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1980-04-01 第91回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月一日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    分科担当委員異動  四月一日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     佐藤 三吾君      丸谷 金保君     松前 達郎君      松前 達郎君     坂倉 藤吾君      馬場  富君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         桧垣徳太郎君     副主査         山本 富雄君     分科担当委員                 北  修二君                 玉置 和郎君                 林  ゆう君                 佐藤 三吾君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 塩出 啓典君                 馬場  富君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       伊東 正義君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       小渕 恵三君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       宇野 宗佑君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       清水  汪君        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     京須  実君        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       小野佐千夫君        内閣総理大臣官        房同和対策室長  小島 弘仲君        内閣総理大臣官        房総務審議官   和田 善一君        総理府恩給局長  小熊 鐵雄君        行政管理庁長官        官房審議官    中  庄二君        行政管理庁行政        管理局長     加地 夏雄君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        沖繩開発庁総務        局会計課長    宮島  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    漆間 英治君        警察庁交通局交        通企画課長    斉藤  隆君        法務省刑事局参        事官       東條伸一郎君        外務省条約局法        規課長      鈴木 勝也君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        水谷 文彦君        通商産業省機械        情報産業局車両        課長       三野 正博君        運輸省自動車局        保障課長     渡辺純一郎君        郵政大臣官房電        気通信参事官   金光 洋三君        自治省行政局振        興課長      木村  仁君        会計検査院事務        総局第一局長   岩井  毅君        会計検査院事務        総局第四局長   岡峯佐一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十五年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十五年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  まず、分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、瀬谷英行君が分科担当委員を辞任され、その補欠として佐藤三吾君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  3. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 昭和五十五年度予算中、会計検査院及び行政管理庁所管を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。丸谷金保君。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 行管庁長官にお伺いいたしますが、行政整理の本年度の全貌というのは大体枠組みが出てまいりました。それの現在までに確定している状況を簡単にひとつ各省別にお願いいたします。
  5. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 御承知のとおり、定員削減を初めといたしまして、第二次大平内閣発足のときに決定いたしました枠が四本ございます。  一つ定員削減は、すでに本年度予算におきましても、この五十五年度から第五次が始まりますが、おおむね三万七千名の削減でございます。  第二番目には特殊法人でございますが、現在百十一ございますけれども、一応十八を整理いたしました。この国会におきまして二つ増になるであろうと、こういうふうに考えておりますから、したがいまして、純減といたしましては十六件純減ということに相なります。なおかつ特殊法人に関しましては百十一の特殊法人に全部監察をするということにいたしました。いままでは四十八であったわけでございます。  第三番目は補助金でございますが、これはすでに予算においても明らかになりましたとおり、おおむね三千八百件ございますが、少なくともこの四年間に四分の一をカットする、整理する、こういうことで本年度は金額といたしまして千六百六十七億円、すでに節減が予算上表示されておるような次第でございます。  その次は地方支分部局整理でございます。これに関しましてはすでに食糧事務所であるとか、あるいは附属機関もございますが、生糸検査所であるとか、従来から指摘をされておりましたものはこの機会に全部整理をすることにいたしまして、特に食糧検査所は全国に三千あったのですが、本年度最終年次といたしまして、三千が一件もなく全部整理されてしまいます。なおかつ、米の検査員は約八千名がこれに伴いまして整理を終わると、残り一万三千ばかりいらっしゃるが、これは農林水産大臣が新しい方途においていろいろと考えている。特に、私たちは、生首は取っちゃいけないと、こういう国会決議でございますから、その趣旨を重んじまして、極力定員管理において総員の縮減を図っていくという方途ですが、米の検査員等むずかしい問題がございますから、各省庁間の配置転換、これは私非常に大きな意義があるんじゃないかと思いますが、これによって十分効果をあらわしたい。  なおその次には御承知ブロック単位でございますが、これは先週閣議決定をいたしまして、大体三百八ございます。そのうち三十五機関整理、再編成ということを決定いたしました。都道府県にある支分部局でございますが、これは六月三十日までに閣議決定するということでございます。ブロック機関の方は本国会に法案を提出いたしますので、御審議をお願いいたしたいと思います。  その次、最後でございますが、御承知許認可、さらには報告という問題でございますが、いずれも大体一割以上は整理をしたのではなかろうかと、こういうふうに思っております。大ざっぱでございますが、それが五十五年行革第一次並びに第二次の内容でございます。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまお話を伺っておりましても、大体従来からもう計画されて、進められていたものがこの機会に乗っかって数字として出てきたというふうなものが多くて、特に大平内閣目玉として挙げた行政改革としてはちょっとぼくは物足りない。たとえばいま食検の問題が出ましたね。これなんかもうそんなことをしなくてもことしで終わっていたものなんですよ。一番最後に残ったのは北海道ですからね。北海道も大体労働組合との話もついてそういう方向で決まっていたのがたまたまことしになったということであってね。それを行管で、大平内閣が挙げて、成果一つだなんというのはちょっと思い上がりではないですか、どうなんですか。その中のある程度のものはもうスケジュールでずっときていたものでしょう。大平内閣が特に今回目玉として行政改革に挙げたんだというのとは中身としてはいささか違っているんじゃないですか。これは食検の問題なんかもう年次計画でやってきて終わったということであって、それをいかにも三千あったのをやりましたなんて、福田内閣時代からずっとやってきたんですから、いわゆる現内閣目玉というふうなものとやや異なるものがそのほかにも散見されるんですが、いかがなんですか。
  7. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) しばしば米の検査員の問題は衆参両院におきましても話題になり、さらに評論家等が全く手も染めないというふうな調子でやります。はっきり申しますと、この間ある放送におきましても、たった二百二十名しか省庁間の配転をしておらぬ、こういうことですが、実はいままで歴代内閣におきまして、十二年間に八千名整理しておる、あるいは三千やっておる、非常に協力を得てやっておるんだということを私たち口をきわめて言うんですが、こういう機会最終年次がことし、先ほど申し上げておるわけでございますから、やはりこれは言うておくべきことであろう、こういうふうに思うのでありますが、特に委員指摘されました、いままでもうリストアップされておるじゃないかというのは多分特殊法人だろうと思います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、食検
  9. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 食検はいま申し上げましたとおりに、ことしで、五十五ヵ所で三千ヵ所全部終わりになるというお話とか、あるいは八千名定員純減もしてきたということを報告しておるわけでございますから、当然これは第二次行革の中の一環として入れるべき問題でございます。だから、それ以外にもわれわれといたしましては、御質問によればいっぱいございますので、先ほどのものだとざっと申し上げたわけでございますので、御質問によりましてお答えしたいと思います。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 食検の場合もこれは米の検査員とは限りませんので、念のために申しておきますが。年次がことしで終わりましたが、しかし、それにはやはり労働者協力があったんです。労働組合がこのことについては了解する、現地においても非常にそういう点での詰めをして、そういう協力がなければなかなかこれは行政改革というのもうまく進まないものです。  それと、私が余り目玉になるような大したことではないんじゃないですかと申し上げたのは、私自身がやったのと比較してそう痛感するんです。六年ほど前ですが、地方自治体が非常にこれから財政が苦しくなる、管理職を三分の一にしました。せめてこれくらいやれば、私のところは管理職を三分の一にしたんですよ。それはまた別なところへ仕事をあれして配置転換をしていきましたがね。それから小使さん、いわゆる校務補をなくするとかいうふうなこと、思い切ったことをやりましたがね。それから見ると、どうもちっとも肝心なところに手がついていない。機構改革をして管理職がふえたりというような例もあるようですし、だから本当に思い切ったことをやるんなら、それくらいなことをやらないと、ああやっぱり大変だなと、町民も役場があそこまでやるんならこれはやはりわれわれも協力しなきゃならぬという気分になるんです。ひとつ思い切ったことをやってごらんなさいよ。いま言った程度じゃまるで九牛の一毛というものですよ。それは本気でそういう点で労働組合とも相談して、まず管理職の方から手をつけないといかぬと思うんですよ。その点、決意といってもあれでしょうけどね、いささか不十分だ。しかも、首切りはしない、生首は取らないと言いながら、配置転換その他についての思いやりというふうなことの全くない、しゃくし定規にやられている。こういう点についても、もう少し喜んで配置転換につけるようなことも御配慮願いたい。これは要望を兼ねてひとつ質問いたします。
  11. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 非常に有力な御意見でございますから、私といたしましても拝聴いたしました。  また、それを決して今後無視しようというものではございませんが、今回の行革は、やはり戦後長年にわたる惰性と申しましょうか、その間に高度成長等々ございましたから、非常にぜい肉化した面があるし、肥大化した面がある。特に、中央省庁においてもさようであろうが、特殊法人あるいは地方支分部局等において、国民の目から見て一番わかりやすいのは、たとえばあそこの役所はサボっとるじゃないか、特殊法人はサボっとるじゃないか、こういうふうな声が高まる中でございましたので、とりあえず内閣としては一応外郭から攻めていこうというのでやったわけでございます。もちろん私は本城の方も忘れているわけじゃございませんが、本宅も整理せい、別荘も整理せいというようなことでは、なかなか行革というものはやってみましたがそう簡単なものじゃございません。だから、まず外郭を攻めて攻めて攻めまくる。そして、私ははっきり申し上げれば、これだけの国会の応援、あるいは国民の御支持を得るとわずか五十日で、なかなか切れなかった十八の法人、たとえそれがいままでリストアップされておったものでありましても、今日まで生き延びておったのですから、それに一応廃止の年月日を入れていくわけでございますから、それは私はやはり大きな国民の声、そうしたもとにできたのではなかろうかと。  地方支分部局もこれは初めてでございます。数から申し上げましても、私、一割という数は常に大きな数ですよと、こう申し上げます。かつて戦争中でございますか、昭和の初期でございますか、やはり官僚の減俸一割、時の総理大臣が言って大騒動が起こった。それほど一割というのは重みが大きいと思いますから、今回の行革を見ていただきますと、これはわずかに二月、三月の間にあらゆるところにメスを入れて、一応一割以上の成果をおさめた。  そういうことから始まって、だからやる気を出せば幾らでもできると、こういうことでございますから、いま四本柱がせっかく打ち立てられましたので外郭を攻めておりまするが、当然そうした管理職の面におきましても、やはりむだがあればむだをどんどんと排除するということは私はもうすでに決意をいたしておるわけでございまして、だからそうしたものがいつ具現化するかということにおきましては、やはりものには順序がございます。また、時代にふさわしい役所のあり方ということもこれは大切でございますから、もう私は常に切ってばかりかとよく言われますが、いや、切るところもあれば、やはりふやしてあげなくちゃならぬところもある、行政というものはそういうものだ、だから現在私が切っているのはあくまでも肥大化したところであり、ぜい肉化したところだと、こういうふうに申しておりますので、もちろんそうした意味では組合の方々のやはり理解も協力も得ないことにはこれは進めることができない。しかし、いずれにいたしましても行革はやはり断の一字でございますから、ただいまの問題等々十分私といたしましても貴重な御意見として拝聴いたしました。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 中央省庁、特にそういう関係での管理職、これは組合との折衝は要らないんです。そういうところからやはりもう少し見えるようにしていただきたいということが一つ。  それから、それらの天下り、これもいま問題になっております。そうすると、これは何も改革したことにならないんです、結果として。特に、地方自治体に対する人事交流という形でのそういうものの結果がそういうところにしわ寄せになることのないようにひとつ監視をしていただきたい。  それからもう一つ、この行政改革の中で特に私たちがやっていただかなければならないものとして、余りにも中央省庁からの地方自治体に対する縦割りの通達や、それから資料提出、非常に多いんです。机の上で考えてはそれぞれの所管がそれぞれのことをやっていきます。これらがもう少し整理されないと地方公共団体における行政改革というのは進まないんです。仕事をどんどんふやしてきておいて、おまえのところは人員が多いのじゃないかというのがいまの地方自治体実態なんです。そして人件費がかさみ過ぎると、こういうことを言いますね。これらに対してももうちょっときちっと目を入れてもらわぬきゃならぬですが、いかがですか。
  13. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今度の行革でも、いまおっしゃいました一連の許認可、それに伴う法令整理あるいは報告整理をやりました。報告も実は千五百件ばかりやりまして、一万五千のうち一割やってみましてどれだけのものが整理できたか、三枚出すものを一枚、あるいはまた一ヵ月に一回のものを三ヵ月に一回とか、そういうふうなことで各省協力を命じまして、これはやはり民間あるいは自治体に対する強要というものが多かったと思いますが、大体紙で積ましますと二百メーターになるという計算が出ました。だから、二百メーターというような大きなところに判こを押したり押されたり、もういかにも何か日本の行政というのは判こ行政だったということがこれでわかりました。  だから、いまおっしゃるとおり、今後もやはり法令整理するとか、さらにはそれに基づく報告許認可整理する、これが一番手っ取り早いやり方ではなかろうか、そうすれば仕事を減らすわけで判こをつく役人が要らなくなります。また、それを報告する人も要らなくなります。そういうふうな方向でやっておるということも御了解を賜りたいと思います。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから行管仕事なんですが、各省庁調査していろいろな勧告をいたしますね。これらの結果を集約して報告というふうな形をとってわれわれのところにも報告が参りますが、具体的におたくの方でこれはいかぬなというふうに実際に現地で指示したものの中の何割くらいが各省庁に連絡をして改善事項ということになるんでしょうかね。
  15. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) いま先生お話でございますが、勧告をうちの長官から各省庁大臣にいたしまして、その中身もいろいろ構造がございまして、その実現方程度もさまざまでございますけれども、どれくらい各省庁がそれをやってくれているかというその措置状況でございますが、これは勧告しました後大体三ヵ月ぐらいで一遍その回答をいただきます。それからまた六ヵ月ぐらいたちましてその措置状況を御報告いただきますけれども、その段階でおおむね最近では七九・八%ぐらいというふうに私どもは分析しております。まあ八〇%というふうにお考えくださっていいかと思います。ただ、その勧告内容によりましてはかなり時間のかかるものもございますし、そういうこともございますので、まあ三ヵ月、六ヵ月では実現しないもの、数年かかるようなものもございますので、大体最近のところでは八〇%というふうにお考えいただいてよろしいのではないかと思います。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、大臣勧告に持っていくのはいいんですが、たくさん出てきた中から、持っていくのと持っていかないものとに分けますね。調査をしてきた人たちの中でいわゆる公にしないものがずいぶん多いと思うんです。これの件数と、公に大臣勧告で出ていくものとの比率はどくくらいかという数字はどうですか。
  17. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) ただいまのお話で、ものによりまして次官から次官へ通知するものとか、また局長から局長に、あるいは官房長あてに通知するものとかというふうにやる場合がございます。また、一つのある分野をとらえました行政監察の中でもいろいろな項目がございますので、その項目によっては大臣から大臣への勧告というものに盛らないものはございます。ただ、先生お話しの数字でどの程度かというお話は、ちょっといま手元に資料がございませんのではっきりした数字はわかりませんけれども大臣から大臣勧告していただくのが原則であり、かなり多いというふうに申し上げてよいと思います。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、実はこういう話があるんです。いろいろこれはけしからぬじゃないかと、事前に各省庁事務官同士で、ひとつそれは何とか伏せてくれというふうな、なあなあが行われているという話も聞くんです。それはひとつ十分そういうことのないように御留意をしていただきたい。実はそういう点での資料も持っているんですが、きょうはそこまでやらないで一応御注意申し上げますが、そういうのがあるんです。上の人の知らない間にということもありますので、御注意いたします。  それから続いて会計検査院。昨年の十二月に決算委員会カラ相談の問題について指摘して、そのとき検査官の方にも調査をするようにというふうに要求しておきましたが、実態調査はできておりますか、いかがでしょう。
  19. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) 昨年の決算委員会におきまして先生からの確かに御指摘がございました。私ども、本年の会計検査に当たりましては、小規模事業指導費補助金検査の重点の一つといたしまして、現在鋭意検査を進めておる段階でございます。現在までのところ六府県の三十五商工会議所等検査を終わりましたが、いまのところ質問を発するという事態はないとの報告になっております。私ども、今後ともこの計画を進めまして本年中には何らかの結論を得たい、このように存じている次第でございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 最近、玉川税務署をその種問題で調査することになっておりますね。
  21. 岩井毅

    説明員岩井毅君) 現在のところ、その計画はございません。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、玉川税務署の方では会計検査が入るということでいろんな操作が行われております。特に、カラ相談問題等人員合わせだとか、しかしなかなかうまく合わなくて非常に苦労して、判こもいっぱい用意しましてというふうな話を耳にしているんです。そこで、検査官のやる検査予告なしにやらないでしょう。全部整理しておけと、これは予告なしにやる検査というのはできないんですか。それでなかったら、全部書類上は間違いないということになっちゃうんですよ。どうなんですか、予告なしにできないんですか。
  23. 岩井毅

    説明員岩井毅君) 必要があると認めました場合は、もちろん抜き打ち検査はいたします。しかし、一般におきましては、やはり限られた時間内に効率のよい検査をするという意味で、事前に通告をいたして検査をするというのが通常でございます。  ただいま御指摘がございました玉川税務署の件でございますが、恐らく先般決算委員会で御指摘がございまして以降、私どもで四国税局管内におきまして、これの税務委託費検査を実施しております関係上、恐らく近々検査があるのではなかろうかというその準備でそのようなことをいたしておるのかとは存じます。  なお、一月以降実施いたしました四国税局管内検査につきましては、簡単に御報告申し上げておきますと、国税局におきまして所要の帳簿等検査いたしますと同時に、委託契約におきまして国税局側税務協会に対します監査権というものを持っておりますので、これに便乗いたしまして、いわゆる肩越し検査というものをその管下の協会支所に対して行いました。協会継続記帳等帳簿の内訳並びに請求書実績報告書等々、青色申告指導カードでございますか、こういったものの対査というものもいたしたわけでございますが、現在までのところ、先般御指摘のございましたような継続記帳指導人員水増し請求でございますとか、一たん個々の税理士に支払われた謝金を協会に対して上納しているというような事実につきましては確認し得なかったという報告を受けておる次第でございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、あの程度のものがわからないとすると、会計検査というのは一体何なんだというふうに私どもは疑点を持つんです、なぜわからないのかなと。というのは、たとえばこれだけの人に相談しましたという名簿が出てきますね。名前は勘定します。それと支払った金額、出た日にち、合えばそこまでですね。ところが、この人たちが本当に実在しているのかどうかという調査まではできないわけですね、そこまでは。それをやらないとつくられた帳簿の裏側はわからないわけですよ。しかし、ベテランの検査官なら見ただけでわかると思うんですよ。日に当てて古くした書類か、押した判こが三年前の判こか、おととい押したのかがわからぬはずはないんです。もう枚挙にいとまないほど私たちのところにはそういう情報が入ってきているんです。とてもこれは検査官ができないとすれば、刑事局は来ておりますね、刑事局長さんのかわり。これからあとはもう会計検査では手に負えないんです。法務省の方において——もうそれこそ物すごくたくさんあるんですよ、実態は。場合によっては、私はやっていました、証人に出てもいいですよという税理士さんもいるんです。あなたたちがつかめないとするなら、そこまで入れないとするなら。そうすると、もうそういう明らかに文書の偽造をして国費を横領しているという事実はあります。ちょっとそちらの方でひとつこれからはこの種問題について十分調査をしていただきたいことを要望しておきたいんですが、いかがですか。
  25. 東條伸一郎

    説明員東條伸一郎君) 先生指摘の問題につきましては、まだ事実関係も明らかでございませんので、はっきりした答えを申し上げることはいたしかねるところでございますけれども、検察といたしましては、いま御指摘の点がいわゆる犯罪の端緒ということでございまして、検察独自に捜査すべき事案であるということになりましたら、もとより厳正な態度で捜査を行うということでございます。
  26. 岩井毅

