運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-10-24 第93回国会 衆議院 環境委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年九月二十九日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 山崎平八郎君    理事 戸沢 政方君 理事 中村正三郎君    理事 吹田  愰君 理事 水野  清君    理事 野口 幸一君 理事 馬場  昇君    理事 岡本 富夫君 理事 中井  洽君       天野 公義君    池田  淳君       木村 武雄君    佐藤 一郎君       田原  隆君    玉生 孝久君       橋本龍太郎君    畑 英次郎君       藤波 孝生君    岩垂寿喜男君       土井たか子君    森中 守義君       山本 政弘君    竹内 勝彦君       木下敬之助君    藤田 スミ君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十五年十月二十四日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 中村正三郎君 理事 吹田  愰君    理事 水野  清君 理事 野口 幸一君    理事 岡本 富夫君 理事 中井  洽君       天野 公義君    奥田 幹生君       玉生 孝久君    登坂重次郎君       藤波 孝生君    土井たか子君       森中 守義君    山本 政弘君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       北村 和男君         環境庁企画調整         局長      藤森 昭一君         環境庁企画調整         局環境保健部長 七野  護君         環境庁自然保護         局長      正田 泰央君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部公害課長  斉藤 明範君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       千秋  健君         環境庁長官官房         審議官     石川  丘君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      本田 康二君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    飯田 善彦君         資源エネルギー         庁長官官房石油         代替エネルギー         対策課長    川田 洋輝君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     廣瀬 定康君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二日  辞任         補欠選任   佐藤 一郎君     奥田 幹生君 同月二十一日  辞任         補欠選任   池田  淳君     山村治郎君   竹内 勝彦君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     竹内 勝彦君 同月二十二日  辞任         補欠選任   山村治郎君     池田  淳君 同月二十四日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     登坂重次郎君 同日  辞任         補欠選任   登坂重次郎君     木村 武雄君     ――――――――――――― 十月十六日  四国のみち保全整備事業の促進に関する陳情書  (第六四号)  環境影響評価制度の確立に関する陳情書  (第六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する事項  公害防止に関する事項  自然環境保護及び整備に関する事項  公害健康被害救済に関する事項  公害紛争の処理に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。鯨岡環境庁長官
  5. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 九十三国会衆議院環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に関する私の考えを申し述べて、委員各位の御理解と御協力をぜひ賜りたいと思います。  環境行政は、国民の健康を脅かす公害防止し、一たび破壊されると回復が困難なそしてかけがえのない自然を保護し、さらに進んで住みよい快適な生活環境を確保するという重大な使命を持っております。  私は、環境庁長官に就任してまだ四カ月余りでございますが、この課せられた使命の重大さを痛感するとともに、環境行政推進の任に当たることに大きな誇りと意欲を感じている次第であります。  環境問題は、現在生存している私たち一人一人の健康と生活に直接関係する問題であると同時に、私たちの子や孫、ひいては人類の将来にもつながる重要な課題であります。私たちは、より豊かな生活を求めて、さまざまな社会経済活動を行ってまいりますが、これら諸活動が無制約に行われ、人間生存に最も基本的な要素である大気や水、自然などの環境を破壊し、国民の健康や生活を損なう結果を招くことがあっては決してならないと考えておるわけであります。  私は、このような認識のもとに、今後の環境行政を、環境汚染未然防止基本とし、長期的総合的な観点から推進してまいる所存でありますが、当面次のような事項に重点を置いて取り組んでまいりたいと考えております。  第一に、環境影響評価早期法制化であります。  わが国は、かつて著しい環境汚染経験しております。この若い経験を踏まえ、環境汚染未然防止に万全を期することが、私の役所である環境庁に課せられた大きな責務であります。環境影響評価法制化環境庁の最重要課題でありますが、すでに政府部内における法案の取りまとめは終了しております。私といたしましては、できるだけ早く国会に提出し得るよう全力を挙げる決意でありますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  第二に、長期的総合的な観点に立った環境政策の展開であります。  経済安定成長への移行、エネルギー需給構造変化都市化進展等社会経済条件変化を踏まえ、一九八〇年代の環境政策のビジョンを策定することといたしております。とりわけ、エネルギー問題は、わが国が当面する重要な課題でありますが、これに対しても、環境保全の面から十分な配慮を加え遺憾なきを期すため、総合的な調査検討を進めてまいることといたしております。  さらに、環境問題の地球的広がりに対して、わが国としても積極的に取り組んでまいる所存であります。世界人口の増大と人間活動規模の拡大を背景として、大気中の炭酸ガス濃度の増加や熱帯雨林の減少などの問題が各国の大きな関心事となっておりますことは御承知のとおりであります。これら人類の将来に重大な影響を与えるおそれのある地球的規模環境問題については、先般、とりあえず環境庁が取り組むよう直接総理から御指示をいただいたところであります。私は、各界有識者の御意見を徴しつつ、本問題に積極的に取り組んでまいろうといたしておるところであります。  第三に、各種公害対策推進であります。  湖沼環境保全対策窒素酸化物対策交通公害対策を中心にさらに積極的に推進してまいることといたしております。  湖沼は、河川、海域に比べ環境基準の達成がおくれ、また、富栄養化に伴う利水障害が著しくなっております。私は、就任以来、霞ケ浦や琵琶湖の視察に行ってまいりましたが、早急に湖沼について法制度化を含め総合的な環境保全対策を講ずる必要があると痛感をいたした次第であります。このため、今月十五日に中央公害対策審議会に対し、「湖沼環境保全のための制度のあり方について」諮問をいたしたところであり、その答申を得て、次期通常国会湖沼環境保全に関する法案を提出いたしたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  窒素酸化物対策につきましては、環境基準に照らして対策緊急度の高い地域において固定発生源について総量規制の導入を速やかに図ることといたしております。  交通公害対策につきましては、中央公害対策審議会での審議を進めていただくとともに、自動車排出ガス規制等発生源対策周辺対策等関係行政機関との連携のもとに鋭意推進してまいりたいと考えております。  また、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、財特法と言われているものですが、本年度末に効力を失うこととされておりますが、公害防止計画に基づき公害防止に関する施策の一層の推進を図るため、同法の存続の措置等を講じたいと考えておりますので、この点についても御理解と御協力お願い申し上げます。  第四に、公害健康被害者対策充実であります。  公害による健康被害を受けておられる方々に対して、その迅速かつ公正な保護に万全を期することは、環境行政基本であります。今後とも公害健康被害補償制度の円滑な実施、水俣病対策推進等全力を挙げていきたいと考えております。  第五に、自然環境保全であります。  自然は生命をはぐくむ母体であり、私たちに限りない恩恵を与えてくれております。自然の厳粛さをとうとび、その微妙で複雑な法則を乱すことなく、これを後世に伝えることは、私たちに課せられた大きな責務であります。このため、自然環境に関する調査研究推進及びその体制の強化自然公園等保護管理強化及び施設整備を図るほか、鳥獣保護対策につきましても、国設鳥獣保護区の整備渡り鳥保護の分野における日中協力推進等を行ってまいりたいと考えております。  第六に、環境行政基盤充実であります。  国立公害研究所充実強化等環境保全に関する研究調査推進するとともに、環境問題の解決のためには国民各層の御理解、御協力が不可欠であることにかんがみて、環境教育啓蒙普及活動に特に力を入れてまいりたいと考えております。  以上、環境行政に取り組むに当たっての私の考え方を申し述べましたが、環境行政推進に当たっては、十分に国民の声に耳を傾けなければいけないことは言うまでもありません。私は、国民の健康の保護生活環境及び自然環境保全という環境行政の原点に立って全力を尽くす考えでございます。どうか皆様方の御理解と御鞭撻、御協力をくれぐれもお願い申す次第でございます。     ―――――――――――――
  6. 山崎平八郎

    山崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する件調査のため、本日、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  8. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正三郎君。
  9. 中村正三郎

    中村正三郎委員 ただいま長官から所信表明を承ったわけでございますが、いまさら申し上げるまでもなく、環境問題は国民生活、われわれの生活大変かかわり合いの深い問題でございますと同時に、人類生存というきわめて重要な問題とも密接にかかわり合っているわけでございまして、いま長官所信表明の中でるる承ったわけでございます。そして、環境庁は、この問題を取り扱う役所とされまして、国民健康生活を脅かす公害防止し、かけがえのない自然を保護するという使命を持って四十六年七月に発足されたわけでございますが、歴代長官初め一生懸命取り組んでこられたことと確信しております。  その成果といたしまして、大気汚染水質汚濁の一部の項目について環境基準を達成する段階に至っているなど、私ども庶民生活をしているものといたしましても、確かに東京湾がきれいになった、また空気がきれいになったというような成果が著しく出ているものもあるとお見受けしているわけでございます。しかしながら、なお一層の努力を傾注願わなければならない問題が多く残されていることも事実だと考えるわけでございます。この点につきまして所信表明の中で大臣方針が述べられておりますが、これに沿って力強く施策が進められることを期待申し上げるわけでございます。  そこで、先ほどの所信表明に関連いたしまして、環境庁始まって以来これまで十二人の長官が就任されたわけでございますが、政府政策継続性ということは当然のことといたしましても、歴代長官それぞれ特色を持って御努力をされてきたわけだと思います。  そして、鯨岡長官におかれましては、過去におきまして大変大きな公害空気水等で悩まされた東京の御出身でもございます。そういった面で私ども期待するところが大きいわけでございますが、鯨岡長官といたされまして、御自身の特色みたいなものをどのようにお考えでいらっしゃいますか、ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  10. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 中村さん御指摘のように、環境庁は生まれてことしで九年目で、来年が十年目であります。俗に若い役所ということでありますが、それはそれなりに理由のあることで、いま考えてみますと、四日市にぜんそくが起きまして、これが大気によるところであるというところから始まって、水俣病とかイタイイタイ病とかいうような悲惨な被害者を出したという苦い経験から、これら対策に当たってきたわけであります。したがいまして、環境庁は、一番最初にその被害者救済、それから認定、そういうことに全力を挙げて歴代やってまいりました。それから、委員先生方にも御協力をいただいてやってまいりました。これは今後も続けていかなければならない重要な課題であることは言うまでもありません。  そこで、第二段目には、もう再びそういうことのないようにということで、事前事前にということでいろいろ対策を講じているわけであります。  ただ、御理解いただけると思いますが、そういう被害が出たときにはびっくりいたしまして、これは何とかしなきゃならぬということでそれに没頭いたしました。ですから、やりいいと言ってはおかしいですが、いろいろなことが決めやすかったわけですが、その後オイルショックなどが起こったり、いろいろ経済的な問題も隘路が出てまいりまして、いまは当面どうしても油に頼らないエネルギーというようなことになってまいりますと、それは当然環境影響を及ぼします。それはいろいろ悪い影響もありましょう。そこで、そういう点にわれわれはこれから全力を挙げていかなきゃならないのですが、経済を無視しているように思われる傾向がないわけではない。そこにわれわれのつらいところがあるわけです。われわれだって経済を無視してやっていけるものではない。経済は本当に重要だと考えていますけれども、しかし、そのために健康を悪くしたり命を失ったりするということは許されない。健康を犠牲にしての経済というものはあり得ないと私は考えておりますので、先生方の御協力をいただいてそれでやっていこう、こう考えているわけでありますが、その辺まではわれわれの先輩歴代方々心配してこられたことであります。  私はどう考えているかということで、まだまだありますけれども、二点についてお答えを申し上げて御理解を得たいと思います。  一つは、環境問題はしょせんは環境教育の問題だと私は思うのです。大ざっぱなことを申し上げるようでまことに恐縮なんですが、もし国民がこの問題に十分な理解をしていただいて、自分がされていやなことは人にしないというようなモラルができたとすれば、私は環境問題のうち半分は解決がつくのではないかと思うのです。特にこのごろ出てまいりました社会生活の中からの環境問題、たとえばカラオケの問題であるとか空きかんの問題であるとか、そういうような問題はいろいろ対策考えております。御質問に応じてお答えをいたしていきたいと思いますが、もし仮にこういう問題についてのモラルが十分であるとすれば、私は、これはずいぶん解決つく問題じゃないか。だから、この環境問題についての国民的な理解というものを得たい。それにはどうしたらいいんだろうか、環境教育というものをどうやったらばできるのだろうかというのが、いま私の頭を占めている一つの問題であります。  それから、もう一つの問題は、われわれは何か取り返しのつかない間違いをしてしまったのではないだろうかという心配があります。それは、申し上げましたように、経済は自転車と同じでとまるとひっくり返ってしまいますから、どうしても経済成長していかなきゃならない。そうやっているうちに、自動車の数もふえますし、大気どもだんだんと汚れて、炭酸ガスがふえて地球を覆ってくる。気象の異変もそのためではなかろうかなどと言われていますし、木はだんだん減っていく、砂漠化が進む、人口は増大する、水は汚れるというようなことで――人間は知恵がありますから何かやると思いますよ。思いますが、もし何にもやらずにこのまま進んでいったとすれば、二十一世紀は人間の住める地球でなくなるという心配があります。そういう先の心配はどうもなかなか御理解いただけないのですが、政治はわれわれ一代のことじゃないですから、一代のことなら何とでもやりようがありましょうが、ずっと続くのですから、だから三十年も四十年も先のごとも考えてわれわれはいまどういう対策をしたらいいんだろうか。それはローマ・クラブの会議以来国連などでも非常に心配し、アメリカでもどこでも先進国はみんな心配してやっております。わが国でも個々には心配しておりましたが、これをやはり政府として取り上げて、国際的な会議にも十分出て、日本がそういう心配をどういうふうに日本のこれだけの経済力背景にできるのか、そんなことに取り組んでいきたい、この二点を申し上げて、お答えにいたしたいと思います。
  11. 中村正三郎

    中村正三郎委員 ただいま長官からモラル教育の問題また未来に対する問題を伺いまして、全く私どももそのとおりだと思いますので、そういった面で御努力賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  次に、先ほどの所信表明の中で述べておられました環境影響評価法案の問題でございますが、その早期国会提出に向けて全力を挙げるという御方針でございます。この問題は、いま大変、これは時期尚早であるとか、また早くやった方がいいとか、いろいろ意見が分かれておりますし、きわめて重要な問題だと思います。そこで、これに関しまして少し突っ込んでお尋ねさせていただきたいと思います。  まず、この環境影響評価法案法制化につきましていろいろな、こういうものができたときこうなるんじゃないか、ああなるんじゃないかというような心配と申しますか疑問点が出されていることがあるのでございます。よく言われております、この法律ができても調査予測及び評価の技術的な方法がしっかり確立してない、電子計算機を使っても何しても、この環境評価というのはなかなかむずかしいものだというようなことが言われております。科学的、合理的な技術手法が確立してない段階でこれを法制化した場合には、適切な環境評価ということができるかどうか、これはむずかしいのではないかというような疑念をおっしゃる方がございます。これが一点でございます。  次に、わが国の風土と申しますかにおきましては、このような法制化が行われた場合、その中に恐らく住民関与とか住民参加という問題が出てくると思うのですが、適正な住民参加を期待するには社会的基盤が未成熟であるのではないかというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。この法制化を行っても、評価の手続を適正かつ円滑に進めることはそういう意味から困難であって、反対のための反対運動に利用されるのではないかというような疑念がございます。これが第二点でございます。  三番目に、さらにこういう法律ができますと、事業をめぐる訴訟の多発によって事業の遅延が起こるおそれがあるのではないかというようなことがございます。  第四番目に、社会的経済的な総合的な評価が行われるべきではないか。さっき長官が言われました経済との関係ということだと思いますが、こういった四つばかりのことがよく疑問として出される点だと思うのでございますが、特に産業界などから指摘されておるわけでございます。  こういう時期尚早ではないかという立場からの指摘に対します環境庁長官のお考えをお伺いしたいと思うわけでございます。
  12. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 アセスメント、環境影響評価、これはまだ法律は残念ながらできておりません。おりませんけれども、やらなければならぬということだけはもう確立しております。それで、もうすでに現実にやっております。ただ、法律という、先生方の御審議を経たものでありませんから、権威があるかと言えば権威の面において欠ける点がありますから、そのためにいろいろトラブルが起こっていることは中村先生承知のとおりであります。そこで、ずっと私らの先輩歴代長官が詰めてまいりまして、政府の方ではもう各省合意の上で案が決まっております。これは各省合意しております。しかしながら、いろいろいまお話しのような問題、御疑念もありまして、自民党の政調会長預かりになっていることは御承知のとおりでありまして、なお十分の御審議を経て――経ないで出すわけにいきませんから、経て、それで私は早急に先生方の御協力をいただいて、国民のために成立させたい、そういう熱意を持っておるわけであります。  そこで、具体的に、いまの御疑念でございますが、私の言葉の足らないところは、専門の局長も来ておりますから局長からひとつ答えさせたいと思いますが、一番先は、科学的物差しがない、科学的物差しがないときにそんな法律をつくってということを言われる方が確かにおります。おりますが、それはどこまでそれじゃつくったらいいのか、私はこれはそんなことを言ったら切りがないと思うのです。確かに、たとえば景色をどこまでどういうふうな物差しで――景色がおかしくなるのはいけないといったって、どういう物差しがあるかと言われれば、景色なんかに物差しはありません。ただ、これは常識というものもありますから。それは数字であらわせるものもありますよ。御承知のとおり、水の場合とかあるいは空気の場合とかというのは数字であらわせます。だけれども、それが十分にできていないからだめなんだということは私はちょっとおかしいのではないか。常識というものがありますから、それでやっていって間違いがない。現にそれでやっているんですから。第一点はそういうふうに考えます。  二番目は、どうも反対のための反対をするような騒ぎになって、どうも社会的基盤が未成熟ではないか、住民参加の問題ですが。私は、どんなものをやるにしても、そこに住んでいる人たち理解と合意がなければ現実にやれないと思うのですよ。また、やってはならないといってもいいぐらいなものだと思いますよ。十分に御理解をいただいてそれでやらなければ、いろいろの問題をむしろ起こすことの例をわれわれは何回も知っているのです。苦い経験があるのです。ですから、それは骨が折れるかもしれません。骨が折れるかもしれませんが、熱意を持って住民の方々に御理解をいただくということは当然のことだろうと思います。  それで、アセスの法律では、先生方の御協力をいただいて、何か特別に関係のないような人まで来て反対のための反対をするというようなことのないようにやっていきたい、こう考えてそういう法律をつくっておりますことも御承知のとおりでございまして、これがあるから騒ぎが大きくなってくるんだというような話は私は言えないのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  それから三番目は、訴訟の問題ですが、それじゃ、なければ訴訟が起きないかというと、なくたって訴訟は起きますよ。むしろ、土俵がないのですからどろ沼のような訴訟になってくるのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。余り卑近な例で恐縮でございますが、相撲はとらなければならないのですから、とらなければならないのだったら土俵をきちんとつくった方がいいんじゃなかろうか。土俵のないところで相撲をとったらしまいにどんなことになるかわからぬというふうに考えますので、訴訟の問題はそんなふうに考えます。  それから四番目の問題は、確かにそのとおりです。これは総合的に考えていかなければならぬ、経済の発展がどうでもいいなどと考える人はいないのですから、経済が発展しなかったら大変なことになりますから。ただ、健康や生命を犠牲にしての経済というものはあり得ない、たとえどんな人の健康でもどんな人の生命でも犠牲にしての経済の発展というものはあり得ない、そういうところに総合というような問題は考えられない、こういうふうに思うわけでございます。
  13. 中村正三郎

    中村正三郎委員 ただいま長官の大変熱意あふれるお話を伺いまして、大変進んだお考えで、どうかそういう立場で御努力賜りたいと思うわけでございます。  次に、アセスメント、環境影響評価法案のもう一つ心配する側の話なんでございますが、いま各地方自治体で条例がだんだんできております。この法律と条例の関係は、それぞれが適切な整合性のある分担をすることによって一層の行政効果が出るものだと思います。環境影響評価法案の場合もまたこのとおりだと思いますが、すでに東京都、神奈川県、北海道、川崎市においては条例ができております。これからつくろうというところもあるようでございますし、要綱をつくろうというようなところもあるようでございます。また、私千葉県の出身でございますが、千葉県では要綱をつくろうとしているわけですが、この法案がどうなるんだろうかということを見ているようなところもございます。そうしますと、この法案が、いま長官おっしゃられましたとおり、まだ提案されたものでございませんからお答えにも制約があるかと思いますが、条例と法律と重複する部分はどのようになるのか、実際の手続でございます。大変プリミティブな質問でございますが、たとえば道路だとか発電所だとか、民間事業ではございません。マンションをつくろうなんといったときに、東京都にもしやろうとしたときに、東京都の条例との関係はどうなるんだろうか。これは法律が優先することは憲法に書かれたことではございますが、そこらの手続の振り分けなどはどんなことになってくるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 東京都は条例がこの間できたことは御承知のとおりでありますが、もし法律がなければ、いま例に挙げられたマンションなど、もちろんこれは法律ができても東京都の条例でやるでしょう。たとえば高速自動車道路とかあるいは大きな飛行場とかというようなそういう大きな事業については、法律がなければ、条例でやるか、もしくは許認可するところのたとえば通産省であるとか建設省であるとかと東京都が協議してやるということになります。協議がどういうふうにスムーズにいくか私は危惧がないわけではありませんが。そこで、法律ができれば、そういったような大きなものはもちろん法律でやる、これは対象事業が決めてありますから。それからそうでないものは、いま例に挙げられたマンションなどは条例でやるということになって、そこに食い違うというようなことはないと私は考えております。
  15. 中村正三郎

    中村正三郎委員 ただいまマンションを挙げて実は御質問をさせていただきましたのは、産業界のさる偉い方に会いましてお話をしていたときに、東京都の条例ができていろいろな事業が非常にやりにくくなった、これで国の法律ができればマンションなんか建たなくなるということをおっしゃった方がいらっしゃるわけでございまして、これ程度の理解しかされてない面もあるわけでございます。  そういう意味から、この環境影響評価法案制度化につきましては、まだ提案されたものではございませんが、産業界その他にこの内容をいろいろ説明していくことが最も重要ではないかと思うからでございます。この新しい制度をつくろうといたしますならば、環境庁初め政府機関といたされましては、制度の仕組みでございますとか、これが事業の円滑な実施にかえって役立つものであるとか、産業界関係者に繰り返しわかりやすくPRして理解協力を得ることが、実際、現実問題として最も必要なことではないかと私ども実感しているわけでございます。そのような面で、こういう説明と申しますか、そういうことが事業者によるセルフコントロールという意味を含めたこの制度を確立する前提になるのではないかと思うわけでございます。  この点についてこれからどういう御方針でお進めになりますでしょうか、長官の御所見を承りたいと思います。
  16. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 まことに恐縮な御指摘で恐れ入りますが、確かに、この環境影響評価の問題は大きな問題になっているわりに、まことに恐縮な言い分ですが、十分の御理解をいただいておらないのではないかという懸念があります。特に東京都に関係する、いまお話しの方がもう何にも仕事ができなくなっちゃうというようなことを言われる、東京都の条例ができた時点において、これ以上法律でもできれば何にもできなくなっちゃうというようなことを言われるのは、どこをもって言われるのか、不思議に思うくらいでございます。不思議に思うだけでなしに、御指摘によって私どものその方面の努力が足らないということを私は痛感いたします。どうにかして、私どもが間違っている点があるならば間違っている点で考えますが、私ども考えていることを正確に御理解をいただくということだけはしていただかなければならぬと思っておりますので、先生方のお力もかりて、どなたの話も私は承ろうと思います。それから、どなたにでも私の考えを申し述べて、御批判をいただきたいと思います。全力を挙げて私ども考えを正しく御理解をいただいた上で御批判をいただくようなチャンスを持ちたい、こう思っておりますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
  17. 中村正三郎

    中村正三郎委員 いま長官から大変前向きな御答弁を賜りましてありがとうございます。私ども実際、実感としてそれを感じておりますし、内容を理解と申しますか、調べる前にだめだとかいうようなことが出るのがともすれば現実ではないかと思うわけでございます。私どもその点では努力をしてまいるつもりでございますので、長官また環境庁におかれましてもそういう御努力をされますようにお願い申し上げる次第でございます。  次に、本委員会で沖繩に調査に参りました件でございます。去る九月二十四日から二十七日まで四日間、沖繩の公害対策及び環境保全状況の実情調査ということで行ったわけでございますが、この問題に関しまして二点、沖繩から言われてきたことがございます。時間の制約がございますので、簡単にはしょって御質問いたします。  沖繩県は、御存じのとおり大変基地の多いところでございまして、本島の二〇%が米軍基地ということでございます。しかも、その基地が人口の密集している本島の中南部地域に集中している。ここから発生するいろいろな公害があるわけでございますが、その中の一つ、航空機騒音の問題でございます。  嘉手納飛行場周辺において北谷村砂辺というところがございますが、ここいらが大変騒音が多いんだそうでございまして、騒音の発生回数、音の大きさ等を調べますWECPNLという単位があるんだそうでございますが、それによって九十五以上に達している地域である。特に整備工場付近はひどいということでございます。そして、こういうことに関しまして防衛施設庁におかれまして、防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律等に基づきまして、学校、病院、住宅の防音工事等助成をしていただいておるわけでございますが、この周辺の住民は、以前から、本土並みに夜間飛行でございますとか夜間の航空機整備の自粛を要望しておりました。それを防衛施設庁を通しまして再三米軍に申し入れていると伺っているわけでございますが、その交渉状況、これが今後どうなる見通しかというようなことを、簡単にひとつお伺いしたいと思います。
  18. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の、夜間における地上エンジンテスト等による騒音問題につきましては、これは私どもの沖繩県にあります那覇防衛施設局、そこと沖繩の米軍、それから沖繩県、この三者をもちまして現地に三者協議会というのをつくっておりまして、それの中に騒音分科会という専門部会を設けまして、その場で米軍、県、私どもと話し合っているということでございます。  現在のところ、米軍は、やはり夜間のそういう地上エンジンテストにつきましては、二十二時以降規制するということを申しておりまして、この点が嘉手納町の皆さんにとって非常に御迷惑になるということでございますので、私どもの出先も米軍に対して、その辺よく考慮するよう現在交渉しておるところでございます。これにつきましては、そういう現地の協議会でやっておりますが、この成り行きを見まして、私ども、またこちらにおきましても、この問題について今後交渉していきたいというふうに思っております。
  19. 中村正三郎

