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参考人(
内村良英君)
年金財政の問題につきましては、ただいま
構造改善局長から御
答弁があったわけでございますが、なお詳細ちょっと申し上げますと、現在の
年金財政は完全積立方式でやっております。それで五年ごとに再
計算することになっておりまして、次期の
計算は五十七年一月までにやらなければならないと、こういうかっこうになっております。
で、五十二年に再
計算したわけでございますが、今後のいろんな問題を申し上げますと、第一には、当初見込んだ被
保険者の数の増加が見られない。この点につきましては、先生から御
指摘がございましたように、われわれといたしましては、一層
加入努力をしてやらなきゃならぬわけでございまして、努力しておるわけでございますが、そういう問題が
一つございます。それから、
経営移譲の要件緩和に伴いまして、
経営移譲年金の受給権者が当初の見込みを大幅に上回っている。これは、御案内のように、五十一年
改正によりまして使用収益権による
経営移譲を認めたわけでございます。その結果、見込んでおりました
経営移譲率よりもかなり大幅に
経営移譲がふえているということ、すなわち受給者がふえているというファクターがございます。それから、五十年度以降
年金給付に物価スライド制がとられたということがございまして、これらの点から、現在、今後の
年金収支というのは非常に
財政上いろんな問題があるわけでございます。
で、きわめて端的に申し上げますと、現在私
どもは三千数百億の積立金を持っております。そこで、現在のまま
保険料を上げないということでいきましても、大体大ざっぱに申しまして、
昭和五十年代はそう困ることはないと。
給付に困ることはない。大体五十九年ぐらいに積立金が最高になりまして五百億くらいになるような
計算になっております。それが急速に下がりまして、全然
保険料を上げなければ六十四年ぐらいで積立金がゼロになるというおそれがあるということになっておりまして、いずれにいたしましても、
保険料を今後上げなければならないという問題がございます。
ただ、私
どもとして考慮しなければなりませんのは、現在
農家は
国民年金の
保険料を払い、さらに私
どもの
年金の
保険料を払っていただいておるわけでございます。
国民年金の
保険料も今後上がる
見通しになっておりますし、さらに私
どもの
保険料が相当大幅に上がっていくということでございますと、
農家負担の限界、まあこの種の社会保障的な経費についてどの程度の負担が合理的であるかということはまだはっきりした結論が出ておりませんし、私
どもその辺に関心を持ちまして熱心に検討しておりますけれ
どもわかりません。しかし、いずれにしても限度がございます。
そこで、そういった事態をどういうふうにして救済していくか。要するに
年金制度でございますから、この
制度は永久に続けなければいけない性質の仕事であることは当然でございます。したがいまして、そういった事態について対処する方式といたしましては、まだ役所の方でも御検討中だと思いますけれ
ども、まず
財政の
計算方式をどうするかという問題が
一つございます。それから国庫負担をどうするか、それからその他の
制度的な手直しをするかどうかというようなやり方があるわけでございますが、この辺のところにつきましては、農林水産省、厚生省の方でいろいろ御検討になると思います。私
どもといたしましても、
現実に
年金を
運営している経験からいろんな御意見は出そうとは思ったんですけれ
ども、一番心配しておりますのは、やはり
農家負担の限界がどこにあるかということについて明確なる結論をなるべく早く出していただいて問題を考えるべきではないかというふうに思っております。