運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-11-11 第93回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 春田 重昭君    理事 中野 寛成君       植竹 繁雄君    竹下  登君       近岡理一郎君    上田  哲君       高田 富之君    前川  旦君       田中 昭二君    和田 一仁君       辻  第一君    柿澤 弘治君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         経済企画政務次         官       中島源太郎君         経済企画庁長官         官房長     禿河 徹映君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁国民         生活局長    小金 芳弘君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         大蔵省大臣官房         審議官     水野  繁君         大蔵省大臣官房         審議官     梅澤 節男君         大蔵省主計局次         長       西垣  昭君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省主計局調         査課長     浜本 英輔君         食糧庁業務部需         給課長     近長 武治君         資源エネルギー         庁長官官房エネ         ルギー企画官  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       関   収君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  西中真二郎君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     和田 一仁君 同月十一日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     柿澤 弘治君 同日  辞任        補欠選任   柿澤 弘治君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)〕      ————◇—————
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁について審査を行います。  まず、経済企画庁長官から概要説明を求めます。河本経済企画庁長官
  3. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十三年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算現額は九十六億五百六十七万円余でありまして、支出済み歳出額は八十九億九千二百二十四万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと六億一千三百四十二万円余の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額が百十六億五千七百三十七万円余でありましたが、関係各省所管へ移しかえた額十九億三千百十一万円余と予算補正修正減少額一億二千百九十四万円余を差し引き、関係各省所管から移しかえられた額百三十五万円余を加えまして、九十六億五百六十七万円余が歳出予算現額となっております。  支出済み歳出額の主な内訳は、経済企画庁一般経費八十億三百九十三万円余、国民生活安定特別対策費四億六千八百六十四万円余、政策推進調査調整費六千五百十万円余、経済研究所経費四億五千三百三十万円余等であります。  次に、不用額は六億千三百四十二万円余でありまして、その主なものは、国民生活安定特別対策費でありますが、これは、物価対策の効果の浸透等により物価が安定的に推移したことに伴うものであります。  以上、昭和五十三年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 國場幸昌

  5. 佐藤雅信

    佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 國場幸昌

    國場委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 國場幸昌

    國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
  8. 上田哲

    上田(哲)委員 新経済社会七カ年計画中心にお尋ねいたしたいと思います。  これは、政府が言うところの日本型福祉社会の実現を目指して、経済長期計画基本とされているところでありますけれども、これ自体は、昭和五十年代前期経済計画長期不況財政赤字で破綻した結果、その計画途中で作成されている、不透明の時代の中であえていろいろな議論があったけれども指標をしっかり国民に示さなければならない、こういう考え方から発足されたということでありますから、その大きな特徴が、毎年これを見直していく、フォローアップしていくというところにあるというふうに理解をしております。本年二月のフォローアップでも五・七%を五・五%に変更されるなど、そうした検討がなされているわけでありますけれども、今度のフォローアップはいつごろ発表されることになるでありましょうか。
  9. 白井和徳

    白井政府委員 お答え申し上げます。  現在五十五年度のフォローアップ報告経済審議会において作成すべく検討中でございまして、大体今年の十二月下旬ごろに素案をつくりまして、来年の一月に政府報告される予定になっております。
  10. 上田哲

    上田(哲)委員 大体十二月ごろ、つまり来月ぐらいに素案をつくる、つまり考え方骨子はもう間もなくまとまるということですね。
  11. 白井和徳

    白井政府委員 さように考えております。
  12. 上田哲

    上田(哲)委員 大体考え方がまとまったというところでひとつお伺いしたいわけでありまして、私は、基本的な認識として、たとえば去年と比べてことしはかなり違うだろう、計画基本あるいは総体について深く突っ込んだ見方をしなければならない内容的、時期的なポイントにあるだろうというふうにいま思っているわけでありますが、その中で、中心となります五十四年度から六十年度までの公共投資累積額二百四十兆円、この問題についてお伺いをしたいわけであります。  言うまでもなく、この二百四十兆円が政府の言われる日本型福祉社会を目指すための社会資本の充実の支柱であるということになるわけでありますから、大蔵省、お見えになっているから先にちょっと伺っておきたいのですが、五十六年度予算の中に計上される十の長期計画、これはやはりこの二百四十兆円をベースとして組み立てられていくということになりますか。
  13. 浜本英輔

    浜本説明員 お答えいたします。  ただいまの上田先生の御質問は、五十六年度予算編成に際しまして検討の対象とされております公共事業長期計画、これは現在進行中の新経済社会七カ年計画フォローアップ作業とどういう関連づけにおいて検討されるのであるか、そういう御趣旨かと存じますけれども……
  14. 上田哲

    上田(哲)委員 そんな趣旨じゃない。よけいなことを言わなくてもいいのです。これからの長期計画の基礎に二百四十兆円というものが踏まえられているのだろうということを聞いているだけです。
  15. 浜本英輔

    浜本説明員 通常、長期計画策定作業を行いますに当たりましては、そのもと経済計画を踏まえて検討するという例になっておると存じます。今回、一方でフォローアップ作業が進んでいる、一方でいま各長期計画につきましての要求を受けとめた段階でございますけれども、フォローアップ作業がどういうふうに進んでいくのか、そういうことを見ながらその公共事業長期計画のおさめ方というものを今後検討していかなければいけないと考えております。
  16. 上田哲

    上田(哲)委員 委員長政府委員出席を求めておいたのですが、課長に来てもらうとは報告を受けていないのです。私、聞いてないことまで答えることはないのでありまして、時間がないのだから、ちゃんと責任者に出てもらってイエスかノーかできちっと答えるようにしてもらいたい。そうでないと、時間をちょっととめてもらいたい。
  17. 國場幸昌

    國場委員長 上田哲君に御報告しますが、水野審議官梅澤審議官、二人を要請して、政府委員として来ております。
  18. 上田哲

    上田(哲)委員 その審議官にしっかり答えてもらいたいのです。私はそのフォローアップ関係ではまだ聞いてないのだから、ちゃんと人の質問を聞いてきちっと答えていただきたい。この長期計画というのは当然七カ年計画を踏まえて出されるものだなと聞いているのでありまして、よけいなことは答えぬでよろしい。しっかり答えてください。
  19. 水野繁

    水野政府委員 お答え申し上げます。  五十六年度予算作業におきましては、現在フォローアップを続けております七カ年計画、これと整合性を保った予算を組むことになろうと思います。
  20. 上田哲

    上田(哲)委員 くどいことを言いませんけれども、私の聞かないことまで答えてくれているので、そうするとそっちに入っていかなければならないから三回ばかり、私の質問だけに答えてくれと言ったのですが、私の聞かないことまで一生懸命答えてくれているのは、そうすると、五十六年度予算編成に当たっては、その長期計画策定についてはフォローアップがなければ決まらぬということになるわけですね。
  21. 水野繁

    水野政府委員 先ほど経済企画庁の方からお答えございましたように、一月の下旬までにフォローアップ作業を終える見通しでございますので、それと同時に進めたいというふうに現在考えております。
  22. 上田哲

    上田(哲)委員 そんな無責任なことがありますか。五十六年度予算政府案はいつできるのですか。  席へ帰らないでいいですよ、時間がもったいない。常識を聞いているのだから。
  23. 水野繁

    水野政府委員 政府原案は本年暮れにできることになります。
  24. 上田哲

    上田(哲)委員 一月でなければできぬというのでしょう、さっきの話は。そうすると、五十六年度政府予算というのは十二月にできなくて一月にできるということになるのですか。
  25. 水野繁

    水野政府委員 フォローアップ作業、その間に素案をつくる作業が進んでいくはずでございます。それと整合性を保ちつつつくり上げていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 上田哲

    上田(哲)委員 だから具体的に聞いているのは、あなたの方は一月にならなければできないと言ったのです。この十を数える長期計画、これだけの大変な原資を必要とするこの長期計画が入ってなければ五十六年度予算はできないでしょう。できませんね。そうすると、それは一月までできないということになってしまうではないか。政府原案というのは十二月中につくるわけでしょう。それを、一月にならなければ成りません、フォローアップは一月ごろできるから、そのときを見計らってつくるのですということは矛盾しておるでしょう。そこをどうするのですか。
  27. 水野繁

    水野政府委員 お答え申し上げます。  現在、経済審議会におきまして鋭意フォローアップ作業を続行中とわれわれ聞いておりますし、現にその間でもって素案づくりを固めていくという作業段階になっております。片や予算も、現在のところもういろいろ作業に入っておりますから、整合性を保ちながらその間に原案をつくっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 上田哲

    上田(哲)委員 整合性は結構です。当然なことだと思うのです。  では、もう一遍質問を戻しますが、整合性をとってもらわなければならぬ、十二月中に政府原案をつくる、これはあたりまえのことですよ。そうすると、五十六年度政府予算の重要な部分を踏まえた立場で十二月中にフォローアップ素案というものが予算編成に値するところまで成熟しなければならぬということが整合性骨子になるわけですね。
  29. 水野繁

    水野政府委員 十二月中の素案、それを相当固まったところまで経済企画庁と共同いたしまして——経済企画庁と共同いたしましてというか経済企画庁が主体でございますけれども、政府原案に取り込めるほど相当しっかりしたものを固めていただくようにいま要請しております。そういうふうに進んでいただけると思っております。
  30. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。  もう一つ。そうしますと、五十六年度政府予算を十二月中につくるという従来のパターンからいって、もう非常に山場にかかっているわけですが、そのためには経済審議会におけるフォローアップというものが予算編成に十分に影響を与えるほどのしっかりした見直しが完了しなければならない、そこまではわかった。そうすると、そのフォローアップいかんによっては、これまでたとえば各省からの要求段階で築き上げられている姿と変わったものになっていく、つまりこれまで一つ常識としてわれわれが承認していた新経済社会七カ年計画上における十の長期計画のスタートとスタートラインが違ってくるということもあり得る、こういうことですね。
  31. 水野繁

    水野政府委員 従来外に示されております七カ年計画、これにつきましては今回フォローアップをしていただいているわけでございますけれども、その中に特に財政再建を図るための公共投資等につきましても、全体の経済バランス整合性を保ちながらどういうかっこうになっていくかということを鋭意やっていただいておりますので、そこのところが変わってくれば従来のものからフォローアップとしてはその分野に関する限り変わってくる、こういうふうにわれわれは考えております。
  32. 上田哲

    上田(哲)委員 予算編成の、つまり十の計画のつくり方というものがフォローアップの方に体を寄せる、こういうことになり得るということですね。——わかりませんか。ぼくの言い方が悪いかな。フォローアップということを前提にして変わっていくのだということですね、おっしゃっているのは。フォローアップによって変わってくるだろうということでフォローアップをいまながめているわけでしょう。
  33. 水野繁

    水野政府委員 フォローアップの方にも予算編成のいろいろのむずかしさ、現在の財政状況やなんかを考えていただいてフォローアップをしていただくわけでございますから、そこのところで両々相まって変わってくるというか、両方が整合性を保って組み立てられていく、こういうことを考えているわけでございます。
  34. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。それじゃ半分ずつだ。半分ずつでいいから、整合性というのをそういうふうにとらえるならそれも結構ですが、いずれにしても双方から歩み寄らなければならぬような状況にあるということだけはしっかり確認しておきます。そういうことですね。
  35. 水野繁

    水野政府委員 財政事情を特に七カ年計画フォローアップでもって、われわれの方としては経済企画庁にいろいろ申し上げておりますように、そういうことを加味されて、両々相まって五十六年度編成も行われるし、フォローアップも行われるもの、こういうふうに考えております。
  36. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一つだけ確認しておきますが、そうすると、今回のフォローアップはかなり基本的あるいは内容的な変更度といいましょうか、見直し点というものを持っているという見方、そしてそれによって整合性はあるけれども、予算編成についても長期計画編成についてはかなり影響を受けるのだ、こういうまとめでいいですね。
  37. 水野繁

    水野政府委員 今回のフォローアップにつきまして、七カ年計画そのもの、これにつきましては、七カ年計画当初考えました基本的な考え方、これは変わっているわけではございませんし、九月五日でございますか、経済対策閣僚会議におきましても、そういうふうなことは確認いたしております。したがって、その基本的な考え方範囲内において経済運営を示すものでございますので、流動的ないろいろな激しい、厳しい経済情勢、こういうものに対応する部分、ここのところが変わってくる、こういうふうにわれわれ了解いたしております。
  38. 上田哲

    上田(哲)委員 またもとに戻っちゃった。もう一遍聞き直しますが、そうすると、大蔵省がもう一月後に迫っている予算編成で注目をしているフォローアップというのは、中身が変わるか変わらぬかわからぬけれども、見直しという作業が終わらないうちは先へ進まないのだという範囲なのか、今回は予算編成当局としては、従来に比してもかなり変化があり得るだろう、だから、それがはっきりしないうちはできないのだというのか、どちらですか。
  39. 水野繁

    水野政府委員 七カ年計画でもって、エネルギー事情等に一段と厳しさが加わっておる、そういった国際情勢を踏まえまして、わが国の経済安定成長路線に乗せる、こういうふうなところに基づきまして計画をつくっていただいておるわけでございますが、石油関係国際情勢、そういったものでもっていろいろな事情は変わってきておる、しかも、財政についても非常な問題が出てきておるということでございますので、先生のおっしゃられる見直し基本的な精神の部分は変わりませんが、数字的な部分なんかについてはいろいろ変わってくる分野がある。その分野につきましては、経済企画庁にいろいろ申し上げ、個々のところでフォローアップをしていただいておるということでございますので、われわれの申し上げておる財政事情なんかも踏まえたところでフォローアップをお願いするし、そこでもって両々相まった整合性を保ったものをつくり上げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 上田哲

    上田(哲)委員 最後のところが大事なんです。フォローアップは今回はかなり大きな見直し点を持っているだろうという予測なのですね。
  41. 水野繁

    水野政府委員 財政分野が非常に厳しゅうございます。われわれ財政を預かる者といたしましては、従来のフォローアップ部分の特に財政分野についてはその厳しい事情を申し上げ、全体の整合性はどうしても保たなければいけませんが、その範囲内でもってこちらの希望を入れていただきながらフォローアップをしていただく、こういうふうに希望いたしております。
  42. 上田哲

    上田(哲)委員 そうすると、突っ込んで聞いてしまおう。二百四十兆というのはむずかしいと思っているのですか。
  43. 水野繁

    水野政府委員 現在のわれわれの見通しではきわめて厳しい情勢だと考えております。
  44. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。  それじゃひとつもとへ戻しまして——後でまた聞きます。二百四十兆の積算根拠を経企庁示してください。
  45. 白井和徳

    白井政府委員 公共投資の額につきましては、社会資本に対する国民のニーズに対応するという観点から、関係省庁からそれぞれ事業別ヒヤリングをしまして、それと同時に経済全体の姿とのバランスをとらなければなりませんので、いわゆる中期多部門モデルのシミュレーションを行いまして、その整合性の中でもって二百四十兆の規模を決めたわけでございます。
  46. 上田哲

    上田(哲)委員 全然答えてない。私は資料要求もしてあるのだし、積算根拠を問うと言っているのですから、そんなお経みたいなことを言わないで、ちゃんと答えなければだめですよ。時間がもったいなくてしようがない。
  47. 白井和徳

    白井政府委員 ただいま申し上げましたように、マクロ的に出しておるものですから、個別の積算根拠はございません。
  48. 上田哲

    上田(哲)委員 では私の方から申し上げますが、きのうまでにいろいろ資料もいただいて検討したわけです。いま御答弁のように、五十四年度から六十年度というのだけれども、年次別積算というのはないわけですね。部門別数字はあるわけですよ。これは結局各省庁からたくさん集めてヒヤリングもやったらしい。そういう中で全部足しちゃったらこんなになるわけだけれども、大体折り合ったところというところで部門別数字はつくってあるのだが、五十四年度、五十五年度、六十年度へという年次別数字は全然ないわけですね。  そこで、私の理解では大体三つぐらいにしぼれるのではないか。第一に部門別はあるけれども年次別積算というものはないのだ。それから第二に、五・五%と二百四十兆というものがトータルとして想定されている、そこから始まるのだ。第三に、用地費などを除いた公的固定資産形成は、五十三年度の二十兆九千億円から六十年度の三十三兆三千億までを見通している。それを引っ張れば六・九%になるわけだが、これだけがあるのだ。大体これが二百四十兆の実はアウトラインだというふうに理解していいですね。
  49. 白井和徳

    白井政府委員 先生御指摘のように年次別にはございませんし、基準年次中心にして実質六・九%という等率伸ばした六十年の姿、それからおおよそ二百四十兆円という公共投資累積額、これは幅を持って理解すべきものだというふうに考えております。
  50. 上田哲

    上田(哲)委員 つまり、私が大づかみにこういう骨組みだろうと言うところはそれでいいわけですね。  そうしますと、今年度の執行状況はどうなっていますか。
  51. 白井和徳

    白井政府委員 五十五年度でございますか。今年度でございますね。
  52. 上田哲

    上田(哲)委員 そうです。
  53. 白井和徳

    白井政府委員 二百四十兆というのは、先生御承知のように国民経済計算上の数字でございますので、まだ五十五年度の国民所得統計確定値が出ておりませんので、正確な、定かな数字はわかりませんが、大体一般会計予算公共事業費等から推計いたしますと、実質で大体二十・九兆円という試算が出ております。
  54. 上田哲

    上田(哲)委員 執行状況を聞いているのです。執行率を聞いているのです。二十兆九千億円はわかっているのだ。五十三年度から来ているのだから。だからそれは横ばいということでもいいのだ。ぼくが聞いているのは、五十五年度の執行率を聞いているのです。
  55. 廣江運弘

    廣江政府委員 九月までの予算契約率で五九・六%であると思います。さらに九月五日の経済対策閣僚会議で、この十二月までの契約につきまして対前年比三〇%というのが決められております。
  56. 上田哲

    上田(哲)委員 もうちょっとしっかり答弁してもらいたいのですね。私の方で言いますよ。  上期では五九・六%だ。しっかり聞いておいてくださいよ。総額を聞いているのじゃなくて、パーセンテージを聞いているのだから。五九・六%だ。九月五日の総合物価対策の中で十−十二の契約率を去年に比べて三〇%ふやしているから、したがって十二月末の執行率が七八・九%になる見込みだ、こういう数字でいいですか。
  57. 廣江運弘

