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1980-09-26 第92回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年九月二十六日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    佐藤  隆君       菅波  茂君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       丹羽 兵助君    保利 耕輔君       三池  信君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       田中 恒利君    竹内  猛君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       近藤  豊君    寺前  巖君       野間 友一君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  委員外出席者         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省経済         局統計情報部長 関根 秋男君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         林野庁長官   須藤 徹男君         水産庁次長   山内 静夫君         中小企業庁計画         部金融課長   米山 揚城君         気象庁予報部長         期予報課長   菊池 幸雄君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         労働省職業安定         局雇用保険課長 守屋 孝一君         建設省河川局治         水課長     井上 章平君         自治大臣官房参         事官      池ノ内祐司君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(異常低温等によ  る農作物等減収対策)  派遣委員からの報告聴取  異常低温等による農作物被害等対策に関する  件      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本委員会は、去る九月二十二日から、異常低温等による農作物減収等実情調査のため、東北地方及び九州地方にそれぞれ委員を派遣しました。  この際、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたしたいと存じます。菊池福治郎君。
  3. 菊池福治郎

    菊池委員 私は、去る九月二十二日から昨二十五日までの四日間にわたり、宮城県、岩手県、青森県における異常低温等による農作物減収等実情調査のため派遣されました委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  当班の派遣委員は、田邉委員長を団長に、五沢委員田名部委員串原委員神田委員野間委員と私、菊池の七名でありますが、現地において吉浦委員木村委員が参加されました。  まず、簡単に調査日程を申し上げます。  当班の調査宮城県から北上したのでありますが、第一日目の九月二十二日は、宮城県庁において県当局等から総括的な説明要望を聴取し、直ちに、仙北平野穀倉地帯中心であります迫町に赴き、飯土井地区被害調査をいたしました後、北上山系を越え、太平洋沿岸の本吉町南明戸地区に参り、水稲被害実情調査いたしました。  次いで、第二日目の二十三日には、関係者の皆様に休日の返上を願い、岩手県庁において総括的な説明要望を聴取した後、北上山地の山形村荷軽部地区及び太平洋沿岸の久慈市夏井町大崎地区調査し、再び内陸部に戻り、軽米町小笹米増子内地区及び二戸市堀野地区調査いたしましたが、途中、大野村二ツ谷地区を通過する際には、われわれ調査団の来訪を伝え聞き、村民の皆さんが沿道を埋め尽くし、被害実情をぜひ聞いてほしいとのことで、予定にはありませんでしたが、一同バスをおり、切々たる訴えを伺ってまいりました。続いて青森県に入り、名川町のブドウの晩腐病の現地を視察し、八戸市に至り、青森上北以南地方の代表から要望を聴取いたしました。  第三日目の二十四日は、効率的に現地調査を進めるため、八戸市の水稲中心市川地区田畑作東北乙供地区現地調査を行った後、青森県庁において総括的な説明を聴取いたしました。次いで、水稲中心青森後潟地区、蓮田村汐越地区、中里町今泉地区、市浦村太田地区と、南部地方から津軽地方に至るまでの現地調査を行い、三日間にわたる調査完了、昨二十五日早朝帰京し、全日程を終えたところであります。  いまここに帰任し、昨日までの調査を振り返って見ますと、この夏の異常気象は、明治三十五年、同三十八年及び大正二年の三大冷害の年にまさるとも劣らないものであり、各地気象台開設以来の記録に特記されるところでありまして、今日のような近代社会のもとでなかったならば、天明の飢饉以上の社会不安と混乱を招いたことは、全く想像にかたくないところであります。  そこで、今回の農作物被害を与えました異常気象概要を申し上げますと、全国的にはオホーツク海高気圧の持続的な発達によってもたらされたものでありますが、仙台では、七月の平均気温が十九・九度と平年を二・三度下回っており、降水墨が四百四十四・五ミリメートルで平年同月の二・六倍と多く、日照時間は九十一・四時間と、これは平年同月に対して六五の比率に落ち込んでおります。盛岡においては七月から八月にかけての真夏日日数はゼロであり、七月二十三日から八月三十日までの三十九日間は毎日の平均気温が連続して平年を下回っております。また東北地方太平洋沿岸のいわゆるやませといわれる偏東風による濃霧が、宮古市では八月に二十九日も発生しております。さらに、青森では、七月、八月の平均気温がそれぞれ十八・七度、十八・三度と低く、八月の毎日の平均気温が二十度を下回った日数は二十四日にも及んでおります。  このように、各地区とも七月以降の記録的な異常低温日照不足及び多雨の天候が続いた結果、東北地方、とりわけ太平洋岸地帯に未曾有の大災害をもたらしたのであります。  次に、農作物生育概要被害状況等につきまして御報告申し上げます。  まず、水稲につきましては、六月末までの初期生育は比較的順調でありましたが、七月に入ってからの低温日照不足により、生育が次第におくれてまいりましたところ、七月中旬から八月上旬の異常低温に遭遇し、ちょうど出穂期を迎えたものは出穂ができず、また、たとえ出穂しても開花気温に達せず、開花受精が行われないなど、不稔が多発したのであります。さらに九月に入りましても、天候は好転せず、開花受精したものでも登熟が進まず、これからも登熟上昇は全く望めない状況であります。  このため、宮城県の山間高冷地帯県北地帯及び太平洋沿岸地帯におきましては、作付の多いわせ種などに四〇ないし八〇%の不稔粒発生が見られ、さらに八月末に多量の降雨がありました県北地域では、三千五百三十二ヘクタールに及ぶ冠水や浸水があり、被害を決定的にしたようであります。     〔委員長退席羽田委員長代理着席〕  岩手県におきましては、太平洋沿岸部を初め、北上山地北部山間地帯では、品種や栽培法による区別はなく、いずれも出穂のおくれと不稔が多発したことによりまして、全般収穫皆無の圃場が見られており、県全体でも三〇%以上の障害稔発生面積の割合は五〇%以上にも及んでおります。  さらに青森県におきましては、低温等に加え、先ほど申し上げましたやませが強く、かつ、広範囲にわたって内陸深く侵入しました関係で、上北地方中心に二万ヘクタールの水稲は実質的に収穫期待できない状態であります。また比較的影響の少ないと言われておりました津軽地方でも、作柄は相当低下しており、特に津軽半島陸奥湾沿岸日本海側平野部にも皆無作が見られました。  いずれにいたしましても、季節的にはすでに実りの秋を迎えているにもかかわらず、いまが出穂期のごとく青々としているものや、日照不足のため、草丈が伸び切れないまま形ばかりの穂をつけているのがほとんどという実情でありまして、中には色づき、遠見に収穫のときを思わせるものがありましても、それは実りのない薄いもみがらばかりのもので、せめてあの圃場だけでも、あるいはこの場所でもと、実り期待して近づけば、すべてが期待を裏切るものばかりでありました。  どこの圃場でも、穂からもみをとり、コップの水に入れると、紙のごとく浮かぶのが見えてまいりまして、いまさらながら、異常災害実態を前にして、茫然とたたずむ農家を慰めるすべもないありさまでありました。  こうした状況から見まして、過般農林水産省が公表した九月一日現在の作況指数では、対平年比で宮城県が八八、岩手県が八三、青森県が五九となっておりますが、最終的には相当にこれを下回ったものとなることが確実視されるところであります。  次に、水稲以外の農作物でありますが、全般生育がおくれ、各地に多くの被害発生しております。すなわち、開花最盛期の大幅なおくれによるさやつきのきわめて少ない大豆を初め、開花受精が不良でこれもさやつきの少ない小豆や実のないソバが目立ち、ほとんど皆無作と言えるほど被害が甚大であります。また、野菜低温障害に加えて長雨による生育のおくれから、根が腐敗するまでに至り、トマト、ピーマンのように地上で被害が判然としているものばかりでなく、ナガイモや大根、あるいはニンジン等にも奇形、矮小などのほか、病害が多発しております。冷害に強い牧草でさえも生育が悪く、その上、乾燥が十分にできなかったことによる腐敗などの被害があるほか、青刈りトウモロコシも未熟で、畜産農家に与える打撃ははかり知れないものがあると思われます。さらに果樹についても玉伸び不足や過湿からくるブドウの晩腐病等影響が深刻にあらわれております。  したがいまして、一昨二十四日には、農林水産省から、七月以降の冷害等による農作物被害概況が公表されましたが、これによると、東北地方中心にほぼ全国の二百六十一万三千ヘクタールの農作物に甚大な被害が出ており、県別には青森県が約九百十二億円と最も大きく、次いで岩手県が約六百二十六億円で、宮城県は約四百二十二億円となっておりますが、今後さらに相当の額に上るものと判断されます。以上が現地調査概要でありますが、半年もの間わが子のごとく慈しみ、粒々辛苦を重ねて育ててきたにもかかわらず、青立ちのまま枯死寸前の稲や、荒々しく踏みつぶされたような畑作物現地を見ますと、これからの生活を考え、われわれ調査団に切々と訴える農家方々の姿はまことに痛ましく、調査団一同は、救済措置に万全の努力を約束するとともに、これにくじけることなく、今後の農業経営維持のため努力を続けられるよう心から激励をしてまいったところであります。  続いて、各県並びに地元から出されました各種の要望のうち、主要なものを取りまとめて申し上げます。  第一点は、資金対策についてであります。  今回の冷害につきましては、激甚災害法適用されるのは確実でありますが、収穫皆無等被災農林漁家実情を考慮して、直ちに天災融資法の発動並びに激甚災害法適用を行い、融資限度額の引き上げ、償還期限延長等融資条件緩和を含めて、早期貸し付けができるよう特段措置を講ずるとともに、その間のつなぎ融資が十分借り受けられるよう、指導等徹底方配慮についての要望がありました。また、生活資金としての自作農維持資金漁業経営安定資金を初め、農業近代化資金農業改良資金等につきましても、融資枠の拡大及び融資条件緩和を行うよう強い要望がありましたほか、生活営農資金低利融資制度の新設に対する要望がありました。  第二点は、農業災害補償法に基づく共済制度の円滑な運営についてであります。  すなわち、損害評価を迅速に行い、被災者に対する共済金早期に支払うこと及び共済損害評価事務費助成増額につきまして強い要望がありました。  第三点は、被災農家生活安定対策についてであります。  東北地方は日本の食糧基地一つであるにもかかわらず、地域によっては飯米すら収穫ができない状態にあります。したがいまして、飯米確保のための救援米の支給や低価格での払い下げ、または、出世払いと申しますか、来年あるいは再来年の出来秋まで現物貸与等措置を早急にとられるよう切望がありました。また、これと関連して、米穀の事前売り渡し申込制度による概算金の返納について、その返済に支障を生ずる農家に対しては、返済期間延長や分割払い及び金利の免除等措置を講ずるほか、生育過程での障害により、青米や未熟米など大量の低品位米が産出されると見込まれるところでは、農家が安心して被害米収穫ができるよう、等外米及び規格外米政府買い入れ等が行われるよう要望がありました。  第四点は、救農土木事業国有林野事業における雇用拡大措置についてであります。  御承知のとおり、今回私どもが調査いたしました地域は、地元における他産業への就労の機会が少ないところで、このたびの冷害による経済的窮迫は、従前にも増して被災農家皆さんの出かせぎを余儀なくし、このことは今後の農業経営村落運営の面の破壊にもつながるゆゆしい事態を招くわけであります。今回のような低温による災害は、公共施設等施設面での被害を受けていない関係上、災害復旧公共土木事業がありませんので、県及び地元市町村は、これに対処して、いわゆる被災者のためになる救農土木事業の着手に特段努力を払っているところでありますが、これら事業を推進させるため特別交付税増額等、強力な助成を行うよう強い要望がありましたほか、国有林公有林及び民有林の除、間伐事業治山治水事業につきましても、その実施方について特段配慮を求められました。  第五点は、第二期の水田利用再編対策実施についてであります。  今般の深刻な冷害による被害状況から、被害農家は二期対策について耳をかすゆとりは全くない状態で、二期対策冷害対策の万全の措置が講じられた後になされるべきであるとの強い要請がありました。さらに第二期対策についても、被害地域に対しては、当分の間凍結措置をとる等の特段配慮が払われるようあわせて強い要望がありました。  第六点は、恒久対策としての冷害回避技術の確立であります。  今回のような冷害が特異なものであったとしても、二度と再び起こらないとはだれも保証できないのであります。したがいまして、今後このような悲惨な情景が東北で見られることのないよう、これを契機として、安定多収が図られるための試験研究充実等技術体系の早急な組み立てとその明示が要望されました。  このほか、再生産確保するため、優良種子確保とその配分に当たっての助成措置家畜越冬飼料確保のため、青立ち稲等有効利用に要する経費についての助成措置農業生産資材価格上昇抑制措置等を初め、被災農家に対する所得税減免措置に至るまで、二、三十項目に及ぶ切々たる要望がありました。  以上、時間の関係上十分意を尽くせない点もありましたが、第一班の東北三県における冷害被害実情調査と、各地で熱心に訴えられた要望について、その概要を御報告申し上げました。  先ほども申し上げましたとおり、東北地方わが国最大食糧基地であり、食糧自給力の強化が再認識され、重要な政策課題一つとなっている今日、その果たす役割りには、ますます大きな期待がかけられているのであります。  政府においては、このような見地からも、現地で打ちひしがれ、つかむわらさえもなぐ途方に暮れている被災農家方々の姿に思いをいたし、血の通った温かい手を差し伸べ、一日も早く万全の対策を講ずるはもちろん、各地における万般の要望について、その期待に十分こたえられるよう強く善処を要請して、報告を終わらせていただきます。
  4. 羽田孜

  5. 福島譲二

    福島委員 第二班の派遣委員を代表して、私から調査結果を御報告申し上げます。  第二班は、松沢俊昭君、小川国彦君、竹内猛君、田中恒利君、日野市朗君、武田一夫君、寺前巖君と私の八名に、現地から稲富稜人君三池信君、保利耕輔君の参加を得て調査団を構成し、去る九月二十二日から二十四日までの三日間、福岡佐賀の両県において、異常低温等による農作物被害等実情調査を行ってまいりました。  まず第一日の九月二十二日には、空路福岡県に入り、福岡県当局から県下農林水産業概況及び異常気象等による農作物被害状況説明をいただき、その後、八女市、星野村、吉井町で現地調査を行いました。  最初に、県当局から事情聴取いたしました概要を申し上げます。  まず、福岡県下の本年七月から八月にかけての気象は、降水量気温日照時間とも福岡管区気象台創設以来の異常を記録したとのことでございまして、降水量は平年の四・二倍にも達し、特に八月末には日雨量、瞬間雨量も新記録となる集中豪雨等に見舞われました。平均気温を見ましても、七月は平年より一・六度も低く、八月は平年を二・八度も下回り、さらに日照時間については、七月が平年の五八%、八月が同三三%ときわめて少なく、このため、九月十三日現在で農地及び農業用施設被害総額で百四十九億円、農作物関係被害総額で百四十八億円という甚大な被害をこうむっているとのことでございます。  農作物被害では水稲被害額の約六割を占め、約八十五億円の多きに達しております。これは、県下の稲作の作付面積が多かれ少なかれさきに申し述べました異常気象影響されて生育不良となっており、その減収量は約三万トン、減収率は九・三%と見込まれるとのことであります。  また、水稲被害のほかでは、果樹が落果、裂果、品質低下を来し約二十五億円、野菜が根傷み、病害、着花不良を起こし約十九億円、花卉類が湿害、生育不良、病害により約九億五千万円、大豆が湿害、生育不良で七億六千万円、飼料作物生育不良、冠水で約二億五千万円の被害をこうむっているとのことでございます。  なお、この被害額は、その後襲来した台風十三号の影響水稲の倒伏、もみずれ等が見られ、被害はさらに増大するのではないかとの懸念が持たれているのが現状であります。  このような被害状況にあるため、県当局においては異常気象対策本部をいち早く設け、技術指導徹底を図るなど全力を挙げてその対策に取り組んでおられることがうかがえたのでありますが、何分被害額が大きく、政府対策及び援助を得たねばならないところが大であり、国としても万全の対策を講じてほしいとの要望を承ってまいりました。  その要請の要点は、一、天災融資法及び激甚災害法早期適用を行うこと、二、災害復旧事業予算増額すること、三、水田利用再編の第二期対策による転作等目標面積の設定に当たっては、今年の異常気象による水稲作況農家経済実態等を十分配慮すること、四、種子用大豆確保すること、五、畜産施設用地災害復旧助成措置を講ずること、六、規格外米政府買い入れを行うこと等であります。     〔羽田委員長代理退席委員長着席〕  また、われわれは、福岡農協中央会等からも、さきに申し述べました各項目についてその対策に万全を期するよう数多くの陳情を承りましたが、特に、水田利用再編対策の第二期の転作目標面積配分については、冷災害等の事情を勘案し、一年間現行の面積で凍結してほしいとの強い要請を受けてまいりました。  次に、現地調査に参りました市町村での被害状況について申し上げます。  八女市では、きく育苗センターを視察した後、農家圃場において電照菊被害調査を行いました。同市では、菊栽培は粗生産額水稲に次ぐ位置づけを持っておりますが、今年は作付面積六十六ヘクタールのうち被害面積は六十二ヘクタールにも及び、被害減収量は七百六十五万五千本、被害額は四億六千万円にも達し、市全体での減収率は二六%とのことでありますが、われわれが視察した忠見地区は、冷害とたび重なる冠水等により特に発育がおくれ、その被害率は三五%と予想され、菊栽培農家に大きな不安を残している現状を見てまいりました。  星野村では、水稲被害調査を行いましたが、その被害は全作付面積に及び、村全体の減収率は一五%と見られておりますが、われわれが視察した合瀬耳納地区は、かなり標高の高いところであったこともあり、被害率は五五%にも及ぶとの説明がありましたが、生育も十分でなく、また粒数も少なく、いもち病による枯死等も多く見られ、見た目ではとても半作とは思えなかった次第であります。  また、古井町でも水稲被害は全域に及び、減収率は一〇%との説明でありましたが、われわれが視察した清瀬地区では、水稲生育不良、病害等が見られ、派遣委員の中には、被害率説明以上ではないかとの指摘がなされていたほどであります。  このような被害水稲にとどまらずすべての農産物に及んでおり、特にブドウ品質低下による被害がきわめて多いとの報告を受けてまいりました。  第二日の九月二十三日には、朝倉町に入り、筑後川の山田きの決壊現場調査を行いました。  この山田ぜきは約三百年前に設置され、朝倉町及びその隣接の甘木市の六百七十二ヘクタールの灌漑を行っているものでありますが、八月末の洪水により野面空石張りが流失し取水不能となり、その被害額は約六億円にも及ぶと言われております。現在は、応急対策としてポンプアップして用水確保がなされておりますが、明年度用水確保のため早急に復旧の要があり、地元関係者から切実な要望を承り、福岡県の日程を終了し、佐賀県へ向かいました。  佐賀県では、県当局から、県下農林水産業概要及び異常気象等による農作物等被害状況説明をいただき、その後、小城町、白石町で現地調査を行いました。  最初に、県当局から事情聴取いたしました概要を申し上げます。  佐賀県におきましても、福岡県と同様、本年の長雨日照不足低温等異常気象により多くの被害が出ております。特に、佐賀県では、七月以降たび重なる集中豪雨がその被害を大きくしております。  九月十八日現在の農林関係被害額は、農林業で二百九十七億円、うち農畜産物等九十四億円、農地六十二億円、農業用施設百十一億円、林業三十一億円となっております。  農作物被害額は、水稲で五十一億円、野菜二十億円、果樹十三億四千万円、大豆四億一千万円、飼料作物四億四千万円、花卉一億二千万円と報告されましたが、その後の天候状況から見て、水稲大豆などは被害の増加が予想されるとのことであります。  このため、佐賀県では、県、市町村農林漁業団体で構成する異常気象農林対策本部を県に設置し、被害の防止に全力を挙げておられるところであります。国としても、これに対応し、災害復旧早期完了のほか、災害資金枠の増大、農業共済金早期支払い規格外米等の全量政府買い入れ償還金等延納等措置を早急に講ずるよう要請を承ったところであります。  なお、この席上、佐賀県、熊本県、福岡県の漁業協同組合連合会関係者から、諌早湾締め切りによる農地造成用水確保を目的として進められようとしている長崎南部地域総合開発事業の中止を求める要請を受けましたことを申し添えておきます。  次に、現地調査を行いました市町村調査概要を申し上げます。  われわれは、まず小城町右原地区で集団転作大豆被害状況を見たのでありますが、約九ヘクタールの作付面積のうち、牛津川の溢水による冠水収穫皆無が七・四ヘクタール、八〇%以上の被害地が一・六ヘクタールという状況報告され、われわれは、すでに根腐れし、完全に枯死している大豆を手にとって見たのでありますが、われわれの調査を見守る多数の農民の苦痛は察するに余りあり、忍びがたいものがありました。  次に、白石町の有明干拓地区を訪れ、同地区水稲被害調査を行ったのでありますが、七月の大雨による長時間の冠水水稲が枯死し、改植、補植が行われたものの、その後の日照不足低温等異常気象生育不良を起こし、さらに八月末の再度の大雨で長時間の浸冠水を見、ポンプアップによる応急的な排水対策関係者の懸命な努力によりなされたものの、稲の減数分裂期、出穂前という生育に大切な時期であったことが原因し、大きな被害を生み出すに至ったということであり、不稔もみが多く、特に七月以降に改植した水稲においては収穫はほとんど期待できない状況となっております。なお、この干拓地は地盤沈下が激しい上に、有明海の干満差が大きいという地形にあり、町当局からも抜本的な排水対策要望されたところであります。  最終日の九月二十四日は、まず、唐津市の虹の松原の保護管理の状況の視察を行いました。  虹の松原は、江戸時代の初期に造成された幅四百メートルから七百メートル、長さ四千五百メートルに及ぶ防風林で、現在も、国有の防風保安林兼潮害防備保安林として内陸の水田や住宅を保全するとともに、景勝の地として良好に保存育成されておりました。  この松林の保護に関して特筆すべきことは、昭和四十年半ばから再びしょうけつをきわめているマツクイムシの被害に対して、全国に先駆けて昭和四十八年から適期に薬剤の空中散布を虹の松原及びその周辺地域に行い、その結果、被害が激減し、今日では被害木がほとんど見当たらなくなっていることであります。この空中散布の実施に当たっては、危害防止のため、国、県、市及び地元住民が一体となって協力体制をつくり、利害関係者等への周知徹底を図るとともに、住家、農業、漁業等に被害を及ぼすおそれのある個所をきめ細かく散布除外区域として的確に標示し、風向、風速の観測を行いつつ、薬剤が区域外に飛散することを防ぐなど、成功の陰には並み並みならぬ努力の跡がうかがえました。  次に、唐津市、鎮西町、肥前町、玄海町、呼子町、北波多村の一市四町一村にまたがる国営上場土地改良事業並びに県営畑地帯総合土地改良事業を視察いたしました。  当地は、佐賀県の北部、松浦半島の標高百メートルから二百メートルの台地地帯で、道路網の未発達、用水不足、強風の吹きさらし等のため開発がおくれていたのでありますが、昭和四十八年来、さきに述べた事業によって、道路の建設、松浦川からの揚水及びその貯水ダムの建設、圃場の整備等が着手されております。現地におきましては、国営事業と県営事業との進行状況の差異による営農上の問題等について要望がなされました。  なお、当地には、三十五歳以下の後継者四百五十余名による上場開発研究青年同志会が結成されており、若々しい息吹で、この開発に期待を寄せつつ、土づくり、作物の販路づくり等の研究を活発に行っており、その活躍の様子は、厳しい状況を見聞し続けてきた今回の調査の中で、一条の曙光を見る思いがいたした次第であります。  以上が、両県の被害調査概要でありますが、われわれ調査団は、災害地でさきに申し述べましたように数々の要請を承り、災害で苦しむ農民や県、市町村関係者を前に、十分なる対応策が樹立されるよう全力を尽くすことをお約束してまいりました。  本委員会におかれましても、今次の冷災害の特異性を十分検討され、悲嘆に暮れる農民に対し、あすへの希望をつなぐ手厚い対策を打ち出すべく、政府を督励されるよう強く要望し、報告を終わります。
  6. 田邉國男

    田邉委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。  次に、政府から、昭和五十五年七月以降の冷害等による農作物被害概況について説明を聴取いたします。渡邊官房長
  7. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 本年の冷害等によります農作物被害概況とその対策について報告申し上げます。  被害概況は、本年七月以降オホーツク高気圧の持続的な発達によりまして、低温日照不足等の異常気象が北日本を中心にほぼ全国的に続きまして、水稲中心農作物に著しい生育遅延あるいは開花、結実、登熟または肥大の不良並びにいもち病を初めとします各種関連病害発生いたしました。  九月十五日現在での被害応急調査実施いたしまして、中間的な被害見込み金額を取りまとめたところでございますが、お手元にお配りしております統計情報部資料の農作物被害概況にございますように、その結果は、農作物被害総額は約五千六百七十九億円に達しております。  概要を申しますと、作物刑では水陸稲が約四千四十四億円と最も大きくなっております。被等総額の七一%を水陸稲で占めておるわけでございます。このほかでは野菜が約七百三億円、果樹約二百九億円、これらが主なものになっております。  また、地域別に見ますと、東北地方被害が最も大きく、被害見込み金額は約二千六百九十五億円で、被害総額のほぼ半分を占めております。次いで、北海道の約九百三十一億円、関東の約六百四十九億円、中国、四国の約四百七十七億円、九州の約三百六十八億円等となっております。  今次の冷害等に対しまして、これまで当局としてとりました措置について簡単に御報告させていただきます。  八月以降の異常低温に対しまして、いもち病の防除等の技術指導実施したところでございますが、事態の推移にかんがみまして、八月二十九日農林水産省異常気象対策本部を設置いたしました。早速現地調査実施することにいたしまして、東北地方、中国地方に五班編成で現地調査実施いたしました。  また、九月十二日から九月二十五日にわたりまして、農林水産大臣、衆参両政務次官が東北、九州の現地調査に参りました。かつ本部といたしましては、被害応急調査実施するということで、九月一日と九月十五日現在での応急調査実施することを決めたわけでございます。  さらに九月五日には、農業共済関係につきまして、損害評価共済金等の早期支払い体制の確立に関する通達を発しまして、準備体制を整えさせました。同時に、稲の種子のあっせん、確保等についての指導通達も出しました。  九月一日の被害応急調査結果を踏まえまして、九月十一日、異常気象対策本部災害対策本部に切りかえまして、各種の冷害対策の早急に実施すべき体制をしいたわけでございます。  先ほど御報告しましたように、九月十五日現在の被害状況が、五十一年の冷害被害金額、これが全国で約四千九十三億円でございまして、これを上回るような深刻な事態にかんがみまして、被災地を初め関係方面の強い要望を踏まえ、天災融資法及び激甚災害法の発動を行う方針でございますが、被災農家に対しましては、それまでの間のつなぎ融資あるいは既貸付金についての貸付条件の緩和措置をとるよう九月二十四日付で経済局長名をもちまして関係金融機関に対し依頼をしたところでございます。  また、共済金早期支払いを行うほか、被災農家の就労対策あるいは営農対策飯米確保等の米の対策等、各般にわたる適時適切な災害対策を講じまして、冷害対策についての万全を期してまいりたいと考えております。  以上をもちまして報告を終わります。
  8. 田邉國男

    田邉委員長 以上で説明は終わりました。
  9. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里貞利君。
  10. 小里貞利

