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1980-04-09 第91回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月九日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      降矢 敬雄君     小林 国司君      渋谷 邦彦君     渡部 通子君  三月十七日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     対馬 孝且君      江田 五月君     円山 雅也君  三月十八日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     高杉 廸忠君  三月十九日     辞任         補欠選任      円山 雅也君     江田 五月君  四月八日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        目黒朝次郎君     理 事                 藤井 裕久君                 最上  進君                 高杉 廸忠君     委 員                 山東 昭子君                 下条進一郎君                 夏目 忠雄君                 真鍋 賢二君                 大森  昭君                 広田 幸一君                 渡部 通子君                 神谷信之助君                 木島 則夫君                 江田 五月君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       正示啓次郎君    政府委員        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局経済部長  伊従  寛君        公正取引委員会        事務局取引部長  劒持 浩裕君        経済企画庁調整        局長       井川  博君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局審議官兼        物価局審議官   戸田 博愛君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    漆間 英治君        法務省刑事局参        事官       東條伸一郎君        大蔵省銀行局中        小金融課長    小田原 定君        国税庁税部法        人税課長     四元 俊明君        厚生省医務局医        事課長      斎藤 治美君        厚生省薬務局経        済課長      黒木 武弘君        厚生省社会局生        活課長      山口 剛彦君        厚生省保険局医        療課長      仲村 英一君        通商産業省産業        政策局商務・サ        ービス産業室長  細川  恒君        通商産業省基礎        産業局鉄鋼業務        課長       小川 邦夫君        会計検査院事務        総局第三局審議        官        佐藤 龍馬君    参考人        日本住宅公団理        事        救仁郷 斉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選件の件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件)  (公正取引委員会物価対策関係業務に関する  件)  (日本住宅公団土地取得に関する件)  (平和相互銀行太平洋クラブとの関係に関す  る件)  (鉄鋼値上げに関する件)  (薬価基準改定に関する件)  (病院等における臨庄検査価格に関する件)     —————————————
  2. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月十五日、降矢敬雄君及び渋谷邦彦君が委員辞任され、その補欠として小林国司君及び渡部通子君が選任されました。  また、昨八日、小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————
  3. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高杉廸忠君を指名いたします。     —————————————
  5. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本住宅公団理事救仁郷斉君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————    〔委員長退席理事高杉廸忠君着席
  7. 高杉廸忠

    理事高杉廸忠君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る二月二十日の委員会において聴取いたしました物価対策基本方針及び公正取引委員会物価対策関係業務等について質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この前の三月十八日の商工委員会との合同審査の際にちょっと触れた問題について関係がありますので、若干質問をいたします。  住宅公団は、京都西部地区の六十二・一八ヘクタール、総額百五十九億八千六百六十五万四千円の買い物京都労住協から行った。これについては間違いありませんな。
  9. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) そのとおりでございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょう私は、この問題に関して京都労住協岩本専務理事出席が絶対必要だと思って、参考人としての出席を要求しておったわけでありますが断られました。専務理事がどうしても都合悪ければ、理事長やその他役員四名の方がいらっしゃるのですから、その代理の方でもと、こうお願いしたわけでありますが、いろんな理由をつけて、これもきょう出てくれませんでした。私は、なぜ来ないのかということを考えますと、どうしてもこの問題に疑惑の感慨を一層強くするものであります。  私は、この問題は、去年の九月一地主の方から投書がありまして、ぜひその真相を究明してほしいという要望がありましたんで、私たちは、去年の九月三日、十月あるいは十一月などを通じて、京都法務局京都市役所住宅公団関西支社住宅公団本社などなど国会における決算、建設調査室などの御協力を得ながらいろいろ今日までやってきたわけでありますが、この前の住宅公団説明では、鑑定書をもらって、その鑑定書に従ってやったのであるから間違いないと、そういう御答弁でしたけれども、間違いありませんか。
  11. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 鑑定書を三者に求めまして、それをもとに私ども検討した結果、妥当であるということで買収したわけでございます。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国税庁にお伺いしますが、きょうは京都労住協が出ておりませんから、京都労住協の四十八年以降の現在に至るまでの納税額については把握いたしておりますか。
  13. 四元俊明

    説明員四元俊明君) お答え申し上げます。  京都労住協の四十八年以降の課税関係について述べよということでございますが、一般的に税務の個別にわたる問題でございますので、この席での答弁を差し控えさせていただきたいのでございますが、ただ、最近五カ年間の事業年度に属する申告所得のうち、公示がございました年分がございます。五十一年三月期でございますが、このときの公示されました申告所得金額は一億一千九百三十四万六千円でございます。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 住宅公団が取得した前後の問題等についても御発表願えませんか、住宅公団がこの京都土地購入した前後の京都労住協所得法人税関係については。それもできないですか。
  15. 四元俊明

    説明員四元俊明君) 一部マスコミ等でも言われ、取りざたされておりますが、京都労住協から大口土地住宅公団の方に売却されたという件につきましては、私どももつとに承知しているところでございまして、一般的に申し上げますと、大口土地取引が行われました場合、私どもは各種の資料情報を収集いたしまして、課税の適正な処理に努めているところでございます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは岩本本人が来てないからなかなか確認できないのですが、マスコミなどの報道によりますと、岩本専務理事は、この取引で三千万しかもうけてない、あるいは簿外にプールをやったと、こういうことを放言しているんですが、こういう事実関係については調査をしたことがありますか。
  17. 四元俊明

    説明員四元俊明君) 先ほども申し上げましたように、大口土地取引等につきましては、税の問題が、課税漏れなり、あるいは税務計算適正化がいたされませんと、非常に大きな課税上の捕捉漏れが生ずる懸念が一般的にございますので、こういうような大口土地取引につきましては、かなり入念な税務上の手厚い接触なりあるいは指導なりを実施しているところでございます。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この件に関して脱税行為があったのかどうかということも含めて、金の流れをおたくの方ではまだ調べたことがないと、こういうことなのか、調べたけれども、おたくの方の官庁のルールに従って公表なり説明できないというのか、その点はどちらですか。
  19. 四元俊明

    説明員四元俊明君) 先生大変申しわけないのでございますが、一応先ほど来申し上げましたところで、意のあるところを御理解賜ればと思うわけでございますが、ちょっと繰り返しになりますけれども大口土地取引等がありました場合には、私どもそれを入念に追跡をしているところでございまして、適正な課税処理に十分配意してきているところでございます。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 なかなか、その気持ちもわかるけれども。  じゃ法務省ちょっと呼んでおりますが、過去に上田金脈事件というのがあって、いろいろ大津地検で調べられたことがあったと思うのでありますが、この大津地検でこれに直接じゃありませんが、上田金脈問題で取り調べがあった際に、いま申し上げた問題を含めて、金の流れを含めて、何か法務省関係でつかんでおる事実があれば教えてもらいたい。新聞報道ではいわゆる大津地検で調べられたと、こう新聞は報じているのでありますが、その辺を含めて教えてもらいたいと、こう思うんです。
  21. 東條伸一郎

    説明員東條伸一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のように、大津地検では昭和五十年から五十一年にかけまして、いわゆる上田建設グループ土地転がし事件と申しますか、滋賀県の土地開発公社役職員による背任事件、それから上田建設及びそれの関連会社でございます大和不動産株式会社脱税事件等捜査をいたしておりますが、何分現在まだ公判が進行中でございますし、商関係その他のこともございますので、現段階でどのような人間について何を調べたかということについては、まことに申しわけございませんけれども答弁をお許し願いたい、このように考えております。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いやその内容まだ——あなたたちは一流の逃げ口上でいつも同じことを言うんだけれども、じゃずばり聞きますが、いま私がずっとしゃべったことについて、かかわり合いがあったということはお認めになりますか。全然なかったということなのか、いや半分ぐらいあったと、こういうことなのか、そのはだざわりはどうですか、はだざわりのぐあいは。
  23. 東條伸一郎

    説明員東條伸一郎君) 大変むずかしい御質問でございますけれども脱税事件捜査過程で、上田建設ないし大和不動産あるいはその関連会社土地の販売の相手方というものは、たとえて申し上げますと、たとえば売上金額確定でございますとか、あるいはその売り上げがいつの年度に計上されるべき問題であるというようなことを確定する必要上、当然相手方についても調査をしなければならない、こういうことでございますので、一般的に申し上げれば、上田建設グループ取引相手方である各会社あるいはお尋ねの協同組合等も含めまして、これらの関係者からその取引確定、その内容等について事情聴取することは当然あり得ると思います。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ苦しい答弁だけれども良心的答弁として、その他諸団体と、こう言っていますから、一応それなりに受けとめておきましょう。  それでは私厚生省に聞くんですが、これは生活協同組合法では第九条で営利目的事業してはいけないとか、第十二条、組合員以外に事業を利用させてはならないとか、こういう条文があるんですが、いま申し上げたような土地売買所得などの行為について生協法上どこまで認められているのか、あるいはどういう御指導をしておるのか、いま言った京都労住協の問題などを頭に置きながら見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  25. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) 京都労住協は御案内のとおり、京都府の知事の認可を得まして住宅宅地組合員供給することを目的とした消費生活協同組合でございます。御案内のとおり、消費生活協同組合組合員に対しまして最大の奉仕をするということが目的でございまして、また営利目的として事業を行ってはならないといういわゆる非営利原則がございます。したがいまして、たとえば土地不動産運用の一環として購入をする、あるいは組合員以外の者に事業を利用させるということは原則として禁止をしております。しかし、たとえば事業計画を立てまして組合員住宅宅地供給をするという目的土地購入いたしました場合に、その後の事情の変更等がございまして、それを本来の購入目的に供することができない、あるいはまたその土地をそのまま生協として確保しておくことが、生協の運営上非常に困難であるというような特殊なケースの場合につきましては、それを組合員以外の者に転売をするということもやむを得ないケースがあるのではないか、そこまで生協法は禁じていないのではないかというふうに私どもは理解をしております。  しかしいずれにいたしましても、生協先ほど申し上げましたような目的で設立されている組合でございますので、そういう線に沿いまして、この件につきましても私どもなりに指導をいたしたところでございますが、全般にわたりまして、消費生活協同組合の運営の適正化ということにつきましては、今後とも努力してまいりたいと思っております。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 上田不動産から労住協が買って労住協住宅公団に売ったと、そういう端的な場合はどうですか。
  27. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) 本件につきまして所管の行政庁京都府の知事でございます、直接的には。で、私どもはこの件につきまして京都府に指示をいたしまして、五十一年に京都府が指導検査に入っております。で、御指摘のような事実があったということを私どもも確認をしておるわけでございますが、京都府からの報告によりますと、先ほど申し上げましたようにこのケースにつきましても四十八年、四十九年当時に組合員住宅宅地供給をするという事業計画のもとに土地購入したわけでございますが、その後資金繰り等行き詰まりまして、この計画を断念せざるを得ないという判断で日本住宅公団転売のやむなきに至ったという報告を受けております。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、住宅公団に回ってきたんですが、住宅公団、おたくさんは土地購入する際に一般的な手順としてどういう手順購入するんですか。
  29. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) こういった土地に関します物件申し込みあるいは情報が入りましたら、各出先でその物件のいろんな調査をいたします。それから地元の公共団体等意見も聞きながら調査をいたしまして、それを本社理事会にかけます。そこで相手方交渉を開始していいという承認を第一回でもらいます。それをもちまして相手方細目を詰めまして、そしてある程度そこで細目が詰まった段階で第二回目の理事会に付議いたしまして、そしてこういう条件で買っていいという承認をもらって買収するというような仕組みにいたしております。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう時間もったいないから、私の方で調べたやつを言うからね。  私に投書をよこした方は、調べてほしいという方は、昭和四十三年、大和不動産大井地区を手始めに土地を売りました。坪三千円、平米当たり九百円。四十五年ころ国道九号線筋が、これ土地のいいところでありますが、これが坪三万、平米当たり九千円。四十八年前後土地ブームがあって、四十九年国会で、われわれが国会に来たころ、大分当時の国会で議論になりまして、いわゆる土地ブームは鎮静化した。それで、おたくからもらった資料を見ますと、四十九年二月二十六日の住宅公団第十一回理事会交渉開始決定した。そうしてその二日後の四十九年二月二十八日、あなた方が根拠にする鑑定評価書ですね、三通。これはおたくの方で社名を伏せてほしいと言うからA、B、Cにしました。Aが二百二十二億円、Bが二百三十二億円、Cが二百三十一億円、大体二百二十億円前後でありました。そうしておたくは四十九年三月二十日、第七十三回臨時理事会購入決定をしておりますが、私は、おたくのいま説明を聞いて、決定した二日後にもう鑑定書が出ているということは、相当事前から談合か何か知りませんが、鑑定書の作成に手心を加えておったんではないか。金額も全部同じ二百二十二億前後、そして二十日足らずでもう決定。その金額は百五十九億八千万という大変な買い物を、鑑定書出てから十九日間、これは土曜、日曜も入れて十九日間で一体理事会で、しかも臨時理事会決定するというのは、私はこんな土地を持ったことないからわかりませんが、国民から見ても異常じゃないですか。しかも七十万平米でしょう。これはちょっとあなたが言った一般論から見ると、どうしても私は解せない。こんな短時間に、おたくは二十日足らずで、これだけの買い物をぱっぱっぱっと決めていくんですか。この件の経過について教えてもらいたい。
  31. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) そういった先生の御指摘のような鑑定手心を加えたとか何とかということは、これは不動産鑑定士法に基づきまして鑑定を依頼しておるわけでございますから、そういうことは絶対あり得ないことだというように考えております。ただ、そういった、先生おっしゃいましたが、理事会の間が短いじゃないかというような御指摘でございますが、これは公団の内部といたしましては当然第一回の理事会にかけるまでには、相当内部的にはいろんな検討をいたしました。そして、そこでいろんな検討を進めて、そしてそこでまとまった段階理事会にかけるというような仕組みをとっております。したがいまして、申し出がございましたのがたしか四十八年の十月五日でございますから、その後ずっといろんな角度から検討をいたしているわけでございまして、それを急にそこで短期間で決めたんだということではないと考えております。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 鑑定書をもらったら、その鑑定書についてあなた方は点検しないんですか。たとえば虫食いがあるとか、排水関係はどうだとか——皆これあなた方からもらいました。これは全部、開発可能を前提とすれば。開発可能を前提とすればということは、私は土木屋じゃありませんからわかりませんが、しかし一般論として、われわれが住宅自分のうちを建てる際に、土地を買う際に、開発可能といえばやっぱり水、排水、給水、汚物の処理、最大限われわれだって、五十八にもなりますから、私たちだって。最低開発条件といえば、ああ、これとこれとこれだなといって自分で点検して買い物するでしょう。あなた方は鑑定書もらったから、その鑑定書もらって二十日足らずで一これだけの土地を見るのにどのくらいかかりますか。航空写真を撮ったり、歩いてみたり、こんな十日や二十日であんたこれだけの膨大な地域をどうやってチェックしたんですか。全部とは言いません。全部とは言いませんが、実際に足で歩くなり調査地を通じてこの鑑定書が誤りがないかどうか。最も三社が共通する開発条件前提とすれば、この開発条件前提とすればということに対してどういう理事会で議論なされたんですか。
  33. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 先ほども申し上げましたが、申し込みを受けましたのが十月五日でございました。それ以来、そういった理事会にかけますまでに、たとえば京都市役所の方に十月十五日には足を運びまして、そこで京都市役所排水の問題、いろんな問題につきまして協議を重ねております。そして、最終的には、その後ある程度京都市役所交渉といいますか、意見も大体固まってまいりましたので、文書の形でということで、年を明けまして四十九年の二月二十七日に関西支社長から京都市長あて文書の照会をいたしました。そして、四十九年の三月十一日に京都市長からの回答をいただいて、そして開発については協力すると、ただし末端の排水等については応分の負担をしてもらいたいというような趣旨の回答をもらっております。そういった過程で私ども十分検討を重ねたつもりでございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう勝手なうそを言わぬで、麗々しくうそを言ったらだめですよ、われわれも現地を歩いてきたんですから。だったら、逆にもう一回聞きます、これは改めて。この百五十九億の決定をした理事会で、これはおたくからもらった資料ですから、いいですか、「昭和四十九年二月二十六日第十一回理事会候補地選定等承認があった標記地区に関し、計画部長および秋鹿調査役が、標題名資料により、取得計画の概要(昭和五十二〜五十四年度賃貸住宅三千戸、分譲住宅千六百戸)」を取得云々と、これに対する「現況および措置対策契約関係鑑定評価および概算家賃等説明し、承認された。」と、こうあるんですが、いまは何年ですか、きょうは、昭和五十五年四月でしょう。何戸うち建っていますか、あそこに。一戸も建ってないでしょう。一カ所も開発してないでしょう。百五十九億に及ぶ国民の税金を投入して、五十二年から五十四年までこれだけやりますということを理事会決定しておりながら、いまだに山じゃありませんか、いまだにたんぼじゃありませんか。いまだに排水だって一つもやってないじゃないですか。住宅公団自身がわれわれの調査に対して、後向こう五年間は開発できなかろうと言っているじゃありませんか。京都市役所担当者も、全く住宅公団というのはあんな買い物わかりませんと。必要なら私、名前まで言いますよ、国会で証言してもいいと言っていますから。そんなごまかしをあんた、半分とか三分の一が建っているんなら、それは努力認めますよ、あなた方の京都市長からもらったという書面については。百五十九億もの金もぶち込んで、利息だけでも一日何ぼですか、利息だけで。これはどういうことで、理事会決定違反じゃありませんか。理事会決定違反。この責任はだれがとるんですか。百五十九億の一体国民の財産はどうするんですか。見解を聞かしてもらいたい。
  35. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 当時非常に土地がないという中で、先回の委員会でも御答弁申し上げましたように、私どもやはり土地先行取得ということは常に心がけているわけでございまして、私ども先生指摘のように四十九年に買収いたしましたときには、これだけ長くかかるだろうというようなことにつきましては若干予測してない面があったことは事実でございまして、そして主として排水問題のおくれということから、先生指摘のように現在時点まだ着手できないということにつきましては、確かに当時のそういった見通しが甘かったということについてはおわびをしなければならない問題だというように考えております。しかし、私どもは現在のところ、下流からの排水の工事につきましてもいろいろと京都市、府の方で着々と進んできておりますし、私どもはできるだけ早くこの土地を造成してまいりたいというように考えております。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなうそ言ったってだめですよ。それじゃ、私提案します。私と一緒に現地に行きましょう。私と一緒に現地へ行って、これはちゃんとこういうふうに私に調査を要請されておりますから、この方とも立ち会いしながら現地を見ましょう。あなたが排水の工事進んでいるというが、どこまで進んでいるんですか。こんなテーブル答弁やめてくださいよ、わしらは現に足で歩いてきているんだから。排水おくれなんて関係ないですよ。あれは別の関係ですよ、いまやっている工事は。この公団のじゃありませんよ。これはあなたに言ってもしょうがないから、経済企画庁長官が来たら、あるいは建設大臣などに政治的責任を問いますから、これはこれ以上あなたに何ぼ言ったって、一介の理事なら答弁できないでしょう。これはこれ以上の責任追及は委員長、保留します。保留して、改めて大臣を呼んで、ただ百五十九億の血税を五年問投げておったと、こういうことだけははっきりしました。  そしてこの名前言いませんが、こういう方々が私たちに当時の値段、年次別の変化、それ全部をもとにわれわれが計算いたしますと、おたくが百五十九億で買った土地はいわゆる約四十億、金利を見ても四十億そこそこの金だと。ですから四十億そこそこの土地をどっかの建設会社が買って、それが労住協に行って、労住協からおたくは百五十九億で買ったと。そして五年間投げていたと。そしていまだにうちは一軒も建たない。向こう五年間は開発は不可能だと。会計検査院からも指摘されておる。これは前回の三月十八日の委員会でも会計検査院がこれを認めている。ここまで来ると、住宅公団のあなた政治責任はだれがどうとるんですか。その買い上げた不動産と労住協関係は、きょう関係者が来ていませんからわかりません。これは別途参考人を呼んで改めて聞きたいと思います。したがって私はこの問題はこれで打ち切ります。  打ち切るに当たって資料を要求いたします。厚生省に対しては、京都労住協の問題については先ほど若干わかりました。でありますから、その具体的な文書なり、あるいはおたくの方で調査をした資料ですね、具体的に提示をしてもらいたい。これお願いします。できれば、京都労住協に対しても、いま申し上げた議論を踏まえて、この土地をだれから買って、幾らで買って、そしてあなたが言った建設が資金繰りでだめになったといった時点はいつなのか。それで売りに出した時期はいつ、だれなのか、そういう事実的な経過も含めて、可能であれば厚生省の努力でやってもらいたいと。どうしても協力体制がなかったら、改めて私は参考人なり、その他の方法で国会で究明する努力はしますが、そういう点で厚生省のひとつ協力をお願いしたいと、こう要請しておきます。  それから会計検査院が来ておりますが、会計検査院が五十一年に長期未利用地として二十二地区千五百八十八ヘクタールを指定しました。その後、五十四年三月現在、事業に着手した地区及び処分が進んだ地区、七地区六百九十六ヘクタールがあるわけでありますが、これの事実関係の問題についてどういう形でやっているかということをひとつ資料で出してもらいたい。できれば、これらの問題の購入の経緯、あるいは先ほど言った住宅公団理事会でどういう議論があって、こういうみんな議事録がありますから、こういう議事録をできれば添付してもらえば、あるいは契約書、それをお願いしたい。議事録、契約書、鑑定書、具体的な事実、これを四つをひとついま言ったことについて提示方お願いしたい。  それから二つ目には、いま言った地区について現時点における事業推進の経緯。住宅公団がいろいろ言っておりますが、そういう問題についてどの地区に、どういう経過でどうするんだということについて、ひとつ具体的な事業の経過について提示してもらいたい。  それから、当初の各地における事業目的、範囲、さっきのように変わった関係もありますが、住宅公団土地を買い入れる際の事業目的、範囲。それが見込み違いがあったとすれば、その見込み違いは何からきたか。その後始末と責任はどういうふうに処理してきたのか。理事会でしゃべりっぱなしでは困りますから、見込み違いがあったら何の見込み違いか、どれだけの損害を与えた、その責任はどうする。そういうことを明確に、住宅公団でこの未利用地の問題について明らかにした資料を提示してもらいたい。  それから、もう一つの事業着手の目的のついた地区とありますね、いま買った中で、住宅公団ね、その事業着手の目的のついた地区六地区八十ヘクタールがあるわけでありますが、これらについても、いままで述べたような方法で資料を整備してもらいたい、このように思います。  それから最後に、全く手のつかない地区九地区八百十二ヘクタール。これはわれわれの調査では買ったけれども、全く手がつかないという地区がこの程度われわれの調査であります。この問題についても、一体どういうふうに処理され、その責任の問題を含めてどうするつもりなのか、そういう点について資料を提示願いたい。  これらに関する大臣の見解は、大臣が来たら聞きます。物価対策土地問題どんなにきれいごと書いたって、あなたのようなかっこうで土地取得して売ったんでは土地問題など解決することはありません。中間にはさまった土建屋さんか土地グループだけががっぽり金もうけしちゃって、住民にはちっともいかない。東京近郊でもやっている節もありますが、きょうは時間がありませんから、この問題だけにしぼります。  以上の資料について、委員長異議ありませんか。諮ってください。
  37. 高杉廸忠

