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1980-03-29 第91回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十九日(土曜日)    午前十時開会     ————————————— 昭和五十五年三月二十八日予算委員長において、 左のとおり本分科担当委員を指名した。                 石本  茂君                 亀長 友義君                 鈴木 正一君                 秦野  章君                 真鍋 賢二君                 小野  明君                 吉田 正雄君                 上林繁次郎君                 原田  立君                 市川 正一君                 市川 房枝君     —————————————    分科担当委員の異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     丸谷 金保君      丸谷 金保君     松前 達郎君      上林繁次郎君     和泉 照雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         亀長 友義君     副主査         原田  立君     分科担当委員                 石本  茂君                 鈴木 正一君                 真鍋 賢二君                 丸谷 金保君                 吉田 正雄君                 上林繁次郎君                 市川 正一君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      後藤田正晴君    政府委員        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁長官官房        会計課長     城内 康光君        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁刑事局保        安部長      塩飽 得郎君        警察庁警備局長  鈴木 貞敏君        北海道開発庁総        務監理官     大西 昭一君        北海道開発庁予        算課長      谷川 英夫君        環境庁長官官房        長        正田 泰央君        環境庁長官官房        会計課長     神戸 芳郎君        文部大臣官房長  宮地 寛一君        文部大臣官房会        計課長      植木  浩君        厚生大臣官房長  大和田 潔君        厚生大臣官房会        計課長      小林 功典君        労働大臣官房長  谷口 隆志君        労働大臣官房会        計課長      白井晋太郎君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       花岡 圭三君        自治大臣官房審        議官       矢野浩一郎君        自治大臣官房会        計課長      苫米地行三君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     宮尾  盤君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君        消防庁長官    近藤 隆之君    説明員        国土庁土地局土        地政策課長    渡辺  尚君        法務省刑事局刑        事課長      根來 泰周君        運輸大臣官房技        術安全管理官   片岡 栄夫君        運輸省船舶局首        席船舶検査官   野口  節君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和五十五年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十五年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————    〔市川房枝主査席に着く〕
  2. 市川房枝

    市川房枝君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査選任につきその議事を主宰いたします。  これより主査及び副主査選任を行いますが、選任は投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 市川房枝

    市川房枝君 御異議ないと認めます。  それでは、主査亀長友義君、副主査原田立君を指名いたします。     —————————————    〔亀長友義主査席に着く〕
  4. 亀長友義

    主査亀長友義君) ただいま皆様方の御推挙によりまして主査を務めることになりました。皆様方の御協力を得ましてその責務を果たしたいと存じます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  5. 亀長友義

    主査亀長友義君) 審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。  本分科会は、昭和五十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、警察庁北海道開発庁環境庁文部省厚生省労働省及び自治省所管審査することになっております。  なお、四月二日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本二十九日は警察庁北海道開発庁及び自治省、三十一日は文部省、四月一日は環境庁及び厚生省、四月二日は労働省という順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 亀長友義

    主査亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 亀長友義

    主査亀長友義君) 次に、お諮りいたします。  各省庁予算審査冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明は、これを省略し、それぞれの審査日会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀長友義

    主査亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 亀長友義

    主査亀長友義君) 昭和五十五年度総予算中、警察庁北海道開発庁及び自治省所管を一括して議題といたします。   これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 吉田正雄

    吉田正雄君 この前の集中審議の際、公安委員長にはちょっと聞きそびれた面がありますので、きょう冒頭にお聞きをしたいと思うんですけれども、連日浜日幸議員ラスベガスにおける賭博問題をめぐりまして、検察の手にもすでにゆだねられた部分もあるようでありますけれども、それ以前の問題として、私は大平内閣政治倫理の確立という観点から考えますと、やはり内部的な浄化作用というものが作用しなかったならば、これは私は検察にゆだねられる部分というのは限界があると思うんです。私は、この前も申し上げましたように、政治の世界においては、疑わしきは罰せずではなくて、疑わしきはみずから責任を明らかにし、そのことが国民解明をされない、十分納得してもらえないならば、むしろ議員は辞職をすべきではないかというふうに思っているんです。  そんなこともありまして、いまこの浜田議員をめぐる証人喚問の問題は、また自民党内のいろいろな複雑な事情が絡んで、十分進展をしていないという点で、国民はいま非常に歯がゆく思っていると思うんです。  そこで、私はお尋ねをしたいと思いますし、また、これは検察とは別個に、警察としてこの問題に対して基本的にどのような見解とどのような方針で今後臨まれるのか、そのことをお聞きしたいと思うんです。  第一点は、ラスベガスにおける賭博行為そのものがあったということは事実じゃないかと思うんです。金がどこから出たかとか、その金がロッキード関連をする金であるとか、そういうことはこれからの調査にまたなければ、確かに解明はいまのところされていない。このことはそうだろうと思うんですけれども、しかし、賭博行為があったということは本人も認めておるわけですね。  そういう点で、警察として浜田議員から事情聴取をされたのかどうか、時効という名のもとに調査はやられていないのかどうなのかということで、警察自身のこの問題に対するいままでの取り調べの状況と、それから今後の方針についてお聞きをしたいと思うんです。
  11. 中平和水

    政府委員中平和水君) 私どもは、ただいま御指摘のようなことが新聞とか雑誌等でいろいろ報道されていることは承知いたしておりますが、警察としましては、そういうことの事実関係は把握してない次第でございます。  今後どうするかという問題でございますが、これは御案内のように、ただいま先生から御指摘がありましたように、警察というのは犯罪捜査をする機関でございますから、賭博犯というのは、本来これは国外犯処罰規定がもともと仮にあったといたしましても、これは処罰対象とはならないわけでございますから、当然警察捜査対象にすること自体が、私はそういう意味ではおかしいと思いますから、そういうつもりもございません。
  12. 吉田正雄

    吉田正雄君 松井、日高の場合には、国外におけるものであっても収賄ということで検挙をされておるわけです。賭博の場合には、海外で幾らやってもこれは取り締まりの対象にはならぬ、こういうことですか。
  13. 中平和水

    政府委員中平和水君) 御案内のように、刑法にはいろいろ国外犯の要するに処罰できる場合がございます。贈収賄の場合でありましたら、収賄側は少なくとも国外で公務員が収賄行為をやりましても、これは当然捜査対象になるわけでございますが、賭博に関しましては、もともと国外犯処罰規定がございませんから、捜査対象にならないわけでございます。
  14. 吉田正雄

    吉田正雄君 私がまたお聞きをしたいというのは、単に賭博だけではなくて、ロッキード事件関連をしていろんなうわさが出ておるわけです。ですから、海外におけることだから私どもは知りませんとか、事実を把握していないから取り調べようがないとか、事情聴取ができないという言い方はおかしいんであって、事実を確認するために、逮捕とかなんか言っているわけじゃないですよ。事実を確認するためにもまず事情聴取をして、その辺のいきさつというのを聞いていくことは、これは当然じゃないんですか。
  15. 中平和水

    政府委員中平和水君) 御案内のように警察の仕事は、犯罪にかかわる容疑のある問題について把握する義務があるわけでございますが、もともと犯罪対象にはならないものにつきまして警察がとかくそれを調べるとか、そのこと自体を目指して調べるということにつきましては、そういうことはちょっと私ども責務範囲の外であるという考えでありまして、もちろんこれがほかの暴力団対策だとかいろいろなものの参考資料になるというのなら、これはまた別の観点はございますが、犯罪捜査対象としてどうだという御指摘につきましては、これは対象にならないとお答えするほかないと思います。
  16. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの刑事局長答弁は納得できない。犯罪容疑がないということはどういうことですか、あなた、断定しておいでになりますけれども、後に出てきたらどうします。
  17. 中平和水

    政府委員中平和水君) お答え申し上げているのは、賭博罪というのは、これは国外犯処罰規定がないからもともと対象でないと、その限度で私は申し上げているわけでございます。
  18. 吉田正雄

    吉田正雄君 私の質問は、賭博がそうであっても、ロッキード事件との関連でいまいろいろうわさをされているわけでしょう。だから事情聴取しなければ、ロッキード問題との関連でそれが全然シロであるとか容疑がないということは言えないわけですね。私は、その関連でもって事情聴取をする必要があるんじゃないかと聞いておるんです。
  19. 中平和水

    政府委員中平和水君) 御案内のように、ロッキードの問題はすでに公判にかかっておるわけでございます。検察の方でこれからいろんな形でその間のことは立証なさると思うわけでございます。したがいまして、この問題で、ロッキード関連でどうこうだということで私どもの方が出てまいることはいかがなものか、このように考えております。
  20. 吉田正雄

    吉田正雄君 私は非常にそれは逃げの姿勢だと思うんです。皆さん一般刑事事件等においても、再逮捕もあればあるいは関連捜査ということで関係者から事情聴取をされることもあれば、すでに判決が下った事件でも再捜査ということは幾らでもあり得るわけでしょう、今日まで。この事件だけに限って何でただいま裁判中であるから捜査はできないとか、事情聴取はできないなんということになるんですか、全くそれは不思議だと思うんです。それはすでに確かに裁判進行中ですね。進行中だけれども、いまだ浜田議員自身は直接犯罪容疑があって検察に呼ばれたり、あるいは裁判にはかかっておりません。  しかし、いま言ったように、それとの関連でいろんなことが言われておるわけですからね。そうでしょう。単なる賭博だけでもって論議をされているわけじゃないですよ。いろんな小佐野との関係で四億五千万円ですか何ですか、私は知りませんけれども、それはどうでもいいんです、金額なんというのは。だれだって見ておるわけじゃないわけですからわかりません。関係者以外には直接わからぬでしょう。しかし、少なくともそういう単なるうわさ以上にある程度信憑性があるんじゃないかというふうに報道がされている以上、これは警察として、検察分野だから警察はタッチをしないという意味ですか。先ほど容疑がないからやる必要がないというふうな答弁であったんですか。それは一体どっちなんですか。
  21. 中平和水

    政府委員中平和水君) 警察はある程度具体的な犯罪容疑、何かの犯行、どれかの犯罪に該当する疑いがあって初めてこれは捜査対象として取り上げるわけでございますから、現在私どもが考える範囲においては、何罪の対象になるかということについては、いま明確でないわけでございます。  ロッキードとの関連は、これは当然のことでございますが、ロッキード関連する立証事項というのは、これは検察がいま裁判でやるわけでございますから、検察の方からいろいろ私どもが頼まれれば別として、そうでない限りは、これは検察が今後立証のいろんな過程で手続を経られてやるわけでございましょうから、これはやっぱり検察の今後の立証の問題として対処なさるべきでないかと、こういうふうに考えております。
  22. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの警察当局のあなたの説明では、私は国民は納得しないと思うんです。これはだれが聞いたってそうでしょう。皆さんは普通の刑事事件の場合には別件逮捕だってやられるんですよ。全然この事件には関係ない別件逮捕だってやられる。いや、それとこの問題は全然違うとおっしゃるでしょうけれども国民が思っているのは、むずかしい刑法上の法律解釈でもって一々考えているわけじゃないです。少なくともあれだけの賭博関連したことだけはこれは事実ですし、本人認めているわけですからね。ただ出てきた金が小佐野の二十万ドルとは関係がないという言い方をしておったり、いろんな言い方をしておるわけです。そういう点でどうも政治家に対する警察態度というのが非常に弱腰ではないか、私は多くの国民はそう思っていると思うんです。  戦後のあらゆる政治家関連をした汚職事件だとか疑獄事件というものに対する警察態度というのは、時にはうんと思うような場面もありますけれども、最後にいくと腰砕けになってしまう。特に時の政治権力中枢部におる人に関連をした事件ということになると、この間のロッキード事件の摘発なんというのは、これはまさに例外中の例外じゃないかというくらいの感じを持っているんでして、いま自民党内で自浄作用であるとか、党みずからが姿勢を正すべきだというふうなことで証人喚問でいろいろ論議が行われているのは、私は当然だと思うんです。しかし、それに対してどうも警察庁態度というのが何かあいまいじゃないかという印象を国民はぬぐい切れないと思うんです。そういうことでいまお尋ねをしているんです。私自身が何か証拠を持っているとか、何か確かな情報を握ったからといっていま言っているわけじゃないんです。しかし、いまの答弁では私は国民は納得しないだろうということを申し上げて、これ以上言ってみたってこちらも何があるというわけじゃないですから、皆さんのその態度だけお聞きをしておきたいということです。  次に、実はけさ朝日新聞に報道されましたけれども、これは私も見て前々からある程度うわさとしては聞いておりましたし、それから別の分野で報道されておりましたけれども、パキスタンの核武装に絡んで、実は日本の企業が濃縮用装置輸出寸前であったということで、これはイギリスの情報機関から日本外務省を通じて日本政府に通報があったということで、輸出直前にこれがストップをされたということがけさ朝日新聞に出ておるんです。「核の手助け危機一髪 〇〇七察知 と日本へサイン」という非常にこれは大変な見出しだと思うんです。  私は、この前から言っておりますように、特に私は警察庁の幹部に聞いてもらいたいと思いますのは、皆さん原子力とか核に対する警備体制というのは少し方向がずれているんじゃないかと思うんです。原発反対運動に対しては、これは私も新潟におりまして、目の前で、警察機動隊過剰警備というのはいやというほどこの目で見てきておるんです。これは事実ですから警察が何と言い逃れしようと過剰警備であることは間違いない。とりわけ反対運動皆さんの数が少ないときには、まず圧倒的な機動隊でもって取り囲んで、盾を陰にして周囲から見えないようにしておいて殴る、ける、物すごい。まさにこれは暴力です。そういうことが公然と行われているわけです。そういうところに警察の力というものが注がれておって、もっと本質的なところで力を入れなければならぬ部分というのが抜けているんじゃないか。余りにも労働運動というものを意識し過ぎた、同じ警備保安、治安という観点がちょっとずれている。大衆運動を弾圧する、民衆運動というものを弾圧する方向にいまの警察というのはいっているんじゃないか。  きょうは時間がありませんから聞きませんが、たとえば警察予算を見ても、刑事警察よりも警備公安の方の予算というのが私は大きいんじゃないかと思う。たとえば警視庁を見たって、機動隊予算というものが圧倒的に多いということは聞いているわけです。そういうことで、私はきょうこれからお聞きしたいのは、いまのこの問題をあれするんじゃないですけれども、こういうところでも抜けているんですよ。日本警察は何をやっているかということも言いたいわけです。言いたいんですが、それよりも私は、いま皆さん反対運動を必死になって抑えるなんていうこと、そんな心配のないところへ力を入れるんでなくて、もっと力を入れるべき部分があるんではないかということでお尋ねをするわけですけれども、実はいま核燃料物質輸送、とりわけ放射性廃棄物、つまり使用済み核燃料輸送等について皆さん方が一体どの程度認識をお持ちなのかどうか。この認識によって、私は輸送体制あるいは事故が起きた場合の防災体制というものは根本的に変わってくると思うんです。  ちょっと申し上げますと、たとえば百万キロワット級の原子力発電所が一年間稼働いたしたといたしますと、原子炉の中にたまる死の灰というのは、広島、長崎級原爆の約一千発分の死の灰が一年間でたまってしまうのです。その使用済み核燃料廃棄物というものを輸送するわけです。部分的な陸上そして海上輸送ということになるんですけれども、仮に陸上輸送交通事故が起きた場合にどういうことになるのか。とりわけガソリン輸送車と衝突をした場合、これが火を噴いた場合には、ガソリン輸送車というものが大きな一つの火炎放射器のようなものになっちゃうわけですね。したがって、廃棄物輸送車というものを溶かしちゃうというんです。それによって環境へ大量の放射性廃棄物が放出をされる危険性というものがあるわけです。  そういう点で、まず消防庁、それから警察として、核燃料物質あるいはいま言った使用済み廃棄物輸送に当たって、事前電力会社あるいは通産省なり科学技術庁連絡が十分とれておるのかどうなのか。たとえば、輸送日はいつで、どういう輸送経路を通って、行われるのか、また、輸送する側の輸送体制は、たとえば先導車がどうなっておって、輸送車がどうなっておってという、その輸送体制がどうなっておるのかというのを、まず、消防庁警察庁は御存じでしょうか。それぞれからお聞かせください。
  23. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 核燃料物質安全輸送につきましては、いわゆる原子炉等規制法によって規制されているわけでございまして、法制上は、消防に対して陸上輸送海上輸送ともでございますけれども経路その他について連絡する規定がございません。したがいまして、私ども科学技術庁あるいは警察庁の方から具体的な連絡経路等についての連絡は受けておりません。
  24. 塩飽得郎

    政府委員塩飽得郎君) 原子炉等規制法によりまして、核燃料物質運搬につきましては、出発地都道府県公安委員会届け出がなされるということで、これは一昨年の改正で入りました。昨年の三月から実際に運用されているわけです。そういったことから、まず出発地公安委員会はそれを承知しておりますし、事前連絡も十分受けております。また、警察庁の方にも、事業者あるいは科学技術庁の方からも事前連絡がございます。
  25. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、連絡を受けておるということなんですが、連絡を受けられて、警察としてはどういうふうな態勢をとられるんですか。
  26. 塩飽得郎

    政府委員塩飽得郎君) まず、出発地都道府県公安委員会、これは事実上警察が事務をやっておりますが、届け出を受けますと、まず目的地までの経路がございますが、それに関係する各県の警察事前連絡をして、意見を聞きます。それで、経路その他について意見があれば、それに従ってまた事業者と協議などいたしまして、最も安全な経路あるいは日時、時間、場所、そういった点まで含めて、運ぶコースといいますか、そういった問題について事業者と話し合いをして、それからまたコースを決める。必要とあれば指示をいたします。
  27. 吉田正雄

    吉田正雄君 具体的にいままでの輸送の段階で、警察の何らかの警備と言ったらいいでしょうか、事故なり、そういう防災に備えて警察のある特定部隊がこれに対して出動したといいますか、そういう事実はありますか。
  28. 塩飽得郎

    政府委員塩飽得郎君) 核燃料物質運搬につきましては、必要な場合、パトカーをつけまして十分前後の警戒をするとか、あるいは必要であれば、交通事故その他の危険がございますから、交差点に警察官を立てるとか、そういった措置はしておりますが、部隊で云々というのは……。
  29. 吉田正雄

    吉田正雄君 私がお尋ねしたいのは、交通整理というものもきわめて重要ですね、これは事故を起こさないために。と同時に、私が心配いたしておりますのは、もし何らかの状況下において事故が発生した場合、大変な事態になるわけですね。案外私、保安部長警備の面からばっかり考えておいでになって、本当の核物質危険性というものについて警察当局はどの程度認識をお持ちなのか、この前、去年から質問をしておっても、私は非常に疑問なんです。というのは、聞いてみたら、実際に放射線に対する防護服一つがないということも聞いておるわけです。  そこで、お聞きをしたいのですが、単なるパトカーの先導、交通整理ということでなくて、具体的に事故が起きた場合の警察自体防災体制、つまり、現地に出動する皆さんの装備等が一体どうなっているのか、私はこの前の委員会質問警察にもお尋ねをしたんですけれども、そういう装備というものがほとんどないということで、できるだけ装備というものを今後整備をしていきたいのだというふうなことも答弁にあったのですが、新年度の新しい予算の中ではどの程度の装備——車一つとってみても、普通の機動隊皆さんを乗っけるようなあんな車じゃ役に立たぬわけですから、そういう点でどのような予算措置というものを講じておいでになるのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  30. 塩飽得郎

    政府委員塩飽得郎君) 私ども核燃料物質、核の問題につきましては、核防護という点もこれは非常に重大な問題ですけれども、いま議員指摘のとおり、交通事故あるいは不慮の災害、そういったことで放射線漏れなどの事故があっては重大なことでございますから、その点は十分警戒をしているわけです。そういった意味から、事情にもよりますけれども、場合によってはパトカーをつける、それからさらに、運搬の車両についても自主的な警備をする、そういったことで安全を期しているわけでございます。また、いざというときには現場の措置というものになるわけですが、装備関係につきましては、五十三年、あるいは五十四年度の予算で若干防護服であるとかあるいはサーべーメーターであるとか、そういった装備も整備をするということでお願いをしているわけでございます。
  31. 吉田正雄

