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1980-10-22 第93回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十二日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    佐藤 文生君       近岡理一郎君    永田 亮一君       浜野  剛君    林  大幹君       古屋  亨君    細田 吉藏君       三塚  博君    箕輪  登君       水野  清君    井岡 大治君       久保 三郎君    小林 恒人君       関  晴正君    浅井 美幸君       小渕 正義君    三浦  久君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      工藤 敦夫君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         大蔵省主計局次         長       矢崎 新二君         運輸政務次官  三枝 三郎君         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松本  操君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君  委員外出席者         北海道開発庁企         画室長     田中 貞夫君         資源エネルギー         庁石炭部炭地         域振興課長   鈴木 英夫君         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     藤田 義人君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     繩田 國武君         日本国有鉄道貨         物局長     橋元 雅司君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤 文生君     細田 吉藏君   近藤 鉄雄君     山村新治郎君 同日  辞任         補欠選任   細田 吉藏君     佐藤 文生君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案内閣  提出、第九十二回国会閣法第一号)      ————◇—————
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  この際、三枝運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。三枝運輸政務次官
  3. 三枝三郎

    三枝政府委員 昨日、小林委員から大臣に御質問がございまして、先般、北海道における電化のテープカットの際の式典に、私が発言しましたことにつきましての趣旨の御質問でございますが、私は大臣と全く同じ考えでおります。すなわち、法律を制定して、法律ができました暁に、政令関係各省十分協議を調えた上でこれを行うという趣旨考えでおりますけれども小林先生の方で私の発言が誤ってとられたというよりも、むしろ私の不徳のいたすところによってそういうふうにおとりになっておれば大変申しわけない、そう思っておりますので、以上お話を申し上げまして私の答弁を終わります。(発言する者あり)
  4. 小此木彦三郎

    小此木委員長 理事さん集まってください。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  5. 小此木彦三郎

    小此木委員長 速記を始めて。  この際、小林委員発言を許します。小林君。
  6. 小林恒人

    小林(恒)委員 ただいま冒頭に三枝政務次官の方から釈明がございましたけれども考え方大臣と同じでありというくだり、さらには法案審議過程経緯から考えますると、少なくとも法案成立後に政令を検討し、明らかにするという昨日の議論経緯があるわけです。したがって、政令案の骨子なるものについても本日段階で明確にすることはできない、こういう審議過程があるにもかかわらず、法案審議に入る前段に開催をされた、十月一日札幌市パークホテルにおける政務次官発言内容は、法案は通してください、しかし、この法案に基づいて政令の中では十二分に措置し得るものがあるのですという発言をあなたはしているのです。法案は通してください、政令の中で措置し得るものがあるのですという言い方は、もうすでに政令案が確定していて、北海道廃止対象線区のうち何線区か残し得るというニュアンスを多くの参加者に与えていっているのです。これはまさに運輸委員会の中で議論をしている過程とは異なるものでありますし、昨日の大臣発言とはまさにうらはらなものだと指摘せざるを得ません。そんな意味では、先ほど政務次官釈明をされたという内容は全く釈明に値するものではないと言わざるを得ないのです。ですから、きのうも大臣からの発言を求めましたけれども、きょうも政務次官からの発言を求めましたけれども、いずれも、私は、三枝政務次官発言をとらえてきのう指摘した事項釈明をされたという、解明をされたという認識には立ち得ませんので、もう一度釈明を求めたいと思うのです。
  7. 三枝三郎

    三枝政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、私どもは、現在継続審議になっておりますこの法律案成立に対して懸命の努力を払っておりますので、そういう趣旨のもとに先ほど申し上げたとおりでございます。大臣と全く同じ考えでございますけれども、このようにお騒がせしたことについては不徳のいたすところであるということで遺憾の意を表明した次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  8. 小此木彦三郎

    小此木委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  9. 小此木彦三郎

    小此木委員長 速記を始めて。  ただいまのことに関連して、福岡君の発言を許します。福岡君。
  10. 福岡義登

    福岡委員 政務次官お話しになったということはたくさんの人が聞いておるわけですからね。言ってないというようなことをおっしゃっておるのですが、小林君だけではなくて、大衆の面前でお話しなさっておるのですから、これは間違いない。さらに、これは事実を私がまだ確めたわけではありませんが、北海道の各地区でローカル線廃止反対の集会がある。そこへあなたのお名前で、ローカル線廃止反対ためにともに闘いましょうというような電報も行っておるというのですよ。さらに、政務次官お話じゃありませんが、自民党有力国会議員が随所において、この法案が通ってもローカル線廃止させない、こういうことをおっしゃっている。名前は特に申し上げませんが、私に対しましてもある自民党の相当の衆議院の先生が、福岡さん、運輸委員会で苦労されておるそうですが、通ってもローカル線廃止はできませんから御安心くださいなんて言う人もいますよ。必要ならばその先生名前を明らかにしてもいいですが、ここではいたしません。  そういうふうに、せっかくわれわれがまじめに国鉄再建をどうしようかという法案審議しておるときに、事の衝に当たられておる中心的な政務次官がそういう言を弄されるということは、絶対に容認できないと思っておる。重ねて政務次官釈明をいただきたいと思うのです。  あわせて、運輸大臣にもお伺いしたいと思うのであります。何回か要求してきております政令案であります。政務次官がおっしゃったのは、政令の中で北海道の路線は廃止させないという意味のことをおっしゃっておるのですが、きょうの午後までに、きょうの午前中を時限にいたしまして政令案を出すことになっておるのでありますが、約束どおりその政令案を出していただけるかどうか。  もう一つ、重ねて運輸大臣見解を伺いたいのは、政府与党である自民党のそうそうたるメンバーの方々が、申し上げましたような、ローカル線は絶対に廃止させないんだ、陳情団が相次いで来るのですが、そこでそういう演説をなさっておる。これらに対じまして運輸大臣の御見解もあわせてお伺いをしたいと思うのであります。
  11. 三枝三郎

    三枝政府委員 お答え申し上げます。  大変お騒がせをいたしましたことについては遺憾に存じますが、今後このようなことのないように十分配慮し、気をつけてまいりたいと思います。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 福岡先生のお尋ねの点は二点あったと思いますが、一つは、三枝政務次官発言いたしましたこと等から見まして、地方交通線、特に特定地方交通線廃止につきまして、これが厳正中立にやっていかなければならぬということは私は再三申し上げておることでございまして、法律を恣意的に運用するというような、あるいは適用するというようなことは厳に慎まなければならぬ。これはもう私たち政務次官も同一の気持ちでございまして、そういう発言誤解を与えるようなふしのあったことは、私も十分に昨夜注意いたしたところでございます。  それから、資料として政令提出しろというお話でございますが、これはこの委員会におきます審議の途中にも申し上げましたように、政令案文等につきましてまだ政府内で統一し、この案文でということにはなり切っておらないところがございます。しかしながら、政令基本となりますところの項目は取りまとめをいたしておるのでございますが、これにつきましては委員会でひとつ御決定いただき、われわれもそれに対応いたしたいと思うておるのであります。  なお、しからば、その政令自体がどのような経過で決定していくのかということにつきまして、大変な御心配もしておられるのではないかと思うておるのでございますが、この政令は現在ございます骨子を中心といたしまして、各省の連絡をさらに緊密にし、まとめていかなければならぬのでありますが、それがために、内閣官房長官中心といたしまして、この法律案成立いたしました時期に各省の間で意見取りまとめ作業を進めていきたい、こう思うておるのでございまして、それは私たち法案成立と同時に作業にかかっていきたいと思うております。     —————————————
  13. 小此木彦三郎

    小此木委員長 内閣提出日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕正義君。
  14. 小渕正義

    小渕(正)委員 今回の国鉄再建計画を要約いたしますと、まず第一に、国鉄自身がみずからの経営責任において再建を図っていく、いわゆる三十五万人体制の中でみずからがやるべき分野を明らかにして再建を図るというのが一つ。次に、構造的要因に帰するものについてはきちっとそれを整理して、国として公的助成を行ってもらおう。三つ目に、俗に言われている地方線赤字ローカル線の整理を行う。要約すると私はこの三つだと思うのであります。要するに、国鉄自身責任を持ってはっきりとみずからの経営の中でやろうとする部分と、国としてめんどうを見てもらう部分とにすっきりするということでありますが、問題は、非常に公共性の強い地方線を切り捨てることが、また今回の計画の重要な部分になっていろわけであります。要するに、今回のこの再建案そのものは、地方のそういった犠牲の上に再建を図ろうとする、そう言わざるを得ないのではないかというように思います。  私は、国鉄再建計画なるものは、広く国民共感を得るものでなければ実効は上がらないと思います。そのような観点に立ってこの案を考えました場合に、いたずらに国鉄に対する国民不信感のみを助長するような再建案ではないか、そのように思うわけであります。したがって、今日までの国鉄経営のあり方について現在国民は非常に大きな不満を実は持っているわけでありまして、そのような不信感国民をして国鉄離れをしている一つの大きな要因ではないか、かようにも言っていいのじゃないかと思います。  このような観点から考えました場合、この再建案が真に最善、最良のものであるかどうかということについて非常に疑念を抱く者の一人であります。したがいまして、そういう意味で、いま一度運輸大臣並びに国鉄総裁の所信をお伺いしたい、かように思います。
  15. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように、現在の国鉄財政的な面での立て直しを図るには、いろいろの手当てをしていかなければならないと思いますが、その中でやはり基本となるのは、国鉄自身利用者国民の皆さんにきちっと企業としてやっているということをお認めいただけるような主体性を国鉄自身がつくるということが中心にならなければいけないと思います。ローカル線の問題につきましては関係地域の住民の方々に何がしかの意味において御迷惑をおかけすることになるわけでございますし、年金、退職金等の特殊なものについて、あるいは過去債務について助成を求めるということは、これは大ぜいの結局は納税者国民に御迷惑をかけることでございますから、それについて御理解を得ますためには、国鉄自身がぎりぎりの努力をするということがまず基本にならなければならないということは私どもも肝に銘じておるつもりでございます。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、この法案国鉄経営改善をするため方針改善計画としてまず作成しなければならぬのでございますが、これが、いま異常な財政状況にある国鉄でございますので、この際、この抜本的な再建を図るための方途をこの改善計画の中に盛り込んでくれることと私は思うておりますし、また、それによって再建の兆しをぜひつかみたいとわれわれも思うておるのでございます。  それと、もう一つは、地方交通線の問題でございまして、さらには国の負担を明確にするということも含まれておるものでございまして、要するに、この法案三つから成り立っておるわけでございます。その中の一つとして、地方交通線のことが国民犠牲を強いる、こういうお話であろうと思うのでございますが、私は、これはできるだけ地方交通を確保するという、この基本的な方針には変わりないのでございますけれども、これが現在国鉄犠牲において確保されておるということもまた事実であろうと思うのでございますが、この際にそれらを、国鉄財政がこういう状況になったときでございますだけに、見直しをしていただいて、この地方交通の、地域におきます交通の確保ということは、これはもう行政責任であり、政治の責任でございますが、それをどのようにして確保していくかということをひとつお考えいただきたいと思うておるのでございます。  したがいまして、そういうことで地域交通に不安を与えたり、御迷惑をかけたり、そういうことのできるだけないようにわれわれも努力していかなければならぬと思うておるのでございますが、いずれにしても国鉄財政がこういう状況になったことから原因が出ておることでございまして、われわれは一刻も早くそれがためにも再建を図って、国鉄がしっかりした経営になってまいりましたら、またそのような地域におけるサービスも可能なことになってくるであろうと思うておるのであります。
  17. 小渕正義

    小渕(正)委員 まあ地方の非常に公共性の強いところの特殊性がありますから、そういった面ではそれを一方的に国鉄自身にすべての責任を負わせるということについては、これはまたある程度行政側から見て一考を要する問題だと思います。しかしながら、今日の現状から考えました場合、そういったそれぞれ地方ローカル線国民の側から見ました場合に、本当に今日までの国鉄経営がぎりぎりまで真剣にそれに取り組んで、その結果としてこのようにやむを得ないところに来たのかどうかという意味においては、残念ながら国民はそういった共感はありません。問題は、やはりいま国鉄自身がみずからの経営責任としてやろうとしている三十五万人体制をどう早くとるか、管理間接部門をどのように合理化節減してしまうのか、もうぎりぎりそういったすべてのものにあらゆる手を尽くしてしまったその結果として、これだけのものはどうしてもやむを得ないということでの赤字地方線考え方が出るならばそれなりのまた理解の仕方が出てくるだろうと思います。したがって、私はそういう意味では、今回の再建はやはりまず国鉄自身がいまからもう一度、やるべきこと、やらなければならないこと、そういうもの一切すべてに努力したその結果として、次の問題としてこういう問題を考えるべきではないか。そうしないことには、今日のような、ただ膨大な赤字を抱えることになりましたからということで、先ほど私申し上げましたように、一面においては赤字線は切り捨ててしまうような、そういった一面的なやり方については、非常に国民としては不信感を持つばかりでありましで、そういう点でなぜそういった順序というものを経ないのか。問題は、われわれから言わすならば、そういう一つの事柄には物事の順序があるのではないか。それをいきなりいま三つ、そういった形で出してきているところに非常にこの再建計画の問題があるのじゃないか、かように指摘するわけでありますが、そこらあたりについて御見解があればお伺いしたいと思います。
  18. 高木文雄

    高木説明員 先ほど申しましたように、私どもといたしましては現状を改めて、そして能率的な経営ということを確立をしなければいけないと思いますけれども、しかし現在の国鉄は、私どもの力ではできない分野もあるわけでございます。それは現在の問題でなしに、だれがどういう責任があるとかなんとかということは別にして、現実に非常に大きないわゆる過去債務を負っておるわけでございますけれども、これを何とか今後の努力によって回収をするというか、取り戻すとかいうことは現状においては不可能でございますし、また逆に将来の問題といたしまして、年金問題について際限のない負担がふえていくわけでございますけれども、これも私ども努力等では解決をし得ない問題でございますし、また地方ローカル線の問題につきましても、やはりどのように努力をいたしましても赤字は生まれてくるわけでございます。  その中で、そうした問題と、私ども努力によって立ち直り得る分野と、その分界点を決めていただくということが非常に大事なことでございまして、私どもといたしましても努力目標をはっきりさしていただきたい、それによってその努力目標の中で私どもはいたしますし、私どもの力の及ばざる分野につきましては、いろいろな形で御援助を賜りたいということでございます。確かに私ども努力自身中心課題であることは先ほどもお答えいたしましたけれども、さりとて、どこまでがんばればよろしいのかという一つ目標をいただきたい。その目標のもとにおいて、六十年度を一つのめどとしてがんばってまいりたいというわけでございますので、ほかのことはまず後回しにして、とりあえずおまえはがんばれと言われましても、なかなか目標がはっきりしないことにはそういう一つの盛り上がりを職場の中でつくっていくことがむずかしいわけでございますので、ぜひともその辺は、まずおまえらだけやれ、後は後回しということでなしに、全体の絵をお示しいただいて、われわれの目標を達成する意気込みが出てまいりますような雰囲気をおつくりいただきたいと私ども考えます。
  19. 小渕正義

    小渕(正)委員 総裁、勘違いされては困りますが、私はそういった国鉄の持っている体質的な構造的な分野公的助成をせなければいかぬ、そういうものについてまで、いまのところがまんしてともかくがんばれと言っている意味じゃないのですよ。そういうものはきちっと整理して、ただ今回出されているのは、そういう国鉄自身としてはもうどうにもならないような、そういう問題は一応別にしてしまう、そうして努力目標をひとつ定めてくれという、そういう中で都合のいい、そういう赤字線のようなところも別に切り捨ててしまう。要するに、余りにもそういう自分たち都合のいいところだけを残しておって、努力目標でわれわれがんばりますというふうにしかとれないわけです、今度の再建計画は。だから、赤字地方線の問題も自分たち努力目標の中に含めて、もう一度そういう三十五万人体制その他あらゆる管理間接部門のそういった合理化その他真剣に取り組んでみた結果として、真にやむを得ない場合における赤字ローカル線をどうするかという二段構えですべきじゃないかということを言っている。だから、そのあたりひとつ誤解がないように、何も現在置かれている国鉄のそういう構造的ないろいろな問題すべて目をつぶって、ともかくいまからまた一つ目標でがんばれ、そういう意味で言っているわけではございませんので。ただ、国民の側から見ますならば、やはり今回、今後の経営努力の中にはいまのそういう赤字地方線まで含めた中でもう一回努力する。現にいままで再建計画努力されたことが、結果的には全部実効が上がっておらぬわけであります。要するに、国民の側から見ますならば、三十五万人体制が言われてもう久しいわけでありますが、いろいろな間接部門節減にしましても合理化にいたしましても、いろいろと手をつけなければならぬようなやつをいまからやろうとしておるわけだと思いますけれども、そういうものの中での努力を最大限やった上で地方線考えるべきじゃないかという意味で申し上げておるのです。そういうことでしか国民理解できないのじゃないか、そういうことを申し上げているわけです。
  20. 高木文雄

    高木説明員 御趣旨はよくわかります。しかし、お言葉ではございますけれども、現在の地方ローカル線につきましては、これまでもかなりいろいろ御迷惑をかげながら経費節減等に努めてまいりました。たとえば無人駅にするとか委託駅にするとかいうことでやってまいったわけでございます。しかし、毎年どうしても全体の傾向としてお客さんが減るわけでございますし、それから、いま地方交通線に従事しております職員につきましても、今後ともなお経費節減意味減量経営には努めますけれども、それをやったといたしましてもどうしても収支償うことにはなり得ないわけでございまして、先般来御説明いたしておりますように、大ざっぱに申しまして地方ローカル線について経費が四千億かかります。収入は千億弱でございます。この状態をいかにがんばりましても、いまの経費をたとえば半分にするとかいうことはほとんどできないわけでございますので、その部分につきましては必要であれば私どもバスで運ばさせていただきますから、そうやりますと経費が減りますので、それによっていろいろと御不便はかかりましょうけれどもバスの方を御利用いただくということにしていただけませんかというのが、現在の案でございます。すでに千億以上の補助金をいただいておりますけれども助成前で三千億の赤字が出ます現状では、どのように努力をいたしましてもこの赤字がなくならないわけでございますので、これについても御協力をいただきたいというのが私ども考え方でございます。
  21. 小渕正義

    小渕(正)委員 その件についてはすれ違いになりますけれども、時間がありませんので先に進みます。  要するに、国鉄自身として今回の再建計画を果たして真に最善のものとして考えられたのかどうかという点を中心にお聞きしたいと思いますが、今回の再建案は昨年十二月の閣議了解事項の中ででき上がっているわけですね。したがって、その再建計画中心となったこういった骨子なるものは、国鉄自身の自主的な立案の中ででき上がっているのか、やはり運輸省の指導助言等を得ながらようやくこういうものがまとまってきたのか、そこらあたりはどちらに重点を置かれているのですか。今回の再建計画を作成するに当たってのウエートはどちらが重点に置かれておったのか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  22. 高木文雄

    高木説明員 お示しのように閣議了解で大筋が決められたわけでございまして、これ自体はもちろん政府でお決めになったわけでございますが、その前提としては、私どもがつくりまして運輸省に提出させていただきました再建基本構想案というものがございます。これは昨年の七月に運輸大臣提出いたしたものでございます。それで、これの骨格といいますか大筋を御採用いただいて閣議了解になったものと考えております。  そこで、この基本構想案をつくります経過におきまして運輸省と私どもの関係いかんということを申しますと、もちろん運輸省の御指導があったことは事実でございますし、私どもも運輸省との問で意見交換を何回も行ったことも事実でございますけれども、骨格となる、たとえば三十五万人でひとつやりましょうというようなことにつきましては、われわれ自身がつまりそういう腹を決めてやりますということを申し上げたわけでございまして、決して運輸省の御指導あるいはサゼスチョンがなかったとは申しませんが、私ども自身の手によってつくったものであると申し上げて大きな誤りはないのではないかというふうに考えております。
  23. 小渕正義

    小渕(正)委員 先ほどからお尋ねしておりますが、その点に触れられていないわけですが、もういまの国鉄のあらゆる頭脳をしぼって考え出したこれが最善唯一の再建策だ、このようにお考えですか、いかがですか。
  24. 高木文雄

    高木説明員 現在の国鉄のいろいろな意味での体質から申しまして、最善というよりは、がんばるだけがんばった案だというつもりでおります。
  25. 小渕正義

    小渕(正)委員 要するに、これだけはひとつがんばってみようという努力目標としてつくったということになるわけですね。
  26. 高木文雄

    高木説明員 お言葉を返すようですけれども努力目標というよりはもう少し必達目標といいますか、必ずいたしますということを含めての内容のものでございます。
  27. 小渕正義

    小渕(正)委員 そういう点で再度お尋ねしますが、しからばこの再建計画の遂行と経営責任の所在といいますか、そういう点でお尋ねいたしますが、いまの総裁のそういったあれから言って、国鉄としてぎりぎりの中で考え抜いた再建案にこれから取り組んでいくわけですね。それが結果として、六十年度にそういう目標再建が軌道に乗らなかった場合における経営責任はどうなるのですか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  28. 高木文雄

    高木説明員 法律に定められておりますように、この法律成立の後なるべく速やかに経営改善計画を立てて運輸大臣に御提出いたすわけでございます。そしてまた、それは毎年の進行状況に応じて、場合によっては改められた計画を立てることになります。要するに、毎年毎年、一種のローリングプランと申しますか、計画を立ててお約束をしてまいるわけでございますので、その計画を立てて提出してやっていく以上、それについて私どもが自分で計画を立てて提出するわけでございますから、それを実行する責任は私どもにあるということで、必ずそれを実現できるようなものをつくってお出しする、そしてそれを実行するというつもりでおります。
  29. 小渕正義

    小渕(正)委員 私は経営責任の所在という意味で聞いておるのです。いまのお話を承りますと、要するにこの改善計画は一年ごとに運輸大臣に出して、それを受けながらまた次をやっていくというようなことになっているわけでありますので、そういう意味では責任の所在というものが非常にぽかされてしまっておる。取り方の問題でしょうけれども、傾向としてそういう感じがなきにしもあらずと思います。  私が指摘したいのは、この前も再建計画をつくって赤字をたな上げしてしまった、しかし結果としてはこういうようになりました、また今回こういう再建計画をつくりました、六十年度にこういう目標でやります、その結果また、この前のような再建計画と今回の取り組みが違うかどうかわかりませんけれども、結果としてまた前を蒸し返すような形になった場合のことをわれわれは非常に危惧するわけです。残念ですけれども、今日までの国鉄のこういった問題に対するあり方から言って、そういう不信感を持たざるを得ません。しかし、そういった場合における経営責任について、当の国鉄は一体どのように考えておるのか。どうもいまの感じからいきますならば、一応運輸大臣に出して運輸大臣の承認を得ながらやっていくのだから、結果的には運輸省の責任だというようなことになりかねないような感じさえするわけでありますが、そこらあたりは形式上の問題を抜きにして・総裁としてこの問題についてどのような決意を持っておられるか、その点をお尋ねしたいのです。
  30. 高木文雄

    高木説明員 確かに今日まで何回か再建計画が立てられてまいったわけでございまして、そして、それが破綻をいたしたわけでございますけれども、しかし、五十一年あるいは五十二年の段階で、たとえば一例でございますけれども、一万五千人の減員計画というのを立てたことがございます。これは五十一年から五十五年まででございます。それで、現在の見通しでは、この一万五千人の減員という五カ年間の計画を上回る実績を上げることは、現在までのところ確実であるということが言えるわけでございまして、必ずしも計画のすべての面において、ただお約束しただけで何もやっていないということではないわけでございます。特に、最近の事情におきましては、いろいろと労使関係等もだんだんと変わってまいりました関係もありまして、そういう減量計画につきましてはお約束したものを実行できる状態になっているわけでございまして、私どもがお約束したことが全く守られていないということではないということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、従来の計画と今回の計画の非常に違います点は、非常にはっきり、この分野政府の方でやってあげましょうということを言っていただいておるわけでありまして、従来のものをしさいにごらんいただきますと、どこまでが私どもができる点であって、どこから先は御援助いただかなければならない点かという分界点がはっきりしなかったわけでございます。今回はそれが、こうした性質のものは政府の方でめんどうを見ましょうということがあらわれているわけでございますので、そこで、われわれとしてもここまでがんばればいいということがはっきりしてまいりましたので、われわれとしては今回の計画は必ず実現できるものと考えておるわけでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕 それができませんでした場合には、これはいわば私の責任ということになるわけでございまして、また、私一人でやっているわけではなくて、中で十分議論を尽くし、皆ととっくりといろいろ協議を重ねながらできた計画でございますので、これでうまくいかなければこれはまさに私の責任という以外にないわけでございますが、私は必ずや実現できるものと考えております。
  31. 小渕正義

    小渕(正)委員 私もお尋ねしているのはその点にあるわけでありまして、要するに、従来とは違って責任の分担を明確にした、それだからこそなお国鉄当局としての経営責任というものを考えなければいかぬのじゃないかという意味質問しているわけですね。それが今回の再建案の大きな違いであると思うのです。だから、そういう意味で、いまの総裁お話でいきますと、何とか努力目標は達成できそうだという見通しを言われておるようでありますが、そういうことでありますれば非常にいいことだと思いますが、そこまでのお考えがありますならば、国にお願いする分、みずからの責任でやる分というふうにここに明確にしたわけですから、当然いろいろ事情が、第三者的に不可抗力な要素があるかもわかりませんけれども、少なくともこの努力目標が達成できなかった場合には、国鉄は挙げてその経常責任ため重大な決意をするぐらいの、そういう表明があってほしいと私は思います。残念ですが、いままでの国鉄の実態を見ておりますと、こういう赤字を大きく出す、しかも国費をどんどんそれに投入するという経営形態の中にありながらも、本当にそれに対してどこまで経営者としての責任を痛感しておるのかどうかという点については、私たち民間で育った者から見ますならば、まことに唖然とせざるを得ないような面がございます。御承知のように、第一次石油ショック以後のそれぞれの民間産業に働いていた人たち減量経営でどうして切り抜けてきたかというと、まず率先して社長並びに管理職の人たちが賃金を幾らかでもカットして何とか危機を切り抜けようとしてきた。もちろん金額的に大したものではありません。しかし、問題は心構えの問題だと思います。そういう問題について国鉄自身は何もそんなことは全然やられた形跡がないと思います。まして、私いろいろ内情を聞いておるわけでありますが、国鉄一家といいますか、退職日をわざわざ四月一日にして、そして、おやめになる人たちについて昇給、ベースアップした上で上積みした退職金を支給する、そういう甘えが許されている体制かどうなのか。  これはいろいろありますけれども、そういう点で、本当に今回は、国鉄自身がみずからのやるべき分野だけをはっきりしてもらってそれでやろうとするからには、おのずからそこに対する経営責任もまた重大に考えなければいかぬのじゃないかという意味で、その考え方をお尋ねしたわけでありますが、その点について御見解があれば承りたいと思います。なければ結構です。
  32. 高木文雄

    高木説明員 しばしば民間で赤字になった場合との比較が議論されまして、非常になまぬるいと言われておるわけでありますけれども、私どもの仕事の枠組みというのは現行法のもとにおきましては予算その他、統制下にあるわけでございますし、給与等の決定方式等につきましても現在のような方式に枠組みが決められているわけでございます。そこで、現在の取り組みが甘いといろいろ言われますけれども、これは一定の枠組みの中で行動をしておるわけでございまして、民間の会社のようにいろいろな意味で当事者能力を一〇〇%発揮しながら物事が進むという体制にはなっていないわけでございます。しかし、それではなかなか事が進みませんので、私どもといたしましてもいままでの体質を変えて、とにかく民間の会社とは違うのだ、公共企業体というのはそういうものなんだという観念を少しずつ薄めていく、形としては公共企業体でありましても、いかにもこれは企業体であるということを忘れてはならぬわけでございますので、そういうものだということをいろいろな機会を通じて教育を徹底していくということが今日最も重要なことではないかと思っております。ある意味では、どう見ても採算に合わないということについてはこれを直して減量したいということがありましてもお許しが得られないわけでございまして、公共的使命というものはどうしても忘れることはできないわけでございますので、そういう意味では民間の赤字会社の場合とは非常に違いまして弾力的に行動できないことを私自身も歯がゆく思いますけれども、しかし、これは与えられた枠組みでございますから仕方ないと思っております。ただ、その与えられた枠組みの中で、いわゆる親方日の丸と言われましたり国鉄一家と言われましたりするような点を大至急取り除いていくということで取り組む以外にないのではないかと思っております。
  33. 小渕正義

    小渕(正)委員 このところをもう少し具体的にお尋ねいたします。  今回の再建で、国鉄自身がみずからの責任においてやるべき計画の中で一番骨子になっているのは、要するに昭和六十年度までに俗に言う三十五万人体制にするというのが大きなポイントだと思うのでありますが、ただそれだけを出しておるわけでありまして、具体的にどのような形の中でこれに到達しようとしているのか、どういうところを合理化しながらそういうものを図っていこうとしておるのか、何らそういうものが示されておらないわけであります。この三十五万人という根拠ば一体どこからきたのですか、そのあたりをまずお尋ねしたいと思います。
  34. 高木文雄

    高木説明員 最初に三十五万人ということを決意いたしましたときに、たとえば電車の運転士さんについていま何人おるところを何人減らすとか、線路保守の職員のところで何人のところを何人減らすということで積み上げていって三十五万という数字が出たわけではございません。経営全体から考えました場合に、私ども経営で一番問題がありますのは、経費の中で人件費率が高いということでございます。これは輸送業全体の傾向でございまして、製造業とは非常に趣が違う点ではございますけれども、それではいまの状態でいいかといいますと、大変不十分だ。過去におきまして昭和三十九年から赤字になりましたが、三十九年以前はどういう状態であったかと申しますと、収入を一〇〇として人件費率が五〇ぐらいであったわけでございます。それから、現在自立でどんどんやっていらっしゃいます私鉄の状況を見ますと、私鉄の場合にも、収入が一〇〇に対して人件費率が五〇を切っているわけでございます。ところが、私どもの方は現在人件費率が七〇近くになっております。そういうことから考えますと、過去の例から徴しましても、あるいは民間の例に徴しましても、人件費率を五〇ぐらいのところへ持っていくのは可能なはずである。そのためにはどういうふうな見通しになるかと申しますと、大体いまの四十二万の二割に当たります八万人ぐらいの人数を減らしながら、なおかついまより大きくサービスダウンをしないようにしながら経営をやっていけば単年度では収支が償うはずだという考え方でございまして、そういう意味で、現在の四十二万から約二割少ない人で仕事をやっていけば償うはずだというところでまず三十五万という数を出したわけでございます。  しかし、それでは具体的にそれは可能かどうかという問題になりますので、その後、片方では、地域ごとにどのようにして少ない数でほぼ同じだけの仕事をやっていけるかどうか、また、職種ごとにどのようなやり方の変更を行うことによって少ない数で同じだけの仕事をやっていくことができるかどうかということを作業分担といいますか、運転とか保守とかあるいは駅の仕事とかいう、そういう分担ごとにいま詰めておりますし、また地域ごとにも詰めております。その詰めております作業は完了いたしておりませんので、まだ労使交渉にも入っておりませんし、また一般に発表もしておりませんけれども、実はうちの中の作業といたしましては、その三十五万水準にほぼ到達し得る目標が今日段階で立ってきつつあるということでございます。
  35. 小渕正義

