-
-
-
-
-
-
-
○
小平芳平君 私は、公明党を代表して、若干の
質問をいたします。
初めに環境問題について
質問をしたいのですが、
PCBは
使用、販売、製造を中止してからもう八年になります。この
PCBの
保管は厳重になされていると思いますが、御答弁願いたい。
-
-
-
-
-
-
○
小平芳平君 依然として
試験が続いているのではないのですか。
-
○
政府委員(
児玉清隆君)
先生の御
指摘のいわゆる
試験という予備
試験的なものとしましては五十三年の七月までで終了いたしておりまして、実際の
本格処理は同じ年の五十三年の十二月から開始をいたしておりまして、昨年の七月までに
本格処理をしたということでございます。
-
-
-
○
小平芳平君
実施海域はどこで
焼却するか、公海上でやるかどうか、それから
航行する船の安全についてはどのように考えているか等の点はいかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) 先ほど申し上げましたように、実際にやる場合に具体的なやり方という問題につきまして、なお詰める点があるというふうに申し上げましたが、その
焼却実施のための
検討の
一つの
問題点としまして、
洋上焼却で確実にこれをやる場合に
環境面、
安全面でどういうふうにして万全を期するかという
観点の
検討が必要でございまして、その
一つとして
焼却海域をどこにするかというのも
一つの問題でございます。この点につきまして、
焼却実施海域、そういう点につきまして現在
委員会でなお詳細に
検討しようということになっておりますので、まだ決まっていないわけでございますが、
焼却実施海域はわが国の近傍の太平洋上のしかるべき区域ということになるのではないだろうかというふうに思われますが、具体的にどういった
海域がということになりますと、どの
海域がたとえば
気象条件で最も安定しているかというような、ほかにもいろいろございまして、そういう点につきまして、
運輸省とか
水産庁とか、いろいろな
関係方面とも
相談して決めていかなければいけないというふうに考えておりますのがただいまの
現状でございます。
-
○
小平芳平君
航行する船の安全について答弁してください。
それから、
バルカナス号の喫水は七・四メートルと伝えられておりますが、高砂の港の水深は六メートル、四日市も六ないし七メートルということになっておりますが、これでは接岸できないじゃないですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
航行上の安全の問題につきましては、もちろん慎重に考えるべき問題でございますので、先ほど申しましたこれからの
検討の中で、どこの
海域がいいかというような問題とあわせまして、当然
航行上の安全についても万全を期するという見地から、たとえば
関係省庁ともよく
相談をして
検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
それから、いまの接岸の問題につきましては、積み込むときの問題というのも
検討課題の
一つになっておりますが、その点につきましては、たとえばその量を減らす、積み込む量を減らすというような点も含めまして、あわせてこれも先ほどの
検討課題の
一つというふうに考えております。
-
○
小平芳平君 それから、
費用はどうなりますか。もちろん
企業負担で行われると思いますが、そのほかの、たとえば
研究委員会の方が乗り込むような場合にどうなさいますか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答えを申し上げます。
費用につきましては、
企業の方ともよく
相談をしなきゃいけないわけですが、たとえば
モニタリングが必要になるわけでございますが、その辺の
費用についてどうするかというような点につきましては、なお
検討の必要があるであろうというふうに考えております。
-
○
小平芳平君
PCBを
焼却するに当たって、
低温でやった場合にはそれ以上の高
大気汚染が発生する、PCDFとかPCDDとか、そういうものが発生すると言われております。そういうものの
対策はいかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
低温で燃しますといま御
指摘のような点がございますので、私
どもとしては、
PCBというものを要するに燃した場合、そういった問題がないような
高温で燃すということを
前提にして
検討をいたしておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 それから、各省で
会議をして詰めるべき問題であろうと思いますが、この点については通産省だけがいま正面に立っているような感じですが、いかがですか。
-
-
○
小平芳平君 これが
実現と言いましても、
環境庁は、
実現していいかどうか、それを安全に
焼却されるのかどうか、それをチェックするためにあるわけでしょう。ただ、何でもかでもこれが
実現ということにならないでしょう。
-
○
政府委員(
馬場道夫君)
環境庁も
関係省庁の
検討委員会に参加をしておるわけでございますけれ
ども、国際的にもこの問題は
海洋汚染に関します
条約等でも取り上げているわけでございまして、私
どももやはり国際的な
条約を満たすような
条件で
実現されるのが望ましいというように考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、先ほど来申し上げましたような
高温で
処理をする、あるいは近くの船の
航行なり、あるいは
水産等に影響のない形で
処理をするというようなことが必要であろうと思っておるわけでございまして、また、その後につきましても十分な
モニタリングを行うというようなことが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
-
○
小平芳平君
最初に例で出しましたように、
ノーカーボン紙のときのように、
試験、
試験と言っているうちに終わってしまったということにならないようにしてもらいたいと思うのです。
で、これは
試験焼却はどのくらいやるのですか。それから、その
試験焼却をした結果安全だという場合に、
残りを焼くことになるのですが、
試験焼却の量はいかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
具体的にやるとした場合に、
環境面、
安全面で問題がないかどうかにつきまして、
実施に当たっての細目、たとえば先ほど申しましたような
モニタリングの問題ですとか、あるいは
焼却海域の問題ですとか、いろいろなそういった問題につきましてなお
検討しているわけでございますので、実際にその
検討を終わりまして、その
バルカナス号を使ってやるということにした場合につきまして、どれぐらいの量を
最初の
試験焼却、
試験でやってみるかという点についてもこれからなお詰めなきゃいけませんが、当面、私
どもとしましては、まあ一千トンぐらいというものを一応の
試験焼却の量として考えたらどうだろうかということを考えております。
いずれにしましても、
試験の
段階で厳重にやりまして、安全ということを見きわめてから、さらに次のステップに入るというふうに考えております。
-
○
小平芳平君 一千トンというと六分の一になりますね、六千トンですから。その一千トンという大量のものが
試験という
名目で焼かれるということになる。
それから
最初の、どこで焼くかということをもう少しはっきり答えていただきたい。ということは、すでにもう
バルカナス号と
契約するかどうかという
段階でしょう。こちらでは
契約してほしいと言っているのですが、
先方の都合で流れているんでしょう、いかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
バルカナス号の
契約の問題につきましては、先ほど申しましたように、昨年一度
契約をするという
段階までいきましたんですが、なお詰めるべき問題も残っておるし、そのためには時間が足りないということで、もう一度さらに
検討することになったわけでございます。したがいまして、私
どもといたしましては、さらに
関係方面との
相談、それからこの
委員会での
検討というものを十分いたしまして、その辺について見きわめをつけながら、一方で
バルカナス号との
契約、そういうことでよさそうだということになりましたらまた
バルカナス号の方との
契約というのをやっていくということになるわけでございまして、もうチャーターすることを
前提という、もう要するに
契約することを決めてしまっておるということではないわけでございます。むしろ
検討しながら、そして
向こうとも話をしていくという態勢で臨んでおります。
それから、量につきましては、もちろんこれはさらにそういうことでいま
検討しているわけでございますので、実際に詰めまして具体的に今度
実施といいますか、
焼却に関する数字、
基本計画と申しますか、その具体的な
計画という
段階できちっと詰めていきたいというふうに考えております。
海の場所につきましても、先ほど申し上げましたようなことで、これから詰める問題の一環としまして、やる場合に、どこの
海域が適当であろうかということもあわせ
検討する。海の問題はやはり
水産との
関係もありますし、
気象条件との
関係、いろいろな点をさらに
検討する必要があるというふうに考えております。
-
○
小平芳平君
向こうとの
やりとりを見ますと、よろしいかどうかという
やりとりをしているんですね。ですから、すでにもう
洋上焼却をやるつもりで折衝している。ですから、
先方では
バルカナス二号ができるから二号で対応しようかと言ってきたり、また、一号で対応しようかと言ってきたりしている。それから、なおかつ、もうすでに八年になる。そうすれば
入れ物に
腐食が起きはしないか。
入れ物に
腐食が起きた場合、これは外へ流れ出たら大変なことになるということで、
地域住民は非常に不安になっているんですが、しかし一方では、
バルカナス号でやるようなやらないような、そこがきわめて不明なんです。あいまいなんです。いかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
私
どもの
考え方といたしましては、先ほど冒頭申し上げましたように、いろいろ従来まで
検討してきた
状況から見ますと、
環境保全等の
観点から見まして、この
液状廃PCBの
処理というのは
洋上焼却を行うのが一番適当であろうというのがいまの私
どもの
考え方でございます。ただ、実際にそこへいくためには慎重な
検討が必要であるということで、先ほど申しましたような
検討をやっておるということでございます。
で、
バルカナス号の
用船につきましては、昨年の十二月に一応
用船契約についての基本的な合意ができたわけでございますけれ
ども、その
段階では本年の四−六月ごろには
洋上焼却を
実施するというようなことを一応考えたわけでございます。ただ、その後、その
実施のための具体的な
検討というのを行うには、いまの一その昨年のときの
状況では、どうも時間的余裕がないと、もう少し
洋上焼却の円滑な
実施についての
見通しにつきましてわれわれとしても
確信を持たなければいけないということで、
確信を得る
段階までに至らなかったということで延期をすることになったわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、
洋上焼却の方向ということで今後とも
検討いたしますが、実際に踏み切るというためには、いま申しましたようないろいろな面、角度からの
検討を詳細に行った後に踏み切るということにいたしたいというふうに考えております。
それから備蓄の問題につきましては……
-
○
小平芳平君
バルカナス号は
PCBは燃やしたことがないわけでしょう。そういう経験のない物を預けていいですか。要するに、もうすでに電報の
やりとりでは
契約直前までいっている。あるいは一たん行きますというふうに
先方から返事が来た。けれ
ども延ばしたというふうに説明しておりますが、それは
PCBを焼いたことがないという船で大丈夫かなということはいかがですか。
-
○
政府委員(
島田春樹君) お答え申し上げます。
バルカナス号は、御案内のように、
有機塩素系のものについての
焼却実績というのを世界で一番持っておるものでございますし、われわれとしては、現在のところ、まあもし使うとすればこれが世界で一番レベルとしては高いし、ということでございますので、われわれとしてもこれを一応対象として考えているわけでございます。
ただ、先ほど申しましたように、われわれとしても初めてのことでございますから、念には念を入れ、慎重にも慎重の上で
検討をいたしておるという
状況でございます。
-
○
小平芳平君 次に、環境汚染がはなはだしいときに、新聞報道では、出光のタンカーが廃油を捨てたと、大量に土佐沖へ捨てたというふうに報道されておりますが、海上保安庁で把握しておられますか。
-
○
政府委員(真島健君) お答えいたします。
ただいまの徳山丸の不法投棄の問題でございますが、私
どもは、三月二十一日に第六管区海上保安本部、これは広島でございますが、ここにおきまして情報を入手をいたしまして、ただいま捜査中でございます。
概要を申し上げますと、徳山丸、これは御
指摘のとおり出光タンカーの所属の十三万六千トンのタンカーでございますが、これが四国の土佐沖におきましてタンククリーニングの作業を
実施し、その間に船底からスラッジと申しまして油性混合物、非常に油分の高いものでございますが、これを不法に海中に投棄しておると、こういう情報でございます。
私
ども、直ちに捜査に着手しておりまして、この情報の裏づけ、さらには出光タンカーあるいはこの作業を下請いたしました内外産業というような会社の
関係者に事情聴取その他を行いまして、さらに検証を今後早急に行うという捜査の
段階でございます。
-
○
小平芳平君
環境庁長官に伺いますが、とにかく海をきれいにしようと、それから、きれいな海をそのまま後世に伝えようというのがみんなの願いであるというふうに思っているのに、そう大量にスラッジを捨てていくなんというのは、しかも海へ捨てていくなんというのは全くけしからぬと思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
土屋義彦君) お答え申し上げます。
もうまさしく
先生のおっしゃるとおりでございます。私は新聞報道によって知ったのでございますが、道義地に落ちたとでも申しましょうか、本当に私は憤りを心から感じたような次第でございます。
先生御案内のとおり、油の海洋投棄は禁止をされておるところでございまして、この問題につきましては、先ほど海上保安庁の方からも御答弁がございましたが、
運輸省とも密接な連絡をとりまして、事実の解明をしていただきますように
環境庁といたしましても強く要請をいたしてまいりたいと思います。
-
○
小平芳平君 それから、台湾に油症患者が発生したというような新聞報道がありましたが、これは千人以上がいる、しかも胎児性患者もいるというふうに言われておりましたが、この点についてはいかがですか。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) 台湾におきまして、
PCBを原因とするかと思われる油症患者があったという新聞報道は承知いたしておりますが、その正確な実態については厚生省は把握をいたしておりません。
-
○
小平芳平君 厚生省で正確な実態を把握すべきじゃないですか、つまり、厚生省以外で実態を把握するところがないわけですから。いかがですか。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) 台湾とは国交回復をいたしておりませんということもございまして、なかなかその実態を掌握することは困難であろうかと思います。われわれが台湾に乗り込んでその実態を把握するということも、そういう意味からも困難でないかと考えております。
-
○
小平芳平君 まあ油症患者というのは日本にだけ発生したんですね。各国では例がないわけですから、日本にだけ大量に発生したのでありますから、それは外交上の問題もありましょうし、いろいろな障害もありましょうが、できるだけのことはすべきであろうと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) 台湾における油症患者の発生につきまして、もし救済処置について御要望がありとするならば、わが国におきまして油症治療研究をいたしてまいっておるわけでありますから、その成果の活用について便宜を計らうように方途を講じてもよろしいかと思いますので、
検討してまいりたいと思います。
-
○
小平芳平君 次に、年金についてですが、年金の財政問題としまして
一つだけお尋ねしますが、社会保障制度審議会から建議が出された。五十二年十二月十九日ですから大分前ですが、建議が出された。その建議によりますと、基本年金をつくる、その基本年金は付加価値税によるということでありますが、政府としては、その後年金改正もあったんですが、これには触れようとしないですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(野呂恭一君)
小平先生御
指摘のように、五十二年の社会保障制度審議会の建議は、今後の年金制度のあり方を考える
一つの意見として基本年金構想というものが建議されたわけでございます。しかし、との
実現につきましてはいろいろの
問題点を持っているのではないか。まず第一に、必要とする多額の
費用の負担が可能なのかどうか。もう
一つは、現行制度から円滑に果たしてこの基本年金制度に移行できるかどうか。あるいは、その財源をお話のように付加価値税に置くということについて、その
実現が可能かどうか。また、急速な高齢化社会に対応して、その必要とする財源というものを安定的に確保できるかどうか。これは非常に慎重を要する問題であるということでございます。
厚生省といたしましては、
関係機関といろいろ
検討をいたして今日に至っておるわけでございますが、しかしながら、今後の年金制度の
一つのあり方ということにおきましては、特に高齢化社会におきまする年金制度が真に発展ある老後生活を支えるものとしてはどうしていくかということについて、いろいろの御意見をわれわれは参考にしながら、現行の年金制度の中において八つの年金制度の分立を認めながら、その中において十分な連携をとりながら現制度の中でどういうふうにして年金財政を安定さしていくかということについて、今日年金制度の改正に取り組んでまいっておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 大蔵大臣、付加価値税についてはいかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 一般論としての御
質問のようでございますが、確かにいま
小平委員おっしゃいましたように、社会保障制度審議会では新たに基本年金制度を創設するということが一点、それから現在の国庫負担部分を除いた部分を基本年金の上乗せとして給付し、国庫負担は行わないという点が二点、それから基本年金の
費用を賄うため年金税を新設すると、この三点が柱だとわれわれも理解をいたしております。したがいまして、この制度そのものは
一つの意見として傾聴すべきものであると思いますが、これの仕組みの複雑性とか、現在の
段階の
検討経過等については厚生大臣からお答えがございましたので、それでおくことといたしまして、そこでこの付加価値税を導入すべきであるという問題に対しての御意見であると思いますが、この建議につきましては、にわかに付加価値税というものが国民の皆様方にどのような理解というものをいただけるものであるかどうかというような点で、私は十分考えなきゃいかぬ点であると思うのであります。付加価値税を導入して年金のための特定財源化を図って、それによっていわゆる国庫負担の増大を求めていくという
考え方でございますので、やはり税制というものは、本院における財政再建の決議の際にも
指摘されましたように、いかなる税制、税目も国民の理解と協力なくしてはその成果を上げることはできないという
考え方に立ちますならば、きょうこうして御意見を聞いたりする問答というようなものが国民の中に知れ渡って、それがいろいろな形でまた議論を呼んで、そういう各方面の意見を聞きながらでないと、にわかに
小平先生それは結構ですというような問題ではないのじゃないか。ただし、
一つの貴重な意見として私
どもは踏まえるべきであるというふうに考えております。
-
○
小平芳平君 今度の改正で保険料が上がる。そうして本人負担分だけを比較した場合に、厚生年金は一〇・九、それから国公共済は一〇・三になりますが、これでよろしいですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 今度厚生年金の改正を御提案申し上げておりますが、その中では、ただいま
先生の御
指摘のように、男子の保険料につきましては一・八%を上げさしていただくという形になっておるわけでございます。これにつきましては、将来の財政
状況を考えると同時に、現在の被保険者の方々と後代の被保険者の方々の負担が余りアンバランスにならないようにというような点も考慮しながら一・八%の引き上げをお願いいたしておるわけでございます。
なお、別途共済組合でも財政再計算を行いまして、保険料を引き上げるということをいたしておるわけでございますが、その際、国家公務員共済組合について言いますれば、ただいま
先生の御
指摘のような料率になるわけでございますが、この点につきましては共済組合自体の財政再計算の結果に基づくものでございますので、それぞれしかるべき保険料の設定ということに御理解いただけるのじゃないかと思います。
-
○
小平芳平君 民間の方がよけい保険料を払わなければいけないというのはどうしてですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) ただいまの年金制度は八つの制度に分かれておるわけでございますが、その
一つが厚生年金でございます。厚生年金は
昭和十七年にできました制度でございまして、今後年金受給者は五倍、それから年金給付費は、ただいまのままでいきますと九倍になるという
見通しでございまして、そういうことを考えますと、将来の世代の負担を余り重くならないようにするという
観点から、現在御提案申し上げております程度の保険料はぜひ負担していただかなければならないと、こういうことでございます。
一方、共済組合はまたいろいろな制度に分かれておるわけでございますが、国家公務員共済組合について申し上げますと、恩給を引き継ぎまして、
昭和三十四年に現在の形になっておるわけでございまして、
昭和三十四年以降が社会保険方式になっておるわけでございます。そういう
観点から見ますと、国家公務員の共済組合の場合には、厚生年金よりも成熟度が低いというふうに見ることもできるわけでございまして、それぞれの年金制度が分かれているという
前提に立つ場合に、それぞれの保険料は適正な水準になっておると、こういうふうに考えるわけでございます。
-
○
小平芳平君 厚生大臣、いまの
局長の答弁だと、保険料が適正な水準になっているということですが、そうは思っておりません。第一、どうしてこういう差があっていいのか。それで
関係閣僚
会議を開いて歩調を合わせるというふうになったそうですが、とてもそんなことをしていては間に合わないという面もあるわけです。各年金制度がいろいろな制度がある、いろいろな格差がある、それで適正な水準だと言うにはほど遠いというふうな認識で
関係閣僚
会議で論議するでしょうけれ
ども、いまやそう言っておれない。いかがですか。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) 御
指摘のように、公的年金制度の均衡ある発展という、これからの年金制度のあり方について
検討するために
関係閣僚懇談会を持っておるわけでございます。また近く、いまお話しのように、各制度の分立を認めながら、その中にどういうふうに調整をしていくか、それは給付の水準において、あるいは掛金におきましても、これをどういうふうに調整していくかということは、確かに大きな私は問題であると考えておるわけでございます。いろいろ急ぎ
検討せねばならないわけでございますが、いずれにしても、高齢化社会を本格的に迎えておりますから、老後の将来を安定さすための
一つの年金としてのあり方というものを各制度ごとの不均衡を是正するということに私
どもはさらに論議を積み重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 次に、大規模年金保養基地についてお尋ねしますが、全国で十一基地十三カ所ある大規模年金保養基地の進捗
状況について説明願いたい。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) 大規模年金保養基地の進捗
状況についてでございますが、
昭和四十八年度にこの事業を開始いたしましてから、用地の取得、
基本計画の策定、設計などの作業を順次進めてきたところでございます。
そのうち用地取得につきましては、
昭和五十一年度末をもって全基地について完了する運びになったわけでございます。
基本計画の策定につきましては、十一の基地の中で八つの基地についてはすでに大臣の承認を行ったところでございます。そのうち一基地については、原案の作成を終えまして、年金福祉事業団において大臣承認の申請を準備中でございます。さらに一基地については、現在原案の作成中でございます。
基地の建設につきましては、
昭和五十三年の一月に兵庫県の三木基地について、さらに
昭和五十三年の九月に北海道の大沼基地について建設に着手したところでございます。工事は順調に進められておりまして、それぞれことしの夏にはオープンの予定でございます。また昨年八月に新潟県の津南基地につきましては基地整備事業に着手したというところでございます。
-
○
小平芳平君 その大臣の見解と見解を異にするのは、順調に進んでないと思うわけです。で、二基地が工事にかかった、そして一基地は、何ですか、新潟県の津南基地が基地整備ですか、そういうことで、残るところの八基地九カ所は何ら手がついてないわけです。そこで山林原野の大地主になっているのですね。それで、山林原野の大地主になって、二百八十億円くらいがただ眠っているのですね。その山林原野でも維持するためにはどれだけの金がかかるんですか。
-
-
○
小平芳平君 三百八十億かかったわけでしょう。それで三百八十億かかって利子が幾らですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君)
昭和五十三年度末までで資金運用部に支払っておりまする利子は九十八億五千五百万円でございます。
-
○
小平芳平君 九十八億ですか、九十八億円も利子を払っていながら、まことに順調に進んでいるなんて言えないじゃないですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 大型保養基地につきましては、
昭和四十七年に
計画を発表いたしまして世論の反響を見まして、御希望も多いということで、
昭和四十八年でございましたか、この基地の設置要綱を設定をいたしまして具体的にスタートを始めたわけでございます。それによりますと、十一カ所の基地それぞれにつきまして第一期工事と第二期工事に分けて行う。第一期工事は
昭和六十年までに完了いたしたいというのを一応のめどにいたしておったわけでございます。現在工事が行われておりますのは三ヵ所でございまして、そのうち二ヵ所がことしの夏にオープンできるというところまで来ておるわけでございますが、
昭和六十年までに全体の基地につきまして第一期工事を終わるという当初の目標から言いますと、おくれておることは事実でございます。
ただ
先生の御承知のとおり、この構想ができました時点とその後の時点では、かなり社会経済情勢が変化してまいっておりまして、こういう施設に対する国民の希望と申しますか、利用の仕方ということが変わってきておるというふうに思うわけでございます。それで、この施設、土地、建物は年金の金を使っておるわけでございますが、この運営につきましてまで年金のお金を
使用するわけにはいかない。言いかえれば、独立採算でやるというふうに考えていかなければなりませんので、その後の社会経済情勢の変化に応じまして慎重な運営をしていかなければならないのではないかというふうに思っておるわけでございます。そういう
観点から、当初の目標に比べますとぺースが落ちておりますけれ
ども、今後とも社会経済の情勢等も踏まえましてこの基地の建設を進めてまいりたいというふうに考えております。
-
○
小平芳平君 根本的にやり直さなくちゃだめです。土地だけあわてて取得したですね。ところが、果たしてどのような基地をつくったらいいか、つくった基地が採算が合うのかどうか、それがわからないわけでしょう、
見通しがつかない。ですから会計検査院の特記事項でもそのことを言っているでしょう。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 会計検査院からは、御
指摘のように、特記事項という形で御意見をいただいておるわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、十一カ所につきまして大臣の指定を行い、その指定のあった地域につきまして土地の取得をいたしまして、これは五十二年に完了いたしておるわけでございます。それに対しましてかなり大きな額の支払いがなされていることは事実でございますけれ
ども、一方また、拙速と申しますか、そういうことで運営がうまくいかないということがあってはならないわけでございますので、会計検査院の御注意も踏まえながら慎重にこの
計画を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
-
○
国務大臣(野呂恭一君) まず、お断り申し上げなきゃならぬと思いますが、私が先ほど、兵庫県の三木基地と北海道の大沼基地の工事は順調に進捗しておる、この二つのことについての工事の進捗
状況を申し上げたわけでございます。全体としては、先ほどいろいろ御
指摘になりましたとおり、大変おくれておるということでございますが、これは申し上げておりますように、他に例を見ないような規模の大きな基地でございます。したがいまして、当初
計画いたしました当時と違いまして、経済的、社会的な大きな変化が今日来ておるわけでございます。したがって、当初予定したような予想は成り立たない。私は、決して楽観を許さない問題であるというふうに心配をいたしておるわけでございます。したがいまして、ここ数日前にも
関係者の集まりを持ちまして、今後どのようにこの問題の
処理をしていくか、その的確な
見通しをどういうふうに進めていくかということについても
検討したわけでございます。御
指摘のように、今後のこの大規模保養基地についてのあり方、そういうものを含めながら、私
どもは何とか工夫をこらしながらそれぞれ地域の需要にこたえていくように慎重に
検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
-
○
小平芳平君
検討することは必要ですね。それが
局長の言うように、何だか
計画どおりでいいんだというような印象を受けましたが、それは間違いです。土地取得ばかり急いでしまって、いまは大きな土地を抱えてどうしたらいいか——民間の会社ならとっくにつぶれちゃうですよ。百万坪の土地を十一カ所買ったわけです。その百万坪の土地を十一カ所で二カ所ができた、それから一カ所が整地している、あとは手つかずでほうってあるのですから、利子だけで九十何億とかかっている。民間の会社ならとっくにつぶれている。それを年金だからいい気になって、そんなことは許されないですよ。年金だから十円でも保険料はまけないでしょう、厳しく取り立てるでしょう。それで、その金だからといって寝かしておいていいんだなんて考えたら、これはとんでもない間違いだと私は思います。
それで次に、年金保養協会というのはどうやってやっているんですか。年金保養協会の性格なり仕事を説明願いたい。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 年金保養協会は、
昭和四十八年十二月に厚生省で認可いたしました財団法人でございます。高齢化社会に入りますに伴いまして、年金受給者の方々に生きがいを与え、また勤労者の方々にも健全な余暇利用に供するための総合施設につきまして調査研究等を行うということを目的といたしておるわけでございます。
設立以来、主として行ってまいりました事業は、
一つは、ただいま申し上げました施設の研究等を行いまして、機関誌を発行するというようなことでございますし、またもう
一つは、先ほど来申し上げておりまする大型保養基地につきまして
基本計画の作成をしていただいておるということでございます。
-
○
小平芳平君 年金保養協会に対する委託費が年年支払われておりますが、
昭和五十四年度では幾ら支払われておりますか。
-
-
○