    吉田正雄君 具体的にひとつ答えていただけませんか。たとえば、原子力施設のある県の県警に対してどの程度の、いま言ったような防護服であるとか、特別の車両であるとか、その配置状況はどうなっておりますか。また、専門の、そういう核というよりも放射線に対する教育を受けた警官がどの程度そこに配置をされているのか、そのこともあわせてお聞かせを願いたい。
  32. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) お答えをいたします。  核防護関係の体制あるいは装備、資器材、こういった面でございますけれども、まず、人的な措置をどうやっていくかという御質疑に対してのお答えとしましては、実は昨年とことし、増員をお願いいたしまして、昨年は茨城、福井、大阪、それぞれ原子力関係の施設を有しまする関係府県に対しまして増員を行っております。ことしはいま増員をお願いしているのは、福島、東京、神奈川、静岡、島根、福井、愛媛、佐賀、こういった各県でそれぞれ原子力関係の施設がございますので、この件につきまして約二百名ほど増員をお願いしておるということでございます。  これらの増員されました警察官につきましては、外勤警察官でございますが、各県におきましては、施設の所在及び周辺の状況、そういった全体的な県内事情との絡み合いで態勢を組みまして、外勤警察官としまして施設の周辺の外勤活動、これを主体といたしまして警ら、警戒に当たっておる。  さらに、いろいろの事故が発生した、あるいは災害が発生したというふうな場合に、どういう体制でいくかというのは、もうこれだけいただいた増員の数だけでは間に合いっこございませんので、これはそれぞれのペース、ペースに応じましてその外勤警察官を中核といたしまして段階に応じた全県的な動員、さらに隣府県を含めた応援体制等によりまして、広域的に避難誘導を初め災害に対する各種の手だてをとる、こういうふうなことでやっておるわけでございます。  一面、こういった人の措置の半面の資器材の問題でございますが、率直に言いまして、現在いろいろ努力しておるということでございまして、その面については万全であるとは思っておりません。しかし、昨年来こういった核防護の関係の重要性にかんがみまして、いろいろの面でお願いしているわけでございまして、たとえば、核防護の特車、いわゆる被曝防止のための特別の措置を施す車、これをこういった関係各県に配分するということで増強をいたしております。  そのほか、具体的な非常にこまいことになりますけれども、品目を申し上げますと、核保護服と言っておりますけれども、密閉式の核保護服、これをこういった増員されました警察官にそれぞれ与える。それから保護マスク、サーべーメーター、それからポケット用のいろいろのガンマその他をはかる計量計、こういったもの、それから災害のあった際の応援出動といいますか、そういった出動服、略帽、ヘルメットといういうふうなものを含めまして、非常にこまかい項目を含めてそれぞれ要求し、これらの各府県に配分していく、こういうことで努力しておるところでございます。
  33. 吉田正雄

    吉田正雄君 じゃ、具体的にちょっとお聞きしますけれども、たとえば、いま一番原子力発電所の多いのが原発銀座なんて言われております福島県、これは福島第一が、一号炉から六号炉まで完成をして、現在全部運転に入っておりますし、それから第二が、一、二号炉がいま建設中で三、四、五号炉も近く認可になって建設開始ということになるわけです。だから、この福島とかたとえば東海村等には、いま特車とおっしゃいましたね、それから防護服、さらにはサーべーメーターからいろんな各種のポケット線量計というもの、こういうものを配置をするということなんですが、一体具体的にはたとえば防護服はどれぐらい配置されているんですか、この茨城の場合と福島の場合。この現地の警察にどれぐらい配置されておりますか。
  34. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いまおっしゃいましたように、核関係の施設、これは昨年度は茨城、福井、大阪と申し上げましたが、この三県が、ある意味では非常にそういう意味での施設が歴史的にも先進的な県であろうと思います。いまおっしゃいましたたとえば福島、福井でございますが、ことしも御承知のとおり一月、二月段階で公開ヒヤリングというようなことで、新しいそういった例の手続によるヒヤリング、公聴会といいますか、そういったものも開催されているようなことでございまして、たとえば茨城県で申しますると、御承知のとおり日本原子力研究所大洗研究所というのがございます。それから日本原研の東海研究所、あるいは動燃大洗工学センター、こういった研究機関を設立主体とする施設がございます。福井は動燃の敦賀の建設事務所あるいは日本原子力株式会社の敦賀発電所、こういうふうなものがございまして、さらに将来関西電力関係のそれぞれの計画があるということで、有名な高浜というふうなものを含めましていろいろの計画があるということでございます。  したがって、まだ設置されておらないこれからのものは別としまして、現在すでに手当て済みの、たとえば茨城で申しますれば、九十二名の警察官を昨年の段階で配分、増員されておるわけでございまして、これらがさっき言いましたような施設を中心に外勤活動をしている。これに対しまして、保護服というのはこれはもう増員された者全員にやはり配る、こういうことで予算要求をしているわけでございますが、いま私の手元に、では茨城のこの九十二名にどういう品目がどれだけいっているかということは、県単位には申し上げられませんが、たとえば保護服については、五十五年度の予算でお願いしているのは百六十六着を服としてはお願いをしておる、こういうふうなことでございます。
  35. 吉田正雄

    吉田正雄君 御承知のように、きのうがちょうどスリーマイルアイランドの事故一周年、まあ余り芳しくない一周年なんですけれども、私もその現地へも行ってきて一番感じたのが、防災計画が事故が起きてから緊急に立てられたということなんです。五マイル以内のものはあらかじめあったけれども、五マイル以外のものについては事故が発生してから二十四時間内につくっていったということですから、こんなものははっきり言って防災計画になりません。  そこで、私がこの前からお尋ねをしてその後の経過を聞いても、本来は昨年の秋までに中央防災会議として原子力施設における事故防災計画はつくるんだということだったんですが、聞いてみると、まだできていないということなんですけれども、私はこれは公安委員長という立場もそうですけれども自治省という立場からしても、事故が起きた場合一番被害を受けるのはここじゃないんですよ。あくまでも市町村段階なんでして、そういう点で私は警察の、いま言った警官自体が防護服から何から施設がなければ防災活動はできないわけですね。これが普通の火災とちょっと違うところでして、非常に深刻な状況になるわけですから、そういう点で警察自身のそういう防災体制とあわせて、私はこれは自治大臣としてお願いしたいと思いますのは、各市町村に対する防災計画、こういうものをきちっと整備をしていく必要があると思うんです。  ミドルタウンの町長がこの間も日本へ参りましたけれども、町長が何と言っておりましたかというと、防災計画を立てて、そしてその防災計画を実際に発動し適用してみて、その防災計画が有効であったという実証が得られるまでは原発というのはつくるべきじゃないと、はっきりと町長が言っておりました。しかも、日本というところは非常に狭いところだと聞いておりますと。この広いアメリカの私どもが行ったスリーマイルアイランドの周辺というのは、非常に広大な農村地帯です。あれでも人口が多いんだと町長は言っておりまして、こんなところへ建てたのはけしからぬと言って怒っておりましたけれども日本の実情を見て彼はもっとびっくり仰天していると思うんです。逃げ場がないじゃないかという感じがするんです。  そこで私は、いま自治省としては——警察状況はいま聞いて大体わかったんですが、どうもまだ不十分な感じです。これは警備局長、保安部長にも要請したいと思うんですが、この前実は私も福井へも行ったんです。行ったんですが、わずか五百人程度反対運動の人たちに対して機動隊の勢力というのは圧倒的で、あの寒空の中、放水車まで持ってきているわけです。あんな放水車を持ってくる前にあれを放射能防災車にした方がよっぽどいいんで、ちょっとその辺私は方向を変えてもらう必要があるんじゃないかと思うんです。どうも反対運動というと何か暴力集団か暴徒のような見方をするという、その考え方自体が私はもう基本的には民主主義というものを否定する考え方に連なると思う。非常に危険な警察国家化に進んでいくんじゃないかという心配をしているんで、そうではなくて、本当に国民の安全を守るという立場から、今日の原子力に対する防災体制というものはきわめて貧弱である。貧弱であるというよりも、もっと突き詰めて言うと、この狭い日本事故が起きたらもう防災のしようがない、お手上げだということだろうと思うんです。  いま自信を持って、原子力発電所事故が起きたときに完全に防災できますなんて言う人はだれだっていないと思うんです。だから、私はよく言うんです。事故が起きたら機動隊と自衛隊が行って封鎖をしちゃって、気の毒だけれども中の方は死んでもらうと、これはネコの子一匹外へ出さぬという体制がとられるはずですよ、汚染源は拡大しないというのが被曝の場合の最大の防護体制になるわけですから。地震以上です。もう汚染された人間は外へ出さないという体制になる。したがって、「カサンドラクロス」なんていう映画じゃありませんけれども、結局国家権力として、その事故が起きた地域の住民は封鎖をして、これはもう死んでもらうんだと、こういうことになるんじゃないかということは私はこの前から申し上げているんです。そうでないということをいま皆さんから反論できたらここでやっていただきたいと思うんですが、どうもいまの話を聞いていますと、きわめて貧弱であって、警察自身がこわくてそこへ入っていけないといういまの状況ですと。  そういう点で、自治大臣どうなんですか。いま全国的に原子力施設のある県に対する防災計画がどのように立案をされ、また具体的にそういう訓練も行われておるのか。これは佐賀の県知事だったでしょうかね、実際に住民の防災訓練をやるべきだと言って、たしか言っている。これは佐賀県知事だったと思うんですが、そういうことも言っているんですね。その必要性あると思うんです。いや、そんなことをやったらパニックになるんじゃないか。パニックになるじゃなくて、私はやっぱり万一に備えるということが絶対必要だと思うんです。そういう点で現状はどうなっているのか、ちょっとお聞かせください。
  36. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに吉田先生おっしゃるように、原発事故に対処する体制の整備は急務だと思います。従来は中央防災会議で決めました方針に従って、各県それから関係の市町村、それぞれ御案内のように地域防災計画を立てておるわけです。しかし、これは必ずしも私もそれぞれの防災計画を読みましたけれども、十分と思いません。これはやはり再検討の要があると思います。そこで、ハリスバーグの例のスリーマイルアイランドの事故状況にかんがみて、現在原子力安全委員会で非常に専門的、技術的な面がございますので、検当のし直しをやっておるようでございますので、それのでき次第、政府としてはさらにそういった防災計画の練り直しという作業をやらなきゃならぬ、かように考えております。  それで、私も実はハリスバーグへ行ってきたんです。原子力のあの事故の教訓、これはちょっと考えられないような操作ミスがあったようですけれども、体制としては、できるだけ関係市民に対する迅速な情報伝達、これが一番肝心だろう。それから、それに平素のこれも防災の計画がなきゃいけませんね。それで同時に、関係の住民の避難の体制ですね、ことに子供さん、それから病人、お年寄り、こういった者をアメリカの場合は五マイル以内しかできなくて、急な問題で間に合わなかった点があるようですけれども、やはり二十マイルの計画のようですけれども、そうすればそういった人たちをどのような形で収容するだけの施設を平素から訓練計画を立てておるか。さらに、その住民の誘導の問題いろいろあるようですが、そういった計画も、私どもとしては、安全委員会の再検討の結果を見まして立て直しをやらなければならない、かように考えておるわけでございます。何よりも、おっしゃるように、原発の事故というものが万々一あった場合には関係住民の安全を守るということ、同時にまた、関係警察あるいは消防、こういったような関係機関がその地域で十分に活動できるような諸般の装備あるいは人員、そういうものをこれから早急に私もやらなきゃならぬと、かように考えております。  したがって、従来原子力発電所は安全だということを言っておりましたけれども、私はやはり率直に言いまして、人間のつくるもので事故がないものはありません。必ず事故があるわけですから、問題は事故の発生というものをどこまでプロバビリティーとして抑えることができるか、これが一番肝心な一つの問題。しかし、やはり起きるだろうと、起きた場合にいまの人間の力といいますか、いろんな体制で抑えて、もはや人間の力で抑えることのできないような事故が仮に起こり得るんだということであれば、これは原子力発電そのものに対する問題が私は出てくると思うんです。私はそういう観点でハリスバーグへ行って、ペンシルバニア州の当局、それからカウンティーの当局者、それから例の何とかという小さな発電会社ですね。そこらからもいろいろ詳しい事情を聞きましたけれども、私自身としては非常な努力は要すると思いますけれども、必ずしも人の力で抑えることができないような事故が起きるとは思わないし、やはりこれからのわれわれの努力で十分対処できるという、私自身は感じを持って帰ってきておるわけでございます。  さて、翻って日本の現状を見た場合には、多少アメリカの場合と日本の人口過密の状況、これらとの違いがございますし、そこらも踏まえながら、まだまだ体制が日本の場合に十分とは思っておりません。そういうような意味合いから、私の担当は消防のことであるし、市町村のことであるし、警察のことでございますから、こういう点については、吉田さんの先ほど来の御意見等も踏まえまして、十分ひとつこれから体制を整えていきたい、かように考えておるわけでございます。
  37. 吉田正雄

    吉田正雄君 いま大臣の答弁の中で、人間のつくるものに満足なものはないと、私はそのとおりだと思うんです。だから、いままで事故が起きてきた最大の問題点というのは、むしろ科学を過信をし、そして絶対だという考え方で行政を進めてきたから私は逆に事故が起きたんだと思うんです。今度の大統領調査特別委員会の報告でも、原発は本来本質的に潜在的危険性を有するものであるというのが結論になっているわけです。しかも、厳しい多くの勧告というものを行っておりますけれども、その勧告が完全に実施されたとしても、今後ああいう事故が起きないという保証は何らないんだという、全く逆に言えば、今後も起きるであろうという、そういう大統領調査委員会の結論なんです。そういう点で、私は、この狭い日本事故が、結構深刻な事故が起きているんですよ、スリーマイルアイランド一歩手前の事故も、高浜だの玄界を見ますと大変な事故なんです、あれは。ひた隠しにしてますし、美浜なんというのはあれはもうどうしようもない炉ですからね。  そういうことで私は、やはりいままで科学技術庁や通産省にお任せをしてきたという自治省警察消防庁態度というのは問題だと思いますし、私は警察の場合も、反対運動を抑えることにばかり力を入れていないで、これは本当に事故が起きた場合の防災をどうするかというのがよほど深刻なんです。そういうことで、いまもお聞きして、きわめて貧弱だなと思いますし、たとえば全面マスク等はお持ちになっていますか。いまの装備の中にありますか、マスク。
  38. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 消防関係につきましては、原発所在市町村が現在十二市町村ございますが、十二市町村に、明年度予算におきまして、一台ずつ広報車を配置したいと考えております。原発事故の場合には目に見えませんもので、住民の不安が非常に大きくなるおそれがある、デマが大きな問題であるという観点から広報車を備えつけるわけでございますが、その広報車の中に放射線測定器、ポケット線量計、それから呼吸保護具、保護衣類、こういったものを若干備えまして、万一に備えたいというように考えております。
  39. 吉田正雄

    吉田正雄君 事故が起きるということも言えないでしょうし、しかし広報車一台でいいと思うんですけれども、いま聞きますと、測定機器、ポケット線量計結構ですけれども、防護服とはどれくらいなんですか、消防庁、いまの十一市町村には。
  40. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 消防隊員五名で編成いたしておりますので、いざという場合にはこの広報車を活用して現場へ行き、そういった作業を担当する消防職員としてはとりあえず五名ということで、五名分をいずれも用意しております。
  41. 吉田正雄

    吉田正雄君 五名分じゃはだ寒い思いなんですよ。ないというよりも、あるというだけの話にしかすぎない。これじゃ全然問題にならぬと思うんです。  これは警察の場合どうなんですか、消防庁の場合にはいま言った十一市町村。
  42. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) マスクの関係につきましては、昨年度、本年度までは国費としてはまだ配分されておりませんで、関係府県の努力によりまして約百、マスクとして外勤警察官の中核として百ぐらい関係府県で整備しておる。新年度におきましてマスク関係もひとつ整備するということで、現在百六十ほど要求しておるというふうな状況でございます。
  43. 吉田正雄

    吉田正雄君 運輸省おいでになっていますか。——ちょっとお聞きしますけれども、いまの警察それから消防庁の体制を聞きますとまさにはだ寒く感ずる防災体制だと私は思うんです。それから防災計画もきちっとしたもの、私も各県市町村でどの程度防災計画ができているのかというのをちょっと見てみたんですけれども、全くおそまつなんです。おそまつというよりもあれじゃ全然役に立たない。問題にならないんです、はっきり言って。一たん事故が起きたら私は大混乱だと思いますし、警察官だって消防署員だっていま言ったような貧弱な体制で実際に災害地へなんて入れませんよ、こんなもので。その点よく私は認識しておいてもらいたいと思うんです。本当にまだ放射能のこわさというのを皆さん御存じないんじゃないかと思うんです。私もこの前、炉心にちょっと入りましたけれども、いや、あれは大変なものです。  そういうことで、ひとつ防災体制を整えてもらいたいと思うんですが、運輸省の場合、これは海上輸送もあるんですね。私はまた、この海上輸送も一たん事故が起きたら大変なことになるんじゃないかと思うんです。さっき言ったように特に使用済み核燃料、高レベル廃棄物というのは大変な地球上の最大の毒物質なんですから、そういう点で運輸省としては、陸上はいまの話でおよそわかるんですが、海上の輸送体制はどんなになっているんですか。
  44. 野口節

    説明員(野口節君) 使用済み核燃料海上輸送につきましては、普通の放射性の物質等の輸送よりもはるかに厳しい基準を持って警察側が安全の確認をしております。実際には使用済み核燃料輸送におきます船は一般の船ではございませんで、たとえば船側を二重にするとか船底を二重にするとか、あるいは何かの衝突の事故があった場合にすぐに沈没しないようにするという非常に厳しい基準をつくりまして、そういう特別の船舶に積んで運ぶように措置しております。日本の船は一隻でございまして、外国の船二隻、いま現在合わせて三隻やっておるわけでございますけれども、これは先ほど申しましたように、いずれも一般の船に比べて非常に厳しい基準でやっております。そういうことでございます。
  45. 吉田正雄

    吉田正雄君 厳しい体制という、言葉の上での厳しいというのはわかるんですけれども、これは、たとえば「むつ」の場合でもそうですけれども、絶対大丈夫、絶対安全と言っておったのが、一〇〇%出力試験にまでいかないうちにわずかな出力試験でもう放射能漏れを起こすという、逆に言うと私は認識の甘さを言っているわけです。だから、いまのお話を聞きますと、海上輸送はもう絶対大丈夫みたいな話なんですけれども、絶対という言葉は使えないですね、これは。  たとえば、日本の造船技術が世界でもすぐれておると言いながら、大丈夫の船が太平洋の真ん中でぽっきり真っ二つに折れて沈むなんという事故が何回かあったわけですから、そういうことで、私は仮に大丈夫としても、万一事故が起きた場合の輸送途中の防災体制というのはどういうふうになるんですか。仮に何か事故が起きたという場合ですね。
  46. 野口節

    説明員(野口節君) ただいま申し上げましたように非常に厳しい基準でやっておりますけれども輸送途中で緊急事態がもし発生するようなことがありました場合のことを考えまして、中での被曝管理その他についての基準を決めておりますと同時に、陸上とよく連絡をとり、あるいは海上保安部と連絡をとるというような輸送計画に基づきまして安全の確保を図っておる次第でございます。
  47. 吉田正雄

    吉田正雄君 運輸省、お聞きしますが、陸上輸送の場合、運輸省としてはたとえば電気事業者なりと事前連絡をとって、さっきちょっと警察の場合には各県の公安委員会連絡があるということだったんですが、運輸省には電気事業者の方から連絡ありますか。
  48. 片岡栄夫

    説明員(片岡栄夫君) 運輸省の陸上輸送につきましては、事業所外車両運搬のうちの輸送方法について基準を定めておるわけでございます。それで、輸送物につきましては科学技術庁の方で所掌いたしております。新燃料とかあるいは使用済み燃料とかいうような非常に大量の放射能を有します危険なものにつきましては、輸送物の確認を科学技術庁が行いまして、輸送方法の確認を運輸省は行っているというのが実情でございます。  それで、運輸省が輸送方法の確認を行う際には、もちろん申請書が出てまいりますので、申請書の内容について必要な場合には電気事業者あるいは原子力事業者等から内容の説明を伺う。運輸省がやる場合には、具体的には運送を委託された者が申請者になるのが通例でございますので、運送を委託された者に対して内容の検討をいたしておるわけでございますが、もちろん必要の場合には、いま申し上げましたように、電気事業者原子力事業者等に照会をいたしております。  それから、もちろん科学技術庁が物の確認をやるわけでございますので、その物確認が果たしてできておるかどうかというものは、書類によりまして確認をいたしております。
  49. 吉田正雄

    吉田正雄君 これは自治大臣にお聞きをした方がいいのかどうかちょっとあれなんですが、私は防災計画を立てた場合、仮に事故が起きて住民の避難というときを考え、一番問題になるのがやっぱり道路の問題じゃないかと思うんです。したがって、いま茨城の場合も緊急避難道路三本というのが国道に向かってつくられておると言いますけれども、その道路を三本つくってみても、国道そのものの輸送能力というのが決まっているわけでして、そういう点で具体的に事故が起きた場合の施設を有する市町村の道路の状況と、それから車両数とか住民の持っている自動車の数、そういうものを考えたときに、果たして安全に避難をさせることができるような道路状況になっておるのかどうなのか、その辺の検討はされたことがございますか。これはどこが……。
  50. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 私どもの直接の所管じゃございませんけれども、地域防災計画で避難道路等を予定いたします場合には、当然そういった諸般の事情というものを前提といたしまして避難道路一避難場所というものを決めるわけでございまして、この避難道路、避難場所に対する国の方の関与といたしましては建設省が行っておりますので、建設省が国道その他の状況も当然あわせ考え、補助対象にするなりしておると思います。
  51. 吉田正雄

    吉田正雄君 いま消防庁の方が答えられましたけれども、この道路では狭過ぎる、単にどこの学校を避難場所に指定するなんということはどうということはないんです。そうじゃなくて、実際にそこに避難するのに一体どれだけの時間がかかるのか、輸送能力はこの道路ではどれぐらいあるのかというふうな計画を立てて、不足である、ここは改善すべきだ、道路をつくらなきゃいけない、幅員を拡大しなきゃならぬなんという、こういうものは自治体と相談をして、それから建設省と相談をするということになるんですか、いままでどういうふうにやられてきたんですか。
  52. 近藤隆之