    中村正三郎委員 次に、やはりこの沖繩の航空機騒音に関連した問題でございますが、民家の防音施設工事をやっていただいているわけでございますが、その設置に伴いましてクーラーをつけていただいているようでございます。ところが、このクーラーを、沖繩では非常に暑い地域なので一年間に六カ月ぐらい回さなければならないというような現状だそうでございます。同じようなことが成田空港周辺であるのでございますが、本土においては二カ月ぐらいつければいいというところを、非常に長い期間つける。そして、このランニングコストですね、電力料を持ってくれないかということが住民から出されているわけでございます。私が調査いたしましたところによりますと、新東京国際空港周辺、成田市、芝山町では、この民家の防音施設に伴いますクーラーの電気代を、最終的には公団から来た金で出ているわけでございます。これは一括して町なり市に公団から騒音対策費というものが出まして、それを町、市の判断によりまして、一年間に四万ですとか五万ですとか出しているわけでございますね。それよりもクーラーをつける期間が長くてしかも騒音のひどい嘉手納基地周辺でこれが行われていないわけでございますが、このことにつきまして何か御方針があるか、また将来の見通し等お知らせいただきたいと思います。
  20. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の芝山町の方で、そういう住宅防音の電力維持費が出されておるということに関しましては、ちょっと私どもの方はつまびらかにしておりません。しかし、この問題に関しましては、私どもが住宅防音を取りつけまして、それによってそういう経費の負担が生じる、特に沖繩におきましてはその期間が長いために、本土に比べてもなお負担が大きいという先生の御指摘は、私ども十分わかるわけでございます。ただ、この件に関しましては、私どもでは、まだ現在、こういう防衛施設周辺の住宅防音工事を必要とする世帯、これは非常に膨大なものでございまして、現在のところはまずそういう膨大な世帯に対して住宅防音を均てんさせる、つまり住宅防音を一日も早くすべてに取りつけるという方向にまず努力したいということで、現在のところ、電力代まで私どもで負担するというところまでいっておりません。ただ、そういう電気料金の負担が大変な方々につきましては、やはり何らか措置しなければならないということで、来年度の予算要求において現在検討しておるというところでございます。
  21. 中村正三郎

    中村正三郎委員 まだ具体的なことはないようでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、大変厳しい環境でございますので、その方向で御努力いただきたいということをお願い申し上げます。  次に、成田市、芝山町、この新東京国際空港周辺の問題でございますが、これは全国に先駆けてこうやって出してくださっているわけでございます。大変公団の御努力評価するものでございますが、それにいたしましても、いま出していただいているお金では、電力料の約半分ぐらいしか賄えないというようなことを地元の方が言っております。十分でないということで、こういったことの増額を地元から要求があるわけでございますが、そういったことにつきまして空港公団の御所見を承りたいと思います。
  22. 角坂仁忠

    角坂参考人 お答えします。  先生からお話がございましたように、成田、芝山、横芝町、クーラーの台数に応じまして、成田市は、一台の場合三万四千円、二台の場合五万円あるいは三台以上六万円、芝山、横芝は一台二万五千円、二台が三万五千円、三台で四万円ということで、一応市町村それぞれ独自の判断でやっているわけでございまして、お話のように千差万別でございまして、使った電力料に対しての補助でございませんので、クーラーの台数に応じて補助いたしておりますので、あるいはよけい使われる方は半分以下という方もおろうかと存じますが、これは公団がいま直接どうこうするわけにはまいりませんが、せっかくの御要望でございますので、関係市町に十分連絡いたしまして、御要望のあったことをお伝えしたいと存じます。
  23. 中村正三郎

    中村正三郎委員 どうかひとつ前向きに地元住民のことを考えて御検討いただきたいと思います。  質問を終わります。
  24. 山崎平八郎

  25. 土井たか子

    ○土井委員 まず委員長に、質問に先立ちましてお願いを申し上げます。  本日、質問をいたします空きかんの回収問題に対しまして、必要になるかとも存じましたので、参考になる物品を持ってまいりましたので、その物品の持ち込み並びに提示をすることをあらかじめお許しいただきたいと存じます。よろしゅうございますか。
  26. 山崎平八郎

    山崎委員長 先ほど拝見しまして、結構でございます。
  27. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど長官から大変意欲的なごあいさつを私どもはいただいたわけであります。その中では、「使命の重大さを痛感するとともに、」「大きな誇りと意欲を感じて」おられるということで、特に長期的な総合的な視点で環境政策を展開されるという大きな柱の二点目で、いろいろエネルギーの需要供給の変化というふうな問題も取り上げてここにお話しになったわけでありますが、私は、実はこういう問題にも直接関係をすることに相なるかと存じます。  前土屋長官時代に、私は質問を通じまして、これは全国津々浦々と申し上げていいと私は思います、どこに行きましても目につく空きかん、いろいろジュース、飲料水を中に入れましたのをわれわれが利用いたしまして、あと空になった空きかんを道にぽいと捨てる。長官どもよく道路を走られますと、高速道路が上を走っていて、下の道路を走りながら高速道路の高架下を見た場合、信号の前のところにどれほど空きかんがうずたかくたまっているかというのがお目につかれると思うのですが、今回環境庁の中に、鯨岡長官のもとで、この空きかんの問題に対して、ひとつどうやっていったらよいかということで、回収の問題を基本に置いてお考えを進められるプロジェクトチームができたやに私どもは承っております。内容について、まずあらましどういうものができたかということの御説明をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 土井先生御指摘のように、私も、この空きかん問題はまことに困ったことだと、この目で見ております。それから、京都や東京の町田その他自治体においても、条例をつくろうと考えたりあるいは条例をつくったりしてこれに対応しているところもあります。ことしの六月、まだ私大臣になっておらないときですが、土井先生からこの問題に対する御質問がありまして、それが契機となって、私の役所の中にこれが対策のプロジェクトチームができたことはいま御指摘のとおりであります。それはいままだやっている最中でございますが、何せいまお話しのように全国津々浦々の問題でございますから、御指摘によりましてできましたプロジェクトチームは、私の見ている限り、おかげさまで相当意欲的に活躍しているようであります。その経過等につきましては、関係者から答えさせたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  29. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  本年六月に、ただいま長官から御答弁申し上げましたように、空カン問題検討会を設置をいたしまして、ただいま鋭意検討を進めているところでございますが、検討の内容といたしましては、まず実態を把握する必要があるということで、私どもが持っております全国の環境モニター、これは千五百人ほどおりますが、これに対しまして空きかん散乱の実態と散乱防止策というものについて意見を聞くことといたしております。それから、全国でございますので、約三千三百にわたる市町村を対象といたしまして、空きかんの散乱の実態、と申しますと、どこがどの程度汚染されているかということ、それからそれに対してどういう対策がとられているか、またその問題点は何かというような調査を実施いたしておるところでございます。ただいま回答が全部寄せられまして、その集計と解析に入っている段階でございます。それから、これらの実地調査と並行をいたしまして、かんのメーカーあるいは飲料メーカーの空きかん問題への対応、それから各省庁の施策の現状及び関連法規の問題、それから諸外国の空きかんの問題への対応というようなものも同時並行的に進めております。それで、この二つの調査をドッキングさせまして、問題点を抽出いたしたいというふうに考えておるところでございます。
  30. 土井たか子

    ○土井委員 大まかな整理をされながら、いま歩みを始められたところだというふうな感想をいまの御答弁では持ち得るのですが、そもそもごみになっている空きかんというのは、片づけようとするとどこの所管、どこの仕事になるのでしょうね。これを見てまいりますと、道路に落ちている散乱ごみの場合は建設関係になりますね。公園に落ちているごみについて言うならば、その管理者は、国立公園ならば環境庁ですね、事業者のところならそこの責任になりますね。家庭から出るごみの処理は、いま御案内の全国三千三百の市町村の散乱ごみの実態について聴取しているとおっしゃるその市町村ということになりますね。  これは、いかがでございますか、いろいろ空きかんそのものについて、これを散乱ごみの中で取り扱うということになると、通産、農水、厚生、環境と各省庁にこの問題はまたがるというかっこうに、所管の行政省庁について言うとなっていくというかっこうだと思うのですがね。これは先にその問題についてお尋ねしてしまうのも、順序からいったら順不同になるかもしれませんが、今回環境庁内でせっかくこういうプロジェクトチームをつくっていただいて、連絡を密にしながら具体的に実効性あるものをしようということをお考えになればなるほど、各省庁の連絡というよりも、やはり各省の中の担当者もこの環境庁の中のプロジェクトの中に組み入れてプロジェクトを運営していくという形があって好ましいのじゃないかと思ったりいたします。長官、どうでしょう、それは。
  31. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 御指摘のように組み入れてやっているのです。組み入れて、そういう人たちも呼んできて――うちだけでやっているのじゃないのです。いま御指摘のような関係のある者を呼んできて、そうしてやっておりまして、役所の場合にはいつでも検討ばかりやっているというふうに御指摘もいただきますし、私もそう思いますよ。そこで、検討ばかりじゃしようがありませんから、これは始まったばかりじゃないのです、年内にはまとめてみよう、そして、そのまとまった段階で、十分であるかどうかは別として、対策を立ててみよう、こういうふうに考えて、各省庁にも御労苦を煩わせているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  32. 土井たか子

    ○土井委員 各省庁にも御理解をいただいているところということと、年内にまとめてみよう、この二つの問題をいま御答弁の中で出されていますが、各省庁御理解はまあいいのです、御理解、御検討というのは非常に多いので、いつもまたかという気持ちで聞かされるというのがわれわれの立場になっておりますから、ひとつ、いまプロジェクトの中にそれも組み入れてやっているというふうな御答弁もいただきましたので、そこのところはしっかり取り組みを進めていただいて、年内にどういう検討結果、研究結果が出るのかまだ私にはよくわかりませんが、一応の目安をそこでつけていただけるらしいという期待を持って、ひとつそれも望んでいきたいと思います。  そこで、これから二、三そういうことに関係のある問題を順を追ってお尋ねしたいと思いますが、いま、どうなんでしょうね、空きかんというのは大体はどんな方法で片づけられているのですか。それで、回収の実効というものは上がっていないからこそいまのような状況になっているのですけれども、その各省庁にいま外郭団体が、こういう問題を取り扱う外郭団体としてあるようでございますけれども、通産はどうなのか、農水はどうなのか、厚生はどうなのか、環境庁としてどうなのかという、まあいろいろなそういう外郭団体、それからメーカー側のいろいろな回収団体、ボランティアによるいろいろな回収活動、こういうものに対して掌握されているところがあるならば、お聞かせくださいませんか。
  33. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  ただいま調査中でございますので、網羅的に申し上げることはできませんが、私の記憶している範囲内では、大部分がボランティアに依存するあるいは町田市あるいは神戸市のように条例を制定してボランティアとの組み合わせあるいは業界団体との組み合わせによって収集をしているというのが実態のようでございます。
  34. 土井たか子

    ○土井委員 たとえば通産省にもこういう外郭団体がある、環境庁にも外郭団体があるのだけれども、そういう外郭団体というのは、いままでのところ、率直に申し上げますけれども、あんまり実効性を発揮してないですね。それで、いま御答弁になったとおりで、ボランティアの運動に頼ってきたというのが従来の経緯としてやはりだれしもが認識できるところです。ボランティアの運動でこれは永続して効果を十分に上げ得るというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。やっぱりこの点は、ボランティア運動にだけ頼るというのは、これはちょっと最終的な解決策にはどうもならないようですね。ボランティアの運動は私は大変大切だと思います。今後もこれも必要だと思います。でも、それだけでは解決しないというのが、いまいろいろな現状を見た場合に指摘できる点ではないかと思います。  いま、ちょっと長官もそのことに先ほどお触れになった問題としてある京都市の条例、これが実は先ほど御指摘になりました町田市の条例や三鷹市の条例など、いままで取り上げられてまいりましたいろんな条例とはちょっと違った条例案をすでに用意されておりまして、そして、長官も御案内だと思いますけれども、この八月二日にこの条例に対しての中間報告がすでに出されております。  これは、京都市の空カン条例専門委員会から京都市長に対する中間報告という形で出ておるわけですが、この京都市の場合には、いままでボランティアの運動がずっと続いてまいりまして、そして一生懸命に捨てられたものを次から次から拾う、またさらに捨てられる、それを一生懸命拾う、こういう飽くなき闘いを繰り返し繰返し非常な努力で続けられたボランティア活動方々が京都の市内にあったわけです。ところが、いままで十年ずっと拾い続けても減らない、むしろふえていく、拾うから捨てるのかもしれない、そういうふうな気持ちも持ちながら、これはずっと続けられたのですが、しかし、そういう悲痛な気持ちの中に、これは使い捨てをつくっていくというメーカーが片やである限りは、果てしのない運動を続けていかなければならない、何とかこういう問題に対して抜本策がないものかというふうなことも考えながら、いわゆるマナーからルールへという問題に発展をしていったわけです。  ですから、唐突にこういう京都市の条例というものをつくろうというふうなことが出たのじゃなくて、やはりじみちな市民活動の中から、ボランティア活動の中から、市長に対して実情を、いろいろ努力をしてみたけれども限りがある、これについて京都市としてはこうあってほしいと思うのだがという声がずっと上がって、それを市長側も吸収をされて吸い上げられた結果、一つの運動として起こってきたことが条例化へと進んできたという過去の経緯が実はあるのです。  これは政治の実態としては非常に好ましい姿形だと思うのですね。こういうようなことをお開きになって、長官、どうお思いになりますか。
  35. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 京都がこのことについてずいぶん御苦労を重ねて条例をいま用意しておられるということについては、承知いたしております。そして、その御労苦に対しては、非常な敬意を表して見守っているわけでございます。  ただ、いま京都市が考えておるような方式はないわけではない。われわれの調べたところでも、アメリカの、オレゴン州ばかりじゃないのですが、幾つかの州でそういうことをやっているというのですが、何せ土地が広くて人口がわりあいに少ないところ。それがわが国のような場合になってくると、同じ方式がうまくいくかどうか懸念しないわけではありませんが、それにもかかわらず、ボランティア活動から、これはいつまでたってもだめだというところから、いまお話しのようなところに移ってきたということに対しては、私は非常な関心を持ち、その努力に対しては非常な敬意を持って見守っているというところでございます。
  36. 土井たか子

    ○土井委員 こういう問題に対しては、要は個人の道徳の問題だとおっしゃる方がございます。確かに個人個人の心得によってかなりの程度抑えることも可能でございましょう。  しかし、いま長官がはしなくもオレゴン州の例などをお出しになって、すでにそういう例は、他の国ではあるけれどもある、不可能ではないというふうなことも意に含めての御答弁でございましたが、マナーからルールへということを考えて、今回の京都市の条例を見ていく場合に、ここで一つのいままでにない条例の案の中身がございますが、それはいまおっしゃったオレゴン州のようなデポジット方式という問題でございます。これはちょっと後回しにしましょう。  先にもう一点聞きたいことがございます。京都市の条例案を見ますと、違反した場合の罰則を用意されているのですね。この罰則規定を京都市の条例案で用意されておりますけれども、罰則はこの節、もうせんじ詰めて考えていって一生懸命に実効を上げようというふうに考えると、必要ではないかとさえ私たち考えているのです。条例で罰則を用意する、これは法的には違反じゃないと私自身は考えておりますが、現行法体系から考えまして、京都市で罰則を、また京都市以外の自治体でこういう問題に対して罰則を条例化していかれることに対しては、問題ございませんね。いかがでございますか。
  37. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は、何でも罰則罰則ということは、個人としては好きではありません。けれども、先ほど土井先生が例に挙げられた、高速道路から下の道路へぽんと投げるというようなことは、いまでも道路交通法では罰則が適用されているわけであります。したがいまして、条例の内容について私の口からとやかく言うことは差し控えたいと思いますが、条例の中で罰則をつけても私は差し支えないものじゃないかと思いますが……。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 いま御答弁のとおりに、条例にとやかく言う立場にはないわけですが、ただ、法体系の上でこういう罰則を設けることが許されないという識者の意見も一部にございますので、どうも私はこれはどういう根拠でおっしゃっているのかよくわからない。そこで、そういう意味も含めてお尋ねをしてみたわけです。  さて、私はきょうはここにもその空きかんを少し持ってまいりましたが、オレゴン州の問題をいま長官がお出しになりましたので、ついでながら持ってきた空きかんでございます。後で指摘する点がこの空きかんの中にあるのですが、素材はいずれもアルミなんですけれども、これはいま日本では全部ごみとして市町村が回収をして処理をいたしております。処理する場合は、焼却も非常に困難でございますし、埋め立てをいたしましても百年腐らないのですから、どうにも大変困難な難物だということだけははっきりするのです。つまり、こういうことから考えていくと、基本的には、これはごみにしないで何とか回収をして、できたら再利用していける方法というのがあれば、それにこしたことはないと考え考え方がいま非常に強くなりつつございますけれども長官、どのようにお考えになりますか。
  39. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 全く同感であります。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 しかも、市町村でこれを回収して処理する場合の費用たるや、膨大な費用をかけていまやっているわけですね。人件費から申しましても多額でございます。すべてこれは税金で賄われるというかっこうですから、その点から考えましても、自治体の住民の立場からこの問題を指摘した場合に、これに対しまして、何とかごみにしないで処理していける方法がないものかというのは、実生活の声としても当然出てきているわけであります。  これは先日、八月段階だと存じますが、社団法人全国都市清掃会議の要望書が環境庁にも届けられていると存じますが、お受け取りになりましたでしょうか。いかがでございますか。
  41. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私はいまちょっと知らない、わからないのです。――土井先生、大概そういうのが来た場合には、特にいま問題になっていることですから、目にとまらないはずはないのですけれども、いまのところ、私のところへはまだ目に入っておりません。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 いまそういうお答えでございますから、それでは、この中で具体的にどういう要望があったかということも御参考までに申し上げながら、その中身についての御見解をひとつお聞かせいただきたいと思うのですが、これはどういう要望書だったかというと、その主なる問題だけ、いまここに関連するところだけを申し上げたいと思います。  一般廃棄物の処理に関する事業者の処理分担を明確にしてもらいたいということが一つなんですが、中身でどういうことを言われているかといいますと、市町村が廃棄物の処理事業で、特に家電、いろいろな電気製品の廃棄物ですね、それから大きな木材の廃棄物、それから空きかんなどの処理困難物、こういうものの扱いがいま世上大きな問題となっているので、ひとつ考えてみていただきたい問題がここにある。どういうことかといったら、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第三条の二項の趣旨が徹底されるように措置をお願いしたい、こういう中身なんです。廃棄物処理法の第三条二項、その中では、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行なうことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。」こう書いてあるのです。これが徹底されるようにひとつ措置を考えていただきたい、こういうことの中に、ただいま持ってまいりましたこの空きかん、これが入っているのです。これは長官、よろしゅうございますか、そういう要望について、いかがでございますか。
  43. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 承る範囲において理解できます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 理解だけならだれでもできるのです。長官として、こういうことをお聞きになって、やっていただけますね、こういうことで質問を申し上げます。
  45. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 それは、いま承る範囲においてと申し上げましたのはまさにそのことで、通産省などが直接に所管することではないかなと思いましたので、私は無関心でおるわけじゃいけませんから、それは御趣旨のとおり私も行動したい、しかし主管省としては通産省などがやることではないかなと思ったので、そう答えたわけでございます。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 それは長官のおっしゃることはよくこちらも、それこそ理解できます。そこで、きょうは通産省にもここに御出席お願いしているわけでありますが、この次の問題からひとつ通産省にもお答えをいただくようにいたしましょう。  また重ねて、いまのような前提で、廃棄物の再資化対策をひとつ講じていただきたいというような内容がございます。再資化というのは再資源化ですね。廃棄物の再資源化により、その最終処理量を減少させるということは、都市清掃事業観点から非常に好ましいことであるので、廃棄物処理法第三条二項について実効ある行政指導などを十分に行っていただきたい。いま申し上げたことの繰り返しであります。さらに関係省庁の連携をとっていただいて、その施策の確立を図っていただきたい。さあ、これからが具体的な問題なんですが、その中に回収保証金制度、いわゆるデポジット制度と申し上げていいと思いますが、そういうことも含めて多角的具体策というものを制度化するようにいろいろな配慮をして、そして行政指導のもとに具体的に進めていただくことも努力願いたいという中身になっているのですが、この点、通産省いかがでございますか。
  47. 植田守昭