    廣江政府委員 そのとおりです。
  58. 上田哲

    上田(哲)委員 そうしますと、上期の五九・六%というのは、これまでに比べるとやや抑制ぎみだ。一々答弁を求めていると時間がもったいなくなりますから私の方で申し上げるが、過去五年間ずっと見ますと、当初予算比で上期の数字というのが五十年六八・三%、五十一年六五・三%、五十二年七五・一%、五十三年七六・〇%、五十四年六六・七%、こうなっているから、この五年間のどの年度と比べても抑制ぎみだということになる。これはもう御答弁求めません。去年の十二月末の公共事業執行率というのが八二・五%、間違いでなければ。そうすると、ことしが七八・九%ですから、去年が八二・五%だということになると、ことしの場合はがんばる、ふやすといっても、去年より低いのだ。つまり、抑制ぎみでずっと来ているというこの傾向は、これでいいですね。
  59. 廣江運弘

    廣江政府委員 数字につきまして、いま詳細に言われましたことは、いまの時間で確認はできませんが、おおむねそういう傾向であったと思います。  それから、先生の言われました最後の点でございますが、十二月までの全体で見てそうだということにつきましては、言われるとおりでございましょうが、経済に対する影響は、やはりそれはそのとき直前の時期にどの程度の契約をやったかということも勘案して考えなければいけないと思います。
  60. 上田哲

    上田(哲)委員 そんなことは別に聞いていないのですよ。数字というのは厳正なものだから、その数字がどんな波及効果を及ぼすかというようなことは、これはこれから政治論になってくるのだ。そんなよけいなことは言わなくてもいいのですよ。パーセンテージはずっと抑制ぎみでここまで来ているのじゃないか。そういうことを確認してもらいます。  では、ちょっとほかの話にいきたいのです。五十四年度の場合は、年度末で補正後の執行率が九三・七%だ。今年度に六・三%繰り越しになっているわけですね。ことしはどうなるでしょう。繰り越しはどうなりますか。
  61. 廣江運弘

    廣江政府委員 五十五年度の繰り越しはどうなるかというお尋ね、五十五年度は十−十二月までの契約率はすでに九月五日に決めましたですが、来年の一月−三月につきましては、この十二月に決めるということになっておりますので、その辺はどうなるかはお答えいたしかねます。
  62. 上田哲

    上田(哲)委員 それじゃ経企庁勤まらないじゃないですか。ずっといままで五年間比べても、全然抑制ぎみで、低くなっているわけですよ。だから、いま数字は間違いないかと確認したのでありまして、それが契約時がどうなったかという波及度の問題は別問題なんだ。それでいくと、予算執行の問題としては、この五年間をざっととらえてみてもずっと低くなっていて、そして去年は六・三%繰り越しになっているのだから、それよりも低いことしは、来年度に向かってそれだけの繰り越しというのは上回るはずだと思うのだ。大蔵省どうですか。
  63. 西垣昭

    ○西垣政府委員 お答え申し上げます。  ただいま企画庁の方からお答えになりましたように第三・四半期の契約がいま行われているところでございまして、第四・四半期の契約をどうするか、どうなるだろうかというのはその後の問題でございまして、繰り越しがどうなるかというのは、さらにその後になりますので、いまの段階では何とも申し上げるわけにはいかないということでございます。
  64. 上田哲

    上田(哲)委員 それは驚いた。これから冬になるわけです。公共事業というのは、この最後の四半期でぐっと上がるというのは常識的にはないのですよ。これを先のことはわからぬと言われたら議論してもしようがないのだけれども、常識的にはそうなるはずなんだが、これはひとつここで大臣にお伺いをしたいのですが、ここで執行率をここまで下がっているものをぐっと一気に上げるということになると、これは具体的にはどういうふうな決意なり方法でこの執行率を上げるということになり得るのでしょうか。私は常識的に伺っているのですが、非常にむずかしいのじゃないか、それならばそれで繰り越しということもあり得るのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 河本敏夫

    河本国務大臣 当初からずっと質疑応答を聞いておりましたが、若干当初からの問題点に関連してのお話をしたいと思います。  いまの国の長期計画に二つございます。一つは、昭和五十二年末につくりました第三次全国総合開発計画、三全総と呼んでおるものでございますが、これはおおむね昭和六十五年前後までの十年余りのわが国の国土開発計画を決めたものでございます。それからもう一つが、いま御指摘ございました昨年の八月に決めました経済社会七カ年計画、この二つが政府の持っております長期計画でございますが、これは大体大勢としてのわが国の進むべき方向、経済運営、これを示したものでございまして、細かいところまでは実際は決めていないのです。でありますから、たとえば七カ年計画等につきましては、毎年の経済の実情を見ながら決めるということにしておりますから、平均の成長率は五・五%、それから平均の消費者物価は五%と、こう想定しておりますけれども、昨年は経済成長目標を六・三%、それから物価を四・九%、このように目標を置きまして経済運営をいたしました。ことしは第二次石油危機等が起こりましたので、条件が悪いというので成長率を若干下げまして四・八%成長、それから物価の方は六・四%、このように目標を置きましていま進めております。来年の目標につきましては来月早々決めたい、こういうことでいま作業をしておりますが、七カ年の平均にできるだけ近づけたい。これを目標にいたしまして鋭意努力をしておる最中でございます。  それから予算編成につきましては、昨日の政府・与党連絡会議で従来のやり方を変えまして、従来は重要項目は予算編成の最終段階で決めることになっておりましたが、今回は財政事情等も窮屈でございますから、予算編成の初めの段階で重要な項目については大体政府と与党との間で合意をつくり上げておこう、それを基準にして作業をやりましょう、こういうことになったのでございます。そういうことになりますと、いよいよどうしても予算編成の初めの段階経済見通しも決めなければなりませんので、先ほど申し上げましたように十二月の初めには来年度の経済運営見通しというものを相談をしたい、このように考えております。  一方で、七カ年計画の二百四十兆円という社会資本投資を中心としてフォローアップ作業を続けておりますが、もう大分前から作業をしていただいておりますので、大体の方向はいま出つつあると思います。したがいまして、いま大蔵省から御説明ございましたように、現実に作業が進んでおりますから、その現実に進んでおる作業大蔵省作業との間に整合性を持たせながら予算編成を進めるということは、これは十分可能だ、このように考えております。  それから、いま御質問のございました点でございますけれども、不況対策を進めておりましたときには、大体上半期に七五%見当の公共事業契約しておりましたが、ことしはいま御指摘がございましたように五九・五%でございます。それを第三・四半期大分馬力をかけて七八・九%まで持っていく、こういう目標にしておりますが、さてそれでは第四・四半期の分をどうするかということにつきましては、来月早々来年の経済運営を決めますときに関係各省の間で経済の現状等を分析しながら相談をして決めたい、このように考えております。
  66. 上田哲

    上田(哲)委員 最後のところだけちょっと伺いますが、そうすると、いまの数字から言うとさまざまな努力はなされるでしょうけれども、去年だって六・三残るわけですから、常識的に考えてことしはそれ以上の繰り越しということになるだろうと思うのですが、いかがですか。
  67. 河本敏夫

    河本国務大臣 去年大幅に公共事業を本年度に繰り越しましたのは、去年は景気が大変よろしゅうございまして、民間の設備投資も相当盛んになりました。したがいまして、公共事業は予定どおりやらなくても、少々延ばしても景気の維持は十分できるであろう、こういう判断が一つと、それから五十五年度の財政が相当窮屈になるであろう、そういうこともございまして、約六、七%のものを五十五年度に繰り延べたわけでございますが、ことしの現在の経済事情は去年のいまごろに比べますと非常に厳しい状態になっております。たとえばことしの初め、産業全体の操業率はおよそ九二、三%まで上昇しておりました。理想的な状態になったと思っておりましたが、最近は十月段階で八三・六%まで低下をしております。それから、企業の倒産等も十月の段階では千六百六十八件ということで、昨年に比べまして相当ふえております。金額などは非常に大きくふえておりますが、とにかく昨年のいまごろに比べますと景気の動向は相当警戒すべき状態になっておる。  こういうことでございますので、そういうことを背景に考えながら、ことしはどこまでこの公共事業をやるべきかということについて相談をすることになりますが、景気の現状から考えますと、できるだけ公共事業は積み残しをしないようにことしはやっていく方向で相談をするということになるのではないか。私といたしましてはそういう方向を期待しておりますが、これはこれから関係各省の間で相談をいたしますので、もうしばらくの間かかろうかと思っております。
  68. 上田哲

    上田(哲)委員 御答弁よくわかるのですが、何か非常にくどくて申しわけないけれども、しかしやはりむずかしいのじゃないかと思うのですが、それは断固として完遂というのがいまの段階での答弁なんだということになりましょうか。
  69. 河本敏夫

    河本国務大臣 たとえば九月五日に、十月から十二月までの公共事業の執行を昨年に比べまして三〇%アップ、そういうことにしましょう、こういうことを決めました。しかし、十月一日からその作業を始めたのでは、いま御指摘がございましたようになかなかむずかしい。そこで、九月の五日にそういう基本方針を打ち出しますと同時に契約の準備にかかりまして、契約そのものは十月一日以降になりますけれども、また金の出るのも十月一日以降になりますけれども、準備をどんどん進めておきますと非常に促進されるわけですから、そういう意味で作業そのものは九月の初めから進行させた、こういう例がございます。したがいまして、十二月の初めの段階で一−三月の公共事業執行率が決まりましたならば、必要に応じて九月にとりましたような、そういう作業方法も可能か、このように考えております。
  70. 上田哲

    上田(哲)委員 では二百四十兆の問題にまた返りますけれども、百歩譲って、これが完全執行されたというふうにしたとして私は議論を進めたいと思うのですが、五十四年度、五十五年度いずれにしても横ばいであって五十六年度もまあ大体そんな感じだということになりますと、七カ年のうち三カ年というのは横ばいである。二百四十兆のうち用地費などを除いた公的固定資本形成が二十兆九千から三十三兆三千までずっと見ていくと百九十二兆七千億になると思いますが、比例してその中のいわば中心となる公共事業、その公共事業がこういう形で進んでいくということになると、当然その総体としての二百四十兆というのを完遂するというか達成するということは非常に数字的にむずかしくなる。端的に言えば、そこが六・九でいかなければならなかったものがずっと横ばいになっているのだから、後はぐっと上がっていかなければならないことになると思うのですね。私の方で計算してみると、あとの四年で三倍近いカーブを引かないと達成できないことになる。だから、これは非常にむずかしい局面に立っているというふうに考えるのですが、大臣いかがですか。
  71. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお述べになりましたように、二年間据え置きが続いておりまして、来年度のことにつきましてはこれから相談をするわけでありますからわかりませんが、あと五カ年でとにかく二百四十兆円を完全に遂行するということになりますと相当厳しい条件になります。たとえば昭和五十二年度の予算では公共事業は二十数%ふやしました、五十三年度の予算ではもうこれ以上はやれないというところまでやりまして三十数%ふやしましたが、その見当のスピードでやればそれは残る五カ年でやれないこともないと思います。しかしながら、量そのものは五十二年、五十三年で相当ふやしておりまして相当膨大な量になっておりますから、その当時のようにはなかなかいかぬのではないか、こういう感じもいたします。  そういうことを総合的に考えながらいまいろいろ作業をしていただいておりまして、もうしばらくすれば大体のアウトラインがつかめるのではないか、こう思います。予算編成に間に合うように大体のアウトラインをつかみたい、こう考えておりますが、その結果によってどのように判断をいたしますか、そこは実情に合ったように判断をしていかなければならぬ、このように考えておるところでございます。
  72. 上田哲

    上田(哲)委員 大綱のところはわかりましたので、もうちょっと事務当局を含めて詰めておきたいのですけれども、その公的固定資本形成が、さっきから問題にしております五十三年の二十兆九千、それから六十年の三十三兆三千、六・九%、これでずっと計算をすると百九十二兆七千億円という数字になるはずですけれども、それで間違いありませんか。
  73. 白井和徳

    白井政府委員 五十三年をベースにしまして等率六・九%で累積額を出しますと、先生のおっしゃるとおりでございます。
  74. 上田哲

    上田(哲)委員 これは言うまでもなく五十三年度価格でありますが、お認めいただいたように百九十二兆七千億ということになる。ところが五十四年度の公的固定資本形成は国民所得統計速報では、実質で五十三年度よりもふえるどころか減っているわけですね。今年度についても、第一・四半期では実質マイナスが続いている。こういう数字が具体的に出てまいりますと、これは大臣、先ほどのお話は方向、原則論として私は理解しますけれども、もはやこの数字の中では、五十六年度もほぼ横ばいなんですから、そうすると七年のうちの前半分とでもいいますか、そこのところは見通しがつくのであって、二百四十兆をなお完遂するのだ、目指すのだということを前提にしていると、これは後半、あと四年間で本当に激しく高い伸び率ということになる。これは、たとえば、このままいけば、いわば日本列島改造論のときのような状況をすら想定しないと、この伸び率は見通すことができないという状況にならざるを得ないと思うのです。非常にむずかしい状態に来ている。私は、これは見直し段階ではないかと思うのですが、いかがですか。
  75. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、五十二年、五十三年のようなスピードでやれば、やってやれないことはないのです。しかし、その当時とは経済の実情、財政の実情も若干変わっておりますし、実情に合ったようにするのには一体どうすればいいのかということについて学識経験者、専門家にいま検討していただいておりますので、皆さん一生懸命いま作業をしていただいておりますときに私があらかじめ結論めいたことを言うのはいかがか、こう思いまして申し上げないのでございますが、もうしばらくしますと大体の方向が出てまいります。そこは総合的に十分、日本にとりましていま一番いい方向を判断したい、こう思っております。
  76. 上田哲

    上田(哲)委員 現時点での判断というのは、理解できないことはありませんから、表現について私は注意深く御答弁をいただければいいと思いますけれども、私の申し上げたことは大体お認めをいただいているのであって、ほかの言葉で言えば、やはり二百四十兆を目指していくという考え方については今時点では根源的な見直しをしなければならないところに来ている。そして、これはこの七カ年計画の特徴である一年ごとの見直しという中で具現化されるであろうから、近々のフォローアップの発表にはそうした問題がきちんと整理されてくることになるだろう。つまり、少なくとも検討テーマとしては二百四十兆それ自身の見直しが爼上に十分上るべきテーマであるということになるわけですね。
  77. 河本敏夫

    河本国務大臣 作業をやっておる最中でございますから結論めいたことはいま申し上げませんが、とにかく実情に合わせて一番いい判断をしたい、このように考えております。
  78. 上田哲

    上田(哲)委員 では、ちょっと質問を変えます。  余り言葉を取りつけることが大事ではありませんが、たとえば大蔵省のことし一月の「財政収支試算」を見ますと、六十年度の財政の姿というのが、公的固定資本形成を六十年度価格で四十五兆円を前提としているわけですね。これは数字が出ているわけです。これを前提として描かれている六十年度の財政の姿である。私が計算いたしますと、二百四十兆円を達成しようといたしますと、六十年度の公的固定資本形成は五十三年度価格で四十二兆六千億円になります。どういう数字であるか、ひとつ確認してくださいね。六十年度価格にいたしますと五十七兆五千億円となります。これは私どもの計算なんです。そうすると、五十七兆五千億円ということになるのだが、大蔵省の描いている六十年度の財政の姿ではこの公的固定資本形成が六十年価格で四十五兆円。まさにこれは乖離なんですな。まさにこの七カ年計画の中に指摘されている現実と計画の乖離、姿のすれ違いになるわけですよ。  言葉をかえて言いますと、これは大蔵省に聞きますが、七カ年計画そのもの、二百四十兆そのものが年次計算はないのだということははっきりしたわけだけれども、それにしても二百四十兆ということのトータルを見ているはずなんだから、大蔵省計算では途中が全部すり抜けてしまって六十年度に四十五兆というのがぽんと置かれていることになるわけですね。それでは足りないわけですよ。つまり積み残しを載せていかなければならないわけだから、それを残していかないという形にしているのは計画としての整合性も欠いていることになる、つまりこれは二百四十兆円を除外しておる、考慮の中に入れておらぬ、もっと厳しく言えば、もうすでに否定しているという姿にしかならないはずですね。そこはどうですか。
  79. 西垣昭

    ○西垣政府委員 お答え申し上げます。  ほかの委員会から突然飛んでまいりましたので、私は数字を持ってきておりませんので考え方だけちょっと申し上げますが、二百四十兆につきましては、七カ年における公共投資累積額でございます。私どもの収支試算で計算しておりますのも、その考え方に立ちまして六十年度の姿を描き、その間の姿を描いているわけでございまして、その点の乖離はないというふうに理解しております。
  80. 上田哲

    上田(哲)委員 そんなことを言っちゃ困るのだ。これはあなたの方が四十五兆と出しているのですよ。ですからその四十五兆では、六十年度価格だったら私の方で計算すると五十七兆にならなければ二百四十兆にならないのですよ。だから、それでは二百四十兆をすでに基本計画としては否定していることになっているじゃないか。まあおわかりにならなければしようがない。  大臣、ひとつここ詰めたいのですが、先ほど来の御発言で、私は大臣の胸のうちはよく理解をしました。しかし、たとえばこういうところはもう抜き差しならない問題になっていると思うのです。私は、大げさに内閣の不統一だなどということまで言うつもりは全然ないのですけれども、少なくとも現実と計画の乖離というのはこういうところにあらわれている。大蔵省計算どおりでは二百四十兆はすでに否定されてしまうのですね。少なくともこれは大蔵省自身がこの一月に出された「財政収支試算」なのですから、責任を負っていかなければならない。六十年度にはこういう姿だということを言っているわけです。六十年度に六十年価格の四十五兆円であっては公的固定資本形成は足りないのですよ。二百四十兆は否定されたということを花火を打ち上げていることになるわけです。これはこれからフォローアップで修正されるのだということになるのでようやくつじつまが合うのでありまして、大臣、ひとつずばりお伺いするのですが、やはりこの二百四十兆そのものをどうしても圧縮、縮減をしなければならないところへ来た、公共事業あるいは公共事業費のみではなくて他の方法も勘案するということは当然あり得るでありましょうけれども、少なくともこの二百四十兆というのは圧縮すべきが先ほど来言葉が出ております整合性にかなべものだ、この判断を持ってフォローアップに臨まなければならないというのはひとつお認めをいただけると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  81. 河本敏夫