    小渕(正)委員 要約いたしますと、営業の収支のバランスの中での考えから逆算して大体三十五万人が出たということになるわけですね。そういうことの中でいま鋭意いろいろな検討を進める中で、大体それぐらいでやっていけるというようなものができつつある、こういうお話でありますが、これは一般論としてお尋ねしますけれども、どうですか、総裁、現在四十二万人でしょう、五年後に三十五万人、経営としてそんな大きな世帯の経営で果たして本当の経営としての行き届いた経営ができますか。どんな大きな会社を見ても、十万も超えるようなところはないですね。これが国鉄特殊性かもしれませんが、一般的な経営理論から考えてみても、大体そもそも無理がある、こういうふうに実際に経営されてみて思いませんか。その点いかがですか。
  36. 高木文雄

    高木説明員 現在のような複雑な社会になってまいりますと、戦争前から戦後にかけて鉄道省という一つの組織でできたといたしましても、現状においては、経営といいますか、一人で全体をまとめていくということはきわめてむずかしい問題があるということは御指摘のとおりでございます。ただ、現状においてそれを分けるということが可能であるかどうかということになりますとこれまた非常にむずかしいわけでございまして、一つの企業体として経営していくことは非常にむずかしい仕事ではございますけれども、さりとてこれを分ければいいかというとまたそこにも問題があるわけでございまして、よくございます分割論につきましては、現段階では、分割してみたら、じゃうまくいくかというと、必ずしもそういきにくいということでございますので、いまのところの私の心境としましては、歯を食いしばってでも一つの組織としてやっていく以外にないのじゃないか。問題はありますけれども、どっちを選ぶかと言えばいまの経営形態でやっていく以外にないのではないか。大変骨の折れることでございますけれども現状としてはやむを得ないかなというのが私の心境でございます。
  37. 小渕正義

    小渕(正)委員 三十五万人体制についていま考え方の説明がございましたが、これから内部のそういった節減合理化ですか、その他いろいろなところにメスを入れて、これでやれるような体制をつくっていくために現在検討中だ、こういうお話ですけれども、これからそういう体質を変えていくためのいろいろな具体的な検討をされる場合、国鉄の皆さん方内部だけで検討を進められるよりも、外部といいますか、やはり民間で、国鉄の外部からいままで見ておった、そういう人たちに中身、実態を見せて、入れて、そういう再建のいろいろな具体的なものをつくり上げていくということがよりベターではないかという気がするのですが、そこらあたりについて、現在は、いまのお話からいきますと、自分たち国鉄内部のそれぞれの部門の中でそれぞれ検討が進められて、一つ合理化案をつくっていこう、こういうお考えのようでありますが、その点についてどうですか、いろいろと違った角度から物を見て、もう少しできるような面がわれわれから見て大分ありますけれども、そういう点で、そういうものを導入しながらやるという手法についてはどうお考えですか。
  38. 高木文雄

    高木説明員 いまおっしゃいましたような御示唆は、各方面からいただくわけでございます。したがいまして、私どももきわめて限られた部分については、いまおっしゃいました方向でごく特例的に何人か他の企業から来ていただいたりしていまやっております。しかし、いま一番大事なことは、むしろ職員の一人一人が民間で言う一種の愛社精神といいますか、企業を大事にするといいますか、そういう雰囲気をつくることが最も大事なことではないか。そのためには、経営問題についても、交渉事項というようなことではなくして、実質的に労使の間でいろいろ話をする、そして、いまの経営の実態を働く人たち理解をするというような雰囲気をつくっていくことが大事じゃないか。それを考えますと、従来国鉄で育ってきた人たちはいわば無能なんだと言わんばかりに民間からどんどん人を入れてお知恵をかりるということは、果たしていまこの段階でよろしいかどうかということについてはやや疑問を持っておるわけでございまして、その前にまず、いまおります者の中が、もう一つみんなで経営考えるということになっていなかった傾向があります。運転士さんは運転のことをやっていればよろしい、保守の人は保守のことをやっていればよろしいという傾向が一般の職員についても、あるいはまた幹部職員についてもあるわけでございます。それではいけませんので、電気の専門家も、土木の専門家も、みんなもっと経営のことを考えるようにしようではないかという雰囲気をつくることにいま専念をいたしております。  ただ、御示唆ありました点はきわめて重要な点でございまして、将来の問題としても、いままで、どうしたらいいものかという私の考え方の中の一つにそういうこともございますし、まだ大々的には実行いたしておりませんが、一つ考え方ではあると思っております。
  39. 小渕正義

    小渕(正)委員 現在置かれている国鉄現状からいきますれば、そういうことも大切だけれども、みんながいかにやる気を起こすかということがまず大事だということのようでありますが、その点についてはまた触れたいと思いますが、私たち自身が素人で見ておりましても、こんなところ、何でこんなことをしておるのだろうか。四十にも五十にもなる人が本当にこんな仕事をせぬでも、ほかの人でももっと簡単に代用してできるような仕事があるのじゃなかろうか。私たちが利用しておってもそういう感じがするところがいろいろありますね。だから、そういう点では、何もそういうものを入れろというのじゃない。いろいろ現在の国鉄の業務というものに、内容というものにもつとメスを入れるためには、そういう第三者的な人たちの中で一回診断してもらう、そして、そういういろいろな合理化策というものを、より効率のあるものをつくり出していくということが必要ではないのかなという意味で申し上げたのです。だから、その点はこれから再建に取り組む中において、でき得ればそういう考え方もぜひ生かしていただきたい、かように思います。  次にお尋ねいたしますが、いまいろいろと今回の再建計画についての国鉄自身考え方をお聞きしたわけでありますが、要はどのようなりっぱな再建計画をつくっても、それが単なる評論とか論文とか、単なるぺ一パープランに終わっては何にもならぬわけですね。それとあわせて、再建計画をつくる場合の前提は、かつての再建計画はなぜ破綻したのか、なぜ実効が上がらなかったかという点についてまた徹底的なメスを入れることも、私は再建計画を実施する上において非常に重要な部分だと思うわけであります。  そういう点で考えました場合に、かつての五十二年ですかのときの再建計画先ほど国がというか、国鉄がどうにもならぬような分もすべてしょい込んでおったのだからしようがないのだという意味にとれるようなことを言われましたけれども、それはそれでわかるといたしましても、どうして前回の再建計画がこういうふうに破綻したのか、その主な要因は一体何なのか、そこらあたりについて当局としてはどのような分析をされ、どのような見解をお持ちなのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  40. 高木文雄

    高木説明員 過去におきます計画が、結果においてどういう点でそごを来したかということでございますけれども、これは大ざっぱに言って二点ございまして、一つは、輸送量の伸びの見方が高過ぎたということでございます。従来の計画におきましては、国のもろもろの経済計画がございますが、たとえば実質国民所得なり国民総生産が年率で六%なり七%なり伸びるであろうという前提の場合には、私どもの仕事もそういうふうに輸送需要がふえるだろうという前提で立てておったわけでございますけれども、いま振り返ってみますと、モータリゼーションが非常に進行した、あるいは工業地帯が臨海に移りまして海上輸送が非常に伸びたということから、経済計画で予想したとおり日本の経済は伸びましたのですけれども国鉄需要といいますか、国鉄輸送需要はそれほどには伸びなかったということでございます。その結果、収入見通しが甘かったということが非常に大きな一つの顕著な原因でございます。  第二は、経費の方でございますけれども、物価、賃金がこのくらい上がることが予想されるということが国の経済計画に織り込まれておりますが、私どもの方も物価、賃金の上昇率を、国の経済計画においてお使いになりました指標をそのままお借りした形で使って計画が立てられております。しかしながら、結果といたしましては物価も賃金も、国でおつくりになっております経済計画と実績を比較してみますと、計画よりも物価も賃金も上回ったわけでございます。その場合に、民間の場合には、賃金単価なり物価単価なりが上がりましても、もろもろの機械化、合理化その他の方法によりまして、単価が上がりましても総支払い金額はそれほど伸びないような非常な必死の努力があって民間の経営というのはうまく乗り切ってこられたわけでございますけれども、私どもの方は、いろいろな事情もあったにしましても、そうした予想を超える物価、賃金の上昇を吸収するだけの機械化、合理化なりあるいはその他の形による減量経営ができていなかったわけでございまして、収入の方を高く見過ぎ、経費の方を低く見過ぎたということから起こってきたという点が多いわけでございます。幸い、過去の時代と違いまして、安定経済の時代になりました。最近では物価、賃金の上昇もおさまってまいりましたから、これからはこの経費計画と実績とのギャップというものはまずそう大きく起こることはなかろうと思っております。  それから、収入の面につきましては、今後ともモータリゼーションその他他の輸送機関との競争は激しくなると思われますので、今回の計画の場合には需要の伸びをほとんど見ていないわけでございまして、経済が伸びましても私どもの需要増はまずない、ほぼ横ばいということで立てております。  その意味におきまして、過去において達成できませんでした原因を求め、その原因を教訓として今回の計画考えているつもりでございます。
  41. 小渕正義

    小渕(正)委員 当初予想の収入を下回った、要するに国鉄を利用する人たちの予想が計画より下回ったのが一つ要因だ。それから、逆に経費支出の面では、物価上昇その他に対するとり方がかなり食い違った、そういうふうに言われております。それは確かにそうでしょうけれども、そういう収入が予想以上に伸びなかったという要因について、モータリゼーションの問題とかいろいろありましょうけれども、ただ、そういうことだけで片づけていいのかどうか、私はそういう気がしますが、この鉄道貨物協会のアンケート調査によりましても、要するに国民の皆さん方が国鉄離れをしていったという一つの傾向は否定できないのじゃないかと思うわけでありますが、では、なぜ国鉄離れをしていったか、その要因はまたいろいろありましょうけれども国民の皆さん方が国鉄離れをしていったということについてはどのようにお考えなのか、あわせて、それはなぜなのか、どういうふうに当局では見ていられるか、その二つについてお尋ねいたします。
  42. 高木文雄

    高木説明員 非常に大きな要素は、やはり安定輸送ができなかったということでございます。特にいろいろのトラブル、これは自然災害等によるトラブルもございますし、ストであるとか順法闘争だとかいうこともありますが、そういう場合にそれから回復をするのに大変時間がかかりました。その場合に、輸送量が張っておった関係もありまして、旅客輸送中心での回復ということをやってまいりまして、かなりの程度貨物輸送を犠牲にしたということもありました。その結果、荷主さんからごらんになりますと、約束のときに材料が着かない、あるいは必要な時期までに製品が卸なり小売なりの段階に届かないという事態が起こりました。そこで、企業が自衛上鉄道から他の輸送手段を選ばれたということが大変多いわけでございます。これはもともと戸口から戸口までの輸送であるトラック輸送と、それからまた海上輸送と比べまして、大変われわれの方は弱点を持っておりますところへ、さらにそういう不安定要素が加わりましたことが非常に大きな原因になってきたというふうに考えられます。  それから、旅客につきましては、輸送の不安定による減というのはそれほど大きくないわけでございますけれども、この方はむしろモータリゼーションなり飛行場の整備によりまして、より速いといいますか、またより便宜な手段が出てきたということでございまして、この方については、先ほどから申しておりますように、輸送システムの変革というものの影響を受けたことの方が大きいのではないかというふうに考えております。
  43. 小渕正義

    小渕(正)委員 いま不安定輸送に対する問題も言われましたけれども、一国民の側から見まして率直に申し上げるのは、なぜ国鉄離れをしたかの要因一つには、やはり国鉄当局に対する不信感がかなり助長されたのは間違いないと思います。それがどのくらいかということは別といたしまして、そういう意味では、特に貨物が激減していったのも、結果的には違法ストといいますか、ストライキによるそういった不安定的な要素が、だんだんだんだん国民から国鉄を離れさせた一つ要因にも私挙げられると思います。  そういう点で考えますと、ここ三、四年間に、常態的になっておりますが、ストが発生した件数並びにそれによる実損といいますか損害、そういうものは大体どの程度あったのか、われわれはそのときそのときだけの現象でしか知りませんけれども、当局としてそれをまとめられておればその数字をひとつ明らかにしていただきたい、かように思います。
  44. 吉井浩

    ○吉井説明員 ここ数年間のストの損害額というお尋ねでございますが、私どもストの場合には簡単な推定による減収という手法を用いておりますので、厳密な意味の損害というのとは若干相違するかと思いますが、そういう前提でお聞きいただきたいと思います。  五十年以降を申しますと、五十年にはストライキが四回ございました。減収額三百九十二億というふうに計算をいたしております。五十一年も同じく四回、百八十五億。五十二年が六回ございました。百二十八億でございます。五十三年は五回、二百二十七億。それから五十四年、これも半日ストもしくは一、二時間程度という時限も含めまして四回ございました。減収額三十五億。ことし、五十五年、いわゆる春の闘争の場合にはこれまた半日程度のものを含めまして三回、三十二億ということでございました。合計いたしますと千億弱という数字でございます。
  45. 小渕正義

    小渕(正)委員 実損といいますか、減収というのはなかなかつかみにくいと思いますけれども、この五年間くらいでざっと一千億程度と一応言われておるわけですね。これは運休本数からいったら大体何本くらい運休したことになりますか。  その点と、これでいきますと、要するに実損のとり方でしょうけれども、本来ストライキが行われなかったら当然入るであろうという意味で想定した金額がこれではないかと思います。そういう意味で、それの対策を当局といろいろやった、そういう対策というのは、俗に言う積極的損害と消極的損害といいますが、そういう対策費はこの中に入っていないわけですね。その点をあわせて御説明いただきたいと思います。
  46. 吉井浩

    ○吉井説明員 運休本数でございますが、非常に丸い数字で合計して御報告申し上げたいと思います。  五十年が約二十六万五千本でございます。五十一年が七万五千、五十二年が三万、五十三年がまた増加いたしまして七万四千、五十四年が一万二千、五十五年は一万七千、こういう数字でございます。  それから、ただいまのストが起こりました場合にこの対策、たとえば混乱防止のために駅頭に派遣いたしますとか、あるいはスト終了後離れた場所に早急に乗務員を送りまして運転を再開するため、こういうふうな費用はこの外でございますが、これにつきましては、実はそれぞれの費目特定の集計をいたしておりませんので、過去にもお尋ねがございまして、なかなかこの集計は困難でございますというお答えをいたしておりますが、この額につきましては、非常に大規模な場合に数千万というふうなオーダーであろうという推定をいたしております。
  47. 小渕正義

    小渕(正)委員 いま、最近がかなり減っているようでありますが、それでも年間一万七千本とか一万二千本の運休が行われているということのようであります。  要するに、こういう実態というものについては、国鉄自身として皆さんやはりこういうものが年間行われて、実際これくらいの実害があったんだというようなことについては、どの程度まで職員の人たちに知らしているかどうか、その点はどうなんですか。
  48. 吉井浩

    ○吉井説明員 このような違法の事態が起こりました場合には、その後におきまして、私ども早速にそういった、ただいま御報告いたしましたような数字を集計いたしまして、部内のPRの手段で皆に知らしめております。  また、先ほど総裁も申し上げました、このようなストライキの起こる影響といたしましては、その運休した列車のみでなく、先ほどからお尋ねのように、これによって、たとえばお客さんなり荷主さんなりの信用を失う。そのために、たとえば過去数年間の非常に貨物の不況を来した非常に大きな原因になっておるというふうな事柄につきましても、もちろん国鉄全体でございますが、特に貨物を主管いたします部署といたしましては、あらゆる機会に職員に訴えておりまして、昨年あたりから若干貨物が上向いてまいりました。このあたりにつきましても、やはり一つの原因としては、まだ根絶できないことは大変に遺憾でございますが、過去に比べますとこういった不安定な状態が減ってまいった、一般の荷主さんはやはり国鉄を信用して荷物を送っても大丈夫だ、こういうお気持ちがかなり定着してまいった、これが最近における貨物が若干生気を取り戻したゆえんではないかというふうなことにつきましても、そういった積極面につきましても大いに職員にPRをいたしまして、そういった面からもやはりこういう違法な事態の重大さということを知らしめるように努めておるわけでございます。
  49. 小渕正義

    小渕(正)委員 では、こういう実態というものは、公表されて、それぞれ関係者皆さん全部承知されておるわけですね。——そうですか。  いま一部かなり回復しつつあるというお話でございましたが、端的に言って、やはり貨物が減少したのは、何といってもストライキによる、当てにならないというか、不安定なそういう要素が非常にあるということから、かなりの貨物が逃げていったということは、これは間違いないと思いますね。それから、そういうことによって、乗客の中にも、利用者の中にも、実際にやむを得ず利用する以外は、車でちょっと行けるところはもう車で行こうかという形で、どちらかというと非常にそういう意味国鉄に対する不信感国鉄離れをしていったのは、これは私は否めない事実と思います。そういう点で、非常に見逃すことのできないこれは一つの問題だと思うわけであります。  次にお尋ねしますが、今回、先ほどから総裁も触れられておりましたが、問題は、現在はいかに全職員がやる気を起こすか、それがすべてだということのようであります。それは当然のことでありますが、そういう意味では、全職員の士気をいかに鼓舞するか、要するに士気をいかに向上するかということは、ただ念仏的に幾ら呼びかけてもこれは何も実効が上がらないんじゃないかと私は思うのです。総裁が昨年の何月かにそういうことで全職員に呼びかけた文書を私も拝見させていただきましたけれども、われわれもこうしてやるからみんな一生懸命がんばろうということで出されておりましたが、私は今日の国鉄の置かれている内部状況の中では、そういう士気を向上するためのPRや呼びかけだけで果たして実効が上がるのかどうか、具体的にどういうことをやってそういうものをしていくのかということがないと、私は単なる念仏だけに終わるのじゃないか、こういう気がするわけでありますが、そこらあたりについて総裁はどのようにお考えですか。
  50. 高木文雄

    高木説明員 民間の企業の場合と異なりまして、どうも一人一人の職員が自分の勤め先である国鉄というものの経営の状態ということについて知らされていないという点は否定できないと思います。民間の企業の場合には、現場でどろまみれになって汗まみれになって働いておられる一般の職員の場合にも、いろいろな形で、どうも今月は製品が売れないようだとか、あるいは今月は大変うちの仕事が活発になっているようだとかいうことが、たとえば勤務時間が超過勤務というような形でびんぴんとはね返ってくるわけでございますけれども、輸送業の場合には、需要が落ちましても急に車両編成を短くするとか、あるいは列車本数を減らすということは行っていないわけでございまして、いわゆるダイヤ改正ということを通じて何年かに一遍行うだけだというようなことになっておりますものですから、毎日毎日の仕事を通じてうちの企業はことしはどうも調子がよくないとか、わりあいにお客さんが乗っていただけるなということは、車掌さんとかあるいは駅におります者は感ずることができますけれども、お客さんに触れることのない職場におきましては特にそういうことを感ずる機会がないために、どうしてもそういう現在の経営というようなことについて関心を持つ機会が職員全体に与えられていないといううらみがあるわけでございます。  本来そういう性格を輸送業が持っております上に、特にいままでの国鉄の中では、あらゆる職場に経営の実態を逐次知らせて、そして、みんなで考えてもらうというような雰囲気は、まあ率直に言って余りなかた。それはなぜかと言えば、戦後ずっと三十年間お客さんがふえ続けていたわけでございまして、必ずしも十分でない設備を使いながらどうやって輸送をするか、乗っていただこうという精神ではなくて乗せてあげましょうというような感じが非常に強いわけでございまして、最近になりまして貨物だけではなくて旅客もお客さんが減ってきた、それで今回のダイヤ改正も戦後初めて列車本数を旅客についても減らすということをこの十月一日からいたしたわけでございますが、いまごろ遅いじゃないかとおっしゃるだろうと思いますけれども、とにかくこうやって列車本数も減らすのだというところまできましたので、実物教育といいますか、実感教育といいますか、そういうものができる素地ができてきたと思います。私は抽象的な議論でなしに、具体的に経営の状態というものを幹部ではなくて一人一人の職員にまで何とか知らせる、そして、その人たちがその数字の移り変わりに絶えず関心を持つということを行うことがきわめて大事ではないかと思っております。     〔関谷委員長代理退席、楢橋委員長代理     着席〕  幸いにいたしまして、最近運転士の集団でありますところの動力車乗務員の組合におきましても、何とかお客さんに乗っていただく増収運動をやろうではないかというような提案を組合自身も言ってきておる状態でございまして、これをどうにかもっと一般化しなければならぬというふうに考えております。
  51. 小渕正義

    小渕(正)委員 経営の実態をそれぞれ各職員によく知ってもらう、これは非常に大事なことだと思いますね。そういう意味では、それがいままでやられてなかったので、逐次そういう点についてもひとつ取り組む、それが士気の向上の一つの方策だということでしょうけれども、それは大事だと思いますが、国鉄の場合には私はそれですべて事足りるんじゃないと思うのですね。民間だったら、それを知ればああこれは大変だ、自分たちのすべての生活の基盤である労働条件その他あらゆるものに影響してきますから、それはそれは真剣に考えますけれども、やはりその点は、いかに経営の実態が赤字になっておりましょうとも、自分たちのあれには一切関係ないような仕組みでしょう、いまの仕組みが。そういうことを考えると、ただそれだけでは——知ってもらうことも大事ですよ。しかし、知ってもらうだけですべて事足りるということでは、これは国鉄の場合には私はそれでは済まされないのじゃないかと思います、やはりあと一歩突っ込んだ対策を考えないことには。いかに経営が悪化し、赤字が出ようとも、最後はしりぬぐいは全部国が見ておるというような状況の中で、簡単に卑近な例を挙げますれば、自分たちの一切の賃金やボーナスや退職金やその他あらゆる生活の基盤であるそういうものにびんびん影響してこない、そういう状況の中で、知ってもらうことも大事でしょうけれども、ただそれだけで国鉄として事足りるということには私はならないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  52. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいまの総裁発言にちょっと補足をさせていただきます。  まず、やはり基本的には事態を知らしめるということが一番大事でございまして、総裁が申し上げましたのは、ただいままでそういう知らしめる努力において管理者側に欠けるところがあったということで、特にそれを強調して申し上げたと思うのであります。次には、これを知った上でどうすることであるのか、また知った上でどうしろという指導をおまえたちはするのであるかという御質問であろうと思います。  これにつきましては、私どもは二つの道、方向があろうと思います。これはもちろん両方とも十分に活用し、併用しなければならぬわけでありますが、一つには、やはり組合との関係でございまして、それぞれの組合との間に少なくとも共通の認識を持ちまして、またこの間によく言われます親方日の丸という甘えは許されない、やはりこの再建が成ると成らないということは国鉄の将来、またひいてはそこに働く一人一人の将来に重大な影響があるのだということにつきましての認識を共通にするために各組合との間でとっくりと話し合いをいたしたいということでございまして、その機運は、それぞれの組合と、名前再建労使会議あるいは再建懇談会ということで違ってはおりますけれども、そのような機会をつくって大いに意見の交換をやっておる、ひとり中央のみならず地方におきましても公式、非公式の形でそういうことをやっておるという事実はございます。  それからいま一つは、やはり職員に訴える、その場合に特に国鉄の現場における中心になります管理者層に対しまして国鉄現状を十分に訴える、そしてまた管理者がみずから立ち上がって親方日の丸の甘えを捨てて、今回の再建のこの法案に盛られておる精神に従いまして国鉄再建するという気構えをおのずと抱くようにするという手法が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  53. 小渕正義

    小渕(正)委員 いま若干触れられましたけれども、私は、今度の国鉄再建の前提条件になるものは、職場の中における、国鉄の中における健全なる労使関係の確立だと思うのであります。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕 これなくしては、いかにりっぱな再建案をどんなにつくろうとも、結果的には単なるペーパープランに終わってしまうのではないか。そういう意味では、私はこの問題は非常に緊急の大事な課題だと思います。どこの会社を見ても、労使がいがみ合う、いがみ合うという言葉は悪いですが、労使関係が不安定の中で赤字倒産しようという会社を再建する、そういう例はございません。みんなまさに労使一体となって再建に取り組んでこそ初めて実効が上がるわけであります。これはもう私がいまさら申し上げるまでもなく、社会的な常識であります。  そのようなことを考えますならば、いま国鉄がやらなければならないのは、そういうりっぱな再建計画も当然でありますが、それをいかに具体的に実施していくかという意味では、まず、いかにして今日における国鉄の中における健全な労使関係を確立していくかということだと私は思います。それが私は再建の決め手だと言っても過言ではないと思うわけでありますが、この点について総裁としてはどのようにお考えですか、所見をお伺いいたします。
  54. 高木文雄

    高木説明員 民間の赤字会社の立て直しの場合と比べて非常になまぬるいというおしかりでございますけれども、それは私どももそう感じております。  ただ、どうして非常に現実になまぬるくなっておるかということにつきましては、やはり明治以来今日まで、国鉄が主要輸送機関として公共的使命を持っておるという役割りを担っておるということで参ったわけでございまして、いろいろな意味で、能率が悪いということによって赤字になっている部分もありますけれども、実際、初めから採算に合わないということがわかっておってもやめることができないという非常に特殊な事情があるわけでございまして、言ってみればその特殊事情の上に甘えているといいますか、そういうことになってくるだろうと思います。  その意味で、民間の赤字会社の立て直しの場合とはまた違った意味で非常にむずかしさがあるわけでございます。また、現在のわれわれの置かれておりますポジションとしまして、全く企業として徹してしまって公共性というものを放てきしてしまうということは、経営的に言えば残念なことでございますけれども、われわれの与えられた役割りとして、それを捨てることはできない、またしてはいけないという前提で物を考えておりますので、いろいろと、おまえらのやっていることは非常に歯がゆいという御指摘を受けますけれども、どうもそこの一番肝心なところの採算性か公共性かという問題が、なかなかこうした問題に取り組む場合にも割り切れないでおりますことが、御指摘を受ける理由になっておると思います。しかし、やはり何としましても、企業性といいますか、採算性だけですべてを律することは、私どもとしては許されないものというふうに考えておる次第でございます。
  55. 小渕正義

    小渕(正)委員 私がお尋ねしたのはそういうことじゃなかったのです。私の質問が悪かったかどうかわかりませんが、確かに国鉄は採算性だけ重視してもいけない面がありますし、また公共性だけに頼っても採算という問題がございますから、そういう意味での特殊的な要素はわかりますが、いま国鉄が一番やらなければならない大きな問題は、いかにして国鉄の内部における健全な労使関係を安定させるかということが再建の決め手でないかと思うがどうか、こういうふうにお尋ねしたわけです。その点について総裁としてどうお考えかということをお尋ねしておるわけです。
  56. 高木文雄

    高木説明員 まさに御指摘のとおりでございまして、その点が一番重要なことだというふうに考えております。
  57. 小渕正義

    小渕(正)委員 そういった点で考えますならば、今日の国鉄の置かれておる状況から言いますならば、確かに動力車労組とか国労とか鉄労とか、またそのほかにもいろいろな組合がありますし、要するに会社で言うなら、一企業の中に複数以上の組合が競合し合うような中で併存しておるのが国鉄の職場の実態だと思います。それだけに労使関係の正常化は非常に困難な問題であろうということはわかりますけれども、しかし、その状況の中でやはり国鉄としては、どうしてもそういった労使関係の正常化を図らないことには、国鉄再建が行き詰まるのじゃないかと私は思うわけです。そういう点で、私はどちらかというと鉄労の諸君といろいろお話を承っておつき合いしておりますけれども、いろいろなお話をお聞きしますと、まさに果たしてこれが国鉄の労使関係の正常化につながるのだろうかと疑念を持たざるを得ないような問題をいろいろ耳にいたします。  たとえば、例を挙げてみますと、処分の延期、減給処分の段階的落としとかまたは軽減とか、懲戒免職者の再採用とかビラ、落書き等の放置とか、いろいろたくさんな問題が指摘されておるわけであります。こういうものについてやはり労使関係正常化の前提は、けじめはきちっとつけるものはつけていくということがあってこそ初めて労使関係の正常化が生まれてくると思うのでありますが、そういう意味ではいろいろお話を承っている国鉄の現場の実態は、労使関係の正常化というよりも、表面的には正常化が行われているようでありますが、実際にはその場その場の中での事なかれ主義での労使のなれ合いといいますか、そういうものが非常に横行している。それが表面的には一つの正常化的な様相を見せているような状況にあるように感じるわけでありますが、こういった問題は、まじめに一生懸命働く者はそれなりにやはりきちっとする。どうしても規則を破る、従わない——何といいましても、私はきょう聞いて一番びっくりするのは、国鉄の中における職場規律の確立がなされていない、職場秩序が確保されていない、管理者の権限が喪失してしまっている、こういう幾多の問題を私は聞くわけでありますが、こういうものをただ表面的にまあまあ主義でやっておっては、本当の国鉄再建はあり得ない、私はかように思うわけでありますが、このあたりについての御見解を承りたいと思います。
  58. 高木文雄

    高木説明員 ただいま御指摘の点は、私どもも痛感をいたしております。現場の規律についてきわめて欠くるものがあるということは、残念ながら否定できないわけでございます。それがどうしてそういう事態になってきたか。昔は決して軍隊にも負けないような規律があったわけでございますけれども、それが今日の事態においてどういうふうにして、どういう過程を経て崩れてきたかということを反省しなければならないわけでございます。同時に、これをどうやって立て直したらいいかというのがまさに大問題であるわけでございます。  具体的にはやはり現場の第一線管理者と申しますか、助役さんあたり中心とした諸君のいわば足腰がしっかりしてこなければいけないわけでございます。いろいろ人事の面とか教育の面とか、あるいはまた給与の面とか、いろいろな面で何か欠陥があったというものの集積ではなかろうかと思っております。これを直すということは緊急最大事なんでございますけれども、これにもまたいろいろ時間がかかるということでいつも頭を悩ましておるわけでございまして、そこに問題があるということは、私も十分認識をいたしております。
  59. 小渕正義

