呂ダム、下淵の頭首工の管理は、現在暫定的に国と申しましょうか農林水産省がされておるわけでありますが、今後どんな管理形態をとるにいたしましても、関係者の意見を民主的に反映させる、そのような制度的な措置が必要でないかと考えるわけであります。たとえば奈良県と和歌山県の土地改良区の代表や流域住民の代表、水源地住民の代表などを含めた管理委員会を設けることが必要ではないか、このように考えるわけでありますが、その点についてはどのようなお考えか、お尋ねをいたします。
  278. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 基幹施設の管理は、本来ならやはり地元の事情に通じた地元の機関が行うのが望ましいのでございましょうが、この種の大型のものについては、全国でも数は少ないのでございますが、いま先生がおっしゃられたように、国が直接管理を行っておるわけでございます。今後、御指摘のように、受益者、市町村等の地元関係者、そういった方々との協議機関を設けたらどうかということは、私どもも考えておるところでございます。  実は、五十二年の六月に、国と奈良県、和歌山県、それから関係土地改良区と相談した経緯がございますが、やはり水利権の扱い等について先に調整をすべきではないか、そういう問題が解決しないと、なかなかこの管理問題についての協議体制をとってもうまくいかないのではないかということで、合意が得られず今日に至っているわけでございます。  それから、施設の管理自体につきましては、河川法上の操作の規定、土地改良法の管理規程、こういったものに基づいて行うことになるわけでございますが、この十津川紀の川の場合には、そのほかに両県の関係土地改良区、両県と申し上げましたのは県当局自身も含めてですが、その了解も受けまして、十津川紀の川農業水利施設水管理規程というものを決めまして、たとえば十日ごとに関係土地改良区等から必要水量の報告を受ける、そしてまた、降雨によって必要水量に変更が生じたときは、この旨を修正報告を受ける、これをもとに取水について調整を図るということをしており、まあいままでのところ円滑に運用されておるわけでございます。
  279. 辻第一

    ○辻(第)委員 その点では私どもの考え方とかなり一致をしておるようでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、この吉野分水の問題の最後に、将来の水補給量ということで質問をいたします。  奈良県の農業も国におけると同じく基幹産業の一つでございます。いま食糧の自給率の低下など、農業の危機は深刻であります。しかし、何としてでも農業の発展ということは、きわめて重要な課題であることは言うまでもないわけであります。しかもこの事業は、農業生産に欠かすことのできない農業用水を確保する、このことを主要な目的として、農民の切実な願いや要求、申請に基づいて行われた事業であります。さきに述べました、将来何としてでもさらに奈良県の農業を発展させるためには、この用水の需要はふえることはあっても減ることはない、このように考えております。  そういう点で、この用水の確保ということは本当に重要な問題。しかし現時点では、やはり農地が減っておるなどの理由で農業用水を減らされる、将来他の分野でいろんな水の需要があろうということが考えられるわけでありますが、その分野の需要のために、農地減少なぞを理由に減らされる、こういうことが起こるのではないかという心配も農家の中にはあるわけであります。そして、現在は補給水ということでありますけれども、奈良県というのは全国一、二を争う人口急増県ということでありまして、いわゆる乱開発がされておる。こういう状況の中で、河川の汚濁はもう深刻な状態であります。ですから、いま補給水ということでありますけれども、そのもとになる河川は本当に汚濁をしておる。また、ため池が奈良にたくさんあるわけでありますけれども、ため池すらすでにひどい汚濁が進みつつある。こういう状況でありまして、単なる補給水という形ではなしに、これが本当に中心にならなくちゃならないような地域も現在出てきておるというのが現状であります。さらに新たな受益地というのが見込まれるわけであります。そして現在届いていない、そういう地域もあるわけであります。  それに奈良県は、ハウス栽培や温室栽培など、いわゆる集約農業がどんどんふえてまいっておりますし、その面にも水が要るだろう。こういうことから考えてみまして、この用水というのは、奈良県はもちろん和歌山県の農業にとってもきわめて重要なものであると考えるわけであります。そういう点で、この事業で確保された農業用水については、将来にわたっても確保されるべきである、このように考えるわけでありますが、この点についての農林省の見解をお伺いしたいと思います。