小平芳平君 そういう一億幾らとか、四千万、三千万、七千万というような金額が毎年払われているわけですね。この年金保養協会は、この委託費のほかに収入があるんですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 年金保養協会の発足に当たりまして、こういう高齢化社会を迎えまして、年金受給者の方々の生きがいのある施設をつくるということにつきましてかなり反響がございまして、約七億円ばかりの寄付金を各方面からいただいたわけでございます。それを基本金といたしまして、その果実でもって先ほどの研究等を行う一方、ただいま御
指摘の委託費を受けまして事業をいたしておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 この年金保養協会は委託を受けていろいろな仕事をしているんです。もうすでに三木基地がオープンした場合のことを仮定して予約受付までやっているのです。受付までやっているのですが、厚生大臣の認可は必要としないのです。なぜかなら、福祉事業団は認可を受けなければなりませんが、委託だから受けなくっていいんです。こういうことでやっているのですが、いかがですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 年金福祉事業団の法律では、こういう施設を設置し運営することができるということになっておりまして、また、その運営は委託できるということにもなっておるわけでございます。三木基地が正式に施設の整備が終わりましてオープンをいたします場合には、年金保養協会に対して運営委託をすることを考えておるわけでございますが、その際には年金福祉事業団と年金保養協会の委託
契約につきまして当然厚生大臣の認可をとらせるということになろうかと考えておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 年金福祉事業団としては、事業団法第十八条第一項、要するに事業の認可を受けなくちゃならないのです。ところが、認可を受けないうちに保養協会はどんどん事を進めているのですが、いかがですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 三木基地は、先ほど来御
指摘のございますように、百万坪の土地の上にございます非常に大規模な施設でございますので、その開設準備がいろいろ要るわけでございます。そういう多種多方面にわたります開設業務は年金福祉事業団の現在の陣容でやることはできませんので、これにつきまして先ほどの御
指摘の委託料を支出して準備事業をやっていただいておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 厚生大臣の認可を受けなきゃいけない事業がどんどん進められていていいんですか。
-
○
政府委員(木暮
保成君) 先ほど申し上げましたように、三木基地ができ上がりまして、運営自体を委託いたします場合には、法律の定めるところによりまして年金福祉事業団は厚生大臣の認可を受けるということでございます。しかし、現在年金福祉事業団が保養協会にやってもらっておりますのはその準備作業でございます。したがいまして、それにつきましては厚生大臣の認可は必要としないというふうに考えております。
-
○
小平芳平君 こういうふうに全部年金福祉事業団の名前入りで、準備作業という
名目で進めていることに疑いを持ちませんか。(資料を示す)
-
○
政府委員(木暮
保成君) 繰り返しになって大変恐縮でございますが、何分にも非常に大きな施設でございますので、準備作業も非常に多方面にわたるわけでございます。開設した後の施設の運営の
基本計画から始まりまして、ちょうど現在学校卒業者が出る時期でございますので、職員の予定者を選考するというようなこともございますし、また、オープンの場合には、その職員がすぐ働いてもらえるような研修というようなことも必要でございます。それから施設を開きましたときに、初め利用者がいないということでは困りますので、予約をとるというようなことも
現実問題として必要なわけでございまして、そういう事業を現在やっていただいておるわけでございます。
-
○
小平芳平君 次に、時間がなくなりましたが、企画庁
長官に早くからおいでいただいて大変申しわけなかったですが、最近の物価情勢は相次ぐ物価値上げで、非常に危機感を持っているんです。それから六月には鎮静するというようなことがきょうの新聞に出ておりますが、そんなのんきなことでいいかどうか。
それから、とにかく鎮静するにもしないにも、政府が火つけ役なんだね。この公共料金値上げという、政府が火つけ役となって、それでしかも商工と物価の連合審査が十八日に開かれたんですが、「三時間余にわたる審査はカラ回り」というふうに新聞に出ておりますね。それから、電気・ガス料金の値上げは政府の権限で認可するという一点張りで、しかも自民党には当日審査基準として一ドル二百四十二円とか、株式配当年八分なんということが説明されていながら、この
委員会には断固として言わなかったんですね、いかがですか。
-
○
国務大臣(正
示啓次郎君) 御
指摘のように、物価は非常にいま重大な局面にあることはおっしゃるとおりでございます。ただ、御理解をいただきたいのは、日本は卸売物価が大変上がっております。これは原油の値上がり、その他輸入原材料ですね、これが非常に上がりまして、そのほかに円安、円のレートが低いというようなことから、いわゆる海外から来るインフレが卸売物価の面にはもうはっきりあらわれておるわけであります。
そこで、私
どもは五十四年度——現在の年度でございますが、
最初から卸売物価については、もうこれは相当上がることは——極力交渉によって原油価格も上がらないようにしたいし、買い付け等にも努力をする、また円安
対策も講じていくわけであるけれ
ども、これは限度がございますから、ある程度卸売物価の上昇というものはしようがないが、それをホームメード、国内のインフレに転嫁しない、何とかその原材料を確保いたしまして、いわゆる中間製品、完成品に来る
段階で吸収してもらう、いわゆる生産性を高めてもらう、こういうことを物価政策の基本に置きましてやってまいりまして、
小平委員御承知のように、幸い五十四年度は当初の見込み消費者物価四・九を四・七に下方に修正をいたしまして、いま年度末にそれを達成できるような
状況になっております。
しかし、来年度につきましては、じわじわと卸売物価の上昇が消費者物価にも波及しつつあることは事実でございます。そこで、さらにこれを強く努力を集中して強化していかなきゃならぬと、こういう認識でわれわれは、さきの電力、ガスの料金の改定に当たっても、政府を挙げて物価、国民生活への影響を軽減するように努力をいたしたわけでございます。そしてまた、いま御
指摘の点については、季節的に野菜価格が非常に上がりました。そういう季節的な要因もございまして、私
どもとしては、この三月、四月、この辺を乗り切って、五月をうまくいきますと六月あたりが転機になるのではなかろうかというふうな
見通しのもとに努力を傾注いたしておるわけでございますので、何とかして来年度の六・四%の消費者物価
見通しというもの、これを守っていくように全力を挙げて取り組んでおるわけで、先般の総合物価七項目の
対策も、また
日本銀行の公定歩合の引き上げも、まさにそれを何といいますか、目標に置いて樹立、実行しておるところでございます。
さきの連合審査で空回りというふうなマスコミの批判もあったようですが、私は、
委員の方々はきわめて御熱心に、もう本当に御努力をいただいて、いろいろ御
質問をいただいたのを終始拝聴しておったわけです。ただ、政府としてあの
段階でどういうふうに査定をするかということを申し上げるのは、これはもう大変むずかしいところでございましたので、われわれは、皆様の御意見を十分拝聴し、それを最後の政府の査定の中に取り入れるということを主眼に置いて商工
委員会、また商工、物価連合審査会を一日参議院においてお開きをいただいた、こういうふうな理解をいたしておるわけでございまして、決して空回りではなくてきわめて有意義な審査であったと、私はかように心得ておる次第でございます。
-
○
小平芳平君 いや、
委員は熱心ですが、政府が空回りさせたと出ているんですよ。
それから、通産大臣どうですか、自民党には言っておいて、それでこの
委員会では言えないんですか。
-
○
国務大臣(
佐々木義武君) いま思いますと、ちょうど参議院の物価
委員会、商工
委員会連合審査会がありましたときは、経済企画庁と通産省の間で問題を詰めている最中でございまして、官
房長官が中心になりまして詰めておる最中で、非常に実はデリケートな
段階でございました。いずれにどう決まるかわからぬときでございましたので、ああいう態度をとったと思っております。
-
○
小平芳平君 まあ、政府だけで物事を運ぼうとするのも意味がわかりますが、この物価問題は、より国民に理解を受けるという、国民の理解を深めていくということも重要であると思います。したがって、物価問題をこのような態度でやっていくことについて私は批判しておきます。
-
○
国務大臣(正
示啓次郎君) 御
指摘のように、物価問題のこの難局を切り抜けてまいることは国民の皆様の一致した御要望であり、またその御協力を得なければ不可能であります。私
どもといたしましては、いろいろと限界のある問題もございますけれ
ども、ぜひともそうした態度で今後とも一層の御協力を得たいと考えておりまして、ただいま一応の認可が終わりました
段階で、各野党の皆様方からも強い御要望のあった、できる限り査定経過を公開をして国民の御理解をいただくというふうなことで、通産省が中心になりまして、経済企画庁も御
相談に応じて、いろいろ皆様方に御理解をいただくような方法についてもただいま努力をいたしておることを申し添えまして、一層の御支援をお願いいたします。
-
-
-
-
○立木洋君 外務大臣、きのうアメリカからお帰りになったそうで、時差で大変だろうと思いますけれ
ども、御答弁の方は誤差のないようにひとつお願いいたしたいと思います。
今回の訪米でアメリカの首脳といろいろ会談されてきたと思いますけれ
ども、特に国際情勢の問題あるいは日米安保
条約の運用の問題、あるいは防衛費分担等々の問題についてどのような話し合いがなされてきたのか、
最初に御説明願いたいと思う。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 国際情勢の問題につきましては、特にイラン、アフガニスタンをめぐる問題が中心でございました。それから日米の
関係につきましては、安保問題、防衛問題、それから日米間の貿易バランス、自動車問題、そういうようなことが中心になったわけでございます。
-
○立木洋君 日本の軍事費の着実かつ顕著な増額の要望ということが出されたようでありますけれ
ども、この点については具体的にはどういう内容で、大臣はどのようにお話をしてこられたのでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 向う側のブラウン
長官の発言は、ステディ・アンド・シグニフィカント・インクリーズと英語で言えばなるわけでございまして、着実かつ顕著な増大が望ましいと。で、私
どもの方から、今度の国会で出ましたいろいろな安保問題についての御意見も率直に述べまして、特に日本国民としては、世界的な紛争に日本が自動的に巻き込まれることがあるのではないかという心配が非常にあるということを申しまして、日本の立場はあくまでも平和憲法と専守防衛、非核というこのプリンシプルの枠組みを崩す意向はないんだということを申したわけでございますが、米側としては、そういう日本の基本的立場は自分らも十分理解しているつもりだと、ただ、日本自身が仮に外からの攻撃を受けた場合にみずからを守るという範囲でまだなすべきことがあると自分たちは認識しているので、この面についてステディー・アンド・シグニフィカントな努力をやってほしいというのが自分たちの要望だという話でございました。
-
○立木洋君 在日米軍の駐留費分担の問題についてはどういうふうな話し合いがございましたか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 日本政府がこれまでにとった手段について、この点は非常にアプリシェート、評価していると実はブラウン
長官は言っておりましたけれ
ども、自分はほとんど毎日議会あるいはジャーナリズムから
質問を受けておると。それはアメリカが今度のインフレ
対策などでも
予算を相当思い切りカットする中で防衛
関係と海外援助は削らない、防衛費については従来の
考え方である実質四、五%の増加を継続するというようなこととも関連して、一体、他の西欧ないし日本が、アメリカがそういう財政上の困難にかかわらず防衛に努力をしておるのに対して、それに対応する努力を日本なりヨーロッパがやっておるかということを毎日聞かれておるんで、そういう点からいたしましても、日本が在日米車の経費の負担をふやしてくれるということが非常にありがたいんだという言い方をしておりました。
-
○立木洋君 いや、大臣のお答え、それに対する。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 私の答えといたしましては、地位協定に基づいた負担から考えると、労務費の負担は限界に達している、それでこの面の増加はきわめて困難だと。ただ、施設
関係についてはある程度
検討の余地があると思われるので、できるだけそういう面で防衛庁とよく
相談してみたいと思うという返答をいたしました。
-
○立木洋君 労務費はこれが限界だというふうに大臣がお述べになった根拠は、どういう根拠からそういうふうな説明をされたんですか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) これは私の前任、前前任——前の話でございますが、事務当局からの説明によりますと、地位協定の条文の解釈、日本側、アメリカ側がそれぞれどういうものを負担するかという解釈から言って、当時法制局の方でも相当その解釈についての意見があったように聞いておりますが、その解釈の中で日本側が負担できるぎりぎりまで負担したという
状況にあるようでございまして、そういう意味で限界だというふうに申したわけでございます。
-
○立木洋君 事務当局で結構ですが、法的な根拠があれば示してください。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。
地位協定によりまして、日本側としては、米軍が駐留に必要な経費については、施設その他の提供に係る事項を除いてはアメリカ側が負担するんだという条項がございますが、労務費について過去数年間にわたりまして部内で
検討した結果、たとえば法定福利費あるいはその他の厚生
関係の
費用、それから駐留軍の特殊事情のために払っております語学手当、その他の格差給、これについてはそこで言うアメリカが駐留に必要な経費とは必ずしもとれないということで、日本側が負担しても差し支えないというふうに解釈して、過去数年間にわたりわが方が持っている次第でございます。
-
○立木洋君 この防衛費の問題あるいは米軍駐留費の負担増の問題ですね。これはやはりアメリカの圧力に屈したというそしりは免れないのではないかと思うんですが、大蔵大臣にそれでお尋ねしたいのですけれ
ども、こういう防衛分担費の増額あるいは駐留費の増額等々の問題について、現在の財政状態から大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) やはり防衛費全般につきまして一般論として申し上げますならば、やはりその都度都度の財政状態、そしてまた他の
予算とのバランス等々を考慮して編成に当たるべきものでございますので、特定の防衛分担金がどうだとかいう問題は、所管省との協議の際議論すべき問題でございますので、私からお答えすることはなじまないではないかというふうに考えております。
-
○立木洋君 いろいろ前回のアメリカの国防報告等々で問題になっておりました日米共同防衛の分担の分野をふやす等々の問題は、話し合いは全然出なかったんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) この点についても一意見交換を行ったわけでございますが、私の方からは、日本は先ほど申しましたような防衛の大きな枠組みからしまして、たとえば中東問題について防衛上の協力を日本がやるということは不可能であると、これはできないということをはっきり申しまして、米側もそれはわかりますということでありましたが、ただ、先ほど申しました日本自身の安全性をふやすと、そういう日本を守るという面での努力を日本が強化してくれれば、それは米側にとっても全般的にプラスになるんだと、そういう意味で自分たちは日本の防衛努力についての向上、努力と強化を期待しておるという言い方をいたしておったわけでございます。
-
○立木洋君 たとえば日本からペルシャ湾に向かう三つの海峡ですね。この間も
予算委員会でわが党の上田議員が
質問しましたけれ
ども、こういう問題は、防衛の分担については問題にならなかったんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 私もこれはブラウン
長官に対しまして、たとえば三海峡封鎖というような意見がアメリカ側の文書に出ておることについて日本国民は心配しておるんだということを申したわけでございまして、これに対する答えは、そういう事態、つまり実際に戦争が発生したような状態がどういう形になるかというのは、そのときになってみないとわからないと。しかし、日本が防衛上持っておる制約ということについては十分承知しておるんだという答えでございました。
-
○立木洋君 いまのお話は、日本海に入る三つの海峡のことですか、あるいはペルシャ湾に向かう三つの海峡のことですか。両方とも問題になって両方ともお話しになったんでしょうか。そのあたりを正確に。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 私いま答弁いたしましたのは日本海の海峡の問題でございまして、他の海峡は、マラッカとか、そういう問題は特別に話に出ませんでした。
-
○立木洋君 アジアの情勢の問題については何かお話し合いになりましたでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) アジア問題につきましては、一般的な話し合い、ベトナム、カンボジアの情勢等でございまして、特にタイにつきまして、カンボジアの難民について、これが大きなタイ政府の負担になっているので、この難民の救済については日米協力してある程度負担をするという努力をぜひ続けたいと思うので、日本側もよろしく頼むという話がこれはバンス
長官の方からございました。
-
○立木洋君 新聞報道等の内容についても、ただいまのお話を聞きましても、やはり事実上アメリカの世界戦略に協力していくという方向に基本にはなっておる。もちろん私が、大臣が出発する前に中東の問題でのアメリカ軍の軍事介入に対しては協力できないと、このことは特にアメリカに行って念を押してほしいという点については述べられたようでありますけれ
ども、この協力ができないという点ですね。これは中東のアメリカ軍の軍事介入について、日本の基地を使うということも当然いけないという意味でしょうね。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) その点についてはしばしばこれまでも答弁しておりますように、日本の基地が直接軍事行動の発進に使われるという場合には、これは安保
条約から見ても適当でない。しかし、艦隊が移動するというようなことについて、それを別にとやかく言う筋ではないということでございます。それは基本的に従来からの了解の線で考えておるわけでございます。
-
○立木洋君 アメリカのペルシャ湾の軍事介入に対しては協力はできないということですから、そのために軍事基地が使われるということは当然これはいけないということにならざるを得ないと思うんですね。問題は、その移動の問題でいま大臣おっしゃるわけですが、そうすると、日本に駐留している米軍が制約を受ける基準は一体何でしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 艦隊の性質から申しまして、いろいろあちこちに動くわけでございまして、従来の
考え方から申しますれば、日本の基地から直接発進して軍事行動を行う場合については安保
条約の
考え方を超えるものになるわけでございます。もちろん日本が直接脅威にさらされる場合は、これは安保
条約の精神からして日米協力いたすわけでございますけれ
ども、それ以外の地域におきましての
考え方としては、いまの艦隊の属性という問題、それから移動という問題で考える。基本的には安保の骨組みといいますか、日本国民の安全をいかに外敵の侵入から守るかということについて、日本自身がミニマムの自衛力を持つということと日米安保
条約による抑止力によって日本を守るんだと、日本の国民の安全を守るのだという基本的な
考え方がございますし、また、安保
条約というのは日本が外敵に侵入、攻撃を受けた場合にはアメリカが助けるんだと。しかし、アメリカが攻撃を受けた場合は日本は助けないでいいという片務的なある意味では取り決めでございまして、そういう基本的な枠組みの中でアメリカ側の日本における基地の
使用というものを全体の一環として考えていく必要があると考えております。
-
○立木洋君 だから、私たちは、いまこの日米安保
条約が攻守同盟化されることについての厳しい危険を
指摘しているわけなんですよね。米軍の行動が規制される内容について、
昭和三十五年の四月、当時の岸総理が述べている。制約される
条件として二つ挙げてあります。米軍の日本に駐留する場合の駐留目的によって制約を受ける。もう
一つは、事前協議によって制約を受けると。この点については現在でも変わりがないでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 特別に変わりはございません。
-
○立木洋君 特別にという意味は。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君)
昭和三十五年と
昭和五十五年で二十年間たっておるわけでございまして、世界の情勢にもその二十年間にはいろいろな意味の変化がございます。そういう具体的な世界情勢の変化というものを完全に無視することはできないわけでございまして、基本は変わらないという意味で特別にということを申し上げたわけでございます。
-
○立木洋君 当時の岸総理の国会での答弁の中に、米軍の制約される行動の中で、たとえば補給だとか移動だとかという行動も挙げておられるわけですね。問題は、つまりたとえ補給であれ移動であっても、駐留目的に反するようなことであるならば、これは当然制約されなければならないというふうに言えるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 駐留目的に違反するという判断の問題でございますが、いずれにしてもアメリカの艦隊が日本の基地に存在するということは、日本の安全あるいは外からの侵略に対する抑止力として働いておる。全般的に日本の安全に寄与しておるということになるわけでございますが、法律的な解釈が必要であれば、
政府委員から答弁させたいと思います。
-
○
政府委員(伊達
宗起君) お答えいたします。
先ほど立木
先生がおっしゃっておられます岸総理の御見解というもの、つまり事前協議と駐留目的というものに違背する米軍の行動というものは、安保
条約上許されないものであるという
考え方でございますが、それは現在においてもいささかも変わりがないものでございます。
-
○立木洋君 そうすると、中東に直接米軍を投入するような場合、これもある意味でいえば移動と言えるわけですね。特に米海兵隊が緊急投入軍として沖繩に配備されている、これをC5Aギャラクシーで先発隊として中東に派遣すると、これは沖繩に駐留している米軍当局が述べているわけですから明確なわけですが、こういう場合のいわゆる移動というのは、これは駐留目的に反するわけですから、これは当然制約されるべきことですね。
-
○
政府委員(伊達
宗起君) お答え申し上げます。
沖繩に駐留する海兵隊を中近東に投入するということでございますが、投入という言葉の意味がかなり一般的に使われているようでございまして、もしこれが沖繩の基地をペルシャ湾方面におきます戦闘作戦行動としての発進基地として
使用するというような場合でございますれば、これは先ほ
ども外務大臣から御答弁がございましたように、安保
条約の予想するところではないということでございます。ただ、私
どもが移動と観念しておりますのは、沖繩に海兵隊、沖繩のみならず、日本の施設区域に米軍と——一般的に申しますれば米軍でございますが、日本に駐留する米軍と申しますのは、その駐留目的に従いましてわが国の安全及び極東の平和及び安全の維持に寄与している、抑止力として有効に働いているわけでございます。そしてその海兵隊と申しますか、米軍がアメリカのいろいろな必要に応じまして日本の領域から去っていくということ、その去っていった後で、それがアメリカ本土に戻るものであるか、あるいは中東方面に向かうものであるか、あるいはアフリカに向かうものであるか、そういうところは安保
条約の関与するところではございませんで、これは単なる移動であるというふうに私
どもは解釈をしておりますし、
現実にそうであろうと。したがいまして、
先生のおっしゃいますように、沖繩の基地、一番中東に近いのは沖繩の基地でございますから、沖繩というふうに観念、認識されるわけでございますけれ
ども、沖繩の基地から仮に中東の武力紛争、現在はございませんけれ
ども、そのようなものが想定されました場合に、ギャラクシーでございますとかということで航空輸送機が飛んでいくということも、これは戦闘作戦行動と考えられるか否かということに係るわけでございますが、これは従来ともしばしば戦闘作戦行動がいかなるものであるかということにつきましてこの国会におきまして政府側の見解を述べておりますように、直接戦闘に参加することを目的として行う軍事行動であるということでございますので、この輸送の場合の輸送機の航続距離でございますとか輸送能力というものとは
関係のない
考え方であるというふうに考えているわけでございます。
-
○立木洋君 中東への軍事介入の投入、米軍の投入、これがいわゆる移動であるのか戦闘行動への直接参加なのか、これはだれが判断するんですか。
-
○
政府委員(伊達
宗起君) お答え申し上げます。
米軍が日本にあります施設区域を基地として発進する戦闘作戦行動をとると、それが戦闘作戦行動であるか、それは単なる移動であるか、あるいは戦闘作戦行動でもない、移動でもない別の行動である軍事行動にすぎないのか、その辺のところの判断は当然のことながらその米軍の行動の任務及び態様によって日本が判断する問題であると考えます。
-
○立木洋君 そういう内容については米軍から必ず報告があるわけですか、事前に。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) 若干事実
関係でございますから、私から御答弁いたします。
もちろん、アメリカ軍の行動、
一つ一つの行動自身についてはこれは軍の機密でございますので、細かい点について必ず日本側に
相談があるということはございません。ただ、いま
先生の言われましたような大きな問題について、これは日米間非常に緊密な
関係でございますし、また日本にとっても大切な問題であるということはアメリカは十分認識しておりますので、それはそのときどきに応じて当然日本側に
相談がある。そのために第四条の随時協議があるということもそのためでございます。
-
○立木洋君 中東への米軍の投入の問題に関して、C5Aギャラクシーが先発隊として沖繩から輸送される、投入されるという場合に、これは沖繩の海兵隊の司令官が述べておるわけですけれ
ども、淺尾さんは、あなたは、これはC5Aギャラクシーにはそんな能力がないということを
衆議院で答えてますね。ところが、これは途中で給油できれば完全に可能であるということを米軍当局が明確に二月の七日に沖繩で述べておりますよ。こんなようなあいまいな
考え方なんですからね、
局長の評価自身が。だから、あなたが先ほど言われたように、アメリカ側から全然
相談もないかもしれない、あるかもしれない。そういう明確な規定がないときに、その移動が全部ほとんどチェックされない、駐留目的に反しているかどうかもわからないという事態で事実上放置されているような状態になっていると、こういう状態で果たしていいんでしょうか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。私、
衆議院で御答弁いたしましたのは、C5Aの航続距離はどのぐらいか、その場合に具体的に兵員あるいは物資を何トン積んだ場合にはどうかという御
質問ございまして、その際に、からで行けば恐らく一万キロ行くだろう、五十トン積載すれば五千キロぐらいだろうということを申し上げたのは事実でございます。ただ、安保
条約上戦闘作戦行動か否かということは、先ほど
条約局長が答弁いたしましたように、まさに日本の施設区域から戦闘作戦行動に出て行くときの任務、態様ということでございまして、いま議論されている飛行機の能力とは第一次的に
関係はないわけでございます。
さらに、第二にその関連で申し上げれば、軍事的に考えて現在沖繩の施設区域からそういう行動は起こされてないというのが事実でございますが、仮定の場合の問題としてお答えいたしますと、仮に沖繩から直接発進して戦闘作戦行動が行われることがあるのかどうかということでございますけれ
ども、現在の距離その他を考えますと、沖繩から直接C5Aが戦闘作戦行動のために飛び立って行くことは考えられないで、むしろ一たん他の地域に移動して、そこで戦闘の
状況を見ながら後の行動を考えるということから、現在のところ沖繩が戦闘作戦行動の基地になるというようなことは考えられないというのが従来からの答弁でございます。
-
○立木洋君 大臣のお答えを。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 先ほ
どもちょっと申し上げましたけれ
ども、もし日本が武力攻撃を受けた場合には日米が共同して外からの攻撃を排除するという安保
条約のたてまえでございまして、この場合には日本の防衛のために米軍がある程度の損害を覚悟して日本を守るということは当然でございまして、そもそも日米安保というのは両国の信頼
関係の上に成り立っておると、この相互の信頼
関係が失われれば日米安保
条約の存立というものが意味がなくなってしまうことでございまして、いまいろいろ御
指摘の点につきましても
局長から答弁したとおりでございますけれ
ども、同時にアメリカの行動で日本に対して重大な影響のあることは当然われわれは
相談を受ける。そういう
相談を受けた際に、日本の基地の
使用でございますから、日本側としてもそれに対する意見を述べるということに当然なる。それは第四条の随時協議の中にもそういう
可能性が盛られておるとわれわれ解釈いたしておる次第でございます。
-
○立木洋君 大臣がアメリカにおいでになる前、国会でこの問題が議論されたときに、いわゆる中東に対してのこれは移動ならば問題はございませんという趣旨のことをアメリカの駐日大使とお話をされたということのようでありますけれ
ども、そのあたりをちょっと正確に聞かしてください。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 別に詳細な問題に入って話し合ったわけでございませんで、ただ、国会でいまの御
指摘の問題がいろいろ出ましたので、大使館を通じてアメリカの国防当局に確かめたわけでございまして、その結果、米軍としても日本の基地を中東における直接作戦行動の基地に使う意思はないという返答を受けたわけでございます。
-
○立木洋君 だから、結局
一つは米軍が中東に軍事介入する場合に、これはもうない。そういうことをされてもらっては困るわけですが、そういう事態があった場合、これについては日本としては当然そういう軍事協力はできませんと、これは平和憲法の立場からできないことですということははっきり大臣も国会で答弁をされておる。ところが問題は、それが移動かどうか、移動であれば構わない。さっきの伊達
局長の話によりますと、日本から出てしまえばどこに移動するかという問題は、それは事後の米軍の問題でございますと。ここに抜け穴があるんですよ。事前に必ず
相談されるのですかと言ったら、
相談してもらえるだろうと思いますけれ
ども、そうでないことがあるかもしれない、一体どこでチェックをしているのか。駐留目的に反する場合にはそれは制約を受けなければならない、明確に岸元総理が述べているにもかかわらず、だんだんだんだん拡大して、移動ならば構わないというようなことでやっていって、日米安保
条約を拡大解釈するようなことになればこれは大変なことになる。移動はすべての移動が自由であるということではないということを明確に言ってください。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) その問題は、日米間の信頼
関係に基づく、日米安保の基本的精神に照らして相互の連絡が行われるという信頼
関係に立つことになりますので、移動はいけないとかいいとか、そういうことを申し上げる筋ではないと思います。
-
○立木洋君 先ほ
ども言いましたように、C5Aギャラクシーが途中で給油がされたら中東に直接軍隊を、先発部隊として米海兵隊を送ることだって可能なんですよ。現に沖繩に駐留している米軍の司令官が言っておるわけですから。だから、そういうことが事前に
相談されるのか、明確に