    小渕(正)委員 昭和五十三年六月に、政府に、公共企業体等基本問題会議意見書に関する検討結果報告書というものが出されて、同年六月二十三日、これを閣議に諮り、意見書の趣旨を尊重してそれぞれ対処することということで、関係企業体に全部これが出ておるわけですね。これを私いただいて読んでみましたけれども、私から見れば非常にもっともなことばかりが書いてあるわけでありますが、昇給延伸の取り扱いについても、一律的復元という措置は好ましくないのでこういうことをしてはいかぬとか、損害賠償についても、公的責任を明らかにしながらきちっとしていけ、それから対策費を含めた積極的な損害賠償という形の中で取り組まなければいかぬ、それから賃金力ットの問題にいたしましても、部分ストに対しての賃金支払い請求についてどのような態度でなければいけないかとか、それらが法律見解も含めて結論的なものすべて、これをお読みいたしますと出ておるわけであります。  こういうふうなものが閣議を経てそれぞれ関係企業体に、そういうことでやれと言われて一つのあれが出ておるわけでありますが、これらについて今日まで国鉄はどのようにこの趣旨を生かして実際に取り組まれてきたのか。私が先ほど指摘しましたような形とは全くうらはらのような感じがするわけでありますが、この点についてどのようにお考えなのか、その点お尋ねいたします。
  60. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生お示しのこの結果の報告書でございますが、この報告書作成の段階で閣僚会議の事務局と私どももしばしば意見を闘わせました。ある意味においては全く意見の同一したものもございますし、ある意味では若干の点で意見を異にする点もあったわけでございますが、総体といたしまして確かに先生仰せのように、大変に筋の通ったと申しますか、こういうことでございまして、私ども今後これを具体的にどのように適用していくかという場合の適用方の問題につきましては、それぞれ事業の実態がございますけれども基本的な方向としてはこれに従ってまいりたい。ただ、先ほど先生御指摘になりました、たとえば懲戒処分者の再雇用でございますとか、そういった幾つかの事象につきましてはこの報告書提出前の事態でございまして、この報告書提出の後といたしましては、やはり私どもも企業体の一環といたしまして十分にこの趣旨を尊重いたしながら処理してまいりたいと思う次第でございます。
  61. 小渕正義

    小渕(正)委員 発音がちょっと聞き取りにくいので、再度お尋ねいたします。  要するに、日本語の非常に便利なところですけれども基本的には尊重する、しかし、もにゃもにゃもにゃということになるわけですが、大体、これをこれから生かして取り組んでいく、具体的に実際これを一つのあれにしてやっていくということを言われているのかどうか、その点だけはっきりしてください。
  62. 吉井浩

    ○吉井説明員 仰せのとおりでございます。
  63. 小渕正義

    小渕(正)委員 ここでお約束されたわけですから、私もその点、十分今後のあれをそれぞれに見守っていきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、私たちから考えますならば考えられないような、要するに職場規律が確立されていない、職場秩序がどちらかというと乱れてしまっておるということが国鉄の最大の問題だという問題指摘をする人が非常に多うございます。今回のこの再建案を見ましても、私が知る範囲におきましては、どんなことを言ったってそんなことはできるものか、国鉄のどこの駅へ行ったって合理化反対とみんな書いておるじゃないか、三十五万人体制なんて何ができるものかと頭から信用していない人たちが多うございました。これは余談になりましたが、いずれにいたしましても、そういう意味では緊急の課題は、やはりいかにして職場規律を確保するかということが当面の国鉄の最大の仕事じゃないか、課題じゃないか、私はかように思うわけであります。  そういう意味でお尋ねいたしますが、ここ三、四年前から、国鉄においては現場管理監査というのですか、そういうものを実施して、そういう職場に対する異常な実態にメスを入れながら改善を図ろうとしているのではないか、そういったものに取り組まれているというお話を聞いておりますが、それについて、どのような目的で、また実際にどのような形でやられておるのか、そこらあたりについて要約して御報告いただきたいと思います。
  64. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいまの仰せは職場管理監査のことと拝察いたしたわけであります。これにつきましては過去数年にわたりまして、まず先生御指摘のような問題意識を持ちまして職場の実態をよく確認いたしまして、その上に立ってそれぞれの職場における実情をいかにして改善していくか、こういう目的のためにこのような監査を行っておるわけでございます。監査の態様といたしましては、地方管理局が特に自分の管理局の中で問題があるというふうに認めます現場を選びまして、そこに局の者が随時臨場いたしましていろいろなことを調べる、また特に問題と思われる個所につきましては、本社からも監査班を組みまして毎年幾つかの局、これは人手の関係もございますので六ないし七の局の十四、五の現場を実際に行って監査いたしておるということでございます。目的につきましてはただいま申し上げましたようなことでございます。  ただ、いささか敷衍をさせていただきますと、このような監査をいたします場合に、われわれは実態を知るということがまず根底でございまして、現場からはありのままの実態を隠さずにその監査の者に言うように、管理局なり本社の者なりに包み隠さずに言うようにということに努めてまいりました。近年ようやく、ある意味での信頼関係の回復の一つのあかしではないかと思いますが、そういった実態も明らかになり、それに対していかなる手を打つべきかということにつきましてもはっきりした手段がとれる、このような事態においおいなってきておるということでございます。
  65. 小渕正義

    小渕(正)委員 いろいろそういうことをやられることは結構ですけれども、問題は、そういうものをやられた後どのようなフォローをやっていくかということだと思うのです。いろいろそういうものをやって、こういうことでございましたと言ったきりになっては、結果的にはそれでは実効は上がらないわけでありますから、そういうものの上に立って、しからば具体的にはどのような解決策を、それぞれのポイントごとに指示なり何かそういう形の中で実際にそれをやらせておるのかどうか。それから、その状況というか、実態のそういう結果はどの程度の関係者まであたりが承知するのか、そのあたりは大体どのような状況になっていますか。
  66. 吉井浩

    ○吉井説明員 仰せのように、このような実態をつかみまして、これに対して何とか改善しなければいけない。その中で、たとえばいろいろな慣行と言われるものにどういった種類のものがあるのかということも見てまいりますので、そういうものについてはやはり早急に改善しなければならぬという問題意識を共通にいたすわけでございます。  それで、順序といたしましては、やはり現場でございますので、それぞれの現場で日々管理をいたしておる現場の管理者に対してその改善方を求めるわけでございます。ただ、実態といたしましては、これらそれぞれのものは相当長きにわたっていわば沈でんし、定着した慣行でございますので、現場限りに任せたのではなかなか改善ができないということで、やはり局も十分に力を入れてその問題について解決をしていく。また本社も、トレースと申しまして、こういった監査をしたところにつきましては、常時参ればよろしいわけでございますが、やはりほかの業務との兼ね合いもございますので、翌年そこに臨んでどこまで改善の実が上がったかということをチェックいたします。その結果、相当程度改善がされたという現場もございますし、残念ながら一年を経て余り改善の実が上がっていないというふうなところもございます。そういうところにつきましてはさらに力を注いでいくようにということでございまして、決して一度見てそれきりということではなしに後々のトレースもやっておる。そしてまた、その事態が改善されるまではそのトレースの手を緩めていないということを御報告申し上げます。  それから、この結果でございますが、これにつきましては、先ほども申し述べましたように、やはり現場としては、これは自分のところの恥ずかしいことであるという認識から、実態を聞き出すのになかなか苦労いたすというのが実情でございまして、したがいまして、最近は比較的そのようなことも薄くなりましたけれども、やはり最初のころは監査に行く者が、とにかく包み隠さずに言ってくれ、決しておまえたちをしかることもないし、ともかく言えということでいっております。そういう性質のものでございますから、余りこれを広くに公表するということになりますと、やはり真実を聞き出すことに支障を来すということもございますので、これについては本社ももちろんそれぞれの関係個所には結果を報告いたしております。それから、現場というか、管理局の長並びにその衝に当たる幹部というものに対しましては、実態をすべて知らしめておるという状況でございます。
  67. 小渕正義

    小渕(正)委員 同じく、これはこの間朝日新聞の六月二日付ですっぱ抜かれた、すっぱ抜かれたということでもないでしょうけれども、何か現場管理者の意識調査というのを三年ピッチぐらいでやられておる、その一部結果が朝日新聞の六月二日付で、「国鉄助役やる気も斜陽」「規律の乱れ“自認” 将来の望みも失い」、こういう見出しで一面の記事が出たわけですけれども、この職場管理者の意識調査というものの目的と、結果はこういうような形で明らかに出ているわけですが、その内容等についてひとつお示しいただきたいと思います。
  68. 吉井浩

    ○吉井説明員 朝日新聞に掲載されました現場管理者の意識調査につきましては、国鉄の内部機関でございます鉄道労働科学研究所というところで、昭和四十四年以来三年に一度意識調査をやっております。これは問題意識としましては、職場管理のかなめでございます現場の管理者、特に助役層がどういう意識を持っておるかということを調べまして、その年々の推移というものを見るのが目的でございまして、実はこの資料につきましては、新聞に掲載される前に当該研究所から詳しい説明を聞きました。実はこの朝日の紙面、きわめて限られた紙面に要約しておられますので、このような見出し、このようなトーンになったわけでございますが、実はこの資料そのものは、本日また余り詳細にわたって御報告いたすこともいかがかと思いますが、細かい幾つかの項目をつけております。たとえば企業意識はどうであるかとか、あるいは組合との関係をどのように現場長は認識しておるか、あるいは部下との関係はどうかということでございまして、また対象といたしましても、それぞれの系統、駅系統であるとかヤードの系統であるとか、運転系統、施設系統等々というふうに細かに分けた分析をいたしておるわけでございます。  私、実はこの報告を研究所から受けましたときの印象といたしましては、これは四十四年から調査を始めまして、その後三年ごとに調査しておるわけでございますが、全体に見まして、あらゆる助役さんの意識が四十四年が最高でございまして、その次の四十七年においてはなはだしく低落をいたしたということでございます。この原因につきましては、本日詳しく申し上げる要もないかと思いますが、このころに助役さんたちのフラストレーションと申しますか、いわゆる本社、局の当局に対する不信、不満というものが最も顕著になった時期ではないかというふうに思います。その後五十年、五十三年、朝日新聞に掲載されましたのは五十三年の研究結果でございますが、系統により項目によって若干の出入りはございますけれども、私どもこれを見ました感じでは、四十七年の最低の状態から五十年にかけてはおおむね横ばい、系統によってはさらに若干低下したところもございますし、系統によっては若干上向きになったというところもございます。五十三年は五十年と比べまして幾つかの項目については以前よりもよくなっておるというふうな調査も出ておるわけでございます。ただ、絶対値という点から申しますと、やはり四十四年に比べれば絶対値はそこまで及んでいないということでございますが、たとえば助役さんのやる気、企業に対するいわゆる同一感、あるいは部下、組合に対する態度というものも絶対値として非常に高いレベルにあるということはもちろん非常に大事なことでございますが、しかしまた、それと並んで大事なことは、傾向がどちらへ向いておるかということであろうと思います。下の方に向いておるのか、上の方に向いておるのかということも非常に重要な要素であろうと思うわけでございまして、そういった点から申しますと、まだ絶対レベルとしては不十分ながら、方向としては若干なりとも上に向いた方向を示しておるということで、私はこの報告を聞いたわけでございますが、新聞紙上では非常に要約されまして、そのような見出しになっておるわけでございます。  もちろん、私、現状に満足ということではございませんし、またいま申し上げた中でも、個所によりましてはなお低落しておるところもございますので、そういった問題についてはなお十分に心して取り組まなければならぬと考えておりますが、お尋ねの要約についてはただいまのようなことでございます。
  69. 小渕正義

    小渕(正)委員 時間が余りないので先に進みます。  実は「「職場規律確立」のための実態調査報告」という、ことしの九月鉄道労働組合がまとめた本があるのです。それを私見せていただいたのですが、先ほどから監査報告の中でなかなか実態がつかみにくいというお話がありましたが、そういう意味では私はかなり信頼度が高いのではないかと思います。これを読んでみますと、かなりいろいろなところでいろいろなことが行われ、本当にびっくりするわけでありますが、そういう意味では実態をいかに把握するかということが一番大事だと思いますから、そういう点での努力を特にお願いしておきたいと思います。  特に、これは名前は省きますが、私が承知しておるところでも、無断で国鉄を休んでおったのを、国労と当局とが一緒になって、結果的には病欠で処理した。しかも、わざわざ診療所に行って、診断もしてないのに病気の証明書を書かせて処理しておるとかいうような話も聞いておるわけでありますが、いずれにしても、まだまだ第一線の現場では皆さん方が実態を知らないような面でいろいろなことが行われておるのではないかと思います。そういう点ではこれは非常にいい参考だと思います。これは鉄労がまとめたのでしょうから、当然皆さん方に出してくるのじゃないかと思いますが、まずそういう点の実態把握に努めるということでぜひ努力していただきたい、かように思います。  次に、これも同じく職場規律確立の中での一つの大きな問題だと思いますが、何か職場協議の実態といいますか、そういうものが週刊誌の中にも幾つか出ておったようであります。週刊ポストには、「値上げ怪獣・国鉄のグウタラ労使関係を斬る」とかいうえらい見出しですけれども、要するに会津若松保線区での、俗に組合用語で言う現場協議の実態が生々しく書かれているわけでありまレて、これを見ると、本当にこんなことが行われておるのかということで唖然とするわけであります。  それとあわせて、同じくこれは週刊新潮の最近の記事だったと思いますが、国鉄の運転士が、横浜だったと思いますが、タクシー会社に勤務——アルバイトじゃない、勤務して、そして事故を起こして、事故の関係で恐喝したということで逮捕された。そういう中から中身が出ておるわけでありますが、これを読んでみますと、要するに、いかに運転士の人たちがそういうタクシー会社にも二重に勤務できるような余裕のある勤務体制であるかということをいろいろ皮肉って書いてあるのかこの週刊新潮だと思います。  要するに、今日の第一線の中においては、いろいろそういう問題がまだたくさん包含されている。しかも、それが中央上層部は全然関知しないと言うかどうかしりませんけれども、そういう意味でこういうものを読みますならば当然国民の皆さん方も唖然とせざるを得ないと思います。  そういう点でひとつ念のために私お尋ねしますが、国電なら国電のあれで結構ですから、山手線でも。運転士の勤務対応時間、普通民間のああいう私鉄の人たちと比較して大体時間的にそう差異がないものかどうか。余り時間もありませんので簡単でいいですからそこらあたりを説明いただきたい、かように思います。
  70. 吉井浩

    ○吉井説明員 先ほどの運転士のアルバイト問題につきましては、私ども非常なショックを受けたわけでございます。ただ、ちょっと週刊誌が誤解しておられる向きもあるのではないかと思います。と申しますことは、乗務員の場合には、御承知のように、普通の事務所の勤務の者と違いまして、朝一定の時刻に出てきて一定の時刻に帰る、こういう勤務ではございません。朝の初電車に乗る場合もあれば、終電車から初電車にかけて詰め所に一泊して翌日は明け番になるというふうなこともございます。簡単に申し上げますと、非常に長い勤務、短い勤務、そういうものの組み合わせでございまして、その間にはその長い勤務のそれを平均化するための休みというものもあるわけでございまして、くだんの運転士も実際の所定の勤務、これは現在運転士の勤務は出勤から退庁まで一週間を平均いたしまして六時間四十分、こういう決まりになっておるわけでございまして、その勤務時間は果たしておるということでございまして、その間の時間をあのようなことに使った、このこと自体はまた非常に大きな問題でございまして、これは職業人として非常に恥ずべきことであったというふうに考えるわけでございます。ただ、勤務時間が短いからああいうことになったということではないという点だけを一言前置きとして申し上げたいと思います。  それから、ただいまお尋ねの山手線の運転士の場合、これを私鉄と比較してどうかということでございますが、これもただいま申し上げましたように、出勤して退庁する、それまでの時間につきましては一週平均六時間四十分ということでございます。ただ問題は、その中で実際にハンドルを握っておる時間がどうであるのかということで往々にして比較の対象になるわけでございますが、私鉄の場合五時間以上ハンドル時間がある、それに対して国鉄はどうかという御指摘もあるわけでございます。私どもつぶさに私鉄の実情をあれいたしますが、ちょっと取り方が違いまして、やはり実際にハンドルをとる時間の前後の準備時間というものを含めるか含めないかでかなりの数値の違いが出てまいります。そういうものを勘案いたしましてもやはりわれわれが私鉄に対して若干遜色があるということは認めざるを得ません。これは55・10のダイヤ改正におきまして実ハンドル時間の充実ということをやったわけでございますが、そういった意味で厳密な比較ということはちょっと困難である、ただ、われわれはやはり私鉄に及ぶべく努力しておるということだけ申し上げます。
  71. 小渕正義

    小渕(正)委員 それぞれ置かれた事情が違うわけですから、そういうことをいろいろ聞いても始まらない。端的なことだけをお尋ねしておりますから、そういう意味で答えていただきたいと思います。 これもひとつぜひ問題として指摘しておきたいわけですが、要するに国鉄の構内に、しかもああいうホームじゃない、構内に横断幕、ビラ、落書き、その他いろいろな、あたかもああいう公共物をみずからの所有物のごとくいろいろ張られている、これに対してはいろいろな判例の結果、明らかにこれは違法であるし、損害賠償その他毅然たる態度でやらなければいかぬということがはっきりしておるにかかわらず、いまだにこれがあちこちで放置されている、これは一体どういうことか、そういう意味でも国民が非常に国鉄に対する不信感を持っている大きな要因一つであります。  これははっきりしておきたいと思うのですが、やはりきっちりとこういうものについて、やはりこういうものを見過ごすか見過ごさぬかということは何も労使の正常化の問題じゃないのです。お互いが約束したことはきちっとお互いが守り合うというところから本当に労使関係の正常化が生まれてくるわけです。ただ言いたいものを言わない、言うべきものを言わないということでは真の労使関係というものは生まれてこないと私は思います。時間がありませんので、この点は特に当局のきちっとした姿勢を期待しておきたいと思います。  次に、あと一つ私がお尋ねしたいのは、これは動力車新聞の機関紙ですから間違いないのですが、新幹線で二千三百九十二日間の闘いの集約ということで、名古屋の公害裁判との関係でしょうけれども、二千三百九十二日間も減速をずっとやっておるわけですね。これが明らかに成果だと出ております。この点について当局は、こういう減速という問題についてはどのような措置をされたのか。ただもう知らなかったのではないと思います。知っておって、しからばどのような理由でこのような形を続けさせたのかどうか、その点について、簡単でいいですから、ポイントだけひとつお答えいただきたいと思います。
  72. 吉井浩

    ○吉井説明員 二千何百日放置したかということでございますが、組合の方では減速の指令を出した、こう言っておるわけでございます。私ども実際に運行上見ておりまして、そのように名古屋の着発でおくれを出したという列車はまれにはございます。しかしながら、そう連日毎回ということではございません。また、乗務員に対しましては、当然本来の速度に従って運行すべきということは現場管理者を通じて重々日々申しておりますし、また組合に対しましても、運転速度を組合指令で左右するということは論外のことでございますので、厳重な申し入れもいたしたということでございます。
  73. 小渕正義

    小渕(正)委員 要するに、減速したかどうかは事実としてはっきりしないので、問題は、列車が定刻にぴしゃっと入ってくればそれでもう問題なし、そういう判断ですか。  それとあわせて、これは組合の指令でやられておるということですから個人の行為じゃないと思いますね。先ほどからお尋ねしたかったのですが、ストライキは違法ですから、大体ストライキをやる場合の労使の手続的なもの、これを決めること自体ちょっとおかしいのですけれども、そうかといっていきなりやられても困るでしょうから。大体組合の指令によってこういう闘争をやる場合においては、当局には事前に何らかの通告というのがどれくらい前にかあるのかどうか。そういう慣習的なものがないことにはやはりできぬのじゃないかという気もするのですが、しかし、これは余り取り決めると違法ストですからおかしいことになるのですけれどもそこらあたりは一体どういう形になっておりますか。その点を含めてお願いします。
  74. 藤田義人

    ○藤田説明員 ただいまお答えしまじたように、時筒としてはなかなかそこのおくれというものがはっきり把握できないような状態でございます。ということは、日常その駅間においての保守作業等がございますので事前に余裕時分を設定してあります。そういうことで当時、本人の方の減速がそのおくれの主因であるか、または徐行等がその主因であるか、諸条件の中からこれをはっきり判別することがむずかしいということでいまお答えしたところでございます。  なお、こういう問題が事前に通告されるという事態においては総裁名でこれに対する厳重な、その行為をやめるようにということもいたしております。  以上でございます。
  75. 小渕正義

    小渕(正)委員 じゃ、通告は事前に来るということですね、正式のそういう指令で争議行為をやる場合は。その点を聞いているのです。
  76. 吉井浩

    ○吉井説明員 ちょっとお答えが不十分であったと思いますが、正式な通告というのは大体参りません。したがいまして、私どもは組合がそういう通知を出したということをキャッチいたしまして、その段階で厳重な申し入れをするということでございまして、これは違法な事態であるという前提から、そういう手続を決めることはやはりなかなかむずかしゅうございます。組合の方も正式の通知はこちらに対しては送ってまいらないのが実情でございます。
  77. 小渕正義

    小渕(正)委員 わかりました。行為そのものが違法ですから、それをまた通告するのも確かにおかしい関係ですけれども、しかし人命を預かる重大な公共機関ですから、やはり何らかの形で事前にそういうものについてはあれがないと、お互いの何といいますか、ルールというものを——ルールをつくるのもおかしいと思いますけれども、何らかのものが私は必要だと思うのですが。要するに、この新幹線減速闘争は、組合は自分たちだけでそういうことをやったのだと言っているけれども、当局とレてはそういうことについては実態として一切把握もしてないし、そういうように見てない、こういうふうな判断ですね。——わかりました。  時間がございませんので次に移りますが、最後に、スト権ストの裁判の現在の進行状況、この点についてお尋ねしたいのです。いま裁判は大体どの程度まで進んでおるのか。それから、大体の見通し、時期、見通しというの憶大体いつごろ結審となるのか、そういうことについての見通しと現在の状態についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  78. 吉井浩

    ○吉井説明員 スト権ストにつきましては、五十一年六月十四日に第一回の公判が開かれました。その後十七回を重ねております。最近では九月二十四日、第十七回目の公判が開かれまして、次回は十二月三日、こういう指定でございます。大体二ないし三ヵ月に一回というペースで進んでおります。  現在どういうことを争っておるかと申しますと、当初は公労法十七条の違憲問題でありますとか、そういったことからスタートしたわけでございます。現在はそれぞれの被告側、つまり国労、動労の側から、個々の列車とスト指令との因果関係いかんという非常に微に入り細をうがった反論が提示されております。これに対しまして、当方といたしましては当然因果関係ありということを立証いたすわけでこぎいますが、ストライキがきわめて長期間にわたりました期間、しかも先ほど申し上げましたような多数の列車本数の中からいろいろとそういう個々の弁論を提示してまいりまして、私どもとしてはそのような議論をできるだけ簡単にという主張をいたすわけでございますが、ただいまの法廷上の経過といたしましては、なおその問題についての甲論乙駁を数回重ねなければいくまいというふうな見通しでございます。  先ほどお尋ねの今後の結審いかんということはどうも私ども見通しも持ちませんし、また裁判上のことでございますので申し上げるのもはばかるかと存じます。
  79. 小渕正義

    小渕(正)委員 何か風説として取り下げるとか和解的な動きがあるとかいうことがいろいろ流れてくるのですが、そういう事実はありませんね。
  80. 吉井浩

    ○吉井説明員 こういう御質問は国会でもしばしばの機会に受けておりますが、そういうことはございません。
  81. 小渕正義

    小渕(正)委員 時間が参りましたが、あと一つお聞きしたかったのですが。  いま国鉄国民の関心の最大の的ですから、いろいろな問題がすぐ週刊誌に取り上げられます。そういう意味では国労とユニオン交通産業の関連とかいうことでいろいろと——従業員四人で年商二億円というユニオン交通産業というところが、何か国鉄に物品を納入しておる。これが年商二億ですか、従業員たった四人。しかし、その幹部、取締役社長その他を見るとそうそうたる国労の元幹部がなっているということで、いろいろ皮肉って書いてあるわけでありますが、その点もう時間がございませんので次の機会に譲りたいと思います。  要するに、いま国民が最大の関心を持っている国鉄再建ということについては、こういったいろいろな問題に対して徹底的なメスを入れていかないことには、国鉄が国にお世話になって国からめんどうを見てもらおうといったところで、国民自身は本当に歯がゆい気持ちでいまの国鉄を見ているわけです。われわれ国民は人質にとられているようなものです。どうしても公共性のある国鉄は利用しなければいかぬ、しかし、いまの国鉄現状を見ると本当に腹が立ってしようがない、これが国民の偽らざる素直な感情だと思います。そういう点で考えますならば、今回の再建案の中では一応国鉄が自分の分野としてはっきりけじめをつけてやるべきものはやる、国にお世話をしてもらうものはもらうという形で、いままでよりはもう少し責任の分担を明確にしたような経営再建方式になっておりますが、しかし先ほどからお尋ねをいたしてみましても、最後になるとまた責任の所在がもやもやとなるような感じがなきにしもあらずであります。  そういう意味で、これは意見になりますが、やはりこれは従来の再建案と違って今回の再建計画がもしも遂行できなかった場合における、ただ単なる、何といいますか、国として見るべきものは見ていった、そういうことだけが残ってしまって、結果的に国鉄としてやるべき責任の分担の中でそれができなかった分についてはまたしようがないということになってはいけないと私は思いますので、問題はそこらあたりをどう歯どめをかけるかというのが今回の再建案の一番のポイントだど私は思います。そういう意味で、私は、国鉄の今回の再建計画に対する何らかの歯どめをどのような形できちっとさせるか、しなくちゃいかぬか、それをひとつ考えながらこの問題は討議を進めないことには非常にまた前者の二の舞になる、こういう意見があるということだけを申し上げまして、とりあえず私の本日の質問は終わらせていただきます。
  82. 小此木彦三郎

    小此木委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  83. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  84. 三浦久

    ○三浦(久)委員 政府国鉄再建をするのだ、こういうように称して国鉄経営再建促進特別措置法案を提案をしてきましたけれども、私は、この再建法案では国鉄再建はできない、そればかりではなくて、この再建法案は極端に国民犠牲を強要する、たとえば要員の削減で労働者に、そしてまた地方交通線廃止するということで多くの国民犠牲を強要する。そして、一方では大企業の権益というものを確保するものになっておりますけれども、このことを質問を通じて順次明らかにしていきたい、そういうように考えております。  この再建法は、過去債務について一定の対策を立てております。しかし、それはきわめて不十分である、こういうように言わざるを得ないわけであります。  国鉄現状というのはまことに深刻なもので、これはもう私から一々言うまでもないことでありますけれども、たとえば五十四年度の赤字でも八千億円を超えておる。政府助成を除けば一兆四千億円以上の赤字になっておる。五十五年度も九千億円近い赤字政府助成がなければ一兆五千七百億円の赤字。そして、五十六年度の概算要求では一兆八千億円近い赤字ですね。そして、政府助成がなければ、これはもうさらに、一兆八千億円以上の赤字になるというような大変な赤字なんです。  私はこういう経営危機というものをもたらしている一つの原因というのは借金政策にあるだろうと思いますね。借金政策を続けさせた結果、いま国鉄の長期債務の残高というのは十兆円以上になっています。五十一年の債務のたな上げ、これを含めますと十三兆円、こういう膨大な長期債務を抱えている、これはきわめて深刻な事態だというふうに私は思います。そレて、現在でもすべての利払いを計算をいたしますと、八千二百五十一億円というような利息を年間に払っているのですね。これは一日に換算しますと二十三億円の利息であります。毎日毎日きょうもあしたもあさっても、二十三億円ずつの利息を支払っている。一秒間に直すと、二万六干円です。私がこうやってしゃべっている間に、一秒間に二万六千円ずつ利息だけで支払っているという状態が現出しているわけですね。  私は、この利払いとか元金の償還、こういうものについて一定の手を打たなければ国鉄再建は絶対できない、そういうように思っているのです。全部の借金の支払いを停止するというようなことはできないにしても、たとえば財投関係等がありますけれども、財投を除いたものでも、いわゆる鉄道債券の借金、これが四六%に及んでいます。そして、残高では四兆六千二百十八億円ですね。四兆六千億円以上という鉄道債券を抱えているわけです。それでは、この鉄道債券というのはだれが持っているのかといえば、これは大企業であり大銀行であります。金融機関や大企業がこういう債券を持っているわけであります。そレて、この大企業や大銀行が持っている鉄道債券は、五十五年度末では五兆三千億円に達するのですね。大変膨大な額であります。そして、過去五年間の平均を見ましても、鉄道債券の利払いだけでも二千五百億円以上に上ります。元金の償還も二千六百億円以上です。合わせると五千億円以上の元利の償還を鉄道債券部分についてだけでもやっているというような現状なんですね。  私は、こういう利子の支払いとか元金の償還というものを国鉄再建のめどがつくまで一時ストップさせる、そういうことが非常に大事だと思っています。なぜならば、たとえば鉄道債券というのは三年据え置きで十年、利息も高いのです。財投とは比べものにならないほど不利な条件で借りておるわけで、これが国鉄経営を圧迫している一つの大きな原因になっているのは間違いありません。そレてまた、どの会社でも、だとえば最近でも佐世保重工がある、また株式会社興人もある。どんな会社でも、会社を更生する場合には、いわゆる会社債権者の債権をどうするのか。この債権を半分に切るとか三分の一にカットするとか、また五年間据え置いてあとは二十年で分割するとか、利息の支払いをストップするとか、そういうような手をまず一番先に考えるわけですね。これをやらなければ再建はできないのですよ。ですから、幾ら天下の国鉄といえども、資本主義社会の中における経営体ですから、そういう法則から免れることは絶対できないと私は思うのですね。そういう意味で、こういう大銀行や大企業が持っている鉄道債券の元金の償還や利払いの一時停止、そういうものにこの再建法案が何も触れてないということについて、どういうように大臣はお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  85. 山地進

