○楢崎
委員 管理
部長はもうよろしゅうございます。御苦労さまでございました。
このテレックスナンバーはJ二五七四二、これは直通の電話につないだのではなしに回線の方に直接つないだやつですから、こういう数字が並ぶ番号になっているわけですね。このテレックスのKDDに対する申請人は稲垣実男議員。このテレックスが何のために置かれて、どういう人たちが使っておるか大変疑問がある。
その事実だけを言ってみますと、もともと稲垣議員は自宅が目白にあるのですね。そして、宿舎が足らないこの時期に赤坂宿舎の三五三号室を確保して、そこにテレックスを置いて、本人は出入りされていない。テレックスは一日じゅうぱっぱっぱっ作動している。それを利用する人は稲垣議員であるのか、あるいはその
関係者であるのか。稲垣議員でない人が出入りしている。そして、その三五三隣室の三五四居住の議員のお話によれば、夜中じゅううるさくてしようがないし、どうも商売の話を複数の人たちが夜中もやっている。赤坂宿舎は壁が薄いからもう筒抜けで聞こえる。石油という言葉がどんどん出てくる。これはお隣の議員及びその家族の証言であります。つまり、このテレックスは個人的な商売で使われておる
可能性がある。
その商売の
内容に触れていきたいと思いますが、本蔵貢及び一柳直章という人たちが稲垣議員の私設秘書と名乗って、そしてテレックスを使いながら原油と石炭の引き合いを盛んに行っておるという事実がある。引き合い量は、油にして大体十万バレルから五十万バレル前後、大変な量です。したがって金額も大きくなる。そのほかに、ユーロダラーとかオイルダラーの融資の話も、油と金の話を一緒に持ち回って歩かれておる。
実例を挙げます。
Aという興産の場合。五十四年五月二十三日——これは私がこの興産に行ってメモをファイルされておるのを見せてもらいました。いまから言うとおりにそのメモがされております。
五十四年五月二十三日、あらかじめ稲垣議員からA興産秘書課に、本蔵が行くからよろしくという電話があった。やがて本蔵氏が
会社に来た。その
会社の海外部次長と輸入
課長が応待をした。本蔵氏はサウジ原油が買えるという話を持ち込んだ。それから二、三度本蔵氏から電話が海外部次長にあったそうです。
さらに二カ月後の七月二十三日、カリフォルニア州サンターナのTという名の、トンガの人のようですが、これは石油ブローカーです、このTという人からこのA興産の海外部次長に突然国際電話があった。そのT氏が言うには、契約書に従って動いております、こう言ってきたという。次長は驚いて、そんな約束はした覚えがない、当社の米国
会社がニューヨークにあるから、その
会社のロサンゼルス事務所に行って話をしてくれ、こういう返事をして電話を切られた。
そして二日後、七月二十五日、そのT氏がお話しのとおりロサンゼルス事務所にそのA興産の海外部次長のサインと稲垣議員のサインのある契約書を持って訪れている。そして、そのロサンゼルス事務所の方が応待をされた。その署名のうち海外部次長のサインは全く本人のものではない、そう言って否定したそうです、ロサンゼルス事務所は。つまり、にせのサインがしてある、その海外部次長のサイン。にせのサインということを証明するために、こういう
企業では商工
会議所にサインを登録していますから、この場合は東京本社から、東京商工
会議所に登録されている海外部次長のサインを念のために送っております。つまり、いかにもAという興産と稲垣議員の間でサウジ原油の取引ができておるかのごときにせの契約書を持ち回って、それを石油ブローカーの方にいろいろ話を持ちかけておるということが初めてわかった。稲垣議員のサインは本人がしております。
現在、この興産は、この偽造契約書作成、行使の刑事
責任問題の処理のために、その権限のすべてをEというその
会社のお抱えの法律事務所に委任しておるそうであります。これはアメリカにおける事件とはいえ、明らかに私文書偽造であり、詐欺罪の未遂に匹敵する犯罪性を持った話であると私は思います。たまたまT氏が国際電話を入れてきたからわかった。
今度はBという、これは民族系の石油
会社の場合です。ここにも行きました。昨年の十一月二十七日、やはりこの本蔵という人が訪れて、その話の
内容を二の
会社もメモして、そのとおりファイルされておる。それをそのとおり読んでみます。
これは昨年十一月二十七日です。「別件で本蔵はペトロミンと十万バレルの契約をする予定になっているとのことで、更改のため十二月中旬サウジへ行くことにしているとのこと。国
会議員に随行して行き、先方では国王初めヤマニに会う予定だが、OPECカラカス総会出席のための日程調整との絡みで現在日程調整中とのこと。政治家(稲垣代議士)のルートにより、政治的に入手できている原油であることを強調し、量の確保についてはメジャーによりギャランティーされているので問題ない旨先方は主張するが、当社の志向するDDとは路線が違うように思われるため、しばらく様子を見たいと伝えておいた。以上」というのがメモの
内容です。
実際の動きはどうかというと、稲垣議員はことしの二月一日から七日間、通常国会中ですから国会の請暇をとって、実際にはそれからさらに一週間延長し二月十五日までかかっておりますけれ
ども、ドッドウエルの社員と一緒にこの本蔵氏を連れて、ロンドン、スイス、サウジ、バーレーン、アメリカ等を回って、アメリカの銀行の名前を盛んに使いながらユーロダラーの話をして歩いているというのであります。
さらに、C石油についても同じような金融の話が持ち込まれている。
それで、私は時間がありませんから多くを言うことはできませんけれ
ども、もともと宿舎には国家
公務員宿舎法を準用している。その提供目的は、国の事務及び国の
事業の円滑な運営に資することを目的として貸すわけです。こんなことに部屋を使うのはもう提供違反ですね。目的に反する。これはあたりまえのことです。しかし、こういうことが対外的には、あるいは客観的には、
日本の国会は議員宿舎を使ってこういう商売をやらしているということになれば、非常に信用供与になる。
私は、本蔵という人あるいは一柳という人と稲垣議員の
関係が実際どうあるのかわからない。勝手に私設秘書として名前を使っておるのか。しかし、いずれにしても本人は知っておられるはずだから、何かあれば当然連帯
責任が生じてくる。
私は一番問題なのは、これから先をちょっと聞きたいのですよ、
田中大臣。こう言っては何ですが、私も国会二十年になるけれ
ども、稲垣さんは三回生議員、実際に四年間にもなっていない。言うなら私と同じように並みの議員ですよ。こういう議員が、このメモによるとそういうことになっているのですが、
政府も苦労に苦労を重ねて、がまんをしながら石油を入れているわけですが、一介の政治家にそれほど大量の原油を政治的に入手することができるのでしょうかね。そういう話ができるのですか。私はわからないのです。
大臣、どう思われますか。