相談されるという保証がないんですから。それはいまおっしゃった信頼
関係だけなんですよ、あなたが言われるのは。だから、そういう場合にだって、岸さんの述べられたいわゆる制約を受ける内容については変わりがないというんですから、変わりがないならば、やはりすべての移動、つまりそういう事態をも想定した場合には、すべての移動が自由であるということは当然言えないわけでしょう。だから、そのことが言えないというのは私はおかしいと思うんですよ、大臣。その点はやっぱり日本の平和憲法に立って、そういう軍事介入にしないということであるならば、そういう立場をやっぱり明確にするのが私は外務大臣の責務だと思うので、もう一度答弁してください。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 日本の基地を使っておりますたとえば航空母艦にいたしましても、これはそういう艦隊の属性からいたしまして、どこに移動するか、世界のいろいろな地域における緊張状態に応じて米軍としては移動していくとか、あるいは定期的に他の地域を巡回するという
状況の場合もございましょうし、そういう
状況のもとで艦隊の移動が行われる、それを一々、
一つずつ協議の対象にするということはどうかと思われるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、日本にとって重大な意味を持つような場合については、当然日米両方の信頼
関係、あるいは
条約上には安保の第四条による随時協議というたてまえで当然行われる。信頼
関係が失われれば、先ほど申しましたように、幾ら細かい規則をつくってもなかなか円滑にはいかない。とにかく日本が侵略を受けた場合に米軍が血を流して日本を助けるというか、守るという基本精神がございますので、それを損なうといいますか、ということになれば
条約自体の存立の意味が失なわれてしまうということと考えておるわけでございます。
-
○立木洋君 大臣の御答弁、私は大変不満でありますし、それから、これはやっぱり今度のアメリカに行ってこられた内容が、アメリカのいわゆる対日要求に対して事実上屈してきた、そうして、アメリカの世界戦略に組み込まれていく危険性を一層示したものだということを
指摘せざるを得ないだろうと私は思うんです。
それで、別の問題に移りますけれ
ども、アフガニスタンの問題でソ連に輸出を禁止したアメリカの穀物ですね、これの買い付けの問題については具体的にどういう話し合いが行われたんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) これにつきましては、従来、外務省も農水省と協議をいたしてまいったわけでございますが、政府ベースの買い付けとして二十万ないし三十万トンぐらいの買い付けが可能である。その一部は途上国の食糧の不足している地域の救済にも使えるという話し合いで、
先方に政府ベースで二十万ないし三十万トンの買い付けが可能と思うということを申したわけでございまして、
先方もそれは非常にありがたい日本側の考慮であるという評価をいたしておったわけでございます。
-
○立木洋君 当初問題になりました民間なんかの問題については話し合いにならなかったですか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) これはさらに農水省でも
検討しておられることだと存じます。民間べースの買い付けの中で多少でも前倒しの買い付けが可能かどうか。これは日本自身の食糧のセキュリティーといいますか、フードセキュリティー、石油についてもいろいろ備蓄が行われておるわけでございますが、食糧についてもある程度のストックを持つということは日本自身の利益でもございますし、また、仮にアメリカの食糧の過剰が出てまいりますと来年度の作付を減らすということがアメリカ側でとられる
可能性も出てまいる。それは食糧の大輸入国としての日本の来年のまた食糧の買い付け、あるいは価格の問題にも響いてくるわけでございまして、これは日本自身の利益というものともつながっておる問題だと私
どもは考えておるわけでございます。
-
○立木洋君 二月の十九日でしたかね、農水大臣が買い付けの問題で発表されて、いまもアメリカとの交渉ではそういうお話のようでございますけれ
ども、今後の
計画としては農水大臣の方はどのようにお考えになっておられるのですか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 二月十九日というのは、いわゆる政府間、政府で買い付けのできる範囲は、いま外務大臣から答弁がございました二十万ないし三十万トン、それ以外に民間ベースで、
向こうも困っているわけでございますし、いまお話あったように、日本としては将来とも安定供給を受けなきゃならない相手側でございますから、好意を示せるならば好意を示す範囲、できるだけ好意を示せる範囲はないだろうか、こういうことで
検討を民間に依頼をいたしたわけでございます。しかし、その後なかなか民間側としましては、相当先まで買い付け予約をしておると。また正直、自分たちで将来そういうものを買い増しをした場合に、それをストックをしておく場所が日本にはもちろんないし、アメリカ側においてもそういうストックをしでおく場所が果たしてうまくできるのかどうか非常に問題である、こういうことから大変消極的な意見が出てまいりましたので、いまのところはその状態のままにある、こういうことでございます。
-
○立木洋君 大蔵大臣に一言お尋ねしておきたいんですが、今度の政府の買い付けですね、それから民間でも、いろいろ買うとするとリスクがいろいろあって問題だと。そうすると政府が補助をして認めて、見てくれるならばというふうな話もあるようですけれ
ども、いまの財政状態から言って大変だろうと思うので、こういうようなアメリカからのつまり余分なといいますか、買い付けの問題について、
現状から見て大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) それぞれの政策効果につきましては、外務大臣なり農水大臣の所管されるところでございますので、いま財政状態が厳しいということは、これは立木
委員御
指摘のとおりでございますけれ
ども、やはり
予算そのものということになりますと、その都度の状態に応じて所管省と協議して決めるべき性格でございますので、私から予測的にどうだこうだと言うことはやっぱり差し控えさしていただきたいと思います。
-
○立木洋君 外務大臣、食糧を戦略物資として使うというふうな点については基本的にどういうお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 基本的には私は余り好ましいことではないと思っております。これは米国政府も従来、食糧を戦略目的に使うことはできるだけ避けたいということを申しておったわけでございますが、今度のソ連のアフガンに対する軍事介入ということを契機に、食糧を外交的手段にも使うことがあり得るということは言えるかと思いますが、当然これはよほどの事態に限られると思いますし、特に友好
関係のある国にそういうものを戦略目的に使うということはないのではないかと思います。しかし、
現実にこういうことが起こったということは事実でございます。
-
○立木洋君 外務大臣が訪米される前のときは、今後こうした事態が、再び禁輸措置、つまり食糧を戦略物資として使うことをアメリカが行うかどうかということは
現状では判断できませんという御答弁が
衆議院であったように記憶しております。アメリカに行ってからの御感触ではいかがですか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) その点は、ただいま申しましたように、
現実に起こったと。将来どうなるかということについては特に新しい判断材料はございませんで、ただ、アメリカ側はいまの対ソ禁輸措置——八百万トンの約束額は送る、しかし、それを超える分については押さえるという点は変わってないという印象を受けました。
-
○立木洋君 農水大臣、こういう事態が長期間続くとやっぱり私は日本の農業にとっても大変だろうと思うのですね。いま水田利用再編
対策を進めているわけですし、そして今後の農業の問題を考えた場合に、こういう事態が長く続くということになれば、一体どういうふうな影響が生じるというお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) いま外務大臣から答弁がございましたように、友好国
関係においてはこういうことはないだろうと、こういうことでございまして、私
どももそれを期待をいたしておるわけでございます。ただ、私
ども農林
水産省といたしまして、将来の問題としては、この問題だけでなく、FAOの二〇〇〇年を見越しての長期
見通しにおいても、これはまだ正式なものではございませんけれ
ども、現在より五割ぐらいの食糧の増産をせざるを得ないのではないかということを言われておるわけでございまして、やはり世界の人口の増加などから見てまいりましても、今後食糧の需給
関係というものが国際的に非常にタイトになっていくことだけは間違いなかろう。そういう点を考えれば、やはりわれわれは国民の皆様方に食糧を安定的に供給する、こういう責任を持っておるわけでございますから、できる限り国内においてできるものは極力国内で生産をすると、こういう方向に農業政策を持っていかなければならないであろう。ただし、一方、国民の理解を得なければなりませんので、それについては極力やはり生産性を高めてコストが安くなるような努力は一方において農業政策としてはしていかなければならないのではないか。でございますから、いま生産性の高い中核農家を中心としてできる限り国内で供給できるものは供給するという形において、また国民の要望するものを極力生産をする、こういう形において今後の農業生産の再編成をしていきたいと考えておるわけでございます。
-
○
委員長(
山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
午後一時から
委員会を再開し、立木君の質疑を続行いたします。
これにて休憩いたします。
午後零時四分休憩
—————・—————
午後一時二分開会
-
-
○立木洋君 農水大臣、アメリカは日本の水田再編利用
対策あるいは過剰米の
処理等々にいろいろ関心を持っておられるように承っているわけですが、昨年十一月に行われました日米農産物会合ですね、ここではアメリカ側がどういうふうに主張されたのか、そのことを
最初にお伺いしておきます。
-
○
政府委員(松本
作衞君) 昨年十一月に、日米農産物定期協議におきまして、わが国の過剰米輸出についての討議を行いました。その際、日本側からは、この米の輸出は、過剰が起こった一時的な問題である、この臨時緊急的な
処理であって、しかも食糧不足に悩む国の援助的な性格のものである、また輸入国との交渉に当たりましては、伝統的な米の輸出国への影響は及ぼさないような十分な配慮もする、という説明を行いましたが、アメリカの方といたしましては、米の世界的な貿易量がさほど大きなものではないというような
状況のもとで、日本の過剰米輸出が米国の輸出と競合
関係にあるので非常に懸念があるという旨の説明がございまして、今後この問題を引き続き協議をしようということになった次第でございます。
-
○立木洋君 外務大臣、今度の新聞報道でも、外相が行かれる前からもうこの日本の過剰米
処理の問題をめぐって日米間の
一つの問題となっておりましたけれ
ども、訪米されてからこの問題ではどういうふうなお話し合いになったんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) この問題は出かける前に農林
水産省とも打ち合わせして参ったわけでございますが、
先方ではバンス国務
長官あるいはアスキュー通商代表あたりからかなり強い発言がございまして、これは日本の米を非常に大きな補助金をつけて輸出をすることになるので不公正な競争になる、このことについては米の生産をする地域から強い申し入れがあるわけで、できるだけ早急に二国間で話し合いをつけたいと、そういう発言がございました。これは至急帰って農林
水産省と
相談をするということで帰ってまいったわけでございますし、
先方からはハイレベルのこの問題についての協議がぜひ必要だと思うという発言もございました。この点もあわせて農林
水産省といま御
相談をしようとしておるところでございます。
-
○立木洋君 農水大臣、こういうアメリカの主張があるわけですが、先般から問題になっている補助金の問題にしても、ガットの内容から見ても違反しているというふうには考えられないし、もちろん国際相場の問題で問題になっているわけですから、そういうことから見て問題にならないだろうと思うのですけれ
ども、アメリカ側の主張に対して大臣としてはどのようにお考えなのか。また、今後重要な話し合いが進められていくということになるでしょうけれ
ども、そういう点に関しては大臣はどのように対処されていかれるのか、お答えいただきたい。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 私
どもは、先ほど
食糧庁長官が答弁をいたしましたように、現在のこの六百五十万トンという大きな在庫を抱えておる
現状からいたしまして、何とか過剰米の
処理をしていかなきゃならない、過剰米の
処理としては工業用、輸出用、飼料用と三つ考えておるわけでございますけれ
ども、まあまあ飼料用などと比べれば相当コスト的にも高く消化できるわけでございまして、財政的には助かるわけでございます。また、私
どもが無理に外国へ売ろうとしているわけでは決してないわけでありまして、それぞれ食糧に悩んでおられる国々からの強い要請に基づいてやる、言ってみれば援助的な性格でもありますから、アメリカ側により理解をしてもらって、私
どもとしては極力やはりこの従来の
考え方は進めてまいりたいと思っております。
ただ、アメリカ側がああいうことを言ってきたのは、たとえば五十四年度をとってみますと、
最初こちらは二十万トン程度と、こう言っておいたものが結果的には九十一万トンぐらいまできてしまっておると、こういうところが大変刺激的に私はなったのではなかろうかという反省もいたしておりまして、できる限り今後は過剰米
処理の一環としてFAOの農産物
処理原則も十分踏まえながら秩序ある形でひとつぜひ輸出をアメリカ側の理解も求めながらしていきたいと、こう考えております。
-
○立木洋君 それはいま大臣確かに言われたように、飼料でやるよりも輸出の方がいまの点から見るならば有利であることはもちろんですし、五年間の
処理計画を立てられてやっているわけで、もちろん五十四年度が多かったというのも、これはいろいろそういう引き合いがあったために行われたわけでありますから、問題があったわけじゃないだろうと思うんですね。
で、五十五年度のいわゆる輸出の見込みといいますか、あるいは引き合いの状態なんというのは、どういうようなぐあいになっているんでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) まだ最終的に
向こうからの引き合いも具体的には来ておるわけではございませんし、私
どもといたしましては、特にこれくらいというものも出しておりませんが、ただ、一応従来からの
一つの
計画のラインの上では二十万トン、毎年大体二十万トンというラインを持っておりますので、そのラインを持っておりますが、五十四年度においても二十万トンという予定のものが九十一万トンまでいったわけでございますから、そういう点は、今後その食糧の不足しておる国々からどういう形で御要望が出てくるか、それによってその都度アメリカその他の伝統的な輸出国と申しますか、非常に影響のある国々と協議をしながら、その理解を深めながら輸出を進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。
-
○立木洋君 自動車輸出が過熱状態にあるという問題とあわせてこの農業問題がいま問題になっている。いままでの日米間の貿易の問題を見てみましても、たとえば繊維の問題あるいはテレビの問題、自動車の問題、さらには今度のお米の問題等々、アメリカからいろいろ苦情が持ち込まれて、結果的には、何だかんだ言いながら、日本がそれによく言えば同調するといいますか、悪く言えば追随するというか、そういう結果になるというようなことをきわめて残念に思うわけです。特に農産物の問題ですね、常に工業製品の犠牲にさせられているというふうな形が少なくないわけで、この点はやはり五カ年
計画がきちっと立てられているわけですし、そういう外国からの要望があって、引き合いがあり、当然、輸出してもそれが問題にならないという大勢を見きわめた上できちっと対処していっていただきたいと思うんですが、その点は念のためにお答えをいただいておきたいと思います。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 私
どもは必ずしも工業製品との関連で農業が犠牲になっているとは考えていないわけでありまして、これはいろいろ見方がありますから、そういうことをおっしゃる方もありますが、私
どもとしては必ずしもそう考えていないわけで、私
どもは、いま申し上げておりますように、あくまで過剰米
処理計画に基づいて過剰米
処理を今後も進めてまいりたい。そして、その間にやはり理解を深めていくことは、何でもいいから勝手にやるというわけではないわけでございまして、やっぱりFAOの農産物余剰原則にも、よく協議をしていくとか、よく話し合っていくとかいうことは書いてあるわけでございまして、そういう理解を深めながら私
どもは
計画的に進めてまいりたいと、こう考えておるわけであります。
-
○立木洋君 外務大臣もひとつ。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 今回も実は
先方から話が出たのでございますけれ
ども、議会の貿易
委員会の事務局等の見積もりによると、今年は日米貿易でアメリカ側が百六十億ドルの入超になるかもしれないと。御承知のように、昨年は八十四、五億ドルだったと思いますし、一昨年百十六億ドルのアメリカ側の入超になって、御記憶のような日米貿易アンバランスということになったのでございますが、ことしは場合によると百六十億ドルになるかもしれない、この点について日本側もできるだけ考慮してくれと、それは結局日本の市場開放という問題になりますし、また、お米のような場合は、アメリカが輸出できるものを日本のお米の輸出で市場を奪われるということにもなるので、そういう点で日米貿易が非常に大きなアメリカ側の入超であるということを考えてくれと。これは確かにある程度考えざるを得ない点でございまして、貿易というのは相互的なものでございますから、必ずしも圧力というようなことでなくて、相互に相手のことも考えなければやっていけないということではないかと思います。
-
○立木洋君 外務大臣、日米農業政策調整共同研究プロジェクトというのがございますか、これの目的は、一体どういう目的でしょうか。外務大臣がこの組織に参加されて名前を連ねられておられるから、大臣自身がおわかりだろうと思いますが。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) 申しわけございませんが、私になってから一度もそういう催しはございませんで、前内閣ないし前任者の時代だと思いますが、これは早急に調べてみます。
-
○立木洋君 これは両国間の農業問題の政策の論議、審議を行う。審議といいますか、農業問題についての両国間の相互理解の促進だとかいろいろな問題をやるわけですね。このプロジェクトの資金は一体どこから出ているんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) ただいま御
質問の趣旨が政府間の
委員会かと思ったものですから私はわからなかったんですが、多分、民間の研究機関のことではないか。私も、外務大臣になる前にそのプロジェクトに参加して、日本の農業経済学者逸見謙三さん、速水佑次郎さん、その他の方々と御一緒にスタディをやりかかっておったことがございます。このスタディは国際交流センターが事務局でやっておりますので、研究費がどこから出ているかということは、当時私も詳しく聞きませんでしたけれ
ども、これは調べればわかることだと思います。
立木さんが資料をお持ちで、資金は、日本側がトヨタ自動車工業、トヨタ自動車販売会社、米国側が日米友好基金、それだけですね、そうなっております。
-
○立木洋君 これは農業問題の政策の調整のための共同研究ですよね。これはトヨタ自動車がどうして出すんでしょうか。
-
○
国務大臣(大来佐武郎君) トヨタも世界
企業になってまいりまして、非常に広範な問題の研究促進に
費用を出しておるわけでございますし、トヨタもいろいろなアメリカの学者の日本研究に資金を出しておる、そういう意味での一般的な国際問題の研究の補助の一環ということで出したものと了解しております。
-
○立木洋君 これ、いま自動車の輸出問題で日米間で過熱の状態になっており、一方では農業の問題があるんですよね。これはやっぱり自動車の輸出を維持するということで、事実上農業を犠牲にしていくというふうな危険性がないかどうか。これはいままでの経過から見ても、そういうことを公然と言われている方も政府の
関係者の中にはおられるわけです。だから、安い食糧を外国から買ってなぜ悪いのか、そして事実上日本の工業製品をどんどん輸出したらばいいではないか、こういうふうな不明朗な事態になって農業が犠牲になるようなことがないように、やっぱりきちっとしたけじめをつけておく必要があるだろうと思うんです。その点改めて、先ほどそういうことはないだろうと思いますという農水大臣の御答弁でしたけれ
ども、もう一度その点もはっきりさせて、そういうことが起こらないようにきちっとさせておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) いろいろ先ほど申し上げたように、そういう農業と工業製品の輸出とを絡めてお話しになる方もあるようでございますがと私は申し上げたわけでございますが、どうも直接そういうことを結びつけて考えてはいませんし、結びつけて考える必要はなくて、やはり私
どもは日本の農業がそういう犠牲にならないようにやっておるつもりでございまして、今後もそういう方向で進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
-
○立木洋君 外務大臣、まだ
質問したいことがあるんですが、時間の都合で、きょうはこれだけにいたしますが、ひとつお疲れでしょうから帰ってゆっくり休んで、誤差のない今後の答弁を期待したいと思います。
自治大臣、次の
委員会がおありになるそうで、先にお尋ねさしていただきますが、先般、鈴鹿市の職員で
山本和子さんの裁判がございました。これはこうした昇給昇格が今度の問題としては女性であることによって不当な扱いがあるので、そういうことがないようにということで、新たに控訴されておりますから、この裁判自体についてどういうふうにお考えになっているかということはお尋ねいたしませんが、一般的に言って、昇給昇格の上でこのような差別的な運用は好ましくないというふうに考えますが、自治大臣いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 男女間の心身の差異によって、特殊な職種につきまして合理的な理由があれば別といたしまして、そうでない場合に、性別による差異なんということは、これは認められないことでございます。平等の扱いにしなければならない。ただ、私、先般もお答えしましたように、制度の上でそういったことを差別しているところは私はないと思います。ただ、問題は運営が問題ですから、したがって、運営上実際問題としてそういう差別がありはしないかという点について私は多少の危惧の念を持っております。それだけに、今後ともあくまでも男女間の実質的な差別のないように、これはあらゆる機会をとらえまして、あくまでも人事というものは実績主義、こういったもので適正に扱うように指導してまいりたいと、かように考えております。
-
○立木洋君 好ましくないというお話でございますが、事実上いろいろ各地方自治体にこういうふうな
現状があるのかないのか、そういうふうなことは調査をされたことがおありになるかどうか、また、その調べられた結果がどういう状態なのか、もしか結果がわかりましたらお答えいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 五十二年に昇任
試験について調べた実績がございます。それを見ますと、七都道府県、百十七の市、特別区等で、主事あるいは役付なんかへの昇任
試験を
実施している例があるようでございますが、一般的にいわゆる昇任
試験を
実施している地方団体というのは非常に数が少のうございます。それらの団体についての
状況で、実際問題として差別があるのかないのかつまびらかにしておりませんが、今回都道府県について調べましたところが、先ほど言いましたように、男女間の性別による差別はしてないという回答がすべて寄せられておるのが
現状でございます。
-
○立木洋君 私もいろいろ調べてみまして例が幾つかあるのですが、時間の
関係で
一つだけ申し上げます。
たとえば埼玉県の蕨市ですが、ここでは勤続年数二十年以上の方々、男女とも合わせまして八十二名いるわけです。ところが、課長補佐以上になっている女性の方は一人もいません。しかし、係長になっておられる女性の方が三人です。そのうちの一人の方は係長になって二十一年間係長なんです。もう一人は十八年間係長なんです。こういう状態です。それから主査、係長の下に当たります主査ですが、これは主査になるのに男子の場合には早くて四年か五年で主査になる、女性の場合には早くて二十年かかるというんです。こういうのが蕨市の場合あるんです。
極端な例はまだあります。こういうふうな実態を私はぜひ調査をしていただいて、そしてこういうふうなことがないように、自治省としても、昇任昇格を男女平等に扱うように、いま婦人年十年のちょうど五年目でございますから、こういうこともきちっと御指導いただきたい。いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 御
指摘のような趣旨に沿いまして各地方団体に指導もし、御要請も申し上げたいと、かように考えます。
-
○立木洋君 えさ米の問題で一言お尋ねしておきたいのですが、いろいろ議論があったようでありますけれ
ども、水田利用再編
対策の中でこのえさ米の開発の問題、これをきちっと位置づけてやっていただきたいと思うんですけれ
ども、現在のお考えはいかがでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) えさ米の問題はこの国会でもいろいろ議論されておるわけでございますが、確かに水田の生産力を維持できるとか、いままでの稲作技術を利用できるであるとか、あるいはどうしても乾田になり得ない湿田でもできるとか、いろいろなメリットもございますけれ
ども、しかし、いま日本では外国からのほとんど輸入に依存しておりますが、飼料穀物、これが大体トン当たり三万円前後でございます。果たしてそれと比較してコスト的に合うかどうかという問題が
一つと、それから、やはり流通面で主食用のいわゆる米と飼料稲からできる米とどう識別できるのかという流通上の問題がございまして、いろいろそういう非常に難点もあるわけでございますので、農政審議会にもいろいろ議論をしていただいておるわけでございます。いずれにしてももう少し時間をちょうだいをしたいと思っておるわけでございまして、いまのところ、五十六年度からの第二期の水田利用再編
対策の中へ入れていくかということについては、非常に消極的な
考え方でございます。
-
○立木洋君 こういう問題が解決されるならば、これはその他の事情は問題ないでしょうか、その他の支障がないでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 御
質問の趣旨、私よく受けとめかねておりますけれ
ども、その他というのは、いわゆるもしそういうコスト的に全く合うものができて、しかも流通面の識別が問題なく解決をされていく、こういういまわれわれの問題にしておる
条件が解決されるならば、それは私は特にほかには支障はないと、こう考えております。
-
○立木洋君 このえさ米の開発について、特にアメリカの方から何か問題が提起されておりますか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) えさ米の開発で外国からはどこからも、いろいろと何か指示を受けたり、これはどうかというようなことは聞いておりません。ただ、私
どもとしては、たとえば韓国において相当収穫量の多い品種が開発されておるとかいうことも聞いており、いろいろのそういうものの研究は、いわゆる品種の改良の中での研究はいたしておりますけれ
ども、外国から何か指示を受けたというようなことは全くないと私は承知いたしております。
-
○立木洋君 新聞紙上で一、二アメリカの方で何か苦情があるかのような報道を見かけたものですからお尋ねしたわけですけれ
ども、先ほど言われましたコストの問題についても、県
段階でも相当この開発の問題は研究をやられております。農民から、
現状から言うならばいわゆる今度の水田利用再編
対策の中で十分に位置づけてやってほしいという要望が相当出されております。ですから、大臣が先ほど言われたような問題がきちっと解決されていくように努力をしていただきたいし、そういう意味では、
現状では消極的だと言われるのではなくて、そういう問題解決のために積極的に取り組んでいただくというふうにしていただきたいんですけれ
ども、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) いま御
指摘のように、県においても県の農業
試験場でたしか十一県いま研究をしていただいておりますが、私
ども、国におきましても農事
試験場を初め北陸あるいは九州の私
どもの方の国の方の農業
試験場でも研究をいたしておるわけでございまして、今後も研究については積極的に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
-
○立木洋君 労働大臣お待たせいたしましたが、来年が国際障害者年ということになっておりますが、公団や事業団など特殊法人の障害者雇用の
現状がどういうふうになっているのでしょうか。
-
○
政府委員(関英夫君) お答えいたします。
特殊法人
関係の身障者の雇用の
状況でございますが、五十四年の六月一日現在の
状況を申し上げますと、一定の特殊法人は法律によります雇用義務が一・八%ということになっておりますが、昨年の六月一日現在の実雇用率は丁二八%、前年よりやや上昇しております。未達成の法人の割合が六四・一%という
状況でございます。前年に比べてやや改善したという状態でございます。
-
○立木洋君 大臣、いまのお話のように、雇用率を達成するのに、いまのような状態、テンポでいきますと大体八年ぐらいかかると思うんですね。しかも六四%のところで未達成であるというふうなことは、私は非常に問題ではないかと思うんです。いま特殊法人の問題がいろいろ問題になっておる
状況でもありますし、どういうところが特に雇用率が悪いのか、特殊法人のワーストテンのところをちょっと挙げてほしいんですけれ
ども、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用促進法におきましては、雇用率未達成のところに必要がある場合には雇用率達成のための
計画の作成を命令すると、その
計画の適正な
実施について必要があれば勧告をし、勧告に従わなかった場合に公表するというような制度になっておりますので、そういった法律の制度の趣旨にかんがみまして、個別の法人の名前をここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
-
○立木洋君 どうしても答えたくないと言われるなら、それはやむを得ないでしょうけれ
ども、私はそういう問題はやはり大切な点だと思うんですね。それで、特にやっぱり国に準ずる機関ですし、そういうところで未達成の状態であると、一般の民間
企業でもそういう未達成の
状況があるわけですから、そういうところに対して、こういう状態では民間に対して範をたれるわけにいかない状態があると思うのですね。ですから、特に悪い特殊法人については、一両年中にやっぱり達成せよという勧告を、促進法の十五条五項によって勧告権が大臣におありなんですから、これをきちっとやっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
-
-
○
国務大臣(藤波孝生君) いま
局長からお答えをいたしましたように、特殊法人の場合には一・八%と、民間よりも高い義務を課して、ぜひ身体障害者に対して温かい受け入れをするようにと、こういうことが法定化されておるわけでございます。おかげさまで民間の方でも徐々に認識が深まってまいりまして、ともすれば非常に成績の悪かった大手の
企業な
ども非常に数字を大事にするようになってきておりまして、来年の国際障害者年を目標にいたしまして強力に行政指導を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
特に御
指摘のありました特殊法人につきましては、従来雇い入れ
計画を作成をして提出をするようにということで、そういった