    政府委員近藤隆之君) 地域防災計画につきましては、全般的な基本というのは御承知のように国土庁が統轄しておるわけでございます。そして具体的に地方公共団体を指導するという関係につきましては、自治省消防庁が行っております。  その地域防災計画の中に盛り込まれておるところの種々の事業につきましては、それぞれの所管省が指導するという形になっておりますので、ただいま御指摘の避難道路、避難場所というような関係につきましては、建設省が具体的に指導いたしております。
  53. 吉田正雄

    吉田正雄君 この前の防災計画の論議のときに聞いたんですけれども、従来は中央防災会議の主管官庁というか、取りまとめは国土庁の方でやるということになっておりましたけれども、この原子力災害については科技庁が当面中心になってまとめていくんだということできたのですが、率直に言って科技庁というのは技術者の集まりの官庁でして、行政能力というのは余り私はないと思っているんです。したがって、各省庁への連絡もきわめて不十分だと。そういうことから、あれだけ防災計画の緊急確立が要請をされながら、九月にできます、十月にできますと言って、年を明けていまになってもまだできていない、怠慢と言わざるを得ないと思うんです。もし事故が起きたら一体どうなるんですかと。そのときになって責任とりますなんて言ったって、これはお話にならぬわけですから、そういう点で私は、科技庁の主管だからとか国土庁の主管だなんということではなくて、そこで、私はさっきから自治大臣に申し上げておりますのは、いざになると、どうしてもやっぱりこの防災計画は地域中心なんです。中央の官庁が机の上でもって鉛筆なめなめつくったものなんていうのは役に立たぬですよ、これは率直に言って。  そういうことで、私はむしろ自治省の方が、これは警察消防庁含めて積極的にこの防災計画というものをつくる中心的な役割りを果たすべきではないか、また提言をすべきではないかというふうに思っておるんです。そういう点で自治大臣の考え方を聞かしてください。
  54. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、確かにこれは具体的な問題になれば地域が主体にならざるを得ません。そういう意味合いで自治省の責任も重大だと思うんですが、何せこの問題は非常に専門的な科学的知識、技術的な面、これらをのみ込んだ上での計画、訓練、平素からの準備でないとどうにもならぬものですから、私どもとしては一日も早く例の原子力安全委員会の見直しの結論を待っているわけです。それのでき次第私どもとしても、関係市町村等ともあるいは県なんかとも十分連絡をして、できるだけひとつ御質疑のあるような点も踏まえまして遺憾のないような計画、同時にまた、訓練等も逐次実施をしていくというように指導してまいりたいと、かように考えます。     —————————————
  55. 亀長友義

    主査亀長友義君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、吉田正雄君が分科担当委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が分科担当委員選任されました。     —————————————
  56. 亀長友義

    主査亀長友義君) 引き続き質疑に入ります。丸谷君。
  57. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治省関係になると余りにも質問をしたい項目が多過ぎてなかなかしぼり切れないので、質問通告について、まことにどうも雑駁なことになってしまったんですが、最初に一つ具体的な問題についての見解を明らかにしてもらいたいと思います。  実は、これは本来一件落着したと私は思っていたんです。そして当事者間においてはしたんですけれども、指導機関にある道がよけいなこと言うので、私としてはもう一回これははっきりさせておかなければならなくなってきました。  事案は、北海道の釧路市で港内の清掃船の建造について五十年の六月議会で議決し、五千六百万円で釧路重工株式会社と契約を締結、支払いについては五十一年四月−五十六年三月までの債務負担行為で発注した。まずこれが第一点。  清掃船竣工は五十年十一月二十五日。しかし、その前の九月の十日に釧路重工は拓銀と北陸にそれぞれ二千八百万円の債権譲渡の申請をし、九月二十五日市長が承認をしたと、債権をですね。そしてこれは、債務負担行為の中で銀行の借り入れ利息分はこれ以外にそれぞれの年度に市が釧路重工に支払いをするということになっておるわけなんです。ですから、利息がついたまま債権譲渡が行われた。  その後、金利が一時緩みましたときに、九・七%を七%に引き下げる交渉を二銀行としたところ、北陸は年度当初にさかのぼって七%とした。しかし、拓銀は他の均衡もあり、というのは、北陸の場合にはそう北海道内の市町村に融資していませんからできたのだと思うんですが、拓銀となると、これ一つやれば全道の市町村全部に波及するということがあったんだろうと思うんです。別にこれは拓銀が悪いわけではないというふうに私は、この両銀行の違いからそう理解をしているんです。他の均衡もあり、それは契約なのだから下げることは公定歩合が下がっても認めないという方針であったところ、五十三年の七月三十一日に釧路市は拓銀分を一括償還した。下げないと言うから、それじゃと残りの分を全部払った。その財源措置については、五十三年六月、五十四年二月に補正予算を組んで処理した。  ところが、ここまではいいのですよ。五十四年の三月になりますと、借りかえと称して信漁連——これは信用漁業協同組合連合会、略して信漁連と言います——から千六百八十万円を借りたものであると。そして、市長としては、借りかえだから前の債務負担行為が生きているので、年次計画に従って五十六年までこの分は分割払いをすると、こういうことになった。それが五十四年の十二月市議会で問題になった。たまたま私は一月にひょっと顔を出したところが、盛んにもめているんです。汽車の時間もありましたので、ああそれは違法だ、違法だと言って汽車に乗っちゃった。  ところが、三月になりまして、市長はこれは違法でないということで——まあそれには正誤表で直すとかいろんなことがありましたけれども、要約すれば——ということでがんとしてこの訂正に応じない。そこで、釧路市議会の社会党議員団から電話が来て、丸谷先生は違法だと言うけれども市長はがんとして違法でないとがんばっていると。で、自治省見解も私はそこで携えまして、これはもう論議の余地のないヤミ起債なんです。争う余地はないんですよ。そこで、市長は三月にこういう答弁をしているんです。適法ではないけれども違法ではない。釧路市議会で有名な言葉になりました。  で、まず一点、地方自治体が行う法律行為で、適法ではないけれども違法でもないと、こういう事態を想定できますでしょうか。ちょっとそれどなたかお答えいただきたい。
  58. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ただいまのお話でございましたが、事実関係は私たちもいま丸谷先生がおっしゃられたように聞いております。どういう意味で市長が、違法ではあるが適法ではないというお話をなさったか……
  59. 丸谷金保

    丸谷金保君 反対。
  60. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) それはわかりませんが、この事実だけを見ておりますと、やはりいま先生が言われましたように、基本的には違法な行為でありますから、なるべく早くそういうことが是正されることを望んでおります。
  61. 丸谷金保

    丸谷金保君 後先つけると非常に話がこんがらがるんです。基本的に違法である、じゃ例外もあるんだなということなるんですよ。釧路の場合は例外だとこうなっちゃうんです。これは違法ですか、適法ですか。
  62. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) いま申し上げましたように、これは違法でございます。
  63. 丸谷金保

    丸谷金保君 私もこれは違法だと。  それから、釧路へ出かけまして市長さんに会いました。実際にはこれは市長さんが知らないところの事務処理で進んだことでしょう、この程度のことですから。人口二十万の釧路の市長さんがここまで目配りできるわけがないと思う、しかし、問題になったら部下のやったことはやっぱり市長の責任だからあなたは謝りなさい、謝って直しなさい、そうすれば野党もおさまるんだよ、こういうときには市長は素直に頭を下げるのが首長としての心構えだとじゅんじゅんと話したんです。そうしましたら市長は、わかりましたということで、その後、市長は、これは間違っていたということで議会に陳謝をしている。そしてさらに補正予算で一括三月に信漁連に払ったんです。払えない金額ではないんです。残りの七百何十万ぐらい払えない金額でないんで、ちょっとそこのところの数字は覚えておりませんが、とにかく払った。それでよかった、よかったということで私のところへ連絡があった。  ところがその後、道の出先の釧路支庁、ここの地方部長というのが、こっちの方が扱っている方ですね、この方が、いろいろケース・バイ・ケースがあって必ずしも違法と言えないかもしれないが、一件落着してよかったと、こういう新聞発表をしている、またもとへ戻っているんです。私はこれは間違いもありますし、事務当局でよかれと思ってやったこともあるから間違ったら直す、これは別に実害はないんですし、それでいいと思ったんです。しかし、指導する道の出先がそういう感覚だとすれば、これは自治省の問題になってくる。釧路市の問題なら道の問題で済みますよ。しかし、地方部長と言えば、道の出先の相当な地位です。市町村一切、大体支庁長に変わって十何カ町村の指導をするわけですから。この人がこういう感覚では非常に困ると思うんです。自治省はそういうことについて都道府県を厳重に指導しているんですか、どうなんです。
  64. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 財政の運営につきましては、常々法律にのっとって正当な行為を行うように指導をいたしておるところでもありますから、都道府県全般にそういう指導が行き届いておると私たちは思っておりますし、どういう意味で地方部長がおっしゃったか、その事実を私どもの方で認識はしておりませんけれども、もしそういうことがあれば、よく指導をいたしてまいります。
  65. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはその地方部長がそういうことを言わなきゃ、これでよかったで済んだんですが、そういうことを言う底に流れているものは何だと実は考えてみたんです。革新の自治体ならでかでかと新聞に、けしからぬことをやっていると書くでしょう、おたくたちも書かせるでしょう。保守の市長さんのところだと、何となくもやもやとした形で明確な指導をしないんではないか、そういうことはありませんか。
  66. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 一般的に自治省が指導いたしておりますのは、個別的な指導ではなくて、全国的な指導を一律に行っているわけでありますから、さように個別的なことで干渉するようなことは私はないと思います。
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 実際には自治省というより、いろいろ出ていった人たちの間の微妙なニュアンスなんです。微妙なニュアンスの中で、これは実際は枚挙にいとまないほどあるんです。しかし、挙げれば切りがありませんから、これはもうこの一例だけにしておきます。違法だという見解をいただいたことで、われわれも道の問題としては、十分出先の地方部長に対しては善処を要求せざるを得ないと思います。逆なでするような話ですからね、違法だと言って一件落着したなんて。  そこで問題は、地方自治体というのは一体何なんだと。憲法九十二条、明らかに戦後の平和憲法の中で地方自治というものが憲法に生かされて生まれ変わりましたね。ですから、地方自治の自治体としての基本的なよりどころは憲法九十二条だと思うんです。この中で地方自治の「組織及び運営に関する事項は、」云々とありますが、九十二条に、地方自治の本旨に基づいて法律をもって定めるとありますね。ですから、何でも法律的には定めることはできないわけです。地方自治の本旨に基づいて法律をつくらなきゃならないんで、他の憲法の条文と違うんです。地方自治の本旨というのは大臣、何でしょうか、憲法で言ういわゆる地方自治の本旨。これが自治省の一番大事なところなんです。もしあれでしたらどなたか御答弁を願います。
  68. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 憲法の九十二条に、地方自治の本旨に基づいて法律で組織及び運営について定めると書いてございます。その本旨に基づいて定められているのが地方自治法でございまして、地方自治法にございますように、一般的に地方における地方自治というのは、住民それ自身が団体自治なりあるいは住民自治なり、そういう言葉で言われておりますことはありますけれども、自立性あるいは自主性というのを重んじて自治体を運営していくということが基本だと、こういうことであります。
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 まさにそのとおりだと思うんです。そして、地方自治法はそれをより前進させるための法律であるというふうに理解してよろしゅうございますね。
  70. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) そのとおりであります。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 たまたまこの種問題につきましては、この場合は、市長さんは金利を安くしたんだから住民福祉にはもとらないんだ、ほめられなきゃならぬと言うんですが、しかし法律で禁止している理由というのは、ヤミ起債というふうなものも認めていくと際限なく広がって、最後には住民がえらい迷惑を、喜茂別という小さな村で十一億からのそういう問題が出たりして、もう給料も払えなくなったんですね。ですから、そういう住民福祉に反することを懸念するから法律で禁止している、そういうことですね。
  72. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) そういうことが多分にあろうと思います。ただ公共団体は、いま先生お話がありましたように、金利を安くしてという話に重点をしぼりますと、全体の財政運営から申し上げまして、幾分でも公共団体の余裕財源を持ちながら住民の福祉をどういうふうにうまく実行すべきかということを常々考えておるわけでもありますから、正規の手続をとりながらそういうことをなさっていただくということがやはり非常に大事なことだと思います。
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 できるだけ金利を安くするということ自体は決してとがめることでもないけれども、その場合も適法に処置していかなきゃならぬ。法の範囲を超えて安くしたからいいんじゃないかという理由にはならぬし、憲法の地方自治の本旨もそういう意味で地方自治法の中で禁止しているということなんです。それはわかるんです。そこのところまではわかるんですが、今度はヤミ給与とかヤミ起債、これになるとちょっといまの論点でかみ合わない問題が出てくると思うんです。  たとえば自治省は、これは大蔵からいろいろ言われるからだろうと思うんです、国家公務員との権衡の原則というふうなことを強く主張しますね。権衡ということは同じの原則じゃないんですから、多少の違いは認めているんでしょう。多少の違いがあるから権衡の原則なんで、同じだったら同じにせいということでいいんですから、権衡を図るということでなくて、権衡の原則ということになると、多少はこうなりますね。給与についての権衡の原則というのはどのあたりまでだと思いますか。
  74. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは地方公務員法に書いてございますように、一般的には国の給与あるいは民間の給与、そういうものを考慮して決めるということになっておるわけですから、民間なり国の給与というものを勘案しながら、地方公共団体で給与を決定されていくというのが一つの権衡の原則であろうと思っております。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 その場合には、首長自身の判断というふうなことが重要な要素になってくると思いますが、いかがでございましょうか。
  76. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 考え方としては、そういうことが多分にあろうと思います。ただ、地方公務員の給与というものについて、種別的に一番近いところにおりますのがやはり国家公務員の給与でもありますから、しかもなかなか国家公務員の給与というものの給与表を、いまの公共団体で自分独自で国家公務員のような給与表をつくれるかというと、なかなかそう能力的な問題もございますから、なるべくなら国家公務員と同じような給与で過ごしていただくというのが一番望ましいことだろうと思います。もちろん、おっしゃっておられますように、ぴたり全部が一致しなきゃならぬという話では毛頭ございませんので、公共団体の長がそういうことを認識しながら給与を決定していくということは、非常に大事なことだと思っております。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題で、要するに地方自治の本旨から考えて、非常に自治省の指導が画一的過ぎるというふうに私は常々痛感しておるんです。というのは、対予算どれだけの仕事をどれだけの人間でやっていると、ですから、総体としての人件費がはなはだしく過大であるというふうなことであれば、これは自治省としては、いかぬ、大変だよという指導をするのは当然だと思う。しかし、少ない人数で総体の人件費は少ない、個人個人を見れば国家公務員より上回っている、こういう場合にはそこまで自治省は干渉しないでいいんではないかと私は思いますが、どうです。
  78. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは実は、給与に関する決め方をどうするかというのは、昔からいろんな議論がございます。論文を書かれておられる先輩の人もおられますが、給与が総額的に決定をされる、要するに予算の何%かが給与だということは、想定をして、それが合理的な根拠があるとおっしゃるなら、あるいは少数精鋭主義でそういう給与の決定の仕方ができるかとも思います。しかし、現実にそれは、総予算主義に対する給与の額が幾らかということが合理的に算定できるかというと、これはきわめてむずかしい至難のわざでして、何人いるのが少数で精鋭なのか、何人が正当な定員なのかということを算定をするのは、大変私たちにとっても課題ではありますが、むずかしい問題であります。  そういう問題で、実は類似的な公共団体を比較検討しながら給与を見ている、あるいは先ほど申し上げましたように、国の給与というものを見ながら、それがあるいは御批判があるかもしれませんが、ラスパイレスのような批判をしながら、どの程度までの容認の部分があるだろうかということを議論しながらわれわれも考えておりますが、ただそれがどこまで一般の世論が支えてくれる額なのか、あるいは住民がそれならいいとおっしゃるのか、その辺の兼ね合いが大変大事であろうと思っております。
  79. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのとおりだと思うんです。問題は、世論なりあるいは住民が、いや、国家公務員より二〇%高いのはうちの町では当然だと言う場合には、これはそれけしからぬということに——それは、二倍も三倍もというんなら、これは権衡の原則を外れますけれども、たとえば私は、国家公務員の人たちのおる労働組合の人たちにも申し上げるんですが、地方自治体職員というのはもう二十年でも三十年でも居ついているんです。冠婚葬祭の経費から何からこれは全く違うんです。そうすれば、転勤するから転勤の経費もかかると、双方の言い分はいろいろあると思いますけれども、自治体職員というのは非常にお金がかかるんです。それからみんな、大学なんかないところがほとんどでしょう。特に子供を学校へやるときなんて、物すごくかかるんです。そうすると、使う方の首長としてはそういうことも判断して、ラスパイレスというふうなことで余り締めつけられないような、それぞれ特別の場合は別ですけれども、まず財政運営で心配のないという状況の中で、ラスパイレスの二〇くらい高いとか二五ぐらい高いまでは、総体の人件費と予算との対比というふうなものを比べてみて、きわめて効率的に少人数でやっているという場合には、むしろ自治省はほめてくれてもいいんでないかと思う。どうですか。
  80. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは大変むずかしい問題であろうと思います。実はいま、二〇%ぐらいいいじゃないかと言いますが、二〇%まで容認できるような社会的な情勢があるかどうかというのもございますが、逆に申し上げますと、国の給与よりも二〇%ぐらい低くてもいいじゃないかという、こういう公共団体だっていいはずでございます。ですから、そういうものがすべて均衡がとれておれば、全体的に公共団体の給与というのは国のレベルに非常に近づくわけですが、低いところだけは国に合わせよう、高いところはそのままにしておこうという議論が起きますと、今度はなかなかうまく合わないんで、社会的にもいろいろな批判を受けるということが私は出てくるんだと思います。  少数精鋭主義のお話というのは、先ほども申し上げましたように、給与の総額というのが予算の中に占める絶対額としてだれもが是認できるという方法があるのなら、先ほど申し上げましたように、私はそれはやり方であろうと思っております。これはずいぶんわれわれも研究をいたしました。しかし、なかなかこれにうまい方法がないわけです。それで結局、国と大体同じような給与の方法で支給をしていくというのがいまの目安としては、先ほど申し上げましたように、職業の形態、種別、いろんな勤務形態を見ましても似ておるものですから、なるべくそれと同じような方向でやっていただくというのが望ましいというので指導をしているわけでして、少数精鋭主義が悪いということを申し上げているわけではないわけです。
  81. 丸谷金保

