運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-07-31 第92回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年七月三十一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       亀井 善之君    川田 正則君       岸田 文武君    北口  博君       北村 義和君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    三池  信君       渡辺 省一君    小川 国彦君       串原 義直君    島田 琢郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       近藤  豊君    寺前  巖君       野間 友一君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         国税庁間税部長 小泉 忠之君         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房企画室長   鴻巣 健治君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         食糧庁次長   小野 重和君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 七月二十五日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十五年産  米穀政府買価格等)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十五年産米穀政府買い入れ価格についての諮問に関し、政府から説明を聴取いたします。小野食糧庁次長
  3. 小野重和

    小野説明員 本日、米価審議会が開催されまして、これに昭和五十五年産米穀政府買い入れ価格につきまして政府諮問をいたしたわけでございます。お手元に「諮問」というペーパーと、別に「昭和五十五年産米穀政府買価格試算」がお配りしてあると思いますが、これに基づきましてその内容の御説明をいたしたいと存じます。  まず「諮問」でございますが、これは朗読させていただきます。   昭和五十五年産米穀政府買価格につい  て、米穀需給均衡を図るための対策が行わ  れている需給事情に即応しつつ生産費及び所得  を考慮して決定することにつき、米価審議会の  意見を求める。以上でございます。  これにつきましての説明がおめくりいただきますと書いてございます。これも短いものでございますので、朗読させていただきます。   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第  二項の規定により、生産費及び物価その他の経  済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図るこ  とを旨として定めることになっており、その算  定については、昭和三十五年以降生産費及び所  得補償方式により行ってきたところでありま  す。   米穀政府買人価格は、最近における米穀の  需給事情を考慮し、昭和五十三年産及び昭和五  十四年産についてその水準を据え置いてきたと  ころであります。また一方で、水田利用再編対  策をはじめとする各種の施策を通じて米需給の  均衡を回復するための努力が続けられておりま  す。   しかしながら、米需給の現状は、需要面では  米消費の減退が続いている一方、生産面では、  稲作志向が根強いこと、水田生産力の向上が見  られること、天候に恵まれたこと等により生産  が計画を上回っているため、なお、深刻な供給  過剰の事態にあります。また、このような事情  の下で食糧管理特別会計財政運営も極めて困  難な状況にあります。   他方、農家経済をとりまく最近の諸事情の下  で、農業生産の再編成に取り組む農家意欲に  及ぼす影響にも何らかの配慮を払う必要がある  と思われます。   本年産米穀政府買価格につきましては、  以上の事情総合勘案のうえ、現下の米穀の需  給事情に即応しつつ生産費及び所得補償方式に  より算定することとしてはどうかということで  あります。  次に、「昭和五十五年産米穀政府買価格試算」につきまして、ポイントだけ御説明いたしたいと存じます。  最初算式は、いろいろ書いてございますが、これは要するに過去三年の十アール当たり生産費、これはいわゆる必要量生産費をとっておりますが、これの過去三カ年の十アール当たり生産費、これを最近の物価なり賃金に置きかえてそれを平均する、こういうものでございます。それを過去三年の十アール当たり平均収量で割る、こういう基本的な算式をここに書いておるわけでございます。これにつきましては昨年と基本的に同じでございます。  おめくりいただきまして、次は「算定」の内容でございます。「求める価格」とかいろいろ書いてございますが、こういう出し方は基本的には全く従来と同じでございます。  最初に「求める価格」ということで、要するにあらゆるお米の生産費を出す。「基準価格」、これはいまの「求める価格」に運搬費政府が買う場所までの農家運搬費、これを足したものを「基準価格」と申しております。これを一万七千四百十八円にするということでございます。これは前年の基準価格に対しまして二・四%の引き上げになります。  その「基準価格」をもとにしまして、最終的には、四の「うるち一〜五類、一〜二等平均包装込み生産者手取予定価格」これは普通、基本米価と言われておるものでございます。普通、生産者米価と言っておりますのはこれでございます。これはいろいろ細かい過程がございますが、結論的に申し上げますと、一万七千六百七十四円でございまして、これは前年の価格に対しまして二・三%、額にいたしまして三百九十五円の引き上げになっておるわけでございます。  実際問題として政府が買う場合には、類別、等級別一定価格で買うわけでございまして、その額が参考の表でございます。括弧の中の数字がございますが、これがいわゆる品質格差でございまして、この品質格差につきましては、昨年これを新たに導入いたしたわけでございますけれども、この額につきましては去年と同様の額になっております。  その次に、さらに具体的といいますか、その算定の基礎でございますが、まず十アール当たり平均生産費算定いたすわけでございます。この場合に、いわゆる必要量生産費というものをとっております。この考え方は去年と同じでございますが、数字は三ページの上の方に八四%とか八九%とかパーセンテージが書いてございますが、この数字は去年と違いまして、これは各年の米の出回り数量分昭和五十五年産のお米の予約限度数量、これをパーセンテージにしたものがそれぞれのパーセントでございます。五十五年産予約限度数量が七百八十五万トンでございます。たとえば五十二年産総出回り数量は九百三十七万七千トンということでございますので、これをパーセンテージにしますと八四%ということになりまして、これがここに書いてございます八四%ということになるわけでございます。  次に、家族労働費でございますが、五人以上千人未満、これは同じでございます。賃金の単価は最近の一年間の都市均衡労賃をとりますので、去年と変わってまいるのは当然でございます。  それから、四ページの物財雇用労働費でございます。  これも基本的には考え方は去年と同じでございますけれども物価修正する場合にどういう期間をとるかという問題がございます。この真ん中のあたりに「米生産費パリティ指数による昭和五十二年一月〜五月平均に対する昭和五十五年一月〜五月平均変化率」こうございますが、これは、去年は十一月−五月という期間をとっておりましたが、これを一月−五月というふうに変えております。これは、最近のように物価上昇傾向にあるという場合には、比較的最近の期間をとった方が、有利になるというのもおかしいのですが、十一月−五月よりは高くなるということでございます。物価については最近のものをとるということでございます。物財雇用労働費のそのほかの考え方は去年と同じでございます。  それから、副産物価額も同様でございます。  その次の五ページの資本利子考え方でございます。  この資本利子のところに「借入金については年利七・四三%、自己資金については年利五・三五%として算定する。」と書いてございますが、借入金については農家が実際に支払うものでございますので、最近の実勢を採用いたしております。それで七・四三%でございます。自己資金でございますが、これはいろいろ論議のあるところではございますが、現実に農家が支払うものではない、いわば所得を構成するものでありまして、これについての考え方は従来からいろいろな考え方が採用された経緯がございますが、最近金利が非常に上がっておりますことは確かでございますけれども、そういう自己資本金利という性格上、需給事情その他を勘案いたしまして、との採用金利は去年の米価について採用した金利五・三五%、去年と同様の金利を見ておるわけでございます。  その次に、「概算金に係る利子相当額は控除する。」こう書いてございますが、去年はこれは控除いたしておらなかったわけでございますけれども、これも過去において控除した例はございます。これは自己資本利息を本来計算しているわけでございます。いま三千円の概算金を払っておるわけでございますけれども、それの利息農家としては当然運用できるものでございますので、これの利息は全体の自己資本金利から除いてしかるべきではないか、こう考えまして、本年産についてはこれを控除することにいたしておるわけでございます。  あと物件税、公課諸負担、地代等々につきましては、考え方は去年と変わっておりません。  最後に、七ページに全体の姿といいますか、各年産ごとのいろいろな要素についての数字一覧表として掲げておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、諮問内容につきまして御説明いたした次第でございます。     —————————————
  4. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤元次君。
  5. 近藤元次

    近藤(元)委員 十分という短い、限られた時間でございますので……。  米価も、いよいよ本日から米審が開催をされ、農林大臣からの諮問もいま御説明がございました。米審諮問前には、農林省もあるいは大蔵省据え置き諮問のガードのきわめてかたい中に、亀岡農林大臣就任早々から大変御苦労をされ、そしてまた諮問が、振え置きから二・三%という、農民の期待にはほど遠いながらも、据え置き諮問が、その壁を打ち破って値上げ諮問になったという御労苦は多とし、一定の評価をいたすわけであります。  しかしながら、短い時間でございますから率直に言って、私ども考えながら要請をしてきた第一点が、五十四年産米算定方式をそのまま取り入れて計算をしていただけないか、五十四年産米にも犠牲的な面やいろいろな面がありますけれども、この機会に米を取り巻く諸情勢を判断しても、農家の二年据え置きといい、そしてまた諸物価の高騰の折といい、いろいろな情勢を判断した中で、私どもは五十四年産米米価計算方式を取り入れてほしいということを強く要請してきたわけであります。それをもって諮問していただきたい、米価決定はまた別としても、それをもって諮問していただきたいという要請をしてきたわけであります。素面に五十四年産米試算すると、最低でも四ないし五%のアップであり、あるいは場合によっては五・三%弱の計算になりはしないかということを予測しておったわけであります。  そういう点で、いま内容についての次長からの説明がありましたけれども、大方その内容は五十四年産米のものを取り入れたと言いながらも、その部分がなぜ予想しておった四ないし五、あるいは五・三以下の二・三になったのかというところが、やはり私どもはしかと定かにならない点でありますので、次長から先にこの違いだけを一点、再度御説明いただきたいと思います。
  6. 小野重和

    小野説明員 昨年の方式どおり計算すると四、五%になるという趣旨のことを従来から申し上げておるわけでございますが、若干具体的に申し上げますと、問題は金利とり方でございます。この金利を、自己資本借入金ともに最近の直近の金利をとる、一番高い水準でございますが、これをとると、厳密に計算いたしますと四・九になります。  その数字と今回の数字はどこが違うかということでございますが、三つございまして、一つは、自己資本金利については前年の金利をとる、それから、この自己資本金利の中ではございますが、概算金利子は控除するという点、これがマイナス要因でございます。それから、逆にプラスの要因は、物価修正とり方期間とり方を変えまして、むしろこれは逆に高くするようなとり方にしておりますけれども、それらを総合いたしまして二・三%という数字になるということでございます。数字についてだけ申し上げました。
  7. 近藤元次

    近藤(元)委員 素直に計算すれば四・九になるということでありますから、素直に計算してほしいというのが私ども要望であったわけでございます。結果として、もう審議会が始まっておるわけですから、いまさら諮問をされた問題について私どもがこの場でとやかくは申し上げませんけれども、これは一番理解がしにくい。しかも農林省としては、そういう立場に立ったら、やはり要求すべきものは素直に要求して大蔵省と折衝していただく、そういう態度というものが農家農民側からの農林省に対する要望ではなかろうか、このことを一点、指摘を申し上げておきたいと思うのです。  もう五分間ということで時間がないので、そう多く申し上げられませんが、いま表面に出てこない良質米補助金ないしあらゆる制度というものがあるわけでございます。大臣一つだけ基本的なことをお伺いしておきたいのですが、良質米制度というものをこれから推進していくことになるのか、あるいは一説に言われておるように、四類、五類の安いお米も自主流通に乗っけていくという方針が何かありはしないかということがうわさの俎上にのっておるわけでございますので、その辺の問題について基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  8. 小野重和

    小野説明員 若干具体的に申し上げますと、良質米と申しますか、むしろ自主流通の問題だと思いますが、自主流通米につきましていろいろ問題がございます。詳しくは申し上げませんが、端的に申し上げますと、自主流通米といってもいろいろな種類自主流通がございまして、その種類によりましては需給がアンバランスであるという問題がございます。たとえば超Aランクと言われておりますササ、コシが過剰ぎみであるというような問題がございます。こういう問題をどう脅えるかというような問題がございます。  それから、四、五類の米を自主流通に回すという話があるけれどもどうかという御質問でございますが、四、五類の米といえども、たとえば外食用ということになりますと、これは相当需要があり得るわけでございまして、そういう需要に応じて自主流通のルートで供給するという道を開いても、消費者のニーズといいますか、これに応ずる一つの道ではないかということで、そういう方向で検討しているわけでございます。  そのほか、自主流通助成のあり方の問題とかいろいろ問題がございますが、いずれにしましてもこの問題は基本米価の後になりまして私ども検討させていただきたい、かように思っております。
  9. 近藤元次

    近藤(元)委員 四類、五類の自主流通に乗っける問題は後でまた論議をさせていただきたいと思いますけれども、少なくともいままでの自主流通に対する補助なりいろいろな制度を変更するという考えに立っておるのですか、それとも、変更しないで、基本米価決定によって従来どおり良質米生産農家意欲を持っていただいて、これからそれを促進していくという立場に立ってお考えですかどうですか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 小野重和

    小野説明員 自主流通助成につきましては、先ほど申し上げましたような問題のほかにもいろいろございます。たとえば、これは御案内のことだと思いますが、AランクBランクとの間、Aランクが千五百円の良質米奨励金Bランクが七百五十円、格差が七百五十円もございまして、このランキングづけといいますか、これをする場合に落差が大き過ぎて問題があるというようないろいろな問題がございますので、その点を含めて検討したいと思っております。やはり需要に応じた自主流通米供給という観点に立って、適正な助成水準といいますか助成体系といいますか、そういうものを考えていきたいと思っておりますが、いずれにしても今後の検討問題でございます。
  11. 近藤元次

    近藤(元)委員 これで最後にしなければならぬ時間でございますけれども、四類、五類を自主流通に乗っける、あるいは今年度の米価決定によって良質米が後退し不利益になる、そういうようなお考えをいま持っておるのかどうかという一点だけ、大臣からお願いをいたしたいと思います。
  12. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう意識は持っておりません。おいしい米、需要の伸びる米はやはり優先して考えていくということが基本でございます。  それから、先ほど来の御指摘でございますが、戦後最悪の米をめぐる諸情勢であるということも十分御理解をいただいておる上に立っての御質問ということはわかりますが、責任ある大臣といたしましては、そういう事情も考慮するということが食糧管理法に記載してございますので、そういう事情も考慮し、なおかつ、先般の国会で決議をされました趣旨十分頭に入れながら、また最悪の状態の中で来年も水田利用再編対策というものを強力に進めていただかなければならない、そのためには農家の、今日まで協力していただいたという気持ち、また協力していただかなければならないという心情もよく配慮して、御指摘のありましたようにできるだけ前年度の方式を採用していくように指導してきたつもりでございますが、何しろ米をめぐる需給情勢というものが、これだけお互いの努力をしながらも最悪事態に入っていくということも考えの外に置くわけにはまいらなかった、こういう点もひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。
  13. 近藤元次

    近藤(元)委員 時間でありますので、あとは午後の質問に譲って、田名部さんからやっていただきます。
  14. 田邉國男

  15. 田名部匡省

    田名部委員 なるたけ近藤委員と重複を避けて御質問をさせていただきたいと思います。  いま、方式は同じであっても中身を何かいじっているじゃないか、それによって大変変わってきているという感じを一般的には農民方々が受けておられるだろう、毎年このことが一定していないということが大変強い不満となってあらわれているのではないか。私どもも、先ほど申し上げたような大体五%内外の諮問になるであろうという想定をしておったわけでありますが、大変残念でありますけれども、この諮問説明の中で、「農家経済をとりまく最近の諸事情の下で、農業生産の再編成に取り組む農家意欲に」こうあります。このことが非常に気になるわけでありまして、大臣にお伺いしたい第一点でありますが、まず最初に、再編成という言葉から想像するところによりますと、五十六年度以降の米の生産調整は、農林水産省の農産物の需要生産長期見通し試算を見ますと、米の需要量は、六十五年度に総需要量で九百七十万トンあるいは千二十万トンと言われているわけであります。このことから生産調整はおよそ七十六万ヘクタールとかあるいは八十万ヘクタールとも言われているわけでありますが、その見通しについてまずお伺いをしたいと思います。
  16. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 来年の問題につきましては、今年のように途中で改変するといったような不手際なことをしないようにという配慮から、この米価が終わり次第、農政審議会にもいろいろ各作目ごと見通しあるいは日本の農政の将来というようなことを御諮問しておるわけでありますので、その答申を得まして早急に取りかかって結論を出していきたい、こう思っております。
  17. 田名部匡省

    田名部委員 いま大臣がおっしゃられたことは非常に大事だと思うのです。私は、農家方々不満というものはどういうところから出てきているだろうかということを考えたときに、この米の長期見通しがはっきりしていない、たとえば減反はどの程度やるのかということをやはり明確にしてあげる必要がある、それから米価引き上げ率についても事前にはっきりしていただく、それから消費者米価は一体どうなっていくのか、転作目標あるいは計画、こういったものが事前政府方針というものがはっきり打ち出されておれば農家方々協力してくれる。  現にこの転作についても、政府要求どおりここ十年来協力してきているわけであります。にもかかわらず過剰米相当出ている。この諮問案にも「稲作志向が根強い」こう言っております。これは当然のことだと思うのでありますが、しかしこの根強い中でも協力はしてきた。しかも、いままでの転作は戦後行われた水田で、比較的転作のしやすい水田であった。しかし、これからさらに転作を進めようということになりますと、仮に七、八十万ヘクタールの転作をさらにしていかなければならぬということになりますと、私は、昔からの水田、いわゆる転作がどうにもできないものがいま残ってきているのだろうと思うわけであります。これを進めるということはなかなか容易ではない。しかし、その容易ではない中で農家方々協力をしてまいりたい、こういうことを言っているわけでありますから、計画というもの、見通しというものをはっきりしていただいて、これを農家方々に示して御協力をいただくということでなければならない、こう思うわけであります。  時間がございません。十分というわけですから、あと五分で終わりだということでありますから、次に売買逆ざや解消について一点お伺いをしておきたい、こう思います。  これは、昭和五十一年の米価決定に際して、政府、与党間で、五十一年度以降おおむね五年以内を目途にこの売買逆ざや解消する旨の基本方針が確認されて、ちょうど四年間にわたって縮小がなされてきたわけであります。ことしは一応最終年度になるわけでありますが、どの程度の解消が図られるか、その見通しについてお伺いをしたいと思います。
  18. 小野重和

    小野説明員 御質問の中にございましたように、昭和五十一年の米価決定に際して、売買逆ざや解消する、こういう方針が五十一年に確認されておるわけであります。当時逆ざや率が二三・二%あったわけでございますが、現在では八・七%というふうにこれは縮小してまいったわけであります。  しかしながら、今後どうするかということでございますが、基本的には逆ざや解消の必要はあろうかと思いますが、具体的な問題になりますと、この問題が消費に及ぼす影響、特に消費者米価の問題になりますと消費に及ぼす影響とか、あるいは逆ざやを縮めるとやみが出るのじゃないかという問題とか、片方ではもちろん財政問題もございます。いろいろなことを総合勘案して具体的な取り扱いを決めていかなければならない問題であろうか、かように存ずるわけでございます。
  19. 田名部匡省

    田名部委員 この売買逆ざや解消は、農林水産関係の予算が増額になるか、あるいは消費者米価を値上げするか、これ以外に考えられないわけであります。そこで私はお伺いしたいのは、消費者米価を値上げするということを考えておられるのかどうか、これが一つ。それから、米代の家計消費に占める比率というものはどの程度になっているのかという二点をお伺いしたいと思います。
  20. 小野重和

    小野説明員 後の方の御質問からお答えいたしますが、現在、昭和五十四年度の数字でございますが、一世帯当たりの米支出額は支出総額全体の二・六%でございます。  消費者米価をどうするかという問題でございますが、先ほども申し上げましたように、具体的にことしどうするかという問題は、財政問題もございますが、一方では需給に及ぼす影響とか、あるいは物価、家計に及ぼす影響、あるいはやみとの関係、いろいろな点を総合的に考慮して決める問題だと思いますが、いま具体的にどうするかという取り扱いの方針を決めておるわけではございません。
  21. 田名部匡省

    田名部委員 政府が公共料金を値上げする場合には、私ども説明の段階で、家計費に占める割合というものはわずか〇・〇何%であります、こういう説明で説得をするわけであります。私はそういうことから、値上げというものは、先ほど二・六%だ、上げたいときにはわずか二・六%であります、一食当たり何円でありますと言われると、何となくその程度であれば値上げをしてもいいのではないかという感触を得るわけであります。  時間が参りましたので、あと自主流通米あるいは食管制度の運営の見直し等は午後に回させていただきたいと思います。  終わります。
  22. 田邉國男

    田邉委員長 安井吉典君。
  23. 安井吉典

    ○安井委員 亀岡農林水産大臣にまず申し上げたいのでありますが、社会党の私たちとしては、今日の米をめぐる経済情勢、とりわけ生産費の問題やあるいは農家の生活の安定というようなどの側面から考えても、三年間も据え置きをしてよいというような情勢ではなく、かなりな引き上げ諮問米価の中で示すべきだと考え、そのことを大臣にもしばしば申し上げ、あるいはまた六野党も共同戦線でそのことを政府に申し入れをしていたのは御承知のとおりだと思います。ところが、いま提示されました米価審議会への諮問米価のありよう、それからもう一つは、それに至る手順なり経過であります。その問題はきわめて私どもとして遺憾な状態にあるということをまず私は申し上げておきたいと思います。  いままでのその経過から言えば、二十九日に参議院の農林水産委員会があって、その際に大臣は、米価審議会には据え置き諮問をするということを繰り返し繰り返し言われた。私は、それは財政当局の非常に強い圧力に屈した大臣の態度であったように見ていたわけであります。ところが、一夜明けて、今度は一遍に二・三%アップという諮問米価決定された、こういうわけであります。したがって、その変化というのは、これは千変万化といいますか、二、三日のうちにそんな大きな変化が起きるとはどうも思えないわけでありますが、今度は財政当局の圧力のかわりに与党自民党の異常なかつてないような情勢の中での動きの中で、大臣はまた変わってしまった。初めは財政当局の言うままになって、後は政治圧力に属したという、そういう態度そのものが、これはどう見ても私は理解できないわけであります。もっともこれが大きな芝居であったというのなら、これはなおさら問題であります。これはこのことをみんなわかるように説明してもらわなければいかぬと私は思うんですよ。  しかも、もう一つは、そのことによって米価審議会は全く無視されているじゃないですか。参議院の農林水産委員の人たちも、これはこの間の答弁ときょうとどうするんだ、こう言っておりますよ。これは国会や米審を全く軽視したあり方に通ずるわけであります。それからまた、二・三%上げたじゃないか、こう言われるが、今日の全体的な状態の中で、二・三%は据え置きと同じですよ。あるいは据え置きよりもっと悪い状態にあると思うんですよ。このことをまず大臣、明確にお話を願いたいと思います。
  24. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私、六野党の皆さん方がおいでになりましたときも私の気持ちは率直に申し上げておいたはずでございます。  米をめぐる需給事情を見てまいりますと、先ほど申し上げましたとおり最悪の状態である。二年間米価を据え置いて生産調整をやっていただいたにもかかわらず、ことしの秋の端境期にはあるいは七百万トンに及ぶかもしれないといったような情勢さえ予想されるということでございまして、その辺の事情をよく御理解いただくためには、もうこれは、責任大臣としてはその現実を率直に私は参議院の委員会において申し上げた次第でございます。  しかるところ、その後皆様方の御意向、さらには来年度の、農家農政に取り組んでおられる真摯な姿というものに対する配意というものも考慮しなければなるまいということで、実は事務当局に対して、とにかく基本米価を何とかしなければならぬ、こういう指示を与えた次第でございます。もちろん私自身も政党政治家でございまするから、党の意向も十分聴取をするということは、これは先ほどの米価審議会においても御指摘がありましたので、実はるるお話を申し上げてきたところでございまして、その点は、とにかく据え置かなければならぬかなと思いつつも、いろいろ諸情勢を総合分析いたしました際には、やはりここのところで三年据え置きということになれば、これはもう本当に農家協力を得られない、そうすれば、米作を維持しておりますところの食管制度というものも崩壊の方向にでも向かったら非常に大変だ、そういう気持ちを実は持ちまして、そうして基本米価引き上げの決意を最終段階でさせていただいた、こういうことでございます。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 いまお話はございましたけれども、一般のわれわれの目に見える亀岡さんの姿というのは、前半は官僚、財政当局の言うままになって、後半は与党に無理強いされたというような印象しかないわけであります。  私たちは、この前の解散前の国会で食糧自給力強化に関する決議を全会一致でやった、そういう経過があるわけでありますが、その決議をこれから実行に移してもらうという最初に、御就任いただいた農林水産大臣があっちへよろよろ、こっちへよろよろでは、これはもうわれわれ頼りがなくてしょうがないという気がするわけであります。とにかくしっかり問題を見詰めて取り組んでもらわなければならぬということをまず申し上げておきたいと思うわけであります。  そして、こういう中においていろいろな問題が出てくるわけでありますけれども、まず、今度のこの二・三%引き上げというような中での財政支出はどれぐらいになって、それはどういう形で負担をすると考えているのか、その点をまず伺います。
  26. 小野重和

    小野説明員 生帳者米価を一%引き上げますと百九十億円ほどの損失増になりますので、二・三%ということになりますと約四百四十億ということになります。  この財政処理といいますか、どうするかという問題でございますが、これは今年度の問題、また来年度の問題がございますけれども、これはいろいろな方法はあり得るかと思いますが、具体的に現在どういうふうに処理するということを決めておるわけではございません。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 じゃあもう上げるだけ決めて、後はどうなろうとそのときの状態任せ、そんなことで国会の中済むと思うのですか。与党の中ではいろいろ話をしたと新聞は伝えていますが、どうなんです。もっとはっきり言ってください。
  28. 小野重和

    小野説明員 これは食管財政といいますか、食管特別会計全体の中で処理する問題でございますので、食管財政全体が、たとえば今年度について言えばどういうことになるのか。ほかのいろんな変動要因がございますので、そういうほかのいろんな変動要因と、あわせて食管財政全体がどうなるかということを見きわめた上でないと、具体的な処理方法というのはその上で考えるということでございますので、その上で申し上げた次第でございます。
  29. 安井吉典