計画の提出を求めてきております。それらを点検をいたしまして、目標に向かって、なかなかまだ未達成といったところにつきましては思い切って勧告をしていくようにいたしたい、それもそんなに長い時間をかけるのではなくて、できれば三月末を目途に勧告をして強力に行政指導をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
-
-
-
○立木洋君 じゃ、特にやはり職を求めておられる身体障害者の方々が大分おられると思うんですね。いま千人以上の
企業で雇用率が未達成の部分、これが達成するとほとんど吸収されるんじゃないかと思うんです。こういう民間でのあれもあわせて、来年が国際障害者年でありますからぜひ努力を願いたいということを最後に希望を述べて、私の
質問を終わります。(拍手)
-
-
-
○
穐山篤君 大蔵大臣、
予算というのは非常に重要ですから、こういうふうに二月もかけて審査をしているわけですが、その意味では決算というのはどうも重視をされていないきらいがありますが、大臣としての御感想、いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私は、決算というものが、強いて申しますならば、いついつまでに決算
委員会で承認してもらうという規定がないというようなところは確かに私も
委員の御
指摘のような感じがいたしますけれ
ども、財政の衝に当たる者といたしましては当然のこととして、
予算が重要であると同じように、せっかく議決していただいた
予算のその執行についての決算というものも同じように重要なものであるというふうに認識をすべきものであると思います。
-
○
穐山篤君 決算につきましては、検査院の検査、それから衆参両院の決算
委員会の審査あるいはさらには行管庁の監察というもの、全体があるわけですが、特に
昭和五十五年度の
予算の編成に当たって、過去検査院なり国会で
指摘をされた事項についてどういうふうに反映をされたのか、全部を言うのは非常にむずかしいと思いますが、特徴的な課題は何でしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) いまのお尋ねは検査院の指導事項改善の代表的なものを言ってみろと、こういうふうに受けとめさしていただくといたしますならば、まず私の方の税金の徴収というようなことにつきましては、会計検査院の
指摘を生かしてより一層税務行政を適正に執行するための
会議でございますとか研修でございますとか、そういうものを通じて局、署を指導しているところでございますが、今後ともこれは継続的にかくあるべきものであると思います。
それから次に、一般的に
予算編成に当たりましては当然のこととして
予算編成に反映するように努めてまいっております。また、そういう精神で機会あるごとに各
省庁を指導しているところでございますが、
指摘事項、特に警告決議等に対する措置
状況等は毎年度国会に報告をいたしております。今後とも国会の審議、会計検査院の検査結果につきましては、その趣旨を踏まえて改善に努めてまいりたいところでございます。
具体的に申しますと、検査院の
指摘事項に対する説明書は決算書と一緒に毎年十二月二十日過ぎごろ国会へ提出しております。
次に、参議院決算
委員会の警告決議につきましては、最近では決議の翌年の五月ごろ、大蔵大臣が各
省庁分をまとめまして措置
状況というのを説明をいたしております。
さらに具体的な点についての例示をしろということでございますと、まず三つだけを申し上げます。
五十四年度
予算におきまして、検査業務に従事する職員の増員及び検査旅費等の増額を行い、検査業務の強化を図りました。これが決議に対する具体的な
一つのお答えでございます。それから日本赤十字社の旧看護婦に対する恩給制度、他の恩給は逐年整備されておるが、これはまだではないかという御
指摘につきましても、五十四年度
予算に所要の経費を計上をいたしたところでございます。それから、沖繩県における交通方法の変更の円滑なる
実施に対して意を用いろと、これまた
昭和五十四年度
予算におきまして経費を計上をいたしました。
その他一般的に継続して留意すべきであるという御趣旨については、当然その御趣旨に沿って対応してまいっておると、こういうことでございます。
-
○
穐山篤君 検査院長さん、いままで数たくさん
指摘なり特掲があったわけですが、これが国政全般あるいは
予算の編成に十分に
指摘した事項が生かされているかどうか。一般的なお話で結構ですか、明らかにしてもらいたい。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) 会計検査院が不当事項として
指摘いたしましたもの、あるいは会計検査院法三十四条によりまして是正改善の処置を要求いたしましたものにつきましては、各
省庁あるいは各団体におきまして適宜是正改善の処置がとられていると思います。
その点につきましては、ただいま大蔵大臣からもお話がございましたが、決算検査報告に関しまして、各
省庁あるいは各団体からの国会に対する説明書の中にも明らかにされていると存じております。
-
○
穐山篤君 それでは、具体的な問題についてお伺いしますが、先ほど大臣から税金の徴収という話が出ましたので、法人税についてお伺いしますが、この五十三年度末におきます法人の数ですね、これはお幾つですか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 五十三年度末におきます国税庁の方で把握いたしております法人の数は百六十万七千件でございます。
-
○
穐山篤君 そこで、黒字の申告を行った法人と、それから赤字の申告を行った法人、その数と金額を明らかにしてもらいたい。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 最近におきます法人でいいますと、黒字申告いたしましたのが約六〇%程度でございますが、正確な数字につきましては、いま資料を調製しておりますので、後ほどお答えさしていただきます。
-
○
穐山篤君 それでは、実地調査を行っているわけですが、その件数ですね。その実地調査を行っております件数というのは
処理件数の何%に当たるのか。それも一緒に明らかにしてください。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 最近年度におきます法人につきましての実地調査の割合でございますが、
昭和五十三事務年度で申しますと、税務署所管法人と、それから国税局の調査部で所管しております法人に対する実地調査割合が全体で九・五%であります。そのうちに、調査部所管法人、いわゆる資本金が一億円以上の法人、その他大法人等につきましては実調率が上がっておりまして、二四・六%というふうになっております。
-
○
穐山篤君 そこで、調査の結果、所得を過少に申告をしたり、あるいは全然申告をしない法人な
どもあるわけですが、その数はどの程度ですか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君)
昭和五十三事務年度におきまして法人税の調査をいたしました件数は十五万六千三百九十九件でありますが、そのうちに修正あるいは更正等の
処理をいたしました件数は十二万一千七百八十一件でありまして、その実地調査をいたしました件数に対します修正申告あるいは更正処分等の
処理をいたしました件数の割合は七七・九%であります。
-
○
穐山篤君 ということは、法人ですから全然税務事務を知らないということは多分ないだろうと思うんですが、七七・九%と言えば約八割の法人が、平たい言葉で言えばごまかしている、ないしは虚偽の報告をしていることになりますね、いかがですか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) ただいま申しましたように、調査いたしましてそのうちの約八〇%というものは何らかの
処理をいたすわけでありますけれ
ども、それは全部脱税という意味ではございませんで、やはり計算の誤りであるとかあるいは税法の解釈の相違、そういったこともございますので、全部が脱税とは言えませんけれ
ども、調査いたしましたらかなりの法人について増差税額が出てくるということは事実でございます。
-
○
穐山篤君 不正申告の割合が高い業種ですね、これは全部言ってもらうことはないと思いますが、代表的なものを上から五つぐらい明らかにしてください。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 五十三事務年度におきまして調査の結果、不正申告が多かった業種を上の方から申しますと、まず
最初が土木工事業、それから第二番目が非金属工業——これは採石あるいは砂利採取、石灰石工業等でございます。それから第三番目が各種食料品小売業、四番目が職別建築工事業——これは鉄骨であるとか、鉄筋工事あるいは塗装工事等の専門的な工事であります。第五番目がドライブイン、大衆食堂等の飲食店業、これは不正割合の多かった業種でございますが、上から五番目と申しますとこういった業種が入ります。
-
○
穐山篤君 五十三年度で結構ですが、悪質あるいは故意に脱税をしたと思われます金額ですね、これは調べられていると思いますが、どのぐらいですか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 法人税について申しますと、先ほど言いましたが、全体としての修正申告あるいは更正等の件数は十五万件ございますけれ
ども、そのうちで重加算税を課したといったような法人の数は、重加算税、過少申告あるいは無申告加算税を課したものは延べ九万七千件になっております。この九万七千件の内訳を見ますと、重加算税の対象が一万九千件、過少申告対象が七万四千件、それから無申告が四千件というふうなことになっております。これは
一つの法人につきまして重加算税あるいは過少申告加算税というふうにダブって課税されることがございますので、これは延べ件数で申し上げたわけでございます。その結果、どれほどのいわゆる不正、悪質の所得があったかと申しますと、これはちょっといま資料を整理しておりませんので、後ほどお答えさせていただきます。
-
○
穐山篤君 単純に計算はできないと思いますけれ
ども、この調子でいきますと、法人全体としてたぶん脱税しているであろうと思われますのは、おおむねどのくらいの金額になりますか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 五十三年度で申しますと、査察調査によって摘発されました増差税額、それが百六十七億円であります。それから所得税について申し上げますと六百七十一億円、法人税について申しますと三千六十三億円というふうなことで、本税の増差がありますが、それに各種加算税が加算されまして実際に税務調査によって国庫に入りました税額というのは、ただいま申しました本税のほかに各種加算税が入っておるということでございます。
-
○
穐山篤君 かなり膨大なものが徴収漏れになっていると思われるわけですが、先ほど大臣は徴税については相当力を入れてやっているというふうなお話がありましたが、いまの具体的な
指摘事項からいいますと大蔵省の責任というものが問われなきやならないと思いますが、大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) したがいまして、年々そういう適正な執行がなされますようもろもろの工夫を継続しておるということであります。税収見積もりにも
関係することでございますから、そごを来したという事実は遺憾に存じております。
-
○
穐山篤君 次に、労働大臣にお伺いしますが、労働保険の保険料の徴収ですね、これも検査院から
指摘をされているわけですが、五十三年度に一億三千万円が徴収漏れであった一これは調べたところだけですよ。これはどういう理由か明らかにしてもらいたい。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) 五十三年度で会計検査院が検査を
実施してまいりましたのが一千四十事業主でありまして、このうち徴収不足が
指摘されましたものは北海道労働基準局外二十五労働基準局の管内で三百十八事業場、徴収不足の金額は、いま
委員御
指摘のように、一億三千百九十一万四千円、こういう数字になっております。従来も会計検査院の御
指摘もそうでございますし、また各方面から労働保険の徴収不足の問題についてはいろいろ御
指摘もちょうだいをしてきておるところでございます。
労働省といたしましては、こういった事態を解決をしてまいりますためにあらゆる努力をしてきておるところでございますけれ
ども、全事業場に適用をされておりながら
現実にはどうしても適用手続のとられていないところがある。そればもう大部分が零細の事業場でございまして、実際にその零細の事業場が会社を興したり、あるいは倒産をしていきましたりといったような変動も非常に激しい。あるいはまた、その事業場の中でのいろいろなこういった手続をしてまいりますとか、日常のいろいろ事務をしてまいりますような体制もなかなか整っていないというような形になっている事業場が多うございまして、そういったところにつきましてはできるだけきめの細かい行政指導をいたしまして、こういったあり方の周知徹底をいたしますとか、あるいはぜひこういったところに参加をして世間並みの事業場としての手続をとってやってもらいたいという強い
指摘をしながらきておるところでございますけれ
ども、今日なお私
どもの方の努力も不足でございましょうし、また、なかなかつかみにくいところもございまして、今後の努力にまたなきゃいかぬというようなことで、こういった数字が出てきておるということを大変遺憾に存じておるところでございますが、今後さらに努力をして御
指摘のようなことのないように全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
-
○
穐山篤君 事故率の計算でいけば約三割になるわけですね。それで、推定をしますと、何千億円という金が徴収漏れということになりますが、その点いかがですか。
-
○
政府委員(谷口隆志君) ただいま御
指摘のございました五十三年度の会計検査院の結果によりますと、御
指摘のとおり、千四十事業主について調べました結果、三百十八事業場で徴収不足等があったということでございますので、事故率の数字はそういうことになろうかと思いますが、ただ金額の面ではこの千四十事業場の徴収準備保険料総額を把握いたしておりませんので、直ちに比較はできませんけれ
ども、この千四十事業場の保険料額のうち徴収不足額の一億三千万余の額がどの程度になるかにつきましては、私
ども一、二%程度と見ておるわけでございます。いずれにしましても徴収不足の額があります点は遺憾でございまして、先ほど大臣が申し上げましたとおりでございますが、やはり事業場の中で、役員の給与とかあるいはアルバイトの方々の賃金を落とすとか、あるいは保険料率の適用に誤りがあるとか、そういうようなこともあるようでございまして、その辺はさらに一般的な事業主への周知とか、あるいは個別事業場へできるだけ赴いて行きまして、算定基礎調査をするというようなことを努力をしていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
-
○
穐山篤君 事故率三割なんですが、検査院は具体的なところを
指摘をするだけですが、それを援用していきますと日本全国でかなり徴収漏れがあるわけですが、検査院として計算をされたことがおありですか。
-
○
説明員(肥後昭一君) そういう計算をしたことはございません。
-
○
穐山篤君 検査院長にお伺いしますが、いま私は収入の面で二つの問題を取り上げたわけですが、先ほど十分に検査院の
指摘事項を生かされているというふうなお話がありましたが、いまの二つの問題について、これはよくやっているというふうに判断をしておられますか。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) 会計検査院は、検査をいたしました結果について物を申しておりまするので、推測的に申し上げることはできないのでございますけれ
ども、検査をいたしております限りにおきましてはしっかりやっておると考えております。
-
○
穐山篤君 今度は支出の方の問題で防衛庁にお伺いをしますが、例の有償援助に係る調達品ですね。FMS方式によるものですが、まだ納入がされていないのが非常に多いと思いますが、
昭和四十九年からの数字を具体的におっしゃっていただきたい。
-
○
政府委員(倉部行雄君) FMS方式によりまして調達いたしております装備品の納入の問題でございますが、私
ども努力をいたしておりまして、すでに四十八年度以前の
契約に関するものにつきましてはすべて納入されておるわけでございますが、ただいま
先生御
指摘ございました四十九年度以降について申し上げますと、四十九年度
契約に関するものとしましては一件でございますが、五十年度につきましては三件、それから五十一年度
契約分につきましては二十一件、五十二年度につきましては四十九件、五十三年度につきましては五十八件というふうになっております。
-
○
穐山篤君
昭和四十九年度で結構ですが、誘導武器というのは具体的にどういう品物でしょうか。
-
○
政府委員(倉部行雄君) いま御
指摘ございましたように、四十九年度につきましてはミサイルの弾道固定装置でございます。
-
○
穐山篤君 四十九年から五十三年まで含めてかなりの数があるわけですが、非常におくれて納入されている、あるいは購入しているというのはどういう理由ですか。
-
○
政府委員(倉部行雄君) いろいろな理由があるわけでございますか、たとえば、アメリカにおきましてはFMSで各国に装備品を輸出しているわけでございますけれ
ども、その際に各国の装備品をとりまとめまして生産についての
契約をすると、こういう場合には量がまとまりますと非常に安くなるという長所があるわけでございますが、そういう一括の、
契約分をまとめるというようなことで時間がかかるという場合もございますし、また、当初在庫品で引き渡すという予定になっておりましたのが
計画が変わりまして新規に生産によって調達するというような場合もございますが、いずれにしましてもFMS制度、非常に特殊な制度でございまして、納入ということにつきまして引き渡しの予定時期というような性格を持っておりますので、通常の場合といささか違う面がありますので、その点御理解いただきたいと思います。
-
○
穐山篤君 四十九年に一件、それから五十年に三件あるわけですが、これが自衛隊としてはどうしても入らなければ困る品物なんでしょうか。
-
○
政府委員(倉部行雄君) 私
どもとしましては必要でございますので調達をいたしているわけでございまして、その引き渡しの促進については非常な努力をいたしているわけでございます。
-
○
穐山篤君 五年も六年も待ってもまだ品物が入ってこないという
状況なんですが、これは自衛隊の装備なりあるいは戦力には重大な障害があるんですか。
長官、いかがです。
-
○
政府委員(倉部行雄君) 先ほど申しましたように、FMS制度は非常に特殊な制度でございまして、いろいろの長所と同時に短所もあるわけでございます。長所といたしましては、私
ども、米軍が調達する装備と同じものを、同じ管理、検査によりまして同じようなものを調達できるわけでございますので、そういう意味での信頼性があるというようなこと、あるいは先ほど申しましたように、一括して各国の分を調達いたしますので安くできるというようなこと、それから秘密の度合いの非常に高いものにつきましてFMS制度以外の方法では導入できないというようなものが導入できるというようなメリットもございますけれ
ども、反面、
先生から決算
委員会でたびたび御
指摘ございましたように、納期といいますか、引き渡しの時期がおくれるという点が欠点であると思います。そういう点につきまして御
指摘がたびたびございましたように、私
ども努力いたしまして、そういった長所と短所というものを十分わきまえ、また、それを見込んで私
ども一
計画を立てておりますので、支障を来さないように努力をいたしているわけでございます。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) FMSで調達を
計画したものがおくれるということは、大小にかかわらず影響があることはこれはもう間違いがないわけでございます。したがって、この問題につきましては、かねて決算
委員会初めいろいろなところで
指摘されておるところでございますので、私たちとしましてはこのようなことはなくさなきゃいけない。
計画が悪いのか
実施が悪いのか、十分原因を
検討してこれはなくさなきゃいかぬわけでございますので、
昭和五十四年度には第十一回日米安保事務レベル協議におきまして米国側にもこのことを申しておりますし、また私
どもの体制も事務組織、それから仕事のやり方、そういうものについても
検討を加える必要がある。ただいまの御
質問は影響があるかということでございますから、影響がないと言えば、これはないものは
計画するのはおかしゅうございますから、影響は大なり小なりあるというふうにお答えをするわけでございます。
-
○
穐山篤君 五年も六年も前に注文した品物がまだ入らない、しかし必要なものだというお話ですが、それならばもっと購入の方式を変えるか、何か方法を考えなければ全くおかしなことではないかというふうに思いますが、この購入のあり方について
検討の余地ありませんか。
-
○
政府委員(倉部行雄君) FMS制度につきましては、アメリカにおきましてそういう制度として各国と
契約いたしておりますので、これを特に日本向けにだけ変えるということは非常にむずかしいわけでございますが、その制度の中でできるだけ運用面で
問題点を解決しようというふうなことも
検討は常時されておると思いますので、そういった情報をつかみまして、できるだけ早く納入が促進されますように私
ども努力いたしたいというふうに考えております。
-
○
穐山篤君 大蔵大臣、決算報告なり何なりというものは読ましていただいておりますが、国民の立場から言えば
予算の話はよくわかります。新聞にも出るし、いろいろなもので報道されるからわかるわけですが、過去、検査院が
指摘をした事項や、国会が警告をした事項を
予算編成の上でどういうふうに取り上げたか、あるいは反映をしたかということがよくわかるようにする必要があると思うのです。政府が本当に決算を重視をするならば、何らか新しい方法を
予算編成の際に過去の決算を生かしていくという意味で何か
一つの工夫があってもいいと思いますが、その点いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 確かに会計検査院の
指摘事項等に対する説明書は、決算書と一緒に十二月二十日過ぎごろ国会へ提出する、それから参議院決算委の警告決議については、決議の翌年五月ごろ大蔵大臣が各
省庁分をまとめて措置
状況の説明を行っておる、こういうこともいろいろな工夫の上考えられたことでございますので、それを国会に提出するということは、やっぱり国民の代表の方のお集まりのところでございますから、ある意味においては一番権威の高いことであろうかと思うのであります。これが実際問題として
予算でございますと、毎日きょうの
予算折衝はどうなったとか、これはマスコミ自身の自主性の中においてこれが報道、活字となってあらわれることでございますが、政府としても、記者会見等いろいろな場所がございますので、そういうものの周知徹底を、ただ国会に提出するにとどまることなく、会見、懇談等の場合に説明をしていくという努力は、これは一層やらなきゃならぬなという感じが、御
指摘を受けて、ただいまいたしておるところであります。
-
○
穐山篤君 官
房長官がおりませんので、どなたかにお答えをいただきたいわけですが、この
予算委員会で参議院に出馬をするであろうと思われます方々の退職手当のことが
指摘をされましたが、具体的に金額が明示をされなかったわけです。そこで、政府の統一見解としてお伺いするわけですが、決算
委員会ではすべての財政支出の当否について審査をするわけです。そこで、退職手当の支出についてもそれが正しいかどうかということを審査をする必要があるわけですが、そういうことになれば決算
委員会に必要な退職手当の資料というものを出さなければならないと思いますが、その点はいかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私から政府の統一見解というお答えが適切であるかどうか、まあ一般論といたしまして、当然のこととして国政調査権に対しては可能な限りの御協力を申し上げると、資料提出はその中に含まれる重要な要素の
一つであるという
考え方に基づいて各
省庁対応すべき問題ではなかろうかというふうに考えます。
-
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 先ほどの御答弁で留保いたしました法人の黒字申告の件数について申し上げます。
昭和五十三事務年度におきましては、申告いたしました法人の数が百五十二万二千件ございまして、そのうちに黒字申告いたしました——いわゆる有所得申告法人と申しますが、黒字申告いたしました法人の数は七十五万五千件で四九・六%、五〇%を若干切っております。以上訂正さしていただきます。
-
○
穐山篤君 もう一度大蔵大臣に確認をしますが、先ほどの退職手当ですね。これは当然退職手当の支出が正しいかどうかという当否を決算
委員会では審査を常にやっているわけですが、政府の統一見解として資料はお出しになりますね。
-
○
国務大臣(竹下登君) 当然のこととして国政調査権に対しては可能な限りの協力をするというのが当然のことでありますが、ただ守秘義務というものがかぶさるものかどうか、恐らく問題によってはかぶさる場合もあるが、かぶさらない場合もあるだろうと思いますので、これは
穐山さんの
質問が終わるまでに、その点間違うようじゃ大変でございますから、そう勉強しておるわけでもございませんので整理してお答えします。
-
○
穐山篤君 検査院長、いまの点はいかがでしょう。退職手当の当否を決算
委員会で審査をするわけですが、その場合に具体的にどなたに退職手当幾ら払ったと、その支給の退職手当法の第何条で幾ら払ったというふうな資料は当然われわれは必要だというふうに思いますが、検査院としていかがですか。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) ただいまの点は、退職手当を支給されました当該官庁におかれまして支障のないものであればお出し、といいますか、されるのが順当でなかろうかと思います。
-
○
穐山篤君 それでは次に移りますが、会計検査院法の改正問題がずっと続いておりますが、現在はどういう
状況になっておりますか、まず検査院長にお願いをします。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) お答え申し上げます。
会計検査院法の改正の問題は、御承知のとおり、過去参議院及び
衆議院におきまして両三度の御決議がございました。また、これに対しまして当時総理大臣から検査院で案ができましたならば内閣において
検討しようという御言明もございまして、そういう経緯を踏まえまして会計検査院としましては
一つの案をまとめまして、ただいま内閣において御
検討を願っている
段階でございます。
-
○
穐山篤君 検査院の側が各
省庁と十分調整をされたわけですが、結局、調整困難ということで内閣に預けたわけですね。その調整困難というのは具体的にどういう課題が調整ができなかったのか、その中身をひとつ明らかにしてもらいたい。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) このたび私
どもが内閣に御判断をお願いしております会計検査院法の内容は、さきの国会の決議の御趣旨に基づきまして、それと会計検査院の憲法上の性格との調整を考えながら、国家資金の使途の検査を厳重にするという意味におきまして、政府
関係金融機関の融資の検査に当たりまして、その融資が適切であったかどうかということを判断するに必要最小限度の調査権というものを融資先にまで及ぼすということを主たる内容とするものでございます。これに対しましては、一方におきまして、これは融資
契約、貸付
契約という私
契約に対する国家権力の過剰介入になるのではないかという点が
一つの
問題点でございます。これは国家資金の使途の検査を厳重にするという立場で認めるか、あるいは私
企業といいますか、私
契約に対する国家権力の介入を最小限度にとどめるべきであるかという立法政策上の大きな問題があろうかと思います。その点が第一の
問題点であると考えております。それからいま
一つは、融資先にまで法律上の権限をもって調査権が及ぶということになりますると、政策金融の遂行に支障があるのではないかという点が第二の問題でございます。
一つは立法政策上の判断を要する問題でもありまするし、また二番目は政策論議に関する問題でもございます。これらの点は、検査院の希望は希望としまして、やはりより高い見地での内閣の御判断、御
検討をお願いすべきではないかと考えまして、その御判断、御
検討をお願いしておるということでございます。
-
○
穐山篤君 融資という問題ですから、主として大蔵大臣なり通産大臣にかかわるわけですが、この院法の改正に関しまして、大蔵大臣、どのような態度ですか、お伺いします。
-
○
国務大臣(竹下登君) まず基本的に申し上げまして、大蔵省といたしましても、国会の決議の趣旨を尊重いたしまして、会計検査院から政府
関係金融機関の融資先に関する調査依頼、資料提出等の要請があった場合には、できる限りこれにこたえるよう
関係機関を今日も指導しておるところであります。
そこで、いま基本的な立法政策の問題と、そうして政策金融自体が有効に機能しなくなるおそれがあるではないかという
問題点の
指摘がございました。私
どもの
考え方としては、現行行っております肩越し検査、これが政府
関係金融機関と融資先の
契約上の約款に基づく各機関の調査の際に行われておりますので、この
契約約款の中で
関係省が協力をすればその目的は達し得るものではないかというところに——立法政策上の問題とどうしても政策金融が有効に機能しなくなるということを主張しておる根拠はその辺にある。ただ、現在、内閣官房が中心となられて、ギブアップされたわけじゃございませんで、引き続き調整にいま当たっておられると、こういう
状況でございます。
-
-
○
国務大臣(
佐々木義武君) ただいま大蔵大臣から御説明があったとおりでございまして、肩越し検査に関しましては、ただいまも極力協力しているところでございます。
ただ、私
どもの恐れますのは、特に中小
企業等におきまして、いまですら金融機関からの検査、審査に対しましては余り厳重でなしに簡略でという希望を持っておるときでもございますし、直接会計検査院がその検査に参ったなんて言いますと、中小
企業の方は恐れおののいてもう借りなくなるんじゃないか、かえって本来の中小
企業金融の使命を達成できないばかりでなくて、中小
企業の振興に対しても阻害を来すおそれがあるんじゃなかろうかというふうな考慮から、できればいまのままで、支障ないはずでございますから、やっていただけばいいんじゃないかと、こういう希望でございます。
-
○
穐山篤君 大蔵省なり通産省が協力をすれば官
房長官の調整作業というのはきわめて早い時間帯でまとまると、こういうふうに
確信をしてよろしゅうございますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは実は私が十一月就任して以来各種の閣僚協議会が頻繁に開かれておりまして、この限りにおいてはまだ閣僚間の調整にまで至っておりません。いわゆる事務
段階において鋭意調整が続けられておるということでございますので、早急にまとまるであろうということをここで申し上げるだけの自信は私には現
段階ではございません。
-
○
穐山篤君 検査院長にお伺いしますが、私
どもも去年の四月の十二日の要綱は見ているわけですが、検査院として考えたあれが、まあ最低と言いますか、いまでも信念としてはあれでいくんだという
考え方ですか。
-
○
会計検査院長(知野虎雄君) 私
どもといたしましては、内閣にお願いをしておる立場でございますので、これが認められますことを期待いたしておる次第でございます。
-
○
穐山篤君 先日、第三次の物価
対策を発表されたわけですが、あれだけでは何がどうなるのかよくわからない感じがします。そこで、まず大蔵大臣に、「財政・金融政策の運営」ということが第一項目で載っておるわけですが、具体的にどういうことをお考えですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私に課せられました「一、財政・金融政策の運営にあたっては」ということでございますが、まず公共事業の執行の問題が大きな問題の一点であろうと思います。これにつきましては、物価動向に細心の配慮を払うものといたしまして、五十五年度
予算成立後の執行につきましても、「別途、早急に目標を定めて、当面、抑制的な事業施行を図るものとする」と、このように書かれてあります。まさにこの書かれてあるとおりでございますが、この抑制的施行を図るということにつきましては、私がいま少し経済企画庁等とも御
相談申し上げてみようと思っておりますのは、いま繰り越しが一体何ぼあるのか、大蔵省のことでございますから正確な数字だけは把握して、そのもとにいわゆる
予算の現在額、