    説明員岩井毅君) 検査院といたしましても、ただいま御指摘のございましたことでもございますので、本年度引き続きましてこの問題につきましてはより一層深甚な注意を払いまして検査をいたす所存でございますので御理解をいただきたいと思います。
  27. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) 若干、中小企業庁関係補助金についてでございますけれども、確かに原始記録を単に照合するだけではわからない面があるわけでございます。そういうことがございましたし、昨年の先生の御指摘もございましたので、今回の実施に当たりましては、実際に指導を受けた小規模事業者の方のところまでお邪魔いたしましてその事実を確認し、場合によっては税理士の皆さんのところにもお邪魔してこの確認をいたしたと、こういう事情であることを御理解いただきたいと思います。
  28. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって丸谷金保君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤三吾君の質疑を行います。佐藤三吾君。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がございませんから簡潔にひとつ御答弁をお願いしたいと思うんですが、確かに宇野長官はいままでの行管長官にない努力をしておることについては私も評価をしています。ただ、大臣で威勢のいい非常に熱心にやっておる方は大体早期にやめますね、大臣を。今度の行管長官の場合もこれだけのことを打ち出して、一挙にできないから五年から六年計画でやるんだと、こういうことで内容は出しておりますが、やる以上はやはり見届けるまで五、六年行管長官をやるという決意を持ってやっておるのかどうか、それをまず第一に聞きたいと思います。それが一つです。それをやらなければ言いっ放し、また同じことを繰り返していく。  それからもう一つお聞きしておきたいと思うのは、特殊法人を今回対象に入れました。これは私は結構だと思うんです。しかし、いま問題なのは特殊法人とあわせて同類の認可法人、これは先般の決算委員会の中で、行管庁としても検討をしたいと、こういうことを長官は言ったのだけれども、これはどうして今度入れないか。二つについて。
  30. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 私のことに関しましていろいろ御高配ありがとうございます。これはやはり内閣の問題で、いやしくも自由民主党内閣が続く以上は、内閣には承継性というものがございますから次々とそれを受け継いでいく。特に、私は、今回は官房長官や竹下大蔵大臣ともお諮りしまして、いままでの内閣とは一味違ったところを出そうではないかというので、すべての整理対象に月日を入れておく、そしてそれを閣議決定していく、できたならば法律において示すと、そういうことでございますから、特に今回も三十五機関、地方六機関整理するわけでございますが、これは五十五年度中にやる。当然法案はこの国会で御審議を賜りたいと思いますが、二、三年後のものに関しましても法案に入れる、そこまで私といたしましてはやっていきたい。したがいまして、私の存在の有無にかかわらず、そうした方途においてわが党内閣が存在する限りはそれを忠実に実行に移せるようなことをしておきたいと、かように存じております。  二番目は認可法人、確かに仰せのとおりで、現在九十八ございますが、半分までが共済関係の認可法人でありまして、日本銀行とかあるいは日商とか、そういうものは別といたしまして、いわゆる特殊法人になれなかったからそこら辺に逃げ込むんじゃないかというおそれがいままであったわけでございます。  これに関しましては、いろいろ私も考えましてやってきたわけでございますが、たとえば昨年国会で御審議になって、そうしてそういう方途が講ぜられた一つの問題にスモン病がございまして、各製薬会社から基金を出してもらって、そして薬害者と判定された人は救済しようじゃないか、この基金は一体何でつくろうかと、こういうことになりました。それで、特殊法人はそれは新設は認めてくれないだろうからというので認可法人で出発したということもございますから、私は時と場合によりますとそういうことも考える、何もかもだめだというわけにはいかないが、しかしながら極力抑えるということが必要である。特に、認可法人は各主務大臣所管でございますので行管の手の及ばないところでございます。したがいまして、これに関しましては本年の予算査定においても実は二つありました。しかしながら、行革三閣僚がおりますので、それぞれが連絡し合い、またその主務大臣も連絡をしてくれまして、どう取り計らいましょうかというので、これは極力抑えてくださいよというふうなことで、とうとうその主務大臣も認可法人を許可しなかったというふうな経緯がございます。  しかし、今後これをどうするかということに関しましては、やはりいろいろ問題を含んでおる法人もあるわけでございますので、内閣全体の問題として考えてまいろうではないかと、こういうふうに国会で申し上げておるとおりでございます。今後もそういうことでいろいろと検討はしていきたいと存じますが、率直に申しまして行管だけの問題ではございません、私たちの手の及ばないところですから。各省庁の御理解を得ながら内閣全体の問題として考えていきたいと考えております。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私が言ったのは、三十九年に臨調が出して以来、あなたのところでつくったこの特殊法人の変遷を見ても、閣議決定、了解事項、ずっと繰り返してきておる。しかし、そのたびに決意を表明した大臣がくるくるかわって、これまでずっと自民党の政権が続いておるのだけれども、全然実施されなかった。あなたがさっき冒頭に丸谷議員のときに言ったように、せめて十八法人にとどめを刺しただけいいじゃないかと、こう言いましたけれども、現実には自民党政権の中でそれがやられてきておるのですね。だから私は言うのです。やはり今度はひとつその決意でやるようなものでなければ、これはまた大臣がかわるとしぼんでしまうことは明らかですから。そういうことで言ったんですが、まあそれはそういうことでいいでしょう。  ただ、認可法人の問題は、私が聞いておるのは、いまあなたが言ったように、これは行管の及ばないところでありますということを何回も国会で言っておるわけだ。だから、それはいかぬじゃないかと、なぜ及ぶようにしないのかということを主張してきたところが、今度は特殊法人の中で行管の及ばないのは全部入れた、なぜ認可法人を入れないのか。いまあなたがおっしゃったように認可法人も問題があるわけでしょう、あるならどうして入れないのか、そこを聞いておるのです。
  32. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは御承知のとおり、特殊法人と認可法人の差というものに関しましては、特殊法人は、政府が自分の仕事をさせなければならない、だから法律によって強制的に設立させる。その設立に際しては、これは国家行政組織法というもとの設立であるから、したがって行管庁が十分なる審査をして、その審査の結果を待って設立するということになっておりますが、認可法人は、民間から主務大臣にひとつお願いしたいというふうな必要度に応じてのことでありますから、各主務大臣がそれに応じて、じゃ認可しましょう、名前どおり認可法人と、こうなりますので、その間やはり今後政府全体の問題としての権限のあり方なり、また調整の問題等もございますから、私がいまここで行管だけの考え方でやってしまいますということはいささか僣越ではなかろうかというので、私といたしましても、内閣全般の問題としての考え方で今後検討したいと、こう申し上げておるわけでございます。
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは決算委員会で明らかにしたから、私は今度出てくるのじゃないかと思っておるのが出てこないから言っておるのですが、民間からの発議によって云々というのは、これは一つの表面の形であって、中身はまた役員の天下りの実態を見ても特殊法人と何ら変わらない。特殊法人が締められたからしようがないから認可法人の方に切りかえたにすぎない。このことはもう歴然としておる。それをあなたが知らないはずはない。それをそういうふうにしゃあしゃあ言うところに私は問題があると思う、あなたの姿勢に。これは認可法人もぜひひとつ決算委員会の中で十分行管庁としても対象の中に考えていきたいと言った、その発言をきちっと生かしてくれませんか。その点ひとつ念を押しておきたいと思うんです。
  34. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今度、この間も国会で御答弁いたしましたが、私の考えの中に特殊法人と認可法人との関連性もございます、確かに御指摘のとおり。特殊法人ももうすでに戦後三十四年を経過した今日です。社会的にあるいは経済的に政治の仕組みの上から見て基本的にもう一回考え直さなくちゃならない問題がたくさんあると思うのです。だから、私は臨調の答えは尊重をする、臨調のしりふきはほとんどさしていただくが、臨調の中においてもまだまだ時代の趨勢とともにやや趣を異にしたこともある、こういうことを研究したいと思いまして、それで特殊法人に関する研究会を今回発足させたということになっております。そこにおいて十分この関連もやはり研究していただこうと、実はそういうふうに思っております。
  35. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。ぜひ研究して、そういった結論を早くひとつ出すようにお願いしておきたいと思います。  次に、特殊法人の統廃合、定員管理行管庁がやっておるわけですが、問題は、たとえば人事は官房とか、役員の給与は大蔵とか、こういうところに私はむしろ特殊法人整理にしても、それから行政改革にしても、いままでできなかった原因があるんじゃないかという気がしてならぬのです。それが一つ。  それからもう一つは、いまあなたはまずブロックから地方をずっと攻め上げて、そして本丸をやるんだというような、本丸についても手をつけるんだと、こういうお話だったんですが、しかし、きのうの参議院の本会議で今度の行政改革の背景は何だと、一つはいわゆる高度成長の水ぶくれを正さなきゃならぬと、それからもう一つおっしゃった、それは何かというと、いわゆる一連の不正ですね、カラ出張からヤミ超勤から、それからとうとういま官庁の逮捕事件にまで入った郵政の不正腐敗、ここに国民の批判があるのだということを指摘したんです、私もそうだと思うんです。  ところが、その行動を調べてみると、どこに原因があるか。私は一昨日、大蔵委員会の中でも予算委員会の中でも言ったんですが、たとえば鉄建公団を一つとりましょう。五十三年の約八カ月の間に、鉄建公団を調べてみると、これは許認可から監督権というのは大蔵省にないんですね。大蔵省とは関係ないんですよ、運輸省ですよ。ところが、このわずか八ヵ月の間に四十数回赤坂で鉄建公団が中央官庁を招待した。その中で一番大きいのは大蔵省と運輸省で、六百万の飲み食いをしておる。これは大蔵省も官房長、きのう、おとといのときは認めましたね。こういう行動を見ましても、それから特殊法人と大蔵省と何ら関係のない仕組みになっておりながら、たとえば経理の方にはほとんど大蔵省から行っておる。だから不正の根源というのは、そういったものを見るとやはり大蔵省にある。この大蔵省に手をつけずして私は行政改革の真の改革はないと思っています。  三十九年の臨調では予算編成・査定権を内閣官房に持ってくるという報告も出しました。しかし、それも旬日を経ずしてもみ消されてしまった。地方財務局を廃止して二重査定を廃止するという報告も出した。しかし、それも依然として健在ですね。そうしていま言う特殊法人から企業に至るまで一切の支配権を持っておる。ここにどうしてメスを入れないのか、今度の行政改革で。あなたが言うもう一方の不正腐敗の問題がポイントなら、その不正腐敗になぜメスを加えないのか。ここをやらないというところに今度の行政改革というのが非常にうつろに見える、いかがですか。
  36. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 行革の実を上げるためには、行管庁あるいは予算をにぎっている大蔵、あるいは人事をにぎっている総理府、そうしたものが一体化した方がもっと効果があるがという最初の御意見でございますが、実は私、私的にはそういうふうに考えております。何も私は戦前を賛歌しようとは思いませんが、戦前の話をこの間も承りますと、戦前の法制局長官はいまの行管庁長官と同じ権限を有し、人事院総裁と同じ権限を有し、そのもとに人事権を持っておったから、たとえ予算がついて百名の定員がふえても人事管理上五十名でよろしいというときには予算を無視して五十名つけた。あるいは法制局長官が鉛筆をなめなめ行革案をつくると、勅令によって議会の頭を飛び越えてそれが実現できた。そういうことは今日とてもとても考えられることではなく、お互いに人事とまた予算、そうしたものがチェック・オブ・バランスというような形で成り立っておる。だから、定員管理にいたしましても、行管庁は定員管理ですが、肝心の人事は総理府でございますから、ここにおいてもやはり一つのチェック・オブ・バランス、また人事院もございますから、戦後は戦後としてそういう機能を発揮し合っておるからそれを尊重しながらやらなければならないのじゃないか、そこにやりやすい点もあれば、やりにくい点もあるということをひとつ私といたしましても率直な感想を申し述べておきます。  だから、それをどうしようということではございませんが、確かに臨調におきましては、大蔵省の予算編成権というものをひとつ別のところへ持っていけ、総理府へ持っていけということが提示されておりますが、片一方におきましては、じゃ歳出はだれが組むのだ、歳出は歳入を無視してどんどん組み得るのかとかいろいろ問題がありまして、歴代ああいう臨調の答申をいただいてからわが党の中におきましてもいろいろな意見がそれに対してありましたので、なかなかまとまりを見せておらないというのが現状でございます。  その次に、私は本会議で、不正経理に対するあるいは一連の不正事件に対する国民の怒り、これを今回の行革一つの下敷きにしておかなければならぬ、そういう考え方で進めておると申し上げましたが、大蔵省に対する佐藤さんのただいまの御意見、これは私といたしまして、それがいいか悪いかということはこういう公の席で申し上げるべきでなく、また大蔵省が悪の根源だというようなことはいささかどうかと思いますが、いずれにいたしましても、天下り規制をもう少しく厳密にやりたい、こういうふうに思っております。そのためには人事院がチェックをいたしましても史上最高の天下りだったといって昨日の新聞が報道するぐらいで、あれはもう人事院が、五年以上在職中に関係の深かったところに行く場合には人事院の許可を得るべしと、こういうふうな一つの規定でやっておるわけでございます。それでもあれだけある、特に大蔵が多いということはひとつ今後注目をしなければならないところではなかろうかとわれわれも考えておりますが、片一方におきましては政府間の天下り、これに対しましては特に特殊法人は自分たちの意思でつくってそこへ天下っていくわけですから、これは本日の閣議におきましても実は一割カットということで、総数百二十名、閣議で正式にこの行革の間に天下りの場所を削除してしまう、こういうふうに徹底いたしました。そして、残る役員に関しましては五割以上は民間を用うるべし、こうしたことも決定いたしておりますので、御質疑の点に関しましては十二分に目を見張ってやっていく。  片一方においては、やはり定年制というものも今回の国会の御審議を仰ぐわけですが、役人としてのライフサイクルとは何であるかということもこの際に十分研究して、人事院はかつて役人が第二の人生を考えなくて済むように考えてやれと、こういうふうに言っておりますから、これはあらゆるところから私としても行革一つの問題点として関係閣僚と協議を進めていき、また研究をしなければならない問題ではなかろうか、こう考えております。
  37. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私、いまのお話の中で一つだけ提起しておきたいと思いますが、やはり天下りを正常化していく一つの道は、たとえば次官になったら同じ何期生の者は全部やめてしまうとかそういう悪習慣ですね、さらにまた五十前後でどんどんやめておる、天下っておる、これを正して、せめて公務員というのを最後まで全うしていく、五十五か六十か。いずれにしても、そういった措置が相伴わないと一方ではどうにもならない。そこら辺はいま長官も同じような考え方ですから、この点はひとつつけ加えておきたいと思います、意見として。  時間がございませんから次に移りますが、そこで今度は郵政法の改正で、KDDの事件について、監督、許認可を強化するという方向で改正案が出されている。ところが、きょうはもう玉置さんおらぬですが、玉置さんのポケットにいっておる保田さんのメモにも恐らくそういうことが書いてあるのじゃないかと思うんですがね、今度の不正腐敗というのはどこにあるかというと、監督権の強化、許認可の業務が根深く存在しているわけで、だから逆に言えば、このままいけばいわゆる不正の強化をしていく、腐敗の強化をしていくということになりかねない、そういったものを私は危惧しておるわけです。それをやはりきちっとしていくためには、今度はKDDについては会計検査院検査を入れましたね。ところが、特殊法人でも検査院の入る余地というのは限られております。今回行管庁は全特殊法人を対象にした、どうして検査院の検査を全特殊法人に適用しないのか、また認可法人にも適用しないのか、ここがどうしても私はわからない、いかがですか。
  38. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) KDDの不正問題が今回の大きな目玉でございました。じゃどうするかということでありましたが、私も大西郵政大臣に対しましていろいろと要請をいたしました。特にその中に、会計検査院検査ということはこれは一番大きいですよと。会計検査院のルールからいきますと、国の出資が二分の一以上のところには自動的に検査が及ぶ、それ以外には及ばないというふうなことでございますから、したがって、そういうことを盾にいままでできなかったことも事実でございますが、NHKは国の出資はございません。にもかかわりませず、やはりNHKは自分の方の設置法の中において、私は進んで会計検査院検査を受けましょうと、こういうふうにきちっとなっておりますから、幾らでもそういう方式はあるので、少なくともKDDは国の出資は一文もない、電電公社の出資が一割だけであとは民間だ、それであっても今回こういう問題を起こしたのだからひとつ大西さん、ここは踏み切っていただきたいと、こういうふうに申したわけで、全特殊法人に及ぼそうということになると、それを特殊法人にさせるか、あるいは会計検査院法そのものを改正するか、そこら辺の問題がございますので、とりあえず国民が注目いたしておる不正経理に関するところに私はそれを強化してほしいと申し上げました。  特に、監察の問題でございますが、もう御承知のとおりいままで四十八しかなかったわけでございますけれども、したがって有名なエピソードがございますが、まあ私よりもはるかに経歴の深い大政治家であった保利茂先生行管庁長官のときに、KDD、ちょっと参考資料を出せと言ったが出さなかった。それはあなたのところの監察権はございませんと一遍で断られたということがございます。だから私は、これはいけない、これは何とかしたいというふうな考え方を持っておりましたが、幸いにも私の気持ちと、国会におきましても、もう与野党通じてやっちまえと、やっちまえというとちょっと大げさになりますが、そういうことをやったらどうかという御提言をちょうだいいたしましたから、それでひとつ各大臣にお願いをして、全部に監察を及ぼしたということでございますので、確かにそれぞれ会計検査院の任務と行管の任務とあるいは主管省庁の監視の任務といろいろございます。不正に関してはそれは検察、警察も動くでしょう。いろいろ任務はございますが、ここら辺も現在もきちっといたしておりますが、会計検査院との関連におきましては、私がここでまた余りしゃべり過ぎましてもいかがかと思われますから、これは内閣全般の問題として、やはり特殊法人である以上はどうあるべきかという問題の中においてこれもまた検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  39. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたはしゃべり過ぎじゃないんです、行管庁長官なんだから。きのうの本会議の中であなたが言ったように、やはり今度の一つの大きな背景は不正問題だ、国民の批判だ、だからこの際ひとつ改革するんだというそこに立論しておるわけだから、これは言い過ぎじゃないんですね。だから、たとえば今度全法人があなたの方の対象になった、そこでまた不正が起こった、そうしたらあなたは、いやそれは私の方の対象じゃございません、行政の監査状況とかそういうことについては私の方もやりますけれども、不正摘発まではできませんと、こう言うに相違ない。問題は、だから全特殊法人、認可法人まで広げていく。同時に、これについてはやはり検査院も、いまあなたがおっしゃったように、定款を改正してNHKのようにするところがあればそれもいいでしょう。しかし、そういうことをするならするようにきちっとさせなければいかぬ。それができないとすれば、院法を改正してそこまで持っていくか、こういう二つのね。まあ特殊法人の場合にはそれぞれの設置法がありますね。それを改正してKDDのようにきちっとさせるか、それは行管庁の二つの一つの重大な任務だからね。私言い過ぎじゃない、これはひとつぜひやってもらいたい。  それからもう一つ、いま院法の改正案が出ていますね。いわゆる二分の一から先の融資のところまで権限がいく。これはダグラス、グラマンの問題なり、さらにロッキードの問題で非常にいま国民の皆さんがふんまんを持っているところですが、これはせっかく衆参両院決算委員会でも決議されておる問題で、あなたの所管じゃなくて内閣官房かもしれませんよ、しかし行管庁長官ですから、あえてこの点あなたの長官としての態度を聞いておきたい。
  40. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 会計検査院の業務は、先生承知のとおり各行政機関の要するに会計上の問題を中心にした検査を行う、こういうことでございまして、院法改正はその検査院の本来のそういう性格から見て検査対象とする、こういう考えでございます。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 聞こえぬ。
  42. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) まあ会計検査院本来の各行政機関の会計監査をする、こういうたてまえから、こういう本旨から見て検査院の検査対象とすべきであると、こういう問題は検査院法の改正になると思います。  いま大臣の申し上げましたように、KDDの問題というのは、先ほどNHKがNHKの法律の中で検査院の検査を受ける、こういう形をとるということを申し上げましたが、まさにいまのKDDについては、政府の出資もございませんし、やはりNHKスタイルをとった上で検査院の検査対象になる、こういう考え方になってございます。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ようわからぬ。長官ひとつ言ってください。
  44. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いまの御質問の趣旨をちょっともう一回、恐れ入りますが。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一つは、院法改正案がいま出て、内閣官房預かりになっておる。この問題に対して行政管理庁長官としてどういう態度か、これが一つ。  それからもう一つは、さっきから出ておる特殊法人行管庁が適用すると、今度の改正で。しかし、どうして検査院も全法人検査対象にしないのか、このことを聞いておる。
  46. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いまの国会提出の法案に関しましては、これはもう閣議で決まっておるわけでございますから、当然私たちも賛成の立場ということでございます。  第二番目の問題ですね。私は、先ほど申し述べましたが、基本問題をいろいろ検討してもらおうと思っておりますから、そうしたところにおいてもそれはやはり検討してもらった方がいいです。
  47. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 最後一つ。  国費職員の身分移管については、これは衆参両院で決議されて、三木総理のときに尊重するという、期限を区切って三月三十一日までにやるということについて回答もいただいておりながら、ずっときて、そして今度は車両法の改正で陸運事務所については地方移譲じゃなくてむしろ国の職員にすると、こういう案が出てきて、厚生、労働関係については、六月までに結論を出すと、こうなっておるんですが、これは私は今度の行革の問題じゃなくて、ずっと歴史的に続いてきて、もっと言いますと、もう三十数年ただし書き運用をやっておるわけですね。こういった問題はずばり早く結論を出して、地方の時代と言われておるわけですから、この際ひとつそれにこたえていくという姿勢があってほしいと思うんですよ。その点について、もう時間ございませんけれども大臣の見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  48. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 運輸に関しましては、ああいう形で話がついておるわけでございますので法案を出しておりますが、他の省庁に関しましてはまだ問題が残っております。だから、私も閣僚懇談会等におきましては、これは早いこと決着してくださいよ、当分の間で出発して三十何年間もそのままだから、こんなばかなことはないので早く決着をつけてくださいと、後藤田君からもそういう話がありますから十二分に監理委員会で検討してもらいますが、その間において関係大臣の間で具体的な話を進めてもらう、そういうふうに考えています。
  49. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって佐藤三吾君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場富君の質疑を行います。馬場君。
  50. 馬場富

    馬場富君 最初に行管庁の方にお尋ねいたします。    〔主査退席、副主査着席〕  先日の予算委員会長官が、いわゆる行革計画の中で、五十五年度から五十九年度まで、これがどのくらいの節減になるかという見通しの中で、一兆円の予算がまず浮くだろうということを御説明になりました。この中身について、おたくの方が立てておられます行政改革の経費節減効果の試算というのがございますが、それに基づいてひとつ御説明いただきたいと思います。
  51. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 大ざっぱに申し上げまして、やはり経費節減ということの一番効果ある対象は人件費だと、これはもう何度も国会でお答えいたしております。したがいまして、定員削減という方法におきまして現在は経費節減という問題を考えておるわけでございますが、生首は取ってはいけないということでございますから、将来の人減らしを行うという意味の器減らしを現在しておる、これもお答えいたしておりますが、単純なる器減らしだけではそう大したものはできません。しかしながら、やはり器減らしをしながら定員削減というこの二つの方法を私は講じていきたい、かように存ずるわけでございまして、五十五年行革の中においてすでに決まっております三万七千名の定員削減、さらには特殊法人の役員の削減特殊法人の要員の削減、それらを含めまして計算をいたしました結果が大体現状としましては五千百億円でございます。  そのほかに、昭和五十五年度だけで行った補助金整理、これが千六百六十七億円ということになります。補助金整理は今後も御承知のとおりやっていきます。そして、三千八百件ほどある補助金の少なくとも四分の一は整理しようではないか、これはもう今回の五十五年行革案にも明示いたし、閣議決定もいたしております。  もちろんそれ以外にもやはり今後いろいろと行革を進めてまいるわけでございますから、たとえば器減らしの面におきましても、この五千百億円の中には、では地方支分部局のブロックであるとか、あるいはまた府県単位であるとか、そういうものも入っておるのかどうか、それに伴う定員削減は入っておるのかどうかということはまだ計算されておりません。そういうことでございますから、今後もやはり十二分に私は二弾、三弾いろいろとやっていきたい、こういうふうに思いますから、そういうふうに計算をしてまいりますと、私は一兆円というものは当然今回の行革において生み出すべき節減効果である、こういうふうにお話をしておるわけでございます。
  52. 馬場富

    馬場富君 それで、一応その数字は私も資料をいただきましたから納得できます。長官は五十九年度で最終的に一兆円と、そういう計画でございます。そうすると、五十五年度に生ずると見られる効果ということがその基礎になっておるわけです。五十五年度に生ずると見られる効果ということが基礎になって、ここでは国家公務員の削減を七千四百五十七人削減して約二百九十億を今年で浮かせる。その次が統廃合の関係による役員の縮減、これを平年度で二億ぐらい見ていくと、最初は一億ということでございますが。次がその他役員の一律縮減、いわゆる特殊法人関係ですね、これが平年度で約三億。それから五十四年度の三・七%のベア見送りの効果というものを二億見ておられます。それから国鉄のネット減の問題で三百十億、それから補助金の廃止が三百二十八件、それによって起こる予算が千六百六十七億、こういうことで、これが五年間のあれで約一兆というような計画であると私は見たわけですけれども、いま説明もそうでございますが、それじゃこの中身で順次お尋ねしていきます。  最初に、統廃合により団体等について役員を縮減するわけでございますが、これはたとえばいまの二つの統合等が何ヵ所か出てきています。こういうような場合は、この役員の縮減は、両方が一緒になって一つになるわけですから、二つを合併して二で割る考え方でいくのか、ここらあたりの縮減問題の考え方。  それからもう一つは、統廃合によって縮減する数、それから一律縮減をしていく関係とはどのようにここのところを考えておられますか。御説明いただきたいと思います。
  53. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 統合の場合の例で申し上げますと、昭和五十五年度予算の効果で挙げておりますのは、たとえば中小企業振興事業団と中小企業共済事業団の例でございますが、これは双方の役員全体の中で、約四分の一強でございますが、その役員を落としております。その効果がいま申し上げたように常勤役員二人減という形で出てまいるわけであります。それからたとえば単純な廃止の場合、これは当然落ちるわけでございますが、いま考えている統廃合というのは、いずれかその二つの類型にはまってくるのではないかというふうに考えております。  それから先生指摘の二番目の問題は、ちょっと私失念いたしましたが……。
  54. 馬場富

    馬場富君 統廃合による縮減と一律縮減とが両方重なってきた場合はどうするのか。
  55. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 一律縮減の方はこれは全特殊法人、今回整理対象になるならぬにかかわらず、むしろ整理対象にならない特殊法人全体につきまして、全体として一割の圧縮をかける、こういう考え方でございますから、これは全体の特殊法人の一割という形でかぶってくるわけであります。それ以外にいま申し上げた今回の行政改革の中で統廃合をしてまいりますから、その分のいま申し上げたような計算で役員が減ってくる部分がいわばプラスアルファ、上積みと、こういう形で出てまいるわけであります。
  56. 馬場富

    馬場富君 非常にこの点はしっかりとたがをはめて、説明でいきますと別々だとおっしゃるからよく私どもも監視していきますが、一律削減と統廃合による削減とを混同することのないように、これが重なってくるとかなりその関係では問題も出てくるのじゃないかと思うのですよ。そういう点でこの点をよく監視していただきたいと、こう思います。  それから次に、効果の中のまず第一点の国家公務員の人員削減でございますけれども、五十五年度に七千四百五十七人の削減によって二百九十億を浮かすというこういう計画が出ておりますけれども、これは一つの減の方の考え方ですが、実質、五十五年度削減とは別にして新しい関係の増が六千六百八十七人、一つ人員の方を調べてみますとふえることになるわけです。それで、これはちょうどおたくの方が見積もられた二百九十億のそういう試算の割りからいきますと、平年度になりますと約二百二十億に増額するということになるわけですね。いまより増額するということになるわけです。ここで、やはり先ほど言われました二百九十億というのは、増額とそういう関係がありまして、整理では確かに下がったとしても、他方面ではやっぱりふえていくという問題をひとつ考えていかなきゃいかぬ。こういう考え方で、ただ、長官が言う、一つは浮いてくるという考え方でいきますと、いかにも行革そのものが予算に響いてくるように見えますけれども、私は予算的にはこの点がなかなかむずかしいんじゃないかと、こう思うわけです。  それから第二点は、いまは公務員の削減の問題でございますけれども、第三点になっておりますいわゆる補助金等の整理、統合、合理化の問題でございますけれども、これもやはり実は同じ結果が出てくるんじゃないか。そのために、また後ほど資料を要求いたしますけれども関係一つは、五十四年度よりも五十五年度に新しく各省補助金がふえた件数と予算、そしてこれは資料をまた後刻いただきたいと思いますが、なかなか資料が出なかったので私どもの方で項目に該当するようなものを全部調べてみました。もう細目までいきますと大きい金額になります。そういう点で、この項目だけでも、いま長官の方の計画からいきますと、三百二十八件を廃止して千六百六十七億円が浮くと、こういう計画で五十九年度までには五倍になるから、これはかなりの削減ができるんじゃないかと、こういうように見ておられますけれども、私ども調査でいきますと、この点はやはりまたふえてくるというのもずいぶんあるわけですね。  予算の上から見ますと、五十四年度から五十五年度補助金の件数も日数で約十件がプラスになってきます。そして、金額にして九千百二十三億円も予算の上では増加することになっております。これはいままでずっと平年伸びてきた率と何ら変わらない率で補助金はアップしておるわけです。それだから、削減はしたと言ったって予算の上では効果は出てこないというような結果になってきておるわけです。この点で私どもが実質各省庁全部にわたって調べたもので計算しますと、大まかなものだけでも二百四件が新しく補助金としてできて、その金額は四百四十五億二千九百九十三万円、また今年新しくはっきりと項目として増加してくる、こういうような実は結果が出ておるわけですね。  こういう点から推しまして、私は長官の一兆円の節減ということは、確かにそのもの自体では浮いたように見えますけれども、総体的にはそういうことで沈んでいってしまって、やはり伸びていく方がかえって多い、こういうような行政改革の中の予算措置になっておるんではないか。この点、長官がああいう公の席で一兆円節減しましたと言うと、やはり国民行革関係でぱっとこんなに予算が別に浮いてきたというような感じを受けますけれども、実質は余り削減されていないと、こういうふうに見るわけですが、この点はどうでしょうか。
  57. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは私の答弁の前後を馬場さんにも何度も聞いていただいておりますが、いまの行革に対する国民の御期待は、増税しなくてもよいぐらいの経費を行革で生み出せと、これが第一点。これは非常にむずかしいですよと私はすでにお答えしておるわけでありまして、それをやるんだったら、たとえば毎年何兆円生み出さないことには、消費税というもの一つを考えた場合にはできないわけで、何兆円生み出そうということになれば、たとえばの話で九十万の国家公務員にあしたやめていただいたと、そんなことはできませんが、そうしたら一人頭四百万で三兆六千億、それほど何兆円の節減はむずかしい問題だと、こういうふうに御説明して、じゃ今回の行革は一向財政再建に資しておらないのかというお話でございますから、行革すなわち財政再建一〇〇%引き受けるというわけではないが、五年間で一兆円の節減であります、こう言っておりますから、そこら辺は決して私オーバーなことは言っておらないと思います。  第二点は、人の削減補助金削減も増になってしまうというお話でございますが、確かに行政は新しい需要がどんどん起こってくるわけでございますので、したがいまして、やはり余っている人もあれば足りない部門もあるということでございますから、そこも勘案してやっておりますが、ことしは人の問題に関しましては初めて純減七百七十というのを出したと、これはひとつ御理解を賜りたいので、今後も新しい行政需要は極力抑えて、歳出も極力むだなところは切っていって、そのプラスマイナスはやはりマイナスに持っていこうと、これが私は行革の姿勢でなければならないと思います。  補助金に関しましては、大蔵省が来ておりますから——大蔵省の立場も、私は竹下さんと一緒に行革に臨んでおりますが、やはりそういうもので新しいものも行政需要で生まれるのだと、しかしながら、これで相当抑えて、もう史上最高の千六百六十七億というのを出したよと、もうここまで努力しているのだということでございますので、そこはひとつプラスマイナスがあるが、行革の節減効果というものをうたっておるわけで、それが常にマイナスに働くように努力しようということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  58. 馬場富

