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説明員(
秋草篤二君) 全くごもっともで、私どもは
収支差額が大きくなることをKDD以上に単に楽しんでいる、あるいは
当社の財政をよくするだけが能ではないのです。一刻も早く、それが余り高過ぎれば値下げをして、
国民の皆さんに還元するということは、これはもう常道だと思っております。
五十一年の暮れに参議院で議決を得ました公衆
電気通信の
料金値上げ案でございますが、そのときには四十九年度、五十年度、五十一年度と赤字が三年連続続きました。
総額約六千億でございます。その六千億も五十三年度で完全にお返しできました。五十四年度から初めて本当の黒字といいますか、財務的に豊かな財政になったわけでございまして、いま四千億ほどでございますが、まずこの点をひとつ御
理解願わなくちゃならないのですが、この
収支差額は
料金値上げをできるだけ抑える、あるいは次の
料金の値上げをできるだけ一日でもおくらせるという効果はございますけれども、
料金値下げとか値上げというものはなかなか手っ取り早くできるものではない。
五十四年度の収支を見ましても、私もいろいろと部内では試算しまして、ただいま申された遠距離格差の問題だけでも少しでもお役に立つかどうか試算させてみましたけれども、これは千億ぐらいではほとんど役に立たない。その前に、
建設投資の一部に繰り入れるということをこれからはできないようにされても、電電
公社の固有資本というものは、御案内のように
政府からお借りしているお金というものは百八十数億しかありません。あとは全部電電債の借金と
内部資金でやっているわけでございまして、今後も大部分は電電債の借り入れでやらなくちゃならぬ、借金をするにはやっぱり財務というものが健全でなければならぬ、この前提もひとつ
考えておいていただきたい。
これにはどの程度の公正報酬というか
収支差額が一番モダレートなものであるかということをわれわれいつも
考えておるのですが、先般
料金を通すときに
国会の決議で、電電
公社でも
料金決定の原則というものを有識者に諮ってみたらどうかということで、早速電信電話諮問
委員会というものをつくりまして、都留博士を会長とする十四、五人の有識者に諮りまして、非常にりっぱな答申が出ました。それによりますと、自己資本に対して何%とか、あるいは総資本に対して何%とかという二つの案が出ましたけれども、これに比べても、だいまの
収支差額は多少オーバーになっております。千億ないしは千五百億ほどオーバーになっております。こういう点は確かに私は
料金を是正する方向で早い機会に遠距離格差の問題は是正しなきゃならない。
さればといって、いま直ちに遠距離だけを下げてみたところで、やがてすぐ物価の問題とかがありまして、数年の後には本質的には
料金の全体の底上げの
時代が来るであろう、そういうことも
考えると、少し朝令暮改ではなかろうかというようなことも
考えておりまして、先生の御趣旨なり御
意見は十分わかりまして、この姿がまだまだ二、三年続くようでしたら、これは本格的に
料金値下げに取り組まなきゃいけませんと私は思っておりますけれども、ただいまのところ、ようやく赤字がなくなっただけの初年度でございますので、ちょっとまだ早かろうと。そこで、郵政大臣も
考えて、
国会の
審議を得ないで郵政大臣の認可事項でやれる範囲のものをわずかばかりでもひとつやってやったらどうかという御趣旨をいただいたのが夜間
料金の割引の対策でございます。そんなところがいまのところ悩んでいる事情でございます。