    ○安井委員 大臣それでいいんですか。そんな見通しのないようなかっこうでお過ごしになっていいんですか。
  30. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食糧管理特別会計の中でどの程度までこれを埋め合わしていくことができるかということは、いま事務当局に対しまして綿密なる調整を命じておるところでございます。これもやはり今年の豊凶等の動向も見なければ何とも言えない部分もあることも安井委員御承知のところでございます。そういう点を見きわめた上で、最終的な五十五年産米の二・三%引き上げによる財政の増加分というものを考えていきたい、その対策はその時点に立って考えていきたい、こう思う次第でございます。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 最終的にはもちろんそうだろうと思いますけれども、どうも、きのうの段階で、この財源には、いわゆる品質格差の激変緩和のお金の八十三億円をやめてそっちに回すし、あるいはまた減反の特別交付金もそちらに回すんだ、新聞やラジオも皆伝えていますよ、そういう経過の中で生まれた二・三じゃないんですか。どうですか。
  32. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう意味において食管会計の中におけるどの程度の厳密な調整数字を二・三%引き上げによる財源に充当できるかということをつかんでいかなければなりません。それにつきましてはやはり本年の収穫量というものをある程度考慮をして決めなければならない部面も出てくるわけでございますので、その点等はその時点になりまして最終的な結論を出したい、こういうことで大蔵当局と話をつけた次第でございます。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 じゃあ私の指摘だけは、その二つはそっちへ向けるというお考えを持っているという、そのことだけは間違いないんですね。
  34. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この点は五十四年度限りの措置として、五十五年産米諮問米価決定当たりましては、あの問題についてはことしはもう実施しない、こういうことでございます。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 変にわざわざそう奥歯に物をはさめたような言い方をなさらなくてもいいと思うのですがね。これは後で、ひとつ午後の段階でもっと詳しく詰めていただきます、ほかの問題もあるものですから。  それからもう一つ申し上げたいのは、二・三%という数字が先に出て、算式は後から来たのじゃないか。きょうの報道の中でもあるのは、二・三%というものは決まっておるわけですよ。初め政府が二%提案したが、それがだめだというのでさらに〇・三%上乗せした、経過はどうかわかりませんけれども。二・三%がどこから来たかというそれは後回しで、先に数字ができて後で算式、さっき次長の御説明のようなものが、何か金利を少しごちゃごちゃとやってあの式が出てきた、そういう受け取りしかわれわれはできないですよ。毎年毎年こんないいかげんな形で算式を出すというようなことでは、国会のわれわれも信頼できないし、農民だって不満きわまりないものだと思います。五十四年の方式なら四・九だが、それがちょっといじったらこうなったと言うのだけれども、先に二・三が出て、それから後に算式が出たのじゃないのですか。その辺を明確にしてください。
  36. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういうことは断じてございません。やはり事務当局から説明申し上げましたとおり、私ども引き上げ率をどうするかということをいたしました場合には、いろいろその数字を詰めまして、そうして私の決心もさせていただいた、こういうことでございます。事務当局から振り回されたという御批判もあるかと思いますけれども、振り回されたようにお感じになるのは御自由でございますが、私自身としては、あらゆる情勢をできるだけ正確にとらえて、そうして農林大臣に与えられました食管法上の米価決定諮問米価の案をつくらせていただいた、こういうふうに信じて処理いたしましたことを御理解いただきたいと思うわけであります。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 これはどうもそのとおりには理解できませんね。とにかく生産者のあるいは国会のわれわれの信頼を失うような算式いじりはもうやめてもらいたいということ、そのことをひとつ明確に申し上げておきたいと思います。  算式のさまざまな問題についても私は準備をしていたわけですが、時間がありませんからやめますが、たとえば必要量生産費方式そのものにもこれはもう問題があるのだし、労賃のとり方、あるいはまた企画管理労働をぜひとも入れてもらいたいという農民側の要求もある。しかし、かつてこれを付帯労働費として入れたこともあるわけですよ、それを全く無視して今日に来ているという実態ははなはだ困ったものだと思うわけです。ただ、二・三%ぐらいの引き上げで、それで何か引き上げたと思っているのはおかしいという、その理由を私はこの際申し上げてみたいわけであります。  生産者米価決定は、生産費一つの大きな基礎になるはずなんですけれども、現実の生産費は、農林水産省の統計調査によりましても、六十キログラム当たり、五十二年度は一万五千九十八円、五十三年度は一万五千九百二十九円で五・五%アップ、五十四年度は一万七千二百八十五円で八・五%アップ、こういう数字を私も調べてきているわけであります。二年間据え置いているうちに、農林水産省自身の生産費の中で一四・四九%の引き上げになっているわけですよ。上がっているわけですよ、生産費が。米価の方は据え置きになっているのにかかわらず、生産費だけが上がってきている。それが同じ農林水産省数字の中にあるわけですよ。しかも、そういうことが農家所得の中にも影響してきて、農外所得は前年から八・四%も上がっておるけれども、農業所得の方はマイナス六・二%。四十五、六年から八年ぶりに下がっているわけですよ。ですから、そういうふうな実態に対して、二・三上げてやったじゃないかというどころか、これでも、二・三やったって現実はまだダウンだと思いますよ。私はそうだと思う。間違いないと思うのですが、私の数字に間違いあるでしょうか。大臣、どうですか。
  38. 小野重和

    小野説明員 五十二年ないし五十四年の生産費調査の結果につきましての先生のおっしゃられた数字はまさにそのとおりでございます。五十五年産の米につきまして、その生産費がどうなるかということにつきましては、これはことしの作柄がどうなるかとか、その他コストがどうなるか、まだこれはいまの段階では何とも申し上げられる段階にはないわけでございます。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 五十五年度だって生産資材の値上がりは非常に大きいし、この間発表された分だけだって、七月以降肥料は一五%、農機具の四・五%のアップ、賃金金利も上がっていますよ。ですから据え置きをされているうちに、一五%近くの生産費が上がっている上に、ことしまた追い打ちが来るわけですよ。そういう中で、これぐらいで頭をなでておこうというような気持ちでは困るということを私はここで指摘をしておきたいと思います。  いまの生産費調査の中で一つ問題なのは地代なんですけれども、先ほどの説明によっても、今度の諮問米価算定の中には、地代はやはり統制小作料でいっているようですね。やはり笑納小作料でいくべきだというのが従来からの私たちの主張なんですけれども、相変わらずまた統制小作料でいっている。しかしその統制小作料なるものは、四十五年の農地法の改正によって経過措置として十年間継続してきて、ことしの九月三十日でなくなってしまうのですよ、これは。そうでしょう。統制小作料というのは九月三十日でなくなるのですよ。ですからことしとれたお米が農家のふところに入るときには、新しく、十月一日の新しい標準小作料や実納小作料でいくわけなんですよ。それを相変わらず、もう九月三十日で失効する統制小作料をこの中で計上したというのはどう考えたって理解できない。どうですか。
  40. 小野重和

    小野説明員 この九月で統制小作料というものが廃止されることはおっしゃるとおりでございます。ただ、いま決めますのは五十五年産の米でございまして、この五十五年産の米につきましては収穫はおおむね九月には終わるわけでございます。したがいましてこの統制小作料の適用というのは、九月まで存続する統制小作料を本年産米価について適用することは、何ら差し支えないことではないか、かように思っているわけでございます。  ただ、来年のことを申し上げるとあれでございますが、五十六年産をどうするか、こういう問題はおのずから別でございます。五十六年産米価考えます場合にこの地代をどう考えるか、統制小作料のない場合の地代をどう考えるかという問題は、これはおのずから別の問題でございますが、本年産についてはそういう取り扱いでしかるべきものと、かように考えております。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 現実に統制小作料というのがうまくいっているんですか、これは。実際は標準小作料だとか特別な実納小作料というようなもの、そういう実勢があるわけなんですから、それは食糧庁の次長はいまそう言われるけれども、同じ役所の農林水産省の統計の方では、ちゃんとこれだけ小作料はかかっていますよという数字が出ているじゃないですか。その数字を一方では出していて、一方の食糧庁はそんなものは無視して、昔からの一番安く出る統制小作料で数字をはじくという、そういうごまかしをやってきている。それを相変わらずやってきているということですね。特に最近は農地の価格の上昇があるし地代の上昇率も大きいわけですよ。だから相変わらずそれを抑えるという態度そのものに、そしてそれをこじつけた説明をされるというところに私は問題があると思います。ことしとったお米でその小作料を払うわけですから。九月三十日で切れるわけですからね。ことしとれたお米で払うわけですから。そういう問題の重大さをこの際やはり指摘しておきたいと思います。  次に、五十四年度にいろいろ政治加算の措置が行われていたわけです。品質格差の導入のための激変緩和措置だとか、水田利用再編推進特別交付金だとかあるいは自主流通米のあれだとか、いろいろあったわけでありますけれども、それはことしはどうするおつもりですか。
  42. 小野重和

    小野説明員 先ほども大臣が答弁申し上げましたように、五十四年度限りの措置として去年決められましたもののうち、品質格差導入に伴う調整措置、それから一俵当たり百円というのがございましたけれども、この二つの措置はことしは実施しないという方針を決めております。ただもう一つ水田利用再編対策推進に伴う、主として市町村に対する交付金でございますけれども、これをどうするかという問題については、これは今後早急に検討する、こういうことに相なっております。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 自主流通米の関係は。
  44. 小野重和

    小野説明員 自主流通助成の取り扱いでございますが、これは基本米価決定した後でその取り扱いを決めるというのが例年の姿でございまして、本年もそういうタイミングで検討したい、かように存じております。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 特にいまのお話の中の品質格差の問題に関連しての激変緩和措置の問題でありますが、大体品質格差ということ自体がおかしいので、食味というきわめてあいまいな非科学的な基準で、それで米価の上下を決めてしまうというやり方、これはまだ等級間格差なら物理的な状況を科学的に判断していくわけですから納得できるのですけれども、いまの一類から五類というものは、これはまさに何もないのですよ。食味などという、そういうあいまいな基準。しかも、生産段階でそれが買い入れの際に発動されてそれが直ちに流通にもストレートにつながっていくというならまだ話がわかりますけれども、ここで断絶してしまうわけですね、業者の中で。だからそれが全く生産者から信頼を受けない状況の中にあるということであります。むしろ業者の方は、うまい米よりもうまみのあるお米の方を選択する、そういうようなことになっているというのが現状じゃないんですかね。私は、だからそういうふうな中から去年置かれた激変緩和措置はこの際継続すべきではないかと思うのでありますが、さっき一年限りというふうなお話がありましたが、一年限りというのは、だれとだれがそういう約束をされたんですか。
  46. 小野重和

    小野説明員 去年政府決定する段階で政府自身が決めておるわけでございます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 その裏でどこかの取引やら約束があったと聞いていますが、どうなんですか。それについての文書があるのですか。
  48. 小野重和

    小野説明員 去年の生産者米価につきましての答申後のいろいろな調整の段階で、これは与党と政府との協議という過程はもちろんあったわけでございますが、そういう中で、その結果政府が決めたということは事実でございます。  どういう文書かということでございますが、これは米価決定の際の農林水産大臣談話という形で文書にしております。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 その前に何かあるらしいね。それはきょうここであとの五分間の中でやりとりしてもしようがないから、それは後の問題にいたします。  しかし激変緩和というのは、この大きな変動を緩和するためというのですから、一年じゃなしに二年春三年もでやる。税金なんかは大抵三年ですよ。一遍に上げたりするような場合の激変緩和というのは三年ぐらいでやるのですよ。それを去年だけやってことしはもうぽいしてしまう。そういうやり方では、激変緩和なんというのは単なるつけ足りの文句だけではなかったか、こう言いたいわけであります。  さらにこのやり方は、激変緩和をいまやめるというようなことやら、さらにまたいまの減反の特別な交付金をやめるというふうなこと、それが今度の二・三%の引き上げの財源になっている、そういうことにもしなれば、これは何もなってないじゃないですか。同じ日本全国の農民が自分の足を食って単に上げたようなかっこうだけをつくっているというだけじゃないですか。  では、これは大臣より次長に聞きますよ。北海道の第五類の農家は、今度の二・三%アップとそれから激変緩和をやめるということにおいて、どれだけいままでの手取り米価がふえますか、言ってください。
  50. 小野重和

    小野説明員 これは類別、等級別の問題でございまして、去年とのアップ額と六分の五の五百円と比較する問題でございますが、いま計算しておりますので、すぐお答えいたします。(安井委員「早くやってください」と呼ぶ)  五類、つまり北海道の米でございますが、五類の二等で今回基本米価が一三百六十円上がりますが、一方で去年は例の六分の五相当、五百円をことしは廃止しますので、その差額の百四十円だけ去年よりも実質的に減る、こういうことに相なります。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、そこまでよくお考えになって決断されたのだろうと思うのですが、どうなんですか。つまり上げたようなかっこうだけはするけれども、一方の負担においてこれは上げたようなかっこうをするだけだし、それからいまの減反の交付金にしたってこれはなくなっちゃって、左のポケットから右のポケットに入れただけなのですよ。そういうようなことで、さも自民党が大騒ぎをして、党全体でこんな大騒ぎをしたのは恐らく米価について初めてじゃないかと思います、特に諮問の段階で。そういうようなことで農民をだまそうといったって私はだめだと思いますよ。問題の本質はそこにあると思いますよ。  質疑時間の終了の通知が来たからこれでやめますけれども、今度のこんなばかげたあり方で国会と農民を愚弄し、しかも米価審議会はこんなことではパンクするおそれがあると私は思いますよ、何もかも決まったものを押しつけたんじゃ。そういうような今日のあり方に対してきわめて遺憾であり、米価審議会の答申があったってこれからまだ考える方法があるわけですよ。大臣最後の段階があるわけですから、その間においてより正しい方向、私たちの主張する方向にもう一度考え直していただきたい。どうですか。
  52. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のような経過で、私も先ほど来申し上げてきておりますとおり、農家の経済の実態、二年据え置かれたというこの現実というものも十分配慮し、また国会における御決議並びに諸先生方からの御要請、これはやはり地域住民を代表するもの、農家の諸君の意向を代表するものと私は受け取っておるわけでございますので、それらの御意見、さらには厳しい米の需給の現実というものは、二年間米価を据え置いて生産調整に励んでまいりましたにもかかわりませず、食管会計始まって以来の最悪事態になる心配もあるというこの現実、これも十分配慮いたしまして、食糧管理法に示してあります、先ほど来御論議のありました生産費、確かにこれは統計上は前年を上回るものがあるわけでございますが、一面この米の需給の非常に厳しい現実というものを考えまして、食管法にも物価その他経済事情等をしんしゃくして再生産を旨とする米価を決めろ、こういうふうになっておるわけでありまして、その精神をくんで苦慮に苦慮を重ねてこの決断をいたした、こういうことであるわけでございます。私といたしましては、もうこれが今日の日本の米穀事情のもとにおいて最大のぎりぎりの基本米価ということでありまして、私は農家方々からも、一〇〇%満足というわけにはまいらないと思いますけれども、十分御理解いただけるもの、こういうふうに確信をいたしまして米価審議会に提案をいたしておる次第でございます。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁に不満ですけれども、時間ですからやめます。
  54. 田邉國男

    田邉委員長 武田一夫君。
  55. 武田一夫

    ○武田委員 私の持ち時間は十二分だそうでございますので、その中で質問いたします。  まず私は、ことしの米価を要求した生産者の皆さん方の運動を見ておりまして、要求米価というこの四文字の復活ということ、そしてまた据え置き打破というスローガンというものを、やはりまず深刻に政府も認めなければならない。過去二年間の据え置きによる生産農家の大変なる生活の中における苦しみ、そしてまたその間に、減反には政府のために大変な協力をしたその協力というもの、いろんな要素がうっせきしていたものが、今回のこうした要求米価は必ずかち取らなければならない、こういう意気込みとなってあらわれてきた。われわれ野党も六党が協力団結しまして、この皆さん方のそうした心情のもとに、ことしは何としてもこの据え置きを打破して農家の皆さん方の希望をかなえていく米価、こういうふうに決意してきたわけでありますが、私は、今回のこの二・三%という数字というものは、これは実質据え置きと同じだと思うのであります。それは言うなれば、考え方の中に、新聞なんかでは自民党の圧力による決定かなんという見出しもあるわけでありますが、多少農家の皆さん方にも御支援いただいた分の御支援分として、御祝儀として上げようという気持ちがあったのではないか。要するに米価そのものの中身というもの、生産農家の生活というもの、さらにまた今後の農業というものに対する配慮はみじんもない。その点の大臣考えというものを私はまずお聞きしたいと思うのであります。どうでございますか。
  56. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、食糧管理法という法律を忠実に執行をする責任者であるわけでございます。したがいまして、先ほど来るる申し上げてきておりますとおり、生産費並びに物価及び経済の諸事情等をしんしゃくして、再生産を旨として生産者米価決定しなさい、こういうことがあるわけでございます。経済事情等の中には、米の需給の問題というものはもう無視するわけにはいかないわけであります。やはり納税者の諸君にも納得をしていただかなければなりませんし、消費者立場も食管法にも書いてありまして、これまた十分しんしゃくをしていかなければならないわけであります。そういうもろもろの事情を私は最後最後まで実は頭の中に整理をいたしまして——皆さん方、与党の方々からもいろいろと要請がございました。また野党の皆さん方からも要請がございまして、私もたしか二回お目にかかっていろいろとるるお話を聴取したわけでございます。そういうあらゆる事情を頭の中で整理いたしまして、最初据え置きでなければという感じも持ちましたけれども、しかし農家の来年のことも考え、また経済事情、先ほど来お話のありましたような事情十分頭の中で考えまして、まあ二・三%の基本米価引き上げるということをすることが、現時点において私に課せられた責任を果たす最良の方法である、こういうふうに考えまして決断をさしていただいた次第でございます。
  57. 武田一夫

    ○武田委員 ここ二年間据え置きされまして、その間諸物価の上昇がございますね。生産資材の高騰、あるいは公共料金なんか相当値上がりしていますね。光熱等の値上がり等を総合的に考えますと、一つ計算では、大体生産資材の額が、農機具なんか八%ぐらい値上げ、あるいは肥料が八・五%とか光熱費が五〇%からあるいは七〇%というようなことも言われている。しかもまた最近の農業所得の前年比を比べてみますと、六・四%も低下している。こういういわゆる生活というものを抜きにした、経済指標というものを抜きにした米価というものがあったのでは、農家は何のために仕事をして米をつくるのか。自分の働く労賃さえも正当に評価されない。これじゃやはり、日本の稲作農家の希望というか、そういうものは全く考えていただけないのではないか。大臣は何か二十日間あちこちの農家の皆さん方の声を聞かれたということでありますが、どこに行って、どういう声を聞いてきたのか、私は非常に疑問であるわけです。  まして、米の産地であるいわゆる東北の中で育った大臣でありますし、総理大臣もしかり、一番理解して、このときにその理解生産農家にぴんと響くようなものであってしかるべきである、こういうことをはっきりと示していただかなければならない。まして宮城県などを中心とした十県というものは、大体米の収入によって生活というものが相当大きく影響を受けているわけであります。非常においしい米をつくりながら消費拡大の面においても相当貢献がある、こういうような方々はもうどうしようもない、これではマイナス、減収疑いないわけであります。そういう生活を守って再生産が可能な力を与える米価ではないと私は思うのですが、あるというならば、しかじかかくかくでこういう試算の中でこのくらいありますよと、先ほど北海道の例を出しましたらマイナスでありますが、はっきりしたその数字を出して、納得いく回答を欲しいと思うのです。
  58. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来統計上の数字等につきましてはるる次長から御説明申し上げてきておるとおりでございます。  私どもも、先ほど申し上げたように、本当に真剣に誠意を持ってこの結論を出させていただいた。昨年も一昨年も、この米価決定当たりましては、本当に食管法に明記してあります趣旨に従いまして歴代の農林大臣が適時適切に処してきたということは、全国米作農家の皆さん方からいろいろ厳しい批判はありましても、やはり日本農政を、将来の農家経営を、食管法の根幹を守りながらやっていくためにはこのような厳しい段階も踏み越えていかなければならないという御理解をいただいておる、これは私どもは、先般の選挙においても十分御理解をいただいておるからこそああいう結果を出していただけたもの、こういうふうに思っておる次第でございます。
  59. 武田一夫

    ○武田委員 私は、それは理解しているのではなくて、自分で勝手に解釈しているのだと思うのです。であるならば、今後の日本の農業ということを考えるときに、果たして今回の措置で満足な答えが出て、特にこれから農業を支える多くの若い皆さん方が満足して、十分に納得して農業をするか、私はとんでもないと言いたいのであります。この点については大いなる反省を持って、米価農林大臣決定するのであるということでありますから、私はその点、もう一度御反省の上に立って、最後の、ひとつ農家の期待にこたえるような米価というものを出していただきたいと思うのであります。  時間の関係で最後に。  米価審議会とはどういうものかということを私はしみじみとまた最近になりまして疑問を持たざるを得なくなった。きょうまた安倍政調会上長が、今回の米価は一発主義でいくんだ、こういうことでありますと、政府と自民党で決めたものは、米審にいってどんな答申が出ようと、それはもう関係なく決まってしまうのだ、米審の皆さんはどうなんだ、これはもう権威はないし、要らないです、こんなことになってしまったら、米審委員の皆さんはどうなりますか。われわれは米審内容、構成等についてもいろいろ不満がある、生産者代表がわずか五人しかいない等々。しかしながら、それを抜きにしても、やはり米審の権威というものは持たせなくてはならないと思うのであります。こういうことが平然と習われたら、きょうあすの米審の皆さん方の取り組みなんというのはどうしてわれわれが評価したらいいかわからぬと思うのですが、この点どうですか。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私はそうは考えないのであります。米価審議会が設定されましてから、米価決定にあらわしてまいりましたところの米価審議会の実績というものは、これは大きく評価すると、きょうも私は米価審議会で申し上げてきたところでございます。したがいまして、厳しい厳しい、しかも都市の労賃が年々上がってまいります中で、米作農家が今日の生産意欲を持っていただいておるというまことに頼もしい面もあるわけでございまして、こういう事態をつくり上げてきたということは、やはり米価審議会において三日間にわたってあらゆる米をめぐる問題、農政をめぐる問題を論議いたしまして、その論議の結果が日本の米作を中心とした農政というものを支えてきた、こういうふうにきょうはお答え申してきた次第でございまして、私はそう信じておるわけであります。したがいまして、きょう、あすと御審議いただきます米価審議会の御意見というものは、日本の農政推進のために大きく貢献をしていくものと私は考えておるわけでございまするし、私どもとしては、先ほど来申し上げておりますとおりあらゆる情勢を分析し、積み上げまして作成をいたしました諮問米価でありまするから、米審の諸先生方の御意向も十分聞いて作成をした向きもあるわけでありますから、必ずや御理解をいただけるものと信じておる次第でございます。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、いろいろとさきざきの質問、回答をお聞きしましたけれども、誠実に真剣に、日本の農家の皆さん方を大事にするというその政治の原点をやはり踏まえた結論を私はお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  62. 田邉國男

    田邉委員長 近藤豊君。
  63. 近藤豊

    近藤(豊)委員 まず最初に事務局に数字だけをお聞きしますけれども、今回の二・三%のアップによってふえる財源、必要な予算、それから激変緩和補助金あるいは水田再編奨励金、そのように今度カットされるもの、プラスとマイナスでどういう数字に相なりますか。ちょっと数字だけ教えてください。お経の方は要らない。
  64. 小野重和

    小野説明員 二・三%引き上げに伴う損失増でございますが、これは四百四十億円でございます。それから、そのほかの去年の激変緩和措置等の数字でございますが、カットされるというお言葉でございますが、これは五十四年度限りの措置でございますから、ことし当然に予定されておるものでは全くないということをまず申し上げておきたいと思います。その数字でございますが、三つございまして、品質格差導入に伴う激変緩和措置、これが去年で八十三億でございます。それから、限度数量の一俵当たり百円というのがございましたが、この分が百三十八億でございます。それから、水田利用関係、これが百六十七億でございます。以上でございます。
  65. 近藤豊

    近藤(豊)委員 食管法の三条に「其ノ他ノ経済事情」とある。これは先ほど大臣のお話でも、米穀需給事情、それから現在の財政困難なる状況という二つが主なことだと思うのですが、今回の米価諮問に至る経緯を見ておりますと、どうやらこの「其ノ他ノ経済事情」だけがもっぱら意識されておって、生産費とか物価の点についてはもう全然意識の中に入っておられない。食管法を忠実に執行する立場にある大臣としては、その点についてはいかが御説明なさいますか。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 物価については、そのときどきの農業資材、肥料等につきましては統計調査部の調査の中にデータとしてあらわれてきておるもの、こう考えるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますところにつきましては、私どもは食管法の趣旨に沿ったものということで決心をさしていただいた次第でございます。
  67. 近藤豊

    近藤(豊)委員 どうも私、理解の度が通常より低いかもしれませんが、なかなか難解な御答弁であります。これは国民一般はもとより、農家の方はもう当然のこととしてなかなか理解できないだろうと思うのです。平たく申し上げれば、恐らく財政事情がこれまでのいろいろな積年の弊で苦しくてしょうがない、また米も余りに余って、その処理に政府としても知恵がなかなかないから、そこでしょうがないので農家の皆さん泣いてください、物価は上がり生産資材も上がるけれども泣いてくれということだと思うのですけれども、それを米価審議会にかけてみたり、あるいはいろいろな算式いじりをなさいまして、悪い印象を与えることを緩和することに一生懸命努力をしておられる、このように受け取られるわけです。恐らくこれは国民一般の常識的な反応だと思うのですけれども政府がもっと責任を持った行政をされるなら、はっきりとその点を言われて、ことしは勘弁してくれと言われるならともかく、そうでない表現でいろいろとおっしゃるのは、国民に対してはなはだ誠実でない態度であると思われてなりません。この点、物価及び生産費は十分しんしゃくされていないというふうに私は思います。  それから次に算式の問題ですけれども、前の国会の委員会でも私は指摘したのですが、余りにもわかりにくい算式をいつも使っておられる。もっと単純化すべきである。そうでなければ、大蔵省農林省及び政府・自民党の間でこうこうこういう経緯でこうした米価の提案をするんだというふうに、もっとストレートに素直にお出しになってはどうか。つまり、もう米価審議会も要らない、いろいろな算式いじりをやるぐらいなら、算式もおやめになればそれだけ定員削減もできますから、行政費のコスト引き下げになる、もっと単純に責任を明確にしたやり方でおやりになったらいかがですか。
  68. 小野重和

    小野説明員 昭和三十五年以来、生産費所得補償方式という算定方式でずっと継続してまいっておるわけでございます。ただ、その中の算定要素のとり方が何か恣意的ではないかという趣旨の御質問ではないかと思いますけれども、この算定要素のとり方の問題につきましてはいろいろな変遷がございます。  たとえば昭和三十年代後半から四十年にかけてでございますが、これは逆——逆といいますか、むしろ高くなるような算定方式に変更しております。その当時は外国から米を輸入しているような、そういう時代でございましたから、そういうことをやっております。最近はこういう過剰状態でございます。そういう需給事情によって算定要素のとり方は変えざるを得ないし、また変えることがそういう面から見て適当であれば、むしろ変えるべきものである、こういうふうに私ども考え  ているわけでございます。
  69. 近藤豊

    近藤(豊)委員 ですから私が申し上げるのは、ころころ変える算定方式なら、何もこういうシグマだとか何だかわけのわからない数字を言われても国民はわからないので、そんなむだな作業はおやめになって、もっとストレートにその経緯を発表して国民の理解を求める、協力してくださいとおっしゃる。それはそれなりの決断をしたのですから、その決断については責任をお持ちになるということの方がいいんで、そういう単純化の作業を、亀岡大臣いかがですか、おやりになるつもりはありませんか。
  70. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は、前々農林大臣のころから、この食糧管理法という法律が、米が極端に不足のときにできた法律であるということでありますので、米の需給のバランスのとれておるときの米価決定はどうするのか、あるいは極端に今日のように過剰の事態になった場合にはこの法律はどう発動するのかといったような点できちっと法律が命じておれば、いままでずっと御質疑のありましたような点も、ある程度共通の場が出てくるんではないかというような感じがいたすわけでございます。したがいまして、ただいま農政審議会において長期見通しというものを御検討をいただいておりまするし、またこの食糧管理制度について、どういうふうな考え方をとったらいいのかというようなことも御研究をいただいておるわけでございまするし、できれば九月中にでも結論を出していただいて、そうして、皆さん方ともいろいろ御相談さしていただいて、そうして、ただいまいろいろ議論を進めてまいりましたような点が本当に農家理解していただきやすいような方向をとるべきではないかという御意向だろうと私は思います。そういう意味において、そういう方面に向かって努力してまいりたい、こう考えます。
  71. 近藤豊

    近藤(豊)委員 時間がもうほとんどありませんから締めくくりますけれども、恐らく米価の問題というのは今後とも大変むずかしい問題であり、同時にそれは日本の食糧自給度を引き下げないように、しかも確保していこうという上では非常に中心的な問題だと思うのです。もういままでみたいにだれにでも喜ばれるような形ではできないわけなんでして、大臣は農業の専門家ですから釈迦に説法ですけれども、たとえば兼業農家、そして専業農家の問題をどうするんだ、そして、それを米価決定などについてどういうふうに反映していくのだとか、これは一度原点に返って考え直す時期である。そして、やはり政権の責任を持っている方々は、いやなことをおっしゃるときには、はっきりといやなことをこういう理由で言うのだとおっしゃって、その結果は責任をおとりになる。われわれ反対の場合には、ちゃんと反対のことを申し上げるということでないと、農民にわかりやすいということは国民にわかりやすいということでありますので、そういう方向でひとつぜひ今後勇断をもって、勇気のある決定とその説明をしていただけるように御努力いただきたいと思います。  終わります。
  72. 田邉國男