    理事高杉廸忠君) 厚生省よろしゅうございますか。
  38. 山口剛彦

    説明員山口剛彦君) はい、できる限り努力いたします。
  39. 高杉廸忠

    理事高杉廸忠君) 会計検査院の方は。
  40. 佐藤龍馬

    説明員(佐藤龍馬君) お答えいたします。  会計検査院は指摘をいたしました事項につきましては、これを年度を追いましてトレースをしていくわけでございます。当然、先生指摘のいまの件につきましても、検査院といたしましては住宅公団を通じましてこの件はトレースしているわけでございますが、第一義的には住宅公団がこの事実関係調査をいたしているものでございますので、いま先生指摘の五十四年度末におきます検査院が指摘した事態につきましてのトレースの状況につきましては、これは住宅公団の方で御聴取いただけたら幸いかと存じます。
  41. 救仁郷斉

    参考人救仁郷斉君) 先生の御指摘につきましては、できる限り資料を整備してお届けいたしたいと思います。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは住宅関係は終えて、次の問題に移ります。  最近、金融機関の不祥事故といいますか、事件といいますか、それがこの前の大光相互銀行の問題でも騒がれましたし、あるいは四月三日の夕刊など見ると、西ドイツあたりでも同じことが起きておると、こういう話があるんでありますが、時間の関係もありますから、ずばり聞きますが、大蔵省銀行局は昨年の十一月二十六日から十二月十七日まで平和相互銀行の検査をしていますが、日誠総業、旅友開発、正和恒産、太陽開発、総武、あるいは足立産業、こういう平和相互銀行との関係会社で異常な貸付関係を発見したはずだと私たちは聞いております。また、株式投資についても土地買い占めなどについても、大変な問題があるように新聞などにも一部報じられておりますが、この平和相互銀行の監査について、マスコミで報じられておるような不良投資その他があったのかどうかということだけ結論的に聞かしてもらいたいと思うんです。
  43. 小田原定

    説明員(小田原定君) 平和相互銀行に昨年の十一月末から約一カ月間検査に入ったことは事実でございます。そして、ただいま検査の内容について取りまとめ中という段階でございます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、検査に入ったということは認めておるわけでありますから、できれば今日時点で提出できる内容等について、後ほど資料として提示願いたいと、こう思うんですが、いかがですか。
  45. 小田原定

    説明員(小田原定君) 大蔵省の銀行検査の内容でございますが、これは従来から検査の内容については、信用機関の検査の内容でございますし、個々の金融機関の取引先との信用の関係もございますので、資料の提出等については御勘弁を願っておると、こういうことになっております。よろしくお願いいたしたいと思います。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これもこの前の三月十八日大臣とやり合ったことと同じことになると思うんですが、二月の二十三日ですか、朝日新聞にあれだけ微に入り細にわたり報道されて、大蔵省の見解とか金融制度調査会臨時委員の中村委員の談話とか、そういうことまで出てるんですよ。これだけの、ブンヤさんが勝手に取材したんだといえば責任回避になりますが、この程度のものなどについてはわれわれ国会議員あたりにやっぱり提示しなければ、大蔵省のこういう不正問題があったってわれわれは何を証拠に議論すればいいんですか。新聞報道だけで議論するというのはこれは失礼になるから、やっぱり権威のある大蔵省の銀行局あたりから具体的な問題をもらって、そうしてやっぱり議論すると。それ以外に国会審議のしようないじゃありませんか、警察権を持っているわけじゃあるまいし。どうですか、そういう不正の問題について国会で議論をするために、あなたたちは行政府としてどういう協力が可能なのか。私は当然——秘密会なら秘密会でもいいですよ、やり方はいろいろあるんですから。あるいは理事会なら理事会だけにこれこれは秘密に報告しますと、その方法については私ども大いに考える必要ありますよ。それから、全然国会資料提出しないまま新聞にはこうやられる。国民は非常な不安を持っていると。そうしたときにどういう方法でそれにこたえていけばいいんですか。行政府として、また、立法府として、われわれは。その辺のあなたたち官僚——官僚だけじゃなくて、大蔵の大台所として、国民にどういう方法で伝えていくという道があるんですか。それも含めて見解を聞かせてもらいたいと思います。
  47. 小田原定

    説明員(小田原定君) 私どもは金融機関が健全な経営をするように、かつそれは預金者の大事なお金をお預かりしているわけでございますので、常に二年ないし三年に一回程度銀行の検査に行っております。そういたしまして貸出資金——銀行、金融機関が保証をしているそういう貸出資金が適正な担保を取り、健全な貸し付けをしているかどうかという観点で見ているわけでございまして、平和相互銀行について、先日新聞で何か平和相互銀行の経営について問題があるやのようなたぐいの記事が出ておりますが、それは私ども銀行局で検査をした内容では一切ございませんことを申し上げておきたいと思います。したがいまして、先ほど先生大光相互銀行のようなという表現をなさいましたけれども、私ども検査した内容における限りにおいては健全な担保も徴しておりますし、平和相互銀行がいささかも経営上問題があるというふうには感じておりません。ただ、土地の融資等において銀行の融資のあり方として投機的な資金を貸し付けていたものがあるのじゃないかというようなことが新聞等で指摘されたのでございますが、それらについても健全な担保を徴しておりますので、経営としてはいささかも問題はないということをこの機会に申し上げて、国民の皆さんの御理解を得たいと、かように思います。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたが何ぼそこでしゃべったって、国民はこのマスコミという強大なこれを見て不安を持っているんですから、国会を通してそんなきれいごと言ったって、国民はそんな大蔵省信用しませんよ。信用されるためには、やっぱりあなたたちがつかんでいる問題を国民の前にガラス張りで提示をするということが、何よりのやっぱり信用回復のポイントですよ。それはあなたの言い分、私の言い分で、それは平行線ですから、時間の関係上それ以上しません。今後別にまたやります。  それでこれは平和相互銀行きわめて健全だといっていましたが、この関係、ちょっとお伺いします。  任意団体である太平洋クラブが、これは昭和四十八年三月十五日ゴルフ場の建設計画を発表して、第一次会員募集、入会金が五十万、保証金が四百八十万、庶民にとってはちょっと遠い話でありますが、銀行経営に絡んでこれは質問します。合計五百三十万、第二次、第三次と募集金額が上がってきまして最終募集は二千万と、最初は五百三十万、最終は二千万、早く入会した方が得ですよというような非常にマスコミを使ったPRがあったわけであります。しかも、これが平和相互銀行の社長さんがこのバックにおって、これがあたかも銀行直営のゴルフクラブというようなキャッチフレーズなどもやりながら、あるいは総額九千万という大変な、私はゴルフの経験がありませんが、いろいろな雑誌を読んでみますと、大変な異例のトーナメントなどもやりながらやったと言われておるのでありますが、通産省にお伺いいたしますが、この会員は現在どのくらいいらっしゃるでしょうか。
  49. 細川恒

    説明員(細川恒君) 企業側の説明によりますと、現在太平洋クラブの総会員数は一万六千九百人余ということになっております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一万六千九百人。ありがとうございました。それで金額の総額は大体どの辺なんでしょうか。
  51. 細川恒

    説明員(細川恒君) 入会保証金の総金額ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、七百七十億円弱というふうに聞いております。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 約八百億とわれわれは聞いているんですが、大体七百七十億、大体接近するようでありますから、一万六千九百人の約八百億弱という金が集められている。そうすると、この金を集めるに、これは平和銀行が相当窓口で努力されたと、こういう話を聞いているんですが、この件については大蔵省銀行局、どういう事実把握をいたしていますか。
  53. 小田原定

    説明員(小田原定君) 太平洋クラブと申しましてもこれは二つあるようでございます。任意団体太平洋クラブと株式会社太平洋クラブという、任意団体の方はまあゴルフの会を催すとかそういうことをやっているようでございます。  そこで株式会社太平洋クラブを設立当初から平和相互銀行がバックアップしてきたような印象を与えたようでございます。このような印象を与えて、その際に、これ会員募集をいたしましたのがいまから七年前の昭和四十八年の三月ぐらいから縁故募集をしまして、四月に入って第一次募集というのをこの太平洋クラブがおやりになったようです。その際に、チラシの中の御入会のお問い合わせというところに、「太平洋クラブ・インフォメーションセンター」というのと並んで「平和相互銀行本・支店太平洋クラブ係」というのが刷り込まれて、これを刷り込んだのは、この株式会社太平洋クラブがパンフレットを配布するに当たって刷り込んだ。  そこで、それを直ちに当局は気づいたものですから、銀行に対しまして期を失せず、その当時四十八年の四月、もうすぐでございますが、銀行はそういうことを知っているかということを聞きましたところ、会社側の方が刷り込んでしまいましたということで、この広告文面について、このような広告は太平洋クラブ株式会社が独断で行ったものであるが、広告文面の改善を当クラブに厳重に申し入れ、まぎらわしい表現等を削除することを確認し、以後各方面からの誤解を招かぬよう十分注意する所存であるということを銀行の方から私ども監督官庁として取っております。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 おたく答弁があるとおり、平和相互銀行あるいは太平洋クラブ、株式会社太平洋クラブ、いろいろややこしい言葉遣いがありますがね、しかし結果論から言うとあなたの答弁は、やはりこの問題について平和相互銀行太平洋クラブの間に若干のすれ違いがあったとしても、銀行としてはやっぱり余りよくないことをやったと、あるいはそういう疑いがあるということで、どちらが先になってどれが後か知らないけれども、そういう意味の遺憾の点があったということについてはお話があったと理解しておきます。  それでもう一つお聞きしたいのは、太平洋クラブ、私がいまから申し上げますのは——株式会社太平洋クラブと任意団体太平洋クラブ関係は後でもう一回質問しますから、私が質問するのはあくまでも任意団体太平洋クラブということを頭に置いて答弁してください。  この太平洋クラブは四十八年三月の第一次会員の募集の際に、五十年三月まで十八カ所のゴルフ場、二十七コース完成、オープンすると、こういうような宣伝文でありますがね、ここに。その宣伝文でやったんですよ。しかし実際に五十年三月の段階でチェックしてみますと、五・五コースだけであって、募集時の二〇%、募集時会員の皆さんに公約したコースの二〇%しかやられていないと、こういう点もあります。それからゴルフ場のこの五・五コースの場所についても、グアム島一コースだとか札幌一・五コースとか福島一コースとかが直営で、非常に当時の広告と比較検討してみますとでたらめもはなはだしいと、こう私は見るわけであります。中には、人のコースを借りたものを自分のコースのようなかっこうでごまかしをしていると、こういうこと、あるいは東京周辺の首都圏、首都圏には六カ所十コースをオープンしますという宣伝をしていながら、これまた首都圏には一カ所もない、こういうきわめて中身のでたらめをやっておるわけでありますが、これらの問題は誇大宣伝、誇大表示ではないか、私たちはこう考えるわけでありますが、公取の見解を聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  55. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 御指摘の問題につきましては、昭和四十九年の十月ごろでございますが、表示と実態とがマッチしていないという具体的な親告を受けたわけでございまして、その親告を受けまして四十九年の十二月に太平洋クラブ関係者を招致いたしまして事情を聞いたわけでございます。  それによりますと、当初の計画に対しましてその後の事情の変更等がございまして、完成予定時期が表示に比べまして大幅に延びているということでございまして、同時にまた会社の経営等から申しまして、一斉にオープンすることにつきましては経営上も問題があるということで、実際上の表示と実態とがそぐわないということが判明したわけでございます。  したがいまして昭和五十年の四月に太平洋クラブに対しまして警告をしているわけでございまして、警告の内容としましては、表示と実態を合わせるように表示事項につきまして是正を加えるということが第一点でございます。  それから第二点としましては、当初の表示に対しまして実態がそぐわないということにつきまして、関係者に対しまして納得のいくような説明をする、こういう二点につきましての警告をしたわけでございまして、その警告に基づきまして、第二次の募集のパンフレットにはその旨が記載してあるようでございますし、また詳しい事情を説明したチラシも挿入してあるようでございますので、いわゆる表示につきましての誤認を排除するような措置がとられておるわけでございます。まあそういうことでございますから、五十年の四月に警告をいたしました以降につきましては、事態の推移を見守っているというのが実情でございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますとね、四十八年の六月に入って募集中止という事態があった。このきっかけになったのは、四十八年六月十三日付の朝日新聞の記事で、太平洋クラブが静岡県内に建設を予定している三カ所のゴルフ場は、県や地元公共団体承認を得ていないにもかかわらず、コース名を挙げて会員募集をすることは、ゴルフファンをだますものであると、こういう新聞記事があったわけでありますが、これらをもとにいま公取で取り組みをして勧告をしたと、こういうふうに時間的には受け取っていいんでしょうか。
  57. 劔持浩裕

    政府委員(劒持浩裕君) 私ども先ほど委員長がお答え申しましたように、口頭警告をいたしましたが、それは太平洋クラブのパンフレットの記載とそれから現実にそのとおりになっているかどうかということの、つまり表示と現実との差につきまして警告を発したわけでございまして、具体的な新聞記事に云々ということではございません。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、その警告を発した後の具体的な問題については、追跡調査はしておるんですか。それとも警告しっ放しで、あとは関係者の良識に任せると、こういう形になっているのか。その辺の、勧告と勧告後の追跡調査などについてどういうふうに考えているのか。
  59. 劔持浩裕

