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1980-10-21 第93回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十一日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 加藤 六月君 理事 関谷 勝嗣君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    佐藤 文生君       近岡理一郎君    永田 亮一君       浜野  剛君    林  大幹君       古屋  亨君    三塚  博君       箕輪  登君    水野  清君       井岡 大治君    久保 三郎君       小林 恒人君    関  晴正君       春田 重昭君    三浦  久君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       増田 卓爾君         大蔵省主計局給         与課長     水谷 文彦君         文部省大学局学         生課長     菴谷 利夫君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         労働省労政局労         働法規課長   中村  正君         建設省都市局都         市計画課長   牧野  徹君         自治大臣官房地         域政策課長   藤原 良一君         建設省都市局街         路課長     松下 勝二君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     藤田 義人君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   山村新治郎君     近藤 鉄雄君   浅井 美幸君     春田 重昭君 同日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     浅井 美幸君     ――――――――――――― 十月十八日  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案反対に  関する請願(三浦久君紹介)(第二〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案内閣  提出、第九十二回国会閣法第一号)      ――――◇―――――
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  3. 関晴正

    関委員 社会党を代表して、今次提案されておりますいわゆる再建法等について御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、この法案審議がもう進められているわけなんですが、私は、この審議と関連して、いま出されているところの仲裁裁定、これが実施されていないわけなんですけれども仲裁裁定実施されておらないということはどこに理由があってのことなのかということを大臣に伺っておきたいと思います。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、仲裁裁定が現在国会議決案件として付議されております。これは前大平内閣のときに提案されたものでございまして、それ以降鈴木内閣になりまして新しい体制になったのでございましたが、前内閣政策を継承するという意味合いから現在国会議決案件としてお願いしておるところでございます。  しかしながら、われわれといたしましては、これはできるだけ早い時期に国鉄の労使がうまく協調し、再建への道を歩んでくれるためにも、できるだけ早い時期に国会内において処理されるようにわれわれも働きかけをいたさなければならぬと思うし、また、われわれ運輸省といたしましても、国鉄を指導監督する立場からいいましても、これまたそれなりの努力もいたさなければならぬと思っております。
  5. 関晴正

    関委員 仲裁裁定というものは、これは政府の意思によって守っても守らぬでもいいという裁量権があるものなのか。これは義務として当然守らなければならないものになっておるものだと思うのだが、その辺についての理解はどうなっておられますか。
  6. 山地進

    山地政府委員 まず、公共企業体等労働関係法規定、これは先生よく御存じの規定でございますが、十六条で、「公共企業体等予算上又は資金上、不可能な資金支出内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」こういう規定がございまして、第二項には、そういうような協定をしたときは、締結後十日以内に事由を付してこれを国会に付議して承認を求める、こういうことになっているわけでございます。また、別途三十五条には、公共企業体等労働委員会仲裁裁定について政府尊重義務があるという規定もございますし、あわせて十六条の援用もしておるところでございます。したがいまして、資金上、予算支出が可能だと断定できないという場合には国会にお諮りをする、制度上そうであると私は理解をしております。
  7. 関晴正

    関委員 公労法の第三十五条、そして第十六条、その関係について御承知の上でのいまのお答えだ、こう思いますが、今度の国会にこの仲裁裁定にかかわる議案を政府として承認を求めるという形にしないで、議決を求めるという形にされておるのですが、法律によると承認を求めると、こう明文化されておるのに、議決を求めるというふうな方式をとられたのには何か理由がございますか。
  8. 山地進

    山地政府委員 いま御説明いたしましたとおり、予算上、資金支払いが可能であると断定できないので議決案件として付議をしたわけでございまして、議決承認との関係は、政府として支払いが可能であるけれども国会承認を求めるという場合に承認でございまして、政府としてはいま法律が未成立段階では支払いが可能と断定できないので国会の方に白紙で御判断をお願いするということに決めたわけでございます。  なお、その資金上の問題につきましては、この法律が通らない場合には三千二百二十六億という資金が不足いたしますし、それから、この仲裁裁定によります資金増加額というものは四百二十億ぐらいございますから、合わせて三千六百億ぐらいの資金についてどういうふうにそれを処置するかということについては、予算上私どもの方としては法律が通らない場合は操作ができないということで、国会の方に御相談をしているということでございます。
  9. 関晴正

    関委員 第三十五条にあるところの「公共企業体等予算上又は資金上、不可能な資金支出内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」したがって、この第十六条を利用して今度の提案になった、こうおっしゃいますけれども、この予算上不可能だ、こういう判断をされたのは何に基づくのかということと、しかも、ただいまのお答えにもありましたように、それにかかわる経費は四百二十億だ。四百二十億を資金上、予算支出できない、こう判断されたのはどこに理由がございますか。
  10. 山地進

    山地政府委員 今回の予算に計上いたしてありますのは、この予算成立した場合における過去債務のたな上げによる利子の補給、それから償還額、これだけが資金上払えなくなるわけでございます。全体の中で、三千二百二十六億も払えない上に、四百億というものが重なってくるわけでございまして、これの中でどれを優先という考え方もあろうかと思うのでございますけれども、全体で三千六百億の資金ショート予算上も支出ができない、こういうようなことになりますと、全体の御判断を仰がなければ、その部分だけについて支払いができるかどうかという判断をするということにはいかないということで、法案が未成立でございましたので、全体をあわせて御判断を仰ぎたいということで議決案件にしたわけでございます。
  11. 関晴正

    関委員 私が予算を見ますときに、千億だとかあるいは八百億だとかというプラス財源となれば確かにないでしょう。しかし、経常予算にプラスするところの差額を見ますときに、およそ四百二十億とおっしゃいましたね。四百二十億だとすれば、予備費が五百億あるわけですから、この予備費を充てて、言うなれば義務として仲裁裁定を守るのだ、こういう措置をとるのが当然じゃないでしょうか。なぜ予備費というものの活用でこれに充てようと考えないのか、この理由を教えてください。
  12. 山地進

    山地政府委員 まさに予備費というのは、予算上使途を明確にしないで、不時のときに払うということに使われるべきものでございまして、この三千二百二十六億というものも、利子支払い、それから償還というものに充てるためにはほかの項目から使わなければいけないわけでございます。いまの仲裁裁定の問題にしましても、全体で経費の節減でいくか、あるいは予備費を使うか、あるいは工事費を節減するか、いろんなことでトータルで対処しなければいけないわけでございます。したがって、予備費というものをどこに使っていくかということを――確かに仲裁裁定という重い御判定であるわけでございますけれども、金をどういうふうに使うかという問題につきましては、仲裁裁定に一義的に予備費を充てて、あとの問題は別途というわけにはいかないわけでございますので、全体で御判断を仰ぐというふうにしたわけでございます。
  13. 関晴正

    関委員 大臣にお尋ねしたいと思うのです。  ただいまのような局長の――局長ですか。(山地政府委員鉄監局長でございます」と呼ぶ)鉄監局長のような判断ですね、この判断が妥当なのかどうかということを大臣としてまた判断しなければならないと思う。少なくともこの委員会裁定というものは、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならないとあるわけです。恣意的行為は許さぬわけです。「服従しなければならず、」なんです。そこで、「公共企業体等予算上又は資金上、不可能な資金支出内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」とある。「不可能」ということはできないということです。できないというのは、予算化されておらない金のことです。予備費というのは予算化されている金、五百億です。不可能な資金支出ではない、こういう判断が当然されるべきものだと私は思うのですが、そういう判断が出てこなかったのですか。  これは総裁に聞けばいいのか大臣に聞けばいいのか、どちらに聞けばいいのですか。どちらからでもよろしゅうございます、お答えください。
  14. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問にございますように、仲裁裁定というのは要するに公共企業体におきます賃金解決の一つの拘束力として当然つくってあるものでございます。でございますから、国鉄資金的な余裕なり、あるいはその余裕をつくり得る見込みのあるという状況のもとにおきましては、これは何ら問題は起こってきておらないわけなのであります。もちろん政府国鉄遵守義務を忠実に履行するであろう。しかし、先生自身も御承知のように、今日の国鉄のこの財政状況におきましては、予備費が組まれておるからということのためのみでは、なかなかこれは国鉄の独断で、あるいは運輸省だけで裁決ができないような状況にある、こういう状況も御理解していただけると思うのです。ですから、私たちは、議決案件とするまでには、前内閣のときにも運輸当局といたしましても最大の努力をして、早期支払いを可能にするようには努力をしてまいりましたけれども、いわば政府全体として見ました場合にはこういう措置をとらざるを得なくなってきた。  ところで、それではいま完全実施というもの、それは全く無視していくのかといったら、そうではないと私は言っておるのでございまして、できるだけ早い時期に措置すべく私たち努力を重ねてまいりますから、そしてまた現在国会に提案されておる問題でございますから、国会の方でも御理解と御協力をいただくよう、私たち努力してまいりまして一刻も早くそれは措置するようにいたしたい、こういう気持ちで申し上げておるところでございます。
  15. 関晴正

    関委員 運輸大臣は相当に考えてこれを履行しよう、こうお思いになられてはおるのだけれども、なおそれを拘束するものがあってこのようなことに出た、こう答えられておるのですが、これを拘束しておるところの機関はどこですか、その機関の方からもひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は拘束しておる機関ということは申し上げておらぬのでございまして、御承知のように、これは手続がそういうふうにとられてまいりました。したがいまして、われわれの努力でできるだけ早く、これは政府を挙げて実施に取り組んでいかなければなりませんし、政府もいままでから前向きにこれに対処したいと言っておりますが、それにつけても先ほど申し上げました財政事情下にあったことから、現在そういう状況にあること等から見まして、いろいろな総合的な判断をとらなければならぬという時期である、こういうふうに思っております。
  17. 関晴正

    関委員 本当に資金上あるいは予算上そういうような余裕金がなくてどうにもならないからかけているのだということであれば、これはわれわれもわかる。しかし、予備費が五百億もあって、それを充てさえすれば済む問題なんです。不可能なことじゃないのです。しかも、別枠の三千二百二十六億の話とあわせて考えてこの問題を判断すべきものではないはずです。そういう意味からいきますというと、私は今日とっておる政府態度、速やかに議会において議決をしてくれ、こう言うておりますけれども政府の方の態度がこういう予備費でやれるんだということでその方向を示しておられれば問題は早く片づいていくのじゃないだろうか、こう思うのですが、この点について、言うなれば労働省見解と申しましょうか、この裁定をした側は、この問題について六月十日に裁定を出しておる。それが今日四カ月たってもいまもって実行されておらない。何でこんなことがむずかしかろうかと恐らく仲裁裁定を下した側では見ておると思うのですけれども、このことについて裁定を下した側においてはどのような御見解を持っておられるものか。こんなに長くしておいても構わぬと思っておられるものか、また政府のとっておられることについては当然だと思っておられることなのか、この点についての御見解をいただきたいと思います。
  18. 中村正

    中村説明員 裁定を出しましたのは公労委でございまして、機関の性質上労働省とは独立した形になっております。したがいまして、裁定を出した側としてどういう意見かということについては、私が、あるいは労働省お答えする立場にないかと思いますけれども労働省考えを申し上げますと、繰り返し大臣あるいは局長から御答弁がありましたように、仲裁裁定労働基本権の制約の代償措置であるということを考えますと、やはり一日も早く実施したいという気持ちには変わりはございませんし、これは政府全体として一日も早くやりたいという気持ちには変わりはないと思うのでございます。しかしながら、これまた繰り返しいろいろ御答弁がございましたように、やはりそうは言っても、一方、予算上、資金上その執行が不可能であるという場合には、法律にも定めてございますように、やはり国会の御判断をお願いしなければならないということになっておりますので、ぜひとも国会において予算上、資金上の不可能あるいは可能でないという条件が撤去されるように、私ども一日も早くそれが達成されることを望んでおるわけでございます。
  19. 関晴正

    関委員 この事由の中に、二項目でございます。「右裁定実施については、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案が未成立であり、現段階においては、予算上可能であるとは判断できないので、本裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められる。」この認め方について、この再建法が未成立であるということが原因なんですか。このことが未成立である限りはその裁定実施されないということですか。その点についてのお考えを示してください。
  20. 山地進

    山地政府委員 この議決案件を出した段階では、国会の御審議というものはされていない段階でございまして、こういう段階では、未成立段階というのはそういうことだと思うのでございますけれども、未成立段階では、こういった法案成立によります資金なり何なりの手当てということがない限り、仲裁裁定実施はいまの資金上、予算上不可能、可能であるとは断定できないということであろうかと思います。
  21. 関晴正

    関委員 私はここに重大な問題の二面性があると思う。一面においては、義務であるものを守ることについてはストレートだと思う。守らなければなりません。しかも、そこに金がないというならば理解もいきますが、あるわけです。そういうある予備費というものを出そうともしないで、そうして、ここに何の理由かわからぬけれども、この再建法が未成立である、こううたっているわけなんです。これは単なる飾りとしてうたっているだけにすぎないものなのか、これが成立しなければやらないのだということの意味なのか、そのことはどう考えているのです。
  22. 山地進

    山地政府委員 この文章、いま読んでみますと、「右裁定実施については、法案が未成立であり、現段階においては、予算上可能であるとは断定できないので、」というふうに書いてありますので、この読み方についてはいろいろな読み方はあり得るのだろうと思うわけでございますが、現在私どもとしては、「未成立であり、現段階においては、」と正直にこれを理解せざるを得ないように思っております。
  23. 関晴正

    関委員 私は、われわれが、言うなれば法律審議する。このいま出されておるところの再建法とそれから仲裁裁定というものとは別なものだと思っているわけです。(「同じだ」と呼ぶ者あり)これを同じにしたい向きはあるでしょう。同じと叫んでいる者もあるのですから、同じにしたい向きはあるかもしれませんけれども、これは同じのものじゃありません。もし、そういうふうにして考えていくと、われわれの審議はそういうこととあわせて審議しなければならなくなってしまいます。これはプロパーに出ざれた再建法仲裁裁定とは関係ない、こう私は思っておるのですが、関係あると思っておるのですか、それともこれはそういう意味で別ものだというふうに理解しておられますか、どうです。
  24. 山地進

    山地政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもとしては国会国鉄再建法案をお出ししておるわけでございます。この法律が通らなければ三千二百億の資金ショート、金が足りなくなるわけでございます。ところで、この十六条では資金上可能と思われない、私どもとしては三千六百億、その仲裁裁定と合わせて全体で金がなくなるというふうに理解をしておるわけでございますので、再建法案も同じ国会でございますし、この仲裁裁定資金の可能か不可能かということについての御判断も同じ国会にひとつ御判断をいただきたいという意味国会に御判断を仰いでおるわけでございまして、私どもとしては法案が通らない段階では、未成立段階、現段階ではこれはとても私どもだけでは判断しかねるというふうに申し上げているわけでございます。
  25. 関晴正

    関委員 大蔵省の方お見えになりましたか。――お見えになったようですから、この問題について大蔵当局は、せっかく予備費に五百億もあるというのに、なぜそれを充てて仲裁裁定実施を可能とするような努力をしないで見ておられるのか、このことが私にはわからぬわけであります。運輸大臣運輸大臣なりのお答えがされておりますけれども大蔵省の方からもこれについての相当な意見があっての結果だ、私はこう思うのです。  そういう意味で、ひとつ大蔵当局はそういう予備費を使ってやるべしと私は進めてしかるべきものだと思うのですが、なぜそれをしようとしなかったのか、そして、なぜあくまでも議決という方式を求めて、承認ということにしないで進めたのか、この点についてのお考えをいただきたいと思います。
  26. 水谷文彦

    水谷説明員 仲裁裁定のお尋ねでございますけれども、先ほど御議論があっておりますように、現在御提案申し上げております国鉄再建法が仮に通らない場合には三千二百億円という多額資金ショート予算不足額が生ずるわけでございます。その上積みとしまして仲裁裁定追加所要財源四百二十億円が重なってくるわけでございまして、三千二百億円という多額予算上、資金上不可能な額が生じてくる、こういう事態でございます。  したがいまして、国鉄にかかる仲裁裁定につきましては、この法案が未成立段階におきましてはその実施予算上可能であると断定できないとして、政府全体の判断といたしまして、公労法十六条第二項の規定に基づきまして議決案件として法案とともに御審議をいただいているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、仲裁裁定を一日も早く実施できるようにするために、まさにそのためにも法案早期成立をお願いいたしたい、かように感じるわけでございます。
  27. 関晴正

    関委員 ただいまの大蔵の御答弁ですけれども仲裁裁定は何よりも優先して守らなければならないものである、三千二百二十六億円の金もやがて支出の必要が生ずるであろうが、それよりも優先すべきものである、こういうお考えがありますか、ありませんか。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も政府閣僚の一人といたしまして、先生質問内容もよく理解できるのです。しかしながら、現在出されております法案をごらんになっていただきまして、その条項の中に、十何条以下でございましょうか、政府再建についての債務を肩がわりしていく、あるいはたな上げ利子を補給していくという条項も同時にこの法案に出ております。でございますから、仲裁裁定とこの法案とが一体であるとは私は申しておりませんし、また鉄監局長一体だとは言っておらないのです。けれども、それぞれは独立して決定されるものではございましょうけれども、大きい重大なかかわりがあることは御承知していただけると思うのでございます。ですから、仲裁裁定がおりました、決定されました段階におきましては、国鉄財政そのものに見通しがつかないという状況であったことも御理解していただける。しかし、おいおいに日を重ね、協議も重ね、やってまいりましたし、また国会における審議等を通じまして財政再建がどこに問題があるかということもおいおい解明されてきつつあるときでございますから、この際にわれわれといたしましては一段の努力をして早期解決をいたしたい。  おっしゃるように、予備費を流用すればいいではないかという仰せでございますけれども、しかし、この国鉄財政そのものの中に占めます利子支払いとかいうものも、未確定のものをこの予備費の中から処理しなければならぬ問題も出てきておりますから、そういうところを総合的に判断し、努力をいたしたい、こういうことを言っておるのでございまして、御趣旨はわれわれも承知はいたしますけれども、この法案との絡みもございましたものですから今日まで至っておる、こういう事情もひとつ御理解していただきたいと思います。
  29. 関晴正

    関委員 幸いに大臣は、この再建法仲裁裁定実施とは同じものではない、イコールのものではないと明確にお答えをされました。やはり筋だけは通してもらわないと私どもも困るわけです。何かこの法案審議未了になる、あるいは継続審議になる、そうなると仲裁裁定は行われないことになるのじゃないだろうかということを心配する向きがあるわけです。しかし、われわれは、この法案が採決され、通ることになると、なるほど資金繰りはやさしくなるかもしれませんが、裁定実施させるためにこの再建法審議して、よってしかるべし、こういうような性格のものではないのだ、この点を明確にしておかないと、仲裁裁定のためにわれわれがこの審議を促進するようなことになったり、その審議に臨む態度がそれによって圧迫を受けるような考え方に立って進めるなんということになると、正常な審議が阻害をされる、こういう関係になるだろうと思うのであります。  そういう意味で、この事由に「未成立であり、」ということをわざわざうたって、あたかも裁定実施されないのがこれに反対している者の責任であるかのごとく見せかけようとしておるこの意図、こういう意図がなかったにしろ、審議する側から見れば、何だこれはと出てくるわけです。これはもう去年から出ておる再建法じゃないか、仲裁裁定とはかかわりのないことなんです。それを仲裁裁定とだんごにして審議させようとしておるとするならば、私はそれは誤った態度だ、こう思うのでありまして、そういう意味では、そういうことの現状を述べただけであって、この法律が通ろうと通るまいと、仲裁裁定については議会にかけておることだからそこでの議決を受ければそれでもう済むものなり、この法律の成否にかかわる関係にはないんだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  30. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 再度、くどいようでございますが、先ほども申しておりますように、仲裁裁定とこの法案とは一体のものではない、がしかし、重大な関係があるということは関さん自身も御承知いただけると思うのです。もし、この法案成立しなかったら国鉄財政は根底から崩れてまいりますし、国鉄の企業としての維持そのものにも重大な影響を及ぼす、これはもう御理解していただける。でございますから、一体ではないけれども重大な関係があるということもまた事実でございますので、その点の認識はひとつ持っていただくようにお願いいたしたい。
  31. 関晴正

    関委員 どうも初めよさそうにも思われるけれども、しまいになるとまたすっきりしない向きもありますが、この点についてはこれ以上申し上げることも適当ではないかと思います。  ただ、申し上げておきたいことは、この再建法はいつ通るかわからぬものです。通常国会に、あるいは次のときに延びていくかもしれない法律です。これが延びてどこまでも通らないということになると、同様に仲裁裁定も行わないんだ、こういうお考えですか。
  32. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この法案成立がいつということは国会でお決めになることでございますので、これは私から申し上げることではございません。したがって、そういう未確定なことを、それとの対照で仲裁裁定の返事をしろとおっしゃられましても、われわれ仲裁裁定につきましては完全実施努力はいたしておるのでございます。これまた国会議決案件として提出されておることでございますから。また、国会審議と並行いたしましてわれわれはわれわれなりの、自分で許され得る努力はしてみる、こう言っておるのでございますから、どうぞ御理解をいただきたい。
  33. 関晴正

    関委員 大臣が誠意をもって仲裁裁定実施するんだ、こう言っておりますから、この法律の通る通らないは国会でお決めになることであり、仲裁裁定のことについてはまたそちらでお決めになることであり、こういうようなことでありますが、国鉄職員と郵政職員だけが残っておる、未実施状況であります。所管の責任大臣として一番頭を痛めておることでありましょうから、私から予備費というものを聞いて、もっと早く知っていたにはしても、改めてまた認識を深めて、この問題についてはこの法案審議の結果を待つなんということでなくて、速やかに実施するように要望申し上げておきます。  その次に、再建法の問題についてお尋ねをしたいと思います。  さきの総選挙、また最近における総選挙等において、よく政府は、いまや地方の時代だ、こう言いまして、地方の住民に対して甘い夢と申しましょうか、バラ色の夢と申しましょうか、幾多の夢を与えました。地方住民にとっては、まさにこれからは地方の時代が来るだろう、こう思っておったときに一番先に来たものが、地方の住民の足切りの時代に入ってきているわけであります。地方の時代というのに、地方住民の足を守るのではなくて地方住民の足を切る時代にしようなんということは、まさに残酷物語ではないだろうか、こう私は思います。  この点について、地方の時代ということと地方住民の足切りの時代をつくるということでは相入れないと私は思うのです。基本的な国の政策、方針というものと国鉄の赤字から来る方針というものは相入れないものじゃないかと私は思うので、これについてのお考え大臣から聞きたいと思います。
  34. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方の時代は、やはり地方の特性も、そしてまた地方の習慣あるいは気候、自然状況、そういうものを勘案して、交通路線の確保を図っていかなければならぬのは当然でございます。  ところで、この国鉄再建法案に盛られております地方交通線並びに特定地方交通線のことを先生は指して足切りになる、こう仰せになっておるのではないかと私は思うのであります。これにつきましては、再三私が申しておりますように、何も地方の交通をこれによって犠牲にしようというような考えは実は毛頭ございません。これは一言で申しまして、今日まで、明治以降、日本の鉄道が鉄道省というお役所としてやってまいりましたけれども、戦後におきましては、これは国有鉄道公社として、いわば公共性と同時に企業性も責任を負わされてきておるのでございます。ところが、今日、国鉄の経営を見ました場合に、企業としての独立を維持し得ないほどの状態になってまいりました。  そこで、いろいろな原因はございましょうが、そのうちの一つとして、いわば国鉄の責任で維持しなければならぬ路線と、国鉄の責任を離れて、国と地方とが相協力して交通を確保していくという分野、これをこの際に一応区分をさせてもらいたい。そして、そういう地方におきまして国鉄がいかに経営努力をいたしましょうとも採算に乗らない分野については、国、地方の責任において交通を確保してもらいたい、こういうのがこの法案に流れておる趣旨でございます。  でございますから、国鉄の免責をどこで引いていただくかということの話でございまして、だからといって、直ちに、その地方におきます主要な交通を無責任に放置しておくというものではございません。それには行政の責任で対処する、そういうことを言っておるのでございまして、あくまでも全部が全部国鉄の責任でということではなくして、行政で処理し得るところのものは行政が責任を持ってその交通を維持するということでございます。でございますから、これからは地域交通という考え方を植えつけていきまして、それに対する行政の責任というものを明確にする、そういうことが並行してまいりますと、この再建法案に言いますところの地方交通線、特定地方交通線の意味理解していただけると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  35. 関晴正

    関委員 赤字だから、採算がとれないから幹線だけあればあとは要らない、こういう思想、論理というものは、国鉄の持つ公共性という使命を全く放棄しているのじゃないだろうか。資本の論理はあっても、地方住民の福祉の論理というものをここで放棄してしまうということになるのじゃないだろうか。鈴木総理が、施政方針演説の中で思いやりのある行政をする、こうおっしゃったのだが、まことにここには思いやりなんていうものはどこかへ吹っ飛んでしまって、そうして国鉄の企業性、採算性が優先されて、公共性をここで投げ捨ててしまうのじゃないだろうか、こう私は思うわけであります。  その問題について、いま、地域住民との関係あるいは地域交通というものを守るためには地方においてもある程度の責任を持ってもらわなければならないというお答えがあったのですが、いまの法律がうたっていることの中に、地元の県民を代表するところの者としての知事が意見を述べることができるという条項があります。これは特定交通線にするのかあるいはしないのか、特定地方交通線になった場合には、その次の段階においてはどういう方式をとるのか。言うなれば、狭められた範囲の中で知事の意見を求めるような条項が一つありますが、この知事の意見を尊重するのですか。これが生きるのですか、それとも聞きっ放しになるのですか。その辺の考え方を示してください。
  36. 山地進

    山地政府委員 いま御指摘のございましたのは第八条の第四項でございまして、国鉄が選定をいたしますと、都道府県知事にその選定を通知することになっております。したがいまして、この条文といたしましては、「都道府県知事は、当該通知に係る営業線の選定について、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」この国鉄の選定というのは、政令の基準に基づきまして国鉄がその基準に当該路線を当てはめて、これはこういうことで特定地方交通線になりますということでございますので、この条文からは都道府県知事の御意見というのは、いろいろの理由を挙げてこの営業線がその選定には当たらないということをお申し述べになるのが普通かと思います。  その場合には、これも政令の基準の定め方によるわけでございますけれども、その基準に、たとえば将来の輸送が非常に多くなる、国鉄の知らないことはないと思うのでございますけれども、知らないような大規模な宅地開発が行われるとかいろいろな計画が知事の方にあって、将来、近い将来でございますけれども、大量の旅客輸送が予見されるというようなお申し出があったような場合には、事実に基づきまして、いろいろ私の方でも判断せざるを得ないということになろうかと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  37. 関晴正

    関委員 政令の定める基準に従って行われる行為、行われる諸事態、それについて知事が意見を述べることができる。しかしながら、その述べる意見というものは、あくまでもこれを存置してくれとか、生きる道、生き延びる道、そういうような願い事だけであるとすればこれは聞くものではないのだ、しかし思いがけない、国の方としても理解できなかったような、知らなかった何か大規模な宅地開発があるとか、そういうものがあれば別だ、こうおっしゃっております。しかし、実際にこの政令で定める基準、これは何度もこの場でも論議がありましたけれども、この法律とこの法律施行に伴う政令は一体のものだろうと思うのです。したがって、政令で定めようとしている基準の内容、これはいつ示すつもりですか。この場には示さないつもりですか。ずいぶん求められてもおる問題ですし、もはや示してもよかろうと思うのですが、それはいつごろか示すつもりでおるのか、全然示さぬつもりでおるのか、お考えを示してください。
  38. 山地進

    山地政府委員 これもたびたび申し上げて、繰り返しになろうかと思うのでございますけれども、政令の骨格になるものにつきましては、私の方から口頭でいろいろ御説明をさしていただいておるわけでございまして、その限りにおいては御認識いただいておると思うわけでございますが、政令そのものといたしますと、法律ができた後に関係各省で協議の上、閣議で決定するということになりますので、現在私どもの御説明しているのは私ども考えている政令の骨子でございまして、この骨子につきましては、法律の提案の際、あるいはその前の昨年の十二月の閣議了解の際、各省にはそれなりに御説明をして、その範囲では大筋においては御了承いただいておるわけでございます。ただ、その政令を政府の政令として出せと言われますと、政令というのは法律の後につくるものでございますので、いまお出しするのはいかがかと思って、これは理事会の方にお諮りしている点でございます。
  39. 関晴正

    関委員 これは委員長にお伺いしておきたいのですが、しばしば理事会において相談の上でこの問題は処理に当たってきたつもりですが、どの辺まで当たってきておりますか。
  40. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 関君に申し上げます。  いま政府の方で努力して近日中に出す努力をする、こういうふうになっておりますから、もし何であればまた理事会でも積極的に出すように努力をいたします。
  41. 関晴正

    関委員 近いうちに出す、こういうお話ですが、いつごろになるのでございましょうか。近いうちにというのは、審議が終わってからでしょうか、審議のさなかでしょうか、それを示してください。
  42. 山地進

    山地政府委員 理事会の方に私どもの方としての考え方を御相談をするということで、次回の理事会等でよく御相談したいと思っております。
  43. 関晴正

    関委員 政令の審議がなくて、あるいは政令の案も示されないでこの法律だけを通すということになるとなかなか抵抗がある、こう思うわけですから、済んでから示されたところで意味もないわけです。やはり並行して審議を進めるということが順序だろうと思いますから、ぜひひとつこのことについては速急に出すように要求しておきたい、こう思います。  次は、地元の知事の意見について、先ほど、意見があった場合にはそういうようなことを聞く、こうあるのだが、もうどんなに御相談をしても、二年たって結論が出ない、こういうことになると、国鉄が独自に結論を出して、そうして運輸省承認を求める、こううたっております。その際、また同様に知事の意見を聞くということもあるわけです。その場合の知事の意見を聞くということは、これも形式的な知事の意見を聞くということになってしまうのじゃないだろうかと思うのですが、その場合においては、知事の意見を尊重する、こういう構えで聞くのですかへその聞き方、聞く構えについて答えてください。
  44. 山地進

    山地政府委員 知事の意見は、この規定に書いてございますように、協議の後国鉄が廃止申請をするわけでございますが、申請をするときに、必要となるバス事業による輸送の確保のための措置について定めた書類を運輸大臣提出し、これを関係都道府県知事に送付する。この規定を受けまして、第五項に、知事は、同項に規定する措置、つまりその代替措置について、運輸大臣に対し、意見を申し出るということでございますので、この規定意味は、国鉄がこういう代替措置をするということについて、それではおかしいとか、あるいはこうすべきであろうとかいうような建設的な御意見が出てくるもの、かように考えております。これも当然のことながら、正当なお申し出についてはこれについて十分私どもとしては配慮しながら承認について考えていかなければいけない、かように考えております。
  45. 関晴正

    関委員 ここの二年たって結論が出ない場合は国鉄が結論を出し、そうして運輸省承認を求める、だがしかし、一方、都道府県知事からこれについての意見が出てまいりますとその意見は尊重する、こう理解してよろしゅうございますか。
  46. 山地進

    山地政府委員 いま申し上げましたとおり、知事からはその代替措置についてきわめて建設的な御意見があろうかと思いますので、その場合においては十分これについて配慮していくということだと思います。
  47. 関晴正

    関委員 四千キロの特定地方交通線をとにかく打ち出す基準はそれぞれ出ておりまして、近くそういうものもまた発表する、こう言われておりますから、その発表は発表で注視したいと思うのですが、大体一日一キロ当たり二千人未満の利用の路線というものは、もうこれは廃止するかバス利用に転換するか、あるいは第三セクターに持っていってもらうか、あるいは特定の事業を望む者に譲渡するかしかないのだ、こう明確に打ち出しておるわけです。この一キロ二千人未満のところを、路線の長短にかかわらず、また、その路線を取り巻く諸外的条件というもののいかんにかかわらず、容赦なくそう持っていくのだ、こうお考えになっておるのかどうかということと、あるいは一年間に十日以上も交通途絶するような地帯については考えなければならないとか、あるいはラッシュアワーのときに千人もあるようであれば考えなければならないとか、こう出ておるのですが、少なくとも示されているところの条件ということを見ますと、この特定地方交通線の対象の中にその条件になるようなところが何線ぐらいあると見ておられますか。
  48. 山地進

    山地政府委員 これもたびたび申し上げて恐縮でございますけれども、特定の線がその基準に該当するかどうかということは、政令が明確に決まった後でないと、その基準というものが、いま私ども考えている基準でどうだこうだ――私どもが四千人以下のところは五千キロくらいあるというような推定と申しますか、そういうことをする場合には、非常にラフに当たって、私どもの基準で、並行道路があるかどうかとかいうことについての現在持っている資料で判断することができるわけでございますけれども、そういったものを厳密に当てはめて何線ぐらいになるかということになりますと、私どもとしてはもう少し政令の固まった後に考えさせていただきたいと思います。
  49. 関晴正

    関委員 少なくともいま出してきている中には、一年間に十日以上も交通途絶状態があるような地域、あるいはラッシュのときには一千人も超えるようなとき、これは考えなければならない、こう言ってきましたね。しかし、そう言っているけれども、そういうようなところというのは実際具体的にどのくらいあるのだろうか。第一いまどき一年に十日も交通途絶するなんというようなところは私はほとんどないだろうと思う。そういうことを考えますと、単なる気休めにすぎないようなことでこの法律を通過させようとばかり思っているのじゃないだろうか。また、ラッシュのときに千人も利用するようだとすれば、国鉄を利用するのも十分間に合うはずです。ですから、そういう条件だとか事情というものは、政令の基準の中に持ってきてみても用のないものだろう、私はこう思うのです。  そこで、局長は、政令について目下審議をしておる、その政令が物を言うのだと。私どもの地元の代議士がおりまして、こう言っています。いや、何と心配しようとかんと心配しようと、問題は政令だ、その政令をうまくやれば線路は残る、うまくやれないと線路は捨てられる、こう言っている。その政令をうまくやるかやらないかという場合の基準ですね、一キロ当たり二千人未満のところは切るのだといっても、二千人未満でも生かすのだという政令の中身、基準はどういうものが考えられますか、教えてください。
  50. 山地進