    田邉委員長 野間友一君。
  73. 野間友一

    ○野間委員 瞬間が大変短いわけですから、簡潔にひとつお答えいただきたいと思いますが、最初に、参議院の農水の委員会の中でも、私ども共産党の下田議員からも大臣に直接お尋ねをしたわけですけれども、この同時選挙のちょうど中ごろですね、農民に対する一つの公約として、生産費が上がっておる、そういう点を勘案し、適正な価格にするべきだという趣旨の公約をされたわけです。ところが、先ほどからも話がございますように、出ました諮問を見ますと、わずか二・三%、まあ実質的にはほとんど据え置きに近い、こう言わざるを得ないと思うのです。  そこで、初めにお聞きしたいのは、この二・三%という諮問、これと、大臣が選挙中に公約をされた、いま引用しました中身ですね、こういうものを含めて、ひとつ初めに所見を承りたいと思います。
  74. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 選挙のときの公約という御指摘でございますけれども、あの出時も、私は日本の米の需給の状況と二年据え置いておるという現実、こういうものを頭に浮かべながら実はアンケートにお答えをいたした次第でございます。そして、やはり適正な——据え置きというようなことではもういかぬという気持ちも当時ございました。  しかし、いま大臣という立場に立ってみまして、食糧管理法に示された責務を果たしてまいります立場に立って考えましたとき、その公約を果たさなければならないという議員としての責任感と、それから大臣としての、この逼迫せる国家財政の中、財政再建という至上命令の中、しかも食管始まって以来の六百五十万トンという余剰を抱えておる、こういう現実の中において、先ほど来申し上げてきましたとおり、どう決心すべきかということをるる苦慮いたしまして、そうして、どうしても据え置きという線だけは突破したい、こういう気持ちで最終的な決心もさしていただいて、農家の諸君から見ればあるいは御不満ということもあろうかと思いますけれども政府立場においては、先ほど来るる申し上げてきております逼迫の事情、財政の厳しさ等の中において最大のことをやらしていただいた、こういうふうに考えておる次第でございます。
  75. 野間友一

    ○野間委員 朝日新聞のインタビューの中での記事にも同じような答弁がございましたけれども、結局、議員と大臣という立場を使い分けておられる、ここに私は問題があると思うのですね。大体、米価を決めるのは農林大臣ですね。しかも、公約をされた以上農民は、議員としてと同時に、大臣になられた、これならわれわれの要求を満たしてくれるというような非常な期待を持っておった。ところが、実際には二・三%、こういうふうな大変な低額に抑えられた。大変な不満を持っております。  そこで、農協の中央会の要求ですが、これは一六・三%、一万九千七百六十九円ですね。仮に農林省の昨年度の方式計算をした場合でも、たしか四・九形ですか、次長そうお答えになったと思いますが、これは間違いありませんね。縦に首を振っておられますが……。そうしますと、少なくとも昨年並みの、大変わかりにくい、しかも農民に不利益な計算方法であったとしても四・九%の値上げができるものが、今度の値上げでは二・三%に抑えられておる。先ほどからも論議がありましたけれども、結局、初めに結論を出して、それに合うように数字を並べていくということ、つまりくつに合わせて足をつくるというたぐいになっていると思うのですね。  時間がありませんので一言で結構ですから、本来ならば昨年の計算方法で四・九%のアップになるにもかかわらず、なぜ二・三%になったのか。冒頭にも説明されましたけれども、一言で結構ですから、それをまずお答え願いたいと思います。
  76. 小野重和

    小野説明員 四・九というのは去年採用した方式ということでございまして、いわゆる生所方式につきましては、基本的な枠組みというものは三十五年以来変わっておりませんけれども……(野間委員「簡単に言ってください」と呼ぶ)ですけれども、やはり需給事情あるいはその他のいろいろな経済事情に即して、ある程度それに即応したような形で算定要素の変更ということは従来もしておるわけでございまして、そういう意味からも、本年は金利等の問題でございますが、変更を若干加えた、こういうことでございます。
  77. 野間友一

    ○野間委員 結局、積み上げよりも、結論から後で理屈をつけるというたぐい、つまり基準はころころ変わる。これは先ほどからも論議があったところです。  次に、この九十二国会での農林水産委員会の請願の問題ですけれども、これは与野党問わず全会一致で採択をしたのであります。岡山の県会議長からの、しかも自民党の議員の紹介によるものでありますけれども、この中には「昭和五十五年産生産者米価は、過去二年間据え置かれていることにかんがみ、生産資材価格の高騰、賃金の上昇等実態を十分考慮した適正な価格引き上げること。」これがあるわけですね。これは自民党も含めて全会一致であるわけですね。  私は実は二・三%の値上げということで岡山の各農民等に対して電話をかけてみました。そうしますと、この請願が採択されたということで、大変な理解を示してもらった、今度は期待できる、そういう気持ちを持っておったけれども、実際の結果を見れば二・三%、しかもこれは実質的な据え置きにすぎない、大変な怒りがいま渦巻いております。大臣農民には納得してもらう、そういう確信を持っておるというふうに言われましたけれども、まさにその認識は誤っておると私は言わざるを得ないわけであります。ですから、そういう請願の趣旨からしても、この二・三%というのはいかに低いかということ、これはわかると思います。  時間がありませんから続いて質問を続けますけれども、先ほどからもいろいろ言われておりましたけれども、二・三%のアップで四百四十億円の財源が必要だ、こういうことですね。ところが、これをどうして穴埋めするかということでありますけれども、これまた激変緩和措置の八十三億円があります、あるいは水田利用再編対策等推進特別交付金、三百五億円ですね。新聞報道等によりますと、このうちで市町村に交付する百六十七億円だけを残して、一俵当たり百円の、例の百三十八億円、これはやめてしまう、こういうようであります。そうしますと、八十三億円プラス百三十八億円、足しますと二百二十一億円、結局タコがみずから自分の足を食うたぐいですね。片方では二・三%と言いながら、片方ではどんどんこれをなし崩していくという結果になります。これらを差し引きしますと、結局不足分はわずか二百億円を少し上回るだけ、こういうことになります。しかも実質的には北海道あたりでは、これは値下げになるのではないか、こういう懸念すらあるわけであります。私はこれは実際には二・三%と言いながら、これだけで計算してみますと、一・一%ないしは一・二%の値上げにしかすぎない、こういうことになることは数字上明らかでございます。  そこで、最後にお答え願いたいのは、大臣には請願の趣旨を本当に尊重してやられたのかどうかということ。それからいま私が申し上げたこの補助金、交付金の問題ですね。これら私が挙げた数字、実質的にはしかも結論として一・一%ないしは一・二%の値上げしかないというようなことが正しいと思いますけれども、そのとおりかどうか、最後に答弁を求めたいと思います。
  78. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 請願、陳情、これは国民に与えられた憲法上の基本的権利でありまして、したがいまして、国会で採択されました請願を忠実に実行する努力をすることは行政府として当然のことでございますので、私も、三年間据え置きということがやはり世間でも強く言われておる中で、とにもかくにもこの基本米価引き上げという点を実現するために懸命の努力をさしていただいたということは、一〇〇%請願の趣旨を達成したというわけにはまいりませんけれども、その趣旨を尊重をして仕事をさしていただいておるということは御理解いただけるものと思う次第でございます。  後段の四百四十億円の件につきましては、お話のありました点につきましては前年度限りという問題であるわけでございますので、今回の二・三%についての財政負担というものは、食糧管理特別会計の中でし、調整をいたしまして、手当てをしてまいる、こういう考えでおる次第でございます。
  79. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんのでこれで終わりますけれども、私は断固としてそれに反対して、これからも野党の皆さんと連携をしてひとつがんばっていきたいと思います。  終わります。
  80. 田邉國男

    田邉委員長 木村守男君。
  81. 木村守男

    ○木村(守)委員 時間が少のうございますから、大臣の答弁は簡略で結構であります。技術的に一括してまとめて質問をお許しいただきたいと思います。  一つは、まず大臣に、二・三%に引き上げ諮問される、ここまでの大臣なりの努力は多といたします。しかしながら、生産資材等の高騰あるいは物価その他、相対的に生産農家にとってはこの程度では追っつくものでありません。そういう意味での、まことに遺憾であるということをまず表明しておきます。  具体的な質問でありますが、激変緩和措置をいきさつからいったらことしからやらないのだ、特に今回は二・三%諮問案で上げるので、これも財政上できないというお考えのようですが、答申後も改めてこれを政治家として大臣は再度お考え直して、これを配慮する意思が、考える余地が、あと残されていないのかどうかということ、これが第一点。  第二点は、水田利用再編対策のことでございますが、米の需給長期見通しに基づいて、もっと長期的な水田利用再編対策の案を示していただきたい。そうしなければ、こういう現状にあっての農家は、きわめて振り回されている。対応ができません。そういう意味での計画案をすでにお持ちなのかどうか、それをお示し願いたい。  いま一つは、食管にかかわってまいりますが、米を大臣は統制物資とお考えになっているかどうかということ、素朴な質問で失礼でございますが、これを率直にお答え願いたい。そして、自主流通米は今後強制的にこれをやっていく意思なのかどうか。これが続いて拡大されていくと統制撤廃につながっていくのじゃなかろうか、こういう点を心配いたしております。その見通しどもお聞かせ願いたい。  いま一つは、大臣に尋ねたいことは、たとえば国土庁の新三全総あるいは農林省のさまざまな資料、いままでの大臣の答弁など見ても、これからどっちかというと地域分担作型の適地適作で農政を組み立てていきたいということがいろいろな機会に議事録に残されているようであります。その場合に、今日のような水田利用再編対策を進めていった場合に、この東北六県、北海道をひっくるめた食糧基地化構想というものが生きているとすれば、行政の整合性からいったらその矛盾はないのかどうか、そういう点もお聞かせ願いたいと思います。  以上で終わります。
  82. 小野重和

    小野説明員 大臣は後でお答えいただくことにいたしまして、最初の方の質問でございますが、激変緩和措置につきましては、これはあくまでも去年の段階で去年限りということにいたしておりますので、ことしはこれを実施しないということにしたいと思っております。  それから、自主流通でございますが、これはあくまでもいまの食管法の枠の中で、これは直接統制を基本としているわけでございますが、その中で、市場流通のよさを生かすというのが自主流通制度でございまして、そういう意味で、自主流通の拡大ということが、直ちにこれが食管の崩壊ということにはならないというふうに私ども考えております。
  83. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 長期見通しのもとに的確なる水田利用再編対策計画的に進めよ、そうしないと農家理解も得ることができないし、農家もいろいろな面で迷うという御指摘でございます。確かにそのとおりと考えるわけでございまして、農政審議会に対しましてそういう点を、特にこの作目別、地帯別のいわゆる六十五年度における長期見通しと申しますか、そういう目標をきちんと定めるということが大変大事なことは、もう農業基本法にも明記されておるところでございます。したがいまして、私どももこの米価が終わりますれば、直ちに農政審議会の方の御結論をいただいて、そして第二期の水田利用再編対策計画を、御指摘のような線を十分配慮し、注意いたしまして作成し、お示しをして御協力を願う、こういう道筋をとってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  84. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  85. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近藤元次君。
  86. 近藤元次

    近藤(元)委員 午後の時間もさほどないのでありますが、引き続いて米価の問題で、私どもがどのように理解をしていいかわからない点が一点ありますので、その点から最初に御質問さしていただきたいと思います。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕  この諮問説明にもありますし、また食管法の第三条第二項にも書いてあるのですけれども、「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」とあるのです。米の需給事情については、過剰米が六百万、七百万トンという現状で、なお米価を値上げをするには困難だという事情はよくわかるのですけれども、そうわかりながらも、据え置かれた米価について、なお引き続き据え置こうかなと考えるような時点で、ここの部分についてはなかなか私どもでは判断はできにくいし、また判断のしようによってはいろいろ判断ができる要素が含まれておるわけでありますから、「生産費物価其ノ他ノ経済事情」というのは、この米価にかかわってその「経済事情」というのはどういう事情を  一体お考えであるかをお聞きをしたいのです。
  87. 小野重和

    小野説明員 「生産費物価」は言葉のとおりでございます。「経済事情」にはいろいろな事情があるかと思いますけれども、主として、生産者米価の場合には需給事情とそれから財政事情、そういうものが含まれるのではないか、かように思います。
  88. 近藤元次

    近藤(元)委員 「経済事情」には需給事情があると言うけれども、もちろん需給事情があることはわかるのです。しかし「生産費物価」という部分がそれで全部帳消しになってしまうというわけにはいかないし、この主なるものが需給事情及び財政事情だとすれば、来年度それでは一体財政がそのようなものにこたえていけるような、今年度よりも大きな変化が生まれてくるか、あるいは需給事情が来年度をもってまた改善がされるかというと、なかなか困難であろうと思うのです。そういう意味からすると、ことしも据え置き考えて、いま二・三%諮問されたわけですからあえて申し上げませんけれども、来年も大きな変化がなければなおかつ引き続き据え置かれていかなければならないという理論になるわけでありますが、一方、反面から考えて、いまの農家の経済事情というものをどのように農林省の方では御判断をしていられるのか。いわば需給事情でありあるいは財政の事情であり、そのことでもって生産農家米価を据え置くという責任を挙げて持たせていいのかどうかという判断に立つと、われわれはそうじゃないと言わざるを得ないと思うのです。まあ需給事情その他について全くの責任がないとは言わないのですが、財政問題に至っては、農家そのものがこの責任を負わされるがごとき結果になるということに対しては大きな不満を持つわけでありますけれども、いまの生産農家の経済状況というものを、農林省としては米価を上げなくても再生産をされる米価である、あるいは経済事情であるというふうに御判断をしていらっしゃるのかどうかということでお尋ねをいたしたいと思います。
  89. 小野重和

    小野説明員 農家経済の状況でございますが、たとえば農家所得が五十四年度におきましては四・二%ふえている、しかし一方では、勤労者世帯につきましては、可処分所得で見ますと六・二%ふえているというような数字が現にございますが、最近の農家所得の中の農業所得、その減ということは確かにございます。その要因は、その前の年に比べれば米の作況が落ちているというような事情もございますけれども、いずれにしましても勤労者世帯よりは伸び率が少ないというような事情があることは事実でございます。  農家所得についてさらに申し上げますと、勤労者世帯とその水準を比べてみますと、これは五十四年度でございますけれども、勤労者世帯よりは一割強高いというような数字もございます。見方によっていろいろ考え方があろうかと思いますけれども、いずれにしましても米価算定の場合に、確かに農家経済の状況というものがございますが、むしろ端的に生産費というものにあらわれてまいりますので、その生産費をベースにいろいろ計算する、こういうことでございます。その場合、食管法にありますように、物価もございますし、先ほどこれは申し上げませんでしたけれども賃金もございます。そういうような要素を見ることは当然でございます。  ただ一方では、繰り返しになりますけれども需給事情、財政事情、その他の経済事情、これも考慮に入れざるを得ない、こういうことだというふうに考えております。
  90. 近藤元次

    近藤(元)委員 あまり時間がないので、これに突っ込んで議論するといろいろなところへ展開していくわけでありますけれども、そういう状況で可処分の所得がそう大きな変化がないのだということであれば、そういう考えに立って物事をやるということになっていく。だとしたら、やはり昨年の米価算定方式というものを固定化をする、そこの中でいろいろ考えていくということにどうしても私どもはしていただかなければいかぬということになるわけでございますが、もう算定が終わった今日でありますので、引き続き来年の米価算定までにまたいろいろ御意見を申し上げたいと思うのです。  需給事情について、これが一番大きな問題で、また第二期の転作は恐らく大幅なものが来るであろうという予想を農民は皆いたしておるわけであります。したがって、大幅な転作が来るということで、需給のバランスを一方ではとろうとしておるのですが、備蓄米については、政府も新しい政府になって、総合安全保障というようなことで食糧問題もその中に入れられておるようでありますけれども、食糧の備蓄ということについて農林省の方のお考えはどのようになっておるのかをお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  91. 小野重和

    小野説明員 国民に食糧を安定的に供給するということが農業食糧政策のまず基本でございます。その一つの方策として備蓄ということは当然考えなければいけないことであると考えております。  これは農産物によって違いますけれども、たとえば米について申し上げますと、適正な備蓄水準というのは、過去における不作の状況、たとえば四十六年が最近の一番の不作でございますけれども、四十六年のような不作が二年連続続いてもこたえられるというようなことで、二百万トンという備蓄水準考えておるわけでございます。ただ現実問題としてはもう六百五十万トンという、これは過剰米でございますが、そういう過剰状態にございます。備蓄についての考え方はそういうようなことでございます。
  92. 近藤元次

    近藤(元)委員 新しい総合安全保障についてもなお引き続き二百万トンが備蓄だというふうにお考えをしておるとすれば、四百万ないし五百万トンというのが大体余剰米、過剰米だというふうに御判断をしている、こう思うわけであります。  それからあわせてもう一つの問題点となるのは、財政状況の問題でありますけれども、財政状況の問題というのは、国の財政全般もそうでありますが、食管会計そのものの財政事情というふうに農林省はとらえておるのだろうと私は思うのです。国全体の財政事情というものはもちろんでありますが、引き続き食管の赤字ということ自体が米価におけるところの財政事情の主なる値上げをしにくい問題というふうにとらえた場合に、これから流通なり管理経費について農林省が改革をしていく、節減をしていくというようなものはどういう方向で実は進めていくのだろうか。逆ざや問題についてももちろん米価二年据え置きで向こう五カ年で解消していきたいということで、米価を二年据え置きながらも消費者米価を二回上げてきたわけであります。今回たまたま諮問の段階で米価が上がるということでありますけれども、恐らく当初の計画から見ればまた逆ざやが出てきたということになろうかと思うのです。逆ざやそのものの赤字というのは私は努力のしようによってはある程度詰めることが可能だと思うのですけれども、しかしこれは、これ以外の管理あるいは流通関係に至りますと、行政サイドでやってやらなければ、生産者、消費者の手の届かない部分がたくさんあるわけであります。こういう問題をどのような計画でどのようなものについてお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  93. 小野重和

    小野説明員 米について申し上げますと、米の赤字の中身は主として売買損益と管理経費の二つに分かれるわけでございます。その中で特に管理経費についてどういう節減の方策があるか、こういうお尋ねでございますが、管理経費の中にはいろいろ種類がございまして、米の運送費とか保管料、金利、人件費とかいろいろございます。最近特にふえております管理経費が金利、保管料でございまして、これは主として過剰米の累積に伴う金利、倉敷でございます。ただ、そういう事情でございますけれどもなるべく節減する必要があるということで、たとえば、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、流通のあり方、いまは一俵一俵流通している形が大部分でございますけれども、これを何とかバラ輸送という形にできないかとか、そういう検討あるいは推進をしておりますし、また、事務費、人件費の問題でございますが、私どもの組織であります食糧事務所の職員の問題、これも従来定員削減については一般の省庁の定員削減よりも倍ぐらいの率でやってきたわけでございますが、今後とも、たとえば検査の能率化、毎個検査から抽出検査に変えていく、あるいはバラ検査に持っていくというようなことで検査事務を合理化しまして検査官の縮減を図っていくなどなど、管理経費の節減についてもできるだけの努力をこれからしていきたい、かように存じております。
  94. 近藤元次

    近藤(元)委員 もう時間がございませんから要望しておきたいと思うのですが、管理経費の削減なり、需給の問題なり、逆ざやの問題なり、あわせていろいろな手当てをこれから、いまの食糧事情の関係からして、二年米価据え置き、なお三年も据え置かなければならないというような実情の中であれば、従来よりテンポを速めていかなければならないと思いますし、検査制度などは抜本的にひとつ改善をしていただきたい。あわせてまた、農機具とか資材関係の問題についても、いろいろこれから新たな研究をしていかなければならない問題が残っておるでしょうし、あるいは生産者が販売ができるというような問題についても、改めてまたこの時期、この環境を踏まえてやはり研究を進めていかなければならないだろうと思います。そういうものをぜひ研究を進めていただきたいし、管理経費の部分については、財政事情という観点に立てば皆さん方から特段の御努力をしていただきたいと思うわけです。  もう一つ最後に、私は良質米生産地であるだけに、また、私が第一回田の生産調整のときの所管の委員長であった当時の状況を思い浮かべて、米単作地帯である状況からして、米の過剰は減反、転作以外に図る道がないとすれば、消費者に喜ばれる良質米をつくり減産をし、そして転作、減反面積を防いでいこうということで努力をしてきて今日まで来た経過があるわけであります。したがって、良質米の増産運動というものは積極的に皆さん方からぜひとも進めて、消費者から喜ばれる米を増産をしていく、そして消費の拡大を図っていく。そういう面にはとりわけ従来も努力をされて、いろいろ奨励金だの補助金等を御配慮をいただいておるわけでありますが、引き続きまたこの増産運動を、良質米の増産運動ということで、そしてまた将来には、願わくば地域分担というものにつなげていくような形でこれからの農政を展開をすることによって、需給のバランスをとる方向で進めていけるように努力をしていただきたいということを要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  95. 福島譲二

    ○福島委員長代理 田名部匡省君。
  96. 田名部匡省

    田名部委員 午前中に引き続いて若干の御質問をさせていただきたいと思います。  私も、何とか五%程度の米価引き上げをするためには一体どうすればいいんだろうと自分で考えてみました。しかし残念ながら、農林水産関係の五十五年の予第三兆五千八百四十億、この中でいろいろとやりくりしてみましたけれども、なかなかいい方法がないわけです。わずかに考えられるのは管理費、こういうものの節減を図る、あるいは米の消費の拡大を図る、また個々の省エネルギーを進める、あるいは先般お決めいただいた農地三法、こういったものを活用して何とか値上げの財源を生み出すことができないかということをいろいろと考えているわけであります。いまも近藤委員からも御質問がありました。私ども考えておりますのは、国の財政再建というものは長期にわたると考えておるわけです。これはことし、来年くらいで解消されるというものではないだろう。また、米の過剰も相当思い切った転作をしなければ、ここ一、二年で解消するということも考えられない。そういうことで、米価決定に当たって農家方々の思うような方向に行っていないという悩みもあるわけであります。今後の国の財政を考えてみても、そういうことからなかなかむずかしい。しかし、この需給事情が勘案されているということでありますけれども、素朴な疑問として、たとえば国鉄などは乗客が減ろうが貨物の輸送量が減ろうが、赤字になりますと運賃の値上げ、あるいは給与も引き上げられているというのを見たときに、米は過剰であっても、あるいは国の財政は苦しいだろうなとは思いつつも、二年も据え置かれて、農業資材も上がっている、あるいは他の所得が上がっているときに農家方々を据え置くということは、どうしても納得できないという気持ちになるわけであります。  そういうことでお伺いしたい点は、食管制度の運営の見直しですね。一体これをどうしようと考えておられるのか。それから管理経費の節減については先ほども幾らか御説明をいただきましたけれども、食管の財政負担の主な要因として売買逆ざや、これは午前中も質問させていただきました。自主流通助成、管理経費、こうあるわけですが、特に金利は一千二百五十四億という大変な金額であります。また人件費、これもまた大分人減らしをやってきましたけれども、八百七十八億という膨大なお金がかかっている。そのほか保管料においても六百六十九億。こういうことを考えて、今後一体どうされるおつもりなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  97. 小野重和

    小野説明員 最初の御質問の食管制度ないし運営の見直しの問題でございますが、御案内のように食管制度昭和十七年、戦争中にできた法律でございまして、どうしても不足の事態に対応するような制度になっておるわけでございます。ところがいまや過剰事態でございまして、そこでその食管制度、この根幹を堅持するということは当然でございますが、その中で不足の事態にも過剰の事態にも需給バランスしている事態にも、あらゆる事態に対応できるような制度にしたいということで具体的な検討を続けておる、こういう状態でございます。  その方向は、大きく言いまして、一つは米の需給バランスを図るという方向、もう一つ消費に応じた流通のあり方ということ、それから三番目は制度と実態が矛盾している問題、たとえば配給通帳のような問題これは食管法改正の問題になりまして幅広い検討が必要でございますが、そういう問題。その他、これは検査その他食管の業務の改善というような問題、そういうような方向で現在私ども検討を進めておるところでございます。なるべく早く結論を出したいと思っております。  それから管理経費の問題でございますが、これは実際にかかる経費でございまして、私どもいままでもいろいろな合理化を進めてきておりまして、これ以上の合理化というものはなかなかむずかしいわけでございます。管理経費が非常にふくらんでおりますのは、一番大きいのは過剰米が累積したことに伴う金利、倉敷等の増、それからまた金利が非常に上がっておりまして、これは金利が一%上がりますと食管では二百億の金がかかるというような非常に大きな問題でございまして、そういうような事情がございます。事務費につきましては、これは特に人件費でございますが、食糧事務所の職員の業務の合理化を通ずる縮減あるいは流通の、俵一俵一俵運ぶ形よりはバラで運ぶ形とか、そういうようなもろもろの改善をこれから進めてまいりたい、かように存じております。
  98. 田名部匡省

    田名部委員 いずれにいたしましても、米価の値上げの時期になってからいろいろなことが考えられるが、午前中も申し上げましたようにもっと長期の見通しというものが本当に大事だ。特に、来年もまたこの米価の価上げ問題が出てくるわけであります。そのときにあらゆる努力をされて値上げに対応できるような対策というものもやはりとっておく必要があるだろう。この対応がうまくいっていない、そんな感じがするわけであります。そのためには、先ほど来申し上げておりますように消費者米価を一体どうするのか、逆ざやをどうしていくのか、それから減反は転作等を含めてこれから一体どういうふうにしていくのか。たとえば最近えさ米の問題が出ておりますね。これですと、たとえば湿地田の場合に他に転作しなさいと言ってもやりようがないだろうと思う。しかも、これだけ減反をしてきたというのは、いままでは比較的高いところの、水をポンプアップしてやっているような水田、これは私は簡単に転作はできてきたと思うのです。ところが、農家方々があらゆる努力をした結果、先祖伝来水田として、またそれ以外に使えないところがだんだんいい水田として残ってきている。これを今度減反で攻めよう、こういうわけですから、これはなかなか容易ではないだろう。そういうところにえさ米をやらせるということになれば、これはまた別のことになるわけであります。このえさ米の話もときどき聞いているわけでありますので、この点についてもお知らせをいただきたい。  それから、午前中から自主流通米のお話が再三されておりました。私ども青森県あるいは北海道というのは余り米がよくない、こう言われている地帯でありますが、最近Aランク米を中心にした良質米供給が大変急増して需給バランスが崩れる、一方では一部値引き販売が行われたと伺っているわけですが、今後の見通しをお伺いしたいことと、良質米以外の米の自主流通の問題が提起されてきているわけであります。特に北海道等ではこれを促進していくための適切な助成措置をしてほしいという動きを盛んにしておられるようでありますが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  99. 小野重和

    小野説明員 えさ米の問題は農蚕園芸局長から答弁いたしますので、私、自主流通の問題についてお答えしたいと思います。  御指摘のように、良質米と言われているもののうち、特にAランクもの、そのまた特に超Aランクと言われておりますササニシキ、コシヒカリ、これが非常な生産過剰でございまして、値引き販売を一部せざるを得ないという状況にあることは御指摘のとおりでございます。それからまた、いわゆる良質米以外の、類別で申しますと四類、五類の米について自主流通の道を開くかどうかという問題をいま私ども検討しておるわけでございますが、その趣旨は、たとえばそういう四類、五類の米の販路をもっと拡大する必要があるのではないか、またその余地もあるのではないか。確かにおいしい米を国民が好むことは当然でありますけれども、しかし一方では、外食に見られますように、味はさほどでなくても価格が比較的安いものの方がいいという場合もあり得るわけでありまして、そういうものに対する販路の拡大という方法も考えてもいいのではないかということで、四類、五類の自主流通の道を開いてはどうかということを考えておるわけでございます。  いずれにしましても、この問題は具体的な話になりますと助成の問題をどうするかという問題になります。そういう問題がありますし、そのほかにも自主流通助成についてはいろいろ問題があります。そこで、基本米価が決まりました後、直ちに私ども自主流通の問題についての検討に入りまして、早急に結論を得たい、かように考えております。
  100. 二瓶博