    ○植田政府委員 この空きかんの問題につきましては、ただいまいろいろと御指摘がありましたような大変むずかしい問題があるわけでございまして、私どもも、京都の条例等のこともございますし、関係各省と十分これから検討していかなければならないというふうに思っております。  それから、リサイクリングの問題につきましても、これは大変重要な問題でございますが、私どもが現在行っております施策といたしましては、リサイクリングといいましても、地方自治体におきます収集あるいは分別等の、回収から、それを集めて選別機等にかけましてリサイクルするその過程をシステム化できないものであろうか。地方自治体が物事をやります場合のシステムというのはまだ大変未開発でございますので、それを何とかシステム化できないだろうかという観点から、そのシステム化の場合には当然ハードとソフトの両面がございますので、たとえば選別機とかプレス機とか、そういったようなものは、一般会計から助成金も出しまして、いま一年に十の市町村あたりにお願いいたしてそれを推進しておるわけでございます。主としていまの段階で私どもがやっておりますのはそういう観点でございます。  しかし、この問題につきましては、申しわけないのでございますが、私もまだ十分勉強しておりませんが、いろいろな観点から問題があるようでございますので、私どもも、省内はもちろん関係各省とも十分これから勉強していきたいというふうに思います。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 通産省としては余り勉強していないとおっしゃっているけれども、本当のところは勉強していらしてそういう御答弁だろうと私はにらんでいるのですがね、勉強なさっていらっしゃらないはずはない。ただ、いまの御答弁は、やはり従前どおり、地方自治体が清掃業務の一環として回収することに対して、その中で合理化を図っていってはどうかということにとどまっているわけでしょう。そうじゃないので、いま提起されている問題は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の三条二項の中の「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用等を行なうことにより」云々のこの中身は、この条文を適確に運用し具体的に実効性あらしめるものにしようとするならば、いま、空きかんについて言えば、かんのメーカーにもひとつ相応の責任と負担を持ってもらおう、そういうことが考えられているのですよ。ですから、自治体の清掃業務の中での合理化という、そういうレベルの問題ではありません。これはもっと基本的なことなんです。これはわかりますね。だから、いまの御答弁ではちょっと違うのですよ。  しかも、いま私が問題提起しているこのデポジット制ということに対して、通産省は通産省なりのお考えをお進めになっていらっしゃるはずだと思うのです。それはいまからまた質問を続けますから、その中でぜひお答えをいただかなければなりませんが、京都市の場合は、いわゆる保証金上乗せ方式、デポジット制でやりたいというふうに考えておられまして、それを条例案として具体的に示していらっしゃるわけなんでありますけれども、この制度について、環境庁長官にも、どうお考えになっていらっしゃるかというあたりをまず大まかにお聞かせいただきたいと思います。  それで、長官の御答弁に先立ちまして、私がここへ持ってきたのを長官にも見ておいていただいて御答弁をお願いするようにいたしましょう。これは実は、オレゴン州なんかで、長官もよく御存じのとおりにデポジット方式というのをとっておりますが、そこで販売をされますかんの上にちゃんと「ファイブセント・リファンド・イン・オレゴン」と書いてある。こういうようにそれぞれの空きかんの上にちゃんとした表示をしたものをオレゴン州で売っているというのを御参考までにごらんになった上で、御答弁いただきます。(かんを示す)
  49. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 これはいま見たばかりで、十分御承知でしょうがと言われても、余り御承知じゃないので、このかんは日本のようにぐっとむくのがありませんね。むくのがないからどうやってあけるのかな。――穴が二つあいている。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 ひんむくんじゃなくて、上から押さえるようになっているんですね。
  51. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 押さえるとぷっと穴があくようになっている。そうするとむけたのが散らばらない。これはまことにいいかんですね。  オレゴン州なんかでやっているこの方式を、京都の方でもいろいろ考えた結果採用しなければならない、これしか手がないんだろうと考えたことに対しては、私も十分理解をいたします。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 十分に理解をいたしますと、長官理解が非常に早いので理解ばかりをここでおっしゃるわけでありますけれども、すでに経済企画庁国民生活政策課編で「省資源・省エネルギーとこれからの暮らし」という小冊子が発行されておりますが、この中の三十三ページを見ますと、「保証金制度の拡充等」という項目がございまして、ここでこういうことが書いてあるのです。   現在、ビールビン等一部の商品について、生  産者等が自主的に保証金制度(もどし制度)を  導入し、成果をあげているが、これは、おおむ  ね市場占有率が高いか若しくは商品の規格化が  進んでいるものに限られている。   しかしながら、これ以外の商品の中にも、保  証金制度を導入した場合回収率が大幅に向上す  ることが予想される商品(例えばカン等)もあ  るので、回収することが社会経済的に有利な商  品については積極的に保証金制度を導入する。   また、メーカーは小売店や集団回収ルートを  通じたビンやカンあるいは家電製品等の回収を  促進するため、保証金制度の拡充に併せ、小売  店や再生資源業者に対する適切な支援を行うこ  とが望ましい。こう書いてあるんですね。  だから、すでに経済企画庁の方では、こういういま問題にしております空きかんについても、メーカー側がこれを回収するという方向でこのことに臨むという保証金制度というものを一つとることに対しても、非常に意欲的なんです。「保証金制度を導入する。」とちゃんと書いてあるんですからね。  ですから、こういうことからすると、やはり今回は京都市の方ですでに条例案についての中間報告が出され、この十二月が期限から申しますと一つのタイムリミットというかっこうに京都市の場合なっております。ですから、いまこういうことに対して種々問題点を整理しながら、いろいろな意見を受けて苦労されているのが京都市の場合ということが、全国を見た場合に言い得るわけでありますけれども、ひとつ各省庁ともこういう点でも御連絡の上、デポジット方式というものを日本として考えていくということが現実可能だと私は思うのですけれども、やるための努力をどういうふうに払えばいいかということに対して、いまあるそのプロジェクトの中でひとつ御配慮いただきたい、こういうことを私申し上げたいのですが、いかがですか。
  53. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 結論を申し上げますれば、先生の御質問から端を発したプロジェクトチームは、できるだけそういう御趣旨に沿うような形で結論をまとめていきたいと考えておりますが、私が先ほどちょっと申し上げましたように、京都がそういうことをいろいろの苦労の結果そういう結論になってきそうになってきていることについては十分理解をするというのは、オンゴン州のように、日本と同じくらいの領土の中に二百五十万人ぐらいの人しか住んでいないところでやれることが、じかに日本のようなところでやれるかどうか。たとえば、これが酒屋さんに返ってきても、小さな酒屋さんにこれがいっぱい山積みになっちゃったら、酒屋さんはどうするだろうという苦労は確かにあると思いますよ。あると思いますが、私も政治家の一人として考えますことは、こういう有限な資源を、われわれの代に先生御指摘のように、一遍使って、土にも何にもならないものを土の中に埋めてしまうようなもったいないことをしていいんだろうかという発想でむしろわが国としては取り組んでいく必要があろう、こう思います。  すでにもう法律もそういうふうにできておることでもありますし、もったいない、これをただ、ごみということで捨ててしまってはいけないんじゃないか、そういう発想で私どもは取りまとめていきたい、こういうふうに考えております。いましばらくひとつお待ち願いたいと思います。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 意欲的な御見解をいまお出しになりましたけれども、しかし、その背景になる、そうしてまた根拠になるところは、もうちょっと私自身も確認をさせていただかなければならないなという感じなんです。  それはどういうことかと言いますと、いまこういうものを土に埋めてしまうということはもったいないという意味で、再利用ということを念頭に置いて長官お答えになりました。その点は片や十分にあると思います。  もう一方では、この空きかんを廃棄物として処理する側の立場です。非常に処理が困難であるという処理困難物である空きかんの取り扱いについて、現状、現行法としてあるのは廃棄物の処理及び清掃に関する法律なんですね。その第三条の二項では、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行なうことにより」云々と、こうなっている。その廃棄物の中に、この法律をつくった昭和四十五年当時、空きかんという認識はさほどなかったのじゃなかろうか。あったとしても、当時は空きかんについての利用度というのはいまとは比較にならないくらいに低かったわけでございますから。そのうち、この処理困難物であるという空きかんは激増しまして、もういまや非常な難物になっているということが現状としてあるわけですから、それからすると、やはりこの廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第三条の二項から考えて、この条文からして、当然空きかんについては再生利用を考えていくということが必要だということにもう一方ではなるのではないか。つまり、法的根拠は廃棄物法の第三条の二項にある、こういうふうに考えなければならないのじゃないかと思いますが、この点は長官いかがでございますか。
  55. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 この二項を読んでみれば、まさに先生が言われたとおりであります。「その製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。」こういうふうに書いてあるわけですから、まさに御指摘のとおりでございます。  私は、土井先生、三点あると思うのですよ。一つは、こういうものはごみといったって、考えられていなかったごみですわね、御指摘のとおり。これで中身は空なんですから。これを捨てるような場合に、もったいないとかなんとかということは別としても、これをひしゃげて容積を小さくしなければならぬというような作業がありますから、普通のごみとは違う。それからこれは土にならない。そういう点で処理が非常に困難であるということがあります。  それから、これは有限の資源ですよ。われわれの代に使っちゃってわれわれの子孫のときにはなくなっちゃっていいというものじゃないですよ。ですから、そういう点でも、何回でも使えるものは使っていくという心がけがなければならぬ、こう思うのです。ですから、それは業者にもちろん責任を負ってもらって、これは経済的に成り立つか成り立たないかという問題は別途ありましょう。ありましょうけれども、それはまた別に知恵を働かせるとして、何回でも使うということをやらなければいけないと私は思います。  それから三点目は、教育の問題ですよ。こういうものを、私は捨てる人、私汚す人、あなた片づける人、それがないのですから、それでは社会が成り立たないということを子供たちに教えてやらなければならぬ。まあ大人もそうですがね。大人の方がかえって悪いかもしらぬけれども。そういう教育の問題としても、これは重要な問題だと思うのです。ボランティアの人たちがやっているからいいわと言ってそれを横目で見て、あの人は片づける人、私は汚す人と言ってぱあっとやっていっていいというものじゃありません。これは考えようによっては一番重要な問題かと思って、先ほど所信というか、私の考えを申し述べるときに申し上げたのですが、この三点を重要に考えて、これは先生の御指摘によってできたプロジェクトでございますから、私どもの方ではそういう面で御趣旨に沿うように進めていきたいと考えておりますので、しばらくの間お任せ願いたいと思います。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、明確に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第三条二項が根拠になるという御答弁でもありますが、これは大変気にかかることがさらに一つあるのです。  京都市でもしデポジット制度が実施されることになると、全国に波及していくことが当然次の段階にあるだろうと私は思うのですね。ところが、必ずこれに反対する側が出てくるのです。まず考えられるのはメーカーですね、ボトラーです。これはアメリカの場合でも、オレゴン州でデポジット制度というものをつくるまでのいきさつを見た場合に、実に大変な実弾戦術をやられて、苦しい中から、しかしもうどんなことにもめげずにやるという火のような熱意を持った人たちが存在していたために実は実現し得た制度でもあるのですね。また、京都でもいま実弾戦術というものが恐らくは内々の中にあるかもしれない、背後にあるかもしれない。これはアメリカで実際にあったわけですから、日本でも少なくともこういう問題に対してはない方が不思議だと私は言いたいわけであります。オレゴンでも強力な反キャンペーンというものがございまして、全国からロビイストが押しかけて裏面工作をしたという実情があったり、それから聞くところによりますと、ミシガンでは反対運動費用に何百万ドルというものが投じられまして、それがとうとう逆効果になってデポジット法案というものが通過したという皮肉なことがあったりいたします。いろいろございますけれども、デポジット制度がいろいろそんなに言われて、いいものだったらなぜアメリカじゅうに広がらないのかと言われるゆえんも、実は、広がらなくてつぶされたというのが、そういう背後関係からすると実情だと私は言わざるを得ません。  いま京都の場合なんかも、大事な大事な出産前夜でございますけれども、一番困る問題はどこにあるかと言われれば、やはり小さい立場いじめになってはならないという点にあるのです。先ほどちょっと長官言われましたけれども、小売販売業者に過度の負担がかかるのではないかというふうな心配や懸念というものがいろいろなところであるし、また業者間でも、末端の販売業者の中で、私のところにそういう負担がかかるということはちょっと困るというふうな声もあることは事実でございます。そこで、第三機関などを設けてこれをやっていってはどうであるかというふうな意見もあるようでありますけれども、こういうことに対して前向きな御提案なり御見解があれば、長官の方からお聞かせいただきたいと思います。
  57. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 もちろん、ある制度をつくれば、その制度によって自分の利益が多少阻害されるとか、あるいは自分が特に利益にならない、労力を払わなければならないとかという人が出てくるかもしれません。そういう人は、そういう制度ができないことがいいなと考えて、そういう考えに基づいてある種の行動を起こすかもしれません。しかしながら、そこに実弾というようなお話がありましたが、そういうものがどういうふうに利用されるのかわかりませんが、あってはならないことだと厳に思います。  それでは何かうまい方法があるかというお話ですが、いまのところ、私の頭の中にはそれが浮かんでまいりません。しかし、私の方の役所でも、それから通産省でも農林省でも、みんなが一生懸命考えておりますから、万全ではないかもしれませんが、日本の国情に合った制度としてはもうこれしかないだろうという案をつくりたい、私はこう考えております。しかも、それを年内に一応まとめてみたい、こう考えておるわけであります。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁環境庁なりにそういう御努力を鋭意払っていただくというこの内容もいまお聞かせいただきましたが、京都市で実施するための前向きな条件とか提案がもしその中で長官としておありになれば、自治体のことですから、自治体は自主的に自治の本旨に基づいてやっていかなければなりませんけれども、アドバイスというふうな意味で何かあれば、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。と申し上げますのは、先ほどから申し上げておりますように、小売販売業者に過度の負担がかかるのではないかというふうなこと、それから中小零細の立場に対していろいろなしわ寄せがいくのではないかという懸念、そういうことから小売店いじめになってはならないという配慮で、メーカー側から出資をさせる回収センターのようなものをつくっていく方式も一つ考えられてもいいように思われます。何らかのそういう方向も含めてのいろいろな御検討をお進めになるということなのかどうか。  それからまた、京都市に対しまして、先ほど申し上げたように、自治に対する侵害にならないようなアドバイスがあればひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は、条例をつくるということに対して私の立場でいろいろ申し上げることは差し控えたいということは先ほど申し上げたとおりであります。しかし、空きかん問題というのは、何も京都だけではない、全国津々浦々という表現をかつてそしていまも土井先生お使いのように、どこでも問題なんです。その中で京都が、ああいう特殊と言いますか、まあ特殊とも言えない、ほかにも幾らもありますが、観光地ということでしょうが、あれだけ熱意を持って取り組んでいることに対して、先ほどから申し上げますように、私は敬意を表しているわけであります。思い切っておやりになったらいいと思うのです。そしてぐあいが悪ければ直せばいいんですから。何も一遍やったことはもう直せないというものじゃないんですから。こんなに苦しんでいる問題ですから、条例ですから、弱い者がそのために苦しむというようなことになってはならぬということは十分御承知の上の仕事でやっておられるようですから、そういう点に十分配慮しながらひとついろいろ思い切っておやりになってみたらいい。特別にこういう知恵がありますがいかがですかということを言い出す立場でもありませんし、またそういう知恵がいまあるわけではありません。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  それで、いろいろこういう便利さが先行する使い捨て文化の中で発達したものに自動販売機というものがございます。いろいろな空きかんの問題を考える場合に、一つはこの自動販売機のあり方というのも含めてお考えおきいただかないとならないというふうにも考えられますが、この点もよろしゅうございますね。
  61. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 その点も全くそのように思います。私は、自動販売機の会社に、たばこなんかでもわきに、余り吸うと害になりますから気をつけなさいなんで書いてあるように、あそこのところに、ただ飲めば気持ちがいいとかという売りたい一心の文章のほかに、空きかんは御自分の責任においてやってくださいよというようなことを書いてもらえないかなんというようなことを言っているわけです。それから、もちろんあの業者も責任を負ってこの問題についてはひとつ応分の努力、犠牲を払っていただかなければならぬ、こう考えております。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  さて、その空きかんの問題についてはまだまだ論点はほかにございますけれども、日を追って作業をお進めになっているところでありますし、年内に結論を出したいということでもございますから、結論に至るまでの過程で、京都市のただいまの努力評価されております環境庁長官の答弁を、きょうは年末の報告に至るまでの御見解として受けとめておきたいと思います。  さて、その次に移りますが、きょうの長官の御意見の中で取り上げられました第三に、「各種公害対策推進」という項目がございます。この中に窒素酸化物対策というのが当然のことながら取り上げられておりまして、「窒素酸化物対策につきましては、環境基準に照らして対策緊急度の高い地域において固定発生源について総量規制の導入を速やかに図ることといたしております。」こうなっているんですね。この総量規制の問題、一体現状、作業はどういうふうにどこまで進んでおりますか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  63. 三浦大助

    ○三浦政府委員 この問題につきましては、この四月の衆議院の公環特で先生から一度御質問を受けておるわけでございますが、その御質問の以降、昨年度六都府県におきまして、私ども総量規制の必要の可否について調査をしてきたわけでございます。この結果を踏まえまして、窒素酸化物に係る総量規制の導入のための政令改正をこれからしなければならぬわけでございますが、その政令改正の準備に先立ちまして、現在、各府県から上がってきた調査結果につきまして、中の点検、調整をとっておるというのが現状でございます。  今後の取り組みとしては、これを今度必要な地域につきまして政令改正を行おう、そしてなお、五十六年度になりますが、総量削減計画を都道府県でおつくりいただく、総量規制基準をおつくりいただく、そして六十年に全面適用、こういうことになっておるわけでございますが、現在、都道府県から調査結果が出てきて、東京、神奈川、大阪、愛知、この県につきましてはいろいろ点検も終わったところでございまして、この四地域につきましては、総量規制が必要じゃないだろうか、こういうことで、これから各省といま相談をしておるわけでございまして、ただ、あと兵庫県と福岡県につきましては、いま、中の問題でいろいろ相談中でございますのでちょっとおくれておりますけれども、これはいま計画に従ってやっておりまして、特に二県が作業がおくれている、こういうことではございません。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 この六都道府県というのについて、これを指示されるという根拠はどこにあったのですか。もう一度、これはプリミティブなことをお尋ねしますが、六都道府県というのを指示されているわけでしょう、六十年達成に向けて。六都道府県を指定されたという根拠はどこにあるのですか。
  65. 三浦大助

    ○三浦政府委員 これは、五十二年の調査に基づきまして〇・〇六ppmを超えている地域、こういうことで六地域を選んだわけでございます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、いろいろ調査を進めているということで、この六都道府県とのいろいろな連絡方があるように私ども承知をいたしておりますが、いま、先ほどおっしゃった兵庫と福岡からは当然報告書なるものが他の府県と同じように環境庁の方に送られてきているはずだと思いますけれども、それはどういうふうになりますか。
  67. 三浦大助

    ○三浦政府委員 兵庫県からいただきました調査結果につきましては、六十年で〇・〇六ppmは達成できる、こういう判断ができるような調査結果をいただきました。私ども、それならそれで、よくなることですから非常に結構なことだと思いますが、ただ、片方においてなお、先生の選挙区でございますが、西宮、芦屋、尼崎、あの地域の四十三号線等もございまして、沿道の皆様方が非常に心配をしておる、こういう問題もございますので、本当に大丈夫ですかと、こういうことでもう一度ひとつ安全の立場からチェックをしていただきたい、こういうことで、いま兵庫県の方に再検討をお願いしているというのが現状でございます。なお、福岡県につきましても、いま北九州にいろいろ今後立地される計画がございますが、その辺の今後の、将来のいろいろな計画を踏まえて、六十年は本当に大丈夫でしょうか、こういうことの吟味をお願いしておるわけでございます。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、他の府県はいずれかよくわかりませんが、いまの二つの兵庫県と福岡県の場合は、いずれも六十年にはもう〇・〇六という基準値をクリアを必ずするという中身の調査書が出てきたということが、現状までの、いままでの経過の中にあるわけですね。
  69. 三浦大助

    ○三浦政府委員 まだそこまでの結論には至っておらぬわけでございますが、調査結果から見る限り大丈夫じゃないだろうか、こういう判断がされるような結果が出てきたということでございます。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 それはいろいろ経過についてはあると思いますけれども調査が出てきた中身を、そういう意見環境庁としてはお持ちになって、兵庫県にもう一度再検討するようにという意味も含めてお返しになった、こういうかっこうになっているのですか。いかがでございますか。
  71. 三浦大助

    ○三浦政府委員 この調査をするに先立ちまして、私どもが、いろいろな予測方法基本的な方式を示してございます。もちろん、これは非常にむずかしい調査でございますから、この方式でやれというわけにはこれはまいりません。基本的な方式を示しておいて、なおかつ、県がいままでいろいろ県内の学識経験者の御指導を得てやってきておる、そういう継続性もこの辺で考慮しなければいかぬわけでございます。そういうことも踏まえまして、いろいろ調査結果が出てきておるわけでございますけれども、先生いま御指摘のとおり、もう一度安全性、本当に〇・〇六大丈夫か、こういう意味でもう一度ひとつチェックをしてください、こういう意味でお願いしておるわけでございます。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 それは大丈夫か、大丈夫かとおっしゃるのは、他府県の場合にはそうおっしゃっていない。兵庫県の場合に特に大丈夫かと念を押されるのにはそれなりの理由があるだろうと思うのですが、その理由は那辺にございますか。
  73. 三浦大助

    ○三浦政府委員 いまも私、兵庫県の方と相談中でございまして、ここで余りはっきり、どういう結論を持ってこられるかまだわかりませんものですから、はっきりお答え申し上げられませんが、その理由といたしましては、私どもが見る限りでは、私どもが示した基本方針の中で、ちょっとむずかしゅうございますが、沿道のプルーム方式というのがございます。その計算方式の一部がほかの県とちょっと検討方法が変わっておるものですから、その点の再チェックをしているわけでございます。
  74. 土井たか子

    ○土井委員 つまり、簡単に言うと、NO2の濃度について予測の方法がちょっと違うということなんでしょう、どうですか。
  75. 三浦大助

    ○三浦政府委員 自動車沿道の予測の仕方がほかの県とちょっと違うということでございます。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 自動車沿道にしろ何にしろ、この濃度についての予測の方法が、つまりもう一つ言うと、環境庁が指示された予測の基本方針と違う予測の方法でやられているということなんじゃないですか。どうなんですか。
  77. 三浦大助

    ○三浦政府委員 環境庁が指示した予測と違う方法というよりは、環境庁基本的な方法を示してあるわけでございまして、その沿道の予測の方法の一部を、兵庫県がいままでやってきた方式に変えてやっておる、こう御理解いただきたいと思いますが……。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 これが実におかしいんですね。これは指定地域について言うならば、自治体の首長が結局はこの計画を策定をいたします。その権限は自治体の首長にあるわけでしょう。長官としたら、意見を聞くという立場に長官はおありになるわけですね。しかしながら、総量規制について全国を統括して、六十年に全国的に〇・〇六を超えるところはもうないという実施をするのは、これは環境庁でなければならない。だから、そういうことからすれば、従来から兵庫県がとってきた方式は別にある。それは環境庁考えていらっしゃるような基本方針に従っての予測方法ではないというときに、環境庁としてこれに最終的に責任を持てますか。
  79. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 〇・〇四から〇・〇六までというゾーンがありますが、それまでにはどうしても全国どこでもしてもらわなければならぬということは、われわれの努力のところでありまして、先生御理解のとおりであります。ところが、そういうところまでなかなかいきそうもないというところがありますから、そこには総量規制をかけて、なおひとつ御勉強願わなければならぬ、こういうことでやってきたのですが、兵庫県は、いまるるやりとりがあったように、私ども考えていたようなやり方とはまたひとつ趣きの違うやり方をしているから、大丈夫ですと言うけれども、私の方は大丈夫ということが一概に思えない。特に、この間私も行って見てまいりました。土井先生もお忙しいところ参加していただきましたが、ああいうところまでもある。代表的なところと言ったのではうまくないですけれども、そういうところですから、そこが大丈夫ということはちょっと理解できませんから、もう一つひとつ調べ直してもらえないだろうかということをいま言っているところであると御理解をいただきたい、こう思っているわけです。最終の責任は、おっしゃるように私にありますので、大丈夫ですと言われて、ああそうですか、そういうわけにはいかない、御理解をいただきたいと思います。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 長官は非常に率直にいまお答えになりまして、環境庁としてお考えになってきたこの予測方法とは違う方法をとっておられるので、それじゃちょっと大丈夫なのかどうかよくわからないから、そこのところをという前提でお話しになりましたが、その予測方法というのはどんな方法なんですか。環境庁がお考えになっていらっしゃる方法とは違った方法なんですね。これは、聞くところによると、通産省方式と一部で呼ばれている方法らしゅうございますが、そうですか。
  81. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 兵庫県の方とも一生懸命いま詰めている最中でございますので、どうかもう少しお時間を実はいただきたい、やることが目的なんですから、どうかお時間をいただきたいと思います。  いまから私のお答えを申し上げますけれども、したがいまして、なかなか非常にむずかしい、何か科学的ないろいろな方法があるらしいので、私にはちょっと理解ができかねるのですけれども、私ども人間の健康が一番大事なんですから、そうなってくると、その原因は、あるいは工場から、煙突から出るものもありましょうし、自動車から出るものもありましょうが、それを個々に煙突は煙突、自動車自動車としてもやっていますよ。やっていますが、それを吸うのは人間なんですから、人間がどれだけ吸うだろうかということを考えてやらなければ目的に合わないので、煙突は大丈夫ですよと言われたってそれは困るので、両方あわせたもので考えるというところが若干違うようなんですよ、土井先生。その辺のところでひとつ御了解ください。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 実に苦しい御答弁だというのは了解できます。まことに困ったお立場にいまお立ちになっているということも了解をすることができます。ただ、これはやはり大事な問題なんで、本当に大事なことなんですよ。環境庁とすれば、六十年時点の汚染実態をより的確に再現できる方式ということを種々考えられて、環境庁としては手法細目をもとに、各自治体に対してそうあってほしいということを言われているのですから、そういう前提を抜きにしてはこれは考えていくわけにはいかないだろうと私自身も思うのです。  そこで、私が、いまあえて通産省方式ということをわざわざ申し上げたのは、大変気にかかることが先日来あったからであります。環境庁長官も、今回こそはというので、アセスメントの法の立法化について非常な意欲を燃やしていらっしゃるわけでありますが、アセスメント法については、これは何年来われわれも努力したでしょう。そのたびごとにつぶされてきたのです。一体つぶしたのはだれであり、何のためにつぶしたかというのは、あえて私は申し上げませんけれども、この理由なりやった当事者もまことに明白です。同じことが今回も、総量規制をせっかく全国的に大変な熱を持ってやろうということを考えられている環境庁に水をぶっかけるような存在があってはならない。また、あった場合には、そういうぶっかける立場に対して妥協するようなことがあってはならない。それに負けるようなことがあってはならない、こう思いますよ。  それで、先日私非常に気にかかる新聞記事を読んだのです。何かと言ったら、通産省がこの指定地域になっている自治体回りをされていることですよ。こういう記事が出ている。しかも、相前後して同じような実は文書を持っていかれたのであろうと、これは憶測ですよ。憶測にしかなりませんから、余り強くこういうことは私は質問の中では申し上げませんけれども、経団連側から行かれていることも事実であります。かねてよりNO2の規制緩和に対して、経団連がどれくらい執拗にこの問題を言い続けてこられたことか、そうして総量規制はできたらやめてもらいたいということを言われてきたかということを私もよく存じております。特に鉄関係なんですね、このことに対して強いのは。いまいろいろそれについて私、気にかかりますから見ていきましたら、なるほど通産省と経団連の方々は自治体回りをされております。環境庁として指定されておりますこの六都府県に対して行っていらっしゃるわけですね。説明というよりも要求に行っていらっしゃるに違いないと私はにらんでいます。  通産省立地公害局、御出席ですね。六月の十日、通産省の立地公害局の佐藤公害防止企画課長さんは大阪府に行っていらっしゃいますね、いかがですか。順を追って尋ねますよ、これ何回も行っておられるのだから。
  83. 植田守昭