    ○小里委員 亀岡農林水産大臣には、七月中旬農林水産大臣就任早々、年中行事ではございますが、米価問題という大変大きな課題も一応処理されました。また引き続いて、それにまさるとも劣らないきわめて重要な冷害という問題が到来をいたしております。新聞などによりますと、承りますところ、大臣を初め農水省では日夜これが対策に取り組んでおいでになりますことをよく承っておるところでございますが、先ほども農水省の方から事務ベースの現段階における災害概況報告もございました。あるいはまた、大臣はおくれておいでになりましたけれども、先ほど福島あるいは菊池調査班より災害概況報告も行われたところでございます。  明治三十八年以来の、長雨低温日照不足、大変な異常気象でございまして、これは農家のひどい被害実態でありますが、この辺の状況を、現段階におきましてわが国の農政の最高責任者として一体どのように把握、認識をしておられるか、この機会に公式に農林水産委員会を通じまして、全国の農民に説明を願いたいと思います。  なおまた二番目には、被害状況はまた大臣も御説明になると思うのでございますが、それらの緊急にしてかつ適切な、しかも深刻な実態でありますから、それ相当の対応の決意あるいは方針等もぼつぼつ取りまとめられつつあると信ずるわけでございますが、その辺の基本的な方策もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  11. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 本年の冷害等による農作物被害については、私自身も、被害の最も厳しいと言われております青森県を含め、二度にわたりまして現地も見てまいりました。予想を上回る惨状の中で荘然としております農家の諸君からも、いろいろ動揺しておる心境、途方に暮れておる状況等を承知してまいりました。  私といたしましては、この被害の深刻な事態にかんがみまして、被災農家の窮状を打破をいたしまして来年の再生産に取り組む意欲を持ってもらい、また現実にその再生産の仕事が完全にできるということを目標にいたしまして、国会で定めていただいております法律に従いまして、その法的事項につきましては万全の措置を講じまして、しかもできるだけ早くという目標を指示をいたしまして取り組んでおる次第でございます。このため、被災地から非常に強く要請をされてきております天災融資法並びに激甚災害法の発動を行う方針を決定をいたしまして関係省庁とも協議をいたしておりまして、被災農家に対しては先ほど申し上げたように、来年の再生産に取り組める体制をできるだけ早くつくり上げていかなければならない、こういうことでございます。  ところが、御承知のようにこれらの手続はやはり各県からの報告等も考慮しなければなりませんし、また十五日現在の被害実態の数字が来月中々まとまるかと思います。それらの問題もあわせ考えまして、そして事務上の処置を急がせまして政令を定めなければなりません。この政令を定めるまでに相当な時間がかかります。五十一年の際には十一月の末ということでございますが、実は十一月の初めごろに何とかならぬか、こういう指示をいたしてございます。それまでの間どうしても農家には現金収入というものが必要でございますから、天災融資法によるあるいは激甚災によるのを待っておりましたのでは、これはもう農家は困るわけでありますので、その間のつなぎ融資というものをやってまいらなければならぬということで、関係各金融機関に対しましてこのつなぎ融資に対する御協力の依頼を実は一昨日発した次第でございます。  いずれにいたしましても、非常な厳しい災害でありますので、もう十月いっぱいは命名挙げてとにかくこの災害対策の万全を期すために努力しよう、こういうふうに指示をいたしたところでございます。
  12. 小里貞利

    ○小里委員 災害対策もあるいはまた農林水産大臣の決意も、なるほど深刻な、しかも甚大なる実態を前提にして、それこそ十分の対応を急いでおいでになるやに承ります。ことに大臣は、私も実態を知りたいので現地を踏んでみた、なるほど予想を上回る惨状であります、これらの被害農家の救済には万全を期すと、基本的な二、三の方針も含めながらお話をいただいておりますが、私は、先ほども委員会調査団報告などにもありましたように、事この期に及んで抽象的な観念論なりを議論することよりも、この厳しい現実をより正確に、そして加えるなれば深刻に受けとめることが大前提であろうと思うわけです。そのような意味で、国会におきましてもあるいは政府としても、手がたく具体的に厳しい深刻な実態に対応することが最も焦眉の急である、かように思うわけです。  実はそのような観点から、もうすでに農林水産大臣の手元にも、わが自民党・与党の立場から総合農政調査会あるいは部会あるいは本問題対策委員会等で連日これが対策を検討してまいりまして、きのうの段階におきまして整理して、大臣の方にも申し出てあると思うのでございますが、手前みそを申し上げるわけではございませんが、きのうの総合農政調査会、部会等でも大分検討いたしました。現地の具体的なその深刻な実態に、広い分野でできるだけ親切に対応できるように、そのすそ野の広い諸施策を要請いたしたつもりです。  きょうは時間がありませんからそれを一つ一つお伺いするわけにはいきませんけれども、その中におきまして最も肝要と思われる点を二、三拾い上げましてお尋ねしてみたいと思うのでございますが、金融対策あるいは農業災害救済対策、就労確保対策、種子対策、あるいは食管を含めた米の対策などを六項目にわたりまして申し出てあるところでございますが、もう大臣はこれは見ておいでになると思いますから細かなことは申し上げませんけれども、まず金融対策であります。  ただいまお話がございました、天災融資法あるいは激甚災害法をこれに加えてパンチをきかせる、しかしながらこれが発動、指定までにはかなりの期間がかかる。大臣のおっしゃるとおりであります。私は、この発動も指定もできるだけ早くということを申し上げたいのでございますが、鋭意努力をいただいたにいたしましても、物理的に災害実態を最終的に把握されるまでに時間がかかることはやむを得ないわけですから、それまでの間をいろいろな方法によって、つなぎ融資なりあるいはまた貸付限度額の引き上げ、あるいは融資枠の拡大、これは自作農資金法等が中心になるわけでございますが、それらの措置も十分考えてやる、並びにまた、各金融機関に対してもすでに連絡をとった、そういうお話でございますが、率直に申し上げまして、いままでの災害の経験からして、冷害だけではございません、たとえば台風災害等において見られるごとく、事務当局におきまして鋭意努力をやっていただくことはわかるけれども、これがなかなか横の、機関、団体との連携、あるいは各下級と申し上げましょうか、地方の機関、諸機関等との連携におきまして、それこそ本意ならずもおくれてしまう、こういう傾向もあるわけでございまするので、その辺を十分注意しながらひとつ対策をとってほしい、こういうふうに考えるわけです。  並びに、農業災害補償の問題でございますが、これは、農業共済金を、できるだけ早く冷害状況の把握に努めまして農民のふところに入れるということだと思うのです、端的に申し上げまして。その方策について、損害の評価はなかなか事務的にも大変でしょうけれども、その辺の指導、督励策について農林水産大臣はどういうお気持ちをお持ちなのか。たとえば、相当な事務経費もかかりますよ。やるという基本方針をお決めになりましても、なかなかこれを実際末端機関でその現場に当たってやるということは時間がかかるわけでありますが、経費もかかるわけでありますが、その辺の決意のほどを伺う意味でお聞かせを願いたいと思います。
  13. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 小里委員からいま述べられた点は、全く私も同感でございます。昨日、自由民主党からの冷害対策に対する政府に対する申し入れを拝見いたしたわけでございます。もちろんあの内容は全部にわたって早急に実行をしていかなければならないことである、と同時に、政府といたしましても十分冷害対策につきまして進めていかなければならないということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  そこでこの金融の問題でございますが、天災融資法、激甚災法につきましての措置につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  農業災害補償法に基づきます共済金の支払いにつきましては、もうすでに収穫皆無という地帯は、九月の初めにもう大体見当がつきました。各県から情勢も報告になっておりまするし、また、派遣をいたしました調査団からの報告もございまして、収穫皆無のところはとにかく早く認定をして、そうして概算払いができるように事務手続を進めるべきであると、こういう要請もございまして、もちろんこれは法の精神でございますから、私といたしましても九月五日、早く認定をして、そうして認定をしたところはもう刈り取っていい、できればそれを飼料等に転換できるならばそういう措置もとれる時期に、とにかく早くそういう地帯に対しては共済金の支払いが行くようにと、こういうことを指示をいたしたわけでございます。通達も出したわけでございます。と同時に、やはり何万筆の調査という大変な調査に相なるわけでございます。これには事務費等もかかっていくことは当然でございますから、それらの手当ても遺憾のないようにということで事務当局で進めてございます。  と同時に、収穫皆無のところは概算払いという指示を出しまして、そのほかの被害の多いところにつきましても、これはなかなか刈り取ってみないと実は被害が見当がつかないという点はありますけれども、しかしできるだけ早く認定をして、そうして被害の深刻な農家にも概算払いができるような措置をとるように、これまた指示をいたしてございます。と同時に、本払いにつきましては、いつも年を越してしまって農家から苦情が出ておるわけでありますので、今次のこのようなときにこそ、とにかくどんなに遅くなっても年を越すなどというようなことの絶対にないように、とにかく十月いっぱいはその指導なり何なりに、ほかのことはもうとにかく担当局としては考慮せずにひとつこれに取り組めと、こういう指示を実はいたしておるところでございます。  細々とした点につきましては局長から答弁いたさせます。
  14. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいま大臣から御答弁のございましたとおりでございまして、天災融資法につきましては、大臣からの強い御指示もございまして、できるだけ早期にこれを発動するということで鋭意作業を進めておるわけでございますが、先生も御指摘のように、これには一定の手続、つまり各県からの資金需要のまとめが必要でございます。それからまた、被害の最終的な確定をもちまして被害調査を統計情報部の方で出してもらわなければならぬという手続がございますが、私どもといたしましては、大臣の意を体しまして十一月のできるだけ早い時期にこれを発動できるように鋭意作業に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  また、それまでの間のつなぎ融資につきましては、すでに二十四日付をもちまして経済局長名で依頼の通達を出しておりまして、確かに先生おっしゃいましたように、それが末端なりあるいは金融関係機関に十分に伝達されないということがございますと大変でございますので、今後ともこの指導徹底方につきましては鋭意努力をいたしてまいりたいというふうに考える次第でございます。  それから共済金の支払いでございますが、共済金の支払いにつきましては大臣の答弁のとおりでございます。
  15. 小里貞利

    ○小里委員 時間がございませんので要点を簡潔にお尋ね申し上げますが、ただいま大臣の方からそれこそ周到に、しかも真剣な具体策をいろいろとお考えいただいておるようでございまして、了とするところでございます。  次に、就労確保対策問題でございますが、これは御答弁は要りません。ただいま大臣の答弁のその中に気持ちとしてあらわれておるように、たとえば就労確保対策にいたしましても、今回の被災地は国有林の多い地帯がたくさんございますという報告もあるようでございますが、そのような地域におきましてとり行われる場合、あるいは救農土木事業におきましてもしかりだと思うのでございますが、できるだけ被災農家の手が要るような、被災農家が従事できるような現場構造というものを十分御指導いただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。これは大臣、おわかりいただくと思うわけでございます。  その次に、話は前後いたしますけれども、種子対策、これを中心にいたしました営農対策でございます。  端的にお伺いいたしますが、次期作のための種の確保を図るためのあっせん指導、これはいろいろ五十一年災害等におきましても経験されたところでございます。しかしながら、今次の場合は本当にその量におきまして大変な状況にあると承るわけでございまして、この被害の著しい農家に対しまして水稲大豆などの種子購入につきまして必要な措置を、これは当然とっていただくものと私は確信しておるのでありますが、端的にひとつ大臣の方からお答えをいただきたいと思います。  それから米対策、食管でございます。これは自民党の昨日の申し入れの中にもございます。今回の冷害によります、いわゆるそれによって発生するところの食管規格外米措置規格外米、これをどういうふうに処理せられるかということであります。仄聞するところによりますと、五十一年災害のときはいまの総理大臣鈴木善幸さんが農林大臣であったのでしょうか、とにかく規格外米に対しましても温かい措置をとられたという経緯があるやにも聞くわけでありますが、あわせて亀岡農林水産大臣の決断をお聞かせいただきたいと思うわけです。
  16. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いまお話のありましたとおり、収穫皆無の地帯はもう見渡す限り何千町歩あるいは何百ヘクタールということで、青森県の南部の方でやっておりますアキヒカリですか、これなんかは種を一体どうしたらいいんだろうと私自身現地に行ってみて尋ねてみましたが、結局あの品種はよそで余りつくっておりません。そのために種子を求めるということはもう並み大抵のことじゃないということでございまして、その地方、地方によってそういう特殊事情がありますので、この種子対策というものはもう考えております以上に大事なことであろうと思います。よその冷害対策ができましても肝心の種がないことには来年の再生産ができないわけでありますから、これにつきまして私は帰ってきまして直ちに食糧庁に対しまして、また農蚕園芸局に対しまして、種対策は一番大事だという観点であっせんやらあるいは必要な措置、五十一年度にやったような措置を今回も十分とれるようにしなさい、こういうふうに指示をいたしてございます。各省庁との折衝の事情もございますので、細部につきましては関係局長から答弁をいたさせます。
  17. 小里貞利

    ○小里委員 時間がありませんからただいまの大臣答弁で結構でございます。  その次に、深刻な冷害中心に不測の事態の中にある日本農政、しかしながらどうしてもさらに避けて通れない問題がもう一つあります。それは申し上げるまでもなく水田利用再編対策であります。  さて、この課題はいわゆる一般的な問題といたしまして、全国の農業社会におきまして、あるいは農家皆さん、新たに営農設計を立てないわけにはいかない、また具体的な諸般の準備も進めなければいけない、こういう一つの原則が私はあると思うわけです。また一面におきましては、農政の当面の重大なる問題の柱として、先ほど大臣も言われたように、この大変顕著な甚大なる冷害実態を見定めましょうという、これも一つの構えだと思うわけです。あるいはまた冷害被災農家の心情を親切に勘案しながら、総合的にまた進められることもよくわかるわけでございますが、その辺の基本的な対応についての農林水産大臣の現段階における心境、これをお聞かせいただきたいと思うわけです。なおまたその具体的な方針等の時期などあわせてお聞かせいただければ幸いに存じます。  なおまた二番目に、時間がありませんからあわせてお伺いしておきますが、いわゆる減反調整、この厳しい課題は、一般論として申し上げまして全国の農家がやはりひとしく受けて立たなければならない、言うなれば公平に受けて立たなければならないという一面も持っておるわけであります。今回の冷害対策については、また格別先ほども申し上げましたように温かい配慮も当然必要であります。また一面におきましては、従来の三年間の経験のもとに、この厳しいいわゆる減反施策の公平化、あるいはより全農民に納得をせしめてよりよく協力をせしめられるような新しい一つの施策、研究というものも必要であろうと思うのでございます。それらのことを含めまして、この機会に大臣の御所信をお伺いいたしたいと思います。
  18. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 冷害の厳しさというものをいままで答弁申し上げてきたわけでございます。非常に全国的にこの冷害によって農家の諸君は不安を持って、そうして政府対策を一日も早かれと持ち望んでおるのが現況である、こう私は判断をいたしております。  実は全国知事会でありますとかあるいは農業団体でありますとか、そういう方面から、第二期水田利用対策はできるだけ麦まき前に割り当てをしてもらえぬかという強い要請があったわけでございます。六月、七月、あの天気のいい時代にはそういう要請が強くあったわけでございます。したがいまして、私も事務当局を督励をいたしまして、一応九月末にそれじゃ割り当てをしようかというような気持ちを固めまして仕事を急がせたわけでございます。ところがだんだんとこの冷害の厳しさが激しくなり、このような状態になってまいりましたので、実は私もいろいろ考えた結果、とにかくこの冷害対策の万全を期して農家の安心を得て、政府に対する信頼をかち得た後でなければ、来年の、この本当に日本農政の基本としなければならない、基礎としなければならない米の需給のバランスをとるという大命題に取り組むためには、そのことが何よりも必要だ、こういう判断をいたしまして、そしてとにかく十月いっぱいは冷害対策全力を挙げて取り組もう、その間にいろいろと第二期対策に対する各界各層、特に与党の皆さん方の意向等、国会の意向等も十分しんしゃくをいたしまして、そして大体農家方々の気持ちも政府冷害対策の発動によって一応の落ちつきを見せることのできる時点、大体十一月の初めかあるいは中ごろになりますか、その辺をめどにして第二期対策の方の案を固めていきたい、こんなふうな気持ちでおる次第でございます。内容等につきましては、いまのところ第二期対策についてはこうこうしたいということを何も決めておるわけではございません。
  19. 小里貞利

    ○小里委員 質問時間が参りましたという紙が参りましたのでこれで終わりますが、先ほどから農林水産大臣お答えのとおり、本当に異常な冷害被害実態であります。今回の災害の特徴と申し上げましょうか、特色をよく踏まえていただきまして、さすがは亀岡農林水産大臣ならではの、国民が本当に感謝申し上げるような措置を断固要請申し上げまして、私の質問を終わります。
  20. 田邉國男

    田邉委員長 次に、田名部匡省君。
  21. 田名部匡省

    田名部委員 冒頭、今月の二十日に大臣に青森県を御視察いただきまして、また当委員会田邉委員長を団長とする一行に、宮城県、岩手県、青森県、それぞれ二十二、二十三、二十四日の三日間にわたって御視察をいただきまして、また各党の代表の方々にそれぞれおいでいただきましたことに厚く御礼を申し上げる次第であります。  七月以降の低温日照不足は大変なものでございます。ここに青森県の比較的天候に恵まれている地帯、北津軽郡の市浦村における今年度の気象条件の調査、七月、八月の気温状況でありますが、平年を上回った日が六十二日のうちにわずかに四日、下回った日が五十八日、最低気温が平年を上回ったのがわずかに九日、下回った日が五十三日、これを見ても、いかに気象条件が悪かったかということは御理解いただけるところであります。その被害見込み額につきましても、先ほど渡邊官房長の御報告にもありましたように、五千六百七十九億と発表されて、昭和五十一年のときの被害額四千九十三億を上回ること千五百八十六億、こういう被害状況でございます。特に水陸稲は四千四十四億と大変な被害で、全体の被害額の七一%という状況にございます。これは、ただ単に農家に与える影響が大きいというばかりではなくて、地域の経済に与える影響が大変なものだということを先般一緒に視察をさしていただいて私は感じたわけであります。特に中小企業あるいは農業に関連している業者の方々、また県税の収入にさえもかげりが出てきている。地域経済に与える影響が深刻だということからこの問題を取り扱っていかなければならないというふうに感ずるわけであります。  そこで、最初に御質問申し上げたいことでありますが、緊急度の高いものを御質問いたしたいと思うわけであります。  その第一点でありますが、農家飯米対策の問題でございます。これは五十一年の冷害のときにも天災融資法あるいは激甚災の発動、こうした諸対策が進められて、今回もまたそのような進め方がされる、金融対策については万全を期すということは、同僚の小里委員に対する答弁でも理解できるわけでありますけれども、私どもが現場に参りまして特に要望の強かったのは、この飯米の特別値引き売却の問題でございました。この辺のことを、どの程度の価格で、どのような方法で考えられておるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 松本作衞

    ○松本説明員 今次の災害によりまして飯米までなくなった農家に対しましては、食糧庁といたしましては、早急に飯米の供給をいたしていきたいと考えております。その方法といたしましては、県に対して米を供給いたしまして、県の段階から市町村を通じて出していただくというふうにするのが一番いいのではないかと考えております。その際の価格は、したがいまして、卸売価格等に諸経費を加えたものでございますので、一般の小売価格よりも安い価格で供給することができると考えております。なお、この代金につきましては、災害実態に応じまして、これを来年度支払うということで、延納する措置をとってまいりたいと考えております。なお、出します米につきましても、現在普通米のほかに徳用上米、徳用米というような安い米がございますから、農家の希望によりましてこういった安い米も放出していくというようなことで対応してまいりたいと考えております。
  23. 田名部匡省

    田名部委員 私ども、三県視察をさせていただいたときに、各県の要望がそれぞれ違っておったということを実は感じたわけであります。どうぞ一日も早くこれを調整していただきたい。農家では、すでに買って食べなければならないという農家が出ておりますので、これはひとつ急いで進めていただきたいと思うのであります。  それから次に、先ほど同僚の小里委員からも質問がございました、優良種子確保、これは再生産における重要な問題であります。私はこのことについては、他省庁との関係もございまして、大臣もなかなか頭の痛い問題ではないだろうか、こう考えておるわけであります。しかしながら、一方では、共済金あるいはいろいろな制度融資、そういった制度があるのであるから、種もみぐらいはひとつ農家でというような声も聞かれるわけであります。しかし、これは自家採種がまことに困難だ。しかも、青森県だけでも三万四千八百ヘクタールの種子確保面積が必要なわけでありまして、これはもう農家ではどうにもできない。県もそれぞれ自分たちで一生懸命努力はいたしますが、ひとつ何分のお取り計らいをお願いしたいという大変強い要請があったわけであります。いま一度ひとつ、種もみ優良種子確保について大臣の御所見を承りたいと思います。
  24. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど申し上げたとおり、大変大事な問題でございます。私といたしましては、どんなことをしても、農家優良種子確保して、来年の再生産に支障のないようにするために、事務当局に対しまして、五十一年度に劣らないだけのことをやれ、こういう指示を与えております。非常に急いで事務的な折衝をしておりますので、その辺、私まだ聞いておりませんから、事務当局からお答えさせます。
  25. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま大臣からお話がございましたように、関係の向きとの折衝もやっておりますが、まだ最終的には結論を得ておりません。ただ、私たちといたしましては、五十一年にとりまして措置に準じたようなやり方をぜひとも確保したいという意気込みでやっております。  以上、お答え申し上げます。
  26. 田名部匡省

    田名部委員 与えられた時間が十五分、あと五分でありますから、急いで質問させていただきます。  次に、青立ち稲の有効利用、このことについてお伺いをしたいと思います。  これはすでに通達が出ているにもかかわらず、二十四日の時点の私たちの調査では、現場の方では余りそれが行き渡っていない。行き渡っている岩手県、こういうところもございました。したがって早急にこのことを進めていただきたいということと、畜産農家がどうしてもこれをえさとして欲しいということでありまして、早く青刈りをしてこれを進めたい、こういう強い要請があるわけでありますが、それはいつでもいいというわけにはまいりません。したがって、この問題についてもひとつ急いでやれるような対策が必要かと思うのであります。特にこの利用に対するたとえばいろいろな措置が考えられるわけでありますけれども、有効利用に対する経費等に対する助成がなされないのかどうか、この辺をひとつお伺いしたい。  それからいま一つは、救農土木のことであわせてお伺いしたいのでありますけれども、農家方々が十月になるとすでにもう出かせぎに出る、こういうことでありまして、出かせぎに出られた後の稲刈りはどうするのか、これはしない、こう言うのであります。森先に火をつけて焼いた方がお金がかからない。収入のないところにもってきてこれを刈るということになると大変なお金がかかります。それをほって出かせぎに出られるとこれまた大変であります。したがって、救農土木のめどというものをこれまた早急に出していただかなければならない。しかも五十一年度の救農土木においては余り農家方々が喜ばれなかった。ほとんど機械でやられたために、農家、農民の方々が直接働くという場がなかったということが非常に多いようであります。そのためにも、この刈り取りも救農土木にしてほしいというような要求等もございました。農林省では、この特別な事業費の枠を大体百二十億程度この被害の大きなところにということを考えておるようでありますが、予備費三千億ございます、これらからの充当ということはお考えになっていないのかどうか、この辺についてもお伺いしたい。  それからいま一つは、全部の方々が出かせぎをするわけではございません。したがって、救農土木あるいは出かせぎしたときの公共事業の問題、この両面作戦を立ててあげなければ、特にこの出かせぎの多い青森県等におきましては、せっかく出かせぎをしようと思ってもそういう仕事につけないということが出てくるのではないかという心配等もございます。そういうことの両面作戦をひとつ立てていただいて、これは関係省庁との連絡を密にとっていただいて万全の策をおとりいただきたい、この点についての御答弁をお願いしたいと思います。
  27. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は被害地から九月早々、早く青刈りをしてこれを飼料に回したい、早く共済の認定をしてほしい、こういう要請が非常に強くあったわけでございます。したがいまして、畜産局を通じまして、それは大変好ましいことであるということで、それが、せっかくあれだけ丹精して農薬散布等をやって、それでもう本当にみごとな稲に育て上げた、その稲が、栄養がもう稲そのものに充実しているわけでありますから、あれをほったらかすということは本当に惜しいなという感じもしておったわけでありますが、被災農家の方からそういう処置を求めてまいりましたので、農林省としてもこれは積極的に飼料化すべきである、こういうふうに判断いたしまして、畜産局を通じて各農政局、各県に進めていただくように指示をいたしたわけでございます。  と同時に、この救農事業でございますが、まあ土木になりますとどうしても、ちょっと規模の大きいものになりますといま言われたように人件費に回る部分が非常に少ないということで、これはもう五十一年度の経験にかんがみまして、まあ国有林等のあるところは林野庁に命じまして、国有林のいわゆる間伐あるいは下刈り、さらには植林といったような面で人手間をよけい使うような面の、昭和五十五年度の予算がまだ使ってない分もございますので、これを災害の激しいところに重点的に振り向けて、そうして仕事を実施する、こういう指示もいたしますとともに、小規模の農道事業、土地改良事業等の措置も講じますとともに、先般町村会にも参りまして、町村長さん方の御努力によってやはり町でも——県の方にもお願いしたわけですが、単独の救農事業を起こしていただけば、これは後で自治省の方にも農林省から、特交で十分その点をカバーできるようにという依頼もいたしてございます。  さらに、出かせぎの問題につきましては、一週間ほど前から労働大臣とも話し合いをいたしまして、そしてできるだけいい仕事を被災地の方に優先的に向けていくような職業紹介、職業安定所を通じての被災地対策に全面的に協力させるということを労働大臣も言うておりますので、そういう面は私どもの方もよく各農業団体、市町村を通じてその趣旨を徹底していきたい、こう考えております。
  28. 田名部匡省

    田名部委員 時間でありますから終わらしていただきますが、国有林のない地域もございます、あるいは漁業にも被害が出ているようでありますので、実態の把握、これに対する対策もお願いを申し上げて終わらしていただきます。
  29. 田邉國男

  30. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 時間がございませんので、小里、田名部両委員から質問された点は重複を避けまして、できるだけ重点をしぼって質問をさせていただきたいと存じます。  天明以来の大飢饉と言われるこの飢饉に対しまして、まず何と申しましても生活資金、それから営農資金、それから飯米、種もみ、さらにはまた救農土木、こういう観点からこの救済措置を講じなければならぬと考えるわけでございますが、まず、五十一年度にも冷害がございまして、調査団の一員として被災地の各市町村を回ってまいりましたが、要望の九〇%までは五十一年度においてとった施策の大半である。ただ、この施策におきまして、それぞれ各論を見てまいりますとまだ十分でない点がたくさんあるわけでございます。  そこで私はその点にしぼって御質問いたしたいと思うのでありますが、救済に万全を期すという点におきまして、その第一の問題は共済制度に遺憾なきを期すということであると思うわけでございます。残念ながら前回五十一年度におきましては、農業共済組合あるいは農林団体が損害の評価をいたしたものと農林省の農林統計情報部の調査したものとの損害評価が非常に食い違いがあった。したがいまして、たとえば岩手県を例にとってみますと、最初九十億円の共済金を支払っておったわけでありますが、どうしても食い違いがあるということで、その後十億円追加払いをいたしておるということがあるわけでございます。したがいまして、この違いというものがきわめて重大なのだ、つまり農林省のやっておる統計というものは非常に甘いのじゃないか、こういう点があるわけでございます。  そこで段階を追ってまいりますと、まず農業共済組合で損害評価員が検見または実測で評価する。そして組合ごとにまとめたものを連合会に持ってまいりまして、連合会の損害評価会でこれを認定する。連合会で認定したものを農林省の農林統計情報部の減収調査をもってこれを最終的に審査、認定をするという段階になっておるわけでございます。ここの農林省が最終的に審査をするという時点でどうも非常に大きな食い違いがあるのではないかということなのでございます。そこで、この食い違いを再評価しないように、最初から農民の皆さんに信頼されるような農林省の統計をやらなければいかぬのじゃないか、こういうことなのです。  そこで、この五十一年度の際に、私は翌年の五十二年の四月十三日にこの委員会で当時の今村経済局長に質問いたしておるわけでございます。この食い違いがないようにするにはどうしたらいいか。それに対して今村経済局長は、たとえば組合段階における実測調査を導入したらいいのじゃないか、たとえば検見ということになると口で見るということになりますので、なかなかこれはアバウトになってしまうということがまず第一点でございます。それから、この調査をする時期にずれを生じないように緊密な連絡体制をとるべきではないか。たとえば組合で評価をする場合、連合会で評価をする場合、農林省で評価をする場合に時期のずれがある。ですから、こういうものに対してはできるだけ関係団体が連絡を密にして、同じような時期に評価をしてずれを生じないようにすべきではないか、これが第二点でございます。第三点としましては、標準田的なもの、標準的なたんぼというものをつくりまして、そしてだれの目から見ても、つまり評価というものは統一されたのだ、そういう評価限というものを統一したらいいのじゃないかという御指摘があったわけでございまして、今後そのような方向で努力するということでございましたが、今回もこの評価というものが異ならないようにするためには、農林省の見解というものはこういうことで統一して実施するのかどうか、その点を農民の皆さんも知りたいと思っておるし、厳密に個々を調査をしてやらなければいかぬと思いますので、まず農林省の見解をお聞きいたしたいと思うわけでございます。
  31. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 被害の現実は一つしかないわけであります。それに対して数字が二つ出てくる、どっちが真実に近いか、こういうことになるわけであります。したがいまして、これは私ももう長い間共済制度に携わっておりますけれども、いつもその点で共済制度そのものに対する農家の不信というものが出てくる最も根本的な問題を御指摘に相なられた、こう思うわけであります。したがいまして、今度のような災害に出たりましては、やはりそういう点は統計情報部の諸君も現地実態というものを十分とらえて、そして真剣に実態を把握できる数字をつくり上げる、つくり上げると申しますか統計をとる。もう学問上こう出てくるはずだということじゃなくて、統計学上こことこことここをやればあとは見なくたってこういう結論が出てくることになっておるのだということじゃなく、やはり現地実態というものをよくとらえて仕事を進めるように、実は私からも注意をいたしておるところでございます。
  32. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいま大臣から御答弁を申し上げましたような基本的な考え方でございますが、具体的な点を申し上げますと、確かに組合と連合会の間、それから連合会と統計情報部との間で損害評価の結果が食い違った、そのためにいろいろな不満その他が起こってくるということは大変残念なことでございまして、実は先生が私の前任者でございます今村局長との間で五十二年にこの場を通じまして御論戦をなさいました点は私も全部読みました。  その結果、今回九月の五日に経済局長名をもちまして各関係方面に連絡をいたしました損害評価のやり方でございますが、まず第一に評価眼の統一、それから第二に実測調査の併用、これにつきましては特に実測調査用の経費として、先生の御議論がありましてから後に、ことしは五億三千万の経費を組んでございます。このような経費の裏打ちもいたしまして実測調査をできるだけ併用していく。それから被害の進行状況が常に実態として把握されなければなりませんので、その再評価、さらに連合会につきましては、統計情報事務所等との連絡を密にいたしまして適期に損害評価を行う、食い違いがないようにするということの指導助言につきまして通達をいたしまして、できるだけさような事態が起こらないように努力をいたしている次第でございます。
  33. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 どうかひとつこの点については十二分に留意されましてやっていただきたいと思います。  先ほど大臣からも、調査に関しましては助成金も出す、さらにまた早期に年内に本払いもするように努力をするという御答弁もいただいておりますので、どうかこれはよろしくお願いを申し上げたいと思います。つまり、この共済金生活設計の中心になるわけでございまして、これが今後の農民の一つの支えに相なるわけでございます。  そこで、同町にまた資金の問題でございますけれども、つまり生活資金と同時に営農資金という問題におきまして、一昨日農林省経済局長名で被害農林漁業者に対するつなぎ融資及び既貸付金の条件緩和の依頼を行う通達を出しておられるわけでございます。そこで、これは非常に心の通った処置であると思うわけでございます。ところが借りる立場に立ってやっておりますと、どうも弱い立場にあるわけでございます。たとえば政府資金を借りるわけでございますけれども、農業近代化資金、土地改良資金等を五年くらいでやる。ところが、この償還条件を緩和してもらいまして、ことしはやらなくてもいい、ただし来年度になりますと、来年度はことしの分も含めて二年分返済するような処置が前回非常にあった。だから来年度におきましても、冷害から立ち直るには二、三年かかるわけでございますから、そこまで指導を徹底しませんとなかなかむずかしいのじゃないかと思いますよ。ですから通達をより下に徹底するようにひとつ御配慮をいただきたい。この点について御質問いたします。
  34. 松浦昭