    ○二瓶説明員 転作に絡みまして、えさ米を転作作物に認めてくれないかというような要請等は種々受けております。  問題は、このえさ米につきましては、実はえさということでございますので非常に安い価格でないと売却できないわけでございます。したがいまして、そういたしますと物財費も償わないというほどの低い収益性ということでございます。肥料代とか農薬代も償わないという形になるというのが一つの大きな問題でございます。  それから、現在生食用の価格、これが二十九万円近くでございますけれども、ただいま申しましたようにえさ用ということになれば三万円とか四万円近くとかというような話でございますので、約九倍ぐらいの価格差があるわけでございます。したがいまして、えさ用ということでつくりまして、これが主食用に横流れするのではないか、横流れすればそれはまた過剰の原因になる、したがってその辺をどうするかという問題がある。  それから、転作を進める観点からいたしますと、いまもお話がございましたように、従来水稲をつくっていた方がなれない麦とか大豆をつくるという話でございます。そういたしますと、今度はえさ米ということになりますと、これは大体いままで米をつくっている方がつくれる話になるわけでございます。そういうことで、転作を集団的にやるとかいろいろなそういう定着性を持ってというような面でマイナスではないかというような向きもあるわけでございます。  したがいまして、今後えさ米そのものの生産性をどう上げていくかというようなことは、いろいろ試験研究の問題もございますし、それは長期的な課題としてやはり研究等はやっていくべきだろうと思いますけれども、もう来年度から二期対策が始まる、したがって転作作物にすぐどうだと言われましても、なかなかその辺はむずかしいのではないか、かように考えております。
  101. 田名部匡省

    田名部委員 時間がもう来ましたので終わりますが、要望を一点申し上げておきます。  自主流通米の四類、五類のことでありますが、私もそう思うのであります。何もいい米、高い米だけを国民の全部が要求しているわけではない、大学あたりの学食あるいは建設関係の飯場等ではそんなに高い、いい、おいしい米でなくても、ぜひそういうものが欲しいという人たちもたくさんあるだろうと思います。ひとつ十分お考えいただいて、この次に私ももう少し調べてまた議論を展開させていただきたいと思います。  以上で終わります。
  102. 福島譲二

    ○福島委員長代理 串原義直君。
  103. 串原義直

    ○串原委員 諮問案は、つまり二・三%、金額にすると、六十キロ当たり、時間の関係上一俵ということをこれから言いますが、三百九十五円ということになったわけでありますが、わが党の試算によりますと、据え置きになりました二年前からいろいろな物価はずいぶん上がっている。時間がないですから幾つも申し上げるわけにはいきませんが、米価据え置き期間中、つまり四十二年三月から今日まで、光熱費は約五〇%、肥料は八・五%、農機具は七・八%など、ずいぶんと生産費も上がっている、こう私たちは理解をしているところであります。特に秋に向けて肥料や農機具などはまだ上がっていくでしょう。でありますから米価が上がるのは当然である、こう私たちは理解をし、とりわけ農民理解をしていた。ところが政府は二・三%に決めた。汗を流して農地と一生懸命取り組んでいる農民から見ると、農林省計算機というのは一体どうなっているのだろうというのが率直な感じではないでしょうか。これだけ諸物価が上がっていく中で、どうして米だけが二・三%くらいしか上がらないのだろう。さっき大臣は若干の解説をいたしましたが、つまり、何が米価をこの低さにしているのか、御答弁を願いたい。
  104. 小野重和

    小野説明員 確かに物価が上がっていることは、これはもう事実でございます。そこで、米価算定におきまして、農家が実際に払うもの、物財雇用労働費と言っておりますが、こういうものにつきましては、従来から物価の上昇というものは見込んでおるわけでございます。そのほかの要素、たとえば家族労働費あるいは自己資本利子、こういうものは実際に支払うというものではなくて、これは農家所得部門を構成するものでございます。こういう部門について、これは昭和三十五年にいわゆる生所方式が始まって以来、主として需給事情によりまして、あるときは生産をもっとしてもらわなければいかぬというときにはこれを高くなるようにし、また過剰事態というときにはそれに即応して要素を変更する、これは生所方式の枠の中の話でございますけれども、そういうことをいたしておるわけでございます。本年につきましても、確かに物価の上鼻ということはございますけれども需給事情等非常に厳しい折でございますので、いわゆる所得部門を形成するそういう点につきまして若干の要素の変更をした、こういう事情でございます。
  105. 串原義直

    ○串原委員 つまり米の需給事情、過剰の状態、こういうものが、微妙な言い方をしているけれども、今度の算定要素、二・三%の米価諮問案になった要素である、こういう理解でいいわけですか。
  106. 小野重和

    小野説明員 需給事情、それから財政事情、この二点が主として算定要素の変更のファクターである、こういうふうに思っております。
  107. 串原義直

    ○串原委員 財政のことは後にしまして、いま米の需給、つまり過剰が原因という答弁があったわけでありますけれども、私はどうにもそのところは理解できない、承知ができないということです。つまり農家は、あるいは農業団体もそうですが、政府農林省方針に従って、あるときは米づくりに汗を流した、そしてあるときは需給事情ということも踏まえて、大変過酷なものをも承知の上で転作水田利用再編対策協力してきた、こういうかっこうですね。とりわけ転作などは、五十四年は一二一%の達成である。聞くところによると、ことしは一〇七%くらいになるのではないかというふうにも聞いているわけです。つまりそのときどきに従って、意見はあったけれども農家や農業団体は、ちょっと語弊がある言い方かもしれないけれども政府農林省の言いなりになってきたというかっこうですね。つまり需給のバランスが崩れたということは農家の責任ではない。政府の責任、農林水産省の責任である。見通しの甘さ、これが原因だというふうに私は考える。そのことが原因で米価引き上げにプラスにならないとすると、どうにも納得できないというのは、私のみならず農家は全部そうだろうと思う。これはいかがですか。政府の責任じゃありませんか。
  108. 小野重和

    小野説明員 米過剰の基本的原因は、消費の減退あるいは生産力の向上、反収の向上、ここにあるわけでございますが、いまのお尋ねは、計画というか目標どおり転作を、あるいはそれ以上にしているのになぜ余っているのか、こういうことでございます。これはたとえば生産力をとりますと、最近豊作続きでございまして、作況一〇〇を超える年が連年続いております。こういうような事態過剰米の累積の大きな原因になっているわけでございまして、こういう点になりますと、農家の責任ではなくて政府の責任か、こういうお話でございますが、これはちょっと、政府の責任というところまではいかないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  109. 串原義直

    ○串原委員 この議論はまた機会を改めることにいたしましょう。  そこで次官、午前中も質疑を聞いていて実に不思議に思うのですけれどもね。大臣は、過般の参議院の農林水産委員会で、米価据え置きということを言明した。以来自民党は、かつてないと言われるほどに異常な動きを示した。もちろん、野党六党も結束をして米価引き上げを要求した。政府・自民党が腹を据えて昨年と同じように米価を決めるとするなら五%程度上がった、こういうことになるわけですね。ところが、その動きの中で結論は、昨年の算定基準と同じならば五%程度上がるものを、ことしはその半分にもいかない二・三%というところで諮問案が決まった。つまり、ここ一、二日の政府の動きは実に私には理解できない。ときには据え置きということを責任者である大臣が言明をする。きのう一日の動きの中で二・三%と決まる。その二・三%も、いま申し上げるように去年の算定基準でいくならば五%程度になるものを、その半分以下に決まる。実にその方針が揺れ動いたと私は見ているところであります。したがって、昨日、昨晩の諮問案決定に至るまでの経過、動きをあなたからひとつ御説明願いたい。
  110. 志賀節

    ○志賀説明員 すでに、その動きにつきましては新聞、テレビ等で串原委員も御承知のことと思いますが、要するに、今回の据え置き諮問が一転して二・三%アップということになりましたにつきましては、この据え置きのままで参りますと、農家の耕作意欲に及ぼす影響少なしとしない、これが憂慮されまして、さらに各方面の意見も聞いた上で、これは若干の引き上げをせざるを得ない、それがむしろ需給調整の円滑な推進に資するゆえんではなかろうか、こういう判断に政府は立ちまして、現下の厳しい米の需給事情に即応し、これ以上に生産を刺激しないという範囲内、限度内で適切な配慮を行った、このようにお受けとめをいただけると幸いでございます。決して政治圧力に屈したわけではない、政府のそのような判断に基づいておる、これが据え置きから一転して二・三%上げに至ったその実情であり、背景である、このように御理解を賜りたいと思います。
  111. 串原義直

    ○串原委員 二・三%米価が上がった場合、農家生産意欲というものを向上させることができるとお考えですか。
  112. 志賀節

    ○志賀説明員 相対的に申し上げまして、据え置きよりは向上するのではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  113. 串原義直

    ○串原委員 その議論をやっておりますと時間が経過しますからまた後に譲りますけれども、私は、二・三%というのは、熱心に米価の動きを見ていた農民から見るならば、偶然とした、この表現がまず適切だろう、こう考えているわけであります。  そこで、米価の問題に入る前にちょっとお尋ねしておきますが、消費拡大策というものは大切な部分である、こう私は考える。そこで農林省も施策を講じてきたであろうと考えるわけでありますが、私の手元にも若干の政府の資料がある。ところが、五十四年度、昨年度、あなた方の対策によって米の消費拡大はどの程度進んだ、たとえば何万トンぐらい、そういうことを考え計算されたことはありますか、どうですか。
  114. 小野重和

    小野説明員 米の消費拡大というのは、何分にも食生活にかかわるものでございまして、個人の好みというものが大きく左右するものでございますから、なかなかこれはむずかしい問題であります。消費拡大対策につきましては、米にまつわるいろいろな悪いイメージの払拭とか、むしろ米を食べる方が健康的であるとか、あるいは学校給食の問題とか、あるいは、米を売るのは米屋さんですから、米屋さんの販売努力を督励するとかいろいろやっております。ただ、事柄の性格上、これら消費拡大努力によってどれだけ効果があったかということは、計量的には把握できない問題である、こういうふうに思っております。
  115. 串原義直

    ○串原委員 先ごろ政府は、余剰米を輸出をしたい、こういう計画を立ててそれを実施に移そうとされた。ところがアメリカから、おい、それはうまくない、言うならば圧力をかけられてずいぶん速度が鈍ってしまった、こういうことがありましたね。このことは米作農民、農業団体にとりましてはまことに不快な事柄であったと私は思っているところです。このことについて政府は、アメリカのおっしゃることだからやむを得ない、こういうことなのですか。あるいは今後それに対してどんなふうに理解をされていくのですか。
  116. 小野重和

    小野説明員 わが国の米の輸出でございますが、これはいわゆるコマーシャルベースの輸出ではなく、過剰米の輸出ということで、これは主として延べ払いの輸出をしているわけでございます。これは二点ございまして、過剰農産物の輸出でございますが、これにつきましては、FAOの過剰農産物の処理原則というのがございまして、これは商業的輸出国の商業的輸出を妨げないということで、そういう商業的輸出国と協議をしなければならない、これが国際的なルールでございます。そういう意味で、米について申し上げますと、アメリカ、タイ、そのほかございますが、これが主な輸出国でございまして、こういう国と協議しなければならない、こういうことに相なっております。  もう一つの問題は対米関係でございますけれども、日本の過剰米の輸出は、コストに比べまして国際価格が相対的に非常に安いわけでございますから、その分を財政負担をしなければいけない。そうしないと輸出できないわけでございます。これはいわゆる補助金つき輸出ということになって、これはアメリカの国内法でございますが、通商法という法律がありまして、これとの関係で、アメリカのその法律によりますと、そういう国に対しては報復措置がとれる、こういうような規定があるわけでございます。  そういうようなもろもろの問題がございますので、これはアメリカと協議しなければならぬ、こういう事態に相なりまして、いろいろこれは事務次官レベルの折衝をした結果、わが国の米の輸出量につきまして、一定数量の目標を決めまして、その目標に従って輸出するということに相なったわけでございます。  内容について御質問があればお答えしますが、一応そういうような経緯でございます。
  117. 串原義直

    ○串原委員 これを議論しておりますと、どうも……。つまり余剰問題、需給問題、これを米の価格に転嫁させていくということはまことに好ましくない考え方であるというふうに考えますけれども、先ほど申し上げますように、時間の関係もあって、これは他日に譲ることにいたします。  そこで、諮問米価のことについて若干触れておきたいわけでありますが、最初に、先ほど御説明をいただきました諮問試算資料、この二ページ、上から二番目、基準価格、そのところに求める価格がありまして、プラス運搬費百七十二円とあるわけでありますけれども、この運賃は、昨年度の場合百九十二円であった。運賃値上げというのが常識の中で、昨年百九十二円であったものが二十円下がって、ことしは百七十二円になっているのはどういうことでしょう。
  118. 小野重和

    小野説明員 この運搬費と申しますのは、農家から政府が買い入れる場所、倉庫が多いわけでございますが、そこまで自分で運搬してくる、その経費でございます。これにつきましては、統計情報部の生産費調査には載っておりませんので、私ども、本来の生産費調査がありませんので、補完調査というものをやるわけでございますが、最近の補完調査の結果では、労働時間、運搬する時間、これが相当減っております。そこで、そういう調査結果でございますので、それを反映させて、そこに記載されているような数字にいたした、こういうことでございます。
  119. 串原義直

    ○串原委員 どうもちっとも理解できないわけですね。ともかく普通考えて、運賃等の諸経費は上がっているというのが常識なわけですよね。油が上がっている。そういうのに、米価試算のときだけは下げられて計算が出てくる。これはどうにも納得できないですね。もう一度御答弁願います。
  120. 小野重和

    小野説明員 これは集荷の合理化によるものでございまして、個別の農家が運搬するという形よりも、最近は、御案内かと思いますが、農協がトラック等で回りまして効率よく集荷する、そういう傾向がずっと強くなっておりますので、そういうことがこういう数字にあらわれているというふうに私ども理解しております。
  121. 串原義直

    ○串原委員 では、基礎資料を後で御提出願います。——資料を後で提出してください。どうですか。
  122. 小野重和

    小野説明員 早速その内容につきまして資料を出したいと思います。
  123. 串原義直

    ○串原委員 地代についてですけれども、九月に統制小作料が撤廃になるというわけですね。ところが、九月に統制小作料制度撤廃になるのを、あえてことしもまた米価算定の基準に入れた。しかし、それは九月までにとれる米なんだからいいではないかというような説明が先ほどあった。これは私は納得できないですね。ことしとれた米の代金に、流通するのは十二月、冬ですよ、これは私が解説するまでもなく。でありますから、九月に統制小作料制度撤廃になるものをあえて米価計算のときだけに入れるということは、まさに筋が通らない。これは実納小作料に変えていくべきである、私はこう思う。いかがですか。
  124. 小野重和

    小野説明員 この統制小作料で算定しておりますのは、御案内かと思いますが自作地地代であります。本来の小作地でありますと、これは実際に払った小作料でありますから、これは笑納小作料をとるということでございます。自作地でございますので、これはいわばどういうふうに評価するか、こういう問題であろうかと思います。従来から統制小作料をとっておるわけでございますが、今年産はどうするかということでございます。これにつきましては、土地の使用の対価でございますので、土地の使用をする期間はということになりますと、これは収穫までということになりますので、収穫は九月には大体終わりますから、それまでに適用されている統制小作料、これをとるのがしかるべきもの、かように考えておるわけでございます。
  125. 串原義直

    ○串原委員 これも私は納得できませんね、納得できない。  時間の関係で次に移りますが、もう一つ、付帯労働費というものを算入すべきであるというふうに私は思う。とりわけ水田再編対策で、各地の農民は地域農業振興研究会などを開いて新しい農業振興を模索していますね。そういう立場から付帯労働費を算入しなければならない要素というのはずいぶん強まってきているはずだと思う。それを算定しないというのはどういうことですか。
  126. 小野重和

    小野説明員 付帯労働費と申しますか、企画管理労働費とも申しますが、この問題につきましては、私どもが採用している生産費調査内容でございますけれども、この生産費の見方の問題でございますけれども、直接生産に要する費用、こういうことで生産費調査がされておるわけでございます。企画管理労働につきましては、これは共同作業の打ち合わせ等々でございますが、これは直接生産に要する費用とは認められない、こういうことで生産費からも外れておりますし、米価算定におきましてもこれを算入していないわけでございます。  ただ、では、昔採用したことがあるじゃないか、こういう御議論かと思いますが、やはりこれは、そういう問題はありましたが、当時はむしろ米不足時代でございまして、生産刺激的に算定要素を変えてきた時代でございますので、そういう時期といまとは事情が違うというふうに私ども考えておるわけでございます。
  127. 串原義直

    ○串原委員 どうも議論をしておりますと、やはり私たちが考えたように、二・三%というのは、それを先に考えて、政府・自民党の中で数字を話し合いで決めておいて、そして後は数字を合わせたという感じがする。まずこれは間違いないところだろうと思っているわけであります。これは農民の期待にまさに反する、好ましくない政治である、こう考えているところであります。このことについてはまた他日議論をすることがあろうと思いますが、そこで水田利用再編対策について触れておきたいと思うわけであります。  転作は、五十二年に十九万二千ヘクタール、五十五年、ことしはとにかく五十三万五千ヘクタールという膨大な面積に拡大された。このままでいくならば、ちょっと大げさなことを言うならば、とどまるところを知らないほどに広がっていくのではないか、こんな無策なことをやっていれば、こういうことになる。私はこの際、思い切って米の需給を柱にした総合食糧計画というものをもう一度きちっと立てる中で、農民に責任の持てる計画見通しを立てなければならぬ時代が来たと思う。これはもう国を挙げて、というと大げさになるでしょうけれども、そのくらいな決心で腹を据えた計画を立てなければならぬ時代になっている、こう考えているのですよ。いかがですか。
  128. 二瓶博

    ○二瓶説明員 転作目標面積等につきまして、これは五十五年度、まさに五十三万五千ヘクタールということで改定をいたしたわけでございます。  今後これはとどまるところを知らぬのではないかという御指摘でございます。そういうようなお話もございますので、現在米のみならずその他の農産物も含めました長期的な需給見通しというものを農政審議会において検討を煩わしておるわけでございます。農林省が示しておりますたたき台としての第二次試算では、大体七十六万ヘクタールぐらい、六十五年度の見通しとしてはそのぐらいの余剰水田が出るのではなかろうかということでございますが、それをたたき台にしながらいまいろいろ御検討をいただいているということでございます。  また、来年度から第二期対策というのが始まるわけでございますけれども、最近の厳しい需給情勢からいたしますれば、さらに五十三万五千ヘクタールより相当の増加というのは避けられないのではないか、このように考えております。
  129. 串原義直

    ○串原委員 転作と言いましても、農民は何をつくったらいいか、非常に迷っている、困っているというのが実情です。大豆と言っても、大豆をどこでもつくれるわけではない。麦作は御承知のように裏作である。湿田などではとても麦作はできない。養蚕に変えようと思っても、とても、糸価は低迷をしている。蔬菜なんかは豊作貧乏、こういうことですね。こういうことになって、まことに農民は悩み多き時代ということになっているわけでありますが、しかしこの実態をとにかく深刻に受けとめてもらわなければいかぬ。東京の空から米をやめようじゃないかというので指令をいたしましても、生きている信州の水田などから見ます場合に、どうしてもその指示とは歯車が合わない。これは深刻に取り上げて、もう一度取り組み直してもらわなければいかぬ。いま言われるように、八十万ヘクタールに及ぶということになればなるほど取り組まなければいかぬ問題だと思う。  このことは改めて議論をいたしますが、ここで一つ指摘をしたいのだけれども、輸入に占める飼料の割合は非常に多い。えさをつくり上げていくためにもう少し真剣に取り組む必要があるのではないか。えさ米等を含めて考えなければいかぬのではないか、こう私は考えているわけです。いかがですか。
  130. 二瓶博

    ○二瓶説明員 飼料穀物の輸入が相当ふえておる、したがいまして、えさ米等、飼料穀物の生産というものに力こぶを入れるべきではないかという御指摘でございます。  転作の問題といたしましては、一つは飼料作物でございますが、これにつきましては、粗飼料の自給率の向上を図るという、そういうような観点からいたしまして、転作の重点作物ということで奨励補助金等も五万五千円にいたしまして、積極的にこれは推進をいたしておるわけでございます。  それから、えさ米などという一つの例示をされたわけでございますが、実取りの米でございますが、このえさ米につきましては、一つは何といいましても、輸入の飼料穀物の価格、これから見ますと、えさ米の生産に要する物財費、こういうものも償わない、こういうような姿になっておりまして、非常に収益性が低いということがあるわけでございます。  それから、主食用の価格と、えさ米ということで売ります、想定されます価格との間には大きな格差がございます。約九倍ほどというふうに考えられますけれども、そういう中でえさ米生産を行うということにつきましては、やはりえさ用という米から主食用の方に横流れがする危険性が非常に大きいという問題があるわけでございます。  それから、麦、大豆等への転作を進めます際の転作の推進という角度からいたしますと、えさ米であればどこでもこれはつくれることになりますので、そういう面でなかなか転作もむずかしくなるんじゃないかというような危惧があるというようなことがございまして、長期的な問題といたしましては、えさ用の品種を育成するとかいうような試験研究等を強化していくということはあろうかと思いますけれども、えさ米を転作作物として認めていくということにつきましては、いろいろなむずかしい問題があるのではないか、かように考えております。
  131. 串原義直

    ○串原委員 時間が終了しましたから、終わります。
  132. 福島譲二

    ○福島委員長代理 竹内猛君。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、米価決定をめぐる問題等々で、特に安全保障としての食糧、それから国の予算の中で占める農政費の状況というような立場から質問をします。  まず、前々から私はこの委員会で、農業は工業と同様に国の基本的な産業であり、食糧は国家の安全保障として重要な位置を占めている、したがって、経済合理主義や国際分業論でなくて、農民が参加をした長期の生産目標を立て、生産作物の地域分担と価格支持をし、農家所得の目標を明示し、そのために人と水と土地を確保することが大事だと指摘したが、私のこの主張に対して、政務次官、どう考えるか。
  134. 志賀節

    ○志賀説明員 お答えいたします。  基本的には先生のおっしゃるとおりであると考えます。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 基本的には一緒だと言うけれども、現実は非常に違っているということについて、現実と差があり過ぎることについてどうですか、そう思いませんか。
  136. 志賀節

    ○志賀説明員 農林水産省としては、先生の御指摘の方向で今後とも努力してまいりたいと思うものでございます。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 鴻巣企画室長は、ある雑誌の座談会で次のようなことを言っております。  八〇年代の世界の食糧需給は、必ずしも楽観を許さない。たとえばアメリカで港湾のストライキがあるとかミシシッピ川が凍ると、アメリカの輸入穀物が入ってこない。あるいは短期的ケースであるけれども、国際紛争が起こった場合、輸入する量がなかなか思わしくない。あるいは石油の価格が上がり、日本の国際収支が赤字になってしまう、そういう場合においても自由に穀物が入ってこない。また世界の人口がふえて、所得もふえたが、生産がそれに間に合わなかった場合に需給が狂ってくる。いろいろなケースが予想される。そこで、いつでも緊急事態に対応できるようにしていかなければならない。ということで、これは長期目標の中にもそういう項目がありますが、これは経済合理主義や国際分業論では間に合わないと思うけれども、この点について室長はどういうような考え方を持っておられるか。
  138. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 お答えいたします。  食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございます。それは御指摘のとおりです。生存のためには一口も欠かすことのできない重要な物資でございます。しかも農業の特質から、何かいざというときに生産を急にふやそうとしても、なかなか生産期間も要します。そういう意味では不測の事態に対応するというようなことも弾力的に考えながらやらなければいけないと思います。そういう意味では、食糧を通常の場合とそれからいざというような不測の事態と幅広く考えながら、安定供給というのを考える必要があろうと思います。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕  そういう意味で、私どもいま農政審議会農政の見直しをいろいろ御検討いただいておりますが、その中では、平時に生産性を高めながら食糧の自給力を維持向上するとともに、不測の事態が生じた場合の国民食生活の安全を守るためにどう、したらいいかという観点から、いろいろ検討いたしておるところでございます。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 過ぐる第九十一国会で、衆参で食糧自給力を高める決議を行った。そういう決議と、いま農林水産省計画をしている、やがて公表されようとしている、また農政審議会に付そうとしているところの農業の長期展望というものとの関係について、かなり距離があるように私は思うのです。これはうまく合っていますか。  特に今度の選挙で、自民党の候補者でさえも食糧自給率を八割というようなことを言う候補者がいる。社会党では、まず当面六〇%でやろう。また自民党の中には六割という人もいた。そういうように選挙のときにはでたらめなことを言って、いよいよ国会の中で審議をしようとするとそれはだめだと言う。現在の食糧穀物自給率は三二%ぐらいでしょう。これについて、いまやっていることと、それから国会で決議をしたこととはうまく合っていないでしょう。その点についてどうですか。
  140. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 私どもは、さきの国会で成立を見ました食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえまして、国内で生産可能なものは極力国内で賄うという趣旨農業生産の再編成、総合自給力の強化を心がけています。そのために現在、農政審議会の意見を伺いながら検討いたしております六十五年を目標年次とする農産物の需給長期見通し試算では、麦あるいは大豆といったものの生産の大幅な拡大を図り、それから米の生産の減少とかあるいは畜産物の生産の増大に伴いまして、先ほどの御議論にも出ましたえさ穀物はどうしても輸入がふえざるを得ない。そして、そういうことによってどうしても低下する可能性の強い主食用の穀物、つまり米とか麦とか、そういう主食用の穀物の自給率を現状程度で維持しようと考えているわけでございます。  さらに、自給力決議を受けまして、私ども平時の場合のみならず、一たん海外からの輸入が削減をされた場合に、どこまで国内の生産をフルに展開をして、あるいは米なり麦なり芋なんかを中心に潜在生産力を顕在化し、フルに発揮して、どこまで国民の食生活を守れるか、その場合の守れる栄養水準はどのくらいになるかというような、またその場合に平時の自給率に比べてどこまで自給率が高められるかということもあわせて農政審議会の御意見を伺いながら検討していこうと考えております。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ十分じゃないけれども、それを達成するために予算的措置についてはどういう考えですか。
  142. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 財政的な措置につきましては、厳しい財政事情のもとではございますが、必要な施策の推進を図るために必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
  143. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 かなり抽象的な話で、どうもそれは納得がいかないですね。たとえば土地改良であれば、年間一兆円の土地改良で十年間やるというふうに具体的に物が示されている。国民食糧を安定をして自給率を高めていくのにどれぐらいの予算、財政で裏づけをするかということがはっきりしなかったら、それは絵にかいたもちよりまだ悪い、そんなものはかかない方がいい、そういうことではどうにもならないと思うのですね。  そこで、これは委員長にお願いですが、現在、農林水産省企画室が作業をしているんですね、それから衆議院と参議院では決議をした、食糧自給力を高める決議をした、これと合わせるために農林水産委員会に小委員会をつくって、十分にこの問題の議論をかみ合わせるようにしてもらいたいと思う。その点について委員長、どうですか。
  144. 田邉國男

    田邉委員長 その点につきましては、理事会においてよく協議の上で決めたいと思います。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、今度は大蔵省にお伺いをします。  農林予算は国の予算に一体どれくらいの位置を占めるのが理想と考えるのかということについて、ぜひこれは明らかにしてもらいたいと思うのです。本来、これは農林大臣に聞くことかもしれませんが、きょうは大臣が出ていないものですから、主計官にお願いをしたのですけれども、現在、米価を決めるに当たって、一般の公共料金や生活資材というものは、生産費所得を補償する形で国が決めたり、商社が決めたりあるいはそういう機関でいろいろ決めていますね。電気料においても、ガス代においてもかなりの値上げをしているわけです。そういうときに、米は全国平均農家の収入の三六・二%を占めている。これは農林省の統計だってそういうふうな統計を出したんでしょう。ところが、十県、青森県とか米を中心としたところでは七割以上が米の収入が中心になっているわけです。そういうことを考えた場合に、米は何といっても農業の基本なんです。それを二年間据え置きをして、三年目になったら二・三%という、先ほどから議論があるように、緊急の費用なり水田再編の費用をちょっと横の方へそらして、右のポケットから左のポケットに物を入れかえたぐらいのところでごまかしちゃった。これでは農民の手取りというものが何もふえたわけではないでしょう。大蔵省だって痛くないんだ、名目を変えただけだから。こういうようなことでは、これは欺瞞じゃないですか。  そこで、本当に基本米価を上げるということでなければ問題にならない。一六・三%を農民団体は要求してきた。それで、小野次長も言われているように、去年の方針でやれば基本米価が四%ないし五%上がる、ああいうものをいじらなくとも上がると言っている。なぜ一体そういうふうな形でやらざるを得ないのかというと、これは財政が抑えたんじゃないかと言われている。国の予算に占める農林省の予算というものは大体どれくらいの規模が妥当かということについて、大蔵省としては考えたことがあるかどうか。
  146. 的場順三