    馬場富君 いや、それだから私はそこで言いたいのは、やはり財政再建の一つ行革であると、そういうことで、その一つ行革の効果というのが予算の上にあらわれてくるということも、政府が立てた以上、計画のようにこれが流れていく効果をあらわさなきゃいかぬ。そういう点で私は現在のたとえば国と地方の問題においても、この中央集権的な機構というものの中にあって補助金行政でこういうつながりを持っていくという、糸を引っ張っていくというような機構のある限り、幾ら中央での行革を行ったとしても、ここらあたりの問題で補助金というのは縮減できないと思うんです。  それからもう一つは、先般の国会での質問でも私は言いましたが、やはり日本の政治の中でいまのような行政中心の行政が一切やっていくというようなそういう形だから、特殊法人も生まれれば認可法人も生まれれば外郭も生まれてくると、こういう形で行政が一切をやっていくというこの機構を変えない限りは、幾らそういう行革の措置をしても予算の効果の上では小さな効果しかあらわれてこないし、またかえってそのためにふくれ上がっていく効果の方が大きくなっていくということを非常に心配しながらこの行政改革の効果を期待しておりますけれども、そういう面での効果が薄らいでいく、この点にひとつメスを入れて考えていかなければ、やはり行革行革といってもどうしようもないんじゃないかと、こう思うわけですが、この点どうでしょうか。
  59. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) それはもう一番大切な御指摘で、私も御意見としてはそのとおりだと考えております。だから、今回も許認可、そうしたものが強化されるとそこに肥大化が起こりあるいは不正の発生の原因になる、だから許認可等々も極力抑えていきましょう、補助金等々も極力抑えていきましょう、できるならばもう民間でやるものは民間でやりなさい、自治体でやるものは自治体がやりなさい、そこまで将来においては軽くしていくということが必要である。そのためにはたとえば地方支分部局等々はそうしたことを民間あるいは自治体と一番近いところでやっておるから、ここら辺の統合からまず一つの理念としてやっておるのだということでございますので、御意見として私は同じ意見を持っておるということでございます。
  60. 馬場富

    馬場富君 それからそういう点で、たとえば地方と国の問題等でもよく言われる三割自治の問題も一つ補助金関係がございますけれども、地方で事業をやるものを、地方で吸い上げた税金をわざわざ中央へ持ってきて、そしてこれを分けて使っていくという、    〔副主査退席、主査着席〕 こういう二重行政のようなものが、はっきりと地方と国の中の中央集権のためにそういうむだ遣いやロスがずいぶんあるわけです。それからまた、先ほどKDDやいろんなものが問題になってくる外郭にしても、行政が一切の仕事をやろうという考え方に立つからここに複雑な一つは機構が生まれてくるし、予算の重複が私は出てくると思うんです。だから、いろんな事務処理のこともございますけれども、基本的にはそこらあたりの問題を、一つは大きい長い目でもいいから、私は日本のやはり政治というものの方向性を順次変える考え方を持たなければならぬと、こう思うんですが、この点はどうでしょうか。
  61. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 理論としては確かにそのとおりでございます。私も地方議員をやっておりましたから、その当時もいまもやはり地方分権というものを確立しよう、中央集権を排除しよう、こういう気持ちに変わりございません。しかし、最近の政治動向等々を考えますと、市町村長さんあるいは知事さん、いずれもこれは公選制度でございますから、ややもいたしますと、中にはおいしい話をし過ぎて後で困ってしまって、そのしりふきをどうしてくれるんだということもあるわけですね。そうすると、地方もやはりそれぞれがうまく平等に伸びていただきたい、国はこういう施策を持っておるが、地方もできたならばそういう線でお互いに伸びようじゃありませんかということもありますから、そういうことになりますと、一つの許可、認可はさような意味では公正なものが必要であるかもしれぬし、あるいは補助金もそうした意味では公正なものが必要であるかもしれぬ。ただ、ぜい肉めいたものだとか、いまの行政中心だけでぐんぐん押すというのじゃなくして、中央だけで押すというのじゃなくして、そこら辺の調和というものも日本としては大切なことではなかろうか。こんなちっぽけな国でございますから、かつて道州制の是非が唱えられました。いまだに道州制の問題もありましょうけれども、それがいい悪いは私は今日論じませんが、いろいろな問題から地方、中央が今後どうすれば国民に対するサービスを強化し、そして身軽な政府、身軽な地方としてその国民の期待に機敏に働くか、これも大切な問題でございますから、今後もひとつ当然の問題として考えていかなければならぬと思います。
  62. 馬場富

    馬場富君 次に、先ほども質問が出ていましたが、三十一日に人事院が天下り人事を発表いたしました。その額とか数とか、そういうことについては先ほど長官が答弁されましたので避けますけれども、やはりその中にいま非常に国民が心配し、また国会の論議の中でも焦点となっておるKDDについての郵政からの天下りが報道されていました。人事院も苦しい答弁だというようなことで、きょうは来ていらっしゃいませんけれども、人事院も。そういうことで、たとえそれが全然関係のない部署だと言いますけれども、これまで国を挙げて騒いでおる時期に、私はそういう姿勢そのものが一つは問題ではないか。この点ちょっと立場は違いますけれども長官と、郵政の方も来ていただいておりますので、そこらあたりの御答弁をいただきたいと思います。
  63. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 天下り問題に関しましては、今回も先ほど来答弁をいたしておりますとおり、それを規制するようにいろいろな手を講じておりますが、時代が変わったわけですから、民間の経営原理をやはりいろいろなところに導入をし、それによって民力を培養し、また民間も国のよいところは学んでほしいということで官民交流ということをいま盛んに論じております。  したがいまして、天下りということになりますと、たとえばもう功成り名を遂げたと思われる役人がおりていくことですが、これが余り五十歳前後の若さじゃどうかねと、もったいないじゃないかと私たち言っておるわけです。だから、定年制等々の実施に基づきましてお役人の考え方も変わってくるでしょうし、また変わってもらわなければいけないし、同時に第二の人生というものを求めることなく終生ひとつ官僚としての誇りを持って努力してほしい、これが私は一つの大きな問題ではなかろうかと。ついこの間、そういう話をしますと、若手官僚が、それでは若返りはできませんと言いますから、若手には若手のまた意見があるし、むずかしいものだなと率直に見ています。しかしながら、これは一つの検討課題であると考えております。
  64. 馬場富

    馬場富君 郵政。
  65. 金光洋三

    説明員(金光洋三君) ただいまKDDに対します郵政省の職員の再就職の点についてのお尋ねでございますが、昨日発表されたものの中にもたしか一名入っておったかと記憶いたしております。在職中における経験を買われてKDDにあるいは再就職したのではないかと思いますが、私、実はこの人事の方の担当をいたしておりませんので詳細はわかりませんが、恐らくそういう状況があったのではなかろうかと思っておる次第でございます。
  66. 馬場富

    馬場富君 長官、先ほどのKDDの方が残っておりますが、それは好ましいことかどうか、ぼくは天下りが全部悪いとは言っておるわけじゃないです。いまこういう国を挙げて問題にし、国民も大変心配しておる中で、ぼくはそれは慎重に考えるべきだと、こう思うんですが、どうでしょうか。
  67. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) KDDに限らず天下りは今後特殊法人におきましては特に規制できますから、規制していこうと思います。民間に対してはこれは人事院のマターでございまして、人事院の御判断だということでございますが、特殊法人はきょうも閣議で決定いたしまして、天下りの場所そのものを百二十にカットしてしまったんです。そうやってどんどん少数精鋭でやれ、残ったポストは五割以上民間だと、こういうふうに考えておりますから、そういう趣旨でやっていきたいと思います。だから、いま私が、天下りをしなくてもよいように、功成り名を遂げた人じゃなくして、たとえば特殊法人に人が必要ならばこれは局長前の人が行くとか、あるいは民間で重役になってからもう行き場がないから行くというのじゃなくして、重役になる前の人が行くとか、あるいは若手が交流するとか、そういうことにおいてやはり民間も入りやすい場所にしませんとね、いま民間ではなかなか、特殊法人にじゃ行ってくれと言いましても、やらすのはとにかく重役を終わってもらったから、ひとつしようがないから行ってもらおうかというケースが多いので、ここら辺もやっぱりメスを入れないことには依然として天下りばかりが占めていくと、こういうふうな感じでございますから、十分検討いたします。
  68. 馬場富

    馬場富君 要点が出なかったので、ちょっとKDDについて郵政からこのさなかに天下りすることは、よしんば適切な人事といっても私は好ましくないんじゃないかということで、後でまた答弁の中でお聞かせいただきたいと思います。特に、そういう中で結局KDDは非常に役員が特殊法人の中でも職員に比例して多いということですよ。十七名も持っておるということですね。その中の十六名がみんな天下りであるということですね。そういうところあたりからも今度の問題の一つは醸し出される原因があったんではないか。特に、このKDDの十七名の役員ができたのは、五十三年六月二十九日の株主総会で十五名であったものが一挙に二名増員したということですね。この大きく一挙に二名増員したということについてかなり大きい疑問が持たれておるわけです。郵政の方が来ていらっしゃいますから、その二名の方の氏名と前職を後からお聞かせいただきたいと思いますし、この人事についてはどういう点が問題かと言いますと、特にこの人事については当時の郵政大臣が強い要請を一つは持ったということが非常に疑われておるという点と、それからもう一つは時期的にも料金問題のさなかでもあったという点で、この人事については二名の増員も無理だけれども一つは大きい疑惑がある、こういう点が言われておるわけですね。そういう点でひとつ最初に、ちょうど警察からも来ていただいておりますので、警察の方からそこらあたりの問題が今回の捜査の中で広い意味関係性があるのかどうかという点と、それから先ほど長官質問いたしました、長官はこういうような人事等は好ましいか好ましくないかという先ほどの点の結論と、それから郵政の方からはそのお名前をひとつ聞かせていただきたいと、こう思います。郵政の方からお願いいたします。
  69. 金光洋三

    説明員(金光洋三君) 先生ただいま御指摘のありました五十三年の六月の株主総会におきまして、それまで役員の数が十五名でありましたのが十七名にふやされたという点は御指摘のとおりでございます。このふやされた際に二名新たに就任した方々は高仲氏がそのうちの一人でございまして、その方は前職は郵政省の貯金局長でございました。もう一名の方は福島氏でございますが、この方の前職は国際電電の監査役でございました。  なお、冒頭十七名の役員のうち十六名が天下りというふうにおっしゃったかと思うのでございますが、その点はそうはなっておりませんで、大部分の方はKDDの職員から役員になられた方というふうに伺っております。
  70. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 御質問が具体的な問題でございますのでなかなかお答えしにくい面もあるわけですが、御質問の天下り問題だけに限って申しますれば、私どもがこれまでに警視庁から報告を受けております限りにおきましては、天下り問題そのものが捜査に直接かかわりのある事実ということではとらえてはいないというふうに報告を受けております。
  71. 馬場富

    馬場富君 天下りではなくて、その人事の関係を通して、そういうような関係とか、または対象者が今日のやはり関係の爼上に出ておるかどうかということです。
  72. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 冒頭に申し上げましたように、具体的な問題になりますのでお答えできる範囲をお答えしたのでありまして、いまの御質問等についてはお答えいたしかねます。
  73. 馬場富

    馬場富君 長官、ひとつ。
  74. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 五十一年の経緯は私は余りつまびらかにいたしませんが、いま聞きますと、そのとき特殊法人の役員を縮減した。KDDだけ、ほかにはあったか知りませんが、株式会社だというので例外が認められたか認められなかったか、いずれにしても閣議決定に対する違反ではなかったかと、こういう話でございますが、いずれにいたしましても今回役員縮減というものを具体化いたしました。きょうも新聞発表しましたから、当然KDDもこれの対象になっておりますから、そうした御趣旨でいけると思っております。
  75. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 馬場君、時間でございますから、あと一問だけ。
  76. 馬場富

    馬場富君 長官、大事なことです。現在そういう問題になっておるときに郵政から、たとえどういう人事であるにしろ、そういうKDDに天下りの人事をこういうさなかで行うということ自体に、私はやはりお互いに、その立場にある、長官は直接ではないですけれども行管という立場でそういうものを見てみるときに、どのように思われておるかということを一点聞かしてもらいたいんです。
  77. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ちょっとなんですが、それは人事院のオーケーしたことに対して、私がいまここでそれが悪かったとかいうようなことを言いますとこれまたなんでございます。ただ、少なくとも十一月八日以来行革は進めているわけでございますから、KDDが問題になっておって、そのときに郵政からかりそめにもKDDに天下りがあったとは私はまだ聞いておらぬのでございますが、もしそういうことが事実ならば、これは決してよいことではない、好ましいことじゃないなと。やはりそれはもう当然自粛をしていただかなければならぬ点だと思いますが、事実関係は私知りませんので、またそれが本当ならばということでお答え申し上げております。
  78. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって馬場君の質疑は終了いたしました。  次に、秦豊君の質疑を行います。秦豊君。
  79. 秦豊

    ○秦豊君 宇野長官、最初にちょっと私がいまから引用するところをよくお聞きいただきたいと思います。  三月二十九日朝日新聞朝刊、行政改革関連記事でありますが、タイトルは「地方ブロック機関削減中身」、中見出しが「行革への数合わせ」と、こういう五段見当のかなり大きなもので、お目にとまったのではないかと思いますが、あなたのことが書いてある、当然。どう書いてあるかと言いますと、一般的な事実関係のほかに、こういうホットな生な取材に触れたくだりがありまして、これは私ちょっと見逃せないので、まず事実関係から伺いたい。  こういうことなんです。「今月中旬、自民党の有力代議士が国会内で、地元の入国管理事務所存置を陳情したときのこと」である。「宇野行管庁長官は間髪を入れずに次のように答えたものである。「先生、わざわざ来て頂かなくても、電話一本で話は通じるのに。大丈夫です。看板を支局とか出張所に代えるだけで人員は減りませんから。地元の人にそう伝えて下さい」」。括弧の中は宇野長官の発言として、これはイニシアルT、T記者の署名記事ですからね。特に私もマスコミ出身だから、おのれの名を冠する署名という問題については、一般報道ももちろん真実を踏まえますけれども、これは相当裏をとり裏をとり裏をとって、デスクがそれをさらにコンファームし、政治部長がコンファームし、編集担当局次長がコンファームし、これは活字になるということは相当な裏づけがなければこれだけのスペースで扱いません。まず事実関係、こういうことがあったんですか。
  80. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) その記事を読むなり私もびっくりしまして、担当記者には抗議をいたしておきました。  事実関係といたしましては、私は、大体そこに書いてありますのは入国管理事務所ですし、そのほかのことに関してもいろいろな陳情は受けていますが、余り予測をしたり、大丈夫だというようなことは言ったことはない。入管に関しては現在のブロック機関として入国管理事務所があるが、これがなくなってしまうというふうに勘違いをされた方々はおりましたね。はっきり言いますと、鹿児島あたりは入管事務所長みずからが、おれの役所はなくなってしまうんだというようなことを盛んに言ったので、それで関係者の方々が、これは廊下で出会った覚えはないんです、電話がかかってきた。電話がかかってきたから、なくなることはありません、入国管理事務所という貴重な事務所をやってもらっておるのだから、ブロック機関ではないことはありましょうが、と言ったことはありますが、そのような書きっぷりのことは私はなかった。しかも、廊下においてだれにそういうふうなことを答えたか、私といたしましてはそういうことは答えた覚えもございません。だから、当然その記者に私から電話をいたしてあります。
  81. 秦豊

    ○秦豊君 よくこういうことはあるんですよね、類似ケースは。真意を伝えていない、あるいは誤報である。しかし、いやしくも、私も二十四年間この世界におりまして、なかなかここまでは書けないですよ。あなたは、当然抗議というニュアンスで、イニシアルTのT記者に抗議をされた。抗議は受理されましたか。ああどうも筆がはね上がっていましたというふうにシャッポを脱いだんですか。
  82. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) それ以上のことは、あなたもマスコミ出身者ならば、どうだったかこうだったかということはありません。私がいやしくもすぐに抗議をしたということで十分事の真相はわかりたまえばいいと思います。その記者にはその記者としての受けとめ方があったかもしれませんよ。そういうことは言った覚えもないし、だから私ははっきり抗議はいたしております。
  83. 秦豊

    ○秦豊君 だから、私も言うんですよ。やぶの中みたいなことになりかねませんけれども、これは衆参両院を通ずるあなたの答弁を厚みにすれば、恐らく数センチ、十センチを超えるんじゃないかな。だから、そういういわゆる構えた、長官がす振りを毎朝されるときみたいな構えで、正しく正眼に構えて、大上段に振って振りおろすというふうな何か構えた答弁より、この一項目、ちょっと記事を見た中で、あなたともあろう人が、もしかようなことをたとえ親しいからとはいえ有力代議士に語るということについて、私は非常に意外感を持ったのと、ぜひともきょう、オーソドックスな分科会だけれども、これは聞かなければいかぬという前提で聞いているんで、じゃ事実関係は全くなかったと断言されますね。
  84. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) はっきり断言します。
  85. 秦豊

    ○秦豊君 次に、これは七九年の十月十一日に、あなた方が唱導されて各省庁の官房長クラスがつくった配置転換推進連絡協議会というのがあります。かなりなメンバーですね。私はこの方向は推進した方がいいという前提で聞くんですよ、このことについては。これはその後いままでにどういうふうに取りまとめが行われているんですか。四ヵ月間という時間がありましたから、かなり成果はありましたか。現状を報告してもらいたい。
  86. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 御指摘のように、今回の行政改革の中でこの配置転換の問題を取り上げておるわけでありまして、大臣もかねがね申し上げておりますように、数は二百数十名でございますが、新しい制度の道づけをすると、こういうことでとりあえず五十五年度は二百五十四名のあれをしたわけであります。  御承知のように、配置転換推進連絡会議というものをつくりまして、昨年の行革のさなかで関係省庁からそれぞれ配置転換の意向というものをまとめまして、それは数百の数に上っておりますけれども、道づけの意味で確実な数を実は二百五十四名に選んだわけでありまして、これは五十五年度中に推進をしていきたいということで関係各省の間で具体化をいまそれぞれ検討いただいておると、こういう状況でございまして、五十五年度に入りまして、きょうから入ったわけでありますけれども、この方針に沿って着実にやっていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  87. 秦豊

    ○秦豊君 これはイギリスとかフランスの場合は法改正してるんですね。やはり横に異動する、局長職になったらほかの省に移るということもやっている、原則として。あの官僚国家フランスがやはり類似のことをやってるんですよ。これはあなた方にすれば英断というふうな主観的受けとめかもしれないが、われわれ民間出身にしてみればそんなのはあたりまえで、報道出身が総務に行く、営業に行く、逆もあると、あたりまえなんですよ。なぜか。あなた方は高文さえ通ればすっと道は一つ、青の信号しかないんだけれども、民間はそういきませんからね。そういう点であたりまえなんです、これは。だけど、あなた方にしてみれば初めてのことだ。この場合、ピッチャーとキャッチャーがありますからね。幾ら球を投げたってキャッチャーとサインが合わなかったり、それから、ともすればおのれの省庁ではどうもあの方は窓際をちょっととなんていう方がぱっと先にリストアップされるということのないように、しかも二百数十名は最終案ですか。
  88. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 五十五年度予算に計上した員数でございます。
  89. 秦豊

    ○秦豊君 その次に、きのう参議院の本会議で、私どもは反対をいたしましたけれども、出先機関を含めたブロックの法案が通りました、法律になりました。今度は宇野長官の言われる言葉をかりれば常在行革と、常に行革ありで、第三弾だというんだけれども、六月末を目標にした国の出先機関整理をどういう手順で、どういう方向で、いつごろまでにまとめるのか、まず伺っておきたい。
  90. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 監理委員会がございますから、この監理委員会に諮りまして、そしてひとつその整理案をまとめてもらいたい、こう思っております。これもいままでいろいろな機会に言われてきたのです。したがいまして、当然総理みずからがこしらえられましたのが四本柱ですが、その中に地方支分部局整理再編成ということは入れられたことでございますから、私は、地方支分部局よりも本省という声もありますが、これは本省もやりたい、あるいはまた地方もやりたい、何でもかんでもやりたいが、しかし順序として地方から攻めると、こういうふうに申し上げました。やはり許可、認可とか、そういうふうな機能が今日自治体なりあるいは民間に過剰介入していはしまいか、許可、認可があるから役人が必要でということになりますから、そういうことから考えますと、現在九十万いる国家公務員の中、大ざっぱに言って中央には五%ぐらいしかおりません。だから四万ぐらいしかここら辺にはいないわけで、あとの方々は現業を含めて全部地方にいる、こういうことでございますから、やはりそうした許可、認可等々の問題、さらにはまた肥大化したというふうなことがあっては大変ですから、そうした問題等も含めましてやっていきたいと、こう思っております。
  91. 秦豊

    ○秦豊君 ならば、これ以下は具体的な注文、ぜひお受けとめ願いたい。  国の機関である以上、いわゆる在来の概念をまず捨てる、垂直思考をやめて視野を広げる、発想のポイントを変えるということをやっていただきたい。だから、ブロックといっても昔以来の八ブロックとかああいうこと、まずそれにこだわらないでいただきたいということ。たとえば財務局というのがありますわな、財務局の場合は、仙台、大阪、広島ぐらいに整理しちゃうと。それで、関東財務局なんというのは霞ケ関のひざ元にあるのですからね、一体これはどういうつながりで、なぜレーゾンデートルがあるのかね。この辺についても、いやあるんだ、あるんだではなくて、なぜあるのか、なぜという視点をつけ加えてもらいたい。それから仮に府県単位機関を存置するとしても、三つの県ぐらいは特に交通の利便の多いものはまとめるというふうなこと、つまりそういうかたまりをつくるというやつね、こういうこともぜひ考えてもらいたい。いろんな県は反対しますよ、当然ですよ。それをどう乗り越えるかというのはあなたの断にかかっているんだから。いままでの行管庁長官とあなたはバイタリティーが違うんだから、そうでしょう。そういう意味で私のいま申し上げたようなことについてはいかがですか。
  92. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは一つの大きな観点だと思います。
  93. 秦豊

    ○秦豊君 観点をじゃ尊重して、あなたが委員長をされている行監委などにはそういう観点を付加して諮問されますね。
  94. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 当然、簡素にして効率的ということが私たちの目標でございますから、常にそれに合わすように考えていくということでございます。
  95. 秦豊

    ○秦豊君 それから宇野長官、例の総定員法というのがありましたな。あれを読み返してみたんですけど、あのときに行政監理委員会が一体どういう評価をし、どういう判断をしたのか。これ、今日的につながっていくんですよね。それを伺いますのは、定員管理に対する総定員法の関係ですね、これ一つ。それから、組織管理に対する今度の法律ね、これの関係がよく似てるんですよ、実は。だから、基本的な認識としてどんなお受けとめ方をされているのか。それからまた、そういう意味行政監理委員会の当時の意見ですね、いろいろ出ていますから、資料が私も手元にありますが、基本的な認識から伺っておきたい。
  96. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 総定員法は私はかなりの効果をわが国の定員管理の面において及ぼした。オーバーな表現ですと、私はまあ世界に余り例がない法律であって、このおかげでこの十二年間に純減八千というふうな定員管理ができたのではなかろうかと、こう思います。これはもう御承知のとおり国家公務員九十万のうちの五十万人、いわゆる一般職だけで、現業の方はさようではございませんが、これはまあ予算編成時に十分行管といたしましても定員管理ということでやっておりますので、私はこれは今後もやはり貴重な法律としてやっていかなければならぬ。まあできたら地方にもこういうものがあればもっといいんだなと思うんですが、地方はもうそれぞれ都道府県、考え方が違うでございましょうから……。  もう一つのこの間の支分部局に関する法案でございますが、これはやはり機関名並びに地名というものはブロックに関しては明らかにする、また機関名は、府県単位では機関名はするが、地名まではいろいろというようなことで政省令にゆだねる点がたくさんあったわけでございますが、これも常に国会を尊重しながら機敏に行政のあり方をその時代時代に即応するように持っていこうと思いますと、やはり非常に大切な法案でございまして、特にいままではもう各省庁がばらばらでございましたから、そのばらばらをひとつ直したという意味にも私は大きな意義があるのではなかろうかと、こういうふうに思いますので、十分国会の御意思を体して運用していきたいと思っております。
  97. 秦豊