    ○松浦説明員 九月の二十四日につなぎ融資の通達と、それから既貸付金の償還条件の緩和についての通達を出しましたのは先生おっしゃられたとおりでございます。私ども一片の通達のみでこれが完全に徹底を期するというわけにはいかないと思いますので、さらに指導をいたしまして、実態に即応した形で償還延期等が行われますように、ケース・バイ・ケースで実態に即応した方法をとりたいというふうに考えて、指導をさらに強化いたしたいと思っております。
  35. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 それから同時に、自作農維持資金災害融資枠の拡大と貸付限度額の引き上げの問題でございます。たとえば現在百五十万円借りることができるわけですが、五十一年度に借りたものが五十万円残っておりますと、せっかく百五十万円借りましても五十万円差し引きして百万円しか手に入らない。これではちょっとあれじゃないかというわけでございまして、枠を拡大することを御検討いただいておるかどうか、御答弁を願います。
  36. 杉山克己

    ○杉山説明員 今回の災害に伴う自作農維持資金の融資枠の確保につきましては、これは天災融資法との関連が深うございますので、その関係を見きわめ、被害実態に即した資金需要額を確保するように努力してまいりたいと考えております。  なおその際、ただいま先生御腰間のように、過去の災害等によりすでに相当額借り入れている者については、いまの限度額ではその上借りられる余地がきわめて少ないという問題もございます。そこで、その引き上げの問題につきましても、被害状況、本資金の貸付残高の実態を十分検討した上で関係方面とも協議して、適切に対処してまいりたいと考えております。
  37. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 それから、被害を受けているのは水陸稲の農家ばかりではございませんで、畜産酪農農家も非常に影響を受けているわけであります。越冬飼料がきわめて不足しているわけでございまして、これに対してはやはり十分な手当てをする必要があると思いますので、政府当局としてはどのような対策を講じておられるのか、御説明をいただきます。
  38. 犬伏孝治

    ○犬伏説明員 越冬飼料の関係でございますが、ただいままでの対策といたしまして、ことしの飼料作物についての被害が予想されました時点、八月の時点でございますが、技術対策を講ずるような通達を出しております。  それから、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、青立ち稲が非常に大きな面積にわたって発生することが明らかになりました九月初めの時点におきまして通達を出しまして、被署を受けた稲の飼料利用の促進を図るよう応急措置として指導をいたしております。  さらに、今後の問題でございますが、これらの措置に加えまして、越冬飼料、粗飼料の確保につきまして、飼料作物収穫、調製、肥培管理、さらに、秋まきの飼料作物の播種の適正化、それから、青立ち稲、稲わらの積極的な利用、さらに、補助事業によって導入されております機械施設等の有効利用、これらを地域実態に即して有効に行われるように指導をしてまいりたい、その趣旨の通達を近く出す予定にいたしております。
  39. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 それから、先ほどから出ておりますが救農土木。被害地域におきましては国有林が非常に多いわけでございます。つまり、国有林事業量を拡大をしまして、除間伐の専業等によって救済するという措置も当然考えなければいかぬと思いますので、国の御見解をお伺いいたします。
  40. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  国有林野事業におきます造林事業について、今回の冷害関係県等から要望が非常に強いわけでございまして、また、労賃比率も高いということから、地域実情を把握した上で単急に対応してまいりたいと考えております。  なお、このための事業規模につきましては、関係地域からの雇用規模、実施可能な事業量などについて実態の把握中でもございまして、現時点で確定するには至っておりませんけれども、昭和五十一年度の冷害の際にも同様の措置を講じましたので、これを参考にいたしまして、適切かつ早急に対応してまいりたいと考えております。
  41. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 これで質問を終わりますが、農民は打ちひしがれておりますけれども平静に対策が講ぜられるのを待っておる、どうかひとつこの信頼感を裏切らないように、大臣を初め全力を挙げて取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして終わります。
  42. 田邉國男

    田邉委員長 次に、小川国彦君。
  43. 小川国彦

    小川(国)委員 昭和九年以来四十六年ぶりの大凶作という状況が報道されているわけでありますが、そういう中で私どもも、国会も当然、それからまた社会党としましても冷害対策につきましては安井氏を中心とする冷害対策本部をつくりまして、鋭意全国的な冷害調査それから地域住民のいろいろな要望、自治体、農業団体の要望、そうしたものを集めまして早急に国会において抜本的な対策を立てるべきである、こういう角度から取り組みをしておるわけであります。  そういう中で、今回の冷害ではすでに秋田、岩手で二名の農民が自殺をするというような悲惨な状況が起こっているわけであります。その内容を調べてみますと、いずれにしましても零細な経営の中で日本の農業の底辺を支えるという形で営農に努力してきた農民が、ことしの収穫皆無という悲惨な状況の中から希望を失って、一命を捨てなくてもと思われる状況の中ではありながら、農民として一年間営々として育ててきた作物に対する愛着から自殺をせざるを得ないという状況も、私どもも東北六県を回る中でつぶさに感じたわけであります。  そういう中で、農林大臣も東北出身の大臣として冷害対策には当然不眠不休で取り組んでおられるだろうと私ども理解をしておったわけでありますが、残念ながら、大臣の冷害対策に取り組む政治姿勢を見ておりますと、大臣本気で冷害に取り組んでいるのかどうか、いささか疑問に感ぜざるを得ない政治姿勢があるわけです。参考に伺いたいのですが、大臣は今日まで冷害現地調査を何県、どことどこにおいでになったのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  44. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 青森県、山形県それから福島県でございます。
  45. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども社会党の調査団東北六県を回っておりますときに、大臣は残念ながら六県の中で青森、山形、福島、この三県しか回っていない。しかもその中で、第一回目は九月十二日に東京を出発して十三日現地に行っておられるのでありますが、この十二日に出発して十三日、十四日の両日の中で、大臣は現地調査を何分間なさいましたか。
  46. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 福島においては合計いたしまして六時間ほどでございます。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 私どもの調査によりますと、私ども大臣の回ったすぐ後を回ったのでありますが、残念ながら冷害現地調査の一カ所の時間は十五分。しかも冷害の個所は三カ所。その後十三日、十四日と午後には——十三日は午前十一時から福島県全体の祝賀会に出席、午後二時には保原町体育館の祝賀会、午後五時は福島市民会館で祝賀会。翌十四日は、午前十時幕参、これは非常に殊勝なことであろうと思いますが、これも時間を早められれば時間がとれないこともないわけであります。さらにその午後二時から五時には二本松市の文化センター、郡山ビューホテルでの祝賀会。祝賀会には五カ所で一日半おいでになるのに、現地調査は駆け足で一カ所十五分。大臣のおっしゃった時間は陳情を受けた時間を総合されたのでありましょうが、冷害で何より大切なのは現地調査ではないか。この点では、大臣は、昔風の言葉でお国入りということで、祝賀会が主であって冷害は従ではなかったのかとこの視察のことからは指摘されているわけです。その点について大臣はどういうふうにお考えになるか。
  48. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 あらかじめ日程を決めてございましたので、そのような、御指摘のとおりの行動をしたことはそのとおりでございます。したがいまして、私もやはり冷害の中でのそういう催しというものは質素にしてほしい、同時に、日ごろ私を支持してくれている多くの諸君からそれぞれの冷害の実感というものを聞くことができるということで、御指摘のとおり、その会合の中においてもまた会合の後先においても、地域市町村長あるいは農業団体、養蚕団体、酪農団体等々から十分話も聞いておるわけでございます。ある新聞が私を見て、少しは笑ったらいいじゃないか、大臣はそういう催し物の間を通じてとにかく沈痛な顔で終始をした、こう報道してくれておるわけでありますが、私の気持ちとしては、冷害を忘れて行動をしたというようなことを言われますとはなはだ不満である、こういう気持ちでございます。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一つ伺いますが、大臣は九月二十、二十一日と青森においでになっていらっしゃいますが、二十一日はどのような行動をなさいましたか。
  50. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 二十一日は市長選挙の応援を午前中いたしました。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 今度の大臣の日程、私も調査したところ、いま確認しましたら間違いなく市長選においでになったそうですが、九月二十一日も朝八時半から十二時まで十和田の市長選で回っておられる。私どもが青森調査に行った段階で、大臣は二十一日に選挙応援に来る、そのおまけに青森冷害調査に来るのじゃないか、こういうふうに言われておるわけですね。ですから、今度の大臣の東北を回った形は、福島県は祝賀会が中心であって、青森県は選挙応援が中心であって、こういうことではこの冷害農政を預かる、冷害国会に向けての農林大臣の政治姿勢としてはいささか誠意に欠けているのではないか。少なくとも東北大県全体にわたって被害が起こっている、あるいは広島においても島根においても九州においても災害が起こっている状況の中では、土曜、日曜といえども返上すべきじゃないのか。それから、先ほど大臣は顔つきは悲痛であったというのですが、これは顔つきの問題じゃないと思うのです。行動の問題であって、その行動の中で少なくとも、祝賀会という問題があっても、私は農林大臣なんだ、冷害現地を一カ所でも多く見ることの方がこの際重要なので、任期を終わったときに祝賀会をやってくださいというぐらいの見識がなければならないのじゃないか。これは今後の大臣の冷害に取り組む姿勢につながってくるので、休日も返上してこの冷害問題に取り組む、あるいは選挙は第二にしても農林大臣としての職責を果たすということの方が優先されなければならないのじゃないか。その点、大臣の行動はもう少し現実を見詰めた政治姿勢でなければならないのじゃないかというふうに思いますが、もう一度大臣の所感を伺いたい。
  52. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 選挙応援に参りましたときも、やはりこういう冷害の中での選挙戦でございますから、これは現地を何カ所か見まして、収穫皆無の農家皆さん方、また農業団体の方々からお聞きをしておるわけであります。私の地元に帰りましたときも数カ所、あるいは果樹状況とかそういうものはこの目で見、また被害を受けた諸君の話も聞いておるわけでございまして、私はいま御批判を受けるような——気持ちとしてはまことに心外である、こういうことでございます。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっと、いま最後に、気持ちとしては何とおっしゃったのですか。
  54. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私の率直な気持ちとしては、懸命に冷害対策に取り組んでおるというふうに自分としては思っております、したがいまして、そういう御批判をされることは御自由でありますけれども、私としては心外でございます、こういうことでございます。
  55. 小川国彦

    小川(国)委員 大変開き直った答弁ですが、少なくとも大臣の任期は一年間あればかわってしまう。しかもかつてなかった大凶作ということで、私は東北大県を回っている中で「ケガジ」とか「ガスのトス」とかいう言葉を言われまして、何かと聞いたら、飢饉とか餓死をする年だ、こういうふうな言葉さえ言われておる状況であります。しかも被害は、大臣の回った青森、山形、福島だけではなくて、岩手においても青森に準ずる被害が出ている。岩手被害も大変なものですし、宮城もしかり。それから日本海側の秋田方面においても予想外の被害が出ている。また中国地方にもある、九州地方にもある。こういう状況であれば、土曜日といえども日曜日といえども、冷害がこの国会の主要な問題点だと言われておれば、そういう現地を踏むことは大臣として一番大切なことではなかったのか。そこで、私どもが調べたところでは、トータルしてみると、冷害現地調査よりも自分の党のためであったり、自分の選挙運動のためであったり、そういう姿勢でいいのか。いささかの反省があっていいのじゃないかというふうに思うので、もう一度大臣の答弁をいただきたい。
  56. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういうふうに御指摘でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、私も大臣に就任以来ずっと帰っておりません。二カ月以上も帰っておりませんものでしたから、心の緩みが少しあったかな、いま御指摘をいただいてみると確かにそういう点で配慮が足りなかったかなと思います。しかし、懸命に冷害農家のためにやらなければならないということで、いささかもそういうすき間風を吹かせるような気持ちはなかった、こういうことでございます。
  57. 小川国彦

    小川(国)委員 君子でも大臣の中に反省の気配も感ぜられますので、この点はこの程度で取りやめますが、福島県選出の国会議員はいろいろ問題が多いようでございますから、今後ひとつ十分御注意の上御活躍を願いたいと思います。  次に、農業被害実態調査の問題について、農林省の被害把握の問題がどうも的確ではないのではないか。特に被害状況の把握の問題につきましては、農林水産省の統計情報部の作柄に対する作報というのが出されております。八月十五日の段階の作柄報告で見ますと、北海道一〇一、青森九七、岩手九九、宮城九九、秋田一〇三、山形一〇二、福島九七、茨城一〇〇、千葉九八。ざっと関東、東北被害状況を見ましても、作柄が非常に好調な状況に伝えられている。ところが、八月十五日の段階でもう冷害状況というのはかなり明確に出てきておって、青森県などでは、八月十五日に九七と政府が発表しているときに、もう五〇を割るのではないか、こういう厳しい見方がされているわけであります。農林水産省と各都道府県の冷害状況に対する調査を見ますと非常に食い違っておる。たとえば、福島県について言えば、農林水産省が九月一日に八八と見ているのに、県の調査では八〇、それからまた、青森県で言えば、九月一日農水省が五九と見ているときに、県では九月十日にもう四七、こういうような状況で、非常に農林省の作柄概況報告が甘いのではないか、非常に被害を軽く見ているのではないか、こういうことが指摘をされているわけです。  その後、九月一日の報告を見ますと、今度はかなりこれが悪化してきている状況を示してきておりますけれども、今度、九月十五日の統計報告がきょう私どもに配られた資料の中にも載っていないのですね。概況しか載っていないのです。数字が出ていないのですが、これはどういうわけですか。
  58. 関根秋男

    ○関根説明員 統計の方の被害調査につきましては、地域別に全県下作付面積を作目別に調査をいたしまして、その上にそれぞれの圃場について巡回調査を被災地を中心として行っておるわけでございます。被害程度をそこで把握をいたしまして、それに被害面積を掛けて数字を出しておる、こういう調査をしておりまして、私どもは、調査の方法としては正しいと思っておるわけでございます。  それから、先ほど御質問がありました内訳を出していないではないかというお話でございますけれども、いまお手元にお配りしております九月十五日現在の農作物被害状況調査農林水産省といたしましては、全国的な数字と地域別の数字、それからさらに被害額七十億円以上の府県を列挙しておるわけでございます。具体的に地域的な状況につきましては、それぞれの農政局の統計情報部が発表するようなことになっておるわけでございます。
  59. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも農林省の姿勢がはっきりしていないわけですよ。八月十五日には、各県から見てこんな被害状況じゃない、九九とか一〇〇とか、そんな作柄じゃない、もう七〇%か五〇%の状況だと言っているときに一〇〇%近い数字を出して、九月一日でやや修正した。九月十五日になったら、その都道府県別の数字がなくなってしまった。被害状況を把握すべき農林省がその被害状況の数字をすら各県別のものを出してこなくなる、こういう状況では困るということなんですよ。これは、きょう都道府県別の数字は農林省で集計していないのですか。
  60. 関根秋男

    ○関根説明員 幾つか質問がありましたが、八月十五日と九月一日の違いのお話がございました。八月十五日の状況が、数字が少し高いじゃないかというようなお話だと思いますが、御承知のように、統計情報部では七月十五日に早場地帯の作況、作柄というのを発表しておるわけでございます。ことしの七月十五日の作柄の発表のときには、早場地帯におきましては良ないしやや良というような状況であったわけでございます。それが冷害影響を受けまして、七月の下旬から八月の初めにかけての冷温によりましてだんだんと作況が落ちてきた、こういう状況でございまして、八月十五日の発表自身が高い数字ではありましたけれども、その後、九月一日、九月十五日のお手元にお配りしておりますような数字で、被害状況が非常に深まり、広がってきているということをあらわしておるわけでございます。  それから県別の数字を出さないかというのは、恐らく作況指数についてのお話ではないかと思います。これにつきましては、私ども作況指数につきましては九月十五日現在で調査をしておりまして、この調査の取りまとめがかなりいま進んでおりまして、十月の初旬には九月十五日現在の作況指数について公表するような運びにしたいということで努力をしておるところでございます。
  61. 小川国彦

    小川(国)委員 非常に遅いし、作況統計報告のとり方自体にも問題があるのです。  もう一つ突っ込んで申し上げると、農林省の統計と地方自治体、各都道府県の統計を見ると非常に違うわけです。たとえば、農作物全体について言えば、青森県は、九月十五日に農林省は九百十二億という被害、ところが青森県の統計では七百九十二億、岩手県について言えば、農林省が九月十五日、六百二十六億と言っていますのに、県の統計では六百十四億、それから秋田で言いますと、九月十五日に農林省が百億と言っていますのに、県の統計では九月十日で百八十三億、千葉県で言えば九月十五日、農林省が九十八億と言っていますのに、県の調査では百六十億、広島が、農林省八十億と言うのに県は百四億。農作物全体で、農林省の統計よりも県の統計の方が総体的に見ると非常に上回った被害が出ている。  それから今度、水陸稲の水稲のみについて見ますと、たとえば農林省で青森県は七百二十七億が、県の統計では六百五十五億、秋田で見ますと、農林省が九月十五日で九十九億六千万と言うのに、県の統計では百八十三億。非常に農林省の統計と県の統計と、農作物全体でも、あるいは稲をとってみても被害状況の把握が違うわけです。統計が甘い、遅いという指摘を受けているところに加えて、また農林省と地方自治体の統計が違う。  被害の把握をする段階でこんな食い違いがあったのでは——対策を立てるにもまずこの被害状況の把握が必要ではないか。農林省の統計は地点を指定して、そして定点調査をやったり巡回調査でやっている。県の方は農業改良普及所とか市町村と相談して現地を回ってやっている。都道府県に言わせればわれわれの方が的確な数字だ、こういうふうに言っているわけです。そういう点で、やはり農林省と地方自治体の被害額の把握というのがばらばらでは困るのではないか。これはやはり国も県も市町村も一体になって、被害調査というものが統一した形で、正確な被害状況の把握というものができるような、こういう取り組みが必要ではないかと思うのですが、この点について農林省はどういうふうに対応をなされているのか、簡潔に答弁してください。
  62. 関根秋男

    ○関根説明員 国の数字と府県の数字に違いがあるというお話でございますが、確かに違いはございますが、なぜ違うかということを考えてみますと、いろいろなケースによって違うと思いますが、一つには調査時点の違いの問題がございます。冷害のように被害が進行している場合には、調査の時点によって被害額が変わる、こういうことが一つございます。  それからもう一つの違いは調査の方法であろうと思います。私どもの調査の方法は先ほど申し上げたようなことをやっておるわけでございますが、府県の場合には団体から報告を出してそれをまとめるというようなこともございますし、市町村報告をまとめて県の報告とするというようなこともございます。普及所がやる場合もあるでしょうけれども、そういう点で、方法においても、調査のやり方が国と違っておる、こういうことがございます。  それから第三には、農産物価格のとり方が違う場合がございます。私どもの方は制度で決められておる価格についてはその価格を採用しておりますし、そうでない野菜とか果物等の価格につきましては、生産農業所得統計の推計数字、基礎になる数字を用いているわけでございますが、地方自治体の場合には時価でやる場合もございます。そういうようなことで出てくる数字というのが違っておる、こういう状況になっておるわけでございます。いままでの災害関係の額で申しますと、一般的には国の調査いたします被害額よりも地方公共団体の被害額の方がかなり上回っておる、こういうのがいままでの例でございます。一部には違うところもございますけれども、一般的にはそういうような事情からそういう差が出てきておるというふうに理解をいたしております。
  63. 小川国彦

    小川(国)委員 これは大臣に伺いますが、こんな倍も被害状況が違うという報告、いま部長の答弁だと、集約している日が違うと言うのですが、五日くらいしか違わないのですね。国と県の被害状況の把握というものがこんなに食い違っていては、やはり対策にも徹底を欠くということになると思いますが、この点大臣として、こうした被害調査被害額、そういったものを統一していくという方向に取り組むお考えがあるかどうかですね。
  64. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 もう災害がありますごとにこの問題は論議されてきておるところでございます。したがいまして、農林省といたしましても八月十五日、九月一日、九月十五日、さらに十月に入って最終的な被害調査というものも行う、こういうふうにいたしておるわけでございます。先ほど部長からも答弁申し上げましたとおり、調査する時点でありますとか調査する方法でありますとか、いろいろ違う要素があるわけでございます。したがいまして、だんだんと最終的な被害高というような段階に至りますまでには、もうこれ以上被害が出ないという時点においての大体の、現実に近いと申しますか、現実を実際に把握できる統計数値が十月の段階において把握できるもの、私はこういうふうに考えておるわけでございます。確かに統計学上、将来、本省と各自治体とのこういう統計上の違いというものについてどういう方策を打ち出すべきであるかということは一つの検討課題であろう、こう考えますので、そういう点も私どもといたしましても勉強さしていただきたい、こう思う次第でございます。
  65. 小川国彦

    小川(国)委員 何か答弁の方は、その被害額を一致させる方向で十月中には努力をしたい、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  66. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農林省としては実際を把握するために、ずっと被害調査冷害の進行とともに八月十五日、九月一日、それから九月十五日と——それで大体もうこれ以上冷害は進行すまいという最終段階における調査といたしまして十月にもう一度やるわけでございます。被害調査をやるわけでございますから、その時点においては、おのずから各府県等の被害高の調査も各県で最終的に行うでございましょうから、その時点においてはほぼ大体、そう差のない数字として出てくるのではないかな、そういうふうに期待をいたしておるわけであります。
  67. 小川国彦

    小川(国)委員 期待では困るのでありまして、それが一致する方向で進めていただきたい、こういうふうに思います。  それから、冷害対策についていろいろ地域の住民からの要望がたくさんございますが、これは同僚議員からいろいろと質問の中で出てまいると思いますので……。  わが党として、今度の冷害対策の中で最も重点としては緊急冷害対策事業というもの、これはぜひ農林省中心にお考えいただかなければならないのじゃないか。従来の緊急冷害対策事業というものは、大型化してまいりますとやはり建設業者の仕事になってしまって、末端の、ことしの秋の収穫がない、したがっていままでの借金が払えない、それから来年九月、秋までの生活費をどうしようか、それからまた来年の種もみ代から始まって肥料代、農薬代等のいろいろな再生産費をどうしようか、こういう農家にとって一番切実なのはまず現金収入を得ることでありまして、これについては、各地域を回った中では市町村も県もそれぞれこの冷害対策事業というものを考えている。そういう中には、先ほどお話しになった林道の整備事業もあれば、あるいはまた冷たい水をため池に引いて温めて、多少とも冷害を防げるようなため池を市町村でつくっていきたいとか、こういうものは各市町村にございました。あるいはまた土地改良上の水路の整備であるとか、いろいろと細かい仕事で具体的に市町村が計画を立てられる。こういう緊急冷害対策事業というものを県も市町村も積極的に取り組みたいという意向を持っておりますが、国として、農林省として、建設省なりあるいはまた自治省なり関係各省と協議をして、農林省が中心になってこうした緊急冷害対策事業に取り組んでいこう、こういう考え方はおありになるかどうか、これは大臣からひとつ。
  68. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど来申し上げてきておりますとおり、戦後今日まで、各種災害、特に冷害対策において救農土木事業という形で各省のそれぞれの協力のもとに行ってきておるところでございます。最近、土木事業の大型のものを持っていっても就労機会が非常に少ないということの批判は私も十分承知をいたしております。したがいまして、今回の救農土木事業実施するに当たりましては、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、現行法によって十分対処していけるわけでございますので、その中でもやはり就労機会の多い仕事を被災地に集中的に配分していく、優先的に配分をするということを農林省内でもやらせておりまするし、各関係省にも協力を求めて要請をいたしておるところでございます。
  69. 小川国彦

    小川(国)委員 その際に、従来緊急失業対策法に基づく失業対策事業の場合には、その事業費のうち労力費の占める割合を五〇%以上とする、こういう労働大臣の告示をいたしまして、現実にその事業費の五〇%以上が賃金になって労働者の手に渡るように、こういう仕事を労働省でやってきておるわけです。ですから、今回の緊急冷害対策事業においてもこうした考え方を当然取り入れられて、少なくもこの五〇%以上が賃金として農民の手取りになっていく、こういうことが考えられなければならないと思いますが、この点はいかがでございますか。
  70. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私どもも五十一年の救農土木事業に対する被災地のいろいろな批判等を承知いたしておるわけでありまして、今回も、五十五年度事業の中においても就労機会の多い仕事を被災地に優先的に持っていくようにということを指示いたしておるところでございます。
  71. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に一点だけ。  その人件費率が少なくも半分以上は占める、こういう考え方をお持ちになれないかどうか、その点。
  72. 杉山克己

    ○杉山説明員 五十一年の救農土木事業の際は人件費比率を三〇%以上の事業ということに限定をしたわけでございます。ところが実際には国の補助事業では人件費比率三〇%以上を確保することはなかなかむずかしいという実態があったわけでございます。そこで先ほど来大臣がお答え申し上げておりますように、小規模の、先生御自身も言われましたような道路の維持補修でありますとか、あるいは水路のやはり維持補修でありますとか、若干、従来一般の場合よりも労務費率の高いものを採用することにして、これを融資とかあるいは、これは自治省にお願いすることになりますが、単独事業に対する起債とか何か、そういうことで考えることはできないかということで対応しているわけでございます。その場合、労務費率を機械的に五〇%以上というようなことでやりますと、これはかえってその事業自身がやりにくくなるというような場合も出てまいりますので、私ども何%という数字を縛りつけるようなことはなかなかむずかしいかと思いますが、一般的にそういう労務費率が特に高くなるような事業を選定して進めるようにということで、県とも相談をしながら指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  74. 田邉國男