予算現額というものが決まるわけです。その
予算現額に対しまして、されば執行を何%ぐらいにするかというその数字につきましては、従来は審議中の
予算というものに対しては成立さしていただいた翌日発表するという慣例になっております。そこで、あるいはお許しいただければ少しでも早く発表した方がそれだけの心理的効果もあるという感じもいたしますので、鋭意作業を進めさしておりますが、その数字の発表についてはいま少し
検討をさしていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、抑制的な事業施行を図るということがまず第一点であります。
二番目の金融政策につきましては、これは引き締め基調を今日も政府あるいは日銀一体となってこれを堅持いたしておるところでありますし、また通貨供給量、マネーサプライの点につきましても厳しい監視を続けておられます。そこで、日銀当局が先般断行されました公定歩合の操作というものが当面物価鎮静のためにどのような機能を発揮するかということに期待を持ちながら、なお弾力的に対応できる態勢というものを今日金融面においては見守っておると、こういうふうに御理解をいただければと思います。
-
○
穐山篤君 九%の公定歩合、天井感が強いというふうに言われておるわけですが、これによって、前半と後半に分けまして、景気の動向なりインフレの鎮静化というものについてはどんなふうにお考えですか。
-
○
国務大臣(正
示啓次郎君) いま大蔵大臣からお話があったように、
予算案はいま御審議中でございますが、われわれとしては、基本的な
考え方では、新年度の上半期と申しますか、これは景気の足取りは相当いま底がたい
状況でございますので、問題はやはり四月からもうすでに御承知のように電灯、電力、ガス、この料金の改定が
実施されることになっております。これが相当大きな影響を持ちまするし、それの心理的な波及ということも考えなきゃなりません。また他方、卸売物価はおいおいと上げ足が強まっておりまして、それの波及ということも考えなければなりません。率直に申しまして物価がいわば正念場にいま差しかかっておると、こういう認識で、私
どもは第三次の総合物価
対策、また金融当局におかれては史上最高のいまお話しの九%という公定歩合を打ち出された。そこで、物価に対する非常な不安、インフレの心理的な
状況を何とかして払拭すること、これが一番大事な点ではないかという判断をわれわれはいたしておるわけでございます。そういうことによって、先ほど申し上げた底がたい景気の堅調というものを持続的に持っていける、安定成長を図っていける、こういうふうな判断をいたしておるわけでございまして、公定歩合の影響というふうなことで一部憂慮されておるところもございますが、私
どもは、景気の足取りは新年度の上半期はまあまあそう心配ない、問題は物価であるという認識のもとに今回の総合物価
対策を打ち出しておると、こういうふうに御理解をいただければ結構かと思っております。
-
○
穐山篤君 さきに日銀
総裁から、今回の措置で金融面からはすべてやったというふうな趣旨の談話が発表されているわけですが、これで物価の上昇に歯どめをかけたというふうにお考えですか。
-
○
参考人(
澄田智君) 私
どもといたしましては、現在の情勢におきまして、情勢は非常に厳しい情勢ではございますが、物価上昇率だけから申せば、今回よりももっと高い状態でありました前回の石油危機後の状態においても公定歩合は九%という水準でございました。それをあえて今回一・七五%引き上げて九%にいたしたわけでございますので、前回にとった措置と比べてみましても、今回の措置は、この現情勢においてはわれわれとして十分これによって対処し得る強度の金融措置であると、こういうふうに
確信をいたしておるものでございます。そういう意味で
総裁が、金融の面においてはすべて手を打ったと、こういう表現を用いたものと思っております。
ただしかし、いわゆる
日本銀行の窓口におきます金融調節、これは公定歩合に引き続きまして、それぞれの機関に応じて、そのときの金融情勢あるいは物価動向に応じまして調節をしていくわけでございますので、そういう日常の金融調節を通じまして今後の情勢に即応して金融面においてもさらに調整を続けていく。こういう意味におきましては手を打ち尽くしたというわけではもちろんないのでございまして、今後とも続けていかなければならないと、かように考えておる次第でございます。
-
○
穐山篤君 政府の
計画によりますと、これから公共料金も幾つか上げる予定になっていますね。心配します便乗値上げも全くないとは言いがたいと思うんです。そうしますと、九%、まあ天井感があるとは思いますけれ
ども、不安でならないと思います。インフレが高進をするのではないかというふうにすでにこの
段階で国民が心配をしておりますが、その点の分析はいかがですか。
-
○
国務大臣(正
示啓次郎君)
穐山委員、私
どもの第三次総合
対策の前文もお読みいただいたと思うのでありますが、今度初めて「適切な総需要の管理」ということを申しております。これはいままではそういう表現を使っていないわけでございまして、いままでは便乗値上げを防止するというふうなことを強調いたしておりますのは、これは思惑による仮需というふうなもの、すなわち将来値上がりするからこの際買いだめをしておけとか、あるいは在庫をこの際できるだけふやして将来の値上がりに備えるとか、いろいろのそういう思惑的な需要というものについては厳しく監視、調査するということは強調したわけでございますが、今度初めて「適切な総需要の管理」と、こういうふうに申しておりますのは、先ほど大蔵大臣もちょっとお触れになりましたけれ
ども、公共事業なんかは、それぞれ各地各地から相当強い需要があるわけでございます。そういう実需があるわけでございます。しかし物価がいま非常な厳しい正念場に差しかかっておるから、こういうときは若干時期的に、またそういう需要と供給の
関係を調節することによって物価に対する影響をできるだけ緩和していく、これによってインフレムードの鎮静を図ると同時に物価の安定的な
状況をつくり出していく、こういうふうなことからああいう表現を使っております。
また「生産性の向上」ということを非常に強調いたしております。これは電灯、電力、ガスの料金等の改定が行われ、あるいはまた一部御
指摘のような公共料金の改定がありましても、それをすぐさま製品に転嫁していくというふうなことじゃなくて、さらに各
企業の生産性を向上していただく、あるいは労働生産性を高めていただくというふうな御努力で吸収していきたいと、そんなような意欲を強く打ち出しておるわけでございまして、私
どもとしては、あらゆる努力を傾注して物価安定への大きな布石を打ちたいと、こんなような気持ちでございます。だんだんと各
省庁で時期を見計らって適切に具体策を打ち出していただこうと考えておるわけでございます。
そういうわけで、九%という金融の公定歩合の引き上げは、私はやっぱり天井感を打ち出されたというふうに一応われわれとしても判断をいたしておりまして、残るところは財政の面あるいは個別物資
対策の面、あるいはエネルギー節約の面、資源活用の面、そういう点にこれから具体的に着着として実行をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
-
○
穐山篤君 総需要の管理と言いますか、さらに公共事業について抑制をしていくということのお話ですが、物価は一面抑える努力をしておったとしてみても、経済活動なり景気全体は少し落ち込んでくるというふうに見るのが当然だと思いますが、その点の分析はいかがですか。
-
○
国務大臣(正
示啓次郎君) 先ほど申し上げたように、基調は非常に底がたいものがございますけれ
ども、いまのような、それじゃ政策をやらない場合に比較してどうかということになりますと、おっしゃるような若干の影響は私は避けがたいと思うのでありますが、そういうふうな影響も、これは一時的な花火的な景気のよさというものを若干なだらかに調節をすることによって、それがすなわち安定的な堅実な景気の伸展というふうな結果に持っていければ、それでわれわれとしては経済全体にとってもプラスではないか、こんなような判断でございますが、一時的にそういうふうなこともあろうかと思います。
ただ、申し上げたいのは、この間もわれわれ総合物価
対策を
検討するに当たって各
省庁の専門官と打ち合わせをしたのでありますが、たとえばこの生産余力と言いますか、製造業の稼働率なんかは相当高くなっておりますけれ
ども、しかし、素材産業なんかには、なおゆとりもございまするので、私はこれからの景気については、それじゃもう上半期で後はがくんといくのかというふうな点については、やはり堅実な消費態度、堅実な経済の運営ということがございますれば、日本の経済というものはアメリカあたりとは相当違った基調的に強いものを持っておりますから、これからも長続きをする堅実な足取りというものを期待してよろしいのじゃないかというふうにみんなで判断をいたしておるわけでございます。
-
○
穐山篤君 最近一国債価格がずいぶん暴落をしておりますが、代表的な銘柄六・一国債もそうでありますし、また八%国債も同様な
状況になっていると思うんですよ。この暴落の主たる原因は何ですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはやはり金利の先高感というようなものがそういう状態になって出た。いま
一つは三月期の決算期でございますので、したがって、その決算期というものにおきましては、何と申しましょうか、その発行そのものが、時に商いが非常に薄かったり、きわめて自然の状態にないということも
一つの原因ではなかろうか。ただ、幾らか戻してまいりましたが、決して国債の売れ行きがいい
状況にあるというふうには私
どもも認識いたしておりません。
-
○
穐山篤君 さて、そこで大蔵省はこの国債整理基金を使って買い支えをしているわけですが、去年からこの三月にかけまして国債整理基金で買い支えた品物ですね、銘柄と金額を明らかにしてもらいたい。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 資金運用部と国債整理基金と買い入れ主体があるわけでございますが、資金運用部につきましては、
最初の買い入れが五十三年の九月でございまして、総額三千六十三億円、銘柄は七分四厘、七分二厘、六分九厘債とかいろいろございます。それから第二回、運用部の買い入れが五十四年の四月でございまして、金額が三千三百二十五億円、銘柄は六分六厘債でございます。それから三回目の運用部の買い入れが五十四年の七月、金額は七千四億円でございまして、これは六分一厘債でございます。この買い入れはいわゆるスワップ取引でございまして、一年後には売り戻す、こういう
契約になっておるわけでございます。
なお、そのほかに国債整理基金の買い入れが五十四年の六月、三千百五十六億円、対象銘柄が六分一厘債でございます。それから五十五年、ことしに入りまして最近二回買い入れをやっております。いずれも国債整理基金でございますが、第一回目が二月の二十九日にオファーをいたしております。買い入れ金額が一千七十五億円、これは六分一厘債が対象でございます。それから第二回目がこの三月の五日にオファーをした分でございまして、これが買い入れ価格一千六十億円、対象銘柄は八分債でございます。
以上でございます。
-
○
穐山篤君 いまお話のありました国債整理基金六・一物と八%物、これ以外に、決算期にあるわけですから、買い支えなければならないということも想定されるわけです。どうも大蔵省は大量に買っているのじゃないかという、あるいは買いに入っているのじゃないかという情報が流れているわけですが、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 国債整理基金というのは国債の管理運用に必要な資金をキープしておりまして、国債の発行、消化、償還等を円滑に機能させるための基金でございます。私
どもといたしましては、市場相場というものをあくまでも尊重はしていかなければいけないわけでございますが、ある一時的な、非常な不安心理とか、その他もろもろの原因によります急激な変動というふうなものはできるだけ除去して、正常な姿の市場実勢を期待いたしておるものでございます。そういう意味におきまして、ある場合にはできるだけ市場をスムーズにするための買い入れというふうなことを考えておるわけでございますが、ただ、何にいたしましても、資金量が非常に制約されておりますので、なかなかやりたくても基調自体を変えるような、そういう市場操作はできないわけでございます。現在ちょうど、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、金融機関の決算期を控えておりまして、決算操作のための売りとか買いというふうなものも出ておるような
状況でございますので、そういう変動要因はできるだけ除去したいということで、最近におきまして、少額ではございますが、国債整理基金がいろいろな国債銘柄を買い入れを行っておるというのが
現状でございます。
-
○
穐山篤君 少額だけれ
ども買い入れているというのですが、すでに二月、三月で二千億を買い支えているわけですね。この金額に対してささいという意味なんですか、それとも国債整理基金全体のボリュームから見てささいであるのか、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 国債整理基金の資金量は大体二兆円ぐらいあるわけでございますが、ほぼその半分はすでに長期債で持っておるような
状況でございます。これは償還その他の資金でございますので、常にある程度かなりの流動性を保有していかなければいけないということでございますから、先ほど申し上げましたように、資金量自体に非常な制約があるということでございます。それで、先ほどの二千億強、この二月、三月に買い入れを行ったわけですが、これはある意味ではオペレーション方式で公開して買い入れを行っておるわけでございます。私が先ほど申し上げましたわずかの量と申しますのは、そういう方式ではなくて、取引市場、上場市場あるいは店頭等でぼちぼちと数億円の買いをするというふうな意味で申し上げたわけでございます。
-
○
穐山篤君 数億円程度、店頭買いも含めて大した金額じゃないと、こういうふうに言われるわけですから、それはそれで一応承知をしたいと思いますが、さて二月、三月、去年の六月もそうですが、国債整理基金で都合五千億以上の金をつぎ込んでいるわけです。その結果、市況のてこ入れをやってどういう
状況に変化をしたのかということを具体的にひとつ説明をしてもらいたいと思います。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 先ほ
ども申し上げましたように、私
どもの買い入れは、市場の基調を変えるような、そういう大規模な買い入れではございません。したがって、現在のように非常に市場が乱れておりまして、売りも買いも非常に細っておると、ほとんど買いが出ない、売りもわずかぼちぼちと出るというふうな
状況のもとで値をどんどん下げていく、こういうふうな現象については、私
どものそういう買い入れは、ある程度そういう
状況での市場価格の下落を抑えるという効果はあると思いますけれ
ども、基調的に市況を持ち上げるというふうな、そういう効果は期待もしておりませんし、また
現実にもないわけでございます。
-
○
穐山篤君 それでは、六・一国債でも八%国債でもいいわけですが、ここに買い支えた結果、どういう
状況になったか。ごく最近の数字で結構です。銘柄別に。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 先ほど申し上げましたように、二月の二十五日に六・一国債を買ったわけでございますが、二月二十五日の六・一債の価格が八十一円三十五銭でございました。その前の週の週末、二十二日は八十一円七十五銭、二十五日、週が変わりまして八十一円三十五銭になったわけですが、私
どもが市中買い入れを行いました後、二十六日には八十一円八十銭にやや回復をいたしております。その翌日の二十七日には八十二円と、さらに持ち上がっておりますが、三日後の二十八日にはまた八十一円九十五銭というふうに戻っております。それから、二十九日に八分債の買い入れオファーをしたわけでございますが、そのときの八分債が九十六円九十五銭、その前日は九十七円十銭ですから、ずっと落ちておったわけです。二十九日買い入れをしました後、翌週の三月の三日、九十六円八十五銭ということで、これはたまたま三日から国債の発行
条件が〇・三%引き上がっておりますので、したがって、単純な比較はできないわけでございますが、〇・三ポイントの国債発行
条件の上昇ということを考慮いたしますと、まあ、買い入れの効果はややあったのではないかという感じがいたすわけでございます。——失礼いたしました。いま申し上げたのは、二十五日にオファーをいたしまして、二十九日が六・一国債の買い入れでございます。六・一国債を二十九日に買い入れをいたしまして、二十九日の値段が八十一円八十銭、三月三日が八十一円七十銭というふうになっております。それから、第二回目の八%の国債の買い入れは、三月の五日に行ったわけですが、三月五日の八%国債の価格は九十六円でございます。なお、その前日の四日は九十六円五十五銭で、買い入れ後の三月六日は九十五円六十五銭となっております。
先ほど申し上げました二十五日というのは、この買い入れをするという
計画を発表したときでございまして、この発表後においてもやや市況に対していい影響を与えておった。その後実行したのが六・一債が二十九日、八分債が三月の五日ということでございます。
-
○
穐山篤君 大蔵大臣ね、この国債整理基金で、しばしば、私
ども見るところによれば、多量に買い支えているわけですが、基金の性格から考えてみて、むやみにこの金を使うというのは私は正しい基金のあり方ではないというふうに考えますが、その点いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは御
指摘がございましたが、
昭和四十年の金融制度調査会の答申におきましても、「国債管理のための諸施策が景気局面においてとるべき金融政策と矛盾する場合も」あるではないかという御
指摘が確かにございます。やっておりますことは、国債市況が思惑や行き過ぎた不安心理によって不安定に動くことは好ましくないと考えておりますので、従来から市場の安定化に努力してきたところでございます。
そこで、大事なことは、まさに金融市場全体に対してそれだけのものがよけい出るではないかということにはなるわけでございます。この点につきましては、わが国の健全なる
日本銀行というようなものが、先ほ
ども副
総裁からの御答弁にありましたが、毎日毎日いわゆる各金融機関別の金融調節ということをやっておられるということでございますので、
日本銀行とも事前に十分連絡調整してそういう場合にはやるわけでございますので、そういう国債整理基金による国債買い入れを含めた財政資金の受け払い等に基づく資金需要全体の動向の
見通しを踏まえて適切に行われておるというふうに理解していただきたいと思うわけであります。ただ、基本的に申しますのは、やはり国債が多過ぎるということに尽きます。
そうしてもう
一つ、いま多額な買い支えをやっているじゃないかというような御議論がございましたが、従来より市場の安定化ということを図っておりますものの、基本的に考えてみますと、この問題はやはり債券市場全体の問題で、国債だけを安定させればいいという
考え方は、最近、これは私は言葉として余り適切ではないかとも思いますが、国債エゴイズムというものに走ってはいかぬという物の
考え方も基本的に持っておりますし、絶えずこういうときには日銀当局と連絡の上で、日銀等において毎日行われますいわゆる資金調整というようなもので十分御勘案をいただくことを期待しながらやっておるわけでございますので、私は、今日まで行ってきた、いわゆる不安定に動くこと、不安心理というようなものを少しでも除去して市場の安定化のために努力していくということは、それなりに許容できることではなかろうかというふうに理解をいたしております。
-
○
穐山篤君 大臣もいま
指摘をしているわけですが、この整理基金が買いに入るというのは例外的な場面であって、こういうふうに慢性的に買い込むというのは間違いじゃないかと、本来これはやめるべきだと考えますが、その点いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私は、御
指摘でございますが、その
考え方自身は
一つの御見識であると思いますけれ
ども、やはり国債の問題につきましては、不安心理というようなものから不安定に動くことは好ましくないという
考え方から、市場の安定化というものにつきましてはそれなりの意義がございますので、これを一概に否定すべきものではないと思います。ただ、言葉がちょっと適切でなかったかと思いますが、かといって、国債エゴイズムというような点からばかり考えてはいけないというふうには考えております。
-
○
穐山篤君 去年の六月、スワップで七千四億円で買ったものがあるわけですが、これは買ったときの
条件でことしの六月に間違いなく売り渡しますか。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) これは一年間のスワップで、そういう
契約のもとに購入したわけでございますから、一年の期限が経過いたした時点で
契約どおりに売り戻すということになろうかと思います。
-
○
穐山篤君 九十九円五十三銭で大蔵省が——大蔵省がといいますか、政府が売り戻すということになれば、民間とすれば損をするわけですね。いずれこれをまた別な方法で政府が保証をしていくというふうなことが考えられますが、そういうことは絶対ありませんか。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) 毎月毎月国債を発行いたしまして、それの相当部分は金融機関に引き受けていただいておるわけです。したがって、そのときどきの発行量をどうするかというふうなことは、引受シンジケート団と十分
相談をして決めながら発行しておるわけでございます。したがいまして、この七千億円が戻ります時点におきましても、当然そのときの金融情勢あるいは金融機関の資金事情その他もろもろのことを十分シ団と
相談をしながらやっていくということになろうかと思いますので、七千億円戻ったときの対応につきましては、そのときの情勢に応じて十分シ団とは御
相談したいと、かように考えておるわけでございます。
-
○
穐山篤君 資金運用部の金もそれぞれ機能があるわけですが、去年から見ますと、都合一兆円のお金を運用部から出しているわけですね。これも余りに安易ではないかと思いますが、大蔵大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 資金運用部による市中よりの既発国債の購入ということは、基本的には資金運用部の資金の有利運用を図るという目的で、結果として、市場への国債売却圧力の軽減等によって市況に対し好ましい影響を期待して行うという性格のものでございますので、私も先ほど来申しておりますように、これは安易に考えるべきものではないと思いますけれ
ども、やはり適切な運用というのは、それなりに経済全体あるいは国債市況の安定等に対しての有利な面に働くというふうに理解をいたしております。
-
○
穐山篤君 日銀が去年から買いオペをやっているわけですが、この一年間どういう品物をどれだけ買ったのか、数字を具体的におっしゃってもらいたい。
-
○
参考人(
澄田智君) 御承知のように、
日本銀行は通貨の発行量の調節を任務としているわけでございまして、いわゆるマネーサプライの調節でございますが、そのために、国債を買い上げるということによって通貨を供給するというその手段としてやっているわけでございます。
これの金額といたしましては、昨年は六月に九百八十三億、それから十二月に二千六百四十三億という国債の買い入れをいたしております。銘柄別はちょっと手元にいま持っておりませんので、総額だけ申し上げる次第でございます。
-
○
穐山篤君 銘柄は六・一物だというふうにお伺いしているわけですが、なぜ六・一の品物だけを扱ったのか、それ以外の八%物でもいいんじゃないかと理屈の上では考えるわけですが、その点いかがですか。
-
○
参考人(
澄田智君) 六・一%のものが大宗をなしているわけでございます。日銀のオペは、都銀、地銀あるいはその他金融機関、証券会社等から買いオペをするわけでございますが、当時、昨年の状態において最も量の多いもの、そういうものを中心にオペをした次第でございます。
-
○
穐山篤君 日銀の買いオペは、国債が市場に出て一年を経過しなければ買えない、こういうふうになっているわけですが、これは何か日銀の内規で決まっているんですか。
-
○
参考人(
澄田智君) いま仰せのとおり、一年経過した以後のものに限ることにいたしておる次第でございます。これは一応の基準、
日本銀行として買い入れをする場合の基準としてかように定めたものでございまして、
日本銀行の内部の規程といたしまして債券売買要領というものを定めておりますが、その中に、国債及び政府保証付債券、いわゆる政保債でございますが、いずれも発行後一年以内のものを除くというふうな形で決めて
実施をしている次第でございます。
-
○
穐山篤君 そうしますと、内輪のことですから六カ月にしてもいいし、また逆に二年にしても理屈上はいいわけですね。
-
○
参考人(
澄田智君) 御承知のように、日銀引き受けによる国債の発行というものを、これを財政法においては禁止をしているわけでございます。したがいまして、余り発行後間もないものを買い入れますということは、これは実質的に日銀引き受けに非常に近くなる。日銀引き受けによる発行そのものではございませんが、実質はそれに非常に近くなるおそれがある、こういうふうに考えられますので、これは好ましいことでない。
そこで、一年超としたものにするということにつきましては、これは理論的根拠ということよりも、成長通貨、日本経済の成長に必要な通貨を債券のオペで供給するというその体制と、そうして日銀引き受けによる国債発行というのをストリクトにこれをやらない、こういうたてまえと、その両方から考えまして、そういう判断の上に立ちまして、発行後一年経過したものであればオペの対象とするのにいいのではないか、そういうような総合判断の上に立ちまして基準を設けた次第でございまして、これ以上短くするということは、私
どもは、これははなはだ好ましくないことである、かように考えております。
-
○
穐山篤君 原則は禁止になっているわけですから、理屈から言えば発行後一年でなくて二年とか五年とかいうふうにやるのが当然ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
-
○
参考人(
澄田智君) 申し上げましたように、
日本銀行としては市中に必要な通貨を供給していかなければならない、こういう使命を持っているわけでございます。この通貨の供給はもちろん日銀貸し出しによっても行われますし、あるいは手形の買い入れというようなことによっても可能なわけでございますが、これはそれぞれそのときの
状況によって、それだけによるというわけにいかない場合もあるわけでございます。したがいまして、債券のオペということによって通貨を供給する、これは各国中央銀行がいずれも重要な手段としてとっておるところでございます。その場合に、国債が発行されまして、そして償還期までの間にどこかで買い入れなければならないわけでございますが、そのいずれの時点から以降を買い入れの対象にするかということにつきまして、発行後一年、もう年度も経過し次の年度になるわけでございますし、これはすでに市中に十分消化され定着した債券とみなして差し支えないわけでございますので、そういう見地から一年という期間を禁止をする、それ以降のものを対象にする、こういうことにいたしている次第でございます。
-
○
穐山篤君 先日、この
委員会で与党の方が国債の価格が下落をしているから日銀の買いオペをもうとやるべきじゃないかと、こういう
質問があった。それに対しまして大蔵大臣もあるいは大蔵省も別に反論をしなかったわけです。ということは、日銀でもっと買ってほしいという意味なんですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはそういう意味ではございません。やはり日銀の使命は成長に必要な通貨をいかにして供給するかということでございますので、国債の消化が非常にむずかしいから、とにかく金融機関に引き受けさせるから、それをどんどん買いオペしてくれと言える筋のものではないというふうに理解しております。
-
○
穐山篤君 日銀の中でも量が多過ぎるとか少な過ぎるという意見があるやに聞きますが、その点についてのお考えはいかがですか。
-
○
参考人(
澄田智君) 国債の発行量はそのときの経済、財政あるいは金融の
状況によるものでありまして、幾ら以上が多過ぎるかどうかというようなことは、これは一義的に議論をするということはできないものと私は思っております。
ただ、最近のように国債の相場が非常に下がっていると、これにはいろいろな事情がございますし、金融の繁閑とか、あるいはそのときの経済情勢等の影響もあるわけでありますが、やはり国債がそのときの情勢に対しては多過ぎると、こういうような面も否定できないところではないかと思います。そういう趣旨で、そういう点から政府は五十五年度
予算での国債の発行額を減額される、また五十四年度においてもすでに
予算で決めておる国債の発行額をさらに減額するということをずっとしてきておられるわけでございまして、やはりそのときの情勢に応じて適宜そういう措置をとるべきだと思います。現在の状態においては、確かに国債が市場においてそれだけ荷もたれがしているというような、それが圧迫材料になって国債の市況を下げている、そういう面は否定できないものがあると思います。
-
○
穐山篤君 大臣、との暴落
対策の中心は買い支えが中心になっているわけですが、どうもこれは国債管理政策そのものが間違っているのじゃないか、失敗だというふうに思うわけです。大臣はしばしば量を少なくしていくということの説明があるわけですが、質の問題について考え直さなければならぬ時点だと思いますが、その点いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 国債管理政策、これはもうどこから見ても量が多いと、だからとにかくどの
段階においても減すということを絶えず念頭に置いていかなければならぬということは、絶えず申し上げておるところでございます。したがいまして、私は、この国債の市況が安定するということは、今回の公定歩合の引き上げによりまして金利の天井感というものが形成されまして、それが落ちつきを取り戻すであろうということをいま心から期待して見守っておるところでございます。
したがって、御
指摘のように質の問題ということになります。確かに国債は個人の貯蓄手段としても、また金融商品としても、それなりに重要な地位を占めておるわけでございますので、このような
観点から投資家のニーズに合致したものを考えなければならぬというふうに思います。種類、発行方式等のいわゆる多様化ということになろうと思うのであります。そうして、流通市場の拡大、安定化を図って、発行
条件についてもそのときどきの市場実勢等を勘案して今日までもいろいろ決定してまいりました。今後とも国債管理政策の適切な運営に努めまして、要するに国債の信頼の維持に努めてまいりたいと、そのように考えておりますが、絶えずこのニーズに対応していかなければならない、すなわち質的な改善と多様化ということには心がけておるべきものであるというふうに考えております。
-
○
穐山篤君 ことしの年度末三月で残高が五十七兆円、来年の三月になると七十一兆円と非常に膨大になるわけですね。そこで、買い支えでなくて、安いときに買い込んでしまって、国債整理基金で買い込んで消却をしてしまうというのも
一つの方法ではないか、繰り上げ償還ですね、そういうことを考えていいのではないかと思いますが、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
渡辺喜一君) おっしゃるようなことも
一つの
考え方であろうかと思いますが、現在の国債整理基金につきましては、繰入金額が毎年度末の残高の一・六%というふうなことでございまして、国債整理基金自体の資金量も買い入れ消却をどんどんやるような、そういう資金量にないわけでございます。したがいまして、なかなかそういうことは考えても実際上大量に買い入れ消却するというのは非常にむずかしい
現状であるということでございますので、現在までほとんど買い入れ消却は行っていないのが
現状でございます。
-
○
穐山篤君 私は、大量に買い込んでそれを消却しろと言っているわけでなくて、少額であったにしてみても、残高をできるだけ少なくしていくということが必要だと思うんです。
そこで、これは政策の問題ですから、大臣としてきちんとした
考え方を明示してもらいたい。
-
○
国務大臣(竹下登君) 国債整理基金には、先ほ
ども理財
局長がお答え申し上げましたごとく、一・六%というものを積んでいくわけでございます。そしてまた、将来償還期に至った場合には、あるいはそのときの
予算でもって償還に充てる財源にする場合もありますし、国債整理基金がその役割りを果たす場合もある。が、いまの意見は、私ここでにわかに判断する——現在の国債整理基金のキャパシティーからいって、いまそれをお答えするだけの能力とでも申しますか、そうしたものがあるとは私も考えませんので、将来の課題として貴重な意見として私にも