    丸谷金保君 ラスパイレスの問題は、国に合わせるのが望ましいという意味での行政指導でございますね。
  82. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 本来、先ほど申し上げましたように、公共団体の給与というのは、民間の給与なり国の給与なりを考慮して決めるわけですから、ずばり合っていなきゃならぬということではこれはもちろんないわけでございます。
  83. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、ヤミ給与の問題がいろいろ問題になってきております。私は、たとえば時間外勤務をしないのに時間外を出すとか、こういうことはやはり違法だと思います。いけないことだと思う。と申しますのは、ずいぶんそれで責められました、私自身も町長をやっているときに。道がやっているじゃないか、全部の北海道の町村がやっているじゃないかと。しかし私は、これはだめだ、そんな全員が一律に同じ時間超過勤務をしたなんというのは、公文書偽造をやらぬ限りできないと。町じゅうの労働組合に赤旗振られたけれども、私はこれは承認できない、なぜなら、革新の町がやっていれば、同じことをやっても一番先に挙げられる、だから、保守の町がみんなやっているからいいということにならないんだ、やられるときには一番先にうちがやられるんだから、よそがやっているからいいという理論は成り立たない、だめなことはだめなんだと。しかし、みんなが一生懸命働いてくれるから、本俸をそれぞれに合わせて上げるということは私のサイドでできる、本俸でいこうじゃないかということで、実は本俸は非常に高いんです。  そのかわり、できるだけ人員をふやさないでやってくれ、労働組合の要求書には、われわれは一生懸命働く、働くからよそよりよけいよこせという要求書にせいと、そういう要求書なんです。工務夫をなくしました。雪かきはみんなが早く出てきてやりゃいいじゃないか、銀行も中へ入ったから、銀行へ行く用事もなくなったじゃないか、郵便は、郵便局の近くの者が取ってくりゃいいじゃないか、掃除はパートのおばさんに任せればいいじゃないか、公務補は戸籍係にして勉強しなさいというふうなことで、一例を挙げればそういうふうな形でやってきたわけです。ヤミ給与の問題がいまこう出てきましたから、みんなやめていきます。これが済むと心配するのは、本俸の高いところにどうしても皆さんの目がいくと思うんです。そのときには池田町は一番先にやり玉に上がる危険性があるんです。ヤミ給与はやっていないのですから、ずっと、断じてやらなかったのです。ヤミ給与の問題にしても、私は自治省の怠慢だと思いますよ。自治省だって、やっていることはもう十年も先からわかっているはずなんです、報告書もらっていれば。  まず最初に、それから聞きましょう。なぜいまごろまでああいう問題を黙っていたのですか。
  84. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは別に隠しておいたりなんかしたわけでは毛頭ございませんで、たまたまそういう事態が起きたからわかったというのが正直な私たちの考え方であります。  超勤を一律に出しておくのがいかぬと、こういうお話がありましょうけれども、地方によりましては、平均してみんなをずっと一カ月見て、何時間出ているかというのを総体的に並べて後で出すということもありますし、それが一概に全部悪いという理屈でもございませんでしょうし、何時間働いているだろうかということを最後に締めくくって何時間ということをやれば、あるいはそういう時間に当てはまるということがあったのかもしれませんから、それは地方の実情に応じての議論で、賃金に対して働いた分だけを支給しておったということについては変わりはなかったんだろうと思います。ですから、そういう意味で新聞紙上で実は問題になっているというのではないんだと思います。  新聞紙上で、要するにヤミ給与というふうなことで言葉として認識されているというのは、少なくとも国との均衡原則を失しておったとか、あるいは法律や条例に基づいて支給されるべき給与が、単に予算上措置されて、一般の住民にはわからないままそれが支給されておったとかということが問題だったわけですから、一般的な住民にさえわからないことが、なかなか国の段階までわかってくるというのにはおよそ時間がかかっておったのではないかという気もしますし、現実に私たちもああいう大きな問題があったのを知り得たのは、新聞紙上等で知り得たというのが初めてでして、それ以外のことではなかったと思っております。
  85. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまの答弁は全くうそなんです。十年前に私が自治省へ行って、当時の行政局長に注意したのだから。こんなことをたくさんやっているのをあなたたちは黙って見ているのかと注意したのです。私はそのためにずいぶん労働組合からも責められて苦労している。しかし、全部やっているじゃないか、だから労働組合は既得権だと言うのですよ、あなたたちは認めていたのです。私はそのとき具体的な例、北海道だってやっている、道自体がやっているということも指摘したのです。ですから、知らなかったとは言わせません。当時の行政局長さん、いま県知事さんやっています。私、顔も知っていますし名前も知っています、テレビで一緒に対談までしたのだから。いいですか、知らないとは言わせないですよ。あなたが聞いていなかっただけで、私が言ったんだから、言った本人が言うのですから。それを十年もほっといて、新聞がわんわん言い出したら、これはいかぬ、いかぬといま言い出している。だから、ラスパイレスなんということを言う前に、なぜそういう——だから、あなたたちの方が認めていたのだから労働組合はこれは既得権だというのです。自治省が認めていたのですよ。大臣、どう思いますか。
  86. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど来の御議論を承っておったんですが、この給与の問題は、最近の御案内のような地方政財の現状から、国民的な私は厳しい批判が出てきていると思います。やはりその国民的な批判に自治省としては素直にこれは応じていくのがわれわれのやるべき務めであろう、かようなことでございます。  ただ、いま私どもが特交等で問題にしているのは、言葉は適当かどうかわかりませんけれども、いわゆるヤミ給与、こういうような点は、これはやはり特交というのは、交付税というのはそれぞれの共通の財源だから、それならばそこはひとつ従来から九割カットしておったのをことしからは十割カットでいこうではないか、こういうようなことでございまして、いま問題になっているヤミ給与という問題と、先ほど来の御議論とは多少食い違っていると思います。ただ、ラスパイレス等についても、これはやはり率直に言って、いまなかなか批判の厳しいところであることはこれまた間違いありません。それだけに、法律の定めておるように、当該地域の民間給与あるいは公務員の給与というものを横にらみににらみながら、住民のコンセンサスを得ながら適当に決めていくべきものであろう、私はさように考えております。
  87. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、私の申し上げたいのはそこのところなんです。いま大臣は、いろいろ批判が国民から出てきたと。ところが、十年も十五年も前からやっているんです。自治省は実態は知っているんです。国民の批判が出てき、世論がうるさくなってきたから、これはいけない、特交で削るんだ、こういうことであっては私は、自治省姿勢としては間違っていると思う。世論がどうあろうと、国民の批判がなかろうと、違法なことは違法、適法なことは適法なんですから。適法の範囲内で自治体がやっていることでさえも好ましくないというふうな行政指導をするんです、違法とは言えないけれど好ましくないという表現で。そうすれば、いま大臣の言ったようなことじゃ困るんです。世論がうるさくならなければそれじゃ黙っているんですか。それじゃいけないでしょう。そういう事態が全国的にあるという、そういうときにいち早く指導しなきゃならないでしょう。それを怠っていたんですね。はっきり私が指摘したんですから。当時池田に自治省の方から給料高いと調査に来た人にも言いましたよ。超勤の一律支給なんかやっているところをあなたたちはやらないで、何で池田に文句言うんだ、みんなこれはやっているじゃないかと。調べれば、その当時池田へ調査に来た人の名前もきっとわかると思います、言っているんですから。行政局長さんの言うように、知らなかったとは私は言わせない。
  88. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ちょっと行き違いがあるのかもしれませんけれども、給与の是正に関して自治省が指導しなかったのではなくて、たとえば一斉昇短でありますとか、わたりでありますとか、そういうことをやるというのはけしからぬということでずいぶん指導もいたしておりますし、それから現実に国、地方にプラスアルファを出していることを知っている部分につきましては、これは十年と言わずやっておるわけですから、知り得たことについてはずいぶんいろいろな形の中で余裕財源として特交で差し引いたりなんかするということはやってまいったわけです。しかし、世上現在の問題になっているのは、たとえば銚子市のような新聞で言うようなヤミ給与、ああいうことの実態というのはわからなかったと申し上げているんでして、その点の行き違いが若干あると思います。
  89. 丸谷金保

    丸谷金保君 あなたは上手に逃げているけれども、それは違うんです。私の言うのは、一律超勤とかそういう適法でない行為を指摘したんだから。おたくたちの言っているのはラスパイレスだとか、著しく高いとか、こういうのはいかぬとか、そういう指導はやっていると、それから期末勤勉手当のうちの期末手当の二六%を三〇%出している、この分の上積み四%については特別交付税をカットするぞとか、これは違法ではないでしょう。たとえば二六%を三〇%出しても、それぞれの市町村なり都道府県の議会に諮って、財源措置をして議決を得て出していれば、違法ではないけれども好ましくないということで、おたくたちは権衡の原則に反するということで、これを特別交付税その他で押さえていますね。これにも問題あるんです。  私は、特別交付税でこの種の問題を案分つけるということにも法的にはいろいろ疑義があると思うんです。特別交付税の問題になってみれば、大体、受け取っている市町村長が知らないなんてばかなことないんですよ、あんなことは。しかし、それはいろんなおたくたちの行政執行上の問題もあるから私は言わないんです、本質的なそういう法の問題について。ただ私の言うのは、そういう違法でないプラスアルファの期末手当、こういうものと、カラ出張とかカラ超勤というものは異質のものなんです。そのカラ出張だとかカラ超勤というような形でプラスアルファをつけているのがけしからぬと私は主張したんです。だから、あなたの答弁していることと違うんです。わかりましたでしょう。それをなぜやらなかったんだと言っているんだ。
  90. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 一般的には、一律に超勤を出して期末手当上積みをしているときには、これを恐らく特交の方で差し引いているわけですから、その点については別に同じ取り扱いをしてきたんだと思います。  ただ、いまおっしゃられるように、カラ出張であるとかカラ超勤という形の出し方、あるいはものによりましては、図書券だということで福利厚生費から出しているやり方、こういうことが大変新聞紙上をにぎわしてきたことを知ったのは、まさに新聞で知ったのでありまして、それ以外のことで、いろんな意味で、先ほどの一律超勤と言いますけれども、先ほどお話し申し上げましたように、一体そこの職員が月に何時間超勤をしているだろうかということを計算をしまして、あれは毎月、毎日毎日超勤の単価計算をせずに、一括して月に八時間やれば、ある日に四時間やったとか、次に四時間やったとかいうやり方、これは実働の時間に関して出しているというやり方をしたことは私はあったろうと思いますし、それ自身は別にとがめ立てすることではないんではないだろうか。しかし、現実に働かないことに対して超勤を出している、それは出し方の問題ではなくて、実働に合わない議論でありますから、それはもともと出すべきじゃないんで、それは困りますという話を申し上げているわけです。
  91. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、その困ります事実を挙げたんだけど、おたくたち何にもそのとき対応しなかった。いいですか。北海道全土に膨大な職員を持っています。これが全部超勤で八時間なら八時間ぴたっと同じにできる、そんなことがありますか、考えられますか。私はそのときに具体的に挙げたんですよ、道がやってるじゃないかと。道がやっているからやれ、私らは困っているんだと。当時の道の総務部長三上さん、いま副知事ですね、彼にも言いました、おかしいじゃないかと。組合にも言いました、もらえばいいというもんじゃないじゃないかと。そしたらそのとき、よけいなこと言わんでくれと言うから、いや、それは違うと、そう言ったんです。それでそのとき自治省にも言ったんです。全然指導しないんです。新聞で見るまで知らなかったとは言わせませんよ。そういうときは、先ほど釧路の市長に言ったみたいに、大臣、素直に謝りなさい。だめなんだ、こんなことやってたら、絶対に日本予算が。間違ってたし、それは行き届かなかったと。
  92. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 食い違っている感じがいたすのですが、一律支給をして期末手当に上乗せをしているのであれば、それはけしからぬという話を聞いて引いているわけですから、これは引かなかったということにはならない。それはそういう措置をしてまいったわけです。ただ、その通達の中でも、恐くら財政運営の中でもそうですが、各公共団体に出しているそういう財政運営示達の中には、そういう一律的な支給の仕方はやめなさいというのは、これは言ってあるわけですから、それを守るか守らないかという話にだんだんなってまいりますと、守らなかった公共団体をどうするんだという話にしかなってこないことになるわけです。指導はしなかったということではなかったと思いますし、最近のように、ああいうことの事件で知り得たということとは、ちょっと本質が違うのではないかという気がいたしております。
  93. 丸谷金保

    丸谷金保君 実はなかなか言えないところだと思うが、私はこれは三年言ったんですよ。私がうんと言ったんで、道がとうとうやめたんです。組合と話して、池田の町長うるさくてかなわぬからこれはやっぱしやめようと。だけど、自治省にも三年言ったんです。自治省は指導しなかったです、しなかったでしょう。道はやめなかったです。毎年あれやこれやとばかり言っている。そして、組合ともようやく折衝で。ただ、そういうおたくたちのしゃっきりした姿勢、そういうことにおいては欠けるところがあったんです。  それじゃ、少し変えましょうね。欠けるところがあったので、ヤミ給与というふうな形が各地に出てきた。これについては自治省の指導の仕方について足りなかったところがあるのは申しわけない、くらいのことにしておきましょう。
  94. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) まあ神の身ではございませんから、知らないことも多分に私はあるんだろうと思います。しかし、現実に知っていることを知らないとここで申し上げているわけで毛頭ありませんで、知らないことを知らないとこう申し上げただけでして、その点はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思いますが、そういう点で、なおかつ指導が足らないとおっしゃるのであれば、それは今後とも指導いたしますということを申し上げる以外手がないんだと思います。
  95. 丸谷金保

    丸谷金保君 いろんな問題が起きてきたのは、自治省の指導に手抜かりがあった、十分に指導が効力を上げていればこういうことにならなかったんだから。それは認めますね、それじゃ。これも認めない。
  96. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 現実に、自治省の職員が、そういういろんな点について出ていって、一々監査、指導をするということができれば、これにこしたことは私ないんだと思います。しかし、現実にはなかなか、いまの自治省の職員が出ていって、一々検査をしたり調査をするというのは不可能に近いわけでありますから、そこで一般的な指導通達を出して、あるいは総務部長にお集まり願ったときにそういうお話をし、地方課長が集まったときにそういうお話を申し上げて、是正方をお願いをいたしているわけです。それ以上のことになりますとなかなかむずかしい。しかし、それは先ほど申し上げましたように、私たち自身も非常に非力でありますから、全部が先生おっしゃるような形で是正されるということはなかなかむずかしいものですから、やはり公共団体それ自身にいろいろお願いをしながら自分で自律的に、しかも自主的に直していただくということが地方自治の本旨でもありますから、そういう形で是正されていくことを非常に望んでいるわけでもあります。
  97. 丸谷金保

    丸谷金保君 素直にここは、足りなかったら足りないと言いなさいよ。  それじゃ言いますよ。いま自治省の定数外で都道府県その他に出向している職員は何名。
  98. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) どうも私、官房ではございませんのでわかりませんが、自治省の職員で県に出ている職員というのはないんだと思います。出ている職員は全部退職して出ていっておりますから、自治省の職員ではございません。
  99. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、そうすると自治省にはまた二度と帰ってこないんですね、どうなんです。
  100. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) これは人事の話でございまして、入れるときには新しい採用になりますし、出ていくときは退職ということになっておりますので、人数的にはそういう操作ができるのかもしれませんけれども一般的に、帰ってくるか帰ってこないか、これはそのときどきの人事管理の私は問題だろうと思っております。
  101. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、都道府県に総務部長とかいろいろになって出ていきますね。そしてまた帰ってきます。それは形は退職でしょう。しかし何年かいたらまた自治省へ戻ると。これ、あなた否定しますか。それは全く別な問題だとは言わせませんよ。ひもがついているんでしょう、全部。交代で行くんです。一つポストに交代交代で。そうでしょう、全部交代交代で行ってるんです。それ、数はわかりませんか、そういうもので。ひもつき退職者。
  102. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) どうも先ほど申し上げましたように私、人事をやっておりませんので、どのぐらいの人間が出ているかちょっと……。
  103. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、わかる人だれか答弁してください。——私の記憶に間違いがなければ、これは二年ほど前の数字ですけれど、消防庁を含めて自治省の定数というのは五百六十くらいでしたね、どうですか。
  104. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) そうです。
  105. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体わりと記憶いいんだな。
  106. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 五百五十五です。
  107. 丸谷金保

    丸谷金保君 そして、定数外で出ているのが百六十名。定数外でいろんな形で出ているのは、これは定員に入っていないんです、みんな。私はそのときにその問題を取り上げたのは、だから地方自治体の人員のふえるのばっかり抑えていたって、自治省は上手にそういうふうにして地方にばらまいているから定員内でやっているだけで、そうはいかない。  そこで、そのことは別です、いいですか。これはみんな帰ってきているんです。都道府県なりに行った、道にも総務部長さんで行っては帰ってきているんです。帰ってこないで参議院に出た人もいますからそれは全部とは言いませんけれども、帰ってきているんです。そうすると、実情わからないわけないでしょう。私が指摘した人だってそのまま今度帰ってきて道の財政、理財だとか行政局長——行政局長にはならぬな、いろいろそういう局長さんになったりしているんですから、自治省、あなたどうしてもしらを切るんなら、行ってやってたんだもの、その連中が、全道的に、全国的に。自治省にみんなひもつきで帰ってきているですよ。これで自治省、知らなかったと言えますか。
  108. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 人事が来ておりませんから、私がそれじゃお答えします。  定員の問題は多少丸谷さんと考えが違います、それは。自治省は一番定員が少ない役所でしてね。そして自治省の定員外の人間がおるなんということ、これはあり得ないことです。  問題は、先ほどの御議論は、自治省としては従来毎年毎年予算が決まりますと財政指導の要領であるとかなんとか、いろいろ指導をしておるんです。ただ、その指導が十分であったかどうかということについては、これはやっぱり批判の余地があると思います、これは率直に言いまして。ただ、先ほど来のお話で、十年前に不適当なものはいまだって不適当ですから、これはもう間違いありません。ただ、指導はしておったんだけれども、それが十分なる成果をおさめてなかったという点はあるんじゃなかろうか、こう思います。  ただ、私どもは最近やかましく自治省としてももう少し指導を徹底しようということは、これはやはり不適当なものがあって、今日これだけの国民的な批判が強くなってきたときには、これは自治省としてもそれにこたえるだけの処置をしなきゃならぬということでやっておるんだ、かようにひとつ御理解を願いたいと思います。
  109. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、どうもそこのところが違う。批判が出てきたからやらなきゃならぬじゃなくて、本来自治省の仕事の中でやらなきゃならないことを批判が出るまでほうっておいたことは申しわけなかったということじゃないんですか。
  110. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) そこは丸谷さんとちょっと違うんですよ。それは一生懸命に指導はしておったんです。ただ、それが地方自治体というものと自治省というものとの関係で十分な成果を上げていなかったということ、これはもう認めざるを得ぬと思います。しかしそれではならぬ、最近の状況から見て。そこで、厳しい指導でひとつ住民の要望にこたえていこうというのが今日の姿勢なんだということを御理解願いたいと思います。
  111. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこがやっぱり私と大臣の違うところなんです。いいですか。いや、笑い事じゃない、本当に大事なところなんです。私は、少なくとも行政をやっていて、おれは指導したと、しかしそうやらなかったんだから相手が悪いんだでは済まないんです、行政指導というのは。そういうふうにやらせなきゃならない責任があるんです。たとえば、私たちが直接住民とあれしていて、こんなに広報も出したし通達も出したし、町内会へ渡るビラを配った、それなのに知らない町民けしからぬということにはならないんです。そのように理解をさせていかなきゃならない責任を感ずるから、それは私たちは私らのどうも力が足りない、申しわけない、こういうことについてはと、こう謝るんです。ですから自治省だって通達を出した、何出した——何にも出さないでもいいんですよ、ちゃんとなっていれば。百万遍やったってそうなってなかった現状がいま出てきているでしょう。  そうすると、これは大臣、指導する自治省としては申しわけないと、やらなかった市町村が悪いんじゃなくて、それも悪いけれども、そういうきちんとした指導のできなかった力の足りなさについては、自治大臣も世論がどうだこうだでなくて、自治省として申しわけないということにならなければ私は納得できないですね。私たちは悪くないという話ばかりなんだもの。悪くないはずあるですか。国民に対しては、指導監督の責任のある自治省としては申しわけないということでなければならぬ。どうなんです、それくらい言いなさいよ、あなた。
  112. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これはもう同じことでして、要するに、自治省としては地方団体と自治省との関係ということを踏まえながら、できる限りの指導をしておったと私は思うんです。しかし、それが必ずしも十分でなかったということは、これはそれだけの批判を甘受しなければならぬということは、これは先ほどから申し上げておるとおりなんです。そこで、最近の状況にかんがみてしっかりひとつ地方自治体にも反省する点は反省してもらって、一緒になって住民の批判にこたえていこうというのが最近の姿勢なんだと、ここをひとつ御理解願いたいと思います。
  113. 丸谷金保

    丸谷金保君 最近の姿勢はわかるんですが、いままでそういう点でこれだけたくさんあちこちで世間を騒がせるようなことを出してきて、指導機関である自治省が深く自分たちの指導の至らなさについて反省しているということでなければ、自治体の方も反省しているだろうでは困るんです、自治省もやっぱり同時に反省してもらわなければ。どうなんです、反省しているんですか。
  114. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 十分なる指導が必ずしも行われてなかった、実効が上がっている面もあったが上がってない面もあったという点については、これは反省しなければならないと思います。
  115. 丸谷金保

    丸谷金保君 それ言ってくれれば、こんなに時間かからないんだ。  そうなんです、やっぱり反省してもらわなければだめなんです。一片の通達とかいろんなことで——ずいぶん人事交流やっているんですから、行ったり来たり、わからないわけもないんだし、そしてそういう点でのあいまいさからいまの地方自治体におけるヤミ給与その他の混乱が起こっている。そして、いわゆる挙げられたところの市長だけが悪者にされているけれども、決してそうじゃない、いろいろある。そして問題は、なぜそうなったか。これは余りにも表に出したら特交を減ずるとかいろんなことがあるので、さっきの九%を七%に利息を下げる、あれだって多少の違法でも安くするのだからいいだろうと同じことで、今度逆にそういうものをもらい損なったら困るからできるだけ隠して、自治省への報告の中にはわからないような報告書にできるような形に地方自治体はせざるを得なかったんです。これはおわかりいただけますね。  だから、そこのところについても、一方では適法な形できちんとやれということについては強力に指導してもらわなければならぬけれども、憲法で明記されている地方自治の本旨に基づいて、その中で住民と議会と首長が問題なくやっている。適法の範囲でやっていることについてまで、逆に言うと、今度は余り給与の問題なんかで笹目を入れないでほしい。これは危ないとか、これはいかぬなと思うときはいいですよ。住民が納得していれば、二〇%ぐらい高くてもいいじゃないですか。私は、国鉄だとかたくさん町議会議員もいたから、いつもおれたちに比べるとと言われました。働きが違うといつも言ったんです。高いのはあたりまえじゃないか、役場の職員が、こんなに一生懸命やってくれているじゃないか、そういうところまで干渉してもらったら困るということが私の言いたいことなんです。いかがでしょうか。
  116. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) いままでの御議論は私も傾聴して承っておったのですが、そこまで行きますとそれはそうはいかない。そこは私は納得ができない。ラスパイレスで二〇%も超過しているものを、これは適法だからいいとは言えない。私は公務員に対する批判というものが出てき、しかも公務員の給与というものはやはり国民の税金であるということを考えますと、そこはちょっと私は残念ながら丸谷先生とは見解を異にいたします。
  117. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは国民でないですよ、地方自治体ですから。住民です。住民から批判がないんですよ。役場のやつらはよく働くからなと、こういうことになるんです。これでも自治省が文句言わなきゃならないんですか。住民はそれで納得しているんですよ。どうなんですか。
  118. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 本当にそれが、住民すべてが諸般の事情を知って、そしてこれはうちの役場の職員は数が少なくて、少数精鋭で本当にわれわれのためによくやってくれておるんだという点が、理解しておるかどうかという点について、丸谷先生がおっしゃるような事情ではなかろう、かように私は考えます。
  119. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、住民にはいつも徹底させているんです。北海道でうちは一番職員の給料が高いんだと。いいですか。  それから、そこまで言われるんなら言いますが、これはもう大変自治省にお世話になって、テレビ放送を町営でやっているんです。大体九割つきました。町議会は全部家庭の茶の間のテレビで見れるんです。それから、大変わかりにくいけれども、やさしい解説つけて予算書を全戸に配っているんです。予算書を全戸に配って、見ればそういう論議は全部茶の間で入るんですよ。一番視聴率あるんです。NHKの人に私、一二〇%と言ったら、そんな視聴率ないって言うから、まだ六割ぐらいしかつかないとき、町営テレビのつかないところの人は、ついている家に見に行くから一二〇%になるんだと私は言うくらい、町議会の予算の審議なんか始めると、ほかのテレビは全部ストップです。全部生放送です。そういう中で住民にちゃんと説明しているんですから。それならいいでしょう。だから住民みんな知っているんですよ。
  120. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 給与が非常に高くなるということに関しまして、やはり高くする方法というのがございます。一般的に北海道の初任給が全国的に見て非常に高いということにはないわけでございますから、同じ初任給から給与条例のとおりに給与を上げてまいりますと、特別高くなることはあり得ないわけです。どこかでやはり一斉昇短をするかあるいはわたりをやるか、あるいは全体を特別昇給させるか、何かいろいろな方法を使わないと、現実には給与がどんどん高くなるということはあり得ないはずになっているわけです。ですから、そういうことまでも住民がみんな、一律昇給もいい、わたりもいい、全部何でもいいというお話が本当にあったのかどうかというのもわかりませんし、といって、もしそれが住民は全部全体的にいいと申し上げましても、やはり国の給与との均衡というのは守っていただく、それはもう公務員として当然の務めではなかろうか。
  121. 丸谷金保