    河本国務大臣 一番当初に事務当局から御説明いたしましたように、最終のフォローアップの細かい数字は一月になろうかと思うのです。しかし、おおよそのアウトラインは、先ほども申し上げましたように、来月早々来年の経済運営を決めますので、その時点でおおよその見当は大体明らかになると思います。そうしませんと財政との間に整合性を持たせるということがむずかしいわけですから、その詰めをいま関係者の間でやっておる最中でございますから、その最中に私が結論めいたことを言うのはいかかがと思い思いますので、もうしばらくお待ちをいただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  82. 上田哲

    上田(哲)委員 これは私たちも今後の予算論議を進めるために非常に大事なことでありますから、私の問いに対して反応をひとつしっかり出していただければ結構ですが、私は、断固としてこの段階で二百四十兆を完遂ということの基本方針を変えないのか、それともここで縮減、削減という方針をとるべきかというのであれば、その二つしかないわけですから、フォローアップの中では当然縮減の方向で作業を進められて結論を出さるべきだ、こう思います。したがって、二つに分けてお伺いしますけれども、このフォローアップで、現在の大臣の政治判断として、作業は進めておることだけれども平板な作業ではないのであって、二百四十兆はすでにその基礎とするよりも縮減の方向に向かうべきであるというふうにお考えになっておると私は理解していてよろしゅうございますか。
  83. 河本敏夫

    河本国務大臣 私も繰り返して大変恐縮でございますけれども、五十二年、五十三年のような公共事業の進め方をやればやってやれぬことはない、こう思います。しかしながら、経済の実情も変わっておりますから、そこは学識経験者に、一体どうしたら一番いいのかということをいろいろ作業をしていただいておるわけです。わが国にとりまして総合的に判断いたしまして一番いい方法を、そのあらかじめの作業を見まして関係各省の間で相談をする、そういう段階でございますから、いまこうするのだ、ああするのだという結論は私から申し上げるのはちょっと早い、いましばらくお待ちをいただきたい、こういうことでございます。
  84. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一つ。そうすると、フォローアップの中で二百四十兆の縮減見直しということをやはり重大なテーマとして検討は進めている、結論のところはまだ云々できないというので結構ですが、縮減ということをテーマとして検討は進めているということでよろしいですか。
  85. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは非常に大きな課題でございますので、やはり最終段階では、政府部内はもちろんでありますが、与党ともよく連絡、相談をいたしまして判断をしなければなりません。やはり一部には、私が先ほど申し上げましたように、五十二年、五十三年方式でやってやれぬことはないじゃないか、せっかく一年間作業をやってその上で去年の八月に決断したばかりだ、だから万難を排してやるべし、こういう意見も意見として残っているわけでございます。しかしながら、一方におきまして、情勢も変わっておる、だからやはり実情も考えて別の方法も検討すべきではないか、こういう意見もあるわけです。その二つの意見がございますから、その二つの意見をどのように調整するのが一番よろしいかということについて最終判断を来月初めにはしたい、こういうことでございます。
  86. 上田哲

    上田(哲)委員 よくわかりました。  あと一つだけ。前回のフォローアップでは二百四十兆の見直しということはなかったが今回はそのことがテーマになるということは理解してよろしいですね。
  87. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりであります。
  88. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。精いっぱいの御答弁をいただきましたのでその点については了解をいたしました。一カ月後に予算編成が迫っているわけだし、大蔵省は明らかにそこのところを越えなければ予算編成できないわけでありますから、いまの大臣の御見解は精いっぱいのところであって、また経済審議会の事実上の責任者であられますから、非常に大きい意味として私は理解をいたしました。  そこで、この七カ年計画は租税負担率を五十三年度の一九・九%から二六カ二分の一にふやそうとしているわけであります。二百四十兆というのはいま大臣のお答えにありましたように非常に大きな問題があるわけでありまして、この二百四十兆が見直される、削減されるということになれば、当然逆論理として二六カ二分の一というのが見直されるということになるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 白井和徳

    白井政府委員 租税負担率二六カ二分の一でございますが、これは国民経済全体に占める租税の割合でございます。財政再建のあり方をいまフォローアップの中で検討中でございますので、その結論を待って判断したいと思っております。
  90. 上田哲

    上田(哲)委員 つまり二百四十兆というのは私は変更されると思っているわけですよ。そうすれば二六カ二分の一というのは変わるだろうと言っているのです。
  91. 白井和徳

    白井政府委員 二百四十兆は御承知のように建設公債を中心にしておりまして、財政再建というのを狭義に解釈いたしますとこれは特例債からの脱却であるというふうに考えますと、国債全体の量は減らして国民経済的に政府の収支バランスを改善するということと租税負担率とは密接な関係はありますけれども、直接な関係がどのくらいあるかということにつきましてはフォローアップの中で慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  92. 上田哲

    上田(哲)委員 フォローアップの中で検討するということで、そこのところはそうしておいて、問題を変えますと、この二六カ二分の一という根底には一般消費税があった。これはこの前のフォローアップで撤回したわけですね。これは理解を得られなかったと書いてあるのだが、これは撤回という意味であることをもう一遍確認してよろしいですね。
  93. 白井和徳

    白井政府委員 フォローアップにおきまして白紙還元いたしました。
  94. 上田哲

    上田(哲)委員 白紙還元すると二六カ二分の一が不可能になるのじゃないですか。
  95. 白井和徳

    白井政府委員 租税負担率ということでございますので、税目につきましては財政当局を中心にして今後検討を進められるというふうに考えております。ただ、国民経済全体における財政の再建のあり方あるいは国民経済における雇用、物価全体を判断して租税負担率を決めておりますから、それが直にそういうものに結びつくかどうか、これは財政当局を中心にして検討されたいというフォローアップ報告をいただいているわけでございます。
  96. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっとよくわからぬ。大臣、ここはずばっといきたいのですけれども、一般消費税がなくなったということになると二六カ二分の一というのは私は変わるべきだと思うのですね。依然としてそれが続くのであれば、これは国会決議で白紙撤回したのだけれども今回の税調の答申でまた形を変えてそういうものが復活をするということで二六カ二分の一になるのか、縮めてしまった質問なんですけれども、そこのところを御説明いただきたいのです。
  97. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は七カ年計画の実際の作業は昨年の一月の段階でもう終わっておったのです。一月の段階で正式に政府と与党で決定をしようという作業を進めておりましたが、その後六月に東京サミットが開かれる、そこでエネルギー問題が議論される、しかもイランの動乱からエネルギー事情が相当急変をした、だから東京サミットの最終決定を待って決めましょうということで八月に決めたのでございます。そういうことで作業は五十三年にやったわけですね。その時点では景気の回復が五十四年以降あんなに急速にスピードアップするというようなことは考えていなかったわけで、したがって、税の自然増収などもそんなに出ないだろうとその時点では思っておったわけです。ところが、昨年の初め以来景気が急上昇いたしまして、予算編成当時にはもう五兆前後の自然増収が期待できると、そういうところまで経済がよくなってまいりました。  そこで、作業をいたしました当時には、租税負担率は五十三年ごろは一九%ぐらいでございましたが、相当大規模な増税をしまして二六・五%まで持っていこう、その増税の中心が一般消費税である、こういうことを考えて二六・五%という数字を想定いたしました。しかし、その後景気が回復をいたしましたので、税制を変えなくても、増税をしなくても、現在すでに租税負担率は二二%くらいまで来ておるのではないか、こう思います。ここらあたりのことは詳しい数字はわかりませんが、大蔵省の方でまた後刻御説明があろうかと思います。  そこで、景気の状態がよいといういまの姿がずっと続きますと、現行税制のもとでもさらに租税負担率は相当急上昇するのではないか、別に大規模な増税をしなくても相当急上昇するであろう、私はこのように考えております。経済運営いかんにかかっておる、こう思います。  しかしながら、一方におきまして、数日前に政府の税制調査会から大蔵大臣に対して新しい答申がなされております。財政再建についての答申でございますが。それを今後政府がどのように扱うのかということは未定でございますし、それから経済運営そのものもまだ未定でございますから、したがって、いま作業中であります新七カ年計画全体のフォローアップ作業の中におきましては、租税負担率が二六・五%になるのか、あるいはそれ以下になるのか、それ以上になるのか、そこらあたりも未定でございまして、あわせて議論の対象になろうか、このように考えております。
  98. 上田哲

    上田(哲)委員 二六カ二分の一もフォローアップの中で対象になるということでございますね。  そうしますと、もう一つ、いまの税調の答申は七カ年計画の中に取り入れる方向なのでございますか。
  99. 河本敏夫

    河本国務大臣 数日前に出ました大蔵大臣に対する政府税調の答申は、一体この取り扱いをどうするかは全くの未定でございます。単なる答申である。それをどうするかということについては、これから予算編成作業を通じて、その間にある程度決定されるであろう、こう思っております。
  100. 上田哲

    上田(哲)委員 裏返してお聞きしたいのですが、去年の国会決議からすれば、今回の税調の答申というのは、取り入れることができないという拘束力と申しましょうか、モラルと申しましょうか、流れとして私たちは理解をしているのですが、取り入れることもあり得るわけですか。
  101. 梅澤節男

    梅澤政府委員 お答え申し上げます。  この七日に政府税調から中期税制の答申をいただいたわけでございますけれども、政府税調の御審議では、国の一般会計が五十九年度までに特例公債から脱却するためには、自然増収だけではなかなか苦しいのではないか、ある程度の負担増をお願いしなければならない。その選択肢といたしまして、現行税制について考えます場合には、やはり課税ベースの広い税目ということで、所得税、法人税等も検討していただいておるわけでございますけれども、その中の一つの選択肢といたしまして、広く消費に着目した、「課税ベースの広い間接税」という表現をなされておりますが、あそこの部分を丹念にお読み願いますと、先ほど上田委員が御指摘になりました一般消費税、仮称でございますが、あの一般消費税につきましては、五十四年末に国会の御決議もございました、それから、各方面からいろいろな御批判とか御意見がござい・ましたので、その点については十分配慮をして、新しい観点から諸外国のいろいろな税制の例あるいは沿革などを考えて、日本に最も適した仕組みを検討しようということになっておりまして、いわゆる一般消費税については、税制調査会の御審議の過程におきましても、断念と申しますか、新しい観点から今後具体的な仕組みを検討していく、そういう方向になっております。
  102. 上田哲

    上田(哲)委員 大臣、そういったような考え方で七カ年計画にこの答申が受け入れられるという可能性もあるわけですね。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまのところは全く未定でございまして、これからの議論の対象になろうかと思います。
  104. 上田哲

    上田(哲)委員 大蔵省はああいうふうに言っているわけですから、可能性としては否定できないわけですか。
  105. 河本敏夫

    河本国務大臣 課題にはなろうかと思います。
  106. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。  大蔵省にもう一回聞きたいのですが、そういうときの下敷きになっているのは自然増収の見積もりの問題なんですね。五十五年度もそうだったのだが、大蔵省はどうも低目に見積もっておる。五十六年度はどのぐらいに見積もるのですか。
  107. 梅澤節男

    梅澤政府委員 現時点で五十六年度の自然増収額、税制の改正がない場合に経済の動向によって自然に入ってくる税収額が幾らかということを確定的に申し上げる段階にはないわけでございます。と申しますのは、五十五年度の税収が一体幾らになるのかということでございまして、現在まで、九月末までの税収しかまだ判明いたしておりませんので、今後この五十五年度の税収を詰めまして、あと来年度の経済見通しとかいろいろなものを参考にしながら年末までの段階で詰めていく、こういう段階でございます。
  108. 上田哲

    上田(哲)委員 五十六年度は五十五年度に比べて名目、実質ともにパーセンテージが伸びるのですから、五十五年度の四兆五千億よりもプラスアルファということになるだろうというのは大体の常識なわけですね。どうも、それを小さく見積もって、それでそういう増税というところに持っていこうというふうにわれわれは受け取らざるを得ない。これはひとつ経済通ナンバーワンの河本大臣にぜひ胸襟を開いていただきたいのだが、前回も大変ずばり四兆五千億というような数字等々を推定されたわけですけれども、どうも大蔵省のそういう数字は私は納得できないのだが、河本大臣としていまのところ、経済専門家という立場でも結構ですが、今後の自然増収ですね、先ほど来いろいろ問題になっているフォローアップ、そのマイナス面を補うという面からいっても、自然増収はいまどのくらいに見積もったらよろしいのでしょうか。
  109. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は、昨年は経済が上昇期でありましたので、八月ごろの段階におきましてもあのように経済が急上昇すれば少なくとも税の自然増収は五兆前後あるであろうと、こういう想定はある程度確信を持って言うことはできましたけれども、しかし、現在の経済は昨年と違いまして問題が相当多いわけであります。冷害とか中東戦争とか、あるいは住宅投資の不振とか中小企業関係の投資の減少とかあるいは在庫調整のおくれとか、いろいろ問題が山積をしておりまして、大蔵省はゼロリストをつくられますときに、四兆五千億の税の自然増収があるという、そういう想定のもとにゼロリストをつくっておられますけれども、いまの経済段階では、今後の経済運営いかんによっては四兆五千億も可能だと思いますし、あるいはまた四兆五千億プラスアルファという数字も可能だと思います。しかし、いまのままほうっておいたのでは、果たして大蔵省の言っておられるような四兆五千億という数字そのものすら確保できるかどうか、若干の疑問があるのではないか。でありますから、これからの経済運営いかんによりまして四兆五千億プラスアルファも期待できますし、あるいは四兆五千億マイナスアルファになる可能性もある。そこで、来月早々には来年の経済運営を一体どうしたらいいのかということを関係各省で相談をしたい。その相談ができますと大体の自然増収の見当はつこうと思いますが、現時点では経済運営そのものが決まりませんので、はっきりした数字を申し上げる段階ではない、去年とは相当さま変わりの状態になっておって警戒すべき条件が相当ある、こういうことでございます。
  110. 上田哲

    上田(哲)委員 その四兆五千億プラスアルファの因子となるべきものは何ですか。
  111. 河本敏夫

    河本国務大臣 つまり経済の活力をことしよりもさらに強化していく、そういう方向の経済運営をすれば、ことしはGNPの規模が二百五十兆という数字になっております。まだ来年は未定でありますけれども、大体二百八十兆前後になるのではないか、こう思いますが、そういう非常に大きな国民経済の規模でありますから、ちょっとした経済運営いかんによりまして相当大規模な税の自然増収も期待できますし、あるいはまた逆に大規模な減収になってしまう、こういう場合も考えられる、こういうことでありますから、やはり経済運営そのものがキーポイントである、このように考えております。
  112. 上田哲

    上田(哲)委員 経済の活力というところに因子を求められた、まさにそこがポイントであると私は思うのですね。ところが、世上言われているのは経済のかげりなわけであります。そのかげりを活力にどう変えるかというところが経済政策運営のポイントになっているのだというふうに理解をしたわけでありますけれども、そうしますと、私どもが納得できないのは、九月の中間決算で大企業が空前の増収、増益である。増収、増益で景気のかげりということは出てこないわけでありますから、そういうことで言うと、かげりがどこにあり、そしてそのかげりをどういうふうな活力に変えるかということになると、これは個人消費の落ち込み、これをどうするか。そして、それが中小企業の売り上げ不振につながっている、あるいは実質上の勤労者の増税になっている、ここを変えていく以外にないだろうと思うのですね。そういうことでよろしいのですか。
  113. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の景気のかげりは大企業の決算を見る限りにおいてはなかなか考えられないのですけれども、しかし、大企業の場合は二、三年前の不況の経験にこりまして、いま減量経営を完全にできるように体質改善をしておりますので、減量経営の場合でも莫大な利益を上げることが可能になっている。体質がそっくり変わっている。大体出ております銀行などの統計は、大企業の決算あるいは大企業の投資計画、これが中心になっておりますから、非常にいいように思うのですけれども、しかし、先ほどもちょっと触れましたように、十月の倒産などを見ましても、昨年に比べまして激増しておりますし、それから中小企業の投資計画などは相当冷えておる。また、一面、住宅不況あるいは消費不況と言われるように消費と住宅に問題がある。こういう状態でございますから、問題点、かげりは一体どこから起こっておるのかということをよく分析をいたしまして、それに対して適切な対策を立てなければならぬ、こう思っております。
  114. 上田哲

    上田(哲)委員 つまり数字で見る限り大企業はかげりじゃないわけですから、活力というのはかげりの部分に照射しなければならぬ。そうすると、しぼって申し上げると、たとえば中小企業の場合、いま税制改正で考えられているところで言うと、法人税の中小企業の優遇課税というものが切り下げになる方向をとられる、これは逆さまではないか。中小企業の諸経費の課税強化というのは逆さまではないか。こういうところを改善をするというか逆さまを向かせないようにする。  もう一つは、いまの実質増税ですね。その具体的な数字は言うまでもないわけですから、その実質増税、これを改定していかなければならない。これは物価調整減税ということが出てこなければならないだろう。この二点にしぼっていったら、さっき大臣の言われる活力を求めるということはここに来る、こういうふうになりませんか。
  115. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業対策全体ということになりますとこれは通産省の問題でもありますし、それから中小企業に対する課税の問題ということになりますと大蔵省の問題でもございましょう。しかし、経済全体を預かる経済企画庁の立場から申しますと、中小企業対策というものはもう九〇%までが景気をよくすることによって解決できる。つまり、仕事さえしっかりやればこれは大抵の問題は解決するわけです。仕事がなくて幾ら補助金を出しましても、税制を緩和しましても、利益が出なければ税金は納めないわけでありますから、だから大部分は景気をよくして中小企業に対して仕事を確保するというところにあろうかと思います。税制の問題につきましては、これは財政再建との関係等もございますから、やはり総合的に大蔵省と通産省の間で御相談があろうかと思います。  それから、所得減税の話が出ましたが、これがいまやれるような財政事情でありますと大変いいのですけれども、いまの財政事情は残念ながらそういう状態にはない。ここに問題がございまして、そういうことを認識しながら、問題点を解決するのには一体どうしたらよいだろうかということをいま相談しておる最中でございます。
  116. 上田哲

    上田(哲)委員 簡単に繰り返しますが、税制改正の中で法人税の中小企業優遇措置を切り下げるということはやはり逆方向じゃないかという点は、それでよろしいですか。七カ年計画の立場から、大臣に。
  117. 梅澤節男