  280. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 この用水を利用される奈良県、和歌山県の事情につきましては、いま先生のおっしゃられたようなこと、私どもよく承知いたしております。両県にとって、特に奈良県の場合、従来水の来なかった大和平野に水が来たということで、非常に喜ばれておる。私どもも、そういう期待を担った事業であるということで、今後とも必要水量はぜひ確保してまいりたいというように考えておるわけでございます。  そこで、いまお話がありました、奈良県は都市化している——確かに都市化の進行きわめて著しいものがございます。したがって田畑の面積も最近減少している。だから水は需要量が少なくなっていくのではないかというような見方がございますが、むしろ反面、水路がほかの排水によりまして汚される。そういったものを流すためにもまた水が要るとか、周辺農地の宅地化に伴う減水深、地下水の深さを下げるというようなことの必要性、こういったことからいたしますと、面積は減っても需要のふえる事情もございます。それから、供給源としての小河川なりあるいはため池は、今後量的にも供給源として安定性を欠いていくのではないか、水質的にも好ましくないというようなことから、私どもはやはりこの紀の川の水を活用することが一番必要かつ基本的なものであろうというふうに考えております。  利用計画の上では、農業用水につきましては、この計画時点での利用可能水量というのは三千五百万立米。端数は省略いたします。新規水源としてのこの紀の川に依存する分が、五千六百万立米ということでございます。水量的にも、むしろこういう新規水源に依存する数量が多うございますし、比率としては今後ともその重要性というか、割合はますます高まっていくのではないかと思うわけでございます。私ども、今後も水利権の更新の協議というのは必要に応じて行われることと思いますが、単純に面積減少したことをもって機械的にその需要量は減らしていいのだというようなことではなくて、いま申し上げましたような総合的な事情を勘案して必要水量の確保を図ってまいりたいと考えております。
  281. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、さっきの吉野川分水の問題について一言大臣に見解を聞きたいと思うのです。  それは、いま局長からも答えていただいたわけでありますが、この農業用水、将来たとえば水田が減るとかいろいろな理由で減らされるのではないかという心配が農民にあるわけでございます。先ほども申しましたように、奈良の宅地開発なんかで川は死んでいると言ってもいいような状況でありますし、ため池も汚れておる。そういうことも含めて農業用水の需要は将来ふえることが当然考えられるわけでありますので、何としてでも農業用水の水量については確保していただきたい、このように考えているわけでありますが、その点の御見解を簡単にお答えいただけたら結構だと思います。
  282. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来御指摘の点、全く同感でございます。特に自給力向上、食糧の安全保障という、いざという場合には水がなければ何もできないわけでありますから、そういう事態を考慮して十分な水利権も農業側に確保するということには、私どもとして最善の努力を尽くさなければいかぬ、こう考えておるわけでございます。たとえ農地が多少減っても、水田が多少減っても、畑地、施設園芸等は相当水を使う、畑作でもスプリンクラーを使うという時代が来るわけでございますので、そういう意味においても私どもとしては、十分なる農業用水は確保しなければいけないという御主張には全く同感であります。
  283. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうもありがとうございました。  次に、えさ米の問題で質問いたします。  湿田、湛水地帯では、米の減反政策の中で米や麦が転作できない、えさ米を転作作物にという要望が強いことは、私がいまさら言うまでもないことであります。しかし、えさ米の最大の難点は採算性にあるとか、さらに言えば食用へ流用されるおそれがある、このような問題があることも知っております。しかし、大局的に見ますと、えさ米には直接の採算性以外のいろいろなメリットがあると考えているわけであります。まず、食糧自給率を高めていく、こういう点については非常に大きな役割りを果たし得るものだと考えておりますし、また、もう一つは水田がそのまま使えるということであると思います。  それに関連をいたしまして、大体現時点の水田面積、まずそれが一つ、それから来年度の減反面積、減反をなさろうとしている面積はどれぐらいなのか、それから地下水位が地下七十センチ以上の水田は何ヘクタールぐらいあるのか、それは現在の水田の何%ぐらいなのか、その点お聞きしたいと思います。