    丸谷金保君 地方公務員ですよ。
  122. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ええ。先ほど申し上げましたように、国家公務員と職業的にも種別的にも大変似ておるわけですから、やはりどこの人でもどこの町村でもそうだと思いますが、自分のところの職員というのは実によく働いていただけるというのはどこの町長さんもおっしゃることでもありますし、その点の比較均衡というのもこれまた大変むずかしいだろうと思います。ですから、先ほど申し上げましたように、給与というのは他の公共団体より高くなっていく理由というのを少し考えてみますと、その点に何か住民の批判があるような部分があったのではないかという気がしないわけではありません。
  123. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは大ぜいの中ですから一〇〇%とはいきませんね。しかし、議会が満場一致で認めてのこの給料表。一斉昇短というふうなこともやりました。これは八十周年記念、こういう町の記念の年だから町職員一斉昇短しましょうと、だれも文句言いません。一遍ありました。これは違法でないでしょう。特別な行事、特別のときに、住民にもみんな説明して、そのかわり住民の方にも鉄びん配ったりいろんなことがあるわけです。このときは一回やりました。後はないです、一斉昇短ということは私はだめだと。特別な十年か二十年に一遍のものであって、一斉昇短はだめだと。しかし、長の権限で非常によく働く職員に昇給させることはできると。だから一斉昇短はだめだけれども、四カ月に一遍ずつの定期昇給のときに、この期間はこれは大変よかった、また別のときでこれはよかったと、これは違法でないんです。そういう形で当たった。ですから、住民もよくわかっているし、文句も出ていません。私の次の町長も無競争でなるくらいですからね。ずっとやってた助役が、それを踏襲するということで。みんないいと言うんですからね。それで常にそういうことは言っているんです。  私は、交際費が北海道の町村で一番高いんです。これなんかもテレビでみんな知っているんです、町民。高いんだと。そのかわり業者にごちそうになったことはありませんよと。テレビで私が説明すると、高いのはわかると言うんです。請負業者やなんかでも、全部私の方で招待するんです。安くいい仕事をやってもらうんだから、ごちそうになる理由ないんだと。こちらの方でよろしく頼むと言って、春先呼んで御接待する。ことしの仕事も安くていい仕事をやってくれと。だから交際費高いんですということで、これだってテレビ見ていて、みんなそれは見ればわかるんです、予算書出ているんですから、町長交際費の高いのは。なるほどと。こういうことで納得するんです。町の職員だってこんなに働いているじゃないかと、わかっているんです。  たとえば、レストラン部門なんか日曜休まないんですよ、月曜休むんです。町の商店日曜休むんです。日曜は書き入れどきだから、労働基準法から言えば一週間に一遍休めということなんだから、日曜でなければならぬということはないんだと。わかったと。いいですか。
  124. 亀長友義

    主査亀長友義君) もう時間が参りましたので……。
  125. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでもだめだと言うんですか。わかっているんですよ。だから大臣の言うように、そういうところをよそと一緒にせいと言ったら、自治体困っちゃうんですよ、そういう指導されたら。  だから、そういうところは、冒頭に戻りますけれども、憲法の精神を生かして、適法の範囲内で住民福祉のために住民と一緒になってやっている、そういうところに細かく余りその程度のことで干渉してもらっては困るんだということを御理解いただきたいと思います。  以上申し上げて、質問終わります。
  126. 亀長友義

    主査亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時開会
  127. 亀長友義

    主査亀長友義君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、丸谷金保君が分科担当委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が分科担当委員選任されました。     —————————————
  128. 亀長友義

    主査亀長友義君) 休憩前に引き続き、昭和五十五年度総予算中、警察庁北海道開発庁及び自治省所管を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。上林繁次郎君。
  129. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 午前中の審議に引き続いてですが、私はきょうは去る二月の一日の閣議で国土庁長官が、いわゆる農地課税ですね、市街化区域の農地に対する課税、この問題を取り上げて、この是非について自治大臣に要請をしたと、こういうことが言われているわけですが、そこで、これはいわゆる農地の宅地並み課税というものが反対とか賛成とかという立場で私は論じようとは思っていない。問題は、地方交付税にも大きな影響を与えていく問題ですから、これはどうしても聞いておかなきゃならぬ、こういうことでお尋ねをするわけですが、いずれにいたしましても、国土庁長官、いわゆる大臣が閣議において発言をしたということは、その影響性というものは大きいことは間違いない。で、もうすでにその混乱が起きていると言って過言ではないではないか、こう思います。地方自治体はもちろん、また農業関係者たちに与えた影響というものは非常に大きい。そこで混乱が起きている。少なくてもその大臣の発言というものがそういうふうに大きな影響を与えるということでありますから、当然慎重でなきゃならぬ。ですから、またそれを他の大臣が、いわゆる国土庁長官が発言をしたことについて自治大臣が、それを直ちに受けてこうだああだと言うのは、これは私は早計だろう。もっとじっくり構えていい、いますぐどうにもなるものではないんだから。両方の大臣が一緒になってがたがた言うようでは、ますますその混乱を大きくするということです。混乱を大きくすることが目的ではない、混乱を小さくしなきゃいけない。それを逆をやっている、こんな感じがする、いますぐ効果が上がるものでもないのに。ですから、そういう意味で私は、この長官の発言それ自体にどういう真意があったのか、上っ面でなくて突っ込んだところ、そういうものを私なりにどれだけかお尋ねをしてみたいと、こういうことです。  それで、まず国土庁ですが、大臣が来てくれりゃ一番いいんですけれども、なかなかお答えにくい点もあるだろうというふうに思うんですよね。それで私の方とすればちょっと困るんですけれどもね。まあ、いま申し上げたように、二月の一日の閣議で国土庁長官が、いわゆる宅地並み課税、これはあめとむち、したがってしり抜けになるだろう、これはやっぱり地方自治体に対する強力な指導を要すると、まあこういう発言。それともう一つは、地方交付税の減額、こういったことも考えるべきである、こういう発言をしているわけですね。これはあなたが発言をしたんじゃないから、その真意ということになりますとちょっと答えにくいかもしれない。しかし、いわゆる大臣がそういう考え方を持っておるということは、関係者の一員ですからね、ですから、平素どういう——このことについての大臣の考え方、まあそういったことはおわかりかと思うんですね。そういった点を踏まえて、ひとつどういうところに真意があったのかという点ですな、その点をひとつお答え願いたい。
  130. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先生もうよく御存じのように、最近の土地問題は非常に重要でありますけれども、われわれの認識といたしまして、当面の土地対策の重点というのは、細かい点は省きますが、ともかく宅地の供給を促進しなければならないという観点に立っているわけでございます。この観点に立ちましていろんな施策を総合的にやっておるわけでございますけれども、やはりその中の一つとして、市街化区域内に相当あります農地、これの円滑な宅地化というものが非常に重要であるということも事実ではないかというふうに考えておるわけであります。  で、市街化区域の中にあります農地に対しますいわゆる宅地並み課税、これにつきましては、五十五年度の政府税調の答申の中でも、「宅地供給を促進する見地から、三大都市圏内の特定の都市の市街化区域農地に係る昭和五七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに現在課税の適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する課税を強化するため、十分な検討を行うべきである。」というふうにも述べられておるわけでございます。こういった点を踏まえまして、国土庁の長官といたしましては、いわゆる減額制度の運用の問題と、それからいわゆる宅地並み課税の五十七年度からの実効ある実施を行う、こういうための関係省庁間における十分な検討を行うべきだということについて自治大臣に要請をされたというふうに理解をしているものでございます。
  131. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ根本は、国土庁長官が、最近の地価の値上がり、それは供給不足によるものである、まあこういうような発言もしていますね。したがって、その解消のためには市街化区域の農地、このいわゆる宅地化、そのことによって何らかの結果を出していこう、こういうねらいがある。ですから、全く国土庁の立場からすれば、いわゆる土地問題、この土地問題を主体にした考え方、そうすればいわゆる土地を手放すであろう、こういうことですね。そうだとすれば、これは国土庁だけの考え方でおさめていくならばそれは問題ない。しかし、それは自治省にかかわる問題われわれもその自治省関係、いわゆる地方行政という、そういう立場から、地方自治体のあり方というものをどうしなきゃいかぬか、そういった点について絶えず論議を交わしてきたわけですね。ですから立場が違うわけです。立場が違うから、その違う立場でたとえば地方交付税の減額なんというようなところまで発言をした、これはわれわれからとってみればゆゆしき問題だと、こうとらざるを得ない。  そこで、そこまで発言をしているからあえて聞くわけだけれども、いわゆる農地に対する減額措置、これをとっている地方自治体、これはどのくらいあると見込んでおりますか、国土庁では。
  132. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) いま手元に市町村数を持っておりません。大変申しわけありませんが、適用状況の資料によりますと、特定市街化区域内農地に対して減額された税額の率は大体六十数%というふうに理解しております。
  133. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとしつこくなるかもしれませんが、私の一時間の中でこれとこれとを聞けば一時間になるだろうという、だから外しちゃうわけにいかないから皆聞くけれども、これはいわゆる三大都市圏、これ百八十四市町村あるんですね。そのうち百七十四市町村が減額措置をとっているんです。国土庁にもないんじゃないですか、そんなものは。ちょっと手元に資料がないと言うけれども、国土庁にもないんでしょう、恐らく。その点はどうでもいい、それは論議の焦点ではないから。それはひとつそういうことですよということです。  そこで、じゃこれがわからないのでは、たとえば私が聞きたかったのは、地方が減額している金額はどのくらいあるのか。あなたの方は土地が開放されればいいんだという見地から言っている。ところが、地方自治体、自治省の立場からすればそういう観点からではない。そういう違う立場があるということね。だから、そういうことを知った上でいわゆる長官が発言をしたのかというところに、私がその辺のところを聞きたいあれがあるわけですがね。そこで、いわゆるどのくらいの金額が減額されているのか。それはおわかりですか、金額的に。
  134. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) これは自治省のデータだと思いますが、五十三年度分の減額された税額というのが、固定資産税それから都市計画税合わせて百十一億ぐらいだというふうに思います。
  135. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ほぼ合ってますね。  それで、今度はあなたの方の立場からすれば、いわゆる軽減措置を見直すことによってこれがもし変わったとしますと、国土庁はいわゆる三大都市圏における市街化農地がどの程度開放される、いわゆる宅地化されていくか、そういった点についてどういうふうにお考えになっているのかですね。
  136. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) いわゆる宅地並み課税の適正化といいますか、そういうものによってどのくらい宅地が出てくるかということにつきましては、具体的に数字でお答えすることは非常に困難なのでありますが……、
  137. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大ざっぱでいいですよ。
  138. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、宅地供給の促進という観点からは、非常にたくさんのいろんな施策を総合的に講じていかなければならない。その中の一つとして、この問題も宅地供給については効果があるのではないかというふうに考えております。ちょっと数字については申し上げるのは非常に困難だと思います。
  139. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私はなぜこんなことを言うか。少なくとも大臣があれだけの発言をして、言うならば、大げさに言うなら混乱を起こしている。その大臣の発言によっていろいろな影響を与えておる。その省庁があれだけの発言をするということは、宅地供給という問題にしぼって、そういう措置をとるなら宅地が供給されるであろうという、これが基本的な国土庁の考え方。だとするならば、もしこの措置をとるならば、国土庁というのはいわゆる国土庁ですから、そういう立場があるわけだ。土地をどうするか、そして——まあ町づくりをどうするかはこれは建設省かどうかしらぬけれども、少なくとも土地をどうするか。それがあれだけの発言をしているのでしょう。これが、国土庁長官が言っているような点が改善されるならばこの程度の宅地が供給できるんだということは、それはあれだけの発言をしたということは、いろんな心理的、現実的な問題、いろんな効果というものをねらって言ったと思う。そういうことが、そういう内容的なもの、内容的なことをその場で言わないとしても、そういうことがわかった上で、いわゆる国土庁としての一つの宅地に対する確信というか、そういうものがあってこそ初めて私は発言すべきだと思う。それがないのにああいう発言をするということは、そのことによって混乱を起こしいてる、無責任という以外にないのです。もっと計画的でなくちゃならない。少なくとも、細かい具体的なところまで突っ込んで話をしろと私は言わない。だから国土庁としては、この措置が行われるならば、改善されるならばこの程度はいけるであろうというものは、そのくらいのものは私は持ってしかるべきだと思う。  そうでないとするならば、国土庁長官の人気取りだ、これは。あなたは国土庁長官じゃないから、あなたが責められているのじゃないのだよ。人気取りなの。大臣があれだけの発言をすれば、もうすでに農地の宅地並み課税、これは法律として成立をした。そのときは相当もめた。そしてそういう経過がある。いまそれをまた改善しようというのだから当然注目される。また、それをもって影響を受ける人たちが多い。それだけに、そういう発言をすれば、これは当然関心を持たれますよ。いわゆる報道関係、これは完全に食いついてきますよ。自分の発言がそういうふうに報道されればいいというだけのことじゃないかということになるじゃないか。そこまで突っ込んでなければ私はそう言わざるを得ないと思うんです。だから、これはあなたが国土庁長官だというわけじゃないから、だからそれはあなたが持ち帰って大臣に言ってあげなさい。そうじゃないか。混乱しているんですよ。だから私はそういうふうに考えられても仕方がないだろう、こういうことなんですがね。  そこで、明確な、そういったことについて、国土庁のいわゆる宅地並み課税に対するこれからの改善を図っていくならばこれだけのものがこうなっていくであろうという、そういう見通しもなかったんだと言わざるを得ないわけです。それは私から言わせれば無責任だと言わざるを得ないんです。人気取りと言う以外にないじゃないか。大臣だから何か言わなきゃならぬ、これは無責任という以外にない。大臣がここに来ていれば徹底的に話し合うわけですからね、そう私は思うわけです。  次にいきますがね。大臣が地方交付税の減額ということに触れているんですね。そういうことに触れるということはどこにその真意があるんだということ。自治大臣が言ったというのならまだ話はまたちょっと違うんです。国土庁長官が言うならば、私が言うまでもなく、交付税というのは地方の固有の財源だということだけは間違いないんです。それに触れてくるんです、何も考えなしに。  そこで私は聞きたいんですが、いまはやりで、いわゆるヤミ給与という問題がはやっている、その制裁措置としていわゆる特交で減額する、いまそういった措置がとられているんです。それと同じようにこの問題を考えているのではないかというふうに私は感ぜざるを得ないんですね。そんなものと全然違うんですよ。もし言うことを聞かなかったら地方交付税を減額すればどうだなんというような、それと、いわゆる農地の宅地並み課税、これをどうするという問題は違うんです。長官は同じように考えている、簡単に考えているんです、簡単に。簡単に考えて発言するところにいわゆる混乱を招いているという原因があると、私はそう思う。だから、どうですか、ぼくがいま言ったことについてあなたはどう思いますか。
  140. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、現在、大体非常に大ざっぱに言って年間三千ヘクタールぐらいの宅地供給があったということで、ともかく地価問題の対応の一つとしても何とかして宅地供給を進めたいというふうに、大臣は恐らく日夜お考えになっていると思いますが、そのための施策としては、建設省あたりでもやっております計画的な宅地開発の推進でありますとか、あるいは再開発の推進、そういうこともあるわけでございますけれども、その中の一つとして、やはり市街化区域内の農地を何とか円滑に転換することができないだろうかということも大臣の頭の中にあったのではないか。そういう関連で先ほどのようなことを自治大臣に御検討をお願いしたのではないかというふうに私は考えます。
  141. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いわゆる宅地の供給という立場、そういう立場から言っていることはもうこれは明らかです。だから、その自分たちの立場が、その自分たちの考え方が、あるいは政策が満たされるならば、ほかはどうでもいいということは許されないの。まして、よそのうちの畑なの。だから、私はいわゆる地方交付税を減らせという物の考え方、それはヤミ給与でもって制裁を受けるというものとは違うんだから、だからそんな考え方は大いに誤っている、そんな発言をすることそれ自体が誤りだと、こう言っているわけ。そのことについて、いわゆる国土庁としては私がこう言っていることに対してどう思いますか。それはおまえさんの言うのは間違っているんだと、大臣の言っているのが正しいというなら、それはそれでいい。その点はっきりしていますね。
  142. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) いまの御質問にお答えするのはむずかしいわけでございますが、私は先ほど申したように考えているわけでございますが、なお先生の御指摘につきましては、帰りまして上司に伝えたいというふうに考えます。
  143. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それを証明づけるために少しまた聞いてみるんです。これは意地の悪い質問かもしれないんだな。だけれども、あれだけあなたのとこの親分が言ったんだから、やっぱりその関係者はそれなりの責任は、私はあると思うよ。  そこで、減額措置が税法上許されている条文があるんです。それおわかりになっていますか、おわかりになっている。そこにありますか。
  144. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 地方税法の附則に規定があることは存じておりますが、ちょっといまその規定を持って参っておりません。
  145. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまないわけですね。それであれですか。これ私のはあるんです。それはなぜあるかというんです。いわゆる地方税法の附則にあるんですね。なぜあるか。あの法案が出たときけんけんごうごう、けんけんがくがく、それでどうするんだということで、本当にそのまま宅地並み課税をやっちゃったらどうなっちゃうんだろう。これをごり押しをやっちゃった方がいいのかどうか、いろいろ迷ったでしょう。そこで、いわゆる地方税法の附則でもって自治体に任したわけですよ、その辺のところ。それは自治大臣も認めているわけだよ。それは政策的な問題かもしれぬけれども、とにかくそういう経過がある。厳然としてそれは地方に任されている。  ですから、このことについて、これは先ほどの続きのようになりますけれども、違法でも何でもないんだ。これはやみでもなければ、違法でも何でもない。正規のルートに乗ってこういう措置がとられているということをしっかり踏まえてもらわなければならぬ。それを踏まえた場合には、やはりその発言内容というものは私は必然慎重にならざるを得ないだろうと思う。そういった点を長官が踏まえて言ったのかどうかということが私は非常に疑問なの。だから、少し意地の悪いような聞き方だけれども、国土庁にみんな聞いてみたわけです、それだけのことを言う限り、言うにはそれなりのいわゆる何物かをやはり持っていなければ、本当の、上っ面な発言、無責任な発言という以外にないからね。そこでお尋ねをしたわけですがね。  そこで、だからいまも言ったように、地方自治体が、地方交付税というのは固有の財源であるということは間違いないのであって、周りでとやかく言われることはないんです。  そこで、ついでで申しわけないんですけれども、これは自治省警察庁を中心にした分科会ですから、国土庁の話を聞くのもあれですけれども長官がいわゆる人の畑にまで手を突っ込んでいこうというんだから、だから私が聞いてもまたおかしくはないだろうと思う。  そこで、国土庁は宅地供給というねらいでもってあれだけの発言をしたと、こういうわけだね。宅地供給に対して国土庁はそのほかどういう考え方を持っているか。内容をとにかく詳しくお話しいただければ、一度聞かせてください、大体その辺でもって終わりになりますから。やっぱり物事は安心さしておかないとね、不安を持っているとなかなかあれだから。
  146. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、当面の土地政策の課題というものは、一つにはいわゆる投機的な土地取引を抑制する。そのためには、国土利用計画法の的確な運用でありますとか、あるいは土地税制の問題、いろいろあるわけでございますけれども、それともう一つの柱として、宅地供給の促進を図っていくということが必要であるというふうに考えておるわけです。で、宅地供給の促進のためには、これは建設省あるいは他の省庁にもかかわりのあることでございますけれども、計画的な宅地開発の促進のための財政上あるいは金融上の措置の拡充でありますとか、先ほどもちょっと申し上げましたが、都市再開発の推進の問題それから特に国土庁としてでございますけれども、すでに五十二年度から始めております土地利用転換の促進のためのいろんな計画の策定のための助成制度等があるわけでございますが、そのほか市街化区域内に約九万三千ヘクタールございます農地、これを円滑に転換していく。そこの地主であります農民の方々の納得なり自発的な意思というものを十分尊重しながら、円滑に転換していくというようなことで、土地利用転換計画の中で、五十四年度から農住型土地利用転換計画というものの策定、助成を行っているわけでございますが、さらにそれをいかに事業化していくかというようなことについて、いま鋭意検討しておるところでございます。
  147. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 話ではわかりました。農民の協力を得てというお話、それは市街化調整区域——調整区域の問題を取り上げたんですか。
  148. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) いえ。
  149. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは取り上げませんでしたね。私の言いたいのは、市街化調整区域についてどういう考え方を持っているのか。その実態を把握する機関、国土庁として、まるっきりいわゆる県市町村に任してあるのか。いわゆる市街化調整区域、この調整区域をどういうふうにとらえているのか。ということは、それが宅地にいわゆる転用する可能性が当然あるわけです。その実態がわからないとすればわからない、全国の実態が。全国の実態と言わなくても、いわゆる三大都市圏、これを中心にして考えたときに、この調整区域、これは大臣が何にも発言をしていない。それでよけいなことを言っている。さっきから言ってきたのはよけいなことなんです。それでそういう肝心なところ、それは国土庁は関係ないの、調整区域の問題ですから。
  150. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 国土利用計画法で、現在価格あるいは土地利用の目的、そういったものについてチェックをしており、届け出制ということでやっておりますが、これは調整区域ももちろん対象になっているわけでございます。いわゆる宅地供給の促進という観点からは、先ほど申しましたように、土地利用転換計画は市街化区域を対象にして行っているわけでございます。例外もありますけれども、市街化区域を対象としているということでございます。
  151. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それがいけないんですよ。なるほど、市街化における農地というのは、確かにある角度から言えば問題があるだろうという点もあるでしょう。しかし、それをいまここでいじくるということになると、またこれ大変な問題があるだろうと思う。そこで、やっぱり私実際に見て歩いて——まあ全部を見て歩いたわけじゃないけれども、市街化区域がある。たとえば千葉にしても埼玉にしても、これはもういわゆる三大都市圏のうちの一環ですからね、大変な市街化が進んでいるわけですね。で、一線を画して、こっちは調整区域、こっちは市街化区域、どこに違いがあるんだと、一線画されているだけで膨大な土地が遊んでいるわね。そして、そこにはもう駅ができる、そしてその地域は駅から歩いても十五分か二十分のところだというようなところが、いまだにある市では見直しも何にもされない。いま見直しされないと、十年先までだめなんだよ。いわゆる宅地供給ということを真剣に考えるならば、そういういままでの問題がうんとひっかかってくるであろうということよりも、もっと効果的な解決方法というものは私はそういうところに見出せるんじゃないか、こういう感じを受けているんです。それで、当事者はその点話をしてみると、まだあそこは検討される対象になっておりませんと。完全な市街化区域だ、ただ一線画しているだけの話でね。ですから、そういうところがあるということ。そういうものをやっぱり見直す、洗い直す。いわゆる県、市町村に任しておけばいいという問題ではなくて、国土庁として、国土長官があれだけの発言をするならば、本気になって宅地供給ということを考えているならば、やはりそこまで比較的容易にいくであろうと想像できる問題がまだ残されているということ。国土庁長官であればその点を明確に私はお答えをいただきたいと思っているんですが、あなたの立場でもって、それはこういたしますというような明確な答弁ができるかどうか、それはわかりませんけれども、私はそう思うんですよ。ですから、その点を、国土庁としてもそういった点をいままで考えてきたかどうか、考えていないとするならこれから考えていくべきである。その辺のところだけ明確に答えてみてください。
  152. 渡辺尚