    ○山地政府委員 まず、国鉄のいまの借り入れの状況を三浦先生から御説明があったわけでございますが、私どもは、やはり国鉄は公共企業体でございますが、企業体でございますので、こういった投資に関するものは、資金の金利あるいは償還ということも含めまして利用者負担ということが原則であるということに考えておるわけでございます。  そこで、いまの十二兆あるいは過去債務を除きますと十兆というものについて私はどんな考え方で臨んでいるかといいますと、これは国鉄再建についてという閣議了解にございますように、「累積赤字については、債務の棚上げ等により解消を図ることとし、昭和五十四年度末における累積赤字の一部について、債務の棚上げ措置を講ずる。」そこで、御説明しているわけでございますが、鉄道債券とそれから政府の資金とどういうふうなところにそういうものを割り振っていったらいいかということでございますけれども、私の方では債権者が特定していること、それから政府の施策に基づく条件改定について合意が得られること、それから、だな上げは長期間にわたる施策であるので償還期間が短期間でないこと等を基準にいたしまして政府の資金運用部資金の方の資金についてたな上げをしているわけでございまして、その他のものについては償還をし、金利を払っている。金利を払う点では政府から利子補助をいただいておるということと、それから片方では銀行に払っておるということになっておるわけでございます。
  86. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、結局は大企業とか大銀行に対する鉄道債券については何にも手を触れていないということなんですよ。結局債務の一部たな上げというのは政府融資の問題のまた一部なんです。ですから、運輸省も国鉄も鉄道の再建ためにもうずいぶん皆さん苦労されている。しかし、何にも苦労していない人がいるのですね。地域の住民はローカル線をはがされてしまう、労働者は合理化、人減らし、ところが大銀行とか大企業とかいうのはちゃんと元利の償還をそのままもらっている。通常の場合であればいいですよ。法律によって再建をしなければならない。民間で言えば破産会社でしょう。そういう状況のときに大企業や大銀行の元利の償還に何の手もつけないで、どうやって再建ができるのですか。  私はお尋ねしたいのですが、大臣、いままで銀行とか大企業に対して鉄道債券の利息、また元金の償還、これを再建のめどがつくまで一時ストップさせてくれ、こういうように要請をしたことがありますか、お尋ねをしたいと思います。
  87. 山地進

    ○山地政府委員 私どものいままで聞いているところではそういうことはございません。  それからいま、銀行と資金運用部資金の金利の問題と償還の問題をお触れになりましたけれども、資金運用部資金に返す、それから金利を払う。それはだれが払うかというのを国が補助しているということでございますので、国鉄の借りた金については、だれが払うかということを別にいたしますと、必ず払っているわけでございます。資金運用部資金についても金利があって、それについては三千四百五十七億の金利を国が払っているわけでございます。したがいまして、資金運用部資金をたな上げしたということは金利を払わないということではございませんので、その点はちょつと……。
  88. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そういうことはわかっていますよ。だから、結局なお悪いということなんだ。しかし、資金運用部資金の場合にはいろいろな関係があるから、それは利払いを停止したりなにかすると大きな問題になるでしょう、国家財政の問題ですから。だけれども、鉄道債券を持っている大銀行とか大企業に対する利息とかそういうものに対して何で一つも手を触れることができないのですか。それじゃこれからそういうことを要請する意思はないのですか。利息を待ってくれというようなことを——いや、ちょっと待ってください、国鉄総裁に聞いているんじゃないのですから……。
  89. 高木文雄

    高木説明員 ちょっと事実関係について……。  鉄道債券は借入金ではございません、ボンド、償券でございますから。ですから、これは転々流通するものであるわけでございます。たまたま第一次的にはいま銀行に引き受けていただいておりますけれども、転々流通するたてまえでございますから、私どもも発行者でございますが、どなたがお持ちかはわからないわけでございまして、そこで不特定多数の方が持っていらっしゃる、それの利払い停止ということになると、これは金融恐慌を起こすわけでございますので、ちょっとできない話ではないかなと思いますから、その点だけ申し上げておきます。
  90. 三浦久

    ○三浦(久)委員 レかし、監査報告書によれば引受者というのははっきりしているんですよ。それから、たとえば大臣、今度大きな冷害がありましたね。被災農民が大変困っています。そういうときに農林省はちゃんと局長名でもって各金融機関に対して借金の償還延期をしてほしい、そういう要請をしているんですよ。ですから、私は、これはやろうと思えばやれると思うのです。監査報告にだってちゃんとだれが引き受けたって書いてあるでしょう。だから、結局はやる気がないからできないということなんです。ですから、私は、やはりこの利息の問題というのが一番財政を圧迫しているし、これからもまた借金政策を続けよう、こういうことなんですから、私はまずここに手をつけることを強く要求をしていきたいというふうに思ラのです。それでなければ、幹線ではうんと赤字を出しておきながら、それでローカル線だけはばざばさ切ってしまう、そして大銀行や大企業にはどんどんもうけさせてやる、そんなことじゃだれも国民は納得しないと思うんですよ。  それから、私は過去債務の問題にちょっと触れましたけれども、それだけではなくて、これからの借金政策の問題について私は触れていきたいと思うのです。やはりいままでのように設備投資の資金というものを主として国鉄の借金によって行わせるということ、これをそのまま継続をしていきますと、経営基盤の確立どころかますますサラ金財政に落ち込んでいく、このことは私は明瞭だというふうに思っております。そして、利子負担がどんどんふえるということ、そのことは、もう御承知のとおり、これはコストが上がってくるわけでありますから、運賃の値上げということになる。運賃の値上げをやればまた輸送量が減る、そういうことになって、かえって私は悪循環をもたらすものではないかというふうに思うのです。  それで、私は今度は国鉄総裁に聞きますが、提案をしたいと思うのです。わが党はいままで再三にわたって、いわゆる国鉄の主要な施設、基礎的な施設、たとえば線路であるとか駅舎であるとか信号であるとか、そういうようなものについては全額国の投資で行うべきである、そして国鉄の借金政策でやらせるべきではない、こういうように一貫して主張してきているわけであります。しかし、現在の国の財政事情からいいますと、いま一遍に来年から全部設備投資を国の支出でやるということは、これは私はちょっと無理だろうと思います。しかし、そういう方向に持っていく努力というのは、私はうまずたゆまずやっていかないと、借金で雪だるまになってしまうのではないかということを恐れるんですね。そのためにこの国鉄の設備投資というものについて国民的な合意といいますか、そういうものを形成していく必要があると思うのです。いまでも国が見るべきだという議論もある、借金で国鉄がやれという議論もありますね、いやもっと別なところが出すべきだという議論もあるでしょう。ですから、そういうような大きな国民的な合意をつくり上げる前提として、私はこの設備投資すなわち工事関係の資金、工事関係については区分経理をする必要があるんじゃないかと思うんですね。いまですと予算決算を見ても、工事関係の借金が幾らで、さあ工事関係の利息は幾らかってなかなかわからない。皆さん方に一々資料要求をしていかなければわからないという状況でしょう。ですから、こういうものを明確にしていく、そして国民のだれでも一目見たらわかるというような状況をつくり上げていくことが大事だ、そういうふうに私は思っているのです。ですから、この工事関係についてそういう区分経理をやる意思があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  91. 高木文雄

    高木説明員 その点は、私ども国民の皆様にお示ししておりますいろいろな計表のつくり方があるいは悪いのかもしれません。現在の予算あるいは決算の上では、工事勘定は工事勘定としての区分経理はできておるわけなんでございますけれども、外向けに発表いたしますときに、余り勘定別にやると複雑になるというようなこともあって、ちょっと全体をどんぶり勘定のようなかっこうのものでとかくいろいろ計表をつくっておりますのでまずいのですけれども、これは工事勘定については、一応粗いものでございますけれども区分経理はできておるわけでございます。
  92. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私はやはりぴしっと区分経理をする、そして、それを前提にした上で、これは区分経理しただけじゃだめですから、それで、まずできるだけ工事規模というものを適正な規模にしていくということが大事だと思うのです。  会計検査院の指摘にもありますように、何千億円も不当事項として指摘されるというような、そういうむだなでたらめな設備投資をしないということ、いわゆる国民の要求もありますから設備投資ゼロというわけにはいきませんから、これを適正な規模に縮小する、むだな投資はやめる、そしてまたこの点に関する国の出資というものを順次ふやしていく、そして鉄道債券への依存度というものを少なくしていくということが私は大変必要なことじゃないか。これはやはり実行していくことが大事だというふうに思いますけれども国鉄総裁のお考えはいかがでしょうか。
  93. 高木文雄

    高木説明員 ただいまの点は毎度当委員会その他いろいろな場所で御指摘がある点でございます。そしてまた、もしそれが可能であれば望ましいことではないかと思いますけれども、実はその前に、よく御存じのとおり、赤字そのものについても始末をつけていただけないと、赤字そのものについても借り入れで泳いでおる、したがって、赤字赤字を生むという関係になっておりますので、大変ありがたい話なんですけれども、その前に赤字の方の処理をせめてもう少し何らかの形でやっていただけないだろうか。先ほども御指摘のように、一兆五千億というような大きな赤字になっておるのでございますけれども助成をいただいておるのは七千億でございまして、八千億はいわば、俗によくたれ流しと、こう言うんですけれども、そのままになって、それがまた金利を生んでおりますので、そういう事態から申しますと大変ありがたい応援のお言葉にはなるわけでございますが、設備投資について無利子の金を出していただく前に、赤字の方についてお願いしたいというような気持ちが強いのが実清でございます。
  94. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは並行してやることですよ。何もそんな段階論をとる必要は私はないと思うのですね。  それからまたもう一つ、私は、この構造的な赤字をなくしていく問題として貨物対策の問題、これをどうしても指摘しなければならないと思うのですね。この貨物も大変な問題ですよ。地方交通線廃止するというよりも前に、まさにこの貨物対策というものを私は徹底的にやる必要があると思うのです。たとえば、いま廃止対象になっている、予想されている路線の欠損額というのは、五十四年度で、この前の監査報告によれば九百九十五億円でしょう。ところが、この地方交通線赤字というのは旅客の黒字でカバーされでいるんですよ。たとえば、いま旅客が黒字の線というのは、五十三年度で十一線あります。山手線、高崎線、総武線、全部言いませんけれども十一線ある。この黒字額は合計で九百七十億円ですから、地方交通線赤字にほぼ匹敵しているんですよ。ですから、地方交通線赤字はもうわれわれが旅客の黒字でもって払ってやっている、そうなっているんですよ。ですから、赤字で一番問題なのは幹線の赤字ですよ。東海道本線の五十四年度の赤字でもう千億円を超えているでしょう。はるかに千億円超えていますね。そのうち東海道線の貨物の赤字は幾らか、九百五十二億円ですよ、貨物だけで。これは東海道本線の七割の赤字が貨物です。それで、先ほど申しました旅客では黒字を出している十一線について見てみると貨物の赤字が千三十七億円あるんですよ。こういう状況です。国鉄全体を見ましても、五十三年度の貨物赤字は六千七十六億円で、九千億円の赤字の七割を占めています。七割が貨物の赤字なんです。  それからまた、ちょっと歴史を振り返ってみますと、国鉄赤字になったのは昭和三十九年からですね。三十九年以降五十三年度までしか出ていませんけれども、五十三年度までの貨物の累積赤字は幾らか、四兆二百二十八億円であります。これは三十九年度と四十年度は、おたくの方で客貨別損益出してきてないから除いてあるのですよ。入れればもっとふえるのですよ。これは二年間分は除いた数字が四兆二百二十八億円です。  それじゃ、旅客の赤字はどのくらいか、七千百十一億円です。これも三十九年、四十年では旅客では黒字でしたからね、三十九年、四十年度も客貨別損益を見て入れればもっとこれは減るのです。ですから、貨物の赤字で四兆円、旅客では七千億円を切るでしょう。そういう現状になっているのですね。  ですから、この貨物の対策というものをどうやるかということが、私は国鉄再建の重要なポイントであるというふうに考えているのですけれども、この点について、運輸省、国鉄当局はどういう対策を具体的にとろうとしておるのか、簡潔に答弁を願いたいと思います。
  95. 高木文雄

    高木説明員 おっしゃるとおり、貨物が大変お荷物になっておるわけでございます。そして、よく言われますように、貨物安楽死論というような議論もあるわけでございますけれども、非常に運ぶ量が減ったとはいえ、これはなかなかやめるわけにもまいらぬわけでございます。  そこで、現在のやり方といたしましては、いわゆる固有経費、貨物を運ぶためにのみ必要な経費、これと収入とをバランスさせよう、それを六十年度までに完成いたしたい、そういうふうに考えております。
  96. 山地進

    ○山地政府委員 私どもも、貨物の問題につきましてはいろいろなところで議論されておりますけれども、やはり旅客が主であって、貨物がそれに乗っている、つまり限界費用でやったらどうだという考え方一つございまして、貨物をやめてしまいますと、その管理費が今度は全部旅客の方の赤字にはね返ってくるわけでございますので、そういう意味から言うと、固有経費で均衡を保つように貨物を経営するというのを一つ目標にしているわけでございまして、そのためにはいままでのような営業姿勢ではいけませんので、もっと多角的に積極的な営業展開をするということが増収するために必要であろうか、かように考えております。
  97. 三浦久

    ○三浦(久)委員 固有経費を賄うように努力していくということですけれども、しかし、結局それに至る何の具体策もないのですね。むしろ私はこの貨物の問題については、収入を減らすような方向へ国鉄がやっている、そういうふうに言わざるを得ないのですね。  そうすると、いつまでたっても旅客でかせいで貨物につぎ込むという国鉄の構造から抜け切れないのですよ。いまでも貨物の原価、これは運賃の三倍になっているのですから、原価の三分の一で運んでやっているわけですからね。やはりここを適正なものにしてやらなきゃいけない。それじゃないと、いつまでたったって旅客が犠牲をこうむるということにしかならないわけです。  ちょっと私が御説明しますと、たとえばどの程度旅客と貨物の運賃の差があるかといいますと、先ほど言いました三十九年から現在までですが、旅客運賃は四・二倍に上がっております。その中でも通学定期は五・三倍ですよ。ところが、貨物は全体で平均して三倍です。貨物の問題が論議されるときにはいつも運輸省と国鉄は、トラックとの競争、他の輸送機関との競争ということを言われるわけでありますけれども、しかし、国鉄が運んでいる貨物の全部が全部トラックと競合しているものではないのですね。たとえば石油とかセメントとか液体化学製品とか、そういう専用線から専用線、それからまた専用列車で運ぶ場合がありますね。いわゆる皆さんの言っている大量定型貨物と言われるものの中心になるものですよ。こういうものには逃げようといったって逃げようがないのです。ですから、そこについては、私はやはりサービスに応じた料金を取るべきだと思うのです。  たとえばどのくらい安くなっているかというのを、私ちょっと例をとって申し上げますと、浜川崎から倉賀野という石油ターミナルへ油を運ぷ場合に、これは距離が百二十五・五キロありますけれども、五十四年度の実績では一日に六百四十二トン運んでおります。国鉄の貨車で輸送した場合には九十九万九千五百九十四円、約百万円ですね。ところが、トラックで運びますと、これは二百五十五万六千四百円になります。すると、トラックは貨物の二・六倍になっているということであります。これだけじゃありません。ことしの四月に等級制度廃止に伴って、さらに大量定型貨物については割引制度が設けられていますから、いま約百万円と申し上げたのは割引のないものですから、さらにこれは安くなる、こういう結果になっているのですね。  これじゃ、私はとてもとても貨物の収支悪化を改善するということにはならないと思うのですね。では、そうやってそういう製品についての運賃を高く取ると物価にはね返るとか、またそういう議論がいつも出てくるのですけれども、しかしきょうは、調べてきておりますが詳しく述べませんけれども、こういういわゆる大企業は、決して適正な運賃に耐えられないというような企業じゃないのです。うんともうかつているのです。ですから、運賃が多少上がっても、それはもうけが若干減るというにすぎないのであって、それを製品の価格に転嫁しなければならないような経営状態にはないということですね。運輸省でも国鉄でもいいのですけれども、こういう速く大量に、物すごいサービスをしているわけでしょう、それをみんな普通運賃なんです。ですから、そういうサービスに見合う特別な料金、運賃のほかに料金というものをかさ上げして取る、なるべく適正な運賃に近づけていく、そういう努力をすべきだと思いますけれども、お考えをお尋ねいたしたいと思います。
  98. 高木文雄

    高木説明員 石油の場合は、いろいろ地域によりまして鉄道で運んだらよろしい場合と、それから現実にタンクローリーで運ばれている場合とあるわけでございます。倉賀野の例をお挙げになり衷したが、幾つかの内陸部の場合には鉄道で運んでいただいている例が多いわけでございますけれども、もう少し短い距離のところは皆ローリーに移っていくわけでありまして、どうも石油といえども、いまの運賃水準でもなかなかお客さんがふえないという現状になっております。ですから、いまどんどん輸送値段を上げてみろとおっしゃいますけれども、やはり私どもとしてはよほど慎重にいたしませんと、大事なお客さんである石油についてもさらにタンクローリーの方に移っていくのではないか、そういう感じを持っております。
  99. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、もう全然だめなんですね。私はそういうことを大企業本位と言うのですよ。たとえばおたくからもらった資料ですよ、「各年度別の全国貨物列車の種類別設定キロ数」というのがあります。一日平均幾らと出ていますけれども、高速・直行貨物列車、それから専用列車、たとえば高速・直行貨物列車は、四十五年度と比べて五十四年度は一八七%にふえているのですよ。専用貨車も一六六%にふえているのです。おたくの方が切り捨てよう、切り捨てようとして、いままでずっと貨物駅の集約をやってきましたけれども、そういうものが六五%に減っているのです。全体としては八五%になっておりますけれども、いわゆる大量定型貨物についてはどんどんふえているんですよ、この十年間を見てみると。ですから、減るからだめなんだ、そういうのは全くの詭弁ですよ。そういうことをやりますと、結局さっき言ったように、旅客の黒字でもって貨物の赤字を補っていくという結果になるのですね。これはまさに大企業本位じゃないですか。こういう姿勢を国鉄自身が改めない限り国鉄再建はできないということを私は申し述べたいと思うのですね。  それで、運賃の問題だけじゃないのです、貨物投資の附題についても大企業の言いなりになつています。もう時間がありませんから、ちょっとはしょりますが、たとえば岡多線という線がありますね。これは「交通技術」一九七一年の九月号にびしっと載っていますけれども、びっくりしましたね。これはトヨタ自動車の要請でつくったのです。そして、四十六年に開業していますけれども、そのときの貨物輸送密度というのはたった二千百七十二トンですよ。それでもつくってやっているのです。ところが、せっかくつくってやった岡多線が、そのうちトヨタ自動車の都合で、四十七年がピークで、貨物輸送密度は二千五百六十四トン、これはもう廃止対象ですよ。現在幾らか。五十四年度は五百三十五トンしか利用されていないのです。こういう状況です。ですから、毎年毎年六億円だ、最近はもう二十億円、二十二億円と毎年赤字が出ている。トヨタ自動車の要請でつくったのですから、トヨタ自動車の都合でもって廃止しなければならないというのであれば、私はやはり何らかの要求をトヨタ自動車にすべきだと思うのですよ。たとえば、おたくの要求でつくった、しかし、もうはがさなければなりません、おたくが利用しないからはがさなければならぬ、だから何とか補償してくれ、そういうような要求をしたことはありますか。
  100. 高木文雄

    高木説明員 岡多線はずっと古くから計画がありまして、むしろ名古屋の郊外の通勤線として計画が始まりました。途中の段階で、そこの沿線にあるトヨタの工場から、うちの車両を運ぷかどうかというお尋ねがあって、当時の見通しでは十分引き合うという見通しで貨物の積み込み等ができる施設をつくったわけでございますけれども、しばらくの間はその計画のとおり進みましたが、その後道路事情等がすっかり変わりましたので、その方が安いということでうちの方に載せてもらえなくなったわけでございます。これは、いまから考えますればわれわれの見通し誤りということでございまして、決して向こうの御要請があったので黙ってお引き受けしたということではなくて、うちとしても十分商売になるという見込みでつくったわけなんですが、これは見込み違いを起こしたということでございます。これが負担になっておりますことについては、非常に責任といいますか、重荷を感じておるわけでございまして、先般も他の委員のお尋ねにお答えいたしましたように、自動車輸送はこれからむしろ積極的に減らしていきたい、いま需要のあるものに対応した程度のものに減らしたいというふうに考えております。
  101. 三浦久

    ○三浦(久)委員 結局、トヨタ自動車に振り回されているのですよね。あなたの方は、ああ大企業様々で協力をするでしょうけれども、これは何とかの深情けみたいなもので、結局、利用するだけ利用して都合が悪くなれば国鉄なんか見向きもしない、自分の利潤のためには国鉄なんか見向きもしないというのがいまの大企業の態度ですよ。結局、大企業というのはそんなに甘くないということなんですね。  いまお話がありましたように、これはCD線として建設されたというのですね。それなら借料を払っておるでしょう。建設費が幾らかかったか、そして借料をあと何年、幾ら払うのか、それから、この線をつくってからいままでの累積赤字額は幾らだったのか、ちょっと説明してください。
  102. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま建設費のお尋ねがございました。これは建設線として建設公団が建設しているものでありますけれども、この区間、岡崎—瀬戸間でありますが、延長四十キロ、総額六百七十八億でありますが、現在は岡崎から新豊田というところまでが単線で開業されております。その延長が約二十キロでございますが、五十四年度までに要した工事費が四百十一億円でございます。これは岡崎から瀬戸までの工事をやっておりますので、なお現在鉄道建設公団の方で継続して工事中でございます。建設費については以上でございます。
  103. 繩田國武

    ○繩田説明員 借料についてお答えいたしますが、年間十六億円ないし十五億円ぐらいでございます。  それから、累積損益は、ちょっと詳細な資料が手元にございませんが、北野桝塚—新豊田が五十一年の四月に旅客営業をいたしましてから約九十億円ぐらいかと存じますが……。
  104. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは廃止対象線区なんですよね。そうすると、何百億円金をかけてつくって、そして、われわれの試算によると、いままで赤字額は百二十億円です。そして、毎年の借料十六億円でしょう。これは廃止した後どうするのですか。廃止した後やはり借料を十六億円ずつ払っていくのですか。何とも情けない話じゃありませんか。十六億円といったら大金ですよ。そういうものを毎年毎年、あと二十年間払っていかなきゃいけないのですよ。こういう経営責任というのは一体だれがどうとるのですか。だれか経営者が責任をとったという事例がありますか。
  105. 高木文雄

    高木説明員 そういうこともございますので赤字のところはやめさせていただきたいとお願いするわけでございますけれども、いままでのところはやめさせていただけないわけでございますから、責任と言われてもちょっと困るわけでございまして、いままでも採算がとれないところはやめさせていただきたいとお願いしているわけでございますが、なかなかお許しが出ないということでございます。
  106. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そういうふざけた、開き直った答弁をしちゃいかぬよ。総裁自身がいま見通しの甘さがあったということをはっきり認めているじゃないですか。そして、それだけ国に損害を与えているじゃないですか。大井埠頭の問題でも千何百億円もむだな投資をする、それについても責任一つもとらない。今度も見通しの甘さからこういう大きな損害を出している。廃止された後にもまだ十六億円ずつあと二十年間借料を払う、そんな間抜けな世界がどこにありますか。これについて一体だれがどう責任をとるのですか。これこそまさに無責任体制というものでしょう。
  107. 高木文雄

    高木説明員 これは、やはり鉄道敷設法でつくることになっていた線でございまして、そして、途中からそれを建設公団がつくることになっておったわけでございまして、それをそのまま法律なり何なりに基づいて今日までやってきたわけでございます。ですから、そういうものは全部洗い直すということにならざるを得ないわけでございまして、どうも私どもの力では、残念ながら何ともやめるわけにいかないというところに困った状態があるわけでございまして、私どもがやめさせていただけるという状態のもとにおいて、なおかつやめないというならば私ども責任だと思いますけれども法律で決められたことを法律のとおりにやっておりますので、私ども責任を求められても非常に困るわけでございまして、その点ひとつ実態を御理解いただきたいと思います。
  108. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは詭弁なんですよ。鉄道敷設法に、あの付表に出ているものはみんなつくらなければいけないのですか。そんなばかな話ないでしょう。つくってないのはいっぱいあるじゃないですか。鉄道敷設法なんというものを例に、引き合いに出すなんというのは大体間違っていますよ。だから、私は、国や国鉄責任があるということをはっきり言っているんですよ。それを全然責任を感じない。普通の会社だったならば経営陣はもう交代ですよ。  それで、次に移りますけれども、こういう大企業との癒着の問題というのは随所に出ている。たとえば鉄道貨物協会という社団法人がありますね。これは国鉄とは全く別個の法人格なんですよ。そして、この鉄道貨物協会というのは荷主がいっぱいおります。会長さんが永野重雄さんでしょう。財界人がずらり入っている。そして、セメント会社、石油会社、そういう荷主と通運会社の親玉が役員をやっている。こういう社団法人鉄道貨物協会というのがありますけれども、そこに国鉄理事を送っていますね。これは貨物局長理事です。常務理事が評議員です。そして、二名の職員、国鉄の金を出している職員を、給料は出しながら派遣をして、この鉄道貨物協会の仕事をさしています。私は、国鉄赤字赤字だというのによその仕事まで手伝ってやる余裕があるのかなと不思議に思っているのですが、この点について、どういうお考えでこういうことをされているのですか。
  109. 高木文雄

    高木説明員 貨物協会は荷主さんのお集まりでございます。会員が全部でたしか一万人ぐらいじゃなかったかと思います。そして、協会の会長は現在永野さんにお願いをいたしておるようでございますが、これは日本商工会議所の会頭というお立場でやられておるわけでして、その前代の方も日本商工会議所の会頭さんがなっておられるようでございます。  現在、貨物協会に、御指摘のように、ここ二年ぐらいの間二名の職員を差し向けております。なぜ二名の職員を最近に至って差し向けたかと言いますと、御存じのように、53・10とか55・10とかということで大分貨物の輸送方を変更いたしました。また、この四月から等級制度廃止に伴って運賃の立て方を変えましたので、そういうことを荷主の方の御要請を承りながらどういうふうに調整していくかという、荷主グループ対貨物局との間の打ち合わせ事務が急増いたしておりますので派遣をいたしたわけでございまして、こういう切りかえが一段落するまでの間、派遣をいたしておきたいというふうに考えております。
  110. 三浦久

    ○三浦(久)委員 理事や評議員を送っておるのはどうしてですか。
  111. 高木文雄

    高木説明員 これは、もともとわれわれの方と荷主さんと通運との間で、一体になって貨物輸送が行われておるわけでございますから、貨物協会の運営に関しては私どもも口出しをきしていただいてよろしいのではないかという前提でございます。
  112. 三浦久

    ○三浦(久)委員 貨物輸送について荷主と国鉄とそして通運業者と一体となってやるのですといまおっしゃいましたね。そういうことでいいのですか。そこまであなたたちは大企業奉仕ばかり続けているから、法律を守るとか、また国鉄の利益を守るとか、そういう感覚が失われているんですよ。  それでは、国鉄総裁にお尋ねしますが、荷主は国鉄理事になれるのですか。なれないでしょう。これは法律で役員の欠格事由になっているでしょう。日鉄法の二十条です。
  113. 高木文雄

    高木説明員 二十条は「物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて日本国有鉄道と取引上密接な利害関係を有するもの又はそれらの者が法人であるときはその役員」ということでございますから、民間の方でこういうことに該当しておられる方は私どもの役員にはなれないということでございまして、いまのをどこまでどういうふうに読みますか、荷主全般ではないと思いますけれども、かなり多くの方は役員にはなれないという解釈であろうかと存じます。
  114. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはどうしてそういう規定が設けられたのですか。荷主と国鉄とが一緒くたになってしまえば——荷主というのは安く安くでしょう、国鉄の方はなるべく収益が上がるようにと考える。それを荷主が理事なんかになって一体となってしまえば、国鉄がそういう荷主の食い物にされてしまう。だから、こういう法律でもって欠格事由を決めているのじゃありませんか。国鉄国鉄の利益を守るという、そういう立場に立たなければ経営は成り立たないのですよ。そんなことぐらいわからないのですか。あなたたちが鉄道貨物協会に貨物局長理事に送る、そして評議員にも送る、職員まで給料は出しながら仕事をさしている、こういうことをやっている、これはまさに三位一体です。そういうことはこの法律で禁止されていることなんですよ。あなたたちは荷主の利益を守る立場にいるのじゃない。あなたたち国鉄の利益を守るために仕事をしている人たちなんです。  そこで、評議員の問題についてお尋ねしますけれども、ことしの五月二十六日に第三十一回の評議員会をやった。ここで評議員会は何をやっていますか。国鉄に対していろいろな要望を出しています。第六号議案、建議について(要望書)といつので、ああしろ、こうしろと国鉄に要求を出している。要求を出している評議員会に国鉄の常務理事が入っているのですよ。こんなことは法の精神からいって許されないでしょう。荷主の立場と国鉄の立場が混同されているのじゃないですか。まさに三位一体ということこそ法律で禁止されていることなんですよ。  私はそういう意味で、こういう荷主団体である鉄道貨物協会から評議員、理事、派遣している職員を直ちに引き揚げることを要求しますけれども、御答弁いただきたいと思います。
  115. 高木文雄

    高木説明員 貨物の商売の仕方についてはいろいろ批判があるわけで、もっと積極的に国鉄が荷主さんなり通運業者の方々との接触を密にすべしということは一方から言われておるわけでございます。いまの貨物協会は、御存じのとおり社団法人でございますし、そういう場を通じて荷主さんあるいは通運の業界の方々といろんな形で運絡を取り合うということは必要なことだと思うわけでございまして、いまのところ、御指摘のように、そこから役員を引き揚げるということは、今日の段階ではいま直らにわかりましたというわけにはまいらないわけでございます。
  116. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そういう答弁は、こちらから問題を正確に指摘しているのに対して何ら反省していないということですよ。もちろん荷主と連絡を密にする、荷主の要望をいろいろ聞く、どういう二ーズがあるのか、それをいろんな角度から国鉄が吸収するというのは当然のことです。しかし、そのことは荷主の言いなりになっていいということではないはずでしょう。国鉄の利益を守るという観点から国鉄は独自の考え方がなければならぬ。荷主との接触は大事でしょう。しかし、それは何も一つの法人絡の中でやっていかなければできないという問題じゃないのです。貨物協会と国鉄の間でいろいろな会合を重ねる、そういうことをやっていけばそれで解決できる問題であって、職員を二名派遣をするとか評議員とか理事とかを送らなければ解決できないというような問題ではないじゃありませんか。そういう国鉄総裁考え方、これが国鉄全体の考え方経営方針になっている、そこにいつまでたっても貨物の赤字が解消されない最大の原因があるというふうに私は思うのですね。そして、そのためローカル線がぶった切られる、そして三十五万人体制で労働者は人減らし、そして運賃は値上げされる、こういう結果になる。だから、国鉄全体が大企業奉仕の機関に堕落していると私は言いだいのです。私は国鉄経営姿勢というものについて重大な反省を求めておきたいと思います。  次に、地方交通線の問題についてお尋ねいたしますけれども、乗車密度一日四千人未満を特定地方交通線として廃止対象にしているわけですが、政府の答弁によりますと、地方交通線選定基準に基づいて特定地方交通線として選定をした場合に、その時点で固定して、その後の乗車密度の変動というのは考慮に入れない、こういうふうに述べられていますね。  それで、それを前提にしてお聞きするのですが、現在の時点で、たとえば乗車密度が一日四千五百人だ、それで特定地方交通線に入るのを免れたとしますね。ところが、五年たった、十年たったという場合に、線区別運賃などを取られてどんどん乗客が減っていく、とうとう四千人割った、三千人になってしまった、こういう場合には、もう固定しているわけですから、全然特定地方交通線に新たに選定するというようなことはしないわけですね。
  117. 山地進