    ○植田政府委員 私は、その件につきましては、いつでしたか忘れましたが、ある新聞社から訪問を受けまして実はそういうことを聞きまして、そのときに初めて聞きましたので、その後で担当の者に聞いた。そのとき知ったわけでございまして、いま手元に何日にだれがどこという資料は持ち合わせておりません。ただ、そういった出張のときに向こうへお寄りしたということは聞いております。  ただ、それは私の聞いているところでは、これはわれわれよくあるのでございますが、出張は年にそう何回もわれわれする機会はないのでございますが、たとえば当該地に出張したときに、ついでのことももちろんございます、関係の県へ寄りまして、そしていろいろと地方の事情をお伺いする。これは立地公害局のみでなく、私どもの各局の行政上でもそういうことはよくやっております。どちらかといいますと、私ども、府県との関係はむしろ薄い伝統のところでございまして、これからは地方の時代ということもございますし、いろいろな部局におきましても、そういった機会をとらえまして、できるだけ意見交換をするということをやっておりまして、今回のことは決して意図的に総量規制つぶしというようなことをやったわけではもちろんございません。私も新聞社の方が来られて初めて聞いたようなことでございまして、そういう状況でございますので、そこは決してそういうことではございませんので御了解願いたいと思います。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、全国的に都道府県との関係が希薄であったのでこの節とおっしゃるところは非常にひっかかりますよ、そういう御答弁をされると。そうして、神奈川の場合は総量規制をするということを決められておりますから、わざわざ行く必要なしと思われたのかどうか、神奈川県には行っていられない。  順を追って言いますと、いま申し上げた六月の十日には大阪に、十二日には東京、十六日には愛知、十七日には福岡、そうして八月の二十九日には兵庫、八月の三十日には大阪、こうなっております。  相前後しまして経団連側は、六月二日に愛知、それから二十四日には東京ですね。それから七月の三日には横浜、十六日には大阪、そうして同じく七月の十六日には福岡。福岡県の場合には総量規制反対の意向をはっきり伝えられているという経過もあるようであります。同じく七月の三十日には愛知県、これは総量規制を実施しないような要請がはっきりその場ではある。こういう調子なんですよ。  しかも、ここに持ってまいりました文書、これは何遍も当委員会の場所では資料として問題にされてまいりました過去の経過がございますが、「大都市におけるNO2環境濃度の予測と今後の対応について」、五十五年六月に出されておりますこの文書。片やは通産省の立地公害局公害防止指導課が出されております五十五年五月に出ている「東京湾周辺地域における二酸化窒素の高濃度発生と逆転層との因果関係等の検討」、この二つの文書。片っ方は経団連の文書であり、片っ方は通産省の文書でございますけれども、この「大都市におけるNO2環境濃度の予測と今後の対応について」という経団連側の中身からいたしますと、これは予測の手法について、簡単に言って、異常気象でもたらされたNO2高濃度汚染対策として、年間を通じた常時規制を導入するというのは適当ではないというのが結論なんです。その前提には、逆転層と密接な関係が実はこういう濃度の問題にはある、逆転層が広域にわたって多く発生したということ、実態調査の結果このように言えるので、したがって常時規制を導入するというのは適当でない、こういうかっこうになっているのですね。通産省側の資料は、ここの中で「まとめ」という部分を見ますと、「NO2の高濃度は風速及び接地逆転層と密接な関係を有する。」とありまして、この内容からすると、経団連が予測手法について種々問題とし、結論としては、総量規制をこの節導入するのは適当でないということを言われているのに、追い打ちをかける形と申しますか、横から支援する形の文書で、これは一体のものというふうに読んだ方が実は非常にはっきりしてくるわけであります。  そこで、こういう立場の人たちが、いま環境庁として非常に苦労されているそれぞれの府県に訪ねていっていろいろとやかく言われる、こういう中で先ほど苦慮されているような問題も動いている、こういうことをひとつ念頭に置かれて、長官、いかがですか、断じてそういうことに対してこれは許さない――通産省というのは、環境保全の立場に立って通産行政を行うのが当然であるにもかかわらず、いつでもこういうときに、まるで環境保全というのは環境庁の役割りであって、何としても工業誘致であるとか企業活動というものを優先的に考えられるというお立場から、環境行政を抑えるということを常におやりになる。非常に遺憾であります。そういうことからすると、長官、どうでしょう、これはがんばっていただけますね。
  85. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 結論から申し上げますれば、私どもの方は〇・〇四から〇・〇六というゾーンを設けて、これ以上では人間の健康に支障があるということで、十分研究した結果、そして先生方にもお諮りをしてこういうふうに決めたわけですから、これはどうしても守らなければならぬ。それは何も私どもの方でおもしろがって言っているわけではないので、健康に支障があるということなんですから、先ほども申し上げましたように、経済は発展しなければなりませんが、健康を犠牲にしての経済の発展というものはないのですから、これはどうしても守らなければなりません。そして、通産省のことをいまいろいろ御言及ですが、通産省が日本経済を発展させるためにどれだけ苦労しているか、それはわれわれの理解するところです。ですが、いま私が申し上げましたことは、通産省などともよく話し合って決めていることでございますから、それに反するようなことがあれば、それはあなたの考えていることは違いますよといって役所の方へ話があるべきなんで、役所の方に話がないのに、同じ政府の中ですから、ほかへ行ってそんなことをやるはずがないと、土井先生、私は思いますよ。あってはならぬことではありますし、そんなことはあるはずがない。もしそういうことを言うなら、私のところへ来て、この数字が間違っているですよ、これじゃきつ過ぎるですよという話があってしかるべきなんで、先ほどアセスの問題についても、アセスつぶしがそういう方面からあったなんというお話ですが、これは民間は別ですよ、民間はまた別ですが、同じ役所同士で十分話し合ってあの法案というものはできているのですから、そのときにそういう会議の中でわれわれに話があるならこれは当然のことですが、そうでなしに、それをつぶしみたいなことが、土井先生、あるわけがない。あるわけがないけれども、もしあったらどうするかという御質問なら、もしあっても、それは私は負けませんよ。これまた負けるわけがない。どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁からすると、通産省からそういう中身についての御相談が長官を初め環境庁側に対してないということが一つ。それと、もし自治体に対してそういう説明なり要望なりをもって通産省が働きかけをなすっていようとも、環境庁長官としては絶対環境庁の線を曲げるわけにはいかない、こういうことをいま御答弁の中でいただいた、これは確認させていただいてよろしいですね。
  87. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 それは当然のことだと私は思います。私が特に立って発言をする、しないにかかわらず、当然のことであると私は思います。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 了承します。しかし、これは立って発言をする、しないにかかわらずということをあえておっしゃいますけれども、これは長官、大事なんです。後々問題になるかもしれませんよ。このことをひとつ予告して次の問題に行きます。
  89. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 なお付言いたしますが、先ほど申し上げましたように、通産省が日本経済発展のために日夜苦労していることは言うまでもないことでありまして、そのためにいろいろ現地に赴いて相談をするということは十分あってしかるべきことでありますし、その点は私どもが対象にしていま物を言ったわけではない、このことをひとつ御理解の上、お願いいたします。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 長官、通産省の弁解をなさる必要はないのです。長官環境庁長官なんですよ。よろしゅうございますね。
  91. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は通産省の弁解をしているわけではない。ただ、そういうところへ行って、すでに決まったことについて覆すような話をするはずがない、それ以外の話をしているのだろう、生産の話をしているのだろう、そういうふうに思って申し上げたわけで、弁解をしているわけではありません。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、私がきょう質問を始めましたことをもう一度初めに戻しましょう。  いま全国で総量規制のためにいろいろ努力をされている中で、それぞれ指定をされました都道府県の中での六都府県について作業が進みつつありますが、中でちょっとその辺は県と詰めたいとおっしゃって苦労されている中身がある。その中身というのは通産省と無関係ではないということをもう一度私は申し上げて、質問を次に移りますよ。よろしゅうございますね。
  93. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 結構です。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 測定方式が環境庁方式じゃない、通産省が考えられている方式なんですよ。
  95. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 この問題は私どもの方の責任でございますから、私の方のスケジュールに基づいて実行いたしております。どうぞ御理解ください。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 それでは先に進みます。  運輸省の方にお尋ねを進めたいと思いますが、これはやはり長期的な視野で見た場合に、一つ環境基準というものをつくっていくときに大変苦慮された一つとして、航空機騒音に対する環境基準というのは、これは発生源対策もあれば周辺対策、両者が整わないとどうにもなる問題ではありませんので、大変苦慮されて今日まで来たという経緯があることをよく私も承知をしておる一人でございます。  そこで、環境基準を達成するというのは、これは環境庁の告示どおりにいくと一体何年になるわけでありますか。
  97. 三浦大助

    ○三浦政府委員 大阪と福岡につきましては五年を超えて可及的に速やかに、それ以外のところは十年を超えて可及的速やかに、こういうことになっております。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、大阪の場合について言うならば、これは環境基準からして実情はどのようでございますか。
  99. 三浦大助

    ○三浦政府委員 先生、大変失礼しました。環境基準は十年ということになっております。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 十年というのも、実はそういうふうにお答えになったら、それを前提にして聞きましょう。現状はどうでございますか。
  101. 山本長

    山本説明員 お答えいたします。  環境基準のいわゆる改善目標というものを達成をいたすために、民家防音工事、移転補償その他各般の周辺対策を実施しておるわけでございますが、環境基準の達成という見地から見ますと、われわれ継続的に実施をしております五年改善目標というものが五十三年の十二月に参りました。これについて、それまで四十八年以降五十三年まで五年間やっておりました改善目標の達成率と申しますか、というものについて、当時運輸省が試算をいたし発表をいたしましたが、それによりますと、ただいまその資料を手元に持っておりませんけれども、地方空港におきましてはおおむね達成ができている。それから、大阪空港につきましてはたしか八十何%であったと思います。  さらに今後の十年改善目標でございますけれども、これにつきましては、今後民家防音工事を初めといたします施策充実をさらに図っていかなければならないものでございます。  私たちの計画におきましては、ただいま局長から御答弁のありました十年改善目標を達成をする、その達成の期限であります十年が最終目標であります地方空港におきましては、その目標どおりに達成をいたしたいと考えておりますし、さらに、大阪空港、福岡空港等、十年を超えてなるべく速やかにという改善目標の空港がございますが、その空港につきましては、超えてできるだけ速やかにという期限をできれば六十年度に達成をいたしたい、こういう長期的な計画を立てまして、われわれの体制なり、あるいはこれは将来の予算でございますけれども、予算の編成といいますか、そういったものもそういった考え方でやっていきたいと考えております。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 達成率が五年を経過したときに八十数%というのは、私も異論があって当時いろいろこれについての質問をいたしましたから、繰り返しはいたしませんが、いま周辺整備の中身として、騒音地域に指定がされておりまして、民家に対する防音工事が行われていなければならない区域がございますね。その区域の中でずっと従来から住まわれてきた方々の中に、都市計画によって建てかえをしなければならない、それからまた、不可抗力、たとえば火災等々の理由で家を建てる必要がある、またさらに、家が老朽化して新築並びに建て直しをしなければならない、そういうときには、その民家の防音の対象としていままで考えられてきてないのですけれども、これを民家の防音の対象として考えることを、現行法の解釈、運用の上でひとつ考えてみようというふうな御発言が飛行場部長さんからかねてあったのですが、このことに対しての作業が、もうあれからちょっと時間もたっていますし、大分進んでいると思うのですが、大丈夫これは年度内にできるでしょうね。もう一つ言うなら、年内にできるでしょうね。いかがです。
  103. 山本長

    山本説明員 たしかこの二月か三月か、春であったと思いますが、先生からのその質問に対しまして、法律の解釈上の問題と運用の問題について御説明をした記憶がございますが、重ねて法律の解釈を説明する必要はないと思いますけれども、御存じのように、この法律は、民家防音工事をいたしますという指定をいたしましたその日以前にある建物につきまして民家防音工事をいたします、それ以後にそこに建てられた家につきましては民家防音工事の対象とはいたしませんということになっておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘の事例につきましては、従来といいますか、ただいま現在におきましても対象にはしておらないわけでございます。  ただ、この法律の精神と申しますのは、やはりこれは従来から言われております危険への接近理論でございまして、そこに騒音という危険がある、それを知りつつ、あるいは知り得る状態のもとにおいてそこに接近をしてきた方に対しては、その被害救済の措置はとらない、それ以前の人に対してはとります、こういう危険への接近理論が基礎になりまして、この公共用飛行場周辺の騒音の防止に関する法律ができておる、あるいは防衛庁関連空港におきます法律においても同様のことになっておるわけでございます。その法律の文言からいたしますと、確かに若干の問題があるわけでございますが、法律の精神と申しますか、危険への接近理論というものを基礎に置いてこの法律を解釈するならば、ただいま申されましたような、もともと住んでおった方というか、もともとそこにあった建物、それが老朽化により、あるいは火災により、あるいは区画整理等公共事業によってその場所を動く、あるいは建てかえる必要がある、こういう方々につきましては、もともとそこにおられた方であり、その危険への接近理論からするならば、その人たちを含めて対象にするということは法律の趣旨に反するものではないだろう、そういう面から検討いたしますと、こういうふうにかつてお答えしたことがございます。  この作業は、この法律の解釈面とそれから運輸省の運用と防衛施設庁の運用というものにアンバランスがあってはならないものでございますから、この二点について検討作業を進めてきておる次第でございまして、その作業もようやく終わりに近づいてまとまりつつございます。長官言われましたように、検討検討ばかりが能ではない、こういうことでございますけれども、年度内とは言わず、できれば年内にも実施に移すというような方向で努力していきたいと考えております。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 まあえらい御丁寧な御説明が長々続きまして、危険接近の理論から始まるというのは、大変御丁寧なことであったわけですが、要らぬところが大部分です、要るのは終わりの二言、三言だけ。それはすでに防衛庁との間で詰めに入られているのはとうの昔にわかっています、そのことは先日御答弁いただいておりますから。だから、その調整をやっていらっしゃるに違いないので、年内に実施に移すということを言われていますから、守っていただきたい。それはよろしゅうございますね。  さて、問題は、その危険接近の理論でこれはどうにもならないとおっしゃってこられた部分ですが、これはだんだん第一種指定地域というのを地域として拡大されたわけでしょう。告示日もそれに従って、初めに告示を出された日から続けてこの地域を拡大されて告示を出される。八十五WECPNLで初め出されたものを、やがて八十に地域指定を広げられる、やがて七十五に広げられるという方向でずっと持っていかれるわけですね。初めの告示日のときにはそこに住んでおられなかったけれども、その次の告示のときにはWECPNL八十五地域で住んでおられる方々は、WECPNLがもう七十に落とされてその地域全域について指定地域にして民家の防音工事をやっている中で、いつまでたっても取り残されるのです。防音対象にならない。これはどう考えても矛盾だということを先日質問いたしましたら、相変わらず危険接近の理論ばかりを、そこで私は石頭と言ったのですが、言われ続けたのですね。  環境庁長官環境基準が設置されてそれが具体的になるというのは、やはりそこに住む人たち生活、健康を考えての環境基準なんですから。確かに危険接近の理論というのはありますよ、告示日のときに住んでなかったけれども、後でそこへ来たという。そして、ひどい騒音の中で、そこだけは告示日にいなかったのだからあなたは対象者ではないといって取り残されて、対象としていろいろな措置が講じられない。でも、最近の住宅対策からすると、持ち家制度がずいぶん重点に置かれて進んだわけでしょう。公共住宅に対しての対策が非常におくれているのですよ。あそこに住んで勤めに出なければならない立場の人たちからしますと、危険接近の理論等々、それは理屈です。現実は、あそこに住まわないと、そしてそこに持ち家として手ごろなものがあったので買って住まわれたという過去のいきさつもあるのですから、本当に危険接近の理論というものを重視しておっしゃるのならば、この地域には新たな建築物を建てさせませんよという措置をまずしっかり国の方として、あそこは国の空港なんですから、講ずべき措置がまずなければならない。そのことに対しては何にも措置を講じておかないで、住んだ者が悪い、住んだ者が悪いという論法を繰り返し言われるわけであります。これはちょっとお考えいただくべき問題点があるように私は思いますが、長官、どのようにお考えになりますか。
  105. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 危険なところがわかっていて住んだのだから仕方がないと言えば、それはそうでしょうけれども、おっしゃられるとおりいまは住宅難の時代ですから、なかなかそう簡単に割り切って言えないということもおっしゃられるとおり、御趣旨はよくわかりますので、そういう考えで検討してみたい、こう思っております。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 五分前という用紙が参りましたから、最後にもう一問だけいたしますが、この環境基準について、大阪空港なら大阪空港についてきちっと守るべき状態をつくるのが、五十八年が十年目に当たりますね。それに向けて、いろいろ航空機の騒音に対しても測定をずっと作業の上でお進めになっているはずでありますが、これはどうなんですか。環境庁が出していられる「環境基準について」という四十八年十二月二十七日の環境庁の告示第百五十四号、それからさらに、四十九年の七月二日に環境庁大気保全局長から知事あてに出されている「航空機騒音に係る環境基準について」という文書、この中身を見ますと、やはり騒音に対しての測定方法がちゃんと書かれているのですね。ちゃんと明示されている。原則として連続七日間、これをやっていらっしゃいますか。そして、大阪空港の場合には特にそうなんですが、風向きによって発着陸の方角が百八十度違ってしまいます。離陸地点にあるのと着陸地点にあるのとでは騒音がまた違うということもよくわかり切っている話なんです。こういうことからすると、ここに「航空機の飛行状況及び風向等の気象条件を考慮して、」とちゃんと測定の問題については掲げられているのですから、逆風のときにも測定をきちっとやっていただかなければならないのです。この騒音測定について過去運輸省はこれをやっていらっしゃらないようですよ。そういう意味でも、環境基準をきちっと守っていただかなければならぬということを私は申し上げたいのですが、よろしゅうございますね。
  107. 山本長

    山本説明員 ただいま先生がお示しになられた環境庁環境基準に対する告示におきましては、「測定は、原則として連続七日間行い、暗騒音より十デシベル以上大きい航空機騒音のピークレベル及び航空機の機数を記録するものとする。」云云と書いてございます。私たち昨年告示の変更をしたときにおきましては、一空港につきまして六日やってございます。大阪空港につきましては六日約六十地点において測定をしたという実績がございます。航空機の騒音のレベルをはかり、かつそこで告示を出す対象区域を決める作業は、実は連続七日とか六日とかといったそれだけでは済まないものでございまして、一年間を平均いたしましてそれを出す必要がございます。運輸省におきましては、その実測に、むしろ航空機の理論騒音値、それから十地点ばかりで毎年連続して年間を通じてはかっております測定結果などを資料といたしまして決めておるわけでございまして、環境庁のこの告示で出されましたより以上の精度のものをやっておるというふうに理解いたしておるわけでございます。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっとそれは異論があるのです。環境庁からも恐らく異論があるだろうと私は思う。いまのやり方では、この環境庁の「環境基準について」という告示どおりの測定方法をクリアしていらっしゃるとは私はとても考えられない。ただ、時間の方がもう来てしまいました。非常に残念ですが、これはやはり守ってもらわなければならぬというのは原則だと思います。そのことを一言長官からおっしゃっていただいて、そしてあと警察の方からもきょうは御出席をいただいていたはずですが、時間切れになったので質問をすることができません。おわびを申し上げて、次回にこれを譲りたいと思います。
  109. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 個々のことについて私承知しているわけではありませんが、おっしゃるとおり、われわれが告示を出すまでにはいろいろ検討してそして出すわけですから、これは守ってもらわなければ困ります。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。ありがとうございました。
  111. 山崎平八郎

    山崎委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分開議
  112. 山崎平八郎

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  113. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最初に長官に、長官所信に関して一言御質問をしておきます。  環境問題は、人類にとっても健康、生命を守っていく、生活と直接関係する非常に重要な問題でございます。長官は多くの課題に意欲的に取り組んでいくことを表明されております。特にその中で、臨時国会なりあるいは通常国会なりの中で何を真剣になって取り組んでいくのか、具体的にお答えいただくのと同時に、環境アセスメントに関して、これをいつ提出し、そして具体的にどのように進めていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  114. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 竹内さんの御質問にお答えいたしますが、二つです。  一つは、何を重点にいま考えているかということでありますが、午前中も土井委員の御質問にお答えをいたしましたように、従来から、公害によって健康を害された人もしくはその疑いを持っていま認定を急いでいる人、そういうことに対しても引き続いて全力を挙げてやっていくとともに、再びそういうことのないようにいろいろ基準を設け、そして基準をいろいろ考えてやっていくというようなこと、これも引き続いてやっているわけです。いまここへ来て当面何を考えているかと言えば、二つです。それはやはりアセスメントの法制化を急ぐという問題、それから環境問題は教育問題であるという観点から、大ぜいの国民の皆様に御理解をいただく、しかも、それはモラルの問題として御理解をいただくだけでなしに、このままやっていけば何か対策は立てるでしょうから、私がこれから言うほどのことにはならないかもしれませんが、もし仮に何にも考えないでこのままの経済がずっと成長していったとすれば、これは二十一世紀は決して明るい時代ではありませんよ、われわれ一代の問題だけでなしに孫子の代までのことを考えれば、いまわれわれがやらなければならぬことがあるはずだという問題を国民の皆様とともに考える、そしてまた、これを世界的に日本のやれることを考えて、意欲的にそれらに参加していく、こういうことでございます。  それから、第二番目のお問いである、アセスをいつ提案するかということですが、これはもう先生御承知のとおり、私の前の大臣までの間に政府の方としては合意が成り立っているわけです。しかしながら、ここへ来て、経済というものが大事だから、特に電源立地なんかの問題についてこれが支障になるようなことはないだろうかという心配、これはごもっともだと思いますよ。そういう点についてまだ多少疑義が晴れていない向きがあるから、それをいまやるんだということで、私はごもっともなことだと思いますので、ひとつ時間の許す限り積極的にそれをやっていただいて、自民党の政調会長預かりになっていますから、早くそれを終わらせて国会に提案したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  115. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そのアセスメントに関して、長官承知のとおり、東京都におきましても条例がすでに成立している。各地方自治体も東京都に沿ったような条例をつくる動き、こういったものがございますね。もし現在、いまの御説明のとおり閣議において決定されておるアセスメント案、この案がそのままの形で出てくる。もちろん、今後関係のところといろいろと詰めていかなければならないということでございますが、この東京都の条例と比較した場合に政府法律の内容が非常に後退したものだということになったならば、問題点が非常に幾つも出てきますよ。各地方としてもこれはその施行の面において非常にむずかしくなってくる。したがって、政府案というものを最低限――認識は別でございまして、そういったものに直接当てはまるとは言えませんが、少なくともその考え方というものを、東京都の条例案に沿ったというか、そういうものを参考にできるような内容に修正をしていく考えはないか。いまの非常に後退したそういったものであったならば、これは非常に問題でございますから、その辺の意欲的な考え方があるかどうか、長官、まず最初にそれをお伺いします。
  116. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 東京都の条例ができた今日、それに沿っていま考えられている法案を修正していく考えはないか、こういうお話でございますが、それを私は持っておりません。それよりも何よりも、とにかくいままで合意が成り立っている問題、そしてその合意を成り立たせるまでの間には、当然のことながら、これは先生もう御理解いただけるように、いろいろな問題を心配する人たちがいますから、そういう人たちとともにこの合意が成り立つのですから、それをとにかく早く法律として制定する。そして、やはり国の情勢から見てそれがどうもちょっと足らないというところがあれば、また先生方の御審議をいただいてそれを直していけばいいので、いままでできたものを、いま東京都の条例をながめながら直していくという考えは、いまのところありません。
  117. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間の都合で、私の本論というか、ちょっと課題を持ってきましたのでお伺いいたします。  これはきょう午前中にも同僚委員からるる御質問がございましたので、その問題点等において同じようなものはできるだけ省いて、長官の御意見等はかなり突っ込んだものを聞いていくことができたわけでございますが、それと関係省庁の考え方、そういったものをさらに明らかにしていかなければなりません。  その問題は、最近最も問題になっておる散乱性のごみ、特にその中にあって空きかん問題が非常に全国的に問題となってきておる。きょうも話の内容にあったとおり、私は京都に住んでおりますので、この京都におきましても、条例案というようなことでいま論議が盛んに行われておる段階です。  そこで、まず最初にお伺いしたい点は、この日本全国に深刻な話題を呼んでおるごみ問題として、一般廃棄物の中で、一つには、日常性のいわゆる家庭からのごみ、もう一つには、いま申し上げました散在性の、山や河川あるいは海辺だとか道路だとか公園だとか空き地、田畑、山林等にごみが散乱している問題ですね。そして、特にその中で、観光地など人の多く集まるところには空きかんが散乱し、問題となっておるわけでございます。一口に空きかんと言っても、飲料かんあるいは一斗かん、それにかん詰め食品など多種にわたっております。その中で、現在このようなかんがどれぐらい生産されており、それが用途済みとなり、消費者から廃棄物としての空きかんとして廃棄物になっていくわけですが、それがまたどう回収され再資源化されていっているのか、その実情を通産省から御説明いただきたいと思います。
  118. 植田守昭

    ○植田政府委員 かんの生産状況あるいは回収状況でございますが、鉄鋼統計年報とかあるいは雑貨統計年報によりますと、昭和五十四年におきまして、スチールかんが約六十九万五千トンでございます。アルミかんが二万九千トンという数字になっております。それから回収状況は、これは産業界等の資料によるわけでございますが、五十三年度におきまして、スチールかんでおよそ四〇%、アルミかんでおよそ二三%程度というふうに推定されているようでございます。
  119. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、この散乱のごみ、その中でも空きかんを中心としたこういった汚染状況で、山にしても河川にしても公園にしても観光地にしても、非常に汚染の状況が広がっていますね。その状況をどのように掌握しておるか環境庁にお伺いするのと、それから、特に何か環境庁では、この前の長官のときも、長官みずから参加して、富士山では毎年汚染がひどいのでクリーン作戦を行った、こういうこともございましたけれども、そういうものも含めてどんな状況になっておるのか、御説明いただきたいと思います。
  120. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  全国的な規模での空きかんの散乱の実態につきましては、環境庁も含めまして国内でその実態を把握しているところはございません。民間の調査機関の推定によりますと、おおむね生産量の三ないし五%が散乱するのではないかという推計がございますが、これはそう信憑性が高いものではないと私ども考えております。  そこで、環境庁といたしましては、空きかん問題に関する検討会を本年六月設置させまして、全国の市町村にアンケート調査を実施いたしておるところでございます。その実態を年内をめどにしまして把握したい、かように考えているところでございます。
  121. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 富士山の状況を……。
  122. 石川丘