    田邉委員長 次に、日野市朗君。
  75. 日野市朗

    日野委員 では今度は私から質問をいたします。  大臣も各地を回られて、特に東北地方冷害のひどさについては十分な御認識はお持ちになったかと思います。いま小川さんの方からクレームが若干ついた点もありますけれども、やはり大臣も農村地帯の御出身として、きちんと見られるものは見てこられたと思うのです。稲がこんなふうに立っていればどんな状態であろうか、それからこんな状態のときはたんぼのみならず畑はどうだろうかというようなことについても、十分御留意をなされながら視察をなさっておいでになったと思います。そのことについてはいろいろ報道もなされておりまして、大臣自身もその冷害のひどさにかなりショックを受けられた、そういうことが報ぜられておりまして、その点では評価すべきであろうというふうに私も思っておるわけであります。  実は私も、社会党の調査団また自分の個人的な立場、そういった点からもずっと東北各地、特に宮城岩手青森を見せていただきました。これはまさに惨たんたるものであるというふうに私は思います。特にやませが吹く東北地方の太平洋岸というのは、本当にこれで再生産確保ができるのかなというようなことを私も懸念をしながら各地を回ったところでございます。  それにつけても、まず第一に私は考えなければならない点として指摘をしたいのは、いま小川議員からも指摘がありましたけれども、農林水産省の今次冷害に対する理解の度、その被害等がきちんとつかまれていないのではないかということを私は非常に懸念をするわけであります。私のところにことしはひどいよという農民からの訴えが来ているのは、もう八月の上旬ごろから実は入っております。そして各市町村なんかでは異常気象対策本部というものをもう八月の上旬には設けた、そして八月の中旬には冷害対策本部にこれを切りかえているというところがかなりの市町村においてあるわけでございますね。いま八月十五日付の作況指数がしきりに俎上に上っているようでありますが、私もこれは非常に心外なんであります。そしてこの調査の担当に当たった方々からも、実はあの作況指数はおかしい、もう八月上旬の段階から、これは米はことしはできないぞというようなことを、調査に当たった方々すらも言っておられるわけなんです。どうしてこういう食い違いが出てくるのか、私これは非常に疑問を感じざるを得ないのです。私これはひょっとすると政治的な思惑がありはしないかということも感ずるのです。実は来年から水田利用再編の第二期に入る。しかも近い時期に全国の知事会なんかも予定されている。そういう時期で、これは政治的な思惑が入り込んでいたのではなかろうかという勘ぐった見方さえせざるを得ないような状況ではないかと私は思うのですが、この調査に当たっては、その当時すでに気象状況はかなり異常になっております。特に水田においては幼穂形成期の低温というようなことはもう把握されていたのでありまして、そういった天候状況などを十分勘案されながらこの作況指数を出されたのかどうか、その見通しを出されたのかどうか、政治的な思惑がなかったのかどうか、そこらを伺いたいのです。
  76. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 政治的な思惑といま御指摘になりましたけれども、そういう点は全く私は意識もしておりませんでした。農林省においてもそういうことはなかったと確信をいたしております。と申しますのは、八月十五日の調査データが月末近く発表になったわけでありますけれども、どうも私も、あるいは東北あるいは中国地方、広島の山の中、中国山脈、ああいうところ、さらには九州の方からも、どうもことしはおかしいですよという声も聞いておりましたので、いままで農林省として例のない、いわゆる冷害異常気象対策本部というものを八月に設置をさせまして、そうして私どもとしては早目早目に実態を把握しよう、そうしてその状態がさらに悪くなっていくのか、あるいはその辺でとまるのか、その辺がどうなるかということを八月の下旬に大変心配をいたしまして、いろいろ防除の徹底でありますとかあるいは肥培管理の万全を期すとか、そういう技術面の指導を強化するように、実は各農政局に指示をいたしてきておるところでございます。  したがいまして、いま日野委員の御指摘のような、第二期対策をやるためのあれじゃなかったのかというようなことは全然考えてもおりませんでしたし、あのやませがあれだけ長期にあれだけ強く、しかも低温という最も悪条件で、しかもそれに長雨というのが加わった、こういうことでこういう結果に、大災害になったわけでありまして、農林省としても今日までの閥、あらゆる調査団を派遣をし専門家を派遣をし、また私も行くところが少なかったといって大変なおしかりを受けたわけでありますけれども、被災農家の気持ちと被災地の実態というものは私なりに自分の心に刻んで、そうして一昨日でしたか、もうここまで来ればこれは第二期の水田利用再編対策等についても、先ほど申し上げましたように農家の協力を得るためには、やっぱり冷害対策で信頼を得なければ水田利用再編対策も円滑に実行できない、こういうふうに判断いたしまして、十月はとにかく冷害全力を挙げて取り組んでいこう、こういう指示をいたした次第でございます。
  77. 日野市朗

    日野委員 その作況指数の出し方なんですが、これは技術的なことなんですが、こういった植えつけからその調査の時点までの温度の関係なんかも把握をした上で調査の結果を出されるのかどうか、その点ちょっとだけお聞かせいただきましょうか。
  78. 関根秋男

    ○関根説明員 作況指数を出します場合には、御承知のように全国的に作況標本筆というのが実はあるわけでございます。その標本筆につきまして、穂数とかもみの数とかそういうものを調査をいたすわけでございます。それ以外にも、実りぐあい、そういうようなことを実際の圃場について調査をいたしまして、そういうふうに基本的に調査するところ以外については、巡回観察といいますか、そういうものをベースにいたしまして、過去の稲の成長期の気温なりこれから将来の気温というのは平年並みで推移をするというような前提に立ちまして、その時点での作況というものを私どもは見ておるわけでございます。  それから、先ほど先生からお話がありました八月十五日の作況指数というのが非常に現実に合わないというお話でございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、東北地方におきましては五月、六月の天候が実は順調であったわけでございまして、私どもの調査によりましても穂数、粒数というのは十分ついておった、それが冷温の影響を受けまして、作況指数やや良ないし良という状況からだんだんと沈んでいった、こういうのが実態でございまして、私どもそういう被害の進行状況にかんがみまして、通常でございますと八月十五日の次には九月十五日に調査をするわけでございますが、特別に九月一日に調査をいたしまして、それを作況指数として九月一日の状況も発表した、今回はさらに、九月十五日の調査につきまして十月章々にも発表したい、こういうふうに考えているところでございます。
  79. 日野市朗

    日野委員 八月十五日の作況指数がえらい不評を買ったことはこれはもう周知の事実でございますね。それででは九月一日も出そうということになったのだと思いますが、ところがこの九月一日がまた評判が悪いのですよ。私のところは宮城ですが、宮城が八八で出た。ところが私の目から見て九月一日現在で八八というようなのを出せるようなたんぼはございません、これは平均だということでございましょうけれども。宮城の最もいいたんぼを見たところでも八八というのは出せない、そういうふうに私考えているのですが、もうすでにこの時点ではかなり厳しい見通しというものが立ったはずだと思うのです。ところが私たちが見たものと余りにも違いが多過ぎるわけですね。これで現実に生産者、農民それから市町村それから農協あたりが、とてもこんなものは信用できない、国の作況指数なんというのはとてもとても信用できないということで独自の調査を始めたことも御承知のとおりだと思いますね。ここいらでも高い数字が出たので私非常に実は心外に思わざるを得ないのです。  それで今度は、九月十五日のものが恐らくかなり集計が進んでおると思うのですが、きょう私のところに寄せられた宮城県のかなり被害の激甚な地域、特に農林水産委員会なんかも視察に赴いた場所ですな、気仙沼、本吉郡、ここいらをちょっとここで、私の手元に入っておりますから数字を申し上げたいと思うのですが、これは被害率で申し上げます。気仙沼の九〇・九%、とれるのは九・一%ということになりますか。それから唐桑町というのは九〇・七%、本吉町八五・八、歌津町九三・一、志灘川町八二・四、津山町七〇’九という数字ですね。これは町役場それから農協、改良普及所、こういったところが合同でやった調査なんです。これは宮城県の平均すれば八八だなどという話ではありませんよね。確かにこの地域農地も少ないところです。でありますから、そこの数字が大きく宮城県の平均を動かすことは恐らくないでしょう。こういう数字を見ますと、今度の十月上旬には発表されるであろう九月十五日との違いが余りにも大きいということになったら、また農業関係者の不信を増大することになりませんか、どうなりましょう。
  80. 関根秋男

    ○関根説明員 冷害は、御存じのように一過性のものでございませんで、進行しておるわけでございますから、時期がたつに従いまして被害が大きくなるということは争えないことだろうと思います。五十四年の冷害が今回の冷害の前では最大の冷害だと言われておりますが、五十四年の冷害の際も、八月十五日現在では作況指数は一〇〇であったというふうに思います。それが最終的に九四ということになったわけでございますが、現在私どもが九月一日付で発表しておる作況指数はすでに九四ということになっておりますが、おっしゃるように、特定の地域につきましては収穫皆無というようなことも言われておりますし、現地認否でもそういうことが報告されておるわけでございまして、確かにおっしゃるように地域別に非常に冷害のひどい打撃を受けているところがあろうかと思います。私ども、これを全県的になべて合わせて作況指数ということで出しておりますので、私どもの数字自身があるいは深刻に冷害を受けられておる方々から見ると非常に甘い、こういう御批判もあろうかと思います。しかし、私どもは御承知のように最終的には坪刈りまでして全部被害の結果というのを確定をしなければいかぬわけでございますから、私ども自分で数字を操作をしたところで事実というのは収穫期にあらわれるわけでございますから、私どもはそういう真実に至る過程としてそれぞれの時点の調査を精いっぱいやっておる、こういうことで御理解をいただければありがたいと思います。
  81. 日野市朗

    日野委員 もう一つの町の報告をしますと、これは河北町というところですが、非常な美田地帯です。ここでも被害率六四・五という同じような調査の結果が出ている。これはかなり科学的なきちんとした調査をやっていると私思うのですよ、役場、農協それから改良普及所、こういうところが共同でやればですね。冷害というのは進行性のものだ、こういうふうにいまおっしゃいますけれども、それでもなおかつかなりの食い違いが出てきちゃうだろうというふうに私は思います。そうすると、国の調査というのはまずすぐに共済金の支払いやらいろいろな対策に響いてまいりますので、これはもうかなり神経質になっているだろうと思うのですね。これは少なくとも最終的な調査については、農水省側とそれから町、この衝に当たっているいろいろな役場とかこういうところで、お互いの納得がいくように合同でひとつ御調査なさいませんか。いかがですか、そういう方針は。
  82. 関根秋男

    ○関根説明員 私どもの調査は何十年来確立された一つの方式をもちましてやっておるわけでございまして、私どもはそれ自身はそれなりに正しいものだというふうに思っているわけでございます。  いま共済に関連してお話がございましたけれども、共済の方の評価の問題につきましては、経済局長からすでにお話がございましたように、私どもの組織と連合会というのは連絡をとりながらこれをやっていく、こういうことでございますので、そちらはまたそちらなりに解決する道があろうかというふうに思っております。
  83. 日野市朗

    日野委員 時間がありませんので、どうもいまの答弁なんか大分不満なんですが、後でまたその点はいろいろ物を申すことにいたします。  次に、質問を変えて、今度は水田利用再編対策の問題に移りたいと思います。  先ほどから大臣は、十月いっぱいはまず冷害対策に熱中するというか没頭するというお話でしたけれども、まず、いま各県などから寄せられている要望事項、要望書などにまとまっておりますが、冷害対策の最たるものの一つとして、水田利用再編対策、これから略して減反、減反、こう言うことにいたしますが、それを何とかしてくれというのが必ずついているはずでございますね。十一月にそれは決定するとして、現在の大臣の御心境はどうなのですか。この減反を従来どおりやるというのか、それとも冷害という事態にかんがみて何かの処置を加えるというのか、この点について伺いたいと思います。  御承知のように、澤邊次官が冷害と減反は関係がないという非常に冷たく突き放したような言い方をされて、これはかなり各方面から厳重な抗議があったものと見えまして、二日ほど後にまたそれを修正するような発言をしたというような経過もございました。これはかなり農水省内部でも、高度の政治的判断については揺れ動いているところがあるというふうに私思います。もっとも、この冷害に当たって従来どおりやるんだというような冷たい態度をとったのでは、これはやはりいささか人間味に欠けるところもあろうじゃないかというふうに私は思うのですが、大臣いかがでしょう。
  84. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、とにかく九月中にその割り当てをという意向を持った時点もあったわけでございます。それがやはり各界各層に伝わりまして大変心配をされた向きは、各知事さん方あるいは被災地の市町村長さん方から十分事情をお聞きしてきておるところでございます。  したがいまして、私といたしましても、先ほど来申し上げてきておりますとおり、農家の信頼がなければ第二期水田利用再編対策も円滑に進めるわけにはまいりません。かねて申し述べてきておりますとおり、やはり米の需給のバランスをとっていくということは大変大事な課題でありますので、これは避けては通れないけれども、しかしやはり冷害というものの対策を十分やって、そうしていま不安におののいております被災地の諸君が一応落ちつきを取り戻すであろうというその時点を見て私なりの決心をしていきたい、そんな気持ちで実はただいまおるわけであります。
  85. 日野市朗

    日野委員 水田利用再編対策というのは、これは米の需給の上からの政策判断であったわけでありまして、ことしのように、もうこれは米はつくったけれどもとれないという結果を見れば、当然従来から考えられてきた第二期の再編対策というものは見直されてしかるべきだと私は思っているのですね。まさか一部報道機関が報ずるように、ことしの冷害というのは農水省ではこれは天の配剤だと思っているわけではありますまいな。天の助けだと思っているというようなことを書いている新聞もありますよ。いかがでしょう。
  86. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いやしくもそういう考えはみじんも持ってはならないということを、私は責任者として次官以下にはっきりと申し渡し、そうして先ほど申し上げたように大事な水田利用二期対策についてもとにかく思い切って先に延ばす、その間、各界各層のいろいろの御意向を十分に聴取をして決心をするということでございまして、今回の冷害日野委員の仰せられたようなふうにとるというようなことは、私どもは夢にも考えてはならぬことである、こういうふうに自戒をいたしておるところでございます。
  87. 日野市朗

    日野委員 現実に農家の中には皆無作というところもあるわけでして、その農家の個々の経営単位をとってみれば、これはもう何年分かの減反を先取りしたのと同じような結果が現状出ているわけですね。そういう事実もきちんと御配慮なさいますか。
  88. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういういろいろの御意見がこれから冷害対策を進めていくについていろいろと提案をされ、提起をされてくるであろう、こう私は考えておるわけでございますので、その辺の事情をよくかみしめまして最終的な決心をしたい、こういうふうに考えております。
  89. 日野市朗

    日野委員 時間もありませんので、本当はもっと詰めたお話も伺いたいのですが、亀岡大臣さすが農村出身でもあり、冷害の激甚地の御出身だけあって、腹にはかたく秘められた決意をお持ちと思いますので、次の質問に移りたいと思います。  これも各地から寄せられているわけですが、米の売り渡し予約概算金の問題について伺いたいと思うのですが、農家はもう現実には概算金を使ってしまっているのですね。農家の経営というのはどうもかなりどんぶり勘定でありまして、もっともどんぶり勘定でやっていかないと農家というものはやっていけないのでありましょうが、もう使っている。これをいますぐ、おまえのところは米ができなかったじゃないか、概算金までおまえのところは米を出さないからそれを返せというふうなことを言うのは、これは酷じゃないかなというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
  90. 松本作衞

    ○松本説明員 災害を受けました農家にすでに支払ってあります概算金につきましては、これは農家といたしまして返納がむずかしいという問題が確かにございますので、これにつきましてはとりあえずその利子の減免措置をするということを考えたいと思っております。この利子の減免措置につきましては、五十一年の災害の際にも災害の程度に応じまして減免措置を講じておりますので、これらの例も勘案いたしまして今後検討してまいりたい。  また、代金そのものが返せないのではないかというような点につきましては、これは売り渡しの期間中に返してもらうことになっておりますが、従来から集荷団体に肩がわりをしていただくということで措置をいたしておりますので、今後もそういう方向で集荷団体とも話し合っていきたいというふうに思っております。
  91. 日野市朗

    日野委員 集荷団体というとこれはあらまし農協でございますね。私もずっと各県の調査をやってみまして、いろいろ農協にもお邪魔をいたしまして、大体どのくらいの手持ち資金があって、どのくらい貸し出しをしていて、現在どのくらいの金が使えるのかというようなことをいろいろ質問をしてまいったわけであります。ある程度の手持ちがあると言うところもあれば、もうすでにオーバーローンだと言っている農協もあるわけでありまして、これはもうところによりさまざまでありますが、いずれにしても共通して心配しているのは、特に冷害のひどい地域では運営資金にも事欠いてくるのではないかという心配を非常に強くしているわけですね。ここらについて現状としてはどういうふうに把握しておられますか。
  92. 松浦昭

    ○松浦説明員 まず、被災農家の経営を持続いたしまして再生産の資金を確保しなければならないわけでございますが、それはまず何よりも天災融資法、これの発動を待つということだろうと思います。それからまた自作農資金、これにつきましても、その融資を考えますれば先生のおっしゃいますところの運営資金についても十分な手当てができるというふうに考えておる次第でございます。
  93. 日野市朗

    日野委員 どうも聞いていますと、これはそういう資金的な手当てによって一応金は入るじゃないか、それから差っ引いて概算金を払わせればいいじゃないかというふうにも聞こえちゃうのですが、そういう意味じゃありませんか。質問の意味、おわかりになりましたか。
  94. 松本作衞

    ○松本説明員 ただいま経済局長がお答えいたしましたのは、農協の資金繰りにつきまして、ただいま先生から全体として被害地の農協に対する資金対策をどうするのかということでございますので、その農協の資金対策としての措置を申し上げたことでございまして、農家から直接ということではないということでございます。
  95. 日野市朗

    日野委員 まあ手順として、これは概算金を払わせるというときは、概算金の返納がスムーズにいかないときは、ちゃんと告知書を切って、そして取り立てるということをするわけですが、これはしょせんは集荷団体との間の契約関係になってまいろうかと思うのですが、その場合、これは事実上返納告知書を切るのを先延ばしをしていくという処置はとれるわけでございますね。いかがでしょう。
  96. 松本作衞

    ○松本説明員 予約概算金につきましては、これは当然後になって現物が入ってくるということを前提にいたしまして概算金を出しておるわけでございますが、その現物が出ないということになりますと、やはりその概算金については返納していただく必要があるわけでございますが、先ほど申しましたように農家がこれを返納するということはむずかしいという事情が出てまいります場合には、集荷団体に代位弁済をしてもらうという形をとってまいりたいということで、集荷団体との関係でこの代金を徴収してまいりたいと思っております。この点につきましては、従来から集荷団体につきましては農家が予約概算金返済に困るような場合に代金の支払いができるような積み立て等の指導もいたしておりまして、従来からそのような措置を指導いたしておるところでございます。
  97. 日野市朗

    日野委員 私が聞きましたのはそういうことではなくて、いままでの指導、それは結構だと思うのですよ。このようなときに当たって、集荷団体である農協が運営資金にも困ってきたというような場合、農協の系統内でそれは資金のやりくりできるじゃないか、こういう冷たいことは言わずに、それを事実上先延ばしをしていけばいいだけの話ではないかということを私は聞いているわけです。
  98. 松本作衞

    ○松本説明員 ただいま申しましたようにこの予約概算金は現物が入ってくるということを前提にして仮に支払っておる代金でございますので、この現物が入ってこないということが明確になりました時点にはこれはやはり返済をしていただかなければならぬと考えておるわけでございますが、実態といたしまして農家の支払いが非常に困難であるという場合に、いま申しましたように農協等集荷団体を通じて返済をしていただくということを考えております。  なお、その点の資金繰り等につきましては、先ほど経済局長からもお答えいたしましたように、農協全体についての災害時の資金繰りを措置するということで考えられるのではないかと思っております。
  99. 日野市朗

    日野委員 これは、しょせんは契約に基づく債権債務なのであって、現実にこれを、たとえばさっぱり農協も払ってよこさぬわというようなことになった場合、さあ払えと言ってもさっぱり払わぬ、じゃ、これは請求手続をやるかというと、国税のように徴収の法律が別にあるわけでもございませんし、これを請求していくということになれば裁判所に訴求をしてむだな金をかける、そんなことよりも、事実上この先延ばしをして、任意の弁済を待つという方が得策じゃなかろうかということを申し上げているわけなんです。いかがでしょう。
  100. 松本作衞

    ○松本説明員 この予約概算金の弁済につきましては、先ほど申しましたように、やはりその年に現物の収入があるということを前提として支払いをしておるものでございますから、現物の収入がない場合にはその代金を支払いをしていただかざるを得ないと思っておりますが、その過程において、ただいま先生から御指摘がありましたように、非常にトラブルが起こるということがないように従来から指導しております。なお系統内部におきましての資金繰りのほかに、必要に応じまして上部団体、たとえば全農等が代位弁済をするというような形で先生が御指摘のあったようなトラブルがないような指導をしてまいりたいと考えております。
  101. 日野市朗

    日野委員 時間が参ったようでありますが、一点だけちょっと聞かしてください。  冷害というのは何もたんぼ、畑ばかりじゃなくて、海も海草の生育がきわめて悪いようです、ことしなんか。特に種ガキがさっぱり抱卵をしないということがありまして、種ガキの需給が非常にアンバランスになってきているような感じがいたします。これについてどのように把握しておられるか。またこの種ガキ確保のための手段、どのようなことを考えておられるか、ひとつ伺いたいと思います。
  102. 山内静夫

    ○山内説明員 宮城県の種ガキの生産量は異常冷温のためにことしは非常に不作である。こう聞いておるわけでございます。現在のところ、係官等を派遣していろいろ調査、指導をしたところ、例年の半作である、こういう情報があるわけでございます。採苗の結果は一応十月中旬にはっきりわかると思いますが、その間多少流動的でございますが、幸いにして広島県が、当初不作でございましたが、相当量の種ガキが余る、こういうことから、県等といろいろ相談しながら、不作の場合には広島県の種ガキを宮城県の方に回して、カキの養殖に遺憾のないような方向で対応したい、こう考えております。
  103. 関根秋男

    ○関根説明員 先ほどの私の答弁の中で「五十一年の冷害」と言うべきところを、誤りまして「五十四年」というふうに申し上げて失礼いたしました。訂正させていただきます。
  104. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  105. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中恒利君。
  106. 田中恒利

    田中(恒)委員 午前中に続いて質問申し上げます。  各委員の出席が非常に悪いようでありますが、特に自民党の皆さんはいつもでありますが与党質問が終わりますと急に少なくなります。大切な点でありますので、ひとつ委員長において今後善処していただきたいと思います。  大臣に御質問いたしますが、今朝来、災害問題につきましての各委員の質疑を通して、一つ冷害対策につきまして私の率直な感想を申し上げますと、災害対策の一定のレールの上を走っておるにとどまっておる、そういう感じが非常にいたすわけであります。天災法の発動なり、激甚地の指定なり、自作農資金の問題なり、その他もろもろの既存の災害対策のレールの上を今度もまた走る、特に五十一年災害を踏襲していく、どうもこういうことが現状の認識であります。果たしてこれでいいのかどうか。日本の農業の今日の実態の上に立って、いろいろなむずかしい問題がございますが、災害対策についてもやはり思い切った一つの方策を打ち出すべきではないか、こういう感じがいたしますので、その点をひとつ、今後、対策上の考えとしておくみ取りをいただきたい、こう思います。  同時にいま一つ、第二期生産調整、いわゆる減反政策と私ども申しておりますが、この減反政策につきましていろいろ御意見がございました。私も重ねてお尋ねをいたしますが、大臣は、今回の冷害生産調整とを関連させて第二期減反というものをお考えになるのか、生産調整は生産調整、冷害冷害、こういう形で処理されようとしておるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  107. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 冷害と関連があるのかないのか、そのいずれか、こういうことでございますが、関連もあり、関連なしと言えば関連なし、関連があればこそ、実は九月早々割り当てをしたいと思っておったのを、一カ月有余延ばさなければならないと決心せざるを得ない、こういうところでは確かに関連はある。こういうふうに私は思います。したがいまして、先ほど来答弁申し上げておりますとおり、第二期水田利用対策は、九月に割り当てをするということをしばらく延ばしまして、そうして冷害対策に専心をする、こういう決心をいたした次第でございます。  先ほど来申し上げてきておりますとおり、私は、第二期の水田利用再編対策はやはり避けて通れない農政上の大事な問題であるという認識を持っておりますだけに、やはり農家の協力、さらには自治体の協力、農業団体の協力、あらゆる御協力を得なければ、農政の基本である米の需給のバランスをとる大政策が実現できない。それには、いま冷害対策というものの既成路線を走っているだけじゃないか、こういう御批判はありますけれども、しかし、今日まで戦後三十五年問いろいろな過程を経て、災害の起きた場合にはどうすべきかということで、われわれの先輩の議員の皆さん方がっくり上げてこられた災害対策一つの法的根拠というものは、もうこれ以上のものはなかなかできないのじゃないかというところまで整備されておると私は認識いたしておりますので、この災害対策は五十一年度そのままというところじゃなく、やはり国会できちんとしていただいております法律に基づいて、忠実に農家のためにその法の精神が満たされるようにするのが私どもの務めであるということで、十月は災害対策全力を挙げよう、こういうふうにいたした次第でございますので、その点御理解を賜りたい。そうして、災害対策をやって、その対策によって被災農家皆さんが一応来年の再生産のめどをつけることができて、心情的にも落ちつきを取り戻すという段階になりましてから、第二期水田利用再編対策の具体的な仕事をしていきたい、実はこういうふうに考えておるわけであります。
  108. 田中恒利

    田中(恒)委員 国会答弁はなかなかしっぽがつかみにくいのでありますが、しかし、手続としては、冷害対策をやって農家に一定の安心感を与えて、そうして生産調整に入る、この手順はわかるわけであります。しかし、内容としては、特に米については、今次冷害の約七割が稲作である、こういう御調査も出ておりますし、現実に政府は、いま言われておる五十三万五千ヘクタールに十三万ないし十四万ヘクタールの上乗せをしていく、その分を需給調整上からも落としたい、こういうことが、現実には米の冷害でもってそれを上回るものが落ちてくるわけですね。  時間がありませんから、食糧庁と細かいやりとりできませんが、恐らくことしの米は一千万トンを割るのじゃありませんか。一千万トンを割った場合には、いわゆる本年度の、単年度の需給計画として打ち立てておる計画よりも少なくなるのじゃありませんか。そういう実態がある以上は、いわゆる生産調整と冷害というものは全く密接な関連の中で政策的に考える、これが進む道であるし、特に大臣は農村の出身で農民の気持ちはよく御承知のはずであります。これは米だけではありませんが、日本の農民がいま一体何をどうしたらいいのかということでみんなが頭を抱えておるというか、あきらめてしまっておる。そういう中で大冷害に落ち込んでおるわけでしょう。そういうものに対して考える場合に、これは関係あるようでないようでまだわかりませんということでは困るのであります。  私どもは、やはり関係をきちっと持っていただいて、減反は本年は中止すべきである、こういう主張を持っておるわけでありますし、それから、知事会にいたしましても農業団体にいたしましても、もちろん農家はそうでありますが、ともかく減反はもう本年は見送ってくれ、こういう声がほとんどであるし、今朝来、委員の二班にわたる調査団報告の中にも、そのことは各委員の代表から報告をせられたとおりであります。  そういう意味で、私どもは、第二期減反というものについて、この際亀岡農政は、それこそここでひとつはっきりとした農政色を打ち出していただいて、いわゆる中止をする、あるいは最悪の場合昨年度にとどめる、こういうものを明確にしてほしい、こういう考えを持っておるわけでありますが、それらについての御所見を承りたいと思います。
  109. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私の気持ちといたしましては、先ほど来申し上げてきておりますとおり、いまここで第二期水田利用再編対策の件について、まだ内容も何も固めていないわけでございます。したがいまして、ここではっきりと、どうするこうするということを申し上げるところまでこれは固まっておらぬわけであります。固めてまいりますためには、やはり農業団体でありますとか、あるいは全国知事会でありますとか、あるいは市町村長の皆さんでありますとか、そういう方々に対しまして、冷害になるということを予測しておりませんので、わが農林省が当初考えたような一応の考え方を御説明申し上げてはおりますけれども、しかし冷害がありましたから、ここ一カ月ほどは水田利用対策の方はしばらく、冷害対策のめどをつけるまで、各界の意見もその間に十分聞いて、そうして最終的な処置を講じよう、こういうふうにいたしておるわけであります。  いまお示しの、実収高がどのくらいにとどまるのか、そういう点ももう少し、やはり最終段階の統計調査の結果も見なければならぬわけでありますので、そういう点をよく把握をした上で、いま御指摘のように、本当に円滑に将来の農政確立のためにやらねばならない問題としてどう取り組んだらいいかというようなことは、いまこの冷害対策のさなかで私が申し上げるまでに内容が固まっておらない、こう申し上げる以外に方法がないわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  110. 田中恒利

    田中(恒)委員 重ねて申し上げますが、いま大臣が御答弁になりましたように、各団体、市町村、県あるいは国会、各政党、そういうものの意見が、第二期生産調整については見直すべきである、こういうおおよその意見になる、あるいはことしの作況として、収量が農林省の考えておる単年度需給計画を下回る、こういう段階においては、生産調整については再考慮をしていく、こういうことでありますか。
  111. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そこまでははっきり申し上げておらないわけでありまして……(田中(恒)委員「だからそうなった場合は」と呼ぶ)それは仮定の問題でございまして、私としてもその点、何と申したらいいのですか、非常に苦労をいたしておるところであるわけでございますから、その点は御理解をいただきたい。いまここで私が言えば、せっかく冷害対策に取り組んでおります国会の意向にも反するような影響を出してもこれは申しわけない、こう思いますので、私は、一カ月ほど時間をかしていただきたい、その間にもう少し考えさせてもらいたい、こういうことでございますので……。
  112. 田中恒利