    梅澤政府委員 税制のサイドからの問題に限定して御説明申し上げますが、これは先ほど申し上げました税制調査会の答申でも、中小企業のいわゆる中小法人に対する税制の問題がかなりの時間をかけて御論議を願っております。御承知のとおり現在基本税率に比較いたしまして軽減税率というものが一定の幅で設けられておるわけでございますけれども、税制調査会の御審議の過程では、現行の中小法人の税率と、いわゆる一般法人の基本税率の格差はむしろ縮小する方向で検討すべきではないかという御指針をいただいております。
  118. 上田哲

    上田(哲)委員 大臣、それは逆ではないかと思うのですが、いかがですか。逆であるべきではないか。
  119. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはいろいろな意見があろうかと思うのです。ですから、いまのところは何も決まっておりませんので、これからそういう問題を含めまして、今度は自民党の税調でそれを議論していく、こういうことになろうかと思います。
  120. 上田哲

    上田(哲)委員 では物価調整減税ですが、いろいろな方向を見せておられるのだからそのこと自体は議論しませんが、問題の六・四%を超えたら物価調整減税に応ずべきである、こう思うのですが、いかがですか。
  121. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしの春のベースアップが決まります際の経過を考えますと、政府としては、六・四%の水準に消費者物価を抑えるということは私どもは非常に責任を痛感いたしております。それで、先月末も十四項目の新規の物価対策を決めまして、さらに従来に引き続いて物価政策を強力に進めていこう、そしていまの状態ではこの消費者物価が安定をいたしますとすべての経済政策も進めやすくなりますので、どうしてもいろいろな角度から消費者物価の安定に全力を挙げたい。それで、今年度はまだ数カ月残っておりますから、政府の目標であります六・四%という水準を達成するために今後数カ月間あらゆる力を結集していきたい、このように考えております。
  122. 上田哲

    上田(哲)委員 いまのお話の結論を得たいのですけれども、六・四%、これは天下の公約である。それで確かに情勢政府側からすれば悪くはないと思うのですが、そういう意味で言えば、今日の個人消費の冷えこみというようなことの中でのマインドの問題からしても、これはやはり政策的な意味でしっかりした御発言をいただきたいと思うのだが、六・四%を超えたら物価調整減税に応ずべきである、これはやはり政策姿勢としては発言されてしかるべきではないでしょうか。
  123. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま六・四%という水準を実現するために、政府の方としてはあらゆる努力を結集しておる、こういう段階でございます。ぜひこれを実現したい、こう思っております。
  124. 上田哲

    上田(哲)委員 では論理で伺います。  六・四%を超えたら出すべき論理が、政済政策モラルとしてあるのじゃありませんか。
  125. 河本敏夫

    河本国務大臣 しかしながら、こういう問題は幅広くいろいろな角度から検討していかなければならぬと思うのです。財政にゆとりがあれば、かつて二、三年やりましたが、ああいうことができれば、それはいろいろな面でプラスだ、こう思います。しかし現時点では、二、三年前やりましたようなああいう物価調整減税といいますか所得減税、これはやれるような現状ではないと思うのです。でありますから、財政経済、これを総合的に判断をして決めるべき課題だと思いますが、しかし、いまの段階では政府は決して目標を放棄したわけではございませんで、六・四%を実現するためにあらゆる努力を集中しておる、こういう現状でございます。
  126. 上田哲

    上田(哲)委員 いまの御発言、非常にニュアンスがいろいろ分かれてくるので、もう一回私は聞きたいのですけれども、六・四%を断固として完遂するのだと言われる。これは六・四%には議論がありますけれども、六・四%を超えてもなお、それができない情勢にあるのだというふうなお口ぶりがありましたけれども、そういう認識に立ってよろしいのか。そうじゃないと言われるなら、六・四%を超えたら当然調整減税をやるべきであるという決意でやるのだというところまで発言されなければ、政策のモラルにならないと私は思うのですが、いかがですか。
  127. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府の責任はその点で非常に重いと考えております。であればこそ全力を挙げておるわけでございますが、物価調整減税をやれるようなそういう財政状態であれば、これは大変やりやすいのですけれども、そういう状態ではない。そういう状態でありますと景気対策も比較的簡単にいくのですけれども、そういう状態でないところになかなかむずかしい背景がございます。でありますから、いまの段階は、何とか六・四%という水準を実現したい、こういうことでこれからの数カ月間あらゆる努力を結集していきたい、このように考えておりますし、この問題はやはり総合的に判断をしていただきたい、こう思います。
  128. 上田哲

    上田(哲)委員 では、六・四%の見通しはいかがですか。
  129. 河本敏夫

    河本国務大臣 大勢といたしましては、九月がやはり一番の物価の上昇のピークであった、私はこう思います。異常気象が二カ月続きました関係で、八月、九月は相当急上昇をいたしました。幸いに異常気象もおさまりましたので、その面は最近はうまくいっておると思いますし、それから卸売物価もこの春には月に二%とか二・六%とかいう状態で、狂乱物価前夜だと言われておりましたが、最近は急速に下降いたしまして、毎月マイナスという数字が続いておりまして、ことしの初めごろの年率に直しまして三〇%近い急上昇もいまは一三%前後ということになっておりまして、その面からもいい影響が出てくるのではないか、こう思っております。したがいまして、これからは多少のでこぼこはあるかと思いますが、大勢としては峠はもう完全に越した、いま安定の方向にいっておる、こう思います。
  130. 上田哲

    上田(哲)委員 時間となりました。  私は、新経済社会七カ年計画基本的な問題点、そして今日的な問題点ということで、その両輪というべき二百四十兆と二十六カ二分の一の問題をお尋ねしたのでありますけれども、これはまさに計画書の中にありますような現実と計画の大きな乖離が生まれている。これはまとめて大臣ひとつ御認識をいただいているわけでありますから、その意味では、いま鋭意作成中の、見直し中のフォローアップの中で、この二点、二百四十兆の削減の方向での見直しの問題、それから二十六カ二分の一の問題、この二つはそれぞれそういう根源的な立場でいま見直しを図っている、これまでと違う深い立場で検討を進めているというふうに私は理解をさせていただきましたが、もう一遍そこのところを御確認をいただきたいと思います。
  131. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの二つの点は、フォローアップの対象になっておる、こういうことでございます。
  132. 上田哲

    上田(哲)委員 この大きな乖離が生まれているというのは、日本型福祉社会云々という言葉はともあれ、高度成長からの脱却と言いながら、その同じ形を追っているということにやはり問題があるのではないかと思うわけであります。そういう意味で、私は、強くこの二点の削減の方向に向かって、改定の方向に向かって結論を出されるように、それこそが政策の整合性であるということを強調いたしまして、質問を終わります。
  133. 國場幸昌

    國場委員長 新村勝雄君。
  134. 新村勝雄

    ○新村委員 時間がありませんので、簡単に二、三の点を御質問いたします。  まず大臣にお伺いしたいのですが、アメリカの大統領選挙の結果、レーガン次期大統領が決定したわけでありますけれども、アメリカとわが国との質量ともにきわめて密接な関係にある経済関係、これがどういうような影響を受けるというふうにお考えですか。
  135. 河本敏夫

    河本国務大臣 カーター大統領と新大統領との経済政策には相当な相違点がございます。しかしながら、選挙中にずっと各方面で言ってこられたその政策が、そのまま直ちに実現をするのか、あるいは若干の時間を置いて順次実現をしていくのか、あるいはまた中には実現しないものもあるのか、そこらあたりは新政権の動向を見ませんとはっきりしたことが申し上げられません。いまそういうことをいろいろと分析しておる最中でございます。
  136. 新村勝雄

    ○新村委員 伝えられるところによりますと、それからまた民主党と共和党との政策の差等を見ますと、大きな方向としては、統制経済から自由経済へ、あるいはまた分配の平等よりは経済の効率性を一層強調していく、そしてまた従来の政府の需要管理政策よりは供給政策に重点を置く、そうしてこれはレーガン氏の選挙中の言葉だそうでありますが、欠乏の経済よりは富の経済を選ぶのだというようなことを言っておりますけれども、要するに全体として受ける印象としては、考え方としても右寄り、したがって経済政策も右寄りということは争われない方向だと思います。  そうなってくると、当然、自由経済あるいは自由貿易ということを提唱しながらも、いわゆる経済ナショナリズムに向かうことは争えないことではないかと考えられるわけであります。しかも、アメリカの経済力と日本の経済力とは次第に接近をしている傾向にありまして、一人当たりのGNPも、恐らく近い将来日本はアメリカの線に達するのではないかというようなことが予想されるわけでありますけれども、そういう事態になった場合に、従来のように経済についてもあるいは貿易についても日本に対してはかなりに大目に見るというか寛大な点があるわけでありまして、そういった点を考えると、日米の貿易あるいは経済全体を考えても、きわめて厳しい局面になるのではないかと思いますけれども、そういう点について大臣はいかがお考えですか。
  137. 河本敏夫

    河本国務大臣 新政権とカーター政権との経済政策の違いは、いま大体お述べになったような点だと思います。これまでの発表を見ますと、自由経済、自由貿易。統制を排除して民間経済の活力を拡大をしたい、そのためには減税もどんどんやる、こういうことでありますが、さて、それが自由経済、自由貿易という旗印が具体的にどのようにあらわれてまいりますか、そこはまだ未定でございます。したがいまして、内閣におきましても新政権といろいろなルートを通じまして接触を図りながら、具体的な対応がどのように進んでいくのか、そういうことについて感触をいま探りつつあるところでございます。  ただ、原則的に申し上げますと、日本とアメリカとの貿易はもうすでに往復五百億ドルを超えておりますから、過去数年間、いろいろな摩擦がございましたが、これからも若干の摩擦は、これだけの大規模な貿易が続いてまいりますと、ある程度のことは万やむを得ない、こう私は思います。摩擦が起こりましたときにはやはり胸襟を開いてできるだけ早く話し合いをする、それが一番必要でございまして、話し合いを通じて双方が納得をし得るような、そういう妥結の方法を探っていく、これに積極的に対応していかなければならぬ、こう思っております。
  138. 新村勝雄

    ○新村委員 当面、自動車あるいは電電の調達問題等が具体的にはあるわけでありますが、こういった問題がまだ決着がつかないその時期に政権が交代するということでありますけれども、こういった問題については大臣、どういうふうな手順でどういう決着をおつけになるお考えですか。
  139. 河本敏夫

    河本国務大臣 自動車の問題は、この春以降アメリカ向けの輸出が急上昇いたしましたので、問題が非常に大きくなりました。それでいろいろなルートを通じて、この春以降およそ半年の間話し合いが続いておりますが、最近は日本のアメリカ向け輸出もある程度調整をされまして、数字は若干減っておるのではないか、このように思います。  それからまた、電電の問題もすでに二、三年前から話し合いが続いておりまして、もうほぼ妥結したのかと思っておりますとまた別の問題が再び持ち上がってくるというようなことで、次から次へ延びておるわけでございますが、それにいたしましても、それぞれの立場の方が精力的にずっと話し合いを続けておられますので、大勢としては妥結の方向に行っておる、自動車の方も大勢としては話し合いがうまくいっておる、そういう方向だ、このように考えております。
  140. 新村勝雄

    ○新村委員 そのほかに農産物あるいは皮革の問題ですね、これらがまだ自由化されないものが若干あるはずでありますけれども、これらに対する自由化圧力もかなり強くなるのではないかと思います。農産物あるいは特に皮革の問題等について、これはどうしても当分の間保護しなければならない分野だと思いますが、こういう貿易の全体からすれば大した額ではありませんけれども、国内問題として重要な問題になると思います。こういった問題について日本の主体的な立場を守ることができるかどうか、これについて伺いたいと思います。
  141. 河本敏夫

    河本国務大臣 農産物の問題につきましては、もう長い間くすぶっておりましたが、一昨年末、アメリカ政府と日本政府との間でおおよその話し合いができまして、しかも数年間を展望した話し合いでございますから、いまのところは問題はおさまっております。  皮革につきましては、昨年アメリカ政府と日本政府が話し合いをいたしまして、これも一応問題が片づきましたので騒ぎはおさまっております。  ただ、農産物と皮革製品につきましては、日本には特別の事情がございまして、これはやはり大規模な経営をしておりますアメリカとは事情が違いますので、そういう点を今後も引き続いて十分考慮しながら、先方との交渉をしなければならぬ、こう思っております。
  142. 新村勝雄

    ○新村委員 仮に経済ナショナリズムという方向にアメリカの政策が向いたとしても、やはり日本の主体性を堅持して、ひとつ保護すべき点については保護するという立場で終始していただきたいわけであります。  次に、経済指標の一、二についてお伺いをしたいのですが、五十五年度の成長率、これは四・八を政府は目指しておると思いますけれども、四−六において二・五、そして七−九はまだ発表されていないようでありますが、これも大して多くを望むことができないということが言われておりますけれども、こういう状況で果たして四・八%が可能であるのかどうか、伺いたいと思います。
  143. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済成長率につきましては、いまお述べになりました方向だと思います。しかし、私どもは、ことしの上半期を大体底にしたい。下半期は何とか力を回復いたしまして、そして年度間を通じては四・八%前後ということしの成長目標を達成するような、そういう努力をしたい、こう思っております。  そういうことを念頭に置きまして、今月の終わりにはいろいろな経済指標が出てまいりますので、その経済指標を参考にいたしまして、十二月早々には政府と党との間で、今年度後半の経済運営、後半といいましても四カ月しか残らぬわけでありますが、経済運営、そして来年一カ年の経済運営をどうするかということについて相談をしたい、このように考えております。
  144. 新村勝雄

    ○新村委員 もう一つの指標でありますが、経済活動の基本になるのは通貨供給量が重要な影響があると思いますけれども、政府は、ことし初めの発表された基本的態度において、通貨供給量を十分注視をし、適切な金融調整を図るというふうにおっしゃっておるわけですが、最近の通貨供給量がきわめて逼迫をしておるということが言われておるわけであります。前年に比較をしまして、七—九期においては八・四%ということでありますけれども、そういたしますと、名目成長率とほぼ同じということであります。名目成長率とほぼ同じということは、成長あるいは景気刺激の効果は全くない、成長に寄与する力もない、悪くすると縮小再生産に陥る危険性のある線ではないかと思うのですけれども、そういう点からして、現在のマネーサプライの政策というか、この量でいいのかどうかということが非常に疑問であります。そして資金が郵便貯金に大きく食われて、その結果マネーサプライが極端に逼迫をしておるというような、こういう見方があるわけでありますけれども、この点についてはどういうふうにお考えですか。
  145. 井川博

    ○井川政府委員 マネーサプライにつきましては、いま先生が挙げられたとおりでございますが、それは通貨供給量M2プラスCDということで日銀発表の数字でございます。ただいま挙げられましたように、七−九で八・四%、特に九月は八%というふうに、従来一〇%前後でございましたのが、低い数字になっておるわけでございます。ただ、これと経済成長との関係は直に結びつけるわけにはいきませんで、むしろ、これが過剰流動性ということで高い数値になりますと物価関係が心配であるというふうなことから、従来日本銀行において、そのとぎの経済情勢に合わせてこの指標を注目していく、こういうやり方をやってきたわけでございます。それと同時に、現時点でどうも通常より低くなっておりますのは、郵便貯金の方に少し金が流れておる、これはいまいろいろ問題になっておりますが、それともう一つ、金利先安感ということから、金利の高い債券の方に移っていくというふうな特殊事情がございますので、これをM2以外の、たとえば郵便貯金を入れましたM3というふうなことにいたしますと、一〇%近い九%程度ということになっております。  したがいまして、いろいろ分析をし、注目をしていかなければなりませんけれども、現段階八%台になったからきわめて問題であるというふうには考えておりません。むしろ反対に、物価上昇の原因は流動性という面からはないというふうに判断しているわけでございます。
  146. 新村勝雄

    ○新村委員 過剰流動性はもちろん避けるべきでありましょうけれども、名目成長率以下の通貨供給量ということでは問題ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  147. 井川博

    ○井川政府委員 先ほど申し上げましたように、極端に成長率よりも低い通貨供給というふうなことだと、実際の実需に通貨供給量が追いつかないということになるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在の事態というのは、通貨は供給はされているが、現実にM2という指標にはそれよりも少し低目にあらわれている傾向があるということでございまして、私たちといたしましては特にこの点で心配をいたしているわけではございません。  さらに、十−十二月の日本銀行がやっております窓口指導におきましては、昨年来前年に対する増加額がマイナスをずっと続けておりましたけれども、十−十二月につきましては七・六%増というふうに決定をいたしておりまして、日本銀行においても必要な通貨をそのときの情勢に応じて供給するという態度をとっていると思われます。
  148. 新村勝雄

    ○新村委員 通貨供給量については、ひとつ適正な政策と指導を期待をいたします。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  149. 國場幸昌

    國場委員長 井上一成君。
  150. 井上一成

    ○井上(一)委員 余り時間がありませんが、まず、せんだって日銀が公定歩合を引き下げたわけです。これに関連して、消費者物価にどうはね返っていくかということですが、アメリカがレーガン氏の圧倒的勝利で終わって、それがドルの復権につながるのじゃないか、そういうところから今後ドルに対する円安傾向が鋭くそういう傾向になっていく。円安が続けば輸入品の国内価格は上昇するわけであります。これはもとよりですが、わが国のように輸入依存度の大きい国では、そのことによってやはり消費者物価全体に悪影響を及ぼしていく、さらに、現在アメリカでの市場で、小麦、大豆、トウモロコシ、砂糖、綿花などの価格は大幅に上昇していく。そういうことを考えた場合に、私は当然わが国の消費者物価は、そういう国際市場の問題も絡んで、政府見通しの六・四%というその努力姿勢は了とするものの、その範囲にはとどまらないのではないか、こういう懸念を持つのですが、大臣からの見通しをここでお聞かせをいただきたいと思います。
  151. 河本敏夫