    ○石川説明員 富士山の件につきましては、私ども環境週間というのが六月の五日から一週間ございますが、その環境週間の行事の一つとして富士山のクリーン作戦を、昨年でしょうか取り上げたと思います。ああいう具体的な清掃活動について環境庁がみずから手を下すというようなことは現在のところ計画しておりません。
  123. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 鯨岡長官、何か毎年そういうことをやっておられるようですが、新しい長官として、その富士山の件、どうお考えですか。
  124. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 富士山の空きかんを、環境庁が指導していま何かやろうという考えは持っておらないわけであります。  ただ、あそこでボランティア活動をやっている人たちに対して、私の方から感謝状のようなものを出しておるわけですが、午前中も申し上げましたように、私は基本的には、私は散らかす人、あなた片づける人というような考えでは、幾らやったって同じだと思います。私は、何か先生方のお力もかりて、やはりモラルの問題として、自分で始末のできる、空きかんなどはまさにそうですから、自分で始末のできるようなことに国民考えていただくためにはどうしたらいいか、それをむしろ考えていきたい、こう思っているわけであります。
  125. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、町田市だとか神戸市、三鷹市等、いろいろと各地方自治体ですでに空きかん問題に取り組んでいるところが多くなっておりますね。全国的な関心が高まってきておるわけでございます。この町田市と神戸市の状況、実態としてどんなふうになっているか御説明いただくのと、それの実行上、実効性あるいはその中での効果あるいは問題点、こういったものはどういうふうに掌握されておりますか。
  126. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  地方自治体のこの問題に関する取り組み方につきましては、先ほど申し上げました検討会の結論を待ってみないと十分把握できないという点はございますが、ただいま御指摘のございました町田市の状況について申し上げますと、町田市では事業者に対しての回収責任を課しておるわけでございます。したがいまして、回収する場所までの、何といいますか、散乱したものを回収する場所に持っていくというところが十分機能しなければ回収が十分に機能しないという形になるわけでございます。したがって、町田市についてはまだいろいろ問題点があるというふうに聞いております。  それからもう一つの問題点は、大変な人手と費用がかかりまして、どうも経費的に大変である。たとえて申しますと、一かん当たりの収集費が三十五円程度かかるというようなことでございました。  それから神戸市につきましては、六甲山地域の町内会それからボランティア団体それからメーカー団体等が六甲山美化協力会を形成いたしまして、ボランティア活動によって収集し、それを収集業者が回収するということで、かなり円滑な収集活動が行われているというふうに聞いております。
  127. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、先ほど長官らかも積極的に支持する、そういった考え方があった京都市に関しての空カン条例、中間報告がされておりますね。その中で、私は、関係省庁を含めていろいろこれは問題点もございますし、それから今後も非常に論議をしていかなければならぬ、そういう意味で非常に重要な問題でございますので、お伺いをしておきたいわけですが、京都市は、御承知のとおり観光都市として、京都を訪れる観光客は年間三千八百万あるいは四千万人とも言われております。その人たちが、いわゆる散在性のごみとして空きかんを中心として、中には捨てていく人もいるわけですよね。こうなると、ごみ自体も非常に膨大なものになっているのは御承知のとおりです。京都市としてこのごみの処理費用にも莫大なものをつぎ込んでいる。そういう面から、この問題に入る前に、京都市における空きかん等の散在性ごみの汚染状況をどう把握しておりますか。
  128. 石川丘

    ○石川説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げました空きかんの散乱状況実態調査の結果、京都分についてお答え申し上げたいと思います。それによりますと、主たる空きかんの散乱場所としましては十五カ所ほど報告例がございます。散乱の状況につきましては、かなり広い場所に相当ひどく散乱しているところが二カ所でございます。それから、広い場所に比較的散乱がひどいというところが十カ所、狭い場所に多量に散乱しているところが三カ所というような状況になっておるわけでございまして、散乱場所としましては、道路周辺が最も多く八カ所、名所旧跡、行楽地の休憩所等の場所で汚染されておるところが六カ所という状況でございます。
  129. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 去る八月四日、京都市空カン条例専門委員会が京都市空カン条例案としての答申を京都市に対しまして行いました。それに対するその後の反響は非常に大きいのです。何が問題となって論議を呼んでおるのか。このデポジット方式にどんな問題があるのか。行政あるいは業者、市民との間にいろいろな隘路がございますね。そういう面で一体どういった点が問題なのか。環境庁としての御所見は先ほどわかりましたので、この際、関係省庁である通産省、それから厚生省、農林省にお伺いをしておきたいと思います。
  130. 植田守昭

    ○植田政府委員 この条例案の制度につきましては、私どももまだ検討中でございまして、なかなかむずかしい問題がいろいろありそうな気はいたしますが、いま最終的な御意見を申し上げる段階に至っておりません。  ただ、ちょっと考えますと、先ほど長官もおっしゃっておられましたが、たとえば小売商等の負担の問題とかその辺がどうなるのか、あるいはまた、本来流通の全国性というふうな性格とこういった一地域を限って一つ施策をやること、まあ日本の場合相当狭い地域であるわけでございますから、その辺が流通問題としてどういうふうに問題が起こってくるのだろうか、非常に複雑な反応があり得るのかもしれませんが、なかなかまだ十分にはつかみ切っていないわけでございます。各省にまたがる問題でもございますので、今後とも各省といろいろな連絡をとりながらもう少し詰めてみたいと思っております。
  131. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 今回の中間答申の内容につきましては、厚生省で所管いたしております廃棄物処理法上は特段の問題はないと考えております。この答申の目的はごみの散乱防止であると考えられるのでございますが、このような環境の美化に関します事務につきましては、これは地方公共団体のいわゆる固有事務でございまして、法令に違反しない限りにおきましては条例でこのような必要な事項を定めることができるものと考えております。厚生省では、廃棄物の適正な処理を確保するという観点から、廃棄物の減量化あるいは有効利用に関する諸施策推進しておるところでございまして、事業者及び一般消費者の協力のもとに散乱ごみを回収、また再資源化しようとするこの条例案の趣旨には基本的には賛同できるものでございます。
  132. 本田康二

    ○本田説明員 農林水産省といたしましては、京都市の専門委員会あるいは条例案等について伺っておりますが、私どもといたしまして、最終的に農林水産省の意見というふうに申し上げるにはまだ早い、多々検討すべき問題があるというふうに考えております。  それらの問題点を若干申し述べさせていただきますと、案の中ではデポジット制を採用するというふうに言われておるわけでございますが、デポジット制が採用された場合には、商品価格の上昇に伴いまして、メーカーだけではなく、小売店あるいは中間の流通業者等につきましても販売量の減少等が予想される面もございますので、経営上の悪化の要因があるのではないかというふうな点も一つ懸念される点でございます。  さらに、清涼飲料消費のサイドからの問題ということだけではなく、清涼飲料製造業あるいは販売業全体のこれまでのいわば事業の仕方といいますか、それらの産業界の構造、そういうものにかなりの影響が出てくるものと予測されるわけでございます。  さらには、この問題につきましては、農林水産省といたしましては、基本的には消費者のモラルの高揚が一番大切な問題であるということで、これまでも食品容器環境美化協議会等を通じましていろいろな事業を行わしめておるところでございますが、今日の消費者のビヘービアから考えまして、デポジット制をとった場合の預かり金の額によりまして、少ない場合には消費者に回収に本当に協力してもらえるのだろうか、あるいは非常に多額になった場合には、先ほど来申し上げておりますような産業界に対するいろいろな問題が懸念されるわけでございます。  さらにまた、自動販売機による販売が相当あるわけでございますが、その場合に、回収する自動的なシステムがまだ技術的にでき上がっておらないとか、あるいは小売業者が回収しますか、消費者に持ってきていただいたものにつきまして受け取るわけでございますが、小売店の現在の態様等からいろいろな問題があるようにも予想されるわけでございます。  いずれにいたしましても、コストの上昇あるいは他地区からの流入というような問題がございますし、それらのデポジット制を採用した場合の効果等については、私どもといたしましては、諸問題を十分に検討いたしまして、関係省庁とも御相談の上、今後とも検討を進めてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  133. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この空きかんは廃棄物処理上、一般廃棄物でございますね。そしてこれは市町村にその処理責任というものがございます。これを条例案ではもちろん市町村が監督していくわけでございますが、この条例案では、事業者に回収と再資源化を義務づけることにしていますね。こういった面は、法令上厚生省の管轄としてはどう考えますか。
  134. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  今回のこの条例案では罰則を設けるような案になっております。前にお話しの町田市等では罰則が設けられなかったために実効上若干効果が薄かったという点もございまして、そういう点が配慮されておるのでございますが、このような環境の美化に関する事務は、これは地方公共団体の先ほど申しましたようないわゆる固有事務でございまして、法令に違反しない限りにおきましては、地方自治法の条例におきまして必要な事項を定めることができるものと考えられるのでございます。また、法令に特別の定めがあるものを除きまして条例に罰則を設けることができるのでございますが、その判断につきましては、これは各地方公共団体の任意であろうと思います。
  135. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私は、デポジット方式が最良の方法であるという認識から言っているわけではございませんが、要するに、各自治体が非常に苦慮しているこの空きかん問題に対して、関係省庁でまだ認識が非常にはっきりしておりませんね。非常にばらばらになっておる。そういったもので、この一つの自治体あるいは地方公共団体でこれを解決していけと言っても非常に困難であると思うのですね。  そこで、私は、ここで委員長にお断りして、ここにデポジット方式の京都の案をちょっと長官にもよく見てもらうために表を持ってきました。ちょっと委員長、よろしいでしょうか。
  136. 山崎平八郎

    山崎委員長 差し支えありません。
  137. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これが簡単に言うとデポジット方式を取り入れた京都の案ですよ。これをよく見てもらえば、まず最初に問題なのは、ここには行政がないですよ、行政が一体何をやるのかというものが。御承知のとおり事業者から、一応ここに業界の仮称のある団体をつくってここにやらせようということで考えておるようですね。これで製品がこう来ます。そして販売者に行く。これは卸も入るし小売業者も入るわけですよ。これが消費者のもとへ渡っていく。この消費者のものがどこへ行くかというと、ここでいわゆるデポジットですよね。上乗せして、十円なら十円、二十円なのか五円なのか、そこは上乗せをした上で、ここで料金の返却をするわけですね。この赤いのがそうです。そして今度は消費者は、もちろんどこかへ捨てたりしたのはボランティア等が動きますね、そういったものもあります。それから清掃工場へ持っていくのもございます。それから今度は、この販売業者に非常に比重がかかってくるのは、これをここと新たに、いままでならば事業者からここへ来るのを、業界と新たにデポジットをやらなければならない。非常にここに問題点が出てくる。そして、あと、このものを今度はリサイクルしていく意味から地金メーカーへ持ってくる。これは流れですよ。これは自動販売機のさっきの説明のとおりのものでございます。ここにデポジットの制度があるわけでございます。  これは私、通産省あるいは厚生省にお伺いしたいのですが、業者がもしこれを取り入れていくとなると、いま一番問題になっておるのは、業者としてここで空きかん――これはいまビールびんだとかあるいはお酒のびんだとか、こういったものは回収してやっておりますね。これはそのものに価値がございます。それはまたすぐ使えるというのがございますね。しかしこの空きかんは、確かに価値がないとは言いませんよ。しかし、これを今度地金メーカーへ持っていってどれだけの価値を生み出してやっていくかということになると、非常に問題点が出てきますね。そこへきて手間がかかる。それからまた衛生上、いろいろなところへ積んでおかなければならない、それを保管するスペースだとか、そういったものが非常に問題になる。それで、費用を上乗せするという意味から、その点では非常に問題になってくるのじゃないかという意見が出ているわけですね。そういった面で、これは今度、販売の自由、憲法にも入ってくるわけですけれども、その販売あるいは事業をしていくといった自由まで侵されていくと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、よその府県よりは高く売って、そうして境界にあるところは、よその県の方へ買いにいった方が安いわけですから、売れ行きが鈍るのじゃないか、あるいは仕事量がふえてくるといった面から、こういった業界に対してどのようなお考えをお持ちですか。
  138. 植田守昭

    ○植田政府委員 先ほど申しましたように、私どももまだ内部で検討が十分詰め切れておりません。たとえば中小企業庁等の小売業を所管する部局もございまして、関係のところがかなり多岐にわたりますので、今後詰めていかなければならないと思っておりますが、ただ、いま申されましたようなことは私どももよく耳にするところでございまして、確かにこの制度一つの問題点ではあろうかと私どもも思っております。それをどういうふうに救う手だてがあるかどうか、あるいは京都の場合それをどういうふうにしのいでいくのかということについては、私も十分説明を聞いておりませんが、御指摘のように一つの大きな問題点であるということは否めないだろうと思います。
  139. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、いろいろな各自治体の空きかんの対策、実情、問題点をそれぞれの立場から論じましたが、地方自治体ではこの空きかん問題に取り組むのはもう非常に困難な面もあるようでございます。いま問題となったこのデポジット方式について、アメリカのオレゴン州での実例等もございます。それから、わが国におきましては空きびんの回収などにこれは応用されておりますね。だから、一般論として、このデポジット方式について先ほど私は問題点ということで聞きましたが、これをどう認識するか、デポジット方式に関してどんな評価をするか、この際率直に御見解をお伺いしたいと思います。  午前中の質問で、環境庁長官の方からは非常に意欲的な積極的なお考えを聞いておりますが、では、それ以外に通産省と厚生省、このデポジット方式に関しての率直な評価を述べてください。
  140. 植田守昭

    ○植田政府委員 先ほどもお答えしましたように、この点についてはまだ最終的に評価を申し上げる段階まで私ども来ておりません。ただ、一、二申し上げましたような問題点があるということは私ども承知しておりますが、最終的にこれをどう評価するかということは、内部的にもまだ検討が詰まっておりませんので、きょうはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  141. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 デポジット方式については、先ほど先生御指摘のような商取引をいろいろ複雑にするという問題もございますが、これは散乱防止についてはある程度は貢献すると考えられるのでございます。ほかに投棄禁止方式とか事業者課税方式などもございますが、厚生省といたしましては、生活環境保全と同時に、このような制度は、確保が非常に困難な最終埋め立て処分地の延命策にもつながる問題でございますし、清掃及び廃棄物処理の観点からは好ましい方策の一つだと思っております。
  142. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは通産省、もう一つだけ。  いまの段階でははっきりしたものは持てないということですが、これは、きょうこの論議をずっとやっているという意味からも、国会でもこれだけの論議をするという意味からも、全国的に大変なんですよ。二十一日にも関東で知事会議がございました。そこでも話題に出てきたのはこの空きかん対策ですよ。それを、いまのところちょっと評価云々というのはできませんというのではなくして、ではいつごろまでにどういった形に持っていこうというような期間なり大体の見通しなり言うてもらわないと、ちょっと無責任じゃないでしょうか。
  143. 植田守昭

    ○植田政府委員 私どもといたしまして、できるだけ早く一つの見通しといいますか評価を下したいと考えております。ただ、問題点を指摘するだけではなく、ではどうしたらいいかという問題もあわせて考えなければいけないのかなということがございまして、名案というものがまたなかなかむずかしいというふうなこともございまして、問題点の指摘でございますと、先ほどから指摘したようなことがございますので、そういった意味でかなり問題があるのではないかという感じでございます。ただ、私どももこの問題、重要な問題だと思っておりますので、できるだけ早い機会に一つの結論といいますか、一つ評価を出したいと思っております。
  144. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この問題は行政あるいは業者、消費者、この辺が協力して当たるべきです。そしてまた、行政、業界から成る先ほどの第三セクターというようなものをこのデポジットの場合はつくって、もちろんこれは業界あるいは消費者に任せるのではなくして、そこに行政がちゃんと入り込んでこの回収に当たるべきだ。しかし、その場合、非常にお金がかかりますね。そうなってくると、国も運営費なりあるいは建設費なり何らかの補助金等を出してやっていかなければならないと思うのです。これは地方自治体に任しておいてできるようなものではない。その意味ではこれは環境庁として非常に重要になってきますので、その場合に環境庁長官としてどのように考えますか。
  145. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 だんだんのお話を承って思いますことは、午前中も申し上げましたが、空きかんをごみとして考えるということでいいのだろうかということです。ごみということになりますと、真ん中に空気があるのですから、これはとても扱いにくいごみですよ。非常に扱いにくいごみになってこれの処理にはまたお金もかかる。しかし、お金がかかる、扱いにくいということは別として、この貴重な資源を使った物を一回だけ使ってごみにしてしまっていいか。何回も申し上げますが、これは後世の子孫に対して申しわけないのじゃないか。私はそういう考えでも取り組まなければならぬ問題だと思っております。  いま先生御発言のように、生産者、これはかんの生産者、ジュースならジュースの生産者、それからこれを流通する業者、それから消費者、それに行政、これが四者一体となって、だれに特別にしわが寄せられるというようなものでなしに考えていかなければならぬと思っております。午前中も申し上げましたが、私の役所で中心になって、通産省もそれから農林水産省もみんな入ってまいりまして、鋭意ことしじゅうに何かのめどをつける、どういうことができるだろうか、どういうことをやらなければならぬだろうか、何かのめどをつけたい。意欲的にやっておりますので、どうぞひとつしばらくの間御猶予をいただきたいと思います。
  146. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ちょっと法的な問題でお伺いさせていただきたいと思います。  こういう散在性の廃棄物――そういった言葉はございませんが、これは産業廃棄物と一般廃棄物と分けますと、一般廃棄物の中に含まれます。  そこで、この散乱しておる廃棄物に対して、収集、処理についての責任は厚生省が行政指導する立場で責任があると思いますけれども、その収集、処理の責任という面では厚生省どうなっていますか。
  147. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  収集の責任につきまして、一般廃棄物のうち家庭から出ますごみにつきましては、廃棄物処理法の六条でございますが、市町村がその処理を行うことになっておるのでございます。それから、一般廃棄物のうち事業所から出るごみの処理につきましては、まず事業者みずからが処理を行う、そういう責務を有しておるのでございます。これは法律の第三条でございます。  それから、性状が産業廃棄物と違いまして、市町村が家庭ごみとあわせて処理を行うのが適切な場合、そういう場合もございますので、この場合は廃棄物の適正処理の観点から市町村が処理計画に従って処理を担当する、そういう場合もあるのでございます。
  148. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中のいまのお話の第三条、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」こうございますね。その中で、空きかんとなって田畑や山林、空地だとか道路や公園、河川、あらゆるところに散在しているかん、このものから見て、この条文の事業者が事業活動に伴って生じた廃棄物だとみなしてよろしいですか。
  149. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 いろいろな状態によって異なるのでございますが、たとえば私有地、農地とか山林などに投棄されました空きかんにつきましては、これは農地、山林の本来の経営活動によって生じたものとは判断できませんので、これは一般的な一般廃棄物という解釈になります。あくまで事業者のそれにかかわるそういう事業活動というところがポイントかと思います。
  150. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この第三条の事業者というのは、製かんメーカーあるいは飲み物等をかんに入れるいわゆるボトラー及びそれを販売する小売業者、こういったものを含んでいる、こう解釈していいんですね。確認しておきます。
  151. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 おっしゃるとおりでございます。製造業者とか加工業者、販売業者、そういったものは含まれております。
  152. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 こういう観光地やいろいろなところへ廃棄されていく。それが国定公園ならば環境庁でやるとか、あるいは河川ならば建設省とか、あるいは道路ならば建設省とかいろいろなところになってきて、ところが、今度は私有地のものになると、私有地の、山林でもそうですし田畑でもそうですし空地でもそうです、そういうところに捨てられたものがどこに責任があるのかということになりますと、これは持っておる所有者、こういう形になって、いわゆる行政においての、あるいは事業者なり、そういったものが含まれての責任というものになってきますと、全然どこにもないんですよ。この点が非常に問題になってきているわけで、これがいわゆる空きかん問題として困っている問題なんです。これを地方自治体にただ任しておこうといっても、今度はそれがやりようがないというような事態になっておるわけです。  そこで、この廃棄物処理法第三条の第二項に、事業者の責務として、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行なうことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。」こうありますね。こうなってくると、明確に事業者の責任がうたわれているにもかかわらず、その製造、加工、販売等に係る空きかん、それがその適正な処理を著しく困難にしている事態になっているわけですね。したがって、この条文に基づいて地方自治体が、製造あるいは販売業者に対して回収、再資源化を義務づけても、これは差し支えないと解釈してよろしいでしょうか、厚生省。
  153. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 この三条二項の問題でございますが、これはいわゆる適正処理困難物には、この散在性廃棄物の場合は該当しないのでございます。と申しますのは、廃棄物の適正な処理が困難ということにつきましては、これは廃棄物の収集とか運搬及び処分を適正に行うことが困難であるという意味でございまして、そのごみの集積場所、ステーションでございますが、そこまで集積する、集めるという行為はここには含まれていないのでございます。この空きかんの散在性につきましては、そういう収集以前の問題でございまして、三条二項とは目的をちょっと異とするものでございます。しかし、このごみの散乱防止観点からは、条例で必要な事項を定めることは可能だと思います。
  154. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点確認しておきたいわけですが、午前中にも同僚委員からありました、たとえば京都市が設けておる指導、勧告、命令に従わない者や事業者に罰則を適用するということですね。これは町田市の条例の教訓にならって、条例の実効性を持たせるためになされた規定であると考えられます。そういったものが盛られたのは、罰則がなければどんなことを事業者等に義務づけても何ら効果が期待できないという、ぎりぎりの政策的配慮からですよね。では、このものに関して、一設廃棄物としての散在性の空きかん対策として罰則適用問題、これの見解に関して長官は、問題ない、こういうお考えのように私は伺ったわけでございますが、これは厚生省として、確かに罰則を設けることは、現行法の立場からいって条例の範囲を上回るように思われないこともないわけですね、いまの話からいけば。第三条の趣旨からいっても、廃棄物処理法の理念と目的からいっても、これはどういう範囲内と考えますか、厚生省の御見解。
  155. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 罰則につきまして先ほども申し上げましたが、これは地方自治法の方で必要な事項につきまして定めることができるものと考えております。廃棄物処理法上は、現在検討いたしておりますが、直接その罰則という適用はちょっと問題があろうかと思います。
  156. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 長官、あなたは午前中にこのデポジット、かなり積極的にお考えを発表されましたが、厚生省は、これはもうかなり後退した考え方ですよ。これは各省庁の連携といま言われましたけれども、いよいよこれまた問題になってきますね。いまの御発言から、長官どう考えますか。
  157. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 いま私の方の役所で、各省庁にも御参加いただいて、問題が問題ですから、うちが中心となって検討いたしておることは先ほどから何回も申し上げたとおりであります。そこで、いま年内に結論を出そうとしておりますので、願わくはしばらく御猶予いただきたいのですが、オレゴン州でやっているようなああいう方式が一つ方法であり、そして有力な方法だと思います。思いますが、その節も申し上げましたように、日本と同じくらいの領土の中に二百五十万くらいの人しか住んでいないところと、それからわが国とでは、なかなかうまいこといくまいじゃないかなという心配はあるわけです。ですから、そういう点をどういうふうに詰めていったらいいか、まさにそれが検討の課題であります。  もう一つは、罰則の問題ですが、これも先ほど土井先生からの御質問のときにお答えいたしたのですが、私は何でも罰則罰則と言うのはきらいな方です。きらいですが、条例の中で罰則をつくるということは法的にいかがなものであろうかと言えば、私は、やってやれないことはないじゃないか、こういうふうにお答えいたしたところでございます。
  158. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まあいま長官が言われたように、各省庁今後連携をとってということでございますので、ぜひその点をお願いしたいのですが、余り時間がないので各省庁にお伺いしておきますが、現行法においてこの散在の空きかん問題に関して現状に対応し切れない。現行法では、この空きかんに代表される散在性ごみに関して地方公共団体が苦労しているのは、その責任の所在というものが法律上あっても実態として不明確ですね、いまお話しのとおり。その意味で解決方法というものがうまくいってないわけです。  そこで、各省庁は、この空きかんの散在性ごみについての対処の仕方、ひとつ連携を一体的、総合的にとっていただいて検討し協議する必要がございます、いま長官はそういうふうに言っておりますが、ではひとつ通産省、厚生省、農林省、いまのそのお考えに対しての今後の対応の仕方を述べてください。
  159. 植田守昭

    ○植田政府委員 先ほども申しましたように、各省にまたがる問題でもございます大きな問題でございますので、私どもも各省と連携をとりながら検討を進めてまいりたいと思います。
  160. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先生御指摘のように、この問題は地域の実情に沿って対策を講ずる必要がございます。また各方面にまたがる問題でもございますので、関係地方公共団体並びに関係省庁といろいろ相談をして検討を進めてまいりたいと思います。
  161. 本田康二