    ○秦豊君 これを読ましてもらいますと、長いからちょっと簡単にピックアップしますけど、この「総定員法の成立は、」「重点化された合理的な定員配置を実現するための有力な手段を提供する」という前提があって、「総定員法制定の目的として定員配置の機動化・弾力化を掲げた以上は、政府は、定員管理における」「課題が従来よりも一層加重されたことを認識」せよと、こう書いてある。あたりまえですわな。そのほかずっとあるんだけれど全部飛ばしまして、申し上げたいことは、この「定員管理」という言葉を組織管理とか機構管理という言葉に置きかえてみますとね、いま私がちょっとだけ引用をした行監委の評価というのは、今度の法律についても長官自身もちょっとお認めになったように、そっくり移行できるんですよ。移行できるということは該当するということです、当てはまる。つまり「機動化・弾力化を掲げた以上は、政府は、」「課題が従来よりも一層加重されたことを認識しなければならない」と、肩の荷物が重くなったんですよ、ということですわな、まず。それから、これをもって行革の実現と見るべきではないと、それから、実効ある行革のためにはどのように活用するかであると、なかなかいいことを昭和四十三年、四十四年に書いてありますね。やっぱり古典なんですね、あの臨調答申だろうが、これだろうが。古典が一向に現実の処方になっていない。現実と古典の乖離といううらみがいつまでも残るのが問題なんですよ。あなたはややそれを埋めようとはされているようだが、まだまだ不十分であると私は言わざるを得ない。  そこで伺っておきたいんだけれども、弾力化ということで府県単位機関のこの具体的な設置を何か法律から政令に譲る、これはまあよいとしている、法律から政令は。ところが、逆に省令から政令に格上げと言うべきですかな、省令から政令に格上げするというのは一体どういう発想なのか、この辺、私はわからない。しかも、いま各方面で論議を呼んでいる大蔵省の財務局、私が引用した。農林水産省から言えば統計情報事務所、食糧事務所等が含まれている。これはだから問題なんです。いまみたいに省令であったら、総理があなたに、あるいは武藤大臣に対してあるいは竹下大臣に対してやかましく言うと統合とか廃止させることができる、直結していますからね。ところが、政令に格上げになった場合には、政令というのはだれか一人事務次官が反対したら上に議題が行かないでしょう。違いますか、官僚機構の運営として。だれか一人反対すればいい。国会の証人喚問みたいなものでね、どこかの党が反対したらお流れですよ。こういう状態だと、事務次官会議をパスしない案件は議案として上がってこない。政務次官会議はこれは全然別ですね、その有効度において。だから、そうなると、だれか反対したら政令改正は不可能だということになると、いま私がちょっと列挙したような出先機関、私の認識では、整理統合、廃止というようなものはたった一つの県が反対してもできない、たった一つの県が反対しているからといってどこかの事務次官がその声を代弁した場合には全省庁的な議題に上ってこない。これは改悪じゃないですか、逆行じゃないですか。違いますか。
  98. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) その時点だけをおとらえになるとあるいはそういうふうなお考え方を持たれるかもしれませんが、現在やっておる行革そのものから見ますと、はっきりと整理統合ということを一たん計画としてきちっと書きます。今度のブロックのことも、これは法律マターでございますが、閣議決定したと、そして四月の初旬ないし中旬にはこれは出したい、こういうふうになっていきますから、閣議決定したものをどこかの次官が反対するからそれは政令マターにおいてもむずかしかったというふうなことは私はあり得ないことであって、やはり内閣そのものががっちりした立場でその前にそうした閣議決定というものをして、それから各省におろしていくということでございます。むしろ今後は整理したいと思うんですよね、整理をしたいと。やはりいま言われましたように古典がございますから、特殊法人だの皆——中央の問題は非常に問題がありますからこれは私がとやかく言うわけにはまいりませんが、一応そうしたものは大体一回古典のしりふきをしてしまいたい、こう思っております。だから、そこから五十五年行革というものが出発をしてこれが一つの第二の古典になって、今後肥大化とかあるいはまたぜい肉をつけるというようなことは毛頭考えちゃいかぬよというぐらいのことで進めていきたい、こういうふうに思っておりますので、私はその点は心配は要らないのではないかと考えております。
  99. 秦豊

    ○秦豊君 それからこういう点はどうですか。今度の法案で附属機関関係を見ると、これまで個別の名称、位置などを法律で決めていた全部で二百八十五機関に対して、政令を飛び越えて一挙に府令、省令にしておるですな。これはまあ、したというより譲ってしまったんですな。これだけのことをするのであれば、これも私言いたいのだけれども、各方面で指摘されていて久しい肥飼料検査所、それから生糸の検査所、これなんかいつから言われていますかな、ぼくがマスコミの現場時代から言われているんだから。それから真珠検査所、繊維製品検査所なんかは、まさに古典も言われ、長官も言われているように、機動化、弾力化のメリットを生かして直ちに廃止を検討するぐらいのエネルギーを込めてちょうど適当じゃないんですか、どうですか。
  100. 加地夏雄

    政府委員(加地夏雄君) 実は、昨日国会で成立をお認めいただきました規定整理法の問題、先ほどからの先生の御質問の流れで申しますと、臨調の思想はもうちょっと抜本的な組織原理というものを改正したらどうか、こういう御主張であったわけであります。それを実は先ほど御指摘の四十二、三年のそういう考え方を含めまして四十五、六年に国家行政組織法の改正という形で実はお願いを申し上げたわけです。これは御承知のとおり国会全体の御意向として、いわゆる余りにもその法律事項を政府部内でやるというのは行き過ぎであるという御判断から、あの法案は実は廃案の憂き目を見たわけであります。  そこで、今回お願いいたしましたのは、現在の国家行政組織法の枠内におきまして各省設置法によってまちまちになっているそういう規制形式というものを統一しようというのが第一点。もう一つは、そういう改正を通じて、御指摘のように今回の行政改革等で、いわゆる行政需要の動向に沿って機動的、弾力的な改革ができるような基盤を整備しようと、これが二点でございます。  そこで、御指摘のように省庁のまちまちの規制形式を実は統一するわけでございますから、従来法律事項であったものが政省令に落ちる場合もございますし、逆に従来省令であったものが統合するために政令に上がっていくと、こういうことはあるわけであります。これが今回の規整法のねらいであったわけであります。  そこで、そういうものができた場合に、先ほども大臣から御答弁いただきましたが、それじゃこの規定整理法が直にそういう意味で改革そのものに結びつくという問題じゃございませんが、現実にこの五十五年行革の例で申し上げますと、規整法ができる以前であればいわゆる法律であったものが、政省令に基づいて機動的にできるというものがたとえば海員学校の整理の問題でございますとかいろいろございます。それから御指摘のように生糸検査所問題等々がございますが、まあ生糸検査所は今回の行政改革に入れてあります。それ以外の御指摘附属機関につきましては、確かに規定整理法をお認めいただきますと従来に比べてそういった改革の実現に相当効果が上がってくる、こういうことは言えると思います。今後そういう趣旨に沿って検討していく問題もありますし、直接この法律の効果で現実にそういう改革ができるというものも出てまいっておるということでございます。
  101. 秦豊

    ○秦豊君 私がさっきから列挙しているようなものは、宇野長官のリーダーシップのもとで発表する六月試案、第三弾にぜひとも具体化するように、浮かび上がるようにしてくださいよ、この場の答弁じゃなくて。  それからこれもやや具体的な問題ですけれども、これに関連しまして出先機関や何かの内部組織の方、これも大幅にぼくは簡素化してもらいたい。たとえば、じゃどういうことを考えているかというと、出先機関には局長がおられますわな。それで、局長のすぐそばに次長というのがある、次長室というのがある。これは次長なんという、あの機構の中で本省並みの機構が要るのかどうか、こういう観点をぜひ考慮してもらいたい。あるいは地方出先機関とか附属機関の部と課なんというのも、非常にパーキンソンの法則を地でいくようなことをやっているんだな。これも、あるものは既得権じゃなくて、部と課というふうな截然とした機構の区分が必要かどうか、次長が必要かどうか、こういう厳しい目を据えてもらいたい。その程度のことは考えていいと思う。だから、附属機関の内部組織、この整理簡素化については、せめて私が言うぐらいのものを最低の基準にしてほしいと思うんですよ。いかがです、長官
  102. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この間の閣議決定の中におきましても御趣旨の点は書いてあるんです。当然内部の定員、機構、そうしたものに関しましても合理化を図らなければならないと、こう書いておりますから、あれは機関名並びに地名を明らかにいたしましたので、各省庁との間におきまして具体的にそうしたことを具現化したいと思っております。
  103. 秦豊