    河本国務大臣 普通、公定歩合を下げまして金利水準を低い方向に持っていきますと、円安に当然なるわけでございますが、八月の場合はむしろ円高になりました。今回も多少円安の傾向がありますけれども、これはむしろドルの強含みというところに原因があるわけでございまして、なぜ公定歩合を下げたのに円が弱くならないか、円安にならないかということでございますけれども、結局いま世界で金利水準を引き下げる総合的な経済力を持っておる国というものは日本しかない。ドイツあたりも現在大変な不況で、かつてない深刻な不況でございますから、公定歩合を下げて低金利政策をやりたい、そういう背景だと思いますが、ドイツですら、いまいろいろな角度から金利水準を引き下げることがむずかしい。こういう状態の中で、日本だけが金利を引き下げる、そういう政策を有効に実行できる力を持っておるという、その評価が私はむしろ円高の傾向になっておるのではないか、このように思います。  それともう一つは、オイルダラーが非常に余っておりまして、オイルマネーが相当余っておりまして、ことしは約千二百億ドル余っておると言われておりますが、その投資先が非常に限定されておるわけです。数年前のように、発展途上国に投資をするというわけにもまいりません、発展途上国の経済が行き詰まっておりますから。そうすると、オイルマネーの投資先としてはごく二、三の国しかない、しかもその額は非常に大きいということになりますと、やはり金利の高いところでも経済の危ない国がたくさんございますから、それよりも、金利は少々低くても総合的に見て経済の心配のないところへ投資をすべきである、こういうことから、日本は比較的低い金利水準でありますけれども、オイルマネーがどんどん流れ込んでくる、相当な金額がいまなおふえ続けておる、こういう状態でございまして、そういうことで、むしろ経済学の立場から言えば逆の方向に行くのでしょうけれども、実際の経済は学説とは別の方向に行っておる。したがって、今度の公定歩合の引き下げも、円安になって、それが消費者物価にはね返る、そういうことはまずない、このように判断をいたしております。
  152. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はある新聞の分析だけで質問するというわけではないのですけれども、今回の利下げが円相場には七円弱の円安圧力となるのだ、消費者物価については、五十五年度ではたしか〇・一%だったと思いますが、来年度は〇・六%の引き上げ圧力が働くと報道されているわけです。とりわけ、いま申し上げたように国際商品の値上がり傾向などを考えると、私はとても六・四%の、そのような程度の影響にはとどまらないのではないだろうか。本年の賃上げでは、消費者物価を六・四%におさめるということが前提であるが、現実に対前年度比八%を上回る。消費者物価実質的に上昇していくということで、実質賃金の目減りが顕著になる。そういうことで、私はやはり政府物価対策というものに重大な責任がある、こういうことです。  先般、一定の物価対策を打ち出したわけです。わが党も中心になった三党提案、そういうことの中で政府ものまざるを得ないと。しかし仮に消費者物価の抑制策が十分な効果を果たさなかった、勤労者の実質賃金が支出でマイナスになった場合どう対応していくのか。さっき中期税制に関する答申で物価調整減税をどうするのだ、実際どうなるのだという質問の中で、大臣は六・四%を努力するのだ、そういう答弁しか返ってこないわけです。けれども、実質的に物価が上昇したらそれをもろに受けるのはやはり勤労者大衆であり、その生活の再建ということにやはり配慮を欠いた政策になる。  そういうことで、私は消費者物価にやはりスライドした、たとえば人勧の勧告の修正あるいはときには再提出ということもやはり求めていく、そういうような意気込みを持たなければいけない、こういうふうに思うのですけれども、大臣のお考えをここで、ただ単に六・四%に抑えるのだという、そういうお答えはさっきから聞いておりますから、もしそれではそれを上回った場合に、具体的な対応策に取り入れていく、もちろんそれは経済閣僚の責任、政府全体の責任はありますけれども、そういうことについて、いま人勧の問題を、物価指数、いわゆる消費者物価がどんどん上がる、そういうことにスライドしての賃金の確保ということを私から申し上げたのですけれども、そういうことについてはいかがでございましょうか。
  153. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの段階は、繰り返して恐縮でございますが、六・四%という目標達成のために全力を挙げておる、こういう状態でございますから、できなかったらどうするのだということよりも、もっとしっかりやれ、こういうことで激励をしていただきたいくらいでございますから、それはそれといたしまして、やはり物価が安定するということは、特に消費者物価が安定するということは、これはすべての経済政策を成功させるその背景でございますから、そういう広い意味からもこれはぜひ実現しなければならぬ、こういう決意のもと政府全体を挙げて取り組んでおる、こういうことでございます。
  154. 井上一成

    ○井上(一)委員 さっき新経済社会七カ年計画、二百四十兆円の見直し、現状としては、これは当初計画が非常に厳しい状態である、大蔵の方からも、大臣からも答えがあったわけです。もちろんこれは見直しが議題になるわけですけれども、ダウンした場合には、それぞれの計画全体が、配分計画がスライドして下がっていく、こういう理解をしていいのですね。
  155. 河本敏夫

    河本国務大臣 そういう方向でスライドして、そういう場合にはそれぞれ減額するというような答申が出てくるのか、あるいは別の案が出てくるのか、そこらあたりは全く未定でございます。両論がございまして、先ほどもちょっと答弁しましたが、現状どおりやれという説と、いや実情に合わせて減額せよという二つの説がございまして、その二つの説の意見を調整していただいておる最中でございますので、減額した場合には一体具体的にどう対応するのか、その場合でもいろいろなやり方があろうかと思いまして、まだそこらあたりまでの議論は詰めておりません。
  156. 井上一成

    ○井上(一)委員 非常に具体的な事例で恐縮でございますけれども、たとえば関西新空港、これは航空配分たしか一・一四%でしたか、金額で二兆七千五百億円。ところが、当初計画では関西新空港は七千億、これはやはり見直しをしていく段階で、いま二論があるのだ、当初計画どおりやるべきなのだ、あるいは減額してそれに応じた配分でやっていくべきだ、こういう二つがあって、まだ未定だということですけれども、具体的に関西新空港のこの大型プロジェクトに対して、経済企画庁長官はどういうような受けとめ方をされ、どういうように対応していくべきであるか、そういうことについての見解をひとつ問うておきたいと思います。
  157. 河本敏夫

    河本国務大臣 九月の初めに航空審議会から答申が出まして、それを受けまして運輸省の方では第四次空港整備計画をつくっておられますが、それを見ますと、いま御指摘の大阪空港は泉州沖で二兆四千億円、そのうちの約一兆円を第四次空港整備計画の中に入れて計画を進める、そういう案をつくっておられるようであります。
  158. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、企画庁長官として運輸省の事業計画、そういうものについて、これはいまの経済情勢、もちろん財政再建というものとリンクしていった中で、今後の見通しも含めて妥当だ、あるいはこれは少し議論をする必要があるのだ、そういう受けとめ方はいかがでございますかということを聞いているのです。
  159. 河本敏夫

    河本国務大臣 空港本体が二兆四千億という計画でありまして、それから関連事業の整備は、まだ関係各省の間で作業が詰まっておりませんので、はっきりした数字が出ておりませんが、三兆円とも四兆円とも言われております。それからまた、漁業補償もまだ全然交渉が始まっておりませんので、一体幾らかかるのか、こういうことも未確定でございます。関係の漁業組合が大阪湾だけでなく瀬戸内海一帯にもあるようでございますから、相当膨大な金額になるのではないか、このようにいま言われております。そういたしますと、計画全体がスタートから六兆とか七兆とかいうことになりまして、仮に十年計画でやりますと、およそその二倍ぐらいになってしまう。仕上がりは十数兆円である、こういうことになりますと、いまの財政事情から、果たして現実にそれがスタートできるかどうか、そういう問題もあろうかと思うのです。  そこで、いま運輸省の方ではいろいろ苦労されまして、当初の十年計画を三十年計画にするとか、いろいろ苦心惨たんして、現実にスタートできるようにするのには一体どうしたらいいかということについていろいろ検討しておられる段階だと思います。したがいまして、現段階ではもう少し運輸省サイドで進めておられます検討の内容を拝見いたしませんと、私がいまここでそれに対して意見を申し上げるのは少し早いのではないか、このように思います。
  160. 井上一成

    ○井上(一)委員 余り時間がありませんから、このことも含めて経済政策全般については、ひとつ次回の委員会で、また私なりに質問させていただくことにして、きょうはこれで終えておきます。
  161. 國場幸昌

    國場委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  162. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  163. 春田重昭

    ○春田委員 最初に、IJPCの今後の見通しについてお尋ねしてまいりたいと思いますが、経済協力基金という政府出資をいたしておるわけでございますけれども、この点から、まず経企庁の今後の見通しの御見解をお尋ねしてまいりたいと思います。
  164. 井川博

    ○井川政府委員 IJPCにつきましては、昨年の十月に日本政府といたしまして、基金から二百億の出資をして、この日イ関係で非常に重要なプロジェクトについて支援をするという態度を決定し、その後二回にわたってそのうちの一部の出資を実行したわけでございますが、その後イラン・イラク戦争という不幸な事態になったわけでございます。  現在、その戦乱のさなかにあるわけでございまして、これが今後どうなるかというような点については、現段階では、まずその工事関係日本人の生命の安全ということを第一番目に考えておりまして、その後の問題についてはまだ何ら検討は進んでない。むしろ昨年の十月決定し、その後二回の出資をした段階と、政府といましましては態度は全然変わっていないというのが現状でございます。
  165. 春田重昭

    ○春田委員 この時点で明確な政府見解は出ないと思いますけれども、長官の感触という点でお尋ねしてまいりたいと思います。  今後このIJPCとの事業をやはり継続していくのか、さらに完全撤退していくのか、さらに事業そのものも縮小していくのかという三つの選択があるという形で言われておるわけでございます。政府としては、これは断じて日イ関係の上からも、また石油の今後の確保のためにも事業をやっていきたいというお考えがあろうと思いますけれども、後で質問しますけれども、いわゆる私企業である三井グループ等が相当消極的な姿勢を示している。当然そこには国家の予算も投入しなければならないだろうと思いますけれども、そうしたあらゆる総合的なものを考えて今後検討していくということでございますけれども、現段階において長官としての御感触を伺えばどういうお答えになりますか、お答えいただきたいと思います。
  166. 河本敏夫

    河本国務大臣 この事業は単なるプラント輸出ということではございませんで、イラン政府と三井グループの共同事業、こういうことでスタートをいたしました。昭和五十一年にスタートいたしまして、自来三年、工事が順調に進みまして、五十三年末にはほぼ完成直前というところまでいっておりましたが、その後イランの動乱によりまして工事が一時中断をされました。ようやく話し合いがつきまして再開にこぎつけましたところが、再び今回のイラン・イラク戦争による中断、こういうことになったのでございます。完成間際までいっておりました両国の共同事業でございますから、日本としてはぜひ完成したい、こういう背景がございます。  ただしかし、戦争による被害が一体どの程度なのか、それから、イラン政府が一体どのように考えておるのか、相手との共同事業でございますから、実情を調査し、相手の意向も聞き、その上で総合的な判断をする、一応こういうたてまえになっております。
  167. 春田重昭

    ○春田委員 せんだって通産大臣にお聞きした時点では、政府で決めた以上、あらゆる障害を、困難を乗り越えて今後ともやっていきたいという強い決意があったわけでございます。  政府側としては、一応昨年の十月、国家プロジェクトに格上げして、千八百億円の追加事業のうち二百億円を海外協力基金から出しているわけでございますから、当然この事業は継続してやっていきたいという意向は持っていると思うのです。また、伝えられるところによりますと、イラン側もこの石油化学開発には非常に強い今後の事業の意向を示しておるわけでございます。  ところが、先月の十四日ですか、あの三井物産の八尋発言とか、また、きのう、きょう新聞に載っておりますけれども、イラン化学開発社長の山下さん、また三井グループの首脳部の話では、もう私企業では限界であるという発言がちらりほらり出ているわけです。  そういう面で、政府は今後ともやっていきたい、しかし私企業ではもう限界であって、これ以上やっていけないという、その辺のニュアンスが若干違う面が出てきていると思うのです。そういう点で、当然三井グループにすれば、私企業ではもう限界だからさらに政府出資をお願いしたいという腹があるのではなかろうかと思うのでございますけれども、被害の状況が現在ではわかりませんけれども、報道等では今後一千億ないし二千億、当初五千五百億が千八百億追加になって七千三百億になって、今後の追加事業を合わせれば一兆円の事業になるのではないか、こういうことも報道されておるわけでございまして、今後相当な追加事業費が出されていくと思いますけれども、政府はその時点で、現在二百億円が一応決定されておりますが、さらにこの二百億円以上の出資が必要となってくるかもわからない、三井グループからの要請があるかもわからない、そうしたことがあり得るかどうか、この点どうでございましょうか。
  168. 河本敏夫

    河本国務大臣 この事業は、五十一年の初めにスタートしたわけですけれども、イラン政府からの非常に強い要請に基づきまして、それでは日本もやりましょう、こういう決断をしたのでございます。先ほど申し上げましたように、完成間際までいっておりまして、もう一息というところで引っかかったわけでございますが、巷間、それではこれを仕上げるために一体どの見当の資金を必要とするのか、こういうことをいろいろ言われておりますけれども、これは実情を詳しく調査いたしませんと何とも言えませんし、えてしてこういう仕事は、十分調査しないまま莫大な資金が要るようなことがよく言われるケースがございます。  たとえば、この事業のスタートの段階におきまして、当初イラン側がインフラストラクチュアを二千億円負担する、本体自身の建設費は五千五百億円でございまして、それをイラン政府と日本側が折半で負担することになったわけでございますが、いよいよこれが決断を下しましてスタートいたしますと、再見積もりということになりましてざっと一兆かかる、こういうことを言われたことがございました。しかしながら、そういうふまじめな見積もりを出すものに対してはもう取り合わないという三井側の厳しい対応によりましてもとの五千五百億におさまった、こういうケースもあります。  でありますから、外国で仕事をする場合にはえてして荒唐無稽の数字などがひとり歩きをするということ等もございますので、とにかく厳重に現地の調査をする必要があろうか、こう思いますし、それから同時に、イラン政府の本当の意向というものをこの際よく確かめてみなければならぬと思います。せっかくここまできた事業でございますし、日本がイランでこれだけの仕事をやっておるということは、中東はもちろんでありますが、世界じゅうが知っておる大事業でございますから、日本側としましては、条件がそろえばこれは当然やらなければならぬと思いますが、しかし、そのためにはやはりイラン政府の決意いかん、これがまず先決であろう、このように考えております。
  169. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、七千三百億円では足らないと思うのです。今後どれぐらいかかるかわからないですけれども、政府としては、今後この事業費がかさんで、どうしても私企業では限界であるから何とか政府にお願いしますと要請した段階では検討する余地があるのかどうか、もう二百億円以上一歩も出さないのだという見解なのか、この点どうでございましょうか。
  170. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは、まず私はイラン政府の決意をよく聞いてみないと何とも言えない、こう思うのです。日本政府といたしましては、いろいろな考えを持っておりますけれども、相手方の意向がはっきりしない現段階におきまして、それ以上突き進んだことを言うのはいかがか、このように思います。
  171. 春田重昭

    ○春田委員 最後に、現在二百億円決定された中で、すでに第一回二十八億円、第二回二十六億円、合計五十四億円が協力基金から出されているわけです。報道等では、第三回を三十億円ぐらいを出す予定であった、ところがイランの革命とか戦争ということで中断されて今日になってきているというように言われているわけでございますけれども、今後第三回の政府出資資金が出される、その条件というものは、どういうときが出すときの条件となっているのか、これをお尋ねしてこの質問を終わりたいと思います。
  172. 井川博

    ○井川政府委員 先ほど申し上げましたように、現段階では総額二百億出資をすると決定いたしましたときの態度を政府としては変えておりません。第三回ということも当然出すという前提に立つわけでございますが、ただ現段階は、先ほど先生のお話にもありましたように、いろいろ被害を受けて、しかも日本人労務者が現地を引き揚げているという状況でございます。そこらあたりのその後の状況、その後の行き方ということについては、現に山下社長も現地へ行って、いま打ち合わせをしているというところでございまして、そこらあたりの話を聞き、関係各省とも十分打ち合わせをしなければならないということでございまして、第三回以降の出資につきましても、出すという前提はありますものの、具体的にいつ、どれくらいという点については、現在の時点を踏まえていろいろ相談を進めてまいる、こういう状況でございます。
  173. 春田重昭

    ○春田委員 続きまして、公定歩合の再引き下げの問題についてお伺いしてまいりたいと思います。  今月の六日、再引き下げがされまして、さきの八月の時点と合わせまして一・七五%の引き下げとなったわけでございます。この二回の引き下げにより、金利水準はことしの三月以前の水準となったわけでございますけれども、この再引き下げによる効果、これをどう評価されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  174. 井川博

    ○井川政府委員 公定歩合を引き下げた場合に、成長率その他をある数値で定量的にあらわすというふうなことは、たとえばモデル等を使いますとできぬこともございません。しかしながら、われわれといたしましては、それは一定のモデルに入れて出てきた数値ということでございまして、一番大事なことは、やはり現在の経済情勢の中において公定歩合を下げるという意味合い、それが経済全般に与える心理的な効果ということであろうと思います。そういう意味合いにおきましては、現段階は景気のかげりが次第に大きくなっている、消費が湿りがちである、そういう先行きに明るい希望を持たす、さらにまた住宅建設あたりが非常に不振である、住宅ローン等も公定歩合の引き下げに応じて引き下げが検討されている、これは住宅建設にいい影響を及ぼすのではないか。特に設備投資が堅調という状況ではございますけれども、中小企業を中心にいたしましてすそ野を下方修正するというような状況が出てまいっております。これはやはり高金利のもとで設備投資を少し延ばそうかという点も非常に大きい原因だと思います。この公定歩合の引き下げによって、長期金利、設備資金金利が引き下がることによって、中小企業設備投資というふうなものが再び堅調を取り戻すというふうなことから考えますと、公定歩合の引き下げの意味というものは非常に大きいというふうに考えておるわけでございます。
  175. 春田重昭

    ○春田委員 確かに、景気の面では大きな刺激になると思うのですけれども、公定歩合が引き下げられたことによって円安傾向になって、それが結局物価の面において価格上昇の傾向があらわれてくるのじゃないかという心配の面もあるわけです。この点どうお考えになっていますか。
  176. 河本敏夫