    政府委員(劒持浩裕君) 口頭警告をいたしまして、警告の内容相手方が従ったかどうかということは確認をいたしました。で、第二次募集のパンフレットにつきましては、その内容が改善されたということでございますので、その時点では、あと委員長が申しましたように推移を見守るということでございましたが、実は五十四年、去年の夏でございますけれども、その後の情勢につきまして事情を聴取しております。そのときには、完成予定がもう少しおくれているのではないかということがございましたので、会社側から事情を聴取いたしましたところ、ゴルフ場の開発に対しまして、いろいろ地方自治体の許可条件が厳しくなっているとか、それから地価等の高騰のための計画の見直しが必要だというようなことで、何といいますか、完成の予定時期がおくれているという説明でございました。そこで、完成期日が合わないので直ちに不当表示ということになるわけではないわけですけれども、そういう取引を有利にするために完成期日を早めて表示するようなことがないように、その点、注意いたしております。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 勧告、口頭警告したと言っているけれども、これは私の調査、少し古いですけれども、去年の、五十四年七月現在でずっと私も追跡してチェックしてみますと、オープンと公表した二十七コースのうち完成したのは半分の十三・五コースしかないのですよ。最初の二〇%に比べると、約半分ですから、そういう意味では計数的には若干回復はしておりますけれども、依然として半分ということについては、これは会員権を買った人から見れば非常にごまかされどおしだと、こういうふうになるのじゃありませんか。しかも、このパンフレットに、静岡県の東名裾野コースであるとか群馬県の伊香保コース、北海道の十勝コース、これは工事中だと言っていても全然工事などやってない。ペーパーだけ工事中で、現地の工事は全然やってない。あるいは新築中、宮城県の仙台コースなんて書いてありますけれども、私も仙台っ子だけれども、こんなところ何にもやってない。広告には仙台コースはちゃんと完成するようになっている。中身は全くでたらめなことをずっとやっているのじゃありませんか。  ですから、私は公取がチェックして注意警告したと、それは感謝します。でも、それが依然として二年も三年も同じことが繰り返されている。表示と実態が違っている。こういうことを繰り返せば、やはり何らかの、口頭警告だけでは措置し得ない問題点を含んでいる、私はこう思うのですよ。  そしてまた、大蔵省銀行局に聞きますが、こういうことを繰り返しておる者に平和相互銀行がローンその他で金を貸している。こういうことに平和相互銀行も一枚かんで、両方で悪いことのレースをやっている。こんなことで一体——一番ばかを見るのは国民ですよ。私はいまゴルフをやる余裕もありません。しかし、ゴルフが大衆化しているというこの動向から見ますと、健全なゴルフの形に持っていこうという方々を欺き、ごまかしておることを本当にやっている、こう言われても仕方がないのではないか、私はこんなふうに思いまして、これらの問題についてここで幾ら質問してもしようがありませんから、そういう問題を提起をして、それらに対する適切な指導といいますか、そういうものについて要望しておきます。  後でこれに対する考え方をちょっぴり上げますから、ここは時間の関係で要望にしておきます。  それから、問題なのは、この会員権の問題について、第一次は四十八年四月五百三十万、七月の第三次は七百五十万、十月一日の第五次は一千万、最終的には二千万、こういうふうに三ヵ月刻みに同じ会員権が上がっていっているのですね。そして、この募集をする際に——この問題についてはこれは二年でしたかな——入会後二年を経過すれば会員権は自由に売買できる、そういう定款もついている。それから、この。パンフレットには「財産保全とインフレ対策に太平洋クラブの会員券を」と、いかにも財産を残す一つの手段として、五百三十万で買ったやつが半年で一千万あるいは二千万になってくるというキャッチフレーズでありますから、非常にいいものですよ。そういう募集をしていながら、片方では宣伝文と実績が違う、こういうかっこうになりますと、どんどん会員権の一まあ株の価格と言っては変でありますが、相場がどんどん低下していくと。五百三十万が四百万、三百万、二百万と、こういうふうに低下していくのは当然だと、こう思うんでありますが、銀行局長、その辺の見解はどうですか。これは通産省ですか、大蔵省と通産省両方で……。  いま言ったような誇大宣伝と実績が合わない。会員権の魅力がどんどんなくなっていくという、したがって相場はどんどん下がっていくと、こういう現象が起きるのは私は当然なことだと、こう思うんでありますが、どうでしょうか。
  61. 小田原定

    説明員(小田原定君) 私どもの方は、ゴルフの会社を大蔵省としては所管しておりませんので、答弁差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 細川恒

    説明員(細川恒君) 企業の当初の計画は、それなりに企業の計画というものがあったものというふうに理解をいたしますが、それが先ほど質疑がありましたように、途中の情勢の変化等によりまして変わることもあり得ることだと思います。  なお、会員権の価格につきましては、当該クラブに限りませんで、事情によって上がったり下がったりということもあるわけでございますから、それぞれのクラブの事情に応じまして会員権の価格上昇というものはあろうというふうに理解をいたします。  なお、それで計画そのものが不当な表示であるかどうかということにつきましては、先ほど来御質疑がございましたように、景品表示法の範疇として処理されるものというふうに理解をいたしております。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、これはどこが担当か私は余りややこしくてわからないのですが、株の上がり下がりはやむを得ないということはわかりますよ、一般論として。一般論としてはわかりますが、パンフレットに書いて会員を募集して、会員権はだんだん上がっていきますよと、そういう魅力を持たせて、平和相互銀行がバックにおりますよというようなかっこうで外堀を固めておって、そのことが——実際に五百三十万というこの会員権が魅力がなくなってきたのは、いわゆる公取が言っておる、パンフレットに表示したいろんな宣伝の問題について、ゴルフ場の造成について実際上行われないから魅力がなくなってきたんでしょう。最初は二〇%、最高で五〇%ですね。これをパンフレットに掲示した、会員を募集する、契約する際の約束事項を太平洋クラブが七割とか八割とかという形で確実に実行しておれば、この会員権はそれなりの価値があって私は——まあ上がるか下がるか知りませんが、それだけの値打ちがあると、そういうことが確立されたと思うんでありますよ。ところが、契約事項を全然守らないからその会員権の魅力がなくなる。したがって、どんどん下がっていくということはこれは当然じゃないですか。  これはどこが担当なんですかな。まあ公取あたりが一番担当であるから、いまの関係どうですか。誇大表示をしないで、パンフレットの表示と実際の造成と若干の差はあるでしょう、一割か二割。若干の差があって、ずっとこのパンフレットに出したようにゴルフ場が造成され、開業されていけば、それなりに自然の流れとして私は価値ある会員権と、こういう価値があると思うんですよ。ところが、先ほど言ったとおり、最初は二〇%、一番新しい五十四年の、去年の七月でもせいぜい半分と、こういうことではこのゴルフ会員権は魅力がないといってどんどん下がっていくと。そういうことは当然じゃないですか。私はそう思うんですが、いかがでしょうか。
  64. 劔持浩裕

    政府委員(劒持浩裕君) 公正取引委員会で景表法に基づきましてやっております仕事は、独禁法の不公正な取引方法の一つでございます不当顧客誘引というのを、具体的に景品と表示につきまして取り締まってまいろうということでございます。したがいまして、何といいますか、実際のものより非常に有利または優良であるというふうに見せかけて消費者を誤認させる、それで取引しようというところを押さえるのが景表法の目的でございまして、取引した後で、その取引の結果が上がり下がりというところまでは、若干景表法の範囲を超えるのではないかというふうに考えます。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうするとこれは、法務省います、帰っちゃったの。そうすると長官、いいですか、あなた国務大臣として、いま法務省がいれば法務省が一番いいんだけれどもいま公取が言いましたね、表示と実際が違っておると。そのためにこれはいま一般大衆から約八百億という金を集めているんですよ、八百億という金を太平洋クラブが。八百億という金を集めた。集め集めたけれども、集めさせられた会員の方は五百三十万で買った株が、太平洋クラブが実際上のゴルフ場の設置を最初の約束どおり守らないで、最初は二割ぐらい、一番最終で五割程度、そういうようにゴルフ場を設置をしないものですからどんどん下がっていくと、したがって表示と実際が違って、五百三十万で買ったやつがその五百三十万の値打ちがない。そういうことを、あえて公取から注意勧告をされながらずっとやってきているということは、これは一種の詐欺じゃありませんか。会員に対する詐欺じゃないですか。私はそう思う、ごまかしだと思う、こう思うんですが、もう法務省がいないから、あなたは国務大臣として一般国民の生活を守るのが国務大臣の任務だから、こういうごまかしを国務大臣としてどういう見解を持ちますか。なければ、後ほどしかるべく法務大臣と相談して、文書ででもいいから答弁書を私の方にもらいたい。事情についてはそこにおられる政府委員が全部わかっているんだから、中身は。
  66. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) いま伺っておりますと、公正取引委員会でもしかるべき注意をするとか手を打たれたようであります。あとは取引関係から出てくる、何といいますか、被害の問題になるわけで、これに対して国としてどうするかと、こういう御質問のように伺いますが、これはやっぱり被害者の方からしかるべき法的措置を要請されることが必要でございますから、そういうふうなことで、まあいま御指摘のような刑法上の問題があるということであれば、これはやはり被害者が告発その他の手段に訴えられるということでなければならぬのじゃないかと、こんなような感じを持っております。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはずっと回りくどくやりましたけれども、私は、結論はいま長官が言ったとおり、こういう被害を受けておる被害者が、消費者がおるんですよ。その消費者の皆さんから、何とかしてくれということが、投書があったから、その投書にこたえて私が調べたらこういう仕掛けになっておったと、こういうことなんですよ。だから私は、国務大臣として、銀行とか株とか、こういう太平洋クラブとか、こういう方がいろんな目の見えないところで仕組んで、最終的に五百三十万で買った株が、会員権が二百万でも売れない、三百万でも売れない。太平洋クラブは知らない、平和相互銀行も知らない、そんなこと責任ないと言って、先ほどの銀行局の一連の答弁で逃げている。泣き寝入りしているのは五百三十万で会員権を買った会員ですよ。一万六千九百人のうち何名いるかわかりませんが、きょうは時間がありませんですから階層別の中身を質問しませんが、われわれ持っています。一万六千九百人のうちの何人か、相当数ですよ、相当数がいま言った被害者なんです、被害者。五百三十万で買ったのに、二百万でも売れない、二百五十万でも売れない。そういう被害者があったから、私は取り上げているんですよ。だから、国民は被害者でありますから、その消費者を守るために、いま長官の言ったことをぜひ実行してもらいたいし、公取の方でももう少し調べてもらいたいし、それから法務省の方でも一種の詐欺ではないかと、こういうことも含めて検討してもらいたいということを要望しておきます。  それで私は最後に、時間があれですから、これは先ほど平和相互銀行は銀行として、何ですか、こういうふうに新聞に出ているが、新聞と同じことを言っている。これは二月二十三日の新聞で、大蔵省は「平和相互が融資した会社が株買い占めなど社会的に非難されるような行為を行ったからといって、平和相互がおかしな融資をしたと断定はできない。」、あなたのさっきの答弁と同じだ。これは新聞が書いたんだから、責任ないと言えば言えるんですね。「貸した金に色がついているわけではないので、」——うまいこと言うね、これ。(笑声)「どの金がどう流れたかまで責任をすべて銀行に求めるのは酷かも知れない。しかし、取引銀行としての責任は無視できず、こんご詳しく事情を調べてみたい」、大蔵省の談話、こうなっているんですがね。それで、私はこれはやっぱり平和相互銀行というのがいろいろ——まあこれ時間がないから、こんなにいっぱいあるんだけれども言いませんが、平和相互銀行というのは、小宮山英藏さんが亡くなった後の平和相互銀行というのは、どうも内部でごたごたがあるんじゃないかという気がするんです。われわれの情報と足で調べた調査の結果です。どこかの国の権力闘争でもあるように、いまやこの銀行内では小宮山一族というか、小宮山一族といま言われているものと実権派の勢力との二つに分かれて争いをやっているんじゃないか、こんな気がします。実権派はかつて故英藏氏のもとで行動を共にした方々がおります。たとえば鶴岡さんとか、稲井田さんとか、あるいは滝田さんとかいうことも、いろんな経済雑誌の中に名前が出てまいります。これが本当かどうかについても、われわれはそれなりに当たってみました。その知恵袋的な存在には、これは天下りだかどうか知りませんが、かつて東京地検のらつ腕検事であった、現在同銀行の顧問弁護士である伊坂さんというのが相当腕をふるっていらっしゃるということも、これ経済雑誌が指摘しておりますし、われわれもそのだめ押しについて当たってみました。小宮山一族というのは悪名は高いけれども、実際に今回の新聞に出ておるような——たく新聞否定しますから——不正融資の動きをしているのは、どうも実権派ではないかというようなにおいもいたすわけであります。このらつ腕弁護士の伊坂さんは、直接、間接、いろんな形で現在の小宮山さんに退陣を迫っているということなども言われておるわけであります。最も私が注目をしなきゃならぬのは、若い社長さんが辞任することが大蔵省と和解のできるポイントだと、この辺がどうも私は、KDDじゃありませんが、大蔵省との関係についてはそういう関係なのかなと、そうでなくてほしいがなと、こう念じつつ何回も何回も同じ経済雑誌を読まされ、ずっと当たってみると、うん、そういうこともあるのかなと、それで忠告をしながら、そういう関係などはどうなのかということも後ほど聞かしてもらいたいと思っております。  また、一部資料、雑誌によりますと、この精一さんという若い社長がやめなければ、国会に証人か参考人として呼ぶぞと、そういう国会にまた絡めちゃって、最初は大蔵省、次は国会、そういう形でおじとおいとを争わせていると、こういうことなどもいろいろ出てくるわけであります。  したがって私は、こういう形で内部のいろんな権力の関係、あるいは大蔵省との関係、あるいは国会を絡めたいろんな問題が絡み絡んで、この平和相互銀行というものの内部にわれわれが予測しがたいいろんなことが起こって、そうしてこういう事件を起こしているんではなかろうか、こう私たちは見るわけであります。預金者は国民ですからね、預金者は国民でありますから、したがって私はやっぱり、銀行局なりあるいは司法当局なり、そういうところなり公取は、こういうところまで足を突っ込んで、ささいな預金をしている国民の、庶民の利益を守るための私はやっぱり銀行局であってほしいし、公取であってほしいし、あるいは司法当局であってほしい、私はそう思ってこの点だけはどうしてもこれは大臣、長官も含めて、こういう銀行に絡む問題について——これと物特がどう関係があるかというと、やっぱりこういうのがからくりからくりでいろんな値上げされて連動されて、いわゆる物価の値上がりということに絡んでくるわけでありますから、やはり銀行と庶民と銀行の融資と、こういう三つの関係についておのおのの立場から見解なり、あるいは今後の指導方針なりというものを聞かしてもらいたいと、こう思うんであります。これは長官、それから銀行、公取、それから司法当局、以上四者におのおの、私がこう申し上げたことが、そういうにおいがあるのか、あるいはそれは目黒議員そんなのは全然関係ないと、心配するなと、こういうことなのか、あるいはどこから取ってきたか知らぬけれども新聞屋の言うことが——天下の朝日新聞ですからね、天下の朝日新聞の言うことが、やっぱりいいところ突いてるわいと、そういうことのないように今後注意しますと、そういうことなのかひとつ聞かしてもらいたい、こう思います。
  68. 小田原定

    説明員(小田原定君) 先生先ほどおっしゃいました朝日新聞の記事でございますが、朝日新聞は第十三版というのと十二版というのがございまして、第十二版、先に出た版には銀行局の総務課長という名で談話を出しております。その談話をちょっと読ましてもらいますが、「一般論としていうならば、仮に銀行がいわれるような株買い占め行為に加担していたとすれば、預金者の大切な金を預かる銀行自身の健全性と公共性の二つの点から是非を判断しなければならない。しかし、平和相互が株買い占め資金を出していたかどうかなど個別の問題については、検査結果」の内容でございますのでお話できないと、こういうことを第十二版でははっきり書いております。次の十三版が、いま先生お読みのような大蔵省の見方といって、固有名詞も出てこないようになりまして、金は色はないとか、こういうことになっているということを申し上げておきたいと思います。  次に、仮にも金融機関は公共性の高い信用機関でございますので、私どもといたしましては銀行が適正な経営をしていくようかねてから指導していることでございますし、今後ともマスコミ、いまいろいろ先生がおっしゃいましたような、経営陣の中のことをおっしゃいましたですが、そういうことを含めましてすべて健全な経営をしていくよう指導してまいりたいと、かように思っております。
  69. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先生の御意見しかと拝聴いたしまして、よく検討させていただきたいと思いますが、ただ、私どもの所管いたしております独占禁止法なり、あるいは景品表示法の力の及ぶ領域の問題かどうかにつきましては、なおよく考えさしていただきたいと思いますけれども先生の御意見はしかと拝聴いたしました。
  70. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 大蔵省、公正取引委員長からお述べになった御意見、私もそのとおりだと思います。今後一層、公共性にかんがみて信用の保持には関係当局力を合わして努めていきたいと考えます。
  71. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) この点につきましては一部の新聞なり、あるいは週刊誌等でこの銀行に関する記事が出ているということは承知をいたしておりますが、私ども報告を受けております限りにおいて、この銀行等に絡んで何らかの捜査が行われておるというような報告はいまのところ一切受けておりません。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ時間がないようですから、おのおの答弁もらいましたけれども、私は長官に要望したいのは、やっぱり銀行というのは国民の大変な関心のあるサービス機関でもあるから、やはり可能な限りガラス張りにして、少なくとも国民から不安を持たれるような、そういうことのないように政府として最大の努力をするし、大蔵省に勤める皆さんもわれわれと違って学のある、大変教養のある方々でありますから、しかしそれを直ちに権力に結びつけるような姿であってみたり、あるいは大蔵省の役人が、高級官僚が銀行筋をいろいろな監査しますからね、よくネタが私はつかめると思うんですよ。そのネタを足場にして大蔵省の皆さんが銀行に天下り人事をして、天下り人事の中で銀行を牛耳る、金融界を牛耳ると、ますます国民から目の見えない暗黒の金融機関になってしまう。そういうでかい損害を庶民が受けたとき、その庶民の提起で警察関係が動く、そういうことをやはりずっと繰り返しているのが大光相互銀行であり、今回のこういう銀行ではなかろうか、そうわれわれは見るんです。でありますから、そういう誤解を受けないように、大蔵省はもう少し庶民に向かってサービスのいい機関になるように指導してもらう、そういうことを私は要望しておきます。  しかし、いままで質問してみて、まだやっぱり私は釈然といたしません。釈然といたしませんから、以下の資料について私は資料要求をして、質問を終わりたいと思っております。  五つの点があります。一つは、過去三年間から五年くらいの決算書。それから最近の役員の流れ、大体三年から五年ぐらい。三つ目には、代表権のある方についてはその代表権の問題と、その方と平和銀行との関連がどうなっているのかということを、わかるだけ明らかにしていただきたい。それから四番目には、その代表権者が就任するに至った経過がどうなのか。それから第五番目には、平和相互銀行より、いまから申し上げる会社などについて融資の明細書、裏保証があれば  これは新聞にも出てますな、裏保証。裏保証があれば裏保証の相手と金額。  以上、五点にわたる内容資料について、いまから申し上げる総武都市開発株式会社、日誠総業株式会社、旅友開発株式会社、正和恒産株式会社、太陽開発株式会社、総武株式会社、総武通商株式会社、足立産業株式会社、株式会社太平洋クラブ、それから任意団体太平洋クラブ、武蔵野開発株式会社、株式会社トータン、それから昭和興成株式会社、株式会社ミヤコトラベルサービス、以下細かいやつがありますが、全部で二十四の子会社団体について、時間がありませんから読まなかった分については私の方から会社名を委員部の方に出しますから、それらの問題についてひとつ資料の提示をしてもらいたい。その資料の提示をもらってさらに内容を分析して質問を続行したい、こう思っております。  それから大きな二番目として、会員権を相当数売られた後に倒産したところがあります。こういうところで倒産した会社は現在会員権の金は戻したのか戻さないのか、その会員権の金がどうなっているのか、これをひとつ教えてもらいたい。たとえば茨城の葵国際カントリー、これはいまパンフレット持っていますが、この葵国際カントリークラブなどについてもいい例でありますから、この問題を参考にしながら、一体倒産した後の会員権と、その金は一体どこへいっちまったのか、そういう問題についてもひとつ相当数あるようでありますから、資料の提示方をお願いしたい。その資料の提示を待って私の方ではさらに質問を続行していきたい、こう思っておりますので、ひとつ関係者の御協力をお願いしたい、こう思います。
  73. 小田原定

    説明員(小田原定君) ただいまいろいろとおっしゃいました会社でございますが、私ども所管しておりませんので……
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 メモ上げます。
  75. 小田原定

