○
塚田十一郎君 まあ苦しいようですので、これ以上はお尋ねしませんが、もちろん現行法三十六条に
規定しておりますところの脱税
相談、これをやっちゃいかぬとか、三十七条に
規定している
税理士は信用失墜行為をやっちゃいかぬとか、それからまた、四十五条二項に
規定するような
税理士業務を行うには相当な注意をしておかないといかぬよというような
規定は、これはもちろんのことだと思うのです。しかし、私はいままでの
税理士法のもとで三十数年間
税理士業務をやらせてもらって、何のおとがめも受けることなく、それなりに
依頼者に喜ばれて
業務をやってまいったんですが、それではいかぬということになるのだと大変だと思います。
つまり、
納税者の
立場に立ってはいかぬ、中正な
立場に立て、私はとてもそんなことできないと思います。私は、ですからして、自分の気持ちからすれば、この一条は、これは条文を修正しなさいというほどの気持ちも持っていませんけれども、むしろ私の気持ちすっきりと言うならば、四十六年の十二月に、これこそ
日税連がお決めになった「
税理士法改正に関する
基本要綱」の方がより適切だと自分では思っています。
これには、第一条の
使命の
規定はこう書いてございますね。「
税理士は、
納税者の権利を擁護し、」とぱちんと書いてある。「
法律に定められた
納税義務の適正な
実現をはかることを
使命とする。」、この「
納税者の権利を擁護し、」ということがひとつ私は大事じゃないかと自分じゃ思っています。二項には、「
税理士は、前項の
使命にもとづき、誠実にその
職務を行ない、
納税者の信頼にこたえるとともに、租税
制度の改善に努力」しなさいと、こういうことなんです。しかし、まあこれは私の意見ですから。
しかし、大臣、このいまの
税理士制度は、申すまでもなく
シャウプ勧告が基礎になって出ておるんでして、あの当時の日本の
税務行政の状態、ことにあの時分はまだ
税務代理士と言っておったかと思うのですが、
税務代理士というものをどのように
シャウプ使節団が
認識したかというと、「
納税者の
代理としての税
専門家というよりも、むしろ上手な取引者ができあがっている。ある場合においては、この「取引者」という語は「買収」収賄およびこれに類似するものを
意味する婉曲な語句である。」と書いてある。非常に
税務代理士というものはばかにされておる。これではいかぬということで、いまのような
税理士法というものをつくって、いい
税理士を、健全な
税理士制度をつくれということになったと思うのです。
私は、実は
昭和二十一年から国会に出ておりまして、御記憶のあられる方もあるかと思いますが、
昭和二十三年から二十四年のころに、短期間ではありますが、
大蔵政務次官を務めさせていただいておる。その因縁をもってずうっと長く衆議院の
大蔵委員会に籍を置いており、
シャウプ使節団が来ましたころも私はそういう
立場におって、あの当時、あれは自由党でしたかな、自由党の税制調査会長を私はいたしておりました。したがって、当時のいきさつはかなりはっきりしているのですが、私はその中で、いまの二十六年にできた
税理士法制定のときに、あの当時の主税局長の平田敬一郎君が
委員会で御
答弁になっておるあれがあるのです。
これが非常によく私の
考える
税理士制度を言いあらわしておられると思うので、参考にちょっと読んでみます。「将来におきましてはさらに一層発展しまして、
税務代理士は軍に
税務官庁の都合ばかり聞くというのではなくて、むしろ」、ここはぴしっと
税務、官庁とは
独立となっている。「むしろ
納税者の正当な
利益と権利を
納税者にかわって擁護する、こういう機関といたしまして、どうしても将来大いに発展をはかる必要があるのではないかということを、強く
考えておる次第でございます」と言っておられる。
また、別のところでは「同時に私は
税理士の各位がほんとうにみずから勉強し、力を養われまして、
税務署に対しまして、むしろ堂々たる態度で、正しい
納税者の
利益、権利を擁護するという
意味におきまして、大いに活躍願う。むしろそれによりまして、
税務行政自体が改善されて行くというところまで、活躍が期待されるような
方向に行くのが理想ではないか。」と思うのであります。これが現在の
税理士法が二十六年にできたときの
政府当局の物の
考え方だと思うんです。いつの間にか変わっちゃったような感じがするんですが、どうですか。これ、主税局長。