    山地政府委員 いま先生がおっしゃられたように、ラッシュ時に、最混雑時でございますけれども、一時間当たり片道千人というのは、私どものこの法律に書いてございます基準からいいますと、バスに転換することが適当であるというふうに考えられませんので、そういうものは除外する。それから、これも先生がいまおっしゃったと思うのでございますけれども、積雪で十日以上とまるというような路線も、これはやはり鉄道で輸送しなければいけないだろうという意味で、バス転換は適当でないということだと思います。それからもう一つの、並行道路があるかないか。これはまさにバスでいけないような路線でございますので、これもバスでいくのは適切でない。そこで、並行道路が整備されているかどうかということを見て、これは並行道路がない、あるいは並行道路が整備されることがないということであれば、残す。これがいま三つ、除外例として考えられているわけでございます。
  51. 関晴正

    関委員 だから、その三つの除外例については、私もいま申し上げたように、ラッシュに千人も人が出てくるようなところは、何も特定地方交通線にせぬでも、地方交通線としても生きていくところだろうと思うのです。それから、十日以上も途絶するなんというのは、今日の日本の道路事情並びに技術、そして快適な生活条件を与えようという北から南の中にあって、そんなところはないでしょう。統計上ありますか。あるなら、何件ありますか。
  52. 山地進

    山地政府委員 十日以上途絶するということを決めましたのは、現在、国鉄の積雪による列車の運行状況というのを見ますと、国鉄でも積雪になりますと停止するわけでございますが、それを見ますと、十日ぐらいというところが平均的かなと思うのでございます。これは統計のとり方によるわけでございますが、私どもが手元に持っている積雪による国鉄の停止状況というのは十日ぐらいでございますので、やはり十日を超えると。これは道路を全部また統計をとりまして見なければいけないと思うのでございますけれども、そういうことから考えて、十日以上とまるというところはやはりバス転換というのはむずかしいだろうというふうに私どもでは考えているわけでございます。
  53. 関晴正

    関委員 観念論じゃなくて、そういうようなところはどこにございましたかと私は聞いているのです。単に統計上あるところはという理念で言わないで、実際上十日も交通途絶するようなところは、いま日本でどの辺にありますか。あるのかないのか、あるとすればどこですか。これを答えてください。
  54. 山地進

    山地政府委員 何線という具体的なことにつきましては、私どもとしてまだ全部調べているわけではございませんけれども、只見線というのが、これは非常に長期にわたってとまっているということがございます。
  55. 関晴正

    関委員 只見線の話が出てきたのですが、只見線ではどういう事情のときにどうなったのかわかりません。しかし、あっても、述べろと言うてもいまのような状態なんです。それを基準にして気休めにいいだろうなんて言われて、わかりましたと言うわけにいかぬのですよ。私どもの青森県でも、雪の八甲田登山をするときでも、無理をして行こうといえば、相当行けますよ。皆さんも八甲田、映画でごらんになったろうと思うのですが、あの明治の時代といまは違いますからね、相当なところまで行けます。  そういう意味で、言うなれば、政令の基準の中に十日以上も交通途絶するようなところなんと言ったところで、そんなところはない。あるとしてもほとんどあると言いかねるような場所だろうと思うのです。それから、千人のところはどこにありますか。ラッシュのときに千人も、千人となれば、五十人乗りのパス二十台ですよ。それを出すよりは汽車に乗せた方がいいと、こう考えるから、それはつぶさないという考えでしょうが、そういう千人なんというところはありますか。
  56. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 現在ちょっと手元に資料がございませんので正確にお答え申し上げかねますが、ラッシュ千人以上のところというのはかなりあると思っております。
  57. 関晴正

    関委員 知らない人たちは、ああなるほど朝に千人もあれば生かしてくれるのかと、ではこの法律通してもよさそうだなとまた思うのです。しかし、振り返って、千人もとなると、朝、夕方、五十人乗りだとバス二十台です。バス二十台も出すようなところは列車を利用して十分これは間に合うところだろうと思うのです。そういう間に合うようなところを、つぶさぬでもいいようなところを、そういうものがあれば生かすと、こう言うて、政令の基準の中身をその三点ぐらいに置いているというだけでは、おしなべて四千キロはなくなってしまうものと、こう理解せざるを得ないのです。ですから、政令の基準の中身をもっと下げて、もっと具体的にして、事ここに至っては百キロ以上、もっと見ると、少なくとも七十五キロ以上、それ以上バスに乗って来なさいということは過酷だから――バスにはトイレがありません。列車のいいところは、トイレがあります。お年寄りだとかあるいは病人だとか弱い者は、バスに乗って途中でおしっこが出る、あるいは大小便をする、それができないために、バスをとりません。そういう意味で、随時それが可能としておるところの列車と、随時それが不可能であるところのバスとでは大変な違いがある。そういう意味で、私は、基準の中に距離制限というようなものも考えて、パスに一時間半も二時間も連続して乗せなければならぬようなことについてはやはり列車を利用させておいた方がいいだろう、こういうような思いやりのある気持ちがあれば、政令の中にその趣旨が盛られてしかるべきではないだろうか。あるいはまた、  一キロ当たり二千人、二千人とこう言うけれども、一律に二千人と言わないで、その二千人の基準というものをもっと下げてみる、半分の千人ぐらいまで下げてみる、そういうようなところでやむを得ないと、こうおっしゃるならば、あるいはまたやむを得ないのかなという気も出てくるのじゃないだろうか。  また、もう一つは、雪の北海道といいましょうか、氷の北海道といいましょうか、ここの地域の人たちは、いま三十六線あるうち二十七線これに該当して、おしなべて鉄道がなくなってしまう、こういうことで、いま大挙北海道から、こうしておられないというて出かけてきておられます。恐らく皆さんもお会いしただろうと思うのですが、こういうような積雪寒冷地帯の、路面の凍る地域ですね。パスの方がもっと危険だというような地域、こういうようなものについては、単に一日当たり二千人ということで押し切らないで、その辺もまた考慮するのだと、こういうふうに政令の基準の中身が検討されているのかいないのか。しているとするならば、その幾らかを、ここに思いやりのある中身が示されないか。政令として示されなくても、中身で思っている思いとして示されませんか。
  58. 山地進

    山地政府委員 かねて申し上げていることの繰り返しで恐縮でございますが、政令をつくります際は各省間の協議がございます。その点については各省間の中でよく検討を重ねてまいりたいと考えております。もちろん国会の御審議も十分踏まえて検討していきたい、かように考えております。
  59. 関晴正

    関委員 採算を度外視しても地方住民の生活を守るというのが日本の政治でなければなるまい。この理念に立って物を申し上げているわけです。国鉄の懐古調に立って、これを守ろうという気もないわけじゃありません。しかしながら、原則的には国鉄が今日まで地方住民に果たしてきた役割り、この力、単に物を輸送するという力だけじゃなくて、ここには文化の華を開いてくれたという力があったと思うわけです。そこに人間が住んで生活をする、産業を持っていく、そういう役割りを演じてくれたと思うのです。  いま言われていることは、青森県にも大畑までは線路があるけれども、あと大畑から大間、そして佐井、またむつから川内、脇野沢、あのまさかり半島一帯には鉄道がありません。ありませんから、幾多先人はせめて青森県の北端の大間まで鉄道を敷こう、こういうことで大畑から大間までを敷かなければならぬといって命をかけた人もおります。しかし、これはあの戦時中でさえも、輸送力増強だというので、北海道と本州を結ぼうかというところまでいっても成功しないで終わりました。  したがって、鉄道のある地域と鉄道のない地域とでは、鉄道がなくてバスがあっても、バスだけの地域と鉄道もパスもある地域とでは生活の姿、実態というものは大変な違いです。お嫁さんに行くか行かぬかという決定権は、国鉄があるかないかということにおいてもまた定まっていくわけです。ですから、単に採算上とれないとか、あるいは金がないからということだけで、国鉄の総裁だけの責任で国鉄を守れとは私は言いません。国鉄を守るものは、やはり全国民の意思で守らなければ、いまや守り切れるものではない、こう思います。そういう意味で、国鉄再建し、国鉄を守ろうということについては、私ども日本社会党もあなた方の人後に落ちるものではないという自負を持っております。そういう意味で、何としても守ろうじゃないかということが先に立って再建法というものを考えるのが順序ではないだろうか。それがためには地方の線というものに手をつけるのは最後の最後、地方の線に手をつける前に手をつけるべき幾多のことがあるのじゃないだろうか、そういう意味において、まず地方住民をやり玉に上げるなんという思想をなくして、そうして国鉄財政だけで独立採算制を図れなんということはできませんから、国鉄の能力を超えるようなものはすべて国の方において負担をさせる、こういう強力な政治折衝を内部において交わさぬことには問題の解決にならないじゃないだろうか。  そういう意味においては、運輸大臣、まさにいまやりがいのあるときにぶつかった大臣ではないだろうか、こう思うわけでありまして、大臣は足切りの名人であったなどと言われるよりは、さすがに大臣は足を守ることにおいて命を張ったと言われるような独自の道をつくり出して進む御意思がないものかどうか、この点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  60. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先生の御質問を私ずっと聞いておりまして、地方、特に特定地方交通線の問題について非常に心配しておられる。これは私も非常によくわかりますけれども、私は運輸大臣として、鉄道を他に転換するとかいうようなことは、これはもう私としても忍びがたいところがあるわけでございますし、それはお気持ちは全く同じでございます。しかし、先ほど御質問の中でもちょっと申しておられましたように、鉄道の能力を超えたもの、これは何とか国の負担でやっていかなければならぬじゃないか、こういうお話がございました。まさにこの特定地方交通線というものはそれに該当するものでございまして、鉄道の責任だけではできない路線でございます。ですが、この法案成立したら直ちにそういうものをずたずた線路を上げてしまうというのではないわけでございまして、この鉄道の能力を超えておる分は国鉄からの責任は免除してやってほしい、こういう趣旨でございます。  そして、それではどうするのかということでございますが、その後、鉄道でやっていくのがいいのか、あるいはこれはやはりパスで回数を多く運行した方がいいのか、そういう問題についてはいろいろと地元で相談していただきたい。その実情に合うようにしていただきたい。そして、それによって起こってくるところの責任は、国も当然のことでございますし、また地方自治体もその一端を担っていただきたい、そして本当に地域の人の交通機関として栄えていくように、維持されていくようにしていただきたい、こういうことを言っておるのでございます。でございますから、私たちは廃止につきましては慎重な上にも慎重を期してまいりたい。けれども、そこで、それじゃその地方の意見だけで国鉄が決定し得るようにならぬのかという話もございましたが、そういたしますと国鉄は全国に路線を持っておるのでございまして、二百何十線というものを持っております。これを何かの基準を与えてやらないと国鉄判断しがたい。そこで、一つの基準として四千人、八千人という基準を設けたのでございますので、その点も御参酌いただきたいと思うのであります。
  61. 関晴正

    関委員 政令の中身について先ほど私から若干具体的な話を提示しておきましたけれども、それらのことについては考慮の対象になりますか、なりませんか。
  62. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは法案を提案いたしております私といたしましては、この法案の趣旨、原則はやはりちゃんと法案成立の際に御理解をいただいて成立させていただきたいと思うております。ついては、先ほど来お尋ねの中にございました政令の段階におきましては、われわれもこの法の趣旨を十分に尊重して、できる限り地方の事情というものも考慮してまいりたいと思うております。また、同時に国会の意思も私たちは尊重しなければならぬと思うております。
  63. 関晴正

    関委員 財政内容の中身について若干触れてみたいと思います。  国鉄はとにかく三十五万人体制をしくんだ、三十五万人体制をしがなければどうにもならないんだ、そのために合理化を徹底するんだ、こう言うております。そういうように人員を縮めるだけ縮めて、そして合理化、機械化を図って持っていくんだというのですが、そういうこととうらはらに安全性の問題が考慮されなければならぬと思うのです。この三十五万人体制と安全性というものとは両立するのですか。三十五万人体制というものは安全輸送に大きな脅威となるような、危険性を伴うようなことになりませんか。この点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  64. 高木文雄

    ○高木説明員 私ども国鉄の仕事は幾つかの重要な指標を持っておりますが、その中でも安全ということがまず第一番でございます。おかげさまで最近は、お客様の生命あるいは重い傷をもたらすというような大きな事故は大分減少いたしておるのでございまして、これは私ども、日ごろから安全のことに意を尽くしていることのあらわれではないかと思っております。  今後の運営につきましても、安全ということは何よりも優先して考えられなければならないわけでございまして、たとえ大量の人員を減らして能率的運営をすると申しましても、安全にかかわることについては一切手をつけない、あるいは機械化その他によって、人力によっていたものをほかにかえるということはありましても、安全水準を上げることはあっても下げることは絶対にいたさぬつもりで取り組んでおります。
  65. 関晴正

    関委員 三十五万人体制を進めていった場合に、もう十年もたつと二十万人も退職することになる。そうしますと、退職年金の受給者と国鉄労働者とのバランスが逆になってしまう、こういう資料もあるようですけれども、最高時どういうような比率になるのですか。
  66. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもの年金は独立会計になっておりますために、いま御指摘のように非常に異常な状態になっておりまして、この再建法の一つの目標年度でございます昭和六十年におきましては、現職職員が百人に対して受給者が百二十人を超える、掛金を掛ける人の数よりももらう人の数が二割以上多くなるという状態になろうかと、非常に困った状態が予測されております。
  67. 関晴正

    関委員 これは国鉄だけに見られる一つの現象だ、こう思います。また、国鉄がかく至ったのには戦後の処理の結果があった、こう思うのです。そういう意味で、これらの部面の負担というものを国鉄の特別会計という形だけで済まされないで、これはやはり戦後処理の一環なのだということにおいて、取り扱いというものを国において大幅に見るようにさせていい性格のものではないだろうか、こう思うのですが、これについてはどうですか。
  68. 山地進

    山地政府委員 昨年末の十二月の閣議了解におきまして、国鉄の共済年金問題につきましては各省間で検討するということで、現在、大蔵省におきまして関係各省を入れてこの問題について研究をしている段階でございます。私どもといたしましても、その結論を待って、国鉄の共済財政あるいは国鉄の負担というようなものについて結論を出したいと思っているわけでございますが、この研究会、二年くらいかかる問題であるという御認識で研究を進めているわけでございます。何しろ年金問題は、厚生年金あるいは共済年金、非常に複雑な問題でございますので、多少時間はかかることをお許しいただきたいと思うわけでございますが、その間、ことしの予算におきましては、国鉄が普通ならば負担するであろう額以上を超えるものを、臨時的にその部分について金利を負担し、国鉄の経営に圧迫を与えないようにするという臨時的な処置を考え予算要求している段階でございます。
  69. 関晴正

    関委員 ただいま国鉄総裁のお答えによりますと、百人について百二十人の率だ、こう言っております。この昭和六十年がピークになりますか。それともピークはもっと高くなりますか。
  70. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 これは将来の国鉄職員の規模等との関係もございまして、一応三十五万人の体制がそのまま引き続いていくとなりますと、六十五年ごろがピークになってくると思います。若干六十年よりも上回りまして、一三〇%近い数字になるだろうと一応の推定をいたしております。
  71. 関晴正

    関委員 それでいって、最も逆になるようなときは何年です。
  72. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 その後次第に受給者の数が減ってまいりますが、御承知のとおり非常に寿命も延びている段階でございまして、退職される方が大体五十五ないし五十八ぐらいの間で退職されて、その後余命が、平均寿命からいきますと二十年ぐらいはあるわけでございますから、大体それぐらいの期間というものは、逓減はいたしますけれども、かなり高いレベルで推移をしていくというふうに見ざるを得ないと思っております。
  73. 関晴正

    関委員 それに要する資金はどれだけですか。財政負担は年々どのくらいの金額になっていきます。昭和六十年はどのくらいと見ています。
  74. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 手元に正確な資料を持っておりませんが、六十年ごろの共済年金の国鉄の負担が、現在のいろいろなルールのままで推移いたしますならば、大体五、六千億の負担は国鉄側が負わなければならないのではないかと考えております。
  75. 関晴正

    関委員 国鉄の地方交通線が五千キロ、そのうちの特定地方交通線が四千キロ、こう踏んでいった場合に、この特定地方交通線だけの赤字の金額は幾らになってきます。
  76. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 先ほど来鉄道監督局長の方からお答えになっておりますように、まだ政令基準も定まっておりませんし、この段階におきます特定交通線がどの線であるかということは確定しかねる状態でございます。  現在国鉄におきましては、五十一年度以来区分経理ということをいたしまして、地方交通線と幹線系との二つの区分をいたしております。これによります赤字額が、助成前の姿におきまして、五十四年度において約三千百億円となっております。したがいまして、特定地方交通線の部分というのは、その約半分以下のところではないかというふうな推定ができるところで、ございます。
  77. 関晴正

    関委員 ちょっと数字が違うのじゃないですか。五十四年は二千三百十二億じゃありませんか。
  78. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 ただいま申し上げましたのは助成前でと申し上げたわけでございまして、いまの二千三百億は、地方交通線の助成を入れますと御指摘のような数字になるわけでございます。
  79. 関晴正

    関委員 私の聞いているのは、幹線の赤字の大体四割ぐらいが地方交通線だ、幹線、地方交通線合わせての金額の大体三割近くが地方交通線の赤字だ、こう勘定しているわけなんですが、この地方交通線の中から特定地方交通線というものをあなた方は引き出して、それをわれわれ住民で何とかせい、いまこう考えているわけですよ。その特定地方交通線の赤字の金額がどのくらいかということは出てこなければならないと思うのです。出してください。
  80. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 先ほどお答え申し上げましたように、その交通線の基準が決まりませんので、どの線だという形が決まりませんので、正確な数字がお出しできないということを申し上げたわけでございます。
  81. 関晴正

    関委員 そんなにむずかしいことじゃないでしょう。私どもの「特定ローカル線四千キロ廃線の問題点」というパンフレットをごらんになったと思うのです。このパンフレットによりますと、一番おしまいから二番目のところに、一日一キロ当たり二千人未満の路線はどこどこかというのをちゃんと書いています。これはわれわれの方が能力があって書くのじゃなくて、あなた方の方に資料があって書けるわけなんです。これは大体八十八線です。まあいいところ八十八線か八十九線かと言われておるわけですから、これは常識でしょう。それをその線の赤字のトータルを出せば出てくるでしょう。出していないのですか、これから出すのですか。これはそんなにむずかしいことですか。
  82. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 ほかの条件を全部無視しまして二千人以下のところだけという形の数字なら集計することが可能であろうと思います。
  83. 関晴正

    関委員 示してください。
  84. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 現在のところちょっとその資料は持ち合わせておりません。
  85. 関晴正

    関委員 むずかしい仕事じゃないと思うのです。とにかく四千人以下のところを出して地方交通線として二千三百十二億と計算されているのか、あるいは八千人未満のところも入って地方交通線として計算されているのか、この辺私どもにもわかりませんけれども、地方交通線と比べていわゆる特定地方交通線、キロ数にして何割ぐらいになっているのですか。二千三百十二億というものを積み上げた中からその分だけ拾えば、数字はすぐ出てきませんか。いま答えられないならば、時間どのぐらいあれば答えられますか。
  86. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 先ほど先生の御指摘になりました二千三百億という数字、これは現在いろいろなことが議論になっております基準と全然違う基準で、昭和五十一年度に私どもの諮問委員会の答申をもとにいたしまして区分けをした数字でございます。したがいまして、その中の各線の損益は無論出ておるわけでございます。  ただ、一方、それでは二千人という基準というものは一体単年度でやるのか、あるいは過去の平均値でやるのか、そういうような問題が決まってないわけでございまして、線区は確定できないということも申し上げておるわけでございます。したがいまして、昨年度の数字ということだけを一つの基準にすればこれは計算は可能だと考えますが、ただ、集計するためには若干の時間が必要だと考えております。
  87. 関晴正

    関委員 さきの委員会で、これは自民党の相沢さんがお尋ねをした際に答えていますよね。八百億と答えております。私はそれを地元へ帰ってよく言うのです。いま国鉄の赤字というのは九千億近くある。しかし、その一割にも満たないのが、地方ローカル線の廃止されようとするところの赤字なんです。八百億や九百億の金がないといって、いま住民の足を奪おうとしているのですよ。そのぐらいの金を見つけて何とか守ることができないようでは、われわれも国会議員としての任務において欠けることになるからがんばります、こう申し上げてきているのです。  そういう意味で、特定地方交通線の赤字のトータルというものは八百億から九百億、こう見てどうですか。
  88. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 昨年の段階では五十三年度までの数字をもとにいたしました数字でございまして、さらに五十四年度の決算が八月に出ておりますので、新しい数字が加わっておりますので、いま正確な数字は申し上げられないと申し上げておるわけでございまして、昨年申し上げました大体の数字、それから若干赤字はふえている方向ではないかというふうに推察いたしますが、大体見当といたしましては、八百から九百という数字の見当はいたしております。
  89. 関晴正

    関委員 鉄道敷設法というのがございますね。この鉄道敷設法というものを見ますと、私どもの青森県でも大畑から大間まで鉄道を敷く予定線になっている。この鉄道敷設法というのは、これから守るのですか、守らぬのですか、どうなんですか。
  90. 山地進

    山地政府委員 鉄道敷設法というのは日本の鉄道の敷設の可能性のある点をお示しいただいたものでございますので、これに基づいて鉄道をつくるということでございますので、現在これを直ちに変えるということは考えておりません。
  91. 関晴正

    関委員 この鉄道敷設法というのは大正十一年にできていますね。私は大正十二年の生まれですから、私が生まれる一年前にできている。現在二百線、予定線にあります。この予定線をこのままにしておいてこの再建法をまた通すということもいかがかと思うのですが、それとの関連において、当然鉄道敷設法についても一つの線を出さなければならなくなるのじゃないでしょうか。  これは国鉄総裁でもよろしゅうございますし、運輸大臣でも、よろしゅうございます。鉄道敷設法、このままにしておくのですか。これはやはりたな上げにしてしまわなければならなくなるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  92. 山地進

    山地政府委員 この鉄道敷設法の第一条を見ますと、「本邦ニ必要ナル鉄道ヲ完成スル為日本国有鉄道ノ敷設スヘキ予定鉄道線路ハ」というようになっておりまして、予定線でございまして、これをすぐ工事するというわけではございません。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 この工事をするためには、運輸大臣承認を得て基本計画をつくって実施するわけでございますので、この予定線というのは国会の御意思でこういうふうに決まっているわけでございますが、その実施方については現在の政策に基づいて実施することになりますので、敷設法自体をいま変えるというようなことは必要ないのではないかというふうに考えております。
  93. 関晴正

    関委員 この鉄道敷設法の第一条、この中に「本邦ニ必要ナル鉄道ヲ完成スル為日本国有鉄道ノ敷設スヘキ予定鉄道線路ハ全国新幹線鉄道整備法ノ規定ニ依リ建設スヘキモノノ外別表ニ掲クル所ニ依ル」こうある。この「別表ニ掲クル所ニ依ル」の別表を見ますと、何と驚くなかれ二百線あります。これをやるものとしておれば、再建法なんというものをつくるということには矛盾が出てくると思う。あるものまでもいま切ろうとするわけでしょう。しかも、全然建設の見込みのないようなものをこの法律で期待させておくけれども、これは単なる都市計画の計画みたいなものなんですか。期待させておいてつくらぬということになるならば、法はやはり改正した方がいいのじゃないでしょうか。また、これがよりどころになって、それぞれの政治家が動いて、そうして無理な線路を新線として今日まで築き上げる根拠となったでしょう。根拠をなくするためにも、これから政治路線をやはりつくらぬということを堅持していくためにも、この法をやはりなくさなければならなくなるのじゃないでしょうか。これが生きておるというと、やはり行動もいきますよ、これに基づきますから。そういういわゆる政治路線というものが赤字を多くつくったわけです。また、今日もつくりつつあるわけです。その根っこを断たないで、そうして再建法でのみ事を解決しようということは正しくない、私はこう思います。当然この鉄道敷設法なるものもたな上げすべきものじゃないでしょうか。どうです。
  94. 山地進

    山地政府委員 お説のとおり、敷設法にはいろいろ長い歴史がございまして、予定路線の作成に当たってはいろいろの事実があったかと思うわけでございますが、現在この敷設法に新しく入れられるということについては非常にまれなケースになっておろうかと思います。  そこで、現在定められておる路線についてどう実行するかということでございますので、これは私どもとしても再建に支障のないような運営を考えざるを得ないということでございます。
  95. 関晴正

    関委員 これをたな上げし、この法律をなくすれば、困ることがありますか。
  96. 山地進

    山地政府委員 現在私ども考えている政策を実行する上に、これがなければ直ちにどうかということはございませんけれども、何しろやはり長い歴史のある法律でございますので、広くいろいろと御意見を承って考えなければいけない問題だろうと思っております。
  97. 関晴正

    関委員 目下建設しておるところの新線、AB線あるいはCD線それぞれの中に、特定地方交通線並みのクラスがどのくらいありますか。どのくらいあると想定されますか。
  98. 山地進

    山地政府委員 大体四十線近くあろうかと思います。
  99. 関晴正

    関委員 これに、これからどれだけの投資が必要ですか。
  100. 山地進

    山地政府委員 今後全部完成するためには、七千億近くの金が要るかと思います。
  101. 関晴正

    関委員 投ずるつもりですか。
  102. 山地進

    山地政府委員 AB線の建設につきましては、いま先生のおっしゃったように、現在提案している法律、これは特定地方交通線は廃止する、あるいは転換するということでございますので、その特定地方交通線の基準に該当するであろうものについては国鉄でやらないということを原則にいたしまして、この法律におきましては第三セクター等で、つまり第三セクターも民間でございますから、民間でこれを引き受けるという場合にはこの建設を継続するという考え方で、現在ございます特定地方交通線の問題と整合性をとって考えていきたい、かように考えております。
  103. 関晴正

    関委員 七千億も投じて、その結果、特定地方交通線、ほとんどそうだろうと思うのですが、そういう特定地方交通線としてでも扱ったりあるいは利用したりするという見込みは何%ぐらいありますか。全体で何キロぐらいありますか。
  104. 山地進

    山地政府委員 現在、私どもの今年度の予算におきましては、特定地方交通線に該当しないと思われるもの以外のものについては、全部工事をストップしております。予算を配分しておりません。法律が通った後と現在とでは状態が違うわけでございますけれども、通った場合に矛盾の生じないような形で運営したいと思いまして、現在第三セクターでやるということが確実なものについては資金を配分していきたい、かように考えておるわけでございます。いろいろの御計画はございますけれども、現実に私どもの方へ出てきておりますのは一件でございます。あとのものについては、いろいろお話ございますけれども、第三セクターの設立にまでいくかどうかということについては目下不明な状態でございます。
  105. 関晴正

    関委員 そうしますと、七千億の金のうち、投資されても生かされるようなものはいまのところ一件程度だ、したがって、投資をして建設するようなことは、その見込みが立たない限りやらないとすれば、七千億のうち使う金はどのくらいになりますか。
  106. 山地進

    山地政府委員 これも全くどれくらいのものが第三セクターで出てくるかにかかわってくるものでございますから、私どもの万としてはことしの予算で百五十億を成立させ、来年度は百七十億の予算を要求しているわけでございますけれども、これも一応の見込みでございますので、ことしの分についても全部消化し切れない、来年に繰り越すのだろうと思いますし、来年度の分についても、この法律成立後、皆様がどういうふうに考えてくるかというような事態だろうと思いますので、したがって来年度についても不確定でございますので、まして将来七千億についてどれくらい需要があるかということについては、私どもとしてはまだ推定し得ない段階でございます。
  107. 関晴正

    関委員 現在来ている線をバス転換させなければならない、そうして第三セクターなりあるいはだれかに持ってくれと、こう言われてもなかなか至難のときです。ましてや新線をまた金をかけてだれかやってくれないかと言っても、やってくれる人はいまの状態では一件ぐらいしかない、こう言っておりますから、こういう部面に金をかけるのはもう当然よさなければならないだろう、それはもうやらぬ、こうお答えになっておりますから、私はそれでいいと思いますが、これらの工事をした線、それから今度国鉄の線でなくなってバス転換された場合に残る線、こういう線路なりこういう土地なり、そういうものはどう転換しようと思っておりますか。
  108. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 在来線のことについて私の方からお答えいたしますが、これらのいろいろな路線敷の使い方につきましては、過去のいろいろな例がございまして、一部はあるいは道路敷等に提供いたしまして地元地域の道路にしたというような例もございますし、また、一部駅舎敷その他につきましては、そこにあるいは住宅が建ったりあるいは学校用地にしたりというようなこともございます。まあいろいろな意味におきましてその地域においていろいろな公共的な目的のために使われるということが第一義的に考えられる点でございます。
  109. 関晴正

    関委員 バス転換したりあるいは路線が廃止されたりするところの財産は、試算で計算するとどのぐらいになっていますか。
  110. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 一応計算上把握しておりますのは、先ほど申し上げましたように、五十一年代の区分経理によります現在の地方交通線グループ、約九千二百キロでございますが、この九千二百キロの地方交通線の価格は、原簿価格において約五千四百億円、正味資産、いわゆる償却引当金を差し引きました額が二千八百億円となっております。
  111. 関晴正

    関委員 別に私は廃止をして財産処分しろという考えで聞いているわけではありません。これほどの金が、これほどの財産が、おんぶにしてまで、地方住民の足を切ることが適当であるのかというこれは判断の一つの資料です。  また、私はもう一つ聞いておきたかったのは公共割引の金額です。この金額のトータル、割引をやめた場合国鉄の負担がどれだけふえるのか、実際に割引しておるところのあらゆる金額のトータルはどのくらいに上っておるのか、これをひとつ示してください。
  112. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 現在私どもといたしまして運賃上の公共負担という形で各方面にその対策をお願いしておりますものは、通学定期の割引、身体障害者の割引あるいは戦傷病者の割引等でございますが、これにつきます五十四年度の決算の数字で一応申し上げますと、通学割引につきましては、現在の法定割引と実際に通学を割引をいたしておりますものの差、それから身体障害者、戦傷病者につきましては普通運賃と現在の五割引きとの差というものでございまして、五十四年度決算で六百三十五億という数字を持っております。
  113. 関晴正

    関委員 ざっと勘定しただけでも、言うなれば終戦処理費的な性格のものと見ていいような退職者に対するあり方、しかも五千億も六千億もこれに要するという金、また、いま新線に充てているところのむだな金、そうして割引をしてまでやっているものを国鉄で持たないで他の関係省庁に割引分を持ってもらう、そういうことによって浮く金というものは相当な金になる、そういう相当な金をあてがいさえすれば、何もいま無理して千億になるかならぬかわからぬような特定地方交通線をずたずたにたな上げする必要はないのではないだろうか、もっと地方交通線、特定地方交通線というものを守るための運動を起こすことが必要ではないだろうか、私はそう思うのでありますが、私どもの青森県でも、ある市長さんは国鉄利用運動というものをいま起こしております。皆さん、国鉄を利用しましょう、そうして国鉄を守りましょうという運動が起こっております。こういうようなけなげな運動をも伸ばしていくような努力、そういう心配りが国鉄にあってしかるべきではないだろうか。とにかく赤字になって困ってしまったというだけで切るところにばかり心が行かないで、国鉄を盛り上げるという運動、この運動についても努力すべきものではないだろうか、私はこう思うのです。  このことで、この春、私どもの青森県から来た諸君たち運輸大臣に会いまして、ダイヤの改正をひとつやってくれぬか、東北本線で野辺地という駅におりて、その野辺地という駅からむつ、大畑に向かうときに、二時間も三時間も四時間も待たされるようじゃだれも国鉄には乗りませんよ、少なくともそういう不便だけは解消するためのダイヤ改正はしてください、こう申し上げたときに、大臣は、そういう不便だけはぜひ解消するように検討させましょう、こう約束しました。ことしの十月にどれだけの改正が図られてダイヤができておるだろうかと思ったら、ちっとも前進しておりません。こういうことは、一体どういうことなのだろうか。大臣が検討を命じても、よしわかったと言っても、ちっともおこたえにはならないわけなのです。つまり、そういうような地方線をできる限り利用しないように、利用しないようにと仕向けているのではないでしょうか。利用するように、利用するようにという心配りよりは、利用させないように、させないようにという心配りの方が進んでいるように思われるわけです。この点については春に大臣が約束をしたけれども、守らなかった。守らなかったのか、守れなかったのか、守ろうとしなかったのか、忘れてしまったのか、どちらです。
  114. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの大畑線の問題につきましては、私も当時地元の方々にお会いいたしました。そして、乗り継ぎの時間帯が非常に悪いということのお話がありました。それはひとつ私も勉強いたしましょうと申し上げたことをはっきりと覚えております。それで、その後いろいろ研究をいたしましたが、実は今回のダイヤ改正の主体は、新しく千歳付近で電化をいたしました関係で、北海道でダイヤ改正をかなりいたしました。それから、九州の地域におきまして、かなり本線におきましてもお客様が少ないので、一部ダイヤ改正をいたしました。さらに、夜行寝台等についての乗りぐあいとの関係で一部整理をいたしました。それ以外につきましては、東京から西の方について若干の手直しをいたしましたけれども、東京、東北、新潟といったような地域につきましては一切手を触れなかったわけでございます。  その理由は、新幹線が上越なり東北との間でそう遠からざる時期に仕事を始めることになろうかということでございまして、そういたしますと、その時点で考えなければいけないということで、今回はほとんど全部見送りにいたしました。ダイヤを直しますのは、いろいろやはり車両をどこかから浮かしてくるということがなければできないわけでございますから、また、人員を全体として減らさなければならぬという状態でございますので、人員もどこかから浮かしてくるということが要るわけでございます。  確かに、よく勉強いたしますという御返事を当時関係の皆様に申し上げましたけれども、いま申し上げましたような事情で、まことに残念ながらことしの十月の時点では触れることができなかったというのが実情でございます。いまの線区につきましては、二千人よりは少し少ない状態でありますけれども、しかし、いまお話しのようなこともありますので、A後もなおその辺をよく検討しなければならないというふうに考えておりますが、全国的、一般的に申しますと、地方線区、特定地方線区、いずれも残念ながら毎年少しずつお客さんが減っている状態でございまして、ダイヤはそれほど減らしておりません。減らしておりませんが、その変更のない間でお客さんが減っていくという残念な事情にございますので、お気持ちはわかりますけれども、私の方としては、ダイヤを改正してさらに増発するということについては、経費も相当かかる、列車本数をふやせばそれなりに経費がふえてまいりますので、なかなか簡単にはまいらぬという現状を御理解いただきたいと思います。
  115. 関晴正