    河本国務大臣 普通の場合はおっしゃるとおりだと思います。ただしかし、現時点におきましては、世界経済が第二次オイルショックによりまして非常に悪い影響を受けております。そこで、世界で低金利政策をとり得る経済力の強い国は日本だけだ、こういう評価によりまして八月の場合も逆に円高になりました。今回もやはりそういう傾向がございます。普通の場合にはそうではないのですけれども、現在の世界経済情勢もとにおいては、そういう評価を日本が受けて逆になっておる、こういうことだと思います。かつ、そのほかにオイルマネーというものが非常に大きな過剰状態にございまして、千二百億ドル弱ことしはオイルマネーが余り、その投資先にむしろ困っている、こういう状態でございます。オイルマネーを安心して投資できるような先というものはわずか数カ国しかございませんので、その中でも日本が一番安心な投資先である、そういう評価によりまして、公定歩合を下げた、その背景にもかかわらず逆にオイルマネーの流入がどんどん続いている、こういう状態でございますから、公定歩合の引き下げによりまして円安になって輸入物資が上がる、そういう状態にはなっておりません。
  177. 春田重昭

    ○春田委員 今回の再引き下げにも企業の一部にはまだまだ金利水準が高いという声もあるわけですね。長官は、六日の引き下げの前日ですか、五日の日に記者会見されたそうでございますが、この時点で、これが正確かどうかはわかりませんけれども、これが景気浮揚の決め手になるとは思われないという発言をされたと新聞では報道されているわけでございます。このことは長官御自身やはり再々引き下げの意向があるのではなかろうかという見方もあるわけでございますけれども、この長官の発言を私たちはどう受けとったらいいのか、お伺いしたいと思います。
  178. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在は景気の情勢は相当警戒すべき状態だと思います。一年前と相当変わっておる、こう思うのです。したがいまして、今回公定歩合が一%引き下げられまして、それに応じて各種の金利が下がるわけでありますが、目下交渉中でございますから、最終的にどれだけこの各種具体的な金利が下がるかということはまだいまの段階では明確に言えませんが、そのことがやはり景気対策上相当大きな効果があると、これは当然判断できます。しかしながら、現在の状態は相当問題が多うございますので、それだけではやはり景気浮揚にはならない。若干の効果はありますけれども決め手にはならない、こういうことだと思います。九月五日に八項目の経済対策を決めましたが、そのときに、金融政策は引き続いて機動的に運営する、こういうことを決定しております。機動的に運営するという意味は、低金利政策をできるだけ早く実施いたしましょう、こういうことを別の表現であらわしたわけでございまして、その  一環として今回の公定歩合の引き下げが行われた、こういうことでございます。
  179. 春田重昭

    ○春田委員 今回の再引き下げは、若干のはずみはあるけれども根本的なはずみはないというような長官のお考えみたいでございますけれども、これも新聞なんかには、年内にもう一回再々引き下げをする必要があるのじゃないかとか、半年以内に再々引き下げという声もあるわけでございますけれども、この時期とか幅とかといった面で長官のお考えありましたならばお聞かせいただきたいと思います。
  180. 河本敏夫

    河本国務大臣 公定歩合につきましては、昨年の四月は三・五%という水準でございましたが、昨年の四月に第一回、七月に第二回、十一月に第三回、ことしの二月、三月に第四回、第五回と五回の引き上げをいたしまして九%という水準になり、この夏から秋にかけて二回の引き下げをした、こういう経過をたどっております。いろいろな客観情勢の変化に応じて公定歩合を機動的に運営するというこの方針は大変結構だ、こう私は思っておりますが、金融政策を機動的に運営するためにはやはり幾つかの条件が必要であります。たとえば公定歩合を下げ低金利政策をやるためには物価が安定をする、物価が低い水準になるということが一つの前提条件でありますし、それから、先ほどお触れになりました円安というような大きな為替相場の変動を来さない、こういう見通しも立てなければなりませんし、国際収支に一体どういう影響が出てくるのか、こういう見通しも立てなければなりません。だから私どもといたしましては、日本銀行に対して機動的に金融政策を運営することを強く望みますけれども、しかし同時に、日本銀行が機動的に運営できるようなそういう客観的な条件をつくるのは政府の責任でございますから、そういう客観条件を早くつくり上げる、そういう日本銀行が行動しやすいような背景のもとにそのようにしていただくということが大事であろうか、こう思っております。
  181. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても公定歩合の引き下げの問題は、景気の問題だけでなく物価という面も考えながらひとつ機動的に対処していただきたい。政府の見解では物価は落ちついているというふうな見方をされているみたいでございますけれども、私たちから言えばこれは高値の安定であって決して非常に安定しているわけではない。政府は六・四%の目標を立てておられますけれども、高い水準で来ておるわけでございますので、どうかそういう消費者の立場に立っての公定歩合の考え方をしていただきたい、こう思っておるわけでございます。  それでは続いて、これから需要期を迎える灯油の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  この問題につきましては通産省の方に質問してまいりたいと思いますけれども、石油関連会社の中間期決算がちらほら出ておりますが、この点をまず最初に御報告いただきたいと思います。
  182. 関収

    ○関説明員 五十五年九月に中間決算をいたします企業の中間決算状況、まだ全部が出ておりません。今日まで出ておりますのは、十月二十九日に日本石油、それから十一月五日に日本鉱業——日本鉱業につきましては、先生御案内のとおり、石油製品以外にも非鉄金属その他を扱っておりますので、トータルとして出ておるわけでございます。それから十一月七日に九州石油の三社につきましてすでに公表がされておるわけでございます。この三社につきましての上期の経常利益でございますが、新聞等でも発表されておりますように日本石油で七百五十億、それから日本鉱業は、先ほどお断わりいたしましたように非鉄金属を含めてでございますが二百十三億、九州石油は七十四億の経常利益が上がっておる、このように公表されておるわけでございます。
  183. 春田重昭

    ○春田委員 相当な経常利益が出ておるわけでございますけれども、この経常利益を生んだ原因というのは、通産当局は分析といいますか、検討はされているのですか。
  184. 関収

    ○関説明員 この経常利益の内訳につきましては種々の見方があろうかと思います。まだ全貌は出ておりませんので全体として申し上げるのはいかがかと思いますが、今日まで発表されたものにつきまして見ますれば円高のいわば差益と申しますか、これによるものが相当程度のウエートを占めておる、かように考えておる次第でございます。
  185. 春田重昭

    ○春田委員 円高差益がかなり出ているということでいま御答弁があったわけでございますけれども、世上、円高差益は当然国民の方に還元すべきであるという声もあるわけです。この点を通産当局はどのようにお考えになっておりますか。
  186. 関収

    ○関説明員 本年四月以降の動きをちょっと御説明申し上げたいと思いますが、ことしの四月以降、中東の主な産油国が軒並み原油のFOB価格の値上げを行ったわけでございます。しかしながら、たまたまこの時期に円高が急速に進んだということもございまして、私どもの指導によりまして六月に、FOB価格の値上げを吸収した上で、為替差益を含めて平均いたしまして千円ないし三千円の石油製品価格の引き下げを実施したわけでございます。もちろん六月以降におきましても円高傾向というのは進んでおるわけでございますが、実はこの間、御案内のとおり七月にはイラク、クウェート等が二ドル、それから八月からはサウジアラビアが二ドル、九月からはアブダビが二ドル、それぞれFOB価格の引き上げを行っております。本来ですとこれらのFOB価格の引き上げはことしの下期以降の製品価格の値上げ要因として出てくるわけでございますが、私どもとしては、この時期に、円高傾向もございますので、その円高のメリットによりましてFOB価格のアップ分を極力吸収させる、それによって値段の安定を図っていく、かような考え方で指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  187. 春田重昭

    ○春田委員 原油価格が上がったということで、今後の差益還元はできないような御答弁でございますけれども、いわゆる円高基調がずっと続いているわけでしょう。原油が幾らだったかわかりませんけれども、その辺は相殺されて十分差益還元ができる現状にあるのではなかろうかと私は思っておるのですけれども、再答弁いただきたいと思います。
  188. 関収

    ○関説明員 円相場につきましては、最近の動向をごらんいただきましてわかりますとおり、やや変動しているわけでございます。これまで私どもはFOB価格のアップというものを極力円高で吸収していくという考え方をとったわけでございまして、さらにそれ以外の余力があるかどうかということでございますが、これはさらに今後の原油のFOB価格の動向がどうなるか、あるいは為替レートの動向がどうなるか等々の今後の動向にもよってくるわけでございます。私どもとしては、その辺につきまして多少の変動はございましても極力吸収させて値段の安定を図らせる方向で長期的な値段の安定を図ることが最も好ましいことではないか、かように考えておる次第でございます。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 この点に関しましては、消費者の立場にあると思われる経企庁の御見解はどうですか。
  190. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 それぞれの物資につきましての輸入価格の動きにつきましては、ドル建ての価格と円のレートが大きな影響を持つことは当然でございます。そういうことで、私どもは、生活必需物資につきましては、できるだけ円建て輸入価格の動きが価格に反映されることが望ましいと考えております。  灯油につきましては、ただいま通産省から御説明がありましたように、四月以降の産油国のドル建て価格の引き上げと円の動きとの関連から、六月に千円から三千円ということで引き下げが行われてきております。そういう意味では価格に反映してきていると思っているわけでございます。  最近の円高の問題につきましては、いまも御説明ありましたように、七月以降主要産油国でのFOBの値上げがございますので、そういうものと円レートとの関係がどうかということになりますが、これから産油国の値上げによる分がだんだん製品価格に反映していく段階でございますので、円レートの動きとあわせて見ていかなければならない。当面の問題としてはそういう産油国の値上げがあっても末端の価格は動かさないで済むというふうに私ども考えております。  こういう状況でございますので、さらにこれからのドル建て価格の動きと円レートの動きとをよく見守って、その価格の形成が十分に適正に行われるかということについては監視をしていかなければならないと思っております。  今回の十月三十日の物価対策におきましても、灯油の問題につきましては一つの項目として取り上げておりまして、当面元売り、小売段階の監視を十分にやって、ともかく価格の安定を図るということについての政府の方針を明らかにしておるところでございまして、この考え方でこれからの価格についての対応をしていきたいと思っております。
  191. 春田重昭

    ○春田委員 いろいろな見方がされると思うのですよ。しかし経企庁の考え方は、要するに差益を還元するよりもまず価格を据え置いて、価格引き上げをさせないことで国民を守っていきたい、こういう御見解ではなかろうかと私は思っているわけでございますけれども、先ほどの通産当局の説明でキロリッター当たり千円から三千円安くしたといっても、灯油の値段は全然変わっていないわけですよ。末端価格には全然影響されておりません。同じ基調で値段が高くなってきているわけですね。そういう面では、差損があったら、そのときはこれぞとばかりに石油製品は高くなっていくわけです。差益があった場合は、今後のいろいろな原油値上げや円のレートを見守っていかなければならないのでちょっと還元できませんという形ですね。そういう形で、差益、差損ではどうしても企業寄りの形になっているような感じがするわけです。そこで、差益還元した方がいいのか、価格を据え置いた方がいいのか、その辺はいろいろな問題もあろうと思いますけれども、国民からそういう声があるわけでございますから、十分通産当局で検討されて、円高差益が相当莫大にあるならば国民に差益還元すべきである、このように主張しておきたいと思います。  そこで、石油が今後どういう形で推移していくかわかりませんけれども、量的には一応確保されているという政府答弁があるわけでございます。今後の価格の問題でございますが、もし今後石油製品、特に灯油が上がるとすればどういう条件のときに上がるのか、お示しいただきたいと思うのです。
  192. 関収

    ○関説明員 大きく申しまして灯油の価格に影響を与えます要因として二つあろうかと思うわけでございます。第一は、灯油自体の需給関係でございます。需給が逼迫いたしますと上がる要因が出てまいりますし、需給が十分でございますれば値段は安定的に推移することが期待されるわけでございます。それから第二に、いわばやや外部的な要因といたしまして、原油FOB価格が今後どう推移していくか、あるいは為替レートがどう推移していくか、石油製品の中で原油代のウエートが非常に高いわけでございますので、そういった原油価格及び円レートの動向はどうなるか、これによって影響があるものと思っているわけでございます。  そのうち第一の需給関係につきましては、再三御説明申し上げておりますように、ことしの冬につきましては皆様に御心配をかけることのない十分な在庫、また生産体制を考えておりますので、この面からは特段の問題はなかろう、かように考えているわけでございます。  第二のFOB価格の推移あるいは円レートがどうなるかということにつきましては、非常に不透明な要因が多いわけでございます。したがって、今後の動向を見ませんと何とも申し上げられませんが、いまのところの状況、条件が変わりません場合には、これらにつきましても総じて安定的な状態を持ち続けるのではないか、かように考えている次第でございます。
  193. 春田重昭

    ○春田委員 第一の要因であるいわゆる需給関係については、量的には非常にあるわけでございますからこれは問題ないと思います。第二点の外部要因でございます。確かにそういう点が現在のままの推移でいけば心配ないと思いますけれども、どれだけ原油が上がるか、円レートがどう変わっていくのか、それによって変わると思いますが、現状から考えれば、いわゆるスポットを買う状態にもなっておりませんし、また、OPEC総会が十二月うわさされておりますけれども、これもどうも開催される見通しはないわけでございますから、原油の価格のアップはないのじゃないかという見方も一部あるわけです。そこで円レートがどう動くかということでございますが、通産当局の考え方は大体一ドル幾らぐらいをベースとして考えているわけですか。
  194. 関収

    ○関説明員 十分なお答えにならないわけでございますが、円レートが今後どうなるかにつきまして、ちょっと私ども具体的な推測の数字は持ち合わせておりません。
  195. 春田重昭

    ○春田委員 そういう意味じゃなくて、円レートがどう動くかによって、いわゆる円安基調になった場合は当然価格が上がるということでございましょう。だから大体幾らぐらいをベースにしてどれくらい動いた場合にそれが石油製品にはね返ってくるのか、こういう問題なんです。
  196. 関収

    ○関説明員 下期の動向について申し上げますと、現在時点のいわば為替レートと、これからたとえば石油会社が代金を決済いたします場合の為替レートとの差が円高の傾向にあるのか、円安の傾向にあるのかによって変わってくるわけでございまして、したがいまして、絶対的な水準としてお幾らということは申し上げられませんけれども、再々御答弁申し上げておりますのは、そういう不透明な要因はございますが、一方で先ほど先生御指摘のございますように、円高差益的なメリットもございますので、多少の変動は極力その中で吸収していきたいというのが私どもの石油製品価格についての考え方でございます。     〔東家委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 春田重昭

    ○春田委員 時間がございませんので、深く質問できないわけでございますけれども、これはきょうの新聞ですか、石油連盟の永山会長ですか、この方が現状、いわゆる原油も上がらない、円レートもこのまま推移すれば、来春まで石油価格は凍結という談話を発表しているわけでございますけれども、この点、通産当局はどうお考えになっていますか。
  198. 関収

    ○関説明員 昨日石油連盟の永山会長が記者会見でおっしゃったということにつきまして、本日各紙の報道機関で伝えられておるわけでございます。私どもが入手いたしました発言の要旨によりますと、最初に個人的な感じということでお断りになっておるわけでございますが、今期の石油会社の決算はかなりよい内容になるものと思われるが、会社によっていろいろばらつきがある、それから、年間を通じて見ないとわからないので、上期だけで議論することはいかがか、たとえば昨年は前半が悪くて後半がよかった、ことしはむしろ逆になるのではないかといったようなことをおっしゃいまして、それから、したがって下期の製品価格につきまして今後どうかということでございますが、外的の事情が変わらない限り値上げは一般的には出てこないものと思う、このような御発言をなさっているやに承っております。  私どもの考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、今需要期を通じまして石油製品の価格の安定を極力図っていくという考え方でございますので、両方を比較いただければ、ほぼ方向としては同じようなねらいを指しているものと考えております。
  199. 春田重昭

    ○春田委員 最後に私の見解を述べておきますけれども、昨年の例を見ても、灯油価格は十一月の時点で千百円だったのが、十二月になったら千三百円になっているわけですね。そういう点で、需要期になりますと、年末になりますと途端に高くなってしまうわけです。そういう傾向があるわけでございますので、通産当局としては、業界に、要するに外的要因が変わらない限り灯油価格は絶対に上げてはならないというそういう強い姿勢を示すべきである、そして国民を安心させるべきである、このように思うわけでございまして、その点を強く主張いたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  200. 國場幸昌

  201. 和田一仁

    和田(一)委員 アメリカの大統領がカーター大統領からレーガン大統領にかわりまして、したがって、アメリカの経済政策についても変化があるもの、こう考えておるわけです。午前中の質問の中にもございましたけれども、河本長官として、新しいレーガン大統領の経済政策というものが私は大変積極的な経済政策、自由経済、自由貿易を基調にした非常に積極的な経済政策をとられるのではないか、こう考えるわけでございますけれども、大変経済的に密接な関係のあるわが国といたしましても、こうした変化をどういうふうにごらんになっているか。そして、それが急速に来るかあるいは徐々に来るか、あるいは依然として変わらないか、そういうようなことを検討中ということでございましたけれども、日本の経済政策の元締めである長官のお考えを、あるいは見通しを含めて率直にお聞かせいただきたい、こう思います。
  202. 河本敏夫

    河本国務大臣 選挙中に幾つかの公的をしておられまして、その公約はなかなかむずかしい公約もございますから、全部実行に移されるのにはやはり若干の時間がかかるのではないかと思いますし、それからだんだんと追加された政策が多うございますので、整合性を持たせるのにもやはり若干の時間がかかるのじゃないか、こういう感じがいたします。  そこで、基本政策につきましては、いまお述べになりましたように自由経済、自由貿易、そして大幅減税をして民間に力を持たせて、現在のようなインフレ、失業、こういう経済から脱却したいという基本的な考え方でございますが、日米間にはいま若干の摩擦がございますので、それに対してはどのような対応をされるのか、ここらあたりは政府の方でもいろいろなルートを通じて目下感触を調査をいたしております。私どもといたしましては、大きな変化はないであろう、このように理解をいたしておりますが、何分にも往復で五百億ドルを超える貿易でございますから、仮にトラブルがあるにいたしましても、できるだけ話し合いで円満に解決をしながらさらに両国の経済関係を拡大する方向に持っていきたい、このように考えております。
  203. 和田一仁

    和田(一)委員 それでは私は、新経済社会七カ年計画というのが閣議で決定されておりますけれども、これについて若干お尋ねしたいと思っております。  まず、この計画の中で示されておりました成長率が五・五%というふうになっておりますけれども、現在の情勢を踏まえた上でこれが達成できる見通しかどうかお伺いしたいと思います。大変厳しい情勢にあるのではないか、こういうふうに考えますので、その辺の見通し、率直にひとつお知らせいただきたいと思います。
  204. 河本敏夫