    ○山地政府委員 地方交通線廃止をある時点で区切って、たとえば五十三年の実績とかあるいは五十二年から五十四年の実績で線路の区分けをするという以上、ほかの線路との比較がなかなかむずかしくなってくるわけでございますので、当面は見直しをするという考えはございません。ただし、いま先生のおっしゃるように、十年先とかそういうような時代になって国鉄がどうなっているのかということまで私どもとしても見通せませんので、そのころになってまたどういう状態になっていくかということは、この法律の実施後の情勢に応じてまたいろいろ御判断をいただかなければならぬときがあるかと思うわけでございます。
  118. 三浦久

    ○三浦(久)委員 御判断いただくと言ったって、われわれが判断するわけじゃないでしょう。それは政令の基準の取り方なんですから。それで、いまあなたたちが出してきている基準案によっても、では乗車密度を三年間とるのか直近の一年でやるのか全然書いてないのだね、これ。おかしな話ですね。それはまた後で聞題にするとして、そうすると、いつそういう見直しをやるつもりなんですか。
  119. 山地進

    ○山地政府委員 現在はいつやるということを決めておりません。
  120. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、見直しはやらないとは言わないけれども、やるかもしれないがいつやるとは言えない、こういうお返事でよろしいのですか。
  121. 山地進

    ○山地政府委員 見直しをやることを前提にいつやるのだ、とりあえずはこういうふうにやるのだというような考えでやっているわけではございませんつまり、いつやるかということを決めてないということでございます。
  122. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは、やる可能性があるというふうに承っておきましょう。しかし、そこは多くの地域住民が大変不安に思っている点なんです。だから、私はもっと明確な答弁をしてほしい。いまは助かった。いまは助かったけれども、しかし将来はまた廃止されちゃうということでは安心して生活できないという気持ちになるでしょう。ですから、やはりそこをもっとはっきりさせるべきだと私は思う。そこも一つの問題点だと思いますよ。  それから委員長、きょうこの地方交通線等選定基準案というものが渡されましたね。これは私が質問しているときに渡されたのです。いま私これについて質問をいたしますので、これを読む時間を五分間与えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 小此木彦三郎

    小此木委員長 三分間与えます。
  124. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この基準の政令案——政令案というのは政府の案ですね。これがいま出てきたということは私はけしからぬと思うのです。強く政府に抗議したいと思います。大体この法案の最大の問題というのは地方ローカル線の問題でしょう。全国的にもこれだけ大きな問題になっている。そして、それがどういう基準でやられるのかという政府案がいままで出されてこなかったというのは、私は国会に対する冒涜だと思うのです。この法案は、大臣も何回も答弁されておりますように、閣議決定して政府が出してきているのでしょう。そして、政府が出してきた法律の重要な内容である政令案について政府考え方が示されなかったということは、国会の審議権に対するきわめて重大な侵害だというふうに指摘せざるを得ないと私は思うのですね。そのことはまた後でやるとして、自治省お見えになっておりますか。  それでは、自治省にお尋ねいたしますけれども、自治省は地域振興について県の窓口になっていらっしゃいますね。それで、地方交通線問題についていろいろと御苦心をされていると思いますけれども、この地方交通線廃止問題についての各地方公共団体の反応等について簡単にお話しいただきたいと思います。
  125. 藤原良一

    ○藤原説明員 お答えします。  各地方公共団体からは私どもの方にたくさんの意見書や要望書が出ております。それらの要望書はいずれも強くローカル線の存続を希望しております。地方交通線対策が今後どのように展開していくか、非常に強い関心を持って注視しておるというのが実情ではないかと思っております。
  126. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いま政府が出してきた地方交通線選定の基準案があるわけです。その基準案は、あなたたちは知っていらっしゃるわけですが、正式にはいま出てきたばかりです。ちょっと私が正式に申し上げますと、簡単に言うと、地方交通線は一日の乗車密度八千人未満ですね。あと特定地方交通線は四千人未満です。そして、特定地方交通線の中でも、混雑時に片道千人以上乗るとか、代替輸送道路がないとか、それから豪雪地帯でもって一年に十日代替輸送道路がストップするとか、そういうのは除く、こうなっているんですね。こういう一律の基準で地方交通線廃止するということについて自治省としてどうお考えか。逆に言えば、この政府地方交通線選定の基準案についての自治省のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  127. 藤原良一

    ○藤原説明員 内々運輸省から御相談を受けておりまして、現在検討中でございます。したがって、確たるお答えはできないわけですが、いずれにいたしましても、地域の個々の実惰とか将来性等を十分勘案した基準であってほしいというふうに考えておりますので、そういう姿勢で相談していきたいと思っております。
  128. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、自治省としては閣議了解に参加されておりますし、それから法案提出にも賛成されておられるわけですね。ですから、この基準について政府考え方というものに同調せざるを得ないのではないかというふうに思われるのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  129. 藤原良一

    ○藤原説明員 先生御指摘のとおりでございまして、線の選定につきましても閣議了解で四千人未満という基準も出ておりますし、その線はやはり守っていかざるを得ないと考えております。
  130. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、どの点について相談をさるというんでしょうか。
  131. 藤原良一

    ○藤原説明員 細部にわたりましては詳細に現在検討しておりますので、この場ではまだお答えできないわけですけれども先生先ほど御指摘の特定地方交通線三点以外にも、さらに地域の実情あるいは将来性等を加味し得る点があるのではないかという観点から検討しております。
  132. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、それは自治省としては政令をつくる段階で運輸省と十分に協議したい、こういうお考えなんですか。
  133. 藤原良一

    ○藤原説明員 そのとおりでございます。
  134. 三浦久

    ○三浦(久)委員 通産省にお尋ねいたします。通産省も産炭地域の振興という点でずいぶん御苦労なさっていらっしゃるわけですけれども地方交通線廃止問題に対する産炭地域地方公共団体や住民の反応はいかがでしょう。
  135. 鈴木英夫

    ○鈴木説明員 産炭地域の住民につきましては、御承知のように、産炭地域の振興のために公益的な交通網が重要である、こういう意識で私どもにたびたび陳情あるいは陳情書を提出してローカル線の存続について要望をしておられます。
  136. 三浦久

    ○三浦(久)委員 産炭地域の人々というのは、二十数年前から国の政策によって石炭産業をつぶされて、それ以来ずっと地域振興のためにがんばってきているわけですね。国もそれについて一定の助成をずっと続けてきています。そして、その産炭地域振興というのは国の法律で行われているものなんですね。しかし、そういう国や地方公共団体、地域の住民の努力にもかかわらず、私は産炭地域はもう見捨ててもいいというような状況にはないと思うのですね。たとえば、失業者の問題にしても生活保護者の問題にしても炭住改良の問題にしても鉱害復旧の問題にしても商店の売り上げの問題にしても、また教育の問題にレても、まだまだこれからいろいろやっていかなければならないことが山積しているというふうに私は思っています。しかし、そういう中でも実際に必死な思いでがんばって、たとえば山田市なんかは市の中では一番人口が少ないと言われておったわけですが、現在では少ない方から二番目になっておりますね。幾らか人口が上昇してきている。これはやはり自治体当局、国一体となって地域振興のためにいろいろな施策をやってきた効果がいま出始めてきていると思うのですね。そういうときに地方ローカル線というものをばさっといま私が述べたような基準で切られてしまうということは、地域住民にとっては本当に身を切られるよりもつらい思いをしているんじゃないかという気が私はするのですね。そうしてまた、それは地域の振興、そういう意欲に水を差す結果になるんじゃなかろうかというふうに私は大変心配をしているわけなんです。  そういう意味で通産省のお考えを聞きたいのですが、三つの例外しかないのですが、こういう運輸省の一律の基準でもって特定地方交通線を選定をして廃止してしまうということについてはどういうお考えでございましょうか。
  137. 鈴木英夫

    ○鈴木説明員 産炭地域の実情につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、産炭地域はかつて石炭を掘っていてその後大量な閉山が行われたため地域が疲弊をしたということで、昭和三十六年以降、産炭地域振興臨時措置法によって産炭地域の振興を図ってまいっておるわけでございます。先生御指摘のように、この法律によりまして最近は政策の成果といいますか、相応の成果が出てまいりまして、たとえば産炭地域における生活環境が修復されたとか、あるいは人口の下げどまり傾向が見られるとか、あるいは立地条件のいいところには企業が進出しておるとか、そういうことで振興政策の成果があらわれております。  しかしながら、一方において産炭地域におきましては生活保護者が多数滞留をしておるとか、あるいは失業者の方々が多いとか.あるいは産業の活動が十分ではない、あるいは地方財政が困窮をしておるということで、まだ産炭地域の疲弊が完全に解消しておるとはなかなか言えない状況にあると思っでおります。したがって、今後私どもも産炭地域の振興につきましては最大限の努力をしてまいる所存でございますけれども、今後産炭地域国鉄路線の選定等に当たりましても産炭地域の実情を勘案いたしまして国鉄、運輸当局で十分検討していただくよう、私どもも緊密な連絡をとって運輸当局と協議してまいりたいというふうに考えております。
  138. 三浦久

    ○三浦(久)委員 北海道開発庁にお尋ねいたしますけれども、昭和五十三年二月に開発庁が作成をいたしました新北海道総合開発計画、こういうものがありますね。これは閣議決定されておりますけれども、この計画によりますと、北海道開発に占める鉄道の役割りというのは大変大きく評価をされてきているわけであります。  それで、お尋ねいたしますけれども、いままでも鉄道を中心にしながら北海道開発をどんどん行われてきたわけですが、いま述べられたような政府地方交通線選定の基準で一律に特定地方交通線廃止してしまう、このことについてはどういうふうにお考えですか。政府の基準についてどういうふうにお考えか、お尋ねいたしたいと思います。
  139. 田中貞夫

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、北海道の開発が国策として組織的に進められてまいりましてから一世紀余の年月を経ております。その間、広大な北海道の開発にとりまして、交通輸送基盤の整備ということが非常に重要であった、何よりも重要であったことは申すまでもないと考えております。鉄道はもとより、道路、港湾、空港などの整備を精力的に進めてまいりました結果、かつての未開の原野に、今日五百六十万人を擁する北海道が実現し得た、こういうふうに考えております。  それで、目下実施しております、御質問の中にございました新北海道総合開発計面、これは五十三年から六十二年までの十カ年の計画でございます。この中におきましても、交通体系の一層の整備を図るということにいたしておりますけれども、鉄道につきましても、北海道開発の現状あるいは将来展望を踏まえまして、緊要なもの、必要なものにつきましては積極的に整備をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。  ところで、いま御質問ございました、このたびの国鉄再建法案に係ります政令案考え方につきましては、私どもといたレましては、北海道の開発にとって国鉄が基幹的な交通体系の一環として果たしてまいりました大きな役割り、こういうものにかんがみまして、今後十分協議をいただくよう折衝をいたしておるところでございます。
  140. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、北海道開発庁としては、いまのままの基準では賛成しがたいということですね、協議を続けるということですから。
  141. 田中貞夫

    ○田中説明員 ただいまもお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、北海道の総合開発を推進していく立場から、今後とも運輸省の御当局と十分協議を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  142. 三浦久

    ○三浦(久)委員 すると、いまお聞きになったように、賛成しがたいとか反対だということは、同じ政府部内としては言えないのですね。言葉としては言えないけれども、しかし言外に、この基準のままではだめなんだ、だから、これから十分協議をしていくんだ、こういうようにおっしゃっているわけです。  きょうこの政令案が、政府の案が出されてきました。この前の運輸省の考え方と同じです。これがそのまま政令案の中身になるという保証はないということがいまはっきりしたでしょう。はっきりしましたね。特に閣議了解なんかでは四千人なんて言葉はどこにも出てこないのですね、去年の閣議了解では。二千人なんです。二千人以下はパス転換するんだ、そこまでは閣議了解できているけれども、四千人以下はみんな切っちゃうんだ、そんな了解は全くできていないわけなんです。ですから、いま改めて政府案というものは出されてきましたから、それは四千人についても政府責任を持つんだと私ども考えたいわけなんですが、政府はそれでよろしいのですか。
  143. 山地進

    ○山地政府委員 四千人、八千人につきましては、法案を作成する段階から各省にはよく御説明をしてあるところでございまして、十分御理解を得ているものと思っております。
  144. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大臣、この地方ローカル線の問題というのは、地域開発との関係をどういうように勘案していくかということだと思うのですね。ところが、いま政府が出された基準案では、それが何にもないのです。政府の中で、各省でもって全然意見が一致していない。この法案の一番大事な中身が明らかになっていないというのは、国会議員を盲にして審議をさせていることになるんじゃありませんか。ですから、たとえば地域開発との関係で、いろいろ各省とこれから協議があるということなんですから、そうすれば当然地域開発の時点を五年なら五年で区切って、五年先の交通需要を見て四千人という判断をするのか、それとも十年先の発展を考えてやるのかとか、そういう一番大事なところがこの基準は抜けているのですよね。その点について政府考え方を私は明らかにしてほしいと思います。
  145. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この法案を御審議いただく段階から、実はこの法の精神を貫きます地方交通線並びに特定交通線についての考え方はるる述べてきたところでございますし、それにつきましては、賛成、反対は別といたしましても、御承知はいただいておるところでございまして、四千人、八千人というのは、法案審議過程で何遍も申し上げておることでございます。したがって、この選定の基準となるものにつきまして政令で定める。この政令につきまして、私は何遍も申し上げておりますように、まだ政令内容は確定しておらない。ただ、基準というものは運輸省においてつくっております。それを、先ほどもお聞きいたしておりましたら、政府政令とおっしゃいますけれども政令としては決まっておらないということは、私は何遍も申し上げてきておるところでございます。でございますから、まずこの政令というものは、行政的にどう処理するかという基準を決めるのであって、法案でいわば政治的にこの国鉄再建についての考え方を決めていただいたら、それを行政ベースでどう執行するかというのが政令になってくるわけでございまして、この運輸省並びに国鉄で協議して決めた骨子を基準にいたしまして、これから各省の間でも詰めていかなきゃならぬものがあると私は何遍も言っております。したがって、朝のこの委員会におきましても、福岡委員質問に対しまして、この法案成立した段階において内閣がこれに取り組んでいく、その一つの方法として、官房長官を中心として関係閣僚が相協議して、この政令の申身を詰めていくということを言っておるのでございまして、どうぞそういう点、御理解いただきたい。
  146. 三浦久

    ○三浦(久)委員 理解できませんですよ。私がさっき言ったように、何もいま政令を出せなんて、そんな無理なことを言っているのじゃないのです。政令案を出せと言っているのです。法案は出てきているのでしょう、法案は。だから、法案の実質的な中身である政令案を出してほしいと言う。その政令案というのはいま出してきた。出してきたけれども、最も重要な、これからの地域発展との関係をどう考慮するのかという問題については、この政令案では何ら触れられていないじやありませんか。それはどうしてくれるんですか、一体。われわれはどういうふうに予測をしたらいいんですか。
  147. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、政令案という言葉を使ったことはないはずであります。政令の基準を私は申し上げたのであって、その骨子となるものをこれから、用意はいたしておりますから、委員会理事会の決定によって取り扱いを決めさしてもらいたいということを言ったのであります。
  148. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうであれば、言葉の上だからいいでしょう。政令案でも基準でもいいでしょう。要するに政令の中身でしょう。問題は政令の中身でしょう。それを政令案というか、考え方というか、骨子というか、それはどうでもいいです、言葉の上だから。政令の中身について、もっとはっきりしてほしいと言うんです。そうでしょう。だって、これから地域の発展をどういうように、四千人というようなものを数えるために、どういうように取り入れていくのかということが何もないでしょう。そこが一番大きな問題じゃないですか。  われわれも、要らない線を残せと言っているのじゃないのです。しかし、地域発展がこれからどんどん行われていく、そういうことが予測されているのに、いま四千人未満だからといって切っちゃう、そんなことは許されないと思っている。ところが、そういう例外的な規定とか、また、地域発展の関係というものについては出されてないのですよ。例外は三つあるだけです。この例外というのは、地域の実情の考慮ということは言えますけれども、将来の予測、いわゆる地域の発展をどう展望するかというものを何もファクターにしていないのです。地域発展との関係というものを、たとえば通産省にしても北海道開発庁にしても問題にしているわけですから「その点についてわれわれ国会議員に明らかに内容を示すということがなければ、私は実質的な審議ができないというふうに思うんですよ。われわれは目隠しをされてしまうじゃありませんか。その内容を、骨子で結構です、その骨子を出してほしいのです。
  149. 山地進

    ○山地政府委員 将来の輸送密度の算定方法、先ほど議論がございましたように、いつの時点の輸送密度をとるのかということにつきましては、運輸省の方で算定方法というものを別途つくるということを考えておりまして、その算定方法の中に将来の見込みということも十分考えていきたい、かように考えております。
  150. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは運輸省に任してくれ、政府に任してくれというのでは、何のために国会審議をしているのかと私は言いたいんですよ。それで、これは押し問答して時間を食ってしまいますので、私は、その点についての質問は保留して次に移りたいと思うのです。  今度の法案の第八条に、「日本国有鉄道は、鉄道の営業線のうち、」そして云々とあって、「政令で定める基準に該当する営業線を選定し、」云々とありますね。そうすると、たくさんある営業線のうちからある特定の路線を選定するわけですね。そうすると、その選定をするというわけですから、幾つかの路線に区分をされているということが前提になつていると思うのです。そして、その区分された起点と終点がはっきりしていなければならないと思います。それでなければ四千人とか八千人とかという物差しを当てはめようとしても、これは全く当てはめようがないわけですね。ですから、そういう線区名とか終点、そしてまた起点、こういうものは一体何に決められているのか、定められているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  151. 山地進

    ○山地政府委員 営業線をどういうふうに考えるかということでございますが、国鉄が出しております、日本国有鉄道線路名称というのを公示しておりますので、原則的にそれによって営業線というものを決めていきたい、かように考えております。
  152. 三浦久

    ○三浦(久)委員 日本国有鉄道の線路名称というのがありますね。これは国鉄が決めているのでしょう。国鉄が自由に決めていますね。運輸省は関係していない。その線区名と起点、終点で営業線を区分して、そして選定の対象にしていくということにしますと、いろいろな不合理が起きると私は思うのです。というのは、たとえば常識的に一般人が理解している線区名と、国鉄が決めている線区名とは大変食い違っているのです。たとえば、山手線というと環状線だとお思いですね。山手線はぐるぐるぐるぐる回っております。ところが、この線路名称によればそうじゃないんですね。山手線は品川—新宿—田端間。そうすると、品川と田端の間は何線が走っているのかといいますと、これは品川から東京間が東海道本線なんです。そして、東京から田端が東北本線ですよ、線路名称によると。そうすると、東北線というのは上野から出ているのじゃないかと思ったら、東京から出ているんですね。こういう、一般の感覚とは全く違ったことが出ている。それから、東海道本線といえば東京—神戸間の一本の線だというふうに皆さんお思いだと思うのです。ところが、そうじゃないのです。枝線が幾つもありますね。いわゆる盲腸線とか枝線とかひげ線とか言っているのは、旅客もあれば貨物の路線もあります。たくさんあります。そうしますと、同じ枝線でも、東海道本線に入っていれば、本線だから助かってしまう。ところが、同じ地方にもう一つローカル線があるとする。これは廃止対象になってしまうんですね。こういう非常に不都合な例が起きるのです。たとえば、ちょっと例を申し上げますと——委員長、ちょっとここに鉄道の図面を示すことをお許しいただきたいと思います。
  153. 小此木彦三郎

    小此木委員長 許します。
  154. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは東海道本線です。大垣の駅です。美濃赤坂という駅がありますが、これは黒い線ですね。この美濃赤坂と大垣間は東海道本線であります。ところが、同じ大垣から出ている、われわれが現地調査に行きます樽見線、この樽見線は地方ローカル線です、交通線です。廃止対象線区です。そうしますと、同じ地方にあるひげ線ですね、枝線です。ところが、片一方は、乗車密度を調べてみますと、美濃赤坂から大垣までの乗車密度というのは、これは東海道本線ですから出ていないんですね。ですから、時刻表を見て、列車が何本走っているのか見てみた。樽見線の方がはるかに多いのです。ですから、大垣から美濃赤坂までの乗客の方が少ないのです。ですから、いま鉄監局長がおっしゃった、この国有鉄道線路名称に従ってそれを決める、こういうことになりますと、同じ枝線でも、うんと乗客が利用している線が切られて、余り利用していない線が残ってしまう。そういう不合理が出てくるのですが、それでもその国鉄の線路各称というものにこだわって、それを基礎にして線を選定されるとおっしゃるのですか。
  155. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄の線路名称、私どももそういったいろいろの事態があるどいうことは存じておるわけでございますが、国鉄の線路名称というのはそれなりの理由があって、一つの営業単位として国鉄が営業したいから名前がつけであるわけでございますので、先ほど、原則としてこれによりたいと申し上げたわけでございますが、そういったものについても……
  156. 三浦久

    ○三浦(久)委員 原則ですか。原則と言ったら、例外があるの。そんなことをしたら選定できないじゃないですか。
  157. 山地進

    ○山地政府委員 日本国有鉄道の線路名称によるということで、実態については今後よく検討していきたいと思います。
  158. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いまのはちょっとおかしいですね。原則としてこれに準拠するというのだけれども、原則で、例外があるのですか。例外があったら、選定のしようがないじゃないですか。ぴしっと区間が決まっていなければ、当てはめる対象がなくなってしまうのだから、そんなもの例外をつくられたら困るのじゃないですか、どうですか。
  159. 山地進

    ○山地政府委員 まことに申しわけございません。いま原則としてというのは撤回させていただきまして、その線路名称によっていくということでございます。
  160. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、私はいま、樽見線と赤坂線といいますか、地方の人は赤坂線と呼んでいるあの東海道本線ですね、これとの例だけを挙げたわけですけれども、こういうのは、調べたらいっぱいあるんですよ。これをごらんになってください。いっぱいあります。たとえば東北本線では岩切と利府の間、非常に少ないですよ。これは東北本線。それから山陽本線でも兵庫—和田岬間、これも本数は非常に少ないんですよ。そうしますと、こういう残る枝線よりもうんと乗車密度が高いところがばっぱぱっぱ切られてしまう、しかし、これはたまたま本線に編入されているために残る、そういう不合理というものを何の是正もしないということでしょう、やるということであれば。それはどういうふうにお考えなのですか。こういう不合理をそのまま残されるのですか。それでもこの鉄道線路名称によるのですか。そういう不合理なことをあえてするというのですか。
  161. 山地進

    ○山地政府委員 いまの法律のもとでは、私どもとしてはこの線路名称でやる。ただし、先生のおっしゃるようなものについては、現在の法律はそういうものを任意といいますか、いまの日本国有鉄道法の原則で実施することについては禁止してないわけでございますので、さらにそういったものについての対策については、地元の方々の御理解を得て、ほかの線との整合性を保てるようなことについて努力したい、かように考えております。
  162. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはおかしいですよ。おかしいと思うでしょう、自分で答えておって。だって、ある時点で四千人なら四千人というものをはかって、その後でさあこの枝線は東海道本線から外すと言えば、政令も変わらない、何も変わらないで、ただ線路の名称を変えただけでぽっと外れてしまうじゃないですか。廃止対象になってしまうじゃないですか。そんなこと許せないでしょう。だから、そういう不合理はそのまま残るのですよ、あなたたちのやり方であれば。是正するなんというのは詭弁なんですよ。全然実現性がないのですよ。  それで、お尋ねします。それでもこの国有鉄道線路名称でやるのですね。ちょっと答弁してください。
  163. 山地進

    ○山地政府委員 線路名称でやります。
  164. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、その線路の区分というのは固定したものでなければならないというのはおわかりですね。それ、ちょっと答弁してください。
  165. 山地進

    ○山地政府委員 線路名称に基づきまして国鉄が選定し、起点、終点を明確にするということになります。
  166. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そういうことではなくて、選定に四千人とか八千人とかという物差しを当てるわけでしょう。当てる場合に、こういう国鉄がどうのこうのというのじゃなくて、物差しを当てる対象が固定していなければ選定できませんでしょうということを言っているのですが、いかがでしょう。
  167. 山地進

    ○山地政府委員 固定して当てはめるわけでございます。
  168. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、国鉄にお伺いしますけれども、この国有鉄道線路名称というのが昭相二十四年に公示されていますね。それからいままでに何回変わったでしょうか。固定していますか。何回変わりましたか。
  169. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 お答えいたします。  何回変わったかということは、ちょっと資料がございませんので正確にお答えできませんが、新線ができたり、そういった場合において名称が変わった例はございます。
  170. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私が言いましょう。  二十四年六月一日公示十七というこの線路名称によりますと、余りに変わってしまっているから省略してしまっているのですよ。三十六年の五月までは省略です。ですから、それ以前はわれわれわかりません。三十六年の五月から五十四年の十月に変わっていますね。八十一回起点が変わっているのです。こういうものをどうして基準にできるのですか。こういうものをどうして当てはめる対象にできるのですか。  鉄道の図面を示すことをお許しいただきたいと思います。  たとえば、ここに、これは山陽本線、岩国から徳山へずっと抜けていきます。岩徳線がありますね。上が岩徳線です。赤が岩徳線です。下が山陽本線です。これはかつて戦前は、昭和九年ごろだと思いますが、いまのとおりだったのです。下が山陽本線でした、下松を通っていくのが。ところが、この岩徳線が工事ができましたためにこの岩徳線のところは今度は山陽本線になったのですコそして、いま山陽本線になっている岩国—下松、そレて櫛ケ浜は柳井線になったのです。ところが今度は、昭和十九年だと思いますが、どういう理由かわかりません、要するに国鉄の運行管理の必要によって変えてしまうのです。ですから、今度はこれを、また下を山陽本線にしてここを岩徳線にしたのです。こういうように、恐らく二十四年から見たら何十回も変わっているでしょう。  たとえば、いま御殿場線がありますでしょう。御殿場線はかつては、丹那トンネルができる前は東海道本線ですよ、大臣。ところが、丹那トンネルができて真っすぐ行くようになってからあれは御殿場線になった。  だから、本線なのか、幹線なのか、地方ローカル線になるのかということは、こういうように固定していないのです。いわゆる総裁が告示した日本国有鉄道線路名称、こういうものによっては特定できないということなんです。  これはまだいっぱいありますよ。私は選挙区の問題を言うとまたおしかりを受けるかもしれませんが、添田線というのがある。これは全国でワーストワンであります。一番金のかかる線。これもかつては日田彦山線だったのです。いま日田彦山線というのは廃止対象になっておりません。ところが、いろいろな誘致運動があって、田川に短絡をしていました。そのために日田彦山線がぐっと田川の方を通って夜明駅の方に行くまうになった。そのために添田線というものがぼっと日田彦山線から外されてしまったもんですから、それで結局ローカル線になって、ワーストワンで廃止の第一の対象になっているということですね。  こういう線路名称はどんどん動くのですよ。動いたら選定しようがないでしょう。これをどういうようにお考えになるのですか。選定しようたって選定できないじゃないですか。
  171. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お聞きしておりまして、さすがはやはりベテランの運輸委員会理事で長年運輸行政を研究しておられる先生だ、確かにそういう問題があるな、私も非常に参考にお聞きをさせていただきました。そのように、実際これから政令で詰めていかなければならぬのがたくさんあるのです。  そこで、国会で御審議していただくのは政治としての方向、いわゆる基本を決めていただいたら、そういうものがたくさん、まだこれから地域の振興とかいろいろな問題がありまして、詰めていかなければならぬものがございますから、これは政府の中にそういう相協議する機関をつくって、そこで協議してきちっと決めていきたいと思うております。そこで、この運輸委員会でいろいろと法案を御審議いただいておるのでございますから、いずれ政令が決まりましたならば、それをこの委員会に報告をさせていただくということでひとつ政令法案との関係を御承知いただきたいと思うのです。
  172. 三浦久

    ○三浦(久)委員 行政というのは法律に基づいてやるのですよ。法令に基づいてやるのですね。そうしますと、いま選定をするんだというのだけれども、選定をするものがないじゃないですか。国有鉄道線路名称でやるというけれども、さっき言う確定してなければだめだというのでしょう。確定しないでぐるぐる動くじゃありませんか。そういうものを対象にして四千人だ、八千人だといってどこをどうやって選定するのですか。できないのですよ。だから、そんなものを政令の段階でやると言うけれども、そんなことどこに書いてあるのですか。法律のどこに書いてあるのですか、政令でやるなんて。
  173. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在の区分によりまして選定をするということです。
  174. 三浦久

    ○三浦(久)委員 現在の区分というのは、さっき言ったように、国鉄線路名称が八十何回も動いているのです。国鉄自身が何回も何回も動かしているのです。そうすれば、たとえばひげ線があって、本線に入っている。これを運行管理上ちょっと外してしまおうということになれば、それはもう廃止対象になってしまうでしょう。国鉄が自由に廃止できるということになってしまうじゃありませんか。何のためにこの法律をつくるのですか。国鉄が自由に選定できるということじゃありませんか。これは欠陥法案じゃないですか。法律の体をなしてないのですよ。
  175. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在と申しましたのははなはだ不明確な言葉でございまして、公布の日を基準にする、そして、それ以降におきまして線名の変動が起こる場合にはそれなりの措置をとってまいりたいと思います。
  176. 三浦久

    ○三浦(久)委員 線名の変動があったらそれなりの措置をとるって、どういう措置をとるのですか。とったらまた廃止されちゃうじゃないですか。
  177. 山地進

    ○山地政府委員 先生のおっしゃるとおり、線路名称は非常に多岐にわたって変わっているわけでございますけれども、ある時点においては一つであるというふうに私ども理解しておりまして、特定地方交通線なり地方交通線を決める基準にいたしましては、営業線というのは、その時点で固定した線路名称における営業線というふうに考えていきたいと思うのでございまして、この基準には書いてございませんけれども政令に何月何日、恐らく施行の日だと思うのでございますけれども、その線路名称ということで固定して考えたい、かように考えております。
  178. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公布の日だと思うのですけれどもとか、一体どういうことですか。八千人とか四千人とか考えるときに、そういう区分というものははつきりさせておかなければだめでしょう。そんなことはあたりまえのことじゃないですか。それは、だと思いますとか、そういうようなあいまいな形で答弁する問題じゃないと思うのですよ。八千人とか四千人というものは、そういう区分がはっきりしていなければ選定できないのですから、そうしたら当然あなたたちがこの法律をおつくりになるときに、さあいついつの時点の国鉄の線路名称、これを固定して考えようとか、そういうことがはっきりしてなければ選択のしようがないのですよ。はっきりしてください。
  179. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私が申しておりますように、公布の日であります。
  180. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、それは公布の日に何で決めるのですか。どういう法形式で決めるのですか。
  181. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは政令で決めさせていただきます。
  182. 三浦久