    関委員 簡単にはまいらないということは、東北新幹線のこともあって、ことしは、そういうお話をしたけれども、やれないで終わった、それでは来年は考えてくれるのかというとそうでもない、こういう御答弁のようでございます。私はこの大畑、大湊線の利用客は、接続のうまさというものを取り入れていくことによって、利用度は相当に高まっていくと思います。いまどきどこに二時間も三時間も四時間も接続で待たなければならないというダイヤがございましょうか。これは東北本線、幹線とつながるところですよ。幹線を生かそうとして枝葉をつぶせばいいなどということは、思想が転倒していると思うのです。枝葉を切って幹が伸びるなどということは、自然の原則からも当てはまらないことなのです。枝葉を充実して幹が伸びていくものではないだろうかと私は思います。  そういう意味では、二時間だとか三時間だとか四時間だとか待たせるようなダイヤは恐らく全国どこにもないのじゃないでしょうか。そういうほうり方をしておいて、ここは利用者がだめだからということは、住民に責任があるということよりはダイヤを組んでおる国鉄に責任があると私は思いますので、その辺はひとつむずかしいかもしれませんけれども、まだまだ四年もあるわけですから、その間にできる限りの便利なダイヤを組む、こういうことはやはり必要だろうと思いますので、ぜひこれは取り組んでいただきたい、こう思います。  もう一つ。東北新幹線の話が出ました。東北新幹線ができて、これの経営の見込みというものはどういうふうに見ておられますか。しばらく赤字だろう、こう言われておりますが、そうでもないと見ておられますか。いつごろまで赤字で、いつごろから黒字になる、そういうふうな見通しがあるならば示してください。
  116. 高木文雄

    ○高木説明員 現在まだどういうふうな運行をするか、たとえば一日何本ぐらい走らせることにするか、また新幹線ができました場合には、そちらの方にお客さまが移られますから、在来線の方を多少間引くということになってまいりますが、その辺の移し方、お客さんがどっちへどう乗られるか、私の方としてはどういうふうにいわば誘導していくかというところまでの運転計画ができておりませんので、経常経費並びにその収入がどういうふうになるかはしかと計算をいたしておりませんが、最も問題になりますのは、開業になりました場合に、経理上負担になってまいりますのは償却と利息負担でございます。そこで、償却と利息負担はどうしても開業後一年目が一番多く、二年目、三年目とだんだん減ってまいるということになります。いまの見込みでは、東北新幹線と上越新幹線と大体合わせまして、まず十年ぐらいはどうしても赤字の状態が続くのではないかというふうに考えておりますが、十年すれば十分償っていけるということになろうかと思います。  なお、開業初年度の利子あるいは償却の負担というものは、前々から申しておりますように大体主千億前後になろうかと考えております。
  117. 関晴正

    関委員 青函トンネルが間もなく開通します。そこで、ここに働いている人たちはやがて自分たちの働き場がなくなるであろうということを大変に恐れているわけです。そういう意味で、私どもはこれらの青函トンネルに働いた労働者の次の行き先というものも当然考えてあげなければならないであろう。そうなりますと、当然に青森の八甲田のトンネル工事というものが考えられていかなければならないのじゃないか、こう思うわけです。東北新幹線も盛岡どまりだというならばこれは別であります。そういう意味では、これらの諸君たちの落ちつく先あるいは行き先ということについても相当に計画があるのではないだろうかと思うのですが、これはここでたな上げしてしまいますか、それともやはりこれは引き続き盛岡から青森までの延長路線においてそれらの諸君を回していく計画であるというふうに考えておりますかどうか、その点についてお伺いいたします。
  118. 山地進

    山地政府委員 先生の御質問の点は、東北新幹線の盛岡から先の話であろうかと思うわけでございますが、整備五線全体につきまして現在政府の方においても財源問題について取り組んでおるわけでございます。御承知のとおり、五十三年の関係閣僚会議以降、公的助成とそれから財源という問題について検討を重ねているわけでございますけれども、何せ整備五線全体で五兆円以上の巨費のかかるプロジェクトでございますし、従来の仕組みではこれをつくることがなかなかむずかしいということで、現在来年度の予算に向けていろいろと検討を重ねているわけでございますが、このような段階では整備五線で盛岡以降にどういうふうに展開してくるかというのはなかなか予測がむずかしいと思うわけでございます。  そこで、青函トンネルの利用につきましては、在来線を通すのが主体であの大工事を始めておるわけでございますから、在来線を通す場合にどういうふうに通すかということは検討しておりますけれども、直ちに新幹線をどう通すということについてはいまだに具体的な検討はしていないというのが現段階でございます。
  119. 関晴正

    関委員 常識だと思うのです。青函トンネルの工事が済めば、これらの労働者を解散させますか。当然次の仕事に向けるでしょう。首切りますか。その点について私は次の仕事は最も段取りのいい場所がその延長にあるんじゃないだろうか、こう思います。それをまた別な方に持っていくとかなんとかいうことはむだ使いになってしまうのではないでしょうか。そういう意味では、これは次のことになりましょうけれども、十二分にいまから考えておいていただきたい、こう思います。  もう一つ私から申し上げたいことは、奥羽本線というのがありまして、これも青森から出てているわけですが、青森と弘前の間に大釈迦という山があります。この山のトンネルがむずかしいからというのでここの複線化が投げられたままです。私が県議会におりましたころ、いまから二十年前からこの話をしておるのですが、一向に手をつけようとしません。世紀の青函トンネルには莫大な金をかけてやっておる。青森のちょっぴりした大釈迦の山のトンネルには手をつけない。これが大体国鉄の姿なのかと疑いたくなるわけです。それでまた、管理局ということになりますと秋田と盛岡と函館にあって、言うなれば交通の要衝である、あるべきところの青森にはない。あるべきところに置けば三つ置かなくてもいいのです。大変な節約にもなるわけなんです。  そういうような、すべき節約、すべき機構改革、すべき住民サービス、これを一切断ちまして、ひたすら資本の論理に立っていまの再建法を出しておられるわけなんで、これはやはり考え直すべきものだ。先ほど申し上げました諸節約あるいは負担の区分を他に回すということ、あるいは自主的にそれぞれに負担をしてもらうことにおいて、相当に改善される内容が出てくるんじゃないだろうか、こう私は思います。そういう意味から、この法律についてはいま少しく国民的な支持というものを得た上で事を進めるようにすべきではないだろうか、こういうふうにも思いますので、なお一層検討すべきものなりとの、何と申しましょうか、住民を思う気持ち、この気持ちを受けてひとつ考え直していただきたい。  この点については御要望申し上げて、時間になりましたから終わります。     ―――――――――――――
  120. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、日本鉄道建設公団理事藤田雅弘君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時五分開議
  122. 小此木彦三郎

    小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林恒人君。
  123. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 日本国有鉄道再建促進特別措置法案に対する私ども日本社会党としての基本的な考え方については、すでに十月十五日、本委員会において吉原、福岡両氏が明らかにいたしておりますので、大臣はすでに御理解のことと思います。  さて、こういった前提認識の上に立って、日本国有鉄道の財政が赤字となったのが昭和三十九年、すでに十六年間になるわけです。その間、院の内外を通じて慎重な討論を行ってきた経過がありますけれども、そこで、このたび議題に付されております国鉄法案内容が、果たして国鉄を利用される国民の多くの皆さん方に十二分な理解が行き届いているのかどうなのかという点について、私は多くの疑問を持たざるを得ません。こういった観点について、まず最初に運輸大臣見解を求めておきたいと思います。
  124. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、国鉄利用者の方々は、国鉄全体がどのように再建されていくかという期待を込めて、相当な関心を持っておられると思うております。特定地方交通線とか地方交通線そのもの自体に対する法案の認識とかいうものについては、私は定かではございませんが、しかし、国鉄再建に対する関心は非常に高いと認識しております。
  125. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国民は国鉄再建という抽象的な認識でしかないのではないか、こんな気がしてならないのです。  そこで、大臣、この法案の骨子の中でこれだけは国民の皆様方に正しく理解を求めておく必要がある、こう判断をされる部分、これは項目で列挙をするとどんなものになりますか。
  126. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まず第一に、この法案によりまして国鉄が経営改善計画を出すんだ、そして、この経営改善計画で今度こそ本当の正念場に向かってこれから国鉄再建するんでありますから、この改善計画というものに対しまして一般国民の方々も十分な認識を持ってもらうようにいたしたい。  それから、午前中の討議の中にもございましたように、国鉄の能力を超えておる問題につきまして、これは路線も含みますが、そういうものについて行政の責任というものをどう明確にしていくかということ、そして、この再建に際し、国がどのように債務の肩がわりあるいは利子の補給をするか。これは財政再建の途上にあります国家財政から見ましても大変な金額がこれに投入されることでもございますので、そういう点等を私たちは正確に認識してもらいたい、こう思うております。そういう観点に立ちまして、国鉄はいま、この法案に基づきまして営業路線の一部をある場合には代替機関に、ある場合には地方と国との責任において運営してもらおうとしておるこの事態を正確に認識してもらいたい、こう思うのであります。
  127. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国鉄そのものが国民生活に直接関連をするきわめて重要な国民の足だということについては承知おきをいただいておりますが、いまお答えをいただいたように、いわゆる国鉄そのものの能力論、それからもう一つは国が果たさなければならない役割り、こういったものを勘案をしつつ、国民との間で十二分なコンセンサスを深めていく、こういう必要があるのだと思うのです。しかるに、本委員会国鉄法案審議するに当たって、法案に対する賛否両論というのはもちろん大きく分かれて存在をするわけですけれども、そんな意味では、反対だと言われる部分の皆さん方に十二分に理解のし得るような内容の資料が公表をされておらないという部分が非常に多くあるように思えてなりません。  一部に伝え聞くところによりますると、政令によって残存させ得る線区があるのだという説がきわめてまことしやかに喧伝をされるとすれば、審議の過程であるだけに、仮説や政令に言及をされて、それらがいわゆる世論化をしていくとすれば、正しい審議が阻害をされるということにも相通ずるのではないかという危惧を持つわけです。私は運輸委員会に籍を置く者の一人として、この点について非常に心配をいたします。  具体的に言いますれば、十月一日から北海道の千歳線、室蘭線の電化が完成をして、加えて先ほど午前中にも総裁からお話がありましたように、千歳の空港前に駅舎が建設をされました。このことに関連をして記念式典が開催をされた席上で、いやしくも運輸政務次官である三枝さんは、法案は通してほしい、しかし具体的には政令で対処でき得るものがあるのだということをごあいさつの中で言われているわけです。すでにそのことをまともに受けとめるのだとすれば、法案そのものが一部修正をされてしまったのか、修正案というのは出ていないわけですから、こういった誤解を持たざるを得ないという危惧の念を持つのは私一人ではないと思うのです。  誤解を解いていくということ、加えて審議を慎重に進めていくという意味では、いやしくも運輸政務次官のこういった発言に対して、運輸大臣としてどのように考えるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  128. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いま御質問の中にございますように、地方交通線並びに特定地方交通線の基準というものにつきましては、国鉄が全国一律に定めなければならぬものでございまして、その基準等について手心をというようなことは私たち考えておりませんし、ましてや三枝政務次官におきましても、そんなことを言っているのではないと私は信じます。また、発言を見ましても、そういうことには触れておらないように思うのであります。  ただ、御承知のように、政令で基準を定める中で、先ほど質疑のございましたように、一部、長い期間にわたって、積雪寒冷の地で、鉄道に依存せざるを得ないようなところ、あるいはラッシュ時に千人が集中して乗車するというような、そういうところに政令は触れるのでございます。そういうことを言っておるのでございまして、基準を政令で恣意的に解釈をし、そして、それを適用するというようなことは、非常にきっちりした性格の政務次官でございますし、また役人として勤めてまいりまして、そういう行政の事務ということをよく知っております政務次官が、そういうことは言っておらない。しかし、聞く方のニュアンスにいたしますと、何か政令というものは政府が勝手に決めるのだろうというふうにとられた節があったとするならば、これはいろいろな発言の問題、ニュアンスのとりょうということであったろうということは考えられますけれども、私は、三枝政務次官に限ってそういうことは言っておりませんし、いまお願いしております審議、再三この審議を通じて言明いたしておりますように、一定の基準というものは公正厳正に守っていく、それは当然のことであるということを申し添えさせていただきます。
  129. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 良識のある三枝政務次官はそんなところにまでは言及されておらないだろう、こう大臣は言われるのですけれども、裏返せば、それじゃ言ってもいないことを私が言ったとでも言うのですか。そういうことになるのですよ。言ってもいないことを私が捏造して本委員会の中で言った、言ったと言い切っている、けしからぬではないかという言い方になるのですよ。そんなことにはなりませんよ。
  130. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私が言っていますのは、政令で恣意的に決められるような、そういう言い方はしておらないだろう、こういうことを言っておるのです。
  131. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 政令の中身について、正確に言いますれば私は承知をしてないのです。明らかにされてないのですから承知するべくもないのです。しかし、記念式典の席上で三枝政務次官は、法案は通してください、しかし北海道の実情等を考えれば政令等で十分対処し得ると言い切っているのですよ。いいですか。これは大臣がそんなことは言っていないと思う、言ってみれば、小林君、君は言ってもいないことを言っているとはけしからぬよと言われているのと同じなんですよ。私は、そんなきわめてあいまいな答弁理解するわけにいかないのです。
  132. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いま大事な審議途中でございますしいたしますので、私は、この委員会が終了いたしましたら直ちに三枝政務次官と会いまして、発言内容等をお聞きいたし、また機会を得まして御報告さしていただきます。
  133. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 言った、言わないという問題で長時間を費やすという気持ちはないのですけれども、これは三枝政務次官に限ることではなくて、幾人かの閣僚の皆さん方の中からもこういう話はすでに聞き及んでいるのです。たとえば、おれの目の黒いうちはおれの選挙区内の線は外さないよ、こういう表現で幾つか出ているのです。にもかかわらず、政令の骨子たるものがきょう段階でなおかつ委員会にすら配付をされていないという実情、これは少なくとも国会の場で、委員会の場で十二分な審議をしていく、そんな意味では、正しい審議をしていく必要があるのだと思いますよ。ですから、私は、政務次官じきじきに、どういう御発言をされたのか、この場で明らかにしていただきたいと思いますよ。大臣の所見についてはわかりました。
  134. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど申しましたように、小林先生からそういう御質問があった、その内容等も政務次官に伝えまして、政務次官と面談いたした結果はまたこの委員会で御報告させていただきます。
  135. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 時間的な余裕があるのだと思いますから、少なくとも私の発言時間内に政務次官の答弁をいただく、こういう委員長の御配慮があるのであれば続けて先の課題に移らしていただきたいと思っているわけです。よろしゅうございますか。
  136. 小此木彦三郎

    小此木委員長 小林委員、いまの大臣答弁で了承願えませんか。
  137. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 これは満足できるものではないのだと思いますがね。(発言する者あり)
  138. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ただいまの小林委員の申し出でございますが、明日の委員会の冒頭、三枝運輸政務次官が委員会に出席しまして、小林委員の発言に答えて了承を求めるということで了承願いたいと思います。よろしいですか。
  139. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 非常に不規則発言が閣僚の中から多かったりすることについては、私は委員会の権威の問題として危惧をするものですから、多少御無理な要求をしたのかとは思いまするけれども、明日冒頭に釈明をしていただくという前提で先へ進ませていただきたいと思っております。  そこで、次の課題に入るのですが、国鉄の赤字、八千億を超える赤字が毎年毎年引き続いていくというこんな状況の中で、どうしても触れておかなくてはいけないのは公共負担という課題なのだと思っているのです。公共負担の占める割合が非常に大きい。政府は、昭和五十四年の十二月、閣僚懇談会で結論を求めるということになって、それぞれ関係をいたします省庁の中でも協議が進んでいることになっているわけですけれども、五十四年度の実績だけを見ても、通学関係だけで五百九十一億円、身障者の公共割引三十六億円、以下、救護者の問題やらあるいは戦傷病者特急免除など、こんなのを加えますと、午前にも国鉄側から御答弁がありましたように、実に年間六百三十五億円を超える公共負担を強いられているという実態があるわけです。  国鉄総裁は、閣議決定の後、各省に対してどんな措置をこの問題ではとられたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  140. 高木文雄

    ○高木説明員 閣議の御意思として、この問題について関係各省間で検討会といいますか、研究会といいますか、そういうものを設けてくださるということでございますので、いまのところはひたすらその御研究の結果をお待ちをしているということになっております。
  141. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 閣僚懇談会の結論があったわけですから、それぞれに関係をいたします文部省、厚生省等の中でそれぞれの省としてどういう検討をされてきたのか、文部、厚生両省の検討経過を教えていただきたいと思うのです。
  142. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 学生定期割引につきましては、先生承知のように、非常に長い経過で国鉄もやっていただいておりますし、民鉄、地下鉄等も長年やってきていただいておりまして、いろいろと複雑な問題を含んでおりますので、いま総裁がおっしゃいましたような観点から各関係省庁で協議している段階ということで、まだ結論を得るに至っていない段階でございます。
  143. 板山賢治

    ○板山説明員 身体障害者福祉を中心といたします割引制度の問題につきましては、国鉄運輸省からの申し入れがございまして、厚生省の中でも関係局が集まりまして検討をいたしておりますが、これもまたいま説明がありましたように大変に長い沿革と歴史がありまして、しかも障害者問題、来年は国際障害者年でもありますので、こういったことと関連をいたしましていま運輸省当局とも研究会の中で検討をいたしている最中でございます。
  144. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 営々としてやっているようなやっていないような答弁しか聞き取れないのですね。少なくとも国鉄再建問題というのは、前段申し上げたように、昭和三十九年に赤字に転化をしてから以降、相当慎重審議をされてきたと思うのですよ。当然その段階から公共割引という問題についても、私が聞いてきた範疇だってそんな三年や五年の歴史ではないのです。加えて、閣僚懇談会でこういう結論を求めて、可及的速やかに国鉄再建の、ある意味では重要な柱の一本としてどうしようかという段階で、いまのような文部省や厚生省のお答えでは、大体やる気がないのではないかと受けとめざるを得ないのです。少なくともいまの段階で、大幅な要員の削減を含めて、地方ローカル線の取り扱いを含めて法案審議しようという段階なんですから、文部省にしても厚生省にしても、五十六年度予算の中でどう措置しようとしているのかという方向性が出てこなくてはいけないのではないか。五十六年度予算の中でどうしようとしているのか、もう一度文部省、厚生省にお尋ねをしたいと思うのです。
  145. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お尋ねの五十六年度予算に関しましては、学割関係で、いまおっしゃいました国鉄にいわゆる公共負担だからということで補てんするという要求はいたしておりません。
  146. 板山賢治

    ○板山説明員 厚生省でも、国鉄運賃割引に見合います公共負担の一般会計での要求はいたしておりません。
  147. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 大事な審議の真っただ中で、少なくともとにかく文部省も厚生省も概算要求を五十六年度予算の中ではしない、こういう状況があるわけです。一方では、たとえば本法案の中に組み込まれている赤字ローカル線の取り扱いを考えるならば、これは法案の中でも明記をされているように、速やかに取り組みが行われ始めるという、こういうきわめて理不尽な、政府一体となって責任を持ちつつ国鉄法案をさらに六十年度まで進めていこうという姿勢があるのかどうなのかという意味では、私は疑問を持たざるを得ません。  大臣、さらに鉄監局として、こういう状況の中で、相関関係があるだけに、これらの公共負担問題について当面どう対処しようとしているのか、対処方を明らかにしていただきたいと思います。
  148. 山地進

    山地政府委員 いま関係各省から御報告いたしましたように、各省集まりましてこの問題を鋭意検討しております。学識経験者もお呼びいたしましてその御意見を承る等、この研究についてはそれなりの御理解を深めつつあると私どもは信じておるわけでございます。  それから、いま当面どういうふうに対処するのかという御質問でございますが、私どもといたしましては、昨年の国鉄運賃が一・五%、学生定期の割引について是正をいたしたわけでございます。その一・五%の是正分というものにつきまして概算要求で要求をしておりまして、国鉄としては全体で三%の値上げと同じような効果が上がるというようなことを現在考えているわけでございます。
  149. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 必ずしも十分なお答えを得たという認識をできないのですけれども、各省で公共負担問題について議論をするのに、ほぼ一年たってほとんど議論をされていない、目安が出てこないという実態、これらを持ち帰ってまた総合的な判断をするのに相当の時間を必要とするように思わざるを得ないのです。そんな意味では、少なくとも公共負担という意味では、運輸省そのものが具体的な施策を今日段階で持っていないと断ぜざるを得ません。加えて、こういった公共負担の中には通勤割引というのは実際入ってないわけですね。通勤割引そのものを考えると、対社会政策対策として設定をされてきたものであることについては、具体的に私があれこれ言うまでもなく承知のことなんですが、ただ、社会の通念上変化をしてきていることは、通勤定期というものの支出が個人の支出という、こんな時代から、大半企業支出の時代に変化をしていっているわけです。さらに、四%程度ずつ割引率を落としていって六〇%まで割引率を落としたいという、こういった考え方があるように伺っているのですが、こういう現状の中でそれらを推し進めていけば、たとえば国鉄再建の方途の一策として、向こう十年間のうちに、たとえば六〇%台の割引率になったと想定をすれば、現状よりもどの程度の運輸収入増を見込むことができるのか、そういう目算を立てることができるのか、国鉄総裁からお答えを聞きたいと思うのです。
  150. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいまいただいております倍ぐらいの、約三百億ぐらいの増収になると思います。
  151. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 公共負担の問題と並行して通勤割引の問題についても、三百億ということになれば非常に大きなボリュームだという判断をせざるを得ませんから、これは慎重の上にも慎重な、国民とのコンセンサスを得ながら今後進めていくということが重要だという気がするのです。  そこで、この運賃問題について何件か御質問を申し上げたいと思うのですが、たとえば民鉄パス等の例を見ますると、二年ローテーションで運賃の見直しをやってきたという、こういう経緯がありますが、運賃法定制という課題が出てから以降、国鉄は毎年のように運賃を引き上げる。その差がますます拡大をしていると言わなければなりません。これは隔年ごとにやっていくのと毎年運賃を引き上げるということの違いだと思います。かてて加えて、全国一律の運賃制をしいている国鉄と、企業別に、あるいは地域別にコストを主軸として運賃算定をしている民鉄等との運賃の差というのが大きく出ていると思います。特に、過疎地帯におけるそんな意味でのコストと都心部におけるコストの違いを考えれば、これは非常に大きなものと言わなければいけないと思うのです。私企業の運賃等に対する一定の歯どめ、こういったものを特に地方ローカルの段階で担ってきたという現実があるだけに、都心における私鉄との格差、逆に国鉄の方が非常に高くなっているという実態の中から具体的な施策をお考えなのか、どうなのか、見解をお聞きをしておきたいと思うのです。  都市部における輸送力、国鉄の持つ機能、それからもう一つは、あのすし詰め電車の中での、まさにサービスなどというものではない低落した輸送体制、こういったものを総合的に判断をしてお答えを求めたいと思うのです。
  152. 山地進

    山地政府委員 全国一律運賃制度のもとで、現在大都市において私鉄との格差が非常に開いておる。特にいま先生の御指摘のとおり、私鉄は企業の採算に基づいているのみならず、小田急なら小田急、京王帝都なら京王帝都の中で遠距離逓減ということをまた実施しているわけでございます。そういうことから申しますと、国鉄の運賃とそれから私鉄の運賃を大都市部分においてどう調整していくのかということは私どもでも非常に検討を迫られている問題の一つでございます。  おっしゃったように、東京あるいは関西における大都市交通はラッシュ時の混雑度が二〇〇%を超えるようなものが非常に多いということも、大都市交通対策として鋭意設備投資なり、あるいは冷房化なり、新線なり、線増なり、そういうことで対応しているわけでございますが、やはり日本の都市構造というものが都心部に管理機能を集中しているという結果、なかなか分散ということにいかない、そういう中で私どもは対応を迫られているものでございますから、十分な成果を上げていないというのはまことに残念なことだと思っております。  それから、いまの都市部における非常な運賃の高騰といいますか、運賃に格差が出ているという問題につきましては、今後とも何らかの方策を私どもとしても立てなければいけないわけでございますが、東京について言いますれば、国鉄線と私鉄というものは山手環状線というような関係で補完機能があったということが一つ言えるかと思うのでございます。新宿-八王子とかあるいは小田原-新宿というような並行区間は、関西から比べてみれば東京では比較的少なかった歴史があろうかと思いますが、しかし、現実にそういうところで二倍以上になっているということをどう解決したらいいのか、私どもとしても今後とも真剣に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  153. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 都市部についてこれも可及的速やかに解決方策を見出していかなければならない課題の一つだと思いますし、もう一つは、地方ローカル線との関連では特別運賃制の導入というような意図が明確になっているわけですから、この点について若干言及せざるを得ないと思うのです。  簡単に申し上げれば、地方ローカル線の中で運賃率を引き上げていく、こういったことになればますます利用率の低下につながっていくことにしかならぬのではないのか。さらに、国鉄再建に占める役割りを考えても、これはそんなに大きなものだという判断をするわけにいかないのです、収入でせいぜい五%、経費で一〇%程度の範疇なわけですから。そういう意味では、国鉄の運賃法に運賃のいわゆる基本四原則が明らかにされているわけですけれども、一つは公正妥当な運賃、それから原価を償うということがあり、そして三つ目には産業の発展に資する、こういったものがあり、さらに賃金及び物価の安定に寄与するという運賃策定に当たっての四原則の観点から言えば、特別運賃制の導入という事柄がこれらに抵触をして、なおかっこの特別運賃を導入をしていくということになっていくのではないかと思われるのです。この点について鉄監局長見解を求めたいと思うのです。
  154. 山地進

    山地政府委員 いま先生のおっしゃった国有鉄道運賃法四原則、われわれとしても守るべき四つの基準というものが出ているわけでございます。ただ、この運賃法ができましたのが昭和二十三年でございまして、現在の時点において、私どもとしてもでき得ればこの全体を満足させるような運賃というものをつくるように心がけておるわけでございますが、御承知のように、現在のような国鉄の赤字が出てまいりますと、いま助成前で国鉄の赤字は一兆七千億ぐらいになるわけでございまして、この赤字について国は六千億ぐらいから七千億、今度の予算では私どもとしては七千億というものを負担するわけでございます。この七千億の負担というのは、言ってみれば国鉄を利用されない方からも税金という形で国鉄に投入することになるわけでございますので、利用者の方に一部でも負担していただきたいと二千百億の予算要求をしているわけでございます。  それから、地方のローカル線についてこの特別運賃を何で負担していただくか。確かに収支が悪化しております。その一番悪いのが地方交通線でございますので、国鉄が今後活力ある企業体として再出発するというためには、国鉄自身で自信のある、それから国民経済的にも効率的な輸送体系になるような形で国鉄というものを健全化したいと願っているわけでございます。そういう観点で地方交通線の問題を取り扱っておるわけでございますが、特別運賃をなぜとるのかということにつきましては、ことしの予算で約一千二百億ぐらいの要求をしておるわけでございます。これを、国鉄ローカル線九千キロと言うわけでございますが、一万キロで割りますと、平均でございますけれども一キロ当たり一千万円の助成をしているような勘定になるわけでございます。国としても地方交通線の維持ということについては助成金という形でやっているわけでございますので、ほかの線から比べれば非常に手厚く助成を出しているわけでございますので、地方のローカルの方も幾らかなりとも御負担いただきたいということで特別運賃を考えているわけでございまして、この点に  ついて御理解を賜りたいと思います。
  155. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 運賃そのものと総合交通体系といったものとの相関関係も相当大きなものがあると思います。ただ、いまの鉄監局長答弁を聞いておりますと、ある意味で原価主義ということが非常に強く前面に出てきているように思えてならないのです。  ちなみに、私の方でちょっと調べた資料によりますと、たとえば東京-福岡間、新幹線で約七時間、片道運賃一万五千五百円。これを飛行機、ジェット機に比較をいたしますと、ジェット機は一時間四十分、そして運賃は二万百円。さらに、マイカーが相当ふえておりますけれども、乗用車で東京-福岡間を片道走ると、高速料金やガソリン代だけで約三万円かかる、こう試算されるのです。ぶっ通し走ったと仮定しても約十五時間を要するだろう。こういうことからすると、高速道路そのものの設定という問題が一つありますし、それからコストから言えば国鉄がいかに安いのかということなんかがはっきりと言い切れるのだと思っているのです。  そこら辺の相関関係を踏まえながら、このいわゆるコストという問題の審議の中では、運賃、料金という問題について、その四原則の中にも示されている課題というのは、鉄監局長が若干古くにつくられたものだからというおっしゃり方をされましたけれども、今日考えてみるとき、何も古くはなっていないわけですね。たとえば、産業の発展に資するという課題というのは、今日国鉄が大きく持っているだろうと思います。それから、物価の安定に寄与するという意味国鉄運賃の与える影響ということを考えれば、これは何も古くなってしまった遺物だと言い切るには値しない課題なのではないかという気が私はいたします。ぜひともコスト主義に陥ることのない、四原則を堅持した上での立場に立ってこの運賃というものを考えていく必要があるということを強調したいと思いますし、加えて特別運賃制の導入という問題に至っては、先ほども申し上げたように、ますます地方ローカル線の利用率を低下をさせるということにつけて加えて、どうしても救われない部分というのが存在をするのです。いかにマイカーがふえたとしても、免許証を持たない老人あるいは御婦人、それから通院をされる皆さん、そして学生諸君、こういったことを考えれば、公共負担の問題とも関連をし、地方ローカル線における運賃がさらに引き上げをされるということに対する救われない部分というのを、公共企業体日本国有鉄道がどう担っていくのかという課題をもう忘れてしまったのか、こう言わざるを得ないような部分があると思うのです。そんな意味では、この特別運賃制の導入という問題について、私は明らかにこれだけはもうどんなことがあっても許しがたい課題であり、反対をせざるを得ない、このことを申し上げておきたいと思います。  それともう一つ、特別運賃制を導入することにかかわって、一つは基準の作成という問題が出てくると思います。これもまた全国一律でアップ基準をつくっていくのかどうなのか、あるいは先ほど来言われているように線区単位をコストでもって算定をされるものなのかどうなのか、このことについて、考え方が明らかにできる範疇で結構ですから、お答えを求めておきたいと思います。
  156. 高木文雄