    ○的場説明員 抽象的に農林水産予算が一般会計でどの程度を占めるかということは、これはなかなか議論のしにくいむずかしい問題かと思います。予算は、本来すべての財政需要を十分に検討いたしまして、それと財源事情を突き合わせて決めるべき性格のものでございますので、農林水産予算は非常に重要な内容を含んでいるということは十分承知しておりますが、抽象的に何%がいいかということはなかなかお答えいたしかねる問題であろうと思います。  ただ、現実、事実の問題として、昭和五十五年度予算におきましては、一般会計のうちから国債費、地方交付税等のようないわゆる一般施策とは若干性格の異なる経費を除きました中に占める比率は一一・七%になっておりますので、これはここ数年それほど変化のない数字になっている、大蔵省としても十分重点を置いて予算編成しているということでございます。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ちょっと私の調べたものと数字が違うのですけれども、私はこの八年間くらいこの委員会でこの問題について質疑をしてきたのですが、昭和四十八年の一般会計に占める農林予算は、補正を含めて一・四一、四十九年が一一・ 〇三、五十年が一〇・九〇、五十一年が九・三三、五十二年が八・四四、五十三年が八・三五、五十四年が八・一四、そして五十五年の当初予算では七・五四となっている。この点は間違いないですか。
  148. 的場順三

    ○的場説明員 ちょっと手元に昔の数字がございませんが、私の方で当初予算で見てみますと、五十年度以降の数字でございますが、一般会計予算の総額に占める農林水産関係予算の総額、これは農林省所管以外の農林水産関係の予算を全部含んでおりますが、その比率は五十年が一〇・二、五十一年が九・九、五十二年が九・三、五十三年が八・九、五十四年が九・〇、五十五年が八・四ということでございます。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私の調べたのは大蔵省の主計局、理財局の各年度の「予算及び財政投融資計画説明」という中から出したものでありますから、とらえ方に若干の違いがあるかもしれないが、これは違ったらおかしいですね。大蔵省から出たものが違ったらおかしい。  そこで、じゃあ次の問題、農林水産関係の予算に占める食糧管理費の割合は、四十八年四三・六%が五十五年で二六・七%、また一般会計予算に占める食管費の割合も、四十八年が五・三%が五十五年で二・二%になっている。この点は食糧庁、どうですか。
  150. 小野重和

    小野説明員 そのとおりでございます。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、さらに農林水産関係予算に占める食管特別会計繰り入れ等の割合も、四十八年三二・八%が五十五年では一八・二%。農家が二年間も米価を抑えられている、ところが、国の予算に占める農林予算というのは、農家所得の中心である米価のみならず、畜産物の価格も抑えられているので、農林省内の予算となっていなくて、結局大蔵省によって農林省の所管以外のところに、この生産者米価が抑えられたり、消費者米価が上がったり、畜産物の価格が抑えられた部分がどこかへ持ち去られている。農林省以外のところに持ち去られているということ、これはそういうふうなことを示しているのじゃないですか。だんだん農林予算が減っている、食管の予算も減ってきた、その減った分だけは土地改良とかあるいは畜産物の価格の保証とか、そういうところに行くのなら話はわかる。ところが農林省以外に行ってしまったら、農民農家もこれは結局犠牲になったということになるのじゃないですか、どうです。その判断は政務次官だ。
  152. 小野重和

    小野説明員 食糧管理費はこのところ九千億台が多いわけでございますが、約一兆円近い数字、これは変わっておらないわけでございます。そこで、先ほど主計官が答弁をいたしておりましたが、国債費等を除いたものに占める農林予算の割合というのは大体一〇%を超える、そういう数字であるということでございます。したがいまして、その農林予算もふえておるわけでございまして、そのふえた分は農業基盤整備費とかそのほか一般の農政費に回っている、こういうことであるというふうに私ども理解しておるわけでございます。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうふうに理解はするかもしれないけれども、現実にそういうふうになっていないでしょう。生産者米価が抑えられ、消費者米価が上がって食管の赤字がだんだん小さくなってきた。にもかかわらず、農林予算も全体として四十八年のときよりも減っているわけなのだ。これは事実でしょう。こういう事実の上に立って農業、農民あるいは農家そのもの、生産をする者に対する手当てがそれだけできなくなったということじゃないですか。だから中川農林大臣は前に、現在の科学技術庁長官ですが、この席上で、この農林予算というものは、国の予算に占める比率は一体どれぐらいが理想なのかという私の質問に対して、一〇%程度は絶対必要だ、こういうふうにおっしゃった。私は実際は一〇%じゃ少ないと思う。やはり安全保障というものを考えると、これはあと三%ぐらいふやさなくてはいけないのじゃないか、備蓄なんかということを考えると。これは政務次官の話なんだが、この辺については政務次官としてどう考えるのだ。
  154. 志賀節

    ○志賀説明員 先生のお考え方は私も多くの部分で共感をするものでございますが、ただ同時に、農林水産省は現在最も行政機構の改革に協力をしておる省でございまして、これは各般の資料がこれを明らかにいたしております。したがいまして、よその省庁を申すのもどうかと思いますが、農林水産省に比べては他の省庁はそういう面で人件費等もなかなか削減がなっておらない。そういうような面から、農林水産省の予算が先生の御指摘のような削減も若干あるのでございまして、必ずしもその点、日本の政府が農林水産に対して冷淡である、このようにはダイレクトにならないというふうに私は理解をいたしておるのでございます。先生の御指摘は十分に心にとめて今後に対処してまいりたいと思います。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 重ねて申し上げますが、総理大臣の鈴木さんも農林大臣をやられて、この席上でやはり質疑をして同じようなことを言ってきた。今度の内閣の中では渡辺美智雄大蔵大臣、中川科学技術庁長官、この人も、農林大臣をやって、ここで同じようなことを言ってきたのだ。だから、来年の予算でもし農林省の予算が実質に一〇%を切るようなことがあれば、それは非常にまずい。やはり米の値段を極力抑えて、今度は消費者米価をいずれ上げるのでしょう。そしてそこのところをつじつまを合わせる。今度の場合でも、緊急の費用とか水田の費用というものを右左に動かして、実際は余り大蔵省のふところを動かさないようなことになっていて、名目を変えて二・三%で何とかやっていこう、こういう話なんだ。これでは生産農民はかわいそうですよ。たまったものではないですよ。そうでないということが言えますか、どうですか。
  156. 小野重和

    小野説明員 先ほどの御質問でございますけれども、いわゆる食糧管理費はこのところ変わってない。農林水産関係の予算、これは相当にふえておるわけでございます。したがいまして、そのふえた分は土地改良その他一般農政費に回っている、こういうことと私は理解していると先ほど申しましたが、事実そうなっておる、こういうことでございます。  それから、今回の生産者米価二・三%引き上げということになりますと四百四十億ぐらいの損失増になるわけでございますが、これをどうするのかという問題、これは今後の食管財政全体の変動要因がいろいろございますので、それを見た上でどう対処するかという問題になるかと思います。  それから去年の生産者米価の際の品質格差導入に伴う調整措置とか、あるいはそのほか一俵百円のあの金とか、あれはすべて五十四年度限りの措置ということでございますので、あの金を使って今回の引き上げに充当するという種類のものではないわけでございます。現に五十五年度の食管予算にはそういう五十四年度限りの措置を計上しているわけではないわけでございます。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いずれにしても、農林予算というものが毎年毎年漸減をしていくという事実だけはやはりここで指摘をしておかなくちゃならない。それは農畜産物の価格が非常に低く抑えられているということだ。外国に安いものがあるから国内のものを高く買えばそれはうまくないという、つまり業界の圧力に屈しているということになるのじゃないですか。  そこで、今度の米価決定のときに亀岡農林水産大臣がいつも頭を悩ましているのは、過剰米が多いということと財政負担が多いということ、つまりこの米価を決めるのに常に物と金が中心になっている。物をつくる農民、米をつくるのも農民なんだ。その農民の人間としての労働力、こういうものは一つ考えられていないじゃないですか。この三年間、農民は高い材料を買い、そして一般の物価の上がった中で苦労して米をつくってきたわけでしょう。そういうことについてほとんど考えられない。米が余った、財政が赤字だ、それだけが中心じゃないですか、物と金が。大蔵省がそういうことを言うならわかるのだ、がまぐちを持っているのだから。農林省がそれを言ったらまずいのじゃないですか。物をつくる農民考えなければいけない。農民というものは一体どういうふうに考えられているか、それはどうですか。これは政務次官だな。
  158. 志賀節

    ○志賀説明員 農民の人としてのあるいは労働力というものに対しての理解、認識は、私どもとしては決して物にだけ片寄せて考えているわけではございません。なるほど従来非常に米不足の時代には米の増産に協力をいただきましたし、また米が過剰になってきているときにはむしろ私どもがお願いしておる以上の生産調整にも御協力をいただいておる。そういう農民のありがたい農林行政に対するあり方というものは、私ども十分に理解をしておるつもりでございます。ただ、だからといって、反面財政問題に目をつぶってもこれに対処できない、そういう悩みがあるわけでございまして、私どもは必ずしも農民を金と物だけで割り切って農林行政を進めておるわけではない、このようなことを明言をさせていただきたいのであります。今後もこの気持ち、この考え方で対処する  ことは間違いないわけでございます。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひその言葉を忘れぬようにしてもらいたいと思うのです。金と物だけで割り切らないように、物をつくるのは人間なんだということを考えてもらいたい。人間はよその工業生産品を食べながら、高い光熱費や税金、そういうものを払いながら、本当にやりきれない状態ですよ。そういう農民の心を、心の通った農政をやってもらいたいと思う。総理大臣も岩手県だが、特に東北地方では血の叫びじゃないですか。そういうところの心を通わせるような農政をやってもらいたいんだ。大蔵省とけんかしたっていいじゃないか。大蔵省の方から金は何ぼでもやるから使えとは言いにくいだろうから、それは言えないだろうけれども、ちゃんと説明をすればわからないことはないと思うんだ。的場さんだって、主計官、大丈夫だよ。  さてもう一つ、今度は次元の違った話をしますが、防衛費の問題は枠の外だと番うんだ。三、四人の大臣が集まって、自民党の親分が集まれば、いつの間にか枠の外に決まってしまった。伸びの上に決まってしまった。そしてそのうちの四九%か五〇%は人件費ですよ。そして古い機械をどうだのこうだの言っている。そういうことについては別に陳情もなければデモもない。こんなに農家の皆さんが長い間、全国から集まってきて大会を二回もやって、そこへみんな国会議員が出て約束をしておきながらあのざまだ。ところが防衛費の方はすっと決まっていく。これは国民としては簡単にいかないですよ。戦争の前には軍事費というものは手をつけない聖域として取り扱われたものだ。それがまた最近そういうかっこうになってしまったら、安全保障としての食糧、国の基本的産業としての農業、これに対する取り組み、態度というものはもう少し真剣にやってもらわなければ困るということを、これは私は大蔵省に注文します。農林水産省の方でもこのことについてはぜひ心してもらいたいと思うのですね。これはどうですか。政務次官だな、これは。
  160. 志賀節

    ○志賀説明員 安全保障は万般の面からなされなければならないと思います。したがいまして、防衛費の増強もさることながら、先生御指摘のとおり食糧の確保、自給力の向上は申し上げるまでもございません。そういう面ではなるほど世論が何がしへんぱな状況にあることは私も理解をしないでまございませんが、されまと申しまして、防衛に対する努力は現在のままでよいとは私ども政府あるいは与党は考えておらない立場でございます。もっとこの面も努力をすべきであると考えておりますが、同時に先生御指摘のような農業面での安全保障に努力をするべきことは申し上げるまでもございません。そのための自給力の向上、このような過般の国会の決議とも私は理解をいたしております。  なお余談でございますが、先ほど串原先生から御指摘がございましたお米を海外に対して放出する件でございますが、実は私、一昨年の年末から昨年の第二次大平内閣が発足するまでの間、外務政務次官を務めさせていただきまして、その間、実は政府当初案によりますと、昨年度を初年度としての海外放出のお米の量は二十万トンでございました。これを私は外務政務次官といたしまして、こんな数字では相ならない、政府部内にありまして大変強硬に異を唱えまして、御承知のとおり結果的には九十三万トンにまでいったかと記憶をいたします。このようなことをやりました後、米国国会議員等からの異議のようなことがございまして、先ほどの先生の御質問に結びついたと思いますが、こういう点も、実は先ほど竹内先生御指摘の、農民をやはり農民として心の通う農政をやりたいという気持ちを私は農村県選出の国会議員として絶えず心に置いておるわけでございまして、先生の御趣旨まことによくわかりますので、そのような面からも今後対処してまいりたい、かように考えております。
  161. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 亀岡農林水産大臣は、大臣就任直後に消費者米価の値上げを考えるということを発言をされた。そして間もなくこれを取り消されまして、ところがまた最近ぼつぼつ消費者米価の値上げというようなことを言い出した。生産者米価を二・三%値上げをする。そうすると直ちに消費者米価を値上げをするであろうということはまあ思うにかたくない話だ。消費者米価についてはどうされます。
  162. 小野重和

    小野説明員 本年の消費者米価をどうするかということにつきましては、いま具体的にどうするこうするということを決めておるわけではございません。消費者米価考えます場合にはいろいろな要素がございます。財政問題ももちろんございますし、需給に及ぼす影響もございます。いろいろなファクターがございますが、そういうもろもろの要素を総合的に考えて決めるべきものであるというふうに考えております。
  163. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は農蚕園芸局に対して苦言を呈さなくちゃならない。これは農蚕園芸局だけじゃなくて農林水産省全体ですがね。というのは、この米の減反をするということは、野党各党は対案をもってこれに対して反対をした。これは当時の福田総理大臣に反対をした。私は、将来この問題は問題になると思ったからそのときの全部の記録を議事録に残してありますが、対案を出してわれわれはこれに反対をした。ところが、当初の予想よりもはるかに減反面積を上乗せをした。そして先ほどからも話があるように、現在は五十七万ヘクタールぐらいになっているだろう。一〇七%農家はやったわけだ。これは食管を守るから、食管が壊れるから減反をやらなければならないということで、農家はそれを守ってきた。ところが今度は、減反は言うとおりにやったが、米価の方は生産費所得補償方式ということではなくて、だんだんおかしくなっちゃって、最近は必要量生産費方式とかあるいは地域別質金というようなことになって、ますますおかしくなってきている。こうなってくると、農民の方は財政的に横びんたをたたかれ、減反でまたほっぺたをたたかれて、そこへ持ってきて今度は外国食糧の輸入ということで上から押しつけられる。こういうことにいま日本の農業はなっているんじゃないですかね。そこで、長期計画を立てる場合にも、外国食糧の輸入を漸減するということは考えられないか。  そしてまた減反との関係で、特に先ほど串原さんからもお話があったように、また政務次官からもお話があったように、この米というものを、人間が食うだけの米でなしに、人間の食う食用の米、それから酒をつくるのに、最近はアルコールを添加して、この委員会でもすでに問題になったけれども、米から酒をとるということを考える、岡山の県知事は常にこれを主張している。そうするとかなりの量が使用できる。あるいはライスワイン、さらに先ほど二瓶局長は、えさ用の米をつくれば食用の米にまぜるなんて言ったけれども、こういうことは農政が信頼されてないことになると思う。やはり農政が信頼されていると、農家も、言うことに対して、やることに対して、本当に心が通ずる。農民がごまかすだろうという懐疑心を持ってはいけない。これは官尊民卑の思想としてよくないと思う。そういう考え方は改めてもらいたい。やはりえさ用の米をつくったり、それからアルコールをしぼったり、もちろんこれは価格の関係があります、財政の関係があるが、それくらいのことをしなければ、土地改良をやって米をつくるようにして、土地改良の負担金を取っているでしょう。現在、米をつくるように土地改良をやっておきながら、負担金を取っておきながら、米をつくってはいけないなんということは、これはおかしいですよ、本当に。ここまで来ると、われわれはあの減反の議論のときの状況にも一遍返って議論しなくちゃならない。そういうことでありますから、ぜひこの点についてしっかりした答えをもらいたい。
  164. 二瓶博

    ○二瓶説明員 転作の問題に絡みまして、えさ米の問題なりただいまお話しの米からアルコールをとるとか、いろいろなそういう面での話等があったわけでございます。  問題は、えさ米の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、えさ用に米を向けるということになりますと、ピーターソン方式等で計算をいたしますと三万円ちょっとぐらいにしかならないわけでございます。したがいまして、物財費、肥料とか農薬とか、そのえさ米を生産するために投入いたします物財費を償わない、こういうような低い数字になる、それを進めるというのはどういうことであろうかという感じがするわけでございます。しかし、なおえさ米を認めてくれという強い要請が他面あるわけでございます。そういたしますと、先ほど横流れのおそれがあるということを申し上げたのですが、それは農政が信頼されてないからだ、こういうふうに言われたわけでございます。別に私は、農家の方が非常に悪意を持ってやるという意味ではないと思います。心配だということで申し上げたのですけれども。そうではなしに、やはり九倍も価格差があるということからすれば、そういうことが自然として行われる可能性があり得ると思うのです。そうすればまた米の過剰の問題というのにはね返ってきやせぬか、そういう面をやはり十分詰めないといかぬだろうということを率直に申し上げたわけでございます。そういう面もございまして、やはりえさ米等につきましては、今後の収量の向上とかいう試験研究の問題等はございますけれども、こういうものも転作ですぐ認めていくという問題についてはいろいろ困難な問題があるということを申し上げたわけでございます。
  165. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間がなくなったから終わりますが、後のことは非常に不十分でして、これでいいということにはならないので、やはりこれは研究費をつくってしっかり研究してやってもらわなければいけない。  それから先ほど政務次官が言ったように、外国にも飢えているところがあるんだから、それにもやはり米を出していくぐらいの友好的なということで、米の利用目的というものを多目的に利用していく、それで水田を活用するという方向で十分に研究してもらいたいということを要望して、終わります。
  166. 田邉國男

    田邉委員長 日野市朗君。
  167. 日野市朗

    ○日野委員 きょうは午前からずっと社会党のわが党の議員が三名質疑をしたわけであります。私は社会党としての締めの質疑に入りたいと思うのです。  昨夜からのいきさつ、この米価をめぐってのいろいろないきさつをじっと克明に時を追って考えてみる、またきょうの質疑の内容、これもずっと振り返って考えてみる、そうしまして私、持った一つの感想がございます。  農水省というのは非常に冷たい役所だな、余り人間のにおいがしないなという感じが実はするのであります。一体農水省というのは農民に対する姿勢が、私は本来これは農家を保護していく、この資本主義経済の中でややもすれば劣勢に立ちがちな農家を保護していく、自分の翼の下にこれを抱えて守っていく、これが本当は農水省の役目だと私は思う。そのほかにいろいろ役割りがあることは私もよく知っていて言うのでございますよ。しかし、この米価の一連の動きを見て、そういうところが農林水産省、大きくこのごろ欠けてきたのではないか、こういうのが私の実は感想であります。  いままでこの米穀政策、ずっと跡を追って見てきても、朝令暮改と言ってもいいくらい変わったような感じがいたします。食管法の意味も大きく変わった。あるときは一生懸命生産を奨励し、しかも最近までそういう農水省の姿勢はずっと続いてきたわけです。それから減反をさせ、そして水田利用再編という大きな事業に取り組んで、そして現在まできた。しかも、米価を取り上げてみても、あるときは大きく上げた、そしてあるときはこれを据え置いた。そして今度は、上げたけれども、これは上げたという分には上がらない程度の値上げの諮問案しか出せなかった。  こういう状況を見ますと、私は、これはもう生産農民の生活に対する思いやりというものについて非常に大きく欠けるという点を指摘しなければならない、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  168. 小野重和

    小野説明員 私も農水省の職員の一人でございますのでお答えいたしますが、私ども農民立場考えていないということは、これは全くないわけでございます。そういう立場をもちろん十分に考えなければならない立場にあるわけでございまして、その点はもう十分承知しております。ただ、それだけというわけにはまいらないわけでございまして、たとえば米について申し上げますと、やはり米の需給ということも考えざるを得ないわけであります。また、財政問題ということになりますと、これも一つの重要な問題でございますから、これも考えざるを得ない。総合的に判断して物事を決めていく、こういう態度をとらざるを得ないということであるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  169. 日野市朗

    ○日野委員 恐らくそう答えるだろうなと思って、私、実は先ほどの問いを発したわけでありますが、一つ米価に例をとってみても、これは大体食管法にはまず何と書いてあるかというと、こういうふうに書いてあるのですね。「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」決めるんだ、こういうふうになっているのですよ。まず第一番目に挙がってきているのは生産費及び物価、こういった農民の側の、農民サイドに立った、農民の生活を考える、農業経営を考える、こういった意味合いを込めた文言でございますがね、これが先にきているのです。経済事情というのはその他の中に入っているのですよ。まず主たるものがあって、その他でしょう。  ところが、現在の米価の決め方は、経済事情の中に財政事情が入るにしても、まずその他の方が先にきてしまっている。ここらに倒立したものを私は感ぜざるを得ないのですね。これは逆立ちしているぞ、こういうふうに感ぜざるを得ないのであります。現実に米価の決め方を見てもそうでしょう。まず財政の事情からことしの米価はどういうふうに決めなくちゃいかぬ、まずそれを先に決めるんでしょう。そしてそれからいろいろな理屈をくっつけて、いろいろな数式にいろいろな策定要素を当てはめていく。そうなんじゃないのですか。
  170. 小野重和

    小野説明員 生産費物価その他の経済事情を参酌する、こういうふうに響いてあることはよく承知いたしております。そこで、三十五年以来生産費所得補償方式をとっておるわけでございますが、この基本はあくまでも生産費でありまして、これに物価あるいは賃金、これを考えて、それではじき出す、そういう方式であります。それが基本でございます。ずっと二十年間続けてきておるわけでございます。ただ、その場合に、それを基本としながらも、やはりいろいろな要素を勘案しないわけにはいかないわけでありまして、その勘案する要素がその他の経済事情でありますけれども需給事情、財政事情も含まれるわけでございます。そういうふうに理解しております。
  171. 日野市朗

    ○日野委員 ことし亀岡農林大臣が就任されたころは、米価は上げなければいかぬのだ、こういうことが言われておったわけでありますね。それがだんだん据え置きだというふうに変わってきて、きのうあたりからいろいろ政府の側に対する与野党の圧力が強まる、こういうようなことから今度はまた若干上げ幅をつけようというようなことになった。最初ささやかれていた算定要素としてはどこを変えるのだろうなと、去年の方式算定をするならば必ず値上げしなければいけないはずだ、それを抑えるために一体どこをいじくるかというようなことから、地方労賃、これを取り入れるんだというようなことが言われていて、恐らくそういうことで米価がはじき出されるだろうと思った。ところがけさになってみたら、資本利子のところでいじっているのですね。要するに結論は先に決まっていて、この数式にどういう要素を当てはめていくかというのは、その都度その都度場当たり的に、決まり切った数字に当てはまるような要素をとって計算する、そういうふうになっているのじゃありませんか。現在、コンピューターの時代ですからこんなことは非常に簡単なことです。コンピューターを使うまでもないのかもしれませんが、コンピューターにある要素をインプットすればこれくらいの数が出てくるということはわかり切っている。そうすると、私は、このような数式をあげつらい、それから農家のいろいろな事情、食管法に書いてあるような生産費物価、こういったものを考慮しているんだなんということは最初から言ってもらいたくないですな。もう最初から、こんなものを考慮するまでもなく、ことしの米価は大体どのくらいにするんだということは、政治的に、それから財政事情需給事情、そういったものを通して決まってしまうんだ、こういうことを明言した方がむしろうそをつかないことになるのじゃないですか、いかがです。
  172. 小野重和

    小野説明員 大臣の御発言について私どもがとやかく申し上げる立場にないわけでございますが、これは大臣のお言葉でございますけれども農家経済の状況が非常に厳しいことはわかっておりますし、また需給、財政、そういう事情も非常に厳しいということも当然あるわけでございまして、その辺の非常にむずかしい状況の中で、大臣は苦悩しているというふうに申しておりましたけれども、そういうお気持ちではなかったかというふうに私どももそんくいたしておるわけてございます。  それから、そういう算定要素が恣意的に決められる、あるいは逆算的に決められるというお言葉でございますけれども、この生所方式、いわゆる生産費所得補償方式というのは、本来、言ってみますと、言葉は悪いかもしれませんが、硬直的な性格を持っているものでございます。しかしながら、たとえば需給事情をとりましてもこれはいろいろ変わるわけでございます。それならばそういう算定要素をいじくるのではなくて、何か需給調整係数というようなものもはじいたらどうか、考え出したらどうかという意見も実はあるわけでございまして、こういう問題につきましては、過般、米価審議会におきましても相当論議をされた経緯もございます。しかしそれはなかなかむずかしいということで、やはり従来のような、基本はもちろん生所方式でございますが、算定要素を需給事情によって若干変更していくということもやむを得ないのじゃないか、そういう論議経過もあったことも付言いたしたいと思います。
  173. 日野市朗

    ○日野委員 しつこいようですが、現在の生産費所得補償方式を取り入れていく限りは、やはり物価の上昇率であるとか賃金の上昇率であるとか、そういったものをきちんと読み込まない限りは、大体名前にふさわしいものにはならないでしょう。すでに二年間据え置いてきたのですから、生産費のアップだけを見ても、農林水産省の方でちゃんと試算しているところから見たって五%上昇する、このことだけはもうはっきりしているにもかかわらず、適当な要素を使ってこれを抑え込む。これは農民に対して妙な幻想を与えてしまいますよ。大体このくらい上がらなければならないはずだというのに上がらない。これは農家に対して幻想を与えることにしかならないじゃないですか。期待を裏切ることにしかならないじゃないですか。現実の生産費を補償することにはならないではないですか。毎年こんなにぐらぐら変わられたのでは、生産する側にとってはたまったものじゃない。ここらについてどうお考えですか。
  174. 小野重和

    小野説明員 三十五年に発足して以来いろいろな変遷があるわけでございますが、米の不足時代、三十年代後半なり四十年にかけて不足時代でございまして、外米を輸入しておりまして、もっと国内生産をふやさなければいかぬ、こういう時代があったわけでございます。この際は、同じ生所方式でございますけれども算定要素を高くするように変えてきたというような経緯もございます。反対のことをしたケースもあるわけでございまして、この辺はそういう需給事情も考慮して考えていかなければならぬということでありますし、経緯もそういう経緯でございます。
  175. 日野市朗

    ○日野委員 結局ことしの米価を決めるその決め手になっているものは、財政との関連、それから需給事情、そういったものであろうかと思うのです。ただ、私は、米価が上がらないで困るのは生産者であると思います。実際の生産費所得が償ってもらえない、これは生産者は困ると思いますよ。米の需給がアンバランスになって困るのは農家じゃないですよ。また財政の事情が悪化して困るのも農家じゃないのです。しかもそのアンバランスをつくり出してきたのは、とりもなおさず現在まで続いてきた農政でございましょう。財政のこういった逼迫、財政事情の悪化をつくり出してきたのも国の政治でございましょう。これの間にどういう関係があるのです。この需給のアンバランス、財政事情の悪化、これを農家にしわ寄せする合理的な根拠は何ですか。いかがでしょう。この点については次官にも政治的な観点からのお答えもちょうだいしたいと思いますが、一体どこにどういう理由があって農家にそういう犠牲を強いるのか、すぱっとお答えいただけませんか。私はわからぬのです。
  176. 小野重和

