○浜本万三君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま提案されております
石油代替エネルギーの
開発及び
導入の
促進に関する
法律案並びに電源
開発促進税の
引き上げ措置について質問を行うものであります。
まず、
法案の質問に入る前に、当面重大な問題になっておりますイラン問題についてお尋ねしたいと思います。
〔
議長退席、副
議長着席〕
去る七日、アメリカ政府は、イラン政府に対して、外交の断絶、経済的制裁
措置を発表し、
関係西側諸国に対して
協力を要請しております。これに対して、ECは、アメリカの要請に基づいて二十一日から外相理事
会議を開いてその対策について協議しております。一方、イラン政府は、アメリカ政府に
協力する諸国については敵対国として石油の輸出を禁止する旨警告しているところであります。このような情勢の中で、通産省は、アメリカ政府の要請を一部受け入れ、四月十六日には日本
貿易会に対して対イラン輸出を慎重にするよう要請しております。一方、イラン政府は、原油値上げ問題に絡み日本の態度は政治的
理由によるものと強く反発し、原油供給を停止する旨発表し、現に船荷を拒否しています。
私は、政府が、アメリカ大使館員の人質問題は国際法に違反するものであり、その平和的
解決とアメリカの武力行使の自制を基本とした方針を打ち出されたことは、おくればせながら当然のことであります。その考え方に立つならば、政府はこれまでのアメリカへの迎合的態度は改め、独自の外交
交渉を行うべきであると考えます。
さらに、政府は、アメリカの武力行使についてはもっと明確な要求を出すべきであると思います。また、アジアの一員として、主体的な外交努力を他のアジア諸国と
協力して行うべきであると思うものであります。
以上の観点に立って、政府に対して次の諸点についてお尋ねをいたしたいと思います。
まず第一に、アメリカ政府の要請
内容はどんなものか、お尋ねをしたいと思います。
第二は、アメリカの制裁要求は単純な二者択一の力の論理と言うべきものであり、これに迎合することは、結果的に強硬論を増長させ、問題の
解決を困難にすることになると思うが、どうですか。
また、大来外相のEC派遣は、結果としてアメリカの制裁
措置をECに同調させるためのものではなかったかと思われるのでありますが、いかがでございましょうか。
第三は、ECは、来月十七日までにイランが人質を解放しない場合は全面禁輸とする旨
決定しておりますが、ECとの協議後は今後どのような
具体的内容でアメリカに
協力することになるのでありましょうか。たとえば、輸出禁止の特別立法をつくるというような考え方があるのかないのか、お尋ねをいたしたいと思います。
第四は、イラン原油の輸入が停止した場合、今後日本のエネルギー需給
関係、特に石油の需給、さらには経済や物価に影響はないのか、その具体的な見通しと対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
次に、
石油代替エネルギーの
開発及び
導入の
促進に関する
法律案について伺いたいと思います。
社会党は、かねてより、石油にかわる新エネルギー、さらには石油利用等について国の対策強化を主張してきており、そのためには、国の
開発の中核機関たる新エネルギー
開発公団の設立等を要求してまいりました。現在の石油情勢、今後の石油
開発の困難性や価格上昇のおそれ、さらには
原子力開発が依然として欠陥を克服できずに世界的にも安全性と信頼性に疑念が強く残っているのが現状であります。
政府は、
原子力発電を
石油代替エネルギー対策の最大の柱としており、長期需要見通しでは
昭和六十年度三千万キロワット、六十五年度五千三百万キロワット、七十年度には七千八百万キロワットという膨大な量を想定しております。これは余りにも無謀な計画であり、とうてい不可能であろうと思います。
したがって、これからのエネルギー供給の展望の中で、石炭やいわゆる新エネルギーに多くの期待を寄せざるを得ないのが現状であります。このような観点から、今回の提案は事態を一歩進めるものとして評価するにやぶさかではありません。しかし、今日の政策的必要度からすれば、多くの点で立ちおくれを指摘せざるを得ないのであります。
まず第一に指摘しなければならない点は、
わが国のエネルギー供給の全体的な目標について依然としてばらばらな行政の対応が改められていないことであります。
この
法案で
石油代替エネルギーの供給目標を定めることになっておりますが、その前提となるべき総エネルギーの消費量、あるいはエネルギーの節約量、省エネルギーの目標などについては、
制度的な位置づけがなされておらないのであります。わずかに総合エネルギー調査会がエネルギー供給の見通しを通産大臣に
提出するだけであり、国の政策全体を体系化するような政策目標と言うべきものはありません。
これでは、通産省のみならず、運輸、建設、地行、農林、文部、科学技術など、広範な分野でかかわり合いを持つ今日のエネルギー問題を十分適切に