    ○高木説明員 特別運賃制度を仮にとらせていただく場合に、具体的にどういう方式があるかということについては、非常にむずかしい問題でございます。長年の間全国一律の運賃であったわけでございますから、多少ともコストを考えながら幾つかの段階の運賃にしてもいいではないかという考え方なんですけれども、しかし現実問題としては、いままで一度もやったことがないわけでございますから、どういうふうにすることによってある程度の御理解を得られるかということを私ども探し求めているわけでございます。  いま私どもが学識経験者の方々等に、私的に私どもの相談相手になっていただいている方々に伺ったりしているのですけれども、大体の考え方としては、現時点におきましては、幾つもの段階をつくる、あるいは路線別に考えるというようなことはどうも現実的ではないのではないかということで、いまの段階で私ども考えております、可能性のある、現実味のあります考え方というのは、全国を二本立てにしまして、いわゆる幹線系と地方交通線系に分けまして、地方交通線系は地方交通線系で一本立て、幹線系は幹線系で一本立て、せいぜい二段階ぐらいから入っていくというのが現実的なやり方ではないかしらという感じでおります。  何しろ長く続いたものでございますので、利用者の方々のなれといいますか、そういうことをひとつ考えなければいけません。それから余り多段階になりますと、体系が非常に複雑になりまして、いろいろな段階を乗り継がれる場合の運賃の立て方が非常に複雑になってまいりますので、最初からやや忠実にコストにバランスしていくというやり方は、とうてい現実的にとり得ないものというふうに考えております。
  157. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国鉄総裁がいま、長い間続いてきて利用者のなれになっているからむずかしい、こういう表現をされましたけれども、これはなれじゃないのですよ。私は決してこんなものはなれだと思っていないのですよ。公共企業体日本国有鉄道として運賃四原則に基づいてこういうシステムをとってきたわけだから、これはもうあたりまえのことなんです。それをなれがあるからせいぜい導入をするとしても幹線系と地方ローカル線との二本立て、こんな表現をして答弁が事足りるという問題だとは私は思っていません。そういう認識だから、たとえば地方における運賃体系というものを中央におられるあなたたち官僚はわからない、こう言われるのだ。いいですか。国鉄があるから地方の私企業のバスやあるいは軌道が上げたくても上げられなかったという面があるのです。これが解禁になってしまうのです。こんなものはなれではないのですよ。そのことを正確に総裁として受けとめておいていただかないと、これは大変なことになりますよ。そのことだけを申し上げておきたいと思うのです。  いずれにしても、運賃の策定に当たって四原則を正しく守っていくという基本を国がみずから放棄してしまう、国鉄がみずから放棄してしまうということは、きわめて危惧しなければならない部分だと私は考えております。  そこで、次に貨物輸送について何点か触れておきたいと思うのですけれども、監査報告書によりますと、昭和五十四年度の貨物輸送量は、若干の  アンバランスがありますけれどもほぼ横ばいで、多少上向きかっこうになりつつある、こういった報告を私どもも見せていただきました。エネルギー政策上、今後の輸送体系は慎重な対策が必要だと思われますし、増大する方向にある途上での貨物輸送対策というものについて、国鉄側の見解を賜っておきたいと思うのです。  法案の中の文言の中で大量定型という用語を使われておりますけれども、大量という定義、定型という定義について明らかにしていただきたいと思うのです。
  158. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 大量定型というのは、鉄道の特性が最も発揮できるということになっておりますが、多少言葉の定義で言いますと定性的な言葉でございますので、大量と言えば、まとまるものというような意味だと思います。定型輸送は拠点対拠点をできるならば列車単位でまとめて運べるというような輸送で、これがコストについても鉄道輸送に一番適しておるという認識を持っております。たとえて言えば石灰石であるとかセメント、石油というようなものにつきましては、かなりそういった範疇で運ばれております。われわれといたしましては、そうでない品物もできるだけ列車としてまとまるように持っていくということで、たとえばフレートライナーであるとか混載であるとか、少量の物品もできるだけまとめるという方向で列車に仕立て上げていくことによって大量定型化できるのではないかということで、ダイヤ改正その他を通じまして極力その方向に持っていっておるわけでございます。
  159. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 世の中の趨勢なのかもしれませんけれども、決して言葉じりをとらえるわけではないのですが、セメント、石灰石、石油、何かお忘れじゃないのでしょうかと伺いたくなるのですよ。石炭なんかは一体、こんなものはもう国鉄の輸送業務の中には入っておらぬとでも言うのでしょうか。私はちょっと不思議ですから、ここら辺はっきりさせてください。
  160. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 仰せのように、昔はかなり石炭が多かったわけですが、だんだん少なくなってまいりましたが、昨今燃料、エネルギー問題に絡みまして、鉄道輸送も若干復活してまいりました。この十月のダイヤ改正におきましても、特にセメントの会社が多いわけですが、その辺の燃料源といたしまして石炭が運ばれまして、新たに十三本の専用列車を設定をいたしまして、この需要の増加に対応しております。
  161. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、不思議なのは、運賃のところでも明らかにされていたように、国鉄の運賃、料金というのは少なくとも対社会的に大きな影響を与えると言われているだけに、それに資さなければならないという任務が今日あるのだとすれば、大量定型という文言で、みずから当然荷物があって輸送しなければいけないもの、最近ごく一部、フレートライナーという形態での輸送体制を始めたにしても、具体的に言わしていただくならば、これは必ずしもフレートライナーそのものが、車扱い以上の取り扱い貨物を、正確な意味国鉄がその使命として輸送をしようという認識の上に立っておらないのではないかと言わざるを得ません。  そんな意味では、大量定型というこの定型の文字は、私は国鉄の任務として不必要なのではないかという考え方を持つのですけれども、ここら辺に対する具体的な見解を示していただきたいと思うのです。
  162. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 フレートライナーが、コンテナで大体一千万トン強でございますから、全体に占めるウエートはわりに低いのでございますけれども、フレートライナーも定型ですが、そのほかに物資別輸送、あるいは先ほどの話の石炭とか石灰石、セメントというようなものについてもやはり定型輸送に当たるのではないかと私は考えております。
  163. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 長時間というよりは長年月かけて運輸省として具体的な総合交通体系が確立し切っていないというところに私は起因するものが非常に大きいと思っているのです。     〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕 総体的に言わしむれば、陸海空にわたる施策をどう確立するのか、その必要性等について、いわゆる物流の基本を確立する必要があると思っているのです。量、距離を含めて検討の余地があると思いますが、この検討の経過と、当面する大きな課題、特徴的なものがあれば、これは運輸省の方からお答えいただきたいと思うのです。
  164. 石月昭二

    石月政府委員 将来の日本の物流体系がどうあるべきかということにつきましては、ただいま運輸政策審議会でいろいろ御審議をいただいているところでございます。それで、現在までのところ、物流につきまして、将来の物流体系、特に省エネルギーというような観点からどのように考えるかということでございますけれども、非常に長期的に考えました場合には、一つは、産業の立地構造自体を省エネルギー的にするということを政府、民間とも一生懸命にやらなければいかぬ。同じようにまた、国民所得がふえました場合に、貨物輸送量は一般的にはふえるわけでございますけれども、こういうふえ方を少なくする、具体的に申し上げますと、高度の組み立て加工産業とか知識集約産業とかといいました産業構造の高度化政策というようなものがとられていく必要があるのではないか、そういうことが長期的な考え方だと思います。  現在の時点の問題といたしましては、一つは、大量の輸送機関にできるだけ転換をしていくという問題、それから現在使っている輸送機関自体の輸送効率を上げるという問題、さらには輸送機関のエネルギー効率のいい技術開発を進めていくというような問題があろうかと思います。鉄道につきましては、もう先生、専門家でいらっしゃいますが、御承知のように、エネルギー効率が非常によろしい。たとえば五十二年度で、私どもがトンキロ当たりの輸送効率というのを調べてみますと、鉄道が一に対しまして、営業用トラックがその五倍、それから自家用トラックが十五倍というような数字が出ております。もっともこれは鉄道の場合には端末の輸送を必要といたしますので、この数字だけ比較するわけにまいりませんけれども、いずれにいたしましても、鉄道のエネルギー効率は非常にすぐれているということは言えるかと思います。また、さらには、トラックと比較いたしました場合に、騒音とか排気ガスとかいったような公害面も少ないということで、今後いろいろの制約条件が強まっていく中で鉄道の持つ特性を最大限に生かしていくというのが政策の方向だろうと考えておる次第でございます。  したがいまして、先ほどからお話がございますような大量定型輸送というような分野におきましては、物資別専用輸送であるとかいうようなものを施設面、制度面におきましていろいろ伸ばすようにやってきたということでございまして、また、先ほどお話がございましたような今後のエネルギー源の転換、たとえば石油から石炭への転換ということがかなり強く要求されておりまして、六十五年程度までには、現在のエネルギー源のうち、代替エネルギーの量を二五%から五〇%に上げるというような見通しも発表されている現段階でございますので、そういう面から、石炭輸送等につきましても今後いろいろ鉄道輸送というものの活躍が期待できるのではないかと考えております。  しかし、そうは申しましても、やはり鉄道の特性は、自動車に比べまして機動性、迅速性、便宜性といった面で劣る面もございます。また、輸送単位が小さいときにはエネルギー効率は必ずしもいいとは言えないことも事実でございます。したがいまして、こういうような場合も、鉄道輸送が使い得るような形で自動車のいい面と鉄道のいい面を結びつけた共同一貫輸送、先ほどお話がございましたフレートライナー輸送というようなものをいろいろ推進しているわけでございまして、この面につきましても制度面、それから施設面で進めていかなければならぬ。そうは申しましても、やはり鉄道の利用できる時間帯というものもございますし、それだけで全部の輸送を賄うわけにもまいりませんので、どうしてもそういう機動性、迅速性というものを要求されるようなトラック輸送にかかわるものがたくさん残ると思います。そういうものにつきましては、やはりトラック輸送のターミナルの適切な配置であるとか、共同輸送であるとか、帰り荷のあっせんであるとか、そういうようないろいろな施策を講じまして、トラック輸送自体の効率を上げていくということが必要ではないかと考えている次第でございます。
  165. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 その範疇のお答えなら、昭和五十五年四月一日の運輸政策審議会諮問第六号、「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向について」というこのことですでに諮問されている範疇なんですね。ことしの四月に諮問第六号で提起をされたものが、私の質問の中では、具体的にどこまで進んだのかということを知りたいのですよ。  たとえば大型トラックの長距離輸送について、これはもうだれが考えたって長距離は無理だということについてはわかり切っていることなわけですね。省エネ時代に向かって、輸送部門、運輸部門の役割りというのはどうあるべきなのかということも、これまたきちっと精査をしていかなくてはいけないことだろう、かてて加えて、定型という条件が今日国鉄法案の中に提起をされてきているのだとすれば、これらを総合的に判断をする具体的な施策というものが明らかにされなければいけないだろう。実はこういった課題については、たとえば地方自治体、都道府県庁等の中でも非常に重要な課題として、ほとんどの都道府県が取り組みを開始をしたのです。ところが、御案内のように、国の方向が出てこないので、入り口論争で審議がストップになっている、これが実態なわけですね。しかし、そのことだけ言ってはいられないわけですから、たとえば極度に過密化が進行しているような都市の中ではどうするかという課題がありますし、逆に過疎地帯の中では、通過をする大型トラック対策を含めて頭を痛めているという実態があるのです。  先般お伺いをしたら、各省庁の中でおよそ一年間ぐらいは検討に時間がかかるのではないか、加えて経企庁がこれらを集約して一本のものにまとめて、国が提起をできるのはさらにそれから一年後だろう。こういう総合政策がないままに、国鉄の経営形態だけが、赤字というそういった理由のもとに切り捨てをされる、そのことに伴う地域住民の犠牲ということについてはおよそ検討の余地がないというようなことでは、非常にゆゆしき問題と言わなければいけないと思うのです。  ただ、このことにばかり議論を集中をしているわけにもまいりませんから具体的にお伺いをしたいと思うのですけれども、現行ある通運制度についてちょっとお伺いをしておきたいのです。  歴史的に見るならば、この通運制度そのものが国鉄の荷物を扱うという、こういったところから誕生していったという経過がありますけれども、最近の実態を見ますると、御案内のように、通運事業そのものが兼業化をしていっているという実情にあります。こういった兼業化そのものについてどう規制するのかということにいま言及する時間がありませんから触れませんけれども、ただ問題は、通運業者そのものが今日貨物を集約する能力を持ち合わせているのかどうなのか、国鉄の荷物を集荷、配送する十分な機能を持っているのかどうなのか、この点についてひとつお伺いをしておきたいと思っております。
  166. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 今日通運事業者がその集荷、配達の能力を十分持ち合わせておるのか、持ち合わせておらないのじゃないかというような御質問だと思いますが、私ども国鉄の貨物輸送は、最盛期と比べると約三分の一ぐらい減退しております。残念ながらかなり落ち込んでおるということは事実でございますが、その中で通運事業者の取り扱っている比率というのは必ずしも落ちておらないので、大体六割ぐらいをカバーしておるというのがここ数年間ずっと続いております。したがって、確かに通運の扱いの貨物も落ちておりますが、そのほかの貨物も落ちておるということは、全般的に見まして若干構造的な問題もあるのではないか、産業構造の変化であるとかあるいは物流の変化、そういったものもありましょうし、あるいは一時期の輸送に安定性を欠いたというようなことで貨物がほかの方に行ったとか、いろいろなそういった全般的な構造的な問題がやはりわりあい大きな部分を占めておりまして、確かに通運の問題、通運業者はほかにトラックを持っておりまして路線とか区域をやっておりますから、そういう意味で競合しておる面もあるかもしれませんが、私どもは他の構造的な要因もかなり大きいのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、通運というのが国鉄一体になって貨物を処理していくということは絶対必需要件でありますので、そういった作業の面のほかに、販売面でも共同してやらなければいかぬという面がございます。  われわれといたしましても、制度改正として運賃制度、等級制を一本化するとか、あるいはダイヤ改正でできるだけ客観情勢に合うように持っていくとかいうようなことも含めまして、いろいろなダイヤ面、制度面で通運業者にも使ってもらいやすいような体制をこちら側も整える、しかし向こうの側もできるだけ国鉄の要望を入れてもらうという形で、両々相まってやっていけるのではないか、また、そういう方向でやっていかなければいかぬということを考えております。
  167. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 先ほど石炭の問題をちょっと申し上げたら、これからのエネルギー政策上、石炭の関係についてもと、実にあいまいな答弁があったのですけれども、私は北海道に生まれて北海道に育ったというだけでなくて、北海道が主要な産炭地であるという、こんなことからすれば非常に重要な課題のように思えてならないのです。  つい先般も視察をした範囲内で、たとえば幌内線の幌内の石炭輸送、こういった問題等について非常にずさんな体制しかしかれていないのではないかと指摘をしたいのです。これは具体的に言いますれば、苫小牧から二十二、三キロほど行ったところに厚真という火力発電所が建設をされて動き始めたのですけれども、これは残念ながら日高線の営業近代化施策の中で貨物駅の集約をされてしまっていたという、こんなことから、幌内から厚真の火力発電所まで石炭を輸送するとすれば、苫小牧からさらにトラック輸送に切りかえなくてはいけない、こういう問題があったやに伺っております。結果として、コストのことを考えれば北海道電力側はこの直送体制と称してトラック五十台によるピストン輸送で一日千トンに近い、むしろ千トンを超える石炭輸送をやっているという実態があるのです。五十台のトラックがおよそ十トン近くずつ石炭を積み込んでピストン輸送をやるわけですから、沿線住民は大型トラックに対する脅威すら感じているわけですね。そういう意味では、なぜ「直炭」列車と呼んでおりましたけれども、こういった保護策をも含めて経営努力がなされないのだろうか。みすみす一日千トンを超える石炭輸送――これはもう明らかにあなたたちが言われている大量定型だと思うのですよ。大量定型貨物をみずからが放棄してしまって、トラックに輸送体制をゆだねていく、こういったことが現実に北海道で起こっているのです。こういうやり方について、具体的な施策を今日の国鉄の力量では持ち合わせていないのかどうなのか、はっきりさせてください。
  168. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 この件につきまして、私の聞いております範囲では、これを鉄道輸送でやりますためには、専用線の問題であるとか、あるいは日高線のつけかえの問題であるとかというような問題がございまして、そのことも含めて、現地の局としては何とかしたいということでいろいろアプローチはしたようでありますけれども、目下のところ、そういった面がなかなか片がつかないということでトラックの方の輸送にゆだねておるというような形でありますが、現地の方では何とか今後もいろいろなアプローチをしていきたいというようなつもりではいるようでございます。
  169. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 現地の方では努力をしているようでありますでは、こんなもの、努力をしたことにならぬのですよ。少なくとも一日千トン以上の石炭を輸送するという熱意があれば、日高線浜厚真までは国鉄線路が通っているわけですから、浜厚真から火力発電所現地までの輸送体制をどうするのか、このことだけになるのです。貨物輸送を駅から集約をしてしまった、こういったことがあるから、そこを一皮むけないだけの話じゃないのですか。  そういう意味では、さらに、そういった貨物集約をしたとしても、具体的にもう一度これだけの石炭需要が出てきたわけですから、輸送対策をつくるという企業努力が必要だったのではないですか。知らなかったら知らないで結構ですよ。
  170. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 具体的な線形とか投資の額とか、どういうぐあいかということの詳しいことについては私はよく存じませんが、ただ、いまおっしゃいましたように、集約をしたから、あと幾ら来てもだめなのだということではなくて、やはりそういった専用線がそうむずかしくなくできるような条件であるとかなんとかということで向こうと話し合いがつきますればそういった体制はとれるわけなので、一回実態をどういうものであるか調査してみたいと思います。
  171. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国鉄が非常にピンチな状態に立ち至っているという判断からすれば、こんなことはこんな席上で言われる以前に、ごくあたりまえの商法としてやっておらなくてはいけないことなのですよ。私は、このことだけを申し伝えておきたいと思っているのです。  次に、青函トンネルの関係について、午前中の質疑の中でも若干ありましたけれども、私の方からも多少お伺いをしておきたいと思うのです。  北海道-本州の輸送体制の強化、スピード化、こういったことなどをも含めて、巨額の経費を投入して函館-青森間にトンネルを掘っていく、およそ五十三・九キロにも及ぶ海底トンネルが建設途上にあるわけですけれども、相当進んでいるやに伺っておりますけれども、しかし今日段階でなおかつ明らかになっていないのは、トンネルの利用方針、トンネルをどのように活用していくのかという方策が全く示されていないということです。この点について明らかにしていただきたい。
  172. 高木文雄

    ○高木説明員 青函トンネルは、御存じのように、在来線を中心として輸送を行うということでスタートをいたしました。ただ、当然に、将来東北新幹線が延びる、あるいはまた北海道において新幹線ができるということが考えられるわけでありますから、その際には新幹線も走ることになるようにという前提で、たとえばトンネルの断面にいたしましてもあるいは勾配にいたしましても、将来新幹線タイプのものが通り得るようにということで現在つくられております。  そこで、私どもといたしましては、それが完成しました際にどういうふうな使い方をするかということについて、まず第一に技術面での研究を進めておるわけでございますが、技術面の研究というのは、一つは、何分にも五十五キロという非常に長いトンネルでございますから、そこであらゆる意味での安全性の確保ができなければならないということと、次には、仮に在来線と新幹線というようなスピードの違うものが走りました場合に、同方向に走る場合、あるいは異方向に走る場合に、どういう信号なりあるいはレールの敷き方なりをすべきかという問題、また架線の張り方にしましても、背高の違うものが走る場合にどういうことになるのかというような問題、両方に使えるようにということになってまいりますと、かつて私どもが経験したことのない技術を導入してこなければならないということでございますので、そうした運用に関する技術面の研究をまず第一に取り上げておりまして、研究を始めてからかなりの期間になりましたが、どうも技術専門家の間でも次々と新しい問題が出てきて、まだかちっとした結論までは至っていないわけでございます。  同時に、当面の問題といたしましては、トンネルができましただけでは全然使いものにならないわけで、両側、青森側と函館側について、とりあえず在来線とどういう形でつなげばうまく使えるか、残念ながら青森側も函館側も、現在の線形が非常によくない、路盤もそう強くありませんし、それからまたカーブ等の関係がありまして、大量に物を運びますのにはなかなか使い勝手が悪いので、もう少し青森側も函館側も、現在のトンネルの中と同じような形の新しいタイプのものを延長してこなければならないということで、この間からこの委員会でもお話がございましたように、木古内でありますとか中小国と申しましたか、途中まではそれを延ばすというようなことが当面一番いいのではないかというような研究が進んでおります。それとあわせまして、今度はどういう走り方をするか、旅客列車を走らすのか、貨物列車はどの程度にするのか、貨物列車と船との関係はどうなるかというような問題が、いま続々とテーマとして上がっておるわけでございます。それを逐一外部の学識経験者にも参加していただいて、定例的に毎月何回か集まって研究を続けさせております。
  173. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 このトンネルの利用方については、さらに検討中ということですが、地域経済にきわめて大きな影響を与えるトンネル工事が行われているだけに、できるだけ早期に利用方が前広になっていくということが必要だと考えるのです。  そこで、いま在来線というお話がまず総裁からございましたからお伺いをしたいのですが、現在、青函連絡船で輸送している輸送体制と、それから、トンネルが完成をしてたとえばこの中を在来線を通した場合、これは時間短縮になるのでしょうか、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  174. 高木文雄

    ○高木説明員 これはどこでどういうふうにつなぐかということによって非常に違うわけでございますけれども、旅客につきましても貨物につきましても、いずれも時間短縮にはなると思います。特に貨物の場合には、現在青森のヤードで全部いろいろとつないだり離したりということをした上で一つ一つの車を船に積み込む、また今度は函館側でも同じような作業があるということで非常に作業量が多いわけでございまして、走っている時間もさることながら解結のための時間というものがかなり長くかかりますので、時間的には、貨物につきましては、もし一貫してあのトンネルを通り抜けることができれば相当な時間短縮になるかと思います。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕  ただ問題は、貨物を通しました場合には、貨物のスピードが同じ在来線の中でも遅いわけでございますから、旅客の通し方と貨物の通し方とをうまくやりませんと逆に今度は旅客の方のスピードに制限が来るというようなことで、トンネルで貨物を運ぶかどうかは、よくその辺の量なり使い方なりを考えなければならない。  また、さらにもう一つ大きな問題は安全性の問題でございまして、あれだけの長いトンネルでございますから、一たん何か、火災というような事故があったような場合には非常に困るわけでございまして、火災に対してどういう方法で防備するかというようなことは、あのトンネルで貨物を運ぶかどうかということの決断の前にもう少し詰めなければいけない。特に、陸上のトンネルと違いまして、海上のトンネルの場合には真ん中の部分が一番低くなるわけであります。陸上のトンネルの場合は真ん中の部分が高くなります。そういうことで、最も深い部分といいますか、最も底の部分で何かトラブルがあるといろいろな問題があるというようなことでかなり、何しろ安全の問題は第一に考えなければなりませんので、その辺の究明も消防といった見地も含めて研究をいたさせております。  その辺がまだ十分詰まっておりませんので、いまお尋ねの点について明確に御返答申し上げられるところまでまだ来ていないわけでございまして、いずれ、それらの研究開発をとっくり進めてまいりました上でなるべく早く決定をいたしたいと考えております。
  175. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 海底部分が五十三・九キロという非常に長大区間をトンネルで結ぶということでありますし、加えて従来の連絡船輸送と対比をすれば、青森側のトンネルの入り口あるいは函館からトンネルの入り口、知内町とそれから浜名、それぞれに相当の距離があるわけですね。青森側は四十四キロ、函館側は四十八キロ、こういった迂回をしてトンネルの中に進入をしていく。こんなことからすれば、なるほど五稜郭操車場やあるいは青森操車場の手数というものが省けて輸送体制が確立できるかとは思うけれども、逆に運賃算定からすると高くなっていくということにもつながっていくわけですね。今日、北海道価格が解消されない大きな要素はこの津軽海峡に分断をされているというところから出発をしているわけです。こういったことも公共輸送という立場から十二分に検討を進めて、わかり次第多くの国民の皆さんに理解が行き届くような措置を要望しておきたいと思うのです。  さて、すでに長大トンネルをめぐって安全性やあるいは災害対策、特に火災の対策などを含めて言われておるのでありますけれども、伝え聞くところによると、安全対策のための対策費、災害対策費というのは年間膨大な金額になるということです。トンネルを使用するようになったことを想定してどんな程度の具体的な施策がおありなのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  176. 藤田義人

    藤田説明員 お答えをいたします。  いまも総裁から御答弁がありましたように、新幹線と在来線を含めてどういうふうに使っていくかということの中で、列車火災に対してどういう設備をしていくかということについて公団と一緒になって現在研究会を進めております。そういう中で、いま御質問の問題もだんだん詰められていくのではないか。現段階でいま御質問のようにどのくらいの経費がかかるかという問題になりますと、まだ明快な回答ができない段階でございます。
  177. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 研究中だということですから、これもできるだけ早期に答えが出るようにしていただきたいということをひとつ要望しておきたいと思います。  あとトンネル問題で二つ、三つ質問をしておきたいと思いますが、一つは、青函トンネルという性格が持つものから考えて、関門トンネルの前例もあるわけですけれども一体どれくらいの耐用年数を目算することができるのかということ。それから、日本は地震列島と呼ばれているだけに地震多発国なわけですけれども、この青函トンネル工事過程で活断層を所見するという学説が出てきているわけです。活断層というのは、私が申し上げるまでもなく、これはもう地震の根源にもなっている断層でありまして、そんな意味では単純に火災対策だけではなくて地震対策というようなものがきわめて重要な課題になってきているのではないだろうか。しかし、残念ながらこの活断層にかかわるトンネルの安全性というのは、国民レベルで十二分に理解が行き届くような調査結果の公表が今日なされていないという実情にあります。しかし、大量の荷物やあるいは非常に多くの人命を預かることになっていくトンネルの性格上、こういった活断層が所見をされるという学説に対してぎっちりと裏打ちできるような安全性が今日明示されているのかどうなのか、このことについて、工事を施工されている側からのお答えをいただきたいと思うのです。
  178. 藤田雅弘

    藤田参考人 いま先生からトンネルはどのくらいもつのかということでございますが、これはいままで私どもがつくっております国鉄の長い歴史の中でも、経済的償却で決まる耐用年数と物理的な意味での耐用年数と申しますか、そういうものにつきましては、現在コンクリートでつくっておりますトンネル等につきましては、私どもは半永久的といいますか、何十年とか百年とか、そういうオーダーで寿命を考えておりまして、しかも、そういう寿命が来た場合もそれぞれ補強をしていけば半永久的に使用できるというぐあいに考えております。ヨーロッパ等で古い、たとえばゴットハルトトンネルとか、そういうものが百年以上前にできておりまして、現在もそのまま使われておる現況からいたしまして、適切な処置をしておれば半永久的なものであるという理解をしております。  それからまた、先生から活断層というのはどうだということでございます。活断層、これは定義がいろいろ多少のあれがあるようでございますが、地質学者によりますと、第四紀以降の地層において、第四紀以降に繰り返し動いている断層を活断層というのだ。第四紀と申しますのは、地質年代で申し上げて七千万年ぐらい前からの時代を新生代と言っておりまして、これを第三紀と第四紀という二つの紀に分けております。第二紀というのは二百万年ぐらい前までの層を第三紀層と申しております。二百万年以降の層を第四紀と言っております。この二つが洪積層と沖積層という二つに分かれておりまして、その洪積層といいますのがちょうど二百万年から一万年前までの期間でございます。一万年からこちらがいわゆる沖積層というようなことになっておりまして、そういうことで現在青函トンネルが通過しております位置に、活断層がある条件の一つでございます第四紀の層はございません。全部三紀層でございます。  それで、現在これが活断層ではないかというようなお話が出ておりますのは、青函トンネルの両側といいますか、三キロほど離れたところに瀬棚層という層がございます。この瀬棚層に断層があるわけでございますが、これが活断層ではないかと一部の学者の方がおっしゃっておるわけでございますが、瀬棚層は第三紀層である、これは大体千三百万年ぐらい前にできたという定説になっておりまして、北海道陸上部におきましても第三紀層でございます。これが海の底にございまして、それが四紀になるということは考えられませんので、これはいろんな議論はあるようでございますが、現在の大方の定説は、瀬棚層は第三紀であるということでございますし、私ども瀬棚層を切っているわけでもございませんで、完全な第三紀層の黒松内層が一番若い層でございまして、それより古い八雲、訓縫が主たる層でございますので、そういう意味での安全性とか、そういう点は御心配ないと思います。  それから、地震につきましても、私ども現在海底部と陸上の方に地震計をやって過去ずっといろいろ調べておりますが、同じ地震が起きましても、震度といいますか、それが大体数分の一、五分の一とか六分の一の程度ではるかに海底部の方が少のうございますので、そういう意味でも安全であるというぐあいにしておりまして、これはいろいろ各国の地質の方等もおいでいただいたり、私どもも技術調査委員会等でこういう問題については十分検討をしてまいったところでございますので、安全性については心配はない、そういうぐあいに考えております。
  179. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 七千万年とか一億二千万年とかいう議論、これは専門家の議論ですから、私もようわからぬからいいですけれども、ただ問題は、それだけ胸を張って第三紀層しかない、四紀層はないのだと言い切れるのだとすれば、日本に地質学者というのは二千人も一万人もいるわけではないので、せいぜい百人かそこらしかいないわけでしょう。なぜこれだけ議論を二分をして活断層問題が地域でかんかんがくがくと心配をされるのかということなんです。絶対に心配のない三紀層なんですよと言い切れるのだとすれば、なぜ地域住民に対して、あるいはこれから将来使っていくであろう利用者、不特定多数に対して安全性を明示しないのかというこのことが一つ。  それからもう一つは、トンネルの耐用年数百年くらいという非常に大ざっぱな言い方をされましたけれども、関門トンネルの例を見ると五十年。しかし、私も土木屋の端くれですから、日本のトンネル技術が世界のどの程度のレベルにあるのかということについて曲がりなりにも承知をしているつもりなんです。曲がりなりにも承知をしているつもりなんだけれども、百年くらいというお答えの裏打ちというのは一体どういうことなのか、ちょっと理解しにくいのですね。百年は大丈夫だろう、こう言い切ったのなら話は別なんですけれども、百年くらい、こういうことではちょっと理解できません。いわゆる素人でもわかるような耐用年数というのはどれくらいなのかということを明示することと、この二つについてもう一度御質問をしておきたいと思う。
  180. 藤田雅弘

    藤田参考人 どうも専門的なことを言い過ぎたといいますか、ただ、御承知のように、先ほど申しましたとおり青函トンネルは三紀層より切っておりません。これは確実なことでございますので、そういう意味でいわゆるいまの活断層ということについては私どもはそういうおそれはない、そういうことを言っておるわけであります。  瀬棚層が三紀層であるか四紀層であるかということでは学界でいろいろな議論があることは承知しております。これはいろいろおっしゃる方によりましてそれぞれ違っておりますが、いまの通説といたしましては瀬棚層は第三紀に入るという方が大方の地質学者の御意見のようでございます。私も土木屋でございまして、地質の方の専門家ではございませんので、勉強はいたしておりますが、そういうことで……。  それから、地質の学者が百人とか二百人ということではございません。やはりもっとたくさんおられます。  それから、寿命が百年ぐらいでと言ったのがどうもおしかりを受けたようでございますが、百年ぐらいは大丈夫もつという意味でございます。これは本当に百年目のちょうど三百六十五日たったときにぱたっと壊れるかといえばそういうことではございませんので、そういう意味で百年ぐらいということを申し上げたわけでございまして、現在もっておりますのが、私どもが知っている範囲では大体百年ぐらい前までのトンネルは、現在世界でまだそのまま使われておりますので、そういう意味で、その後の技術の進歩その他から見てそのくらいは十分もつ、そういうことでございます。
  181. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国民に公表はするのですか。
  182. 藤田雅弘

    藤田参考人 公表といいますか、こういうところでお答えをしておりますので、これはそういうことなのではないかと思います。
  183. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私の方から国民にわかりやすく公表するのかどうなのかということを言っているのは、つい二、三年くらい前までは、大丈夫なのかという安全性論議をしたり、地域住民と工事側の間でなされた段階では、資料はすべて公表されておったのです。活断層議論が飛び出してから以降というのは、たとえばそれでは砂を見せろ、砂を公表したことないじゃないですか。そして安全なのだ、これは三紀層なのですという証拠は、一切文書でも出さない。活断層議論になればすべて鉄建公団側はノーコメント、こういう実態が今日まで続いているわけですよ、なぜ隠蔽をしなければならない理由があるのか。あなたがいまここで明らかに私がしたのですと言うならば、私は最初にも断わったけれども、国民ひとしく知る権利があるわけですから、理解できるような資料は提供するのかしないのかということを言っているのです。
  184. 藤田雅弘

    藤田参考人 いまいろいろ御説明申し上げましたけれども、私どもが活断層のお話で、一応それまではしておってここ二、三年しておらぬということを言われましたが、そういうことは一切しておりませんで、私がこの活断層の話を聞きましたのはつい先日でございまして、こういう議論があるということでございまして、その辺につきましてはいろいろな経過があるようでございますが、その資料その他を公開してどうこうということにつきましては、私どもとしても十分前向きで検討していきたい、そういうぐあいに考えております。
  185. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 次に、現行の連絡船輸送体制について簡単に御質問しておきたいのですが、前運輸大臣の地﨑さんが大臣時代に函館を訪れた際に、トンネルとの比較を含めて船齢の来ている、耐用年数の来ている船等についてどうするのかという質問をされた際に、もう貨物輸送というのは大半国鉄は扱っておらぬのだから、三千トンぐらいの船でいいのではないかという実に不用意な発言をしているわけですね。たまたま耐用年数の来ている船が三杯ほどあるのですけれども、船齢の来ている船の対策、トンネルができるまでにはまだ相当の年数が必要なのだという気がいたしますので、ここら辺の対策は国鉄でどのようにお考えなのか、考え方だけをお聞かせをいただきたいと思うのです。
  186. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先生おっしゃいましたように、五十七年度中に三隻耐用年数が参ります。その対策として、二隻は現在係留しておる貨物船を復活させる。それからあとの一隻につきましては、現在の耐用年数の来ますものについて延命工事をやって対処をしようというふうに考えております。
  187. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 これは運輸大臣の所管ではないのかもしれませんけれども、いずれにしてもトンネル建設とこのトンネルの完成の暁に起こる青森、函館地区の地域経済、こういったものが非常に大きな課題になってまいります。  ちなみに函館のことを考えますと、おおよそ三十万人の人口で約三万人に近い皆さん方が船舶を中心とした業務につかれているという実態、これは実に一〇%の人口に当たるわけですから、トンネル工事進行と同時に、十二分に地域経済のことをも兼ね合わせた対応方針というのは、これは政府総体の横の連携をとりながら推し進めていく必要がある部分だと思いますので、きょうはこの点についてはそのことだけを申し上げておきたいと思っているのです。  時間が幾らもなくなりましたので先に進みますけれども、地方ローカル線の取り扱い方について、一つは、現在の資産の有効活用という問題が、これは角度を異にして二通りあるのだと思うのです。それから、提案をされている趣旨からいいますると、バス転換ないしは第三セクターへの移行という、こういった事柄があるわけですけれども、地域住民はより国鉄を利用しようではないかという、従来見ることのできなかったような形態の利用運動が起こっていることもまた事実なわけです。それだけに、先ほど来から申し上げているように国鉄の重要性というものが裏打ちをされているわけです。  そこで、ちょっとわからない部分、質問しておきたいと思うのですが、キロ単価三千万、五年間という問題がありますね。この年限が過ぎれば、その後。拘束措置は現在考えられているのかどうなのかという、この件について御質問しておきたいと思います。
  188. 山地進

    山地政府委員 キロ単価三千万とおっしゃったのは、転換補償金の話であろうかと思います。この三千万円の補償金でいまわれわれ考えておりますのは、定期の補償、それからバス等に転換した場合の当初必要になる車両、バスとか固定施設の購入費、それからもう一つは、周辺の道路とかあるいはバスストップをつくるとか、そういったようなことに使うということでございますので、これはどういうふうに使うかということは、年限としてはその全体についてないわけでございます。ただ、定期の補償ということにつきましては、従来国鉄線を廃止した実績が幾つかございますが、その場合には通勤の定期を一年、それから通学の定期につきましては在校生につきましては在校期間にわたって定期の差額補償をしたというのがございますが、これは五年とは関係はございません。  それからもう一つ、五年とおっしゃいましたのは運営費補助のことであろうかと思うわけでございますが、運営費は第三セクターにするなりあるいはバスにするなりしたときに、やはり当初運営費の赤字というものについては見なければいけないであろうということで、バスの場合には全額、それから第三セクターの場合には半分を国が補助するということを考えておるわけでございます。
  189. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それから、国鉄そのものの当事者能力がいろいろと議論をされている経緯がございますけれども、これは直接国鉄の当事者能力というよりは、本社と地方局との関係についてちょっとお伺いをしておきたいのです。  過去に経営努力をしていく過程で、たとえば線区の営業近代化というようなものが何回となく推し進められてまいりました。地域の理解を求めていく上で、地方局の中では何カ所か私も見せつけられている部分で、営業近代化以降の国鉄運営という意味ではこれ以上は合理化しませんという協定書を地方自治体と地方局との間で取り交わしている地域があるのです。ところが、残念ながらこういった形で法案がどんどん進められていくというと、地方には全く当事者能力ございませんで、地域に対してうそを言ったということにも相つながっていくわけです。こういった問題をどうしたって解消していかなければいけないだろう。こういう協定があることについて総裁は御承知なのかどうなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  190. 高木文雄