    ○三浦(久)委員 政令で、法律のどこにそんなこと書いてありますか。これには何にもそんなことにっいての委任はないでしょう。第八条にどこにそんなこと書いていますか。八条に書いてありませんですよ。営業線の定義は政令で定めるなんて書いてないでしょう。基準を定めるとは書いていますよ。営業線の定義の問題でしょう。全国に二万二千キロある営業線、営業線というのはこういうものでございます、こういう起点があって終点があって、そして、どこからどこまでは何線でございます、そういうものが営業線の定義なんです。その営業線の定義が政令に委任されていますか、委任されてないでしょう。八千人とか四千人ということだけしかこれには委任されていないじゃありませんか。委任されてないものを何で勝手に決めることができるのですか。これは欠陥法案ですよ。どこに書いてあるのですか。
  183. 山地進

    ○山地政府委員 営業線というのは一つの固定といいますか、慣行的に、社会的に、社会通念上決まっている観念だと思うのでございますが、政令で定める基準というのは四千人でございまして、先生のおっしゃるように、いまのように社会通念上決まっている営業線というのも実は幾つかの年月で動いているわけでこぎいますので、その基準を適用することを明確にするだめに政令でその基準の適用について書く、こういうことだと思います。
  184. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ちょっとでたらめですね。営業線というのは社会通念上決まっているなんて、あなた、いま社会通念の話をしているんじゃないのですよ。法律の話をしているのですよ。営業線とはどういうものかということの規定がなければ、これは欠陥法案ですよ。あなたたち政令で定める基準の中に入るのだとおっしゃるのですか。それなら何でこのときに出してこないのですか。基準とはこういうものだ、基準の骨子というものはこういうものでございますといって地方交通線選定基準案というものを出してきているわけでしょう。この基準案だけあっても選定できないでしょう、線路の終点とあれがはっきりしていなければ。あなたたちはいま思いつきでちょこちょことそんなことを言っているけれども、実際に営業線というのがどういうものかということについてちょっと忘れておったのじゃないですか、国鉄が決めるからいいだろうと思って。それは確かに社会通念上そういうものはあります。しかし、ここは法律審議しているのです。ですから、私は冒頭に、社会通念上の線路名と実際国鉄の線路名称に書かれていることとは違いますよといってわざわざ説明しているわけです。社会通念上の問題とは違うのです。だから、この基準でやると言ったって、あなたたち自身これを基準だなんて考えていないじゃないですか。営業線の定義なんであって、営業線とはこういうものです、また、自動車とはこういうものです、そういうものを書かなければ——一定の法律効果を発生させるものでしょう。ですから、営業線の定義というものをはっきりさせなければ審議ができませんよ。たとえば、いまあなたたちはどういう基準を持っているのか。たとえば、さっき言った赤坂の問題、美濃赤坂間、これは東海道本線に入れているのか、入れたものを出すのか、外して持ってくるのか、われわれは全然わからないでしょう。そのことによってその線が廃止されるかどうかという大問題なんですから。そういうものが全然この国会に提案をされないで砂上の楼閣的な議論をいままでやってきているわけでしょう。だから、そこは私は明確に提出すべきだと思います。政令をつくった段階でなんて言ったって、じゃ、東海道線が三つに切られておったらどうしますか。そんなものこそこの国会の場で十分に審議していかなければならない問題じゃありませんか。それも任してくれということであれば、これは白紙委任ですよ。どこの線をどう切るかということについては完全に白紙委任ですよ。あなたたちがいまある線路を適当にぶった切って、よろしい、それで適当に基準を当てはめてよろしいということになれば、全くの白紙委任じゃありませんか。われわれは何の予測もできないままこの審議に応じていなければならぬということになるのですね。  私は、この法案を撤回して、営業線というものの定義を法律ではっきりさせる必要があると思いますが、その点、御見解はいかがですか。
  185. 山地進

    ○山地政府委員 営業線は日本国有鉄道の名称で、私どもとしては社会通念上これは決まっている。先ほど来、いろいろと動いているという御指摘がございましたけれども、現時点においては一つの告示にまとまっているわけでございますので、私どもとしてこの定義を必要としないと考えていたわけでございます。しかし、適用するに当たりまして、いつの時点の告示の線名によってやったかということを明確にするということは必要かと思いますので、政令にそれを書いたらどうだろうか、かように考えておるわけでございます。
  186. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは私は末代までの恥さらしになると思うのです。八条で「鉄道の営業線のうち、」これこれを選定すると書いておるでしょう。政令委任されているのは基準だけなんですよ。そうでしょう。そうすると、それまで、いわゆる鉄道線の定義まで政令でゆだねるとあなた、おっしゃるけれども、そんなことはこの法律に書いてないのです。政令というのは法律によって委任された事項しかできないのですよ。どう思いますか。
  187. 山地進

    ○山地政府委員 線路名による営業線というのが、これは定義も要らなければ、営業線と書いた場合には、個々の鉄道というのは幾つかに合成されているわけですから、その線路名の合計が国有鉄道全体を形成しているわけで、「鉄道の営業線のうち、」と書いた場合には、その部分部分ということを言っているわけでございますので、それは当然のことながらいまの線路名称、しかも有効な線路名称というものに基づいて営業線ということが選定されるというふうになると思います。
  188. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは全く違う。この法律とか政令に、国有鉄道の総裁が日本国有鉄道線路名称をつくっておるが、それによると書いてあるなら別ですよ。さっきあなたたちは、どれをとるか禁止されてないから、これを使うのも自由だとおっしゃったね。そういうようなことは全く詭弁です。やはりこれに準拠、これというのはいわゆる鉄道線路名称に準拠するのであれば、法律に、たとえば附則なら附則で営業線の区分についてはとか、線路名称区分についてば何々によるとはっきり書いておかなきゃ、あなたたちが勝手にそんなことできないでしょう、行政というのは法律に基づいてやるんだから。そんなことはイロハのイの問題じゃないですか。欠陥法案ですよ、これは。それと、ちょっと角度を変えてみましょう。たとえば、ここに線路がありますね。ここにというのは鉄道線路名称に載っている線路があります。この線路、いわゆる何千人とかなんとかというわけですから、ここに書いてある線区別にそれぞれ何人乗ったとか、そういうことが計算をされ、公表されていなきゃいけないんじゃないでしょうか。それじゃなければ、たとえば私が東北線に乗っておる。しかし、東北線については幾ら乗っているとか、それも全然公表されていないということであれば、どの線が切られるか国民はわかりませんわね。ですから、皆さん方の場合でも、たとえば決算資料で、これは五十四年度幹線系線区線区経営成績というものが出ていますね。これは地方交通線線区経営成績というのが出ています。こういうものによって、ぴしっと計算がされ、そして公表されていなければならないと思うのですが、いかがですか。
  189. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 ただいま先生がお示しになられました資料、毎年決算の付属資料として線区別の数字が出ておりますが、そこに人キロ、トンキロ並びに営業キロが出ておりますので、それを割れば通過交通量が出てくるという形でございます。
  190. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなことを聞いておるのじゃない。運輸省に聞いておるのですよ。  この線路名称を基準にしてやられると言ったでしょう。それはできないことです、法律上は。また後で論議しますが、できないことなんです。しかし、これでやると言うから、またその不合理性を私は言いたいんだ。だから、ここに書いてある線路についてはこういうように線区経営成績というものが計算をきれて発表していなければならないでしょうと言っているのです。どうですか。いやいや、運輸省に聞いているんですよ。そんな技術的なことを聞いているのじゃない、一般的なことを聞いているのだ。  質問趣旨、わかるでしょう。先ほどあなたが線路名称を基準にすると言うから、その線路の一線一線については線区別成績表というものが公表されていなければならないでしょうと言っているのですよ。それでなければ、何干人乗ったか全然わからぬじゃないですか。
  191. 山地進

    ○山地政府委員 現在五十四年度の地方交通線線区経営成績という形でこれを公表しているはずでございます。
  192. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公表しているから、公表していなければならないんではないですかと聞いているのです。どうですか。
  193. 山地進

    ○山地政府委員 いまの公表されていなければならないのですかという御質問ですと、公表されてないといけない、こういう御質問かと思いますが、私どもの方で考えれば、基準に該当するかどうかということについて、私どもの数字に基づいて判断するということは可能かと思います。
  194. 三浦久

    ○三浦(久)委員 さっきも言いましたけれども、公表されていなければ——では、全く公表しなかったらどうですか。どの線が廃止の対象線区なのかということは国民は全然わからないわけです。お役人だけがわかるということになりますね。そんなこと、許されるのですか。  だから、結論的に言います、私が言いますよ。赤羽線と京葉線というのが線路名称にある。ところが、赤羽線と京葉線については、こういう線区別成績表はないんですよ。幾ら探しても載ってないんですよ。そうすると、あなたたちがこの鉄道線路各称による、こう言っておるけれども、よれないのですよ。そういういろいろな矛盾が出てくるのです。ですから、あなたたちは結局選択をする営業線の線路名、その起点、終点、そういうものを考えていなかったということなんです。考えていれば、こんな矛盾だらけなものでやるなどということは絶対に言えないはずなんです。そうでしょう。何回もぐるぐる変わっている。国鉄の運行管理の必要性によってどんどん変わる。そして、さっき言ったような不公正、不合理な結果が次から次へと出てくる。こういうものを基準にして選定はできないのです。法律的に言っても、これは委任されていないのです。委任されていないから、できない。  もう時間がありませんから、私はぜひ法制局を呼んでほしいと思うのです。法制局の見解を私は聞きたいと思うのです。それともう一つは、これを政令でやるというのなら、八千人、四千人の基準と同じように、きわめて重大な内容を持つものです、どういうふうに線区を分けるかということは。だから、それが出て、それから私はその点に関して質問を続行したいと思う。ですから、ぜひ私の質問の留保を委員長はお許しいただきたいと思う。いままでこれだけやったけれども委員長は聞いていてもおわかりのとおり、はっきりした答弁が出てきていないのです。それでまた、政令でやると言うけれども、その政令の重大な骨子すらここに出されてきてないのです。それを御提出の上、私は質問をいたしたいと思います。
  195. 小此木彦三郎

    小此木委員長 質問、終わったのでしょう。
  196. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いえいえ。ですから、まだ残っているから、政令案が出てから、その営業線の線路名、どういうふうに全国の営業線を区分するのかという問題ですね、その点について政令で決めると言うから、当然政令案をこの国会に出してくれなくちゃ、われわれは全く盲じゃありませんか。その案を出すと言うから、出してから私は質問を申し上げたいと言っているのです。
  197. 小此木彦三郎

    小此木委員長 三浦君の持ち時間の範囲内での質問はこれで終わったと判断しますが、いま申し出の件につきましては、後刻あるいは後日理事会で協議いたします。
  198. 三浦久

    ○三浦(久)委員 政令案を出すか出きないかということは私は理事会でお諮りいただいてもいいのですけれども質問を留保するという問題については、委員長の権限だと思うのですよ。私の質問の時間がなくなったと言いますけれども、しかし答弁になかなか立たなかった時間まで質問時間に入っているわけですよ。これは非常に不公平ですよ、なかなか答弁しないのですから。ですから、私の持ち時間はまだ残っていると思います。そういう意味で、ひとつ質問を保留さしていただきたい。これだけ大事な問題について目隠しでわれわれこのまま質問をやらないなんということはできないと思うのです。
  199. 小此木彦三郎

    小此木委員長 三浦君の質問の持ち時間内における質問は、もうこれで終わったと判断いたしますが、申し出の件につきましては理事会で後日協議いたします。(発言する者あり)三浦君の質問は、これで終わりました。  速記をとめて。    〔速記中止
  200. 小此木彦三郎

    小此木委員長 速記を始めて。  それでは、三浦君の申し出については後日理事会で協議いたします。  久保三郎君。
  201. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまの三浦君の質問にもありましたように、営業線の選定基準は大変大きな問題でありますので、この春の通常国会で、私は、これは政令に委任する事項ではない、国民の生活に大きな影響を与えるもとであるし、また言うまでもありませんが、国鉄経営にとっても大きな変化を来す基準だから、これは法律事項であろう、ぜひ法律で出してこい、こういう話をしたのでありますが、はっきり言って、政令に委任する理由が明確でありませんでした。時々刻々状況が変わるとかいうことであるならば、これはまた政令にある程度幅を持たせて委任することも可能かもしれませんが、先ほど来の答弁を聞いておりましても、この法律を実施する段階におけるその時点でのいわゆる基準でものをやろう、こういう考えであります。そうなりますと、これはかなり問題があるわけでありますので、これは法律事項に準拠して当委員会で十分中身を審議する必要があると思っているわけであります。  そこで、これに関係して、細かい点は別として二、三お尋ねをします。  一つは、いまの三浦君の質問に対する当局の答弁でありますが、書いた者自身が中身を知っていないのじゃないかと私は心配しているのです。営業線と鉄道の線路名称と混同しているのではないか。営業線というのは、営業を現にやっている線路でありますから、通称二万一千キロあるわけなんだ。二万一千キロが全体の営業キロであり、営業線でありまして、その部分部分が営業線なんですよ。線路名称というのは、先ほど三浦君からも説明があったように、東北本線は、東京かあるいは御徒町か神田か知りませんが、そこが起点になっている。そういうのと混同しているのじゃないか。自分で営業線と書きながら、営業線と線路名称と何か混同しているのではないかと私は答弁の中でとりました。また、これを線路名称でやるというんならば、これは大変な作業だと思うし、また実情に合わないのではないかと思います。さっき御指摘があったように、通称山手線と言えば、われわれは円周を描いていると思っているが、線路名称は、線区別には違う。そういうことで、区分経理をしたそのときに、たとえばこの線のこの部分だけはやめるという基準に当てはまるかもわからぬですね。これはあえて答弁は要らぬと思うのですが、書いてきた本人が中身を知らぬのではないかというふうに私は心配しています。と言って、誤解のないように申しますが、この中身がいいということではありませんよ。線路名称と営業線を混同してこの中でやっているんじゃないですか。鉄監局長、わかりますか。どう思いますか。  では、一つだけ聞いておこうか、どういうふうに思うか。さっきの答弁ではちっともわからぬよ。
  202. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、営業線という、日本国じゅうを回っている営業の部分部分をどうやって決めるかということでございますので、線路名称によってその部分部分を確定しよう、こういうふうに考えているわけでございます。
  203. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これは、これをそのまま受け取れば、そんなふうに書いてないんだ。たとえば幹線系の線路で、まず一つは、ここに書いてあるのは何かというと、「都道府県庁所在地等の主要都市を連絡する部分を有する営業線であつて、」それは必ずしもあなたが言う線路名称の全部ではないんだ。部分だ。県庁所在地から県庁所在地に行く線路のその間のことを言っているのですから、これはその線路名称全体ではないのです。そのうちの営業線なんです。ただし、この中でも、起点と終点と書いてあるのがある。「その起点から終点までの区間における貨物の輸送密度」云々と書いてある。こういう場合は、線路名称の起点と終点を混同しているんだろうと思うのです。だから、そういうのを整理しなければ、これでやれと言っても、これは無理だと思うのです。  それからもう一つは、お配りになりましたが、これはどこの案ですか。どこの案ですかと言ってはおかしいが、基準を示せとは言わないが、政令案を示すことは当然だと思うのです。先ほど来申し上げたように、重要な部分でありますから、政令案はこういうふうにやる、こういう案で政府としてはやります。ところが、先ほど運輸大臣の御答弁では、この法律案が通ったときに官房長官を中心にして政令案を、いわゆる政令を詰める、こういうお話でありますが、それは実施の段階でどういうふうに運用するかで御相談になるのは当然かもしれません。はっきり言って、政令で細部にわたってまでこれは規定できないと思うのです。ケース・バイ・ケースでありますから、北海道の線路と九州の線路と、あるいは山陰の線路、これは全部違う。同じ山陰あるいは北海道でも地域によってこれは違う。たとえば、ここに書いてあるような同じ乗車密度、貨物の輸送トン数であっても、あるいは同じような距離であっても、これは全部環境が違う。そういうところからいけば、これは当然一つ一つの問題になりますから、恐らく適用するのには大変むずかしい問題が私はあると思うのです。そういうところからいって、政令のせめてもの基準というのは、政府全体の合意のもとにおいて当委員会に出すべきだと思うんだが、これはいかがなものであるのか。運輸省の単なる考え方であるのか、いわゆる原案の原案なのであるのか。これはいかがですか。
  204. 山地進

    ○山地政府委員 私ども考えはるる申し述べたわけでございますが、各省今後いろいろと政令内容については確定まで御協議を続けるわけでございますが、現時点におきまして運輸省の考え方というものの骨子を、幹線というのはどういうものか、地方交通線はどういうものか、特定地方線というのはどういうものかというような骨子につきまして各省にいろいろ御了解を求め、全部がということは申せないわけでございますが、多数の省庁において、現時点において骨子は、運輸省がこういう考え方であるということについて御了承を得ている、こういうことでございます。
  205. 久保三郎

    ○久保(三)委員 御了承を得ているというが、最初のお話は御了承じゃなくて、これは運輸省の原案でありまして、各省にお示しをいたしておりますという案だ。示しているのか、合意を得ているのか、これはどっちなんですか。
  206. 山地進

    ○山地政府委員 示して、完全に合意を得ているものではございません。示してはおりますし、それからこういう考え方について、ここに書いてあるような文言で、全省庁とは申せないわけでございますが、きょうの昼までの間に各省にいろいろ御説明に上がって、こういった基準の骨子というものについて御了承を求めるように努力したわけでございますが、全省庁の御了承を得ておりません。ただ、多数の省庁においてこういった考え方で骨子というものをつくるということについては理解を示レていただいておる、こういうことでございます。
  207. 久保三郎

    ○久保(三)委員 先般の理事会で、少なくとも政令の中身について政府の全体の合意の案を当委員会に示すようにという要請にこたえてきょう出してきたのがこれだとするならば、いまのお話では合意にいってないんです。政府内部でも異論があるんですね。こんなものは審議できませんよ。  委員長理事会において政府に要求したものとは違う。こういうことで大事な——しかも、これはなぜこだわるかというと、先ほどお話にもあったように、これは大変大事な点なんですね。何で大事かと言うと、一つは、基準のつけようによって線路をはずすということです。これはなるほど、相談の結果、この線路をどうしようかという御相談をかけるならば、基準はある程度大まかな基準でも私は結構だと思うのですよ、百歩譲って。ところが、最初から、基準が決まれば基準に照らしてこれは廃止をするという、営業線の廃止一つある。  それからもう一つは、約一万キロと言われている、大体二万一千キロのうちの半分、この案でいくならば約一万キロが地方交通線ということになるわけです。そうでしょう。地方交通線になれば、この法律が原案どおり通っていけば、先般来ここで国鉄総裁も答弁しているように、直ちにこれは割り増し運賃を取ると言う、五割増しを考えていると、こう言う。国鉄運賃が比較的安いので、最後の交通手段として地方であるいは地域で利用しているものを五割も上げていく。これは耐えられる利用者ではないことは御案内のとおりです。そういう運命が決まってしまって——運命と言ってはおかしいが、そういう結論が法律が通っていく段階で決まってしまう。だから、せめても、廃止を前提にしてはお話し合いはしません、とにかくどうしましまうかというお話だけします。なるほど国鉄自身は、自分の経営からすれば、これは乗りませんからパスにしましょうという申し出は勝手でしょう。しかし、結論は関係者の結論を得ましょう、こういうことなちば、基準は、くどいようでありますが、大まかな基準でも結構だと思う。地方ローカル線の運賃を引き上げるという法律案でなければ、これまた基準はある程度大ざっぱでもいいかもしれません。ところが、この基準の決めようによってぴたっとその利用ができなくなるということは、これは一万キロの沿線の住民にとっては大きな聞題であります。  だから、こういうものがこのまま、政府部内でも問題があってまだ合意に達しないようなものでは、われわれは審議を進めるわけにはいきませんから、一遍委員長のところでひとつ考えてください。これはいかがですか。
  208. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ちょっと理事の皆さん集まってください。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  209. 小此木彦三郎

    小此木委員長 速記を起こして。  塩川運輸大臣
  210. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お尋ねの政令政府提出の話でございますが、私は再三申し上げておりますように、政府全体として政令案がまだまとまっておらない段階でございます。しからば、その政府の原案ともなるべきものがあるかというお尋ねでございますが、それがまだまとまっておらない。したがいまして、現在は運輸省が国鉄と協議をいたしまして作成いたしました政令の骨格となるもの、いわば基準というものを中心にいたしました原案のその原案と申しましょうか、それが作成されておるのでございまして、この原案、骨子をもちまして各省庁と協議をずっと以前から続けてきておるのであります。  したがいまして、地方交通線並びに特定交通線というこの考え方につきましては、これは各省庁とも国鉄再建ためにとらざるを得ない一つ考え方であろう、方針であろうということは認めておるのでありますけれども、しかしながら、具体的に政令にまとめていく案件になってまいりますと、各省庁間でまだ多少の意見の相違のあることもまた事実でございます。それを、この法案成立さしていただいた以降において、直ちに政府においてこれは責任を持ってまとめてまいります、こういうことを申し上げておるのでございますが、しかし、審議をしていただく諸先生方にしたら、その政令案そのものがこの一つ審議対象になる、これは当然でございましょう。したがって、その政令案の申に盛り込まれていく考え方につきましては、先ほど来いろんな諸先生の御質疑を通じまして、私の方も率直に申し上げてきたところでございます。したがいまして、いま提示いたしましたのはその政令の骨子となるものでございますので、これでひとつ質疑応答を通じまして諸先生方の意見も聞き、それをさらに今後煮詰めていくであろう政令の中にも十分に配意していかなければならぬ、こう思うておるのであります。したがいまして、政令の原案となるものにつきましては、現在われわれのところでは用意いたしておらないということでございます。
  211. 久保三郎

    ○久保(三)委員 運輸大臣、大変苦しいお立場かもしれませんが、原案すらできていないというのでは、これは少しく不見識ではないでしょうか。この法律案はもちろん大臣御就任の前からこれは政府が提案してきている、実質的には。この春から出てきているのです。この春にも、先ほど私から申し上げたように、この基準というのは政令に任せるような軽いものではない、やはり役人の筆先で左右されたのではわれわれ政治家としては困る。交通政策上も国鉄再建ためにも、やはり政治の舞台できちんと整理をしなければならぬということで、これはでき得べくんば法律事項に盛ってきてもらいたいと要求をしたわけでありますから、その法律事項にすることまでいまになって私は固執はいたしません。しかしながら、原案もお見せいただけないというのではこれは困ったものだと考えております。なぜ困ったかというと、先ほど言ったように、この基準の決めようで、いわゆる鉄道線路がめくられる、あるいは特定運賃が割り高なものがつけられるということで、陰に陽に利用ができなくなってしまうということでありますから、このところはひとつ原案をお示しいただきたい、こういうふうに思うのであります。それで、これは私見でありますが、先ほども言ったように、こういう基準を何か微に入り細にわたってつくろうといったって、これははっきり言ってできません。結局そうなるというと、いま与党筋の中の何がしかの政治家は地元へ帰るというと、先ほど政務次官の話じゃないが、法律は通ってもこの線区政令の段階でいわゆる廃止はしませんという公約に似たものをやっている者が堂々とまかり通っているんですね。それは何かというと、先を見越して、いわゆる基準となる政令があいまいである、どうにでも解釈できるようなものであるということになりますというと、それはなるほど彼らが言うとおり、法律が通ってもおれの選挙区のローカル線は一本も外さないようにするから心配ないというようなことを公言でき得るのではないかというふうに思うのであります。これははなはだしく冒涜するものでありまして、われわれはそういうものの介在を許さないためにも基準はぴったりすべきだ。むしろ、私は再三申し上げますが、法律の中身を変えたらどうですか。廃止を前提にしてこの線区を選定し、協議会にかけて、二年たって結論が出ようが出まいが、いずれにしてもローカル線廃止をしますということが一つ問題なんであります。それから、ローカル線全体が.特定運賃割り増しを取るということ、高い運賃をやろうということ、そういうものを外す限りにおいては、なるほど国鉄経営の上でもローカル線は問題があることは事実でありますから、地域の関係者の皆さんの協力で再建を図るのは当然なんであります。ところが、一方的に廃止を決めて押しつけるがごときは断じてとるべき姿勢ではありません。そういう意味からいって私どもは基準にこだわるわけであります。  だから、もしも原案どおり法律を通すというならば、基準、原案だけは示してもらわなければ審議は進められませんので、改めて委員長、これは御相談いただきたい。
  212. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時九分休憩      ————◇—————     午後五時九分開議
  213. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。久保三郎君。
  214. 久保三郎

    ○久保(三)委員 先ほど質問しました政令による基準について、その後休憩してどういうふうになったのか、その結論を聞かせていただいて、先に進みたいと思うのです。
  215. 山地進

    ○山地政府委員 地方交通線等選定基準案でございますが、昨日来各省にいろいろと御相談をいたしまして、大部分の省庁においては、この政令案で結構である、こういうふうに示された基準案の考え方で結構である、しかし二、三の省庁においては、やはりこれら全体は、政令として政府でまとめる際によく議論したいということで、この基準案に御同意をいただいていないというのが現状でございます。
  216. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのお話だと、まだ二、三の省庁がこの運輸省の原案らしきものにも同意をしていないという話でありますが、先ほど来申し上げたように、少なくとも政令にゆだねるについては基本となるべきところの数字、たとえばここに挙げられている八千人とか四千人とか、あるいは千人とか、そういうような数字もございます、そういうものが将来にわたってきちんと整理されなければこれは意味をなさないことだと思うのです。願わくは、私は、それをきちんとすると同時に、先ほど言ったように、基準はそれは決めようでありますが、これはケース・バイ・ケースですよ、対象の線区は。そうなった場合に、残念ながら基準でこれを全部網羅することは非常に不可能に近いと思うのです。だから、そういう実態を踏まえれば、やはり協議会での協議は、そういうケース・バイ・ケースの要素を含んでの相談をするということでなくてはいけないと思うのです。そのためには、最初から、ここは廃止して転換であるというようなことで協議をするということではなくて、やはりその辺は少しく修正というか、訂正をして考えるべきではないかというふうにしつこく私は思うのであります。  運賃についても同様でありまして、後から質問甲レ上げますから運賃についてはここで申し上げませんけれども、そういう問題を含んでいるから基準について厳密にやっていこう、やっていこうとすればするほどこの基準は非常にむずかしくなるのではないかどいうふうに私は思うのです。そうなると幅は広がってきますから、解釈のしようによっては、一線も、あなた方が考えているような基準に当てはまって、この線区廃止というようなことにはいかないのではないかと私は思うのであります。  ことさらに私は廃止を奨励するわけではありませんけれども、実行不可能なような法律をつくること自体私は不見識だと思うのですよ。そうなりますと、守れるものも守らぬということが習慣づけられますね。守れない規則、守れない法律、そういうものを制定すること自体、法律やそういう規則を守らぬという悪習が出てくる。すでに与党筋の方のそれぞれの政治家は、先ほど申し上げたように、地元の方に帰ると、基準でもって私がこの線は残るように処置をしますからぜひ了解してほしいというような演説をする。これは三枝政務次官ばかりではなさそうであります。だから、そういうものを考えればやはり、私は重ねて申し上げますが、少なくとも基準はどの程度までつくるか、これは非常にむずかしいと思うのです。いずれにしても八干人とか四千人とか片道千人とかいうような数字がこのとおりいくのかどうか、これが一つと、願わくは原案を訂正されるようにこの際は強く要求したいと思うのですが、運輸大臣いかがですか。運輸大臣に答えていただきましょうか。
  217. 山地進

    ○山地政府委員 ローカル線対策は過去の国鉄再建策にもいろいろと出てきて、その都度いろいろの考えが出るのですけれども、できない、むずかしい問題でございます。五十三年に私どもの方でもローカル線対策小委員会というのをつくりまして、各方面の方に御賛同いただき、いろいろと議論をしていただいておるわけでございます。私どもも、どういうふうにやるかということについて非常にむずかしい問題であることはよくわかっているわけでございまして、昨年の十二月の閣議了解におきましても、ローカル線について、輸送密度二千人以下、四千キロということで閣議了解をしているわけでございます。したがって、閣議を経ているわけでございますから、ローカル線対策を推進するという基本的な方向、それから六十年までに二千人の密度のところを四千キロ廃止といいますか、転換をしていくということについてはすでに内閣として了解を見ているわけでございます。したがって、その過程においてそういう閣議了解を経て法案をつくっているわけでございますので、私どもとしてもこの法案の基礎になる四千人、八千人というものについては各省にもよく御説明をいたしておるわけでございまして、この辺については理解をしていただいているものと私ども考えておるわけでございます。この点については今後とも変わらないというふうにお考えいただきたいと思います。
  218. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 久保先生お尋ねの基準でございますが、それは先ほど山地局長が言いましたような経過を経まして決定されたものでございますから、第八条第一項にいいますところの八千人という基準、そして第二項にいいますところの四千人という基準、これはこの法案の骨子でございますから、われわれはこれは変更はできない、あくまでもこれを基準として維持していきたい。ただ、おっしゃることはよくわかるのでございまして、政治家は、それぞれの地元に帰りましたらやはりそれぞれの希望を持って発言するというようなことがややもして誤解を受けるということがございます。しかし、法律並びに政令というものは、そういう恣意的な条件のもとで執行し、適用するべきものではないと思っておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  219. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大臣からも一応のお話がありましたが、先ほどの鉄監局長お話のように、この原案の原案ともいうべきものを二、三の省庁ではまだ了解をしていないというのでありますから、これは近々、運輸大臣からいまお話がありましたが、運輸大臣を信用しないわけじゃありませんが、それぞれのところで異論があるというのではわれわれとしてもなかなか納得できませんので、これはしかるべき権威ある人が当委員会に出てきてちゃんと約束してもらいたい。権威あるといったら総理大臣ぐらいだろうと思うのですが、運輸大臣がだめだというわけじゃありませんよ、運輸大臣各省庁全部の首っ玉になわをつけてここへ連れてきてうんと言わせるなら別でありますが、そういうこともできかねる現状というならば、総理大臣が来てしかるべき言明をすることをまず第一に約束してもらわないと、これは先に進みません。いかがですか。
  220. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 確かにこの法案は、国民生活に非常に影響を及ぼすところが大きいわけでございますから、内閣全体として取り組んでまいりましたし、これからもこれが適用並びに運用にいたしましても、内閣全体として当たらなければなりません。したがいまして、その最高責任者としての総理大臣に御質疑があるということも、これは私たち理解できるところでございまして、総理が出席し、御審議いただく機会をつくるということを努めてまいりたいと思います。
  221. 久保三郎