  284. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 来年度どう考えるかということでございますが、五十六年度からの第二期水田利用再編対策につきまして目下農林水産省においては検討中でございます。現在の段階までの検討の段階のものといたしましては、来年から三カ年およそ三百二十万トン程度の需給ギャップが見通せます。そうしますと、水田面積にこれを反当収量で戻しますと六十七万七千ヘクタール程度になろうかと思います。三年間原則固定ということにいたしますと、この面積で御協力をお願いするということになると思います。  水田の湿田面積等の関係はいま調べてすぐ御報告いたします。
  285. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 田畑輪換できる水田、これはどのぐらいあるかということでございますが、昭和五十年度に実施した土地利用基盤整備基本調査によりますと、根が深くない普通の畑作物、この導入が可能とみなされる水田、具体的には非灌漑期である冬の時期におきまして地下水位が七十センチメートルより低い水田、この面積は全国で約百七十七万ヘクタールと見込まれております。その後これが若干ふえまして、今日では約百九十万ヘクタールと推定されるわけでございます。  私ども、いままでも水田に畑作物の導入が図れるようにということで、圃場整備事業、灌漑排水事業土地改良総合整備事業、それから特に最近五十四年度以降排水対策特別事業、こういったものを中心にいたしまして排水の促進に努めてまいったわけでございます。今後とも水田の汎用化の重要性にかんがみまして、これを基盤整備事業の重点分野として位置づけてその充実を図ってまいりたいと考えております。
  286. 辻第一

    ○辻(第)委員 この地下水位の闘いと申しましょうか、七十センチ以上の水田は百九十万ヘクタール、相当な面積になるわけです。これを大豆だとかあるいは麦をつくろうと思えばできない、あるいはできないに近いという状態だと思います。そうなりますと排水対策が必要だ。このことで五十四年から三年間で合計十六万ヘクタールですか、約二千五百億の予算でやられていると聞いているわけですが、そのとおりでしょうか。
  287. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 先ほど私申し上げたのは、根が深くない一般の作物、具体的に申しますと、大豆だとかなたねだとか、トウモロコシ、落花生、小豆、ナス、こういったものが比較的水位のそれほど深くないところでも耕作できるわけでございます。つまり、逆に申し上げましたが、七十センチよりもっと深いところ、水位の深いところなら楽に耕作できるわけでございます。その七十センチ以上地下水位の深い、つまり比較的乾燥している水田はどのぐらいあるかと言えば、これは百九十万ヘクタールである。ここは比較的転換容易だということが言えるわけでございます。それから、若干湿度が高い、地下水位が七十センチから四十センチメートルのところで弾丸暗渠による排水等を行えば、畑作物の耕作が可能であるというのが約八十万ヘクタールございます。それから普通の畑作物の栽培は困難である、要するに深田みたいなところは二十一万ヘクタールある、こういう意味でございます。  それから事業費でございますが、二千五百億円というのは、ちょっと私ども思い当たらないのでございますが、排水対策はいろいろな用排水事業、基盤整備事業の中にそれぞれ部分的に取り込まれておって、それだけを抜き出すということをいたしておりませんけれども、転作等のことを考えまして、特に五十四年以降重視して特別に計上してまいりました排水対策特別事業、これは五十五年度予算では二百六十二億ということになっております。