    ○高木説明員 この問題は、ある意味では北海道の特殊問題でございます。かねがね北海道については、いわゆる営業近代化というものを相当進める努力をしてまいりました。その過程において地元の方々との間で事実問題としてそういうお約束といいますか、協定が交わされたことがあることは聞いておるわけでございます。協定というのは、言葉はおかしいのですけれども、言ってみればお約束という形のものでございます。何らかの意味において、たとえば駅の無人駅化をするとか委託駅化をするとかいうようなことの過程においては、地元の方としては先々どうなるのかなという不安があるわけでございますから、その種のお話し合いを関係市町村の間と結びましたことは、事実問題としてそういうことがあることは理解できるわけでございます。  ところで、その後大分いろいろ事情が変わってまいりまして、道路もだんだん整備されてくる、それによって残念ながらお客さんが減ってくる、したがって鉄道の運営効率が悪くなるというような変化があるものでございますから、それに応じて、特に今回の法律に基づいてまた新たな取り組みをしなければならないという事態になりますと、いままでお願いをいたしましたお話し合いについて、改めてお話し合いをした上ではございますが、変更させていただく、変えさせていただくことをお願いしなければならない具体的な例が出てくるのではないかと私は思っております。もちろんお約束でございますからそれはそれなりに、法律が出ました、情勢が変わりましたということで一片のほごにしてしまうことはできないし、またいけないわけでございますので、これらの申し合わせ、お約束の改定につきましても、たとえば特定地方交通線でありましたならば協議会の場でいろいろ御相談しなければなりませんし、その他の地域につきましてもその辺は心してお話し合いをしてお願いを申し上げることに当然なろうかと思います。
  191. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 時間がありませんから余りこのことに言及しませんけれども、総裁、これは北海道の特殊事情と言われた部分については、実態として出てきているのは北海道しかなかったのかもしれない。しかし、これはごくあたりまえのことであって、一握りの幹部が国鉄を経営してきたわけではないのですから、国民の国鉄という認識をすればこういった事柄は私ども重要な取り扱いだったと思っているのです。  それからもう一つは、昭和五十二年の協定ですから、それから以降道路ができているわけでもなければ、整備されたわけでもないわけです。その後の時代の変遷は何もないところなんですから、総裁が言われているように、いろいろなよって来る条件によってそれを変更しなければならない場合の取り扱い方は慎重にしていくということですから、そのような扱いをしていただきたいと思うのです。  最後に、幹線と呼ばれる部分にもきわめて大きな赤字があるということについては、いまさら私がくどくどと申し上げる必要のない部分なんですけれども、こういう幹線の中での国鉄の企業努力として、さらに軌道強化であるとか複線化を含めた線増、電化、車両の改善等について具体的な施策がおありでしたら、その特徴点だけ示していただきたいと思います。
  192. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまお尋ねの幹線系に対します強化の点でございますけれども、まず線路増設、単線を複線にする、あるいは複線を複々線にするというようないわゆる強化の問題でございます。  これは現状を申し上げますと、私どもの方で区分しております幹線系線区が現在六十六線区、一万二千三百四十キロございますけれども、そのうち複線化されておりますのが、これは複線化以上を含んでおりますが五千六百十四キロ、四五・五%でございます。現在、複線化以上の工事を進めております線区が二十一線区、延長にして四百十キロでございます。これは御承知のように、線路容量以上の列車を走らせる必要があるということになりました際に線路を複線あるいは複々線にするわけでございますが、現在主としてやっておりますのは大都市交通、いわゆる通勤通学輸送対策と称されるものでございます。  それから、それ以外にいわゆる幹線系の線区で複線化工事も一部進めておりますが、御承知のように、現在輸送量が全般的に残念ながら下がってきているという状況でありますので、幹線系全般についていま複線化を進めるというような状況にはございませんけれども、その中でもただいま建設中の新幹線に接続する線区であるとか、あるいは大部分が複線化になりまして一部に単線が残っているというような線区、そういったような線区を主体にいたしまして幹線系の複線化を進めているという状況でございます。  それから、電化でございますが、電化につきましては現在幹線系のうちで電化キロ七千八百キロございます。電化率が六四・七%になっております。現在電化工事中の延長キロは五百三十二キロほどございます。今後の電化の進め方でございますけれども、現在の非電化線区の実情、それから輸送量の推移等踏まえまして、電化の効果というものを確認した上で計画を進めていきたいというふうに考えております。  それから、三番目にお尋ねの軌道強化であります。最近、幹線系の、地方交通線も含めておりますけれども、軌道強化に力を入れまして、いわゆる安全対策ということを主眼にやっているわけでございますけれども、現状はいわゆる一級線と言われる幹線系の中でも列車回数の非常に多いところ、これにつきましてはレールの六十キロ化を進めるということで進めてきております。計画の約四〇%が現在時点までの進捗状況でございます。また、まくら木をPC化するという工事も進めておりますが、これは近く完了する予定でございます。以下、二級線、三級線につきましてもこれにならいましてその輸送量に合った形でのレールの交換、まくら木交換あるいは路盤強化対策等を実施しているわけでございます。  なお、線路の保守体制につきましても、現在新たな保守用の機械を重点とした保守体制を実施しておりまして、線路全般の強化に力を入れているという状況でございます。
  193. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 最後に企業努力関係について、これは大臣にも十分承知をしていただきたい部分ですから申し上げて終わりにしたいと思うのですけれども法案として出されてきた赤字再建といった課題とはうらはらに――申しわけありません。うらはらではありませんけれども、こういったものが出る前段に、企業努力の一つの過程としては合理化の推進であるとかいうものも今日までずいぶん進めてきたと思うのです。しかしながら、私は、私の目で見てもなおかつ企業努力なんというのはやってはいないのじゃないかと言わざるを得ない部分が幾つかあるのですよ。これは大臣も御承知のことと思いますが、つい先般、五十五年の六月、高裁に上告をされた仮称西大井駅の取り扱いをめぐっての裁判が行われてまいりましたけれども、いわゆる旅客のニーズに合わせて新駅を開業する、こういったような企業努力というのは余りなされていないように私は思いますし、指摘をせざるを得ません。  都市の過密過疎という問題が非常に重要視をされて法案提出をされておりますように、過疎地帯に対してのローカル線問題というのはいろいろと取りざたをされるけれども、それでは過密地帯、大きくふくれ上がった都市部で新しい駅を開業して旅客のニーズにこたえる努力なんというのはなされていないと指摘をせざるを得ないのです。  ちなみに、五十四年度新しく開業された成瀬駅、乗降人員三千四百人と伺いました。十日市場駅、乗降人員一万人と伺いました。しかし残念ながら、これはいずれも民間委託駅で、国鉄の直営駅ではないという実態です。それから、私の選挙区にある千歳空港駅、これは総裁のツルの一声でつくられたとも言われて、地元では大変歓迎をされている駅なんですが、私が地元にいたころ、せいぜい一日の乗降人員千五百人程度ではないのか、よって民間委託駅にしたいという構想があったのです。しかし、飛行機の乗降人員が一日約三万人という実情の中で、十月一日から開業して、すでに五千人を割らないような状況になっている。五千人から一万人の乗降人員がもうすでに現実に実績として上がってきているという実態があるのです。  そんな意味では、今日提案をされている国鉄法案、赤字ローカル線を廃止するという以前の問題として、現行ある営業線上の具体的施策に欠けている部分が数多くあるわけですから、私はその点をむしろ先行して進めるべきだという判断をいたし、そのことを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  194. 小此木彦三郎

    小此木委員長 西中清君。
  195. 西中清

    ○西中委員 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について御質問するわけでございますが、過日の委員会におきまして、わが党の浅井委員から、わが党の基本的な疑問その他考え方について概略申し上げた次第でありますけれども、これを受けました形で、幾つかの点について質問を進めてまいりたいと思います。  いまも終わりに同僚委員から少しお話がございましたが、国鉄は公共交通機関の柱であるとともに国民の共有財産、資産でございます。さらにまた、今日の巨大な赤字財政が国家財政に与えておる影響というものは非常に大きい。国鉄経営の立て直しということについては、国家財政再建にとっても不可避な課題と言わなければならぬ、この認識は私どもも十分持っているつもりでございます。したがって、この再建に当たりましては、まず何といっても国民の皆様の協力と理解をいただくということが一点。さらにまた、政府並びに国鉄労使の再建に対する姿勢というのが一番基本的な問題になろうかと思うわけであります。その点で、今日までの議論では、私どもとしてはもう少し理解しがたい問題が数多く残されておる、この印象は否定できないと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいのでございますが、まず再建に当たって、大臣国鉄に何を要求されておるか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  196. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 再建に際しましては、これはもう国鉄全従業員が一体となって現状の厳しさを認識し、再建への意欲を持って当たっていただきたい、これが一つであります。
  197. 西中清

    ○西中委員 国鉄総裁、基本的な姿勢として、労使は再建に対してどういう姿勢で臨んでいかれるか、この点についての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  198. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろの面がございますけれども、私が感じておりますのは、国鉄の職場はきわめて複雑多岐、多様になっております。たとえば運転に当たる人は何としても安全に正確に運転する。保線に当たる人は線路の保守に当たる、それぞれの持ち場持ち場をきちっと担当していくということに長年の間主眼が置かれておったわけでございます。それはどうしても必要なことでありますけれども、結果としては、国鉄のいまあります地位といいますか、経営の状態といいますか、国民の皆さん、利用者の皆さんからどういうふうに見られているかといったような点については必ずしも十分認識が徹底してないといううらみがあるように思います。やはり一つの企業でございます。公共的な使命は持っておりますけれども、それはそれなりに企業としての意識というものをやはり持たなければいけないのであって、強いて無理な勤労なり働きを求めるわけではございませんけれども、やはり何といいましても世間並みの効率のいい働きをしてもらわないことには経営としてはなかなか成り立っていかないわけでございまして、そういう意味で、現在の国鉄の置かれております現状を十分認識し、かつ企業に対するある種のロイアルティーというものを持って毎日の仕事に取り組んでもらうという心構えが必要であろうかと思います。  しばしば、長い間、ストというようなことで御迷惑があったわけでございますが、そうなってまいりましたゆえんのものは、どうも労使間がもう一つぎすぎすしているといいますか、必ずしもぴったりきてない。また、現場一線の管理者の全体としての管理運営に関する規律維持についての姿勢が十分でないというようなこともありましたけれども、労使間においてもう少し共通の話題を持ちながら、どのようにしてこの国鉄を立て直していくかということが日々話題になるようにならなければならないというふうに思っております。  現在、この案に伴いまして経営改善計画を立てます場合には、三十五万人という、いまより二割少ない人で同じだけの仕事をやっていこうということでございますからなかなか容易ならぬことでございますけれども、いま申しましたようなことを積み上げていくならば、そういった体制で仕事に取り組み得るような体制が生まれてくるものと思っております。
  199. 西中清

    ○西中委員 受けとめておられる印象が、本当に国民の声としてわれわれが聞いておるのとはまだまだ距離があるのではないか、こういう印象を強く持たざるを得ないのでございます。  よく町の中で話に出るのは、国鉄の経営は結構な経営である、国鉄財政の実態からいくならば、これはまさしく破産した会社の姿でございます。本来、再建に当たりましては、その保有する余分な資産を整理をする、賃金はカットするまた人員を自然に減少させるのではなくて退職に何人かが遭うというような、これが普通の破産状態に陥った会社、企業の姿であります。こういう点からいきますと、今回のこの特別措置法全体を通して言えることは、国鉄一体どこで血を流すのかよくわからない。私は、こういう内容についてそれなりの背景があると思う。たとえば年金の問題にしても、戦後以来の今日までの問題があるでしょう。また、公共性という点から、いろいろと運賃その他についても問題はあったでしょう。また、投資におきましても、港湾や空港などというものと差異もあったでしょう。しかし、そういった条件を見た上でなお一層血を流してでも再建をするのだという、そういう覇気というか、決意というものはまだ十分国民に納得されるものはないような気がしてならないわけでございます。重ねてこの点について総裁に決意のほどを伺っておきたいと思います。
  200. 高木文雄

    ○高木説明員 しばしば民間の場合との比較において、ただいま御指摘のような御意見をいただくわけでございますが、やはり何と申しましても本来的に単純なる私企業とは違うという役割りだと思っております。公的な役割りを持っておるということではないかと思っております。したがって、採算に乗るとか乗らぬとかいうことに関係なくやはり一定のサービスは提供をいたさねばならぬ。たとえば、地方ローカル線の問題につきましてもそうでございますし、都市部におきましての輸送につきましても、私鉄の場合と比べますと始発の時間も大分国鉄の方が早い、最終電車の時間も遅いということでございまして、東京周辺におきましても、夜間、列車が走っておりません時間は、電車地帯でやっと四時間くらいでございますし、東海道線や東北線では夜間も貨車が走ったりしてほとんど休みがないわけでございまして、そうした合間で路盤を維持するための仕事をしていかなければならぬというような点でも大分性格は違っておると思います。しかし、そうした公共性を持っているからということで甘えを持つということになる傾きは否定できないわけでございまして、そのような公共的な役割りといいますか、採算だけでは考えられないという立場にあるといたしましても、その中でどうやって能率を上げるかということでございまして、そうした面での意識がきわめて薄いということでしばしばおしかりを受けるわけでございますが、それを直していくということによって、初めて自分たちの力でできるところはどこまでかということをお示しできるのではないかというふうに思っております。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕 また、たとえば波動が非常に多い。季節波動も多うございますし、あるいはまた一週間のうちでも輸送量の波動も大変多いわけでございますし、その波動に対応するような意味でのもろもろの体制というものもまだ十分できていないということで、いわば働きが悪いというようなことを言われるわけでございますが、その点は私どもも否定をいたしませんで、そういう体制、役割りなら役割りに応じた範囲内でやはり波動に対応していかなければならぬというふうに考えております。それに全力をもって取り組みました場合に、私どもがいま見通しておりますのは、現在の職員数よりもほぼ二割少ない三十五万人くらいの人でやればかなりのところまでいくようになるのではないかというふうに思っているわけでございまして、大変歯がゆいとお思いでございましょうけれども、やはり長年のしみついたものもあるわけでございますから、それを完遂することをひとつ見守っていただきたいというふうに考える次第でございます。
  201. 西中清

    ○西中委員 それじゃ、具体的な問題で御質問をいたしたいと思います。  先ほど来も議論がございましたけれども、転換交付金についてお伺いをしておきます。  ちょっと不明確な感じもいたしますので、確認の意味で、転換交付金一キロ当たり三千万円というお話でございますけれども、交付に該当する範囲の事項、要するにどういうものにこれが充当されるのか、この点について明快にお答えをいただきたいと思います。
  202. 山地進

    山地政府委員 先ほど御説明いたしましたとおり、バスあるいは第三セクターに移るわけでございますから、定期の利用者の運賃差額というのが起こるわけでございまして、その場合には、通勤の場合に一年、それから通学の場合には在校期間中について補償するというような定期の差額補償というのがございます。それから、バスあるいは第三セクターに転換した場合に、車両の購入というような初期投資がございます。そういったものにも充当したらいかがか。それから、道路の整備、あるいはバスを運行する場合にはパスストップとか、そういった問題でいろいろ整備しなければいけないことがございますが、これらの費用に充てるために一キロ当たり三千万円の予算をいま五十五年度で盛っているわけでございます。
  203. 西中清

    ○西中委員 そうすると、転換後のバスまたは第三セクター等の鉄道への欠損補助というのは、これは含まれるのですか、別のものなのですか。
  204. 山地進

    山地政府委員 運営費補助は別にございます。それはバスあるいは第三セクターの赤字に対応する運営費補助でございます。
  205. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、この運営費補助というのはどの程度のものになると予測をされておりますか。
  206. 山地進

    山地政府委員 これは過年度補助で、毎年の赤字が出た額について翌年補助をするということでございますので、どの程度この法案が通った後第三セクターに移るなりあるいはパスになるなり、バスと第三セクターでは恐らく赤字の幅も違ってこようかと思うので、私どもの方ではいまは予定をまだ推定をするに至っていないという段階でございますので、今後こういった問題についていろんなデータを集めて研究していきたい、予算の要求はまだ起こってこないわけでございますので、五十七年度以降に十分に検討してまいりたいと思います。
  207. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、この一キロ三千万円ということですね、これはどの線区も全部三千万ということでございますか。その点はいかがでしょう。
  208. 山地進

    山地政府委員 どの線区も一律一キロメートル三千万円というふうに予定しております。
  209. 西中清

    ○西中委員 一キロ三千万というのはどういう積算によって出てきた金額なのでございますか。
  210. 山地進

    山地政府委員 いま申し上げましたような諸費用、それから従来国鉄の方で行っておりました三百万円の補償、転換補償みたいなものがあったわけでございますが、今後転換を促進するに当たりまして十分な予算というものを用意したいと思いまして三千万円にしたわけでございます。
  211. 西中清

    ○西中委員 十分な予算というのは、その内容はどういう形になっておるのですか、お伺いしたいと思います。
  212. 山地進

    山地政府委員 定期の差額補助と、それからいま申しましたバスとか車両の購入、あるいは道路の補修とか、こういったものに十分見合うような金になるであろう、こういうことでございます。
  213. 西中清

    ○西中委員 その中身を知りたいと言っているのです。要するに三千万というのはどういう形の計算によって出てきた数字なのかということを聞いておるのです。
  214. 山地進

    山地政府委員 いま申し上げましたとおり、国鉄の経験に即しまして従来一キロメートル当たり三百万円の予算でやってきたわけでございますけれども、今回の特定地方交通線の転換に当たりましては、いま申し上げました広範囲にわたる補償というものと考えまして、三千万円ということで計上しているわけでございます。
  215. 西中清

    ○西中委員 従来三百万で済んだものが、補償という意味を含めてということは、補償金が二千七百万ということでございますか。
  216. 山地進

    山地政府委員 従来のものというのとその上に乗っているという意味ではございませんで、新しく考える、同じような国鉄の転換の場合に三百万円と言っていたものを三千万円にするということでございますから、必ずしも二千七百万円上積みしたという考えではございません。
  217. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、補償部分は幾らですか。内容を明らかにしてください。
  218. 山地進

    山地政府委員 恐らく路線路線によりまして一律にとはいかないと思います。定期の補償とそれから車両の購入と、第一、第三セクターとバスの場合には金のかかり方も違うかと思います。そういったことで一律には申せませんけれども、私どもの何かめどみたいなものでは、二割ぐらいが定期補償にいくのかなという考え方もございます。これは乗っている方々がどういう方か、あるいは何人ぐらいいるかということによっても恐らく違ってくる問題であろうかと思います。
  219. 西中清

    ○西中委員 ですから、線区によって違ってくるわけですから、キロ当たり一律三千万円という数字が解せないので御質問をしているわけです。なぜ一キロが三千万になるか、この試算の根拠を示してほしいということを言っているのです。説明になっておりませんよ。
  220. 山地進

    山地政府委員 いまの私の御説明、あるいはおわかりにくくてあれかと思いますけれども、路線によりまして、人数によりましても、また距離によってもそれぞれの内容というものが違ってくるかと思うのです。同じ一両買うのでも、十キロメートルのところと百キロメートルのところでは違ってくるわけでございます。恐らく初期投資の金というのが違ってくる。そういうことでございますので、私どもとしては、路線別にという考え方もあろうかと思うのでございますけれども、一キロメートル当たり幾らということで皆様の方にお示しをしているということでございます。
  221. 西中清

    ○西中委員 いまの説明、非常に矛盾しているのですね。違うなら違うで、違う数字を出せばいい。違うから一律にしたという。それじゃ、一律にしたその根拠は何か。要するに積算の基準、要素となったもの、三千万をどうしてはじき出したかということを私は聞いているわけです。その点はどうですか。
  222. 山地進

    山地政府委員 まことに申しわけございませんけれども、私どもの方の数字は、各線の定期がどれくらいいるとか、あるいはこの線がバスに転換されるであろうとか、あるいは第三セクターにいくであろうとか、そういうことの積み上げで計算したものではございませんので、従来の地方交通線の赤字の状態とかあるいは国の財政の状態とか、あるいはこの助成金が地方交通線にいまでも一千億以上行っておるわけでございますから、そういった状態とかで転換の補償金というものの額の枠を三千万円というふうに計算したわけでございます。
  223. 西中清

    ○西中委員 いまの説明は理解に苦しみますね。なぜ三千万なのか、これを聞いているのですよ。これはつかみ取りだというならそれでわかるのだ。なぜ一キロ当たり三千万かという質問をしているわけですから、その三千万を出してきた試算の根拠、要素というものをきちっと出せるのでしょう。そうでなければおかしいじゃないですか。税金を使ってこれからこれに対する手当てをしようというのですよ。何が根拠になって三千万円が出てきたかということがわからない。こういう状況の中で、三千万、はい結構でございますと、こう言うわけにはいきません。明快にこれは資料を出していただきたいと思います。いかがですか。
  224. 山地進

    山地政府委員 後刻検討いたしまして、資料で提出いたしたいと思います。
  225. 西中清

    ○西中委員 後刻などというのは納得できません。  委員長、この点については、採決をする前に資料を出していただくように要求したいのですが。
  226. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 理事会で検討いたします。
  227. 西中清

    ○西中委員 先ほどもお話がありましたけれども、一律にということになりますと、約四千キロ、こうなりますと、単純計算しまして一千二百億ということでございますが、これは運輸省大蔵省の了解は当然とりつけておるのでございますか。
  228. 山地進

    山地政府委員 財政当局とはよく打ち合わせしてございます。
  229. 西中清

    ○西中委員 先ほども局長が申されましたけれども、線区線区によって負担が違う、この転換によって金額が変わってくる、こういう実態であろうかと思います。仮に転換する場合に、なるほど転換に際して一キロ当たり三千万も要らなかったということであれば、その該当地域にとっては結構な話でございましょう。しかし、それを超えるような負担を強いられるという場合は、これは地方自治体その他に負担がかかってくるということになります。こういう例の場合をお考えになっておるのかおらないのか、もしも三千万を超える場合にはどういう措置をしようとされておるのか、お伺いしたいと思います。
  230. 山地進

    山地政府委員 この転換補償金は、予算の範囲内でということでございますので、私どもとしては、一律キロメートル三千万円ということで、それ以上の負担については転換補償の対象にはしかねるということでございます。
  231. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、一方的に……。協議は成り立たない、結局、赤字が出る、負担がふえるということはみすみすわかっているという、こういうような状態のところに、これを協議しようと、しかもそれは二年を限度とするというような、こういう強権的なやり方というものは非常に問題が多い。  こうした一キロ三千万を超える負担ということについて、自治省おいでになっておりますか。どういうようにお考えになるか、見解を伺っておきたいと思います。
  232. 藤原良一

    ○藤原説明員 お答えいたします。  私の方から、事務次官の方から運輸省の方にこの問題について申し入れを行っておりまして、その中で、地域住民の足の確保については運輸省及び国鉄の責任において所要の措置を講じていただきたいということを言っております。
  233. 西中清

    ○西中委員 ただいまの御答弁ですと、自治省ではこの問題については全く責任を持たないという立場に立つということでございますか。
  234. 藤原良一

    ○藤原説明員 あくまでも運輸省及び国鉄の責任において処理していただきたいというのがわれわれの希望でございます。
  235. 西中清

    ○西中委員 希望ですか、方針ですか、もう一度。
  236. 藤原良一

    ○藤原説明員 そういう考え方のもとに申し入れたものでございます。
  237. 西中清

    ○西中委員 運輸大臣、自治省はああいう態度でございますけれども、そういう場合にどういう解決を図ろうとされますか、お伺いしたいと思います。
  238. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 転換に際しまして交付する金額が一キロ三千万円、これはいろいろ計算の仕方がございましょう。それはこちらといたしましても、国鉄並びに運輸省協議の上で一定の方式をもって計算はしておる。しかしながら、これが各線ごとによりましてもし単価が違うということになった場合には、国鉄というのは全国に線を持っておりまして、公平が一番大事なんだ。国鉄運賃法の中にも明記してあるあの精神、あくまでも公正にやるということが原則なんです。そういたしますと、そこにたとえ客観的な基準を設けたといたしましても、そういうことがもしなったとしたらいかぬ、そこで一つの基準をつくった、それによって足る、足らぬという話は当然出てくるかもわからぬと思います。私はそういう場合にこそやはり国と地方団体がこれは真剣に考えなければならぬ。お役所が単に権限がうちだからおれのところがやる、おれのところは権限がないからやらないのだ、そんなことでは政治じゃございません。これは役人の言葉でございますから、あくまでも私はそう思うておりますから、そんなことで地域の交通が維持できるというものではございません。そこをわれわれはやはり政治の問題として片づけていかなければならぬということでございます。
  239. 西中清

    ○西中委員 大変力強い大臣の御発言でございますから、これぐらいでこの質問は終わりますけれども、先ほど言っているように、矛盾ははらんでおるし、この積算の根拠も恐らく作文としては出てくるかもしらぬけれども、まず積算の根拠はどうなのか。線区ごとにわからぬと局長自身がおっしゃっているのですから、出ようがないじゃないですか。だから、私はこれ以上追及はいたしませんけれども、どうかその辺の配慮を、あとできる限り努力をしていただきたい。地方自治体によけいな負担をかけるということであれば、調う協議も調わない、こういうことになると私は思います。再建の上で重要なポイントになる問題でございますから、どうかひとつ十分なる御配慮をいただきたいと思います。  次に、特別運賃制についてお伺いしておきたいと思います。  過日の委員会で、国鉄総裁から地方交通線について特別運賃を導入したいというお話があり、先ほども御説明がございました。いわゆる幹線と地方交通線の二本立て運賃にするのだ、こういうお話であり、当面五割アップするという意向を表明されたわけでございます。当面というのは一体いつのことを言っているのか。この再建は五年という限られたところで行われる事業でございますが、その中で国鉄の信用にかかわる大きな問題点でございます。同時にまた、国民生活にとっても大変な負担増を強いられるわけでございますから、当面五割アップ、こうおっしゃっておりますが、これは今年度ですか、来年度ですか、その辺はどうなんでしょうか。
  240. 高木文雄

    ○高木説明員 現在の中小私鉄の運賃水準がどの程度かということを平均的に見ますと、国鉄運賃の大体倍をちょっと上回ったぐらいのところにございます。しかし、これはあくまで平均の数字でございます。同時に、地区別にかなりばらつきがある。そうかといって、しばしば御答弁申し上げておりますように、私の方の特別運賃をそう幾つもの段階にするということも現在の状態では実際的でなかろうということを考えますと、中小私鉄の現在の運賃水準が私どもの場合を超えておるということを一つ考えたとしましても、とてもそこまではなかなかいきにくいということで、まあ常識的に考えられるのは五割ぐらいではなかろうかという意味で申し上げておるわけでございます。  それをいつからどういうふうな形でということになりますと、これは毎年度の運賃改定のときに運賃の上げ幅、いわゆる基準運賃の上げ幅をどのぐらいにさしていただくか、料金はどういうふうにするのか、割引はどうするかというような問題の組み合わせ、さらにその前に旅客と貨物とでどういうふうに考えるか、いろいろなファクターの組み合わせになってまいります。したがいまして、その年その年の状況によってまた運賃改定の額といいますか、水準も変わってくるわけでございますが、それが特定の地区だけに非常に高くなるということでは、現実問題として利用者負担の立場考えた場合にも、それから運賃が余り急激に変化があるということになりますと、いわゆる客離れといいますか、そういう現象も起こってくることでございますから、他のもろもろの上げ幅との組み合わせによって考えなければならないわけでございまして、現在私の頭の中にありますのは、とてもある年に一挙に五割ということは考えられないというふうに申し上げたいと思います。  それで、法律を通さしていただきますときに、来年度の改定の際にこれをどうするかという問題がございますが、この問題につきましては、なお今後特別運賃だけでなくて地方交通線の問題のもろもろの施策をどういうテンポで進めていくべきかということと、それから当面来年度の運賃のあり方をどうするかということと、両方のサイドから考えなければなりませんので、運賃改定を――いや失礼しました。法律でお認めいただきましたからといって直ちに来年度からということになりますかどうか、それ自体もまだ現在の段階では考えがまとまっておらないわけでございます。
  241. 西中清

    ○西中委員 この前の答弁では、最終的には中小私鉄と同じ運賃水準に引き上げたい、こうおっしゃっているのですよね。そして当面五割だ、こういう言い方をされたわけです。  それでは、この最終的に中小私鉄と同じ運賃水準に上げるのはいつを指しているのですか。
  242. 高木文雄

    ○高木説明員 まあ現在、いま申しましたようなことでございますし、私鉄の今後の運賃水準がどう変わっていくかということもそう長い先のことは考えられないわけでございます。したがって、現段階ではまずまず昭和六十年といいますか、そのときまでに考えます水準というのは、倍というところまではいきかねる、それはちょっと無理ではないかという感じを持っております。
  243. 西中清

    ○西中委員 これは五千キロにも及ぶ大変な、全国にまたがる線区の運賃の問題でございますから、この法案に関しての重要なポイントでもありますから、もう少し明快にできる部分はしていただきたい。いまお話しのように、六十年度では二倍にまでいくのは無理だろう、当面五割、こういう二つの話が出ているのですね。もう年数は限られているわけですからね。わずか四年、五年単位の話でございますから、少なくとも当面五割とおっしゃった中にはそれなりの腹案なり考え方があると思うのですね。ですから、この五割いくまでに年数をかけていくというのか、ある時期に五割上げるというのか、その点はどうでしょうか。
  244. 高木文雄

    ○高木説明員 少なくともある時期に一挙に五割というふうには考えておりません。
  245. 西中清

    ○西中委員 そうすると、どの程度お考えでございますか。先ほどそういうお話がありましたけれども、総裁としてはどの程度まで持っていく腹づもりでおられるのか。最終的に倍は無理だとおっしゃいましたけれども、五割を超えていくのでしょうから、その辺はどういう判断をなさっておるのか、伺っておきたいと思います。
  246. 高木文雄

    ○高木説明員 恐縮でございますが、これは実はなかなかむずかしい問題がいろいろあります。いままで一律でやっておりましたから、段階を設けるということになりますと、実は実務的にも非常に問題があります。たとえば、お客さんが途中で行き先変更をされるというようなときに、車内で販売をするとか、あるいはまた目的地で精算をしていただくとか、いろいろな問題が出てくるわけでございまして、単に頭の中で考えただけではなかなか取り組みがむずかしいわけでございますので、そうした実務的なあり方というようなものについても、もう少し現場の実態等、それから具体的に地域別にどういう問題が起こってくるかというような問題も頭に置きながら詰めていかなければならないわけでございまして、今日の段階でただいまの御質問お答えするには、まだちょっと私どもの準備が整っていないという現状でございます。
  247. 西中清

    ○西中委員 どうもはっきりしませんね。運賃値上げの問題でございますから、当面五割とおっしゃるからには、はっきりした内容をもってお答えいただかないと、国民、利用者に大変な動揺を与えるわけでございます。その点も不満足でございますけれどもお答えいただけないようでございますので、次に移ってまいりたいと思います。  この前も指摘がございましたが、特定地方交通線がバスに転換した場合、その運賃が非常に上がる。これはお出しいただいたデータでございますけれども、鉄道が国鉄バスになったときには、普通運賃で一・七二倍、通勤定期で二・五一倍、通学定期は三・一二倍、大幅にはね上がっておるわけですね。このような大幅な値上がりというものは、地元住民にとっては大変な負担増になるわけでございますから、バス転換における大きな障壁になるわけでございます。この点について運輸大臣はどういうふうにお考えになっておるか、お伺いをしておきたいと思います。
  248. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは相当なと申しましょうか、どの程度はね上がってくるのかという数字の一応のデータはございますが、これでまた利用形態もいろいろ変わってくると思ったりいたしております。したがいまして、定期利用者に対して一年間、そしてまた学生さんにつきましてはその学校での在学年間、これは補助していこうということで対処いたしたいと思っております。
  249. 西中清

    ○西中委員 国鉄総裁は、この問題についてどうお考えですか。
  250. 高木文雄

    ○高木説明員 確かに、今回のバス転換に関連して一番問題があるところであると考えております。しかしながら、いまの運輸省のお考えで、在来の方につきましては原則は一年間、そして通学については在校期間中というやり方は、ごく少数の事例ではございますけれども、過去においてここ十年ほどの間に私どもがやってまいりましたときにそういう形でやってまいったわけで、その例では、大変御不満はありましたけれども、少なくとも最終的には御納得をいただいてやってきたわけでございますので、そうした形でいくのが一つの方法ではないか、そういうことで今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  251. 西中清

    ○西中委員 私が先ほどから値上げについてこだわりを持っておるといいますか、繰り返し質問をしております背景は、いまの問題に関連をしておるのですけれども、現在までに鉄道からバスへ転換した路線、これはいまの説明のように数カ所あるようでございます。大体その実例を見ますと、二、三年間運賃は抑制する、そういう措置をとってこられた。その後運賃改定が行われて、先ほど指摘したような値上げが行われるというのがいままでのケースであり、大きな運賃格差を生んでおるわけであります。鉄道をバスに転換した場合、新しい運賃が決まる。運輸省の話では、転換交付金の対象に通勤定期は一年間そういう補助を行う、こういう話でございますけれども、一年たてばそのパスの運賃を改定するというのが背景にあるのじゃないか、こういう気もするのですね。それとも、鉄道から国鉄バスに移す場合、いまの水準に初めから一気にパス料金を決定するのか。その辺はどういうふうにお考えになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  252. 山地進