    小野説明員 一般の農産物でございますとフリーマーケットで販売されるわけでございまして、需給によって価格が大きく変動するのが通例でございます。そういう場合であれば需給生産者というのはまさにつながっておるといいますか、別のものとは何ら言えないわけでございます。たまたまといいますか、食管制度で直接統制ということで米は管理されておりますけれども、米といえども一つの商品でございますので、やはり需給事情というもの、そういう要素を無視して食管の運営をするというわけにはいかない、こう思うわけでございます。もちろんほかのいろいろな要素がございますが、そういう観点も入れて算定するという場合に、そういう算定の仕方が農家とは関係ない、あるいは責任ないとおっしゃいますけれども、そういう需給を反映した結果が確かに生産者に及ぶということになるわけでございますけれども、それはやむを得ないことではないかというふうに思うわけであります。
  177. 日野市朗

    ○日野委員 全くわからないですね。米といえども商品だとおっしゃる。これが全くの自由なマーケットシステムに任せられている商品であればわかるかもしれない。しかし、これはそうじゃないでしょう。しかも、米が不足時代には米の生産をしきりと奨励をした。その時代というのはそう古いことではありません。しかも、農業というのはそう急カーブを切ることはできないわけですね。米が余ってきたぞ、じゃあ、水田をつぶして大豆を植えろなんていうわけにはまいりません。水田をつぶして小麦を次の年から植えろなんていう、そんなむちゃなことは、事柄の性質上できないのですね。そうすれば、やっぱり国としては、米が余ってきた、では生産を調整して別の作物をつくらせるにしても、適当なリード期間がなければいけませんね。リードタイムがなければいかぬと思うのです。その閥生産を推し進めてきた側として負担すべきものはあるでしょう。いかがでしょう。それは米価という形で表現されませんか。されるべきではないですか。
  178. 小野重和

    小野説明員 国民の必要とする量以上の米をつくるということはまことに問題のあるところでございまして、そういう意味で転作をいま進めている、こういうことでございますが、その場合でも、米と他の農産物、これの相対価格関係が米に著しく有利であるということになると、これは転作の推進にとって障害になるわけでございます。そういうような関係があるわけでございますから、やはり食管の中にある米の値段といえども、全体の状況を考えて決めませんと問題があるというふうに思うわけであります。
  179. 日野市朗

    ○日野委員 いろいろおっしゃっていますけれども、結局、いろんな算式を立てていろんな計算をしました、こう言っているけれども、いかにもこれが空疎に響くわけですね。本当に、むなしい説明をし、むなしい儀式をしている。米審なんかも、あれは一つのむなしい儀式と言わざるを得ないですね。これは私だけの印象ではないと思う。こういう状況を見ていまして、この米価の問題に重くのしかかってきている財政事情、こういったものについてやっぱり考慮せざるを得ないことは私もよくわかります。考慮もいたしましょう。ただ、それより先に、まず農民の生活を考えろ、生産費の値上がり、物価の値上がり、こういったものを考えろということを私は強く言いたいのです。  それで、まず、財政の問題について若干伺っておきましょう。  非常に大蔵省サイドからの強い要望といいますか、大蔵省からかなりきついことを言われているのだというようなことも仄聞いたします。ことしの米価引き上げることについて、大蔵省との間のやりとり、これはここ数日などということではなくて、もっと長い時間、大蔵省とこの点についてのいろんな話はあったのですか、どうですか。
  180. 小野重和

    小野説明員 財政負担に関連する問題でございますから、当然のことながら財政当局とは相談いたしているわけでございますけれども、ただ、何か大蔵省から言われてどうこうということでは実は財政問題はないのでございまして、これは国の財政全体が厳しいことはよく御案内のとおりでございます。その中で、農林水産関係の予算、これをどうするかという問題も考えなければいけませんし、その中で、一番大きな要素でございます食管財政、これを取り上げましても、これ自体の中で、過剰米の累積に伴う金利、倉敷の増加とか、あるいは金利自体も非常に上がっておりますし、また国内麦も大幅な赤字が出るというような、ただでさえ大変な損失増の要因がある中で生産者米価考えなければいかぬということ、そういう状況にあるということも率直に申し上げまして否定できないわけでございます。
  181. 日野市朗

    ○日野委員 それは、農林予算全体の問題については先ほど竹内委員の方からいろいろ質問をしたわけであります。しかし、ここ数日の本年度の生産者米価をめぐってのやりとりというのは、まさに常軌を逸したほどの動きがあったと私には感じられるわけなんですが、それでもなかなか、据え置きの壁を破るということについては非常に大きな苦労があったようでありますが、それについての大蔵の方からの何か注文があったかどうかというようなことを具体的に伺いたいのです。
  182. 小野重和

    小野説明員 大蔵と農林のやりとりいかんという御質問でございますけれども、それぞれ農林省がこう言ったから大蔵省がこう言ったというような折衝ではありませんで、全体の状況の中でどうするかということで御相談しているわけでございまして、一々のやりとりを申し上げるようなそういう折衝の内容ではございませんので、そういうことで御勘弁いただきたいと思います。
  183. 日野市朗

    ○日野委員 小耳にはさむところによりますと、米価を値上げするようなことになったらもう来年度の農林予算については知らぬよというようなことを大蔵省の方から言ったとか言わないとか、そんなことまで小耳に入ってまいります。いかがでしょう、大蔵省
  184. 的場順三

    ○的場説明員 米価決定というのは大変大事な話でございますし、財政負担を伴う話でございますから、それぞれの職責に応じまして大蔵省農林省と十分相談した事実はございます。ただ、ただいま一番大蔵省が頭を悩ましておりますのは財政再建の問題でございまして、なかなか一般財源を確保することがむずかしいということもあって、できるだけ経費を節減していただきたいというのは大蔵省立場から申し上げております。ただ、来年度予算につきまして全然見ないよとかそんなことは申し上げておりませんので、それは来年度予算の段階で十分に他の諸施策とのバランスあるいは歳入の状況等を考えて真剣に検討して決める問題であろう、これからの問題であろうと考えております。
  185. 日野市朗

    ○日野委員 もう少し立ち入らせていただきますと、上げるのならそっちの責任でやりなさいよ、よそのところからちゃんと転用してそのくらいの財源は押さえておきなさいよぐらいのことは言ったのでしょう。いかがでしょう。
  186. 的場順三

    ○的場説明員 五十五年度の年度途中の話でございますので、新たに財源が要るようになりますとなかなかその財源を見つけてくるのはむずかしいから、農林予算は三兆五千以上ございますので、極力その中で工夫努力をして振り回すようにしていただきたいということを申し上げております。
  187. 日野市朗

    ○日野委員 私非常に違和感を覚えていることが最近ございます。というのは、防衛予算の別枠と、こういうことなんですね。大体食管会計でございますから食管こそ別枠でいいはずなのに、この別枠が全然別枠扱いをしてもらえずにずいぶん大蔵さんからいびられて、本当は別枠でも何でもないはずの防衛予算が別枠だというようなことになってしまう。どうなんですか、防衛予算は別枠でいくのですか。
  188. 的場順三

    ○的場説明員 先ほども竹内先生からそういうお話がございましたけれども、防衛予算のいま問題にされております事柄は、来年度予算のシーリング、つまり予算の枠をどうするかということに伴う一つの問題でございまして、現実の予算がこれで決まったという性格のものではございません。  それから、もう一つ、来年度の予算の要求の枠の限度内を決めるに当たって、防衛費だから別であるというふうにしているわけではございません。ここのところは大変大事なところでございますので、御承知と思いますが、七月二十九日に閣議了解をされました要求の基本的な考え方をちょっと申し上げますと、現在の非常に厳しい財政状況、財源状況等に顧みまして、昭和五十六年度の予算の各省の要求枠につきましては、一般事務費の系統については前年同額の範囲内、それから他の政策経費については七・五%増の枠の中で要求をしていただきたい。ただし、これによりがたい経費もある、その例外として、その七・五%に相当する金額を上回る部分について、各種年金については特別扱いの考え方があり得るというふうなこと、あるいはこの防衛のところで問題になっておりますのを具体的に申し上げますと、なお政府開発援助に必要な経費、石油税財源の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計繰り入れに必要な経費、及び国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の昭和五十六年度歳出化にかかわる経費についても、極力ゼロと七・五の範囲内で要求するように努めていただきたいと考えておりますけれども、これによりがたい部分を生じた場合には、一部限度を超えて要求することもやむを得ないということになっているのでございまして、防衛予算につきましては、この条約上の義務の履行に伴い不可避的に必要とされるものであるという経費の性質に着目してシーリングの例外としたものでございまして、防衛予算を全然別扱いにしているということではございません。  それから、一番最初に申し上げましたように、これはあくまでも五十六年度の予算要求の枠の話でございまして、そういった枠で要求されました経費を、各種それぞれの重要施策を横に並べまして、真剣に検討して、各省とお話し合いをしていって予算を決定するというのはこれからの問題でございます。
  189. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなりますので、その問題にばかり深入りできません。  ちょっと観点を変えますが、先ほどから伺っておりますと、激変緩和措置、これについては予算に計上してあるという手のものではないのだ、こうおっしゃっておりました。恐らくそうでしょう。では去年はどういうところからひねり出したのですか。
  190. 小野重和

    小野説明員 去年は予備費から支出しております。
  191. 日野市朗

    ○日野委員 ことしはその予備費からやはり激変緩和措置として出すことを一応予定したのじゃありませんか。去年の単年度限りの措置というふうにやったことは私も十分に承知していますよ。しかし、あれが決まったころは、単年度だ単年度だとは言いながらも、だれも単年度の措置だというふうに理解した人はいないと思うのですね。これからも何年かは続くと思ったのじゃないですか。ことしもそれを予備費から出すことを一応予定していたのではありませんか。それが今度は出せなくなったのじゃありませんか。いかがですか。
  192. 小野重和

    小野説明員 あくまでも五十四年度限りの措置ということで去年決まったものでございますから、ことしは全くそういうものを予定しておりません。
  193. 日野市朗

    ○日野委員 私先ほどからずっと伺ってまいりましたが、こういうことをやっていると、農家の収入というのは実質的にどんどん落ちていくわけですね。転作生産調整をやらせる、そして麦や大豆の大幅な拡大を図るんだというようなことを先ほどもおっしゃっておりましたね。次長さんお話しになったんだと思いますよ。ただし、私ここで心配するのは、日本でとれる麦や大豆というのはしょせん国際的な競争力という観点から見れば、国際競争力はありません。これは勢い転作奨励金というような形でカバーをしなければいけないわけですね。麦や大豆は一応そういった奨励金をずっとつけるんだという考え方を農水省の幹部も持っておられるようですが、それ以外のものについていまこれの見直しをする、また場合によっては奨励金をカッしようというような動きがあるというふうに私承っておるのですが、いかがでございましょう。そんなことをしたらますます日本の農家の収入というのが激減することは目に見えているわけですが、いかがでございますか。
  194. 二瓶博

    ○二瓶説明員 現在水田利用再編対策を進めておるわけでございますが、その際に転作します麦なり大豆なりの収入というのは当然あるわけでございます。しかし米の所得転作いたしますそういう転作物の所得というのには大きな格差があるわけでございます。したがいまして稲作所得とのバランスをとるという角度で転作奨励金を出しておるわけでございます。そういう姿でやっておるわけでございます。  問題は、この転作奨励金の水準、これは五十三年一月の閣議了解によりまして、水田利用再編対策は期ごとにやることになっております。五十六年度から第二期に入るわけでございます。したがいまして第二期の全体の仕組みをどうするかというようなこと等もいま検討をやっておるわけでございますが、その際に当然この転作奨励補助金、これの水準をどうするかというのも一つの大きな検討対象であることは事実でございます。しかしこれにつきまして、現段階においてこれを据え置くとか上げるとか下げるとか、そういうようなところまで別に結論は出しておりません。引き続いて現在検討をいたしておるところでございます。
  195. 日野市朗

    ○日野委員 一分ほど残っておりますから最後伺いますが、自主流通米助成、これは基本米価決定の後のタイミングだというふうにおっしゃっておりますが、これをいじるつもりがあるのかないのか、ずばり伺いましょう。
  196. 小野重和

    小野説明員 幾つかの要素がありますが、たとえば良質米奨励金がございますが、これのAランクBランクのそれぞれの単価の問題、これはそれぞれに格づけを変更する場合に、いまの格差ですと七百五十円の格差がありまして、これはちょっと格差としては大き過ぎるのではないかというような問題が一つの問題としてあります。ほかにもいろいろございますが、そういうことでこの自主流通助成のあり方につきましては、基本米価の終了後でございますが、見直しを行いたい、こう思っております。
  197. 日野市朗

    ○日野委員 AランクBランク、これはAランクを下げるのかBランクを上げるのかいまのお答えではわかりませんけれども、これは単なる行政措置でやられていたとしても、既得権というものは大事にしなければいけません。もしAランクを下げることでそんなことを解決するというようなことにでもなれば、これはまた第二の米価闘争とでも言うべきものを組織しなければいけない。そこらは十分に配慮をしてやっていただきたい、こういう要望を申し上げて、質問を終わります。
  198. 田邉國男

    田邉委員長 武田一夫君。
  199. 武田一夫

    ○武田委員 午前中に続きまして質問いたします。  まず政務次官にお尋ねしますけれども農家と財界という一つのものがあるわけです。今回の米価は、要するに自民党が大勝利を得た一つの恩賞としまして財界の声も相当聞いているという話です。要するに、その結果、米価を上げる、下げるについては財界のごきげんというか御意見も伺いに行ったということも聞いている。そして、結局のところは防衛予算の、先ほども質問がありましたようなものは何の政府内の異論もなく通っていく。しかしながら、農家が一生懸命こうして連日のようにお願いにやってきているその大変なエネルギーというものはほとんど無視されているのではないか。こういうことを考えますと、われわれここ数日間皆さん方にお会いするたびごとに、農家と財界をはかりにかけてこうした米価というものを考えているようにしか思われない、そういう農民軽視、農家軽視の米価であるということを深刻に反省させなければならない、そういう空気を私はうかがってきたわけであります。そういうようなことでこの米価がこういうふうな形になったのだと私は信じたくないのですが、政務次官はどうですか、米が大事か、ミサイルが大事か、端的に答えてほしいと思うのです。
  200. 志賀節

    ○志賀説明員 農家と財界と、二通り分けてどちらを尊重し、どちらにウエートを置くかという御質問でございますが、私ども政府あるいは与党の立場といたしまして申し上げますと、どちらにウエートを置いているということは全くないわけでございます。私ども国民すべてに配慮をしてまいらなければならない、こういう立場でございますので、どちらの意見を尊重し、ウエートを置いた、こういうことはないと御理解をいただきたいと存じます。  なお、この機会に申し上げさせていただきますと、よく海外に工業製品を売る、そういうことの見返りとして日本は農産物の輸入をしなければならない。結局、工業生産の犠牲に農民が供されているのだというような御議論もございます。しかし、私自身みずからの選挙区で農家方々とお話をする際にも申し上げてきておるのでございますが、工業生産に従事しているそういう者からの国庫への収入が農業の保護育成にもつながっているということにかんがみて、どうか農業と工業との間に三十八度線を引くような発想はとらないでいただきたい。私どもは常に同じ日本人としてやってまいりたいのだ、こういう立場でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  201. 武田一夫

    ○武田委員 米価のときにいつも政府が口を開いて値上げに対する困難な訴えをすることは、過剰の問題であります。それから財政難の問題。大体この二つが話題に上がってくるわけです。しかしながら、たとえば米の過剰一つとりましても、御承知のとおり、毎年大変な中で生産調整協力をしてきていまして、五十三、五十四年はもう一一二%ないし一二一%でしたか、目標を上回る大変な努力をしているのになおかつ過剰である。だから、そういう中で米の値段を上げるわけにいかないということは、何か過剰というものを農家みずからがつくっているというような責任の転嫁になりかねない。私はこの点がまず第一番問題だと思うのです。  これはこのままでいきますと、この論理というのは毎年米価の値上げに歯どめをかけようとする要素として上がってくるわけであります。しかしながら、こうした過剰というのはやはり政府自身の需給見通しの甘さというものをはっきりさせているわけでありますから、それを農家に転嫁するというようなことは、まずもって農民の生活権の侵害であるし、まことに農家に対する侮辱であると私は思うのですが、こういうようなことを値上げを渋る理由の中に入れるということはとんでもないと思うのです。  またもう一つ財政難の問題を取り上げてくるわけでありますけれども、食管赤字というものは、国家の安全保障ということがよく問題にされますけれども、やはりこれは必要上の経費と見なければならないのじゃないか。たとえば今後の食糧を安定的に確保する、主食の安定確保というような問題は、全国民的な課題として、当然の経費と見るべきではないかと私は考えるのであります。その観点からも、この問題を米価の価上げということを妨げる一つ要因として取り上げてくることは問題である。  しかも最近、国の財政負担の中において、国の総予算に占める一般会計からの食管特別会計への繰り入れ額の比率を見ますと、昭和四十四年の五・一%をピークにいたしまして、その後年々低下しているわけです。昨年などは当初予算で一・七%ですか、本年度の予算においても一・五%と落ち込んでいるということは、稲作農家がそういう財政負担の面の軽減にも相当協力していると見なければならない。しかるに出てきたものは全く実質据え置きと変わらないような状況である。農家はどこに自分たちの生存権としての頼りを求めたらいいのか。私はこれは大変な問題だと思うのです。今後これは毎年のように出てくるわけでありますから、この点に対する明確なる御答弁、農家の皆さん方が納得いくような回答が欲しいと思うのですが、どうでございますか。
  202. 小野重和

    小野説明員 まず過剰の問題でございますが、なぜ過剰米が累積したのか、農家に責任はないじゃないか、こういう御質問でございますが、私ども過剰米がたまったということが農家の責任であるとは申したことはないわけでございます。じゃ政府の責任か、こういう御議論もあろうかと思いますが、生産面でとってみますと、ともかくここ数年のところ作況が一〇〇を超える豊作が続いておりまして、これが大きな原因になっておるというようなことでございまして、これは政府の責任ということにはならないのじゃないかというふうにも思うわけであります。  いずれにしましても、このような過剰問題でございますが、今後三たび過剰を出さないということが必要であることは言うまでもないところでありまして、そういうことでこれからも需給計画の見直しなりあるいは転作の推進をしなければいけませんけれども、その場合でも稲作と転作作物との相対価格といいますか相対収益、そういう問題は転作の推進上非常に重要な問題でございますので、そういう点も考えざるを得ないのじゃないか、こう思うわけであります。  それから財政問題でありますが、食管制度は国民食糧の確保を目的とする、これは第一条に書いてあるとおりでございます。そういう意味で食糧の安全保障と食管制度というものは密接な関係があると思いますけれども、食管赤字自体は安全保障とは必ずしも直接関係がない問題じゃないか、こう思うわけであります。別個の問題だろう、こう思うのであります。  それから、食管赤字は年々一般会計なり農林水産関係の全体の予算の中に占めるシェアが低下しているではないか、にもかかわらずなぜ財政問題を米価算定一つのしんしゃく事項にするのか、こういうお尋ねでございますが、確かに食管赤字のシェアは低下しておりますが、額は、いわゆる食糧管理費で言いますと、ほぼここのところ数年変わっておりません。しかし、シェアが低下しているその分というのは、これは農林水産省のほかの予算、土地基盤整備あるいはそのほかの一般農政費の方に回っておるわけでありまして、これは政策判断の問題にもなろうかと思いますけれども、やはり私どもは、土地基盤整備そのほかの農政費というものもきわめて大事なものでございますから、そういうものを削減せざるを得ないような状態に食管赤字がどんどんふえていくというようなことは避けるべきじゃないかと思うわけであります。
  203. 武田一夫

    ○武田委員 供給の過剰、いわゆる米の過剰という問題をちょっと聞きますけれども、今後また生産調整をするわけですね。七十六万ヘクタール、八十万ヘクタールというのですが、これからやってどんどん協力しますね。ことしも非常に協力しております。ほとんど目標にいっているんじゃないかと思いますけれども、それでなおかつまた余っていくと、いつのときにこれがバランスがとれるかという、その見通しは全くないと思うのですよ。となれば、私はこれから、生産調整協力した、それでもなおかつ余ったものは政府が全部買っていただくしかないのではないかと思うのです。そうでないと、農家としましてはこれはえらい減収でございますから、いかに転作奨励金をつけてほかの転作作物をつくれなどと言ったって、いま見合うものというのはもうほとんどないこともはっきりしておるわけですから、こういうことをここで約束すべきではないですか。これからは過剰になったとしても、きちっと生産調整をやって、そしてその目標を突破した場合には、あるいは目標にいった場合には、全部政府はその米は買い上げますというくらいのことをやらないと困るのじゃないですか。それでなくても稲作農家というのは、特に東北を中心とした北陸などの十県、ああいう米作地帯というのは米への依存度というのは大変大きいわけですし、またおいしい優秀な米を提供しているようなところほどこうした事態は深刻でありますから、この点を考えていただかなければならないと思うのですが、どうでございますか。
  204. 小野重和

    小野説明員 生産過剰になりますと、それはすべて結果は政府在庫にはね返る、こういうことでございますので、三たび生産過剰にならないことにするのが第一だと思っておりますが、仮に転作目標を達成してもなおかつ過剰になる、いわゆるこれは限度超過米の問題だと思いますが、これにつきましては、過剰米が出るようなそういう需給事情のもとで、これを政府がなおかつ買い入れるということは適当ではないのではないか、こう思っておるわけでありまして、しかし、これは売り先はきちっとしなければいけませんから、そういう意味で、自主流通ルートでこれは販売していただくということを従来もやっておるわけでありまして、今後仮にそういう余り米が出れば、同じような方法で販売していただくということになろうかと思うわけであります。
  205. 武田一夫

    ○武田委員 大蔵省が来ておりますので大蔵省にお尋ねしますが、先ほどから問題になっているように防衛予算の問題ですけれども、非常に窮屈な台所であるということはわれわれも理解しているわけですね。ですが、そういう中で、一般の要求に非常に厳しいけれども、防衛予算には非常に寛大であった。しかも、何か新聞によりますと、大蔵大臣は、大臣になって非常に気をよくしているんでしょう、もし追加要求があれば御相談に応じますと、非常に気前がいいわけですね。このくらいのことをやはり農林省の方の予算の場合にもお願いしたいと私は思うのです。非常に気前がいいですね。追加要求も御相談に応じます、こう言ったそうでありますが、どうなんですか。  農林省はいま非常に大変ですね、答弁を聞いていても。防衛というのを考えるときは、内政の問題あるいは外交の問題いろいろありますけれども、内に強くなくてはいけないわけですから、やはり食べ物も食べないで飛行機を飛ばすとかミサイルとかはとてもできっこない。恐らく大蔵省は飯を食わないというわけじゃないでしょう。一番お世話になっているでしょう。考えてみますと、そういう農民を逆なでするような話がちらちら出てくるなんということ自体に、しかもこれを米価の一番の大変なときに新聞の上に出すなんということは、皆さん方の鈴木内閣、そして大蔵省を含めた政府の姿勢を暴露したんだと私は思うのでありますが、どうなんですか。この際、追加要求を農林省からもお受けしますからというようなことをちょっと言えないものですか。そして、お役人さんというのはやはり大臣をそういうことできちっと首の根っこを押さえているのではないかと私は思うのですよ。ですから、私はここでお願いしたいのですが、一兆円くらいの一ここで二兆四千億くらいの要求をすんなり合意したとありますから、やはり食管赤字の六千五百億くらいなんかは当然の経費として認める、一兆円までは任せてくださいというくらい言ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  206. 的場順三

    ○的場説明員 大臣がどういう御発言になったかということは、私も直接大臣から伺っておりませんので、どういうことを先生がおっしゃっているのか必ずしも明らかでございませんが、ただ、防衛庁長官とうちの大臣が会われました際に防衛庁長官から、今後情勢の変化により追加要求の必要が生じた場合は相談に乗っていただきたいとの御要望があったということのようでございます。それは、そのときはそのときでまた相談しましょうというふうに答えられたというふうに聞いておりますので、追加要求をしてよろしいとかあるいはそういう話が具体化するということではないと思っております。  それから、先ほども日野先生の御質問にお答えいたしましたとおり、その防衛庁の関係の話は、シーリング、つまり来年度予算要求の話でございます。来年度予算要求の話は、一つの原則を決めまして、その原則によりがたいものについては例外的な措置を講ずるということでございまして、防衛費について全面的に枠外とするというふうな話ではございません。したがいまして、来年度予算の要求につきましては、農林省に、農林関係予算につきましても、その原則の枠の中、あるいは例外に当たるものについては例外を取り込んでいただきまして御要求いただくということでございます。
  207. 武田一夫

    ○武田委員 ですから、この食管赤字というものを大蔵省としては正常な経費として、国民の生命を守るという、大事な食糧をつくるという観点から、当然の経費の中で認めるくらいの、そういう気持ちで大臣をひとつ説得して、農林省を喜ばしてもらいたいと思うのです。そうでないと、もう農家の皆さん方は、ここ数日会っていまして、特にきのうきょう、われわれの生活を守ることよりもほかの国の攻めてくることに気を使うということ、これは主客転倒ではないか、こういう大変な憤りがあるわけですよ。そのくらいの金があったら半分くらいこっちへ回せと、これは私は当然だと思うのです。いまどこから攻めてくるんだ、そう言うと、今度は、では食糧が危機になるというのはいつなんだ、こういうふうに言ってくる。同じだと思うのです、いまどこから敵が攻めてくるんだと言うのと。食糧が大変な危機になると言うと、そうすると農林省大蔵省も、いや、そんな心配は要りませんよ、いつがそのころですかなどと、こういうふうに平然とした答えが返ってくると思うのです。いついかなるときなるかわからないからこそ、そのために必要なものとして確保しておくのが国家の安全保障というか、そういう問題の一つの基礎だと思うわけでありますから、そのことは答弁を求めませんけれども、またそのうちやろうと思っているのですが、大臣に言っておいてください。  それから、農林省農家の生活をどのように見ているか。ここ二年据え置きをやって、諸物価の高騰いろいろあるわけでありますが、稲作農家がどのような窮状にあるのか、これをしっかとつかんでいるのかどうかということが私は問題だと思うのです。けさほども私は大臣には話したのですが、二十日間もあちこち農家の皆さん方の様子を伺ってきた、話を聞いてきたというのでありますが、それにしてはまことに今回の二・三%などというのは、何のことない、そういう稲作農家にとってはありがたみが一つもないと思うのです。かえってこれによって、生産調整にもっと協力してほしい、われわれは一生懸命据え置きを打破して大変の中で上げたのだからなどと言われたら、計算してごらんなさい、二・三%上げて十アール当たりどのくらい上がるのか。今度は十アールのたんぼを生産調整しろと言われたらどのくらいのマイナスになるのか計算してみなさい。これを一つとっただけでも、たとえば八俵としましても二、三万くらいはそれだけでマイナス要因です。  まして五十四年度農村物価指数によると、農家が販売する農産物価格指数は前年度に比べて四・一%の上昇に対し、農家の購入品価格指数は総合で五・四%、生産資材だけでは五・八%の上昇である。あるいはまた生活資材面でも家計光熱の一二・八%とか、住宅建材の一〇・四%の上昇等々、総体的に五・三%の上昇であるとかいう一つのデータが出されているわけでありますが、そういうものを総合的に考えて、果たしてこれで農家が生活をきちっとやっていって、しかも意欲を持って今後の農業に励めるものであるかを、数字の面だけでもいいですから、このくらいになります、このくらいだったら間違いなく農家も安心してやれるものですよというものを、もしあるなら私は出して示してほしいと思うのです。どうですか。
  208. 小野重和