    説明員(小田原定君) 私どもが所管しておりませんので、その資料の提出は御勘弁いただきたいと思います。
  76. 細川恒

    説明員(細川恒君) 第二点の方につきましては、できるだけ調査の上御報告いたしたいと思います。    〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
  77. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、鉄鋼の大手メーカーの今回の値上げ問題について質問をするわけですが、三月の四日に、一番大きいメーカーである新日鉄が一〇から一一%の値上げをするということを天下に向かって宣言をしたわけですが、私はあの時点から、この物価問題がやかましく言われておるときに、そういった鉄鋼の大手メーカーが一斉に値上げをするということについてまことにけしからないと、こういう考え方で今日まで見てきたわけでありますが、通産省として、今回のああいった鉄鋼の大手メーカーの値上げ問題についてどのような見解を持っておるのか、まず大要をお聞かせいただきたい。
  78. 小川邦夫

    説明員(小川邦夫君) 御質問の点でございますが、通産省が鉄鋼メーカーからの説明を徴しましたところによりますと、鉄鉱石、原料炭、重油といったものを中心とします原燃料のコストアップが五十五年度には大幅に起こってくる。その他のコストアップ要因もございまして、そういった大幅なコストアップが、鋼材トン当たりの平均でございますと一万一千円余りのコストアップになると、そういうことのようでございます。その中で、鉄鋼メーカーといたしましては九千円前後の値上げをしたいということで、三月初めから需要家との交渉に入っておるところでございます。その差の二千円余りというのは、自分で合理化努力で吸収すると、こういう考え方でございまして、現在需要家と交渉中と聞いております。
  79. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま値上げの理由はわかったわけですが、通産省としては、今回の値上げについてどういうふうに思っておるのか、もうやむを得ないと、こういうふうに思っておるのか、その辺の見解をお聞かせいただきたい。
  80. 小川邦夫

    説明員(小川邦夫君) 通産省といたしましては、概括先ほど申し上げましたようなコストアップ要因があるのだということは鉄鋼メーカーから説明として聴取しております。そしてまた、そのうちの一部である九千円の値上げであるということも考え方として聞いておるわけでございますが、ただ、通産省といたしましては、この鋼材の値上げは民間の供給者と需要家との自主的な交渉で決められる、その値上げの中身の交渉とともにコストアップの評価、どういうコストアップが適当であるとかないとか、そういったこと自体の評価も当事者間の交渉の対象になるということでございますので、この当事者間の交渉を見守るということで対しております。
  81. 広田幸一

    ○広田幸一君 通産省としてはそこまで——どこまで値上げをするということが妥当であるかどうかということについては介入できないということですね。しかし、気持ちにおいては、いまあなたがおっしゃったようなコストアップの内容があるのでやむを得ないであろうと、こういうふうに見ておられるんですか、その辺はどうです。
  82. 小川邦夫

    説明員(小川邦夫君) コストアップが五十五年度に大幅にあるということは承知しておりますので、値上げの交渉を開始すること自体、不当であるというふうには必ずしも認識しておりません。しかしながら、その上げる時期にいたしましても、また、値上げの幅にいたしましても、需要家が納得して受け入れるか受け入れないかということで決まっていくものでございますので、それを横から先取りをして、幾らが妥当であるとか、いつから上げてよろしいとか、それを積極的に評価し、オーソライズをするという考え方はとっておりません。
  83. 広田幸一

    ○広田幸一君 それでは、そういうことになると一応鉄鋼の会社の経理実態、今後の見通し、そういうものはある程度——ある程度というか、かなり通産省としては調査をしておられると思うんですが、現状の、たとえば新日鉄の場合を例にとって見ましても、どういうふうな経営内容になっておるか。細かくは時間がかかりますから、大体、どういうふうになっておるかということを御答弁願いたい。
  84. 小川邦夫

    説明員(小川邦夫君) 公共料金のような形におきます経理実態の調査、コストデータの調査というような形はやっておりませんで、あくまで概括についての説明を聴取しておるということでございますが、その内容といたしましては、ただいま申し上げました一万一千円余りというコストアップのうち、一万円程度というのが原燃料のコストアップ原燃料と申しますのは鉄鉱石、原料炭、重油というもの及びその関連のコストでございますが、一万円程度のコストアップ、それに加えてその他一般の諸経費アップが加わりまして、トータル一万一千円余りのコストアップと、こういうことで、これは五十五年度からそういうコストアップが五十四年度に対比いたしまして生じてくる、こういうふうに理解しております。
  85. 広田幸一

    ○広田幸一君 長官にお尋ねしますが、私は、今回の鉄鋼メーカーの値上げというものは時期的に見て、三月四日というのは電力料金がまだ決まっていない。電力料金をどういうふうにして圧縮するかということが国会においても、あるいは通産省においても、経企庁においても、真剣に論議をされておったさなかにああいうことを天下に向かって宣言するということは、私はいけないと思うんですよね。私はそう思うんですよ。  それで、長官も、先般の日曜日のNHKの物価対策政治討論会で、私はずっと見ておったのですが、あなたも、今回の鉄鋼の値上げについては値上げ先取りの感がある、便乗の疑いがあるということを、特にそこを強く強調されておられたのを私はまだ覚えておるのですが、また、三月二十八日の閣議の後の記者会見で、どうもそういった意味のことを発表されておったことが新聞に載っておったのを私記憶しておるのですが、今回の鉄鋼の会社の値上げ問題について、どういうふうにお考えになっておるのか。
  86. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 鉄鋼値上げ交渉がただいま続けられておるわけで、その一番の理由については、先ほど通産省から御説明のあったとおりでございます。それからまた、ただいま広田委員が御指摘のように、一方では電力、ガス等の公共料金について大変大きな問題になって、通産省においても、また私どもにおいても、また国会においても、重大な問題として真剣に討議されておったことも御承知のとおりであります。  そこで、いま通産省からいろいろ具体的な事実についてお話があったんですが、われわれの考え方は三月十九日に決まりました総合物価対策でも言っておりますように、この際何としても当面の物価の危機を乗り切っていくには、生産性を向上していく必要がある、この努力を皆さんにお願いしたい、こういうことが大きな物価政策の柱になっておることは改めて申し上げるまでもないのであります。    〔委員長退席理事高杉廸忠君着席〕  そこで、いま御指摘のような電力、ガス等の料金の決定の時期等と見合って、そういうことも十分考慮して妥当なところで決められることが望ましいと。私は、便乗という言葉は一度も使ったことはございません、まあマスコミがどういうふうに報道いたしましたか知りません。私は、そういうふうに全体として結論が出た場合に、疑惑のないようなはっきりとした解決をするということが必要である、こういうふうな意味で指摘をして申し上げたわけであります。
  87. 広田幸一

    ○広田幸一君 長官もずいぶん物価抑制について努力されておるということは、私はあらゆる場で見て、聞いておるわけですけれども、少なくともこの問題については非常に不服である、不満である、適当でないと、そういう言葉は、この間の政治討論会でも私はそういう感じをしたわけですね。ですから、若干こういう場の答弁としては私は少し違っておるように思います。  ただ、それをこれ以上追及しませんが、そこで通産省にお尋ねしますが、私の調査したところでは、いわゆることしの三月の決算は約千八百億から二千億という利益が出るということですし、しかもそういう意味ではまだ黒字生産になっておる。それから、この千八百億から二千億円という黒字というものは、いわゆる輸出によってかなりその利益が上がったというふうに見ておるわけです。しかも、これからの先行きを見ますと、これは新聞の記事等いろいろ見たところでありますけれども、いわゆるアメリカの鉄鋼業者が経営が苦しくなって、そして日本の鉄鋼がいわゆるダンピングするではないかというようなことを言われて牽制をしておる。トン当たり五百ドル、そういうふうになって、しかもそれが安定をしていくというようなことも聞いておるわけですね。そうすると、鉄鋼業界というものはまだこれから伸びていく、そういう状況にあるように思うわけです。しかも、これはまあ私、全部言ってしまうんですけれども、設備投資がことしどのぐらいしますか、大手メーカーの鉄鋼業者五社程度として。そういうものがかなりなされると、しかもそれの大半というものは銀行から借りなくても、現在ある金でやっていける、減価償却とか、そういうふうな金で充てられるという、そういうふうな私は資料を持っておるんですけれども、そういう意味から言っても、ふだんと違うわけですから、今回のこういう時期としては、通産省は企業を育成強化しなきゃならぬという立場があるにしても、物価局長もお見えになっているわけですからね、そういうふうな立場から考えて、私はこれを抑制するというか、もう少し考えなさいというふうな指導をしてもいいじゃないかと、こういうふうに思うんですが、その点どうです。   〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
  88. 小川邦夫

    説明員(小川邦夫君) 御指摘の千八百億から二千億という数字でございますが、これはまだ正式には締めておりません、今期と申しますか、五十五年三月期決算の、新日鉄の予測数字であると承知しております。確かに新日鉄のケースでございますと、こういう千八百億前後の利益が出るであろうとエコノミストの評価がなされております。ただ、今回の値上げのきっかけとなりましたコストアップ要因の方でございますが、これまた鉄鋼メーカーから説明を聴取したところでは、これをはるかに上回るコストアップが五十五年度には起こると。その内容は、先ほど申し上げました原燃料の値上がりが中心でございまして、先ほどトン当たりで一万一千円余りと申し上げましたのは、この日鉄のケースに当てはめますと三千三百億円前後の数字になります。すなわち、五十四年度の経常利益が千八百億円前後であると見られるのに対して、今度の原燃料を中心とするコストアップは三千三百億円ということで、非常に大きなコストアップがある。ただ、そのコストアップの全部を値上げをするということではございませんで、先ほど申し上げましたように、トン当たりでいえば二千円余りの合理化努力をすると。その合理化努力をするためには、つまりコストダウンをするためには、設備投資を引き続き活発にやっていかなければならない。こういう考え方から、五十五年度以降についても合理化・省エネルギー投資については引き続き努力をいたしまして、先ほど申し上げました生産性の向上に努める、こういう形でやっております。  ただ、先ほどの論点に返ってくるわけでございますが、決して通産省としてその値上げがすべていいとか、あるいは査定をするとかという立場ではございませんで、現在なお需要家とそのコストアップの評価、値上げの内容について交渉中でございますので、それは当事者の交渉にゆだねるということで見守っておると、こういう立場でございます。
  89. 広田幸一

    ○広田幸一君 通産大臣がおりますともう少し論議してもいいと思うんですけれども。  長官ね、いまの時代ですからね、どこの企業もえらいと思うんですよ。しかしながら、いま申し上げたように、たとえば新日鉄の場合は五十五年に千五百億円の設備投資をする、その金が金融機関から借りなくても内部留保によってやっていけるというような、そういう企業が、しかも鉄鋼会社というのは単なる企業ではないと思うんですよね、これは日本の産業の核なんですから、それは与えるところはきわめて大きいと思うんですよ。そういうところの値上げを、しかも電気料金も決めてないような時期に先走ってやるというような姿勢が、そういうところこそ私は経済企画庁としては、やってもらっちゃ困ると、もう少し待ってもらいたいと、こういうふうな指導性がなけらねば、大臣がいつもおっしゃる、便乗値上げというものは絶対にこれはやめさせるやめさせるとおっしゃっても、私は効果ないと思うんですよ。だから、私は一々調べておるわけじゃありませんけれども、今回の鉄鋼のメーカーの値上げというものは他の業界が値上げをする一つの口実を与えることにもなると、こういうふうに思うんですよ。ですから、まあ通産省は、鉄鋼業務課長ですからね、やっぱりそれはそういうふうなサイドにいくだろうと思うんですけれども、企画庁長官として本当に、私は別にここで責めるという意味でなくて、どうあった方がいいというふうにお考えになるか。しかも、四月一日か二日に、通産大臣も局長も、財界、それからまあ業界の日本の代表的な人と会って、そういうことも強く要請するということをおっしゃっておるように私は思うんですよ。一体そういうふうなことを本当に言われたのかどうなのか、相手はどういうふうに言ったのか、そういうことをひとつあれば——なけらねばいけないと思うんで、そういうこともひとつお聞かせいただきたい。
  90. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 先ほどちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、その会合に私も一緒に参りました。それで、経済界の代表的な方々に、いまちょうど広田委員がおっしゃいましたような意味で、電力料金等もコストアップの中にはこれはまあ「その他」として入っておるようです、まあ余りウエートはないというふうな説明ありましたがね、そこで、電力がこれだけ上げたいという申請は出ておったと、決定はされていなかったんじゃありませんかと、そういうときに出されたものがそのまま通ると、それはいわゆる若干先取り的なコストというものの見方であるというふうな疑念といいますかね、そういうことが残されるということは、鉄鋼業というものの日本における地位からいってこれはやはりはっきりさせる必要があるんではありませんかということをはっきり申し上げたんです。  そこで、しかしながらいま鉄鋼業務課長がおっしゃるように、これはもう一方的に鉄鋼業界だけで決まるものではありませんと、ですから、これから自動車業界、弱電業界とかあるいは造船業界とか、いろんな業界とこうやっておる最中でございますので、それによってどういうふうに決まっていくかを見なきゃならないというふうなことを伺ったんでありますが、私は、そういう点をやはり明らかにすることが、鉄鋼業の日本における指導的な役割りという見地から、非常に大事な点であるということははっきり指摘したわけでございます。
  91. 広田幸一

    ○広田幸一君 私は、長官も熱意を込めておっしゃったでしょう。ただ新日鉄ばかりを集中的に言いますけれども、何といったって一番大きい会社ですからね。これは、あそこの稲山会長にしたところでそれから永野前会長にしましても、これは日本商工会議所の会頭でもあるわけでして、そういう人たちが役員をしておる大手メーカーが、いかにどうあろうとも先頭を切ってやるというようなことは、私は絶対に国民納得しない。便乗値上げするなするなと言ったって、上の方から範をたれなければ私はいけないと思うんですよ。この点は、いまそういう団体交渉をしておる最中でありますけれども、私はもっと強く言ってもらいたい。そうしないと、長官がいろいろな場で便乗値上げ許さないんだ、先取り値上げは許さないんだとおっしゃっても、一番大きな権力を持っておるところが、寡占体制にあるところがそんなことをやったら私は大変なことになる。えらくても、少なくともこの四月五月ごろまでがまんしてくれれば先は明るい見通しが出ると、こういうふうに長官おっしゃっているわけでしょう。その時期だけお互いがまんしようと言っておるわけでしょう。その点が私は納得できないと思うんですが、時間がありませんから……。  ひとつ長官、私はこういうふうに思うんですがね。いま自動車業界と鉄鋼業界が交渉しておるようですけれども、まあ、そういう大手同士がやっておるわけですから、それぞれのサイドで私やっておると思うんですが、ところがこれが決まってしまうとほとんど右へならえになりますと、零細中小企業、これは耐久資材でありますから家庭にまで入ってくるわけですね。ところが大手メーカー、たとえば自動車でございましたら容易に製品に転嫁できる。ところが中小零細企業というのは消費者と直接結びついておりますから、なかなかそうはいかない。私は、こういう交渉の仕方というものは問題がある。しかしそこまで政府が、経済企画庁がくちばしを入れることはできない、こういうこともあると思うんですけれども、この辺についてどういう見解を持って、できるならばこういうふうにやりたい、ありたいというふうにお考えになるか、もっと消費者の声が反映されるような形における物価の決定というものはできないものかどうか、簡単にひとつ、時間がありませんから。
  92. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) いま広田委員指摘のようなことをやっぱり十分考えて、鉄鋼業界も自動車業界も日本の産業界における本当にこれはもう両方の横綱的存在でございますから、一方通産省においては中小企業庁というものを所管して中小企業、零細企業というものについても責任を持っておられるんですから、私は佐々木通産大臣にもそのことは十分申し上げておるわけですが、ただ自動車業界なんかはいまますます需要が旺盛でございまして、何とか早く供給を受けたいというふうな点もあるかに聞いておりますが、しかし、この及ぼす影響という点についても十分考慮してもらいたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  93. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間がありませんで、ひとつこの機会に長官にお聞きしたいと思うんですが、便乗値上げを許さない許さないとおっしゃっておるわけですけれども、具体的には一体どうなのか。私はやっぱり長官も、ゆうべだったですか、モニターをふやすとか言っておられるわけですけれども、モニターをふやしてみたところで、いや、ふやすことはいいんですよ、そういう監視の目がふえるということはいいわけですけれども、しかし、値が上ったものを調べて報告するということで、総理府がやっておるところの物価調査委員というのも、私は物価が上がったという実態だけ調査をしておると思うんです。それだけではいけない。便乗値上げはここまで上げると便乗の値上げになるという、一つのガイドラインというものをやっぱり示してやらなければ、便乗値上げけしからぬけしからぬと言ったところで判断することができないと思うんですが、そういう点について、企画庁は何か出してありますか。そういう便乗値上げをしてはいけない、これ以上はいけないというような線がどこか出ておりますか、これはすべての物価について。たとえば鉄鋼の場合だって、今度鉄鋼が一万円上がったと。自動車が〇・六トンの鉄鋼を使うと、それが六千円ですな、一万円上がって。それが付加価値がついて仮に二万円なら二万円上がったと。そういうことが国民にすぐわかるようなかっかうにならないと、高いとか安いとかということはわからないでしょう。そういう制度といいますか、そういうものはできていますか。
  94. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 結論を申し上げますと、そういうものを、これは広田委員の所属される社会党さんあたりからも法律を発動したらどうかというふうな、生活二法ですね、そういう御意見がたびたび出るんですが、私どもはやっぱり競争原理をフルに働かしていくということが前提だと思っているんです。  そこで、売り手、買い手、これの力が本当に拮抗いたしまして激しく交渉いたしまして、一方では賃上げの問題もある、そういうことをにらみ合わせながら両方で、ぎりぎりのところで価格交渉というものが決まっていくことが望ましいと。この点がちょっとわれわれと違うところでございますが、私はそう思っております。  そこで、三月十九日の総合物価対策では、生産性向上ということを非常に強調しているんです。いままでは、広田委員おっしゃったように、便乗値上げを許さぬとか便乗値上げを排除するとかというふうな、いわば若干消極的な考え方で物価対策を進めてきたんですが、これではいかぬと、どうしても生産性向上をやって吸収していくんだ、外からのインフレの波はどんなに高くとも、国内においてはそれぞれの産業が、売り手と買い手が非常な力で攻め合って、そして生産性をぎりぎりまで高揚していくという体制に切りかえていこう、そして一方では、総需要の適切なる管理をやってインフレムードを払拭していこう、こういうことを基盤にして、いま物価対策の強化を図っておるわけでございます。  したがって、どこまでも私どもは競争原理がフルに活用されてそのメリットが行われるということを前提にしながら、本当に生産性の向上ということを徹底していくことが、これからの物価の安定という上において欠くべからざる条件である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  95. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間がありませんで、私はやっぱりそういう基準になるものが出なければ、実際問題としてどれ以上が便乗値上げであるかどうかということが判断がしにくいと思うんですわ。ですから、私要望として、そういう国民一人一人が判断できるようなガイドラインをひとつつくってもらう。企業には原価計算をする、それもあるわけですから、企業の秘密もあるでしょう、そこまで政府が介入することはできぬにしても、大体この線だというようなものがやっぱり出てくるということが私はやっぱり本当の便乗値上げを抑制させることになると、こういうように思いますので、これは要望として言っておきます。  最後に、あと四分しかありませんので、公取の委員長質問をして終わりたいと思うんですけれども、さっきから私どものやりとりを聞いておられまして、私は今回の鉄鋼業界の値上げのやり方というものは、いわゆる独禁法十八条の同調的値上げ、そういうものにひっかかってくる疑いがあるように私は思うんですが、今日まで公取としては、今回の鉄鋼の値上げのパターンをどういうふうに理解しておられるのか、御答弁願いたい、要点だけ。
  96. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 御質問にお答えいたします前に、先ほど正示長官との質疑応答の中に、便乗値上げに対して何らか是正するような排除措置はないかということがございましたですけれども、これは三月の二十一日に公正取引委員会の事務局長と中小企業庁長官の連名によりまして、下請妻君対する親事業者の団体——百八十団体ございますが、これに対しまして最近の物価上昇のムードをバックとした便乗的な下請単価の切り下げなり、あるいは支給する材料の値上げ等の措置をとらないようにという要請書を出したことがございます。これは、一言申し上げておきたいと思います。  それから、鉄鋼値上げの状況でございますけれども、これは参議院の予算委員会でもお答えをしたのでございますが、昨年の十月ごろから鉄鋼五社の全部の社長さんではございませんが、来年の三月以降値上げをしたいということを表明しておられるわけでございまして、これは無償の媒体である新聞を使って値上げにつきましての一種のムードづくりをしておられるわけでございます。こういう点につきましても、私どもとしてはいささか奇異な感じを持っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、従来の鉄鋼の値上げのパターンを見ますと、初めのうちは比較的短い時間で値上げの宣言から交渉妥結までが結了するわけでございますけれども、最近になりますと、大体において三月ないし四月かかっておるわけでございます。今回も三月の上旬に値上げの宣言がございまして一カ月以上経過をいたしておりますが、まだ妥結はしていないように承知をいたしております。  したがいまして、法律の規定によりますと、寡占的なメーカーが値上げをしたときは、その理由につきまして公正取引委員会報告を徴収するという規定がございますのでいまだ値上げの途中経過でございますから、現時点におきまして余り理由を徴求するということはこれはむずかしいわけでございますが、値上げ交渉が妥結をいたしました段階におきまして、法律の要件に該当するかどうかにつきまして、まず予備調査をいたしまして——これは恐らくは法律の要件に該当するだろうという推測を持っております。いずれにいたしましても、法律の規定に該当するかどうかの調査をいたしまして、該当するということが判明いたしましたならば、これは法律の規定に基づきまして値上げの理由につきまして報告を求める、こういう段取りになるわけでございまして、それから先は徴求いたしました理由の概要を国会に対して報告をするということでございまして、これは昭和五十三年にすでに二件同調的値上げの報告の徴収をいたしておりまして、その概要は、昨年の暮れ提出をいたしました公正取引委員会の年次報告にその概要が記載してあるわけでございますから、鋼材価格につきましても現在十品目がすでに監視対象品目として指定をされておりますし、この十品目すべてにつきまして値上げの宣言が行われておりますから、恐らくは値上げが妥結をいたしました後におきまして、先ほど申し上げましたように、手続を経てその理由を徴求するということになろうかと思います。
  97. 広田幸一