    山地政府委員 私、バスの所管でございませんので、あるいは私から申し上げるのは不正確かもしれませんが、バスの運賃も、いま先生のおっしゃったように、ちょうど一年たって、それというような上げ方を許すような実情ではないと私は認識しておりますし、また国鉄もこのバスを引き受けてやるという決意でおりますので、そういった申請自体についても国鉄には抑制力があると私は思っております。
  253. 西中清

    ○西中委員 どこまで期待していいのかわかりませんけれども、しっかりとこの辺は配慮をしていただかなければならぬと思います。  同じ問題として、通学定期の場合は在学中の者だけ卒業まで運賃格差補助がなされる、こういうことでございますね。今日、鉄道と国鉄バスの通学定期運賃は、パスの方が鉄道の三・一二倍になっておりますが、これは三年過ぎれば補助がなくなる、こういうことでございますね。先ほどからの運賃の値上げと絡んで、バスも前例から言っても二、三年たてば運賃改定でぴんとはね上がっておるわけですが、これはどの程度の値上げをお考えなのか、当初からこの水準に持ってこられるのかどうか、その辺を重ねて確認をしておきたいと思います。
  254. 山地進

    山地政府委員 いまの御質問の御趣旨は、いまバス運賃が、通学定期の水準――まず普通の運賃の水準があって通学定期の割引というのがあるわけでございますが、それについてもある一定期間経過後、国の定期差額補助という助成がなくなった場合に、今度は上げていくのかどうかという御質問のように受け取りましたけれども、これも通勤定期を一年たった後すぐ安易に上げるというような問題ではないと私どもは思っております。
  255. 西中清

    ○西中委員 いままでの数字は国鉄バスに転換した場合でございますけれども、仮に民間バスが引き受けた場合へこれは一体どうなるのか。データによりますと、普通運賃は鉄道より二・三六倍、それから通勤定期の運賃は三・五四倍、通学定期は五・四八倍、これが現状でございますね。五十四年十二月のデータであります。これを見ましても、もし民間バスに路線転換されるケース、こういうものがあると思うのですが、これは大変な値上げにつながるのですね。三年間補助が行われるにしても、その後は地域住民に大変な負担を強いることに相なると思います。これは物価上昇率をはるかに上回る上昇率と言わなければなりません。これは何らかの手当てをしなければならぬのではないかというふうに私は思うのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  256. 山地進

    山地政府委員 確かにいま国鉄を利用されている方々がほかの交通機関に移った場合に高い運賃負担をするというのは、今後通学あるいは通勤の定期の補償期間を過ぎた後にはそういうことになるわけでございますが、そこが国鉄財政あるいは国の財政で援助し得る限界と、それからいままでの国鉄を利用されていた方々の期待権と申すのでございましょうか、既得権との兼ね合いの問題であろうかと思うわけでございます。そこで、私どもとしては、通勤の場合には一年、通学の場合には在校中ということで一応線を引いてこの問題に当たりたい、かように考えておるわけでございます。
  257. 西中清

    ○西中委員 バス転換後の補助についての概要を示されたわけですけれども、バス事業者に対しては五年程度の欠損補助を全額という形になっておりますが、これについては具体的にどういう形なのか、何か腹案があるならばちょっと示していただきたいと思います。
  258. 山地進

    山地政府委員 細かく申し上げればいろいろあろうかと思うのでございますけれども、非常に概括的に申し上げますと、転換後のバス事業者に対する運営費補助というのは、バス代替輸送の運営に伴って生じた欠損についてその全額を五年間補助するということでございます。
  259. 西中清

    ○西中委員 特定地方交通線をどの程度バス転換するか、または第三セクター等で鉄道事業をするか、これはわからないと思いますけれども、仮にバス転換に全部転換した場合にどの程度の赤字を生み出してくるのか、そういった推定はなさっておられますか。
  260. 高木文雄

    ○高木説明員 過去におきましても多少バスに変えた事例がございます。それから、幾つかの線区について、仮に試算をしてみたものもございます。それらを共通して言えますことは、現在仮にある線区で五千円ぐらいの赤字が鉄道であるということになった場合に、これをバスにするとどういうふうになるかということをいろいろな形でやりますと、ケースごとに非常に違いますけれども、大体において赤字がいままでの二割になる。五千万円のところが一千万円になるというぐらいのところが大体の見当でございます。それは現在鉄道の場合には保線経費等がかかっておりますけれども、バスでいたします場合には、道路の補修費は全部道路維持費ということで、現在でも地方公共団体で持っていただいております。それから、エネルギーが非常に少なくて済みますから、エネルギー減がある。それから、償却とかそういった面からいっても非常に小さくなってくるというようなことで、大体現在の赤字額の二割ぐらいで済むということになるのではないかという試算をいたしております。
  261. 西中清

    ○西中委員 現在、運輸省は赤字路線バス補助制度をとっておるわけですが、それとの整合性は一体どうなるのか、御説明いただきたいと思います。
  262. 山地進

    山地政府委員 先ほど、転換パスの助成については、概括的に言うと全額ということでございますが、新設の運行系統の欠損の場合には、明らかに転換バス補助というのは一〇〇%国が五年間助成をする。それから、現在の運行系統にあるものがそこに欠損が上積みされるというような場合が起こるわけでございます。欠損額のどれくらいが従来の欠損で、今後欠損がどれだけだというのは、若干その仕分けについてはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、過去の年平均、三年間なら三年間の年平均の欠損額というのを見れば、一応の会社が持っている赤字というのは欠損で見る。それに対して、従来過疎バスまたは国鉄バスの補助を受けていなかったものについては、その三年間を超える部分については、これは同じく一〇〇%助成されてくるということでございます。それから、従来過疎バスを受けていたものにつきましては、その当該、超える欠損部分は、過去三年間平均から超える欠損部分というものに、プラス過去の一定期間の年平均の過疎バス補助金額、これは従来それだけもらっていたといいますか、そういうものがあるわけでございます。あるいは国鉄バスの場合は、同じく従来受けていた補助金額というものを上積みいたしまして、両方を図るというふうに考えておるわけでございます。それから、欠損額が過去の年平均の欠損額を下回った、つまりよくなったという場合には、助成金は、上積み分についてはないということになるわけでございます。それから、従来の地方バス助成または――いまのは受けていない場合でございますね、受けてない場合に、よくなった。ですから、前から悪かったから、そのままということ。それから、従来地方バス補助または国鉄バス補助を受けていたものが、欠損額が従来の欠損額よりか下回った場合でございますけれども、この場合には転換のバスの助成をいたしておる、かようになっております。
  263. 西中清

    ○西中委員 先ほども転換交付金で若干、自治省と運輸省、まあ政治の話だというようなお話が大臣からあって、なんでございましたけれども、どうも私たち法案が先にあってそういった面が非常に遅れているように感ずるわけでございまして、関係省庁との協議は一体どうなっているんだという印象、疑問が深くなっておるわけでございます。  そこで、お伺いをいたしますけれども、自治省としては、特定地方交通線関係の地方自治体からいろいろと御要望を受けておられると思います。その要望はどういう中身なのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  264. 藤原良一

    ○藤原説明員 お答えいたします。  自治体からは、地方公共団体の議会から意見書あるいは知事や市町村長から要望書等、非常に数多く参っております。  その内容は、地方交通線が地域の住民生活あるいは産業活動等に非常に大きな役割りを果たしておりますので、廃止をしないでぜひとも維持存続を図ってほしいとか、あるいは地方交通対策等を進めるに当たっては、地域の実情を考慮し、地方交通線を一方的に廃止するような措置は講じないでほしい、そういった趣旨のものでございます。
  265. 西中清

    ○西中委員 そういう御要望に対して、自治省としてはどういう対応をなさっておられますか。
  266. 藤原良一

    ○藤原説明員 具体的には廃止基準がまだ政令で定められることになっておるわけですから、政令の協議の中で、十分運輸省とも御相談していきたいというふうに考えております。
  267. 西中清

    ○西中委員 政令はまだ出ておらないわけですから、協議は結構でございますけれども、早くこの内容は定めなければならないわけですね。確かに地域の実情というものは、これは千変万化、いろいろと地域地域の実情があるわけですね。しかし、法律上、これは一律の基準でもって一切合財やっていくというような、こういう形になっておるわけですね。自治省としては、どういう意向を持っておられますか。
  268. 藤原良一

    ○藤原説明員 先ほども申しましたように、地方交通線というのは地域に重要な影響を持っておりますし、今後省内で検討しないといけない問題でございますが、われわれとしてはできるだけ、過去の輸送実績だけによるのじゃなしに、地域の実情とか将来の発展可能性、そういったものを十分加味して政令を決めていただきたい、そういうふうな気持ちでおります。
  269. 西中清

    ○西中委員 ただいまの自治省のお話に対して、運輸省としてはどういうお考えでございますか。
  270. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は非常に理解のできる話だと思うております。先ほどのように、地方交通線は国鉄運輸省だけで決める、こういう話であるならば、これは全くお役所同士の話でございますから。しかしながら、この地方交通問題というものをどうしようかということの話し合いをしよう、これは当然のことでございます。地方交通線をめぐりまして、これを第三セクターにし、あるいは自動車輸送に代替するというところにつきましても、私は率直に申し上げまして、役所間における権限の問題が絡んでおる、これをもってこの協議が調わぬ、あるいは前向きにこの対策が進まないというようなことがあったら、私はこれは非常にゆゆしい問題だと思っております。ですから、そういう問題も十分に話し合って、地域交通の責任というものはただ単に国鉄だけのものなのか、私はそれはもう現在の時代においては認識が違うと思うのであります。なるほど鉄道省の時代、そしてそれを受けまして公社に移管してまいりました。その当時の地方鉄道というものは、これは鉄道省が国の責任においてやっていかなきゃならぬものでございますし、いたしましたが、しかしながらいまや公共性と同時に独立採算という採算の面も要求されてきておる。しかも、十二兆円の借金を抱え、六兆からの赤字が出てきた、これを根本的に立て直していこうというときに、地域の交通というものは真剣に考えられなければならぬ時期でございます。それだけに、われわれも地域交通という新しい概念をやはり考え出して、そこでこの地方交通線の処理をしていくということをやらなきゃならぬ、しかも地方交通線であるから直ちにこれを撤去してしまってバラストの道にしてしまうというのではないと私は再三申し上げておる。地方自治体で将来において発展の計画があるとするならば、その交通の持ち方等につきましても十分相談しなければならぬだろうと思いますし、あるいはまた代替輸送をするにいたしましても、その運転系統とかいうようなものにつきましても、これはやはり地域の中で相談してもらわなければいかぬ。ただし、それはあくまでも国鉄の責任なのかといったら、私は現在の国鉄財政状況からいって、国鉄はその点は免責してやってもらいたいということを言っておるのであります。  でございますから、交通の責任というもの、行政の責任というものと国鉄の責任というものが一緒になって考えられておるというのが実情ではないかと私は思うのです。でございますから、当然その地方交通線の将来について、われわれも責任がございますが、これはまた地域の人たちも自分らのものであるということをやはり頭に入れて考えてもらわなければならぬと私は思うております。
  271. 西中清

    ○西中委員 そこで、心配が出てくるわけでございます。その御意向はよくわかりますけれども、たとえば第三セクターで鉄道を存続させる、こういう場合、その第三セクターはいろいろな形があると思いますけれども、やはり地方自治体が中心にならなければこれは不可能だと思う。そこで経営をして欠損が出た場合、赤字は半分持つ、五年間に限って持つ、こういうことなんです。五年間はめんどうを見るけれども、それじゃ六年目から後はだれが責任を持つのかということになれば、私は地方自治体ではなかろうかというように考えるわけでございます。  この点自治省は、この後の問題について当然地元からいろいろな補助なり支援を要請してくると思うのですが、その場合どういう対処をなさるのですか、その点をお伺いしたいと思います。
  272. 藤原良一

    ○藤原説明員 大臣から御答弁もありましたように、地方公共団体は住民に総合的な責任を負っておるわけですから、地域交通というのはやはり公共団体も一緒に努力しないといかぬとは思いますが、ただ、財源の負担につきましては、御承知のように、地方財政も国と同様非常に困難な状況にあります。自治体も財政的には非常に困っておるわけです。国鉄の大きな赤字をそのまま処理できるような余裕はとてもないのではないかというふうに考えております。
  273. 西中清

    ○西中委員 国鉄の赤字ではなくて、いま言ったように第三セクターの赤字でございますね。もう一度。
  274. 藤原良一

    ○藤原説明員 第三セクターに仮に地方公共団体が加わりましても、そういう状況ですので、地方財政としては特別な財政措置を講ずることは非常にむずかしいと考えております。
  275. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そこは私は非常に大事な問題だと思うております。これは単に地方自治体の責任だけで第三セクターのしりぬぐいをせい、これはなかなかできるものではないと私は思うております。だからこそ、ここで国と地方とが一体となって、そういう財源の問題を含むものもあわせてともに考えなければならぬと思うものでございまして、これはまさに政治の問題になると私は思うております。
  276. 西中清

    ○西中委員 政治の問題ということでございますけれども、具体的な方途は示されておらないわけでございます。これは繰り返しやっても答弁は出てこないと思います。ですから、答弁はそれで結構でございますけれども、十分納得できません。  次に、国土庁にお伺いをしたい。  第三次全国総合開発計画に基づいてモデル定住圏計画が策定されつつございますけれども、全国四十圏域のうち、私の方にいただきました資料、五圏域のモデル定住圏計画について、その中に国鉄線の整備、さらに新線の建設といったものが入ってございます。会津、能登中部、京都北部、高知幡多、佐賀の唐津、線区名でまいりますと、野岩羽線、国鉄七尾線、宮福線、宿毛線、筑肥線、こういうような線区でございます。こういうモデル定住圏計画の中でこうした線区が挙げられて整備がうたわれておるわけでございますが、この法案ではこれはなかなかむずかしい状況になってきておるのではないか、私はそういうように考えておるわけでございますけれども、国土庁はどういう見解をお持ちであるか、まず伺いたいと思います。
  277. 増田卓爾

    ○増田説明員 お答えいたします。  確かにモデル定住圏の中で、その中核をなします計画としまして特別事業というのをつくっておりますが、その中に国鉄関連の計画が六つばかり入っておるのはいま先生の御指摘のとおりでございます。実際にどういう基準で政令ができるかどうかというのはまだまだ検討の最中でございますので、将来どうなるか、まだ私どもよくわかりませんけれども、三全総におきましては、交通におけるナショナルミニマムを確保することを基本に、地域の実情に応じた合理的な交通体系の整備を図るということをうたっておりまして、国鉄ローカル線の整備につきましても、確かに国鉄の経営再建上非常に重要な問題だということはよく承知しておるわけでございますが、一方、こういう存廃の問題につきましては、地域の発展にとって非常に重要な問題でございますので、それぞれ細かく対処していきたいというのが私どもの現在の考えでございます。
  278. 西中清

    ○西中委員 AB線の新線建設、これは第三セクターで引き受けない限りは建設しない、こういう形になると思うのですね。いろいろとお考えではあろうと思いますけれども、やはりこれは第三セクターで受けない限りは、モデル定住圏計画の一部見直しということにつながっていくと思うのですけれども、この点はどう考えておられますか。
  279. 増田卓爾

    ○増田説明員 モデル定住圏の計画につきましては、発足したばかりでございます。今後、需要予測その他がどうなるかはまだよくわかりませんけれども、ローリングシステムという形で毎年毎年計画を見直していきたいと思っておりますので、その中でそういうような問題が飛び出してくるのではなかろうかと思っております。
  280. 西中清

    ○西中委員 ローカル線の対象線区は、過去三年間の輸送実績の平均で、一日二千人以下、約四千キロ、こういうことでございますね。そこで、モデル定住圏計画は今後十年、二十年という将来を見込んでの策定がなされておる。一方、こちらの方は過去の実績を基準にして判断をしていく。片方はいわゆる将来展望で、こちらは過去の実績を基準にしておられる、これは非常に矛盾があるのではないかと思います。モデル定住圏計画はローカル都市が中心で、将来の開発計画が大きな中身になっておるわけでございますから、いまの国鉄考えておる基準というものはこの計画の基本的な障害になってくるのではないかと思いますけれども、もう一遍答弁を願いたいと思います。
  281. 増田卓爾

    ○増田説明員 いま先生のおっしゃったとおりの問題がございますので、私ども国土庁といたしましては、地方交通線の本法案の対象線区というものにつきましては、過去の輸送実績だけではなく、各種の地域計画等がございますので、それに基づく輸送量が増加すると見込まれる場合には、当該将来交通量も考慮して、そういう線の選定に当たっていただきたいというのが私ども考えでございます。
  282. 西中清

    ○西中委員 そういう点で運輸省の御答弁を伺っても、さっきと同じお答えだと思いますのでやめておきますけれども、しかし、こう各省の間でばらばらな意見が存在しながら、この法案審議をしろという方が非常に無理なお話でございまして、もう少し中身について各省間の連絡をきちっとしてこの法案提出するのが、運輸省政府の姿勢ではないかと私は思いますが、運輸大臣、どうでしょうか。
  283. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 どんな法律でも一つまとめます過程におきましては、それぞれ各省間における意見の中で、それぞれの役所はそれぞれの考え方を持って、ずっと伝統的に来ておりますから、それを完全融和、一体としてやっていくということは、法案提出までにきちっと文言に至るまでまとめるということは、なかなか容易なことではないと思うのです。しかしながら、この法案に盛られております趣旨並びに内容につきましては、各省連絡の上で、しかも閣議決定までして提出させていただいておるのでございますから、それは役所間における相互の連携というものはある。しかし、一つ一つの具体的なものになったら、これから詰めなければならぬものも事実あると私は思います。それは私は否定いたしませんが、しかし、この法案に流れる趣旨、精神、そしてその内容、これにつきましては、私は閣議決定の段階で合意されたものと思っております。
  284. 西中清

    ○西中委員 事は地域住民であり、また先ほど来申し上げておりますように、国鉄国鉄政府政府としての努力はなさるでしょうが、直接的に何らかの影響を受ける、被害を受ける、また負担をしなければならぬ。いろいろな面で国民一人一人にかかってくる問題でございますから、そういう点では政府の姿勢は非常に甘いし、今回の法案については私は疑問を持たざるを得ないわけでございますが、いま大臣のおっしゃったその決意をどうか貫いてがんばっていただきたいと思います。  これは一つの例でございますけれども、先ほど局長にもお伺いしようと思って忘れておったのですが、滋賀県の信楽線というのがございます。これはいわゆる予定される特定地方交通線ではなかろうかと思っておりますが、同時にこれは国鉄バスが並行して走っておるわけでございますが、この場合、仮に廃線となる、要するに国鉄の鉄道の廃止の場合も、やはり一キロ三千万の転換交付金は支給されるわけですか。その点はいかがでしょうか。
  285. 山地進

    山地政府委員 先ほど申し上げましたとおり、各線とも一キロ三千万円を支給する方針でございます。
  286. 西中清

    ○西中委員 この線はかつて戦争当時レールを供出しまして、廃線となったという歴史がございます。その後沿線住民がまくら木となる松の木を提供しまして昭和二十一年に復活をした、こういう地元の熱意のこもった大変な歴史を持っておる線でございます。現在地元の信楽では全町的組織として信楽線を守る会というものをつくり、町長を先頭に各種運動を活発に行って、国鉄旅客の増加について真剣な取り組みをしておられる。涙ぐましい努力をしておると言わなければならないと思います。今年三月、守る会を発足した当時、この信楽駅の乗客数は二万九千五百人、これは現在四万八千人から四万一千人と増加をいたしております。これは国鉄が労使一体となって企業努力としてやればできるという一つの例ではなかろうかというふうに私は思うわけです。こういう点で協力して必死にこの線を守ろうというローカル線、特定地方交通線もあるということをよく頭に入れておいていただきたいし、画一的な、一方的な切り捨てということは私たちは容認できない、こういう気持ちもするわけでございまして、大臣の所感を伺いたいと思います。
  287. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 戦前でございますか、そのイメージが現在においてあるということでございますなら、それは相当な間違いであろうと思います。そのような非民主的なやり方で線を廃止する、存置するというようなことをわれわれはやろうというのではなくして、基準を定め、その基準をあくまでも適用して、それによって合理的な、いわば客観情勢によってやろうとしておるのでございます。仰せの線がこれに該当するかどうかは私はいまつまびらかにいたしておりませんが、しかし信楽線について考えます場合に、あそこの産業構造の変化があったということも御存じのとおりでございまして、その貨物はいずれの方法をもって運搬しているかといいましたら、実はほとんどがトラック輸送にかわってきておるのが実情でございます。それがためにあの地域におきます道路の整備というものも非常に整ってきておるような状況でございますしいたしますので、そういう点、いろいろ考えてまいりますと、いわば本当にその地域の交通というものをどうして維持するかということの問題であろうと思うのでございまして、それが国鉄の責任でなければできないんだという理論では割り切れるものではない、私はこういうことを申し上げておるのです。
  288. 西中清

    ○西中委員 いま大臣の御答弁ですが、私は、わずかこの半年の間に大変な増加をしておる、企業の努力によってまだまだ有効に大量輸送として生き残る線があるのではないかということを申し上げておるわけでございますので、画一的な考え方はぜひ排除をしていただきたいと思います。  そこで、いま民主的とおっしゃいましたので、関連して第九条についてお伺いをしておきたいと思います。  特定地方交通線対策協議会は国の関係行政機関及び国鉄で組織することになっております。いわばこれは国と国鉄だけという協議会になっておるわけですね。特定地方交通線は住民のものだという判断からいくならば、これはやはり構成を、地元の首長または公安委員会、警察、学識経験者、利用者代表、こういう者を入れた協議会にすることが最もいいんじゃないかというふうに私は考えるわけでございますけれども、なぜ国の機関だけに限ったのか、お伺いをしたいと思います。
  289. 山地進

    山地政府委員 この協議会は、八条に書いてございますように、廃止した後の輸送の確保に関し必要な協議を行うということでございまして、この輸送の確保ということにつきまして権限を持っておりますのが国の関係行政機関と日本国有鉄道でございますので、これをもって構成をしておるわけでございます。  ところで、その会議に参加していただくメンバーということでは、この関係行政機関の長、それから関係地方公共団体の長、その指名する職員、あるいは公安委員会の指名する当該都道府県の職員ということで、常に会議へ参加して意見を述べていただく。それからさらに学識経験者という方の御意見を聞くということで、第一段階には交通問題の確保に関する権限のあるところでまず構成をいたしまして、これだけでは会議ができないわけでございますので、先生のおっしゃるように、地方公共団体も入れて議論をする、そこにさらに学識経験者、利用されている方々も入れて御意見を承る、こういうことになっておるわけでございます。
  290. 西中清

    ○西中委員 その際、最終結論を出すのは会議なのですか、協議会なのですか。その辺はどうなのでしょうか。
  291. 山地進

    山地政府委員 会議で決定することになっております。
  292. 西中清

    ○西中委員 住民の意見を十分に反映させるという意味でぜひその点は配慮をいただきたいと思います。  それから、十条でございますが、協議期間を二年に限定されたわけです。これはこの期間で地域住民の納得が得られない場合ですが、こういうケースでは弾力的に考えるべきではないかと私は思っておるわけでございますけれども、一方的にこれは二年と限定をして打ち切ってしまわれるわけですか。その点はいかがでしょうか。
  293. 山地進

    山地政府委員 ここに書いてございますように、「二年を経過した日以後において、前条第一項に規定する協議が調わないことが明らかである」、この「明らかである」かどうかということを広く解せる場合もあろうかと思いますが、私が考えておりますのは、二年たってもうあと少しで解決するとか、あるいは非常に協議が煮詰まっておるとか、そういう段階があろうかと思いまして明らかであるかどうかという規定は設けてあるわけでございまして、いま私どもの期待しておりますのは、二年間という長さの中でいろいろな意見を十分反映をしておまとめいただけるものだというふうに期待しておるわけでございます。その上さらに、二年ということで調わない、調わないんだけれども、しかし、もう少しで調うということについては若干のアローアンスはあり得るような規定になっております。
  294. 西中清

    ○西中委員 十分なる配慮をし、強権的な方法はとらないように御配慮をいただきたいと思います。  次に、公共割引についてお伺いをしたいと思います。先ほども議論がございましたが、私はもう一歩進めてお話をお伺いいたしたいと思います。  国鉄にお伺いをしますけれども、通学定期や身体障害者等についての公共割引、この点については文部省や厚生省に対して今日までどのような御要望をなさってこられたのか、確認の意味でひとつ伺っておきたいと思います。
  295. 高木文雄

    ○高木説明員 昭和五十三年度、それから五十四年度の予算要求等に絡めまして、私の名前で両省に、これは何とか両省の方でお持ちいただきたいということでお願いしたわけでございますけれども、どうも残念ながら二回とも御要求をしていただけなかったという経緯がございます。それに関連して、五十五年度の予算編成に絡んで、御存じの十二月末の段階の閣議了解が結ばれました。その際に、関係の各省でこの問題をとっくりと協議をしてくださるということになりました。そこで、私どもとしては現在その協議の場にオブザーバーのような形で参加させていただいておるわけでございまして、この協議が進むことに大いなる期待を持っておるわけでございます。
  296. 西中清

    ○西中委員 文部省にお伺いいたしますけれども、この国鉄の要望に対してどういう受けとめ方をしておられるのか、今日までの対応、これをお伺いしたいと思うのです。
  297. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 ただいま総裁がおっしゃいましたように、二度過去に要望文書がございましたことは事実でございます。  それで、文部省の立場として考えます場合に、学生は、高校生、大学生含めまして、国鉄のみの利用でなくて私鉄とかその他いろんな態様で通学しております。したがいまして、一つの機関だけを取り上げて要求するということは大変困難でございますので、今日までいたしていないわけでございます。
  298. 西中清

    ○西中委員 これは実施をする方向で検討しておるのか、しない方向で検討しておるのか、どっちなんですか。
  299. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 協議会の中で、いま先生おっしゃったようないろいろな検討をしておるわけでございますけれども、全く途中の段階でいろいろ複雑な考え方がありますので、ちょっとここで方向性を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
  300. 西中清

    ○西中委員 厚生省はいかがですか。
  301. 板山賢治

    ○板山説明員 運輸省国鉄から文書をもちまして、あるいは口頭で、そのような申し入れば受けとめております。身体障害者福祉法の立場、さらに戦傷病者の問題あるいは福祉施設に入っております者の立場、長い歴史と経緯がございまして、現在割引をしていただいておるわけでありますが、これについて考えてみますると、特に身体障害者福祉対策という観点では、心身障害者対策基本法というふうなものに、国鉄は障害者の本人あるいは介護人に対しまして運賃割引をするというふうなことが明定されておるいきさつもございまして、研究協議会の中でも従来の経緯から見ましてこれを一般対策として予算要求するという結論がなかなか出しにくい状況にありまして、現在、各関係省集まって検討いたしておる最中でございます。
  302. 西中清

    ○西中委員 これは大変長い議論になっていたかねてからの問題でして、国鉄にこの負担をおっかぶせてきたわけですから、もうそろそろ解決をしてみたっていいのじゃないかというふうに私たちは見ているわけです。何が問題なんですか。もう一度文部省、厚生省、何が問題でこの負担を肩がわりできないのか、明快にお答え願いたい。
  303. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 先ほども申し上げましたように一つは、いろんな通学手段がございまして、国鉄も非常に重要な役割りがございますが、いろいろあります。そして、それぞれの機関で割引の率がいろいろ違いますけれども、それぞれの立場からやっていただいております。したがいまして、国鉄の大変な事情はいろいろよくお聞きしておりまして承知しておりますけれども国鉄のみに補てんという形でする予算要求は大変困難だということでございます。
  304. 板山賢治

    ○板山説明員 身体障害者に対します運賃割引は心身障害者対策基本法に明定されておりまして、国鉄の自主的な努力でやっていただいておるような仕組みになっています。これはNHKの放送料あるいは各民営鉄道、バス会社その他関係各層が企業努力の中で障害者に対する割引もやっていただいておるわけです。もし、国鉄の赤字対策ということで、これを身障福祉対策ということで福祉予算で組みますと、こういった各民間での努力あるいは関係公共団体等が割引をいたしておりますものも全部予算措置をしろ、福祉予算で組めということになって、国鉄の運賃割引はいわば国民福祉への協力のシンボルになっておる状況でございますが、これは影響するところ大である。そういった背景もございましてなかなか要求することは困難であります。
  305. 西中清

    ○西中委員 課長ではそれくらいの答えしかできないと思いますけれども、議論というか、あなたたちの申されていることは何年も前から言っていることなんですよ。一歩も進歩がないじゃないですか。これも政治問題になるかもしれませんので、大臣の決意を伺います。
  306. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 六月に関係閣僚会議が開かれまして、事務当局で検討するということに相なっておりますが、まだ各省庁とも熱心に検討をしてくれておるものと私は思うております。  そこで、これらはいずれも国鉄がたえ得られる間は当然国鉄の自主的努力というもので努めてまいりましたが、今日のこの財政状況ではなかなかそれにたえ得られない状況でございます。でございますから、できるだけ各そういう関係機関において負担をしていただくようにさらに一層の働きかけをいたしたいと思うております。
  307. 西中清

    ○西中委員 この問題は特段の御努力を要望しておきます。  国鉄の通学定期の割引率について、値上げの際に毎回この問題が取り上げられるわけでございますけれども、改善計画の中で昭和六十年度までに割引率については国鉄はどういう方針をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  308. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまのように各省にもお願いをいたしておりますが、なかなかお聞き届けいただけないということでございまして、そうした場合に、現在の仕組みでは結局他のお客様の負担になっていく。そしてまた、全体として足りない分は納税者負担になっていくということでありますので、果たしてそれが全体として公平かどうかということについてははなはだ疑問に思わざるを得ないわけでございまして、そこで、ここ数回にわたりまして少しずつ割引率を改めるということをやらしていただいたわけでございますが、いまやこのような状態でなかなか問題が片づかないといたしますと、余り影響が大きくなりませんように、ごくわずかずつではございますが、やはり割引率の手直しを続けさしていただかざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  309. 西中清

    ○西中委員 ごくわずかというのはどの程度のことをお考えですか。
  310. 高木文雄

    ○高木説明員 従来から二%なり一・五%なりという形での是正をやらしていただいたわけでございますが、これでも非常に強い御批判を受けております。しかし、現在のところでは、御批判はありましてもその程度毎年やらしていただかざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  311. 西中清

    ○西中委員 地方交通線の特定運賃、さらにいまの運賃率の引き下げ、こういう問題、大変に学生、地域住民の負担になるわけでございます。また、身体障害者についても同じことが言えるわけでありまして、運賃の値上げと相乗してまいりますとこれは相当な厳しい負担になるという判断をせざるを得ないわけであります。どうかこの問題については一刻も早く結論を出すように運輸省として努力を願いたい。  大臣、重ねて決意のほどを伺っておきたいと思います。
  312. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 なお努力を重ねてまいります。
  313. 西中清

    ○西中委員 次に、国鉄の共済年金についてお伺いをしておきたいと思います。  これは今後の国鉄再建の前に立ちはだかる大きな問題の一つでございますが、先日この問題について浅井委員からも質問がなされました。その解決策については政府サイドで検討するという御答弁であったように記憶をいたして、おりますが、そこで、政府サイドで検討するというのは結構でございますけれども運輸大臣としてはこの共済年金問題についてどうお考えになっておるのか、いまのお考えを伺っておきたいと思います。
  314. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 共済問題が重要な問題になってきておる。それは成熟度が非常に高まってきておることによるところの原資の先行きに対する不安ということでございますが、これにつきましては、各政府関係共済機関同士の問題もいろいろございましょうしいたしますので、いまその点について検討が進められていると思うておるのです。まことに申しわけございませんが、私は共済のことが余りわからぬのでございまして、それだけにいろいろと事務当局からは聞いておりますけれども、その中身が本当にどうしたらいいのかということにつきまして私は全く疎いものでございまして、御勘弁願いたいと思います。
  315. 西中清

    ○西中委員 来年度予算に対する運輸省の概算要求、この中には年金対策として百五十八億円の利子補給金を支給するよう要求しておられるようですが、五十六年度は仮にこの要求が認められたとして、それ以降は五十七年度からどういうようにしていこうというようにお考えなのか。やはり当面利子補給というような形を継続していこうというお考えなのかどうなのか。それとも別に対策をお持ちであるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  316. 山地進

    山地政府委員 いま先生の御指摘になりましたことしの予算というのは、暫定的なものでございます。国鉄の共済年金制度というのは、いま大蔵省の方を中心にいたしまして抜本的な対策というのを講じていただきたい、こういうことでいま研究をしておるわけでございます。抜本的な対策がどういうふうなことになるかということについては二年ぐらいかかるということでございますので、その間国鉄の経営を圧迫しないという過渡的な処置といたしまして、平均の成熟度を超える部分については金利を支給することによって国鉄の経営圧迫を避ける、こういうことで臨時的なものとして計上しているわけでございます。
  317. 西中清

    ○西中委員 これは抜本対策を講ずるのは非常に緊要な問題だと思います。他の年金制度との整合性ということもございますけれども利子補給というのはいまおっしゃったとおり緊急避難、こう言う以外にないわけでありまして、問題の解決にはつながらないことだと思います。これは厚生省とは協議をなさっておられるのでしょうか、どうですか、その点伺っておきたいと思います。
  318. 山地進

    山地政府委員 この予算自体については、私どもの方の要求でございますので、厚生省とは御相談はしているわけではございませんが、大蔵省の共済年金の研究会には厚生省の方もオブザーバーで出ているということでございます。
  319. 西中清