    ○本田説明員 この問題につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、飲料メーカーあるいは流通業、それから製かんメーカー等も含む広範な問題でございますので、関係省庁あるいは必要があれば関係自治体等とも連絡をとりながら、今後さらに十分実効が期待できるような最良の方策について検討してまいりたいと考えております。
  162. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先生お聞き及びのとおり、各省庁からお話がありました。要するに、いろいろなところに関係しているからみんなでひとつ相談して前向きに検討していこう、こういうことなんですが、先ほども土井先生のときにお答えしたように、これは検討検討とばかり言っていられないのです、早いところやらなければ。そのために交通事故でも起こすようなことがあったり何かしたら大変なことですし、またこれは教育上もまことによろしくない問題です。そこで、実はだれが一番責任を負わなければならぬかと言えば、飲んじゃったからをその辺にぽいぽいと捨てるやつが一番責任があるのです。とんでもない不道徳なことなんですから、そういうことはいけないんだということを、モラルの問題としてか、市民としても最低の守らなければならぬことが守られてないのですから、その点を先生方のお力をかりて、これを何とかひとつ国民の皆様に御理解いただけるようにする。しかし、それがなければ、おれが汚したのじゃないからおれの責任じゃないよとは、製造者も言ってくれるな、それから流通者も言ってくれるな、行政も言うな、こういうことでやっていこうと思っておりますので、何かいい知恵がありましたらひとつ教えていただきたいと思います。
  163. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、もう時間ですので、もう一点だけお伺いして終わりますが、長官、去る二十一日、山梨県で関東十都県の知事会議がございましたね。ここでもこの空きかんの問題が一番メーンのテーマとして出てきて、この対策はもう広域的な問題であり、いま市町村にやれと言ってもそれが処理できるような対応できるような問題ではない。したがって、知事会議でも、これは各都府県で対策考えなければならない、こういうように積極的に各知事が言われていますよ。そして同時に、こういった広域的な問題は国が乗り出していかなければいけないとここで要望していますよ。  そういった意味から、今後法制化ということまで含めて、それから同時に、いまの話で、では一生懸命各省庁と検討してやりましょうと、それをもうちょっと具体的に、たとえば総合的に体系的に、審議会なりあるいは何らかの形で法案を作成していくとか、そういうような形まで持っていく意欲があるのかどうか、最後にその御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  164. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 結論としては、そういう決意といいますか考えを持っております。ただ、いま私のところの役所が中心となって検討をいたしておりますから、それで問題点を洗い出してきて、それを中心として、すでにある審議会等に諮問をするというようなことをやっていきたい、こう思っておるわけです。
  165. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 法制化は……。
  166. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 法制化は、先生、いかがでございましょうかね、空きかんまで法律で決めてしなければならぬということは情けないことだから、正直言って私はできるだけしたくないと思っていますよ。しかしどうしてもできないということであれば、考えなければならぬことだと思います。しかし、どうでございましょうか、日本が空きかんの始末まで法律で決めなければならぬということは情けない、こういうふうに思います。
  167. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これで終わりますが、私の言っているのは、(鯨岡国務大臣「それは賛成しますよ、結論的には」と呼ぶ)これは知事会議にまで出てきた、法制化まで含めて。もちろん現行の状況ではどうしようもならぬわけです、これはいまばらばらの考え方ですからね。  私は京都におる関係から、京都市の方からも、要望としては、市町村の段階ではない、国が乗り出すべきだ、そして都道府県といったものまで一緒になってもらって、そしてこの対策を立てていこうという考えでございますから、ぜひいまのお考えをさらに積極的なものとしていただいて、賢明なものにしていただきたい、こう思うわけです。
  168. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 きわめて重大な問題でございます、そしてまたきわめて身近な問題でありますから、私からも最後に私の考えを申し述べます。  知事さんなどもさじを投げたような形ですから、重大な問題としてとらえて、各省庁とも連携をとりながら年内に何かの形をつくっていきたい、こう思っています。  ただ、この種の問題まで法律で決めなければならぬというのは情けないと思いますが、どうしても直らぬということになれば法律制定もやむを得ない、そして、それを自分が飲んだ後そこらじゅうにひっ散らかすような者に対しては何らかの処置を加えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  169. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  170. 山崎平八郎

    山崎委員長 中井洽君。
  171. 中井洽

    中井委員 私は、今回の質問が解散が行われましてから初めての委員会の質疑でもありますし、大臣もおかわりになったわけでありますから、個個の問題点に余り深く立ち入らずに、先ほど御発言のございました大臣の御決意等を中心に、主な項目について基本的なことをお尋ねしたい、このように考えております。  最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、先ほどから同僚議員の質疑の中で、環境教育というものが必要だ、この環境教育さえ徹底すれば、カラオケ、空きかん、いろいろな問題も含めて環境行政は半分ぐらい片づいたと言っても過言ではない、こういうお言葉まであったわけであります。私は必ずしもそう簡単にはいかぬと思うのでありますが、しかし、環境教育ということは国民全体にお考えをいただくという意味で大変必要であろう、そのことはよくわかります。したがって、この環境教育という大臣のお考えをどういう形で国民の皆さんに御理解をいただいていくか、あるいは何らか具体的な形で教育というものを進めていこうとされておるのか、あるいは現実に、環境教育というものはこういうものだという形で、環境庁自体でもうすでに研究をされておるのか、そういった点について率直にお答えをいただければありがたいと思います。
  172. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 中井先生、まことに残念ながら、先生が期待されているほどのことはできてないのです。実は、私はこの職についてしばらくいろいろ話を聞いたり勉強しているうちに、まことに情けない、もし私汚す人あなた片づける人なんというふうなことでなくなれば、ずいぶんこの問題は解決つくだろう、半分と言いましたけれども、半分であるか三分の一であるかは別として、ずいぶん片づくだろう、こう思います。そういうふうに考えてくると、これはまさに教育の問題だ、こう考えます。  私は、たとえば平塚益徳という前の国立教育研究所の所長さん、この方と会って対談をしてみたり、それからこれは文部省もかんでもらわなければならぬ、総理府もかんでもらわなければならぬと思いまして、三大臣の対談みたいなものをやってみたり、あるいはこの問題について現場で骨を折っておられる学校の先生を、夏休みじゅうにわざわざ環境庁までお越しをいただいて御意見を承ったりということを何回もやってまいりました。けれども、いま先生の御質問のように、それじゃどうしたらいいかということについて成案を得ているわけではありません。これからますます、また御助言などをいただきながら、こうしたらどうだろうというふうなことがありましたら教えていただきたいと思いますが、そういうふうにしてやっていきたいと思っております。  ただ、地方自治体あたりでもかなりやっておりますよ。これは私が発見したうれしいことなんですが、この間霞ケ浦へ行きましたら、あの霞ケ浦を地域の住民がみんなで大事にしてきれいにしていこうやということのためにはどうしたらいいか、小学生にはどの程度のことを考えてもらったらいいか、中学生にはどの程度、高校生にはどの程度といって、県が書物を、副読本みたいなものをつくっている。それから東京都も、やっていないかと思ったらやっている。ただ、学校がどの程度それを利用してくださっているかはまだつまびらかではありませんが、かなりやっているのです。しかし、この環境問題を教育としてとらえるならば何をしたらいいのかということについては、まだ十分ではありません。
  173. 中井洽

    中井委員 もともと環境あるいは公害対策、こういったことについては、逆に市民サイドからいろんな形で議論され問題提起がされてきたことでありますから、上から一方的にこういう形という形での教育を押しつけるということではなしに、ありとあらゆる層、あるいは学校等においてもこの問題について自由な議論ができる、そして国民全体で次の世代へどういう環境を残していくか、こういったことについて、まあまあコンセンサスが得られるような雰囲気というものが必要だと思うのであります。どうぞ大臣もその先頭に立って、われわれとも大いに議論をしていただきたいし、私どもも続けていきたい、このように考えております。  もう一つ、先ほどの所信の中で、世界的規模での環境問題ということについて総理からも指示があり、これを各界の意見を聞いて積極的に取り組んでいるんだ、こういう御発言がございましたけれども、私は、それは大変結構なことだ、このように思いますが、具体的にどういう問題について、あるいはどういった人たちと話し合いをされてどういうふうな結論というものを出していこうとされているのか、そういったことについて長官のお考えお願いいたします。
  174. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 二十一世紀の地球はそんなに希望の持てるものであろうかということを考えてみると、もちろん人間はいろいろ知恵がありますし、そして心配もしますから、やはり何か対策を立ててまた新しいことを考えて、私がいまから申し上げるようなことでなくなることは、当然、もしそうでなければ人間は死んでしまいますから、そうはならないでしょうが、もし仮に、いまのままで経済成長が五%ぐらいずつ伸びていったと仮定すると、どんなに低く見積もる人でも、人口は紀元二〇〇〇年に六十億は数えるだろう。二〇一〇年か一五年くらいには百億になってしまうだろう。それから、熱帯雨林がだんだんなくなってくるという問題、炭酸ガス地球を覆うという問題、そういうような問題をずっと考えてくると、とても自然が破壊されてどうにもならなくなってくるという心配は、午前中も申し上げましたが、ローマ会議、もっと前からあったのですが、ローマ会議以来ストックホルム会議を経てあった。それから、先生御案内でしょうが、アメリカはこのごろ「紀元二〇〇〇年の地球」というレポートをつくりまして、こんな大きなものでございますが、ドイツのシュミット首相はそれを閣僚全部に配って、全部ひとつ検討してちょうだい、こういうことをやったそうです。それから、カーター大統領も、アメリカにはアメリカの思惑がまたあるでしょうが、それはそれとして、この中のことを十分に踏まえて各省ともこの中のことに違反しないようにやれというような特別の指示をしている。鈴木総理大臣がこの間私を呼んで、日本にも相当の学者がいるはずだが、そういう学者をとりあえず君の諮問機関としてお集まりをいただいて、こういうような問題について日本がどういうふうに世界の心配に加わっていくことができるかというようなことをひとつなるべく早く研究してみてくれないか、こういうお話でございました。  そこで、私は、大来佐武郎先生に座長になっていただいて、その他その方面の権威十何人、必要とあれば後でメンバーもお出しいたしますが、そこで御検討いただいたわけであります。それで十二月までの間に結論らしいものをつくって、そして出していただく、こういうことになったわけでございます。
  175. 中井洽

    中井委員 大変結構なことだと思います。どうぞ大きな観点からの御議論をいただいて方向等を出していただきたいのでありますが、一つだけお願いがございまして、人類が二十一世紀に生き延びていくためにという大目的でありますが、大変失礼でありますが長官なんか二十一世紀までどうかということになりますが、ごめんなさい、私はまだまだ当分いけるつもりでありますが、そういういろいろな会議の有識者の中にも、二十一世紀でばりばりやっていく若手の少壮の有識者、こういった方も加えていただく。あるいは、ひとつ環境庁自体にもそういった日本国内の細かい一つ一つのものに対処する局、局、課、課ということではなしに、長期的な観点に立って世界的な環境行政というものを考えていける部署あるいは課というものをお考えをいただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  176. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 二十一世紀と言うとあと二十年、まあそのくらいまではどうかなと思いますが、世に諸行無常ということがありまして、これうまいことできていまして、年とったやつが先に死んで若い者が後からと決まったものではございませんから、どうぞ御注意あそばすように。  それはそれとして、大来佐武郎先生ほかスタッフをそろえました。これは天下一流のスタッフだ、まだまだ一流はいますが、と思いますが、それはいろいろ経験を積んだ、私なんかよりもむしろ年の上の人の方が多い。気になさるかもしれませんが、そういう方はたくさんの経験を持っておられますから、その方々基本のことを承ろうとしているわけです。そして、こういう問題は日本がやれるだろう、こういう問題をこう考えたらいいだろうという御示唆がいただけたらば、来年はそれに基づいて、それらの先生方のお弟子さんのような、一線でやっている、それこそ諸行無常の原則を外せば二十一世紀に活躍するだろう人をお願いをしよう、こう考えております。
  177. 中井洽

    中井委員 十二月までに結論を出すとお聞きしたものですから……。どうぞ永続的によろしくお願いを申し上げます。  次に、アセスのことについてお尋ねをいたします。  過日、十月の初めですか、東京都で条例が成立をいたしました。神奈川でもつくられたということでありますが、これらの条例と、先ほど御所信の中にございました政府内部において取りまとめが終わったと言われておる法案の原案、それらが、法案と条例という関係がどういうようになりますか、私どもも明確でありませんが、重大な大きな相違というものがあるのかないのか、あるいはまた、これから各県で要綱なりあるいは条例化というものが進んでいったときに、政府はこの条項等をどのような形で調整をとろうとされておるのか、そういった点についてお答えをいただきたいと思います。
  178. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま中井委員指摘のように、東京都のアセスの条例化、引き続きます神奈川県の条例化というふうに、地方での条例化が次第に進みつつあることは御指摘のとおりでございます。それぞれの地方におきまして、条例の内容はそれぞれの特徴を持っておるわけでございますが、その内容について一々申し上げるというのもなんでございますが、一般的に条例と法律との関係から参りますと、当然のことながら、憲法の九十四条とか、あるいは地方自治法の規定によりまして、法令に違反しない限りにおいて条例を制定し得ることはもちろんでございます。  現在アセスメント法案というものは出ておりません。したがって、条例においてはその限りにおいて、ただいま私ども政府部内でまとまりました法案の対象となっているようなものにつきましても規定をしておるわけでございます。法律が制定されました暁には、法律の対象となっております事業は条例から外れまして、法律の対象となってその規制を受けるということでございます。それから、それ以外のものにつきましては依然としてそれぞれの条例が適用になる、こういうふうになるわけでございます。  その辺の法律と条例との整合という場合には、私どもは、全体としまして手続主体の法律でございますので、地域的な特性といいましてもやはりそこには限度があると思いますので、なるべく中央、地方の整合性のとれた手続が相補ってできることが望ましい、かように考えておるわけでございます。整合性といいましても、それは全く法律と条例とが同じものでなければならないということではなくて、おのずからそこに一定の幅がございます。  東京都の条例につきまして、一般的に言えば、これはさきに明らかになりました国の取りまとめられた法案というものの内容をよく見て作成されたものというふうに考えておるわけでございます。しかし、その内容につきまして、いま詳細にはコメントいたしませんが、私どもとしましては、法律の成立、これに全力を尽くすというのが当面の急務でございまして、その成立した場合の法律と条例との整合につきましては、条例につきましては規則まで含めたもの、それから法律につきましては政令、省令のレベルまで含めました全体としての手続総体の比較において、双方の整合性がとられるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  179. 中井洽

    中井委員 いま局長から御答弁いただきましたように、東京都の条例等については、政府の取りまとめた法案をよく見ていただいてつくられておる、こういうことでありますが、東京都においては自民党さんが与党でございます。鯨岡長官東京都の自民党の御出身でございます。過去五年間私どももこの委員会で、委員会が開かれるたびに大臣に、どうなっているのだとわかり切ったことを聞き、催促をしてまいったわけでありますが、去年環境庁を初め土屋前長官と大変御努力いただいて、野党もずいぶんやかましく言い、与野党伯仲の国会の中で、かつてないほどこの法案提出というものが前進したと私は思うのであります。今回このような残念なこと――私どもにとりましては残念なことで、自民党さんが圧勝されておるわけでありますが、今回また自民党の内部的な調整がつかないということで法案が出されないということのないように、特に、東京都で自民党が成立を図られた条例、それと整合性を持った法案、こういったことも含めて、ぜひ環境庁長官に提出のための御努力をいただきたいと思うのであります。午前中もたびたび御答弁をいただいたと思いますが、そういった観点も含めて長官の御決意を承りたいと思います。
  180. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 お話の中にありました東京都の条例については、私の知っている限りでは、自民党だけではなしにその他の、中井先生の所属する党なども大変御協力いただいたと承っておるわけであります。それはそれとして、おっしゃられるとおり、この問題がいつまでもじんぜん日を送るようなことがあってはなりません。それは国民の要望にこたえる道でもありません。そしてまた再びいろいろな忌まわしい、いまでも尾を引いているあの悲惨な問題を起こさないためにも、そしてまた重要ないろいろな施策国民の安心の中で行われるためにも、ぜひひとつ早急にまとめていきたい、こう考えているわけでございます。
  181. 中井洽

    中井委員 御努力のほどを重ねて強くお願いしておきます。  次に、これまた所信の中に述べられておりますエネルギー対策環境問題についてお尋ねをしたい、このように思います。     〔委員長退席、中村正三郎委員長代理着席〕  過日から環境庁の方におきまして、エネルギー対策環境問題を考えるために、特別の諮問機関ですか委員会ですかおつくりになって始めておられるということでありますが、このエネルギー環境問題懇談会、これについて基本的な考え、あるいはこの懇談会でどういったことを具体的に検討されておるのか、あるいはされようとされておるのか、それらの点についてお尋ねをいたします。
  182. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私の役所の内部でそのことについて検討しておりますことについての御下問でございますが、それについては藤森局長から答えさせたいと思います。  実はきょうの夕刊などにも出ると思いますが、きょう閣議の前にエネルギー問題に関する閣僚懇談会がありました。その際にも、電源立地等の問題についての通産大臣、通産省の方からの報告がありました。大変御苦労のようでございました。それを承りまして私は発言を求めて、その御労苦に対して敬意を表しながら、発電所ができれば、それが石炭でやる発電所にせよ、原子力でやる発電所にせよ、環境影響のあることは当然のことでございますから、それが審議会にかかる段階に至ったときには私どもの方としては厳重に環境について精査をいたしたい、こういうことを申し上げておきました。そして引き続いて、そういうためにもぜひアセスの問題について皆様の御協力を願いたい、こういうふうに申しておいたことであります。ちょっとつけ加えて、関連がありますので申し上げました。
  183. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  エネルギー環境とが非常に密接な関連を持っており、特に私どもの所管に関連しますものといたしましては、石炭の導入とかあるいは地熱開発等の代替エネルギーの開発、利用が環境に大変大きな影響を持つということは、ただいま大臣が申されたとおりでございます。私どもとしましては、エネルギー対策が現下の非常に重要な政策課題であることを十分認識した上で、そのエネルギー対策環境政策の調整をいかに進めていくべきかという問題を絶えず考えておるわけでございます。庁内におきましても久しく検討しておったわけでございますけれども、先ほど中井委員指摘エネルギー環境問題懇談会は、そうした検討をベースにしながら、学者、研究者あるいは政策の実務家、こういう方々九人をもって構成する懇談会としましてこの十月の半ばに発足いたしたわけでございます。ここにおきましては、今後とも環境保全観点からエネルギー政策との調整をどう図っていくべきかという点から御審議をいただくことにしております。特に石炭と環境問題、地熱開発と環境問題、石油の重質化と環境問題などがその主要なテーマになろうかと考えております。
  184. 中井洽

    中井委員 エネルギー政策環境政策も、国にとりましても国民にとりましても大変大事な問題であります。往々住民運動あるいはいろいろな運動の中で、エネルギーの方が大事だ、環境最優先だ、私はどっちかに決めるような問題ではない、このように思うわけであります。  大臣にお尋ねしたいのは、環境庁としては当然環境問題を前面に立ててエネルギーというものを考える、通産当局としては当然エネルギー問題を前面に立てて環境問題を考える、そして国の政策としては、両者が調和のとれた中で国民に不安を与えることなく発展する、こういった形で推し進めていただかなければならぬと思うのでありますが、そういった私の考えに対して大臣はどのようにお考えでございますか。
  185. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 エネルギーの問題は現下日本の重要な問題であることは言うまでもありません。ですから、との問題を担当しておられる方々がその問題についてまっしぐらにお進みになるということは十分に理解できることです。しかし、一方、それによって環境が破壊されて、かつて苦しんだようなことを再び繰り返してはならぬということも、そういう人たちを含めてだれでもが知っておることであります。いま中井さんは、どっちが大事かというような形で考えるべきものではない、こういうふうに言われましたが、私も全くそのように思います。ただ、両方の問題が出てきて、さあどうだと言った場合に、私は、どちらかと言えば環境保護する方に立って物を言わなければならぬことは言うまでもない私の立場だ、こう考えております。
  186. 中井洽

    中井委員 通産省、いかがですか。
  187. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えさせていただきます。  私どもも、基本考え方といたしましては、エネルギーの開発を進めることと環境保全との調和を図ることが重要な問題であると考えております。私ども、やはり日本エネルギー事情からいたしまして、省エネルギー推進あるいは石油にかわるエネルギーの開発というのをできる限り急いで、かつ大きくやるということで、昭和六十五年度までに石油代替エネルギーによる供給比率を五〇%に引き上げたいということで、先ごろから先生方にもお骨折りをいただきまして、石油代替エネルギーの諸般の対策を抜本的に強化させていただいたところでございまして、今後ともそういう努力は続けてまいりたいというように思っておりますが、環境問題には十分留意しながら進めてまいりたいということでございます。
  188. 中井洽

    中井委員 過日、六十五年度に向かってのエネルギーの供給目標というのが決定されました。去年つくられましたエネルギーの中期の暫定供給見通し、これをベースにした供給目標でありますが、いまお話がありましたように、六十五年にエネルギーの中に占める石油エネルギーの割合を五〇%にしよう、こういうことで私どもも大賛成をしておりますし、積極的にこれが実行されなければならぬと考えているわけであります。  しかし、問題は、石油が、いまイランとイラクがああいう状態になっておりまして、六十五年まであの量が確保されるかどうかについてはいろいろな議論があろうかと思います。また、その中で原子力の占める割合が、私は過日商工委員会でも質問をしたことがあるわけでありますが、とうてい六十五年までにあれだけのエネルギーを確保できると考えておりません。今度の供給目標では、既存の原子力発電所の稼働率を高める、このことによって補いをつけていこうとされているようですが、なかなか現在の原子力立地の行政のおくれ等を考えますとむずかしい問題もあるのじゃないか。石油に不安あり、原子力にも不安ありという形になれば、当然石炭等に大変なしわが寄ってくる。また、値段の関係等もありまして、産業界等も現実に石炭への転換がずいぶん行われているように私どもは聞いております。この石炭がまたかつてのようにどんどん使われ出したときのいわゆる大気汚染、あるいは石炭に絡まる環境問題、これらについて、環境庁はどのように対処されていこうとされておるのか、その点をお尋ねいたします。
  189. 三浦大助

    ○三浦政府委員 一般的に申し上げますと、石炭を利用する場合には、石油に比べまして硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん、こういったものの排出量がかなり多くなってまいります。これを火力発電で比較した例で申し上げますと、石炭や石油の種類とか燃焼条件によって差はかなりございまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、仮に排ガス処理を行わないとして石炭と石油とを比べてまいりますと、本当に一概に申し上げますと、硫黄酸化物が約五倍、窒素酸化物が三倍、ばいじんが二百倍、こういうことが予想されるわけでございます。したがいまして、石炭の利用が大幅に促進されると、かなり大気環境への及ぼす影響というものが出てくるのではないか。しかし、たとえば最近の最新技術の脱硝、脱硫、除じん装置、こういうものを使いますと、これまたかなり抑えることができますけれども、いずれにせよかなりの影響が出るのではないか、こういうふうに見ております。
  190. 中井洽

    中井委員 それらのかなり影響が出ようとする石炭の大気汚染に対して、特にばいじんの排出量の基準等を含めて、環境庁はどのような規制というものをお考えになっていらっしゃるのか。
  191. 三浦大助

    ○三浦政府委員 ことに私ども重視しているのはばいじん対策でございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、最近の集じん装置というのは九九%ぐらいの集じん効率がございます。したがって、今後こういうものをいろいろな融資その他も加えて普及させていかなければならぬと思いますが、特に私どもいま問題にしていますのは、いろいろな基準が石炭の場合それから石油の場合に決められておるわけですが、たとえば混焼ということになりますと石炭の基準でいい、こういうことになってしまうわけです。その辺の見直し問題が一つございます。  それからもう一つは、いまのばいじんの排出基準というのがかなり古い時代につくられたものでございまして、いまの技術革新のために非常に効率がよくなっているにもかかわらず、それがまだ直されていないということがございますので、私ども、これを早く直さなければいかぬのではないか、また、石炭を使う場合には、先ほど申し上げました混焼とかいうものは合理的に今後排出基準を変えていかなければいかぬのじゃないか、見直していかなければいかぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  192. 中井洽

    中井委員 いまお答えがありましたように、ばいじんの排出の基準はずいぶん古いし、緩やかなものがございます。直していかなければならないのだとお考えになっている間にもどんどん石炭への転換が始まるわけであります。ほっておきますとまた石油の二の舞というようなことも出てまいるわけであります。この排出基準の見直しというものを早急におやりになるのかどうか、あるいはまた、先ほど答弁にありました、石油と石炭の混合を使った場合に石炭の基準でいくというものを、石油並みの基準という形に変えていく、これも早急におやりになるおつもりであるのかどうか、そこを明確にお答えをいただきたいと思います。
  193. 三浦大助

    ○三浦政府委員 直せるものから順次早く直していきたいというふうに考えておりますが、中には、今後の石炭の利用状況によって、かなりいろいろなところから石炭が入ってくる。その石炭の種類によって、また石炭の性質によって、かなり排出物が違ってまいります。そういうことも考慮して見直さなければならぬ対策と、それから、もうかなり古い基準でございますから早く見直さなければならぬものと、かなりいろいろございますので、手のつけられるものは早くするつもりでございます。
  194. 中井洽

    中井委員 ちょっと私わからないのでありますが、ばいじん等の規制の基準の見直しがどうしてそんなにむずかしいのですか。技術的にあるいは標準値を決めるのに何かむずかしいことがあるのですか。
  195. 三浦大助

    ○三浦政府委員 むずかしいということでなくて、実際にはかなり前に決められた基準がございます。見直さなければならぬ問題は、もう現にかなりよくなっておるわけですから早く見直さなければならぬ。しかも、西ドイツとかアメリカと比べますと日本の基準はまだ甘うございます。そういうものは順次急いで見直していく。  それからもう一つ、石炭とかかわってくるようなものは、いろいろな種類がこれから海外から入ってまいりますので、その石炭の種類別の影響というのはかなり差があるということを聞いておるわけでございます。したがって、私ども、石炭の種別、利用形態別の研究というものを今年度から四カ年計画ですでに着手をしておるわけでございますので、そういうものに関係するものにつきましては、その検討結果を待って基準の見直しをやっていこう、こういうことでございます。
  196. 中井洽

    中井委員 通産省にお尋ねをいたしますが、現在の排出基準等は大変緩やかで、昔つくられたものだ、こういうことであります。しかし、いまお答えがありまして、私もわかりませんが、最新式の電気集じん機等を使えばかなりこういったものは吸収できる、こういうお話でもあります。そうしますと、この間、法的に言えば緩い基準のままでやっても構わないということも言えるわけであります。産業界がどんどん石炭へ転換をしていく場合に、こういった現在の基準じゃなしに、まあ通産省としてはむずかしいかもしれませんけれども、ばいじん対策あるいは窒素、硫黄、こういったものに対する対策を十分とるような指導をどのような形でなさろうとお考えか、あるいは現在なさっておるのか、その点をお答えをいただきたいと思います。
  197. 飯田善彦