検討の余裕をお与えいただきたいということであります。
-
-
-
-
○理事(安田隆明君) 坂倉君。
-
○坂倉藤吾君 最近、砂糖のいわゆる原糖の国際価格の値動きがきわめて激しい、こういうふうに承っておるわけでありますが、この高値傾向が続いておる今後の
見通し、これについて説明をいただきたい。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
昨年の夏まで大体ロンドン相場は百ポンドの価格で推移いたしましたが、十月以降上げ続けまして二月には最高高値の二百八十ポンドを記録しております。しかし、その後反落いたしまして、現在は大体二百二十ポンド台でもみ合っているという
状況でございます。
-
○坂倉藤吾君 急に値上がりがあり、いま少し落ちついておるというふうに見ておりますが、その値動きの原因は一体何ですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
いろいろな見方があるようでございますが、去年から騰貴を始めました直接のきっかけは、例年に比較してソ連が大量の買い付けをやったことが原因だろうと思います。しかし、その後の
状況を見ますと、国際的なオイルマネーの市場への流入の問題、さらにアフガンの紛争に由来いたしまして穀物の輸出禁止が行われて、ソ連がことしはかなり穀物の作付をふやして砂糖の作付を減らすんじゃないかという予想が一般にふえている事情、こういった事情が交錯して起こっていることだろうと思います。
-
○坂倉藤吾君 砂糖は前々からきわめて投機的要素が強いというふうに言われておりますが、その要素は依然として変わらないわけでしょうか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
ロンドン市場、ニューヨーク市場の価格の値動きを見ておりますと、こういった需給やその他の国際政治情勢が響きまして、過去の第一次のオイルショックのときほどではございませんが、かなり変動があるということは否めがたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 国内におきます砂糖の価格安定とそれから需給の調整については、糖安法それから売り戻し特例法、この二つの法律で支えておるわけでありますが、
〔理事安田隆明君退席、
委員長着席〕
この糖安法、売り戻し特例法、それらの役割りは現にどう機能しておるんでしょうか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
まず、糖安法でございます。ただいま申し上げましたように、輸入価格が大幅に高騰してきておりまして、ある時期は平均輸入価格が糖安法の上限価格に近づくのではないかという懸念もあったわけでございますが、現在は、先ほど申し上げましたように、大体二百二十ポンド前後あるいは二百十ポンド前後でかなりもみ合っておりますので、まだそこまでは来ていない。しかし、かなり国際相場の高騰というものが国内の砂糖相場をつり上げて、全体として国内産糖の格差を小さくしているということは事実でございます。
それから、特例法につきましては、御案内のように、現在、年間及び四半期ごとの需給
計画を定めまして、それに基づいて精糖
企業のシェアを決めて買い入れ、売り戻しをやっております。全体の国際市況の動向の中で輸入価格が上がっているわけでございまして、当然その水準は動いてきているわけでございますが、全体としてはおおむね国際相場に連動しながら着実な歩みをやっておりますし、形成糖価と実際の市価との格差も非常に小幅なものになっているというのが
現状でございます。
-
○坂倉藤吾君 そうしますと、特に数量的に規制をしているいわゆる需給調整の分野というのは、いま答弁ありましたように、四半期に区切って各
企業別に割り当てをしている、こうなるわけでありますが、そのシェアの各
企業への割り当ての基準は一体どこから設定をしておるのでしょう。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 現在、特例法に基づいて四半期ごと及び年間に需給
計画をつくりまして、売り戻し数量については過去における溶糖実績等を基準として決めました各
企業のシェアを算定の基礎として売り戻し数量を決めているということでございます。この場合のシェアは、業界内で特例法の施行に当たりまして自主的に話し合いを行って定めたものでございまして、先ほど申し上げましたような一定期間の溶糖実績以外に各
企業の製造販売事情等も考慮して決めているものでございます。
-
○坂倉藤吾君 今日まで農林
水産省で割り当てたシェアというのは、各
企業の中で実績としてそれは守られておるのでしょうか。さらにまた、守られているかどうかのチェックはどこでどのような手段でやっているのか、説明をいただきたい。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
各
企業のシェアはおおむね守られております。ただ、
現実に生産事情、販売事情から
企業間で委託が行われるという形で調整が行われている場合がございます。
-
○坂倉藤吾君 具体的にお聞きをしていきたいのですが、神戸精糖株式会社、これに対するシェアはどうなっていますか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
精糖工業会二十二社を一〇〇とした場合、五・一〇八というシェアになっております。
-
○坂倉藤吾君 シェアが五・一〇八、五十四年七月から九月期、これは数量に引き直しますと三万四千六百四十九トン、こうなりますが、いいですか。
-
-
○坂倉藤吾君 この神戸精糖で五十四年の七月から九月期のいわゆる期中に生産不能が生じておりますが、その生産不能の量並びに生産不能になった分の取り扱いというのは一体どういうふうに措置をされているか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 御案内のように、神戸精糖は夏期一時金に関する労使紛争がございまして、一時工場の操業が停止した事情がございます。そこで、七−九月期における売り戻し数量のうち七千五百八十トンが供給不可能という
状況になったわけでございます。この結果、同社から当該数量については事業団売買は行わない、みずからは。これにかえて他の四社にその数量の輸入を認めてほしいという申し出があったわけでございます。夏場でございまして砂糖の需要も非常に活発な時期でございますし、また、この不足分が供給されない場合においては、従来神戸精糖の製品が供給されていた流通ルートないしは地域において悪影響が生ずるおそれがあると判断されたわけでございます。このため神戸精糖が従来供給していた流通ルートに供給することを
条件といたしまして申し出がありました四社にその輸入を認めるということにしたわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 いま不能になりました数字を言われましたが、私の調査と少し数字が違います。私
どもの方では、七月期四千三百トン、八月期四千三百三十トン、九月期一千五百六十トン、計一万百九十トン、こういうふうに七月から九月のいわゆる生産不能分があるというふうに聞きますが一違いますか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 昨年の七−九月期の売り戻し数量のうち供給不可能となった量は七千五百八十トンというふうに報告されております。
-
○坂倉藤吾君 私がいま申し上げました一万百九十トンのうち、先ほど説明がありました四つの会社に割り振りをしたものが七千五百五十トン。七千五百八十トンではなくて七千五百五十トン。社別に言いますと、東洋精糖二千七百五十トン、日本甜菜製糖が二千トン、日新製糖が一千七百五十トン、塩水港精糖が一千五十トン、合計しまして七千五百五十トン。三十トンはどこへいったんですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 若干御
指摘の点と数字が違うようでございますが、日新製糖千七百八十トン、東洋精糖二千七百五十トン、塩水港精糖千五十トン、日本甜菜製糖二千トン、計七千五百八十トンというふうに私
どもば把握しております。
-
○坂倉藤吾君 いま説明がありましたのは、シェアを放棄をした分があなた方の数字で七千五百八十トン、こうなりますね。ところが、委託生産に回した分が二千六百四十トンあるんじゃありませんか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
これは先ほ
どもちょっと申し上げましたように、通常の場合において
メーカー間に相互に委託を行っている
関係が一般にあるという枠内のものでございます。
-
○坂倉藤吾君 農林
水産省が各精糖
企業別に溶糖のいわゆるシェア割りをしている。そのシェア割りがその割り当てられた
企業で消化ができない。できない分が農林
水産省に、これはできませんということで
相談があった。当然それはその部分について全社に配分をするのがいわゆる農林
水産省の売り戻し特例にかかわる任務じゃないんでしょうか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
これは特例法下での需給責任の問題を基本的にどう考えるかという問題でございます。従来からも、たとえば設備の稼働
状況、これは御案内のように、精糖設備というのはある程度修理をしなければならぬ時期、清掃しなければならぬ時期があるわけでございますし、輸送距離の
関係から委託加工が行われておりまして、制度発足の当初からこのような場合には他社に加工を委託するということを認めているわけでございます。この理由は、先ほ
ども申し上げましたように、砂糖のユーザーに対する供給についての地域的な供給責任の問題あるいは流通ルートに即しての供給責任という問題があるわけでございまして、そういう意味でいわば委託者と受託者との個別
関係を認めているわけでございまして、現に二十二社のうち十五社にわたってはそのような
関係が通常行われているわけでございます。この委託をしましたものについては自社の販売責任により流通させているわけでございまして、私
どもは、それぞれの
メーカーが持っている地域または流通ルートへの供給責任の一態様であると理解しておりますので、特に全社に配分する必要はないものと思っております。
-
○坂倉藤吾君 そうしますと、シェア割りはするけれ
ども、シェア割りをしたものは会社の経営内容その他の判断によって他に自由に委託をしてもそれは農林
水産省としてはかかわりがない、こういう見解になるんですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
私
ども、かかわりがないとかあるという意味で申し上げたのではございませんで、それぞれ地域及び流通ルートについての供給責任を果たす上で合理的であり、従来も行われていた委託
関係についてはこれを是認するということを申し上げているわけでございます。
-
-
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 地域及び供給ルートについての供給責任を果たすものについては、これは是認をしているということを申し上げたわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 委託が自由にそれぞれの
企業で行われる、それを今日まで経過として認めてきたということになれば、シェア割りの意味合いというものは一体どうなるんですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、
メーカーに対する売り戻し数量を特例法は決めているわけでございますが、同時に、それを通じてそれぞれの
メーカーがみずからの供給ルートや供給地域に供給責任を果たすということを期待しておるわけでございます。これは特例法自体が数量を押さえているわけでございますから、どうしてもそういうふうに考えざるを得ない、こういう意味で御理解を賜りたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 だから、農林
水産省が数字を押さえておるのに、押さえた数字がそれぞれの
企業別に自由にどこにでも委託ができたり、あるいはこれはできませんといって農林
水産省に報告があったときに、それを会社側が指定をする会社に、そこにだけ割り当てをするということがシェア割りで数字を押さえておることと一体どういう
関係があるんですかと、こう聞いているんです。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
売り戻し数量自体は、先ほ
ども申し上げましたように、溶糖実績なり販売製造実績を踏まえて決めているわけでございまして、この数字自体は過去の実績を基準として業者間で話し合ったものでございまして、特例法がない通常の状態においても委託の形は通常あるわけでございまして、この間の事情から御理解いただきたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 まともに答弁をしてもらいたい。いま論議をしているのは、特例法下におけるいわゆる数量割り当ての農林省が義務を持っている
関係の中での
質問をしているんでありまして、特例法がない
前提での話じゃないんですから、きちっと答弁してください。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 繰り返して恐縮でございますが、特例法のもとでのシェアというのは何を基準にして決めたかということになるだろうと思います。その意味で特例法で決めましたシェアを何らかの事情で守れなかった場合において、それぞれの供給ルートなり地域の需給の安定に不安を与える場合においては委託を認めているということを申し上げたわけでございまして、毎度同じ答弁で恐縮でございますが、同趣旨のものと御理解いただきたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 大臣、いまの討論を一応お聞きになっておりまして、どういうふうに御判断いただきますか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) この特例法ができますときには、業界の中のいろいろな意見も聞きながらシェアが決められたと聞いておるわけでございまして、そのシェアがよりうまく守られるようにそれぞれの
企業が努力されることは当然かと思うのでございます。ただしかし、一方においてはやはり需給調整という面を持っておるわけでありまして、その地域の消費者に砂糖の供給が円滑にいかなくなってもこれは困るわけでございまして、そういう点から、どうしてもいろいろの事情でやむを得ない場合は委託を認めておると、こういうことではないかと私は判断をいたしておるわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 そうしますと、私の地元に東海精糖という工場があります。これは実際には操業が停止をされています。原糖供給が絶たれたからです。ところが、ここには、いままでの
委員会の討議経過からいきまして、当然東海精糖にはシェアがある。シェアの権利はあるが、原糖が入らないから工場が動かない。こういう
関係になっているわけであります。そのことと、いまの答弁からいきますと、たとえば東海精糖にシェアを割り当てて、東海精糖が他の工場に委託をするというケースだってこれは自由に行われるはずだと私は思うんですが、その辺はなぜそういう取り扱いも指導されなかったんでしょうか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 私
どもといたしましては、委託が行われる場合につきましては、事情をよく聴取いたしまして了解をしているわけでございまして、個別的に審査をしているつもりでございます。
-
○坂倉藤吾君 九州製糖というのがありますが、九州製糖が五十四年の四月、それから六月期の割り当て数量に消化が不可能だと、こういう事態が生じました。そしてこの同じ期中に三井製糖に三千五十ミトン、台糖に三千トン委託加工に出したいきさつがあります。これは過去の例だと思います。ところが、このことについて農林省は委託を受けた工場の製品としてこれを出すことについては問題がある、一たん入れた袋をもう一遍取り出して一そして委託をした九州製糖のマークの袋に詰めかえたと、こういう指導をした歴史があるんですが、これは一体どういう見解ですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
それぞれの精糖業者がみずからの売り戻し数量の枠内におきまして、みずからの供給ルートなり地域の供給責任を果たすという視点から、いわば委託者のマークで引き取って販売をさしていると。つまり広い意味での社会的な販売責任を果たしてもらっているという意味でございます。
-
○坂倉藤吾君 そういたしますと、地域のいわゆる需給の
関係を責任を持つと、こういう
観点ですと一たとえば神戸精糖のいわゆる市場に対する比率、これは一体どうなっていますか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) ただいま申し上げましたように、委託で生産をして自分の供給ルートで供給をする場合はその委託をしたもののシェアということになるわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 そうしますと、シェアの再配分をしました四つの工場の場合はどうなんですか、まるっきり違っているんじゃないですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答えを申し上げます。
委託を受けた分はシェアの手直しには加えられておりません。つまりシェアの手直しはしておりません。
-
○坂倉藤吾君
質問をきっちり聞いてもらいたいんです。いいですか。委託をした部分については、いまの話、四つの工場は
関係ないでしょう。シェア放棄をしたも一のが四つの工場なんでしょう。四つの工場については一体どういう取り扱いになったんですかと、こう聞いているんですよ。きちっと答弁してくださいよ。時間を費やすつもりならやめてくれ。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
委託を受けた分についてはそのとおりだと申し上げましたんで、先ほどの七−九月の分については委託でございませんから、これはそれぞれの会社がやったわけでございますが、これはシェアに
関係なく
処理しております。
-
○坂倉藤吾君 そうすると、九月分の一千五百六十トンは委託じゃないんですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 先ほど申し上げました七千五百トン台の分は、これは委託ではございません。
-
○坂倉藤吾君 答弁が食い違う。
質問ができませんよ。答弁のすれ違いばかりやっている、意識的に。こんなことじゃ審議ができない。
-
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 失礼いたしました。九月分の一千トンの分は委託でございます。
-
○坂倉藤吾君 だから、七月、八月のいわゆる部分の中でシェア放棄をした部分と、いいですか、シェア放棄をした部分と、八月、九月の中で委託に回った部分と二つあるんじゃありませんか。無責任だよ。
-
-
-
○坂倉藤吾君 いまのような
やりとりをしておりますと、私はこれはもう
質問できません。改めてこれはやることにして、以下農林
水産省の
関係については打ち切りたいと思うんです。ただ、今日いまの
やりとりで皆さん方もお聞きをいただいておりますように、せっかく農林
水産省が売り戻し特例法によってシェア配分をしておりながら、シェア配分が事実上それぞれの
企業の自由になっている。何のためにシェア配分をしているのか、さっぱりわからぬ、こういう
状況になっているわけであります。こんなばかなことで法律をつくり、その法律は一体何の役割りを果たしているのか。私は、農林
水産省の重大な責任であろう、こう思います。したがって、この分についての質疑は後ほどに保留をいたします。(「疑問のまま残してもいかぬから、
農林水産大臣きちんと答弁して打ち切るなら打ち切ると」と呼ぶ者あり)じゃ
農林水産大臣、見解。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) よく私も数字を調査をいたしまして、委託の分と委託でない分と、シェアがそれがどうなっているかという点がよくどうも御理解をいただけないようでございますので、そういう点についてできる限りきちんとした数字をして御理解をいただけるようにひとつやらしていただきたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 これは単なる数字だけの問題ではなくて、法律制定をしたかかわりの問題でありますから、ぜひひとつそういう
観点で御
検討をいただいておきたい。
次に、これは労働省にお伺いをしたいと思いますが、神戸精糖と名古屋精糖労働組合、いまの
やりとりでもおわかりをいただきますように、労使間の紛争が続いているわけであります。この紛争の
状況については調査をされておると思いますが、その把握の事情をお聞かせいただきたいと思います。
-
○
政府委員(細野正君) お尋ねのございました名古屋精糖の問題でございますが、名古屋精糖は、御存じのように、
昭和四十六年に倒産いたしまして神戸精糖と新名糖の二つに分かれたわけでございます。その際に、労働組合はもとの名古屋精糖のまま一本の形で維持されて今日に至ったと、こういう
状況でございます。一方、分かれました神戸精糖の労働
条件につきましては、五十四年の四月の賃金引き上げまでは新名糖と同一内容と、こういう
状況でございましたが、昨年の夏期一時金につきまして、会社の方は業績や労務管理が方針等も違うので、したがって、労働
条件等が三社異ならざるを得ないと、こういう主張をし、これに対しまして組合の方は、当然、組合が一本であるから二社は同一内容であるべきだと、こういうことで両者が対立をし、労働協約の改定問題についても衝突をしたと、こういう経緯でございます。この間に団交の拒否やあるいは支配介入等を理由にしまして不当労働行為事件として地労委等への申し立ても行われているわけでございます。その後、御存じの名古屋精糖の労働組合の支援中央共闘
会議と会社との間で、ことしの二月にこの問題についての基本的な
考え方につきまして確認書が締結をされました。これで交渉が円滑にいくんじゃないかというふうに期待をしていたわけでございますが、この確認書の解釈や、その確認の手続等をめぐって再び労使間で紛争が生じたわけでございます。結果、ことしの三月十二日に確認書の破棄が行われたというふうなのが紛争の概略でございます。
-
○坂倉藤吾君 大変きちっと掌握をされておるようでありますから余分な
質問をしなくていいわけですが、その確認書をめぐる
企業側の態度、それから経過、こういうものをごらんになって、判断としては労働省はいかがですか。
-
○
政府委員(細野正君) 確認書の解釈をめぐりましていま労使がまさにその点が中心で衝突をいたしておるわけでございまして、したがいまして、そういうホットな問題でございますので、両者の主張に対するコメント等は私
ども差し控えさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 問題になっております確認書、これは中央共闘
会議と神戸精糖株式会社、判こを押したものですが、七点になっていますね。一点目は、「一組合二
企業の現名糖労組の組織構成及び運営に会社は、異見をもつものではない。」、以下ずっと七項あります。この七項が組合に対する二月二十五日の申し入れにいきますと三項にしぼられてしまって、しかも三項の解釈というのは、まるきり確認事項と中身、趣意、こういったものがすりかえられている。こういう
状況がこの書類によって明らかなんですが、この辺は通常の労使
関係とはきわめて異常である、こう思うのですが、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(細野正君) この確認書のような性格のものは労使の間でそれを結ぶに至るまでのいろいろな経緯があるわけでございまして、私
ども文字面だけ見ましてこれについてのとかくの意見を申し上げるのは非常に危険が多いと思うわけでございます。先ほど申しましたように、非常にまさにそこが労使間のホットな争いの中心になっておりますので、その点についての見解はひとつ差し控えさせていただきたいと、こう思うわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 答弁がしにくいところなんでしょうが、普通、確認書というのは、いろいろないきさつがあって最終的にこれでまとめようというのが確認書じゃありませんか。
-
○
政府委員(細野正君)
先生のお尋ねのように、普通の確認書というのはそういう場合が多いわけでございますが、今回の場合は基本的な問題についての
考え方についての確認書でございますので、そういう意味で、それの解釈をめぐってまた争いが生じたというのが今回の問題の性格かと思うわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 これでは一方的見解を述べるしかありませんが、私はこれはきわめて異常な事態——この異常な事態というのは、実は
企業の出資者でありますいわゆる商社丸紅です。この丸紅が
企業に対する至上命令を発出をして、いわゆるその至上命令に基づいて
企業の責任者が当事者能力がない、ここに
問題点があると思うんですか、いかがですか。
-
○
政府委員(細野正君) 今回の紛争は、先ほど申し上げておりますように、二社で一組合である、あるいはその間の労働
条件の統一というふうな基本的な問題についての紛争が
一つあるわけでございまして、そういう意味で交渉がなかなか円滑にいかないという事情は確かにあるわけでございますが、いま申し上げたような事情があるわけで、会社側に当事者能力がないというふうに私
ども考えていないわけでございます。
ことしの四月からのは、生産
契約に伴う要員問題については現に話し合いが行われているというふうに私
ども聞いているわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 当事者能力がないとは判断をしてない——それはそういうふうに判断を政府の方ですると大変なことになるだろうと私は思いますが、現社長の
田中實さん、これは元丸紅の食糧
部長、それから二人の常務のうち山田さんというのはこれまた丸紅の法務部で昨年退職された人、浅田さんというのも現在の丸紅の関連事業部に籍を置いておる人、取締役の鈴木さんというのも丸紅の現砂糖
部長、それから監査役の桐山さんというのも丸紅の現取締役で関連事業
部長、さらに丸紅の春名副社長というのはこの神戸の会社の取締役会長をしておった人、白濱という常務——食糧本
部長は神戸の取締役、これまた会長であった人。こういう
関係で、この人たちの意見が出てこないと会社側は答弁できない。組合と話をしておっても、その話でまとまったこともまたひっくり返されるというのが、これがこの経過でありませんか。
-
○
政府委員(細野正君) 労使双方から事情聴取をいたしました
段階で確かに組合側からはそういう御主張がございました。一方、会社側の方はそういう事情を否定をしているわけでございまして、いずれにしましても、先ほど来お話し申しましたように、基本的な問題についての
考え方、入口のところで詰まっているというのが
現状でございますので、私
どもはむしろ具体的な中身で話を進めた方が問題が円滑にいくんじゃないかというふうなことで労使双方にお話をしているという
状況でございます。
-
○坂倉藤吾君 これは労働大臣に御答弁をいただきたいのですが、詰まっておる入口、故意に詰まらせようとしているのが会社側にある、こういうふうにいろいろな資料から見て判断をせざるを得ません。
こういう不正常な労使
関係、しかもこの工場は敷地は国有土地なんです。国有土地で、そこに工場を建てて経営している。しかも糖安法、売り戻し特例法等で守られている。こういう重要な社会的な責任を持つ会社がことさらに会社の側から組合に攻撃をしかけて紛争を持ち出して、しかも会社としての責任を果たさない。こういう形は一日も早く私は是正をしなきゃならぬと思う。
そういう
観点で、入口を詰まらしておる会社側に対して労働省としては適当な指導をされたい、こう思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) いま
委員から御
指摘のありましたような紛争において解決をしてまいりますためには、やはり労使がよく話し合うことが何よりも肝要でございます。いま一方に当事者能力がないという御
指摘がございましたが、政府としては当事者能力があると思って、ぜひ労使双方が当事者能力を十分に発揮をして労使の話し合いを進めるというふうに持っていくことが非常に大事なことである、このように考えます。
労働省といたしましても従来も非常に大きな関心を持ちまして、労使双方のいろいろな事情等は調査をしながら今日に至っておるところでございますが、いま御
指摘のように、入口のところでなかなかつかえておって話し合いが進まない、こういう御
指摘もございますので、さらに労使双方からよく事情を聴取いたしまして、その置かれておる
状況をどのように判断をしているのか、今後どう持っていこうとしているのかというような
考え方も労働省として聴取をいたしまして、申し上げておりますように、労使双方が実質的な話し合いが転がっていくようによく指導をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
-
○坂倉藤吾君 会社側は組合が悪いから経営に影響するんだ、したがって組合はけしからぬと、こういう主張をしているんですが、会社の経営内容、このことからいきますと、一体どういうふうにごらんになっているんでしょうかね。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
神戸精糖自体は、率直に申し上げますと、上場されております大手の精糖
メーカーの中では収益としては一番悪い方でございます。しかし、特例法下において累積赤字がかなり減ってきている。逆に申しますと、経常利益がようやくこの一、二年計上できるようになったという事情でございます。
-
○坂倉藤吾君 これは大蔵省にお伺いをしたいのですが、精糖会社に対する流動資産の評価の方法、これは決算上特段の指導があるのでしょうか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 税法的に申しますと、法人は税法所定の償却の方法につきまして、あるいは評価方法につきましては税務署長に法人が任意に選定してそれを届け出た方法によればよろしいということになっておるわけであります。ただ、この税務署長に届け出た方法を変更しようとするときは、当該変更による評価方法を採用する事業年度の開始前に税務署長に届け出てその承認を受けなければならないということになっておるわけであります。
-
○坂倉藤吾君 砂糖業界で通常原糖の評価額のこの算定の仕方ですが、先入先出法、後入先出法、それから総平均法あるいは移動平均法、大体この三つがとられておるというふうにお聞きをしていますが、どうでしょうか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 税務上計算につきましては、それはどういった法人でありましても、その届け出た方法によるわけでありまして、たな卸し資産につきましては税法で規定しておりますのは原価法と低価法がございまして、その原価法の中では個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入原価法、売価還元法と、この八つの方法がとられておることになっておるわけであります。ただ、それぞれの
企業についてどういう方法をとるべきだというふうなことにつきましては、国税の方としては何ら指導はしておりませんけれ
ども、たとえば有価証券報告書等を見ますと、たな卸し資産の評価方法につきましては、それはそれぞれの商品、製品等によって違うわけでありますけれ
ども、それぞれの会社として、その精糖会社として特色のある評価方法というものはございませんで、それぞれ各
企業それぞれの評価方法をとっておるというのが実態でございます。
-
○坂倉藤吾君 ただ、砂糖は、先ほ
ども言いますように、きわめて投機的要素が強いわけであります。したがって、この買い入れの時期によってその原糖の価格というのは著しく移動する
可能性を持っています。そういう立場から言って、この後入先出法というのはきわめて私は問題ありと、こう思うのですが、その辺の
観点はいかがでしょうか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) これは有価証券報告書から見たわけでありますけれ
ども、この
使用原材料つまり精糖会社につきましては砂糖、原糖でありますけれ
ども、それの評価方法は、まあサンプル的に見ましたら先入先出法を採用している会社が多いようであります。
-