    ○西中委員 総裁にお伺いしたいのですけれども国鉄共済年金財政安定化のための研究会、ここでは専売と電電など公企体共済や公務員共済と統合一元化するのが適当との考えを示しておるわけでありますけれども、総裁としてこの年金問題について、この考え方についてどう考えておられるのか、また別の考えがあればお伺いをしたいと思います。
  320. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまお示しの研究会では、権威の方に集まっていただいて、そして、かなり長い期間にわたって研究をしていただきました。結論はいまお示しのように、専売なり電電なり私どもなりと公務員共済を一体運営にするという以外に道がないのではないかという御答申といいますか、お考えをお示しいただいたわけでございます。これは私どもの職員もその会合には参加させていただいて、私ども考え方もいろいろな機会に、そのお集まりのときに申し上げたわけでございまして、私どもといたしましては現在の段階ではその方法が一番現実的な方法ではないかというふうに考えるわけでございますが、率直に申しまして私どもはそのグループに入れていただいて一つの運営にするということは、結果的には現在に比べて他の機関の年金掛金の負担額が、私どもを一緒にしていただかない場合と比べれば増加するということになりますので、大変な御迷惑を関係のところにかけるということになるわけでございます。したがいまして、そうしたことについてさらにわれわれとしては関係のところにお願いを繰り返さなければならぬわけでございます。おたくは大変ですねということまでは言っていただくわけですけれども、じゃ入れてあげましょうというところまではなかなかいかないわけでございまして、しかし一年一年状態は悪くなるわけでございますし、年金としては全く体をなさないことになるわけでございますので、これはもうどうしてもお願いせざるを得ない。特に現在の四十二万の体制から三十五万人の体制へ持っていきますと、掛ける方の人間が減っていくわけでございますから、そして給付を受ける方の人は一定の年齢に達すれば、いまの状況では毎年毎年非常にふえていくわけでございますので、どうしても何とかしていただかないと、いまのシステムではできない。それにはとりあえずいまみたいな方式での一種の統合といったこと以外には道がないのではないかというふうに私は考えております。
  321. 西中清

    ○西中委員 運輸省としてはこの統合一元化についてはどういう見解を持っておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  322. 山地進

    山地政府委員 国鉄共済の現状から考えますと、とにかく国鉄の共済年金の赤字というのと、その共済に対して国鉄が負担する額がどんどん上がっていく、この二つの面があるわけでございますけれども国鉄の共済自体を一体どうするのかということにつきましては、いま高木総裁が申し上げたように、国鉄自体、この共済自体ではどうにも解決できない問題である。これに国が関与して、助成という形でこれを救うという理屈が一体いいのか、あるいはもう少し共済制度全般の枠の中で制度的に考えたらいいのか、この二つの選択があるわけでございますが、この年金制度というのは、単に国鉄共済というものが特殊性があるというだけではなかなか解決しにくい問題でございますので、全体の制度の中で考えていくということがいいのではないだろうかと考えております。
  323. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても年金の負担を借入金で賄って、その借入金の利子を補給してもらう、これはあくまでも緊急避難的対策にすぎません。この問題、早急に明確な対策を立てられるよう強く要求をしておきたいと思います。  次に、国鉄にお伺いをしたいのですけれども国鉄には関連事業というものがさまざまな形でなされているようでございますけれども財政再建の中で一つのかぎを握るといいますか、いままでのこの法律案にあるのは、大体守りといいますか、何とか収支の均衡を図ることが先決だということで、そういう目的がうたわれているわけです。これはやむを得ないでしょうけれども国鉄再建について関連事業収入というものをふやすということについては基本的にどんなお考えを持っておられるかについて伺っておきたいと思います。
  324. 高木文雄

    ○高木説明員 関連事業は二つの意味があるのじゃないかと思っております。  一つは、未稼働資産あるいは能率の悪い資産がいろいろございますので、このうちでこれをうまく使えば土地借料という形で収入を上げ得る。たとえば駅前のようなところで、いままで貨物駅といった形で使っておりました土地を利用してショッピング関係のものをつくる。あるいはごく一部でございますけれども、ホテルをつくるとかいうことを考える。その場合に、そういうショッピング関係の仕事、ホテルの仕事はわれわれの仕事とこれまでは余りなじみがございませんでしたから、そういうものを直営するということではなしに、土地を提供して駅ビル会社をつくって、そして、いままで遊んでおりました土地の土地借料収入を上げていくという形が一つございます。  その場合に、非常に重要な意味を持つと思っておりますのは、単にいままで遊んでいた土地が稼働してくるということのほかに、そういうことでそこにお客様が出入りをされることになりますと、それに関連して鉄道収入の方にも潤いが出てくるという意味があると思うわけでございます。  そのほか、現在、前からやっておりました仕事で、構内でお店に場所を貸す、弘済会その他に貸すというようなことをやっております。また、最近では、やや飛び地のようなところで処分してもよろしいが、いますぐ処分をするといろいろな事情で余り高く売れないので暫定的に利用するということで、たとえば駐車場であるとか、中古自動車の販売場であるとか、スポーツ用であるとかいうところに土地を貸して、少しでも収入を上げさせていただくというようなこともやっております。  そのほか、広告収入といったものについてもいま拡大を図りつつあるわけでございますが、そういったもの、もろもろ合わせまして、これは経費が余りかかりませんのでネットの収入と考えていただいて結構でございますが、現在の年間の収入は約五百億ぐらいのベースになっております。ここ数年非常に御激励をいただいて、一方において民営圧迫にならないように気をつけながら広げてまいりましたが、最近の収入増加の傾向は大体五十億から六十億ぐらいのオーダーで毎年ふえてまいりまして、現在大体五百億ぐらいの収入になっております。過去、ここ数年において大分積極的にやってまいりました関係で、今後その収入はいままでのオーダーよりもややふえてくるだろうと思われますので、年率百億ペースといいますか、六十年までに倍といったらよろしいかもしれませんが、少なくともいまの五百億が千億を超えるようにやっていきたいということで、いまのところ、いろいろな計画でほぼその線に乗っていきそうであると考えております。これは先ほど申しましたお客様がふえるということとは別でありまして、土地をお貸しするとかプラットホームをお貸しする、あるいは広告料収入をいただく、そういったものの総合計が現在五百億ぐらいで六十年度には千億ぐらいと考えております。
  325. 西中清

    ○西中委員 いま収入をふやすということでございますけれども、私はそれについていまの国鉄のやり方にいささかの疑問を持っておるわけでございまして、巨大な土地を提供し、しかも五〇%前後の出資をする、その割りに収入が非常に低いということとで銀行金利よりはるかに低いのじゃないかというような、これは個々にわたって条件が違いますから一概には言い切れませんけれども、東京駅一つを例に見ましても、この収入は現在の賃貸事務所の賃貸料から比べましてもビル一つの収入ぐらいしかないんですね。貸しているところは十何カ所もあります。これは効率の悪い投資が非常に多いのではないかというふうに私は考えております。  きょうはもう時間もなくなりましたので深くは議論いたしませんけれども、基本的に広大な土地を提供して、しかもなお出資をして土地の使用料という形で、それなりのいろいろな賃率とかありますけれども、非常に収入が入らない形にいまの形態はなっている、私はそう思います。いずれこれはまた一般質疑等でじっくり論議をいたしたいと思いますけれども、現在行われている事業について本当に国鉄財政にとってプラスなのかどうなのか一遍見直す必要があると考えているわけでございますけれども大臣並びに総裁の御意見を伺いたいと思います。
  326. 高木文雄

    ○高木説明員 最近新しくつくっておりますものについてはいままでに比べますれば使い方も何とかなれてきたといいますか、上手になってきたといいますか、そういう意味で採算的に見て十分引き合う。ただ、ビルをつくりました場合には、場所によって違いますけれども、ビル会社としての初期の累積赤字を消して単年度で利益が出てくるというのは大体五年ないし七年ぐらいかかりますものですから、そういう意味で出資をしましたものの配当還元ということについてはまだ十分メリットを出しておりません。ただ、そういう期間でも土地代金はきちっと入ってきておりますから、私は、最近やっておりますものはかなりの成績を上げていると申し上げてよろしいのではないかというふうに考えております。  非常に残念なのは古くから貸しているものでございまして、いまから十年ぐらい前から、貸しているものについても間接管理方式と称しまして管理会社をつくりまして管理会社に細かく見てもらっておるのでございますけれども、いまお示しのように、東京駅あたりには非常に問題があるところがあります。戦前から戦後にかけて一種の権利みたいなものが発生しているところがありまして、一々訴訟等やりながらいま解決に向けつつございますけれども、長い歴史の中で大昔の値段のままであって、その間にまた貸しをして途中で吸収をしている人がいる、これの立ち退きを求めるということをいまやっておるわけでございまして、ずいぶん昔から貸したというか、事実上はやや非合法に占領されたという形のものがかなりないわけではございませんので、これを少し強く直していくということをしなければならぬというふうに思っております。  そういう意味で、ケースによって余りにも違うわけでございますので、水準の低いものを是正していくということを何とかやっていかなければいかぬと思うのですが、なかなか思うように右から左と片づいていかないというので苦慮をいたしておるわけでございます。
  327. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  328. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 井岡大治君。
  329. 井岡大治

    ○井岡委員 まず最初に、私は、この法律を見ましてどうも納得のいかないというよりは、どうも奇異に感ずることがあるのです。そういう意味で、あらゆる法律を見て回ったのですけれども、ここに第一条の肩書きに「趣旨」と書いてある。それで、いろいろな法律を全部調べてみました。なるほど「趣旨」と書いてあるのがあるわけです。しかし、少なくとも国鉄再建をする、これは何回かにわたってやられている。閣議の決定、閣議の了解事項だけでも五、六回になっているわけです。いわば、これは大臣も言っておいでになりましたけれども、もうほとんど正念場に来た最後の案だ、こういうようにわれわれは理解している、こういうつもりで出しているのだ、こういうことでございましたし、また、私はその閣議の了解事項もずっと読ませてもらいました。私もそのように考えました。  そこで、「趣旨」、おかしいなと思って実は六法でなくて辞典を、あらゆる辞典を一生懸命探して回ったのです。そして、これは三省堂の辞典ですけれども、趣旨ということがこう書いてあるのです。「ある事をしようとする、わけ。」それから、その次に「文章や話で、いおうとしている事がら。」こう書いてある。どうも納得いかないものですから、法制局にも聞きました。これもまた、どうもわからない。わかったようなわからぬような答弁が返ってきた。  なぜこれを「趣旨」としたのか、この点についてまずお聞かせ願いたいと思います。
  330. 山地進

    山地政府委員 大変むずかしい御質問で、まず、いろいろの法律に「趣旨」と書いてあるその例、恐らく先生もお調べになったと思うわけでございますが、たとえば地方財政再建促進特別措置法にも「この法律の趣旨」とございます。それから、所得税法も「趣旨」とございます。それから、漁業水域に関する暫定措置法第一条に「趣旨」というのが書いてあるわけでございます。このほかに第一条に「目的」と書いたのも非常に多くて、現在の日本国有鉄道法も第一条は「目的」でございますし、港湾法も「目的」でございます。それから、都市計画法とか農地法とか、これも「目的」でございます。  そこで、これから先はどうも私の権限外の話になろうかと思うのでございますけれども、趣旨と目的とは一体どこが違うのかといいますと、趣旨という言葉から、いま先生おっしゃったような事柄とか趣というようなことがあろうかと思うのでございますが、私どもが「趣旨」と書いてあるいまのいろいろな法律の共通点といいますか、そういうものを見ますと、中に書いてある条文の総括的というのでございましょうか、その内容をさらっと――さらっとと言うとまたちょっと違うのでございましょうけれども内容とか基本的な考え方というものを述べているのが多いかと思うのでございます。  そこで、今回の法律になぜ「目的」がなくて「趣旨」なのかということになろうかと思いますけれども、これは第二条以下に、第二条は経営の再建の目標、それから三条には達成に対する国鉄義務、これに対する国の措置、第四条は経営改善計画のその目標等を書いてあるわけなんですね。  そこで、いってみると、この二条、三条、四条ぐらいに書いてあるのが、ある種の法律だったら、達成するための目的とかなんとかということが経営改善とか経営再建とか、そういうことで目的として出てくるものでございますから、第一条にこの法律に書いてある事柄、内容的なことを書いて  「趣旨」と、こういう例がほかの法律にもございましたので、目的というよりも趣旨の方が全体の法案を作成するのに書きよかったという事情があることを御理解いただきたいと思います。
  331. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、「ある事をしようとする、わけ。」この方に類するわけですね。
  332. 山地進

    山地政府委員 この法律の一条を一回読んでいただきますとおわかりいただけますが、「この法律は、我が国の交通体系における基幹的交通機関である日本国有鉄道の経営の現状にかんがみ、その経営の再建を促進するため執るべき特別措置を定める」、つまり、これには、そういった目的じゃなくて、どういうものが定めてあるのだ、内容的な説明を概括的に書いてあるというふうに私ども理解しております。
  333. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、これは大臣に聞かなければいけないのです。  大臣、いまの鉄監局長答弁、このとおりでよろしいですね。
  334. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大体私は局長意見と同様でございます。
  335. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、あなた方がお考えになっておる再建の目標、責務それから経営改善計画、こういうものについて修正ができる、こういうように理解してよろしいな。
  336. 山地進

    山地政府委員 いまの御質問の御趣旨がちょっとわかりかねたので、イエスかノーかというのは答えにくいのでございますけれども、要するに第一条には内容の事柄が書いてあって、それから二番目以下に目標とかなんとか書いてあるわけでございますね。だから、修正がしやすいというような御質問なんでございましょうか、ちょっといま私どもの方で……。いずれにいたしましても、こういう書き方をしたら修正がしやすい、違うことだったら修正しやすいというふうな感じを私どもは実は持っていないわけでございます。
  337. 井岡大治

    ○井岡委員 局長はこう言われたのですよ。その経営の再建を図るためとるべき特別の措置を定めるものだ。再建するための特別の措置、だから、措置である限り、あなたの考えておいでになるのはここに書いてあるとおりです。しかし、これは絶対でないと思うのです。国会というところは、与党の意見もありますし野党の意見もあるわけですから、そういうものを含めて、再建を促進するための措置であるならば、これは取り入れるべきじゃないですか。そういう意味において修正は可能じゃないですか。そう考えませんか。
  338. 山地進

    山地政府委員 私ども立場の弁護というような感じの御答弁になろうかと思うのでございますけれども、私どもといたしましては、今回のこの法律に盛り込みました特別措置というのは、昨年の十二月の閣議了解を受けまして、過去債務対策等政府の助成策、それから国鉄のとるべきいろいろの重点施策を経営改善計画の中へ盛り込んでいくというようなことでこの法律を構成いたしましたものでございますから、私ども考えとしては、長い時間の中で生み出したもので、これが一つの最善の方策であろう、かように考えておりますので、先生のお考えになっているような特別措置が私どものものといかような関係になるのかということをお聞かせいただかないと、ある種の仮定に立ってそういうふうなことをお答えするのは大変失礼かと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  339. 井岡大治

    ○井岡委員 再建するためには、この法律、二つあるのですよ。第一条に、こういう考え方で私たち再建を促進したいと思いますというのが書いてある。そして、第二条には、再建の目標ということで、そして三条からずっといろいろ書いてあるわけです。いわば再建するための目標、そのためにこそこの法律は御承知のとおり一条に「再建」という言葉があって、二条にまた「再建」という言葉があるのですよ。これは二つになっているのですよ。そう思いませんか。
  340. 山地進

    山地政府委員 「再建」という言葉は、確かに一条、二条に分かれておりまして、一条の方は、再建からずっと続けて読みますと、再建のためにとるべき措置と、それから二条の方は再建の目標と、こういうふうに再建という言葉に修飾されるべき言葉が二ついろいろな場合に使い分けがありまして、いま先生のおっしゃるように、再建を促進するためというのじゃなくて、再建を促進するための特別措置、こう私どもは特別措置の方に重点があるわけでございます。こちらの二条の方は目標に重点がある、こういうふうに思っております。
  341. 井岡大治

    ○井岡委員 そうだったら、この目的のところで修正は可能だということになるのですよ。そうしないと、あなたはこちらの方が主文であってこちらの方が目的だと言う。目的には、あなた方の考えたのはこれだけなのですよ。そのほかにこれからまだずっとやっていくわけですから。私が言う言わぬは別、社会党として考え方があるかもわかりません。その場合にあなた方はそれはやはり受け入れるということでなければいかぬじゃないですか。どうなのですか。
  342. 山地進

    山地政府委員 どうも私、先生の御質問の趣旨をあるいはよく理解できないかと思うのでございますが、ごく一般論で申し上げれば、いかなる法律も立法府の中で御議論いただいて修正ということは起こり得ることだろう、現象的にはそう思うわけでございます。
  343. 井岡大治

    ○井岡委員 私は一般論を言っているのじゃない。国鉄再建するその措置を講ずる。あなた、一般論で、これは行政府としてはこう考えるけれども国会は何だから皆さんの意見で変えるのだ、そうじゃないのです。行政府としても、ここに明らかにあなたは受け入れる条件をつくっているのですよ。(「あなたじゃないよ、政府だぞ」と呼ぶ者あり)じゃ政府政府はつくっているのですよ。だから、やはりその点については十分受け入れるなら受け入れる、ここではっきりしておきなさいよ。そうでないと、私は次のことを言えないのですよ。
  344. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは政府も閣議を経て出した法律案でございまして、あくまでも政府の原案として出しております。私たち原案を出すについては、客観的条件等あるいはまた将来にこれが施行するについての手順というものにつきまして、それなりに自信を持って出しているものでございます。修正を前提にするかと言われまして、それも考えてますというような、そんな返事をわれわれできそうもございませんし、これはあくまでもわれわれとしては最良の案として提出いたしたものでございます。しかし、それを審議していただくのが国会だということは私も認識いたしております。
  345. 井岡大治

    ○井岡委員 次に移ります。  大臣は、審議をしてもらうのは国会だ、こう言われたのですから、国会の過程において私たち考えを明らかにします。  そこで、この法律を総覧しますと、これはかなり現在の国鉄関係法を制約する、こういうことがあるわけです。たとえば運賃の問題、ここにも一つの大きな枠をあなた方ははめている。新線建設についても枠をはめている。敷設法、これに関係するのです。そうすると、これらの問題を直ちに改正しますか。日鉄法を改正しますか。これを明らかにしていただきたい。
  346. 山地進

    山地政府委員 この規定は、いまおっしゃいましたそれぞれの法律から別にこちらの方の規定を設けているわけでございますので、この法律をつくったからといってそちらの法律を改正する必要はない、かように考えております。
  347. 井岡大治

    ○井岡委員 これを改正する必要がないということになりますと、現在の敷設法をどうするのです。この中にたくさんこれはもう制約しているのです。たとえば新線については、これは採算がとれなかったらこの点についてはやめますとはっきり書いてあるじゃないですか。そんな答弁したらいけませんよ。
  348. 山地進

    山地政府委員 現在の敷設法は予定路線を定めているだけでございまして、じゃ現在でも予定路線というのはそのままつくれているのかといいますと、鉄建公団法と敷設法の予定路線はつくるというような体制になっておるわけでございますね。そこで、この法律は、敷設法というものを前提にして、基本計画に定められたものについては、いままでの敷設法、鉄建公団という法律の体系の中でこの法律というものをつくって、それで鉄建公団法も一部改正といいますか、その部分について改正をして、それで運営をしようということでございますから、必要なところではすでに改正が入っているわけでございます。
  349. 井岡大治

    ○井岡委員 そういうごまかしを言ったらいけませんよ。敷設法は予定線としてなっているのでしょう。そうして、その予定線であっても採算のとれないところは引かないのでしょう。引かないばかりじゃない、現在あるところでもそれを切り捨てようと、こう言っているのでしょう。そう言いながら、そういうごまかしの答弁をしないで、いま直ちに改正するかしないかは別として、これは当然改正しなければならない問題ですよ。それをごまかして、とにかくこの法律を通したら――私も別にこれは通さぬとか通すとか言っているのでない。できるだけ国鉄再建できるように協力をしようと思っているから言っているのです。そこのところを履き違えたらいかぬですよ。そんないいかげんな答弁はやめてください。
  350. 山地進

    山地政府委員 鉄道敷設法は鉄道のいまの予定線をつくって、それで鉄道を建設しようという長い歴史のある法律でございます。それから、今回の私ども法律は、最初から趣旨のところでお読みしたみたいに、再建のための特別措置というものを考えておるわけでございます。この再建の特別措置実施する範囲内で、鉄建公団がつくっておるAB線について、今度は民間のものにそれが移っていくわけでございますから、その限りでは民間の人が第三セクターで申請してくる場合の特別措置というものも書かなければいけないという、その再建のための特別措置という範囲内で鉄建公団法等もいじっているわけでございまして、敷設法については、いろいろな御議論があれば広く御議論いただいて、敷設法自体の問題として別途御議論いただくのが筋ではないか、私としてはかように考えております。
  351. 井岡大治

    ○井岡委員 最後の、そうなんですよ。この法律を通したことによって、現在予定をしておる予定線、これにも変更を加えなければいけない場合があるのです。そうだとすると、当然それらの法律を改正する。あるいは運賃法にしてもそのとおりなんです。いまの運賃法は、全国一律のなになんです。地方線を今度やるにして、先ほどから何回か総裁は、地方線については五割程度の値上げをしてもらわなければならぬと考えている、こう言っておいでになる。そうすると、運賃法にしても、いまの一律の運賃制度というものを改正しなければいかぬでしょうが。この法律で当面この線とこの線とこの線だけはやりますが、予定線は、あるいはそれがないところはもういいんですから、いまの法律そのままで結構なんです。矛盾するじゃないですか。そうしたら、どっちが先になるんです。再建ということになったらこの万が先でしょう。しかし、国鉄それ自体のことを考えれば、国鉄の運賃法が優先するのじゃないですか。どっちが先なんですか。
  352. 山地進

    山地政府委員 これらの法律の解釈について、そもそも先生と私どもと若干の違いがあるのかなとまず思うわけでございますが、まず、運賃法の現在の規定の中で特別運賃がとれるのかどうかということは、先生は、全国一律運賃だからとれない、こういうふうなお考えでおられるように思うわけでございますが、私どもの方は、特別運賃はとれるということでございます。  そこで、今回の特別運賃の規定でございますけれども、この規定は、読みますと、「日本国有鉄道は、地方交通線の運賃については、地方交通線の収支の改善を図るために必要な収入の確保に特に配慮して定めるものとする。」つまり特別運賃をとることができる、いままでとれなかったものがとれるようになったんだよという規定ではないのです。国鉄は経営のために特別運賃をとるように努力しなさいと、こういうふうに書いてあるわけです。したがって、私は、これは運賃法の改正にはならない。ただ、これを実施する段階で、これは前にこの委員会でいろいろ御議論がございましたけれども、遠距離逓減を使うときに、今度は遠くのローカル線に行って遠距離逓減をどうするのかというような問題がございますので、そうすると、幹線の運賃率とそちらのローカル線の運賃率が違う場合はどうするのだというのがございますから、その実施のためには運賃法の一部を改正してある、これは附則の方で改正してあるわけでございまして、その出発点のところで先生と私とが若干意見が違うということをひとつ……。
  353. 井岡大治

    ○井岡委員 やっぱりこれは統一しておかぬといかぬですよ、あなたと私との統一。私は、この法律再建をするための措置だからいま言ったようなことを認めてもらいたいと、こういうのならわかります。しかし、そうでない、意見が違うのだということになると、日鉄法それ自体をどうするのですかということです。そこのところははっきりしておいてください。
  354. 山地進

    山地政府委員 意見が違うという表現は若干あいまいな表現であろうかと思うので、私どもの解釈ではこういうことでございますので、これは政府の解釈でございます。
  355. 井岡大治

    ○井岡委員 じゃ、この問題は問題が残っておりますけれども、きょうのところはこれで次に移ります、もう皆さん大変長い時間お座りなんですから。  そこで、この法律は閣議了解に基づいておやりになった。そこで、閣議了解を調べてみたのですけれども、閣議了解は前文があって、最後のところに「「日本国有鉄道の再建の基本方針」の趣旨に基づき、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策を次のとおり定める。」そうして第一に「国鉄の経営改善措置」、そして「経営改善の実施」、そしてその次に「国鉄は、次のとおり経営改善を実施する。(1) 経営の重点化 国鉄は、都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量・定型貨物輸送の分野を中心に経営の重点化を進める。」こういうことですね。書いてあるのですね。これに基づいてこの法律をおつくりになったのですね。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  356. 山地進

    山地政府委員 そのとおりでございます。
  357. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、第三条の一項に、これだけはぜひやりなさいと、こう規定して、「基幹的交通機関としての機能を維持させるため、地域における効率的な輸送の確保に配慮しつつ」、この「地域」は何を指しているのですか。
  358. 山地進

    山地政府委員 地域という言葉は、一定の広がりのあるところと、こういうことでございまして、地域計画とか、いろいろ使われるわけでございまして、その場合には、全国的とかいうことの対語といいますか、そういうことでは部分的なという意味のニュアンスが非常に強い言葉だと思います。
  359. 井岡大治

    ○井岡委員 部分的な、こういうことですね。
  360. 山地進

    山地政府委員 いま申し上げました部分的なということは、全体が一つならば切った部分という意味で全国に対する地域、こういう言葉で私どもは使っていると思うので、そういう意味では地域は切ったら地域になるかというと、やはり一つのまとまった広がりということだろうと私は思います。
  361. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、全体の中の一地域、こういうように理解していいですね。
  362. 山地進

    山地政府委員 そのとおりだと思います。
  363. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、閣議了解事項の中に、国鉄再建をする基幹交通として都市間の輸送、それから大都市圏の旅客の輸送、こう書いてあるのです。ところが、この改善計画の中にはそういうのが載っておらないわけなんです。ですから、ほかに改善計画があるはずだと思う、この閣議了解事項に基づいて出したと、こういうのですから。そうしたら、いわゆるその改善計画を出していただけませんか。
  364. 山地進

    山地政府委員 いまの改善計画とおっしゃいましたのは、この法律における改善計画は、この法律が通りましてから所定の規定に従って運輸省提出することになっているわけでございます。  そこで、改善計画の内容といいますか、そういうものはどんなものを考えているのかということは、第四条にいろいろ項目が掲げてありますが、まず国鉄再建についての閣議了解の前に、五十四年の七月に国鉄がつくりました国鉄再建基本構想案というのがございます。これは政府の指示ではなくて、国鉄自身が考えたものでございまして、それらのことを軸にしまして、この法律に基づく改善計画を国鉄がつくって私どもの方に出してくる、こういうことになろうかと思います。
  365. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、国鉄が昨年の七月ですか、昨年の七月につくったのがあるわけですね。
  366. 山地進

    山地政府委員 昨年七月につくりましたのは国鉄再建の基本構想案でございまして、六十年度までに収支均衡して、例の年金とか退職金を除くと五百億の黒字が出るという先生承知のものでございますが、あれがもとになって国鉄の改善計画というのがこの法律に従って出てくるだろう、かように申し上げているわけであります。
  367. 井岡大治

    ○井岡委員 それでは、総裁に聞きますが、総裁は同僚の議員の質問に対して、六十年には年金等を除いて五百億の黒字が出る、こう言っておいでになった。いま鉄監局長に聞きますと、昨年の七月につくった基本構想というものがある、こう言っている。出せますか。出してください。
  368. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 昨年出しました基本構想案というのは一つの考え方を示したわけでございまして、その中に一つの最終的な目標数値は挙げておりますが、いわゆる改善計画という形で、中身を固めた形でまとめたものではございませんで、考え方の大筋を示したものでございます。
  369. 高木文雄

    ○高木説明員 基本構想案というのはもうすでに昨年の七月に公にしております。当時の新聞その他でも出ておりますし、また今般調査室でおつくりいただきました資料の中にも入っておるわけでございまして、全部オープンになっております。
  370. 井岡大治

    ○井岡委員 じゃ、これに基づいてつくるということですね、鉄監局長
  371. 山地進

    山地政府委員 これは国鉄がつくるのでございまして、私の方は、基本構想案という土台があるものでございますから、それに基づいておつくりになるだろうということを申し上げたので、国鉄総裁から御答弁をお聞きした方がいいかと思います。
  372. 井岡大治

    ○井岡委員 この計画はだれがつくるのです。
  373. 高木文雄

    ○高木説明員 経営改善計画は私の方でつくりまして運輸省に御提出申し上げるということになります。
  374. 井岡大治

    ○井岡委員 附則の第一条に、「この法律は、公布の日から施行する。」と書いてある。そうすると、何に基づいて実施をするのですか。計画ができてなければ実施できないでしょうが。
  375. 山地進

    山地政府委員 私の申し上げましたのは、この法律が公布され施行されてから国鉄は改善計画を出すということになるわけでございます。もちろん、法律成立を前提として国鉄の方で鋭意御検討になっていると思いますけれども、形式上は、この法律が通る前に改善計画を出す場合は、いまの日本国有鉄道法にも同様の規定があるわけでございますが、前の経営改善計画ということになってしまうわけでございます。
  376. 井岡大治

    ○井岡委員 そこのところが違うのですよ。経営の再建を促進するために措置を講じなければいけないと書いてあるのですよね。だから、経営を再建するんだ、そのためにこの法律をつくるんだ、そして、これはつくれました、そのときには直ちに経営改善計画を実施しなければいかぬ。そうしないと――盛んにいままで審議をしておりましたら、政府は、この法律が通ったらいままでの赤字はたな上げにします、借りた金の利子は補てんします、こう言っておいでになる。この改善計画が明らかにならずに政府は金をくれるのですか。
  377. 山地進

    山地政府委員 ここに書いてあります処置は、国鉄の経営改善計画というのが現在のところ出ておりませんので、可及的速やかに改善計画をつくっていただくわけでございますが、いまおっしゃったような改善計画ということを、これは毎年毎年改善計画を見直すような感じになっているわけですね。これを見ますと、「経営の改善に関する計画を定め、これを実施しなければならない。」ということでございますから、改善計画初年度は非常に短い時間と申しますか、そういうことになろうかと思いますけれども、毎年これは出してくる、直して持ってくる、こういうことになろうかと思います。
  378. 井岡大治

    ○井岡委員 私の聞いているのは毎年のことを聞いているんじゃないのですよ。この法律が通ったら公布し、施行をするのでしょう、こう言うのです。そして、政府は、閣議了解事項では、これとこれをやりなさい、やった場合には赤字のたな上げをしましょう、あるいは利子についてもこれまた補給をしましょう、こういうことになっているのです。だから、この改善計画というものがなくて政府は金をくれるのですかと言っているのです。何も毎年毎年改善計画をするとかしないとかということを私は言っているのではない。そこのところを質問に正直に答えてくださいよ。
  379. 山地進

    山地政府委員 先生のおっしゃるのは、改善計画を見て、改善計画をやるというのを確かめてから助成をしたらいいじゃないか……(井岡委員「いや、違いますよ。そんなことを言っていないですよ」と呼ぶ)私ども法律は改善計画を見て助成をするというふうな構成にはなっていないわけでございます。公布をすると、施行すると、改善計画の作成義務というのが国鉄には発生するわけでございますね。しかし、その改善計画が提出されなければ助成をしないというふうな規定にはなっていないわけでございまして、今年度末にこの法律ができた暁には、債務のたな上げをするように予算処置が講じられているわけでございまして、もちろん改善計画を早急につくって政府に出すということが望ましいわけでございますけれども、仮に年度末になって非常に時間的余裕がないというようなことがあっても、この法律上はそれだから、では助成をしないという体制にはなっていないということでございます。
  380. 井岡大治

    ○井岡委員 改善計画ができていなくとも、この法律が公布されれば政府は助成をする、こういうことなのですね。ここをはっきりしておかぬと……。
  381. 山地進

    山地政府委員 私の申し上げているのは、法律はそういうことになっていない。ただ、国鉄がこの法律の施行後直ちにそういった改善計画に取り組んで、その姿勢を正すといいますか、明らかにするということが非常に大事であるということは申すまでもないと思います。
  382. 井岡大治

    ○井岡委員 あなた、それはうまいことを言ったつもりでも抜けていますよ。法律はと言う。いま法律審議しているのですよ。そして、みんなで通そうと思って一生懸命になっているのですよ。それが、法律はとか言うのはどういうことなのですか。そういうその場限りの答弁をしてはいけませんよ。この法律が公布をされたら政府は補助をするのですかと聞いているのですから、するならする、改善計画ができなければできない、これははっきりしてくださいよ。そうでないと、ここは改善計画はなるほど国鉄がつくるようになっているのです。そして一変更するときには大臣にこう言わなければいかぬ、こうなっているのですよ。あなた、そこのところを笑わすようなことを言いなさんな。
  383. 山地進

    山地政府委員 この法律案では、改善計画が出なくても助成はするということでございます。
  384. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしたら、総裁、改善計画はいつごろできます。
  385. 高木文雄

    ○高木説明員 これを一度にお出しするか、あるいは部分によって分けるかというような問題がありますけれども、基本になる部分はせいぜい一月もあれば、大体内容は構想案の考え方でございますから、一月もあれば十分に出せると思います。
  386. 井岡大治

    ○井岡委員 構想はできているということであれば、案なるものはあるわけですね。あったら出してください。
  387. 高木文雄

    ○高木説明員 それは先ほど見ていただきました、昨年の七月の、先生お手元にあるはずでございますから……(井岡委員「これは基本方針じゃないですか。改善案ですよ」と呼ぶ)考え方は、基本構想案によって改善案ができるわけでございますから、それは昨年以降余り大きな違いはございませんので、それは出せるわけでございます。
  388. 井岡大治

    ○井岡委員 改善計画案として一から八まで書いてあるのですよ。あなたは、いま聞いたら、全部はなかなかできないけれども、できているものがある、構想はある、だから、この法律が公布をされれば、できるものは直ちに計画として出します。これは大臣に出さなければいかぬでしょう。あるというなら、そのあるものを出してくださいと言っているのですよ。
  389. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 いろいろ検討をしておりますものはございますが、この法律案にもございますように、まず法律案が通りまして公布いたしましてから、省令でいろいろな細目の指示があるわけです。それに従いまして、いろいろな形で計画を積み重ねたものを取りまとめるという形でございますので、総裁は一月ぐらいと申し上げましたが、私ども事務当局といたしましては、若干の日時をかけてまとめなければならないのではないかというふうに現在検討をしておる段階でございます。
  390. 井岡大治