    ○広田幸一君 もう時間が来ました。  それで、いまの物価対策で公取が果たされる役割りというものは非常に大きいと思うんですし、非常に努力をされておると思いますが、今回の問題をいま交渉しておる最中ですが、相当日にちもかかるでしょうが、やっぱりこっちから牽制することによって、向こうもそういうものにひっかかったら大変ですからいろいろやるでしょうが、いずれにしてもしっかりと目を光らせて、この物価対策の万全を期すように、公取の方に一層の御努力をお願いをして私の質問は終わります。
  98. 渡部通子

    渡部通子君 私は物価対策の見地から、ちょっと問題をしぼりまして薬価と検査価格について伺っておきたいと思います。  今国会におきましても、薬価問題がまことに頻繁に取り上げられまして、国民の関心は非常に大きくなっています。現に私のところにもいろいろな投書が参りまして放置できない状況ではないかと思います。  国民総医療費に占める薬剤費の割合は依然として非常に高い水準にございまして、これが健康保険財政圧迫の大きな要因ともなっています。ちなみに、昭和五十三年度国民総医療費約十兆四千億円、このうち薬剤費はと申しますと、政管健保の比率から推しはかりますと大体四兆円近く、三兆七、八千億円にもなっています。こうした薬剤費の増大とともに、薬価基準価格と実勢価格との乖離、それから過剰な投与、薬害の多発、こういつたことが後を絶たないわけでございますが、こういったことから、今回薬価についてちょっと伺います。  五十三年の七月に行われた薬価調査に基づく新薬価基準ですね、この告示は一体いつ行うつもりでありますか。参議院の予算委員会においては、四月中にという御発言もあったように承りますが、いつになるか、まずお答えをいただきたい。
  99. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) お尋ねの薬価調査に基づきます薬価改定の時期でございますが、現在、本調査以外に経時変動調査等を行いました結果を各品目ごとにチェックをしている段階でございまして、いつ改定を行うかというのは、現時点では定かには申し上げられない段階にあるわけでございます。
  100. 渡部通子

    渡部通子君 いつまで検討中ということかわかりませんけれども、経時変動調査を含めて集計作業は終わっているのではないかと私は推察するんですけれども、四月十七日の中医協に報告するつもりはございませんか。
  101. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 四月十七日に中医協の全員懇談会が行われることは予定されておるわけでございますけれども、それまでにどのような作業の段階になりますかということは本日はっきりしておりませんので、四月十七日の中医協に御報告するかどうかについても、本日の時点では明らかにできないというのが実態でございます。
  102. 渡部通子

    渡部通子君 本当に薬価に対する御認識が甘いんじゃないか、こう言わざるを得ません。五十三年の七月の調査からこの四月でもう二十一カ月です。恐らくこのままでは新薬価基準の改定は七月を越すんではないかと思いますけれども、そうしますともう調査からまるまる二年。薬価調査は、実勢価格を薬価基準に反映するために行うものである、当然そうでなければならないわけですけれども調査から二年も放置されていた、こうなった場合にこの間の経済社会の変化、インフレ、物価の高進、こういったものを含めますと、調査した意味はなくなってしまうんじゃないんですか。
  103. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 五十三年七月に調査をいたしましたのは本調査でございまして、それ以外に、今回は特別調査といたしまして、五十三年の五月に事前調査的のものを行っておりますし、五十三年の八月から九月にかけまして事後調査的なものをやっております。さらに、いまおっしゃったような点を補正するために経時変動調査というのを追加調査をしておるわけでございまして、それの最終の経時変動調査を行いましたのは、五十四年の十月から十一月にかけてでございまして、そのデータを含めまして、集計ではなくて改定についての作業を実施しておるというのが現在の段階でございます。
  104. 渡部通子

    渡部通子君 どんどんインフレが進む中で、それを補正するために経時変動調査をまた次かち次に追加しているなどというのは、ちょっとこっけいな話だと私は思わざるを得ないんですけれども、それは別といたしまして、業界紙や薬剤関係者の間で、今回の薬価基準の引き下げ率は一〇%だとも一五%だともということが流れています。そして一〇%の引き下げであると仮定してみれば年間三千九百二十億円、月にして三百二十六億円、国民の負担が軽減されることになります。もしも一五%の引き下げ、こう仮定してみれば年間に五千八百八十一億円、毎月にしまして四百九十億円の軽減になる、私が計算いたしますと、こういうことになります。財政難ということで官民挙げて経費の節約などと言っているんですけれども、いつまでもこの薬価基準の改定を行わないというのは、全く納得ができません。うわさでは、薬価基準の改定がおくれているのはメーカーの圧力があるからだなどということも言われておりますが、いかがですか。
  105. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほど来申し上げておりますように、現在作業中でございまして、作業は御承知かと思いますが、前回の薬価基準改定以来銘柄別収載を行いまして、その品目数が一万五千品目と非常に増大したという点もございますし、それから個々の経時変動調査等について、それぞれの薬についてのチェックを行っておるという点で時間がかかっておるわけでございまして、メーカー等の関係につきましては私ども全然考慮しておらない次第でございます。
  106. 渡部通子

    渡部通子君 御答弁は御答弁として承っておきますけれども、薬価調査がかなり大変だということは承知しておりますけれども、過去においても二年間もかかったなどということは余りないわけです。こんなに財政が大変なときに、そしてむだを省こうというときに、二年もかかっているということは、幾ら調査が大変だからとか、いま改定の作業に入っているからとかと言ってもそれはためにする言いわけでございまして、私、こういうことをやる気になって、本当に国民を挙げての節約の時代なんだからやろうではないかという、本気になればできないことではないと、率直に考えてそう思わざるを得ないわけです。  それはそれとして、五十三年七月に行われました薬価調査は厳正に行われたのかどうか、また、それ以前に行われた薬価調査は厳正な調査が行われてきたとお考えなのかどうか、それを伺います。
  107. 黒木武弘

    説明員(黒木武弘君) お答えいたします。  薬価調査につきましては、かねてから自計調査と申しますか、調査客体がみずから調査表に記入するという方式である、あるいは事前に予告した形で行われる調査であるというようなことで、調査について信憑性がないのではないかという批判があったことは事実でございます。したがいまして、先ほど医療課長から答弁いたしましたように、私どもの職員による、私どもの職員が販売業者に出向いていって直接帳簿を閲覧する形で調査する方式を今回は充実いたしまして、特別調査という形で本調査をはさんで二回やるとともに、一年間にわたって経時変動調査という形での他計調査を充実してまいりましたことから見ますと、今回の調査は実勢価格を的確に把握できているものと私どもは考えております。
  108. 渡部通子

    渡部通子君 お認めのように、薬価調査というものが厳正でない場合もあり得た、それは私もそう思います。五十三年の五月、卸の全国団体である日本医薬品卸業連合会通常総会、ここに出席なすった当時の中野薬務局長さんも、薬価調査問題についてそのような発言をしていらっしゃいます。確かにこれまで、卸には薬価調査に協力を願ってきたけれども、果たして真の実勢価格を記入してきたかどうかと、これほど乖離が大きな問題になっている以上、五十三年の薬価調査に関してはもはや真実なき記入は許されないと。もし、社会が納得しないような調査結果が出たとしたならば、行政当局としても重大な決意を持って臨むと、こういったような発言をしていらっしゃるところを見ますと、薬価調査が確かに事実が記入されていたかどうかということは大変問題だと思う。ですけれども、そのために厚生省が何回も他計調査を行ってきた、だから改定作業がおくれているのだという理由にはならないと私は思うんです。他計調査をそれだけおやりになったらなおさらのこと、いち早く実勢価格に薬価基準を近づけていただくようなその発表を急がなければならないと私は思うわけです。  それで、今度はかなり確実な調査だといういまの御発言でございますので、これまでも薬価基準改定が行われるたびに、価格は引き下げられてきたというのがいままでの実績でございます。しかし、国民はそれ以上に実勢価格はもっと安いんではないかという、こういう実感を持っていることも事実でございます。今回は正確だとおっしゃるから伺っておくんですが、薬価基準価格と医療機関が購入している価格との差、これについて厚生省は、薬価差益は薬価基準価格に対して何%ぐらいだと思っていらっしゃいますか。
  109. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) いわゆる薬価差益という言葉でございますが、これが何を指すかということで、細かい内容という観点からいたしますと、必ずしも共通の定義がないようでございます。従来からたびたび言われておりますのは、たとえば自治省がお調べになっております地方公営企業の決算の概況におきます自治体病院についての、いわゆる費用の中に占める薬剤費を分子といたしまして、医業収入を一〇〇とした場合の比率を見ますと二〇・四%という数字が出ます。それから厚生省で五十三年度に病院経営収支調査年報というのをやっておりますが、これは自治体病院、日赤、済生会、厚生連あるいは国公共済の病院等でございますが、この場合の薬価の差益率といういわゆる先ほど申し上げました医業収入に対する薬剤購入費の割合というのは二三・七%という数字が出ております。それから診療所についてでございますが、これは計算の方法でございますけれども、間もなく発表されるであろう医療経済実態調査でも、薬剤の収入そのものについての集計はございませんで、医業収入というのは全体をとっております。それから薬品費というのも、薬剤の購入費ということでとっておりますが、それは発表された時点でごらんいただきたいのでございますが、ちなみに、日本医師会の方で一般診療所について五十年の十月にやっている調査がございます。これに基づいて先ほど申し上げましたように、医業収入のうちの薬剤収入というのを社会医療調査という私どもが行っております調査の割合を引用いたしまして、それ対薬品の材料費というものを分母、分子で割ってみますと四三・四%という数字が出てまいります。したがって、そういう前提——そういうというのは医業収入に対する薬品購入費という分母、分子の関係ということで申し上げますと、ただいま申し上げたような数字になるわけでございます。
  110. 渡部通子

    渡部通子君 いまの御答弁でいろいろな数字が出てまいりましたけれども昭和四十九年二月の診療報酬改定時に中医協に提出なすった資料、その中の数字も御承知でいらっしゃいますね。
  111. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) いまちょっと……手元にあると思いますが、調べて後で御答弁いたしたいと思います。
  112. 渡部通子

    渡部通子君 じゃ、厚生省がお出しになった数字ですから、私の方で持っておりますので申し上げておきますと、病院で二九%、一般診療所で三〇・八%、医科平均をいたしますと三〇・五%という、これは厚生省自身が中医協にお出しになった四十九年の数字なんです。ですから、いま、いろいろな分子、分母の関係で二〇・四、あるいは二三・七、あるいは診療所においては四三・四、私が申し上げた三〇・五、こういったのは全部そちらさんの数字ですから、大体そういう差益分の数字というものはすでに常識的に出ているわけなんですね。いまもおっしゃいましたけれども、診療所における薬価マージンというものが実に四三%程度、それを超しているということ、それはお認めになるんですね。
  113. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたように、そういう前提の上で数字をはじきますと四〇という数字が出るわけでございますが、これはつまりある診療所がある薬を買って、それを全部使用した場合でございますとか、あるいは在庫として持ち越してしまう場合でございますとか、破損してしまうとかいう損耗分でございますとか、そういういわゆる正常のコスト分というものを全部含めた上での数字というふうに私ども理解しておりまして、後で議論に出るかもしれませんが、たとえば九〇%バルクということで薬価を決めておりますけれども、それが適正かどうかというのはもちろん中医協の御論議をいただかなくちゃいけないことでございますけれども、実際上、病院あるいは診療所の経営で、ある材料についての費用と、それにかかわります収入というものを直ちに相殺してその差が純益というふうに考えるのはいかがかというふうなことも考えておりますので申し上げたいと思います。
  114. 渡部通子

    渡部通子君 苦しい御答弁だと思うんですよ。そんな薬扱って損傷なんて、そういう薬の扱いの方がなお問題です。これはあたりまえなんです、世の中の常識からいきますと、そういう四三%なんという差益分が出てくるなんということは。現に私たちがいろんな点から入手しています共同購入の価格表などを見ますと、あるいはダイレクトメールなどの価格などを見ますと、この四三%。なるほどなあと思います。抗生物質なんというものに至りましては八〇%から九〇%引きなどということがざらにあるわけですから、これはもう常識でもうなずけることだと思います。厚生省としてはなかなか認めたくない数字だとは思いますけれども、譲って考えても、平均で三〇%あるいは二十数%の薬価差益があると、こういうことは事実でございます。こういうことを踏んまえてみますと、薬価基準価格が医療機関の購入価格であるわけでございますから、今回の調査が実勢価格を反映しているとするならば、本当に大きな幅の値下げが行われてしかるべきだと思います。それに対しての御意見はいかがですか。
  115. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほど申し上げておりますように、現在何%ぐらいの下げ幅になるかということは、最終結果が出ておりませんので申し上げるわけにまいりませんが、厳正な調査に基づいた結果を、私どもが従来からやっておりますようなバルクラインを引き直す作業等を終了いたしました段階で、お医者さんが薬でもうけるというふうな実態を、できるだけ早く解消したいということでさらに作業を進めてまいりたいと考えております。
  116. 渡部通子

    渡部通子君 きょうはぜひ局長さんにおいでいただきたいとお願いしたんですがだめでございましたので、その辺強力に進めていただきたいと思っています。  昭和四十七年一月の中医協の建議に、薬価基準の引き下げによって生ずる余裕を、いわゆる技術料を中心に上積みすることにしたいと考えていると、こうございますけれども、この中医協の建議は今回の薬価改定による引き下げがあった場合も有効でございますか。
  117. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 四十七年の一月にただいまおっしゃいました建議書が中医協から出ておりまして、そこでは、診療報酬体系の適正化との関連において、当分の間は薬価基準の引き下げによって生ずる余裕を、技術料を中心に上積みすることとしたいと考えているというふうな、御指摘のような建議書が出ております。したがいまして、この建議それ自体は中医協がなさったことでございまして、その方式をどのように変更するかどうかを含めまして、今後中医協で御審議をいただくことになろうかと思います。
  118. 渡部通子

    渡部通子君 いろいろいままで特に価格に関して、物価の委員会でございますから申し上げてまいりましたけれども、中医協の建議が生きるか生きないかということはこれからの御相談だそうでございますけれども、薬の引き下げ分を技術料へ振りかえる、こういうことであったといたしましても、薬価基準価格の改定がおくれることは私は許されてはいけないと思うんです。薬価基準価格改定と技術料への振りかえ問題、こういったことは薬価基準改定が行われた後に関係者の合意のもとで対処すべきことだと思いまして、それも含めて薬価基準の改定がおくれたなどということが決してないように、それはそれとして、薬価の改定を早急に行っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  大臣には、もう少したって総合的に所感を伺いたいと思っておりますけれども、物価の観点から薬価をいま申し上げました。本当に薬価基準改定という一点にしぼって議論をしたわけでございますが、それに引き続いてもう一つ今度は薬づけから検査づけの問題、これをやはり物価の観点から一、二点伺わせていただきたいと思っています。  最近、病院や診療所において検査が非常に行われるようになってきた。これは臨床検査は疾病の的確な診断や原因の究明、症状の分析などに大きな力を持っていることでございますから、好ましいことではございます。しかし、現在の臨床検査については、一方で検査づけという言葉があるように、検査についての疑問の声も聞かれます。そこで、最近の衛生検査所、これは登録、未登録に分けてその数はどのようになってきているか、また検査が国民医療費に占める割合、金額、これを伺いたいと思います。
  119. 斎藤治美

