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新谷寅三郎君
大臣がこの
予算を編成されたわけじゃなしに、大蔵省との
最終折衝はあなたがなさったんですから、これはあなたの全
責任とは思いませんけれ
ども、私はさっき申し上げましたように、これはそんなに単純な問題じゃないんですね。
日本の
放送行政の上で、これは右にするか左にするかという非常に大事な問題を含んでおるわけなんです。ですから、
行政上
行政上とおっしゃるけれ
ども、これは恐らく
予算の編成の際に
財務当局から、それは
利用者が負担したらどうだと簡単に言われて、これはまず
NHKが一番
利用するだろうからというんで、
NHKに六〇%というものをかぶせていったというような経過じゃないかと私は想像するんです。
利用者が負担するのは結構なんですよ。当然だと思います。それならば、
利用者に負担させる
方法はいろいろあるわけです。
実用衛星が打ち上がって、それをどの程度
利用するかによりまして、
料金で取ればいいんですよ、
料金で。電話なんかでもそうでしょう。
施設は貸して
料金取ってるんです。
利用者が
料金で払えばいいんです。何も出資までしなくても私はいいと思っているんです。
方法はあったと思うんです。だから、基本的な
政策の問題が後回しになって、
事務レベルの
行政的な考慮だけが先に走ってしまうから、将来これで行きますと、私は、
NHKも困るだろうし、
日本の
放送行政が非常にゆがんだ形にしかならないだろうと思うものですからこういう御
注意をしているわけなんです。
もっと言いますと、まだ十分ぐらいありますから言いますと、
NHKは、どっかで言われたようですけれ
ども、
放送衛星を使いますと、だんだんにいまの共
聴施設その他の
地上設備をやめていくんだと。これは
耐用命数が十五年ぐらいですからどんどん変えなきやならない。もうリプレースしないんだというようなことを言っておられるようですが、そうなると、非常に私は、さっき言ったような
ローカル放送の問題も出ますし、それから、いま現実は、これは実は私は十年余り前に
前田会長にやかましく言いまして、むしろ
NHKのやっている辺地の
難視解消のためにお建てになるいろんな
施設は
民放にも共用さしたらどうかとここでも申し上げました。いままで
NHKはそれを拒否しておったんですけど、
民放を見せるために必要とする特別の
経費は
民放に負担さしたらいいじゃないかということで、とうとう
NHKもそれ承諾されて現在のような制度になっているわけです。末端になると、いまは
民放と共同使用しているでしょう。そういったのをやめたら一体これ
民放がどうなるんでしょう。
民放もこれ自分でまた
施設をし直さなきゃならぬということにしかならないでしょう。
そういった問題をなぜ私はこんなに先走って、いま
大臣のおっしゃったような、
行政だけが先走って基本的な
方針をお忘れになったのかと不思議でならないのですよ。これは、いまここで言いましても
大臣もお困りでしょうから、私はこれは、この
予算案には反対はしませんが、しかし、だんだん本格化しますから、来年の
予算編成までに、むしろ基本になる
方針を、関係各省で集って閣議でお決めになって、その上に立ってこういった
衛星に関するいろいろの具体的な施策を講じられるようにしてもらいたいと思うんです。
で、ついで申し上げますが、宇宙
開発についてはまだ
日本では基本法ができていません。ですから、これは私、実は科学
技術庁長官ともいろいろ打ち合わしておるんです。科学
技術庁長官も基本的には私と同
意見なんです。たとえばこれは
衛星をだれでも打ち上げてもいいのか。それから
衛星はこれは物体ですからね、所有権は一体どうなるんだ。今度おやりになるように、共有でもいいのかどうか。民間資本がどんどん入っていってもいいのか、所有権の所在の問題。したがって、
衛星によってもし何か事が起きた場合の賠償
責任の問題、これはいま条約なんかがありますね、そういった問題がまだ
日本では決まってない。それからどんな目的で上げてもいいのか、
衛星の目的、そういったものについて
政府はこれはもう何ら関与しないのかというようないろんな問題があるわけなんですね。もっと極端に言えば、
日本の宇宙
開発事業団がロケットで打ち上げてくれないんなら、たとえばNASAに頼んで打ち上げたらどうなるんだ、そういう問題もあるわけです。
そういう基本的な
衛星についての
方針が全然決まってないんですよ。だから、まずそういった問題について、少なくとも閣議で何かの基本
方針を決めて、その上に立って
放送衛星もどうしたらいいか、しかも
放送行政の上でどうやるのが
国民のためになるかというようなことをお考え願いたい。これはいまのままで行かれますと、
NHKの
放送を見ようと思いますと、いまのパラボラアンテナを何万円か出してつくる。それから
民放を見るために現在の受像機をそのまま置いておかなければならぬ。
国民の負担も私はこれはばかにできないと思うんですよ。いろんな問題があります。
時間がありませんから、これ以上は私は具体的に申しませんけれ
ども、大体私の心配をして
大臣に御
注意を申し上げているというのはおわかりくださると思いますから、さっき申し上げたように、ひとつ来年度の
予算編成に当たりましては、ただことしはこうやったから今度は惰性で来年こうやるんだというようなことになさらずに、
放送の基本をまずお考えになって、その上にこの
予算の編成をされるように、これは強く要望して私の
質問を終わります。