運営できる体制にはないと言わなくてはなりません。政府は、この際、エネルギー計画
委員会等の設置を検討すべきでありますが、総理にその見解をお伺いするものであります。
第二には、今日のエネルギー消費の実態がきわめて不十分にしか把握されていないという点であります。
言うまでもなく、
わが国の石油消費量あるいは電力消費量等の数字は統計的に明らかになっておるのでありますが、これらのエネルギーが最終的にどのような様態で使用されているのか、すなわち、熱源とすればどの程度の熱源か、あるいは動力源として使われている割合など、その実態は必ずしも明らかにされていないのが現状であります。このことは、エネルギー消費のむだを排除し、石油以外のエネルギーを可能な限り活用するということからすれば、きわめて基礎的な現状把握がなされていないことにほかなりません。政府は、この分野での調査の立ちおくれをどのように
改善しようとするのか、早急に対応策を明らかにすべきであります。
第三には、新エネルギー総合
開発機構の役割りについてであります。
新機構は、地熱、太陽エネルギー、石炭液化、海外石炭
開発等の
促進をねらいとしておりますが、これらの分野は、通産省のサンシャイン計画を初め既存の幾つかの公的組織が取り扱ってきた分野でもあります。新機構が十分な役割りを果たすというのであるならば、これまでの既存の計画との
関係や既存組織との
調整が明確に行われなくてはなりません。単なる屋上屋を重ねないためにも、新機構の
業務の範囲あるいはその特色というべきものを明らかにすべきであります。
なお、この際、海外炭の
開発についてもお尋ねしておきたいと思います。
最近の国内炭については、
石油代替エネルギーとしての石炭見直し論があるにもかかわらず、年間出炭量は目標としている二千万トンを大きく割っております。これは内外炭の価格差等を原因とする国内炭の需要不振から貯炭の急増による生産制限によるものと思われます。したがって、電力用炭を初めとする国内需要
拡大措置を講ずる必要を痛感するものであります。また、あわせて、代替エネルギーの一つとして海外炭の
導入を積極的に図る必要があることも痛感するものであります。その際、きわめて重要なことは、海外炭の価格
調整に十分配慮し、国内石炭産業に影響のないよう対策を講ずるべきであります。
第四には、いわゆるローカルエネルギー
開発についてであります。
今日、各自治体で太陽熱や地熱、小水力、風力、
都市ごみ利用などの地域エネルギーの活用についての関心が急速に高まっているのであります。社会党が先般主催したソフトエネルギーに関するシンポジウムにおきましてもこれらの分野を積極的に位置づける意見が出されておりましたが、政府案においては、これらの分野にどのように国の施策として充実させるのか、明らかではありません。特に、地域的なエネルギー供給については、自治体のイニシアチブが重要であり、それを支援する国の施策が重要でありますが、政府としてどのように取り組むつもりであるのか、明らかにすべきであります。
また、私は、国内水力資源の積極的な活用を政府に要求いたしたいと思います。
わが国の包蔵水力は、第四次水資源調査によると、五千万キロワットになっております。この水資源を有効に活用するための
開発可能地点の調査を十分に行い、
地域住民の合意のもとに積極的に
開発すべきであります。この際、特に中小水力
開発促進に関する政府の見解をただしたいと思います。
引き続き、電源
開発促進税についてお伺いをいたします。
わが党は、
石油代替エネルギー開発について公的資金の
確保が必要であり、一般的に言って今日のエネルギー消費者が将来のエネルギー
開発のための資金を負担するいわゆる
目的税的な
制度は一概に否定すべきではないと考えております。しかし、今回大幅な
引き上げを行おうとしておる
開発促進税につきましては、幾つかの重大な疑問を持たざるを得ません。
その第一は、電力料金の大幅な値上げと相前後して
引き上げられるととは、一般家庭の負担を大きくするだけでなく、物価への波及を激化するおそれがあること。第二には、現在、石油税の相当部分が代替エネルギー
開発財源に与えられており、電源
開発税でさらに上乗せされますと、石油火力発電に関する限り二重課題となること。第三に、これまでの揮発油税などの道路財源となっている石油関連諸税を見直し、省エネルギーの観点から再配分すべきであるにもかかわらず、政府はそのことに何ら対処しようとしていないことであります。
以上の観点に立つならば、今回の電源
開発促進税については改めて検討し直すべきであると思いますが、大蔵大臣の見解を伺うものであります。
さらに、揮発油税等の使途についても再検討すべき時期に来ておると思うのでありますが、総理の見解を求めまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔国務大臣大平正芳君
登壇、
拍手〕