    ○秦豊君 仏つくって魂入れずというのはなかなか古来の名言で、確かに仏はでき上がった。ぼくらはああいう御仏自体についてきのうは異論を唱えたのだけれども、不徹底であるという視点で。それを半歩の前進ととらえる政党もあるでしょう。いかにもこう全体的なあるいは長期のビジョンがあって、それから帰納をする方法、こういう考え方であればぼくはあなた方の案に近づいたと思うんですよ。ところが、長期のものは何だかどこで聞いてみても、宇野さんをもってしても余り固まっていない。大平さんをつけ加えても同断と。つまり、大平政権という行政のトップの姿勢の中に、ビジョンの中に、行政改革をいかにどこまでというのがないわけですよ。長期の戦略がない。じゃ何で間に合わせるかというと、タイムリミットがありますからね、第十二回の参議院選挙が。行政改革は大平政権の大きな眼目だと。何もしない総理というと、ジミー・カーターのある時期みたいになりますからね。じゃ、やらなければいかぬ。宇野さん、あなたは幸いにしてがんばってもらいたい。こういうことで、さっきの記事じゃないけれども、ごろ合わせとは言わないが数字合わせね、やはりこの即効性の対症療法になっていて、抜本的な日本の行財政にメスを入れるというふうな視点は捨象されている、置き忘れられている、だからぼくらは反対した。だから、このままであれば、あなたがいかにがんばられても仏つくって魂入れずになりかねないという疑念をなおかつ私は根深く持っているんですよ。時間だから、それについての長官の御答弁を願って終わりたいと思います。
  104. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 御指摘のとおり、仏をつくった以上は魂を入れたいと、かように存じております。だから、いままでは仏さんばかりつくってきたんですね。臨調におきましてもずいぶん大きな仏さんです、あれは。奈良の大仏さん以上だと私は思っています。ところが、本当にその後魂が入っておらぬのですよ。ようやく第二次大平内閣でぼちぼち魂も入れ、いろんなところをやっておるということだけはひとつ御了解を賜りたいと思います。御教示の点は十分胸に秘めまして私もやっていきたいと考えております。
  105. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって秦豊君の質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですので、会計検査院及び行政管理庁所管に関する質疑は、これをもって終了したものと認めます。  それでは、午後一時から分科会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  106. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) ただいまから予算委員会第一分科会を再開いたします。  まず、分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、丸谷金保君が分科担当委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  107. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 昭和五十五年度予算中、内閣、総理府本府及び沖繩開発庁所管を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。佐藤三吾君。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 官房長官、ちょうど六分待たしていただきました。あなたの場合は、ここに限らず、決算委員会も、地方制度調査会も、定時に来たことがないわけですね。まあ習性を持っておるんじゃないかと思うんですが、きょうは主査もいらっしゃるわけですから、ひとつ厳重に今後は注意していただきたいということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  そこで、きょうの閣議で、天下りの数について一割抑えると、民間を今後は五割以上やるんだと。先ほど行管長官から御意見聞いたんですが、これは五十二年の閣議決定も同じようなことをやっているわけですね、民間五割以上入れるというのは。しかし不結果的には守られていない。ここら辺はひとつ、あなたがその衝に当たっておるわけですけれども閣議決定をするのはいいんだけれども、したのが守られなきゃこれは意味がない。その点ひとつあなたの決意を含めて見解を聞いておきたいというのが一つ。  もう一つの問題は、いまあなたが手持ちに持っておる、預かっておる院法の改正です。  いま大平内閣は、各省大臣よりも、当然かもしれませんが、官房長官が実権を持って進めておるということが言われておりますが、逆に言うと、官房長官が預かっておる問題を握りつぶすという例もなきにしもあらずということにもなるわけですね。そういうことで、これは衆参両院決算委員会の決議で強く求めておる。しかもその背景は、御存じのとおりに、ダグラス、グラマン、ロッキードという日本の政治の最大汚職を引き起こしたその原因究明を含めて院法の改正がまとまってきておるわけですから、これは何としても今国会で私は成立さして、そして国民の負託にこたえていくのが内閣の義務であると同時に国会の義務でもあると思うんですが、この点について一体どういうあなたが預かった中においての処理をしよとしておるのか、いつ結論を出すのか、いつ国会に出すのか、明確にしていただきたい。
  109. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 冒頭におくれて参りましたことにつきまして、弁解は申し上げませんが、本当に申しわけございません。おわび申し上げます。以後注意します。  それから、御質問の第一点の特殊法人の役員の縮減のことでございますが、先生おっしゃったように五十一年のときは確かに三十四名という、これは当時のあれで四%ぐらいになりますか、三十四名縮減をいたしております。今度、実は去年の十二月十八日でございましたが、閣議で大体一割を目標に縮減を図ろう、特殊法人の数の統廃合もしましたが、それだけでは十分でないので常勤役員の縮減をしようと。一割でありますと大体七十五人ぐらいの見当なんですけども、それだけではなくて、廃止する法人とか統合する法人全部加えますと百二十二名になるんです。閣議決定あたりではたしか百二十人ぐらいと、こういうことでやりましたが、きょう現在では百二十二名の計画が出ております。それで、これは単に計画だけでなくて、一つ一つ特殊法人について何人、何年にはやるということを実は各省から計画出してもらったわけでございます。そして、五十五年度には三十九人とか、五十六年度には四十一人とか、五十七年度には三十六人、五十八年度以降に六人というようなことで百二十二人という計画を出してもらいました。これは各省から各特殊法人について具体的に出してもらった裏の数字といいますか、資料が皆一緒に出てきたわけでございまして、私どもこの常勤役員の任期が来た場合にはどういう人をするかとかというのは一々内閣の方に相談がございますので、厳重にこの点は守っていくということで、この計画各省から各特殊法人別に、年度別に出してもらったわけでございますから、これはもう必ず実施するようにやってまいりたいという決意でございます。  それから、もう一つ会計検査院法の問題でございますが、これは先生指摘のような非常におくれておりますことはそのとおりでございます。実は私、昨年いまの地位についていろいろ聞いたらこの問題があるということでございまして、昨年の六月でございますか、国会で総理、内閣官房長官も答弁して、内閣の方で検討するということで、前の官房長官のときから始めたわけでございます。で、私も実は役者がかわったんだから新しい角度でひとつこの問題と取り組んでみますというようなことを十二月の国会で、私答弁した覚えがございます。
  110. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 簡潔にひとつやってください、簡潔に。
  111. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) これは私の前から内閣でやろうと、こう言っているのでございまして、いま、官房長官がいろんなことをやっていると、こういうことでございましたが、あれは会議の司会者みたいなものでございまして、進行係みたいなもんで、そんな偉いものじゃございませんから、誤解をしないようにしていただきたいんでございますが、進行係でございますが、実はこの問題も検査院も呼び、各省も呼んでやったわけでございますが、もう問題は、御承知だと思うんですけれども、政策金融——いま肩越し検査ということをやっているけれども、それを法定してやるということになると、中小企業とか、特に農家とかがそういう公権力が中へ入ってくるということになると、どうしてもその政策金融を受けるということに心理的な負担というか、圧迫を感じてうまくいかなくなるから現状の肩越し検査でいいじゃないかというのが行政庁のこれはまあ強い意見なんでございます。そこでぶつかりまして実は妥協点を見つけられないでいままでに至っているというのが現状でございまして、何とか妥協点が見つけられぬかということで努力をしているというのがいまの現状でございます。
  112. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 現状はわかっておる。問題は、いつそれを、結論を出して国会に出すのか、そこをいま聞いておるわけです。もう一遍そこら辺を明確にしてもらいたい。これはもう何といってもこの日本の歴史上初めてという、総理逮捕という、ロッキード問題、グラマン・ダグラスという事件が起こっての国民の強い期待を込めた院法改正ですから、その点はひとつ明確にしていただきたい。  それからもう一つは、KDDの問題が起こってどろなわ式に検査院の検査を入れましたね。しかし、これはどろなわでは困るんです。やはり全特殊法人に今度は行管庁が拡大します。あわして検査院もどうして拡大しないのか、この点についてひとつ官房長官の明確な答弁をいただきたいと思います。
  113. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 二つ御質問でございますが……
  114. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がないですから簡潔に言ってくださいよ。
  115. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) はい。第一点はいつ出すかということでございますが、総理もこの国会中に見当をつけて報告したいということを実は予算委員会で答弁したわけでございます。私どもいま努力していますが、この国会に必ず出せるかどうかと言われますと、いまなかなかこれそこまでいけるかどうか、ここではっきりお約束するには、まだ事態はそこまで至っていないというのを率直にお答え申し上げる次第でございます。  それから第二点でございますが、おっしゃるように、KDDはああいうことで検査の対象にしたわけでございますが、国の投資があるもの、あるいは特殊法人がまた出資したものというようなものには検査院の検査が及ぶのでございますが、国が出資をしていないというものについては全般的にはまだいっておりません。これは行政管理庁の監察だけでございますが、その点はひとつ全部にどうやったらいけるようにするか、もう少し先生、検討さしていただきたいと思います。
  116. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題、きょうは時間がございませんから、私が二十一日の決算でまたこの問題を起こしていきますが、ひとつぜひいま検討課題を結論を出すように申し入れておきたいと思います。  そこで総理府長官、同和問題について、これも時間がございませんから、簡潔に質問するかわり簡潔に御答弁願いたいと思うんですが、まず一つ、稻村長官のときに三年延長になりましたね。これは長官国会の中で明らかにしておりますように、また附帯決議でもそれを方向しておりますように、あくまでもこの見直しをして、そうしてこの長期的な恒久的な立法をしていくんだと、そのためには三年間ぐらいの必要な期間を置いてこの調査をしなきゃならぬということで抜本的な調査がまあこの期間に課せられた一つの大きな課題なんですよ。もうすでに一年たちました。あと二年しか残らない。予算年度から言えばあと五十六年度予算最後になりますね。そういうような実態に来ておるんですが、これは一体どういう決意で——そうして再延長になるのか強化拡大になるのか、いずれにしても立法準備も始めていかなきゃならぬ。三年後を目指して立法準備も進めていかなきゃならぬ。そのためにいま調査をやっているところなんですけれども、そういった意味で、稻村長官のあの決意とあなたの場合も変わりないのか、まずそこをひとつ聞いておきたいと思います。
  117. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 法律が延長する段階におきましての本院における附帯決議は十分承知をいたしまして、それを尊重する立場で政府としては努力してきたわけでございますが、いまお話しのように、法律の延長を前提にしてというようなちょっと御指摘でございますが、私どもとしては、現在与えられた立場で法律を執行すると同時に、附帯決議にありますように、実態調査を十分把握をいたしましてこの延長されました三年間で実施しようということで鋭意努力をいたしておるというところでございますので、さよう御理解をいただきたいと思います。
  118. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題、官房長官もおるから一緒に聞いておきたいんですがね。これは重大な問題で、あのときに、附帯決議の第一項の中に、次の立法の対策を強化する意味を含めて、この際ひとつ三年間の期間の中に実態調査をして、そうしてこたえていきたいと。毛頭こういう同和対策というのは短期に片づく問題ではなくて、長期のものであることについては当時の附帯決議、国会の論議からいっても明らかになっておるわけですから、そこら辺は総務長官としてもそういう御理解ですか。いいんですね。
  119. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 法律が延長する段階で当時の稻村長官がお答えしたことを承知をいたしております。御指摘のありましたのは附帯決議の一項の二というところかと思いますけれども、附帯決議は、その法改正も含めて検討すると、たしかなっておったかと存じます。したがいまして、その前提として、実態調査を把握して、延長された三年の期間の中で、この諸事業について完遂をするようにというのが法律の趣旨であるというように私ども理解をいたしておりますので、法律の趣旨を踏まえて行っておることでございますし、あわせて三項目にわたる附帯決議につきましても、それを現在実行しておるということでございます。
  120. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題、また後、同僚議員の坂倉さんの方から議論があると思いますから、そういう前提に立って、私はこの実態把握の問題について二、三聞いておきたいと思います。  まず、いま附帯決議の一、の一つである実態把握の問題についてヒヤリングを行っておるわけですが、その具体的な内容を見ますと、物的事業の調査というのが基礎になっておるように思うんです。物的事業の調査というものを見たときに、たとえば大阪の事例を見ますと、同和対策事業として国が認めておるのは三十六事業。しかし、自治体——市町村でやっておる事業というのは百十九事業ある。言うなら、市町村単独でやられておる分が三分の二、国が認めておるのが三分の一ということになっておる。これらは当然、市町村を含めて百十九事業、いわゆる自治体で行われておる事業についてのものを実態把握の対象にしておると思うんでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。それが第一。  もう一つの問題は、国会論議の中でも再三言われておるように、同和対策というのは、基本的には差別をなくしていくという、こういう課題を追求しておるわけですから、物的事業だけではどうにもならない。もっと教育の問題であるとか、それから労働の問題であるとか、生活とか人権であるとか、こういった多面にわたった実態把握が行われていかなきゃならぬと思うんですが、どういうふうな状態になっているか、簡潔にひとつお願いします。
  121. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 実態把握の問題につきましては、通常の行政べースにおきましても、たとえば労働あるいは文部、厚生というように、それぞれ就労状態とか進学状態というのは絶えずこれは把握するように努めておるわけですが、現在行っておりますヒヤリング、都道府県を対象としておりますヒヤリングは、御指摘のように物的残事業に関するヒヤリングが中心でございます。今後実施すべき施設整備として、どの程度残っているのか、あるいはそれらの実施できる時期、条件とはどんなものかというようなことを中心に行っております。当然その場合には国の施策という兼ね合いでございますので、国庫補助対象事業を中心としてヒヤリングしております。ただその際、どのような事業を同和対策として、都道府県なり市町村なりが実施を希望しているのか、したいと考えているのかということもこれはあわせて参考までに伺っております。  で、第二の、同和問題が施設整備を持っておらないということは御指摘のとおりでございますし、最終的には同和対策協議会で御指摘がございますように、就職問題というふうなものがやはり一番今後の中核的な命題になってこようと、こう思っております。  したがいまして、これらのものについても、現在の隘路、あるいは問題点というものに対する把握というのは当然でございますので、教育の実態、あるいは就労の状況というようなものは、今回のヒヤリングという形ではなくって、通常いろいろ調査もしておりますし、また、地域類型別には担当官が現地に伺って、地域類型別な問題点も合わせて調査するというようなことを各省にお願いしているところです。
  122. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、実態把握のヒヤリングの中では、市町村事業の問題についてもやっておると。ただ問題は、それは参考のためにということだけれども、そこをわざわざ参考と分けたのはどういう理由ですか。
  123. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 要するに、この物的事業につきましては法の有効期限である三年以内にやれというのが政府に課せられた宿題であろうかと、こう思っております。したがいまして、国の立場から同和対策事業として進めるべきものというふうなことで、それは補助対象事業ということになるわけでございますが、それを中心に行っているということでございます。
  124. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 問題は、そこに自治体側にしてもあるわけでしょう。逆に言うならば、自治体がやっておることは要らぬ世話だと、そういう論理じゃないんでしょう。やっぱり必要なことだと。ただ国がそこまで認めてないから、現実には行政やるものとしてやむを得ずそういう分野までやらなきゃならぬと。それが三分の二も全事業の中で達しておるという実態を見たときに、これはこの際実態把握の中では完全にそこら辺も国が責任を持ってやる事業としてこの問題をひとつ見直していくと、こういう前提で私は実態把握をやるべきだと思うし、ぜひそういう意味できちっとしてもらいたいと思うんですよ、いいですか。
  125. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) いろいろ市町村がお考えになっておる事業がそれは必要でないと——必要なことは十分考えております。ただ、それを同和対策事業という形で実施するというのは妥当かどうかという問題があろうと思います。たとえば大阪の場合なんかも、学校施設を同和対策事業として整備したい、あるいは青少年施設を同和対策事業として整備したい、老人施設を同和対策として整備したいということで、これらにつきましては、むしろ地域にそれらの施設が必要なことは十分承知しておりますが、それは一般施策として御整備なさるのが筋じゃなかろうかということでいままできているわけでございます。
  126. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、そういう議論がいままであったわけだ。そうして、それはやっぱりいろいろ物議を醸してきておるわけだ。そういう意味で、あなたの方も今度は実態把握の中に入れておるわけだから、そういった観点から、この際ひとついままでの不十分な部分も見直していくという前提が私はこの見直しの中にあると思うんです、ヒヤリングの中に。そういう意味合いでひとつとらえてもらいたいということを言っておるわけです。いいですね。  それから次に行きますが、五十年の調査で未指定地区の問題でございますが、四千三百七十四の地区数を挙げられておりますが、その後に百五十五の追加がされておるというふうに聞いておるわけですが、これは都道府県別にはどういう実態にあるのか、ちょっと明らかにしてもらいたい。
  127. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 確かに五十年調査以降も同和地区として報告のあった地域は、先般申し上げた時点で百五十五地区でございます。まあ相当多数の県にわたっておりますが、多いところでは大分県、それから宮崎県、鹿児島県、島根県というふうなところが多うございますし、そのほか一ないし九地区というような……
  128. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ずっと言うてくださいよ。
  129. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 茨城が三、群馬二、千葉一、新潟二、山梨四、長野一、愛知三、三重一、兵庫一、島根十六、岡山七、山口一、愛媛一、高知一、香川一、福岡九、佐賀一、長崎二、熊本二、大分五十二、宮崎三十二、鹿児島十二、以上でございます。
  130. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、これはもちろん今度のヒヤリングの対象の中に入れていますね、そうでしょう。
  131. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 当然入っております。
  132. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今度出されました、最近明らかにされておるこの第八の地名総鑑を見ますと、五千三百六十六地区が出ておるわけです。いま申し上げたこの四千三百七十四に百五十五を加えて四千五百二十九の地区については、指定地域として、調査地域としてなるわけですけれども、その差の八百三十七というのはこれは一体どうなっておるのか。まさに放置をされておるわけですが、この実態把握をするのか、しないのか。同和答申にございますように、これらの差別をなくすることが国の責任であると、こういうことからしますと、当然これは対象の中に入れなきゃならぬと思うんでありますが、どうなのか、それが第一。この第八の地名総鑑の中で、富山県で二百三十三の地区の名前が挙げられておるわけですね。これは差別の対象になっておるわけですが、地域指定は全く行われてない。具体的なこれらに対するあなたの行政指導、こういった点についてひとつ明らかにしてもらいたい。
  133. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) いわゆる差別文書と言われる第八の地名総鑑と言われるものにつきまして、現在法務当局において調査中であるということは承知いたしておりますが、その現物も見ておりませんし、どのような地域がまたどれだけ盛られているかということは承知しておりません。われわれといたしましては、現在同和対策事業特別措置法上の和同地区と申しますのは、かつてのいわゆる被差別地域をすべて同和対策地区としてとらえるわけではございませんで、この法律の一条に規定がございますように、「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されいてる地域」というのを同和地域としてとらえて施策の対象にしておるわけでございまして、かつて、たとえば被差別地域であっても、もう環境整備とか住民の生活状態もかかわりがなくなってきているというようなところについては、これは対象から外れることは当然でございます。また戦災その他によっていろいろの事情で変わってきているところもあろうかと思いますが、ただ、このような歴史的社会的理由によりさまざまな生活上の要因が阻害されている、劣位にあるという地域については、これはできるだけ施策を伸ばしていくべきことは当然でございますので、そのような地域がありますれば、できるだけ早くという趣旨で、五十年の調査の場合にも調査期限を延長いたしまして、再三催促して漏れがないかどうかを確かめたというような次第でございますし、それ以降もさまざまな理由によってその月までには把握できなかった地域についても追加御報告をいただいて、それは五十年調査で把握した地域と全くいま先生お話しのように同じように取り扱っておると、それが先般御答弁した時点で百五十五地区になっておる。現在でも数地区いま御相談受けておるところがございます。このような形で、できるだけ問題がある地域がありますれば、それを拾おうとするのがわれわれの態度でございますので、再三にわたって趣旨等の徹底を図っておるところでございますし、これらの施策につきましては、やはり地元の市町村のそのような地域であるかどうかというような御認識が中心になりませんと、施策の円滑な推進も図れないと考えておりますので、地方公共団体に法律の趣旨等も再三にわたりまして周知徹底を図って、この施策の徹底を期しておるところでございます。
  134. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたもなかなか言うね。第八の地名総鑑の内容については知らないと断っちゃって、そうして歴史的経済的な地域が対象であってすべての被差別部落が対象じゃないとか、わからぬところで——それが歴史的にどうあるのかということもわかってないんでしょう。そんなことをよくも言えたもんだと私思うね。  私が聞いておるのは、そんなことを聞いておるんじゃなくて、いわゆる現実に第八の地名総鑑で、いまあなたが把握しておる差を見ると八百三十七という地区が出ておるから、これについてはこれはどういうふうに実態把握をしておるのか、そうして実態把握をしようとしておるのか。富山では現実にその中で二百三十三というかなり大きな実態が出されておる、これについて一体どういう具体的な指導をやっておるのかと。いまあなたは市町村が自覚しなきゃどうにもならぬというような言い方をしました。自覚をさせていくのはだれなのか、どこなのか、これはやっぱり国じゃないんですか。それが同対法の趣旨ですよ。そういう問題をすりかえていいかげんなことを言っちゃ困りますよ。私の質問に答えなさいよ、きちっと。
  135. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 同和対策事業は、国と地方公共団体共通の責務でございますし、法律を主管する国としては法の趣旨等の周知徹底を図っていくのは当然のことでございます。  ただ、いまお話しのいわゆる第八の地名総鑑というふうなものの中身に立ち入って、それとわれわれの把握している地域との比較というようなことを行うことは、むしろかえって妥当ではないんじゃないかというような判断を持っております。どのような根拠で作製されたものかもわかりませんし、その真偽は別にいたしましても、被差別文書として、不適当だということで、現在いろいろな調査を行っておるし、処置をとろうとしておるところでございますので、その中身に立ち入る必要はなかろうかと考えております。
  136. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長官、同和対策を内閣全体の中でまとめて推進していくというのはあなたでしょう。法務省じゃないでしょう。だから法務省に地名総鑑があると、内閣の中の一員である法務省にあるとすれば、そういうものは当然あなたがいま窓口になっている、長官が責任者になっている、同和対策を推進していくその窓口であるあなたが、法務省にそういうのがあるならちょっと見せなさいと、当然取り寄せて、それについていま実態調査の把握をやっておるんだから——やっておるわけでしょう。これにもし万一があってはいかぬと、当然これは総理府長官としてやることであるんだ。それがいま言ったような答弁をしておる。どうですか、長官は。
  137. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 総理府に同和対策室がございますし、同和対策の法律も預っておりますから、そうした意味で、政府の中で本問題に責任を持っておると理解いたしております。  ただ、御指摘にありました第八地名総鑑というものについては、恐らく法務省当局は把握をいたしておるものと理解しておりますが、いま室長が申し述べましたように不適当な文書として、私どもこれを認めておらない立場でございますので、そこに記載をされておると想定をされる個所の問題を、私どもはその調査の対象の個所として理解をして調査をしていくということはこの際妥当ではないと、こういうふうに御答弁申し上げておる次第でございまして、この点は、私どもこの地名総鑑なるものについては人格上からも非常に問題あることだということで、十分法務省をして調査もしていただきたいということで、しかるべく処置をしていただいておる文書だと理解をいたしておりますので、それを根拠に、地名が現在同対法上の調査対象になる地域として考えるということは控えるべきではないかと、こう私も理解をいたすんですが、御理解願えないでしょうか。
  138. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長官、法務省の件はあしたまた法務省やります。地名総鑑やります。しかし、いま政府の窓口はあなたでしょう。しかも、それでこれだけ問題になって、まだ長期なやっぱり対策を立てていかなければならぬという前提で、いま根底から洗い直してひとつ調査やっておるわけですよ、ヒヤリングで。その中で、現実に政府の部内の法務省で持っておるわけだから、ちょっと出してくれと、やっぱり実態把握に漏れがあっちゃいかぬと、責任ある長官としてこれは完全な調査をしなければいかぬのだと、当然ひとつ見せろと、こういうことで、あなたが積極的にそういう問題について乗り出していくのが、それがあなたが同和問題の責任長官としての責務じゃないですか。また今度実態把握をやったけれども、それは漏れましたということで不完全調査に終わるじゃないですか。それではあなた、抜本的な対策も出てこないじゃないですか。それを私は言っておるんだ。だから、どっかアメリカの法務省にあるとかソビエトの法務省にあるというのじゃないんだよ。あなたの閣内の中における法務省にあるのを、それを各省まとめてやるのがあなたの任務でしょうが、この問題に関しては。だから言っておるんですよ。そんなあなた、事務当局みたいな答弁しちゃいかぬよ。長官として、政治家としてきちっとしなさいよ。
  139. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘をまつまでもなく、私責任を負っておるという理解は強くいたしております。  しかし、この第八地名総鑑なるものについての公にこれが保証されたものであるという理解を私どもいたしておりませんものですから、それを参考にして、そこに載っておる数字を保証して、それと現在私ども調査いたしておるものとの間に差異があると、こうお話をされましても、おっしゃられていることはまんざらわからないわけではありませんけれども、私どもの立場は、その地名総鑑というものについて、政府として公式にこれが認められた文書としての理解をしておりませんものですから、この点については御理解をいただきたいと思うんですが。
  140. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、実態把握の対象になるかならないかも含めて当然あんた一遍見てこれはなるかならぬか判断しなきゃいかぬじゃないですかと言っとるんだよ。だから、そういう意味では、これは時間がありませんけれども、ひとつ私はぜひ事務当局レベルじゃなく、長官としてやっぱり決断してやるべきだと思うんで、そうしないとこれは実態把握はかえってまた無意味なものになる、片手落ちになる、そういうことになりかねぬから言っておるんだから、その点ひとつぜひ検討して、また私聞く機会があると思いますから、それまでにこの問題きちっとしていただきたいと思います。いいですね。  そこで、実態把握の把握の方法について二、三聞きます。もういろいろ言いませんが、特措法が延長になってから各大臣が各地を視察しておりますね、いろいろ。そうして言われておることは、やっぱり来て実態を足で見ないで歩かないとわからなかったと、そうしてやっぱり行政ももっと対策を強めていかなきゃならぬということをそれぞれその地区で談話を発表しております、各大臣ともに。  そこで、都道府県レベルでもうすでに終わっておるところ、市町村レベルで終わっておるところいろいろあると思います、ヒヤリングは。これは一体どういう実数になっておるのか、終わっておるところは。そこで、関係市町村は千四十一ですか、こういう数字が出ておるということも聞いておるわけですけれども、市町村レベル、県レベルでやっているのかということを含めてひとつ確認しておきたいということが一つ。そうして、この調査現地に乗り込んでやっぱりやっていくということも必要だと思う、各大臣のこの感想から見ましても。その点は一体いかがなのか。  それから、時間ございませんが、一通りこう尋ねておきますが、地区指定はしてないけれども、客観的に見て差別されている地域についての都道府県、市町村のヒヤリングは行われておるのかどうなのか、ここをひとつ第三点として聞いてみたいと思います。で、行われてないとすればどういう考えなのか。行われておるとすればどういう内容でこの指定地域外のところの被差別部落については行っておるのか、ここら辺を四つ目に聞いておきたい。  それからヒヤリングの項目でありますが、どのような項目でやっておるのか。すでに終わっておるところ、進行しておるところ、そういうところがあると思うんですが、終わっておるところがあればひとつ自治体名を聞かしてほしい。  それから最後に、五十六年度予算編成期までに実態把握を完了して予算編成に間に合わせたいということを再三国会で言っておりますけれども、一体いつごろをめどに実態把握を終わろうとしておるのか、この点について、以上六点ですか、お聞きしておきたい。
  141. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) ヒヤリングの対象は都道府県あるいは国の出先機関でございます。たとえば農林省なら地方農政局というふうなところを対象にヒヤリングをしておるところでございまして、都道府県やその地方の出先機関は当該関係市町村から事情聴取して、それをもとに国のヒヤリングに応じるという仕組みになっております。  これらのヒヤリングにつきまして各省庁にそれぞれお願いしておるわけでございますが、現在各省庁ともまだ中間報告する段階にも至っていないという状況でございまして、総理府として中間的な取りまとめをするというような段階にもまだ至っておりません。ただ、事は、特にヒヤリングの対象が、中心課題は物的施設の整備でございます。いわゆる残事業の状況でございますので、これはどうしても五十六年度予算編成に間に合わせませんと困るものですから、各省に特段の御努力をお願いいたしまして、何とか八月の予算要求時期までにはおおよそのところはつかんでほしい、十二月の段階では相当詰めた正確なもので予算の最終的な折衝に臨むという運びにしたいという形で御努力を願っているところでございます。  これらにつきましては、特に必要がある場合には、現地に担当者、農林関係なんかは地方もありますので、お出向きになる人がある場合もあろうかと思いますが、一応ヒヤリングということでございますので、関係の都道府県の担当者においで願って事情聴取する、あるいはいろいろ知事等に御相談を受けるというのが一応の形であろうと思っております。  それで、当然同和地区としてこちらに御報告のない地域については、事が同和対策事業ということでございますので、当然そこに仮に把握されていない同和地域があったといたしましても、それは対象に上がり得ないことになろうかと思います。これは市町村が同和地域はないという御認識のもとに、しかし同和対策事業としてこれをやってくれというようなお話が出ようはずがなかろうと思いますので、それは当然対象になっておりません。
  142. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって佐藤三吾君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  143. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、松前達郎君が分科担当委員を辞任され、その補欠として坂倉藤吾君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  144. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 次に、坂倉藤吾君の質疑を行います。坂倉藤吾君。
  145. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いまの佐藤委員質問に引き続いて、重なる部分もありますが、質問をいたしたいと思います。  去る二月の五日に、衆議院の予算委員会総括質問の中で野坂議員が質問をしているわけですが、総務長官、「同和問題は基本的人権にかかわる重大な問題」、こういうふうにお答えになっている。さらに大平総理は、「人権問題は、内政、外交全体にわたりましてその擁護は基本的に最重要なわれわれの任務」、こういう答弁をされておりますね。これは同和問題解決に当たる基本的な政府の認識、こういうふうに思うのですが、そう確認をしていいでしょうか。
  146. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 全くそのとおりでございます。
  147. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、その認識は、いま各省庁、それから出先も含めた政府関係機関、これに異論は起こっておりませんか。そういう意識できちっと統一的に徹底をされておる、こういうふうに総理府は責任を持ってお答えができますか。
  148. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) これは、総理が御答弁申されたように、政府を代表する者がしかと答弁をいたしておるわけでございますし、私としても各省庁との連絡は十分密にとっておるつもりでございますので、そのような趣旨で行政が行われているものと確信をいたしております。
  149. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 積極的にやっている、あるいは消極的にやっている、この辺のばらつきはどうお考えでしょうか。
  150. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) まあ非常にこれはいろいろ困難な面もある問題であることはよく承知しておりますが、各省とも積極的に取り組んでいるものと考えております。
  151. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私どもからながめて不十分な省庁、これに対しては積極的にやれと絶えず言ってきているんですが、それにはこたえているつもりでしょうか、どうでしょうか。
  152. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 各省本当に一生懸命やっておるとわれわれは判断しております。
  153. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 これからも期待をしていいと、こういう意味の答弁であろうと思いますが、いいですね。  そこで、同対事業の今日までの実績を見ますと、これは額でありますが、四十四年度から五十四年度までの予算額の集計としまして、九千百六億少しになるわけですね。これは事業全体から見まして——事業の観点ですよ、事業の観点から見まして、私の感覚ではまだまだ出発点から余り足が離れてない。将来の目標という観点からいきますと、目標はまだはるかでかすんでいる、こういうふうな認識をするんですが、その辺の感覚はどうでしょう。
  154. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 同和対策として行われている施策は非常に広範にわたりまして、現在は十省庁にわたるような多岐にわたっております。で、一番目に見えますのは、やはり生活環境——住宅あるいは上下水道等生活環境の整備の問題であろうかと思っておりますが、これは相当程度進捗しておるものとわれわれは判断いたしております。また就労問題あるいは教育問題等々、あるいはその啓発関係については、今後さらに大きな課題を抱えておると、これはまだまだ相当時間がかかる問題ではなかろうかと、このように判断いたしております。
  155. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま対象地域あるいは対象地域となるべき、そういうところを回りますと、いま答弁のありました住宅その他から見ましても、きわめて問題のあるところが山積をしています。それは市町村に指摘をいたしましても、なかなか着手がむずかしい、そこまでよう進んでやらない。これには国の事業の一つの基準が引かれている。財政的な事情からそれができなかったり、あるいはその地方行政の首脳部の意識の問題から着手を差し控える、こういう実態をたくさん私は、私の目で見てきているんですが、その辺の感覚はどうなっているんですか。
  156. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 国の予算面から考えました場合には、国庫補助のあり方に御批判のあることは十分承知しておりますが、一応非常に財政状況厳しい昨今におきましても、最大限度の御努力を願いまして、必要最小限を抱えておりますので、市町村等の御希望に対処できないというような事態はほとんど生じてないんではなかろうかと考えております。ただ、現に地域によりましては、先生お話しのように、なかなか事業が進捗し得ない、事業に着手できないというようなところもあります。これは、先生指摘のような市町村制に問題があるという場合もなきにしもあらずかと思いますが、ただ、地域によってはなかなか地区の住民の十分な同意、あるいは事業執行に必要な御同意がとれなくてなかなか事業ができない、あるいは地域が全体といたしましても非常に密集地域でございますので、順次進めていきませんと、年次計画的にいきませんと、非常に大きな地域についてはなかなか事業ができないというようなところもあるようでございますので、地域によってはさまざまな問題を抱えていることは承知しております。
  157. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 したがって、先ほど私が目標がはるかに遠いということに対して、事業的ないわゆる建設分野は相当進んでいると、こういう趣旨の発言なんですよね。ところが、私の住んでおります三重県でも、三重県の中に一番大きな被差別部落じゃないかと言われているところすらが、まだいま住宅要求が起こっている段階なんですよ。そういう状況の中で事業をながめてみまして、相当いままで実績上げていますよという認識じゃ、私は認識の土台が狂っているんじゃないか、こういうふうに思うんです。その辺はどういうふうにヒヤリング等で理解しているんですか。
  158. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 私が申し上げましたのは、全国的規模で見た場合に、住宅改修あるいは隣保館等関係施設の整備あるいは上下水道の整備等、いま相当程度進んできている。ただ、地域によって非常に問題が変わってくるところがあろうと思います。ですから、今度のヒヤリングにつきましても、どのような問題があるのか、あるいはいつになったら実施が可能かというようなこともあわせて十分把握願うようにお話しを申し上げているところでございます。
  159. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 特措法の三年間延長の趣旨、これは提案理由によりますと、特措法によって必要な特別の措置を講じてきたが、五十年調査による物的事業の必要量が五十四年度以降も相当量あるので、必要な特別の措置を引き続き講じるためと、こうなっていますね。この趣旨からいきますと、先ほども論議がありましたが、三年間の延長期間中には附帯決議を、もちろんその趣旨を体してやらなければいけませんが、現実にもう一年経過しています。残り期間二年ですね。この経過をしてきた一年間の実績を踏まえまして、したがって同和地区関係の具体的な実情というのはどういうふうに変化をしているか、その変化の状況についてきちっと説明できますか。
  160. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) いまここでどの地域がどうなったというようなことは申し上げる材料を持っておりませんが、当時、五十年調査で把握いたしました事業量が一兆二千億でございまして、それに要する国費べースで考えますと七千六百四十億というような数字になっていたかと思います。五十年以降、五十四年度までに計上いたしました予算額、物的整備関係で六千二百八十億に達しております。物価の上昇等も考慮いたしましても、今年さらに二千億を上回る物的整備事業費の予算を計上さしていただいておりますので、御承認いただければ、五十六年度までには、少なくとも五十年調査で把握した事業量、全体としての事業量等は何とか消化できるのではなかろうかとわれわれは期待もいたしておりますし、これはどうしてもそこまでもっていく必要があるという努力をしてまいる覚悟であります。
  161. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、三年間延長で、現在ヒヤリングをやっているというのは、五十年度調査におきます残事業量はそれが完了すれば一応その線で打ち切って、ただ、完了した段階でなおかつ問題が残っておればと、こういう立場の調査ですか。
  162. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 現在ヒヤリングやっておりますのは、今後どれほどの物的施設の整備が必要かというヒヤリングが中心でございますので、五十年調査をもとに、あるいは五十年調査でしたものがどれだけ残っているかという調査ではございません。現に同和地区を抱えていらっしゃる市町村方に今後どのような同和対策事業をどれだけ必要とされているかということについてのヒヤリングでございます。
  163. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 後でまたヒヤリングには触れますが、一月三十日の本院の本会議で、松本議員の質問に大平総理は、政府は同和問題の早期解決を図るために、特措法に基づき各般の措置を講じているが、その期限延長の際の附帯決議があり、この趣旨を尊重して、関係事業の一層の推進に努め、期待にこたえなければならぬ、また小渕長官、あなたは二月四日の衆議院の予算の総括質問で、坂井議員の問いに答えて、同法は二年残っているが、その間に十分附帯決議の趣旨を実行していくため、各省庁を通じ現在実態の把握に努めている、こう答弁されているわけですね。この二つの答弁をながめてみますと、どうも流れとしては同じようには見えておっても、総理と長官の間に何か意識の食い違いがあると思うんですが、お感じになりませんか。
  164. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 全く総理の御意思と変わらないと理解しております。
  165. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうすると、理解は変わらないけれども、言い回しで予防線を張っていると、こういうことでしょうかね。附帯決議の第一項の実施の問題について、実態把握に今日まで置いてきたことは何回か言われている。ところが、附帯決議の趣旨というのは実態把握だけじゃないんですよね。これはセットになっていると思います。  まず第一は、一点目は「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討」せいと、こうなっているわけですよ。これは私は一つの流れであってセットなんだと。その趣旨を尊重するということになりますと、私はそのセットでもって今日これが進められていなければならぬと、こう思うんですが、一点目を通じて見ても何か問題があるんじゃありませんか。
  166. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) まさしくその実態の把握というのは、単に実態がわかればいいということじゃございませんで、それに基づいて必要な施策を効果的に進めるためのいわば基礎資料を得る目的の作業でございますので、当然に今後同和問題を早期に解決するためにはどのような施策をどう進めたらいいかと。今後の施策のあり方が中心課題であることは言うまでもありませんし、常にわれわれはそのような形で制度、施策の見直しを行ってきているわけでございますので、現在も関係省庁と共同しながら今後に向かいまして、同和問題の早期解決を図るための施策の展開の仕方、方向等についての検討を進めているところでございます。その際、今後把握します資料も当然その素材として活用することになることは申すまでもありません。
  167. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 答弁された小島室長自体が問題発言をしている。それは何かと言いますと、私は総理と長官の意識の食い違い、これを指摘をしていますのは、その後のあなた方の答弁を見ても私は指摘ができる。微妙な食い違いがある。ところが、きわめて基本的なんです。それはなぜかといいますと、この附帯決議の問題に関して当然法の改正が検討されておってしかるべきじゃないのか。ところが、この法の改正という問題はいまは答える時期でもないし、いまはそのことがどうかという検討の時期でもない、いまは実態把握ですよと。分離をしているんですよね。しかも、したがってそのことを聞きますと、たとえば三月の四日の予算第一分科会で沖本議員の質問に対して長官は、これは「法律の存否にかかわらず」と、存否という否、否定の否がなぜ答弁の中から出てくるんですか。私それ問題だと思うんですよ。法の存続をどういうふうにするかという、「法の存否にかかわらず」というのは一体どうなんですか。附帯決議に法の総合的な存否の問題まで触れているんですか。「総合的改正及びその運営の改善」と、こうはっきりしているんですよ。ここに趣旨のあなた方の間違った認識というのが存在をするんじゃないかと。同じく室長は、同じ分科会で野坂委員質問に対して、長官の意思を受けまして、「法の要否も含めて」、同じことですよ。要るか要らないかも検討する。法が存在しているか否かも検討するんだと。こういう答弁は私は、附帯決議を尊重しているという趣旨から言ったらまるっきり外れている、こういうふうに言わざるを得ぬ。私は訂正を願いたいと思うんですがね。
  168. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 長官が申し上げましたのも、非常に同和対策の重要性と今後という趣旨でありますし、私の申し上げましたのは、まさしく今後の同和施策を効果的に進めていくためにはどのような施策の方向をたどらなければならないか、どんな施策の内容が必要かということを検討してまいりますので、それの結果としてどのような法律が要るのか、あるいは現行法のままでもいいのか。さらには、この法律が期限が切れてもほかの法律とかなんとかという形になるのか、あるいはほかの法体系の中でも十分対処できるのかという、それは検討の結果の問題であろうかと思っております。まさしく、要はどのような中身の施策がどのような形で必要であろうか、それを実施するためにどのような法的措置が必要となろうか、あるいは要るのか要らないのかということも含めて当然検討の対象となるということを申し上げたところでございます。
  169. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 私が御答弁申し上げましたのは、この同和対策の問題はきわめて重要な問題でありまして、現在こういう問題がなおわが国の中に存しておるということの実態は、いわば憲法十四条で保障された人権というものに基本法も保障しておりながら、なおかつこういった問題が起こってくる事態はまことに残念なことだと、したがって法律が存在するあるいは存在しないにかかわらず、この同和問題の重要性については十分心得ているという一般的なことを御答弁申し上げたことでございまして、この同和法の改正あるいは延長の問題について言及したことでないことだけ御理解をいただきたいと思います。  以下は室長が申し述べたことと同様の考え方でございます。
  170. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 日本語というのは大変むずかしくて、しかも私のわずかな経験でありましても、頭のいい政府機関の官僚の皆さんは表現のちょっとした違いであっても、それがそのときの政治方向によって揺れるように幅を持って引用するのが例なんです。それだけに、私は厳密にこの辺は政治家としての長官が配意をして、言葉遣いをしていただくようにぜひとも今後の問題もありますのでお願いをしておかなきゃならぬと思います。とりわけ参議院の内閣委員会でこの特措法が延長されますときに、私どもの野田議員が当時の稻村総務長官に対して質問をしましたときに、稻村長官はこう言っているんです。質問は、三年延長という意味というのは、打ち切りではなく再延長を含んでいるのか、こういう趣旨の質問なんですよ。これに対しまして稻村長官は、きのう衆議院を通過しましたが、そのとき附帯決議もつけられております。そしてそういう意味でこのたびの三年間の延長というのはこれをもって打ち切るというのではありません。明確にしているんですね。「そういう意味で、この三年間の中で今後同和対策事業をどう進めていくか。」云々と、こう続いているんです。これは当時の認識と、あなた方内閣を引き継いできているとはいうものの、私は今日の心境は引き継いでいる形の中に、さらに前進をさせていくというそういう形のものがなくて、むしろこれは少しく後退ぎみじゃないかというふうにわれわれが認識をせざるを得ないような形にやっぱり各所各所で出てきている。こういうふうに思うんです。これは真剣に取り組まれておるのにと、こういうふうに私の質問を聞いてお怒りかわかりませんが、私どももあなた方の誠意というものが本当に前に向いてなるほどなあと理解のいけるように国会での審議、あるいは具体的な実効というものが上がるようにぜひとも要請をしていきたい。受けとめていただけますか。
  171. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 同和対策事業特別措置法延長の段階での当時の稻村長官の発言については私どもも十分承知をいたしておるところでございます。委員指摘をいただきました発言もそのとおりでございます。しかし、稻村長官の発言は、その他すべてにわたりまして述べられておることでございますので、私どもは稻村長官の当時の発言のすべてを引き受け、かつそのときに行われましたこの法案審議におけるその審査の過程も十分踏まえながら現在法律を運営、運用さしていただいておるわけでございますので、私どもはそのときのさらに附帯決議の趣旨も十分踏まえてやっておるつもりでございますので、いささかも変更があるとは考えておらない次第でございます。
  172. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この附帯決議をつけて法が延長されましたときの内閣とはいまもう内閣は交代しておりますね。交代はしましたが、その精神はずっと引き継がれている。これは確認をしておきます。  そこで、その当時実態の掌握がそれぞれの省の責任者が余りしてないんじゃないかという立場から、各大臣みずからいわゆる地区に出かけて視察をしたらどうか、こういうことが各省でやっぱり問題になりました。それにこたえられて当時の各大臣現地視察をやられているわけですね。私はその思想もやっぱりいま引き継いでもらいたいと思うんですが、小渕長官、あなたがなるべく早い時期にその機会をつくってそして現地視察をやっていただく、こういう気持ちはおありでしょうか。もしあるとすれば大体いつごろは行きたいなあということがお話できますでしょうか。
  173. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 私も速やかにその機会を得て現地調査いたしてみたいと思っております。現在、国会開会中でございますので無理かと存じますけれども、終了後できる限り早い機会にその機会を得たいと存じております。
  174. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 同時に、長官として関係の各大臣にも視察を要請をすべきだろうと思いますし、ぜひ各大臣にも行ってもらいたい。これ実現してもらいたいと思います。  それから関係大臣ということになりますと、この特措法の中に並んでいる署名のところが関係大臣と、こうなっているんです。ところが私は郵便局の出身なんです。郵政省はありません。ところが、郵政省にも現実に部落の環境改善という立場から見ましても、あるいは生活水準をどう向上さしていくかという立場から見ましても、郵政省として持たなけりゃならぬ施策というのは必ずあるんです。そうなりますと、今日までの関係各省という認識というものはもう少し総合的にながめて再検討されなきゃならぬと思うんです。したがって、そういう意味も含めまして、私はそれこそ全大臣が必ず行ってもらうとこういうふうに思いますが、これも約束いただけますでしょうか。
  175. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 委員からお話のありましたことは、それこそ関係大臣に十分お伝えをいたしたいと思いますし、またいま郵政省のお話も出ました。大臣どうおとりになるかわかりませんけれども、これまた本委員会で御発言のありましたことをお伝えをいたしておきます。
  176. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 これは先ほども出ましたが、地区数の問題ですね、五十年調査の地区数と先ほどは第八の地名総鑑との数字の問題が佐藤委員から出されましたが、私は昭和十年に国が調査を行っている地区数、この地区数と比較をしましても八百三十六地区いま現に存在をするんです。この差は一体どこからきているんだろうか、これらについてもう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  177. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) これも、昭和十年調査と申しますのは、中央融和事業協会に願った調査だというふうに聞いております。その後も昭和に入りましてからも、三十三年には厚生省、三十八、四十二、四十六とそれは総理府が、あるいは同和対策審議会等を煩わして調査をしておるという経緯があろうと思いますが、その時期時期が数字はいつも違ってまいっております。特に昭和に入りまして、いわゆる先生指摘のように、十年のこの協会調査は確かに五千を超える数になっておりますが、その後の調査で見ますと、一番多いのがむしろ五十年調査になってまいっております。調査する場合の定義規定や何かも、地区をどのように把握するか、地区の概念をどのように把握するかというふうなものも違ってまいっている場合もあろうかと思っております。それから、かつて地区であったところがすでにもう地区というふうな把握を必要としない状態になっておるというところもあるんではなかろうかと考えております。いずれにいたしましても、五十年調査は同和対策特別措置法の概念規定に基づきます調査でございますので、先ほども申し上げましたように、かつて歴史的にそのように取り扱われた、あるいは地域のすべてが対象になるという性質のものでないことは御理解願いたいと思います。
  178. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この数字にこだわりますのは、五十年調査がきわめて何かにつけての基礎になっている。私はその基礎に含まれてない地区がたくさん現実に存在するんじゃないのか、このことをもう少し私は認識をしてもらわざるを得ぬだろう、実態把握という点について。なぜかと言いますと、昭和十年の調査では五千三百六十五地区ですね、先ほど佐藤委員が引用されました第八の地名総鑑とは一地区違うんです。たった一地区だけの相違なんです、総数におきまして。ここに大きく私は昭和十年の調査、それから地名総鑑におけるところの調査というのは、こんなこと言っていいかどうかという問題もありましょうが、私は比較的正確性を持っている。そうすると、政府の調査はそういう意味からいくと不正確というふうに言わざるを得ない。その理由は何かと言うと、先ほどから討論されていますように、国が事業を遂行していくための一つの基準がある。その基準に合致をするところについては対象になる。市町村もそういう理解に立つ。だから具体的に上がっていく。ところが具体的に言って少数点在等、事業基準の対象にならない地域についてはやはりこの調査の対象にされてない、そこに一番大きな問題があるんじゃないのか。それが今日その差と思われるいわゆる八百三十六地区あるいは八百三十五地区といいますか、こういうふうに出てきておる大きな要因ではないのか。私は少なくともこの差別をなくしていくという観点でやるとするならば、たとえ一戸であろうと、一人であろうと、そこに歴史的な経過を踏まえて差別地域というふうに存在をしているものについては、それをどう解消していくかということについてその実態を把握をし、それが国の事業としての対象になるかならないかという観点は別にして、全体を掌握するというのでなければ私は国の実態把握ということにならない、こういうふうに思うんです。私はそういう観点から見ますと、いま五十年調査を基礎にして、そして市町村なり何なり補完をする立場でヒヤリングをやっていること自体、私は底辺が、一番もとがやはりまだあやふやではないのか、不十分さがあるのではないか、こういうふうに言わざるを得ないと思うんです。いかがでしょうか。
  179. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 確かに住宅改善事業などについてはある一定の基準があるものもございます。しかし、地区としてとらえます場合にそのような事業の対象になるかどうかという面よりも、現に歴史的社会的事由によって生活環境等の安定が阻害されているかどうか、そういう地域を把握することでやってまいっておりますし、それが地域については、たとえば環境整備なんかについても上下水道問題は当然戸数が少なくても対象になります、地区改善事業の対象になろうかと思いますし。それから個人を対象とした施策、先生指摘のようなものも当然あるわけでございますので、そのようなある種の理由、設けておる基準がこのような地区を正確に把握する阻害要因になっているという理解はわれわれはしておりませんが。
  180. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ただ、具体的には、先ほどいみじくもお答えになりましたが、いわゆる国の事業と、それから県、市町村の単独事業と差がありますね。その差については参考までに実態把握の中に入れている、こう言うけれども、国の事業の対象にもならない、県、市町村の事業の対象にもなってない被差別部落があるということについて、これはきちっと認識をしていてもらわなきゃ困ると思うんです。そこから出発をしませんと差別はなくなりませんよ。その数字が先ほど言っている数字になるかどうか私は知りません。知りませんけれども、私は昭和十年の調査、これは国がやられた調査ですから、どこに委託をされようと調査ですから、その調査と五十年調査の差がこれだけあるとするなら、あなたがさっき答弁をされましたように、ここはもう完全に地域的になくなりました、そういう関係は一切ありません、こういうふうに言えるんならまだしも、仮にそうなりましても私はこの差別の問題、具体的には国全体が一度になくなっていきませんと解消できないと思っているんです、正直に言いまして。形から見てここはなくなりました、こう言いましても、そこに住んでいた人たちは追跡調査もされまして、そうして現実に結婚その他で——これはあなた方の問題意識調査報告書の中にも出ているんじゃありませんか。これのまとめの中に私は明確になっていると思うんです。この最後の項には、「国民的課題といわれながら、地区外住民には同和地区の実態、同和地区住民の生活、更に人権など同和問題への理解は往時より進んでいるとは言いうるとしても、多くの人々は他人事として同和問題の解決には無関心であり、まだ一部にはなお根強い誤解や偏見が存在している」。だからこれはきわめて教育が必要だということを、啓発活動が必要だということを言っているんですけれども、こういう実態が存在をしているという限りは、私は簡単に地区がなくなったりなんかするという話にはならないと思うんです。  あなた方の出していますこの資料版、これも正確に読んでください。人員が違ってますね。同じ資料の中で二名違いますよ、二名。これは読んでみておいてください。これは活字が欠落をしたのかどうか知りません。しかし、それにしてももっと注意を払うべきであろうと。二名については一体どうなってるんだろうと。こういう注意というものがなければ、私は本当に誠意を持って対処をしているという話にならぬと思うんです。ぜひひとつその辺の整理をして進んでもらいたい、こういうふうに思うんですが、どうでしょう、賛成していただけますかね。
  181. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) まさしく同和問題は国政の最重点課題の一つでございますので、各省とも積極的あるいは注意深く、細心の努力を払っていくべきものだと考えております。そのような心構えで今後努力してまいるつもりでおります。
  182. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ところで、建設省は五十年のこの資料を全部廃棄したと、まあこういう話を聞いていますし、それは建設省だけではなくて関係各省全部廃棄したんだと、こういうふうに聞いているわけですが、廃棄をしたけれども五十年を基礎にして調査をするということは、物理的に支障がない、あるいは支障のない方法をとっている、こういうふうに理解できるんでしょうか。
  183. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 五十年調査に用いました調査手法、それにのっとりまして現在ヒヤリングをやっておるわけでございますので、今後に残された課題をつかみます場合には、十分支障なくできるものと考えております。
  184. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どうもその認識は、建設省との討議の内容からいきますと、そういうふうになかなか理解できないんですがね。きちっと各省、基礎の問題ですから、整理をしておいてもらいたいと思いますよ。資料はない。ないけれど、それは一旦把握をした数字の面から言って支障がない。しかも、現実の調査に基づいて、そうしてその五十年調査の把握した金額に間違いがないのかどうか、こういう観点からいけば、もう一遍こう整理し直さなきゃなりませんからね。その辺がきちっとできてるのかどうか、これも関係各省全部ですから。資料を、まあいろんな事情があったと思いますが、廃棄処分したことも、私は基礎調査だけにきわめてけしからぬ行為じゃないかと、こういうふうに思うんです。ぜひその辺の指導をしてもらいたいと思いますが、いいですか。
  185. 小島弘仲