    説明員(斎藤治美君) 衛生検査所の数についてお答え申し上げます。  衛生検査所の中で、一定の設備構造の基準あるいは管理組織を持っているものについては都道府県知事に登録することができるという登録衛生検査所制度が発足いたしましたのが四十六年でございます。そのころの登録衛生検査所の数が、四十六年八月でございますが五十九カ所、登録していない検査所の数が三百六十八カ所、合計四百二十七カ所でございました。一番新しい数字を申し上げますと、五十四年の十一月現在でございますが、登録が四百二十九カ所、未登録が二百十四カ所、合計六百四十三カ所となっております。
  120. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 医療費の中に占めます検査の割合というお尋ねでございますが、先ほどもちょっと申し上げました社会医療調査というのを私ども毎年やっております。これは政管健保についての抽出調査でございますけれども、これによりまして、検査とレントゲンについての割合を推定するということで数字を申し上げてみますと、検査でございますが、検査にはたとえば尿でございますとかふん便、血液、あるいは脊髄液、細菌検査、あるいは免疫の検査、機能検査、そういうものが含まれておりますが、そういうものの検査の割合でございますが、四十九年は七・〇八%でございましたが、五十三年はこれがふえてまいりまして九・〇九%に上昇しております。それから御承知のレントゲンでございますが、レントゲンに関しましては四十九年が三・〇五%でございましたが、五十三年は三・三二%ということで、これも漸増しておるのが実態でございます。
  121. 渡部通子

    渡部通子君 もう少しはっきり答えていただきたいんですけれども、医療費に占める割合、金額、これトータルにするとどのくらいになりますか。
  122. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) もう少し大きい声で。私も聞こえない。
  123. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 恐れ入りました。  五十三年で申し上げますと、検査が九・〇九%、それからレントゲンが三・三二%でございまして、両方足しますと一二・四一%でございます。したがいまして、総医療費を十兆円といたしまして、この政管健保の頻度全体をあらわすものとして推計いたしますと、一四%でございますので一兆四千億が検査、レントゲンに使われていると、このように推計しております。
  124. 渡部通子

    渡部通子君 これもまた大きな数でございますね。国民医療費に占める割合が検査で一二・四一%、総金額が一兆四千億、これかなり大きな数字に上がってきて私もびっくりをいたします。今後、この検査費はますます増大する傾向にあると私は判断をするんですけれども、その点はどうでしょうか。衛生検査所の増加がここのところ数年来目覚ましいんですけれども、こういう理由ですね、検査所がどんどんふえてくる理由、それをどういうふうにごらんになりますか。
  125. 斎藤治美

    説明員(斎藤治美君) 衛生検査所がふえている理由についてのお尋ねでございますが、その背景には、一般的な検査の件数の増加というものがあるかと思いますが、それに加えまして、かつては病院あるいは診療所の中で検査が行われることが多かったわけでございますが、最近、医療機関からの委託を受けて行う衛生検査所の機能が非常に充実してきたということ、それから医療機関の側で、特に公的な性格の病院では定員の制約がありまして、特殊な検査などは外部に委託せざるを得ないというような事情が加わりまして、衛生検査所の数がふえたものと思われます。
  126. 渡部通子

    渡部通子君 検査所に出した方が安く上がるということもあるわけですね、簡便だということも。これは社労の委員会に譲りますけれども、未登録検査所というものがまだ三分の一ぐらいあるわけですね。こういったことをなくす方向に持っていくべきだと私は思います。しかし、それはちょっと具体的になりますから本委員会では省略をいたします。  ここに私、臨床検査の価格一覧表というものを実は持ってきたんです。これはある市の医師の協同組合のものなんです。これをお借りしてきたんですけれども、臨床検査の保険点数と比べると、衛生検査所の検査費用は著しく安くなっている。そちらの方には、これ表にしてお配りをいたしました。セット検査一覧表というのです。保険請求額とそれから衛生検査所でやる検査料の価格差というものが非常に大きいんです。ちょっと二、三例を申し上げますと、たとえば二十項目のマルチスクリーニングテスト、この場合に健康保険請求額は八千八十円、これに対して検査料はわずかに二千二百円、そうしますと差額は五千八百八十円、検査所に出した場合には二七%で上がっているわけです。それからまた、肝疾患セットAというのを見ますと、保険請求額は八千百円、検査料は二千二百八十円、そうすると五千八百二十円のマージンということで、これも検査所に出せば二八%で上がると。あるいは高血圧・動脈硬化症セットA、これも保険請求額は六千八百八十円に対し、検査所に出せば千九百五十円で上がると、二八%です。こうした臨床検査費用と保険点数の間の大きな開きを、どうお考えになりますか。
  127. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 私ども診療報酬におきます検査の点数の決め方でございますが、従来から、実は主としてみずから検査を行うという前提で、みずからと申しますのは自分の病院内で試験管を振って検査を行って、それを判定するというふうなことで定めてまいっております。したがいまして、その中には、血液検査といいましても、血液を採取する技術料、あるいは検査そのものの手技料、さらには検査の結果の判定に要する経費と申しますか、そういうものを含めて計算しておるわけでございます。いま御指摘の、外部のいわゆる検査所等の委託検査機関につきましては、その検査の一番重要な部分と申しますか、実態部分につきまして大数処理をする、あるいは省力化を行う、能率化するという観点で、健康保険の点数と先ほど指摘のあったようないわゆる差益的なものがあるのは実態だと、私ども考えておりますけれども、医療機関はそれを出しっ放しということじゃなくて、返ってきた検査結果につきましての判断を行った上で、さらに患者に対する診療方針を立てるとか、治療を行うとかいうふうなことで一連の作業として点数がセットされておりますので、そういう問題が御指摘されるのではないかと思うわけでございます。  ちなみに、これは今後の問題の一部でもございますけれども先ほどレントゲンのことでも申し上げましたけれども、レントゲンは診断料と撮影料とフィルム代と三つに分かれております。それで計算してみますと、いわゆる技術料部分と申しますか、診断料部分は全体の四四%ということになっておりまして、検査につきましても、今後中医協等でまた御議論いただくことになろうかと思いますけれども、余りの幅というのは私ども好ましいとは考えておりませんが、そういう要因も含まって差が出ておるということを御理解いただきたいと思います。
  128. 渡部通子

    渡部通子君 いずれにしても、検査をそうやって下請に出して安く上がるということが、まあ全部が全部とは言いませんけれども、特に大きな都会の病院などにおいては、非常にそれが利ざやかせぎになる。検査をすればするほどやはりお金がもうかるというシステムになっていることだけは事実でございます。それと同時に、そうした検査のあり方というものが医者のモラルというか、信用というか、そういった面に大きなマイナスになっていることも事実でございます。  日医が去年の七月十九日に「臨床検査の依頼に関する注意事項」として、各県の医師会長あてに通知をしておりますけれども、この内容を見ましても、「無理に検査料金の低廉さのみをはかる施設があり会員も安易にそのような施設を利用している傾向が見受けられる。」と、こういうふうにお医者さん自身がおっしゃっているくらいです。日医でも憂慮している問題です。ですからこれは私は野放しにしてはいけないと思う。  また逆に、その検査所で働いている人の投書が朝日新聞の三月二十五日の投書欄に載りました。それを見ておりますと、「うちの場合、ちゃんと検査しているのだろうか、という不安を持っています。」と、「夜間、血糖などの検査をする」「臨床検査技師がいないので、技師の資格のない人たちが検査しているからです。ほかの検査班でも同じような状態らしいのです。」「有資格者が慎重で正確な検査を、と叫びたいです。」という、こういう投書も私は拝見をいたしました。こういうものを見ておりますと、やはり検査というものは検査づけという悪名を片方呼び、それを安く保険点数とはかなりの格差の価格で検査所が請け負ってくれる。検査をすればするほどやはり医者はかせげるという、こういう利ざやかせぎの反面、医者の本当に生命尊重という立場のモラルを欠如させている方向に向いているのではないか。  さらには、検査所の業界というものはここ数年にわたりて異常な過当競争となっている。で、検査価格のダンピングが激しくなって保険点数より七割五分も安くしているところもあって、検査点数をどうしても利ざやでもうけているのではないかという一部悪評すら買っています。このような事態を厚生省はどこまで認識をしていらっしゃるのか、これを放置していてよろしいのかどうか、それを伺っておきます。
  129. 斎藤治美

    説明員(斎藤治美君) 衛生検査所における検査の信頼度に関するお話でございますが、衛生検査所では、事が国民の保健医療にかかわる問題であるということで、適正な検査が常に行われるようにするためのチェックをみずからやる、あるいは外部の機関がそういった業務の精度管理と申しますか、精度管理業務を行う場合にそれに参加するというようなことによりまして精度を維持するための努力をいたしております。  精度管理業務はいろんなレベルのいろんな組織が行っております。たとえば、都道府県医師会、大阪府、広島県、愛知県、群馬県、こういった医師会が管内の衛生検査所、それから医療機関を対象にして精度管理業務を行っております。それから、臨床検査技師会という技師さんの団体が行う精度管理業務にも参加しております。それから、全国的なものといたしましては日本医師会が医療機関、衛生検査所を対象にして実施します精度管理業務にも参加いたしておりまして、国としても四十六年度以降、この事業の委託を行ってきておりました。そのようにいたしまして精度管理業務、精度管理事業に参加することによって精度のレベルを維持するというための努力をいたしておりまして、厚生省といたしましても行政指導で積極的にそういう事業に参加するように努めております。
  130. 渡部通子

    渡部通子君 未登録衛生検査所に関しても、これは登録しなきゃならないというような方向に持っていくおつもりありませんか。
  131. 斎藤治美

    説明員(斎藤治美君) 先ほどもお答え申し上げましたが、四十六年から登録衛生検査所の制度ができました。四十五年の臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律に基づいてできたわけでございますが、その改正の際に、衛生検査所に対する規制をすべきであるという要請に対して、具体的にどこまで規制を行うことができるか、営業の自由という問題もかかわってまいりまして、いろいろ議論が行われたわけでございますが、最終的には現在のように一定の設備構造あるいは管理組織を持っている者については、都道府県の知事に登録することができるという制度になっております。
  132. 渡部通子

    渡部通子君 どうも答弁がはっきりしないんですよ。未登録衛生検査所をなくす方向に持っていくべきではないかと私は聞いたんです。その方向だけでいいんです。
  133. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 厚生省ね、私も社労を長くやっておるんだけど、もう少し責任持ってはっきりした答弁しなさいよ。私自身も委員長として聞いておって何を言っているかさっぱりわからぬ。質問者の主張をよく聞いて答弁しなさいよ。未登録検査所をなくす方向で、どういう努力を尽くすんですかということを言っているんじゃないですか。
  134. 斎藤治美

    説明員(斎藤治美君) 従来も都道府県を通じまして、まだ登録していない検査所にできるだけ登録基準を満たし登録するように、行政指導をしてきております。  未登録につきましていろいろ問題が指摘されておりますので、今後一層、そういった都道府県を通じての行政指導を強化してまいりますが、あわせまして、検査を委託する側からもできるだけ登録検査所に業務を委託するように、登録検査所はいわば優良検査所という位置づけになりますので、委託する側もそういう優良検査所に委託すると。検査結果に問題があった場合に、それをデータの一つとして医師が診断あるいは治療を行うわけでございますが、もし誤りがあれば最終責任は医師に属するわけでございますので、そういった観点からも、医療機関が登録の衛生検査所を利用するように要請を強化してまいりたいと思います。
  135. 渡部通子

    渡部通子君 事は人の命にかかわることですから、なるべく行政指導をするとおっしゃるけれども、検査の数字がでたらめだったらどうしようもないわけですよね。だから、一部新聞報道されたように、だれでもいつでもそんな検査所は開けるもんだから、暴力団あたりがやってきて適当な数字を書いて、そして医療機関に渡すというようなことも、うそか本当か知らないけれど新聞報道にはあったくらいなんです。そういったのを、ただ行政指導でとこうおっしゃるけれども、医師の信頼関係ね、患者との。それを損わしめ荒かせぎをさせるという点において、こんな悪いことはないわけですよ。だから、すでに常識化されているこの検査づけという問題について、もっと厳しい態度で臨んでほしいと思うんです。  で、先ほど検査の保険点数は自家検査を前提にして決められているというお話でございました。確かにそのとおりでしょう。ですから下請の分は安くても仕方がないんだと、こう言われちゃったんでは、これはまたここが悪の温床になるわけで、保険点数から大幅な割引料金で検査が行われている実態なんですから、これが医療費の安易な増大の一因になっていることは事実でございます。そういう意味で、検査の保険点数について検討なさる御用意はありませんか。
  136. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたが、保険点数と実際の委託される検査料との差が余りにも大きい場合には、確かにおっしゃるような問題も生ずるわけでございますので、今後の診療報酬改定の際に、検査につきまして、何らかの改良を加えるということで考えております。
  137. 渡部通子

    渡部通子君 大臣、薬価の問題と検査づけの問題に限って、私は短時間でございましたけれども、これは大変医療費のむだになっている、それから財政負担を国民に押しつけて、しかもそこに薬害とか検査に対するずさんさ、こういったものがどれほど生命に対する損害を与えているか、それをもって財政圧迫にもつながるという、これはもうまことにけしからぬことだと思う。で、薬価基準の改定というものはもう一日も早くしろということは再三取り上げられていることですけれども、いまだにそれがいつかわからないというような状況の御答弁でございます。私は非常に残念で仕方がありません。ですから、この薬価と検査の問題について、経企庁長官の御所感なりあるいは対応なりを伺いたいと思います。
  138. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) これは衆議院及び参議院の予算委員会でも大きく取り上げられた問題で、私もその重要性については、及ばずながら関心を持ってながめておるわけでありまするが、まあいろいろ厚生当局から御事情の説明がありましたが、いま渡部委員が御熱心に主張せられましたように、薬価基準の適正化と検査づけを初めとする医療費支出の合理化と申しますか是正の問題、こういう点についても、やっぱりこれは政治というか行政というか、非常に大事な問題であり、こういうことをできるだけ速やかに解明して、適当な措置を講ずることが政治及び行政に対する信頼の回復という点からもきわめて大事であり、また私どもの直接担当する物価対策からいっても、これはもう非常に重要な問題であるということを十分心得て、また関係当局とともに努力をしていきたいと考えております。
  139. 渡部通子

    渡部通子君 ひとつ厚生大臣にもよろしく伝えていただいて、薬価の改定を一日も早くということを強力にお願いをしたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、総合物価対策等についても若干お尋ねをいたしたいと思っておりましたが、本当に一、二点だけ長官にお伺いをいたします。  昨晩も長官、テレビで張り切ってお話をしていらっしゃいまして、大体長官のお考えなどはだんだんわかってきたんですけれども、私たちの考え方が違うと、立脚点が違うとおっしゃってしまわれればそれまでなんですが、私たちがやっぱり一番心配いたしておりますのは、これからの急激な便乗値上げをどう抑えていくかということなんです。これを生産性の向上で吸収したいということ、それから監視を強めたいということ、大体そんなことで長官は鋭意やっていただいているようでございますけれども、町のマーケットを見ておりますと、値上がりムードというものはすごいものなんです。それから国民の皆さんもみんな上がるのではないかという、口には出さないけれどもみんな心配で疑心暗鬼、こういうインフレムードというものは抑えがたいというところに来ているように思います。したがって、ここで電力料金の値上げが本当にはね返ってきたり、あるいは鉄鋼の値上げが現実になったりした場合にはこわい。そうなった場合に、上がってしまってからいわゆる緊急事態宣言をしてみてもこれは遅いのではないか、上がる前に用意をしていただくべきではないかということで、三党国対も申し入れましたように、物価二法の発動というものを、決して安易に振りかざせという意味ではありませんけれども、上がってからでは遅いのではないかということを私たちは繰り返し長官に申し上げているような次第です。  やはり、もう個別物資の上昇というものは仮需のおそれすら出てきているのではないか。紙とか木材とかというものはもうすでにすさまじい感じですし、したがって、長官は物価二法を発動すると価格が上に張りついてしまうということを御心配ですけれども、そればかりでなくて、やっぱり私は物資を指定して、保管状況から各流通段階、生産、出荷、もう各流通段階で監視をしてもらわなきゃならないと思うんですね。そういう立場を考えるときに、やはり価格調査官、これはもうぜひ置いていただくべきではなかろうかしら。上がってしまってからでは遅い。そういう意味で、倉庫の保管状況なんかも立ち入り検査できる価格調査官というものがぜひいま必要な時期ではないか、こう考えるのでございますが、いかがなものでしょうか。
  140. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) たびたび渡部委員とこの問題について、もう率直に意見を交換してまいったわけでありますが、やっぱり基本的にはこの需要と供給関係が非常に大事だと思うんです。私ども実は率直に、昨年はこれはもう場合によると原油の供給が需要を十分賄い得ないような事態になったならば、これはもう前のときの体験から言っても、おっしゃるように石油需給適正化法あるいは生活二法、こういうものを国会から与えていただいておるのだから御厄介にならなきゃならぬのかなあと思ったことは確かにありました。しかし、いま幸いにして原油の供給が需要を満たし、若干いままでのところは余りぎみ、だぶつきぎみというふうな事態になったことは、私は本当に不幸中の幸いだったと思うんです。  ただ、物価が上がっておる、卸売物価が上がっておる。そこでそれを消費者価格へ波及しないような努力、このための総合物価対策、日本銀行の金融引き締め、私どもの予算の実行はきのうやっと決まったんです、この間まで予算委員会で御審議をしていただいて。そこでこれも相当の引き締めということになりました。こういうことでインフレムードというものをまず払拭していく。そして引き締めして適切なる総需要の管理をやっていく。次は生産性向上で吸収していくと、こういうふうに考えて、個々の物資についても、いまあるいは不十分じゃないかという御疑問を持っておられるかもしれませんが、私どもは一万七、八千のモニター、中央、地方を通じてのそういう監視体制というものをいましいておるわけでございます。そこから情報をいただいておるわけであります。また中央からも情報を流しておる。こういうことでとにかく努力をしてやっていくということが、当面の私どもの対策でございまして、これをいまいきなりもう生活二法発動だというところへいきますと、私はやっぱり一番心配なのは、もうそれじゃ競争原理じゃないんだな、政府が言う標準価格だなと、こういうことになるとこれはやっぱり大問題だと思うんです。  そこで、そういうことに対しては、万一の場合にはおっしゃるように個別物資のうちで特別のものをやる必要があるんじゃなかろうか。そういうことは絶対ないというふうには申し上げません。それに対する備えはしておきますが、しかしなるべくならば需要に見合った供給を確保しながら競争原理をフルに活用していくという、この体制でもって市場機構を、やはり市場メカニズムといいますか、そういうものを前提とした物価対策を推進していきたい。  実は最近うちの事務次官がヨーロッパへ行きまして、各国の首脳者に会ったそうです。そのとき、日本ではこんなに卸売物価が上がっておるのに消費者物価がこんなのはどういうわけだと、もう大変に不思議なことだと言われておるのですね。きのうテレビをごらんいただいたそうでありがとうございましたが、私はそういう点について各国が信じがたいと、こう言っておるんですね。そこでそういうことを明らかにして内外の理解を求めたい。卸売物価の中には原油もみな入っていますと、うちの方は。もう外から来るものも全部入れていますと。ところが、西ドイツとかアメリカではそういうものは入れてない。そこで消費者物価と卸売物価との関係というものは、日本のようなほどには、日本のように開くということには理解ができない。そこで円安というふうなものが起こっておるとすれば、あるいはそれが一つの原因になっておるとすれば、これはとんでもないことですから、もう少しよく理解をしていただいて、なるべくならば卸売物価も余り上がらぬようにしたい、そして消費者物価は極力抑えていきたい、こういう姿勢で当分やらしていただきたいと考えておるわけでございます。
  141. 渡部通子

