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国務大臣(
武藤嘉文君) 今後の
農業の基本的な
方向を位置づけるためにも、しっかりした
政策をつくり上げなければならないことは当然でございまして、その
政策には、いま
先生御
指摘のとおりで、
構造政策のみならず、
生産政策あるいは価格
政策、あるいは何といいますか、農村の社会の福祉
政策、あるいは一方においてはその農村で
生産されたものの流通、加工、こういったような面についても思い切った一つの
方向を打ち出しまして、そういうものが総合的になされていくときに初めて私は日本の
農業の体質が強化され、また食糧が安定的に供給されるという役目が果たし得ると思っておるわけでございまして、いま御
指摘いただいた点は私は全く同感でございます。
そこで、それではそういうものに対してどう取り組んでおるのかということでございますが、これは一つは、
生産対策といたしましては、いま農政
審議会で議論をいただいております六十五年を目標とした長期
見通しをしっかりとつくり上げたい。そして、この間から
国会で御決議も衆参両院でいただきましたので、その需給
見通しの中には、ある
程度、もう少し日本の食糧自給度を高める形において私
どもの
最初十一月に出しました第一次試算の見直しができないかどうかという問題も含まれております。それからまた、万が一国際的な情勢がいろいろと
変化をしたり、あるいは油の値段が非常に上がってきておりますが、今後また油の値段が上がっていった場合に、外貨事情から言って、日本の食糧を確保するためにいま小麦やその他大豆、トウモロコシといったような飼料作物を買っておりますけれ
ども、一体そういう買うだけの外貨があるのかどうかということさえ将来非常に不安ではないかということもあるわけでございまして、そういう場合にはどう対処するのかというような問題も含めて、改めていま農政
審議会に実は御議論をいただくようにお願いをし、またそのためのいろいろの資料につきましても作成をするように私から事務当局に指示をいたしたわけでございます。そういうようなことが、
生産計画としては、今後
考えられていく
生産計画を決める上においての私
どもの対処の仕方でございます。
それからそれと
関連いたしまして、やはり価格
政策というものについても、従来確かに農
畜産物関係の約八割は価格
政策が実施されておりますけれ
ども、一体その中身についてはいまのままでいいのかどうか。やはり
生産意欲をもっと燃やしていただくためにはもっとたとえば高くした方がいいという意見もありますでしょうし、あるいは逆にいけば、国民から
農業が理解をされるためには、しかしそう価格だけをどんどん上げてもいけないということもこれは一方においてはあると思います。その辺の価格を一体どう持っていくのか。よくここでも議論がなされましたけれ
ども、いわゆる
生産意欲をなくさないということと、一方において需給関係からなかなか上げられないといういままでも二つの意見があるわけでございまして、その辺をどう持っていくかというところが、どうするかというのがやっぱり価格
政策の一つのいま大きな焦点になっておるわけでございます。
それから農村の整備という点においては、従来からやってきておりますけれ
ども、私
どもいろいろ村落集落特別対策事業とかというような予算をやったら、あれはどうも百億はけしからぬじゃないかという御議論もありますけれ
ども、少なくとも私はそうではなくて、都市と比べてみますと、農村の社会施設が非常に立ちおくれておるわけでございますから、そういう点において、社会施設なり生活環境整備なり、これはもうどんどんやっていかなきゃならないのではないかと、どの
程度までやっていくかということがやはりこれからの
方向を見定めなきゃいけないということで、これも議論をいただいておるわけでございます。
あるいは流通、加工の面から申しますと、どうも
生産手取りと消費者の購入価格と比較をいたしますと、他の
生産物と比べると、どうも
農業の場合には
生産手取りに比べて消費者価格が割り高であるような印象を受けるものがあるわけでございます。そういう面については、もう少しメスを入れて流通、加工の面で合理化をしていったら、せっかく
生産者が苦労しているんだったら消費者はもっと安く手に入るとか、消費者がそれだけ高く手に入れているんなら
生産者の手取りがもっと多くなっていいのじゃなかろうかと。もう少し
生産者と消費者との間の合理化を進めることによって、その辺が
生産者の手取りが多くなるのか消費者が安くなるのか。あるいは消費者がそのままならば
生産者の手取りが多くなり、あるいは
生産者の手取りがそのままならば消費者はもっと安くなる、こういうようなことがもっとできないのかとか、いろいろのことをいま実はそれぞれの農政
審議会の部会において議論をしていただいておるわけでございまして、
問題点は、大体そのようなところをやっておって、これを何とかひとつ七、八月ぐらいまでにはいろいろと御議論いただいたものをまとめていただいて、そしてそれを踏まえて、私
どもが
政策をつくり上げていきたい、こう
考えておるわけでございます。