    ○井岡委員 事務当局と総裁とが違ったのではかないませんね。しかし、加賀山常務の言を信じましょう。そうしたら、いつごろできます。
  391. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 作業といたしましては、やはり年度内にはまとめなければならないというふうに私ども考えております。
  392. 井岡大治

    ○井岡委員 国会が終わりますと、予算の編成に入るわけです。したがって、それまでに考えなければいかないのじゃないですか。そうだとすると、この国会中に少なくとも出せるはずです。お出しになりますか。
  393. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 まだそのような形においてはまとめ切っておりませんし、また予算自体の最終決定というものを踏まえまして、今後の長期の計画を立てるわけでございますから、そのまとまり方を前提にした形でまとめたいというふうに考えておるところでございます。
  394. 井岡大治

    ○井岡委員 どうもいかんね。長期の計画、それはそのとおりでしょう。ですから、毎年毎年変更がある場合は運輸大臣に申し出て承認を求める、こういうことになっていますから、それは私はそのとおりだと思います。ただ総裁は、先ほどこの八項目にわたって、全部はできないけれども早急にできるものが二、三あります、こういうことなんです。しかし、それはまだまとめておりません、こういう話ですから、私はそのとおりに受け取ります、こう言っているのです。しかし、少なくとも何らかの形においてこれの作業にかからなければ、公布をされてあなた方はこの法律がどうだということになってくると、これは直ちに一般国民に対して大きな反響を呼ぶわけです。現にいま呼んでいるわけです。これらをどうするかという考え方をまとめなければ対処できないでしょう。そのためには自治省ともやらなければいかぬですよ。また、現にやっておいででしょう。あなた方は、まだそこまでいっていませんと言ったって、一方ではちゃんとこの点はわかっているのですから。だから、その点をできるものはいつごろにできますと、こう言いなさいよ。
  395. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 本委員会においていろいろ御議論いただいておりますように、この改善計画の中身には、たとえば地方交通線の扱いというものはかなり大きな柱であるわけでございます。この問題はまだ決まらない、政令も決まりませんし、その対象になるものはどうであるかというのもまだ決まらないという段階でございますので、そういう意味で、計画を取りまとめるには若干時間が要るというふうに申し上げておるところでございます。
  396. 井岡大治

    ○井岡委員 それでは部分的、こういう話がありましたから、またもとへ戻ります。  閣議了解事項は柱を三つにしているわけですね。それに基づいてこの法案ができているわけです。ところが、閣議了解の一番おしまいのところだけをあなた方はおやりになっている。「輸送力、営業範囲の縮少等の減量化施策を講ずる。」ここのところにこの法案が出ているわけです。大都市輸送と旅客輸送というものが欠落しているのじゃないですか。これに対して案がありますか。出してください。
  397. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 大都市輸送の問題でございますけれども、これにつきまして国鉄がやってまいりました対策等を御説明申し上げたいと思います。  大都市圏といいましても大分範囲が広がってきておりますけれども、仮にいま首都圏それから大阪圏ということにとりまして、それの通勤通学旅客ということを取り出しまして、これを新幹線を除きます国鉄全体の旅客の輸送量に比較いたしますと、人キロという数字で申し上げまして、現在二七%、それから輸送人員という面から申し上げますと、首都圏と京阪神圏、大阪圏の通勤通学旅客の比率は四三%という数字になっております。このように、国鉄の旅客輸送の中でもこの大都市輸送というものがウエートが非常に重いということがわかるわけでございます。  これに対しまして、私どもといたしましては、戦後の戦災復旧に引き続きまして、大都市の人口集中に伴いまして出てまいりました輸送の隘路の打開というために、第一次五カ年計画以来今日まで通勤通学に対します投資を進めてきたわけでございます。  この五十五年十月に、首都圏では、東海道線と横須賀線の分離をするという、これは東海道、横須賀線方面にとりましては非常に画期的な輸送力の増強になるわけでございますけれども、これも十年以上の工事期間を要しましたけれども、このたび大変な御協力をいただきまして実施ができたという一つの例でございます。また、大阪地区で申し上げますと、最近では、草津線の電化あるいは和歌山線の電化あるいは片町線の複線化の問題、あるいは新快速電車の高性能化等、最近実施してきたわけでございます。  なお、現在、首都圏並びに大阪圏、それ以外にもいわゆる都市交通対策としていろいろ手を打ってきておりますが、現在工事中のものを簡単に申し上げますと、首都圏で申し上げますと、横浜線の複線化あるいは常磐線の複々線化、それから総武線の複々線化、成田線佐倉-成田間の複線化、それからこれは建設公団で建設中でございますけれども、京葉線の建設というものが行われているわけでございます。このほかに、駅改良といたしまして東京駅あるいは横浜駅、池袋駅、千葉駅といったような主要な交通ジャンクションの駅の改良にいま力を入れているところでございます。  大阪圏で申し上げますと、山陰線の京都-園部間の電化、複線化、あるいは塚口-宝塚間の複線電化、さらにその先、城崎までの電化といったような、最近輸送量が増加を見ております通勤通学を主体といたしますこれらの線区に対しまして、鋭意力を入れているところでございます。  そのほかに、たとえば名古屋付近で言いますと、大府-名古屋の線増、あるいは北九州福岡で行っております筑肥線の地下鉄乗り入れに伴います一部の複線電化といったような工事も実施している状況でございまして、今後とも、先ほどの三本の柱の一つがこういった大都市圏の都市交通でございますので、これらに対しては鋭意努力していきたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、この再建期間中の投資の規模をほぼ現状程度で抑えていくという片方の制約があるわけでございますけれども、この中にあっても、やはり重点施行ということで、大都市に対する投資というものは鋭意努力していきたいというのがただいま考えている基本でございます。
  398. 井岡大治

    ○井岡委員 乗車のキロ人口で二七%、そして収入の方では四三%、こうなんですか。国鉄の全乗車人口は二七%である。国鉄の全収入の何%ですか。
  399. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 先ほど私の申し上げました数字、もう一度確認さしていただきます。  最初に申し上げました二七%というのは、新幹線を除いた国鉄の全旅客の中の、いわゆる東京圏と大阪圏でお乗りになっている通勤通学旅客の人キロの比較でございます。人キロといいますのは、輸送人員に輸送距離を掛けたものでございます。それでいきますと二七%。それから、距離を外しまして輸送人員だけで比較いたしますと、それが四三%、こういうことで申し上げたわけでございます。  ただいまちょっと収入面での比率、手元に数字を持っておりませんので、また後ほど調べてお答え申し上げたいと思います。
  400. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、大都市圏というのはどのぐらいな距離、半径を設定しているのですか。
  401. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 大体それぞれの地域の中心から三十キロから五十キロぐらいの間をとっているわけでございますが、たとえて申し上げますと、大阪圏としていま私ども統計上とっておりますのは、たとえば東海道線で言いますと京都から西をとっております。それから、山陽線で言いますと西明石まで、西明石から東をとっております。それから、阪和線で申し上げますと和歌山までを入れております。それから、関西線で申し上げますと奈良までが入っております。それから、片町線で申し上げますと、長尾まで入っている、大体そのような範囲でございます。
  402. 井岡大治

    ○井岡委員 いまの大都市交通圏というのは三十キロでいいかどうかという問題、これは一つあると思うのです。私は、恐らくいまの通勤状態を見てみますと、大体五十キロから七十キロぐらいまでが通勤キロになっているんじゃないか、こういうように考えるのですが、その点についてはどう考えておりますか。
  403. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま私が申し上げましたのは、私どもの方でいわゆる東京圏、大阪圏の数字を統計上とります際に、どこかで区切りをつけなければいけない、まあ便宜上とった区切りでございます。ただ、ただいま私どもこういった大都市交通に対して国の方から助成をいただいておりますけれども、その助成の範囲ということになりますと、私どもがとっております範囲よりもうちょっと広がっております。したがいまして、首都圏で申し上げますと七十キロ、八十キロ付近まで入っていることになります。
  404. 井岡大治

    ○井岡委員 あなたはいま関西のことを例にとられたから、では私も関西のことで言いましょう。あなたが言われた京都、奈良あるいは明石、全部これは私鉄と競合しているじゃないですか。私鉄より二倍から、高いところだったら三倍近く運賃がかかっているんですよ。しかも、大都市の交通圏ということになれば、そういうことを踏まえて、総裁が何回も何回も言っておられた、国鉄はこういうところと競争があるけれども、ほかのところもあるので安くするわけにはいかないんだ、こう言っておられる。だから、私は、あなた方の言う都市圏というのは何ぼぐらいに設定しているんですかと聞いている。そうしたら、私の言うのはこうだ、しかし政府からは補助金はもっと長くもらっているんだ。政府自体が大都市圏としてもっと遠いところまでくれているというのなら、なぜ国鉄はそのような施策を考えないのですか。そうでないと、大都市圏の旅客の輸送ということに、これはあなた方みずから大きな違反をしているんじゃないか。そして、とにかく金だけはもらうんだ、これは虫がよ過ぎますよ。
  405. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ちょっと私の御説明申し上げたことの真意が御理解いただいてないように思うわけでございますが、実は私ども統計をとる上の一つの便法として先ほど申し上げたような区間をとっているということでございます。私どもが通勤輸送対策、都市交通対策として見る場合は、輸送の実態あるいは沿線の状況等を見ておりまして、その状況に応じてその対策をとってきているわけでございまして、先ほど申し上げました、たとえば京都から西明石以外には大都市交通対策の対策をとらないということでは決してございませんで、たとえば京都から草津に向かっての複々線化の工事なんかも、これも大都市交通対策として実施してきているわけでございます。また、湖西線というようなものも、これももちろん大都市交通対策として実施されてきたわけでございまして、先ほど申し上げましたようなきわめて近距離の、統計上とっております数字の出ておりますあの範囲内しか私どもが着目してないということは決してございませんで、実態に応じて常にその状況を見ながら対策を打っているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  406. 井岡大治

    ○井岡委員 それはそれでいいですけれども、やはり正直に答えなさい。私は別に統計上の問題とかなんとかと言ってない。国鉄は大都市交通圏という範囲をどのぐらいに見ておるのですかと、こう聞いたんです。議事録を調べなさい。私はそう聞いている。それを、統計をとったからどうだとか、これは余分ですよ。そして、私の言うことに誤解をと、私は誤解していないですよ。あなたが言うから言っているんですよ。私は、大都市旅客輸送ということが今度の再建の三つの柱になっているじゃないですか、そうしたら、大都市輸送というものについてどのようにあなた方が重点を置かれておるかということが一つ聞きたいわけです。そこで、大都市交通圏というのはどのぐらいですかと、こう聞いている。だから、三十キロと言わぬでもよろしいのですよ。何も五十キロなら五十キロ、あなたは草津と言うなら草津でいいですよ。和歌山と言うなら和歌山でいいですよ。ただ、その場合に、果たしてそれで、いまのままでいいかどうか、こういうことが問題になるだけであって、あなたは要らぬことを言っておいて、私に誤解をしたと言われたのでは私はたまったものじゃないですよ。しかも、半径で言っているんです。
  407. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私の言い方があるいは悪かったかと思いますが、輸送量という面から見て都市圏の輸送量がどの程度の数字であるかということを御説明申し上げる一つの方法として、ただいま私どもがとっております数字を申し上げたのでございまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる都市交通対策としてわれわれが見ておりますのは、場所によっては三十キロないしは五十キロという地域もありますが、東京、大阪ということになりますともう少し範囲が現在広がってきておりまして、場合によっては百キロ近く行くものもあるということでございまして、その何キロというはっきりしたことを申し上げるのはあるいは的確ではないかと思いますけれども、実態に応じてやっているということでございます。
  408. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問されておる趣旨は私もよくわかります。大都市圏交通で一体おまえらは何を考えておるのだということだと思います。おっしゃるのは、大都市圏というのは何もキロ数で決めるものではなくして、大都市に、そこに経済的に社会的に連檐し、そして、ともに一つの生活圏、経済圏等を持っておるもの、この地域をやはり対象にすべきで、キロ数で切るべきではない、これはもう当然のことでございます。だから、そこに着目して大都市政策をとらなければなりません。  そこで、一つは、われわれとして一番気になりますことは、私鉄との競合において料金が高過ぎる。これは片面において大都市交通対策をとるのだと言いながら、高いものでは乗らぬではないか、こういうお説が秘められておるように思うのです。これは実際われわれも悩んでおるところでございまして、でございますから、国鉄財政再建をする過程において、これはやはり徐々に私鉄との均衡をとっていかなければならぬだろう、こう思うておりまして、これは現在国鉄が一律運賃ということになっておるというところから、あるいはまた財政が苦しいから増収を図るために無理して上げたくない料金、料率も上げてきた、この経過もまた御理解いただきたいと思うのです。ですから、この運賃の問題はわれわれも十分に配慮していかなければならぬと思うのです。  それからもう一つ、この連檐しております地域が、私鉄と国鉄の既存の地域についてのみ開発が進んでまいりました。それがために都市の交通が一点に集中してきているということがまた問題でございまして、したがって、そういうところを私鉄の新しい投資によってやれといったってなかなか開発できるものじゃない。そこらの盲点となっておる地域、そういうところを埋めていくのがこれからの大都市交通政策国鉄としての新しい使命であるし、また、それをすることによって国鉄の発展もまた期せられる、私はこう思っておるのであります。  でございますから、先ほど一つの例と申されたような、半谷常務が言っておりますような、その中で、たとえて申しますならば片町線、これが現在のような状況に置いておるから乗客がないのであって、これをさらに都心に乗り入れる、あるいは福知山線につないでいくということによって、その地域が飛躍的に発展していく、これは当然考えられることでございます。でございますから、いま国鉄におきましてもそういう都市交通整備として鋭意努力しておる、それは一つの例でございますけれども、そういうことがこれからの都市交通の中心問題だと私は認識し、国鉄にも要請しておるところであります。
  409. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、問題は、やはり大都市交通というのは一点集中政策ではいけない。国鉄がいままで独占であった。しかし、独占が崩れたことは事実です。しかし、依然として国鉄が国の基幹であるということ、その基幹というのは単にお客を送るとかだけじゃない、いま大臣が言われたように、そこの経済の発展あるいは住民の福祉、こういうものを国鉄が担うというところに国鉄の使命がある。だから、国は補助金を出すのでしょう。そういう点を考えて、いま国鉄が計画をしておるところはどこですか、こう聞いているわけです。最初に聞いたのです。そうしたら、あなたは、大阪と東京、こう言われて、ここをやりました、やりました、ここをやっています、こういう話であって、やはりこういうところに投資をしなければいかぬというものがなければいかぬと思うのです。それが、やりました、やりましたばかりで、私はやりましたを聞いているのじゃないのです。どう投資をするのですかということを聞いているわけです。
  410. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 先ほど、現在までやりましたものと現在やりつつある工事の件名を申し上げたわけでございます。私どもの大都市交通に対する今後の投資をどうするかという方針をお尋ねだと思うのでありますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、国鉄、いわゆる鉄道の特性を発揮できる分野の一つの大きな分野、これが都市交通でございますから、私どもとしても地域の発展あるいは都市の発展に対応しまして、対策を打っていきたいというふうに考えているわけでございます。ただ、一つの制約として、やはりいまの再建途上にあって、投資の規模というものを常に考えなければいけないという面が片方にございますので、現状程度の投資規模の中で極力努力していきたいということを申し上げたわけでございます。  なお、現在工事を進めております件名について申し上げますと、近畿圏で申し上げますと、現在京都から園部までの複線電化、それから、この電化の範囲は福知山まで延ばすということで計画をし、工事中でございます。それから、福知山線が尼崎から宝塚までの複線電化、これは本年度末、来年の三月時点には使用開始になる予定になっております。それから、福知山線をさらに篠山口までの複線化と、それから福知山線の福知山まで、それからさらに山陰線城崎までの電化を含めまして、電化工事を現在実施中でございます。それから、阪和線につきましては現在八両化のための工事を実施中でございまして、それに伴います天王子駅の改良も、これと同時に実施する予定にしているわけでございます。  それから、東京圏で申し上げますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、この十月で東海道線の湘南、横須賀の分離が完成したわけでありますけれども、総武線につきましては津田沼-千葉間の複々線化、それから佐倉-成田間の複線化、常磐線の我孫子-取手間の複線化、それから東北方面につきましては、東北新幹線の建設と同時に並行してつくる予定にいたしております赤羽から大宮、さらに高崎線宮原までの通勤線の建設、それから横浜線の、大部分複線化いたしましたけれども、残っております八王子口の複線化、こういったような工事、それから駅改良といたしまして東京駅、横浜駅、池袋駅、それから千葉駅等の駅改良を現在実施中でございます。
  411. 井岡大治

    ○井岡委員 あなた方からいただいた資料ですけれども、私はこの線を言われてもこれはどこがどういう線だということがわからないのです。大阪の近くなら大体わかりますけれども、東京のいま言われたところを一生懸命……。  そこで、そのほかに三鷹から立川が予定線になっておる。私は立川などは実際問題として早急にやらなければいけない問題ではないかと思うのです。それから「尾久-王子線増」と書いてあるのですけれども、こういうところは早急にやってあげる。これが私は通勤の旅客のなにではないか。いま申し上げた立川から新宿、この前私は運賃法のときに、運賃はどういうふうにして決めるんですかと言ったら定員で決めると言うから、定員は、押しているのはどうするのかと言ったら、あなた方は、あれは押しているのと違います、こう言ったわけです。ああいうのを現実に考えてやっていくべきではないのか、そう思うのです。  もう一つの問題は、いま大阪の話をされましたから大阪の話をしますが、宝塚から尼崎まで、これ入れて、東海道線へ入りますか。ダイヤとして入らないでしょう、いっぱいで。
  412. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 尼崎-大阪間の列車回数は大分ふえてきております。福知山線の乗り入れ、これをこれからやるわけでございますけれども、現在時点ではまだ何本か入る余裕がございます。したがいまして、宝塚-尼崎間の複線電化、これが来年の春に電車運転を開始するわけでございますけれども、その時点で大阪までの直通乗り入れを実施する予定にいたしております。
  413. 井岡大治

    ○井岡委員 仮に入るということになると、一方の、どこかのところを削らなければいかぬ、こういうことになるんですよ。あなた方の方がよく知っているはずですよ。ですから、片・福線を連絡しようとしているのでしょう。そうじゃないんですか。
  414. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 将来的な問題といたしましては、いま先生御指摘のとおりでございまして、山陽線が受け持っております輸送の中に、尼崎から大阪までの間に割って入るわけでございますから、どうしてもこの間の線路容量というものが一番窮屈になるという状況でございます。したがいまして、これは大分前から計画として、現在、大阪市等と協議をいたしておりますけれども、尼崎から都心部に向かいまして新たな線をつくる。と同時に片方の片町線、現在、京橋で環状線とクロスいたしまして片町まで来ていまとまっておりますけれども、これをやはり都心に乗り入れるということも一つの大きなテーマでございますので、これを都心において結ぶということがいわゆる片・福連絡としていままで検討されているものでございます。これにつきましては、いま大阪市等と協議を進めている段階でございます。
  415. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 井岡先生質問の答えでございますけれども、それは御承知のように、いまの大阪駅のところへもう一本線を入れろということは、やろうと思ったらできないことはないけれども、なかなか大変なふくそうを来すし、また経費も高くつくことは当然でございます。したがって、かねてから計画しておりました片町線と福知山線をつなぐ。これはいわば線増工事となるわけでございますから、国鉄としてはかねてからその計画を持っておりました。たまたま国道一号が共同溝建設ということが日程に上がってまいりました。そこで、同じ共同溝を工事するときには国鉄の予定路線もその工事の中に入れたらどうだ。これは国費節約からいっても当然のことでございますしいたしますので、それがいま問題となってきております。  ところで、その国道一号線から西へ行きましてどこで福知山線につなぐかということが問題でございまして、いまお聞きされることは、東海道に入らないからずっと西へ引っ張って、山陽道を引っ張っていって、そして福知山線へつなげばいいだろう、こういうお話だろうと思うのです。けれども、それをやろうといたしますと、国鉄がいま現在考えております計画よりも相当数の経費増になるということがございまして、その増加分につきましては国鉄当局と大阪市の間で現在話し合いをしております。一方、大阪市としてはその地域に地下鉄を敷設したいという計画もあること、また事実であります。でございますから、大阪市と国鉄との間でお互いに会って話をする、そしてお互いが市あるいは都市交通の利便を図るという観点に立って話をまとめよう。先日、高木総裁と大阪市長との間でこの話し合いをいたしまして、いわば双方互譲の精神をもって積極的に話し合いをしようということでいたしておりますので、国鉄財政あるいは工事経費の中でやりくりのつく範囲内においては積極的に取り組んでいきたい、こういうことが現在運輸省の方と国鉄との間で話し合っておることであります。
  416. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣は大阪ですからよくわかっておいでになりますので、私は余りこのことを言おうとは思わなかったのですけれども、それはかねてからじゃないのですよ。この線はもう十五、六年前に大阪の都市交通審議会の答申があるのですよ。それをいままでほかしておったというだけの話なんです。これは十五、六年、もう大方二十年近くになりますよ、この案があるのは。ですから、話が出てきたのではなくてもうすでに出ているわけですから、その点だけははっきりあなた認識しておかなければだめですよ。  そこで、もう一つの問題。あなたが大阪の話をするものですから私は大阪の話をしますけれども、実は新大阪から関西線につなぐいわゆる城東貨物線、この話はもう大臣もよく御存じなんです。これは二十八年から問題になっているわけです。これなんかは線はほとんどあるわけです。加美の近くに少し残っているだけなんです。しかも、いま大阪の人口はあの方面に移動しているわけですね。そういう点から考えて当然やるべきではないのか、こういうように考えるのです。ただ、この場合、私は前にも提言したことがあるのですけれども、あれはこういうようになっている。それを高架にする。そうすることによってあそこに大きな道路がつくわけです、通ることによって。国鉄は持っている用地を当然売却するでしょう。こういう点を考えれば、それをやるだけの費用は十分出てくる、こう私は思うのです。  そこで、これは建設省に聞くわけですが、来ていますか。――あそこは大阪市としても道路をつくらなければいけませんので、都市計画の中で前からかなり審議をしている。あるいはもう審議が終わっているかもわからない。建設省の方に来ているか来てないか、もし来ておるとするならば、そういうことについて国鉄に協力をする。同時に、大阪市の都市計画というものを推進する、こういうことでやる、こういう点について何か考えがありますか。
  417. 牧野徹

    ○牧野説明員 いわゆる大阪の外環状鉄道の用地を利用いたしました道路の都市計画決定についてのお尋ねでございますが、前段のお尋ねの、私どもの方に都市計画の相談が参っておるかという点についてはまだ参っておりません。ただ、その後、今後のお話としてのお尋ねが後段にございましたが、先生御案内のように、都市計画というのは知事か市町村がお決めになるわけでございます。そこで、国鉄の用地も絡むわけでございますから、まず、われわれとしては地元の市や府において国鉄と十分御調整をされ、必要性等について十分な検討がされた上で、都市計画にも都市計画の基準等もございますので、その必要性があるということで私どもに御相談があれば、その時点で対処してまいりたい、かように考えております。
  418. 井岡大治

    ○井岡委員 もう一つ、国鉄が大都市の中を通っているためにほとんど道路交通が遮断されている、こういうのがたくさんあるわけです。一番簡単に言うと、盛んに阪和線、阪和線と言われるから阪和線の例をとります。阪和線のあの我孫子近くのところのあそこは全くあかないですよ。ですから、そういう場合に立体交差にする、こういう場合は建設省は協力しますかどうか。
  419. 松下勝二

    ○松下説明員 お答えいたします。  踏切対策につきましては、私どももかねてから積極的に推進いたしております。単独に立体交差するだけでなくて、連続立体交差、鉄道を高架にいたすわけでございますが、そういった事業につきましても、全国的に推進をいたしているところで、ございます。
  420. 井岡大治

    ○井岡委員 いずれにしても大都市の問題ですから、あなた方がいわゆるこの三つの柱の一つを落としますと、なるほどこのなにによってある程度の、これは総裁の話をそのまま聞くわけですが、私たちはこれによって、自信はないかもわからぬけれども、とにかくやりたいんだ、そしてやるんだ、こういうことなんですから、当然この大都市問題というものを抜きにしてやっておりますと、また同様の結果が出てくる。それだけに早急に大都市の旅客輸送というものについて重点的な考え方、その場合、特に大都市という定義について、どことどことどこが大都市かということが問題になるわけですけれども、たとえばこれしか通勤に役立っておらない。あなた方がいま廃止をしようとしておる、あるいは考えておる、こういうところにも都市としてはどうしても通学通勤のために入ってくるわけですね。こういう点も考慮の中に入れるかどうか。あなた方は案がないというのですから、入れるかどうか、その点をお伺いしたい。
  421. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 大都市の定義というのは大変むずかしい問題でございまして、従来から私ども東京、大阪というのを中心に考えてまいりましたが、最近におきまして、いわゆる大都市の交通の補助金というような形で政府からいただいております。その対象といたしましては、ここ逐年その数をふやしてまいりまして、大体人口が五十万ぐらいまでの都市をその対象にいたしているという状態でございまして、今後大都市という概念でとらえます段階では、その程度の範囲ではないかという考え方を持っております。
  422. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、いまの大都市ということを五十万、こういうように考えていいわけですね。
  423. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 五十万を若干下回っている都市も十四都市の中に入れておりますが、大体標準的にはその前後ぐらいが一つの目安ではないかと考えております。
  424. 小此木彦三郎

    小此木委員長 井岡委員の持ち時間の範囲内で関連質問を許します。福岡君。
  425. 福岡義登

    ○福岡委員 都市圏輸送の問題でいま井岡委員の方からいろいろ問題提起があったのですが、関連いたしまして、もう少し積極的な大都市圏の輸送対策というものを講じていただきたいという意味で例を挙げてお話をさせていただきたいと思うのです。  広島市が今度百万人を超えて政令都市になった。いま都市交通で一番困っておりますのが通勤輸送なんです。それで、建設省が街路事業計画を持っている。その分離帯の上に足を立てまして新交通システムでやっていこうというわけです。これは当面の急場しのぎとしては一つの方法だと思う。ところが、基本的にはやはり鉄道レール輸送というものがあるわけなんです。この間、広島鉄道管理局長の塩谷さんに会いまして、都市交通を国鉄が手がけぬのはなぜかといろいろ話をした。そうしますと、大体二千億円ぐらい投資がかかる、赤字の国鉄がとてもそこまでくちばしが出せない、こういうわけだ。しかし、広島市も県もやはり将来の都市輸送としてはレール輸送というものを考えている。市内はどっちみち地下をもぐらさなければならぬと思うのですが、郊外の方は路上レール輸送ということがいいと思う。ちょうど国鉄の線がここに芸備線というのと可部線というのが並行して広島市から北に通っておるわけです。われわれが考えてみますと、それを少し補強しまして、東京都のような大環状線は無理でしょうけれども、小型の環状線にすれば、広島市の都市輸送は一挙に解決をすると思う。しかし、関係者によく話を聞いてみますと、二千億円の投資をしてレールを増強していくという、そこに事業主体がない。広島市の仕事としては大き過ぎてどうにもならぬ、こういうわけです。県営でやるといいましても余りなじまない。そこで、第三セクターをつくるかという話でありますが、これも財界が乗ってこない。そうなってまいりますと、やはり国鉄がこの種の対策というものは中心になって考えるべきじゃないかと思う。  そこで金の問題でありますが、輸送力増強は政府の出資でやるべきじゃないか。環境改善、サービス向上などにつきましては、これは国鉄経費利子補給その他を政府に仰ぎながらやっていけばいいと思うのですが、新たに輸送力を増強する投資というものはやはり政府出資によってやるべきが至当ではないか。  これは広島の事情が私はある程度わかっておるから例に引いたのですが、この種のケースは全国で相当あるのじゃないかと思う。本当に都市圏輸送を国鉄が任務の三本柱の一つとして考えておられるのなら、こういう問題には積極的に取り組まれるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  426. 山地進

    山地政府委員 先日、福岡先生の御質問にあったかと思うのでございますけれども、だれが一体その交通施設の負担をしたらいいのかという基本的な問題になろうかと思うわけでございます。いまのは新交通システムというような例をお引きになって、国鉄の輸送力増強投資については国が全部持ったらいいんじゃないか、こういうようなお話に聞こえたわけでございまして、いま私どもが大都市交通施設については三〇%について補助をしているのは御承知のとおりでございまして、それ以外のものについてはほぼこれは全額自分で負担して、借入金でやって、それは乗る人に払っていただく、これが基本になっているわけでございまして、これは航空あるいは自動車あるいは鉄道、すべての原則だろうかと思いますので、国鉄について出資をするというのは、かつてイコールフッティング論でいろいろ議論があったことはございますけれども、現在においては何に全額負担したらいいのかということについてはかなり限定して議論をしなければいけないのじゃないかと私はいま思いまして、一般的に輸送力増強についてはそういうものは結局は運賃で利用者が負担していただく形で解決するというのが原則であろうかと思っております。
  427. 福岡義登

    ○福岡委員 投資のやり方はいろいろ議論がありますから、われわれの主張はそういう主張なんですけれども、これは別の機会に譲るといたしまして、当面は国鉄の新たな使命として都市間輸送、大都市圏の輸送、貨物の大量定型というものなんですから、その中の一つの都市圏輸送というものをどう考えるかということを聞いておるわけで、国鉄が新たな分野といいましょうか、そういうものに積極的に取り組んでいく、そういう姿勢が欲しいということを言っておるわけであります。  ついでに申し上げますと、さっきの新交通システムでございますけれども、陸運局長に会って陸運局長見解をお聞きしました。私はそんなことはよく知りません、こう言う。ここに交通行政のばらつきが見られるわけで、広島市を中心にした都市輸送というものをどうするかということは、県も入り、市も入り、そうして運輸省も入り、国鉄も入り、そうして総合的に協議をされて出される結論が私は交通行政のあり方だと思うのです。それがなされてないのです。ですから、前段で申し上げておりますのは、そういう国鉄の大きな使命の一つである都市圏輸送についてもう少し積極的に取り組むことを考えてもらえないか。十五日の私の発言の時間にも申し上げましたように、国鉄の事業量、事業分野というものはもう少し将来を大きく見て、そうして拡大をしていく、そういう観点からもぜひ見直していただきたいと思うのですが、広島の例は事情がわかっておるから引いただけで、この種のケースは全国何カ所かあると私は思うのですよ。その点について運輸大臣、いかがでしょう。
  428. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 広島の問題につきましては、先ほど関係者の方から答弁いたしましたので、私は一般論から申し上げさせていただきますと、当然これからの国鉄の新しい分野開拓、そして再建の柱というものは、おっしゃるように都市圏内における輸送の増強、そして、しかもそれが私鉄とかなんとかでは、他の機関ではできないようなところをやはり国鉄が使命としてやっていくことだと思うのです。ただ、いままでは国鉄といたしましても新幹線に重点投資いたしておりました。これはまた国土の均衡ある発展を図るという意味から重要であったと思う。この投資が大体五十八年を一つの山場にいたしまして逐年下がってくると思うのです。そして、整備新幹線につきましては新しい財源を付与して、新規財源のもとで整備新五線を進める、これが国鉄の一つの考えでございます。そうしますと、投資的な経費に少しの余裕をつくるようにいたしまして、それらは今後都市圏内の輸送であるとかあるいは大都市間の輸送であるとかいうような、在来線のスピードアップなんというのもそういうところに含まれてくると思うのでございますが、積極的に取り組んでいくべきだ、こう思うております。
  429. 福岡義登

    ○福岡委員 鉄監局長のさっきの答弁は、一般論として投資のあり方についての見解が述べられたわけです。それはきょう私は議論は外したわけなんですね。いま申し上げておりますのは、都市圏輸送というからには、国鉄の前に運輸省が全然知らぬということはおかしいじゃないか。どこからか言うてくれば三割の補助をして、あとは運賃で負担してもらうということだけではちょっと困るのじゃないか。日本全国の交通政策については運輸省が元締めなんですから、地方からの意思表示も必要でしょうが、やはり全国的にながめてみて都市圏輸送はどうなっているか、そういう実情を把握した上で政策を立案してもらわなければ困る。広島もさっき言いましたように、陸運局長は話は聞いておりますけれども相談にはあずかっておらぬと、こう言うわけです。国鉄は、出先の局長は、当然国鉄がやらなければならぬと思うけれども火の車で口出しもできぬと、こういうことであります。  そういう意味で、もう少し、この再建法が通るか通らないか、それは私はわかりませんけれども、仮に通ったとすれば、やはり国鉄を見直すということと同時に、あわせて全体的な交通政策の中で国鉄の分野というものを考え直してもらうということも必要である。少なくとも当面の交通システムについてわれわれとしても急場しのぎでやむを得ぬと思っておりますけれども、これで問題の解決にはならぬ、こう思いますので、もうきょうこれ以上言いませんけれども、都市交通についてひとつ十分御検討いただきたいと思います。
  430. 井岡大治

    ○井岡委員 いろいろお尋ねをいたしました。しかし、私はこの法律は、最初申し上げましたように、単にこうやりたいのだというだけの問題でなくて、国鉄のいわゆる根幹にかかわる問題を多く含んでおります。その一つ一つを言うておったら大変なことになりますから私はそれはきょうは省略いたしますけれども、少なくともこの法律で、あなた方わかっておってわからないと、こう言っているわけですから、施行後仮にこの法律に基づいてこういう問題が出てきましたからというときには速やかに委員会に諮ってもらいたい、このことを要望して私の質問を終わりたいと思います。     ―――――――――――――
  431. 小此木彦三郎

    小此木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、来る二十四日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  432. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  433. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十九分散会