    渡部通子君 終わります。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は当面の物価対策について、短時間でありますがお尋ねしたいと思います。  御承知のように電気代、ガス代に引き続いて公共料金がメジロ押しに引き上げられるということが予定をされております。したがって、これによる国民の負担というのは耐えがたいものがあるわけですが、そこでお尋ねをいたしますが、電気代、ガス代の値上げ分を含めまして、五十五年度に予定をされている公共料金の引き上げが、消費者物価指数にどのような影響、どの程度、何%程度の影響を与えるというようにごらんになっているか、まずお伺いをしたいと思います。
  143. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 電灯料金、ガス料金の値上げによります消費者物価への影響は、電気が〇・七、ガスが〇・三ということで、合わせて一・〇%ということでございます。それから五十五年度予算の関連で予算に織り込みましたものについて、公共料金の値上がりが消費者物価に及ぼす影響につきましては〇・八%ということでございますので、その合計は一・八%になります。そのほかに、NHKの料金が現在逓信委員会の方にかかっておりますが、そういうものとか、あと地方公共団体の方で取り扱っておりますものがございますが、これについては、現在まだ四月の段階でございますので把握できない状況でございます。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 三月の二十七日に発表されました東京都区部の消費者物価指数というのが前月に比べて〇・五%アップと、こうなっています。そこで、全国の総合物価指数が二月が一三二・八%ですから、この東京都区部と同じ伸びとして三月の推計をしますと、一三三・五程度になるんではないかということが考えられます。そうしますと五十四年度全体の平均指数は大体一二九・三ぐらいではないか。政府の見通しも一二九・二ということのようですから、大体その程度が予想されます。  そこで、五十五年の四月以降物価上昇を仮にゼロといたしますと、すなわち三月の一三三・五なら一二三・五でずっともう一年間通したとしますと、五十五年度の平均の指数というのは一三三・五になりますね。そうすると、一二九・二もしくは三と比較をしますと、物価上昇率はこれは三・二%あるいは三・三という数字になってきます。それでいまおっしゃった電気代、ガス代、それから公共料金を入れて一・八%ですね、それだけそれにプラスする、他の物価は上昇を見ないと、こうしますと、それだけで五%前後のアップになるんですね。そうすると、消費者物価指数の伸びを六・四に抑えるという報告をなされているんですが、そうするともう余裕はあと一・四%しかない。したがってこの六・四%に物価の上昇率を抑えるというのは、きわめて無理ではないかというように思うんですが、この点はいかがですか。
  145. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) いまおっしゃったのはいわゆる消費者物価のげたといいますか、そういう考え方によります御計算だろうと思いますが、細かい数字その他については私どもは現在四月になって発表されます全国の確報を待っているわけでございますが、仮にいまお示しの数字でいった場合の前提で申し上げてみますと、三・二%というのはげたのように思われます。ただ、御承知のように、ことしの三月の物価を見ますと、野菜価格を中心にして季節商品の価格水準が非常に高いわけです。この野菜が高いということは、昨年来の気象条件によるところがありますので、一時的な面が非常に強いと思います。これはすでに農林省も昨日、四月中旬になれば相当程度のものが昨年水準ぐらいになるだろうということを予測して公表しておりますが、そういうことを考えてみますと、この三月の高値の是正というものはあるだろうと、そういたしますと、三・二%というものからやはり季節商品というものはマイナスしていく要素になる、こう思いますので、先ほどおっしゃいましたゆとりでございますね、が少ないとおっしゃいましたけれども、そういうものはカウントしなければならないと思っておりますので、非常に現在の卸売物価からの波及の状況等から見て厳しいそれは環境にあると思いますけれども、六・四%の数字というものは、各般の対策を講じていきまして何とか達成したいというのが現在の私どもの立場でございます。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 野菜の問題は後でまた触れますが、きのうちょうど櫻内幹事長が東京丸の内の東商ビルで開かれた日本青年会議所の政治委員会ですが、ここで講演なさっているんですが、それで、この六・四%の達成はきわめて困難だという見解を幹事長自身もお示しになってます。  それからもう一つ、別の角度から私はちょっと試算をしてみたんですが、五十五年三月の物価指数を先ほど言いましたような一三三・五と推定して、それから公共料金の値上げの寄与度を先ほどおっしゃいました電力なら〇・七、あるいはガスなら〇・三ということで、これで一・〇、これが四月にかかる。それからもう一つは国立学校の授業料、これは〇・〇一ということです。これで年度中の寄与度に置きかえますと大体一・〇。それを四月の物価指数にまた延ばしていきますと、置き直していきますと一三四・八という数字になっていきます。  五月はたばこの値上げ、これが〇・三三。それから先ほどおっしゃったNHKのやつが〇・〇六。それから国鉄ですね、これはどうなるか、まあ五月の予定ですから、それで計算するとこれが〇・〇七。したがって、年度中寄与度は五月は〇・四四になって、五月の物価指数というのは一三五・四になる。  六月は公共料金の値上げはありませんから、これは抜きにしてそのまま推移をして、七月に入りますと健保です。これが〇・三一。で、年度中の寄与度に直すと〇・三〇になりますから、ここで七月は一三五・八という数字になります。  八、九はなくて、十月に郵便料金の値上げで、これが〇・〇四。年度中寄与度も同じで、これが一三五・九になってきます。そのまま他の物価はもう全部上がらないとして、だから公共料金だけの値上げということでずうっと見ますと、結局五十五年度の平均指数というのは一三五・三になって、一二九・二ないし三に対して四・五ないし六のアップになりますね。こういう計算をしてみても、公共料金の値上げだけ見ましてもこのようにオーバーする。六・四にもうあと二%、これでいきますと一・八しか残りませんね。先ほどの話で一・六です。  いずれにしても、これらは、特に電気代、ガス代、先ほど話にも出てます鉄、それから石油製品、これらの値上げなんかがもう予想されるわけで、これらは物価の基幹ですから、これが他の物価にずうっと影響するというような問題を考えていきますと、六・四に抑えるというのはきわめて、これだけ見てもなかなか困難だろう。それに、先ほどお話もありましたように、自治体、公共団体が今年度また集中的に授業料、保育料、それから使用料、手数料、一斉に上げます。東京都で百三十項目でしたかにわたる値上げになりますね。これは全国ずうっと出てきます。ですから、この六・四%の上昇に抑えるというのは私はきわめてむずかしいというように思うんですが、重ねてもう一遍御見解をお聞きしたいと思います。
  147. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) いまおっしゃった数字も、基礎としての数字は、野菜等の季節商品が高水準で入ったままの姿で推移するということでございますから、先ほどお答え申し上げましたような事情は全く同じだろうと思っております。そこで五十五年度の消費者物価については、環境としては非常に厳しいことがあるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、五十五年度におきまして一つ違いますのは、五十四年度には海外物価が大幅に上昇した、石油が二・六倍というような状況になった、こういうものが現在影響が出てきておりまして、これが五十五年度に波及していくだろうと思いますが、ただ、五十五年度自身の問題としてみますと、そういう石油が二倍を超える上昇ということは五十五年度には考えられない、そういう意味で海外条件はかなり変わってくるんじゃないか。  それから一方で、五十四年度は季節商品の異常高値があったということが一つございまして、これは五十五年度には平常の水準に戻るだろうというようなこともあろうかと思います。しかし、五十四年度におきます海外物資の原材料高というものの波及が、電力を中心にして五十五年出てくるということもございますので、全体としては五十四年度よりも物価上昇は高まるということで、五十四年度の四・七%に対して五十五年度六・四%と見ております。そういう意味では押し上げ要因が非常に強いと思いますが、そういう状況の中でございますので、すでに御存じのような総合対策を、総需要管理の面とそれから個別対策の面と両面でやっていこうということで、公定歩合等については過去最高の水準、公共事業についてのまた施行も六割程度ということで進めようとしているわけでございます。そういう対策を総合的に実施して、あらゆる政策を動員してこの物価上昇率を極力低く抑えようと、それはやはり海外要因から出てくるものを国内要因に転嫁していく段階で、最小限のものにとどめるという努力が一番必要であろうという考え方でやっているわけでございます。  当面、ここしばらくの間でございますけれども、短期決戦型の総需要管理ということも考えて、これからの対策を進めようとしておるわけでございまして、そういうことによりまして六・四%の数字を達成したいということで努力しております。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 たびたび野菜の高騰の問題を強調されているわけですが、そのことは事実ですね。しかし、それを除いても消費者価格というのは上がり続いていると私は思う。たとえば東京都の区部の野菜などの季節性の商品を除く物価指数を見てみますと、前年同月比で——二月ですがね、五・四%のアップです。だから、全体は七・六%アップになっています。これはいまもおっしゃっているように、卸売物価の高騰が影響しているということを示しているわけですね。現に最近の卸売物価の上昇要因の特徴は、中間品及び完成品の上昇が強まってきていますね、最近ずっと。これは石油を初め素原材料の高騰がいまずうっと影響し出してきているということを私は示していると思うんです。だから、去年ずうっとそういう原材料関係上がりましたけれども、それが現実に全体に卸売物価の他の部分に、いま中間品なり完成品に影響が出だしてき、それが消費者物価にずうっとまた波及し出してきています。だから、野菜の部分を除いてもやっぱりそういう徴候というのは私は出てきていると思うんです。ですから、いろんな民間調査機関も、大体見通し九%とか一〇%とかいろんな数字を出してきていますけれども、これは公共料金のそういう上昇、それから卸売物価なり消費財価格の上昇、こういう要因を挙げて指摘をしています。  したがって、この点私はなかなかきわめて危険な状況にあるんじゃないかと思いますが、ちょうどきょう報道されているのによりますと、日銀がきのう、春の支店長会議を招集をして、物価状況その他について各支店長から報告を求めていますね。大阪の支店長の東山さんが言っているのは、この報道によりますと、「内需、輸出の堅調さで需給ギャップが縮小していることを背景に企業の間では物価先高を見越して製品価格の引き上げ、在庫の積み増しをする動きも続いている。特に「鋼材、塩化ビニール、セメントなどの業種では値上げを通すために出荷を抑える」」、そういうところもあって、「そうした動きが機械、石油化学、アルミ圧延などの業種に広まっていく傾向が報告されている。」そういう報道があります。ですから、全体としてやっぱり物価の先高の傾向、これがそういうように企業に影響を与え、在庫を残している、そういう動きが片一方は出てきている。こうなりますと、私はなかなか六・四%に抑え込むというのは大変厳しくなってくると思います。  ところが先ほどから何遍も言いますとおり、六・四%とにかく維持をする、何とかしたい、こうおっしゃる。願望はわかりますけれども、しかし、私同時に日曜日のあの国会討論会ですか、あのときも伊東官房長官も安倍さんもどっちも、当面の重点は物価対策だということを強調されております。しかし、国民の側から言いますと、これほど白々しい響きはないんです。なぜならば、政府は自分が先頭に立って公共料金をどんどん上げている。そのことによって先ほど言いましたように年間約四・六%ないし八%前後の物価を押し上げる、そういう役割りを政府自身がやっておって、そのことをたなに上げて総合物価対策をやるんだといまさらおっしゃっても、まさに私はそれは空疎な響きだ、こう思うんです。  逆に長官は、盛んにこの春闘に当たって賃金を抑えなければいかぬと、できるだけ賃上げを抑制をするという傾向でお話しなさっている。私はこれは政府の物価つり上げの責任をたなに上げて、そして物価つり上げの、さも賃金上げたらそうなりそうだという、そういう何といいますかね、政府の責任といいますか、そのツケを国民に転嫁をする。これは許すことのできない詭弁だと私はそうさえ思うんですがね、この辺長官のひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
  149. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 神谷委員の大分きつい詭弁というふうなお言葉もございましたが、決して詭弁は使っておりません。予算編成のときに予算に織り込んだ公共料金、これについての私どもの電力やガスについては、やや抑えたなあというふうに内容について御説明しておりますが、ところが、予算のときのはやっぱり原要求と最終的な決定の間には相当の開きがあるんです。で、ああいうことをやりまして、たとえば米価、麦価、それから国鉄運賃、郵便料金等も相当激しくやりまして、最終的に、さっき申し上げたように予算関連では〇・八というふうな公共料金は、これは財政インフレを抑えるためにはやむを得ないことだと、こういうことでやっておるんで、これを財政再建というふうなことがまだ足りないんだ、もっとしっかりやらなきゃいかぬのだという御議論が非常に強いわけですから、私どもも財政再建の一助としてああいう公共料金の一部のぎりぎりの、経営合理化やったぎりぎりのものはこれはやむを得ないという考え方で入れたということをひとつ御理解をいただきたい。    〔委員長退席理事最上進君着席〕  それで政府は、先頭に立って物価をつり上げたというのは少し酷な御批判だと思うんですが、われわれは極力抑えるということでやってまいりました。そして電力、ガスについてはもうこれはきょうは繰り返しませんが、相当なやっぱり圧縮をやっていただいた。そして消費者物価に対する影響を極力これも少なくしておるわけでございます。  さて、しかしその上に立って六・四というのはいま詭弁じゃないかと言われますが、そうじゃありませんので、これをぜひ守り抜くために、いまお触れにならなかったですけれども、海外からの物価の上がり方を抑えるとともに、やっぱり円レートについて非常にこれは私どもはいま遺憾なんですよ、この事態は。これはもう直接輸入物資の価格に響きますので、何としてもこれはもう少し、円のあるべき姿に戻すような努力をしなきゃいかぬ。そのために日本銀行、大蔵省もずいぶんいろいろやっておられますけれども、私は、われわれとしても日本の経済の内容をいろいろの、ファンダメンタルズという言葉を使いたくないんですが、そういうふうにいわゆる言っておりますので、そういうものについて内外の理解を得るように努めたい。  いま神谷委員が言われたように、物価が上がってきた、もう上がったままでずっといくんだ、これじゃ努力はできません。しかし、たとえば年度末の野菜がいろんな手を打って下がってきた。そしてそれがいわゆるげたを切り下げるような効果があるんだと、円が強くなっていく、外国から入ってくるものは安くなっていく。これはやっぱりプラスの面としてこれから努力の余地がある、こういうふうな考え方を持って、われわれとしては決して詭弁ではないんで、誠心誠意六・四%の目標達成に全力を尽くしていきたい、こういうことでございますから、よろしく御協力を願いたいと思います。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんので最後に申し上げておきたいと思うんですが、私は、やっぱりそういういま海外要因も現実ありますし、それから円安をどこで食いとめるかという問題もあるでしょう。そういう問題起こるのは、とにかく日本経済が余りにもアメリカ経済にもう従属し切っていると、こういういまの日米経済の問題も根本的には根っこにはあると思う。しかし、その問題はいま議論をしようとは思いません。しかし、現実にそういう問題があることは事実ですね。そうすれば、そういう海外要因に加えて国内要因でそれをさらに押し上げるという、そういうことをするんではなしに、いまやっぱりこの時期こそ公共料金の値上げをストップをして、さらに一つは……
  151. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 財政運営。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 財政運営はまた別の問題です。これは私どもではっきり言っているように今日の税制の問題、いろいろありますよ。われわれから言わすならば、まさに大企業を優遇するような、そういう財政の運営、税制の運営、これ自身に問題がある。ここのところをかえれば十分財源はあるというのがわれわれの、これは予算委員会でも主張していますからいまさら言いませんが、そこのところを転換をしないものですから、いままでの従来どおりのやり方をしようとするから、そういう矛盾が幾らでも増してくるわけです。ですから、一つは公共料金の値上げをやはりストップをするという問題。    〔理事最上進君退席、委員長着席〕  もう一つは、たとえば石油が七次の引き上げに続いて今度は第八次の値上げをやろうとする。ところが、たとえば日本石油を例にとりますと、三月期の決算見込みというのは史上最高で三百億円の経常利益という報道も出ていますね。それだけもうかっているのに何でまた値上げをするんです。実際にこの物価高、あるいはインフレを抑えるために長官を先頭にして苦労なさっているんだから、だからそんなむちゃな値上げをやめてそういうものを吐き出される。そういうことですね、独占価格に対する。あるいは先ほどから鉄鋼の問題がありましたけれども、経常利益は千八百億から二千億という状況ですね、これは先ほどもありました。これは前期に比較しますと二・二倍、過去最高の四十八年を三七%上回る経常の利益です。ところが、それがいま御承知のように鉄鋼各社は値上げをするという方向で動き出している。このところをそれこそ食いとめなければ、本当に今日の海外要因というのは非常に複雑であって出てきているわけですから、インフレを抑え、物価を抑えて国民生活を守るということは私はできない。もう最低限の政府の措置ではないかというふうに思うんです。  で、わが党の見地から言うならば、逆にこの労働者の賃金や、あるいは年金を一層充実をして、国民の購買力をうんと高めることによって、日本の全体の大企業中心の経済運営を転換をすることしなに、私はこの今日のきわめて深刻な危機の状態というんですか、従来どおりではかえられぬというように主張しているわけですが、それに対して政府首脳の答弁は、たとえば長官も言っておりますが、前のあの狂乱物価になったときは賃金の上昇率は非常に大きかった。今度はそれが抑えられているので助かっていますと、こうおっしゃるわけでしょう。これが実際また上がったら大変ですと言わぬばかりの話もこの間予算委員会でもなさっていましたよ。しかし、そういう物価上昇の犯人があたかも労働者の賃金の引き上げにあるかのような、そういう考え方というのは、私はまさに勤労国民の犠牲の上に大企業の利益を守るという、きわめて反国民的なやり方と言わざるを得ぬ。片一方は野放しだと、鉄鋼も、あるいは石油も。電気代、ガス代もきょう聞きますと、理事会では近くああいう査定をなさった内容についてお聞きをすることになっているようですが……
  153. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 時間が過ぎてます。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう点を私ははっきりさせなければ、転換をしなければ今日の日本経済の危機、物価問題は解決しないということを指摘をして私の質問を終わらしていただきます。  終わります。
  155. 木島則夫

    ○木島則夫君 総理は、しばしば六月を目途に物価を安定すると発言をされておいででございます。で、願望として総理の気持ちはよくわかります。七月が参議院選挙でありますから、こういう御発言もよくわかるわけであります。しかし、世間一般には四月ないし六月、つまり今年度前半くらいが物価情勢としては最も険悪な、最も悪化する時期ではないかというのがごくごく常識的な一般的な見方でございます。つまり、政府と世論との見方の違いの原因は、一体何なんだろうかということです。時間がございませんので、ひとつずばりお答えをいただきたい。
  156. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 総理が、六月になったら景気回復ということをはっきりおっしゃったんじゃないと私は理解いたしております。
  157. 木島則夫

    ○木島則夫君 いえ、物価を安定すると。
  158. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 物価の安定に当面、いま木島委員がおっしゃられたように、いま当面はそれが一番大事だからそれに全力を尽くして、そして物価安定のめどが立ったところで、いろいろとまた経済の問題についても考えていかなきゃならぬであろうというふうな言い回しでおっしゃったように思っておるわけです。だから、結論としては、木島委員のおっしゃるように、当面の物価対策に全力投球をすると、こういう趣旨で御理解をいただきたいと思っております。
  159. 木島則夫