  288. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので、そこのところで繰り返すわけにもいきませんが、私の聞いているところでは、五十四年から三カ年間で二千五百億、それでは、一つは基幹排水対策特別事業、一つは小規模排水対策特別事業、十二万ヘクタールと四万ヘクタール、合わせて十六万ヘクタール、こういうふうに聞いておるわけであります。  時間がありませんので次へ進めますが、とにかく水田でそのままつくれるという点であります。このような湿田、乾水田をいわゆる小麦だとかあるいは大豆だとかつくるということになれば、このような排水事業をしなくちゃならない。そういうことを考えますと莫大な費用がかかるわけでありますから、そういう点でメリットがある、こういうふうに考えているわけであります。  このような理由も含めて、えさ米については今後十分農林水産省としてはその対策をとっていただきたい、研究開発をやっていただきたいと思うわけであります。中でも品種の改良ですね、多収穫のもの、それからその地域地域に合った品種、こういうものをどうか国と都道府県が協力をして全国的に行っていただくようにお願いをしたいと思います。  それと、すでに地方自治体や農家が試作をしておられるところがあるわけでありますが、このようなところには助成をするべきであるというふうに私は考えますが、その点についてはどうでしょうか。
  289. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 飼料穀物としてのえさ米でございますが、御提案のように確かにそれ自体としての長所はあろうかと存じますが、先生御指摘の中にもございましたように、収益性その他でなお問題がございますし、技術的な安定性、経営の中におきます安定性も持たなければならない。かつ、目下の議論は一般に生産する側の方の議論として起きておりますが、これを需要いたします畜産農家の方の需要の立場からのつけ合わせ、あるいは制度の仕組み等も考えなければならないと思います。農政審議会の御提案におきましても、そうした点でやはり直ちに実用化することは困難であろう、将来の問題としてなるべく早く研究開発に力を尽くすべきであるという観点で、私ども、技術会議を通じまして、試験場での研究をいたしております。民間技術につきましても情報をとりまして、この研究のスピードを上げることにはやぶさかでないつもりでございますが、現在行われておりますものが、行政上私どもこれを助成する、あるいは奨励するという立場は、いわゆる転作をいま進めている中でそういうことを考えることは、技術上の問題、経営上の問題もございますし、制度、仕組みの点からも目下困難だと考えております。
  290. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、次に農薬散布の問題でお尋ねをいたします。  いまハウス農業がどんどん増加をしておるわけでありますが、その農家の人々の健康破壊というのが深刻であります。本当に高温多湿な状態で、しかも長時間働かれる、またハウス内で農薬を散布する場合、一般的にやはり噴霧機による散布というのが行われているようでございます。これは農薬中毒に非常にかかりやすい、こういう状態だと思うわけでありますが、最近の農薬中毒は一年間どれぐらいあるのか、最近のデータがあればお知らせいただきたいと思います。  それでもう一つ、ハウスの中での農業中毒がわかれば、教えていただきたいと思います。
  291. 志村純

    ○志村説明員 お答えいたします。  最近年次における農薬の散布事故発生件数でございますが、五十三年度には死亡事故が六人でございます。それから中毒が百三十六人。それから五十四年度の場合は、死亡が七人、中毒が百十五人となっております。これは各都道府県からの報告によります。そのうちハウス内の件数は幾らかという御質問でございますが、残念ながらハウス内の数字だけを特掲した報告にはなっておりませんので、お答えはできません。
  292. 辻第一

    ○辻(第)委員 実際、もっと軽いのをまぜますと、大変な数字になると私は思います。それから慢性的な中毒というものが当然あるわけでございまして、これは深刻な問題だ、こういうふうに思うわけであります。  最近、奈良県の郡山の農業改良普及所の所長さんが、四百度の高温蒸気に、水に溶かした薬品を細いノズルで噴射をする。そうしますと、薬品が一ミリミクロンから二ミリミクロンの微粒子になって拡散をする、このような方法を考案され、実効テストをされて非常に有効だ、このような研究成果を聞いているわけでございます。農薬中毒から農民を守るために、またハウス農業を本当に発展させるためにも、このような人体に害がない効果的な農薬を散布する機械はまだまだ研究、改良の余地があろう、こういうふうに考えています。農水省としても、お百姓さんから農薬の被害を防ぐ研究開発に一層取り組まれるよう、強く要望するものでありますが、農林省の御見解を簡単にお聞きしたいと思います。