    ○飯田説明員 お答え申し上げます。  私ども代替エネルギーを導入するに当たりましては、当然のことでございますが、環境基準を維持する、あるいは自然環境保全するということを基本的な方針として考えておりまして、そのために必要な公害防止設備、これは先ほど環境庁の方からも御答弁ございましたが、炭種によってもいろいろ性能が変わってくるようでございますが、その辺きめ細かく指導していきたいというふうに考えております。  なお、排出基準の件につきましては、これは私どもが申し上げる筋ではないかもしれませんけれども、その使用の実態に応じて採用し得る技術水準ということを十分考えながら、環境庁の方とも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  198. 中井洽

    中井委員 大臣、私もちょっと技術的にわからない点もあって大変恐縮なんでありますが、この供給見通しの中で石炭の使用量がどんどんふえていくわけであります。現在の基準が昔の基準であることは間違いのないことでありますし、石炭と石油の混合の場合に石炭の基準でいくというのはどうも納得のいかない面がございます。そういったものが手おくれにならないように大至急改正案等を御用意いただけるようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  199. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 中井さん、私は東京の足立区というところに住んでいるのですが、このごろの人はよくわかりませんが、あそこに四本煙突の東京電力の大きな工場があったのです。通称お化け煙突と言いまして、見る角度によって一本になったり三本になったりするのです。あれは火力発電なんです。あのすぐ下に私の事業所があるのですが、前はあそこで火をたきますとばらばら石炭のかすが落ちてきて大変だったのです。あれを壊す直前のころにはずいぶんよくなりまして、ほとんど飛んでこなくなりました。その後あれは壊してしまいまして、いまは油になりましたから、ばいじんの方はほとんどないのでしょう。ですから、今度やるという場合にはあのようなことではないと思いますから、基準は見直さなければなりません。  どういうふうに見直したらいいかということは、やはり朝令暮改になっては大変だから相当研究しているのでしょうが、いまどんどん変わりつつあるときにそういつまでも構えていたのでは困りますから、多少朝令暮改になることをがまんしてでも、とりあえず早く決めなければならぬ、せっかく急がせるようにいたします。
  200. 中井洽

    中井委員 ありがとうございます。  通産省にもう一つだけ石炭関係でお尋ねをいたしますが、ふえた石炭使用の灰をどのように処理をしていくか、あるいは灰の公害ということについてどのようにお考えになっていらっしゃるか。それから、あちこちに貯炭地をつくっていかれるということでありますが、いま私はそういうことはほとんど心配はないと思うのでありますが、港港で貯炭地をつくったときの粉じん、そういったものに対する対策等をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この二点お答えをいただきたいと思います。
  201. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 御指摘のように、石炭火力で申し上げますが、石炭火力を推進する上で非常に問題になる点のもう一点は、灰処理の問題でございます。現在年間で大体二百万トンくらいの灰が出ておるわけでございます。これが昭和六十年、いまから五年後で三百万トン、六十五年になりますとさらに倍の六百万トンくらいになると推定されます。したがって、御指摘の点を十分準備してかかるということは、石炭火力推進の上での一つの重要な課題になります。  現在の灰処理状況はと申しますと、陸上埋め立てあるいは海上埋め立てによって処分する、最近では再利用、再資源化ということで、特にセメント原料等、あるいは場合によりましては肥料等の土地改良剤に使用することを進めております。  先ほど申し上げました今後三百万トン、六百万トンになりますと、どうしても、いままでのような単にその場限りといいますか、その時点時点の話として進めていくわけにいかないということでございまして、五十五年度から石炭灰の集中的な処理、再資源化に関する調査を行いますと同時に、私どもは全国灰処理地点といいますか、灰処理センター的なものを六つないし八つくらい考えまして、そのための準備として調査に入ったところでございます。あと三年くらいかけまして調査地点を最終的に、もちろん環境調査というのは非常に大きなウエートを占めますが、地点を決めて逐次灰処理場を確保してまいりたいと思います。もちろんその時点においての再利用というのは当然でございます。  第二点目のコールセンターの件に関しましては、これは現在新聞紙上に出ております苫東とか崎戸というお話がありますが、苫東厚真についてはすでに現地の関係団体を初めといたします準備委員会等も設立されておりまして、私どもとしては、今後こういったケースが極力企業ベースで出てくることを期待しておるということがいまの実情でございます。  以上でございます。
  202. 中井洽

    中井委員 時間がありませんので、環境庁と通産当局に、エネルギー対策環境問題が両者並列して先取りで行われて、これから先エネルギー問題あるいは環境問題でいままで繰り返したことの失敗をやらないように、鋭意御努力をいただきますようにお願いいたしておきます。通産の方、ありがとうございました。  次に、同じく所信で述べられております交通公害の問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  発生源そのものの自動車の排ガス対策等は、世界でもトップクラスというところまで進んでおると私ども理解をしているわけでありますが、昨今、省エネルギーも含めて大変使用量のふえてまいりました、また対策のおくれておりますディーゼル車についての対策の現状とこれからの方針をお尋ねいたします。
  203. 三浦大助

    ○三浦政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、最近ディーゼル車が非常にふえてまいりました。これは燃費効率がいいということもございまして、いま非常な勢いでふえております。  問題は、このディーゼル車の排ガス、騒音と二つの点から問題があるわけでございますが、ディーゼル車につきましては窒素酸化物の規制でございます。これは乗用車と軽トラックについて五十七年から第二段規制を実施するということで告示をしたばかりでございますが、問題は、大きなトラック、バス、大型車がまだほっておかれるじゃないか。これはまさに御指摘のとおりでございまして、早くやらなければならぬと思っておりますが、いま技術評価検討会で早くできるようにということで先生方お願いいたしまして、その規制の方法等について急いでおるわけでございます。もうすでに第二段目標値は中公審から示されておりますので、いつできるかという問題でございますが、早くできるようにいたしたいと思っております。  それから、問題は、騒音問題がまだあるわけでございますが、騒音問題の第二段規制というのは、五十四年に第一段規制をやったばかりで、第二段規制はいままでまだ手がつけられなかったわけでございますが、幸い先生方が非常に御熱心に検討いただきまして、乗用車については五十七年から規制に入る、そのほかのものにつきましてもなるべく六十年までには何とかなるように急いで規制に入りたいというふうに考えておるわけでございます。
  204. 中井洽

    中井委員 交通問題につきましては、環境庁の中で交通公害対策検討会や交通公害問題懇話会というのがつくられて、鋭意研究を重ねられて、中公審へすでに諮問という形で出されているようでありますが、その中の発生源対策につきましてはいまお尋ねをしたわけでありますが、周辺対策ということにつきましては具体的にいろいろあろうかと思うのであります。しかし、長官、交通公害ということに関しての周辺対策については、大変むずかしい問題がいろいろあろうかと思うのであります。建設省との関係であるとか、住民との関係とか、そういったことについて環境庁自体はどういう考えで諮問をされたのか、あるいはどういう方向で周辺対策というものをこれからおやりになっていこうとするのか、それらの点について基本的なことをお尋ねしたいと思います。
  205. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 細かい点については関係者からお答えさせますが、もうすでに中井さん御指摘のように、自動車個々にはこのくらいにしてちょうだいということを言ってきたわけです。特に乗用車などは、われわれの先輩委員先生方の御協力をいただいて非常に強いことを言った。それを日本の企業はなし遂げました。だから、いま日本自動車、特に乗用車の評判がいいということは、春秋の筆法をもってすれば、環境庁先生方の御協力でこうしたのだとさえも言い得るのじゃないかと思うくらい、業界の御努力も非常に多としなければならぬ。  そこで、いま三浦君の方から話がありましたように、あとはトラック、ディーゼル車、特に噴射式のディーゼル車などについてはいま厳しくお願いしているところであります。ところが困ったことに、数字が間違いましたら恐縮でございますが、私の記憶では、当時は一年間に二百万台ふえた。経済はどんどん大きくなり道もよくなってきますからトラックで運ぶ。そうなってまいりますと、自動車の一台一台はわれわれの物差しに当てはまるにしても、数が多くなってきますから、どうしても沿道などは空気も悪いし振動もするしということでございまして、先般、私は二、三の特に悪いと言われるところを視察させていただきましたが、正直、そこに住んでいたらがまんができないだろうなと思うようなところでございました。この三十七万平方キロの中で、しかも三割ぐらいしか平地がないという国土のもとで、自動車をふやさないわけにもいかないだろうし、どうしたらいいだろうか。そこで諮問をいたしたわけでありますが、われわれが基本的に考えていることは――間違いのないことを考えているのだったら諮問しなくていいのですがね。この私が考えているくらいのことではとても追いつかないと思ったので諮問したのですが、何にも考えていないかというとそうではない。たとえば、道路のわきに遮音板をつくるとか、沿道の家には防音装置をしていただくとか木を植えるとか、それから大きなトラックは一番外側を走らないで中側を走ってもらうようにするとかということですが、それでも追いつかない。そこで、たとえば環状七号線のごときは、せめて土曜日は静かにしてもらえないだろうかということで、大型トラックの通行をとめてしまうというようなことをやっております。これは物流の問題ですし、経済問題もあるでしょうが、何とかトラックじゃなしに電車で運ぶようなことはできないものだろうか。夜などは線路は遊んでいるのだから、あそこを夜走らしたらどうかなどということまで考えるのですが、どれが決め手か、それを諮問したわけでございます。
  206. 中井洽

    中井委員 私も環境庁長官のお考えに大体異議はないわけであります。しかし、この狭い国土でこれだけ人間が密集して、しかもいい環境を残して生活していこうと思ったら、たとえば道路ができて混雑をしてきて大変になったから遮蔽壁をつくるのだとか、あるいは分離帯をつくるのだとか、防音装置をつけてもらう、そういうことでなしに、逆に道路をつくるときから現実的に、たとえば信号はなくして立体交差ができるようにするのだとか、初めから発想転換をしてやっていかなければ、後からやっていけば本当にお金もかかるし、その間の住民の苦しみも大変だと思うのであります。  しかし、環境問題を起こさずに都市政策あるいはいろいろな公共事業ができるかというと、これもできないわけであります。事前に、まあアセスとも関係をしてくるわけでありますが、環境行政あるいは環境庁は、いろいろな人間生活していくその問題に対してどこまで踏み込んで注文をつけていくことができるのだろうか、あるいは都市を改造していく場合、道路をつくる場合に、環境庁は各省庁の縦割りの行政の中でどこまで注文をつけていくことができるのだろうか、こんなことを考えているわけでございます。そういった観点での大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  207. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私がいまさら申し上げるまでもなく、先生十分に御承知のように、そして全体の委員先生方承知のように、アメリカでさえも容易でないのですからなかなか容易でないのです。アメリカは日本の二十何倍という土地を持っていて、日本の二倍しか多くない人口で、日本の約二倍ぐらいのGNP。そうすれば、日本は一人頭にすればどのくらいの大きな経済生活をやっているか、あるいは単位面積当たりでいったらどれぐらい大きな経済をやっているか。もうほとんど比較にならないくらいだ。ある一定の区間、区域の中で自動車が走っているのはどうだと言えば、比較にならないくらい日本の方が多いでしょう。それでは環境が悪くていいかと言えば、環境が悪くていいという答えは出てこない。だから、単純に言えば、アメリカの何十倍の知恵を働かせ苦労をしなければ環境を保持していけないわけですから、なかなか容易でないわけです。そこで環境庁という役所ができたわけですが、来年で十年、われわれは各省と話し合いの上で、積極的に基準をつくったり何かしていろいろやってきているわけです。しかし、どこまでやれるのかといっても際限のないことですが、私ども役所にはほかの省にないことがあります。それは勧告をするということです。これは伝家の宝刀ですから、これを抜いて、こういうふうにしなさい、そしてそのことについて報告してください、こういうことを言うわけですが、それは伝家の宝刀ですからのべつ幕なし抜いているわけにいきません。いままでに何回もやりませんが、最後にはそれを抜いて、それでも環境を維持したい、保存したい、こういうことでございます。どうぞひとつ今後とも御後援をお願い申し上げます。
  208. 中井洽

    中井委員 それでは、最後に、水質の総量規制の問題に移りたいと思います。  伊勢湾、東京湾等の総量規制が現在実施の段階になっているわけであります。この実施段階にあります総量規制は順調にいっておるのか、問題点が出ていないのか、この点について御報告をいただきたいということが一つ。  それから、伊勢湾と東京湾においても瀬戸内海と同じく燐あるいは窒素の規制というものを各県でおやりをいただくなら、それはそれで結構だという御答弁を環境庁からたびたびいただいているわけでありますが、総量規制の中で環境庁として指導等をしてこれをやらすおつもりはないのか、この点をお尋ねいたします。  もう一つは、過日から新聞等で、湖沼の水質規制の法案をおつくりになるお考えだと私どもは承っておりますが、この湖沼の問題につきまして、湖沼全体というものに枠をはめて規制をやっていくのか、あるいは海のように伊勢湾、東京湾、瀬戸内海という形で、幾つか主な湖沼の名前を挙げてそれらをまず先にやろうとされておるのかどうか、この点が一つ。  もう一つは、この湖沼についても琵琶湖の例にならって燐を含めた総量規制をやろうとされておるのか、あるいはまた、湖沼法案に関して、現在滋賀県等においてつくられておる琵琶湖の条例を後戻りさせるような法案にはならないのかどうか、そういった点について具体的にお聞きをしたかったのですが、時間がありませんので、以上の問題点を並べたことをひとつお答えをいただきたいと思います。
  209. 馬場道夫

    馬場政府委員 それでは、いまの点につきまして簡潔にお答え申し上げます。  総量規制の問題でございますが、おかげさまで総量規制の方の準備は整いましてすでに実施段階に入っておるわけでございまして、新設の事業所は本年から、既設は来年度から適用でございます。そこで、私ども関係自治体なり関係方々の大変な御協力を得まして、順調に進んでおる段階でございます。ぜひ目標どおり達成をしたいと思っておるわけでございますが、その決め手は下水道の整備とかそういう今後の問題でございますので、またよろしくお願いしたいと思います。  それから、伊勢湾、東京湾の問題でございますけれども、御承知のように、本年度から伊勢湾につきましては富栄養化のための協議会を設けまして、すでに調査に入りまして、本年度中に対策を立てたいと考えております。また、東京湾につきましては、本年度事前調査をやりまして、明年度本格調査ということで、これも終わり次第早急な対策を立てたいと考えておりまして、中身的には瀬戸内海と同じような形を考えておるわけでございますが、いずれ環境基準等も設定いたしまして、より強力な対策に進めてまいりたいと考えております。  それから、湖沼の問題でございますが、これは現在内容につきまして検討中でございますし、また中公審にも諮問をいたしている段階でございますが、私どもいま御指摘の点につきましては、そういう面でまだ最終的なお答えにはなりにくいわけでございますけれども、知事さんの申請に基づいて国が指定をしてそこで対策をとっていくという形にしたらどうだろうと考えておるわけでございます。  それからまた、湖沼総量規制につきましても、一つの検討課題でございます。そういう新しい法制度の中でどうやっていくかも一つの検討課題でございます。また、当然のことでございますが、現在滋賀県である条例を後戻りさせるというようなことは考えておりません。  以上でございます。
  210. 中井洽

    中井委員 また具体的な問題につきましては次の機会あるいは通常国会等で続けていきたいと思います。環境庁長官の御健闘をお祈りいたします。ありがとうございました。
  211. 中村正三郎

    中村正三郎委員長代理 藤田スミ君。
  212. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、公害健康被害補償法についてお伺いをしたいと思います。  先ほどの長官の最初の所信表明のときにも、今後も患者の救済については全力を挙げていきたいと大変意欲的な御発言があったわけですが、私きょうは質問を始める前に、実は認定患者になっている子供から、私が質問をするなら、どうしても私の書いた作文を読んで長官の御意見を聞いてほしいという宿題を持たされてまいりましたので、まず最初に長官にぜひ聞いていただきたいと思うのです。  これは、西淀川中学校三年生の矢内真保さんというお嬢さんなんですけれども、この子は二、三歳のころから非常に強いせきが出て、せきが出るとのどが笛を吹いているようにヒューヒューと、顔の色が土色に変わって大変苦労をした。小学校に入るころには特にひどくなり、もう朝方になると毎日せきが出て、小学校に入っても体力がなくて非常に大変な学校生活を送ってきたんだということをこのお母さんは言っているわけです。この子の作文を読みますので、ひとつお聞きいただきたいと思います。        西淀川中学校三年  矢内真保   私の場合ぜんそくのほっさがおこると夜がく  るのがこわい。せきがでておなかやむねがとっ  てもいたくなり、のどがはりさけて血がでてく  るようなそんなせきがでます。   よこになるとせきが一晩中でます。だからふ  とんをなん枚も重ねてそれにもたれていねむり  をします。夜は静かなので私のせきで家中の者  がみんなねむれません。お母さんはおきて一晩  中私の背中をさすってくれます。   あまりくるしいと死んだほうがいいと思うぐ  らいです。ほっさがでると食事もできません。  食べるとせきがでるたびにもどしてしまいま  す。だからほっさがでたらなんにも食べません  ので学校にもいけません。いきをするにもくる  しくなるのでメンソレータムをつけます。そし  たら少し楽になります。こんなことのくりかえ  しばっかりで中学三年生になりました。六月三  日から三泊四日で修学旅行でした。   しかし私は行けませんでした。お医者さんに  とめられたからです。   私はどんなことをしても行きたいといってお  母さんにおこられました。皆といっしょのこと  ができないことがとってもかなしいです。学校  での体育の時間も運動会も見学ばかりです。夏  はプールにもはいる事は出来ません。   友だちとプールに行く事をやくそくしてもだ  め、修学旅行も汽車の中でトランプをしたり歌  を歌ったりおしゃべりをしたり色々としたいと  思いましたが、みんなゆめになりました。   たのしいはずの学校生活がなにひとつ出来ず  に終ろうとしています。   私のような人が多くいると思いますので、自  動車もはいきガスをださないような車を会社も  人のめいわくにならないようなせつびをこしら  えてください。   西淀川の空気をきれいにしてください。西淀  川といえば「ああ公害の町やな」といわれるよ  うなことをしないでください。こういう作文。この子の気持ちをつづっておりますが、長官はこの言葉をどういうふうに受けとめられるか、まず最初にお伺いをいたします。
  213. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 中学校三年生の子供がいま作文に書かれているような毎日を送っているということに対しては、非常にかわいそうだ、気の毒だというふうに考えます。そこで西淀川中学校ではその程度の子供がどのくらいいるんだろうかなと、いま作文を聞きながら思ったことはそういうことであります。実は私が住んでいるところも東京の下町でございまして、環状七号線が通っているところであります。したがいまして、そういうような問題については私じかにやはり見たり聞いたりしているわけですが、いまの作文を聞いて本当にかわいそうな気の毒なことだなというふうに感じます。
  214. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 去る五月十二日の毎日新聞ですが、ほかの新聞にも載っていたと思いますが、認定患者であるぜんそく性気管支炎について、六歳を限度として患者認定を打ち切るという年齢制限は実施すべきではないと、当時の土屋長官が事務当局に指示をされたという報道が出されております。この問題は、その翌日この環境特別委員会でも土屋長官は同様の趣旨で御答弁をされておられるわけですけれども、現在もこの方針に変わりはないのかということをまずお聞きしたいと思います。
  215. 七野護

    ○七野政府委員 お答えします。  ぜんそく性気管支炎、いわゆるぜん気とよく称される疾病でございますが、第一種の指定疾病は四種類がございます。そのうちの一つの疾病でございます。これの六歳の年齢制限、これは行わないという当時の土屋長官の発言でございますが、その趣旨にのっとりまして新しい課長通知を出し、そのとおり実行しております。
  216. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 その後五月二十日に保健業務課長の方から「ぜん息性気管支炎の認定について」という新しい通知が出されております。しかし、この通知にも年齢については触れておりませんので、私はこの趣旨がこの新しい通知の中でも貫かれていると思うのですけれども、土屋長官がこういう方針を出されたのは、やはりお医者さんが症状を確認し治療を要すると判断をした子供に対しては、六歳という年齢で機械的に線切りはできないんだという気持ちからそういう方針が出されたと思うのですが、この点については、長官、今後もその立場で患者救済に当たっていただけるかどうか、お答え願いたいのです。
  217. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 ぜんそくであるかどうかはわからないが、ぜんそくのような症状を呈する気管支炎はわりあいに子供に多い。これは自動車の多く走るところであると否とを問わずわりあいと子供に多い。それと自動車が走るようなところはなお多いかもしらぬというようなところから、六歳ということを言われてまいりましたが、前の長官が言われたように、何も六歳と限ったものではないということで、こういうような症状があらわれていればそれはぜんそく性気管支炎であるということを、科学的にいろいろ専門家に診てもらって聞いて、これならば絶対間違いのない、間違いないとは言えないだろうけれども、間違いのない物差しであるということで指示をいたしたわけでございまして、六歳という年齢でどうこうするということではない、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  218. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、新しい通知が出ておりますが、この通知の目的は一体どこにあったのか、御説明を願いたいわけです。
  219. 七野護

    ○七野政府委員 これもすでに当委員会でことし二月、三月、五月ごろでございましょうか、各先生方から御議論された点であろうかと思っておりますが、このぜんそく性気管支炎の認定要件について見直しをやった理由は一体どこにあるのかということでございますが、これはもう先生御案内かと思いますが、ぜんそく性気管支炎、この疾病の範囲というものがまことに不明確であった、そういう点がまず一点ございます。  四疾病ございますが、あとの気管支ぜんそく、慢性気管支炎、それから肺気腫、これはもう医学的にきっちり確立されたと言っては語弊がございますが、医学的にはっきりした疾病である。病像もだれが見ても、慢性気管支炎と言えば慢性気管支炎の病像というものがどこの成書を見てもきちんとなっているということでございますが、ただ、ぜんそく性気管支炎につきましては、いまも申し上げておりますように、その疾病の範囲が非常に不明確であったということがございまして、従来から認定業務に混乱が生じているという指摘があったわけでございます。この指摘は、実際にこの認定業務に携わっております認定審査会あるいはその主治医、そういうところからあったと聞いておりますが、そこで環境庁といたしまして、五十三年末以来専門家に医学的見地からの検討を依頼してきたということがございます。  その趣旨は、先ほど私が申し上げておりますように、あくまでも医学的見地から疾病の範囲を正確にとらえて治療を適切にする、実務に混乱を生じないようにするということがねらいでございまして、患者の切り捨てというような意図は全くございません。そういう点につきましては毛頭ないということをはっきり御説明申し上げます。
  220. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は別に、はなからそういうふうに切り捨ての意図があるのかと聞いてないのですよね。そうすると、新しい通知を出されたのは、疾病が非常に不明であるので、そういう点で混乱が生じないように医学的見地に立っていろいろ症状をとらえる点で整理をされた、こういうことですね。ということは、改めて言うまでもないですけれども、この認定に当たった審査会が留意すべき事項、こういうふうにこの留意すべき事項は特に何か条件が厳しくなった――打ち切るためのものではないと言われましたけれども、条件が厳しくなったということじゃないですね。
  221. 七野護

    ○七野政府委員 留意事項云々ということがときどき問題になっているようでございますが、これは新しい通知の中に確かに留意事項という言葉を使ってございます。これにつきましては、留意事項で三点ばかり示しているわけでございますが、このぜんそく性気管支炎にかかわらず、いわゆる指定疾病、病気にかかっているかどうかということは、各県あるいは市の認定審査会が医学的に判断されるべき事項である、そういうことがまずございます。  そこで、先ほどから何回もまた同じことの繰り返しになろうかと思いますが、ぜんそく性気管支炎につきましては、従来から概念定義、これについて多くの問題が指摘されていた、そういうことでございます。そこで、今回新しい課長通知をことしの五月に出したといういきさつがございます。  そこで、この新しい通知にございます留意事項はどういうことかということでございますが、この留意事項は、あくまでも医学的な事実に関する事項、医学的事項に関する事項である、私たちそういうふうに考えております。医学的事項についての事項でございますので、これの判断に当たっては、各県市の審査会におきましても十分尊重されるべきものである、かように考えております。そういう点につきまして私たち決して意図があるわけではございません。
  222. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 医学的事項に関するものであって、だから判断のときには十分尊重してやってもらいたいということであれば、新しい通知には「医師の治療を要する」という言葉が新たに加えられましたけれども、これもまた医師の治療を要する程度に必要だという意味で、この点では結局四十七年からそういう考え方が基本にあってのことだというふうにとらえていいわけですか。これは簡単で結構です。
  223. 七野護

    ○七野政府委員 「一年以内に四回以上繰りかえすこと。」という考え方は、新通知に確かに留意事項として示してございます。ただ、簡単でいいということでございますので、簡単に申し上げますが、この点につきましては、旧通知におきましても同様、一年以内に四回以上繰り返すということを示してございまして、その点につきまして新旧両通知とも考え方に全く相違はございません。
  224. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そのことだけ確認して次に移りますが、大阪市の西淀川公害患者と家族の会が九月十日に調べました、八月三十一日付で更新の手続をとった千五十三人の中で、百五十三人の認定打ち切りがあったという資料を私ここに持っております。これはそちらの方もこの数字をつかんでおられると思いますので、別にこの資料を改めてお見せしませんが、とにかく千五十三人のうちの百五十三人が認定否決、これは九月十日現在です。数字は一四・五%が否決されたということなんですが、この中でぜんそく性気管支炎が七五・六%あるのですね。このことは新通知が出される前とは非常に様子が変わってきたということで、実は現地では非常に混乱が起こっているわけなんです。このことを御承知ですか。
  225. 七野護