    説明員(渡辺尚君) 先ほど申し落としましたが、全体的な宅地供給促進の問題の一つとして、線引きの見直しということも非常に重要な事項であるというふうに考えております。  いまお話しの市街化区域、調整区域の問題は一応——一応といいますか、都市計画法というものによって定められていることは御存じのとおりでありますが、建設省の所管になっておるわけでございます。国土庁として、当然やはり現在のそういった法体系なり市街化区域、線引きが行われる法律の目的、そういったものを踏まえながら、今後の土地政策というものを展開していかなきゃいけないというふうに考えております。
  153. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、建設省の所管でございますということならば、こっちは自治省の所管でございますと。だからそのすべてをあわせて、へんぱじゃなくて人気取り的な発言じゃなくて、もっと責任ある立場として、もっと大きな観点から、いわゆる土地問題、宅地問題をどうするかということをやっぱり総合的に私は考えていくべきであると、こう思うわけ、それだけひとつ申し上げておきます。  これで大体国土庁に対する意地の悪い質問は終わります。ありがとうございました。  大臣、今度は大臣が前にいますから話しやすいんですけれども、いま申し上げてきましたように、まず一つは、やっぱり混乱を起こしちゃならぬということ、責任ある立場ですからね。一国を動かす立場ですからね。それでもって国土庁長官の発言がいわゆる混乱を起こしているということだけは間違いない。そのしり馬に乗って——まあしり馬に乗ってと言うとばかにこう失礼な言い方ですけれども、そうかそうかというんで、早速、なんて事務局集めて、それでこうだなんて何か指示したというんです。そうすると、ますます混乱しちゃう。あわてることはないんです。きのうきょうでこの問題が解決できるというものじゃないんです。だからもっとじっくり構えて、あれはよその大臣だと、おらが大臣はやっぱりじっくりしていると、こうみんなが思えば、がたがたする率もずっと低く抑えていけるわけ。そういうことはやっぱり大事なことですよ。だから、大臣がそういう要請を踏まえていろいろと指示をされたというようなことが新聞で報道されているわけです。それで、どういうことを御指示なさったのか、それだけまずお尋ねしておきましょう。
  154. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 土地の問題、仰せのように総合的な政策でなければなかなか解決ができないということは十分わかっておるわけでございますが、この税制、御承知のように、一つは税の不均衡是正という観点があったわけですね。もう一つは、土地の問題は税制で解決できる筋合いのものじゃありません。しかしながら、税も一つの土地供給の手段であるというようなことで、四十九年でございますか、この制度ができて、その後いろんな複雑な経緯を経て今日に至っておるわけでございます。  二月一日の園田さんの御発言というのは、当時地価調査の結果が私出てきておった時期じゃなかったかと思いますが、最近どうも地価の上昇が著しいので対応策を講じねばならぬと、ついては宅地並み課税の問題について、交付税上いま七割五分補てん措置をしておりますが、これを何とか検討してもらえぬだろうかと、こういう宅地供給の観点からの御発言だったと思います。同時にまた、園田さん御自身はやはり国務大臣としての御発言でございますから、自治省のことであれ何のことであれ、これは当然の御発言で、私どもも真剣に受けとめなきゃならぬと、こういうことで拝聴したわけでございますが、そのとき私は、この問題は大変むずかしいですよ、しかし研究はいたしましょうという程度のやりとりだったわけでございます。そこでこの閣議のそういったやりとりについて、事務当局に、こういう国土庁の大臣から発言があったが検討をしてくれ、ただこれは大変むずかしい問題だということは自分としては発言をしてあるからと、こういうような指示を出したわけでございます。  これがすべての経緯でございまして、混乱を起こしておるということになると、まことに申しわけないんですが、私がむずかしいですよと、こういう前提のお話をしたのは、私はこの経緯を全部四十九年以来知っておりますから、しかも五十四、五、六と三カ年間、あの税法の中に、あれ附則でございましたか、検討して、五十七年からいろんな意味での是正措置ということをやろうと、こういうことになっておることを踏まえた上で申し上げておるので、たちまちどうこうなんということはできる筋合いのものではないということを含みながら、大変これはむずかしい問題ですよと申し上げた。  というのは、御承知のように、この制度が何でこんなにいろんな複雑な経緯をたどるかと言えば、先ほど質疑応答の中にございましたように、一つは線引きの問題が適正なりや否やというこの問題が一つございます。もう一つは、市街化区域の中の例の生産緑地の制度、この問題が果たしてうまく軌道に乗っているのか乗っていないのか、こういうような問題があって、ただいまの五十四年度からの施行についてのああいった附則ができておることも十分含んだ上で、私自身としてはお答えもし、同時に自治省の事務当局としても、それを含んだ上での検討であると、かように御理解を願いたいと思います。
  155. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ですから、非常に明確でない御答弁ですけれども、とにかくそう簡単にいくものじゃないよということ。  それで、私はあくまでも新聞をもとにしていまお尋ねしているわけですが、新聞を見ますと、自治大臣が事務局に対して指示を与えたと、こういうような報道がなされているわけです。そこで、どんな指示をなされたのかということが、私のみならず、これは関係している人たち、混乱を起こしている関係の人たちにとってみれば、いわゆる自治大臣が最もその筋では担当大臣というわけですから、その辺のところをやっぱり明確にしていくことが国民にこたえる一つの筋であろう、こういうふうに思いますので、指示を与えたというから、どういう指示をお与えになったのか、その辺ちょっとお聞きしたいと思いましてね。
  156. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま申したような趣旨で、こういう発言があったから、大変むずかしい問題ではあるが研究いたしましょうと、こう言ってあるから検討してくれよと、その程度のことでございます。
  157. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、これといっていわゆる明確なものはなかったというわけですね。  そこで、これは一つの意見のような形になりますがね。これは国土庁とも関係あるんですが、もういままでに論議されてきたことだと思うけれども、特に三大都市圏と言えば密集地ですね。その密集地の中で、いま災害対策、いわゆる地震対策なんということが非常に大きな問題になっている。当然密集が重なっていけば、これは大変なことになる。そこにいま幸いにして農地があるということは、そういうものを含めて不幸中の言うならば幸いかもしれない。そういった点も私は十分に踏まえなきゃならぬだろう。ただ宅地化を進めていけばいい、宅地供給ができればいいというだけの問題ではない、こういうふうに思うわけです。  ですから、これは質問にはなりませんけれどもね。私の部屋から向こうを見ますと、自民党本部があるんですよ。参議院対策のあの選挙のスローガンが掲げてあるんです。あそこに、「都市に田園のゆとり田園には都市の活力を」とあるんですね。これ、うそをついちゃいけませんよ。これは感じだけじゃうまくないので、いま私が申し上げたようなことは、いま農地が残っているということは、だからこそこういうことにつながるんだなという、これはだれが考えても常識的判断。それを今度はぶっつぶしちゃえ、極端に言えばね。これはうまくないだろう。自民党さんの政策の上から言ってもうまくない。これは余談です。  そこで、この問題についてはもう最後になりますが、ですからいわゆる担当の大臣、最も関係の深い担当の大臣として、いまのお答えで、これは明確なものではない、そう一朝一夕にいくものではない、こういう考え方がある。当然その点はお考えでしょう。  そこで、さっきから言っているように、国土庁の立場と自治省の立場というのはおのずから違うんだということです。宅地を供給すればいいという、そこに主眼を置いて物を考えたという立場と、地方自治体をどう守るかという立場とは違うんだということです。ここはおわかりくださるね。だからこそ地方税法の附則等についても、全くしり抜けのようだけれどもああせざるを得ない、そうでしょう。それはいろんな状況、それはまたいわゆる自治体の主体性、自立性というものを尊重したということにもつながりますけれども、まあそんなことを論じようとは思っていませんが、そういうことでやっぱり立場が違うんです。立場が違うんですから、やはりその立場の違いというものもしっかり一つは踏まえなければならぬだろう、向こうがそう言ったからなるほどというような問題ではないだろう、こういうふうに私は考えます。これは一つの私の感じ方ですが、申し上げておきます。  そうすると、いまのお答えからしますと、これは山中さんなんかは五十七年ころなんというようなことを話をしているんですね、これは新聞報道にたしかあったと思うんです、五十七年ころにめどをつけちゃう。これはますます無責任な発言だろうと思うんだけれども、どうですか、その点。大臣はその点についてどういうふうにお考えになりますか。私はそんな話は知らぬねということでなくて、そういう五十七年なんというような一つのめどみたいなものをくっつけている。ところが、大臣のお話を聞くと、そんなめどは何もないよと、非常にむずかしい問題だから、いま五十六年とか五十七年なんというような、その間に解決してしまうというような考え方は自治省としてはないんだと、こういうふうに受け取っていいのか。いや、そのくらいまでにめどをつけたいという考え方なのか。そこを大臣がお答えくださると、全般にこれは明確になるわけです。
  158. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 一つは立場の違いをよく心得なさいと、こういうことですが、これはまあ担当の行政長官としては立場は違います。その点は十分踏まえてやりたいと思います。ただ、国務大臣という立場でございますから、同時にまた行政長官としての立場は違っても、しょせんは最終の目的は住民の福祉向上という点について言えばこれは同じ目標でございますから、道筋が少し違うだけの話であると、かように御理解を願いたいと思います。  五十七年以降どうするんだということで、五十七年で見直しをやらなきゃなりません。それは今日の法のたてまえ上、四、五、六の三年間はいまの制度でいくが、五十七年からは適正化措置について見直しをしなさいと、こう法律に決められておりますから、いずれにしても五十七年にはその中身がどうなるかということは、これは決められるわけにいきません、しかしながら、見直しはしなきゃならぬということだけはひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
  159. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そのことについて聞きませんけれども、一言言っておきます。農地の宅地並み課税というこの法律ができるときにいろんな論議が交わされたわけです。で、まあそういうことになった。あれだって国の都合でもって、いわゆる自治体の立場というものを踏まえたものではなくして、自治体はあれですからね、減額措置している方が多いんですからね、ですからそれは困る。市町村の諮問機関もありますわね。そういうものにかけて、これは減額するということになったわけですから。ですから、私はその時期が来ても、国が先行するんではなくて、絶えずいまやかましく言われているその自治体の自主性。それだけの問題じゃない、自治体の自主性というものは。主体性というものはそれだけじゃない、もっと大きなものだ。大きなものだけれども、それが無視されてきたという考え方は、これはもう一般に常識化されているわけです。ですから、私はせっかくそういうものをつくってあるんですから、いわゆる自治体の主体性、自立性というものを尊重しつつ、こっちで検討して決めるのではなくて、まずそっちにかけるくらいな姿勢、それが必要だろうと、こういうふうに思うのです。この点だけ申し上げておきます。要望ですな。  そこで最後に、午前中の質疑でもってあれがあったですね、ヤミ給与とか。ヤミ給与というのは一番大臣を初め皆さんきらうのですけれども、制裁措置というのも非常にきらうわけですね。四十九年度から一定の率を決めて特交から減額していますね。それから今日までの経過をちょっと言ってください。
  160. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、私どもといたしましては、国の基準を上回っております期末勤勉手当、いわゆるプラスアルファ分についてはこれは財源的にも余裕があるということで、特別交付税支給の際に減額措置をとっておるわけでございますが、これが制度化されましたのは三十九年度でございまして、三十九年度はまあ当初でもございましたので、全般的に激変を避ける意味で三〇%ぐらい減額をいたしておりました。しかしながら、その後段階的に引き上げが行われまして、四十七年度に九〇%下げておったわけでございますが、五十四年度のこの三月分からさらに一〇〇%差し引くという措置をとることにしたわけでございます。
  161. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間がありませんので。  四十九年から逐次減額率というものが高まってきたんじゃないんですか、四十九年から九〇%ですか。
  162. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いま申し上げましたように、三十九年度は三〇%でございました。三十九年度でございます。それから順次各年度上がってまいりまして、四十七年度に九〇%になりました。そしてことしの三月分のときから一〇〇になった、こういうことでございます。
  163. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう最後になりますが、お尋ねをしている時間がないんです。だから言いっ放しになりますがね。  いわゆる特交でもって減額措置をした、そのヤミ給与というふうに言われたのは最近のことでしょう、特にやかましく言われたのは。それで、三十九年から減額措置をとってきたというわけですよね、そうでしょう。それはヤミではなかったということですね。言葉が好きだとかきらいだとかいうことは別問題として、ヤミではない。その自治体の主体性、力、そういうものをにらみ合わせながら、また地方自治体というのはある一定の期間はなかなか職員を獲得することができなかった。そういうことで、特別に給与の面で考慮をしたといういきさつもあるでしょう。ですから純然たる——けさ論議がありましたけれども、違法か違法でないかという問題。そうすると、いままで三十九年からやってきたものは、ヤミ給与というものは違法だということは間違いないんです。さっき答弁があった。ところが、その自治体の主体性に基づいてどれだけか給与が国家公務員よりは上がった、多少の幅上がった、それはヤミとは私は言えないと思う。  だから、それと、今回一〇〇%今度は減額するんだということになりますと、みそもくそも一緒になっちゃうんだよ、これ。ヤミ給与も含めて一〇〇%になるわけでしょう。その辺の考え方をどういうふうに——だからそうなるとヤミ給与なのかヤミ給与でないのかという問題があるわけです。そうすると、いま国家公務員並みと言う。だけれどもあれでしょう、民間企業の給与というものも参考にしろということも言われているでしょう。で、民間給与というものはさっぱり何も言われていないんですよね。それに合わしている、合わしていないということは言っていない。いわゆる国家公務員の給与と比べるとこうである、こういう言い方しかしていないんです。そうすると、それはいままで減額してきた分はヤミなのかヤミでないのかと言えば、私はヤミでないというふうに思うのです。理由はきちんと立つわけです。にもかかわらず、その分に対する減額というのはどういうことなのか。それは大臣はこういうふうにやるけれども、それは立場が違うからこういうふうにやるかもしれないけれども。それじゃ、時間がないから、もう一分ぐらいあるかもしれないからそれを説明してください。
  164. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 率直に申し上げまして、この交付税というのは全部の地方公共団体の共有の財源でございます。そしてまた、財源調整を目的としておるわけでございますから、この配分に当たりましては実質的な公平を当然図っていかなければならない、そういう見地に立っておりますので、私どもとしては、従来から国の支給率を上回って支給された期末勤勉手当ないしあるいはヤミ給与と一般的に言われてはおりますが、実質的にいま申し上げましたようなプラスアルファに相当するもの、これは制裁的というよりも、そういう性格の交付税でございますから、財源的に余裕があるということで配分をする際は減額をする、こういう考えでやっておるわけでございます。したがいまして、全般としてとらえておりますのは、期末勤勉手当のプラスアルファ、それといわゆるヤミ給与と言われておるものの中の大部分は実質的にプラスアルファとしてとらえられるものでございますから、それを含めてやっておるわけでございます。したがって、条例でちゃんと規定しておろうがおるまいが、私どもとしては財政的な見地から差し引くということをしておるわけでございます。
  165. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後です。済みません。  それは、あなた方の言うのはわかります。だけど、いま経済の高度成長時においては余裕のあった、それは田舎の方の市町村と町の真ん中と違うんです、景気が、自治体でも。それは幅を持たしているんだ、ある程度ね。それじゃ、いまの時点で考えるならば、いま余裕のある地方自治体なんてありゃしないんですよ。だから、言い方は角度を変えればいろんな言い方ができるんです。それと同時に、いわゆる特交で措置されているという問題ですけれども、特交というのは、その使い道については限られているんでしょう。何でもいいんですか。だけれども、主体はどうなんですか。主体は災害時なんだ。特別交付税は三二%のそのうちの六%でしょう。それを何に用意するんだと。その使い道というのはいわゆる災害時にという問題火災だとか自然災害だとか、そういうものに充てるために六%というものが地方交付税の中から蓄えられてきたわけでしょう。ですから、その制裁措置のためにやる財源ではないということなんです。それは、あなた方からすればまた一応の理屈はあるかもしれないけれども、幾ら頭を振っても、それはあなたが答えれば私が今度は頭を振れば同じだけど。頭は振る必要はないの。黙って聞いてりゃいいんだ。こっちはこっちの考え方で言っているんだから、おとなしく聞いていることが大事なことですよ。私はそういうふうに思う。  だから、次に地方交付税の一部改正もあるし、そういう時点でとっくりとやってみたいと思う。きょうはこの辺で終わります。  ありがとうございました。
  166. 亀長友義

    主査亀長友義君) 市川正一君。
  167. 市川正一

    市川正一君 まず浜田問題でありますが、K・ハマダなる人物が浜田幸一衆議議員であることは、法務省の前田刑事局長がおとといの参院法務委員会でも認めておられます。もはやこれは公知の事実であります。国会の会期中に請暇をとってバカラという賭博にふけっていたことに国民の憤激と非難が集中しているのは当然であります。しかも重大なことは、この賭博ツアーに、小佐野などとともに警視庁が広域暴力団に指定している稲川会の理事長の石井進、稲川会会長補佐の林喜一郎らが同行していたことであります。暴力団と賭博ツアーに同行することだけでも国会議員として断じて許されないところであります。もともと、賭博行為は国内で行うならばこれは賭博罪が成立するものであり、また、時効の問題をさておけば、外為法違反の問題も起こり得る犯罪行為である上に、ロッキード疑獄との関連についても重大な疑惑が持たれている、まさに真相を徹底的に解明しなければならない問題だと思います。  そこで伺いますが、一九七二年の十月から七四年の四月にかけての浜田氏の賭博ツアーに、石井進、林喜一郎、いま申し上げた稲川会の幹部でありますが、彼らが同行していたことは、ICPO——国際刑事警察機構との連絡などでつかんでおられるはずでありますが、まずこれを確認いたしたい。
  168. 中平和水