    田中(恒)委員 むずかしいところでしょうが、お互いの腹は腹でひとつ通じさせていただいて、今回のこの災害対策の——一方ではこれが非常に大きな問題だと思います。農林省事務当局は大変むずかしいという話も聞いておりますが、やはり私ども、日本の米作についていろいろな角度でもう一遍再検討する必要があるのじゃないか、こういう気もいたしますので、そういう点もひとつ含んで御決断をいただきたいと思います。  大変たくさん問題がありますが、私どもも院の調査、あるいは県内をずっと回っておりますが、今回の災害の特徴は、一つは、日本列島全体の非常に広範な災害であるという広さの問題があります。さらに、地域的に非常に差が激しい。いわゆる東北太平洋側を中心とした大変なかつてない大凶作、平たん部に比べて山間地帯が非常に大きな被害を受けておる、こういう地域差の問題。それから、作況がいろいろ言われておりますが、いわゆる冷夏、冷害長雨集中豪雨、台風、こういう気象災害でありますだけに、見通しとしては次第に悪くなっていく。特に農作物の品質の低下。こういうものがおおよそ今回の災害の特徴点ではなかろうか。私などこういうふうに理解をして調査団から帰ってきておるところでありますが、これに対応して、午前中御質問のありました農業共済の資金の問題がまず一番先に出るわけでありますが、これのいわゆる再保険の財政状況、これは一体どうなっておるでしょうか。  時間がございませんから、続いてもう一、二申し上げておきますが、政府としては、ことしの冷害対策災害対策で補正予算を組まなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、その問題についてはどういう把握をしていらっしゃるか、あわせて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  113. 松浦昭

    ○松浦説明員 今回の農作物被害のうちで一番大きな被害額が見込まれるものは当然水稲でございますが、水稲共済につきましては、国の支払う再保険金の所要額がどの程度の規模になるか、共済団体の損害評価の結果が固まらない現段階では、まだ確定的なことは申し上げかねるわけでございます。しかしながら、財源の面から申しますと、現在、既定の支払い財源といたしましては、再保険特別会計に再保険料として約三百億円、それから積立金としてこれまた三百億円、計六百億円の財源がございます。  ちなみに昭和五十一年度の状態で申し上げますと、再保険金が約一千億出まして、そのうち既定の支払い財源は五百億で、先生ただいまおっしゃいましたように差額五百億を一般会計から繰り入れたという経過になっております。  いずれにいたしましても、再保険金の支払い、これは国の義務でございますから、したがいまして、その支払いに支障のないように所要の財源措置を講じましてこの支出に充てていくということは当然のことでございます。またさらに、大臣からも強い御指示がございまして、共済金の年内支払いができるようにということでございますので、その点につきましても十分配慮いたしまして、目下関係当局と協議をいたしておるという段階でございます。
  114. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは五十一年度約手四百億の共済金を支払って約五百億近い一般会計の補正をやっておるわけですから、今回の場合は恐らく二千億に近いものが考えられるのじゃないか、こういうことも考えますので、補正予算の問題について、いろいろな災害対策を含めて、私はやはり小まめに細かく検討していただきたい、こういうように思うわけであります。  それから第二に、地域での災害の差でありますが、八〇年代の、政治全体もそうでありますが、農政も地域農政ということを盛んに言っておる時代でありまして、日本農業全体も非常に多様に分化をいたしておりますから、従来のような形で一括に取り組んでいくというか、あるいは対応していくということでは事足りぬ側面が非常にたくさん出てきておる、私は災害の面においても同じだと思うわけであります。そういう面では、やはりいま各県なり各市町村が、緊急の議会を招集して、あるいは定例の議会を招集して、必要な災害対策を講じておるわけでありますが、こういうものの中から、取るもの、学ぶもの、あるいは本省として、農林省として援助すべきもの、こういうものをやはり取り上げていただきたい。そういうものの中から既存のルールに外れた災害対策としての一つの方向が投げかけられてくるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思いますので、そういうことをまずお願いをしながら、大変小さい問題のようでありますが、あちこち歩いてぶつかった問題でこれはと思うようなことを一、二申し上げておきます。  一つは、山でありますが、森林の被害というものもそれなりにあるはずであります。非常に的確な資料や調査が不十分でありますけれども、いろいろな形であると思いますが、森林について、たとえば森林国営保険法がありまして、ここで気象災害と火山噴火と山火事についての保険が設計をせられておりますが、この中にひょう害が欠落をいたしております。このひょう害をなぜ落としておるのか。現実に今回の本年度の災害の中で、私どもの地方におきましても高知県から愛媛県の山間部にかけまして大変なひょう害がございまして、山林地帯に被害を与えておりますが、これがどうも対象から外れておる。気象災害からひょう害を外しておる。そして、雨であるとか風であるとか霜であるとか雪であるとかあるいは塩害はありますが、しかも法律には「限ル」、こういう規定になっておりまして、ひょう害であるという場合には認定できない、これは気象災害でもって構成されておるこの法律にひょう害を外しておる理由は一体何か、これに対してどう措置するのか、この点についてお尋ねをいたします。
  115. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  森林の場合、ひょう害はいまお話しございましたような事例が非常に少ないということがございますし、それから、ひょう害によって林木の生立が不能に至るような被害がまれであるということから損害の統計的な数字が少ない、これまでそういうような理由で保険事故の対象から除外されてきておるものでございます。
  116. 田中恒利

    田中(恒)委員 三十六年にこの法律の整備がなされた際に、本院の附帯決議にこの問題がやはり出ておるわけですね。その際にもいまおっしゃったような御答弁がありまして、いわゆる資料が整備をされていない、こういうことでありますが、それからすでに二十年間たったわけでありますから、当然資料の整備はあってしかるべきであります。理論的にはこれは成り立たないことなのでありまして、これはやはり部分的に少ないといえども被害は非常に大きい場合が多いわけであります。ひょうはいわゆる広範囲には降ってまいりませんけれども、与える影響は非常に大きい、そういう災害でありますので、何としてもこれは処理をしていただきたいと思いますが、事務当局は二十年かかってまだ日の目を見てないわけでありますが、大臣どうですか。
  117. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 保険設計をしてまいりますためにはデータが必要であるということは理解できますけれども、しかし、まれにしかないかもしれなくとも、被害を受けた農家はその困惑さは、これはもうはかり知れないものがあるのは十分理解できるわけでありますから、そういう点を、やはり本院の附帯決議もある以上は、できるだけ早くそういう不備な点を検討し直しまして、そして院の趣旨に沿うように、当委員会の趣旨に沿うように指導をしてまいりたい、こう考えております。
  118. 田中恒利

    田中(恒)委員 林野庁長官に重ねてお尋ねしますが、現実にありましていろいろ困っていらっしやるところがあるのですね。そういうところは特別に何か方法がございませんか。ひょうが降っているとき風がたくさん吹くわけですが、風害とみなすというふうな方法での暫定措置はとれませんか。
  119. 須藤徹男

    ○須藤説明員 いまお話しございましたように、ひょうが降る場合には風が強いというのが通例でございまして、風害というような措置をとったこともあるように聞いておりますが、今回御指摘ございました愛媛、高知にわたりますひょう害につきましては、ほとんど風が吹いてないというような状況でございまして、そのようなことで、お気持ちは十分わかるわけでございますが、何分にもいま法の中に限定を受けておりますのでできがたいということでございますが、ただいま大臣から御答弁ございましたように、現在国営保険制度全般を見直しておりますので、その中でぜひ前向きに取り組んでいきたいというように考えております。
  120. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこのところがちょっとお役所でわからぬのだな。風が吹いてないんじゃない、風は吹いておるのですよ。風は吹いておるのですが、あの山の中には風を調査する調査施設がないのですよ。これはクリ共済の問題も同じでありますけれども、風力七ですか、十分間に十何・何メートル吹かなければいけない、こういうことをやっておるのですけれども、それを測定する装置はないのですよ。それで、ないと言われるとこれは困るわけなので、あれはひょうが降る場合には気象学的に風が吹くのですよ。風が吹いてひょうが落ちてくるのですよ。しかし、農林省や林野庁が言われるように非常に長い間吹きつけるという現象はないかもしれませんけれども、現実にはあって林木などを相当傷めておるわけでありますから、そこのところの細かい実態をもう少し調査をしていただきまして、ひとつ善処をしていただきたいと思います。  それからいま一つ、施設園芸の共済制度がありますが、この施設園芸の共済制度の中にハウス栽培、最近西日本の園芸地帯ではよく普及しておるわけでありますが、これが品種改良施設として相当広がっておりますが、これについては施設園芸の対象になりますけれども、雨よけハウスといいまして上の方だけハウスをやって両わきは風通しをよくしておるわけです。これはハウスが少しだけ足らないというので対象にならないということになっておるのですが、こういう問題はどうですか。小さい問題のようですが……。
  121. 松浦昭

    ○松浦説明員 園芸施設共済の共済目的は、施設園芸施設の内部で農作物を栽培するための、たとえばプラスチックハウスでございますとかあるいはガラス室あるいは温室と、調節施設等の付帯施設及び施設内の農作物が共済目的になっております。  ただいま先生御指摘になりました、いわゆる側面カバーをしていないビニールハウス、雨よけ栽培施設と申しますか、これにつきましては、保険需要も少なくて、したがいましてこれまた実は保険設計に必要な被害地等の基礎データがございません。そのことから現在引き受けない状態になっておるわけでございます。
  122. 田中恒利

    田中(恒)委員 これもまた後であれしますが、一遍検討してみてください。  それから、先ほど予約概算金の問題について食糧庁長官の方からお話がありましたが、八・二五%の金利ですが、これ金利の中身がいろいろありますね。いろいろあるでしょう。
  123. 松本作衞

    ○松本説明員 はい、ございます。
  124. 田中恒利

    田中(恒)委員 それどうなんですか、ゼロにするのですか。
  125. 松本作衞

    ○松本説明員 この予約概算金の利子の減免措置につきましては、従来の金利水準を下げまして、六分五厘、三分五厘ないしは免除というところまでやっておりますので、今回もこの免除という措置被害の程度に応じてとっていきたいと考えております。
  126. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは個々の農家被害実情に応じてでございましょうが、この辺はどういう査定をしていくのか。私どもは予約概算金の金利は免除にしますといえばゼロになると思っておると、実際はいまのような状況なんでありますが、ひとつできるだけ予約概算金の金利ぐらいは何とか処理しませんか。どうです。
  127. 松本作衞

    ○松本説明員 やはり災害の程度に応じて措置をとるべきものというふうに考えておりますので、災害の程度によりまして、非常に災害の激甚な農家についてはゼロにしていきたいというふうに考えております。
  128. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは要望しておきますが、天災融資法の発動はほぼ決定だと思いますが、天災融資法の金利も三種類ほどございますね。自作農の創設維持資金が五分五厘ですか。天災融資法と自作農の法律の性格からして、天災にかかった農家自作農維持資金以上の金利がかかる、これはどうも理論的に理解しがたい面であります。天災被災農家の金利というのは少なくとも自作農創設維持資金よりも安くする、これが原則であるべきだと思うのです。こういう点についての再検討をしていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  129. 松浦昭

    ○松浦説明員 天災融資法の金利は、一般の金利は六・〇五%でございますけれども、特別被害者、これは五割以上の収入減がございましてしかも特別地域被災者であるといったような方に対しましては、三%の金利を適用しておるわけでございます。自作農の資金が四・六でございますから、さような特別被害者につきまして自創資金以下の安い金利を適用いたしておりますので、さような角度から見ますると、現在の金利体系はバランスがとれているというふうに考えておる次第でございます。
  130. 田中恒利

    田中(恒)委員 バランスとれておりますかね。そこのところはちょっと違うのですけれどもね。激甚地の被災農家については三%ですね。しかし、天災融資法という法の性格からいえばこれは天災農家に対する低利の資金援助でありますし、自作農創設維持資金は自作農を維持させるという面でありますから通常の政策であります。天災の場合は異常な事態の法律でありますから、私どもの理解では金利水準は通常の法律よりも安くなる、これがたてまえだと思うので、六・〇五%という一般的な金利水準というものを再検討してほしい、こういうことであります。  こういう声はやはりあちこちで問題になっております。私はそういう問題を農林省はあえて固執する必要はないと思うのです。やはり検討するものは検討していただいて、こういう異常災害あるいは農業と災害という問題、これは農業の特徴なんでありまして、大蔵省との関係やいまの日本農業全体の壁は厚いと思います。思いますけれども、やはりこの災害立法としての天災融資法の性格をめぐっての金利のあり方などについての検討は十分していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  時間がございませんが、気象庁来ておると思いますが、気象庁は今回の異常冷害についてどういう科学的な分析をしてきておるのか。私どもがよく村や町へ行きますと、この冷害はまた来る、こういう不安があるのです。そう再々来ないよと言う人もおりますけれども、最近の異常気象というのは、私どもの常識ではちょっと律し切れない異様な地球表面上の変化が作用しておるような感じもする面があるわけです。異常気象というのは世界的な現象として出ておるようでありますが、気象庁はこういうものに今後どういうふうに対応していくのか、この点ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 菊池幸雄

    菊池説明員 異常気象が何か最近いつもとは非常に違った形であらわれているような印象を受けるというお話でありますけれども、いままでの統計をずっととってみますと、ことしに限りましても異常気象が特に例年に比べて多いということはございません。大体異常気象というのは毎年どこかで必ず起こっておりまして、ことしも頻度から言いますと大体同じような起こり方をしていると言うことができます。ただ、たまたまことしの場合は日本に異常冷夏をもたらしましたので、私たちとしては非常に影響を受けたわけであります。  それで、この異常冷夏の原因といたしましては、学問的に言いますとブロッキング高気圧というものが原因になっておりまして、これがどういうメカニズムで起こるのかということが異常冷夏の原因の究明の本質だと思いますけれども、これにつきましてはまだ世界的に大きな問題として検討されている段階でございまして、気象庁といたしましてもこの問題の原因究明にいま鋭意当たっているところでございます。  これに関しまして、気象庁といたしましては、長期的にはこういう問題に対処するべく昭和五十四年の十月に気候問題懇談会を発足させまして、各方面の学識経験者及び関係省庁の職員の方々異常気象あるいは気候変動の情報交換を行っております。それからさらに本年の七月十日に気候調査企画室を設置いたしまして、全庁挙げまして異常気象及び気候問題への対応を始めたところでございます。  以上でございます。
  132. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間が参りましたので終わらしていただきますが、最初に申し上げましたように、やはり災害対策について既存のルールとは違った視点で問題を取り上げてもらいたいものがたくさんあると思うのです。  きょうは質問の時間がありませんが、私ども西日本は特に商品生産部面が非常に伸びております。そういう分野での災害の問題については、農業災害補償法とは別に、たとえば私どもの県では、いまミカンの所得共済補償方式というものを、私どももちょっと参加した経過がございますが、やっております。いろいろな面でこれを検討してみる必要があると思いますので、そういう側面もとらえた災害対策を今期の異常な冷害の時期にひとつ打ち出していただいて、必要な方向づけをしていただきますように特に御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  133. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど田中委員の質問の中で、園芸施設共済において雨よけも共済の対象にしたらどうかという御示唆があったわけですが、この件につきましては、今後も相当利用者がふえてくるのではないかという予想も立つわけでございますし、さらに転作作物等の定着の上からもこういう施設が将来相当重要なポイントを占めるのじゃないかということもございますので、今後における栽培の実態とかあるいは保険需要、被害発生態様等を見ながら、これらの施設を引き受けることができるかどうかというようなことを検討させていただきたい、こう思います。
  134. 田邉國男

    田邉委員長 次に、安井吉典君。
  135. 安井吉典

    ○安井委員 短い時間ですから、ひとつ端的なお答えを期待していますが、食糧庁長官、いま田中委員からもお尋ねがあってお答えがなかったわけでありますが、冷害によることしの米の単年度需給の見通しをひとつ数字で明らかにしていただきたいと思うわけです。たしか私どもが聞いている限りでは、五十五年度の政府の米需給計画は、五十三万五千ヘクタールの生産調整をして二百四十五万トン減らして、それで千百十五万トンを目標にしていままでやっているというふうに聞いているわけです。ところが、実際は減反は五十七万二千四百五十ヘクタール、計画よりもよけい減反が行われているということが一つ。それからきょういただきました資料によると、被害によっては水陸稲で百三十八万八千トン減収見込みと書いてあります。そうなると、かなり予想よりも減るんじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  136. 松本作衞

    ○松本説明員 具体的な作柄の収量につきましてはまだ未確定の段階でございますので細かい積算はいたしておりませんけれども、ただいま先生から御指摘されましたように生産量が相当落ちるということになりますと、当初考えておりました生産量を下回ることになりますので、当然、五十五年産米につきましての単年度需給からいたしますと、当初予定を相当下回ることになるだろうというふうに考えております。ただ、その需要の方につきましても千百十五万トンというふうに考えておりました数字がさらに減少するという点もございますので、それらの点については今後早急に需給の実態を詰めてまいりたいというふうに考えております。  そういうふうになった場合に果たして政府の需給操作上困った点が起こらぬかどうかということにつきましては、実は五十四年産米でございますが、この五十四年産米がこの十月末で約百七十万トン繰り越しができるというふうに見込んでおります。したがいまして、端的に申しまして、百万トン以上たとえば単年度需給として減少することがございましても、この五十四年産米を活用することによりまして需給そのものとして心配が起こるようなことはないというふうに考えておる次第でございます。
  137. 安井吉典

    ○安井委員 需要量の減少の方はこれからのいろいろな資料で明確になっていくと思うのですが、供給の方はいま言いましたように減反の割合が七%もよけい減反されることによって、私が計算してみても十七万トンくらい供給が減るわけですし、それから米の被害は現在段階で見ても百三十八万トンも減るという見通しなんですよ。しかも、被害量というのはさっきもいろいろ議論がありましたけれども、とれるという米なんですけれども、果たしてこのとおり売れるかどうかというと、被害粒がたくさんあったり、落等があったりしてこれだけ俵の中に入って政府が買い上げできるかどうかという問題もあるわけですよ。これは減ってもふえることはなかろう、そう思うのです。そうしますと、いまの百三十八万トンというきょうもらった数字と私の試算の減反増による十七万トンを足すと百五十六万トンも予想よりも供給が減ることになるわけですよ。あるいはそれよりよけい減るかもしれない。こういう見方についてはどうですか。
  138. 松本作衞

    ○松本説明員 生産量の見方につきましては、先ほど統計情報部から御説明いたしました被害額の見方につきましては、今年度通常に生産がされればとれるであろうというものからの被害額でございまして、必ずしもいわゆる平年収量からの減収額ということとは違いがあるようでございまして、この点につきましては、今後発表されますいわゆる作況指数によりまして明確になってまいると思います。  作況指数につきましては今後どの程度になるかということを早急に見定める必要があると思いますが、私どもといたしましては、ただいま先生がおっしゃったほどの生産減にはならないのではないだろうかというふうには考えておりますけれども、この点はなお詳細に今後検討する必要があると考えております。  いずれにいたしましても五十四年産米だけで百七十万トン持ち越しがあるわけでございますので、需給操作上の不安は起こってこないものというふうに考えておりますし、必要に応じて五十三年以前の米につきましても動員をするいうことまで考えますれば、需給操作上の問題は起こってこないものというふうに考えております。
  139. 安井吉典

    ○安井委員 時間が短いものですから余りやりとりできないのですけれども、五十四米穀年度のおしまい、五十五米穀年度の初めの段階におきまして持ち越し量はどれくらいになるのですか。
  140. 松本作衞

    ○松本説明員 早速調べまして後ほど御報告をしたいと思います。
  141. 安井吉典

    ○安井委員 つまり去年の米穀年度の十月末は六百五十万トンと言われましたね。今度はどれくらいになるのか。百七十万トンのプラス、それから去年の消費もあると思いますから、ちょっと教えていただきたいと思います。  いままでも六百五十万トンも米が余っていて、そして、これは一年分も食わせるだけあるんだというような言い方で、みんなそのつもりでいるのですけれども、実際は、私ども調べてみたって五十年産米から五十一年産米、五十二年産米、五十三年産米とあるわけですよね。そんな古いお米食えるわけがないのです。だから、五十五年度に配給ができるのは五十四年産米ぐらいじゃないのですか。五十三年産米はあるいはまだ初めのうちなら食えるかもしれませんけれども、五十年や五十一年は……。だから配給ができる可能性のあるものはそのうち——いま数字をおっしゃるのでしょうけれども、そのうち配給ができるのはどれぐらいかということをひとつおっしゃっていただきたい。
  142. 松本作衞

    ○松本説明員 今年度十月末におきまして五十四年産米が百七十万トンと申し上げたわけでございますが、五十三年産米は百三十万トンございます。従来から食用といたしましては古々米程度を食用に供したこともございますから配給にできないということはないと思っておりますけれども、私どもといたしましては、できるだけ五十四年産米から消化をしていくということになれば、ただいま申しましたように百七十万トンあれば十分需給操作上は間に合うものというふうに考えておるわけでございます。
  143. 安井吉典

    ○安井委員 もう少し状況が進んだ段階でこの数字の問題は伺っていきたいと思うのですが、いずれにしても六百五十万トンが全部食糧にできるような、そういう印象を与えるような言い方は私はやめていただきたいと思います。  そこで、いずれにしてもことしとれたお米だけで一年間賄いができないということは大体において明らかになったわけですね。いずれにしても来米穀年度は古いお米を食べなければ間に合わないというところまでいっているわけです。それだけ食い込んでおるわけですよ。したがって、五十六年度の生産調整のいままでの考え方は、これはまだ正式に発表されたわけではありませんけれども、十四、五万ヘクタールをやめなければいけないというような言い方は、私はこういう言い方の中からでもかなりその問題点が説明がつくようになってくるのではないかと思います。ですから、今後生産調整をやめろと私たちは言うのではなしに、ことし生産調整によるところの持ち越し米が減るということだけはこれは間違いないようにも思いますので、いわゆる二期対策については、需給調整という問題が一つあるのと、それからもう一つ、大臣が先ほど来言われました農民の心情といいますか、そういう二つの問題が私はあると思うのです。そういう段階において、その後の方の冷害に打ちひしがれた農民の気持ちをいかにして大事にしていくか、それをさらに傷つけるようなことはやめるべきではないかというところにもう少しウエートを置いた考え方で今後の二期対策の問題にぜひ取り組んでいただくべきではないかと思うわけであります。  私は北海道の出身ですから、もう四四%近くの全国一の転作を押しつけられて、それを何とかかんとかこなしていて、その上にまた十四、五万ヘクタールも上乗せするものが来るのではないか、しかも反当たり一万円も奨励金が減るのではないか、そういう物すごい反発があるわけです。その上に冷害です。ですから、先ほど来ここで何度も繰り返されておりますように、私は北海道の出身だから北海道の気持ちがいやというほど私にしみ込んでいますけれども、そうじゃないですよ。私は東北も歩いたし、あちこち歩きましたけれども、どこへ行ったってみんな出るじゃないですか。きょう出てきた報告もみんなそうですよ。ですから、今日まで冷害で打ちひしがれてもう倒れそうになっている農民の上に、さらにまた第二期の減反だというのでその上に押しかかって首を絞める、そんなむごい仕打ちを亀岡農林大臣はまさかなさるまいと思うのですが、どうですか。
  144. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど来何回も申し上げておるところでございますけれども、私といたしましては、避けて通れない第二期再編対策、これは米の需給のバランスをとり、そして国会で御決議をいただき、しかも将来の農政を展望し、将来の長期見通しをつけるために、また農政の展開の方向を示していただくために農地三法等の成立をちょうだいをし、そうして農政の青写真を八〇年代に向かって比較的かきやすい環境をつくっていただいたわけでございます。  したがいまして、そういう冷害に打ちひしがれた農家の心情はわかりますけれども、しかし、やはり農政は永遠に続くものでありまして、その将来の展望もゆるがせにはできないし、避けて通るわけにはいかないということも、ただいまの安井委員の質問の中にも、ことしまでの生産調整ならいいじゃないか、こういうお言葉になって出ているのだろうと思います。したがいまして、私は九月に一応割り当てをしようかと思ったのを、とにかく十月いっぱい冷害、凶作対策全力を挙げて、そうしてその間にいろいろとただいまのような御意向等を十分各方面、各界にお聞きいたしまして、そうして来年度の避けて通れないこの水田利用再編対策を円滑に、しかも農政の新たな方向を築き上げていくための米の需給のバランスをとっていくという方策を、どこにどう焦点を合わせ、どう行うかというようなことを決めていきたい、こう考えておりますので、もうしばらくの時間を冷害対策全力を挙げることに使わせていただきたい、こう思う次第でございます。
  145. 安井吉典

    ○安井委員 冷害対策全力を尽くすために、九月末のものを十月の末ですか、延長したというのは、私はきわめて賢明だったと思います。その点は敬意を表しますが、その間においていろいろ意見を聞く、こう言うのですけれども、それから麦作までにということですが、十月の末になったら麦のまきつけば終わりますよ。ですから、新たな減反をふやすということに関連して麦作までに早く決めたいというその一つの問題だけは消えると思うのですよ。ですからわりあいに気楽になって、今日までのこういう状況を十分に踏まえた形で問題を処理されるべきだと思うのです。  ですから、私は、この間うち言われていたような第二期計画というようなものは、大臣のこれからの検討で十月末の段階までにはかなり変わったものになってくる、五十五年度のものをそのままとりあえず一年間延長するというような形ならそう問題ないわけですから、そういうような結論も出る可能性がある、こう見ていいですか。
  146. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いまのところ中身は決めてございません。先ほど来申し上げておりますとおり、あらゆる御意見を承りまして、そうして私どもの考えております、やはり何といってもこの需給のバランスを回復をするということはもう避けて通れない、こういうふうに考えておりますので、その辺のところをこの一カ月の間に、先ほど来申し上げておるとおり、農業団体あるいは地方自治体、県や市町村、それから各党の御意向また与党の御意向等も十分聞いて最終的な中身を決めていきたい、こんな気持ちでおるわけであります。
  147. 安井吉典

    ○安井委員 冷害農民の首絞めだけはやめてください。  それから、自治省からおいでいただいて悪いのですが、冷害によっての地方財政措置を、先ほど来いろいろ答弁があるのですが、自治省のサイドから特交の増額や起債の弾力的な運用について、ちょっとだけでもお話しいただきたいと思います。  特に救農土木だとか減免税の問題の財政措置もありますし、救農土木には私は特別な起債枠を設定する、そういうことが必要だと思うのですが、どうですか。
  148. 池ノ内祐司

    ○池ノ内説明員 冷害対策に伴う地方財源対策の御質問だと思います。  第一点でございますが、いわゆる救農土木に伴います地方財源措置でございますけれども、自治省といたしましては、こういう地方財政でございますので、極力公共事業実施していただきたいという考え方でございますが、被害地域に対します公共事業配分状況であるとか、あるいは関係の地方公共団体におきます事業の執行方針、そういうものを十分踏まえまして、事業の執行に支障が生じないよう地方債による財源確保について配慮してまいりたい、かように考えております。  それから、冷害対策に伴いますいろいろな事業に伴いまして特別の財政需要が生じた場合でございますが、それにつきましては、現地実情の把握に十分努めまして、関係地方公共団体からも実情を十分聴取いたしまして、特別交付税配分に当たっては十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  149. 田邉國男