    ○七野政府委員 承知しております。
  226. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 調査をされていると思うのですが、どういうふうにこの問題を理解していらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
  227. 七野護

    ○七野政府委員 大阪市の西淀川区におきますぜんそく性気管支炎の認定更新の問題であろうかと思いますが、大阪市から事情を環境庁といたしましても聴取いたしてございます。九月十八日だったと思いますが、その大阪市の事情を聴取したところによりますと、認定更新を否決された症例、これは二、三点ございます。まず第一点が、臨床症状がきわめて軽い。二番目が、気管支炎の反復罹患が見られない。それから第三点といたしまして、治癒している。以上申し上げました、などの理由によりまして、ぜんそく性気管支炎にかかっているとは認められない者であったということでございます。  さらにまた、大阪市では、ぜんそく性気管支炎に該当しない者につきましても、主治医と連絡をとるなどして、他の指定疾病、あと三つございますが、その病名変更が可能であるかどうか、これについても現在検討しているということでございました。  以上でございます。
  228. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ぜんそく性気管支炎というのは他の疾病と比べて比較的治癒率が高いということは認めますけれども、新しい通知が出てから混乱が起こったこともまた事実なんですよ。その大阪市の説明では私は納得しがたいものがありますので、きょうあえてここで質問をしているわけなんです。  たとえば、私ここにいろんな例を提げてきたんですが、お医者さんの診断によりましても、八歳の子供、生後五カ月からぜんそく性気管支炎で苦しんでいる子供なんですが、これが投薬回数が十一回で三十三日治療を受けているわけです。そしていま月平均十五回に及ぶ吸入もしているというのですね。この子が打ち切られているわけです。それから十歳の子供、これも投薬回数十一回、そして三十三日治療で、いま吸入は一カ月に平均十五回。投薬回数が二十六回あり、五十二日間お医者さんにかかり、かつ吸入を続けている子供。いずれも、お医者さんの「所見」というところを見ましたら、A、B、C、D、Eの中のD、つまり「常に医師の管理を必要とし、かつ時に治療を必要とする。」というD項に属しているわけなんです。  それからもう一つ、もっと極端な例は、十六歳の子供です。この子も長年ぜんそく性気管支炎で悩んでいるのですが、この子の場合は、年に上気道炎が七回、気管支炎が四回、ぜん鳴もプラス。ところが審査会の方からこんな問い合わせが来たわけです。年齢がオーバーしているというわけですよ。年齢がオーバーしているからほかの疾病が考えられないかという問い合わせが「診断報告書等について照会」ということで来ているのですね。これに対してお医者さんは、ぜんそく性気管支炎と認められる症状があるのだ、他の疾病は考えられないというふうに返事をしているのですが、これもまた打ち切られてしまったわけです。  しかし、それぞれの子供はいま現在吸入をやめるわけにいかないのですね、さっき作文で読んだ子供のように夜中発作が起こりますので。子供なんというのは正直なものですから、いろいろよけいなことを考えないで、やはり自分がつらいなということを胸にとめて、遊びたいときも吸入を受けに行くのですから。いま現在は、母親にほかのとこ診てもらいなやと言って百九十八円だけ握らしてもろうてお医者さんに通っているというのです。こういう実態を環境庁は聞いておられるのか、どうですか。
  229. 七野護

    ○七野政府委員 いま個別事例をいろいろ御説明いただきましたが、環境庁といたしましては個別の事例について判断する立場には現在ございません。そこで、否決の判断は、先ほど私が御説明申し上げましたように合理的な理由によるものであると私たちは判断いたしてございます。さらに、大阪市におきましては、病名変更につきましても必要に応じて主治医との連絡を行っているということでございますので、私たちといたしまして、大阪市におけるぜんそく性気管支炎についての審査は適正に行われている、かように考えておるわけでございます。
  230. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 だけれども納得できないのですよ。お医者さんはぜんそく性気管支炎しか考えられないと言っているのに、片一方は、年がいっているからこれはいかぬと審査会から言われて、ほかの病名をつけろなんて言われたって、つけっこないですよ。ですから、こういうふうな実態について――個々のケースは環境庁でタッチできないことは私よく知っての上でこう言っているわけです。しかし、一つ環境庁がタッチできないとは言えないような問題が個々の問題の中にあると考えるわけです。それは、この原因は、さっきから何遍も言っていますように新通知から出ているわけです。「本通知は、同報告書に示された医学的知見を踏まえて現行の通知を改めるものである。今後は、ぜん息性気管支炎の認定については下記によるとともに、広く関係者にその趣旨の徹底を図られたく」ということで、「本通知の基礎となった報告書を参考までに送付する。」ということですから、これは自治体の受けとめ方にもあると思いますが、ともかくこれが送られたわけですね。     〔中村正三郎委員長代理退席、委員長着席〕 この中を開いてみましたら、三ページの「現行の認定要件について」というIIの柱の中で、「公害健康被害補償法の施行以来、相当の日時が経過したにもかかわらず、その趣旨が必ずしも十分徹底されていない地域が存在する。」こうなっているわけですね。徹底していない地域というのは一体どこを指して言われたわけですか。
  231. 七野護

    ○七野政府委員 いまの先生御指摘の点は、「認定要件について」という参考資料「喘息性気管支炎の認定要件に関する検討会」、これの三ページの第二、現行認定要件の(1)の点かと思いますが、「その趣旨が必ずしも十分徹底されていない地域が存在する。」と書いてございまして、「たとえば、」と例示がしてございます。「たとえば、喘息性気管支炎の認定患者が成人に相当数残っている地域がある。この原因には次のようなものが考えられる。」として、以下四点ばかり書いてございますが、ここに示してございますように、全国的に集計をしてみますと、このぜんそく性気管支炎の年齢階層別の分布が非常にばらつきがございます。私たち考え方を言いますと、いわゆる疾病である以上そんなに年齢的なばらつきがあるのはどうかな、かえって問題があるのじゃなかろうか。しかも、最近ぜんそく性気管支炎につきまして、医学的な新知見と申しましょうか、専門家の意見によりますと、ぜんそく性気管支炎という疾病は少なくとも単一の疾病ではないんだ、いわゆるいろいろな病因から来ている症候群のようなものであるということが言われておりまして、さらに二歳をピークにして非常に発生している、そういうようなものであります。さらに、予後は大体良好でありますというようなこともるる検討課題に書いてあるわけでございますが、現在のぜんそく性気管支炎の全国的な患者さんの発生状況を見ますと非常なばらつきがあるということの方が問題ではなかろうか、さように考えておるわけでございます。
  232. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私が尋ねているのは、この地域というのは具体的に言えば一体どこを指しているのかということを聞いているわけです。大阪市のことじゃないですか。少なくとも非常に多いという点ではそういうことになるのじゃないですか。
  233. 七野護

    ○七野政府委員 五十五年三月分の集計がここにございますが、それを見ますと、大阪地区は、年齢階層別に見てみますと、指定疾病のうちぜんそく性気管支炎の患者数が高齢者の方に偏っているということが言えるかと思います。
  234. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 これを読んだ大阪市はやはりあわてたと思うのですよ。そうでしょう。言ってみたら、全国的にもぜんそく性気管支炎が一番多いのは大阪市だということははっきりしているわけです。だから、この参考資料を一緒に送られてきましたら、大阪市としてあわてるわけです。大体常識として、全国の一覧表を見ましても一番厳しい地域ですからね。西淀川というのはもともと環境上非常に厳しいところだから患者が多いということになるわけです。はなはだ思い当たる節がある、こうなるわけです。  それから、この参考資料は、私何遍も読み返してみたのですが、かなり年齢制限のところに重点を置いた資料になっているわけです。ところが、長官の方の御判断で年齢制限というのはやらないんだという、これは行政として非常に温かい御配慮だと思うのです。またそうでなければならないと思いますが、そこを全部外していくと、大阪市としては非常に神経質にならざるを得ないものになったと思うのです。そこで、さっき言ったように、大阪市の方は年齢オーバー、つまり環境庁方針にマッチしていない方針まで当てはめて患者の打ち切りを進めてきたというところから、非常に混乱が起こっている、私はそういうふうに考えるわけです。どうでしょうか。
  235. 七野護

    ○七野政府委員 どうも私の説明が足りないせいか、御理解いただけないようでございますが、確かに、この報告書の方を読んでみますと、「新しい認定要件について」とございまして、「六才未満のものを認定の対象とすること。」とはっきり報告書の方には書いてございます。これはあくまでも専門家によります検討会の報告書でございます。それをもとに新通知を出したわけでございますが、冒頭先生から御質問がありましたように、この新通知の方には六歳以下云々という項目ははずしてございます。「本疾病は二歳以下の者に多くみられるものであること。」という点にとめてございまして、少なくとも六歳という年齢によってぜんそく性気管支炎を、認定要件といいましょうか、そこで云々ということは、この新通知、新しい課長通知を読んでいただければ明らかかと思います。  そこで、先ほどからまた大阪市の話が出ておりますが、六歳という年齢で大阪市がぜんそく性気管支炎を認定の要件にしておるということはない、先ほど私が申し上げたとおりでございますが、では実際はどうかというところは、六歳以上につきましてここに五十四年四月、五月、六月、七月、八月、九月の更新審査状況の一覧表が大阪市から届いておりますが、審査件数と、六歳以上でぜんそく性気管支炎として認められた者はかなりの数がございます。たとえば、八月が百八十件の審査件数のうち六歳以上が七十六人、七月が百十八件のうち五十七件というようになってございます。いま申し上げましたのは五十五年の審査状況でございまして、六歳以上のぜんそく性気管支炎の者がほとんど否決されているというふうに受けとめられるということでございますが、そういうことは全くございません。六歳以上でございましてもぜんそく性気管支炎として認定されている者がかなりの数に上っているということでございます。
  236. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 例として六歳以上の問題を現実は打ち切られているから出したのですが、特に六歳以上の問題に私はいまこだわって言っているわけではないのです。そういうふうな患者の症状が非常に残っているにもかかわらず、現実に吸入に月に二十回も二十五回も行っているような子供が打ち切られてしまっている。それは大阪市が非常に神経質にこの新通知を受けとめ過ぎたからだというふうに考えるから申し上げているわけです。だから言っているわけです。おわかりいただけますでしょう。私の言っていることはそういうことなんです。中には六歳以上を理由にして審査会から指摘されているのもあります。しかし、私はそれが全部だなんて一つも言っていませんよ。非常に厳しくなっていることは事実なんですね。だから混乱が起こっていることも事実なんです。それは何でということになれば、新通知に参考資料として添えられたものの中に、半ば名指しに近い形で大阪市の問題が取り上げられていたから、これは大変だということになったのでしょうか、そういうことから混乱が起こっているから、もう一度調査をして御指導いただきたいと私は思うわけです。  それから、私は医学的な議論があるというのは当然だと思うのです。医学的議論といえば、四十七年の通知の出された時点で大阪府の医師会が見解を出していますね。この見解を見ますと、「ぜん息性気管支炎に関する解釈並びに措置については、それが専門学者の一致した意見でないこと。ぜん息性気管支炎と、気管支ぜんそく、慢性気管支炎との鑑別が不可能な例のあること。公害認定地域医師会の意見事前に聴取していないこと。」こういうことの理由によって、課長通知を本会としては了解しがたいなんという意見が出ているんですよ。私は、七人委員会で研究されることを少しも否定しませんし、御専門の先生方がそういうことで一定の医学的な合意をまとめていかれようとする御努力については、それなりに評価をしていかなければならないんだと思うのですけれども、だからということで、こういう新しい通知を出されるときに、医学的な結論を押しつけるような形になって、地域のお医者さんと十分医学的な結論の合意が得られないまま押し切られていきますと、お医者さんはこの患者はぜんそく性気管支炎と判断すると言っていても、審査会の方はだめだということになって、非常に混乱が起こるという点で、もっと慎重にやるべきじゃないか。そうして、問題の起こっている大阪市については、環境庁としてもやはり痛みを感じていただいて、現状を調査し、この問題について患者救済の措置をとれるように御指導いただきたいということをお願いをしているわけでございます。
  237. 七野護

    ○七野政府委員 いろいろ御指摘をいただいておるわけでございますが、旧通知といいましょうか、四十七年当時の通知について医師会あたりからの文書などもいま御説明がございましたが、私たちといたしましては、四十七年当時のぜんそく性気管支炎の考え方は、どちらかといいますと反復性の気管支炎を言うものとするというふうに、非常に幅を狭く考えておったわけでございます。先ほどから話がございますように、ことに乳幼児期、小さい赤ちゃんの場合には鑑別診断というのはなかなかむずかしいという点もございます。そういう点もございまして、今回の新通知は、旧通知のように、反復性の気管支炎ですよ、それ以外はだめですよというようなことではなしに、さらに範囲を拡大した、そういうふうに私たち考えております。端的に言いますと、ぜんそく性気管支炎というものは、乳幼児期と申しましょうか、主として二歳以下の小児の低音性のぜん鳴、いわゆるぜいぜい、ぜろぜろと言うのでしょうか、感染徴候を伴う反復する気管支炎で、呼吸困難はないか、あっても軽く、予後は大体良好であるというふうな病像で説明いたしてございまして、従来の旧通知のように、反復性気管支炎だけですよというようなことは一切申してございません。そういう点で、私たちといたしましては、ぜんそく性気管支炎の範囲をどちらかというと幅を広く見ていこうということを考えたわけでございます。それをまず御理解いただきたいのと同時に、先ほどから個々の例を御指摘になっておられますが、個別事情につきましては、私たちいま直ちに当委員会で判断する立場にはございません。そういうことでございます。  なお、大阪市の方は、先ほども申し上げましたように、先月大阪市の方から事情を聴取いたしてございます。非常に細かく説明を受けてございまして、私たちといたしましては、大阪市といたしまして病名変更につきまして必要に応じて主治医と連絡も行っている、そういうような報告も受けているわけでございまして、大阪市におきますぜんそく性気管支炎についての審査は適正に行われていると考えておるわけでございます。  以上でございます。
  238. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 新通知の趣旨はよくわかりましたし、だからもう一度大阪市とよくこの問題について協議をしていただきたい、そのことを最後に重ねてお願いしておきたいと思います。もうこれで大阪市にも聞いたから環境庁としてはタッチできないなんて、そんな冷たいことを言わないで、打ち切らないで、この問題についてはもう一度調査をしていただき、大阪市とよく話し合いをして、長官の御趣旨にあるような、患者の救済全力を挙げたいという御趣旨が全うできるように、ひとつお願いをしたいわけなんです。長官、どうでしょう。
  239. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 おっしゃる御趣旨はよくわかります。何せ病気の診断のことでもありますから、われわれ素人にはどうすることもできません。そこで、どういうのがそういうことに当てはまるかという一つの目安といいますか、そういうものもつくっていただいて、それをお示しして、こういうことでひとつ審査をしてください。今度は、審査をする人もお医者様であります、専門家でございますから、これがどうもちょっとあなたの見方はきつ過ぎませんかとか緩過ぎはせぬかとか、そういうことを言える立場にもありません。おっしゃるとおり、本当に気の毒な方がそれに漏れるということがありますれば大問題でございますので、常に目を光らせてと言ってはなんですが、当事者の方に間違いのないようにくれぐれもお願いを引き続いてやっていきたいと思います。
  240. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 次に、私は、昨年の十一月の認定審査会の全国会議の資料の中で、六歳の子の年齢問題とあわせて提起された認定の手続問題があったというふうに聞いておりますが、その内容について御説明をいただきたいと思います。
  241. 七野護

    ○七野政府委員 これはことしの全国審査会の席上でどういうような話が出たかということでございますが、医師の治療を要する気管支炎を一年以内に四回以上継り返す、そういうことになっております。先ほどから申し上げているとおりでございますが、この確認方法についてどういうふうにしたらいいのかというような意見がございます。私たちといたしましては、罹患回数の確認方法につきましては、旧通知でも一年に四回以上と言っておりますし、新通知でも一年以内に四回以上継り返すということで同じ方向でございまして、各県市において妥当な方法で行われていると現在考えておりますが、できるだけ統一的な方法が望ましい、私はさように考えておるのでございます。実は、先般行いました認定審査会の全国会議等におきまして委員意見を聞くなどして、目下検討しているところでございます。
  242. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 こういうふうな手続が必要になったら、お医者さんにもまた患者にも非常に新たな負担を、まあ強制していくと言ったらちょっと強い言い方ですが、することになってくるというふうに私は思うのです。一体なぜ必要なんでしょうか。いままで長年そういうものは必要としない、そして何よりも患者の症状を診ている主治医の意見を非常に尊重されたのに、何でその裏をとらなければならぬような話が出てきたのですか。
  243. 七野護

    ○七野政府委員 先ほどから何回もお話し申し上げておりますように、従来から各県市におきまして適当な方法ということで確認を行っていると私たち考えておりますが、ただ、審査会の委員先生方の中にも、環境庁の方で統一したものを示してほしいという意見もございます。私たちといたしましては、いま申し上げましたように統一的な方法、その方が望ましいと考えておりますが、ただ、環境庁といたしましては、認定の申請をされる方がことさら繁雑な手続を強いられるというようなことがないような適切な方法で確認をするのがいいのじゃなかろうか、そういうことで現在検討を進めております。
  244. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 できるだけ煩わしくないような申請の仕方というのも大変むずかしいと私は思いますが、幾らその地域からそういう意見が出てきても、それが患者救済の前進になるのかあるいは後退になるのか、それによって一層、漏れた患者が逆に救われていくならいいですけれども、そうじゃないということははっきりしていると思うのです。旅行に行ってとれなかったとかいろんな問題が出てくるわけですから。だから、そういうものをあえて、下からの意見があったからということで、環境庁が何か余り煩わしくないようないい方法はないかというような御苦労をされる必要はないと思うわけです。この問題は検討中ということですので、私は、患者会の皆さんも非常に心配しておられますからきょうはあえて触れておきましたけれども、ぜひとも長官の、この患者救済全力を挙げるという趣旨が全うされる方法で対応していただきたいというふうに念を押しておきたいと思います。ぜんそく性気管支炎というのは、何といっても、先ほどから御説明にありましたように、特に二歳以下に見られるというような、小さい子供たちを主とした病気なんですから、ぜんそく性気管支炎が問題になって騒がれるということ自身、本当は心を痛めるべきじゃないか、あらゆる子供のこの健康回復のために、むしろ枠をどう広げていくかというところに力点を置いていただきたいなと考えるわけです。  この問題は一応これでおきますが、もう一度最後に、長官、事子供を主としたぜんそく性気管支炎の問題が、事あるごとに、年齢の制限だとかあるいは新通知だとか、こういうふうな証明書が要るようになるとかということで、何か環境庁が打ち切りを主として進めているかのような印象を与えている、これは患者の方ではそう受けとめざるを得ないこの姿に対して、長官としてもう一度、先ほどの全力を挙げる決意のほどをお示しいただきたいわけです。
  245. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 本当に苦しんでおる、間違いなくその認定さるべき者が、いろいろの手続の繁雑とかわれわれの意の及ばないために認定されていないとか、あるいはもう治りましたと言われるようなことになることを私はおそれます。おそれますが、やはりこれは、公平という言葉は正確ではないかもしれませんが、いつもかかりつけのお医者さまが、この人はぜんそく性の気管支炎ですと言えばもう文句なしにそれでよろしいということにすれば一番いいのかもしれませんが、そうすると、一つの統一した物差しじゃないからいろいろな問題がまた別に起こってくるということで、行政としてはなかなかやりにくい。それが一番簡単な方法かもしれないけれども、やりにくいので、そこにわれわれの苦しみがあるわけです。ですから、私は、一人でもそういう患者を見逃すことのないように努力しなければいけないということについては変わりありませんし、私の役所は挙げてその方面の人たちはそうやっていきますが、同時に、だれからも、不公平である、私がだめになってあの人がどうしていいのですかということを言われないような方途もまた同時にとっていかなければならないということでございますので、御了解をいただきたいと思います。そしてまた、そういう事象があらわれているときには、どうぞひとつ遠慮なくわれわれに御指摘いただければ、われわれはそれを確認することに横着はいたしません。
  246. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が大変中途半端になりますのでどうしようかなと思っているのですが、基本的な御見解だけ二、三お伺いいたします。  関西新国際空港の建設計画についての問題でございます。  九月一日に航空審議会が関西新国際空港の計画について答申をいたしましたが、その予定地が私の地元、大阪泉州なんです。それで、非常に地元でもみんなが心配をしております。環境問題、財源問題、いまいろいろ言われておりますが、いずれにしましても国政全体の重大な問題だと思うのです。  そこで、鯨岡長官、この問題が九月五日に閣議でも報告されたのですね。そのときに長官が非常に慎重論を述べられたと新聞では伝えられておりますが、環境庁の最高責任者としてそして同時に関係の一員として、長官のこの問題に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  247. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 慎重論と言われましたけれども、慎重論というのは、関西国際空港は要らないというようなニュアンスの意味での慎重論というのであれば間違いであります。私はそういうふうに言うた覚えはないのですが、ただ、金額にすると、いまのお金で約五兆以上、六兆近くもかかるという大プロジェクトですから、国家的にこれは取り組まなければならぬ問題であります。それだけに、非常に大きなものを海の中につくって、それを土で埋めるということになりますと、五億トンぐらいの土が要る。五億トンということになりますと、国民一人頭五トンずつ、赤ん坊もおじいさんおばあさんも五トンずつということですから、富士山の七合目半くらいのところから上の土を全部持ってくるということですから、先生そこにお住まいだそうでございますが、どこから土を持ってくるのだろうか、どうやって持ってくるのだろうか、持っていった後はどうなるんだろうか。また、あそこへ飛行場の大きなのができるということになれば、飛行機に乗る人の数が比較的多いと予想される京都、大阪の人がどこを通ってその飛行場に行くのだろうか、その交通機関をどうするのだろうか。きわめて大問題でありますし、それを挙行するということになれば、環境に相当の影響がありますから、その際にはどういう影響があって、後でしまったということがないようにしなければならぬと私は思っておりますので、ぜひその際にはその点に皆様御注意くださいませということを申し上げたわけで、それをして慎重と言うのならばそれは慎重には違いないのですが、私は要らぬと考えているわけではないことを申し上げておきます。
  248. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一つお伺いしておきます。  九月一日の航空審議会で、臨時委員として出席された金子事務次官が、環境庁としては結論を保留するという態度を表明されたわけです。特に土取りの問題、それからアクセスの問題、これが指摘の中心であったと聞いておりますが、この問題、運輸省もそれなりに調査をしているということで資料を審議会に出しているわけです。にもかかわらず、この資料の中でどこが非常に不十分であるということで環境庁は態度を保留されたのか、この点をお聞きしたいと思います。
  249. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、関西国際空港は政府全体で対応すべき大プロジェクトであること、これは大臣の御答弁の中にあったとおりでございます。それで、私どもとしましては、空港そのものの設置計画だけではその地域における環境への影響というものは不明である、したがって、この計画と非常に密接不可分と考えられるアクセス交通であるとか各種の地域の計画、それから埋め立ての土砂の採取、運搬などに係る総合的な環境影響というものについて重大な関心を持っておるわけでございます。  そういう立場に立ちまして、九月一日に開催されました航空審議会におきましては、環境庁としては、まず、環境影響評価を行う前提となる関西地区における今後の経済社会活動、それから環境保全対策などを考慮した将来の環境の状況が現段階では明確でないということが第一点でございます。  第二点としまして、空港周辺地域の整備計画、それから埋め立て土砂の採取に係る環境影響が必ずしも明確ではない、こういうような理由からいたしまして、九月一日の時点におきましては意見を述べることができないということで保留をしたわけでございます。
  250. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 この問題、非常に重要な問題を指摘されていると思うのです。朝のお話にもありましたように、いままで世界でも例を見ない海に大きな島をつくって空港をつくるんだというその計画について、それこそ孫子の代まで後悔のないような環境保全というものも考えてこの計画に取り組んでいかなければならない。だから、そこのところで事前によく確かめて、これはしまったと後でほぞをかむのではなしに、ほぞをかむのだったらやめようとか、ほぞをかまないようにするにはどうしたらいいかとか、そういった事前調査というものは非常に大事だ。にもかかわらず、こういった先ほどの御指摘にもありますように、非常に大事な問題が解決されていない状態にいまあると思うのですね。環境庁としては、運輸省に対して、あるいはアクセスは建設省だと聞いておりますが、建設省に対して、今後どういうふうな態度を示していかれるおつもりなのか。
  251. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 藤田先生、まだ具体的にどうこうということができてないわけですよ。何か私の聞くところでは滑走路の向きをどう変えるとかというようなことがあって、その面については多少のアセスメントができているようにも思いますが、全体にどういうアクセス道路にするとか、土砂をどうやって持ってくるとか全然できてないでしょう。私は、この間申し上げたのですが、それが具体的になる前には、いま先生が言われたいずれの方面でもほぞをかまないだけのアセスメントをしなければならぬということを申し上げたので、いまのところはまだできていませんから、私の方もただ用意をしているというだけであります。
  252. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、そうすると、長官がおっしゃるのは、総合的なアセスメントをやらなければならないという態度は堅持していただけるということですね。
  253. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 そのように考えております。
  254. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 結構です。どうもありがとうございました。
  255. 山崎平八郎

    山崎委員長 次回は、来る二十八日火曜日午後一時十五分理事会、一時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会