    政府委員中平和水君) 御指摘の事実等については、私ども新聞とか雑誌では十分承知いたしておりますが、ただいま御指摘のようなICPOルート等からそういうことについての何らの情報はございません。
  169. 市川正一

    市川正一君 この点は、過日橋本議員があなたにただしましたところ、この点よく調べるということになっていたはずでありますが、それはさておいて、それでは私重ねて伺いますが、七二年あるいは七三年当時に、石井進らがラスベガスの例のサンズホテルのカジノに出入りしていたことについては、稲川会のいわゆる韓国賭博ツアー、この事件捜査を通じてもつかんでいるはずでありますが、この点重ねて伺いたい。
  170. 中平和水

    政府委員中平和水君) 稲川会の韓国の賭博ツアーにつきましては、昭和五十一年の九月の十七日から同月十九日にかけまして、ソウル市内におきまして、バカラと称する、これは詐欺賭博でございますが、それをやった事件がございまして、石井進を五十三年の十一月の十一日に詐欺罪の容疑逮捕して取り調べた事実はございますが、その機会にただいま申し上げましたような事実を警察側が把握したという事実についての報告は受けておりません。
  171. 市川正一

    市川正一君 私、ここに警察白書の五十四年度版を持ってまいりましたが、この中にも、これは百三十二ページですが、「暴力団犯罪の国際化」という問題を指摘しております。そして、盛んに暴力団が非合法の資金活動をやるために、韓国、東南アジア、ハワイ、アメリカ西海岸等を中心に賭博ツアーを組んでいるということを指摘しておりますが、いまの刑事局長の御答弁にかかわりますが、実は私、東京地検の韓国賭博ツアー事件の主犯の一人として、旅券法違反、そして詐欺罪などで逮捕されて懲役三年の判決を言い渡された、稲川会の理事である吉原組組長の吉原勝彦の訴訟記録を見てまいりました。これは御存じのはずです。私はここにその抜粋を持ってまいりましたので、自治大臣並びに法務省、検察庁に、主査、ちょっとこれを質問の必要上……。
  172. 亀長友義

    主査亀長友義君) 結構です。
  173. 市川正一

    市川正一君 (資料を手渡す)この中に明記されておりますので、これは法務省も検察庁も御存じないとは言えないわけでありますが、その訴訟記録の中で、一九七八年、昭和五十三年の十一月二十日付の、さきに述べました稲川会の理事長である石井進の供述調書もございますが、この石井進自身昭和四十七年から八年ごろ、ラスベガスのサンズホテルのカジノに出入りしていくところをはっきりと認めているわけです。その中でこういうふうに言っております。いまお配りした資料の中にも抜粋として引用しておりますが、「小西昭二」——これはサンズホテルのバカラのディーラー、いわゆるトランプの配り手であります。日本語で言えばばくちのさいころ振りであります。このディーラーが韓国賭博ツアーでもディーラー役をやった人物でありますが、この「小西昭二は私が」、すなわちこの石井でありますが、「五年ほど前にラスベガスのカジノでディーラーをやっているのを見かけて知合いになった男です」というふうに供述しているわけですね。これは昭和五十三年の供述調書でありますから、その五年ほど前と言えば昭和四十七、八年、すなわち浜田氏が小佐野氏らと同行したその年であるということはこの調書から見ても明白であります。この点、御存じなはずですから確認を願いたい。
  174. 中平和水

    政府委員中平和水君) ただいま初めてこれを見たわけでございまして、そういう事実は承知いたしておりません。
  175. 市川正一

    市川正一君 いいですか、これは判決が下ったその公判調書であって、これに基づいていわばやられた。私はあなたがいま初めてごらんになったとおっしゃるけれども、これはあらかじめ御連絡したはずでありますが。  法務省の方はいかがですか、いまの問題について。
  176. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 御指摘の吉原勝彦に対する詐欺被告事件についてはすでに確定しておるわけでございますが、その記録の中に御指摘のような石井進の供述調書がございまして、これは検察官調書でございますけれども、その中に、石井が、五年ほど前、昭和五十三年の約五年ほど前でございますので、昭和四十八年ごろでございますが、ラスベガスのカジノでディーラーをやっている小西昭二を見かけて、同人と知り合いになったという供述調書がございます。ただ、これは共犯者である小西昭二との面識が、どういう理由からそういう面識が出たかということからそういう調書になったわけでございまして、ただいまお話しのような状況とはちょっと言いかねると思うわけでございます。  なお、ただいま御質問にございました中で、私ども刑事局長がK・ハマダ氏が浜田幸一氏であるというふうなことを申し上げたというようなお話がございましたけれども、それは私寡聞にして聞いていないわけでございまして、そういうことは申し上げていないんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。
  177. 市川正一

    市川正一君 時間がないので、これをタイムカプセルのように前の話を私はやる余裕はありませんが、議事録をごらんください。橋本委員が、ラスベガスに同行した竹中工務店の専務の大橋賢治氏のロッキード公判第二十九回公判の記録を引用して、その証言の中に浜田幸一氏も一緒だということを確認を求めたところ、前田局長は、事実はいままでの証言の中で出ているというふうにおっしゃっているわけで、これをいまさらK・ハマダが浜田幸一と違うというふうなことをおっしゃるならば、これは世間の物笑いでありますが、さて、前へ進まざるを得ません。  私がお伺いしているのは、小西昭二という人物についてお伺いしたいんですが、私は決して、いま申し上げている議論は、石井進が問題の時期に、一九七二年のころに、要するに小西と面接した、いわばラスベガスのカジノにいたということをいまお聞きしているわけで、それはお認めになったわけです。そこで、この小西という人物は稲川組とどういう関係の人物なんですか。稲川会と。
  178. 根來泰周

    説明員根來泰周君) ただいま御指摘のあった記録によりますと、稲川会の何か準組員というふうなことを冒頭陳述で検察官が主張しております。
  179. 市川正一

    市川正一君 しかりであります。検察官の冒頭陳述で、「稲川会横須賀一家準構成員小西昭二」、こういうふうに明確にされています。この小西昭二がサンズホテルでバカラ賭博のディーラーをやっており、そうしてその後の韓国賭博のツアーの際に、この小西を韓国にわざわざ呼び出して、そうしてイカサマ・バカラのディーラーを務めさした、こういうことに事実はなっているんじゃないですか。
  180. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 御指摘のとおりでございます。
  181. 市川正一

    市川正一君 こうして見ますと、ラスベガス賭博ツアーと韓国賭博ツアーとの間には、まさに不可分の密接な関係指摘せざるを得ぬのであります。  ところで、警察庁は、稲川会が韓国賭博ツアーを組織するに至った経過をどう見ておられるのか。また、韓国賭博ツアーを組織するに至ったのはいつごろからか、これも事実に基づいてお答え願いたい。
  182. 中平和水

    政府委員中平和水君) 手元に記録を持っておりませんので正確なことは申し上げかねますが、国内の暴力団取り締まりがかなり厳しい、そういう背景もありまして、韓国等に彼らが資金の場を求めて行ったのがこの経過の一つではないかと思っております。それからなお、韓国に渡るにつきまして、賭客というものをいろいろと勧誘をして行ってまいった、そういうことは承知いたしております。
  183. 市川正一

    市川正一君 ですから、私、きのうも申し上げ、そうしてきょう、いま、お手元に配った。大臣、ちょっと、この二枚目の、「マル5 稲川会資金稼ぎのための賭博ツアー、当時石井進に十億円前後の借金あり」というくだりがありますが、ここに吉原勝彦の供述調書を抜粋として引用しております。私もうこの全文を読む余裕がありませんから若干を引用いたしますと、「昭和四九年頃から石井理事長の開帳で仁川等でバカラ賭博を開く様になりました。石井理事長は、私の属する横須賀一家の総長であり、昭和四七年に稲川会の理事長になり、稲川会の資金を支える立場になりまして、大変苦心しておられました。理事長の借金は十億円前後になっていたのではないかと思います」。また、こうも述べております。「このようなことから、私は理事長に言われてホテルの物色等、香港やその他バカラ賭博の入れ物」——これは賭場のことでありますが、「入れ物の下準備をやったり、賭場での世話をやったりしてまいりました」。つまり、稲川会の資金担当である石井進は十億円前後の借金があり、苦心をしていた。そのために、昭和四十九年ごろからバカラ賭博を開帳するようになって、その下準備をしていたということであります。そして、その発端になったのがまさに四十七年からのラスベガス賭博ツアーだということであります。特に、このラスベガス賭博ツアーでサンズホテルのディーラーをしていた小西昭二と知り合いになったことが韓国賭博ツアーに大いに役立った。後で、先ほど言いましたように、この小西をディーラーとして韓国賭博ツアーでも使っているわけです。つまり、ラスベガス賭博ツアーは、稲川会が資金源として組織した韓国賭博ツアーの準備のためのいわばバカラ賭博のノーハウを得るためであったのではないか、こういうふうに重大ないわば疑点、判断をせざるを得ぬのです。  現に、このイカサマ・バカラに使われている鏡つきのシューボックス、これはトランプを入れるボックスでありますが、これは、調書にもちゃんと図面入りで出ている。これを小西昭二から手に入れて、そして韓国賭博ツアーでフルに活用した、こういうふうにいま渡した資料でも述べてありますが、この点いかがでしょうか。
  184. 根來泰周

    説明員根來泰周君) いろいろお尋ねになる前提の事実が、私どもの把握しておる事実と大分違いますので、まあ何ともお答えしようがないわけでございますが、先生の御指摘は、ラスベガス賭博ツアーと韓国の事件とを結びつけてお考えになっておるということはよく理解できるわけですけれども、私どもの記録ではそういう点が出ていないものですから、何とも前提が違うものですからお答えいたしかねるわけでございます。
  185. 市川正一

    市川正一君 私は前提をドグマテイックに申し上げているのじゃなしに、この調書やあるいは供述あるいは冒陳等々によって解明しているんです。ですから、あなたの前提があればそれはまた別ですけれども、いまの点なんかも、二ページのマル6をひとつ見てください。しかし、私は前へ進みます。  ところで、吉原供述調書の中で重大な一つの問題がありますが、厚木基地の中で、これは米軍と自衛隊の共同使用基地でありますが、これはマル6のくだりにかかわりますが、この厚木基地内でも小西昭二らが鏡つきのシューボックスを使ってイカサマのバカラ賭博をしていたということが明らかになっております。これは五十三年十一月三十日付の吉原供述調書であります。そこで伺いますが、捜査当局はこの吉原の供述でこの事実をつかんだのでありますが、米軍に対して捜査申し入れなど何らかの行動を起こされましたか。
  186. 中平和水

    政府委員中平和水君) 神奈川県警からはそういう報告を受けておりません。
  187. 市川正一

    市川正一君 私は、県警からじゃなしに、この供述に対して、あなた方は御存じになったんだから、事実かどうかということを当然明らかにしていく責任があるわけです。しかも、厚木基地の中には自衛隊と共同使用のために日本人も働いているわけです。また日本の国内であります、国土であります。そこでこういう賭博が行われているということがもし事実であるならば、これは賭博罪が成立するし、イカサマをしておれば詐欺罪になるわけであります。そうであれば、米軍基地内といえども可能な方法を講じてしかるべきであると思いますが、この点大臣いかがでしょうか。
  188. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私もいま初めてこれは具体的なお話を承るので、具体的な問題についてはコメントができないんですけれども一般的に言えば、仮に、米軍の基地内でこういったイカサマ賭博といいますか、これが行われているということになれば、それが仮にわかったとすれば、当然これは日本の司法当局、捜査当局から米軍の方にしかるべく申し入れるというのがたてまえであろうと、かように考えます。
  189. 市川正一

    市川正一君 さすがそうだと思います。  私、事実に基づいて対応もされることを希望いたしますが、さて、一連のこの供述調書を見ますと、ラスベガス賭博ツアーが韓国賭博ツアーの準備のためであったことはこれはもう明白であります。私、浜田云々というようなことは決してここで介在さしていませんから。としますと、このようなラスベガス賭博ツアーに参加した浜田氏の責任は重大だと。なぜならば、まさに浜田氏は暴力団稲川会のイカサマ・バカラによる資金かせぎ、その一翼を担ったのではないかと言われても仕方のない状況に、こうなってくるわけです。しかも、浜田氏は政界入りの動機が、稲川会の稲川角二会長を通じて知った児玉譽士夫に諭されたのがきっかけと、こういうふうに言われて、新聞にも各紙報ぜられております。こうして稲川会とはきわめて密接な関係を持っているというふうにされております。それだけに、これは国会の権威、国会の品位、また政治の信頼にもかかわるまさに重大な問題となり、マスコミも含めて国民世論が沸き、自民党首脳部の内部でさえいろいろの意見があるというのはこれは当然だと思う。  私は全面的にこの問題について解明し究明をする用意はありますが、本日は分科会という限定された場でもあり、また時間も制約されておりますので、以上の点にしぼりましたけれども、私この暴力団壊滅という問題では、ここに昭和五十三年の警察白書を持ってまいりました。この中で、御承知だと思いますが、こう書いてあるんです。「暴力団と暴力団犯罪を真に我々の社会から根絶するためには、警察の徹底的な取締りはもとよりであるが、あわせてこのような暴力団の存在を支え、暴力団犯罪を助長するような社会的土壌を崩壊させるための息の長い国民的な努力が必要とされよう」、こういうことをわざわざ警察庁は書いている。としますと、暴力団と一緒に賭博ツアーに出かける、しかも国会の会期中に。こういうことを放置していいのかどうか、国家公安委員長としてこの点どう対処されるのか、その責任において御見解を大臣から承りたい。
  190. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 暴力団の取り締まりは反復して徹底してやる、しかも取り締まりの肝心な点は資金源の壊滅、もう一つはそういった存在を許さない社会的土壌をどのようにつくるか、こういったことであろうと思います。警察としては、従来からさような基本方針を持って対処しておるというふうに私は報告を聞いておるわけでございます。  ただ、御質疑の、浜田さんが石井某というのと賭博ツアーに行ったのか行かないのか、これはもう私も全く承知をしておらない事実でございますので、これについてはお答えができません。
  191. 市川正一

    市川正一君 もし事実ならどうですか。
  192. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 仮定については、個人の名誉に関することでございまするので御容赦願いたいと思います。  もう一つは、浜田さんが稲川会に所属しておったということも私自身は全く聞いておらないのでございまするので、これまたお答えができないと、かように考えるわけでございます。
  193. 市川正一

    市川正一君 繰り返すようでありますが、この点はおとといの参議院法務委員会において、先ほど言いましたように、竹中公務店の専務の大橋賢治氏のロッキード公判における証言を引用して確認をしているところでありますから、私は単なる仮定とか単なる推測で物を言っているのでないということ、これだけははっきりしておきたいと思う。なおかついまのような大臣の答弁ならば、これは臭いものにふたをする、そういうことだとあえて言わざるを得ない、こう思います。  私はもう一つ、KDD問題についてお聞きしなければならないのでありますが、これについて去る二十四日の参議院の決算委員会において中平刑事局長が、国民の期待を踏まえて、幅広く事実を解明しており、刑罰に触れるものは適正に処理する、証拠が固まればいかなる者でもというふうに述べておりますが、これはそれがよし政治家であれ、大臣経験者であれ、こういう立場であるということは間違いがないかということをまず確認していただきたい。
  194. 中平和水

    政府委員中平和水君) 警察は証拠に基づいて捜査をするわけでございまして、したがいまして、刑罰法令に解れる行為がある場合に、これは何人といえどもやはりこれは厳正に措置してまいるのは私どもの基本的な立場でございます。
  195. 市川正一

    市川正一君 ところで、二十六日、参院予算委員会におきまして、これは集中審議のときでありましたが、御存じのとおりに、わが党の沓脱議員が、服部元郵政大臣のKDD料金値下げ問題とその態度の豹変、その疑惑について指摘いたしました。私はあえてここでもうその経過をトレースはいたしませんけれども、いわば、大変なファイトで値下げの指導をいたしておるというふうに国会答弁をやっておられながら、突如として四月十八日に百八十度態度をお変えになった、しかもそのときに経済閣僚会議で値下げの検討を決定し、そして五月の十日には郵政省がKDDに文書をもってそのことを指示する、しかし、その同じ当日の十日には、逓信委員会で、長期展望に立った設備投資が必要だなどと全く反対の答弁をなすっているという事実を指摘しました。しかも、これに符牒を合わせたように、服部郵政大臣——当時でありますが、が全額出資しておられるインテリア・ルイからKDDに対して多額の高級家具の納入がずっと進められたということも年表的に発表いたしました。私はこういう一連の事実について、捜査当局は必要な捜査をなすっておられると思いますが、その点いかがでしょうか。
  196. 中平和水

    政府委員中平和水君) 繰り返しになりますが、この事件に寄せる国民の期待度というものを踏まえて私どもは幅広く事案の真相の解明に当たっておる、こういう基本的な方針でございます。したがいまして、国会等で御論議になりましたこと等につきましても、十分な関心を持って対処をいたしております。
  197. 市川正一

    市川正一君 伺いますが、捜査当局は松井、日高の二人を収賄罪で逮捕された。その容疑内容は、ヨーロッパの観光旅行など百数十万円程度の接待を受けたというものであります。とすると、もっと多額の、つまり数百万円単位の商品券、せんべつ、接待を受けて、そしてパーティー券を購入してもらったそういう政治家、国会議員についても、当然捜査当局として重大な関心を持って犯罪の有無を捜査する必要があると考えますが、その点いかがでしょうか。
  198. 中平和水

    政府委員中平和水君) 繰り返しになりますが、捜査は証拠に基づいてやるものでございまして、したがいまして、たとえ金が流れておっても、職務に関する違法な対価といいますか、そうしたものが立証できない限り、これは刑事事件としては成立しないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、KDDを通じて流れている金の流れあるいは物の流れ、そういうものを克明に追いながら、その中で刑罰法令に触れる行為について的確に証拠を積み上げながら処理してまいる、こういう基本方針でやっておりまして、それは、繰り返しになりますが、幅広くとらえてやっております。
  199. 市川正一

    市川正一君 あわせて伺いますが、検察当局は、KDDが政治家や郵政官僚の海外での接待についてABCDの四ランクの暗号を設けて、Aというのはアブラハムあるいはアルフレッド、Bはベンジャミン、Cはチャーリー、Dはデービットということをやっていた、これをつかんでおられるはずですが、どうですか。
  200. 中平和水

    政府委員中平和水君) 新聞報道等を通じましてそういうランクがあったやに聞いておりますが、捜査当局からは具体的な報告は私ただいま受けておりません。
  201. 市川正一

    市川正一君 じゃ、そろそろ締めましょう。  私は、そういう点から見まして、結局、事件のいわば一連の動きから見て、日高、松井というのはもちろん、なんでありますが、これが悪の頂点、いわば巨悪とは必ずしも思えないのであります。  わが党は、本日改めて衆参両院の逓信委員長に対しまして、板野氏を証人として喚問することを申し入れたのでありますが、捜査当局としてはこのことについて何か支障はございますか。
  202. 中平和水

    政府委員中平和水君) 国会でお決めになることでございまして、私どもはやはり証拠に基づいて着実に捜査を進めてまいる、これ以外にお答えのしようはないと思います。
  203. 市川正一

    市川正一君 最後です。  私きのう決算委員会に出ていまして、前田刑事局長が決算委員長にどういうことを申されたかということも伺っております。ですから、あえてもうここでそれを繰り返しはいたしませんが、一部の観測や報道によると、捜査当局は板野氏に対する強制捜査に踏み切る方針だ、こういうふうに伝えられておりますが、そういうことをあるいは指しているのかもしれませんが、私は大臣に最後にお伺いしたい。結局Aランク、アブラハムとかアルフレッド、こういう郵政大臣や衆参両院の逓信議員など政治家、それに郵政省の局長クラス、こういうあたりは、いわば放置する、巨悪を逃すというふうなことになってはこれは一大事でありますが、こういう点についての大臣の、決意を最後に伺って終わりたいと思います。
  204. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) KDDの事件国民の注目を集めておる事件でございますので、捜査当局としては、刑罰法令違反の有無については、金の流れ、物の流れを通じて証拠を通じて解明をしてくれるものと、かように考えておるわけでございます。したがって、いまいろいろな巨悪云々のことがありましたけれども、いずれにしましても、人によっての差別があろうはずはありません。問題は、刑罰法令違反の事実ありや否や、それの証拠はどうだということを突き詰めて、捜査としては、国民の注目を浴びておる事件であるだけに解明をしてくれるものとかように存じておるわけでございます。
  205. 市川正一