    政府委員(小島弘仲君) 調査に当たりましては、各省十分にいろいろ打ち合わせをいたしまして進んでおりますので、遺憾のないような調査ができるものと考えております。
  186. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それでは、同対協の問題について、現在この委員の選考中で、具体的にこの審議ができない状態になってる、こういうふうに聞いているわけですが、これはもうけしからぬことだと思うんですよね。何とか早く私はこの活動をできるようにしてもらわなきゃ困ると思うんです。  したがって、そういう意味合いで、今後の見通しはどうなっておるのか、そして早期に実効の上がる運営というのができていくのか、この辺の問題についてひとつきちっとした答弁をしてください。
  187. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 同和対策協議会につきましては、学識経験者委員の選任に関しまして現在関係者と鋭意折衝中でございますが、まことに残念ながら現在その選任に至っていない状況でございます。  言うまでもありませんが、同協議会は同和対策推進に当たりましてまことに重要な機関であることにかんがみまして、関係者の理解と協力を得て一日も早く選任を終えまして、協議会が期待される機能を十分発揮できるような形で努力をいたしておるところでございますが、私も前大臣から引き継いでおりまして、現在協議会が開かれない状況になっておることはまことに申しわけなく思っておりますので、さらに積極的に努力をいたしまして、委員の選任に努めまして、この大きな役割りを果たしてきた協議会が開かれますように最善の努力をいたしてまいりたいと存じております。
  188. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって坂倉藤吾君の質疑は終了いたしました。  次に馬場富君の質疑を行います。馬場富君。
  189. 馬場富

    馬場富君 私は、交通事故の問題についてお尋ねいたしますが、特に交通事故の死傷者の中で最近自転車の事故が非常に頻発しておりますので、自転車事故による死傷者の実態はどうなっておるのか、ひとつお尋ねいたします。
  190. 斉藤隆

    説明員(斉藤隆君) お答え申し上げます。  自転車の事故が年間どのぐらいあるのかというお尋ねでございますが、自転車の事故は年間で八万三千三百件ほど発生をいたしております。そして、自転車の事故によりまして自転車乗りで亡くなった方が千四名という状況でございます。
  191. 馬場富

    馬場富君 ところで、最近の自転車は非常に高性能化されまして、スピードもかなりよく出るというようなことで、まあ自転車だというと大したことはないという私たちの感じでございましたけれども、被害者等のいろんな話を聞きますと、やはり自転車同士の、あるいは人と自転車、こういうような事故というのはかなり頻発しておるということが実はわかってきたわけです。そういう点で、やはり自転車も一つは走る凶器だというような点にもとられる面があちこちであるわけですね。そういう点で、重傷事故になるケースもありまして、そうした自転車がやはり加害者になっている、そういう自転車事故の死傷者の実態というのはどうなっておるでしょうか。
  192. 斉藤隆

    説明員(斉藤隆君) お答えいたします。  いま先生の御質問の自転車が加害者となって歩行者との事故あるいは自転車同士の事故がどのぐらいかということでございますが、昨年中の統計で申し上げますと、自転車対歩行者の事故が発生いたしましたのが年間で三百八十件ございます。それで、その事故によって亡くなられた方が八人、けがをされた方が四百七人、それから自転車と自転車の衝突事故といいますか、これが百五十八件、亡くなられた方が四人で負傷者の方が百七十六人という実態でございます。
  193. 馬場富

    馬場富君 ここで非常に問題なのは、自転車でもかなり重傷者が出ておるということですね。それから、老人等が、自転車なんか大したことないというようなことだと思いますけれども、やはり死亡しておる例もずいぶんありますし、それからまた、加害者が非常に自動車とは違って支払い能力がないというようなことで、やはりこの交通事故の事後処理ということについても非常に困った面がずいぶんできてきておると、こういうようなことです。特に、自転車による死亡というのは世界的に見てみましても非常に日本が高率を示しておるわけですね。事故の死者の中の一一・七%あたりを示しておる。こういうような状況ですが、こういう中でこれからの対策というものを非常にこれは考えなきゃいかぬということになりますが、そういう点につきましての、こういう自転車の事故のふえる傾向をどのように対策していくかという点で、警察庁あるいは総理府あるいはその関係者の方々から、ひとつ対策あるいは被害補償等について説明していただきたいと思います。
  194. 斉藤隆

    説明員(斉藤隆君) いまの御質問の前段の事故防止の問題につきまして警察の方でとっております施策等につきましてお答えを申し上げたいと思います。  ただいま先生指摘ございましたように、わが国の交通事故死者は年々減少しておる、その中でも自転車の占める割合が高いということ、先生の御指摘のとおりでございまして、それで私どもといたしましては、自転車利用者の加害事故を防ぐとともに、自転車のまず利用者の秩序づけを図ろうということで、一昨年の道路交通法の改正で大まかに次の四点を中心に法改正をお願いして実施しておるわけでございます。  そのまず第一点は、交差点における自転車利用者の保護と歩行者の保護を目的といたしまして、横断歩道における自転車と歩行者の競合を避けるために新たに自転車横断帯を設けたということでございます。これ、ちなみに現在二万五百本ほどのそういうものを設けてございます。  それから、御案内のとおり、歩道を自転車通行可という規制を行っておる関係上、歩道を通ることの自転車というものの定義、大きさ等を決めまして、その基準に合致したものを普通自転車として歩道を通行することを認めるというような制度をとったわけでございます。  それから、三番目の問題といたしましては、そのように歩道を自転車と歩行者が共通して歩くことになりますので、自転車は歩道の車道寄りの部分を走るように、また、歩行者の通行を妨げるときには一時停止をするようにといったような道交法上の義務づけをしたわけでございます。  さらに第四点といたしましては、自転車の整備不良に起因する事故というものも存外ございますので、自転車の制動装置、いわゆるブレーキだとか反射器材が不備な自転車は乗ってはならぬというような義務づけをしたわけでございます。そして、一昨年の十二月から施行になりまして、昨年一年間の街頭指導を強化しまして見てみますと、現場で指導いたしましたのが月平均十六万件ございます。そのうち、いわゆるブレーキだとか反射器材だとかといった自転車の制動装備の不備のものが約半分の八万件、それから通行方法の間違っておったものが八万件といったような状況でございまして、そういう意味で指導を強める一方、自転車の点検整備及び安全利用を図る観点から安全整備士制度というのを通産省さんの方と協力し合いまして設けまして、三月までに約四万五千人の体制を組んでございますので、それらと相まちまして、いま先生指摘いただきました自転車事故の防止を今後とも図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  195. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘にありましたように、自転車の数が五千万台を超えるというような大変な数になってきておるわけでございまして、台数がふえれば残念ながらまた事故もふえてくるというような状況でございます。  私どもといたしましては、自転車の安全利用対策につきましては、現行の第二次交通安全基本計画におきましても重要な柱の一つである、こういう観点で、道路の交通環境の整備、自転車の安全利用教育の普及等各般にわたる施策を講じておるところでございまして、今後とも関係省庁と十分密接な連絡をとりまして強力な施策を進めてまいりたい、このように考えております。
  196. 馬場富

    馬場富君 通産の方来ていらっしゃると思いますが、通産の方で、いわゆる自転車をつくられる立場から、正確には日本の自転車の保有台数というのはどれだけかということ、それから通産側としてこの自転車の事故対策についてはどのように御配慮してみえるか、ひとつお伺いします。
  197. 三野正博

    説明員(三野正博君) お答え申し上げます。  自転車の普及でございますけれども、四十七、八年のバイコロジーブーム以後若干下火になっておりましたけれども、それでも一応年間五、六百万台普及してまいりまして、私どもの推定では、五十四年末、昨年末で日本の保有台数は四千九百五十万台程度というようにいたしております。約四千九百五十万台、現在日本国内で使われておるものと考えております。  それで、自転車の安全対策でございますけれども、私ども自転車を所管する省庁といたしまして、まず何よりも自転車そのものの安全性を高めるということで、自転車の工業品規格を制定するとか、あるいは業界を指導いたしまして自主安全基準を制定する等いたしまして自転車の生産段階における安全性の確保、さらに先生承知のとおり、自転車は小売店で組み立てられて売られるものでございますものですから、組み立て段階における技術というものが自転車そのものの安全にとってきわめて重要なことでございまして、先ほど警察庁の課長からも御説明ございましたように、私どもといたしましては、そういう小売店における組み立て整備士という技術者の検定制度というものを普及いたしまして、まず第一段階としては自転車そのものの安全性の確保に努めているわけでございます。それから使用中の自転車というものにつきましては、アフターサービス体制と申しますか、点検修理の体制を整えるのはもちろんでございますけれども、たとえば、通学用の自転車につきまして全国で七千校を選びまして、私ども、小売商、警察、交通安全協会の御協力も得ながら無料点検事業をするとか、あるいは一般消費者の教育のために教材を提供する等いたしまして自転車が広く一般国民の足として安全に利用されるよう努力しておる次第でございます。
  198. 馬場富

    馬場富君 いま対策についてお尋ねいたしましたが、私どもが特に最近これを取り上げる理由は、交通事故の相談で、自転車同士とか人と自転車の事故という相談が非常に多いわけですね。それできょう質問するわけですけれども、その多くは、慰謝料とかあるいはせめても治療費だけとかいうことで相談に見えるわけですけども、御存じのように自動車には自賠責がございますけれども、自転車の場合はこういう保険制度がないというふうな現状の中で非常にこの点で困ったという方が多いわけですね、先ほどもお話しましたように、加害者としても支払い能力のない方等も多いわけですから。そういう点で、ここらあたりの事故の賠償問題につきまして、おのおのひとつ、大蔵、運輸という立場で御説明いただきたいと思います。
  199. 水谷文彦

    説明員(水谷文彦君) お答えをいたします。  私ども任意保険を担当しておるわけでございますけれども、先ほどからお話のございました自転車が加害者である交通事故としましては、自転車が歩行者や他の自転車と衝突してけがをさせるとか、他人の財物を破損したときの賠償事故、つまり対人対物の賠償事故が考えられますけれども、このような賠償事故を補償する自転車に専用の保険としましてバイコロジー保険というものがございます。なお、このバイコロジー保険はこのような賠償事故を補償しますほか、みずからの傷害事故や自転車の盗難、破損など自転車に伴う危険を広く担保する総合的な保険でございます。さらに広く一般的に加害者の負担すべき賠償責任を担保する保険としまして賠償責任保険というものがございますが、契約者との特約によりまして、これによって特に自転車の所有、使用等に起因する賠償事故を担保することが可能でございます。後ほど通産省の方からあるいは御説明があるかとも存じますが、現在自転車のメーカーや販売者がこのような賠償責任保険等の制度を利用しまして、その発売する自転車に起因します各種の損害を購入者のためにセットで担保する保険としましていわゆる商品付帯の自転車保険があるわけでございます。
  200. 渡辺純一郎

    説明員渡辺純一郎君) 運輸省の所掌しております自賠責制度について御説明申し上げます。  自動車損害賠償保障制度は自動車事故の増大に対処いたしまして、その被害者の救済を図るということを目的といたしまして、自動車損害賠償保障法により創設されたものでございます。  その中身でございますが、同法には加害者の損害賠償責任の強化、それからいわゆる強制保険であります自動車損害賠償責任保険、さらにはひき逃げ無保険対策といたしまして政府の保障事業、この三つを柱といたしまして、人身事故の被害者の保護に努めてきておるわけでございます。  先生指摘の自転車はこの保障制度の対象となってない現状でございます。
  201. 三野正博

    説明員(三野正博君) 御説明申し上げます。  自転車の保険につきましては、まず第一に自転車の構造的な欠陥によります事故につきましては、先生御高承のとおり、生産物賠償責任というのがございまして、現在メーカーの負担においてほとんどすべての自転車に付保されている状況でございます。それから、その次に使用者の責任によります事故、対人対物の事故の賠償につきましては、メーカーが消費者サービスの一環といたしまして、現在保険会社と話をいたしまして、消費者が多くの場合は店先で自転車を購入されますときに、小売店に申し入れをいたしますと、盗難、傷害とあわせまして第三者に対する対人対物の賠償保険というのに加入できるような状況になっております。ただ、残念ながら現実の加入率そのものは低うございますので、私どもその普及に今後とも努めていきたいと考えておるわけでございます。
  202. 馬場富

    馬場富君 たとえばこういうことも先般ございました。自転車によるひき逃げというようなことがあって、事実あったわけですけれども、そういう点でお年寄りの主婦がそのために脳内出血で死亡した。だが、補償問題が、相手がいないということで、自動車の場合は先ほどのように自賠責がございますけれども、自転車の場合はそういう対処ができないということで困った相談等がございましたが、こういうような立場からも、やはり今後こういう強制保険的な、そういう一つは配慮とか、方向性は考えられぬものかどうかということをお尋ねいたします。
  203. 三野正博

    説明員(三野正博君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、現段階では、私どもといたしましては、新しく車をお買いになるときの総合保険というものの加入率が非常に低うございますので、関係団体を指導し、消費者の理解を得ながらこういう賠償責任保険の普及徹底というものに努めてまいりたいと考えておりまして、強制保険制度の導入というのは、現段階ではむしろそういう任意保険制度の普及というものを見ながら検討していくべきものでないかと考えておる次第でございます。
  204. 渡辺純一郎

    説明員渡辺純一郎君) ただいま自転車につきましての御質問でございますが、私どもの方で答えるべきかどうか別といたしまして、このような制度につきまして自動車と同じような仕組みをやるという場合には、いろいろむずかしい困難な点があるかと思いますが、新たな法的措置が必要であるんではないかというふうに考えております。
  205. 馬場富

    馬場富君 そこで、いろんな被害者や加害者やそういうやはり人たちの声を総合しまして、また、いま皆さん方の御返事を聞きまして、いま運輸省が指導してみえます自転車を購入する場合に賠償保険を織り込みいわゆる結局自転車の保険としていくというような制度の中で、いま一応あるということをおっしゃっていますが、そういう点で、これはやはり五千万台も保有しておる国民人たちが安易に入れるようなPRとそういう制度化をもう少し考えてもらって、簡単な方法で、買うときに少々のやはり金額をプラスすることによっていつでもその問題が起こったときに、死亡については、また、けがについてはどのような補償をするというようなことを考えていく簡易な方法とそのPR等について考えていただきたいという一点がございますが、この点はどうでしょうか。
  206. 三野正博

    説明員(三野正博君) 御説明申し上げます。  先ほど申し上げました傷害、盗難、対人対物賠償保険のユーザーが負担します保険料でございますけれども、大体対人の場合五十万ないし三十万、対物の場合も五十万から三十万程度、あと傷害保険がまた三十万とか百万ございますけれども、大体三百五十円ぐらいから七百五十円程度で一年間の有効期間の保障があるわけでございます。先生御提案のように、こういう給付内容とあわせまして、保険料率を検討してもう少し消費者の方が入りやすいという方法を検討しろという御提案だと思いますけれども、具体的に現在メーカーと保険会社が話し合いを進めておりまして、その中でやはり若干どうしても事務コストがかかるかと思いますものですから、そういう事務コストのことも考え、いかにしたらユーザーが入りやすくなるかという前向きの方向関係団体を指導し、あるいは消費者の理解を深めながら今後検討し、普及するように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  207. 馬場富

    馬場富君 もう一つの提案は、いま市町村で、これは限定されておりますけれども、交通共済制度というのがございます。そうして少々の、年間三百円ほどの掛金をしておけば事故のあったときに死亡や負傷においての補償をしてもらえるという制度がいま設けられておりますけれども、これも地域的にできておるところとできてないところとがございますけれども、やはりこういう形も一案ではないか。そういう点で、ひとつ自治省あたりがよく指導をしていただきまして、そうしてこういう共済制度に対して多少でも、全国的にそういう普及が認められる場合には何がしかやはり補助体制でも考えていくとかいうような形での交通共済制度の拡大によって、そういう自転車事故に対する補償等を考えていくという案もございますが、この点はどうでしょうか。
  208. 木村仁