  293. 志村純

    ○志村説明員 先生御指摘のように、ハウス内に人間が入らないで、うまく機械で仕事ができないかということは、いろいろ技術的な問題が絡むわけでございますが、いろいろと関係者も研究をしているところでございます。具体的には、液剤の散布の場合はどうするかとか、粉剤の散布の場合はどうするかとか、いろいろ機械はできておりますが、価格が高いとかなんとかといって、なかなか実用化の段階に入っておりません。  いまのお話のありました熱風を農薬に当てて霧状にするということでございますが、先生のいま御紹介いただいたケースは、私、残念ながらまだ内容は存じませんけれども、そうした熱焼煙霧機と申しますか、そういった方式は、すでに開発、実用化されているケースもあるのですが、使用する農薬によりましては熱分解を起こすといったような問題がありまして、まだ完全には解決されておらないという問題があります。こうした問題を解決するために、役所の方においても御承知の農業機械化研究所でございますね、あそこで四十八年度からハウス用常温煙霧機、わかりやすく申しますと風力によって常温で霧状にいたしまして農薬をハウス内に均一に拡散、付着させる少量散布方式でございますね、これを開発研究をしておりまして、かなり実用段階になりつつあるということで、いま農薬会社とメーカーが共同で実地テストと申しますか、そういうことをやっている段階でございます。われわれもこういった機械と申しますか施設というのは一日も早く実用化されるようにさらに指導を加えてまいりたい、こう思っております。
  294. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。  日本農業というのは本当に深刻な状況であります。しかし、このままほっておくわけにはいきません。本当に日本農業を再建していくためには、一つは農政の根本的な転換ということが必要である。同時に、各地でその実情に即した農家への生き生きとしたきめ細かい指導体制が必要であろう、このように考えているわけであります。そのためには、改良普及所の果たしている役割りは大変大きなものがあります。そういう意味で、さらに一層改良普及所を充実させるべきであると考えておるわけでありますが、農水省の御見解、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  295. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 最も大事な点の御指摘をちょうだいしたわけでありますが、本当にこれからの日本農業というものは非常に苦難の道を歩まなければならない。しかも、技術的にも最先端を行かなければならない。そして、できることであれば今後、十年後になりますか、あるいは二十年後になりますかわかりませんけれども、自動車産業においても電子産業においても、あらゆる産業においてとにかく世界のトップを行く境地まで達しておるわけでありますから、農業関係におきましてもそういう立場を確保できないという法はないじゃないかという感じもいたすわけであります。したがいまして、農政審の答申もいただいたわけでもありますので、十分対応を強化して進めてまいりたい。  特にこの技術の普及ということは、ただいまのハウスの中における園芸農業にいたしましても、本当に消毒ということは欠かすことのできない行為であるにもかかわらず、これは非常に健康を害することはわかり切っているわけであります。そういうことを農家に普及して歩いてくれるのが普及員である。ところが、なかなかこの普及員の仕事というものが一般の行政官と同様に理解してもらえない面もあるというふうな報告も受けておるわけでございますが、黙々として夜でも昼でも農家の相談相手になってその指導に歩いている普及員という制度は今後の農政の一つの大きな柱にならなければならない、私はこんなふうに考えるわけであります。極端に言えば、普及員が判こをついたらもう公庫からでも農協からでも金が借りられるほど、そういう権威の高い普及員が出てきて農家を指導していく、こういうようなところまで普及員も努力をしていかなければならぬし、制度としてもそこまで持っていかなければならぬ、こんなふうにも考えておる次第でございます。
  296. 森下元晴

    ○森下委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十四分散会