    田邉委員長 次に、武田一夫君。
  150. 武田一夫

    武田委員 今回の異常な冷害異常気象につきまして、一説には天明以来の飢饉ではなかろうかという、そういう異常な状態、あるいはまた昭和にはかつて経験のない大変な事態であるということは、これはひとしく認識をされているところでありますけれども、日本、特に東北中心とした地方、ここに被害農作物あるいは水産その他につきまして多く問題が出ているということであります。     〔委員長退席菊池委員長代理着席〕 米の先進地として、食糧基地としましての東北がこうした非常な被害を受けるということ、これは文字どおり私は天災だと思うわけでありますけれども、私たちも、こうした異常な事態に当面いたしまして対策本部を設けまして、東北そして九州と九月の八日、九日、さらに今回の委員会視察におきましても、東北、九州という地域を十分に見てまいりましたし、農家皆さん方や関係方々のいろいろな話を伺って帰ってまいりました。話を聞き、現地を免れば見るほど、巷間新聞報道等の、それ以上のひどさであるということは、大臣も現地に行かれまして、つぶさに事情は知ったと思うわけであります。  こういうふうな状態でございますから、農家皆さん方はもう失意のどん底にある。一日も早く、要するに今後の立ち上がりを期待することに全力を挙げなくてはいけない、こういうふうに思うわけでございます。そういう意味で、政府としても、農林省もその対応に大わらわでありますけれども、どうか一日も早くその実行方をまずお願いしたい。要するに農家方々は、何か一つでも行動に移して、一つでも負担の軽減ということをまずお願いしたいというのが切実な要望でございます。午前中からいろいろと質問がございました問題、重なる部分もございますが、若干質問いたしまして、政府の対応に万全を期していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず、ことしの冷害が、規模からも、あるいはまた深刻の度合いからもきわめて異常であるということを考えますと、政府としましても、通例の災害の救済ということだけではこれはもうさばき切れないのではないか、対応し切れないのではないかと私は思います。そういう意味で、こういうことが今後ないとは私は断言はできないし、そういう保証もないと思うわけでありまして、この際政府としまして、こういうような異常、規模の大変な場合についての特別措置などというものを検討しながら万全の対応をすべきじゃないかと私は思うのでございますが、その点のお考えございますでしょうか。具体的には資金の問題、それから救農事業の問題、それからもう一つ、私は雇用保険の問題というのも考えておるわけでありますけれども、政府としての御見解ございましたらお聞かせ願いたい。それで個々につきましてまた御質問したい、こう思います。
  151. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いままでの災害対策以外に、今回の冷害は深刻であり広範であるから、今回の冷害のための特別の措置を講ずべきではないかという御質問かと思います。私といたしましては、先ほども答弁申し上げましたとおり、大体この災害対策、あるいは台風、凍霜害あるいは冷害、凶作という、戦後三十五年の間にその厳しい災害を乗り越えるために、国会としていろいろと立法措置を整備していただいておるところでございます。したがいまして、現在の法律のもとで五十一年のような災害ですらも乗り切ることができたわけでありまするし、今回は五十一年よりも金額においても規模においても深刻である冷害ではありますけれども、私ども政府といたしましては、いままでの立法措置対策の十全を期することができるものということで、御指摘のように一日も早くこの法律的効果が農家の手に届くように指導をいたしておるところでございます。
  152. 武田一夫

    武田委員 天災融資法とかあるいは激甚災害法の発動、これは急いでなさっていただいて、それに対応する経営維持資金等の確保、これは非常に重要な問題ですが、私は宮城県でございまして、宮城県の場合などは、御承知のとおり四十九年、五十一年が冷害、さらに不幸にして五十三年には宮城県沖地震という大変な地震があった。また昨年は風水害、またことしと、こういうふうな連続災害がある。これは岩手青森等においても同じように大変な状態。九州は九州で、佐賀中心としまして冷害、ことしはさらに水害とダブルパンチ。こういうようなことを考えますと、農家方々の借金も大変ふえているわけです。  ある一つの例を申し上げますと、これは栗駒町という、宮城県の地方でございますけれども、この地方はもう、大体一つの農協をとりましても、借りている資金が四十億を超えている。これは連続災害による生活苦から、もう大体一年以内の返済の短期資金だけでも十三億五千万。それで、百五十万が限度額と言われている自作農維持資金ですか、これは、二戸当たり平均借入残が大体五十万ある。ですから、規定では一戸当たり平均百万の残り枠しかない。ですから、こういうようなことになると満額借りられないという心配があります。さらに、天災融資の限度額百六十万ですが、激甚に指定されても二百万、これは翌年の肥料とかあるいはまた種子代というのですか、種もみ代とかという、一つの限定された使用しかない。それに、三年間据え置き同然の米の値段だ。こうなりますと、いずれにしても、どんなことを考えても、まるまる共済金を見込んだとしても、借金の借金、また借金が重なる。こうなりますと、天災融資資金や自作農維持資金を目いっぱい借りたとしても、また利子もつくし、返済はいずれしなければならない。こういうような、もう考えればどうしようもない苦労というのが連続してあるわけです。東北では二人、こういうことの苦労で、そのほかの条件もありますが、死んでいます。全国でも、四人の方がそれで自殺をしているなどとなると、今後の対応によっては大変な事態を考えなくてはいけないと私は思うわけです。  ですから、特に専業農家ですね、あるいは一種農家の、いわゆる農業による所得の多い方々ほど、こういう苦労というのは相当深刻だと思うわけです。ですから、自作農維持資金の限度額の引き上げをすべきだとか、いろいろありました。これは当然やはり考えていただきたいし、また制度資金の返済の延期の問題とか、また、利子を軽くするとかということ、これはぜひ検討して、そういう方々の苦境を救っていただきたい。さらに、特例措置による長期で低利の負債整理資金というようなものを、これはやはり農家の方は非常に望んでいる。こういうような問題にメスを入れて考えていただけないものか、この点ひとつ伺いたいのですが、どうでしょうか。
  153. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいま先生もおっしゃいましたように、私どもといたしましては、さような連続の災害で非常にお困りの農家に対しましては、できる限り自創資金の枠を拡大したりあるいはケース・バイ・ケースに災害実態に応じまして償還延期なりあるいは条件の緩和なりということを金融機関にも指導をいたしておるわけでございます。しかしながら、負債整理ということになりますと、一般的な負債整理の形でこれを行うことが妥当かどうかということになるわけでございますが、これにつきましては、全国の農家の資産とそれから借入金の状態その他勘案をいたしまして、  一般的に特別の金融措置を負債整理のためにとるということは必ずしも現段階で必要があるというふうには考えられないわけでございます。しかしながら、当然経済的な諸条件の著しい変化等によりまして農業経営維持が困難になるというた場合には、これは自作農維持資金にその貸し付けの目的があるわけでございますから、現行の制度の活用によりましてこの問題に対処していくということが適当ではないかというふうに考える次第でございます。
  154. 武田一夫

    武田委員 この問題はやはり一番大事な問題ですから、相当細かに、きめ細かな対応をして、農家皆さん方が立ち上がれる、そういう力の一番の原動力にしていただきたい、こういうふうにお願い申し上げます。  次に私は、救農土木とかと言っていますが、救農事業、この問題についてちょっとお尋ねしますが、まず労働省来ておると思うのでお伺いします。  こういう冷害なものですから、全然だめなところはいざ知らず、天候の回復を心待ちにしながら少しでもよく収穫を上げたいという方々が、収穫期をおくらせなければならないという事態に当面しているわけです。私たちが青森岩手などに参りましたときもそういうことでございまして、例年なら十一月にはもうそろそろ出かせぎに行くとかというような人も少しおくらさなければならない。ひょっとすると十二月いっぱいくらいいろいろとかかるのではないかなと心配なさっているところもございました。ここで雇用保険の問題で、私はそういう地域、そういうケースが出た場合、やはり受給資格の要件緩和ということをひとつ考えていただきたい。現行法では、出かせぎのような短期間の雇用の場合は被保険者期間の六カ月ですか、厳密に言うと四カ月二十二日ということでありますが、ちょっとこの規定に外れるようなケースが出てこないということはないのではないか。私はこのままでいきますと、一部の地域によってはやはりこの期間に合わないで雇用保険の受給資格を失うような方々が出てくるのではないかと心配をしておるものですから、こういうようなおくれに対しては、受給資格を満たすまで出かせぎを続ければ、春先には今度は瀞の農作業に支障を来すわけですから、ここのところ、期間の短縮ですか、そういうものの要件緩和というものを考えておいてもらえないものか。これは農家皆さん方も非常に心配した一つの問題なものですから、ひとつ労働省に伺っておきたいと思うのですが、どうでございますか。
  155. 守屋孝一

    ○守屋説明員 先生の御指摘の点、私ども心情的にはよくわかるわけでございます。ただ、私どもの雇用保険というのは、これはあくまでも保険制度でございます。そこで、出かせぎ就労の方につきましては、これも先生御承知のとおりと思いますが、本来この雇用保険制度というのは予定せざる失業に対して、そういう事故に対して保険金を払うというのが本来的な性格でございまして、こういうある意味では失業が予定されているという場合に果たしてこれを保険事故として扱うかどうか、諸外国でもいろいろこれは問題があるところでございます。  また、わが国の場合におきましては、こういう出かせぎ就労者の方々の生酒の実態等を私どもも十分考慮いたしまして、現在の保険制度におきましては短期雇用特例被保険者という制度を設けております。これでもって特例一時金を出すという扱いをしております。私どもはこれがある意味では保険制度の中での一つの特別の措置であるというように考えておりますが、さらに、保険制度でございますから、保険料を幾らか掛けた上で保険金を支給するということになるわけでありますが、一般の被保険者の場合は、これはまるまる六カ月保険料を納めていただいた上で保険事故が起こった場合に保険金を出すということになっておるわけです。ただ、この出かせぎ者の方のような場合、いわゆる短期雇用の特例被保険者の場合、この場合はこの支給要件を緩和しておりまして、いま先生もおっしゃいましたように四カ月二十二日でもよろしいというところに、特別の措置をもまた二段構えで講じておるというように私どもは考えております。  何せこれは保険制度でございますので、収支のことを若干申し上げますと、仮に賃金が月額二十万と仮定いたしますと、これで四カ月二十二日就労された場合には、お納めになる保険料は労使負担分を合わせますと一万六千円くらい、本人負担分は約六千円ぐらいでございます。その場合に支給される額というのは十五万七千円ということで、そもそもすでに保険制度といたしましてはもう特段措置を講じておりますので、これ以上にこれをやるかどうかということになってまいりますと、保険制度そのものにかかわってくる問題になりまして、非常にむずかしい問題であるというように理解しております。
  156. 武田一夫

    武田委員 わかりましたけれども、でも、何かこれは検討できないものかと思う。農林省の方では何かこういう問題に今後ぶつかった場合、いま労働省ではどうも思わしくないと言うのですが、何か対応できるようなものを考えてほしいなと私は思うのですが、どうでしょうか。
  157. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいま労働省の方からお答え申し上げましたように、いま説明のありました現行規定は、農林省からもずいぶんやかましく要請をいたしまして、そしてわが省の意向を入れていただいて現今の制度ができておる、こういう経緯もございますので、これが現段階においては最良のものというふうに考えておる次第でございます。
  158. 武田一夫

    武田委員 もう一つ労働省に伺います。  冷害影響によりまして農業経済が非常に低迷しますと、どうしてもやはり地方の景気も悪くなりますね。必ず相関関係があります。最近の報道によりましても雇用情勢が非常に影響が目立ってきておる、こういうことでありまして、たとえば七月ころに調査したものにおいても、有効求人倍率が九州の場合〇・四三倍ですね。東北の場合が〇・五三倍、北海道が〇・四六倍、全国平均の〇・七七倍から比べると非常に低い。大きく下回っているわけです。このために東北などでは例年になく早く出かせぎに出るであろうという予測をしていますが、そのとおりです。もう早く出る。  こうなりますと、やはりこの出かせぎの場合に、今度は、いままでは行ってなかった人の中でも出ていくような人がどんどん新しく出てくるのではないか。地元に仕事があればいいですが、大体そうもいかないという場合は、新たに出かせぎに行って働く人たちが出てくるというように私は感じられます。現実に、いままで行かなかったけれども、ことしは女房のおやじも一緒に行くんだというような農家方々にぶつかりまして、そのためにどういう仕事を探すべきかということをいまから考えているんだということで、もう心配になっている方々がおりましたが、こうなりますと、やはり雇用の問題、仕事の確保また条件とか、そういうものをしっかりしてやらないと、こういうときに悪い雇用主なんかにぶつかって苦労なさる。けがなんかあっても、それはもう全然知らぬふりして、出かせぎに行ってけがしてあるいは亡くなっても、まるまる、まる損というようなケースがいままで多々あるわけです。今回のような場合で非常に多く出るということを考えるときに、そういう指導監督というものには十分な対策を講じる体制ができているものかどうか、この点ひとつ。
  159. 岡部晃三

    ○岡部説明員 お答え申し上げます。  出かせぎ労働者の労働条件の問題、従来から先生御承知のとおりいろいろと改善を要する点が指摘をされているところでございます。一つには雇用関係が不安定あるいはまた賃金不払いの問題がある。さらにまた先生いまおっしゃいましたように労働災害の問題があるというふうなことでございます。主に建設業を中心に、約七割の出かせぎ労働者の方が就労しておられるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、雇用関係の明確化あるいは賃金不払いの防止、災害防止というふうなところに重点をおきまして、建設労働者の労働条件の改善につきまして対策を講じているところでございます。ことしにつきましては、特に冷害ということを意識したわけではございませんが、たまたま、今後の経済動向をにらみまして、各年度ごとに出します基準行政の運営方針の中におきまして、出かせぎ労働者をその重点の一つとして対象として掲げたところでございます。  これから出かせぎ労働者の方がふえられる、ふえられないということにかかわりませず、やはり労働基準法を中心といたします法律の厳正な適用という方針にはいささかも変わりはないわけでございまして、違法な事案がないように、さらにまた、法を超えたところの労働条件の維持、改善という点につきましても引き続き努力をしていくという考え方でございます。
  160. 武田一夫

    武田委員 農林省に伺います。  救農事業につきましては、五十一年の冷害のときは十一月から受け入れを始めたようでございます。いまその準備作業をしていると思うのですが、これを早くやってもらいたい。どのくらいの人がどういう希望でいるか、どのくらいの人数かというので、いろいろと各市町村からそういうデータとかそういうものを集めているのでしょうが、これは作業を早くやってもらいたいと思うのですね。  それで、前の方々も質問なさったようですが、要するに五十一年のときは、やはり機械に取られて、直接現金を手にするということが余りなかったという苦情が大変あります。手元に自由に使える現金が手に入る、要するに人手の使えるようなそういう事業というのが必要だということで、山のあるところは、大臣もそれはそういうところで作業をやっていただこう、こういうことでございます。  非常に結構なことですが、この山の問題ですけれども、いろいろあると思うのですが、具体的には五十一年のときには造林ですね、除伐とかあるいは準備、地ごしらえですか、それから林道の改良、維持修繕、それから治山の場合は、山腹のり面の緑化工事ですね。こういうようなことで、人手の比較的多く、賃金比率の高いものということでいろいろと手を打っていただいた。今回もこういうようなものはもちろんなさっていただこうと思うのですけれども、国有林民有林とありますね。どうも国有林中心のように考えていますように受けとめられるわけですが、民有林もたくさんあるわけです。やはりこの点の配慮も十分していただきたいな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 須藤徹男

    ○須藤説明員 民有林につきましては、治山林道等公共事業、つまり冷害地域に重点的に配分をしていくということにいたしております。  それから造林につきましては、農林漁業金融公庫の金融措置を活用いたしまして、たとえば公社造林あるいは県営造林、市町村営の造林、そういうものに雇用力を吸収していただくというような措置を考えておるわけでございます。
  162. 武田一夫

    武田委員 そこで、公共土木事業といいますと、どうもいろいろ聞いておりますと、たとえば林道開設のために金をとっている。ところが、これは人手が余り必要ないということらしいですね。ですから、修繕とか維持、こういう方向だと人手がたくさん要るような方向であるけれども、すぐに公共土木事業として林道開設の方に突っ走るような考え方をとりやすいような傾向があるのじゃないか。これはやはり考えを改めるべきじゃないか。  それで、最近聞くところによりますと、林道というものの開設につきましては、やはりいろいろと問題があるのではないか。たとえば、木を切り出すために林道をつくったのだけれども、思うように木がそこの林道を通ってこなかった、あるいはまた、自然体系を破壊するとかということで見直そうという空気があるように伺っているわけですから、この際に、やはりそういう方向よりも、いま申し上げました、もっと人手のたくさん使えるような修繕とか、あるいは維持していくようなところの方向への目の向け方ですね、金の配分も、それはやはり私は必要だと思うのですが、いかがですか。  それからもう一つは、民有林国有林の場合、賃金が違うでしょう。私が調べ聞いたところによるとずいぶん違うような気がするのです。民有林の場合ですと一日の賃金が安いわけですね。三千八百円だと聞いております。片方は四千円から五千円くらいと聞いていますが、こういうようなことを改善をして、賃金のアンバランスのないような何らかの方向というものを私は検討してほしい、こういうふうなところで人をさばいて救済していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席
  163. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま御指摘ございました林道事業につきましても、ほかの土木事業と違いまして、林道事業の場合には比較的労賃の占める部分が高いわけでございます。全国平均でございますが、約四五%ぐらいが人件費ということに相なっておりますので、そういう方向で進めておるわけでございますが、いまお話しの修繕というのは公共事業の中にございませんので、どちらかと言いますと県単事業等でやっておりますが、先生のお話の御趣旨は十分わかりますので、できるだけそういう方向でやってまいりたいというふうに考えております。  それから、いまの造林事業と申しますか、賃金の高の問題でございます。国有林国有林の賃金体系に基づいてやっておりますので、民有林と合わせるというわけにはなかなかまいらないわけでございますが、御承知のとおり国有林地帯と民有林地帯と画然と区別がついておりますので、隣の村が国有林でこちらが民有林ということは余りないものですから、そういうトラブルは起きないというように考えておりますが、賃金の問題はなかなかむずかしいということでございます。
  164. 武田一夫

    武田委員 それからもう一つ。たとえば間伐なんかも冬にでもやれるということなんで、そういう点の事業を考えてもらいたいと思います。  それから、マツクイムシによって枯れた木などは伐採する方向で人手をずいぶん使うでしょう。今回などは特にそういう方向で、集団的にもほかから出かせぎに行って伐採してもいいわけですから、そういうようなことを検討して、人をそちらの方に行って働かせるようなチャンスを与えてもらいたい、こう私は思うのです。これは提案しておきたいと思います。  次に、今回の場合は冷害も大変だったのですが、水害によるダブルパンチがまた大変だった。これは私は天災というよりも人災という感が強いというケースをたくさん見てまいりましたので、この点についてちょっとお尋ねしたいのです。  具体的に申し上げますと、宮城県の志田郡の鹿島台町の品井沼、これは鶴田川という川がはんらんして、開墾地ですか、あそこは沼だったのを田んぼにしたものですから、もともと水が多いところですけれども、三十年かかってもいまだにほんの少ししか上がっていないということで、全体の四分の一くらい水をかぶってしまった。それで二日、三日、四日と六メートルぐらいの水が稲を覆いかぶして、水害そして冷害で、これはどうしようもない。佐賀県に調査に行きましたら、佐賀県の小城町というところで牛津川、それから同じ佐賀県の白石町と有明町の只江川というところ、ここもやはり同じように工事が十分に進んでいないし、特に只江川の場合などは、もし予定のコースでいって工事を進めておれば、たとえばここの場合は排水ポンプの早期完成がおくれたらしいのですが、もし工期どおりやっていればこんなに被害はなかったのだという痛恨の陳情がございました。  こういうような個所は各地にたくさんありまして、こういう方々が大変な苦労をしているわけですけれども、建設省が大変な規模の予算が必要だということで、工事がなかなか進まないようであります。こういうところに対する今後の取り組みをどうするかということ、これは大変な問題でございまして、毎年毎年ちょっと水があふれれば大変な被害を受ける、こういうような状態にストップをかけなければならないと思うのですが、具体的に挙げたその三つ、どういうふうに今後の工事というものが行われていくのか、いつになったら間違いなくこういうのがなくなるという保証があるのかということを、ここでちょっと聞きたいと思うのです。
  165. 井上章平

    ○井上説明員 建設省の治水課長でございます。  ただいま御指摘のございました河川の態様でございます。最初宮城県の鶴田川でございますが、この河川は品井沼周辺の排水条件の非常に悪い地域の排水を受け持つ河川でございます。この地域の開田を図るために、古くは元禄時代から改修を進めているという歴史のあるところでございますが、昭和二十四年から中小河川として遊水地計画を含めて抜本的な改修を進めてまいっております。遊水地周辺につきましては大体終わっておりまして、ただいま本川の上流あるいは支川の上流部分がまだ未完成という状況でございます。そのために、この遊水地予定地の堤防が締め切れない。ここから溢水いたしまして浸水被害が起きた、こういうことでございます。この河川につきましては、そういう事情でございますので、できるだけ品井沼遊水地の溢流堤が締めれるように、今後本支川の改修を進めてまいりたいと思う次第でございます。  それから佐賀県の二つの河川でございますが、只江川につきましては、これは地盤沈下地帯ということで、地盤沈下対策の河川事業でただいま排水ポンプを工事中でございます。全体が七・五トンのポンプ三基を設置する計画でございまして、そのうち二基につきましては本年度中に完了する予定でございまして、来年の出水期からは稼働することになろうかと思います。  それから牛津川でございますが、この河川は直轄河川として取り組んでおりますが、何分にも低平地を流れる河川であり、かつ軟弱地盤を貫流しているという関係上、改修が非常に困難な河川で今日に至っております。積極的な治水事業を直轄河川改修工事として進めておりますが、先生が御指摘になりました個所につきまして言えば、これは本川というよりは内水河川のはんらんで大きな被害が生じたものでございますので、この内水対策については具体的にどうするか、ただいま調査を進めておるという段階でございます。  以上でございます。
  166. 武田一夫

    武田委員 いずれにしましても、そういう地域方々は大変な心労で、仕事も手につかないという地域ばかりでした。ですから、ひとつ計画にのっとって、早期にそういう被害が未然に防げるような対応をお願いしたいと思います。  それから、通産省の方来ていると思いますが、農業経済がそういうふうに大変になりますと、その周辺の商店や小さな企業の皆さん方というのはもろに受けます。家電とか繊維とか雑貨とか。こういうような方々に対する対策は大丈夫とられているものかどうか、簡潔にこれをひとつお願いしたいと思うのです。
  167. 米山揚城

    ○米山説明員 冷夏に関連します中小企業関係対策でございますけれども、先生御指摘のとおり広範囲にわたっていろいろな影響が出てくるというふうに私ども考えております。私どもいろいろ調査してございますけれども、そういった調査結果等に基づきまして、今月の九月五日付で各都道府県に通達を出しまして、現在、国と地方公共団体、これは、それぞれほぼ同じ比率で金を出し合いまして金融対策を構ずる体質強化資金という制度がございますが、この制度を使いまして、冷夏の影響を受けている各中小企業者に対しまして幅広く融資を行うということを決めまして、通達をしておるところでございます。  それから、御指摘のように特に冷夏の影響を受けやすい業種も多々あるわけでございまして、こういった業種につきまして、中小企業信用保険法という法律がございまして、この中で不況業種の指定という制度がございます。この業種で現在、これまでは二十三業種だったのでございますけれども、例年より若干早めまして、九月十九日付でさらに七十三業種追加いたしまして、この追加によりまして、関係の企業が一定の要件を満たしますと保証の枠も倍使える、こういう手を打ったところでございます。
  168. 武田一夫

    武田委員 これからいろいろとその飛ばっちりが出てくるわけですから、ひとつ十分な対応をして、連鎖倒産などのないように御配慮をいただきたい。  最後に大臣に伺いますが、冷害がひどい地域、これはごらんになっておわかりと思いますので、先ほどから話にありました二期減反対策の問題については、相当慎重に御配慮いただきたいと私は思うわけであります。恐らく東北を回られて、転作の上積みをすべきでないとかあるいはまた延期してほしいとか、いろいろと要望があったのを受けていると思いますし、われわれも大臣に二十四項目の申し入れをしたときに、この点は十分にお願いもしたわけでありますが、ひとつ今後の方向性として大臣のお考えをお示しいただいて、農家皆さん方の精神的にも肉体的にも大変な負担の軽減というものに大きな力にしていただきたい、こういうことをお願い申し上げまして、大臣のお答えをいただいて質問を終わらせていただきたいと思います。
  169. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 第二期水田利用再編対策は避けて通れない問題であるということは、よく御承知いただいていることと思います。私どもも九月をめどに一応準備を進めさせていただいたわけでありますけれども、この広範な、深刻な冷害、凶作という事態に逢着いたしまして、これはもう来年の水田利用再編対策を円滑に進めるためにも、とにかく今回のこの冷害対策措置を誤ってはならない、先ほど来、午前中からずっと御審議をちょうだいしておりますもろもろの案件について、具体的に本当に農家の手元に資金が届いて、来年の農業再生産にはもう心配ないという体制を何としてでもつくり上げていかなければ、二期水田利用再編対策に取り組んでも農家の協力、自治体の協力を得ることはできないであろう、そういう判断をいたしまして、思い切って十月いっぱいは災害対策全力を挙げて取り組んでいく。その間にいま各界各層で第二期水田利用対策についてもいろいろな意見が出ておるわけでありますから、そういう意見を十分しんしゃくをいたしまして、その時点において決心をし、方向を決めていきたい、こういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  170. 武田一夫

    武田委員 では終わります。
  171. 田邉國男

    田邉委員長 次に、神田厚君。
  172. 神田厚

    神田委員 私は引き続きまして、この未曾有の冷害の問題につきまして大臣に御意見を伺いたいと思うのであります。  私ども農林水産委員会冷害調査班は、田遇委員長を団長といたしまして二十二日から三日間、東北三県を回ってまいりました。その調査報告等につきましては先ほど菊池理事から御報告がありましたとおりでございまして、私どもも現地を見て、改めてその冷害の悲惨なのに大変心を打たれたものであります。  作況指数が五〇とかあるいは七〇とか八〇とか言われております段階におきましては、これは平均値でありますから何となく冷害の実感というものを持たないのでありますけれども、現実に行ってみますと、その地域は一面収穫皆無の地域が広がっておりました。稲は青立ちのままその姿を無残にさらしている、こういう状況を見て、まさに非常に大変な災害であることを実感として感じてきたわけであります。  大臣が行かれました後、私どもも同じような現地調査をいたしまして、大臣に対しまして土下座をしてその窮状を訴えた農夫があったという話も聞いております。そういう中で、今度のこの未曾有の冷害に対しまして、農林省あるいは国が一丸となりまして、この対策に真剣に取り組んでいかなければならないと私は思うわけでありますけれども、まず最初に、この冷害に対しましての対策全般につきまして大臣の決意をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  173. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど来申し上げておるところでございますが、本年の冷害等による農作物被害につきましては、私自身被害の最も厳しい青森県等々を拝見してまいったわけでございますが、特にもう飯米にすら事欠くという方々がほとんどである。私が飯米のない方ちょっと手を挙げてみてくださいと言いましたら、そこに出てきておりました方々、百人近い方々のほとんどが手を挙げる、こういう状態でございまして、これはこれらの農家方々が茫然自失たる中から一日も早く、少なくとも来年の農業再生産ができるだけの措置を、本当にほぞを固めて徹底的に講じていかなければならぬという決意をその際も固めさせていただいたわけであります。  したがいまして、視察に出かける前から対策本部を設け、特に収穫皆無の地帯につきましては、一日も早く農業共済の適用を受けその認定を受けて、そうして概算払いのできるような通達を出しなさいということでこの措置をとらせ、また一昨日、天災融資法、激甚災法の指定をやりますという方針を打ち出しまして、そうしてその具体的な事務的手続の、いわゆる各省とのあるいは各県との調整に入らした次第でございます。と同時に、農家の方にそれまでの共済金の概算払いがたとえされたといたしましても、これは恐らく肥料代やあるいは農機具代やそういうものに支払いを要求されるであろうということになりますと、一日も早く天災融資法、激甚災法の発動によりまして農家生活資金並びに経営資金というもののめどをきちんとつけてあげなければならないということで、これも五十一年度十一月末に決定されたわけですが、十一月なるべく早くやるようにできないか。と同時に、共済金の本払いも年内に全部済ますように努力をしてほしい、こういう指示もいたしておるところでございます。  しかし、その間事務的手続で法律に基づく資金の支出を待っておったのでは農家はどうにもならぬわけでありますから、その間のつなぎ融資をこれまた早目に早目にしていかなければならぬ、こういうことでございますので、関係金融機関に対しましてもおととい、心からなる依頼を農林水産省の方からいたしておる次第でございます。  そのほか、救農事業といったような面につきましても、自治省の方にもお願いをし、また特に自治省の方には、この県単事業なりあるいは市町村の単独事業なり救農事業を起こした際に特別交付税等で見ていただけるようにという要請もいたしております。  さらに労働省に対しましては、先ほど来御審議をちょうだいしております、出かせぎの諸君が安心して、しかも出てきた場合により質のいい仕事につくことのできるような手配、処置を講じてほしいということを強く要請をいたしておるところでございます。  もちろん建設省に対しましても、いわゆる救農土木事業、特に五十一年度の例にかんがみまして国道の維持修繕でありますとか、機械力でなく、そういう賃金に多く回せるような事業を今回の冷害救農土木事業としては考慮してほしい、こういうことを実は強く要請をしてきておるところでございます。  以上でございます。
  174. 神田厚