    小野説明員 最近の農家経済の状況につきましては、私どももよく承知しておるつもりでおります。農家と勤労者を比べてみますと、農家所得は、五十四年度の場合でございますが、前年度に対して四・二%ふえておりますが、勤労者世帯はそれより約二%多い六・二%ふえているという数字も承知しております。その伸び率に差があることも承知しておりますし、一方では、それでは全体のレベルはお互いにどうなっているかということでございますが、五十四年度で見ますと、農家と勤労者のそれぞれの世帯を比べてみますと、農家と言ってもいろいろな農家があるわけでございますが、全体の平均で申し上げますと、勤労者よりも逆に、一人当たりの可処分所得をとりますと、一二%まだ農家の方が高いという数字も一方にはあるわけでございます。そういうもろもろの農家経済の状況はよく承知しておりますが、その中で、その上に立って一方では、これは食管法の規定に従って算定するわけでございますから、生産費物価その他の経済事情を参酌して総合的に判断して今回の諮問を決めた、こういうことでございます。
  209. 武田一夫

    ○武田委員 それは農外収入というものが相当ウエートを占めているわけではないですか。専業農家とか一種兼業農家を中心に考えてみてもらえますか。そうすれば、そんなのは私はとんでもないものだと思うのですよ。ですから稲作中心の、たとえば東北、秋田とか宮城、山形あるいは北陸等々の十県がありますが、米の依存度というのは、粗収入に占める収益が六〇%くらいですか、そういうような地域、そういうところを丹念に計算なさったらどうですか。そうすれば、いま言ったようなことはまことに外れているということがわかるのではないですか。そういうのがなくて、農外収入に大変農家が依存しているということも含めてやるということは私は問題だと思うのですが、そういう点はどうですか。
  210. 小野重和

    小野説明員 稲作への依存の割合でございますが、これは規模が大きくなればなるほど大きくなるということは当然でございますが、たとえば二ヘクタール以上の層では七、八割というような数字になっておりまして、いま御質問になりましたようなたとえば東北の農家のような例でございます。一方ではそういう規模別に生産性の状況、端的に言えば生産費の状況を見ますると、規模が大きくなればなるほど生産費は安くなる、生産性は高くなるわけでございまして、そういうことで、作付規模の大きい農家は、その生産費米価相当に下回っておるわけでございまして、そういう規模別の問題ということもやはり考慮に入れてもいいのではないかというふうに思うわけであります。
  211. 武田一夫

    ○武田委員 どうも農家の生活感情というか、生活実態というものを十分踏まえての米価に一生懸命取り組む姿勢が私には見られないのが残念です。これは何度も問題になったわけでありますが、算定方式の問題一つにしましても、上昇要因あるいはマイナス要因等々判断しても四ないし五%でしょう、五・三%だと言う人もおりますけれども。ですから、常識的に言ってもそういうものは出てくるわけでありますから、農家方々にとりましては、今回の二・三%は全くありがたみも何もなければ、農家軽視の中で、ただ据え置きなどやるとまずいのではないか、そういう判断だけでなされたということは私は非常に残念でございます。  そういう意味で、今後の農業というものを真剣に活力あるものにしようという意欲が見られない。ですから、総理大臣が東北で農水大臣の経験者でもあって、また亀岡大臣は私の隣りの県です。志賀さんは岩手県、こういうスタッフがそろっていてこういう状況であるということは、今後もしこういうスタッフでなかったらいいものか、かえってそうであったためにこうなったのか、非常に深刻ですよ。これは農家の皆さん方も相当期待したと思うのですよ。われわれの東北から大臣が出た。しかも総理大臣が出て、一番のポイントになる農林大臣がこうだし、まして政務次官もそうだったという三本の柱があってこういうざまだったらどうするんだ、私はこういう率直な農家の心情というのはばかにしてはいけないと思うのです。その点はひとつ心の中にとどめておいてほしい、こう思います。  時間でありますので最後に、今後もうまい米はたくさんつくるように奨励はするわけですね。消費拡大において宮城のササニシキや庄内米等は、東京に来れば、私も聞いてみますと大変に好評でございまして、われわれがたまに持っていって差し上げますと、これがうまいので非常にいい、こういうのが東京で食えれば、議員食堂なんかでも食えれば非常にいいことだと私はいつも言われるわけでありますから、その奨励をしていく、保護をしていくと思うのでありますが、しかしながら、反面何かうまくない米がまた自主流通の中のルートに乗ってくるというような考えがあるとか、これに対する奨励金にどうも手がかけられるということになりますと、一生懸命努力して苦労しながら今日までおいしい米をつくってきた農家というものが、また大変な不安と心配の中で生活しなくてはならないと思うわけでして、先ほどやはり同じ県の社会党の日野議員からもお話がありました問題でありますが、私は確認しておきたいのです。こういううまい米については今後もさらに奨励して保護していく、その点は変わらないという一点、この点ひとつお答え願いまして私の質問を終わらしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  212. 小野重和

    小野説明員 基本的に言いまして、やはりおいしい米は消費者はよけいに食べるわけでありますから、消費拡大という意味からも良質米供給をもっとふやしていくということは基本的に必要であると思っております。  ただ、一言申し上げておきたいのですが、最近、超Aランクと言っておりますけれども、ササ、コシが極端に伸び過ぎまして、そのために一部値下げ販売をしなければならぬ、こういう事態が起こっておるわけであります。したがいまして、これをふやしていくという方向はそのとおりだと思いますけれども、余り急にふえますとこれまたいろいろ流通に混乱が起こるというような問題も現にあるわけでございます。しかし、準本的な方向として良質米生産をふやしていくという方向は、まさにそういうことだろうと思っております。
  213. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、終わります。
  214. 田邉國男

    田邉委員長 近藤豊君。
  215. 近藤豊

    近藤(豊)委員 これまでずっときょうは米価の上げ幅の問題等が議論されておるわけですが、政府考え方の根底に、先般の農業白書で都市生活者と農業に従事する人たちの生計費あるいは所得格差の問題が出ておりました。これは一昨年から比べれば昨年は格差が開いてきておる、一〇%から一二%に開いてきておるということが出ておりましたけれども、今回の米価の策定に当たっては、恐らく大蔵省考えの中にも農林省の中にも、このように農村の生活者の方が所得水準がいまのところよいのだから足踏みさしてもいいのだという考えがあるのではないかと推測いたしますけれども、この点、まず農林担当の主計官、大蔵省はいかが考えられておりますか。
  216. 小野重和

    小野説明員 まず私が御答弁を申し上げたいと思いますが、確かに農家経済の状況について見ますると、勤労者世帯に比べて最近の伸び率が低いということは事実でありますが、全体のレベルから見ますとまだ高いという事実、これは事実でございますので、そういうことを頭に入れてはあるわけでありますが、それだけの問題ではございませんで、これは生産費物価あるいはその他の経済事情需給事情、財政事情と、総合的に判断して今回の政府諮問を決めた、こういうことでございます。
  217. 的場順三

    ○的場説明員 生産者米価決定当たりまして、農家の経済事情等を十分に参酌されて食糧庁からお話がございまして、大蔵省大蔵省立場を十分踏まえまして、財政状況等を考えて、それぞれの職責に応じて御相談をし、今回の諮問案を決めたわけでございます。
  218. 近藤豊

    近藤(豊)委員 もちろんそういうお答えにはなるのでしょうけれども、しかし実際に査定をされる場合、あるいは農林省の方で今後の農林予算全体の伸び等についての規模を考えられる場合、最初はこれはゼロだったわけですから、それがきのうになって二・三%に上がったわけですが、まだ足踏みさせておいても大丈夫なんだ、むしろ旗は立ちやしないのだ、ということは、結局いまの農業で兼業農家を含めた農業者と都市生活者、勤労生活者の間の所得格差ということが大きな原因ではないのですか。どうもそこを迂回しておられるようですけれども、もう一度。
  219. 小野重和

    小野説明員 若干歴史をさかのぼらせていただきたいのでありますが、たとえば三十五年に生所方式がスタートして、その後算定要素の問題を申し上げますと、先ほども私申し上げたのでありますが、需給事情、米が非常に不足の時代には算定要素をむしろ高くするようにした、こういうふうに申し上げましたが、そのほかにも、たとえば農家経済をとらえましても、三十五年をとりますと農家世帯と勤労者世帯、これは農家世帯が相当に低うございまして、一人当たりの可処分所得をとらえますと六八%、七割ぐらいで、三割ぐらい低かったわけでございます。それが四十五年には大体九割ぐらい、まだ低いのでありますが、現在では一〇%強高いということで、三十年代後半は、需給事情もありますが、こういう農家経済の状況というものも考慮に入れていたということは、これは若干昔の話でありますが、そういうような経緯はあるわけであります。したがいまして、今回の政府諮問、これは総合的な判断ということになりますけれども農家経済のいま申し上げたようなごく最近の状況につきましても考慮に入れて、ほかのいろいろな要素等も考え合わせて総合的に判断した結果である、こう申し上げておる次第でございます。
  220. 近藤豊

    近藤(豊)委員 恐らく同じようなお答えが主計官からも返るのでしょうから、これはまた後ほど触れていただくとして、私は実は幾つかの安全保障、特に食糧、エネルギー、軍事なんでしょうが、特に食糧の問題を考える場合は、長期的に見てやはりわが国が飢えることのないようにする必要があると思うわけです。その場合に農家のインセンティブというものは非常に市大だと思うわけですが、いまの次長の御答弁ですと、やはり所得が都市に比べて少なかったときにはこれは大いに引き上げるように努力された。したがって、現在逆に一二%高いわけだから、これは足踏みしてもいいということに恐らくなるのだろうと思うのです。ただ、おっしゃりにくいからそうおっしゃってないのだと思うのです。  もう一つは、今回国会で食糧自給率の確保についての決議を行いました。これは恐らくどなたも反対されていない決議なわけですけれども、この食糧自給率を確保する場合にどうしても避けて通れない問題が、専業農家にどうやってこれから大いにインセンティブを与えて、一生懸命生産性の高い農業にいそしんでもらうかということだと思うのです。この場合に、米価決定に際しては専業農家という問題あるいは二種兼農家との間の関係は一切考えに入れないで一応目をつむっておやりになっているわけですか。その点何か特別に配慮しておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  221. 小野重和

    小野説明員 確かにおっしゃいますように、これから専業農家といいますか、一種兼業農家の中にもあると思いますが、中核農家を育成するというのは農業政策の一つの大きな柱であります。そういう意味で、そのためには二種兼農家、いわば日曜に稲作をやる、そういう農家が多いわけでありますが、そういう農家の農地を中核農家に移していくという、いわゆる経営規模拡大、構造政策が非常に重要であることは私ども十分に認識しておるわけでございます。ただ、米価でそういう農家種類別に差をつけるということは、これは米も商品でございますから、その商品の価格でございますので、これはなかなかむずかしい、こういうふうに思っておるわけであります。
  222. 近藤豊

    近藤(豊)委員 次に、過剰米の処理対策についてお伺いいたします。  結局、現在の食管赤字の中の大きな部分が過剰米を抱えているから経費がかかるわけでして、過剰米がなくなれば当然そういう経費はどんどんなくなるわけですから、それを目的として努力をしておられると思います。  まず第一に、米の海外への処理について、これはいままで主に輸出をしておられる場合が多い。無償援助で行われる場合はKRとか非常に限られたものでしかないと思うのです。最近でもアフリカの方では相当の干ばつであって、そこからかなりの食糧援助の要請が来ておるはずです。その中で決定したことは、タンザニアとかモザンビークなどに対して例の延べ払いの供与を決定しておられる。いわゆる無償援助という点ではどうもなかなか積極的でいらっしゃらないようです。  ただ、前の国会のときに、前大臣は無償援助の適格な国がないからやれない面があるとおっしゃいましたけれども、今回は相当アフリカでは干ばつが激しい。またアフガニスタンでは御承知のとおりの状況である。海外における無償援助で米を欲しいという二ーズは潜在的なものも入れると相当なものがあると思うのです。したがって、適格者はたくさんあらわれてくるわけで、その場合にもちろん青天井とはいかないでしょうけれども、同じ食管会計の経費の中でこれを管理費に入れるとか、あるいは水田再編対策費に使うとかいうその金を使って無償援助の方へ振り向けていけば、かなりのことはできるはずなんで、ポケットが違うという議論は各省間では通用しますが、国全体ではこれは考えなくてもいいわけですから、これはそういう点で大いに推進し得るいい過剰米処理の方法であり、ある意味では将来に、日本が食糧安全保障にとっての保険を掛ける、あるいは海外での評判が芳しくない日本が、特に援助ではけちけちの日本が、そういう面での評価を変えさせる一つの大きないい手段だと思うわけですけれども、この点、今後は適格者があらわれれば、どんどん推進していかれると考えてよろしいですか。
  223. 小野重和

    小野説明員 これはもう御案内のことと存じますけれども、現在米は食管特別会計でございますけれども、これを輸出するわけでありますが、輸出する場合は国際価格で売るということにいたしておりまして、そのコストと国際価格との差は食管赤字の因になる、こういうことになっておるわけであります。無償援助の場合には、それを国際価格分まで見る、こういうことになりますので、これを食着会計で見るかどうか、こういうことに問題は帰着するかと思いますが、そういうことでありますと、やはりあくまでも援助でございますので、これは食管会計といいますか食管制度といいますか、その枠外の問題でありまして、援助ということになりますとこれは現在でも外務省の予算で計上しておるわけでありますけれども、やはり扱いは外務省の予算で計上する、こういう扱いを今後とも続けることになろうか、こう思うわけであります。
  224. 近藤豊

    近藤(豊)委員 外務省の援助予算は、これはもう非常にふところが浅いわけで、毎年援助予算をどんどんふやしておられるようですけれども、やはり国全体の立場から見れば、一つの食管会計の赤字に使う予算、そして援助に使う予算、いずれも金が要ることは同じなんで、この点については大蔵省にお伺いいたします。大蔵省立場からはこの点どうお考えになりますか。もちろん、外務省の予算枠あるいは要求枠が、無償援助についてシーリングを外したりする技術的な問題が出てくると思いますけれども、この点いかがですか。
  225. 的場順三

    ○的場説明員 過剰米の処分の一つとしてできるだけ輸出をするという話はお説のとおりでありまして、従来から輸出をしております。その輸出に当たりましては、やはり食糧管理法の規定あるいは輸出の延べ払いに関する法律等の規定に基づきまして行っているわけでございまして、現在の仕組みでは食管自体が無償援助を行うということは、これは法律上無理ではないかと思っております。ただ、無償援助の予算をどうするか、あるいはその無償援助の中で、相手国等の要請を踏まえて、そういう要請があれば前向きに対処していくということは可能でございますので、その範囲内で十分に対処していきたいと考えております。
  226. 近藤豊

    近藤(豊)委員 その範囲内でというのは予算の枠の範囲内ということですか、それとも、枠の問題についても弾力的に考えながら、需要があればこれにはできるだけ応じていくということですか、どっちですか。
  227. 的場順三

    ○的場説明員 予算も一つの枠でございますから、制約でございますから、現行制度のすべての範囲内ということに相なるかと思います。ただKR援助で米の無償援助というのを行っておりますのは必ずしも多くございませんので、今後相手国の要請も必要かと思いますけれども、相手国がそういうものを望まないということになりますればこれはできませんけれども、その範囲内で行っていくということであろうと思います。その無償援助の予算を来年度以降どうするかという話につきましては、これはほかのもろもろの歳出とのバランスで考慮していくべき話であろうと思っております。
  228. 近藤豊

    近藤(豊)委員 恐らく今後、特に現在アメリカで熱風の被害が多い、今度のアメリカの穀物生産相当ダウンする可能性があると思うのです、現状が続けば。そうした場合には世界じゅうに食糧は需給関係がタイトになり得るわけで、こうしたことは、われわれ数年見ておりましても非常に気候が全世界的に不順なわけですから、今後とも気候の急変によって食糧需給関係が急にタイトになることは十分あるわけです。そうしますと、現在はほとんど日本の米なんか要らないという連中が、やはり腹が減ってくれば食べたくなるわけで、援助を欲しいということはかなり予想されるわけですけれども、そういう事態に備えて、かつ食管会計の赤字をできるだけ速やかに解消していくという点から、食管法の枠を取っ外したらどうかと思うわけです。食管法の規定を改正する。もちろん食管法に一回手をつけたら大変だということもあるでしょうが、そのことだけに限ってやることもできるわけですし、現在の国会の状況からいけば当然大蔵省農林省が力を合わせれば、われわれも大いに応援しますから、法改正で無償援助をどんどんやれるようになさったらどうか。またそれをすべきだという気がしますが、政務次官どうでしょう。
  229. 小野重和

    小野説明員 法改正という大変重要な御意見でございますけれども、そういう制度論もさることながら、財政問題をとらえましても、いまたとえば国際価格はトン十万円になっておりますけれども、これを無償援助するということになるとトン十万円かかるわけでございまして、十万トン出しますと百億ということでございまして、これまた食管財政にとっても容易ならざることでございます。そのほか制度問題ももちろんあるわけでございますが、もろもろの事情から考えまして食管で無償援助というのはいかがか、こう思うわけであります。
  230. 近藤豊

    近藤(豊)委員 十万円が大変だということ、確かに十万円、大変なお金ですけれども金利と保管料だけお考えになっても相当の金額になるはずですね。ですから、置いておけば置いておくほどお金がかかるわけですから、恐らく金利と保管料だけでも三万七千円から四万円近いお金でしょう。したがって、十万円まるまる損するわけじゃなくて、金利と保管料以外にも置いておけばかかる金があるはずですから、せいぜい半分だろうと思うのです。したがって、それは十万円が大変だ、百億が大変だということにはストレートにならないだろうと思うのです。いかがですか、次長
  231. 小野重和

    小野説明員 金利、倉敷はトン二万円、これは動きますけれども、約二万円ぐらいであります。ほっておいてもお金がかかるんではないかということでございますが、援助ということを別に考えなくても、ともかく過剰米は余り長く置いてはお金がかかるばかりでございますから、なるべく早く処理した方がいいことは間違いないわけであります。  そう言いましても、全部一年というわけにもいきませんので、御案内かと思いますが、五十四年から五カ年で処理するということにいたしておるわけであります。これは輸出用だけではございませんで、日本人が食べるのがまず先でございますので、いわゆる加工用、みそ、せんべい、しょうちゅう、これをまず第一に考え、それから輸出用、最後に残るのはえさ用でございます。せっかくつくった米をえさ用というのはいかがかということがありますけれども、ほっておけば金利、倉敷がかかりますから、そういうようなことで、いま早急に処理しようと思っておりますけれども、ともかく十万円かかるという、保管料は二万円という点もこれ考慮せざるを得ない。食管の性格論ということも、当然これは制度論でございますからまず第一に考えなければいけませんが、もろもろの点から考えまして、食管で無償援助というのはいかがなものだろうか、こう思うわけであります。
  232. 近藤豊

    近藤(豊)委員 保管料や金利の問題は、これは余り細かい問題ですからいいですけれども、やはり米は置いておけば財産として、金券として残るわけじゃなくて、どんどん減価していくわけなんです。いまおっしゃったみそ、しょうゆや、あるいは菓子用に使われるということですけれども、これでもずいぶん売り渡し価格が問題になるわけで、すでにクレームがあることも、頭の痛い問題があると思います。業界にもクレームがあるわけですね。ですから、置いておけば古くなる、しかも古くなった米ほど喜ばれる面があるわけですから、そういうものは、やはり飢え死にしている人たちが世界にあるわけなんで、そういう人たちにどんどん日本が提供することによって——有償ではありがたがられない、無償だからありがたがられる、今後はぜひ真っ正面から少し取り組んでいただきたいと思う、これは要望しておきます。  それから、第二番目の過剰米消費について、酒米の問題です。酒造用の米のことです。  これは現在の酒税法の三条にかかわる政令だと思うのですけれども昭和十七年か十八年のわれわれ米がなくて困っていた時代にできた政令が、三〇%までアルコールを使っても清酒とすることになっております。このもう全ぐ時代おくれの政令をなぜいま生かしておかなければいけないのか。これはもうそろそろおやめになって、廃止して、そして同じように食管で損をしているわけですから、酒米を安く売るなり、あるいは税金の方を、酒税の方をまけるなりして、実際の需要がいまの水準でわれわれ日本酒が飲めるようにすることも大きな需要促進の一つだと思うのです。現在、清酒を全部米を使ってつくれということになれば、恐らく五十万トンぐらい米が要るはずなんで、そのうちの半分でも使えれば二十五万トン、これはかなりのことのはずです。それが、いままで何回も議論に上がっていながら、どうしてか納得のいく説明がない。なぜできないか、嗜好が違っているとかあるいは酒屋がいやがるとか、いろいろおっしゃいます。でも、どうも納得できないのですが、これは改めていまの立場を聞かしていただきたい。
  233. 小泉忠之

    ○小泉説明員 国税庁の間税部長でございますが、お酒の関係の御質問でございますので適宜答弁さしていただきます。  御指摘のように、いま全国で大体酒の量ですね、製成、消費の数量、これから申し上げますと、年間百五十万キロ程度、これを市販酒換算で出しております。それで使用しました原料米は大体五十七万トン程度、年によって違いますが、五十万トンから六十万トンの間ということでございます。これには御指摘のように昭和十七年以来かなりアルコールを使っておるわけでございますが、大体全体で十万キロリットルという計算になります。これを添加を全部やめまして米を使って酒をつくったらどうなるかということでございますが、一応想定して計算いたしますと、御指摘のように玄米換算で、百五十万キロリットルの清酒をつくるのには約百万トンの原料米が要る、こういうことになりますから、五十七万トン現在使っておるわけですが、それが九十九万トン程度要るということになりますと、差し引き四十万トン程度米を使う量がふえる、こういうことに計算上はなるわけなんです。  しかしながら、先生お話しございましたように、昭和十七年以来アルコール添加を製品としてつくってきて、これが消費者に一応受け入れられて、酒に対する嗜好というものが長年の間に培われてきておる、こういう現状にございますので、消費者の嗜好としては、米ばかりでつくりますと、これは技術的な問題になりますけれども、味としては非常にべたべたしたものになるということで、やはり淡麗な味というのは、ある程度の、適度のアルコールは、むしろ原料アルコールを使った方がよろしい、こういうような問題がございます。  さらにまた、コストの問題がございます。これが経済的には非常に大きいわけでございますが、米と原料アルコールと比べますと、約六倍のコストがかかる、こういう計算になるわけでございます。大体全国で使っておりますアルコールの量、いま申し上げましたように、十万キロで二百三十億程度の値段になるわけですが、これを全部米に切りかえますと千二百億というような負担になる。したがいまして、原料高となる、原価高となるということがやはり一つのポイントになるわけなんです。  それから、全部米から酒をつくるということになりますと、設備の点でも、現在使っている設備をいろいろ変えていくという必要もあるわけでございます。御承知のように、現在全国で三千弱のメーカーがございますが、お酒屋さんは大部分が中小企業が経営をしておるという状況でございますので、そういった面も考慮しないといけないというようなことでございますが、制度上は、釈迦に説法でございますが、米を全部使ってもよろしいというようなことになっておりまして、米を使うことについての制度上の制約はない。ただし、逆に、御指摘のございましたように、アルコールをどの程度使うかということにつきましては、国税庁で製造段階で承認基準というものを設けておりまして、大体白米一トンについて二百八十リットルが上限であるということで、酒の質を落とさないように、しかも淡麗さを残した消費者にマッチする清酒をつくるようにというような指導をいたしておりますが、実際上は年々アルコールの使用量というのは減ってきております。現在全国平均いたしますと、二百八十リットルが上限でございますが、二百五十五リットル程度ということになっておりまして、十年間で大体八八%程度にアルコールが減少してきている。そのかわりに米を使っておる、こういうことになるわけなんです。私どもといたしましては、やはり酒づくりは企業経営でございますので、商品設計とか市場に対するアプローチとかそういったものは、価格もそうでございますが、やはり企業経営の基本に触れる問題でございますので、私どもからアルコールのかわりに米をというふうに一律にこれを制約していくということはいかがかというふうに考えておるわけでございます。  現状としましては、繰り返すようでございますが、年々、酒の質をよくするために若干コスト高になってもやむを得ないという形で全国的には米の消費量がふえてきておるというような状況でございます。
  234. 近藤豊

    近藤(豊)委員 やはり依然として同じような答弁が繰り返されるので、どうもまだ納得しかねるのですが、大体嗜好の問題については、これは先般国会議員もたくさん出席しましたし、農林大臣や前の委員長も出席しておられましたけれども、みんなで純米酒を飲んで、決してべとつかない、おいしい。そして、そういう嗜好を持っておる人は恐らく日本国民にたくさんいると思うのです。だからしょせん私は金の問題だという気がいたします。また同時に、全部画一的に純米酒を売れというふうに強制する必要は毛頭ないわけで、これはもう自由主義経済ですから、各企業が一番売れる酒をつくればいいわけです。その中で、米を使っても、純米酒をつくってももっとつくりやすいように、どうせ一方で捨てるような金をたくさんこの水田再編事業やらあるいは休耕補償やなんかで使っておるわけですから、農民は遊んでいて金が入るよりも一生懸命働いて金が入る方がいいわけです。そういう意味で、私はこれは今後もっと真剣に考えていただくべきだと思います。  時間がないから、あともう一つ大事な問題がありますのでいまの問題はここで終わりにしますが、こうした過剰米処理のことをいろいろと熱心に推進をしていく、そうした過程で、やはり長期的な見地からどうしても備蓄の問題を考えておかなければいけない。この備蓄の問題については基本的に農林省としてどういうふうに考えているのか、この点を伺いたいと思います。
  235. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 現在でも米のほかに小麦、飼料穀物、それから大豆につきまして備蓄が行われておりますが、食糧というのは、先ほど来いろいろ御議論がありますように、国民生活に大事なもので、海外に依存している分がかなりある。たとえば小麦だとか大豆の場合がございますので、それが海外からの供給が削減された場合にもなおかつ国民食生活を守るために現在の備蓄をもう少しふやした方がいいかとか、あるいはその備蓄で食いつなぎながら、もっと長くそういう有時といいますか不測の事態が続いた場合は、備蓄を食いながらやがて今度は国内生産をもっとフルに発掘をしていくというようなことを考えるというようなことがあります。スイスでもそういう例がございますので、諸外国の例を研究しながら、食糧安全保障、国民食生活の安全の保障という観点から備蓄のあり方を含めて現在検討いたしておりまして、農政審議会の中でもいろいろ御議論をいただいて、なるべく早く農政見直しの中で結論を得たいと検討いたしているところでございます。
  236. 近藤豊

    近藤(豊)委員 たとえばもみ備蓄にすると非常にかさがふえるから、容量が大きくなってむずかしい問題があるようなんですけれども、米について大ざっぱに考えて、精米ともみ備蓄の量的な目安をどのように考えているのですか、その点もう少し具体的に大体の考えを言ってください。
  237. 小野重和

    小野説明員 米を備蓄します場合に、もみで備蓄するか玄米で備蓄するかというのは従来からいろいろ論議のあるところでございます。それには二つの問題がありまして、一つは品質面の問題、もう一つはコストの問題でございます。  品質の問題でございますと、私ども玄米で低温倉庫に貯蔵する方がもみで貯蔵するよりも品質面でもむしろいい、そう思っております。最近コンバイン等が普及しましてもみがすれますので、どうももみはちょっと傷みやすいということが特にございます。  それから、コスト面でいいますと、これはもみの方が大体二倍かさばるということでございますので、そういう保管経費も倍かかるということがございます。  そういう二点がございますので、私どもは玄米の低温貯蔵をいま実施しているというわけでございます。
  238. 近藤豊

    近藤(豊)委員 終わります。
  239. 田邉國男

    田邉委員長 次は、野間友一君。
  240. 野間友一

    ○野間委員 午前中に続いて質問をいたしますが、事務当局の答弁を午前中もらえなかった分で、要するに二・三%アップで新たに四百四十億の財源が要る、こういうことですね。ところが一方では、私はこれはけしからぬ、不当だと思いますけれども政府は激変緩和措置で八十三億円、それから水田利用再編対策推進等特別交付金の三百五億円のうち、市町村に対する交付の百六十七億円を残して残りをやめる。やめるという表現が、政府は一年限りで云々という話がありましたけれども、そういう考え方の食い違いはともかくとして、政府方針はそういうことになるわけですね。この点は数字的にどうでしょうか。
  241. 小野重和