    説明員(木村仁君) 交通災害共済において自転車に対する事故がどういうふうに取り扱われておりますか、現在把握いたしておりませんが、一、二実例を調べましたところ、自転車対歩行者という事故発生に対する災害共済も実施しているようにうかがわれます。この問題につきましては、各市町村が自主的に実施しておる事柄でございますので、今後の成り行きを注視してまいりたいと考えております。
  209. 馬場富

    馬場富君 もう一点は、薬害被害者に対して救済している補償基金制度がございますけれども、こういうように自転車にも自転車事故補償基金というものをやっぱり創設して、そういう被害者の救済を考えていくと、こういう点も一理あるんですが、この点はどうでしょうか。
  210. 三野正博

    説明員(三野正博君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、事故に伴います被害者の救済問題というものは、私ども非常に重要なものと考えておるわけでございますけれども、自転車の使用者が誤った操作をいたしまして第三者に事故を及ぼした場合というのは、多くはその使用者の責任において処理すべき性格のものと考えておりますし、かつ、自動車等に比べて事故が少ないという状況で、なかなか国民の、あるいは関係者の理解もむずかしいのじゃないかと。    〔主査退席、副主査着席〕 こういう新しい基金をつくるにつきまして、関係者の納得を得ることは、現段階ではきわめてむずかしいのじゃないかと考えておるわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、被害者救済の強化ということの必要は、先生指摘いただいているとおりでございますので、私どもといたしましては、関係団体を指導して、消費者にそういう交通事故問題、救済問題についての理解を深めていただくとともに、関係団体と協力いたしまして、障害対物賠償責任保険等の普及に努めてまいりたいと考えてる次第でございます。
  211. 馬場富

    馬場富君 長官にまとめて。  いま質疑の中でおわかりいただいたと思いますが、そういうわけで、私たちは自転車というのを非常に軽く考えておったわけですけれども、私たちも市民運動を通しまして、相当数こういう問題が起こるし、また、このために非常に困ったという問題がかなり自動車なんかよりは切実な問題があるわけです。そういう点で、どうかそういう担当省といたしまして、いまいろんな対策の問題とあわせまして、補償等の問題についてもひとつ警察関係や各省庁ともよく連携を持っていただきまして、万全の体制ができるような方法をお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  212. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ただいま委員政府委員とのやりとりをお聞きをいたしておりまして、自転車による事故の問題、大変シビアな問題が起こってきていることの認識は改めて深くいたした次第でございます。  そこで、これをいかなる形で被害者、その他救済していくかという問題につきましては、いろんな方法が考えられておりまして、現在任意の保険はあるようでございますが、強制保険の問題につきましてはまだその以前として、この任意保険の問題をもっとPRもしなきゃならぬというような立場で現在考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、重大な問題だと心得ておりますので、関係省庁と十分連絡とりまして、事故を起こさないことがまあ前提でございますが、万が一そうした事態が起こった場合には、事故を起こした者、あるいは被害を受けた者等が、そのことによってより以上の悲劇とならないように最善を尽くすように努力をいたしていきたいと、このように考えております。
  213. 馬場富

    馬場富君 最後に一点だけお尋ねいたしますが、戦傷病者の傷病年金のことでございますが、これもやはり関係者が、軽度の場合には款症等については有期の制度がございますけれども、御存じのように、戦後はや三十五年たちますし、それからもうその方々もほとんど六十歳以上を越して老齢化しておる立場の方々がみんな多いわけです。そういう関係の方々からよく陳情を受けるわけですけれども、やはりもうほとんどそういう状況で、長年有期で更新更新でくるわけですけれども、ほとんど固定化しておる人たちもかなり多いように私たちも聞くわけでございますが、そういうことにつきまして、ここらあたりでやはり長年月その制度を繰り返されておるわけだし、これ以上そういう関係者もふえるわけありませんし、減少するし、だんだん老齢化される方ばかりでございますが、そういう点につきまして、固定症状等の関係を中心にいたしまして有期からやはり無期化して、一つは、そういう方も考えてあげる方向を見出すべきではないかというふうに私は時期的にも考えるわけですけれども、どうでしょうか、その点。
  214. 小熊鐵雄

    政府委員(小熊鐵雄君) ただいま御指摘の、傷病恩給の有期、無期の問題でございますが、まあ症状が固定いたしますと、もう私どもすべて無期にしておるわけでございますが、ただ内科疾患、特に肺結核等につきましては、最近非常に薬もよくなっておりまして、治る可能性といいますか、これもかなりあるわけでございますが、また、症状の固定していない方で、今後また悪くなるということも考えられる場合もあるわけでございますが、そういったものをも含めまして、なお有期の方もおられるわけですが、もう現在先生指摘のように、お年も召しておられるということもありまして、毎年無期の方がどんどんふえておりまして、もうほぼ八八%ぐらいまでは無期の方でございます。あと、いま申し上げたような、肺結核とか、あるいは耳等につきまして、いまの医学の水準で治る可能性があるというものにつきましてはなお若干有期の方が残っておるということになっております。  ただ、先生指摘のように、年老いた方も多いわけでございますので、私どももできる限り、症状の固定した方には無期にするというような方向で処理していくような考え方を持っておるわけでございます。
  215. 馬場富

    馬場富君 終わります。
  216. 山本富雄

    ○副主査(山本富雄君) 以上をもって馬場富君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  217. 山本富雄

    ○副主査(山本富雄君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、馬場富君が分科担当委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が分科担当委員に選任されました。     —————————————
  218. 山本富雄

    ○副主査(山本富雄君) 次に、塩出啓典君の質疑を行います。塩出啓典君。
  219. 塩出啓典

    塩出啓典君 きょうは、シベリア戦後抑留者の問題につきまして質問をしたいと思います。  いままで衆議院、参議院等でもわが党の瀬野委員あるいは和泉委員等が質問をしておるわけでありますが、そういう点を踏まえて二、三疑問に思う点もありますので、きょうはその点についてお尋ねしたいと思うんであります。  まず最初に、戦後シベリアに抑留された人たちを、政府は、国内的にはこれは捕虜ではないと、しかし国際的には捕虜であるという、こういう見解をたしか述べていると思うんですが、国内的には捕虜ではないということはまあ大陸令第千三百八十五号第三項によって当時わが国政府がそういう見解をとったからこれは捕虜ではないと、そういう意味ではないかと私は理解をしておるわけでありますが、その点政府の理解と合っているかどうか。
  220. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) おっしゃるとおりでございます。
  221. 塩出啓典

    塩出啓典君 ところが、国際的には捕虜であるという、そういう御答弁をされているんですけれども、これはいつ国際的に捕虜であると決めたのか。また、これはどういう根拠で——捕虜には定義みたいなのがあるんじゃないかと思うんですけれどもね。それがどういうわけで国際的に捕虜であると断定したのか、その点はどうでしょうか。
  222. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) お答え申し上げます。  これもう従来国会の場で政府の方から繰り返し御説明してきた点になるかと思いますけれども、まずいついかなる理由で国際法上捕虜であると決めたのかという点でございますけれども、まず戦時にかかわる一般国際法の問題といたしまして、戦争状態が継続している過程におきまして、敵の権力下に陥った者というものは、一般国際法上捕虜として特別の保護が与えられると、こういう国際法になっておるわけでございます。そういう意味から申しまして、日ソ間の戦争状態というのは御承知のとおり日ソ共同宣言の発出まで続いておりましたわけでございますから、ポツダム宣言受諾後に、敵の権力下に陥った者も、国際法上の理論として申し上げれば捕虜としてりっぱに待遇されるべきものと、特別の保護が与えられてしかるべきものと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  223. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、これはいつの時点で捕虜であると決めたんですか、これは。たとえば何月何日の閣議で決定したとかあるいは外務省が決定したとか、それはどこがいつ決定したんですか。    〔副主査退席、主査着席〕
  224. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 具体的にいつかという点でございますが、ポツダム宣言の受諾、それからこれを踏まえまして大陸令千三百八十何号ですか、というのが出まして、わが国の在外にある軍隊はそれぞれ武力行使をまずやめろというのがございまして、それからその後で一般命令第一号というのが出まして、それぞれの戦線において対峙しております相手方の軍隊に対し武器を放棄して投降しろと、こういう指令が行ったわけでございますが、それはまさしく戦争状態が法的には続いている過程において、これは本国政府の命令に基づいてでございますけれども、敵の権力下に入っていくと、こういう過程になったわけでございます。そのことを私は申し上げたつもりでございます。
  225. 塩出啓典

    塩出啓典君 確かに日本とソ連の戦争は、やはり昭和三十一年十月十九日の日ソ共同宣言で終結をするわけで、それまでは戦争状態であったとは言えると思うんですけれども、しかし、やはり日本もポツダム宣言を受諾をして、それまでとは大分状況は違うと思うんですけれども、そういうときに相手国の軍隊を自分の国へ連れていくと、そうしてそれが捕虜であるという、そういうような例は、国際間においてはそういう例はほかにもございますでしょうか。
  226. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 私いま具体的な例を直ちに申し上げられないんでございますけれども一般的なお話として申し上げれば、第二次大戦というのは、ある意味では戦時国際法の歴史の中でもユニークな戦争であったというふうに言われておりまして、従来の戦争の場合には、実際の戦闘状態が終わりますと、比較的短期間のうちに平和条約というものが締結されて法的な意味での戦争状態というものも終了すると。したがいまして、撃ち方やめという事態から、法的な戦争状態の終了という事態までの間に著しく長い時間がかかっているというのが第二次大戦の特異な側面だろうと思います。
  227. 塩出啓典

    塩出啓典君 この問題はそのことにして、また別の機会にさらにもう少し論議したいと思います。  そこで、ソ連がポツダム宣言に違反をしたと、そういうことが言われていますね。それともう一つは、シベリアに抑留された人たちを捕虜と政府はみなすわけでありますが、そういう捕虜であるならば、当然国際法上の、これは国際慣習法といいますか、そういうものによって捕虜に対する正当な人道的処置がとられなければならない。そういう点においてもソ連はそれをやらなかった、それに違反をしておると、こういう二つの違反があると思うんですけれどもね。  そこで、まず最初に、もしポツダム宣言がなかった場合、ソ連がわが国の軍人軍属をソ連の方に強制抑留したと、そのことは正当なんでございますか、国際法上。ポツダム宣言は別ですよ。ポツダム宣言なかったとした場合ですね。それはどうなんでしょうか。
  228. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) ただいまの御指摘は、ポツダム宣言第九項のお話だろうと思いますが、もしポツダム宣言の第九項のように、直ちに武装解除をして、もう早くそれぞれの家庭へ帰してやると、こういう規定がなかった場合にどうかという点でございますけれども、なかったといたしましても、戦闘状態が終了し、しかも先ほど申し上げましたように、通常の戦争でございますと、法的な戦争状態もその後速やかに終るということだろうと思いますので、交戦国の一方が理由もなく長期にわたって相手国の将兵を抑留しておくという理由は一般にはなかろうと存じます。
  229. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、日ソ共同宣言の第六項において請求権を相互に放棄したと、そういう放棄した請求権の中にシベリア強制抑留ですか、そういうものに対する請求権は含まれているようなそういう答弁を山田条約局参事官は答弁をしているように思うんですけれども、それは外務省の見解であるのか、その点はどうですか。
  230. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 含まれております。従来の答弁のとおりだろうと存じますが、あえて簡単に御説明申し上げますと、この日ソ共同宣言の第六項の第二文の方で扱われておりますのは、戦争の結果として生じたもろもろの請求権を相互に放棄すると。このもろもろの請求権というのはいわゆる戦争請求権でございまして、これは交戦国のそれぞれが戦争の過程においてあるいは占領の過程において戦時国際法に違反したような行動ももろもろあったとしても、それらについては相互に請求権を放棄しましょうと、そういうのがこの第二文の趣旨でございますので、わが国の将兵の捕虜としての取り扱いについて国際法にもとるような点が多々あったとしても、そこから生じてまいりますいわゆる戦争請求権、これは相互放棄の一環として法的には決着をつけようと、こういうのがこの第六項の第二文の趣旨だということでございます。
  231. 塩出啓典

    塩出啓典君 この場合請求権は、捕虜の国際慣習法に違反した取り扱いについての請求だけなのか、あるいはポツダム宣言のみならず、先ほどの答弁では、ソ連に連れていくこと自体が余り正当ではないという、そういうお話でございますので、そういう点に対する、ソ連の国際法違反に対する請求権もその当時は含まれておったと考えていいわけですか。
  232. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) お答え申し上げます。  第六項の末尾をごらんいただければ明確だと存じますが、「すべての請求権」と書いてございますので、「戦争の結果として生じた」「すべての請求権」、したがいまして、これは何も捕虜の待遇に関し国際法にもとる点があったという点だけに限られるわけではございませんで、文字どおりすべての請求権が含まれていると考えます。
  233. 塩出啓典

    塩出啓典君 しかし、やっぱり請求権というのは、請求すべき理論的な道理というか、そういうものがないと何でもかんでも請求するというわけにはいかぬ。当然ソ連がやはり国際法に違反をしたとか、そういうものでないと——そういうものしか請求は普通できない。これはわれわれ個人間の関係におきましても、こっちが勝手に商売して、損したからおまえ請求しろという、その人が原因者である場合のみ請求できるわけで、もちろん先ほどの答弁で、もろもろの請求権というのは、そういうソ連が当然日本に弁償すべきと考えられるものがすべて含まれる、こう理解していいわけですね。
  234. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) そのとおりでございます。
  235. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、国がこの請求権を放棄したと、しかし、その放棄したことによって、じゃ国民の一人一人、この場合で言えばシベリアに抑留された人たちに対する国が補償するという、こういう直接の義務はないと、こういうように、これはどちらの答弁だったですかね、そういう答弁をしているんですがね。これはやはり根拠は何ですか、国際法なのか慣習法なのか。それはどう理解したらいいんですか。
  236. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) 日ソ共同宣言に基づきますいわゆる請求権の放棄に関して国内補償の義務があるかないかという御質問だろうと存じますが、これはどちらかと申しますと、わが国の憲法を初めとする法体制の問題だと存じますので、私からお答えするのもいかがかと思いますけれども、戦争の結果日本国民各層それぞれにもろもろの戦争損害というものをこうむっておると、そういう損害というものについて、戦後処理に基づく請求権の処理というのもそういった戦争損害の一種であって、それについては憲法二十九条との関係でも国の補償の法的な義務というものはないという考え方がすでに最高裁の判例等で出ているというふうに承知しております。
  237. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは官房長官に御答弁願いたいと思うんです。  私は、補償せよという法律はないかもしれない、しかし別に補償しても憲法違反だとか、そういうことはないんではないか。普通考えればそれぞれ国民が、ソ連抑留者がソ連に対して請求する権利があったと、本来ならば国がその一人一人の権利を代表してソ連に要求をしてそれをかち取っていかなければいけない、それが本当の筋だと思うんですが、実際そういうことはそのときの政治情勢ではできなかったわけで、それで請求権を放棄したと。それをやはり国が補償するということは、これは別に、もしできればそういうことをやることが好ましいと。  最近、行きずり殺人に対する補償が、こういうものは本当に、じゃ国は行きずり殺人に対して責任はあるかと、それは恐らく最高裁においてもそれを国がしなければならないというものはないと思うんですけれどもね。しかし、それは政治的な判断でしたわけでありまして、だから、私はそういう意味で、直接その義務はない義務はないということをいかにも強調するのは余りにもちょっと冷たいというか、それは確かに補償しろという法律はないわけだから、現段階においてはそれは補償なんかする必要はないでしょうけれども、しかし、それがやはり政治的な判断で請求権を放棄した場合、国がかわって補償するということはあってもいいのじゃないか。私は、原子爆弾、原爆医療法等も、これは原爆投下はアメリカの国際法違反であると、それをやはりわが国がかわっていろいろな対策を講じているという、そういうことにも通ずるわけで、もし補償しても、補償ができるならばそういう法律をつくって補償しても、何ら憲法違反になるとか、国際法上問題になるとか、そういうことは私はないんじゃないかと。それは実際できるかできないかということは、これはまた別な問題としてですね。その点はどうなんでしょうか。
  238. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) いまの法律的に義務があるかどうかということは、先ほど説明員の方から答弁したとおりだと思うわけでございます。それで、先生のは法律論は別にしても何か考えるということはあり得ないかということでございますが、この戦争の被害の問題はまことに各方面にわたって実はあるわけでございます。内地で被爆をされた方々の補償の問題軍人恩給もございますし、いろいろ各方面にあるわけでございますが、政府としましては、これはシベリアに抑留された方、本当に大変なことは私たちもよくわかります。私も中国で抑留されたんですが、これなどと比較しましたらはるかに大変だったろうと思うわけでございますが、それはそれとしまして、シベリアへ抑留された方々だけ特別な措置を考えるかどうかということは、これはもう全般的な問題と関連することでございますので、政府としましては、これは恩給法とか戦傷病者、戦没者の遺族の問題とか、そういう一連の措置でこれに対応するということでわれわれは決めているわけでございますので、シベリアの抑留者の方々の御苦労はよくわかりますが、いま申し上げましたような考え方でこの問題には臨んでいるというのが政府の態度でございますので、御了承をお願いしたいということでございます。
  239. 塩出啓典

    塩出啓典君 私はやれということを言っているんじゃないわけで、何か官房長官、やらないためにほかとのバランスのことを出されましたけれども、私はそういうことではなしに、この問題に限った場合、もしいま言ったように請求権を放棄した、それをソ連に——その放棄した国がやはり一人一人に補償をするということは、これはやはりもしそれが許せばこれは当然のことでもあり、非常に望ましいことであり、別にそうしたからといって憲法違反になるとかそういうことは私はないと。行きずり殺人に対する補償だってやっぱりできる、やっぱり議会がそういう方向に決めていけばできるわけで、そういうことを、理論的な話を聞いておるわけで、それはやっぱりそう答えざるを得ないんじゃないでしょうか。
  240. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 国家が国家賠償といいますか、国家補償といいますか、そういう義務だということでなしに、先生のは財政が許すようになれば何か便法を考えろと、そういうことも構わぬじゃないかということでございます。それはそれなりに私は可能なことだと思いますが、それをやる段になればもう非常に広いいろんな問題が出てまいりますので、いま法律的にはその義務はないという前提に立ちまして、そこまでとても手が及ばぬということを申し上げたのでございます。
  241. 塩出啓典

    塩出啓典君 法律的な義務はないにしても、やっぱり道義的なそういう責任はあると思いますが、その点はどうですか。
  242. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) これは戦争、あのときの当時のことを考えますと、国は、単にシベリア抑留ということだけでなしに国民全般に対しましてこれは戦争に対する道義的責任といいますか、そういうことにつきましては、私は決してないとは申し上げません、これは私は道義的な問題はあると思います。それをどういうふうに法律的にあらわし、あるいは財政的にあらわすかということは別な問題でございますが、国民全部に対して当時の為政者がやっぱり道義的責任はあるというふうに私は思っております。ただ、戦後いろんな形で、それを恩給の形でございますとか遺族に対する形でございますとか、あるいは原爆の問題、先生もおっしゃいましたいろんな個々の形でそれに対する対策は立てるというのがいままでの姿だろうというふうに思っております。
  243. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、いわゆるシベリア抑留者はこれは賠償の一形態ではないかということに対して、政府はこれは賠償ではないと、こういう判断をしているようでありますが、これはいつどういう根拠でこういう決定がなされているのか。何か会議録を読んでみますと大体そういうようになっているようなんですが、これはいつの時点でこうなったのか。その賠償の一形態と判断するのは国際法上問題があるのかどうか、その点どうなんですか。
  244. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) お答え申し上げます。  これもまあ、従来申し上げていることの繰り返しになるかと思いますけれども、賠償の一形態ではないという政府の従来からの御答弁の根拠になりますものは、日ソ共同宣言の第六項の第一文で、ソ連邦は日本国に対し一切の賠償請求権を放棄するということを、これは二国間の厳粛な国際約束の中でソ連側が約束しておるわけでございますので、法律的な構成から申しますと、ソ連は賠償を日本に要求しなかったということになるわけでございまして、賠償の一形態となり得なかったと、こういうことだろうと思います。
  245. 塩出啓典

    塩出啓典君 確かに賠償であるという、そういう法律的なそういう認定とかそういうものはないわけですけれどもね。しかし、われわれが素人として考えた場合ですね、いわゆる戦争が終わってからわが国の軍人、軍属がソ連に五十数万も強制的に連れていかれた、そしていろんなそういう作業にやはり従事をしたと、恐らくそういうことでソ連の方もわが国に対する請求権を放棄したというその中には、ある程度そういう形で取るものを取ったという気持ちもあったことは当然じゃないかと思うんですね。そういう点では賠償の一形態であると判断をしてもそうおかしくはないんじゃないかなというその点どうなんですか。これはやはり賠償の一形態ではないということはいつかの時点で何で決まったことなんですか。もともとそうなのか。たとえば閣議で決まったとか、そのあたりどうなんですか。
  246. 鈴木勝也

    説明員(鈴木勝也君) まず基本的な問題といたしまして、いわゆるシベリア抑留にかかわるわが国の請求権の問題と申しますものは、これは戦後処理の枠組みの中で考えますと、いわゆる戦争請求権の問題というカテゴリーに入るわけでございます。他方戦勝国の一般に要求してまいりますその賠償請求権の問題と申しますものは、戦時中の不法行為、まあ戦時国際法違反とかなんとか、そういうものについての不法行為についての損害賠償請求という性格のものでは必ずしもないわけでございまして、古い話になりますけれども、大分前の戦争のケースを見ますと、たとえば戦費を賠償させるというような考え方も戦勝国の賠償請求権の中にはあったわけでございます。したがいまして、まず賠償請求権というものとそれから戦争請求権というものとは一応観念的には性格が異なるんだろうと存じます。日ソのこの国交回復の交渉の際においても両者は一応観念的には違うものであるという前提に立って交渉が行われ、戦争請求権につきましては相互放棄、それから賠償請求権についてはソ連側が放棄するということに決まったというのが、この第六項の形だと存じます。
  247. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後に官房長官にお尋ねしますが、四十二年の法律で戦後処理は終わったと、そう政府は判断をしておると、こういうような答弁でありますが、私の理解するところでは、シベリアの問題については、その後最近いろんな組織ができてそういう運動がなされておるわけでありますが、政府としてこれははっきりと政府の姿勢というか、現在の内閣としてこの問題をどうするかという、そういう検討をしたのかどうかですね。またはっきりとした方針は決定しているのかどうか。もしそれがまだであるならば、私はこれは各省にまたがる問題でもありますので、政府としての本当に正式ないろんなそういう深慮を重ねたそういう一つの結論を出すべきじゃないかと、いつまでも中途半端な状態にしておくことはよくないんじゃないかなという、そういう気がするんです。その点はどうでしょうか。
  248. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 先生のおっしゃるように、いつまでも何かこう期待を持ったようなことがあることはいかぬじゃないかと、もしも結論を出すなら早く政府の統一見解か何か出してやった方がいいじゃないかという御意見でございますが、それをいままでぴしゃっとこうはやっておりませんので、これはどういうふうに取り扱うかは検討させていただきますが、いままで国会でも何度も御質問がありましたので、政府側としては、これはシベリア抑留者の方々の御苦労は本当に御苦労あったことはわかりますが、特別の処置をとることは困難でございますということを一貫してこれは政府は申し上げているわけでございますので、いま先生のおっしゃったようなことをどうするかということは検討させていただきますが、見解としましてはいま申し上げたような見解を一貫してとっているということでございます。
  249. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもって塩出啓典君の質疑は終了いたしました。  次に、秦豊君の質疑を行います。秦豊君。
  250. 秦豊

    ○秦豊君 最初に官房長官、オリンピックの問題を二、三伺わせてください。  私自身はいまのオリンピックのあり方というのは、もう最近数回来かなりゆがんでいると、ゆがめたのはだれかと、いわゆる国家の威信コンクールに成り下がっていると。つまりプレスティージコンクールだと私は呼んでいるんですよね。そのシンボルが国歌であり、あるいは国旗である。しかも、時としてスポーツ器具メーカーとか、あるいは巨大企業のまるで恩恵のもとにアマスポーツが組み敷かれているという面もあるんですよ。オリンピックが非常に理想的に運営されているわけじゃない、私はそう思う。私自身はそういうふうにいま最近のオリンピックをながめているんですけれども、具体的な質問長官に申し上げる前に、伊東官房長官のオリンピック観というのをまず前提として伺っておきたいんですが。
  251. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) なかなかむずかしいことでございますが、私の感じを言えということでございますので、あえて申し上げますと、確かに何かこうオリンピックが、ある国では国の統制下に選手を置いて、まるで国の予算で強化しているのじゃないかというような感じのする国もございますし、何か商業主義といいますか、そういうものに大分侵されているなという感じをすることもございます。あるいは国歌、国旗の威信ということがというお話がありましたが、これもわからぬことじゃないのですが、しかし、オリンピックから国歌がなくなり国旗がなくなったらさびしくなるなというのも私ら年齢の者のこれノスタルジアかもしれませんし、その辺は非常にむずかしいところがあると思うんですが、国際オリンピックは、率直に言わしていただけば、もっと簡素な金のかからぬ本当のアマチュアリズムに徹したような、オリンピックの原点に返るといいますか、そういうことが望ましいんじゃないかという私個人の感じは持っております。
  252. 秦豊