    河本国務大臣 七年計画の平均の経済成長率は五・五%、それから消費者物価は一応平均五%と、このような想定をしておりますが、毎年そのような数字経済運営をするわけではございませんで、経済の実情がときどきによって違いますから、毎年経済の実情に合わせて具体的な経済運営目標というものを設定をしていく、こういうことにいたしております。  そこで、御案内のように昨年は成長目標は六・三%、消費者物価は四・九%という目標で運営をいたしました。ことしは第二次石油危機の悪い影響等がございますから、若干趣を変えまして、成長率は四・八%、消費者物価は六・四%という目標を設定をいたしたのでございます。来年のことにつきましては目下調整中でございまして、来月中には大体の数字は明らかにしたい。成長目標と物価水準等につきまして大体の目標を決定をしたい、こう思っております。できるだけ七カ年計画の平均に近づけたい、こういうことを目標にいたしましていろいろ作業している最中でございます。
  205. 和田一仁

    和田(一)委員 当然そうしたでこぼこはあるものと思うわけでございますけれども、ことし四・八%というようなことから見ましても、平均の伸び率としてもなかなかむずかしいのではないか。特にこれからの経済情勢の中で先行きそういう意味で伸び率が非常に高くなるということであれば、当面のこうした目標値以下の伸び率でも達成が可能かと思うのですけれども、将来においてそういう見通しがなかなか立ちにくい、むしろ厳しくなっていくのではないかなと考えているだけに、この目標達成のために当面打つべき手が何かあれば、それはすぐにやっていかなければならないわけではないか、こう考えるわけでございます。  七カ年計画の中で特に最近非常に問題になってきておるのが、公共投資二百四十兆という目標があって、そして実質平均成長率を当初は五・七%でしたけれども、これを五・五%に修正してきた。この公共投資二百四十兆は、もうすでに財政再建という非常に大きな一つの課題を抱えておる中で、大蔵当局等ではとても出せない、できないのだという意見が出ておるわけでございますけれども、そうした二百四十兆の公共投資をおやりになった方がいいとお考えになっているのか、その辺をこの計画基本にあるだけに一度お尋ねしておきたいと思います。
  206. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の新七カ年計画が正式に決定いたしましたのは、昨年の八月の初めであります。一月に決定する予定をしておりましたが、六月に東京で七カ国の首脳会談がございますので、そこで各国の石油輸入量等が議論される、エネルギー問題が議論の中心になる、それではエネルギー問題の見通しがはっきりしてから正式に決めましょう、こういうことにいたしまして、六月二十二日、二十三日両日の東京サミットの結果を見まして八月に最終決定した、こういう経過をたどっております。  八月の段階におきましては、十分やれる、大丈夫だ、こういう総合的な判断をいたしまして、政府の方でも与党、自由民主党の方でもこの方針でやりましょうということを決定したわけでありますから、私どもといたしましては練りに練ったこの計画でありますし、内容も十二分に検討した内容でございますから、これはもうぜひやりたいということで決めたのでございます。  しかしながら、その後世界の経済事情はだんだんと厳しさを増しております。日本の経済運営にも問題がたくさん出てまいっておりますので、現時点でもう一回再検討しよう、フォローアップをいたしましょうということで、いま学識経験者を煩わせていろいろ検討していただいている最中でございます。細かい最終の結論は一月にならぬとまとまらないと思いますが、大筋は来月早々には見当がつくのではないかと思っておりますので、経済審議会審議の模様等を踏まえて大体の方向を来月中には明らかにしたいと思っております。
  207. 和田一仁

    和田(一)委員 成長率についてもフォローアップなさるということでございましたし、またこうした公共投資二百四十兆そのものについても見直しをされるというお話でございますが、そうなりますと、大蔵省が言っておるような公共投資は二百兆程度、つまり当初計画よりはマイナス一七%というような程度のものに見直されるのでしょうか。その辺はどうでしょう。
  208. 河本敏夫

    河本国務大臣 その辺はまだ未定でございまして、中には昭和五十二年、五十三年当時、御案内のように二〇%、三〇%以上公共投資が伸びましたが、あの当時のような勢いでこれを進めていくべし、こういう議論もございますが、中には、量的にふえておるからあの当時のような伸び率は無理だ、現実に合わさなければならぬというような議論もございまして、目下その両論につきまして意見を調整中でございまして、現状でいくかあるいは減すという方向でいくか、ここらあたりの結論はまだ出ておりません。
  209. 和田一仁

    和田(一)委員 ことしすでに公共事業の伸び率というのはゼロでございまして、こうした現実の中から大蔵当局は二百四十兆はとても無理だ、二百兆程度ならというような新聞記事を見るわけでございますけれども、もしそういった修正がなされるならば、安定成長をしていくために、先ほども経済政策の基本は景気がすべてを解決する、景気が上がらないとむずかしいというお話がございましたけれども、いろいろな意味においてこうした大型な投資が大きく減ってくるということになると、やはり民間の投資がそれにかわるべくその環境をつくっていかなければいかぬと思うのですね。それだけの公共投資を削減するだけでなしに、それに見合う民間投資に対する政策というか、活力ある経済構造にしていくために、公共投資財政面から無理だけれども、ただそれを減らすということであると、これは安定成長の道からだんだん外れてくるのではないか、こう思うわけでございますけれども、その点はいかがでしょう。
  210. 河本敏夫

    河本国務大臣 全く御意見のとおりでございまして、もし仮に公共事業が減るということになり、ますと、それにかわるべき仕事の量を、民間の設備投資とか貿易とかあるいは住宅投資とか、何らかの形で補てんをいたしませんとその分だけ成長が落ち込む、経済の力が弱くなる、こういうことでございますから、その辺は総合的に判断する必要があろうかと思います。
  211. 和田一仁

    和田(一)委員 民間投資が、技術革新を伴った設備投資、それから省エネルギーのための投資、生産性の向上、こういったことを中心にいっときは設備投資が大変活発であったわけですけれども、何かここへきましてそれが一巡したかっこうで、これから先のそういった民間の設備投資の増勢が果たして維持できるかどうか、この辺に大変影が差しているような感じがするわけでございますけれども、そうなると民間の方もそういった投資の増勢がなかなか維持できない、また公共投資も先細りということになると、これはなかなかむずかしい状態になるのではないか。そういったことを踏まえると、やはり五・五%は平均しての成長率として何とか達成する、こうおっしゃっておりますけれども、全体的にいってこれはフォローアップしていく中で大きく変えていかなければならない。それがもし大幅なことになるならば、これはフォローアップというよりも計画そのもの見直しをやがてしなければならぬ時期が来るような気もするわけですが、そういった点はどうでございましょうか。
  212. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、まだ作業中でございまして、どのような方向に参りますかわかりませんけれども、しかし、日本経済を進めてまいります上におきまして一番大事な点は、わが国の経済安定成長路線に定着させるということが最高の方針であろうと思います。したがいまして、安定成長路線に定着させるというための政策というものは、どういう場合でもすべての力を結集して進めていかなければならぬ、このように理解をしております。
  213. 和田一仁

    和田(一)委員 私どもも、何とか安定成長路線を持続していかなければならない、特にこれから高齢化社会を目の前にしておりますし、雇用の機会も拡大しなければなりませんし、なかなか大事な時期であると考えておるだけに、こうした新経済社会七カ年計画で示された計画、政策というものが、国民が生活していく上、また企業がその仕事をしていく上の大きな指針になっておるはずだ、こう思うわけでございます。  そういう意味で、小刻みなフォローアップというのは大変大事だと思うのですが、私は、この年末あるいは近い将来にその次のフォローアップ報告されるのではないかと思うのですけれども、これは毎年毎年フォローアップして報告国民に示されるのでしょうか。
  214. 白井和徳

    白井政府委員 お答え申し上げます。  新経済社会七カ年計画は、きわめて内外情勢が厳しくかつ流動的な中でつくった計画でございますので、中長期経済運営基本方針についてはこれを堅持しつつ、その計画の信頼性を担保するために弾力的に毎年フォローアップを行う、こういうことになっております。
  215. 和田一仁

    和田(一)委員 そうして、いろいろの実情に合わなくなったところは当然修正されてしかるべきだと思うのですけれども、それが五十年代、六十年までにおける一つ計画として描かれたものであって、それが初年度、次年度というふうにフォローアップで修正されてきて、しかし最終目標というものがあって、そこを何とか達成するということになると、どうしても前半で達成できなかったものは後半へとしわ寄せがされていくのではないか。しわ寄せが出てくると、これはとても当初のような成長率にはいかなかったとか、あるいはGNPもそこまでは伸びなかったとか、そういうことになってきかねません。  そうなりますと、やはりある時期までフォローアップを重ねてくると、計画全体の見直しということが起こり得るのではないか、こう考えるのですが、そういう点は起こり得るものと考えていいのですか。それとも、そんなことはないのだというふうに御理解なさっているでしょうか。
  216. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまで何回か中期計画をつくりました。たとえば第一次石油危機の後を受けまして、五十一年五月に昭和五十年代前期の五カ年計画をつくりまして、昭和五十一年から五十五年までの経済運営の指針をつくったのでございますが、幸いに、その路線で経済運営をいたしました結果、昭和五十三年には第一次オイルショックによる悪い影響もおおむね克服をいたしまして、日本経済が軌道に乗ることになりました。そこで、昭和五十年代後半の経済社会発展計画をどうするかということで、途中でありましたけれども、前の五カ年計画は中断をいたしまして、新七カ年計画にこれを引き継いだ、こういう経過もございますし、それまでの計画も何回か、三年ぐらいで計画を中断をいたしまして新計画に引き継いでおります。  したがいまして、この七カ年計画がそのまま七年間継続をするのか、あるいは三、四年たったところで新計画をもう一回つくり直すとか、そういうことにつきましてはこれからの議論でございまして、現在のところは何とも決まっておりません。  いま進めております作業はそういう作業ではございませんで、現在の計画を若干調整する必要があるのではないか、調整するとすれば一体どこを調整したらいいのかということについて検討しておる、こういうことでございまして、計画全体の変更、こういうことではございません。
  217. 和田一仁

    和田(一)委員 私もなるべく、せっかく立てられた計画でございますから、そういったフォローアップ程度のことで達成していけるようなそういう路線であってほしいと思うわけでございます。  しかし、ここでひとつ、まあこれは私の考えでございますけれども、国民はやはり政府策定されるそうした一つの指標に対してそれを目標に経済活動をするわけでございます。たとえば七カ年でございますけれども、これを十年なら十年、七〇年代なら七〇年代という一つの区切りにしないで、常に国民に対して安定成長の道、こういうふうにきっちりつくっていくのだという道を示す意味で、もちろんその中にはこの七カ年計画の中で基本的に示されておるような「完全雇用の達成と物価の安定」あるいは「国民生活の安定と充実」「国際経済社会発展への協調と貢献」あるいはまた「経済的安全の確保と発展基盤の培養」その他ある、そういう路線そのものはきちっと示して、そしてそこへ達成するための計画として、常に十年先なら十年先を示していく、そして一年済んだら、その目標に対してこういうフォローアップが必要だ、こういう微調整をして、さらにことしから先十年目にはその道の先にこういう指数が出てくる、そういう政策でいこう、こういういわゆるローリングプランというのですか、そういう考え方を持ったら、国民にとっては常に十年先の日本のあるべき姿が示されるわけであって、そしてそれに向かっていままで一年はこういう微調整が必要になってきた、というふうに、そのときそのときの経済情勢、社会情勢を踏まえて常に十年先を見ていられるという感じがするわけです。いま長官もおっしゃられたように、過去何回か切りかえてこられた。計画の途中で切りかえてニュープランを示される、そういうことがもしこれから先あるとすれば私が言うような方法でお示しいただけるというようなことはないかどうか、できればそういったことの方がいいような気がするわけですが、どうでしょうか。
  218. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年来民間の設備投資計画が相当活発になりました背景は、政府が八月に新七カ年計画を決めまして、昭和六十年までこういう方針で経済運営をいたします、そういうことを明らかにいたしましたので、その他の条件と相まって、それじゃ設備投資をやりましょうということで決断をされた向きも相当あったと思います。そういう意味で、中長期の計画というものが非常に大きな役割りを果たすと思います。国によりましては、十年計画を立てまして、これを前期、後期に分けておる、こういう国もございます。日本の場合には、三全総では十年余りの計画を展望しておりますし、それからエネルギー政策では昭和六十五年、一九九〇年までのおよその展望を明らかにしておりますけれども、いまお述べになりましたような経済社会発展計画全体についてもう少し長期の展望を常に明らかにしておく、こういうことは、深く研究したことはございませんが、あるいはその方がいいのではないか、こういう感じもいたしますが、初めてのお話でございますから、十分検討させていただきます。
  219. 和田一仁

    和田(一)委員 それから、やはりこの経済計画を達成していくためには、私はエネルギーの問題を計画どおりにやっていかないとこれはむずかしいと思う。特にエネルギーの中で油でございますけれども、計画の前提としては日量六百三十万バレル、これは六十年度六百三十万バレルの石油輸入目標の上で立てられておると思うのですけれども、最近の情勢その他によってこれが果たして達成可能かどうか。先般も日本の油の使い方に対しても日量五百七万バレルくらいに減らせとIEAが言ってきている。対日要請をしている。そういった現状もあって、六十年六百三十万バレル、これが果たしてそう考えられるのかどうか、この辺の見通しをひとつお聞かせをいただきたい。
  220. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 お答え申し上げます。  現在私どもで計画しております六百三十万バレルというのは、先生御存じのとおり、去年の東京サミットで合意を見たものでございまして、その後、一つは中東情勢が非常に激変しておるということ、それからもう一つは消費国のサイドでもIEAの閣僚理事会あるいはことしのベニスサミット等でできるだけ先進国の石油輸入量を減らそうというような決議がなされておりまして、そういう両面からなかなか六百三十はむずかしいのではないかということだろうと思いますけれども、確かに六百三十万バレル確保というのは大変むずかしい問題だろうというふうに考えておりますが、私ども、国ごとに認められた数字としましてはこの六百三十というのがまだ生きておるわけでございますから、ぜひその確保に努めたい、そのために、たとえば現在中東に大部分を依存しておるわけですけれども、それを多様化するとか、あるいは自主開発の原油のウエートを上げていくというようなことをやってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  221. 和田一仁

    和田(一)委員 油がやはり中心でしょうけれども、これにかわるべきものとして、私どもは、原子力発電というものがどうしても当面取ってかわる大きなエネルギー源だ、こう思うわけですが、この原子力発電の計画が七カ年計画の中で示された計画どおりに進行しているかどうか、ちょっとお尋ねしたいわけです。
  222. 西中真二郎

    ○西中説明員 御指摘のとおり、原子力発電がこれから非常に重要なものになってまいるわけでございますけれども、新経済社会七カ年計画におきましては、原油換算いたしまして原子力発電で〇・四億キロリットルというふうな数字が挙がっておるかと思います。現状を申し上げますと、現在運転中の原子力発電所がわが国のトータルで約千五百万キロワットございまして、このほかに建設中のものが五百八十四万キロワット、それから建設準備中、これは実は電源開発調整審議会をすでに通りましていまいろいろ許可手続をやっておる途中のものでございますけれども、これが七百九万キロワットございます。なお、大変細かい話で恐縮でございますけれども、きのう付で四基ばかりのものの工事計画の認可をいたしましたので、正確に申しますと、七百九万キロワットのうちから約四百万キロワットくらいのものが近日中に工事中の方に上がってくるということになろうかと思いますが、いずれにしましても、これをトータルいたしますと約二千八百万キロワットということになるわけでございます。これが現在私ども持っております六十年度末までに運転可能になるだろうというふうに見込んでおる原子力発電所の数字でございまして、この辺の原子力発電所が六〇%台の稼働率で運転を続けていくということになりますれば冒頭に申し上げました〇・四億キロリットルというものをほぼカバーすることができるのではないかというふうに考えております。
  223. 和田一仁

    和田(一)委員 七カ年計画ではお話のとおりそうすると大体達成できる、少なくも原子力発電については予定どおりいきそうだ、こういうことでございますが、そこから先についてちょっとお尋ねしたいのです。どうもそこまではいいようですけれども、それから先の原子力発電の日本のエネルギー源に占める比率というものはいままでの伸びと違ってがたっと落ちるような感じがするのですが、その辺どうでしょう。最近大変そういった原子力発電に対するいろいろな障害もあろうかと思いますけれども、これがちょっとどうも不安な感じがしまして、何か大丈夫だ大丈夫だ、油も大丈夫だ、原子力発電も計画どおりだというようなことの中で、エネルギーに対する考え方国民がいっとき大変心配だと言われていたけれども何か非常に安心感を与えられて、エネルギー対策というものはもう大丈夫なんだというような感じをちょっと持ち始めているような感じもしますが、私は、七カ年以後、むしろ六十年以降の対策が非常にここへきて落ち込んでいくのではないかという感じがしておりますけれども、いかがでしょうか。
  224. 西中真二郎

    ○西中説明員 先生御指摘のとおりの問題は実はあるわけでございまして、私どももそういった意味で大変苦労しておると申しましょうか、いろいろ頭を悩ませておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、六十年度末約二千八百万キロワットというものはおおむね目星がついておるわけでございますけれども、通産省の諮問機関でございます電気事業審議会の需給部会と申しますところで去年の十二月に出した報告でございますけれども、それによりますと六十五年度におきましては五千百万ないし五千三百万キロワットというところまで持っていきたいという目標になっておるわけでございます。この目標の達成は、実は中間報告自体におきましても、必ずしも容易なことではない、官氏を挙げての一層の努力が必要だということがうたわれておるようなものでございまして、先生の御指摘もございましたように必ずしも容易なことではないわけでございますけれども、わが国のエネルギーの安定供給を図りますためにこの目標達成に私どもといたしましても最大限の努力を重ねてまいりたいと思っておるわけでございます。そういった意味におきまして、通産省といたしましても、今後とも、原子力発電の安全性の確保といったことに万全を期すことはもとよりでございますけれども、電源三法の活用でございますとか、あるいは広報活動をさらに強化するとか、そういったふうなことをいろいろ進めてまいりまして積極的に電源立地を進めてまいりたい、原子力発電の開発に努めてまいりたいということを考えておるところでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、現在、地点がはっきりしておっていろいろ手続も始まっておるというものは二千八百万しかないわけでございますけれども、そのほかにもたとえば新潟県の柏崎でございますとかそういったことでいろいろ地元との調整がついてまいりまして、柏崎につきましては近々第一次公開ヒヤリングということを地元でやることになっておりますけれども、そういったふうなかっこうで個々の地点でだんだん浮上してまいっておるものもございますので、そういった地点を少しでも早く的確に物にしていくということに私どもとしても最善の努力を尽くしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  225. 和田一仁