    ○久保(三)委員 またしつこいようでありますが、基準は、法案が当委員会審議中に一応きちんと整理をしてもらいたい、こういうふうに思います。いずれにしても法案の申身にかなりの問題がございますから、そういう問題を含めて今後の審議に合わせてお願いしたいと思います。  次の質問に入ります。  法制局にお尋ねしますが、今回のこの法律は特別措置法ということでありますが、国鉄を運営する場合に必要な法律は、基本法というのは鉄道営業法というのがございますが、それを除けば日本国有鉄道法、いわゆる日鉄法、それからもう一つは鉄道敷設法、これを裏打ちするところの鉄建公団法、それから国鉄運賃法、大体この三つないし四つの法律が、国鉄を支えている基本法ともいうべきものであります。基本法でありますから、これらの法律に抵触する、あるいはこれを変更する法律をつくる場合には、当然基本法も手を入れるのはあたりまえだというふうにわれわれは思っている。  ところが、この特別措置法、まあ言うなら臨時の法律みたいなものですね、それぞれの基本法で禁止しているものがここでは解除になっている。たとえばローカル線の貸し付けまたは譲渡についてでありますが、日本国有鉄道法では、これは禁じているわけですね。その都度、必要があれば運輸大臣というか、政府の承認を求めなければならない、原則としてはこれはいかぬ。ところが、例外規定を今度は特別措置法でつくっているわけですね。それから、運賃法にしてもそのとおりなんです。すでに運賃法は、運賃法定制の緩和ということで大きな穴があいています。それから今度はローカル線の割り増し運賃を取る。運賃法の中では、先ほども言ったように、営業線約二万一千キロありますが、そのうちの一万キロに該当するのがローカル線というか、地方交通線になると思うのでありますが、これらに対しては特別運賃を取ろうということで、国鉄の半分程度の営業線が差別運賃を取ろうというのですね。いわゆる運賃法の根幹に触れる部分を特別措置法で制定しようというのです。  それからもう一つは、国鉄の新線建設についてであります。これは敷設法、しかも実施のためにも公団法という法律がございますが、これは全部例外を設けて、新線建設をいわゆる民間の手によってもやろうというのですね。原則的には、鉄道敷設法は国鉄の新線を建設するというのが目的であります。ところが、第三セクターあるいは地方鉄道業者の手によって同じような建設を進めようというのです。例外規定を全部ここでやろう。こういう法体系をつくることについて、法制局は何と考えているのか。なるほど政府やあるいは与党というか、そういう立場に立てば非常に大事な法律だけれども、一括してやってしまった方がいいという、いわゆる便宜的な法律ではないのか。法体系を崩すということにはならないのか。なぜ基本法を改正する手続を踏まなかったのか。どういうふうに考えているのか。いままでも数多くあるが、基本法でなければまだいざ知らず、国鉄運賃法にしても、日鉄法にしても、敷設法にしても、全部基本法です。そういうものの例外を全部、その法律では禁じている、あるいはできないものを、特別の措置法ということでやっていく。なぜそういうふうにしたのか、見解をお聞きしたい。
  222. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  この法律案は、ただいま先生御指摘のように、第一条の「趣旨」のところでも、国鉄の「経営再建を促進するため執るべき特別措置を定める」というふうに書いてございます。中身といたしましても、いわゆる国鉄経営改善計画の策定とか地方交通線対策、あるいは債務のたな上げ、これに関連いたします財政上の措置とかいうふうなものを広範に盛り込んでいるわけでございます。その点、先生の御指摘のとおりでございます。  こういった事項法律において措置します場合に、立法形式としましては、先生御指摘のように、それぞれの法律の一部改正を行いましてこれをまとめるという形式も確かにございます。そのもう一方におきまして、関連いたします措置を一つ法律の中において新法として規定する、いわゆる特別措置法とか緊急措置法と言われるようなものにこういうものが多いわけでございますが、そういう形式と、立法形式としては二様があろうかと思います。今回の場合は、その二番目の方、後の方をとったわけでございます。  その理由と申しますか、大きく分けて三点あろうかと思います。  第一点は、今回規定します事項国鉄再建という観点からのものでございます。従来の、先生おっしゃいますような基本的な法律、こういったところで予定しております制度といったようなものにつきまして、これと異なるような特別の措置が必要となってきたということでございます。したがって、関係法、先生おっしゃいますいわゆる基本的な法律と言われるものの一部改正という形式になじみにくいものがあるということが第一点でございます。  それから、第二点といたしましては、関連する一連の施策につきまして、新法という形で一括してこれをつくるということが、その対策の全体を理解しやすくするものではないかということが第二番目でございます。  それから、第三番目は、いま申し上げました第一番目、第二番目に関連いたしますが、また立法技術的なことで恐縮でございますが、新法の制定と関連法の一部改正といいますものは、いわゆる本則と附則の関係に立つ、この場合は格別といたしまして、いわゆる新法の制定と関連法の一部改正を両方とも本則で行うということはいたしておりませんで、そういった意味で、どうしても対策を一本にまとめるということからはこのような法形式をとるということにならざるを得なかったわけでございます。
  223. 久保三郎

    ○久保(三)委員 百歩譲っても、この法律の中で、たとえば運賃法のこの部分を改正するというような形式をとるのなら、あなたの言うこともわかりますよ。全然関係なくここでやっているんですね。そういうことが果たしていいのかどうか。しかも、運賃一つとっても、これは基本的な話ですよ。単なる再建ための例外ということで済まされない問題です。将来にわたって国鉄の運賃を、差別運賃を半分の営業線については適用するというようなことが果たして基本的でないのかどうか。これは運賃法を根幹に触れて改めなければならぬ時代に来ているのですね。そういうものを省略して便宜的にこんなところに入れるのは、まさにこれは形を変えた法匪です、はっきり言って。  敷設法もそのとおりです。いまや新線建設は見直しの時代に来ているのだ。そうだとすれば、この法律は、敷設法そのものを改正する、あるいは廃止して新たなものをつくるというのが筋ではないでしょうか。国鉄法もそうなんだ。そういうことを考えると、なるほどそのとおりなんだよ。あなたのおっしゃるとおりに、再建するためにこれこれの条項が必要だから一緒にまとめてわかりやすくしました、そういう簡単なものでいいのかどうかということですよ、運賃にしても鉄道の新線にしても。あなたの説明では納得しませんよ。こんなことをどんどんやられたらかなわぬ。基本的なことだもの。少なくとも法制局なんだからもっと権威を持って立ち回ってくださいよ。時間がないから、そのうちあなたとゆっくり論争しましょう。あなたは何を預かっている部長さんですか。第四部長というのは何をやっていらっしゃるの。
  224. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 第四部は、担当といたしましては運輸のほかに厚生省関係、それから通産省関係、農林水産省関係、公正取引委員会、それから経済企画庁、こういったものでございます。
  225. 久保三郎

    ○久保(三)委員 こういう法律をあなたの手で幾つつくったかな。こういう法律をたくさんつくりましたか。今後の問題だから考えておかなければいかぬ。いかがですか。
  226. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 いま何本とおっしゃられましたが、はっきり私も数を覚えているわけではございません。私が審査いたしましだものの中に何があるかとおっしゃいますと、たとえば国民生活安定緊急措置法、いわゆる石油ショックのときのあの法律でございますが、あれは私が審査いたしました。
  227. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃ結構です。後でまたお会いしましょう。  次に参ります。これは運輸大臣にお尋ねした方がいいかもしれませんが、これまで国鉄再建経営改善、そういうものについて政府は幾たびか閣議了解事項、そういうものをつくっておられます。そこで、きょうはひとつ限定してお聞きしたいのは、総合交通政策についてであります。  国土庁から来ておりますか。——それでは、総合交通政策についておわかりかと思うのですが、一応念のために申し上げておきます。  四十四年の閣議決定で、日本国有鉄道の財政再建に関する基本方針というのをつくりました。その中にも総合交通政策について言及しています。それから次には、四十六年七月、これは運輸政策審議会という運輸大臣の諮問機関ですね、これが総合交通体系に関する答申というのを出しております。それから、総合交通体系について、四十六年の十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会、中心は当時の経済企画庁、引き継ぎは国土庁ですね。それから、四十九年三月には閣議決定で、日本国有鉄道の財政再建に関する基本方針、その中でも総合交通体系について施策を進めるということになっております。さらには、五十一年の十月に当運輸委員会で附帯決議をしております。これも政府に対する注文であります。さらに、五十二年の十二月ですが、当委員会国鉄再建基本方向というのを一つの提言として出しております。これを受けて、同じく五十二年の十二月に閣議了解事項で、日本国有鉄道の再建基本方針というのをつくっております。これも総合交通体系についてであります。それから、最近では五十四年、去年の十二月の閣議了解事項で、日本国有鉄道の再建についてというので、総合交通体系云々ということを書いてあります。あるいはこのときには総合運賃政策という条項もあります。  この幾つか挙げましたものについてこれまで具体的な展開をしたためしがあるのかどうか。  まず第一に、これは運輸省から聞きましょう。  運輸省は、これらの閣議決定なり閣議了解事項あるいは国会の決議、そういうものを受けてどういう対策を具体的にやったのかどうか。実際言うと、ほとんどやってないのです。何もやってない。国土庁も経済企画庁から引き継いで総合交通体系の担当になっておられると思うのですが、具体的にやってないのじゃないかと思うのですね。これ、総合交通政策ばかりじゃないのです。国鉄再建ということで、先ほど読み上げました幾つかの閣議了解事項等にはいろいろなことが書いてある。ところが、その政策は単なる、当時新しい年度の予算要求の背景説明というぐらいにしか使わない。これはたなざらしになっておるのですね。現に五十四年十二月の閣議了解事項の中にあります、たとえばこれまで質問が出ましたところの公共負担の処理の問題も、なるほど答弁のように、十回くらい会合は開いたが、何らの前進はないし、関係の省庁は関係ありませんと、こう言っている。来年度の予算要求にもしておりませんと、こう言うのだな。運賃政策についても、総合的な運賃政策についてこれは検討するということになっているのだが.その検討もできないままに、いまや国鉄ローカル線の割り増し運賃を設定しようということで法律に提案してきた。わずかにやったというのならば、いわゆる物流対策の一つとしてトラックの過積み規制を警察の手によってやってきた、道交法の改正で。運輸省は何らやっていないのじゃないか。もっともこの当時も、国鉄は残念ながらこの過積み規制によるところの荷物の流れに対して対応する適切な施策を講じていなかった。これを定着させるだけの努力もしなかったのではないかというふうに私は見ているのであります。酷な見方でありますが、そのとおりであります。何らの具体的な政策の展開をしていないのだな。  こういうことで何遍再建方策を練ってもこれは実るはずはないのであります。また、国鉄そのものもその後の政策の具体的な展開に対して無関心ではないのであろうが、無気力なのか、政府に対して物を言ったためしがない。わずかに去年の七月でありますか、経営改善の、国鉄再建の構想案というものを出した。これも運輸大臣からやいのやいのの催促で出していったと聞くのであります。それが下地で今度の法律案ができたとも聞いておりますが、余り積極的ではない。公共負担そのものにしても、先ほどの話に戻りますが、十何遍かの関係省庁の会合があったが、大胆に公共負担をこの会合の中に披露して、自分の考えを説いたという話を私は聞いていない.そういうことで果たして再建ができるのかどうか、私は非常に疑問を持っています。  まず第一に、運輸省から聞きましょう。総合交通政策というのはどこでやっているのか。運政審に諮問しているようだが、運輸省は総合交通政策の担当の省庁であるのかどうか。まず、運輸省から聞きましょう。これまで言ってきたところの閣議了解事項その他の総合交通政策を具体的に展開しているのなら展開していると簡単に答えてください。
  228. 石月昭二

    石月政府委員 ただいま先生からお話ございました総合交通体系につきましては、私ども現在、四十六年の運輸政策審議会の総合交通体系についての答申並びに臨時交通問題閣僚協議会の決定に従いまして政策を進めているわけでございまして、具体的に申し上げますと、一つは、運賃制度面におきまして各交通機関の運賃制度の整合性のとれた運賃の決定という問題、それから施設整備面につきましても、新経済社会七カ年計画という政府計画に際しまして均衡のとれた各交通機関間の施設整備の促進というような問題、その他地方公共交通の維持につきましては地方交通線対策の強化というような形での政策を推進してきております。
  229. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 総合交通政策全般につきましては、現在でも総合調整につきましては企画庁が第一義的な責任を持っておりまして、国土庁は総合交通施設に係ります整備についての総合調整を担当する、こういうことに相なっておるわけでございます。  国土庁の総合交通施設体系に関します考え方は、御案内の第三次全国総合開発計画に掲げられておるわけでありまして、要約して申し上げますれば、全国を縦貫するあるいは横断する幹線交通体系、これは陸路、海路、空路もあろうと思いますが、そういったものと、それからそれぞれ地域のニーズに対応して住民の日常生活の利便を確保するという視点からの地域交通体系、この二つがあろうかと思うわけでございます。これらにつきましては、この両者を有機的な連携を図りながら総合的な整備をすべきであるという基本理念に立って、その計画でそれぞれについての方向を示しておるところでございます。  なお、国土庁がこういった全国総合開発計画を離れまして、年度ごとに総合交通施設体系整備にかかわりますルーチンと申しますか、仕事といたしましては、たとえば道路とか港湾とかあるいは空港とか、そういった公共事業にかかわります五カ年計画の策定がございますが、それらにつきまして協議を受け、必要な調整を行うということで関与しておるわけでございます。
  230. 久保三郎

    ○久保(三)委員 運輸省にもう一遍聞きますが、総合交通政策について運政審に諮問しているようだが、これはいまの話のように経済企画庁、国土庁、まあ経済企画庁が従来どおり所掌しているそうだが、そういう諮問をすることは別に異論はないとしても、政府として責任ある立場はどこなのか。それから、運政審に諮問したというが、答申を受けたときの後の処理はどういうふうになさるつもりなのか。この点を一遍聞きたい。
  231. 石月昭二

    石月政府委員 ただいまお話しのように、現在私ども運輸政策審議会に対しまして、最近におきます経済社会情勢の変動に伴い、エネルギーの問題とか交通空間の問題とか、さてはまた公害の激化というような問題を踏まえまして、そうした社会的制約条件に今後どのように対応していくかという観点で諮問しているところでございますが、この結論を得ました上は経済企画庁ともよく相談いたしまして、今後の総合交通政策のあり方について政府レベルの決定に持っていきたいというぐあいに考えているわけでこぎいます。
  232. 久保三郎

    ○久保(三)委員 役所というか、政府の機関というのは、自分の所掌事務をとられることは大変神経質なんですね。だから、いま心配しているのは、運輸省で運政審というのを使って総合交通政策を諮問しているそうだが、答申を受けたら、いまの総務審議官の言うとおりその他の経済企画庁あるいは国土庁とも御相談申し上げるというが、相談に第一乗ってくれるのかね。これはおまえの方が勝手にやっているので、勝手に答申を受けたのだからおれは知らぬよという話になりやしないか。本来なら何で経済企画庁や国土庁にこれをやらせないのか、運輸省は何で出しゃばっているのか、その理由は何ですか。
  233. 石月昭二

    石月政府委員 先生御承知のように、現在の交通行政につきましては運輸省、それから道路につきましては建設省、それから交通規制につきましては警察庁というような形で所管が分かれているところでございます。  四十六年の答申に際しましても、私ども運輸省の立場から運輸省の所管行政全般並びにそれと関連いたします道路並びに交通規制の問題等も含めまして総合的な答申をいただいたわけでございますが、私どもの答申に引き続きまして各省でもそれぞれ今後の交通体系のあり方ということを検討されまして、これを政府部内におきまして企画庁が調整主体となりまして調整した結果、政府の案としてまとめた次第でございます。したがいまして、私どもがつくりました案につきましては、企画庁の答申におきましても大体その内容を四十六年の答申の際には取り入れていただきました。  また、今回の運輸政策審議会の諮問に先立ちましても、やはり経済社会情勢の変動から見直すべきではないかという久保先生の御指摘等もございまして、企画庁からもそれについてどう考えるかという話もございました。そういう諸般の情勢を踏まえまして、私ども見直す必要があるということで現在諮問いたしているわけでございまして、この点につきましては四十六年と同じような形で、運輸省の運輸政策審議会から受けました答申につきましては、政府計画として内容を尊重していただけるものと考えております。
  234. 久保三郎

    ○久保(三)委員 一応の話としてはわかりましたが、大臣、総合交通政策というようなものも、いまそれだけとっても三つに分かれているのですね。運輸省でいまやっているが、経済企画庁も調整をしなければならぬ、国土庁もそのとおり。これはやはり責任ある場所を一ヵ所決めて、そこでやらなければ進まぬことだと私は思うのです。先ほど申し上げたように、四十六年にお話のありました総合交通体系についてというのを関係閣僚協議会で決めました。これを見直さなければならぬということは、もう数年前からの話なんですね。やっといま運輸省が腰を上げて運政審にやっていくということだ。ところが、先ほどどなたかの答弁の中には、四十六年の決定に従って何かやっているような話もある。これは間違っているのじゃないかと思うのですね。だから、そういうことからいくと、この際思い切って、行政改革という問題もありますから、同じようなことをやっているのはむだですから、これはやはり運輸省なら運輸省に一遍まとめてもらう工夫はないものかということです。  それと同時に、運輸省にも言わなければなりませんが、総合交通政策をつくれということで、これまで何遍も閣議了解事項にもなっている。あるいはこの委員会にもずいぶん出てきている。ところが、やり出したのほことしの春からかもしれませんね。来年の四月ごろできるというんだな。国鉄再建一つとっても、そういう環境整備ができなければだめな面があるんですね。これは単に作文、ペーパーでは困るのです。具体的な政策の展開がなければ残念ながら環境の整備というか、そういうものはできませんね。環境の整備ができない中で国鉄再建ができるはずはないのです。野中の一本杉でいるわけじゃありません、競争場裏にいるわけですから。  そういうことを考えると、この辺で一つは総合交通政策を担当する省庁をきちんと整理してやっていく、こういうことが必要だと思うのですが、いかがですか。
  235. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのように、三省庁におきましてそれぞれの総合交通政策を考えておるようでございますが、それぞれの役所の立場に立っての総合交通政策だと思うのでございます。しかし、政府一体として見ました場合に、確かに御指摘のような疑問が出てくるのも当然のことと思うのでございます。つきましては、各省庁間におきましてこれが意思統一をし、政府とレての総合交通政策を一本化していくような努力をしてまいりたいと思うております。
  236. 久保三郎

    ○久保(三)委員 次に、先ほどの話に戻りますが、幾つかの提言なり対策が立てられながら、残念ながらやってきたのは運賃の値上げだけですね。今度出てきだのはローカル線の処分、それから三十五万人の体制。こういうようなことだけがやられてきて、肝心かなめの政策的な展開や財政措置というものはできていない。これについて運輸大臣はいかが思いますか。今度もこの法案が通れば、来年度の予算要求で背景説明ということでまた閣議了解事項をおつくりになりますか。しかし、その後の展開は知りませんよということになりますか。どうでしょう、いかがですか。
  237. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 総合交通政策の一環としての国鉄再建整備法との絡みはいわば緩いではないかという御指摘でございますが、先ほど石月務審議官が申しておりましたように、総合政策の答申は来年の四月をめどにいただくことになっております。  ところで、国鉄自体の再建というものは、いわば国鉄努力政府助成といいましょうか、債務に対する責任、そしてまた国民の皆さん方にも御協力いただくという三本立てでできておるものでございますが、これを今後総合交通政策にどのようにうまくマッチしていくようにするかということはこれからの大きい課題でもあろうと思うております。つきましては、各交通機関の非常な発達、そして地域の整備、道路の整備等を見ました場合に、まさに国鉄が総合政策の申における位置づけを明確にしていかなければならぬ時期でございますので、当然われわれもこの再建を進めると同時に、並行しその措置をとっていかなければならぬと思うております。
  238. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いままで国鉄再建が思うようにできなかった反省というのは必要だと思うんですね。反省が余りないのでは残念ながら新しい道は開けないだろうと思うのです。私は幾つかあると思うのですが、いま申し上げたように、いままでに政策的な展開が具体的に余りなかったということですね。だから、環境的な整備がおくれているということが一つであります。    〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕 それからもう一つは、言葉では、エネルギーとか環境保全とか労働とか安全とか資源とか空間とか、そういういろいろな制約条件が交通には出てきた、国鉄は十分その中で機能できる特性を持っている、こう言ったり書いたりはしているが、その特性を発揮するための、先ほど申し上げた政策的な具体的な展開がない。これは来年度の予算原案さえつくれればほっとするということですね。だから、この春の本法案審議の際に私は国鉄総裁にお尋ねしました。国鉄の借金政策についてどう思いますかと申し上げましたら、国鉄は公共企業体だから借金ができますということで、間違っていたか知りませんが、余り苦にされていないように私は受け取りました。苦にはしているのでしょうが、借金も財産という言葉もありますからそういうことかもしれませんね。いずれにしても、来年度の予算が、借金であろうが運賃値上げで働ろうが、形が整えばいいということなんですね。歳出権さえとってしまえばいい、歳入の方の保証はある程度不確定でもいいということが御列席の皆さんの中にもしもあるとするならば深く反省してもらいたい。収入の問題、歳入の問題についてはある程度それがうまくない歳入であっても、国鉄再建ためによくない歳入であってもいい、あるいは不確定でできない相談であっても数字さえ合えぱいい、そして歳出権だけはとろうという、これはまさに言葉は悪いのですが、役人の考え方であります。財政再建を言う前に、そういう仕組みについての反省がなければうまくいかないと私は思うのですよ。支出権だけとろう。なるほど、そうです。企業でありますから、毎日車を回すのでありますから、金がなければできませんから、背に腹はかえられぬ、何でもいい。あなたはむずかしいことをおっしゃるけれども、金がなければ毎日車は回らぬですよと言うかもしれませんが、そういう根性では残念ながら再建はできないと私は思うのですね。工事費は御案内のとおり毎年一兆円以上かけている。そのすべては借入金ですよ。借入金で利息を払ってやれるような設備投資がどこにありましょう、国鉄の設備。そんなのは設備投資ではありません。商品を貿って一年間に六回も回転するような企業じゃありませんからね。そういうものを考えていらっしゃるのかどうか。そういう反省がなければならぬと思うのだが、運輸大臣はどういうふうにお考えでありますか。これが一つ。  それからもう一つ再建ができないのは、いわゆる国鉄政府、そういうものの責任の分担というのが不明確なままに今日まで来ているということです。だから、最後はさっき言った単年度の予算の中で不明確なままに毎年毎年転がしてきた。たとえば、先ほども申し上げた公共負担一つとっても真剣に政府自体が取り組んでいない。なるほど運輸省はげたを預けられたからやっているか知らないが、文部省や厚生省は来年度の予算にさえ要求してない。来年度の予算にさえ要求してないものが何で会議を開くのか。国鉄そのものはその必要性を強硬に直談判しているという話は聞いてない。そういう責任が不明確なままに、唯々諾々ととは言いませんけれども、物も言えないままにしょって歩いているのが国鉄の幹部じゃないかというふうに思う。物が言えない。  もっとも、鉄道監督局長というからね。これもついでに申し上げますが、監督局はおやめになったらどうですか。鉄道監督局というのは廃止したらどうですか。国鉄は公社、公団の部類ですから「いわゆる国鉄監理官を一人置いて、部下を二、三人置けばいいんじゃないですか。いま民鉄を含めて監督する時代ではありませんね。政策的な誘導をどうやってやるかということがいま必要な時代に、鉄道監督局という名称そのものが問題だし、それから今度の法案でも経営改善計画を出すことになっています。出すときには運輸大臣の承認をもらってこれが確定します。その経営改善計画に従って仕事をやってまいります。途中で、運輸大臣は、法律案によれば、必要と認めれば変更の指示を出すというのですね。これはずいぶん不見識な話です。監督という文字があるから、国鉄は運輸省に対してすべてお任せということではないんだろうか。こういう法律案を、どうして国鉄総裁が黙ってついてきたんだろうかという疑問さえ私は持っているのですよ。また、国鉄以外に政府自体でも国鉄の処遇について間違っているのではないかというふうに思うのですよ。だから、法案からすべて中途において変更命令を指示できるということはやめた方がいいと思うのです。過度の介入であり、これは国鉄の自主性を政府自体が取り上げているのです。それでなくても、日本国有鉄道法の中には各所に、予算の編成から予算の支出から全部監督官庁の運輸省、大蔵大臣、そういうものの判こがなければ一銭たりとも出てこない。こういうことで自主性を云々をするわけにはいかない。また、そういう体制の中には残念ながら国鉄総裁以下自主性を回復しようなんという気力は全然出ないと思うのですね。だから、大変話は悪いが、その日暮らしで平穏無事にということになりはしないかというふうに私は思うのです。もっともそうではないようですが、最近総裁は気力を出しておられるようですが、どうも外形上はそういうことになります。もしもそうでないというなら、総裁、ここでひとつ息張って御返事をいただきましょうか。今度の法案について、自主性回復についてあなたはどう思うか。経営改善計画の中途でも、運輸大臣が必要があれば変更の指示を出してくることについで、あなたはなるほどそうかと思いますか。いずれにしてもそういうことが原因であります。、  それからもう一つは、御案内のとおり、労使の問題がございます。これまでもそれぞれの委員から御指摘がありました。いまの四十万か何か知りませんが、そういう人間が一体とならなければこれは経営は改善できないのです。ところが、労使の間に不信感がある。不信感は単なる不信感じゃありません。お互いの組織に手を加えたり、お互いの仕事に容喙したりということでお互いに守備範囲を守らなかったところに問題があるわけです。対等の立場に立って、いわゆる公正に運営をしていなかったところに問題があると私は思うのですよ。そういう問題を取り除くため基本的に問題をこの際解決する用意があるのかどうか、これは総裁並びに大臣にお答えをいただきたい。いずれにしても、いま申し上げたような問題について運輸大臣はどういうふうにお思いでありますか、お答えをいただきたい。
  239. 高木文雄

    高木説明員 私どもと運輸省の関係でございますけれども、確かにいろいろな面で監督指導を受けております。ざっくばらんに言わしていただいて、やや過当な干渉だなと思うことも個人的にはございます。しかし、現在はとにかく大変な赤字でございますし、予算につきましてもあるいはまた借入金につきましてもいろいろ御迷惑といいますか、われわれの力ではできない面があるわけでございまして、政府部内各省との折衝は運輸省にやっていただくたてまえになっておるわけでございますので、少なくとも本当の意味において金の面において自立できていないわけでございますから、当然そういう指導なり監督があるのもまたこれやむを得ないというふうに考えております。何とかこれが真の意味において自立できますれば、われわれ自身がいろいろのことについて独自の立場をとり得ると思いますけれども、現在はとにかく異常な状態でございまして、先ほどお話ございますように、民間であればもう完全につぶれているはずの状態でございまして、その赤字をすら借入金でつないでおるというまことに情けない状態になっておりますので、それについては相当厳密な監督を受けることむまたやむを得ないのではないか、いささかあきらめの境地と言えばおかしいかもしれませんけれども、そういう感じでおります。われわれとしましては、先ほどの不当干渉ではないかということについては、現段階においてはどうも残念ながらやむを得ないのじゃないかというふうに思っております。  それから、次の労使澗の問題につきましては、おっしゃるように、労使の間におきまして不信が大変強い時代がございました。当局側が労働側に対して本来あるべき姿よりは干渉が強過ぎた、また組合側も当局側に対して現場現場におきまして本来管理運営事項であるべきことについての干渉があったということは事実であると認めざるを得ないと思います。しかし、この点はかなり直ってきておると思っております。先ほど他の方の御質問にございました意識調査等を調べてみましても大分直ってきておる。結果はまだいい水準でございませんけれども、過去の水準から見ますと、各現場の様子が少し直ってきておるということだと思います。その機運が今回の55・10のダイヤ改正の際の労使関係にもあらわれてきておるわけでございますので、この機会にこれを一挙に推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  240. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 お尋ねの点が四点あったように思うのでございます。  まず、最初の問題といたしまして、国鉄が企業としての自主性をもっと発揮しろという点でございますが、運輸省並びに政府としていままで国鉄に対しまして国鉄が不利になるような不当な干渉は余りしてこなかったように私は承知しておるのでございます。しかしながら、昭和三十五年以降赤字が出てまいりました。それでもまだ再建努力をしようということで懸命の努力はしておったように思います。    〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、昭和五十年以降、あの第一次石油ショック以降におきまして国鉄財政状況が急激に悪化してまいりました。そして、いまや民間企業で言いますならば、いわば更生法の適用を受けるような状況になってきておるのでございまして、でございますから、それが財政的にも、意識に非常な影響を及ぼしておるということは私は確かにうかがえるのであります。  そこで、借金をしてでも工事をするということをやめたらどうだというお話も中には一つの例としてございましたけれども、私はこれは一例として申しておられるんだと思うのですけれども、しかし、国民の要請というものは国鉄公共性から見ましてこたえていかなければなりません。したがって、最小限にとどめて設備投資をやってきておるというのが実情でございます。国鉄は一面において企業性、採算性を要求され、一面においてはやはり全面的な公共牲を要求されるというところにございまして、そういう点を踏んまえて、われわれもその中和点をいかに求めていくかということについて努力をしなければならぬと思うのですが、今後できるだけ、この再建法案一つの転機にいたしまして、国鉄自身が意識を改革し、再建へ向かってくれることを大きく期待しますし、その環境づくりに努めなきゃならぬと思うのであります。  それから、政府国鉄の分担、公共負担を言っておられると思うのでございますが、これは長年にわたります慣習もございますので、なかなか早急にこれを改善するということはむずかしいように思っております。また、現在国におきましては、相当な財政窮迫の状況にございまして、いまの時期といたしましては、政府国鉄との公共負担の明確な区分という、負担を明確にすることはなかなか至難なことではあろうと思うのでございますが、これは努力は重ねていかなければならぬと思うのであります。  それから、改善計画の変更で、一々そんなことを指示するのかということでございますが、私たち国鉄改善計画を作成いたしましたものを責任を持って実行してくれることをむしろ望んでおるのでございます。それじゃ、なぜ法案の中に出ておるかといいましたら、やはり特別な事情が起こった場合ということでございまして、法案に明記してあることを盾に、運輸省が改善計画について積極的に指示し、変更せしめるというようなことはあり得ないことだと思うし、また国鉄自身努力をしておる間は、それは当然国鉄改善計画によって実行されていくべきだと思うております。
  241. 久保三郎