    ○秦豊君 同感する部分が多いと思います。  そこで、先月のこれは下旬あたりだと私思うんですけれども、下旬あたりから大平総理や伊東官房長官の、ときたまのオリンピックに対するいろんな発言をずっとこう読み返してみますと、やはり御本人がどう思っていらっしゃるかは別として、客観的にこれを見ると微妙にトーンダウンというのかな、あるいは変化しているんじゃないかなあと私は思うんですよね。たとえば何と比べて変化しているか、基準があった方がいいから、やっぱり二月一日の政府見解ですね、あれと比べるとめりはりがついてますよね。かくっと変わっている、画然と変わっている。あの場合には不参加への方向でというのが基調ですから、それから比べると大幅に変わったのかなあという言い方もあるいは許されやしないかと。そうすると、政府内部では二月一日の政府見解を修正をする、あるいはトーンダウンをする何らかの内部的再検討が行われているんだろうか。行われているとすれば、それは一体なぜだろうか。部内的に統一的に再検討が行われていないとすれば、あくまでアトランダムな大平総理の発言であり、伊東官房長官の時に触れた発言にすぎないのか。こういうことをちょっと知りたいんですね。
  253. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 二月一日に政府の声明といいますか、出したわけでございますが、外務大臣、文部大臣と三者協議して、そして総理の了解を得てあれやったわけでございます。あのときのことは先生もおわかりと思うんですが、要するに平和の祭典でなければいかぬと。しかし、いまの状態はソ連のアフガニスタンの軍事介入に対して国際的にも非常に厳しい世論になっているということを政府としては無視できないと。ついては参加するかしないかはJOCの最終的な責任だけれども、そういう見解を踏まえて、各国の国内のオリンピック委員会と相談をして決めるようにというようなことであれはやったわけでございます。レークプラシッドあるいはメキシコで会議があります直前に、向こうへ行かれる役員等が政府の見解を知らぬということでは困る場合もあるだろうということで、あれは見解出したわけでございます。その後は実は声明その他は何も出しておりません。でございますので、いまおまえ変わったのかとこう聞かれますと、率直に申し上げまして、私は二月一日にやったときと全然気持ちは変わっておりません。私はあのとおりでございます。恐らく総理もそうだと思うのでございます。あの当時も、今後政府が何か言う機会があるのかないのかということを聞かれたことがあるのですが、私、最近も何か聞かれまして、五月二十四日でございますか、最後のエントリーを申し込むときまでに必要があればまた言うかもしらぬし、ないかもしらぬということを私は新聞の関係の人に答えたことがあるわけでございますが、その後国際世論、国内の世論もいろいろ新聞によっても違いますし、いろいろと違っております。それで、私どもは、文部大臣も外務大臣も一緒でございますが、いまあのときの気持ちをそのまま持ってじっと世の中の世論の動きを見守っているというのが現実でございまして、私は、おまえ変わったのかと言われれば、全然あのときと気持ちは一緒だということでございます。
  254. 秦豊

    ○秦豊君 わかりました。二月一日の基本的な方向、見解の内容、ニュアンス、これは何ら変わっていないと、そのとおりだと思います。問題は御答弁の後段の部分、各国の動向、世論——世論には国際、国内がある。そうすると、たとえば三月二十六日のJOCの総会というのは相当な熱い議論ですよね。激論だと思うんですけれども、ぶつかり合ったままで結論が出ていない、JOCも周辺を見回している。国際的な問題をとらえれば、イギリスとノルウェーのオリンピック委員会は参加を決めた。そうしますと、長官は私に対してそう答えていただいたけれども、日本政府は、もしJOCが独自にこの参加を打ち出したという場合は、その結論を尊重されますか。
  255. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 二月一日も、最終的にはJOCが責任を持って決められることですということを申しておるわけでございまして、これからまだいろいろ期間があり、いろいろな世の中の内外ともに世論の動きその他があるわけでございまして、これは先生のおっしゃったのはもう本当の仮定の御質問でございますが、われわれとしましては、直接は文部当局でございますが、文部当局がJOCと密接ないろいろな連絡等も私はとるだろうと思いますし、希望はなるべく両者の意見が余り食い違いないところに最後は持っていけるということにしたいと、それが望ましいというふうにいま考えておるわけでございまして、政府が左、JOCは右といったときどうするかという御質問でございますが、いましばらく先生、その問題につきましてはまあ仮定の問題として答弁を保留させていただきたいと思うのですが、なるべくそういうことにならぬようにひとつよく協議もしていくというのが政府の態度だろうというふうに思っております。
  256. 秦豊

    ○秦豊君 時期が時期ですし、政治主導型という印象は避けねばならぬ、よくわかります。  ただ、もう一つ違った角度から官房長官に伺っておきたいのは、カーター大統領はいろいろこういま対抗措置を新手を考えていらっしゃるんですよね。個人参加に対するバリケードも築こうというふうな、これいろいろな手があると思うのだが、仮にアメリカのオリンピック委員会が参加を打ち出した場合には、これはホワイトハウスにもかなりインパクトになるわけだし、日本政府の判断にも微妙な影響を与えるでしょうか。
  257. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) これもまたアメリカの国内のことでございまして、その場合にカーターさんはもう絶対だめだ、USOCは行くという——あるいは個人の場合かもしれません。いろいろな場合が想像できるわけでございますが、それも国際世論の一つになるわけでございますので、アメリカがそうやった場合にイギリスがどうするか、ドイツがどうするか、カナダがどうするかというような問題も、これ必ず出てくると思うわけでございます。事の起こりはアフガニスタンの軍事介入に対する対ソ問題という問題の一つとしてこれは出てきた問題でございますから、対ソ問題につきましては自由主義陣営も十分連絡をとろうというようなことをずっとやってきたわけでございます。これは政治とスポーツは別だというたてまえ論があるわけでございますから、そのときにどうするかという御質問でございますが、そういう事態も物を判断するにつきましては一つの大きな要素として判断せにゃならぬ問題の一つかなあと、こういうふうに私は個人的には思いますが、なるべくごたごたしないでうまくどっちかに決まることを本当に期待しているわけでございます。
  258. 秦豊

    ○秦豊君 こうオリンピックの原点がありますよね。都市国家相互の争いをやめるための民族的な知恵として古代ギリシャが生み出したと。そうすると、いま言ってみれば、アフガン駐在のソビエトの機甲師団の司令官がラジオ・アフガンを通じてつい先月述べたことは、兵士諸君に対する忠誠の再確認と、それから二年間の駐留を覚悟せよと、こういうことを言っているわけであって、これはもう要するにことしの七月段階、八月段階、どういう断面で切ったってオリンピックに血のにおいがすることは、これ事実なんですよ、避けがたいんですよ。仮に六月に撤退というふうな軍事情勢は、これは展望できないわけです。ならば、血塗られたままのオリンピックであれば、私はやっぱり政府が、非常に官房長官、言葉をこの段階ではお選びになるのは当然だと思いますが、恐らく二月一日の政府見解のままでずっと行かれる以外に選択の道がないんじゃないでしょうか。
  259. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) いま先生の御質問は、これから六、七月にそういう明るい展望が開けないじゃないかという御質問でございますが、私どもあらゆる手段で、そういう情勢でモスクワのオリンピックを開くというのはなかなか大変ですよと、そういう情勢を取り除くのがソ連の責任じゃないですかということをあらゆることでやっているわけでございまして、その事態になってもちっとも情勢が変わらぬというときはどうするかという御質問でございますが、恐らく五月の末にエントリーを申し込む際に、これはもう一回政府の見解を出すか出さぬかという態度を迫られるときが私は来ると思います。いまそのときどうするかということは、お答えを遠慮させていただきますが、非常にこれオリンピックというのは一過性の問題ではございますが、非常にむずかしい問題だということをみんなも認識しております。
  260. 秦豊

    ○秦豊君 確かにエントリーのタイムリミットは五月二十四日なんですけれども、さてその申し込もうかという各団体ですね——いま個人というのはあり得ていないようだから——日本柔道とか何にしたって、五月二十三日の結論だとこれ対応のしようがないわけであって、やっぱり常識的な逆算をすると、今月の中旬ぐらいが一応望ましい最善のタイムリミット——最善のタイムリミットという言い方はおかしいが、あってほしいタイムリミットですね、準備があるから。だから、ぼくは意外にエントリーのタイムリミットの五月二十四日が一番エンディングだけれども、もっと早く結論が打ち出されないと混乱が深まると。その意味で言えば四月の中旬、許されても下旬がぼくはもう精いっぱいだと思うんですが、官房長官はタイムリミットという問題についてはどう考えておられるのか。  それから、それを目指してJOC側それから文部省側、外務省もやや絡み、大蔵も絡むかもしれませんけれども、あとはあうんの呼吸という問題もあるでしょう。それで、どういうふうに根回しをしタイムリミットまでしのごうとされているのか、最後にその点を伺っておきたい。
  261. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 私は、先生おっしゃった四月中旬というのは、たしかUSOCが態度を決めるのが四月中旬ということを覚えております。日本側はこの間やって大分激論があったというのは先生おっしゃったとおり、日本のJOCも決めかねておる問題だということでいろいろなタイミングが考えられると思うんですが、私は少なくとも四月中旬のUSOCから五月のエントリーのその間が非常に問題になってくるタイミングじゃなかろうか、こういうふうに思っております。  それからもう一つの根回しとかいろいろなお話がございました。これは私というよりもそれこそ文部大臣の担当でございますので、私がいろいろここで御答弁するのは適当でないと思うわけでございますが、政府としまして、国民も注視している世界じゅうもこの問題は注視している問題でございますので、また世論も割れているというような状態の中でどの選択が一番いいのかということは、やはり文部省、JOCとも相当打ち合わせて何とかうまい方法で解決できますように、政府としても今後とも団体側と十分御相談することがあるんだろうというふうに思っています。詳細また文部大臣から適当なときにひとつお聞き取りを願いたいと思います。
  262. 秦豊

    ○秦豊君 まあそれ以上はなかなかお立場もありましょう。やっぱり確かに世論調査してもたしか五一%ぐらいだったですか、賛成というのは。これは総務長官のところで行われた二千人電話アンケートというのですかね、これはレークプラシッド以前と以後というのは違っていますよね、たしか。だから、賛成が五一%、数量的には過半を超えてはいるんだが、そのあたりでなかなかやはり判断がむずかしいというあたりが正直なところでしょう。望むらくは無理をしないで、JOCもこの際慎重にと、オリンピックはゆがんでいる、血塗られている、オリーブの葉に恥ずかしいというような感じの堂々たるオリンピックに対する反論を出されて、JOCが自主的に参加見合わせというふうな判断を出されたら、これはもう伊東官房長官おろか大平政権にとっても一番望ましい状態ですよね、最後に。
  263. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  調査、いま先生おっしゃったようにレークプラシッドの後と前で、内閣でやったのも全然違うんでございます。後ではやっぱり日本の八木選手が銀ですか、取ったなんていうときは世論調査高いのでございます、賛成が。その前のときはむしろ反対の方がよけいだった。新聞によっても、ある新聞では賛成が多い方もあるし、ある新聞では反対が多い方もあるというように、新聞でもいろいろ違いますので、どれが一体世論なのかなということの判断が非常にむずかしい。先生がおっしゃったとおりなんでございますが、日本だけじゃなくて外国の国際世論も同じでございますので、なかなか世論というものをつかまえる判断に苦しんでいるというのが現状でございます。最後段階にどういうことになるのが一番望ましいのかということは、これはいま私から申し上げる問題じゃございませんので、先生の御意向としてこれは承っておきます。
  264. 秦豊

    ○秦豊君 官房長官、いろいろなお時間の都合があろうと思いますが、このことと全然違った分野を伺っておきたいのです。  この間、私予算の総括でちょっと政府側に伺ったんですけれども、伺い足りないので、きょうさらに半歩進められればと思いますが。四十年代の例の臨時行政調査会、臨調の膨大な答申、これはいまだにやはり私は依前として高い評価にたえ得る行革の原典とは言わないが、古典的答申と思っておりまして、あの眼目をいろいろ消去法で消していって最後に残る眼目というのは一体何かと洗い出してみると、やはり各省庁を越える総合調整機能の確立、これを内閣の総合調整機能の強化という言葉を使っていますけれども、これに帰一するのじゃないかと。もちろんほかにもありますからね、目というのは。だけど、ぼくはぼくなりに考えればまさにそうではないかと。つまり各省庁というのは縦割りなんだから、明治藩閥政権以来、既得権持っているんだから、これにしがみつくのはあたりまえなんですよ。よりしがみついて声を大きくした大臣の方が、腕力の強い大臣の方が有能な大臣という評価がある以上、やっぱりぼくは当分これ続くと思うんですね、このままであれば。だから問題は、それを御破算にして、総括して、それで峻厳な基準、価値観、あるいはポリシーのもとにそれを御破算にしてもう一遍組んでいくと、こういう目が厳しく光らないと、大蔵大臣が幾らサマーレビューを十回繰り返したって、ぼくはもう口頭禅に終わると思いますよ。もう来年からこれ国債ということを口にするのも恐ろしいというふうな市中の金融機関の大物たちも足が土俵にかかっている、剣が峰に。こういうことを言い出してはばからない段階で、しかも値崩れしている。国債一つとっても問題、財投も行き詰まっている。じゃ一体どうするかと。だからこそぼくは、大平政権が新しい方向を目指されようとするならば、やはり内閣の総合調整機能の強化なんというのは、しょせん実態を知らない書生論だというふうな見切りはされないと思いますけれども、あえて私は、今後いわゆる中央官庁に改革のメスをふるう、財政の硬直をいかにして切り開くかという観点に立つ場合に、私は予算をどう編成するかということは、必ずこの問題に返っていくと思う。だから、大蔵省というあり方と、それから内閣の総合調整機能の間をどうコーディネートするか、ぼくは行政の最大のポイントは五十六年度ぐらいからそこに向いてくる。その問題に答案をりっぱに書けなければ、私は関門がくぐれないという気がしているんです。この点について基本的に——だから内閣の中に予算局を持つという考え方もあるでしょう。いろんな考え方があると思うんですよね。これ以外に方法がないという絶対的なものではないにしても、いままで私が申し上げた基本的な問題についてはどうお受けとめになりますか。
  265. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) これは非常にむずかしい問題でございまして、内閣で政策の総合調整をやるということは戦前から考えられておりまして、企画院も、あれはそうでございました。それから、いまの経企庁も経済問題についてはそういうことも頭にあったわけでございます。いろんな試みがされたのでございますが、結局いまの形にいま戻っておるというのが実情でございます。先生のおっしゃるように、全然白地に絵をかいてみろとおっしゃられれば、確かにそういうことも考えられるのでございますが、たとえば予算一つとってみますと、これもまた歳入面も当然税の面等も考えなければ予算を組めない。予算組むには、財政だけでなくて給与の問題もある、こういうようなこと、いろんなことになってきますと、なかなか予算内閣でということが現実の問題としてはむずかしい問題があるわけでございますし、それではいまのままにして内閣審議官といいますか、内閣参事官といいますか、キッシンジャー式なものを考えてうまくいくかといいますと、実際問題として二人、三人そういう人がいても、なかなかこれは現実を動かす段になれば私はむずかしいんじゃないかなという感じがいたします。いまは、内閣の中で、問題によりまして関係閣僚協議会とか懇談会というものをつくっております。これは昔では、御承知のような総理、陸、海、外務、大蔵、これは五相会議でインナーキャビネットのような形で運営されたことがございますが、恐らく、もしも考えるとすればそういう閣僚協のようなものをつくってやっていく。防衛は国防会議がございますが、もっと実質のあるようなものを何か関係閣僚でやっていくというのが先生のおっしゃることに一番近いやり方かなあと、私の個人的ないろんな考えを申し上げて恐縮でございますが、機構をつくるというよりも、そういうことの方が実質は実効が上がるんじゃないかという私は感じがいたしますし、またそういうことも、おっしゃるように国債、これだけ出しておりますし、これが売れないとか値下がりするということは大問題でございますので、そういうことももう考える時期でもあるのかなあという気がしますし、これは非常に先生のお考え、卓見として総理にもこれは伝えていろいろ協議をしたいと思います。    〔主査退席、副主査着席〕
  266. 秦豊

    ○秦豊君 官房長官に対する御質問としてはあと一つだけにしたいと思いますが、さっき同僚議員からシベリア関係についてかなりこまごまと積み重ねるように御質問があったんですが、ぼくは一般的にちょっと確認だけしておきたいと思いますが、全抑協の問題ですね。第一次大平政権のときに、これは昨年の夏ですけれども、園田外相が、皆さんは捕虜ではないということを、陳情に見えた代表たちに語った。総務長官は全抑協の皆さんの処遇問題を中心にして、いわゆる戦後処理の残された問題、看護婦さんの問題等、その他をひっくるめて、諮問委員会を設けて決着をつけたいんだ、私の在任中に土俵だけはつくるということを、これはかなり明確な調子で述べておられます。  それから橋本厚生大臣も一種の陳情団へのサービスの一つとして、同胞の遺骨送還については、ソ連政府側とよく交渉をするという言明がある。それから去年の例の総選挙の前には、齋藤幹事長が、全抑協の皆さんの処遇問題については与党として全面的な努力をするんだと、こういうことを述べられているわけであります。    〔副主査退席、主査着席〕  それらを全部連ねて、さっき同僚議員に対するお答えはここで伺っておりましたけれども、やはり官房長官は、つまり戦時補償という中でバランスが大事だと。行政が一番考えなければならぬのはバランスだと。飛び出したあれはできないというふうなお考えがどうも根元にあるような気がいたします。で、諮問委員会の方はどうなさっているのか。おつくりになることは行政の継続性でバトンタッチをお受けになっているのか。もはや、そういう方法でない、同僚議員に対する全抑協問題に対する答弁が限界なのか。この辺いかがでしょうか。
  267. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 三原総務長官が諮問委員会のことを説明をしているということにつきましては、これはいま小渕総務長官おられますから、その後のことはそちらから御回答いただけばいいと思うのですが、私はそういうものができたということは聞いていないわけでございます。  それで、シベリア抑留の方も、国家賠償といいますか、言葉は別としまして、そういう問題とあわせて墓参の問題だとか、遺骨送還だとか、いろいろな問題を言っていられるわけでございます。それで、私どもはその墓参の問題とか、遺骨送還とか、いろいろ言っていられる中で、努力しなければならぬ問題は、これは当然私どもも政府としてやらなければならぬ問題でございますから、これはだれがどう言ったということでなくて、極力外務省あるいは総務長官、厚生省、みんな関係者一緒になりまして、今後ともやってまいるつもりでございます。  諮問委員会等につきましては小渕総務長官からお答えを願えれば結構だと思っております。
  268. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 戦後の残された未処理の問題としてシベリア抑留問題が現に問題視されていることについての認識は深くいたしております。しかしながら、前三原長官国会等において正式な議事録に残る形で御指摘のような答弁をいたしましたということにつきましては、私引き継ぎをいたしておりませんし、事務当局からもそのように聞いておりませんので、諮問のための審議会等をつくるかどうかにつきましては、現在私引き継いでおりませんので、まだ検討をいたしておりません。
  269. 秦豊

    ○秦豊君 やっぱりドイツと日本がなぜ違うかをぼくは考えてみたのですが、これは違うのが当然のように思う。民族体験に差があると思うのですよね、第一次世界大戦と第二次世界大戦があって。だから戦時補償法というのはドイツの場合にはかなり早い時期につくられているんですよね。つまり、戦争の惨禍をどう民族的に分かち合って痛みを消し合うかという問題について、民族の知恵がある。それをゲルマンの法制で埋めているというわけなんだけれども、われわれの場合には四五年の八月十五日以降なものですから、そういう点はやはり民族体験の蓄積が違う。好ましい蓄積じゃありませんがね、戦争の惨禍ということはもちろん。そういう点で官房長官が言われるように、バランスをなおさら問題にされるのは、ある意味ではぼくは当然だと思うのですよ。  ただ、最後に一点だけ官房長官、政府によれば、あらゆる戦時補償はもう終わっているんだと、こういう御認識がありますか。
  270. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 最高裁の判決が出たところで、一応法律的にはそういうことを考えております。ただ、いろいろ戦争をもとにしたいろいろな遺族の問題でございますとか、いろいろあるわけでございますから、そういう問題はまだ終わってないということは言えると思います。
  271. 秦豊

    ○秦豊君 今度、総理府に伺いたいと思いますが、きょうたしか長官が中心になられて、自民党の三役の皆さんと「家庭の日」という——例の「家庭の日」ですが、これはもう調整を終えられたのですか、これからですか。
  272. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) これが終わりましたら御相談をいたしたいと思っております。
  273. 秦豊

    ○秦豊君 これも世論調査のデータを私、心得ておりますけれども、これやっぱり微妙ですね。しかし、ああいう日にちを抜き出して一つつくったところで、大勢としてそう歓迎はされない。すぱっとあきらめられたらどうですか。
  274. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 祝日「家庭の日」の制定につきましては、昨年の総選挙に当たりまして政府・与党自民党の公約になっておりまして、それがこの内閣になりましてから、引き続いて法制化すべきだという強い要請もあり、また祝日「家庭の日」につきましては、委員指摘でございますが、これも賛否両論いろいろございまして、私どもも現在判断いたしかねているところでございますが、しかし有力な与党からの御指摘もありまして、この「家庭の日」を制定することによって家庭の意義というものを見直すいい機会ではないかという強い要請、考え方もありまして、現在まで慎重に検討してきたと、こういうことでございます。
  275. 秦豊

    ○秦豊君 あと二時間もすれば、夜以降のニュースを——一応ニュースに値すれば報道するのでしょうけれども、私はこれやっていると時間がなくなるので、ぼくはもうちょっとこれは一日一善運動みたいなものだなあ、小さな親切運動だなあと思っていますから……。しかし、偉大な与党が公約されているし——だけど逆に、古人いわく、過ちてはすなわちはばかることなかれと言うから、その辺もぜひ御留意の上、協議に臨まれたいと思うのです。  実は総理府には政府広報のあり方なんというのを聞きたかったのですけれども、私自身が時間の配分を誤ったようでありまして、とても全部オーソドックスな質問ができませんので、長官一つだけ意見を交えて申し上げておき、御答弁をいただきたいと思うのです。  私自身も放送出身で、ずっとおたくの方の番組を二十代から三十代にかけてつくった一人です。石田博英官房長官時代の政府広報番組の濫觴期、揺籃期に私つくりまして、必ずしもあなた方の言うようにはつくらなかった記憶を持っております。つくらなかった方がよかったという反応があるというふうな記憶を持っておりますので、一つだけ伺いたいのは、「総理と語る」というのがいまでもありますよね。これ、私の感じから言いますと、レーティング——聴視率は三木政権以来一体どれぐらいなのか、これも参考のために伺いたいし、あんな形では効果が上がらない、薄め過ぎた水割りだと、あれは。やっぱり総理が語らなければいけない。総理府の目からは、あれはもう局が自主的につくっているのだからという言う方も一応用意されていると思うが、実態はお釈迦様の手のひら、つまり孫悟空的施策が実態ですから、時の政権の意向と余り遠いゲストは引力圏外にあるわけですね。そうすると、引力圏内のゲストというとまあ大体わかるような方々だと。そういう方を相手にして総理が幾ら時の問題についてお話しになり、うんちくを傾けられても感動は呼ばない。新鮮さはない。だから、効果が上がらない。だからむしろ、たとえばジミー・カーターが総合インフレ対策について述べたと。その日はキーステーションの編成上問題がありましょうし、そんな機動性はないけれども、政府広報には機動性がなさ過ぎる。相変わらずそういう問題がワシントンにあったって、広報の感覚では決まったとおりつくって、いつものものを定期的につくって定期的に放送する。機動性がないのですよ。もちろん内閣の記者会には記者会見があり得ますよ。そうじゃなくて、そういう性格を持っているのだから、ジミー・カーターがしゃべった翌日には早速十五分か十分とって、官邸のあの執務室から、皆さんこういう大きなニュースがあったと、びっくりされたかもしれない、しかし、私たち政府はこういうふうに対応しますからこの点については御懸念なく、この点については皆さんもがまんしてくださいというふうに肉声で——座談会にゲストの一人みたいな顔をして総理がしゃべったってだめ。鮮烈でない。こういう機動性を含めて政府広報全体を再検討してもらいたいけれども、とてもそれには及ばないので、「総理と語る」だけでもひとつ新進気鋭の総務長官の間に手をつけられたらいかがですか。
  276. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘にありましたように、「総理と語る」の番組につきましては、視聴率という面からいいますと三%、四%台という結果が出ておるようでございます。しかし、視聴率そのものがすべてであるともまた思いませんが、しかしお話にありましたように、私もこの仕事を担当いたしまして以来、政府広報という問題について真剣に私なりに取り組んでおるつもりでございまして、なかなか政府広報というのはむずかしいと思うんです。あらかじめ政府の言うていることだということで、かたくなに受け入れることを拒否するムードも正直言ってありまして、そういう意味で民主政治の基本である政治の施策というものをわかりやすく、興味深く、かつ理解を深めるあり方というものはなかなかむずかしい。そこでは特に総理という最も中心にある方の考え方というものをそのままに国民に訴えるということのむずかしさというものは十分理解をしておるつもりでございます。長い間、その道で御苦労された委員の御指摘のように、いろいろ工夫をいたしまして国民に訴えていかなければならないという理解をいたしております。  アメリカでは昔の炉辺談話から始まりまして、特に国の中心にある方々がそのままストレートに国民に訴え、その反応を受けとめながら政治が行われておるというあり方については非常な憧憬を持って私も勉強してきたつもりでございます。したがいまして、特に総理が出演する番組につきましては種々の工夫を加えまして、政府の現在抱えておる問題について十分国民に理解と協力を得られるような形について、さらにスタッフ挙げて努力をいたしていきたいと思います。  せっかくでございますので、貴重な御意見ちょうだいいたしましたが、なお御意見を承れれば大変ありがたいと思う次第でございます。
  277. 桧垣徳太郎

    主査桧垣徳太郎君) 以上をもちまして秦豊君の質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですので、内閣、総理府本部及び沖繩開発庁所管に関する質疑はこれをもって終了したものと認めます。  明日は午前十時から分科会を開催することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会