    ○木島則夫君 六月をめどに物価安定、六月とにかく全力投球、これ結構なんですけれど、高値安定というようなことで安定してもらっちゃ困るわけであります。  さて総理は、一月、二月の消費者物価上昇の一つの原因が野菜の大幅値上がりと生鮮魚介などの値上がりにあったことから、春野菜の出回りによって野菜が下がることを期待されていると思う。政府の出荷奨励金支出等の効果もありまして、野菜の出回りは多分よくなると思います。しかし、最近の消費者物価の動向は、冬の端境期の野菜不足即値上がりといった一過性のものではないように思うわけですね。したがって、野菜への過大期待というものはこれは危険じゃないだろうか、この辺はどういうふうに判断をされておりますか。
  160. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 不幸にして野菜が、去年のちょうど私どもの選挙当時に台風がございましたり長雨がございまして、それで白菜とかキャベツとか非常に冬皆さんに愛好せらるる野菜が飢饉状態になった。それが大変高値を呼んだと、これが事実なんですね。そこで、どうも五十四年度の目標も達成できぬのじゃないかというふうに相当厳しく御批判があったわけですが、これは消費者物価の方は大体四・七、若干の端数はつきますけれども達成できる。そこで、私どもは一過性とは思っておりません。そのかわり卸売物価からの波及の問題がある。これからの将来、いろいろの公共料金の問題がある。だから、消費者物価については、先ほど来申し上げたようにきわめて厳しいと。しかし努力をしていく。そのときに、野菜の影響はいままでのところは非常に大きな負担でありましたが、これがいまのところはその重荷を軽減していただくような役割りを果たしつつあるんだということで、決して消費者物価について一過性のものだとは考えておりません。
  161. 木島則夫

    ○木島則夫君 消費者物価の推移を見ますと、対前年同月比上昇率を見ても、五十四年八、九月の三%台というものが十月、十一月には四%台、それから十二月が五%台、一月が六%台、これは以上全国ですね。で、二月が七%台、これ東京都区部と月を追いまして着実に上昇をしている。こういうことから見ても、たとえその野菜の問題が解決をしても、こういった趨勢が根本的に変わるとはとうてい私どもは思えないわけでございます。  そこで、具体的な物価対策についてお伺いをしてまいりたいと思うんですけれど、電気、ガスの大幅値上げによって、いわば米代が上がったことによりまして、諸々の物資の値上げが解禁といった条件が出てきて、四月から六月ぐらいに玉突き値上げ、同調値上げ、便乗値上げ等々の危険があって、いわゆるインフレマインドもますます高まってきている状況にあると、こう判断せざるを得ません。物価正念場を迎えて三月の十九日に政府が決定された総合物価対策は、これは私どもに言わせると、やっぱり抽象的で迫力に欠けている、こういうふうに申し上げざるを得ない。で、私どもは、かつての狂乱物価時代につくられた生活二法を発動をしまして個別物価対策を行うことによって便乗値上げ、買い占め、売り惜しみ等、こういうものを防がなければならない、こうずっと主張をしてきております。そこで政府は生活二法の発動に大変積極的なようにお見受けをするわけでありますが、これらの法律には「おそれがあるとき」と、いわば危険の事前防止の条文が規定をされております。今年度前半四、五、六月、この期間はまさに「おそれがあるとき」に相当するんじゃないだろうか、これがわれわれの判断でございます。現在が、いまがこれら条文に該当していないとするならば、物価担当の経企庁としては、一体どういう状況になったときが「おそれがあるとき」に該当をするのか、この辺はどう見ていらっしゃるか。つまりこの辺が一般世論と政府の見方との大きなずれなんですよ。
  162. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) まずずばりお答えをすれば、私どももさっきもほかの委員の方にもお答えしたとおりに、原油の供給量が需要を満たすことができないというふうな事態が起これば、これはもうどうしても強権によるいわゆる法律的措置をお願いしなきゃならぬということもあったと思うんですが、幸いにして、木島委員御承知のように、石油は供給計画において需要を上回っておるわけなんですよ。これから先どうなっていくか、これはもうなかなかむずかしい問題でございますから、私は、これからそういうことはあり得ないとは申しません。そこで私どもとしては、せっかく与えていただいた法律ですから、これを必要なときは発動できるように心組みをいたしておりますけれども、しかし三月十九日の総合物価対策をお読みいただくと「適切な総需要の管理」ということを一つうたっています。「生産性向上」ということをうたっている。一体何だと。その中に金融——いまの公定歩合を史上最高に引き上げて金融をぐっと締めておる。そして予算の実行、これが昨日の閣議でやっと決まったわけなんです、公共事業中心ですね。こういう抑制的な財政金融の運営、すなわちこれが「適切な総需要の管理」の具体的な大きな目玉なんです。  で、抽象的だとおっしゃいますが、そういうふうにして具体的に内容を盛り込んでいっておるわけでございます。そしてあとはいま申し上げたように、供給は需要を若干上回っておるようなときだから、とにかくみんなで生産性を向上してコストを吸収してくださいと、こういうことを非常に強くお願いを申し上げまして、おっしゃるように、値上げムードは相当行き渡っておるようですが、インフレムードを圧殺する、押し殺してしまうと。そして値上げムードがあっても、そういうものは賢い消費者、買い手売り手の関係から言って高いものは買わない、かずのこ戦法だと。前はトイレットペーパー戦法だったから、これは大変なことになってしまった。あの愚かしいことは二度と繰り返さない、こういうことでいくよりほかに私はいまのところは選択の道がないと。そして最悪の場合は、もちろんこれに備えることはいたしますけれども、当分はそういう努力によってこと難局を切り抜けていくことができると、こういう考え方で進んでおるわけでございます。
  163. 木島則夫

    ○木島則夫君 五十五年の三月の十九日に政府が決定をされました「当面の物価対策について」の文書で、個別物資に関する対策として「最近の商品市況にかんがみ、業種別、品目別に需給価格動向をきめ細かく調査、監視し、値上がりの著しい物資について、実態の把握に努め、」と、こうあります。今日までのところこの調査はどの程度行われて、どういう業種、品目で著しい値上がりが生じているのか、調査、監視の状況と結果を、簡潔で結構です、御報告をいただきたいと思います。
  164. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) この商品市況の中から出てきた価格の需給の動きにつきましては、主要なものは通産省関連が多いわけでございますが、通産省の中に主要物資需給価格動向の連絡会というものをつくって定期的にそのフォローをするということをやっております。その中で見てまいりますと、石油関係の値上がりに伴う価格上昇が見られるもの、これは石油製品、石油化学製品等が中心でございます。それからその他の輸入原材料の上昇によるものということで紙製品、それから木材関係、こういうものがあるわけでございます。その他最近の商品市況から見てまいりますと、非鉄金属の上昇がかなり著しいものがある。これは海外の相場がそのまま響くという性格を持っておりますけれども、そういうことで石油、非鉄金属、それから紙、木材、こういうようなものの上昇がかなり見られているということは、その毎月の調査結果から出てきております。
  165. 木島則夫

    ○木島則夫君 それに対する監視は。
  166. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) そこで、そういうことで把握された状況に対しましてどういう手を打つかということでございますが、結局海外からの原材料価格が上昇していく過程で、需給が非常に窮迫してくるということになりますと、不当な値上げが出てくるということが出てまいりますので、現在のところではその後のくだりに、備蓄の放出とか原材料出荷要請ということを書いておりますが、そういう形でその需給について対策を講じていこうということにいたしております。この例として申し上げますと、たとえば小型棒鋼なんかにつきましては、問題はやはり鉄くずの上昇ということがある。それは鉄くずが非常に不足しているという実態もあるわけですから、それは高炉メーカーに、鉄くずにかわる高炉ビレット製品を放出してもらうというようなことで三月中に十万トンの放出を要請するというようなことでやっておりますが、そういうことのほかに、たとえば紙については問題は古紙なんでございます。古紙について、供給をふやそうということで輸入をするとか、それから四月一日には古紙整理の日ということで官公庁から一斉に古紙の放出をするというような運動をするというようなことをあわせてやっておりますが、要はその各品目別の実態に即して、どうしたら供給がふやせるかというところに重点を置いて対策を講じていくという姿勢をとっておるところでございます。
  167. 木島則夫

    ○木島則夫君 これから私が申し上げようとしたことを、物価局長先取りしておっしゃっていただいたんですけれど、さらに同項の後段では、「必要に応じ、供給の確保のための備蓄の放出、原材料の出荷要請等、機動的な対策を実施する。」と、こうありまして、いま対策の一部をおっしゃっていただいた。こういうものは私は積極的にやはり進めていただきたいと思うわけでございます。で、政府の考え方としてはさっき私が触れた生活二法に基づく対策は回避をしたいけれど、類似の行為を行政指導ないしは通常の行政ベースの仕事の範囲内でやりたいということのように思われますけれど、もう一度伺いますが、それはどうしてかということ、さらにその生活二法を発動するよりも効果が上がると政府が考えているとしたら、その理由は何かということ、さっきの質問とダブリますけれど、この辺は非常に重大なものですから重ねて伺っておきたいと思います。
  168. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) そこなんです。結局需要を満たすだけの供給は確保できると。そのときに生活二法で標準価格をつくるということになりますと、そこへみんな上の方へ張りついてしまうんですね。そこで生産性向上ということをうったえて、そして高いものは買いませんよと、安くしていいものを売るならみんなそれを買いにきますよと、この競争原理を発動することが、私は非常に大事な物価の決め手である、こういうふうな考え方から、いまのところはそういう法律の——法律は後ろへちゃんと私どもは伝家の宝刀として持っておりますからね。これはもういよいよとなったら発動することを辞しませんよ。しかしできる限りそういうことはしないから、ひとつみんなで努力してやってくださいと。これでやっておるのがいまの私どもの考え方でございます。
  169. 木島則夫

    ○木島則夫君 時間の制約がございますので、一つ一つ突っ込んだ議論はいまいたしませんけれど、たとえば政府部内できめ細かな調査監視がされまして、値上がりの著しい物資の実態などを承知されたとしまして、その報告とかPRですね、どうもこれまで十分なされてこなかったように思いますね。このごろ物価の問題が政治の最重要課題としてクローズアップされてまいりまして、経企庁長官もマスコミの媒体を通してずいぶんそういった面についてのPR、御説明はされているようでございますけれど、どうもいままで私は少な過ぎたというふうに思いますね。インフレマインドの高まりとともに、ほんのささいなことがパニック状態をもたらすわけでして、かつてのトイレットペーパーのように個々の消費者にとっては、その物資の需給状況とか生産在庫を含めた状況などはなかなかわかりにくいわけでございます。なかなかわかりずらい。ここ半年ぐらいの間、政府で調査をされた結果を国民に詳細に知らせて協力をむしろ仰ぐ、その材料提供、こういうものを積極的におやりになる、ここでこそ政府の広報宣伝費が最も生かされる分野と思うわけでございますけれど、当然これはいまは実行されておりますから、私は一生懸命やっていただきたいという要望だけにこれはとどめておきます。  よく経企庁長官は高値のかずのこの買い控えの例を出されまして、市場メカニズムの効用を説明されております。これも私は否定はいたしません。しかし、これはいわば消費者の知恵でありまして、政府の消費者へのPRないしは情報提供の一〇〇%の結果ではなかったように私は思う。結局、消費者サイドの物価問題というものは、個別物価対策が一番大事なわけでございますから、国民の日常生活に関連の高いこの物資の動向を、政府がもっともっと積極的に国民に知らせる、そして市場メカニズムを補うような機能を果たしていただきたいというのが私の提言でございます。さらに、たとえば品不足によって値上がり傾向が出ている物は、消費者に対しましてより積極的な姿勢をとって代替品は何か、在庫流通の状況はどうかなどを知らせる。情報不足による不安心理の増幅をぜひ防止をしていかなければいけない。こういうものをもう少し長官ね、積極的におやりになっていただきたいのだけれどいかがですか。
  170. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 大変大事な点でありまして、私ども微力ですが、全力を尽くしたいと思います。特にマスコミの方々に、私はかずのこ戦法なんかはおっしゃるとおりこれはもうマスコミの力が非常にありましたですね。ああいうふうにして、重要な情報は私どもも提供いたしますし、マスコミの方々にも御協力をいただいて、一般消費者の方々に賢明なる消費者としての判断の材料を常に提供していくように全力を尽くしていきたいと思いますので、この点は木島委員特にお得意のところですから、よろしくお力添えを賜りたいと思います。
  171. 木島則夫

    ○木島則夫君 野党のわれわれとしても、問題のありかというものをはっきりと指摘をして、政府にその対策を迫っているわけでありますから、ひとつ政府も前向きに積極的に、この種の問題を前進をさしていただきたいと思うわけです。  そこで、より具体的に伺いたいと思うわけであります。国民への情報提供に関連しまして物価一一〇番でありますけれど、この物価問題の相談電話を、これまでのテープヘの記録から担当者の配置に改められたことは、これは私は一歩前進だと思いますね、結構だと思います。そこでいま長官に申し上げた議論をさらに一歩進めまして、重要な生活関連物資について、これは上限、下限に値幅はあって当然でありますけれど、これらの物資のいわば何というんでしょうかね、ガイドラインというんでしょうか、そういうものをこの物価一一〇番で答えてあげるようなことはできないんでしょうかね。たとえば、よくわかりました、検討をいたしますじゃこれはしようがないんで、大体この物資については現在のところこういう需給状況でございますと。したがっていまあなたが御指摘になった値段というものはやっぱりちょっと高過ぎますでしょうなというような、積極性のあるお答えというのは政府としてはこういう一一〇番あたりではできないんでしょうかね、これは。
  172. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 実はこれ、国会の議事録に私はまだとどめてないと思いますので、ひとつ物価ダイヤル〇三−五〇二−七六一一、これに来週月曜日からベテランの担当者が出て応対をいたしますので……
  173. 木島則夫

    ○木島則夫君 ちょっともう一回電話番号おっしゃってください。
  174. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) 〇三−五〇二−七六一一でございます。これは代表ですから相当ございます。それで、そこでいわゆる上限、下限、幅をもってガイドライン的なことを申したらどうかと、これは私どもはなかなかむずかしにと思うんですね。そこで消費者の方からいろいろおっしゃられたときには、やはり賢明なる消費者としてどういうことをやるべきかという御質問があれば、これはできる限りデータ、事実は申し上げますけれども、この標準価格的なものをお示しするということになると、これは大変問題だと思っております。  そこで、やっぱりあなた方の、あなたのお近くにどういうお店がございますか、その店では幾らですか。まあ自分が行きつけの一つだけのお店でやっておられるとすればこれは問題ですから、スーパーは幾らですか、公設、公営の市場は幾らですか、一般の小売店は幾らですか、そういうふうなことを申し上げて、お聞きするのはいいと思うんです、ここでは幾ら、ここでは幾らというふうなことを。しかし、こちらから、幾らが正しい価格で、上限は幾ら、下限は幾らですよということを言うのは、これは相当行き過ぎになるので十分注意をしなきゃならぬと、こんなふうに考えております。
  175. 木島則夫

    ○木島則夫君 藤井物価局長にもう少し具体的に伺いたいんでございますけれど、いずれにしましてもその生活二法はまだ発動する時期ではないし、それほど差し迫ったものではないというこの認識には、私どもと政府との認識の間には違いがございます。しかし、それはそれとしまして、やっぱり強力なる行政指導をしていくからには、いまこの情報化社会の中で、せっかくその一一〇番、いまおっしゃった〇三−五〇二−七六一一、これ覚えますよ、私も。まだ一般知らないですよ、これ、本当に。手帳だけにとどめておかずに、やっぱりこういうのどんどんおっしゃっていただきたい。  それで、そこで常時出ろとは言いませんけれども、ときどきやっぱり大臣がちょこっとお出になって、わかりましたよと——これは常時出ろなんて私は一切言いませんよ。それはほかの行政大事なことがたくさんあるから、ベテランの担当員がお出になりゃいい。どういう声がつまりそこに来るかということを、やっぱりときどきは生の国民の声というものをお聞きになる必要があるということと同時に、藤井物価局長に伺いますが、どの程度お答えなさるんですか、これから。よくわかりましたと、あなたの御近所ではどのくらいですかと、よく御検討になってと言われたんじゃ、強力なる行政指導のうちに私は入らないと思う。つまり、よりアプローチ、積極的に政府が物価問題に取り組む姿勢を具体的な対策としてお出しになって、初めてがっぷり四つに組んで物価問題というものが私は解決をされていくというふうに思うんですけれどね、物価局長、あなたのひとつ具体的構想を聞かしてくださいよ。
  176. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 従来の電話に際しまして、従来聞きっ放しだという御批判あったんですが、実は回答を要するというものは、全部回答を改めてしております。したがって、その御質問の趣旨に即して、こういう物資の最近の値段の動向はどうなのか、また一体不足ぎみにあるのかどうかというようなその御質問の中身に応じてお答えしてきております。  それで、たとえば去年は灯油の問題が多かったのですが、灯油が非常に手に入らないけれどもどうかということに対しては、たとえば地元の県、市町村にどういうところへ行っていただいたらいいんじゃないかというようなところもお話ししたり、またこちらでそういうことがなかなかできないようなものであれば、それはこちらからまた通産省にもお話しするというようなことをやっておりますので、結局そのおっしゃってきた人の問題点に即して個別にやっていかなきゃならないと思っていますが、今度は直接お話しできることになりますので、それが少し、さらにスムーズにいくのではないかというふうに期待をしております。
  177. 木島則夫

    ○木島則夫君 私の持ち時間これまででございます。  せっかく一歩を進めて、テープヘの録音ではなく、生の対応をなさるわけでありますから、せっかくできたそういうものをやっぱり有効適切に使いながら、それがわれわれの言う強力なる行政指導という形をとってもらわなきゃこういうものは意味ないわけですから、そこのところをひとつ十分にお考えをいただきたいということでございます。  もう時間ございませんので、これだけの要望にとどめておきまずけれど、ひとつ最後に、企画庁長官から、これはもう何としても物価の問題だけは、これはもう生活——どもの生き死にに関係をすることでありますから、この問題に最大の努力を傾注されていただきたい。決意だけではなく、実行の伴うものでなくてはならないということを、再度長官から伺って私の結びにしたいと思います。
  178. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) おっしゃるとおり、これはもう本当に国民全部の生活に直結する非常に重大な問題ですから、私どもは口先だけではなくて、本当に着実に実行をもってこたえていきたいと、こういうことでございます。  いま御注意ありましたように、物価二〇番におまえもひとつ出て生の声を伺ったらどうか。大変ありがたい御忠告として、できるだけそういうことを考えてまいりたいと思います。
  179. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) これで質問を終わりましたが、長官ね、委員長から要請しておきますが、三月十八日のこの前の商工との合同審査の際に、電力、ガス等について、まあ政府側は決定したならば、委員会の方に説明、御報告いたしますと、そういう両大臣の話があったのですが、まだわれわれの方としては報告を受けていないので、参議院の物特の委員会として、委員会または理事会を通して、この前の約束を守ってもらいたいということを要望しておいて、具体的な問題については委員部と十分相談してもらいたい、これだけ要望しておきます。
  180. 正示啓次郎

    ○国務大臣(正示啓次郎君) はい、よくわかりました。
  181. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 本日の調査はこの程度でとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————