    神田委員 私どもも現地調査をするたびに、委員長がごあいさつをすると、そこに集まっていた農民の方が、特にお年寄りの方、御婦人などは、涙を流さんばかりにして何とかしてくれという気持ちを訴えているわけであります。茫然としているこの農民の気持ちをふるい立たせて、そしてこれを激励しながら、さらに大事な食糧生産にいそしんでもらうという気持ちをわれわれは持たなければならないわけでありますが、大臣御自身も、自分の郷里がやはりこの冷害に遭われているというような状況から、御自身でこの視察をし現地を見て、どういうふうなお考えと決意をお持ちでございますか。
  175. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も子供のとき冷害、凶作の経験をいたしたことがあるわけであります。そのときの農家の気持ち、私も農家の小せがれでございましたが、本当に荘然自失といった感じを持ち、本当に何も手がつかずに青立ちになったたんぼの畔に腰をかけてため息をついていたということを覚えております。今回も各被災地に参りましたが、そういう気持ちを恐らく農家の方はお持ちであろう。本当にひざまずいて対策の早きを訴えておられる農家方々、しかも私が災害の激甚なのに特に驚いたのは、スズメといいますか鳥といいますか、そういうのが一羽もおらない。そういう惨事を私は今日まで余り聞いたこともありませんし、今回初めてそういう経験をしてきたわけでございます。そういう厳しい冷害、凶作に遭った農家方々の心情をふるい立たせて、来年の再生産が実を結ぶまでとにかくがんばってほしい、そのかわり私どももあらゆる努力をして冷害対策に万全の措置をとって、そうして皆さん方におこたえします、どうぞひとつみんなで力を合わせて励まし合ってやってください、こういう私の気持ちを農家方々にも申し上げてまいったわけでございますが、そんな気持ちで災害対策に取り組んでおる、こういうことでございます。
  176. 神田厚

    神田委員 そういう中で、一番現地農家の方から希望がございましたのは、もちろんこの災害問題に対する早急な対応ではございますが、それと同時に、先ほど来から問題になっております、いわゆる第二期の減反問題についての配慮をしてほしいというふうなことがございました。先ほど来から大臣の御答弁を聞いておりますと、十月いっぱいやらない。十月いっぱいやらないということがさも農民の皆さんに対しまして一つの精神的な配慮をしているかのような印象を受けるのでありますけれども、実際は、しかしながらその第二期減反の内容がどういうふうなものであるかということが大事なんでありまして、十月いっぱいやらないというのは、それはもう当然こういうふうな冷害状況の中でさらにそれに覆いかぶせるような減反を発表するということは、これは人情でもできませんし、また、そういうことをすべきでないということは明白でございます。  しかしながら、十月いっぱいやらなくて十一月に発表されるその内容が、われわれが危惧しておるような関係で、同じようにやはり非常に農民に対しまして犠牲を強いるような状況であるということになりますと、これは非常にまた問題であります。したがいまして、その内容についての公表は現在できないということでございますけれども、今度の第二期の、さしあたって来年度の減反の場合には、前回七つの要素をとって配分をしたわけでありますけれども、その七つの要素を固定をして配分をするのか、それともそうではなくて新たな検討の要素を加えるのか、そこら辺はどういうふうに考えておられますか。
  177. 二瓶博

    ○二瓶説明員 第三期対策の内容につきましてはまだ決めておりません。いろいろ各界の意見等を聞きながら検討を進めておる、こういう段階でございます。  配分の問題につきましても、当初の三十九万一千ヘクタール配分いたしました際に七つの要素を使ってやりました。それから五十五年度十四万四千ヘクタール上積みをいたします際には、上積み分につきましては、当初の配分に比例する部分を半分、それから水田面積割りというのを半分とやったわけでございます。  二期対策の際に、まだ検討中でございますけれども、こういう配分の問題をどうするかということも一つの検討課題でございます。これにつきましてはまたいろいろ地域地域によりまして御主張が大幅に違っております。その辺でこういう配分のあれをどうしたらいいのかということを苦慮しておるわけでございます。今後とも各界の意見等も十分聞きながら検討を進めていきたい。いずれにいたしましても当面は冷害対策に十月いっぱいは専念をしていきたいということで、今後とも検討を続けていきたい、かように思っております。
  178. 神田厚

    神田委員 時間がありませんのでこの問題を余り詰められませんけれども、やはり私は、一年間凍結とかいろいろな問題が出ておりますが、十二分に農民のそういう意向をお聞き取りをいただきたい、こういうふうに要望をしておきます。  さらに、先ほど大臣から天災融資法の発動、激甚地域指定の問題の御発言がありました。五十一年度の災害のときには災害地域が北日本というふうに限られておりましたので、激甚地域等の指定もかなり数が少なかったようでありますが、これはやはりできるだけ要望に応じて、この指定等についてもひとつ積極的にしていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  さらに、これは通告をしておりませんでしたけれども、この冷害異常気象というのは全世界的でございまして、そういう意味では日本の隣接の外国でもやはり米に対して相当被害が出ているという話を聞いております。聞くところによりますと、韓国等でもやはり半作ぐらいではないかというようなことも言われている。こういうようなことがありますと、これから経済協力という問題の中でいろいろ要望があります場合、日本としてたとえば韓国等に対する援助米等の検討を、農林省の考え方としては、これを積極的に進めていく考えがあるかどうか、大臣の方からひとつお聞かせ願いたい。
  179. 松浦昭

    ○松浦説明員 この冷夏の現象は必ずしも日本にとどめませんで、韓国におきましても、半作というまでは私ども聞いておりませんが、かなり大きな被害が生じておりまして、そのために米の供給に不足を生じているというような情報もわれわれ得ております。もちろん、この問題につきましては、従来までやってまいりました米の延べ払い輸出の問題等が将来出てまいるかもしれませんが、先生御案内のように、アメリカとの間でこの米の輸出の問題についてはいろいろな調節をいたしておりまして、また合意もいたしております。ただこの場合に、たとえば災害がございまして緊急に輸出をしなければならぬというような場合には、これはアメリカ政府ともまた話し合いをするという条項もございますので、そのような要請がございました場合には、その事態に対応いたしまして適切な対外的な話し合いも進めまして処置をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  180. 神田厚

    神田委員 大臣の方はいまの問題どうでございますか。
  181. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいま局長から答弁申し上げたとおりでございます。まあ災害で苦しんでおりまして、韓国からの要請等があるいはあった際には、また検討をしなければならぬと思いますが、やはり国際的な関係、アメリカとの関係もございまして、すぐにここでこういたしますというような答弁は遠慮させていただきたいと思います。
  182. 神田厚

    神田委員 いずれにしましても全世界的な冷害、異常天候というような形で、これから先の食糧供給等も非常にむずかしくなってまいります。そういう中で日本の農業の果たす役割り、また日本の農業の中の米の果たす役割りも、これまたいろいろ違った意味をあるいは持つかもしれないというような状況になってきておりまして、これから先われわれはこの問題等についても論議をしていかなければならないと思っております。ともあれ、経済協力等の問題につきましても、やはりこれから日本はそれなりの経済協力をしていく姿勢を持たなければならないわけでありますから、たとえば援助米の要請等につきましては積極的にこれにこたえていくという方向をとらなければならない、こういうふうに私は考えております。  きょうは時間が非常に少ないので細かい点につきましてお話し申し上げることができませんでしたが、大胆から最初に総括的な御答弁をいただきました、そういうことで積極的にこの未曾有の冷害に対して全力を挙げてお取り組みをいただきたい。お願いを申し上げまして質問を終わります。
  183. 田邉國男

  184. 稲富稜人

    稲富委員 今回の冷害及び水害等に対しましては、先ほどより同僚各位より、あるいは水田利用再編成の第二期対策の問題、天災融資法その他いろいろな融資対策、その他の被害者に対します対策等いろいろ質疑がありまして、これに対しましては政府といたしましても非常に力を注いで対処しようという熱意があるように見受けましたので、その政府対策期待をいたしまして、私は、本日はその問題についての質問はいたしません。しかし、今後の対策いかんにおきましては、機会を見て改めてまたただしたいこともある、かように思います。  ただ、一言だけは、これは先刻から質問がありませんので、ひとつ聞きたいと思っておりますことは、農業災害の対象外作物、あるいは先日私たち現地を見てまいったのでありますが、電照菊、こういうような野菜等は農業共済の対象外の問題、こういうことに対しては単なる融資ばかりじゃなくして、何とか助成の方法等を考えることが必要ではないかと思いますが、これに対して考えがありましたら、簡単にひとつ御答弁願いたいと思います。
  185. 松浦昭

    ○松浦説明員 電照菊あるいは露地野菜等につきましては、昭和五十二年度に調査研究を開始しておりまして、いろいろと調査をいたしておるわけでございますが、野菜につきましては、やはり出荷時期によりまして価格差が相当ございますし、また災害によって広範に減収が生じたような場合には、やはり一方で価格が高騰し、収量が減少してもなお収入がかえって増加するといったようなこともございまして、やはりこういう基本問題から、相当慎重にこの保険技術的な点を詰めなければならぬという状態でございまして、目下鋭意研究を進めているという段階でございます。その上で共済の対象とするかどうかにつきまして判断をいたしたいというふうに思います。  ただ、施設の中で栽培されております野菜とかあるいはただいま先生御指摘の電照菊等につきましては、昭和五十四年度から本格実施されました園芸施設共済の対象になっておりますので、その場合にはその加入を促進いたしまして、このような状態にも対応いたしたいというふうに考える次第でございます。
  186. 稲富稜人

    稲富委員 それで私、次に一点にしぼりましてお尋ねしたいと思います。  これはすでに政府が国労干拓事業としてやられました、昭和二十七年から昭和四十二年までかかりました三池の干拓事業でございます。これが今回の水害において非常な被害をこうむっております。この三池干拓事業というものは、御承知のとおり、ただいま申しましたように二十七年より四十二年まで国は二十三億四千万円の巨費を投じまして、これは五百四十ヘクタール、これだけの干拓をやられたわけでございますが、これが今回の水害におきまして、その堤防というものが非常に決壊をいたしておるのでございます。すなわち、この高田地区の町有地の内堤が非常に縮小であると同時に、土質というものが全く、海の中の砂をサンドポンプで吸い上げてこれを堤防にしておるわけでございます。非常に粗漏な堤防であります。それがために今回の七月上旬のこの集中豪雨のために二回決壊いたしております。また八月末の大雨のために非常に被害をこうむっております。冠水地点が百五十七ヘクタール、こういうような状態であります。私はこの現地を見てまいったのでございますが、全くこれが国の事業でやったかというような状態でございます。すなわち堤防というのは名ばかりであって、全くこれは粘りも何にもない土であって、海の土をサンドポンプで噴き上げてこれを並べただけなんです。カニが通ってもこれは壊れるのですよ。上を通ったらぞろぞろする。これが決壊しますと、その場所を補強しますと、横が今度はぞろっと崩れる。一カ所決壊したからといって土俵を持っていくと、もう堤防の上は通れません。船で持っていって、そしてそこを補強する。そうするとその横がまた壊れるという、全くこういうような事業であります。  それで、私は最初に伺いたいと思いますのは、この三池干拓のこの国営事業というものの最初の計画、設計から、そういうような軟弱な土質をもって堤防をつくるという、こういう計画でやられたものであるか、それとも最初の計画はそうではなかったけれども、事業が手抜き等によってこういう問題が生じたのであるか、この点をまず明らかに承りたいと思うのでございます。
  187. 杉山克己

    ○杉山説明員 御指摘の事業は、これは先生も言われましたように、二十七年に着工して四十二年に完成いたしました。そして完成直後入植が行われ、以来営農が続けられているわけでございます。  この堤防が昨年それから引き続いてことし、二度にわたって災害を受けて破堤し、溢水をいたしたわけでございます。ことしの七月の災害につきましては、大牟田測候所の観測によりますと、六月三十日から七月十三日に至る連続降雨量四百三ミリメートル、それから日雨量二百二十三ミリメートルという異常降雨が見られたわけでございます。その結果、遊水地の水があふれまして内堤防が二十一カ所にわたって崩れて干拓地に水が出た、冠水したということでございます。  この堤防について、そもそも出初の計画から、海底の砂を堤防の上に築くことを予定しておったものであるかどうか、また、工事に手抜きがなかったかというお話でございますが、私ども、今回の堤防が崩れました理由は、これは完成後十数年経過しておりますが、その間に背後地の都市化などによりまして流出条件が大きく変わってきた、そのため、外堤防と内堤防の間にありますところの遊水地、ここの水が著しくかさを増したということ、そういうことのために一時的な異常出水で崩れたというふうに考えておるところでございます。したがいまして、当初の計画そのものが間違っておった、あるいは工事について手抜きがあったというふうには考えておりませんが、いずれにしても今日の事態に十分に即応し得ない状態になっておりますので、この点については、また後ほど詳しくお答え申し上げたいと存じますが、手直しを行ってまいりたい、そういう事態の起こらないような措置を講じてまいりたいと考えております。
  188. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま局長の御答弁によりますと、最初の計画からそういうことはなかった、後からそういうことが生じたんだとおっしゃいますけれども、この堤防を築堤するとき山土か何か持ってきて強いものをつくる、あるいはこれに対してコンクリートか何か使うというならともかく、ただ粘りも何もない海の土を、砂をそのままたくさん並べて、これをもって堤防だと称する。果たしてこれが堤防であるか。こういうことで耐え得るというような考えをもってもしも当初の計画をなされたとするならば、その国の計画というものが非常に粗漏であったと言わなくちゃいけないと私は思う。その粗漏な計画者である国に責任があると言わなくちゃいけない。常識で考えてもわかるのですよ。こんな海底の土ですよ。もう上を通れない。上は通ることができない、通れば壊れるのですから。それでこの際、決壊場所ができたからといって土俵を持っていくのに、堤防の上を通っていけないのです。堤防の上を通ると壊れるから船で運ぶのですよ。そしてその堤防決壊個所を補強しますと、今度は横がぞろっと壊れる。こういうものが、一番最初から予期しなくて最初の計画であったというならば、最初の農林省の計画そのものが非常に粗漏であったというこの責任は免れることはできないと思いますが、これ、いかがでございますか。
  189. 杉山克己

    ○杉山説明員 内堤防の基礎部分は、これはパイルをいたしまして、十分な耐水性を持った工事となっております。上部につきましては、ただいま申し上げましたように、海砂を使ったわけでございますが、これは強度の計算からは一応十分耐え得るということでございましたが、水位が予定よりもはるかに高くなるというようなことについては、確かに当初の計画ではその後の変化などについて十分な見込みを立てておらなかったという意味では、見通しは十分でなかったというふうに思うわけでございます。そういうこともございまして、昨年の災害、それからことしはこれからでございますが、復旧工事につきましてはさらに一層の強度を増すため、先生御指摘のように山土を持ってきてこれに充てるということを考えております。  それからまた、今後とも異常な降雨があり、予定以上の水位、水かさが増すということが考えられますので、私どもはむしろその水位を下げること、したがいまして排水を重点に事業をやっていくということを考えておりまして、目下排水機場の整備も工事の対象として取り上げているところでございます。
  190. 稲富稜人

    稲富委員 この問題は、去年もそういう災害があっています。以前災害がなかったということは、その前の方に炭鉱の何かがあったから何年かは災害がなかったけれども、その施設その他がなくなったから災害をこうむっているという状態、毎年こういうことを繰り返さなければいけないという状態なんです。本年度におきましても、これが応急処置のために約五百億の金を使っているのですよ。人を使い、船で運び、こういうようなことをやっております。こういうような負担を一体どこにやらせるかという問題なんです。国がやるのか県がやるのか町村がやるのか、こういうような負担に対してはどこに負担をさせるというつもりでおられますか。
  191. 杉山克己

    ○杉山説明員 これは国営事業災害復旧でございますので、国がやります。ただ、災害復旧国営事業でありましても地元負担はございますが、これは激甚災の対象として取り上げられるなら地元負担はきわめて少なくて済むということになりますので、それほど御迷惑をかけるような事態にはならないというふうに考えております。
  192. 稲富稜人

    稲富委員 大臣、よほど聞いていただかなければいけない問題は、この三池干拓をやるときに、一番最初から非常に計画が粗漏であったのではないかと私は思うのです。ここにずいぶん水稲もできております。カドミウム米がたくさんできているのですよ。全然食糧に供されないカドミウム米を、五十二年は千三百九十四トン、五十三年は千二百六トン、五十四年は九百九十一トン、政府が買い上げているのです。こういうようなカドミウム米ができるようなところを干拓して水稲をつくらせるという計画そのものからが最初に非常に粗漏であったと私は思う。そしてつくった築堤というものはいまのような築堤なんだ。そして毎年毎年災害をこうむるという状態なのであります。  それで、もう時間がないから結論を申し上げますが、この築堤というものが、これは千八百三十メーターあります。これは当然最初からさかのぼって、国営事業としてやったのですから国がこれをつくり直さなければいけない。しかもこれに対しては、ただ山の土を持ってきたばかりではだめですよ。やはり三方コンクリートかなんかで固めなければ、いまのような状態でありましたら毎年災害をこうむると思うのです。これは政府が国営の干拓事業としてやったのですから、思い切って後までも一ことしも農民はこれによって非常に被害をこうむっております。農民のこうむったことしの被害は甚大なものでございまして、こういうような被害を農民に与えるような干拓事業は、国がやったのだから、国の責任においてこの築堤をもとからやり直す、そして完全なものにするということが必要である、こう思います。国営干拓事業でやった責任上、この千八百メーターでございますか、これに対する築堤も国がやる、これだけの覚悟があるかどうか、私はこの点だけを承れば十分でございますが、この点を大臣にお聞きしたいと思うのでございます。
  193. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまのお託、承りました。  そこで、現状につきましては十分調査をいたしまして、今後破堤、溢水などという事態の生ずることのないように十分措置をしていく決意でございます。
  194. 稲富稜人

    稲富委員 再びそういうことのないように処置をするということは、国の責任において処置をする、それでその堤防の築堤等も国でこれを負担してやる、一審最初にこの干拓事業をやったことが、国でやったのですから国でそれをやる、こういうようなお考えでございますか、この点をはっきり承りたい。
  195. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど申し上げたのは、もちろん国の責任においてということでございますから、御理解いただきたいと思います。
  196. 稲富稜人

    稲富委員 それでは私の時間が参りましたので、ここに居住しております多くの入植者が不安を感じないように、ぜひ責任を持ってやっていただきたいということと、将来干拓事業等もできましょうが、その土質が将来どういうふうになるか、あるいは米をつくろうと思ってもカドミウム米等ができないようなことも前もって調査の上、干拓事業等はやらなければ、国がせっかく水田にしようとして巨額な金を費やして、そして米が生産されないということは、国としても大きな損害を与えることでございますので、こういうことに対しても今後十分考えて対策をやっていただくように、私は特にこの機会に希望いたしまして、今後の問題として大臣の決意を承りたいと思います。
  197. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 稲富委員の御趣旨は十分に理解できますので、先ほど答弁申し上げましたように、新たに国営事業等を起こします際には、先の先まで見通して事業設計、事業計画の遺漏なきを期していかなければならぬことはもちろんでございますので、そのような方向で進めてまいるように厳重に指導していきたいと思います。
  198. 稲富稜人

    稲富委員 それでは私の質問を終わりますが、局長に、これは最初からの計画をしたあなたの方で調査していただきたいと思うのです。あなたは最初の計画がそうだったとおっしゃるけれども、私はそうじゃなかったと思う。初めの計画は、国があんな粗漏な計画をするはずはありませんよ。最初の計画がそれだったというのは、国はよほど抜けておりますよ。これはもう一度検討していただきたいということを局長に特にお願い申し上げます。
  199. 杉山克己

    ○杉山説明員 計画の内容を実態等について十分調査し、検討いたしたいと考えます。
  200. 稲富稜人

    稲富委員 終わります。
  201. 田邉國男

    田邉委員長 次に、寺前巖君。
  202. 寺前巖

    寺前委員 先ほどから各委員皆さんから言われたように、ことしの冷夏、長雨による被害が全国的にもずいぶんひどいことであった。それは五十一年の冷害と比較することのできないひどいものであった。私も全国各地を回りましたが、特に九月の上中旬に青森岩手宮城を見てまいりました。現地の農民が、新聞でも自殺という記事が出ていましたが、本当に自殺の気持ちになるであろうということもまた私は見せつけられた思いをしました。宮城県の鳴子町へ行ったときに、開拓農民が青立ちしている稲の前で私に、自殺者の気持ちが他人事とは思えないということを語っていましたが、そのときに、私自身も、死のうという気持ちになったらぜひその前に話をしてくれということを言わざるを得ないようになったわけであります。そういう意味においても、この冷害問題というのは農民にとってきわめて重要な課題でもありますので、今日までの諸制度が十分役に立つようにぜひとも積極的に使っていただきたいと思うわけです。  私は、まず第一に、先ほどからも追及されておりましたけれども、農業共済についてちょっと聞いてみたいと思うのです。  というのは、どこへ行っても共通して農業共済が不満だという声が出るわけです。共済保険金の掛け捨てをがまんしてまでも共済に入っている。それは大災害が生まれたときにこれで助けてもらえると思えばこそ入っているという気持ちになると思うのです。ところが、その共済金が自分の思っているとおり役に立たないとするならば、何のために入っているかわからぬじゃないか、私は、これはやはり大きな声とならざるを得ない要素というのはそこにあるだろうと思うのです。たとえば、岩手県の九戸村というところへ行ったときに、五十一年の冷害についてこう言っておられました。村で当初認定をしておった時分には二億六千九百六十九万円という認定をしておったものが、二戸地区共済組合という形になると、これは一村だけじゃなくて広がった共済組合ですが、一億七千四百四十五万円になった、ところが最終決定になると一億四千九百二十二万円、五五%にまで減ってしまったという実例を聞かされました。同じようなことは、岩手町へ行ったときも、六億四千万円という町の当初の認定が最終的には二億五千二百万円と、ここでは三九%にまでなるというひどい、みんなの気持ちに合わない査定結果というのが生まれてきたわけです。  私は、そこで最初に、この五十一年度のときに、連合会の当初の評価高と、国の査定によって削られた県が、一体どういう県があって、その県がどういう削られる率になっていたのか、ちょっと事実をまず報告していただきたいと思うのです。
  203. 松浦昭

    ○松浦説明員 五十一年産の水稲の連合会の評価高に対します農林省の、当時は統計調査部でございますが、その査定によりますと両者の違いを比率で申し上げますと、ただいま先生のおっしゃられました岩手県の例では八六・八%、北海道、青森は一〇〇%でございます。それから宮城が一〇〇%、秋田八八、山形九六・七、福島七五・五という数字になっております。主要県を申し上げました。
  204. 寺前巖

    寺前委員 いまの話をちょっと聞いただけでも、福島県の場合には四分の一近く削られたことになっているわけですね。そうすると、関係する町村に行ったら、ひどいこと差がつくところが、町村によっていろいろあったでしょうから、生まれるというのはわかりますよね、その当時の姿は。このように評価の違いが大きく生まれるというのは一体どこにあるのだろうか。だれの責任なんだ、その村の判定が悪いのか、それとも国の方が悪いというのか、原因は一体どこなんだということをやらない限り農民の気持ちはおさまらないだろう。どこに原因がありますか。
  205. 松浦昭

    ○松浦説明員 先ほど先生がお挙げになりました岩手県の例で申し上げますと、先生もおっしゃられましたように、当初の認定額に対しますところの、これは組合が行いました認定額でございますが、この認定額に対します最終支払い額の比率が五六%程度になっておるわけでございます。しかしながら、先ほど私申しましたように、岩手県における連合会の評価高を査定いたしました国とのギャップは一三%でございますので、この場合に、非常に大きなギャップはむしろ組合と連合会の間に生じているというのが一つございます。もちろん私一三%のギャップを否定するものではございませんが、大きなギャップが連合会と組合との間に生じております。  これはどうしてかということを考えてみますると、組合等が行いますところの損害評価は何分にも検見を中心にしてやります。しかしながら連合会の方は実測値を中心にしてやりまして、その間にどうしても差が生ずるということがございますし、それからまた、午前中玉沢委員から御指摘がございましたように、一つは評価眼が連合会とそれから組合との間で統一されていないというようなケースもあろうかと思います。それから、五十一年のような大冷害の場合には、できるだけ年内支払いを目指しまして組合も一生懸命早期の評価をやった。しかしながら、だんだんその後災害状況が変わってまいりまして、そのために組合の評価が一般的に早目に開始され、連合会の評価時期とずれたという三点の問題があったように思います。  なお、先ほど申しましたように国とそれから連合会との間にもなお一三%の開きがあったわけでございますが、これは、五十一年の冷害が概して終盤になりましてから天候がやや好転いたしまして作況が回復したわけでございますが、連合会におきましても年内支払いのために通常の年期よりも早目に損害評価実施したということがございましたので、統計情報組織の調査収穫期に近い時点で行われたために、国の認定と異なったような評価高が出たというのが一三%の原因ではなかったかというふうに考えるわけでございます。
  206. 寺前巖

    寺前委員 いまの話を聞いていても、あるいは九月五日付の局長通達によるところのその不満の解消の手だてを見ましても、要するに結局一審末端のところの検見の状況実態と合わぬじゃないか、そこのところをはっきりさせることが中心なんだ、いわば簡単に言えば責任がそこにあるのだ、国の方にはないのだと言わんばかりの話に聞こえるわけです。通達を読んでおっても、実測調査を極力やれというようなことが書かれています。こうやって見てくる限りにおいては、私はなかなかこれだけでは理解が進まないだろうというふうに思うのです。  なぜかというと、ともかく、組合なり、あるいは連合会にしてもそうですが、これは被害を受けたところを見る。被害を受けたところを実測する。こっちの方は実測主義でずっと来ています。ところが農林省の方にすると、こちらの方は抽出をやる。調査点数が全国で何ぼですか、二万個所近くあるのですか、そういうサンプル調査をやって、そのサンプル調査に基づいて数値を出していく。だから、平年時においてはそういうところの結果として二倍の範囲内を限度としての査定をやるとか、あるいは災害時においては一・五倍の額を限度額にしてやるとか、サンプル調査だからそういう係数を配慮しなければならないという事態が生まれてくる。ここにやはり一つ考えなければ  ならぬ問題があるのじゃないだろうか。すなわち、実測を中心にして被害の感情を農民が持っている。これに対してサンプル調査だけではちょっと間尺に合わないという感情の違いというのがここに生まれてくるだろう。ですから、そういうことから言うならば、もっと実測を厳密にやりなさいという通達を一方で今度の場合も出しておられるとするならば、この組合がやるところの実測を尊重して決定をしていくというやり方に転換をしていくならばこの農民の感情というのは救われることになるのじゃないだろうか。そういう方向を検討する必要がある。これが一つです。  それから第二番目に、あり方の問題、どうするかという問題については、いままでこういう災害のたびにこの不満が出てきているし、作報自身についても感情にちっとも合わないじゃないかという問題が先ほどからも論議になっていますから、したがって農協なり市町村なり関係者との間で、一体いまの災害のこの査定のあり方でいいのかどうかということを一回相談会というのですか何かで率直に、事態の発生したところで検討するということをやってみる必要があるのじゃないか。  第三番目に、こういうような実際上の経験を持っている人たちが本当に何で削られたかわからないままになってきている。一体どういう根拠によってこういう査定結果になったのかということを関係者の間に公表するということは私は当然だろうと思う。何で今日まで公表しなかったのだろうか。  この三点について私は聞かせていただきたいと思います。
  207. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいま先生の方から三点の御質問があったわけでございますが、当然、この共済の共済金が適正に支払われるもとは御案内のように損害評価でございます。したがいまして、各段階、つまり組合と連合会及び統計組織とこの三つが的確に事態を把握する、そして損害評価を的確にやっていくということが、最も調整のとれた、また正しい共済金の支払いの方法だろうというふうに思います。もちろん組合等が悉皆調査もやっておりますので、その段階におきまして調査したことは尊重すべきことは当然でございますけれども、しかしながら、その三つの段階がおのおのきちんとその職務を果たしまして、適正な損害評価ができるようにということが基本的な目的でございまして、さような意味で、連合会と組合との調節につきましても、午前中申し上げましたように、評価眼の統一であるとか、あるいは実測調査をより多く導入するとか、あるいはさらに相互に連絡をし合って、適期に損害評価を行うということを指導いたしたわけでございます。また、さらに、統計の組織と連合会との間におきましては、今回は相互によく連絡を密にして、相互の狂いができるだけ少なくなるように、そのような指導もいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、各段階が適正に評価を行っていくという体制を確保したいというふうに考えておるわけでございます。  また、このようなことでございますので、この三つの組織で適正にその評価が行われれば、共済金の支払いについて遺憾なきを期することができるというふうに考えておるわけでございますので、特にほかの組織等も入れましてこの評価をやるということは必ずしも必要ではないのではないかというふうに考える次第でございます。  さらに、一般の農家方々にこのような損害評価実態につきまして納得いくような状態をつくるということが必要ではないかというふうにおっしゃられる点でございますけれども、組合等及び連合会の損害評価高の決定に当たりましては、当然農家の代表も入りました損害評価会に諮ってこれは決めておるわけでございまして、国が連合会の評価を奔走する場合にも、個々に十分に説明いたしまして、納得を得て最終の認定を行っているつもりでございます。なお、組合等が農家に対しましてその決定の経緯について知らせてほしいという御要求があれば、その内容について十分説明しておくようにということで指導してまいりたいというふうに思います。
  208. 寺前巖