○坂倉藤吾君 神戸精糖は残念ながらその少ない方の、全くこれ以外に見当たらぬのですが、後入先出法を採用している。これは実勢価格にきわめてほど遠いものが出てくる
可能性を持っているわけです。現に神戸精糖の五十年三月の決算でいきますと、実際には三十億三千万円、そのときの在庫の数量が三万二十七トン、こうありますが、このときの純益というのは一億四千万、こうありまして、二十九億もこの決算方法によって含み益が出てきている。五十一年の三月の
段階では、これは赤字決算をしております。五億九百万、赤字決算をしておりますが、実際にはこれは十二億ぐらいの黒字であるはずであります。こういう数字が出てくる。ところが、逆に五十二年の三月に入りますと、本来は約十四、五億赤字でありますのに、実は五億六千四百万の決算上の数字になっている。五十三年の三月にはおおむね本来赤字が二十三億ほど計上されなきゃいかぬのが実は黒字決算になって一億二千七百万円と、こうなっています。こういう
状況から見ますと、これはたとえば粉飾決算、こういう
可能性がきわめて強いわけであります。商法第二百八十五条ノ二、これに合わせ照らして考えましたときに、いわゆる投資的な
状況、それから原価の値がどういうふうにもとに戻るかという
可能性の問題、こういうところを照らしていきますと、きわめて問題ありと、こう思うのですが、いかがですか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 国税の立場といたしましては、当該法人が届け出しました評価方法による、その方法でやっておる限りにおきまして、その計算方法による決算が組まれ、それが適正に申告されておれば、それ以上とかく私たちが申し上げる立場にないということでございます。
-
○坂倉藤吾君 時価とそれから評価額との間に著しい差があるときは、これは時価によるというのがこれは筋道じゃありませんか。
-
○
政府委員(
磯邊律男君) 法人が届け出ました評価方法によって正当に評価されておる場合には、税法としては、税務の立場としては、それの変更を命じる立場にはないということでございます。
-
○坂倉藤吾君 時間が残されておりませんから、あとこの
やりとりはまた別の機会にしたいと思いますが、連結決算も含めて、これは丸紅が連結決算として取り上げてやっているわけでありまして、連結決算の仕方にもきわめて問題ありと、こういうふうに
指摘をしておきたいと思います。具体的数字をもって後日また機会を改めてやります。
次に、同和
対策事業の
関係に入りますが、特措法延長に際しまして附帯決議による実態把握に関して現在自治体との
関係でヒヤリングを
実施中、こういうふうにお聞きをしておりますが、その
状況はいかがですか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 現在
関係各省におきましてヒヤリングを鋭意
実施中でございまして、遅くとも五十六年度の
予算編成期までにはおおよそのことがわかりますように特段の御努力を願っているところでございます。
-
○坂倉藤吾君 五十六年度
予算編成期ということになれば、大体七、八月をめどにと、こういうことで理解していいですか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) そのとおりでございます。詳細は十二月までに本当に詰めたものが必要になろうと思いますが、もうおおよその姿は七、八月までにはどうしてもおつかみ願いたいということで各省にお願いしておるところでございます。
-
○坂倉藤吾君 ヒヤリングの基本姿勢というものは一体どういう形になっているのですか、基本的な
考え方。五十年の調査のいわゆる総理府調査の補完というふうにこの議事録からいくと
衆議院の審議の中では見受けられるのですが、残事業量の調査にしぼってヒヤリングをしているのかどうか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 御承知のとおり、五十年調査は総理府を中心に
関係各省が共同して行った調査でございますが、これはその後の同和
対策を効率的に進めるために必要な資料であって、従来の行政資料では得がたいものを総合的に調査するということでございまして、施設調査のみではなくて産業別の経営の
状況あるいは生活
状況、さらには教育の
状況等もそれぞれ
関係者あるいは市町村、あるいは学校等に当たりまして調査したものでございます。これで大方基礎的なものはここで把握されると思いますが、その後の社会的な変化等によってこれに基づかない項目でも必要なものはあろうと思いますが、現在ヒヤリングを進めておりますのは物的事情のみではありませんで、その後の地域類型別にどのような問題があるか、あるいは今後どのような施策の展開が必要かという基礎資料を得る目的でお願いしておるところでございます。
-
○坂倉藤吾君 そうしますと、総合的、科学的
観点から調査をし直している、こう受けとめていいわけですか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 土台は五十年調査で相当あるわけでございますので、それを参考としながらそれに準じたヒヤリングをお願いしておるということでございます。
-
○坂倉藤吾君 同和問題を根本的に解決するという立場からいきますと、心理的、精神的な差別の解消というものがきわめて重要な柱、こういうふうに認識をするんです。そうしますと、ヒヤリングの柱の中にそういう
観点というのは貫かれておる、こういうふうに理解していいんでしょうか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 意識面での調査というものは、このヒヤリングの中に直接の対象としておりません。ただいろいろな問題が生じておりますその原因等についても、いろいろ事例等の調査は当然しております。
なお、その啓発活動の重要性は言うまでもないところでございますので、総理府におきましても意識面の調査は、五十一年の九月から五十二年の九月にかけまして、一応大都市型あるいは都市型、農村近郊型、農漁村型という地域類型別に地区内の方々と地区外の方々のそれぞれの意識面を一応調査いたしております。
-
○坂倉藤吾君 総合的、科学的に実態をきちっと把握をするということになりますと、私は、学識経験者それぞれの、たとえば歴史家等も含めてきちっとした取り組みをしないと、本当に部落の実態というものが明らかにならぬと思うんですが、その辺は具体的な施策としてどう取り入れられておるんでしょうか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 毎々申し上げておりますように、総合的な部落問題の把握ということはどうしても必要なことでございますから、五十年にも調査いたしましたし、必要な行政の施策という
観点から常々実態を把握するという意味でヒヤリングあるいは現地調査等をしておるところでございますし、特に施策によりましてはその都度社会情勢の変化によって対応を変えていかなくちゃならぬ施策もありますので、常に実態の把握というのは、それは行政の当然の責務だというふうに考えております。
-
○坂倉藤吾君 啓発活動についての
予算をながめていきますと、総理府、それから法務局、労働省、これが
予算を持っています。ところが、
予算の編成の伸び率等を昨年と比較をしましたときに、たとえば総理府は昨年二二一の伸びに対してことしは一二一、労働省の場合は一五〇の昨年の伸びに対してことしは一一八の伸びと、伸び率が低下しているんですがね、これは啓発活動は労働省あるいは総理府では進んできたからそれ以上必要がないと、こういう意味で下がっているんでしょうか。
-
○
政府委員(小島弘仲君) 啓発活動の重要なことは、先ほ
ども申し上げたとおりでございますので、政府といたしましても常にこれは今後の同和施策の重点施策の
一つとして位置づけております。
御
指摘のように、五十四年度から比べますと五十五年度の伸び率は下がっております。下がっておりますが、一般行政経費、特に一般
予算の中で国債償還費あるいは地方交付税を除きました伸び率が五・一%でございますので、それに比べていただければ、苦しい財政
状況のもとで精いっぱいの努力をしておるということは御理解願えるのではないかと思います。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) 啓発活動は、私
ども労働省の同和
対策事業、
対策の中で最も大事な部門であると。それは雇用の確保についてあらゆる努力をしていくわけでありますけれ
ども、特にその機会の均等を確保していくということからいきますと、その入り口のいわゆる就職の時期というところに焦点を当てて、そこで一人一人の個性や能力を見る以外の
条件によっていわゆる差別されるようなことのないように啓発をしていかなければいかぬ。そういう意味では、ここ一、二年非常にこう力を入れてきておるところでございます。いま御
指摘をいただきましたように、
予算の金額は減っておるということでありますけれ
ども、決してそれで行き届いてきたのでもう力を緩めるわけでも何でもありませんで、継続してその努力を重ねていく、こういうことで一応のその体制、いろいろな指導体制ができてきておりまから、そういう意味では新規に何か構えていくということではなくて、継続して啓発活動にさらに力を入れていくという意味で、金額が落ちていても努力が落ちるという意味ではありませんので、御理解をいただきたいと思います。
-
○坂倉藤吾君 目に見えます残事業だけでも特措法の期間中にはなかなか完了がむつかしい、こういうふうに私は判断をするのですが、さらに心理的な差別、精神的な差別、これを解決をしていかなければ本当の解決にならない。こういう立場からいきますと、これは特措法の延長なり基本法の制定というものが必要だと思うのですが、この辺は法務省あるいは総理府それぞれの見解を承りたいと思います。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
同和
対策事業特別措置法は、御
指摘ありましたように、五十六年度末をもって終了するわけでございます。
委員御
指摘のように、残事業につきましては、なかなか消化することが困難であろうというお
見通しもあるかと存じますが、政府といたしましては、残された期間、法律に基づいて全力を挙げてそれが解決のために努力をいたしておるところでございまして、そのための現在調査をいたしておることは先ほどの御答弁で申し上げたとおりでございます。願わくば、五十六年度
予算編成前までに事業の概括すべてこの調査をいたしまして、何とか五十六年度
予算の中でそれぞれの事業を
処理したいと、こういうことで現在全力を挙げて努力をいたしておるところでございますので、法律をいまの
段階で延長すべきかどうかということについては御答弁をできない次第でございます。
-
○
国務大臣(倉石忠雄君) 法務省といたしましては、人権侵犯事件等の
処理等を中心といたしまして啓発活動に力を入れておるわけでございますが、諸般のことにつきまして、先ほどここで総理府からるる今日までの
状況を御説明申し上げましたが、協力をいたしまして、私
どもは、この啓発活動にうんと力を入れて、そして人権問題の
処理をいたして、その間に先ほど申しましたような趣旨の展開をしてまいりたいと、このように努力をいたしておる次第でございます。
-
○坂倉藤吾君 法務当局は、この法律とのかかわりの答弁がいま大臣からなかったんですが、たとえばこの地名総鑑の問題等につきまして、一から九まで九種類出ている。その中のつかまれたやつについて
企業名をなかなか明らかにしない。こうしたような経過があるんですが、法務省の責任というのはですね、むしろそういうような差別の書籍等については、出所、購入先、これをむしろ社会的に明らかにして、そうしてそういうものがいかに悪いかということについて明確にする、これは大きな任務だと思うんですが、その辺はいかがですか。
-
○
国務大臣(倉石忠雄君) 人権擁護
局長から報告をいたさせます。
-
○
政府委員(中島
一郎君) お答えを申し上げます。
ただいま御
指摘のような事案につきましては、法務局あるいは地方法務局において鋭意解明に努めまして、その解明が行われました場合には、事案の重要性にかんがみまして、
関係省庁と共同の啓発をいたしております。
ただいまおっしゃいました公表につきましては、他の守秘義務等との
関係もございますので
企業名を公表することはいたしておらないというような実情でございます。
-
○坂倉藤吾君 私は、そんなところで守秘義務が出てくること自体が差別を温存する政策である、こう思うのですが、いかがですか。
-
○
政府委員(中島
一郎君) 法務局あるいは地方法務局におきまして十分に解明をいたしまして、そして、その過程におきまして、あるいは解明の後におきまして十分にその
企業に対する啓発を行っておるわけでございます。公表は確かにその一面だけから申しますならば、
企業に対する反省を求める
一つの方法であろうかとは存じますけれ
ども、それのみによってでなければ目的を達することはできないというふうにも考えておりませんので、私
どもは従来の方針でやってまいりたいと考えております。
-
○坂倉藤吾君 いまの答弁では私は答弁にならぬと思うんですね。少なくともそういうあり方をむしろ明らかにして、社会的にそれが糾弾をされる、そのことについての反省が加えられる、こういう形にならないと差別はなくならない、私はこう思うんですが、いかがですか。
-
○
政府委員(中島
一郎君) また繰り返すようになって恐縮でございますけれ
ども、
企業に反省を求めるということは、これは私
どもとしては一番重要な問題というふうに考えておりますので十分に啓発をすると、そして
企業側において意識が十分に変わったという
段階において事件を
処理すると、しかし、その後におきましても
企業の啓発については十分に努力をしてまいっておると、こういう
状況でございます。
-
○坂倉藤吾君 それもどういう形で
企業に対して啓発を責任を持ってやるか、その経過が明らかにならないで責任が持てますか。
-
○
政府委員(中島
一郎君) 先ほ
ども申しましたように、この件につきましては
関係省庁と共同いたしまして啓発を行っておるわけでございます。法務局といたしましては、憲法十四条の問題、あるいはこの地名総鑑事件の悪質さというようなものについて話をいたします。それから各都道府県等におきましては、同和
対策事業特別措置法の問題あるいは同対審の答申の点についての話をされます。それから
企業の種類によりまして、各省の出先機関がそれぞれの
省庁において行っております同和
対策についての話をされます。その間、方法といたしましては、話をするだけではなくて、映画を見せる、あるいは相互に討論をさせるというようなことで十分にこの同和問題についての認識を深めていただくと、こういうことをやっておるようなわけでございまして、その結果といたしましては、
企業側においてある程度その目的を達しておるというふうに私
どもは理解しておるわけでございます。
-
○坂倉藤吾君 一言。
-
○
委員長(
山内一郎君) 時間が来ておりますので、一問だけ簡単に願います。
-
○坂倉藤吾君
質問じゃなくて、時間が来ましたから。ずいぶん問題がいまの答弁からいくとありますので、引き続き別の機会でやることについて通告だけしておきます。
終わります。
-
-
-
○中尾辰義君 私は、土地問題につきまして若干お伺いをいたしたいと思います。
まず、
国土庁長官並びに建設大臣に
最初に所感をお伺いしておきますが、最近の土地価格の上昇には全く目をみはるものがございます。国土庁の国土統計による全国市街地価格指数と日銀卸売物価指数と比べてみましても、
昭和三十年三月で両者の指数を一〇〇といたしまして、約二十年後の五十三年三月はどうなっているか。これは卸売物価指数で一九〇・六、ところが一方、市街地価格指数は実に驚くなかれ二八四七の数値を示しておるのであります。市街地価格は卸売物価の約十五倍、こういうふうになっておりますが、すでにもう土地価格は庶民の手が届かないところに上昇いたしまして、マイホーム建設あるいはその取得は庶民の夢となってきた今日、政府は土地価格の抑制にどのような
対策を講じてきたか、また講じようとするのか、順次私は
質問を展開してまいりたいと思いますが、その前に、まずこの地価の急上昇に対する責任者であるお二人の大臣に所感をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(園田
清充君) お答えをいたしますが、御
指摘のとおり、三大都市圏を中心として、なかんずく東京圏を中心としてその中でも住宅地の土地が強含みで動いておることは御
指摘のとおりでございます。
その原因というのは、需要に対して供給が追いついていないということが私
どもは最大の原因だと見ておりますが、そこで宅地の供給増を図っていくということが地価の安定にとって一番重要なことだというふうに考えておりますし、かつまた価格の安定の問題につきましては、国土利用
計画法の的確な運用を図っていく、あるいは土地の短期譲渡にかかる法人の重課、土地保有税の土地税制、それから不要不急の土地の取引に対する融資の抑制というようなことを図りつつありまして、投機的な土地取引が行われるという徴候は現在の
段階では見受けられないのでございます。かようなことを総合的に展開しながら、ひとつ価格の抑制を図りながら土地
対策というものを、供給増を図っていきたいというふうに考えております。
-
○
国務大臣(
渡辺栄一君) ただいま
国土庁長官からも御説明ございましたが、建設省としましても、住宅政策の基本といたしまして地価問題には十分な配慮をせねばならぬというふうに考えております。
昭和四十九年以来安定的に推移してまいったのでございますが、地価は最近大都市の住宅地を中心に上昇の傾向にございますが、これは基本的には、私
どもは、大都市を中心として旺盛な住宅地需要が存在いたしまして、宅地市場がいわゆる売り手市場となっているということがあると思います。同時に、最近の各種の経済情勢がこれらとそれぞれ反映をいたしたものではないかと思われます。特に最近のマンション用地需要の増加によりまして、都心部の土地取引価格が上昇いたしまして、これが周辺の地価にも影響を及ぼしておるものではないかというふうに考えられます。
したがいまして、建設省としましては、今後一層新市街地におきまする
計画的な宅地開発を推進することにいたしておりますが、既成市街地の高度利用等の推進も図っていくために、ただいま法案その他につきましてもせっかく努力をいたしておるところであります。このために、公的な機関によりまする
計画的な宅地開発の推進あるいは関連公共公益施設の整備の拡充推進、今回法案をお願いしておりますが、都市再開発によりまする土地の有効利用の推進、今回お願いいたしておりまするような土地税制の改善によりまして土地の流動化を図るというような諸施策を総合的に推進をいたしまして、これらの問題に対処をいたしたいと考えておる次第でございます。
-
○中尾辰義君 それでは、逐次お伺いしますが、まず新市街地における宅地供給量の推移につきまして概略御報告を願いたいと思います。これは四十七年以降で結構です。
-
○
政府委員(
宮繁護君) 新しい市街地におきまして、いままで農地、山林、原野等の宅地以外の土地が住宅宅地に造成されております量を概括申し上げますと、
昭和四十七年が一万四千五百ヘクタール、
昭和四十八年が一万三千九百ヘクタール、四十九年が一万二千五百ヘクタール、五十年が一万八百ヘクタール、五十一年が一万二百ヘクタール、五十二年が九千三百ヘクタールでございまして、土地ブームのときの四十七年の一万四千五百ヘクタールがピークでございまして、ここ二、三年は大体一万ヘクタール前後ということになっております。
-
○中尾辰義君 次に、宅地供給量の先行指標の
一つである開発許可面積、それに区画整理の事業許可面積の推移について、概略御報告をお願いいたします。
-
○
政府委員(
宮繁護君) ただいまお話がございました都市
計画法に基づきます開発許可の制度に基づきまして許可いたしました許可件数を申し上げますと、
昭和四十六年が九千六百四件、四十七年が一万三千五十件、四十八年一万四千五百九十三件、四十九年一万二千二百三十件、五十年一万八千七百九件、五十一年一万四千二百十三件、五十二年一万三千四百五十三件、五十三年一万四千七百四十件となっておりまして、件数で申し上げますとピークは
昭和五十年でございました。ただ面積で申し上げますと、ピークは
昭和四十八年の六千七百二十九ヘクタールでございまして、一番落ち込みましたのが
昭和五十一年の三千五百八十ヘクタールで、五〇%程度になっております。その後五十二年、五十三年では四千七百十九ヘクタール、五十三年が五千三十五ヘクタールと、横ばいの傾向から逐次増加の傾向を示してまいっております。
-
○
政府委員(
升本達夫君) 土地区画整理事業の実績でございますが、認可地区数及び認可面積で御報告を申し上げます。
四十一年度認可地区数八十五地区、認可面積七千五百三十二ヘクタール、それから年を追いまして徐々に増大をいたしまして、四十六年度がピークでございます。四十六年度が認可地区数三百二十八地区、認可面積一万一千四百三十九ヘクタール、それから石油ショック後の五十年度が底でございまして百八十三地区、四千八百四十五へクタール、それから徐々にまた持ち直しまして、五十三年度時点で地区数二百六、認可面積六千七百九十七ヘクタールということになっておりまして、四十六年度のピーク時に比較いたしますと五十年度の底が認可面積で申しまして四二%、それから五十三年時点が五九%、六割まで回復をいたしております。
以上でございます。
-
○中尾辰義君 次に、ただいま概略をお伺いしましたが、宅地供給量が
昭和四十七年をピークに減少傾向をたどっている、いまの報告でわかったわけですが、
計画的宅地開発の停滞の要因をどういうふうに分析をしていらっしゃるのか。さらにもう一点は、
計画的宅地開発の停滞要因除去のためどのような施策を講じておるのか、その点お伺いします。
-
○
国務大臣(
渡辺栄一君)
現状はただいま御説明を申し上げたとおりでございますが、新市街地におきまして新たに造成されました宅地の量は、いまも御説明いたしましたように、近年一万ヘクタール前後ということになっておることも事実でございます。他方、既成市街地におきまする土地の高度利用は非常に最近は進んでおると思っておりますが、さらに既存の宅地ストックへの住宅建築もまた相当なものがあるというふうに予想いたしております。また宅地供給の先行指標でありまする開発許可面積あるいは土地区画整理事業の認可面積は、ただいま御説明いたしましたように、
昭和五十年、五十一年を底に上昇に転じておりまして、
現実に宅地となって出ますのにはここ数年を要しまするけれ
ども、相当現在回復を示しておるのではないかというふうに考えられます。今後は新規の宅地造成量もさらに増大基調に向かうのではないかというふうに私
どもは考えておるわけでございます。
なお、新市街地におきまする宅地の造成がこれまで停滞を示しておりました理由としましては、
一つには市街化区域農地等の素地が宅地利用へ転換するということが非常に停滞をしておりましたこと、それから素地価格が非常に高く安定をしてまいりましたこと、関連公共施設整備費の増大によりまする障害等が理由と私
ども考えておりますが、宅地開発の事業採算の
見通しの悪化というものも考えられますし、また、そのために宅地開発事業の意欲が非常に減少しておる、
地方公共団体が開発に対しましては非常に抑制的な方針をとっておりますこと、さらに今回は改正をお願いしておりますが、土地税制が土地の流動化を阻害しておるというような面が私
どもは考えられるのではないかというふうに思っております。
そこで、ただいま御
質問によりまするこの停滞を打開するための建設省の対応策でございますが、私
どもは、住宅
対策を進めるのにはまず宅地の
対策を確立せねばなりませんし、そのためには地価の安定が何よりも必要であるという
観点に立っておりまして、そういうような意味におきましては地価の安定及び良好な市街地の形成に留意をしながら宅地供給を促進いたしたいと考えておりまして、まず第一番に、公的機関によりまする
計画的な宅地開発を推進してまいりたいと思います。二番目には、民間の優良な宅地開発に対しまする政策金融を拡充してまいりたいと思います。第三番目には、ことしはいろいろ御協力をいただきまして六百億を五割ふやしましたが、九百億の関連公共公益施設の補助をお願いしておりますが、これらを通じましてその整備の拡充推進をいたしまして、いろいろな障害になっております問題の解決を図りたいと思います。四番目には、都市再開発によりまして土地の有効利用を推進してまいりますが、特に宅地を中心といたしました再開発を考えておりまして、今国会に再開発の一部改正法案の御審議をお願いすることにしております。五番目には、都市
計画法の線引きの見直しでございまして、これも鋭意努力をしておりますが、今後とも宅地を中心といたしました
考え方に立って弾力的に運用してまいりたいと考えております。これらの諸施策を今度お願いしておりますが、土地税制とあわせまして総合的に推進をいたしまして、これらの施策を一層総合的かつ強力に推進をいたしまして、宅地供給を推進してまいりたいと考えております。
なお、市街地の農地の宅地転用につきましては、いろいろな
現状でございまするけれ
ども、私
どもも各種団体等の意見も直接聴取をしながら、現制度を十分見直しもいたしながらこれらに対しまする最善の配慮をいたすために、ただいま次官を中心といたしまして
委員会もつくり具体的に
検討いたしておるところでありまして、全力を挙げまして宅地供給の推進を図ってまいりたいと考えております。
-
○中尾辰義君 大体わかりましたが、もう一点、これはいま答弁がなかったと思いますが、第三次全国総合開発
計画では、
昭和五十一年から六十年、五十一年から六十五年までに新市街地において新規宅地がそれぞれ十二万八千ヘクタール、十九万ヘクタール必要と見込まれておるわけでありますが、達成
状況はどうなっておるのか。
-
○
政府委員(
宮繁護君) 第三次全国総合開発
計画によりますと、いまお話しのとおり、新市街地におきます宅地の必要量は年平均で約一万三千ヘクタールという見込みをいたしております。一方、近年新市街地におきまして新たに造成されました宅地量は、先ほど御報告いたしましたように、年間一万ヘクタール前後と相なっております。
現在のところ、このギャップはどういうふうに埋まっておるかということでございますけれ
ども、先ほ
ども大臣から御答弁ございましたように、
一つは
企業等の在庫からの供給、
一つは私人が購入いたしておりました未建築地の宅地における住宅の建築、さらには最近一般の住民の方々の職住近接志向が非常に強くなりまして、都心部におきますマンション需要が強くなり、これに対する供給がかなり行われておりまして、五十四年度では全国で十万戸程度マンションが建ったかと思われます。そういうふうな供給によりまして相当程度カバーされてきたわけでございます。
宅地供給の今後の
見通しにつきましては、先行的な指標でございます開発許可の面積とか区画整理事業の認可面積、先ほど申し上げましたように、近年の減少傾向から増加傾向へと転じておりまして、回復の兆しが見られるわけでございますけれ
ども、やはりこの開発許可とか区画整理の施行認可から数年間かかりませんと宅地の造成は完了いたしませんので、その点では、いますぐというわけではございませんけれ
ども、今後はかなりの程度回復が見られるのではないかと考えております。
-
○中尾辰義君 ただいままで大体開発の推移
状況をお伺いしましたわけですけれ
ども、これから大臣に
問題点につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
まず、先ほど答弁も少しございましたが、今度の土地税制の緩和、これが大きな賛否両論もありまして、意見もいろいろあると思います。これが果たして宅地供給増加につながるかどうか、この辺疑問のあるところですが、大臣の御意見を伺いたい、それが一点。
それから、これも先ほどちょっとありましたけれ
ども、住宅産業開発協会、全国宅地建物取引業協会連合会、こういったところから宅地供給促進の
観点から例の都市
計画法の線引き見直し、これを求めておるわけですが、これはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、先ほ
ども鋭意努力、弾力的に運用、こういうようなわかったようなわからぬようなことがありましたけれ
ども、もう少し具体的な、わかるような答弁をひとつお願いしたい。
-
○
国務大臣(園田
清充君) 私に対しては宅地供給に対する今回の税制の改正をどう思うかということでございますが、私
どもは従来もいろいろ税制の改正を重ねてまいりました。そこで、四十七、八年行われました土地取引を抑制するという
観点から、実は四分の三の重課を課税制度上とりまして今日までやってきたわけでございますが、ただ全国的に推移を見てみますと、土地の投機的な取引ということはこの重課によってかなり規制をせられたというふうに考えております。ただ、いま
先生からも御
指摘があったように、庶民の方々のひそかな願いであるものが、この重課の中で土地取引というものが抑制をせられていくということであるならば、願いはかなえられないじゃないか。だから、そのためにはやはり土地の供給増を図っていくということが必要だという
観点から、実はことしの税制の中では非常に大蔵当局にも御無理を申し上げまして、そして従来とってまいりました制度に若干の前向きの税制の改正を加えまして、そして税を安くすることにおいて土地の供給を促進をしようと、こういう願いが実は込められておりますし、かつて過去の統計から見て、私
どもはかなりの土地の供給につながるというふうに実は考えておるわけでございます。
なお、
衆議院の
段階においても正木政審会長から、これは税制を逃がれるためのいわゆる切り売りに終わらないような配慮等が必要ではないかという御
指摘もいただいておりますが、その点には十分配慮しながら、ひとつ供給の増につながるようにということで、いまお願いをしている税制の問題にぜひ御協力を賜りたいと、そして宅地の供給増により、それが地価の安定につながっていくということに貢献をするようにひとつ御協力をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、詳細については土地
局長から答弁を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
-
○
国務大臣(
渡辺栄一君) ただいま
国土庁長官からの御説明がございましたが、建設省としましても、今回の土地税制には非常な関心を持っておるところでございまして、宅地供給を促進するための総合的な施策は先ほ
ども私触れたわけでございますけれ
ども、
計画的な宅地開発の推進、関連公共施設の整備の拡充、推進等の諸施策を総合的に推進することとしておりますけれ
ども、土地税制につきましてもその一環として所要の改善を図ろうとするものでありまして、私
どもも評価をいたしておるところでございます。
今回の個人の譲渡所得税の改正によりまする宅地供給量の増加を数量的に把握することは非常に困難でございますけれ
ども、地価の動向等の諸
条件によりまして、いろいろと結果は変わってまいるものでございますので、短絡的には考えられませんけれ
ども、今回の改正によりまして土地の流動化が促進されることを通しまして相当量の供給増につながるものであるというふうに考えております。特に五十四年度の税制改正におきましては、優良宅地の
条件が非常に厳しゅうございましたわけでありまして、私
どもその点は主張いたしておったところでございます。なお、今回の土地税制の改正のもう
一つの主要点でございます三大都市圏の既成市街地等の土地などを中高層耐火共同住宅の建設のために提供した場合の、いわゆる買いかえ制度というものが今回は創設を見たわけでございますけれ
ども、これは急務でありまする大都市の既成市街地の土地の有効利用促進には多大の効果があるものであるというふうに期待をしておるところでございます。
なおもう一点、ただいま線引きのお話がございましたけれ
ども、先ほど以来申し上げておりまする宅地供給促進策の
一つとしての調整区域内におきまする宅地への適地等を確保するための線引きの問題でございますが、この問題につきましては、おおむね五年ごとに
実施をいたしておりまして、都市
計画に関しまする基礎調査の結果に基づいて見直しを行うことといたしております。現在進めておりまする見直しに当たりましては、まず一般的には市街化区域内の人口が当初に想定したほど増加をしていない、あるいは市街化区域内に農地等の宅地化可能区域が相当残存しておるというような事情が見られますことから、新たに市街化区域に編入することにつきましては、宅地供給促進の
観点から良好な宅地供給を
計画的に行う開発区域を中心として行うように指導をいたしてきておるところでございます。なお、良好な住宅宅地の供給が非常に緊急な課題となっておりまする大都市地域におきましては、特に
計画的な住宅宅地供給に資することを重点として、先ほど以来申し上げておりまするように対処をすることといたしておりまして、良好な住宅宅地供給に直接つながる地区につきましては、市街化区域への編入または開発許可につきまして弾力的に対応するように指導をいたしておるところでございます。
参考までに申し上げますと、見直し対象区域は二百九十七区域、完了いたしました区域は百七十一六区域、手続中の区域が十五区域でございます。なお、東京都につきましては、いままで見直しをいたしておりませんけれ