    市川正一君 問題を出しておきましたからひとつしっかり。  終わります。
  206. 亀長友義

    主査亀長友義君) 市川房枝君。
  207. 市川房枝

    市川房枝君 私は、まず選挙違反の問題について警察当局に伺いたいと思います。  昨年十月七日に行われました衆議議員選挙の選挙違反の件数といいますか、あるいは内容といいますか、それを伺いたい。同時に、その前の五十一年の衆議院の選挙と比較してふえたか減ったか、そういうことも伺いたいと思います。
  208. 中平和水

    政府委員中平和水君) 昨年の十月に施行されました第三十五回衆議議員の総選挙に関する違反の取り締まりの状況をまず申し上げたいと思います。  検挙の状況につきましては、選挙期日後九十日、ことしの一月五日現在の集計、これが一番新しい集計でございますので、これに基づきまして御説明を申し上げたいと思います。  総数で八千四百七十二件、一万四千四百四十二名、うち逮捕者千三百九十八名ということになっておりまして、昭和五十一年十二月五日施行の総選挙におきます同じ時期の六千七百四十七件、一万一千二百十二名、うち逮捕者千二百四十四名に比べますと、件数で二五・六%、人員で二八・八%、いずれも増加となっております。  罪種別に主なものを申し上げますと、買収が七千七百六十四件、一万三千百九十四名、これは前回が五千九百五十二件、九千八百二十三名でございますから、大幅に増加しております。そのほか自由妨害が七十七件、六十二名、戸別訪問が二百四十四件、四百五十二名、文書違反が三百二十五件、六百四十七名、その他が六十二件、八十七名ということになっておりまして、買収が全検挙事件のうち件数で九一・六%、人員で九一・四%というふうに格段に多くなっておる状況でございます。  次に、警告の状況を簡単に申し上げますと、総数で二万二千七百四件でございまして、これは昭和五十一年の総選挙の二万五千五百三件に比べますと二千七百九十九件の減少にはなっております。警告のほとんどは文書関係のものでございまして、約八八%がこれに当たっております。以上でございます。
  209. 市川房枝

    市川房枝君 いま御報告を伺いますというと、件数もふえている、買収もふえていると。非常に前よりも悪くなっているという数字を伺ったんですが、これはあの選挙の当時にも、新聞なんかで見ておりますけれども、その選挙違反の中で特に国民一般がよく存じている大きな違反事件というものが幾つかあったといいますか、少なくとも二つは私どもは覚えているんですけれども、その事件の内容といいますか。大体まあこれは選挙区と候補者の名前もおっしゃっていただいても結構だと思いますが、それを伺いたいと思います。
  210. 中平和水

    政府委員中平和水君) 大きな違反というのはなかなかこれむずかしいわけでございますが、大変大がかりな違反といたしまして、新聞等にも大きく報道されましたものの一つには、千葉県二区の宇野亨議員派の違反事件があったわけでございますが、これは千葉県警におきまして、買収が七百三十一件、六百二十七名、戸別訪問一件、五名、七百三十二件、六百三十二名を検挙いたしまして、千葉地方検察庁に送致いたしまして、捜査は終結をしておるわけでございます。
  211. 市川房枝

    市川房枝君 もう一つ、東京七区の事件ですね。
  212. 中平和水

    政府委員中平和水君) お尋ね事件は、東京七区から立候補された小澤潔議員派の違反のことをお示しかと思いますが、これは警視庁が検挙いたしました、政党の総裁名をかたりましたいわゆる怪文書の頒布事件でございます。本件につきましては、法定外文書頒布、つまり法百四十二条の違反容疑捜査を行いまして、関係被疑者三十名を検挙いたしまして、事件を東京地方検察庁に送致いたしまして、現在捜査を収束している次第でございます。  以上でございます。
  213. 市川房枝

    市川房枝君 警察は選挙違反の検挙といいますか、取り締まりというのをしておいでになるわけなんですが、自治省は明るい選挙、正しい選挙の宣伝を担当しておいでになるんですが、後藤田大臣はちょうどその警察の方の長でもおいでになり、自治省の大臣でもおいでになるんですが、こんなふうに去年の選挙が前よりも非常に悪かったというか——というさっきの数字なんか、どういうところに原因があるのか、それに対する大臣のひとつ感想を伺いたいんです。
  214. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 昨年の選挙は、中平刑事局長からいまお答えいたしましたように、確かにいわゆる買収違反の数が大変ふえております。私は、選挙の中身が最近よくなっているのか悪くなっているのかということを考えますと、これはまあやや専門的なお答えになるんですけれども、問題はこれ探知犯なんですね。探す犯罪なんです、露出犯と違いますから。そこで、その当時の治安の状況として、警察力を選挙違反にどれだけ割き得るかということが一つあるんですね。つまり、捜査の力との相関関係にあるのだということをお考え願いたいと思うのです。しかし、さればといって、私は昨年の選挙で選挙結果がよくなっているとは思いません、これは。実態は一向、旧態依然たるものがあるなという気はいたします。  そこで、原因はやはりこれは私は一つは選挙制度に基本があると思いますね。いわゆる同士打ちのところが一番よけいに違反が出ているのはこれは否定し得ない事実ですから、やはり制度に一つ問題があるだろうと。同時に、やはり何といいましても選ばれる者、それから選ぶ者、これらの相関の複雑な絡み合いですね、こういった点があると。さらにまた基本を考えれば、日本の、何といいますか、民主政治に対する物の考え方の基本ですね、ここらにも問題があるだろうと、かように思います。  そこで、基本はやはり選挙のいわゆる啓発運動ですね。これは実際はなかなか一朝一夕にいけるものと思いませんけれども、しかし、これはやはり粘り強い努力が一番肝心であろうと、かように思います。それから取り締まりの立場で言いますと、これは国政選挙は非常に一番重要な選挙ですから、当然捜査当局は全力を挙げて違反検挙をやるわけですけれども、やはり地方選挙に取り締まりの目がもう少し向かないといけないのではないかなあと、これは私も十数年前からの経験上そういうことも考えております。そういったいろんな複雑な要素が絡み合っておりますから、しょせんはこれはやっぱりそういった原因がどこにあるのかということを分析すれば、おのずから出てくるんですね。そこで、それらを一つ一つじみちに取り上げてやっていくのが実際は遠回りなようで一番近い道ではないのかなあと、かように考えておるような次第でございます。
  215. 市川房枝

    市川房枝君 大臣も昨年の衆議院の選挙で初当選なさいましたですね。
  216. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) いや、私はその前です。
  217. 市川房枝

    市川房枝君 その前でしたっけ。それは失礼、ごめんなさい。(笑声)  その選挙の済んだ後で、大臣はすぐ大平第二次内閣の自治大臣と兼国家公安委員長に御就任になったわけなんですが、大臣個人のことでちょっと失礼かと思いますけれど、しかし、重要な問題だから申し上げたいと思うのですが、私はここに新聞の切り抜きを一つ持っております。これは昨年の暮れの十二月十五日の愛媛新聞の切り抜きなんです。ごらんになってないでしょうね。後でこれはお回ししましょう。それを見ますと、まず見出しに、「国家公安委員長 後藤田派の違反その後も続々」と、それからまた大きい見出しがついてまして、「県警の選挙取締本部解散早過ぎ 「末端のみ追及」徳島地検が指摘」と、こう出ているんです。それで内容は、結局選挙が済んでからほぼ一月ぐらいで、十一月の八日ぐらいかに徳島の県警の本部を解散しちゃったんだそうですよ。そしてその後で続々買収犯だのいろいろなものが出てきているらしくて、そこで徳島の地検が少し早過ぎたと、解散が。ということでそれから余り書いていませんけれども、これを読んだ私ども読者としては、やっぱりあなたが大臣におなりになってから、敬意を表してというのか、遠慮をして、そして早く解散しちゃんだと。まあやっぱり警察の方は、偉い政治家といいますか、そういう方々に対しては特別な扱いをしているのかと、こういう印象を与えるんですけれども、これは徳島地検はもちろんあれですけれども、地検の方の関係者の方に、こういうことがあったかどうかもちょっと伺うようにしているんですが、いかがですか。
  218. 根來泰周

    説明員根來泰周君) 御指摘の新聞は、むしろ私ども県警の方から教えていただいて、松山の方へ問い合わせたところそういう新聞があるということでして、愛媛新聞から取材を受けたこともありませんし、ましてやそういう意見を申し述べたことはないというふうな報告になっております。
  219. 市川房枝

    市川房枝君 大臣御自身はどんな感想をお持ちになりますか。
  220. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私の派の中から多数の選挙違反者が出ておるということは、これはもう私自身の不徳不明のいたすところで、これは厳しい反省をしなきゃならないと、かように考えております。ただ、私の立場が立場なものですから、どうもこれも人徳のないせいかもしれませんが、しょっちゅう週刊誌だ何だにいろいろ書かれていることも事実でございます。  ただ、これはこっちに中平局長がおりますから、全国的なあれは後でお答えを願いたいと思うのですけれども、大体選挙の取り締まりというのは、毎年の、選挙をやった年の警察統計をごらんになっていただければわかりますように、一般犯罪の検挙率が落ちるんです、どうしても。そういうようなことでして、そこでおおむね私どものときも一カ月間です、選挙投票後。そのころを一応の境にして捜査本部は解散をするのです。しかしながら、それまでに解決をしていない事件がございますから、これは依然として引き続き捜査をして、それで新しく出てくるものはやはりどんどん取り調べをして検察庁に送ると、こういう処置をしておると思うのです。  具体的にはいまの愛媛新聞のようなことがあったかどうか私全く知りませんので、これはないと思いますよ、思いますが、これは当局から答弁してもらいますが、遠慮なしにひとつ答弁していただきたいと思います。
  221. 中平和水

    政府委員中平和水君) ただいま大臣の方からお話がありましたが、私どもは幾ら自分の所管の大臣であっても、やっぱりやるべきことはきちんとやると、こういう基本的な態度で処しておるわけでございます。今回の事件につきましても、確かにこれは全国的に、大体いま投票期日後約一カ月たった段階で選挙違反取り締まり本部は一応閉じるわけでございます。しかしながら、そこで残っております事件につきましては、選挙違反取り締まり本部というのは全警察力を挙げてやるわけでございますから、交通事故だとかほかのたくさんの警察としてやらなきゃいかぬことがあるわけでございますから、一カ月たった後は捜査関係者だけ、つまり少数精鋭で残った事件に対処してまいるわけでございます。徳島の場合も、その後本年の一月まで、捜査を特別の捜査班を組んで厳正な処理をいたしております。
  222. 市川房枝

    市川房枝君 ついでに大臣についてもう一つ申し上げたいんですが、ちょっとこれも失礼に当たるかなと思うんですが、やっぱり非常に大事なことだから、また、大臣は御存じないかもしれないから申し上げようと思うんですが、自治省は昨年の暮れの十一月十九日に、選挙制度九十周年記念藍綬褒章等伝達式を主催されましたね。そして、そこで後藤田大臣、恐らく就任後間もなかったろうと思うんですが、大臣としてごあいさつをなさているんです。ごあいさつのときの文書がここにあるんですが、その一部をちょっと申し上げてみますると、おしまいの方ですが、  幾多の山積する諸問題の解決を迫られておりますが、このような時こそ議会制民主政治の一層の充実と、その基盤であります選挙が明るくきれいに行われることが肝要と存じます。   本日御参列の各位はもとより、国民の一人一人が、今後さらに政治に対する意識を高揚されるとともに、明るい選挙の推進に努力をいたされ、我が国民政治の発展に一層の貢献をされることを念じて止まないものであります。 こうあります。これは大臣にとって当然のごあいさつだと思うんですが、ところが、あの会に出席していた人たち、それはまあずっと前から選挙をよくすることに努力してきた人が多数であったらしいんですが、その出席した人の間で実はそれに対する感想を話し合ったといいますか、もちろんその中にいた人から、信用のできる人から私にそういう知らせがあったわけですが、こう言うんですよ。漫画みたいな珍景であった、いやな思いがしたと、こういう感想だったと、こう言うんですよね。これは恐らく私は四十九年の参議院の選挙のときに、やはり選挙違反はずいぶんあったんですが、あのとき地方区としては徳島でのあなた、後藤田さんと、それから全国区としてはこの間判決が一応あった糸山さん、そのお二人が一般国民に非常に印象づけられていると、私はそういうことで出席者の中に、それを思い出してといいますか、そういうような感想があったんじゃないかと思うんですが、これは大臣に対して大変お気の毒だと私は思うんですが、ただ、こういうようなこともあったりして、大平さんが、あなたを自治大臣でなく、ほかの省へなさればあなたはこんなにいやな思いせぬでもよかったろうにというか、あるいはあなた御自身が、まあ自治大臣というのはそういうことだから、どうせいやなことが起こるだろうからそれはごめんだ、ほかへ回してくれとおっしゃったらよかったんじゃないかと私は実は思うんですけれども、だからもう大臣が一生懸命になって、こういう一般国民に、きれいな選挙、正しい選挙、民主主義政治の基本は選挙だとおっしゃってくだすっても、通じないんですよね。  そこで、しかし現職として先ほどからいろいろ熱心にお答えいただいておるわけですが、自治大臣として、それこそ私はほかの人がびっくりするほどああいうことの御経験を持っていらっしゃるから、よけいこの選挙の問題について御戒慎があって、いままでの大臣ではできなかったようなことをやってくだすったんだということに努力していただければ私は大変にありがたいと思うし、一体その点の決意はいかがでございますか。
  223. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 市川先生から大変厳しい御批判を承りまして、私自身はやはりそういった御批判があることを十分肝に銘じまして、やはり厳しい反省の上に立って与えられた職責を果たしてまいりたいと、かように考えます。
  224. 市川房枝

    市川房枝君 次には、自治省は、さっきから話を申し上げているように明るい選挙のための運動をやっておいでになり、そのための予算をずっとお取りになっているわけですが、五十四年度の予算は一体幾らあって、その内容はどうだとか、それから来年度五十五年度の予算は一体どうなっているか、簡単にちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  225. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 啓発関係予算は五十四年度におきまして総額十二億、それから来年度五十五年度におきましても総額十二億を準備しております。ただ、来年度は御承知のように参議院議員の選挙を控えておりますので、さらに四億五千万の臨時啓発費を準備いたしております。
  226. 市川房枝

    市川房枝君 参議院選挙が近いわけですが、もう事前運動が盛んに行われているんですが、警察の方はその事前運動に対しての取り締まりといいますか、状態はどんなぐあいですか。
  227. 中平和水

    政府委員中平和水君) ことしの七月に施行の予定にされております参議院の通常選挙を目指しまして、若干、御案内のように、いろいろと事前運動まがいの活動が行われつつあるような状況でもございますので、この事前運動に紛らわしい行為につきましては、警察としては事実を把握し次第その都度警告をし、そうした違法行為を蔓延あるいは助長させないようにやっておる次第でございまして、現在までにこの二月末現在ですでに二百六十一件の警告措置をとっております。当庁といたしましても、今後の推移を見ながら、事前運動に紛らわしい行為が今後ますますこれは出てまいるようになりますと、それなりに強い措置で臨んでいきたいと、こういうように考えております。
  228. 市川房枝

    市川房枝君 今度の参議院選挙はいままでになく金がかかる。ことに全国区は、あれは法定選挙費用は二千万円ぐらいだったですね。それなのに、やれ七億だとか十億だとかいう声が盛んに流れておるんですけれども、一体それはどうなんでしょうね。みんな国民はびっくりしいてるわけなんですが、そんなに費用が要らないで、そして出てほしいいい人に出てもらえるような対策といいますか、あるいは法の改正もそれに伴っていいと思うんですけれども、それはやっぱり当然自治省がお考えいただくべきことだと思うんですけれども、それはいかがですか。
  229. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 御指摘のように、参議院の全国区制は特に金がかかる、しかもまた有権者にとっては非常に広い選挙区でございますから、候補者の選択に非常に困る、また候補者側にとりましても大変な労力である、こういう意見というものがもう十数年来実はあるわけでございます。先生も十分御承知のように、これはそもそも全国区制を戦後最初に採用しましたころからすでにもう予想はされておったわけでありますけれども、こんなにひどくなるとも当時は恐らく考えてなかったかもしれません。しかし、いずれにしましても、おっしゃいましたようなことが現実でございますので、年来、各党におきましてもこの全国区制の改正には本気で手をつけぬといかぬ、こういう空気はございまして、数年前でございましたか、自由民主党におきましても、全国区の拘束名簿式の比例代表制という制度を党内で盛んに議論をされ、一応多数の賛成を得られたという結果はございました。最近、それ以外の政党におきましても、この問題については真剣に検討をされておるようであります。  ただ、こういった選挙の土俵の問題につきましては、もちろん私ども常々研究、検討いたしておりますけれども、やはり各党の御意見というものも十分尊重すべであろうと思いまして、各党間の論議の動向を踏まえながら今後とも検討を続けていく所存でございます。
  230. 市川房枝

    市川房枝君 いまお話にも出てきましたけれども、きのうの新聞なりけさのテレビなんかで、大平総理が自民党の幹部の方に対して、そしてこの国会中に参議院の全国区の選挙のやり方、拘束式比例代表制にするとか、あるいは個人の政治献金の規制をするということをできるだけ出すようにという御指示があったみたいですが、それは自治省は当然御存じのわけだろうと思うんですが、ただ、これはそれこそ政府案として成るのか、あるいは各党の話し合いで、あるいは議員提案ということで成るでしょうか。自治省の方のお見通しはどうですか、大臣。
  231. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 全国区の問題は古くて新しい問題でございます。党内で従来からいろいろその点については論議をしておることも事実ですけれども、大平総理がお話しになったというのは、これは党の幹部にお話しになったのでございまして、自治省には下がってきておりません。仮に改正するとした場合に、政府提案になるのか、国会で処理するのかということですが、御案内のように、いまの選挙法というのは、非常に技術的な面が一つございますね。この点だけから言えば自治省でやって一向差し支えない。ところが、選挙の制度の問題であるとか、あるいは定数の問題ということになると、各党の勢力にもその物ずばり響く大変政治的な意味合いの濃い法律です。これは一本の中になっております。  そこで、全国区制の問題なんかはやはりこれは党で検討して、国会マターとして処理をしていただきたいというのが私どもの基本の考え方でございます。もう一つの政治資金の方は、これは航空機疑惑問題等防止対策協議会からの御提言を受けまして、これは総理から私のところに、できるだけ早く成案をまとめてそして政府提案として処理してもらいたいと、こういう御指示を受けております。そこで現時点では、自由民主党の選挙制度調査会へ私どもの方も加わりまして、党でいま審議をして、もうほとんど煮詰まりつつある状況でございます。これが煮詰まりますれば、党は党で恐らく各党に御相談を申し上げるのじゃないかと思います。これは私、わかりません。ただ私どもとしては、それの煮詰まり次第これは法案としてでき得べくんば今国会に提案をいたしたい、かように考えて準備を進めております。
  232. 市川房枝

    市川房枝君 時間が来たようですけれども、一つだけお願いします。  いま大臣からお話がありましたように、あと本当はもう一月、二月しかないわけですわね。そしていままで検討はしておいでになったとは思うんだけれども、選挙とかあるいは政治資金とか、議員の方たちの身分に関するといいますか、個人に関する問題はなかなかむずかしくて、いまもちょっとお話ありましたけれど、これ協調はむずかしいというか、あるいは私ども政党外にいる者から拝見しますというと、悪い言葉ですけれども党利党略と言いますか、あたりまえだとそれは思いますがね。自分の党にどうすれば得がいくとか損がいくとかいうことが先になって、どうしても国民の立場でそして本当の選挙というか、民主主義政治としてはこうあるべきだという原則が曲がっちゃうんですよね。だから、私は前からその点を具体的な現実の問題として国会にいて拝見をしているので、本当はそういうあなたが大会であいさつなすった中のように、本当の民主主義の立場、一番基本としての選挙はどうあるべきかというのを、むしろ中立の立場でというか、専門の学者のような方々で継続して検討して、それで国民がちゃんと納得できるようなものを提起をしていただけるといいんですけれども自治省だってしょっちゅうお変わりになっていらっして、そんなに継続して研究していらっしゃるということはしていらっしゃらないみたいですね。だから、これは自治省として公明選挙のために十二億とさっき御報告うかがったのですけれども、あの金は私に言わせるとちっとも生きちゃいないんで、本当はむだ金みたいでもったいないと思っているんですが、むしろ、ああいう金をそういうふうな一つの機関、これは私は自治省の外郭団体でもいいと思うんですが、そういうものに金をつぎ込んで、そして平生公正な立場で研究していくというようなものをしてくださらないと、日本の選挙というものはもうそのときどきあっち向いたりこっち向いたり、みんな利害関係でもって結局選挙はもっと悪くなるというか、いや、基本は政党や候補者の方でなくて、これは有権者の問題、有権者の政治意識の問題になりますけれども、という感じを持っております。  なお伺いたいことがありましたけれども、時間が参りましたのでまた別の機会にお伺いしたいと思っております。失礼なことがあったかもしれませんけれども、それはお許しをいただきたいと思います。ありがとうございました。
  233. 亀長友義

    主査亀長友義君) 以上をもちまして警察庁北海道開発庁及び自治省に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  234. 亀長友義

    主査亀長友義君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、上林繁次郎君が分科担当委員を辞任され、その補欠として和泉照雄君が分科担当委員選任されました。  次回は三十一日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会      —————・—————