    小野説明員 五十四年度限りの措置というふうに私ども考えておるわけでございますが、八十三億という激変緩和措置に係る金、それから三百五億のうちの百三十八億、これは一俵当たり百円というもの、これは本年度はやめるという方針でありますが、残りの水田利用再編推進のための市町村に交付する百六十七億、これは去年の数字でございますが、これにつきましては、金目等は別でございますが、ともかくこの種の金につきましては農林省としては財政当局に対しまして本年度も措置するようにという要求をこれからいたしまして折衝したい、こう思っております。
  242. 野間友一

    ○野間委員 一年限りという話で午前中から言われておりますけれども農民は既得権として、決してそういう認識を持っていません。これはずっと続くものという認識を持っておることは間違いありません。私はこういう措置が果たして、いわゆる政治加算の善悪の問題はきょうはおきまして、基本米価をもっと大幅に上げるのが必然だと思いますけれども、それはそれとして、いまあるものをなくしていく、しかも四百四十億円の財源が新たに要ると言いながら、これが実際になくなるわけですからね。いまの八十三億と百三十八億円を足しますと二百二十一億円になるわけですね。したがって、これらがことしも続いてあるであろうという点から計算いたしますと、新たな財源の不足はわずか二百十九億円になるわけであります。そうしますと、二・三%の米価の位上げと言われましても、実質的には一・一%ないしは一・二%になる。これはそれぞれ趣旨が違いますから私が言うような立論で答弁はないと思いますけれども、もし私の言うような立論、つまり農家の実質の手取りという点から考えましたらこういう理屈が成り立つと思いますが、そのとおりですね。
  243. 小野重和

    小野説明員 五十四年度限りの措置ということでございますから、五十五年度はないという前提に立てばいまおっしゃるようなことにはならないわけでありますが、額と額とを比べれば確かに二百二十億ぐらいですか、ということになると思います。
  244. 野間友一

    ○野間委員 しかも北海道の場合には二・三%のアップで三百六十円。ところが、これがなくなることによって百四十円マイナス、つまり二百二十円アップにしかすぎない、五類の二等でこうなるという計算上の答弁がありました。四類では一体どうなるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。数字で簡単で結構です。
  245. 小野重和

    小野説明員 同じような計算をするということでございますが、四類の場合には、激変緩和措置が二百円でございます。一方、アップ額が三百六十円でございます。単純に比べるとその差額ということになりますが、本来激変緩和措置ということでございまして、五十四年度でその品質格差をそのまま適用すべきものを特にそういう措置を講じたわけでございますから、私どもはこれを数字数字で単純に比較するのはいかがかと思いますが、数字自体としてはそういう数字でございます。
  246. 野間友一

    ○野間委員 それから、もう一つ伺いますが、二・三%のアップというお話ですが、正確に計算すれば二・二九%と違いますか。
  247. 小野重和

    小野説明員 私ども、本来アップ率を決めておるわけでございませんで、価格を決めるわけでございますから、価格諮問米価ということでございますが、去年の米価で割れば二・二九、私どもいつも小数点一けたでやりますので、二・三%ということでございます。二・二九でございます。
  248. 野間友一

    ○野間委員 だから、アップするというか何かメリットのあるような幻想を与える数字は多目に言って、そして、実質はこのような措置をなくすることによりまして、実際のアップというのは、つまり農家の手取りはこれの約半分ということがトータルで出てくると私は思うわけです。この点にも最大の問題があると思うのです。  そこで、私は、基本米価を大幅に値上げをして農民の期待にこたえなければならぬ、こういう基本的な立場をとっておりますけれども、と同時に、いままであるこういう措置を既得権として農民に引き続いて保障すべきだというふうに強く要請をしておきたいと思います。  さて、次の問題ですが、諮問の特徴を見ますと、二・三%、二・二九%ですが、アップという前提に合わせまして、昨年度と算定の方法を変え、つじつま合わせをしておりますが、その際、必要量のとり方を去年までの八百三十万トンから七百八十五万トンに落とすことによって生産性の低い農家を切り捨てておるということがこういう算定方法から出てくるのじゃないか、私はこう思うわけです。そうしますと、このことによってコストのアップ分がまさに減殺、相殺されることになると思います。  そこで、まず伺いたいのは、四十二年度産米価算定方法によって素直に試算をすれば、五十五年度産米価は六十キログラム当たり一体何円になり、前年対比で何%のアップになるのか、お答えいただきたいと思います。
  249. 小野重和

    小野説明員 四十二年産米価というのは、先ほど来申し上げましたように、米の不足時代に要素を積み上げまして、方式としては過去の生所方式の最高の方式でございます。(野間委員「前置きはいいよ」と呼ぶ)という前提を述べさせていただきまして、これは基準価格ベースで申し上げまして、五十四年産米価に対しまして五〇%でございます。額はいま手元にございませんですが、率として五割でございます。
  250. 野間友一

    ○野間委員 農林省から来ておる資料、議員要求資料にちゃんと出ておりますね。これによりますと、二万五千七百六十五円、額ははっきり出ていますね。いかがですか。
  251. 小野重和

    小野説明員 大変失礼いたしました。手元にございまして、二万五千七百六十五円、おっしゃるとおりでございます。
  252. 野間友一

    ○野間委員 先ほどからもずっと論議がありましたように、計算方法はもうさまざままちまちに、その都度その都度、政治的、政策的な判断で変えております。いま指摘したように、一たん政府が使っておりました四十二年度産の米価算定方法でも実に五〇%のアップ、二万五千七百六十五円という数字が出てくるわけであります。これは農協の要求米価も上回る金額であります。  そこで、もう一つお聞きしておきたいのは、午前中に私、聞きましたけれども、昨年の計算方法では大体何%のアップになるのか。これについては四・九%のアップというふうに言われましたけれども、これは必要量を七百八十五万トンに落とした数字ではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。もしそうだとすれば八百三十万トンでは一体幾らになるのか、この点もお答えいただきたいと思います。
  253. 小野重和

    小野説明員 そういう試算はしておりません。ただ、およその見当でございますが、三%くらい違うのかなという感じでございます。
  254. 野間友一

    ○野間委員 いや、私がお聞きしているのは、一つは、昨年の算出方法でやった場合に四・九%のアップだというふうに言われたわけですが、これはベース、必要量を七百八十五万トンで計算しておられるのか八百三十万トンで計算しておるのか、その点です。
  255. 小野重和

    小野説明員 七百八十五万トンで計算しております。先ほど三%と申し上げましたのは、仮に八百三十万ということで計算した場合との違いでございます。
  256. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、農協がいろいろ資料を出しておりますが、それによりますと五・三%という数字が出ておりますけれども、いま言われたこととほぼ符合するのではなかろうかと思います。  さて、確かにいま弁解されましたように、米の不足の時期とはいえ、四十二年度の米価の算出方法、一たんはこういう算定をしておるわけであります。ところが、これが実際にだんだん下がっておるわけですね。計算の方法が、だんだん下がるように下がるように、そういう方法に変えております。このことを一つとりましても、政府生産者に対する米価とり方が全く恣意的なものであるということがこの事実からも明らかであると私は思うわけであります。  さて、そこで次に質問を進めますけれども転作の拡大ですが、五十四年度が四十七万二千ヘクタール、これが五十五年度には五十七万二千ヘクタール、これは二一%増ですね。こうなりますと、農業機械の操業度の低下とか固定資産の償却の増加を五十五年度産米価についても当然見るべきではなかろうかと私は思うわけであります。ところが、これは実際見ていない。恐らく、来年度にこれを反映するというふうに答えるのではなかろうかと思いますけれども、もし今年度の米価にいま申し上げた、要するに転作の拡大による操業度の低下とか資産の償却の増加というものを織り込んだ場合には、いまよりも何%ぐらいアップになるのか、計算しておればお答えいただきたいと思います。
  257. 小野重和

    小野説明員 御案内のように、現在の生産費所得補償方式というのは前三カ年の生産費調査をベースにして決めておるわけでございます。したがいまして、その限りにおいては過去三カ年も転作をやっておるわけでありますから、その時点におけるそういう転作をした結果の償却費というのは入っておるわけであります。  しかし、御質問は、五十五年でどうかということでございますが、まず第一に、そういう計算はなかなかむずかしくて私どもやっておりませんし、また仮にできたとしても、これはきわめて大胆な推計になりますので、そういう推計をするというのは、現在の生所方式ではとっておらないところであります。
  258. 野間友一

    ○野間委員 しかし、転作の面積を五十五年度は五十七万二千ヘクタールということで、すでに決まっておるわけですね。計算できるわけですね。なぜ私がこういうことを聞くかといいますと、必要量生産費、この場合のいわゆる必要量、これのとり方については、すでに先取りというか、五十五年度分を採用しておるわけですね。つまりお金のかかるところは翌年度回しで、そして少しでも助かるところは直ちにこのように先取りをしてこれを一つ計算の基礎にする。これが大変な不公正じゃないかというふうに思うわけであります。つまり五十四年度が八百三十万トン、これは七百八十五万トンですね。これを一つのベースにして計算をしておるわけですね。したがって、二・二九というような大変に低い数字、率になるわけですけれども、これはしかし不公平じゃありませんか。得するところはちゃっかりこれを取り入れて、損をするところは損をしないようにやっておるという点、まさに不公平じゃありませんか。
  259. 小野重和

    小野説明員 必要量生産費に使います限度数量は、五十五年産需給計画をつくる前提としての限度数量であります。したがいまして、これは五十五年産米価を算定する場合にこれを採用してしかるべきものと考えております。  いまの償却費等の問題でございますが、これは現実にどれだけコストがかかったか、費用がかかったかという問題でございます。そういう推計を入れ始めますと、たとえば労働時間も減るではないかとか、いろいろな推計をすることになりまして、そういう推計はしないというのが生所方式の大原則でありまして、来年の米価には五十五年産のもろもろのファクターが算入されるわけでありますが、今年度の米価について今年度の推計ということは、いまの方式ではできない、こう思っております。
  260. 野間友一

    ○野間委員 そこが問題だと私は思うんですね。つまり、来年度は何とかという期待を持たせながら、たとえば家族労働報酬についてだって、計算の仕方をだんだん変えてきて、本年度は去年のあれを踏襲しておるようですけれども、低い額に落としてきている。そういうふうになりますと、要するに生産費、コストが高くつくとどこかでそれを減殺していくということになりまして、農民は将来に対する大変な不安、ふえた分は恐らくまたどこかで削られるであろうというような不安を持っておるわけでありますね。したがって、どうも計算の仕方そのものが恣意的であるということがこの点からも明らかではないかというふうに私は思うわけであります。  そこで、質問を進めますが、この八〇年の五月で生産資材の総合のアップは、・前年比で一五・一%だと思います。さらに七月一日からは、午前中も安井委員の方からも話がありましたが、肥料とか農業機械あるいはビニール、これが軒並み値上げが予定されているということ、しかも農業機械がことしの十二月に再値上げということも報道されております。したがいまして、これらも来年度の米価には反映させる、こういうふうに言われるかもわかりませんけれども、先ほども指摘しましたように、政府の恣意的なそういう計算方法からいたしましたら、全く保証はないと言わざるを得ないと私は思うわけであります。一方では、いまの私の見解では、実質わずか一%そこそこに米価を抑えながら、片方では農機具とか農耕資材がどんどん値上がりをしておるわけですね。しかも奇妙なことには、転作、減反ですね。そしてその中で米価が、据え置きないしは低米価で大変に抑えられる。ところが、農耕資材等につきましても、これらの転作、減反に関連して、要するに生産過剰になっているわけですね。本来、生産過剰でありましたら、その物の価格据え置きないしはダウンするのが筋なんですね。ところが一方、このような肥料とか農耕資材の価格については、これだけ生産過剰でありながらどんどん値上がりをしている。農民の率直な気持ちとしては、これはやりきれぬ、こういう気持ちであります。  そこで、一つは、いま申し上げたコストの問題をどう処理するのかということと同時に、農耕資材等については、さまざまな形でこれから値上げが待っております。これらについて、農林省はどのような対策を立てていくのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  261. 小野重和

    小野説明員 諸資材の値上がりと米価との関係でございますが、これは現在の生所方式のもとでは直近までの数字をとるということでございまして、推計はとらないということにいたしております。したがいまして、今後の値上がりということがあるといたしましても、これは来年の米価に反映される、そういうものでございます。
  262. 野間友一

    ○野間委員 質問を変えますけれども、和歌山県で日本晴という銘柄の米をつくっておるわけです。これはいまの一類から外されることはないと私は思っておりますけれども、農協から、ぜひ維持をしてほしいという要請があったわけであります。もし格下げされますと、県下で約二千五百万の損失をするわけでありますけれども、これらについてはどのように対応されるのか。一類にぜひ残してほしいという要請がありますので、この一際、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  263. 小野重和

    小野説明員 本年産におきます類別の格づけ問題でございますが、これはまだ具体的に決めておりません。早急に結論を出したい、こう思っております。和歌山の日本晴の問題も、私よく存じておりますが、十分に検討いたしたいと思います。
  264. 野間友一

    ○野間委員 次に減反の問題について少しお聞きしたいと思いますが、第二期の対策についてであります。今年度の転作面積の二割増、六十五万へクタールにこれを拡大するというふうな報道が、日経の七月の二十二日付にあります。これは事実かどうか。もしそうだとすれば、これは関西、中国、四国の現在の水田面積の合計六十二万ヘクタールですが、これをも上回る大変な規模のものになるわけであります。まずその点についてひとつお伺いしたいと思います。
  265. 二瓶博

    ○二瓶説明員 第二期の水田利用再編対策につきましては、現在全般的に検討を進めておるところでございます。その際に、転作等目標面積をどうするか、どの程度の規模にするかというのも大きな検討対象でございます。この具体的な規模につきましては、まだ結論を得ておりません。したがいまして、七月二十二日に報道されました六十五万ヘクタールといいますものは、まだ決めておるものではございませんので、一つの観測記事であろうかと、かように思います。具体的な規模につきましては、最近における……(野間委員「いつ決めるのですか」と呼ぶ)これは全体の仕組みとの関連もございますが、なるべく早く決めたい。特にいま各県の方からは、この秋に裏転作として麦をまくということもございまして、なるべく早く決めてもらいたいという要請が強うございますので、私たちといたしましては、できるだけ早く決めていきたい、こういうことで努力したいと思います。
  266. 野間友一

    ○野間委員 時間がなくなったのですが、しかも同時に私お聞きしておきたいのは、この拡大に当たりまして、転作条件の整備の問題ですが、価格対策、土地基盤整備など、これを進めるどころか、事実上の単純休耕、例の農協管理転作ですね。これの再導入とか、単純休耕の再導入が、農協管理転作という名前でだんだん広げられておるというようなこと。あるいは転作奨励金単価の切り下げなどが行われるのでないかという懸念を農民が非常に強く持っているわけであります。農水大臣の朝日のインタビューの記事などを見ましても、何かそういうニュアンス、つまり見直しをするようなニュアンスの発言があります。これまた大変でありまして、この奨励金は三年間据え置かれておるわけであります。農民はむしろこれを引き上げろという強い要求を持っておりますが、これらに対する対応をぜひ聞かしてほしいと思います。
  267. 二瓶博

    ○二瓶説明員 第二期におきます転作奨励金の水準をどうするかというのも、これも全体の仕組みの一環として検討をいたしております。この水準をどうするかということにつきましては、全体の仕組みとの関連もございます。それから、転作作物でございます麦とか大豆とか、そういうような作物の生産性なり収益性が第一期を始める前に比べてどういうふうに推移をしてきておるか、あるいはまた、財政負担の問題がどうなるであろうかというようなことを総合勘案してこれは検討する必要があるということで、いろいろ詰めておりますけれども、現段階で確たることを申し上げる段階には至っておりません。  それから、休耕の問題でございますけれども、この休耕につきましては、かつて四十六年から四十八年まで生産調整をやりました際に、その三年間に限りまして単純休耕ということを認めたことがございます。ただ、これにつきましては非常に水田を荒らすだけじゃなしに、農民の心を荒らすとかいろいろな御批判もございました。そういうこともございますし、狭い国土の有効利用、自給力の強化という観点からいたしましても、単純休耕というものを導入するのは相当問題ではなかろうか。現在管理転作というのを認めておりますけれども、こういう措置でもって対応できるのではなかろうかというふうな方向で検討をいたしておる段階でございます。
  268. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がなくなりましたので、最後一つお聞きしたいのですが、農林省の自給率の六十五年見通し、これも先ほどからも論議がありました。これによりますと、六十五年の見通しは、穀物で三〇%ですね。あといろいろ内訳がありますけれども、そういうことになっております。これはまた自給率の向上どころか、いまよりも低下するわけでありますね。これは大変なことであります。しかも、大蔵省の「歳出百科」などを見ますと、「需要にそぐわない生産」、米ですね、あるいは「収益性が極端に悪い生産」、これは麦とか大豆などをこの前後の脈絡からいきますと指しておると思います。これを続けることは、国民経済的に見て受容されるものではない、こう言っておるわけですね。つまり米をつくるな。ところが大蔵省当局は、「歳出百科」などを見ますと、麦や大豆など転作の目玉作物の増産についてもブレーキをかけようとしておるということすら、私はこの中で読み取れるわけであります。いま申し上げた自給率の六十五年の見通しにおきましても、確かに穀物の中で、たとえば小麦等についてはこれをふやすというような方向の数字も出ておりますけれども、しかし、おしなべて、トータルとして穀物の自給率は、五十三年の三四%が、六十五年の見通しが三〇%と、こういうことになっております。こういうことでは国会の決議にも反するどころか、農村はますます疲弊する、荒廃するということにならざるを得ないと思うのです。  したがいまして、私はもう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、さらに次回にもこの問題を取り上げて続けますが、このような口と実際のやっていることがうらはらではなくて、ぜひまともにひとつ農政を進められるように心から私、要求しまして、最後に政務次官から答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  269. 志賀節

    ○志賀説明員 野間先生の意のあるところを体してがんばってまいりたいと思います。
  270. 田邉國男

    田邉委員長 木村守男君。
  271. 木村守男

    ○木村(守)委員 午前中に引き続いて機会を与えてもらってありがとうございました。  まず私は、米が余っておる話ばかりが昨今問題になっておることは私も認識はいたしますが、米が余ったことに食糧庁にしても農林省にしても余り神経質にならない方がいい、政治家のわれわれも。米が足りなかった時代のことは私よくわからぬけれども、米が余ったということは、そんなにむずかしい問題だと私は思っておりません。余ったらそれをさらにつくれという必要もないし、あるいはまた余らないようにしていけばいいのであって、余ったそのことにだけきゅうきゅうとしている節がある。それじゃいけない。もっとおおらかな気持ちになって、具体的にどう解決するかということに自信ある姿勢を示してほしい。  そこで、政務次官並びに関係者にお尋ねいたします。  一つは、現実に水田利用再編対策ということで減反が余儀なくされておることはやむを得ないとは思います。その場合に、たとえば地域分担型の、日本列島の一つの政策に基づいた、その辺をもっと重視したやり方を考えるべきじゃなかろうか。たとえば関東平野とか、あるいは関東平野から四国の一部とか日本海側などの一部を外した西側は、麦との二毛作が可能地域が多うございます。農林省が発表しておる。こういうことなどを考えた場合、やはりそういう長期的な展望に立って、皆さん方が唱えてきている地域分担型の適地適作の政策を踏まえた水田利用再編対策というものを打ち出すべきじゃなかろうか、私はこう思います。大体最初の第一次減反などは全国一律の減反から来ている。当面の余った米をどうしてなくするかだけにあなた方は目がいった。そういうことであったら、むしろ三十年、五十年後になったら、私は悔いを残すおそれなしとしない、こういう立場から申し上げるわけであります。そういう意味での今後の取り組む姿勢を示していただきたい、これが第一点であります。  いま一つは、現実に青森県なんかでも約十七万八千トンぐらい特別搬出をお願いした経緯がございます。いわゆる古米にかかわる倉庫の問題であります。これは青森県だけでない、その地域によっても差がございますけれども、特殊な地域があるわけですが、今後は自然な需給の流通だけに任せることなく、努力はしているのでしょうが、わが青森県などにかかわる——他の県もあるようですから、こういう倉庫事情等を勘案して万全の策が講じられていると思いますが、今後の見通しはどうなっておるか、その点もお知らせ願いたい、これが第二点。  もう一つは、先ほど先輩、同僚の方々からも備蓄の問題が出ました。この備蓄の問題について、私は、備蓄の施設とか技術もさることながら、余っているということに対応しても、日本としては何年ぐらいを妥当としているのかということを率直にお答え願いたい。それにはどう対応しようとしているのか。先進国の例によりますと、主食にかかわっては大体十八カ月以上持っているようであります。そういうことなどを判断した場合どう考えられているのかということですね。  それからいま一つは、激変緩和措置がなくなるようでございますが、非常に遺憾であります。二・三%だけの引き上げでいって、北海道、青森県など、特に青森県などは、こういうことになりますと大変な結果になりはせぬか。そこで今度のような諮問にそのまま答申が出た場合、それを受けて決定するとすれば、実質的な据え置きどころじゃない、落ち込みになるような心配が出てまいりました。そこで政務次官は、答申後にその辺の事情を踏まえて、何らかの政治加算をとる用意があるのかどうか、重ねてお尋ねしておきたいと思います。  以上、お答えをいただきます。
  272. 二瓶博

    ○二瓶説明員 転作等目標面積の配分の際に、地域分担といいますか、適地適産の思想、こういうものを十分織り込むべきではないかというお話でございます。三十九万一千ヘクタールを割ります際には、七つの要素を使いまして、その際この地域分担の思想を三割のウエートでもって織り込んだというようなことで、大分これを織り込んで配分をいたしました。それから、五十五年度のときに十四万四千ヘクタール上積みをやりましたが、このときは、この割りました各県の目標面積割りを半分のウエートで見まして、あと水田面積割りを半分のウエートで見たというようなことで五十五年度の上積み分はやらせていただきました。  そこで問題は、今度は第二期になるわけでございますが、第二期のときにやはりこの適地適産あるいは地域分担の思想を十分織り込めという御主張がございます。これは主として東北あるいは北陸等において非常に強い御要請でございます。他方、西の方になりますと大分趣が違いまして、転作率も相当高くなってきておる、それから飯米農家が多いというようなことで、飯米農家の方は余り食管制度にもお世話になってないのだから、むしろ食管制度にお世話になっているところに配分すべきではないか、そういうような御意見もございます。いずれにいたしましても、いろいろそういう御意見等も十分勘案しながら、適正に配分をしたいということで目下検討をいたしておるところでございます。
  273. 小野重和

    小野説明員 三点ございます。  青森県における倉庫の問題でございますが、日本全体で過剰米が累積しておるわけでございます。特に地域を申し上げて恐縮でございますが、北海道、青森、いわゆる四類、五類の米が売れ残っている、したがって、特にその地域で倉庫が非常にいっぱいになっているという事実がございます。したがいまして、基本的には四類、五類の自主流通というようなことでもう少し販路が伸ばせないか、こういう問題がございますが、当面の倉庫問題といたしましては、ことしの出来秋にお米が倉庫に入らない、新米が入らぬということでは困りますので、特別搬出等をいたしておりまして、そういうことのないようにいたすつもりでおります。  それから二番目に備蓄の問題でございますが、現在米について申し上げますと、二百万トン備蓄ということ、そういう方針でおりますが、現実にはもう六、七百万トンという過剰米がたまっておるわけでございます。この二百万トンの物の考え方は、四十六年が過去、最近では最大の凶作の年でございますが、この凶作の年が二年連続してもなおかつ耐え得る、こういうことで二百万トンということにしておるわけでございます。  これをもっとふやせないかという問題でございますが、これは、それだけの備蓄をしますと大変金がかかるという問題もございますし、それからまたそれだけの必要性がそもそもあるかという問題もございますし、それからまた備蓄するということと、消費拡大のためになるべくおいしい新米を売るということとは全く矛盾する問題でございまして、一方では消費拡大をしなければいかぬことですから、その辺のもろもろの要素を総合勘案して現在では二百万トン、こういうことにいたしておるわけであります。  それから激変緩和措置でございますが、これは私どもといたしましては五十四年度限りということで去年決めたものでございますので、ことしはやらないという方針でいきたいと思っているわけでございます。
  274. 志賀節

    ○志賀説明員 お米のないことを考えれば余っている方がよいではないか、余り神経質になるなというお話でございましたが、過ぎたるは及ばざるがごとしのたとえもございますとおり、いずれも厳しい問題だと私どもは受けとめておる次第でございます。  それから激変緩和措置についての御質問でございましたが、実は私は、農林水産政務次官を拝命する事態に至るとはつゆ知らなかったときでございますけれども、選挙後、岩手県におきまして、盛岡で農民との対話集会というものが農協の主催のもとにございまして、その際、私は、二年間据え置きで三年目も据え置きというのはいかがなものであろうかということを発言をいたしております。それからもう一つは、かつて四十四年、四十五年の二カ年にわたって据え置きで四十六年に政治加算がなされたことがあった、しかし今回は政治加算はいかがなものであろうか、やはり基本米価としてこれを処理しなければいかぬ時代に来ておる、私はこういうお答えをしたわけでございました。その後、ゆくりなくも現在のポストに私はついたのでございますが、たまたま今日の状況は、私がその際申し上げたこと、お約束したとおりの形になったようなことになっておるわけであります。私がその農協の対話集会で、激変緩和措置はそのまま残存させながら基本米価はいじらないというようなことを言えばあるいはおしかりをいただいたのではないかと思うのでありますが、私は激変緩和措置は残存させないでも基本米価を上げていかなければいかぬという考え方を申したのでありまして、その線から申し上げますと、首尾一貫して、現在とっておるような方向で御理解をいただきたい、私はこのように考える次第でございます。
  275. 木村守男

    ○木村(守)委員 時間ですから、終わります。
  276. 田邉國男

    田邉委員長 それでは、松沢俊昭君。
  277. 松沢俊昭

    ○松沢委員 本日、午前午後にかけて、各委員から昭和五十五年産生産者米価についての熱心な御質問がございました。  日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブの五常で協議し、昭和五十五年産生産者米価決定に関する決議案をまとめましたが、自民党と合意を得ることができませんでした。  そこで、五党を代表して、質問で、五党の合意に達した考え方を申し上げますので、これについての政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。  時間がございませんので、案文を朗読して質問にかえます。     昭和五十五年産生産者米価決定に関する件(案)   政府は本日、米価審議会に対して昭和五十五年産生産者米価の実質据え置き諮問を行った。しかし、これはさきの国会で全会一致採択された「食糧の自給力強化に関する決議」の趣旨からして十分なものでなく遺憾である。よって政府は、本年産米価決定に当っては、この国会決議を十分尊重し、その具体化の第一歩として左記事項に留意すべきである。      記  一、政府は、本年産生産者米価決定については、米作農家が厳しい米の需給事情のもとでの大規模な生産調整の実施と米価の二年連続据え置きにより、農家所得を大きく後退させている最近の農業経営の現状に深く配慮すべきである。よって、その算定に当たっては生産費及び所得補償方式により最近の物価、労賃、生産資材等の上昇を的確に反映させ、農業・農民団体の意見を尊重して基本米価の引上げを図ること。  一、生産者米価における品質格差とその拡大は、水田利用再編対策等で深刻な状況にある農業経営を一層困難におとし入れるので、これを行わないこと。   右決議する。  以上であります。  御答弁をお願いします。
  278. 志賀節

    ○志賀説明員 ただいまの御意見につきましては、本日の委員会においても種々御論議のあったところでありますが、現在米価審議会で審議中であり、その答申を得て適正に決定してまいりたいと考えております。
  279. 田邉國男

    田邉委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会