    和田(一)委員 立地条件なんかでいろいろ苦労しておる向きがございますけれども、原子力発電の開発については、−政府としてもできる限りの尽力をすべきではないか、こう考えております。ぜひひとつお願いしたいと思います。  それから、もう時間がございませんので、また機会をちょうだいしてお尋ねをしたいと思いますけれども、一つだけ最後にお聞きしたいのは、最近いわゆる統計の基準年次の改定ということが言われておりますけれども、これは経企庁として、国際的ないろいろな正確な統計をそろえるためにも、あるいは海外での国民所得との比較等をする上からも、現在の四十五年基準を五十年基準に改定をされる意思があるかどうか、これをちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  226. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまでは昭和四十五年を基準にしていろいろな統計を出しておりましたが、今回五十年を基準に切りかえることにいたしまして、五十三年までの分につきましては、新基準で先般発表したとおりでございます。五十四年以降の分につきましては、目下作業中でございます。
  227. 和田一仁

    和田(一)委員 それではまた別の機会にいろいろと御質問したいと思います。きょうは終わります。
  228. 國場幸昌

    國場委員長 辻第一君。
  229. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず物価問題、年末年始の物価対策についてお尋ねをいたします。  労働省の勤労統計調査によりますと、九月の実質賃金は、前年同月比で二・八%の減少になっております。ことし春以来、一時金に助けられた七月を除いて、四月には一・三%、五月には一・二%、六月は一・八%、八月は史上四番目の三・五%、それぞれ減少したわけでございます。これは言うまでもなく消費者物価の上昇が大きく影響したものにほかならないと思うわけでございます。  九月末に経済企画庁が発表された国民生活白書を見てみましても、物価上昇による家計の圧迫、労働者の実質収入の伸び率の鈍化を指摘しております。また、家計のゆとりがさらになくなっていることは、いわゆる手取り収入のうちのゆとり分とも言える可処分所得の余裕度は、一六%に落ち込んだことが示されております。まさに労働者初め勤労国民は生活が大変苦しくなってきたということを身にしみて感じている状況であります。しかも年末を目前に控えて、大きな不安を感じております。政府は、消費者物価を六・四%に抑えるとの論議をしておるわけでございますが、そのためには年末年始の特別対策が特に重要だと思うわけでございます。経済企画庁長官考え方をお伺いしたいと思います。
  230. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府物価政策の基本は、消費者物価を安定させることがすべての経済政策を有効に進める前提条件である、こういう判断のもとに立ちまして物価対策を進めておりますが、先月三十日におきましても、十四項目の物価対策を決定をいたしました。年末対策につきましても特別の対策を考えていかなければならぬということで、目下準備中でございます。
  231. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま長官は年末年始に対する物価対策を準備中、このようにおっしゃったわけでありますが、十一月中に決定するという方針ではなかったのでしょうか。どうでしょうか。
  232. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 十月三十日の物価担当官会議で決めました十四項目の中で、年末年始の物価対策につきましては十一月の中旬にこれを決めるということを決めておりまして、現在その作業をやっているという段階でございます。
  233. 辻第一

    ○辻(第)委員 もうそろそろ中旬なんですが、まだやっておられるということですか。大体できておりますか。
  234. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 何分関係省と十分打ち合わせをしていかなければならないものでございますので、現在その協議をしている段階でございます。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、まだ具体的にその対策についてお聞きをする段階までいっていないということでしょうか。
  236. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 具体的な内容についてはそのとおりでございます。ただ、全体の考え方としては、やはり年末年始には非常に需要がふえますので、生活必需物資につきまして供給を十分に確保するということが基本でございます。それから、同時に年末年始の期間中の価格の動き等を十分監視するということも必要でございますし、消費者に適切な情報を提供するということも重要でございます。そういうような事柄について具体的な内容を現在詰めているということでございます。
  237. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま詰めておられるようでございますけれども、全体の感覚として、私は、大変遅いのではないかというふうに思うわけであります。そして政府は、消費者物価について総じて見てみますと落ちつきの方向にある、このような認識のようでありますけれども、いわば昨年末の異常とも言える上昇の後の高値の安定というような状況でもあろうと思います。なお十分警戒を強めて、当面の年末年始対策を本当に強化をする必要があるということを強く申し添えて、次の質問に移りたいと思います。  次に、私ども国民にとりまして年末年始特に必需品とも言えるモチ米の価格の問題や供給の問題について質問をいたします。  まず初めに、モチ米の流通と価格については、自主流通が基本であり、指定法人と実需者の取り決めで決められる、このように認識しておるわけでありますが、このとおりでしょうか。
  238. 近長武治

    ○近長説明員 御説明申し上げます。  モチ米は、先生御指摘のように、自主流通米で流通することになっております。したがいまして、モチ米についての価格は、指定法人、これは生産者団体としての全農と、それから全集連という二つの団体が指定法人になっております。それと実需者との間の取り決めというふうな形になっております。
  239. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまおっしゃった全農や全集連を通じる正規のルートではなしに、いわゆる自由米と言われる、もっと言えばやみ米ですね、この価格がどのような状況になっているのか御存じでしょうか、お尋ねをいたします。
  240. 近長武治

    ○近長説明員 お答えいたします。  やみ米、いわゆる自由米の価格については、われわれなかなかつまびらかにし得ないところでございますが、一つ資料としては、日本経済新聞に数字が出ております。それによりますと、十一月の第一週では六十キロ当たり二万七千五百円というふうに承知しております。
  241. 辻第一

    ○辻(第)委員 現に去年に比べますと、五〇%上がっておる。また、ある報道では九月半ばから十月半ばにかけて三〇%、このような高騰ぶりだというふうに報道しております。  そこで、価格の問題はちょっと横に置きまして、ことしのモチ米の作柄がどのような状況なのかお尋ねをし、あわせて去年の生産量はどのような生産量だったかお尋ねをします。
  242. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  本年の十月十五日現在の水稲の作況を十月三十一日に農林水産省の統計情報部で発表しております。これによりますと、水稲の作況指数は八八という著しい不良になっております。  なお、この調査は水稲、陸稲というふうに分けておりますが、モチ米とウルチ米というふうに二つを分けた調査ではございませんが、いずれにいたしましても、本年は近年まれなる大不作だと考えております。  次に、生産量でございますが、昨年五十四年は十二万六千ヘクタールの作付というふうにわれわれの調査では承知しております。生産量は五十四年産五十五万トン程度であろうというふうに思われます。また、本年の作付面積は十万六千ヘクタール程度だというふうに思っております。  なお、収穫量については現在の時点では定かな数字はわれわれの方は把握しておりませんが、いずれにいたしましても、先ほどのような作況でございますので、前年よりは収穫量は相当減っているというふうに思われます。
  243. 辻第一

    ○辻(第)委員 まあことしのようなまれに見る冷害で不作であるという状況で、まずお米の生産量、普通のお米とモチ米に分けて調査をし、必要な対策を講じるべきではないかというふうにも思うわけでありますが、その点はどうでしょう。
  244. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、本年の作付面積はモチ米が十万六千ヘクタールでございます。本年は昨年より作付面積が減少しているということもございますが、特にこういう冷害でございます。われわれとしてはなるべく全体の生産量なり集荷量というふうに思いますが、現在の調査では統計的な技術もございますので、水稲一本というふうになっております。そういう点は御了解いただきたいと存じます。
  245. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまの点はわかりました。  次に、去年は五十五万トン生産された、大体そういうことでありますが、ことしは生産計画による減産だけでも、先ほども言われましたが、大分減っておりますね。だから、昨年並みということはあり得ない。一割の減産でも五十五万トンから見てみますと、四十九・五万トンということになります。それに冷害による減産を加えると四十万トンとがあるいは三十五万トンというふうにも言われているわけですが、私もこの数字がほぼ正しいのではないかと考えています。この中には当然自家消費分があります。ほぼ二十五万トン程度が自家消費に回るのではないか。このように見ていきますと、去年の生産分のうち流通契約が済んでいない三万六千トンを加えても必要量が確保できないのではないか、このような状況であろうと思います。ことしの販売予約量の二十二万八千トンあるいは購入申し込み量の二十二万五千トンなりが本当に集荷できるのか、この集荷の問題、どのような見通しをお持ちなのかお尋ねいたします。
  246. 近長武治

    ○近長説明員 農家の自家消費の数量につきましてはなかなか正確に把握しづらい面がございます。と申し上げますのは、農家はみずからの家族でモチ米を消費するだけでなくて、たとえば娘の嫁ぎ先でございますとかあるいは知人でございますとか、あるいはモチ米の形で、いわゆる縁故米という形で流通するものもございます。さらにそのほかにも、われわれとしては大変残念ではございますが、縁故米等というような形での流通量がございます。したがいまして、農家の自家消費とみなされる数量は、恐らく先生計算も全体の推定の生産量から正規に集荷された数量を差し引いた数字であろうかと存じます。したがって、そのような性格を持っている数字でございますので、年々の作柄によってその数字がふえたり減ったりするというような点ががざいますので、一点として御了解いただきたいと思います。次に、本年の集荷の状況についてどのように見ているかというお尋ねでございますので、簡単にお答え申し上げたいと思います。  ことしのモチ米については予約限度数量、これは食糧管理法に基づきまして生産農家にこれだけの予約は受け付けますという数量でございます。言うなればモチ米の自主流通米の数量の上限というのに大体近い数字だというふうに考えていただいたらいいと思います。そのような性格でございます。それは本年は二十五万トンでございます。それに対しまして、生産者からの予約申し込み数量は二十二万八千トンというふうになっております。他方、モチ米についての需要者からの申し込みの数量は二十二万五千トンでございます。そういう数字で両者の契約栽培の契約が成り立っておるという状況でございます。本年現時点でどの程度の集荷数量になるかということを見きわめますのは非常にむずかしゅうございます。ただ、御指摘のように、ことしの作柄から見て二十二万八千トンの集荷を達成するというのはなかなか容易ならざるものがあろうかと思います。ただ、現時点では両集荷団体とも全力を挙げて集荷に励んでおりますので、こういう状況もわれわれとしては見きわめていきたいと考えております。
  247. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変困難な面もあろうかと思いますけれども、必要な状況や数値を十分把握をして、必要量を確保するためにいろいろな措置を講じていただきたいということを申し添えておきます。  そして、全量を集荷するように努める、一生懸命努力するというふうにおっしゃるわけでありますが、実際上安い自主流通米より高い自由米に行くというのが自然の流れでもあろうと思うわけです。そういう点でもう少し具体的な集荷の方法というものがお答えいただけないかと思うのですが、どうでしょうか。
  248. 近長武治

    ○近長説明員 モチ米の集荷、特に年々の作柄の変動がございますが、豊作のときも不作のときにも安定的な集荷をしたいということは生産者も実需者も共通の願いでございます。したがいまして、現在われわれ基本的な考え方としてとっておりますのは、モチ米の自主流通米制度の中で、そういう枠の中で実需者と生産者による契約栽培というものをいたしまして、植えつけの際から、どの程度の集荷が見込まれるかということを一つの柱としております。  それからもう一つは、モチ米の生産についてもかなり零細な生産もございます。零細な生産でございますと、やはり集荷の面でなかなか安定をしない面もございますので、現在はモチ米についてもなるべく生産団地の形になるようにというような育成をしております。  これが基本的な考え方でございますが、特にことしのような冷害というふうになりますと、やはり生産量の問題もございますが、そういう冷害の中ではございますが、先ほど御説明いたしました契約栽培というような趣旨に沿って、実需者が真に必要とする数量が確実に集まるようにということで、現在われわれの方からも督励しておりますし、それから両集荷団体も一生懸命やっている、こういうような状況でございます。
  249. 辻第一

    ○辻(第)委員 繰り返すようでございますけれども、やみ米の問題ですが、さっきも触れたように、ことしのように戦後二番目の不作、こういう状況の中では、農家の方々ができるだけ高く売りたいと思われるのは、この心理は私はよく理解できるわけです。同時に、このような農家の方々の立場や心理に便乗してぼろもうけをたくらむ、こういう人たちがいることも十分考えられることであります。特に、正月を控えてモチ米の需要が高まっている中では、十分に警戒を要することであろうと考えます。現にモチ米が一俵四万円という報道もあったわけでありますし、三万五千円ぐらいまではね上がるという専門家もおるわけであります。東京でも大阪でも、すでに二万五千円から三万円の相場と言っております。昭和四十七年から四十八年にかけての丸紅による買い占め事件、あの状況を再現してはならないと思うわけでありますが、農林省、また経済企画庁長官の見解はいかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
  250. 近長武治

    ○近長説明員 現在、モチ米についてわれわれ一番大事だと思っておりますのは、実際に消費者がお米屋さんから買うお米の値段が安定するということであろうかと存じております。われわれも末端の価格を食糧庁なりに調査してございます。現在、十月第一週の主食用のモチ米の全国の平均小売価格は、一キログラム当たり五百三円でございます。昨年の同期がたしか五百十五円であったかと思いますので、その時点では一応安定はしているというふうに受け取っております。しかし、現時点におきます需給事情でございますから、これからどういうような価格の動きになってくるか、予測しがたい面もあろうかと思います。したがいまして、一つは実需者の購入申し込みをなるべく満たすようにということで、先ほど以来御説明しております集荷対策に重点を置きながらいま進めてきておりますが、もう一点は、末端の価格の動向についても十分調査し監視をいたしまして、不当な価格の高騰が見られることのないように、適切な価格形成をやっていきたいというふうに思っております。  なお、丸紅のモチ米事件についての御指摘でございますが、われわれは、かかる事態が再び起こることがないように、厳重に対処していきたいというふうに考えております。  以上、お答え申し上げました。
  251. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 モチ米の供給確保の問題につきましては、先ほど来農林省の方でお答えになっておりますように、現在の予約申込数量に基づきまして、この全量集荷について格段の努力をされているわけでございますので、私どもとしては、その全量集荷が確実に行われるということを期待しておるわけでございます。  そういうことで需要について十分な量が確保されることになりますれば、それでかなり価格の安定は図られるわけでございますが、なお末端価格について、都道府県、食糧事務所等を通じて、便乗値上げ等の不当な価格が形成されないようにということでお願いをしておるところでございますし、今後とも私どもとしても食糧庁とよく相談をして、価格についての動きが不当な動きにならないように、そういうことについて努力していきたいと考えております。
  252. 辻第一

    ○辻(第)委員 あの丸紅事件も、結局は自主流通米の集荷が計画を大幅に下回ったということに端を発していると言われております。政府は、自主流通ルートの全量確保に全力を挙げるといまもおっしゃったわけでありますけれども、しかし実際問題として、皆さん方の希望や考え方と現実とはやはりギャップが当然あり得るわけでありまして、大変な事態が起こってからでは遅過ぎるということであります。どうもいまの時点では少し甘いのではないか、私はそういうふうに感じるわけでありますが、やみ米の高騰や買い占め売り惜しみの防止など、必要量の確保のために具体的にどのよべに対策を立てられるのか、もう少し聞きたいと思うのです。
  253. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  集荷対策については、るる御説明したとおりでございます。本年の実際の生産量、集荷量、それから特に年末年始に真に必要な数量という点については、われわれとしても十分に数量を見きわめながら、万全の対策を考えていきたいというふうに考えております。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、このモチ米の問題について、不当にモチ米が高騰することがないように、安定した供給がされるようにというのが国民の願いであります。この点について長官の決意をお聞きしたいと思うわけでありますが、よろしくお願いします。
  255. 河本敏夫

    河本国務大臣 正月にはモチ米がたくさん要るわけでありますが、この前もこの問題が議論になりまして、農林省では、もし絶対量が不足するという事態が発生をすれば、時と場合によれば輸入をしてでも絶対量は確保します、そういう趣旨のことを答弁をしていただいておりまして、大変力強く、私どもも歓迎をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、物価に相当な影響がございますから、年末対策としてしっかりやらなければならぬ、こう思っております。
  256. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは最後に、私鉄大手十四社が今月の十四日に全社平均一九%の値上げを申請する、このように報道されています。今回の値上げも業績の悪い会社が音頭取り、このような形で各社が一斉に値上げ申請をするようでありますが、業績にかかわらず一斉に値上げをするというのは大変おかしいと思います。郵便料金の値上げに続いて、公共料金である私鉄運賃の値上げによって、物価に与える影響は大変大きいと考えます。  また、この値上げ申請は一九%と言われているわけでありますが、今日の報道では、運輸省は一五%に抑えたいとの意向である、このように言われております。もし一五%の値上げでも、今年度中に行われれば物価にどんな影響があるのか、年度内の物価上昇を政府見通しどおりに抑えられるのかどうか、こういう点で物価に与える影響の大きさを長官はどのようにお考えになっているのか。もしこれが本当に実施されれば、年度内の物価上昇を政府見通しどおりに抑えることができるかどうか、どのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
  257. 河本敏夫

    河本国務大臣 公共料金に対する基本的な考え方は、その企業に対して徹底した合理化を求めるということがまず第一番であります。しかしながら、石油事情等もございますから、徹底した合理化をしてもなお吸収できない、こういうものがありましたならば、最小限度の値上げは万やむを得ないと思いますが、その場合といえども、消費者物価に与える影響等を十分考慮いたしまして、時期とか幅とか、そういうことについては十分考慮しながら最終の判断をする必要があろうか、このように考えております。  私鉄運賃のことはまだ聞いておりませんが、仮にそういうことになりましたならば、運賃申請が出まして、運輸省の方から御相談がありました場合には、その基本方針に沿って厳重に対処していきたい、こう思っております。
  258. 辻第一

    ○辻(第)委員 以上で私の質問は終わります。
  259. 國場幸昌

    國場委員長 次回は、明後十三日木曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十二分散会