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吉田正雄君 御承知のように、きのうがちょうどスリーマイルアイランドの
事故一周年、まあ余り芳しくない一周年なんですけれ
ども、私もその現地へも行ってきて一番感じたのが、
防災計画が
事故が起きてから緊急に立てられたということなんです。五マイル以内のものはあらかじめあったけれ
ども、五マイル以外のものについては
事故が発生してから二十四時間内につくっていったということですから、こんなものははっきり言って
防災計画になりません。
そこで、私がこの前から
お尋ねをしてその後の経過を聞いても、本来は昨年の秋までに中央
防災会議として
原子力施設における
事故の
防災計画はつくるんだということだったんですが、聞いてみると、まだできていないということなんですけれ
ども、私はこれは
公安委員長という立場もそうですけれ
ども、
自治省という立場からしても、
事故が起きた場合一番被害を受けるのはここじゃないんですよ。あくまでも市町村段階なんでして、そういう点で私は
警察の、いま言った警官
自体が防護服から何から施設がなければ
防災活動はできないわけですね。これが普通の火災とちょっと違うところでして、非常に深刻な
状況になるわけですから、そういう点で
警察自身のそういう
防災体制とあわせて、私はこれは自治大臣としてお願いしたいと思いますのは、各市町村に対する
防災計画、こういうものをきちっと整備をしていく必要があると思うんです。
ミドルタウンの町長がこの間も
日本へ参りましたけれ
ども、町長が何と言っておりましたかというと、
防災計画を立てて、そしてその
防災計画を実際に発動し適用してみて、その
防災計画が有効であったという実証が得られるまでは原発というのはつくるべきじゃないと、はっきりと町長が言っておりました。しかも、
日本というところは非常に狭いところだと聞いておりますと。この広いアメリカの私
どもが行ったスリーマイルアイランドの周辺というのは、非常に広大な農村地帯です。あれでも人口が多いんだと町長は言っておりまして、こんなところへ建てたのはけしからぬと言って怒っておりましたけれ
ども、
日本の実情を見て彼はもっとびっくり仰天していると思うんです。逃げ場がないじゃないかという感じがするんです。
そこで私は、いま
自治省としては——
警察の
状況はいま聞いて大体わかったんですが、どうもまだ不十分な感じです。これは
警備局長、
保安部長にも要請したいと思うんですが、この前実は私も福井へも行ったんです。行ったんですが、わずか五百人
程度の
反対運動の人たちに対して
機動隊の勢力というのは圧倒的で、あの寒空の中、放水車まで持ってきているわけです。あんな放水車を持ってくる前にあれを放射能
防災車にした方がよっぽどいいんで、ちょっとその辺私は
方向を変えてもらう必要があるんじゃないかと思うんです。どうも
反対運動というと何か暴力集団か暴徒のような見方をするという、その考え方
自体が私はもう基本的には民主主義というものを否定する考え方に連なると思う。非常に危険な
警察国家化に進んでいくんじゃないかという心配をしているんで、そうではなくて、本当に
国民の安全を守るという立場から、今日の
原子力に対する
防災体制というものはきわめて貧弱である。貧弱であるというよりも、もっと突き詰めて言うと、この狭い
日本で
事故が起きたらもう
防災のしようがない、お手上げだということだろうと思うんです。
いま自信を持って、
原子力発電所の
事故が起きたときに完全に
防災できますなんて言う人はだれだっていないと思うんです。だから、私はよく言うんです。
事故が起きたら
機動隊と自衛隊が行って封鎖をしちゃって、気の毒だけれ
ども中の方は死んでもらうと、これはネコの子一匹外へ出さぬという体制がとられるはずですよ、汚染源は拡大しないというのが被曝の場合の最大の防護体制になるわけですから。地震以上です。もう汚染された人間は外へ出さないという体制になる。したがって、「カサンドラクロス」なんていう映画じゃありませんけれ
ども、結局国家権力として、その
事故が起きた地域の住民は封鎖をして、これはもう死んでもらうんだと、こういうことになるんじゃないかということは私はこの前から申し上げているんです。そうでないということをいま
皆さんから反論できたらここでやっていただきたいと思うんですが、どうもいまの話を聞いていますと、きわめて貧弱であって、
警察官
自身がこわくてそこへ入っていけないといういまの
状況ですと。
そういう点で、自治大臣どうなんですか。いま全国的に
原子力施設のある県に対する
防災計画がどのように立案をされ、また具体的にそういう訓練も行われておるのか。これは佐賀の県知事だったでしょうかね、実際に住民の
防災訓練をやるべきだと言って、たしか言っている。これは佐賀県知事だったと思うんですが、そういうことも言っているんですね。その必要性あると思うんです。いや、そんなことをやったらパニックになるんじゃないか。パニックになるじゃなくて、私はやっぱり万一に備えるということが絶対必要だと思うんです。そういう点で現状はどうなっているのか、ちょっとお聞かせください。