ども、都知事との昨年の暮れの話し合いによりまして、東京都もこれを
実施をしていただくことにいたしておりますので、今後これが推進をされるものと考えております。
なお、その見直しによりまして、では宅地がどのぐらい拡大したかということを簡単に申し上げますと、全国では三万六千六百十九ヘクタールでございまして、三大都市圏が八千八百十九ヘクタール、そのうち首都圏、東京都を除きます首都圏でありますが五千六百十二ヘクタール、その他が二万七千七百二十ヘクタールということでございまして、今後とも鋭意宅地を中心といたしました線引き見直しにつきましては一層弾力的に推進をしてまいりたいと、かように考えております。
-
○
政府委員(山岡一男君) 今回の税制改正が地価に効果があるのかという御
質問でございました。私
ども、地価の値上がりの原因につきまして、いろいろとふくそうしておるわけでございますが、分けまして、三つのパターンを考えております。
一つは、やはり地下鉄ができる等によります効用の増によりまして当該地の品位、品質、品等が上がる場合でございます。それからもう
一つは、四十七、八年ごろに横行いたしましたように、仮需要と申しますか、将来の値上がりを楽しんで土地を買いあさるという投機的な土地取引によるものでございます。それからもう
一つは、やはり実需に対しまして供給が不足をしておると、いわゆる需給のギャップという三つの点だろうと思います。最近の値上がりの要因の中には、効用増によるものもございますけれ
ども、需給のギャップというのが、先ほど大臣が申しましたとおり、一番大きな支障の原因であろうかと思っております。幸いにして投機というものにつきましてはいろいろな施策によって抑え込まれておると考えております。したがいまして、現在のところ、どうしても土地
対策の基本ということになりますと、引き続き投機を抑えながら供給をふやすということだと思います。したがいまして、そういう見地に立って税制の改正もしていただいたわけでございます。したがいまして、投機の抑制にかかわります税制は従前どおりこれを堅持をする、それから供給の促進につながると思う税制については改善を図っていただくというのが今回の趣旨でございます。
定量的に申しまして、その結果何%地価が下がるかということにつきましては、私
どももとても申し上げることはできませんが、その税制の改正の効果であろうと思われることが一点ございます。二百六十五万件五十三年には取引がございました。五十四年には二百七十六万件になりました。そのような中で相当そういうふうな税制の改正が効果を上げておるというふうに思っておるわけでございます。
-
○中尾辰義君 長い御答弁をいただいたんですが、土地税制というのは、これはこれで土地が出てくればありがたい。いろいろ批判もあるようだし、これはまあ結果をお待ちいたしたいと思います。しかし、財政再建の今日、不公平税制の是正というのがやかましいときに、こういう税制のアンバランスをつくるということは実際はよくない。よくないけれ
ども、土地が出てくればこれはいいんじゃないかと思うのですが、大分
確信のある御答弁がありましたので、これは後よく見守りながらいきたいと思います。
それから線引きの方も、いろいろこれにも問題がありますけれ
ども、都市
計画法でおおむね五年ごとにというふうに出ておりますが、ほとんどが、いまいろいろ数字を発表されましたけれ
ども、微調整程度で、実際もう市街化地域に売り買いするような土地はないし、大分上がってきておるというところにこういうような声があるんですが、この点ひとつもう少し大胆に私の方はお願いしたい、こう思っております。
次に、今度
計画的宅地開発の停滞を背景に地価が急速な勢いで値上がりを強めておるわけですが、去る一月十四日、ミサワホーム総合研究所が発表した店頭価格調査では、首都圏の年間上昇率が平均二八%、近畿圏が平均一九・六%、四十七、八年当時の異常な土地ブームを背景とした狂乱地価に近い数字が出ておるわけです。地価はすでに警戒水域の域を脱して危険水域に突入したと、そういうふうに言ってもこれは過言ではないわけでありまして、石油の方もどんどん上がるんですけれ
ども、地価はこれは大変な勢いでもう去年あたり上がっておるわけですが、どうですか、大臣。地価の今後の
見通し、答弁がむずかしいかしりませんが、本当に
長官として地価を安定させることができるのか、まだ上がりそうなぐあいなのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(園田
清充君)
先生がいま御
指摘のとおり、特に三大都市圏の住宅地を中心として住宅地が強含みの傾向で動いていることは御
指摘のとおりでございます。そこで、原因については
局長からも御答弁申し上げましたとおり、効用増という、交通体系あるいは公共事業の進捗ということで住宅地の効用が非常に増大をしたということでの一般的な価格の値上がりということもございますし、同時に住宅地に対する根強い需要があることに対して、さっき申し上げておりますとおり、供給が不足をしておるということが私
どもは主な原因だというふうにとっておるわけでございます。しかし、全国的に見てみますと、いま御
指摘がございましたけれ
ども、じゃ地価高騰時のような、四十七、八年のような投機的なものによってこの土地価格というものが上昇しているのかということは、調査をしてみますと、全くございませんと申し上げてよろしかろうかと思います。
そこで、実需に伴う
一つの供給不足ということが私
どもがいま考えておることでございますが、それには建設大臣からも御答弁がございましたとおり、また、私
どもとしても、挙げてこの供給の増のためにひとつ努力をしていかなければならないというふうに考えておりますし、なお今後の地価の動向について
国土庁長官として責任が持てるかということでございますが、最近の金融等の地価に関連する諸指標の動向から見ますと、大幅な上昇というものはあり得ないというふうに考えております。
なお、国土庁といたしましては、今後の地価の動向について監視の強化を図るとともに、地価安定のために税制、金融全般にわたる総合的な政策を展開をして地価の上昇を抑止することにひとつ最善の努力をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
-
○中尾辰義君 それで、もう
一つお伺いしますが、いまの答弁で地価は投機的な点は余り見受けられぬと、実需で上がっておるということですが、これは国民の側から見れば、投機であろうと実需であろうと、どんどんどんどん国民が、サラリーマンが手の届かないようなところまで地価が上がることを実需だからよろしいと、あなた方、投機だったらよくないと、こういうような答弁、私は気に入らぬのですがな。どういうことなんですか、ちょっとお伺いしたい。
-
○
国務大臣(園田
清充君) 決して、上がっていることを是認しているわけではございませんが、いま申し上げましたとおり、何が原因かということを突き詰めてみますと、やはり需給のバランスがとれていないということが一番の原因でございますので、この需給のバランスをとるということで地価の安定を図っていきたいということが私
どもの最大の願いでございます。
それから、投機的なという言葉がございましたが、これは国土利用
計画法の問題とも関連をいたしますけれ
ども、投機的な取引が行われて、そのために価格が高騰したという事実が出てまいりますと、当然規制の問題というものが出てまいりますが、現在各都道府県と綿密な連絡をしながら地価の動向を調査しておりますけれ
ども、
現状の
段階では、いま申し上げるとおり、投機的な取引というものが行われている事実は見当たらないというのが
現状であるということでございます。
-
○中尾辰義君 これは後でまた議論しますけれ
どもね。
今度政府が発表しました物価総合
対策、当面の物価
対策につきまして、三月十九日、これは閣議で決まった。この中にも「地価の安定」というのが出ておるんですよ。「地価についても、投機的な土地取引を防止するため、国土利用
計画法の的確な運用、地価動向の監視強化、」云々と出ております、ここに。
それでお伺いしたいのですが、国土利用
計画法に「地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められる」場合、今度は地価が上がるおそれがある場合、都道府県知事はこの地域を規制区域として指定することができ、また、内閣総理大臣は都道府県知事に対して規制区域について指示することができる、こういうふうにあるわけですね。この制度の活用に対する基本的な考えはいかがですか。
-
○
国務大臣(園田
清充君) いま申し上げましたとおり、この十二条の発動ということになってまいりますと、いまのように規制区域を指定をするということで、私
どもは、十三条で都道府県知事が規制区域を指定をされるということに対して、その資料と申しますか、指定をされてもよろしいというような
条件整備の問題が整っておるかどうかということを実はせいぜい調査をいたしておるわけでございます。そして、もしそろっていたということになりまして、いまのような投機的な動きが広範囲に行われているという事実が出たという場合には、資料をそろえて知事にひとつ地域指定をお願いをしたいというお願いをいたしますが、しかし、どうしても知事がそれができないということになってまいりますと、十二条の問題との関連というものが必然的に生まれてまいりますし、政府としてもやはり整った資料のもとで規制措置というものを考えなければならないと。しかし、やはり地方自治体の立法時の意思というものが、実は
先生御承知のとおり、地方自治体の実態というものを十二分に頭に置きながら、自治を尊重しながらこの法の運用を図れということが議員立法としての立法府の意思でもございますので、その点も十分頭に置きながら私
どもとしては対処してまいらなければならないというふうに考えております。
-
○中尾辰義君 だんだん時間がなくなりましたが……。
それで、まあ言葉の用語ですが、この十二条に、「地価が急激に上昇し、」云々と、こうあるんですな。この「急激に上昇」というのは、どの程度上がったら急激に上昇になるんですか。
-
○
政府委員(山岡一男君) 国土利用
計画法十二条で考えております地価の急激な上昇でございますが、当該地域におきます従来からの地価の趨勢、それから全国の地価の趨勢等を考慮しながら、あくまでも投機的な土地と人との関連において具体的に判断されるものというふうに解釈しておりまして、一律に何%以上というような基準は定められておらないわけでございます。
-
○中尾辰義君 だんだんこれを詰めていくとむずかしくなるんですよ。
それで、国土利用
計画法で「規制区域の指定」というのがあるのですけれ
ども、まだ一遍も発動されたことはないですね、一遍もありませんよ。その間にどんどんどんどんと上がってきておるわけなんです。一遍もこれは発動されていないのですが、それはどういう理由があるのでしょうか。規制区域の指定要件など体制上の不備があるのであれば、その辺ちょっとお伺いしたい。
-
○
政府委員(山岡一男君) 国土利用
計画法によります規制区域の指定につきましては、「土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇」する等の事態に対処して緊急に
対策を講ずるということになっておりまして、議員立法の四十七、八年当時のような一億総不動産屋みたいな事態に対処するためにつくられたものというふうに理解いたしております。その後も、本制度の趣旨にのっとりましてその運用の万全を期するために、必要な場合には機動的にかつ効果的に規制区域の指定を行うということにつきまして都道府県に対して通達等により指導していることは御案内のとおりでございます。法施行以来いままでそういう取引動向及び地価を監視をしてまいりましたけれ
ども、そういう集中して投機が行われているというふうな事態がなかったために規制区域が指定されておらないというのが
現状でございます。
法律上の不備があるのではないかということでございましたけれ
ども、法施行以来投機の集中がなかったということが指定をしていない原因でございまして、法律上の不備というような点はなかろうと思っております。
-
○中尾辰義君 これは不備な点がいまあなたはないとおっしゃるけれ
ども、実際、県知事さんが規制区域を指定する場合にはいろいろの手続がめんどうなんです。まず、規制区域の公告をしなきゃならぬ、この辺は規制区域にしてよろしいか
関係市町村の意見聴取をしなきゃならぬ、あるいは指定が適当であるかどうか土地利用審査会の確認を経なきゃならぬ、こんなことをしておったら間に合わないでしょう、これは。とっとっとっと上がっちゃうんですよ。だから私は聞いているんです。手続上に問題がないのか、問題ありませんと、こういうことじゃ、ちょっと私は納得いかぬ感じがしますね、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(山岡一男君) 手続の点を申し上げるのを抜かしましたけれ
ども、指定に際しての手続が複雑じゃないのかということでございますが、実は規制区域は知事さんは抜き打ち的にも指定ができるわけでございます。ただ、二週間以内に土地利用審査会の同意を得ましたり、その他多方面に対して報告をしたり、いろいろな手続が決まっております。いまの土地利用審査会が二週間以内に追認をしなかった場合には、さかのぼって公告は効力を失うということになっております。確かに手続的に煩瑣な点があろうかと思いますけれ
ども、これの許可制は強い私権制限を伴うものでございまして、正常な経済活動の運行にも少なからぬ影響を及ぼすものでございます。したがって、恐らくこの立法の際にもそのような厳重な手続が決められたというふうに思っております。
-
○中尾辰義君 それでは具体的にお伺いしますが、地域振興整備公団のニュータウン、関越自動車道などのいわゆるビッグプロジェクトが重複し薪潟県の長岡市、あるいは東北、上越新幹線に新交通システムの併設が決定した埼玉県の伊奈町、こういうところで、これは新聞にも出ておりますが、地価が急に上がったんです。これは御存じのはずです。ところが指定区域にもならなかったわけですけれ
ども、これは指定要件の何か欠如しておったのか、ここでも投機はなかったとおっしゃるのか、その辺どうなんですか。
-
○
国務大臣(園田
清充君) 具体的に所を挙げての御
指摘でございますので、私
ども一が調査をした資料の内容から、ひとつ事務当局から具体的に答弁をさしていただきたいと思います。
-
○
政府委員(山岡一男君) いま
先生のお話に出ました新潟県長岡市の各種のプロジェクトの競合、それから伊奈町におきます上越新幹線等の東北新幹線との競合等の問題、いずれも一これらの開発を見越した地価の高騰が、ある程度土地取引の投機化の
可能性があるのではないかという予想がされたことは事実でございます。したがいまして、先ほど来お話をいたしております規制区域の指定事前調査というのを励行いたしてまいっております。
その調査の結果では、私
どものところには、現在のところそういう投機が起こっている
可能性はないという相当詳細な資料をつけての報告が参っているわけでございます。特に伊奈町につきましては、もう指定寸前まで、県の方でも覚悟を決められたわけでございまして、それに合わせまして特別な監視を行ったわけでございますが、その特別な監視の結果でございましょうか、現在は取引がほとんどないというふうな
状況になっておりまして、県の方でも、指定の要件を満たさないと、引き続き監視を励行するというふうにおっしゃっているのが
現状でございます。
-
○中尾辰義君 それじゃもう
一つ、これは国土庁発表の地価変動率表、五十四年一月一日から五十五年一月一日の間、この間に住宅地で、東京圏が一六・四%、大阪圏で一二・九%、名古屋で一三・六%、こういうふうに急激に上昇をしているわけですが、ここも何にも規制区域の指定ということにつきましては話がなかった、また指定にもならなかったと、ここはどういうわけですか。
-
○
政府委員(山岡一男君) いずれの地域におきましても、規制区域の指定要件でございます投機的取引が集中して行われている徴候がなかったということでございます。さらに規制区域指定の必要性が少しでもありそうだというところにつきましては、現在二百三十七地域につきまして相当綿密な監視の調査を行っております。さらに新年度からは、そのうちでももっとホットなものにつきましては詳細調査を行うという体制を準備しておるわけでございますが、現在までのところ、
先生おっしゃいましたような大都市圏につきましてもいろいろ調査をいたしておりますけれ
ども、各県の事前調査ではそういうものはないということ。それから最近におきます売買の土地所有権の移転件数等を見ましても、
昭和五十年以降全体としておおむね安定的で実需とバランスがとれた動きを示しているということ。大都市の周辺部それから地方都市を中心とした四十七、八年当時の上昇とは異なりまして、地価上昇は住宅建設が盛大に行われております比較的都心に近いところの住宅地に集中しているということ。その他国土利用
計画法によります届け出案件では一々利用目的の審査をしておるわけでございますが、資産保有等につきますものは非常に少ないと、いろいろな意味から投機は起こっていないんだというふうにわれわれは判断しておるわけでございます。
-
○中尾辰義君 あなた、何か聞くと投機がなかったと、それ一点張りだ。ないことありませんよ、不動産屋がたくさん入ってやっておるわけですからね。だから、これはもう幾らでも上がっていくんですが、まあ上がってしもうてからいろいろやってみたってこれは後の祭りなんですがね。結局、新聞等の報道にもちらほら出ておりますが、国土法の発動については、投機的な動きはないと、こういうような慎重な姿勢を国土庁がとり続けてきたことが県当局の国土法の扱いに関する取り組みに影響を与えたのではないかと、こういうように、論評ですよ、これは、私が言ったんじゃないけれ
ども、第三者が見ても結局国土庁はやる気がないんだと。何か言ったら投機的取引がなかったと、やる気がないんでしょう、これ。だから、上がってしまってからやったんじゃこれはもう後の祭りなんですよ。そのうち上がりますから、この辺もう少し積極的に進みませんと。さっきの物価
対策の最後の欄に、これは
長官、「地価の安定」の項目、七番に書いてあるけれ
ども、これも作文ですよ、「国土利用
計画法の的確な運用、」、こう書いてあるんですからね。そういうことで、もう少し積極的に対処してもらいたいですな。それ
一つお願いしておきます。
それからもう一点は、私がさっきも
質問しましたけ
ども、国民の側から、購買者の側から見ますと、需給
関係もいろいろあるでしょうが、土地の値段が上がるのに、それが投機であろうと実需であろうと、そんなことは
関係ないですよ、とにかくね。あなた方の言い分は、投機は取り締まるけれ
ども実需は傍観しておると、幾ら上がっても。実需といいましてもその間に何軒か業者が入っていますよ。その辺もお考えにならないと、はあ、あれも実需だからまあしようがない、あれも実需だ、ほうっておけというようなことで幾らでも上がっていく。そこら辺に盲点があるんじゃないですか、
長官。
長官ひとつお願いします。
-
○
国務大臣(園田
清充君) まず、私
どもの公示価格の問題でございますけれ
ども、これはさっき
先生が民間調査ということで例を挙げて御
指摘がございました。私
どもの場合には、買い手の側にも売り手の側にも偏らず、経済ペースということで大体全国的に一万七千余りの地点を調査をいたしまして公示価格を出しておるわけでございます。それは不動産鑑定士の二人の鑑定結果によって大体この地域は幾らだということを出しております。
それから、いま御
指摘がございました実需、投機云々ということででございましたが、実は、ことしの
予算でもう二十四カ所追加をして、非常に危険があるというようなところを特別調査地域として指定をいたしておりますが、あくまでも、その立法時の問題は、地方自治体の意思を尊重しながら知事と十分話し合いながらやっていけということで、手続上いろいろ御
指摘がございました問題等もあるかもしれません。しかし、おっしゃるように、やはり価格が上昇していくものをそのまま放置するわけにはまいりませんので、厳しく土地不動産業者に対しても——きょうも実は土地
局長をやって、自分で自縄自縛に陥るような土地取引は厳に慎しんでもらいたいということを会合でも
指摘をいたしてきましたし、今後とも各県を通じてそうした不動産業者の指導、監視というものにも当たってまいりたいと思います。
いま
先生が具体的に御質疑の中で御
指摘があったような地域の問題が出てまいりますならば、これらは当然特別調査地域として私
どもはいつでも地域指定ができるというふうな体制の中で国土利用
計画法の運用を図ってまいりたいと思っておりますし、ただ、
条件が、土地取引によるということが法の中に出ている
関係上、機動的にということでいろいろ考えておりますけれ
ども、
現状ではやはり立法の趣旨を踏まえながら指導ということに重点を置かざるを得ないのが
現状の立場でございますけれ
ども、より一層監視を厳しくして、ひとつ御
指摘のような地価の高騰につながらないような努力を今後とも重ねてまいりたい、かように考えます。
-
○
国務大臣(
渡辺栄一君) ただいまの指定の所管大臣は
国土庁長官でございますから御答弁ございましたが、建設省としまして、宅地供給を促進するということにつきましては、やはり地価の安定が何よりも必要であると考えておりまして、十分協議をしてまいりますけれ
ども、私
どもは必要があれば規制区域の指定を行うべきであるというふうに考えております。これは伝家の宝刀でございますから、いつでも抜く姿勢が大事ではないかと。先般閣議におきましても
長官から御発議がございましたので、私も御賛成を申し上げておきましたが、ただ、
実施をするにつきましては重要な影響もあるわけでございますから、
長官としてもいろいろ御
検討になっておるんだというふうに考えております。
-
○中尾辰義君 それで
長官、法の不備な点云々とおっしゃったけれ
ども、法の不備な点がありますといったら、それは何も、議員立法だからといって遠慮する必要はないですよ。行政の立場からまずい点があれば当然改定のこともお考えになって、とにかく地価を安定させる方向に持っていけばいいわけです。その
質問はこれで終わります、もう時間がありませんから。
あと、大型冷蔵庫と調整
保管のことにつきまして若干お伺いしたいと思います。農林大臣と運輸大臣、お見えになっていますね。
この魚ですね、魚価の安定のため、政府の先導で、しかも多額の補助金あるいは税制、金融面の特別措置を受けてつくられた大型冷蔵庫群が、いまやマイナス四十度の冷凍庫の出現で、いわゆる調整
保管が可能となってきたわけであります。こういうふうに言われておるわけであります。消費地におきましては、品不足による魚価の高騰を防ぐというふれ込みで、政府の補助を受けて産地に、消費地に相次いで建てられた大型の冷凍庫がいまは高値、投機のために使われて大きな役割りを示すようになってきたわけであります。
そこで、この問題についていろいろと聞きたいんですが、もう時間がありませんので要点だけお伺いをしたいと思います。
まず一番目は、この空売りというのはどういうのか、空売りと魚の転がしというのはどう違うのか、それから、こういうものを取り締まる法令はあるのかないのか、この辺からまずお伺いしたい。
-
○
政府委員(今村宣夫君) お尋ねのまず
一つは空取引でございますが、これには決まった定義があるわけではございませんけれ
ども、私たち空取引とはどういうものを言うのかということを考えてみますと、
一つは魚の取扱業者間において行われるものであるということが一点でございます。それから第二点は、現物確認されない魚の信用取引でございまして、そのうち、魚が冷蔵庫などに存在しないにもかかわらず存在しているがごとく見せかけまして行われる取引を言うのではないかというふうに思っております。
また、魚転がしということがございますが、これは短期間に数多くの取引、仲間取引が行われるわけでございまして、大体価格が上昇しますときに業者間を転々と取引が行われるというふうに理解をいたしております。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 御
指摘の空取引にかかわりがある法律の規定ということになりますと、
一つは卸売市場法三十九条の規定ではなかろうかと思っております。これは指定
保管場所において所定の手続を経て受け渡しを決めておるわけでございます。
それからもう
一つは、卸売市場の開設者である自治体、たとえば東京都で決めております条例でございまして、
一つは二十九条で、現品または見本をもって取引をするということになっております。ただ、これにはただし書きがついております。それからもう
一つ、かかわり合いがあると思っておりますのは五十一条でございまして、これは売り渡し票を作成して物品と照合するという規定でございます。ただし、これは第三者販売の許可を受けて行う場合には適用はございません。直接規制する条文はございませんが、関連があるものはこういった条項ではないかと思います。
-
○中尾辰義君 時間がありませんので先に進みますが、これは
運輸省、農水
関係ですが、冷凍
水産物の全国の入庫量、在庫量、こういうようなチェック体制、監視体制はどうなっておるのか、それとこのデータがあれば最近のやつを明らかにしていただきたい。
それから、今回北海道漁連の空売り事件に関与して東京都中央卸売市場の四大荷受け会社等が空売りに
関係しておったと新聞等に出ておりますが、それで農林省の
水産物流通統計、この中に空売りの分が入っておるのかどうか。入っておったら——これは入っておるように出ておりますよ、これは東京都で受け付けておるわけですから。これと東京都市場月報、東京都卸売市場年報というようなものがあるわけです。それをもとにして農林省の統計ができておるんですから、それもあなた、これ空が入っておるのだ、統計の中に。問題ですよ、それは。どうなっているんですかね、その辺。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) 東京都から報告を受けております卸売市場月報にあります取引数量の中には、もし御
指摘のような空取引があるとすれば、市場で取引されたものは一部入っていると思います。
-
○中尾辰義君 次に、大型冷蔵庫には自家用の冷蔵庫、それから業務用の冷蔵庫とあるわけですか、それぞれ政府の補助、それに税制、金融の面でいろいろと恩恵を受けておるわけですが、その辺はどうなっておるのか。これ分けまして、業務用の冷蔵庫、それと自家用、漁連用と分けて説明してください。
-
○
政府委員(鮫島泰佑君) 営業用倉庫につきましてお答えいたします。
営業用倉庫の整備に対します税制の措置につきましては、法人税、所得税につきまして、倉庫取得後五カ年間、普通償却限度額の五分の二の割り増し償却、それから固定資産税及び都市
計画税につきましては、取得後五年間二分の一の軽減措置が講ぜられているところでございます。(「答弁答弁、前の
質問の答弁」と呼ぶ者あり)
それでは、前の御
質問の方の答弁をさしていただきます。
水産物の在庫量でございます。
運輸省におきましては、倉庫業の適正な運営を図りますために、毎月冷蔵倉庫につきましては、生鮮
水産物、畜産物、農産物等、十の分類によりまして、入庫量、出庫量及び月末在庫量を報告さしておりまして、その集計結果は倉庫統計月報で公表しているところでございます。また、東京都の二十三区及び大阪市に所在する二万五千立方メーター以上の営業冷蔵倉庫を対象に塩蔵のサケ、タラコ、冷凍のサケ、マス、エビ等十一の魚種につきまして毎月入庫、出庫、在庫量の報告をさしておりまして、その集計結果は
関係機関に送付しているところでございます。
数字を一部申し上げますけれ
ども、全体の営業冷蔵倉庫におきます
保管残高を申し上げますと、五十四年の十一月末でございますけれ
ども、
水産物
関係が百十六万トン、畜産物
関係が四十一万トン、農産物
関係が二十一万トン、その他を合わせまして約百八十九万トンの十一月末の在庫量になっております。
-
○中尾辰義君 大蔵大臣にお伺いしますが、輸入
水産物に関して、保税倉庫に一度
保管して通関手続をとらねばならない、その間を利用していろいろな輸入魚の調整
保管をやっておるようなことも報道されておりますが、この辺、
現状はどうなっておるのか。
それから生活関連物資十一品目につきまして大蔵省は特別調査を
実施していると、こういうふうに聞いておるわけですか、この結果はどうなったのか。それと、もしそこに長期滞留しておる物資があったら放出命令を出すのかどうか、それと、このチェックの仕方。関税法五十一条の滞留期間が二年となっておりますが、これは
検討の要があるんじゃないか、それをお伺いします。
最後に、一括していま急いで申し上げましたが、自家用の冷凍倉庫、漁連用の冷凍倉庫、それから業務用の冷凍倉庫と、それぞれ補助金なり政府の税制、金融の面から特典を与えておりながら、こういったような北商のかずのこのあれに見られるように、高値つり上げの価格操作をしておると、こういうことが出ておるので私は
質問したのですが、というて、私はこの冷蔵庫をなくせとは言いませんよ。
-
○
委員長(
山内一郎君) 中尾君、時間が超過しましたから簡単に願います。
-
○中尾辰義君 しかし、これはもろ刃の剣なんです、両方。そこで非常にやっかいなものですが、どういうふうにこれから監督をしていくのか、各大臣にお伺いしまして終わります。
-
○
国務大臣(竹下登君) それじゃ、私の方は、いま中尾
委員御
指摘のように、
保管期間が二年となっておるということ、そうして魚の価格つり上げ等に利用されているではないかと、こういう御
指摘でございます。要するに適正な税関手続を経て行われておるかどうか、これを監督、指導する立場にありまして、価格つり上げ等に利用されておることはもちろん好ましくないことでございますけれ
ども一、これを規制する立場にはないわけです。したがいまして、私
どもいま考えられますのは、結局、長期間にわたって滞留するような場合には
関係省庁に連絡して、その上で適切な措置をとるということにしなければならぬではないかというふうに考えております。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 私
どもの方は、あくまでも漁業というものの実態が非常に自然現象に左右されるという点もございますし、そういう点で生産量が非常に変動が多いわけでございます。どうしても漁業の安定という点から言っても、また消費者のためにも、安定して新しいというか、新鮮味のある魚を供給するためということで、どちらかといえば産地中心で倉庫の補助をいたしておるわけでございますが、その補助をするときには、それぞれ都道府県を通じて出してきていただいて、その
計画は十分都道府県で精査をしてもらって出してき、またこちらでもそれをチェックしてそれに補助を出しておるという仕組みでございます。しかも、対象は漁連あるいは
地方公共団体、こういうものを対象にいたしておりますので、先ほどお話しのようなことに使われてはいないとは思っておりますけれ
ども、しかし、もしそういうことがあるときには、
水産庁長官が放出を勧告をすることができるようになっておりますので、今後はその規定をできるだけ活用いたしまして、ああいうようなことの二度と起きないようにしていきたい、こう考えておるわけでございます。
-
○
政府委員(米山武政君) 大臣の御答弁にちょっと補足さしていただきますが、いま
委員からの御
指摘の生活関連物資の調査の点がちょっと答弁が漏れていたので補足させていただきますが、これは保税地域に置いてあります貨物が一体どういう、その流動の実態がどうであるか、あるいは蔵置の状態がどうであるか、こういうことを調査いたしまして保税行政の適正化を図る、こういう目的でございます。このやり方は、肉類四品目、これは牛肉、豚肉等。それから魚が四品目、これはマグロ、イカ、サケ、マス等でございます。それから木材が三品目、この計十一品目を、昨年の十一月に保税倉庫から搬出されましたものが一体その保税倉庫へ入るまでに、どこの国からいかなる価格で保税倉庫に入り、それがどのくらいかかって税関を通過し、すなわち輸入許可がされ、それから、さらにまた保税倉庫へまたそのまま入っているものがございまして、それが保税倉庫から出ていったかというその期間、滞在期間等を調べております。ですから、その品目、価格、その輸入国、それからその保税倉庫にある滞在期間、それからそれが保税倉庫の中で、保税倉庫あるいは保税地域でございますが、そこで所有者がどんなふうに変わったか、そういう中で転々流通しているものがあります。そういう状態を調べまして、全税関を通じていま報告をとっているわけでございまして、現在報告は手元に参っておりますが、いまそれを整理中でございます。
以上でございます。
-
○中尾辰義君 出た後はどうするのか。
-
○
政府委員(米山武政君) いま現在その報告を集めまして、それを整理、分析中でございますが、その結果を見まして、もちろん、これは保税行政の適正化のために使うわけでございますが、非常に長期に停滞しているような
状況で、しかも、それが価格つり上げを図っているというようなものでございますれば、
関係省庁にも十分そのデータを示して、いろいろ今後の行政の施策に役立たせようと思っております。
-
○
委員長(
山内一郎君) 以上で中尾君の
一般質疑は終了いたしました。
明日は午前十時から
委員会を開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。
午後五時三十七分散会