    ○久保(三)委員 借金で工事の話を一つの例としてという話ですが、なるほど一つの例であります。しかしながら、工事もずいぶんばかばかしい工事をしている例がたくさんあります。  それから、すでに当委員会でも御指摘がありましたようなむだな投資をしておるわけですね。これは真剣に考えてない証拠じゃないかというふうに一つ考える。  それからもう一つは、世間で言われることでありますから検討を要しますけれども国鉄の工事費は単価が高いというのも一つ言われております。  それからもう一つは、優先順位を投資の中でつけているのかどうか、つけているのだろうと思うのでありますが、鉄道管理局単位にやるような工事であれば、管理局長の裁量によって全国一律でない面もかなりあります。それはそれなりに特色を発揮するために必要かもしれませんが、こういう時代でありますから、やはり最小限どうやって有効に使うかという工夫があってしかるべきなんで、いろんな面でむだな投資をやったり、手戻りをやったり、当分使いそうもないものを買い込んだりということになると、われわれとしてはどうも言葉どおりに受け取れない面があるわけでありますが、これに対しての反省は総裁はどういうふうにされているのか。  時間があれですから、続けてお聞きします。大臣の監督の問題ですが、鉄監局をやめる話はお答えがありませんが、いかがですか。局長から答弁もらえませんから、あなたから答弁もらうほかありません。  それともう一つ、変更の指示はいたさないんだ、万が一の話ー万が一何があるんだろうが、そういうものはない。しかも、いままで総裁の答弁の言葉の中にもちょっとうががえるのは、やはりお金を借りたり、そういうものをお願いしなければなりませんということで、運輸省は力を持っているわけですから、そういう法律の条項がなくても、内面指導でりっぱににらみはきかせていくものと私は考えている。それができないほどの運輸省ではないだろうど思うのです。しかも、それをあえて法律の条項に加えるということになると、何か別なことを考えているのじゃないかというふうに思う。これはやめた方がいいと思うのですが、重ねてお答えいただきたい。
  242. 高木文雄

    高木説明員 最初の、資金の効率の問題でございますが、最近もしばしば御指摘を受けておりますし、土木工事にいたしましても、車両等にいたしましても、どうも昔の当時に比べると、金の使い方、効率についての注意といいますか、感度といいますか、必ずしも十分でないんじゃないか。東海道新幹線、山陽新幹線と東北、上越新幹線と比べましても、建設単価が非常に上がってきておるわけでございます。これは雪国で走らなければならぬという事情もありますし、安全、環境といった問題もありますけれども、どうも少し問題のところがあるように思っております。その点は担当の技術部門にも、最近では私もやかましく言っておりますので、そういう角度で物を見ることについて、もう一遍洗い直しをしなければならぬという気持ちになってきております。この点はまさに金利のつくお金を借りてやっておるのであり、かつまた将来の償却なり利子の問題が今後の経営の重大問題である以上、私どもの仕事の中心にその問題を据えてこれからもやってまいりたいと存じます。
  243. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まず、鉄監局の問題でございますが、鉄道監督局は、国鉄だけではなくして民鉄もございますし、その他国鉄以外の監督指導もいたしておるところでございまして、したがいまして今後総合交通政策を進めようとするならば、さらにより以上私は、鉄道監督局の指導性というものも、総合性をとっていくためにも必要ではないかと思うております。ただ、余りにも監督が優先してしまって、政策の立案、そしてその指導ということが後退するようなことがあってはならぬと思いますが、現在のところ、鉄道監督局を廃止するという考えはございません。  それから、指示の問題でございますが、経営改善計画は、作成の段階におきましては、われわれも容易ならぬ気持ちで.この再建を図らなきゃならぬのでありますから、厳重な協議をいたしたいと思うのでございますし、また国鉄自身も、この改善計画は非常な決意で作成するであろうと思うて、おります。そして、一たん決まりました以上は、やはりこの計画国鉄の自力でもって達成してもらうのが一番望ましいと思う。  ただ、この文言が入っておるということでございますが、私はいまちょっと見ましたら、日本国有鉄道法の中にも、実は運輸大臣計画の変更の指示ができるとございますが、これはいまだに適用したこともないということでございます。でございますから、この再建整備に対応する改善計画の中で、全国的に非常な事態が起こるとかなんとかいうことになって、それでもなおこの国鉄による輸送の責任を果たさなければならない場合、そういう特殊な場合には、やはりこの再建計画だけではいけないようなときがございますので、そういうときにおける指示権というものを留保しておるのだ、こう思っていただいたら結構だと思います。
  244. 久保三郎

    ○久保(三)委員 理屈はいろいろつけようだと思うのでありますが、日鉄法にもそういうことがある。そういうものはなおさら削除する法律案を出してくるのが当然であります。天災地変があったときにどうするかというのは、別な法律がありまして、結構これで用が足りるわけですから、私は別に長くこの問題でやるつもりはありませんが、どうもそういうものに条項をつけなければ体裁が整わないというような感覚を持っているのは役人さんの頭じゃないかと思うのであります。鉄監局やめろというのは、監督をやめろと言っているのです。お話しのとおりに政策を中心にやってほしい。大体自主性を持ってやって、自主性が保てないようでは困るのでありますから、そういう点を強調しているわけです。  いずれにしましても、時間もありませんから次に参ります。  次に、五十四年十二月の閣議了解事項では、六十年度までに国鉄経営基盤を確立して、速やかに収支均衡を図れというようなことなのですね。そこで、これは総裁に聞いた方がいいですね。六十年度には政府助成というのは大体どのくらい必要になりますか。それからもう一つは、六十年度で収支均衡が図れるにしても、なお過去債務というか、借金が残ると思う。その残高はどの程度になりますか。
  245. 高木文雄

    高木説明員 政府の方でお認めはいただいていないわけでございますけれども、私の方で現在、六十年度自体、単年度で年金とか退職金とかいうものについての特別の応援をしていただきたいということを含めてお願いをしたといいますか、計算をした助成額の必要額は約一兆一千億でございます。ただしかし、この計算は多くの仮定計算が入うておるわけでございまして、特に年金については何らの対策がとられないままで六十年時点を迎えることを前提にして、しかも、その異常負担部分についてこれを利子補給の形で助けてもらうということが前提になっておりますが、一方において私どもとしては、そういう方式ではなかなか年金対策が立たないので、他の公社あるいは国家公務員の年金との統合ということを考えていただきたいと言っているわけでございますが、そうなればこの助成額は相当程度少なくて済むということになろうかと思います。  それから、毎年の赤字額はだんだん減ってまいりますが、現在八千億ないし九千億の赤字額が六十年度でちょうどなくなるわけでございますけれども、仮に平均に赤字額が減ってまいるということになりますと、九千億の五年分の平均残高で見ると二分の一というようなことになりますので赤字額としてはやはり相当、二兆とか二兆五千億とかという数字がその間にたまってくるという可能性があります。これは年度計画をまだきちっと立てておりませんから、それをいま作業中でございますけれども、立てておりませんから、いまの八千億ないし九千億の赤字額をゼロに持っていく過程において早く減らすことができればその額は、赤字赤字を生む数字が減りますから減ってまいりましょうし、そのテンポがおくれればふえるということもありますし、それからまた年金等の処理がどういうふうな方法でどういう時点で行われるかによっても違ってまいるわけでございますが、やはりなお相当額の赤字が六十年度までにまたたまるといいますか、新たに単年度で赤字が発生しないまでの期間においてかなりの額の赤字が出てくるということは残念ながらなかなか避けられないと考えております。
  246. 久保三郎

    ○久保(三)委員 大蔵省、矢崎次長お見えですか。いま国鉄総裁から話がありましたように、六十年度時点で助成金は一兆一千億ぐらい必要だ、累積赤字というか、長期債務というか、残高二兆円を超えるというお話がありましたが、これに対して大蔵省としてはどういうふうに考えておられるか、いかがです。
  247. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの国鉄総裁の方から申し上げられました六十年度時点での計数というものは、国鉄の方で一定の前提を置いて試算されたものだと聞いているわけでございます。これらの助成措置の考え方につきましては、予算の財政上の許す範囲内で毎年度の予算編成の過程で決めていこうということになっているものでございまして、私どもといたしましては、国鉄自身経営改善努力といったようなものも見ながら今後毎年度の予算編成の過程におきましてこれを検討してまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから、累積赤字が六十年度末になお相当なものになるのではないだろうかという問題でございますが、今回の過去債務対策を初めといたします公的助成というものは、国鉄自身の徹底した合理化措置を前提としたものでございまして、これらの施策を確実に実施することによりまして昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立するとともに、可及的速やかに収支均衡の実現を図るということを考えられているものでございますから、今回の措置によりまして国鉄財政再建が図られるだろうと私どもは礁信をいたしておるわけでこぎいます。
  248. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのお話は、なるほど大蔵省としては常識的な答弁かもしれません。しかし、考えてみれば、閣議了解事項で、内容がどうであろうとも、六十年度までに経営基盤を確立する、速やかに収支の均衡を図ると一応政府としては方針を決められております。そこで、先ほど総裁の答弁があるわけでありますから、これに対しては、六十年度までの話を一応計画計画として単年度の予算措置は措置としてこれはあると思うのです。しかしながら、計画自体についてのならしは、やはり国鉄なり運輸省との間でともかく話をするのが当然だと思うのです。そうでないと、国民なりわれわれとしては、閣議了解事項というのは全然しり抜けであって話にならぬということでは、これは残念ながらうまくいかないのじゃないかと思うのです。重ねて御答弁をいただきたいのであります。  それと同時に、来年度予算編成に伴って一割近い運賃値上げをしようじゃないか、あるいはするということがあります。もう一つは、いま審議中の再建法には、先ほど来申し上げているように、地方交通線約一万キロに対して割り高運賃を課そう。総裁の答弁では五割増しにしよう。いつからという話はありませんが、常識的に考えて大体置賃値上げと同時ではないかというふうにも考えます。そういうものが可能であるのかどうか、大蔵省、財政当局としてこういうことができるのかどうかという見通しも必要だと思うのです。これはできるとお思いになっておりますか。いかがですか。できるというのは、運賃値上げをして収入を増すことができるのかどうかということをお尋ねしたい。特にローカル線について、限られた線区ではありますが、五割増しの運賃を取ろうというのです。運賃値上げの上に五割増し取ろうというのです。なるほどこれは上げることは可能でしょうね。しかし、利用はいかがかな。国鉄離れが促進して、上げた分だけも取れない。むしろ現在の収入より下回るのではないかという心配もわれわれはしております。だから、今度の法律で一番ばかばかしい表現は、この条項の表現であります、はっきり言って。収支の改善を図るためローカル線の運賃を値上げしますということを麗々と書いてあったな。ローカル線で収支の改善を図る工夫で運賃値上げしてできるものかどうか。そんなところの認識がこれは問題だと私は思うのですが、大蔵省として、それはできるかどうか、見通しについてお聞きしたい。
  249. 高木文雄

    高木説明員 ただいまの運賃の問題でございますが、まだどういう案にして、どういうふうにして上げてもなおかつ結果として収入がふえるようになるかという具体案をつくって大蔵省と協議するような段階まできておりませんので、恐らく大蔵省の方も答弁のしようがないというか、もう少し私の方で研究した上で、いずれ協議をするということになるということで御理解いただきたいと思います。
  250. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃ、五割上げるということにしてそういう見込みが立つか、法律の文言どおり目的を達成することがローカル線でできましょうかどうですかということを、お見通しとして、いままでの御経験もあるでしょうから、いかがですか。
  251. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点は、今後の国鉄助成考え方についてでございますが、先ほども申し上げましたように、毎年度の予算編成の過程で検討するわけでございますが、その際におきましても、もちろん所管省でございます運輸省の意見も十分伺いまして、適切な対処をしたいというのが基本的な考え万でございます。  それから第二点の、地方交通線の運賃の問題でございますが、ただいま国鉄総裁からもお話がありましたように、私ども、まだ具体的にどうこうということを伺っておる状況でございませんので、明確なお答えをいたしかねますが、いずれにいたしましても再建法の十三条に規定しておりますように、「地方交通線の収支の改善を図るために必要な収入の確保に特に配慮して定める」というこの趣旨に沿って、今後運輸省等の御意見も伺いながら適切に検討をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  252. 久保三郎

    ○久保(三)委員 鉄監局長、あなたにいまのローカル線の運賃の値上げについて同じことを聞きたい。あなたは、もちろんこれはできると思っているのだろうけれども、具体的にどの程度上げたらできるの。
  253. 山地進

    ○山地政府委員 いまのローカル線特別運賃の問題でございますけれども、いまの規定は、収支改善を図ることに配慮して運賃を定めるということを書いてございますので、理屈の上からいきますと、運賃を下げて収支改善を図るということは、その方が収入がふえるという場合には下げても構わないような規定になっておるわけでございますが、通常の場合は、下げてもなかなかお客がそれほどふえないということで、上げるというのが通例かと思います。どの程度上げていくかということにつきましては、各線区によりましてそれぞれいろいろの実情があろうかと思うわけでございますけれども政府といたしましては、ことしも地方交通線約一万キロに一千二百億ぐらいの助成をする、これは公共負担という形で出しておるわけでございますので、地元の方もこの助成ということに関連いたしまして、ひとつ御理解を持ってこの特別運賃の徴収ということについて御協力を賜りたいと考えでおります。
  254. 久保三郎

    ○久保(三)委員 国鉄運賃法には四つの原則があるわけです。時代おくれだと言えぱある程度時代おくれかもしれませんが、しかし、いずれにしてもこの法律で、原価を償うもの、あるいは公正妥当なもの、それから賃金や物価を安定するに寄与するもの、それからもう一つは産業の発達に資すること、四つの原則があるわけだな。だから、これといまの運賃の値上げ、ローカル線の運賃値上げというのは、まず一つは、公正妥当であるのかどうかということですね。公正であるのかどうか。いろいろな点から言っても、どうも矛盾がありそうなんですね。矛盾があるとするならば、さっきも言ったように、運賃法そのものを直すことが先決なんで、運賃法は、基本法は直さぬで、片万の方でちょこちょこと例外を認めたり特例をっけることは、これは公正なやり方ではないですね。そういう点からいって、収入の確保を図るといって、第一、収入確保ができるのですか。四つの原則について、運賃法に照らしてこういうやり方は妥当だと思いますか、いかがですか。
  255. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど申し上げましたとおり、今回の法律の十三条の「地方交通線の運賃」というところは、国鉄が、地方交通線の運賃については、可収支の改善を図るために必要な収入の確保に特に配慮して定める」ということで、運賃法に書いてあることと矛盾しないような経営姿勢といいますか、そういうもので、取らなければならないというふうには書いてないわけでございまして、そういった「収入の確保に特に配慮して」ということでございます。  それから、公正妥当以下、この四項目、公正妥当と原価を償うと産業の発達、それから賃金、物価の安定、これを全部満足するというのは.現下の国鉄には非常にむずかしい問題かと思います。原価を償うというところをとりましても、ただいま申し上げましたとおり、国鉄には全体で七千億に上る助成がございます。ローカル線についてだけ申し上げれば、先ほど申し上げました千二百億円の助成というものが入っておるわけでございまして、これらの一般の乗らない方々の、利用者以外の方々負担というものと利用者負担というようなものといろいろ考えて、やはり運賃というものを設定しなければいけないのじゃないだろうか。公正妥当というのは、助成金を受けている企業においてはどういうものであろうか。原価を償うというのは、やはり助成金との関係はどうなんだというようなことは、われわれとしては両方考えなければいけないのではないだろうか、かように考えております。
  256. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまの御答弁の中で、助成金が入っていることを云々していますが、助成金というのは、さっきも言ったように、政府責任の分担として入っているんですね。単なる助成で、お助けではないんですね。しかも、その助成というか、責任の分担が明確でないから、あなたのような答弁が出てくるんですね。明確にして、それじゃ助成というのは多いのか、その利用者負担するのか、あなたの答弁を聞いているとそういうふうになるんですよ。助成というのは、国の責任国民の生活を支えるということだから、乗らない人の金を使っているというようなことは、何かどうもひっかかりますな。お互いに乗らないというか、利用しない部面でも税金を払っているんですよ。それはやはり国の政治の中で仕事をするという部分と、利用者なり受益者の負担という原則と二つがあるわけであります。ローカル線等については、そういう原則からいけば、当然政府助成で運営をしていくというのがあたりまえの話じゃありませんか。だから、そういう考えでいるからこそ、どうも問題がこんがらかってくるのじゃないかと思うんですね。だから、公共負担などは、いや助成をやっているからいいじゃないですか、こういう話なんだな。大蔵省のこれまでの——まあ矢崎次長は別でありますが、これまでの人はそういう話をするわけだ。助成をやっていますから、別に公共負担をやらなくてもいいんですよと。それは違うと思うんですよ。やはり明確に責任分野を決めて、それに応じて責任はとってもらう。あたりまえな話ですよ。そういうことを考えると、どうもあなたの答弁はいただけませんな。もっとも、これ以上やっていたって、あなたは、そうですからやめますという話はしないでレようね。すれば大したものだけれども、しないだろう。しかし、いずれにしても、こういう非民主的な、しかも過酷なやり方は政治ではないし、われわれの分野ではないですよ。役人ならできる仕事、冷酷無比と言ったら語弊があるが、はっきり言って政治の分野ではありません。政策の分野でもありません。こういうものが堂々とまかり通る国会というのはいかがという感じがしておるので、われわれは修正をお願いしたい、こういうふうに思っている。あなたは別ですよ。これはひとつ考えてもらいたい。(「修正案を出して採決しようか」と呼ぶ者あり)採決結構。  それから、時間もだんだんなくなりましたから、もう一つ、これは運輸省に聞いた方がいいです。国鉄の守備範囲は主として——主としてというのは、いままで言っているのはだんだん多少変わってきていますが、都市間の旅客輸送、大都市圏の通勤輸送、それからもう一つは大量定型ですかの貨物輸送、こういうのですが、私は少しく変更を加える必要があると思うのです。たとえば、いま営業線の選定の基準案の案、案の案が出てきました。その中にも幹線系の中では書いてあります。これは都市の周辺に大体三十キロのサークルで考えているのですね。だがら、都市間の輸送、大都市圏の旅客輸送以外に都市を中心とする地域の輸送、こういうものはやはり守備範囲に規定すべきだと思うのです。ところが、いままではそうじゃなくて、都市圏だけなのだ、都市間なのですね、それだけやっておる。ところが、旅客面では、新しい任務というか、いままでやっているのですが、規定づけて任務づけなければいかぬというのが一つ。貨物は大量定型、私は多少古いから専門家だと思ったら、テイケイというのは定まった形と思ったら違うのでありますね。貨物局長来ているが、定型というのはまとまった荷物、こういうのだな。なるほどまとまった荷物は専用貨物とか物資別適合輸送と言う。それはわかります。しかし、いまやそういう大量、大宗の荷物というのはそう簡単にあるわけじゃない。  それから、先ほども、先般も指摘をされたように、車運車をたくさんつくって、ヤードもつくったが、企業の採算ペースによって撤退してしまう。捨て子されたというかっこう。  それから、この間小林委員からも質問のあった幌内線の石炭輸送の問題もそのとおりですね。おどおどしているから、本来なら自分のベースで輸送すべきものを輸送から手を引くという感じがある。そういうものをひっくるめて、一車積みの貨車、いわゆる車扱い貨物、こういうものをもう少し工夫をして守備範囲に入れないというと、だれかが言ったように、国鉄の貨物は安楽死になる危険性が多分にあると思うのです。だから、今度の改善計画の中身についても、国鉄が出したものは六十年度まで貨物の扱いは大体横ばい、同じ。ところが、今日ただいまでは前年対比で減っているのですね。窓口を小さくしているのですから減っていくわけです。だから、少なくともこの辺で貨物はもとへ戻る。輸送方式も今度の55・10では多少直ってきた。直るまでに五年もかかるのだな。使命列車をどんどん走って軽引きした。これを指摘したのはもう五年も前なのだ。やっと今度55・10でもとに戻ったかっこうなんだが、集結輸送というのはそんなにたくさんはないと思うのです。時間がありませんから内容を聞きませんけれども、やはり集結輸送にある程度戻すということが必要なのです。  そういうことをやっていくことと同時に、もう一つ見解を聞きたいのは通運の存在であります。通運と競争の立場、けしからぬという立場だけで国鉄が今日までやってきた。ところが、通運は国鉄の貨物の扱い、そういうスペースの中で営業活動しているのですね。だから、これを利用しない手はない。だから、国鉄の荷物の集荷機能を強化する対策として通運にどういう施策をとるべきか。これは運輸省も関係があります。通運は自動車局ですか、局長さん、いかがに考えておるか。最近、OECDからの勧告というのはそういうものもあって、行管や公取がいろいろやっているそうでありますが、運輸省サイドで少なくとも通運のあり方について、国鉄再建と絡んで、これは体制を確立する時期に来ていると思うのです。国鉄もまた単に路線トラックや区域トラックを相手にしていくことが競争だと思ったら間違いだと私は思う。そういう点で何か回答があれば、運輸省並びに国鉄から聞きたい。  それからもう一つは、時間がないのでまとめて申し上げますが、先般運輸省はわれわれの長年の主張によって、曲がりなりにも地域交通の維持整備計画の策定について、大臣、あなたが省令の改正をしました。と同時に、鉄監局長、自動車・局長、あるいは官房審議官、官房長か、そういう者の連名で下部に通達を出しているのです。これは局長はきっと余り知らぬだろう、部下がやっているのだ。地域交通の整備計画を立てた。これはこの委員会の全会一致の決議になっている。それが二年半、三年越しにかかってきた。通達を出したのだが、残念ながら地方自治体には権限を委譲しないという原則でやっているものだから、今度の法案と同じように竹に木を接いだような形になっている。それをこの際考えれば、これは陸運局単位の陸上交通審議会の下部に各都道府県ごとに部会をつくって、地域交通の維持整備計画を立てるというのです。策定する。片方ではそういう通達を出していながら、今度の法案はそういう地域に入るべきローカル線の撤去を前提にして、あるいは運賃値上げを前提にして独断でやろうというのだな。これは思想的に頭が分裂していないのかというふうに私は思う。いかがですか。少なくともそういう民主的な手法によってやるべきだ。  それから、自治省来ていますか。——後であなたはこの地域交通についての見解を述べてほしい。自治省の責任を持った方でしょうからね。ようございますか。  それと同時に、第三セクターで今度はローカル線もやろう、建設もやろうというのだが、そういうものについての自治省の見解は何だ。オーケーか。地方自治体はそういうものにたえられるのかどうか、国鉄ができないものは地方自治体ならできるのかどうか。そういう見解を聞きたい。  以上です。
  257. 高木文雄

    高木説明員 貨物の輸送につきましては、前々からいろいろな機会に久保委員からいろいろ御注意、御指摘がありました。幾つかの点でだんだんお考えを私どもも取り入れさせていただいております。たとえば、混載列車というようなものについて非常にお話がしばしばありました。五十三年の十月からそういう形式のものをつくっております。一編成全部通運に、あるいは関係業界に一列車全部を売り切るという方式でございますけれども、これはかなり成績を上げてきておりまして、今回のダイヤ改正でもふやしております。それもまた一つの定型輸送の形、まとまったものということで定型輸送の形だと考えております。定型という言葉がどうも余り常識的でない面もありまして御理解を得にくい点もあるわけでございますが、とにかくまとめて送る。それから、駅におきましてもある程度まとめていただいたものを運ぶという考え方でございます。  なお、おっしゃることはよくわかるつもりでございますので、そういうことについて今後検討を進めたいと思います。  それから、通運との関係はまさに御指摘のとおりでございまして、一時は通運との関係が非常にぐあいが悪かったわけでございますが、最近はうちの現場の職員も通運との関係の協調についてはいろいろ努力しているはずでございます。ただしかし、まだまだ通運との関係というのはいろいろ研究することがたくさん残っておりますので、それはそのつもりで取り組ませてまいりたいと思います。
  258. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  鉄道の貨物を増加させるためには、まず前提といたしまして、荷主の二ーズに合った効率的な輸送サービスの提供が重要だというふうに考えております。  通運事業につきましても、国鉄貨物輸送のパートナーとして荷役、集配作業の近代化あるいは販売体制の強化等によりまして需要の拡大を図っていくべきであると考えております。そのために通運事業の活力を活用できるよう、運賃制度その他についても今後なお検討する余地があるのではないかと考えております。
  259. 石月昭二

    石月政府委員 地方公共交通の維持整備計画につきましては、地方公共交通の確保は非常に重要な問題になっているという認識のもとに、先生御指摘のように、陸運局の陸上交通審議会に府県単位の部会を設けまして、地域ごとの陸上交通計画につきまして、陸上公共交通の維持整備計画について、目下審議を始める措置を講じているところでございます。  この点につきましては、地方陸上公共交通というものが地方公共団体と非常に密接な関係があるということは御指摘のとおりでございまして、したがいまして、私ども交通計画の策定に際しましては、地方公共団体の意見も十分聴取をして、それを計画の中に反映さしていきたいと思っておるわけでございます。  また、国、地方交通に関しましては、このほかに道路管理者であるとか交通規制の関係とかいろいろございますので、そういう御意見を総合的に取り入れまして、いい交通計画をつくっていきたいと考えておるわけでございます。  それから、地方交通線との矛盾はどうなのかという御指摘でございますけれども地方交通線の問題につきましては、地方交通線国鉄経営再建観点から、現在輸送量が非常に少なくなりまして適切なる経営努力をやりましても収支を償えないものをバスに転換する、代替輸送につきまして十分に配慮しながらバスに転換する、非常に緊急を要する政策でございますし、またその結果代替輸送を必ず確保するという構成になっておりますので、その結果を地域交通計画の中に受け入れていくという考え方でいきたいと思っておる次第でございます。
  260. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 まず第一点の、地域における交通整備の問顯でございますが、今後の地方の公共交通対策につきましては、住民に対しまして総合的な責任を負っておりますところの地方公共団体、そういった立場にある知事が、これはやはり国とお互いに権限なりあるいは責任なりを相互に分担し合いながら相協力しつつ推進をしていく必要がある、基本的にはそのように考えております。  それから第二点の、第三セクター方式による問題でございますが、地方交通線につきましては、現在の採算の現況から見まして、第三セクター方式によって経営を行う場合におきましてもやはり採算が合わない、赤字を生ずる恐れが多分にあり、その場合地方団体に負担が転嫁される危険性というものが大きい、こう考えておるわけでございます。したがいまして、自治省といたしましては、現在の国と地方との間の事務配分なり、あるいは財源配分を前提とする限り、地方団体が第三セクターに加わっていくということについては慎重でなければならぬと考えておりまして、そのように指導しておるわけでございます。こういった場合に、地方団体がそういった財政負担をするとしても、経常的に発生する赤字を、たとえば地方交付税といったような形で地方団体の共通の財源の中から半恒久的に補てんするということについてはやはり不適当ではなかろうかということで、そういった財源措置は行うべきものではないんじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  261. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまの自治省の審議官の話は筋の通った話であります。これは権限を落とすと同時に、財源についても配分をやっていくということで、少なくとも共同の責任地域交通は守っていくというのが新しい時代の課題だろうと私は思うのですよ。これに背を向けていつまでも運輸省のからの中で判こを握り締めて権限を駆使しておるということがもしもあるとするなら、これは大きな誤りであろうというふうに思うのであります。これはぜひ塩川運輸大臣の手によって解決をしていただきたいし、また審議官、あなたの前の人は少しからの変わったがんこな人でありましたが、あなたは至って常識的な人でありますので.期待をしております。自治省の審議官、あなたですよ。あなたのようなことならば、無理やり権限は全部よこせなんということは言わぬだろうと思うのですよ。当面の住民のために何をなすべきかで、そういう観点から権限の問題は割り振りを決めるということに精を出してもらいたい。  それから、運輸省の総務審議官の話は、国鉄ローカル線は別で、地域交通の維持整備計画は別だという話に聞こえましたが、それはいただけません。そういうものを解消するためにも、自治省の審議官の言うとおりにひとつやったらどうだろうか、こういうふうに私は思うので、そういう点でやらぬというと、ローカル線そのものも国鉄再建も物にならぬと思うのですよ。そういうことでぜひ御尽力をいただきたいし、法律もその線に沿って少し修正というか、訂正というか、出した方から言うと訂正だな、訂正をしていただければ一番いいというように私は思うので、最後に塩川大臣見解をお聞きして、終わりにします。
  262. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地域交通整備の問題でございますが、仰せのように、日本が高度経済成長時代、そのときには全国的に交通体制はやはり中央政府において統制的に進めていかざるを得ない時期がございました。  ところが、最近になりまして異常な交通機関の多様化が図られ、特に陸上交通におきましては、道路の整備が進むにつれまして非常に交通機関の選択が多様化してまいりました。そして、一方におきまして、国鉄を初めといたしまして旧来の交通機関が、いわばそれぞれの地域におきます活動も一定の制約を受けるようになってまいっておりますが、そういうことを見ますと、いま仰せのように、それぞれの地域の特性に合うた交通体制をとるべきときであろうと思うのであります。  私は、いままで進めてまいりました国の政策は、これはこれなりの時代の背景があった、また要請もあってやってきた。これから新しい時代に進むにつれましては、そういう地域ごとの交通という考え方をどうしても導入してこなければならぬと思うのです。そこで、この際に各省庁がお互いに協力し合いまして地域交通整備というものに努めるべきでありまして、それがためにはやはり権限問題も財政問題もいろいろございましょう。けれども、これらは新しい地方の時代を迎えるに当たって、フランクな気持ちでお互いが話し合っていくべきときだと思うのであります。  その意味におきましても、ぜひこの国鉄地方交通線というものにつきましても、これはやはり地域交通一つであるんだという観点からもひとつ考えていただきたい。それにつきましては、やはり国鉄もいままで責任を果たしてまいりましたが、どうぞひとつ地元それぞれの地域におきます方々も、自分の交通機関、非常に大事な交通機関であるという認識を持っていただいてひとつ考えていただきたい。そこに総合的な交通体制考えていくべきだ。私たちも積極的に地域交通体制の整備には努めてまいりたいと思うております。
  263. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次回は、明二十三日午前九時五十分理事会、午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会