    寺前委員 大臣にお聞きをしたいと思うのですが、大臣も恐らく共済について納得のいかない話を各地で聞かれると思うのです。いまそれぞれの段階が十分に責任ある査定をやったらいいじゃないか、それはそうだと思います。だけれども、納得いかないというのは、自分らはこう思っておるのになっていない。福島県の例で、さっき言われたように四分の一近くも削られているという実態になっておったわけです。何でそういうことになったのか。当時のことを聞いてみると、係数で、サンプル調査をやってそれの一・六倍の範囲内で限度額にして福島県の場合には措置をしたということを聞いたわけです。大体限度額を設けて、その範囲内いでしか査定はできないよということを言われること自身もおかしな話だと私は思うのだけれども、それにしても、そのことすら関係する方々には教えられないわけです。ここのサンプルはこういうふうなことになっている、どこどこはこういうことだけれども、したがって福島県においてはこういうサンプルで限度になって、こういう範囲で整理をされて、結果としてこうなったんだ、関係するところの幹部の人は知っているか知らないけれども、実際に救われる側の農民は何も知らされない。だから不満だけぐっと残っている。私は、こういう結果の問題についても何らかの形で納得のいくように、あなたたちが言われたものは実際上はこういうことの結果こうなったんですよと、わかるように公表すべきではないだろうか。研究してほしいと思うのですが、大臣どうですか。
  209. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 寿前委員のいまのお話を承っておりまして、私十年前を思い出したわけであります。実は私も、被害実態というのは一つしかない、ところが、片一方の被害高と統計情報部の被害高と、同じ一つしかない現実に二つの数字が出てくる。まず、こういうことが、共済制度による被害高を農林省で決める際にはとにかく統計情報部のものを基準にしてやっていくものだから、いま言われたような不満が農民から出ておるということは、もうこの制度ができた当時から毎回言われてきておるわけであります。したがって今回も私はその点十分注意をいたしまして、あの通達を出す際にも局長の方に注意をいたしたわけでございます。したがってお互いに真剣に現実を追求して、現実に近い数字を求めて努力をするという、ただ学理の上に座って、確かに全国で一万数千点予算措置でちゃんともう調査する勘所が決定されておる統計情報部の場合と、本当に自分のたんぼの被害をそっちのけにして一筆一筆被害農家被害調査をやっていくというそっちの方と、どっちが現実に近いかというようなことを考えていきますと、これは学問と現実、学理と現実との差かなというような感じも私は率直にいたすわけでありますから、私どももそれぞれの農村地域においてこの共済制度を充実、拡充するためには、そういう点も直さなければいかぬということで、ずいぶん今日まで農林省においても努力をいたしてきておるところでございますが、なかなかその点は理想的な形まではほど遠いという現実にあることもこれは認めざるを得ない。  したがいまして、今回においてもできるだけ両方の数字が近づけば近づくほど農家に対する信用が確保できるわけでありますから、そういうような努力を共済組合でもやってほしいし、統計情報部の方もとにかくその地域災害実態というものをよく、地域の県並びに市町村さらには団体等との連絡も密にいたしまして、正しい姿が一両方の数字にあらわれてくれば、寺前委員から指摘されるような事態がなくなるはずでありますけれども、ただ五十一年の際は今度の冷害の形とちょっと違いまして、時期がたつに従って天候が回復して、そうして稲作の方も若干回復していったという形の冷害であったことも多少考えていかなければならぬのじゃないか。いずれにいたしましても、今回はできるだけそういう批判のないような努力をすることを私からきちんと申し渡しておりますし、さらに国会の方にもいろいろ御指示をちょうだいしまして、より正確なデータの出てくるような努力も私どもは今後検討させていただきたいと思います。
  210. 寺前巖

    寺前委員 次に、青刈りの問題が九月五日付で経済局長から、あるいは畜産局長から九月六日付で通達が出されております。私は早い時期に積極的な対応をされたという点においては、これは非常に大事な問題だなと思って、ここからいただいて、そして青森その他のところへ行ってみたのです。ところが、ほとんどだれも知らない。ただ一カ所だけ岩手県で、ああ、そういう連絡があったそうですということで、青刈りしてよろしい、するに当たってはちゃんと三カ所だけ坪刈りできるように残しておけよ、あとは全部刈っていけ、こういうふうに上から連絡がございました。通達を見たってそんなこと書いていませんから、ああ、細部はそういうふうなことをやっているのかな、こう思ったわけです。  それにしても、青刈りをして、もうこれは見込みがないから、出かせぎに行くからいまのうちに刈っていこうかという気持ちになっているときに、何で残しておかなければならないか。いや、残したら、それが後で何ぼか米が取れるようになって、査定をされて、あれは収穫皆無ではなかったという材料として使われるのかな。それであったら、実際問題としてはそんなもの売れるような米になるような状況ではないのは、もう天下周知です、青森のあそこへ行ってみたり、岩手のあそこへ行ってみたら。宮城から南に来ると若干条件は違ったようですけれども、あそこへ行くと、もう私らみたいな素人が見ても、こんなものどうにもなるものじゃないと思うですよ。また通達にもあえてもう収穫皆無と予想されるとまで書いてある。にもかかわらず、何でそんなやり方をするのだ。これは共済の査定のときにはどんなにしても削って削って締め上げてやるという気持ちがあるからこんな実際上の指導になるのかいな。私は、やはりやる以上は、これはもう安心して出かせぎに行ってください、刈って行きなさいということを、そんなものは皆無に等しい状況でしょうというぐらいなことをびしっと、せっかくのああいう通達を出す以上はやるべきではないかということを感じましたので、率直に聞きたいと思うのです。どうです。
  211. 松浦昭

    ○松浦説明員 私ども大臣からの強い御指示がございまして、九月五日付で早目に青刈りの通達を出したわけでございますが、その際に、この点につきましてはかなり下部にも徹底するような方法でやっておりましたので、ただいま寺前委員からわりあいこの通達の趣旨が徹底されていないということで、ちょっと意外に思った次第でございます。さらにこの趣旨は徹底をいたしたいと思います。  御指摘のような事例につきましては、確かに共済団体が公平適正な損害評価実施しようという意欲の余りに慎重を期し過ぎたという感じがいたします。私どもそのようなことではやはり農民感情からしても適当ではないというふうに思いますし、また大臣の御趣旨にも沿わないというふうに考えますので、岩手県及び同様の事例がありました連合会に対しましては直ちに連絡をいたしまして、サンプルはたとえ残すような必要がある場合にも、一部代表耕地に限るようにということですでに指導いたしております。
  212. 寺前巖

    寺前委員 時間の都合がありますから、さきの質問の中に関連するものだけをちょっと聞いておきたいと思うのですが、天災融資法なり激甚災害法が当然発動するという前提に立ってつなぎの融資の話が先ほど大臣からされていました。ところが、現地で、岩手県でしたが、五十一年の冷害のときの実情を聞いてみると、第二種兼業農家天災融資法の対象にはしないということを実施されているのです。現に、たとえば九戸村というところでは、千二百人の農協の組合員の中で、融資を受けることができたのはわずか百八十一人であったという実例が出ているわけです。私はこんなことで差別することはなかろうと思う。農業をきちんと営んで、そうして資金を必要とする人には当然融資をするというふうにやるべきなのに、現地へ行くと、実際はこういうことが起こっている。一体こういうようなことがいいと思っているのかどうか。  それから第二番目に、五十一年の冷害で資金を借りた農家が三年据え置きで償還ということになるので、これから償還ということになってくるわけですね。ですから、たとえば青森県で見ますと、総額八十九億円で、借入農家二月平均五十万円の残高ということになっていましたよ。こう考えてくると、たとえば今度の自作農維持資金を借りようということになると、もう前の残高云々はいたしません、そんなもののいかんにかかわらず、貸し付けは今度の災害の問題にして別枠でやりますということをびしっと明確にしなければ役に立たない。これが第二点。  第三番目に、ところが、こういういろいろな制度があっても、出先になってくるといろいろ狂った形の姿があらわれてくるわけですね、実際の通達が出たとしても。そこで、こういう問題について周知徹底方を、わかりやすく、農協の入り口なりあるいは公庫の入り口なりあるいは新聞、テレビなり、目につく姿によって広く宣伝をしてやるということが大事な課題だろうというのが第三番目の問題です。一体どういうふうにやっておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  213. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいまの寺前委員のお話、まことに意外でございます。天災融資法上の被害農業者というのは農家を単位としてとらえているのではございません。あくまでも農業を主として行う者に着目して天災融資法の対象といたしておるわけでございます。したがいまして、農業経営の主宰者としてのその責任を払う者でありますれば、年間総所得のうちで農業に係る所得が五〇%以上占めていれば、二種兼農家であると否とを問いませんで天災融資法の対象になっているわけでございます。この点につきましては従来からかなり指導は徹底してやってまいったつもりでございますけれども、今回もそのように二極兼農家が一律に融資対象とならないような事態が生じないように、五十一年の際にはそういう事態があったようでございますが、さようなことがないように徹底的に指導いたしたいというふうに考えております。  それから第二でございますが、限度額の問題でございます。この点につきましては、天災融資法はその発動のたびに限度額が設定されるわけでございます。したがいまして、今回、先ほど大臣からの御答弁もございましたように、この天災融資法の融資が決定いたしまして、その結果融資が行われます場合には、当該災害につきましてその限度額が適用になるということで御理解をいただきたいと思います。ただ、自創資金につきましては、これはすでに借りております額がございますと、その場合には限度額が頭打ちになるという事態が起こってまいります。したがいまして、先ほど構造改善局長からも御答弁いたしましたように、限度額の引き上げが必要になるということで目下関係当局と話し合いを進めておる状態になっておるということでございます。  それから第三点に周知徹底方の御指摘がございましたが、先ほど申し上げましたような二種兼農家を対象としないというようなことにつきましての指導が前に行われたというようなことで、私どももこの周知徹底方はさらに一層しなければいかぬというふうに考えておりますので、いろいろ工夫をこらしまして、末端農家までこのようなわれわれの指導が通じますように努力をいたしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  214. 寺前巖

    寺前委員 減反の第二期対策の問題について、先ほどからも出ておりましたが、大臣に聞きます。  冷害対策がいま焦点だからいま考えるわけにいかない、十一月段階の話だ、こういうことで先ほどからおっしゃっておる。従来九月段階に減反の割り当て方向を打ち出してこられた。それには秋まきの麦の問題その他の諸条件があるから九月段階にしなければならないという態度をとってこられたと思うのです。ところが十一月段階というと、条件から言うと出かせぎなどに行ってしまわれる。秋まきの時期は済んでしまう。そうすると、強制割り当て的な減反政策をやっていくという、時期から見てもこれは不適当な時期にこれから入っていくということが、いまよりは条件が悪くなるということがいろいろな問題を抜きにしても言える話だと思うのです。いわゆる営農計画がもうその段階には出かせぎに行って立てられる条件ではなくなっていくじゃないか。ましてことしはこういう冷害がある。冷害がなかったとしても、いま強制割り当てについてはずいぶん農民から批判が出ている。こういう条件下で十一月段階でなお第二期対策をやっていくのだということが言えるのかどうか。営農計画を立てる面から見ても、これはそう簡単には言える時期ではありませんということを思わぬのかどうか、これが第一点。  第二点。先ほど食糧庁長官は、ことしの被害量が百三十八万トンと考えるならば、古米の在庫が百七十万トンですか、ということになってくると、来年の端境期になってくると、計算すると三、四十万トンしかなくなる、そうすると古々米を食わさなければならぬことになる、それはかつて古々米を食わしたことがあるのだから、こういうお話でした。私は農林大臣に聞きたい。ここ十年来古々米は食べさしていない。なぜか。それは米の消費拡大という政策目標から見て古々米を食べさすわけにはいかないという施策をとってきたけれども、古々米を食べさせるという施策をこれからとろうとおっしゃるのかどうか。それを、そんなわけにはいかない、古々米を食べさすわけにはいかないという消費拡大の課題からいうならば、そうすると減反を打ち出すということは無理が起こるというふうに思うのだけれども、それについて大臣の所見を聞きたい、これが二番目。  第三番目の問題。やませの問題で、どこの県へ行っても特別に研究をしてくれ、農林省に聞いてみたら研究はしてます。それではやませの研究の成果が上がるところまで来ているのかどうか。そして同時に筑波に農林省関係の研究所がずっと集中してきたから、私はこの間あそこの研究所に行ってみたら、驚いたことに高度成長のときにつくった施設です。ずいぶんエネルギーが要る施設になっているわけですが、去年からことしにかけて石油が上がっている、電気代が五割近くも上がっている。したがって研究費へ食い込んで研究をできない状態に追い込んでいるという研究施設がもう各所に出てできている。どこの場長さんに聞いても、このエネルギー問題を解決してもらわないことには研究ができぬじゃないかという問題提起までされている。このまま放置しておかれるのか。やませの研究を各県へ行ったら全部要求されているときに、やませの研究とこのエネルギー問題に対する、研究所に対する対策を緊急に手を打たなければならないと私は思うけれども、大臣の所信を聞きたいと思います。
  215. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 第二期の水田利用再編対策でございますが、これは実は本年の米価決定が終わりまして、その後すぐに取り組んだわけでございます。当時はこのような冷害になるとはだれも予想はいたしておりませんでした。したがいまして、知事会あるいは町村会、市長会、さらには農業団体等々、いろいろ意見を承ったわけでありますが、関東地域においては九月末から十月初旬にかけて麦まきをする、だからとにかくその季節ころまでに割り当てをしてほしい、そういう声が非常に強かったわけでございます。  そこで、私どもとしては一応そういう要請もございましたので、九月末にできれば割り当てをしていきたいということで準備をしかけたわけでございます。ところがこういう災害になりましたので、私も現地を見、さらに全国に農林省の関係の専門職員を派遣して、実態調査と、それからその地方、地方の農家要請を聞き取りまして、そして規模においても金額においても戦後最大の冷害である、こういう意識をもちまして、これに対する対策の完璧を期さなければ第二期水田利用再編対策を進めるに当たっても御協力をいただくことはなかなかむずかしかろう、ころ判断をいたしまして、実はきのう、おととい、当面冷害対策全力を集中してその万全を期そう、こういうふうに指示を与えたわけでございます。  ことしはこの冷害で非常な減収になるわけでございますけれども、来年また平年作ということになりますと過剰状態は改善をひとつもされない、こういうことになるわけでございますから、やはりせっかく国会でも農地三法関係を成立させていただき、自給力向上をせよという御決議もしていただいたわけでありますから、米の需給のバランスを改善しなければならないという基本課題というものを避けて通るわけにはまいらぬということも私としては考えなければならぬ。彼此こもごも頭の中に入れまして、そして最終的な第二期再編対策のやり方をいずれにいたしましても十一月末までには決めていかなければならぬ、こういう考えを持っておるわけでございます。ちなみに、おととしも十一月半ばを過ぎたと思いまするし、去年も十一月半ばを過ぎた割り当てであったわけでありますが、とにかく農家、農業団体、地方自治体の協力を得ることができれば、その時点においても再編対策事業というものは実行をしてまいれる、こういう考えでおりますので、その協力を得ることのできる体制をつくっていくためには、やはり農家の信頼というものが大事だということで、冷害対策全力を傾けることといたした次第であります。
  216. 松本作衞

    ○松本説明員 食糧の需給につきましては、従来から消費拡大を図りますためになるべく新米を供給するということをとってきておりまして、昨年、ごとしと新米供給率を高めております。しかし今回のような災害によりまして、当年の産米が需要を下回るということになった場合には、やはり古米を充当することはやむを得ない措置になろうかと思います。その場合に、先ほど申しましたが、現在五十四年産米が百七十万トンほど持ち越すと見込まれますので、相当程度被害が大規模だというふうに考えましても、ほぼ古米をもって充当するということで足りるのではないかということを先ほど申し上げたわけでございまして、今後古々米を大々的に消費するというようなことは考えておりません。
  217. 川嶋良一

    ○川嶋説明員 やませに対する研究につきましては、昭和の初期に大冷害がございまして、それを機会に国としては大変力を入れて研究をやってまいりました。御案内のように水稲につきましては藤坂五号ですとかレイメイですとか、いろいろと成果を上げてきているわけでございますが、今年のような大変な冷害に対する対策としてはまだ十分でございません。今後とも力を入れてやってまいりたいというふうに考えております。  それから筑波の新しい施設を中心にいたしました光熱水質の研究に対する影響の問題でございますが、お話のように大変支出がかさんでいることは事実でございますが、試験に対する悪影響がないように、いろいろと研究をいたして現在まで遂行しているわけでございます。今後とも十分各研究機関とも協力をして、研究に支障のないよう努力してまいりたいと存じております。
  218. 田邉國男

    田邉委員長 次に、木村守男君。
  219. 木村守男

    木村(守)委員 今世紀始まって以来と言われる未曾有の冷害、凶作に当たっては、委員長並びに委員皆さん方そして農林大臣、農林当局皆さん方は、寝食忘れての現地調査あるいはまたその後の万般にあたっての作業、まことに御苦労さまでございます。特に農林大臣におかれましては、みずから作業服のままで青森県あるいは特にひどいと言われた東北地方に足を運ばれまして、つぶさに現地調査をされたことは感謝にたえません。それは政治家ですから、いろいろその間、前からの日程で十和田市長選に行かれたり、あるいはみずからの衆望を担っての御就任にせめてもという気持ちで就任祝賀式に出られた、私はこれは理解いたします。こういうことは堂々と、あなたは政党政治家として、こういうことを指摘されて自信を失わないように。現地に来られたときに特に亀岡大臣におかれては、十和田あるいは北津軽郡の中里町等に来られたときは、年老いたおばあさん方があのたんぼのあぜ道に土下座してあなたに窮状を訴えた、これに対して亀岡大臣はぐっと涙をこらえておった、こういう姿がいかに今回の災害立ち上がりに勇気を与えたか、これによって人間亀岡というものが大変ないま期待を寄せられている。こういうことを改めて私が敬意を表しながら委員皆さん方に御披露しておきたい、こう思うわけであります。  そこで具体的に、時間もありませんから、私はきょうの質問のしんがりでありますから総括的に、当然重複もいたしますが、あえて重点的なことについて言及してみたい、こう思いますのでよろしく御指導をお願いいたします。  まず、今回の災害の結果は、私も百姓ですからわかるのでありますが、少なくとも皆無作地域を持つ県の平均で考えた場合は、最低三年から五年このつめ跡が残るでありましょう。そういう立場から考えた場合、冷害対策にかかわる激甚指定あるいは天災融資法、これの早期発動はもとよりでありますが、その他の直接の冷害対策も大事であります。これはまた後ほどお聞かせ願いますが、しかしながら、きわめて精神的にまいっている。そこでせっかくの大臣の現地調査などもあっただけに期待しておりますが、当然来年にかかってくる二期対策というものに大変な不安を抱いている。たとえばせっかく農林省が五日に青刈りをしてもよろしいという五十一年のときよりは迅速な対応をしている、これはよろしいことです。しかしながら、現地ではなかなかそれさえも対応できない地域がたくさんある。担当の方々はおのおの努力しておっても、その担当者自体も被災者が多いものですから、大変な暗い気持ちから立ち直れないでいる。そこへもってきて二期対策は国策としてやむを得ない、内々すでにそういう方針が打ち出されてきているものですから。  ただ大臣はさすがはきょうは、そういうことを重々承知しているから、いまは直接に冷害対策に真剣に取り組む、その間に関係地域、県、団体等皆さん方の意見を聞いて、あるいは党内でも相談をされるでしょう、そういうことで十月は冷害対策に直接取り組んで、そして十一月作業を進めて、十二月早々にでも二期対策の方向を示したい、こういうスケジュールらしきことを示唆されました。その意図するところはある程度わかりますが、しかしながらその答えだけでは、あくまでも二期対策がやってくるのだというこの基本線に農家は大変な不安がまだ残るわけです。  そこで、特に青森県などを例にとると、単純計算でいくと、二年も減反の割り当てに協力したような結果が数字のはじきからいくと出てくる。ですから願わくは、凍結という言葉がなじむかどうか知りませんが、やはりそういう地域には当然に二期対策はいま具体的にお示しができないというのはわかりますから、少なくともそういうことも踏まえて検討するがゆえに慎重を期していくのだということの理解でよろしいかどうかを、もう一度お示しを願いたいと思います。亀岡大臣。
  220. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど来申し上げてきておるところでございますが、この冷害がなかったと仮定いたしましても、来年度の第二期水田利用再編対策については農家はいま非常に危惧の念を持っておった、一体日本の農政は将来どうなるのだ、どうするのだ、こういう立場から心の底に非常な心配の種として持っておったことは、私も理解しておるわけであります。しかしそういう中でも、農業団体も八十万ヘクタールの調整をやらなければ将来の日本農政の路線も描けないし食管の根幹も保てない、こういうことも一面では言っておったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、知事会においても町村会においても市長会においても、とにかく割り当てをするなら麦の種まきの前にやってほしい、こういうことを再三言われたわけでございますので、私どもとしては一応九月いっぱいに何とかできないかということで準備をさせたことは事実でございます。しかし災害が日とともに深刻になり、私も東北青森福島等の現地を拝見しましてあの惨状を見て帰ってまいりまして、一応九月十五日現在の被害金額を承知いたしまして、これはとても第二期再編対策をいまここで云々しておっても農家の不安を増すばかりだ、せめて冷害による打ちひしがれた気持ちをふるい起こし、そして来年の再生産のめどをはっきりと一戸一戸の農家の諸君がつけることができたというところまで冷害対策を進めなければいかぬ、これがまず来年の水田利用再編対策事業を円滑に進める一つのステップである、こう考えまして、私は事務当局に対しまして、一昨日意を決して、十月いっぱいは冷害、あとは各界各層の意見をその間に十分聞いて、第二期事業を本当に円滑に推進していくことのできるような立場で決心をしていこう、こういう気持ちでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
  221. 木村守男

    木村(守)委員 円滑に第二期がいくように配慮していきたいのだという意味の御答弁で、結構であります。円滑にいくということは、こういう地域のことは十二分に踏まえるということと理解いたします。  次に、持ち時間がありませんので急ぎますが、天災融資法とか激甚指定を受けても、これは再生産資材を中心としたもので営農農家に対する弾力性がないですから、具体的にはやはり自作農維持資金の限度額の引き上げ、これが必要である、具体的には百五十万から百万ぐらいは最小限度考えているのかどうか、これのお答えを具体的に示していただきたい。  いま一つ続いて質問いたしますが、こういう事態になってまいりますと、土地改良、あるいは農協もそうですが、救農土木サイドから見た場合も、県、市町村、特に市町村単位の事業の促進を督励すべきである。実情をよく知っている、これが機械に結びつかない人夫賃として支払われていく、いわゆる救農の趣旨が生かされる、そういうことと相まって、自治省からこの際、先ほどちょっと触れられたようでありますが、特に枠の確保がどうなっているのか、その目安をいつにするのか、各市町村はその答えを待っておりますのでそれを示していただきたい、こう思います。  その次は、青刈りに対しては補助する意思がありやなしや。  それから、何しろ時間がないですから、もう一つ二つ申し上げますが、今回の場合は、何しろ面積が多いということもわかりますが、先ほど来から各委員から言われているとおり、作況指数、現況の把握ということが被害額ともども大変にまちまちで混乱を来している。大臣におかれてはいろいろ検討していく、こういう努力の姿勢がうかがわれましたけれども、いろいろな制度とかちょす前に、冷害のときは現場主義で合同で立ち会ってやったら、何も私はそんなにむずかしいことではない、こう思うのですよ。そういうことがなされたのかどうか。青森県の場合は、県側からお願いして初めてやっと八月末から九月に入ってその立ち会いを願った。お立ち会い願ったときの数字だけは、農林省発表と県の発表が接近してきたのですよ。こういうこともありますから、ですからそういう点を今後のためにもぜひ踏まえてのお考えを示していただきたい。  それからいま一つは、今後この冷害や日本の農業経済の現況を踏まえ、先ほどのお答えがあった、これから出てくるでしょうが、二期対策などの見直し、整備も踏まえて、この際、農林当局は総合的なわが国の農業経済振興対策を打ち出すべきだ、こう思います。そのお考えがおありでありましたら、お示し願いたい。基本的な点でよろしゅうございます。  以上であります。
  222. 杉山克己

    ○杉山説明員 お尋ねのうち、初めの二点についてお答え申し上げます。  自作農維持資金の貸付限度額の引き上げ、それから融資枠の確保の問題でございます。  融資枠につきましては、これは天災融資法との関係もこれあり、現地の資金需要額を見定めた上で必要な額を確保したいと考えております。ただ枠があっても、先生御指摘のように過去の災害等の際に借り入れをある程度している者はこの上余り借りられない、あるいは全く借りられないという方も出てまいります。そこで、個人個人の借り入れ限度の引き上げということは私どもも検討いたしております。これは被害状況それから本資金の貸付残高はどうなっているか、そういう実態を検討した上、関係方面とも協議しながら適切に対処してまいりたいと考えております。  それから、二番目の土地改良等小規模の市町村営の事業について、これをてこ入れする方法を考えるべきであるということ、私ども自治省にもこれからいろいろ御相談申し上げていかなければなりませんが、そういう有効な事業はぜひ就労対策として救農的な事業としてやっていただきたいというふうに思っておりますし、それから私どもの制度の中でも非補助の土地改良事業に対しましては、小規模の事業に対しましては三分五厘の低利融資の道もございます。こういったものも活用して、そのような就労対策、救農的な効果のある事業についてはこれをできるだけ推進してまいりたいというふうに考えております。
  223. 池ノ内祐司

    ○池ノ内説明員 冷害対策の一環としての救農土木事業の問題でございますけれども、原則的には先般申し上げましたように、窮迫した地方財政の中でございますので、国の措置というものでお願いをしたいわけでございますけれども、県や市町村被害地に対しまして実施をするという場合につきましては、公共事業配分状況であるとか、関係地方公共団体がどういうような事業をやるか、そういうようなものの実施内容なり方針を踏まえまして、事業の執行に支障がないように地方債を配慮してまいりたい、かように考えております。
  224. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 青刈りの問題についてお答えいたします。  去る九月六日付で畜産局長名によりまして、青刈り稲の飼料利用の促進方につきまして指導してまいってきております。全体が地域におきまして飼料作物の団地的な構成をとる場合には助成事業がございますが、現在発生しましたのを刈り取ることについての直接的な助成はございません。経営資金的に手当てする面では天災融資法なりの対象としての経営費の助成等は当然考えられるわけでございますが、これらはその限度内の設定の中でしてまいるわけでございます。
  225. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 日本農政の見直し並びに長期見通しという問題について基本的にどう考えるかというようなお尋ねであったかと思います。  前々大臣、前大臣からも当委員会で御報告いたしておることではございますけれども、農政審議会に答申をいただくように取り進めをお願いをしておるわけでございます。これも四つの部会がありますが、その各部会からの意見がまとまったようでございまするし、来月早々農政審議会の総会におきましてその答申の取りまとめをいただくことになっておるわけでございます。  したがいまして、これらの答申をちょうだいいたしまして、それにのっとりまして、しかも先ほど来も申し上げましたとおり、当委員会並びに国会で制定していただきました農地関係三法を基本といたしまして、やはり一面においては規模拡大というようなことによる生産性の向上ということ、これと離すことのできないのは雇用の場の造成という問題も当然考えなければならぬわけでありますので、それらの面をあわせ施行していくことのできますような来年度の予算要求をさせていただいておる、こういうことでございますので、ひとつよろしく御指導いただきたい、こう思う次第でございます。
  226. 木村守男

    木村(守)委員 終わります。      ————◇—————
  227. 田邉國男

    田邉委員長 この際、お諮りいたします。  異常低温等による農作物被害等対策に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、各党の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。  便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     異常低温等による農作物被害等対策に関する件(案)   今年の七月以降の異常気象は、全国各地に甚大な被害をもたらし、被災農林漁業者に大きな不安を与えており、事態は極めて深刻である。   よって政府は、今次の冷災害に対処し、天災融資法及び激甚災害法早期発動、つなぎ融資及び既貸付金の償還条件の緩和農業共済金早期支払い飯米確保及び被害による規格外米政府輿入れ並びに予約概算金の利子の減免、農作物種子及び粗飼料の確保、救農のための各種事業実施災害復旧事業実施等について、早急に万全の対策を講ずべきである。   右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  228. 田邉國男

    田邉委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。  亀岡農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  229. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分検討をし、その対策全力を傾注して万全を期してまいる所存であります。(拍手)
  230. 田邉國男

    田邉委員長 なお、ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会